○三野
委員 価格を実は知りたかったわけ。いわば
政府が全力を挙げてやりますと言ったのですから、市場
価格の本来ならば五〇%であったのか三〇%であったのか、これがわからなければ、市場
価格と同じだったら何の意味もないわけ。別に国公有地でなくてもいいわけね。とりわけ
公営住宅に対する払い下げないしは建設率が非常に低いのです、国公有地の中で。これは
大臣、やはり非常に問題ですね。ですから、国会で答弁したことと現実とはかなりかけ離れておることをまず申し上げて指摘しておきたいと思います。後から
大臣、まとめてしてください。
さて、既に我が党の
委員がそれぞれの角度から申し上げましたのですが、私は本問題に対する我我の考え方を少し述べておきたいと思うのでありますが、
建設大臣は、この
値上げ申請に対して慎重に
検討されて、今までの議論をも参酌しながら我々みんなが納得いくような結論を出していただける、こういうことでありますから、ぜひその点をお願いしておきたいと思うのです。
さて、まず第一に、先ほどからも議論が出ておりますが、人が
生活する上で住居についての考え方なんですね。これも幾つか出ました。我々が近代文明社会において生きる条件として衣食住及び教育、交通等は、人間社会における最低必要なものとしてその時代に応じた
基準で国家が保障する、社会が保障する、この義務が私は求められていると思うのですね。ですから、例えば教育では九年間の義務教育というのが国家と父兄に対して義務づけられていますね。交通においても、人の移動の自由等を保障する
立場から、公共交通機関については国の許認可権というのがあるわけですね。これもやはりその
一つだと思うのです。住居についても当然のこととして、生きる権利を保障する
立場から、公的な保障
制度がつくられてきたわけです。先ほどからも出ておりましたように、戦後、国土が焼け野原になって住むに家のない状況が続いてきた。国内におる者でさえ焼け野原になって住むところがない。しかも、多くの戦地へ行ってきた人たち、復員者が帰り、海外からの引揚者も出てきた。こういうことで、国はいわば緊急
措置として
公営住宅の建設に取り組んできたわけですね。いわば国家が保障するという
立場なんです。これらは、
住宅不足の解消と低
所得者への
生活の援助を含めた、国家の
生活保障の責任を果たすための施策の展開であったと思うのですね。
したがって私は、現代社会においては、
住宅及び教育については基本的には国が責任を負う、これはやはり確認すべきだと思うのです。そこに
住宅保障法の
必要性というものが、しばしば国会の場でも議論をされてきたと思います。また職場、企業においても、勤労者が安心して働けるためには安定した住環境を保障する。だから公務員には公務員宿舎、
民間企業では社宅というものが最も安い賃貸で、しかもよい住環境の
もとで保障される、こういう
制度というのは、やはり常にその社会が責任を持つという
立場で、あらゆる角度でやってきたと私は思うわけですね。したがって、こういうものを実現、保障するために、
公営住宅のみでは
国民の要望にこたえられなかった。そこで、
公団という
制度によってこれを補完していく、こういうものが
公団の性格で出発したのではないか、私はこういうように思うわけであります。
しかし、公営及び
公団制度というのはあるけれ
ども、今日の社会は自由経済
制度でありますから、個人または企業による
住宅経営も自由であるし、その営業も保障されているわけです。しかしその場合においても、居住に国家的責任があるがゆえに、個人持ち家
住宅に対してももちろんですが、
賃貸住宅に対しても、租税の優遇
措置あるいは低利の金融
措置、利子補給、こういう
制度が現に存在しているということは、これはもうやはり往
生活に対する国家的責任の一部だと考えるべきだと思うのですね。国家の責任があるからこそこういう政策をとってきた、こういうことを考えなきゃならぬだろうと思います。したがって私は、この
審議をされる場合に、この
住宅・
都市整備公団の
家賃値上げ問題も、
国民の居住に対する国の責任、こういう観点から
建設大臣にひとつぜひ
検討してもらいたい。単に住都
公団の枠の中だけではなしに、そういう点からこの結論を出してもらいたいということを特にお願いをしておきたいと思います。
さて、そういう観点から考えてみて、今までの午前中の
参考人の
説明あるいは今の答弁を聞いておってみても、私は四国の田舎者ですけれ
ども、どうも
東京的感覚ではないかという気がするわけです。土地に対する考え方もそうなんです。
住宅、
家賃に対する考え方も
東京的感覚なんです。例えばさっきも、マンションが新しいのが
公団で十万円しますよ、こう言う。いかにも平然と言えるわけですね。私のところで十万といったらびっくりしてしまう。うちの息子が今度結婚するんですけれ
ども、いまだに
住宅が決まらぬ、高松でも。そういう感覚でやっちゃいますから、土地の
値上げも、去年一年間で高松で三〇%上がっちゃったという。
東京、大阪の大
都市の感覚ですべてをはかるものですから、それが地方にまで
影響をしてしまう。例えば
公団家賃にしても、
民間の今の
東京の実態はこうなんだから、それから比べればそう高くないではないか、これはやはり
東京的感覚なんですね。これは我々は、単に
家賃だけではなしに、非常に困ったことだと思っているわけです。もう土
地代から
家賃から公害から、全部
東京並みに日本列島は波及されていくという危険性がある。北海道の方もおられますが、我々は土地が安くて
家賃が安くて空気がいいから住んでいるんだけれ
ども、それに波及する。こういう点も、考えてみると非常に問題点が多いということを申し上げておきたいと思うのであります。そういう点からいうと、この今の異常な事態というものを抑えるためにも、公的
家賃あるいは公的な
立場のものが政策的に抑えるという
立場をとらないと、
大臣、私はやはり時代に流されたのでは政策遂行できないと思うのです。
そこで、
公団家賃の原価主義と応能主義についてひとつ触れておきたいと思います。実は、先ほどからも議論されていますように、この
公団の
公営限度額方式というのは、やはり原価主義が発想の根底にあるわけですね。したがって
地代というのは、
地代そのものではないけれ
ども、
評価額を基礎にして考えられているわけですね。この点について、例えば二十年、三十年前に建設された
公団が、原価主義で募集して
居住者が入った。ところが一時期、高い、狭い、遠いということがあって値下げしたことがあるでしょう、一部値下げしたことがある、
公団がみずから。これは実は、原価主義ではだめなんで応能主義に転換したんです。ですから、応能主義をそのまま否定していることになりません。過去の実績からそうなんです。私は、それがあるということをまず申し上げておきたいと思います。
同時に、原価主義に基づいての
家賃で入ったとしてみても、それは先ほどからも出ていますように、そこに入った
居住者が職場関係によって変わっていった。あるいは企業が倒産した人もあるだろう、高齢によって収入が少なくなった人がある、退職者の年金
生活に入った人があるということになりますと、たとえ入ったときは原価主義であってみても、現実のものとして、その人がそこで住んでいる限りは、応能主義に対応せざるを得ないのですね。この点をやはり現実の問題としては、先ほどから議論されているように、知っておく必要があるだろう。したがって、応能主義への移行というのは必然である、ある意味においては。ないしは追い出すしかないわけです。追い出すことができないとすれば、それしかないということを申し上げておきます。
敷金
制度についても議論されておりますが、それはもう問題がありません。過去の二回の実績から考えてみて、いい悪いは別として、これを復活することは事実上もう不可能だ、これを我々の考えとして申し上げておきます。
それから、土地の問題が先ほどから議論されています。その
公団の建っている土地というのはあなたのところの財産なんです。その土地の値上がりによってあるいは
固定資産税評価額が上がってみても、それはあなたのところの財産が値上がりしたわけです。入っている人の財産じゃない。
固定資産税というのは、あくまでも資産に対する税の
評価なんですからね。この点やはりしっかり考えてもらわなきゃならない。そのことと、土地が値上がりした。しかも今度の値上がりというのは、実は土地の価値が上がっただけではないことはもう御承知のとおりです。たとえ価値が上がったとしてみても、それが即入居者の
生活環境の改善につながるかといえばそうではないということですから、ここのところを間違わないようにしないと、しかもこの作為的な土地高騰の時代にそんなことを考えたら、もう大変なことになるということを申し上げておきたいと思います。したがって、土地をその算定の
基準にすることは基本的に間違いであるということを申し上げておきます。
五年から三年、問題になりません。実は私、地元ですから香川県の県庁で
公営住宅を調べてみました。それをそのまま横滑りとは言いません。私のところで調べてみると、四十年に
改定をして、その次が十二年後の五十二年四月にやっているわけです。十二年間あいています。その次は五十八年の十一月、六年間あいております。その次はいまだに
改定はありません、七年間。ただあるのは、消費税ができて消費税を乗せた。消費税は人気が悪いためにのけちゃった。あなたのところものけた方がいいと思いますが、のけちゃった。消費税だけが動いただけで、動いていないのです。したがって、もう三年なんということをやられたら大変ですから、どうぞこの点については、最も基本的な問題として私は撤回してもらいたいということを申し上げて、時間が済んだようですから、最後に
大臣から、我々の見解に対してひとつお答えをいただいて、終わります。