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1991-04-12 第120回国会 衆議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月十二日(金曜日)     午前九時三十三分開議  出席委員    委員長 奥田 幹生君    理事 逢沢 一郎君 理事 甘利  明君    理事 高村 正彦君 理事 佐藤謙一郎君    理事 額賀福志郎君 理事 竹村 幸雄君    理事 和田 貞夫君 理事 森本 晃司君       尾身 幸次君    加藤 卓二君       金子 一義君    木村 義雄君       古賀 正浩君    斉藤斗志二君       田中 秀征君    田辺 広雄君       谷川 和穂君    萩山 教嚴君       鳩山 邦夫君    深谷 隆司君       森  英介君    山本  拓君       小澤 克介君    大畠 章宏君       加藤 繁秋君    小岩井 清君       斉藤 一雄君    渋谷  修君       水田  稔君    安田  範君       吉田 和子君    二見 伸明君       渡部 一郎君    小沢 和秋君       伊藤 英成君    和田 一仁君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         通商産業大臣  中尾 栄一君  出席政府委員         通商産業大臣官         房長      熊野 英昭君         通商産業大臣官         房総務審議官  高島  章君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       坂本 吉弘君         通商産業大臣官         房審議官    横田 捷宏君         通商産業省産業         政策局長    棚橋 祐治君         中小企業庁長官 高橋 達直君         中小企業庁小規         模企業部長   江崎  格君         建設大臣官房審         議官      内藤  勲君  委員外出席者         農林水産大臣官         房審議官    赤木  壯君         自治大臣官房審         議官      松本 英昭君         商工委員会調査         室長      松尾 恒生君     ───────────── 委員の異動 四月十二日  辞任         補欠選任   浦野 烋興君     金子 一義君   中谷  元君     森  英介君   渡辺 秀央君     萩山 教嚴君   鈴木  久君     斉藤 一雄君   川端 達夫君     和田 一仁君   江田 五月君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   金子 一義君     浦野 烋興君   萩山 教嚴君     渡辺 秀央君   森  英介君     中谷  元君   斉藤 一雄君     鈴木  久君   和田 一仁君     伊藤 英成君   阿部 昭吾君     江田 五月君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 英成君     川端 達夫君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  商品投資に係る事業規制に関する法律案内閣提出第八四号)  大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第三八号)  輸入品専門売場設置に関する大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律特例に関する法律案内閣提出第三九号)  特定商業集積整備促進に関する特別措置法案内閣提出第四〇号)  民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第四一号)  中小小売商業振興法の一部を改正する法律案内閣提出第四二号)  大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案和田貞夫君外十名提出衆法第一二号)      ────◇─────
  2. 奥田幹生

    奥田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出商品投資に係る事業規制に関する法律案議題といたします。  質疑申し出がありますので、これを許します。小沢和秋君。
  3. 小沢和秋

    小沢(和)委員 おはようございます。大臣、本当に御苦労さんでございます。  商品ファンドが、これまでより安全で高利回りというようなキャッチフレーズでこれから華々しく登場をしようとしているわけでありますが、私は、この商品ファンドの仕組みは、あからさまに言ってしまえば顧問業者という仕手筋資金をふんだんに提供して商品先物取引で思い切った投機をやらせ、もうかった分を出資者に分配させようという制度ではないかと思います。これにより、商品取引は従来よりはるかに投機的なものになると思います。土地、株などのバブル経済が行き詰まり、投資先を失った余剰資金が最近商品ファンドに流れ込むようになっております。今回の法制定は、このような投資家保護し、市場を育てていこうとするものだと思いますが、それが大局的に見て日本経済の健全な発展をゆがめていくことにならないのかどうか、この点大臣にお尋ねしたいと思います。
  4. 中尾栄一

    中尾国務大臣 小沢委員にお答えいたします。  本法案は、最近の商品投資ニーズの増大に伴いまして御指摘のような事態が想定をされまして、悪質な業者の参入による投資家被害が発生する危険性が高まっていることから、所要法整備を行いまして投資家被害というものを未然に防止することが目的の第一義である、このように考えておるわけでございます。そこで、本法案の制定によりまして商品ファンド販売が本格化して多様な資金が流入することは十分に予想されるところではございますが、いかなる場合にありましても国が不当な投機を助長するようなことが絶対にあってはならないということの基本的認識に基づきまして本法の厳正な運用に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  5. 小沢和秋

    小沢(和)委員 巨大な商品ファンドが組まれ商品取引を攪乱するようになりますと、価格のつり上げなどで国民が迷惑をするようなことにならないのか、ファンド投資家国民の犠牲の上にもうけるというようなことがあってはならないのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  6. 中尾栄一

    中尾国務大臣 そのような御指摘もございますけれども、本法そのものによって適切な投資家保護が図られることに伴いまして、商品市場へ円滑に資金がまず流入し、その厚みが増すことなどを 通じまして、より公正かつ安定的な価格形成が図られるようなこととなりますけれども、万一ファンド資金が不適切に運用されるような場合には、商品市場が攪乱されるような事態がこれまた生じないとは言い切れない環境にございます。したがって、本法商品取引所法運用等によりまして、商品価格が不当につり上がることのないようにまず十分に配慮してまいることが肝要ではないかな、このように考える次第でございます。
  7. 小沢和秋

    小沢(和)委員 それでは、これを最後にしたいと思いますが、今、商品ファンドが安全で大きくもうかるように宣伝され、募集単位金額を下げ、一般国民をも巻き込もうとする傾向があります。しかし、もうけが大きく出るものは損失の危険も高いわけでありまして、安易な宣伝に乗せられて庶民が退職金などの老後の蓄えを投資させられて失うというようなことがあってはならないと思います。これまで法人だけ一億円以上を単位でということで行政指導が行われてきたわけでありますが、この基準を今後も引き続いて守らせていただきたいというように考えますが、いかがでしょうか。
  8. 中尾栄一

    中尾国務大臣 言うなれば高いリスクのものと思われるからプロの世界のようなものとして扱うべきじゃないかというような文言、また同時に御質問かと思われるのでございますが、販売単位につきましては、一般投資家保護投資家ニーズの双方の観点をまず考慮しまして、商品ファンドの今後の普及状況あるいは販売条件、種々の金融商品の導入時の取り扱い等、これを総合的に勘案しながら、そしてその小口化というものを段階的に進めていくことがまず適切な方法論ではないかな、このように思うわけでございます。そして、今後一般投資家が不当な被害をまずはこうむってはならないという仰せでございましたが、そのことを念頭に十分に入れながら本法の適切なる運用に努めてまいることが肝要ではないか、このように感じておる次第でございます。以上でございます。
  9. 小沢和秋

    小沢(和)委員 終わります。
  10. 奥田幹生

    奥田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  11. 奥田幹生

    奥田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  商品投資に係る事業規制に関する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  12. 奥田幹生

    奥田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  13. 奥田幹生

    奥田委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、甘利明君外四名より、自由民主党、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を求めます。竹村幸雄君。
  14. 竹村幸雄

    竹村委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     商品投資に係る事業規制に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、投資者保護の徹底及び商品ファンドの健全な発展を図るため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、本法規制対象に係る法第二条の政令制定改正に当たっては、この分野における関係事業者事業展開及び一般投資者動向等を踏まえ、投資者保護に万全を期するよう適切に定めること。  二、本法第四十八条第一項の政令を定めるに当たっては、適用除外となる者が現に法令等により投資者保護観点から業務を適格に遂行するよう本法と同等の規制を受けている者に限定するとともに、これらの者の業務遂行についてできるだけ本法と同様の顧客保護措置をとるよう指導すること。  三、許可事業者の適切な業務運営の確保のためには許可基準人的要件が特に重要であり、十分信頼に値する者が投資判断に当たるよう許可審査に万全を期するとともに、許可後においても必要な監督を行うこと。  四、一般投資者商品投資に参加する場合、契約内容を正確に理解することが不可欠であり、過度な収益の期待を抱かせることのないよう、リスクの程度、契約解約の可否及び解約手続商品投資販売業者の取得する手数料等につき、交付書面等に適切に記載させるよう十分な規制及び指導を行うこと。  五、本法が複数の主務大臣により施行されることにより、諸手続煩雑化本法施行の不均衡をもたらすことのないよう主務大臣間の十分な調整を図るとともに、投資者保護配慮しつつ商品ファンドの構成、販売単位等につき適切な運用を行うこと。 以上であります。  附帯決議案内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  15. 奥田幹生

    奥田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  甘利明君外四名提出動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  16. 奥田幹生

    奥田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、中尾通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中尾通商産業大臣
  17. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。     ─────────────
  18. 奥田幹生

    奥田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 奥田幹生

    奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  20. 奥田幹生

    奥田委員長 次に、内閣提出大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案輸入品専門売場設置に関する大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律特例に関する法律案特定商業集積整備促進に関する特別措置法案民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案中小小売商業振興法の一部を改正する法律案及び和田貞夫君外十名提出大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  順次趣旨説明を聴取いたします。中尾通商産業大臣。     ─────────────  大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案  輸入品専門売場設置に関する大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法 律の特例に関する法律案  特定商業集積整備促進に関する特別措置法案  民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案  中小小売商業振興法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  21. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ただいま議題となりました五法律案につきまして、順次その提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  最初に、大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  消費者ニーズ多様化等小売業をめぐる最近の諸情勢変化の中で、昭和六十三年の規制緩和推進要綱や昨年六月の日米構造問題協議報告等に示されるように、内外からいわゆる大店法規制緩和への要請が高まっていたところであります。本法律案は、こうした要請を踏まえ、昨年十二月にまとめられた産業構造審議会中小企業政策審議会との合同会議の答申を踏まえて作成したものであります。  この法律案は、第一に、国が調整を行うものと都道府県知事調整を行うものとの境界面積を、現在の二倍に引き上げるとともに、調整に際して、通商産業大臣または都道府県知事から意見を聞かれた審議会消費者等から広く意見を聞くこととしております。  第二に、地方公共団体独自規制を行う場合には、大店法趣旨を尊重して行うこととしております。  第三に、改正法施行後二年以内の検討その他所要改正を行うこととしております。  引き続きまして、輸入品専門売場設置に関する大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律特例に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  内外経済的事情変化の中で、我が国輸入拡大への要請は極めて強いものがあり、昨年六月の日米構造問題協議最終報告において、輸入品を扱う売場について、いわゆる大店法調整手続特例を設けるべきことが指摘されております。  この法律案は、これを踏まえ、輸入促進するとともに、消費者利益増進を図るため、当分の間の措置として、大規模小売店舗内において、その店舗面積合計が千平方メートル以下の輸入品専門売場設置するときは店舗面積等に関する調整を行わないものとする等の大店法特例措置を講じようとするものであります。  次に、特定商業集積整備促進に関する特別措置法案につきまして御説明申し上げます。  最近における小売業をめぐる諸情勢は急速に変化しており、消費者ニーズ多様化等新しい環境に対応した小売商業政策が求められております。  このためには、中小小売商業振興配慮し、商業の健全な発展を推進することはもとより、公共施設整備に当たりましても、所要配慮を行うことにより、良好な都市環境形成にも資するような望ましい商業集積整備していく必要があります。  この法律案は、かかる観点から、特定商業集積整備及びこれと一体的に設置する公共施設整備を計画的に行おうとするものであります。このため、まず、特定商業集積整備のために市町村作成する基本的な構想の作成手続を定めることとしております。  第二に、支援措置として、商業集積と一体となった公共施設整備についての配慮商業施設についての特別償却等の税制上の特例措置産業基盤整備基金による特定商業集積に対する債務保証等業務追加等規定することとしております。  次に民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  いわゆる民活法は、経済社会基盤の充実に資する新しい施設民間事業者能力活用して整備することを目的とするものであります。  今回の改正においては、最近の我が国小売業及び食品流通をめぐる環境変化等に対応して、以下御説明する二つの施設民活法対象施設に追加するほか、所要規定整備を行うため、本法律案を提案した次第であります。  第一は、小売業高度化を図るために、小売店舗と一体的に設置され、顧客の利便の増進を図るための施設地域住民生活の向上を図るための施設等を備えた商業基盤施設であります。  第二は、食品の生産及び流通円滑化並びに消費の改善を図るために、卸売市場または食品小売店舗と一体的に設置され、交流施設共同利用業務用施設等を備えた食品商業基盤施設であります。  最後に、中小小売商業振興法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  近年、中小小売商業者は、消費生活様式高級化多様化あるいはまた交通体系都市構造変化等が進む中で、業態間競争都市間競争が激化するなど厳しい経営環境に直面しております。中小小売商業者がこのような状況に円滑に対応できるよう、中小小売商業者近代化高度化に向けての努力に対する支援を強化する必要があります。  本法律案は、このような観点から、中小小売商業振興法の一部を改正しようとするものであります。  第一に、助成対象となる高度化事業の範囲を拡大して、店舗集団化電子計算機を利用した経営管理合理化商店街整備等支援の各事業追加等を行います。  第二に、高度化事業実施円滑化のための助成を拡充し、設備近代化資金償還期間の延長、中小企業信用保険付保限度額の別枠の設定等措置を講じます。  以上が、五法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げる次第でございます。
  22. 奥田幹生

    奥田委員長 次に、加藤繁秋君。     ─────────────  大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  23. 加藤繁秋

    加藤(繁)議員 私は、ただいま議題となりました日本社会党護憲共同提出にかかる大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案について、提案者を代表いたしまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  御承知のとおり、政府は今国会に大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆる大店法改正案提出しております。これは、日米構造協議での公約に基づいて昨年五月になされた法運用面での規制緩和に続く第二段階の措置であり、さらに今から二年後の一九九三年には、本法廃止をも含む抜本的見直しが予定されていると言われております。私どもは、かかる改正案に反対する立場から、独自の改正案提出する次第であります。  大店法は、第一条において、「この法律は、消費者利益保護配慮しつつ、大規模小売店舗における小売業事業活動調整することにより、その周辺中小小売業事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、もって国民経済の健全な進展に資することを目的とする。」とうたっております。ここには、我が国国民経済国民消費生活において中小小売業の果たす重要な役割にかんがみ、これと大規模小売店舗との間の事業活動調整を適切に図っていくことが、我が国における小売業の正常な発達にとって欠くことのできない条件であるという認識が示されているのであります。ところが、その実際の運 用においては、従来から出店調整手続不透明性などの問題点指摘されてきたのも事実であります。したがって、この際、本法に基づく調整手続をより透明で合理的なものとするために本法の一部改正を行うことは、内外要請にかなうものと言うべきであります。しかしこのことは、政府案に見られるごとき規制緩和によって達成されるものとは言い得ないのであります。  そもそも商業というものは、国民の各地域における生活に密着した営みであり、大規模小売店舗とその周辺中小小売業者との間での事業活動調整に当たっては、当該地域当該市町村においてどのような町づくりを行っていくかという観点は欠くべからざる判断要素であります。この意味から、本法に基づく調整権限は、地域の実情に精通した各自治体により多くゆだねられるべきものであります。この点、今回の政府案自治体独自規制を極力抑制しようとするものであり、右のような要請に逆行するものと言わざるを得ないのであります。これがここに政府案の対案たる大店法一部改正案提出する理由であります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、第一種大規模小売店舗及び第二種大規模小売店舗種別廃止調整権限都道府県知事への一元化であります。現行法の定める右の種別廃止し、大規模小売店舗とは都道府県知事調整の公示に係る建物を言うものとしております。また、大規模小売店舗における小売業事業活動調整は、すべて都道府県知事が行うものとし、通商産業大臣による調整は、廃止するものとしております。  第二に、大規模小売店舗となる建物面積要件の変更であります。大規模小売店舗となる建物要件は、その建物内の店舗面積合計が千五百平方メートルを超えるものとしております。  第三に、都道府県規模小売店舗審議会による関係市町村長意見の聴取であります。都道府県規模小売店舗審議会は、都道府県知事意見を聞かれた場合において、その意見を定めようとするときは、商工会議所消費者等意見に加え、関係市町村長意見を聞かなければならないものとしております。また、市町村長がこれにより意見を聞かれた場合において、その意見を定めようとするときは、地域小売商業審議会意見を聞かなければならないものとしております。  第四に、特定商業集積整備基本計画達成についての配慮であります。都道府県知事は、調整権限の行使に当たっては、政府より別途提案されております特定商業集積整備促進に関する特別措置法に定める基本計画達成に資するよう配慮しなければならないものとしております。  第五に、都道府県規模小売店舗審議会の必置であります。都道府県規模小売店舗審議会は、都道府県必置機関とするものとしております。  その他所要規定整備及び関係法律についての所要改正を行うものとしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  24. 奥田幹生

    奥田委員長 以上で各案の趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  25. 奥田幹生

    奥田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま趣旨説明を聴取いたしました各案につきまして、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 奥田幹生

    奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  なお、参考人からの意見の開陳は、来る十七日水曜日午前九時三十分からを予定しております。     ─────────────
  27. 奥田幹生

    奥田委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。田辺広雄君。
  28. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 それではお許しをいただきまして、私から質問をさしていただきます。  今回の、日米構造協議に端を発した大店法改正、緩和は中小小売商業者にとって逃れがたい致命的な打撃を受けることは、私どももまた政府当局もよく御理解をいただいておることと私は思います。共存共栄ということは、一人が大きな力で小を制することではなく、大が小のために力をかすことで、利益のひとり占めではないのです。今や米の自由化反対、食糧安保と言われておるならば、中小小売業者にとっては流通大革命であります。許すことのできない緩和であります。しかしながら、流通はそれ自体毎日大きな変化を遂げ、そのことが今日の日本経済を支えていることを思えば認めざるを得ません。しかし、今回は外部要因によってもたらされておるのでありますから、私は全力を挙げて中小小売業者を救うべきであると考えます。  今回の大店法緩和に関連いたしまして、輸入品売場に関する特例法、商業集積法、民活法改正、小売商業振興法の改正等々提案をされておりますが、直接大店法改正によって被害を受ける小売業者のためのものとは言えないのであります。また、よく言われますように、やる気のある者のために力をかすと言われております。しかし、これによって意欲を失い、廃業にまで追い込まれる業者は見殺しにしてよいのか、私はそうは思いません。  十年前に大店舗の新設により何カ月も地元のスーパーと話し合いをしてまいりました。その経験から——説明会には民商初め多くの方々が会場に押しかけ、やじを飛ばし、怒号の中に地元の説明会を行ってまいりました。そしていよいよ着工をされることになる。商店街の中には二十店舗を持つ公設市場があったのです。一番被害を受けるのはこの公設市場であります。一部の方はテナントとしてスーパーに出店をする、他は店内改装する、新しく再出発をし、スーパーに負けないように頑張っていこうではないかと誓い合った。また一部、そうした大店舗より十年間無利子で貸し付けを受けて店舗改装も行ってまいりました。二カ月たち、三カ月経過した後、ぼつぼつ空店舗ができてまいりました。スーパーはその地元の小売市場のためにわざわざ空店舗を補い、そして、売り上げに協力するために頑張ってまいりました。その後一年経過し、スーパーにテナントとして出店した者も小売市場市場をいよいよ去らなければならなくなった。  このことは、個店対策として融資しても、そのことだけでは救えなかったということの一つの証左ではないでしょうか。つまるところは、小売業はつぶれてしまったのです。このような姿はここだけではないと思う。全国百六十二万小売店、日本国じゅうに数多くあると私は思います。しかし、流通革命といえばそれまでだが、金を貸すことによってのみ救おうということでは対処できない。それ以外に廃業者の救済をするようなことはできないであろうか。例えば中小企業者退職金制度、共済年金制度等を考えてこの人たちを救済する方法はないであろうかということを私は考えるものであります。  例えば日米繊維交渉によって織機の買い上げがかつて行われました。また、撚糸機の破棄による補助も出されましたことを考えれば、それ以上に深刻であり、また広範な問題であります。農家にも休耕補償があるように、小売屋の廃業には何らか政府の手が差し伸べられないのかと思います。ぜひ考えていただきたいと思います。また、種別境界面積の引き上げがこれ以上に進むのかどうか、この二点について大臣にまずもってお伺いをいたします。
  29. 中尾栄一

    中尾国務大臣 田辺委員にお答えさせていただきます。  大店法に関する措置実施に当たりましては、中小小売商業者等に影響を生ずる場合も予想され ることは、御指摘のとおりよくわかっておる次第でございます。今回の対策がこうした現状変化を克服するべく、中小小売商業者が行います企業体質をまず強化しなければいけない、それから商店街の活性化等の前向きの自主的努力を強力に支援していこうというのがその構えなのでございます。  こうした考え方につきましては、昨年十二月の産業構造審議会及び中小企業政策審議会合同会議の答申におきましても示されているところでございますが、このためにも、御審議をいただいている中小小売商業振興法改正案におきましても、消費生活に密着いたしました魅力のある商店街・商業集積づくりのための支援拡充を図るとともに、個々の店舗の改装等に対する支援につきましても意を用いているところでございます。また、個々の中小小売商業者が既存の事業廃止し、新たな事業展開を目指す事業転換や事業の多角化を行う場合には、これを支援するため低利融資制度を創設したところであることは、御案内のとおりでございます。  なお、商店街における商業基盤施設整備に必要な土地等の譲渡に対する譲渡所得の特例や組合等による空き店舗対策に対する高度化融資を新たに創設することといたしましたが、これらの措置は、やむなく廃業に至る場合の対応の円滑化にも資するものと考えておる次第でございます。  以上をもってお答えといたします。
  30. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 今御答弁を聞きましたが、問題の面積をだんだん広くして、実質的には大店法改正だといいながら廃止につながるような気がするのですが、その点、明確に御答弁をお願いします。
  31. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 お答え申し上げます。  大店法運用に当たりましては、ただいまその店舗面積が五百平米を超える、そして千五百までのものを第二種と申し、また千五百を超えるものについて第一種として、面積の調整を中心とした小売商業調整を行っているところでございます。今回私どもが提案させていただいております法改正案におきましても、この点については現状どおりを維持して、面積調整につきましては従来どおり対応してまいる所存でおるところでございます。
  32. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 一番私が申し上げたいのは、その廃業に至る方をどうして救済するか。これは難しいことであろうかと思います。しかし現実には、やってみますと、今大臣からお話がありましたように、店舗改装だとかいろいろなことを言われますが、なかなか——いろいろなことをやってみました。いろいろなことをやってみましたけれども、最終的に残ったものは自分の土地があってそこに自分の店舗を持っておった者、これは細々として経費がかかりませんから商売をやっていけます。しかし、市場だとかそういうところに入っておった者は、出てくることによってもう全く意気が阻喪してしまいまして、いろいろな法を講じても実際なし得ないというようなこともあることをひとつわかっていただきたい。  私はなぜ大臣にあえて申し上げるかというと、小売屋さんでも立派な銀座のお店もありますし、また地方に行きましたら、お好み焼きを焼いている方もありますし、たこ焼きを売っている方もあるのです。そんな方を対象にせよとは私は言いませんが、しかし、上だけ見ないで本当の底辺の小売屋をよく眺めていただいて、大店法改正することはこんなに簡単なものじゃないのだ、今申し上げたように米の自由化と一緒なんだというようなことをわかっていただきたいから、あえて私は申し上げておるのです。そのことを御理解いただければ、今後いろいろな検討の事項がありますが、二年後にまたこれが前進するような検討であったら大変なことになる、私はこう思っております。過去におきましても、今まで私どもは、不思議なものに金が出るなと思っておったことはたくさんあるのです。しかし、このことに金を出すことは私は決してむだでもないし、本当に救うべき大切なものだと思いますので、大臣、今後ともよろしく、重ねてひとつその所信のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  33. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ただいま田辺委員が御指摘いただきましたことは、これはもう痛切なる中小企業体の問題でございまして、かつては零細という言葉まで使われたほど、私どもにとりましても、これはこの問題によって死活問題にまでつながってしまうというおそれを恐れられているからこそ、本当にそのような御愛情ある形における判断をなさっているかと思います。  二年後の見直しということもございますけれども、二年後だからいいのだ、見直せばいいのだというような心構えではなく、それだけに、予算の面やその他税制の面やそれぞれの面におきましても、私ども、手厚くこの問題を考えていこうということから、今年度の予算を見ましても、中小企業の問題に対しては我々自体は相当に手厚くしたつもりでございますけれども、なおかつ、委員の気持ちを体しまして、これに万全を期していくような方向づけだけは万遺漏なきように考えていきたいものだというふうに考えておる次第でございます。
  34. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 まことにありがとうございました。今後ともに、大臣にはひとつしっかりお願いをしたいと思います。実はこの前、前大臣にもお願いしまして、とにかく廃止ということは絶対ないのだという確約までいただいておりますので、その点、ひとつよろしく御理解をいただきたいと思います。  次に、大店法改正によっての出店調整手続についてお尋ねいたします。  建物設置する届け出から小売業者の届け出までの四カ月に地元の説明会が行われることになっております。しかし、最近私が立ち会った経験によりますと、説明すればよいという考え方で、通り一遍の説明に終わっていることがあります。出店者もそのように考えられがちです。しかし、理解をされないような説明というのは本当の説明ではないのではないか、このことが将来いろいろな問題、トラブルを引き起こすもとになるのではないか、このように心配しておりますが、このことについて、どの程度までのことを説明と言うのか、お聞きしたい。  それからもう一つは、地元の説明というのは行政区域のことを言うのか、または、広域商調協にありましたような、そういう販売シェアというのですか、そういうものを言うのか、そのことをお聞きしたいと思います。
  35. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員御質問の新しいシステムにおける地元説明につきましては、現在、いわゆる事前説明ということで、出店しようとする大型店が地元の商店街を中心とする地元商業者の皆様に出店内容その他を御説明することを指すわけでございますけれども、まず基本的な認識といたしまして、説明をすればもって足りるという言葉のあやみたいなものがございますが、従来、地元との合意というものを要求しているところが多々ございまして、それが行き過ぎた現象も各地で起こっておったわけでございます。そういう点で、実質的な調整説明とを分離する必要があるだろうということで、昨年五月三十日に導入いたしました運用適正化措置におきましては、地元の合意までをも要求するものではないという趣旨のことをはっきりさせたわけでございますけれども、さればといって、おざなりな説明会を設けて話をしたらそれで終わりというようなことでは、そういう趣旨のものでは決してございませんで、大型店を出店いたしましてその地域に受け入れてもらうためには、将来の円滑な商売ということを考えますと、可能な限り地元の皆様の理解を得るべく努力をするというのがビジネスとして当然の前提であらうかと思っておるわけでございます。したがいまして、合意をとらなければ説明が終わったとはしないというのも、これまた一方において行き過ぎたところもございますので、そういったことの兼ね合いの中で、限られた期間ではございますけれども、地元の商業者の皆様の理解を得るべく最大限の努 力をするものがこの事前説明、現在の事前説明、また新しく私どもが運用で考えております地元説明趣旨でございます。  事前説明すべき事項でございますけれども、現在私どもは事前説明の項目として、出店計画の概要、これは出店趣旨を含むものでございますが、そのほか、新設届け出の場合には、その概要といたしまして、建物の延べ床面積とか店舗面積、当該敷地の構造、予定の年月日その他、出店に当たって地元の商業者の方々が出店される建物についての概要をおおむね知り得る程度のものを提供すべきであると考えておりますが、この点につきましては、新しく地元説明という項目の中で、現在の事前説明説明項目を新たに検討しつつ定めてまいりたいと考えておるところでございます。
  36. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 今お尋ねいたしましたが、地元というのはどういうことなんですか。行政区域の範囲か、それとも……
  37. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 失礼いたしました。  地元の範囲でございますけれども、原則として、出店しようといたします市町村の当該区域の商工会議所、商工会というものを考えておりまして、その商工会議所の区域を大体の商圏というふうに考えて、それによって対処いたしたいと思うのでございますが、例えば現在の商調協の運用におきましても、非常に大きな店舗が計画されました場合には、いわゆる商圏と申しますか、また逆に影響を受ける中小商業者の範囲という点から申しまして、それが当該市町村商工会議所及び商工会の区域にとどまらないケースというのもままあり得るわけでございます。こういう点では、現在では居住者比率というものをベースに近隣の市町村を含めましたいわゆる広域商調協といったものを構成するよう指導いたしているところでございますけれども、新しく考えております法改正及びその後の運用につきましても、やはり大きな店舗が出ましてそしてその商圏また影響の範囲がそれ以外に及びます場合には、この広域商調協的な考え方というものを基本にいたしまして、商圏は近隣の市町村を含めることあるべし、こういうふうに考えているところでございます。
  38. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 大規模小売店舗審議会でございますが、全国に十六の地方部会ということでございますが、昨年の例を見ますと、三条の届け出が第一種で五百八十六、第二種で五百十六、こういうような多くの数になっております。これだけのものを十六支部の大店審では、思うような調査だとか意見の聴取ということも不可能ではないかと思うのです。少なくとも各都道府県政令都市にはそれぞれ地域の事情のわかる審議会設置をされて、そういう状態のもとに調査、意見を聞いてもらいたい、こう思いますが、いかがでございますか。
  39. 中尾栄一

    中尾国務大臣 御質問の点につきましては、大規模小売店舗審議会の総会におきまして具体的検討を開始したところでございます。基本的には、調査審議に当たる組織数をふやすなど、大店審の審査体制の抜本的強化を図ってまいる所存でございます。
  40. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 次に、大店審の審議項目でございますが、私ちょっとこれは十分調べていないので申しわけないと思いますが、例えば開店だとか閉店の時間の決定、それから営業時間の決定、休日の決定などをされると思います。私は、これは地元との調整という意味で、地元商店のテナントの受け入れの義務だとか、またテナント料の規制だとか、また広告の大きさ等々、特価日の日数というようなことまで、それを審議されるのかどうか、そういうことができないだろうかということをお伺いいたしたいと思います。  また、商調協につきまして、先ほどの社会党の方々の中にありましたが、非常に不透明な点があるということを言われておりますが、必ずしも私はそうではないと思うのです。しかし、商調協の当時のあのよさもひとつ引き入れて、地域意見をどうしてこれから商調協を廃した後で吸い上げていくか、このことが私は大切だと思いますので、その方法についてもお聞きをしたいと思います。
  41. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 委員お尋ねの第一の点でございますけれども、法律に則して申し上げますと、御高承のとおり、本法において調整対象といたしますのはいわゆる調整四項目と言われるところでございまして、大店審において調整に関する調査審議をお願いいたします場合にも、やはり法律の原則というものに立脚して調査審議をお願いするというのが本旨であろうかと存ずる次第でございます。  ただ、やはり現実にある地域で大型店がビジネスを行っていくという点につきましては、周辺の中小小売商あるいは周辺地域との関係というものが本来大型店においていろいろと自主的に考慮されてしかるべきではないかと思うわけでありますが、そこは、言ってみれば法によって強制をする世界というよりは、むしろ一種のエチケットと申しますか、一つの地域に暮らしていく、その地域に存在していくための一つの常識と申しますか、そういったようなことで実情の問題として解決されていくべきではないかなというふうに思うところでございます。  それから第二点、いわゆる商調協についての御指摘でございますけれども、私どもも商調協につきましては、委員指摘のとおり、いろいろと現時点に立ってこれを見ますと、批判すべき点もあることはあるのでございますけれども、しかしながら、少なくとも地元の商業者の人たちの生の意見というものをこの場にぶつけ、そしてそれが最終的な調整に反映されるかどうかは別にして、やはり地元の困っているなら困っている状況、そういったものを直接伝える場として今日まで果たしてきた役割というのは、私は積極的に評価する側面は大きいのではないかと思っております。  また、現在もなお二千五百件という全国で見まして大変多くの案件を、商工会議所を中心にして商工会議所に置かれます商調協の皆様方に大変御努力を願って処理をしていただいているところでございます。昨年の五月三十日に、それまでの期間の定めがややあいまいであった点を一年半というふうに短縮をいたしたわけでございますが、その後約一年を経まして、新しい運用適正化措置に沿いまして限られた期間内に調整を済ませていただく地域が大変多うございまして、そういう意味で、私はこの商業活動調整協議会というものが今日果たしている、地元意見の吸収という点において積極的なものもあるというふうに考えているところでございます。
  42. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 もう一つ私が心配をいたしておりますのでお尋ねをいたしたいと思いますが、今度の大店舗法の改正緩和によって大変出店が容易になったという感じがそれぞれするわけでございまして、そこで問題なのは、やはり後ほど出てまいります商業集積法の問題でもそうですが、地方自治体も県も一生懸命になりまして商業集積をつくるのだということをされました、そこへ、新しい地域へキーテナントを置いてそのぐるりにそれぞれ商店街を配置して立派な商業集積ができた、こう仮定をします。と同時に、大店舗法の改正で、よく言うスクラップ・アンド・ビルドという考え方で、もうかるところは置いておきましょう、でなくて、悪くなったらもうすぐ引き揚げましょう、こういう形になった場合に、調整で一年間、建設で一年間ですから二年たてば必ず新しいものができるのですから、そこが抜けていってしまった場合に残った商店街は一体どうなるのだろうかということを私は心配するわけですが、そういうことを規制することができるのか、枠をはめることができるか、どこでそれを調整するのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  43. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 委員お尋ねの、商業集積法がもし仮にお認めいただいてこれが施行されるということになりますと、市町村が中心になりまして商業集積の基本的な構想というものをつくりまして、商業を中心とする街づくりの展望を開くわけでございます。  私どもの期待といたしましては、やはり中小の商店街もまた大型店も、こういった基本的な構想 というものがこの街にあるのだということを認識して、その後の店舗展開その他商業施設の展開というものを行ってもらうよう期待はいたしておるところでございます。ただ、これに対して新たな規制をかけて、これ以外の地域には出店してはいけないというようなことを強制することは、また一方における大店法規制緩和という要請にも相反することになりますので、私どもといたしましては、できるだけこういったものの基本的な構想を大型店がしんしゃくをしてもらって、一種の町の雰囲気と申しますかコンセンサスと申しますか、そういったものを頭に置いて出店をしてもらうということを強く期待をいたしているところでございます。  そういう意味で、立地につきまして、新たに特別の規制調整をするということは、新しい体系の中においてもこれを避けたいものというふうに考えているところでございます。
  44. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 今ちょっとお尋ねしましたが、入ってくる方はそうですが、そこにおったスーパー、大店舗が出ていく場合に、自由に出ていけるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
  45. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 お答えいたします。  特定商業集積法を御審議いただき、それが成立いたしました場合に、これからいろいろな事案が出てくると思いますので一概には言えませんが、市町村が基本構想で立地の場所あるいは構成には大店舗が入る場合もありますれば小売商業だけで商業集積を図る場合もありましょう、いろいろのケースがありますが、そこで参加される、仮に大店舗も入り小売商業も入るというケースを想定しますと、その場合に、やはり皆さんでお話しになって、立派な街づくりの観点も兼ね備えた高度商業集積を考えるわけですから、そこで当然十分に競争力があり、顧客のニーズにこたえられる商店街になっていくものと期待をするわけでございます。  もとより、参加をする、あるいはそこから抜け出すということは、これはもう自由経済ですから自由ではありますけれども、参加して途端にすぐ大店舗が抜け出すというようなケースは想定しにくいわけでありますし、そういうようなケースが予測される場合には、商業者自体あるいは地方自治体とのいろいろなお話し合いにおいて、そういう方の御参加は御遠慮いただくというようなことがむしろ常識ではないかと思います。これはいろいろのケースがございますので一概には言えないと思いますけれども、特定商業集積形成される過程において、十分信用でき、一緒にやっていこうという人たちの集まりになることを期待しているわけでございます。
  46. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 それでは、大変難しい、仮定の問題で申しわけないのですが、その地域との契約だとか話し合いだとか、そうしたものを一つはやはり方法的に残すべきではないかと私は思います。  以上で今の質問は終わります。  それから、商業集積法のことについてですが、これは三大臣によって基本指針を作成し、市町村において計画し、都道府県にて認められる、この商業集積整備に自治省として今後その支援対策はどうされるか、お尋ねをしたいと思います。
  47. 松本英昭

    ○松本説明員 お答えいたします。  自治省といたしましては、今回の特定商業集積法の円滑な施行に努めますとともに、関連いたします諸施策の実施に伴いまして必要となりますいわゆる地方負担部分、例えば商業基盤施設整備のための補助金に係る地方負担等でございますが、こういうものについて適切な財政措置を講じてまいりますとともに、地方公共団体が独自に、すなわち単独事業として行います商店街振興整備等につきまして、新たに商店街等振興整備対策という事業を起こしたいと考えておるわけでございます。  その中におきましては、地方団体が単独に商店街の振興のための計画を策定する経費を面倒見たりあるいはイベント等のソフト事業に対する経費に対しまして交付税による措置をいたしましたり、そしてまた単独で実施いたしますいわゆるハード事業公共施設整備等につきましては地域総合整備事業債を活用してこれを積極的に支援してまいる所存でございます。
  48. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 最後に、建設省の方にお尋ねをいたしたいと思います。  特定商業集積の具体的実施をする場合に、都市計画との調整、また土地に関する権利調整など多くの問題があるわけです。ここに書かれてありますのは計画的なものであって、その実施をするに当たっては、やはり私権制限だとかいろいろなものが出てくると思いますが、それをどういうふうに処置されるのか、区画整理でやられるのか、また都市再開発でやるのか、その辺のところがちょっとわかりませんので、お聞きしたいと思います。
  49. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 御質問は、主として既存商店街の活性化ということに絡めたことだと思いますが、多くの既存商店街は土地利用が非常に稠密な状況でございまして、再開発とか道路をつくるのが非常に難しい状況でございます。しかしながら、このたびの大店舗法の動きの中で、既存の商店街を活性化しなければいけないという動きは非常に出てきたと思います。そのための都市計画的な観点からの手法といたしましては、従来の土地区画整理法とか再開発法の活用、そういう形で事業を進めていくということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、高度商業集積法律をつくりまして、三省協力体制のもと、三省が適切な役割分担のもとで基本方針をつくり、市町村に基本構想をつくっていただく、そういうことに基づきまして各種の施策を進めてまいりたいと思っております。具体的には、従来の公共事業の充実もございますし、駐庫場の整備あるいはその地域環境づくりのための景観、アメニティー対策としての新しい補助制度なども考えております。  そういったことでございますが、地域基盤整備ということでお尋ねでございますれば、なかなか難しいことが予想されるわけですが、区画整理事業とか再開発事業とかそういったものを活用して、既存商店街の活性化を図るということだと思っております。
  50. 田辺広雄

    ○田辺(広)委員 時間がございませんのでこれ以上は申し上げませんが、中小小売商業振興法の一部を改正する法律案、私は質問する事項はございません。  それから、今年度、生活関連枠も含めて総額千六百二十一億円の支援措置が行われます。その中で一番喜ばれておりますのが、実は企業の活性化基金の積み増し、この三百億、これは地元でも大変に喜んでおりますし、もっともっとふやしてもらいたいという願いも実はあるわけです。それと同時に、大臣におかれましてはどうぞ、先ほど申し上げました、難しいでしょうけれども、救済策があれば万難を排してひとつ方法を御検討いただきたい。  以上、強くお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  51. 奥田幹生

  52. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 私、先ほど大規模小売店舗法の一部改正について提案したのですが、今から幾つかお伺いをしたいのですけれども、そのお伺いする立場として、法律というのは一体だれのためにつくるのかということ、これはやはり真剣に考えなければいけないのじゃないか。そして観念として最初に規制緩和ということを考えるのじゃなしに、流通業界という実態に即して、現在ある中小小売商やあるいは大規模小売店舗、そういう全体の中で一体どういう行政が求められているか、その求められている行政に法律化するのが今回の改正でなければいけない、こういう立場で、私は幾つか今から申し上げてみたいと思うのです。  そこでまず最初に、現在ある大規模小売店舗法の第一条の確認ですけれども、この法律の第一条というのは、大規模小売店舗に入居している小売 業者周辺中小小売業者に対して競争条件が優位に立つこととなり、これを放置すると周辺中小小売業者が経営難に追い込まれ、それが小売業全体の秩序を混乱に陥れるおそれがあるので、これら大規模小売店舗周辺中小小売業事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図ることを直接的な目的としている。これについて、現在も相違ないか、確認のためお伺いしたいと思います。
  53. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 相違ございません。
  54. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 ありがとうございました。  それじゃその次、第八十五回の商工委員会で、これは五十三年ですから大店法の法改正ですね、その法改正のときの島田政府委員が答えている中で、現行、つまり現行というのは五十三年当時ですが、現行大店法店舗面積に関する勧告の限度というのは、法律的に申しますと、周辺中小小売業事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあると認められるとき、そのおそれを除去するために必要な限度内であるならば特に制限はないと考えております、したがいまして、個別ケースに即して言えば、極限として個別小売事業者の店舗面積をゼロとすることも可能であるというふうに考えているわけでございますと。これは間違いないですか。
  55. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 現在もそのように考えておるところでございます。ただし、この場合におきまして、第一種小売店舗または第二種小売店舗らの店舗面積合計が五百平方メートル以下となるような勧告はできない。したがって、そこに入居する小売業者の店舗面積については、極限までいった場合にゼロがあり得る、こういう前提におきまして、当時の島田政府委員が答えましたことをそのとおり確認するところでございます。
  56. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 もう一つだけ確認させてもらいたいのですが、私、昨年の国会で大店法を質問させてもらったのですが、そのときの山本政府委員の答弁の中で、いわゆる出店抑制地域ですね、相当水準に達しているところ、これは昭和五十七年の通達の中で出てきているのですが、その問題について特定市町村であるかどうかの判断基準は、私どもとしては現在のところは基本的な考え方は、基準は従来と同じものをもって判断していく、その点は変わりございません、こういうふうに枠は残すという回答をいただいているのですが、今回の改正についてもこの答弁どおりと考えてよろしいかどうか、お伺いします。
  57. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 委員指摘の先国会における山本前審議官の答弁でございますけれども、御高承のとおり昨年五月三十日に導入いたしました運用適正化措置実施に当たりましてのいわゆる特定市町村というものについてその基本的な枠組みを残すという趣旨について答弁をいたしたものでございます。  しかしながら、その後私どもといたしましては、大店法をめぐる諸般の情勢にかんがみ、また内外要請というものを考慮して、本法案のあり方及びその運用のあり方におきまして抜本的な検討をしてまいったところでございまして、産業構造審議会また中小企業政策審議会、この合同会議におきまして特に手続の明確性、透明性というものに関しまして検討を行ったところでございますが、昨年十二月にいただきました中間答申におきましては、全体の仕組みを、出店調整処理手続の開始時点を法三条の届け出から行うということにいたしたところでございます。特定市町村につきましては、現行の事前説明が終わるときまでに当該市町村から意見を表明してもらうということだったわけでございますけれども、私ども新たに考えております仕組みにおきましては、三条届け出以前の手続というものは、これを原則としてなくすることにいたしました、したがいまして、今回、法改正及びその運用改正に伴いまして、いわゆる特定市町村の制度を廃止することとしたいと考えておるものでございます。
  58. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 それじゃ、まあ枠を残すと言うけれども、そうではなかったということですね。  そして、もう一つ確認さしていただきたいのですが、昭和五十三年に大店法の一部改正が行われているのですが、そのときの柱は、出店の窓口規制、大手小売業に対する個別指導、商調協の機能強化、生協、農協の店舗に対する規制の四項目、これが中心的になるわけですけれども、このときの改正目的理由、それをお聞きしたいと思います。
  59. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 当時の背景でございますけれども、経済としては一種の基調の変化ともいうべきものが生じて、安定成長期に入ったと申しますか、そういう点で消費が伸び悩み、あるいは購買パターンが変化するというようなことで急速に環境が厳しさを増したということが一つあったかと存じます。そのことによりまして、大型店と小売商、小売店との調整というものが大変厳しさを増しておったということが一つございまして、特に当時いわゆる基準面積というものが千五百平米ということでございまして、基準面積に満たないところで大型店と申しますか、むしろ中型店といった方があるいはいいのかもしれませんけれども、そういったものが大変たくさん出るというようなことがございまして、そういう意味で少し規制をする規模を拡大するということで、いわゆる建物の範囲を千五百平米から五百平米に拡大いたしたわけでございまして、その点に関する調整都道府県知事にゆだねたというのがその背景及び理由でございます。
  60. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 そのときの河本国務大臣提案理由には「わが国の小売商業は、事業所数で約百六十万、就業者数で約五百六十万人とわが国経済の中で大きな比重を占めておりますが、その大部分はきわめて零細であり、百貨店、スーパー、ショッピングセンター等の大型店の進出によって著しい影響を受ける場合が少なくありません。」こういうふうに提案理由説明しているのです。つまり、当時の状況として中小小売業に大変影響が大きい、その影響を何とか防ぐということで法改正が行われたというふうに理解してよろしいですか。
  61. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 そのとおりでございます。
  62. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 もう一つお伺いしたいのですが、今度は昭和五十七年、五十九年に、ともにいわば出店抑制地域を設けて、その地域内における三条の受け付けを窓口ですぐには受理しない、こういうふうに規制強化が出されたわけですけれども、このときの目的、そして理由は一体何だったかをお伺いしたいと思います。
  63. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 この点につきましてその背景を申し上げますと、昭和五十五年前後におきまして大変大型店の出店が増加いたしました。そういう出店をめぐる摩擦というものが各地において頻発するという環境を迎えたわけでございます。そういったことを背景といたしまして、中小小売商の方からこの法の規制の強化、特に例えば許可制を導入すべしとかあるいは企業主義を導入すべしといういわゆる大店法規制強化という声が大変高まったわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、大店法の行政手法というものの枠組みは基本的に維持しながら、端的に申し上げれば周辺中小企業者事業機会の確保を図る観点で最大限の指導運用を行おうということで、先ほど委員指摘の抑制地域における届け出の自粛、また事前説明実施指導を行うようにいたし、事前説明を事実上必置事項として要請したわけでございまして、全体といたしまして現在まで残っております事前説明及び抑制地域というものの概念をこのときにつくったものでございます。
  64. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 それでは、この三点といいますか、五十三年の改正、五十七年、五十九年の規制強化という行政の中で一体どういう成果があったのか、つまりこういう指導をしてよかったと恐らく通産省としては思っていると思うのですが、その成果についてお伺いしたいと思います。
  65. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 大変難しい御質問でございまして、その成果について私がここで一定の評価をするということは大変厳しい御質問であります。  私どもといたしましては、ただいまるる御説明申し上げましたとおり、この大店法の枠組みを維持しながら、また御指摘の第一条の法目的に立脚しながら、あるときはこの法制を抜本的に変えて許可制を導入すべしという声に呼応しつつ、また一方において行き過ぎた出店ラッシュによって地方の小売商業に不測の損害を与えるということを未然に防止しつつ、かつまた背景といたしましては何とかその中でも需要の多様化と申しますか、そういった時代の流れというものにも配慮をしなければならないという幾つかの矛盾する要請の中で、基本的にこの大店法の枠組みを維持しながら対応してまいったと思っております。  先ほど来御指摘のいろいろな各時点時点における措置によりまして、やはり規制を強化する方向で運用いたしました場合には出店数というのはその翌年あたりから漸減の傾向をたどっておるところでございますし、そういう意味では、過剰な規制は避けつつも、そのときどきの社会的な要請というものに運用を通じてこたえ得たのではないかというふうに自負しているところでございます。
  66. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 ちょっと私、今の成果については不満なんです。といいますのは、一番の目的は第一条、私一番最初にお話ししたと思うのですが、つまり中小小売商の適正な機会を確保する、この目的に向かって進んできたと思うものですから、それでは、こういうふうに改正して、また通達を出してやってきた、そしてその中で中小小売商はこういうふうに機会を確保できたのです、これが成果の第一の基準にならなきゃいけないと思うのです。したがって、これについてどうなったかというのをお伺いをしたいということ。  それから、五十三年の改正のときには、調整をしなきゃいけないという、つまり大型店と中小との紛争が非常に大きくなってきた、その後も五十七年のときにも、先ほど審議官お答えになりましたけれども、いろいろな方から許可制を導入すべきだという声も上がってきたということ、つまりそれは裏返すと紛争が大きいということじゃないかと思うのです。したがって、成果というふうにもし仮に判断する手法があるとすれば、それは二つ目にそれを考えなきゃいけないのじゃないか。  そしてもう一つは、私先ほど五十七年、五十九年のことを言いましたけれども、大型店の増加が大変大きくなってきている、こういう中で規制をしたというのですから、したがってこの規制の結果その大型店の進出が減ってきたかどうか、このあたりが、行政側としては目的に沿って指導したんだから、その目的達成されたかどうかという指標でなきゃいけない、私はそう思うのですが、まずその点についてどうかということと、それではそのことがどうなったかということをお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
  67. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 第一点の、こういった規制の強化の流れの中で中小小売商がいかなる対応をしてこられたかという点について申し上げますと、なかなか画一的にこれを申し上げるのは難しいところではございますけれども、中小小売商の方々におかれましても、環境が必ずしもよくないところにおきましても、やはりそれぞれ個店において、また商店街において新しい消費の需要というものに対処しつつ、また新しい流れというものを吸収しながら近代化に努めてこられたものというふうに思うわけであります。しかしながら、一方において商業の実態の中で大型店という業態を求める消費者の需要というものも実は強かったわけでございまして、一方の側からのみこれを評価するということは大変難しい話ではないかというふうに思います。しかしながら、いろいろな環境においても商店の方々の近代化合理化への意欲というものは絶えることなく続いてきているのではないかというふうに考えるところでございます。  また、第二点の規制によって出店数がどういう影響を受けたかという点でございますが、確かに行き過ぎた出店ラッシュというものがございました後、先ほど申しましたような規制をさらに強化するというようなことを講じまして、その後これが鎮静化の方向に向かったというのは事実でございまして、そういう意味で制度の運用を変えたということの効果は一定の範囲であったものではないかというふうに考えているところでございます。
  68. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 私、後でお伺いしますけれども、紛争が鎮静化してきた。紛争が鎮静化してきたならば、商調協による透明性とか、商調協による不透明性などという理由が今回の提案理由にならないと思うのです。つまり、あの提案された理由というのは、不透明な商調協があって、そして、しかもそこの商調協がいたずらに時間がかけられて出店がうまくいかない、現在でも紛争は続いている、むしろその紛争を今度抑えようということで商調協は廃止ということですから、したがって先ほど言われてきたことから言うと、紛争は鎮静化してきたのですから、私は今度の商調協の廃止というのは当たらないというふうには思うのですが、ちょっと後でその点については触れたいと思うのです。  今、成果というふうに私はお伺いしたのですけれども、なかなかよくわからないというところですね。そこで、よくわからないというところで、今回規制緩和という方向が出されたのですが、しかし今回見てみますと、これまで四十八年、四十九年にできてずっと規制を強化するという立場をとってきた。九〇年代のビジョンにおいてやや陰りが出たかなと思ったら、今回の提案というのはそれをさらに踏み込んで、しかも自治省に対して省の権限を侵害するというところまでも踏み込んだような法改正になっているということですから、ある意味でいきますと大変ドラスチックにぱっと変わったということですね。そうしますと、行政のやり方が大変そういうドラスチックに変わるということは、これは実際商店街の方やあるいは我々国民から見て戸惑いがあるわけなんです。  したがって、そういう戸惑いをぜひともこうですよというふうに納得してもらうために、これまで通産省が大型店と中小小売商との間の調整をやってきたという、このやってきた中の規制とか緩和じゃなくて、やってきたという一つの総括をやはり今回出して、その総括に基づいて今度の規制緩和という方向ならその規制緩和という方向を出すということが私は行政の筋じゃないかと思うのですが、その点についてお伺いをしたいと思います。
  69. 中尾栄一

    中尾国務大臣 全体にわたって、これを踏み切るに当たって、全体の行政の総括を行うべきではないか、こういう御意見ですが、大店法規制緩和そのものは昭和六十三年十二月の規制緩和推進要綱あるいは平成元年六月の九〇年代流通ビジョンの提言あるいは昨年の日米構造問題協議そのものの最終報告を踏まえて実施に踏み切ったものでございます。特に、今回の法改正に当たりましては、昨年七月から十二月に至るまでの産業構造審議会あるいは中小企業政策審議会合同会議というものにおきまして、大店法をめぐる過去の経緯あるいは昨年五月以来の運用適正化措置実施状況、小売商業対策のあり方等広範囲にわたりまして検討をいたしたところでございます。通産省としましては、その中間答申をもとに、大店法の基本的考え方の原点に立ってこの法改正を提案したものである、このように御理解願いたいと思う次第でございます。
  70. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御質問につきまして、ただいま大臣から基本的なポイントをお話し申し上げたとおりでございますが、行政の総括という実務的な側面につきまして補足をさせていただきますと、私どもといたしましては、この法律制定後約二十年近くの年月がたっておるわけでございますが、その間、大型店の出店と地元中小小売商との調整、また大型店の進出のいかんにかかわらず、中小商店をめぐる環境変化、それからまた消費者消費に対する態度あるいは目の高さ、そういったものの変化、あるいはさらに都市化の変化、こういったそのときどきをめぐる経済社会のいろいろな変化という中で、この法律がいかなる位置 を占めるべきかという点について長年にわたってその運用に努めてまいったわけでございます。私、現在の時点で.総括と言っては僣越でございますけれども、感想を述べさせていただきますれば、いろいろな時期にいろいろな角度から規制を強化しあるいは規制を緩和しという要請があったわけでございますけれども、私どもといたしましては、この法制定の本来の趣旨、第一条の目的というものを変えることなく、これに立脚をいたしまして、ときどきの要請に可能な限り運用で対処するということで対処をしてまいったように思うわけでございます。  それぞれの問題につきまして、例えば委員指摘独自規制の問題につきましても、出店の凍結でございますとか地元の事前合意を義務づけるといったようなこととか、法律趣旨に反するような大変行き過ぎたものが地元において行われるということは是正をすべきであるということで、大臣申し上げましたとおり、常に大店法制定の原点に立脚をいたしまして、ときどきの要請に対処してきたものと考えているところでございます。
  71. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 私、なぜこういうことをお聞きしますかというと、行政というのは.常にその場その場で、自分の役職が済んだらそれでいいんだ、こういうことで行われたのでは困るし、やはり一貫したものがなければいけないというその哲学、つまり大店法でいきますと、中小企業をちゃんと保護する、事業活動の機会を与える、これが常に貫かれなければいけないということ。そうしますと、例えば今回の改正案の中で、時代の変化というのがあるのですけれども、それでは時代の変化ということが中小小売業者を守らなくてもよいという時代の変化になったかどうかなんです。そういう認識に立っているかどうかお伺いしたいと思います。
  72. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 そのような認識には立っておりません。
  73. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 それでは、その立場でこれから少し細かくお伺いをしていきたいと思います。  大店法がありながら中小小売業は着実に減ってきているのは事実なんです、そうは言ってみても。現在でも百三十万の中小小売商で、四百五十万人ぐらいいて、小売販売額は大体五割だと言われているのですが、十四、五年前は七割ぐらいあったのですけれども、その意味では大変大きな比重を占めている。そういう中で、減る速度というか、減るということについては、言葉は悪いのですけれども着実に減ってきているのです。そこで、通産省として、その減る理由について、一体何が原因で中小小売業者は減ってきているのかということについてお伺いしたいと思います。
  74. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 小売商業者の数のトレンドにつきましては、ただいま委員から御指摘のあった動向でございますが、五十七年の商業統計まではふえてきておりまして、三年おきに商業統計をとっておりますけれども、その後六十年、六十三年と減少が続いているところでございます。特に零細企業についてはそういった傾向が激しいということは御趣旨のとおりでございます。  私ども、こういった事象の原因につきましては、最近の全体の社会経済構造の変化消費者のニーズが多様化してまいりますし、また高度化し、いろいろなお店を希望する、あるいは消費者のライフスタイルが変化してくる、車社会と言われるような交通体系あるいは都市構造変化してくる、そういうもろもろの社会経済構造の変化を反映したものというふうに認識をしているところでございます。
  75. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 私は、減ってきた理由というのは三つあると思いまして、一つは後継者がいないということ。最近息子さんらが高学歴になりまして、中小小売店の将来性などからやりたくないとう、そういう指向が大変強くなってきているということ。それから二つ目は車社会ということで、従来は行動半径が五百メートルから一キロだったのですけれども、これが五キロ、十キロというふうに広がってきているという問題。そして三つ目には競争者の拡大が挙げられるのじゃないか。その競争者の拡大の中に同業同士の競争、そしてもう一つは新道による新商業地帯が生まれたことによる競争、そして大型店の進出。こういう点が考えられるのですけれども、こういう考え方についてどうでしょうか。
  76. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 ただいま委員から、特に中小小売商業者の数の減少の原因について三つの点を御指摘になられたわけでございますが、まさにそういった側面があるかと存ずるのでございます。特に後継者問題は非常に深刻でございまして、私どももいろいろな観点から研修等でこの後継者についての支援はしておりますけれども、そういった側面はございます。また、車社会が出現することによりまして商圏が非常に広がってまいりまして、私どもの調査でも、従来は一つの地域で商圏ができていたものがだんだんと広域化してまいりまして、場合によっては超広域圏ということで商圏が広がっていくという中で、競争が非常に激しくなってくるという事態はあろうかと思うのでございます。  そして三番目の競争者の問題でございますけれども、これはやはり一方において消費者が希望する、例えば品ぞろえとかそういうものに中小小売業者が対応できないというようなケース、あるいはコストの問題等で他店との競争に対応できないというようなケースもあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましてもそういった、ただいま委員が御指摘になられた原因によって減少しているということは傾向でございましょうと考えるところでございます。
  77. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 そういうことを一言で言いますと近代化がおくれている、こういうふうによく言われるのですが、この大店法があるために中小の近代化がおくれた、こういう御意見を私聞くのですが、この点についてどういう御見解を持っているか、お伺いしたいと思います。
  78. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 この大店法につきましては、委員からもその趣旨についてお話がございましたし、また私ども大臣あるいは同僚政府委員から答弁を申し上げましたけれども、一方において消費者利益配慮しつつも、周辺中小小売業者事業活動を適正に確保するということで、いわば調整の枠組みを決めた法律であるわけでございます。  しかし、その枠組みの中におきましても当然に他店との競争というのはあるわけでございまして、当該小売店につきましては他店との競争場裏にさらされているという状況でございますから、そうした枠組みのもとでも不断にみずからの経営についての近代化の努力をしていかなければいけないという状態にあるわけでございまして、一般的に申し上げまして、大店法の存在が小売店の近代化をおくらせたということは当たらないのではないかというふうに考えております。
  79. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 近代化というのは何を近代化というのか、もちろん議論があると思うのですが、今私は大体意見が一致していますので、その延長線上でお聞きしますけれども、それじゃなぜ近代化がおくれたかという問題なんです。  私はいろいろな方に商店街の意見も聞くのですが、中小商店街、小売店の方の中で大変経営手腕もあるし、資金的にも一定はある方はいらっしゃるのです。しかし、そういう人がなぜ今おっしゃったような近代化をなかなかしにくいかということについて、こういう意見が大変多いのですね。つまり、大型店が一体どこに立地するか、出てくるか、これがわからない。つまり、思いがけないときに思いがけない場所に出店をされる。そうすると、今ここで自分の店をちゃんときれいにして、前の道路もちゃんとやっていこう。そしてしかも品ぞろえできるような室内もちゃんとしよう、そういうことのために金をかける。通産省は補助金を出すよ、利子は安いですよと言うけれども、そのお金を借りて直した。そうしたら別のところに大型店が来て、この商店街全体が衰退する可能性があるという不安がいつもあるのです、こういう意見が大変多いわけなんです。この点について通産省として、中小企業庁として、近代化の おくれた理由、今私が申し上げたことについてどういう御所見があるか、お伺いしたいと思います。
  80. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 近代化がおくれた理由につきましては、やはり中小小売商業の場合には一般的に申しまして経営基盤が非常に脆弱であるということから、消費者動向等に対応できないということから基本的には近代化がおくれている。これにつきましては、最近商店街につきましても非常に目覚めておりまして、情報化であるとかいろいろな設備の導入とかによりまして近代化を急ぐという事態が生じてきておりまして、私どももこれを大いに支援していこうという考え方でございます。  私どもがいろいろと調査した結果などによりましても、大型店と共存共栄ができるケースとそれからなかなか難しいケースといろいろあるわけでございますけれども、一般的に申し上げまして、既存の商店街の近くに大型店が出てくるという場合には、商圏が広がってむしろプラスになるところが多い。しかし街外れとか郊外、そういうところに単独立地で出てこられると非常に困るんだ、こういうようなケースがございます。これは一定の大店法の枠組みの中での調整ということもありましょうけれども、他方におきまして、やはり街づくりの観点からこういった全体の商業振興というものも考えていかなければならない。そういうことになりますと、新しい今度の特定商業集積整備促進法などを基本といたしますれば、良好な都市形成という観点から今後望ましい商業集積ができていくものというふうに期待をしているところでございます。
  81. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 その近代化がおくれた理由は、規模が脆弱であったからおくれた。しかし、規模が脆弱であったから中小企業庁としては補助金を出したり、あるいは安い金利でお金を貸したりする行政をやってきたのでしょう。それでもなおかつ、おくれてきたのですよ。だったら、それは理由にならないじゃないですか。もしあるとすれば、中小企業庁としては対策が不十分でした、こう言わなければいけないのですよ。そう言うのですか。
  82. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 特に中小小売商業の場合には零細企業、例えば一人、二人の従業者の規模のところがほとんどであるというような事情から、その経営基盤が非常に弱いというふうに申し上げたわけでございますが、私どもとしては基本的にそういった零細の企業に対しましては、一方で経営指導する、同時に経営資金を貸していく、この二本立てでやってきているわけでございますけれども、現在の時点から見てまいりますと、まだその近代化の域が十分ではないということは残念ながら申し上げざるを得ないのでございますが、今後さらに努力をいたしまして、そういった水準を上げていくように努力をしてまいりたいと思います。
  83. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 私は、経営指導とかあるいは中小小売商の方にお金を貸すということをしても、結局は先ほど言われたように共存共栄の問題でいきますと、大型店が一体どこに位置するか、これが非常に大きな決め手になっていると思うのです、現実問題としては。それは中小企業庁としても全国を歩いてみればわかるでしょう。ゴーストタウンになっているところ、あるいは繁栄しているところ、それはもう見たら一発でわかるのですよ。これはもう我々じゃなしに実際仕事をしている人が一番よく知っているのです。  したがって、我々は、いわば大型店が、大型店が来るのが絶対反対というのじゃなくて、どこに位置するのかということ。やはり市町村あるいは都道府県がそのことについて、いや大体ここに持ってきますよ、したがって、ここの地域についてはこういうことをやりなさい、中小企業庁もこういう補助金があります、いわば市町村挙げて一つの街をつくっていこう、そういうことが私は非常に実態からいって求められているのではないかというふうに思うのです。したがって、我々は調整権限市町村都道府県に落とすべきだ。それに従って街づくりを一定任すべきじゃないかというような改正案を出しているわけなんです。そういう認識についてお伺いしたいと思います。
  84. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 おっしゃるとおりだと存ずるものでございます。私どもは、その辺につきましては、小売商業振興観点はまさに四十八年におつくりいただきました中小小売商業振興法、現在改正法をお願いしておりますけれども、そういった法律振興するということでございますし、また、大型店との調整については調整法でございます大店法の、今回改正もお願いしておりますけれども、そういった法律調整をする。さらに今御指摘のございました市町村の中での街づくりという観点につきましては、新しい今回の商業集積法はよりましてそういった良好な都市形成観点も含めてこの問題を実現していきたい、かように考えているところでございます。
  85. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 最初におっしゃるとおりだというのは、社会党の出した案に賛成ですか。だったら、ありがたいのですよ。
  86. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 趣旨はおっしゃるとおりということでございますが、やり方といたしましては、私どもとしましては、大店法改正はあくまでも調整の枠組みをつくるという問題でございますから、今委員のおっしゃった街づくりの観点というものはまた別の観点から新しい法律でやるべきであるというふうに考えているところでございます。
  87. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 それでは私が言った、つまり市町村が中心になって街をどのようにつくっていくか、市町村がお互い決めた中で、例えば大型店をここに位置づけようとかここに考えていこう、そして街をつくっていこう、これについては大体同じだということですね。
  88. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 街づくりという中で、商店街やあるいは商業集積というものが一定の役割を果たすということにつきましては、ただいま長官が申し上げましたとおり、私どもも御指摘のとおりだと思っておるわけでございます。したがいまして、御提案申し上げております商業集積特別措置法におきましては、市町村商業を中心とする街づくりの基本的な構想をまず策定すべし。しかしそれは、昨今の商圏の拡大あるいは需要範囲の地域的な広がりというものを考えますれば、市町村だけですべてが処理できるものではございません。したがいまして、その構想につきまして都道府県の関与というものもこの法律において考えているところでございます。  かようにその街づくりにつきまして、御指摘のとおり市町村を中心として考えていくべきものとは思いますけれども、しかしながら長官申し上げましたとおり、調整につきましてはやはり地域的な広がりというものが数市町村にわたる場合も最近では間々ございますし、市町村における調整というものを原則にするのではもはや実態に合わないのではないかというふうに考えておるところでございます。そういう意味で、調整の権限というものにつきましては都道府県及び通商産業大臣という原則は維持しまして、しかしながら昨今の店舗の大型化に対応すべく種別境界面積の変更を提案いたしているところでございます。  それから、それらの調整を行うに当たって、この商業集積法で想定しております基本構想に立脚して大型店の立地点をどこかに置くべしあるいは置いてはいけないといった調整を新たに行うかという点につきましては、本日田辺委員の御質問にもお答え申し上げたところでございますけれども、我々としてはそういった新たな規制、新たな義務というものを大型店に課すということは大店法規制緩和の現在の流れにそぐわないのではないかということで、新たな規制というものは考えていないところでございます。
  89. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 中小企業庁長官と坂本商務審議官、ちょっとニュアンスが違うのですが、私は先ほどこう言ったのです。市町村に任すというのは、もちろん市町村全部じゃなしに、市町村ではまたがる問題がありますから、やはり都道府県知事、そういうところに、街をどうつくっていくの か、その中で大型店をどういうふうに位置づけるのかということをちゃんとやるべきじゃないか。そうしないと、それは先ほど言ったように近代化がおくれたという理由から見て、どこに来るかわからぬものですから、それは幾ら通産省や中小企業庁がお金を出すといったって、そんなものは受けられませんよ。この問いになかなか答えていないのじゃないかというふうに私は申し上げたのです。  したがって、街の中にどう大型店を位置づけるかということは新たな規制だということには当たらないと私は思うのです。どうしてそれが新たな規制になるかなんです。お互いの街をお互いがつくる、しかもお互いが選んだ市町村都道府県が考えるのです。一体それのどこが規制になるかなんです。お伺いしたいのです。
  90. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 大変失礼いたしました。私、ただいま委員指摘のポイントにつきまして、その構想をつくりました場合に、それ以外のところに例えば大型店が出てきたときにどうするか、そういった問題に対する直接的な答えというのをいたそうと思ったわけでございますが、御指摘のとおりやはり基本構想をつくるに当たりまして、どこにどういう大型店を考えるか、また中小の商店街はどういうふうな発展をするべきかということが構想において検討されるということは当然あり得ることでございます。  ただ、私が申し上げたいと存じますのは、仮にそういう構想を持ちましても、なかなか大型店がそのまま構想どおり来ないということもございますし、また構想に対して、大型店がみずからのビジネスの観点から違う場所を選ぶというようなこともございますし、そういった点で、一種の、行政的に何かを定めればそのまま大型店の行動がそれに必ず従うというようなことではないということを申し上げたわけで、やはり構想に当たって、大型店をどういった規模のものを考えるかというようなことは十分あり得ることだと思っております。
  91. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 そうすると、市町村都道府県が集まって街をどうつくっていくのかという基本構想をつくった場合、その基本構想は一体どこが尊重するのですか、法的には。お伺いしたいと思います。
  92. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 中小企業対策の観点中小企業庁長官、それから大店法の今回御提案申し上げております規制緩和の面等については坂本商務流通審議官で、私は高度商業集積を中心に担当させていただいておるわけでございます。  先ほど来委員の御質問と政府委員の答弁につきまして私なりに要約をさせていただきますと、いわゆる大店舗の進出に伴う調整手続については、ここの場所しか出店させない、ここの場所ならいいというようなそういうゾーニング的な規制は、現在の我々が提案しております大店法趣旨では考えていないということで坂本審議官がお答えをしておるわけでございます。  それから中小企業対策としていろいろ委員指摘の、衰退する特に零細小売業、一人、二人の零細小売業等について、大きな流れとしては委員指摘のように大幅に減ってきておりますが、しかし、それを時代の流れに抵抗するということではなくて、意欲のある小売商業が新しい街づくりをしていく場合に、商店街の再開発、活性化を図っていくというので、小売商業振興法のいろいろの政府の予算、税制等のツールを内容として、今回大幅な改正をお願いしておるわけでございますが、この場合の基本的な権限は国、つまり通商産業大臣でありますが、その中のいろいろの認可権限等は都道府県に大幅に委任をする内容になっております。  それから、私が中心になって進めております高度商業集積につきましては、街づくりを兼ねたといいますか、大きな街づくりの観点消費者の期待にこたえ、かつこの大型店と共存共栄あるいは小売店だけで一つの商店街を新たに形成をして、時代の流れに即応した立派な街づくりをしていこう、その中で小売商業発展していこう、こういう構想でございまして、先ほど申し上げました千六百数十億円の予算の中の相当部分がこれに投入されるわけでございますが、これについては国が指針を出し、市町村がその一般的な指針に基づいて、基本構想で個別具体的にどこの場所に新しい街づくりの商店街が設定されるかということを、これは委員のお考えに近いわけでございますが、市町村が中心になって行うわけでございます。  それで、市町村がつくりました個別の地域ごとの構想についてさらに都道府県がそれを承認する、そこで先ほど坂本審議官が申し上げましたやや市町村単位だけでは考えられない広域商業圏の場合もありますので、今度その地域都道府県知事がさらに全体のいろいろの影響を考えて承認をする、こういう仕組みになっておりまして、指針こそ国の指針でありますけれども、実際の街づくりにおいては市町村を軸に都道府県という地方の意思が十分に反映される、そういう考え方で今御提案を申し上げているわけでございます。
  93. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 いや、私が聞いたのは、そういう都道府県が承認した基本構想、それの意見と例えば大店審の意見が違った場合はどうするんですか。したがって、今度社会党の案では、一部改正の中でそういう基本構想を尊重すべきだという項を我々はあえて入れているわけなんです。ところが今度は、政府案の中には基本構想はつくりなさい。一体だれがそれを保証して、つくったものが一体どういう法的な根拠で裏づけされているかということなんです。  そうでないと、せっかく、例えばある県庁所在地の商工会議所がありますね。そして市町村が違うところにつくります、市町村市町村で基本構想をつくりました。これをやったら、その基本構想に対して、もともとあった旧来の大都市の、つまりここの商工会議所が県の大店審におれは反対なんだ、こういうふうに言ったときに、その基本構想をお互い尊重し合って調整するということがなければ、これは全くつぶれてしまって、基本構想は何の意味もなくなるということじゃないかと私は思うのです。したがって先ほど聞いたのです。
  94. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 確かに委員指摘のようなケースは想定されると思います。私どもの考え方では、この特定商業集積法案におきます特定商業集積整備は、市町村商業集積整備する組合あるいは第三セクターや商工会議所または商工会の意見を聞いて作成する基本構想に即して行われることになっておりますが、この商業集積を核とした街づくりを円滑に進めるためには、このような地元関係者のコンセンサスに基づき事業が進められていくことがもちろん適切であると考えるわけであります。大型店におきましてもこのような基本構想を十分尊重して対応していただけるものと期待をいたしておるわけでございます。
  95. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 したがって、期待じゃなしにちゃんと明記すればいいじゃないですか、そういうことを。そうでなければ、基本構想をつくりなさいといったって何の意味もない。期待ばかりしているのじゃなしに、法的にこれを尊重します、そういう中で大店法もしっかりと考えてください、こういうことを、大店法に従いなさいと言ってはいかぬですよ、基本構想は尊重しますということを今日の状況の中では書く必要があるんじゃないかということを私は言っているのです。
  96. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 委員のお考えは私なりに承りますが、現在私どもの考え方としては、この商業集積を核とした街づくりがつくられていく過程において、大型店もその基本構想を十分理解し、尊重していただけるものと我々は期待しているわけでございます。
  97. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 そういう消極的なことが、街づくりを口では言うけれども、実態としては非常に難しいということを私は懸念するわけで、このことを申し上げているわけなんです。まあ今から何年かすればまた同じ議論が進むと思いますけれども、そのときのために私はあえて申し上げておきますけれども、そういうことをやらなければいけないということを申し上げておきますね。  そこでもう一つ、自治体の問題が出ていますからお伺いしたいのですが、これまで地方自治体都道府県ですね、都道府県が、第二種ですけれども大型店の取り組みをやってきた。このやってきたことに対する対応、あるいはやってきたことの評価、これを一体どういうふうに考えているかお伺いをしたいと思います。     〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
  98. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 大店法運用に当たりまして、先般の法改正以降、第二種につきまして都道府県に権限をゆだねてきたところでございます。  ごく概括的に申し上げますと、都道府県におかれましては、大店法趣旨に沿いまして、おおむね我々の期待したとおりに運用をしていただいたものと私どもは評価をいたしているところでございます。ただ、一方におきまして、地元にいろいろな事情がおありだったとは思うのでございますけれども、一部の地域におきましては、出店の凍結でございますとかあるいは他事考慮による出店の抑制でございますとか、大店法趣旨から考えますとちょっと行き過ぎた指導と申しますか規制と申しますか、そういったようなものが存在してきたのも事実でございまして、これは我々かねて是正を求めてきたところでございます。しかし、当初申し上げましたとおり、総じて大店法趣旨に沿って適正に運用をしてきていただいたものというふうに考えているところでございます。
  99. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 総じて期待どおりやってもらった、こういう評価でございますが、大変いいんじゃないかと思う。しかし、一部の地域ということになりますと、これは平成二年五月二十四日付の通達ですけれども、「地方公共団体による出店等に係る調整の在り方について」。一部の地域市町村が法に照らしてやや行き過ぎがありたということならば、どうしてこんなに通達でわざわざ一、二、三、四の四項を起こしてやらなければいけないのですかと私はお聞きしたいのです。  本来、一部の地域だったらその地域に行ってその地域と話し合いでやるべきじゃないですか。あえてこうやって通達を出すという理由は、この通達の中には「少なからず」という言葉があるのです。少なからずというのは一部とは違いますね。かなり多い。これが問題だということになったからあえて項目を起こしているのじゃないですか。したがって、今審議官がお答えになりましたように期待どおりやってもらったのだったら、今回のようにあえて通達で四つの項目を起こして、しかも今回法改正まで行ってやる必要はないのじゃないかということが一つの質問です。  もう一つお聞きしたいのは、そういうふうに一方で法改正を行って地方自治体のやってはいけないということを言いながら、しかし一方で今度は千五百から三千に幅をふやす、したがってもっとやってください。一方ではやってはいけませんといういわば法改正を行って、しかし一方では千五百から三千ですから、これは今日のロードサイドストアなんかを見ますとこの範囲内に入りますから、相当多く知事に裁量権があるという現状になっていると思うのです。したがって、法改正を行って規制するということからいく判断と、一方では千五百から三千にするという、幅をふやす判断、これは矛盾しているのじゃないかということが二つ目の質問です。  それからもう一つは、そういうふうにいわば知事の権限、判断がふえるということは、今日の体制の中で、県段階の大店審の中で今後一体知事としてどういう判断でこれをさばいていったらいいのか、この点について、三点お伺いをしたいと思います。
  100. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 第一の点でございますけれども、私、一部の地域、こう申し上げたわけでございますが、ある意味では全部ではない、こういうことでもございまして、この場合、正確に申し上げますと、都道府県につきましては独自規制というのは非常に少ないケースでございます。「少なからず」、こういう表現で申し上げておりますその通達の、大部分は、いわば市町村レベルにおける独自規制というものは数も大変多うございますし、中には行き過ぎたものがあって、大店法趣旨達成するためにいかがなものかというものが多かったものでございます、また現在も多いものでございますから、あえて昨年の通達でその点についての注意を喚起したものでございます。  第二点でございますけれども、そういう意味で正確に申しますと、都道府県レベルにおきましては、当初申し上げましたとおり、大店法趣旨に沿っておおむね適正に運用してきていただいたという実績を踏まえ、また店舗が従来にも増して大変大型化しつつあるという実情に着目いたしまして、国と都道府県の事務配分というものを適正に維持をしていきたいという観点も踏まえまして、このたび種別変更をいたして、都道府県の御判断、都道府県調整にゆだねる範囲を拡大いたしたところでございます。  第三点の調整についての考え方ということでございますけれども、これは第一種につきまして、通産省が調整に当たって考えておりますいろいろな要素、また調整基準、これは審査要領といったようなもので対処をしていくわけでございますけれども、そういう第一種についての物の考え方という審査基準を参考にして、これと同様の調整が行われるということを私ども期待をいたしているところでございます。
  101. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 先ほど、大店法から照らして行き過ぎたものが一部ある、こういう審議官のお答えがあったのですけれども、実は昭和五十二年に、通産省、自治省、内閣法制局が政府統一見解を出しておるのです。その統一見解の中で「しかしながら、前記の基準となる面積をある程度下回る店舗の新設等が相当数みられる現状において、当該基準となる面積をある程度下回る面積の小売店舗についても、当該地方の小売業の特有の実態を踏まえた上、合理的と考えられる内容を有する条例を制定して規制を行うことは、ただちに違法であるとは言い難いと考える。」こういうふうに統一見解を出しているのです。この統一見解が生きていれば、これは大店法で行き過ぎたということは当たらないのではないですか。一体こういう統一見解があるのに、だれが行き過ぎたというふうに判断したのですか。
  102. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 委員指摘の統一見解におきましても、やはりその新たな規制というものが合理的なものであるということはミニマム要求をしておるところでございまして、例えば出店凍結というものを決めてしまうとか、あるいは、もし出店をしたら水道も供給しない、あるいはその他の公共サービスを提供しないといったようなことを決めるのは、私どもといたしまして今御指摘の合理性の範囲には入らないんじゃないか。そういう意味で、こういったもはや大型店の進出の余地が事実上封ぜられるような措置を行うことは大店法趣旨にも反しますし、また、今御指摘の見解の合理性の範囲にも入らないのではないかというふうに考えるところでございます。
  103. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 合理性であるかどうかというのを通産省が判断するのじゃなしに、その地元に住んでいる人たちの判断が一番基準じゃないですか。したがって、自分たちの街は自分たちで住むのですから、通産大臣は東京に住んでいるのですから、私の選挙区は丸亀ですけれども、丸亀の街の条例をつくった場合にそれが合理性があるかどうかは、通産大臣の、東京の人が判断するのじゃなしに、地元の丸亀市が判断するのが適切じゃないんですか。しかもなおかつ、そういうふうにつくってもよろしいという統一見解が出ている。したがって、その合理性があるかないかというのを上でというのは、先ほど私一番最初に申し上げましたけれども、法はだれのためにあるかということなんです。これだったら通産省の幹部の人たちのためにあって、下のためこうやってつくった条例は、ちょっと上の法律と照らしておかしいから、あなた直しなさいという上意下達じゃないですか。いかがでしょうか。
  104. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 法はだれのためにあるかという大変基本的な問題を提起されているわけでございますけれども、たとえ地元の市町村のことを 考えたという前提で地元の市町村において措置が講じられる場合におきましても、やはり法律というものが存在し、その法律のもとで行政というものが可能な限り国、都道府県市町村一体的に行われ、それによって国民の権利義務というものが一体的に安定性のもとに要求される、そういう意味で法律によって規制をされる義務というものについての安定的な予測可能性が立つということもこれまた大変大事なことでございまして、そういう意味で、法を所管いたしております通産省において、その法に照らして妥当かどうかということを判断させていただいているわけでございます。
  105. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 そういう答えに私なると思いましたので、一番最初、第一条の目的はちゃんと生かすという——いわばその第一条の目的を生かす、そのことが私は合理性だと思うのです。つまり、この街ではこういう合理性があります、この街はこういう合理性があるという、そのことをぜひ慎重に考えてもらわなければ、こういう法改正して画一的にこうやりなさいということだけで進んでもらったのでは困るということを申し上げておきたいと思うのです。  時間がありませんから、私最後に三点だけお伺いしたいと思いますが、二年後に抜本的に見直す、こういうことが言われているわけですけれども、どういう根拠で二年後というふうに書いたかということなんです。これを一つお伺いをしたいということ。  それからもう一つは、輸入品の問題について、本来ならばこの輸入法律、一番最初に目的が書かれていなければいけないのです。ところが、今回の法案の中には目的が書いてなくていきなり「定義」になっているのですが、その提案理由によりますと輸入品振興を図るということがあるのですが、どうしてこれは目的輸入品振興等を図るということを書けないか、書かないかということ、これが二つ目の問題。  それからもう一つ、第一条で「当分の間、」というふうになっているのですけれども、なぜ「当分の間、」にしたか、そしてまた、「当分の間、」とは一体どのくらいの期間を指すのか、当面とはどのぐらい違うのかということ、この三点を大まかにお伺いしたいと思います。
  106. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 第一の御質問でございますが、私どもこの大店法のあり方につきまして、常常法律というものは諸情勢に合わせて我々も検討していく必要はあるのでございますけれども、今回につきましては、先般行われました日米構造協議最終報告におきまして、大店法規制緩和に関する第三段階の措置として、大店法改正後二年後にさらに見直すということもまた対外的に約束をいたしたところでございます。したがいまして、こういった趣旨を踏まえ、また今回の法改正の効果を見きわめるという必要性もございまして、改正法の施行から二年以内に改正法の大店法規定及び実施状況というものに検討を加えて、必要な措置を講ずるという旨の規定を置くことにいたしたわけでございます。  第二点、御質問の輸入に関する特例法の目的規定の有無についてでございますけれども、委員御高承のとおり、いわゆる特例法という分野におきましては、目的規定ではなくて、特例の意義を規定したいわゆる趣旨規定というケースが多うございまして、そういう意味で趣旨規定というものを置くことによって、この措置内容とか我々の考えているところを明らかにしたわけでございます。そういう意味で、本法大店法特例を定めたものでございますので、通常の例に沿って趣旨規定を置いたというものでございます。  「当分の間、」という第三の点でございますけれども、本法を御提案申し上げております背景は、我が国の貿易収支動向を踏まえまして、やはり輸入を拡大していくという国際的な要請にこたえていく必要がある間というほどの意味でございまして、そういう意味で、逆に申し上げますと、本法は一定期間経過後に自動的に失効するものではない、こういった意味でもございます。そういう点に着目いたしまして、本法を継続していく特例として存続していく必要性の有無につきましては、輸入の拡大の状況、あるいは輸入に関する政策的な要請といったようなことを勘案しながら今後判断をしていくということでございます。「当面」との違いということでございますが、全く常識的な答えで恐縮でございますけれども、当面というのはごく短い近未来を、近未来と申しますか、ごく短い先のことをどうも言うのではないかと思います。当分の間というのは、それよりは語感としては長い期間を想定しているのではないかというふうに思う次第でございます。
  107. 加藤繁秋

    加藤(繁)委員 大変不満ですけれども時間が来たから終わりますけれども、いずれにしましても、今回の改正というのは急激に右ハンドルを切ったということですから、これは急激に右ハンドルを切りますので中に乗っている人は相当ぐらっときますので、影響が出ると思うので、影響の問題について私聞きたかったのですけれども、残念ながらこれで終わります。いずれにしましても、中小小売業の方の機会を図るということについて今後も全力を挙げなければいけない、一緒にやりたいということを申し上げまして、私の質問を終わりにします。どうもありがとうございました。
  108. 奥田幹生

    奥田委員長 小岩井清君。
  109. 小岩井清

    ○小岩井委員 私は最初に、日米構造協議最終報告について、それに関連して伺いたいと思うのですけれども、この最終報告を見てみますと、「上記大店法改正後二年後に更に大店法を見直すこととする。この検討には、消費者及び小売分野における競争に対する大店法の影響に関する分析並びにこれを踏まえ、大店法を基本的に見直して更なる行動をとることの必要性に関する分析が含まれる。冒頭の点を明らかにするため、上記大店法改正法に、改正法の施行状況の有効性を吟味し、その結果に基づいて特定地域に関する規制の撤廃を含め必要な検討を行う旨の規定を明記する。」こうあります。それで、この最終報告で言う二年後の「大店法を基本的に見直して更なる行動をとることの必要性に関する分析」、さらにこれを受けて本法律案では第二条で「政府は、この法律の施行の日から二年以内に、この法律による改正後の大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律(以下「新法」という。)の規定及び新法の各地方公共団体の区域における実施状況その他の実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とあります。  これを踏まえて伺いますが、構造協議で言う「基本的に見直して更なる行動をとる」、法律案で言う「必要な措置を講ずる」、これは一体何ですか。具体的にこの二年後の措置について伺いたいというふうに思います。
  110. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘の点でございますが、ただいま御指摘いただきました附則の第二条、ここに日米構造協議最終報告においてうたわれております趣旨を法文化いたしたものでございます。したがいまして、この最終報告におきましては「更なる行動」をとる必要性ということをうたっておるわけでございますが、端的に申し上げれば、この改正法案を施行さしていただきまして以降二年度以内にその実施状況というものをよくよく吟味、分析いたしまして、その趣旨は、この附則二条に出ております新法の各地方公共団体の区域における実施状況に検討を加えといったようなことにあらわれているわけでございまして、そういう「必要な措置」ということと「更なる行動」ということは同趣旨のものとお考えいただきたいと存じます。
  111. 小岩井清

    ○小岩井委員 通産大臣は私の九日の本会議における質問に、見直しについては大店法廃止までは考えていない、こういうふうに答弁されましたね。これは確認いたしておきたいわけでありますが、今、大変抽象的で具体的に何を言っているかわからない、「基本的に見直して更なる行動」と「必要な措置を講ずるもの」と同じだというふうに答弁ありましたね。ありました。大臣答弁で言う廃止は含まれていないとすれば、何を考えているのかさっぱりわからないのですよ。まず、廃止に ついての本会議の答弁については再確認で大臣に答弁していただきますが、その点についてもう一度答弁してください。
  112. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘の点につきましては、繰り返して恐縮でございますが、この改正法を施行して二年以降、新たな商業環境あるいは新たな時代の要請、そういったものをよくよく注意、分析しながら、この法律のそれぞれの規定が有効に働いているものかどうか、あるいは規定を含めて見直しをする必要があるのかどうか、規定以外の運用の改定でもって足りるものかどうか、それらの点につきまして検討を加えていくということを意味しているわけでございます。したがいまして、今具体的にこの点を変えるとか、この点の修正を行うとかというようなことは事前には当然のことながら決めていないわけでございますけれども、この改正法案運用の過程で必要な検討を加えて、必要ならば法の改正あるいは規定運用改正、そういったことを含めて措置を講ずるということを申し上げているつもりでございます。また、大店法廃止の問題につきましては、本会議答弁で大臣が申し上げましたとおりのことと考えておるところでございます。
  113. 小岩井清

    ○小岩井委員 質問項目がたくさんあるのですから、余り抽象的なことでなくてきちっと答えてくださいよ。  ということは、廃止は含まれないのでしょう、廃止はしないというのだから。じゃ、「更なる行動」というのは何ですか。規制緩和をするのですか。今、実施状況を吟味して検討を加えるというふうに言いましたね。もう既に今、改正案提案をしているのですよ、規制緩和をすると。さらにもっと規制緩和をするということになれば、廃止に限りなく近づくじゃないですか。そういうことを言っているのですか。     〔委員長退席、額賀委員長代理着席〕
  114. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 今、委員指摘のように、予断を持ってその後の行動について現段階で決めている点は全くございません。しかしながら、法律でございますから、この法律施行後新たな情勢のもとで、例えば改正が必要だというふうな認識が社会的に高まれば改正の必要がございますし、またそうでなければ何もする必要もございませんし、いずれにせよこれらの二年間の検討状況というものを踏まえまして、その結果に基づいて行動をする、必要な措置を講ずるということを定めただけのものでございます。したがいまして、この時点で新たな規制緩和の方向でありますとか、そういったことについて具体的にこれを決めているというようなことではないわけでございます。
  115. 小岩井清

    ○小岩井委員 予断を持ってこの法律案を提案をしているわけではない。ところが、予断を持って、じゃ日米構造協議最終報告を決めたのですか。「更なる行動をとる」というのは、二年先の行動まで決めているのですか。  この点をまず伺いたいということと、次に移りますけれども、法改正の「基本的視点」の第一に「消費者利益への十分な配慮」が挙げられていますね。「小売業における一層自由な競争条件整備され、十分な業態展開や地域的展開が図られることを通じて、消費者の選択の幅の拡大に寄与していくことが重要である。」としていますね。消費者利益の一層の保護配慮は当然ですね、これは。しかし、先ほど加藤委員の質問にもありましたけれども、中小小売業者事業機会を確保していくことはこの法律目的でもあるわけですよ。最も重要なわけですけれども、これを的確に担保していく仕組みについては非常に不明確、これはこの点にほとんど配慮されてないんじゃないかというふうに考えるわけですけれども、この点についてはどうですか。明確に御答弁ください。
  116. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 第一の点につきましては、繰り返しになって恐縮でございますが、構造協議においても具体的に何をするかということを決めているわけではないわけでございますので、念のため申し添えたいと存じます。  それから第二点、本法案の改正を御提案申し上げております目的の一つでございます消費者利益保護という点でございますが、この点につきましては私ども法の改正及び法の運用改正を通じまして、最近における消費者ニーズというものが大変ダイナミックに変化をいたしているものでございますから、そういうものにこたえるべく、運用も含めて改正をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、中小小売業者事業機会の確保という点につきましては、これは本法目的の主たるものでございまして、そういうものに対する私どもの基本的な認識というものは変わっておるわけではございません。そういう意味で、中小小売業者事業機会を確保するための仕組みというものは基本的にこれを残しつつ新しい要請にできるだけこたえていこうというふうに考えておるわけでございまして、既存の法制の基本的な枠組みというものを通じて中小小売商業者利益というものを確保していこうという点については、何ら変わるところはないと考えておるところでございます。
  117. 小岩井清

    ○小岩井委員 中小小売業者事業機会、これは確保するというより私は拡大していかなければいけないというふうに思うのですけれども、その点について極めて不十分だということを指摘をいたしておきます。  次の質問に移りますが、政府案においては、種別境界面積の引き上げとして、第一種大規模小売店舗と第二種大規模小売店舗との境界面積をそれぞれ現行の二倍に引き上げていますね。我が日本社会党案は、先ほど加藤委員提案理由説明をいたしましたけれども、種別廃止する、そして大規模小売店舗となる建物面積要件は、その建物内の店舗面積合計が千五百平方メートル、都の特別区及び政令指定都市においては三千平方メートルを超えるものとして、大規模小売店舗における小売業事業活動調整権限、これを都道府県知事に一元化をする、そして市町村長を経由するということにしておりますけれども、この点についての見解、本会議でも求めましたけれども、委員会で改めて通産大臣の見解を求めたい。  さらに、出店調整に関する勧告、命令は都道府県知事が行い、通産大臣による調整廃止してはどうかという我が日本社会党の案についてもあわせて見解を求めたいと思います。
  118. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず第一点の問題でございますが、大店法そのものは消費者利益や地元小売商業者との関係で大型店の事業活動調整するという基本的な枠組みを提供するものでございまして、その規定及び運用に当たりましては全国的な整合性を確保していくことがまさに不可欠である、このように認識するものでございます。大店法における調整権限をすべて地方公共団体にゆだねてなおかつ独自に調整できる仕組みといたしますことは、大店法運用に当たりましては著しい地域的なアンバランスを招来するという可能性があり、適当ではないのではないかと考えておるわけでございます。  また、大規模小売店舗の面積を現時点においてあえて現行の五百平方メートル超から千五百平方メートル以上に変更する特段の理由や必要性もないと考えておりまして、政府案で問題はない、こう考えておるわけでございます。  また、第二点の問題でございますけれども、出店調整についての通産大臣の勧告、命令を廃止してはどうか、こういう御意見でございますが、大店法規定及び運用に当たりましては全国的な整合性というものを確保していくことが不可欠でございまして、一方で大店法調整権限をすべて都道府県にゆだねる仕組みとすることは、その運用に当たりましてかえって地域的なアンバランスをもたらして公平さを欠くこととなってしまうおそれもないわけではないという点から、不適当であると考えておるわけでございます。したがいまして、出店調整をすべて都道府県知事にゆだねるということは不適当である、このように考え、申し述べたわけでございます。
  119. 小岩井清

    ○小岩井委員 都道府県知事調整権限を持たせたらどうか、一元化したらどうか。なぜそうしなければならないかという具体的事例については、 先ほど加藤委員から詳しく質問をしたとおりでありますから、この点については大変不満足でありますけれども、次に移りたいと思います。  次に、政府案は、第七条第一項に「通商産業省令で定めるところにより選定した消費者又はその団体、小売業者又はその団体及び学識経験を有する者の意見(以下「消費者等意見」という。)」を加えるとしていますけれども、学識経験を有する人というのはどういう人を想定しておりますか。そして、これは省令で定めるわけでありますけれども、どういう人を想定して省令に定めるのか、最初にこのことについて明確に伺っておきたいと思います。
  120. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、一応抽象的に学識経験を有する者ということでございますので、まず一般論で申し上げますと、当該商圏内の商業事情、経済情勢等に深い知識、見識というものを有される方々の中から選定をするのが適当というふうに考えているところでございます。  ちなみに、現在大規模小売店舗審議会におきまして地方部会というのがございまして、ここで委員をお願いしておる方々がおられるわけでございますけれども、例えば消費者団体の代表の方でございますとか、あるいは地方の実情に明るい地方大学の教授あるいは学長の方でございますとか、職業は千差万別でございますけれども、例えば新聞社の役員の方でいらっしゃいますとか、それぞれの地域によるわけでございますが、そういった中立、公正な立場で、また地域の実情というものに深い知見を有しておられるという方々にお願いをしたらどうかと考えておるところでございます。
  121. 小岩井清

    ○小岩井委員 今、消費者という答弁がありましたね。日本社会党の案は、都道府県の大規模小売店舗審議会は、商工会議所、商工会の意見に加えて関係市町村長意見消費者またはその団体、小売業者またはその団体その他のもので省令に定めるところにより申し出をしたものの意見を聞かなければならないという、各界から意見を聴取するというふうにしているのですね。市町村長意見を定めようとするときは地域小売商業審議会意見を聞かなければならないということで、その市町村意見反映ができるというような内容になっているのです。  今、消費者、学者あるいは新聞社というふうにおっしゃいましたけれども、この考え方に基づいて言いますけれども、この点どうですか。本会議の質問のときには、私は消費者と聞いたのですけれども、大臣はあえて消費者ということを答弁の中に入れておりませんでした。この点についてもあわせて、これは本会議の答弁が大変落ちていると思いますから、大臣からも答弁をしてもらいたいと思うのです。
  122. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 ただいま消費者と申しましたのは、消費者が必ず含まれるということではございませんで、現在の大規模小売店舗審議会の各地方部会の中にどういう方々がおられるかということを例示的に申し上げたというだけなわけでございます。したがいまして、消費者の代表の方もおられるし、あるいはおられない部会もございますし、いずれにしろその地域の実情に明るい学識経験を有される方、こういう意味で申し上げたわけでございまして、消費者を必ず含むとか含まないとかという判断を前もってするということではございませんので、あるいは私の答弁がやや誤解を招いたのかもしれませんので、その点訂正をさせていただきたいと存じます。  それから、社会党案につきましての御指摘でございますが、私どもといたしましては、今回の運用に当たりましては現在の枠組みの中で大店審というものを中心に調整が行われる、言葉を変えて申し上げれば大店審において調整を一元化していくということを基本に考えているわけでございます。しかしながら地元の関係者の意見を聴取することは大変大切なことであるということに着目いたしまして、新たに意見を聴取すべき対象として、地元の消費者団体あるいは消費者あるいは小売商業者、学識経験者というものを意見聴取団体に新たに加えたところでございます。  それから、都道府県ごとに大店審を必置するということでございますが、現在もう既に全都道府県におきまして都道府県の大規模小売店舗審議会というのが設置をされているところでございます。それから市町村長につきましても、現在の法制のもとでも随時都道府県知事に対して意見申し出ることができることになっておりまして、私どもといたしましては、社会党案とやり方はあるいは異なるかもしれませんが、こういった機会を通じて地元の意見が十分大店審に反映されるように新たな配慮も加えて措置をいたしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  123. 小岩井清

    ○小岩井委員 学識経験を有する者として、先ほどの答弁の中に消費者、学者、新聞社というふうにあったから、入れるんですねと聞いたら、例示的に申し上げただけです。随分不まじめな答弁をしますね。じゃ、これは消費者は入るのですか入らないのですか、はっきり言ってください。
  124. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 これは各地方の部会において入っているケースもございますし、消費者代表というのは含まれないケースもある、それは新聞社の方につきましても入っておられる部会もあれば入っておられない部会もある、それはその地域地域によって学識経験者の選ぶ範囲というものが変わってくるだろう、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  125. 小岩井清

    ○小岩井委員 先ほど社会党案についての各界からの意見聴取をするという内容について答弁がありましたね。その趣旨については今ほとんど異議を挟む答弁がありませんでしたけれども、その点どうですか。例えば、市町村長意見については随時申し出ができるようになっているとかという答弁がありましたけれども、その広く各界の意見を聞こうということについての趣旨はどうですか、お考えを伺いたい。
  126. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 私は、政府案におきましても大規模小売店舗審議会においてまさに広く各界の意見が聞かれる仕組みを新たに加えているということを申し上げたわけでございます。
  127. 小岩井清

    ○小岩井委員 政府案においてもまさに各界の意見を聞ける仕組みを提案しているということであれば、社会党案を取り入れたらどうですか。
  128. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 私どもといたしましては、その権限を市町村長にゆだねている、そういう仕組みをとっておりません。それに都道府県調整する場合には都道府県の大規模小売店舗審議会、通産大臣が行います場合には国の大規模小売店舗審議会というところで各界の意見を聞くということでございまして、そこは調整の権限に対する仕組みのあり方において、社会党の提案しておられる案と基本的に異なるというところを申し上げた次第でございます。
  129. 小岩井清

    ○小岩井委員 限られた時間ですから次に移りますが、先ほど加藤委員最後の段階で質疑が展開をされた地方公共団体独自規制の抑制について伺いますけれども、日米構造協議最終報告改正内容として検討する事項の中に、地方公共団体独自規制の抑制を合意内容としていますね。本法律案では、地方公共団体独自規制を抑制するための根拠となる法的措置を講ずるとしていますね。そして、具体的には第十五条の五に「地方公共団体は、小売業を営むための店舗について、その規模が周辺中小小売業事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあるものとして当該店舗における小売業事業活動調整に関し必要な施策を講ずる場合においては、この法律趣旨を尊重して行うものとする。」とありますね。独自規制の抑制ということとこの法律趣旨を尊重して行うということについて、この点について、これが各地方公共団体の抑制にどうつながってくるのか。  それと、先ほどの答弁では大店法趣旨に反する行き過ぎた地方自治体規制についてこれを抑制するのだという答弁が、加藤委員だったか、ありましたね。とすれば、大店法に反するような行き過ぎた地方公共団体独自規制についてこれを 指導するということでありますけれども、その条文であるということでありますが、通産省から見ればそれでいいでしょう。しかし、これは憲法、地方自治法はどうなんですか。憲法、地方自治法に照らしてみたら、自治権の侵害になりませんか。地方自治体地方公共団体は独自に条例も制定する権利があるのですよ。その条例に基づいてその市町村の施策を進めていく権利があるはずです。自治権侵害になりませんか。明確に答えてください。
  130. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘の点でございますけれども、先ほど加藤委員の御質問にもお答えしたとおりでございまして、地方自治法に基づきまして各都道府県が条例を制定する権利は当然ございます。ただ、大型店の出店に当たりまして大店法という特別の法律がございますので、これと相反するようなことが独自に、またてんでんばらばらにつくられるということになりますと、国民の権利義務を規定しておりますその規定の仕方について全国的にアンバランスが生じて、法的安定性を欠くという要請も別途あるわけでございます。  したがいまして、私ども新しい条文におきまして意図しておりますところは、委員指摘のとおり自治権また条例制定権というようなものを頭から否定しているというものでは決してございません。しかしながら、御承知のとおりこの法は届け出そして調整という特別のメカニズムを定めて出店調整を行うということを定めておりまして、頭から全く出店を受けつけないというようなことを例えば条例で定めるとかいったようなことになりますと、この法が目的としております法的安定性という要請には欠けるものでございますから、この趣旨を尊重してやってください、こういう意味において自治権あるいは条例の制定権といったようなものは、むしろそれを前提としてやるときにはこの趣旨に沿ってくださいということをメッセージとして呼びかけておるというつもりでおりまして、私はかような意味において地方自治法の精神に背馳するものではないと考えておるところでございます。
  131. 小岩井清

    ○小岩井委員 自治省、答えてください。
  132. 松本英昭

    ○松本説明員 お答えいたします。  ただいま通産省の方からお答えがありましたこととほぼ同様でございますが、私どもは、この規定につきましては、地方におきます施策と国の施策との関係を規定したものというように受けとめております。先ほどもお話のございましたように、これは決して条例制定権そのものを否定しているものでもございませんし、地方公共団体の自主性にも配意がされたものではないかと考えておる次第でございます。
  133. 小岩井清

    ○小岩井委員 日米構造協議最終報告の中に地方公共団体独自規制を抑制するということを合意しているのですね。この法律制定の考え方についても、その根拠となる法的措置を講ずるとしているのですよ。ところが、法律の案の内容はこの趣旨を尊重して行うものとすると。今答弁があって、この趣旨を尊重してやってくださいよと、こういうことなんです。だから条例制定権だとか自治権を侵害しているわけではありませんよというけれども、実際には大店法に反するような行き過ぎたことについてはやってもらっては困るということなんでしょう、さっきの答弁からいけば。これだけこの法律を尊重して行うものとするとしていながら、実際には全く尊重じゃないのですよ。完全に中央集権で、中央の力で地方自治体を抑えようとしているのですよ。  伺いますけれども、憲法と大店法とどちらが優位ですか。
  134. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 当然、憲法であると信じております。
  135. 小岩井清

    ○小岩井委員 これは大臣、答えてもらいたいのですけれども、憲法が優位だとすれば、憲法に規定をされている地方自治法に基づいて処理するのは当然だと思うのですけれども、いかがですか。憲法に反するような大店法規定というのは、これはこの法律を尊重して行うものとするということであるから、ただこれだけですよと言えばそれはそれまででしょう。しかし、内容は違うのだ、憲法違反の内容は。その点はどうですか、大臣、答えてください。
  136. 中尾栄一

    中尾国務大臣 足らざるところは法制局の方に答えていただきたいと思いますが、大店法そのものは消費者利益や地元小売商業者との関係で大型店の事業活動調整するという基本的な枠組みを設定するものでございます。その規制緩和が図られる中で、地域の実情を考慮してもなお行き過ぎた地方公共団体独自規制が存在するようなことは好ましいものではない、こういう観点に立つものでございます。そのような観点で、今回の大店法改正法案におきましては、地方自治にも配慮しながら地方公共団体の施策に関する規定が盛り込まれている、このように考えているものでございます。
  137. 小岩井清

    ○小岩井委員 全く納得がいきません。  さらに伺いますけれども、この法律については施行後適用されるわけですけれども、現在もう既に独自規制を持っている地方公共団体大店法の上乗せ規制については百十七自治体、十二の都道府県が含まれているそうですが、横出し規制、これは千十四自治体で、二十三の都道府県が含まれているとしていますね。もう既に独自規制を持っている地方公共団体、これは条例に基づいていると思いますが、これと第十五条の五との関係はどうなりますか。
  138. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 現在行われておりますいわゆる上乗せ、横出しにつきましては、私どもかねてよりその是正を求めているところでございます。新しく御提案しておりますこの改正案におきましても、私どもといたしましては今後ともこういった独自規制のうち、あくまでも行き過ぎたものがあると判断いたしました場合には、地方公共団体に対して新たにこうして法律的にもその是正を求めることが明らかになったことでもあり、一層その是正方の要請に努めたい、かように考えているところでございます。
  139. 小岩井清

    ○小岩井委員 かねてから是正を求めている、そして、法律ができた場合さらに法律に基づいて是正を求めるということでありますけれども、もう一度先ほどの話になりますが、あくまでこの大店法趣旨を尊重して是正を求めるのですね。尊重するだけですね。憲法、地方自治法に基づく自治権、条例制定権まで侵害する意図はありませんね。これは確認しておきますよ。
  140. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 全く憲法及び地方自治法の趣旨に沿って是正を求めるということでございまして、御高承のとおり、憲法九十四条におきましては、地方自治体は「法律の範囲内で条例を制定することができる。」ということが書いてございます。また、地方自治法第十四条第一項におきましては、「地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて」「条例を制定することができる。」ということが書いてございます。そういう意味において、私どもが御提案している条文はまさに大店法に違反しない限りその趣旨に沿って行動を求めているというものでございます。
  141. 小岩井清

    ○小岩井委員 今の点についてはまだやりとりしたいところですけれども、時間がだんだん迫ってまいりますから次に移りたいと思います。  出店調整について、これは店舗面積、開店日、閉店時間、休業日数の四項目ですね。これは先ほど加藤委員質疑にも重点的にありましたけれども、立地についても調整が必要じゃないかという観点に立っているのです。計画的な商業政策と街づくりの観点から立地について調整対象にすべきじゃないかというふうに考えているのですけれども、どうですか。この点について商業政策の観点から通産省から御答弁いただきたいと思います。  そして、街づくりの観点からは都市計画上、大型店出店をゾーニング規制していくべきではないかということについて、これも先ほど加藤委員との質疑でやりとりがありましたけれども、この点については、きょうは建設省に出席を求めておりますから、建設省から都市計画上の視点から御答弁いただきたいと思います。
  142. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 御指摘のような大店法に基づく 立地調整、あるいは特定商業集積に関連したゾーニング規制ということによって大型店の出店を規制をするということは、私どもが考えております規制緩和の基本的な方向に反して、むしろ結果として地域の経済活動の停滞を招くケースもあるというふうに考えております。むしろ商業振興を図りつつ街づくりを進めていくためには、大規模小売店舗の出店に当たって所要調整を図りながら地域の経済、商業全体が活性化していくような振興策、支援策をもって対応していきたいと考えております。  こうした観点から、大店法と同時に今御提案申し上げております特定商業集積法案におきましては、市町村作成する基本構想に基づきまして、地域の特性を十分勘案して特定商業集積公共施設と一体的に整備をしていき、商店街等小売商業発展振興を図る、こういうことで所要振興策、支援策を講じていくことが適切ではないかと考えております。
  143. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 商業の立地につきまして都市計画的な観点からどう考えているかということでございますが、都市計画の観点からは都市の健全な発展と秩序ある整備を図る、そういう観点から、まず都市計画としてマスタープランの位置づけがございます。マスタープランの中で商業地の配置及びそれに基づく整備の方針というものが決まります。このマスタープランに基づきまして、具体的には各用途地域あるいは特別用途地区などの規制を行う、あるいは関連の都市計画事業を公共事業として行うということがございますし、地区レベルにおりていきますと、地区計画というような制度を活用しながら商業立地を行っているところでございます。さらに、先ほども答弁いたしましたけれども、具体的な基盤整備の絡みでは区画整理法とか市街地再開発法などを活用して各種の面的整備事業を行っていくということでございます。  なお、ゾーニングの絡みで申しますと、現在も一種住専、第一種住居専用地域あるいは第二種住居専用地域などという用途地域がございまして、この地域におきましてはある一定の商業用途が禁止されるといいますか、立地できないような規制が現にございます。それはその地域環境保護のために必要だということでございます。しかしながら、そのような規制のない地域におきまして小売店舗の立地をどうこう規制するということは、都市計画上の観点からも行き過ぎではないかと思います。したがいまして、大規模店舗を含めそれ以外の区域におきまして、立地の規制を都市計画的な観点から行うということは適正でないと考えております。
  144. 小岩井清

    ○小岩井委員 続いて伺いますけれども、我が日本社会党が提案をしている第十一条の二の関係として「特定商業集積整備基本計画達成についての配慮」として、都道府県知事は、変更勧告、変更命令又は改善勧告の措置運用に当たっては、特定商業集積整備促進に関する特別措置法に定める特定商業集積整備基本計画の「達成に資するよう配慮しなければならない。」ものとするとして案を提案しております。この点についての見解を求めます。  さらに、都道府県規模小売店舗審議会都道府県必置機関として設置するという我が党の案についても、先ほど若干見解が出ておりますけれども、あわせて見解を求めておきたいと思います。
  145. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 大店法大臣勧告、命令という極めて厳しい措置を発動するに当たりまして、ただいま御指摘の集積基本計画というものの達成配慮しろ、配慮していなければしていないことを公表する、あるいは違反に対して罰則を科するということになりますのは、私どもとしては法律的にはやや厳し過ぎることになりはしないか。また、大店法全体として規制の緩和を図っていきたいということを考えております中で新たな規制になりはしないか、私どもはこういうふうに考えるところでございまして、したがいまして、むしろこれから街づくりを行うに当たり、また商業集積というものを形成するに当たりまして、規制緩和の方向を前提にしながら地元の実情に応じた街づくりを進めていく、また、それに対して我我として支援策を講じていく、こういったことにするのが適当ではないかと私どもといたしましては考えているところでございます。  それから、都道府県大店審を必置するという点についての御提案でございますけれども、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、私どもの大店法におきましても都道府県大店審を置くことができるということで、実態的にはすべての都道府県に大店審が今や置かれているわけでございます。この背景といたしまして、調整の権限をすべて国から地方、都道府県に委譲すべしということがそのお考えの背景になっていると存ずるわけでございますけれども、これにつきましては、私どもといたしまして、基本的には、国としての統一的な見地から大きく大型店の出店調整がなされるべきであるということを基本にしておるわけでございますが、しかしながら、そのときどきの実情に応じて国と地方団体との権限配分のあり方というものを別途考えていくという立場で行っているものでございまして、国の権限を地方団体におろすことを前提とした都道府県大店審の必置というのとは私どもの考えは異なるわけでございます。
  146. 小岩井清

    ○小岩井委員 次に移ります。  大店法の第一条に「目的」がありますけれども、社会党案全体はこの「目的」に沿って、沿ってというかかなってと言った方がいいかな、そういうふうに自信と確信を持って提案をしているわけであります。その点、政府案は、不透明な商慣行の改善ということにはなっていない。それから、各省の縦割りの弊害の除去にもなっていない。それから、消費者利益という視点でありますけれども、それについても、先ほど来の答弁からいっても、消費者利益がこの法律によって完全に保護されるというふうに確信を持てる答弁を聞いていない。そして、小売業事業活動調整あるいは中小小売業事業活動の機会を適正に確保する、そしてその事業活動発展を図っていくという、中小企業庁とのやりとりも先ほどありましたけれども、そういう点からいけば、それはかえってこの法律案が阻害をするのではないかという懸念は多々あります。そういう問題点があるわけでありまして、この点について非常に大きな問題点があるということを指摘せざるを得ません。  したがって、この法律案を撤回する意思がないのかということを承りたい。そして、先ほど社会党案を取り入れる意思がないのか聞きましたが、もう一度伺っておきたいと思います。これは大臣からお願いいたします。
  147. 中尾栄一

    中尾国務大臣 現在、御審議をいただいております政府案は、まず「消費者利益保護」に配慮しながら、「大規模小売店舗における小売業事業活動調整する」ことによりまして、「周辺中小小売業事業活動の機会を適正に確保する」という大店法の目標を維持しながら、内外要請にこたえるべく、出店調整手続の迅速性と明確性と透明性の確保というものを頭に置きながら諮ったものでございまして、現在考え得る最善のものと考えているわけでございます。  また、大店法改正法案に合わせまして、魅力のある商店街づくりあるいは商業集積づくりのためには、建設省、自治省と共管の特定商業集積法案等三法案をお諮りしておるところでございまして、したがいまして、政府案を撤回する考え方は現在ないということだけ御指摘させていただきたいと思います。
  148. 小岩井清

    ○小岩井委員 続いて、輸入品専門売場設置に関する大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律特例に関する法律案について伺いたいと思います。  これも、日米構造協議最終報告において法律改正の一つとして挙げられています。この法律は「当分の間の」特例、先ほど加藤委員の質問にもありましたが、「当分の間、」とは具体的に、大変いいかげんといってはあれですけれども、あいまいな答弁で、何カ月になるか、何年になるか、何十 年になるか、わからない答弁でした。これについて伺いたいと思います。  それから、「当分の間」大店法による調整を受けることなく設置をするための所要特例措置を講ずることとしておりますが、ここにも「当分の間」とありますけれども、これも、何カ月なのか、何年なのか、何十年なのか、あるいは百年なのか、先ほどのあれではわかりません。答弁してください。  さらに伺いますけれども、出店調整を必要とする大規模小売店舗の中に設ける輸入品の専門売り場を含めて一つの建物を計画するわけですが、片一方は出店調整を必要とする、片一方は必要としないという二通りの手続になるわけです。逆に非常に複雑化するのではないかと思うわけですが、この点についてはどう考えているのか。  それからもう一つは、この輸入品専門売り場をふやしたからといって、すぐ明くる日から外国製品が飛ぶように売れるとは思われないのです。これは特効薬になり得ないと思うのです。ですから、売り場面積をふやしたいために、この輸入品広場——輸入品売り場ですが、そのうち、売れないから広場になってしまうかもしれないけれども、そのために輸入品売り場として出してくるケースだって考えられる。もし消費者のニーズに合わないで品質が悪ければ購買力は上がらないと思うのですが、この点はどうですか。
  149. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 幾つかの御質問でございますので、順次お答えさせていただきます。  第一点の「当分の間、」という点でございます。これにつきましては、先ほど加藤委員に対してお答え申し上げましたところでございますけれども、私どもといたしましては、我が国の貿易収支動向というものを勘案しながら、輸入拡大の国際的要請にこたえていく必要がある間という意味でございまして、ここで何年間と具体的に答えるということについては具体的な数値を含めて申し上げることは難しいわけでございますが、いずれにしろ、輸入拡大を図るという我が国の政策的要請が続く間というふうに答えざるを得ないので、御了承いただきたいと存じます。  それから、提案理由で考えております「当分の間」と特例法一条で定めております「当分の間、」とは同じ意味のことを考えているわけでございます。  それから、第三点でございますが、御指摘のとおり、大規模小売店舗になるお店を展開するというのに当たりまして、全体として、例えば三千平米あるいは四千平米ということになりまして、またその中に輸入品専門売り場というものが二百とか三百とかというふうに含んだ形で届け出がなされた場合には、もし事業者の側においてこの輸入品専門売り場としての特例を得たいということでございますと、その部分はこの特例法に基づいて届け出をしてもらいますとその後のいわゆる大店法による調整過程というものから外れるわけでございます。そういう意味で、若干二つの手続をお願いするということにはなりますけれども、その輸入品専門売り場の面積に関しましては調整を不要としておりますので、残りの面積についての調整を行うということで、必ずしも複雑な側面ばかりではないというふうに考えるわけでございます。  以上のように、私どもといたしましては輸入拡大という現下の要請にはいろいろな手段をもってこたえていく必要があるわけでございまして、大店法の側面におきまして、輸入拡大に資するために何があるかということを検討いたしました結果、まさに当分の間、特別の調整手続を外した特別の措置というものによって、大型店と申しますか店舗における輸入品の取り扱いというものを容易にすることによって、少しでも輸入の拡大に貢献したいという趣旨に基づきまして本特例法案を御提案申し上げている次第でございます。
  150. 小岩井清

    ○小岩井委員 第六条の改善勧告、この中で「政令で定める要件に適合しなくなった」ときということがあります。この「要件に適合させるために必要な措置をとるべきことを勧告する」、これは相当の期間というふうになっていますね。勧告についても、改善命令も相当の期間となっています。とすれば、仮にそんなに輸入品が特効薬的に売れるとは限らないとすれば、だんだん普通の売り場面積にしていく場合だってあるでしょう。その場合に、要件に適合させるための必要な措置をとるよう勧告する相当の期間あるいは命令も相当の期間、こうなって、その相当の期間だけ延ばすということだって考えられるわけですね。そういうことに仮になったとすれば、先ほど言う大型店に有利になって中小小売業者事業機会をさらに奪うことになるということになるのですね。この相当期間というのは具体的にどのくらいを指しているのか伺いたい。  それから、この営業の停止について書いてあります。この専門売り場について当然要件を満たさなくなれば営業ができなくなるわけであります。ところが、外国製品ではない製品を並べて営業を続けている場合だってあるわけでありますけれども、厳しく監視の目を光らさなければならないというふうに思うのですけれども、この点どう考えますか、お伺いしたい。  それから最後にもう一点、かなりこの法律は無理があるのではないかというふうに思うのですけれども、輸入拡大の国際的要請配慮、これを目的とする、わかりますよ、十分理解はする。しかし、これは輸入拡大の効果がそんなに上がるのだろうか。仮に、これはさっきちょっと気がついたのだけれども、アクアスキュータムの服地ですね、それからネクタイはエルメスです。それからペンも外国製品ですね。皆さんそうだと思うのです。輸入品専門売り場を設けなくたって買う人は買っているのです。だから専門売場も特効薬的にどんどん輸入品が売れるというふうには思えない。そんなに輸入拡大の効果があると思えないというふうに思うのです。むしろこういう特例を設けることによって弊害すら出てくるのではないかと懸念されるのですけれども、この点はどうなんですか。抜本的に検討し直したらどうですか。どうでしょう。
  151. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 幾つかの点を御指摘いただきましたので、順次答えさせていただきたいと存じます。  最初御指摘特例法六条の改善勧告、七条の改善命令それぞれについての相当の期間でございますが、御指摘のとおり輸入品専門売り場というものを要件に適合させるということがこの条文の目的でございます。したがいまして、例えば考えられるケースといたしまして、輸入品専門売り場に国産品を置いているというようなケースがあるわけでございます。そういう場合には相当の期間と申しますのは、例えば国産品というものを撤去させる、そのために必要な期間といったようなことを頭に描いて相当な期間というふうにいたしておるわけでございます。  それから、中小小売商の事業機会を奪われて大型店のみにこの措置が有利になるのじゃないかという点でございますけれども、私どもといたしましては、決して大型店だけに有利になるというようなことを考えているわけでもございませんし、またその効果といたしましても、最後の点にも関係するのでございますが、最近かなり地方都市などにおきましては、東京や大阪のようにまだいわゆるブランド品というものがどんどん出回ってだれでもすぐ買えるというところばかりではございませんで、そういったところではいろいろ工夫をして、輸入品専門売り場というものを置いて一種の集客のためにこれを活用するというようなことも考えておられる方々がおられます。これは必ずしも大型店のみならず中小の小売業の方々にもそういうことを努力しておられる方がおられるわけでございまして、私どもといたしましては、こういうことで周辺小売業に不測の損害が起こるということは避けたいということで、輸入拡大要請との兼ね合いでこの点を千平米ということで考えてきたわけでございます。  また最後の点でございますけれども、全く効果がないのではないかという点でございますが、こ の点につきましては、確かに輸入の拡大という点につきましては、いわば即効薬的なものというのはなかなか見つからないわけでございまして、いろいろな手段を組み合わせることによって、少しでも多くのものを輸入するということを日々努力を積み重ねていくということが大切なことであるわけでございます。そういう意味で、大店法の世界におきましても、できるだけ輸入品を扱うお店の展開というものを少しでも容易にするということをもって輸入拡大の一助にしたい、こういう趣旨に出ずるものでございまして、その点を御理解いただきたいと存ずる次第でございます。
  152. 小岩井清

    ○小岩井委員 この点についてはやりとりをしたいところでありますが、時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  153. 額賀福志郎

    ○額賀委員長代理 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ────◇─────     午後一時三十一分開議
  154. 奥田幹生

    奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質議を続行いたします。大畠章宏君。
  155. 大畠章宏

    ○大畠委員 日本社会党の大畠でございます。  午前中からこの大店法を中心とした議論がされているわけでありますが、私は既存の商店街の活性化といいますか、そういうものを中心としていわゆる商業集積法、正式名称は特定商業集積整備促進に関する特別措置法案、それから、民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、そして中小小売商業振興法の一部を改正する法律案、この三つの改正案等を中心にいろいろ御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、この三つの法案内容について、より理解を確かなものにするため幾つか御質問したいと思います。  最初に、商業集積法についてでありますけれども、この商業集積法の第三条第一項、「特定商業集積」とは具体的にどのような施設を示すのか、また第三条第二項の「商業基盤施設」とは具体的にどのような施設を示すのか、そしてもう一つ、同じく第三条の第三項、「商業施設」とは具体的にどのような施設を示すのか、そういうことについて最初にお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
  156. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 お答え申し上げます。  まず最初の三条一項の特定商業集積でございますが、これは多様化高度化する消費者ニーズへの対応あるいは商業集積を核とした街づくり等の観点から望ましい商業集積でありまして、具体的には店舗小売業の用に供される施設と、コミュニティーホール、イベント広場、アーケード等、コミュニティー、アメニティー機能を有して、顧客その他地域住民の利便の増進を図るための多様な施設、これらが一体的に設置されます施設の複合体を指しております。  それから、第三条第二項の商業基盤施設でございます。これは先ほど申し上げました特定商業集積を構成する施設でありまして、具体的には店舗等の商業施設と一体的に設置される施設を指すものであります。具体的に例示を申し上げますと、一つのパターンとしましては共同物流センターあるいは共同POSの施設など、小売業者が共同して利用する共同利用施設を指します。それから、もう一つのパターンとしましては、駐車場、コミュニティーホール、イベント広場、アーケード等、コミュニティーあるいは快適なという意味でのアメニティーの機能を有して、顧客その他の地域住民の利便の増進を図る施設を指しております。商業基盤施設はこの二つの種類でございます。  それから、三番目の第三条第三項の商業施設とはどういうものかという御質問でございますが、これは商業者が直接商業に供します店舗そのものあるいは倉庫など、営業用の施設を指しております。以上でございます。
  157. 大畠章宏

    ○大畠委員 今のそれぞれの項についての説明はわかりました。  それから、第四条の第一項で大臣が「基本指針」を定めるとしておりますけれども、各関係大臣が、通産大臣、建設大臣及び自治大臣ということであります。この基本指針ですが、北海道から九州までを含めて、先ほど加藤委員あるいは小岩井委員から話がありましたとおり、各地方の商店街といいますか地域の実態を踏まえて定めるということでありますけれども、私は非常に難しいんじゃないかなという感じがするのです。それが一つ。  それから、関係大臣がおられますけれども、だれが中心となってこの基本指針を制定されようとしているのか、それについてお答えいただきたいと思います。
  158. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 お答え申し上げます。  委員指摘のようにこの特定商業集積整備基本指針は第四条で定めることになっておりますが、通商産業大臣、建設大臣及び自治大臣がこの指針を定めるとなっておりまして、この三大臣は全く平等の立場で共同して、協議をして指針を定めるわけでございます。  それから、この全国一律はなかなか難しいのではないかという委員の御指摘でございますが、私どもはこの法律案の四条の二項にございますように四項目、特定商業集積整備に関する基本的な事項、それから先ほど委員御質問の商業基盤施設あるいは商業施設、これらが特定商業集積を構成する要素でございますので、これらに関する事項、それから非常に重要なのは、これらの特定商業集積と一体的に整備される公共施設に関する基本的な事項、それから四番目に、その他特定商業集積整備に関する重要な事項、これなどは例えば首都圏整備地域その他の地域整備計画等との関連などをこの例として考えておりますが、そういうような重要事項、こうした全国で大体共通の重要事項について基本指針の内容としたいと考えております。
  159. 大畠章宏

    ○大畠委員 順次御説明いただいて、それからまたまとめていろいろ御質問したいと思うのですけれども、その次に第四条の第三項で「情勢の推移により必要が生じたときは、基本指針を変更するものとする。」ということであります。これも先ほどの話と同じでありますけれども、地方の実態を踏まえてその情勢の推移により必要が生じたとき基本指針を変更するということでありますが、午前中にも加藤委員、小岩井委員からもありましたとおり、国の大臣情勢の推移をつかまえて基本指針を変更するということが果たしてできるのかなと思うのですけれども、この基本指針並びに情勢の推移により必要が生じたときには基本指針を変更するという、国の方でこの指針を定めなければならないと考えた根拠をお伺いしたいと思います。
  160. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 私どもは、午前中にも各委員から御指摘がありましたが、内外情勢変化大店法規制緩和を行わざるを得ないわけでございますが、それにより確かに小売商業にいろいろの意味での影響があることも事実でございます。しかしながら、他方非常に高度化多様化する消費者ニーズ、先ほどこれも委員の方々から消費者利益も十分反映しなければいけないという御指摘もございましたが、そうした豊かな国民生活を享受したいという消費者ニーズにもこたえた流通業界でなければいけない。  その両方の要請を満たすために、我々は大店法改正と同時にこの特定商業集積法によって積極的にこれから魅力のある商店街、街づくりを通じて小売商業発展させていきたいという方々を支援していく、これがこの法律の考え方でございますし、それからもう一つ、小売商業振興法の大幅改正も、例えば駅前商店街の再開発等を通じて積極的に事業を展開していきたい小売商業の方々への支援でございますが、こうした特定商業集積法あるいは改正後の小売商業振興法によって、意欲のある小売商業の方を育てていきたい、振興していきたい、またそれがこの消費者ニーズにこたえ る新しい街づくりにも通じていく、こういう考え方でおるわけでございます。  したがいまして、そうしたニーズを充足する魅力のある小売商業振興を図るために、全国的に基準となる、望ましい基準となる事項について、先ほど申し上げました四項目でございますが、三大臣が協議をして一般的な指針をつくりお示しをする、これによって市町村において小売業界あるいは関係者が話し合って一つのプロジェクトをつくっていく、それを都道府県知事が承認をする、こういうプロセスを考えているわけでございます。
  161. 大畠章宏

    ○大畠委員 私は、午前中にも私どもの委員から指摘されましたとおり、国がそういう地方の実態を踏まえた基本方針というものを定めて、かつ情勢変化をつかまえていろいろ考えていくということ自体に無理があるんじゃないかなと思うのですね。それでなくても国がやるべきものというのはたくさんございまして、例えば九州の実態あるいは沖縄の商業地域の実態と北海道の地域の実態は違いますし、また東北の方と関西、東京あるいは四国等もそれぞれの地域の実態がありますので、それを共通してくくって、国が一つの枠をはめてそれに沿った形で云々という、そういう考え方の時代から、まさに今地方の時代と言われていますので、地方にその権限と予算を与えていくという姿勢を、私は今回のこの法案改正についても十分配慮した形でしてほしかったなと思うのでありますが、どうもその点、私は、今回のこの法案改正において非常に、よく考えてあるような感じですけれども、中央集権に結びついてしまうんじゃないか、そういう懸念を持って今質問をしているところであります。  同じように第五条の四項において、「市町村は、基本構想を作成しようとするときは、第二項第一号から第五号までに掲げる事項について、当該市町村の区域をその地区とする商工会議所又は商工会の意見を聴かなければならない。」これは非常にいいことだと思うのですけれども、午前中もありましたとおり、いわゆる消費者ですとかあるいは街づくりの専門家ですとか、そういう方々の意見を聞くということが今回の法案の中には入っていないわけでありますが、どう考えておられるのかというのと、なぜそういうものを表現しておられないのか、その二つをお伺いしたいと思います。
  162. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 お答え申し上げます。  第五条第四項では、商工会議所、商工会の意見を聞くということになっておりますが、今委員指摘消費者等の御意見も、例えば第五条で市町村がつくります具体的なプロジェクト、つまり街づくりの基本構想につきましては、都市計画審議会、これは建設省の関係でございますが都市計画審議会審議を経た都市計画、それから自治省の関係では地方自治法第二条第五項によりまして議会の議決を経た基本構想に即したものでなければならないというふうに第五条第三項に規定をされておるわけでございます、委員指摘の四項の前でございますが。こうした都市計画審議会審議やあるいは議会の議決の過程で、御指摘消費者や街づくり専門家等の学識経験者の意見は十二分に反映される仕組みになっておるものと考えております。また、法律運用に当たりましても、御指摘趣旨を踏まえまして消費者その他地元関係者の意見が十分反映されるようにしていきたい、このように考えておる次第でございます。
  163. 大畠章宏

    ○大畠委員 第三項の方に確かに「都市計画との調和が保たれ、かつ、地方自治法第二条第五項の基本構想に即したものでなければならない。」と書いてありますけれども、この項でいわゆる消費者並びに街づくりの専門家の意見が十分入った形でこの基本構想が練られるんだというのは、ちょっと飛躍し過ぎているんじゃないかなという感じがいたします。したがって、この基本構想の作成に当たっては、商工会議所または商工会の意見とともに、私は改めてこの基本構想をするときに消費者並びに街づくりの専門家の意見を十分に聞くべきだと思いますけれども、再度お伺いしたいと思います。
  164. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 法律の仕組みはただいま申し上げたとおりでございますが、法律運用に当たりまして、委員指摘の御趣旨を十分踏まえまして消費者その他地元関係者の意見が十分反映されるように運用を心がけていきたいと考えております。
  165. 大畠章宏

    ○大畠委員 その次の質問に移りますが、第九条の第二号に定める事業とは具体的にどういう事業を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  166. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 法律案の九条二号は、展示会の開催その他の顧客の増加に寄与する事業支援する事業等について必要な資金の出資を行う、こういう規定でございます。これはいわゆるイベントをいろいろ企画する組織、これは民間の会社になりますが、これに対する支援を考えておるわけでございます。特定商業集積整備を進めていくためには商業集積を核とした街づくりを図っていくわけでございますが、単にハード面におきます助成措置のみならず、そこで顧客をたくさん集めるあるいはそうした顧客に楽しんでいただくというようなソフトについてのいろいろのアイデア、これを考えていただく専門家が必要ではないか、こういうことで、産業基盤整備基金という特別認可法人がございますが、この基金等から出資をしていただきまして、仮称でございますが、商業集積支援総合企画株式会社というものを設立して、全国各地におきますこのプロジェクトについてイベント事業とか研修事業等に対し支援を行っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  167. 大畠章宏

    ○大畠委員 次に、民活法に関する改正案について二点お伺いしたいと思います。  一つは、第二条の第一項十三号に定めるものとしておりますけれども、具体的にはどのような内容を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  168. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 民活法第二条第一項第十三号に定める施設とは、小売業高度化を図るための施設でありまして、店舗等の商業施設と一体として設置される駐車場、イベント広場等から構成される施設を指しております。具体的には三つのパターンがあると思いますが、一つは、駐車場それから総合カウンター等の顧客の利便を増進する施設、それから二つ目は、会議施設、それからイベント広場あるいは運動施設、アーケード等の地域コミュニティーの核となる施設、それから三つ目は、研修施設あるいは共同荷さばき施設等小売業業務円滑化を図る施設、この三つを指しているものと私どもは理解をしております。
  169. 大畠章宏

    ○大畠委員 余り具体的な内容でちょっと理解しがたいところもありますけれども、また次の質問の中でお伺いしていきたいと思います。  それでは、農林省、見えていると思うのですけれども、同じように第二条の第一項十四号に定める施設云々がございますが、大体具体的にどういうものを想定されておられるのか、お伺いしたいと思います。
  170. 赤木壯

    ○赤木説明員 お答えいたします。  民活法第二条一項十四号に定める施設でございますが、卸売市場または食品小売店舗集積施設と一体的に設置される施設であって、一つは、食品の生産者、流通業者消費者の相互の交流を図るための交流施設ということで、具体的には特定農産物の展示施設や、あるいは食文化交流ホールといった交流施設でございます。それからもう一つは、食品小売業者の業務円滑化を図るための共同利用施設ということで、具体的には低温保管管理施設のようなもの、それから情報関連施設等の共同利用施設を考えてございます。
  171. 大畠章宏

    ○大畠委員 それから小振法について三点ほどお伺いしたいのですが、この小振法の中の第四条の第六項に示す「政令で定める要件に該当するもの」とは具体的にどういうものを指すのか、お答えいただきたいと思います。
  172. 江崎格

    ○江崎政府委員 この第四条六項の特定会社に関する政令で定める要件でございますけれども、特 定会社の担います役割といいますか、性格を考えまして、政令で決めます要件としましては、特定会社に対する大企業の出資の比率、それから出資する中小企業者の割合、こういったようなことを政令で決めたいと考えております。
  173. 大畠章宏

    ○大畠委員 それから、同じように第四条第六項に示す「当該商店街整備等支援計画が政令で定める基準に適合する」とは具体的にどういうことを示すのか、答弁をいただきたいと思います。
  174. 江崎格

    ○江崎政府委員 この政令で決めます基準といたしましては、設置されます店舗に係る中小小売商業者などの床面積の割合ですとか、あるいは事業内容の適切性、確実性、こういったようなことを政令基準として決めたいと考えております。
  175. 大畠章宏

    ○大畠委員 それから最後になりますけれども、第四条の第二項の「店舗を一の団地に集団して設置する事業」とは具体的にどういう内容を示すのか、お伺いいたします。
  176. 江崎格

    ○江崎政府委員 ここで「一の団地」ということでございますけれども、これは顧客の利便の問題ですとか小売商業事業形態、こういったことから機能的に一体と見られる敷地というのを一つの団地というふうに考えておりまして、ここに「集団して」設置するということは、計画的に全体として複合的な役割を持つように近接して設置させるということでございまして、したがって、この店舗を「一の団地に集団して設置する事業」というのは、一つの区域に複数の店舗ですとか、イベント用の広場ですとか、子供のための遊戯場ですとか、駐車場、こういったものを一体として設置しまして、新しい商店街をそこで形成するというようなことを考えております。
  177. 大畠章宏

    ○大畠委員 以上、今回御質問しようとしている三つの改正法案の主な点についてお伺いしたわけでありますが、この三つの法案というのは、午前中御質問がありました大店法改正案に伴って地元の既存の商店街、この既存の商店街をどう活性化していこうかという意味では非常に重要な法案だと私は思います。そこで、この法案を適用していく場合にどういうことが想定されるのか、問題点を含めて御質問をしたいと思います。  最初に、先ほど商業集積法について関係大臣が基本指針を協議して定めるということでありますけれども、三大臣が協議をして基本指針を定めるわけでありますが、正直言いまして、今回の法案改正によってここ一、二年にも大型店の進出というのが非常に各地で活発に展開されると思うのです。そういう意味では、急いでこの三つの関連法案の適用というものを図らなければならないわけでありますが、この基本指針を定めるときに、簡単にこの基本指針というのが決定できますか。
  178. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 私ども御提案申し上げております特定商業集積法及び小売商業振興法は、御審議いただき、お認めいただければ公布即日施行ということで、できるだけ早くこの法律運用を行いたい、このように考えております。  一番出発点になります三大臣の基本指針につきましては、あくまでも法律が成立してからのことではありますが、それまでに関係各省十分いろいろの角度から検討をして準備を進めてまいりたいと考えておりまして、法律公布施行後できるだけ早い段階に基本指針をお示しできるようにしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  179. 大畠章宏

    ○大畠委員 その基本指針が定まって、その指針のもとに地元が中心になってその地域のことを検討し始める、そしてそれを知事に答申をして認可を受けて、また国の方へ上がってくる、そして予算づけをしてもらって地元の方に返って、そういうものを実際に行っていく、そういうものを考えていくと、今万一この法案が通って始まった場合、一体この法案の実際的な効果があらわれる時期というのは早くてどのくらいだと考えていますか。
  180. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 お答えいたします。  現在この国会に御提出申し上げております特定商業集積法あるいは小売商業振興法につきましては、全国の商業界から大変注目をしていただいておりまして、先般、我々の考え方につきましてもいろいろ市町村あるいは商業団体、個別商業の方方から、どういう内容でどういう支援体制、予算措置等を組んでいるのかというような御質問なり問い合わせが引きも切らない状況でございます。私ども、今全国でこの両法の対象になる候補地としてどういうものが出てくるかにつきましてはまだ正確に把握をいたしておりませんが、今の商業界の御期待の実情から見ますと、既に各地において、この法律が御審議いただき成立させていただくという前提のもとにいろいろな準備が行われているように考えております。  私どもは予算としましては、予算が成立すればすぐにでもいろいろの支援体制が組めるわけでございますので、この法律を御審議、御採決いただければ、できるだけ早く予算等の支援手段を実行に移したいと考えております。ただ、いつの時点からその実行が可能かという点につきましては、ひたすら国会の御審議が早いことを我々も期待しておりますので、できるだけ早くとは思っておりますが、今ここで何月からということを申し上げることはちょっと控えさせていただいた方がいいと思います。     〔甘利委員長代理退席、佐藤(謙)委員長代理着席〕
  181. 大畠章宏

    ○大畠委員 私が申し上げておるのは、要するに国が予算と権限を持ってコントロールするということよりも、もっと判断経路というのを、国が身軽になって権限と予算というものを地方自治体に提供してもうちょっと反応を早く、地元の情勢に従って市町村が計画して県が認可をして即実行できるように、国までいろいろな許認可が絡まないでできるようなことをしないと、この三つの法案、今御答弁ありましたとおり、各地域では非常にこの法案に対して期待感が高まっております。したがって、私は、この法案については即効性といいますか、実効性を高めるために、余り国が関与しないで権限と予算というものを地方自治体におろして、各地域の実態に合った形でこの三法案というものが生かせるようにすべきじゃないかと思うのですが、その点はいろいろ基本的な考えが違うからしようがないかもしれませんけれども、そういう観点から今御質問したわけであります。  それから、それぞれの法案がありますけれども、それぞれの法案について、予算がついてきますので、大体国としては何件ぐらいずつ考えておられるのか。地方から今非常に要望が強いということでありますが、何件ぐらいずつ、それぞれの案件について考えておられるのか、おおよそ考えがあったらお伺いしたいと思います。
  182. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 まず私から特定商業集積についてお答えをいたしますが、この特定商業集積の基本構想がどのくらい出てくるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように私どももまだ候補プロジェクトの数については正確に把握をいたしておりません。私ども、予算的には一応平成三年度の予算においては十カ所程度整備をするということで予算その他を用意をいたしておるところでございます。  なお、小売商業振興法については中小企業庁から御答弁いたします。
  183. 江崎格

    ○江崎政府委員 小売商業振興法に基づきます高度化計画の認定の件数でございますけれども、現在現行法で認められております高度化計画につきましては、例えば平成元年度ですと七十三件、それから平成二年の上半期の統計が出ていますが、これですと五十一件というふうになっています。これからどのくらいを見込まれるかということでございますけれども、これも正確に申し上げるのは非常に難しいのですけれども、現在中小小売商業を取り巻く環境が非常に厳しいということと、私どもが接触しております小売商業の対応の姿勢というようなことを考えますと、今申し上げました過去の実績よりは相当ふえるのではないかというふうに思っておりますし、それから今度の法律改正でまた新しい高度化計画の種類も三つふやすように提案しておりますので、こういったことを考えますと、相当程度の増加が見込まれるのでは ないかというふうに考えております。
  184. 大畠章宏

    ○大畠委員 今回私ども社会党も大店法改正法案がありますが、もしもこの政府提案の大店法改正案というものが通ったと仮定して、日本の全国で大体平成三年あるいは平成四年ぐらいに、なかなか見通しが難しいかもしれませんけれども、どのくらいの大型店あるいは大規模なショッピングセンターというものが各地に展開されるのか、そこら辺の見通しを持っておられるのですか。
  185. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 現在、手元に将来の見通しについての数字は持ち合わせていないのでございますけれども、ごく最近におきます大型店の出店状況というものを参考に申し上げさせていただきますと、ひところややハイペースの出店があったわけでございますが、昨年の十月くらいからペースダウンいたしまして、一種、二種合わせてでございますけれども、全国で見ますと九十件、あるいは場合によっては百件に近いというようなケースが現在まで三、四カ月続いているところでございます。  大型店の出店動向につきましてはいろいろな要素が働いておりまして、例えば現在では御承知のとおり設備投資に当たっての金利がかなり高いところで推移いたしておるわけでございます。したがいまして、そういった財務面から若干ブレーキがかかっているところもございます。それから、当然のことではございますけれども、来年に向かって景気と申しますか、消費というものがどういうふうに展開していくと見るか、これによってもまた違ってこようかと思います。  それから、最近の傾向といたしまして、大型店とはいえ実際はナショナル——大体そんなところで、私も正確にはあれでございませんが、まあ一月百件を上回ることは余りないのじゃないかなと思っておるのでございます。現実に出店表明というか、出店案件の処理でございますけれども……
  186. 大畠章宏

    ○大畠委員 私が今お伺いしたのは、大店法の緩和に伴う地域、いわゆる既存の商店街の活性化のためにこの三つの法案ができていると理解しているわけでありますが、今、月百件というような話もありましたけれども、私の方でいろいろ資料を調べてみますと、平成四年から五年にかけてオープンする大型店というのは全国で大体四百店から五百店ぐらいあるのじゃないか。そういうことを想定した場合に、今は平成三年度の予算で集積法関係で大体十カ所、あるいは小振法の方で七十カ所ぐらいだとすれば、その間には非常に差がございます。したがって、大型店の出店に伴って地方の商店街が非常にダメージを受けるということで、この三法案を利用して一生懸命地元の既存の商店街の活性化を図ろうとして今の予算以上の申請が起きた場合、これは仮定でありますけれども、そのときに一体、内容は、趣旨は非常にいいのでありますが、大店法改正に伴う地域での影響を最小限にして、かつ既存の商店街の活性化を図ろうとするこの法案、予算の措置が非常に必要なわけなんです。そういうふうに今お話しの予算以上に地元からの要求が出てきた場合に国はどういうふうな対応をされようとしているのか、お伺いしたいと思うのです。
  187. 棚橋祐治

    ○棚橋政府委員 お答えいたします。  私が先ほど申し上げました高度商業集積についての十プロジェクトは、ちなみに平成三年度予算では総事業費で千二百億円の事業を想定して予算対策を講じておりまして、この予算には、通産省だけではなくて、建設省、自治省のいろいろの関係の補助金、無利子融資それから超低利融資等々がありますが、大まかに見まして大体その三分の二程度を国あるいは地方自治体で援助する、こういうことで、予算的には相当多額なものでございます。昨今の財政事情の中でこれだけの予算を組んでいるわけでございますが、そういう点で、当面、十プロジェクトということに予算上は積算をいたしたわけでございます。  ただ、先生も御案内かと思いますが、これについては、午前中も御質問がありましたように、その当該市町村だけではなくて、いろいろの近隣市町村商業圏等を勘案して、当該市町村で慎重に場所を選んだり、規模を考えたり、開店時期を考えたりするわけでございます。恐らく準備期間は、地域によって違いますけれども、早くできるところもあれば、相当時間がかかるところもあります。それから、地方においては、これに大いに期待しながら、法律が成立しませんと踏み切れないというものもございます。私どもは、これは単年度で終わるものではなくて、恐らく二年、三年かかるもので、予算的には繰り述べ措置が認められておりますので、スタート時点としては十プロジェクトではありますが、平成四年度、五年度、また財政当局と折衝をしてこの対象地域をできるだけ広げていきたい、こういうふうに考えております。  なお、小売商業振興法の対象につきましては中小企業庁がお答えすべきでありますが、これについては、こういう形で何カ所というような特定はしてございません。したがいまして、プロジェクトの大小にもよりますので、候補の対象地域はかなり柔軟に期待にこたえられるのではないかと考えております。
  188. 大畠章宏

    ○大畠委員 予算的な措置というものは大変重要だと思うのですが、この三つの法案趣旨を生かすために、地元地域からのそういう要請には予算的にも最大限に配慮して対応するように、また、予算以上のそういう申請があった場合には、いろいろ検討をされると思うのですけれども、非常に古くから一生懸命頑張ってきた既存の商店街の方が、商業地域がだめにならないように、最大限の予算措置をするように全力で頑張っていただきたいと思います。  それから、今予算という話がありましたけれども、この場合の負担割合といいますか、こういう事業の場合、どういう形で国、県あるいは地元という負担割合になりますか。
  189. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 商店街を整備していく場合の国、県の負担割合でございますけれども、私どもは、整備すべき場合のプロジェクトの事業費のトータル二分の一を国と都道府県が半分ずつ、すなわち四分の一ずつを補助するという建前をとっているわけでございます。したがいまして、残りの二分の一につきましては地元の商店街等で資金を確保しなければいけないということになるわけでございますが、その場合であっても、また別途中小企業事業団の無利子融資を今年度から特に創設をしてございまして、これは総事業費の八〇%まで無利子融資で、五年間据え置きのトータル二十年間で返済するという大変有利な制度もつくっているわけでありまして、そういった総合的な支援によりまして商店街を整備していく、こういう考え方でございます。
  190. 大畠章宏

    ○大畠委員 今、二分の一は国と県という話がありましたけれども、東京都のように財政が豊かな地方自治体もありますし、あるいは財政基盤が非常に弱い県もありまして、法案を適用することによって、その地域の、県の財政を圧迫してしまうおそれはないでしょうか。
  191. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 これは現在非常に緊急を要します商店街の整備、小売商業振興という問題でございますので、今般の対策につきましては、全国共通の条件のもとで行うことが基本であろうかと思っております。  ただ、個別の支援策について申し上げれば、いろいろとそこには個々の自治体の富裕、貧富の状況が反映されるべきものもあるわけでございます。例えば中小商業活性化基金ということで、計画を各商店街につくっていただく場合の補助金を都道府県の公社で確保しているわけでございますけれども、そういう基金につきましては、この基金の財源については国と都道府県が半分ずつでございますが、その半分ずつの都道府県が負担する場合におきまして地方交付税の交付金による財政補てんが行われているわけでございますが、財政力の豊かな一部の大都市圏の地方公共団体については講じられていないというような実態もございまして、個々の自治体についてはそのようなニュアンスがつけられているところでございます。
  192. 大畠章宏

    ○大畠委員 今お話がありましたけれども、とに かく地方自治体も非常に財政的に、よく三割自治とかなんとか言われておりますけれども、地方自治体の財源を余り圧迫するようなことのないように、今のような方針のもとにぜひ強力にやっていただきたいと思います。  それから、いろいろ議論を進めてまいりましたけれども、加藤委員からもお話がありましたとおり、既存の商店街が一番困っているのは、後継ぎがいない、あるいは駐車場がない、そういうことも大きな原因になっております。  そこで、駐車場の問題でありますけれども、今回のこの既存の商店街を活性化するために駐車場は大変無視できないわけでありますが、建設省としてこの法案改正を契機としてどのような形でバックアップしていくか、そういうことについて建設省の考えをお伺いしたいと思います。
  193. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 駐車場に対するお尋ねでございますけれども、今度の法律に絡めて、私どもの方でも平成三年度から新規の施策をさらに追加してございます。  まず第一点は、商店街において地権者等が共同して駐車場をつくる場合に、共同駐車場補助として新規補助制度を実現させていただいております。第二点は、市街地再開発事業など各種の再開発事業がありますが、この補助対象に駐車場もなっているのですけれども、その要件を緩和して幅広に補助できるような補助制度の拡充を行っております。第三点は、道路管理者がみずから公共事業として駐車場をつくる場合にそれを補助対象としようということで、これも大きな制度でございますが、そういったものも新しく実現させていただいております。それから、補助金ではございませんが、税制面では、地方税、国税を通じまして、地方税の拡充あるいは国税の創設、そういった駐車場税制の拡充もお願いしてございます。なお、法律面につきましても、駐車場法の改正ということで、駐車場を計画的に整備する仕組みのための法改正を提案してございます。  以上でございます。
  194. 大畠章宏

    ○大畠委員 建設省の方でもそういうバックアップをぜひお願いしたいと思います。  既存の商店街の活性化を中心に質疑をしてまいりましたけれども、いずれにしても、店舗集団化とか駐車場の整備とともに消費者に非常に魅力ある街づくりを進める必要があると思います。そういう意味では、今回の法改正を契機としてそういう形でやっていただきたいと思うのですが、この法改正をうまく利用して各地の既存商店街の振興を図るためどうしたらいいかということが私は非常にポイントだと思うのですけれども、例えばプロのアドバイザーの集団をつくったり、あるいはこの三法案を生かしてこれからどういうことをやっていこうとしているのか、運用上の方策をお伺いしたいと思います。
  195. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 今回の特に商業振興法案の成立をいただきますれば、また既に成立をしていただいております予算をもって今後の商店街対策を進めるというときにおきまして、やはり計画をどのようにうまくつくっていくか、それからその計画に基づいて商店街のハードの整備をどのようにやっていくか、それからその中で個別の店舗をどのように魅力あるものにしていくか、これが基本であろうかと思っております。さらにそれをモデル的に、大型店と中小店との広域的な高度商業集積をモデルとしてつくっていく、これも重要なポイントだと思っておりますけれども、いずれにいたしましても私ども、予算あるいは法律をおつくりいただいた上で、さらに商店街をきめ細かく指導いたしまして、また中小企業事業団などとも連携いたしまして、きめ細かい総合的な対策を今後講じていく考えでございます。
  196. 大畠章宏

    ○大畠委員 いろいろ質疑応答させていただいてきたわけでありますが、いずれにしても、趣旨としては非常にわかるのですけれども、どうも地方自治体の権限の強化あるいは財政の強化というものにもうちょっと配慮をした法案をつくるべきではなかったのかということを指摘したいと思います。いずれにしても、本改正趣旨を生かして中小小売商店街の振興を実効あるものにするためにも、各関係省庁の皆さんのなお一層の真剣な取り組みを要望しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  197. 佐藤謙一郎

    ○佐藤(謙)委員長代理 森本晃司君。
  198. 森本晃司

    ○森本委員 まず、今回の五法案、一括して審議されることになりましたが、大臣、連日大変御苦労さまでございます。  まず最初に、大臣にお伺いをしたいわけでございますが、現在、消費者のライフスタイルが変化してまいりました。同時に、消費者のニーズもそれに伴って大きく変化しております。また、都市構造やあるいはモータリゼーションによる交通体系変化も生じているわけでございます。  そういった中で、今商業をめぐる環境は大変大きく変化しておりまして、中小小売業者、先ほど来も質問が出ておりますが、後継者がいない問題等々を含めまして大変厳しい状況に立たされているところでございます。そのために商業発展のための、商業振興を図るための対策を抜本的に講ずる必要があるのではないかと思うところでありまして、今回相当の予算をこういった問題に繰り込まれているということについては歓迎すべき点ではないだろうかと思っております。同時にそれが、単に商店街の発展のためだけではなしに、やはり同時に、そういった商店街が発展していくあるいは小売業界が発展していくことによって、生活者のための政治というものが実現されなければならない、いわば消費者利益をも保護していかなければならないと感ずるところでございます。  今回、政府が提案している流通関係の五法案大店法改正などの商業調整に関する二つの法案と、それから中小小売商業振興法改正を初め商業振興のための三法案とで成っておりますが、中小商業をめぐる厳しい状況を踏まえると商業振興のための対策を優先して実施すべきである、そういった意見もありますし、私もそのように思うところであります。しかし、先ほど来申し上げましたように、消費者利益を守るという立場から考えてみましたときに、同時に消費者利益を一層守っていく、あるいは日米構造協議から起きてまいりました国際協調等々をも考慮すれば、単に商業振興のみならず商業調整政策も含めて一体として新しい商業政策を推進していく必要があると考えるところであります。政府が今回の流通関連の五法案を一括して提案されている理由、その趣旨をお伺いしたいと思います。
  199. 中尾栄一

    中尾国務大臣 森本委員からまさに、なぜ五法案を一括して提案したのか、それぞれの持ち味、それぞれのまた特徴、特質、それぞれ勘案しても、どうして一括して提案したのかというようなお言葉でございました。それに答えてみたいと思います。  消費者ニーズ多様化等小売業をめぐる最近の諸情勢変化の中で、我が国の国際経済というものに及ぼす影響あるいはまた国際協調を図るということの要請は、委員指摘のとおり、そういうものを踏まえなければならぬことは申すまでもございません。消費者利益の確保及び地域中小小売業に及ぼす影響も十分に配慮しなければならないことも申すまでもないわけでございますが、大店法規制緩和が必要と判断したものでございまして、今回の大店法改正法案等二法案は、このような内外要請を踏まえてまとめたものと感じておるわけでございます。  片やまた、中小小売商業振興法改正案あるいは商業集積法などの商業振興に関する三法案は、消費者ニーズ多様化都市構造変化等が進む中で、大店法規制緩和の推進に対応しながら、中小小売商業振興やあるいは街づくりの活性化の視点などを加えました商業集積整備など、商業の健全な発展を図る観点からも特段の振興対策を講ずるためのものでございます。  このような意味で、これらの五法案は、商業をめぐる環境変化への対応をするためでございまして、内外要請を十分に踏まえまして規制緩和を図るとともに、大型店と中小小売店との共存共栄を旨といたしました新しい商業振興策の実施を総 合的に推進しようとするものでございまして、各法案の円滑な実施を通じて全体として消費者利益増進の実現を目指すものであるところから、これらはお互いに密接に関連し一体不可分のものと考えておりまして、したがいましてこれら五法案を一括してお諮り申し上げた、こういう順序段階になったわけでございます。よろしくお願いします。
  200. 森本晃司

    ○森本委員 中小企業庁長官にお尋ねいたします。  今一括して出されたわけでございますが、この三法案あるいは商業発展のための街づくりのためのいろいろな施策が講じられるまでの段階で、大店法が改廃云々ということが騒がれましたときに、数多くの中小企業団体、特に商業団体の皆さん方の中から強い反発がありました。私も商店街の皆さん方のいろいろな意見をその間聞いてまいりました。ある団体では断じて改正反対だという御意向もあったようでございますが、今回のこの三法案で、商店街の皆さんも自分たちで自助努力も同時にしていかなければならないという一つの考え方にもお立ちになったのではないかと思うところであります。  各団体の意見につきましては、十七日の参考人質疑の場でそれぞれ団体の皆さん方がお述べいただくことでありまして、私もそのとき参考人の御意見を拝聴させていただこう、そのように思っているところでございますが、大店法改廃かという問題のときと今日と、各団体の動向は変わってきているのじゃないだろうか。個々の団体によって異なると思いますが、総じて中小企業庁は、今回のこの五法案改正について団体はどのようにとらえているのかということについて、長官からお伺いしたいと思います。
  201. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 確かに、今森本委員が御指摘になりましたように、昨年の日米構造協議の報告が出たころと最近時点では、中小小売商業者の考え方も大分変わってきているのではないかというふうに認識をしております。御案内のとおり、今また御指摘がございましたように、近年構造変化中小小売商業を大変激しく襲っているわけでございまして、そこに大店法改正という問題が出てきたわけでございますので、昨年の段階では小売商業者の皆さんは、一体これからどうなるのかということで大変不安に思ったところでございます。  しかしながら、冷静に考えてみますと、構造変化というものは、大店法改正あるなしにかかわらず、中小小売業者の身の回りに降りかかってくる問題でございまして、これに積極的に敢然と立ち向かっていかなければいけないという考えが、その後基本的に、総じて申し上げれば、やはり中小小売商業の方々の中に出てきたのではないかというふうに思っております。また、消費者利益増進するということが中小小売業者の一つの大きな使命であるとすれば、消費者側にとりましても、大型店だけでなくて、やはり街の顔でありあるいは暮らしの広場である商店街たるものが非常に重要であるということは明らかであるわけでございまして、そういった問題に対しまして、商店街の活性化をしようという努力の芽が出てまいりまして、これが再生の道へつながるというふうに思ってきているところでございまして、これに対しまして国も積極的に支援していくということにしたわけでございます。  そのようなことで、十七日には参考人の御意見も聞いていただくことになっておりますけれども、総じて申し上げれば、構造変化等あるいは国際協調等、そういった中で、大店法改正については基本的にやむを得ないという感じを、私どもと関係している中小企業の団体の方々は持っておるというふうに認識をしているところでございます。
  202. 森本晃司

    ○森本委員 そこで、今回の改正の点でございますが、従来から大店法については商調協が存在しておって、これは法的にないものが存在していて、そしてそこでいろいろトラブルがあったり、不透明な部分があったり、不公正な部分があったり、あるいはまた大型店の出店に、一部ではありますけれども十数年かかるというふうなものがあった、こういった点が街の活性化を場合によってはおくらしてきた場合もありますし、それから同時に、日米構造協議の中でもそういった点を指摘されてきたのではないだろうか。  そして、第一段階の規制緩和が行われて今回の改正というところになっていくわけでございますが、今回の改正では、商調協にかわるものとして大店審が今後その役割をつかさどっていくというふうに聞いております。また、従来、批判されてきた商調協をなくすということでございますが、その大店審の問題について具体的にいろいろと尋ねてみたいわけでございますが、現在の大店審というのは全国に十六の地方部会を有しているということでございます。果たしてこの十六の地方部会で、調整期間を一年に縮めていくことができるのか。  まずお伺いいたしますが、今まで十数年かかってきたもの、あるいは規制緩和の中で、一年半という流れの中で今調整が行われているわけでございますが、果たして今回の改正のこの一年間というものが、大店審でそのことができるのかどうかという点についてお伺いしたいわけであります。  同時に、その十六の地方部会では本当に地元の意見を十分に聞くことはできないのではないだろうか、あるいは数多くあるそういった出店を処理できないのではないだろうか、私はむしろ、その十六部会からさらに細かく、それぞれの各県に一つずつそういったものを置いて、そしてその場でよく審議していかないと本当の地元の意見は反映されてこないのではないかと思いますが、どうですか。
  203. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 ただいま委員指摘のとおり、今回の法改正を契機といたしまして、従来のいわゆる商調協にかえて大店審を中心とする審査ということに移行をさせたい、こういうふうに思っているわけでございます。  さて、大店審のこれからの機能についての御懸念及び御指摘でございますが、まことに御指摘のとおりでございまして、私どもも現在、大店審で持っております十六の地方部会ではこれから予想される出店案件に対処するには不十分であるというふうに考えておりまして、まず数の問題でございますけれども、これを抜本的に拡充強化する必要があるというふうに考えておるところでございます。具体的にその数を幾つにするかという点につきましては、ただいままさに新しい運用体系のもとでどのような大店審の構成及び機能が可能であるかということを大規模小売店舗審議会に諮問をいたしておりまして、そこで議論を重ねていただいているところでございます。  大事なことは、一つは御指摘の限られた期間に審査が可能かどうかという点と、地元の意見を吸収し得るようなそういう大店審の機構、組織を考え得るかどうか、この点でございます。  地元の意見をいかに反映さしていくかという点につきましては、委員ただいま都道府県に一つというふうにおっしゃったところでありますが、原則的に一つの有力な考え方であるというふうに私ども思っておるわけでございますけれども、やはり行政の効率その他、各地の出店状況というものもこれに加味して考える必要がございまして、あるいは出店件数の多い、例えば関東のエリアにおきましては、一県に一つの審査体制と申しますか、大店審の機構では不十分であるという場合もあろうかと思います。また、地方によりましては極めて限られた件数しか出ない場合もございます。そういったことを加味いたしまして、案件処理の多寡を考慮して、できる限り各県における地元の実情というものを吸収し得る審査体制を構成する必要があるのじゃないか、かように考えているところでございます。  それから、審査処理の機能といたしまして、多くの出店案件を一年で処理できるかという点でございます。  この点につきましては私ども、現在一応一年半ということで案件を処理するということに関係者 の御協力をお願いしておるわけでございますけれども、このほぼ一年にわたる処理状況を見てみますと、現在六カ月を予定しております事前説明が今日までの状況で平均約四・一カ月ぐらいで終わっておる状況にございます。そういう意味で、新しいスキームにおきまして、対地元説明を四カ月にするのはそれほど無理のあることではないのじゃないか、こういうふうに考えております。  また、審査の要領その他をできるだけ明確化することによりまして、あと残りの八カ月を大店審の調整に当てたいという考えでおります。これはただいま施行しております一年半の新しい措置におきましても大体限られた期間の中で商調協における調整ということが行われておりますので、何とかこの一年間という期間の中で十分な審査をやれるように関係者の努力を要請しておきたい、こんなふうに思っているところでございます。
  204. 森本晃司

    ○森本委員 商調協の場合にはよく言われたのですが、顔が見えないということを言われました。今回の大店審でいろいろ調整をやる場合に、透明化という面からも非常に大事なことは、顔の見える大店審でなければならない、そのように思うところであります。  そこで、今審議官から、各県一つを一応めどとして審査会を設けるというふうに御説明をいただきました。私も、少なくとも一つ、あるいは多いところで二つ、ただし余りにも少ないところについては場合によっては二県合同ということになり得るかもわかりませんが、原則として各県一つをめどに設けるべきであると思うところであります。  同時に、その審査会のメンバー構成はどのような形でされようとしているのでしょうか、お伺いします。
  205. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 各地におきます審査会の構成メンバーでございますけれども、私どもといたしましては、現在の大店審の地方部会というのは当地の商業事情に明るい学識経験を有する者の中から選ぶ、こういうふうに定めておりまして、建前としてはやはりそういうことになりまして、中立、公正の維持できる学識経験者の中から選びたい、こういうふうに思うわけでございます。その数につきましては、まだ私ども最終的に定めておるわけではございませんけれども、現在の地方部会の数などを参考にして、それにほぼ匹敵するような数でいくべきではないかなと思っております。また、その構成メンバーは、午前中もちょっとお答えしたのですけれども、例えば各地域の大学の学長さんあるいは先生方、あるいはジャーナリストの方、あるいは消費者の代表の方、そういったように区々に分かれるかと思いますけれども、学識経験者の中から構成するようにというふうに考えておるところでございます。
  206. 森本晃司

    ○森本委員 構成メンバーはわかりました。それから人数については大体六人ぐらい、現在の地方部会に合わせてということでございますから大体六人ぐらいと解釈をしていいのでしょうか。  それで、今そういう予定でございますというわけでございますが、もう間もなくこの法律改正された場合にスタートしなければならないわけでございますが、まだその点については十分に固まっていないのでしょうか。もし固まっていないのであれば、それはその構成メンバー等々基準について全体が固まってくるのは大体いつをめどとされているのか。固まっていないとすると、いよいよこれが始まったときににわかにではやはり困ると思います。そういった意味で、全体が固まるのはいつを目途とされているのか、伺いたい。
  207. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘のとおりでございまして、ただいま審議会におきましてかなりの頻度で議論をしていただいております。おおむね大店審の組織のあり方あるいはその機能、それから地元の意見の吸収の仕方その他の手続的なことも含めて骨格をほぼ固めつつあるところでございまして、そういった大筋のところにつきましては、夏ごろまでにはその骨格を定めておく必要があると思います。ただ人選につきましては、この法案をお認め願いまして、これが施行になりますのは交付後九カ月ということでございます。その準備期間中に人選を含めて審査の体制を決めたい、こういうふうに思っておりますので、今から見通しますと、秋ごろぐらいまでには人選も含めて審査の体制をきっちりしたものにしなければならない、こんなふうに考えておるところでございます。
  208. 森本晃司

    ○森本委員 そういうメンバーが決まりまして審査が行われるわけですけれども、商調協の場合には審議内容が公開されていなかった。その辺がいろいろと言われた点でございますが、私は、今回の場合、そういった審査プロセスを明確にして、審議内容も公開されていくべきではないだろうかというふうに考えておりますが、どうですか。
  209. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘の点につきましては大変重要なポイントでございますので、今後の審議会の運営に当たりまして、それこそ大規模小売店舗審議会委員の皆さんの審議を仰ぎたいと思っておるのでございますが、ただ商調協のときにも同じような問題が実はございまして、審議の過程を一つ一つすべて公開するということは、やはり委員の中立性を維持するという意味におきまして、これはなかなか一方において難しい。しかし、開催頻度それから審議事項そして議事の概要ということにつきましては、できるだけこれを公開することによりまして、先ほど委員指摘のような顔の見える大店審、地元に身近に感じる大店審というふうに私どもも持っていきたいというふうに考えておりまして、どこら辺までが公開可能なことであろうかというのを今検討しているところでございます。
  210. 森本晃司

    ○森本委員 ぜひ公開の基準を設けていただいて、そういったことが一般市民にとってもわかりやすくしていかなければならない。そうでないと、また誤解を生んでいったりしてしまうのではないかと思います。  そこで、そのメンバーが決まりました場合に、そのメンバーは当然机上でそういったことを審査されるのではなくして、いろいろと現地に出向いて、商店街の皆さんやあるいは消費者の皆さんの御意見もお聞きになることになろうかと思います。そういった意見聴取もされることになるかと思いますが、同時に、地元の商工会議所やあるいは商工会、こういった人たちがいろいろと今日まで積み重ねてきたもの、あるいはまた地域の事情に非常に明るいものであります、あるいはそれぞれの街の、全国に四千ほどある商店街、商店街の組合の皆さん、こういった人たちの意見がやはり十分に反映されていかなければならないと私は思います。  ところで、最近のマスコミを見てみますと、商調協にかわるものとして、商工会議所の方から商問協というのを設けて、そういった商問協がいろいろと意見を集約していってはどうかという提案があるように報道されておりました。私は、それが商問協という形になるかどういう形になるかは別にいたしまして、今日まで積み重ねた商工会議所や商工会の皆さん方の御意見を聞くことは極めて大事なことだと思います。しかしながら、それは従来の商調協にかわるやみ商調協となるのではないかという御批判もあるわけでございますが、その点についてどのように考えておられるのか。意見の聴取の仕方あるいは同時に意見の集約の仕方についてどのように考えておられるか、御答弁願いたいと思います。
  211. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 第一点の大店審における地元の意見の聴取という点でございますが、これは私ども法改正におきましても大店審が地元の意見を聴取することを従来に加えて義務づけをいたしたわけでございます。現実には、大店審の地方の組織のメンバーが出店の現場の方に参りまして、そこの消費者あるいは学識経験者、小売商業者の意見を聞くということを地元意見の聴取過程の基本に置いておるわけでございます。こういったことを通じて地元の意見が大店審の地方の組織に反映できる方法を担保していきたい、こういうふうに考えております。  それから、委員指摘のように商工会議所及び商工会の機能、場ということでございますが、御 指摘のように、商工会議所地域全体の福祉の増進という見地から、単に商業者の立場のみならず地域全般の立場から意見を申せる法律上の団体でございまして、その見識は地元の意見をある意味で違った角度からも代表し得るということで、私ども法律にもございますようにこの意見を大店審が聞いていく過程は大切だと思っております。特に、地元の実情というものを生の形でぶつけてそして実情が十分大店審に反映されるためには、この商工会議所というものを引き続き活用することが有効な方法であると考えておるわけでございます。  先ほど商調協にかわるやみ商調協的なものとして商業問題協議会といったようなものが一部の新聞に報道されたという点の御指摘でございますけれども、私どもも、大変この記事につきましては我々の本意に沿わないものということで、各地でこの点については聞かれれば否定をいたしておるわけでございまして、基本的な考え方を申し上げますと、名称のいかんを問わず大店審以外の場で実質的な調整を行うということは全く考えていないわけでございます。ただ、地元の意見というものを反映できる場としての商工会議所というのを活用するということは今後あり得ることでありまして、ここで意見がいろいろ区々に分かれると存じます。一本にまとまる場合もございますし、まとまらない場合もあるわけでございますけれども、そういった地元の意見の集約、整理、こういったものを商工会議所には依頼をいたしたいと思うのでございますが、いささかもそのことが新たな調整を意味するものではないということを申し上げさせていただきたいと存じます。
  212. 森本晃司

    ○森本委員 商店街の皆さんの御意見も十分、そうして反映をしていかなければならないと思います。同時に、それぞれの市町村にはそれぞれの都市計画があります。先ほど来社会党の諸先生方から、都市計画に基づく各市町村意見をよく反映せよというような御意見があったかと思いますが、同様にこの大店審に市町村意見、そこに住む住民を代表する意見を集約したものを聴取しなければならないと思いますが、大店審ではそういった各市町村意見を聞く場があるのか、同時にそれはどういうプロセスをもってお聞きになるのか、反映されるのか、その点について伺います。
  213. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 法制的な側面で申し上げますと大店審が市町村都道府県意見を聞くという過程はないわけでございますけれども、しかしながらその調整のプロセスを通じまして市町村長都道府県にその出店に関して随時意見を述べることができますし、また都道府県大店審の場合には都道府県が大店審のいわば庶務部局、事務局として庶務の整理に当たるわけでございます。そういう意味で、その審議に当たりまして事実関係、またそれらをめぐる諸般の消費者並びに小売商業者、そういった地元の実情というものを伝えるという形で市町村長都道府県の見識というものが大店審に反映されることは十分あり得ることではないかというふうに考えているところでございます。
  214. 森本晃司

    ○森本委員 次に、今回の法改正の中で地方公共団体独自規制を抑制するための法的措置を講じられているわけでございます、改正案の第十五条の五の記述でありますが。現在約五百近い地方公共団体大店法の法令以上のいわゆる行き過ぎた厳しい規制があると言われておりますが、この改正案でこれらを国レベルに合わすことができるのか。  もう一つ同じ点でございますが、地方自治法第二百四十五条四項は、助言、勧告、資料提出であって、あくまでも訓示規定にすぎないのではないだろうか。地方公共団体独自規制を抑制することはこれでは実質的には非常に厳しいことになってくるのではないかと思いますが、その点について通産省ほどのように考えておられるのか。また、こういった問題が最初提起されたときに自治省の方から地方自治の独自性という点についてのいろいろと御意見もあったようでございますが、通産省並びに、きょう自治省お見えいただいていますか、自治省ともにお答えを願いたいと思います。
  215. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘のいわゆる独自規制の問題につきまして、私ども改めて本法案に十五条の五という規定を設けて、地方公共団体における本法案に絡んだ諸措置大店法趣旨を尊重して行われるようにという規定を設けたところでございます。  それで、今後私どもといたしましては、この法の趣旨に反する行き過ぎた独自規制というものがございますれば、それの是正方を極力求めてまいりたいというふうに考えているところでございますが、また地方自治法二百四十五条第四項につきましても、本条を根拠といたしましてこの十五条の五の実効性を確保してまいりたいと思っておりますし、助言、勧告を受けた地方団体におきましては、その内容に沿って所要の対応が図られるべきものというふうに考えているところでございます。ただ、御指摘のようにやはり地元の実情というようなものもございましょうから、我々としては適時適切に是正方を求めていくということがなお必要とされるのではないかというふうに思っております。
  216. 松本英昭

    ○松本説明員 お答えいたします。  御指摘の地方自治法二百四十五条第四項という規定は、一般的に主務大臣の側から地方公共団体に対しまして技術的な助言もしくは勧告を行うことができるということを規定いたしたものでございまして、ただいま御答弁もありましたように、本条を根拠として主務大臣である通産大臣がその技術的な助言や勧告を行うことができることは言うまでもないことなのでございます。  もっとも、この規定は、もとより個々の事業につきまして個別の法律で国と地方公共団体との関係について別途規定することを妨げる趣旨のものでないことも当然でございます。しかしながら、自治省といたしましては、地方自治の原則から考えてみますと、地方公共団体の固有の事務につきまして国が特別な関与を行う旨の規定を置きますことは最少限にすべきものと考えております。かかる観点から、今回の大店法規定は、地方公共団体の施策につきまして地方公共団体の側から法律趣旨を尊重すべきものと規定したものでございまして、これまでの経緯等にかんがみまして地方公共団体においても適切に対応していただくことを期待している次第でございます。
  217. 森本晃司

    ○森本委員 通産省と自治省といろいろとあるわけでございますけれども、大事なことはその街の発展であり、また消費者利益保護であるという点を考えて、双方今後ともよく連携をとってこの問題に対処してもらいたいと思います。  次に、大店法の緩和に基づく街づくりの諸問題についてお尋ねをしたいと思います。  全国津々浦々に形成されている商店街は、その地域における貴重な社会資本であります。また、それぞれの地域の文化を創造してきたのもやはりその街の商店街であり、大きく貢献をしているのではないかと思います。つまり、商店街はその街の長い歴史を通じて形成されてきた街の顔であります。地域社会の文化そのものであると言っても決して過言ではありません。  しかし、その街の顔である商店街が今重大な構造変化また危機に面しているとも言えると思います。大型店出店に伴う地域間競争というものが激しくなってまいりまして、従来ありました街の真ん中にある商店街から郊外へと移っていってしまったために、郊外に大型店ができたために、街の商店街が寂れていっているということを、私は全国を歩きまして実感しているところでありますけれども、そういった商店街の崩壊は、単に街の商店街の崩壊だけではなしに地域社会の崩壊にもつながっていくものではないか。そういった意味で非常に重要な問題であります。地域と密着した商店街という貴重な社会資本の崩壊は、何としても避けなければならない。今回の法改正が既存の商店街の崩壊を防止できるかどうかということについてお伺いをしたいわけであります。  我が国小売商業の現状は、商店数では、商店全 体が六十三年は百六十二万店、五十七年から比べますと十万店減少、殊に零細企業は六十三年が八十七万店、五十七年から十六万店減少している。いわゆる従業者規模一人から二人の零細商店が十六万店減っていっているわけでございます。街のあちらこちらに歯が抜けたように店が閉まっているところがあるわけでございまして、それはもう商店街の体をなしていないと言っても過言ではないと思います。商店街数は全国で一万六千の商店街がありまして、組織化された商店街数は約四千商店街と言われているところでございますが、この商店街崩壊につながってこないかどうか、これは商店街の人たちも大変な危惧を抱いているところでございますので、答弁をお願いいたします。
  218. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 中小小売商業の現状につきましては、ただいま森本委員から詳細に御指摘がありました。まさにそういう状況で、昭和五十七年の百七十二万の商店をピークにいたしまして減少傾向を続けておりまして、特に小規模零細商業者がその減少の傾向が著しいという状況でございます。こうした背景にはもろもろの構造変化がございまして、そうした構造変化の中で、あるものは後継者がいない、あるものは競争になかなかついていけないというような状況で、数が減ってきている状況にあるものかと思うのでございます。  そういう中で、大店法改正の動きもございまして、商店街の方々は今後どうするかということでいろいろと将来を検討しているところでございますが、やはり基本的には商店街というものが、委員も御指摘になりましたようにまさに住民の広場でございまして、そこで単に買い物をするだけではなくて、集い、憩い、楽しむという広場であるわけでございますので、そうした広場を今後また再構築していこうということが出てきているわけでございます。この点については、冒頭の御質問についてお答え申し上げたとおりでございます。  そういう状況の中で、今後環境はますます厳しくなってまいりますけれども、お認めいただきました平成三年度の予算並びに平成二年度の補正で小売商業対策は千六百二十一億円を通産省関係だけで計上させていただいているわけでございます。また、御審議いただいております商業振興の三法案、そういったものをベースにいたしまして、国も強力に、抜本的に支援をしていく中で、何とか消費者にこたえる魅力のある商店街をつくるように商店街の方々も努力をしていくものと期待をしているところでございます。
  219. 森本晃司

    ○森本委員 そこで商店街を、従来ある商店街から新たな商店街づくりを今後推し進めていかなければならないと思いますが、商店街づくりというのは新しい形での公共事業という点にまで位置づけてやるべきではないだろうかと私は考えているところであります。今回の法改正に当たって、商店街づくりというものをどのように位置づけておられるのか、お伺いします。
  220. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 まさに御指摘のとおりだと私どもも考えておりまして、商店街自身が新しいタイプの社会資本であると考えられるわけでございます。その整備におきましては、都市計画とか地域のビジョンとの調和を図る等、街づくりの視点から行われることが重要でございまして、その意味におきまして、商店街の整備が新しい公共事業としてとらえられることができると考えるわけでございます。  そういう観点を踏まえまして、商店街対策につきましては、今回御提案申し上げております法案の中でも、中小小売商業振興法改正案におきましては、店舗集団化計画というものを新たに支援事業対象に追加をさせていただきまして、中小小売商業者による新たな商店街づくりの努力を支援することとしておりますし、また同時に、これまでございました商店街整備計画などを初めとする高度化事業の認定基準でございます振興指針におきましては、街づくりの観点ということで引き続き都市計画との整合性の確保の視点を位置づけたところでございます。また、さらに新たに追加しております事業としての商店街整備等支援計画、これは第三セクター等の特定会社あるいは財団法人、公益法人、そういったものを街づくり会社として法的に位置づけまして、商業基盤施設整備などを行う事業助成対象としているところでございます。  また、もう一つの法案でございます特定商業集積法案におきましても、特定商業集積として商店街・商業集積整備する場合に、都市計画や街づくりビジョンとの整合性を持った計画となるように、市町村作成する基本構想に位置づけることとしておりますし、また、同法に七条の規定を置きまして、中小小売商業振興法特定商業集積法に基づく計画が整合性を持って連携していけるように配慮しているところでございます。
  221. 森本晃司

    ○森本委員 次に、大型店が出店されますと、その地域商業地図が塗りかえられることはもちろんでありますが、地域社会の環境に与える影響も大変大きいものとなってくることは間違いないわけであります。とりわけ地域の交通やごみ処理問題等、これまでになかった対応を迫られることが必然であります。現在でも大型店の進出に伴う交通渋滞等の弊害は各地で見られまして、周辺住民の生活に及ぼす影響は決して小さいものではありません。ただ言えることは、必ずしも大型店だけがこの問題を抱えているわけではありません。劇場ができたりあるいはいろいろな施設ができると、同様の問題が起きてくるわけでございますけれども、殊にこの大型店の進出もその中の一つとして考えられるわけであります。  それで、大店法改正が時代の要請であることは私も認識しているところでありますが、大型店の出店については地域に即した、またその地域の街づくりに合った総合的な見地からの配慮がなされるべきであります。この点についてはどのように対応されていくか、お伺いしたいと思います。
  222. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘のとおり、私もいろいろ各地を見せていただきまして、同じような問題は随所に見られるように思います。また、都市づくりという点についての地域住民の意識というものも従来になく高まっているというふうに認識をいたしております。  そういう意味で、私は大型店もそういった地域の街づくり、あるいは都市のあり方、こういったものを十分踏まえて出店をしてもらうように常々要請をいたしているところでございます。言ってみれば、街づくりのインサイダーとして一緒になって街をつくっていくという意識で出店を進めてもらいたいというふうに期待をいたしているところでございますし、チェーンストア協会、百貨店協会、そういったところに対しましてもかねがねそういうことを要請し、また今後大型店の方におきましても十分そういったことを念頭に置いて出店が展開されるものというふうに期待をいたしているところでございます。
  223. 森本晃司

    ○森本委員 次に、モータリゼーションの影響は全国の商店街に共通して波及している問題であります。とりわけ買い回り型が中心になっている商店街と言われるところでは、広域から顧客を集めているだけにその影響は極めて深刻であります。道路交通の渋滞による商店街のアクセスの困難化と駐車場不足を顕在化させる形となっているわけであります。交通渋滞に対する問題等々につきましては、これは都市計画初め、また関係省庁でいろいろとこれから議論をしていっていただかなければならないところでありますが、商店街の皆さんにとって非常に大きな問題となっているのは、やはり駐車場をつくるという悩みであります。  駐車場対策について本法律でいかにされるのか、駐車場問題に対する対策のあり方。これは通産省の駐車場に対する取り組み方、それから建設省お見えいただいておりますでしょうか、建設省もこの駐車場問題について考えていただいているようでございますので、それぞれ通産省、建設省双方から駐車場問題についてお伺いをしたいと思います。
  224. 江崎格

    ○江崎政府委員 商店街の駐車場の問題は、私ども大変重要な問題というふうに認識しております。私ども駐車場の整備を進めるために商店街の 組合などがお客のためにつくる駐車場につきまして、商業基盤施設というふうに位置づけまして補助の制度をつくっております。平成三年度の予算では大変これを充実するようにしておりまして、その補助制度とそれから中小企業事業団の融資、あるいは出資の制度というようなものを活用して整備をしてまいりたいというふうに思っております。  それからまた、この補助の制度ではないのですけれども、現在審議をお願いしておりますこの特定商業集積法、これによりまして、地方公共団体がつくります基本構想の一環として、駐車場等を含みます商業基盤施設のあり方を構想の中に織り込んでいくということで、地方公共団体と一体となって公共事業としての駐車場も整備するという方策も考えられているわけでございます。  それから、交通渋滞の解消という点におきましては、駐車場のほかに商店街がいろいろな施設整備いたしますが、これが道路交通に影響を及ぼすという場合がございまして、その場合には、計画の推進に当たりまして道路交通法の規定に基づく許可が必要というような場合には、その許可が得られるかどうかという見きわめをつけました上で計画を認定するということも考えておりますし、それから、認定に際しまして必要があれば都道府県の公安委員会にも意見を聞くというようなことも実施していきたいというふうに思っております。
  225. 内藤勲

    ○内藤(勲)政府委員 駐車場につきましては先ほど大畠委員からも御質問いただきましたけれども,駐車場対策は今委員指摘のとおり商店街の活性化絡みで重要だということは確かでございますが、今話がございましたように交通渋滞対策、それから安全対策ですね、交通安全面での対応策、そういったいろいろな意味がございますけれども、そういった意味を含めまして建設省の駐車場対策は税制、それから予算、補助制度ですね、そういったものを拡充してまいりたいと思っております。  予算面では、まず第一点が商店街の店舗の所有者たちが共同でつくる駐車場について、新規の補助制度といたしました。それから、各種再開発事業の補助対象の拡大を図りました。それから、公共事業として道路管理者が駐車場をつくる場合、それを新たに補助対象といたしました。そういったことがございます。  それから税制面でも、国税のレベルでは駐車場税制は新しい税制を起こしていただきましたけれども、割り増し償却制度を新しくつくりました。それから固定資産税、不動産取得税の関係でも大幅な拡充を図りました。  それから法制度面では、今国会に駐車場法の改正を出させていただいておりまして、駐車場整備地区をさらに拡大できるようにする、さらに、駐車場整備地区を指定した後、計画的に整備するための駐車場整備計画の策定、そういったものを新しくできるようにいたしました。そんなことで、各般の施策を考えております。
  226. 森本晃司

    ○森本委員 通産省それから建設省それぞれ駐車場建設について考えているようでありますけれども、私は大事なことは、殊に商店街の場合にはそれぞれの地域にそれぞれの顔があるわけでございまして、その顔に合った駐車場というのが恐らく規模的にも形態的にも要求されてくるのではないだろうか。  ここで注意をしなければならないわけでございますが、よく都市公園の例をもって言われるわけでございますが、都市公園、全国どこへ行っても同じ顔をしている。ブランコと砂場とジャングルジムですか、こういうものがなければ公園としての制度が認められないというふうな話を私たちはよく聞くわけでございますが、こういったハードをつくるとき、殊に商店街、その地域の顔という立場から見ると、余り駐車場づくりにこれとこれとを要するんだといって全国どこへ行っても同じ駐車場があるというものではなしに、個性ある駐車場を望んだときにも大いに積極的に助成を講じていくべきではないかということを申し上げておきます。  時間がなくなりましたので、最後大臣にお伺いしたいと思います。  今回の大店法改正に伴う関連五法案、これが商店街の発展やあるいはまた消費者利益保護に一層つながっていかなければならないし、同時に、この法律によって生活者のための政治というものが実現されていかなければならないと私は思うところでございます。そういった意味で、長期ビジョンに基づいた中小商店の振興あるいは活性化対策を講じていく。  と同時に、大型店と商店街が当初ありましたような対立関係ではなしに、むしろ共存共栄の姿勢をこれからとっていくようにしていかなければならない、またそれが時代の要請ではないか。共存共栄して新しい街をつくっていき、そこに生活者が安心してゆとりと豊かさを感ずる街をつくっていかなければならないと思います。商店街の活性化や大小小売店の共存共栄の問題について今後どのように取り組んでいかれるのか。一層の努力を、一層の尽力をしていかなければならないと思うと同時に、殊に通産大臣は実力大臣でございますので私の方から申し上げたいわけでございますけれども、この街づくりのために、日米構造協議から出た公共投資の四百三十兆円の中で一定の割合を共存共栄の街づくりのために使うべきであるということを私は感ずる次第でございます。実力大臣の力を大いに発揮して、街づくりを進めていっていただきたいと思うところでございます。
  227. 中尾栄一

    中尾国務大臣 先ほど来、森本委員政府委員とのそれぞれのやりとりを聞きながら、大変に参考にさせていただきました。特に、私も十年、百年の国家の計を考えました場合に、何はともあれ、特定の企業体だけが伸びてある特殊な企業体は没落していくというのでは、これは先ほどの共存共栄には全く相ならぬわけでございまして、それだけにともどもに繁栄できるという道のりをどのような行程で考えていくかということが私どもの一番の大きな課題ではなかろうか、こう思うわけでございます。  先ほど加藤委員にも申し上げましたような、駐車場のことではございませんが、没個性のようになってしまってみんな同じようなものばかりがつくられていくというのでは、これまたキャラクターというものがなくなってしまうかもしれません。そういう意味におきましては、大型店と中小店がそれぞれの有する機能あるいは特性というものを十分に生かしながら、共存共栄関係の中で魅力のある商店街あるいは商業集積づくりを進めていくということが、今後の小売商業発展の一つの大きな有力な方向であることは申すまでもございませんが、その方向に沿いながらも、消費者にとって重要であることは、もう先ほど来委員が御指摘のとおりだと私は認識しておるわけでございます。  昨年十二月の産業構造審議会及び中小企業政策審議会合同会議答申におきましても、今後の小売商業対策を進める上で踏まえるべき政策視点の一つとして位置づけられておりまして、通商産業省といたしましては、現在特定商業集積法案を国会にお諮りいたしまして、建設省及び自治省との三省協力体制のもとに、大型店と中小店との共存共栄を実現しつつ消費者ニーズに即応した望ましい商業集積であるように高度商業集積等の整備を積極的に推進しようとしているところでございます。  まだ私も通産大臣になる前でございますが、この中小企業には特に森本委員同様に大変に力こぶを入れてまいりまして、今回も大枠、今までの予算よりも計上させていただきましたのも喜んで報告させていただきたいと思っております。ありがとうございました。
  228. 森本晃司

    ○森本委員 終わります。
  229. 奥田幹生

  230. 小沢和秋

    小沢(和)委員 この法案は、日米構造協議でのアメリカの要求にこたえて大型店を野放しにしようとするものであります。この内容が、かねてからの我が国の財界などの要求であったことも周知 のとおりだと思います。どのように調整の仕組みを変えるかは、この法案だけでは全くわかりません。これまで中小零細業者の運動で認めさせてきた地元商店街との事前合意、出店抑制地域、事前商調協などの仕組みを全部廃止してしまうわけでありますが、これはもともと運用で認めさせてきたものですから、条文には出てまいりません。既に第一段階は昨年の通達で実施されております。すなわち期間が一年半に制限され、地元との合意は必要ないものとされ、出店抑制地域は事実上廃止されました。今回の法改正はその第二段階で、その中心は商調協を廃止し、全国の出店調整をすべて大店審に一本化することだと思います。  そこで大臣にお尋ねをいたしますが、大型店出店は、その進出する地域状況で出てくる影響も一件ごとに全部違ってくるわけであります。こういう問題は本来地方で、つまり商調協を強化する方向で公正適切な調整を行うのが筋ではないでしょうか。それなのに商調協を廃止をして通産大臣直属の大店審にすべての権限を集中するのでは、時代の要請にも逆行するものではないでしょうか。また実際の問題としても、大店審だけで複雑な地域状況をつかみ、適切な調整を行うことがどうしてできるのか、商調協を廃止しても大店審だけでやれるという判断の根拠はどこにあるのか、お尋ねをいたします。
  231. 中尾栄一

    中尾国務大臣 お答えをさせていただきます。  今回の法改正におきましては、出店調整処理手続の明確性あるいは透明性というものを確保するために、名称のいかんを問わず大店審以外の場で実質的調整を行うことを改めまして、法に基づいて大店審が調査審議を行うこととしたところに特徴があろうと思うのでございます。  大店審におきます調査審議に当たりましては、その地方組織を抜本的に拡充するとともに、大店審による地元の消費者あるいは小売業者及び学識経験者、先ほど来これは話題になっておりましたけれども、このような方々の御意見を聴取いたしまして、さらに必要に応じて、商工会議所、商工会に対する地元関係者の意見集約の依頼を行うこととしているわけでございます。これによりまして、地域の実情を十分に踏まえた調査審議が行われるものと私は考えるものでございます。
  232. 小沢和秋

    小沢(和)委員 改正案では、大店審だけで処理するために調整する対象を大幅に減らそうとしておるように思います。第一種を三千平米以上にしてできるだけ県に調整をゆだねようというふうに見られるわけでありますけれども、これで大店審が扱う件数は実際どれぐらいからどれぐらいに減るものでありましょうか。
  233. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 ただいまの点でございますが、一つの参考といたしまして、現在調整中の案件に即して考えますと、全国で二千五百件ございます。これを現在の種別境界の面積で見ますと、中央での通産省で処理するものが三、都道府県が二、おおむね三対二の割り振りになっております。この種別境界面積を二倍に上げることをただいま御提案申し上げておるわけでございますが、これをその二千五百件に即して判断いたしますと、その比率が大体二対三ということになりますので、ごく大ざっぱに申し上げますと、現在の千五百件が千件ぐらいになるだろう。これが、参考までに申し上げますと、この法律で第二種小売店舗というものが創設されました当時の五十四年ないし五十六年の届け出件数の比率にほぼ等しくなるという実情にございます。一つの目安でございます。
  234. 小沢和秋

    小沢(和)委員 今、約千件ぐらいになるだろうと言われたのですけれども、それぐらいに減るとしても、大店審の体制でやれるものなのかどうか。これまでの五年間の実績というのを見てみますというと、わずか三十一件というふうに伺っております。しかも、それも商調協などでまとまらなかったものが持ち込まれる。その場合、ある程度地元でいろいろ議論をしてきた経過を踏まえてやるわけですから、それですっと結論が出せるという状況だったものから見れば、一挙にこういうような件数、もう相当に体制強化してもこなせないんじゃないですか。
  235. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 大店審の活動実績については委員指摘のとおりでございます。これは御承知のとおり商調協というもので調整をするということを現在の建前にいたしておりますので、一つにはそういうこともございまして今のような体制、今のような実情になっておるわけでございますけれども、今後は大店審を中心として調整のための調査審議を行うということにいたすに当たりましては、大店審というものの機能及びその人数、そういったものを抜本的に拡充強化する必要があるというふうに考えておりまして、また地元の実情というものをさらに今日の大店審よりも反映させるために意見聴取の範囲を広げたところでございますけれども、そういったところを通じて大店審の機能というものを抜本的に拡充して新しい事態に対応いたしたいというふうに考え、ただいまそのあり方について大規模小売店舗審議会で御審議をお願いしているところでございます。
  236. 小沢和秋

    小沢(和)委員 大店審の体制を抜本的に強化するというふうに言われましたけれども、相当に強化をしても今お話が出た千件というようなものを処理するというのにはとても追いつかないんじゃないかと思うのです。だから、やはり地元の意見を聞く必要があるということになってくるわけじゃないのでしょうか。第七条の規定を読むと、これまでの商調協の規定とどこがどう違ってくるのか、ほとんど同じような規定内容ではないかというふうに感じますが、その点ちょっと説明してください。
  237. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘の第七条、大店審の調整に触れたところでございまして、まさにこの商業調整を行うに当たっての基本的な考え方というものを示したものでございます。商調協はいわば今日まで、私どもが新しく考えております大店審と同様の商業調整機能、そしてまた言葉でもいわゆる結審という言葉を使っておりますように、そこでファイナルな結論を出してもらうということを前提にいたしておりますので、やはり調整を行うという意味では似通った事項を審議するということになるのではないかというふうに思っております。
  238. 小沢和秋

    小沢(和)委員 新聞の報道によりますと、日本商工会議所がこれまでと構成もほとんど同じ商問協なるものをつくる、そしてそこで意見をまとめるというふうに報じられているわけであります。私は、ここにこの法案の矛盾があらわれているのじゃないか。つまり、商調協を廃止しても、ほとんど同じような構成でまた商問協をつくって意見を聞くという形をとらないと結局処理できない。これがこの法案の一番の矛盾をあらわしているところではないかというふうに見ざるを得ませんが、どうですか。
  239. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 一部の新聞報道におきまして、今委員指摘のような場が商工会議所に設けられる、それが従来の商調協にかわるものであるというふうに伝えられたところがございます。しかしながら、改めて申して恐縮でございますけれども、私どもは今回商業調整手続というものを、外から見てより明確に透明性の高いものにしたい、そしてまた法律に書いていない者に実質的な権限をゆだねるのは必ずしも適当ではないという判断に立ちまして、法の原点に立って、大規模小売店舗審議会調整をするという法の建前をできる限り実行していこうとしたものでございます。そういう意味で、名称のいかんを問わず実質的な調整権限というものが大店審以外の場で与えられることは全くないものというふうに考えております。  委員指摘のとおり、一方において地元の実情というものが大店審の調査審議に反映されなければならないという点もまた商業調整の過去の歴史の教えるところでございまして、そういう意味では、この大店審に地元の実情を十分反映できるメカニズムというものを別途用意する必要があるのではないか。大店審の意見聴取機能のほかに、地域において商業の実情に明るい商工会議所というものを活用してその意見を聞く、そしてまた全体 の意見の集約を商工会議所に依頼することがあるということを通じまして、実情把握についての商工会議所の機能に我々としては期待をしていくという立場で臨みたいと思っておるわけでございます。
  240. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私は、先ほども申し上げましたように、本来この大型店の出店調整は地元の商調協でやるべきだというふうに考えておりますから、今あなたが言われたように、そこには権限を与えない、ただ意見を聞かせてもらうだけだというのではむしろ大いに不満なんですね。だから、この際お尋ねしておきますけれども、意見を聞くと言われますが、そこで例えば三〇%ほど削減するのが望ましいというような意見であったら、それはそれで尊重するというか、一〇〇%それを尊重するわけですか。
  241. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、今のように三〇%削減するというような意見が出ることはあり得ると思います。また、ある意見は削減を二〇%にすべきであるという意見も出るかと思います。そういう場合には、この場で調整をしてしまうということなく、その意見を整理、集約して大店審に報告をしてもらうということでございます。ただ、地域全体として一本にまとまるということであれば、当然のことながら大店審においてそれは尊重して取り扱われることになるというふうに考えておるところでございます。
  242. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私は商調協がすばらしい、立派だったというふうに言っているわけじゃないのです。よく商調協が不透明だとか不明朗だとかいうふうに言われた。これは私に言わせれば、委員も公表しない、いつ会議をするかも公表しないというような、密室で審議をしてきたことがいろいろな不明朗なうわさなどを呼んだりしたのではないかと思うのです。だから私は、商調協をそういう方向で改革をしてこれでやってもらいたいというふうに考えておったわけですが、廃止をするという方向が残念ながら出されてきた。  そこで、私なりにそういう教訓を踏まえてお尋ねをしたいわけですが、その大店審あるいは商問協は、委員を公表し、会議を公開するのかどうか。これをやらなければ、国民から、商調協などよりもさらにずっと遠い組織ですから一層不透明というそしりを免れないようになるのではないかと私は思うのですが、その点いかがですか。
  243. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 新しい大店審のあり方につきましては、現在大規模小売店舗審議会においていろいろな角度から重要な項目を御審議願っているところでございますけれども、ただいま委員指摘の点のうち、大店審における委員の名前というのはこれからは公表する方向で対処していっていただければどうかというふうに私どもも思っておるわけでございます。ただ従来は、御承知のとおり、この出店調整問題というのは大変複雑で、地域によりましては場合によったら暴力ざたになるようなケースもございまして、その審議の中立性というものを保つためには、余り委員の名前を公表したりいたしますと、やや危険な側面もございまして、そういうことで委員の名前の公表というものは差し控えてきたというのが実情でございます。  それから、議事の公開性という点でございますけれども、これはやはり審議会において商業調整という非常に複雑な利害というものを調整していかなければならないという、大変デリケートで、場合によっては深刻な問題に当たるわけでございまして、一々その議事の内容が公開されるということでございますと、その委員の方々にも中立的で公正な審議をお願いするのはなかなか難しいのではないかと思っております。しかしながら、私どもといたしましては、できるだけその内容を知っていただくという意味で、例えば議事の概要、あるいは開催された日の検討項目、こういったことについて可能な限り公開ができるように審議会が活動していただくように考えておるわけでございます。  なお、商問協につきましては、私どもの関知せざるところでございまして、お答えを差し控えさせていただきます。
  244. 小沢和秋

    小沢(和)委員 次に、地方自治体独自規制の制限の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨年、運用緩和通達が出されたときから、通産省は自治体独自規制をやめさせようと躍起になって指導してまいりました。当時、上乗せ規制が百十七、横出し規制千十四と言われておりましたが、その後どう変化したか、まずお尋ねします。
  245. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 昨年五月末の運用適正化措置実施いたしまして以降、各地方団体におきます独自規制の適正化状況というのを改めて最近調べたわけでございます。私どもといたしましては、その中で、繰り返し申しておりますように、行き過ぎたもの、合理性の範囲を超えたものというものが、当省で把握しておりますのは約四百団体ぐらいあろうかと思っておりまして、現在までのところおおむね一割程度がその規定または運用の適正化を図っているという実情にございます。
  246. 小沢和秋

    小沢(和)委員 今回の改正案第十五条の五は「地方公共団体は、」「必要な施策を講ずる場合においては、この法律趣旨を尊重して行うものとする。」となっております。このまま読めば当たり前のようなことを書いてあるわけでありますけれども、こういう当たり前のように読めるものを置かなければならなかったところに、地方自治体の抵抗で独自規制廃止が進まないことへの通産省の焦りが読み取れるわけでありますけれども、どうでしょうか。  この機会にあわせて伺いたいのは、もともと通産省の原案ではこの後に、この法律の「趣旨を逸脱して小売業事業活動を不当に制限してはならない。」となっておりましたし、さらにその次に、第十五条の六として、「通産大臣は、この法律趣旨の徹底を図るため必要があると認めるときは、地方公共団体に対し、」「報告を求め、及び指導又は助言をすることができる。」となっておったわけでありますが、どういう経過でこの部分が削られたのでしょうか。
  247. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 今般御提案いたしております第十五条の五の独自規制についての関係でございますけれども、私どもはかねてから、法の趣旨に反する行き過ぎた独自規制についてはこれを是正してもらいたいということを地方公共団体にあるいは自治省の協力を得てお願いをしてきたわけでございます。その点につきましては、今般こういう規定を置きましたのは、従来からのその私どもの立場に加え、さらに、やはり新しい時代に即してこの規制というものができるだけ明確に、かつ一部地域においてだけこの趣旨に反するような行き過ぎたものがあるという地域的なアンバランスをできるだけなくしたいということでございます。そういう意味で、焦りというよりは私どものかねてのポリシーを法文化さしていただいたということで御提案をしているわけでございます。  それから、第二点の法改正作業の途中段階におけるいろいろな議論ということの御指摘がございました。今委員指摘のような条文があったかどうか私も定かではございませんけれども、通常、法案作成いたします際には、当初からいろいろな意見を各省間でぶつけ合いまして最終的に政府案として仕上げていくわけでございまして、ただいま現在御提案申し上げております案文政府としての唯一の案でございます。
  248. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私が読み上げたようなものがあったかどうか定かでないとおっしゃるけれども、実はこの通産省案は公式のルートを通じて私の部屋に政府案はこれですと言って届けられたものなんですよ。だから、私、ここにその現物を持ってきております。恐らく、これでもう最終的に決まると思って私の部屋に届けてくれたらその後変わっちゃった、こういうことじゃないんですか。だから、私は、原案が余りに露骨だったので、自治省筋などからこれは憲法上疑義があるというような指摘を受けて削らざるを得なかったということじゃないかというふうに理解したのですが、そうじゃないのですか。
  249. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 大変恐縮でございますが、どの時点のどういう案が委員のお手元に届けられたのか、私もその点は正直申し上げて定かではないのでございます。繰り返して恐縮でございますが、通産省には通産省の問題意識というものがあり、関係する各省には各省の問題意識というものがあり、それぞれの意識をぶつけ合うというところから調整の作業というのは始まるように思うわけでございまして、そういうものを具体的な法文にしてまとめていくプロセスは区々に分かれておると思います。改めて申し上げて恐縮でございますが、いろいろな調整の過程を経てただいま現在御提案しているような法文になったものと考えております。
  250. 小沢和秋

    小沢(和)委員 それはこれ以上伺いませんけれども、ただ、条文からそういうようないろいろな経過を経て削っても、この最初の通産省案に盛り込まれておったのがあなた方の本音だ。だからこの立場で、先ほど四百ぐらいのうち一割ぐらいは是正されたがまだ九割は是正されていないと言うのですね、こういう立場で強引にこれから指導していくということでは私は許されない、だから削られたんだと思うのですよ。そのことを指摘しておきたいと思います。  ここで大臣に一つお尋ねをしておきたいのです。  もともと地域ごと、一件ごとに実態が大きく違う大型店の進出について、地方自治体がこの実態に見合った独自の条例や要綱をつくって規制を行うことは私は当然ではないかと思うのです。大臣に、憲法九十四条の自治体の条例制定権を通産省として十分尊重して今後指導していくということをここで伺っておきたいと思います。
  251. 中尾栄一

    中尾国務大臣 小沢委員、先ほどは失礼いたしました。  大店法は、消費者利益や地元小売業者との関係で、大型店の事業活動調整する基礎的な枠組みのみを設定するものでございます。したがいまして、この規制緩和が図られる中で、地域の実情を考慮してもなお行き過ぎました地方公共団体独自規制が存在するようなことは好ましいものではない、このように判断しているわけでございます。このような観点から、今回の大店法改正案におきましては地方公共団体の施策に関する規定が盛り込まれている、このように思っておるわけでございます。
  252. 小沢和秋

    小沢(和)委員 今のようなお答えでいくと、地方が独自に規制を行うということについても、全面的に好ましくないということで否定をされるような趣旨に聞こえるのですけれども、さっき申し上げたように、それぞれの地域の実情に応じて出店の調整を行う必要がある。だから、自治体がそういう独自のいろいろな条例なり要綱なりをつくるということはある意味で必然的なんですよ。だから、そういう必然性を認めて指導されるということでないと私はちょっと納得できないのですが、もう一度お尋ねします。
  253. 中尾栄一

    中尾国務大臣 先ほど委員が憲法九十四条でしたか、その範囲内においての私どものそれにアダプトするだけの考え方というものは、改正法案の附則第二条に規定する、この法律の施行の日から二年以内に新法の規定及び実施状況について検討を加えて——いや、先ほどの答弁のとおりになるわけでございます。憲法の九十四条を踏まえて私はお答えさせていただいたつもりでございます。
  254. 小沢和秋

    小沢(和)委員 武士の情けで、今の話はそういうことでわかったことにしましょう。  時間もぼつぼつ来つつあるから、もう一問で終わります。  これも大臣にお尋ねして終わりたいのですが、先ほどから附則二条のことが議論されております。これは日米構造協議で、第三段階として、二年後に大都市地域での大店法適用除外の検討などを約束しているわけであります。それを保証するための規定ではないかと思いますが、こんなことまで法律に明記してアメリカの御機嫌を取り結ばなければならないような日米関係というのは、真に対等な友好国同士の関係と言えるのかどうか。それから、実際に二年後にそういう部分的な廃止を考えているのかどうかをお尋ねして、きょうは終わります。
  255. 中尾栄一

    中尾国務大臣 重ね重ね失礼いたしましたが、決してこれはアメリカのある意味における意見、圧力あるいはまた意思というものを反映してこちらでそれに対応したというか、何も日米相互関係の中において向こうからの圧力で云々ということは全くございません。そういう意味におきましては改正法案附則の第二条に規定する、この法律の施行の日から二年以内に新法の規定及び実施状況については検討を加えて、その結果に基づきまして必要な措置を講ずるものとするということには、「特定地域に関する規制の撤廃を含め必要な検討を行う」との日米構造協議最終報告趣旨が含まれていることは確かに事実でございます。  しかし、これはあくまでも先ほど申し上げましたような、必要な検討をするということを意味するものでありまして、アメリカの意思あるいはまたそれが押しつけられたもの、あるいは向こうからこういう形でやったらいいじゃないかというサゼスチョンを受けてというようなもので考えられたものではなくて、あくまでもその必要な検討を行うことを意味するにすぎませんので、これによって当然に特定地域、大都市地域に関する規制の撤廃を行うということを意味するものでは決してないことを申し添えておきたいと思います。
  256. 小沢和秋

    小沢(和)委員 終わります。
  257. 奥田幹生

  258. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 大店法改正案と関連法案に対して質問をいたします。  まず最初に、大規模小売店舗の出店について、従来の調整手続等において運用上どういう問題点といいましょうか反省点があったのかをお伺いいたします。
  259. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 委員指摘の点でございますが、従来出店調整を行ってまいりましたそのプロセスは、法律というよりは、その法律に基づく運用というものにゆだねてきた点が多々ございます。そういう意味で私どもその調整のプロセスというものが必ずしも明確ではなかったんではないかという反省を一ついたしておるわけでございます。  例えば調整の期間というようなものが、ただいまは昨年の五月三十日以来、一年半というふうに定めてそれで指導を行っておりますけれども、それまでは必ずしもそういったこともございませんで、いたずらに長期化するというようなこともあったわけでございます。それから、例えば事前説明というような場合にも、消費者を抜きにして、例えば出店側と地元の商業者側とが話をつけて実質的な調整を行ってしまうというようなことも、これも透明性の欠けることというふうな反省もいたしておるわけでございまして、総じて改めて出店調整のメカニズムというものをわかりやすくする。特に我が国市場が外国から見ましても重要性を増しつつある現在、やはり外国の目から見てもわかりやすい、また中から見ても何か密室で必ずしも明らかでないことが行われているというようなことのないように、内外からの批判にこたえよう、こういったような点を踏まえて改正及び運用の変更に当たろう、こう思っておるわけでございます。
  260. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今言われたような意味で、例えば、これまでの商調協による調整制度を改めて大店審において調整をしていくということになったりしているわけです。同僚の委員からも質問があったようでありますけれども、透明性確保のためにも大店審の審議経過、これは公開されてもいいのではないかと思いますが、いかがですか。
  261. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘のように、大店審というものが地元にとってこれからは従来にも増して身近に感じるような運用というものがなされるべきであるというふうに考えておるわけではございますけれども、やはり商業調整というものに内在いたします複雑な利害関係というものを調整していくプロセスでもございます。したがいまして、その一つ一つがすべて白日のもとに出される ということになりますとその影響するところもなかなか大きゅうございまして、審議会委員の方方の中立性、公正さというものに影響する場合もございますので、私どもといたしましては、公開性の要請というものも踏まえつつ、審議結果等の公開あるいは開催された検討項目、そういった議事概要につきましてはできるだけこれを公表し、一般の方々の閲覧と申しますか、ごらんいただくような措置はやりたいと思うわけでございますけれども、扱う問題の性質上すべてを公開するということにはやや制約がかかるものというふうに感じておるところでございます。
  262. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の話は、今までの問題点といいましょうか、反省点はどういうことでありましょうかという質問を先ほどいたしましたときに、わかりにくい、したがって透明性を求めてこうやられたりするわけですが、今の審議経過の公開の問題についての答弁で、それにこたえられるかな。そしてまた、この問題が日米構造協議の過程で出てきたわけでありますが、先ほど審議官は、外国からも、あるいは国内からもといいましょうか、わかりやすくということを言われたわけですが、例えば米国からも、堂々とこういうふうにやっていますからということで、その制度について十分に理解ができるというふうに考えられますか。
  263. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 例えば、今御指摘になっておられます大店審とか商調協というものに即して考えますと、これまで実質的に商業調整の中心的な役割を果たしてまいりましたいわゆる商調協、商業活動調整協議会と申しますのは法律にはないシステムでございます。そういう意味で、この大店法という法律を読みましてもそういった存在が一向にうかがえない、何か法の裏で、よくわからないところで物事が決まっているようだ、こういう疑念を外国の人には起こしやすい体制になっておったわけでございます。その点で私ども、そういう法に定めのない機構あるいは法に定めのない手続というのはできる限りなくすることによりまして、表面にあらわれております法の手続というものにできるだけ近づけてこれを運用するということを中心にして透明性を高めていきたいというふうに今回対処した次第でございます。
  264. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 現行のやり方にしても、あるいは改正案にしてもそうですが、出店調整調整項目に例えば店舗の面積がありますけれども、今まで商調協なんかでやっていて、例えば店舗面積について一万平米というのを五千平米というふうに半分に削ってしまうというようなこともあったりしておるわけですね。なぜそういうことになるかというと、なかなかよくわからないということでありますが、こういう非常にわかりにくい不透明をなくすためにも、例えば店舗面積について言うと明確な基準が必要だと思いますけれども、この点はどうですか。
  265. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘のように店舗面積を例えば削減いたします場合にも、可能な限り客観的な指標というものにまず基礎を置いて、それらに照らしてどうかという判断をしていくことが客観的な処理であろうかと思います。そういう意味で、大店審における審査の判断基準となるものにつきまして私ども審査要領というものを五十九年三月に定めまして、これは公表いたして、そして従来商調協の審議の参考に供してきたところでございます。  現在、新しい制度に移行するに当たりまして、もう一度最近の商業環境を見ながら、特に最近都市化によって道路交通状況が大変よくなったり、あるいは大きな商店によって商圏が広がったりということで、かなり情勢変化いたしておりますので、それらの状況を踏まえて新しく審査要領を見直したいということで、大規模小売店舗審議会審査指標部会というものを一月ほど前に設置いたしまして、ここで新たな判断基準のもとになる審査要領というものの見直しの検討をお願いしたところでございます。
  266. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 その要領の見直しをされているということでありますけれども、それは私は非常に結構なことだと思うのですが、その指標について、具体的な数値といいますか、計量的に基準あるいはガイドラインというような格好になっていないとなかなかわかりにくいと思うのですね。その辺はそのようになっておりますか。
  267. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 審査指標の一部につきましては計量的な要素も入れてございます。例えば大規模小売店舗支持人口あるいは小売支持人口、また将来の人口増減あるいは将来の消費支出の伸び率、そういったことについての指標というものを数値化しているものもございますけれども、これもやはり一つの判断の材料でございまして、数値だけですべてを律するということではございませんが、審査要領というものをできるだけ客観化しようという趣旨でそういった数値的な要素というものも活用しているのが実情でございます。
  268. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私も現行の要領は見せていただいておりますが、今申し上げたように具体的な数値による指標等もこれは十分に検討をしないと、より公平なといいましょうか、そういう判断基準になり得ないということでありますし、なかなか納得性を得るのが難しいことになるわけでありますから、ぜひその点は十分に考えられて検討を進めていただきたい、こういうふうに思います。  それから、大店審による地元の意見の聴取の問題で商工会あるいは商工会議所等に対して地元意見の集約依頼をする問題でありますが、私は、大店審があくまで最終決定機関であるわけでありますから、事前の決着が図られるという話になってはそもそも趣旨が違うのだと思うのですね。そういう意味で、商工会あるいは商工会議所が行う意見の集約についてはあくまで公正中立の姿勢が求められると思うのです。そういう意味で、例えば意見に両論あった場合にはいわゆる両論併記方式というやり方をすべきだ、こう考えますが、いかがですか。
  269. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 委員指摘のとおりでございまして、大店審における審議を充実させるために、地元の意見また地元の実情というものを十分把握できるような体制の一つとして商工会議所及び商工会の活用を考えておるわけでございますけれども、ここで調整が行われるものではないということは繰り返し申し上げているとおりでございまして、もし意見が幾つかに分かれました場合には両論併記、三論併記のまま大店審に報告をしていただくというのが筋であろうかと思っております。
  270. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 意見聴取の対象として労働者あるいは労働者代表の意見もぜひ聞くべきであると私は思いますが、いかがですか。
  271. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 大店審における意見の聴取の中には消費者意見それから小売商業者の意見ということで、この大店法が大きな法益としております二つのサイドから意見を聴取をするのがただいま考えておるところでございますけれども、さらに学識経験者の意見をもこのたび新たに聞く範囲に加えたいということにいたしたわけでございます。御指摘の労働界からの意見というのも大変貴重なものでございますし、そういう意味で学識経験者というものの中から労働者の意見を聞くという機会はこれからもあろうかと存じておるところでございます。
  272. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のお答え、ちょっと再確認いたしますが、学識経験者から聞くというのですが、学識経験者の中の一部にといいましょうか、労働者ないしはその代表を直接意見を聞く対象として考えるということですか。
  273. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 私どもの目的としておりますのは学識経験者から聞くということを考えておりまして、その地域における労働者を代表される方が地元の商業の実情あるいは商業環境、こういったことについて学識経験をお持ちの場合には学識経験者の中の一人として御意見をお伺いすることがある、こういうことを申し上げた次第でございます。
  274. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ちょっとこだわるようなんですが、その中の一人として労働者の代表も加えますという意味に解釈していいですか。
  275. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 労働者の代表が学識経験者であるということではございませんで、その地域で労働者を代表される方が地元の実情に明るい学識経験者であられる場合には、その方の御意見を伺うことは十分あり得るということを申し上げたいと思っておるところでございます。
  276. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のお話はそういうことは十分にあり得るという話でありますのでこれ以上申しませんが、労働者の代表もぜひその中に実際には加えていただいて意見を聞くようにしていただきたい、こう思うのですよ。それは、調整項目の中に例えば労働時間の話やら休業日数をどうする、あるいは閉店時刻をどうするというような話まで入るわけですね。だから私は当然その中に意見聴取する相手として考えるべきだ、こう思うのですよ。それは十分に検討していただけますね。
  277. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 御指摘の御趣旨は検討させていただくつもりでございます。
  278. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 これからの商店街等をいろいろ考えてみますと、今回も法案等を用意をされて中小小売業振興等も図るようなことをいろいろ考えておられるわけでありますけれども、気になりますのは、いわばこれから取り残されている旧商店街といいましょうか、そういうようなところが起こってくるのではないかということを非常に心配をするわけであります。そういう意味で、これから寂れていくかもしれない旧商店街をどうやって本当にその活性化をやっていくのかなということを心配をするわけでありますが、この辺についていかなる方策をとろうとされるのか、伺います。
  279. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 全国に一万六千の商店街があるわけでございますが、御指摘ございましたように、私どもの調査によりましても、多くのところが商店街として停滞感を持っておるという答えをサンプル調査で出してきているわけでございます。しかしながら、一方におきまして、消費者の立場から見まして地域に大型店だけがあればいいというものではなくて、やはり町全体として商店街も栄えてもらいたい、こういうニーズはあるわけでございます。そして最近におきましては、商店街サイドにおきましても何とか自分の商店街を活性化していこうという積極的な意欲が見られるところでございまして、それの左証といたしましては、平成元年度及び平成二年度の補正でおつくりいただきました中小商業活性化基金、これがトータルで千百二十億あるわけでございますが、これを各都道府県を通じまして、県の振興公社を通じて運用益を、果実を商店街の活性化の計画づくりに配付する仕組みになっているわけでございますが、大変な人気がございまして、平成二年度の補正で追加をいたしました六百億につきましても過日配付を終えたところでございますけれども、各地から大変要望が強かったわけでございます。  そういうことを考えてまいりますと、商店街自体が自助努力をベースにいたしまして意欲を持って消費者の心をつかんでいくという構えを見せていただくことが大事でございまして、国及び都道府県また中小企業事業団を含めて大いに支援をしていくという構えになるわけでございますが、具体的には個々のお店の魅力を向上させるということも大事でございますが、他方におきまして、商店街でございますので、組合を通じて商店街の改造に取り組むということが大事でございます。そのためには、ただいま申し上げました活性化計画を、自分の商店街にマッチした個性のある計画をつくる、またそういう際に、中小企業事業団にアドバイザーなど置きましていろいろ専門的なアドバイスもしていこうという考え方になっておりますけれども、そうした計画に基づいて今度は実際に商業基盤施設なり商業施設整備していくという際に国、都道府県等が抜本的に応援をしていく、こういう体制をもって御指摘のような寂れた、停滞感を持っている商店街を何とか活性化することが、小売商業自身のためだけではなくて地域の住民のためにも大切なことと考えているところでございます。
  280. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 大臣にお伺いしたいのですが、日本のこれからの小売業というのは将来どういう姿になるのかということを私は非常に思うのですね。その辺の将来のことを大臣にお伺いしたいと思うのです。  数字的に申し上げますと、日本の小売業の商店の数は、昭和三十年代に大体百二十万から百三十万店、昭和四十年代になりますと百四十万から百五十万店になりまして、昭和五十年代から今日までを見ますとざっと百六十万店前後というふうに、趨勢的にはずっと増加しているかなということでありますけれども、最近ではやや減少しているという状況です。そして、中身をちょっと見てみますと、従業員数が一人から二人のところが約九十万店、三人から四人のところが約四十方店というふうに極めて小規模の小売業が非常に多いのです。私が街中を歩いてみても、小さなお店なんかがあったりいたします。そうしますと、本当にこういうお店はこれからどのくらいこうやって仕事をやっていけるかなということをよく私は思うのです。  そういうふうに思いながら、私はよく海外へ行くのですが、例えばアメリカにしても、あるいはヨーロッパにしても、それぞれの商店街等を念頭に置いたときに、日本の、これからはこういう小売店、小さな小売店がたくさんあるわけですけれども、どういうふうになっていくかな、五年、十年、それはともかくとしても、今から三十年あるいは五十年先ぐらいにはどういうふうになっていくだろうかということを思うのですが、大臣は、今申し上げたようなそういう商店が、例えば四、五十年先、どんなふうになるのだろうか、あるいはどうしたらいいのだろうかということをどのように思われますか。
  281. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私の感想も含めて、委員に率直にお答えさせていただきたいと思います。  先ほどの委員のお言葉のように、年々歳々大減少していくというわけではございませんで、大体百数十万前後というものが徐々ながらライズアップしているような感じ、ただし、このところちょっと軽減している、こういう状況でございましょうか。売り上げなんかで見ますると、小売業というので年間売り上げが大体二千五百万を超えているというのはなかなかないのでございます。ですから、一人、二人あるいは五人、六人を使っているところは大変厳しい状況にどんどん追い込まれていることだけは否めない事実かと思うのです。そこへ大きな規模の店が来るということは、ある意味においては、もう皮膚感覚的にアレルギーを感ずるでありましょうし、同時に、それ自体が自分たちを非常に大きく苦しめるのじゃないか、こういう形になると思います。  しかし、私も幾つかの例も調べてみましたけれども、中には、大きな商店が来る、あるいはデパートならデパートが大きく拡大をするといいますると、それに沿ってその街が活性化して、そして、流動人口あるいは人口が非常に大きくふえまして、言うなれば購買力がうんとふえるという可能性もあるわけでございます。  したがって、私は今からの小売業というのは、欧米のことを考えますと、もう少し個人個人の商店が単なる、靴屋さんなら靴屋さんにいたしましょうか、私の父親は洋服屋さんときれを売っておりましたけれども、今考えてみますと、そんなに大きな店ではございませんが、連雀町という問屋街の中にありまして、非常に画期的にやっておったのです。何をやっておったかといいますと、当時、戦前ではございましたが、イギリスからきれを直輸入いたしまして、それを販売しておったのでございます。そういうようなことで、非常にキャラクタレスティックといいましょうか、個性的な店といいましょうか、例えば個人商店でも非常に個性的な店は欧米諸国でも非常に繁栄もし、残っているということを私もこの目で実感として感じ取ったことがございます。そういう意味においては、なかなか難しい問題ではございますが、個人商店などにおいても個々の違いはあるなということは感ずるわけでございます。  そこで、今回の場合、流通産業を取り巻く環境 が構造的に変化しているということはもう申すまでもないのですが、小売商業の将来にとって重要な動向というものは、消費者ニーズの一層の多様化、それには情報も極めて必要であろうと思うのでございまして情報化、あるいは国際的にコマーシャリズムというものがどのように移動しているか、千変万化しているかを十分に把握する、それから多様な新業態の伸長というものと業態間競争の活発化、活性化といいましょうか、それから都市構造交通体系、そういうありとあらゆるものがある意味においてはいろいろな形で積み重なってくる要素が一緒になってくると思います。  そういう中にあって、魅力のある商店街あるいは商店づくりというものがいささかなりとも必要でございましょう。それにかてて加えて、先ほど言いましたように商店街が今一番悩んでおるのは、アーケード問題とかプロムナードみたいなきれいな街並みと同時に、駐車場不足でそこに行っても、大きな百貨店は駐車場を持っておりますが、自分たちには駐車場がないということから自分の商店はほとんど素通りにされてしまうというような憂いもあるようでございます。そういう点で、商業集積づくりの重要性の高まりというものも極めて大事なことかなと感ずるわけでございます。  こうした中で、将来の小売業のあり方といたしましては、私なりに整理いたしますれば、まず第一点は、消費活動の充実を通じた国民生活の向上への貢献と申しましょうか。第二点は、魅力のある商業集積形成を通じた地域社会、住民への貢献と申しましょうか。第三点といたしましては、大店法規制の緩和あるいは人手不足の深刻化等新たな環境への円滑な対応というものを的確に順応させていくという姿勢がこれまた必要になってくるのではないか。このように事は期待されるわけでございまして、そのような形においてなおかつハーモナイゼーションを持ってこの大店法の問題もとらえていきますならば、生き残っていける道というものの道のりはある。また、それに対して私どもが先ほど言うたようなありとあらゆる能知、学識経験者等も入れた能知、能力を入れて、そして彼らの活性化というものに大協力していくという姿こそ必要ではないかなと私は感ずる次第でございます。
  282. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 本当に日本の街を長期的にどういうふうにしようかというような意味で、これは街づくりの問題だと思いますけれども、そういうような意味で長期的な視点で、何といったって世界に冠たる通産省でありますから、その街づくりの中でどうしていくかというふうにぜひ取り組んでいただきたいと心からお願い申し上げます。  そこで、時間が来て本当に申しわけないのですが、一点だけ最後に御質問して終わりたいと思うのです。  輸入品専門売場設置に関する特例法について、実は私は、今回それなりの意味を込めてこの法律が出されているわけでありますが、こういう形で例えば千平米以内は届け出なしで実施可能だよというようなやり方は、これは逆差別なんじゃないのかな、こう思うのですね。結論的に言えば、例えばアメリカはいろいろ訴えるというようなことはありましたけれども、ではアメリカはそんなことを本当に期待しているんだろうかということを思うのですよ。これは何といったって、ちゃんとした自由貿易のシステムをアメリカとしてはもっともっとちゃんとつくりたい、そのために日本も協力してくれよ、基本的にはそういう意味だと私は思うのですが、そういう意味でちょっとこれはやり過ぎなんじゃないかなという気がするのですが、それについての御意見を聞いて、終わります。
  283. 中尾栄一

    中尾国務大臣 この間、伊藤委員も御案内のとおり、モスバカー商務長官が参りました。そのとき二十名ばかりアメリカの俗に言う商売をやっておられる方々、経営者の方もおりますけれども、経営者とはほど遠い商売人のちょっと大きくなったといいましょうか、五十人、六十人ぐらいの経営者もおられました。  そういう方々が共通に言っておりましたのは、やはり何といいましても、日本でもまだ向こうの商品でこちらに輸入していないものもたくさんあるんですね、まだ目立たないもので、入れたら日本人に相当はけるだろうなと思うものもございます。こういうようなものももっと研究する余地はあろうかと思います。かというて、逆差別までして輸入促進を図ることを米国は期待しているのか、こう言われますと、これは確かにいろいろ問題点もございましょう。しかし、輸入品売場特例法というのは、輸入品を逆差別するというほどのものではないと考えておるのです。  また、我が国への欧米諸国からの輸入拡大要請というものは、高水準で推移する我が国の貿易黒字を背景といたしまして依然として強いものがございます。こうした中で、とりわけ米国に関しましては、一昨年秋に開始されました日米構造問題協議におきまして、大店法が大型店の出店を抑制し、その結果として我が国輸入の阻害要因にもなっているとの米国側の問題意識から協議が行われたわけでございますが、その最終報告におきましては、一層の輸入拡大のための輸入品売場に関する大店法特例措置を設けるべきとの指摘もされているところではございます。そのようにお考えを賜りたいと思うわけでございます。
  284. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 どうもありがとうございました。
  285. 奥田幹生

    奥田委員長 次回は、来る十七日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十三分散会