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1991-03-20 第120回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月二十日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 石井  一君    理事 塩崎  潤君 理事 武村 正義君    理事 羽田  孜君 理事 穂積 良行君    理事 山崎  拓君 理事 佐藤 観樹君    理事 山花 貞夫君 理事 河上 覃雄君       浅野 勝人君    奥野 誠亮君       戸塚 進也君    野田  毅君       町村 信孝君    村田 吉隆君       小岩井 清君    仙谷 由人君       堀  昌雄君    松原 脩雄君       東中 光雄君    川端 達夫君  出席政府委員         自治省行政局選         挙部長     吉田 弘正君  委員外出席者         自治大臣官房審         議官      田中 宗孝君         自治省行政局選         挙部選挙課長  谷合 靖夫君         自治省行政局選         挙部管理課長  牧之内隆久君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       井戸 敏三君         参  考  人         (選挙制度審議         会第一委員会委         員長)     堀江  湛君         参  考  人         (選挙制度審議         会第二委員会委         員長)     河野 義克君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公職選挙法改正に関する件(選挙制度審議会答申について)      ────◇─────
  2. 石井一

    石井委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件、特に選挙制度審議会答申について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として選挙制度審議会第一委員会委員長堀江湛君及び第二委員会委員長河野義克君の御出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石井一

    石井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────
  4. 石井一

    石井委員長 この際、堀江参考人河野参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。当委員会での審議に資するため、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序は、初めに堀江河野参考人におのおの五分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員から質疑を行います。御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず堀江参考人にお願い申し上げます。
  5. 堀江湛

    堀江参考人 堀江でございます。選挙制度審議会第一委員会委員長を務めております。  本日は、先週の佐藤副会長に引き続き、私たちに公職選挙法改正に関する調査特別委員会出席して、選挙制度審議会の二次にわたる答申について御説明申し上げる機会を与えていただきましてありがとうございました。  第一委員会におきましては、選挙制度審議会に諮問されました事項のうち、選挙制度審議テーマとし、衆議院議員及び参議院議員選挙制度あり方について審議を行ってまいりました。  その結果、衆議院議員選挙制度改革につきましては昨年四月二十六日の答申で、また、参議院議員選挙制度改革につきましては七月三十一日の答申で、それぞれ御提言申し上げたところであります。  まず、衆議院議員選挙制度につきましては、現行の中選挙区制のもとで生じている種々問題点は、制度の運用のみではもはや改善し得ないものであり、政策本位政党本位選挙を実現するためには、現行選挙制度を根本的に改革し、小選挙比例代表並立制をとることが適当であるとしたところであります。  次に、参議院議員選挙制度につきましては、二院制あり方に立ち返って望ましい選挙制度に関し、候補者推薦制などさまざまな方策検討を行ったところでありますが、その検討経過を踏まえ、それとともに現行選挙制度について指摘されておる諸点を是正するための改善方策についても検討を行い、現行比例代表選挙については、個人名投票を導入するとともに、選挙選挙については、議員定数人口との不均衡を是正するため、選挙区別定数の再配分を行うことが適当であるとしたところであります。  なお、小選挙区の区割りにつきましては、四月の答申におきまして具体案検討を進め、成案を得るものとしておりますが、現在、必要な資料の収集、分析等事務局に行わせておる状況であります。  以上が第一委員会におきます審議概要でありますが、私どもは、選挙制度という我が国議会制民主主義の根幹にかかわる極めて重要な事項審議しておるという責任を深く認識いたし、全力を尽くしてこれに取り組んでおる次第でございます。委員各位におかれましては、今後とも御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、説明を終わらせていただきたいと思います。
  6. 石井一

    石井委員長 ありがとうございました。  次に、河野参考人にお願い申し上げます。
  7. 河野義克

    河野参考人 選挙制度審議会第二委員会委員長を務めております河野でございます。  第二委員会におきましては、選挙制度審議会に諮問されました事項のうち、政治資金制度あり方及び選挙腐敗行為に対する制裁強化審議テーマとして審議を行ってまいりました。  その結果、政治資金制度改革及び選挙腐敗行為に対する制裁強化等につきましては昨年四月の答申で、政党に対する公的助成につきましては七月の答申で、それぞれ御提言申し上げたところであります。  まず、政治資金制度につきましては、その性格上、選挙制度と密接な関連を有していることから、選挙制度抜本改革と歩調を合わせて改革を行うことが適当であるとし、政治資金の調達は政党中心にするとともに、さらに政治資金公開性を高め、政治資金についての規制の実効性を確保するなどの措置をとるべきであるとしたところであります。  次に、政党に対する公的助成につきましては、その政治活動公的性格等にかんがみ、選挙制度改革により選挙政治活動政党中心に行われるようになることなどを勘案して、選挙制度改革政治資金制度改革選挙腐敗行為に対する制裁強化などの制度改革と一体として実施すべきであるとしたところであります。  また、選挙腐敗行為に対する制裁強化につきましては、連座制強化を図ることとし、立候補予定者の親族を連座制対象とするとともに候補者及び立候補予定者の秘書を連座制対象とすることにしたところであり、また、現行の当選無 効に加えて、立候補制限を科することとしたところであります。現在、さらに、制裁強化のための新たな措置について鋭意審議を行っております。  以上が第二委員会におきますところの審議概要でありますが、委員各位におかれましては、選挙及び政治資金の問題について御熱心な審議をいただいていることに対しまして深く敬意を表しますとともに、今後とも御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして説明を終わらせていただきます。
  8. 石井一

    石井委員長 ありがとうございました。     ─────────────
  9. 石井一

    石井委員長 これより両参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田毅君。
  10. 野田毅

    野田(毅)委員 両参考人先生にはきょうは大変どうもありがとうございました。また、非常に難しい問題について精力的に御審議をいただいてそれぞれ御答申をちょうだいしたことに心から感謝を申し上げたいと思います。  今堀江さんからお話がございましたが、特に衆議院選挙制度については、政党本位政策本位という形でいくべきである、そういう発想から小選挙区、そして同時にそれを補完するといいますか、そういう形での比例代表並立という答申を出されたわけでございます。  私ども、昨年我が党として党議決定をした衆議院選挙制度については、おおむね答申考え方念頭において党議決定をしたわけでございます。  実は、そこまではよかったのですが、参議院選挙制度について、答申をよく読みますと、前段はいろいろ根本的な改革といいますか、候補者推薦制なり、そういったものを軸として、率直に言ってかなり未練を残しながらどうも途中で思考停止してしまった、まあしようがないから当面現行選挙制度問題点指摘されておる事柄検討しようということで、言うならば二段構えになっておる、こういうことだと思うのです。  そういう意味からいえば、衆議院選挙制度については、ある種の夢とロマンと言うと言葉が大げさかもしれませんが、選挙制度を変えることによってそういう政策本位政党本位といった形、そして特に政治資金制度あるいは公的助成制度といったものを改善を加えるということによってもっともっととすっきりした形での政治形態を夢見ていこう、そういう流れがあったように僕は思うのです。  ところが、参議院選挙制度についての答申を拝見いたしますと、どうも当面の逆転県のところをちょこちょこといってみようとか、比例代表部分について拘束式を非拘束にして政党名でも個人名でもいいんだよという形になって、何か竜頭蛇尾になったような感じがして寂しい思いをしておるのです。  それで、一応参議院制度についての答申はいただいたのですが、さらにあの読み方をよくしてみますと、当面は現行制度の手直しなんだけれども、やはりもっと理想を追求して、本来の姿から原点的発想に立ち返って参議院制度についてさらに審議会においてもっと理想的なあるべき選挙制度というものを追求していこう、こういう考え方はありますか。
  11. 堀江湛

    堀江参考人 私ども審議会においては現行憲法下において一体どういう参議院議員選挙制度あり方が望ましいかということにつきまして熱心に議論を重ねてきたところでございます。  ただ、この問題につきましては、かなり長期の慎重な多面的な検討が必要となるのではないか、こう考えておるところでございまして、私ども審議会審議に与えられております時間の制限もございますので、先日御答申申し上げたような内容で一応私どもの当審議会としての結論とさせていただいたというような次第でございますが、なお十分、時間の許す限り、この問題について真剣に検討してみたいと考えております。
  12. 野田毅

    野田(毅)委員 いろいろな御議論があったやに承っております。我が党でも今参議院選挙制度、抜本的というか根本的見直しというか、改革をしようということで勉強を始めておるわけでございます。その場合には、むしろ答申の後半部分でなくて、前半の夢を追う部分をもう少し検討していきたいな、こう思っておるのです。  そういった中で、候補者推薦制ということについても大分御議論があったように書いてあるわけですが、具体的にどういう問題が指摘がなされて結論に至らなかったのか、あるいは憲法上の問題、あるいは政治論としての問題、大きく分ければそういうどの点が具体的にひっかかるのか、もう少しブレークダウンして、どことどことどこの点がクリアできなかったということがもうちょっと明らかになると、我々も検討していく上で大変参考になるわけですけれども、その辺御指摘いただければありがたいと思います。
  13. 堀江湛

    堀江参考人 審議会といたしましては、候補者推薦制がうまく機能するということでございますと、参議院議員としてまことにふさわしい、参議院にふさわしい選挙制度ではないか、そういうふうに考えて寄り寄り審議を重ねてきたわけでございますけれども一つは、憲法とのいろいろな関係を詰めていかなければいけない。例えば、この推薦制趣旨を徹底するといたしますと、推薦を受けた候補者は結構でございますが、推薦を受けない候補者立候補を認めるのか認めないのか。もし推薦を受けない候補者立候補を認めるとした場合には、推薦候補者との間で選挙運動等々の面において何か異なる取り扱いをせざるを得ないのか。しかし、それが果たして憲法上許されるのか。こういうようなことが主として憲法との関連議論されたところであります。  また、この推薦制を具体的に導入する場合に、一体いかなる形で推薦をすればよろしいのか。国民政治的自由等々の問題ともかかわりのあるところであります。ヨーロッパ等諸外国にも例のないことではないのでありますが、日本のこれまでの現下政治状況あるいは過去の政治的経験等々に照らしてみますと、一部のヨーロッパ諸国において仮にそういう制度がかつて機能しておったとしても、それを直ちに日本に導入した場合に国民の御理解が得られるであろうかというようなこと等々もいろいろ考え合わせまして、直ちに推薦制を具体的に答申内容に盛り込むということはまだもう少し慎重な検討が必要ではないかということで、先ほど御指摘のような答申内容に立ち至った次第でございます。
  14. 野田毅

    野田(毅)委員 まだ、具体案をつくってそれに即して検討したというよりも、その手前の段階でいろいろ大変だった、こういうふうなことだったと理解してよろしいのでしょうか。
  15. 堀江湛

    堀江参考人 具体案について全く検討しなかったというわけではございませんが、先ほど申し上げましたように、憲法枠組みの中で可能かどうかという問題と、現下国民政治意識状況日本特有の過去の政治的経験等々についての配慮等々から、御指摘のように、主としてそういった具体案検討しつつも、むしろそういった基本的な姿勢の問題でもう少し検討を重ねようという結論になったわけであります。
  16. 野田毅

    野田(毅)委員 問題点はあるけれども、それらは乗り越えられない問題であるという結論ではなかったと受けとめてよろしいのでしょうか。
  17. 堀江湛

    堀江参考人 憲法は国の政治の基本的な枠組みを決めるものでございます。この憲法の解釈についてはさまざまな学説や過去の経緯等々もございますので、私どもとしては慎重によくよく検討して詰めていかなければいけない、こういうふうに考えた次第であります。
  18. 野田毅

    野田(毅)委員 話は変わるのですけれども参議院制度の中にいわゆる連記制を入れるということは検討はされたでしょうか。
  19. 堀江湛

    堀江参考人 私、具体的にその連記制の方式とかその他につきまして今詳細に記憶してはおらないのでありますけれども、この制度検討過程の中で、少し連記制というような問題を考えてはどうか、こういう御意見委員の中から出て、それについて議論したことはございます。
  20. 野田毅

    野田(毅)委員 やはり衆議院参議院二院制あり方の中で、これは憲法制定当時からいろいろ論議が続いてきて、いわゆる抑制均衡補完という役割があり、俗に参議院良識の府であるという言葉がございます。それが何を意味するかというと、議院内閣制のもとにおいて第一院である衆議院が与党をもって政府を構成する。そうすると、時によっては非常にバイアスがかかる、あるいは党利党略が優先してしまうということがあってはならない。だから、いわば衆議院とは違う角度からバランスを図っていこう、こういうことだろうという気がしますね。そうすると、良識の府ということは言葉としてはあるけれども、実際にそれを選挙制度の中でどうやって裏づけていくのかという角度からの検討も実は必要になるわけです。そういう点で、衆議院とは異なった選挙仕組み、どういう形で本当にそういう広い視野の、長期的な視点の、人にもよるし、運営の仕方にもよるとは思うのですけれども、そういったことからいえば、今の参議院選挙制度、これでそれがその要請にこたえ得る制度であるということが言えるのかどうか、そのあたりはどうお考えですか。
  21. 堀江湛

    堀江参考人 先ほど御指摘のとおり、戦後参議院制度が発足以来、ともに国民の直接選挙によって選ばれる両院でありながら、かつその選挙仕組み工夫を加えることによって異なる角度からそれぞれ民意を代表する、そういう工夫として現行参議院がスタートしたわけでありますが、御指摘のとおり必ずしも所期の目的を十分達成しているとは言いかねる面もあろうかということで、参議院制度についていろいろ議論が重ねられてきたわけでございます。  私どもとしましても、先ほど御指摘のありましたような、例えば推薦制といったようなことを導入すればそういった意味での独自性が発揮できるのではないか、こういうことも考えたわけでありますが、繰り返すようでございますが、種々憲法との関連あるいは国民世論の動向あるいは過去の政治的経験等からなお慎重な検討を要する。そういうことになりますと、現行参議院選挙制度、これを本来いろいろと初期に考えておりましたような機能を少しでもよりよく達成できるように、いろいろ指摘されていますような問題点について多少なりとも改善を進めていきたいというようなことで委員会議論をまとめていったということでございます。
  22. 野田毅

    野田(毅)委員 そういう長期的視点での抜本的な制度改革、私ども責任を持ってできるだけ早くこの結論を得たいと思っておるのですが、当面、我が党として来年行われます第十六回の参議院選挙現行仕組みでいこうという腹を固めたわけでございます。この点では答申趣旨に沿わない党議決定をやったわけで恐縮なんですが、なぜそういうことになったかといえば、実は率直に言っていろいろ悩むこともあったのですが、例えば地方区の問題なんですけれども、この地方区について、衆議院選挙制度改革ということとも軌を一にしている事柄は、少なくとも政策本位政党本位選挙をやっていくのですから個人後援会中心型の選挙ではないのです、言うなら同士打ちなりそういったことが諸悪の根源でもございます、そういうところから、政治資金個人後援会に集中するよりもむしろ政党に集中しなさい、政党も何でも政治資金を集めていいというものではなくて、やはり公的助成という形でちゃんと裏づけをしましょうという形での一つ流れがあると思いますね。そういった中で、片っ方では政治資金個人には締めていくということで、参議院地方区だけは厳然としてまだ複数定数が残るわけです。一体そこの思想上の脈絡はどうなるんだろう。逆転問題は解消はできるかもしれないが、基本的に、そういう政治資金流れ公的助成流れ、そして政党中心選挙体制に持っていこうというのと、参議院地方区複数になっている、これはやはり個人後援会中心型にならざるを得ない、それは放置したままで逆転解消ということだけでいいのかどうかという問題意識が実はあったわけです。その点について御議論はございましたでしょうか。
  23. 堀江湛

    堀江参考人 ただいまの問題については、委員会でもかなりさまざまな御意見がございました。例えば、米国等の例に倣って各都道府県代表数を同数にしてはどうかとか、あるいはさらに一歩進んで、半数改選選挙時においては一人というただいまの御高説のような議論等々もございました。しかし考えてみますと、日本連邦制度をとっているわけではございませんので、都道府県連邦国家における州とをにわかに同一視するわけにはいかぬだろう、こういう議論もございました。衆議院の方においては、私ども答申では憲法の規定する国民投票権の平等という角度から人口比原則として代表を選出せしめる、こういう原則を強調してまいりました。  そうなりますと、現実の日本の社会における過密・過疎等々の問題も照らし合わせて考えてまいりますと、衆議院の場合と参議院の場合では多少角度を変えて考えてもよろしいのではないかということで、確かに御指摘のとおり参議院選挙選挙につきましては、一部の都道府県につきましては事実上の中選挙区制と申しますか大選挙区制、こういうことで残るわけであります。しかしこれはまた他方、別の先ほど申し上げたような過密・過疎等々の問題、それから、参議院政党政治を行っていく以上は、参議院がある程度政党化するのはやむを得ないことではございますけれども、しかし同時にまた、衆議院ほど徹底した政党化が進んでいくことが果たして我が国民主政治のシステムのもとで望ましいのか、むしろ大きな政党化流れの中でもお一人お一人の政治家の独自の立場が発揮できることも望ましい点があろうというようなこと等々を勘案いたしまして、答申にあるような結論に至ったわけでございます。
  24. 野田毅

    野田(毅)委員 いろいろ考え方はあろうと思うのですが、いま一つお伺いしたいのは、結果として答申の線でいきますと、参議院でも比例という制度が残り、答申では確かに衆議院の場合は比例部分ブロック単位という答申ですから、いずれにしてもその点は、ダブル選挙があった場合に混乱があるかもしれぬということを念頭に置いての答申仕組みになっているのかなという感じは抱いておるのです。ただ、ブロックであれ全国区であれ、やはり有権者には政党名を書いてもらう、これは事実なわけですね。そして、その同じ時期に政党名を書いてもらって、片っ方は解散がある、片っ方は解散がない、参議院選挙のときの比例部分だけは六年間有効である、衆議院の方はもっと短期間である、両院において似たような比例制というものを入れる、そして片っ方が解散があって片っ方はそのまま六年間継続する、そういうことについて一体どういうことになるのかなという心配も実はあるわけですよ。参議院解散制度があるならまた別なんでしょうけれども、その点は論議はありましたでしょうか。
  25. 堀江湛

    堀江参考人 既にただいまの御質問の中でお触れになったことでございますけれども、私ども審議会議論の中で、そういった同時選挙が行われた場合に混乱が生ずるのではないかという議論がございました。そして、それだけが理由ではございませんが、いろいろな他の条件等々も考慮して、衆議院の方はいわば広域行政化、必ずしも行政だけにはとどまらない、政治、経済あるいは社会的な、従来の都道府県の枠を超えた新しい広がりと結合といったような状況に着目して、衆議院比例代表制についてはブロック制を導入してはどうだろうか、そういうことによって御指摘のような弊害も混乱も多少避け得るのではないかということも、それだけではございませんが、ブロック制答申した一つ理由でございました。
  26. 野田毅

    野田(毅)委員 若干釈然としない部分がございまして、ブロック単位全国単位かということでそう本質的な差があるものではなくて、やはり有権者一人一人は、ブロックであろうが全国区であろうが、要するに自分の支持する政党名を書くわけですから、その自分の支持する政党名を書いたことが六年間有効ということ、次の改選まで有効ということが両方出るものですから、その辺に私ども何となく、それでいいのかなということは実は本質的な問題として感じておるわけですよ。  それで、ちょっと話が前後しますけれども、我々論議をしておる過程の中で、これはいわゆる野党との関係がありますから、それから今までの小選挙区の検討流れということから避けがたいことだったとは思うのですけれども、党内の論議の中で一番多かったのは、どうせなら衆議院を完全小選挙区にして、参議院完全比例にしたらどうなんだ、それが一番はっきりするのじゃないか、二院制度の建前、それから参議院のいわゆる抑制補完均衡というチェックの機能ということからすれば一番それがわかりいいのじゃないかという話があるのですが、この点についてひとつ、後戻りになりますけれども考えを聞かしてください。あるいは、審議会の中でその論議についてどういう御意見があったかですね。
  27. 堀江湛

    堀江参考人 私の個人的な意見といたしましては、ただいまの先生の案のようなものは一つの、選挙制度というのは単純明快であるということも、国民にとって大変大事なことでございますので、非常に傾聴すべき御意見であろうかと思いますが、審議会では実はそこまでの意見は出てまいりませんでした。と申しますのも、やはり私ども選挙制度及び政治資金制度の根本的改革のための方策を具体的に示せというのが内閣総理大臣からの御諮問の内容ではございますが、かと申して現行制度と余りにかけ離れた、すべて現行制度を一度白紙に戻してゼロから衆参両院とも出直しにするということにまでは、それぞれ委員の皆様方も思いが至らなかったようでございまして、現行制度等々を参考に現状を踏まえつつ、その中で根本的な改革をしようということで答申をまとめてきたわけでございます。  しかし、私ども答申にいたしましても、衆議院に関しましては全く根本的な制度改革になろうかと思いますし、そういった改革というものを積み上げていくということも必要ではないかと考えるところでございまして、先生のただいまの御提案のような考え方は大いに参考とすべき意見だとは存じますが、繰り返すようでありますが、委員会の中ではそこまでの御議論が至らなかった、こういうことでございます。
  28. 野田毅

    野田(毅)委員 大分時間がなくなってきましたので、最後にあれですけれども衆議院選挙制度の問題で、私ども答申と幾つか違う路線を打ち出しておるわけです。それは比例について答申ブロック制でありますが、我々は全国単位でやりましょう、こういうことにした。それからいま一つは、小選挙区三百の県別定数の配分について、私どもは少なくとも国会決議にも過疎・過密にも配慮せよ、こういうことがございまして、それを念頭に置いて各県一人ずつまず基礎配分をして、その上で人口配分をする。それで結果として県間の格差が二倍以内におさまるのだということであれば、憲法上の平等という精神からいっても許される範囲の中でありますし、あるいは地域間格差の問題等にもこたえられるのではないか、こういうことで、答申案と比べて各県別の若干の定数の配分は異なっておるわけです。これは、当然審議会の皆様の考え方の範囲の中に入ることであると我々は判断をしておりますけれども、その点についてはどうでしょうか。
  29. 堀江湛

    堀江参考人 ただいまのお考えは自民党の政治改革基本要綱の内容かとも思いますが、個々の点で必ずしも答申と一致していない、あらかじめ都道府県に一名を配分する、あるいはブロックではなくて全国一区の比例代表制を御採用になる、これは要綱の中では決まっていないのかとも思いますが、そういったこと等々が必ずしも一致していないことは私ども承知しております。したがって、前回佐藤副会長が参考人としてここに参りましたときの御発言にもございますように、私ども答申と細部において一致していないという意味では、私ども、結構でございますとは申しかねますけれども、しかし、政党本位、政策中心の選挙に改めていくのだ、そして、実はただいまの御指摘は主として選挙制度の問題でございますが、金のかからない、そういった政治活動選挙の実現を目指すという基本的な考え方においては大きな違いはあるいはないのではないかというのが私の個人的な感想ではございます。  しかし、こういった今自民党で御検討の案につきまして、審議会として検討したわけではございませんので、審議会がこうであるということはお返事いたしかねますけれども、私個人としてはただいま申し上げたような感想でおります。
  30. 野田毅

    野田(毅)委員 ありがとうございました。もう時間ですから……。
  31. 石井一

    石井委員長 次に、塩崎潤君。
  32. 塩崎潤

    ○塩崎委員 今野田委員が主として選挙制度の問題について御質問をされたようでございます。私は、河野第二委員長を中心といたしまして、政治資金の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  答申の「第三 政治資金制度改革」に、河野第二委員長を初め選挙制度審議会委員の皆様方の考え方が明確に出されておる。しかも、政治資金については非常に積極的な意味、定義をされていることで、私も大変同感をするものでございます。こんなことが書いてあります。「政治資金は、民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財である。これを受ける側からみれば、政治活動の財政的基盤であるが、拠出する側からみれば、政治参加の一つの手段であり、したがって、本来、自主性、自律性ができる限り尊重されるべきものであると考えられる。」このような積極的な意味を認められて定義をされておるわけです。  しかし、その調達の方法につきましては、今のような御定義を考えられた割にまだまだ慎重であって、抑制的な気が私はするわけでございます。アメリカでも御承知のように一九七〇年代に、例のウォーターゲート事件以来政治資金については規制の考え方が出てまいりましたが、その後PACとかいう新しい形態の企業が関与する資金調達方式が自然発生的に生まれてきて、いろいろ問題を起こしておることは御案内のとおりであります。  私は、やはり政治資金は本当に必要なものであり、民主主義社会を維持する上においては堂々と調達ができるべきものだ、こういうふうに考えておるのです。特にアメリカで最近の議論を聞いてみますと、ともかくも自己資金のある裕福な金持ちだけが議員あるいは政治家になるということは大変おかしなことだ、やはり資質のある人に政治資金を提供して政治家になるべきであるという声が非常に強くなってきていることが第一ですね。第二は、下院議員は特にそうなんでしょうけれども、最近アメリカでは政治資金の問題で、特に対立候補や新人に政治資金が思うように手に入らないために競争が非常に楽で、現職議員の当選率、再選率が九八%、こんなことは選挙の意義を失わせるというような気持ちをアメリカ人は持って、選挙資金の問題を積極的に調達しやすい方向で動いているように私はいろいろ本を勉強してみますと感ずるわけでございますが、これらの点についてどのようにお考えになられるか。特に政治資金の、自己資金のある裕福な人たちだけが選挙がやれるということは、私は今の民主主義社会の伸長の必要性から見て大変おかしいと思うのですが、いかがでしょうか。
  33. 河野義克

    河野参考人 ただいま私ども答申の一節を御引用いただきまして、政治資金というものの本質が、出す方からいえば国民政治参加の一態様であり、また受ける側からいえば財政基盤の強化ということになり、いわば民主政治のコストとして尊重されるべきものであり、本来、自主的、また自由でなければならないという点を御引用いただいたことはそのとおりであると存じております。そして、現実に政治活動をする上において、政治資金というものが非常に要るということも申すまでもないことでございます。それで、そういう際に、後顧の憂いなくそういう資金を活用できるように大組みとして考えたらどうかというようなお気持ちと存じましたが、そういうふうに政治資金が多額に要するということは現実であり、またそれ自体は政治活動として当然のことであろうと存じますが、今日の日本における政治の不信というものが政治ないし選挙に余りにも金がかかり過ぎる、そのためにいろいろな具体的な事件が起き上がって、それがこういう政治不信をもたらしているということも否めないことでございます。それから、民主政治の形態をとる世界各国の選挙の実情を見ても、日本選挙界が必要な少額の選挙で終わっているとはちょっと言いがたい。そういうことが実相であろうと思いますので、選挙を浄化したいという気持ちからいいますと、やはり政治資金の収得なり支出につきまして何らかの規制がどうしても必要だというふうに思いました。それで、前提としてさっき御引用になったような気持ちを持ちながら、具体的に弊害を少なからしめるという意味でいろいろ配慮したのがこの提言でございます。
  34. 塩崎潤

    ○塩崎委員 そこで、今の政治資金を堂々と調達できるような仕組み考えていくという場合に、常に問題になりますのは企業や労働組合等の団体寄附の問題でございます。  一昨年、ここに私も提案者の一人といたしまして政治資金規正法の改正案を出しました際に、最も各党が問題にいたしましたのは、団体寄附というものはやめられないかというような御意見がございました。この団体寄附についてどのようにお考えか。この御提案を見ますと、団体の寄附は政党に対するものに限るというふうに考えられ、そしてだんだんと党の政治資金はその後個人の拠出により支えられるようにしていく、このような御提言がされております。  さて、御認識はいかがでしょうか。私は、現行において、今の個人の寄附、これによる政治資金の調達がスムーズにいっている、また成功しているとは思いませんし、今後といえどもいろいろの施策を講ずれば可能かもしれないのですけれども、まだまだ容易でないように思う。そのときにこのような御提言をしていかれるということの意味ですね。  昭和四十五年六月二十四日の最高裁で、御承知のように八幡製鉄の企業献金に関する判例がありまして、自然人たる国民と同様、企業も国や政党の特定の政策を支持し、反対するなどの政治的行為をなす自由を有するという判決理由のもとに、この企業献金は合憲であり合法であるという判決があったわけです。私は、弊害は矯めながら、やはり企業献金というものは自由主義社会、特に企業の消長に影響するような政策が行われる場合におけるところの自由経済社会においては非常に重要な一つ政治資金の財源となるものと考えるわけでございますが、これについてどのようなお考えでしょうか。団体寄附は政党に移して、だんだん個人寄附の方に変えていくんだというようなお考え方の基本はどういうことなんですか。
  35. 河野義克

    河野参考人 団体献金の問題は、御指摘のとおり、政治資金の問題を考える際に、常に重要な問題だろうと存じます。  それで、先ほども申し上げたように、国民がなるべく自由に政治に参加するということが本来であるという考えの際には、法人も社会的な実在として社会的な機能を果たしているものとして、そういったものの政治参加の一手段としての献金ということも認めらるべきであろうということは、私どももそう思っております。  それから、今の八幡製鉄に関する判例の経緯も承知をいたしております。それで、団体の献金がそれ自体よろしくないものであるという認識は持っておりません。ただ、現実におきましては、企業等の献金から政界にいろいろスキャンダルを巻き起こし、国民政治不信を招来してきたという事実も忘却することはもちろん許されませんし、そういう意味からすれば、ある節度が求められるのではないかという観点に立っております。  それで、今度の私どもの提唱している選挙制度改革の方向が政党中心政党本位選挙に移ろうとしているこの機会に、それと呼応するように政治資金の問題を考えるならば、その政治資金政党本位にこれを集散するということがしかるべきではないかと思ったわけであります。それで、現実を申しますと、個人政党に金を出し、自分の信任する政治家に金を出して後援する、それは最も望ましいことだと思いますからそうありたいものでありますけれども政治と言わず、宗教、慈善、文化、各般のことについて日本個人的に浄財を出して大いにやるという風習が欧米に比して希薄であるのが現実だろうと思うのです。それでその現実問題を考え、また現実問題として当然民主政治のコストとして必要なある程度の金額というものが考えられるならば、当面の問題としては、それは政党に限って団体献金を認めるという方向が実際的ではないかと考えたわけであります。  それで、将来像といたしましては、政党献金が悪いということではなくて、政党献金が不要になるようなことが望ましい、団体献金が不要になることが望ましいという感じを持っておりまして、それは、一つ国民個々の人の浄財の拠出であり、もう一つ政党というものが公的な性格、公的な機能を持っている存在であることに着目して国家等から公的な助成をする、そういったことで党財政が賄われるということでありたいと思っておりますが、現在その政党本位選挙というものが確立する過程においては政党に対する団体献金というものはこれを認め、それによって政治活動を活発にしていただくということがしかるべきところであろうと考えたわけであります。
  36. 塩崎潤

    ○塩崎委員 そこで、審議会の御答申の中にある積極的な資金調達の面の中に政党に対する公的助成という制度を新しく設けたらどうか、こういう御提案がございますね。この趣旨をひとつお聞きしたいわけでございます。  私たびたび引用するようでございますが、アメリカでは上院議員の人たちが残りの任期の二年半ぐらいはもう選挙資金の調達に狂奔しなければならない。時間とエネルギーの大部分を資金調達に費やして議員の職務を全うしていないではないかという批判すらあるぐらい、アメリカでも選挙資金の問題が大変注目をされていることを考えますと、日本でも例えば政治家が株式の売買によって政治資金を捻出しようとするようなことはまさしく政治家の職務を全うしていない例かもしれませんけれども、このように、ここに書いてありますように、私は、本当に政治資金を大きく必要とするような時代になっているためにこんなことになっているわけだと思うのです。ですから、公的助成意味は、少しでも政治家が、あるいは政党が資金調達に大きなエネルギーと時間を費やさないための方法として、私は適当なものだと思うわけでございますが、これについての基本的なお考え方はいかがなものか、ひとつお示しを願いたい。
  37. 河野義克

    河野参考人 私どもが第二次答申において公的助成を導入すべしということを申し上げたのは、政党というものは国政の動向を決定し、また国民政治思想を形成し吸収していく、そういった公的性格を持っている、また選挙制度政党本位選挙ということに向かおうとしている際であるから、その公的性格を持つ政党に公的な資金を提供することは国民として当然受忍すべきことであるというふうに思いますし、それから各政党の財政基盤を強化し、各政党の財政的な機会の均等ということを実現せしめるためにも、公的助成ということに踏み切っていい段階に来たのではないか。  またもう一つは、国民政治不信は、政党が使用する金がどこから来ており、どういうふうに使われるのか、そこらに対する不信というものがありますので、それを相当額を公的に助成するということになって政党がそういうことにあくせくしないで済むようになれば、それだけ国民の不信を軽減することにもなる、そういった、大まかに言って三つぐらいの意味から公的助成ということに踏み込んでいいのではないかと判断した次第でございます。
  38. 塩崎潤

    ○塩崎委員 もう一つ河野第二委員長が大変力点を置いた問題といたしまして、政治資金の公開、ディスクロージャーの制度の問題がございます。政治団体の数の制限を初め、公開についての寄附の限度の引き下げ等、大変公開に力を入れられているように見受けられるわけでございます。  確かにアメリカ等の例を見ましても、ディスクロージャーによって政治資金の公明性を担保していくということは非常に大事なことでございますし、それがまた有権者の目によってスクリーンされるということが非常に必要であると言われておるわけでございますが、そこで、今の政治資金の公開の基礎は、御承知のように寄附を受けた資金が中心なんですね。自己資金でもって例えばキャンペーン費用に充てたというようなものは報告をされなくてもいいようになっているわけでございます。  私は、寄附が政治資金に向けられたかどうかということをディスクロージャーによって担保することは確かに重要なことだし、一番大事なことだと思うのです。しかし、それでは政治活動の全貌がなかなかわかりませんし、いろいろな理由で入ってくる収入が政治資金に充てられることは御案内のとおりでございます。そこは政治資金の公開の中に自己資金とか寄附以外の他の収入を入れて政治活動の全貌を有権者の眼の前に示すというようなお考えはなかったものでしょうか。
  39. 河野義克

    河野参考人 ちょっと御質疑趣旨を取り違えているかもしれませんが、政治家の自己資金も入れて云々ということが政治家個人の財産なり何かを投入する場合に関係がどうなるのかということでありますれば、本来的に制約を受けない分野のことであり、それに関連してこうあるべし、あああるべしという議論は余りいたしておりませんでした。  それで、ほかの人から受けるあるいはほかの団体から受ける、こういったものについてその受け方それから支出の仕方、そういうものをとにかく公開性をはっきりして澄明にし、透明にし、また実効性が上がるようにしようということで幾つかの工夫をいたしたところでございます。
  40. 塩崎潤

    ○塩崎委員 最後に政治資金パーティーの規制、これは御案内のように昭和五十年の企業献金規制の反動と申しますか、抜け穴として政治資金パーティーが花のごとく栄えてきたわけでございます。これを規制しようとしているわけでございますが、この規制について、果たして実効の上がる規制ができるかどうか、これは企業献金の一種のように考えられているのかどうか。政治資金パーティーの規制、これは私は政治資金の規制をするならば緊急にやるべきだと思いますけれども、実効のある規制が考えられるかどうか、これについての御意見を賜りたいと思います。
  41. 河野義克

    河野参考人 政治パーティーの弊害をなくす、そういう際にこういった答申内容で実効が上がるかということになりますと、やはりこれは世論や各党のお考え方というのは現実に随分物を言うと思うのです。  それで、おととしあたりからのリクルート事件その他のことに発した各党の自粛といいますか、そういうことから現実に相当パーティー開催の様子とか金額とか、そういうものは現実に減少してきており、効果を上げていると思うのです。ただ、それだけでなくて、今度法律改正をする場合に、私どもはパーティーの開催者は政治団体に限るようにしよう。それで大口のパーティー券の購入というものは限度を設ける。それからまた、そういう人たちは公開をする。そういったいろいろな具体的な方策を付加いたしまして、それから各政党の御努力と相まち、また世論の鞭撻とも相まっていけば、パーティーによる弊害というものは相当抑え得ると思うのです。  私は、根本的にはパーティーというものは国民政治参加の一態様であって、それが自由にかつ弊害なく行われるならばむしろ望ましいことであって、例えばアメリカの百ドルディナーというようなことで結構なことだと思うのです。それが現実にはいろいろな弊害を醸しましたから、それに対しては法的な対応をしてこの弊害をとどめ、弊害をなくさなければならない、こう考えておるわけであります。
  42. 塩崎潤

    ○塩崎委員 貴重な御意見、ありがとうございました。
  43. 石井一

    石井委員長 それでは次に、小岩井清君。
  44. 小岩井清

    ○小岩井委員 社会党の小岩井清でございます。  私は、選挙制度及び政治資金制度改革について、平成二年の四月二十六日に選挙制度審議会から答申が出されておりますけれども、この内容について、答申に至るまでの経過と結論について具体的に一つ一つ伺いたいと思います。  最初に伺いたいことは、第百四国会において、昭和六十一年五月二十一日に衆議院議員の定数是正に関する決議がございました。これについてどう認識をされているか、この点について伺いたいと思います。
  45. 堀江湛

    堀江参考人 衆議院の定数是正の問題は極めて重要な課題でございますが、国会の決議がなされている事柄でもございますので、国会において十分御論議いただくことを期待し、審議会としては定数配分のあり方の基本的な論議の中で審議を進めてきたわけでございます。  この審議会の中で、例えば審議の途中で一昨年の秋等におきましては、審議会として決議に基づく定数是正等をぜひ速やかに、前回の総選挙の前に行われてはいかがかというような緊急提言をなすべきではないかといったような委員意見もございましたけれども、しかしこれは国会の御決議が存在し、国会で皆様方が御審議なさっておることであるので、審議会としては諮問の内容に即して政治資金選挙制度の根本的改革のための方策検討していこうではないかということで検討を重ねて、御指摘の昨年四月二十六日の答申に至ったわけでございます。
  46. 小岩井清

    ○小岩井委員 今、諮問の内容に即してとありましたね。これは答申の中にも出てくるのですけれども、「昨年六月、「選挙制度及び政治資金制度の根本的改革のための方策を具体的に示されたい」との諮問を受けた。」とありますね。ということは、諮問に際して第百四国会の衆議院議員の定数是正に関する決議、これについては全く触れられていなかったことになりますか。今の御説明によりますとそういうふうに感じますが。
  47. 堀江湛

    堀江参考人 先ほど申し上げましたように、国会決議等々も私ども承知しております。したがいまして、繰り返すようでございますが、緊急提言をしてはいかがかという議論等々もございましたが、しかし審議会といたしましては、諮問の御命令に即した検討を進めたいということで鋭意検討を重ねてきたわけでございます。
  48. 小岩井清

    ○小岩井委員 そこがちょっと大事な点なんです。というのは、緊急提言をしてはどうかということは、これは定数是正に関する国会決議に基づいて緊急提言をしてはどうかということだという御説明ですね。ただし、審議会としては諮問に基づいて検討するという結論になって審議をした、こうおっしゃいましたね。ということは、諮問では国会決議に全然触れられていなかったのですか。
  49. 堀江湛

    堀江参考人 諮問の内容は、ここにございますように「選挙制度及び政治資金制度の根本的改革のための方策を具体的に示されたい」というのが私どものちょうだいしております諮問の内容でございます。
  50. 小岩井清

    ○小岩井委員 ということは、最初から非常に大きな問題があったというふうに認識をせざるを得ないのです。国権の最高機関は国会でして、国会における決議を踏まえて、行政府の長はそれを前提にして諮問すべきだというふうに思うのです。それは議会制民主主義の基本じゃないかと思うのですけれども、どうでしょうか。その点についての御見解、いかがですか。
  51. 堀江湛

    堀江参考人 立法府と行政府との関係につきましては、私どもがここで殊に委員会としてどういう考えを持っておるかということを御報告する立場に私はございませんが。
  52. 小岩井清

    ○小岩井委員 この国会決議の内容について緊急提言をしてはどうかという議論がありましたけれども、国会決議の内容は、この答申結論として出されております小選挙比例代表並立制とは違いますね。これはどういうふうに御認識されておりますか。
  53. 堀江湛

    堀江参考人 御存じのとおり、六十一年の衆議院議員の定数是正に関する決議、これが今御質問の決議ということであろうかと思いますが、「昭和六十年国勢調査の確定人口の公表をまつて、速やかにその抜本改正の検討を行う」、私はこういうことと承知しております。一昨年、総選挙が近い、近々六十五年の国勢調査も行われるということで、先ほど申し上げたような御意見が一部の委員から出た、こういうことでございます。
  54. 小岩井清

    ○小岩井委員 具体的な審議にはならなかった、一部から出たということですか。
  55. 堀江湛

    堀江参考人 そうでございます。
  56. 小岩井清

    ○小岩井委員 それで、この答申の「第一 衆議院議員選挙制度改革」「一 基本的考え方」、これは中選挙区否定の考え方がずっと述べられているのですね。これは否定の考え方だけで、評価の考え方が全くありませんね。これは、自民党の政治改革大綱それから政治改革基本要綱、これは定数だとか結論的に若干いろいろ違う面はございますけれども、中選挙区制否定の考え方、表現も含めて奇妙に似ているのですね。この点について、中選挙区否定の考え方だけで議論が進んだのですか。肯定の考え方についての議論はあったのかどうか、伺いたいと思います。
  57. 堀江湛

    堀江参考人 審議会では、折からリクルート事件等々の問題が契機として審議会が発足し、検討を始めたわけでございまして、国民政治不信を買うような政治腐敗等々の大きな原因が現行選挙区制の中に根差しておるのではないかということで、中選挙区制の持ついろいろな問題点について検討をしたわけでございます。  したがいまして、例えば、中選挙区制のもとにおいては、もし政権を担当するという視野で選挙運動を進めるならば同一選挙区で複数の立候補者を立てざるを得ない、これが候補者相互の同士打ちをもたらし、いわゆる政党本位政策本位選挙をゆがめてくる、あるいは政治腐敗を招く一つの誘因になるのではないか。かつまた、そういった状況候補者個人中心の選挙運動になり、これが政治資金のいたずらな膨張をもたらし、時には利益誘導等々の好ましからざる状況をも引き起こすのではないか。かつ、私どもが最も心配いたしましたことは、議会政治のもとにおいては政権交代の可能性がなければいけないのではないか。政権交代の可能性があるということが時の与党に対する緊張感を与え、そして政治腐敗を生ぜしめないような自浄作用をもたらすのではなかろうか。ところが、中選挙区制のもとにおいてはこの政権交代が非常に難しい。御承知のとおり、既に三十五年の長きにわたって政権交代が起こっていないというような状況がございます。  こういうようなことを考えまして、もちろん制度でございますからいろいろな側面からの評価が可能ではございますが、中選挙区制という制度を変えることが政治改革国民政治不信の解消の第一歩ではないか、委員会全体としてかような結論意見が集約されていったということでございます。
  58. 小岩井清

    ○小岩井委員 ということは、中選挙区の評価についての意見はほとんどなかったということになりますね。  それで、政党より人、政策より人物という選挙の訴え方は、これは同士打ちとかいうことを今おっしゃいましたけれども、これは選挙制度だけじゃないというふうに思うのです。むしろ、この答申の中にも書かれておりますように、社会的風土あるいは政治的風土が一つありますし、あわせて、これは大変失札だけれども、野党というよりも自民党の政権体質がそこにあると思うのです。だから、選挙制度をそこに短絡的に結びつけるということについては非常に大きな問題があると思うのですけれども、その点は審議の経過はいかがでございましたでしょうか。
  59. 堀江湛

    堀江参考人 審議過程でさまざまな御議論がございまして、制度が万能であるという結論に達したわけではもちろんございません。しかし、この金のかかる選挙あるいはそれが原因となるさまざまな政治腐敗等々の状況を何とかしていかなければいけない、金のかからない選挙あるいは政治腐敗の根絶を期さなければいけないというのが委員結論でございます。しかし、そういった状況の引き起こされる一つの原因として制度が大きく関連しておることは否定できない事実であるということで、私どもは、この選挙制度改革政治資金の規制もしくは公費助成等々の政治資金改革と全く不可分一体のものとして議論して答申のような結論に達したわけでございます。
  60. 小岩井清

    ○小岩井委員 選挙制度を変えれば政党同士、政党政党選挙ができる、あるいは政策本位選挙ができる、そして同士打ちもなくなる、そういうお考え方ですけれども、あわせて、政治腐敗もなくなる、金もかからないというお考えですけれども、この選挙区制を変えることによって、先ほど言った腐敗した選挙体質あるいは政治風土が変わるものではないという、実際にいろいろな事例があるわけです。ですから、選挙区を細分化すれば、逆に容易に人と有権者とのつながりが深くなりますから、それはそうお思いになりましょう。深くなる。ということは、買収がもっとしやすくなるということもあるわけです。奄美大島の実例を見てもわかるとおり、あれは一人区ですから、しかも、有権者はそんなに多くない。人と有権者のつながりが極めて深くなっていってああいう結果が起こるということですね。あるいは参議院の一名区の場合だってそうです、あれは事実上小選挙区ですから。  そういう点からいって、あわせて一名区にしても、同一選挙区において同一政党候補者の調整がつかなければ、買収、供応、誹謗、中傷が横行するのは火を見るより明らかです。ですから、制度がこういうふうになるということについてはにわかに賛同しがたいわけでありますけれども、この点について議論はどうだったですか。
  61. 堀江湛

    堀江参考人 先ほど私の御説明があるいは不十分だったかと思いますが、私どもは、制度を変えれば政治腐敗がなくなると申しておるのではございませんで、制度を変えるということ、つまり腐敗の原因に制度が大きく寄与しております。その制度を変えることと同時に、それと相まって政治資金についてのさまざまな規制その他を考えることによって両々相まって政治腐敗を根絶することができるのではないか、かように考えたということを先ほど申し上げたつもりであったわけでございます。  選挙区は小さくなればかえって腐敗が高まるのではないかという御指摘でございましたが、選挙区をつまり政治資金の調達もしくは政治資金の使用あるいは選挙運動費用の使い方等々について、現行のようなあるいは前回総選挙以前の段階のようなままに放置しておいて、制度の、選挙区の範囲を小さくするということになりますれば、先生指摘のような状況も生まれようかと思います。したがって、私どもはそれをあくまでも政治資金といったような問題と結びつけることによって解決できる、かように考えた次第であります。  私個人意見でございますが、例えばしばしば、英国等においては十九世紀末の腐敗違法行為防止法の制定以来腐敗がなくなってきたと言われております。しかし、実はその前提として、十九世紀の中葉以降、小選挙区制あるいは二人区で完全連記制、そういった選挙制度の中にありまして、その前提として個人本位から政党本位への選挙のやり方の、投票行動の転換という事実がございます。それと腐敗違法行為防止法とが両々相まって結びついて、英国においては政治腐敗が根絶されていった、こういう経緯もございます。私ども制度は大きく貢献するけれども制度だけですべてが解決するということではない、選挙制度政治資金、これを不可分、一体なものとして改革をしていかなければ改善の実が上がらぬのではないか、かように考えておる次第でございます。
  62. 小岩井清

    ○小岩井委員 ということは、制度だけでは変えられない、こういうことですね。政治資金の問題を含めて不可分のものとしてやらなければ政治腐敗はなくならない。汚職と買収と供応などを含めて政治をきれいにしていく具体策について、これは立法措置はもちろん必要なわけです。立法措置は国会のあれですが、審議会としてはどういう内容検討がされてきたのですか、この点についてお伺いいたします。
  63. 堀江湛

    堀江参考人 既に、先ほど塩崎先生の御発言にもあったかと思いますが、一昨年国会においては政治資金規正法の改正がなされまして、従来とは異なる選挙運動に関する、金のかかる選挙を是正するあるいは政治腐敗を是正するための措置等々がとられたわけでございます。それで、さらに私ども答申の中では、まず政治資金の調達——失札いたしました、先ほど政治資金規正法ではなくて、公選法の改正によってそういった措置がとられたわけでありますが、私ども審議会審議の中では、さらに加えて政治資金の調達という点で、政治献金はできるだけ個人政治献金に限定していく、そしていわゆる団体寄附等につきましては、経過措置というか、当面現状に即して、政党に対しては認めていくけれども、派閥や個人に対してはこれを禁止していこうではないかとか、さらにまた先ほど御指摘のあったように、小選挙区制のもとにおける公認候補の決定について、野放しで政治腐敗が生じては大変なことになりますので、それぞれの政党において公認候補をどのようにして御決定いただくかといったようなことについてそれぞれ明らかにしていただき、そしてそれを、実施に際してもそのとおり行われているということ等々についてもお示しいただく等、いろいろな手段等々を加えることによって、この金のかからぬ選挙といったようなものを実現できるのではないか、こういうふうに考えてきたわけでございます。
  64. 小岩井清

    ○小岩井委員 この答申の「基本的考え方」の中で、今日求められている選挙制度改革の具体的な内容として何点か述べられていますね。その最後に「多様な民意を選挙において国政に適正に反映させることなどが必要である。」と書いてあります。私は、この答申結論として小選挙比例代表並立制、これはこの頃からいって当てはまらないのじゃないか、多様な民意を選挙において国政に反映させることにはならないのじゃないかと思うのですね。  それで伺いたいのですけれども、昭和六十三年十月二十一日の最高裁判決について、   憲法が法律に委任している衆議院議員選挙制度につき、公職選挙法がその制定以来いわゆる中選挙区単記投票制を採用しているのは、候補者と地域住民との密接な関係を考慮し、また、原則として選挙人の多数の意思の反映を確保しながら、少数者の意思を代表する議員の選出をも可能ならしめようとする趣旨に出たものであり、 というふうにありますけれども、これについての見解を求めたいと思います。
  65. 堀江湛

    堀江参考人 日本は御承知のとおり議院内閣制をとっております。そして現在の社会というものは、利害の多元化に伴う非常に多様な利害の存在というものが国政の審議に反映されなければいけないということも先生指摘のとおりでございます。  そこで私どもといたしましては、我が国議院内閣制であるという趣旨に基づきまして、この答申では、国民が次の内閣を組織する総理大臣をできるだけ国民自身の手で選べるような制度が望ましいのではないかということで、小選挙区制、そしてまた多様な国民の利害を、内閣が進めていく国会に提案する施策を審議する上において、国民の少数派の代表も議席を持って、そして国政の、国の政策形成にその利害を、意見を反映させていくことが望ましいということで比例代表制を組み合わせる、つまり議院内閣制のもとにおいては、それが日本の議会政治と民主主義にとって最も望ましいのではないかという結論に達して、さような答申に至ったわけでございます。
  66. 小岩井清

    ○小岩井委員 最後に伺いますが、政権のあり方について答申がなされていますね。答申の中で、中選挙区制は政権交代が行われず、政党間勢力の固定化、比例代表制は、多様な民意の反映、少数政党の議席を確保するが、小党分立、連立政権の可能性が大で政権が不安定になりやすい、こうありますね。ところが、こう述べているのですけれども答申の小選挙比例代表並立制はむしろ逆に一党支配を固定化することにならないかというふうに思うのです。そして政権交代の可能性を奪うことにならないか、この点についてこれまた審議の経過を伺いたいと思います。  それから、政権のあり方まで答申で踏み込んでいるのはいかがかなというふうに考えるわけですね。というのは、単独政権、連合政権、連立政権、どのような政権の形態を選ぶかは国民だと思うのです。ですから、国民の多様な価値観を吸収する選挙制度、この点ここにも書いてありますね。ということになると小選挙比例代表並立制ということにならないのじゃないか。これは見解の違いとあるいはおっしゃるかもしれません。この点について御見解を伺いたい。  それから、国民の多様な価値観を吸収する政権のあり方として当然連合政権、連立政権があってしかるべきではないかというふうに思うのですね。この点について、これが民主主義だと思うのですね。多様な価値観を吸収をしてそれを政権として構成するというのはそれが民主主義だというふうに思うのです。この点についていかがでしょうか。社会党は連合政権を志向しているわけでありますから、そういう各政党の政権志向まで否定をするということになりはしないかということで、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  67. 堀江湛

    堀江参考人 幾つか御質問の論点、多岐にわたっておりますので、御質問の順序のとおりにあるいはお答えしていないことになるのかもしれませんが、私どもは小選挙比例代表制並立案、この場合には政権交代が起こりやすい、こう考えております。起こりやすいというのは四年ごとに政権が交代するという意味ではございませんで、時の政権党がたまたま国民の不信を著しく買うような失政があった場合には、そういったことに対する国民の批判が議席の大きな変動となってあらわれて政権交代が生ずるという意味でございます。私の個人意見でございますが、例えば一昨年の参議院選挙におきまして、全国選挙選挙一人区二十六ございますが、御存じのとおり二十二の選挙区で与党が議席を失ったわけでございます。ああいった政治的な国民の批判が高まった場合に、それが大きな議席の変動となってあらわれるという意味で私どもはこの小選挙区制が組み込まれておる制度というのは政権交代の可能性をいつも内在しておる、それが時の政権党に厳しい緊張感と自浄作用をもたらす、かように考えておるわけでございます。  それから、連合政権が望ましいか単独政権が望ましいかということは、これは先生指摘のとおり国民が決めることでございますが、しかし同時にまた選挙の結果というものは制度によって大きく異なってまいります。したがって、常に国民意見が、民意が集約するという側面と、拡散させるあるいは異なる意見を固定化するという側面があろうかと思いますが、制度が民意の集約を難しくするような制度であるということになると、これはいかがなものであろうか。私ども議院内閣制をとっております。大統領制ではございませんので、この多様な意見が国会の議席に反映するということも議会政治の上において大事なことでありますが、同時にまた、国民がみずから次の総理を出す政党を決めるということもまた、議院内閣制のもとにおいてはこれと並ぶ重要ないわば主権者としての国民の権利ではないか、かように考える次第でございまして、いわゆる比例代表制が利害の多様化、対立を固定化するという傾向が生じ、今日のように利害が非常に対立化している時代においては、比例代表制のもとにおいては常に過半数政党が生じない。そして実は選挙の後に政党間のさまざまなお考えあるいは交渉等々によって政権を担当すべき政党が決まり、総理が決まる。それに対して国民は発言権を持ち得ないというような、これを国民が進んで選ぶ場合は別でございますが、そういう結論に達しやすいような制度制度改革として答申するのはいかがかというのが私ども考えでございます。
  68. 小岩井清

    ○小岩井委員 時間が来ましたので終わります。
  69. 石井一

    石井委員長 次に、松原脩雄君。
  70. 松原脩雄

    ○松原委員 私は社会党の国会議員でございまして、社会党の選挙制度に対する考え方は結党のときから、現在の中選挙区制、その前は大選挙区制だったわけですね、それを現行の中選挙区制に戦後すぐ入れた。そのときには実は我が党はこれに反対をした。なぜかというと、我が党はもともと比例選挙と言われるものをいわばあるべき姿だ、こういうふうな原点を持っておりますから、大選挙区に比べて中選挙区はむしろ小選挙区に近いという観点から反対をしてまいったわけであります。したがって現在の党のありようも、現行の中選挙区制は国会決議に反しておる、あるいは連合政権の問題もあり、中選挙区制による定数是正をする、それは中長期的には比例制選挙制度を目指していくのだ、こういうふうになっているわけです。こういう我が党の立場からしますと、本来あるべき姿としては比例選挙である。そうすると、その比例選挙というのは、私が考えてみたらこれはやはり個人本位ではなくて政党本位選挙制度を理想の姿としておる、こういうふうになっておると思います。  そこで、今回の答申でいわゆる政党本位政治改革をしよう、こういう大きなコンセプトがあって、とりわけ候補者を届け出ることのできる政党あるいは政治資金の受け皿として政党考える、あるいは公的助成の受け皿としてやはり政党という概念をお使いになる、これら三つの件についてその政党という概念は全部統一した概念なんでしょうか、これをまずお伺いしたいと思います。
  71. 河野義克

    河野参考人 政党の概念はどういうものであるかという御質疑であったかと思いますが、今度の公職選挙法あるいは政治資金規正法あるいは他の法律、いろいろな点に我々の答申が立法化される段階で明確になっていくのだと思いますけれども政党の概念で申しますと、例えば今の公的助成対象になるべき政党とかあるいは企業献金を受けるべき立場の政党とか、そういうものの考え方としては両者は同一に考えていいのではないかというふうに答申では表現しております。
  72. 松原脩雄

    ○松原委員 そうしますと、公的助成についての答申部分は、いわば最も詳しく定義に近いものを出そうとしている。例えば、政党とは所属国会議員五人以上有するものという国会議員の要件が一つですね。それからもう一つ別の要項が入っていまして、「公的助成を受けようとする政党は、その組織や運営を国民に明らかにすることが必要であるので、その綱領、党則等を届け出るものとし、届出があった場合には、これを公表する。」こうなっています。したがって、政党は単に国会議員が集まっておるというだけではだめなので、綱領もしくは党則等、そういったものも当然備えなければならぬ、そうでなければ政党でないのだ、こういうふうに考えてもよろしゅうございましょうか。
  73. 河野義克

    河野参考人 そういうふうに存じます。
  74. 松原脩雄

    ○松原委員 そこで、今度並立制を答申をされまして、この並立制というのはまさに一種の劇薬的な効果を発揮する、こういうように私は思います。先ほど出されました八九年の参議院選挙のときの例によりますと、ある試算によると、並立制六、四が入ってしまうと社会党が三百二十七、それから自民党が百十六、それから公明党が二十六、共産党が十六、民社党が十一だ、こういう試算なんかも例としては出ています。明らかにこれで政権がかわってしまうわけですね。社会党政権が衆議院で可能になる、こういうことであります。  そういう意味で、やはり小選挙区を主とする選挙制度というのは、既存の政府党、与党と第一野党が政権交代のいわば一つの受け皿になる。その他の第三党以下というのは、ある意味では政党の体をほとんどなさないぐらい大変小さな数字になってしまう、こうなりますね。それで、今までそういうふうな見られ方、受けとめ方をしておったのが常識だったわけですが、私が劇薬だと申すのは、別のシミュレーションみたいなものもあるのかな、余り政党名を出すとお答えにくいだろうと思いますので、ちょっとモデルを申し上げて、そこから出てくる問題点をひとつお聞きをしておきたいと思います。  今、例えば第一党が集票率にして大体四五%、それから第三党が集票率において一三%、それから第四党が集票率において七%、合わせて六五%の得票率を大体平均してとれるというふうな状態になった場合に、この並立制が導入されて選挙します。そうすると、いわゆる三百議席の小選挙部分において、このA、B、C三党の間で選挙協力ができる。したがって、各選挙区に協力ができているわけですから、例えば、A党は従来の得票率に沿って七〇%、二百十議席を各選挙区でとる、それからB党は、二〇%の得票配分とすれば六十議席、そしてC党が三十議席、こういうふうにして完璧に選挙協力ができ上がって、そして選挙を始める。その結果選挙がうまくいって、仮に六五%の得票率どおり全選挙区でそのA、B、Cの関係者が得票数を集めますね。これは理の当然で、小選挙部分ではこのA、B、C三党によって議席が全部独占できる、こういうことは理論的には当然のことでございますね、いかがでしょうか。
  75. 堀江湛

    堀江参考人 この場合、第二党は議席を得られない、こういう御議論でございますか。
  76. 松原脩雄

    ○松原委員 そうじゃなくて、今の時点でA、B、C三党によって六五%の選挙協力ができますと、要するに過半数を超えているわけですから、小選挙区制の部分では、全選挙区をA、B、C三党のいずれかが議席を獲得するということも理論的には可能ですよね。(堀江参考人「はい」と呼ぶ)  それで、その場合、比例選挙部分が二百出てまいります。そして比例選挙の場合は、仮に小選挙区の部分でA、B、C各党がそれぞれの党を名乗り、候補者が出ることは多分可能だと思うのですが、比例部分になりますと、どうしても多くの小選挙区で立った政党の方に有利に働きますし、B、Cと小さな党は、やはり立てる選挙区が少ないですから、どうしても比例部分の集まりぐあいが少なくなるというようなことで、例えば比例部分についてはA、B、C三党が一つ政党をこしらえる、そういう形で比例部分選挙を戦うというようなことは、これは答申考え方のもとでは可能なんでしょうか。
  77. 堀江湛

    堀江参考人 先ほどの、まず前段の御質問の方から、多少、補足といいますか、私の意見を申し上げますと、先ほどA、B、C三党がすべての小選挙区において連合すれば全小選挙区で勝ちを占めるのではないか、こういう御意見でございました。私そのとおりだと思いますが、これはただし、すべての小選挙区でA、B、C三党が、つまり三百のすべての小選挙区でA、B、C三党の連合が成立した場合ということでございまして、その場合には御指摘のとおりの結論になります。  そして今の、後の方の御質問で、このA、B、C三党が一つ政党を形成して比例選挙をやるならば六五%の議席をとるかという御指摘でございますが、これは、一つ政党が六五%の支持率を持っておれば、当然比例区において六五%の議席をとることになろうかと思います。  ただ、すべての、三百の小選挙区でA、B、C三党の連合が成立し、比例区においてその三党が一つ政党選挙を戦えるということでございますと、その場合、そのA、B、C三党が果たして別個の政党である論理的な必然があるのかな、政治的に考えますと、多分比例区でA、B、C三党が一政党を形成される段階において、A、B、C三党は新党を結成しておられることになるのではないかなという気がいたしますが、これは私の個人的な意見でございます。
  78. 松原脩雄

    ○松原委員 私は、あくまで理論的な検討の可能性として、先ほど一番最初に政党の概念をお聞きいたしました。ですから、その政党の概念からして、答申では、綱領や党則、そういったものを備えていないと政党ではないのだ、こういうふうにおっしゃっている。ですから、そこからすると、結論からいうと、今言ったように、比例部分においてA、B、C三党は特別の政党というものをこしらえて対応するということは、理論的にやはりこれは不可能なのかな、こういうことなんです。政治的なことを申し上げているのじゃないのです。
  79. 堀江湛

    堀江参考人 この場合の新しい党をA、B、C三党が比例選挙のために仮におつくりになり、そしてそれが、いわば政策協定というような形式をとりつつ具体的な三党合意の、A、B、C三党の共通の綱領あるいは組織等々をお決めになれば、それはその段階でここでいう政党になるんだろうかと思います。
  80. 松原脩雄

    ○松原委員 そうしますと、一応小選挙区とそれから比例部分が、いわば一種食い違うことになりますね。そうすると、今度の答申では小選挙区の候補者比例区の名簿にあわせて同時に登載できるというふうになりますね。そうすると、今の例でそういった食い違いが生じた場合は、小選挙部分候補者比例区の部分候補者には、要するに理論的には名前の登載はできないんでしょうか。
  81. 堀江湛

    堀江参考人 私、多少誤解をしておったようでございますが、A、B、C三党が比例区で一つ政党をおつくりになるというお話を伺ったときに、それは、したがって小選挙区もすべての三百の選挙区でA、B、C三党が連合を組んでおられるということであれば、つまり比例区における政党がそのまま小選挙区においてもA、B、Cの連合の政党名として出てくるのであろうと想像しておりましたので、先ほどのようなお答えをしたのでありますが、A、B、C三党が小選挙区では別個の政党で、比例区では一つ政党になるということは、実は私ども考えておりませんでした。これは、西ヨーロッパ等においては政党の名簿結合というのはございますが、つまりA、B、C三党が一つの名簿に結合させて比例選挙を戦うという例はございますが、私ども答申ではそこまでは議論していなかったということでございます。
  82. 松原脩雄

    ○松原委員 そうすると、その名簿結合ということについては答申は何も触れていないということですね。否定をしているわけではないわけですね。
  83. 堀江湛

    堀江参考人 はい。
  84. 松原脩雄

    ○松原委員 そうしますと、先ほど私、劇薬だと申し上げたのは、仮にそういうふうなモデルができた場合、従来第一野党であったもの、これはA、B、C、DのDとしましょう。Dが仮に二〇%ほどの得票率を大体とっていたと仮定しますと、小選挙部分の全部でD党が候補者を立てたとしても、小選挙部分では全部A、B、C連合によって要するに議席がゼロになる、そうすると、あとは比例部分で二〇%の得票の掛け算ですから、結局比例区の四十議席というもので終わる、こうなります。  そうしますと結局、本当に理論的にですけれども、理論的には、従来政権党と第一野党が、並立制が入った場合はいわば二大政党をカウントしていく、第三党以下は並立制のもとでは非常に小さな勢力分野になってしまう、こう見られていたものも、今のような組み合わせが出てきますと、実は第一野党がぐわっと沈没をしてしまうということも理論的には考えられる。そういう意味では、並立制というのは一種の劇薬として作用するのではないかなと思うのですが、そのような議論は、審議会の中では多少モデルケースでも挙げて審議なさったんでしょうか。
  85. 堀江湛

    堀江参考人 ただいま松原先生指摘のような、具体的にA、B、C、D四党が存在する場合といったような具体ケースを挙げて議論したわけではございません。  ただ、先生指摘のとおり小選挙区制というのは非常に劇薬でございまして、A、B、C三党が仮に連合を組んで六五%の支持率、そして小選挙区制のほとんどを仮に独占していたといたしましても、たまたま政治腐敗とか失政があり国民の批判を浴びた場合には、これがまさに劇薬で、一夜にして過半数を割って、そして、ほとんど議席のとれなかったD党が突如として政権党として過半数政党になるということは生じることでございまして、むしろそれが、時の政権党がどんなに多くの議席を、絶対過半数を占めておってもうかうかできない、あるいは、だらしのないことをすると国民の批判を浴びるという自浄能力になるのではないかというふうに考えております。
  86. 松原脩雄

    ○松原委員 私は先ほど申し上げましたように、あるべき姿としては比例制である。実際比例制のありようもいろいろな形をとっておりまして、これはまだ党は検討段階ですけれども、西ドイツ型の併用制というものを非常に重視して検討しておるというような段階だと思うのですね。  今度の答申でも、並立か併用かで御議論があって、幾つかの理由を挙げて併用制ではだめだという結論に達せられましたが、その中で超過議席が出るんだということをもって一つのその拒否の理由にされておられます。この超過議席がかなり大量に出るというふうに私も聞いたのですが、具体的には大体どれぐらい出るんだというような話がされたのでしょうか。
  87. 堀江湛

    堀江参考人 これにつきましては、具体的に何議席出るぞというような議論が出たわけではございません。  実は、世間にもいろいろ流布しておりますように、いろいろなシミュレーションなるものが行われておるわけでございますが、ただ、このシミュレーションなるものはあくまでもシミュレーションでございまして、我が国はこれまで、衆議院は中選挙区制、参議院選挙選挙比例代表制でやっておりまして、その三つの異なるシステムの選挙制度における過去の選挙結果をいろいろと操作してシミュレーションをやるわけでありまして、シミュレーションをやった人のお考えによって随分結果が違っておるというのが現実でございます。  ただ、審議会でも議論されたことでありますが、仮に小選挙比例代表制併用案に移行した場合に、これまで現実に日本では、個人後援会中心選挙運動、あるいは支持組織中心の選挙運動が展開されておりましたので、したがいましてこれが、制度が変わったからといって、一夜にして新しい制度に即応する態勢ができるわけではなかろうと思います。  そうなりますと、現行の各政党政党支持率だけを見ますと、ほぼ参議院比例区の議席に近い配分になろうかと思いますが、それと個人本位の選挙制度を組み合わせた場合、多分、小選挙部分においてはしばらくの間は、従来個人選挙に強かった議員、候補者をたくさん抱えておられる政党がたくさん当選者を出し、併用制は比例選挙でありますので、恐らく各党に配分された議席以上の議席を小選挙部分で既にとってしまわれる、つまり超過議席がかなりの数で出るであろうことは想定できるわけでございます。何議席というのは、これはその条件の設定の仕方いかんで変わってくると思います。
  88. 松原脩雄

    ○松原委員 超過議席の問題というのは、やはり併用制の母国である西ドイツの例で考えたら、西ドイツでは小選挙部分比例部分が五対五、フィフティー・フィフティーですよね。それで全国一本で集計をします。そうして、一九六五年の選挙から始まって一九八七年まで七回選挙が行われています。七回行われたうち、超過議席が一つも出なかったのが四回あるわけですよね。それから、超過議席が一つ出たのが二回あって、二つ出たのが一回、こういうことになっているわけです。実際、日本選挙学会というのですか、先生も多分メンバーだと思うのですが、選挙学会でも私は学会の大勢はまさに併用制であるというふうに聞いておりますし、西ドイツの実際例からしましても超過議席は問題にするに足りない、出るとしても非常に小さなものだ、多くて二つぐらいのものだという経験則もあり、これは学者の先生方の当事者の意見としては、西ドイツサイドをとるならば、超過議席の問題はそこで考えることはない、仮に出た場合は比例部分で調整をするとかその他の方法ということは十分あり得ると思うのですよ。ですから、それは単なる技術の問題であり、しかも出にくいのだというのが学会の常識になっていると私は思うのですね。にもかかわらず、なぜ超過議席の問題がこうやって仰々しく答申の中で出てきたのだろうか。そこのところはやはりもっと科学的に事実に即した議論というものをするべきではなかったのかなということを考えるのですが、先生、最後にその辺はいかがでございましょうか。
  89. 堀江湛

    堀江参考人 先ほど御指摘のとおり、私は選挙学会の会員でございますし、政治学会の会員でもございます。同時に、選挙制度審議会委員の中にも少なからざる方々は政治学会、選挙学会の会員でもございまして、選挙学会で併用制が大勢であるかどうかについては、いささか私は意見を異にしております。  実は、それは別といたしまして、御存じのとおりほかの経緯もございますが、戦後、四カ国の占領地域のうちの三カ国の占領地域が一つになりまして西ドイツがスタートしたわけでございますが、それぞれの占領地の制度の妥協という面もございますが、もう一つは、ドイツは元来ワイマール時代から比例代表制でございました。そして、これは拘束名簿式でそういう制度が慣行としてドイツ人の中にしみついておりますので、実は選挙の場合に物事をすべて、バランスの問題でありますが、西ドイツの場合は、戦後スタートした段階で選挙の際に候補者などというのは全く問題にならない、政党だけが問題になるというような状況でございます。そこで実際には、陳情等に参りますと、国会議員が選挙区の有権者を全く粗略に扱うといったような経験等々もございまして、少し顔の見える選挙にせいということで、御存じのとおり小選挙区制を比例代表制の中に組み込んだわけでありますが、しかし、現実には、最近選挙になりますと、確かに小選挙部分では個人のポスター等々が張られるようになっておりますが、依然としてドイツでは、実は有権者の中には、自分で投票しながら、その投票した小選挙区の候補者がだれであったか必ずしも記憶してないという有権者がかなり存在する。投票用紙に比例部分政党と小選挙部分がそれぞれ対応するような投票用紙ができておりまして、それにチェックするようになっておりますので、第三党以下の支持者以外はほとんど無意識のうちにチェックをしておるという状況で、したがって、ドイツの場合は第二投票である政党名を見てチェックしておりますので、この超過議席がほとんど出ないという状況になっておりますが、日本はそういう制度を導入した場合に直ちに国民の意識が変わって、候補者の顔を見ないで政党名だけで投票を果たして有権者がするだろうかということになりますと、そうにわかに意識の転換が起こるとは思いませんので、そうなりますと、従来の衆参両院選挙結果等々の数字に基づいてシミュレーションいたしますと、日本の場合にはかなりの数の超過議席は避けがたい、こういうふうに考えております。私のこれは個人的な見解でございます、お答えになりましたかどうかわかりませんが。
  90. 松原脩雄

    ○松原委員 それでは、もうお時間のようですので、終わります。
  91. 石井一

    石井委員長 これにて午前の部を終了いたしまして、午後零時五十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ────◇─────     午後零時五十一分開議
  92. 石井一

    石井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河上覃雄君。
  93. 河上覃雄

    ○河上委員 公明党の河上でございます。  お疲れのところ大変恐縮でございますが、時間も三十分と限られておりますので、端的にお伺いさせていただきたいと思っております。  まず第一点目は、答申で総定数を五百程度とされているわけでございますが、行財政改革、あるいは午前中も議論が出ております公的補助等の考え方が盛り込まれているわけでございます。こうした側面から考えれば、五百十二、その定数は減らす方向で臨むべきではないか、むしろ本則である四百七十一、こう考えるわけでございますが、この五百程度とした背景、そして根拠、これをお示しいただきたいと思います。     〔委員長退席、武村委員長代理着席〕
  94. 堀江湛

    堀江参考人 確かに、委員会で四百七十一に戻してはいかがかという議論も随分ございました。しかしまた、別の観点からいたしますと、余りに代表一人当たりの国民の数が多くなるというのもいかがか、国民の側から見ればできるだけ多くの代表が出た方が望ましいのではないか、これは民主主義の必要なコストである、こういう御議論もございました。  しかし、今日の行財政改革等々についての国民世論等を考えますると、五百十二のままではこれはなかなか国民の理解が得られないだろう、しかし、それでは四百七十一に合理的根拠があるかと申しますと、これも過去のいろいろな経緯で決まった数でございまして、特にそうでなければならぬという絶対的基準はない。そこで、一方においてはできるだけ多くの代表をという民主主義の要請と、しかし、同時にまた、行政改革を進めようという国民の世論、そういった兼ね合い等々考えまして五百前後が適当であろう、こういう結論に達したわけであります。
  95. 河上覃雄

    ○河上委員 もう一点、答申は、小選挙部分比例代表部分の組み合わせによる並立案、これを採用しているわけでございます。これも大分議論があった観点かもしれませんが、一つの院に異なる選挙制度を組み合わせる、この考え方の基本ですね、さらにまた、その総定数を六対四に分けた根拠をお伺いさせていただきたいと思います。
  96. 堀江湛

    堀江参考人 これは、異なる選挙制度を組み合わせたという例は、例えば既に参議院もそうでございますし、諸外国にも例がないわけではございません。ただ、安易に異なる制度を結びつけるということは当然避けなければならないところでございますが、私どもいろいろ検討いたしました結果、日本議院内閣制でございますので、政権を担当する与党の総理大臣を国民にじかに決めてもらおう、これが議院内閣制においては非常に重要なことではないかと思いますので、そういう見地からは小選挙区制が望ましい。しかし、同時にまた、今日のように利害が多様化した社会においては、どのような少数派の方々も国民自分代表を国会に送って国政の審議に参加でき、国の政策形成にその意思を反映せしめるのが望ましいということで、小選挙区制に比例代表制を組み合わせることが最も望ましいのではないか、こういう結論に達したわけであります。  では、六、四という比率はどうして出たのかということでございますが、これも委員会で非常な議論がなされましたけれども責任政治という観点から小選挙区を基本としてはどうだ、こういうことと、もう一つは、一票の格差をできるだけ均等化したいという意味では小選挙部分は議席数が多い方がより均等化しやすいというテクニカルな問題等々も多少勘案しながら、責任政治の確立という点で小選挙区を主として比例選挙区を従とするという答申に至ったわけでございます。
  97. 河上覃雄

    ○河上委員 さらに確認をさせていただきたいわけですが、比例代表部分につきましては十一のブロックに分けられました。特に、ここでは不均衡是正について、比例代表部分については明確にお述べになられているわけですが、「選挙区間の不均衡是正については、その原案を作成するための権威ある第三者機関を設けることとし、」しかも「十年ごとに見直しを行う。」このように盛り込まれておるわけですね。この権威ある第三者機関、どのようなものを想定なさっているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  98. 堀江湛

    堀江参考人 具体的にその中身についてかくかくの組織に属する人をこのような形で選べといったようなことを議論したわけではございません。ただ、従来の政治的経験、諸外国等の例も参考にいたしまして、国会御自身にお願いしておっては、各党のお立場等々あるいは選挙区等々の関係もこれあり、諸外国等の例に照らしてもなかなか結論に至らない。そこで公正な第三者機関にこの区割りをゆだねてその結論を尊重する、こういう制度をとっている国は、イギリスや西ドイツがそうでございますので、私どももそういった将来イギリスあるいは西ドイツ等々の例を参考にすれば公正な権威ある第三者機関ができるであろう、そこにお任せいただいて、結論を国会が御尊重いただくというやり方がよろしいのではないかという結論に達したわけであります。
  99. 河上覃雄

    ○河上委員 この観点でもう一つ。十一ブロックにお分けになったわけですが、南関東のブロックは山梨と神奈川と千葉、離れているのですね。飛び地になっているのです。これはどんな根拠なんでしょうか。
  100. 堀江湛

    堀江参考人 これにつきましてもいろいろ委員会議論がございました。一部の御意見では首都圏は社会経済的に非常に強い交流があるので一本でよろしいのではないかという御議論もございましたけれども、この人口が非常に多い。つまりほかのブロックに比べて著しく大きいブロックが存在するというのもこれまた制度という点からいかがかということで、東京都とそして北関東と南関東に分けることになったわけでございます。確かに、千葉と神奈川県というのは、地図で見ますと間に海も入っておりますが、しかし現在湾岸道路等々の企画も進んでおりますし、現実には相互の交流も強いというようなこともございまして、北関東と南関東に分けるのが至当であろうという結論に達したわけでございます。
  101. 河上覃雄

    ○河上委員 湾岸道路をお話しいただきましたから、私も……
  102. 堀江湛

    堀江参考人 いや、一つの例としてでございます。
  103. 河上覃雄

    ○河上委員 私も住んでおりますが、なかなか交流がままならないのが現実でございまして……。  その次に、先ほども松原委員の方から話が出ておりましたが、確認しつつもう一遍お話を伺いたいわけでございます。  一つは、政党の要件でございます。国会議員五以上それから一%以上のもの、要件としてこういう具体論が挙げられます。そして、ここの小選区の部分比例代表部分をよく読んでみますと、このような関係になるのかなという若干の疑問もございますが、小選挙区の方は候補者の規定の中において「立候補は、政党の届出により行う。」ここで言う政党の要件も今前段申し上げました五人あるいは一%、これを想定しているものではないかと思われます。しかし、それだけではなくてお一人で出られる方もいらっしゃるでしょう。したがって、「ただし、本人届出又は推薦届出による立候補も認めるものとする。」こうなっております。この場合の政党、今私申し上げましたように一人一党という場合もあるかもしれませんが、個人としてお出になるということではなくて、一人一党という場合を想定した場合、この政党とはどのような要件を指すのか、この点お伺いしたいと思います。
  104. 河野義克

    河野参考人 私ども答申全体を通じて、例えば政党法という包括的な政党に関する法律の制定を提言申し上げているわけではないのであります。ただ、公職選挙法、政治資金規正法、その他各般にわたり政党本位選挙を目指す場合に政党というものが登場してくる、その政党という概念はどうあるべきかということについて、個々の場合に即して、この場合の政党はこういうふうにする、この場合の政党はこういうふうにする、この場合の政党はこの場合の政党と同じ要件を求める、それぞれ分節して御提言を申し上げておる次第でございます。
  105. 河上覃雄

    ○河上委員 比例代表部分によりますと、「候補者名簿を提出できる政党は、一定の要件を満たす政党とする。」と書いてあります。今申し上げましたように、小選挙区制部分は「政党の届出により行う。」とされているだけで、小選挙区制そして比例代表部分のここで言う政党は全く同じなのか意味が違うのか、「一定の要件を満たす政党」、このように注釈が加わっているわけでございますので、これは同一のものか違うものか、この点確認をさせていただきたいと思います。
  106. 河野義克

    河野参考人 比例選挙の場合に名簿を提出し得る政党の要件というものは、ほかのところに規定してある政党の要件とは異なったものもございます。  現行参議院選挙法でも、国会議員がなくても一定数以上の割合の候補者を出すものがある場合には、その名簿を提出し得る政党ということに認識しておりますが、今度の衆議院比例選挙の場合等におきましても、所属国会議員とかいろいろな要件のほかに相当数の候補者を擁立し得る政党も、比例選挙の名簿を提出し得る政党の中に、資格を持つというふうに規定してあるつもりでございます。
  107. 河上覃雄

    ○河上委員 先ほど申し上げました第三者機関の問題でございます。  比例代表部分では、権威ある第三者機関を設けて十年ごとの見直し、小選挙部分ではここまで具体性は持っていないわけでございまして、「一対二未満」の格差そして「定数を人口比例により都道府県に割り振るもの」、このように規定されております。この小選挙区制部分の「人口比例により都道府県に割り振るもの」、これは不均衡が生じた場合は自動的に是正をすると解してもよろしいのでしょうか。
  108. 堀江湛

    堀江参考人 これは昨年の四月の答申でございますので、私ただいま答申の文言を正確に記憶してはおりませんけれども……(河上委員「六ページの3です」と呼ぶ)六ページでございますか。最大格差一対二の範囲に常に入れるようにしようという趣旨でございまして、これは国勢調査の結果によって十年ごとに是正する、権威ある第三者機関によって是正をする、こういうふうに私は理解しております。  八ページの(3)の「不均衡是正」、御指摘のこの点でございますが、これは(2)の「比例代表選挙」にだけかかるのではございませんで、(1)の方にもかかると私は理解しておりますが……(河上委員「(1)の方もですか」と呼ぶ)はい。(1)、(2)ともに。選挙区間の不均衡是正、これは比例区、小選挙区ともにでございますが、「その原案を作成するための権威ある第三者機関を設けることとし、十年ごとに見直しを行う。」こういうことでございます。
  109. 河上覃雄

    ○河上委員 両方かかることは理解いたしました。  区割りの問題について若干お尋ねしたいと思います。  先ほど冒頭のお話でもございました。しかし、この区割りの問題、極めて重要な問題であると思っておりますし、これからの最大の問題になろうかと思います。答申の中でも「具体案については、早急に検討を進め、成案を得るものとする。」というふうに盛り込まれておりますし、ここに堀江委員長も、去年の八月の朝日新聞で区割りの問題についても最後に触れられているわけでございまして、「スケジュール通り、十一月末には」これは昨年になるわけですが、「答申を出すように持っていきたい」、このように決意を表明されておられるわけでございますが、どこまで進んでいらっしゃるのか、そして本審議会も本年の六月末をもちまして任期が終わられるわけでございますが、この区割りの問題、それまでに結論がお出になるのかどうか、この辺をお伺いしたいと思っています。
  110. 堀江湛

    堀江参考人 御存じのとおり、区割り、なかんずく小選挙区の区割りにつきましては、これは非常に論議を呼ぶ問題でございます。そして御存じのとおり昨年国勢調査も行われました。目下区割りの具体案について審議会において検討を進めながら任期中に成案を得たいとしております。  ただ、御存じのとおり、政府においても、また各党におかれましても、この選挙制度の問題につきましていろいろ御論議が進んでおるようでございまして、事は、小選挙区制の区割りにつきましては候補者にとりましても非常にいろいろな影響を及ぼす問題でございますので慎重でなければならないということで、目下政府及び各党におかれての御論議の進行状態を見ながら、必要な準備、作業を進めているというところでございます。
  111. 河上覃雄

    ○河上委員 なかなか苦しいのではないかと思いますけれども議論がなかなか各党進まないで時期が参ってしまいます。そうしますと、これはなかなか決着がつかないのではないか、こういうことも予想されるわけでございますが、区割りの考え方答申の中においても具体的な基準として示されております。  例えば、「各選挙区の人口均衡を図るものとする。」あるいは「市区町村の区域は、分割しないことを原則とする。」さらに「郡の区域は、できるだけ分割しないものとする。」「選挙区は、できるだけ飛地にしないものとする。」「地勢、交通、歴史的沿革その他の自然的社会的条件を総合的に考慮するものとする。」等、アウトラインが示されているわけでございますが、この基本的な基準、これがこのまま現段階においても本審議会答申としてきちっと生きている、こう理解してよろしいですか。
  112. 堀江湛

    堀江参考人 一部の学者の御議論の中には、この五つの基準を挙げられまして、この五つをすべて満たすような区割りなどは不可能である、こういう論評をなさっている方がございますが、このすべての条件を必要十分条件と考えますればそんな区割りは不可能でございますが、ここに挙げてございます五つの条件、これを基本にいたしまして、そしてこの区割りをすることは可能でございますし、現在も審議会におきましてはこの原則に基づいて区割りを進めるというつもりで作業を進めております。
  113. 河上覃雄

    ○河上委員 これは午前中の議論にもございました。  話が変わりますけれども現行の中選挙区制の是正問題、これについてもう一度確認をしておきたいわけですが、この定数是正の議論はかなり行われたのでしょうか。あるいはそれほど行われなかったのですか。
  114. 堀江湛

    堀江参考人 これは審議会において最も議論されたことでございます。答申にございますように、現在の世界の趨勢あるいは国民の意識等々を考えましても、一票の格差を、国民の持つ選挙権の重みを均等化することは極めて重要な原則であるということで、それにつきまして非常に多くの論議が重ねられました。
  115. 河上覃雄

    ○河上委員 そして、最終的に、中選挙区制を否定的に新たな小選挙区制に力点を置いたものに答申としては変えられたわけでございますが、私、この答申を拝見しておりますと、初めに中選挙区否定ありきという感もないわけではないような実感を覚えました。もちろんさまざまな要因、私も否定するものではございませんけれども、幾つかの、三つないし四つぐらいの中選挙区制における弊害を指摘されておるわけでございますが、直ちにこれをもって中選挙区制の制度運用のみではもはや改善し得ないという、ここに至る結論は若干早計の感が免れないのではないか。選挙制度は一長一短ございます。完璧なものというのは私はないと理解しているわけでございます。  中選挙区制でも、死票が少なく少数意見の反映が可能であるとか、あるいは人物の選択の幅が拡大し有識者の選出が可能であるという見解があるとか、さらに結果としての得票率と議席率が比較的一致している、こうしたよい点も挙げられるわけでありまして、六十余年間存続してまいりましたこの制度の改変であるわけでありますが、私は、その意味では、そうした観点からもさまざまな議論があったのではないかと思います。  それに基づきましてもう一つ結論として選挙制度の要件を五つ挙げていらっしゃいます。これは拝見しておりますと、私、政権交代の可能性を高める、政権交代への要素、これが非常に強くて、最も大切である、しかも民主主義の根幹をなす選挙制度において重視されるのは、多元的な運用をいかに公平に、公正に反映できるかという観点だと思うのです。その意味では民意の反映というものが若干、つまり政権交代が強く主張されているように思うわけであります。  これは、私の個人的見解でございますが、政権交代の可能性というのは、本来民意の反映の結果としてあらわれるべきものであって、選挙制度によって左右すべきものではないのではないか、こう考えております。しかも、小選挙区制によって政権交代の可能性が高いと示しているわけでございますが、小選挙区制を採用する諸外国の例をとりましても、この前提となっているのは既に有力な二つの政党が拮抗している場合、この場合に政権交代が行われる可能性があるのであって、第一党、第二党間の格差が広い場合等はなかなかそれが縮まらない、むしろ第一党が固定的に政権を引き続き維持してしまうような結果となってしまうのではないか、こんなふうに考えているわけでございまして、主権者である国民の意思というものがより反映できる選挙制度は、政権交代云々ではなくて、まずは民意を反映できるような選挙制度あり方を示すべきである、私は基本的にこう考えているわけですが、この点に対する御見解をお伺いしたいと思います。     〔武村委員長代理退席、委員長着席〕
  116. 堀江湛

    堀江参考人 ただいまの先生の御意見は、傾聴すべき御意見であろうかと思います。私どもも、そういう一つの観点があることを全く否定するものではございません。  ただ、審議会議論は、その出発点におきまして、当時、国民の高まっておる政治不信、その原因を何とか除去したい、一体さまざまな政治腐敗の原因がどこにあるのだろうかという議論で、これは決して初めに中選挙区制否定ありきということではございませんで、当時の日本政治腐敗のいろいろな原因等について審議を重ねておるうちに、どうも中選挙区制のもとで三十数年間にわたって政権交代が行われていないといったような現実が、政権党に対するある種の緊張感を欠く理由ともなり、またそれがさまざまな、おのずと人間の情として、一つ政党が余りに長期に政権を担当しておるということは、さまざまな思わぬ人情等々に基づく弊害も生じないとも限らぬ。やはり国民の意思いかんによっては政権交代が起こるような制度というものも考えてみる必要があるのではないか。これまで幾たびか国民の批判が高まった際も、それが総選挙の結果に余り反映してないという現実を顧みますと、中選挙区制という現行制度はもはや制度疲労を来しておるのではなかろうかというのが私ども審議会議論の大勢となったわけでございます。  もう一つ、確かに国会は民意を代表する機関でありまして、国政審議の場でございますから、これを非常に尊重しなければいけません。と同時に、私ども考えでは、やはり議会政治責任政治でございます。日本議院内閣制をとっておりますので、政権をとるべき政党国民が決めるという働きがなければいかぬのではないかということで、実は最前御指摘のありましたような二つの、小選挙区制と比例代表制という制度を組み合わせるという結論に至りましたのも、一つ責任政治を確立するという観点から、一つ国民民意を広範に国会に代表せしむるという見地から、この二つの制度を組み合わせたのがよいのではないかという結論に至ったわけでございます。
  117. 河上覃雄

    ○河上委員 まだまだ質問させていただきたいこともたくさんあるのですが、時間を終えてしまいましたので、これで終わります。  ありがとうございました。
  118. 石井一

    石井委員長 次に、東中光雄君。
  119. 東中光雄

    ○東中委員 日本共産党の東中光雄でございます。  選挙制度は、言うまでもなく国会の構成の基本にかかわる問題であります。各党のいわば土俵づくりといいますか、国会構成の各会派の土俵づくりであり、選挙のルールづくりであるというふうに思うのです。したがいまして、選挙制度を論じる場合には、国会の、あるいは衆議院の意思はどういうところにあるのか、国会における審議はどうなのかということをやはり基本に据えての審議会論議であろうかと思うのです。それがどうなろうとそんなことお構いなしに審議会は独自にやるという姿勢をとられてはどうか、そこのところをお伺いしたいと思います。
  120. 堀江湛

    堀江参考人 衆議院の定数是正の問題は極めて重要な課題でございますし、国会の決議がなされている事柄であるということも承知しておりますが、この問題について国会において十分御審議いただくことを私どもも期待しております。定数是正に関する決議によりますと、六十年国勢調査の結果に基づいて抜本改正をなさるということでございますが、既に六十五年の国勢調査が行われてしまい、御論議を期待しつつも、審議会といたしましては定数配分のあり方の基本的な論議の中で審議を進めていきたい、かように考え結論を出しておるわけでございます。
  121. 東中光雄

    ○東中委員 今言われました昭和六十一年五月二十一日の衆議院議員の定数是正に関する決議は、御承知のように、選挙権の平等の確保が非常に重要であるということを言っておるので、その点については審議会で十分に論議をしたと先ほどお伺いしました。  そういう前提に立って、この決議は三つないし四つのことを決めておると思うのですが、六十一年の八増・七減の定数是正は暫定措置だから、六十年国勢調査の確定人口の公表を待って速やかに抜本的是正を行う、中身はどうかといえば、暫定措置として二人区・六人区をつくったから二人区・六人区を解消して三人区ないし五人区の中選挙区制に戻す、そして総定数、選挙区制の見直しをやる、その場合に考慮すべき点はあるけれども抜本是正はやる、こういうことですね。だからその決議の中でははっきりと中選挙区制を三人区ないし五人区にするということが国会の意思として決まっておるわけであります。  ただ、審議会答申は、中選挙区制は弊害が多いから排除するという結論ですから、国会決議の重要な一つの柱とはまるっきり反することになっているわけです。反することになるけれどもあえてやるんだ、国会決議何するものぞということで答申をつくられたのか。そうじゃないのだったら、全く反していますね。その点はどうお考えですか。
  122. 堀江湛

    堀江参考人 国会の御決議があることは十分承知しておりますが、この決議が想定しておられる期間と申しますか、当面の課題としてお考えになっておるこの対処について国会で御審議が進んでおることと存じますし、それを期待しておるわけでございますが、国調は五年ごとに行われますが、私どもは、四年とか五年というタームではなくもう少し長期の技本的な日本選挙区制そのものについて、あるいは政治資金あり方等々について、御諮問に応じていろいろ根本的改革のための方策審議してまいった、こういうことでございます。
  123. 東中光雄

    ○東中委員 あの国会決議は暫定的なものではなくて、前に暫定的なものだったから今度は抜本的に政正するんだ、その中身が中選挙区制と書いてあるのですよ。言われておることはちょっと違うように思うのです。ところが、それに関しましてこの八次審への諮問がなされるちょうど一年前になるわけですが、衆議院で六十三年四月十五日の公選特の審議以後リクルート問題などが起こりまして、ほとんど審議がやられないままで八次審諮問というふうにいくのですが、だから八次審になる前の国会の審議で当時の梶山国務大臣は、   衆議院の定数是正、これはまさに焦眉の急、一番重要な課題でもございます。そして、衆議院の本会議の決議、六十一年五月二十一日に決議をされたその中身に忠実でありたい、これがまず第一の原則であろうかと思います。 こう言われまして、   ただいま第三者機関、特に選挙制度審議会の活用という問題にお触れになられましたけれども、 これ、触れられたのは塩崎委員です、今はおられませんが。塩崎議員が触れられましたが、   議会の意思はどんなところにあるのかというものを明確に出してあげませんと、幾ら選挙制度審議会にやってくれと言っても、その基本が定まらないで国会決議と反するようなことになってしまっては、それはとても採用することはできなくなるわけでございます   てんつけ第三者機関にと言っても、現実にこれは選挙制度の根幹にかかわる問題でもございますので、私はまず一義的に自主的に我々立法府がこの中にみずからの意思を表明し、そして国民政治に対する期待を十分に発揮できる立場を確立することの方が大切だ その方針に従って審議会をやるならいいけれども、てんつけというのですか、何の条件もなしに諮問すれば、それは国会決議に反する結果になりかねないという心配をしていたのです。そんなことをしたら、もう決議しても採用するわけにはいかぬとまで言うておった。  ところが、中選挙区制にするという決議があるのに、何の条件もなしに八次審というのは突然やられたわけですが、結果は反することになったのですから、当時の梶山自治大臣の見解からいけば、これは採用するわけにはまいりませんということになるのですが、こういう審議の経過は御承知の上でやられたことなのですか。
  124. 堀江湛

    堀江参考人 私どもといたしましては、平成元年六月二十八日に当時の宇野総理から、選挙制度及び政治資金制度の根本的改革のための方策を具体的に示されたいという御諮問をいただきました。その御諮問に応じて審議を進め、答申を提出するに至るわけでございます。
  125. 東中光雄

    ○東中委員 経過はそのとおりであることは間違いありませんけれども、その審議をされるについて、国会で定数是正、選挙制度というものについてどういう審議をやってきたかということについて十分御承知の上でやられたのか、そういうことは余り気にしないで、宇野さんから言われたから、はいそうですということで根本的に自由奔放に何もとらわれずにやった、こういうことなのでしょうか。
  126. 堀江湛

    堀江参考人 審議会といたしまして、過去の経緯をどのように受けとめておったかということについて特に議論をしたことはございません。もちろん、委員の皆様方は、多くの方々は過去のそういう経緯についても承知しておられたでございましょうし、あるいは御承知のなかった方もあろうかと思います。
  127. 東中光雄

    ○東中委員 第八次審はあくまでも第八次審として、一次審から七次審までの先行する部分がございます。それに関しまして、昭和六十二年、八七年の九月十六日にいろいろ審議がやられまして、そこで当時の選挙部長はこういうことを言っているのです。   第一次から第七次にわたって十一年間議論をして、衆参の選挙制度やそのほかの問題についてほぼ議論をし尽くしたということが委員の間で言われておりました ちょっとそれから省略しますが、   基本的な制度改革、特に衆議院の中選挙区制をどうするかというような大きな問題になってきますと、どうしても委員意見が大きく対立をしてなかなか結論が見出しがたい、こういう問題は、第三者機関である選挙制度審議会論議するのもいいけれども、やはり国会で各党で御論議いただくのが適切ではないだろうかというようなこともありまして、それ以降は開かないということになってきたわけでございます。 十七年間開かれなかった。それで、リクルート問題が起こって、いわば内閣の支持率が一〇%を割るというふうな政治不信の状態の中で宇野内閣ができて諮問された、こういう経過になっているのですね。ここに書いてあるのは、   やはり選挙制度というのは国会の構成の基本に関することでございますし、また、各党の土俵づくりといいますか選挙のルールづくりの問題でございますので、選挙制度審議会論議するのも一つの方法かもしれませんけれども、や はり各党間で論議をするということが最も民主的なしかも現実的な方法ではないであろうかというふうに考えておるわけでございます。   しかし、各党のお話し合いによって選挙制度審議会を活用したらどうかというような雰囲気が出てまいりまして、各党間でいろいろ御審議いただいた原則に基づいて選挙制度審議会でさらに具体的な審議をするというようなことが起きてきますれば、それも一つ考えではなかろうかと思っておりますけれども、直ちに今選挙制度審議会をどういう前提もなしに開くということは、いろいろ問題があろうかというふうに思っております。 これが自治省選挙部長の国会答弁なのです。これは、いろいろ問題があろうかと思っておりますと言うておることそのままやって、そして、国会決議で中選挙区制を三人区を五人区にすると言うておるのに、それを廃止してしまうという方向に行ったのですから、これはまさにいろいろ問題があるのじゃないですか。どう思われます。
  128. 堀江湛

    堀江参考人 当時の選挙部長のお考えにつきましては、私、不勉強でただいまお話を伺うまで存じませんでした。そこの選挙部長の御発言にもございますように、選挙のルールづくりあるいは制度枠組みづくりというものについて、第三者機関である審議会にこの検討をゆだねることも一つの方法であり、かつそれが時宜に適しておるという、恐らくこの平成元年の夏の政治状況のもとで私どもが、委員会委員が御任命を受け、御諮問をいただいたものではなかろうか、私個人的には考えております。
  129. 東中光雄

    ○東中委員 第三者機関であれば何でもいいというのじゃなくて、第八次というのは、第一次から第七次までの審議があってその延長線上の第八次だと思うのですね。第七次までは中選挙区制廃止なんというようなことはもう議論が出尽くした。だから、このままやったってしようがない、国会で方向が決まってやらなければということで十七年間やらなかったのだ、こう言うておるわけですよ。  ところが、宇野総理大臣から諮問を受けたからということで、すぽっと今度は前のやつと断絶した形で小選挙区制導入、諸悪の根源中選挙区制というふうな格好にいくというのは、どうしてもこれはちょっと、今までとってきた公的な立場、国会審議における行政府の選挙制度についての公的な立場からいって、余りにも飛躍し過ぎているのじゃないかなということを、非常に残念でございますが、そういう審議があったということを、堀江先生のような専門家の方が御存じなかったということをお聞きして、非常に残念に思うわけでございます。私たちは、やはりこういう制度の採用については、今まではそういう方向は向いていなかった、こういう小選挙区制を中心にして、そして比例代表制を加味するという方向がどんと出されたのは自民党の政治改革大綱だったわけですから、その線に乗ってしまっているのではないかという感じを私はどうしてもぬぐうことができないのです、非常に残念でございますけれども。  それで、宇野総理大臣の平成元年六月二十八日の諮問のときの第一回総会におけるあいさつの中で、今言われましたように「選挙制度及び政治資金制度につきましてその根本的改革のための具体的な諸方策を打ち樹て」てほしい、これを言われたことは確かなわけです。そのことをおっしゃるわけですが、その前提として、リクルート問題を契機として政治不信が広がっておる。国民政治に対する信頼を回復しなければならぬ。巨額の金を必要とする政治仕組みに目を向けなければいかぬ。そして「金権体質をもたらす根源に踏み込み、政治の在り方そのものの抜本的な改革を行い、ガラス張りで金のかからない政治活動と政策中心の選挙を実現することが、」必要だと言っているのですね。だから、巨額の金を必要とする政治仕組みをなくする。それから金権体質をもたらす根源に踏み込む。金のかからない政治活動を確保する。要するに、金との関係なんですね。金権体質をもたらす根源は一体何だとお考えになっておるのか、堀江参考人なり河野参考人なり、審議会としてはどういうふうに見ておられるのでしょうか。
  130. 堀江湛

    堀江参考人 私ども、そういった金のかかる政治の持つ弊害を何とか除去したい。そのためには選挙制度も変える必要があろうし、政治資金の調達やその使途についても検討を加える必要があろうし、さらに、必要に応じて政党に対する公的助成も必要であろうというようなことでいろいろ議論をし、二回にわたる答申のような形で結論を得たわけでございます。
  131. 東中光雄

    ○東中委員 非常に一般的なことで、それは何も答えられたことにならぬと思うのですが……。
  132. 河野義克

    河野参考人 私も、特段に異なった意見を申し上げるあれではございませんが、要するに、政治あるいは選挙に余りにも金がかかる、そういう弊害を何としても正さなければいかぬということが私どもの強い気持ちでございました。  私個人意見かもしれませんが、明治以来我が国選挙にかかわる弊害というものは、大きく言って三つあったと思うのです。一つは官憲の干渉でありました。一つは因縁情実による選挙の横行でありました。一つは金権と申しますか、金銭が横行したことでございます。その際に、官憲の干渉というものは戦後なくなったと認識しております。したがいまして、あとのことを何としても直さなければならない。それが情実因縁による選挙に一票を投ずる、それから金権による選挙。この選挙腐敗を何としても直して選挙界を浄化したい。その浄化するための対策を何がしか打ち出してみたいものだ、これが私どもの気持ちでございました。
  133. 東中光雄

    ○東中委員 この十八日から、いわゆる統一地方選挙、知事選挙が始まっています。大阪で今一対一の対立の、一騎打ちの知事選挙をやっているわけですが、公示される前日の朝日新聞の一面に、十四日に、関西の主要な財界の人たちが集まって、この選挙に勝利するために選挙資金五億円を調達しなければいかぬ、そして、そのうちの二億円はいわゆる土木建設関係から集める。要するに、主要な例えば関西電力とか住友金属とか松下電器とか、こういった大企業が中心になってそういう資金調達をやるということが大きく報道されています。これは衆議院選挙ではございませんけれども、まさに金権選挙になるわけですね。政治に金がかかるのではなくて、かける。二億、五億というような金は財界が動いてばっと出てくるわけですね。こういう格好になるのですが、そういう今起こっている最中の問題ですから申し上げるのですけれども、この「金権体質をもたらす根源に踏み込み、」そして「金のかからない政治活動」をと言われておる問題なんかで、どう思われるでしょうか。政治資金を扱われた河野さん、御意見ございましたらひとつ。
  134. 河野義克

    河野参考人 選挙にまつわる一般の御高説その他については十分傾聴して、お答えすべきものはお答えしたいと思います。  ただいま、特定の選挙区において特定の選挙が実施されようとしている事情についてのいろいろなお考えについての答弁は申し上げる立場にございませんので、御容赦をいただきたいと思います。
  135. 東中光雄

    ○東中委員 私言いますのは、政治不信というのは、リクルート事件があって起こってきたというだけじゃないのですよ。金がかかる選挙、そういうことが報道もされているわけですね。五億円なんというのはよく出てくるなというふうに私は思いました。そういう金がいわゆる政治資金なんだろうかどうかということも感じるわけです。そういう点で御見解をお伺いしたのですけれども、抽象的にもお答えいただかなかったのは残念です。  ひとつ河野さんにお伺いしたいのですが、この答申によりますと、「政治資金は、民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財である。これを受ける側からみれば、政治活動の財政的基盤であるが、拠出する側からみれば、政治参加の一つの手段であり、したがって、本来、自主性、自律性ができる限り尊重されるべきものである」、こう書かれております。だから、「民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財」は、有権者国民、主権者国民政治参加としての浄財拠出、これが政治資金だというふうに思うのですが、そうじゃございませんでしょうか。
  136. 河野義克

    河野参考人 政治家のあるいは政党政治資金国民それぞれが分担し、拠出するということは望ましいことであり、当然のことだと存じます。  その場合において、有権者というお言葉を使われましたが、そういった政治参加の態様としては、有権者というのが、選挙権を持っておる個々の自然人ということを強く意識されてのお言葉であるとすれば、そういった政治参加の態様として、そのほかにも社会的実在としてあり、社会的に機能を果たしている法人あるいはその他の団体というものの、それぞれの立場からの政治参加も拒むという筋合いにはならないのではないかと存じます。その議論の大宗が有権者考えることは当然でありますが、一般的に言えばそういうことになろうかと存じます。
  137. 東中光雄

    ○東中委員 国民の浄財である、こういうふうにこれはもう規定づけられておるわけですね。これはここで初めてじゃなくて法律もそういう建前になっていますし、政治資金規正法もそういう建前ですね。それで、株式会社は国民ですか。
  138. 河野義克

    河野参考人 株式会社は自然人でなく狭義の国民でないということはおっしゃるとおりだと思いますが、株式会社というものが社会的に実在し、社会的な機能を果たしているということも紛れもないことであろうと存じます。
  139. 東中光雄

    ○東中委員 まことに残念な反社会的存在でありますけれども、いわゆる暴力団も違った意味で社会的存在であり社会的実在であります。企業は、株式会社は営利を目的とする企業活動を、要するに収益を上げることを目的とする社会的団体であり、そしてそれは社会的実在であり存在する、これはもう間違いありません。しかし収益を上げることを目的とする株式会社が出す金というのは、基本的には収益を上げるために必要な金でなければ株主に対して特別背任罪ということが起こってくる、そういう性質のものだと思うのです。いわゆる国民の浄財と株式会社の支出金というのは性質を異にする、こういうふうに私たちは思っています。  それで、今までの七次審までの選挙制度審議会の方向は、個人に限るようにしよう、一遍にやったって、今まで会社や組合から資金を出しているという状態があって一挙になくするのはまずいからということでいましたけれども国民の浄財なんだから個人に限るようにしようという方向を向いてきたのです。ところが今度の答申は、国民の浄財であるということを言いながら、企業、労働組合、団体等の献金も社会的存在であるから認められる、政治資金として認める。そして今度は、一定の条件が整えば政党に対してだけ拠出するということですね。結局今までの方向と逆の方向へ行っているのですよ。これも非常に、選挙制度審議会の一次から七次までの方向と向かう方向が逆になっているというふうに思うのですが、もう時間ですのでお考えがございましたらお聞かせください。
  140. 河野義克

    河野参考人 第何次選挙制度審議会という個々の選挙制度審議会はそれぞれそれに先立つ審議会の経過、歴史を尊重して、それで論議を深めて審議すべきことは当然だと思いますが、率直に言えば各制度審議会はそれぞれ独自の立場に立つものでそれぞれの立場で判断すべきもの、第八次審議会としては第八次審議会の立場で判断すべきものであると思います。  それからもう一つは、方向としては、形として大きく変化しているという御批判があるということは十分わきまえております。今の御指摘もごもっともな点があります。ただ、私どものねらっているところは、国民の元来の浄財である個人個人の提供する金と環境を整備した後の公的助成という二本立てで政党の財政が賄えるような将来を考える、そういう場合なれば、団体献金というものの悪いとかいいとかは別に現実にその必要性が少なくなっていく姿を希求しているわけでございます。また各審議会には、団体献金はやめなさい、あるいはその経過期間五年は認めるけれどもその以後はやめなさい、こう言っているその全体の姿は、取り上げる制度は違いますけれども、目指しておるところはそう相隔たったものではないかもしれないと思っております。少なくとも第八次選挙制度審議会の立場は、そういうことでございます。
  141. 東中光雄

    ○東中委員 時間が参りましたので、終わります。
  142. 石井一

    石井委員長 川端達夫君。
  143. 川端達夫

    ○川端委員 民社党の川端でございます。両先生、きょうはどうもありがとうございます。私で終わりですので、長時間御苦労さまですけれども、もう少しよろしくお願いいたします。  時間が限られておりますので、初めに少し具体的なことについてお伺いをしたいのですが、今まで答申をされまして、今国民も含めまして注目をしておりますのはやはり区割りのことではないかなというふうに思っております。先ほど堀江先生の方からもその考え方というのはお触れをいただいたわけですけれども、スケジュール的に現状としてどういうふうに見通しておられるのかということと、それからこれは大変な作業であることは事実でございますが、そういう実務に関しては現在どこでどなたがおやりになっているのか、まずその点を教えていただきたいと思います。
  144. 堀江湛

    堀江参考人 ただいま川端先生の御質問でございますが、先ほどどなたかの御質問にもございましたけれども選挙区制の区割り、なかんずく小選挙区制につきましては候補者の方々にとりましては非常に微妙な問題をはらんでおりますので、私ども区割りの実施については、線引き等々につきましてはよほど慎重な態度が必要であろうかと思っております。  この新しい選挙制度及び政治資金改革等につきましてこれが法案の形で国会に提出される場合には当然その法案に付随しもしくはその御審議過程で区割り案が出なければならぬわけでございまして、目下そういった各党においてお進めになっておる御論議等々を見守りつつ、必要な立法化の段階を頭に置きながら区割りの具体案検討を進めておるところでございます。そしてこれは具体的には審議会が何らかの形で区割りの具体案審議しなければならぬものかと思っておりますけれども、いろいろ技術的な問題もございますので、国勢調査の結果とか各地域におけるさまざまな状況等々を考慮しつつ、そういった区割りの準備をしておるというのが目下の状況でございます。
  145. 川端達夫

    ○川端委員 ということは、今のお話ですと法案として提案される時点で明らかになるということと理解をしていいのでしょうか。法案はつくるという部分ではまた機関的には違うと思うのですけれども、法案をそろそろ出すというふうなこの委員会を含めての機運あるいは政府の御決断という時点で明らかになるものだ、法案の提出というものとその時期というのはリンクをしているのか、本来の今までの御答申流れでいいますと、法案化されるかされないか、これは国会あるいは政府のことでございますので、国勢調査の数字もいろいろ出てきたという中で、その独自の流れで区割り案というのは選挙制度審議会としてお出しになるというふうに理解をしていたのですが、その部分、ちょっと今何となく疑問があったのですが、いかがなんでしょう。
  146. 堀江湛

    堀江参考人 あるいは私の御説明がやや説明不足だったかとも思いますが、審議会といたしましては、答申したからには具体的な区割りをしなければならない、これをいずれかの段階において発表しなければならないと考えております。目下事務局にその準備を進めてもらっているところであります。ただ、各党あるいは政府のお考えが定まった段階ならいざ知らず、各党の御論議が煮詰まらぬ段階で、いろいろな御審議論議が進む途中においていたずらに区割りを発表するというようなことになりましては、事は選挙制度と結びついた極めて重要な、デリケートな問題を含んでおりますので、またあらぬ混乱を起こしてもいかがかと思います。そういうこと等も一応視野に入れながら、目下事務局の方で準備を進めてもらっているということでございます。
  147. 川端達夫

    ○川端委員 わかりました。  これは意見ですけれども、小選挙比例代表並立制がいいかどうかで各党の議論が今分かれているところでございまして、その部分で今、我々もいろいろ勉強しなければいけない、答えを出さなければいけないという中で、選挙制度審議会としてはそういう部分に関してはお答えをお出しになったという部分では、区割り自身は各党の議論の動向でというのはやや理解がしにくいなという気が率直な感想としてはいたしました。そういう部分が何となく政治的な色合いとして受けとめられるといることは、せっかくの御努力に対して余りよくないことではないかなというふうに思います。我々の立場も、区割りによって賛成するとか反対するとか、そういう問題ではない、そうあってはいけないというふうに思っています。ぜひともに御努力をいただきたいと思うのです。  その中で一つだけ確認をしておきたいのは、いろいろな原則をお持ちなわけですけれども、その中で、みんなを満足させるというのは至難のわざではないかなというふうに思うのです。今回の速報値で人口一億二千三百六十一万人、三百一名という御答申の小選挙区で割りますと、平均が約四十一万人。これを原則一対二でおさめるということにして計算をしますと、二十七万三千人から五十四万七千人の幅に選挙区はおさまらなければいけないのではないか。  この部分で二つありまして、一つは、五十四万七千人を超えている千葉市を初めとする四市、それから世田谷等々東京の五区、九選挙区に関しては必ず二倍を超えるという状況部分で、特例としてお考えなのか、三百一の中で九というのは多いのか少ないのかというようないろいろな問題がありますけれども、そういう部分は、原則的にいえばここはいじらざるを得ないということなのかどうかということに関して、やはり一つの基本的なお考えというのをお示しをいただきたいというふうに思います。  もう一つは、例えばある県で人口が百二十三万だとしますと、ちょうど平均的に三名区になるわけですね。三つに割ろうというときに、郡と市というもので分けるというのも、幾つもの分け方が現に出てきます。地理的にも云々というのもありますけれども、そういうほかの要因を基本的には満足する形であっても幾つもあると思います。そういうときに、例えば人口百二十三万人で四十一万人というのが平均だという、これは三倍で百二十三万人なんですけれども、可能な限り四十一万人というものに近づけた三つの分割の仕方と、それから、例えば一番少ない二十七万三千人と四十一万人と五十四万七千人という三つの分け方もあるわけですね。そうすると、十七万人ぐらいの市がその中間的にありますと、それをどちらにつけてもいいということですね、平均的に二倍にもおさまるし。そういう部分で、基本的にはその幅であればということと、中心値にできるだけ近づけるというのと、二つの手法があると思うのです。それをたれがジャッジするのかというのはいろいろなのが出てくるのですが、基本的なお考えとしては、もしおやりになるのでしたら、将来の人口の変動とかを踏まえますと、余りぎりぎりのところをつくりましていつも変化するということでなく、可能な限り平均、中心的な数字にするという区割りが優先されるべきではないかというふうに私は思うのですけれども、その点、二つに関してお聞かせをいただきたいと思います。
  148. 堀江湛

    堀江参考人 ただいまの川端先生の御指摘でございますが、やはり選挙制度考えます場合に、私どもの社会生活の基本的単位は自治体というものに置かれております。したがいまして、人口を、各選挙区における有権者数の均衡を図ることは、これは大変重要な大原則でございますが、しかし同時に、その大原則を貫徹するために、御指摘にございましたような十七万の市をずたずたに切り裂くというようなことがあってはならないだろうと考えております。したがいまして、市区町村及び市でございましても政令指定都市の場合には、行政区といったものはできるだけといいますか、分割しないことを原則として区割りを進めていこうというのが審議会における審議結論でございます。したがいまして、先ほど例に挙がりましたような千葉市等のような、あと堺市もそうでございましたでしょうか、そういう人口が六十万近い都市等は分割せざるを得ないと思いますし、世田谷区等もやはりいろいろ検討の余地はあろうかと思いますが、一つ考え方としては分割もやむを得ないということになろうかと思います。ただしかし、数字を合わせるために一つの市町村なり行政区をずたずたに切り刻むというようなことがあってはならないというふうに私ども考えております。
  149. 川端達夫

    ○川端委員 もう一つの、例えば十七万の市をこちらにつけてもこちらにつけても地域的にも別に問題はないというその境目にありまして、二十七万と五十四万という都市、ブロックの真ん中にそういうものがあったときには、やはり平均的に合うようにされるのかどうかという部分はどうなんでしょうか。
  150. 堀江湛

    堀江参考人 現在事務局でいろいろ検討を進めてもらっておりますが、審議会審議をいたすと申し上げたのは、まさにそういうこともあろうかと思うからでございますが、「人口均衡を図る」、「市区町村の区域は、分割しないことを原則とする。」等々の五つの原則を私ども答申で立てておりますが、この五つの原則に照らせば、御指摘のような例の場合も、おのずといずれの側につけた方がより公正妥当であるかという結論が出るのではないかと思います。なお、そういう原則に照らして微妙な問題の出る選挙区もあろうかということで、そういう場合には審議会審議をするということになろうかと思いますが、そのためのいろいろな前提となるべき条件等々、事務局において今慎重に御検討願っておる、作業を進めてもらっておるということと御理解いただければと思います。
  151. 川端達夫

    ○川端委員 時間をとってお聞きしましたのは、結局、そういう区割り案の場合に、現職の議員あるいは候補者となろうとする者は、当然ながら自分選挙区という部分にいわゆるゲリマンダー的な部分というのが当然議論に出てきます。そういう部分で一応の基本的なお考えは出されていますが、それよりもう少し踏み込んだ基本的な考え方というのを整理されていただきたいし、お示しをしていただきたい。審議会の個別の判断というよりはもう少し大きなフレームといいますか、それを示していただかないと、それこそ選挙区によって幾つも区割り案ができて、結局はそこにいる人の、何か自分がいいかどうかで賛成するみたいな話であってはいけないと思いますので、お願いをしておきたいと思います。  それでは、総論的なことですが、いいか悪いか、好ましいか好ましくないかは別にしまして、現時点で、国政選挙を中心として有権者の投票の判断基準といいますか、投票行動のいろいろな要素があると思うのですが、候補者を選ぶときにどういうもので選んでおられるというふうに御認識でしょうか。
  152. 堀江湛

    堀江参考人 先ほど松原委員の御発言にもございましたことですが、私ども審議会じゃなくて、学者の間にはいろいろな議論がございます。しかし、この審議会といたしましては、現行選挙制度、中選挙区制のもとではどうも政党の方がややないがしろになるといいますか、軽んぜられておる、専ら候補者個人という面、個人中心の選挙に堕しておる、そしてそれはどうも選挙制度に由来するところが大きいのではないかという判断でございます。それゆえに、もう少し政党本位政策本位選挙有権者の投票行動がなるような、そういった望ましい制度はないかということを審議いたしまして、答申にあるような結論に至ったわけでございます。
  153. 川端達夫

    ○川端委員 現実にはいろいろな思いで投票されていると思いますね。おっしゃるように政党で選んでいる方もおられるでしょうし、政策的に、少し前の選挙ですと消費税に賛成なのか反対なのかということでお選びになることもあったでしょうし、地域、長らくこの地域からは代議士が出ていないから、新しく出たらこの人を出したいというふうな党派を超えた部分もあったでしょうし、あの人はいい人そうだからということもあったと思います。今申し上げたような政党あるいは政策、それから本来の意味の人物、この人は経験として外交とか経済に非常に詳しい人であるとかいう人物、あるいは地域的に、この地域を非常によく知っているというふうな部分で選ぶことはそれなりに意味のあることだというふうに私は思います。  そういう意味で、比較的政党がないがしろにされたのではないかということ自体は理解するのですけれども、選ぶときに、先ほど先生少しお触れになりました西ドイツのように、政党だけだ、極端に言えばだれかは別にしても政党なんだということよりは、今申し上げた政党であり、政策であり、本当の意味の人物であり、地域というものを加味したような選ばれ方が非常にいいのではないかなと私は思います。そういう意味で、現行部分でもおのおのの方はそれでかなり選んでおられると思いますが、少し政党のウエートが少ないかな、同時に、そのときにお金という要素が地盤培養という部分で非常に入り込んでいるのではないか。だから選挙にお金がかかり過ぎる。裏返して言えば、有権者がその利得みたいなものに情実を絡ませて投票していることが結果的にお金のかかる政治にしているのではないか、そういう御認識ではないかなというふうに思うのです。  そういうときに、お金の問題をクリアするということとダイレクトに、中選挙区制で同じ政党の人が何人も出るということが非常に強固な原因であるというふうな御答申考え方としては本当にそうかなという疑念をいつまでたっても私は払拭できないわけです。だから選挙制度を変えるということといろいろな政治資金とかいうものが一体であるということで御答申されておるわけですが、必ずしもそうではなくて、むしろ個々人の周辺、政治家の周辺にまつわるお金という部分をいかにクリーンにするかという、倫理の問題、政治資金あり方の問題、公的助成の問題というのは先行してでもやるべき問題ではないかというふうにずっと思っているわけです。  と申しますのは、例えばさっきも少しお話がありましたけれども、今まさに統一地方選挙が始まります。そうしますと、公職の候補者という意味で、今選挙をやっておられる方、それからこれから一カ月ぐらいの間に選挙をされる方も全部政治資金等々に関しては関与を受けるわけですね、選挙制度部分を改正するとすれば。そういうことで、政治資金部分はセットであるというのは、選挙制度としてはセットだ、セットだと言われているのは国政の選挙部分だけなんです。ところが、お金の部分に関してはすべての公職候補に関与する。そうするならば、地方自治というものに対する選挙あり方、現に例えば県会議員の選挙等々を見ますと、一人区から十何人区までいろいろあるというときに、そういうものも同時に議論をされている中で出てくるのならそれなりに理解できるのですが、そういうことではなくて一体であるという部分が強調されると何か片手落ちのような気がいたします。  そういう部分では、政治家にまつわるお金というものに関しては先行してやるべきであるし、中選挙区制と何か表裏一体みたいな部分が、ないとは言いません、かなりあることも事実ですが、表裏一体的な部分有権者の選択の幅をそこまで結果的に減殺してしまうということはいかがかなと思うのですが、その点に関してはどんな御所見でしょうか。
  154. 河野義克

    河野参考人 政治資金というものは政治活動を賄うものでございまするから、政治活動というものは選挙制度に即していろいろ展開されるわけでございますので、政治資金あり方政治資金の規制の仕方はやはり選挙制度と一体のものとして考え、一体のものとして処理するのが好ましい。お考えの点は私もよく理解をいたしますけれども選挙制度審議会としては、大筋においては両者は一体として進行さるべきものだという立場で答申を申し上げた次第でございます。
  155. 川端達夫

    ○川端委員 先ほど申しましたように、選挙有権者の方が候補者をお選びになるときに、政党という部分にもう少しウエートを置くということは大事なことだ、これは確かにそうだと思います。それと同時に、その人の人物であるとか地域性の問題というのもかなり重要な要素の一つであろう。そういう意味でいえば、基本的に政党本位であり、加味して人物、地域というものが選択でき、同時に可能な限り一票の格差は一に近いというのが民意を代表するという部分で、特に衆議院の役割からいえば一番いい選挙制度ではないかなというふうに私は理解します。  そういう仕組み考えていきますと、御答申の中で参議院比例代表拘束制という制度を御提起されている。ところが、比例代表という意味政党本位なんですね。そして、個人名も可能という意味では、個人の顔も見えるということでは、むしろそちらの制度の方が実際に民意を代表政党本位という意味では合っているのではないか。あるいは、よく言われるもう少し地域のことも加味しろという意味では、小選挙比例代表へという方が本来的な、今国民が望んでいる、そして政党本位であり、ほかの要素も加味された国民代表を選ぶという意味ではいい制度ではないのかな。それはそこへお金が入ったということが非常に強調されて、同じ政党間で相争うというのはいけないということがかなりほぼ唯一の理由みたいな感じで、その小選挙比例代表並立制というものを提起されたという部分に、非常にしっくりしない思いがいたします。  同時に、政権の安定性というのもよくお触れになるわけですけれども、今御提起されている制度で勝った政党は、多分今の得票率でも八割前後の議席を得るという意味では安定すると思います。よく例に引き合いに出されます先般の参議院選挙では、社会党の方が逆に八割とるではないか、そうすると、勝った政党は八割で安定する。次の選挙では違う政党が勝って八割とる、それで安定する。個々の政権は安定するけれども日本の進路としては全く違うかもしれない部分で、それを安定と言うのだろうかという議論もあると思うのです。  そういう意味では、本来、御答申されているような制度というのは、基本的に国としての基本政策のほぼ大枠、日本丸がどう進むかということにおいて大枠が一致する中で相勢力拮抗する政党が二つあるという状況で初めてうまく機能するのではないか。今日の状況の中では果たしてそういう選択が国民にできるのだろうかという意味では、私は非常に難しいのではないかな。現に、政治は生き物ですからいろいろ動いておりますけれども、少し前は参議院無用論というのがありました。カーボンコピーではないかという話もありました。ところが、参議院が与野党逆転した時点から、一挙に参議院というのは非常に注目を浴びるようになった。そして野党連合政権が間近いのではないかという状況もありました。  それが今般の平和協力法あるいは九十億ドルの問題含めて、やはり政治状況として、与党も今まで言ったとおりに全部通るということではなくてかなり修正というのですか、予算の修正をされたわけですが、そういう状況が変わってきた。自公民、自公民と言われますけれども、それが云々と、そういうふうに随分変わったのですね、もう数年の間でも。これは選挙制度で変わっているのではなくて、まさに国民の投票によって変わっているわけです。  そういう意味では、制度で、本来相拮抗するその二大政党が前提となる政治状況が望ましいであろうというのは十分理解をするのですけれども、それを今そういう状況でなくてしかし徐々には変わりつつあるというときに、選挙制度をいじることによって一挙にそういう状況を強制的につくるというのは本末転倒しているのではないかなというふうに思うのですけれども、最近の、ここ数年間でも随分政治状況が変化してきている、野党はある部分で反対勢力としてとにかく頑張ればいいのだというふうな五五年以降のいろいろな体制から、最近は随分やはり野党も、そうであっては国民から信頼もされないし生き残れないという状況になってきている、そういうふうな変化という部分をどういうふうに選挙制度という部分で認識をされているのかということをひとつお伺いをしたいのです。
  156. 堀江湛

    堀江参考人 先ほどもどなたかの御質問のときに申し上げたことでございますが、やはり、どのような制度といえどもバランスが必要でございまして、いかに政党本位政策本位と申しましても、例えば極端な比例代表制のように、候補者がだれであってもよろしいということになってしまっては、いかに政党本位政策本位でも望ましくないと思います。そういう意味では、例えば小選区制のような、ここでは政党政策本位であると同時にまた個人の持つさまざまな識見や持ち味というものも出てまいります。しかし、かといってそれでは政治資金等々の問題について野放しになっておりますと、これも先ほど来御指摘のあるような、かえって金権選挙が展開されるということも決してあり得ないことではない。こういうことになりますと、そういった制度政治資金の問題はやはりセットとして考えていくべきでありましょうし、また、政党政策本位でありながらかつまた顔の見える選挙制度ということも考えてまいらなければならぬのではないかと思うわけであります。  御指摘のとおり、この政治状況というものは急速に変わってまいりまして、各政権をとっておらぬ野党の側のさまざまな国会運営に対する態度等々も変化、動きつつあるのであろうかと思いますが、私、一つはそれが先ほどのお言葉のとおり、連合政権が可能かもしれない、そういった政権獲得の可能性というようなことが一つの条件となっておるのではないかなという気がいたすわけでありまして、そうなりますと、再三申し上げておるように、やはり制度ですべてが変わるわけではございませんが、制度として政権交代の可能性があるということが、政権をとっている与党に対しても緊張感を与え、野党に対してもさまざまな、政権をとった日に備えての現実的な行動等々が出てくる一つの原因になるのかなというような気がいたしております。  やはり政権の交代は、私は、決して審議会が連立内閣とか連合政権を否定しているわけではございません。ただ、そういった政権の交代というものが選挙の結果によって起こるべきではないかというふうに考え、私個人考えておりますし、恐らく審議会委員全体の意見であろうかと思います。  例えば先ほどお話に出ていました西ドイツの方式でございますと、西ドイツでは選挙の結果政権が交代したことは一度もございません。すべてそれは連立を組んでおる政党の連立の組み合わせの変更によって政権の交代が生じておりまして、選挙の結果で生じたことはございません。むしろいわゆる首相のボーナスということがドイツで言われておりますが、連合が変わった次の選挙で、新しく連合を組んだ二党が非常に議席をふやすという傾向はございますが、すべて政権の変更は連立の組み合わせの変更に基づいておるようでございます。  そういうこと等々考えますと、やはり政権の変更が国民有権者の投票の結果によって決まることが議会政治あるいは民主主義の建前からいうと望ましいのではないかということで、一つ制度が決して欠点がない万能なものとは考えませんが、審議会全体としては答申のような結論に達した、こう申し上げてもよろしいのではないかと思います。
  157. 川端達夫

    ○川端委員 時間が来てしまいました。今の御意見意見はあるのですけれども、もう時間が過ぎてしまいました。国会がなかなか定数是正もやらない、政権交代の展望も見えない、政治腐敗はどんどん進んでいくという部分で、審議会の皆さん、何とか自分たちでやらなければいけないという思いで熱心にやっていただいているのは十分理解をしております。またの機会にこれからの議論を譲りたいと存じます。  どうもありがとうございました。
  158. 石井一

    石井委員長 これにて質疑は終了いたしました。  堀江河野参考人におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。  次回は、来る二十七日水曜日午前九時五十分より理事会、午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十九分散会