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1991-02-21 第120回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年二月二十一日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 麻生 太郎君    理事 上草 義輝君 理事 金子原二郎君    理事 古賀 一成君 理事 古賀  誠君    理事 古賀 正浩君 理事 岡田 利春君    理事 中西 績介君 理事 東  順治君       北村 直人君    坂井 隆憲君       坂本 剛二君    野田  毅君       三原 朝彦君    山下 徳夫君       渡辺 省一君    岩田 順介君       佐々木秀典君    田口 健二君       中沢 健次君    細谷 治通君       藤原 房雄君    小沢 和秋君       高木 義明君  出席国務大臣         通商産業大臣  中尾 栄一君         労 働 大 臣 小里 貞利君  出席政府委員         通商産業大臣官         房総務審議官  高島  章君         資源エネルギー         庁長官     緒方謙二郎君         資源エネルギー         庁石炭部長   土居 征夫君         資源エネルギー         庁公益事業部長 川田 洋輝君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    征矢 紀臣君  委員外出席者         自治省財政局交         付税課長    谷本 正憲君         商工委員会調査         室長      松尾 恒生君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一九号)  石炭対策に関する件      ────◇─────
  2. 麻生太郎

    麻生委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  石炭対策基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀正浩君。
  3. 古賀正浩

    古賀(正)委員 おはようございます。  前回の本特別委員会におきまして、中尾通産大臣及び小里労働大臣から、石炭政策及びその労働問題に関しまして、それぞれの御所信の御披瀝をいただいたところであります。  本格的なエネルギー転換対策が始まりまして三十余年を経過し、当面石炭鉱業をめぐる環境は大変もう厳しい中でございます。そして当面、八次策の最終年度に入るというような段階でもございますし、また引き続きその後の石炭政策の方向づけなどを行わねばならない非常に重要な時期に当たるわけであります。また、産炭地域振興対策等については法的措置を速やかにまた引き続きとらねばならぬというような事態もあるわけでございますが、この重要な時期に当たりまして、両大臣がそれぞれ適切かつ積極的なお取り組みをいただくように、心からまずお願いを申し上げる次第であります。  さて、現在中東で大変不幸な戦火が開かれておるということでございますけれども、これ自体はまさに国際正義を実現するための戦いということでありますけれども、いろいろな戦争の切り口の中で、それと重ねて、例えば現在世界文明を制しております石油エネルギーの七〇%がこの中東地域に賦存しておるというようなこととも全く無関係とも言えないというような面もあるわけであります。  御承知のとおり、エネルギーというのは食糧と並びまして単なる普通の国際商品というようなものではなくて、ナショナルセキュリティーにかかわる非常に大事な性格を持っておるものでありますし、なけなしの貴重な国内炭鉱をこのまま失ってしまっていいものかというような、もちろん私は石炭構造調整路線を否定するものではありませんけれども、現在生きた数少ない炭鉱を抱えております私の地元の素朴なそして基本的なそういう声もあるということを大臣、お踏まえいただきまして、今後しっかりとこれを受けとめていただきたいと思っておるところであります。  さてそこで、質疑に入らせていただきますが、第八次石炭対策平成年度最終年度を迎えるということであります。そういう中で、この政策についてどのような通産大臣としての評価をお持ちになっておられるのか、そしてまた引き続き第九次策ということに相なると思うのでありますが、その骨格がまだなかなか見えてこないということで、地元などには非常に大きな不安もあるところであります。今後、そのお取り組み、どのような御見解か、通産大臣の御所見をまず承りたいと思います。
  4. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ただいま古賀委員から、ナショナルセキュリティーといいましょうか、国家安全保障問題という、冒頭にお話がございました。私も全くそのとおり考えておりまして、洋の東西を問わず、またあるいは歴史の古今を問わず、国家の存亡、レーゾンデートルというのはあくまでも国益の追求とともにナショナルセキュリティーにあると私も考えておる次第でございます。そういう中にあっては、ある意味においては農業もそのとおりでございましょう。これはもう先生の御専門でもあるし、また大変通暁されておることもよく知っております。同時に、石炭等を含めましたエネルギー源というものは、何といいましても私ども基本的な政策一環でなくてはならぬ、こういう考え方に立ちますので、詳細にわたる点はひとつ政府委員にもお任せする場合もございますけれどもお許し願いまして、ポイントだけを申し上げてみたいと思うわけでございます。  昭和六十二年からスタートいたしました第八次石炭政策、これは本年度で四年目となるわけでございます。現在までのところ、その趣旨に沿って推移しているものと考えておる次第でございます。しかしながら、昨今の我が国石炭鉱業をめぐる環境には依然としてまだ厳しいものが存在しておる、こういうことを認知しなければなりません。このような中で、集中閉山の回避を基本といたしました、地域経済雇用に及ぼす影響というものをできる限り緩和をいたしまして生産体制集約化を円滑に行うとの考え方に立つ第八次石炭政策の着実な推進が認められておりまして、そして私といたしましては、その実施に全力を尽くしてまいる所存であり、そのようにまた通産省各位にも下命申し上げておる次第でございます。  また、炭鉱閉山規模縮小によりまして影響を受ける産炭地域振興につきましては、昨年十一月に出されました産炭地域振興審議会答申を踏まえまして、今次通常国会産炭地域振興臨時措置法改正法案を提出したところでございます。今後とも関係各省庁、自治体とも連携をとりつつ、各般の支援を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。  今後の石炭政策あり方につきましては、現在まさに石炭鉱業審議会の場におきまして御審議をいただいているところでありまして、その検討結果を踏まえまして適切な施策検討してまいりたい、このように考えておる次第でございます。  以上でございます。
  5. 古賀正浩

    古賀(正)委員 昨秋の石炭対策特別委員会公聴人からの意見の聴取となったわけでありますが、その際、日本石炭協会陳述の中で、九〇年代を構造調整最終段階と認識し、適正水準まで経営多角化を図りつつ生産規模縮小を図るというような陳述がございました。政府として、このような石炭業界構造調整のための努力というものに対していろいろな形で支援することが不可欠だと考えておりますが、通産省の御見解を承りたいと思います。
  6. 土居征夫

    土居政府委員 今後の石炭政策あり方につきましては、今大臣が御説明いたしましたように、昨年の九月末に石炭鉱業審議会に諮問いたしまして、現在検討を行っているところでございます。  今、先生からお話がありました衆議院の石炭対策特別委員会での公聴人としての日本石炭協会会長陳述、この問題につきましては、実は石炭鉱業審議会におきましても、この石炭政策検討一環として、昨年の十月十八日に同審議会において石炭協会会長から同趣旨の御発言がございました。要するに、九〇年代を構造調整最終段階として認識して、八次策の路線に沿って引き続き構造調整を進める、その結果適正な生産水準に移行する努力を継続するとともに、一方では新分野開拓等構造調整に乗り出す、そういう趣旨陳述でございます。  今後の石炭政策あり方につきましては、いずれにしても、これらの意見陳述等を踏まえまして石炭鉱業審議会において引き続き検討がなされていくものと思われますけれども、当省といたしましては、こういった石炭業界各社経営者の積極的な対応姿勢というものを評価して、今後の石炭鉱業審議会審議の結果を踏まえながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  7. 古賀正浩

    古賀(正)委員 次に、労働省にお尋ねしたいのですが、この第八次石炭政策のもとで私どもの予想を非常に上回るテンポで構造調整も進んでおるというようなことでございますが、こういうことに関連をいたしまして、私ども地元の三井三池におきましても三度にわたる大規模合理化がなされておるところであります。閉山合理化実施に当たりましては、これに伴って職を失うこととなります炭鉱離職者方々の再就職対策ということが最も重要な課題であることは多言を要しませんけれども労働省におかれましても既にいろいろな施策を講じて再就職援助をしていただいておるところでありますが、まず八次策のもとでの炭鉱離職者の再就職状況について説明を承りたいと思います。
  8. 征矢紀臣

    征矢政府委員 第八次石炭政策期間中に、閉山合理化によりまして平成二年十二月末現在までに約一万二千八百人の炭鉱離職者方々が発生しております。このうち公共職業安定所求職申し込みをいたしました求職者が約一万二千二百人でございますが、そのうち約九千七百名の方が就職その他になっておりまして、現在なお求職活動中の方が約二千五百人弱ということでございます。  労働省といたしましては、閉山合理化に伴って発生いたしました離職者方々につきまして、炭鉱離職者臨時措置法に基づく求職手帳を発給し、職業指導あるいは職業訓練実施就職促進手当移転費等の支給のほか、炭鉱離職者を雇い入れる事業主の方に対する特定求職者雇用開発助成金を支給する等の援護措置を講じまして、再就職促進を図っているところでございます。
  9. 古賀正浩

    古賀(正)委員 いろいろな努力をしていただいておることを非常に評価するところでありますけれども炭鉱離職者の再就職対策ということになりますと、それまで坑内労働という他の労働環境と大分違うことがあったわけでありますし、またいわゆる炭住に集団で寄住しているというような特殊な生活環境ども十分に考慮した措置が必要であると思うのであります。また、炭鉱離職者方々が再就職する場合には、非常に地元志向が強いというようなこともあるわけでありますけれども産炭地域一般に非常に厳しい雇用情勢があるということであります。そういうことのために、ひとつ炭鉱離職者の再就職促進を図るために、石炭企業によります新会社の設立等の、地元における受け皿づくりみたいなものが非常に重要だと思います。そういうことに行政側からも積極的に働きかけていただきたいと思う次第であります。  この点は御指摘だけといたしまして、いずれにいたしましても、炭鉱閉山合理化に伴いまして離職者が発生する場合には、これらの方々に対します再就職について十分な対策が講じられる必要があるということでございます。労働大臣の決意のほどをこの際お承りいたしたいと思います。
  10. 小里貞利

    小里国務大臣 炭鉱離職者の再就職問題、これは先生指摘のとおり、私ども労働省労働行政にとりましても最も重要な課題一つである、かように基本的に認識をいたしておるところでございます。  なおまた、ただいま先生発言の中でお触れになりましたように、坑内労働という特殊な一つ環境のもとで長年にわたって就労しておいでになったという一つの経緯、あるいはまた中高年齢者が多い、そういうような状況下を背景にいたしましての離職であり、かつまた、適切迅速なる再就職問題というのは率直に申し上げまして大変厳しい状況である、いわゆる雇用失業情勢にあるということを私どもは厳しく受けとめて、それだけにまた強力な対策を講じなければならぬ、かように考えております。  なおまた、このため労働省といたしましては、炭鉱離職者臨時措置法等によりまして、御承知のとおり離職者求職手帳を発給いたしまして再就職援助措置などを講じてまいっておるところでございますが、そのほか職業訓練の徹底した対策推進する、そしてできるだけ多くの方々が早い時期に再就職できるように最大限努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。  なおまた、先生承知のとおり、平成四年以降におきまして、いわゆるもろもろの、ただいま御指摘の再就職問題等中心にいたしまして、石炭鉱業審議会で目下検討いただいておりますから、これらの答申どもいただきまして、いわゆる炭鉱離職者対策も含めてそれらの対応を十分に進めてまいらなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  11. 古賀正浩

    古賀(正)委員 ありがとうございました。この離職者対策、ひとつ大いに力を入れて今後も取り組んでいただきたいとお願いを申し上げる次第であります。  さて、話を変えますが、今次国会産炭地域振興臨時措置法改正法案が提出されておるところであります。このことは、また改めた機会に本格的論議が行われるということで、きょうは簡単にいたしますけれども、昨年秋の産炭地域振興審議会答申におきまして指摘されておりますように、第八次策影響地域等重点対象地域に対します重点的施策が非常に重要だということであります。そのようなめり張りをつけた施策をとるということが大事だと考えるわけでありますが、通産省としてどのようなお取り組みをしようと考えておられるのか、基本的な考えだけをまずお聞かせいただきたいと思います。
  12. 土居征夫

    土居政府委員 御指摘がありましたように、昨年の十一月三十日に産炭地域振興審議会答申が行われまして、いわゆる八次策影響地域、第八次石炭政策によりまして閉山生産縮小等によりまして非常に打撃を受けた地域でございますが、こういった地域等に対します産炭地域振興施策重点的実施必要性が打ち出されたところでございます。  この審議会考え方を受けまして、今国会には延長改正法案を提出させていただいているところでございますけれども平成年度予算案におきましても、こういった八次策影響地域等中心にしました産炭地域振興対策につきましては、一層の充実を図るために、例えば産炭地域振興臨時交付金拡充、あるいは地域振興整備公団特別低利融資拡充、さらには工業団地計画的造成、こういった点につきまして最大限予算努力を盛り込んでいるところでございます。  今後とも、八次策影響地域等に対しましては重点的な施策を講じるということが審議会答申指摘でもございますので、これを受けまして、来年度以降においても、これは平成年度以降ということになりますと、現在行われております石炭鉱業審議会検討結果を踏まえることになりますが、これを踏まえてさらに対策拡充について検討してまいりたいというふうに考えております。
  13. 古賀正浩

    古賀(正)委員 ただいまの今後の産炭地域振興施策推進するに当たりましても、あるいは先ほど来の今後の第九次石炭政策に至るそのような諸対策を打ち出すにいたしましても、何と申しましても財源確保というのが非常に大事な課題であるわけであります。  そういう中で、この諸施策基本的には石炭勘定、それも石油業界等の負担によってやっておるという部分が非常に大きいということになっておるわけでありますが、最近のそれぞれ厳しい財政事情あるいはその他の状況から考えますと、この財源確保が大丈夫だろうかというような不安が、特に産炭地域地元の方で非常にあるところであります。これは非常に大事な施策でありますから、その確保にはぜひ万全を期していただきたいと考える次第でございますが、この点についての通産省の御見解を賜りたいと思います。
  14. 土居征夫

    土居政府委員 ただいま御指摘にございました財源問題につきましては、これは平成年度予算までは、現在の石特会計法に基づきまして原重油関税等を原資といたしました石炭勘定が設定されておりまして、一応それに基づいた予算が編成されておるわけでございますが、平成年度以降につきましては、いわゆるポスト八次対策、今後の石炭政策の問題ということで、先ほど御説明いたしました、現在、石炭鉱業審議会審議中の政策一環として議論がされておるところでございます。  御指摘のように、この財源問題につきましては、この審議会の中でも原重油関税等関係します業界意見というものは非常に厳しいものがございまして、それに対していろいろな代替案検討もなされておるところでございます。審議会に出ています議論としましては、一般会計の導入とかその他の代替案というものの検討もされておるわけでございますが、これはなかなかそれぞれ難しい問題がございまして、非常に審議会の中でも財源問題についてはまだ議論の帰趨が見えてないという状況でございます。いずれにしても、この審議会答申を踏まえまして、必要な対策予算確保については最大限努力をしていくということには変わりないところでございます。
  15. 古賀正浩

    古賀(正)委員 今の御説明のとおり、厳しい中でございますけれども、その財源措置最大限努力をしていただくように改めて強くお願いを申し上げる次第であります。  さて、今後紀元二〇〇〇年にかけまして日本国内石炭需要は一億一千万トンから四千万トンというような、非常に大きく伸びるということが予想されているところであります。他方、地球環境保護に関します論議が最近とみに活発化してきているということもございます。このような情勢を踏まえますと、石炭利用流通に関します技術開発体制整備が極めて重要となってくるというふうに考える次第でありますが、通産省としてどのようにお取り組みになる考えかを承りたいと思います。
  16. 土居征夫

    土居政府委員 昨年六月にまとまりました総合エネルギー調査会の報告によりまして、全体の長期的なエネルギー需給の見通しの中で、石炭需要につきましては、一九八八年で一億一千五百万トンという実績でございますけれども、二〇〇〇年にはこれが一億四千二百万トン、こういった伸びになるということが想定されております。国内炭の問題を離れまして、こういった一億四千二百万トンまで拡大される石炭需要に対しましての対策の問題というのがまた非常に重要な問題をはらんでおりまして、三つほど問題があるかと考えられます。  一つは、今後の増加する石炭の供給の安定確保、二番目が流通体制整備、三番目に、今御指摘がありました地球環境問題を克服する技術開発、こういった問題であるかと考えられますが、こういった問題につきましても、先ほど御説明いたしました現在審議中の石炭鉱業審議会の中で、国内炭問題とは別に議論がされる予定になっております。  特に地球環境問題等への対応につきましては、現在既に石炭利用という観点から、加圧流動床燃焼複合サイクル発電技術あるいは噴流床石炭ガス化複合サイクル発電技術、あるいは鉄関係につきましては溶融還元製鉄法、それから石炭と水をまぜたスラリー型の輸送利用という観点からCWMというような技術あるいはCCSといったような技術、こういったハンドリング技術等につきましても開発を積極的に推進しておるところでございます。  こうした石炭利用を総合的に推進するために、平成元年には財団法人石炭利用総合センターというものが設立されまして、その体制整備も図りつつあるところでございます。
  17. 古賀正浩

    古賀(正)委員 ありがとうございました。  こういう問題に関連いたしまして、私の地元大牟田市において、これは地域活性化のためのいろいろな努力をという意図も踏まえまして、意欲的な構想をいろいろ考えておるということがございます。  具体的には、例えばワールドコールテクノセンター構想、これはまだ仮称でございますけれども、国際的な視点も入れまして、現在全国的にも数少ない生きた炭鉱を持っておる地域でありますから、こういったものもうまく活用しまして、これを生産の場としてあるいは研究の場としてさらには研修の場として活用する、そしてこれをひとつ地域振興のいわば拠点の一つにするというような構想などはできないだろうかみたいなこともございます。あるいは、石炭産業科学館構想というのがございまして、これはいわば、現に生きて稼働しておる炭鉱等の機能も活用いたしまして、例えば動態博物館的ないろいろな構想ができないだろうかみたいな構想もいろいろ持っておるところであります。  これはまだ構想段階でございますから、特に現在すぐ通産省にどうかとお尋ねをするような問題ではないかもしれませんけれども、このようないろいろな地元創意工夫、意欲的な努力に対してひとつ通産省も温かい目でごらんいただき、また、できるだけ強力な御支援をいただくようにお願いしたいと考えておりますが、一般的な御所見をひとつ賜りたいと思います。
  18. 土居征夫

    土居政府委員 福岡県大牟田地域におきましてワールドコールテクノセンター構想というものが提案されておることは石炭部としても承知しておるところでございます。地域振興観点から各地域では地域活性化のための取り組みがいろいろとなされておりまして、本提案についても、こうした観点から非常に積極的に評価されるべきものではないかというふうに考えられます。ただ、このセンター構想の内容についてはまだそれほど具体化したものではないというふうにも承っておりますし、また、こういった問題につきましては、我が国における今後の石炭関連技術推進体制について、既に石炭技術研究所等既存機関もございます。そういった既存機関との調整みたいな問題もあるかというふうに考えられます。  したがいまして、現在、こういった石炭関連技術開発活用方法等について石炭鉱業審議会の場でも検討事項一つになってございますので、この構想についても、そういった既存機関との関係とかあるいは審議会検討状況等を踏まえながら今後検討さしていただきたいというふうに考えております。
  19. 古賀正浩

    古賀(正)委員 ありがとうございました。ともかく、このような地元意欲等については、できるだけこれを生かすような、水を差さないような、そういう温かい政策環境をつくると申しますか、通産省労働省で御指導いただくと申しますか、そういうことを心からお願いを申し上げる次第でございます。  さて、もうほぼ時間も参ってきたようであります。私ども考えますと、今から約千三百年前に大和朝廷に献上された燃える石というのがあったそうであります。また、私ども地元では、文明元年、ちょうど一四六九年ということでありますが、大牟田の稲荷村というところの伝治左衛門さんが燃える石みたいなものを見つけたということがあります。そのような淵源から始まりまして、幕末、あるいは明治期に入って殖産興業の時代、あるいは戦後の戦災復興期等石炭は私ども地域を、地域社会をしっかりと支えて、私ども復興あるいは経済成長に貢献をしてきた大事なセクターであったわけであります。  この石炭によって、この燃える石によって私ども地元大牟田市、それまでは、かつてはほんの寂れた漁村であったということでありますが、一大都市を現出し、地域の非常に重要な都市を形成して今日に至っておるところであります。しかしながら、ポスト石炭みたいなことで、現在地元ではいろいろな工夫努力をやっております。また、国からも長年にわたりいろいろな温かい施策を受けておりますけれども、まだいま一つ地域活性化する決め手に欠けておるというのが残念ながら今の現状であります。今まで地域を支えてきた燃える石、これにかわる新しい燃える石が何であろうか。地元も、先ほど申し上げました一つ構想どもその例でございますが、いろいろな努力取り組みをやっておるところであります。単に国に要請をするだけではなくて、地元も必死で取り組んでおる、このような実情もよくお酌み取りいただきまして、今後とも通産省あるいは労働省におかれましては、石炭対策産炭地域振興対策、あるいは労働対策等にさらに一層のお力添え、御努力を賜りたい、これを切にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  20. 麻生太郎

    麻生委員長 坂本剛二君。
  21. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 初めて質問させていただきます。  古賀委員ただいまいろいろな面につきまして御質問ありましたが、これは委員の足元の問題、非常に切実な問題でございまして非常にわかるわけでございますが、私は御承知のように常磐炭田、もう既に閉山した地域から出ておる委員でございます。したがいまして、私ども過去に経験をしたことを踏まえながら、先進地と申しますか、そういうものを踏まえて二、三質問させていただきます。  まず、労働省にお尋ねいたしますけれども炭鉱閉山あるいは合理化実施に当たりましては、これに伴って離職を余儀なくされる炭鉱離職者方々の再就職という問題が大変重要な課題になってまいります。ただいまの古賀委員質疑の中にもこのことは取り上げられたわけでございますが、長年にわたって坑内労働に従事しておった皆さん方が離職後に他の産業に再就職する、こういうことは非常に難しい困難な問題が実はあるわけでございまして、一日当たりの労働時間が短い問題とか、三交代制であるとか、大変いろいろなことがその後相当な期間にわたって影響をもたらしておるようでございます。したがいまして、円滑な職種の転換が行われるということが大変重要なかぎになってくるわけでございますが、労働省においては、炭鉱離職者方々の職種転換のための職業訓練について現在どのような対策が講じられておるのか、お尋ねをいたします。
  22. 征矢紀臣

    征矢政府委員 炭鉱閉山合理化によりまして離職された方々にとりましてはできるだけ早い時期に再就職を実現する必要がございまして、そのための職業訓練は重要かつ緊急の問題として従来から積極的に取り組んでいるところでございます。  職業訓練実施する際には、産炭地域及びその近郊におきます公共職業安定所と公共職業訓練施設とが密接な連携を図りながら、求職者の具体的な職業訓練ニーズの的確な把握に努めることによりまして、公共職業訓練施設の既設訓練科の定員の拡大あるいはニーズに応じた職業訓練科の新設、あるいは公民館等の施設を借り上げての速成訓練の実施、あるいは各種学校あるいは職場実習を中心といたしました事業主団体等への委託訓練、こういうものを活用いたしまして多様な方法で機動的な訓練を実施しているところでございます。  今後とも早期再就職促進のために効果的な職業訓練実施に努めてまいりたいと考えております。
  23. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 次に、大臣にお伺いいたしますが、炭鉱離職者方々が早期に再就職できるようにするということ、これは私どもの体験では非常に転職に時間がかかる、そんなふうに感じております。これはそういう意味でも職業訓練は大変重要なわけでございますが、特に離職者方々には中高年齢者が非常に多いわけでございまして、こういう実情を十分配慮しながら、今後とも積極的に施策推進されることが必要である、こう考えております。これらの施策推進するに当たりまして、労働大臣基本的な考え方をひとつお伺いしたいと思います。
  24. 小里貞利

    小里国務大臣 炭鉱離職者の再就職につきまして、基本的には先ほども若干申し上げましたし、また先生お話しのとおりでございますが、とにかく職種の転換、これは尋常一様にできないこと、一般論としてもそのとおりでございます。  さらにまた、私は素人でございますけれども先生お話をお伺いいたしておりまして、なるほど坑内労働という長きにわたる一つ労働環境、特殊性を持っております。ですから、幾ら再就職一つの窓口を御紹介いたしましても、あるいは準備をいたしましても、基礎的にその労働、就労するについてのものが整備されていなければなかなか円滑にいかない。そういう観点から、おっしゃるように、また先ほども若干説明申し上げましたように、労働省といたしましてもさような点に着目をして努力を払ってまいっておるところでございます。しかしながら、今日の経済の好況のために、一般論といたしましては人手不足化、いわゆる厳しい人材難、そういう情勢にあるものの、ただいまお話がございましたようなことなどもこれあり、長い間炭鉱労働者として従事してまいられました人々にとっては必ずしもその辺がスムーズに職種転換が図られていない、御指摘のとおりでございます。  実際の職業訓練に当たりましては、まず職業安定所などいわゆる職業安定機関、そしてまた職業訓練をするそれぞれの機関あるいは施設がございますから、これが基本的に密接な連携のもとにそれらの再就職のための基礎的な訓練なり調整を図っていく必要がある、こう思われます。しかしながら、率直に申し上げまして、本人の希望、それからそういう人たちを必要とする地域の産業のニーズというものが必ずしもうまくいっていない、ある意味のミスマッチを起こしておるという傾向もあるわけでございます。私どもは、それらのことが生じないように、できるだけ訓練の実施の方法なりその中身におきましてきめ細やかな配慮をする必要がある、かように考えまして対応を進めてまいっておるところでございます。  なお最後に、先生もまたお話がございましたが、炭鉱離職者には中高年齢者が多い、そういう特性もございますから、離職者方々のニーズに配慮しつつ、中高年齢者に適する訓練科の設置、先ほどもまた担当官が説明申し上げておりましたが、そういうことをできる限り努力をしながら、そして早期に雇用に結びつくように配慮いたしまして、委託訓練などの方法によりましても取り組んでいるところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも地域求職者状況を見きわめつつ、離職者の早期再就職促進に努めてまいりたいと考えております。
  25. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 それでは次に、通産省にお伺いをいたします。  現在行われております第八次石炭政策も本年度で四年目を迎えまして、昨年秋以降、石炭鉱業審議会においては今後の石炭政策あり方について関係団体からの意見陳述等を踏まえて検討がなされていると聞いておるところでございます。ユーザーあるいは労働界、業界、それぞれの立場で考え方が異なっており、対立する点も多々あると思うわけでございますが、これまでの審議の過程において具体的にどのような意見が出されておったのか、お聞かせをいただきたいと思います。  また、今後これらの意見を収れんさせていく必要があると考えますが、審議会検討スケジュールはどのような予定になっておりますか、ひとつお伺いしたいと思います。
  26. 土居征夫

    土居政府委員 今後の石炭政策あり方につきましては、昨年の九月に石炭鉱業審議会に諮問いたしまして、これまで関係団体からの意見陳述を経まして各種の議論がされております。特に国内石炭鉱業エネルギー政策上の位置づけ、それから産業構造調整政策という観点から見た位置づけ、あるいは地域経済社会等の関係における石炭鉱業の位置づけ、こういった点等を踏まえまして多角的な議論がされておるところでございます。  これまでに出された石炭政策についての立場といいますか基本的な考え方につきましては、おおむね三つに分けて整理できるというふうに考えられます。  第一の考え方は、国内の一次エネルギー供給の中で国内炭の占めるウエートというのはもう一・五%にまで低下してきている。一方、内外炭の価格差は国内炭が海外炭の二倍以上というような現状になりますと、国内炭エネルギー政策上の役割というのはもう終了したという考え方でございまして、こういう観点から構造調整をさらに進めて国内炭は最終的にゼロにすべきであるという考え方でございます。  第二の考え方は、石炭の使用量が全体としてさらに増加する、一億四千万トンまで二〇〇〇年には拡大する、そういう見通しの中で、現状程度の国内炭の出炭規模は維持存続させる必要がある。これはエネルギー政策上不可欠であるという立場でございまして、構造調整は八次策で終了した、したがって今後は現存炭鉱の存続を図る必要がある、こういう立場、考え方でございます。  第三の考え方は、国内炭の役割、特にエネルギー政策上の役割というのはやはり変化はしてきているという立場でございますが、ただ全く失われたわけではないだろう、そういう認識のもとに、八次策以降においても構造調整の過程は継続するということでございますが、一定の生産水準を前提とします均衡点まではそういう経営の多角化とかあるいは新分野開拓、こういったことを図りながら国内炭生産段階的な縮小を図っていく、こういう考え方でございます。  こういった基本的な考え方に基づきまして、現在それでは具体的に需給、価格あるいは合理化対策はどういうあり方になるのか、あるいはそれに関連して離職者対策雇用対策といったものはどういったことになるのか、あるいは関連します地域振興対策、鉱害対策、こういったものについて御検討いただいているところでございまして、今後のスケジュールは、本年の六月ごろを目途に答申をいただくという予定になっております。
  27. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 常磐炭田のありましたいわきの圏域でございますが、昭和三十年代から四十年代の前半にかけまして、大小たくさんありました炭鉱閉山が相次ぎ、経済社会は大変疲弊したのでございます。しかし、閉山以降工業団地の造成等の国の施策地元の自助努力によりまして、十数年の間に経済が再び活性化してまいりまして、産炭地域からも見事に卒業することができたわけでございます。  このようないわきの経験は、よその産炭地域活性化考える上で一つの参考になると思われるわけでありますが、工業団地の造成を初めとする企業誘致のための施策、これは産炭地域にとっては非常に重要と考えておりますけれども、この点は昨年十一月の産炭地域振興審議会答申においても提言されておるところでございます。通産省はこれを受けてどのように取り組もうとしておりますのか、お聞かせいただきたいと思います。
  28. 土居征夫

    土居政府委員 先生指摘のとおり、産炭地域活性化のためには企業誘致施策というのは極めて重要であるというふうに考えられます。  このため、現在の産炭地域振興対策におきましては、国税、地方税の税制上の優遇措置、進出企業に対します税制上の優遇措置を講じますとともに、工業団地の造成あるいは設備資金の融資等、地域振興整備公団の機能を活用いたしまして企業誘致の促進を図ってきたところでございます。  産炭地域振興審議会答申におきましても、今後の対策の重点方向といたしまして工業団地の計画的な造成、企業誘致、地場産業の振興等の必要性について指摘をいただいているところでございまして、これを踏まえまして、平成年度予算におきましては、新規工業団地の造成、これにつきましては調査着手一カ所を含めまして新規五カ所の決定ということで予算の内容に盛り込ましていただいております。それに加えまして地域振興整備公団の超低利融資の拡充等の措置を盛り込んでいるところでございます。  さらに、近年の経済のソフト化、サービス化ということから、産炭地振興におきます振興対象業種というものも、製造業から広く一般の鉱工業以外の産業にも広がっていかなければいけないという状況にございまして、こういった方向を踏まえまして、平成年度の税制改革におきまして、企業誘致のための国税、地方税の税制上の特別措置の対象業種につきましては、製造業種から流通、情報、研究関係業種にまで対象を拡大するということにいたしております。  今後とも産炭地域におきます企業誘致促進についてはさらに努力を続けていきたいというふうに考えております。
  29. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 十一月三十日の産炭地域振興審議会答申においては地域指定の見直しの必要性指摘されておりますけれども地域指定の解除に関する新しい考え方はどのようなものなのか、お聞かせいただきたいと思います。  また、いわきの場合には指定解除の際に経過措置がとられたと思います。今回の指定解除に当たっても、地域に与える影響を緩和するため経過措置には十分留意する必要があると考えますが、どのように考えておるのか、あわせてお尋ねをいたします。
  30. 土居征夫

    土居政府委員 昨年十一月三十日の産炭地域振興審議会答申におきましては、閉山による疲弊から回復したと考えられる地域それから閉山による疲弊が著しく希薄化したと認められる地域、こういった地域につきましては、法延長に際して指定の解除を行うといった地域指定の見直しの必要性について答申がなされております。さらに、この答申におきましては、具体的な地域指定の見直し基準について基本的な考え方に触れてございますけれども、いずれにしましても、政府といたしましては、この答申を受けまして今次通常国会に提出いたしました産炭地域振興臨時措置法の延長法案が通過しました後に、産炭地域振興審議会審議を経て基準を決定するという段取りになっております。  御指摘がありましたように、過去にいわき圏域が昭和六十二年度に指定解除が行われた経緯がございます。その場合には二年間の猶予期間が設けられておるということでございまして、今回の地域の見直しにつきましても、法延長に際しての指定解除については一定の猶予期間を設けることが必要であるというふうに審議会答申でも指摘されております。したがいまして、当省といたしましても、指定解除市町村の激変緩和といった観点から、一定の猶予期間を設ける等の配慮を今後検討していかなければならないというふうに考えております。
  31. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 次に、最近問題になっております地球環境問題に関連して若干質問いたします。  私は、石炭については酸性雨を初め地球環境汚染、そういう面からの取り組みを強化していく必要があると思うのでありますが、これは先進国だけの問題ではなくて、むしろ発展途上国をも巻き込んで地球全体として対策考えていく必要があろうかと思うのであります。特に、我が国の近くに位置しております中国の場合は、まともに我が国影響がある、こう考えられるところでございます。こういう中国とか発展途上国に対しまして、既に我が国開発されております簡易脱硫装置等を積極的に輸出することによって地球環境汚染に対処すべきじゃないか、こう考えておりますけれども通産省はこの点についていかがなものか、お伺いします。
  32. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 先生ただいま石炭の利用に際しまして酸性雨の問題をお引きになりましたけれども、酸性雨だけではなくて、石炭は燃焼しましたときに単位発生エネルギー当たりの炭酸ガスの発生量が化石燃料の中では一番多いと言われております。他方で、御指摘のように石炭は、そのすぐれた経済性、供給安定性の面で、今後我が国だけではなく発展途上国等においても重要なエネルギー源としてその役割を担っていく必要があるわけでございます。特に、発展途上国で石炭エネルギーに依存しなければならない一方で、資金的な制約もあり十分な環境対策を講ずる余裕がないというような実情もあろうかと存じます。  そこで、我が国の中では、石炭の利用効率の向上という観点から、加圧流動床燃焼複合サイクル発電技術でありますとか、噴流床石炭ガス化複合サイクル発電技術、あるいは溶融還元製鉄法といったような新しい技術開発を積極的に推進しているわけでございますけれども、同時に、御指摘のありました、発展途上国等で簡便かつ安価に石炭利用に係る環境対策を講ずることができますように、石炭ボイラー用の簡易脱硫装置の開発について研究協力等のプロジェクトを積極的に推進をしているところでございます。
  33. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 では、最後になりましたけれども、今後の石炭対策への取り組み方について通産大臣にお伺いいたします。
  34. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私は、この間の第百二十回国会の衆議院の石炭対策特別委員会における私自身の所信表明の中にもこのように申し上げておいたつもりでございます。この第八次石炭政策のもとでは、五つの炭鉱閉山に至った、他の炭鉱においても厳しい合理化が行われてきたところではある。しかし、関係者の懸命の努力需要業界の協力などの結果、所期の目標に沿って政策が進められてきたものと私は考えておるところではありますが、しかし、国内石炭鉱業は内外炭価格差問題を初めとして、引き続き厳しい環境に直面している、この局面を十分に見詰めながら、私自身もこのような所信表明もさせていただいたつもりでございます。  そこで、ただいまの御質問でございますが、昭和六十二年からスタートをいたしました第八次石炭政策も本年度でちょうど四年目となっておりまして、現在までのところおおむねその趣旨に沿って進捗しているものと考えられると思っておるのでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、昨今の我が国石炭鉱業をめぐる環境には依然として厳しいものがあることはもう認識を十分にしておるつもりでございます。  そこで、このような中で、どうしても集中閉山の回避を基本といたしまして、地域経済、あるいはまた、これはきょうも労働大臣もおいで賜っておりますが、雇用に及ぼす影響をできる限り緩和をいたしまして、そして、生産体制集約化を円滑に行う、こういう考え方に立つ第八次石炭政策の着実な推進が求められておりまして、私といたしましては、その実施に全力を尽くしてまいる所存でございます。  また、炭鉱閉山あるいはまた規模縮小によりまして影響を受けておりまする産炭地域振興につきましては、昨年十一月の産炭地域振興審議会答申を十分に踏まえまして、そして、今次国会産炭地域振興臨時措置法改正法案を提出したところでございますが、今後とも関係各省庁、自治体とも連携をとりつつ各般の支援を行うとともに、鉱害対策の着実な実施にも努めてまいりたいと考えておる次第でございます。これは先ほど委員の、環境問題は地球問題全体としての取り組み方ということにも連動して申し上げたいと思っておる次第でございます。  今後の石炭政策あり方につきましては、現在まさに石炭鉱業審議会の場で御審議をいただいているところでございますから、その検討結果を踏まえまして適切なる施策検討してまいりたいと存じますので、何とぞ委員におかれましても、いろいろな意味で御助言を賜りたいと願っておる次第でございます。  以上でございます。
  35. 坂本剛二

    ○坂本(剛)委員 ありがとうございました。  余裕のあるところで以上で質問を終わります。
  36. 麻生太郎

    麻生委員長 中沢健次君。
  37. 中沢健次

    ○中沢委員 私は時間が三十分の割り当てでございますので、要点を絞りまして、これから所信に対する質疑をさせていただきたいと思います。  実は私、国会議員になりましてからずっとこの委員会に所属をさせていただいておりまして、記憶によりますと、大臣もそれぞれ五代目じゃないかと思います。といいますのは、私は北海道四区の夕張の出身でございまして、とりわけ八次政策で大変な影響をこうむった。影響をこうむったということは上品な言い方だと思いますが、地元の人間としては非常に被害を受けた。こういうところの出身なものですから、今までしばしばこの委員会でも質問をさせていただきました。  まず最初に、通産大臣を含めて通産省の方にお尋ねをしたいと思いますけれども、今ほど議論がありましたように、八次政策が始まりましてちょうど四年を終わろうとしている、しかし、まだ一年度残っている、こういうところに今立っていると思います。  それで、まず政府委員の方に具体的な事実経緯を簡単にお答えをいただきたいと思いますが、八次政策がスタートをする時点と、平成年度の見通しで結構でありますけれども、全国的に石炭生産体制はどういうような推移をしているか、まずお答えをいただきたいと思います。
  38. 土居征夫

    土居政府委員 第八次石炭政策策定時の最終ゴールにつきましては、答申におきまして、需要に見合う供給規模をおおむね一千万トン程度を目標とするということになっておったかと思います。現時点で国内生産は、需要、供給ともにおおむねこの水準に近づいておるというふうに見ております。
  39. 中沢健次

    ○中沢委員 毎回指摘をしておりますけれども、今部長の方から答弁がありました。やや抽象的な答弁だと思います。あえて数字を申し上げたいと思います。  八次政策が始まる時点では、全国で一千七百十一万トン石炭が、国内炭生産をされておりました。平成年度の見通しでいいますと、九百四十万トンに大幅に削減になります。実に七百七十一万トン、事実として生産が減っている。しかも、この九百四十万トンのうち、俗に大手と言われている炭鉱生産をしておりますのは八百四十万トン、その他雑炭が百万トン、合わせて九百四十万トン。したがって、八次政策政策基本としては、一千万トン体制を堅持をする、しかもそれは緩やかに、ソフトランディングをやる、これが政府の方針でありました。私は社会党に所属をしておりますから、社会党はそういう政策については国会の内外を通じまして反対をしてきましたけれども、現実はそういう推移であります。しかも私の選挙区は、残念ながら全国で五つの閉山のうち四つが閉山を余儀なくされる。まだ三つの炭鉱が残っておりますけれども、正直言いまして辛うじて残っている。残るためには大幅な縮小をせざるを得ない、山によっては最盛期の三分の一ぐらいの生産や職員の体制しかない、こういう実態なのです。  そこで、通産大臣にお尋ねをしたいと思います。  まだ八次政策では一年度残っているわけですね。事実経過としては今申し上げました。いずれにしても、もう八次政策の一千万トン体制の堅持ということは、事実上レベルも含めて下回っている。そうすると、少なくともことしの四月から来年の三月までには、山の閉山だとかかつてのような大幅な合理化だとか、それはやはり通産大臣としても極力避ける、こういう姿勢を私はぜひ明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  40. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 昭和六十二年度からスタートいたしました第八次石炭政策、現在までのところ、おおむねその趣旨に沿って推移をしてきているものと考えております。  第八次政策、今さら申し上げるまでもありませんが、集中閉山の回避というものを基本にいたしまして、地域経済あるいは雇用に及ぼす影響をできる限り緩和をして生産体制集約化する、それを円滑に進めていくという、そういう考え方で成り立っているわけでありまして、その着実な推進というのが求められておりまして、私どももその実施に全力を尽くしてきているところでございます。  今後の石炭政策あり方につきましては、先ほど来出ておりますように、現在石炭鉱業審議会において、日本の国内の石炭鉱業エネルギー政策上の位置づけ、あるいは産業構造調整上の位置づけ、そしてまた地域経済における位置づけといったような非常に多角的な視点から検討を行っていただいているところでございます。  いずれにいたしましても、炭鉱の存続に関する判断というものは、一義的には各企業それぞれの固有の経営状況のもとで、企業の総合的な経営判断として行うべきものというふうに考えております。しかしながら、私どもとしては、昨今の我が国石炭鉱業をめぐります環境先生指摘のように大変厳しいものがあるということは十分認識をしているつもりでございまして、今後とも適切に対処していくようにしたいと考えております。
  41. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ただいまエネルギー庁長官から御答弁いただきましたことに関連をするような形になりますけれども、ただいま中沢委員お話を私は聞いておりまして、ある意味における、ある一種の感慨を催すものでございます。  と申しますのは、全くその問題とは離れますけれども、私の県などにおきましても、養蚕の主体県でございました。私が二十五年前、国会に初当選をしましたころには六万七千軒という養蚕農家でございました。ところが、今やその数たるや三千五百軒、そして当然それにまつわる職員等の数も激減をしたものでございました。私もどのくらい悩み、どのくらいこの問題にいそしんだかわからないつもりでございます。先生の御心中を考えましても非常にわかるわけでございまして、それだけに、どのようにしてこれを活性化をあと一回取り戻すのか、あるいは、これをどのような形においてこの社会の中に共通の基盤体としても伸ばし得るのかということは、恐らく毎日お考えでございましょう。それだけに私といたしましても、この今後の石炭政策あり方というものは、何としましても、去る九月二十五日に石炭鉱業審議会に諮問し検討を行っていくということを真剣に考えていかなければいかぬと考えているわけでございます。  あと一年ということではございますが、あと一年残っているのをどのように活用するのか。これは私ども、私も任にある限り存分にひとつこれは督励をいたしまして、そして、先ほどエネルギー庁長官が言われたような形で、また、再度重なるような答弁になりますけれども、まず国内炭の存続、活用という問題そのものを、石炭政策あり方について基本的にかかわる問題でございますし、先ほど来言われております伝統産業でございますし、日本の今までの、明治以来の富国強兵あるいはまた殖産興業の基幹をなした産業でございます。これを審議会においても、これだけの国内炭エネルギーセキュリティーの意味合いもございますから、国内炭生産、保安技術の活用の可能性等の国内炭エネルギー政策上の位置づけというものと、あるいは産業構造政策上の先ほど言った位置づけ、さらなるまた、地域経済社会における位置づけ、多角的な観点から審議を重ねているところでございますし、審議会では、このような基本考え方に加えまして、需給、価格、その他の具体的な施策あり方についても御検討いただいているところではございますが、通産省としましては、このような検討の結果を踏まえてしかるべく所要の措置をとらしていただきたい、このように考えておる次第でございます。  以上でございます。
  42. 中沢健次

    ○中沢委員 この委員会では通産大臣と初めて質疑を行っているわけでありますが、今大臣の方から、自分の選挙区の養蚕の今日までのいろいろな推移を体験をされて、産業そのものは違いますけれども石炭産業についても大臣としていろいろ考えながらやっていきたい、こういう前向きといいましょうか、通産大臣としての基本的な態度が示されました。各論で言いますとまた別の機会にいろいろ質疑をすることがあろうかと思いますが、いずれにしても、石炭産業というのは非常に大事な産業であって、八次政策最終年度には先ほど言いましたように事実上政策の目標を下回るような状態にあるという事実、そこのところはまたよくわきまえて、ぜひやっていただきたいと思います。  さて、同じような角度から、今度は産炭地問題について少しく議論をさせていただきたいと思います。  実は国勢調査の人口の速報値が示されました。資料をあらかじめもらっておりますけれども、昭和六十年度平成年度、私の出身の空知の五市一町、そして釧路、北海道の産炭地の人口がどういう推移をしているか、トータルで結構でありますから、お示しをいただきたいと思います。
  43. 土居征夫

    土居政府委員 先生指摘の空知地区の五市一町の人口の推移でございますが、昭和六十年と平成二年の比較で申し上げますと、芦別市が三万三百十七名から二万五千七十九名、赤平市が二万二千六百四十五名から一万九千四百九名、歌志内が九千六百十二名から八千二百七十九名、夕張が三万一千六百六十五名から二万九百六十九名、三笠市が二万一千五百十一名から一万七千四十九名、上砂川町が九千四百五十九名から六千四百三十九名ということでございます。
  44. 中沢健次

    ○中沢委員 釧路の数字もいただいておりますから、それは結構であります。  両大臣にもよく承知をしていただきたいと思いますが、実は全国的に都市の人口の推移ということを改めて別な角度で調べてみました。人口が減るということは決してベストな状態でない、ワーストだと思います。ワーストファイブを調べてみましたら、一番が残念ながら私の出身の夕張、減少率が三三・八%、二番、三番、四番、五番とも全部、今部長の方でお答えをされました空知の産炭地であります。いかに産業構造の調整とは言いながら、人口がこれだけ大幅に落ち込んでいる。確かに、鉄鋼だとか造船だとかいろいろ不況産業がありますけれども石炭産業が際立って大変な集中的な犠牲をこうむって人口が減っている。したがって、そういう産炭地振興について言いますと、今までの努力は全部否定はしません、否定はしませんが、なかなか思うように政策的な効果が上がっていないという事実、これを端的に物語っているのではないか、このように考えるわけです。  さて、そのことを前提にいたしまして、改めてまたお尋ねをしたいと思いますが、炭鉱閉山になりますと、その企業の社会的な責任として、できるだけその企業が産炭地に新しい企業をつくる、離職者雇用の受け皿を用意をする、地域振興にも一定の社会的な責任を果たすべきである。もちろん、企業もそういう努力をする、地元の行政も努力をする、こういうことが今日まで続けられてまいりましたけれども。  そこで、具体的にお尋ねをしたいのは、ちょうど私の選挙区でいいますと、三つの市町にまたがって閉山が四山集中をしました。それで、三つの市町村ごとの企業の立地あるいは企業の誘致、そしてそれに対する離職者の吸収の状況を改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 土居征夫

    土居政府委員 今御質問がありました、夕張、三笠、上砂川の地区における四炭鉱閉山に伴います企業誘致等につきましてでございますが、上砂川町の場合につきましては、閉山企業の関連会社四企業を含めまして二十企業が新規に立地しておりまして、百八十四名の炭鉱離職者の吸収を行っております。夕張につきましては、閉山企業の関連会社七企業を含めまして十五企業が新規立地いたしまして、約二百名、百九十九名の炭鉱離職者雇用を行っております。三笠につきましては、同じく閉山企業関連七を含めまして十企業の立地、これによりまして百六十四名の吸収を行っております。
  46. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、実は大臣、答弁は要りませんが、今お話しのような状態でそれなりの努力はあるわけなのでありますが、しかし、例えば夕張で二山の閉山離職をされた方が三千四百八十二人なのですね。今、受け皿でもって雇用したのが約二百、これは数でいうと、乱暴な言い方をすると問題にならない。一生懸命努力をするけれども、やはり地元としてはこれが一つの限界線だ、ここにやはり大きな現実的な問題が存在をしている、そのことだけはまず指摘をしたいと思います。  ただ一方、芦別を含め私の夕張も含めて、地元的には産業構造の転換ということで、例えば観光産業だとかレジャー産業だとか、基幹産業をそういう別な産業に切りかえようという努力はそれなりに続いているわけです。芦別でいいますと東急系がカナディアンワールドという一つのプロジェクトをつくりまして事業展開が昨年度から始まりました。私の夕張では歴史村、あるいは松下グループの関連でレースイ、これはスキー場中心のリゾート、あるいはエネ庁のてこ入れもいただきまして、ことしで二回目になりますけれども国際映画祭、話はちょっと横道にそれるかもしれませんが、地元の北海道新聞の報道を見ますと、私もこの映画祭の開会式には出席をしましたが、フランスのかつての有名な女優のミレーヌ・ドモンジョさんも審査委員長として夕張にもおいでになって、海外から恐らく五十人ぐらい有名な監督さんですとか俳優さん、国内外含めて、大変イベントとしては盛り上がって、こういう懸命な努力もされているわけなのです。  ただ、私がぜひ指摘をしたいのは、やはり産炭地振興という政策でいいますと後手に回っている。もっと言いますと、山が残っている間にその地域の産業構造の転換についていろいろやっていますけれども、非常に不十分である。結果的に、閉山だとか合理化という後始末で地域振興が後手後手に回っている。したがって受け皿も完全に用意をされない。産業構造の転換も基本的にうまくいっていない。ここにやはり大きな問題があると思うのですよ。これは事実でありますから、理屈ではなかなか打ち負かすことができないと思うのですよ。ですから、そういう事実について、両大臣におかれましては、きょうはわずかな時間でありますが、十分ひとつ認識をしていただきまして、これから恐らく正式に法案が提案されますと議論しますが、産炭法の問題についても十分ひとつそういう事実認識を頭の中にも入れていただきまして、大臣として責任のあるこれからの政策展開についてぜひお願いをしたいと思うのです。そこについて、通産大臣のいわゆるおよその所見で結構でありますけれども、ありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  47. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ただいま中沢委員からお聞きいたしまして、よくその心情はわかります。特に、三千二百何十人というまさに人口減ということになってまいります。大変な大移動でございましょう。そういう中にあって、その後でイベントの大きな、ドモンジョさんが来られておやりになろうが何をしようが余り――それは確かに意味はないことはございません。しかし、そのこと自体が全体の活性化とバランスのとれた活性化になるのかということになりますると、これはもう問題提起もされて当たり前のことだろうと思います。そういう意味においては、私どもも、かつての農業でいえば農業地図あるいはまたこういう産炭地域でいえば産炭地域における地図をつくって、どのような形においてこれをアシストしていくことが大きなある意味における活路につながっていくのかというような考え方というものをそこに出さなければいかぬなという感じは、私も今聞きながらも感じ取ったわけでございまして、今からの論議の中においても教えていただければありがたいことだ、こう思っております。ありがとうございました。
  48. 中沢健次

    ○中沢委員 きょうは本当に時間がありませんから、さわりの部分だけで大変恐縮でありますが、いずれにしても、大臣の方から今お答えがございました。現実を踏まえて、やはり産炭地の振興が大事だ、こういうことだと思いますので、今後の課題としてまたよろしくお願いをしたいと思います。  さて、労働大臣あるいは労働省の方にお尋ねをしたいと思います。  八次政策が始まって、繰り返しませんが、いずれにしても大量の炭鉱離職者が発生をしている。労働行政としてはそれに対する黒手帳の問題、職業訓練の問題、そして就職活動の問題について努力をされている、私はよく承知をしております。しかし現実問題としては、離職をされた方のほとんどの方が再就職をしているかというとそうではないと思うのですね。したがって、全国的な数字と北海道の数字で結構でありますから、離職者の数と就職者の数、八次政策、今日までの実情についてお示しをまずいただきたいと思います。
  49. 征矢紀臣

    征矢政府委員 八次策期間中に離職された方々につきまして、先ほどもお答え申し上げましたように、全体といたしましては離職者の方約一万二千八百名でございますが、そのうち公共職業安定所求職申し込みをされた方が約一万二千二百名でございます。そのうち今日まで再就職等をした方が約九千七百名、これは求職取り消し等も含めますが九千七百名でございまして、現在なお就職できずにおられる方々が約二千五百名弱でございます。  そのうち、北海道でございますが、北海道の方々が求職申込者数で約八千名で、就職等をされた方が約六千五百名程度、なお求職活動をされている方が約千五百名というような数字でございます。
  50. 中沢健次

    ○中沢委員 今も具体的な数字が示されました。いずれにしても、まだまだ未就職、つまり職につきたい、しかし職につけない。そういう点でいうと、大変な雇用不安が産炭地に残る、あるいはその周辺に残る、これは事実だと思います。  もう一つお尋ねをしたいのは、有効求人倍率、平成元年の十二月と昨年の十二月を対比をして、全国、北海道、それから夕張職安、どういう実態になっていますか。
  51. 征矢紀臣

    征矢政府委員 有効求人倍率で見ますと、平成元年度におきましては全国で一・三三倍でございます。これに対しまして、北海道全体では〇・六五倍、夕張職安管内におきましては〇・四四倍でございます。これが最新時点におきます平成二年十二月時点で見ますると、相当改善はされてきておりまして、全国におきましては一・五二倍でございますが、北海道におきましてはなお一を割っておりまして〇・七三倍、夕張職安管内におきましても〇・七一倍でございます。
  52. 中沢健次

    ○中沢委員 今、有効求人倍率についても数字が紹介されました。これを見まして、特に労働大臣からちょっとお答えをいただきたいと思いますが、いずれにしても全国的には雇用情勢は好転をしている、これは事実だと思います。それに比べて、残念ながら北海道はいろいろなハンディを持っておりましてかなりレベルが低い。とりわけ大量の失業者を出した夕張職安の管内でいうと北海道の水準よりも下がっている。ただ、夕張職安の有効求人倍率、このパーセントは、実は、もう夕張の職安関係では就職の機会がない、したがって、ほかの管外に出てしまった人についてはこのパーセントの中に入っていないわけですね。ですから、もっともっと現実的な雇用不安でいうと産炭地はひどいものがある、これは間違いがないところです。  そこで労働大臣にお尋ねをしたいのは、いずれにしても、この事実認識は十分お持ちだと思いますが、とりわけ、これからの政策にも関連をしますけれども炭鉱離職者雇用対策について相当重点を置かなければいけないのではないかと思いますが、総論で結構でございますから、お聞かせをいただきたいと思います。
  53. 小里貞利

    小里国務大臣 炭鉱離職者問題に対する再就職問題、大変御熱心な御提言をいただいておるところでございます。まさに再就職問題、なかんずく北海道産炭地帯におきまする厳しい環境に対する認識、先生と全く共通でございます。それだけに、端的に申し上げまして、これが再就職問題というのは非常に腰を据えて手がたく重点的に取り組まなければならないな、そういう感じを受けております。  特に、先ほど先生の質問にお答え申し上げましたように、そういう厳しい北海道の産炭地域情勢であるにもかかわらず、御指摘のとおり、有効求人倍率におきましてもあるいは失業率におきましても非常に厳しい状況でございます。既にお話もございましたように、今再就職を希望している北海道地帯の皆さんは一千五百名前後おりますよ、しかも、数字はそういうふうに整理されるものの、その背景にある要因というのは、他の産炭地域とは若干厳しさの上において違うところもあるというお話のとおりでございまして、それらを十分勘案しながら、本来も、申し上げるまでもなく、炭鉱離職者臨時措置法等によりまして、お話がございましたように再就職の手助けをいたします、あるいはまた、それだけにいわゆる再就職のための職業訓練等も特別に配慮して進めていきましょうと努力は申し上げておりまするものの、決して、結果的に見ますと十分なものでもなかろう、こういうふうに思います。いろいろお聞かせいただきました諸点等も十分考慮いたしながら忍耐強く努力いたさなければならぬ、さように考えておるところでございます。
  54. 中沢健次

    ○中沢委員 それでは最後の質問をさせていただきたいと思いますが、産炭法と平成年度予算関連をいたしまして、産炭法そのものはこれから時間があると思いますので、具体的な関係はそこに譲りたいと思いますが、いずれにしても、今度地域指定の見直し、こういう答申が出されて、法案の中にも出てくるわけです。  これは久しぶりのことでありまして、私の選挙区でいいますと、くどいようですが、八次政策影響下で、制度的にも予算的にも充実をするわけでありますから、それは結構だと思うのでありますが、そうでないところもやはり卒業をするということになってくると思うのです。これは産炭法に限らず、例えば新過疎法のときもそうでありましたけれども、卒業する場合については激変緩和、さまざまな措置が必要だと思います。法案にも出てまいっておりますけれども、これはひとつぜひ十分な配慮をすべきではないかということが一つ。  それから、平成年度予算でいいますと、産炭地振興関係で、新規事業が総額にして、私の計算では五億三千万ついているわけですね。その中で特に石炭企業として、石炭産業とまた別な形で多角経営をやろう、それは政策の先取りということで、私自身は非常に評価をするわけです。問題は、その多角経営をやるために企業に対して補給金を出す。平成年度は一億八千万円予算に計上しているのです。ただ、こういう時代ですから、各社ともそこに目をつけて、とにかく企業努力をやりたいと。私もいろいろなところを歩きますと、この程度の予算で十分なんでしょうかという話をよく聞きます。この間も部長にも個人的にも話をしましたが、まだ予算が決まっておりませんけれども、いずれにしても、これは新しい政策の芽として大事でありますから、私は、やや乱暴かもしれませんが、一億八千万という金額は金額として、それぞれの企業から具体的な要請が来た場合はひとつ受けて立つ、そのぐらいの腹構えが必要ではないか。言葉だけではなしに、そういう腹構えと姿勢があってこそやはり地域振興ということにつながっていくのではないかと思うのですよ。そのことについて、大臣でも結構ですし、あるいは政府委員の方でも結構ですが、答えづらいかもしれませんが、決意としてぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  55. 土居征夫

    土居政府委員 お尋ねがありました二点のうち、第一点の地域の見直しに伴います激変緩和のための猶予の問題でございますけれども、これにつきましては、先生指摘のように、これまでの施策の一貫性ということもございますので、先ほどの産炭地域振興審議会答申によりましても、今回の法延長に際しましての地域の解除に当たりましては、一定の猶予期間を設ける等激変緩和のための措置が必要であるという答申を受けております。したがいまして、今後の国会での審議を踏まえまして、実際に産炭地域振興審議会におきまして新しい基準が決まります際には、こういった点を配慮してぜひ激変緩和のための措置を講じてまいりたいというふうに考えております。  それから第二点の予算の問題でございますが、ちょっと誤解を避けるために、先ほど先生新規企業立地に伴います雇用吸収の問題、お話がありましたけれども先生指摘がありましたように、観光、レジャー等の問題だとか、あるいはその他いろいろ産炭地振興対策について、炭鉱離職者の吸収につきましてはその新規企業の立地以外に既存企業の拡充による対応もございますし、総合的にやっておりまして、あの数字の比較だけで産炭地対策の過去の効果を評価すべきではない、こういうふうに考えられますけれども、ただ、今御指摘がありましたように、非常に厳しい予算の中でございまして、新規項目もいろいろ設けておりますが、御指摘になりました石炭企業経営多角化促進補給金につきましても、一億八千万という予算を計上しております。  これにつきましては、その規模についてどうかというお話でございますが、これはまあ実際にどういう新規企業立地あるいは経営の多角化が推進されるかということにも関連してきますが、一応予算の前提としましては、制度の立ち上がりの時期であるということでございましてこういう対応をさせていただいておりますけれども、その辺の実情を踏まえまして、平成年度以降の問題も含めて対応させていただきたいというふうに考えております。
  56. 中沢健次

    ○中沢委員 時間が来ましたので、終わります。  ありがとうございました。
  57. 麻生太郎

    麻生委員長 この際、休憩いたします。     午前十一時三十一分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  58. 麻生太郎

    麻生委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田利春君。
  59. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先般の通産大臣労働大臣の所信に対して質問いたしたい、かように存じます。  特に、通産大臣に御質問申し上げますけれども、昨年の六月五日に総合エネルギー調査会は長期エネルギー需給見通しを発表いたしたわけです。この内容をめぐって各方面から数多くの意見が実は述べられておるわけです。特に調査会の会長である稲葉さんからも、どうもこの需給見通しは甘過ぎるんではないか、できるだけ早く見直しをすべきであるという意見も述べられたことも新聞で報道されました。また、本委員会でもこの問題が取り上げられて、当時の武藤通産大臣の所信についてただしたこともあるわけであります。しかし、湾岸戦争を今我々は体験をし、先般の美浜二号の原発の事故を経験をし、いよいよ長期的なエネルギーの目標を達成することは非常に至難なことなのではないか、こういう懸念も今国民の中にあるのだと思うのです。  特に、一つの長期需給見通しといいますけれども、この見通しとは一体何ぞやという議論もあります。私に言わせると、これはやはり厳然たる我が国エネルギー政策政策目標である、こう言わざるを得ないと思うのです。そうすると、その政策目標と実行の間にギャップがどんどん広がった後その対策を立てるとしても遅きに失するんだと私は思います。ましてエネルギーの需給が今どんどん伸びておる状況でありますから、そういう意味では、このフォローアップをすることはもちろんでありますけれども、特に問題点があるならばそれを改めて修正をする、見直しをする、やはりこういうことが姿勢として大切ではないか、かように存じます。したがって、今日のエネルギー政策についてあるいはまた長期エネルギー需給見通しについて、通産大臣としてどういう認識を持たれておるのか。また、これらはやはりいろいろな御意見を寄せ集めてこの需給見通しについて再検討するというような気持ちをお持ちなのか、見解を承りたい、かように思います。
  60. 中尾栄一

    中尾国務大臣 このエネルギー問題を含めまして石特、さらには、なかんずく日本のそういうナチュラルリソーセズに対する達見あるいは見通しというものに最も通暁されている岡田先生のお言葉でございますから、私もそれなりに考え方の一端も述べさせていただきたいとは思いますが、足らざる点はひとつまた政府委員で補いたいな、このように思うわけでございます。  稲葉先生の御発言等も聞き及んでおります。しかし、いずれにせよエネルギーというものがバランスのとれた形で、この地球上において限度ある、すなわち限定されている形におけるエネルギー源というものが将来において枯渇しないように、あるいはまたこれを長期的なビジョン、あるいはなかんずく中長期的なビジョンといいましょうか、そういう形でこれをとらえていくのは我々政治家の大きな課題であるということはもう認識の範疇の中の問題でございまして、我々はそれに向かって前進を続けなければならぬ、このように思っておることは申すまでもございません。  そういう中で、エネルギーの安定供給の確保といいましょうか、あるいはまた地球環境の保全と経済の安定的発展というこの両建ての課題というものを踏まえまして、総合エネルギー調査会に、長期エネルギー需給見通しというものをもとにした石油代替エネルギーの供給目標は二十一世紀の初頭におけるエネルギー需給のあるべき姿を示したものだ、このように考えて、このような形の長期政策、供給目標というものを打ち立てたわけでございます。本供給目標は官民挙げての最大限努力によりまして達成されるべき長期的目標でございまして、今回の湾岸危機やあるいは御指摘いただきました美浜発電所の事象等個別の事象によって見直すというような性格のものでは全くないわけであること、申すまでもないわけでございます。  しかし、さはさりながら、御指摘のとおりギャップがますます深まっていく、この点も決して、言葉どおりにそれを考えるよしあしは別にいたしまして、これはもう確かに私ども考えているよりもはるかにギャップというものがあるなという、この認識もこれはまた立てなければならぬことも事実でございましょう。そういう点においては、私どもはこのギャップをどのように埋めていくか、そのための中長期的目標というものがもう欠かすべからざる必須条件になっておるというところに私どもの本音があるわけでございまして、むしろそういう点におきましては、建設的な御意見を十分賜りながらこれをまた施策に反映させていきたいと思っておるのでございます。  通産省としましては、石油の安定供給はもちろんのことでございますが、その石油の代替物として原子力の安全確保等はもちろん、今後とも本供給目標の達成に向けた総合エネルギー対策というものを考えていかなければならない。きょうもきょうとて本会議でオゾンの問題のあのような法案をお通し願ったのでございますが、これとてもいろいろの意味で先進国あるいは発展途上国等においてのギャップがありますために、もう本当に先進国などに見られるような、アメリカで言えば自動車、冷蔵庫、あるいはまた日本で言えば半導体、あるいはヨーロッパにおいては、美容関係の発達している国でありますがゆえに女の人のスプレー一つでも環境、オゾンというものに大変な影響を与えておるというような、こういうことにおいてのバランスまでも考えていかなければならぬ複雑怪奇な時代に入っていったというのが二十一世紀だなととらえなければならぬと思います。それだけに、本供給の目標の達成に向けた総合エネルギー政策のバランスのとれた推進というものに最大限努力を傾注してまいる所存であることを、この際申し上げておきたいと思っておる次第でございます。
  61. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 最近通産省のエネ庁の中で二つの重要会議が開かれたと思うのです。その一つは二月十四日、電気事業審議会の需給部会、この部会の中に電力基本問題小委員会というものを設けられて、この初会合が開かれて、今後毎月一回開催をして、来春その検討した報告書を提出するということが決められたようであります。  もちろん、エネルギー政策の中で二次エネルギーであるこの電気エネルギーの問題が特に問題だと思います。原子力は二次エネルギー以外に使用することができないのでありますから、原子力というのは二次エネルギーの分野の中にあるわけです。したがって、電源の立地の推進とか広域運営の推進とか分散型の電源の導入とかいろいろあろうかと思うのですが、特にこの小委員会が電力基本問題小委員会、こう銘打って毎月開かざるを得ない状況というものは、やはり前に示した総合エネルギー調査会の需給見通しの目標値と実行のギャップは大きくなる、こういう点を考え一つ対応としてこういう小委員会が設置をされたのではないかという気がするわけです。  また、きのう開かれた総合エネルギー調査会の総合部会の中で、長期展望小委員会というこれまた珍しい名前を付した小委員会が開かれて、けさの新聞にその結果が載っておるわけであります。最近のエネルギー情勢について検討する、長期エネルギーの需給見通し並びに石油代替エネルギーの供給目標達成に向けたエネルギー政策などをひとつ十分深めていこう、これから三カ月に一遍ずつ開催をしていくんだということに相なっておるわけです。一応目標達成に向けてフォローアップをするんだということが建前のようでありますが、私は恐らくそれにとどまらないであろう、実はこう見ているわけです。しかも、いずれもの委員会の委員長さんは生田豊朗さんで、日本エネルギー経済研究所の理事長さんであられる、同一人物でもあるわけです。  私は、そういう意味で、この二つの委員会をどう評価をするか、この委員会を運営している通産省見解をこの機会に承っておきたいと思いますし、特にこの二つの委員会の任務は、今若干私が触れましたけれども、そういう方向で間違いがないのかどうか、承っておきたいと思います。
  62. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 ただいま先生から、電気事業審議会の需給部会の電力基本問題検討委員会と総合エネルギー調査会の長期展望小委員会について御質問がございました。  先生お述べになりましたように、電気の方は電気事業審議会の需給部会の中に電力基本問題検討委員会というものを設けまして、これは需給部会が昨年の六月に電気事業政策基本的方向、あるいは長期電力需給見通しを提言したことを踏まえまして、長期的な電力需給の安定を確保するため需要と供給両面にわたる基本的な課題への対応策について検討しようということで設置をしたものでございます。御指摘のように、電源立地であるとか広域運営であるとか需要対策等、長期的電力需給の安定を確保するための基本的な課題について検討する、こういうのが使命になっているわけでございます。二月十四日に第一回の会合が開かれておりまして、通産省から最近の電力をめぐる情勢あるいは今後の検討の視点などについて報告をし、委員各位からの御意見を承ったところでございます。  一方、総合エネルギー調査会の方は、これも先生お述べになりましたように、昨年六月に二十一世紀初頭までのエネルギー政策基本的方向と長期エネルギー需給見通しを提言されたわけでありまして、通産省ではこれをもとに石油代替エネルギーの供給目標の改定を閣議決定を経て行ったことは御案内のとおりでございます。  この長期エネルギー需給見通しあるいは代替エネルギーの供給目標というものは、官民挙げて最大限努力をして達成すべき目標という性格を持っているわけでありまして、その目標の達成に向けまして重点的かつ計画的な政策の遂行を私ども行っているわけでございます。その間に、御指摘のように湾岸問題であるとか原子力についての美浜の問題であるとかいうようないろいろな事象があるわけでございますが、先ほど大臣がお答えしましたように、これらの個別の事象によって二十一世紀まで展望した長期の見通しをすぐ直すというものではございませんが、そういう事象、事態に合わせて私どもあるいは官民挙げて政策的な努力をしてまいるわけでありますので、これらの努力をどういうふうに進めていくのか、その成果はどうなのかということをレビューし検討するために長期展望小委員会というものを設置し、そこで御議論をいただいたわけでございまして、第一回の会合を昨日開いたところでございます。
  63. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 エネルギー問題になりますと、やはり一定の答申、閣議決定などというふうにいろいろと固執をするという癖があるのですが、そういう硬直した姿勢はエネルギー政策にはとるべきではない。国際情勢も変わるでしょうし、また環境問題も変わってくるでしょうし、国内的には立地もやはりいろいろ状況が変わってくるわけですから、常に弾力的な姿勢で対応して、ただできるだけおくれをとらない形で対応するということが必要だと思うのですね。そういう意味で、今指摘をした二つの委員会はその面で一つの力を発揮するものであろう、こういう期待を込めて私はこの問題についてお聞きいたしたわけです。  特に申し上げたいことは、やはりこれからのエネルギー政策議論活性化を図るということが大事だと思うのです。そういう意味では、そういう活性化がないところに国民のエネルギーに対する意識の変革を我々は求めることは不可能だ、こう思います。したがって、エネルギー関係会議の運営についてもできるだけ公開的な方向で、議論していることを知らしめる、こういうことが必要ではないか。美浜の今回の事故についても、やはり今後できるだけ情報は公開をする、こういう反省点も生まれているのでありますから、そのことを特に期待を込めて申し上げておきたいと思います。  次に、一つ私は通産大臣に提案があるのですが、今後の国会は、社労にも廃棄物に関する処理の法律案が出ますし、商工委員会の方にも資源の再利用に関する関係法律案も出るということを承知しているわけです。そうしますと、廃棄物関係の問題を集中的に議論する国会でもある、こう思うのです。しかし、これをエネルギーの分野から取り上げていないということを私は非常に残念に思うわけです。  廃棄物の関係で、いわゆる燃えるごみの場合は貴重な資源でありますから、未利用のエネルギーの有効活用を図る、あるいは環境問題にもそのことによって対応できる、そして資源のリサイクルに通ずるという面があるわけです。そして、既にそういう自治体などのごみ処理の場合には処理工場がつくられて、しかもその熱をもって電力を起こしている。電力会社と事前協議をして、そしてできるだけスケールアップしながら安定的な電力が確保できる、こういうような先進的な分野も最近はあるのであります。私の承知しているところでは九十九カ所あって、特にそのうち電力会社に余剰電力を売電しているのは四十四カ所に及んでいる。だがしかし、全国的に見るとこれは大変な資源だと思うのであります。まだ北海道なんかの場合には埋め立てに使っておりますけれども、いずれ限界に来るわけですね。どうしてもやはり再利用するかあるいは焼却をするかですね。そういう面もあるわけであります。  したがって、エネルギー資源の確保という意味では、これはローカル的に確保できるのですから、しかも都市の周辺で処理が行われるわけですから、極めてコストの、質のいい、送電線の要らない関係で電力を確保できるという面があるわけです。これを、今のこういうごみの処理をする廃棄物処理の問題で議論がされるときに、資源エネルギー庁あたりがこの面を全面的に出していくということが大事ではないか。今自家発の一〇%をこれによって賄っているわけですね。ですから、全国的な視野で計算すると相当なものだと思うのです。こういう点についてどういう御意見をお持ちか、お聞きしておきたいと思います。
  64. 中尾栄一

    中尾国務大臣 今の再処理の問題、リサイクルの問題、また、ごみ処理の問題等々、確かに私も、今国会こんなにあらゆるところでこの問題が取り上げられたときはないなと、今先生から御指摘受けて顧みてそのように考えます。  私も、実は通産省に入ってまだ日が浅いのでございますが、その中でも、なかんずくごみ再処理の問題までも通産省はこんなにまでいろいろとやっているのかなと、自分でも驚くぐらい勉強させてももらいました。かといって、勉強したからといって即座にそれにどのように対応するかというところまで結論が出ておらないわけでございまして、その点、私自身も考えておる、全く岡田委員と同じ気持ちでございますが、これをどのような形でエネルギー化し、なおかつ考えていくのか、再生化していくのか、また、活性化していくのか、あるいはリサイクルのようにこれをまた大きく活用させていくのかということは、かかって大きな問題になってくるなという認識においては一致点があるわけでございます。私も専門家ではございませんが、特に資源エネルギー庁を抱えております通産省といたしましては、これを鋭意ひとつこういう機会に徹底して中長期的な目標もつくって、資源再処理、それをまた活性化の道につなげていくという形における、またリサイクルと言うのでしょうか、リバイバルと言うのでしょうか、ある意味におけるそういうものの道のりというものも研究課題一つだな、このように受けとめております。
  65. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 現在、大体約三十万キロワットの電源になるわけです、現行ある九十九カ所は。したがって、新エネルギーを見ますと、十年かかってどうなのかと見ますと、やはりウエートを持つわけですよ。ですから、やはりそういうものをきちっと位置づけしていく、そういう総合的な視点というものが大事になってきた。通産省のみならずこれは自治省とも関連があるでしょうし、そういう意味でぜひ今後御検討いただきたいということを問題として提起しておきたい、かように思います。  時間がありませんから石炭問題に早速入らせていただきますが、まず初めに、平成年度、既に予算審議をされておるわけですが、第八次政策最終年度になるのであります。第八次の最終年度は第九次政策のスタート台になる、出発台になるということには間違いありません。そういう意味で、今平成年度の四年目が終わろうといたしているわけです。ここで、平成年度の需給計画が既に決定されて公示されておるわけですが、まずこの落ちつき見込みを通産省としてはどう見られておるか、伺っておきたいと思います。
  66. 土居征夫

    土居政府委員 平成年度国内炭需給につきましては、昨年の四月に石炭鉱業審議会の需給・価格部会に御報告されましたけれども、その御報告しました需要見通しと、それから昨年六月に決めました石炭鉱業合理化実施計画によりまして決まっておりますが、国内炭需要といたしましては、原料炭五十五万トン、電力用一般炭九百十六万トンを中心として合計一千九十一万トンを見込み、この需要を前提として国内炭の供給は生産八百四十万トン、貯炭取り崩し百五十一万トン等を見込んでいるところでございます。  平成年度の需給につきましては、一部炭鉱において自然条件の悪化それから貯炭の減に伴う貯炭からの供給力の減少といった問題もあって、必ずしも計画の数字が一〇〇%達成できる状況にないということは承知しておるところでございます。
  67. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 この数字ははっきりしているわけですね。今言われたように、生産が八百四十万トンだ、雑炭が百万トンだ、貯炭取り崩しが百五十一万トンになっておるわけであります。そうしますと、大体生産とか雑炭とか貯炭の取り崩し、このことがこのとおりいけば一千九十一万トンのいわゆる需要が出てまいるわけです。問題は、そういう意味で、最近の私なりで統計を検討いたしますと、どうも主力炭鉱における生産状況が落ち込みがあるのではないのか。落ち込みがあるとするならば、一体貯炭の消費、これが百五十一万トン、その分プラスになるのかどうか、こういう点が極めて問題だと思うのです。それと、前年は百二十万トンの雑炭を百万トンにするというのが百二十万トンになったわけですね。本年は改めて百万トンにする、こういうことにいたしたわけですが、この点がきちんといくのかどうか。この数字だけはきちっとひとつ見通しを示してもらいたいと思います。
  68. 土居征夫

    土居政府委員 平成年度の需給の実績につきましては、先生今御指摘になりましたように、一部炭鉱における自然条件の悪化等から、生産の面で若干、計画の一〇〇%達成が難しいかもしれないという状況にあるのは事実でございますけれども、いずれにしても、基本的に、平成年度の需給計画で決まっております大きな枠組みについては基本的な変更といいますか大きな乖離が生ずるというようなことは予想されないところでございます。  いずれにしても、この需給計画につきましてはできるだけ早く策定するということで作業に入りたいと考えております。
  69. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 八百四十万トンのうち、露頭炭が百二十三万トンあるわけでありますから、落ち込むと坑内生産の大台の七百万トンを割るんですよ、今度、ことし。割ってしまうというところを重要視しているわけです。ですから、二十万トン切ればもう七百万トンの台を割る、これが第八次政策の四年目の実績なんだ、ここが重要なのであります。そういう意味でこの数字を聞いているということを特に認識しておいていただきたい、こう思います。  そこで、では平成年度の需給計画の策定でありますが、これはもう難しいことはないのですよ。今までの政策からいえば電力用炭の政策需要が八百五十万トンだ、そして百二十万トン程度一般炭の消費が見込まれるだろう、したがって九百七十万トンで一千万程度というのがこの第八次政策の場合の最終年次の想定なわけです。ところが、残念ながら百二十万トンの関係はもう落ち込んでおることは間違いがないわけであります。そして、電力政策需要が八百五十万トンということですから、そうすると、来年度は一体需要というものをプラスにできるのかどうか。プラスをするとするならば、一般炭の政策需要の分野や原料炭の分野においてある程度協力してもらおうと、その分が上積みになればプラスできるわけですよ。これは大体平成二年にやっているわけですね。したがって、そういうプラスアルファという政治的な配慮を含めて平成年度の需給計画をつくろうとしているのか、そういうお考えがあるのかないのか、またこの計画は年度内あるいは四月の初旬ぐらいまでに策定できるのかどうか、伺っておきたいと思います。
  70. 土居征夫

    土居政府委員 平成年度の需給計画につきましては、今お話ありましたように平成年度の需給の実績というのがベースになるのは事実でございますけれども、まず供給面について申しますと、平成年度の一時的な自然条件の悪化による出炭の減少というのが仮に残ったといたしましても、それはあくまで一時的な減少ということで、生産体制についてはそれとは別の観点から判断されるべきものというふうに考えております。  需要につきましては、今御指摘のありましたように電力需要八百五十万トン、その他百二十万トンという当初の想定がございますけれども、いずれにしてもその他需要中心といたしまして現在の時点でまだ具体的な数字について見通しは確定しておりません。しかし、いずれにしても、先ほど申しましたようにできるだけ早い機会に石炭鉱業審議会需給・価格部会の方に御報告申し上げたいというふうに考えております。
  71. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 八次政策平成年度の需給がきちっと決まらないで答申ができるはずがないわけですね。したがって、四月、五月にまとめようとすれば、常識的にもう四月の初旬には需給計画ができなければおかしいということになるわけですよ。そういう意味で私は、当然早く決めるべきであるし、決まるでしょうということを実は申し上げておるわけです。部長、なかなか慎重な答弁をし過ぎてきちっと答弁がいただけないわけでありますが、そういう意味で申し上げておるということを指摘しておきたいと思います。  そこで、今までの通産省の発表では、貯炭の分野においては、異常貯炭と正常貯炭という面で、今年当初からの予定でいえば二百十八万トンの貯炭が残るわけです。これがどう変化するのか若干問題がありますけれども。そのうち過剰貯炭は百六十五万トンだ、平常な貯炭は五十三万トンです、このように説明してあるわけですね。この数字の認識については今でも変わらないかどうかということが一つ。それから同時に過剰貯炭の処理は八次政策で終了できると約束できるかどうか、この二点です。
  72. 土居征夫

    土居政府委員 今御指摘になりました二点のうちの第一点の二年度の貯炭あるいは過剰貯炭の目標が当初の計画どおりになるかどうかという点でございますが、これにつきましては、先ほど申しましたように若干生産面での当初予想していなかった事態というものもございますので、現在の段階でちょっと確たることは申し上げられないと存じますけれども、いずれにしても大きな枠組みにおいて大きな変化はないのではないかというふうに考えております。  それから、平成年度末の過剰貯炭につきましては、これから三年度の需給見通しを検討する中で決まっていくという性格のものでございまして、いずれにしても過剰貯炭の縮小に向けて最大限努力をしていかなければいけないという性格のものでございますけれども、現状を踏まえますと残念ながら過剰貯炭は残るのではないかというふうに推定されます。
  73. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 過剰貯炭分というのは、意識的に需要を下げていけばいつまでも解消できないわけです。今までの過剰貯炭の分野は、やはり当初、八次政策の出発前のいわゆる変化のしわ寄せと、そして八次政策の進め方に問題があるのだと思うのですね。原料炭の関係は、四年間でゼロにするというのを生産だけでは三年間でゼロにしてしまって、今年もう原料炭の生産はないのですから。そして物すごい半減方式で需要減をやってきたわけですから。それも含めて過剰貯炭が生まれているわけですね。ですから、過剰貯炭を持ち込むか持ち込まないかということは、考える上にとって非常に私は意味を持つのだと思うのです。  要は、過剰貯炭を処理をするとなれば、この最終年次の需給について、需要についてプラスアルファすればこの数字は可能なのですよ。可能でない数字ではないのです。問題は、やる気があるかないかというだけなのです。だから私は、そういう意味では無理のない数字だから過剰貯炭は処理をする、そして九次政策に出発をするという方向が望ましいのではないかと思うのですが、望ましくないのですか、望ましいですか、はっきり言わないから、そういう意味で質問しておきます。
  74. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 原料炭の引き取り問題につきましては、八次策の策定の時点におきまして、昭和六十二年度から平成年度までの間に漸減方式で毎年度需給両業界で話し合って決めるということになっておりまして、その話し合いの結果、平成年度には引き取り量をゼロにするということになっているわけでございます。これは、需要業界のぎりぎりの協力によるものでありまして、八次策を円滑に遂行する上でそのベースとなるものでありますので、現段階でその部分を見直すというのはなかなか難しい問題ではないかというふうに 認識をしているところでございます。
  75. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 相手のあることですから、はっきりそうしますとは言えなくても、そういう方向で努力はしてみたいというくらいのことを言われてもいいのではないかなと、私はそういう気持ちで聞いていました。  特に、間違っては困ることは、六十一年から始まったでしょう。六十二年、六十三年、一、二、三で終わるわけですから、六十一年が前の年になるわけです、七次政策。前の年が大変なのですよ。例えば、鉄鋼で六十年の年に三百十五万トン引き取ったものが、第七次の政策が終わらないうちに百七十万トンになったのですよ。引き取りが半減したのですよ。そして、八次策の初年度、百二十万トンで、次の年が八十万トンで、そして平成元年は半減してしまって四十万トンにしたのですよ、鉄鋼が好景気なのに。そして貯炭を一生懸命つくったのですよ。ここが問題なのですよ、数字が示しているのですから。そうすると、この段階で多少のことは努力をして、そういうものを消化するというぐらいの気持ちがあってしかるべきではないのかな。いわば鉄鋼の力と石炭の力は違いますから、押されてこういう数字の形で来た。これは七次政策の変更なのですよ。今度いよいよあと一年ですけれども、八次政策の変更がありますかどうか。基準炭価とかIQとか基本的な政策の変更があるかないか、いかがでしょう。
  76. 土居征夫

    土居政府委員 今鉄鋼の協力の問題につきましては長官からお答えしたとおりでございますが、その他今先生指摘がありましたように、基準炭価、IQ等について、石炭鉱業審議会答申いただいております八次政策基本的な枠組みが変わるということは今のところ考えられない状況でございます。
  77. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 長官にちょっとお聞きしておきますけれども、第八次政策は、構造調整をベースにして八次政策を進めてきた。今度も盛んに、第九次政策審議に当たって引き続き構造調整のベースで第九次政策検討に入る、こう言っているのですね。これは産業構造調整という意味だと思うのですが、一体この産業構造調整といったって、一言で言いますけれどもいろいろな意味があるのですよね。地球的な意味もあるし、国内的な意味もあるのだし、大変な意味を持つものだと思うのですね。それが何かいとも簡単にずっと使われているのですが、これはどういうぐあいに受け取ったらいいのでしょう、この産業構造調整という意味は。
  78. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 先ほどもお答えしましたように、八次政策の後どうするのかという点は石炭鉱業審議会で今御審議をいただいておるわけでありますけれども審議の際に、視点といたしまして、エネルギー政策エネルギーセキュリティーという観点からの見方と、そういう産業構造調整政策をどう進めていくのかという視点と、それから地域問題としての視点といったような多角的な視点からこの問題をとらえていく必要がある、こういうことで今いろいろな議論審議会の中で委員先生方にしていただいているところでございます。  その中での産業構造調整というのは、これまでも進めてまいりましたように、石炭鉱業をめぐりますいろいろな環境の、日本の産業構造の変化というものを踏まえて、石炭産業というものをどのように構造調整をしていくのか、そういう産業政策の視点ということでとらえて考えているところでございます。  それは一つの視点でございまして、それだけではなくて、エネルギー政策の視点あるいは地域問題、社会政策というような視点もそれぞれ相まって、もうしばらく時間をかけて審議をしていただいて、今後の日本の石炭産業のあり方というものを、方向を見きわめていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  79. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先ほど通産大臣は、養蚕の話をされておりましたけれども、第一次産業というのは、産業構造調整なんといったって簡単にいくものではなくて大変な政治課題で、特に米の問題を中心にして議論が今あるところであります。  そういう面から考えますと、日本の資源産業というのは二次産業だと全部割り切ってしまうところに無理があるのじゃないかというのが私の持論なんです。しかし、一次産業並みだというと抵抗が強いから、一次産業と二次産業の間にある一・五次産業である、そういう気持ちで受けとめないと、日本の資源産業は簡単に崩壊してしまうと思うのですね。ぜひそういうような視点を込めないと、産業構造調整、かつて前川レポートですね、この言葉が出てそこに石炭だけが例示で載っているわけでしょう。私は予算委員会で中曽根さんに当時質問しましたけれども。それは内外価格差調整、分業化、そして、市場の自由化という面から日本の石炭は縮減をすると書いてあるのですね。撤収をするとは書いてないですよ、これは。ですから、やはりその国にある一定の産業というものはどういう形で残すかということが必要ではないか。  そして、第八次政策の限界は坑内生産が七百万トンを切る、そこまで日本の石炭産業は寄与した。第九次政策は、そういう意味でこの方向と日本の石炭産業をいろいろな総合的な意味でどう位置づけるか、この決断が求められるのが今度の第九次政策だと私は思うのですね。そうでなくて、いや、調整一本でいくということになれば、簡単に抹殺しなければならぬということになるのじゃないですか。いかがでしょう。
  80. 土居征夫

    土居政府委員 ただいま長官から申しましたように、今回の九次策の検討石炭鉱業審議会において検討されておりますけれども、その中で産業構造調整政策としての位置づけという議論はされております。しかしながら、今先生指摘がありましたように、製造業と違ったエネルギー産業という側面もございますので、産業構造調整政策という側面だけでなしに、例えばエネルギー政策上の位置づけはどうかという別の観点からの議論もされておるところでございまして、先生今御指摘の点について、今議論が産業構造調整一本で進んでいるのではないかというところについては、必ずしもそうではないのではないかという側面もあるように承ります。
  81. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 需要安定確保を図るというために、今の言うなればIQ制度があり、基準炭価制度があるわけですね。しかし、これにかわるものというのはあるのかないのか、非常に難しい命題だと思うのです。これは法律的に、制度的に考えていくと、やはり何かがないとそれは保証できない、担保できないということになるのだと私は思うのです。しかし、我が国政府の行政指導という非常に強力な武器があるということが、これは極めて公然たる事実のように言われているわけですから、それが担保になるのかなという感じはするけれども、やはりそうではないと思うのですね。  イギリスやフランスの場合には国有とか公社運営でやっていますから。西ドイツの場合にはコールペニヒという制度を設けてその上で担保しているわけですね。したがって、長期取引協定が結ばれる、そこで長期的に安定需給の関係が維持される、これが西ドイツの方式なわけです。  そうしますと、やはり日本の場合に、今我々の持っているIQ制度や基準炭価とか、そういう制度を変えるとするならば、それにかわる担保なくして皆さん安心してください、こう言うことはできないのではないでしょうか。これは一般論としてで結構ですが、いかがでしょうか。
  82. 土居征夫

    土居政府委員 今先生お話は、ポスト八次対策について石炭鉱業審議会の中でIQ制度の事実上の廃止とかあるいは基準炭価制度の弾力化といった議論がされておるということを踏まえてのお話だと存じます。したがいまして、これにつきましては審議会議論の帰趨というものを見ないといけないということでございますが、仮に今出ております議論の背景として、その議論についての考え方を御紹介いたしますと、IQ制度については確かにこれまで国内炭需要業界に対する引き取り強制の担保手段というような位置づけにされておるのは事実でございますけれども、いずれにしても需要業界、供給業界ともに私企業であるということを踏まえますと、非常にそういう強制手段としての制度の妥当性についていろいろ議論があるところでございまして、IQ制度の事実上の廃止という議論につきましては、いずれにしても私企業間の協力関係というものをベースとして、それを基本にしながらも、しかしそのIQ制度の現行の運用にかわる別途の担保手段でもう少しソフトに対応することによって目的は一〇〇%同様に達成できるのではないかという議論ではないかというふうに考えております。
  83. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 これは恐らくこれから極めて問題視されるポイントになるだろう、こう私も思いますので、一般論として伺っておいたわけであります。  そこで、これからの八次の最終年次もそうなんですが、電力の八百五十万トンだけが政策需要ですよ。前の年までは電力プラス原料炭。鉄鋼、ガス、コークス。そして一般産業も若干、二十七万トン程度あったのです。これが政策需要なんです。最終年次はもう電力だけですよ、こうなった場合に、こっちは自由だ、しかし網はまだ全部かかっているのですね。IQ制度も基準炭価制度も全部かぶっているわけですよ、八次の。これを調整しなくていいかどうかという問題が一つ、本当は八次の最終年次に課題として残っておったのです。私はしばしば指摘をしたのですが、そういう検討が、なかなか難しいものですから行われないで今八次の最終年次に入ろうとしているわけです。これが今の現状なんです。  そうすると、第九次の場合でも、もう電力用炭の政策需要よりない、こうしているわけですね。ここだけで、あとはもうオープンになるわけでしょう。自由になっちゃうわけでしょう。自由市場になるわけでしょう。売れるんだったら何ぼでも掘れ、売れないのなら掘らないで売れるだけ掘りなさいということになってしまうわけでしょう。そして政策需要だけをきちっと担保するということが非常に難しいのですね。これは答弁要りませんから、八次にも同様の問題を残したまま、今その最終年次に入っているのですよということを指摘をしておきたいと思いますし、そういう意味で、この一つの枠を外してしまえばここは自由にやりなさいということが普通の一般政策でしょうから、その調和を図るという意味でなお難しくなるという点についてこれからも議論できると思いますので、指摘をするだけにとどめておきたい、かように思います。  そこで、第八次政策の総括について伺っておきたいと思うのですが、第八次政策を今まで四年間進めてきて一番問題点は何であったかという何か意識がありますか。問題なかったという意識か、あるとすればどういう問題があったとお思いになりますか。
  84. 土居征夫

    土居政府委員 第八次石炭政策につきましては、昭和六十一年度生産千五百二十万トンが現時点で平成年度見込み八百四十万トンまで縮小ということでございますし、炭種ごとに見ましても、電力、鉄鋼それぞれの引き取りの予定というものが五年間定められております。そういったものについてのこれまでの経過というものは、おおむね順調に進捗しているというふうに考えております。こういうふうに、集中閉山の回避を基本としながらも、かつ地域経済雇用に及ぼす影響をできる限り緩和して生産体制集約化を円滑に行う、そういう考え方に立って推進されています八次石炭政策については、先生承知の過剰貯炭問題等ミクロの面で当初の想定とやや異なる面がございますけれども、マクロ的にはおおむね順調に進捗しているというふうに考えております。
  85. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は今の部長の答弁につけ加えれば、先ほど言ったように、原料炭生産縮小、これは間違ったという点を明確に指摘しておかざるを得ないと思うのです。もう三年で全部生産をやめさせたのですから、ここはもう明確だと思うのです。  それにもう一つは、三池炭鉱のような一炭鉱が、四百五十万トンの炭鉱が二百五十万トンを切るような状態に縮小、こういう大幅な単位炭鉱縮小ということを想定してなかったという点は言えるのだと思うのです。我々が国会審議してもそういう点はわからない。多少の縮小はあるでしょうけれども、こんな半減するような縮小は想定してなかった、こういう点がやはり大きな問題点として挙げられるのじゃないか、こう思います。そういう意味で、この三池炭鉱のこういうことも想定してなかったから政策がついていかなかったのでしょう。  だから、例えば縮小交付金。縮小加算金は初めからあったけれども、自治体に対する縮小交付金というのはその後考えたことなんですね。これをひとつ指摘をしておきますけれども大牟田、荒尾市の問題でありますが、縮小交付金は閉山交付金の半額だ、こう言っているのですけれども、決してそうではないわけです。基本的に間違っているわけですね。閉山交付金は、パーセンテージの全部単純加算をすると二六五なんです。自治体の縮小交付金は七五にならないのですよ。したがって、これは三分の一以下なんですよ。そうでしょう、初年度五〇%、二五%だから、荒尾と大牟田の場合には。閉山は一〇〇、七〇、五〇、四〇ですから、そうすると三分の一なんですよ、これは。半分じゃないのですよ。期間が半分で半分に見えるけれども、それはもう四分の一に近い三〇%程度のものだということになるわけです。ことし百七十八円から二百四十円に予算上上がったわけですね。この閉山の一トン当たりの予算が百七十八円から二百四十円に上がったということは、当然これらは制度を見直しして是正しなければならぬものだと思うのですよ。きょう福岡の人たくさんおりますけれども、私はそう思うのですよ。それが極めて常識だと思うのですが、この点検討されてはいかがかな、こう思いますが、どうでしょう。
  86. 土居征夫

    土居政府委員 御指摘のように、平成年度予算につきましては、この閉山規模縮小額の単価につきまして単価アップの予算要求をしておりますけれども、これは御承知のように現在の稼行炭鉱地域、それは八次策の影響地域でございますが、そういう地域におきます自治体への財政支援の強化という観点で、今度の審議会答申を踏まえまして予算要求をさせていただいたところでございます。  それから、今先生指摘がありましたように、炭鉱閉山のあった自治体と炭鉱閉山はないけれども生産規模縮小だけが行われた自治体との間に、いわばこの自治体への支援額で非常に大きな差があり過ぎるのではないかという御議論かと存じます。  これにつきましては、実はこの制度ができますときに財政当局とも大変な議論をいたしまして、やはり炭鉱の減産の場合と炭鉱が全くなくなってしまう場合につきましては、例えば地方税収の減収なんかの面でも、閉山というような事態の場合には固定資産税も全くなくなってしまうというような問題もございますし、あるいは従来炭鉱は電気とか水道とか病院とか、こういったインフラ面でもかなり公的な役割を果たしているということから、閉山の場合と生産縮小の場合の自治体に与える影響が非常に大きく違うという点に着目して現行制度が設けられているところでございます。  ただ、今先生指摘がありましたような、要するに実際にその辺の見合いが十分なのかどうかという点につきましては、これはむしろ今ポスト八次策の検討が産炭地対策も含めて審議会で行われておりますので、その点は十分その今後の施策検討の中で審議会答申も踏まえて検討をさせていただきたいと思っております。
  87. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 北海道の夕張にはかつて十四の炭鉱があって、一つ一つ全部これは閉山交付金をもらっているのですよ。これはほとんどが北炭の炭鉱ですよ、三菱の炭鉱は二つしかなかったのですから。同じなんですよ、資本は同じなんです。ただ、炭鉱が海底であって分離できないだけなんです。陸地なら坑口を閉鎖できるんですよ。だから、例えばかつて高島炭鉱縮小したときにも坑 口閉鎖を一応仮定として認めて、あそこは交付金を出したこともあるのですよ。だから、そういうことがあるんですよ。そういう点で、ぜひ検討してやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  時間がありませんから、大臣、今来られましたので一つだけお伺いしておきたいと思います。  第九次政策対応する労働政策雇用政策は一体どうなのか、大臣の所信表明に出ていないのですよ。今までに発生した失業者に対してはどうするのか、労働省はこう考えていくというふうに出ていますけれども、今、第九次政策を諮問して、せっかく討議中であって、六月には答申される、こういう状況にあるわけですね。そういう面で見ますと、労働省として雇用政策は第九次政策対応して一体どう対応していくのか。通産省雇用問題に労働省がちょっと出て何かこうやっているようでありますけれどもいかがなものか、こういう感じが私はするのであります。  そして大臣、今、日本の労働省の労働政策の原点は何かというと、炭鉱労働者の雇用政策離職者の援護政策、これが原点なんですよ。これを下敷きにして今すべての日本の雇用政策ができているのですよ。そして、これを超えたものはないのですよ。国鉄のような場合は制度が違うものですから、三年間給料をくれたわけでしょう。しかし、民間の場合には、進駐軍だって二年間ですからね。今のグリーン手帳だってそうでしょう。これを超えた、三年を超えたことはないのです。それだけにやはり重要であり、この雇用政策というものは日本の労働省の労働政策の原点だ、こういう認識で、ぜひ援護の臨時措置法を一体どうするのか、あわせて当然、この期間を延長するなら延長するだけではなくして、内容を検討しなければならぬ時期ではないかな。  なぜかなれば、閉山する炭鉱都市炭鉱なんですね。昔は山の中にありまして、今はもう一自治体一炭鉱の状態で、それが城下町の関係になって、それがばすっとなくなるわけですね。ですから、そういう意味で今までの場合と違って、雇用問題でも、住宅とかそういうものは全部あるのですから、ある程度の社会的なインフラは整備されているのですから、企業が来なければどうするかという問題になるわけですね。  今の緊就制度というのは黒手帳のできる前にできたから、九州に若干存在するわけです。北海道にはない。開就制度というのがあるわけですね。開就制度は北海道にないわけですよ。ですから、そういう意味で、じゃ雇用対策で一体この開就制度を適用するのかどうか、あるいは今のこの制度でなくても、特別開発就労制度があるのですから、やはり何かを対応して考えるのかどうか。これだって、今度は九次政策を前にして抜本的に検討してみなければいかぬのではないかな、こう思うのですね。あるいはまた黒手帳の水準に合わせて、一日二千二百円じゃなくして、一カ月この程度のもののアルバイト的な収入は認めるとか認めないとか、しばしば問題になっていることも検討してもらわなければならぬのではないでしょうか。  もう一つ、直接労働省の所管ではありませんけれども、厚生年金の受給者で仕事がないという人がおるわけですね。これは、炭鉱労働者は今坑内夫五十五歳から年金が出ますから、そうすると、まだ仕事があれば働き得る状況があるわけですね。しかし、年金制度で厚生年金だけが金額的な制限があるわけですよ。ほかの年金制度にはないわけであります。これを全部やめるとは言いませんよ。今の雇用状況で判断したら、常識的な線まで上げていいのじゃないかという問題も今日の雇用情勢の中にはあると思うのです。  ですから、この第九次政策議論するに当たって、労働省の今までの雇用政策離職者対策の原点であるこの炭鉱の労働政策について、今言った諸点について労働省が主体的に検討さるべきじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  88. 小里貞利

    小里国務大臣 あらかじめ岡田先生初め委員会の了承をいただいていたわけでございますが、予算委員会に出ておりまして、途中、いろいろ多彩にわたりまして貴重な御提言などお聞かせいただくはずでございましたが、失礼いたしましたことをまずお断り申し上げます。  ただいま先生お話ございますように、これからの炭鉱のいわゆる再就職対策問題、これは極めて肝要だよ、それらを基本にしてどういう施策を新しく考えるか、あるいはまた気持ちのほどを、そういうお尋ねであると思います。  申し上げるまでもなく、第八次石炭政策下におきまして、残念ながら一万二千八百名前後のいわゆる離職者も発生をいたしました。それぞれの機関挙げましてこれが対策を講じてまいっておるところでございますが、今、なおかつこれが二千五百人前後再就職できませんよ、そういう非常にむなしい状況でもございまして、ただいま先生指摘の問題点等を考えますときに本当に喫緊の現下の課題であるな、ますますそういう感じを受けます。  なおまた、御承知のとおり、炭鉱離職者臨時措置法に基づきまして、先生もただいまお話ございましたが、炭鉱離職者求職手帳などを一つの手がかりにいたしまして、再就職の問題あるいは職業訓練問題等々一生懸命措置を講じまして、その活用とともに対策推進してまいっておるところでございますけれども、午前中からの論議などをお伺いいたしておりまして、率直に申し上げまして必ずしも十分でないことを非常に胸を痛めておるところでもございます。  たまたま平成年度以降の石炭政策の進め方につきましては、御承知のとおり、また先ほども答弁申し上げたかと思うのでございますが、石炭鉱業審議会におきまして今申し述べておられる離職者対策問題も含めまして審議が行われておるところでございます。ただ、単純にただいま先生お話を聞いておって感ずるわけでございますが、こういう審議会等が集中的に検討して一定の集約をもって答申してくれるから、こういう依存主義一点のみでは、これは決して容易に解決できる問題ではない、かように私自身も自覚を新たにしながら、また解決をするための、前進をせしめるための新たな一つ課題意識というものを持って我々は対応しなければいかぬのではないか、そういう気持ちを持っているところでございます。  極めて抽象的でございますが、いろいろお聞かせいただきました問題等も参考にしながら対応してまいりたいと思っております。
  89. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 どうも時間が過ぎまして、終わりますが、私は、できれば何か省内にプロジェクトでもつくって議論はぜひしてもらいたいということを希望として申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  90. 麻生太郎

    麻生委員長 田口健二君。
  91. 田口健二

    ○田口委員 私はちょうど四年ぶりに本委員会で質問をさせていただくことになったわけでありますが、それは六十一年十一月に私の地元にありました三菱高島礦業所が第八次政策を目前にしながら残念ながら百五年の歴史を閉じて閉山になりました。その間、通産省あるいは労働省その他関係省庁の皆さん方にも随分お世話になってきたのであります。閉山というのはかなり厳しい状況であるということを私ども予測をいたしておりましたが、現実の問題を眺めてみますと大変な問題であったと思います。  かつて私は本会議で申し上げたことがございますが、当時の町長さん、余りの心労のために倒れて亡くなられるという不幸な出来事がありましたし、労働組合の書記長であった山崎君も残念ながらみずからの命を絶つという痛ましい出来事も、この閉山の過程の中で私ども経験をしてまいりました。  現状は、いろいろなデータがございますけれども、一、二申し上げますと、閉山当時の人口は五千四百九十一人というふうに言われておったのでありますが、それが閉山後今日千二百五十六名ですから、もう四分の一以下に実はなっておるわけですね。この間随分長崎県や地元高島町でも努力をされまして企業の誘致等も進めてきたのでありますが、残念ながら現在の段階では小さな企業が六つ、そこで働いておる従業員が百二十人というまことに微々たる状況であります。財政面でちょっと見てみましても、六十一年度の町の税収は四億三千二百万というふうに言われているのですが、それがこの平成年度の見通しでいけば何と八千百万ですから、まあそのほか学校の生徒の数やあるいは医療関係、その他いろいろなものを見ましても、閉山前と今日の状態ではもう大変な差が出てきております。これはもうまさに地域社会の崩壊だと言ってもいいぐらいな現状に今あるわけです。  そこで今、通産省の方としては、こういった言うならば高島の場合は八次政策の中で閉山に追い込まれていったというか、そういうことになっておるのですが、こういうものに対して地域振興という立場から、一体政府はどのようなことを考えておるのか、あるいはこれからどのようなことをやろうとしておるのか、あるいはできるのか、まずその辺からひとつお伺いをいたしたいと思います。
  92. 土居征夫

    土居政府委員 先生指摘の高島炭鉱につきましては、第八次政策のもとで最初に閉山をしたという位置づけの炭鉱でございます。高島は、御承知のように離島といいますか島嶼になっております関係上、立地条件からいって非常に厳しい問題があるのは事実でございます。石炭が唯一の基幹的な産業ということで成り立っておった島でございますので、なかなかこれにかわる企業誘致、振興対策というのは難しい面がございます。  したがいまして、この炭鉱閉山に伴いまして、通産省としても関係各省と協力をして一応の対応を図ってきたところでございますが、その基本的な考え方はやはり広域的な対処ということでございまして、その第一番目は、佐世保までも含めました長崎圏域という形で離職者の吸収なり地域振興を図っていきながら、それが幾ばくかでも高島町に反映していく、そういう広域的な振興考え方でございまして、その第一が地域振興整備公団によります佐世保テクノパークの造成というようなことでございます。もちろん、地方自治体、高島町に対する財政支援の強化とかあるいは企業誘致のための諸施策をほかの地域よりも優遇して実施しているのは事実でございますし、その成果も、量的に十分とはもちろん言えませんけれども、それなりに上がってきているというふうに考えております。  そういう状況の中で、昨年十一月に産炭地振興審議会答申をいただきまして、なおこの八次策の影響地域については非常に疲弊が著しいということもあって、法律の十年間延長を行うとともに、重点地域として特に重点的な施策を行えという答申をいただいております。そういった意味で、今年度予算それから平成年度以降のポスト八次策の中でこういった高島町を中心としますような八次策影響地域に対する対策をさらに強化していくということにしておるところでございます。
  93. 田口健二

    ○田口委員 今お答えがあったようにそれなりの御努力をされておることは私もわかるのですけれども、やはり現実の問題として見てまいりますと、広域的に長崎県あるいは全体的に今お話がありましたような問題点もあると思うのですが、高島町という一つの自治体で見る限りにおいては目に見えてこないのです。  たくさんの問題がありますので、じゃ一つ、二つ具体的なことについてお尋ねをしてみたいと思うのですが、例えば人口が急激に減っているわけですから、従来からの公共施設の維持管理、町営住宅にしても学校にしても過大施設になっているわけですね。それから同時に、言うならば炭鉱住宅ですね。これは木造の部分についてはもう既に町でも撤去をしておるようでありますが、いわゆる非木造、鉄筋コンクリートのアパートは現在四十六棟もあるのですね。これはもちろん所有権者の問題等もあると思うのですけれども、ああいう地域ですから台風災害も非常に起こりやすい、あるいは景観上からいったら非常に問題です、全くゴーストタウン化しているわけですから。こういう問題についても町としても非常に困惑しているのですよ。こういうものの撤去について国として支援をすべき方法はないのか、その辺は一体どうなんでしょうか。
  94. 土居征夫

    土居政府委員 今御指摘がありました老朽炭鉱住宅の問題あるいはその他の炭鉱実施しておりましたいろいろな公共関連施設の移管に伴う自治体の財政負担の問題につきましては、産炭地振興対策の中では、例えば老朽住宅の処理については関係各省の予算もございます。自治体がその予算を使って実施するような場合に特別に補助金の補助率をかさ上げするというのが法律事項で決まっておりまして、そういう形でほかの地域に比べて補助率が非常に大幅にアップするというような体制にもなっております。それから特別に、石炭勘定によりまして産炭地域に対しましては臨時交付金制度をとっておりまして、その臨時交付金制度の中で、具体的に今のような公共関連施設の維持管理等に自治体が負担増をしなければいかぬというものについてはそれを対象にするような制度を設けてこれを支援しているところでございます。  もちろん、財政的な問題等々から見まして不十分な面はあるかと思いますけれども、以上のような形で自治体に対する財政支援をこれまでも行ってきたところでございますし、今後につきましては、先ほども申しましたように八次策影響地域に対する対策の強化ということでさらにこの支援を強化していく必要があるというふうに認識しております。
  95. 田口健二

    ○田口委員 自治省の方からもお見えになっておりますか。ちょっと自治省にお伺いをいたしますが、今私が高島の現状について幾つかの点から問題点を指摘を申し上げているわけですが、特に財政力の低下というのは、先ほど町税の問題で申し上げましたように大変な問題があるわけですね。昨年国調もありましたし、これからどういう形になるのかわかりませんが、例えば地方交付税の関係で申し上げますと、現行の産炭地補正というのは一体継続ができるのかどうか、あるいは数値急減補正の算入ということについて何か特別な配慮ができるのかどうか、そういう点をひとつ自治省の方からお答えをいただきたいと思います。
  96. 谷本正憲

    ○谷本説明員 先生指摘ございましたように、いわゆる高島町のように炭鉱閉山に伴いまして人口が流出をしますとか、あるいは税収が大幅に落ち込む、こういった形で財政力が大変低下をしておる、そういう市町村につきましては、私どももそういう産炭地域の特有の財政事情といいますか、そういったものを考慮いたしまして、これまでもいわゆる地方交付税の算定におきまして、先生指摘ございましたように、いわゆる産炭地補正と言っているもの、あるいは人口急減補正というふうに言っているもの等を適用いたしまして、財政需要の算定の際に必要な割り増し算入というのを実は行ってきたところでございます。  平成年度以降のいわゆる普通交付税の算定につきましては、そのよりどころになります地方交付税法という法律がございますが、その一部改正法案、現在国会へ提案をいたしまして、これから御審議をいただくというところでございますので、その具体の中身については私ども今後検討していくということになるわけでございますけれども、ただいま御指摘がありました点、私ども十分承知をいたしておりますので、いずれにいたしましても、当該団体の財政状況といったようなものもよくお伺いをいたしました上で、高島町の財政運営に支障が生じることのないように適切な算定に努めてまいりたい、かように考えております。
  97. 田口健二

    ○田口委員 そこで、今自治省の方に交付税のことでお尋ねをしたのでありますが、そのほかに当然、国として、自治省としてこういう旧産炭地域の特殊事情を配慮しながら、さまざまな補助金、補助率のかさ上げであるとか、そういうことについてはどうなんでしょう、何か具体的な方法というのは考えられますか。
  98. 谷本正憲

    ○谷本説明員 いろいろな補助のかさ上げとかそういった問題につきましては、それぞれ所管の省庁の方でいろいろな対応策をお考えになっておろうかと思いますけれども、私どもとしましては交付税というのを扱っておりますので、その市町村の財政状況全体を見まして、今申し上げましたように、財政力が大幅に低下をして財政運営に支障を来すというようなことがあってはならぬということで、交付税の算定を通じて今言ったような補正を適用して割り増しをしておるということでございます。
  99. 田口健二

    ○田口委員 次に、先ほど来の議論の中にもありましたが、いわゆる地域指定の問題ですね。今後審議がされると思いますが、見直しという問題が出てまいります。残念ながら、私どもの長崎県というのは昨年の国調でもいわゆる人口減少県でありまして、前回に比べると各市町村軒並みに人口が減っておるという状況です。今長崎の場合には、御案内のように長崎、佐世保、北松という三圏域がございますけれども、とりわけ八次政策の問題については、先ほど石炭部長からもお考えをお聞きしたわけでありますが、やはり旧産炭地域というか、こういう地域というのは、長崎県全体が人口が減少し過疎化にあるという状況の中でも、とりわけ人口減のひどい地域なんですね。いわゆる過疎地域なんですよ。それだけに、地域指定の見直しという問題については皆さんも大変な関心を持って、また心配もしておられるわけですね。この辺の見通しというか状況については一体どのような判断を今持っておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  100. 土居征夫

    土居政府委員 産炭地域につきましては、御承知のように、今お話がありました八次策で影響を受けました非常に厳しい、疲弊の著しい対象地域と、それから炭鉱閉山が行われてからかなり期間がたっておるいわゆる旧産炭地というところ、大きく言って二つに分けられるかと存じます。今度の産炭地域振興審議会答申におきましては、一方では、この八次策影響地域の疲弊の深刻さ、こういうものに着目をして十年間の法廷長ということを答申いただいたわけでございますが、一方、旧産炭地域につきましては、要するに炭鉱閉山があってからかなり期間が経過しているところも多いということで、こういった地域につきましては法延長に際して見直しを行うとともに、さらに、この法の適用に関しても、法廷長後一定期間経過した、例えば五年後の時点で地域指定を見直すべきだ、そういう議論がございます。今御指摘になりました佐世保、北松地域については、いわばこういった旧産炭地域対応する地域でございますので、そういった見直しが必要というのが答申趣旨ではないかというふうに理解しております。
  101. 田口健二

    ○田口委員 今の点でちょっと重ねて確認をしたいと思うのです。将来のことですから、今断言的なことは言えないかもしれませんが、言うならば、旧産炭地域の場合には五年後に一応見直しをやる、そのことは、そこで打ち切りだ、こういう形になるのですか。それとも、五年たった時点でその地域状況その他をいろいろ判断して、さらにその時点で次の何か判断を加える、そういう理解をしておっていいのでしょうか。
  102. 土居征夫

    土居政府委員 具体的な地域の問題につきましては、今回の延長法の国会成立後に審議会意見を聞いて、具体的に県とも御相談をし、審議会で決定するということになるかと存じますので、具体的な地域についてのコメントという形では申し上げにくいわけでございますが、一般論として申し上げますと、要するに産炭地域振興対策というのは、石炭鉱業審議会答申にもございますように、一般的な地域振興対策と異なって、石炭鉱業の不況という特殊な要因による影響の是正を目的としている、そういうことからいって、この目標が達成された場合には他の一般的な地域対策にゆだねていくことが適切である、そういう答申になっておるわけでございます。  旧産炭地域につきましては、そういった意味で、閉山による当該地域への影響が著しく希薄化したと認められる場合には、いずれにしても、この産炭地対策を継続するよりは他の一般的な地域対策、例えば過疎対策といったものにゆだねていくことが妥当である、こういうのが審議会答申であるというふうに承っております。したがいまして、旧産炭地域については、そういった意味で法延長後一定期間経過する、例えば五年後に地域指定の見直しを行うべきであって、実施計画の目標年次もこれに合わせて設定すべきであるというふうに答申されておるわけでございます。もちろん、この答申の意味からいいますれば、五年後で地域の指定の見直しを行うというのは、そこで指定を解除するということだけを一〇〇%意味しているものではないというのは事実だと存じます。
  103. 田口健二

    ○田口委員 労働省にお尋ねをいたしますが、高島炭鉱閉山における離職者対策、私は、労働省に大変御努力をいただいたというふうに評価をしているわけです。とりわけ、黒手帳だけではなくて、緑手帳の適用とか、そういう点では大変な御協力をいただいたというふうに思っておるのですが、この高島の場合の離職者のこれまでの経過、そして今日の現状、まだ残されておると思うのですが、それらに対する対策はどういう状況になっておるか、まずお尋ねをしたいと思います。
  104. 征矢紀臣

    征矢政府委員 三菱高島におきます状況を申し上げます。  御承知のとおり、昭和六十一年十一月に閉山いたしましたときに離職された方が約千七百名弱でございましたが、その後先生指摘のような手帳発給をいたしまして、再就職のあっせんあるいは職業指導職業訓練等の実施を今日までやってきているわけでございます。その間に再就職等をされた方が千四百五十名程度でございまして、現時点でなお対策の必要な方が百十名程度でございます。この方々につきましては、炭鉱離職者臨時措置法に基づきますあるいはその他対応できる対策を動員いたしまして引き続き最大限努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  105. 田口健二

    ○田口委員 それでは、最後になりますけれども通産省の方にお尋ねをしたいと思います。  これも先ほどから御議論がございましたが、いわゆる九次政策の問題ですね。今まだ石鉱審で討議をしている最中ですから、どうだこうだということにはもちろんはっきりしたお答えはできないだろうとは思いますけれども、あえて私がこれを申し上げるのは、先ほどから申し上げておりますように六十一年十一月に高島鉱が閉山になりました。今長崎県では一つだけ池島鉱が稼働しているわけですね。これも高島と同じような離島炭鉱でございますから、自治体としては外海町というところにあるわけですけれども、この状況も眺めてみますと、やはり人口九千四百名ぐらいの町でありますが、半分ぐらいが池島にいるわけですね。もちろん本土の方からも池島の炭鉱に通勤をしておる方もいらっしゃるわけでありますし、もちろん本土の方の商工関係者とかさまざまな方がかかわってきているわけです。本当に地元の皆さん方も心配しているわけですね。  私どもずっとお聞きをしてまいりました八次政策は一千万トン体制。先ほどからお話がありましたように、今日の段階ではもう八百五十万トンの現実的な生産体制。一体九次でどうなるんだろうかというのが外海町、池島関係者、これは長崎県全体ですけれども、県民の大きな関心事なのです。もしここで高島と同じような憂き目に遭うということになれば、状況としてはもっと悪くなるのではないか、率直に言ってこういう心配を私どもしているわけです。そういうことを念頭に置きながら、この九次の方向については一体どういう方向にあるのかということをお答えいただけたらお願いしたいと思います。
  106. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 六十二年からスタートいたしました第八次の石炭政策、四年目でございまして、現在までのところその趣旨に従いまして推移をしてきているわけでございます。しかし、先ほど来先生も御指摘をされ、また先ほど来の御議論でも指摘をされておりますように、昨今の我が国石炭産業をめぐります環境は大変厳しいものがございます。そういう中で八次策を遂行し、そして産炭地域振興策また法律の御議論をいただくわけでありますけれども、八次策の後の我が国石炭産業のあり方をどういうふうにするのか、これは非常に大きな問題になるわけであります。  そこで、石炭鉱業審議会にそういう問題を総合的に議論する場を設けまして、今先生がお述べになりましたそういう地域政策地域の産業という点で大きな問題になっているという視点、それから先ほど議論がございました日本のエネルギー政策という観点から石炭というものをどのように位置づけていくのかという視点、そしてまた産業政策、産業構造調整政策というものの上でどのように考えていったらいいのか、この切り口といいましょうか視点は多数ございます。そういういろいろな視点でいろいろな立場の方の御意見を伺い、そこの議論を尽くして、その上で非常に難しい状況にございます我が国石炭政策の将来の方向というものを決めたいということで目下鋭意議論しているところでございますので、その議論の成り行きをもうしばらく見守っていただきたいと思う次第でございます。
  107. 田口健二

    ○田口委員 ちょっと時間がありますが、以上で終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  108. 麻生太郎

    麻生委員長 午後三時二十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後二時五十四分休憩      ────◇─────     午後三時二十分開議
  109. 麻生太郎

    麻生委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。東順治君。
  110. 東順治

    ○東(順)委員 東順治でございます。どうぞよろしくお願いします。大臣、大変お忙しい中、大変に御苦労さまでございます。  最初に、先ほどからもいろいろ出ておりましたけれども、旧産炭地域活性化につきまして大臣の御決意というものをお伺いさせてもらいたいと思います。  私は福岡二区という選挙区から出馬しておりますけれども、この福岡二区、特に筑豊という旧産炭地域、大きなところを抱えておりまして、例えば人口で昭和三十五年当時と平成元年を比較しまして、まだまだ筑豊地域では当時の八三・七%、そういう回復状況、また中でも宮田町という町がございまして、これは三十五年当時に比べまして四四・五%、あるいは稲築町、これは四九・七%、山田市四六・二%、人口がほぼ半分減ってしまっている、こういう状況があるわけでございます。  また生活の保護率を見ましても、当時に比べて平成元年度で全国平均の約六・五倍、そういう高率でございます。  それからまた有効求人倍率におきましても、全国的に近年は大変好況な状況ですけれども、そういう全国的な状況であるにもかかわらず、平成元年度でこの筑豊地域の有効求人倍率が〇・六六、全国平均の一・三〇と比べるとやはりかなりまだ低い、こういう状況でございます。  昭和三十六年に産炭法が制定されまして三十年が経過した現在においても、炭鉱閉山の傷跡というものは深く残されているというのが現状でございます。三十年たってもなおかつこういう傷の深さがあるというところに非常にこの問題の深刻性というものがあるように思います。したがいまして、これからこれらの地域活性化して浮上していくためには、企業の誘致はもちろんですけれども、基盤整備や道路や鉄道といったアクセスの対策、それからまた生活保護、あるいは高齢化のための福祉政策、あるいは子供の教育対策、あるいは情報などのソフト面の対策等々、総合的な取り組みがやはりこれからもますます重要である、このように考えます。  そこで、この旧産炭地域という、旧という字がついている地域ではありますけれども、事態の深刻さはやはり非常に厳しいものがまだまだある。三十年もたってなおまだここだ、こういう状況でございますので、こういう状況を踏まえられて新大臣としての御決意をまずお伺いさせてもらいたいと思います。
  111. 中尾栄一

    中尾国務大臣 顧みますと、私も四年前に「世界とともに生きる日本」という、それを題にいたしまして経済企画庁長官の当時に日本の進路というものを少なくとも五年のスパンの中でどのように行くべきか、またどのように国際的に協力できるか、あるいはどのように豊かさというものを自分の生活に直結でき得るのかということを私も、各審議委員方々とも協力し合いながら作成させていただいたことがございました。今、委員お話ではございません、あるいはまた先ほどの社会党の中沢委員お話ではございませんでしたが、有効求人倍率が片や一方〇・六であり、前には〇・四である、これは大変なことだなと、現実に日本の失業率が世界から見れば二・二%というようなまだ本当に比較的にいい状況の中においてもそういうような一つの抜け穴がある、あるいは大きな陥没地帯があるということをしみじみ感ずるわけでございまして、先ほどの岡田委員の言葉にも私も一種の感動さえ覚えたわけでございますが、このままにしておいてはいかぬ、これでは本当のある意味における政治の存在というものはなくなってしまうのじゃないのかというような感じさえするわけでございます。  それだけに、今どのような振興対策というものを旧産炭地域考えているのか、こう問われると、もう先ほど来いろいろ声になっておりますような、単なるそれに対する手当て的な、イベント対策で持ってきてみたり、リゾート開発をしてみたり、あるいは単なる工場誘致をしてみたりというだけでは、それだけで済むのだろうかとさえ疑わざるを得ないぐらいの気持ちでございます。それだけに私も、旧産炭地域の中には閉山による影響というものは著しく残存しているということは率直に認めます。そして同時に、産炭地域の発展をなお相当程度に阻害していると認められる地域というものが存在する一方、炭鉱閉山から相当な年数を、ただいま御指摘いただきました三十年たっているのですよ、こう言われますると何とも身の縮むような気持ちでございますけれども、そういう長期の中においてそういう状況にあり、それだけに財政力、過去の炭鉱閉山影響の度合い等から判断をいたしまして、閉山による疲弊からあるいは回復するということの、影響が著しく希薄化したと認められる地域が存在するということが地域的に大きな落差になっているんだなということを感ぜざるを得ません。  なかんずく、委員の場合は筑豊地域で、特に今宮田町のことを言いましたが、大きく振興させているということも私もつとに知っておりました。それだけに今後の旧産炭地域における産炭地域振興対策につきましては、昨年十一月の産炭地域振興審議会答申趣旨というものはこれは踏まえなければならぬ、そしてそれぞれの地域の現状に応じて産炭地域の指定の見直しを行うということを前提として、閉山影響がなお著しく残存している地域につきましては、先ほど来申し上げております八次策の影響地域と並ぶ重点的な対象地域として重点的に、なおかつ強力に支援策を講じていきたい、これは私の念願としても申し上げたい、同時に、私の施策としても申し上げたい、同時に、私も通産省を預かっておる立場で、これに挙げて、全力を投球してみたい、このように考えておる所信だけを述べておきたい、こう思います。
  112. 東順治

    ○東(順)委員 重点的に全力を挙げてという力強い御決意をいただきまして、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  考えてみますと、本当に日本の高度経済成長を引っ張った、そういうかつての力ある地域、それが産業構造の変化やエネルギー革命というようなことで、当時が光とすれば逆に今は影になってしまっている。今度は逆に、先ほども大臣おっしゃられましたけれども、政治の大きな力としてこれはやはり光を当てていかなければいけないという趣旨お話がございましたけれども、全くそのとおりだと思います。かつて日本を引っ張ったところだけに、今度は繁栄した日本が政治の力で影となってしまった地域にお返しをする、こういうことがやはり政治の筋だろうと思いますので、どうかひとつ、ただいまの決意をよろしくお願い申し上げたいと思います。  それで、今大臣からもございましたけれども地域指定のことにつきましてお伺いをさせていただきたいと思います。  私、本委員会、このたび初めて所属になりまして、きょうが初めての質問でございますので、そういうこともございまして、基本的なところを確認をさせておいていただきたいと思います。  産炭地域振興審議会答申でございますけれども、細かなことにつきましてはこれからの法案審議段階でいろいろとお伺いしたいと思いますが、指定解除の基準ということにつきましてお伺いしたいと思います。  去年の十一月の本委員会でもいろいろと議論されていたようでございますけれども、圏域指定ということで、この答申の中に「当該圏域の過半数の六条市町村の財政力指数が相当程度高いと認められる場合」ということと、今度は「当該圏域の全ての六条市町村の財政力指数が高いと認められる場合」、こういう二つの場合ということが答申の中にございますけれども、この「相当程度高い」ということと、その次の「高い」ということの具体的な違い、この辺のところをちょっとお伺いしたいと思います。
  113. 土居征夫

    土居政府委員 ただいま御指摘になりました産炭地域振興審議会答申の別紙に地域指定の見直しについての基準の考え方が述べられておりますが、その中に今御指摘の二項目があったわけでございます。  第一の、当該生活圏域の中での「六条市町村の財政力指数が相当程度高いと認められる場合」という答申の表現でございますが、これにつきましては、審議会議論の経過からいたしまして、財政力指数が加重平均以上となった場合、そういうふうに解釈させていただいております。それから二番目の、「財政力指数が高い」と単純に言った場合には、全国平均の財政力指数の単純平均よりも高いという場合に該当するというふうに理解をさせていただいております。
  114. 東順治

    ○東(順)委員 それから、同じく指定解除のところで、「過去における閉山量、閉山からの経過期間、当該地域に現在も残る閉山影響状況からみて、炭鉱閉山による影響の度合いが著しく希薄化していると認められる場合」、先ほどからも出ておりましたこの希薄化している場合という状況、これを具体的に教えていただきたいと思います。
  115. 土居征夫

    土居政府委員 これも産炭地振興審議会答申の別紙の基準で掲げている表現でございますけれども、当該地域石炭の不況による影響からの回復につきましては財政力指数や人口が基準になっておりますけれども、御指摘の著しく閉山による影響が希薄化しているという考え方につきましては、答申の別紙におきましては「過去における閉山量」とか「閉山からの経過期間」、それから「当該地域に現在も残る閉山影響」、こういった定性的な基準が挙げられております。具体的な基準といたしましては、その答申考え方の中では「累積閉山量」という考え方一つ出ておりまして、これは「地域内の各炭鉱閉山量を閉山から産炭法期限切れ時点までの経過期間で割り戻して累計した数値」というような技術的な説明になっております。それ以外に、「老朽炭住等当該地域に現在も残る閉山影響状況を考慮して総合的に判断することが適当」というふうに答申では指摘されております。
  116. 東順治

    ○東(順)委員 六条市町村指定の見直しということで、この筑豊地域におきまして遠賀郡の岡垣町が見直しの対象とされているということを伺いましたけれども、これはいかがなんでしょうか。今お答えできますか。
  117. 土居征夫

    土居政府委員 産炭地域振興審議会答申の別紙におきまして、地域の指定の見直しについての一般的な基準が示されております。その基準の作成の段階で各自治体には非公式にその基準の考え方について意見を照会した経緯はございますけれども、いずれにしても、個別市町村、個別圏域の地域の見直しにつきましては、この答申に基づきまして今回御提出させていただいています法律が国会の了承を得た暁に、産炭地域振興審議会審議を経て具体的な地域の見直しを行う手順になっておりますので、具体的な地域についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  118. 東順治

    ○東(順)委員 続きまして、鉱害復旧の問題でお尋ねをいたします。  この鉱害復旧の実績につきましては、元年度見込みで進捗率が八四%と進んでおりますけれども平成年度初鉱害量調査の結果を見てみますと、全国でおおむね四千八百億円程度の鉱害量が残されている、このような報告がなされているわけでございます。平成四年七月に法期限を迎えますこの臨時石炭鉱害復旧法の延長という点も含めまして、残存の鉱害対策についての大臣の御所見を伺いたいと思います。
  119. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ちょっと私の前に関係政府委員に答弁させます。
  120. 土居征夫

    土居政府委員 先生指摘の鉱害復旧関係についての法延長につきましては、いわゆる石炭六法の一環として鉱害関係の二法が来年期限切れになるということでございまして、現在石炭鉱業審議会にお諮りをしてその取り扱いを検討しているところでございますので、その検討結果を待って政府としての対応を決めていくという状況でございます。
  121. 中尾栄一

    中尾国務大臣 昨年の十二月十四日に、石炭鉱業審議会に対しまして今後の石炭鉱害対策あり方について諮問を行ったところでございますが、現在同審議会鉱害部会におきまして審議が行われておるところ、このように私も承っておる次第でございます。  当省としましては、私ども通産省エネルギー庁も含めまして、六月ごろを目途に答申をいただく予定になっておりますので、その結果を踏まえまして必ず所要の措置を講じてまいる考え方でございます。
  122. 東順治

    ○東(順)委員 それで、ここでひとつ基本的な考え方と申しますか、それを伺っておきたいのですが、鉱害復旧というこのこと自体は、いわば鉱害という一つの被害状況というものを復旧する、マイナスからゼロに復旧をしていくという考え方で、これが終わると所期の目的は達するわけでございます。同時に、産炭地というのはやはり地域活性という大きな問題があるわけでございまして、したがいまして、鉱害復旧ということとこの地域振興、産炭法ですね、この辺の兼ね合い、結びつきといいますか、そういったところをどのようにお考えになっておられるか。鉱害復旧でもう地域一つの復旧はなし遂げたのだということで終わりとしてしまうのか、あるいは、それから今度は地域復興に向かってどうしていくのかというふうなつなぎの問題、そういう関連性の部分を伺いたいと思います。
  123. 土居征夫

    土居政府委員 鉱害復旧と地域振興との関連性につきましては、実は現在石炭鉱業審議会審議しております鉱害部会の中でも議論になっておりまして、単に原状復旧ということだけではなしに、地域振興との一体的な推進ということが必要でないかというような議論も出ております。政府といたしましても、かねてからそういう関連公共事業と一体的に推進できるものについては合併事業という形で推進しているわけでございますけれども、この辺の対策の強化ということが新たな検討課題になってきているのは事実でございます。ただ、鉱害復旧が終わってから産炭地域振興をやるという時系列的な関係ではございませんで、御承知のように産炭地振興はかねてから取り組んでおります。むしろ、こういう産炭地振興と鉱害復旧をいかに有機的に連係させてやっていくかという課題であると認識しております。
  124. 東順治

    ○東(順)委員 ぜひとも有機的な関係の中で進めていただきたいと思います。  それから、最後でございますけれども石特会計法の延長問題についてお伺いしたいと思います。  この石炭対策財源として原油関税あるいは石油製品関税が対象となっておりますけれども石特会計法の有効期限が平成四年三月三十一日でありまして、したがって、この法律の延長が行われるかどうかが地方自治体にとりましても非常に注目されている点でございます。審議会等で石特会計法の延長問題について審議をされているのかどうか、この辺まず伺いたいと思います。
  125. 中尾栄一

    中尾国務大臣 これは法案のことでございますから、的確に申し上げられればと思いますが、足らざる点がございましたら政府委員にまた答弁させたいと思います。  いわゆる石炭六法と言われておりますが、これは制定以来我が国石炭政策基本となってまいったわけでございますが、平成三年十一月から四年七月にかけましてそれぞれの法期限を迎える、言うなれば期限切れになってしまう、こういうことに相なるわけでございます。したがいまして、期限後の各法律のあり方につきましては、その延長の必要であるか、あるいは否、ノーであるのか、その要否を含めまして現在石炭鉱業審議会の場で検討を行っているところでございます。  なお、石炭六法の中で一年早く法期限が到来する産炭地域振興臨時措置法につきましては、昨年十一月末にまとまりました産炭地域振興審議会答申におきまして法廷長の必要性が打ち出されましたことを十分踏まえまして、そして今次国会に同法の改正案を提出したところでございます。  いずれにいたしましても、通産省といたしましては、関係審議会での検討結果を踏まえまして所要の措置を講じてまいろう、このように考えておる次第でございます。報告にいたします。
  126. 土居征夫

    土居政府委員 補足して御説明いたします。  今大臣から御説明いたしました石炭六法全体の扱いの中で、特にまた委員指摘いただきました石特会計法の問題につきましては、石炭対策財源の問題ということで石炭鉱業審議会の中でも非常に議論を呼んでいるところでございまして、特に需要業界からは原重油関税の撤廃について強い意向が示されているところでございます。一方、石炭財源一般会計に移行することにつきましては、いろいろと財政当局の反対等もございますし、新しいその他の財源についてもいろいろと困難な面があるということでございまして、いずれにしてもこの問題につきましては、石炭鉱業審議会の結論を踏まえて、その後に総合的に判断をしてまいる問題であると考えております。
  127. 東順治

    ○東(順)委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  128. 麻生太郎

    麻生委員長 藤原房雄君。
  129. 藤原房雄

    ○藤原委員 過日、大臣の所信表明がございましたが、それをもとにいたしまして、限られた時間ではございますが、現在石炭産業を取り巻く問題について二、三御質問を申し上げたいと思います。  今、何といいましても、八次策の後半に参りまして、いよいよ四年、最終ラウンドといいますか最終の一年を残すところに来たわけでございまして、この八次策の功罪といいますか八次策の反省の上に立って、次のステップとして、残されたわずかの炭鉱、国内の唯一のエネルギーをどう守るかという非常に重要なときに差しかかっていると思うのであります。私ども公明党も、六十一年に八次策の御提起がございましたときに、景気も余りよくございませんでしたし、国内産業の中で石炭が現状を維持することは非常に難しいことだ、そういう中でなだらかな閉山ということもやむを得ないことなのか、そのように考えもいたしましたし、またいろいろな角度から検討いたしまして、政府の案に賛成をいたしたところでございます。  景気の余りよくないときでございましたから、地域には大きな問題が起きないようにいろいろな配慮をいたしましたが、石炭産業しかない地方自治体におきまして千名、二千名という失業者が出るということで、町があと生きる道がないというところもございまして、まず地方自治体が人口減によります税収減を初めとしまして大変に疲弊をするということや、そこにいろいろな対策を講じますが、そう短兵急に効果のあらわれるわけもございません。そんなことで、地域のいろいろな計画を持ちながら順次それを進めていくということで一生懸命頑張っておりますが、その後景気もだんだんよくなり、それに乗っかり、さらにまた行政当局のいろいろな施策もございまして地元では一生懸命頑張っておりますが、それぞれ問題のあることは御存じのとおりでございます。  そういう中にありまして、いよいよ最後の一年を迎え、そしてまた次の九次策も執行しなければならぬ。石鉱審等でいろいろ今後のあり方について検討されておるわけでありますが、各種の団体、それぞれの立場でいろいろな要望がございますけれども、それらのことについては大臣もよくお聞きになって御存じのことだろうと思います。  一つは、地方自治体としましては、あるころ急激な人口減、閉山ということになりますと、地域にとりましては唯一の産業がなくなるわけでありますから非常に大きな影響力を持っておるということや、地域に公共事業を初めとしていろいろな施策をするということでございますけれども、すぐに実効が上がるということでもございません。また、今発展計画等いろいろ計画いたしましても、それがすぐ実効ある形で地域が蘇生するということでもございませんので、ある期間は大変に苦渋の中で頑張っておるのが現状でございます。  そういう中にありまして、この八次策施行後今日までの現状、九次をどうするかということになりますと審議会でいろいろ検討しておるという御答弁しかないのだろうと思いますけれども、八次策をどう見、そしてその中で、大臣が就任なさっていろいろな角度で勉強なさった中でどうお感じになっていらっしゃるのか、ひとつ率直な大臣のお考えをお聞きしておきたいと思うのであります。
  130. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず日本の全体的な経済を眺めてみますと、確かに大きな意味においてはイザナギ景気に近づきつつあるような景気動向であることは紛れもないことでございます。アメリカが約九年目にして不景気に入ったといいますが、日本の国自体も、イザナギ景気を超えられるかどうかは別にして、決してまだ景気が停滞しているわけではございません。その意味におきましては、ある意味においては不透明部分は多いとはいえ、救われる面はまだ現在のところはあるということで、私は多少楽観的には見ておるのでございますけれども、しかし、産炭地域以外の地域に行きますると、ある地域においては中小企業でも人手不足だ、人が足りない、何とかしてくれということで、外国からさえも人を入れるというような地域がございます。ところが、閉山した場所においては、その土地への愛着心もございましょう、あるいはまた、今までのなれ親しんできた仕事に対する、何といいますか、ある意味におけるデスパレットな、報われない気持ちでたたずんでいる人もいましょう。  そういう意味においては、複雑な問題が今回のこういう問題を提起しておるというところに幾つもの今までの問題があるんだなということも先ほど来感じておったわけでございまして、それだけに、昭和六十二年度からスタートしました第八次石炭対策というのも、本年度でまさに委員が御指摘のとおり四年目となって、現在までのところおおむねその趣旨に沿っては推進してきたものと考えておるのでございます。しかしながら、昨今の我が国石炭鉱業をめぐる環境には依然として厳しいものがあるということは、もう先ほど来指摘しておるとおりでございます。  このような中で、集中閉山の回避を基本といたしまして、地域経済雇用に及ぼす影響をできる限り緩和していく、生産体制集約化を円滑に行う、こういう方向に立って第八次石炭対策の着実な推進が求められておりまして、私としましては、その実施に全力を尽くしてまいる所存なのでございます。  この第八次石炭政策のもとでは五つの炭鉱閉山に至るという、この他の炭鉱においても厳しい合理化が行われてきてはおりますが、関係者の懸命の努力需要業界の協力などの結果、所期の目標に向かって政策が進められてきたものと私は判断しますけれども、まだまだそれが十分でないことは、先ほど来の質疑の中においてもずっと感ぜられる点でございます。  そこでまた、炭鉱閉山規模縮小により影響を受けている産炭地域振興については、昨年十一月の産炭地域振興審議会答申を踏まえまして、今次国会産炭地域振興臨時措置法改正法案を提出したところでございますが、今後とも、これは関係各省庁、自治体とも連携をとりつつ各般の支援を行っていくということが大事であろう。鉱害対策の着実な実施にも努めてまいりたい、このように考える次第でございます。  そういう意味におきまして、今後の石炭政策あり方につきましては、現在まさに石炭鉱業審議会の場で御審議をいただいているところでございますし、その検討結果を十分に踏まえまして、適切な施策というものを、諸先生方の意見も十分反映をさせていただきながら、また酌み取りながら、そういうものも組み入れながら私ども考えていきたいな、私の個人の私見も述べさせていただきましたが、そのような気持ちで考えていきたいと思っております。
  131. 藤原房雄

    ○藤原委員 一億トンを超す輸入炭、その一割にも満たない国内炭生産量という中にありまして、それぞれの立場でいろいろな議論があろうかと思います。しかし、国内の唯一のエネルギーであるということや、さらにまたエネルギーの多角化ということ等考え合わせまして、国内炭というものの意味というのは決して意味がなくなったということではないだろうと思うのであります。一千万トンを割るような現状の中にありますけれども技術的なことからいいましても最小限度とどめておくという考え方を私ども持っておるわけでありますが、しかし、需要と供給の中に生きなければならぬというこの厳しい現実は現実として考えなければならぬだろうと思います。そういうことからいいまして、企業の自助努力、そしてまた需要業界との協力、こういうものが前提になることは当然のことだろうと思います。適正炭価の設定とか輸入割り当て制度の存続とか、いろいろな問題につきまして問題がないとは私どもも言いませんけれども、しかしもう一千万トンを割る現状の中で、現在残された炭鉱につきましては、国内的にも政策的な最大限の支持をする必要があるのではないか、このように考える次第でございます。  特に、生産技術というものをどう見るかということでありますが、何も国内だけでなくても、海外開発、輸入開発等も含めてということでございますが、生産技術を一種の資産というような物の考え方の上からも大事にするという考えがなければならないのじゃないか。こういうことを考えますと、現状というのはぎりぎりの限界ではないか。そのためにどうするかということを最大の知恵を絞っていかなければならぬ。今までのようにただなだらかに閉山をということだけではなくて、存続のためにいかにあるべきか、そしてまた国内だけではなくて、海外の開発輸入ということ等もあわせまして、さらにまた最近CO2の問題等もありますが、そういうものについてもいろいろ研究会をつくっていらっしゃるようでありますが、そういうこと等もあわせまして、石炭需要国内炭の位置づけというものをさらにこの次の段階では明確にしてその施策を進めていく必要があるのではないか、このように思うのでありますが、大臣所見をお伺いしておきたいと思います。
  132. 中尾栄一

    中尾国務大臣 委員にお答えいたします。  十分にただいまの御意見も尊重しながら考えていきたい、このように思っております。
  133. 藤原房雄

    ○藤原委員 大臣個人としてはいろいろなお考えがあろうと思いますが、現在いろいろな審議の過程の中にありますから、私もこれ以上大臣のお考えをお聞きするつもりはございませんが、八次にわたります今日までの経過を踏まえ、そして現在の国際環境の中にありましていかにあるべきか、こういうことで、これは法案もかかるわけでございますので、私どもも大いにまた議論させていただきたいと思います。ぜひひとつ石炭産業、それなりの位置づけの中で、地元のことも当然としまして、誤りのない方向性というものを模索していきたいものだと思うわけでございます。  さて、労働大臣にお伺いいたしますが、八次策で五つの主要な炭鉱閉山になりまして、この前の大臣の所信の中にもございましたが、一万二千人を超える離職者が出たわけでありますが、現在なお二千五百人求職なさっている方々がいらっしゃる。最近、私どもも現場へ参りますと、非常に地元志向が強いわけでありまして、そういう中で労働省も広域職業紹介、コンピューターを使いまして広域的なこととか、今までにないいろいろなことで対応していることは私どもも十分に知っているわけであります。また、離職なさった方々の物の考え方も一ころとは違って、非常に多様なニーズにこたえなければならぬ現状にある。こういう中で一生懸命御努力をなさっていることには心から敬意を表する次第でありますが、ある程度の年齢になって離職なさった方々地元就職するということは非常に厳しい現状の中にあります。  そういう中にありまして、八次策の中で離職なさった方々が、来年一年間といいますか、この八次策施行の中できちっとそれなりの結果を得るということが一つの大きな命題だろう、目標だろうと思うのでありますが、そのことのためにはいろいろなアイデアを出し、そしてまた施策を積み重ねていかなければならぬ。さっき通産大臣お話ございましたが、非常に景気が上向いておりまして、北海道もそれなりの景気の中にありますから、団地をつくってもらいたいとか、またいろいろな企業誘致のために大変に努力をしておる経過もあるわけでありますけれども労働省としましても、これらのこと等も考え合わせまして、ひとつ強力な施策をやっていただきたい。  それで、今後法案審議やいろいろなときにまた詳細についてはお聞きしたいと思うのでありますが、この二千五百人、これは全国、北海道は大体千五百人ぐらいということでありますが、今年度予算含めまして、これらの方々に対しての新しい施策をお考えであったらお聞きしておきたいと思います。
  134. 小里貞利

    小里国務大臣 炭鉱離職者の再就職問題につきまして大変真剣な御提言をいただいております。  先生お話の中で触れておいでになったようでございますが、炭鉱労働者、いわゆる坑内労働、特殊な労働環境でございます。そしてまた、一面からいいますと中高年齢者、そういう方々離職、そして再就職問題でございまして、率直に申し上げまして、現状は雇用失業情勢大変厳しいというお話でございますが、私どももその問題、大変胸を痛めておるところでございます。しかしながら、率直に申し上げまして、現下の一般的な情勢は、有効求人倍率等に全国的にあらわれておりまするように、またきょうの午前中の論議でも出ておりましたように、この好景気に支えられまして、そういう華やかな側面もありますだけに、炭鉱就職者の問題は私ども一歩も三歩も踏み込んで、手がたく、しかも緊急に対応しなければならぬな、私基礎的に不勉強な面もたくさんありますが、直感的に申し上げまして、そういう気持ちで先ほどから各位のお話もお伺いいたしておるところでございます。  炭鉱離職者臨時措置法等に基づきまして職業訓練なり再就職をお手伝いいたしておりますけれども、北海道等におきましてはお話のとおりまだ一千五百名前後もおいでになりますよ、こういう状況でございまして、今後とも最大限努力を詰めるように、なおまた率直に申し上げまして、この委員会でこういう討議をいたしますが、できるだけ間髪入れず、皆さんのこういう声を、また私は私なりに雇用の側面から、省に持ち帰りまして、それぞれの各位とよく協議を詰めてみなければいかぬ、そういう感じも持っておるところでございます。なおまた石炭鉱業審議会も目下それらの問題等も含めて検討中でございますから、最大に注目をいたしておるところでございます。
  135. 麻生太郎

    麻生委員長 小沢和秋君。
  136. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 まず通産大臣にお尋ねをいたします。  八次策で最終目標として一千万トン程度に石炭生産縮小するという方針になったわけでありますけれども、現実にはそれをはるかに上回るテンポで進んでおりまして、昨年の段階で八百二十六万トンという状況になっているわけであります。まさに石炭産業が音を立てて崩れているという感じがいたします。現在九次策が石鉱審で検討されておりますけれども、私の地元福岡県の三井三池炭鉱でも、今後に対する深刻な不安感が広がっていると聞いております。  我が党は、かねてから国内の貴重なエネルギー資源である石炭を活用することを強く主張してまいりました。現在の状況は、そういう立場から見て本当に残念であります。私は、今のままでは日本の石炭産業は遠からず完全につぶれてしまうのではないかという危機感を持っております。どうしても根本的に発想を転換しなければ日本の石炭産業を守れないのではないかというふうに考えますが、大臣いかがでしょうか。
  137. 中尾栄一

    中尾国務大臣 はっきり申し上げて、これ以上閉山をするような形をとるべきでないという意識を込めてのお話かと思いますが、今後の石炭政策あり方そのものは昨年九月二十五日に石炭鉱業審議会に諮問して現在検討を行っているわけでございまして、国内炭の存続、活用という問題は石炭政策あり方についての基本にかかわる問題でございますから、審議会においてもこれまで、エネルギーセキュリティーといいますか、技術活用等のエネルギー政策上の位置づけ、産業政策上の位置づけ、あるいはまた地域経済社会における位置づけなど多角的な観点から審議を重ねているところでございます。審議会では、このような基本考え方に加えまして、需給、価格その他の具体的な施策あり方についても御検討いただくことにしているところでございます。  通産省としましては、このような検討の結果を踏まえて所要の措置を講じてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  138. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、根本的に発想を転換する参考になるという点で西ドイツのことをちょっと勉強してみたわけであります。現在統一しておりますが、統一してからの石炭政策はどうなっているかまではちょっと資料がありませんので、西ドイツの話であります。  西ドイツは、石炭だけでなく褐炭もある、炭層などの条件も恐らく今日本で掘っているところよりは悪いところの方が圧倒的に多いのじゃないかと私は思いますけれども、それでも現在約八千万トンぐらい掘っているわけであります。もちろんコスト的に見れば輸入炭と比べると二倍以上の差があるというふうに聞いております。それだけの差があってもなおかつ石炭を掘っていこう、守っていこう、このために大変な努力が払われているわけですけれども、どういうような努力というか政策がとられているのかということを参考のためにひとつこの機会に御説明いただきたい。簡単で結構です。
  139. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 旧西ドイツの石炭政策でありますけれども、ドイツでは御指摘のとおり八七年に歴青炭で八千万トン出炭しておりまして、それを九五年に六千五百万トンまで縮小するわけであります。そういう計画のもとに進めておりますが、需要業界との間で長期の引き取り契約をしておりまして、差額について、電力についてはいわゆるコールペニヒ制度といいまして増加コスト分を補てんするような制度が採用されておりますし、原料炭につきましては、輸入炭との見合いで、その価格差につきましては政府の補助金が交付されるというようなシステムが基本になっているわけでございます。  ただ、ドイツにおきましても、現在の計画、政策は八七年に立案された石炭産業合理化計画ということで、今申し上げましたように八七年の八千万トンから九五年の六千五百万トンまで減少させていく、その後をどうするかということで、九〇年三月に、俗に言うミカト委員会と言われておりますが、石炭委員会がつくられまして、そこが連邦政府に対する提言を行っております。これは二〇〇五年をターゲットの年といたしまして生産規模縮小していくという方向を示しております。縮小の数字については……(小沢(和)委員「いやいや、そんなところまでは聞いてない、守るためにどうやっているかと聞いているのですから」と呼ぶ)わかりました。そういう長期の計画の中で先ほど申し上げましたような施策をとっている、こういうことでございます。
  140. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私調べてみて本当にびっくりしたのですけれども、日本とは石炭を守るためのお金の入れ方というのも、もうけたが違うのですね。日本の何倍ぐらい、幾らぐらいそのためにお金を使っているかということもちょっと示していただきたいと思います。
  141. 土居征夫

    土居政府委員 ドイツの石炭政策につきましても、これはIEA等で国際的なレビューをやっておりますので、日本の石炭政策との比較なんかも行われておりますが、いずれにしても、両国とも基本的には内外炭価格差を国民経済的な負担で埋めて、結局は構造調整を円滑化ならしめているという点で同じでございまして、出炭規模がドイツの場合非常に大きいという意味で、そういう国民経済的な負担は大きくなっておりますけれども、要するに相対的な負担の面では、それほど大きく変わっていないのではないかというふうに考えております。(小沢(和)委員「数字を言いなさいよ、数字を」と呼ぶ)特にあらかじめ御質問の予定がなかったものですから、数字について今すぐにここで思い出してあれすることもできないのですが、一応資料がございますので、ちょっと時間の御猶予をいただいて御説明をさせていただきます。よろしいですか。
  142. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 はい。それでは、私そこまで細かく通告してなかったから、それは結構ですが、私が伺っているところでは、およそ八千億円ぐらいになるのじゃないですか。だから日本と比べてみても、もうこれは大変な違いだと思うのです。結局どこが違うか、私は国内炭に対する政治の姿勢の差というしかないのではないかと思うのです。日本の場合には、一九六〇年代にアメリカの圧力に屈服して今のように石炭をどんどんつぶしていくという方向に踏み切っていったわけですけれども、まさにその同じ時期に、西ドイツでは何としても国内の石炭を守るという方向に踏み切っていったわけですね。  私ここに「海外電力」という雑誌の、長谷川陽一さんという方の「西ドイツにおける石炭政策石炭火力」という題の論文を持ってきましたけれども、この中にこう書いてあるのです。「戦後の西独のエネルギー政策は、ほとんど全て石炭政策であったと言われている。投資援助法、減価償却特別法、炭坑住宅建築促進貸付金法など、考えられるほとんど全ての産業保護政策が採られた。」「一九六〇年代、津波のように押し寄せてくる石油から国内炭を保護することに全力を注いだのである。」日本はもう国内炭はだめだということでつぶしていく政策に踏み切り、西ドイツではこうやって何が何でも守っていくという政策を決意してとっていった。ここに私は今日の状況の決定的な違いの原因があるのではないかと思いますが、そうじゃないのでしょうか。
  143. 土居征夫

    土居政府委員 まず、先生指摘のドイツの国民経済的な負担につきましては、先生おっしゃいますように日本円換算で約八千二百億円ということでございますけれども、それに対応します日本側、日本の国内的な石炭対策につきましても、御承知のように石炭対策石炭勘定では一千億近くの財政支出をしておりますし、それに加えまして需要業界が内外価格差の負担という形で一千億近い負担をしておるということでございますので、二千億弱の負担をしておる、そういう状況でございます。  そういう中で、確かにドイツにつきましては国内炭のウエートが非常に大きいものがございますけれども、その結果ドイツの電力料金が非常に高い、それがドイツの国内の経済の足を引っ張っておるという議論もありますし、国際的にもいろいろとドイツの石炭政策についての批判も多いというふうに伺っております。
  144. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 どうしてもドイツの方が悪いというふうに話を持っていきたいようですけれども、しかし、西ドイツではこういう政策をとった結果、経済がつぶれかけているというような状況になっておりますか。  大臣にお尋ねをしたいのですけれども、西ドイツは、こういうような石炭について政策的な大きな負担をしながらも、なおかつ日本と並ぶような経済大国として現在立派にやっていっておるわけです。だから私は、日本でもその気になればこういうような政策をとれるのではないかという立場に立って九次策なども検討しなければ、今のように、もう炭鉱がどんどんつぶれかけていっているというあの状態を立て直すことはできないのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  145. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私も多少経済は勉強させていただきましたけれども、これはヨーロッパのそれぞれの経済というのは、農業の問題でもそれぞれにいろいろの問題もございます。それからまた、アメリカ等でもそのとおりでございます。日本の問題でも、ある意味においてはハイテクノロジーではすぐれておりますが、またすぐれてないところもたくさんございます。そういうバランスの上から見て考えますると、比較的に日本の経済そのものはバランスはとれている方だな、私はこう感じておるのでございますが、今のこの炭鉱の問題そのもの自体についての知識というのは、残念ながら私自身がまだ勉強中でございますから、これはじっくりレファレンスを聞いて、その上でお答えさせていただければ、このように思っております。まことに御無礼でございます。答えにならずにどうも申しわけございません。
  146. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いや、今私が強調したいのは、西ドイツではそのように石炭をあくまで守るという姿勢に立ったから、これだけのお金も投じ、今の程度に大きな石炭産業を守ることができておる。そしてそれでなおかつ立派に一流の経済大国としてやっていけている。だから日本でもそういう気になればやれたはずだし、ここまで今石炭産業が追い込まれておるわけですが、今残されている炭鉱というのは、国内で見ても本当に炭層条件などもいいようなところばかりが残っておるわけですから、少なくともこれ以下にはもうしないということで、例えばその産炭地の近くに火力発電所をつくるとか、思い切った援助策を講じて守っていく、こういう立場でひとつ九次策を検討していただきたいということを重ねてこれは要望しておきたいと思います。  それから次に、これは先ほども通産大臣がお答えになりましたので、私も大臣にお答えをお願いしたいと思いますが、昨年実施しました鉱害残存量の調査が最近まとまりまして、四千八百億円程度ということが言われております。そうすると、今の年間の鉱害復旧規模などを考えますと、これはどうしてもあと十年ぐらいは延長しなければ復旧できない。国の責任でこれはどうしても復旧するということがもう再々ここでも約束されてまいりましたし、所要の措置をとると先ほどおっしゃいましたけれども、これは石鉱審などから答申いただいてないからということで、遠慮しての表現だろうとは思いますけれども、私はこれは延長する以外にないということは、数字から見てはっきりしているのじゃないかと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  147. 土居征夫

    土居政府委員 大臣の前に御説明します。  昨年の十二月に四千八百億円程度の残存鉱害量の調査結果を発表させていただきましたけれども、これに基づきまして現在石炭鉱業審議会におきまして、平成年度以降の石炭鉱害関係法の延長問題も含めまして審議をしているところでございます。ちなみに四千八百億円程度の残存鉱害量につきましては、平成年度以降についてはおおむね三千七百億円程度というふうに試算されております。  そういったことで、現在石炭鉱業審議会の中で、今先生からお話がありましたような御意見も含めて検討がされておるという状況でございます。
  148. 中尾栄一

    中尾国務大臣 昨年十二月十四日に石炭鉱業審議会に対して今後の石炭鉱害対策あり方について諮問を行ったところでございます。これは御指摘いただいたとおりでございますが、現在同審議会の鉱害部会において審議が行われているところでございますし、通産省としましては六月ごろを目途に必ず答申をいただく予定にしておりますので、その結果を踏まえて所要の措置をとりたい、このように判断をしております。
  149. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この鉱害復旧の問題で、残存量の調査のことでもう一つお尋ねをしたいのです。  私は昨年の当委員会で、鉱害の認定申請が今なお一万数千件未処理のままになっているということを指摘してその早急な処理を求めたわけであります。これらはこの調査の中でどのように扱われたか。十年前の調査のときには、私同じ質問をいたしましたところ、その一件一件を検討して、残存量の中に見込めるものは見込んだ、こういうようなお話だったと思いますが、今回もそのとおりかどうか。そしてもし見込んでいるというお話であれば、それはこの残存量の中でどれくらいの量になっているか、お尋ねします。
  150. 土居征夫

    土居政府委員 先ほど御説明いたしました鉱害量調査におきましては、その調査時点は昨年の年度初めでございますけれども、その時点で申し出がされておりましてかつ諾否の処理がされていない、いわゆる未処分の条件につきましても、一応全物件を調査対象にいたしております。その個々の案件について石炭採掘の影響を受けているかどうかを把握した上で各種の観点から整理を行っているわけでございます。ただ、個別の案件につきましては、そういった意味で全体の数字を出す上での資料ということで検討させていただいているわけでございますが、個々の処理につきましては前回御指摘いただきました点もございますので、現在その対応に取り組んでおるところでございます。
  151. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私が最後につけ加えた、数字的に見て鉱害だろうということで見込んだ分、これぐらいというのは示せれば示していただきたいのです。
  152. 土居征夫

    土居政府委員 ただいま御説明いたしましたように、未処理分の案件も含めて各種の情報を全部通産局において取りそろえて、その上で判断をしてああいう数字を出しているわけでございますが、御承知のように、残存鉱害量調査結果につきましてはおおむねという概数で発表させていただいておりますので、個々の、要するに積み上げをきっちりやったものということでも必ずしもございませんので、内訳につきましては御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  153. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 最後に労働大臣に一言お尋ねをしたいと思います。  先ほどからの御答弁を伺っておりまして、八次策の中で一万二千八百人もの離職者が出ておられる、いまだに二千五百人が就職できずにおる、こういう話を伺って私も本当に胸を痛めておるわけであります。やはり中高年の方々というのは幾ら景気がよくてもなかなか就職が思うに任せないというのが現実であると思います。  そこで、今後の産炭地の復興振興のためにも、先ほどもちょっと問題になりましたが、緊就、開就といったような制度事業なども活用してこういう人たちの就労を保障していくべきではないかということを私も考えるわけですが、いかがでしょうか。
  154. 小里貞利

    小里国務大臣 先生も御承知のとおり、炭鉱離職者、ただいまお触れになりましたように緊急就労対策事業、もう一つの制度として地域開発就労事業、二つの制度が現在執行されておるところでございますが、先生もまた御承知のとおり、昭和六十一年の石炭鉱業審議会におきまして、答申といたしまして、所要の見直しを行いつつ、そして実情に即して適切な執行を期待する、こういうような文言も出ております。したがいまして昭和六十二年、実は私もきのうちょっとその辺の経過を見てみたわけでございますが、年齢等におきましても御案内のとおり一定の要件を設定いたしまして執行してまいっておることも御承知のとおりでございます。せっかく石炭鉱業審議会検討中でございますから、この辺の答申ども注目しながら、なおまた、ただいまお話がございました御意見ども参考にしながら検討しなければいかぬ、こう思っております。
  155. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  156. 麻生太郎

    麻生委員長 高木義明君。
  157. 高木義明

    ○高木委員 私は、さきに行われました各大臣の所信を受けまして、以下お尋ねをしていきたいと思います。  昨年の夏以降に示されましたが、総合エネルギー調査会石炭の位置づけにつきまして次のように提言をしておるわけであります。まず第一に、石油とか天然ガスに比べて供給の安定性あるいはまた経済性ですぐれたエネルギーである。二つには、ばいじんとか硫黄酸化物、窒素酸化物への環境対策が進められておる結果、我が国においては世界最高レベルのクリーンコールである。三つ目には、CO2いわゆる二酸化炭素排出面で問題があるが、このCO2抑制策に不断の努力をすれば石油代替エネルギーの重要な柱の一つである。こういうことを言っておるわけであります。  これは石炭一般に言えることでありますが、問題は国内炭をどうするのかということになるわけであります。もちろん今石鉱審におきまして今後の石炭政策あり方というのが慎重に審議をされておりますので、その兼ね合いもありまして、大臣あるいはまた政府委員におかれましての答弁もかなり慎重を期しておると私も察するわけでありますけれども、ぜひ今回は忌憚のないお考えをお聞かせいただきたいと思います。  先ほどからもるる論議をされておりますが、我が国石炭の使用量に占める国内炭の部分は約一割でございまして、私といたしましては、いわゆる資源小国の日本、そういう中にあって、近年の湾岸危機をめぐる石油の位置づけあるいは今電力の安定供給のために大きく寄与しております原子力発電、これも安全性が確保されて今後とも日本のエネルギー一つの大きな柱として推進をしていく、こういうことについて私たちは基本的に了といたしておりますが、いろいろな問題がある中で、今こそ国内炭の見直しが大きな課題ではないか、私はこういうふうに思うわけです。  しかし、国内炭の位置づけにしましても、一番大切なのは国民の合意をどう取りつけていくのかということにあろうと私は思うわけです。そういう意味で、産炭地の振興というのもこれまたこれまで長い間努力をされておりまして、それぞれの成果も見られておるわけでありますけれども、こういう一つの大きな節目に当たって、私は国内炭をどう位置づけるのかという意味では最も大切な時期というふうに認識をいたしております。特に、私は、これまで同様の、いわゆる一千万トン程度の生産量は維持をしていくべきではないか、こういう立場に立つわけでありますけれども、率直に大臣国内炭の位置づけについてどう認識をされておられるのか、この点をお伺いをしてみたいと思います。
  158. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ポイントとして、エネルギー政策全体としてとらえた場合にどのような位置づけを考えておるのか、こういうような御下問かと思いますが、私自身は、国内炭につきましては、これまで我が国の経済発展を支える貴重なエネルギーとして重要な役割を果たしてきたという認識においては全く委員と同様の立場を持っておるということを申し上げたいと思います。  六十二年度以降に行われている第八次石炭政策におきましても、まず一つは供給源の多角化、それから第二点は、緊急時におけるエネルギーセキュリティーとしての確保、あるいは第三点としましては、増大する石炭需要対応した総供給の確保の基盤、こういう観点を踏まえまして国内炭の役割は評価されるべきものではなかろうか、このように思っておるわけでございます。  今後の石炭政策あり方につきましては、昨年九月に石炭鉱業審議会に諮問し、検討を行っているところであることはただいま申し上げたとおりでございますが、国内炭の位置づけにつきましても、エネルギーセキュリティーの観点あるいはまた技術活用というような観点から、さまざまな御意見が出されているところでございます。審議会からは、本年六月ごろを目途に答申をいただくという予定にはなっておりますから、当省といたしましては、私ども通産省といたしまして、この結果を踏まえて所要の措置というものを必ず講じてまいるという所存であるということを申し上げたい次第でございます。
  159. 高木義明

    ○高木委員 国内炭を維持存続をするために総合エネルギー政策の中での位置づけと同時に、やはり需要量をどう確保していくかというのも一つの大きな課題であろうと私は思っております。そういう意味では、需要家への買い取り要請の努力というのが、石炭鉱業審議会が進められておりますけれども、私は同時並行的になされてしかるべきではないかというふうに思うわけであります。  実は、昨年の十月に石炭鉱業審議会政策部会で、石炭協会の河原崎会長は、極めて重大な、いわゆる石炭企業が九次策論議の中で生産規模縮小を前提とした将来構想を打ち出したということを各新聞も取り上げておりました。特に解説の中では次のように述べております。「十八日の石炭鉱業審議会政策部会で、石炭協会が閉山を含めた国内炭大幅縮小方針を打ち出したのは、輸入炭との内外価格差(一般炭で現在約二・二倍)が改善できぬ国内炭に対する電力などユーザー側の反発が一段と強まっていることが背景にある。今後も一定程度の支援を得るには、石炭企業自らが身を切る姿勢を示す必要があると決断したためとみられる。」こういう解説もつけられておるわけです。  もちろん石炭関係の労働組合はこれに対して反発をしておるわけでありますが、しかし、このように涙ぐましいと言われるほどユーザーいわゆる需要確保についてみずからも努力をしていこうというふうな切実なる訴えもしておるわけでありますが、どうでしょうか。この需要家の拡大対策について改めてどうお取り組みになるのかお伺いしておきたいと思います。
  160. 土居征夫

    土居政府委員 今の需要確保の問題につきましては、何度もの説明になりますけれども、内外炭価格差が輸入炭に対して倍以上という状況のもとでは、非常に国民的、経済的な負担が大きい、特に需要家の負担も大きいということでもございますし、これは、国民経済的な負担は需要家の負担だけではございませんで、やはり石炭企業にとってもいろいろと経営上の問題もあるかと思います。そういう意味での負担がかかってきているという状況の中での石炭協会の会長の発言であるかというふうに考えられます。したがいまして、確かにエネルギー政策上の位置づけというものについてはそれなりの議論がございますでしょうけれども、一方ではその国内炭生産に係る非常に大きな国民経済的な負担、これを需要業界、財政あるいは石炭企業自身が負いながらきておるという状況もございまして、その辺の総合的な判断の上での御発言というふうに理解しております。  いずれにしても、この発言一つの材料になりまして、現在石炭鉱業審議会議論が進められているという状況でございますので、その結果で判断をさせていただきたい、このように考えております。
  161. 高木義明

    ○高木委員 お答えになられたように価格の面が大きな問題になるわけでありますが、この価格対策につきましては、内外炭の価格格差の解消という意味で従前以上の国の手だてをして、いわゆるエネルギー政策上の国内炭を維持する、そういうお考えはありやなしやということ。同時にやはり今石炭鉱業の各社は大変経営的にも基盤が弱い位置に置かれているわけでありまして、いわゆる現行助成制度の見直しあるいは拡充、もちろん企業の自助努力というのは前提でございますけれども、そういうものについてはいかがか。  同時に、先ほども私が申し上げましたが、石炭の国民の理解がいま一つ、私はまだまだないのではないかというふうなことも思うわけであります。こういう時期に私は、国民のコンセンサスを得るために、石炭についての、例えば学校教育の段階からそういうものを普及、徹底をしていくという、そういう努力もなされていいんではないかと思いますが、その点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  162. 土居征夫

    土居政府委員 今先生お話しになりましたいろいろな具体的な対策の問題も含めまして、今石炭鉱業審議会では非常に基本的な議論がされておるところでございます。この基本的な議論については、本当に国民的にまだ議論が分かれておるところでございます。審議会の中でも非常に大きな議論がございます。もちろん石炭エネルギー政策上の位置づけについては、非常に強調される方もございますけれども、一方では今この石炭産業を支えている負担については非常に大きな負担になるのも事実でございまして、その辺のバランスの問題をどう考えるかということも含めて基本的な議論がされておりまして、その議論の過程の中で、この石炭鉱業審議会には各界の方も見えております。審議会議論の経過も対外的にも報道されております。こういう形でこの問題についての国民的なコンセンサスの形成がなされてくるのは一番基本ではないかというふうに考えております。
  163. 高木義明

    ○高木委員 では次にいきますけれども、今年度平成年度の主要施策の中に、その目玉といたしまして産炭地域石炭企業等の経営多角化促進補給金制度の創設がございました。これは大変評価をされておるわけでございますし、また産炭地域関係してはいわゆる街づくり基盤整備事業というのも創設をされたわけであります。このそれぞれの新しい取り組みが一体どのようなねらいのもとに今後進められていくのか、その点についての基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  164. 土居征夫

    土居政府委員 今御質問ございました二つの制度について御説明申し上げます。  第一の石炭企業経営多角化促進補給金、これは産炭地域対策一環として講じられているものでございますけれども、八次策影響地域についての産炭地対策につきましては、何といっても、いろいろ企業誘致等もございますけれども、そこにある石炭企業がいろいろと地域振興について石炭にかわる産業の育成を図っていくということが非常に重要であるというふうに考えられますので、そういった石炭会社あるいはその親会社、あるいはその関連会社が行う新規事業に対して補給金を交付していくという新しい制度でございまして、これにつきましては今後の産炭地対策の非常に重要な柱ということで今後さらに拡充検討していかなければならないというふうに考えております。  それから産炭地街づくり基盤整備事業につきましては、これも産炭地域振興審議会答申に基づきまして今回予算要求で新しく創設をさせていただいている制度でございますけれども審議会の中で議論がありましたように、老朽炭住だとかあるいは旧炭鉱施設が残っておる、そういう旧炭鉱跡地が、言ってみれば地元の、産炭地の発展を阻害しているという状況が非常に多く見られるわけでございまして、こういった旧炭鉱跡地の活用によりまして自治体が新しい街づくりの基盤整備を行っていこうということに対しまして、自治体の、例えば土地購入資金の利子補給を行う等の財政支援をしていくという制度でございまして、これにつきましても今度の産炭地域振興審議会答申の非常に重要な柱になっておりますので、今後さらに拡充が必要であるというふうに考えております。
  165. 高木義明

    ○高木委員 労働大臣にお伺いをいたします。  離職者対策、特に八次以降の離職者対策あるいは雇用対策、それぞれの取り組みにつきましては私は敬意を表する次第でございます。ただ、その中で例えば職業訓練の充実につきましては、非常に技術の進歩あるいはまたライフスタイルの変化等もありまして、ハードからソフトと、そういう意味の変化もあっております。したがいまして、離職者が本当の意味で新しい仕事につけるためには、これまでにない、頭の方向を変えた新しい取り組みが必要ではないかと思っております。  また、いわゆる産炭地の大きなねらいは、若者が集まる町づくりというのが大きな政策の柱でなくてはならぬと私は思っております。特に一般的に三K産業が嫌われる今の風潮にある中で、石炭産業が抱えるいわゆる若年技術者の養成、育成、そういう意味からも大変若者が集まりにくい、そしてまた地域においても一方では若者が集まれるようなそういう仕事場がない、こういうのが大きな一つの問題点でございます。そういう中で、今後離職者対策あるいは雇用対策、どう対応されるのか、基本的なお考えをお聞かせください。
  166. 小里貞利

    小里国務大臣 先生のお尋ねの焦点は、石炭産業の企業内における若者を引きとめるということも意識されながら言われたのかとも思うのでございますが、むしろその企業が存在する地域環境全体を若い労働者にとりまして魅力ある環境整備をする必要があるのじゃないか、そういうふうにとらえさせていただきまして申し上げるわけでございますが、当然企業におきましてもそれぞれの、言うなれば労働条件あるいは職場改善、あるいは雇用管理、そのほかいろいろ努力をする必要もあるかと私は思います。同時にまた、その地域全体の雰囲気というもの、環境というものを若年労働者が最も興味を持つように、そしてまたここで二十四時間就労してみたい、そういう期待あるいはロマンを持ち得るような一つ地域整備を進めることも雇用面を促進していく側面ではなかろうか、そういうふうにも感ずる次第でございます。
  167. 高木義明

    ○高木委員 時間も参りましたので、一点だけお尋ねをして終わりたいと思います。  私の地元の長崎県の池島鉱にいたしましても、あるいはまた福岡県の三池にいたしましても、あるいはまた北海道にいたしましても、今この産炭地の問題は地域の大きな課題になっておるわけです。したがって、今そういう極めて重要な節目の中にありまして石鉱審の審議も進められておる、そういう意味では新しい年度には大臣の大きな決断というのも迫られてくるわけでございますが、その前に産炭地なりあるいはそれぞれの鉱山なりを視察をして、それぞれつぶさに調査をする、そういうことがあればまた地元方々も非常に親しみを持てるし、あるいはまた勇気も持てるのではないか、こう思いますけれども、その辺の御決意をお伺いをしておきたいと思います。
  168. 中尾栄一

    中尾国務大臣 るるずっとお話を聞いておりましても、私自身、全く炭鉱の内部に入ったこともございませんものですから、私もぜひそういうことは味わいたいものだなという気持ちは非常に十分ぐらいございます。同時にまた、そういう中における、周辺における方々とも対話もしてみたいなと思います。  しかし、湾岸戦争以来、朝から晩までありとあらゆる問題で忙殺されておりまして、国会あり方自体がいつまで続くものやら、これは今から参議院の方にもかかっていくわけでございますから、参議院でストップがなければよろしゅうございますけれども、これはストップなどがありまするとなおもめてくるというようなことになってしまうような場面もないわけではない。恐らく協力がございますからそういうこともなかろうとは思いますけれども、わかりません。それだけに、国会が終わりませんと何ともスケジュールの立てようがございませんで、すぐにという立場になれないことが残念だと思っております。しかし、機会があったら行かしていただきたい、このように思っております。
  169. 高木義明

    ○高木委員 終わります。      ────◇─────
  170. 麻生太郎

    麻生委員長 次に、内閣提出産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。中尾通商産業大臣。     ─────────────  産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  171. 中尾栄一

    中尾国務大臣 産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  産炭地域振興臨時措置法は、石炭鉱業の不況の影響を受けて著しく疲弊した産炭地域振興を図るため、同地域における鉱工業等の急速かつ計画的な発展等を図ることを目的として、昭和三十六年十一月に制定され、本年十一月十二日をもって失効することとなっております。  従来、産炭地域につきましては、本法を基礎として、産業基盤の整備、企業の誘致、生活環境の改善、地方財政への援助等各般にわたる施策を展開し、成果を上げてきているところであります。  しかしながら、依然として、人口、財政力指数が極めて低い水準にとどまっている地域も少なくなく、第八次石炭政策に伴う炭鉱閉山等の影響を受けている地域においては、新たな閉山合理化により、地域経済活動の沈滞、地方財政の窮迫、人口の流出等の対処すべき問題が山積しており、経済的社会的疲弊が増大しております。  この法律案は、このような産炭地域の実情にかんがみ、産炭地域振興臨時措置法の有効期限等を十年延長するほか、最近の経済社会のソフト化、サービス化を初めとする諸環境の変化に対応して、産炭地域振興実施計画の原案を道県知事が作成することとすること、地方公共団体の行う税制上の特別措置その他の支援措置の対象を拡充すること等を内容とするものであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  172. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  173. 麻生太郎

    麻生委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りを申し上げます。  本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 麻生太郎

    麻生委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十二分散会