○渡部(一)
委員 大分
意見に差があるのですね、余り詳しく言うのは気の毒だから言いませんけれ
ども。
商店街の中に
一つの施設をつくる、それは、そこのところに集客
能力があって、組合として、全体がもうかるような施設ならみんなでつくることができるのです。ところが、ただの趣味のためのそういうコミュニティー施設をつくったのではもうけにならないというふうに
考えられるわけですね。ここが面倒くさいところです。したがって、コミュニティー施設をつくればいいんだがというところまでは話がいくんですが、壊れてしまう。
例えば、後の方でお話いたしますが、老人の運動場を抱き込んでいる店が神戸の場合にもあるわけなんです。八階か何かのところにある。それで下の方に
小売店があるのです。最近のお年寄りは元気なのか、みんなそこへやってきてはテニスをやったりあるいはバスケットをやったり、猛烈にエクササイズをやっておられる。そして、その
人たちはエレベーターで真っすぐ下へおりて帰っちゃうのです。初めの予想は、おりるときにその辺をうろうろされてしっかりお金を使って帰られると思ってつくられたのですが、そうではない。エレベーターですとんとおりてぱっと帰られる。そこの
商店街としては甚だ不満なわけです。
そうすると、どういうことになるか。当初の予想と余りにも違うものですから、その施設は要するに市が出してくれ、おれ
たちは
関係ない、そういう話に変わってしまっているわけです。したがって、お年寄りの方から言うと、全部帰っているわけではなくて、街の中の散策と同じように商店を眺めたりお話しながら帰っていくのですから大変うれしい施設なんではありますけれ
ども、もうけという
観点から見ると、金利負担を
考えて、ここに一億を借りて五%の金利をかけてもうかるほどお客はお金をおろすかという話になって換算されると、コミュニティー施設の大
部分というのはその金利負担に耐え得ないのであります。
したがって、
商業集積施設を
考える場合に、コミュニティー等の施設、これはどうしても
地方自治体、公共機関がそこにかみ込んできて、その
予算の相当分を出さなければできないのであります。それを商業組合に負荷して、おまえの方でうまくやれよと言われますと、逆に物すごい資本がかかり過ぎてだめになってしまう。ここに難点があるわけです。だから、私に言わせると、今のお話で残念だなと思いますのは、そういう商業協同組合の
実態というものから少し遠い点があるのではないか。したがって、それでいい点もあるかもしれないが、今後はもう少し御研究いただいた方がいいのではないかと私は思っているわけなんです。答弁させるのはもう気の毒ですからやめますよ。だからこれは今後御研究ください。よろしゅうございますね。かすかにうなずいておられる御様子ですからよしといたしましょう。
次。
商店街の三つの話題というのがございまして、その
一つは、先ほど竹村先生も言われた空店問題なんですが、もう
一つの大問題が実は共同利用の衛生施設についてであります。はっきり言えば共同便所でございます。
先日、アメリカ人の議員の代表団を
日本の名立たる
商店街へお連れいたしましたところ、ひどく不評でございました。その
商店街の名前を言うのは控えさせていただきますが、東と西とでございますが、
日本で一流のところであります。ところがどうしてそういうことになったのかといいますと、小便のにおいがすると言うのであります。そして、居住者の魚を焼いたにおいなんかが立ち込めるというのをもう
一つ言っておりましたが、要するににおいであります。においはどうしてなのか、共同施設がちゃんとないのかと聞きますので、こちらが、
日本の場合は食品衛生法上レストランには必ずトイレがついているのだと説明しましたところ、非難ごうごうの攻撃となったわけであります。汚いというわけです。なぜ
商店街にもっと立派な、大きくて換気がしっかりしている共同便所を設けないのか、
日本じゅうどこの
商店街へ行っても小便のにおいがするではないか、こういう話なのであります。
私はアメリカでつくられておりますモールを六カ所視察してまいりましたが、ワシントンでも、ニューヨークでも、ロサンゼルスでも、それからデンバーでもシカゴでも、もう一カ所はちょっと忘れましたが、そのいずれも、モールの特徴は、全天候型の共同便所のすばらしいものが存在しており、ガードマンがついており、明るさとよいにおい、そして絶対的な安全とが売り物になっております。私はそれを見ていて
日本の
商店街の立ちおくれをしみじみ感じました。国際化していないんですね。中には、
商店街に小便横町というあだ名がついておるところすらあるのでありまして、これを英語に直して何と言うのか、
皆さん通訳になったときにひどく困ることであります。正弁丹吾などという名前がついに百年も続いて、それが有名な店になっているところすらあるわけであります。
私は、現行の食品衛生法第二十条の衛生施設の基準及び第二十一条の営業許可という、個店ごとの
設置義務づけというのが都道府県知事の権限となっておるわけでありまして、この運用がこのような状況を招いたものと思います。もちろん、終戦直後の
日本じゅう焼け跡のときに、レストランその他に全部便所を置けと
指導された方は立派な
指導官であったと思いますが、現況はそれにそぐわない。しかも、大
規模店舗あるいは大きい
商店街あるいはモール街を建設しようとする場合は全く現状に合わないわけであります。
今ここで下手な聞き方をすると
通産省としては、それは厚生省の所管であるとおっしゃるおそれがあるので申し上げるのでありますが、
商業集積を地元住民の利便に供するためには、このようなおくれた律法を擁して
改正の意欲を見せない当局に対しては交渉の必要があるのではないか。また、この問題については厚生省それ自体も御研究あってしかるべきではないかと思うのでありますが、両省に対して御見解を承りたいと存じます。