○寺前
委員 私は新聞報道だけしかよく知りませんが、今おっしゃった134aの新規プラントというのが、旭硝子でもダイキン工業でも三井デュポンでも
昭和電工でもずっといろいろつくられてきているようですね。それでかなりの量の生産に取り組んでいます。それから225caを旭硝子が、あるいは225cbあるいは123あるいは141bとか142bとか、これも次々とやはり新規プラントをつくっておやりになっている。
そこで、134aの場合はオゾン層破壊力はないと言われるけれども、他のものは、今もおっしゃったように、オゾン破壊は小さいとはいってもやはり十分の一とかいう力量を持っていますからね。そういうのは気安う気安う次々新設させておっていいのかね。そこへもっていって、毒性試験というのが必ずしもすべて完全にやられているというふうにはまだ言えないと思うのですね。
私、気になるのは、かつて、今から何年前になるでしょうか、五、六年前になるでしょうか、国際的に特定フロンの削減が進められておったときに、
日本の国内では、オゾン層を破壊するからもうフロンの11や12というのはあかんのや、国際的にはフロンの113はこれもやめないかんで、代替品だというてやっているけれども、あれもあかんと言われている最中に、
日本では113を大量に新規プラントを増設して、そして、国際
会議で何だという批判を受けた、ラストランナーだというふうに批判を受けたというような経過も私は聞かされていますよ。こういうことを考えると、特定フロンは二〇〇〇年までに処理するにしても、今全体として、特定フロンに限らず、そういうフロンはやめようじゃないかといって、二〇二〇年ごろまでにとか話がいろいろ出てきているわけでしょう。ですから、先々を読んで、本当に抜本的にフロンの生産については考え直すというようなことを今から手を打たなければあかんのやないだろうかということを私は気になっているのですよ。これは気になっておるということを一つ問題提起しておきます。
そこで今度は、
日本の国内でもそうやって気になることがなされているわけですけれども、
日本の企業が外国に対してどういうことをやっているのだろうか。特定フロンを
発展途上国に対して
日本で輸出していると思うのですね。これが一体どういうふうに輸出されているのだろうか。私はちょっと調べてみたら、九〇年の輸出量は一万三千五百五十トンで、八九年、前年の八千五百四十九トンと比べると五八%も急増している。特に多いのはアジア諸国向けで、シンガポール向けは九〇年に四九%増、中国向けは十二・七倍、タイには六二%増、こういうふうに輸出量がどんどんふえてきているのですね。
その場合に、
日本の国内では一九九九年に向かってもうやめる
方向で、
現実的には、私は三菱電機なりあるいはオムロンなり行って見てきましたけれども、みんな切りかえて、
日本の国内ではもう全然違う角度でやりますのやと言うておるわけですけれども、輸出品としてそういうものがなされていっているということは、
日本の国内ではちゃんとしてまんのや言うけれども、そういうフロンを輸出しておったら、
日本というのは自分のところだけきれいやったらええのかいな、こういうふうに外国では言われることになるのじゃないだろうか、これは私は気になる話ですよ。
特にモントリオール議定書でも、
発展途上国には特例として十年間おくらせる、しかし南朝鮮や中国や香港は、九三年にはもう輸出しないようにするのだという
方向が差をつけて出されていますけれども、
日本の企業の側からいえば、相手国がどうあろうと、
世界の
環境を破壊するようなことはもうやれませんのやという立場からこの問題に
対処していかなかったらおかしいのじゃないだろうかということを考えるのが一つなんです。
それからもう一つは、タイにソニー、東芝、沖電気、日立製作所など二十社の電機産業が進出しています。
自動車用の冷房装置の製造や冷蔵庫用冷却機の生産などをやっています。そうすると、
日本の企業は、
日本の国内ではもうそういうものをつくらない
方向で工場をやっているけれども、外国へ出ていってつくっている工場ではそういうことをやっていたら、これまた、人の
環境は知ったことじゃない、
地球環境全体から見たら
日本の企業というのは勝手なものだ、ここでもそういうことを言われるのじゃないだろうか、これはどうも企業活動の
あり方として基本的におかしいと私は思うのですね。
昨年の九月にシンガポールで開催されたASEAN諸国のセミナーで、
日本電機工業会企画部長の藤本さんが「東南アジア、ASEAN諸国に進出している企業は、「
公害の輸出」などという悪評を受ける前に、
地球環境保全のための技術移転を積極的に行ない、
地球環境問題に対し、より鮮明な姿勢を示すことが、無用の
日本批判やバッシングを防ぐこととなるものと考えられ、産業界のいま一層の
努力が
期待される。」ということをおっしゃっています。私はそうであろうと思うのですよ。
そういうことを考えると、今フロンを全廃しようというときに、
日本企業が外国へ売るのは構へんのやという態度は改むべきじゃないだろうか。あるいはまた、向こうでつくっている工場が
日本と同じ
規制をされるような、そういう
方向に持っていかなかったら非難を受けるという立場になるのじゃないだろうか。
もう時間が来ましたのでやめますけれども、通産省としてはどんな措置をとっておられるのか、それを聞いた上で、ひとつ
大臣、このことに対する御見解をお聞かせいただきたいと思います。