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1991-04-25 第120回国会 衆議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月二十五日(木曜日)     午前九時三十一分開議  出席委員    委員長 桜井  新君    理事 金子 一義君 理事 北村 直人君    理事 笹川  堯君 理事 渡海紀三朗君    理事 木間  章君 理事 三野 優美君    理事 吉井 光照君       遠藤 武彦君    金子原二郎君       塩谷  立君    島村 宜伸君       高橋 一郎君    武村 正義君       東家 嘉幸君    中島  衛君       野田  実君    石井  智君       上野 建一君    貴志 八郎君       鈴木喜久子君    常松 裕志君       松本  龍君    山内  弘君       和田 静夫君    薮仲 義彦君       辻  第一君    菅原喜重郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 大塚 雄司君  出席政府委員         国土庁土地局次         長         兼内閣審議官  鎭西 迪雄君         厚生省社会局長 末次  彬君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 藤井 治芳君         建設省住宅局長 立石  真君  委員外出席者         大蔵省理財局国         有財産第二課長 中山 恭子君         厚生大臣官房審         議官      羽毛田信吾君         参  考  人         (東京工業大学         名誉教授)   石原 舜介君         参  考  人         (全国公団住宅         自治会協議会代         表幹事)    楓  健年君         参  考  人         (朝日大学法学         部教授)    本吉 庸浩君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  丸山 良仁君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  片山 正夫君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  安仁屋政彦君         建設委員会調査         室長      吉沢 奎介君     ───────────── 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   石井  智君     常松 裕志君   貴志 八郎君     和田 静夫君 同日  辞任         補欠選任   常松 裕志君     石井  智君   和田 静夫君     貴志 八郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  住宅に関する件(住宅都市整備公団家賃変更申請に関する問題)      ────◇─────
  2. 桜井新

    桜井委員長 これより会議を開きます。  住宅に関する件、住宅都市整備公団家賃変更申請に関する問題について調査を進めます。  去る三月二十九日、建設大臣に提出されました住宅都市整備公団家賃変更申請内容等につきまして、建設大臣から説明を聴取いたします。大塚建設大臣
  3. 大塚雄司

    大塚国務大臣 平成三年三月二十九日付で住宅都市整備公団から提出されました賃貸住宅家賃等変更につきましての承認申請概要は、次のとおりでございます。  第一に、家賃変更する理由といたしまして、これまで昭和五十三年度昭和五十八年度及び昭和六十三年度家賃変更を行ってきたところでありますが、従来、家賃変更に当たっては激変緩和に配慮したこともありまして、変更後の家賃はいまだに低い水準にあり、賃貸住宅相互間に不均衡が生じているため、この不均衡を是正することといたしております。  第二に、家賃見直しの対象とする住宅は、原則として、管理開始年度の翌年度から起算して三年以上を経過した住宅としておりますが、傾斜家賃適用中の住宅及び傾斜家賃終了後三年を経過していない住宅等一定の要件に該当するものについては除くこととしております。また、家賃変更期日としては、平成三年十月一日としております。  第三に、変更家賃の算定に当たりましては、公営限度額方式に準ずる方式により算定される額を基準として、これに立地補正を行った上で、引き上げ限度額を一居住室住宅にあっては七千円、二居住室住宅にあっては八千円、三居住室以上の住宅にあっては九千円とする等の激変緩和措置を講じております。この結果、公団の試算によれば、今回、家賃変更が実施される住宅につきましては、平均約三千九百円、約一二%の家賃変更となります。  第四に、家賃変更に当たりましては、生活保護世帯並びに老人世帯母子世帯及び心身障害者世帯生活に困窮するものについては、従来と同様に家賃減額特別措置を講ずることとしております。  第五に、家賃変更による増収額は、維持管理経費及び新規供給住宅家賃の抑制に要する費用に充てるものとしております。  第六に、家賃変更に伴い、敷金を変更家賃の三カ月分に相当する額に変更することとしております。  以上が今回の申請概要でございます。  なお、公団では、前回昭和六十三年度家賃変更に当たり家賃改定ルールを設け、これに基づいて前回変更を実施したところであります。今回は、この確立されたルールに基づいて申請が行われたものと考えております。  建設省といたしましては、本申請を受けて慎重に検討を行ってまいりたいと存じますが、本日の建設委員会におきましても、本件について十分御意見を拝聴させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  4. 桜井新

    桜井委員長 これにて概要説明は終わりました。     ─────────────
  5. 桜井新

    桜井委員長 本日は、本件調査のため、参考人として東京工業大学名誉教授石原舜介君、全国公団住宅自治会協議会代表幹事楓健年君、朝日大学法学部教授吉庸浩君、以上三名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  それぞれ大変御多忙の中にもかかわらず本委員会に御出席を賜りまして、大変ありがとうございました。どうぞ、それぞれの立場から忌憚のない御意見を賜れば大変幸いだと思っております。  なお、議事順序でございますが、まず石原参考人、次に楓参考人、続いて本吉参考人順序で、御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、まず石原参考人にお願いいたします。
  6. 石原舜介

    石原参考人 ただいま御指名をいただきました石原でございます。  私は、住宅都市整備公団基本問題懇談会の一員でございまして、その下に設けられております家賃部会座長をさせていただいております。住宅都市整備公団総裁への家賃部会での審議報告座長として取りまとめました立場から、審議の日程並びに主な審議内容について申し上げ、その後、家賃についての私見を述べさせていただきたいと思います。  今回の審議は、昭和六十三年三月に確立いたしました家賃改定ルールに従いまして、三年目に当たる本年に家賃改定の必要があるか否かについて検討し、必要な場合には、その金額等についてどの程度にすべきかを審議いたしました。  まず、審議の経過について申し上げます。昨年の十一月より、東大名誉教授下総薫氏を部会長といたします専門部会で、ルール検討並びに改定についての審議が行われまして、その結果が十二月十八日の家賃部会報告されました。部会ではその報告もと審議を行いましたが、種々の意見が出され、検討の結果、再度専門部会意見の整理並びに検討をしてもらい、本年の二月二十一日に家賃部会を開催し、一部修正されました報告もと審議を行いましたが、一部の委員より再度多数の意見が出されましたので、もう一度部会を開催いたしまして、三月六日にこの部会を行いました。その場で引き上げ限度額修正等を行うことといたしましたが、自治協委員には賛同を得られませんでした。しかし、それ以外の委員賛同を得ました。また、基本問題懇談会反対意見を付して報告することは了承されましたので、三月十三日の基本問題懇談会報告した次第でございます。  次に、審議の過程で出されました主な意見について申し上げます。  まず第一に、昭和六十三年に制定されました家賃改定ルールは、衆参両院建設委員長政府に対する要望の中で、「今後も引き続き必要に応じて所要の検討を行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」と指摘されておりますように、今日の地価高騰等が直接反映しないよう、公団独自の家賃改定ルールをつくる必要があるのではないかという意見が出されたわけでございます。前回家賃改定ルールは、二年有余にわたる慎重な審議の結果定められたもので、衆参両院建設委員会で御審議をいただき、建設大臣承認をいただいたものでございまして、現行ルールを基本的に見直すべきではなく、むしろ定着させるべきであるという意見が大方でございました。また、現行ルールを基本的に見直す特段社会経済事情変化はないと判断されました。特に、地代相当額につきましては、六十三年の固定資産税評価額がベースになっておりまして、六十年に対して約八%程度上昇で、大きな影響はないということでございます。  第二に、居住者所得は低く、特に年金生活者が次第に多くなってきているので、家賃上昇は極力抑えるべきであり、また、高齢者に対する特別の手当てをすべきであるという意見が出されたわけでございます。福祉的措置は必要でございますけれども公団が行う措置としてはおのずから一定限界がございまして、現在行われている特別措置がその限界ではないかとの考えでございました。ただし、前回特別措置適用期間を五年間を限度としておりましたものを、今回は改定期間もございますので、六年間を限度ということに改めさせていただいたわけでございます。  第三は、改正期間と、それによる引き上げ限度額についての意見でございまして、今までは五年ごとに行われており、今回はなぜ三年なのか、居住者生活実態からして、過重な家賃負担と将来に対する生活不安を与える。また、五年のときの引き上げ限度額が、三居室一万円、二居室九千円、一居室八千円であったが、今回は一万八百円、九千八百円、八千八百円となり非常に高くなっている、この理由はなぜかというような意見でございました。ルールにより、これからは三年周期改正検討が行われることになっておりました。これは幾つかの理由がございますが、一つは、五年よりも三年の方が一度に引き上げる額が少なくなる可能性がございますし、それだけに負担も軽くなる。また、固定資産税評価がえが三年ごとに行われますので、その周期に合わせるようにしたわけでございますので、これは三年がよろしいのではないかという意見でございました。また、引き上げ限度額につきましては、改定のたびに具体の額を定めることになっておりますので、これにつきましては委員の多くから意見も出され、前回大臣承認されました額よりもそれぞれ千円低い九千円、八千円、七千円にすることにいたしました。  第四は、空き家家賃並びに建てかえ後の家賃に関するものでございます。空き家家賃につきましては、割り増し家賃を廃止すること、建てかえ後の家賃地代相当額を削除する等して、転居を余儀なくされるような世帯をなくすようにする必要があるのではないかという意見が出されたわけでございます。空き家家賃は、建設年度が古くても新規供給住宅と同機に扱うべきでございますので、特別な改良、改修が行われ、新規住宅水準に近づけるとともに、法定限度額によって算定された額になっております。その家賃は適切なものであり、この割り増し家賃制度を廃止する必要はないというふうに考えて、皆様の意見がそれにまとまったわけでございます。また、建てかえ住宅につきましては、家賃は使用の対価でございますので、地代相当額を除外するということは考えられません。さらに、現在行われております移転費用負担、他の公団住宅のあっせん並びに家賃に対する激変緩和措置は、公団が行える限度いっぱいにいろいろ考えて行っておりますので、それは適当ではないかという意見が多数でございました。  そのほか、数多くの意見が出されました。例えば、自治協質問事項として文書によるものを求めたわけでございますが、もちろん前に述べました意見と重複する点はございますけれども、大きな項目が五つ、そのうちの小項目がございますが、小項目が全体で十七ございまして、当然のことながら、これらの項目全体について検討をいたし、懇談会への報告を取りまとめた次第でございます。  最後に、今回の家賃改定等変更につきまして、私見を述べさせていただきます。  まず、家賃改定ルール見直し必要性でございますけれども、私は、この社会経済変化は、先ほど申しましたように直接的な影響が今回は余りないというふうに考えておりますし、前回確立いたしましたルールというものは非常にすぐれたものでございまして、特にこれを改定する必要はないと考えておりまして、現在のルールを今後も守っていくべきであるというふうなことで、今回の改定そのものに対して賛成でございます。  次に、現在のように地価が異常に高く、東京では平均サラリーマンの年収で換算いたしますと、大体八倍ないし十倍程度金額を出さないと住宅取得ができないというふうに言われております。もちろんそのための土地対策が必要でございまして、昨日も地価税が制定された等いろいろな対策がとられておりますが、公団居住者にとりましては大変取得が困難でございますので、当然のことながら、住みかえができずにだんだんこのまま公団に住みつくというふうな定住化が進んでおり、高齢化がさらに進行するものと考えられるわけでございます。これらの高齢者に対します措置といたしましては、公団ではその限度額いっぱいに措置をとっておりますけれども、これはもう公団の業務の範囲を超えた問題でございまして、今後こういうような問題は多く発生すると思われますので、ぜひひとつこれは別の尺度から住宅政策全般についてお考えいただき、何らかの対策がとられるよう御審議いただければ幸いだというふうに思っております。  第三は、激変緩和措置でございますが、引き上げ限度額適用戸数は約二万四千戸でございまして、全体戸数に対しまして六・五%に相当します。これは、公営限度額方式で算定しました額と現行家賃との差額の二分の一が、この引き上げ限度額を超える戸数でございます。このように、他の住宅に対して有利な低い家賃に居住しておられる方々、この引き上げ限度額を設けるというのは、住宅相互のバランスをできるだけ図っていきたいということで設けているわけではございますけれども、こういう限度額を高額に引き上げますとどうなるかということは当然わかりますが、しかしこれを公営限度額いっぱいに設けていけば格差がなくなるわけでございます。  そのため、専門部会へ提出されました一万八百円、九千八百円、八千八百円というようなことでまいりますと、適用戸数は一万二千戸というふうになりまして、大分各戸格差を解消することができるわけでございますが、これも一度に解消するということも非常に難しい問題もございますので、今回は九千円、八千円、七千円にしたわけでございます。で、さきにも述べましたように二万四千戸ということは、前回の六十三年のときは大体この適用戸数が約二万五千戸でございましたので、ほぼ同じような数になってしまったわけでございます。そこで、この限度額引き上げというのは、今回の家賃引き上げ平均的に約三千九百円でございますので、二居室でそういうようなことでございますので、この引き上げ限度額はそれの約二倍というふうなことになっておりますが、どうもここに明確な具体的な方式がございませんので、今後これを何とか定着させるようなことを考えていかなければいけないのではないかというふうに考えております。  以上で私の陳述を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
  7. 桜井新

    桜井委員長 どうもありがとうございました。  次に、楓参考人にお願いいたします。
  8. 楓健年

    楓参考人 御紹介いただきました楓でございます。私は、全国公団住宅自治会協議会代表幹事であり、また全国公団住宅自治会協議会を代表して、公団基本問題懇談会家賃部会委員を仰せつかっている者でございます。  今回の公団家賃値上げに関しまして、大臣承認に先立って国政の場で集中審議を開催していただき、公団居住者である私に参考人発言の機会を与えてくださいましたことに対して、委員長初め委員先生方に対して深く感謝申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。  まず冒頭に私が申し上げたいのは、公団賃貸住宅を含む公共賃貸住宅の役割についてでございます。例えば家賃という点について考えてみますと、私どもの周囲を見渡してみますと、公共賃貸住宅よりもおおむね二割方高い水準民間家賃ルールが設定されております。そして、賃貸住宅に入居している居住者がこのまま家賃を払い続けていくのと、分譲住宅を買ってローンを払っていくのとどちらが得かなと迷うようなあたりに、分譲住宅価格が設定されているわけであります。つまり一面からいえば、公共賃貸住宅家賃が上がれば民間賃貸住宅も上がりますし、またこれらの賃貸住宅家賃が上がれば分譲住宅価格も上がるという、こういうような仕組みになっているように思われます。  公共賃貸住宅家賃は、住宅費負担という点で、そういう意味では住宅政策の根幹をなすものだというふうに私は理解しています。したがいまして、私が安定した家賃と安心して住み続けられる公共住宅を願いますのは、単に私ども公団居住者だけよければいい、そういう気持ちではなしに、公団住宅に申し込んでもなかなか入れない、多くの住宅に困窮する国民の方がいらっしゃいます。こういう多くの皆さん方の願いとも共通するという確信を持っているからでございます。  このたび集中審議という貴重な時間をつくっていただきましたが、先ほど申し上げましたような点から申し上げまして、当委員会論議が単に公団住宅家賃値上げの額だとか時期だとかいうことだけにとどまるのではなしに、今や全国民的な課題になっている土地住宅問題をどういうふうに解決していくのかという、その突破口となるような論議になっていただくように、心から期待するところであります。  さて、私は全国公団住宅自治会協議会を代表して、また気持ちの上では住宅に困窮する多くの国民皆さんの意向を代表して、このたび公団申請した公団家賃値上げ案に反対する立場から意見を申し上げたいと思います。  まず初めに申し上げたいことは、今回の家賃値上げ前回改定時に決められた改定ルールに基づいて行われており、この改定ルール地価高騰便乗型のルールだということであります。ルール中心になっていますのは、御案内のように公営限度額方式の準用ということでありますが、公営限度額方式地代の再評価、推定再建築費というのが柱になっています。つまり、過去に建築した建物を今建てれば幾らになるかという、仮定の計算によって値上げ金額が算定されているのであります。公営限度額方式は、本来、公営住宅家賃改定時の算式でありますが、最近の公営住宅におきましては、公営限度額方式で算定すれば値上げ幅が大きくなり過ぎるということで、公団住宅があるような主要な都市においては、ほとんど公営限度額方式がそのまま適用されていないというふうに私は承知しています。  今回、家賃改定に当たって、固定資産税評価額は六十三年のものを使っているからということが家賃部会でも説明されましたけれども、御承知のように六、七年前から東京都心三区から始まった異常な土地投機による地価高騰は、その後地方の主要都市、さらにはその周辺都市にも広がり、全国的に地価高騰は最大の社会問題になっています。バブルといわれる地価高騰は、住宅費負担を非常識な水準にまで高め、多くの国民勤労意欲すら失わせているのであります。六十三年時点を基準にやれば、例えば首都圏におきましては五十九年、六十年くらいから地価高騰が始まったわけでありますから、六十三年ごろは首都圏におきましてはまさに値上げのピークの時期であります。  この間の異常な地価高騰は、さきには土地保有税、昨日は地価税という新たな税を誕生させましたし、また、昨年六月二十二日に出された住宅宅地審議会答申におきましても、近年の地価高騰により大都市地域において持ち家を取得することは著しく困難になってきている、このように指摘した上で、また家賃の動向においても、昭和六十三年で昭和五十八年と比べて約一・二倍になっている、二〇%も上がっているということを指摘し、この間七・五%にとどまった消費者物価と比較すればかなりの上昇と言えるというふうに指摘しているわけであります。そして、大都市地域における公共賃貸住宅家賃低減化を図るとともに、地代相当額を軽減するための新たな制度の導入を図るべきだということも、住宅宅地審議会答申は指摘しているわけであります。  つまり、前回改定時以降も、公営限度額方式中心となるべき地代の再評価に大きく影響するところで、社会経済事情特段変化があったわけであります。公営限度額方式を準用したルール家賃改定を行えば、極めて大幅な家賃値上げとなり、近年低所得化傾向が著しい公団居住者にとって大きな負担となると考えています。したがいまして、私は家賃部会におきましても、社会経済事情特段変化があったのだから、家賃値上げを実施するのであれば、まずその前に改定ルール見直しこそ先決ではないかということを主張したのでありますが、家賃部会におきましては、社会経済事情特段変化はないということで、私の主張は一蹴されたのであります。  また、今回の値上げは、前回改定時に決めたルールということで、従来の五年周期が三年に繰り上げられていることも、私が今回の家賃値上げに反対する理由の大きな一つであります。  前回改定時の当委員会議事録を読み返してみますと、五年を三年に繰り上げる理由として当時の公団担当理事は、改定周期余り長くなりますと上げ幅が大幅にならざるを得ない、つまり改定周期を短くすることによって上げ幅が小幅になるという趣旨の発言をしていらっしゃいます。しかし、申請案を拝見させていただきますと、最高限度額は九千円であり、平均値上げ額は三千九百円となっています。前回改定時が、最高限度額が一万円、平均値上げ額が四千六百円でありますから、一見この数字だけを見ますと、若干今回の値上げは小幅になっているような印象を与えるわけでありますが、これを一年当たりで見ますと、前回は五年でありましたから、最高限度額が二千円、これが今回は三千円に値上げされているわけであります。平均値上げ額は、前回は四千六百円、これを五年で割りますと九百二十円になりますけれども、今回は三千九百円でありますので、これを三年で割ると千三百円になるわけであります。前回に比べると五〇%を超えるような大幅な値上げだということが言えるのではないかと思います。したがいまして、前回の当委員会公団担当理事が主張された、改定周期を短くすることによって上げ幅が小幅になるという、前回改定時の説明が真っ赤なうそであったということを、この申請案は証明しているものではないかというふうに私は考えるわけであります。  次に申し上げたいのは、高齢者等に対する特別措置の問題であります。現行措置適用基準が極めて高い水準に置かれているため、前回改定に際しましてこの措置の適用を受けられたのは、延べ二百五十四例ぐらいだというふうに承っております。また、申し込み受け付け期間が一年間というふうに限定されていることも、特別措置を本当に効果のないものにしている理由だと考えています。本来、私どもは年金で暮らすようなお年寄りの人たちに対しては、一定基準を満たせば値上げ対象から外すというような、このような温かい配慮をお願いしたいわけでありますが、もしそうしたことが実現困難な場合であっても、運用基準をもっと低い水準に下げるとともに、受け付け期間を通年、つまり常時受け付けというような形にしていただいて、実効あるものとする特別な配慮をお願いしたいと思います。  申請書にあります敷金の追加徴収につきましては、御案内のように過去三回の家賃値上げにおきましては、当委員会でも御配慮をいただき、取りやめていただいています。私は、国の最高機関である立法府あるいは行政府が三度にわたってとるべきでないという判断を下されたものを、四回目も全く同じ理由申請する公団の姿勢というのは、国権の最高機関の判断をないがしろにするものではないかというふうに考えているわけであります。この件につきましては、過去の経緯を踏まえて取りやめの配慮をいただきますよう、改めてお願い申し上げたいと思います。  最後に、家賃部会委員として、家賃部会の構成、運営について申し上げたいと思います。率直に申し上げて、家賃部会委員の構成は、地域的に見てもその他の点においてもいささか偏向しています。家賃部会委員の方の中には、三回にわたって開かれた家賃部会の中で一度も発言されなかった委員の方もいらっしゃいますが、しかし結論は、公団値上げ案には賛成という態度をとっているわけであります。全国、北海道から九州まで七十万戸の公団住宅居住者がいる中で、居住者気持ちを代弁したのは私一人であります。できましたら、ここの中にも自治協代表を複数で加えていただき、もっと居住者意見が反映するような構成になるように。  また、運営の点におきましても、この家賃部会家賃改定の直前にしか過去は招集されておりません。私は家賃部会でも申し上げましたけれども、この部会家賃部会というよりも家賃値上げ部会ではないか、こういうふうに申し上げました。現状はそのとおりだと思います。こういうことではなしに、本来公団住宅家賃はどうあるべきなのか、あるいはお年寄りだとか母子家庭だとか、こういうような恵まれない人たちの家賃をどうするのか、こういうことを通年にわたって討議するような家賃部会であることを願っています。ぜひ当委員会におかれましても、このような点を御指導賜るよう、心からお願い申し上げたいと思います。  そろそろ時間でございますけれども、もう一点申し上げたいのは、住宅家賃にかけられている消費税の問題であります。見直し案あるいは廃止案いずれを見ましても、家賃には消費税ほかけるべきでないというふうに私どもは承っております。したがいまして、きょうの当委員会に御出席の各会派の先生方は、家賃に消費税をかけるべきでないということには御賛同いただけるというふうに思っておりますけれども、現実の問題として家賃には消費税がかけられております。また、家賃には消費税はかかるけれども、敷金には消費税がかからないというのが消費税法の法文でございますけれども、ところが現実の問題として、例えば十万円家賃住宅に入った場合、払います家賃は十万三千円でありますけれども、この場合敷金は三十万円になるかというと、そうではなしに、払っている家賃が十万三千円でありますから、払う敷金は三十万九千円という形で、かからないはずの敷金にも消費税がかけられているわけであります。ぜひとも、当委員会委員長要望をまとめられる際に、できましたら公団家賃の中から消費税を外すという、こういうようなところをおまとめいただければありがたいと思います。  どうもありがとうございました。
  9. 桜井新

    桜井委員長 御苦労さまです。  次に、本吉参考人にお願いいたします。
  10. 本吉庸浩

    本吉参考人 朝日大学の本吉でございます。  石原先生と同様、住宅都市整備公団基本問題懇談会家賃部会委員を務めておりますけれども、本日は、家賃部会の一員というより、私もかつて公団賃貸住宅に住んでおりましたので、日ごろ感じている、かつての一居住者の心情から、今度の家賃問題をざっくばらんに考えてみたいと思います。  公団賃貸住宅に入居していた経験から申しますと、どんな理由があれ、家賃が上がることについては、入居者の方が賛成するとは大体思えないわけでございます。それならば公団家賃を一切改定しなくていいかということになりますと、そこにはさまざまな問題が出てくるのではないかと思います。  第一は、公団内部の新旧家賃格差の問題、それから周辺の民間賃貸在宅に入っている方との対家賃格差が非常に拡大してきまして、それが社会的不公平を生むのではないかということです。もう一点は、やはり公団というのは公共の大きな財産でございますので、これを良好な住環境として維持していくために定期的に修繕をしていく必要があると思うのですけれども家賃が昔のままに放置されておきますと修繕も満足にできなくて、国民の貴重な財産である公団住宅がスラム化していく懸念があるので、やはりそういう面からもある程度家賃改定というのはやっていく必要があるのではないかという気がいたします。  第一の社会的公平の問題でございますけれども、私がかつて住んでおりました東京北区の赤羽台団地を見ますと、既存住宅家賃は、二DK約四十平米で現在の家賃が三万五千五百円でございますけれども空き家家賃は五万一千九百円になっております。今度はその周辺の民間賃貸住宅を見ますと、大体八万三千円から八万九千円、約九万円近い家賃、かなり家賃格差が出ておるわけでございます。問題は、皆さん公団住宅に全部入居できれば結構なんですけれども平成年度公団東京支社、関東支社で新規公団賃貸住宅を募集したところ、応募倍率は約三十九倍前後でございまして、大部分の方が公団住宅に入れないで、今申したような八万、九万円という民営に住んでおる。この現状をやはり放置しておいてはいけないのではないか。  私が何より懸念するのは、先ほど楓さんもおっしゃっておられるように、これからの国の住宅政策としては、もう少し公共賃貸住宅をふやしていくべきだと私も思います。しかし御承知のように、今地価の高騰などで新築の場合家賃が非常に高くなる。そのために、これも御承知のように我が国では約一千七百億円の利子補給をしまして家賃を薄めておるわけでございますけれども、これからこういうものをふやしていくためには、やはり住んでいる方が応分の負担をしていく必要があるのではないかという気がいたします。一千七百億円のお金が、例えば民営賃貸住宅に高い家賃を払っている立場からいいますと、何で私たちが入れないところにそういう補助で税金を払うのだということになりまして、これからぜひ進めていかなければならない公共賃貸住宅の大量建設の足を引っ張っていくことになるのではないか。そういう意味でも応分の負担をしていくことを、公団住宅にお入りになっている方がやはり相互扶助の立場からこういう問題をぜひ考えていただきたいと私は思うわけでございます。  それから、この間の新聞にも出ておりましたけれども、例えば中国でも上海、北京では非常に安い家賃にした、その結果住宅が不足してきて、最近は住宅債券とかそういう新しい制度を設けて、ある程度住民に負担をしていただくことによって中国流の公共住宅を大量に建設していく方向が、つい先日の新聞に出ておりましたけれども、中国でも大体そういう流れになっていると思うのです。ですから、ただ家賃が非常に安ければいいというものではないのじゃないかという気がいたします。  それから第二点は、修繕費の問題でございます。やはり先ほど申しましたように、公団住宅は国の公共財でございまして、これを良好な住環境に維持していくことは極めて大事なことでございますけれども、現在の公団の修繕費はたしか家賃の一・二%でございまして、現在の家賃水準から見ますととても満足な修繕ができないのじゃないかという気がいたします。ちなみに、公団が定期的、計画的に修繕を行っておりますけれども、大体戸当たり九十四万円ぐらいそういう修繕がかかる。そうすると、とても一・二%では処理できないのじゃないか。そういう面からも家賃負担が要るのじゃないかと思います。そうした意味で、今度の値上げ増収分が修繕費に約七割、それから三割が高くなる家賃の引き下げに使われるということで、ほかの目的に使われるわけではございませんので、ぜひとも公団に入居をしている方が相互扶助の立場からこういうことをなるたけ合意していただいて、適正な家賃水準に持っていくことがこれから極めて大事になってくるのじゃないかという気がいたします。  それから第三番目でございますけれども、もう当然のことながら、これからの高齢者に対して、または社会的弱者に対しての公団側の配慮が必要と思います。しかし、これも先ほど石原先生が御指摘になったように、当然公団だけでは限界があると思います。これから二十一世紀になりますと、大体四人に一人が六十五歳以上の老人の社会になることを考えますと、公団だけではなくて、公団住宅を含めて公共住宅、さらに民間住宅家賃がどうあるべきか、殊に高齢者に対してどう配慮していくべきかということは、逆にこちらからお願いしたいのは、ここにいらっしゃる先生が、そういう視点からこれからの高齢化社会時代の家賃負担、老人の住宅をどういう形で提供していくかということを、単に今度は公団家賃の問題だけじゃなくて、国の住宅政策全般の中でぜひともお考えいただきたいと思います。  私は、今度の家賃問題で一番感じますのは、このままでいきますと、何か高齢者、弱者と若い人たちの間に、非常に家賃格差が出てくるのじゃないかという気がいたします。きのうもある若い就職三年目の方にちょっと会ってお話を聞いたところ、今月収が大学出て三年目で大体二十万、東京の新宿のちゃちなマンションに住んでいるのですけれども家賃が七万五千円、それも六畳一間だそうです。今東京なんかでは、一畳大体一万円というのが民間家賃相場になっておる。六畳一間で六万、七万という家賃相場は、決して私は望ましいものではないと思います。このために、先ほど申しましたみたいに、もう少し公共賃貸住宅を大量に建設していくことが一番重要な問題だと思います。  そのために僕は、こういう委員会にお呼ばれして感じますのは、いつも公団の問題になりますときは古い家賃をどうするかという問題ばかりが焦点に上りまして、これから新しく入る人たちの高家賃をどうするかという問題が余り論議されたことがないような気がするわけでございます。ですけれども、今言いましたみたいに、例えばまだ二十歳代で七万以上の家賃を払わなければ東京で住めないというような現実の中で、これから供給する新規公団住宅家賃を初め公共住宅家賃をどうするかという視点からこの公団の既存の家賃問題も考えていかないと、本当の解決ができないんじゃないかという気がいたします。  そういう意味で、ぜひ先生方にお願いしたいのは、既存の公団住宅家賃をどうするかという視点だけじゃなくて、ぜひ先生方のお力で、これからの公共賃貸住宅家賃体系はどうあるべきか、もちろん公団住宅を含めてですね、そういう面からぜひとも総合的なメスを入れていただきたい。じやないと、例えば私、先ほど赤羽台団地に住んでおりましたと言いましたけれども、そこそこに現在給料をとっておりまして、現在の給料で——反対の方はいろいろな方がいらっしゃいますけれども、四万円程度家賃でそこに住めれば非常に楽です。だけれども私の息子が、今の大学を出て三年生の話じゃございませんけれども、とても現在の自分の力で例えば公団の新規宅住に入れないというような問題が当面するわけでございます。その問題を抜きにして、本当は既存住宅家賃の問題というのは論じられないんじゃないかという気が私はいたします。  そういう面で公団家賃が、既存の家賃が高いか安いかは別にして、そういう点から、要するに公団自体の家賃体系はいかにあるべきかということをぜひ先生方に考えていただいて、高齢者のこれからの住宅対応をどうするかという問題とあわせて、もう少し総合的な住宅政策全般の視点からこのごろの問題を見ていっていただきたいと思います。  これで私の意見を終わりたいと思います。(拍手)
  11. 桜井新

    桜井委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  12. 桜井新

    桜井委員長 これより参考人に対する質疑に入らせていただきます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村直人君。
  13. 北村直人

    ○北村委員 まず冒頭、参考人でございます石原先生、楓先生、本吉先生に心から敬意を表する次第でございます。  三人の先生方の御意見を聞かさせていただきながら、今後の住宅政策あるいは公共賃貸住宅等々のことにつきまして我々も真剣に取り組んでいきたい、こう思っておりますので、またこの後の質疑におきまして、時間が余りございませんので、簡潔に、そしてまた本音でお話をしていただければ大変ありがたい、こう思うところでございます。  それでは、まず石原参考人にお聞きをいたしますが、家賃部会には居住者の方あるいは労働界の方々が入っているというふうに私は聞いております。それで、この家賃部会委員の構成はどのようなことになっておりますか、まず冒頭お聞かせをいただきたいと思います。
  14. 石原舜介

    石原参考人 お答えします。  家賃部会は、学識経験者、言論界、労働界並びに弁護士等の実務家に居住者二名を加えました、全員で十三名でございます。うち、学識経験者四名、それから言論界三名、労働界二名、実務家二名、居住者二名、計十三名でございます。
  15. 北村直人

    ○北村委員 ありがとうございます。大変いろいろな方々の御意見を聞かさせていただきながら委員の構成をしていただいて、十分にお話をさせていただいているんだと思います。  楓参考人にお聞きをいたしますが、楓様は公団の全国自治協の代表ということで委員となっておられますが、この全国自治協に加盟しております世帯数、先ほど楓さんから七十万戸というお話がございましたが、私は約十七、八万世帯、十八万戸くらいというふうに記憶をしておりますけれども、それで間違いございませんでしょうか。
  16. 楓健年

    楓参考人 お答えいたします。  北村先生は親子二代国政に従事していただいておりますし、小沢辰男先生に師事されておりましたので、建設行政には非常にお詳しい方でございますので先刻御承知のことと思いますけれども、私どもの団体は家賃値上げ反対連絡会という形でスタートをいたしました。こういう中で、今回の値上げ対象約三十五、六万戸だというふうに思いますけれども、このうち通常会費という形で洗っている、それで延べで数えますと約十七万五千戸でございます。ただ、加盟団地の戸数総数でいえば、約三十二万戸になろうかと思います。  以上でございます。
  17. 北村直人

    ○北村委員 三十二万戸ということになりますと、中身の方がちょっとまた違った意味を持ってこられると思いますので、やはり十七万から十八万戸、約二五%、約四分の一の方々の加盟率ではないかなというふうに私は理解をするわけであります。  それで本吉参考人さんにお聞きをいたしますが、家賃部会での審議状況でございますが、どんな委員会でも民主的な議論が行われるということがこれが大前提でございますが、特に居住者の代表の方々発言の場というものは、本当に十二分に持たれていたとお考えをしていただいておりますでしょうか。
  18. 本吉庸浩

    本吉参考人 先ほど楓委員から居住者意見が反映しないというお話がございましたけれども、たしか第二回にもう一人の方、自治協にお入りになっているかどうか知りませんけれども、神奈川県の百合ケ丘の代表の方が発言して、例えばこれが今度は第二回目の家賃改定に大きく参考になった例がございます。それを例で申しますと、たしか一回目は一寝室、二寝室、三寝室全部同率で上げたんですけれども、例えばその居住者の方から、それではおかしいので一寝室、二寝室、三寝室、規模別に家賃に差をつける。今度のように、例えば広さ別に七千、八千、九千という、これはたしか私の記憶によりますと、第二回目のあの家賃部会居住者、百合ケ丘の自治会の会長さんの御発言が取り入れられた。  それから、例えば今回の家賃の問題にしても、今度の家賃値上げが高いか安いかは別にいたしまして、私なんかも申したのは、家賃というのは生活の中で固定しているもので、高いか安いかの議論じゃなくて、生活実感からなかなか上げにくいものである。ですから今度の初めの値上げについても、私は大体マスコミから出ておりますけれども、やはり家賃というものが生活の中で固定しているものなら、公団が当初お出しになった案を家賃専門委員会で八、九、十——八千、九千、一万円、それを激変緩和生活を配慮して七、八、九とまた千円ずつ下げることによって今回の御報告になっておるように、私はかなり民主的に皆さん意見が反映しているんじゃないかという気がいたします。
  19. 北村直人

    ○北村委員 それでは、参考人でございます石原先生にお聞きをいたしますが、そもそも昭和五十八年度家賃改正の際に「適切な手続に基づく必要なルール作りを行い、」と国会が要望して、この要望に基づいて家賃部会という場所でいわゆる居住者の代表の方々を含む各界の有識者の御意見を伺って、昭和六十三年に公正な家賃改正ルールがつくられたものだと私は理解をしております。ところが、私の手元にも全国公団自治協さんのいわゆる広報が届いておりますけれども家賃部会での審議が不十分のまま打ち切られたというふうにこれに書かれております。もしそうだとすれば、これはゆゆしき問題でありますし、またそうではないとすると、この公団自治協の新聞というのでしょうか、これではまた違った意味で書かれているのかなあと、これまた大変ゆゆしき問題であるなというふうな気がするところでありますが、石原先生はこれはどのようにお考えをいただいておりますでしょうか。特に、審議が不十分のまま打ち切られた、こういうふうにお考えをしておられますでしょうか。     〔委員長退席、笹川委員長代理着席〕
  20. 石原舜介

    石原参考人 お答えします。  私は、審議は十分尽くされたというふうに思っておりまして、打ち切るようなことはなかったというふうに思います。と申しますのは、各三回ではございましたけれども、その間自治協委員方々から十分な発言がなされまして、そしてそれに対しましていろいろ検討を加えていったわけでございまして、その検討の結果、各委員審議は一応尽くされたというふうに判断されて、そこで基本問題懇談会の方に報告するということが了承されたわけでございまして、自治協委員も、反対という附帯意見をつけて報告してもらいたいというふうなことで了承されたということから、十分審議が尽くされたというふうに理解しております。
  21. 北村直人

    ○北村委員 私もそのように理解をしたいし、またそうであってほしい、こう思うわけでございます。  それで、楓参考人さんにもう一つお聞きをしたいと思いますが、今十分に尽くされた、こういうことでございます。そしてまた、家賃部会という場所で居住者の代表を含む各界の有識者の御意見を伺って、昭和六十三年に公正な家賃改正ルールがつくられた、これは理解をしていただけるのではないかと思います。にもかかわらず、こういう公団自治協の新聞ですとか、あるいはルールがあるにもかかわらず、それからまた皆さんの代表者が入っているにもかかわらず、それは意見が全部通ればいいことでありますけれども意見がなかなか通らないということで、審議が不十分である、あるいはまた当事者間、つまり公団と入居者の方々だけで決めろというようなこともまた書かれているということになると、この日本の社会はルールの中で行われるわけであります。そういうことになると、私はちょっとおかしいような感じがするわけでございます。大変言葉は申しわけございませんけれども、そのことについて楓参考人さんからもし御意見がございましたらお聞かせをいただきたい、こう思います。
  22. 楓健年

    楓参考人 先ほど石原先生の方からもございましたように、私は家賃部会の中で数十項目にわたる質問も出しましたし、いろいろ提案もやりました。それに対しまして、結果で見ますと、最高限度額一万八百円が九千円になったという、これが変更されただけなんでありますね。そういう意味でいえば、これは確かに限られた時間の中ではありましたけれども、私にかなりの発言時間を割いていただいたことは、これは事実であります。ただ、私どものこの要求に対して十分な回答が得られたかどうか。例えば先生も御承知のように、私冒頭にも申し上げましたように、この間の土地事情というのは極めて大きな変化があったというふうに私は理解しまして、特段変化があったではないかということを主張申し上げたのに対して、これは専門部会でも論議をしたけれども特段変化はなかったという回答をいただいただけでありまして、そういう意味でいえば、討論の内容あるいは結果から見まして、私どもは不十分だ。  もう一言申し添えさせていただければ、既にでき上がったルールというのがどういう経過の中で、どういう構成の中でつくられたルールであるのかということが、一つ問題があるわけですね。私どもは、このルールができました時点で、このルールは問題があるのではないかということを申し上げておりますし、このルールをつくるのであればやはりもう少し客観的に見て、いろいろな意味で、これは地域的にもそうですし、いろいろな各界の本当の意味の御利益を代弁するという意味でも、もう少し公正な委員の構成にすべきではないかというふうに思っているわけであります。これは個人のことでございますけれども、ある委員の場合は、例えば地元の中で信任されていないような方も委員の中に加わっているわけでありまして、そういう意味では、委員の構成自体にかなり問題があるのではないかというふうに私は考えております。  そういう経過の中で、私は論議として不十分であったというふうに受けとめたわけでありまして、時間の問題、出した問題に対してどうであったか、それだけで申し上げているわけではないのでございまして、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  23. 北村直人

    ○北村委員 楓参考人さんの御意見も、これまた一つの考えであろうと思います。家賃部会委員に例えば初めてなった方は、今までの議論をおれは聞いてなかったから、あるいはそのときにルールづくりに入ってなかったからそれは納得できないというふうにまた言われてしまえば、一つルールに沿ってやられている委員会が全く崩壊してしまう。また一からやり直さなければいかぬということになると、いつもいつもそういうことをやらなければならぬことになるような気がするわけであります。ただ、楓参考人がおっしゃったとおり、その議論は尽くされても、やはりその委員皆さんの納得がいくことが十二分に必要なことであろうとも思いますので、そのことは大変今後のまた参考にさせていただきたいと思います。  それで私は、お聞きをするわけではございませんが、先ほど地価高騰影響が直撃するというようなこともお話がございましたけれども公団の供給の対象である大都市地域においては、公的な地価評価としては最も低い固定資産税評価額を使っている、私はこう理解をしております。ですから、この地価高騰影響が直接反映するということは、それはいろいろな御意見があろうと思いますけれども、私はちょっとそれは違うのかなという実は気がしているところでございます。  余り時間もございませんが、もう一つ本吉参考人さんにお聞きをしたいと思いますが、先ほども本吉参考人さんから、今回の家賃改定による増収額は、これは家賃の抑制に使うということの御意見がございました。七〇%、三〇%ということでございますが、もうちょっとそこら辺を、本当に家賃の抑制に使われるのかどうか、そこら辺をお聞かせをしていただきたい、こう思います。
  24. 本吉庸浩

    本吉参考人 先ほど申しましたみたいに、今度の家賃値上げの増収分は、修繕費に七割、それから新規家賃を薄めるために三割使われているわけでございます。従来から、大体そういう方式がとられていると思います。これは、私なんかはどっちかといいますと、先ほど申しましたように、もっと新規の公共賃貸住宅を大量に供給していく立場から、比率をもう少し家賃を薄めるために、先ほど言ったように、私は公共住宅に住んでいる方が相互扶助の概念がぜひ欲しいと思う。そのために僕なんかは、本来はもう少し家賃を薄める方向に使っていただきたいという気がするのでございます。  それからもう一つ、非常に今家賃が、怒られるかもしれませんけれども、それほど上がっていない。けれども、例えば大工さんなり床を張りかえるなりペンキを塗るなり、職人の手間とか材料費はどんどん上がっているわけですね。そうしますと、これはよっぽど修繕をきちんと計画的にやらないと、私が心配なのは公団住宅がスラム化していく。そのためにはやはり計画的にきちんと修繕すべきですけれども、その財源がなければ幾ら公団がやりたくてもできないのではないか。そういう意味で、この家賃増収を公団がほかの金に使うのではなくて、修繕それから高家賃の引き下げに使う、二つに限定していることは、私はかなり評価してよろしいのではないかという気がいたします。
  25. 北村直人

    ○北村委員 私もそのように思います。特に相互扶助、共存共栄、お互いに助け合いながらともに生きていくというのがこの社会のルールだと私は思いますので、このことは大変参考にさせていただき、そのようにしていくことが望ましい、私はそう思います。  それで、時間がございませんので、最後に石原参考人さんにお聞きいたします。六十三年度家賃改定の際、委員長要望で、「家賃改定のあり方について、今後も引き続き必要に応じて所要の検討を行い、」ということで、ルール見直しということも要望されております。今回はどのように扱っていったのか。それからもう一つ、今回全国の公団自治協皆さんがこの家賃改定について最もこだわった部分は何があったのだろうか、これについてどう思うか。この二つを簡単に御回答いただいて、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
  26. 石原舜介

    石原参考人 お答えします。  第一の点に関しましては、これは長年、六十三年のときに検討をしたときに、いろいろな家賃公団独自の方法とか公営限度額方式だとかそのほか評価方式だとか、いろいろな方式を並列的に検討して、結果、こういう方式が最も望ましいという結論が出されましたので、それを今回見直すための特段理由がないというふうなことで、現行ルールをそのまま踏襲するという形にしたわけですが、その中で、二番目の問題と関係がございますけれども皆さんが一番心配されましたのは御承知のように地価の高騰でございまして、これが今回の家賃そのものに直撃するのではないか、そうすると非常に大きな額の家賃上昇を招くというふうなことが心配されたというふうに思うわけでございます。  ところが、このルールの中では、固定資産税評価額を基礎に置いております。地代相当額というのは固定資産税評価額でございますし、それをもとに全国のその金額を集計いたしまして、それの平均値をとりまして、それからその周りのいろいろな鑑定に基づくそれぞれの団地の価額、こういうものを参考にしながらこれを割り振るということで、絶対額それ自体は変更ないわけでございます。ですから、その割り振りはいろいろ立地条件によって行われるわけでございますが、これも前回行われたとおりでございます。これでやりましても総額におきましては、六十年から六十三年の固定資産税上昇分というのは約一六%でございましたが、御承知のように住宅でございますので、公団の部分につきましては約八%の上昇ということでございます。ですから、ほかの物価の上昇等と対比いたしまして特段上昇ではないというふうなことで、地価見直し等そういうことをやる必要性はないのではないかということで、今回そういうことでルールを尊重したということでございます。
  27. 北村直人

    ○北村委員 三人の参考人皆さんには、大変貴重な御意見ありがとうございました。  私は、この短い時間でございましたけれども、結果は別としまして、家賃部会での論議というのは十二分に尽くされて、いろいろな意味でいろいろな問題を提起をしながら今回の改定が出てきたのではないか、こう理解をさせていただきます。  なお、お三人の参考人皆さんにおかれましては、今後ますます私たちに御指導を賜り、よりよい住宅政策あるいは公共賃貸住宅のあり方について、今後もまた御指導いただければ大変ありがたいということを申し添えまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  28. 笹川堯

    ○笹川委員長代理 これにて北村直人君の質疑は終了しました。  木間章君。
  29. 木間章

    ○木間委員 三人の先生方には、当建設委員会に御出席をいただきまして、しかも早朝から雨の中大変ありがとうございました。また、先ほど貴重な御意見も賜りまして、心から敬意を申し上げるところであります。  それで、まず石原先生にお尋ねをするわけでありますが、先ほどのお話の中に、いわゆる社会的弱者と申しましょうか、老人世帯母子世帯、身体障害者世帯などなどの皆さん家賃減額特別措置を盛り込んでいただいたところでありますが、東京では土地問題などで住みかえはなかなか困難だ、勢いそういう中で高齢化をたどっていかれる、こういう状況を述べていただきまして、そしてそういう特別措置についてもおのずから公団では限界があるんだ、こうおっしゃっておられまして、そして特別措置の必要もあろう、こういう御意見なんでございますけれども、もう一遍この問題について先生のお考えをお尋ねしたいと思います。
  30. 石原舜介

    石原参考人 お答えします。  先ほど意見として述べさせていただいたとおり、公団居住者方々の定着率というのがこういう社会情勢でございますのでだんだん高くなる、それだけ高齢化していくであろうということは容易に想像できるわけでございます。当然のことながら、高齢化するに従いまして収入が減額してくるということは当然のことというふうに考えられるわけでございます。そこで公団といたしましては、そういう方々生活扶助を受ける場合の家賃補助体制に当たるような場合には、その額までは減額しましょうというふうな措置で対応しているわけでございますが、これはいろいろ報告を聞きますと、生活保護の対象とならない、若干それより高い収入の方が多いわけでございます。その方は公団としては何とか考えていきたいというふうな気持ちはおありのようでございますけれども、しかしそれを救うだけの財源がないわけです。  ですから、これをどういうふうにしていくかということは、公団だけの采配でやれる枠内ではとても対応できませんので、そういうことで、今後は私も必要だというふうに思います。その枠を少し拡大して、お年寄りの生活扶助から少し上の段階の方も若干枠を広げて拡張できるような措置を講じなければいけないのじゃないだろうかというふうに考えておりますが、しかしそれにはやはり行政的な決めを決めていただかないと、公団もある程度公団法によって行っている団体でございますので、その法律の枠内ではどうにも対応できない。だから、そういう措置をするのであれば、これはひとつ先生方住宅政策全般からお考えいただきまして、どうあるべきかということから措置を御提案いただき、そしてそれを立法化していただければ非常にありがたいというふうに私も思っております。
  31. 木間章

    ○木間委員 先生の今の御説明で了解ができたわけでありますけれども、最初のお話を聞いておりまして、公団住宅は一時的な居住区なのかな、先生のお考えはそうなのかな、こう実は思っておりました。つまり、マイホームを持つか何かまでの期間の腰かけ的な居住区なのかな、こういうふうに受けとめたわけでありますが、今のお話ではよくわかりました。確かに考えてみますと、国の経営であったものが後に公団にかわったわけでありますから、国としても住宅政策を考える、あるいは県や市町村としてもそれぞれ持ち場、持ち場で考えていくということは極めて重要な問題でありますから、疑問は晴れたわけであります。  いま一つ先生にお尋ねをしたいのでございますが、三年前の改定のときに先生は家賃負担限度額について、所得の低い層には収入の一〇%内外が限界だろう、このように述べておられますが、今度の改定について、所得分位第一分位の人たちの中でこの一〇%の限界を超えたときに今のようなやり方でいいのかどうか、どのようにお考えになっておりましょうか、お尋ねしたいと思います。
  32. 石原舜介

    石原参考人 前回、六十三年の改定のときにお話ししましたのは一般論として申し上げたわけでございまして、所得というものが低くなるに従いまして家賃負担というものはだんだん低くなっていくというのが通例である。それに対しまして、大体限界として一〇%ぐらいというのが最低限界かなというふうなことで申し上げたわけでございます。  現在の所得分位第一分位の方々というのは、本来はこれは公営住宅の方へ居住していただくというのが本質的な住宅政策の流れでございまして、たまたまそういう先ほど申しましたようなことで高齢者の方が、第一分位の方がお住まいになるというふうなことで、その場合でも生活保護対象というふうなことであれば、これはそういうふうなことができると思います。ところがこれが若干、いろいろ楓さんの方からもデータをいただきまして見たわけでございますけれども生活保護世帯としては対象にならない、けれども非常に低い所得の方、しかしこれが一〇%の枠といいますか、そういう人は大体同じところに長年居住されておりますので、公団家賃としても割合低いところにお住まいになっております。そういうこともございますので、それをさらに低額にしていくというふうなことは、これはよほど別の政策がない限りちょっと難しい問題であろうというふうに思いまして、確かに一部にはその一〇%を若干超えるような、対象になろうという人もおろうかと思いますけれども、私はこれは現実問題としてやむを得ない線ではないかというふうに理解しております。
  33. 木間章

    ○木間委員 ある意味では先生の持論かもしれませんけれども年金生活者なり収入がだんだん少なくなっていく皆さんには本来公営住宅に移っていただく性格のもの、私はいささか疑問を持つわけです。公営住宅にいたしましても入居できるような十分なものはございませんし、かつてこういうお話を聞きました。公営住宅に入居を申し込んだら収入の関係で入れなかった、それで公団に移るということなんでしょうが、公団も長く住みますと年齢を重ねるのもこれはまた当然のことでありまして、そういった中には人間関係、社会的コミュニティーも当然できてくるでしょうし、また生身の体でありますから、周辺のお医者さんなどとの関係も出てくるわけでありまして、国の住宅政策の貧困からあっちへ移され、こっちへ移されということでは国民はたまったものではないだろう、このように感ずるわけでございます。私ども、大家とたな子の関係からいいましても、これら長年住まれた方についてはやはりいろいろの施策を網羅して、居住されていくようにしていくべきではないだろうか、このように考えるわけであります。  次に、楓先生にお尋ねをしたいと思います。家賃部会は十三名で構成をされておると先ほど御報告をお聞きしたわけでありますが、地域的にも偏っておる。北海道から九州までそれぞれお住まいになっておるわけでありまして、職業的には網羅されておるやに聞くわけでありますけれども、こういった家賃部会の構成について、その役割とか機能などについての御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  34. 楓健年

    楓参考人 先生御承知のように、住宅事情と申しましても、首都圏の場合と関西圏あるいは九州、北海道、私の住んでおります中京圏というように、それぞれ地域によってかなり大きな格差があるわけであります。こういう中で、家賃部会委員の構成で見てみますと、十三人中十二名の方が首都圏に御在住、中京圏から出ているのは私一人であります。それこそ北海道だとか九州だとか、そのあたりの住宅事情を代弁される方は一人もいらっしゃらないわけであります。したがいまして、例えば公団家賃が四万数千円ですよという説明がありましても、首都圏の方がお聞きになると非常に安いなという印象で受けとめるわけでありますけれども、これが九州だとか北海道あるいは四国、こういうようなところへ行きますと、四万円もするのか、高いではないかという形になるわけであります。こういう意味で住宅というのは本当に地域的な特性を持っておりますので、そういう意味では、全国各地方と申さないまでも、そういうようなところの代表、そういうことの中に私ども居住者の代表も出させていただければありがたいというふうに思っております。  それから、機能という点につきましては、家賃部会というのはいわゆる通常の審議会とは違いまして、諮問があってそれに対して答申を出すというような形にはどうもなっていないようでありまして、承るところによれば議事録もとってないということでありますけれども、そういう中で家賃部会委員である私どもがいろいろ言う、それを公団のサイドではお聞きになっていて、その中でどの意見を取捨選択するのかという判断は全く公団に任されている、こういう形になっているわけであります。この点が一つ問題なのと、これは先ほども申し上げましたけれども、今果たしている役割というのは、家賃部会というよりもまさに家賃値上げ部会というような役割を果たしているのでありまして、公団家賃が本来どうあるべきか、先生が先ほどお尋ねになった高齢者等家賃補助の問題だとか、こういったような問題をどうするのか、こういうような問題こそ論議すべきだというふうに私は考えておりますけれども、現在の基本懇家賃部会はそのようになっていない、こういう実情であります。
  35. 木間章

    ○木間委員 公団家賃の今までの変更の経過について調べてみますと、五十三年に始まりまして、五十八年、六十三年と五年ごとだったのでしょうけれども、今度は三年になりました。当然居住者影響いたしますが、新家賃について配慮しなければいけない、このように私も考えるわけでありますが、いかなる点に配慮しなければならないと楓先生はお考えなんでしょうか。
  36. 楓健年

    楓参考人 例えば一点、最高限度額の点で申し上げさせていただきますと、前回の場合は五年でありまして、このときに一万円でありました。私は家賃部会でも再三ルール見直しが必要だということを主張したわけでありますけれどもルール見直しの必要がなくて、前回改定ルールのあれでやっていくのだということを言われたわけであります。  そうしますと、当然のこととして、五年周期で最高一万円であるから、今回は三年にするということであれば、前回公団から出ました理事発言にもありましたように、値上げ周期を短くすれば値上げ幅は小幅になるというのが頭にあったものですから、五年を三年にすれば、当然一万円は六千円という形で提案をしてくるというふうに私は考えておったわけであります。値上げ平均額でいいましても、四千六百円が五年でありますから、これを三年に直すと約三千円であります。平均額三千円くらいで提案をしてくる、これで当然だ、ここの中から、これが果たして妥当なのかどうなのかを家賃部会論議すべきものだというふうに私は考えておったわけであります。  ところが驚いたことに、公団が出してきたのは、前回一万円であって、値上げ周期を短くしたにもかかわらず最高限度額は一万八百円、その中で千八百円下げたと言われますけれども、ベースになるのが六千円ではなしに一万八百円という高いところに設定しているわけですから、私どもは十分下げていただいたというふうには思っていない。こういう五年から三年になりますと、例えば五千円の値上げが五年ごとですと三回、十五年間でこれは一万五千円になるわけでありますけれども、同じ規模の形のものが三年間でやられますと、これは十五年間で五回になりますから二万五千円になりまして、極めて高いアップ率になるわけでありまして、値上げ周期が三年になったということは非常に大きなあれを持っている。それにもかかわらず公団は、三年というところで一歩踏み込めば、他の平均額だとか敷金のところでは居住者に大幅に譲るのであれば話し合いの余地はあろうかと思いますけれども、とにかく公団は、周期を短くしたけれども、あとのところは前回よりもさらに踏み込んできている。これでは、十分な了解が得られたというふうには言えないのじゃないかというふうに私は思っているわけでございます。  以上でございます。
  37. 木間章

    ○木間委員 最後に本吉先生にお尋ねをするわけでありますが、冒頭、家賃部会座長の先生からお話がありましたが、公団総裁の方から諮問を受けて部会を数度開催されておりますが、先ほど楓先生の方から、これでは値上げ部会じゃないか。確かに、回数はもっとふやしてもらいたいとは思いますけれども、短期に集中をした感があります。ですから、どたばた劇の結果、またこのようになっていくのかな。社会の諸情勢の変化やあるいは国民のニーズなどなども刻々変わっていきますから、やはり部会の持ち方について定例化をして、大変でございましょうけれども、十分な意見交換をされ、あるいはまた入居者の意見も率直にお聞きになる、そういうことが必要じゃないかな、実はこう感じております。したがいまして、にわかづくりの会合ではなくて、やはり定例的に、あるいは修繕の問題にもどういった問題があろうか、あるいは家賃の滞納もなしとは言い切れませんから、そういったものについてもお互いに意見交換をされて、文字どおり公団経営の中の中核的な役割を果たしていただくためにも必要じゃないかな、こう思っておりますが、部会の持ち方について先生の御意見をちょうだいしたいと思います。
  38. 本吉庸浩

    本吉参考人 御指摘のように、定期的にできればそれは理想的だと思うのですけれども家賃部会の先生、それは専従ではございませんし、学校とかいろいろなものを持っていて、やはりなかなか理想どおりにはいかないのじゃないかというのがまず第一点でございます。  それからもう一つメンバーの方、これがいいのかどうかわかりませんけれども、ずっと長いこと家賃部会に属しているメンバーの方が比較的多いですね。そうすると、大体の大きな流れですか、家賃の流れとか問題点というのは大部分の方は把握しているのではないか。そういう中で議論しますので、そう常時やることも、それができれば理想的でございますけれども、やはりいろいろな面で問題があるのじゃないか。ただ、先生御指摘のように、家賃が上がるときじゃなくて、なるたけ常時都合のつくときに、本来は私は、公団家賃だけじゃなくて公共政策、公共住宅家賃体系そのものがどうあるべきかの中から、公団家賃はどうあるべきか、既存住宅家賃はどうあるべきかということをやはり絶えずチェックしていくことが大事でございまして、そう考えておりますが、先生のおっしゃるように常時できれば結構ですけれども、これは公団の事情、私たちの事情で、理想としてはぜひそうありたいと思いますが、なかなか難しい問題があるんじゃないかという気がいたします。
  39. 木間章

    ○木間委員 先生方には、それぞれお仕事をお持ちの傍らこういうお手伝いをいただいておるわけでありまして、確かにおっしゃるように、隔月にお願いしたいなどなど、私はそういったやぼなことは考えておりません。ただ、五年ルールのときに五カ年近づくとお集まりになって議論をされる、三年ルールになりましたから三年目そろそろ動こうかということでは、やはり吸収はできないだろうし、十分な意見交換はできないと思いますから、公団の方にも御相談いただきまして、年に一、二度ぐらいはお願いをできれば、大変お忙しい先生方でありますけれども、このように御要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  40. 笹川堯

    ○笹川委員長代理 木間章君の質疑は終了しました。  薮仲義彦君。
  41. 薮仲義彦

    薮仲委員 公明党の薮仲義彦でございます。三人の参考人方々には、お忙しい中、当建設委員会においでいただいて貴重な御意見を開陳いただきましてありがとうございました。  私は、参考人先生方にお伺いしたいわけでございますが、そもそも我が党は住宅政策については、住宅に対して国民に大きな負担や不安は感じさせるべきではない、こういう基本的な党としての見解を持っております。ですから、一戸建てであれ公共の賃貸であれ民間であれ、そのことによって人生が大きな負担をこうむって非常に苦労を感ずるということは、国全体の住宅政策、土地政策の非常な貧困による。とすると、やはり住宅基本法をつくって、国と地方自治体の責任を明確にして、国民に不安のない住環境を提供すべきだ。なかんずく、公共の住宅の性格としては、地価を顕在化させないことが大事である。  私も昨年一年間、党の住宅政策検討した一人でございますけれども、我が党としては、やはり中堅サラリーマンのための住宅政策、先ほど来参考人方々からお話がございましたように、公営住宅の持つべき守備範囲、公団の持つべき守備範囲、さらには一戸建ての守備範囲とあるわけです。公営は、御案内のように所得分位の第二分位の中位、三三%がその守備範囲でございます。そこから上の政策がどうなっているのか、こうなってまいりますと、党としてはやはり中堅サラリーマン向けの、住宅宅地審議会答申にありますように年収の一五%程度。そうしますと、パブリックで建てるべき住宅は、我が党はコミュニティーパブリックという主張をしました。建設省もそれを取り入れて、中堅サラリーマン向けの、ファミリー向けの住宅をつくりましょう。  これでいきますと、どういう家賃体系でいかなければならないか。中堅サラリーマンの年収を大体六百万前後とするならば、東京等を含めた大都市で八万から九万ぐらいの家賃、地方の都市で五万から六万、高齢者のためには三万前後の家賃で設定すべきだ。このことを建設省と時間をかけて折衝し、あるいは大蔵省、きょうお見えの住都公団の丸山総裁、いろいろな御意見をお伺いしまして、その上で、やはり中堅サラリーマンに住宅を提供するときに今最も大事なのは、地価を顕在化させない住宅政策を立てなければ低廉で良質な住宅を提供できない、よって家賃には地価を顕在化させない方法でいかなければならない。ましていわんやパブリックの、いわゆる公共の住宅地価を顕在化させない方法でいかなければならない、これが本年度住宅局の最重点の住宅政策一つに入っているわけです。  こういう意味から、私は石原参考人にお伺いしたいのですが、やはりパブリックの住宅については、地価を顕在化させないという重要な政策のコンセプトを持ってやらなければならないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  42. 石原舜介

    石原参考人 私自身は、家賃とはやはり使用の対価というふうなことが基本だというふうに思っております。  そうしますと、今のように地価を顕在化させない、いわゆるそういう形でまいりますと、立地条件のいいところに住んでおられる方に対して非常な便益が与えられるというふうなことがございます。やはりそれぞれの立地条件によりまして、負担というものは差があってしかるべきものであろうというふうなことを考えますと、それは当然のことながら、地価をある程度配慮したものにならざるを得ないということでございます。今回のルールそれ自体、六十三年のときに確立しましたルールにしましても公営限度額に準ずるとしましたのは、これらの立地条件によって直接それが反映しないように、全体でそのバランスを図るというようなことで考えて行ったものでございまして、そういう意味では、やはり使用の対価ということに立脚せざるを得ないだろうというふうに思います。
  43. 薮仲義彦

    薮仲委員 重ねてお伺いいたしますけれども、先ほど来、家賃部会のメンバー構成についていろいろ御議論がございました。先ほど先生からお話しの、いわゆる各種の職業を網羅しておるということはよくわかりました。  しかし、私は静岡なんですけれども、私のところにも公団が三つございます。あるいは公営住宅がございます。我々が地元でパブリックの住宅について論議をするときにどういう家賃論議するかというと、公営ですと一万円です。いわゆる一万円、二万円、三万円というのをどうするか、これが真剣な論議なんです。さっき楓参考人もおっしゃっておられましたように、今先生もおっしゃったように、地域によって地価は違う。住宅の事情も全く違うんです。ですから、職業別のメンバーは結構ですけれども、やはりブロック別に、九州の代表、東北の代表、もちろん関東圏あるいは中部、このようにきちんと全国のブロックから、住宅事情が正確にわかるような家賃部会の構成にしておかないと、全国民意見を公平に聴取したことにはならないと私は思うのです。これを変えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  44. 石原舜介

    石原参考人 私に変える権限はございません。そういうことで、これはあくまでも総裁の任命する形で構成されておりますので、後ほど公団の方にぜひそういうことを言っていただきたいと思います。
  45. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは丸山総裁も安仁屋さんもいらっしゃいますから、しかとお聞きになったと思いますし、この次に建設委員会がございますから、我が党からもその点は確認をさせていただきたい、お願いしておきます。  次に、先ほど石原参考人は、地価を配慮するとおっしゃったんです。私は何年間もこれは聞いておるんですけれども公営限度額の計算式、ここの中で、例えばモデルとしか公団はお出しになりませんけれども、私は実態に合わせた計算もしてみた立場でございますが、仮に二千円上がる。私の地域ですと、大体二千円とか三千円のオーダーで上がってくるんですが、仮に二千円上がるとして、その中でいわゆるさっきおっしゃった固定資産税ルール改定の中の固定資産税の占める割合はどうかといいますと、これは約四割近いんですね。一番の値上げのファクターは固定資産税なんです。私は、固定資産税公営限度額の柱に、四割もこの家賃改定の中で占めるということに問題があると思うのです。これは決して先生にどうのこうのじゃないのですけれども、これは公営住宅にもかかわってくると思うのです。  例えば、私の地元の静岡県で公営住宅はどのぐらいになっているかといいますと、一つだけ例を挙げます。六十三年から平成三年に至るこの四年間で公営住宅改定したことがあるのです。今度改定したのです。それはどういう改定をしたかといいますと、改定前が二万六百五十九円です。それが改定後に二万一千九百七十円、千三百十一円を四年間で上げるわけですね。六・三%です。これ四乗根でやっていきますから、年間の上昇率は非常に低いわけです。これは公営限度額、いわゆる公営住宅でやったことを公団住宅に比例しなさいということを言っているのじゃないのです。なぜこれが無理かといいますと、本年度から地価税も通しましたし、土地税制全体が変わるのです。これはここにいる建設省の先生が御承知のように、地方税法が全部大幅に変わるのです。ですから、先生が先ほど来改定の必要はないとおっしゃったことに私は非常に疑問があるのです。  と申しますのは、平成年度のこの固定資産税評価がえ、これは自治省のものがございますが、これは大幅に上昇が見られる地域もありますし、ほとんど上がってないようなところもあるのです。一番上がっていますのは、これでいきますと京都市の一・八五一、これは八五%上昇しているわけです。しかし、こういうことをどうするかということで我々国会で論議したのは、確かに土地政策要綱の中で、このもっと大事なことは、平成六年から固定資産税は公示価格の七割まで引き上げなさいという引き上げる方向でいるのです。そのために自治省は何をしたかというと、負担調整をやったわけです。  負担調整というのは、もう先生御承知ですけれども、改めてこれ会議録に残すために発言しておきますけれども、例えば仮に固定資産税が一・二七倍、いわゆる二七%の上昇あるいは四三%の上昇の場合に、一・〇五あるいは一・〇七五という負担調整を、しかも三年ではなくて今度は五年でやるのです。二倍値上がりしても、この五年かけて二倍のところまで持っていきましょう。この増税がどのぐらいになるかといいますと、この固定資産税評価がえによって増税する。増税額が約六千四百五十億、固定資産税増額になるのです。しかし、国全体の税制としては住民に対して負担をかけるべきじゃない。であるから、この分は住民税減税しましょう、六千五百億減税しているのです。このことによって固定資産税の増額分は住民税で減税されて、逆に国民にとっては減額になっているのです。これは自治省の試算でございますから、正確にちょっと読み上げておきますと、「自治省の試算によれば、夫婦と子供二人」、いわゆる標準家庭ですね。「標準的な家庭では、給与収入金額が五百万円の場合二万二千八百円、七百万円の場合は二万五千円ほど税負担が軽くなる」のです。  このように、我々が国会で地価税を導入しつつ、しかも固定資産税、あるいは先ほど来地価と言いますけれども、この地価ほど非常に問題が多いのはないのです。公示価格にしましても、先生御承知のように値上げを追認しているじゃないか。地価というものについて、もっと収益還元に沿ったきちんとした地価を出すべきだということを言っているわけです。地価がこれほど不安定の中で、しかも公営限度額の中に占める状態が四割、さらには九年度になったらこれをまた変えていくわけです。そのときに自治省はどうするかというと、二百平米の小規模住宅に対して今四分の一を五分の一、六分の一というふうに下げていこう、何とか固定資産税負担を軽減しましょう、こういうのが国全体の政策なんです。それをもろに住宅政策に持ち込んでくること自体に非常に無理があって、今まではどうであれ、私はこの家賃改定ルールを今後堅持するということについては非常に問題があるし、これはやるべきじゃない。もっと新しい家賃改定ルールというものを、もちろんこれは公営住宅についても同じです。  そして先ほど来、先生は公団のそういう人は公営に行けばいいんだとおっしゃっていますけれども、私は自分が住宅専門ですから東京都へ何回も足を運びました。ここに公団の総裁がいますけれども、じゃ総裁に聞いてみてごらんなさい。東京都の中で公団が持っている土地がありますか、また、東京都が持っている公営住宅用の用地がありますか、ないのですよ。また、買ったとしても高過ぎて、とても公団のお立場ではこれは国民の皆様の共感は得られませんと、恐らく総裁は心を痛めていらっしゃると思うのです。それほど地価というのは異常なんです。ですから、私は地価をここの中の重要なファクターに入れること自体については、もう少し慎重に検討していただきたい、これが私の希望でございますが、先生いかがでしょう。
  46. 石原舜介

    石原参考人 おっしゃるように、地価の現在のような狂乱の状態というものが直接反映するような状態であれば、これは非常にゆゆしき問題であるというふうに思っております。しかし御承知のように、今回、私も税制調査会の一員で今回の地価税についてはいろいろ意見を申し上げたわけでございますけれども、初めは自治省にいたしましても、固定資産税をそれほど上げることはできないというふうな意味合いから、結局地価税というものが浮かび上がってきたことは御承知のとおりだと思います。しかし、地価税が上がってまいりましたものですから、急遽自治省においてはこれを公示価格の七割まで上げるというふうな話に変わってきまして、大変そこら辺のいきさつ自体は私、委員に参加しておりましても非常に奇異に感じた点でございます。  そういうようなことがございましたけれども、しかし現実問題としては、あくまでも自治省の方では、その使用の対価的な、いわゆる収益還元方式に近い形で評価せざるを得ないというふうな立場を貫いております。そういうことから、やはり使用の対価というふうな意味合いで、この使用による便益、これに対しては負担をしていただくということで考えられている価格でございますので、これはやはり私は当然のことではないか。あとそれを住宅について幾らに減額するかというのは、これは政策でございまして、この政策によって住宅への負担を軽くするということで、現在の零細といいますか、住宅については四分の一に減額していることなどは、これはあくまでも政策的な立場でございます。  そういうことから考えまして、公団の場合もその恩恵を受けるというわけではございませんけれども、こういうことで、使用の対価に対しましても、それを丸々いただくというふうなことで地価評価しているわけではございませんで、先ほど申し上げましたように、あくまでもそれは固定資産税基準にして、それはでこぼこが地方自治体においてございます。例えば東京のようなところですと、実際に公示価格に対しまして固定資産税評価額それ自体が一〇%にも満たないようなところもございます。かといって、これは極端な話ですけれども、夕張などは公示価格の九割が固定資産税評価額だというほどイコールに近いところもございます。ですから、それはいろいろございますので、これは自治体の財政とのにらみもいろいろございますので、我々が調べたところでは、九州の方では非常に負担が重くなっている。それを九州の人には、固定資産税が高いからあなたのところは負担を高くしましょうというふうな直接的なことをせずに、やはりそれぞれの地域の便益というものを再評価いたしまして、その便益に応じて全体の固定資産税で徴収する総額をプールしてそれを配分する。その便益に応じて配分するというふうな形をとっておりますので、直接的な激変を与えないように配慮されております。  しかも今回は、先ほど申しましたように、公団の今回用います地価相当額は六十三年の評価額を使いますので、そうなりますと八%程度影響というふうな、前回より八%の値上げというふうなことでございますので、それほど激変とは考えられなかったので、今回は現ルールでいこうということにしたわけでございます。これが将来、今お話しのような形で自治省が相当大幅にこれを上げてくるようなことがあれば、またこれは少し考えざるを得ないような事態が発生するかもわかりません。それは今後の問題だというふうに思っております。
  47. 薮仲義彦

    薮仲委員 私も地価税の問題、いわゆる保有税の問題はずっとやってまいりました。おっしゃられたように自治省は、固定資産税は動かさないでくれ、特別土地保有税を動かしてくれないかという最初の論議から変わったわけですけれども、ただ、今先生がおっしゃった中で、私は、これは自治省が非常にこれから無理をしなきゃならないと思うのは、サービスの対価とおっしゃったのです。  いわゆる固定資産税の価値というものをどうするか、評価をどうするか。いわゆる路線価ですけれども、これは今鑑定のいろいろな方式があるかもしれません。いわゆるウエルユース、ベストユースとあるわけです。しかし、今国土庁の地価公示についても、地価追認、高値の追認と言われておりますので、いわゆる公示価格そのものを、本質を直そうとしているのです。ですから、今地価がどれが一番正しい地価であるかというベースはないわけです。私のところに建設省からペーパーが来ているのですけれども、この中の書き方にも問題があるのですが、私はきょうはもうやめておきますけれども、事ほどさように、この固定資産税をベースにしてという考え方、これは非常に困難を要すると私は思います。ですから、この辺のところは考えていただかなければならない。  例えば例を挙げますと、先生はサービスの対価とおっしゃったのですけれども、私は静岡と東京と最高路線価を比べるのです。東京は六倍するのです。じゃ東京で、私は議員宿舎に住んでいますが、東京の都民として東京都から静岡市より六倍の行政サービスを受けているか、受けられないのです。水であれ交通事情であれ道路事情であれ、はるかに静岡の方が快適であるかもしれません。いろいろな文化的な施設はあるかもしれません。でも、私が受けられる六倍の行政サービスは東京都では出せません。しかし固定資産税は厳然と、静岡の最高路線価と東京のあの銀座の最高路線価とは六倍の開きがあるのです。ですから、サービスの対価ということにはどだい無理がありますよと、これは私は自治省に申し上げております。  そういうことを踏まえて先生にもう一点お伺いしたいのは、これからやらなきゃならないのはディスクロージャーなんです。今自治省が一番やらなきゃならないのは、一億六千万筆という固定資産税評価のこの路線価ですね、それを全部公開しなさいと、ある意味で私は言っているのです。それで、今わずか最高路線価しか公示していない。この最高路線価を、さしあたっては三万九千地点まで出しましょう、やがて平成年度には四十五万地点ぐらいまで出しましょう、こういうところまできているわけです。ですから、少なくとも公団住宅にかかわるとかそういう地域の醸成したところは、固定資産税評価がえをしようとしてもそんなに上がらないのです。これは上がりません。静岡の場合に上げられるかといったら、もしも上げるんだったら、私は今度文句を言います。上げる理由は何にもなくなってくるのです。ですから私は、家賃の中に固定資産税評価がえを入れたことは、プラスマイナス両方で無理ですよと申し上げているんです。ですからその意味では、さしあたってディスクロージャーの意味で、公団固定資産税をいわゆる公団居住者にオープンに出してしまう、そうすると家賃の適正化については納得いくと思うのですが、これだけ聞いて終わります。
  48. 石原舜介

    石原参考人 固定資産税の路線価をできるだけ公開しろということは、これは行革審のときにいろいろ申し上げた部分であろうかというふうに思います。それに基づきまして、今回もそういうことで自治省の方は公開に若干踏み切ったということでございますが、しかしいずれにしましても、各公団のそれぞれの本来的な固定資産税、そういうふうなものは調整させていただいておりますので、これは公開できるかどうか、私、この内容はよく、そこまではちょっと権限がございませんので申し上げかねますけれども、一応はそういうふうなことで、各戸には十分わかるはずでございます。
  49. 薮仲義彦

    薮仲委員 ありがとうございました。終わります。
  50. 笹川堯

    ○笹川委員長代理 薮仲義彦君の質疑は終了しました。  辻第一君。
  51. 辻第一

    ○辻(第)委員 きょうはお忙しいところを、お三方の参考人皆さん、御苦労さまでございます。また、貴重な御意見を拝聴いたしました。ありがとうございました。  それでは質問をさせていただきますが、まず石原参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  公営限度額方式というのはそれなりに地価高騰を反映する改定方式だ、このように思うのですが、いかがでございましょうか。
  52. 石原舜介

    石原参考人 公営限度額方式に準ずるということでございまして、先ほどから申しておりますように、固定資産税そのものを基準にしておりますが、固定資産税というのが、地価をできるだけ激変のときには抑止しようというふうな形で、評価をそれほど上げておりませんので、それは自治省とかいろいろな指導がございますけれども、そういうことで、一般社会で感じられている地価激変、こういうものは反映していないというふうに理解しております。
  53. 辻第一

    ○辻(第)委員 確かに、一般市価とこの固定資産税というのはかなり開きがあるのですが、しかし先ほどお話がありましたように、京都では一・八倍ですか、奈良でも一・三倍、一・四倍というようなところがもうざらにあるのですね。そういう状況になっております。ですから、これはやはり公営限度額方式というのは地価をかなり大きく反映する、そういう方式ではないかということでございます。     〔笹川委員長代理退席、委員長着席〕  そういうことで、東京都やその他政令指定都市あるいはその周辺部の都市では、もう家賃改定に際してこの公営限度額方式というのは採用されていないというふうに聞いているわけでございます。例えば、これは昭和五十五年でございましたが、東京都がもうこの方式をとらないその理由は、地価上昇の顕著な地域で地価ウエートの家賃の反映が余りにも大きくなる、こういう表現もあるわけですね。そういうことで、私はやはりこの方式というのは、このような狂乱ともいうべき地価の高騰の中では問題がある方式ではないのか、ルールではないのかというふうに思うのですね。その上、地域によって補正をされるという中で、東京都あたりはさらにそれが上積みをされるというふうにも聞いているわけでございます。まあそういうことだと思うのです。  そして、もう一度違う観点で本吉参考人にお尋ねしたいのですが、改定対象の公団住宅居住者所得の実態はどのようになっているのか、お聞きをいたしたいと思います。
  54. 本吉庸浩

    本吉参考人 私、残念ながら細かい数字を持っておりませんので、ちょっとお答えできないと思うのです。
  55. 辻第一

    ○辻(第)委員 細かい数字でなくても、大体の感じはどうなんでしょうか。
  56. 本吉庸浩

    本吉参考人 年齢横成、これは平均してしまいますと違いますけれども、例えば今日本の一般サラリーマンの一世帯当たりのが大体六百五十万ぐらいですね。それから一つの例で言いますと、東京の光が丘というところが、二年ぐらい前ですか非常に評判を呼んだときが、入った方が大体七百万ぐらいですか。それから場所によって、東京の青山でやはり同じころ募集したのが、たしか一世帯当たり九百万とかといって、一律でなくて、つまり立地によって入る方の所得がかなり違うんじゃないか。  ただ、高齢者の問題で言いますと、まあ私なんかもその年でございますけれども、入った当時はかなり所得がございましたけれども、もう公団住宅が三十年たちますと、ほとんどの方が定年を迎える。年金生活になると大体二十万程度でございますから、そういう方もいらっしゃるし、さっき言った九百万ぐらい取っている方もいて、私は一律に平均幾らというのは、その場所場所によってかなり違うんじゃないかという気がいたします。
  57. 辻第一

    ○辻(第)委員 実態は、先ほど石原先生もお話がありましたけれども、やはり高齢化していますね。さらに言えば、低所得化しているというのが現状ではないかと思うのですね。年金の方が非常にふえているというのが今日の現状ではないか、このように思うのですね。そうなりますと、今度の改定は、やはりそういう第一分位とか第二分位の方にとっては非常に過大な状況ではないかと思うのですね。  例で見ますと、これは小平市の高齢の方でございますが、二DK、三十九・四七平米のところ、昭和四十五年からお入りになっているようですが、今の家賃が三万一千三百十二円、それに共益費が四月から千八百五十円というようなことですね。その方は年金で、月額に直しますと約十六万五千円。そうしますと、今家賃負担率が一九%ということですね。これがさらに、はっきりようわからぬですが、もし約八千円の値上がりということになりますと、それはもう二四%ということなんですね。  こういう特殊の例ではなしに、私どもの奈良県あたりでも、古い団地はもう高齢化されておるんですね。そうすると、三十年前に三十歳でお入りになっても、もう六十歳になられるわけでありますから、これはもう深刻な現実であります。こういうことになりますと、やはり今のこの値上げというのは、こういう方に非常に過大だ。しかも、私の聞いておりますのでは、もう第一分位、第二分位の人が大体半分を超えているという状況ですね。さらにこれから高齢化がどんどん進んでいくという状況の中では深刻な事態だ、私はそのように認識をするわけでございます。  そこで、特別措置というのがあるのですが、これはもう全く実効のない、本当に名前だけあるに等しいですね。公団は大方七十万戸近いのですか、そのうちで、今申し上げたような年金生活者高齢者あるいは母子家庭、父子家庭、障害者なんかたくさんお住まいになっているのですね。そういう方がおられるのに、この特別措置は実効がない、そういう実態だと私は思うのですが、石原先生いかがでございましょう。
  58. 石原舜介

    石原参考人 この点につきましては、家賃部会でも楓委員から再三そういう問題が提起されまして、細かいデータもいただきました。そして、現実に年金生活者の状況としまして、詳しいデータも添えていろいろお話をいただきました。私自身も、なるほどそういうふうなことかということで十分理解はしておりますが、これはやはり国のそういうような弱者に対する福祉政策、これが基本でございまして、これを自治体が保護世帯として認めないというあたりが問題なんですね。だからそれが認められれば、当然のことながら家賃の問題についても特別配慮されるわけでございます。  ですから、それが認められないというのは若干国の基準が厳しいのか、そうするとそれを少し上げていただければ、そういう問題も少しは解決できるような状態になるのではないかというふうに思うわけでございまして、それを公団でするためには、公団はそういう財源を持ちませんものですから、それをどういうふうにして捻出するかということになりますと個別の問題でございますので、それはやはり全体的な国の福祉政策それ自体で御検討いただければというふうに思っております。
  59. 辻第一

    ○辻(第)委員 確かに国が十分なことをやらないかぬというのはわかるのです。そもそも今度のこういう引き続く家賃値上げの問題なんというのは、国の政治の間違いですね。もう本当に世界でも特別の狂乱地価ですね。これは政府の施策の問題あるいは大企業の投機の問題、いろんな問題がそういうところに原因があって、そして今日の状態が起こり、まともに働いては住宅が持てない、あるいは家に入れない、あるいはかわって行く家もないという、本当に深刻な事態ですね。昔から衣食住といいますけれども、私はこの住の問題というのは本当に深刻な問題だと思うのですが、そういう状態になっている。この政治の誤り、それと大企業の投機、こういうもので結局こういうお年寄りや母子家庭の方にしわ寄せが行く。そして公団は、財源がないから対策がとれない。国の施策がなかなか進まぬですね。  私は、もちろん国の施策としてやるべきですが、公団の中でもやれる方策があると思うのです。先生、もう少し公団あるいは国としての、私見でも結構でございます。あるいは先生のお考えいただいていることを御示唆いただければありがたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  60. 石原舜介

    石原参考人 やはりそういう人たちを救済していくための基準というのが必要なわけでございます。何もなくてただかわいそうだからというふうなことでは、これはどうにも対応できませんので、やはり基準というものが必要なわけです。その基準のよりどころとして、現在公団では国の基準もとにして行っているわけでございまして、国以外の公団独自の基準をつくるということになると、これは全体の経営との兼ね合いがございますので、それを決めていくとなると、これは現在のところ、国の基準に従うというものがやはり限界じゃないかというふうに思っております。そのために、公団の方で独自の基準をつくるというふうなことになりますと、これは相当いろいろな側面を検討しないと、一概にこういうふうにしたらよろしいというふうなことは、早計には申しかねるというふうに思います。
  61. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ難しい問題があると思うのですが、現実にそこで高齢者がお住まいになって、毎日毎日わずかな収入の二〇%とか二四%をお払いになる、これは本当に深刻な問題でありますから、我々としてもいろいろ頑張りたいと思いますけれども公団政府と一緒に知恵を働かすべきだ、もう待ったがないというのが今の現状ではないか、私はそのように思うわけでございます。  そういうふうに見ていきますと、私はやはり今のこの家賃改定ルール、これは国会の委員長要望なんかも繰り返して言っているのですが、ルール見直しというような問題も含めて、今の公営限度額方式に準じたというやり方は、こういう低い所得の方、もっと言えば第一分位ですか、そういう方あたりは深刻な問題であります。そうなりますと、現行改定ルールというのは検討の必要があるのではないか。それから、社会的、経済的にそんなに変動がなかった、大きな変化がなかったというようなことが言われているようですけれども、それも私は大きな変化があったのではないかというふうに思いますので、これから先、この改定ルール見直しということについて、石原先生いかがでございましょうか。
  62. 石原舜介

    石原参考人 私自身の理解がちょっと至らないのかもわかりませんけれども改定ルールそのものと、今の低所得の社会的弱者と言われる方々に対する手当ての問題とは別問題でございまして、ルールルールとして適用した、しかしその適用したら非常に厳しい人が中にいた、そのためにその人たちをどう救済するかということは、これは別途に考えるべき問題であって、ルールそのものを変える問題ではないというふうに思っております。  ですから、ルールルールとして適用して、そしてそういうことで非常に生活の苦しい方、こういう方をどう救済していくか、これはまた別個の問題でございますので、それはそれとしてこれからも検討の余地が十分あろうかというふうに思いますけれども、しかし私どもとしては、国の基準というものがまずどうしても前にございますので、これを乗り越えていくということになりますと、相当別の政策がないとこれを乗り越えられない、非常に難しい問題がございます。その点を十分御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
  63. 辻第一

    ○辻(第)委員 確かに、そういうルールルール、実態は実態、まあまあそういうことになるのでしょうか、それは別の施策でと。しかし、現実に公団にお住まいの方の過半数が第一分位、第二分位ですね。当初の第三分位の中位なんというような状況じゃないわけですね。それが現実なんですね。しかもそういう状況の中で、土地の高騰がかなりシビアに反映されるルールというのは、やはり過大なのではないか、こういうことでございますので、どうかひとつ今後ともいろいろ御検討いただきたい、お願いを申し上げる次第でございます。  次に、楓さんにお尋ねしたいのですが、改定周期が五年から三年ということになりました。これで改定家賃額にどのような変化があらわれ、居住者にはどのように影響するのか。先ほどもお尋ねがありましたけれども、もう一度お尋ねいたします。
  64. 楓健年

    楓参考人 先ほども申し上げましたように、改定周期が五年が三年になって、小幅になるのかなというのが小幅にならなかった。一年当たりで計算してみますと、前回改定時よりも五〇%ぐらい高い値上げ幅になっているわけですね。こういうことから考えますと、非常に負担が大きい、そう言われるものになっております。  先生も御案内のように、公団居住者の中では第一分位、第二分位合わせますと五五%近い、こういうような状態になるわけで、特にこういう中で、例えば高齢者世帯のところなんかに、先ほどからお話を聞いていますと制度制度というふうに言われておりますけれども、私は大して難しいことじゃなしに、例えば改定のときにこういうような世帯については改定対象から外すということをお決めいただければそれでいいわけでありまして、この辺のところをやっていただかないことには、御承知のように年金のベースというのが非常に低いですよね。実質的には年々下がっているような状態があります。こういうような中で、三年ごと平均三千九百円あるいは四千円、五千円、こういうような値上げが繰り返されたのでは、公団居住者にとってはたまりませんし、将来の生活設計の上からも非常に不安が増大している、こういう現状でございます。
  65. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  66. 桜井新

  67. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 参考人先生方には御苦労さんでございます。  今回の家賃改定につきまして、私たちのところにも反対の陳情が随分来ております。小平市の老夫妻、月額十六万五千二百二十五円の月収の方が、現在一九%だが今回値上がりしていくと二四%になって、この負担では生計が成り立たないぐらい圧迫されるということでございます。たくさんありますが、四十一歳の方で子供二人、だんなさんを亡くしている方、この方は月収十六万九百三十七円、ほかにアルバイトが六万五千六百円の方でございます。この方も今、家賃三万二千六百五十一円に共益費として千八百八十円、一四・四%。子供は十三歳と九歳だというわけで、値上がりに対する生活への圧迫を大変心配しての陳情でございます。  しかし公団家賃方式公営限度額方式をとっている限り、また使用の対価としての家賃算定をする限り、激変緩和措置家賃の減額特別措置をとったといたしましても、なかなかこういう方々の要望、願いに対応できる家賃をつくるというわけにいかないわけでございます。こうなりますと、公的賃貸住宅としては住都公団と各自治体の公営住宅があるわけなんでございますが、住都整備公団の役割を一体どう認識して今後運営していったらいいのか、またどのように認識しているのか、ひとつ本吉先生、楓先生、石原先生、この問題、順繰りに一応お考えを述べていただきたいと思うわけでございます。また、忌憚のない政府への要望もございますならば、ついでに述べていただきたい、こう思います。
  68. 本吉庸浩

    本吉参考人 本来家賃は、一般サラリーマンの場合、所得の大体二割、二〇%が家賃負担限界だと言われております。ですから、公団ができた当初は、たしか月収が家賃の五倍ないと入居できなかったわけですね。それが、現在みたいに収入の伸びに対して地価が、建設費が高騰しまして乖離が非常に大きくなったことは、それが今の問題になっているのだと思います。  ただ、きょうの問題でございますけれども、それは公団住宅だけじゃなくて、先ほども申しましたように民間住宅公営住宅全部が問題になっておりまして、それを公団の、さっき公営限度額方式についていろいろなことが出ましたけれども、それだけで処理しようというのがとても無理なのであって、やはり本来アフォーダブルというのですか、適正な居住空間を適正な負担でどうやって利用できるかということを、もっと国全体の住宅政策の中で考えていただかないと正解が出ないのじゃないか。先ほど来、高齢者があって、公団が確かに問題を抱えていることは百も承知でございますけれども、それなら民間にそういう高齢者がいないのかというと、八万とかなんとか非常に高いところに一人暮らしの老人とか二人暮らしの老夫婦がいらっしゃる。その方たちに例えば手厚い手を差し伸べないで、公団に入居した方だけに問題を限定して解くということは一つの間違いじゃないか。  私は、現在みたいに地価が高騰して、現実に物すごく住宅価格が高くなっているときは、先ほど冒頭に申したみたいに、やはりこれから国の住宅政策を、もう少し公共賃貸住宅を最優先して建てていくべきじゃないかという気がいたします。そのネックになっているのが、やはり家賃負担率をどうするかというルールを、国民的コンセンサスを得ないとなかなか、例えば冒頭に申したみたいに利子補給して家賃を薄めようとしても、今度は入っている人と入ってない方のコンセンサスがなかなか得られないので、そういう家賃を薄めるための財源がよう出てこないのじゃないかという気がいたします。そういう意味で、これからの住宅政策というのはいかにして公共賃貸住宅をふやしていくか、そのためにはどういう家賃体系があるのかということを、全体の中でぜひお考えいただきたいと思うのです。  私は、不毛と言っては語弊がありますけれども、冒頭に申したみたいに、せっかくのこういう建設委員会を、既存の公団住宅家賃の問題に終始するのじゃなくて、これからは若い世代まで含めて、新築する住宅を含めて、その中で公共住宅の役割をどうするのか。それから公団公営住宅、公社住宅、本来国の住宅政策は一番所得の低い方が公営住宅、その次に公社住宅、その次に公団住宅、最後は持ち家の金融公庫という今までのそういう柱でできたのが、結局地価の高騰でそれが無理になってきて、あらゆる住宅政策がそこに問題が解決できなくなってきている。この辺でやはり現状に合わせて、国の今までの三本柱と言われていた住宅政策をどうするかという全体をもう一回考え直して、その中で公団住宅のあり方、公営住宅のあり方というのを考えていく段階を迎えているような気がいたします。
  69. 楓健年

    楓参考人 住宅都市整備公団の役割いかんというお尋ねでございますけれども、私は今の公団住宅などを見ておりまして非常に大きな問題を持っていますのは、例えば建設省だとか公団の側からは役割分担というのがありまして、公団は第三分位の中位、このあたり、中堅勤労者を対象に供給しているんだということを言われるわけでありますけれども、私どもの調べましたアンケート調査におきましても、また公団が定期的に行っています居住者の実態調査におきましても、先ほども申し上げましたように、所得分位第一分位、第二分位の人を合わせれば五五%ぐらいになるというようなことで、供給対象よりもぐっと低い層が公団住宅の中に入っているわけであります。そういう意味で、公営住宅の入居対象と公団住宅の入居対象がずっと重なってきている。いわゆる机上で供給対象と考えた層と実際に入っている居住者所得の間に大きな開きがある、この辺のところが大きな問題なわけであります。  そういう中で、例えば今回の家賃改定に際しまして公団が出してきました資料の中に、在京の空き家の賃貸住宅を募集しますと倍率は二二・三倍になる、こんなにたくさんの人が応募しているから家賃値上げはやらなければいかぬのだと公団説明しましたけれども、私は逆だというふうに思っているのです。これだけ空き家住宅に応募が多いということは、公共賃貸住宅の絶対数が不足しているところに最大の問題がある。  例えばヨーロッパの住宅先進国などをずっと見てみますと、北欧あたりですと公共賃貸住宅の占める比重というのは四〇%前後ございます。イギリスあたりでも三〇%前後であります。ヨーロッパの先進資本主義国の中で最も住宅政策がおくれていると言われるイタリアですら、公共賃貸住宅が全体の中に占める割合は一五%ぐらいあろうかと思います。日本は今や世界有数の経済大国というふうに言われておりますけれども、豊かな日本、豊かな日本と言われておりますけれども、この日本において公共賃貸住宅が全体の住宅の中に占める割合というのはわずかに七・二%ですね。ヨーロッパでおくれていると言われるイタリアの半分以下であります。  この辺の公共賃貸住宅の絶対数が不足しているということが最大の問題でありまして、今先生方にぜひお考えいただきたいのは、今の土地問題、住宅問題を考えていくときに、何よりもあれなのは、国民の多くはそれこそ安心して住み続けられる公共の賃貸住宅を望んでいるわけでありまして、これがあれば何も大変なローンが持っているのを承知で持ち家に走らなくてもいいわけであります。先ほど来から聞いていますと、所得が下がると公営住宅があるではないかといいますけれども、では実際にその所得の下がった人たちが入れるような公営住宅があるのかというと、それはないのであります。実際に入居者の側から見れば、住宅を選択する余地が全くない。こういう中で競争倍率が非常に高くなる、住宅価格が高くなるという状況がつくり出されているわけでありますから、ぜひこの辺のところで、こういうときだからこそ公共の役割を果たさなければいかぬ。  住都公団の果たす役割というのは、こういうときだからこそ家賃を安定的に抑え、民間家賃が上がっていくことの抑止効果を持つような、そういうものにしていかなければいかぬと思いますし、これは単に公団住宅居住者だけの願いではなしに、本当に住宅に困っている人たちは、今みたいに公団が上げれば民間も上げるというような、また民間が上げれば公団も上げるというような、こういうような状態を望んでいるのではなしに、どこかで値上げを断ち切るということを望んでいると思うのです。そうだとすれば、どこで値上げを断ち切るかというと、公共の住宅が断ち切らない限り民間の側から断ち切るということはあり得ないわけでありまして、そういう意味で、住都公団に課せられている役割は非常に大きいというふうに私は考えています。
  70. 石原舜介

    石原参考人 公団の役割というのは、やはり新築の公団住宅にあらわれている問題だろうというふうに思うのです。長期に維持管理している住宅につきましては、居住者のいろいろな変遷がございまして、今問題にされているような点が出てきていることは事実でございます。しかし、公団の役割としては、やはりあくまでも第三分位の中位のところの住宅の供給を主体に行うということで、新規の住宅建設をそちらの方に向けて行っていくのが筋ではないかと思います。いかに居住者の中に低所得の方が多いからといって、低所得住宅公団が供給するということではないというふうに私は思っております。これはやはり公営住宅で行うべきだというふうに思います。  結局、そこで長期に居住されているいろいろな方々家賃値上げが、実は先ほどもありましたように、五十六年までどんどん住宅を新しく建設していく戸数の方が多かったものですから、そちらの方の家賃収入によって今までの既存の住宅に対する補修費、修繕費等の不足分をカバーできていた。ところが、だんだん建設戸数が低下してまいりましたので、当然のことながら新規補修にかかる期間が十年あるとしましても、その戸数の割合が少なくなってきて、残存のストックの方が多くなってきておりますので、当然その補修費自体が相当多額になってくる。だから、今までのように家賃値上げをせずに新規のものでカバーということができなくなってきた、それが五十六年の現状ではなかったかというふうに思うわけでございます。  ですから、そういうところでいろいろな、家賃問題にいたしましても一つ変化が発生したわけでございまして、役割は役割といたしましても、そういうようないきさつのために若干変化せざるを得ない。そこに、家賃値上げにいたしましても、そういうことでいろいろ補修費等に、計画修繕費等に回さざるを得ないし、古いものほどやはり修繕費がかかるというのは、これは当然のことでございます。ですから、そういうことから公営限度額方式に準ずる方式である程度家賃上昇をお願いせざるを得ないということで、そのときに居住者との間の乖離が発生したということでございまして、その乖離の問題は、これは家賃ルールの中の一部ではございますけれども、この乖離はまた別の視点からカバーせざるを得ない。そうすると、カバーするためには、先ほどから申し上げておりますように、やはり国家の決めたいろいろな住宅補助額を超える額に対しまして免除するというふうなことは、これはそういう世帯に対しての対策は当然国がそういうふうなことで決めておりますので、それに準じて行っているわけでございまして、あくまでも公団自体が独自の政策として行っているものではございません。公団の政策それ自体としては、あくまでも中堅階層というふうなものへ対する住宅供給ということが柱でございます。そういう中で、今のような矛盾を解決していくような特例をいろいろ設けざるを得なかったというのが現状ではないかというふうに思います。
  71. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 時間もなくなってきましたので、楓参考人にお聞きしますが、我々民社党では年収の五、六倍で住宅が持てるようにさせたいという政策を主張して努力しているわけなんですが、どうも今意識も変わってきたようでございまして、安心して住める賃貸住宅でもいいというような意識も広がっているようでございます。いずれにいたしましても、この公団住宅、今後こういう五、六倍の住宅が持てるようにさせる方向に向かってはどのようにあればよいか、ひとつ御意見があったらお聞きしたいと思います。
  72. 楓健年

    楓参考人 年収の五、六倍で住宅が持てるようにするにはどうすればいいかという御質問でございますが、私は住宅というものにつきまして先生とちょっと違うあれを持っておりまして、例えば先ほど申し上げました社会福祉が非常に進んでいる北欧あたりで、書籍などで拝見いたしますと、公共賃貸住宅が四〇%前後あるようなところでは、うちが持ちたい、うちが持ちたいというような、そういうような人たちはいないわけです。日本みたいに公共の賃貸住宅の比率が非常に少ない、例えば私ども公団に住んでおりまして、三DK、二DKといいましても四十平米ちょっとしかございませんので、畳六畳といいましても広さを六つに切ってあるというだけでありまして、昔の一間半間の一畳を考えていただいたらちょっと様子が違うわけで、御承知のように非常に狭いわけでございます。こういうところにおりますと、例えば狭さの解消をしようと思えば、そういう一定の最低限必要なスペースのある住宅というのが公共の賃貸住宅でないものですから、そういう意味で持ち家に走らざるを得ない、こういうような状況になるわけですね。  ですから、やはりそういう意味でいえば、まずベースにするのは、やはり社会資本としての公共の賃貸住宅を全体の住宅戸数の中で少なくとも二〇%、できれば三〇%ぐらいつくるということがベースになって、その上で持ち家をどうするのかというような形にしていかないことには、私は先ほども申し上げましたけれども、豊かな日本の中で最も貧しいのは住宅政策住宅事情だというふうに思っておりますので、そういう意味では、今こういう状態の中で、私どもが確かに年収の五、六倍でうちが持てるような状態というのはありがたいことでありますけれども、もしそういうような形にいけば、それこそ国民全部がローンを抱えてしまって、今以上に大変なことになるんじゃないかというふうに思っております。  どうも失礼いたしました。
  73. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 どうもありがとうございました。  時間でございますので終わります。どうもありがとうございました。
  74. 桜井新

    桜井委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の各位には、大変長時間にわたりまして詳細な御意見をちょうだいいたしまして、本当にありがとうございました。委員会を代表いたしまして、心から厚く御礼を申し上げます。(拍手)  この際、暫時休憩いたします。     午後零時四分休憩      ────◇─────     午後三時七分開議
  75. 桜井新

    桜井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  本件調査のため、参考人として住宅都市整備公団総裁丸山良仁君、同理事片山正夫君及び同理事安仁屋政彦君に御出席をいただいております。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上野建一君。
  76. 上野建一

    ○上野委員 公団家賃値上げについて、また、これとの関連において都市住宅政策全般についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、我が国の都市住宅政策の立ちおくれというのは大変大きいと思います。これはいろいろ歴史的な背景がございまして、戦前は富国強兵、軍需産業優先、そういう中からこの都市住宅政策というのはなおざりにされてまいりました。また、戦後も産業復興、そして高度成長、こういうことで大都市に人口と産業が集中して巨大化、過密化しておりますけれども、それに対応する都市住宅政策というのはない。そこから、これだけ高度成長して大国になったと言われながら国民の豊かさの実感がない、このことが言われるのだろうと思います。また、諸外国からは、日本の住宅はウサギ小屋だ、こう指摘をされて久しいわけでありますけれども、これについてもまだ対応ができてない、こういうことでございます。  しかし、ようやくにしていろいろ、アメリカなどの圧力というか、これはいい意味での圧力だと私思いますけれども、四百三十兆円のあの公共投資の問題など含めて、ちょうど日本は都市住宅政策を真剣に考える、そういう意味での背景ができ上がった、こう私は考えるところであります。したがって、そういう意味ではこの住宅問題、これはやはり憲法第二十五条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度生活を営む権利を有する。」また二項では「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」この憲法第二十五条に示されておる中で、衣食住といいますけれども、特に住の問題を「文化的な最低限度生活を営む権利」、こういうものとして考える時点に来た、また考えなきゃならぬと私は思います。  そういう意味で、住宅都市整備公団法を拝見いたしますと、第一条に「住宅都市整備公団は、住宅事情の改善を特に必要とする大都市地域その他の都市地域において健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有する集団住宅及び宅地の大規模な供給を行う」、こういう目的が明確にされております。まさにこの条文は憲法第二十五条の精神と一致をしておりますので、そういう角度から私は、特に今度の問題を検討してみたいと思ったところでございます。そこで、この都市住宅政策から見て、今住宅整備公団は大変重要な役割を果たす段階に来ておると思います。金融面のこともございますけれども、特にこの公団の役割は大きい。そういう意味で、今日的に考えて、住宅都市整備公団について、大臣は現時点でこの役割をどういうふうにお考えなのかを、まず今申し上げたような観点との問題でお伺いをいたしたいところであります。  そこで、大臣の今までのこの委員会における答弁を聞きますと、大変積極的な面は感じられるところでございます。そういう意味で、今後の建設行政、特に住宅土地政策について私は関心を持っておるところであります。そこで二つ目の質問としては、実は大塚大臣大臣になる前に、「世界」の座談会に出ておられます。ここのところで、私は同意できる点が大変多いのでありますけれども、ただ一つ、ちょっと真意を聞かなきゃならぬ点がございます。この点は、当時は大臣になる前でありますけれども大臣になったからといってそう変わるわけじゃないと思いますのでお聞きしますが、「私は公営住宅廃止論なんです。」こう言っているのですね。公団住宅とは言っていませんが、  私は公営住宅廃止論なんです。戦後四〇年間に公営住宅が何戸建ったかというと、全国で二五〇万戸ぐらい。公営住宅法では国民の税金でやるのだから所得制限をしています。いま年収四五〇万以上では入れないでしょう。それでどのくらいの人が救われるかは知りませんけれども、いったん入ったら全然動かないものだから、結局は抽選で当たった人だけが恵まれるということになる。東京公営住宅では、家賃は昔のままで、住んでいる人は二代目まで相続しているのもありますよ。所得が増えたら出ていかなければならないけれども、これは守られた例は一つもない。 こういう発言をされております。  私は、建前じゃなくて本音で議論することは結構なことだと思いますから、この発言自体の言い方が悪いとかなんとか言っているわけじゃありませんが、問題は大臣のこういう公営住宅に対する考え方、ひいては公共住宅と関連をしてくると思いますので、公団住宅についてまでこう思われているかどうかわかりませんけれども、そこのところの真意をまずお伺いをしておきたいと思います。
  77. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先生ただいま、戦前の住宅政策にまでさかのぼって、我が国の住宅政策のあり方につきまして御見識をお述べになり、そして、私の見解についての御質問でございました。  戦前のところまでさかのぼりますと大変でありますが、住宅都市整備公団ができましたのは、日本住宅公団として昭和三十年、戦争に敗れてからちょうど十年目でございます。特に大都市地域を対象とした住宅政策を振り返ってみますと、焼け野原に資材もなければそれこそ何もない時代から始めた住宅政策でございますから、一番古いものはいわゆる簡易住宅というようなものから始まりまして、公営住宅法ができ、公営住宅の供給が始まったわけでございます。  当然のことながら、その当時の国民所得というものは大変に厳しい状況にございましたから、ただいまのように第五分位から第一分位というような分け方ではなくて、私どもはその表現を富士山型の所得構成、ともかく一合目、二合目の所得方々はとても自分で住宅を建てたり持ったりすることができませんし、公的な住宅の供給ということになれば、いわゆる所得の制限をして入居していただくという前提で、一合目、二合目あるいは三合目前半ぐらいまでを対象にした公営住宅あるいは公社住宅というような供給が行われたと考えております。  その後、いわゆる中堅の所得層と申しますか、三合目から四合、五合目ぐらいの所得層の方々のためにどういう住宅を供給するかということで、鳩山内閣の時代に日本住宅公団が設立されたわけでございます。むしろそのときの居住の資格というのは、やはり税金を使って、しかも公的な資金を融資してつくる住宅でありますから、家賃がちゃんと払える方を入れるという前提で、今度は逆に所得が低い人ではなくて、ある一定水準所得がなければ入れない、こういうようなことで公団住宅がスタートをしたわけでございます。そしてそれから上の五合目、あるいは四合目、五合目、六合目といったような所得層の方々には、土地を買い、住宅を建てるということからしますとまだ不十分ではあったかもしれませんけれども、いわゆる住宅金融公庫という機関ができまして、融資によって住宅を建てる、それから上の所得層は自分で建ててほしい、これが昭和三十年代の住宅政策の根幹であったと思うのでございます。  したがいまして、公団住宅はそれなりにニーズも大変高くなりまして、今改定をお願いしようという昭和三十年代の住宅というのは、いずれも倍率が三十倍であるとか四十倍であるとか、かなりの高率で抽せんに当たった方が大変に恵まれた環境で生活ができた。それなりに住宅政策としては成功したと私は思っておるわけでありますが、その間二十年間、公団住宅家賃を全く値上げせずに昭和五十年までやってまいりました。そのうちに、土地もなかなか入手が難しくなったり、もちろん所得の構成も随分変わってまいりましたり、当然のことながら都市に人口が集中してまいりましたから、住宅の供給ということ自体が大変に難しくなってきた。それから、今度は遠高狭という批判を受けるような時代になりまして、土地がないために実は公団自体の存立も危ぶまれる。昭和五十一年に私は国会に出てまいりましたが、ちょうどそのころは、公団をつぶすかなんて意見まで実はあったような時代でございましたけれども、ともかく二十年家賃を上げないというのは公団としてもとてもたえられないというので、そのときに初めて家賃値上げをお願いをし、そして五年に一回上げるようにしてまいりました。しかし、やはり余り間があきますと、値上げ幅が多くなったり負担が一度にふえるということもございまして、今回三年に一回というお願いをいたしたような次第でございます。  私は、特に公団住宅の使命というのは、幅広く中堅の勤労者の方々に少しでも多く入居をしてもらうというところに大きなその責任があると思いますし、量的には、住宅戸数はもう四千二百万戸あるわけでございまして、三千八百万世帯の日本の国民の皆様に対しまして、これからの住宅はなるべく質のいいものを安い値段で供給するというところに力点も持っていかなければいけないだろう。たまたま六期五カ年計画をスタートする年にも当たるときに、たまたま家賃値上げをお願いするわけでございますが、やはり一方の視点は、長く住んでいた方が急激にたくさんの負担をしていただくということはできるだけ避けるということはもう大前提でございまして、今回も激変緩和措置はいろいろ講じながら皆様に御理解をいただきたい、こういう前提でお願いをしておるわけでございます。また一方、新しい若い方々がなかなか住宅が持てない。また、安い住宅を借りようと思っても、相変わらず募集に応募しても当たらないというようなことがございますから、公団としましては、新しい住宅の供給にもできるだけ力点を置いていかなければいけないという観点もございますので、今回三十六万戸について値上げをお願いするということになったわけでございます。  特に、先ほど御指摘の私の公営住宅に対する見解につきましては、実は公団住宅はさっき申し上げたように、所得に応じて応分な家賃負担をお願いしておりますが、公営住宅の方は逆に所得の資格を制限して、そして安い家賃で入っていただいておる。当然公営住宅法には、所得がふえたら出ていただくというようなことがありますけれども、従来そんな例はもちろんないわけでございまして、また、そんなことに対しては割り増し家賃で片づけておりますが、もともと安いわけですから、割り増し家賃といってもそれほどではない。  たまたま私が対談で菅直人さんとお話をしたときのことでございますけれども住宅政策全般を見て、公団とか公営とかこういう住宅をうんとふやしていくためには、やはり大変に極端に安くて家賃値上げも思うに任せず、所得がふえてもそのままずっとその方だけが恵まれるというような住宅政策はいかがだろうか。もしも本当にお困りになっている方がいるとすれば、多分そのところでもお話をしていると思うのですが、福祉的な考え方で、いわゆる福祉住宅というものをもっともっと充実をして、そしてむしろ公営住宅とかいうものは公団住宅と同じような考え方でやっていった方がいいのではないか、こういう前提でお話をしたわけでございまして、いささかもそんな切り捨て御免のような考えを持っておるわけではございませんので、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  78. 上野建一

    ○上野委員 その点は、雑誌の発言でありますからこれ以上申し上げませんが、公営住宅も極めて重要な段階でありますので、これは都市局長さんが一番よく御存じのとおりであります。  現在、日本の最低居住水準、四人世帯で五十平米以下の住宅、いわゆるこれを住宅困窮者と名づけておるようでありますが、これが八八年の段階で全国で九・五%いる。約一割ですね。そして、東京などは一七・七%になっている。こういうことを考えますと、やはりこの公営住宅、そしてそれとも関連して公団住宅が大量に必要だということは、言うまでもないことだと思います。  大体最近の住宅困窮の原因というのは、一つはやはり日本の高度成長、産業政策にありまして、本当によく働いた日本人だと思いますけれども、働き過ぎと言われるぐらい働かせられる。そしていわゆる低い水準住宅生活をして働く、したがって賃金は安くて済むという、非常に日本の産業の発展に貢献をしたそういう人たちが、今なお住宅すら満足にいい状態にない、最低の居住水準すらないという状態がありますので、この点についてはひとつ公営住宅公団住宅含めて、大いにこれから建設を盛んにしていただきたいと思いますし、それからもう一つ、この原因は、何といっても土地の高騰だと思います。この住宅問題、土地問題イコール住宅問題と考えてもいいというふうに私は思いますが、そういう状態ですからなおさらこの問題については対処しなければならぬ。そして、土地の高騰の責任は、やはりこれは最終的には政府が受けなければならぬ責任だと思います。  そういう意味で考えますと、今度の公団家賃値上げというのはやはり不当だというか、政府の責任を回避しているものだと言わざるを得ない点が多くあります。その点については順次質問をいたしますが、そういう意味で、これからの住宅政策、特に土地との関連においては、例えば静岡県の掛川市における土地条例、これは私は大変立派なものだと思いますが、きょうはそれを触れている暇はありませんが、そういうものと結合してこの公営住宅公団住宅、それから国有地その他含めて対策をやるべきだと思いますが、住宅局長さん、その点はいかがでしょうか。
  79. 立石真

    ○立石政府委員 お答えいたします。  初めに、住宅困窮者という先生の御指摘がございました。建設省住宅建設五カ年計画におきましては、居住水準の目標というのを設けておりまして、すべての世帯が確保すべき水準として最低居住水準というのを設定しているわけでございますが、昭和六十三年度の数値におきましては、全国では九・五%と一割以下になっているわけでございますが、東京圏では一三・八%と全国に比べればかなり高く、まだ一割を超えた状況になっておるわけでございます。特に、京浜大都市圏等におきましては、三人から五人の世帯で借家に住んでいる階層に最低居住水準以下が多いというような偏りも見られるところでございます。  こういうような観点から、二十一世紀を目標といたしまして、良質な住宅ストック、良好な住環境の整備を図ること、そして特に大都市地域において、現在の住宅問題に対応し、賃貸住宅等に見られる居住水準の低さを解決するために公団住宅公営住宅等の公共賃貸住宅を積極的に建設していくこと等、非常に重要な課題であるというように考えているところでございます。国の住宅政策といたしましては、国民住宅需要にこたえましてバランスのよい住宅供給策を講じていくことが必要だと思うわけでございますが、先ほど申し上げましたような重点課題に沿いまして、建設省といたしましても住宅問題の解決に努めていきたいと考えているところでございます。
  80. 上野建一

    ○上野委員 時間の関係もありますから、これから順次問題点をお願いしたいと思います。  そこで、今大臣住宅局長から積極的な姿勢が示されました。そして、それはやはり地価の高騰、それから一極集中を含めてこれはやはり政治の責任であり、ひいては政府の責任だ、こういう立場だと考えます。そういうことを考えますと、そういう時期に公団は、五年ごとに行われてきた家賃値上げを三年にするという極めて不見識な家賃値上げを出してきております。  これは、なぜ私は不見識かと言うなら、過去にこの公団家賃値上げがあるたびに国会は、特に当委員会はその都度強く要望してきております。ところが、その要望を完全に無視して今度の値上げになっている。そういう点についてはまさに国会無視だと思うけれども、しかもこの住宅問題の重要なときに、公団は今までのやり方を変える。いろいろな点も含めてけしからぬことだと思います。特にこの三年に一度というやり方は、先ほど参考人のお話、それに対しての質問の中でも明確になっておるように、実質的には五年のときよりも負担が大きい、そのことは指摘をされたとおりであります。したがって、その点についてはどう考えられるのか。  それから、問題が幾つかございますけれども、この中で特に昭和六十三年、第百十二国会の中での建設委員会、四月二十日の委員長の要望が出されております。この要望の中では「家賃改定のありかたについて、今後も引き続き必要に応じて所要の検討を行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」このことを強く要望しております。それから「良質な公共賃貸住宅の供給と高家賃の引下げに努める」、引き上げじゃないですよ、引き下げに努めるということを要望しております。それから「敷金の追加徴収については、過去の経緯等を踏まえ、取り止め」てもらいたい、こう言っております。過去の経緯というのは、過去に何回か取りやめたことがある、そういうことを言っているのです。  その前の家賃値上げのとき、八十四国会とそれから九十八国会、この前の二回においても同様の要望がなされている。これはやはり、建設委員会住宅政策全体にわたって検討した結果、こういう全党一致で出されておる要望書なんです。それを委員長が代表して出されておる。もちろんこれは大臣も承知をしておるし、公団は少なくともその意向を酌んでしかるべき処置を講ずるのが当然だと思うのです。それがなされておらない。一体公団は、この議会というものを、簡単に言うとばかにしているのか、こけにしているのか知りませんけれども、そういうことを平気でやろうとしているのかどうか。しかも、先ほど大臣住宅局長が申されているように、今この住宅の問題は、安くていい住宅を提供しろ、そういう方向になっているときにこういうことをやるのはどういうことか、この点をまず尋ねます。
  81. 丸山良仁

    ○丸山参考人 お答えいたします。  まず、前回いただきました衆参両院の委員長要望でございますが、公団といたしましては、最大限尊重をして仕事を進めている考えでございます。  例に挙げられました点を御答弁申し上げますと、まず高家賃の引き下げでございますが、これは新規住宅のことを言っておられると我々は解釈いたしております。そのために、家賃の引き下げ方策としましては、国から補給金をいただきますとともに、傾斜家賃制度を取り入れるとか、あるいはここで値上げをしていただいた部分の一部を高家賃の引き下げに使わせていただくとか、いろいろな施策を講じているところでございます。  それから唯一、委員長要望に反している点がございます。これは敷金の問題でございますが、今御指摘のとおりでございます。この点につきましては、三回の値上げにつきまして敷金がそのたびごとに取られていない関係から、今や敷金の率は家賃の一カ月分にも足りない状況になってしまっておるわけでございまして、そういうような観点からあえてお願いしたわけでございますから、御了承を賜りたいと思います。  それから、五年を三年に直したということでございますが、これは午前中にもいろいろと御議論のございましたように、一つはやはり周期が長くなるとそれだけ家賃上げ幅も大きくなるということから三年にさせていただいたわけでございますし、それから家賃算定の根拠として使っております固定資産税評価につきましても三年ごとに行われておる。さらには、民間家賃も大体一年ないし二年で改定が行われておるというようなことを参考にいたしまして、家賃部会におきまして慎重審議をした結果、三年が適切である、こういうことになったわけでございます。  それから、午前中も問題になりましたが、五年を三年にしたことによって値上がり率が五分の三になっていないではないか、こういう御議論があったわけでございますが、これはいわゆる公営限度額方式に準ずる方式を用いて行いました結果でございまして、すべて、例えば例で申しますと五十八年と六十三年、これはいずれも五年ごとにやったわけでございますが、そのときの上げ幅は、五十八年のときは二六%になっておりますし、六十三年のときは一八%になっておりまして、同じ五年でありましても、そのときの社会経済情勢によって値上がり率は違うわけでございます。  今回は三年で一二%ということになっておりまして、過去の五年で一五%よりは確かに値上がり率は高くなっておりますが、これは工事費の値上がりが非常に大きく響いているわけでございまして、地価の高騰の影響は、これも午前中に問題になりましたように固定資産税評価額、それも昭和六十三年の一月一日のものを使っておる関係から八%ということで、今回の値上がり率は一二%になっておりますが、土地の値上がり率はそれを下回っている、こういうことでございますから、御理解いただきたいと存じます。
  82. 上野建一

    ○上野委員 御理解いただきたいといったって、これは委員長の要望に、あなたは全部最大限尊重したと言うけれども、尊重していないじゃないですか。「住宅に困窮する勤労者に対し、良質な公共賃貸住宅の供給」でしょう。  まあそれは、時間の関係がありますから急ぎますが、まず敷金というようなものは、町の不動産屋なら別だけれども、何も取る必要ないじゃないですか。これは今取っているやつだけで十分じゃないですか。その点がまずおかしいと思うのです。  それからこの中で、それじゃ公団の今度の値上げの法律的な根拠はどこにあるのですか。公団法には家賃値上げについての規定はないですね。法律的根拠をお伺いします。
  83. 丸山良仁

    ○丸山参考人 まず敷金の問題でございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、敷金は家賃を担保するためにいただいているわけでございます。残念ながら、家賃をお支払いいただけないでどこかへ行ってしまわれるという方も相当いるわけでございますから、やはり通常の三カ月分は確保しておく必要があるのではないか、このように考えております。  それから、値上げの根拠でございますが、これは借家法の七条でございます。それと、契約書の五条でございます。
  84. 上野建一

    ○上野委員 そういう中で、実は公団法にないというのは、私は公団家賃値上げ余り想定していなかったと思うのですよ、もともとこの公団住宅の建設というのは。しかも、もし上げるにしてもこんなに大幅に上げるということがないから、規定がないんだと思うのです。ところが、今度の場合に取り上げたのは公営限度額方式でしょう、それに準ずるということですね。これは公営住宅でしょう。公営住宅値上げの場合にはちゃんとこういうようにあるのですよ。公営住宅の場合はある。公団の場合はないのですよ。ないということは、余り値上げを想定していない。ましてや三年ごとなんということは考えていないですよ、それは。あればちゃんと法律になっています。  そこで、あなたの方は、やはり土地の高騰が反映しているわけでしょう、そのときの情勢によって値上げの幅が違うということは。そうですね。それで、あなたが今度やった公営限度額方式というのは、公団住宅値上げにはふさわしくないと私は思う。というのは、公営住宅でもうこれを使ってないというのでしょう。特に東京都などは、これでやると値上げ幅が大きくなり過ぎるからできない。先ほどの参考人のやりとりの中にも出ていましたね。そういうものをあえて使うということ自体が、公団家賃値上げ問題というのは大変不当、不法というふうに言われてもやむを得ない点があるのじゃないかと思います。  そこで、公営限度額方式は地方自治体、県や市でも使わないというものを、特に東京で使わないというものをなぜ使おうとするのか。それから、この中で出ているのは償却費、修理費、管理事務費、損害保険料、地代相当額、これは幾らに見込んだのですか、ではそれを具体的に聞きましょう。
  85. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 家賃改定に当たりましてどんな方式を使ったらいいかということが、実は昭和六十三年、前回改定のときにいろいろ議論になったわけでございます。世間で行われております鑑定評価方式とかあるいは比準方式、そういったものもございますが、やはり公的住宅につきましては、公営限度額方式が一番いいのではないか。これは先生からも御指摘ありましたけれども公営住宅法でこの方式で計算した場合には、公聴会なりあるいは普通必要とされております大臣承認が要らない、そういう意味で極めて客観的な方式である、こういうことで採用されたわけでございます。
  86. 上野建一

    ○上野委員 償却費、修繕費、どういうふうに見込んだ額ですか。余り時間がないですから、急いでください。
  87. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 個別の原価の公表につながることは、従来から答弁を差し控えさせていただいておりますので、詳しい数字的な中身は御勘弁いただきたいと思います。
  88. 上野建一

    ○上野委員 それはちょっとおかしいじゃないですか。値上げの額を出して、しかもいろいろ数字が出てきているんですから、それなのにその根拠を示せないということないでしょう。しかも、この方式はおかしいと私は言っているのに、その方式を使っている。それなのに出せないということはない。  委員長、これはちょっとやってもらわなければ困りますよ。
  89. 丸山良仁

    ○丸山参考人 値上げ額の算定につきましては、その公営限度額方式に準じた方式を用いるのはそのとおりでございますけれども、それに立地補正等の補正係数を掛けておりますから、その結果が値上げ額になるわけでございまして、その積算の過程をお示しすることはいろいろと問題がございまして、今までのこの審議におきましても、そのたびに提出は差し控えさせていただいているところでございます。
  90. 上野建一

    ○上野委員 国会の委員会審議に、その値上げの積算根拠を出せないというばかなことはないでしょう。そんなもの出せないで審議できないじゃないですか。例えば償却費は幾ら見ているのか。償却費というのは見なければいかぬでしょう、これは。見ているのでしょう。それは幾ら見ているか、素直に出してくださいよ。修繕費はどういうふうに考えているのか。大体、古くなれば家賃というのは安くなるのが本当なんだよね、普通なら。ただ、土地が高騰しているということとかいろいろなことで上がっているけれども、本来なら古くなってぼろぼろになれば安くなるのですよ、住宅というのは。そういう意味で、償却費というのは当然見なければいかぬでしょうし、修繕費がある。それから地代相当額、これは幾らですか。
  91. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 算定の方式につきましてはお示ししたいと思いますが、個々の数値につきましては団地ごとにばらばらでございますし、先ほど申し上げましたように、基本的には原価の公表につきましては御勘弁いただいているというところでございます。
  92. 上野建一

    ○上野委員 これは質問できない。その程度のことも明らかにできないなんというのは、それはおかしいよ。理事と相談してくださいよ。そんなばかなことはない。値上げの額の根拠を出せないなんて、ばかなことはないじゃないの。
  93. 桜井新

    桜井委員長 上野君、席に着いてください。  質疑ができないそうでありますが、従来の慣行でそういうことになっているそうでありますので、私がお預かりをして、また理事会で協議をさせていただきます。
  94. 上野建一

    ○上野委員 委員長が預かると言いますから、これは明らかにしてもらえることだろうと思いますから、質問を続けます。  そこで、今のこういうことを発表できないということ自体に、やはり私は何か公団の体質の悪さみたいなものを感じます。特に、先ほど申し上げた委員長の要望について見られてない。最大限重視したと言うけれども、結果は全然見られてない。それから、家賃部会においてどういう検討をされたかということを尋ねましたら、三回やったそうですけれども、三回のが五ページのものになって出てきていますが、この五ページの報告書、概略説明がございますけれども、その中でこの委員長の要望が十分に論じられたという形跡は見られない。したがって公団は、その住民、ひいては国民に対してのことになりますけれども、この国会、委員会を軽視しておる、こう言わざるを得ないのであります。  そういう中で、例えばもう一つ例を挙げますと、居住者に対して報告書なるものを出しております。ところが、これは内容を見ますと、もうあたかも値上げが決まったかのような文章になっておる、中身は。そしてそういうものが全国に配られたようでありますけれども、その中身を見ると、もう三年に一度にするということを前提にしています。そのときはまだ部会が開かれているときなんですよね。最終的な結論がまだ出ていないのです。そういう段階で、あたかも四月中には大臣申請しますというふうなことも書いてありますけれども、ある意味では大臣も無視しちゃって、もう値上げが当然で、原案どおり出てくるような話になっている、こういう態度。  それから、今申し上げた点でも当然これは明らかにしなければ、今情報公開ということが一つの流れになっているでしょう。そういうときに公団が秘密主義でやっているというのは納得がいかない。総裁、なぜこういう秘密主義をとらざるを得ないのか、その点ちょっと最後にお伺いしておきます。
  95. 丸山良仁

    ○丸山参考人 それぞれの家賃の積算根拠をお示しするということは、家賃の原価そのものをお示しすることになるわけでございますが、その場合には、七十万戸の方々の御了解を各項目についていただくということは非常に困難なことでございまして、かえって混乱が生ずるわけでございますから、最終的な家賃だけをお示しして御協力をお願いしているというのが、今までのやり方でございます。
  96. 上野建一

    ○上野委員 最後にそれでは……
  97. 桜井新

    桜井委員長 時間になりましたので終わらせてください。
  98. 上野建一

    ○上野委員 いや、さっきまだ時間があったのです。
  99. 桜井新

    桜井委員長 いやいや、あなたの持ち時間はもうありません。
  100. 上野建一

    ○上野委員 それじゃ仕方ないですから最後に申し上げますが、総裁、人間は、これだけ上げざるを得ないのですよという根拠を示されたときに、初めて人間というのは納得するのですよ。今度もそうでしょう。出てきているのは、やはり土地の高くなった分が随分影響しているじゃないか、こういうことを言っているわけだ。もしそうじゃないと言うなら、その根拠を示さなきゃいかぬ、あなたの方で。だから僕は細かく聞いたのですよ。土地代についてはどの程度見ているのか、こういうことを聞いている。ところが答えない。それじゃ賛成しようがないじゃないですか。根拠もないものに賛成できますか。  その点では、今後の問題について大臣に要望しておきますけれども、ぜひ大臣は、公団の申し出の内容についてはまだまだ問題点がありますから、これはやはりそのまま承認するんじゃなくて、やはり委員会ともある程度相談なり何かやっていただいて、ぜひその点については結論をやっていただきたい、こう思います。そういう意味で、この問題は国民生活にかかわる問題であり、また家賃値上げするのはけしからぬと私どもが言うのは、単なる個人的な意味で居住者の問題だけを考えているわけじゃなくて、公団家賃を上げないことによって民間家賃も抑えることができる。影響があるわけですね、関係が。簡単に言うと、民間公団上げてくれと言っているのですよ、上げると自分たちも上げられるから。
  101. 桜井新

    桜井委員長 上野君、時間を守ってください。
  102. 上野建一

    ○上野委員 委員長、それではさっきの問題はちゃんとやってくださいよ。
  103. 桜井新

    桜井委員長 先ほど申し上げたとおりであります。
  104. 上野建一

    ○上野委員 終わります。
  105. 桜井新

    桜井委員長 上野君の質疑は終わりました。  次に、和田静夫君。
  106. 和田静夫

    和田(静)委員 高齢者といいますか年金生活者の問題に限って、二、三の質問を行います。  全国の公団住宅自治協が昨年実施をしたアンケート調査もとにしてでありますが、居住者高齢化状態というのは、非常に世帯収入が低下をしている状態が出ていますね。世帯主年齢六十歳以上は全国で一六・八%、特に東京圏では二一・五%に達しているということをこの数字は示していまして、世帯収入で第二分位以下が五四%、過半数を上回っているわけです。他方、公団への永住希望というのは八〇%、これは午前中の参考人の資料にもありました。つまり公団高齢化対策は、私は緊急を要してかつ特別な措置が必要だと考えています。そこに焦点を当てて二、三の質問をするのですが、具体的には高齢者の住みやすい住宅への改造と申しましょうか、年金で暮らせる公団住宅の確保に絞って見てみる必要があるのではなかろうか。 そこで伺いたいのは、年金で公団住宅に暮らせるかという問題なんですが、公共住宅政策として建設大臣、この辺はまず概括的にどうお考えになりますか。
  107. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先ほど上野委員にもお答えをしたわけでありますが、公団住宅政策全般の中での役割というか使命につきましては、公団の設立以来からの一つのねらいとしては、中堅勤労者を対象とした住宅を供給をする。低所得者という言葉は余り好きではありませんけれども、あえて申し上げれば、そういう方々のためには公営住宅等の供給をする。それぞれ役割分担を持った住宅政策と私は認識をいたしておりまして、公団と公営の間には公社住宅というような供給もございますし、また公庫住宅というようなことで、融資を申し上げて住宅を取得していただく。その多様な住宅政策一つである、こう位置づけておるわけであります。  したがいまして、公団住宅に長くお住みになっておって、高齢になられてそして年金生活に入っておられるという方々は、多年そこに住んでおるわけでありますから、可能な限りその住宅に住んでいただけるような優遇策、あるいは家賃が上がるとすれば激変緩和措置というようなものをやるということは、前提として今回取り組ませていただいておるわけでございまして、年金生活者であるから、公団住宅は例えば中堅勤労者を対象としているから住めないのだとか住めるという論議は、私は余りいたしたくもございません。当然、住宅に初めから入る場合に、入居資格というのは特にないわけでありますが、あらかじめ設定した家賃が支払えるということを前提として募集をいたすわけでございますから、最初からというのは別といたしまして、そこに長く住まれた方に対してはきめ細かい配慮をしていくということを考えておるわけでございます。
  108. 和田静夫

    和田(静)委員 私の手元に、身につまされる高齢者生活実態を話した訴えが幾つか来ているのでありますが、二、三例を挙げます。  一例で、大宮市の宮原団地ですが、昭和五十七年から住んでいる七十三歳の単身居住の女性の方ですが、この方は厚生年金が月額にして八万六千五百三十三円、国民年金が八千七百二十五円、合計月九万五千二百五十八円の収入なんですが、二Dの家賃が二万六千五百四十七円、共益費が千七百六十円、家賃負担率は二七・九%です。この上値上げがあると、ざっと家計の三割が家賃ということになってしまうわけですね。しかもこの人は、医療費が月に三万円ぐらいかかっています。これを引きますと、食費など生活費は三万円余りになってしまうわけです。また、働くと死んでしまいますよと医者から注意をされている。この人の場合、私は生活保護の水準以下だと実は訴えを見て思ったのですが、厚生省としてはどういうふうに対応されますか。
  109. 末次彬

    ○末次政府委員 委員御承知のとおり、生活保護の立場で申し上げますと、個別具体的な事例についてこの対象になるかどうかという判断につきましては、預貯金等の資産の状況、親族表、こういったもろもろの要素を勘案しなければならないわけでございますので、具体的な判断ということについては申し上げかねるわけでございますが、ただいまの事例について、単純に収入と生活保護基準、これだけを比較してみれば、この方の収入は生活保護基準を下回っているというふうに考えております。
  110. 和田静夫

    和田(静)委員 生活保護の対象になるということですよね。
  111. 末次彬

    ○末次政府委員 冒頭に申し上げましたとおり、収入以外にいろんな要素を勘案しなければならないわけでございまして、個別具体的な判断ということについてはこれだけの条件では判断しかねるわけでございます。単に収入だけを取り上げて申し上げますと生活保護基準以下だ、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  112. 和田静夫

    和田(静)委員 そこで建設大臣大臣ならば、この人の場合にどうやって生活するのがよいと思われますか。家賃値上げがいかに重くて、いかに無理を生ずるかという観点からですが、時間の関係もありますから後でまとめた答弁でいただきます。  それからもう一つの例ですが、新所沢団地の七十六歳の方なんですが、障害者の妹さんと三Kに昭和三十六年から二人で住んでいる。収入は月額としてすべて合わせて十七万一千九百三十三円、家賃は三万四千五百十八円、共益費が一千五百四十五円、家賃負担率は二〇%。今度さらに値上げになれば、家賃負担生活を破壊するまでに圧迫することになる、こういうふうな状態でこういう訴えをされてきているのですね。「三年前に主人が亡くなり、主人の年金は半額になり、私の年金と、私の妹で障害者四級は主人が亡くなったときに障害年金を申請し、受給することになった。私は若いときからぜんそくの持病があり、三年前、主人の看病のとき自分も足を骨折し、現在も腰痛で病院に通っています。子供は自分の生活がいっぱいで、援助はしてもらっていません。病気がちの私と障害者の妹と二人、お互いに年をとっていますが、一番心配なのはそれが寝たきりになったり亡くなった場合、妹がどうなるかです。現在の年金でこれ以上家賃が上がったらどうすることもできません。どうぞよろしくお願いをいたします。」これは、大臣がこの方の訴えに答えられるとすると、どういうふうにお答えになるのだろうということであります。  それから、さらにもう一人どうしても紹介せざるを得ませんが、これも新所沢団地の二DKに昭和三十六年から住む御夫妻であります。御主人は八十歳、奥さんは七十四歳です。世帯の総収入は、年金で月額十四万五千六百五十円、家賃は三万四百四十三円、家賃負担率は私の計算で二〇・九%。そうすると、今度さらに値上がりしますと、これはこの人が守ってきた生活、これは非常に質素な生活でありますが、それさえ根底から崩されてしまう、こういうことになるわけであります。御主人は六十八歳まで注文紳士服の裁断の仕事をしてこられた。血圧が高くて仕事をやめた。現在は年金暮らしである。子供さんは二人あり、それぞれ家庭を持っている。現在、教育費にお金が一番かかる時期で、親への仕送りはできない。奥さんも五、六年前より、女性に非常に多い病気でありますが老人性骨粗鬆症で、病院への入院、退院を繰り返していらっしゃる。現在も家庭の中ではやっと動ける状態である。現在の年金の中でも、夫婦が病院に行くための車代等で生活が大変である。そしてこういうふうに結論的に私に言ってこられているのですが、「三年前の家賃値上げでも、二DKで家賃値上げ最高額に近く値上がりをし、今回もこのような値上げが三年ごとに繰り返されるなら、私たちは団地に住んでいられません。高齢者で、夫婦とも病気を持っているものにとって、今の公団値上げの仕方は私たちに死ねというものです。」これはまた大臣、どういうふうに返事をすればよいのかというふうに思うところですが、以上まず大臣に伺います。
  113. 大塚雄司

    大塚国務大臣 今回、家賃値上げをお願いしております最上限の家賃というのを一居住室は七千円、二居住室は八千円、三居住室が九千円、この上限の金額をお示しをしましてお願いをし、平均三千九百円、一二%、こういうことでございますが、個々の例はそれぞれの家賃が正確に幾らであるか私も承知しませんけれども、恐らく最上限の値上げとは思いませんが、その値上げによって明らかに相当な負担生活ができないということになれば、それは大変なことだと思いますが、私の推察でございますけれども、いわゆる最上限までの値上げではないということでございますし、仮にまた本当に厳しいという状態がある場合は、元来そこに長くお住みの方ですから、お気持ちはよくわかりますけれども、例えば公営住宅等で救済をするという制度等もあるわけでございまして、一方、公団住宅というのは、先ほどから何回も申し上げているように中堅勤労者を対象とし、今日の住宅政策というものを全般から眺めますと、新しい住宅を求めている方々や、また過去公団にお申し込みになってもなかなか当たらなくて依然として民間の高い住宅に住んでいる方々をにらみながらも、そういう方々も救っていかなければならない。そういう幅広い立場から考えますと、それぞれの御事情にできる限りの御協力を申し上げて、それぞれの方々が、年金として受給をされる額以外の収入が低いということもそれぞれございましょうけれども公団としてはそういう方々をよく考えながら対処をしていく。  したがいまして、今回のことにつきましても、先生方の御意見を十分伺った上で最終的に私が判断をするわけでございまして、委員会先生方の御意見を尊重して臨もうということで、この委員会も開いていただいておるわけでございます。可能な限り弱者を大事にするという基本姿勢でやってまいりたいと思います。
  114. 和田静夫

    和田(静)委員 その最後の答弁のところで、先ほど激変緩和措置をとるという大臣の意思の表明がございました。私はそこを尊重したいと思うのですが、まず一つは、公団から公営のお話がございました。私は、私の選挙区で調べてみました。そうすると、川口市でわずかに一軒しかないのです。移りたい人はいっぱいいます。しかしながら公営住宅が受け入れられる状態にはない、こういう状態が実情でございますので、そこのところはちょっと申し上げておきます。  紹介した方々家賃の特例措置の適用、これはこれまでのところはないのですが、しかし大臣は本当に若いときからの公団住宅の御専門家ですから、私はよくその立場はわかっているつもりですから、あなたが建設大臣のときに、生活の窮状から見て何らかの行政上の配慮が必要であるというものに対する措置をぜひおやりになったらいいと思うのです。どうです。
  115. 大塚雄司

    大塚国務大臣 基本的には、先ほど申し上げましたように、高齢者や弱者に対してきめ細かい配慮をするという精神でございますから、制度上できるものは可能な限りやる。しかし、すべてに満点というわけにはなかなかいかないものでありますから、かゆいところに手が届くように努力はしますが、かといって既存の制度や枠組みを超えてやるというわけにもまいらないので、そこはひとつ御信頼をいただいて、私も大所高所から判断をしてまいりますので御信頼を賜りたい、よろしくお願いいたします。
  116. 和田静夫

    和田(静)委員 もう一つですが、紹介した方々は公的年金で生活をしているわけですね。そうすると、公的年金で公団に住めないとすれば、それは年金としても公共住宅政策としても一貫性の欠如だ、これは行政上の欠陥があると言わざるを得ないと私は思っているのですよ。日本は豊かな国、国としては豊かなんですが、結果的にはこういう状態というのは、この本の題名にありますように「この国は恐ろしい国」ということになるというふうに思わざるを得ないのでありまして、福祉行政を批判した本であります。  そこで、厚生省に伺っておきますが、公的年金では公団に住めない、あるいは生活が健康を圧迫するまでに困窮するという、これは行政マンとして疑問にお思いになりませんか。
  117. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 お答えを申し上げます。  いろいろと例も挙げながらのお尋ねをいただいたわけでありますが、私ども年金の側面からのお答えをさせていただきますと、御案内のとおり年金の給付水準と申しますのは、その設定に当たりまして、住宅費だとかそういったもろもろの諸費用高齢者の基礎的な消費水準ということで調査をいたしまして、これに即して決めていくわけでありますが、そのときに、個別の事情というわけには年金の仕組み上まいりません。やはり社会保険として一定の定型的な平均的な姿として給付水準を設定をし、それに応じてまた保険料もちょうだいをして給付をしていくという仕掛けなものですから、そのときにはやはり平均的、全国一律的なやり方でどうしてもやることになってしまう。  しかし、そうした中で年々の消費生活水準上昇でございますとか、物価の上昇あるいは賃金の上昇といったようなものをできるだけ反映をさせていくという、その全体の姿にはそういう形でやっていくということでございますが、今申し上げましたように、やはり年金制度としての制約あるいは保険料負担というものを、特に今後の高齢化社会を考えました場合に、負担の方が過大になって年金制度が安定を欠くということでも困りますので、そこの兼ね合いの中において決めてまいるというわけでございますが、そういった面において、一〇〇%個別の事情に対応していくという点については、なかなか難しい点があることは御理解を賜りたいというふうに思うわけでございます。
  118. 和田静夫

    和田(静)委員 最後になりますが、私は、大臣が信頼をしてくれと言いますからその限りにおいて信頼いたしますが、実際上、公的年金で公的住宅に住めなくなるというのでは、これは私は公的住宅政策を進める建設大臣として、やはり省みて正すべきであろうというふうに思います。公的住宅政策が事実上破綻をしているのだと言わざるを得ないとさえ私は思っているわけです。  そこで、いわゆる海部内閣の国務大臣としてやはり血の通った、人情のある政治決断をすべきだというふうに私は思います。特に、特別措置の抜本的改革をあなたの手でぜひやっていただきたいし、おやりになることが大変大切だろう、私はこう思います。いかがでしょう、もう一度。
  119. 大塚雄司

    大塚国務大臣 余りに大きな期待をしていただきますと私も自信はございませんけれども、しかし、戦後もう四十六年になっていまだにこの住宅政策について御意見が多いということは、確かに問題があると思います。今回の値上げ値上げといたしまして、きめ細かくそういうものに配慮してさせていただくわけでありますけれども、しかしこれから長期的な、二十一世紀へかけての住宅政策ということになりますと、今厚生省からもいろいろお答えをしておりますように、我が国の住宅政策というのは一体どうあるべきかということも、そろそろ抜本的に考え直す時期が来ているなということも率直に言って感じます。  先ほど上野先生から、私が就任前に座談会で申したことも引用されましたけれども、例えば借地・借家法の改正でも随分いろいろお話が出ておるように、公営住宅にお入りになって、最初は所得が少ないけれども、だんだん多くなっても依然として少ない人と同じようなことでお住みになっている方も事実おられるわけでございますし、そういう方がいい、いけないという問題ではなくて、一体どういう役割分担を公団は持ち、地方自治体はどういう役割を持つか。そういうことと、今先生のおっしゃるように、特別措置をするにしても本当に困っている方にはどういう対処をするか、こういうようなことも、できましたら在任中に一遍研究をして、結論が出せるかどうかは別でありますが、住宅政策のあり方については一度しっかりと勉強させていただきたい、このように考えております。
  120. 和田静夫

    和田(静)委員 委員長、別に資料要求をレクチャーのときにしてありますから、それは実態調査のことですが、後でいただきたいと思います。
  121. 桜井新

    桜井委員長 はい。  和田君の質疑はこれで終わります。  次に、常松裕志君。
  122. 常松裕志

    常松委員 和田先生の質問に続いて、御高齢の方々、年金生活方々に対する特別措置の問題について一、二伺わせていただきます。  まず第一に、現在特別措置の対象になっている世帯数、生活保護世帯並びにその他の特別措置による世帯数についてお教えください。
  123. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 前回六十三年の第三次の継続家賃改定におきます特別措置の適用件数は全部で四百八十四件でございまして、その内訳としましては、生活保護世帯が七十、それ以外の世帯が四百十四ということになっております。
  124. 常松裕志

    常松委員 値上げ対象団地約三十五万世帯の中でわずか四百八十四、今の数字ですと、それが実態であります。先ほど和田先生が御紹介されましたような年金生活者の実例というのは、数限りなく私どもも承っているところでございます。  結局、今のままの特別措置水準でございますと、結果として今回の家賃値上げによりまして、年金生活者方々、戦後の日本の繁栄を支えてこられた方々に対して公団は、少しきつい表現をしますと、あたかも出ていってくれ、こんなふうに言っているように思うわけですが、本意じゃないと思いますけれども、その辺の考え方について公団の考え方を聞かせてください。
  125. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 生活保護世帯を初めとしますいわゆる社会的弱者に対しましては、公団としてはできる限りの措置を講じたいということでございますが、午前中にもいろいろ議論がございましたように、公団の施策上の役割と申しますか、そういったものを考えますとおのずから限界があるということで、現在講じております措置がその限度であるというふうに考えておるわけでございます。
  126. 常松裕志

    常松委員 現在の公団の法体系その他の中では現状がぎりぎりだ、やりたいけれどもぎりぎりだとするならば、和田先生からお話がありましたように、これはもう建設省大臣に決断をしていただくしかない、あるいは内閣の、政府の責任でやっていただくしかない。この間、三月十三日の予算委員会の際に同様の質問をいたしました折に、大臣からこういう御答弁をいただきました。「当然のことながらいわゆる高齢者のためにはしっかりと対応をしていきたい、それはもう当然やることでありますからできるだけやりたい、」こういう非常に温かい御答弁がございました。  結局のところ、今の特別措置生活保護にいうところの住宅扶助限度額、ことしでいいますと五万二千七百円、これが基準になっている。そういたしますと、五万二千七百円まで家賃が上がらなければ特別措置を受けられないということになりまして、これは今の公団に住んでいらっしゃる、特に私は東京・多摩地区ですけれども、私の地元の公団に住んでいらっしゃる年金の方々生活実態とは全くかけ離れたものであるわけです。やはり政治ですから、生の人間から、生身の生活者から出発をしていただかなければならないと思いますので、重ねて大臣に決意のほどをお伺いいたします。
  127. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先ほども和田先生にお答えをしたわけでございますが、また予算委員会でも、高齢者方々のためにはできるだけいたしたいと申し上げたわけであります。  ただ、また一方、上野先生にもお答えしましたが公団住宅、いわゆる住宅都市整備公団の性格論と申しますか、住宅政策の担い手としての対象は中堅勤労者を対象とする。例えば、生活に比較的困窮している低所得者に対しましては公営住宅で救済をする、そういう一つの体系がございますので、高齢者やあるいは年金生活者方々となると、いわゆる住宅政策の範囲で対象として考えるのか、あるいは福祉政策の中で考えるのか、その線引きと申しますか限界と申しますか、それがちょうど交差をしていくわけでございまして、したがいまして住宅都市整備公団としては、できる一定のいろいろ基準等もございますが、その範囲内ではもう最大限高齢者の方に対策をとる、そして足らざるところは、厚生省と関係自治体とも連携をとりまして対策をとっていただく、こういうことに尽きると思います。  私は、今回の家賃値上げの精神としては、住宅公団制度の中で可能な限りやりたい、こういうことでございまして、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  128. 常松裕志

    常松委員 次に、建てかえ後の家賃について少し伺います。  昭和六十三年四月二十日の建設委員会におきまして、四月十五日の公団家賃問題についての集中審議を踏まえて、当時の中村喜四郎委員長より政府に対して、理事会の申し合わせに従った七項目の要望が行われました。その第二項目に、建てかえの問題について言及されています。実はその建てかえ後の家賃については、対象団地に長くお住まいの方々から高過ぎるという不満があります。しかし公団は、建てかえ後の家賃については新規家賃であるという理由から、納得のいく説明をしていないように私は伺っておりますし、私もそう思います。これでは今後建てかえが円滑に進むとは、私は思われないわけであります。  そこで、建てかえ対象団地に住んでおられる皆さんの御要望もございますのでお尋ねをするんですが、建てかえ後の家賃の算出方法を示していただきたい。同時に、新川団地でも久米川団地でもどこでもいいですから、二DKのモデルで現行の継続家賃とそれから建てかえ後の家賃を、一つの事例だけでいいですから示してください。
  129. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 まず考え方を御説明申し上げたいと思います。  建てかえ後の住宅は、既存賃貸住宅を撤去しましてそこに新たな住宅を建て、床面積も広くなりますし設備も新しい、全く新しい住宅として供給されるものでございますので、この家賃につきましては、通常の新規供給の公団賃貸住宅家賃均衡のとれた適正なものであるということが求められておるわけでございます。したがいまして、建てかえ後の家賃の算定に当たりましては、公団法の施行規則四条あるいは五条の規定に基づきまして、建物の償却費、修繕費、管理事務費あるいは地代相当額などを合計した月割り額を基準といたしますが、他の新規公団賃貸住宅家賃との均衡を図って決定するということにしておるわけでございます。  ちょっと数字は、今持ってまいります。
  130. 常松裕志

    常松委員 じゃその具体的な二DKモデルは後で結構ですが、今お示しをいただいた各家賃構成の費目について、その内容を示していただきたい。特に用地費はゼロのはずですから、一体その地代相当額というのはどのくらい建てかえ後の家賃に占められているのか、示してください。
  131. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 団地によって地代相当額の占める割合は異なりますが、大体三割ぐらいであろうというふうに、マクロでいいますとそのぐらいであるということでございます。
  132. 常松裕志

    常松委員 そういたしますと、約三〇%ぐらいということですから、大部分はその新しい建築費ということになるのかなというふうに逆に聞こえましたが、実は今この建てかえが進められております建てかえ対象団地の三鷹市の新川団地、東村山市の久米川団地、それから練馬区の石神井団地、この三つの団地は大体同じ時期に進められておりますが、その三つの団地について、二DKのモデルで結構ですから、建てかえ後の家賃についてお示しください。そして、なぜそこの三つの団地で家賃が大幅に違うのか、それを説明してください。
  133. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 久米川の二DKは、初年度家賃が六万九千円でございます。それから新川団地、三鷹でございますが、ここの二DK、五十平米でございますが、これは九万一千円。それから練馬の石神井でございますが、ここは五十平米の二DKで十万七千円となっておりまして、平米単価も違っております。  その理由でございますが、一般的に家賃は、規模や設備水準あるいは供給時期、住宅が具体に立地している場所の主要駅への交通時間、あるいはバス等の二次交通の利用の有無、あるいは日常生活に必要な商業、文化、公共施設、こういったものの周辺の基盤整備の状況等の違いによって差が生じてまいりますのはむしろ当然でございまして、御指摘の新川、石神井、久米川の団地間で家賃が異なってまいるのは、そういった違いから生じてまいるわけでございます。
  134. 常松裕志

    常松委員 それはおかしいんです。僕は多摩のここに住んでいるんだからはっきり言うんですけれども、三鷹の新川団地と東村山の久米川団地と、都心に出てくるのにどっちが便利かといったら、恐らく久米川団地なんかの方が便利なんですよ。つまり私は、わずか三〇%の地代相当額じゃなくて、公団の建てかえ対象団地に住んでいる皆さんの疑問といいますか批判といいますか不満は、どうももう償却されちゃっているようなただ同然の用地費をこの公団の建てかえの家賃に大幅に入れているんじゃないか、だからこんなに違いが出てくるんじゃないか。地価の高い石神井は十万七千円になり、相対的に低い東村山は六万九千円になる、こういうふうな誤解があります。あるいは誤解かどうかわかりませんよ、僕はそれが正確じゃないかなと思いますけれども、そういう理解があります。  それで、ひとつ総裁にお願いしますが、これは基本懇談会で全然議論されてないんですね。家賃部会でも、建てかえ後の家賃については議論の対象になってないわけですね。しかし前回委員会で、建てかえについては円滑に進めろ、こういうことになっていますね。建てかえ対象団地の方々は、家賃が高過ぎるという不満を持っているわけです。やはりこの問題については家賃部会できちっと検討しなければ、そういうことが行われなかったら、理解を求めると言ったってそれは無理じゃないですか。ぜひ総裁、ひとつ今後これらの建てかえ後の家賃について、基本懇なりあるいは家賃部会検討するようにしていただけるかどうか、それをひとつお答えください。
  135. 丸山良仁

    ○丸山参考人 新規住宅家賃につきましては、ただいま安仁屋理事から御説明がありましたように、一般の賃貸住宅家賃の決め方と全く同じになっているわけでございますから、特に家賃部会に諮る必要はないと存じますけれども、せっかくの先生の御提案でございますから、家賃部会とよく相談してみたいと思います。  それからもう一点でございますが、今安仁屋理事から用地費が三〇%ぐらい占めているという答弁がございましたが、これは現実の問題といたしましては、ある団地をやるときの想定の数字でございまして、その後建築費の値上がりが甚だしいものですから、もらうべき土地代がなくなってしまいまして、現実に申しますと、今の家賃の積算根拠の中には、現実の家賃は土地代は入っていないというのが実情でございます。
  136. 常松裕志

    常松委員 いや、先ほど朝日大学の参考人が、新規の家賃こそ検討したいと言っておられましたから、私はぜひ今後家賃部会の中で検討してもらいたいし、それは総裁、土地代が入ってないなんて、だったら練馬と東村山でなぜこんな違うのかというのは理屈にならないじゃありませんか。それはしかし、その部会の中でぜひ検討してもらいたいし、特に建てかえ対象団地の居住者意見を聞けるような、そういう場を工夫してもらいたいと思うんですよ。それじゃなかったら円滑に進まないと私は思いますよ。  家賃値上げの問題にもう一回戻りまして、修繕費について二、三聞かせてください。  まず、この修繕費については、委員長の要望の中で極力維持管理費に充てるようにと求めていますし、それから当時の大臣申請書に対する承認書の中にも同じように記載されています。ところがどうなんですか、増収分の中で占める修繕費の内訳について示してください。
  137. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 昭和六十三年度に実施しました継続家賃改定によります次の年の平成年度増収額は百八十二億円でございました。そのうち百二十七億円、七〇%に相当する額でございますが、これを修繕費等の維持管理経費に使用いたしまして、残り三〇%に当たります五十五億円を新規家賃の抑制に充てたところでございます。
  138. 常松裕志

    常松委員 ここに、国立にあるくにたち団地自治会というところからおたくの住都公団の北多摩営業所長にあてて出されている去年の九月二十七日の「台風十九号の被害状況と要望について」という要望書があるのです。これを見ますと、国立団地総戸数が百九十戸、そして雨水の吹き込みが百三十七戸、天井からの雨漏りが七十三戸、延べにして二百十件、百九十世帯、百九十戸で二百十件、鉄筋コンクリートの団地が台風十九号の被害をこうむっているのですね。これで本当に、その修繕費をこういう団地のために使っているのですか。あるいは久米川団地とか東伏見団地なんかは、外壁塗装の計画修繕さえされていないというじゃありませんか。本当に修繕費というのは値上げ対象団地の修繕のために使っているのですか。どこかほかの修繕に使っているのじゃないですか。
  139. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 私も具体の団地にどういった修繕をやっているかつまびらかにしませんが、一般論として申し上げますと、現在のところは新築の団地、これにつきましても家賃の中に修繕費が相当入っておるわけでございますが、新築であるがゆえにすぐには修繕は必要ないということで、そういったお金をむしろ古い方の団地の方に回しているというのが実情だというふうに理解しております。
  140. 常松裕志

    常松委員 修繕費の問題についても、ぜひ住民の皆さんが納得のいくように、また委員長の要望の中でも、本当に値上げ分が居住性の向上のために使われるように、具体的に目に見える措置がとられるように、ぜひ委員長の方からも要望していただきたいと思いますし、公団の方もお願いしたいと思いますし、先ほどの国立団地の例については、少し調べていただいて結果を教えてください。  以上で質問を終わります。
  141. 桜井新

    桜井委員長 常松君の質疑は終わりまして、次に鈴木喜久子君。
  142. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 私は、主として補正の問題と敷金の追加徴収の問題について伺っていきたいと思うのですけれども、まずその前提としまして、公営限度額方式ということで値上がり分を計算していくという、その中に固定資産税評価額をどのぐらいの割合で想定して計算の中に入れておられるか。先ほど午前中のどなたかの質問の中に、大体四〇%ぐらいの要素として含まれるというようなお話が、質問者の方だったかもしれませんがあったのですが、それでよろしいのでしょうか。
  143. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 私どもの考えでは、大体三〇%相当が地代相当額であるというふうに考えております。
  144. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 先ほどの改築の場合の固定資産税、それなりに地代というもの、評価額というものとほとんど同じだということを考えておられるわけですか。
  145. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 先ほど総裁からちょっと私の答弁について訂正がありましたが、新規住宅必ずしも三割ではございませんので、新旧ともに三割というのは、そういうことではないというふうに申し上げておきます。
  146. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 何かよくわかりませんけれども、先ほど三〇とおっしゃったけれども、結局は三〇%ぐらいは地価の値上がりを算定する際にはそこの中に入れて、公営限度額方式という中では計算しているというふうに言われているのだと思います。  それの中で、固定資産税評価額もとにして一応計算しているということになりますと、この補正というものもまた、立地条件といいますか土地自身の価値、利用価値その他を考慮してもう一度その補正をし直す。なぜその土地だけについて二度評価をやり直すのでしょうか、その点教えていただきたいと思います。
  147. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 先生御指摘のとおり、土地代相当額固定資産税評価額ではじくということで、もちろん固定資産税評価額自体に立地の要素は当然入っておるわけでございます。しかし、私ども何回か家賃改定をやりまして、その経験に基づきましていろいろ検討しました結果、やはり住宅がつくられてから長期間たちますと、周辺の立地条件と申しますか環境も変わってまいりまして、そういったことを考慮すると、公営限度額方式だけではじいた場合に、必ずしも均衡がとれていないということがわかったわけでございます。そういったことで、立地補正ということをすることにいたしたわけでございます。
  148. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 それもまたおかしな理由だというふうに私は思うのですけれども、長期間の間には環境が変わる。固定資産税評価額も、そうした環境が変わって、そのためにいろいろとそのときの評価によって、ある地域が非常に高くなることもあれば、そうでないところも出てくるということで、一応のそういったものをしているのにもかかわらず、非常にきめ細かといいますか、またここで立地補正のみがやられるということは、何かその点だけを考えますと、いかにも値上がりを算定する際に土地というものの値段を非常に過重に考えておられるというか、そういうふうなことが見えるような気がするのですけれども、大切に考えておられるというか、その点はいかがでしょうか。
  149. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 やはり家賃と申しますのは建物と敷地の使用の対価ということでございますので、土地という要素につきましては非常に重要なものだ、このように考えております。それから、先ほど固定資産税のお話が出ましたけれども、同一公共団体の中ではそれなりにバランスがとれておりますが、地方公共団体を異にした場合には必ずしもバランスがとれているというふうには言えない場合もあるわけでございます。そういったことを考慮しまして、立地補正という考え方を導入したわけでございます。
  150. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 そういうことで補正をやる、その点について私は非常に納得がいかないし、従来地価の値上がりについて、もう既に土地というものを初めに取得して、そのときの取得原価は決まっているはずなのに、だんだんその土地が値上がりした分を家賃の中に反映させていく。もちろん自由競争の原理が働いている民間住宅であればともかく、非常に公共的な色彩の強い公団住宅の中でそういったものを重視してやっていくという、先ほどのお話のように建設費とその分ですね。もう一遍建ってしまったもの、それから土地も一遍買ってしまったものについて、固定資産税の税額が上がっていくという分はそれはわかりますよ、毎年のもの。でも、そうでない分について、そういうものを価値として売り買いして入れていくというのは、私は非常に納得がいかないのですけれども、そういうふうな形でこればかりも議論しておられませんので、その点について一言後で言っていただくとして、そのときに補正についてはどういった形で、どこの団地にどういうふうな形でやるのか。聞くところによるとA、B、Cというような補正のためのランクのデータがあって、そういうものをどのような形で算定しておられるのか、教えていただきたいと思います。
  151. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 補正のデータにつきましては、民間の信頼できる機関に依頼しまして、各団地で典型的な住宅を選びましていわゆる比準賃料の調査をやる。要するに比較をするということをお願いしまして、その資料をいただきまして補正をやる、こういう考え方でございます。
  152. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 それでは、その民間に委託した鑑定といいますか、そこでの比準賃料というものが出てくる、そのデータについてはそれをお出しいただけますか。
  153. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 その比準賃料調査のデータにつきましては、これも公表を差し控えさせていただきたいと思います。     〔委員長退席、北村委員長代理着席〕
  154. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 どうしてそういうものが出せないのですか。結局、先ほどのお話にも同じようなものが通じます。こういったものを出してきて、これが合理的であるからそういうことで賃料というものを増額するんだよと。それは自分たち、入居者たちを納得させる一番大きな資料となるものだと思うのですよ。どうしてそういうものが公開されないのですか。大体今、情報公開だとかそういうふうな形でディスクロージャーというのは非常にはやりになっています。特に、自分たちの住むところの自分たちのものを、今ここで紹介しないでも、居住者の人たちにはお見せになることができるのでしょうか。
  155. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 このデータは、最終家賃を算定いたします際の一つのプロセスだということでございます。いろいろな、二分の一とかあるいは最高限度額ということで、それが最終と申しますか皆様方にお知らせする改定後の家賃にストレートにはつながっておらないわけでございまして、そういった算定のプロセスをお知らせすることはかえって無用の混乱になるのじゃないか、そういうことで資料の公表は勘弁していただいているところでございます。
  156. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 今のお言葉を私なりの理解で一般的な言葉で言いますと、要するに賃料というのはどんぶり勘定で決めるんだから、それまでに言ったところの比準賃料がどうだこうだ、そこでどんなものが出てくるかなどということは、最終的に決まった七千円、八千円、九千円というアップ額が出てくるんだからあんたたちにはこれだけ示せばいいんだ、そこへ出てくる根拠なんかごちゃごちゃ言ったってどうせわかりっこないし、ごちゃごちゃになるからやめなさいよ、どうせ自分たちだって決めたのはどんぶり勘定なんだから、そういうことになるというふうに聞こえるのですが、その点いかがでしょうか。
  157. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 決してそういうことではございません。やはり居住者の皆様方に一番関心のございますのは、最終的に御自分が幾ら払うかということでございますので、その計算のプロセスにつきましては公表を差し控えさせていただきたい、このように考えておるわけでございます。
  158. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 当然だれもが、七千円上がるのか六千円上がるのか五千円上がるのか、最終的に上がる分が気になって、そこが一番興味の中心になるのは当たり前ですよ。五千円と言われれば、五千円じゃなくてもしかして三千円で済むものなら三千円にしたいなと思うのが入居者の気持ちでしょう。そのときに、なぜ三千円にならないで五千円なのか、なぜ七千円にならないで八千円、九千円なのかというときの根拠が何にもなければ、その一番最終的な金額だけを示せば、それで満足か不満足かだけ言いなさいよ、そんなのでは仕方がないですよ。無用な混乱ということでは全くない話で、それは居住している人たちを非常におろそかにし、ばかにした話じゃないかというふうに私は思います。  この点も、ここでの懇談会がちゃんとあって、いろいろと話をする家賃部会もあるということであれば、そういうところに出さなければいけないのじゃないですか。そういうところでそういう話し合いをするということが大変必要じゃないかと思いますが。
  159. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 私ども決して居住者の方をないがしろにするといった気持ちはございませんが、先ほどから申し上げている理由によりまして公表は差し控えさせていただきたい、このように考えておるわけでございます。
  160. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 今の質問も同じことで、私はこのところについては今ここで公表されないにしても、ここで公表すること自体が何かのプライバシーにかかわることであるならば、財産権にもかかわることであるというならば、ここでなくてもいいですけれども、お約束いただきたいのは、そうした家賃部会等々において一つの合理的な、そこの団地のそのものについてはその人たちに示すべきだと思うので、その方向で御検討をいただきたいと思います。その点についてお約束をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  161. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 この委員会の場で申し上げられないことにつきまして、家賃部会等で公表することはいかがかなという気がいたします。
  162. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 そういって今も何か口先では非常に皆様方のことを尊重し、こうしたことをお考え申し上げなどとおっしゃっていますけれども、結局は何も知らせない。上げるものだけ上げればいいじゃないの、あなたたちはこういうところにいるんだからというふうな言い方をされる。特に、私の住んでおりますところの新宿区でありますとかまた港区でありますとかいうところは、いつでも基準限度額いっぱいの最高のところが上がるところが多い。これは大臣もよく御存じのことだと思うのですけれども、七千円が最高限度なら七千円、九千円なら九千円、一万円なら一万円という、そこのところが上がっていく。毎回そうですよね。だから、そこにいる人なんというのはたまったものじゃありません。初めに入ったとき、それは確かに便利なところにいるということになるけれども、なぜ自分たちはこんなに上がっていかなければならないんだというその積み重ねになったら、非常に大きなことになってまいります。こういうときの合理的な算定をしていかなければならないし、今おっしゃった補正というものが地の利ということだけの補正であるわけではなく、やはりそこに入居している人たちの利用の仕方、入居者たちのいろいろな個別的な生活の状態、そういうものだって、もし補正ということをきめ細かにやっていくのなら、何で立地ばかり補正するのですか。ほかのそういうものも入れて補正をしていったらいいと私は思うのですよ。  だから、そういったものについても、これから先の問題になってまいりますけれども、この改定に当たってはそうした一つの根拠なら根拠を示すこと、そして今のような、もし考えるのなら、きめ細かいことをやるのならそこまで細かくやっていってもらいたいというふうに私は思いますし、これは大臣にも、これから認可を与える場合にどういうふうなことをやったらば、ただこう書いてあって、今こういうふうな申請が参りました、これについてよろしいよというのではなく、もう少しそのあたりのことについての御指導その他をお願いしたいものだというふうに思います。後でもう一度まとめてお話を伺いたいと思います。  それでもう一つ聞かなければいけないのですが、次の問題に行かないと時間がなくなってしまいます。敷金の方なんですけれども、敷金の場合に、今度敷金を追加で取らなければならない。そうすると、たくさん取られる人は非常にかなりの額、過去三回分ありますからそれを合わせるとかなりの額になってしまう。こういったものを、三回分今までずっと取らないできたものを、なぜまた取るというふうなことをお考えになったのか。さっき一番最初のときちょっと総裁おっしゃったと思うのですが、お聞かせください。
  163. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 過去三回の申請において、国会決議を踏まえた上で認められなかったという経緯は十分承知しており決して、家賃部会でもそういったことは議論になりました。しかし、やはり賃貸借契約に基づきます債権の担保という敷金の本来の性格から申しますと、改定後現在払っていただく家賃の三カ月分をお預かりするのが筋である、こういう結論になりまして申請した次第でございます。
  164. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 これは筋か筋じゃないかといったら、筋じゃない方が正しいと私は思いますけれどもね。敷金を三カ月分いただく。それで、例えば過去三十年住んでいる人がいるのですよ。その運用益、その利息を考えたらかなりのものが出ているはずなんですね。そうしたら、そのかなりの運用益そのものが一体どのくらい出て、そして今不払いの人というのは一体どのくらいの数があって、それで担保できないのかどうか、そのあたりの数字的な根拠を示していただきたいと思います。
  165. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 今お預かりしております敷金の総額は約八百億円でございます。年利大体五%で運用しておりますので、正確に四十億じゃございませんが、三十六億が昨年度運用益として公団に入っております。これは、主として団地環境整備の費用に充てているということでございます。
  166. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 団地環境整備の費用に充てていて、そのものについて無利子で預かってそれを充てているということは、先ほどの契約書の中にも、多分民間のアパートの契約書でも何でも敷金のところがありますけれども、賃料担保という言葉があるのかどうか、債権担保という言葉になっているのでしょうか、何かあるかもしれませんけれども、そのために預かっているというだけで、それについて、それをどこかほかの方に回してそうやって使ってもいいという法的根拠、規定がどこかにあるのですか。
  167. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 敷金というのは、お預かりしまして最後に利息をつけて返すという習慣はないわけでございます。お預かりしましたお金をお返しすればいいということでございますので、やはりお預かりしている間に最大限に運用しまして居住者の利益のために使いたい、こういうことでやっておるわけでございます。
  168. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 ですから、お預かりしたものをそのままお返しするということで、敷金についてはそういう性格だと思いますけれども、そこで生み出した運用益があるんだから、何もそれに加えてまた取らなくたっていいじゃないですかというのですよ、その差額を。値上がりの差額ぐらいのものは、また今回も前回と同様にそういうものについては取らなくたって、年間三十六億も十分入ってくるわけでしょう。黙って置いておけばそれだけもっと入ってくるものでしょう。だったらば、そういうものがあるんだから、それは何もまたそこから取りましょうということをする必要は全くないし、今言ったように、何も返す筋合いはない。だれも返せなんて言っているんじゃないですよ。それがあるのにまだ出せとおっしゃるから、それはおかしいんじゃないかというふうに言ったのです。
  169. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 昔四千円でお入りになりました方からは一万二千円お預かりしているわけでございます。それから、仮に十万円で新しくお入りになりました方からは、三十万円という敷金をお預かりしておるわけでございます。そういった意味で、居住者間の不公平といったようなこともございますし、三十六億の運用益を使っておりますが、さらにこれがふえれば団地環境整備の一層の推進が図られる、こういうことでございますので、よろしく御理解のほどをお願いしたいと思っております。
  170. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 これは全然御理解できません。今言ったように過去ずっと三十年間の利息についてはただ取りして、それはどこに使っているか。もちろん、御自分の懐に入れたという意味で使っているわけじゃないです。それから、住都公団にたくさんたまっているわけではないでしょうけれども、しかし敷金というものを納めた側にとってみれば、その分納めているのです。それで、過去三回分の値上がりがあったときにも、これについてのものを今まで取らないということで尊重しながら来たものを、ここでまたお取りになるということでは、まるっきりそっくり過去のものまでさかのぼって、今までなしだったということの意味を無意味にしてしまうことになるわけなんですね。これはもう大変な暴挙であると私は思います。この点について、一言だけ安仁屋さんにお願いしたいと思います。  最後に大臣にお聞きいたしたいのですけれども、先ほど申しましたように、この値上がりについて、住民の意見その他についてどういうふうな配慮をしているかとかいうことについて、こうした申請が来た場合にどのくらいのことを考え、またどういった意見を付して申請を認可されるならされる、またこういう指導をされるというふうなことで何かなさっていただけることがあるのでしたら、それをお聞かせいただきたいと思います。
  171. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 敷金の追加徴収につきましては、私どもの考えをぜひ御理解賜りたい、このように考えておるわけでございます。
  172. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先生の御質問は、今回の申請に対して建設省はどんな審査をし、またどんなことをするのか、こういう御質問でございます。  そもそも公団は特殊法人でございまして、法律によって存立しておるわけでありますから、建設省には監理官室を置きまして、住宅局長の指揮のもとで、公団公団法に従って広く国民住宅政策の進展におこたえをしているかどうか、常々そのようなことを考えながら運営をしておるわけでございます。  先ほど来申し上げておりますように、いわゆる中堅勤労者に対する住宅供給という一つの使命がございます。そしてまた、昭和三十年からでありますから、もう既に三十数年たっておるわけであります。先ほど来、不公平である、公平であるという御論議もございましたが、一番最初にお入りになった方々の時代の家賃と現在では相当な違いがございますし、その間二十年間家賃を上げずにきたわけでございまして、先ほどの家賃を上げるのはおかしいのだという御論議もございましょう。しかし一方、今回三十六万戸の改定をお願いしておりますが、公団賃貸住宅は約七十万戸ございます。全国には三千八百万世帯の人たちがおるわけで、その中の約二%足らずの数でございますけれども、そういう方々について、三千八百万世帯方々の税の負担による公的資金で賄ってきたことも一方で事実でございますから、建設大臣としましては、公団住宅のあり方については、余り住宅相互間に不公平にならないような配慮もするということになりますと、固定資産税にも自治体によってはいろいろ差がございましたり、あるいは立地によってちがいもありますものですから、そういうものをいろいろ配慮をして恐らく今回の家賃改定も計算をしていることと思います。  個々の細かいものまで示せという御意見も、私もわからないではないのでありますけれども、そういう全体をにらみながらやっておりますと、ある特定のところだけを公表することが適当かどうかということは、いろいろな方の御意見もありまして、今回はそういうふうにさせていただいておるわけでありますが、少なくとも公団は、利益を上げる目的は絶対にございません。そしてまた、国民の皆様方におこたえをするという、職員も準公務員的な立場で仕事をしているわけでございますし、建設大臣の監督のもとでやっておるわけでありますから、不明なことだけは決してないと私は信じておるわけでございます。  今度の内容については御不満もありましょうが、従来住んでおられる方々の、お気持ちもよくわかりますから、そういう方々の、高齢者年金生活者の方のことも考えながら、また、不幸にして三十年間申し込んでもまだ住宅に当たらないというような方々もたくさんいるということを一方で考えながら住宅政策を進めるという点についても、ぜひひとつ御理解を賜りたい。そういう意味も含めての先生の御指摘も一方にはあろうかと思いますので、適切に対処をして住宅政策を進めてまいりたい、今回のことについてはぜひ御理解を賜りたい、そういう見地で審査をしてまいりたいと思います。
  173. 鈴木喜久子

    ○鈴木(喜)委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。
  174. 北村直人

    ○北村委員長代理 三野優美君。
  175. 三野優美

    ○三野委員 けさから参考人に対する質問、昼からはそれぞれ公団及び建設省に対して、我が党の五人の委員がそれぞれ質問をいたしました。また、その質問の過程を通じて大方の問題点は出たと思うのですが、質問に入ります前に一言申し上げておきたいと思うのですが、先ほどの答弁を聞いておりますと、安仁屋参考人と丸山総裁との答弁にかなりの食い違いがある。あるいはけさの石原参考人の場合は、家賃算定のこの評価をするに当たっての土地に対する考え方、これは地代相当額そのものではないけれども固定資産税評価額を基礎にしながら約四〇%ぐらいという話が出た。それで丸山参考人はゼロだ、こう言う。安仁屋さんは三〇%、こう言うのですね。少し答弁の仕方について、余りにもずさんさが見えると思うのです。これが一つです。  いま一つは、値上げの根拠を示してもらいたいと言ったらば、それは言えぬ、こう言うのですね。少なくともこれは国会なんであります。国会議員に対して、その質問で値上げをする根拠を示せと言ってもそれも出せないということだと、また国会軽視になるんだ、これは。私は、それがどういう経過であるかは別として、国会の権威にかけてもそういう答弁は認めることはできません。したがって、後からでいいですから資料を出しなさいよ。そんなことは我々として断じて認めることはできませんから、まずその点を申し上げておきたいと思います。  さて、先ほども申しましたように、我が党五人がそれぞれ質問し、見解を述べてきたわけです。それで、大臣に私が今から申し上げますのは、むしろ質問というよりも、今までのをまとめながら、建設大臣がいわば海部内閣の国務大臣の一人であると同時に住宅政策全体に責任を持つという立場で、単に公団のみの殻の中に閉じこもるのではなしに、そういう観点から公営住宅あるいは民間住宅も含めて全体的な立場で、私はひとつぜひ後で最後に大臣の見解を聞きたいと思うわけであります。  その前にまず聞きたいと思うのですけれども、実は前回値上げの際にいろいろと議論される過程の中で、多くの委員からも出されておりますし、我が党の当時は理事であった中村委員からも指摘しておるわけでありますけれども、やはり住宅政策の基本は国家が責任を負うべきだ。したがって、当時特に問題になっている国公有地の問題について、これを公営住宅なり公団住宅に積極的に転換すべきではないか、こういう質問に対して、それはそうだ、これから全力を挙げてやりたい、こう言っているわけですね。これは実はその背景には、言うまでもありませんが、国公有地をということは、いわば市場価格でそれを地方自治体なり住宅公団に払い下げてやれというのではないわけです。市場価格で買うのであれば、別に国公有地じゃなくてもいいわけ。国公有地をという議論が各党から出たということは、やはり公営住宅を運営するに当たって土地問題が非常に重要だから、国が責任を持って、これは公営住宅なりあるいは公団住宅に対して安く提供しなさい、そしてこの住宅問題に少しでも対応すればいいではないか、こういう意味だったと思うのでありますね。  したがって、この際、私は聞いておきたいのでありますが、そういうことを全力を挙げてやりますということを言った経過からしてみて、その後国公有地はどの程度公営住宅に幾ら払い下げができて、価格がどのぐらいで、公団にはどれだけ払い下げされて幾ら、何戸建ったのか、これをまず聞いておきたいというのが一つ。  いま一つは、きょうは住宅問題ですから私は余り深く入りませんが、実はこの議論をするに当たって、よく新聞にこのごろ出ている天下り問題があるわけなんです。しばしば私の耳に入るわけ。公団にも建設省から行っているのじゃないの、あるいは公団なり建設省を監督する機関からも公団に行っているのじゃないかという話があるわけなんですね。たまたま建設大臣公団出身なわけですね。これで本当に緊張した議論なり検討ができるのかという意見があるわけなんですよね。この点についてはひとつ、これは建設省の問題ですけれども、今後私は、国民世論も背景にしながら慎重にしてもらわぬと、これではやはり国民の信頼は得られませんね。この点だけは申し上げておいて、先ほど言った国公有地の分について、住宅局長、答弁してください。
  176. 立石真

    ○立石政府委員 私からは、国公有地の活用した状況について御報告を申し上げたいと思います。  まず、都心部及びその周辺地域に存する国公有地につきましては、住宅建設あるいは都市再開発の推進の上では極めて有効な土地であるという先生の御指摘でございますし、私たちもそう考えているところでございます。このため、利用可能な国公有地のうち、住宅建設に適するものにつきましては、住宅だけではないかと思いますので、その他の公用、公共用の他の利用用途との調整を図った後で、住宅建設用地として活用できるように努めているところでございます。  実績についてでございますが、昭和六十一年度から平成年度末までの五カ年間に、首都圏の一都三県におきましては、公団住宅用地として取得した国公有地は約三十三・九ヘクタール、公営住宅用地として取得した国有地は約二・六ヘクタールでございまして、これらを活用して供給した公団住宅は一万四千八百四十八戸、公営住宅は六百三十戸となっているところでございます。  なお、御質問の価格等については、現在資料を持っておりませんので、また後ほど御説明させていただきたいと思います。
  177. 三野優美

    ○三野委員 価格を実は知りたかったわけ。いわば政府が全力を挙げてやりますと言ったのですから、市場価格の本来ならば五〇%であったのか三〇%であったのか、これがわからなければ、市場価格と同じだったら何の意味もないわけ。別に国公有地でなくてもいいわけね。とりわけ公営住宅に対する払い下げないしは建設率が非常に低いのです、国公有地の中で。これは大臣、やはり非常に問題ですね。ですから、国会で答弁したことと現実とはかなりかけ離れておることをまず申し上げて指摘しておきたいと思います。後から大臣、まとめてしてください。  さて、既に我が党の委員がそれぞれの角度から申し上げましたのですが、私は本問題に対する我我の考え方を少し述べておきたいと思うのでありますが、建設大臣は、この値上げ申請に対して慎重に検討されて、今までの議論をも参酌しながら我々みんなが納得いくような結論を出していただける、こういうことでありますから、ぜひその点をお願いしておきたいと思うのです。  さて、まず第一に、先ほどからも議論が出ておりますが、人が生活する上で住居についての考え方なんですね。これも幾つか出ました。我々が近代文明社会において生きる条件として衣食住及び教育、交通等は、人間社会における最低必要なものとしてその時代に応じた基準で国家が保障する、社会が保障する、この義務が私は求められていると思うのですね。ですから、例えば教育では九年間の義務教育というのが国家と父兄に対して義務づけられていますね。交通においても、人の移動の自由等を保障する立場から、公共交通機関については国の許認可権というのがあるわけですね。これもやはりその一つだと思うのです。住居についても当然のこととして、生きる権利を保障する立場から、公的な保障制度がつくられてきたわけです。先ほどからも出ておりましたように、戦後、国土が焼け野原になって住むに家のない状況が続いてきた。国内におる者でさえ焼け野原になって住むところがない。しかも、多くの戦地へ行ってきた人たち、復員者が帰り、海外からの引揚者も出てきた。こういうことで、国はいわば緊急措置として公営住宅の建設に取り組んできたわけですね。いわば国家が保障するという立場なんです。これらは、住宅不足の解消と低所得者への生活の援助を含めた、国家の生活保障の責任を果たすための施策の展開であったと思うのですね。  したがって私は、現代社会においては、住宅及び教育については基本的には国が責任を負う、これはやはり確認すべきだと思うのです。そこに住宅保障法の必要性というものが、しばしば国会の場でも議論をされてきたと思います。また職場、企業においても、勤労者が安心して働けるためには安定した住環境を保障する。だから公務員には公務員宿舎、民間企業では社宅というものが最も安い賃貸で、しかもよい住環境のもとで保障される、こういう制度というのは、やはり常にその社会が責任を持つという立場で、あらゆる角度でやってきたと私は思うわけですね。したがって、こういうものを実現、保障するために、公営住宅のみでは国民の要望にこたえられなかった。そこで、公団という制度によってこれを補完していく、こういうものが公団の性格で出発したのではないか、私はこういうように思うわけであります。  しかし、公営及び公団制度というのはあるけれども、今日の社会は自由経済制度でありますから、個人または企業による住宅経営も自由であるし、その営業も保障されているわけです。しかしその場合においても、居住に国家的責任があるがゆえに、個人持ち家住宅に対してももちろんですが、賃貸住宅に対しても、租税の優遇措置あるいは低利の金融措置、利子補給、こういう制度が現に存在しているということは、これはもうやはり往生活に対する国家的責任の一部だと考えるべきだと思うのですね。国家の責任があるからこそこういう政策をとってきた、こういうことを考えなきゃならぬだろうと思います。したがって私は、この審議をされる場合に、この住宅都市整備公団家賃値上げ問題も、国民の居住に対する国の責任、こういう観点から建設大臣にひとつぜひ検討してもらいたい。単に住都公団の枠の中だけではなしに、そういう点からこの結論を出してもらいたいということを特にお願いをしておきたいと思います。  さて、そういう観点から考えてみて、今までの午前中の参考人説明あるいは今の答弁を聞いておってみても、私は四国の田舎者ですけれども、どうも東京的感覚ではないかという気がするわけです。土地に対する考え方もそうなんです。住宅家賃に対する考え方も東京的感覚なんです。例えばさっきも、マンションが新しいのが公団で十万円しますよ、こう言う。いかにも平然と言えるわけですね。私のところで十万といったらびっくりしてしまう。うちの息子が今度結婚するんですけれども、いまだに住宅が決まらぬ、高松でも。そういう感覚でやっちゃいますから、土地の値上げも、去年一年間で高松で三〇%上がっちゃったという。東京、大阪の大都市の感覚ですべてをはかるものですから、それが地方にまで影響をしてしまう。例えば公団家賃にしても、民間の今の東京の実態はこうなんだから、それから比べればそう高くないではないか、これはやはり東京的感覚なんですね。これは我々は、単に家賃だけではなしに、非常に困ったことだと思っているわけです。もう土地代から家賃から公害から、全部東京並みに日本列島は波及されていくという危険性がある。北海道の方もおられますが、我々は土地が安くて家賃が安くて空気がいいから住んでいるんだけれども、それに波及する。こういう点も、考えてみると非常に問題点が多いということを申し上げておきたいと思うのであります。そういう点からいうと、この今の異常な事態というものを抑えるためにも、公的家賃あるいは公的な立場のものが政策的に抑えるという立場をとらないと、大臣、私はやはり時代に流されたのでは政策遂行できないと思うのです。  そこで、公団家賃の原価主義と応能主義についてひとつ触れておきたいと思います。実は、先ほどからも議論されていますように、この公団公営限度額方式というのは、やはり原価主義が発想の根底にあるわけですね。したがって地代というのは、地代そのものではないけれども評価額を基礎にして考えられているわけですね。この点について、例えば二十年、三十年前に建設された公団が、原価主義で募集して居住者が入った。ところが一時期、高い、狭い、遠いということがあって値下げしたことがあるでしょう、一部値下げしたことがある、公団がみずから。これは実は、原価主義ではだめなんで応能主義に転換したんです。ですから、応能主義をそのまま否定していることになりません。過去の実績からそうなんです。私は、それがあるということをまず申し上げておきたいと思います。  同時に、原価主義に基づいての家賃で入ったとしてみても、それは先ほどからも出ていますように、そこに入った居住者が職場関係によって変わっていった。あるいは企業が倒産した人もあるだろう、高齢によって収入が少なくなった人がある、退職者の年金生活に入った人があるということになりますと、たとえ入ったときは原価主義であってみても、現実のものとして、その人がそこで住んでいる限りは、応能主義に対応せざるを得ないのですね。この点をやはり現実の問題としては、先ほどから議論されているように、知っておく必要があるだろう。したがって、応能主義への移行というのは必然である、ある意味においては。ないしは追い出すしかないわけです。追い出すことができないとすれば、それしかないということを申し上げておきます。  敷金制度についても議論されておりますが、それはもう問題がありません。過去の二回の実績から考えてみて、いい悪いは別として、これを復活することは事実上もう不可能だ、これを我々の考えとして申し上げておきます。  それから、土地の問題が先ほどから議論されています。その公団の建っている土地というのはあなたのところの財産なんです。その土地の値上がりによってあるいは固定資産税評価額が上がってみても、それはあなたのところの財産が値上がりしたわけです。入っている人の財産じゃない。固定資産税というのは、あくまでも資産に対する税の評価なんですからね。この点やはりしっかり考えてもらわなきゃならない。そのことと、土地が値上がりした。しかも今度の値上がりというのは、実は土地の価値が上がっただけではないことはもう御承知のとおりです。たとえ価値が上がったとしてみても、それが即入居者の生活環境の改善につながるかといえばそうではないということですから、ここのところを間違わないようにしないと、しかもこの作為的な土地高騰の時代にそんなことを考えたら、もう大変なことになるということを申し上げておきたいと思います。したがって、土地をその算定の基準にすることは基本的に間違いであるということを申し上げておきます。  五年から三年、問題になりません。実は私、地元ですから香川県の県庁で公営住宅を調べてみました。それをそのまま横滑りとは言いません。私のところで調べてみると、四十年に改定をして、その次が十二年後の五十二年四月にやっているわけです。十二年間あいています。その次は五十八年の十一月、六年間あいております。その次はいまだに改定はありません、七年間。ただあるのは、消費税ができて消費税を乗せた。消費税は人気が悪いためにのけちゃった。あなたのところものけた方がいいと思いますが、のけちゃった。消費税だけが動いただけで、動いていないのです。したがって、もう三年なんということをやられたら大変ですから、どうぞこの点については、最も基本的な問題として私は撤回してもらいたいということを申し上げて、時間が済んだようですから、最後に大臣から、我々の見解に対してひとつお答えをいただいて、終わります。
  178. 大塚雄司

    大塚国務大臣 特に、住宅政策に対しての御高見を拝聴させていただいたわけでありますが、憲法二十五条の条文にもございますけれども、この権利を有する国民は、同時にこういうものをつくる義務もあるわけでございまして、それをどう形成していくかは、まさに国会の、国民の代表である皆様方の御意見によって今日までやってきたはずであります。  先ほども申し上げましたように、この住宅政策につきましては、いわゆる低所得層の方々には公営住宅、そしてその上が公社住宅、そして公団住宅というようなことで歴史的にはやってきたわけでございます。戸数はおかげさまで四千二百万戸、世帯数三千八百万戸、その中の公団賃貸住宅が七十万戸、こういうことになるわけでありますが、今回三十六万戸について値上げをお願いすることは、住んでいる方々にとっては大変な負担でもあり、いろいろ御意見もあるところでございますけれども、一方、そういう住宅に入れなかった方から見れば、実際に公的な資金を使って公団はどういう運営をしているんだ、こういう意見もあるわけでございます。その中で、我々が適正な公団の運営をしていかなければならないことを前提といたしますと、やむを得ず五年に一回ということでお願いをしてきましたけれども、やはり五年間たまりますと値上げの額も多くなるしということもございまして、今回三年ということでお願いをいたしているわけでございます。  特にその中には、先ほども申し上げましたけれども昭和三十年代の住宅というのはすべて一万円以下の家賃でございました。今、十万円というのは物すごい東京的な発想だ、確かに仰せのとおりでございまして、私も東京の政治家として、こういう東京の状況についてはいろいろな意見も申してまいりました。例えば国公有地についても、できるだけ住宅を建てる素地として出したらどうかということも、私も主張している一人でございます。  しかし一方、これをグローバルにすべてにというわけになかなかいかないわけでございまして、今回値上げ幅も七千円、八千円、九千円というと、いかにもたくさん上がるような印象をお与えしていると思うのでありますが、これはあくまでも最上限のものでございまして、平均では三千九百円、そして比率では一二%。この一二%の値上げにしましても、実際に公団全体ではいろいろな調整をしているはずでありまして、先ほど来先生から、ともかく積算の根拠を示せと、いろいろございます。しかし公団住宅というのは、安い時代のものも今のものもなるべく公平にするということを考えますと、団地によってはいろいろ今日までの経過もございますから、そのすべてを明らかにすれば、あっちがどうだ、こっちはどうなるんだということになってなかなか難しい。  そんなことから、家賃部会も設け、第三者の御意見も聞いたり、またきょうも参考人の御意見も聞かせていただいたり、そういうことをさせていただきまして、私も大所高所から判断をして、できるだけ住んでいる方々の中でも高齢者やあるいは年金生活者といった本当に弱者の方々には、公団ルールの中で最大限のことをさせていただこう、こういう姿勢で臨んでまいるわけでございます。また、先生方のこれからの御指摘、明日は参議院でも御指摘をいただくわけでありますが、そういうものを踏まえて、ただいま先生が御指摘になったこともしっかりと踏まえまして対処をさせていただきたい、このように考えております。
  179. 三野優美

    ○三野委員 ありがとうございました。
  180. 北村直人

    ○北村委員長代理 吉井光照君。
  181. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今回の公団住宅家賃値上げにつきまして、今朝来、参考人質疑に始まりまして、ちょうど私で十一人目でございます。そうなりますと、もう随分質疑も出尽くしまして、かなり重複する部分もあろうかと思いますが、その点ひとつ御容赦を願いたいと思うわけでございます。  まず、三年改定理由公団の方にお尋ねをしたいのですが、これが五年から三年に変わった、この理由につきましても今朝来いろいろと御答弁をいただいたわけでございますが、私はやはり入居者の皆さん方にとっては、理由はともかく深刻な問題ではなかろうかと思います。したがって、まずこの三年に変えられた理由についてお尋ねしておきたいと思います。
  182. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 三年に変えました理由でございますが、まず根本的には、六十三年の改定のときに一応今後に通用する基本的なルールをつくれという御要望に応じて検討しましたときに、五年から三年にしろ、こうなったわけですが、その理由といたしましては、まず固定資産税評価がえが三年ごとに行われるということでございます。それから、五年に比べて三年の場合には上げ幅は小さくなる。もう一つは、民間家賃改定の実態が二年あるいは一年ごと、こういったことを踏まえまして、従来五年ごとに行っておりました改定を三年ごとに行う、このようにしたわけでございます。
  183. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 この改定の主な理由に、今おっしゃった固定資産税評価がえ、このことにつきましてもいろいろと質疑が出てまいりました。しかし、この固定資産税引き上げ率を参考にする、これも一つの方法かもしれませんけれども、巷間地価というものは若干ながら下がりつつある、このように言われておるわけですが、これはまだまだ非常に流動的でございまして、今後住宅供給が強力に進んでいけば、やはり深刻な人手不足、こういったものも加味されて、また地価の高騰も始まるのではないか、こういう見方もあるわけでございます。  といたしますと、地価高騰がこの固定資産税評価がえという形ではね返ってくる事態も十分予測をされるわけでございまして、それがひいては固定資産税引き上げ率を改定基準の一要素としているところの公団家賃値上げに大きくはね返ってくるという事態にもなりかねないわけでございます。こうしたスペースであるとか便利性それから日照、こういった本来居住環境とはいわば無関係な資産という要素がこの公共性の強い公団家賃額に強く入ってくるということは問題があるのではないか、このように思いますが、もっと入居者の生活水準に合ったところの家賃設定ができるような要素があるのではないか、このようにも思うわけですが、いかがでしょう。
  184. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 家賃は、基本的には建物と土地の使用の対価ということでございますが、その土地をいかに評価するかという問題があるわけでございます。いろいろ検討しました結果、公的な評価の中で一番低い、それから仮に上昇するにしても安定的な格好で上昇する、こういったものをとることによりまして家賃が急激に変化しないように配慮することができるんじゃないか、そういったことで固定資産税評価額を地代相当額の算定の基礎といたしたわけでございます。
  185. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 じゃ、この問題はこの程度にしておきまして、これもまた一つ大きなテーマになっておりますところの激変緩和措置ですね。一番心配されてまた要望が強いのが、三年ごと家賃改定平均引き上げ額が約三千九百円程度平均引き上げ率が一二%程度、こういうことでございますが、これも御承知のように、高齢者それから障害者や母子家庭、年金生活者等々の皆さんが本当に生活していけるのかどうかということでございます。これに対して公団側では、そのためにこうした激変緩和措置をとっているんだということでございますが、果たしてこれは心配ないのか。心配ないといったらおかしいわけですが、本当に大丈夫なのかということでございます。  なぜ家賃改定のたびにそれが問題になるのかということでございます。きょうも御承知のように、早朝から後ろにたくさんの傍聴者の方が来ていらっしゃいます。もう一日じゅうずっとぶっ通しでございます。ということはやはり、極端に言えば家賃値上げというものが皆さん方にとってはそれこそ死活問題とでも言えるのではないか、そのような気もいたしますし、そうしたことで私はもっともっと公団皆さん方が汗を流していただいて、そして本当の入居者の実態というものをもっともっとはっきり掌握をして、そして三年ごと改定をするのであるならば三年ごとでも結構ですから、七十四万戸のいわゆる全公団入居者の実態というものをよく掌握されてから、そしてそれに基づいてやはり家賃値上げをするのであるならばそれを考えていくべきじゃないか。でないと、お互いに不信感だけ残っていくのですよ。  先ほどからのいろいろな質疑の中でも、公表できないとか何とかかんとかそういう問題がある。そういうことを答弁されますと、聞いていらっしゃる皆さん方は、なぜ答弁できないのか、公表できないのだろうかとか、やはりいろいろな勘ぐりというかそういったものも出てきます。そこにやはり知らず知らずの間に不信感というものが芽生えてくる。したがって、そうしたことがこういった家賃値上げ、そういったときには本当に場合によれば火を噴きかねない、こういう状況でございます。  したがって、私はやはりその実態をよく調査をしていただいて、例えば公団入居者中六十五歳以上のお年寄りは何世帯いらっしゃるのか、特に単独世帯はどのぐらいいらっしゃるのか。その他生活保護世帯、これにつきましてはプライバシー等の問題もありまして、なかなか掌握が難しい場合もあるかもしれない。しかしながら、やはり日ごろから入居者の皆さん方公団との間にコンセンサスが得られているのであるならば、私は協力はしてくださると思う。そういった最大限の努力をして、そして十分入居者の実態を考慮した上での家賃改定であるならば、私は入居者の皆さん方は納得してくださると思う。だから、そういった実態調査がきちっとできているのかどうか。例えば今言いましたように、公団入居者の中で六十五歳以上のお年寄りがどのぐらいいらっしゃるのか、また単独世帯はどのぐらいあるのか、また生活保護世帯についてはどのぐらいいらっしゃるのか、もしわかりましたらひとつお知らせを願いたいと思います。
  186. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 公団では、公団住宅居住者の実態を定期的に把握し、公団事業の成果をはかるとともに、将来の予測を行うための資料を得るということを目的としまして、公団住宅居住者定期調査というものを五年ごとに行っております。ただ、この調査は標本調査でございまして、全体を幾つかの層に分け、各層の中で一定の精度が得られるよう抽出しているということで、全数調査ではございませんが、こういった調査に基づきます結果を申し上げますと、昭和六十年定期調査賃貸住宅におきます世帯主が六十五歳以上の世帯は、全体といいますか調査対象の五・一%でございます。そのうち、単身者の割合は二一・二%、五・一%のうちの二一・二%ということでございますので、全体での六十五歳以上単身者比率は一・一%、こういう結果が出ております。  それから、五年ごとでございますので、昨年、平成年度に行っておりますが、これにつきましては六月くらいに結果を出すという予定でおります。
  187. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 この調査も、今までは五年ごと改定だったから五年でされておったと思うのですけれども、今度はこれは三年ごとぐらいに、もっと詳しくおやりになる予定はないのですか。
  188. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 この調査は、国勢調査あるいは住宅統計調査住宅需要実態調査、こういったものが五年ごとに行われていることを受けまして、昭和四十年から五年ごとに行ってまいっておるわけでございまして、一応私どもとしましては今後も五年ごとに行いたい、このように考えております。
  189. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 御承知のように今、高齢化が急ピッチで進んでいるわけですよ。そうなりますというと、やはり六十五歳以上のお年寄りの方々また年金生活者方々が、今までのペースよりも速くどんどん進んでくるということが容易に想像されるわけでございますが、そうした場合に、先ほどから申し上げますような激変緩和措置というものは、今度またどういうふうな考え方、どういうふうな見方でこの緩和措置をやっていけばいいかというようなことも、やはり一つの大きいテーマになるのじゃないかと思います。したがってそういった場合につきましても、入居者の皆さん方とよく納得のいく相談ができるためには、本当に皆さん方がきちっとした実態を調査してからでないと非常に難しい問題も出てくるのじゃないかと思います。先ほど申し上げましたように、皆さん方はもう一生懸命ですから、したがってやはり入居者の皆さん方の意向もよく組み入れて今後も対処をしていただきたいと思うわけでございます。  そこで、私は山口県ですが、徳山市の周陽二丁目団地というのがあります。これは全三百五十戸ですが、この入居状況を見ますと、六十年度末から元年度末までの四年間は、八四%からだんだん下がってきて八〇%まで落ちてきた。いわゆる百戸のうち二十戸は空き家なんです。ところがこれが平成年度末になりますと、今度は急に九五%までにはね上がった。これはいろんな理由があるかもしれませんけれども公団としてはこの理由をどうとらえていらっしゃいますか。
  190. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 正直、今初めて聞いたお話ですので調査したいと思いますが、一般的にはそういった地域における公共賃貸住宅に対する需要がふえたということではないか、このように考えております。
  191. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 考えてみれば本当にもったいないというか、立派な公団住宅がいつまでもいつまでも二割程度空き家で借り手がない。ところがこちらへ参りますと、もう競争率というのはそれこそ宝くじ並みだ、こういうことでございます。決して狭い住宅じゃなくて、公団住宅ですから立派な住宅、これがいつまでもそういった空き家で放置をされているということは、これは本当に私は問題だろうと思います。  いろいろ調査をしてみますというと、住み心地がよい、また住み心地が悪い、これがほぼ半分ずつ。それから、不満の理由を聞きますというと、家賃が高い、間取りがよくない、それから狭い、古い、こういった声が多かったわけですが、今後改善点はないですかと聞きましたところが、第一に畳、ふすま、排水、それからふろ、こうしたいわゆる内装修繕費の全額自己負担の改善を求める声が圧倒的に多いわけですよ。この点について、これは比較になるかどうかわかりませんけれども民間は契約更新時に畳やふすま、そういったものも張りかえを行っているわけですが、公団民間のような更新制度はありませんけれども、三年ごと家賃改定時にこうしたある程度必要に応じた住まいの環境改善について、自己負担の軽減措置というものは考えられないか、この点はいかがですか。     〔北村委員長代理退席、委員長着席〕
  192. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 公団としましては、居住者の住環境をできるだけよくしたいという考え方で計画的な修繕を着実に行っておるわけでございますが、現在決まっております公団と入居者との費用負担区分、これをすぐに変えるというような計画は、現在持ち合わせておりません。
  193. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 非常に冷たいというか、そういう感じを受けないこともないのですけれども、しかし今から何とか改善の方策、一遍にこれもこれもというわけじゃないのですから、何か少しずつぐらいこういうことを、今度は家賃改定時には内装をこうしましょうとか、何かちょっとした前進の足跡というか、そういったものもあってしかるべきじゃないかと私は思うのです。  そこで、改善点の第二として、安全面からの駐車場設置、これを望む声が非常に強いわけですね。今度の国会で駐車場法、こういったものも改正をされたように、駐車場というのは非常に大きな問題になっているわけですが、都市部それから地方部を問わず、公団及び公営等の公共住宅におけるところの違法駐車というのが大きな社会問題となっているわけですが、これはもう現在の車社会の生み出した問題だけに、やはり緊急の課題として取り組まねばならない問題でございます。  いろいろとマスコミでも報道されておりますように、東京の練馬の光が丘団地、ここでぼや騒ぎがあった。ところが、消防のはしご車が違法駐車の列に阻まれるという事件がありました。同団地は、五十三年に建てられて千八百世帯が入居しているわけですが、そのうち約五割の世帯が自家用車を保有しているわけですが、こうした騒ぎが起きているわけでございます。ほかに救急車が入れない、こういったこともよく聞かれるわけです。また、一万世帯のマンモス団地と言われておるところの板橋の高島平、ここではいわゆる二千台分の駐車場しかない、常時六百人の人が空き待ちをしている、こういうことでございます。車社会である地方でも同じことが言えまして、山口県でも公団公営住宅の入居者に対するアンケート調査の結果から見ましても、この駐車場整備の要望というものが非常に強いわけでございます。  そこで、全国の公団公営住宅におけるところの違法駐車等の実態はどうなっているのか、もしおわかりになればお教えを願いたいと思います。
  194. 立石真

    ○立石政府委員 公的な住宅団地における不法駐車の実態について正確に調査をしたことがないわけでございますが、これまで公営住宅等におきましてはせいぜい一五ないし三〇%の範囲内で、また住都公団におきましてはストックではやはり二五%程度の駐車場の設置率というふうになっていると思います。したがいまして、最近のように、例えば公団居住者ですとかなり一世帯一台に近くなっている状況、また公営住宅におきましては、もちろん交通至便なところとかいろいろな立地によって違ってくるかと思いますが、三〇ないし七〇%ぐらいになってきている状況を考えてみますと、これまでの既存の住宅団地では恐らく駐車スペースが足りなくて、不法駐車が中あるいは団地外等に起こっているのはあるだろうと思っているところでございます。  そこで、公営住宅公団住宅ともに、今後の住宅団地の建設におきましてかなり駐車場の整備率を高めていきたいと考えているところでございますし、また既存の住宅団地につきましても、例えば住都公団の団地でも、四十年代ないし五十年代に管理開始した郊外型住宅団地にありましては、平均五〇%になるように駐車場の設置率を高めていきたいと聞いているところでございます。今後、公的な住宅団地における駐車場対策につきましては、非常に重要な課題として取り組んでいかなければならないと思っております。
  195. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 これは、いわゆる既存の団地については非常に難しい問題があるかと思いますけれども、これは何といいましても緊急に解決しなければならない大きな課題であることは確かですから、新設の団地は当然のことながら、やはり既存のものについても駐車場についてはひとつ目標をきちんと立てて、そしてこの解決にひとつ最大限の御努力を払っていただきたいと思うわけでございます。  そこで、公団用地と企業の遊休地の交換の問題、御承知のように大都市圏の異常な地価の高騰は、都市部中間サラリーマンのマイホームの夢を打ち砕いただけではなくして家賃の高騰をもたらし、これが家計を大きく圧迫していることは御承知のとおりでございます。これをカバーするはずのいわゆる公共住宅家賃もだんだん、民間並みとは言いませんけれども、非常に高くなってきている。例えば港区の公団住宅、コラム南青山というのがありますが、これはいわゆる二LDKの家賃が月額約二十八万三千円超、しかも傾斜家賃のために平成四年四月には約三十万六千円、これに共益費を加えますというと月額三十一万三千円となるわけでございます。また中央区のリバーシティ21イーストタワーズ、これもやはり同様のケースで、月額三十一万五千円ということでございます。これは、家賃が月二十八万円としても年間家賃合計が三百四十万、したがって平均サラリーマン年収約六百四十万円の五三%に達するわけでございますが、では一体だれがここらに入るのかということでございます。それは新設の公団住宅の全体からすればわずか数%であるかもしれないけれども、やはり公団住宅というそういった目的からして、これは家賃を月三十万も払えるようなお金持ちの人が入るためのそういった住宅をなぜつくらなければいけないのか。そういったお金持ちの人はどんどん民間のマンションなりそういったところに入ってもらえばいいわけであって、私はこの点について非常に問題があると思うのですよ。  また、都市再開発、定住性等のためにそういうことになるかもしれませんが、むしろそうした解決等は別途考えればいいわけであって、何も本来都市中堅サラリーマンにより安く、そしてより快適な住宅の提供という公共住宅の使命を逸脱してまですることはないと思います。むしろ商業地であるとか産業地など、その地域の特性を生かしたところの土地利用、これを図るべきでありまして、無理してまで商業地に高い家賃住宅を建てる必要はないのではないか。それよりもむしろそうした土地は、企業の所有する首都圏から二十キロから四十キロ範囲内で広い遊休地などそういったところと交換して、そして安くて広い住宅を建てる有効利用を考えるべきじゃないかと思うのですが、お考えはいかがですか。
  196. 片山正夫

    ○片山参考人 まず、公団住宅賃貸住宅の供給の考え方でありますけれども、入居者の主たる対象といたしましては三分位の方々を対象にいたしまして、多様な住宅需要に対応するために大都市地域において良好な住宅の供給を行っているところでありまして、この結果としまして、地域的に申し上げますと十キロ圏から四十キロ圏におきまして公団賃貸住宅約八〇%が供給されているところであります。  そして一方、都市住宅問題の中に、都心部におきまして人口の減少という都市問題が生じておりまして、これのために各区からの強い御要請といたしまして定住人口の確保、このために公団住宅をぜひ供給してくれという強い御要請がございます。そういう御要請にもまた一方でこたえていかなければいけない、こういうわけでございまして、そういう意味で、ごく一部におきまして高額賃貸住宅が生じておるところであります。そしてこの高額賃貸住宅、例えば二十五万を超える賃貸住宅は、五期五計中に供給した全賃貸住宅戸数のうちの約〇・一%、四十三戸ということでございまして、これを二十万以上に限りましても一・一%とごくごく少数でございます。公団の使命といたしましては、あくまでも中堅勤労者を主たる対象としてやっているわけでございまして、先ほど冒頭御説明いたしましたように、十キロ圏—四十キロ圏の中にあっては八〇%を供給している、こういうことでございます。  なお、公団の所有する土地と企業の遊休地を交換していくということも住宅の用地の取得のいい方法でございまして、公団で持っております郊外の工業団地の土地と、それから都心にございます企業の遊休地を交換してやっていくという方法も考えられますので、そういうことについてはこれからも極力努力をしていきたいと考えております。
  197. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 平成元年の十二月に政府は「今後の土地対策の重点実施方針」、これにおきまして、大都市地域の国有地について平成年度末を目途にその使用状況等の点検を行うこととされていたわけですが、去る四月八日に、大蔵省からその結果の報告がございました。これによりますというと、「有効利用を図る必要があると認められた公務員宿舎用地」これが百六十五・八ヘクタールのうち、他の用途への転用が可能となる用地が約四割、六十九ヘクタールございます。また、大都市地域におけるところの千平米以上の未利用地、これが七百十九・七ヘクタールですが、このうち約五五%、約三百九十六ヘクタールは国、地方公共団体等からいわゆる利用要望が出されているわけでございます。これらの用地の有効な活用については、「公用、公共用優先の原則の下、地方公共団体等への優先的処分に配慮して」これに沿って今後とも計画的に進めていくとの方針が示されたわけですが、今後は、これら用地の有効利用のために、各省庁間を初め関係者で協議がされていくと思うのです。  そこで、こうした大都市圏の中心に近く狭い国公有地と、大都市圏でも遠隔地にある広大な企業遊休地、これをまた交換利用し、そしてより快適な住宅の供給を図る等の方式はとられないものか。この点、大蔵省いかがですか。
  198. 中山恭子

    ○中山説明員 そういった土地との交換ということでございますけれども、これは関係各省等ともいろいろ検討しながら、慎重に検討していかなければいけない問題であると考えております。
  199. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今、慎重という御発言でございますが、慎重ということは、これは余り前へ進まないということではないかと思われます。しかし、そういったことでこの問題はやはり早急に解決しなければならない問題ですから、ひとつ大蔵省としても各省庁間との協議を十分徹底して重ねながら、やはり早く対処をしていただきたいと思うわけでございます。  そこで、国公有地等の払い下げ価格のあり方ですが、本来地価高騰のきっかけとなったのは、国公有地や国鉄清算事業団用地の高値によるところの払い下げ、これがやはり地価高騰のきっかけとなった、こういう論議もあるわけでございます。国公有地や清算事業団用地の高値によるところの払い下げがいわゆる周辺の地価の暴騰を誘発している実態を踏まえまして、国公有地等の払い下げ価格のあり方について抜本的に見直さなきゃいけない、今後の土地価格というものを考えたときに。と申しますのも、西ドイツのように土地利用計画に基づいて利用目的別に、つまりいわゆるオフィス用地、それから住宅地、それから公園等、こういうふうに払い下げ価格を決めるシステムをもうそろそろ我が国でも確立すべきではないかと思うのですが、大蔵省のお考えはいかがでしょう。
  200. 中山恭子

    ○中山説明員 国有地は国民共有の大変貴重な財産でございますので、国において有効な活用に努めるとともに、将来とも国の利用が見込まれない国有地の処分に当たりましても、公用、公共用優先の原則のもと、地方公共団体等への優先的処分に配慮しているところでございます。財政法の規定によりまして、現在、国の財産は、法律に基づく場合を除くほか、適正な価格なくしてこれを譲渡または貸し付けてはならないとされております。  今お話がありましたような、利用目的別に払い下げ価格を分けてはどうかというお話でございますが、やはり都市計画がドイツのように極めて詳細に利用用途を定めて規制し、しかも拘束力があるというような国でございましたら、そうなりましたら可能なことではないかと思いますけれども、現在日本ではその仕組みがやはり違っておりますので、国民共有の財産としての国有地の処分等に当たりましては、適正な対価によることが必要であるとの考えに立っているわけでございます。  ただ、国有地の処分等につきまして、国有財産法、国有財産特別措置法等におきまして、地方公共団体ですとか学校法人、社会福祉法人等が道路、公園それから公営住宅、学校施設、社会福祉事業等に利用する場合には、公共性ですとか公益性ですとか国の財政事情等を勘案しまして、譲与、無償貸し付けそれから減額譲渡等ができるようになっております。例えば、地方公共団体に対しまして、公園施設でしたら無償貸し付け、それから公営住宅の場合には減額譲渡をできることになっております。
  201. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 時間が参りましたが、最後に公団の特別住宅債券の発行増についてお尋ねをしておきたいと思うんですが、まず首都圏でマイホームの夢をかろうじてかなえられそうな望み、それは民間と比べて比較的安い住宅都市整備公団などのいわゆる分譲住宅ですね。一般のこの抽せん倍率は軒並み数百倍、これは当たり前で、いわゆる先ほど申し上げましたもう全く宝くじ感覚になっているわけですが、公団が発行の特別住宅債券の購入引き受けですが、これによるところの住宅取得の方法、これは無記名義の割引債で一定期間購入しますというと、公団分譲住宅の抽せんで一般より当選確率が最高二十倍になる、そして戸数配分の優遇が受けられる、こういうことでございますが、こういったことにわずかな望みをつなぐことができるわけです。  ただ問題は、この発行量が非常に少ないために引受権の獲得に相当な運といいますか、これが必要だという状況になっているわけですね。例えば九〇年度分には、短期一千口に二万九千七百人強、長期五百口に四万五千七百人弱が申し込んで、平均倍率が三十倍を超えているわけですよ。公団では、二年に一度の発行を改めてできれば九一年度もこれを発行したい、こういう考えのようですが、これに対して建設省はどのようにお考えなのか。私はぜひ改めるべきではないか、このように思うわけですが、ひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  202. 立石真

    ○立石政府委員 特別住宅債券制度につきましては、昨年の六月に公表されました住宅宅地審議会答申におきましても、計画的な住宅取得の支援に非常に寄与するということからその改善、拡充が必要であるという要請がされているところでございます。これを踏まえまして公団におきましては、従来は二年度に一回の募集であったものを、平成年度にまた引き続き三年度に募集いたしまして、募集口数を倍にしたところでございます。さらに、賃貸住宅居住者等の場合には、一次取得者に対して倍率の優遇措置を設ける等の制度的な改善も行っているところでございます。  先生の今のお話のように、需要が非常に大きいと倍率が高いということが現実であるわけでございますので、今後ともこれらの意義を認めまして、それらの有効な活用について努力していきたいと考えております。
  203. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 終わります。
  204. 桜井新

    桜井委員長 吉井君の質疑は終わり、次に辻第一君。
  205. 辻第一

    ○辻(第)委員 最近の狂乱ともいうべき地価高騰は、勤労者の住宅取得をますます困難にいたしまして、借地・借家料や賃貸家賃上昇となって国民生活を苦しめております。低廉、良質な賃貸住宅に対する期待はいよいよ高まっております。政府は、国民の求める公共賃貸住宅を大量に建設し、さらに公共住宅家賃を据え置くなど適切な措置をとることによって、民間家賃の高騰を抑制するなど、国民の期待にこたえるべきであります。  ところが、住宅都市整備公団は三月に、全国三十六万戸を対象にことし十月から平均一二%の第四次家賃値上げ案を決めて建設大臣申請をしました。最大値上げ額は九千円、平均では三千九百円とされ、値上げ後の家賃の三倍の敷金と入居時に支払った敷金との差額も追加徴収するとしております。このような大幅な値上げ、そうして地価高騰に合わせて三年ごと値上げする公団のやり方は、住民に責任のない地価高騰家賃に反映させ、住民の皆さんに犠牲を強いるもので、許せるものではありません。公団が二十万円台の家賃住宅を出現させる一方、不均衡是正を理由値上げを繰り返し、建てかえに当たっても二、三倍の高家賃化を進めることは、公共住宅のあり方として極めて問題であります。  こういう状況の中で、私ども日本共産党の国会議員団は三月二十七日、建設大臣に、住民に責任のない地価高騰家賃に反映させ、住民に犠牲を強いる大幅な家賃値上げは認めないこと、二番目、敷金の追加徴収は認めないこと、三番目、過去三回の値上げについては、衆参両院の建設委員会集中審議が行われ、特別決議、委員長要望が採択をされてきましたが、政府はこれらの要望事項を守ること、今回の家賃値上げについても、国会での集中審議を踏まえ、国民意見に耳を傾けること、このことを申し入れてきたところであります。  さて、質問に入るわけでありますが、三十分の時間をいただいているのですが、たくさんお尋ねをしたいというふうに思います。まことに恐縮でございますが、答弁はできるだけ簡明にしていただければ幸せであります。  まず、公団総裁にお尋ねをいたします。公営限度額方式は、それなりに地価高騰を反映する改定方式だというふうに思いますが、いかがですか。
  206. 丸山良仁

    ○丸山参考人 地価が高騰しますと、それに伴って固定資産税改定されるようなことになりますから、ある程度はそういうことが言えると思いますけれども固定資産税の増額というのはその他の方法に比べまして一番低い形で地価の反映をするというのが現状でございますから、高騰を反映するとは言えないのではないかと思います。
  207. 辻第一

    ○辻(第)委員 もうこれ、一々反論していると時間がなくなるのですが、確かに固定資産税というのは地価上昇をそのまま反映しておりませんけれども、しかしきょう朝のなににもありましたように、京都などは一・八五倍ですか、私どもの奈良でも三〇%、四〇%超えるところはあるわけであります。三〇%、四〇%というのは大変大きな上がりですね。まずそのことを申し上げたいと思います。  次に、政令指定都市部もしくはその周辺部の都市で、公営住宅家賃改定に際して公営限度額方式は適用されているのかどうか、公団にお尋ねいたします。
  208. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 四大都市圏の十三の公営住宅の事業主体について申し上げますと、神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、福岡県など十の事業主体におきまして、その運用の仕方には種々の工夫が凝らされておりますが、基本としまして公営限度額方式が用いられております。また東京都、川崎市及び兵庫県におきましては、それぞれ独自の方式を採用しておりますが、いずれも公営限度額の範囲内でそれぞれの方式を採用している、このように聞いております。
  209. 辻第一

    ○辻(第)委員 東京都では、昭和五十五年からこの方式をやめているということであります。「地価上昇の顕著な地域では地価ウエイトの家賃への反映が余りにも大きくなり」不適当だ、これは東京住宅対策審議会小委員会答申でもこういうことであります。その他、今いろいろ言われましたけれども、もう時間がありませんので私言いませんけれども、かなりのところで公営限度額方式というのをやめたり変えたりしているというのが私は現実ではないか、こういうふうに思うのですね。  それから、去年の六月の住宅宅地審議会答申、部分だけ申し上げますが、「大都市地域における公共賃貸住宅家賃低減化を図るとともに積極的に供給を進めるため、地代相当額を軽減するための新たな制度の導入、中堅勤労者の良質な住宅確保を支援するための援助の強化等制度の拡充を図るべきである。」こういう考え方が出ているわけであります。これが本当の方向だと私は思うのです。  まず、そういうことで、今度は総裁にお尋ねいたします。改定対象の公団住宅居住者の実態、例えば世帯主の年齢傾向や所得の実態はどのようになっていると御理解されているのか、お尋ねいたします。
  210. 丸山良仁

    ○丸山参考人 公団におきましては、五年に一回ごと公団住宅居住者定期調査というものをやっていることは御承知のとおりだと思いますが、平成二年にやりましたものは今集計中でございますので、まだ結果が出ておりません。それで、六十年の古いもので恐縮でございますが、それによりますと、世帯主の年齢が五十歳以上の方が二四・六%、うち六十歳以上が九・一%、平均で四十一・七歳、こういうことになっております。  それから、収入について見ますと、六十年の収入ですから大分低く出ているわけでございますけれども、第一分位、三百五十万円以下でございますが、第一分位の方が二六・八%、それから第二分位、三百五十一万円から四百五十万円でございますが、第二分位の方が二〇・三%、それから第三分位、四百五十一万円から六百万円でございますが、その方が一八・〇%、それから第四分位、六百一万円から七百五十万円までの方が八・四%、それから七百五十一万円以上の第五分位の方が五・一%、不明が二一・三%ということになっておりますが、こういう調査は大体において低く所得は出るものでございますから、その点は配慮する必要があるのではないかと考えております。
  211. 辻第一

    ○辻(第)委員 それは昭和六十年ですか、今は昭和で言うたら六十六年ですな、六年前。そんな正確に言うてもらわんでもいいので、今の実態をもっと感覚的に言ってもらわなければ、それはあなた、そんな感覚で物を言われるから、後で申し上げますが、何か公団のやり方というのはピントがずれているのではないか。僕は今そんなことを痛感したのですけれども余り言うと公団の総裁また怒るからちょっと遠慮しますけれども、最後にきつく怒られたらいかぬから。非常に僕は、今の御答弁では認識が甘いのではないかと思います。  それでは、昨年の十月に公団自治協皆さんが行われた第二回の生活と住まいのアンケート調査建設大臣と総裁にお尋ねいたしますが、ごらんになったのでしょうか。
  212. 丸山良仁

    ○丸山参考人 私は、拝見しております。それから、家賃部会の席上で自治協の方から詳しい説明がございました。
  213. 大塚雄司

    大塚国務大臣 私は、拝見いたしておりません。
  214. 辻第一

    ○辻(第)委員 端的に申しますと、きょうの朝の参考人皆さん方の御質疑の中でもありましたが、居住者高齢化しておりますね。それから、年金者がたくさんおふえになっているということです。それはそうですね、三十年のときに入られたら、もう今六十幾つになっておられるわけでありますから、高齢の方が多いということですね。それと世帯の収入、第一分位、第二分位が非常に大きくなっておりますね。公団のなには第三分位の中位ということだそうでありますが、実態はもう今や第一分位、第二分位の方が過半数を超えている、自治協のアンケート調査では半分を超えておる。奈良なんかでは六〇%を超えておるのではないか。ちょっと余り正確でないのですが、私はそんな印象でおるわけでございます。アンケート調査によりますと、八割以上が公団に永住をしたい、こういう傾向であります。  そこで、私はきょう午前中にも申し上げたのでありますが、小平の人で二DKで家賃が三万一千三百十二円、共益費が四月から千八百五十円、収入が月額十六万五千円余りですね。家賃負担が今一九%ということですね。それが今度幾ら上がるのでしょうか。もし最高八千円上がるとしますと二四%になる、これは深刻な問題ですね。こんなことは極めてまれなケースではないのです。たくさんあるケースであります。私も今度の地方選挙の中で、公団住宅で街頭演説を何カ所もさせていただきました。お年寄りの方が私のところへ駆けつけてきて、今度の値上げ何としても抑えてほしい、やめてほしい、何人も私はお聞きをしたわけであります。もう深刻な状態であります。  それで私は、お年寄りだとか母子家庭、父子家庭、障害者、こういう方だけではなしに、一例を申し上げますと、奈良のある三DKにお住まい、二十九歳の御主人、奥さんが二十七歳、子供が一歳八カ月と二カ月、そういう中で毎月の手取り二十一万円、職業費として七万円ほど要るそうです。光熱、水道費など固定的に要る費用が三万五千円、家賃が四万八千円だそうです。食費に五万七千円しか残らぬということでありますが、足らないので、年間百万ほどボーナスがあるそうでありますが、ボーナスで赤字を補てんしておる。子供の病気や冠婚葬祭などで、一万円近い家賃値上げということになれば本当に大変なことなんだ、こういうお話も聞いているわけであります。これが今の公団住宅にお住まいなさっている方の実際の姿ですね。第一分位、第二分位がもう五割を超えておるという実態でございます。  それから建設大臣、こういう本当にお年寄りがどうにもこうにもならないような、そういう家賃の高騰ですね。しかも三年ごとに上がっていく。これに対して、率直にどういうふうにお感じになるのか、その感じだけでもまず聞きたいと思うのです。
  215. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先ほど来お答えをしておりますが、公団は設立の目的が中堅勤労者を対象とするということでございますから、当初からお入りになる方々の資格審査と申しますか、家賃の何倍かの月収がなければ入れないというところから始めておるわけでございます。しかし、そのころの家賃から見ますと随分地価が高騰して、全体的に社会全体の家賃も上がっているわけでありまして、国民全体の中での住宅政策ということを考えますと、やはり均衡を保っていくということも必要でありますから、やむを得ず御負担をしていただこうということで今回お願いをしておるわけです。しかし、そうだからといって高齢者年金生活者方々を手厚くするということは決して忘れていないわけでありますから、公団ルールの範囲内でできるだけのことをする。どうしてもという場合には公営住宅という制度でお救いをするということも考えておるわけでございまして、その辺をぜひ御理解を願いたい。私も上げないで済めばそんなに楽なことはないのでありますが、本当にこれは広く国民全体の問題でございますので、そういう視点で判断をしてまいりたいと思います。
  216. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は先ほど公営限度額方式のことにちょっと触れたのですが、今日の土地の高騰というのはまさに政府の施策ですね、それから大企業の土地投機などが引き起こしたものだ。自然にこういうものがふわっと起こったのじゃないですね。はっきりそこのところに責任、原因があるわけであります。お住まいの方はそういうことに全く責任がない。そういう方がそういう政府の施策、例えば住宅政策でも、我々は賃貸公共住宅を大量に建設すべきだと長年申し上げてきたわけでありますが、そういうものに対しては余り耳を傾けていただけなかったというのが実態ですね。それで土地が高騰した。そういう入っておられる方に責任のない問題で、結局こういう非常に高い引き上げがやられて、しかも三年ごとにやられようとしていることは、私はこれは本当に許せない問題だと思うのですね。  このことについて大臣にお尋ねしようと思ったのですが、もう時間がないので割愛をいたしますけれども大臣はこの土地の高騰の問題について一家言持っておられた。また土地問題では権威であるわけでありますが、ひとつこういう点でこの公営限度額方式というルール、これを再検討すべきではないのか。また、三年ごと見直しという問題も再検討すべきではないのか。それとこの大幅な引き上げ、これをうんと引き下げる。やめていただけば一番いいのですが、そう簡単にうんと言っていただけるわけにもいかぬと思いますが、大幅に引き下げていただきたい、この三点についてお答えをいただきたいと思います。
  217. 大塚雄司

    大塚国務大臣 数々の御指摘をいただきましたが、率直に申し上げて、先ほど三野委員にもお答えをしました。確かに土地が上がったことが固定資産税に反映をして、それが家賃にはね返ってこないはずはないわけであります。これは公団住宅に限らずすべての住宅がそうでございます。したがいまして、全体を眺めますれば、率直に言って公団住宅に入れなかった多くの国民のことも実は考えて政策を進めなければならぬということでありますから、今回上げるお願いをして御負担を願う方には本当にお気の毒でありますけれども、しかし全体を見てひとつぜひ御理解を賜りたい。  しかしその中で、高齢者年金生活者やいわゆる弱者についてどうするかという御論議は、随分各委員からございました。率直に言って、今後住宅政策のあり方はどうあるべきか、社会経済もう随分変わってまいりましたから、やはり一遍検討してみる必要があるかな。私の在任中に何ができるかは、またここで今こういうことをやりますという具体的なことは申し上げられませんけれども、一体社会福祉と住宅政策というのはどこでどういうような線引きをしたらいいかというようなこともあろうかと思います。そういうような視点でこれから少し検討させていただきたい。  今回のことにつきましても、最終的には私が判断するわけでありますが、委員会の御論議を踏まえて、できる限りの弱者に対する配慮をして決定をさせていただきたいと思っております。
  218. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣は、本当に土地や住宅問題では権威を持っておられるということで、私どもは期待をしているわけでございます。ひとつこの問題は、大臣のライフワークとして十分な対応をしていただきたい。お願いをいたします。  それから、特別措置の拡充についてお尋ねをいたします。最近の実態は何件、平均何千円ですか、公団総裁にお尋ねをいたします。
  219. 丸山良仁

    ○丸山参考人 第三次の改定によります特別措置の件数は、生活保護世帯が七十件、老人世帯が百九十九件、母子世帯百十七件、心身障害者世帯が九十八件、合計四百八十四件であります。また平均の減額は、戸当たり月額三千七百円でございます。
  220. 辻第一

    ○辻(第)委員 私の調べたもので言いますと、これは前回のときに私どもの中島議員がこの問題でいろいろとお尋ねをし要望してきたのですが、五十三年では三百四世帯、五十八年では三百六世帯、それに比べますと少しふえました。しかし、前回委員長要望で「生活保護世帯及びこれに準ずる老人、母子、身障者世帯生活に困窮する世帯に対する特別措置について特段の配慮を行うこと。」というふうにされているのですね。これで特段の配慮がされたのか、私は公団にも政府にも申し上げたいというふうに思うわけであります。  これをやはり実効のあるものにしていただきたい。それを朝からずっと答弁聞きましたし、またもう三年前のものを私なりに一生懸命読んできて、本当に歯がゆいですな。本当に血の通っていない、そういう今の政治の実態ではないのか。理屈はいろいろおっしゃるんですけれども、それは血は通うてないのです。もう今救わないかぬ、毎日毎日苦しい生活をされている方を今救わないかぬ、そういう状態だと私は思うのです。それをぐじゃぐじゃもう全然関係のない理屈で、実際はこれは実効ないと私は言わざるを得ないのですね。そういう点について、朝からもそういうことを私も申し上げてきたのですが、何とか実効あるものにしていただきたい。まず、建設大臣に御所見を伺いたいと思います。
  221. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先ほど来たび重ねてお答えをいたしておるわけでありますが、特例措置につきましては、公団の諸法制、諸法則に沿いましてできる限りのことはするということで対処をしておるわけでございます。これから参議院でもまた御審議をいただきます。委員会の御意見もいただけるわけでありますから、その御意見をいただいた上で、最大限の努力をいたしたいと思います。
  222. 丸山良仁

    ○丸山参考人 私どもといたしましては、今大臣申請しているのが最大の案、最も努力した案だと思っておるわけでございますし、家賃部会におきましてもその問題は非常に問題になったわけでございますが、公団の性格として今以上のことをやるのは無理ではないか。私も非常に歯がゆい思いはしておるわけでございますけれども、どうにも公団の性格を直すかあるいは家賃制度そのものを直すか、その辺のことを真剣に考えていただかない限りは、ちょっと無理ではないかと思っております。
  223. 辻第一

    ○辻(第)委員 ここは建設大臣もおられるわけですし、総裁はまさに建設出身でそういうことはようわかっておられるし、やり方はあると私は思うのですね。そんなことがないんでしょうか。(発言する者あり)
  224. 桜井新

    桜井委員長 私語は慎んでください。
  225. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはりそれはあるんですよ。そんなものができなければ、それは政治と言えぬですわ。まさにライフワークとしてやってほしい。大臣もおられるわけでありますから、どうか十分話し合っていただいて、ぜひひとつ実効のあるものに、もう五年や八年先と違うんです、何とか早いことやっていただきたい、重ねて強く要望したいと思うのです。これ以上同じことを、また決意なんというとぐあい悪いのでこれで終わりますけれども、本当にぜひひとつやっていただきたいというふうに思います。  それから、これも繰り返し朝から言われている話ですが、敷金の徴収はぜひやめていただきたいと思うのですが、大臣いかがですか。
  226. 大塚雄司

    大塚国務大臣 敷金をなぜいただくことにしているかということはもう申すに及ばないことでありますが、これから新しく募集をして入居していただく方、あるいはまた今回対象になっていない方等々ございますけれども、やはりそれに応じた敷金をちょうだいしているわけでございます。それこそ、今長い将来のお話もありましたけれども、長い将来のお話をすると今は大変につらいのでありますけれども、ここでお願いをさせていただいて、いわゆる公団住宅相互間の均衡というものもやはり非常に大事である。  公団の性格は、たびたび申し上げておりますけれども公団国民の税金によって負うところが大変多いわけでありますから、公団の恩恵を受けない方々負担というものもやはり一方で考えなければいけないのが私の責任ではないだろうか。したがいまして、涙をのんでと申しますか、本当に恐縮でありますけれども、この面については御理解を賜りたい。そして、今後やはり公平を旨とした公団住宅にしなければならないということに御理解を賜りたい、重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
  227. 辻第一

    ○辻(第)委員 今の答弁が否定をされたのかどうか、ちょっと私はどういうことを言ったのかなと思っているのですが、これはもう既にこれまでもなにされていることでありますから、敷金の徴収はぜひやめていただきたい、重ねてお願いをいたします。  住都公団法の第一条に、住都公団の「目的」というのがありますね。そこのところには「住宅事情の改善を特に必要とする大都市地域その他の都市地域において健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有する集団住宅及び宅地の大規模な供給を行うこと」等により、「国民生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的とする。」こういうふうにうたっておりますね。先ほど来お話がありました、特殊法人であって法律のもとでやっているのだから、わかっていてもやれないのだという。繰り返して申し上げて恐縮ですけれども、血の通うた対応を、皆様方すばらしい経験だとか頭脳の持ち主でありますから、ぜひひとつそれをやっていただきたい。  あと一分ほどあるのですけれども、今入っておられる方で六十過ぎの方、資料を見てみますと、昭和三十一年に五千円の家賃だったのですね。そういうところがあるのですね。私、三十年のことを覚えているのですが、京都市役所の衛生局というところに入って、月給が一万二千円だった。民間へかわって、昭和三十年、その時分で二万円だった。そやから、あの二DKぐらいのテラスハウス、あそこへ入りはった人はもうえらい高いところへ入りはったなあ。その時分、私は親類の六畳一間におったのですけれども、本当にうらやましかったですね。そういう高い家賃でその時分入っておられるわけですね。ですから、その当時は個別原価主義というのですか、そういうことでありますので、今はたな子さん、そういう人に本当に温かい対応をやっていただきたい、重ねてお願いをいたしまして終わります。
  228. 桜井新

    桜井委員長 これにて辻第一君の質疑は終了いたしました。  次に、菅原喜重郎君。
  229. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 近年、地価の急激な高騰を反映し、大都市圏では家賃の高騰が家計を圧迫しております。また、借地・借家法の改正案も提出されており、借家人の不安は広がっているわけでございます。特に年金受給者や低所得者層の間では深刻な社会問題となっているわけでもございますが、ついては前回昭和六十三年四月二十日の、公団住宅家賃変更申請をめぐる集中審議の集約として、衆参両建設委員長からの政府に対する要望として、それぞれ七項目と八項目とについて要望を提起されているわけですが、これまでの間それぞれの項目についてどのように検討され、どのように対処されたか、また今回の家賃改定に当たりどう対応されたのか、まずお伺いいたします。
  230. 立石真

    ○立石政府委員 前回委員長要望におきまして、政府に対して指摘された部分について、まず私からお答えさせていただきたいと存じます。  まず、第一項のうちでございますが、「良質な公共賃貸住宅の供給と高家賃の引下げに努める」という御指摘がございました。これにつきましては、従来より公共賃貸住宅の的確な供給に努めてきたところでございますが、先般閣議決定されました平成年度を初年度とする第六期住宅建設五カ年計画におきまして、公共賃貸住宅の供給戸数を前期計画に対して四万戸増加させるなど、積極的推進に取り組んでまいる所存でございます。また、家賃の軽減につきましては、例えば公団への出資等を行いまして、公団賃貸住宅の供給促進等の新しい施策も活用しながら、公共賃貸住宅家賃を適正な範囲におさめるように、引き続き努めてまいりたいと存じます。  次に、同じく第一項の中で「住宅基本法の制定」についての御指摘がございました。これにつきましては、建設大臣の方からも委員会の場でたびたび御答弁ございましたが、住宅政策の目標、国、地方公共団体の責務、あるいは住居費の負担の考え方、居住水準のあり方等について、コンセンサスがまだ未形成であるというように考えておるところでございます。政府といたしましては、従来より行ってきました住宅建設五カ年計画の策定等によりまして、今後とも居住水準向上のための施策の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。  次に、同じく第一項中「家賃体系の確立」という御指摘がございました。公共賃貸住宅家賃につきましては、各公共賃貸住宅の施策対象層の家計収入と支出能力、あるいは同一事業主体の公共賃貸住宅相互間における家賃均衡等に配慮して設定してきたところでございます。また、民間賃貸住宅につきましては、融資、税制等の活用によりまして賃貸住宅供給コストの低減を図りまして、家賃負担の軽減を図っているところでございます。  さらに、同じく第一項中でございますけれども公団現行家賃制度を逸脱しない」という項目がございます。家賃の決定の仕方あるいは変更等につきましては、公団法施行規則第四条、第五条に基づいて行っているところでございます。  さらに、第五項中の「敷金の追加徴収」についてでございますが、前回家賃承認に当たりましては、公団に対しまして取りやめるように指示をしたところでございまして、その結果、前回は追加徴収は取りやめられたところでございます。  最後に、第六項中の「引上げ限度額に配慮する」ということについてでございますが、国会での審議を踏まえまして、申請の際の額から、住戸の形式に応じましておのおの五百円ずつを引き下げて承認をしているところでございます。
  231. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 公団の対応につきまして、局長からの答弁と重複を避けて申し上げますと、まず家賃改定による増収額につきましては、これまでと同様約七割を修繕費と維持管理経費に充当しております。  それから、家賃改定の趣旨を居住者に十分に徹底しろということでございましたので、十分御理解いただくように、できる限り多くの機会をとらえまして文書による説明を行い周知徹底を図るとともに、各支社に特別な窓口を設けまして、居住者方々の質問に答えるといった措置を講じております。
  232. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今の答弁にもありましたが、政府要望の第一項は、良質な住宅供給と高家賃の引き下げに努めることが大きく要望されたわけでございます。しかし現実の居住者の側から見れば、三年ごとに機械的に家賃引き上げがなされることに対しては、経済的諸要件、特に家計収入の実態から、生活水準の低下を余儀なくされることに耐え切れないという切々とした訴えが、私どものところへもたくさん持ち込まれております。  そこでお尋ねしたいのは、果たして今回の家賃改定必要性なり緊急性がどこにどうあったのかということでございます。昨年、平成二年の六月二十二日付の住宅宅地審議会答申は、地価高騰家賃に反映させない新しい制度の創設を求めているわけでありますが、これらについてはどう対処されているのか。住宅政策全般に占める公団賃貸住宅の位置づけをどうとらえているのか。同時に、家賃改定の要因についても具体的に説明をいただきたいと思います。
  233. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 まず、御指摘の昨年六月の住宅宅地審議会答申におきまして「大都市地域における公共賃貸住宅家賃低減化を図るとともに積極的に供給を進めるため、地代相当額を軽減するための新たな制度の導入、」云々とありますが、これは専ら新規に供給する公共住宅を対象として、家賃の高額化を抑制しつつ供給を促進するために新しい制度の創設を提言しているものというふうに理解していることを申し上げておきまして、今回の公団家賃改定について申し上げますと、たびたび出てまいりますが、公団住宅は国の財政援助を伴いました施策住宅でございまして、広く国民全体の資産でございます。したがいまして、既存賃貸住宅家賃につきましては、賃貸住宅相互間の家賃均衡維持管理経費の確保、国民的視点、こういった観点からその公共性に配慮しながら、そのときどきの経済事情の変動、立地便益等の変化に即して定期的に的確に見直し、適正な家賃額との間に差が生じている場合にはこれを改定することが必要だ、こういう考えに立ちまして、今回の改定案の申請建設大臣に対して行ったところでございます。
  234. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この家賃見直しを三年ごととした理由とその根拠も示していただきたいのですが、さらに、今回の家賃改定に当たっては、激変緩和措置あるいは家賃の減額の特別措置も講じているようでありますが、低所得者、高齢者に対しどのような配慮をしているのかをお伺いいたします。  私の手元にあります資料によれば、今回の家賃改定がそのまま適用されますと、家計費に占める家賃負担率が、低いもので一四・四%、高いもので実に三八・二%にも及ぶものもあります。特に高齢者、母子家庭では、経済指標とは裏腹に収入が低減していくため、生活ができない家庭も出るという予測もあるわけでございますので、家賃改定ルールなるものに固執するのではなく、居住者との十分な意思疎通を図ることも必要であるわけでございますので、この点に対してはどのような具体的な措置をとったのか、また、公団の基本的な考えをお伺いいたします。
  235. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 まず、改定を三年ごととした理由でございますが、第一に、家賃計算の要素の一つとして固定資産税評価額、これを用いることとしておりますが、この固定資産税評価額見直しが三年ごとに行われているということでございます。次に、居住者負担の面から見ましても、改定周期が長期になりますと、その間の経済変動も当然大きくなってまいりまして、その結果、当然家賃改定幅も大きくなってまいりますので、値上げ幅をできるだけ小さいものにしたい、こういうことでございます。さらに、社会一般の家賃値上げを見ましても、毎年とか二年に一回、こういった実情が多い。こういったことを勘案しまして、従来の五年を三年とすることにしたわけでございます。  今回の家賃改定におきます弱者対策でございますが、今回の家賃改定方式公営限度額方式、これを基本としているものでございまして、それ自体家賃が高額化しないように配慮されている方式でございますが、家賃の急激な増加を避けるため、その引き上げ額を改定基準額と現行家賃との差額の二分の一にとどめる。これは全体についての措置でございますが、二分の一にとどめ、かつ絶対額でも一定限度を設ける、こういった激変緩和措置をまず講じておるわけでございますが、さらに生活保護世帯並びに老人世帯母子世帯及び心身障害者世帯一定の収入基準以下の方々に対しましては、一定期間家賃を減額する特別の措置を講ずることとしたわけでございます。これにつきましては、先ほど来いろいろ御議論ございましたが、公団としてはできる限りの措置を講じた、このように考えておる次第でございます。
  236. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 家賃改定の算定方式は、今まで述べられてきたわけでございますが公営限度額方式に準ずる方式、使用の対価としての家賃算定を基本としているわけであります。この方式地価高騰に便乗するやり方にもなるとしての批判もあり、現在では各自治体によっては事実上採用されていないところもありますが、このことを公団ではどのように把握しているのか。また、東京都では全く独自の方法をとっているとも聞いておりますが、その方式公団方式、比較での適正度についてはどのような見解を持っているのか、お伺いします。  いずれにしても、激変緩和措置あるいは家賃低減の特別措置を講じても、公営限度額方式、使用の対価としての家賃算定を基本とする限り、低所得者層あるいは年金受給者、母子、身障者世帯にとって、家賃改定は一層深刻になっていくものと思います。そうなると、一体公団の役割、使命をどうしていったらよいのか、この公団の役割をどう認識しているか。政策要求になってもよろしゅうございますので、ひとつ忌憚のない披瀝をお願いいたしたいと思います。
  237. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 まず、公営限度額方式をどういうふうに各自治体が考えているかということでございますが、四大都市圏の十三の公営住宅の事業主体につきまして調査した結果でございますが、そのうち神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、福岡県など十の事業主体におきまして、その運用の仕方にはいろいろな方法がとられておりまますが、基本的には公営限度額方式が用いられているというふうに認識しております。なお、東京都では家賃負担率に基づきます基準家賃を設定し、この家賃に規模、古さ、立地条件等を考慮した指数、調整指数と言っておりますが、これを乗じて評価するという方式を採用しているということは聞いております。  公団としましても、前回ルールづくりに当たりまして、公営限度額方式以外の方式についても検討した経緯がございます。その中で、今申し上げました東京都で採用している方式と同様の家賃比準による方式についても検討したわけでございますが、結果としてこの方式でとられております基準家賃の設定、これをもとにする比準要素の設定、さらにその各要素のウエートづけと指数値の設定、こういったものいずれも全国立地の当公団住宅の場合には、各地域の実情に合わせてどのように設定していったらいいのかという非常に難しい問題点がありまして、採用するに至らなかったものでございます。
  238. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、公営限度額方式では弱者への対応はますます乖離していくものと推理されますので、この点に関しましては特段の慎重な家賃改定を行っていっていただきたい、こう思います。  同時に、敷金については、過去三度にわたる衆参両建設委員長要望でも取りやめるよう求められてそうなっているわけでございますが、今回も民社党といたしましては、過去同様取りやめるべきだと考えているわけでございます。追徴は行わないことを検討していただきたいわけでございますが、いかがでございますか。
  239. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 公団といたしましては、敷金は家賃等の賃貸借契約上の債務を担保するという非常に重要な性格がございますので、家賃の三カ月相当額をいただくといいますかお預かりしているわけでございますが、過去三回の家賃改定の際に敷金を改定しなかったために、古い住宅では家賃の一カ月分にも満たないものとなっておるわけでございます。そういったことで担保力が非常に低くなっておるわけでございますが、私どもとしては、やはり敷金は基本的には家賃の額に相応すべきものである、こういった考え方に立ちまして今回、大臣改定申請を申し上げたわけでございます。また、敷金の利息相当額は団地の環境整備に充当しているといったこともあわせ考えますと、居住者相互間の敷金の公平な取り扱いということも必要ではないか、このように考えるわけでございます。  なお、平成年度末現在の受け入れ敷金は約八百億円でございまして、この受け入れ敷金は公団の自己資金として住宅建設等の事業資金として運用しておりまして、この運用に伴う利息相当額を団地環境整備費の財源としまして、駐車場の基盤整備とか自転車置き場整備、あるいは多目的広場整備等に活用しているところでございます。
  240. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、公団住宅家賃改定居住者生活そのものに大変な影響を与えるわけでありますから、慎重かつ公正になさるべきだと考えるわけであります。  最後に、建設大臣並びに公団総裁のこれらの問題に取り組む所信をお伺いいたします。
  241. 丸山良仁

    ○丸山参考人 家賃改定居住者方々に大きな影響を及ぼすということは、先生がおっしゃるとおりだと思います。したがいまして、公団といたしましては、昭和五十八年の家賃改定の際に衆参両院で集中審議をしていただきまして、そのときの委員長要望に基づきまして家賃改定ルールをつくったわけでございます。このルールをつくるに当たりましては、二年有余をかけまして二十数回の家賃部会並びに専門部会を開きまして、その結論を出したわけでございます。この結論に従いまして前回六十三年の改定も行ったわけでございますが、今回もこの結論に従いましてやる考えでございまして、それによって申請をしたところでございます。  公団としましては、その家賃改定に当たりましては、引き上げ額を二分の一とした上、絶対額で一定限度を設け、さらに生活保護世帯等の生活に困窮すると思われる世帯に対しましては特別の措置を講ずるなど、居住者負担が急増しないよう十分配慮しているところでございますから、御理解いただきたいと存じます。
  242. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先生からの御論議も十分拝聴させていただきました。  各委員にもお答えをしてまいりましたが、今回の値上げにつきましては、従前居住の皆様方には大変に御迷惑をおかけいたしますけれども、広く住宅政策全般から見まして、いわゆる世帯数三千八百万世帯、その中の七十万世帯のうちの三十六万世帯にお願いをするわけでございまして、広く住宅に入れない方々のこともぜひお考えいただいて御協力をいただきたい、ひたすらそう願っておるところでございます。  なお、御指摘の弱者という表現が適切かどうかわかりませんが、そういう方々に対してはそれぞれ特例の措置を講ずるわけでございまして、公団ルールの中ではもう最高限の努力をしているものと私は判断をいたしておりますし、これから判断をするに当たりましては、委員各位の御意見を尊重しながら、これから二十一世紀へかけての住宅供給もにらみながら適切に対処をさせていただきたい、このように考えております。
  243. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 以上をもって質問を終わります。
  244. 桜井新

    桜井委員長 以上をもって質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後六時五十九分休憩      ────◇─────     午後七時八分開議
  245. 桜井新

    桜井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  住宅都市整備公団家賃変更申請に関する問題につきましては、本日の委員会論議を踏まえ、先刻の理事会において協議いたしました結果、次のとおりまとまりました。  この際、委員長から理事会の申し合わせに沿って政府に要望いたします。  1 政府は、住宅に困窮する勤労者に対し、良質な公共賃貸住宅の供給と高家賃の引下げに努めるとともに、住宅基本法の制定と家賃体系の確立を図ること。その間、公団現行家賃制度を逸脱しないこと。  2 公団は、賃貸住宅の計画の達成、特に大都市地域における賃貸住宅の建設促進に努力すること。  3 公団は、既存賃貸住宅の建替えについては、引き続き建替え後の家賃の抑制に努力するとともに、入居者の理解と協力を得るよう努め、円滑な推進を図ること。  4 公団は、家賃改定のありかたについて、今後も引き続き所要の検討を行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。  5 公団は、既存賃貸住宅の居住性の向上を図るため、今後とも入居者と日常的に意思の疎通を図り、住戸内修繕を含む計画的な修繕及び環境改善を促進するとともに、値上げ増収分については、極力修繕等の促進に使用すること。  6 敷金の追加徴収については、過去の経緯等を踏まえ、取り止めること。  7 今回の家賃改定に際しては、引上げ限度額に配慮するとともに、生活保護世帯及びこれに準ずる老人、母子、身障者世帯生活に困窮する世帯に対して行われている特別措置について、父子世帯生活に困窮する世帯を対象に加えること。  8 公団は、今後とも家賃改定の周知徹底と相互理解を深めるため、入居者に対し積極的な努力を行うこと。 以上であります。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大塚建設大臣
  246. 大塚雄司

    大塚国務大臣 公団住宅家賃改定につきましては、本年三月二十九日、公団から申請が提出されて以来、各方面の御意見を伺いつつ慎重に検討を重ねているところであります。  ただいま建設委員長からこの件に関し御要望がありましたが、私といたしましては、御要望の趣旨を十分尊重するとともに、委員会における御意見を参考とさせていただきまして、最終的な判断を行いたいと存じます。ありがとうございました。
  247. 桜井新

    桜井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十一分散会