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1991-04-25 第120回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月二十五日(木曜日)     午前九時二十分開議  出席委員    委員長 長田 武士君    理事 加藤 卓二君 理事 片岡 武司君    理事 久野統一郎君 理事 鴻池 祥肇君    理事 柳沢 伯夫君 理事 上野 建一君    理事 山下洲夫君 理事 竹内 勝彦君       石破  茂君    岩村卯一郎君       魚住 汎英君    河村 建夫君       浜野  剛君    増田 敏男君       御法川英文君    遠藤  登君       北川 昌典君    永井 孝信君       辻  第一君    和田 一仁君  出席国務大臣         建 設 大 臣 大塚 雄司君  出席政府委員         警察庁交通局長 関根 謙一君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       徳宿 恭男君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      松波 正壽君         運輸省貨物流通         局長      吉田 耕三君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省道路局長 藤井 治芳君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   石川 重明君         建設大臣官房技         術審議官    玉田 博亮君         建設大臣官房技         術審議官    椎名  彪君         自治省財政局財         政課長     湊  和夫君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     山下 宣博君         特別委員会第一         調査室長    直江 鷹郎君     ───────────── 三月二十二日  交通安全施設等整備事業規模拡大に関する陳情書外二件(第九三号)  総合的な交通事故防止対策の確立に関する陳情書外一件(第九四号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ────◇─────
  2. 長田武士

    長田委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事山下宣博君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長田武士

    長田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 長田武士

    長田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河村建夫君。
  5. 河村建夫

    河村委員 おはようございます。  それでは、本日の最初の質問をさせていただきたいと思います。  まず、先月の十四日、広島市安佐南区で発生をいたしました新交通システム工事中の事故の問題であります。  一カ月少々前のことでありますから皆さんも記憶に新しいと思うわけでありますが、長さ六十三メーター、重さ六十トンを上回る鉄製の橋げたが突然落ちてまいりまして、十メートル下の県道信号待ちをしておりました乗用車等十一台が直撃をされまして、作業員を含めて十四名が亡くなる、あるいは多数の重軽傷者が出るという大惨事になったわけであります。たしか一昨々日合同慰霊祭も行われたというふうに聞いておるわけでありますが、文字どおり降ってわいたような災難でありまして、一命を落とされた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、こうした事故を教訓として、二度とこのような事故を起こさせてはならないという観点から一、二お伺いをしたいと思うわけであります。  まず初めに、この事故原因究明への取り組みはどういうふうになっておるのだろうかということと、それから、こうした橋梁架設工事というものに対する安全対策建設省はこれまでどのような措置を講じてこられたのか、あるいはまた、こうした交通関係するようなところでの警察交通規制等対策、対応はどうなっておるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  6. 椎名彪

    椎名説明員 ただいまの広島におきます新交通システム事故に関しまして、その原因究明につきましての御質問についてお答えを申し上げます。  ただいま御指摘いただきましたように、この事故は十四名の方がお亡くなりになるという大事故でございまして、御遺族皆様方に対しまして深く心から弔意を表する次第でございます。  建設省といたしましては、事故状況の把握、原因究明のために、事故直後直ちに担当官三名を現地に派遣いたしまして調査を行ったところでございます。また、事業主体であります広島市におきましては、事故原因究明するために、学識経験者等から成ります広島交通システム事故対策技術委員会を設置しているところでございますけれども、これに対しましても建設省からも委員として参加をいたしまして、現在原因究明に当たっているところでございます。  このような事故は二度と起こってはならないものでございまして、我々は事故再発防止に心を引き締めて取り組んでいるところでございます。
  7. 河村建夫

    河村委員 今いろいろな原因究明をされておることと思いますけれども遺族の方の無念さといいますか、そういうことをそんたくすれば、やはりあそこの工事現場、これはちょうど県道であり、しかも通勤通学道路上であるということから思いますと、何か万一を考えて、付近の交通規制全面通行どめとか、迂回路を臨時的につくるとか、あるいは特に夜間にやれなかっただろうかとか、工事そのものはいろいろ行われておる工事であるけれども、実際にどうだったかと、いろいろな思いがあるだろうと思うのです。これはもう人災ではなかったかというような思いがあったとしても否定はできない問題だと思うわけであります。  したがいまして、こうした事故背景といいますか、種々の状況考えて、二度とこのような事故を起こさせてはならない、こう考えるわけでありますけれども、特に過密な市街地等におけるこのような建設工事は現在も行われておるでありましょうし、これからもたくさんあると思うわけでありますが、特に建設省におかれましては、抜本 的な安全対策といいますか、これにやはり取り組むべきであろう、こう思うわけでありますが、この決意をお伺いをしたいと思うわけであります。
  8. 玉田博亮

    玉田説明員 先ほど先生の第一問のところで若干答弁の不足している点がございましたので、その点もつけ加えさせていただきます。かねてから建設省はどのような措置を講じてきたかという点でございます。  先生御承知と存じますが、一般的に市街地において土木工事施工する場合における留意事項といたしまして、市街地土木工事公衆災害防止対策要綱、私どもこれらを定めまして、その徹底を図ってきたところでございます。また、橋の架設工事等安全施工に関しましてはやや具体的な基準を定めてございまして、土木工事安全施工技術指針を制定いたしまして、安全な施工に努めているところでございます。  さらに、本件事故発生後に建設省といたしましては、事故の翌日、三月十五日でございますが、全国の同種の工事全部の再点検を命じ、その結果を本省の方へ回付をするようにさせてございます。それから、ただいま御説明申し上げました事故調査委員会を三月二十四日に設置する。それから、三月二十五日には、公共事業発注者道路管理者建設業者団体等に対しまして、なお一層の安全確保に留意するよう指導の徹底を行ったところでございます。  そこで、事故に対する今後の取り組みでございますが、建設省といたしましては、この事故直接的原因はこの調査委員会の結果にまたなければならないわけでございますが、このような事故背景には幾つかの要因があるというふうに考えております。  例えて申し上げますと、熟練工の不足の問題あるいは高齢化しているのではないか、それから、建設事業が官民とも拡大してございますので、各現場は大変忙しい、そういった問題、それから、施工の形態も変化していくのではないか、これら全体を含めて今後の事故対策を確立していく必要があるのではないかというふうに考えております。  建設省といたしましても、このような事故を二度と起こさないということで、このような背景も含めて抜本的に再検討をし、一日も早く事故対策基本を策定いたしたい、そのような覚悟でございます。
  9. 河村建夫

    河村委員 二度と起こさせない、こういうことでありますから、これに全力をかけていただくしかないわけでありますが、ぜひひとつ抜本的な対策を立てていただいて、杞憂という言葉がありますけれども、普通よく土木工事等では、百年に一回の事故というものを想定しながら河川の改修とかいろいろ行われておるわけでありますから、やはり人命尊重を第一に考えていただくということは必要なことではないか。時には若干の交通の麻痺とか迷惑が起きても、悪者になってもらっても、こういうことを起こさせないようにする方が優先すべきではないか。人命尊重といいますか、そういう観点からやっていただきたい、このように思います。杞憂というのは昔、何か天が落ちてくることを心配して、いろいろ考え過ぎだというので杞憂という言葉が始まったそうでありますけれども、そのぐらいの気持ちで取り組んでいただくようお願いをしておきたい、こう思うわけであります。  次に、交通安全諸対策についてお伺いをしてまいりたいと思うわけであります。  このたび平成三年から平成七年までの間の第五次交通安全基本計画が発表されたわけであります。この基本大綱といいますか、これに基づきまして二、三点お伺いをしてみたいと思うわけであります。  交通事故死が一万人を突破したということは御存じのとおりでありまして、この委員会でも随分これまで取り上げてこられたところであります。一万一千二百二十七名が昨年の死者であった。負傷者は七十九万を超えたということであります。これは、四十七分で一人が亡くなる計算、それから、四十秒に一人がけがをする、こういうことだそうであります。累計を見ましても、去年まで戦後四十四年かかって交通事故で亡くなった方が約四十三万人と言われておりますし、けが人、負傷者は延べ二千万人に達しておる、こう聞いておるわけであります。この四十三万人という数は、何か第二次世界大戦で亡くなった日本海軍の軍人の数に匹敵するんだ、こういうことであります。  そういうことから、まさに交通戦争と言われるゆえんのものがあるかと思うわけでありますが、非常事態宣言が出たということでありますけれども、にもかかわらず、ことしも若干死者の率はダウンしているということだそうでありますが、たしか一昨日三千人を突破した。これは去年に比べて二日ぐらい遅いんだということでありまして、少しはその成果が出るんではないかと言われておりますが、この調子では恐らく三年連続一万人突破ということは免れないだろう、こう思われるわけであります。  この基本計画を見ましても、第四次計画のときに、平成二年の最終目標を八千人に抑えるんだということであったわけでありますが、これができなかった。表現は悪いかもしれませんが、それに懲りてといいますか、それにかんがみて平成七年の最終目標は一万人に抑えるんだ、目標が八千人から一万人になっておるわけであります。しかし一方では、平成七年、このままの状態でありますと一万三千五百人ぐらいにはなるんではないかというような推計もされているような状態でありまして、この五次計画にそういうふうにうたってあるわけでありますから、これは非常事態宣言では追っつかない、まさに戒厳令でも出さないとできないんではないかという現状ではないかというふうに思うわけであります。  そこで、こうした交通事故事故死、その実態といいますか、その原因というものを十分考えて今後の対策を講じていかなければならぬのでありますが、この交通事故原因、特に事故死原因を大別してみますと、一つ車等交通機関そのもの、車に起因するもの。車に欠陥があったとか車そのものに起因するもの。それから車を運転する、交通機関を運航、運転する人間そのものに起因するもの。さらに車の背景にある交通環境。大きくその三つに分かれると思うわけでありますけれども、その三つ要素を相互に関連を持たせながら、総合的な対策をしていくことがどうしても必要になっておるわけであります。  さらに、交通事故死者発生状況の特徴は、基本計画にも挙げてあるわけでありますけれども自動車乗車中の死者が非常にふえておるということ。また、高齢化社会の到来でお年寄りの方々が亡くなることが非常に多い。それから生活態様の変化で夜間死亡事故がふえておる等が挙げられておるわけであります。  ということは、これらの対策に力を入れて各論として進めていかなければいけないんだなというふうに思うわけでありますが、特に第一番の、自動車に乗っておるときに亡くなってしまう。これは車に乗っておるわけでありますから当然これが多いということは推察できるわけでありますが、この中で憂慮すべきことは、シートベルト着用率低下がこの死亡者増につながっているんだという記事が最近多く出てくるようになったということであります。この法制化がされた当時は非常に着用率がいいんだということであったのでありますけれども、ここにも新聞記事がありますが、最近着用率が激減をしておるんだ。それで、死亡事故の半分以上はシートベルト着用であるとか、あるいは助かったはずというのが三分の二もある、あるいはシートベルトを締めていれば不着用の十倍は救えたというようなことが記録として、結果として出ておるわけであります。これは人の交通マナーにもかかわる問題でもありましょうが、こういうことが言われておるわけでありますが、現状は一体どうなっておるのか。そして、今指摘したようなことがそのとおりなら、なぜ法制化当時に比べてこんなに着用率が下がってきたのか、その原因はどこにあるのか。また、着用率向上対策は、一体今からもう一度どういうふうに進めていかれようとするのか。この点からまずお伺いをしたいと思うわけであります。
  10. 関根謙一

    関根政府委員 シートベルトの最近における着用率低下につきましてはただいま先生の御指摘のとおりでございます。このシートベルト着用法制上義務化されました昭和六十一年の十一月以降で見てみますと、当初は、高速道路運転者が九九・二%、一般道路でも九五%以上ということでございましたが、昨年の九月の時点で見てみますと、高速道路ですら九〇%を割りまして、運転者席で八九・九%、それから一般道におきましては七六・八%、こういう低い数字になってきております。  その原因ということにつきましては私どももいろいろ分析をしたところでございます。また、総理府アンケート調査を行った結果が昨年十一月に発表されております。この中で一番多いのは、シートベルトをするのが面倒だからとか、窮屈だからといったような理由が多く挙げられております。中には、非常にわずかな比率でございますが、シートベルトをつけた方がかえって危険だからという考えでつけないという人も数%ほどいるというアンケート調査の結果が示されております。  そういったことで、私どもといたしましては、シートベルト着用することによってどのくらいの方が助かっているかということを広く一般のドライバーの方々に知っていただくよう、積極的な広報活動を行うということにまず全力を挙げてまいりたいと存じます。
  11. 河村建夫

    河村委員 せっかく法制化したとき九〇%以上、一〇〇%近い場合もあったのがこんなに落ちたというのは、やはりシートベルトの効用というものが薄れてきたといいますか、その辺の認識が下がってきたことに起因するものだと思いますので、もう一度原点に立ち返ってこの問題を進めてもらいたいと思うのであります。  もう一つ、このいわゆる事故死者の中に小さな子供がいるわけですね。何万人の中の、数はそんな大きな数ではありませんけれども、毎年百人近い小さな子供が死んでいくという、極めて痛ましい事故でありまして、子供をだっこして一緒に乗せておって死んだとか、子供を何とか防ぐ方法ということでチャイルドシートという問題があるわけであります。これは法制化のときにも検討されたようでありますが、結局手つかずの状態になっておるということでありまして、今後この法制化をしていく必要があるのではないかと感じておるわけであります。これは子供のために、また命を守るために必要なことでありまして、この新聞記事によりますと、欧米では非常に高い普及率だ、こう言われておるわけであります。特にアメリカ、カナダの大部分の州、これは州単位でありましょうが、カリフォルニア州なんかでは、つけてない場合罰金が六十ドル、こういうことが言われております。この検討について、子供を守るためにも私はこれを検討する必要があるというふうに思うわけでありますが、これについてはどのようにお考えになっておるか。
  12. 関根謙一

    関根政府委員 幼児、六歳以下のお子さん方自動車乗車中に亡くなった数は昨年で七十五人でございます。チャイルドシートをつけていたらあるいはもっと少ない数でおさまったかもしれないということは確かに御指摘のとおりかと存じます。現在の我が国の法制上、年少者用補助乗車装置ということで規定がございますのは、保安基準の第二十二条の五というところでございますが、これは、このチャイルドシートはこういう規格であれば安全だという観点からの規定でございまして、これを義務づけるというものではございません。その義務づけに関しましては、今後そのチャイルドシート普及状況でございますとか国際的な動き、世論動向等考えまして、コンセンサスが得られるという段階になりましたらその方向で進みたいと考えております。  ちなみにその世論関係でございますが、先ほど申し上げました総理府が行いました交通安全に関する世論調査というものによりますと、チャイルドシート普及、使用の促進を求める方は、調査対象者二千二百人余りの中の一四・五%ほどの方でございます。したがいまして、このチャイルドシート有効性ということの広報活動から積極的に行うこととしたいと考えているところでございます。
  13. 河村建夫

    河村委員 これは幼い命を守るためのことでありますから、もう親の義務というべきものであって、強制すべきものではないかもわかりませんが、当然やらなければいけないことでありますので、その着用率を上げるためにもこの法制化が必要ではないかと私は考えるわけでありまして、保育園とか幼稚園とか、そういうところの交通教育の面から、子供だけじゃなくて親の教育についてもこの点についてさらに力を入れていただきたい、こう思うわけであります。  次に、交通事故、特に交通事故死を防ぐ意味で私は大事なことだと思うのですが、発生した交通事故というものを調査して分析して、あらゆる面からこの分析結果をもとにした安全対策を立てていくということがこれからどうしても必要になってくると思うわけであります。山口県警あたりでは現場調査班というのをつくったそうでありまして、事故があると道路管理者警察と両方からなぜこういう事故が起きたかということをよく調査をして、次の事故発生防止のためのいろいろな手だてを考えていくということであります。  そういう観点から事故分析センターの設立というものも考えておられるというふうに聞いておるわけでありますが、その業務内容、あるいは今どの程度までその構想が進んでおるのか、そしてこの分析の結果といいますか総合的なデータ、そういうものをどうしてもこれは今後の交通安全諸施設整備等に生かしていかなきゃいけないわけでありますが、この点をどのように考えておられるか、お聞きをしたいと思います。
  14. 関根謙一

    関根政府委員 事故分析交通事故防止のためにぜひとも必要であるという認識のもとに、現在関係省庁と協力しつつ本年中にそのためのセンターを設立すべく作業を進めているところでございます。関係省庁でそれぞれ責任者を定めまして、現在、業務内容でございますとか事業規模でありますとか、そういったところを検討しております。  その現在検討中の業務内容でございますが、これはマクロ分析ミクロ分析と大きく分けて二つを考えております。いずれも人、道路、車というそれぞれ交通事故原因となる三つ要素を総合的に見まして、それによって交通事故防止に役に立つようなデータを得たいということでございます。  まずマクロ分析でございますが、これはそれぞれの、人に関するデータ道路に関するデータ、車に関するデータ等によりまして一般的な交通事故原因となる傾向を知りたいということでございます。例えば交通量交通事故発生率との関係でございますとか、アルコールと事故との関係でございますとか、車の種別と事故との関係等傾向を見たいというものでございます。  それからもう一つミクロ分析の方でございますが、これは個々具体的な事故がどういう原因で起こったかを細かく調査分析したいというものでございます。個別の事故が、高齢者の方によってどういう心理状態で行われたかというようなことでありますとか、そのときの天候がどうであったかとか、道路の構造がどうであったかとか、車の整備状況がどうであったかとか、さまざまな個別のデータ分析するための作業でございます。  このようなものを現在検討しているところでございますが、これによって得られました成果は、交通安全施設整備はもちろんでございますが、いろいろな分野に活用できるものと期待をしております。交通安全施設整備関係でありますれば標識、標示の視認性の問題でありますとか、どういう場所にどういう交通安全施設整備すれば事故が防げたであろうかとか、そういう観点からこの成果を活用したいと現在期待しているところでございます。
  15. 河村建夫

    河村委員 分析センター進行状況をお聞きをしたのですが……。
  16. 関根謙一

    関根政府委員 冒頭に申し上げましたように、現在関係省庁責任者を定めまして、事業規模それから分析すべき項目を定めている段階でございます。
  17. 河村建夫

    河村委員 これはひとつ早急につくっていただきたいと強く要望しておきたいと思います。  時間も参りましたので最後の質問になろうかと思いますが、今人の面からといいますか、そういう面でいろいろ取り上げたのでありますが、もう一つ道路環境整備の問題、これは交通事故対策上どうしても欠かせざることなんでありますけれども、先ほどいろいろ申し上げました交通事故の特性をとらえた対策を実施していかなければいけないと思うわけであります。特に自動車交通歩行者とを引き離すということも必要になってくるわけでありまして、これは人も車も安心して通れる、また運転できる道路というものがどうしても必要になっていくわけであります。  特に、今高規格道路整備というものが非常に急務になってきておると思うわけであります。最近は自動車道ということで全国的にそういう高速道路が張りめぐらされつつあるわけであります。例えば私どもの方の山口県は島根県との山陰自動車道なんというのがあるわけでありますが、これを待っておりますと三十年ぐらいかかるわけでありまして、各県はこれを高規格道路でつなぎながらそれに持っていきたいという計画を今立てておるようなわけであります。これは公共事業四百三十兆という問題もありますが、この問題にひとつ加速的に、この高規格道路整備を図っていただきたい、こう思うわけでございます。大臣がお見えでございますが、いかがでございましょうか。
  18. 大塚雄司

    大塚国務大臣 まず冒頭広島事故に関連して御発言がございました。建設省といたしましては、二度とあのような事故発生しないように、全省を挙げて取り組んでまいりますことを私からもお答えをしておきます。  今お話しの高速自動車道、確かに人と車の交通が分離されているほかに、交差点がないというような特性がありますから、一般道に比べますと、関係機関等の調査によりますと、事故率というのは約九分の一という低率でございます。したがいまして、交通事故を減少させるということもございますし、また、多極分散型の国土を形成する観点からも、いわゆる高規格幹線道路網の達成というのは非常に重要でございまして、一万四千キロを目標に鋭意努力をしていく計画を立てておるわけでございますが、年間どのぐらいの整備ができるか、先ほどの三十年ということになったら私もこの世の中にいないわけでありますから、少し急いで高規格幹線道路整備するために努力をしてまいりたい。年間大体三百五十キロメートル、従来のほぼ二倍のスピードで整備をするというふうになってきておりますので、御期待にこたえられますように、先ほど申し上げた西暦二〇〇〇年、一万四千キロを達成するために全力を挙げてまいりたい。特に四百三十兆円の公共投資基本計画のスタートの年にも当たっておりますので、決意を新たにしてまた頑張ってまいりたい、このように考えております。
  19. 河村建夫

    河村委員 ありがとうございました。終わります。
  20. 長田武士

    長田委員長 次に、永井孝信君。
  21. 永井孝信

    ○永井委員 短い時間でございますから、問題点を絞って端的に御質問申し上げたいと思います。  せんだって三月十四日に発生しましたあの広島市の新交通システム工事における橋梁落下事件、多数の死傷者を出しまして、犠牲者には本当に心から哀悼の誠をささげたいと思うわけでありますが、あの事故について、現在警察関係では捜査はどの程度まで進展しているのか、冒頭にお伺いいたしたいと思います。
  22. 石川重明

    ○石川説明員 本件事故につきましては、事故当日に広島警察署に刑事部長を長といたします八十名体制の捜査本部を設置いたしまして、業務上過失致死傷容疑事件として捜査中でございます。これまで被害に遭われた負傷者あるいは目撃者あるいは工事関係者等からの事情聴取を行っております。それから、これは何日もかけてやる大変大規模現場の検証をやった。それから、施工業者に対する捜索を行いまして、これらを通じまして、証拠物件の押収領置あるいは関係書類の押収領置ということを行って、事故実態の把握に努めてきておるところでございます。  特に現在は、部外の専門家でございますが、土木工学の専門家に対する鑑定嘱託、これは橋げたの構造とかあるいは落下原因、そのときの負荷状況、そういったような専門的な事項についての鑑定嘱託を行っておる。さらに、工事施工状況作業実態の解明ということで、現在事故原因究明のための捜査を推進中であるわけでございます。  御指摘のとおり、多数の死傷者を伴う極めて重大な事故であるというふうに私ども認識しておりまして、現在嘱託中の鑑定あるいは工事関係者等からの事情聴取等の結果を踏まえまして、事故原因及び過失責任の有無というものについて究明をしていくという段階でございます。
  23. 永井孝信

    ○永井委員 何か事故が起きますと、事故の直接原因、あの工事でいえば、工事の手順にミスがあったのかどうなのか、そういうことが結果として追及されていくわけでありますが、全般的に考えて、どういう状況のもとで、どのような背景のもとで、あるいはどのような事業者、技術者の配置の状況で、そういう総合的な面からぜひ捜査をしてもらって、これからの事故を防ぐための基礎になっていくようなことも警察当局に捜査の段階考えておいてほしいと私は思うわけであります。捜査中のことでありますから細かいことはお聞きすることはできないと思いますが、ひとつ一日も早く解明をしてもらって、これからの事故対策に寄与できるようにしてもらいたいと思うわけであります。  ところで、私も現地へ行ってまいりました。あの事故が起きて一般的に言われていることは、なぜ通行規制をしなかったのか、通行規制さえしておれば少なくとも巻き添え事故はなかったのではないか、全般的にマスコミはそれに集中したわけでありますが、これについて警察当局はどのように受けとめていらっしゃいますか、お伺いいたしたいと思います。
  24. 関根謙一

    関根政府委員 あの事故の際、交通を全面的に制限していたならば下にありました車で九名の方が亡くなるということはなかったということにつきましては、全く御指摘のとおりでございまして、いろいろと反省をしているところでございます。  ただ、言いわけめいたことになりますが、当時、警察といたしましては、まさかあのような不注意による事故が空中から生じてくるということは全く想像することすらできないということでございました。何よりもまず、この工事に伴います交通関係で私ども警察といたしまして意見交換をしました際に、今回の工事の方法が交通を確保しながら安全に施工するための工法であるということの説明をいただきまして、そのような観点から私どもも、いろいろ御説明をいただいて、確かにそのとおりであると確信を持って、交通を確保しつつ工事が行える切り回しという方法によった方がいいという判断で、そのようなことといいますか切り回しの方法による交通確保ということを考えたところでございます。しかしながら、結果としてあのような事故が起こりました。  そこで三月の十九、二十日に道路管理者とも十分協議の上、工事安全確保に関する施工責任者との通報、連絡関係を十分緊密にすることといたしまして、今後、工事内容を勘案しつつ、時間、区域を限定して全面規制を実施するなど、事故再発防止措置を講ずべく全国の警察に指示をしたところでございます。しかしながら、これもすべて結果論でございますが、まことに遺憾であると存じております。
  25. 永井孝信

    ○永井委員 どうも答弁が歯切れが悪くてわかりづらいのですが、何も警察当局だけを責めているわけじゃないので、事故再発防止をするために 私は質問しているわけでありますから、いま少し歯切れよく答えていただきたいと思うわけであります。  通行どめにしておったら巻き添え事故がなかったというのは、単純なことですからだれが見たってわかるわけですね、下に車がなかったら下の巻き添え事故はなかったわけでありますから。しかし、なぜ通行どめをしなかったのかというところに至る経過というものは存在するわけでありますから、そこのところを今後の教訓にするためにも私は重視をしているわけであります。  事故が起きた翌日にこういう新聞記事が出ました。国家公安委員長が、「広島の橋げた落下事故について「広島県警が原因を調べているが、通行止めもしないで作業をするのは狂っている。う回路を作るなどして危険性を回避すべきだった」と安全管理や交通規制面でのミスを厳しく批判した。」という記事が出ました。直接私が聞いたわけじゃなくて、これは新聞記事であります。同じように交通規制をするのが常識だという記事が随分出ましたね。常識だというのであれば、全国で随分と同じような工事がなされているわけでありますが、その常識が通用しているのかどうなのか、ここのところが問題なんですね。工事中に下に車がなかったら巻き添え事故が起きないというのはだれが考えたってわかることでありますから、単にこれは常識を破ったことである、とめるのが常識ではないかということだけで済ませる問題なのかということなんですね。ここのところを私は重視しているわけであります。  私も現地で広島市当局あるいは中国地建の皆さん、県警の皆さん、いわゆる関係各団体の方々から事情聴取もいたしました。そこでお伺いするのでありますが、この工事施工する際の協議の段階で、聞くところによりますと、これは新聞記事にも出ておりますけれども広島市当局から、交通量の多いところであるから交通規制をしないでもらいたいという強い要望があったということが伝えられているわけであります。そのことについて、事実はどういうことなんでしょうか、把握されておったらひとつお聞かせいただきたいと思います。
  26. 関根謙一

    関根政府委員 昨年の一月から八月まで七カ月間にわたりまして工事施行者である市と協議をいたしました。その際、施行者である市の方から、今回の工法は通行どめの措置をとることなく工事ができる工法であること、過去に事故などの発生したことのない安全な工法であること等の理由から通行どめの必要はないという趣旨の御説明を受けたという報告を受けております。
  27. 永井孝信

    ○永井委員 続いて、建設大臣がいらっしゃいますから建設大臣に同じことでお聞きします。  新聞記事ばかり引用して申しわけないのですけれども、これも新聞記事に、「「大惨事になった要因は、工事現場交通を遮断しなかったことにある」と建設省指摘する。」そして、建設省街路課の福井という名前が出ておるのですが、「補佐は「常識で考えられない」と驚き、「管理上のミスがあったのではないか」と話す。」これも新聞記事であります。この事故について建設省基本的にはどのような考え、見解を持っていらっしゃるか、お聞かせいただけますか。
  28. 大塚雄司

    大塚国務大臣 このたびの事故で本当に一瞬にして命を失った犠牲者の皆様のことを思いますと、本当に胸が痛くなります。私自身もこの事故を聞いた瞬間に国家公安委員長と同じようなことを考えました。しかし、直接この任に当たっておりました工事関係者等も、まさかこのようなことは起きないという自信と今日までの経験でやったことだろうと思いますけれども発生したことは事実でありますから、一日も早くこの原因究明することが何より大事でありまして、早速三名を派遣して、その後も鋭意努力をして、広島市を中心とした検討技術委員会を中心にやっていただいておるわけでございます。もちろんのこと捜査中でもございます。  したがいまして、私の立場から的確に断定的にこうだということは申し上げるわけにはまいりませんけれども、これから工事をいたします場合には、本当に予測しないようなことが起きるのだということを前提に、それぞれの役割分担に応じて安全対策を講ずるべきでございまして、今後そのようなことがないように全力で取り組む、この大きな犠牲を一つの契機として改めてすべてを点検して対策をとるということに今徹しておるわけでございます。捜査中で、申しわけありませんが、断定的なことは申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
  29. 椎名彪

    椎名説明員 ただいま事故直後におきます建設省職員のプレス等に対する発言について御指摘がございましたが、私もその関係の衝にあるわけでございますけれども事故直後にプレス関係方々がたくさんお見えになりまして、関係課に来られていろいろと御質問をされたわけであります。しかしながら、その直後の段階におきましては正確な事故状況の報告が入ってまいりませんで、そういった状況のもとでごく一般的なお答えをしたものと考えているところでございます。会話の中でいろいろなことを申し上げた点で不注意な点もあったかと思いますけれども状況はそのようなとおりでございます。その後、正確な事故状況の把握の結果、我々としても的確な対応をとらなければならないということで、るる御答弁申し上げているような措置を種々講じているところでございます。
  30. 永井孝信

    ○永井委員 一般的にお答えになったというわけでありますが、こういう大きな事故が起きると、それは常識で考えられない、なぜ通行規制しなかったのかということで第三者的な立場に立つ、そういう関係者が多過ぎる。みずからの責任でこの問題について対応しようという姿勢がまず見られない。私は非常に残念だと思うのです。  私は何も福井という人を個人的に批判するわけじゃありませんけれども、なぜ通行どめにしなかったのか、常識で考えられないというのであれば、その時点で、二百十三カ所もの箇所で同じような工事が行われておって、うち四十五カ所では同じ横取り工法で橋げたの工事がされておった、ではそれは全部とめてあったのですか。建設省は常識だというのなら、全部とめてあったのですか。それはどうですか。全然手を打たずに、事故が起きたら、それは常識外れだとか、そういうことだけで済ませようという根性が気に入らぬ。その辺のところ、一遍答えてください。
  31. 椎名彪

    椎名説明員 ここの広島交通システム工事を行っている場所につきましては、県道の安佐安古市線という路線でございますが、広島市の北西部の幹線道路でございます。そういったところから、全面交通どめすることがこの地域の住民の皆様方の生活に重大な影響を与えるということが想定されたわけでございまして、そのためにこの工事区間の施工に当たりましては、橋梁を架設する工法として実績のある横取り工法を採用いたしまして、警察とも協議しながら部分的な交通規制により実施したものでございます。  御指摘のように、今回の事故の重大性はわれわれも本当に身にしみて反省をしているところでございますが、今後とも関係方面と十分協議もいたしますし、さらにこの事故原因究明を通じまして再発の防止に全力を挙げてまいりたい、このように考えているところでございます。
  32. 永井孝信

    ○永井委員 それは、再発の防止に全力を挙げてもらうのは当たり前のことなので、私はこういう事故が起きたときに、関係省庁が何か自分が第三者の立場にあるようなことでの対応ということがスタートになることは間違っているということを言っているわけですね。  ところで、建設省がそういう答弁でありますから、じゃ建設省にお伺いいたしますが、昭和四十七年に杉並区で長さ四十六メートルの橋げたが落下をして、下の道を走っていたトラックが押しつぶされて四人が死亡している事故があります。同じような事故なんですよ。建設省が今までのいろいろな経過から本当に工事を安全にやろうとする場合に、今までのそういう事故が教訓としてどのように生かされてきたのかということが問題なん ですね。  最近の落下事故をちょっと取り上げてみました。昭和五十三年九月九日、群馬県において建設中の橋げたが落下、五人死亡、四人重軽傷。昭和五十八年六月二十三日、佐賀県において同じように工事中の橋げたが落下、作業員二人が死亡、一人重傷。五十九年四月十日、香川県、これも工事中の橋げた落下、五人が死傷。五十九年十二月、東京都の大田区で同じく作業中の橋げたが落下、作業員が五人死亡、十三人重軽傷。六十一年三月十八日、和歌山県、これもつり橋の架設工事中橋げたが落下、三人死亡、二人重傷。六十一年十月十四日、沖縄、これも工事中の橋げたが落下、一人死亡、十六人重軽傷。六十二年二月、神戸市で建設中の橋げたが落下、二人死亡、七人重軽傷。そして、平成元年九月、新潟県でやはり工事中の橋げたが落下、二人が死亡、二人が重軽傷。同じような事故がずっと続いてきているのです。  ところが、これだけ同じような工事が二百十三カ所も全国で行われておって、横取り工法が四十五カ所ある。たまたまこういう悲惨な事故が起きた。だから、これから同じ工事については緊急に通行どめをするとかという通達を出した。今までの教訓が全然生きてないじゃないですか、これは。これだけの重大事故が多発してきているのに、事故が起きたら常識で考えられないことで済ませるのですか。ここが私は問題なんです。大臣どうですか、これは。政治家として答えてください。
  33. 大塚雄司

    大塚国務大臣 数々の事故の例もお示しになっての御指摘でございますが、先ほどもお答えを申し上げましたように、予測をしないという表現が適切かどうかわかりませんけれども、それぞれの工事の担当者はそれなりの自信を持ち、今日までの経験を生かして絶対に事故は起きないものと信じて施工をしたものと私は思っております。しかし、おしかりを受けるかもしれませんけれども、二度と起こさないということはもちろん重要なことでありますから、それでは抜本的に何をするかといえば、今申し上げていることをやる以外に方途もないわけでございまして、とりわけ今後この事故に関連していろいろな究明がされた上で、法的にもいろいろな措置がされることとは思いますけれども、私がここで断定的に申し上げることが、またそれらのことに関して影響を及ぼすこともございますので、どうぞそのことについてはお許しをいただきたい。ともかく全省挙げて、このようなことが起きないように全力を挙げてまいる決意でございます。
  34. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 今大臣から御答弁いただきましたとおりでございますが、若干今先生から事故状況の例がございましたので、私どもそれは全部承知しております。その中で、先ほど先生がおっしゃいました東京都杉並区、ここで、首都高速道路公団が四号線の高井戸のところでけたを横取り中でございました。このときにやはり横取り中のけたが落下した、これが四十七年の五月で、非常に不幸なことに四人の方がお亡くなりになり、二人の方が御負傷なさった。それ以外の事例といたしましては、いずれもケーブルクレーンのワイヤーが切断あるいは門構げたのつり上げている最中あるいはコンクリート床版の打設等々、全部それぞれ原因は若干ずつ異なっております。  しかし、こういうような原因につきまして、私ども実はこういうものを全部蓄積いたしまして、例えば架設時の構造物の強度については、道路橋示方書の改訂を五十五年にさせていただいております。それから、架設現場の安全管理につきましては、鋼道路施工便覧の改訂を六十年にさせていただいております。そのほか土木学会におきましてもいろいろと基準を持っておりますし、あるいはその他一般的には土木工事安全施工技術指針といったようなものも私ども指針として持ちながらやってきております。  今回、このような事故がございまして、私ども現在道路協会に専門家を集めていただきまして、さらにこういうような検討、今までの成果が十分生かされていたかどうかも含め、かつ今回の原因がいずれ出てまいると思いますので、そういうものも含めて新たな目で、こういういろいろな問題を専門家の立場で御議論いただいて、大臣が申しましたように今後再び起きないための、技術は日々進歩いたしてまいりますので、そういうことから不断の努力をするために、現在既に特別委員会の設置をお願いしてやっている最中でございます。
  35. 永井孝信

    ○永井委員 その辺の関係についてはちょっと時間があったら後で触れるといたしまして、いわゆる通行どめをしておったら巻き添え事故がなかったということは、もう結果論ではっきりしておるわけでありますから、そうすると通行どめにするかどうかの判断をする場合のことについてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、道交法の七十七条で道路の使用の許可条件というものが定められておりますね。「道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人」こういう人たちが許可を受けなくてはいけない、こういうことで定められているわけですね。これはもう道交法ではっきりしておるわけです。  ところが、今度の広島の新交通システム広島市が発注者なんですね。工事の企画者なんですね。そして、あの道路の管理者はまたこれ広島市なんです。この道交法の八十条でうたわれていることはこのようになっておりますね。専門家の皆さんですから、細かいことは言う必要はないと思うのですが、「第七十七条第一項の規定にかかわらず、所轄警察署長に協議すれば足りる。」となっている。「協議すれば足りる。」、そして、「前項の協議について必要な事項は、総理府令・建設省令で定める。」と、こうなっているわけです。  この道路管理者の特例とは一体何なのか。法第七十七条一項の警察署長の道路使用の許可を受ける必要はなく、警察署長に協議すれば足りるとしていると解説がついている。冒頭に聞いたように、広島市当局は道路管理者であり、発注者だ。だから所轄の警察署長に協議をしたときに、ここの道路交通が非常に激しいところだから交通規制をしないようにしてもらいたい、こういうふうに警察署に強く要望した。サクラダ工業は、この工法は絶対に安全だから心配は要らない、こう言った。これは私は現地で調査のときに聞きました。だから現地の警察は信頼関係において通行どめをしないことを認めたというわけですね。じゃ、この道路管理者の特例というものが生きている限り、警察署が許可をするという立場にあったといたしましても、果たして警察署が判断をして、いやそれでもとめることが正しいということでとめることができるのかどうなのか。道交法上の関係の解釈をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  36. 関根謙一

    関根政府委員 道路交通法の八十条の規定によりまして、道路管理者道路の維持、修繕その他の管理のため工事または作業を行おうとするときは、警察署長に協議すれば足りる旨の規定がございます。  この趣旨でございますが、道路管理者がその道路の維持、修繕その他の管理、これは道路管理者として当然行うべき業務でございますが、その場合に、交通の管理について責任を負っております警察署長との関係で、交通の安全と円滑に及ぼす影響等につきまして十分に協議をするという趣旨でございます。したがいまして、実は中身は許可の場合と実質的には変わりはないものと考えておりますが、一般的にそういう工事を禁止しておいて、特定の、危険がない場合にのみその禁止を解除するというのが許可の考えでございますが、道路管理者はむしろそういう立場にはございませんで、一般的に許された行為を行う場合に交通の管理について責任を負う者と協議をする、こういう趣旨であろうかと存じます。  今回の広島市のケースで申し上げますと、道路管理者たる広島市との間は先ほど申し上げましたように十分に協議を行ったところでありますが、この事業を実際に行います事業者に対しましては警察署長が許可をしております。十項目ほど条件 を付したものでございます。しかしながら、今回の通行どめの件は、道路使用に必要な道路の部分を除いた部分、つまり一般的に通行の許される部分についてなお通行禁止の措置を講ずべきではなかったかという点でございます。その点につきましては、上から落ちてくるというような危険は万々あり得ない、安全な工法であるという説明を受け、それを信じましたために、私どもといたしましても、一般的な通行禁止ということをせずに、道路使用の許可部分に関して通行を禁止するということのみであったわけでございます。しかしながら、それぞれの工事の工程ごとに危険度が違ってまいります。一番危険のあります今回の落下事故の起こりましたような工程の際には、危険であるからということで、この工事の安全について責任を負っておられる方と警察との間で緊密な連絡関係があったならば必要な通行禁止措置もとれたものと考えておりまして、大変遺憾に存じているところでございます。
  37. 永井孝信

    ○永井委員 局長は一生懸命今までの経過についてこういうことだということで言われているわけでありますが、問題ははっきりしておりまして、私が尋ねているのは、道交法上では道路管理者に特例が与えられている、それは、協議すれば足りるということであって、「協議すれば足りる。」という文言から受ける印象というのは、必ずしも警察署の判断に従わなくてはならないということではないんだ、工事する側の、道路管理者側の都合によって道路を通行どめにするかどうかは決められたらいいんだ、そういう道路管理者側の意向が主たる条件になる可能性を持っているわけです。しかも、道交法上ではそういう大きな工事をすることまで、どうひっくり返してみたって想定されていないわけですよ。道路の使用許可あるいは維持管理とかという言葉にあらわれますように、これほど大きな工事が並行して行われるというようなことは想定していない、これがまず第一。  そして、「工事又は作業を行なう場合の道路の管理者と警察署長との協議に関する命令の運用について」というのがございます。昭和三十五年十二月五日に出されたものでありますけれども、これは今も生きているわけです。  これで見ますと、「設計の技術的内容に立ち入るようなものは含まれないと解する。」と言っているわけです。これは警察に対してですね。「設計の技術的内容に立ち入るようなものは含まれないと解する。」こういうことがあるものですから、サクラダ工業のように、絶対この工法は安全だと言い切ったらそれを信用するしかなかった、信頼関係で通行どめにしなかった、こういうことになってくるのです。  ところが、一たん事故が起きるとなぜ通行どめしなかったのかということがわんと出てくる。これに対して、これも新聞記事で恐縮なんですが、このように警察関係者が言われております。これは、名前は書いてないですが、地元の警察関係の方だと思うのであります。これまで全く事故のない安全工法と聞いていた、しかし結果的に起きたことからすると詰めが甘い、こう言われるのであれば、法律を改正して土木専門家の判定を義務づけるほかはないだろう。私は、警察の側からすれば当然このことは求めてくると思うのですね。絶対安全だと言うからそれを信用して通行どめをしなかった、事故が起きた、なぜ通行どめにしなかったのかということになってくるわけでありますから。  だから問題は二つある。現在の道交法がこの種のものに対応し得るものになっているのかどうなのか、あるいは、道路管理者が今の道交法の特例に甘えて、真剣にこの問題の安全性というものを追求する姿勢をとらなかったのではないか。だから広島市当局が、これまたいろいろな取材の中で、あの工事中に通行どめにするようなことは毛頭念頭になかったということを言っているわけですよ。初めからそういうことを想定していなかったということを言っているわけです。絶対に安全だということはあり得ないのです。だから、絶対ということを信じたために大変に後悔することは随分世の中にあるわけです。  そうすると、大きな工事をする際に、最低限ここまで、このような場合はこのようにすべきだという法律上の明確な基準が要るのではないかと私は思うのです。通行どめにするかしないかについても一定の基準が要るのではないかと思うのです。必要であればその法律を改正すればいいわけでありますから、そういう基準を設定するお考えがあるかどうか。  もう一つは、自治省もお見えになっていらっしゃいますが、全国で同じような工事は随分あります。これから四百三十兆円もの予算を使って、日米構造協議の結果随分と公共事業もふえていくわけです。自治体が工事を発注する、道路管理者である、こういう場合に、広島市の教訓に学んで、同じような安易な姿勢を絶対にとらないようにどのように指導されるか。両方お答えください。時間がありませんから余り長い説明は要りません。
  38. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 簡単に御説明いたします。  気になる点が一点ございました。先生先ほど「命令の運用について」というくだりで、「設計の技術的内容に立ち入るようなものは含まれない」、こういう御指摘がございました。そのとおり確かに書いてございますが、その前に、工事等の方法については全部協議の対象ということで、この設計とは、コンクリートの強度が幾らだとかスチールの強度が幾らといったような細かい、そういういわゆる設計のことでございますので、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。  そういう中で、私どもは、道路管理者としては道交法の八十条に基づきいろいろと御協議を申し上げて、一体となって安全確保を図るわけでございますが、その場合それぞれの過去の実績から得られた知見に基づきまして、たくさん今までも橋はかけてまいりましたので、そういうそれぞれがそれぞれの立場で実績を得られておりますので、そういう知見に基づいて交通規制の要否、方法等を判断して、相協力して安全の確保に努めてまいっておりますし、今後もそのようなつもりで一生懸命やっていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  39. 湊和夫

    ○湊説明員 お答えを申し上げます。  御指摘のように、これから公共投資基本計画の実際の運用に当たりまして地方団体が実際に事業を分担する役割というのは、今現在でも過去十年を見ますと約七割に及んでおるところでございまして、今後ともその役割は増加するだろうというふうに考えております。  今先生からお話のありました、特にこういった工事を実施する場合に当たっての安全管理といいますか安全工法も含めた対応というのは私どもとしてももちろん無関心ではございませんけれども、率直に申し上げまして専門的あるいは技術的な分野に関しては私どもの省庁で知見を十分有しているわけでもございません。それぞれの関係省庁で、今特にこの広島の問題に関連しての調査等もいただいておるわけでございまして、そういう中で私どもとして果たし得る役割があれば、私どもとしても真摯にこれを受けとめて対応してまいりたいというふうに存じます。
  40. 永井孝信

    ○永井委員 警察当局にお伺いしますけれども、今捜査中ですが、捜査の結果が出た段階においてはその内容を踏まえて全面的な、こういう安全対策といいますか工事施工も含めてその内容を見直すべき措置をとる必要があると思うのですが、それはどうですか。
  41. 関根謙一

    関根政府委員 捜査の結果、どのような措置を講じたならば防げたであろうかというようなことが出てまいりますれば、それに従って交通規制の方法等についても十分工夫をすべきものと考えております。
  42. 永井孝信

    ○永井委員 もう一つ重ねてお伺いしますが、私は道交法上その規定に問題があると言っているのでありますが、そうすると交通安全を確保するために交通規制のあり方については新たに許可基準というものを、そういう経過も踏まえ過去のいろいろな事故も踏まえて見直してつくり直すべきだと私は思うのですが、それはどうですか。そのお 考えがあるかどうか。
  43. 関根謙一

    関根政府委員 今回の工事で許可に係る部分と申しますのは、橋脚を立ててその橋脚の上に橋げたを乗せるための工法を行うための作業帯部分を使用する必要があるということから、その作業帯の部分を設けた場所について道路の使用を許可するという内容でございます。したがいまして、許可基準そのものは適正であったと考えております。むしろ許可に係らなかった部分、つまり今回の道路は片側十二・五メートルでございまして、歩道部分が三・五メートル、それから九メートルが二車線で設けられた道路でございます。この部分、道路につきまして、橋脚の下以外の部分については一般通行の用に供されておりまして、この部分は許可といいますか作業のために必要な部分として占拠する必要がなかったということからでございます。そこで、そのような部分についての通行の規制の方法については十分検討する必要があると存じます。  何よりもまず、作業の工程ごとに危険の度合いについて緊密な連絡を工事の安全管理の責任者方々ととる必要があるということを考えます。その各工程の危険の度合いに応じて時間及び区域を定めて全面通行どめをする等の措置も必要であると考えております。しかしながら許可基準そのものの方は、これは従前どおりでよろしいのではないかと考えているところでございます。
  44. 永井孝信

    ○永井委員 いや、許可基準現状どおりでいいのではないかというお考えでありますが、単に車が通行する面の話ではなくて、工事内容によっては危険が想定される場合に、じゃどのように許可をするのか、あるいはどのような内容で協議をして結論を出すのかということについては、ここで明確に答えることはできないかもしれませんけれども、やはりそこの許可に至るまでの作業のあり方についても何か基準がないと、そこは明確にできないわけです。だから道路管理者の特例で何とかこれは通行どめにしないようにしてほしいということがあれば、まあまあそこを優先しようか、こういうことになっていくわけですね。しかし事故が起きてしまったらこれは後で大変なことになってしまう。現にあの場所でも大変な通行量があって、通行どめにすることが市民の生活に大きな影響を与えるということでありました。確かにそのとおりでしょう。しかし、事故が起きてからかなりの日にちを通行どめにしているわけですから、通行どめにしたら別にそのことによって広島市のすべての市民生活がストップしたわけでもないのでありますから、やはりどの辺までが受忍の範囲かということは当然あるべきであって、そういう立場に立って安全第一ということを考えてもらいたいと私は思うのです。  それから、時間がなくなりましたから非常に恐縮でありますが、例えば建設省で言いますと、建設大臣、これはこの間労働省でもやりましたが、今度のこの作業者の犠牲者を見ますとひ孫請まで入っておるんですよ。多重、重層下請構造、こう呼んでおりますが、特に建設業界は多いのですが、元請は技術力も資本力も持っている、しかしその元請が下請に出す、その下請がまた第二次の下請に出す、第二次の下請が第三次に出す。今度の場合でも犠牲者が一番多いのは第三次の下請なんですよ。その中に十六歳とか十八歳の少年まで入っているわけです。これは技術力も持っていない、経験もない。しかも、その雇っている第三次下請の企業は資本力もないわけですから、下請から孫請、ひ孫請へと来ると当然のこととして請負単価は下がってきますね、まともな労働者を集めることはできない。そういう今の建設業界の多重下請構造というものが今度の事故にも直結していると私は思うのです。  これらについて建設省は、今度の事故について建設省発のいろいろな通達を出されて、類似の工事についてはとりあえず交通規制をするなどの対策は講じていらっしゃいますけれども、それはあくまで暫定的な、まあこう薬張りのことであって、やはり全体の建設作業に係るそういう工事の携わり方、これらについてメスを入れていかなければいかぬと思うのです、あるいは対応策をきちんと考えていかなければいかぬと思うのです。これらについて建設大臣にお答えいただいて、そのほかたくさん質問を準備しておりましたけれども、時間がなくなりましたので、準備された皆さんには申しわけないけれども、この質問で終わりたいと思います。
  45. 大塚雄司

    大塚国務大臣 この事故に限らず、建設省といたしましては数多くの公共事業を所管いたしておりますし、全建設業の監督の立場にもあるわけでございまして、御指摘のような元請、下請の問題等につきましては大変重要な問題と考えております。特に建設産業というのは総合的な管理監督機能と直接施工機能が組み合わされておる総合組み立て産業でありまして、工事の適正な施工のためにはこれらの問題について的確な指導に努めてきたところでありますが、この二月に、この建設産業の生産のあり方について合理化を一層進めるということもありますので、建設産業における生産システム合理化指針というものを策定いたしまして、適正な施工体制の確立を目標に進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。  御指摘の問題については特に今後も重要な問題として取り組んでまいりたいと存じます。
  46. 永井孝信

    ○永井委員 終わります。
  47. 長田武士

    長田委員長 次に、山下洲夫君
  48. 山下八洲夫

    山下(八)委員 実は最近、特に三百キロ以上の長距離バス路線が大変な状況になってきておりますので、きょうは若干高速自動車道におきます長距離路線バスの安全確保等について、私なりにちょっと気になるところを質問させていただきたいと思います。  今ちょっと申し上げましたとおり、平成元年の一月ではわずか二十九路線だったのですが、平成二年十二月現在では百四十四路線と大変な勢いで伸びてきているわけです。この元年の一月から比べましても約五倍ぐらいになっている。こういう中で、これから将来、そうでなくても今高速道路でいろいろな事故が多発しているわけでございますし、事故が多発する可能性があるのではないかなということを私は心配をいたしまして、若干質問させていただきたいと思うのです。  高速自動車道における長距離定期路線バスの事故というのが随分あるわけですね。この最近だけでも、つい最近の二月二十五日の東名の愛知県内の事故というのは大変な悲惨な事故でございましたし、これは「大雪でスリップが続発 東名で九人死亡 もっと早く閉鎖していれば」というような見出しになっているわけです。それから同じ日に転落事故もあったわけですね。それからまた、二月十五日の午前一時ごろには京浜急行のバスが名神の下り線で六台衝突事故を起こしている。あるいはまた、平成二年の十一月三日には、長距離バスが走行中燃えてしまうというような事故もあるわけです。また、平成二年九月十一日には、これはJR九州バスでございますが、トラックが分離帯を飛び越えてきて正面衝突をしている、こういう事故も起きております。平成元年の十二月三十日には、「トンネルを抜けたら雪でスリップバス横転三十九人けが」となっておりますが、これは長崎バスが山口県の方でやっておるわけですね。  まだまだあるわけでございますが、このようにいろいろな、それぞれ違った角度の事故が多発をしているわけです。これにつきまして簡単なコメントを、それぞれ警察建設省とそれから運輸省からちょっといただきたいなと思うわけです。
  49. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘の長距離路線バスの交通事故につきまして原因別で見ますと、先生指摘のとおり平成二年十一月三日の中国縦貫道での事故は、バス自身がエンジン部分から発火したという事故でありますし、同じく平成二年の九月十一日の中国縦貫道での事故は、対向進行中のトラックが単独事故を起こして中央分離帯を突き破ってきたために衝突されたという、いわば受け身の事故でございます。  これに対しまして、ことしの二月二十五日の東 名高速道路における二件の事故につきましては、現在捜査中でございますが、積雪時においてスピードの出し過ぎと前方の不注視といったような運転技術に関する事故であろうかと存じます。私どもといたしましては、この種の運転技術あるいは運転の際の心構え等から生ずる事故は何としても防止したいと考えているところでございます。
  50. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 高速道路バスが現在百四十六路線で走っております。これが六十三年以前は十一路線でございました。したがって、この数年間で十倍以上の物すごい飛躍的な増大をいたしている現状でございます。  高速道路事故の特徴を見てまいりますと、一番大きいのはやはり大型車を中心とする事故が最近の特徴になってきております。また、深夜、早朝、それから二十歳代以下の若者の死亡事故等々が非常に多い、こういう特徴を持っております。しかし、絶対数を見ますと、平成二年度で三百十八件、平成元年が三百二十七件でございますから、極めて多いとは思いますけれども、横ばいの状況ということでございます。一般道路と比べますと、設計の段階計画段階で出入り制限等をきちっとしておりますので、前に大臣からお話がございましたように九分の一という程度ではございますが、速く走るということから、事故が起きた場合には非常に痛ましい事故が起きる。  こういう現状にかんがみまして、平成三年度から交通安全五カ年計画と並行いたしまして、新たに高速道路につきましても五カ年計画をつくって、その中で対応しよう。その場合の視点といたしましては、例えば走行条件の改善ということでは照明をまず挙げております。それから自発光の視線誘導灯等、排水対策、あるいは安全性の向上としては中央分離帯の問題、あるいはいらいら運転、過労運転ということではサービスエリアとかパーキングエリア、それぞれの状況に応じましてこういう大きな事故を何とか防ぐための努力、従来、過去の五カ年間で約千五百億円ほどこういうものに投じてまいりましたけれども、その約二・二倍の規模でこれからの五カ年計画を対応したい、かような考え方でこれから対応していくつもりでございます。
  51. 松波正壽

    ○松波政府委員 運輸省の方からお答えをいたします。  先生指摘のように長距離の高速バスが四月一日現在で百四十六路線、今後も増加しようということでございまして、やはり多数の乗客を輸送するわけでございますから、何といたしましても事故防止に万全を期していきたいということで、日ごろから、例えばソフト、ハードの両面でいいますと、運行管理の面、運転者に対する適性診断の問題、あるいは車両に着目しますと車両管理の問題等いろいろ施策を講じてきております。  先ほど御指摘がございましたように四件の中でも、五件でございますか、その中でも、我々が特に重要視いたしました例えば一番最近の二月二十五日の事故におきましても、通達を出しまして、関係方々に対し事故防止の意識高揚のためにいろいろ施策を講じてまいりました。従来でございますと、通達だけでなかなか浸透しないわけでありますが、今回は全国団体におきましても会合を開いていただき、あと各地域におきましてそれぞれでフェース・ツー・フェースでいろいろな経験を語るなどして、事故防止に万全を期しているところでございます。
  52. 山下八洲夫

    山下(八)委員 先ほど警察の方からの御答弁で、火を噴いて燃えましたのはこれは論外としまして、それ以外のこの長距離の定期バスというのは、私なりに判断しますと、全部どちらかというと受け身の事故でないかなと私は思うのです。  一つは、新しいので申し上げますと、この二月二十五日未明のあのJR東海バスの転落事故、あれも前に結局車がとまっていたというのがあるわけですし、あの多くの死傷者を出しました中のバス一台も一つは受け身なんですね。そのほか、それぞれとにかく前に車が、横すべりしたりしてとまっているのですね。高速道路というのは大体道に車がとまってはいけないところなんです。そこにとまっているから障害物が起きて、そして受け身の状態事故になってきているというふうに私は思うわけです。  これは一つは、結局はかなり高速道路自身が飽和状態になっているというのも原因があるでしょうし、すべてがスピード違反というふうには私はすぐには思えないわけです。そういう中から見ていきますと、ある面では、これだけ自動車も発達をして性能もよくなっている、そして大きくなっている、ですからスピードもアップする。昔から比べれば安定度もかなりいいとは思うのです。だけれども、現実に見まして、この高速道路の持つ構造上の欠陥がある面であるのではないかと私は思うのです。先ほど建設省の方で、五カ年計画で例えば中央分離帯の問題とか照明の問題とかあるいはサービスエリアの充実の問題とか、二倍のスピードで改良していくという御答弁があったわけです。  まずその一つとしまして、これは構造上の欠陥なのか、自動車の性能から来ているのか、これはぜひ警察にも御答弁いただきたいと思うのですが、まず高速道路、中央自動車道のように八十キロのところもございますけれども、東名とか名神とか、あれは大体百キロ制限でございますね。その百キロ制限は乗用車とかバスとかあるいは小型貨物になっているわけですね。軽自動車とか大型貨物自動車、こういうものは八十キロ制限になっています。同じ道路を走るのに制限速度が違う。  そこで、ある面では東名なんかかなりの飽和状態になっているのです。私もこれを質問するのに十年ぶりくらいに東名を東京まで走ってきたわけです。日曜日でしたけれども、巡航速度を見ていますと、トラックを含めまして、それこそ大体百二十キロぐらいで東名は走っていますね。それを追い越していくのは何キロぐらいで走っているだろうとちょっと様子を見ると、百四十とか、そういうのも正直言いましてかなりまじっていますよ。その中へまじめに、百キロで、車間距離百メーターとって運転しようと思ったら相当な技術者でもできないと思うのです。なぜかといいますと、車間距離をとればどんどん中へ割り込んでくるのですから、車間距離のとりようがないのですね。そこへ、例えば八十キロの制限速度をきちっと守って軽自動車なりあるいはトラックが、制限速度の違う車がまた入ってきた、どうやってもあれはうまく走れる人はいないと思うのです。なぜ八十キロと百キロに制限速度を分けてあるのか、これは道路の構造上から来ているのか、車の能力から来ているのか、この辺ちょっとそれぞれ御判断、答弁いただきたいと思うのです。
  53. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のとおり、道路交通法施行令の規定によりまして、大型乗用自動車及び普通自動車で軽自動車以外のものにつきましては百キロメートル毎時、それから軽自動車等につきましては八十キロメートル毎時というふうに高速自動車国道の本線車道を走る場合の速度が法定されております。この法制の根拠、考え方でございますが、これは自動車の性能に着目してこのように定めたものと理解をしております。  しかしながら、先生おっしゃられました巡航速度、実勢速度では必ずしもこれによっていないということがありまして、これは車間距離をどうとるかということでありますとか、キープレフトの考えに忠実に従っているか否かということから来る問題であろうかと存じます。
  54. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今の御答弁を素直に受けとめますと、やはり自動車の性能上、それによって最高のスピード制限が八十キロと百キロに制限されているというふうに今私は理解をするわけです。  そうしますと、あれだけ車両の通行の多い、また大変ハイスピードで走っている高速道路、そのことを考えますと、やはり二十キロというのはかなり大きいわけですし、それから一般的に指導されておりますのは、百キロのスピードで走る場合は百メートルの車間距離をとりなさい、八十キロの場合は八十メートルの車間距離をとりなさいという指導になっているのですね。そういう中で二種類の——最高速度が百だから八十でみんな走れ ば一緒じゃないか、それはへ理屈だと思うのです。やはり今車はそれぞれ性能がいいですから、最高速度百になっていれば百を出したい、これは人の気持ちだと思うのです。そうしますと、それが二十キロもスピードの違うものが同じ道路に混在してハイウエーを走るのはかえって危険度が増してくるのではないかというふうに思うわけですが、そういう意味からハイウエーにおきます最高速度をとにかく一本化するという考え方はございませんでしょうか。
  55. 関根謙一

    関根政府委員 危険度ということで事故の統計を検討してみますと、軽自動車についてでございますが、高速道路での軽自動車の人身事故の件数は、平成元年が軽自動車が第一当事者となったもの二百四十一件、平成二年が二百五十八件でございまして、比較的事故件数は少ない割合になっております。他方、軽自動車の台数は自動車台数六千万台のうちの千五百万台、四分の一ほどでございます。そういうことで、事故の件数そのものから見ますと、特に危険だということはこの統計の方からは出てきていないわけでございます。  しかしながら、先生の御指摘のような実際の交通の方法を見てみますと、いろいろ問題があるということは御指摘のとおりかと存じます。そこで、現在建設省、運輸省と共同でこの問題を検討すべく委員会をこしらえて、今後いかがすべきか検討を進めているところでございます。
  56. 山下八洲夫

    山下(八)委員 軽自動車事故が少ない、これは大変ある面ではうれしいことなんです。これは軽自動車だけでなくて、ほかの事故も少なくなることは大変うれしいことで喜ばしいことだと思うのです。スピード制限八十キロというのは軽自動車だけではございません。大型トラックもそうなっているのです。まあ、大型トラックは横へ置いておきましょう。軽自動車が一たんハイウエーで事故を起こしますと、本当に命はないもの、天国か地獄か知りませんけれども消えてしまう、これぐらい危険な自動車だと思うのです。  そこで、少ないとおっしゃいますけれども、これは少ないのじゃないのです。例えば、東名、名神、中央道で平均をしますと、これは道路公団からいただいた資料なのですけれども、これは軽自動車だけ料金所で絞ってないものですから、自動二輪も一緒になった台数で、軽自動車だけに絞ることはできないのですけれども、東名、名神、中央道を平均しますと二・九六%、約三%しか走ってないのですね。だから、百台のうち三台ぐらいしか走ってないのです。日本じゅうの高速道路の平均でも二輪車を含めて三・九%です。これぐらい少ないのです。ですから、事故は目立たないのです。  きのう、たまたま私も常磐道を走って視察に行かせていただいたわけでございます。どれくらい軽自動車が走っているだろうと一生懸命眺めたのですけれども、往復で二台しか見つけなかったのです。これくらいやはりいないのですね。それが、東名なんか走っていますと、時々まじめに八十キロでことこと走っているのもいらっしゃる。あるいは、性能がいいから百キロ以上出して走っている軽自動車もあるというような状況なのです。  ですから私は、もし性能がいいのであれば、軽自動車乗り入れ禁止しろとは言いませんから、トラックを含めて同じ制限速度にしていく、このことを検討してもいい時期に来ているのではないか。やはり車というのは、安全を確保するため、それぞれの車が同じスピードで同じ車間距離をとって走るのが一番安全確保ができると思うのです。そういう上から、ぜひ検討していただきたいというふうに提起させていただきたいと思います。  それから、軽自動車はこの程度の利用率だから、また軽自動車愛用者におしかりを受けるかわからないのですけれども、ある面では思い切って、軽自動車はハイウエーは乗り入れ禁止ぐらいに思い切った措置をとってもいいのじゃないかと思ったりするわけですけれども、その辺も含めて検討しておいていただきたいと思います。  それから、先ほど五カ年計画で、照明とかあるいは中央分離帯とかサービスエリアとか充実させていきたいという御答弁があったわけでございますけれども、私は今お話しのとおり、カーブとかトンネル、トンネルなんかを走っていますと、特に昼間なんかぐっと狭い感じがするのです。狭い感じがしますし、天気のいい日だと、あれだけ照明がついていても大変くらい感じがする。ちょうど映画館に入って映画を見る最初の感じがするわけです。ですから、そういうことを考えますと、そういうところにも事故を引き起こす少なからずの原因も出てくるのではないかというような気がいたしますので、先ほどお話がございましたが、これは深く追いませんけれども、そういう照明の問題とかカーブの問題というものを総合的に、もうちょっと安全の確保をする、そういう上からの努力をぜひしていただきたいと思う次第でございます。  それから、特に二月二十五日の愛知県内で起きました東名高速道のあの悲惨な事故でございますけれども、いろいろな原因がありますけれども一つは、標識、規制区間が実態に合っていないのではないか、もっと効果を発揮するような標識にすべきではないかなと思うわけです。  今回あの事故のとき、東名はあの部分は五十キロに規制されたわけでございますけれども、例えば異常時の速度規制を、雪の場合で今五十キロですけれども、そうでなくて、思い切って三十キロまでに抑えてしまうとか、あるいは凍結チェーンの装備あるいはまた思い切って閉鎖を早くするとか、あるいは高速道路の規制区間を、現在インターチェンジ間になっているのを、この間の事故なんか一番のいい例だと思うのですけれども、静岡の方の三ケ日あたりは五十キロ規制しなくても、雪もないのですし、スリップ状況は起きないわけですね。だけれども、現実には岡崎より行けばスリップ状態になってくる、こういう状況ですので、これは距離が相当あるわけですし、思い切って道路規制の標識を、五キロがいいのか十キロがいいのかわかりませんけれども、ある程度短い間隔でドライバーの皆さんに早く周知徹底をさせていく、そういう規制のための標識を管理をする必要があるのではないかというふうに思うわけです。その辺のことについて、今後標識問題をどう考えていらっしゃるか、道路公団の方にちょっとお尋ねしたいなと思います。
  57. 山下宣博

    山下参考人 今速度規制の標識のお話を伺ったわけでございますが、速度規制につきましては交通管理者の方で決定されておるわけでございます。私どもの方では、道路上の情報板によりましてもっと多くの事象をお知らせをしているわけでございます。この情報板の設置の状況につきまして、まず御説明をさせていただきたいと思います。     〔委員長退席、竹内(勝)委員長代理着席〕  高速道路上に可変情報板を設置してございますが、変化する道路の渋滞あるいは事故交通状況、気象状況、路面状況等をお知らせする目的でございまして、交通量あるいは事故等の増加に伴いましてその重要性がますます高まっていると認識をいたしております。この情報板は、インターチェンジの入り口、一般道路上にも置いてございますが、ただいまの本線上の問題につきましては、各インターチェンジの出口付近に設置してございます。さらに、インターチェンジの間隔が長くなってまいりますと、中間にもこれを増設いたしまして、できるだけきめ細かな情報が提供できるような設備をいたしておるところでございますし、また内容的にも多くの事象をお知らせできるようにということで、現在性能の向上を図っているところでございます。  現在御指摘の東名、名神の状況について申し上げますと、東名、名神五百三十六キロの中にございます情報板が、インターの出口の情報板が九十三基、中間の情報板が四十四基、そのほかにさらに広域情報を流すためのより大型の情報板が十二基設置してございます。さらにそのほかにハイウエーラジオを設置してございますが、ただいまの区間で二十三カ所設置してございますし、さらに 細かな道路情報を提供するためのハイウエー情報ターミナルというものをサービスエリア等に設けてございますが、これを現在五カ所設けてございます。そういった施設を有効に使いまして、できるだけ有効な情報を提供していきたいと考えております。
  58. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ドライバーにとにかく少しでも早く情報が伝わる、こういう環境をつくるにはやはり情報標示板が一番いいと思うのです。私も高速道路を比較的利用させていただいているのですが、特に一宮—小牧付近というのはよく使わせていただいているのです。あそこにハイウエーラジオがあるのです。あそこでちょっと入れようと思っても、なかなか思うように入らないのですね。その間距離が過ぎちゃって、現実には届かないという状況になっているのです。だから、ラジオというのはトンネル内は、恵那山トンネルの中は入れておきますと二回くらいは入ってきますけれども、意外に入ってこないものなんです。ですから、ハイウエーラジオというのは予想以上に私は効果がないのではないかと個人的には思います。ですから、ラジオの問題についても一遍検討してみていただきたいと思います。     〔竹内(勝)委員長代理退席、委員長着席〕  私はきょうは、そちらより、中心は車両構造上の問題点があるんではないかというのを気にしているのです。特に運輸省の方に二、三点お尋ねさせていただきたいと思うのですが、これはあくまでも、私はきょうは、一般道路での路線バスとかそういうことではなくて、高速道路を走る、ハイウエーを走ります長距離定期バスの問題を中心にお尋ねしていっておりますので、その辺誤解をしないでいただきたいと思うのです。  この間の二月二十五日、JRバスが転落しましたね。あのバスは車高の高い、そして全長十二メートルですか。そして後ろのタイヤが二軸のタイヤで、前がパワーハンドルで、それからチェンジレバーがフィンガータッチ式のチェンジレバーというのがついた車が転落しているのですね。  まず一点目としまして、私は最近のフィンガータッチ式のチェンジレバーというのは、一般道では問題ないと思うのですが、山間部は意外に使わないのです。なぜかといいますと、山間部は山が多いですから、登坂に大変弱いのですね。トップで走っていて、ちょっと力が落ちたといってサードに入れますと、サードに力がなくてもう一つセカンドぐらいに落とさないと上がっていかない。それはなぜかといいますと、今までの普通のチェンジレバーと違いまして、電子式になっているのかあるいはコンピューターになっているのか、私も専門家じゃないからわかりませんけれども、チェンジレバーは入っているのですけれども、入った後つながるまで一秒か二秒ぐらいフリーの状態になっているのですね。そういう状況になるから力はうんと落ちてしまう。だから山向きではないというので、山間地ではこのチェンジレバーを使っていないのです。高速道路は使っているのですね。私もさわらせていただきましたけれども、確かに小指一本で簡単に入る。大変軽いのです。実に便利なものです。  だから私は、この事故で、高速道路を走っておりますプロのドライバーにいろいろと尋ねてみたのです。高速道路では、このフィンガータッチ式のレバーがいざというときに大変マイナスを来すのではないか、こう言っております。それはなぜかといいますと、先ほどちょっと触れたわけでございますけれども高速道路というのは、道路を走っている間は大体ずっととまらないのですね。一般道路と違いまして信号もありませんし、障害物もないというのが前提ですし、それもトップギアに入れたらそのまま大体走っていく。よほどの登坂車線でも今は車の性能がいいですから大体トップギアで走っていく、こういう状況なんです。減速をしたりしますときには、何か事が起きたときに減速をする。ですから、例えば八十キロで走っていまして障害物があった。これは大変だというのでブレーキを踏む。それと同時に、少しでも減速をして、エンジンブレーキも使っていきたい。こういうとっさのときなんです。そのとっさのときに一秒ないし二秒フリー状態になってしまいますから、そうしますと、その間仮に百キロで走っていますと、一秒間で二十八メートルも進むわけですから大変危険だ。ですから、フィンガーレバーでない方がいいんだということを盛んに言っておりました。  運輸省、その辺につきまして技術的に、フィンガーレバーの構造について検討なさっていらっしゃるのでしょうか。
  59. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答えをいたします。  今先生、るるいろいろな内容についてお触れになりましたが、御指摘の高速バス等に使われておりますフィンガータッチ式のシフトレバーにつきまして、まず構造面からちょっとお話をさせていただきたいと思います。  従来のシフトレバーのリンク機構を、それに対しまして、ちょっとお触れになりましたが、電子制御等によりまして遠隔操作ができるようになっておりまして、これはなぜかといいますと、運転者のシフト操作の容易化を図った機構であるわけでございます。したがいまして、これまでのリンク式の機構としましては、これも先生御案内ですが、チェンジレバーの動きをコントロールロッド、いわゆる機械式な方法によりまして、リンク機構を介してトランスミッションのシフト操作を行っているわけでございますが、今御指摘のございましたフィンガータッチ式の機構といたしましては、チェンジレバーの動きを一度マイクロコンピューターによりまして電気信号で指示をいたしまして、力の方におきましては、エアタンクからのエアの圧力によりましてトランスミッションのシフトの操作を行っておるわけでありまして、したがいまして、このような構造でございますから、トランスミッションのシフト操作の方式には差はございますけれども、トランスミッション以降の動力伝達機構につきましては従来の機構と同じでございまして、御指摘がございましたような、例えばエンジンブレーキ作動上の時間のおくれはないかというお話でございますが、通常の使用方法であればこの方式につきまして違和感がないように設計、製作されておりますから、私たちの理解といたしましては、これまでのリンク機構のものと相違がないものと考えている次第でございます。
  60. 山下八洲夫

    山下(八)委員 あるバス会社においては、このフィンガータッチ式は高速道路では一切使わせないというので、導入してない会社も現実にあるのです。それから、先ほど申しましたように、山間僻地のところはこれは大変力がないというのは、結局、減速したときにすぐつながらないから力が落ちてしまうのですね。それで導入をしないということなんです。  今度、高速道路といいますのは、先ほど言いましたように、一たんトップギアまで入れてしまいますと、それほどドライバーの労力は——一般道路の路線バスのようにローに入れたり、セカンドに入った、それまた信号でとまった、そういう平たん地の激しいところでしたら別だと思うのです。そうでなくて、高速道路は一たんトップギアに入れましたら、次の停留所までほとんどトップギアでいくというのが常識なんです。そういうことから、そんなにチェンジレバーをさわることもないのです。簡単に言いますと、チェンジレバーがあっても、ノークラの車と同じようなものなんです。  そういうところからいきますと、ずれはないとおっしゃいますけれども、現実にハンドルを持っていらっしゃる皆さん、ずれがあるとおっしゃるのですね。ずれがあるから、結局エンジンブレーキがきかない。山間僻地でいいますと、馬力が落ちてしまうというのが出てしまうのですね。それこそ、高速道路ですと、先ほど言いましたようにスピードを上げているのですね。ですから、高速道路の途中でとまるのは、何か起きて思い切ってとまるために、減速するためにいろいろな行動を起こすのですね。その行動がたとえ一秒でなくて十分の一秒であっても、そのことによって事故を 免れることだってできるのですね。現実にハンドルを握っている方はそうおっしゃるのです。私も横へ乗せていただいて、いろいろと説明を聞きながらさわってみたのです。確かに変速するためには便利です。高速道路であそこまでそれを求めるより、それ以上に安全をより重視した方がいいんではないかという気がするわけです。  ですから、このフィンガータッチ式のレバーにつきましては、本当にフリーの状態はゼロなのか、あるいは例えば十分の一秒でもあるのか、その辺もうちょっと研究していただいて、近々また私にもぜひ教えていただきたいと思う次第です。この問題はいいです。聞いたって同じ答弁になってまいりますので、時間がなくなりますのでおきたいと思います。  それからもう一つ、これも高速道路での話です。  チェンジレバーの並び方なんです。上を前にしてちょっとチェンジレバーだけかいてみたのです。(図を示す)今、バスは大体六速なんですね。上に二、四、六。六速の場合、一番これがオーバードライブになると思うのですけれども、こういう並び方になっているのです。昔の国鉄は、ハイウエーを走る車は全部一、三、五、奇数が上だったのです。今は両方あります。そして、最近全体的にバスを見ていきますと、二、四、六、これが前にあるのが多いのです。大体高速道路は六速目を入れて走っているのです。先ほど言いましたように、それにフィンガータッチレバーがついている。それで急ブレーキをかけてとまろうとすると、やはりエンジンブレーキも一緒に使うから、六から例えば五なり三なりぼんと思い切って、大体二つぐらい飛ばすそうですね、危険ですから。飛ばして三ぐらいにぼんと持ってくるとおっしゃるんですよ、急停車の場合。そしてバスですから大きいですし、で、ブレーキは前に踏む。ブレーキは前に踏みますね。手は後ろへ持ってくる。これを同じ方向にやった方がより行動としては、人間の反射神経を含めてやりやすいと言うんですね。ですから、前の国鉄時代の国鉄バスのようにハイウエーのは並べるべきではないか。これは構造とかそんなの何でもなく実に簡単なことだとおっしゃるんですね。これはドライバーのことを考えれば前を奇数にした方がいいんではないかなというふうにプロドライバーはおっしゃるんです。  それで私も自分の車を見てみたんです、乗用車ですけれども。あのノークラの。そしたらパーキング、それからバックへ入りまして、ニュートラになって、ドライブになって、それからセカンド、ローと大体こう並んでおるんですね、大体全部。やっぱり乗用車だと、いざというときにばんとやったときにこれは逆に並んでいた方がかえって便利だなというふうに率直に感想として感じたわけなんですよ。  ですから、こういう問題も、小さな問題だと私思いますけれども、これからハイウエーでどんどん長距離路線バスがふえてくる、こういう小さいところを少しでも、お金をかけなくたってこれはもうメーカーに発注するときに簡単にできるんですから、こういうところを技術的に、やはりハイウエーを走る旅客バスあるいは一般道路を中心に走る旅客バス、そういうものはある程度こういうことまできめ細かく指導するということが大事ではないかと思うのですが、このチェンジレバーについて御感想いかが感じますか。
  61. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答えをいたします。  今先生非常に具体的に例を挙げて、いわゆる走行方向における運動に対して、普通、慣性の力が働きますから、それに対して操縦レバーの方向が少し違和感がある方向にあるんではないか、こういう御指摘かと思いますけれども、この変速パターンにつきましてはいろんな実態から今日の状況がございますけれども、今先生指摘の中のエンジンブレーキを一つ考えた場合でも、今先生の絵の中にもございましたように二速、四速、六速の偶数が上に並んでおりますが、奇数も使うわけでございますから必ずしも先生指摘の方向ばかりではないんですけれども、やはり一番重要な部分でございますから、我々もこの問題につきましても関心を持ちながら対応してまいりたいと考えております。
  62. 山下八洲夫

    山下(八)委員 時間がありませんのでもう一つだけ急いでお尋ねしておきたいと思います。  この間の転落事故のJRバスですけれども、あれは後輪二軸のバスなんです。先ほどちょっと触れましたけれども、パワーハンドルがついていまして。後輪二軸というのはスピードが毎時六十キロ以下になると後輪の一番後ろ側の一軸がシャフトから切れるようになっているんですね、自動的に。それはなぜかといいますと、一般道路の狭いところを走りますときに、内輪差が小さくなりますから、後輪ダブルですから、実に曲がりやすい。で、後ろは六十キロ以下ですとフリーになっているんです。だから後輪の前側の軸の車について走るという状況が六十キロ以下で生まれるようにつくってあるんです。あれも高速道路では大変危険だとおっしゃるんですね。  この間の事故の運転手さんの話の中の一部には、やはりあれは凍結で大体六十キロぐらいで走ってきたそうです。前に障害物があったからそれをよけるために最初に右にハンドルを切った、そして障害物は左に切ってそのまま行ってしまったというような状況なんですけれども、結局それだけ急激に変化をしますから一番後輪の軸の車が同じようについていかなくて逆を向く、そういう状況が起きているんじゃないかとおっしゃるんですね。ですからあれは、高速道路の場合は一軸でも二軸でもいいんですけれども、やはり何というんですか、シャフトというんですかね、動力を送る。あれが切れないような構造の方がより安全を保てる。一軸なら一軸で結構です、そんな小回りするところはないですから。二軸だったら二軸も切れないような状況のものを高速道路は使うべきではないかというふうにおっしゃっていたわけです。ですから、その辺も構造的には改良すべきところがあるんではないかというふうに思います。全体的には一軸の流れに今車体を軽くしてなってきているそうでございますけれども、二軸の場合はそういう欠点があるというふうに思います。  これからまた二階建てバスがどんどん導入されてくるわけです。乗務員には監視義務というのがございますね。ですから二階建てバスの場合は、まあ一階の場合は室内をミラーで見れるわけですけれども、二階を監視するためには、二階はミラーで見れないのです。ですからテレビのモニターで見る以外にないのですが、前は見なくちゃいけない、中のモニターを見て二階の客席まで見なくちゃいけない、そういう監視義務もございます。  時間がありませんからもう一つ言っておきますけれども、もう一つは、どんどん車高が高くなってきます。車高が高くなってだんだんバスの重心も上に上がってきているわけです。横風にもカーブにも大変不安定さが増してきているんですね。こういうふうに、ある面ではドライバーに対していろんなそういう構造上の労働過重がされながら、そして一たん事故が起きますと大体ドライバーの方の責任が大なんですね。このようないろいろな原因がもう一つは構造上からもあると思うんです。そういう点から、構造上特に長距離の路線バスは人命をたくさん預かるわけですから、もうちょっと慎重に検討していただきたいというふうに思うわけです。  この三点につきまして簡潔に御返事をいただいて質問を終わりたいと思います。
  63. 松波正壽

    ○松波政府委員 お答えいたします。  お時間がないですから簡潔にお答えをしたいと思いますが、最初におっしゃいましたのはセルフステアリングシステムという機構でございますけれども先生も御指摘ございましたように車体の小回りの特性を生かして何とかうまくやろうということでございますが、我々今の機構からいいまして特に問題はないと思っておりますけれども、今先生いろいろお話がありましたのでよく承って、具体的な事例に即してこの辺は考えを決めないといけないかと思います。  いずれにしましても、一般論で申し上げます と、現在の機構が走る場合あるいは後退する場合、速度が低い場合等を含めて制御できるようになっておりますから特に問題はないと考えておりますけれども、具体的な例につきましてはお尋ねを受けて考えさせていただきたいと思います。  また、モニターテレビについてお触れになりました。やはり二階建てバスがワンマン運行を可能にするためには、どうしても客室内の状況を確認する、今までは鏡でやったわけでございますけれども、それにかわるものとして保安基準を改正して認めたわけでございますので、我々といたしましては今先生前と後ろと、こういうお話もございましたが、特に過重な負担になるような状況ではないと考えておりますが、やはりワンマンという状況考えればこれらの特殊事情はあろうかと思っております。
  64. 山下八洲夫

    山下(八)委員 終わります。ありがとうございました。
  65. 長田武士

    長田委員長 次に、竹内勝彦君。
  66. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 まず物流二法関係、この問題に関して、まずトラック運送業の人たちのいろいろな問題点を取り上げさしていただきたいと思います。  まずこの物流二法、平成元年十二月十四日成立し、それから平成二年十二月一日に施行、こういう形で進められてまいりました。特にその中の積載オーバーに対する処分というもので若干質問をさしていただきますけれども、運送業者側は事故原因となるこの積載オーバーを好んでやっているわけではないわけですよね。低運賃、そういったものをカバーするためもありますけれども、いわゆる荷主側の要請、そういったものが十分考えられるわけでございます。したがいまして、今までは積載オーバーした場合に処分されるのは運送業者側であり、積ませる荷主側を処分されたということはほとんどないように伺っております。そういう不満の声が多いわけでございます。今度は新法、貨物自動車運送事業法、そこの六十四条には「当該荷主に対しても、当該違反行為の再発の防止を図るため適当な措置を執るべきことを勧告することができる。」こういうふうにございますけれども、これは具体的にはどういうことを指しておるのか、御答弁いただきたいと思います。
  67. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 先生指摘のとおり、物流二法、戦後できました法律の四十年ぶりの大改正でございますが、その中におきまして荷主の勧告制度というものが設けられております。これは、トラック運送事業におきましては、いわゆる輸送秩序の確立が十分なされていない原因一つに、トラック事業者が荷主に対して比較的その立場が弱いというようなことで、ともすれば荷主による違法行為の指示に従わざるを得ない場面があるというのは事実だという認識に立ったものでございます。  今般、貨物自動車運送事業法第六十四条の規定によりまして新たに設けられました荷主勧告制度と申しますのは、貨物自動車運送事業者による過労運転とかあるいは過積載運行等の輸送の安全を阻害する行為を初めとした法令違反行為が主として荷主の指示による場合であって、かつ、単に事業者を処分するだけでは違法行為の再発防止が図れないというようなことが認められる場合に、荷主が行う事業の所管大臣、所管官庁の意見を聴取した上で発動するという制度でございます。
  68. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今まではどうしても運送業者に偏っておる、そういうものがございます。例えば道路運送法がございますね。そこの百二条には、「違反行為をしたときは、」当然ですが「行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。」こういうようにございます。いわゆる両罰規定でございますけれども、そういうものの現状考えても、今までの状況では、荷主側に関しては余り勧告の例がなかったわけでございます。もちろん、この物流二法が施行されてまだ間がないわけでございますけれども、どうですか、今までに勧告の具体的な例などございましたでしょうか。
  69. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 この物流二法を成立させていただきましたのが一昨年の十二月でございます。それから、いろいろな運用通達の作成あるいは法令の新しい内容の周知徹底というような準備期間を経まして、その一年後の昨年十二月一日から施行されたものでございます。施行後いまだ数カ月しかたっておりませんけれども、現在までの時点ではこの荷主勧告制度を発動したことはございません。
  70. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 弱い立場の業者ばかりをいじめる方向ではなく、そういう荷主側への明確な指導、これはどうしても重要でございますので、今後の方針としてこの勧告というものをしっかりとやっていくという御決意をもう一度御答弁ください。
  71. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 過労運転とか過積載の運行等の違反行為、これは適正な輸送秩序を乱しまして社会経済的に多大な悪影響をもたらすものでございますので、できるだけこれを未然に防止するということがまず第一に必要でございます。そういうような観点から、運送事業者に対する指導監督を従来以上に強化してまいるということは当然でございますけれども、一方、荷主側の理解、協力を未然に得るということも不可欠の要素であると考えております。したがいまして、従来に引き続きまして、これは県単位にできておりますけれども、トラック業界と荷主などとの荷主懇談会、これには我が方の地方の運輸局等も参画することになっておりますが、そういう荷主懇談会等で各種の啓発活動を行うとか、あるいは荷主事業所管官庁への協力要請を積極的に行うというようなことをしてまいりたいと考えております。  そして、お尋ねの荷主勧告制度の実際の発動、運用と申しますか、実際に発動するに当たりましては、輸送の安全の確保等、運送の適正化への効果が最大となりますように、その時期、内容、方法について十分検討いたしまして、これは衆議院の本法案審議の際の附帯決議にもついてございますが、適時適切に、機動的に運用してまいりたいと考えております。
  72. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひ今のように適切な御措置をお願いしたいと思います。  そこでもう一点お願いしたいのは、トラック輸送の積みおろし作業の効率化あるいは荷物の保護のためウイング式の荷台を装置したトラックあるいは従来の保冷車、これらの自動車の積載重量の基準、そういったものはどうなっておるのか、また、どうしていこうと考えておるのか。それはまた後で質問いたしますが、積載の総重量の問題ですね。諸外国でもいろいろ幅のある対応をしておる。その面で、まず最初に現在の基準というものをお述べいただきたいと思います。
  73. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 現在、トラックの総重量は法令によって決められております。一番大きいのは二十トンでございます。例えば二十トンの場合に、自重、そのトラックの自身の重さが、これはいろいろ違いますが、約半分、十トン前後でございます。したがって、貨物を積める量は、残りの十トン程度の貨物が積めるといいますか、しか積めないといいますか、そういうことで、総重量引く自重量、その差が積載重量になっております。したがいまして、先生今御指摘のいろいろな装置が最近付加されてくるということになりますと、それが自重に入りますので、積載量はその分だけ少しずつ減るという関係に立っております。
  74. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、ウイング式であるとか保冷車だとかいろいろなものが付加されていく、そういうものでいきますと、例えば十トン車の場合で、結局今言われた総重量二十トン、こうなりますと、自重が十トンならば十トン積めるわけですよね。ところが、物によっては自重が十二トンぐらいになる場合が、そういうものが多いわけです。そうなってくると結局八トンしか積めない、こういうことになってくるわけですね。したがいまして、こういう十トン積みトラックとかあるいは四トン積みトラックとかいっても、実際は二割減ぐらいになってしまう。今日のような技術の発展のあるそういうところにおきまして、何とかもう少し幅を、それが事故につながるようなものに なってはいけないわけでございますけれども、しかし、諸外国の例を見てみますと、二十五トン程度の規制というのが潮流でございますね。  それから、我が国においても四半世紀にわたって車両総重量の見直しが行われておりません。そういう意味からも、物流の活性化、高能率化は民活の主要な柱であるわけでございますし、輸送効率の向上のため、この現行法令に規制されておる総重量が二十トンの枠を、トラックの車軸数とかホイールベースに応じて最大二十五トン程度まで、この数字はもっと検討していただいて結構なわけでございますが、そういう緩和というものをしていく必要があるのではないか。そういったものがこういう業界の方からも多くの要望でございますので、何とかそういう多く積載できるような御配慮を、なおかつ安全運転というものはもうベースでございます、そういったものを考えて御配慮ができないものか、御答弁いただきたいと思います。
  75. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 先生指摘のとおり、現在トラックの重量につきましては最大が車両総重量二十トン以下というように規制が設けられております。これに対しましてトラック業界等から、近年の人手不足等を背景といたしまして、トラック輸送の効率化を図りたいというような見地から、トラックの大型化を進めることが有効であって、我が国の規制をもう少し緩和できないかという意見が関係省庁に対して出されております。  ただ、この問題につきましては、他方、道路の構造、特に橋梁部の安全上の観点というようなことから、全面的な規制の緩和を直ちに実施するというようなことは困難ではないかというような御意見もございます。したがいまして、現在我々関係省庁におきまして相互に緊密な連携を保ちながら鋭意検討中という段階でございます。
  76. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今道路の問題それから橋梁等のそういったことで全面的なものというものは、それは当然のことですね。しかし道路にはきちっとした規制があるわけですね。もちろんそういったところに大型車は通行できない。そういう状態のそういう規制というものをきちっとやっていくならばもうちょっと、前回も私本委員会におきまして申し上げましたが、要するに何でも規制とかあるいは法律で縛っていく、そういうものは社会ではそれだけでは通用しないわけです。そこにいかに人間的な、またその仕事の上から考えても、本当に温かみのある行政、それを私この前も申し上げたわけです。  これは、五分間の停車のことで申し上げましたように、五分間で停車して、では、例えば私京都でございますけれども、京都というのは路地裏がずっと遠くまであるわけです。幾つも家が並んでいるんですね。そういうところに行くだけで五分ぐらいすぐたってしまう、帰ってくるのにも。そういう仕事ができないというような状況は十分考えられるわけですから、やはり地域による、あるいはいろいろな条件による、そういうきめ細かな対策というものがどうしても必要なわけですから、もう一度積極的な御答弁をお願いしたいと思います。
  77. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 先ほど運輸省の方から御答弁の中に道路の構造との絡み、こういうこともありましたし、今の先生の御指摘道路の構造という面もございましたので建設省の方から御答弁させていただきますが、世の中が変わってまいりまして、そして特に人手不足、こういう新しい事態が出ており、これは十分私ども承知しております。そういう中でどういうふうに対処していったらいいか。いわゆる従来だけを尊重して物を考えていく時代でないということは十分私ども認識しております。  そういう中で、しかしそうはいうものの、現実はどうかと申しますと、一般県道以上の橋全部で四万二千八百ほどございます。そのうち、今の二十トンで走れる橋が約六九%、十四トン以下でないと走れない橋が三一%ほどございます。一万三千二百強の橋は十四トン以上は絶対だめ、こういう形で、これは前からつくってきた長い実績のもとでこういう実態がございます。この実態を踏まえながらどういうふうにやっていくか、こういうことでございまして、直ちに規制の緩和をするわけには危険でございますからまいりませんが、そのための便法といたしまして特認車両という特別にある車、一番いい例を申し上げますと、トランスがございます。トランスは極めて重いわけです。これを運べないとどうにもならぬというようなことから、こういうものについては特別な許可をとっていただきまして、ルートを指定いたしまして、前後に誘導車をつけて、その橋に一台だけ乗っていただいて、安全にその橋だけは通っていただく、こういうような特別な通行条件、しかも速度をゆっくりと加速度が起きないような状態にしていただきながら通っていただく、こんなような工夫も便宜的にはございます。  そういうのが現状でございますが、私どもこういう世の中の大きな流れというものは十分承知しておりますので、先ほど運輸省も御答弁になられましたように、関係省庁と連携をさらに密にしながら、この問題、避けられない問題だという認識のもとに、どうしたらいいのか。しかし、一万三千強を急にかけ直す、二十トンの二万九千五百強をかけ直すということは現実にはすぐにはできない、その中でどうしたらいいか、これから模索をさせていただきたいと思います。
  78. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひきめ細かいそういった対策をお願いしたいと思います。  そこで、次の問題に移らせてもらいますが、都市部においては、大きなビルに配達する際、ビルの地下駐車場の天井が今二・一メートル、こういうことで駐車場があるわけでございますが、当然二トン車は入れませんね。そこで、一定の広さ、高さを持つビルを建設する場合には、駐車場の設置義務、同時に荷受け場所というか大型トラックも入れるようなものをつくっていく。二・一メートルという基準を、そういうものではなくして、部分によって三メートルを荷受け場所というようなもので検討してはどうか、そういう意見もあるわけでございますけれども、その点に関しての御所見をお伺いしておきたいと思います。
  79. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 駐車場法という法律がございまして、この中で駐車場政策の大きな柱の一つに駐車場の附置義務という制度がございます。これは、建築物が建ちますとその建築物が必然的に駐車需要を発生させるという考え方に立ちまして、建築物の建築主に対しまして建築物を建てる際に一定の量の駐車場を整備することを義務づけておる制度でございます。  考え方といたしましては、この附置義務駐車場制度の駐車場の概念の中に、ただいま御指摘ございました荷さばき用の駐車場も入るわけではございますけれども、御指摘ございましたように通常の駐車場でございますと大体二・一メーターから二・二メーターぐらいの高さでございまして、いわゆる配送車等の車高は大体三メーターを超えるものがかなり多くなってまいっておりますから、実際にビル等で荷さばき用の駐車のためのスペースを設けておるところもいろいろあるわけでございますが、例えば五メーターぐらいの高さにしないと配送車がうまく移動できない、機能しないというようなことがあるわけでございまして、実際上はそういった附置義務制度によりまして整備されております駐車場では現実的な荷さばきのスペースとしては必ずしも十分とは言えない、こういったような実態があるわけでございます。  その辺は先生もよく御承知の点だと思いますが、私どもといたしましては、今国会におきまして駐車場法の改正も御提案申し上げておるわけでございまして、既に法律も成立させていただいております。その中で駐車場の附置義務制度の拡充もいろいろ図らせていただいておりますが、これが即荷さばきのための駐車スペースの確保という観点から考えました場合に十分機能し得るとは言いがたい面もあるわけでございまして、今後荷さばきのための適切なスペースの確保ということにつきましては、私ども建設省都市局でございますが、都市計画中央審議会の答申の中にもそういっ た問題についていろいろきめの細かい対応についての問題提起も受けておりますので、今後考えていかなければいけない問題点、そういう認識を持っておるところでございます。
  80. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 次の問題ですが、平成三年版のトラック運輸事業の賃金実態調査を全日本トラック協会がまとめられたわけでございます。この中で、運転者の賃金が十一年ぶりに高い上昇を示しております。運転者の賃金上昇率は対前年比、路線、区域事業全体で六・五%のアップということで、ここ十年来最も高いわけですね。それから大学卒の運転者平成二年度初任給は前年比、路線事業では一二・四%、区域事業では七・三%上昇しております。それから全般的な動きですね、週休二日制の実施等は路線、区域ともに大幅にふえておる、そういった報告がございます。  そこで、貨物自動車運送事業輸送安全規則の第三条、過労運転の防止の第六項に、交代する運転者を配置しなければならない、こういうものがございますけれども、これは具体的にはどういうことでございますか。
  81. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 貨物自動車運送事業輸送安全規則におきましては、労働省の告示でございますが、貨物自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、いわゆる二・九告示と言われておるものでございますが、その二・九告示で定められている条件を超えて引き続き運転する場合には交代運転者を配置すべしということがこの輸送安全規則において義務づけられております。  例えば次のようなケースでございます。一日についての拘束時間が十六時間を超えるような場合には交代運転者を配置しておかなくてはいけない。それから、運転時間が二日で平均して一日当たり九時間を超える場合。一日目は十二時間、二日目は八時間であったとしても足して二で割ったら十時間になる、つまり一日当たり九時間を超えるような場合にも交代運転者を配置しておかなくてはいけない。それから、一人の運転者の連続運転時間が四時間を超えるような場合にも交代運転者を配置しておかなくてはならないというようなことで、運転者の過労運転を防止するためのものでございます。
  82. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 こういう長距離輸送の場合、疲労あるいは長時間、そういう意味で今御答弁いただきましたことはよく理解できます。  そこで申し上げたいのは、昨今の労働力不足、それから今私が申し上げました運転者の賃金上昇の中で、運送事業者にとってはこれは大変な経費負担になることはもう御承知のとおりです。例えば、ある会社の例でございますが、運転者の給与の平均額ですが、諸手当、賞与等も含めて、二十五日を基準にしたとして、大型車十トンの場合で四十九万四千四十八円、それから中型車四トンの場合で四十四万七千百八十八円、小型車二から三トンの場合で二十七万七千七十二円。これは私の知っているある会社の例でございますけれども、人手不足ですから、そういう意味では業者はこういう経費の負担を一生懸命努力しておるわけですね。  そこで、今の連続運転時間四時間というもの等もいろいろ含めて、もちろん十六時間とか二日にわたって一日が九時間を超えてしまうというような場合の例というのは私もよくわかります。当然交代というのはよくわかるのですが、では例えば、四時間といっても途中休憩もあるだろうし、いろいろなものでちょっと一服というようなものもあるだろうし、いろいろ臨機応変に考えてやってきておるものはあるわけですよ。そういう意味から考えても、まず運賃制度の実態を含めてぜひこの交代というものに関しても、ただ単に決まりがこうだからというもので先ほど私が申し上げましたように一律に決めてやっていくというものではなくして、そこには含みのある、もちろん過労になってしまって健康を害するとか、そういうようなものになっては絶対になりません。したがいまして、その点は理解はできますが、大変な経費負担である現行のこういう状況というもの、労働力の不足というものを考えて、大変な負担になっているのだということを十分認識した上で、ぜひ賢明なる対策を今後ともとっていかれるよう要望しておきますので、もう一度この問題に関しての御答弁をお願いしたいと思います。
  83. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 先ほど申し上げましたように、交代運転者の配置義務というのはあくまでも過労運転の防止、輸送の安全というような観点からでございますから、これを安易に緩めるということは困難だと思っております。  しかし、先生指摘のとおり、労働条件の改善、運賃の適切な設定、それの完全収受というような点につきましては、運輸省といたしましても我が国の円滑な物流を確保するというような観点から、例えば昨年十二月に行った運賃改定におきましても、今後の長時間労働の是正というような将来やるべきことの改善要素をも含めまして、人件費の将来の増加というようなことをも要素に織り込んで運賃改定などを行っております。そして、その運賃改定の条件として、今後、どのように労働時間の短縮等が図られているかというようなことの報告書を求めることといたしておりまして、その報告書を調べまして、今後十分に指導、改善に取り組みたいと考えております。
  84. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、ちょっと時間の関係で、昨日見せていただいた研修センターの問題はまた次に譲らせていただきます。要望だけ言っておきますが、この安全運転中央研修所の問題に関しては、ぜひその目的に向かって全力で頑張って、そしてよいものにしていっていただきたい。いよいよ五月八日ですか、オープンでございますけれども、ぜひ頑張っていただきたい。同時に、要望としては、こういうものはまたぜひ関西の方へもつくっていただきたいということだけ言っておいて、これは答弁はいいです。時間の関係で恐縮でございます。  そこで、道路公団、わざわざ来ていただいて恐縮でございます。済みません。その御質問をさせていただいて終わりますが、まず名神高速の渋滞状況、その原因、それから、特に京都—茨木間、これが渋滞が大変な状況でございますので、その点をどんなふうになっておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  85. 山下宣博

    山下参考人 お答えを申し上げます。  名神高速道路は、御承知のように我が国で一番最初にできた道路でございまして、その後交通量の増加に伴いまして渋滞が頻発している状況でございます。渋滞の最もひどい京都南—茨木間の渋滞の発生状況をまず申し上げますと、平成二年におきまして、自然渋滞が千三百七十三件、そのほかに工事渋滞が百十九件、事故渋滞が二百二十一件、その他の渋滞を含めますと総計千八百一件という数字を記録いたしております。  こういった状況に対しましては、根本的にはこの区間を拡幅し車線をふやすことが最も有効な対策であろうということで、国の方で拡幅の整備計画として決められたのが五十七年でございますが、道路公団でこの改築工事施工命令をいただきましたのが五十九年一月でございます。以来、この区間を四車線から六車線に広げるという工事を進めている段階でございます。  道路の開通以来、周辺に多くの住宅が建てられまして、この用地の取得に大変難渋しているところでございますが、現在までに用地の取得が四二%余りでございます。用地の取得されたところから、文化財の発掘調査等も行いまして順次工事を発注いたしておりますが、現在約五八%の延長につきまして工事を進めているところでございます。一日も早くこの事業が完成できるように公団としては最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  86. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今、京都南と茨木の間、細かに御説明をいただきました。その中でも京都南と天王山、有名な天王山トンネルのところと、それから天王山トンネルと茨木の間、茨木インターチェンジの間、これがひどいものですね。道路公団の方からいただきました資料でもここが一番多いですね。例えば名神の京都南から天王山のところで年間渋滞回数は四百二十七回、一回の渋滞時間が 平均で三・一時間、それから渋滞距離が十一・六キロメートル、こういうデータでございますが、大変な状況でございます。  そこで、その周辺の状況にもよりますが、例えば平均で三・一時間というのですから、何のために高速に乗っておるのか、高速道路を利用しておるのかわからなくなってしまうわけです。事故など起きたときにはずっと待たされるというものではなくして、もう一度そこにまた柔軟な対応として、もうこういう多いところというのはわかっているわけです。何もこの京都—茨木間だけじゃない、全国いっぱいあります。十分わかっています。そこで、ぜひそういう比較的多いというようなところに、それもまた可能なところには、例えば非常用の出口などをつくって一般道路につながっていけるというような対策をそろそろ考えてもいいのじゃないか。料金やそのほかのいろいろな問題はありますよ。けれども、それは前もって、例えば何かもらうとか、何らかで証明できるような、そういうものはできるわけでございますから、ぜひ非常用出口をつくることに関しての御見解を伺っておきたいと思います。
  87. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 先生の御指摘のとおり東名、名神は本当に今や大きな社会問題になりつつございます。そういうことから、実は先生御承知のとおりでございますが、第二京阪自動車道というものをかなり前から計画を立てて、これがやっと今事業化の段階になっておりますが、地元におけるいろいろな調整に極めて厳しい対応を強いられている状況でございます。また、京阪連絡道路ということで都市高速道路の形態を持ったネットワークとして、これも京都と大阪間の道路を詰めるべく、地元との相談をしながら、どうしたら都市計画が決定できるか、これも今やっている最中でございますが、これも極めて地元との対応でいろいろな問題がございます。  そういう中で、先ほど道路公団の参考人からお話がございました拡幅につきましても、二つの区間で今六車線化しておりますが、これをさらにどんどんふやしていきたいと思っております。六車線化においても、地元の御協力をいただくまでの間、極めて厳しい努力をさせていただいた状況でございます。  そういう中で、現在第二東名、名神の基本計画を出させていただきました。これの整備計画に至る間の準備をしておるわけでございますが、残念ながら京都と大阪間につきましては、大阪府、京都府の御努力をいただきましたけれども整備計画がなかなかの段階までいろいろな調査が進まない、こういうような状況でございます。この間が、地元における地域との共存ということで極めて厳しいということは認識しております。しかし、これはいずれもしなければいけない。そういう中で、御指摘の流入の臨時的な対応ができないかということでございますが、上が込むということは、逆に言うと下が込んでいるからさらに上が込むということで、両方とも混雑している。したがって、今私ども申し上げましたように、ここの間でも三つの大きなプロジェクトと一つの大きな拡幅事業、これをいずれも地元に御提示しながら何とか御協力をいただくように汗をかいております。  こういう中で私どもは、こういう道路を使う際の情報をうまく、早く、的確に御提供しながら、それぞれの立場で御利用いただく、こういうこともさせていただきたいと思っております。  そういう意味で、私どもはこれから汗をかいてまいりますので、先生の一層の御指導をいただきたいと思っております。
  88. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、時間でございますので、大臣、恐縮でございますが、高速道路における渋滞、今建設省の方の今後の考え方というものをいろいろとお伺いいたしました。それからまた私も、そういう提案をさせていただきました。ひとつぜひ、もちろん周辺住民の、一般道路状況や全国のいろいろな状況から考えて、大所高所から対応していかなければならぬ問題ですよね。私は今反論するわけじゃないのですが、高速が詰まっておるときは一般も詰まっておるのだ、そういうのは十分そのとおりですが、場合によっては、例えばその時点で事故が起きた、トンネルの前ですから、そこだけがどうしても大きく詰まっておる、一般の方は比較的あいておるというような場合も考えられることはありますよね。だから、それもまた柔軟な対応をぜひしていただきたいということはお願いしたいと思います。  そこで、この都市高速の渋滞におけるそういう政策につきまして、大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  89. 大塚雄司

    大塚国務大臣 今国会、先生方の御論議を通じまして車の渋滞対策についての御質問がかなり多うございますが、全く私も、もっと歯切れのいい答弁ができたらなあといつも思って今日までやってまいりました。  特に今御指摘の首都高速、阪神高速というようないわゆる大都市内での高速道路、また大都市圏をつなぐ東名、名神の道路を初め、いわゆる高速道路につきましては、この渋滞解消のために何をすべきか、今道路局長から上も下もという表現がありましたが、日本列島全体の道路整備、高速いわゆる高規格幹線道路網にしましても今五千キロ整備でございますが、こういう一万四千にしようという道路整備、あるいは一般道、都道府県道等の整備もまだ完全ではないわけでありまして、そういう道路整備が完成した暁には、六千万台のこの自動車の流通すべてに対応できるかどうかは自信はありませんけれども、少なくとも今東京あるいは大阪の首都高速道路につきましても、いわゆる計画のネットワークが完成をすれば今のようなことはかなり解消ができる、しかし、その間途中で出口をつくって緊急対策もしなければならぬということも全く先生の御指摘のとおりでございますので、これらの問題も含めまして懸命に取り組んでまいりたいと思っております。  特に、既成市街地での道路整備というのは本当に難しゅうございますし、ただ用地の取得に財源だけあればいいという、必ずしもそれだけでは片づきません。しかし、幸いに一昨年、土地基本法を制定していただきまして、土地に対する基本理念もやはり公共の福祉を優先するというようなことが国会でお認めをいただいたわけでありますから、これらの事業を進めるにつきましても国民の皆様の御協力をいただけるであろう、またいただかなければならないわけでありまして、御指摘の点等につきまして懸命に取り組んで渋滞解消を進めてまいりたいと思います。
  90. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  91. 長田武士

    長田委員長 次に、辻第一君。
  92. 辻第一

    ○辻(第)委員 最近また交通事故死がふえて、この三年は一万人を超える、昨年は一万一千二百二十七人、大変な状況を迎えてまいりました。第二次交通戦争と言われて、皆さん方いろいろと御努力をいただく、官民が本当に力を合わせて頑張っているわけでありますが、ことしの状況はいかがでございますか。
  93. 関根謙一

    関根政府委員 ことし、四月二十四日、昨日現在でございますが、交通事故死者数は三千五十二人でございまして、昨年の同期に比べまして五十一人、一・六%の減ということでございます。昨日までというのは統計がちょっと間に合いませんで、ことしの一般傾向としては三月末までの統計によって見ることといたしますと、発生件数と負傷者数は若干増加の傾向にございます。発生件数が十四万四千件余りで、三・五%増でございます。負傷者数も十七万六千人の方々で、二・二%増ということでございます。しかしながら、死者数の方は減少しております。  この中で類型別で見てみますと、自動車乗車中で亡くなった方がやはり一番多くて千三人、これは三月末で二千三百五十三人の方が亡くなっておりますが、その中での分類でございます。自動車乗車中の方が千三人で四二・六%でございます。特にこの中で、シートベルト着用していた方は昨年同期に比べて減っておりますが、シートベルト着用していなかった方の死者数が増加しているという傾向が見られます。  それから、全体として三月末までに七十五人の減少でございますが、その中で特徴的な傾向を見てみますと、若者が私用の目的で自動車を運行して起こした事故死者数が六十人減少しております。さらに、運転経験一年未満の自動車運転者が起こした事故による死者数も四十五人ほど減少しております。これらのことが、さらにことし一年間を通じて見られる傾向かどうか、そうであってほしいと願っておりますが、この三月末まででどうしてこういう結果になったかということをここの数字のみから判断いたしますと、一つには初心運転者期間制度が昨年九月から施行されました。その結果、運転経験一年未満の方による事故が減少したということが言えるのではないかと考えております。もう一つは、昨年改正していただきました道路交通法の施行がことしの一月一日からでございます。これによりまして違法駐車の取り締まりが非常に厳しくなりました。その結果、特に若者が私的な目的で自動車を運転するということが少なくなった結果ではないかな、こんな感じがしているところでございます。
  94. 辻第一

    ○辻(第)委員 私ごとですが、私の周辺も、この二、三年非常に親しい人が、あるいは親しい人の子供、いわゆる青年がたくさん亡くなっております。またお年寄りも亡くなっているのですが、やはり若い人、高齢者事故死が多いというのが一つの特徴でもあろうと思うわけでございます。  この第五次交通安全基本計画の中で、「陸上交通の安全」、「道路交通の安全」というその中に八つほど項目がありますね。「車両の安全性の確保」だとか「交通安全教育の推進」だとか「救助・救急体制の整備」、その一つ、「増加の顕著な事故態様及び死者数の多い事故態様に対応した諸対策の推進」というその中に、「若者の交通安全対策」それから「高齢者交通安全対策」などが入っているわけですね。そのほか「夜間事故対策」や「高速道路における事故対策」、「自動車乗車中の死傷者数減少方策」などがあるわけですが、まず若者の交通安全対策についてもう少し詳しく教えていただきたいと思います。
  95. 徳宿恭男

    ○徳宿政府委員 若者を十六歳から二十四歳までという年齢層に考えますと、この年齢層の死者数は年々増加いたしておりまして、全体の交通事故死者数における割合も高くなってきております。したがいまして、お話ございました第五次の交通安全基本計画におきまして「若者の交通安全対策」というものを重点施策といたしまして掲げてございます。  その中で、ただいまもお話がございましたような道路交通法の改正による初心運転者対策を推進いたしますとともに、実践的な教育を推進する観点から、高等学校における二輪車に乗車する生徒に対する実技教育の充実を図ることといたしておりますし、また自動車教習所における高速教習等の推進あるいはまた民間団体等による実践的な安全運転講習の充実等を図ることといたしております。  また、基本計画以外におきましても、従来から春と秋の全国交通安全運動におきましては、若年運転者による無謀運転の追放ということを重点目標といたしておりまして、全国的に啓発活動を展開しているところでございます。  さらに、若者の交通死亡事故の中で、特にここ十数年自動二輪車乗車中の死者が増加をいたしておりますので、政府といたしまして、平成元年七月に交通対策本部決定で、二輪車の事故防止に関する総合対策というものを決定いたしております。これに基づきまして、各種行事の開催による安全意識の高揚、さらに運転者教育の充実、二輪車運転者の組織化等の諸施策を総合的、積極的に推進してきておるところでございます。  今後とも関係省庁関係団体等の連携を保ちつつ、若者の交通事故防止対策に積極的に努めてまいるつもりでございます。
  96. 辻第一

    ○辻(第)委員 続いて、高齢者交通安全対策についてお尋ねをいたします。
  97. 徳宿恭男

    ○徳宿政府委員 六十五歳以上の高齢者交通事故の死亡状況でございますが、これも年々ふえ続けておりまして、平成二年には死者数二千六百七十三人と、前年に比べまして百五十三人、六・一%の増加を示しております。高齢者交通死亡事故の特徴といたしましては、歩行中が約半数、それから自転車乗用中が五分の一ということで、交通弱者としての事故が多いということが挙げられます。  こうした状況にかんがみまして、政府といたしましては、従来から高齢者事故防止を施策の重点の一つとしてまいりましたが、特に昭和六十三年九月に交通対策本部決定で、高齢者交通安全に関する意識の醸成、高齢者に対する交通安全教育の推進、高齢者のための道路交通環境整備等内容といたします高齢者交通安全総合対策というものを定めまして、さらに、それを受けまして以後毎年、高齢者交通安全旬間を設定いたしまして、高齢者のための交通安全活動を全国的に官民一体となって推進してきております。  さらに、平成二年二月には、高齢者交通安全教育の推進体制や、高齢者交通安全教育内容を具体的に定めました高齢者交通安全教育指導指針というものを作成いたしまして、これに基づいて各般の対策に努めてきておるところでございます。  さらに、今般作成いたしました第五次交通安全基本計画におきましても、これらの諸対策を一層強力に推進することにいたしております。この中で、幅の広い歩道あるいは利用しやすい立体横断施設等、高齢者の利用に配慮した交通安全施設整備、それから免許更新時講習における高齢運転者の特別学級を編成しての教育、さらに運転適性検査機器を用いた運転適性診断の推進、さらに総務庁といたしましては、市町村における高齢者交通安全教育指導者の育成、教材の整備、老人クラブ等におけるリーダーの育成等によりまして、老人クラブにおける交通安全教育の充実を図り、さらに平成二年度からはこれらリーダーによりまして、老人クラブに加入していない高齢者の家庭を訪問して交通安全知識の普及、そして安全意識の高揚を図る等の事業を推進しているところでございます。
  98. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ十分やっていただきたいと思います。私もことし六十五歳になりまして高齢者の中に入っているわけで、ひとつぜひ高齢者交通安全対策を十分にやっていただきたいとお願いをいたします。  いろいろ読んでいる中でふっと気がついたようなことで恐縮なんですが、平成二年十二月末、交通事故統計、これは警察庁の交通局の交通企画課からいただいた書類でございますが、その十四ページのところに、この統計の出し方では「死者数の構成率と人口構成率の比較 十二月末」というのがあるんですが、「六十五歳以上」になっているんですね。高齢者は六十五歳から上、限りなく高齢者ということになるんですが、もうちょっと分けてもらえないかなという感じがしているんです。ほかのを見てみますと、平成元年版の交通統計ですね。これは警察庁の交通局。これには統計のとり方でいろいろ出ておりまして、その八十ページ、八十一ページは「状態別・年齢層別死者数」。これは六歳以下、七—十二歳、十三—十五歳、十六—十九歳、二十—二十四歳、二十五—二十九歳、こういうふうに非常に小刻みになって、一番しまいは七十歳以上、こうなっているんです。  その状態によっていろいろ使われ方があるんでしょうが、できたらこういう冊子も六十五歳以上にせぬと、せめて七十歳で切って、また七十になったらもっと切れと言うかもわからぬけれども、六十五歳から七十歳で切っていただけば非常にいいのではないか。もう六十五歳以上は、これから高齢者がふえるわけですから、もう少し細かく刻んでいただけばありがたいなと思うのですが、いかがですか。
  99. 関根謙一

    関根政府委員 先生の御指摘の点はまことにごもっともかと存じます。現在私ども交通警察行政を行う必要からこのような分類を行っておりますが、実際実態から考えてみますと、六十五歳以上というくくり方は確かに非常に実態に合わない というふうに考えられます。  一例を申し上げますと、先ほど本年三月までの交通事故死者数の傾向について御報告を申し上げました。その際高齢者方々傾向については申し上げ損なってしまったのでございますが、歩行中の死者方々が、ことしの三月までに、六十五歳以上の方ですと三百六十五人、このうち七十歳以上ということでとりますと二百九十人ということでございます。つまり、全歩行中の死者は七百三十三人でございますが、六十五歳以上というふうにとりますと、そのうちの約五〇%に当たります三百六十五人。七十歳以上ということでとりますと四〇%でございます。ということで、この場合私どもが特に注意をしなければいけないのは、七十歳以上の方々の歩行中の場合であるということがこれによってわかるわけでございまして、そのような一般的な傾向を反映するような統計をつくるべく今後も検討してまいりたいと存じます。
  100. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
  101. 長田武士

    長田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十五分散会