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1991-04-17 第120回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月十七日(水曜日)     午前九時三十二分開議  出席委員    委員長 奥田 幹生君    理事 逢沢 一郎君 理事 甘利  明君    理事 高村 正彦君 理事 佐藤謙一郎君    理事 額賀福志郎君 理事 竹村 幸雄君    理事 和田 貞夫君 理事 森本 晃司君       尾身 幸次君    加藤 卓二君       木村 義雄君    古賀 正浩君       斉藤斗志二君    田辺 広雄君       田原  隆君    谷川 和穗君       中谷  元君    深谷 隆司君       山本  拓君    小澤 克介君       大畠 章宏君    加藤 繁秋君       小岩井 清君    渋谷  修君       鈴木  久君    水田  稔君       安田  範君    吉田 和子君       二見 伸明君    渡部 一郎君       小沢 和秋君    柳田  稔君  出席国務大臣         通商産業大臣  中尾 栄一君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      越智 正英君         通商産業政務次         官       自見庄三郎君         通商産業大臣官         房総務審議官  高島  章君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       坂本 吉弘君         通商産業省通商         政策局次長   麻生  渡君         通商産業省産業         政策局長    棚橋 祐治君         中小企業庁長官 高橋 達直君         中小企業庁小規         模企業部長   江崎  格君         建設大臣官房審         議官      内藤  勲君  委員外出席者         農林水産省食品         流通局市場課長 本田 浩次君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部鉄道施設課長 山田 隆二君         自治大臣官房審         議官      松本 英昭君         参  考  人         (学習院大学経         済学部教授)  田島 義博君         参  考  人         (日本チェーン         ストア協会会         長)      高丘 季昭君         参  考  人         (全国商店街振         興組合連合会理         事長)     山本 勝一君         参  考  人         (全国小売市場         総連合会会長) 川井 芳男君         参  考  人         (主婦連合会副         会長)     中村 紀伊君         商工委員会調査         室長      松尾 恒生君     ───────────── 委員の異動 四月十六日  辞任         補欠選任   尾身 幸次君     鈴木 俊一君   加藤 卓二君     松岡 利勝君   木村 義雄君     西岡 武夫君   斉藤斗志二君     中村正三郎君   田中 秀征君     平田辰一郎君   吉田 和子君     網岡  雄君 同日  辞任         補欠選任   鈴木 俊一君     尾身 幸次君   中村正三郎君     斉藤斗志二君   西岡 武夫君     木村 義雄君   平田辰一郎君     田中 秀征君   松岡 利勝君     加藤 卓二君   網岡  雄君     吉田 和子君 同月十七日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   柳田  稔君     川端 達夫君     ───────────── 本日の会議に付した案件  大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第三八号)  輸入品専門売場設置に関する大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律特例に関する法律案内閣提出第三九号)  特定商業集積整備促進に関する特別措置法案内閣提出第四〇号)  民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第四一号)  中小小売商業振興法の一部を改正する法律案内閣提出第四二号)  大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案和田貞夫君外十名提出衆法第一二号)      ────◇─────
  2. 奥田幹生

    奥田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案輸入品専門売場設置に関する大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律特例に関する法律案特定商業集積整備促進に関する特別措置法案民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案中小小売商業振興法の一部を改正する法律案及び和田貞夫君外十名提出、大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  本日は、参考人として学習院大学経済学部教授田島義博君、日本チェーンストア協会会長高丘季昭君、全国商店街振興組合連合会理事長山本勝一君、全国小売市場連合会会長川井芳男君、主婦連合会会長中村紀伊君、以上五名の方々の御出席をいただいております。  この際、参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、ただいま議題となっております各案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず田島参考人お願いいたします。
  3. 田島義博

    田島参考人 田島でございますが、私の方から最初にかなり一般的な問題について意見を申し上 げたいと思います。  申し上げたいテーマとしては三つございますが、一つは、これからの流通政策考え方という問題でございます。もう一つは、中小企業役割ということでございます。それから三番目に都市計画と申しましょうか、そういう商業政策の新しい視点という問題、おおむねこの三つにつきまして意見を述べさせていただきます。  まず、これからの流通政策考え方でございますが、基本といたしましては、グローバル化の中での国際的な常識というものを基礎に据えるべきだと思うのであります。日本でいろいろな流通政策が形成されてまいりますのは大体昭和三十年代でございますが、その当時、日本経済というのはまだ中進国の域を出なかった時代でございまして、今日では日本が非常に大きな経済力を有するに至ったということと同時に、世界がだんだんと一つ経済システムに結びついてきておる、そういうグローバル化進展をしている。例えばソ連でありますとか、東欧でありますとか、中国でございますとか、こういった社会主義の国々におきましても市場経済システムの導入を図っておる。  そういう形でグローバル化進展をしておりますので、流通政策立案に当たりましては、国内市場に関する問題だから国内の論理でという考え方はもう通用しないのではないか、こんなふうに考えるわけでありまして、そういう意味で、今後の流通政策立案に当たりましては、国際的な常識と申しましょうか、ユニバーサルコモンセンスというものがベースになるべきだ、こんなふうに考えるわけであります。  ところで、国際的な常識とは何ぞや、こういう問題になりますが、一つは、やはり競争メカニズム最大限活用することだろうと思うのであります。それからもう一つは、消費者視点を大事にするということだろう、こんなふうに考えるわけでありまして、そのように競争メカニズム消費者視点から最大限活用させるということになりますと、これは、国内的にも国際的にも議論されておりますように、流通にかかる規制緩和していく、そういう流通規制緩和、これは大店法に限らないわけでございますけれども、そういう規制緩和というのが基調になるべきだ、こんなふうに考えるわけであります。  そういうわけで、従来大企業中小企業関係調整いたしておりました大店法に新しい競争促進的な視点からの政策の変更が行われるというのは、ある意味で当然であろうし、歴史の流れである、こんなふうに考えるわけであります。  続きまして、中小企業役割ということでございますが、そういう国際的な常識と申し上げましたけれども、国際的な常識というのは、日本流通システムというのが必ずしもすべてアメリカあるいはヨーロッパ型になるということではない。と申しますのは、望ましい流通のあり方というものを考えますときに、従来望ましさを判断する尺度、物差しといたしましては、効率ということが非常に優先されてまいりました。典型的には例えばドイツ、特に旧西ドイツの場合には、非常に競争政策が貫徹しております関係集中が進んでまいりました。集中が進むというのは、ある意味で競争的な、効率的な流通の仕組みをつくり上げていくという点では一面望ましいわけでございますけれども、例えば中小小売店というのがかなり淘汰されてまいりますと、そのことが消費者買い物便利性を阻害してまいる。そういうある意味で行き過ぎた集中ということにつきましては、消費者利便その他、効率とは異なる視点から修正が求められていくべきである、こんなふうに考えるわけであります。  そういう意味では、日本の場合には小売業の非常に大きな部分を中小商業が占めておりまして、それは効率の点ではやや問題がありますけれども、消費者の便利という点ではこれは先進国の中では随一である、こんなふうに思うのであります。  したがって、今後は中小企業役割を重視しながら、中小商業消費者に与えている利便とかといったものと同時に雇用に果たしている役割等も重視しながら、競争メカニズムの中で中小企業が生き残っていける政策を、政策的な支援を考えていくべきだ。そういうことで競争メカニズム促進ということと中小小売業の存立というものを両立させる、こういう姿勢が必要であろう、こんなふうに考えるわけであります。そういう意味で、中小商業政策ポイントといたしましては、だんだんと調整から助成あるいは強化といった方向へと転換をしていくことになるだろう、こんなふうに思うのであります。  最後に、従来、商業あるいは流通というものを考えますときに、やはり都市政策的な視点というものは必ずしも十分でなかったように思うのでありまして、そういう意味で人間が生活している場としての都市、これを商業の問題と組み合わせてどのように街づくりをやっていくか、この視点が非常に重視されるということ。ただ、この街づくりに当たりましては、従来、都市の文化あるいは買い物利便とかといったことについては議論されておりますが、我々としては、環境保護と申しましょうか、生活環境保護、この中には自然環境も含みますけれども、そういった環境的な視点というものが今後もっとつけ加えられるべきであろう、こんなふうに考えております。  以上、意見を申し上げさせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  4. 奥田幹生

    奥田委員長 ありがとうございました。  次に、高丘参考人お願いいたします。
  5. 高丘季昭

    高丘参考人 日本チェーンストア協会会長を務めさせていただいております高丘でございます。  本日は、内閣提出の五法案及び和田貞夫先生外十名の議員の皆様方で御提出になっております大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、業界からの意見を述べる機会を与えていただきましてまことにありがとうございます。  まず、内閣提出関係法案全体について意見を述べさせていただきたいと思います。  大店法は、御承知のとおり、消費者利益配慮しつつ、中小小売業事業活動機会を適正に確保することを目的として昭和四十八年に制定されたわけでございますが、その後、石油ショック等を原因とする経済的な困難もございまして、五十三年の改正によりまして、法の運用が我々大型店側から見ますと大変規制強化されるという方向に進んでまいりました。  申すまでもないことでございますが、小売商業は国民全体の、消費者皆様方ニーズに対応いたしまして、良質の商品サービスをできるだけ安く提供することを責務といたしておりまして、その責務を貫徹するためには、本来、自由で活力のある事業活動が必要であると考えております。そして、その線に沿って、かねがね規制緩和についてお願いを申し上げてまいりました。昭和五十年代後半になりまして、我が国経済社会の構造的な変革を背景として前川リポートが発表になり、新行革審におきます規制緩和に関する答申が行われる等のことが行われ、通産省におかれましても「九〇年代流通ビジョン」あるいは日米構造協議等を経て今日の改正案につながったものだと理解をいたしております。  小売商業界は、この間、業態的に見ましても、百貨店、チェーンストア等大型店のほか、専門店、コンビニエンスストア、ボランタリーチェーンストア訪問販売通信販売等大きく成長しております。一方、戦後、小売業に参入されました中小小売商商店主方々につきましては、高齢化とか後継者難等要因も重なっておりまして、今、小売商業問題は大型店中小商店との対立、その調整という構図だけでは全体を的確にとらえられなくなってきております。  消費者の側から見ましても、多様な選択が可能である豊かでゆとりのある生活を実現するために、大型店に対するニーズも増大をいたしておりますけれども、中小小売商店専門店に対する要望が極めて大きくなっておりまして、ショッピン グセンター等におきます大型店専門店相互補完関係出店することが必要となってきております。また、消費者は単に物やサービスを買うという段階から、楽しい雰囲気の中で買い物をしていただく、ショッピングと同時に家族の団らんや教養娯楽をお求めになる等、消費のパターンも変化してきておりまして、今後の出店に当たりましては街づくり観点が極めて重要になってきております。  最近における経済国際化の中で、輸入拡大は極めて重要な我々の課題でございますが、これとともに経済の諸制度を国際的に普遍的なものにしていくことが極めて重要であると考えております。先般の日米構造協議におきましても、流通問題、とりわけ大店法問題が大きな議題一つに上ったと承知しておりますけれども、輸入品専門売り場特例を含めまして、大型店出店調整制度改善は諸外国からも強く望まれてきたところでございます。このような流通構造変化消費者ニーズへの対応、経済国際化進展等要因から今回の関係法案の御提案があったものと理解しておりまして、我々はその内容につきまして、全体として見ますると、まことに時宜にかなった妥当な改正であると考え、高く評価いたしておるところでございます。  次に、各法案の個別のポイントについて申し上げます。  大店法改正案についてでございますが、このたびの改正案出店調整制度につきましては、従来、出店調整が法文上明記されていなかった。その結果、いわゆる商調協において行われてきたわけでございますが、これを清算し、大規模小売店舗審議会により直接調整が行われることになっております。このことは、出店調整公平性透明性迅速性確保の上で格段改善であるというふうに存じます。我々がかねてから要望してまいりました大店法規制緩和方向に沿ったものでございますし、消費者利益国際協調観点からも望ましいものであるというふうに存じます。  まだこれから先のことでございますけれども、改正案成立し、施行されるに当たりましては、大店審審査体制強化改正法に基づく明快な運用等商業調整がおおむね一年の間に円滑に行われ、小売商業消費者利益の増進と地域経済発展に寄与できますよう適切な御配慮お願い申し上げたいというふうに思います。  また、国と地方自治体の種別境界面積改正につきましては、最近における一般的な店舗大型化の傾向にかんがみましても妥当なものというふうに考えます。さらに地方公共団体によろいわゆる上乗せ、横出し規制の是正につきましても、今回の改正により行き過ぎた規制が適正化されるものと強く期待しております。  次に、輸入品専門売場特例法につきまして申し上げます。  我々チェーンストアは、国際化進展に対応して製品輸入拡大努力するとともに、消費者に豊富な品ぞろえをしてお求めやすくして輸入商品の提供に努力をしてまいりました。今回の特例法は、これらの努力を助長するものでありまして、本法を活用して一層の製品輸入努力をしてまいりたいと思っております。  次に、特定商業集積法案につきまして申し上げます。  我々は大規模ショッピングセンター等建設する際に、関係する中央、地方行政機関が極めて多くございまして、いろいろな不便を感じてまいりました。今回、街づくり観点に立ちまして、通産省建設省自治省等関係省庁一体となって高度商業集積促進をされること、と同時に、高度商業集積づくり等総合対策のために通産省におかれましては千六百二十一億円に上る支援措置が用意をされ、また建設自治両省におかれましても所要の支援措置を講じていただきますことは、今後の小売商業発展消費者利益に寄与するものであるというふうに思います。本施策につきましては、当業界としても積極的な参画をしてまいりたいと思っておりますので、活用しやすい制度になりますように御配慮を賜りたいと思います。  さきに述べましたように、今後の消費者ニーズを考えますと、小売商業界大型店中小小売商対立ということではなく、有機的に一体となって店づくり街づくりを行うことによりまして、消費者の豊かな消費生活に奉仕できるというふうに考えております。その意味におきまして、今回の商業集積づくりのための法案は、中小小売商業振興法改正案及び民活法の改正法案を含めて極めて適切なものと考えております。  次に、和田先生外の御提案大店法改正法案について一言意見を申し述べさせていただきます。  大店法出店調整に関する我々の考え方は、内閣提出関係法案について申し述べましたとおりでございますので、省略をさせていただきますが、本改正案提案理由説明を拝見いたしますと、全体として、政府案に見られるごとき規制緩和や自治体の独自規制の抑制に反対のお考えに立っての改正案のように拝察をいたしておりまして、まことに恐縮でございますが、この改正案には賛成いたしかねます。  何とぞ十分御審議の上、一日も早く内閣提出の五法案成立し、小売商業振興消費者ニーズにこたえるとともに、国際的にも高い評価をかち得るよう強く希望いたしまして、意見の陳述を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手
  6. 奥田幹生

    奥田委員長 ありがとうございました。  次に、山本参考人お願いいたします。
  7. 山本勝一

    山本参考人 ただいま御紹介賜りました全国商店街振興組合連合会理事長山本でございます。  先生方には大変私ども商店街中小小売商業者のために格別なる御配慮、御支援を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。また、本年度予算につきましても、魅力ある商店街商業集積づくりのための総合的対策につきましては格別の御配慮を賜りまして、ここに改めて厚く御礼を申し上げる次第でございます。  ただいまから私の大店法関連法案につきましての意見を述べさせていただきます。  御承知のとおり、商店街を取り巻く環境は、消費生活様式高級化多様化生活者価値観変化交通体系都市構造変化、さらには昨年五月の運用適正化措置により、滞留案件が二千五百件と言われる大型店のハイペースな出店申請によりまして、ますますその厳しさを加えておるわけでございます。  このような状況のもと、大店法関連法法案提出されたわけでありますが、この中で大店法改正につきましては、残念ではありますが、関係審議会での審議格段振興策拡充等、諸般の情勢を考慮しつつ、さらには、中小小売業者事業活動機会の適切な確保を図るという大店法目的に則して厳格で慎重な調整が行われるということを要請し、やむを得ないと判断しておるわけでございます。  また、魅力ある商店街商業集積づくりのための中小小売商業振興法改正商業集積整備法制定等につきましては強く支持するものでありまして、この施策活用し、商店街活性化に積極的に取り組んでまいる所存でありますので、その早期成立施行を望むものでございます。  個別案件につきましては、まず大店舗法改正案実施等に際しましては、次の点について格段の御配慮お願いをしたいと存じます。  一つには、中小小売業者意見大店審審査過程で的確に反映されるよう、関係者の十分な話し合いの場の確保大店審審査体制、機能の充実を図っていただきたいと存じます。  具体的には、一つとしまして、大店審地方部会組織体制を拡充するとともに、その事務局体制強化を図っていただきたい。  二つ目といたしましては、大店審地方部会委員選定については、地域の実情や商業事情に精通している者であることはもちろん、商業問題の専門家立場から中小小売業者を入れるととも に、都市計画等専門家も入れていただきたいと思います。  三つ目といたしましては、大店審意見聴取対象者小売業者選定に当たっては、商店街団体の推薦を尊重していただくとともに、学識経験者選定については、都市計画等専門家を入れていただきたいと思うわけでございます。  四つ目といたしましては、交通体系都市構造変化等により大型店の商圏が近時著しく拡大しておりまして、市町村の域を超えた広域的な観点から調整を行っていただきたい。  五つ目には、大店審審査過程で、出店大型店地元中小小売商の当事者間の話し合いの場をぜひともセットしていただきたい。  六つ目といたしましては、審査要領見直しに当たっては、従来の経済性指標に加え、街づくり観点の比重を高めていただきたい。  次に、二つ目といたしましては、街づくり視点大店審審議に強く反映されますよう、大店審における市町村長意見の表明の機会をぜひとも確保していただきたい。  三つ目は、改正大店法施行後二年以内に同法の見直し、検討を行うこととしておりますが、一部の特定地域であっても、規制撤廃大店法調整制度そのものをなし崩しにするため、撤廃は絶対に行わないでいただきたい。  次に、中小小売商業振興法改正及び商業集積整備法制定等につきましては、中小小売業者が新しい商業環境に的確に対応し得るよう、商店街近代化高度化、さらには良好な都市環境づくり通産省建設省自治省の緊密な連携のもとに強く推進していただく必要があり、税制上の特例措置債務保証等とあわせて一刻も早く成立施行させていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  ただ、商業集積整備法実施等に際しましては、あくまでも商店街中心街づくりを推進していただくとともに、高度商業集積整備に当たりましては、既存の商店街への影響に運用上十分配慮されるよう特にお願いしたいと思います。また、市町村の作成する特定商業集積整備の基本構想は、大店審における審査過程街づくり視点から最大限配慮が払われるように措置されるようお願いを申し上げます。  私ども商店街は、豊かな消費生活の提供者として、また都市の顔として、その重責を果たすべく日夜商店街活性化に取り組んでいるところでありますが、先生方におかれましては、中小小売商の置かれた苦しい立場を御理解いただきまして、大店法の関連法案の善処方とあわせまして、魅力ある商店街商業集積づくりのための総合的な対策を平成四年度以降におきましても相当長期間にわたってこれが維持拡充されますよう、特段の御配慮を賜りますよう特にお願いを申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手
  8. 奥田幹生

    奥田委員長 ありがとうございました。  次に、川井参考人お願いいたします。
  9. 川井芳男

    川井参考人 本日、このような立派な商工委員会の議場において私が参考人として意見を述べさせてもらうこと、本当にありがとうございました。  ただいまから全国小売市場連合会会長としての意見を申し述べたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  明治末期から東京、大阪等の都市化の流れが急速に進展するのに伴い、市民の食生活をいかに確保するかは国家にとって極めて重大な政策課題であったと思われます。各都市においては、日用品供給の施設が早急の対策として取り上げられ、それが公設市場の始まりと考えられております。  大正三年、第一次世界大戦勃発後、諸物価の高騰により生活難を訴える者が続出、大正七年、いわゆる米騒動を誘発しました。各所に白米廉売所を設け、価格牽制機関として救済に当たったと言われております。また、第二次世界大戦時の食料品の安定供給のため、統制経済のもとに公設市場の果たした役割は非常に大きいものであったと言えるでしょう。こうした多難な時代を経ながら、都市市民生活に不可欠の施設としての歴史は重要な意義を持つものと思われます。  戦後、経済の復興は、経済構造が整備充実され、流通機構や商業施設、また交通手段の進歩とともに消費者志向に大きな変化をもたらし、従来の単なる生活用品の調達の場から質的転換を求められるに至ったと言えるでしょう。  さらに、国際自由貿易を基調とする我が国の経済は、消費経済が世界的経済レベルとしての役割を余儀なくされております。平成二年、日米構造協議による大規模小売店舗法の改正は、国際経済社会の一員として、我が国が早晩避けて通れない過程であると思われます。  しかしながら、今回答申された大店法案が実施されることにより、大型店出店は一段と自由競争に拍車がかかり、流通業界の地図は一変する可能性が予見されます。それによる商店街中小小売業者などへの衝撃や不安感が相当に高まっております。いわんや、我が国経済を支えてきた、将来も大きな役割を果たすべき中小小売業者への圧迫や犠牲を伴うものであれば、将来に大きな禍根を残すものと思われます。  こうした意味から、私は、大店法改正に基本的に反対の立場をとるものであります。しかしながら、先刻申し上げたとおり、自由貿易国家の一員であり、国家経済観点からすれば、今回の改正もまたやむを得ない立法措置であろうかと考えております。願わくば、制定並びに適用の面において、何とぞ適正かつ明確な処置を心からお願いするものでございます。  最後に、最小限、具体的な希望を申し述べさせてもらいます。  一、出店調整期間について。調整期間を一年に短縮することについては、制度の面、また委員の構成について、さらに検討をお願いしたいと思います。  二、地方公共団体の独自性について。独自規制は廃止の方向で検討されているが、街づくり視点から地域の独自性を最大限に尊重していただきたいと思います。  三、大規模小売店舗審議会について。責務の重大性にかんがみ、地方意見が十分に反映されるようお願いしたいと思います。  四、輸入品売り場の特例措置について。輸入品売り場から他の売り場への不正の転用がないように厳格な防止措置を講じていただきたいと思います。  私たち全国小売市場総連合会では、皆さんが今、小売商人としての責務重大ということで一生懸命これに取り組んでおりますので、今後ともひとつよろしくお願い申し上げます。  これをもちまして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手
  10. 奥田幹生

    奥田委員長 ありがとうございました。  次に、中村参考人お願いいたします。
  11. 中村紀伊

    中村参考人 主婦連合会中村でございます。  大店法改正法関連五法案について意見を申し上げたいと思います。  最初に、大店法法律どおりの適正な運用に戻ることによって、実態として規制緩和に向けて改正されるという基本的な点については賛成でございます。このことによって、小売市場において公正で自由な競争が行われ、ますます多種多様化していく消費者ニーズにこたえてその利益が守られることを期待しております。  これまでの大店法をめぐる問題の焦点は、現在の我が国には二つの大店法があるということだと思います。一つは、法律としての大店法でございます。そしてもう一つは、事前説明、地元商業者との利害調整商業活動調整協議会の審議など、これには、事前商調協、正式商調協、事々前というのもあるところがございますが、行政庁の指導による大店法運用という大店法でございました。この商調協法律に根拠がないものでありながら、出店調整について決定的な判断をするという現在の運用は極めておかしいと考えます。合理性、客観性を欠いたものであり、ある時点の地域 の利害関係調整ということになると考えております。  私ども主婦連合会は、大店法に明記してある規定のみで手続を行い、それ以外の法律にない運用部分をすべて廃止せよと主張してまいりました。法律に基づかない大店法運用の部分を修正することによって、今提起されております問題の多くは解決することになると思います。  ここにございます商工委員会調査室でおつくりになった資料の三ページに、その前段は法律改正のことが書いてございますけれども、「備考」というところに、「法律改正事項ではないが、出店調整処理手続の迅速性、明確性、透明性確保するため、①商調協を廃止する、②出店調整処理期間を一年以内とする、」などなどが書かれておりますが、こういうものがきちっと実行され、法の運用を適正化することが一番緊要なことではないかと考えております。  そして、その場合、法の運用をきちっとするということでは判断基準をきちっとしなければならないと思います。相対で話し合い調整がされるということではなく、大店法は届け出た大規模店舗事業活動がその周辺における中小小売業事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあると認めるときに調整が行われるとしております。現在、五十九年三月決定の審査要領見直し、検討が行われていると伺っておりますが、この際、今日的な状況、今の流通業界、そして地域的な問題、交通問題、いろいろな状況が大きく変化しておりますときに、地域の小売市場において公正で自由な競争秩序を維持することを目的とした判断基準をきちっとつくることが大事だと思います。  そして、それを厳格に適用することが手続の明確化、透明化につながるというふうに考えております。そしてまた、その判断基準を公表することによって、出店者はそれを予測して、その範囲内の申請ができるのではないかと考えます。そして、通産大臣や都道府県知事の責任で行う勧告等の措置を中心に据えて、それに対して大店審による公正な審議とその答申を組み合わせる仕組みを確立することが大事だと考えております。  そういう意味では、大店審、そしてこれからは地方府県大店審もできてくると思いますが、その人員増を図り、委員構成は消費者代表を含めて広い視野に立ち公正な審議を行える人を選ぶ。大店審審議について、審議内容の公開等、一層の透明性の向上に努める。大店審が直接地元関係者から意見聴取する場合は、消費者、住民からの意見聴取を十分に行うこと、この場合、消費者団体、消費者選定が行政の恣意的な運用とならぬよう配慮してほしい。また、公示というのが一番最初にございますが、これは広く一般住民に周知するという意味で、例えば区報とか市報とか町内の掲示板とか、一般住民がわかるような形で広くそういうことが行われるのだということを公示して、そして一般住民の意見を希望者は発言できる意見反映の場の確保をするということが大切だと思います。  それからもう一つは、商調協の復活を許さないということが大切だと思います。法的裏づけがないにもかかわらず、行政指導により出店調整の事実上のかなめとなって長年運営してまいりました商調協が廃止されるということになったわけですが、地方の商工行政が手不足である、実態としては非常に大変だというようなことを理由にしたりその他のことで実質的に大店審審議を代行するような事態が予測されております。法的性格がないままに従来と同じ弊害を生じないよう厳重に運用を改めてほしいと思います。  次に、特定商業集積整備促進に関する特別措置法について申し上げたいと思います。  大店法改正の場合に、街づくり配慮した措置をという希望は、私どもの会員からも一般の主婦たちからもたくさん出されております。多くは交通の問題、駐輪場の問題、駐車場の問題、環境の問題、そして自然環境の緑を残すという問題、それからごみ、廃棄物問題などいろいろなことがたくさん出ておりました。しかし、経済立法である大店法にそこまで入れるということは疑問があるということで、都市計画などのかかわりの中で取り入れるということを私どもは希望しておりました。  都市計画は、その地域における土地利用についての計画を中心にして、地域住民の生活の場としての都市のあり方とその具体化の仕組みについて地域住民の意思を中心として組み上げることが必要であると考えております。この法案のうたう商店街整備中小店と大型店の共存共栄による中小小売商業の振興を考えたハイアメニティーマートを核とした街づくり構想は、消費者ニーズ多様化高度化、ライフスタイルの変化に対応する商業集積をつくり上げていくために、通産、建設、自治の三省が連携して施策を進めるとしてあります。公共施設の一体整備もあり、補助金、出資、融資、債務保証、税制措置など各種の支援措置がそろっておりますが、この構想どおり消費者にとって快適で魅力的な計画的街づくりに本当に寄与するのか、いささか不安を持っております。  この法案市町村が基本構想を作成することになっておりますが、その場合、「商工会議所又は商工会の意見を聴かなければならない。」とあります。しかし、住民についてはその項がありません。街づくり構想は住民の参画なしには成り立たないということを考えております。計画の構想段階から実施段階まで住民意向の反映の仕組みをぜひ組み入れてほしいと思います。そのためには計画の早期公表も必要ですし、ガラス張りの実施を行うことも大切だと思います。  最近もいろいろな公園づくりが進められております。ところが、母親たちにとって、今までの雑木林があり、そして小さな山があり、お砂場があるような自然に囲まれた公園の方がよかった、いたずらにきれいになって、造園業者がもうかるような、木を全部切ってしまって立派な木が植わる、そしていろいろな階段ができて、いろいろな遊具が据えられる、そういうものを果たして望んでいるのだろうかという声がよく出ます。私たちの声を聞いてくれたら本当に子供が喜ぶ公園をつくるのだがという声がたくさん出ております。  そういう意味で、商店街というのは、商業者の方たちだけがこうすれば消費者が喜ぶだろう、来るだろうということでこういう集積を多額の税金を使ってつくるのではなくて、住民が何を希望しているか、今多様な要求がございますから、いろいろな形の住民の意向を吸収してつくらなければ、一時的な繁栄はあっても、長期的に見てその商店街を本当にみんなが愛し、そしてそこへ出かけていって、そこでいろいろの買い物をするものになるかどうかということは、大変疑問であると思います。  そういう意味で、非常に大切な街づくりを含めたこの法案に対して十分な御審議をしていただいて、そして、これの予算が生きて私ども国民に返ってくるような、本当に実効あるものになるような御討議をお願いしたいと思います。  ありがとうございました。(拍手
  12. 奥田幹生

    奥田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  13. 奥田幹生

    奥田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑者にあらかじめ申し上げます。  質疑の際は、質疑する参考人のお名前をお示しください。  なお、念のため参考人各位に申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願います。また、時間の制約がございますので、お答えはなるべく簡潔にお願いいたします。  それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢沢一郎君。
  14. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 自由民主党の逢沢一郎でございま す。  参考人先生方には、きょうお忙しい中おいでをいただきまして、本当にありがとうございます。心から御礼を申し上げます。  時間も限りがございますので、早速質問に移らせていただきたいわけでありますが、今回の流通五法の改正は、やはり日本流通近代化を図っていかなければいけない、日本的な商習慣のよき伝統や風習や文化、もちろんそういうものは大事にこれからも守り育てていかなければいけない、しかし、思い切って近代化、合理化、また国際化、そういうことも同時に果たしていかなければならない、まことに時宜を得たものではないか、そのように考えておるわけであります。  実は、いろいろ全国、私ども興味と関心を持ってどんな動きになっておるかということを見てみるわけでありますけれども、今回の法律改正あるいは大店法改正に先立つ運用規制緩和、それを待つまでもなくいろんな動きが出てきたな、そんなことを感じておるわけであります。  例えば私の地元の話で恐縮でありますけれども、岡山県に津山市という人口十万人足らずの古い山合いの城下町があるのです。ところがその十万足らずの津山市でも、やはり郊外型のスーパーが出てきた。自動車でもってたくさんのお客さんがそっちにとられる。今までは市の中心の商店街というのは、もうとにかく大型店が近所に出てきてくれると困るということであったのだけれども、しかしそんなことを言っていられない、むしろ有名デパートに来てもらおうではないかといったようなことで、ある有名な、東京に本店がある大型のデパートが来ることになった。むしろ歓迎だ、実はそういうふうな格好にもなってきた。駐車場も何とかしなければいけない。苦労もあるけれども、再開発をして四階、五階の部分に駐車場をつくろうじゃないか、そういう動きも出てきた。今まで、四年、五年前だと考えられないような動きが発生しておるということであります。  岡山市にいたしましても、旧来からある岡山市表町商店街ですけれども、どうしても商店街が、郊外の大型店や駅周辺にどうも中心が移ってきた、少し陥没ぎみだ、何とかしなければいけない。地元で相当お金も出し合って、商店街の化粧直しをして非常にきれいにしたらやはりお客さんが戻ってくるといったようなことで、行政の応援もあるけれども、しかし自分たちの新しいアイデアとか努力で何とかしていかなければいけない、そういう動きというのは相当出てきたというふうに感じておるわけであります。  そこで、田島先生にまず最初にお伺いを申し上げたいわけでありますけれども、そんな動きを踏まえて、本当に我が国の流通近代化促進する意味で、旧来の大型店中小小売店関係も相当変わってきつつあるなというふうに感じるんですね。また、町の中心部にある商店街と郊外にある大型店のそれぞれの役割も、旧来とはやはり相当違う位置づけをしていかなければいけないといったようなことを私自身も感じておるわけでありますが、諸外国の事例等についても先生は随分御研究をなさっておられる、そういうことも踏まえて、言ってみれば我が国の流通近代化の究極の姿というか、あるべき姿と申しますか、先生がどんなふうに頭の中にイメージをなさっておられるか、まず最初にそこの部分お伺いをいたしたいと思います。
  15. 田島義博

    田島参考人 私は、基本的には選択の多様性というのが究極の姿だと思うのでありまして、つまり、ディスカウンターだけがいるとか、中小小売店だけがいるとか、あるいは大きいお店だけがいるとかそういう形ではなくて、いろいろな特性を持った小売業というのが郊外及び市内に集積することによって消費者の選択の多様性が非常に広がる、そういう状態が究極の流通の望ましい姿だと思いますし、消費者の選択から外れるところは大企業にしろ中小企業にしろ若干例えば市場から撤退をしたり、あるいは消費者の選択を獲得するために技術革新に励む、そういう状態になるのが理想の姿だというふうに考えております。
  16. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 ありがとうございました。深くお伺いもしたいわけでありますが、時間の関係もございますので、他の委員先生方にお譲りをしたいわけであります。  続きまして、山本参考人商店街のことにつきましてお伺いをいたしたいと思います。  商店街活性化策、振興策というのは古くて新しい問題だなというふうに改めて私自身も痛感をいたしておるわけでありますが、ざっくばらんにお伺いをしたいわけでありますけれども、今まで私ども自民党としても、商店街にとにかく応援をしなければいけない、毎年の予算あるいは税の対策、金融の措置、いろいろと努力をしてきたように自負はいたしておるわけでありますけれども、商店街のお立場からいたしまして、今までの商店街振興策、応援策のいろいろな施策の中でどういう部分が基本的に十分ではなかったか、率直に言って欠けておったかということについて、改めてお伺いをいたしたいと思います。  それとあわせて、今回の流通五法の改正というのは、これは商店街のそれぞれの皆様にとりましては大変な環境変化をもたらすということになるわけでありますが、個店対策、これも十分やっていこう、それから商店街としての線の対策、これもやはり大いに応援を申し上げなければいけない、また街づくりという観点から面的な対策もおろそかにできないというふうなことでいろいろと検討をし、かつ具体策を平成三年度につきましても盛り込ませていただいたわけでありますが、ここの部分をどういうふうに商店街の皆様が評価をなさっていただいておるか、忌憚のない御意見をいただきたいと思います。
  17. 山本勝一

    山本参考人 先生の御質問にお答えを申し上げます。  私ども商店街は、今までも懸命に努力はしてまいったわけでございますけれども、今までは、ややもすれば地方の実態で若干、というようなことで、アーケード、カラー舗装に対して何割かの補助というようなことでございましたが、この三年度におきましては、私ども商業関係につきましては、有史以来と申しますか、初めて大型の予算をおつけいただいたわけでございます。したがいまして、これを踏んまえまして、今、私ども組織といたしましては各県にこの問題を積極的にPRをいたしまして、この予算を活用して前向きに努力しようということを始めておるわけでございますが、予算は先般十一日に成立をさせていただきましたけれども、五法につきましてはまだ御審議をいただいておる最中ということでございますので、これの成立を待ちまして実施の方向で走り出そうという努力を今懸命にしておるわけでございます。  いろいろな不満もいろいろございますけれども、いずれにしましても、国際化、あるいは各審議会でこういう判断を出していただきましたので、これから私ども商店街は、消費者の皆さん方に愛されるあれとして、また街の憩いの場所としての公的な使命も十分踏んまえまして努力をしてまいりたいと存じますので、今後ともひとつ、先ほど陳述の中でもお願い申し上げましたけれども、少なくとも十年ぐらい、単年度で二千億、十年で二兆円ぐらいをお願いしたいということを私は申し上げてきたわけでございますけれども、いずれにしましても、二十数年間にわたりまして大型店がかなりもう出店をしておるわけでございます。これといわゆる競争的共存をして消費者に奉仕するというような姿勢をとるには、相当の長期の御支援が必要ではないかと思いますので、その点も十分御配慮いただきまして御支援いただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
  18. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 ありがとうございました。  続きまして、高丘参考人にお伺いを申し上げたいと思います。  先ほどの陳述の最後の部分で社会党案についての意見披瀝をお聞きいたしたわけでありますが、ちょっとその中身についてお伺いもしてみたいと思うわけでありますけれども、例えば都道府県知 事に調整権限をすべてゆだねるとともに、千五百平米以下の店舗市町村独自規制にゆだねる、そういう中身になっておるわけですね。そのことについて、実態的にもしそんなことになったらどうだろうかといったようなことを私どもは大変心配をいたしておる立場でございますけれども、チェーンストア様の立場といたしまして、その部分についてはどういう御意見をお持ちであるか、お伺いをいたしたいと思います。
  19. 高丘季昭

    高丘参考人 お答えを申し上げます。  小売商業店舗というのは極めて地域性の高いものであるということは十分に認識をいたしております。しかしながら、日本全国、消費のレベル等につきましても均一化をしてきております。したがいまして、その中で私どもの店は、同一企業の店は同一のレベルのサービス商品の提供をでき得る限りお客様にするということが我々の使命だというふうに考えております。そういたしますと、ローカリティーのあることは前提でございますけれども、地域別に規制のあり方等が異なるということは、お客様に対して一つのブランドの店舗が提供すべきサービスの質を異にするということになります。そういう意味におきまして、やはり大規模小売店舗法は全国を網羅した法律として運用をしていただきたいというのが私どもの考え方でございます。
  20. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 続いて高丘参考人にお伺いをしたいわけでありますが、旧来は大店法規制もあって大規模小売店出店の意思を持ってもなかなか出店ができない、ところが、昨年の五月末から規制緩和になった、いよいよ法律改正だということで、先ほど山本参考人からもお話がございましたように、計画は全国数を拾ってみると実は大変な数になってきたわけであります。  消費者立場からすると、近所にスーパーができる、あるいはある程度大きなお店ができる、それは結構なことかもしれないけれども、既存の商店街立場に立ったとき、あるいは中小小売店立場に立ったとき、一気にたくさんのものが津波のように押し寄せる、やはりある種の恐怖感のようなものもそれは人間でありますから持つのもやむを得ないかなと思うわけでありますが、一体これからの動きがどういうことになるのか。もちろん、大型店さんとされても、既存の商店街中小小売店の皆様との共存共栄というのは当然図りながら消費者の皆さんの期待にこたえよう、そういうお立場に立っておられると思うわけでありますが、どういうふうに既存の商店街中小の小売の皆様との協調を図っていくのか。  これはもちろんケース・バイ・ケース、地域によっても違うぞということになろうかと思うわけでありますが、その基本的な姿勢といいますか、理念、哲学と言うとちょっと大げさな言葉になるかもしれませんけれども、そのあたりのことをどういうふうに踏まえて出店をなさろうとしておられるのか、その部分についてお伺いができればというふうに思います。
  21. 高丘季昭

    高丘参考人 お答えを申し上げます。  私どもの今後の店舗のあり方ということでありますが、私は日本における小売商業の発達というのは個別の店舗とか企業とかいうことではかなり高度に発達をいたしましたけれども、商業施設については残念ながら欧米の商業施設に比べて見劣りをするというふうに思っております。したがって、都心部あるいは郊外を含めて商業施設のあり方がこれから問われるんだというふうに思うのですね。そして、都市化の動きというのは今後も続いていくでありましょうし、地方都市においても都市集中が起こってくる。そういたしますと、住民の方々は郊外に住居地域をお持ちになるという意味で、郊外の商業施設の重要性というのはこれからも増してくるだろうというふうに思っておるわけです。  その中で、お客様が満足をしていただく商業施設ということになりますと、我々の店が単独で出店をすることがお客様の満足にはつながらない。したがって、バラエティーの多い中小小売商業者を中心とした専門店の皆様と共同で共通の商業施設をつくっていくということがテーマであろうというふうに思っておりまして、そういう意味では都心部の再開発についても同様でございます。したがって、私どもだけが出店していくということはないだろうというふうに思っております。  それから最近の出店表明の状況につきましては、これは過去の出店申請が主体でございますので、現在のところは、大型店と申しましても比較的小規模大型店出店が多うございまして、私どもの協会の所属の企業出店の表明はここ数年ほぼ同じような数であろうと思いますし、今後もそれが大きく増加をするということはないだろう、既に現在出させていただいております出店お願いにつきましても、平成六年度とか平成七年度に出店お願いしたいというような案件さえあるわけでございますから、したがって非常に出店のスピードが高くなるということはないのではないかというふうに私は思っております。
  22. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  23. 奥田幹生

  24. 和田貞夫

    和田(貞)委員 日本社会党の和田貞夫でございます。参考人の皆様、きょうは御苦労さまでございます。  皆さん方はそれぞれの立場に立っておられますが、共通して言えることは、まずは消費者であるわけです。田島先生が言われましたように、この流通問題といいますのは、これは消費者視点に立たなくてはならないということは、私たちは全くそのとおりでございます。したがいまして、今回の提案されました政府案、私たちは、この政府案に対して反対だというんじゃなくて、政府案よりもより消費者視点に立って考えるならばこの案だということを示しているわけです。そして、この関連のある集積法についてももっとベターに、消費者立場に立ってかく修正すべきだということを言っているわけです。     〔委員長退席、高村委員長代理着席〕  そこで我々の方のも、委員部の方から皆様方のお手元に届いたと思いますが、反対であれば反対で私はやむを得ないと思うのです。大型店の場合は多少辛抱してもらわなくてはならぬという点がありますから、これは立場としてはやむを得ないと思います。しかし、消費者団体の中村参考人から言われたように、法的に定めのない商調協、これはどの立場に立ってもやはり不可思議なことであるわけですから、きちっと権限を持った形で調整すべき部分は調整していくということが好ましいのじゃないかということで、政府案商調協は廃止して通産省が主体に規制ないしは調整をやっていく、こういうことですが、我々の方は都道府県知事にその権限を持たせていく。今自民党の逢沢委員市町村の独自的な権限ということを言われましたが、市町村はそうじゃない、権限は都道府県の知事に与えて、市町村長に一部それをゆだねるという内容なんです。  それが我々の案であるのですが、私は驚きましたのは、小売商店街山本参考人の方からこれはやむを得ない、川井参考人の方からは大店法は反対だけれどもやむを得ない。そうであれば、私たちは別に心配する必要はなかったのです。非常に残念であります。しかし、皆さん方お二人は中小零細企業の団体の代表でございますけれども、地域に行けばもっともっと深刻にこの問題をとらまえている商店街も市場もあるわけです。特に市場の場合は、大店法規制緩和によって最も被害を受けているわけなんです。だからこそ私たちは、私たちの考え方というのを今示しながら議論をしておるわけなんです。  そこで私は、山本参考人川井参考人にひとつお尋ねしたいと思いますが、山本参考人はやむを得ない、しかし大店法の廃止はしてほしくない、川井参考人は反対だけれどもやむを得ない。反対だけれどもやむを得ないというのはわからぬわけですが、我々の案も読んでいただいたことだと思います。お二人にお聞きいたしますが、強いて言うならば、大店法改正によって中小小売業者 が受ける影響というものがあるのかないのか、どのような影響があるというように考えておられるのか、あるいは政府案と我々の案、まことに酷でございますが、至らぬ点もありますが、しかしこれを比較していただいて、どちらが消費者視点に立っておるとお感じになっておられるのか、ひとつ簡単にお二人からお聞かせいただきたいと思います。
  25. 山本勝一

    山本参考人 お答えいたします。  私どもは、大店舗法の調整につきまして、従来の商調協で事を行うか、あるいはこのたびの大店審調整を行っていただくかということにつきましては、確かに今までの商調協調整につきましても若干問題があったことは事実でございますけれども、これははっきり申し上げまして結果論ではないかと思うわけでございまして、大店審といえども適正に調整をしていただけるならば、私はこれでいいのではないか。  ただ、県でというお話でございますけれども、今度区分が上がりまして千五百が三千、三千が六千ということで、六千までは県のいわゆる大店審調整が行われるということでございますし、それ以上は国の大店審ということでございますが、長期的には、高丘さんの方の御意見もありますけれども、ハイマート二〇〇〇というようなかなり大規模出店が行われるような形勢もあるわけでございます。したがいまして、そういう問題を全体的に調整をしていただくということになりますと、県の域を超えたかなり広い影響があるという物件もあるわけでございますので、そういう観点からいけば、国の大店審で全体的な立場に立って御判断をいただくというのも一つの時代のいき方ではないかと思うわけでございます。  いずれにしましても、この問題は、各都市の現場でございますので、理想からいけば、地域の問題として取り上げていただくのは非常にいいと思うわけでございますが、しかし、そういうような広域的な見地からの調整も必要だということになりますと、やはり国と県で使い分けをしていただくのもいいんではないかというふうに思うわけでございまして、特に地域間競争あるいは都市間競争等々もございまして、地域によりましては極端な地域エゴというものが出る面もあるわけでございますので、総括的に国の立場で広範囲をながめていただいて、私ども中小商業者と競争的共存の商業環境確保するような方向調整をしていただければありがたいと思っておるわけでございます。  いずれにしましても、いわゆる大店舗法の精神にのっとりまして適正な調整が行われるということに私どもは力点を置いておるわけでございますので、今後大店審がもし調整をされるという場合におきましては、そういう面に期待を持っておるわけでございます。
  26. 川井芳男

    川井参考人 答弁いたします。  ただいま我々の立場というものは、いろいろと大店舗法に関しては本当に反対の立場をとっておりましたけれども、いろいろと、我々小売市場の連合会、今全国で約一千五百、関東と大阪で約一千余りの市場がございますけれども、うちの方の、私は横浜でございます、これが非常に、横浜市でも横浜公設市場というものが公用廃止ということで今だんだん迫られているわけです。その上にもってきて、このような大店舗法の問題が出てきたわけでございますけれども、大阪の方も、関東と関西などの約半分の五百余りの市場を持っております。そうすると、どうしても大阪に押されるのが横浜、本当に何十店舗きりないわけです。そのために、一応大阪のものと、あるいは名古屋、京都、そういうようなあれでいるんな反発が出るわけでございます。  私も、実は会長になってから一年にまだなっておりません。入院期間というのが八カ月です。まだやっとここで歩けるようになって、小売市場連合会のことに対しては余りよく研究しておりませんけれども、何しろ立法措置というような関連から、一応反対でもあるけれども、一応これはやむを得ないんじゃないかということで、笑わないでください、これは本当に私の方も詰まった考えできょう来ているわけでございます。  私の方も大店舗法に関してはぜひとも――大店舗のあれを国でやる、ただ通産省でやっても、あるいは私の言う都道府県知事の許可をやるということもそう変わりはないけれども、私の方ではやはり先生が言われたとおり、県の知事あるいは地方団体あるいは地方学識経験者あるいは消費者の代表、これの御意見を伺って、ひとつこれをうまくやわらかく持っていってもらえないかというのが、そういう立場でございます。そういうわけでございます。どうもありがとうございます。
  27. 和田貞夫

    和田(貞)委員 高丘参考人にお尋ねしますが、私たちの考え方というのは、地方自治に、都道府県の知事にゆだねるというのは、何もこの大店舗法が皆反対だというんじゃないのですよ。地域によってはやはり積極的に街おこし、村おこしのために大店が来てほしい、百貨店来てほしい、大型店舗が来てほしいというところもあるわけなんですね。だから、画一的に通産のサイドで調整するというようなことよりも、一番物事をよくわかった、そして消費者ニーズ地域地域によって違うわけですから、一番よく熟知をした都道府県知事に権限を与える方が私はよりベターじゃないかということで権限を都道府県知事にということを言うているのですが、その点は、先ほど何かお答えになって、やはり同じ店舗はどこへ行っても一緒や、だから通産でいいんだというような視点じゃなくて、私のような考え方というのはやはりだめですか。
  28. 高丘季昭

    高丘参考人 お答えを申し上げます。  先ほども申し上げましたように、私どもは地域社会に参加をさせていただくわけでございますから、地域社会の御意見、実情を最優先で配慮するのは当然だというふうに思っております。しかし、和田先生を初めとする御提案の社会党案につきましては、一つは、現在五百平米以上というのが第二種ということで対象になっておりますが、これを市町村にゆだねるということを言っていらっしゃいます。今、ある意味で過渡期でございますので、これまでの相互不信というものがまだ残っているように思いますけれども、それを今回の改正法案機会に相互の信頼関係をつくっていくことが大事だというふうに思うわけでございます。  今までの大店法の運営あるいは地方公共団体規制を拝見をいたしておりますと、かなり地方公共団体規制につきましては大きな、ばらつきという表現はよくないかもしれませんが、ばらつきがあることは事実でございますし、また、地方名をとった○○方式とか××方式とかいうような調整が行われまして、それがまた非常に大きな格差が生じていたことも事実でございます。しかしながら、去年の五月三十日の御通達によって、その後の商調協の運営等を拝見しておりますと、極めてスムーズに審議が進んでおりまして、私は中小小売商団体の皆様方と大店との間の信頼関係が芽生えてきているというふうに思います。  また、私事にわたって恐縮でございますが、私どもの企業でも、大阪におきましても東京におきましても、例えば小売市場と共同の店舗をつくらしていただいて共同で運営しているというような店舗も何店かございます。そういうことを考えていきますと、この過渡期を経ていい関係、いい小売業の秩序が生まれてくることを私どもは期待しておりますし、私どもの協会でもそういう意見の交換をいたしております。  したがいまして、今回は一つの大きな転換期として内閣の御提案のような線で法律改正が進みまして、その実態をごらんをいただければ、先生方の御心配のことが杞憂になって、いい関係ができてくるものというふうに私は思っております。  以上でございます。
  29. 和田貞夫

    和田(貞)委員 高丘参考人が今お述べになった市場と商店街大型店と一緒になっているところ、これは私は堺ですが、私の方も市役所の真ん前にある。これはダイエーさんと、もともとあった市場と周辺の店舗と一緒にした。私は知ってい るのです。私もかかわったのです。これは区画整理法に基づいて堺市がかんでいるんですよ。堺市の一部の土地があって、それがあったために堺市もそれに加わって区画整理方式でやったのです。だから私たちは、この集積法の場合も必ずその地元の自治体がそれにかかわるように、そういう内容にせぬといかぬぞということを言うているんですよ、円満にいくために。  だから、例えば駐輪場をつくったり、駐車場をつくったり、あるいはいろいろな施設をつくったりするのも、ただその金を貸しますよ、補助金を出しますよと言ったところで、これから新しくつくるところだったらまた別ですが、町のど真ん中にある商店街、そこへ駐車場をつくったり、駐輪場をつくったり、あるいはコミュニティーセンターをつくったりするというのは大変なことなんですよ。それを自治体がかんで初めてできるわけです。消費者意見を聞いて、自治体がかんで初めてできる。だから私たちはそれを言うているわけなんです。今御指摘のあったことを私はよく知っています。  そこで、山本参考人にお尋ねしたいと思いますが、川井参考人は、先ほど政府機関よりも自治体の方で指導してもらったらいい、調整してもらったらいいということを言われている。山本参考人は政府でいいと言っていますね。あなたの出身が愛知県ですからね、豊田市は立派に独自の出店調整方式を持っておられるじゃないですか。私はそのこと自体がやはり生かされなければいかぬと思うのです。ちょうどあなたの地元のように、ほかに九州にもありますけれども、そういうようなことを生かすように私たちは言っておる。  それでもなおやむを得ないというように言われるのか、あるいはやむを得ないということを言いながら、いや廃止だけはしてほしくない――実質廃止ですよ、今度は。この今度の改正案というのは実質は廃止なんですよ。だから言っておる。やむを得ない、しかし廃止をしてほしくない。どうも私は矛盾を感ずるわけなんですが、この点についてもう一度お答えいただきたい。
  30. 山本勝一

    山本参考人 お答えいたします。  私どもは、地方大店審地方街づくり視点とか商業関係の認識を十分持った先生方委員選定をしていただきまして、また各市からも街づくり視点等からも意見を十分出していただいて、そして調整お願いしたいというふうに思っておるわけでございまして、特に商業振興街づくり等々、私ども商店街振興につきましては今度国からいただきます予算、これは国、県を経由して現場である市ないしは私どもの商店街に予算をつけていただくわけでございます。したがいまして、現場である市と私どもは、一体になって国の予算を生かして振興策を図っていくという面があるわけでございますが、これと大店舗法の調整をある程度リンケージをしたような格好で運営をしていただけないかなと思っておるわけでございます。  そこいらの連携をきちっとしていただければ、地方大店審でそういう商業関係を十分熟知してみえる委員先生方を御選定いただければ、それが十分反映されて適正な調整が行われるのではないかと思っておりますので、現在の時点では地方大店審、国の大店審等々が適正な調整ができるような体制をつくっていただけることを願っておるわけでございます。
  31. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それではひとつ、これから地域の商店の皆さんが文句を言わぬように指導してやってください。私はこれでもやはり文句を言われてきているのですよ。地域の、あなたの末端の、下部の商店街から言われてきているのですよ。これは議事録に載るわけですから、やはり理事長さんがそういうように言われているということを言わざるを得ぬわけですね。  それはそれといたしまして、田島参考人中村参考人にちょっとお尋ねしたいと思います。  田島先生の方から先ほど言われておりましたように、消費者視点からという、まさにそのとおり。そこでお二人にお尋ねいたしますが、新しく提案されております商業集積法は、市町村が基本構想を作成するに当たって地元の「商工会議所又は商工会の意見を聴かなければならない。」こういうふうに言っているわけですね。私は、それはそれとしても、さらに地域住民あるいは消費者団体の代表、そういうような方々意見も聞くべきじゃなかろうかということを、この新しい法案に対して修正を要求しているのです。その考え方について田島参考人中村参考人の方から、そういう考え方は間違っておるのかどうか、ひとつお答え願いたいと思います。
  32. 田島義博

    田島参考人 私は、街をどんなふうにつくっていくかといったときに、地域の人たちの意見を幅広く反映させるための仕組みというのはいろいろつくっていかなくちゃいけないと思っておるのですが、現時点でどういう意見吸い上げの仕組みが一番いいかというような知識を十分持っておりませんので、幅広く意見を吸い上げる仕組みを考えるべきだという意見だけにとどめさせていただきたいと思います。
  33. 中村紀伊

    中村参考人 お答え申し上げます。  先ほどもこの点については申し上げまして、私も全く同感でございます。  ただ、たしか小売商業審議会でしたか、そういうものをおつくりになるという案をお出しになっていらっしゃったと思いますけれども、審議会の構成その他、私は審議会でいいのかどうかということになるとちょっとはっきりいたしませんので、何らかの形で住民の意向が反映できるような手だてをというふうに先ほど申し上げまして、今もそれと意見は変わっておりません。
  34. 和田貞夫

    和田(貞)委員 市町村小売商業審議会を設置する、これは私らの考え方では別に義務づけておらぬわけです。都道府県の大店審、これは我々の考え方としては必ず設置をしなくちゃならないと義務づけているのです。そこで市町村長意見を聞かなければならない。市町村長意見を述べる場合には、商業審議会を設置しているところはそこに消費者の代表が出ておるからそこの意見を聞く、それのないところは地域消費者団体の住民代表の意見を聞いて市町村長が都道府県の大店審意見を述べる、こういう手順を考えているわけです。  したがいまして、田島先生もより幅広くという御意見を述べていただきましたし、中村参考人からも、先ほども述べていただきましたし、私が今質問する中でさらに消費者意見を何らかの形で入れてほしいという強い要望を十分にお聞かせいただいておくことにいたします。  さらに中村参考人にお尋ねしたいと思うわけですが、今のはそのとおりですが、消費者というのは、先ほど私が申し上げましたように小売商人の方も消費者です。田島先生も消費者なんです。市場に店舗を出しておられる方も消費者なんです。その消費者の方が、収入があって消費者ですからね。サラリーマンだけが消費者じゃないのですから、小商売をやっておられる方々がつぶれてしまって、倒産をしてしまって食べることができない、生活の道が閉ざされる、こういうようになった場合は、もう消費者じゃなくなってしまうわけなんですね。  そこで私たちは、今回の法改正に当たって、新しく街づくり法としての集積法の作成に当たりましても、大店法改正に当たりましても、商店街に並んでおられる中小の小売の業者の皆さん、あるいは市場に出店をしておられる小売業者の皆さんが、大店法が無関係にやってこられた場合に倒れてしまう立場があるわけです。実際に私のそばにそういう目に遭っておるところもあるわけですからね。それが、仮に街づくり的なこの法案で、市町村も参加して、そこで一つの集積ができたらいいわけですが、市町村あるいは都道府県がそういうふうに考えているにもかかわらず、ここでは土地が高いからということで、それとかけ離れたところへぽこっと大店が行ってしまうということになったらどうにもこうにもならぬわけですよ。この法律じゃそのことの規制というのは全然ないのですよ。  そうすると、消費者の皆さんが今まで行っておられた商店街や市場に行くことができず、自動車に乗っていかなければいかぬ、自動車のない人はどうしたらいいんだ、お年寄りはどうしたらいいんだということになってしまう可能性も、この法律できちっとできてないわけなんですよ。そうすると、そんなことを抜きにして大型店舗には別に規制は何もせぬでもいいんだ、調整もせぬでもいいんだということで小売市場や商店街がつぶれてしまうというようなことになると、申し上げましたように、消費者でもなくなるし、そうすることによって大型店だけで小売活動が寡占化してしまうというようなことになったら、結果的には消費者のためにはならぬと思うのです。やはり共存共栄の姿にしていかなくちゃならぬというように私たちは思っているのですが、中村参考人から、それらの考え方についてひとつお答えいただきたいと思います。
  35. 中村紀伊

    中村参考人 お答え申し上げます。  私たちは、決して大規模店だけが生き残ればいいということは消費者は思っていないわけです。私どもは、専門店もあり、小回りのきく身近な商店もあり、特に高齢者の人たちにとっては、車で行くような大きなスーパーではなくて、地元で対面販売しながら少しずつ買えるようなお店が欲しいという声がたくさん出ております。  ですから、大店法撤廃しろということは私どもは言っておりませんで、大店法の法の精神に基づいて、さっき田島先生もおっしゃいましたけれども、多様な選択ができるような法律運用をしてほしいということを申し上げておりますので、いろいろな手だてを講じて、そしてそこで商店街の方もいい品物をいいサービスで安く分けてくだされば、身近なところで、私どもは決してそこへ行かないということはない。だから、そういう商業者の方の努力ということも大事であって、それを手伝う手だては今度は政府が随分お考えのようでございます。  ですから、私どもは大型店だけが消費者ニーズに合っているというようなことは全く考えておりませんので、そこは御認識いただきたいと思いますし、そういう意味で、いい意味での多様な選択のできる商店街があるように国会の方で十分御審議していい法案をおつくりいただきたいということを申し上げるわけでございます。
  36. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ありがとうございます。  高丘参考人山本参考人川井参考人にお尋ねいたしますが、輸入品専門売り場設置のこの法律ですが、大型店はお酒の売り場があり、繊維の売り場があり、服地の売り場があり、それぞれまた国内製品も輸入品もありますね。それで、輸入品売り場というようなことが別につくられて、この点について業界として、高丘参考人の方からお聞きしますが、どういうように評価されているのか、ちょっとお聞かせ願っておきたいと思うのです。  それから、川井参考人山本参考人に、そのことによってあなた方の立場から事業に影響があるのかないのか、その点、お三人の方々からひとつお聞かせいただいておきたいと思います。
  37. 高丘季昭

    高丘参考人 輸入品の売り場の特例につきましては、これは日米構造協議の中で出てきた問題かとも思いますが、我が国の状況の中で最終消費財の輸入拡大をしていくというのが一つの重要な課題であろうかと思いますので、私どもそれに御協力を申し上げていきたいと思っておりまして、現在、協会の中では既に五十店舗を超える店舗輸入品の売り場を特設をさせていただいております。しかし、この法律自体が「当分の間」ということになっておりますのは、そういう意味一つの現在置かれている日本の状況の中で必要な御措置ではないかと思っておりまして、その点については、私どもとしてでき得る限りの御協力を申し上げてやっていきたいという立場でございます。
  38. 山本勝一

    山本参考人 お答えさせていただきます。  私ども、輸入品売り場につきましては、今の時点で考えますると、輸入品必ずしも売れるとは見ておりません。ごく一部のブランド等々につきましてはともかくといたしまして、まず今消費者の皆さん方ももうそんなに魅力あるものとは見ておられないわけでございまして、私どもの商店街の中でも輸入品を扱っている者がかなりおるわけでございますので、千平米ということで輸入品だけの売り場をセットするということもやればやれないことはないわけでございます。しかし、それだけでは危険が伴うということもございますので、輸入品と国産品とまぜて売っておるところが各所にあるわけでございます。したがいまして、この輸入品売り場の設定につきましては、そんなに重大には考えておりません。
  39. 川井芳男

    川井参考人 輸入品売り場の特例措置について実情をお話しさせていただきます。というのは、輸入品売り場が一番最初は百平米、ここで今千平米以内になったということは、約三百坪でございますけれども、この輸入品売り場というのは食料品ばかりではないのです。大体外国製品ばかりでございまして、非常にこれから先、品物がどんどん広がるわけですね。相当出回ってくると、日本製品の売り場の方まではみ出す場合が相当あるんじゃないか、これが一番懸念されておるわけです。  そうすると、それに対してのいろいろな変化が起きて大変なことになるんじゃないか、こういうふうに私は思っておるわけです。だから、これの措置を他の売り場への不正な転用がなされないようにひとつお願いしたい、かように思っています。そういうわけでございます。
  40. 和田貞夫

    和田(貞)委員 先ほど高丘参考人の方から非常に成功している集積小売店舗、その例を挙げられたわけですが、そうでないところもやはりあるわけですね。そこで高丘山本川井参考人にお聞かせいただきたいと思いますが、大型店と地元中小商店とが共同でショッピング街をつくる、そこでその地元の商店街がそこに専門店で入る、こういうやり方ですね。そこで、どうしても大型店が主体になってサブ的に専門店がつくられていく。けれども、最初はいいわけなんですが、どうしてもテナントとして入る場合にテナント料が非常に高くて、どうも二カ月、三カ月している間に見通しがつかぬということでやめられるというようなところが非常に多いわけですよ、これは。  そういうようなこと等を考えたときに、それぞれお三人の方々は良好な共存共栄関係を将来的にも維持することができるというようにお思いになっておられるかどうか、ひとつお三人の方々にお答え願いたいと思います。
  41. 高丘季昭

    高丘参考人 商業再開発とか新しい大型商業施設をつくる場合に、ある意味で申しますと非常にコストが高くつくことは事実でございます。従来は、駐車場設備をつくるにいたしましても、あるいはそこに緑地等の御指定がある場合に公園緑地を中に入れるとかいうような問題をする場合に、個別企業の公共的な部分の負担というのは非常に大きかったわけでございます。それで、今回の御措置によりまして、それにつきましてはかなりの助成をしていただけるということになりましたので、特に中小商業者の皆様方もお入りになるものについてはコストダウンになっていくと思います。  しかし、それにしても実はかなりコストが高うございまして、したがって、私どもの方で、私どもは出店しているところもあるわけでございますけれども、いわゆる共益費とか管理費とかいう項目があるわけでございますが、これはある意味でいいますと、その商業施設の中の、例えば駐車場については安全を確保するための整理をする要員が要るとか、それから緑地については植栽について植木屋さんを入れなければならないとかいうような費用なんですね。  これは従来の商店街からすれば、それはそれぞれの地方公共団体が負担をされて、それに対しては住民税とか固定資産税とかいうものを負担してきた、こういう関係だと思うのです。一種の公共負担になっているわけです。そういう意味では、中小商店専門店がそういう施設にお入りになる場合に、若干公的負担に類似するような負担につ いて国、地方公共団体が少し御配慮をいただくというようなことになりますと、中小商店方々が十分入っていただけると私は思います。  そしてまた、これは卸団地のときもそうだったと思いますけれども、立地の変化というのがどうしても起こるわけでございます。その場合に、現在おられたところをそのままお持ちになって新しい商業施設の中にお入りになるのか、あるいはそこからお店を移動なさるのか、いろいろケース・バイ・ケースであると思うのです。そういうようなことを考えた場合に、どうなさるのが専門店中小商店の皆様にとって一番合理的で効率的で有利な方法なのかということをお考えいただいて、そういう形で考えていきますと、非常にいい商業施設を共同で長期にわたってつくっていくということが可能になるだろうと私は思います。  したがって、現在の制度、それでは十分満足かと申しますと、そこはまだ過渡期でございますので、なかなか不十分な点もあろうかと思いますので、それを一つ一つ解決を国と地方公共団体とで考えていただくことが大事なのではないかと思っております。  以上です。
  42. 山本勝一

    山本参考人 お答えいたします。  共存共栄でということで、今まで既存店におきましてはかなりのテナントさんが入っておりまして、今までは大体順調に来ておったわけでございますけれども、今この時点に参りますと、建築費あるいは地価の高騰、それから人手不足という一番大きな問題が出てきておりますので、今後共存共栄で一緒にやるということになりましても、コスト面で相当障害になってくるのではないかと思われます。  今後の経済情勢にもよりますけれども、現在の時点ではやはり人手不足という面といわゆる保証金、建築費が相当高くなっておりますので、簡単に出店ができないという事態に立ち至っておるわけでございますので、今後共存共栄で一緒にということになりますと、関係御当局の相当の御指導なり御配慮をいただかないと難しい面が多々あるのではないかと思っております。     〔高村委員長代理退席、委員長着席〕
  43. 川井芳男

    川井参考人 共存共栄というお話が出ましたので、お答えいたします。  私たち、先ほども言うたとおり、これは横浜だけのことを言うわけじゃないですけれども、それはお許し願いたいと思いますが、横浜市もいろいろ公用廃止というようなことで、各市場が活性化に向けて現在やっております。私たちの、若い者たちが、どうかしてスーパー式セルフサービスのものをつくろうじゃないかというので、今役所と話し合って活性化に向かってやっております。  それで、今現在は、私たちの近所にスーパーがございます。これは相当でかいスーパーでございますけれども、この人とは、うちの方の組合の会員になってもらいまして、それで一応うまく共存共栄で一緒に現在本当に和やかにやっておるということは、これまた大型店ができても私たちは一緒に仲よくやって、消費者ニーズに合わせるように私たちも、まあ、消費者は我々の本当の神様であるということで、ひとつ消費者とともに小売市場連合会そのものが共存共栄でやっていかれればこんないいことはない、こういうように思っております。
  44. 和田貞夫

    和田(貞)委員 参考にして審議させていただきます。参考人の皆さん本当に御苦労さまでございました。終わります。
  45. 奥田幹生

    奥田委員長 二見伸明君。
  46. 二見伸明

    ○二見委員 本日は大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。  私は、商業活動というか、商業というのは本来的には自由であるべきだというふうに考えております。しかし、田島先生のお話じゃありませんけれども、競争のメカニズムだけでいきますとそれは種々問題が起こってくることは当然でございますし、最悪の場合には、既存商店街の崩壊ということもこれはないわけじゃありません。私は、商店街というのは長い歴史を経て形成されてきた地域社会にとっては一つの財産だと思っておりますから、商業活動は本来的には自由であるべきだけれども、そこに何らかの調整というものは必要だろうというふうに考えております。  それで、最初に五人の参考人の方の見解をお聞かせいただきたいのですけれども、実は一九八二年から商店全体がかなり減少してきている。特に一人とか二人とかいう零細な商店がかなり減少してきているわけであります。これは私は、結局は確かに大型店が増大した、進出したということもその背景に全く考えられないわけではないけれども、商業、特に消費者ニーズとか商業自体の環境が変わってきたことの方に大きな原因があるのではないかというふうに見ているわけですけれども、そうした商店、特に小さい商店がつぶれていく、減少していく、後継者難とかいろいろなことがありまして減少していく、この事実についてはどういうような御見解を持っているか、まず五人の参考人の方に伺いたいと思います。
  47. 田島義博

    田島参考人 私は幾つか非常に重要な要因がそこに働いておると思うのでありますが、第一は、やはり経営者の高齢化と後継者がいない、これが一つの大きな原因だろう、こういうふうに思います。  それから第二といたしましては、消費者、特に主婦の購買行動というのが変わってきている。これは従来、男が外で働いて主婦は家庭を守るというふうな習慣が日本に強かったわけでありますが、特に首都圏のような大都市圏では主婦の有業率が高まってまいりました。そのことによって、例えば家庭で調理素材を買い家庭で調理をするというふうな習慣が変わってまいりました。そうしますと、典型的には近隣の生鮮食料品を中心にした小売店舗での買い回りから、スーパーマーケットのような、あるいはコンビニエンスストアのような各種食料品小売業でのワンストップショッピングというのがどうしてもふえていく、そういう形になりながら、業種別に申しますと、鮮魚小売業でありますとか精肉小売業でありますとか、そういう生鮮食料品の小売店の、かつ規模の小さいところからお店の数が減少する。大体、業種別動向もそういう形になっておるかと思うのであります。  したがって私は、主婦の購買行動の変化と店主の高齢化及び後継者難という主体的要因、この二つが非常に大きいというふうに見ております。
  48. 高丘季昭

    高丘参考人 今、田島先生のおっしゃったこととほぼ同一でございます。今先生が一九八二年の商業統計のお話をなさいましたけれども、すなわち、昭和五十七年という年は、実は大店法規制強化が行政指導という形で行われた年でございます。その最も大きな規制が行われた昭和五十七年が商店数のピークであったというのは、どういうふうに解釈したらいいのかということがあろうかと思います。  私は、多くの小売商業者の皆様方というのは、戦後外地から引き揚げられたり兵役から復員をされた方々がつかれた職業であり、その後、農業人口の減少というものが、農業から小売商業に人口が移動したのだと思います。その方々がまさに世代交代の時期に来ている。私は大店法問題が起きた去年にも申し上げたのですけれども、そういう意味では必ずしも恵まれた状況におありにならなかった、そういう中小商店皆様方が今ここで退出をなさらなければならない時期に差しかかった。そういう転廃業という問題に対して、私は中小商業者の皆様方に対して温かい手が差し伸べられることが必要なのではないだろうか。それが田島先生がおっしゃいましたように世代交代、その中で後継者難というのが最大の問題であろうと思っております。
  49. 山本勝一

    山本参考人 商店が減っておるということには、個店の側の責任と商業の立地の変化、あるいは商店街としての車時代への対応のおくれと、いろいろな要因があるわけでございまして、そういう要因をクリアできないということによって、先の展望がきかないということで跡取りが後を継がないというようなことに至っておるわけでござい まして、これも非常に悲しいことではございますけれども、一つの自然な変化ではないかなと思っておるわけでございます。  したがいまして、やめる方もある程度納得してやめておられるようでございまして、これが大きく社会問題というようなことには至っておりません。しかし、私どもも今度はつけていただきました予算等を踏まえまして生き残る方法を発見し、努力をしてまいりたいと思っております。
  50. 川井芳男

    川井参考人 今、私ども小売市場連合会は大体店頭販売ということばかりでございまして、セルフサービスということはほとんどやっていない市場ばかりでございます。私の方のことを話すと、四十七年のあのオイルショック以後、市場に非常に空き升が多くなった。大体うちの市場だけでも六件の空き升があるわけです。その空き升で売れるところが大体三店舗、二店舗というようなわけで、今現在埋めているわけです。それはどういうわけかというと、結局後継者がいない。後継者があっても、おれはもうこんな商売ばかばかしくてできるかと、商売がえをして勤めに行っちゃうということで非常に寂しいような状態なのです。それで、何しろ先ほども言ったとおり、うちの方では活性化してスーパー方式にしてひとつやろうじゃないか。大体一億八千万ぐらいで中を改造して、やっと今現在そのように向いています。  そういうような状態で、これは横浜とか大阪、名古屋、これは全部同じです。ましてひどいのは奈良とか神戸、もう神戸あたりは灘生協とかそういう強いのもありますので、非常に空き升が多くなったということが今現在の状況でございますので、私たちもこれに対して皆さんにはもう店頭販売はいけないのだ、スーパー方式にして店をきれいにしなければ売れないんだということ、それを今念願しているようなわけでございます。どうもありがとうございました。
  51. 中村紀伊

    中村参考人 お答えいたします。  もう田島先生その他の方々からお話が出ておりますような理由が私も考えられますが、やはりうちにいる専業主婦が非常に減ってきた。普通の主婦たちもパートに出ているという状況が非常に多いわけです。そういう買い手が変わってきたのに、小売の方たちがそれにつれて意識変革がないということもあると思います。  ですから、若手の後継者難ということもございますけれども、若手の商店の方たちが地域の人たちと一緒になってその町に住んでいる人たちのニーズに合わせた、例えば半加工のおかずを帰りしなに買えるようにする。そうすると、例えばデパートなんかでどこでつくっているのかわからない、そんなことを言ってはいけないかもしれませんけれども、つくり手のわからない半加工の調理品を買ってくるよりは、地元で、わかるお店でつくったものを買って帰れる。それには帰る時間の時間帯に合わせて、例えばフライが揚がっているとか、きょうは幾つよと頼めばできるとか、そういうコミュニケーションができている地域は非常にうまくいっているんじゃないか。  ところが、私どもが商店街の方とお話しすると、そういうことをしたらどうですか、ほかではとても喜ばれていますよと言うと、何を言う、我々は朝何時に市場へ行って買い入れてあれしているのに、夕方そんな遅くまでやれないじゃないか。やれないじゃないかといって衰退していくのを放置していてもいけない。そこは何か工夫して、そういうときに消費者ニーズにこたえて、地元で小回りのきくサービスなり活動をする、そういう工夫も足りないのじゃないか。  そういう意味で、いろいろな形で、決してさっき申し上げたように消費者は必ずしもスーパーだけがいいと思っているわけじゃない。ただ、若い人たちはそこへ行って楽しむ、子供を連れていって子供はここで遊ばせておいて買い物を一遍にするとか、そういう人たちも非常にふえておりますので、これはいろいろな世代の人たちがいろいろな選択をする。それに合わせて、やはり今日的な消費者ニーズをどう吸い上げていくか。見ていても非常に企業努力が足りない。  昔ながらの品ぞろえで物を売っていたら、やはり私どもは申しわけないから買うなんということはないので、自分の大事なお金を使うわけですから、そこのところは消費者も選んでそのお店から買うということになりますので、やはりこれは売り手としてのいろいろな工夫、努力も必要なのではないかと思います。
  52. 二見伸明

    ○二見委員 田島先生にお尋ねいたしますが、田島先生は先ほど都市政策視点が大事だというふうにお述べになられましたね。実は私も大店法改正案を前から議論しているときに、必ず意見として出てきたのはいわゆるゾーニングであります。これは商業地域だけに出店規制しろとかいう話が出てまいりまして、私はそれは理論としては大変よくわかるのですけれども、日本は、例えばここは商業地域で、ここは工業地域で、ここは住宅地域でという画然としている街というのは日本にはないわけですね。商業も工業も住居も混在となっているのが日本の町であります。そこの現状を考えて、しかも土地に対する権利意識というのが強いですね。  だから、土地の利用規制なんということになりますと、総論はともかく各論で反対しますね。そういう日本の現状の中で、都市政策視点というのはどういうふうにお考えになられるのか。これは土地利用規制とも絡んでくるものですから大変難しい課題だと思うのですけれども、先生の御意見はこの点はいかがでございましょうか。
  53. 田島義博

    田島参考人 御指摘のゾーニングに関しましては、アメリカの場合でありますとか、あるいは似たような制度をドイツでございますとか、そういったところが持っているわけであります。アメリカの場合もドイツの場合にも、実態面は別といたしまして、建前から申しますと、構造政策的な意図はない。純粋に都市計画的あるいは居住環境保護的な視点、例えば一つの例を申しますと、アメリカではウエットランドといいますか、水がちょろちょろでも流れておるようなところには、これは商業施設と限りませんけれども、建物の建築は許さない、あるいは何平方メーターか緑を切ってしまったら建てた後同じ広さの緑を植えろ、こういう意味では非常に自然環境保護的な視点が強い。  それで、私、先ほど申し上げました都市計画視点と申しますときには、二つの側面があると思うのであります。一つは、既成の市街地をどう再開発していくか、こういう視点でございまして、この点に関しましては、御指摘のとおり、日本都市の発達というのは諸外国に比べで非常に早うございます。そういう長い歴史で商業、工業あるいは住居というのが混在しておるという形でございますので、ゾーニング的なやり方というのは極めて困難。ただし、そのことは、現在の例えば用途地域制度がそのままでよろしいということではないと思うのでありますが、大変欧米的なゾーニングの導入というのは難しかろう。ただもう一つ、郊外の土地利用に関しましては、都市計画視点に加えてそういう自然環境保護というふうな、いわば地球に優しい都市計画といいましょうか、そういった視点も要るのじゃなかろうかなという考え方を持っております。
  54. 二見伸明

    ○二見委員 ありがとうございます。  山本参考人にお尋ねいたしますが、先ほど田島先生からも、それから中村さんからも、主婦の購買行動が変化したという話がありました。私も地元の商店街を見ておりますと、昼間というのはほとんどもうお客さんはゼロですね。専業主婦はほとんどいませんから、みんな働いていますから。朝十時から店をあげているんだけれども、現実的にはほとんど買いには来ておりません。六時に閉めてしまいますから、例えば東京などへ通勤している奥さん方が帰ってきてから何か買おうと思うと、もう店が閉まっている、それが現状だと思います。  そうした主婦の購買行動の変化に対応して、商店街としては今後どういうような考え方をされていくのか。後継者難もあるだろうけれども、例えばもう少し閉店時間を先に、七時とか八時に延ば すとか、いろいろな対策があるのじゃないかと思うのだけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
  55. 山本勝一

    山本参考人 この問題は、私ども連合会として強制できる問題ではございませんが、認識は持っております。したがいまして、その認識に基づきまして各個店、各商店街がどう対応するかということでございまして、働く御婦人が非常にふえておる、夜お帰りになるときに物を買ってお帰りになるというような背景も十分承知しておるわけでありますので、やる気のあるところはこれに対応してやっておるわけでございますが、まだ従来の線上であぐらをかいておるというところもなきにしもあらずでございますけれども、逐次そういう認識を持って対応をしていくように努力をいたしております。
  56. 二見伸明

    ○二見委員 ありがとうございました。
  57. 奥田幹生

    奥田委員長 小沢和秋君。
  58. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 参考人の皆さんには大変御苦労さんでございます。  まず、高丘参考人にお尋ねをしたいと思います。  昨年五月十八日の毎日新聞の「続 財界と政界」という連載記事の中に、日米構造協議の内幕について高丘さんに触れた部分がございます。アマコスト大使からあなたが大店法について意見を求められ、「大店法の改廃を含め、規制緩和のスケジュールを明確にし、それに基づいて着実に改善すべきだ」と述べられたとされております。そして、これがその後のアメリカの段階的改廃要求へとつながっていったというふうに書いてあるわけでありますけれども、あなたがそのような意見を述べられたことは事実でしょうか。  また、我々もかねてから、大手流通業者や財界が大店法規制緩和を要求しているということは知っております。だから、私はこの記事の印象として、あなた方が規制緩和を実現するためにアメリカの圧力、当時よく外圧というようなことが言われましたけれども、それを利用したというような印象を受けるわけでありますが、いかがでしょうか。
  59. 高丘季昭

    高丘参考人 前提として申し上げますが、私どもは、産構審の流通部会、中政審の流通委員会との合同会議に参加をさせていただきまして、中小小売商団体の皆様方との意見の交換の中で、現在の内閣が御提出になりました改正の線に沿って大店法改正を行うべきだということについて意見が一致をしたわけでございます。したがって、現段階において、調整目的とする大店法というものの存続については是認をする立場にいるということを前提として申し上げたいと思います。  毎日新聞の記事を私も拝読いたしましたけれども、必ずしも正確ではございませんが、私を初めとして協会幹部の皆さんが、いろいろなパーティーとかその他の席でアマコスト大使あるいは当時のモスバカー商務長官等とお目にかかる機会があっただろうと思います。したがって、私もアマコスト大使ともお目にかかってお話をしたことはございます。  そのときに、主としてアメリカ側が関心をお持ちになりましたのはトイザラスの出店でございました。トイザラスの出店についての意見、そして、それがどうなるかという見通しについての御質問がございました。それは、その前年の「九〇年代流通ビジョン」というところでも中小小売商団体の皆様方学識経験者皆様方とお話をいたしましたプロセスがございます。したがって、大店法についての運用及び法律自体の改正が懸案になっているという御説明はアマコスト大使に申し上げました。そして、トイザラスについては、日本側の責任者であるマクドナルドの藤田君と私は実は大学時代からの友人でございます。それは応援しますよということは申し上げました。  しかし、それはたしか春の段階だったと思いますけれども、その段階で私どもは、私の名前で、チェーンストア協会会長談話という形で私どもの意見は申しておりますけれども、それは中小小売商業対策を中心にして新しい商業政策を樹立すべきだということを申し上げておったわけでございまして、今先生がおっしゃいましたように、外圧を利用して私どもに有利な展開をしてほしいというようなことは、私は申しておりませんし、協会の中でもそういう議論をしたことは一切ございませんので、御理解を賜りたいというふうに思います。
  60. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この大店法規制緩和でアメリカは、今もお触れになりましたが、トイザラスの進出を促進したなどのメリットがあったと思います。しかし、私が承知している範囲では、それ以外に進出する予定は余りないようでありまして、この程度のことでは貿易赤字を大幅に改善できるなどとは到底考えられないわけであります。それはもう初めから予想された事態でもあります。  ですから結局、今回の大店法規制緩和で最大のメリットを得るのは我が国の大手流通業者である皆さん方ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  61. 高丘季昭

    高丘参考人 私は日米構造協議というのは、日本とアメリカの間に、田島先生も冒頭おっしゃいましたが、グローバリズムの中で制度をできるだけ共通性のあるものにしたいというのがアメリカ側の意向であったと思います。かつまた、日本における大店法規制の仕方に透明性を著しく欠いているというところがアメリカ側の理解できなかった点ではなかろうかというふうに私は思っております。  それで、その大店法改正それ自体は、今まで御議論がありましたように、小売商業構造の変化の中で消費者皆様方利便性を考えた場合にそうすべきだということで行動が、あるいは問題が大きく転換した結果であろうというふうに私は認識しております。  私どもとしては、できるだけ自由に出店させていただきたいという気持ちはございますが、しかし、これからの商業施設の展開を考えてみますと、かなりのコストもかかることでございますので、先ほども申し上げましたように、今回の御措置によって出店するものが大規模化していくというような傾向は出てくると思いますけれども、出店件数が著しく多くなるというようなことにはならないというのが私どもの認識でございますので、とりわけ私どもにとってだけ有利になるというようなことではないのではないかというふうに思っております。
  62. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次にお尋ねしたいことは、先ほど来お述べになったことなんですが、大店審による一本化、それから自治体の独自規制を抑えていくのが当然だというお話だったわけでありますけれども、そもそも出店調整というのはそれぞれの地域ごとの非常に違う状況の中で行われるわけであります。ですから、大店審に一本化してそのような地域のいろいろな多様性に対応できるはずがないのじゃないか、だから商調協などをもっと民主的に改善することでこれを活用すべきだし、あるいはそれぞれの自治体が条例を今後も持っていくことは当然だというふうに私は考えるのですが、その点が先ほどからのお話ではどうも納得いかないのですけれども、いかがでしょうか。
  63. 奥田幹生

    奥田委員長 小沢君、どなたにお尋ねですか。
  64. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 高丘さんに聞いているのです。
  65. 高丘季昭

    高丘参考人 御承知のように、大店審につきましては地方部会が充実をしていただけるということになっておりますので、まだ幾つ、どういう形でということはお示しをいただいておりませんけれども、かなりきめ細かく御審議がいただけるだろうというふうに思っております。かつ、都道府県知事の御意見というのが十分に尊重されるということになっておりますし、地方公共団体の御意見も都道府県知事に対して十分に表明をしていただけるという仕組みになっていると思いますので、私も再三申し上げますように、地域の問題というものの重要性は当然ございますので、その点はよく御意見を伺い、私どもの意見も申し上げて調整をしていただければというふうに思っております。
  66. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それでは次に、山本参考人にお 尋ねをしたいと思います。  先ほど来のお話を伺っておりますと、今回の大店法改正、いろいろ問題はあるけれどもやむを得ないというように承ったわけでありますけれども、私、地元などの状況を見ておりまして、やむを得ないというような態度というのは非常に事態を楽観的に見ておられるのではないかという気がしてならぬわけであります。  今回の改正が出てくる前につくられておりますいわゆる「九〇年代流通ビジョン」の中でも、中小店は今後十年ぐらいの間に三十万店以上つぶれる、今までの倍のテンポでつぶれるという予測をしているわけですが、私は、今回の改正が行われればはるかにそのテンポは高まるのじゃないかというむしろ危機感を感じているのですが、その点はいかがでしょうか。
  67. 山本勝一

    山本参考人 お答えいたします。  昨年の三月ごろから、私どもとしましてもこれは大変だということで、先ほど先生がおっしゃいましたように全組織を挙げて反対をして、陳情申し上げてきたわけでございますけれども、その後の日米構造協議等国際化あるいはいろいろな変化への対応というものを、現実をよく検討してみると、これは反対だけでもいけないな、我々自体も前向きに対応しなければならないというような観点から、あわせて予算をぜひいただきたいということで予算をお願いしてまいったわけでございますし、また、大店法の扱い等々につきましても産業構造審議会、中政審等々で十分御審議をされまして、その答申が出てまいったわけでございます。  したがいまして、そういうような総合的なものを判断いたしまして、まことに耐えがたいことではございますけれども、これも時代の流れではないかというような方向で、残念ながらということで今了承をしておるわけでございます。確かに大型店に有利になるのか、我々の存続が許されるような方向調整がされるのか、これは一にかかってこれから大店審の運営によるというふうに思っております。  したがいまして、大店審地方部会を少なくとも各県に一カ所ぐらいはつくっていただいて、十分地元の意見、我々の意見も反映させていただいて調整をいただきたいと思っておるわけでございます。特に、高齢化社会に入りますと、車でなければ物が買えないという店ばかりあってもお困りになるわけでございますので、やはり都内で大根一本、ニンジン一本を買えるような店もあってもいいのではないかというふうに私は思っておりますので、そういういろいろな思いを込めて今後の推移を見守っておる実態でございます。
  68. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今も予算の話に触れられました。確かに、この大店法改正と見合って、中小商店街を強化していくための予算措置というのはかなり思い切ったものがつけられたということになるのでしょうけれども、この程度の振興策では大型店との共存共栄などというようなことはとても望むべくもないのじゃないかと私は思いますが、引き続いてお尋ねします。
  69. 山本勝一

    山本参考人 共存共栄という選択と、地区によっては絶対反対というような地区もありましょうし、私どもは私どもで商業集積を図っていこうといういろんな対応が出てくるわけでございまして、何もかも画一的にすればいいということでは、これは消費者方々から見てもおもしろくないということになりますので、この対応につきましてはいろいろな対応があると思うわけでございます。  ただ、今まで、正直申し上げまして二十数年間かなりの量の大型店出店をしてまいっておりますし、その間に私ども中小商業関係からかなりの売り上げがそちらへ流れていったというようなこともございますので、これを挽回するには大変な努力が要るというふうに思っておるわけでございますので、やる気のある連中を中心にしてまず発展策を考え、そして後からの方々もそれについてきていただいて、今後の商店街の退勢の挽回を図ってまいりたいと存じております。
  70. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ありがとうございました。
  71. 奥田幹生

    奥田委員長 柳田稔君。
  72. 柳田稔

    柳田委員 きょうはお忙しいところおいでいただきまして、ありがとうございました。  最初に高丘参考人に御質問させていただきたいと思います。  大型店舗がいろいろな地域に出てくるということで、私もそれなりの評価はしたいと思っているのですけれども、一方、地元といいますと、いろいろな特徴もありますし、また文化や伝統があるかと思うのです。今までの大型店を見ておりますと、大体物を売るというのが中心だったと思うのですが、先ほど申しましたような特徴や文化や伝統、この辺もこれから出店する大型店に生かしてもらえればいいなというふうな感じを持っているのですけれども、このことについて何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。
  73. 高丘季昭

    高丘参考人 お答え申し上げます。  先生のお説のとおりだと思います。地域社会に溶け込んでいかなければならないというのが私どもの社会的な役割だというふうに思います。  過去におきまして、非常にまだ貧しい時代に、あるいは地域環境にマッチをしないような店舗づくりが行われたりいろいろな問題はあったかと思いますけれども、これからは地域社会に貢献できるような店づくりをしていく、そしてまた全国それぞれの地方において、これまで供給がなかったような特にサービス財閥係につきまして、そういうものを全国の消費者皆様方に提供できるような店舗をつくってまいりたい、そういうふうに思っております。
  74. 柳田稔

    柳田委員 これから高齢化社会が来るということで、お年寄りも買い物に行ったりするでしょうけれども、そういうときに憩える場所もあったらいいなという感じをちょっと持っていたもので、その辺もちょっと考えていただければなというふうに思います。  もう一つ、これから大型店がたくさん出てくる、既にもう大分いろいろなところで出てきているようであります。一方、人手不足というのがありまして、従業員の確保も非常に大変だろうと思うのです。また、話を聞きますと仕事も非常にタイトだということで、今世間で言われております労働時間短縮、これには非常に対応するのが難しいような話も聞くわけなんですが、今後この労働時間短縮について、高丘参考人、どうしようか、こうしたいというお考えがあれば教えていただきたいのです。
  75. 高丘季昭

    高丘参考人 日本における消費者の皆様の購買行動というのはかなり変化をしてきております。それは有業主婦が増加をしたというのが最大の原因だと思いますけれども、そういう意味で私どものオペレーションタイムというものは、そういう消費者皆様方の便宜を図っていかなければならないという命題を一方に持っております。しかし、レーバータイムにつきましては、総労働時間千八百時間という目標をそれぞれの企業が持っておりまして、現在の総労働時間は、全産業から見まして必ずしも多いということではないとは思いますけれども、千八百時間にははるかに及ばないわけでございますので、その目標に向かって進んでまいりたいと思います。  したがいまして、お客様に接する面では人的サービスが重要な要素でございますけれども、後方部門等につきましては、あるいは情報管理等につきまして省力化、合理化投資も進めてまいりました。そういう意味ではいろいろな検討、研究を重ねることによりまして人的生産性の向上、効率化ということはまだまだやれるのではないかというふうに思って、各企業ともその目標に向かって努力をしているところでございます。
  76. 柳田稔

    柳田委員 世の中、労働時間短縮でございますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、山本参考人川井参考人にお尋ねしたいのですけれども、先ほど来から後継者不足、人手不足というお話がありました。各商店でも努力はされているというふうに思うのですけれども、政府として何かこういう施策をしてくれれば助かる なということがありましたならば、御見解を教えていただきたいと思います。
  77. 山本勝一

    山本参考人 後継者の問題は、正直申し上げまして公の場にこれは持ち出す問題ではないと私は思っております。これは各個店の問題でございまして、内輪で後を継がないというのじゃこれはどうしようもないので、それを公の皆さん方にお願いをするということ自体が間違っておるのではないか。  こういう結果になったのはどういうことかといいますと、やはり一つには長い間大型店によってシェアを奪われた、それから車時代に対応ができなかった、それから消費者ニーズにも対応ができなかったというような環境面と個店の責任において結果が今ここへ来たわけでございまして、魅力ある店であるならば黙っておっても後継者はついてくるはずでございます。したがいまして、内輪から後を継がないというものは、これは私ははっきり言ってどうしようもないというふうに思うわけでございますが、一般的な概要としましては後継者がないあるいは後を継がないということが言われておりますので、そのような受けとめ方をされておるかと思いますけれども、これは正直言って、私ども個店の責任であると思っております。  なおまた、人手不足につきましては、確かに人手不足でございまして、まあしかし小売業というものは割とムードがいいわけでございまして、多少華やかな面を担当してもらうということになれば、まだまだパートとか若い方が来ていただけるという面もございます。ただしかし、全体的には確かに人手不足でございますので、政府がお考えいただいておるような三Kの改善等々を図って努力しなければならないと思ってはおります。  しかし、流通業界というのは余り機械化ができませんので、人対人の問題でございますのでどうしても人手に依存する面が多いので、時間を短縮するなり、先ほど消費者の先生のお話がございましたけれども、夜が早過ぎるとおっしゃいましたが、これもはっきり言ってそういう関連で、夜遅くまでやるということになれば開店をおくらせるかというような方法もとらなければならないと思っておりますけれども、いずれにしましても、これから毎日毎日そういう問題にぶつかって、何とかクリアをしていきたいと思っております。
  78. 川井芳男

    川井参考人 人手不足の問題でございますけれども、私は大体青果の方をやっておりますので、いろいろこの人手不足といってなかなか頼んでも来ないというのは、宿舎がどうだとか食べ物がどうだとかと、なかなか今難しいことばかり言っているわけです。  それで、政府の方へお願いして頼むと言っても、これはとてもできないと、我々で自分で探さなければならないというので、給料の問題もございます。食べ物の問題、このごろすごく難しくなってきた。今までのように使用人、小僧だとかなんとか言えないんですよ。今度はこっちが頭を下げてお願いするというような状態ですから、非常に困っておるわけです。  だから、今、うちあたりでも、かえって主婦の奥さん方を時間的に使った方が、これが一番いいのです。それで交代交代に使っています。それで、時間的に遅くまでやるようになればそれは開店も遅くするようにしなければならないというように、今はもう本当に人手不足ではございますけれども、いろいろと考えていますが、一家そろって、今家族ぐるみの使用人ということでやっておりますので、その点……。
  79. 柳田稔

    柳田委員 私も若いころに五年ほどすし屋で修業いたしまして、朝九時からその次の日の朝の一時まで仕事しました。将来、手に職をつけてこれで一丁やったるかと思ったりもしたのですが、道を違えましてこういうことに入ってしまいました。今川井参考人がおっしゃったことは、自分の経験からしてよくわかるつもりでおります。  あと、中村参考人にお伺いしたいのですけれども、今回のこの法改正通じて、先ほど御意見を述べられましてお伺いしたのですが、消費者サイドとしてもう少しこれだけは言っておきたいというのがあればお聞かせ願いたいと思うのですけれども、今回は大型店、そして中小小売店配慮はあります。それで、考えますと、ちょっと先ほどおっしゃいましたように街づくりという点が抜けているなという気もするわけなんですが、それについてもう少し何かあれば、こういうことをしたらいいという意見でもあれば、教えていただきたいのですが。
  80. 中村紀伊

    中村参考人 お答えいたします。  余りそういう意見ではないのですけれども、商業集積をこの大店法改正にあわせてやる。もちろんその中には、公共施設をそれに関連して整備するとかいろいろな、御説明を伺いますと、文部省も意見を出している、いろいろな各省からも意見があるというようなお話を伺いましたけれども、欲を言えば、さっきも申し上げましたように、街づくりという視点でもっと各省が連絡をとった、縦割り行政でない有機的な連携のある形で街づくり視点から、そしてそれが実効性が上がるという、本当に実現するような実効性の上がるやり方を時間をかけてもお考えいただけたらと思います。  やはり街づくり、私たちは商店街を地元にも欲しいし、いろいろな便利な大きなショッピングセンターも欲しいといういろいろな多様な要求にこたえられるような街づくりですね。もちろんそれには緑があり、環境が破壊されない、そういうものをやはりこれはみんなで考えていかなければいけないのじゃないかと思いますので、ぜひそういう構想も、今回の法案法案として、さらに発展させていくようなことを考えていただきたいと思います。
  81. 柳田稔

    柳田委員 最後に田島参考人にお伺いしたいのですが、日米構造協議とか国際化時代というお話がありましたが、今回のこの法の改正で、海外に向かって日本はこうしましたと胸を張って言える法案の中身だと思われますか、それとももう少し足りないと思われるか、最後に御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
  82. 田島義博

    田島参考人 私は、もともと日本流通システムというのは、効率の点ではちょっと欠けるけれども、効率も物差しのとり方でございますけれども、消費者から見ますとかなり便利な仕組みだ、こう思っておるわけです。  ただ、先ほどちょっと申し上げましたように、競争メカニズムがよく働くことが結果的には小売業者の間の技術革新競争を通じて消費者にメリットがいくので、やはり競争メカニズムを働かせるということを基本にする。競争メカニズムをやや阻害しているものがあればそれを排除する。それからもう一つは、幾ら競争しても、寡占が進行するとか市場の失敗というのがございますので、そういうことが起こらないように行政その他で誘導していく。  ですから、結論から申しますと、私は日本流通システムというのは世界のいろいろな国と比べてもともとかなり消費者向きというか、割といい仕組みだ。したがって、もうちょっと競争メカニズムが働くような形にしてやって、片一方、中小役割をよく理解して中小を強くするというふうな政策であれば、かなり世界に自慢できるシステムになる。そういう意味では、私は今回の関連五法案というのはやはりかなり前向きの、外国に向かって、やったぞと言える改正であろう、こんなふうに評価いたしております。
  83. 柳田稔

    柳田委員 どうもありがとうございました。
  84. 奥田幹生

    奥田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位におかれましては、お忙しい中を長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。  午後一時から委員会を再開することとし、この 際、休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ────◇─────     午後一時二分開議
  85. 奥田幹生

    奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渋谷修君。
  86. 渋谷修

    ○渋谷委員 大店法の一部改正と関連するあとの法律について、具体的な問題を御質問申し上げながら、実は大臣にお伺いしようというぐあいに思っていたのですが、大臣がいらっしゃる時間が参議院との関連で四十五分くらいと聞いていますので、基本的な点をまず大臣とやりとりをしておきたいと思っています。  以前、武藤通産大臣のときに、この委員会で、今度の問題のキーワードだというぐあいに私は考えておるのですが、消費者利益というものを一体どう考えるか、このキーワード、つまり大型店がどんどん出店することは消費者利益にとってプラスになるのかならないのか。意外に、消費者利益というものを定義してみなさいというと、なかなかこれが難しいのであります。この委員会でやりとりをしまして、議事録もあることでありますから、もちろん大臣がかわり担当者もかわれば、それはいやこういう内容だということになるかもしれませんから、後の審議との関連がありますので、消費者利益とは何ぞやということについてまず定義をしておいていただけませんか。
  87. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 お答えいたします。  一般的には、品質のよいものを低廉でかつ利便性を持った場所で消費者方々に供給をするということが消費者利便に役立つというのが基本であろうかと思います。特に最近は消費者ニーズも御承知のように大変多様化高度化いたしておりますが、そういう観点から見ますと、また物の売り買いだけではなくてそれに付随するサービス、場合によると消費者が物を買いに行く場合にその周辺のいろいろな快適性、交通渋滞のないような利便性、そういうものについても要請が高まっておりますので、そういう環境整備することも広い意味消費者利益に役に立つ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  88. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 私にもお尋ねでございましたが、大体今の棚橋局長が申し上げたとおりでございますが、まさに多様化時代でございますから、それになおかつ今からの消費者利益というものは多岐にわたっておりますが、最近の商店街活性化とか、そういうものにも増してなおかつ個性的な、なおかつ駐車場の問題等々片づけていくこともこれまたサービスの面からいたしましても消費者利益の一環にはなろう、このように思う次第でございます。
  89. 渋谷修

    ○渋谷委員 今お話しをいただきまして、これはこの前の委員会でやった件なんですが、議事録をもう一度見直しながら、棚橋さんが触れられましたように価格の問題、品質の問題、それからやはり安全でなければいけないということ、安全性の問題、それから、果たしてそれが本当に価格が安いのか、品質がいいのか、安全であるかということになると、情報の問題ですね。あと、実際に買い物に行くときの距離的な時間的なコストの問題ですね。それから、日常の生活にかかわる、例えば品物であればこれは安定供給というのが大事ですね。それからもう一つは、最近、先ほど消費者の方もいらっしゃってお話しされましたけれども、環境の問題。いずれこれは問題になると思いますが、例えばスーパーであれば規格化して物を売らなければならない、トレーの問題、サランラップでくるんでごみが出ますね。ごみを売る、ごみを買うみたいな日常生活、これは変えなければいけないですね。大変重大な問題です。それから駐車場の問題。やはり駐車場の問題も、駐車場をどんどんつくれば便利になるというだけではなくて、中東の戦争じゃありませんけれども、石油の問題その他エネルギーのことを考えますと、やはりこれも適正な規模都市規模ということも考えなければいけないでしょう。それからもう一つは、スーパーが出店しましてそこで売り上げを上げる、その日のうちに本社に送金してしまう。小売店がそれなりに商売して経営をしている限りにおいては、地域における資金循環ということがあるわけですね。そうしますと、スーパーが出ることが必ずしも地域経済社会にとって全部がプラスというわけにはなかなかいかないというぐあいに思うのです。  こんなふうにして今整理をいたしました、私の観点から申し上げました、消費者利益というよりも私は地域生活者利益ということでこの前申し上げたのですが、これについてはどんなふうにお考えになりますか。
  90. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 今委員御指摘のいわゆる地域生活者利益という点につきましては、消費者という概念をさらに少し上回る概念であろうかと存じます。そういう意味で、近年、住宅問題あるいはその住宅の周りの交通の渋滞の問題、あるいは子供の安全の問題、それからさらに美観、景観、こういったところまで大変国民の意識また価値観というものが上昇してまいっているわけでございます。  そういう意味で、単にこの商業問題のみならずいろいろな施策都市計画の問題でございますとか地域開発の問題でございますとか、そういった問題に取り組みます場合には、今後そういった点についての国民の意識というものがどんどん高まってくるというような環境にあろうかと思います。  今回、私どもといたしましても、御提案申し上げております商業集積の整備に関する法律という新法案におきまして、都市環境との調和ということも重視しながら商業集積というものを整備してまいるのが必要ではないか、こんなふうに考えているところでありまして、そういった点で、いわゆる消費者のみならず商店街の形成に当たって地域生活者利益利便というようなものもこれからは大変大切な要素になっていくのじゃないか、こんなふうに考えているところでございます。
  91. 渋谷修

    ○渋谷委員 そんなふうに御理解をいただきましたら、これから例えば通産省が進めようとする、とりわけ商業集積の整備に関しては、他の省庁もかかわってくるわけでありますから、今までのような経済合理性だけで判断をするというわけにはいかない。どうも消費者利益というと一般的に薄っぺらに価格と品質だけで議論をされる嫌いがあるわけですが、今申し上げたような点は地域生活者利益ということでお互いに認識を一致することができますか、いかがですか。
  92. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 地域生活者利益というものが大変大切になってきているという点において一致できると存じます。ただ、これをどういう手段で実現していくかという点については、それはまた別の問題であろうかと存じます。
  93. 渋谷修

    ○渋谷委員 もう一回。消費者利益という場合に、例えば果たしてこれが適当かどうかわかりませんけれども、消費者にプラスであればそれは最善のものとして何でもしなければならないというような風潮があるのですけれども、例えばテレビの視聴率みたいな話で申し上げますと、視聴率が高ければその高い番組はすべてすばらしい、大臣、そんなふうに言えますか。
  94. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 視聴率は番組の内容を判断する一つのメルクマークにすぎないというふうに思います。
  95. 渋谷修

    ○渋谷委員 同じように消費者ニーズというのも、消費者ニーズが高ければそれに何でもかんでも、商業政策地域政策も従わなければならないということにならないと私は思うのです。やはりそれについての考え方というのはきちんとわかる形で議論をしながら示して、まさに多様な選択ということならば、そこで地域のあり方というものの選択を迫っていくということも必要だろうというぐあいに思うのです。  ちょっと観点を変えますが、今度のこの問題についての発端は日米構造協議、もちろんその前からの経過があるのですけれども、日米構造協議と いうものについて、大臣、これは一体どういうことか、現状どんなふうになっているかということを御説明いただけますか。
  96. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 本協議は、日米両国がそれぞれ構造改善、改革に取り組むということを通じまして、国際収支の不均衡是正に向けて、まずは両国の政策協調努力を補完するということに意味もあるわけでございまして、国民生活の向上を図ることを目指したものであると考えていいのじゃないかと思います。本協議の最終報告に盛り込まれました措置につきましては、両国それぞれが着実に実施していくべきことは当然のことでございますが、フォローアップ会合でも米国産業の競争力強化観点から具体的問題について議論を提起してきたわけでございます。今後とも、本協議が双方向という原則に即しまして、それぞれが最終報告に盛り込んだ措置につきまして着実に実施していくべき努力をしてまいりたいものだと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  97. 渋谷修

    ○渋谷委員 日米構造協議を背景にいたしまして、日本側にはとりわけこの流通問題ということで限った場合に、どんなふうな要請がなされて、それに対してはどういうぐあいに対応しているのか。
  98. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 アメリカ側の日本に対する指摘はかなり広範でございまして、今ここで御審議いただきます大店法改正問題、それから商慣行の問題、系列の問題、それらに関連して独禁法上の運用の問題等々、我が国の流通構造全般について、各般の指摘がアメリカからなされてきたところであります。
  99. 渋谷修

    ○渋谷委員 そうした要求に基づいて我が国がいろいろ対応していく、例えばこの大店法の問題でもそうでありますが、そのことによって一体何がもたらされるのですか。
  100. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 私どもがこの日米構造協議に対応いたします基本的な姿勢は、大臣が申し上げましたように、日米間のいろいろの貿易その他を含む緊張関係がそのきっかけにはなったわけでありますが、それぞれの社会構造、経済構造について、単に日本側だけではなくてアメリカにおいてもいろいろの問題があることを指摘し合いながら、例えば我が国の市場については、アメリカ側の誤解もかなりあると思いますが、日本側の市場が閉鎖的であり不透明であるという点について、より開放的、より透明性をもたらすような市場構造にしていきたい、またそれについてアメリカの理解を得たい、こういう基本的な姿勢で協議をいたしておりまして、昨年の協議の結果、一応の取りまとめがなされておりまして、その後二回にわたってフォローアップ会合が行われておりますが、その過程においても日本側のそうした努力、姿勢については、アメリカ側も相当高く理解をし評価をしておるものと見ております。
  101. 渋谷修

    ○渋谷委員 そうした取り組みの中でよく規制緩和という言葉が出てまいりますけれども、この規制緩和ということについて御説明いただけますか。
  102. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 流通構造の内容について、委員御指摘のように我が国の政府あるいは民間のいろいろのビヘービアにおいて障壁になっておるものがいろいろ指摘されておるわけでございますが、政府が法律その他行政において行っておる内容について、アメリカ側が我が国の市場に閉鎖性あるいは不透明性がある、こういう指摘がなされ、我々もかねてから流通問題についてはいろいろ問題意識を持ってきたところでありまして、例えば一昨年に通産省においては一九九〇年代の流通ビジョンを作成しておるところでございますが、日米構造協議以前においても、我が国の流通構造にいろいろの問題がある、その一つとして規制緩和方向をもっと強めていく必要がある、こういう問題意識があったわけでございます。  この大店法につきまして一つ例をとりますと、大店法の本来の法の趣旨以上にその運用において結果的に規制が非常に強いという問題があることは認めざるを得ない。そういう点で、日米構造協議においても大店法規制緩和日本側が打ち出す方向についてアメリカ側は指摘をし、日本側もその点について規制緩和方向を合意して、今委員会においてお諮りをしておる次第でございます。
  103. 渋谷修

    ○渋谷委員 議論が戻りますけれども、そうしますと、規制緩和ということで大店法規制緩和するということになると一体どういう事態が起こるわけですか。
  104. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 この点は、御提案申し上げております大店法改正案及びこれに伴います私どもの運用改善の基本にかかわるところでございますけれども、ただいま棚橋局長が申し上げましたような過程を経まして、私どもといたしましては、行政手続につきまして不明確な点を可能な限り残さない。それから、例えば行政運営、指導の範囲でございましたけれども、出店の期間というものがややもすればいたずらに長期化するというような傾向もございまして、これを昨年の五月三十日に一年半、そして現在この法改正とともに出店調整期間というものを一年にいたしたいというふうに考えているところでございます。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕  それからまた、これは新しく消費者の声というものをさらにこの調整過程に反映させるべきではないかということを考えまして、大店法改正案におきまして、大規模小売店舗審議会消費者意見を聞くということを新たに法制化をいたしたということもございます。  かような諸般の手段を使うことによりまして、よりわかりやすく、かつ、より迅速に、諸外国の目から見てもいわゆる透明性の高いシステムというものをつくり上げていきたいというのが私どもの対応でございます。
  105. 渋谷修

    ○渋谷委員 私は結果として何がもたらされるかということを聞いたのであって、その間の手続の問題をお伺いしたわけではないわけですね。つまり大型店がより早く出店できるようになるということを結果として期待しているのかどうか、いかがですか。
  106. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 目指しておりますのは調整手続を迅速化するということでございまして、大店法調整の枠組みというものは依然として残すわけでございます。その結果、大型店が早く出店できるようになるかどうかという点につきましては、調整の内容によるということでございまして、調整をした上で出るということが決まりますれば、それは早く出店することになると思いますが、すべての大型店出店できるということではないわけでございます。
  107. 渋谷修

    ○渋谷委員 大店法そのものが、大型店中小小売業者の利害の調整ということが主たる目的ですね。しかも中小小売業者の事業機会を適正に確保する。消費者利益への配慮ということはありますけれども、配慮規定はありません。そうである以上、この法律を例えば手続を透明にするあるいはその手続を諸外国、アメリカあたりの要求に沿ってもっとわかりやすくするということは、つまり今まで以上に大型店が出やすくなるということを意味しているわけでしょう。
  108. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 大型店出店をするに当たって予測可能性が高まるということでございまして、結果として出やすくなるかどうかというところまでを保証しているというものではございません。
  109. 渋谷修

    ○渋谷委員 この辺のやりとりを余りしていても時間が足らなくなりますけれども。  大臣、アメリカ大使館の方々と引き続きいろいろと情報交換をしたり意見交換をしたりしているのですが、流通の問題については、それぞれの国のあるいは地域の歴史的な背景や文化などがあるわけだから、アメリカのやり方をそのまま日本に押しつけられても困るよ、まさかそういう伝統や文化のところにまで物を言っているんじゃないでしょうねという話をしたときに、いや、そうじゃないんだ、やはりそこまで問題にしなければいけないんだという言い方をアメリカ人などはするわけですね。これは私とのやりとりですから大臣が 直接聞いた話ではなくて、例えばそういう意味での日米構造協議ということについて、どんな印象を持たれますか。
  110. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 渋谷委員がお会いになってお話をなさっておるその前向きな姿勢には敬意も表しますが、当然アメリカ側の意見日本意見と相違点もあろうかと思います。  先ほど審議官が答弁になりましたように、そのアメリカの、言うならば店舗をどんどん出したいがために、こちらはそのプロセスをすべて踏んでおり、規制緩和そのものが善であるかのように言うているというわけではないというのは私もうなずけるわけでございまして、じゃなぜ日本だけ規制緩和なんだという方向を持っていくかということになりますれば、大型店を含む小売店舗の出店に関する法制度というものは各国においてさまざまでございます。同等に比較するということは困難でございますけれども、消費者ニーズ多様化等、我が国流通産業というものを取り巻く近年の環境変化というものを考えますと、内外から我が国の流通に関する諸規制緩和を求める要請が極めて高まってきておる。それからまた、大店法規制緩和を行うということは、その点からいっても極めて重要になってきたのではないかと認識せざるを得ないのでございます。  以上を踏まえまして、消費者利益の十分な配慮と手続の迅速性と明確性、透明性確保、こういうことに関する観点から改正を行うこととしたものでございまして、なお街づくりに当たりましては、地域経済商業全体が活性化していくような振興策支援策をもそれに相応してとっていかなければならない、こういう形からこれを推進しているということをまた御理解も願いたいと思うのでございます。
  111. 渋谷修

    ○渋谷委員 地域生活者利益について先ほどああいう形で確認をしたわけなんですが、その後のやりとりをずっと聞いておりますと、大型店消費者利益を代弁して、中小小売商を守る、中小小売業者振興、育成するということは決して消費者利益にはそぐわないというような意味合いに聞こえて仕方がないのですが、これについてはどんなふうにお考えになりますか。
  112. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 渋谷委員御指摘のように、今回大店法規制緩和を行うことによって、あるいは坂本審議官が申し上げましたように大規模店舗の方からはより出店しやすくなるという予測可能性が高まる、結果において今までよりは期間的にも場所的にも大規模店舗出店が増加するかもしれません。しかし、その問題以前に、我が国においても流通構造に大きな変革の波が高まってきておりまして、これはひとえに消費者ニーズ多様化高度化によるものであります。  一つの例として、例えば大規模店舗を排して自分たちだけの商店街を守り切っていこうとしても、大規模店舗が相当離れたところにできれば、先ほど委員御指摘のように消費者利益により合致するものが仮にそちらにあれば、顧客は流れていってしまうということで、ここ十年の間に、後継者難その他の問題もありますけれども、従来型の小売商業のビヘービアだけではそうした時代の流れに抗していけないということから、むしろこの際積極的に消費者ニーズに合った小売商業高度化を図っていきたい、こういう要請が商店街等の商業界から高まってきておるわけでございまして、私どもは、今回の大規模店舗法の改正とあわせまして、特定商業集積法あるいは小売商業振興法の抜本的な改正を通じて、そうした時代のニーズに合った高度な商店街を形成していこうとする方々の要請にこたえよう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  113. 渋谷修

    ○渋谷委員 棚橋さんの話の方がわかりやすいのですけれども、それにもう少し踏み込む前に、大臣が余り時間がないようですから、大臣に。  大臣、日米構造協議に当たりまして、アメリカの文化の方が正しくて、あるいはアメリカのシステムが正しくて、日本のは不透明で、したがってアメリカスタイルに日本を変えなければならない、そんなことを突き詰めていったら、いつの間にやら日本はアメリカの州の一つになってしまうということになりかねないわけですね。その辺については、やはり我が方の主張、我が方のスタンスというものは明確にすべきだと思うのですね。これは何も民族主義的な感覚で物を言っているんじゃないんですが、いかがですか。
  114. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 それは渋谷委員の仰せのとおりでございます。私もまた年来の主張であるとも申し上げてよろしいと思います。むしろアメリカの伝統あるいはまたそこから生まれた産業、これも大事にしてやることも結構でございましょうが、そのパイオニアの精神のいいところを授受したものとは別に、日本の持って生まれた文化、伝統というもののよさもなくしていっては何にもならないんで、私はそういう意味においてフォローアップの会というものの会合は、最終報告に盛り込まれた措置に関する進捗状況のレビュー等を行うことで日米間の合意を得るべきであるということで、その方向に出てきたものでございます。これまで二回のフォローアップ会を開催しまして、例えば日本側措置では大店法に関する運用面での規制緩和、米国側措置ではメートル法導入に向けての対応等、日米それぞれの措置の実施状況についての意見交換を行ってきたというのも、それぞれの持ち味をそれぞれいいところを生かして取り上げていこう、こういうことを志したものだ、こういうふうに御理解賜りたいと思うのでございます。
  115. 渋谷修

    ○渋谷委員 今のお話を伺いながら、アメリカ側の我が方に対する要求というのは非常に具体的なんですね。我が方のアメリカに対する要求というのは、今大臣がおっしゃったようなこともありますが、どちらかといえば抽象的なんです。財政赤字の削減だとかあるいは企業の競争力の強化のために幾つかのことを提案したりしているのですが、きょうはそのことを余りやっているつもりはありませんけれども、例えば行政組織やそういう政府の権限の問題ということで言えば、御承知のようにアメリカの場合は州政府、地方政府が非常に強い権限を持っていますね。この強い権限を持っていることについて、実は企業活動が自由にできないとか、州によっては例えば企業に対する責任の問い方が違うとか、そんなことがあって、そういうことなども実は企業の競争力を高める、強化するということの中ではいろいろ問題になっているようですね。  ところが、日本では、どちらかといえば中央集権的で、後ほどの議論の中でも出てくると思うのですが、なぜ大店法という枠組みを外せないかといえば、これは地域によって、地域の例えば大型店出店に対して対応が違ったりあるいは消費者消費レベルが違ったりしたら困るという感覚でとらえているわけですけれども、私はどうも時代はそういう中央集権的な物の発想、行政組織のあり方から、どちらかといえば、これまでももう既に議論になっているし、やめた小沢さんなんかも新聞などで記事で書いていたのを私は見た記憶がありますけれども、中央集権的な体制から地方分権へ、地方にどんどん権限をおろそうじゃないかという議論があるのですね。これについては大臣どんなふうに考えられますか。
  116. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 私も、これは何もアメリカだけでなくソ連もそうでございましょうが、かつての中央集権主義的から地方分散型、地方の方にむしろ権限移譲型と申しますか、そういう方向にずっと来続けたことは事実でございまして、したがいまして、かつてのブルジョアジー対プロレタリアというような、ああいう構築自体がずっと歩み寄ってきた。ある意味においては資本主義が修正され原点社会主義はもっと修正されてきた、こういう歩み寄りが行われてきたわけでございましょうから、それはそれといたしまして、それはアメリカ州政府が非常に力があることは委員御指摘のとおりでございます。知事の権限もすごいものでございます。しかし、さはさりながら、そこにも弱点がございまして、フェデラルなものが、そういう形が生まれますると犯罪人が一つの州から他の州へ逃げた場合にはそれが免罪符になってしま うというような場合もございまして、全体の大きな意味におけるグローバルなアメリカのユニティーからいくとハーモニーを汚す、かえって傷つけてしまうというようなおそれもあるということをアメリカは最近感じておるような面もないわけではございません。  ということから考えますと、今回の大店法の問題というのは、これはアメリカから押しつけられたとかということじゃなく、日本が自然発生的にこのような受益者保護あるいは消費者方々ニーズというものを考えていったときに、多岐多様にいろいろな形でもってその必要性に応じた環境が生まれかわってきたわけでございますから、それを各知事とも話し合い、また所管産業をいろいろな形でもってコーディネートしておりまする通産省も加味させていただきまして、他の省庁ともお互いに連動をとりながら、その中で最もいい方向に進めていこう、こう考えて今の問題点を提起しておるんだ、こう御判断賜ればありがたいものだと思うのでございます。
  117. 渋谷修

    ○渋谷委員 今大臣のお話の中で、時代の方向としては、イデオロギー的対立などという話は僕はもうそれは時代を超えたというぐあいに思うのです。そして具体的に例えばどこが違うのか、これからやる議論も含めての話なんですが、今大臣がおっしゃった方向で中央集権的な方向から分権的な方向にこれは行かざるを得ない。今アメリカの場合のそういう州政府の権限が強い中でのいろいろな問題点は問題点で指摘されましたけれども、日本の場合は非常に中央集権的な体制が強過ぎて、したがっていろいろ不効率になっている部分があるのですね。規制緩和というならば本来はそこを一番根本問題にすべきだというように思うのですが、そういう中央集権的な体制を分権的な方向に持っていく、今大臣自身がおっしゃったところですが、そういう時代の流れであるというぐあいに確認してよろしいですか。
  118. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 特に今大店法の問題でございますから、ひとつそれに限って申し上げてみますれば、地方公共団体独自規制というものは全国で約千百件にも上っておるわけでございます。そこで都道府県知事へのすべての調整権限の移譲といいますか、移譲になりますると国全体のルールの不統一や規制強化にもかえってつながりかねないという面もないわけではございません。したがいまして、こちら立てればあちら立たずというようなことがよくございますけれども、それと同様に、私どもも地方の出身でございますけれども、地方の分権化は結構でございますが、余りにも知事体系への移譲が高まりますると、これは全国的なレベルから見ると非常にディスティンクティブだな、非常にこの地方はちょっと違ったニュアンスを持ったやり方をしているな、こういう分権主義になってもこれまたいかぬのでございまして、ある意味においては一極集中的な、中央集権的なことよりは言うなれば多極分散であり、なおかつ全体的にわたって分権型の方がいいということは好ましい姿としては映りますけれども、どうかそういう意味においては、都道府県知事へのすべての調整権限の移譲というものが時には国全体のルールをある一面不統一の規制強化につながっていくという点もこれまた御指摘しておかなければならぬかなという感じがするのでございます。
  119. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣も頭の中で混乱しているのじゃないかと思うのですが、基本的な方向は分権的な方向に行かなきゃいけないと言っていたわけでしょう。ところが後ろから紙を渡されて、それを答えたんじゃ後でいろいろと都合の悪いことが出てくるものだから、特に大店法の問題で言えば商業問題は先ほどからの議論で非常に地域性の強いものだ、地域に任せるべきだ、それについていろいろはみ出る部分、これはけしからぬというのは、実は中央集権的な発想なんですよ、本来。  例えばアメリカなんかの場合は、先ほど不都合な問題もあるという話もあったけれども、例えば大使館の人間とやりとりしますと、大型店流通の問題じゃありませんけれども、所得税のない州などもあるのですね。ニューハンプシャー州が所得税がなくて、その隣マサチューセッツ州で働いて所得税のないところに住むなどということが実際に行われているのですね。  それがいい悪いはともかくとして、地域自治体というのは本来そういった意味での独自性があってしかるべきだし、今まで中央集権的な観点で、言ってみれば今度のものは議論の中ではどこにでも同じ街をつくろうなんという発想はもう時代おくれだと思うのですよ。それぞれの地域が非常に特徴のある街づくりをするということが私は非常に重要だと思うのです。特定商業集積法ということをこれから具体的に議論いたしますけれども、そういったことを考える場合も、どこでも同じ箱が建って、どこでも同じ色で、どこでも同じ品物が売られてなどということは、決してこれは発展ではなくて、それぞれの地域に住んでいる人たちにとっては僕は好ましいことではない、それぞれの地域に住んでいる人たちがそれぞれ判断しながら自分たちの住む街を決めるべきだというぐあいに思うのですが、それが分権的な物の発想ではないですか、いかがですか。
  120. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 私の言いますのは、そういうことも意味して言うているわけでございます。すなわち、地域分散型あるいは地域分権型というものになっていきますことは、ある意味において地域の特性をこれまた生かしていけることでございますから、それは御指摘のとおりでございます。しかし、同時に、この商業の集積型というもの自体が、それをそういうキャラクタリスティックなような形でもって店というものができていかなければ、あるいは商業の集積づくりができなければ、かえってその性格的なにおいというものはなくなってしまうのではないか。その性格的なにおいというものの集積した姿を私どもは応援することには県を通してやぶさかではない、こういう方向で考えているということの御認識は賜りたいものだ、こう思っているわけでございます。
  121. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣のお話の中には時々横文字が出てきまして、よくわからないのがあるのですが、今のキャラクタ何とかかんとかティックというのは、これはどういう意味ですか。
  122. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 キャラクタリスティックと私はよく言いますけれども、特徴的といいますか、特色的といいましょうか、性格的といいましょうか、そういう面を生かしていくのには私どもは大いに応援をしてさしあげたい、そのための集積づくりである、こういうふうにお考えいただいて結構だ、こう申し上げたわけでございます。
  123. 渋谷修

    ○渋谷委員 つまらない質問をいたしましたけれども、やはりできれば質疑応答の中では片仮名は省いて、今大臣おっしゃった中でも意味三つぐらい出てきたわけですから、どの意味をとるのかという話になりますので、お互いにそういった点は気をつけた方がいいのではないかなというぐあいに思うのです。  それで、大臣、余り時間がないのですけれども、大型店出店によりまして、まず地域におけるそういう競争関係においては、確かに大型店が出て地域の住民にとっても利便性が高まったとか大型店の持つワンストップショッピング、これは片仮名ですね、一カ所で多様なものが買えるという意味での便利さというのは、昔は日本ではよろず屋というのがありましたけれども、そのよろず屋を近代的に大きくしたものというのが、ワンストップショッピングと言った方がいいですかね、そういう余り日本にはない言葉はしようがないですね。ということでありまして、そういう意味での利便性などはありますけれども、大型店が出ることによって実は不利益をもたらすということがあるのですね、さっき言ったような地域経済に与える影響なども一つありますけれども。本当はこれは重大な問題として議論しなければならないのですが、なかなか議論されていない、行政の方はそれなりに対応しているようでありますが。  市場で、先取りという問題が実はあるのです。大臣、あと何分ぐらいいられますか。――もう数分。じゃ、今ちょっとその先取りの問題について農水省の方から、先取りという現象が出てきた経 過と先取りという実態について御説明いただけますか。
  124. 本田浩次

    ○本田説明員 お答えいたします。  いわゆる先取りの問題につきましては、卸売市場におきます販売開始時間、これは例えば水産物ですと五時ぐらいから、青果物ですと六時ぐらいから取引が行われるわけでございますけれども、その販売開始時間の前に卸売をするものでございます。制度上は、例えば船が港から出港する前に商品を船に載せなければならないというような事態が生じますので、緊急に商品を引き渡すために開設者が卸売を許可した場合について認められるものでございます。  ただ、近年の動きといたしまして、例えば量販店などが開店前に品ぞろえをしたいというような要請が出てまいりまして、そうした事態のもとで、市場の取引時間にとらわれない取引や安定した数量での供給を求める傾向が強まってきてございます。それからもう一つ、例えば交通事情の悪化のもとで、夜間輸送によりまして交通混雑を回避しようとする動きも強まってきております。そういうような点から、主として首都圏などの大都市中央卸売市場の取引におきまして、制度発足当時には予定されていなかった先取りのような取引が進んできているというような実態にございます。
  125. 渋谷修

    ○渋谷委員 幾つかの背景を御説明いただきましたけれども、量販店の進出によるシェアの拡大ということが非常に大きな要素になっていませんか。
  126. 本田浩次

    ○本田説明員 卸売市場における取引につきまして、量販店のシェアが高まってきているのは事実でございますけれども、ただ、交通事情の悪化でございますとか、できるだけ早く品ぞろえをしたいといった要請につきましては、量販店それから専門小売店の間に差異はございません。いずれにいたしましても、そうした最近における状況の変化のもとで取引が進んできているということでございます。
  127. 渋谷修

    ○渋谷委員 これはもう一度時間をとって専門的にやりたいと思いますが、農水省のそんな認識では、これから先、市場の機能がもしかしたら失われるかもしれないという現状に今直面しているわけですから、少なくとも私が市場関係者から聞き取り調査をした限りにおいてはそうじゃないのですよ。大型店がどんどんシェアを拡大しまして、仲卸を通じて例えば品物の七割、八割先取りして、競りにかかるのは三割を切っちゃうという状況にあるのですよ。中には全部を仲卸を通じて持っていっちゃう、これはある市場の事例です、具体的に私は聞き取りをしましたけれどもね。その全量先取りが発覚したため、市場のルールでその仲卸の社長が一日入場禁止処分を受けたりしているのですよ、従業員は警告処分。  農水省、そういう事例はありませんか。量販店が背景になって、その日にちまではっきりしているのです、三月二十三日。これはある市場、言いません、またさらにいずれ具体的にやりますから。ホウレンソウを全量先取りし、社長、社員とも一日入場禁止処分、あるのです。量販店が出て、例えば今の先取りについて、大臣が余り時間がないのでやりとりしていられないのですけれども、七割くらいまでだったら残った量で競りをかけまして、その最高値で先取りの価格を決めるのですよ。ところが、全量を大型店が仲卸を通じて持っていっちゃったら、価格をどうやって決めるのですか。競りで決められないじゃないですか。こういう事情が起きているのです。  これは東京都内でも同じです。きのうも僕は選挙をやって走り回りながら八百屋さんなどを回ってきて話を聞いてきましたけれども、違反なのは十分承知だからこそ夜中の二時、三時に荷を引くのが日常になっている、こういう実情なんです。大型店が出れば、それは大きい建物ができて、利便性が高まるように見えるけれども、一方で市場の機能の中で結果として高いものを消費者が買わざるを得ないような市場機能の硬直化、これは経済用語で言うと価格の硬直性というのです。こういう状況があるのです。大臣、いかがですが、どう思いますか。
  128. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 この卸売市場の問題は、これは実は私も、二十一年前でしたけれども、かかわった当の本人なんです。それで、これは農林省でも相当に強くやったのですが、例えば私の県の中心部にも卸売市場はそのときにつくりました。その結果、今言うたような二面性はありますけれども、今非常に円滑に順調に進んでいる、これもまた見逃すこともできません。  そういう点においては、一面、側面的なものだけを見て判断はなかなか難しいのでございますが、大型店中小店を問わず、卸売市場における先取りという問題につきましては、基本的には卸売市場法に基づく競り売りまたは入札の原則との関連で検討されていくべき性格のものではなかろうか。そういう意味では、通商産業省といたしましては、農林水産省と今後とも十分に協議をしながら、これは適切に対応していかなければいけない、このように考えておることを申し述べたいと思います。
  129. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣、もうあと時間がないようですけれども、私は一面だけ切り取って議論をしているんじゃないのです。これはたまたま市場の機能の話、前回にここでやりましたときには、先ほど言いましたように、大型店が出て商売をやって稼いだものをその日のうちに本社に送金、地域で資金循環しないとか、そういう問題があるわけです。トータルに議論したっていいです。ただ、要は大型店イコールすべて善だという前提に立っての議論はぜひやめていただきたい。現場に行くと、あなた方はここでの議論でわかりますけれども、役所の末端に行けば中小小売業者を守ることは消費者利益に反すると思って行政指導、行政の運用をやっているわけですよ。だから、大店法の大枠は変わらないといいながら、現場では、もう大店法は廃止されたと同じだから、大型店出店に反対したって、あるいは意見を言ったって、むだじゃないかという状況に現状はもうなっているじゃないですか。こういった基本的な問題は大変重要な問題なんですよ。それについて最後に大臣に一言お答えいただいて、次に移ります。
  130. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 時間がございませんで多くを語ることができませんが、どうかそういういろいろの御研究なさった問題は私どもも聞かせていただき、またいろいろな意味で甲論乙駁、御意見を交わすことはやぶさかではございませんけれども、私どもの先ほど来述べておりまするそういう点をも十分に考慮賜りますように心からお願いいたしまして、この場を去らせていただきます。
  131. 渋谷修

    ○渋谷委員 そこで、一方で大店法という、私の言葉でいえばむちを与えまして一部改正、あるいは輸入特例法も後ほどやりますが、それだけだと現場の中小小売業者の反発を食うということがあるんですね。あめを与えるための法律特定商業集積法、それに関連する中振法と民活法ですね、これを準備しているわけです。  この特定商業集積法に基づいて商店街整備などもやっていこうということになるわけですが、これについては、この法律を一読しても、多分役所の方でも簡単になるほどよくわかったということにはならないと私は思うのです。私も何度も読みまして、それから後半の支援策の部分を読みましても専門的過ぎて具体的にイメージがよくわかないということがありますので、私の方からちょっとモデルケースを想定しまして、それに対して、この特定商業集積法に基づいてどう運用され、どういう具体的な支援策が講ぜられるのが、詰めた話をしてみたいと思うのです。  ある市、A市という市を想定します。人口は二十万でも三十万でもいい、そこには商店街が幾つかある。駅があって、その商店街の真ん中を線路が走っている、どこにでもよくあるような街ですね。線路の左右に直角にそれぞれ二百店舗ぐらい商店街が並んでいる、線路を境にいたしまして商店街振興組合が大体形成されておりまして商店街が展開している。郊外にも大型店がどんどん出てきまして、やはりこれは昔ながらの駅を中心にし た商店街なものですから、交通の問題、道路が狭かったりあるいは駐車場の問題があったりいろいろしますので、これについて二つの商店街振興組合が共同いたしまして、よし今度こういう法律ができる、こういう法律ができるんだから、ぜひこれを大いに活用して商店街整備を図りたいということを考えた場合、そのときの前提として幾つか取り組むことのできる今度の商店街の基盤整備といいますか、その中に出てくる項目などがあろうかと思うのですが、そういったことを説明していただきたい。  それから、これは中央を鉄道が走っておりまして、あらわになって走っているものですから、商店街が分断されて、地域が分断されて困る。そこで、この鉄道を地下化しまして商店街一体化した形での発展を図りたいというようなことを大まかには考えているんですね。しかし、具体的にこの法律にのせていこうとすると、まずは粗っぽい、目に見えるようなどういう計画にするかということが必要になってくると思うのですが、商店街振興組合としてその調査をする場合に、まずは調査だと思うのですが、支援策というのは具体的に何がありますか。
  132. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 御指摘ございましたように、商店街活性化をする場合に計画づくりが非常に重要になってくるわけでございます。要は、商店街にとりまして、顧客の心をつかみ、また顧客の利便を増進するというために魅力ある商業集積をつくっていくことが大事でございまして、そういう意味では、コンセプトをつくりましたり、あるいは商業基盤施設、商業施設、イベント事業等々を一つの計画といたしまして、関係者がコンセンサスをつくりまして構想をつくっていくことが大事であるわけでございます。私どもといたしましては、御指摘の商店街振興組合がこういった計画をつくります場合に積極的に支援をしていく考えでございます。  具体的には、まず平成元年度の補正及び平成二年度の補正でおつくりいただきました中小商業活性化基金でございますが、これをフルに活用していただくということに相なるわけでございまして、金額的には平成元年度五百二十億、平成二年度に六百億で、全体としまして千百二十億のお金を都道府県の公社に配付をする形になっております。その配付をされた基金の果実をもちまして、一商店街当たり最高二千五百万円まで配付をするわけでございます。この資金をベースにいたしまして、商店街は、みずからの商店街をどのように活性化していくか、活性化計画をつくっていただくわけでございまして、この商業活性化基金がその基礎になるわけでございます。  また同時に、そういった計画をつくります場合に、中小企業事業団に、全国でただいまでは二百四十人程度でございますが、いわゆるアドバイザーを登録していただきまして、このアドバイザーの方は商店街活性化に関する高度で専門的な知識と経験を有する方でございまして、これらの方々商店街からの依頼に応じまして各商店街に派遣をされるということで、この計画をつくる場合のベースは当然商店街のみずからの創意工夫が基本になるわけでございますが、それを側面から助言、指導するということで専門家も入りまして、その地域に個性のある計画をつくるということを役所といたしましても全面的に支援をする考えでおるわけでございます。
  133. 渋谷修

    ○渋谷委員 質問項目がたくさんあるので、質問した内容にできる限り細かい形で簡単にお答えいただけますか。  今の質問は、こういうケースで商店街振興組合としてともかく粗っぽい計画をつくらないと議論もできないから、しかし調査するとなると専門家に頼んで費用もかかるだろう、その費用については支援していただける方策があるのか。今御答弁いただいたところで、そういった調査費については面倒を見ますということなんですか、いかがですか。
  134. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 全額であるかどうかはわかりませんけれども、かなりの部分についてこれで支援できると思っております。
  135. 渋谷修

    ○渋谷委員 そうしますと、かなりの部分を支援していただいて、本当はパーセンテージか何割とかということでお話しいただけるとありがたいのですけれども、支援していただいて調査をいたしました、それで具体的に進めていこうということになったときに、この特定商業集積法に基づいてより具体的な調査をしなければならないということになった場合に、これは対象は今申し上げました商店街振興組合ということですか、あるいは他のところになるわけですか。
  136. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 先ほど高橋長官が申し上げましたのは、御承知商店街中心ですが、組合中心ですが、こちらの特定商業集積法の対象になりますものは、組合と、それから中小小売業者大型店を誘致して第三セクターを設立していく場合の組み合わせのケースと、両方ございまして、制度的には中小小売商業者大型店地方公共団体等が出資して第三セクターを設立することは当然可能であります。
  137. 渋谷修

    ○渋谷委員 余り幾つかのモデルをふやしてやりますと時間がありませんから、一つのモデルだけにしましょう。  第三セクターということで、商店街が入る、それから自治体も関与する、それから鉄道の地下化ということも考えているものですから民間鉄道会社もこの第三セクターの中に入れたい、それから商店街に既にそれぞれ一個ずつ大型店が出ていますから既設の大型店をこの第三セクターの中に入れたい、そういうぐあいにして第三セクターを構成した場合に、特定商業集積法に基づいて、あるいはこれと関係なく、例えばここに調査費がつくのですか、いかがですか。
  138. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 提出しております法律案考え方は、第三セクターへ調査費を出すのではなくて、市町村に対し基本構想の調査費を補助する、こういう考え方でございます。
  139. 渋谷修

    ○渋谷委員 市町村にそういう調査費がつく、そうしますと市町村が第三セクターと連携してやらなければなりませんよね、実態上は。やりまして調査をいたしました、そして計画ができまして、しかしそれは並行して基本構想ということで整理をしていかなければなりませんね。それまでの間の手続とか、あるいは基本構想になった場合に、その第三セクターというのはそれと並行してどういう作業をする必要がありますか。
  140. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 御指摘のケースですと、組合があり、第三セクターがあり、つまり大型店が入って一諸になってやっていこう、こういうケースだと思います。その場合は、確かに、御指摘のように、第三セクター、これには地方自治体、小売業大型店、場合によるとさっきの鉄道なども入ってまいります。そういう人たちのいろいろな考え方商店街組合の考え方、これをいろいろ協議してまとめていただいて、それを市町村が基本構想の中に組み入れていくということになるわけでございまして、手続的にはこの法律の第五条第二項に定められております手続によることになります。
  141. 渋谷修

    ○渋谷委員 それでは、さっきの前提としてお聞きしてもいいのですが、フルメニューでいきましょう――片仮名ではまずいんだ、全部を対象とさせていただくということでいきましょう。  店舗の改装もやらなければなりませんが、駐車場もつくる。アーケードは片仮名でしようがありませんね、カラー舗装、イベント広場というのは通産省が言っていますから、コミュニティーホールもつくる、それから最近の美観でいえば電線の地中化も図りたい。道路が狭いものですからいつも荷物をおろしたりあるいは搬入したりということでお客さんとの間にトラブルがあったりしますから、そういう搬入、搬出について共同物流センターも設置しましょう。そういうとりあえず用意されているようなことを全部やろうということで欲張って計画を考えるという場合に、この基本構想を実施していくときに、第三セクターに対して具体的な、今申し上げました施設ごとに補助金あるいは融資その他債務保証等、そういった支援策 について御説明いただけますか。
  142. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 ちょっとお許しをいただいて、少し長くなりますが、余りにもケースが膨大ですので、お許しをいただきたいと思います。  まず、委員御指摘のように、仮に商店街振興組合と大型店地方公共団体等の出資による第三セクターが共同して、しかも民活法に基づく認定を受けて、かつ商店街振興組合が同時に御提出しております中小小売商業振興法改正後の法律に基づく認定を受けたという場合でございますが、この場合に当該商店街振興組合と第三セクターがどのような支援策を受けるかという御質問かと思います。  これは本来は図でお示ししなければいけないわけですが、お許しをいただきまして、まず法律的には商業集積法の基本構想の対象になる、民活法の認定を受ける、小振法の認定を受けるという前提でいろいろの支援策が講ぜられるわけでございます。まず商店街振興組合に対する支援策としては、商業基盤施設、つまり商業施設の周辺にありますコミュニティーホール、アーケード、先ほど御指摘のカラー舗装、イベント広場等のコミュニティー施設に対しては、施設整備費の二分の一の補助が国と都道府県から行われますので、合計五〇%の補助が国、地方から行われます。それから、この商業基盤施設にもう一つのタイプがありまして、共同物流センターあるいは共同で使う研修施設などの共同的なものにつきましては、施設整備費の五%の補助金を国及び都道府県から交付をいたします。この二つのタイプのいずれにつきましても補助金以外の所要額につきまして、例えば先ほどのコミュニティー施設につきましては、国、地方自治体が五〇ですから、残りの五〇の八割、全体のウエートでは四〇%の部分について中小企業事業団の無利子融資が出されます。それから税制上は一二%の特償、事業所税及び特別土地保有税の非課税措置が行われる。非常に手厚い内容になっておるかと思います。  以上が商業基盤施設でございます。  それから、物を売り買いする商業施設そのものにつきましては、施設整備の所要額につき八〇%までが中小企業事業団の無利子融資の対象になります。税制上は、八%の特償、事業所税、特別土地保有税の非課税措置は同様でございます。  それから、委員御指摘の第三セクターに対する支援策としましては、これも二つに分かれまして、商業基盤施設に対しては、これは大型店舗が中心になる部分でございますので、補助金のウエートは非常に低くなりますが、施設整備費の五%の補助金を国及び都道府県により交付をいたします。これは両方で五%でございます。補助金以外の所要額につきましては、最高五〇%までのNTT・Cタイプ、つまり無利子融資の対象になります。それから開銀融資、これが二〇%の開銀融資が行われます。これは無利子じゃありません。現在六・六%の開銀のランクの時利五の対象になります。それから、商業施設につきましては、施設整備の所要額につき五〇%までの開銀等の低利融資、特利五が行われます。  これらいずれにつきましても、第三セクターに関してもあるいは商店街振興組合に対しましても、民間金融機関からの借り入れに対する債務保証、それから細かいことですが、特定商業集積の用に供する土地を譲渡した人に対しましては千五百万円の譲渡所得の特別控除措置という支援措置が講じられます。
  143. 渋谷修

    ○渋谷委員 それで、この整備に当たって道路とか街路、公園、下水道といった公共施設設備について、建設省の方の支援策、調整策なんですが、これはいかがになっていますか。
  144. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 建設省支援策でございますが、私どもも商店街活性化ということは平成三年度からの重要事項と考えておりまして、一般の公共事業の予算の確保のほか、駐車場対策とか景観、アメニティー対策を進めてまいりたいと思います。具体的には、街路、道路ですね、公園再開発等、各種公共事業の推進ということがございますし、駐車場につきましては、新年度から商業者等が共同して設置する駐車場に対する補助制度の創設も行いましたし、道路管理者がみずから駐車場をつくる場合の補助制度の創設も図りました。さらに、その地域商店街活性化のための各種の景観、アメニティー施設と申しますか、そういった補助制度につきましても、あるものは創設し、あるものは拡充してまいりました。  以上でございます。     〔甘利委員長代理退席、額賀委員長代理着席〕
  145. 渋谷修

    ○渋谷委員 この商店街一体的に整備される公共施設について全体として千五百億円の補助金を確保しているという、今金額は出てきませんでしたけれども、そんなふうに伺っているのですが、施設に具体的にどんなふうにこれは配分することになるのですか。
  146. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 今渋谷委員の御質問は、千五百億に絡んだ話かと思いますが、おおむね既存の補助体系のもとでも道路、河川、公園、再開発などに何とか平成三年度は千五百億くらい回せるのではないか。これは具体の場所の話は、御承知のとおり、各年度の具体のプロジェクトが出てくる段階で自治体と話し合いを進めるということになります。  千五百億の内訳は、例えば、随分丸い話で恐縮ですが、道路関係で千三百億強とか、再開発絡みで百億程度、あるいは公園で十億とか、そういった腹づもりを一応従来からの経緯などを踏まえて持っておりますけれども、具体にどういう額になるかということは、従来の公共事業の配分の中で新しい平成三年度の額は決まってくる、そういうことでございます。
  147. 渋谷修

    ○渋谷委員 法律の十七条に、公共施設の整備については、最後の結論部分だけ申し上げますと、これは配慮するということになっておるのですが、配慮というのは、こういう特定商業集積整備するという事業が具体化してきましたら優先的に配慮するということなのか、それとも、今お話がありましたように、他の事業、何も特定商業集積だけじゃない、ほかにもある、これは並列であって、これだけを特別扱いできませんよということなのですか。いかがですか。
  148. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 法律では配慮するという形になっております。優先的にというのは、排他的にという意味でとられますと優先的という表現は適当ではないと思いますけれども、いずれにしましても、大店法改正の動き、こういう中で商店街活性化というものは建設省にとりましても重要な事項だと考えておりますので、そういった地域でのプロジェクトに重点的に予算が回るような配慮をしていく、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  149. 渋谷修

    ○渋谷委員 規模にもよりますけれども、今一つの前提としましたような特定商業集積整備というのは、これは相当規模の大きいもの、つまり鉄道の地下化なども想定をして話をしておるわけでありますが、そうなると一年とか二年で簡単に事が済むということにはならない。後ほど建設省の方から市街地再開発車業と特定商業集積整備の違いというのをお聞きいたしますが、それはちょっと後ほどにいたしますけれども、どうしてもこの事業は各地で計画が上がってきて具体化するまでに相当の期間を要する。あるいはそれぞれ調査をして具体化するために相当期間がかかるということでいえば、当然ばらばら五月雨で、いろいろな計画が出てくるということになりかねないのです、なるはずだと思います。そういうことでいうと、これは平成三年度だけじゃなくて、今後ともずっと継続するというぐあいに考えていいのですか。
  150. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 商店街地域づくりを面的に広域的に開発していくということになりますと、かなり時間がかかります。今先生御指摘の再開発事業でもそうですが、例えば区画整理事業を仕組みましてもかなりの年数がかかると思います。五年とか十年かかることはよくあることでございます。したがいまして、年数といたしましては平成三年度以降そういう姿勢を続けていくとい うことでございます。
  151. 渋谷修

    ○渋谷委員 それでは、自治体でそういう構想を設けまして事業を進めていくのですが、例えば区であれば区営の駐車場をつくるとか、あるいは実際に基本構想をつくる自治体が道路や公園を整備をするという場合に、これは自治省との関連になりますね。自治省としては、これについてはどういう支援策を考えているのか。
  152. 松本英昭

    ○松本説明員 お答えいたします。  自治省といたしましては、法律に基づきます事業、それから地方が単独で実施いたします事業、この二つに区分いたしまして支援策を考えているところでございます。  まず、法律に基づきます方につきましては、先ほども出ておりましたが、基本構想策定に要します経費、その部分の地方負担分につきまして地方交付税で措置を講じますほか、特定商業集積整備に係る国庫補助事業に伴います先ほどの府県の負担部分、その部分につきまして、これまた交付税で措置を講ずることといたしております。そのほか不動産取得税や固定資産税の不均一課税にかかります一定のものについて地方交付税による補てんを行う、こういうことを考えているところでございます。  それから、地方団体が独自にそれぞれ創意工夫を凝らして単独事業として実施していただきます商店街振興のための事業につきましては、新たに商店街振興整備対策という事業を考えまして、その中で地方が単独でおつくりになる計画についての地方交付税措置、それから商店街の魅力を高めるためにいろいろイベント等の共通事業を実施されますので、そういう事業に要します経費についての交付税措置、それから三番目は、いわゆる建設事業、公共施設の整備を単独でお進めになる場合には、地域総合整備事業債、これは元利償還金の一部を財政力に応じて交付税で措置するというものでございますが、そういうものを活用いたしまして、積極的に支援をしてまいる所存でございます。     〔額賀委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 渋谷修

    ○渋谷委員 十九条で「地方債についての配慮」という規定になっていまして、自治省の方でもいろいろ考えているということなんですが、この地方債に関する規定は具体的にどういう経費を対象にしているかということと、それから、これは単に特別の配慮をするという表現になっているのですが、例えば起債の元利償還にも手厚い支援策を講ずるべきではないかというぐあいに思うのですが、いかがでしょうか。
  154. 松本英昭

    ○松本説明員 お答えいたします。  地方債の配慮規定につきましては、ただいまちょっと申し上げましたが、いわゆる承認基本構想を達成するために行います公共施設の建設事業に要する経費、その国庫補助負担事業に係る地方負担額に加えまして、地方単独事業費につきましてもそれぞれ地方債で配慮してまいるという考え方でございまして、具体的には駐車場とか公園とか緑地とか公共ホール等、そういうもの万般に及ぶものでございます。  元利の交付税への算入のことにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、単独事業につきまして地域総合整備事業債という起債を認め、その元利償還金を財政力に応じまして元利償還の必要な年度において交付税措置をしてまいる、こういうことでございます。
  155. 渋谷修

    ○渋谷委員 もう少し一貫した質問をしたいのですが、余り時間もありませんので、ちょっと具体的なことでお伺いしておきたいのです。  運輸省の方、来ていただいていると思うのですが、先ほどから鉄道の地下化という話をしておるのですが、鉄道があるために商店街が分断されて、なかなか一体となった商業活性化ができない。あるいは特定商業集積整備ということにつきましても、交通手段、交通アクセスと商業集積の形成というのは非常に密接にかかわっているのですね。今度は三大臣が、これは通産と建設自治省ということになっていますが、なぜ運輸大臣が入らないのか、私は実は不思議でならないのです。たまたま一つの事例として鉄道の地下化という話を申し上げましたけれども、この辺について運輸省としてはどういうかかわり方ができるのか。あるいはこういう形で地下化するという場合に膨大な費用がかかりますね。これについては運輸省としては何らかの支援策を講ずることができるのかどうか。
  156. 山田隆二

    ○山田説明員 お答えいたします。  今先生御指摘のように、鉄道の地下化といいますのは大変な事業でございまして、今全国各地で行われております鉄道のいわゆる地表から分離して道路と立体交差をするという事業がございますけれども、その中では一般に高架で行うことが多うございます。これは実際にはその工事の費用が地下に比べて非常に安いということから、そういう選択が都市計画事業者及び鉄道事業者との間で協議をしている段階で選択されているわけでございます。その際にも、高架にすると日照問題とかあるいはそういう問題を解決するための関連側道といいましてその高架に沿って道路を整備することも考えるのですけれども、そういうことができないとかということがありましたときには、線路の周辺の土地利用とかあるいは地下と高架のコスト比較とか、いろいろなことを勘案いたしまして、地下化の方でやむを得ないということになりましたときに地下でやっている、そういう事例が中にはございます。  そういうことで、仮に鉄道を地下化するということで選択をされたとしましたときに、それは都市計画事業として大部分の費用を都市計画側が負担して行っておりますので、その計画段階で今おっしゃいました特定商業集積地域整備のための計画と調整をとるといいますか、そのことが重要なのではないか、こう思っております。そういう意味で、そういう段階で鉄道事業者を私どもとしてはいろいろ指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  157. 渋谷修

    ○渋谷委員 関連して、ちょっと具体的な話で申しわけないのですが、東京では国電も、今はE電というのですか、あちこち走っておりますし、民間鉄道も走っております。その中で、大分立体交差したり立体化したりしていますけれども、東武東上線が地下化あるいは高架化するという話をちょっと聞いたのですが、これは運輸省としては何か具体的にそういうことを聞いているかどうか、あるいは運輸省として何か取り組んでいることがあるかどうか。
  158. 山田隆二

    ○山田説明員 お答えいたします。  今御指摘の東武東上線と道路との立体交差化計画でございますけれども、私どもが鉄道事業者から聞いておりますところでは、現在、東京都の単独で行う調査として、平成二年度、三年度の計画で行っている、こういうふうにお聞きしております。先ほども申しましたように、鉄道を高架化あるいは地下化するという連続立体交差化事業は、建設省所管の都市計画事業で行うことになっておりますので、東京都の調査が終了した後に東京都と建設省の間で今後所要の検討が行われて事業化等へ進んでいくというふうに考えております。私どもとしては、本件の連続立体交差化事業計画につきましても、今後の具体化の方向に向けて、鉄道事業者に都市側に十分協力するよう指導してまいりたいと考えております。
  159. 渋谷修

    ○渋谷委員 建設省に伺いたいのですが、一方で市街地再開発車業ということでほとんど似たようなことをやっておりますね。私の経験などでも、例えば、駅の非常に古くなった商店街を中心にして一つ地域を再開発を行って、大きい建物を建てて、そして大型店を誘致する、それから、もちろん小さい店舗は権利変換をしてその中に入る、それで周辺の道路が整備され、広くなって、公園などもできるというようなことなどがあるわけですけれども、この市街地再開発車業と今度のこの特定商業集積法、その違いは一体どういうことになりますか。
  160. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 本法の特定商業集積法律は、市町村の構想に基づき、具体の店舗商業基盤施設、それから関連公共施設、そういったもの を計画的にやっていこうということなのですが、具体の事業手法としては、従来からございますように、今渋谷委員御指摘の再開発事業などはかなり代表的な事業手法だと思います。  再開発法に基づく再開発事業が当面そういう問題になりますが、先ほどもお話がございましたように、区画整理事業、これは基盤整備事業の一つですけれども、これも商店街活性化のためには具体の手法として使える手法です。それから、個別の公共事業の実施も当然のこととして使えます。それ以外にもいろいろ使える手法がございますが、その具体の手法の法律に基づくものがそれぞれの事業でございます。そういったものを含め、三省協力のもと、市町村の構想で総合的、計画的に商店街活性化をまとめていこう、そういうことでございます。  したがって、その助成策につきましては、ある地区につきまして再開発事業の構想のもとに行っていくということになりますと、再開発法に基づく補助制度が当然利用できますし、それ以外に特定商業集積ということになりますと、この事業に見合う国の援助策が加わることになる、そういうことでございます。
  161. 渋谷修

    ○渋谷委員 今お話がありましたように、市街地再開発法を充実させる形でこうした問題について対応できないわけではない。何で特定商業集積法という法律を新たにつくらなければならなかったか。三省共管でそれを積極的にバックアップしようという話は、話としてはわかりますけれども、そんなに説得力のある話ではないと思うのです。なおかつ、市街地再開発事業でも、期間でいえば二十年も三十年もかかるというケースがあるのです。一応これは特定商業集積法という法律を用意しましたが、とりわけ権利が地権者などの権利を含めて錯綜している例えば商店街などで新たな商業集積をつくる、それも再開発にほとんど匹敵するような特定商業集積整備を行っていこうとなれば、それは相当の期間を要さざるを得ないと思うのです。ところが、この法律が出ているために、先ほど座っていた参考人方々も、いかにも簡単にこれで商店街支援策が講ぜられると、つまり私に言わせれば、あめをいただいたというぐあいに錯覚しているのです。これについてはどう思いますか。
  162. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 内藤建設省審議官から今お答えがあったように、確かに、市街地再開発事業あるいは区画整理事業の観点での商業政策も従来からあったわけでございます。  それで、今回の特定商業集積の場合も、地価の問題等によりたまたま権利関係が非常に複雑な場合には市街地再開発事業でいくというケースも出てまいると思います。しかし、今回この法律で考えております一般的なケースの場合には、市町村が中心になりまして、もちろん当該事業者、小売商業とか、場合によると大型店舗が一緒になって新しい地域に共存共栄の商店街をつくっていこうという構想が中心になるわけでございますので、しかもそれは公共施設と一体的にやっていこうということでございますので、そういう商業政策を最重点に考えた政策でございますから、従来よりはこの事業の実現が迅速化されるものと私は考えております。もとよりいろいろの利害が絡むわけでございますので、簡単ではございませんが、関係者がよくお話し合いになって、意見がまとまれば大いに迅速化した実現が期待できる、そのために建設省自治省、当省、あわせていろいろの支援を行っていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  163. 渋谷修

    ○渋谷委員 時間が余りありませんので、そこをまた突っ込んで聞くことはやめにいたします。  そこで、ちょっと観点を変えまして、ここの質問の中で大店法とも商業集積法とも何も断らず一緒に議論してきたのですけれども、大店法の一部改正輸入特例法が、これは法律の中にもありまして、関連しているのはよくわかります。法律の中にも明記されております。それから、特定商業集積法と民活法と中振法、これも関連しているのはよくわかります。しかし、この三法と上の二法、通産省から三月に持ってきた資料では、こういう線を引き、矢印をかきまして、いかにも関連性があるようになっておりますが、内閣法制局法律的な意味での関連性はございますか。
  164. 越智正英

    ○越智政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御審議いただいております五法案のうちで、まず大店法輸入品専門売場設置に関する大店法特例法というのは、まさに一方が他方の特例という関係という意味法律的な関係がございます。それから、特定商業集積整備促進に関する特別措置法案につきましては、いわゆる民活法の一部改正中小小売商業振興法の一部改正、この二つを前提として条文が構成されているという意味法律的な関係がございます。  そこで、ただいまの前の二法案と後の三法案の関連でございますが、今申し上げましたような意味での法案相互の特例関係あるいは条文相互の関係といったものは特にございませんで、今申し上げましたような意味での法律的な関係はないと言えると思います。しかしながら、前の二法案によります、いわゆる規制緩和というものによる影響を受けるおそれのある中小小売商振興を特に図ろうという意味で後の三法案立案されているということで、政策的な関連はあるというふうに承知をいたしております。
  165. 渋谷修

    ○渋谷委員 政策的な観点はわかるんですね。法制局は法的な観点からのみ答弁してもらえばいいのですが、法的な関連性、実はこれは、委員長、ないのです、二法と後の三法は。だから私は一括審議するということ自体がどうもこれはおかしいというぐあいに実は考えていたのですけれども、多分政策的な観点では一体だということ、政策的な観点一体だからといって、では特定商業集積をあれほどの手続や手間暇や金、税金をかけて一方でやる、その周辺に、例えば工場跡地にぽんと大型店が出てくる、これはよくありますね、最近でもあります。  ついさっき他の国会議員とも話をしていましたら、それこそ一つ地域に十万平米ぐらいの店舗が次から次へと出店計画が出てくるケースがあるんですね。そういう計画が出てきたものですから、駅前の出店計画がオジャンになるなどという話もあるんです。特定商業集積をこうした形で一生懸命やってつくって、一方では大店法上のいわば調整手続はこの特定商業集積法とは何ら法的な関連性がない。政策的な意味での一体としての審議ということであるならば、具体的にはこれはどういう配慮ができますか。
  166. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 渋谷委員御指摘のケースは、私なりに理解しますと、例えばこの特定商業集積市町村が中心になって構想をした、その近辺にそれと全く無縁というか関係なく大型店が進出をした、その両方の調整がどういうことになるのかという御指摘ではないかと理解いたしております。 確かに、この法文上、それについてどちらの法律にもそれを調整できるような関連はございません。ただ、現在私どもの提案しております特定商業集積法の中で、そういう市町村構想の商店街づくりを阻害するような大型店が出てきた場合にそれを規制するような規定を置くことは、先ほど御提案しております大店法規制緩和の経緯、趣旨から見て、それと背馳することになるので、私どもは適当ではないのではないかと考えております。  ただ、これは御承知のことで恐縮ですが、そういういろいろな背景を前提にして、今法制局越智部長からお答えがあったように、政策的な関連づけ、つまり積極的に高度の商店街をつくっていこう、そういう方たちを、市町村が中心になっていろいろの、商工会議所、商工会、地元関係者意見を聞いて基本構想をおつくりになるわけでございますので、その過程において、あるいはその内容において、その周辺との調整は実際的にはいろいろ図られていくことを期待しているわけでございます。
  167. 渋谷修

    ○渋谷委員 規制というお言葉をお使いになりましたけれども、私は規制的な条項を設けてくれなどという話をしているのではないのです。これだ け税金をかけ、みんなの労力をかけ、個々店に対してももちろん借金もさせなければいかぬでしょう、そういうことでの取り組みをしているのに、一方では周辺への大型店出店がどんどん行われる、そうしたら、そうした努力が陳腐化することだってあるのじゃないですか、これは調和が必要でしょうという意味で申し上げているのです。  そうした観点から、実は社会党案の中には、この大店法の一部改正商業集積法、これと関連させるように、そうした計画に配慮をするように規定を設けているわけです。それは、その方が実はその意図が、今おっしゃったような政策的な面で一体として一括として審議しているわけですから、そういうことでいえば、そういう意図がより明確になるではないですかということを実はあえて申し上げているわけなんですが、もう質疑時間はなくなりましたから、また改めて来週、先輩議員からもし時間をもらえれば、その辺について大臣がいらっしゃるときに詰めてみたいというぐあいに考えております。  以上です。
  168. 奥田幹生

    奥田委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後二時三十五分休憩      ────◇─────     午後四時二十分開議
  169. 奥田幹生

    奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。二見伸明君。
  170. 二見伸明

    ○二見委員 これから質問をお願いするわけでありますけれども、建設省関係は何か私だけで終わりのようなので、あとの方が建設省を要求されていないということなので、冒頭にお伺いをして、そうすれば大変時間の節約になるでしょうから、というふうに思っております。  それで、実は今回の法改正に伴いまして、私どもにこういう要請が来ております。それは、消費者の購買態様がカーショッピングに大きく移行しているのに対応して、各地域所在の中小小売業者が共同または集団で商業施設をつくる場合に、現在の都市計画法でいきますと、これは市街化調整区域にそういう施設をつくりたいという場合ですね、三十四条の五号では、「都道府県が国又は中小企業事業団と一体となつて助成する中小企業の事業の共同化又は工場、店舗等の集団化に寄与する事業の用に供する建築物又は第一種特定工作物の建築又は建設の用に供する目的で行う開発行為」、この場合にだけ認められるわけですね。中小企業の中には、いわゆる高度化資金を借りないで自分たちの自助努力で、自分たちの力だけでもって何とか共同の施設や何かをつくりたいという意向を持っている中小企業中小商工業者もいるわけです。そういう人たちの立場からいきますと、この三十四条の五号の規定では、当然これは調整区域では開発行為は許可されませんね。だから、そういう人たちにとってみれば、中小商業活性化基金の果実あるいは補助金及び調査費等を受けて策定する計画と、小売商業振興法による認定に基づく事業についてもこの三十四条の五号で読めるようにしてもらえないか。本条項に該当するものとして開発許可を与えてもらいたいという強い要請も来ているわけであります。これは建設省の管轄でございますので、この点については建設省としてはどういうふうにお考えになっているか、こうした点の配慮というものができるのかどうか、御見解をお示しいただきたいと思います。
  171. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 なかなか込み入った御質問なんですが、開発調整区域はスプロールを防止するための線引きの結果が調整区域ということで、調整区域の中で開発許可し得るものは限定列記されているのが状況です。今先生がお話しになりましたように、三十四条の五号は、おっしゃるとおり、かなり限定的な表現になっております。「都道府県が国又は中小企業事業団と一体となって助成する中小企業の事業の共同化又は工場、店舗等の集団化に寄与する事業の用に供する建築物」とかなり限定的に書いてございます。  五号はこういうことでございますが、基本的に市街化調整区域の開発のありようということで、三十四条各号いろいろ列記してございますけれども、商業関係で開発調整区域内での許可可能なものは、周辺居住者の日常生活に必要な物品の販売店舗などは別の号で可能ですし、車両の通行上必要不可欠な沿道サービス施設というものもございますし、それから今私が申し上げました五号の問題もあります。  それからあと、問題として、開発許可し得るものはやはり限定的でございますから、今先生がおっしゃいましたようなものを一般的に許可し得るとは私の方からはお答えできないわけですが、三十四条各号の適用でほかの条項も含めてどういうことかということだと思いますので、具体の話でありますればまた検討させていただきますけれども、今一般的に三十四条の五号を拡大解釈して、もう少し幅広くできないかということだけに関しては、そう簡単にはできないということでございます。
  172. 二見伸明

    ○二見委員 私、持ち時間が少ないものですから、この議論はこの辺にとどめておきますけれども、建設省としても、どうかひとつそうした意見のあることを念頭に置いているいろ検討をぜひともしていただきたいことを申し上げておきたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。  大店法につきましては、既にワンラウンドの質疑が行われておりまして、私も重複を避けたいと思いながらお尋ねするわけでありますけれども、まず最初に、現行法では出店表明と事前説明というのがありましたね。これと、改正して今度は三条届け出後に地元説明というのがありますね。その前は、三条の前に事前にいろいろな出店表明だとか事前説明をやってきた。今度の三条届け出後の地元説明と、これは具体的にどういうふうに違うのか、同じなのか、その点はどうなんでしょうか。
  173. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘のように、現在の事前説明と新しく予定いたしております地元説明は、法三条の前に行われる現在の事前説明とその後に行うことを予定しております地元説明というので、手続上の形式的な違いはあるわけでございますけれども、いずれも出店予定者に対して出店予定地の商店街あるいは消費者団体などに出店の内容について十分説明をし、理解を深めるという、実質的な意味において同じところを目指したものと考えておるわけでございます。
  174. 二見伸明

    ○二見委員 今度、法三条で届け出をいたしまして、地元説明というのがこれから行われますね。そうすると、実際にそこで出店側が地元にいろいろな説明をする。例えば売り場面積だとかいろいろありますね、これと、今まで行われていた出店表明それから事前説明をやりますね、これは実際は同じ話をやることなんでしょう。
  175. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 実質的に同じことをお願いしております。
  176. 二見伸明

    ○二見委員 そうしますと、今までは調整のために、ひどい場合には三年も五年も、中には十年も地元と出店側とで議論しているのを、今度は四カ月でやるわけですね。ということは、四カ月できちんと話がつけばいいけれども、つかない場合にはかなり対立した問題がそのまま大店審に上がってくることになるわけでしょうか。
  177. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 その点でございますけれども、御参考までに申し上げたいと存じますが、昨年の五月三十日に導入いたしました現在の運用適正化措置、これは事前説明を六カ月ということで置いておるわけでございます。今日まで約一年の運用を通じまして、具体的なケースに即して考えますと、大体事前説明は四・一カ月くらいで終 わっております。  委員御指摘のように、この五月三十日の措置の以前には、地元との実質的な合意ということを行政的にも要請をいたしておったわけでございますので、そういう意味で大変長い時間を要したというのが実情でございますけれども、昨年の運用適正化措置以降は、この事前説明というのは合意を 目指すものではないのだということをはっきりさせたわけでございます。それ以降、事前説明は大体四カ月程度で終わりまして、現在のシステムでは商調協調整のプロセスに入っているというのが全国的に見られる現象でございます。
  178. 二見伸明

    ○二見委員 四カ月間で地元説明が終わって、そこで合意すればいいけれども、合意しなければそれが今度は八カ月の大店審での審議になるわけですね。そうすると、現行法では大店審もありましたけれども、実際は事前に全部話がついてしまって、例えば地元の商調協と全部話がついて、いわばでき上がったものが上がってきたわけですね。それに判こをつけばよかった。今度はそうじゃなくて、むしろ大店審が真っ正面に出てきて、もし紛争やトラブルがあればそれをさばかなければいけませんね。私は今の大店審にはそこまでのノーハウの蓄積は余りないのじゃないかという印象があるわけですけれども、その点についてはどういうふうにごらんになっておりますか。  と同時に、さばくことになりますと、審査の基準だとか要領だとかガイドラインだとかというものをつくらなければ、これはなかなかさばけない、さばきにくいですね。そういう点についてはどういうことを検討されておられますか。
  179. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘のように地元の出店に対する反対あるいはそれに伴うトラブルが起こることは今後も十分予想されるわけでございます。地元説明を終えた後、大店審のプロセスに入るわけでございますが、私どもといたしましては、大店審がまず直接地元の消費者あるいは小売業者並びに学識経験者の人たちから意見を聞くというふうに今回法を改正して提案申し上げておるわけでございます。そのほか、地元の商工会議所または商工会というところで地元の意見を生の形でぶつけてもらう、そこで地元の意見を可能な限り実態面から出してもらって、必要があれば意見の整理集約ということをお願いしたいと思っておるわけでございます。そういう過程を通じて、大店審における調査審議に当たって地元の実情あるいは意見というものが可能な限り反映されるように幾つかの手続を考えているところでございます。  御指摘のように、大店審は従来まで実質的な調整商調協にゆだねてきたという点から見まして、必ずしもここに現在までの調整のノーハウが蓄積されているというふうに言いがたいところがございます。その点につきましては、一つ大店審の機能を抜本的に拡充いたしまして、現在の十六地方部会を全国的に広げることを考えております。  また、御指摘の審査基準というものを一つの物差しとしてこの審査に当たるということは、かねてより大変重要なポイントということで、我々も現在でも審査要領というものをもちまして大店審における調査審議の三段基準というものにいたしてきたわけでございます。  ちょっと長くなって恐縮でございますが、この審査要領は大体三つの部分に分かれておりまして、我々が審議に当たって考える基本的な認識と、そして私どもの方で可能な限り定量化するいわば審査指標といったものを設け、さらにもう一つ配慮事項といった、三つに分かれておるわけでございます。これは昭和五十九年にその基本ができたものでございますから、御指摘のように、新たに大店審が直接この調査審議に当たるに際しましてこれを抜本的に見直したい、また新しい時代の要請に沿うものにいたしたいということで、ただいま大規模小売店舗審議会審査指標部会を設けまして鋭意御審議お願いいたしておるところでございます。
  180. 二見伸明

    ○二見委員 私は商業活動というのは本来自由であるべきだと思います。最初から規制ありきで商業をやれと言ってもそれは無理な話で、本来的には商業というのは自由であるべきだ。しかし、自由であるからといって、野方図に自由であれば、またいろいろな問題も起こってまいります。きょうの午前中の参考人方々の御意見の中にも、大店法改正には反対ではないけれども、街づくりという観点から考えてもらえないかというような意見も多々ございました。私はこれも判断の材料にしてもよろしいのではないかなと思います。  それで、八カ月間の大店審のいろいろな審査があるわけですけれども、このときに、地元市町村あるいは地元市町村長というのかな、地元市町村の意向が大店審審議の中に反映できるようなシステムを、これは規制強化するということではなくて、規制強化するという発想ではなくて、地元の市町村のいろいろな意見が吸い上げられるようなシステムがあってもしかるべきではないかと私は思いますけれども、その点についての当局の御意見はいかがでしょうか。
  181. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 二見委員御指摘の街づくりに関する要素はこれからますます重要になってくると私どもも思っております。とりわけ市町村長意見でございますけれども、私どもといたしまして、当然これは地元を代表する意見ということで、その調査審議に当たって取り入れられるべきものであると基本的に考えておるところでございます。大店法第十五条の二に基づきまして、市町村長は都道府県知事に対しまして小売業事業活動がその周辺の中小小売業事業活動に及ぼす影響という点につきまして意見を申し出ることが予定されておるわけでございます。また、第一種小売店舗につきましては知事がその意向を受けて通産大臣に意見を申し出ることができるということになっております。この全過程を通じて市町村長意見は調査審議においても参考に供されることになりますし、また調整権者たる通産大臣、第二種の場合には都道府県知事がその法の運用に当たって考慮することとなっているわけでございます。  ただ、さらに最近の街づくりに関する国民の意識の高まり、さらにそれについての市町村長のいわばイニシアチブの重要性を考えますと、私どもといたしまして、大店審の調査審議において、市町村の行政責任者に例えば参考人として意見を陳述する機会というようなものを与える方向で検討してまいってはどうかというふうに考えているところでございます。
  182. 二見伸明

    ○二見委員 特定商業集積法案に関連してちょっとお尋ねしたいと思いますが、最初に、この問題で通産省業界にいろいろな説明をされておりますが、その中で、商業施設の要件で、共存共栄の要件として公募による中小店参加機会確保、それから中小店舗数は全店舗数の三分の二以上でなければいけないとか、いろいろ要件を掲げられております。その中に中小店舗に対するテナント料等について優遇措置を実施、こういう説明をされているわけでありますけれども、このテナント料等について優遇措置を実施というのは、具体的にどういうような形の優遇措置をお考えになっているのか、その点をお示しいただきます。
  183. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 お答え申し上げます。  二見委員御指摘の大型店中小店が入る特定商業集積の中でも高度商業集積というパターンに属する場合に、中小店が組合をつくって自分でもってそこに中小小売店が入る場合には問題がないわけですが、今御指摘のように第三セクター、これは大型店が中心的な存在でございまして、第三セクターが例えば商業施設をつくって中小小売店を入居させる場合にどういう優遇措置かということでございます。  今どういう形でテナント料を払っておるかということでございますが、いわゆる家賃でございますけれども、これはケース・バイ・ケースで、その場所の立地条件等によってあるいは規模によってさまざまでございますが、そのほかに建設協力金という形で保証金と敷金を取るのが通例でございます。これがかなりコスト高というか割高なものでございまして、中小小売店の負担になっておるわけでございますが、今回は当然いろいろな国または地方公共団体のあるいは事業団の助成があるわけでございますので、こうしたテナント料、敷金、保証金等について、従来の一般的な商業的なものに比べて相対的にかなりの優遇措置を講じていかなければいけないということで、高度商業 集積の要件として共存共栄要件の中にそれをうたっているわけでございます。  ただ、具体的に一般の市価といいますかテナント料に比べてどのくらいになるかということは、今後建設費その他コストとそうした助成策との絡み、いろいろなことを配慮して、その地域地域で業態に応じてお決めになる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  184. 二見伸明

    ○二見委員 ここに明確に中小店舗に対するテナント料等について優遇措置を実施と書いてあるものですから、より固まった段階でもう一度、今の段階ではまだ固まっていないのでしょうから。
  185. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 一般的な商業ベースのテナント料に比べてどのくらい割安かということは、一般論ではなかなか申し上げられません。ただ、申し上げたように国等が相当の助成をするわけですから、それに見合った優遇措置を当然中小小売店にも還元というか与えられるべきである。しかもそれは地域ごとの市町村のプロジェクトによっていろいろ形態があると思いますので、ケース・バイ・ケースになるかと思いますが、基本的考え方は二見委員御指摘のように相当の優遇措置を考えているわけでございます。
  186. 二見伸明

    ○二見委員 もう一点お尋ねいたしますけれども、特定商業集積法案の第四条によりますと、通産大臣と建設大臣と自治大臣が基本指針を決めることになっております。この基本指針が決まりませんと、それから先の具体的な作業が市町村では進まないわけですね。ところが、この基本指針を決める場合に、この三省だけかといいますと、関係省庁がこれは絡んでくるわけですね。そうすると、三省のほかにいろいろ五とか六とかという省庁が関係してまいりますと、基本指針というのはなかなかつくりにくくなってくるのではないか。そうすると、この法律がたとえ可決され成立したとしても、この基本方針が決まらなければ実行に移されないわけですね。その点はどういうふうにお考えになりますか。大体どのぐらいの期間でこの基本指針は策定されることになりますか。その点いかがでしょう。
  187. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 御提案しております特定商業集積法は、私ども建設大臣、自治大臣、通産大臣の三大臣が中心になってまいりますが、例えば環境の保全、午前中にも御質問がございました環境の保全に留意すべきこともありますので環境庁長官とか、あるいはその関連施設に福祉施設、文化施設等が入るというようなことも想定されますので文部大臣や厚生大臣にもいろいろ御相談をするということがありまして、この法律上の関係行政機関の長につきましては九省庁の長が該当するものと考えております。  ただ、御指摘のように関係行政機関が非常に多いものですから時間がかかるという御心配、これにつきましては我々も留意をいたしておりまして、御提案法律では附則で公布即施行を考えておりますので、この法律を通していただければできるだけ早く基本指針を策定をいたしまして、地域におきましてこの法律が実効ある運用になるように努力をしてまいりたいと考えております。ただ、何カ月以内ということではちょっと今明確には申し上げられませんが、これはできるだけ短い期間にやりたい、このように考えております。
  188. 二見伸明

    ○二見委員 時間が迫ってまいりましたので、恐らくこれが最後の質問になるのではないかなと思います。  それではまた大店法に戻りますけれども、二年後見直しの規定があるわけであります。日米構造協議で議論になり、去年一年間運用緩和され、そして今回は法律改正というトレンド、この延長線上で見ますと、二年後の改正見直しというのは、規制強化というよりも、運用の結果いろいろ問題点があればそこを手直ししようとする大店法の中での見直しが中心となるのだろうと思います。しかし、私は、二年後見直しをするときには、大店法運用の面だけの単なる見直しということではなくて、今回の改正案に対しても、関係法案大店法改正案だけではなくて他の法律案も一緒に審議しているわけですね。大店法を議論するだけではなくて、例えば商店街だとかそうしたところも一緒になって、商業活動全体を議論しているわけですね。そうすると、二年後の見直しも、小売商業のあり方、こういうことについてもあわせて見直しをしてもいいのではないかと思います。  きょう午前中の参考人質疑のときにも、特に零細の、一人とか二人とかという商店が廃業していく、やめていく。その理由について何人かの参考人方々は、主婦の、女性の購買行動が変化したのだ、今までは専業主婦だっから隣近所のお店で買ったけれども、今はみんな勤めている、そういう専業主婦からほとんどの主婦が勤めるようになった、その結果購買行動が変化したことが、商店がやめていかざるを得ない大きな原因だという指摘が何人かの方からございました。そうして、それに対して商店街の代表の人も、それは認識しているけれども、意欲的なところはやるけれども、なかなかできないところもあるのだという御回答もあったわけであります。そうした消費者というか、特に家計を預かる主婦の購買行動の変化ということもにらみながら、大店法の単なる見直しだけではなくて、小売商業のあり方、さらに助成の仕方、むしろ個店対策ですね、そこまで踏み込んだ見直しというものが必要なのではないかと思います。  ただ私は、何かというとすぐ、じゃ二年後、規制をだあんと強化すればいいんだとか、あるいはうんと緩和すればいいんだという発想ではない。今は恐らくニュートラルだと思う。私もニュートラルですけれども。ただ、傾向としては商業を本質的に活性化させるという立場に立ちながら、単なる大店法見直しだけではなくて、小売商業全体もあわせて見直してもよろしいのではないかと思いますけれども、通産大臣の御見解を伺って質問を終わりたいと思います。
  189. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 御指摘の大店法見直しそのものにつきましては、大店法改正法案の附則第二条に示されておりますように、改正法の規定及び実施状況につきましては改正法施行後二年以内に検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしている。この点については委員が御指摘したとおりでございますが、必要な措置の内容につきましては、二年以内に検討を加えました結果判断されるものでございまして、現段階におきましてはいまだ何も決まっているわけではございません。したがいまして、ただその検討に当たりましては小売業全体のあり方、あるいは小売商業政策のあり方についても幅広く、先ほど委員のニュートラルの立場で考えていくべきだという点、当然そういう意思も取り入れながら議論をされていくことになるであろう、こう私は感じておるものでございます。
  190. 二見伸明

    ○二見委員 以上で終わります。
  191. 奥田幹生

    奥田委員長 小沢和秋君。
  192. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今回の大店法改正を合理化するために、大型店をどんどんふやしていくことが消費者利益であるというようなことが言われておるわけであります。  そこでお尋ねをいたしたいのは、大型店の方が本当に中小小売店より価格が安いのかということであります。  東京都生活文化局の今年一月の調査では、食料品、日用雑貨品九十六品目中、小売店の方が安いもの二十三品目、スーパーの方が安いもの十二品目で、他はほぼ同じであります。私の地元福岡市西新についても、四月十一日に私の知人に頼んで調べてもらいました。その結果は、食料品三十二品目なんですが、二十四品目は小売店の方が安いという結果であります。新潟に先日行ったときに調査をしてもやはり同じ傾向であります。  政府はこのような調査をしたことがありましょうか。あれば政府の調査の結果ではどういうことになっておりましょうか。
  193. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 私どもの手もとにございますのは、総務庁が調査いたしました「昭和六十二年全国物価統計調査報告」がございます。これによりまして、ただいま委員御指摘の点でございま すけれども、例えば生鮮食料品などの食料品の価格は御指摘のとおり大型スーパーよりは一般小売店の方が安いという結果が出ております。一方で、衣料品でございますとか履物のような雑貨につきましては大型スーパーの方が安い。全体としては品目によりばらつきがあるという結果が出ておるところでございます。
  194. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 品目によってばらつきがあることは私自身の調査でもそうだということなんですが、全体として見ますと、生鮮食料品については中小小売店の方が安いという傾向はもう全国共通だと思います。  さて、次にお尋ねしたいのは、大型店出店で便利になるというようなことばかり言われるわけでありますけれども、地域住民の生活にいろいろな面で障害も出てきていることもまた否定できないと思います。中でも最大の問題は、大型店の周辺で交通渋滞が慢性化していることであります。特に土、日などは、駐車場が満員になり、入り切れない車が周辺の路上にあふれ、交通マヒ状態に陥っているところが多いわけであります。これが社会問題化するにつれ、大型店の進出に対し、交通渋滞を引き起こすとして反対する声が高まっております。東京都三鷹市で、日産自動車がイトーヨーカ堂と組んで出店を予定しております生活ファクトリーみたかに対する反対運動が最近起こっておりますが、これも第一の理由は交通渋滞ということになっております。  しかも、重大なのは、このような問題が現在の出店調整の中では全くどこでも検討されないことであります。これまでの商調協調整四項目にもありませんし、周辺住民が出店者に対し交通渋滞対策について話し合いを申し入れても、事前説明が終わっているなどと称して一切応じていないのが実態であります。交通問題をこういうようなことで放置したままで出店ということになっていいのかどうか、この点どうお考えでしょうか。
  195. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 確かに最近の大型店出店に伴います地元への影響が広範なものであることは十分承知しておりまして、交通問題あるいは生活環境問題等につきましては、当該市町村等を中心とする街づくりの計画の中では積極的に取り組んでいくべき課題かな、このように強く考えておる次第でございます。  このような観点から、新たに市町村の基本構想に基づいて街づくりを進めることを目的といたしました商業集積の整備促進するための法律を現在お諮りしているところでございまして、また大店法運用におきましても、街づくり視点が十分配慮されることが極めて重要と考えておる次第でございます。
  196. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そのほかにも、大型店出店は、子供の非行の激増などの形でも地域に大きな影響を与えております。犯罪白書平成元年版を見ますと、少年非行について万引きなど非侵入盗の増加が顕著であるとして、これらの増加は、近年におけるスーパーマーケット等の増加に伴い、この種事犯を犯す機会がふえたためと思われると書かれております。さらに、大型店の進出により、地元商店街が次々に閉店に追い込まれた結果、高齢者が近所で買い物ができなくなり、日常生活に事欠くというような地域もあらわれ始めております。  今、大臣は、交通問題については街づくりでというお話でしたけれども、このような問題についてもぜひ私は検討の場があってしかるべきではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
  197. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 ただいま大臣が答弁申し上げましたとおり、こういった周辺の街づくりとの関連というのは、可能な限り大店審におきましてもそれに対する配慮事項ということで対処してまいりたいというふうに考えるわけでございますけれども、ただいま御指摘の子供たちへの影響という点につきましては、これは唯一大型店の進出がその原因であるというふうにもなかなか律し切れないところがあるのではないかというふうに思うわけでございます。  また、高齢者の不便を来しているという点につきましても、確かに一部においてそういう現象があらわれるということは一時的にあろうかと思うわけでありますけれども、しかしながら一方において、例えば大型店が進出することによりまして、一つの場所で、いわゆるワンストップショッピングと申しますか、大変便利にいろいろな買い物ができるというような点もございまして、一概に大型店のみの利点を強調するつもりもございませんが、また大型店が出ればすべてが社会問題のもとをつくるというふうにも断じ切れないところがあるのではないかというふうに思うわけでございます。
  198. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今、出店調整審査の中で配慮事項として考えていきたいというふうに聞こえたのですが、そうすると、いわゆる四項目の調整項目には入っていないけれども、交通問題とか、私はさらに非行などの問題も含めて検討の場も欲しいというふうに言ったのですけれども、少なくとも交通問題などはそのような場で積極的に取り上げて検討したい、こういう趣旨でしょうか。
  199. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 私どもは現在でも、商調協審議におきまして、調整項目ではございませんけれども、街づくりへの配慮事項ということで、今御指摘のような問題を配慮してもらうということになっております。新しい体制で大店審において調査審議いたします場合にも、同じように、大店審の中でそういったことに対する配慮というものを考えてもらうようにお願いをしようと思っておるところでございます。
  200. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、次の問題を質問いたします。  昨年派遣されました海外流通事情調査団の報告を読んでみますと、各国とも大型店出店に対するいろいろな規制を行っているわけであります。アメリカ、イギリス、ドイツなどは自然環境や住環境を守る立場から開発規制を行っておりますし、フランスはロワイエ法で出店を許可制にしており、ある程度規制緩和された今日でも五割は申請が却下されております。また、昨年十月二十七日付の朝日新聞に掲載されました「変わる流通 北米最新事情」というレポートを読みますと、初めに、スーパーの店舗周辺に対する環境規制が強まっていることが述べられ、次いで、「都市計画にからんだ州や自治体ごとの規制は、もっと厳しい。ショッピングセンターの開店については、日本の大規模小売店舗法さながらに、それが実現するまでに長い年月がかかった例もある。」「店舗商業区域にしか建てられず、公聴会で開発計画に対する住民の支持を取り付ける必要がある。」「最近では、原野などを商業区域に指定変更したうえで、開発許可を取るという手続きが要る。」「裁判でこじれると完成まで十年、通常で六―七年はかかる」などとアメリカの実情が述べられております。  これはぜひ大臣にお答えいただきたいのですが、これがアメリカの実態だとすれば、どうして日本大店法出店の障害だなどと非難できるのか、日本で昨年五月まで行ってきた程度の大型店出店調整の仕組みはそのまま続けても国際的な水準から見て何の問題もないのではないかと思いますが、いかがですか。
  201. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 大型店を含みます小売店舗の出店に関する法制度は各国においてもさまざまでございまして、同等に比較することは大変困難でございますが、消費者ニーズ多様化等、我が国流通産業を取り巻く近年の環境変化の中にありまして内外から我が国の流通に関する諸規制緩和を求める要請が極めて高まっておりまして、大店法規制緩和を行うということは極めて重要であるという認識に私どもは立つものでございます。  以上を踏まえまして、消費者利益の十分な配慮と手続の迅速性あるいは明確性、透明性確保といった観点から大店法改正を行うこととしたものでございます。
  202. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それを議論し出すと私も意見があるのですが、時間もありませんので、最後に、輸入品売場の特例法について、一、二、お尋ねをいたしたいと思います。  昨年の運用緩和通達で百平米までの輸入品売り場は出店が自由化されましたが、これまでに全国で五十店程度しか出店がなかったと聞いております。今ではもう輸入品だからと飛びつく消費者は少ないので、このような売り場を設けても採算が合わないと新聞に報じられております。百平米でさえこのように出店が低調だったのに、千平米まで自由化しても実際に意味があるのか。それよりも、アメリカに対し、日本消費者にもっとアピールする商品日本商品に対して品質、価格で競争力のある商品をつくらなければ、輸出も伸びず、貿易赤字も解消しないことを厳しく指摘すべきではありませんか。また、千平米まで出店を自由にできることにすれば大店法が五百平米以上を規制対象にしていることと矛盾してくるので別法をつくったと言われておりますが、将来は大店法規制対象面積を千平米以上にすることにつながるおそれはないのか、あわせてお尋ねいたします。
  203. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 輸入品に関する特例法の問題でございますが、現在、昨年の運用緩和によりまして五十三カ所の輸入品特別売り場が設けられております。委員御指摘のように、大都市におきましては、輸入品であるという、ただそれだけのことで売れる時代では必ずしもなくなっているわけでございますけれども、地方都市におきましては、輸入品ということを一つのセールスポイントにして売り場を設けるということがそれなりの効果を持っているというのが実情であると思いますし、また、大都市におきましても、これからはいわゆる専門店というものが非常に個性をとうとぶ消費者にアピールするということもございます。そういう意味で、私どもは、今回の輸入特例措置によりまして、一段と輸入の増加を期待いたしているところでございます。  また、最後に御指摘の点でございますが、私どもといたしましては、輸入拡大するという現在の政策的要請に沿いまして、これを活用いたしまして我が国の市場のより一層の開放化を期待いたしているところでございますけれども、本件と大店法の廃止とは直接の関係がないと考えておりまして、御指摘の点は当たらないのではないかというふうに思うところでございます。
  204. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  205. 奥田幹生

    奥田委員長 柳田稔君。
  206. 柳田稔

    柳田委員 今回の改正についてお伺いいたします。  今回の大店法改正ですけれども、我々は、なぜこういうことを改正したのかというときの最初の発端に、日米構造協議とその結果だろうというふうな気がするわけでありますが、今回の改正は海外の国からの指摘でやるということではなくて、消費者のために必要だからやるということでなければならないと思うわけであります。こういうふうに外圧があって初めてやるというのは少し問題があるのではないかと思うのですが、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  207. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 今回の大店法改正が、昭和六十三年十二月の規制緩和推進要綱、平成元年六月の「九〇年代流通ビジョン」の提言並びに昨年の日米構造問題協議最終報告を踏まえて提案したものであることは、委員も御案内のとおりだと思います。  その目的並びに趣旨は、内外からの規制緩和の要請を踏まえまして、出店調整処理制度については消費者利益への十分な配慮、手続の迅速性あるいは明確性、透明性確保等を図るものでございまして、必ずしも欧米各国からの圧力によって云々したというものではありませんで、消費者への十分なる配慮というものも含んで考えて、そして問題点に取り組んだ、大店法提案した、こういうことでございます。
  208. 柳田稔

    柳田委員 国内の状況と海外からの要請ということで改正をした。今回の改正ですけれども、この改正の中身を持って海外に説明に行った場合に、海外の皆さんはなるほどこれでよろしいですよというふうに理解していただけるとお考えなのか、その辺をちょっと教えてほしいのです。
  209. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 今回、大店法及びこれに基づきます各種行政措置による運用全体を見直そうと思いました点の一つは、法律で定めております諸手続のほかにいろいろな行政措置というものを従来積み重ねてまいったところがございまして、その点が諸外国から見まして大変透明性の低いものであるという指摘をかねて受けてきたところでございまして、そういう点から可能な限り法の手続に沿って商業調整の進行を管理していこう、こういう点で、その運用面も含めてかなり思い切った措置をとることを、産業構造審議会や中小企業政策審議会の委員方々の御議論を経てやろうといたしているところでございます。  そういう意味では、諸外国から見まして法律以外にいろいろと水面下で行政措置があるという点は随分改善されていると私ども自負いたしておりまして、特に日米構造協議のフォローアップ会合におきましても、この点についてはアメリカ側からも大変アプリシエートされているというのが実情でございます。
  210. 柳田稔

    柳田委員 日本は九十億ドルを出しまして、これでそれなりのことはしたというふうに思ったのですが、結果は余りいい評価が得られなかったのが昨今の湾岸問題でございました。そういう厳しい中にあっても、今御答弁なさいましたようにそれなりの評価はあるとお考えでしょうか。
  211. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 日米構造協議のフォローアップ会合におけるアメリカ側の本件についての対応ということだけをとらえてお答えするということになるかと思いますけれども、今回の大店法の目指しておる改正につきましては、大変顕著な進歩があったというふうに現在のところアメリカ側は評価しているようでございます。
  212. 柳田稔

    柳田委員 次は、大店審役割、位置づけについて質問させていただきます。  これまでありました商調協による調整制度を改めまして、大店審において調整をする、この審査体制強化するということになっております。しかし、この法案の中では大店審の明確な役割や位置づけが定まっていないという気がするわけでありますけれども、この辺はどうでしょうか。
  213. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 今回の法改正の案におきましては、法律上の条文として大店審のところは特に手直しをいたしておりません。そういう意味では、法本来の当初の目的でございます大型店出店に伴ってそれが周辺の中小企業にいかなる影響を与えるかということについて調査審議をするという大店審の機能と役割は従来のとおりでございます。ただ、運用段階におきまして、従来まで大店審の前に実質的にいわゆる商業調整を行います商業活動調整協議会、通称商調協と言われるものを私ども省令に基づいて設置してまいり、実質的にはここで決着をつけてきたということでございますが、今回全体の運用におきましてこれを廃止いたしたいと思っておるわけでございます。そういう意味で、法の所期の目的である大店審における調整という法の目指すところに返るということを今回目指しておるわけでございまして、字面の点からは大店法の機能と役割というのは変わりませんけれども、私どもの方針といたしまして、大店審以外の場ではもはや実質的な調整は行わないということを運用体系を通じて明らかにしたい、こういうふうに考えているところでございます。
  214. 柳田稔

    柳田委員 最終決定を下すのはこの大店審の場であろうというふうに思うのですけれども、今御答弁を聞いておりますと、大店審審議の中身、基準といいますか、役割といいますか、何か不透明な気がしてならないのですけれども、果たしてこれで透明になるのか、いかがでしょうか。
  215. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 大店審役割を少し具体的に申し上げさせていただきますと、従来に比べて、大店審が地元の小売商業者、消費者学識経験者意見を直接聞くように法を改正いたしたいと思っておるわけでございます。大店審におきましては、これらの地元の意見を聞くとともに、一方において従来から地元の商工会議所または商工会が大店審に対して意見を申すという規定がございます。商工会議所は地元の商業者の立場という ものを総括的に代表し得るところでございまして、この商工会議所からもまた地元の意見を聞くという仕組みにいたしてございます。また、必要に応じて商工会議所または商工会におきまして地元の意見というものを整理、集約してもらうことも依頼しようというふうにも考えております。  そういう意味で、この大店審におきましては、その人的構成は学識経験者を中心に構成してもらいたいというふうに考えておりますが、そういった学識経験者によって構成される場において地元の商店街意見、それから当然のことながら大型店立場消費者意見学識経験者意見というものがこの場において集中的に審議調整されるものというふうに考えておるわけでございます。
  216. 柳田稔

    柳田委員 では、この大店審というのはいろいろ審議して最後に判断を下すわけでありますけれども、その審議過程については不正はないし、正当な適正な判断を下す。ならば、だれが聞いてもいいわけでしょうから、公開もできるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  217. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 委員御指摘の公開制という点でございますけれども、商業調整というプロセスは、御承知のとおり、やはり進出する大型店とそれによって影響を受ける中小小売商業との利害対立の問題でございます。時には深刻な利害の対立を引き起こすこともあり得ることでございまして、私ども、過去の経験に照らして、この審議過程というものの中立性及び公正さというものを確保するためには、どの委員がどういう意見を出した、どの委員が何に反対をしたというようなことが一々外に漏れますと、むしろかえって委員立場というものに不測の影響が出るのではないか、そういう意味で、この審議過程そのものはやはり公開をしない方がいいのではないかというふうに思っております。  ただ、従来は審議会の委員の名前すらそういう点から公表はいたしておらなかったわけでございますけれども、今回は、諸般の情勢、以前に比べますと落ちついてきているところもございますし、委員の名前は公表して差し支えないのじゃないか。それから、できる限り公開をするという立場から、審議結果の概要、それから審議のプロセス、そういったものにつきまして可能な限り公開をする。現在、運用適正化措置におきまして既に商調協について行っておりますレベルの公開制というものを維持すべきではないか、こんなふうに考えているところでございます。
  218. 柳田稔

    柳田委員 今のおっしゃることもわかります。公開は非常に難しい、ただしそれに参加している人のお名前は公表いたします―まあ勘ぐりかと思われるかもわかりませんけれども、やはり秘密の会議ということにならざるを得ない。そうしますと、中でどういうふうな過程審議がされているかということが一般にはわからないということになりますと、根回しをやっているのではないかなとか、そういう勘ぐりも出てこないわけではないのですけれども、こういう根回し的調整というのは絶対にこの大店審の中では行われないと考えてよろしいでしょうか。
  219. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 人の行動の問題でございますので、一律に根回しがある根回しがないということを断定するのはちょっと大変難しい御質問であるわけでございますけれども、ただ、大店審委員は、法律によってその地位を約束されまた通産大臣が任命いたす、いわゆる公務員に準ずる地位を有する者でございます。したがいまして、私どもといたしましては、個別の商業調整の問題を審議するに当たりまして、公務員にふさわしい中立性と公正性を確保されるものと考えて調査審議に臨んでもらう以外に私どもの期待というのはないわけでありますけれども、そういう意味では、その委員に対するアプローチというものが将来とも全くないかという点につきましては断定しかねるところではございますけれども、受ける方の地位が従来の商調協に比べまして法的にも格段と明らかなものになるという点で、一層の中立性、公正さというものが確保されるのじゃないかというふうに考えているところでございます。
  220. 柳田稔

    柳田委員 おっしゃるとおりだと思います。  それで、もし万が一、根回し調整があったということが後でわかった場合は、どのように対処するおつもりですか。
  221. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 もし仮に根回しがあったとして、いわばこの世界は人の行動の倫理観と申しますかエチケットと申しますか、セルフディシプリンと申しますか、そういった世界の話ではないかというふうに想像いたしておりまして、これに対して罰則とかそういった行政的な措置は通常は考えられないわけでございますけれども、もし仮に公務員にふさわしくない行動というものがその結果出るとすれば、法に照らして対処するということは今回は可能になると思うわけでございます。
  222. 柳田稔

    柳田委員 次に移ります。  今回の出店調整の項目も四項目ということでありますけれども、この四項目で十分なんでしょうか。つまり、店舗面積、閉店時刻、開店日、休業日数、四項目が出店調整の中身になっておるのですけれども、これで十分でございましょうか。
  223. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 各個別の出店調整項目としては私どもとして十分であると考えておるところでございます。
  224. 柳田稔

    柳田委員 以前の、以前といいますかまだ現在も商調協でありますけれども、その中の判断を見ておりますと、一万平米という店舗面積を五千平米に削ったというふうなこともあるわけなんですが、なぜこんなことをするのかなというのがよくわからないというのが私たちの実感であるわけなんです。今回も余りそれについてはいじっていないということであれば、この店舗面積一つについてでも何か不透明感が我々にはまだ出てくるという感じもあります。そこで、例えば店舗面積については原則とか基準、これはこうこうあるべきだ、閉店時刻はこうこうあるべきだという何か一つは目安でもあればという気がするのですけれども、いかがでしょうか。
  225. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 委員御指摘の点は大店法の基本にかかわるところでございまして、具体的に一万平米を五千平米にするかどうかという点は別にいたしまして、今後ともこの大店法の枠組みというものを維持する以上、面積の削減ということは起こり得ることでございます。  それで、その際どのような基準でどの程度削減するのかという点でございますけれども、確かに、恣意的にこれが行われるということでございますと、システムに対する関係者の信頼感というものが損なわれることもございますし、また出店予定者の経済的な利益が大きく損なわれるということもございます。そういう意味で私ども従来から、現在では商調協あるいはそのもとになります大規模小売店舗審議会調整の目安といたしまして、審査要領というものを持っておるわけでございます。これは調整に関する基本的な認識、そして、ある大型店出店計画が周辺の中小小売商業に対してどのような影響を及ぼすか、したがって、もしどの程度の規模であればその影響は緩和されるか、こういった点につきまして、例えば大規模小売店舗の支持人口でございますとか、あるいは現在のみでなく将来のその地域の人口の増減の見通し、当然のことながら消費支出の見通し、またその影響する範囲の大きさ、こういった点についてこれを可能な限り定量化をいたしまして、これを一つ審査指標として判断の目安にするということもいたしておるわけでございます。  ただ、なかなかその数字的な基準だけで個別の店舗の影響を把握して、機械的にこれはイエス、これはノー、あるいはこれは削減率を半分にする、あるいは三〇%にする、なかなかそこは数字だけでは決めがたいところがございます。  したがいまして、こういったものも一つの参考にしながら、総合的な影響というものを考えて判断をする。そういう意味審査要領というものは今後の大店審審議におきましても大変重要な要素であると思っておりまして、大規模小売店舗審議会に、新しい商業環境の実情に即していかなる 審査要領が妥当であるべきやという点について、ただいま審議お願いをいたしておるところでございます。
  226. 柳田稔

    柳田委員 できるだけわかりやすいといいますか、理解、納得ができるような手順を示していただければありがたいと思います。  次に移ります。  今回、例えば出店をしたいといった場合に、地元と対立をするといったような場合は数がそう多くないというふうに私は聞いておるわけなのですが、全体の割合から見ると、長く延びるのはそう多くないですよ、大部分は素直にすっと入っていってつくれているというふうに聞いているんですけれども、今回のこれは届け出から通産大臣の命令までは、すべてがこの段取りで運ばないといけないということになっているわけですか。
  227. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 三条の届け出から最終的な決着がつくまで、今おっしゃいました必要なら大臣の命令が出るということはございますが、それまでを一年以内に終えたい、こういうことでございます。
  228. 柳田稔

    柳田委員 例えば順調に進んだ、そういう場合でもこの手順だけはしっかり踏まなければいけないということですか。
  229. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 手続を定めたものでございますから、おっしゃるとおりでございます。
  230. 柳田稔

    柳田委員 この大店審、これが最終決定をする機関だ、その以前に決着しましたということがあってはならないわけですね。つまり、いろいろと御意見は賜りますが決定をするのは大店審ですよということだと思うのですが、そういう場合に商工会議所や商工会、いろいろと御意見を賜るというわけでありますが、すべてオーケー、よろしいということであれば素直に運ぶと思うのですが、こじれた場合に、やはり賛成意見もあれば反対意見もあるというふうな意見が出るかと思うのですが、そういう場合には、報告書の中身というのは反対も賛成も含めた両論の併記というふうに考えてよろしいのでしょうか。
  231. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 そのとおりに考えていただいて結構だと思います。
  232. 柳田稔

    柳田委員 ちょっと話はあべこべになりましたけれども、うまくいく場合も大店審がいろいろなところの御意見を拝聴する、もしこじれた場合は当然のごとく御意見を賜るわけでありますけれども、例えばこの商工会議所または商工会の御意見を賜るという場合に、意見を出す期間、例えば大店審が御意見をまとめてくださいと言ってから御意見がまとまるまでの期間というのは何か制限をつけているわけでしょうか。
  233. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 私どもがこれから実行いたしたいと思っております運用案は、大店審審議期間を八カ月以内で終わらせたい、こういうことでございます。ただいま委員御指摘の商工会議所からの意見というものをもらいます時期については特に定めておりませんで、全体として八カ月、審議会が八カ月以内におさまるように適当な期間を置いて商工会議所から意見をいただきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  234. 柳田稔

    柳田委員 例えば商工会議所や商工会で意見が大分割れている、ついては大店審に答申といいますか御意見を述べるのがまとまりませんということで非常に時間がかかった場合でも、もう八カ月切れますからここで決断を下してくださいというふうにするということでしょうか。
  235. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘のとおり、大店審から商工会議所に意見の整理と集約をお願いするわけでございます。その場合に、まとまらない場合には一定の時点で、先ほど委員御指摘のように、両論併記あるいは場合により三論併記という形で大店審に報告をしてほしい、こういうことをお願いすることになると存じます。
  236. 柳田稔

    柳田委員 次は商店街のことについて御質問させていただきます。  地域地域の特徴でしょうけれども、大型店舗とその地域商店街が仲よくやっていっておるところもありますし、逆の場合もある。例えば既存の商店街から離れたところに大店舗ができますと、お客の足が変わってしまって既存の商店街が寂れてしまう。現にそういう商店街もいろいろあるわけでありますけれども、この寂れた商店街、自助努力で頑張りなさい、また助成もいたしますということでありますけれども、だんだん傾きかけてきた商店街を復興するということを考えると、現在の助成で大丈夫かなという気がしないでもないのです。このことについてはいかがお考えでしょうか。
  237. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 近年の流通業を取り巻く環境変化を踏まえまして、昨年の六月の日米構造問題協議そのものの最終報告に大店法にかかわる措置が盛り込まれたところでございますが、その実施に当たりましては、中小小売商業者等に影響を及ぼす場合も確かに予想されるところでございます。  このために、通産省としましては、意欲ある商店街中小小売商業者に対しまして、平成二年度補正予算及び平成三年度の予算における思い切った支援措置や関連の税制措置を講じていく考え方に立つわけでございます。これによりまして、商店街活性化のための計画策定やコミュニティーホールあるいはアーケードづくり等の商業基盤施設等の整備の助成を強化いたしまして、魅力のある商店街づくりあるいは商業集積づくりを推進していく考え方なのでございます。また、個々の商店の体質強化に思い切った対策を講ずるとともに、中小店と大型店との共存共栄の観点から高度な商業集積整備支援する考え方でありまして、そのような形の中で、寂れていくような商店街というものに歯どめをかけたい、こう思っているわけでございます。  中小小売商業振興法改正特定商業集積法の制定等につきましては、これらの措置を体系的に総合的に実施していくことを目的としておりまして、これらの施策を通じて積極的な小売商業対策を展開していく所存でございます。
  238. 柳田稔

    柳田委員 勢いのあるといいますか、まだこれから発展しそうなところに対する助成であればプラスになるのでしょうけれども、マイナスというか、だんだん寂れ始めている商店街に対する助成として、これで十分やっていけるだろうという御判断はお持ちでしょうか。
  239. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 今後の商店街振興対策の基本についてはただいま大臣から御答弁申し上げましたが、委員御指摘のとおり、私どもが調査をいたしましても、若干古い時点でございますけれども、アンケート調査の約八割の商店街方々が停滞感を持っているという状況にあるわけでございます。ただいまの委員のお話にもございましたように、いろいろなケースがございまして、大型店を取り込んで既存の商店街振興させようというケースもございますし、郊外に大型店が出たために寂れるというケースもございますし、また、郊外に大型店が出ても一方において既存の商店街でこれに対抗して魅力ある商店街をつくろうじゃないか、こういうケースもあるわけでございます。  私どもが最近いろいろと商店街方々あるいは団体の方々とお話しをさしていただいている中でも、やはり基本的にこの流通業を取り巻く厳しい構造変化に前向きに対応して、大型店と共存共栄あるいは競争的協調によって商店街の魅力を取り戻していこうというようなケースが非常にふえていると思っておりますので、寂れた商店街を取り戻すという意味で、商店街の競争力を彼らなりにつけていくという努力をされるのが一般的なケースではないかと思いまして、私どもはそういうケースを強力に支援していくということで対応したいと思っております。  なお、やむを得ず廃業とか転業されるという場合については、またそれなりの対策も用意をしまして、新しい道を準備をさせていくお手伝いをさしていただこう、こういうふうに考えているわけでございます。
  240. 柳田稔

    柳田委員 先ほどの参考人のお話の中で、後継者が不足しておるということがありました。後継者がいない、できない、いろいろな理由はあるかと思うのですけれども、その助成策ということになるかと思うのですけれども、この個人事業用資 産の後継者への贈与の際の納税猶予とか取引相場のない中小株式の評価方法に係る抜本的改正を柱とする中小企業税制、こういうものをつくってはどうかなと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  241. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 後継者問題というのは、確かに商店街の商店の方々にとって大変重要な問題であり、かつ頭の痛い問題でございます。結局は、先ほども申し上げましたように、商店街をいかに活性化して魅力を向上させるか、そういう中で後継者を育てていくということが対策の基本になると思うのでございます。また、同時に、後継者育成のためのいろいろな研修であるとか勉強会であるとか、そういうものも大事なことであろうかと思っておりまして、私ども最近の認識では、青年部であるとか婦人部であるとか、そういう方々がかなり力強くこの商店街を盛り上げていこうという動きも出てきておるわけでございます。  ところで、お尋ねの事業承継税制の問題でございますが、確かに中小企業方々から事業承継が円滑に行われるようにという希望はあるわけでございまして、この点については既に昭和五十八年度の税制改正あるいは昭和六十三年度の税制改正においてかなりの改正が行われているところでございます。しかしながら、御指摘のように要望はまだ続いておりまして、特に近年の土地価格の上昇によりまして、この事業承継についての関心が高まっているわけでございますが、今後行われます相続税あるいは贈与税の改正の検討に当たりましては、中小企業の事業承継の実態も踏まえつつ対処をしていきたいと考えておるところでございます。
  242. 柳田稔

    柳田委員 今度は商店の内部の問題でありますけれども、自分のところでお店をやっていて、その売り上げだけで生活をしているというお店屋さんは非常に少なくなっていると聞いております。つまり、商売をして、それ以外の収入、これを当てにしている兼業商家と言うのでしょうか、そういうのが大分ふえてきているというふうに聞いておるわけであります。  ちなみに、全国中小小売店調査、昨年の三月、日本経済新聞を見ておりますと、商業以外の収入が一店当たり年間五十万円を超える兼業商家が急増して全体の四四%に達している。総収入に占める商業外収入は二八%に達し、商業外収入の内訳は、不動産賃貸が約六二%、自己店舗以外からの給与収入が二五%、財テクが二〇%。特に従業員二人以下の零細規模での兼業率は五〇%をオーバーする。こういうふうなのが出ているわけであります。商売をやっていく上で非常に厳しくなってきているという実態であろうかと思うのですけれども、このことについてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  243. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 私どもの関係する団体の調査によりましても、確かに兼業形態が小売商店の場合に多くなっているということは事実でございまして、そのことについては私どもも承知しているところでございます。  特に、生業的な零細小売店におきましては、いろいろな社会的、経済的構造変化あるいは先ほど御指摘の後継者問題等々の要因によって、そういった状態が出てきているというふうに認識をするわけでございます。私どもとしても、意欲ある事業者が本業に専念し得る状況を整えることは重要なことだというふうに考えております。そのためには、やはりまた基本に戻るわけでございますが、商店街活性化、魅力ある商業集積づくりというのが大事になってくるだろうということでございます。これによりまして商店街の繁栄がもたらされ、同時に専業が可能になってくる、一般的にはそういうことが申せるのではないかと思うわけでございます。  そういう観点からも、今回予算でおつくりいただきました小売商業対策あるいは今御議論いただいております法案成立を待ちまして、抜本的にこの小売商業振興をしていくことが、こういった兼業問題にプラスになる問題になるのではないかというふうに認識をしているわけでございます。
  244. 柳田稔

    柳田委員 今、支援策のお話が出ましたけれども、この支援策、どちらかというと、商店街といいますか、まとまったところに対する支援というふうに受けとめられまして、例えば自分のうちの横に電気屋さんがある、八百屋さんがある、晩飯のおかずの品が足りないのでちょっと行って買ってこようとか、電球が切れたからちょっと買いに行こうというお店が、各地域地域に点在しているわけですね。先ほど申しましたように、今回の助成というのは、大きなお店ができる、その周りにある商店街に対する支援についてはなるほどという気がするわけですが、住宅の近くに点在をしておるお店に対する助成といいますか、この辺についてはどうでしょうか。
  245. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 消費者利便を向上させるために大型店の存在も必要でございますが、御指摘のような個々の商店街あるいは商店街から離れた商店も消費者にとって非常に重要な場合が多いわけでございます。近くのお店で、いわゆる最寄り品ということで、豆腐一丁、ネギ一本を日常の中で買ってくるというのも消費者にとって大きな利便になるわけでございます。  したがいまして、私どもとしても、個店対策ということで大いに力を入れさせていただいているところでございまして、具体的には平成二年度の補正におきまして低利な融資制度を設けております。また、平成三年度の予算におきましても、設備近代化の貸し付けであるとかあるいは設備の貸与の制度の拡充、それから地域住民の生活の向上に資するような創造的な事業を支援するための特別貸付制度等々を設けまして、個店対策に力を入れているところでございます。
  246. 柳田稔

    柳田委員 やはり商売というのは自分で努力をして自分でもうける、これが基本であろうと思います。国から補助をもらって悠々とするような商売であっては逆に消費者にとってもよろしくないということで、そのバランスのとり方が非常に難しいかというふうに思うわけでありますが、この法案にも書いてありますとおりに、消費者利便ということをお考えいただきまして、生活していく上で、また街づくりの上で一番いい形態はどの辺にあるのか、また各店舗がどうすればそれなりのことができるのか、いろいろと今後も御努力お願いを申し上げまして、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  247. 奥田幹生

    奥田委員長 次回は、来る二十二日月曜日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十一分散会