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1991-02-22 第120回国会 衆議院 環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年二月二十二日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 小杉  隆君    理事 小澤  潔君 理事 片岡 武司君    理事 久間 章生君 理事 佐藤謙一郎君    理事 柳本 卓治君 理事 斉藤 一雄君    理事 馬場  昇君 理事 斉藤  節君       阿部 文男君    青木 正久君       衛藤 晟一君    鈴木 恒夫君       前田 武志君    簗瀬  進君       岡崎トミ子君    竹内  猛君       時崎 雄司君    長谷百合子君       東  順治君    寺前  巖君       中井  洽君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 愛知 和男君  出席政府委員         環境政務次官  小野 清子君         環境庁長官官房         長       森  仁美君         環境庁長官官房         会計課長    井上  毅君         環境庁企画調整         局長      渡辺  修君         環境庁企画調整         局地球環境部長 加藤 三郎君         環境庁企画調整         局環境保健部長 柳沢健一郎君         環境庁自然保護         局長      伊藤 卓雄君         環境庁大気保全         局長      古市 圭治君         環境庁水質保全         局長      武智 敏夫君         通商産業大臣官         房審議官    合田宏四郎君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全課防災環境         対策室長    漆原 英二君         外務省経済協力         局調査計画課長 小島 誠二君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課産業廃         棄物対策室長  三本木 徹君         農林水産省構造         改善局建設部整         備課総合整備事         業推進室長   丸山 利夫君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      関口 洋一君         林野庁業務部業         務第二課長   川村秀三郎君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部自動車審査課         長       南戸 義博君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 小坂 英治君         海上保安庁警備         救難部海上防災         課長      浅井 廣志君         建設省河川局治         水課長     日野 峻栄君         建設省河川局開         発課長     豊田 高司君         建設省道路局国         道第一課長   藤田 忠夫君         建設省道路局企         画課道路経済調         査室長     井上 啓一君         建設省道路局企         画課道路環境対         策室長     井上 靖武君         環境委員会調査         室長      高橋 昭伍君     ───────────── 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     中井  洽君 同日  辞任         補欠選任   中井  洽君     塚本 三郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  環境保全基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 小杉隆

    小杉委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤謙一郎君。
  3. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 それではトップバッターということで、きょうは二点について愛知大臣並びに政府委員皆様方質問をさせていただきます。  まず第一点は、今回の湾岸戦争というものを環境破壊観点からとらえてみたいと思っております。  出だしに、ちょっと関係ないことからお話ししますと、私は、県会議員時代にこういう陳情を受けました。  交通事故がどうも頻繁に起こりそうなので、この道路信号機横断歩道をつけてくれ、ところがなかなか当局はつけてくれない、悲惨なことに、お子さんや老人の事故があって初めて信号機横断歩道が設置されるというケースを何度も経験をして、大変つらい思いをしたわけですけれども、今回の湾岸戦争でも、政府内で早速湾岸危機対策本部というものが設けられました。原油流出事件が起きて初めてそこに環境庁長官本部メンバーに加わったということを聞いて、本当に私は悔しい思いでいっぱいでございました。戦争こそ最大環境破壊だという、これはもう自明の認識があるべきにもかかわらず、原油流出事件という、だれの目から見ても明らかな環境破壊が登場するまで戦争環境を結びつける観点が欠落していた、私はそう思わざるを得ないわけでございます。  これもまた話がちょっと飛びますけれども、ついせんだってある新聞にこんな記事が出ておりました。「「こんどの戦争をなんと呼ぶべきか、と問われれば、私は即座に無益な戦争と答える」と、チャーチル回顧録でいっている。」「ヒトラーの侵略に対し、英仏両国は初め軍事的に圧倒的に優位にあった。にもかかわらず、目先の平和に執着し続けたためオーストリアを併合され、チェコへの侵略を許し、ポーランドを守るため立ち上がったときは、最悪の条件で戦わなければならなかった。結果として、死なずに済んだはずの一千万人の命が奪われたのは、英仏目先の偽りの平和に惑わされ、戦うことは不合理で軽率であると考えたからである、」とチャーチルは言っておりますけれども、まさに今のこの記事教訓は、透徹した目で先を読むこと、目先の利益、目先のことに執着せず先見性を持つこと、これこそが今の環境庁に最も必要なことではないだろうか。「平和」という二文字を「環境」という二文字に置きかえてみれば、まさにそのことが言えるのではないかと思います。  戦争によりどれだけの環境破壊がもたらされるか、一体その回復はどういうふうにという問題が、一国のリスクマネジメントをすべき政府が想定すべきものであって、地球環境担当大臣としての環境庁長官が当初より危機対策メンバーでなかったことは極めて遺憾だということをお話ししましたけれども先見性に欠ける対応の中で愛知大臣はどういう認識でおられたか、ただいまの私の所見に対する感想を含めて、大臣自身の御見解を率直に承りたいと思います。
  4. 愛知和男

    愛知国務大臣 お答えをいたします。  湾岸危機対策本部ができましたとき、当初の目的が邦人の保護とかあるいは開戦当初に緊急に必要となる最低限の対策を立てるために内閣にこの本部を設ける、こういうようなことで、当時、いわゆる原油流出などという事態が起きるとは予想できなかったようなこともございまして、内閣としては、その本部員環境庁長官を入れなかったという経緯があるわけであります。  私も実は個人的には、そうは言っても先生指摘のとおり、戦争それ自体が大きな環境破壊であることは事実でございますし、環境対策の面から環境庁役割があるのではないかと思っていたわけでございますが、ひとまず内閣の方針としてそういうことだということでありましたし、事実、目に見えた具体的な事態が起きていなかったということもございまして、また同時に、必要に応じて本部員をその都度ふやしていくということになっておりましたので、当初は参画しなかったわけでございますが、原油流出の事実が明らかになりまして、直ちに本部員としてその対策本部の中に入りまして環境庁立場から役割を果たしていく手続を至急とったわけであります。  いずれにいたしましても、先生指摘のとおり、また先ほど申し上げましたとおり、戦闘行為それ自体がそもそも環境破壊でございますので、そういう点では当初から本部員として入っていて当然だったという思いをいたしております。これをいい教訓にいたしまして、今後の対応につきましてはぜひ先生指摘のような方向で対応してまいりたい、このように考えております。
  5. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 どうもありがとうございます。  原油流出ということではなくて、そういう事象ではなくて、戦争自体環境破壊だというところから、より一歩進んだこれからの対応を御期待を申し上げたいと思います。  次に、湾岸戦争に伴う環境破壊への具体的な対応についてお話をいただきたいと思いますが、現に武力による紛争が続いている状況下では、原油流出等による環境への影響実情把握というのは難しいことは私どももわかっているつもりでございます。  しかしながら、情報というものは過大であっても過小であってもだめである、いたずらな不安、ひとりよがりの安心が、ともに二十一世紀の人類にとって極めて危険であるというふうに私は考えますが、より的確な情報ということになりますと、今度の原油流出で、サウジアラビア政府の最初の発表は一千百万バレル、それがついこの間、同じサウジが百五十万バレルと訂正をする、アメリカは七、八百万バレル、他の国際機関は別の数字を発表する、そういう幅というものを我々は感じるときに、実態把握するというのは大変難しいなと思うのですけれども、ここで我々はその実態をどう把握するか、データの把握について質問をするのは本旨ではございません。  私たちがこの段階で一体何ができるかということを真剣に考えなければいけないと思うのですけれども、現時点で直ちに調査団を派遣するということは困難であるにしても、例えば一定の条件のもとで湾岸戦争地域環境やあるいは地球環境に対してどのような影響をもたらすかについてシミュレートすることは可能だろう。あそこは閉鎖性水域でもありますし、水島事故ですとかあるいはアラスカの教訓というものを踏まえて、我々はそうした知的な財産を持っているに違いないと思うのです。また、和平に向かうということになれば、環境回復に向けてどういう段取りで人的、資金的支援を行うのか、また長期的な視点から今後の危機管理に備えてどういう体制を整備するのか、これらのアクションプランをどうやって立てていくのか、そうしたことが重要だと思います。特に油汚染防止条約に対する対応をどうするのかとか、あるいは緊急に地球環境保全経費をどう出していくのか、そういったことも含め、愛知大臣自身の御所見と具体的な対策進捗状況についてお聞きをしたいと思います。
  6. 愛知和男

    愛知国務大臣 お答えをいたします。  油流出の現状がどうかということについては、特にそれを質問するつもりはないというお話でございましたが、ちょっとお触れになりましたので、私が聞いておりますことを申し上げますと、あの調査は飛行機の上から海面にどの程度油が広がっているかというのを見て判断するのだそうでありますが、その油が何ミリぐらいの厚さで広がっていくかというこの判断で大分量が違ってくる、こういうことだそうであります。しかし、数字に大きな差があるとはいうものの、その量が大量である、今まで、かつてなかった量であることは事実のようでありまして、これからそれをどうするかというのは大変大きな課題であろうといずれにしても思う次第であります。  さて、私どもといたしましては、この油の流出に対しましては、緊急的な対策ということと同時に、中長期的な対策もあわせて講じていく必要がございます。緊急的な対策としましては、国際海事機構、これはIMOと言っておりますが、ここで調整機能を果たしていく、それから中長期的につきましては、国連環境計画、UNEPと申しておりますが、ここで行動計画を作成していく、こういう申し合わせが、せんだって二月五日、六日とジュネーブで開催されました国際機関会議でできまして、そういう対応を国際的にはしていこうということになっておりますが、その中で我が国も積極的な役割を果たしていきたい、また現にいきつつあるということでございます。  環境庁といたしましては、この油の流出がはっきりしました一月の末、具体的には一月二十八日でございますが、環境庁の中に早速プロジェクトチームをつくりまして、このプロジェクトチームで現在まで情報収集等をやってまいっておりますが、最近、ここ何日か、御承知のとおり湾岸の情勢も急転回をいたしておりまして、和平に至る期待というものも出てまいりました。あそこが戦闘状態である中では、すぐ調査団を出すということもなかなか難しい面もあるわけでございますが、和平達成の兆しが見えてきたわけでございますので、調査団を派遣することができる状況になりましたら直ちに行動を起こすことができるように、目下そういう対応検討中でございます。  現地の、サウジ日本大使館等からの情報によりますと、この環境問題についてもぜひ我が国の、日本協力が欲しいということが非公式に伝わってきておりまして、それに対しまして我が国としましても、例えば海洋汚染拡散シミュレーション専門家とか、あるいはあそこにはウミガメとかジュゴンとかマングローブとか、いろいろと野生生物などが生育いたしておりますので、こういったような専門家を直ちに派遣できるように今鋭意準備を進めているところでございます。
  7. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 今私は、戦争最大環境破壊だと申し上げましたが、実は私自身は、環境破壊自身宣戦布告なき戦争であるという認識を持っております。全世界でこうした声なき戦争が、これが意図的であるとないとにかかわらず始まり、広がっているのではないか。世界に垣根や天井がない以上、そして環境問題に、加害者被害者が異なっているという一つの大きな特徴がある以上、あらゆる環境破壊がもはや対岸の火事ではないだろう。地球の裏側の出来事でも、直接大気海洋を通じて、あるいは連鎖、玉突き的に日本影響を与えてくることになるわけで、例えば一九八二年にはメキシコのエルチチョン火山の爆発が日本に冷夏をもたらし、三年、米に影響を与えたというふうに聞いております。  こうした宣戦布告なき戦争から、国家地域あるいは地球全体を覆う新しい安全保障論理というものが求められるのではないだろうか。今までの安全保障といいますと、軍事にせよ経済にせよ食糧安保にせよ、一つ国境といいますか国と国、そうしたものを中心とした議論であったわけですけれども国境を前提としない脅威に対して、より重層で高度な環境安全保障論理が求められているのではないか。二国間の国家安全保障の枠を超えて全世界レベル環境安保、まさに地球共同体意識が成長している今こそ、我々はそうしたものに取り組まなければいけないのではないかというふうに考えております。  環境庁長官所信表明の中にも、「環境保全は、平和国家を標榜する我が国が、世界に貢献するに最もふさわしい分野であると私は考えております。このため、経済社会構造環境保全型に変えていくことを世界に提唱し、国際的地位にふさわしい積極的な環境外交を進めていくとともに、世界に先駆けて環境保全型社会実現に邁進してまいる所存であります。」このようにお話をされております。まさにこれは新しい時代安全保障論日本として確立して、これを世界に展開しようとする日本の壮大なチャレンジの決意表明と私は考えておりますが、湾岸危機によって生ずる環境破壊という事象をじっくりと見据えて、地球環境保全を軸とした新しい安保戦略世界に展開していただきたいと考えておりますけれども、この点につきましても大臣所信をお伺いしたいところでございます。
  8. 愛知和男

    愛知国務大臣 お答えをいたします。  委員、まことに適切な御指摘をいただいた、また、私に対しましても御激励をいただいたと思っておりますが、御指摘のとおり、環境破壊というのは資源の枯渇を生み、それが貧困を生み、さらにはそれから環境難民などが発生する、こういうことになり、結局平和安定の阻害要因となりまして、これが戦争の一因となる、こういういわば悪循環ということになるわけでありまして、いろいろな、具体的な例として幾つもあると思いますが、思いつくところを申し上げますと、例えば熱帯林の話も、これがどうして伐採をされているか、焼き畑農業による伐採ということが非常に大きな部分を占めているわけでございますが、こういうことなどを考えますと、まさに環境破壊、それが戦争というようになっていくということだと思うのであります。  したがいまして、この国際的な平和安定と地球的規模での環境保全というのは、まさに表裏一体ということが言えると思うのでありまして、所信表明でも述べましたけれども平和国家を希求する我が国として地球環境保全へ向けて最大限の努力をすることは、国際社会への貢献として当然であると同時に、また日本らしい、日本にふさわしい道ではなかろうか、このように考えております。来年ブラジルで「環境開発に関する国連会議」というのが開催をされる予定になっておりまして、これは二十年ぶりに開催される大きな、また意義のある環境に関する国際会議でございますが、それへ向けて既に現在準備を始めておりますけれども、その会議の成功のみならず、この機会環境保全型の経済社会構造への変化といいましょうか、そういう新しい経済社会構造の構築に向けまして、我が国世界の中で大きなイニシアチブを果たしていくことができるようにこれからも頑張っていきたい、このように考えております。  委員の御指摘になりました点、私もそのとおりと思います。どうぞ今後ともまたひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
  9. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 大変心強いお話をいただきまして、国際通愛知大臣期待するところ大でございますので、大いに頑張ってください。  次に、最後の質問ですけれども、論点を変えて、地球環境における南北問題についてちょっと取り上げてみたいと思います。  私は、幸運なことに、昨年の八月、当委員会海外視察団の一員としてソビエト、ケニア、タイ、中国など、多くの国々を回ってまいることができました。特に、私は中国で極めて印象的な話を耳にしました。それは、中国の、ある環境をやっておられる方の、中国にも汚す権利があるんだ、そういう発言。これはもうおわかりのように、現実には発展途上国にあっては、地球環境問題について必ずしもまだ成熟した議論ができていない。私は、その環境担当責任者から見せていただいた環境白書日本ですと電話帳よりか分厚い二冊になっておりますけれども、去年できた環境白書が、十二億人のあの中国でわずか七ページ、ここまで進んだのですと言って嘆いておられました。実はその中国、全世界の排出する例えばCO2について、アメリカとソ連と中国排出量の約五割を超えているんだ、そういうことを申し上げてもどうもぴんとこない。自分たちにとって一番大事なのは、エネルギー需要の急増にこたえ、十二億人の人口をとにかく食べさせていかなければいけない、豊かにしなければいけない、これから十数年で二百基の、脱硫装置をほとんど持たない火力発電所をつくらなければいけない。それでは我々が環境装置を御援助しましょうと言っても、いや、そういうお金があるのだったら一つでも余計に火力発電所を先につくってくれないか、そういう議論がありました。  きのう上がりましたフロンの問題についても、やっと途上国がこれを使おう、豊かになるために使おうとしているそういう段になってなぜ規制するんだ、先進国がさんざんこの地球上を汚してきたじゃないか、世界を汚してきたじゃないか、それで豊かになったら今度は、発展途上国フロンを使っちゃいけない、何を使っちゃいけない、そんなことが許せるか、そういう議論でございました。  私は、そうしたややもすれば先進国の勝手な言い分に扇動されてしまうという危機感途上国にあるのではないか、そういう意味で、地球環境問題、まさに新しい南北問題を提起しているというふうに考えるわけでございます。我々にも豊かになる権利があるというそうした論理を否定できないと思う我々としては、途上国経済発展への欲望を肯定しつつ、我が国として地球環境問題の解決、世界的なスケールでの持続可能な開発実現のためにもう一段深い次元からアプローチしなければならないと思います。  こうした南北問題の顕在化という視点について、愛知大臣自身はどのような御所見をお持ちかをお伺いすると同時に、さらに、この先進国途上国立場の差を踏まえた幾つかの現実的なアプローチの中で、自然保護債務スワップというのが一つの興味ある手法であるように私は考えておりますけれども我が国においてこうした制度を検討する気があるのかどうか、これは環境庁としての取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
  10. 愛知和男

    愛知国務大臣 お答えをいたします。  委員指摘のとおり、発展途上国環境問題というのは、いわゆる開発環境問題という大きなテーマでございまして、実は、先ほど例として中国のことをお出しになりましたが、たまたま昨日、今中国環境保護局の、日本環境庁に当たるお役所だそうでございますが、そこの幹部の方が日本見えておりまして、私の部屋にもお見えになりました。この方々と私のみならず事務局とも意見交換をいたしました。また中国に対しましては、日本環境保全技術センターですか、日本援助でこれをつくるということになっておりまして、ことしの秋には着工する運びになっておりますが、いずれにしても、そこの国の国民皆様方が、やはり環境問題も大事だという認識を持っていただかなければなりません。これは先進国から押しつける話ではなくて、そこの国の国民皆様方がそういう意識になっていただく必要がございますので、いろいろな機会をとらえて交流を深めるなり、あるいはそういった面の国民意識を高めていただけるような施策に対して援助をさせていただくというようなことなどをいたしまして、発展途上国のその開発発展というものが調和のとれた形で進むように日本としても力を尽くしていかなければならないのではないか、こんなふうに考えております。  来年開かれます先ほど申し上げました会議でも持続可能な開発、これを実現するということが大きなテーマになっておりまして、南北問題というのは環境観点からもやはり大きな課題となっているわけであります。  なお、自然保護債務スワップについてお尋ねがございましたので、この点につきまして、この仕組みにつきましてはもう既に委員承知のとおりでございましょうから省略するといたしまして、我が国としてどういう対応か、こういう御質問でございます。  実は正直に申しまして、我が国におきましてはまだ未経験分野でございますので、この仕組みや運用の実態、あるいは我が国で実施するとした場合にどういう問題点があるかというようなことにつきまして、有識者から成る研究会を設置いたしまして検討を開始したところでございまして、これも昨日でございますが、たまたまアメリカからこういった方面の専門家の方が私の部屋にお見えになりましたのでお話を聞かせていただきましたけれども、鋭意勉強をいたしまして、我が国として、こういうものにつきましても積極的に取り組んでいかなければならないのではないか、このように考えております。
  11. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員 どうもありがとうございました。  きょうは、大臣、この後予算委員会ということで、少し早目に切り上げさせていただきます。  今、問題意識を伺ったわけですけれども、大変深いところで環境というものを考えていただいている。私ども、大変心強く思いましたし、これからこの実現のために環境委員会一丸となって世界のために頑張ってまいりたいと思っております。大臣、どうかひとつこれからも頑張っていただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  12. 小杉隆

    小杉委員長 時崎雄司君。
  13. 時崎雄司

    ○時崎委員 長官の所信表明に対する質問を今からしたいと思っておったところ、大臣予算委員会出席のため不在ということであります。私からは大変不満を表明しておきたいと思います。その分、次官の方でよろしくお願いをいたしたいと思います。  きょう質問させていただきます課題は、霞ケ浦の水質浄化対策の一環として行われております霞ケ浦導水事業についてお尋ねをさせていただきます。  実は昨年の四月、たしか四月十一日ですか、当環境委員会で水質汚濁防止法の改正の審議に先立ちまして霞ケ浦を現地調査いたしました。この調査のときもアオコのホルマリンづけしたものを実際に見せていただきましたし、においをかいできまして、夏場にはそういうものが大量に土浦を中心とした霞ケ浦に発生する、大変な状態だというのを私ども委員実態調査で感じてきたところでございます。  その後、水質汚濁防止法が改正をされて、とりわけ生活排水の対策について具体的に今年度から動いているわけでございます。  そこで次官にお尋ねいたしますが、この霞ケ浦導水事業、これが完成されれば霞ケ浦の水質浄化のためにどの程度役立つと感じているのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  14. 小野清子

    ○小野(清)政府委員 時崎委員お答えをさせていただきます。  私も、筑波大学に五十年から七年間通いまして、霞ケ浦の状況を目の当たりにいたしまして心を痛めていた一人でございますが、霞ケ浦の水質につきましては、各種の施策の推進によりまして徐々に改善の傾向にあるわけでございます。しかし、今後とも関係者の幅広い御理解と御協力を得まして一層の努力を要するというところでございます。  建設省によりまして進められております霞ケ浦の導水事業というものは、霞ケ浦の水質浄化を主要な目的の一つといたしておりまして、霞ケ浦の湖沼水質保全計画におきましても、水質の保全に資する事業と位置づけておるわけでございます。  環境庁といたしましては、本導水事業は霞ケ浦の水質保全にかなりの効果を有するものと期待しているところでありまして、その推進が図られるべき事業と考えているところでございます。
  15. 時崎雄司

    ○時崎委員 茨城県民ひとしく一日も早いこの導水事業の完成を期待をいたしておるところでございます。  建設に直接かかわりを持っております建設省に幾つかお尋ねいたしまして、また後ほど次官の感想などを聞かせていただきたい、こう思います。  建設省にお尋ねをいたしますが、この導水事業の概要についてまず最初にお答えをいただき、あわせて、計画段階で、具体的に霞ケ浦の水質の浄化をどの程度期待をしてこの事業に取り組んでいるのか、お答えをいただきたいと思います。
  16. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  霞ケ浦導水事業は、那珂川下流部、霞ケ浦及び利根川下流部を連絡いたします流況調整河川というものでございまして、これを建設いたしまして、河川と湖沼の水質浄化、既得用水の補給等、流水の正常な機能の維持と増進及び都市用水の供給の確保を図りまして、河川の流水の状況を改善するものでございます。  本事業は、導水路及び機場の建設より成りまして、その内容は、那珂川から霞ケ浦の高浜沖を経て土浦沖に至る第一導水路、次に、利根川から霞ケ浦の麻生沖に至る第二導水路、次に、那珂川から第一導水路に最大三十五トン、毎秒三十五立方メートルを導水いたします第一機場、次に、第一導水路から桜川へ最大毎秒三立方メートルを導水いたします桜川機場、それから、霞ケ浦から第一導水路へ最大毎秒十二立方メートルを導水いたします第二機場、それから最後に、利根川、霞ケ浦から第二導水路へ最大二十五立方メートルを導水いたします第三機場、こういう各施設から相なっておるわけでございます。  この事業は、昭和五十一年度に実施計画調査に着手いたしまして、昭和五十九年度に建設事業に着手いたしたものでございまして、平成二年度の事業費は、五十八億円をもちまして導水路及び機場工事を実施中でございます。  工期につきましては、現在、平成五年度を目標としているわけでございますが、現状では非常に厳しい状況でございますので、事業の進捗を図りますとともに鋭意進めてまいりたいと思っております。  それから次に、この事業にどの程度の水質浄化が期待できるかということでございますが、霞ケ浦は、流域の開発によります汚濁負荷量の増大等によりまして、近年富栄養化が進んでおります。特に、夏にはアオコと呼ばれます植物性プランクトンが異常発生するなど、水質汚濁が進行しております。このため、茨城県では霞ケ浦富栄養化防止条例を昭和五十七年に制定されまして、排取水の規制、燐を含む家庭用合成洗剤の使用の禁止などの措置を講じられているところでありますが、これとあわせまして、下水道整備等の流域対策に加えて、霞ケ浦導水事業によります導水及びしゅんせつ等の浄化対策が必要であると考えております。  霞ケ浦の水質は、計画を策定いたしました当時の予測によりますと、昭和六十五年時点で、通常の汚濁対策を講じました場合にはCODで一三ppm程度であろうと予測されておるわけでありますが、それを富栄養化防止条例や水源地域対策特別措置法に基づきます下水道対策などの流域対策によりまして六・七ppmに軽減し、さらに霞ケ浦導水事業及びしゅんせつによりまして五ppmに改善することを目標としているわけであります。  なお、本事業によりまして水質改善は水戸市内の桜川に対しても行われることとなっております。那珂川本川から那珂導水路を通じまして桜川に注水することによりまして、桜川のBODを、現在一〇ないし一五ppmと言われておるわけでありますが、これを五ppm程度に軽減することとしておるわけでございます。  以上でございます。
  17. 時崎雄司

    ○時崎委員 昨年でしたか、当委員会において同僚議員からの質問に、第二導水路、一般的には利根導水路というものが既に概成をしたという回答がございました。その点についてもう一度確認させていただきたいのですが、どの場所にいつできたかということをお答えいただきたいと思います。
  18. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  第二導水事業は、霞ケ浦と利根川を結ぶものでございまして、延長は約二キロでございます。霞ケ浦の麻生沖と利根川を結ぶものでございます。この事業は現在ほぼ概成しておりまして、平成三年度から通水試験に入る予定ということになっております。
  19. 時崎雄司

    ○時崎委員 それでは、利根導水路について少しお尋ねをさせていただきます。  ここに建設省がつくった「霞ケ浦導水事業」の茨城県の霞ケ浦周辺の地図がございまして、細かく見ていただくということにはなりませんが、既に概成をしたというこの利根導水路、霞ケ浦の一番下流にできているのですね。湖も上流と下流があります。御案内のとおり上流というのは土浦、石岡周辺を指して、そして下流は太平洋に流れる、湖と川の接点のところでございますが、これが稲敷郡東村というところですね。ここに概成した、約二キロ。水というのは高いところから低いところに流れるのであって、なぜ一番下流の低いところに導水路を建設したのか、実は大変疑問に思っているのです。利根川と那珂川から双方合計で最大時で毎秒六十トン導水をして霞ケ浦の水を浄化しようという目的である、この事業の最大の目的がそこにあるわけですね。こちらにパンフレットがございますが、そのパンフレットの概要の一番最初にこういうことが書いてあるのですね。「地域の貴重な財産である霞ケ浦の水質浄化を図る」、そしてその後に、とともに、これまである既得用水の渇水時における不足分を補給するんだ、そしてさらに新しい水を確保するんだ、こうなっていますね。この第二導水路、利根導水路、ここに水を毎秒二十五トン送って、すぐに常陸利根川を通じて太平洋に流れてしまう。これは何の効果を期待してこういうところに導水路を建設したのか、その理由についてお聞かせをいただきたい。
  20. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  利根導水路は、利根川から西浦の麻生沖へ導水することによりまして、霞ケ浦の流入量がふえるということで、水質の汚濁の軽減が図られると考えておるわけでありまして、このことによりまして西浦南部からさらに湖全体の広範囲な水質改善に効果が及ぶものと考えております。  なお、利根導水路の位置につきましては、現在位置より上流に導水ルートを移すといいますと、所要の導水路を確保することが大変難しい、その一方で導水路延長が現在二キロでございますが、これが二十キロ以上にも延びるということ、このような経済性の面からも不利であるというようなことを総合的に勘案して、現在のルートで決定したわけでございます。
  21. 時崎雄司

    ○時崎委員 今のお話ですと、霞ケ浦の西浦麻生沖、ここへ水を最大時二十五トン入れて、それで汚れた水を薄めて、それで浄化になる、こういうふうに効果の方は聞きました。それから、別な場所に導水路をつくる場合には、二キロが二十キロになるということで費用の問題、それからほかに導水路を移すことが難しいというようなことも言われました。  ここに地図を持ってきているのですが、この周辺は人口がほとんどないんですね、東村というところは。面積は広いのですが、約一万一千人くらいの人口ですね、これ全体で。ここには全くアオコも発生した形跡がないんですよね。汚れてもいないんですよ、ここは。そうしますと、これは費用が安く済む、建設のために短い導水路でいい、二キロということですから、費用が安ければ目的がどうであってもいいという考えなんですか。那珂川から持ってくるのは、確かに土浦の一番アオコの発生しているところへ導水するわけですから、これは効果があると思います。そして、その水が最終的には常陸利根川を通じて本利根に合流し、太平洋に流れていく、これでアオコはある程度浄化をする、これは常識的にはわかるのです。全体で六十トン、そのうちの二十五トンがほとんど効果をあらわさないで太平洋に流れていくというのはどういうことなんですか。もう一度ここを、効果のほどを。
  22. 豊田高司

    ○豊田説明員 先ほども御説明申し上げましたように、利根川と西浦の麻生沖を結ぶものでございますが、このことによりまして湖全体の水質改善に効果があると考えておるわけであります。  それで、もしできるだけ上流部で取るといたしますと、取る水の量がだんだん減ってまいります。水の一番余っておる場所は、何と申しましても河川の一番下流で余っておるときに取るのが一番よいわけで、上流で取りますと、そこから下でさらに水の利用が行われておりますと、その分水の余っている量が減ってまいりますので、導水する量をできるだけたくさん取るという意味からしますと、できるだけ下流の方が一番望ましいわけで、したがいまして、那珂川の方も既得の取水等に影響のないぎりぎりのところでできるだけたくさん取れるようにということで、十八キロ、十九キロあたりに決められておるわけでありますが、利根川の場合におきましても、できるだけ多くの余剰水を導水したいということで、できるだけ下流ということになったわけであります。  一方、確かに下流の方は経済的に有利である、上流の方は経済的に不利であるというような点があるわけでありますが、御指摘のように経済性それからその水量のこと等を総合的に勘案して決定したものでございます。なお、途中でのルートもいろいろ比較いたしましたが、その効果は大きな差はない、湖全体に及ぼします効果については大きな差がないということも踏まえまして、総合的に勘案して決定したものでございます。
  23. 時崎雄司

    ○時崎委員 私、ここに地図を持ってきているんですよ。今あなたがおっしゃったのはここですね、導水の水路が。霞ケ浦はこうなっているんですよ。ここから川に流れて、ここへ入れて、こう流れたら何にもならないじゃないの。あなた、一番下流につくったんですよ。それで効果があるとまた言いながら、あわせて利根川の下流の水利権の問題もあるからできるだけ下流から取る、こういうことですね。そうすれば、那珂川だって下流から取りなさいよ。なぜ上流から那珂川は取ったのですか、これは十八キロも上で。あなたの言っていること、理屈が合わないじゃないですか。なぜここから取るのですか。もっと下から取ったらどうです。  あなたにもう一つ質問しますが、ここに水資源開発公団が発行したパンフレットがあるのです。霞ケ浦総合開発のパンフレットです。この事業というのは、昭和四十三年、もともとは建設省で計画されたものを、四十六年から水資源開発公団に継承、移管しているのですね。先ほど言われたこちらの霞ケ浦導水事業の着工は五十九年、こちらは四十六年から水資源開発公団に移管された事業、ここで十三年開きがあるのですが、この計画の中に実は「霞ケ浦と利根川を結ぶ導水路を新設する。」と書いてあるのです。これはこれなんじゃないですか。もともとあった霞ケ浦総合開発の計画の中の新しい導水路建設は、いつとはなしに霞ケ浦浄化対策の導水路に変わっているのではないか。そして、こちらで概成をされたとあなたが先ほどおっしゃるものと、こちらの霞ケ浦開発の導水路は同一のものであるのか否か、これだけ答えてください。
  24. 豊田高司

    ○豊田説明員 その前に、できるだけ下流と申しましたことにつきましてちょっとだけ加えさせていただきたいと存じますが、もちろん導水するわけでありますので、塩水の入るような場所で取りますとかえってぐあいが悪いということでございますので、正確に申し上げますと、塩水の影響のないぎりぎりの下流というふうに説明をつけ加えさせていただきたいと存じます。  それから、この水資源開発公団事業であります霞ケ浦事業とこの導水事業との関係でございますが、霞ケ浦導水事業は、先ほども御説明申し上げましたように、五十一年に実施計画調査に着手いたしまして、五十九年度に建設事業に着手した建設省直轄の流況調整河川事業というものでございます。計画の当初より、事業の効果だとか環境だとか経済性、地形、地質等を総合的に検討いたしまして、現位置にルートを決定したものでございます。  御指摘のように、霞ケ浦開発事業は昭和四十三年度に実調に入ってございます。それから四十五年には建設事業に入っておりまして、その後、四十九年十二月には漁業補償等全面解決いたしまして、全面的に工事に入っておるわけでございますが、確かにこの事業はちょっとわかりにくうございますが、霞ケ浦導水事業による利根川と霞ケ浦を結ぶ水路と霞ケ浦開発事業自身開発した水は、いずれ利根川を通じまして東京都の方にも一部使われますので、霞ケ浦開発事業で開発された水を利根川に持ってこなければなりません。その両方途の機能を兼用しておるわけでございまして、おおよその負担割合は霞ケ浦導水事業分が約七割、それから霞ケ浦開発分としての機能分がおよそ三割というふうに、確かに両方途の機能を相備えておるというものでございます。
  25. 時崎雄司

    ○時崎委員 費用負担の割合を聞いているわけでもないので、要するに同じだ、こういうことですよね。私が今まで質問している霞ケ浦導水事業の第二導水路、すなわち利根導水路というのは、その以前から企画をされ計画をされておった霞ケ浦開発事業の導水路、これと一緒のものなんだ、これが昨年度で概成をした、こういうことですね。何のことはない、大々的に県民に知らしている霞ケ浦導水事業の一方の導水路は、こちらで既に昭和四十三年から計画された方のものなんだ、こう理解してもおかしくない。そうであるからこそ、費用が少なくて、二キロという短い通路でいい、霞ケ浦の浄化効果なんかは二の次、三の次、こういうことになるわけですね。  あなたが何回言っても、どう常識的に考えても、下流に水路を置いて、そこから二十五トンの水を入れてみたって、水は高きから低きに流れるのです、これはすぐ太平洋でしょう。汚れているのはここなんですよ。閉鎖性水域が汚れているんでしょう、だれが考えたって。ここには人口がたくさん張りついているわけです。こちらは田んぼばかり。昔、映画で「米」という映画があったでしょう、あの望月優子さんの。あそこの舞台ですよ。人なんかいないのですから。そこへ水を二十五トン流して、いや浄化になります、本当ですか。そして、比較したら、別なところでは余り効果がないと言っているのです。あなたはどこと比較して計画したのですか。なぜ必要なのをここへ流さないのですか。なぜ土浦に流さないのですか、二十五トン。そんなにここへ流して効果があるなら、那珂導水路もここへ持ってきたらいかがですか、違いますか。両方ともここへ持ってきなさいよ。ここへ持ってくれば両方ともずっと流れていっちゃうでしょう。これで効果はないでしょう。どちらもやはりこういうところへ持ってきて浄化をしていくというのが、私は常識的だと思うんですね。  私から言わせれば、これはやり直すべきだと思う。これはもともと霞ケ浦総合開発で計画があって、それぞれのユーザーから負担金を取って計画して事業をやっているわけですから。霞ケ浦導水事業で二本入れるというなら、こちらの方を通していくのが普通なんじゃないか、こう思うのです。まだ浄化効果がある、こちらよりこっちが浄化効果があるというのですか。
  26. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  那珂川から霞ケ浦に結びます導水路といたしましては、最短距離といたしましては、現在のルートが最短距離ではなかろうかと考えております。現在汚濁が最も進んでおりますのは、御指摘のように土浦と高浜沖のところでございまして、そちらの方は那珂川から導水いたします毎秒最大三十五立方メートルでもちまして特に浄化を図ろうというものでございます。  利根川から持ってまいります時期等を見ますと、利根川に余剰水があって霞ケ浦が比較的渇水のときが主になるわけでございます。そうしますと、導水した水は湖全体に広がるわけでございますので、その後、それがやがで太平洋に出ていくということになるわけでございまして、確かに御指摘のように直接高浜、まあ高浜沖まで持っていくのはちょっと無理だといたしましても、土浦まで持っていくのと比べますと、若干の差異はあろうかと思いますが、大きな差はないのではないかというふうに考えておりまして、那珂川から持っていく水の量、利根川から持っていく水の量、それから経済的な効果等を総合的に比較勘案して決定したものでございますので、御理解をいただきたいと思っております。
  27. 時崎雄司

    ○時崎委員 この問題だけで時間をとるのもなんですからあれですが、大分苦しい答弁のようですね。もともと霞ケ浦総合開発事業の中で、同じ場所に導水路をつくる計画があったわけです、昭和四十三年の計画でそうなんですから。そこで、五十年代に入って霞ケ浦導水事業を計画をした段階では、既に計画されている霞ケ浦開発事業に乗ってしまえば、一本の導水路は、極端な言い方をすればただでできるようなものですよね、費用の面では。そういう点では私もわかっているんですよ、二キロですからね。ところが、実際に霞ケ浦事業の際にそことドッキングされるなどとはどこにも出てこないんですよ。だから県民は大変期待をしたわけですよ。一番汚れているところに導水路をつくっていただけるものだと思っていた。  ところが、概成をしたところを見たら、あなたも、若干の効果は違うと言っているけれども、私は、若干じゃない、こちらでつくっておいて若干などというものではない。もしそういうことをあなたが言うならば、こちらから持ってくる那珂川の方だって、ここへ持ってきたって若干の違いしかないんですよ。途中には北浦もあれば涸沼もあるし、ここへずっと通してくれば、建設の延長はこちらの方が短いんですよ、そうでしょう。ここにある涸沼に流す、涸沼から北浦に持ってきて、北浦から霞ケ浦に出る、どちらの延長面積が長いか。こちらの方の計画が短いんですよ、それは。しかし、こっちへ持ってきたのでは、下流に持ってきたのでは効果が薄いので一番の上流に那珂導水路、後ほど聞きますが、これを持ってきた、こういうことじゃないですか。既にこちらでは計画があったのだから費用はかからない。かからないといっても、同じものをつくるか、もっと大きいものをつくるかは別として、費用の面で効果的だ。しかし、水質浄化の面では効果は薄い、私はそう言わざるを得ないと思う。そのことをこの計画段階で明らかにしていないというところに問題がある。このことだけは、これからの対応策として将来見直していただく時代も来るでしょうから、ぜひひとつ御検討いただきたいと思います。  次に、同じ事業の中の第一導水路、那珂導水路についてお尋ねをいたします。  二月二十日付の地元の新聞で、水戸トンネル工事について、「地権者説明会始まる」というタイトルで報道されております。これを読んでみますと、地下四十メートル下にトンネルを掘って導水路をつくる、地権者の補償はしないということで、現地の所長がこの説明会で説明をしているようでございます。  そこで、第二導水路の建設に当たって、地権者に対してどういう補償をなされたのか、具体的金額は結構ですから、地価の何%とか、その場合の地価とはどういう基準を指すのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  28. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  利根導水路、これは御指摘のように第二導水路でございますけれども、これの建設によりまして土地利用が阻害される際の補償につきましては、閣議で決定されました公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というのがございますが、これに基づきまして当該地域の地質や土地利用状況等を十分把握した上で適切に行っているものでございます。  また、当該補償の基礎となります土地の正常な取引価格というものにつきましては、当該地域の公示価格、近隣の取引価格、それから不動産鑑定士によります鑑定価格等をもとに算定しているものでございます。  それから、どれぐらいの率かというお尋ねでございますが、ここはトンネルの深度が比較的浅く、しかも、岩盤でないということでございます。そういうことでございまして、地価のおよそ三〇%弱を補償しているわけでございます。
  29. 時崎雄司

    ○時崎委員 それじゃ、那珂導水の関係の補償をしない理由、利根導水は地価の約三〇%弱を補償したということですが、那珂導水の方では補償をしない、こういう考え方、その理由について御説明いただきたいと思います。
  30. 豊田高司

    ○豊田説明員 先ほども御説明申し上げましたように、閣議で決定されました公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱におきましては、地下の使用に対しましては、土地の利用が阻害される程度に応じて適切に定めた割合に応じて補償するものとされております。今回の導水工事、いわゆる第一導水路工事におきましては、当該地域の地質の状況等から、現在及び今後の通常の土地利用を阻害することがないというふうに考えておりまして、このため補償額は算定されないものでございます。
  31. 時崎雄司

    ○時崎委員 建設省においてもその他の省庁でもそうですが、特に大都市における土地の高騰に伴って地下利用についての検討が今なされておると聞き及んでおります。これは建設省のみならず、厚生省、農水省、通産省、運輸省、郵政省、さらには自治省等々、建設省におきましては、大深度地下使用についての土地収用の適用の特例に関する法律案なども検討されておると聞いておるわけであります。これは、国並びに自治体が大深度の地下を利用するときには、土地所有権とは別に地下における使用制限を法律によって行い、土地所有者に一切補償せずに地下利用することができる、こういう法律の検討であると言われておるわけです。一方でそういうことを検討しておいて、まだそういう法律もできていない現段階で補償しないまま地下を利用するのはどうも矛盾しておるように思われるというのが第一点。  第二点は、民法二百七条においては、土地の権利はその上下に及ぶということでございます。それから、既に四十メートル下もしくはそれに類するところで、水をポンプアップして井戸水として使っておるところがあるのです。また、今後使おうとする人もおるわけです。そういうこれからの使用権というのか利用権というものを制限してしまう、もしくは、今まで使っておる人については、それに伴って水が出なくなるとかどうとかという問題も起きてくる。こういうことですから、これらについて補償しないということなのか、それはするということなのか、もう少し具体的にお答えいただきたいと思います。
  32. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  ただいま、大深度法がない状況でも地下の使用について無償で使うことがあり得るのかということでございますが、現行法と申しますか、大深度法のような法律がない状況におきましても、先ほど申し上げましたような、閣議で決定されました公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に基づいて対応することが適切な場合もあるというふうに考えております。  それで、民法二百七条によりますと、「土地ノ所有権ハ法令ノ制限内ニ於テ其土地ノ上下ニ及フ」と規定されておるわけでございます。通説では、一般的な土地利用ができる範囲と考えられておりますので、当事業の施行によりまして土地の利用を妨げるものではないというふうに考えておりまして、その地下を使用させていただくものでございます。  そこで、この地方、このルートの地質、地形等でございますが、ここは、ちょうどトンネルが通る場所は地表から約四十メートルほど下でございます。これは、比較的浅いところから泥岩という非常に水を通しにくい層が出ておる場所がございます。したがいまして、この泥岩という岩盤は非常に強い岩盤で、強いと申しますか水を通しにくくて、その上に大きな建物も十分建てられる地層でございます。そういう地層の中を通りますので、この民法で申してありますような場合でも、一般的な土地利用ができる範囲を超えておるというふうに考えておるわけであります。水の利用状況等も見てみますと、その層は非常に水を通しにくい層でございますので、地下水等の利用はその上の層で行われておるという状況でございますので、確かに土地の所有権は上下に及ぶものでございますが、土地の利用を妨げるものでありませんので、使用させていただきたいと考えております。
  33. 時崎雄司

    ○時崎委員 民法で土地のことについては「土地ノ所有権ハ法令ノ制限内ニ於テ其土地ノ上下ニ及フ」、こういうことですよね。あなたがおっしゃるのは、閣議で何か決めた、だから補償しなくていいというふうに聞こえるんですね。法律で決めてということなら制限はできる、こう書いてあるんですね。だからどうも言うことが、何か今予算委員会でやっている自衛隊法百条の五みたいなことを言っているんですよね。民法ではきっちりと「法令ノ制限内ニ於テ」、こうなっているんですよね、まあ幾つか法律もあって制限されているのもあるのですが。どうも言わんとしていることが、よく理解してないようですね。  泥岩があるというのですが、いいですか、水戸から土浦までの四十二キロのうち、泥岩があるという、今あなたがおっしゃったところは何キロあるのですか、まずこれが一つ。四十二キロの距離、幅六メーター、高さ六メーターでもって地下をずっと四十メートル下を掘っていったときに、泥岩のあるというのは何キロなんですか。泥岩があるから補償しなくていい、そこにはポンプもないと言わんばかりですが、四十メートルの泥岩の下に百三十メートルものポンプがある場合だってあるでしょうと言っているんだ。これからまたそういう井戸を掘って水を使おうという人だってあるでしょうという、そういう点についての回答が全くなされていない。だから、井戸があった場合の補償、これからつくろうという人に対する補償、それから泥岩とは何キロあるのか。
  34. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  第一導水路全線にわたって泥岩があるわけではございませんで、いわゆる水戸台地と言われております台地部分が泥岩層でございます。この泥岩層は非常にかたい地層なわけでございますので、トンネルを掘る場合にはNATM工法という工法で掘っていくわけでございます。それで、その泥岩層がなくなりますと今度は通常の粘土層、砂利層、砂層等の地質でございますので、ここを掘る場合にはシールド工法という工法で掘るわけでございます。したがいまして、シールド工法のところは利根導水路で地権者の皆さんに了解をいただいたような方法で了解を得、それから補償について了解を得てからやることを考えておるわけでございます。  なお、先ほどちょっと説明が不足いたしましたが、民法の規定によりますとおっしゃるとおりでございますので、所有権の範囲はもちろん及ぶわけでございますので、十分理解を得て同意をちょうだいしてから進みたいと思っておるところでございます。
  35. 時崎雄司

    ○時崎委員 今の答弁を私なりに理解する意味でちょっと要約してみますと、その水戸台地というのは地盤に泥岩というのがあってかたい地層だと、したがってそこの四十メーター下を工事する場合には補償しないと、しかしそれ以外の、そのかたい岩盤じゃない、泥岩じゃないところについては第二、利根の方の導水路と同じように補償する、これが第一。理解、そのように確認してよろしいですね。  それからもう一つ、再三聞いても言わないのは、ポンプなどが、泥岩のところであれ深い井戸が掘られているような場合、もしくはこれから掘ろうとした場合に、トンネルが下にあるわけですから、これはトンネルを突き抜けるわけにいきませんので、そういう地下を利用するというような権利について制限をどうしても加えざるを得ないわけですから、これについての補償はどうなっているのか、ここをまず確認させていただきたいと思います。
  36. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  先ほど申し上げましたように、この地域は台地状の泥岩層でございます。約六キロ少々でございますが、現在、調べましたところ、地下水等の利用は行われていないようになっております。それで、もし万一地表部におきまして損害が生じた場合等はどうするかということもあるわけでございますが、そのような場合は、通常の土地利用を阻害する等の損害が発生したということで、工事との関係を調査した上で適正に対応させていただきたいと思っております。  それで、今後そういうところに地下水を掘る計画があった場合どうかということでございますが、先ほども申し上げましたように、非常に透水性の少ない難透水性の地層でございまして、その地層はずっと下まで、深いところまでありますので、そういうところで余り大きな井戸を掘って、あるいは深いボーリング、井戸を掘って水利用が行われないのではないかというふうに思っておりますので、地権者の皆さんの了解を得て進めてまいりたいと思っております。
  37. 時崎雄司

    ○時崎委員 そうしますと、金銭的には補償しないけれども同意をいただく、この泥岩層の上にある方々に、こういうことですね。  ところで、今あなたがおっしゃっております水戸台地のその泥岩層というのは、この計画では何人地権者がいるのですか。
  38. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  平成三年度の事業計画におきまして、現在詰めておる段階でございますが、水戸トンネル、通常ここの場所を水戸トンネルと称しておりますが、水戸トンネルに関係する地権者は全体でおよそ三百十から三百二十名程度と見込んでおります。それから、先ほど申し上げましたように地権者の理解を、同意をちょうだいいたしまして平成三年度から工事にかかりたいと思っておりますが、この工事の予定箇所の地権者は約五十名ではなかろうかと考えております。
  39. 時崎雄司

    ○時崎委員 お金を払わないで、金銭的補償もしないで三百名を超える方の同意、本当にとれるのですか。水戸の高台というのは、この台地というのは、東京並みではないけれども県都ですからね。第二導水路のように田んぼだけある中を通ってきているのじゃないんですよ。本当にこれは四月からの工事をやるのに同意をとれるのですか。同意しない場合には工事はやらないのですか。これをまず……。
  40. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  現在、精力的に誠心誠意県、市、自治会等を通じまして地権者の皆さんに御説明し、御了解を得つつあるところでございます。そういうことで、全員の御了解が得られるよう現在最大限の努力をしておりますので、全員の御了解が得られれば平成三年度から工事にかかりたいと思っておるところでございます。
  41. 時崎雄司

    ○時崎委員 いや、後段の、同意をとれない場合には工事はやらないということですか。
  42. 豊田高司

    ○豊田説明員 同意をとれるように最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  43. 時崎雄司

    ○時崎委員 これは地上の道路工事と違って、同意を得たところから実は工事に入るというわけにはいかないんですね、トンネルは。立て坑のところから横に行こうとするときに、一発目でそこの所有者がだめと言ったら全然進まないでしょう、途中、途中に同意した人があったとしても。金銭的に全く補償しないということであるから、これはなかなか同意をいただけないということだってあるわけですね。だから、同意がなければ工事はその地権者の四十メートルの下では工事しない、こういうことですか。
  44. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  例えば山岳部のトンネルの場合などについて見ますと、坑口の……(時崎委員「ちょっと、今の場合で答弁してくださいよ、ずばり。工事するのかしないのか、同意がなければ」と呼ぶ)同意を得られるように最大限の努力をしたいと思っておりますが、実際その影響の程度、その地権者の方の影響の程度を考えまして工事をやりたいと思っております。先ほども御説明申し上げましたように、このトンネルは岩盤の非常に深い約四十メートルのところを通っております。その施行によりまして通常の土地利用を阻害することがないということがはっきりいたしました場合には、工事をしたいと考えております。その影響の程度がどの程度かということは、個別の個々のケースに当たりまして、先ほど申し上げましたように影響の程度に応じまして補償等があり得るわけでございますが、全体の地権者の同意は得てからやりたいと思っております。
  45. 時崎雄司

    ○時崎委員 私の質問にはちゃんと答えていただけないようでして、それじゃ別の観点でお尋ねします。  この第一導水路、すなわち那珂導水が仮に完成した、所有権はどなたのものになるのですか、国のものですか。例えば、通常ですと、地下にこのようなものをつくる場合には、その土地所有権をそっくり取得する場合もあるでしょう。それから、その土地を借りる、賃貸借契約で賃貸をするという場合もあるでしょう。それから、民法二百六十九条ノ二による区分の地上権を設定する場合もあるでしょう。これはそのどれにも当たらないということであれば、まず、登記の制度上どうなるのか、そして本人が同意もしていないうちにずっと通っていっちゃったらどういうことになるのか、この辺、法的な考え方をお聞かせいただきたい。
  46. 豊田高司

    ○豊田説明員 御説明申し上げます。  この工事は、河川法に基づきまして行う工事でございますので、トンネルの土地は国有財産になるわけでございます。そのトンネルの上の土地につきましては、先ほどちょっと御説明しかけましたが、普通のトンネルの場合と同じように、道路の上のトンネルのように、入り口は確かに一部影響がある範囲におきまして補償をし、所有権の移転等も行われるわけでありますが、それより深いところにつきましては何ら所有権の移転等は行わないで工事を進め、そのトンネルは道路の管理者、国の場合は国有財産等になるわけでございまして、おっしゃいましたような区分所有権のような形にする必要がない。その地下にトンネルが通りましても、地上の土地の利用については何ら制限を加える必要がないという状況でございますので、そのトンネルの上の土地につきましては何ら利用が制限されないというふうに考えております。
  47. 時崎雄司

    ○時崎委員 あなたの答弁、私の聞いているのと大分違うことを言うんですね。同意が得られない場合には工事をするのかしないのかと言うと、しないとも言わないんですね。同意が得られるように努力をする、こう言うんですね。それから、地上権があるわけですね。または地下権もあるのですが、その下四十メートル工事したそのものは建設省のもの、国のもの、こう言っているわけですね。地下権というものがまだ法的に確立をされていない、そのときに地権者、地上権のある人が同意をしない、そのときに土地収用法はどうなるのですか。土地収用もしないで、地下をモグラで掘っていっちゃうというのですか。これは乱暴じゃないですか。やるならちゃんと土地収用法に基づいて収用をかけたらどうです。同意もとらないままいっちゃうのですか、本当に。それなら、その前提として、どうなるかということを、同意をいただかないまま工事をするのですかと聞いているのですが、再三はっきりしないんですね。
  48. 豊田高司

    ○豊田説明員 先ほども御説明申し上げましたように、現在誠心誠意地権者の方、特に平成三年度工事を行います約五十名の地権者の方に現在精力的に誠心誠意御説明を申し上げて御理解を得つつあるところでございますので、近く全員に御理解をいただけるものと思っております。御理解を得た上で仕事を始めたいと思っております。
  49. 時崎雄司

    ○時崎委員 これは単に那珂導水事業の関係だけで私は申し上げているのではなくて、先ほども指摘したように、建設省自体も既に大深度地下使用についての土地収用法の適用の特例に関する法律案というものまで検討されておるし、運輸さらには通産、郵政、農水、自治、厚生省といろいろなところで今議論されているわけですから、そういう中で、今のように同意を得ないままでも工事を進めていくようなニュアンスに私は受け取るんですよ。これは大変心配なのです。それは、あなたがおっしゃるように、こんな山岳のところのトンネルを通しているわけじゃない。少なくとも県都水戸の、それも住宅地もしくは商業地を通っていくわけでしょう。それにもかかわらず、同意しない場合には工事はやらないとか、同意させるのには補償もするとか、そういう話は一切出ないわけだから、これは大変不満です。  きょうは時間もございませんので、このぐらいにしますが、また後日、同じ課題質問をさせていただきます。どうもありがとうございました。
  50. 小杉隆

    小杉委員長 はい、御苦労さまでした。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時二十八分休憩      ────◇─────     午後一時六分開議
  51. 小杉隆

    小杉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡崎トミ子君。
  52. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 日本社会党の岡崎トミ子でございます。  昨年六月十九日に、農薬空中散布によって人体に被害が出ている問題について質問を行いました。きょうは、その続きから始めたいと思います。  この質問の際に、環境庁は、農薬空中散布によって人体被害が出ているということについての市民グループの調査は知っているが、環境庁独自の調査はないと答えました。また、環境庁は、空中散布に関して文献調査しかしていないということで、私が実態調査をすべきだと要求いたしましたところ、当時の北川環境庁長官は、文献調査だけでなく前向きに実情を把握しなくてはいけないというふうに答弁しております。  その後のこの問題に関する環境庁の取り組みをお伺いしたいと思います。
  53. 武智敏夫

    ○武智政府委員 お答えいたします。  昨年六月に当委員会で岡崎委員が御質問されたわけでございますが、それに対しまして前安橋局長から答弁したわけでございますけれども、空中散布によります障害を防止いたしますためには、やはり農薬自体の選定の問題ですとか、あるいは登録時の使用方法を遵守いたしますほか、地形ですとか、あるいは気象ですとか、風向きですとか、あるいは住宅地の位置関係をも考慮したような適正な使用方法の徹底をすることが何よりも重要であろうかというふうにお答え申し上げたわけでございます。このため、環境庁といたしましても、引き続き農薬の大気中の濃度の実態に関する調査を継続実施いたしているところでございますが、昨年質問された以降、二つのことをやったつもりでございます。  一つは、委員が御指摘されましたようなこともございまして、空中散布地域として宮城、先生のところを選んだわけじゃないのですが、宮城に、実情調査のために七月下旬に担当官を現地に派遣をいたしました。ただ、当日の天候が雨の前でございまして、いわゆる空中散布、かなり厳しい条件で実施いたしておるというようなこともございまして、結局その日は実施できなかったということで実態は見ることができなかったのですが、そういう試みを一ついたしております。  それからもう一つは、先ほど言いましたような適正使用の趣旨の徹底を図ることが重要であるというようなことでございますので、農林省に対しましてさらに徹底を期してほしいということでお願いをいたしまして、十二月二十五日付で農林省からの通達を出してもらっております。この通達によりますと、散布地域の点検なり、あるいはより飛散の少ない錠型ですとか、あるいは散布技術の導入等、環境への配慮を内容とする、環境に対して十分配慮せよというような通達になっておりまして、今後とも使用についての指導をやられます農林水産省と連携をとりまして、環境上の問題がないように適切に対応したいということでございます。  以上でございます。
  54. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ただいまのお答え、私は、安橋さんではなく、北川環境庁長官が、もっと前向きに実情を把握しなくてはいけないということを答えてくださったということについてお伺いしたかったわけなのですが、今おっしゃった選定ですとか登録時の使用方法ですとか適正な使用方法、風向き、住宅地においての散布はだめであるとか、そういうさまざまなことがこの一年間には十分守られていなかったのです。それが、この一年間だけではなく数年間そういうことが重ねられてきて、そして市民グループがやむにやまれず人体被害調査をしてみて、そして結果があるので調べてほしい、それで試みに行っていらしたのだけれども、その実態がよくつかめて帰ってこなかったというような現状では、とても前向きだというふうに私たちはとれないのです。  私が島根県に参りましたときにも、実際に施設の上からばらまかれたり、あるいは人が集まる公園のところに散布をしたり、あるいはまた公園で、シーソーとかブランコとか子供たちが使用するようなところにも、うっすらと白くなっていて、子供たちがその毒性がわからずにさわっているという現状に、お母さんたちが私たちに直接訴えたという現実もあるわけなのです。  そういうことは、散布後の、つまり現地からの報告を上げていただいたり、どんなことだったのか、風向きがどうだったか、そういう調査は相変わらずなさらないのでしょうか。調査ということでお伺いしたいというふうに思いますけれども
  55. 武智敏夫

    ○武智政府委員 委員指摘の問題につきましては、我々もかねてから市民グループのアンケート調査等によりまして、皮膚のかゆみですとか、あるいはのどに異常感覚であるとかいうような報告は聞いておりますし、そういった市民グループの活動結果について資料も集めておるつもりでございます。  ただ、農薬の空中散布と、自覚症状なり健康の関係を疫学的にどういうふうに評価するかということにつきましては、これはいわゆる医学の関係の方々の間におきましていろいろな議論があるわけでございまして、現段階ではまだなお知見の集積が必要であるというような段階でございます。  そんなこともございますので、我々といたしましては、六十三年度からいわゆる散布後の大気中の濃度の結果について調べまして、それを学者の先生方に集まって検討していただいておるというようなことでございますので、我々自身は直接はやっておりませんけれども、それぞれのグループでやっておられますアンケート調査等につきましては、我々のいろいろな手段を用いましてとって、それらの分析をいたしておるというのが現状でございます。
  56. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 相変わらず学者の研究と議論なのですが、現実に人が被害を受けているということですので、そこについての前向きの調査が必要であるというふうにお願いしていたわけなんですね。農薬の毒性の評価の仕組みというのはどういうふうになっているのでしょうか、農水省にお伺いしたいと思います。
  57. 関口洋一

    ○関口説明員 お答えいたします。  まず、農薬でございますが、農薬取締法によりまして、販売する際には、農林水産大臣の登録を受けなければならないということが大前提でございます。この農薬の登録申請に当たりましては、先ほども申しました農薬取締法に基づきまして、農薬メーカーから、農薬の効果、薬害、ほかの植物に対します薬害、あるいはその毒性、残留性、こういう試験成績をまずとります。さらに、農薬の現品を提出させまして、農林水産省の農薬検査所におきまして、これらの化学的データ、あるいは先ほどの現品等をもとに、安全性を確保するという観点から登録時の検査を行っているところでございます。  まず、毒性試験の実施に当たりましては、まずそのデータの信頼性が重要であるということもございますので、国が定めました農薬の毒性試験の適正実施に関する基準、GLP基準と申しておりますが、これに適合しております試験機関におきまして試験をする。さらに、国が定めております農薬の安全性評価に関する基準、毒性試験のガイドラインというふうに申しておりますけれども、こういう基準に基づきまして、急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、発がん性、繁殖毒性、催奇形性、変異原性、皮膚及び目刺激性、皮膚感作性等の膨大な試験を行っているところでございます。  農水省といたしましては、これらのデータに基づきまして、関係省庁あるいは農業資材審議会におきます学識経験者の協力をいただきまして、その安全性を十分確認した上で、使用時における作業者等の安全の確保あるいは作物残留の点からの安全性の確保といったことをチェックいたしまして、個々の農薬ごとに、使用方法あるいは使用上の注意事項を定めて登録しているところでございます。したがいまして、登録された農薬を定められた方法で使う、これが安全の確保の第一前提でございます。  私どもといたしましては、そのような観点から農薬の適正使用を指導するということで、現在進めてきております。今後とも、そのような方法で進めていきたいというふうに考えております。
  58. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 今のお話にもありましたように、農薬というのは相当毒性のものである、厳重な扱いによって使用されなければいけないということがよくわかるわけなのですけれども、その使用方法、適正に使われていないという現状は、やはり現地に足を運んで、そしてそういう結果を見なければ、個々のところで、私の方で調べただけでも新潟県、石川県、仙台、栃木、廿日市、至るところで人の被害が出ているということです。殊に、余りひどかった廿日市では農薬散布を中止しているというのが最近の情報でございます。  私は、大体前向きにこの調査をしてほしいと言ったときに、予算を伺いました。そのときに、およそ三百万円ぐらいでしたけれども、予算要求はこのことに関しては今年度はなさいましたでしょうか。
  59. 武智敏夫

    ○武智政府委員 お答えいたします。  先ほどお答え申し上げましたとおり、これは六十三年度からやっておりまして、まだ疫学的な結果の最中でございますので、その模様も見てということで、従来とほぼ同額でございますが、三百五十万ぐらいでございますので少ないわけでございますけれども、そういう要求をいたしております。
  60. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 私は、本当に国民の命を守る、環境保全するという立場からいいますと、何としてももう少し予算もふやして、そして現地に足を運ぶ、そういう前向きの姿勢が必要だというふうに感じております。  ところで、その環境問題なんですけれども環境庁は、国立環境研究所などで農薬空中散布の生態系への影響調査研究しておりますが、それによりますと、空中散布後、散布地域の水生昆虫が激減していることがわかっております。また、農薬の害が食物連鎖を通じて周辺に広がっていることも指摘されております。こういった研究成果を土壌農薬課はどのように取り入れて、どのように農薬の規制に生かしているのでしょうか。
  61. 武智敏夫

    ○武智政府委員 先生が御指摘のところ、残念ながら私は不勉強でございますけれども、一般的に残留性、農薬はいろいろ当然に毒性を持っておるわけでございまして、いわゆる作物に残留いたしましたり、あるいは水質に残留いたしましたり、あるいは土壌に残留するというようなことによりまして、いろいろ作物なりあるいは水生動物なりあるいは水に悪影響を及ぼすわけでございますので、それらが非常に広範囲にわたるような場合には汚濁性農薬と指定いたしまして、要は使用の規制をするというようなこともやりますし、あるいはその農薬自体につきまして、それを、もし問題であれば、登録保留の基準というのがございまして、要は登録をさせないというような基準がございます。現在、登録保留の基準につきまして、特に水質を汚濁するといいますか、水を悪くするような意味での水質残留性の農薬についての登録基準を強化すべく現在いろいろ検討をいたしておりまして、成果を得ますればそういうような方向で持っていきたいというふうに思っております。
  62. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 この研究結果は、やはり利点だけを考える安易な農薬使用に警鐘を鳴らしているというふうに思います。  そして、この農薬を扱っているところ、環境庁では土壌農薬課という名前なのですけれども、土壌農薬課というのが何か本当に名は体をあらわすといいましょうか、おかしい名前だというふうに私は思います。大気汚染についての配慮がない名前ではないだろうか。農薬など化学物質による環境汚染全体の調査、規制のできる機構に変えるためには、この名前からして変えていったらどうだろうかなというふうに私は思っているところなんです。  そして最近では、日本弁護士連合会でも、農薬空中散布を直ちにやめるべきだという決議をしております。被害者だけでなく、そうした機関からも中止の要求が上がっていることを環境庁にはよく考えていただきたいというふうに思いますが、いずれにしましても、農薬空中散布は、日本のような住宅と農地が密接しているところでは大変無理な技術ではないかと思います。そして、愛知環境庁長官は、所信表明で、「我が国経済社会を環境に優しいものにしていくことが必要」であるというふうにおっしゃっておりますけれども、本当にそういうふうに思うのでしたら、農薬空中散布は直ちにやめるように指導すべきではないかというふうに思っております。この問題については、今後も機会を見つけて質問をしていきたいというふうに思っております。毎回同じ返事ではなく、少しでも進展があるようにお願いをしたいというふうに思います。  さて、私たちが健康で快適に暮らす上で、きれいな水や空気、そして豊かな緑や自然は不可欠な条件だというふうに思います。しかし、地球温暖化、成層圏のオゾン層の破壊、酸性雨など地球規模の環境破壊をもたらしてしまった現在、国としての対応のみならず、私たち一人一人の環境に対する姿勢もまた問われているというふうに思います。  この点から、昨年、一九九〇年十月の世界気候会議対応した政府地球温暖化防止行動計画は、新しい環境社会へ向けた一つの前進として評価できるというふうに思っております。しかしながら、今後の環境行政を考えますときに危惧を抱かざるを得ません。  先日の長官の所信表明でこうおっしゃっております。「内外の環境問題を克服し、快適で住みよい社会を実現していくためには、社会経済活動を通じた地球環境への負荷を極力少なくし、環境保全経済社会の安定的発展の両立を図っていくことが必要」である、さらに、「社会構造を環境保全型に変えていくことを世界に提唱」すると決意のほどを聞かせていただきました。その点を踏まえまして、我が国における経済社会の発展環境とのかかわりについて、現在行われている環境アセスメント制度を中心に質問をしたいと思います。  ことしは環境庁が設立されましてから二十年です。そして、あの環境影響評価法案が混乱の中、廃案となって十年たちました。どちらも、高度成長のもと、環境面を軽視した我が国経済社会が、取り返しのつかない自然破壊と悲惨な公害をもたらした反省として生まれたものだったというふうに思います。そして、一九七二年、当時の大石長官が、人間環境会議でのアセス制度の取り組みの公約を受けて動き出した法案が一九八一年廃案となって、その後再上程の努力も実りませんでした。結果的に、妥協の産物として閣議決定の実施要綱となり現在に至っているわけですが、長官、たしか長官は一九八三年当時、再上程しないという最終的決定を下しました自民党政調アセスメント法案関係五部会の五人の部会長の一人だったというふうに聞いております。結局法案は必要ないという立場に立たれた長官が今ここに環境庁長官としておられるという、何とも運命的とも私は思えるのですが、八年たった今、現行制度の問題点についてどう認識していらっしゃるか、まず長官の御見解を伺いたいと思います。
  63. 愛知和男

    愛知国務大臣 お答えをいたします。  閣議決定に基づく環境アセスメントは、国として必要と考える対象事業に対して、現在得られている科学的知見をもとに実施されておりまして、相当の実効性があると考えております。そういう意味で、昭和五十九年八月の閣議決定については、その適正かつ円滑な実施に努めてきたところでございます。  環境庁としては、環境汚染の未然防止を図るために今後とも適切な環境アセスメントの推進に努力をしてまいりたいと考えておりますが、御指摘の、法制化すべきではないか、こういう点につきましては、今、過去の経緯の御説明、委員からもお話がございました、またそれから時代が経過をしてはおりますが、この法制化につきましては、その後の、現在の閣議決定に基づく環境アセスメントの実施状況等を見つつ引き続き検討をしてまいりたい、忘れているわけではございませんが、検討をしてまいりたい、こういうように考えております。
  64. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 検討を重ねてくださいますけれども、今のところは十分行えるというふうにお考えでいらっしゃるわけですね。  環境影響評価の実施についての閣議決定には数数の問題点があるのではないかと私は思います。事業者に対する拘束力、行政指導という形をとったことで規制が非常にあいまいである、その地域に住む人たちにとっての環境被害、各自治体の条例が違うことによる混乱、いずれも法制化されていないために問題となっているというふうに思います。そのために住民は不信感を抱いておりますし、何よりも環境保全のための事前の対策が不十分であるということではないでしょうか。  そこで、環境庁に伺います。外国のアセス制度、とりわけ、経済先進国と言われております欧米の状況について御説明をお願いいたします。
  65. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 環境アセスメントにつきましては、諸外国で制度化が図られておりますが、欧米諸国とおっしゃいました。  まず、アメリカでございますけれどもアメリカでは、一九六九年に国家環境政策法、NEPAと呼ばれる法律が制定をされて、これに基づいて環境影響評価が実施されているところでございます。  他方、ヨーロッパの方でございますが、一九八五年にEC理事会の指令が出まして、統一的な環境アセスメント制度の策定に取り組んでいるところであると承知をしております。  例えばドイツにおきましては、従来、一九七六年に制定をされました連邦行政手続法、あるいは一九七五年の閣議決定でございますけれども、連邦の公の措置の環境適合性の審査原則、こういったもので環境影響評価が行われてきていたわけでございますが、最近、このEC指令に基づきまして、環境影響評価に関する新たな制度がつくられたと承知をしております。  それからイギリスでございますが、やはりこれまで都市農村計画法、こういった、例えばでございますが、既存の個別の法律の手続の中で実施されてきていると聞いておりますが、近年新しい規則が制定されたと聞いているところでございます。
  66. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 今報告をしていただきましたように、各国では積極的にまた新たなものも取り入れて取り組んでいるという状況のようですが、アメリカにおいて、EC諸国において、アセスメント制度は法制化されて、アセスメントそのものが計画段階から意思決定の一つの方法として位置づけられている、その審査も第三者の判断にゆだねられている。  私が調べましたところでは、アメリカにおいては、日本にはない、社会的影響の評価、経済影響評価、代替案、誘発される影響検討、遭遇する困難の明示などのシステムがあります。そして、日本環境アセスメントの位置づけが意思決定手順の最後になっておりますけれどもアメリカやイギリスになりますと、意思決定手順の間に組み込まれるということになっているわけなのです。ですから、アメリカにおいては計画放棄という例も多々見られるというふうに聞いております。  この点を考えてみましても、経済大国であります我が国が率先して環境保全のリーダーシップをとる立場になければならないにもかかわらず、数歩、いや、それ以上におくれているというふうに言わざるを得ないと私は思います。長官、このことはどんなふうにお考えになりますか、お聞かせください。
  67. 愛知和男

    愛知国務大臣 ほかの国の例は今申し上げましたとおりでございますが、比べまして、日本日本らしいやり方をやっている、こういうことで、これは昭和五十九年からのことで、まだそれほど長い年月がたっておりません。現在のところ、これが非常にうまく機能していると認識をいたしてはおりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、引き続きこの法制化につきましても検討を続けてまいりたい、このように考えております。
  68. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 日本で今行われておりますのは、事業アセスといいましょうか、その事業を推進するためのアセスだというふうにとらえられますし、それから、対症療法であるというふうに私は思うのですね。やはり環境保全対策として全体的なことに関して行われなければいけない、地球規模の環境を守るという、そういう視点で行わなければならないというふうに思いますけれども、どうもそのところには立っていないように思います。  緊急を要する問題としてちょっと質問をさせていただきたいというふうに思いますが、上尾バイパス、高速埼玉中央道路についてなのです。  この計画道路は、十七号バイパスをつなぐ上尾から鴻巣間、総延長二十キロの道路計画です。ここでトラブルが発生していると聞いておりますが、その点についてどのように把握していらっしゃるか、まず建設省からお伺いしたいと思います。
  69. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 お答えいたします。  我々は、今の上尾バイパスとそれから埼玉中央高速道路を総称しまして上尾道路と申しておりますが、この上尾道路は、埼玉県大宮市から鴻巣市までの一般国道十七号の交通の混雑と交通安全の確保を目的として計画いたしました延長二十キロのバイパスでございます。昭和四十四年に幅員四十メーターで都市計画決定がなされていたものでございます。その後、沿道の土地利用の動向、交通需要の動向等を勘案しまして、関係市、埼玉県、これらと十分調整を図った上で、沿道環境保全するために環境施設帯を設けることといたしまして、幅員五十七メートルの構造としたものでございます。  埼玉県では、この計画に基づきまして昭和六十三年十二月に地元説明会、公聴会等を開催するとともに、埼玉県環境影響評価に関する指導要綱に基づく環境影響評価等を実施いたしまして、市及び県の都市計画審議会等所要の手続を経て、平成元年十二月に都市計画の変更を行ったところでございます。  これを受けまして、私ども建設省といたしましては、平成二年度から大宮市宮前から桶川市の川田谷に至る延長八・九キロについて新規事業に着手し、現在調査、設計を進めているところでございます。  なお、この環境問題に関しまして、地元で幾つかの御意見もございますが、事業実施に当たりまして、さらに道路の測量、設計に着手します前に地元計画説明会を行いますし、さらに用地買収に当たりましても説明会を行う予定でございますので、その中で十分地元の皆さんとの御理解を得て進めることにいたしております。  以上でございます。
  70. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 地元説明会、スムーズにいきましたか、建設省。
  71. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 お答えいたします。  アセスメントの手続、それから都市計画の手続の中でいろいろな御意見が出ておりますが、それぞれの手続の中で十分説明させていただいたと思っております。  なお、まだ幾つかの問題点指摘しておられる方もございますが、引き続き御理解を得られるように努めてまいりたいと思っております。
  72. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 さまざまな問題点があるので、その対象の地域になる人たちがみんな不安になっていて、それでその地元説明会が開かれてしまったらそのまま計画が進められてしまう、そういう不安でみんながいろいろと言っているわけなのです。ごく一部の人というふうに言いますけれども、その地域に住んでいる人たちです。そして、その一部じゃないというふうに言っている人たちはその周辺の人たちですから、直接の被害は軽く済む人たちではないかなというふうに私は思います。今数字を挙げて申し上げればよろしいのでしょうが、時間もちょっとないので、先に進みたいと思います。  環境庁は、このトラブルが発生しているということに関してはどのように把握していらっしゃるか、お答えください、その問題点だけで結構ですので。
  73. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 私ども承知しておりますところでは、環境影響評価に関する手続は、閣議決定の実施要綱に基づいて実施をされた。それから、最終的に私どもに送付をされました環境影響評価書の内容についても、環境保全観点からは特に問題はないというふうに理解をしているところでございます。
  74. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 はい、わかりました。  私ども調査では、環境アセスが、まず建設省の技術指針にあります環境要素の設定のうち「地域の社会的状況に係る項目」、つまり、この道路影響を与える開発計画が入っておりません。この地域沿線には、アセスの基準となった二〇一〇年に完成予定の大規模なプロジェクトが幾つかあります。そのことを御存じでしょうか。建設省お願いします。
  75. 井上啓一

    井上(啓)説明員 この高速埼玉中央道路及び上尾バイパスの計画に当たりましては、埼玉県の長期計画等を参考に計画を詰めさせていただいております。そういうことで、交通量等の推計にはそういうような計画を加味したようなことで反映させていただいております。
  76. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 いや、今大規模プロジェクトが幾つかありますが、その具体的な開発計画のことについて挙げていただきたいのですね。こういうのもごらんになったこともありますでしょうし、これはさいたまユーアンドアイ・プランという、大分前に出しているものですからおわかりだと思うのですが、そのことを挙げていただきたいと思います。御存じでしょう。
  77. 井上啓一

    井上(啓)説明員 さいたまユーアンドアイ・プランでございますが、これは私ども承知しているところでは、先ほど申しました埼玉県の新長期構想、六十年三月につくられたものでございますが、その主要プロジェクトから構成されているというふうに理解しておりまして、そういうようなことで、今先生指摘のさいたまユーアンドアイ・プランは反映されているというふうに考えております。
  78. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 具体的におっしゃらないので、じゃ、私が申し上げなければなりませんが、その一つ開発計画は、ユーアンドアイ・プランの中枢であります大宮操車場跡地、二十四万平方メートルの新都市開発計画であります埼玉コロシアム、メッセ計画、もう一つは十六省庁移転計画があるというわけですね。昼間の人口で六、七万人の増加になるというふうに言われておりますが、このことはアセスに含まれておりますでしょうか、建設省、お願いします。
  79. 井上靖武

    井上(靖)説明員 先ほど経済調査室長の方から、環境影響を及ぼすいろんな要素を環境要素と先生もおっしゃいましたけれども、そういったことを推計するには、その交通量にそれが反映するということで吸収し得るといいますか、そういったものをあらわすわけでございます。  このお答えといたしましては、先ほど経済調査室がお答えしたとおりでございます。
  80. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 それでは住民の方々が、そんな程度のお答えでは納得ができないと思います。交通量だけではなく環境の変化、昼間の人口が六、七万人もふえるということによって環境の変化があるということ、御存じでしょう。それはアセスに含まれておりますでしょうか。産業がどういうふうに発達して、車がどちらの方向に何台走って、そういうようなことが加えられなければいけないわけなんですけれども、そういうことがそのアセスに加えられて書いてありますか。
  81. 井上靖武

    井上(靖)説明員 先生がおっしゃっておられますのは、評価書にそのようなものが具体的に明示されていないということをおっしゃっているのだというふうに思いますが、私どもの推計におきましては、そういった、先生がおっしゃいました人口でございますとかあるいは産業に関するいろいろな活動状況のあらわす数値でございますとか指標でございますとか、そういうものを反映して交通量推計を行いまして、環境影響を予測、評価、そしてそれに必要な保全対策影響評価書において示しております。
  82. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 道路計画のアセスの中の「計画交通量の設定の仕方」という公文書をとりましたところ、該当する情報が、埼玉県の都市計画をしたところでは入れていないのですね。該当がありませんでしたという、こういう公文書が出てきたのですね。これですね。公文書五四五号というところで、該当する情報がなかったという、情報公開でとった資料なのですけれども、こういうふうなことで、住民の人たちなどが、されていないのではないかというふうに大変不安になっているわけなんですね。  そういうことなんですけれども、やはり望ましいアセスというのは、交通量だけではなくて、その地域全体の計画を入れるべきだというふうに思うのです。指導要綱にも、やはりそれをしなければならないというふうに書いてあるわけです。アメリカなどでも、一年も二年もかけてそういうことについてやっているのですけれども、やっていらっしゃるわけですか。
  83. 井上靖武

    井上(靖)説明員 まず、建設省の所管の道路事業環境影響評価技術指針というのがございまして、これにおきましては、「対象事業が実施される地域の基本的な特性を把握するため、地域環境に係る基礎的項目に関する資料をあらかじめ収集」するというように定めております。収集する資料といたしましては、原則として「地形・地質の概況」あるいは「地域の自然的状況に係る項目」、それから集落、人口の状況等「地域の社会的状況に係る項目」、それから「公害対策基本法に基づく環境基準の類型の指定」など「環境関係法律等に係る項目」に関する資料というふうなものを、現況の値としてそれらを収集するということになっておりまして、それらについては環境影響評価書に示しておりますが、ただいま申し上げておりますように、環境影響を推測するに当たりましては、将来交通量の推計という手順を踏んでやるわけでございますが、その数値については、非常に細かいいろいろな作業もございますので、環境影響評価書にそういったものは記すことがなかなか難しいということで、示しておりません。
  84. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 それがやはり住民の不安を起こしているのではないかというふうに思います。縦覧をして、こういうことで安心だというようなきっちりとしたアセスをしていただかなければなりません。このことに関しては、環境庁の方はどんなふうに思われておりますでしょうか。
  85. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 一般論として、環境影響評価において調査等の対象とする環境要素や項目は、建設工事なりその供用に伴いまして環境に及ぼす影響が比較的大きいこと、それから現時点で予測、評価し得るだけの科学的知見がある程度得られているもの、こういった項目や要素が選定されるわけでございます。そして、これらの環境要素や項目の中で、基礎的な資料、調査に基づいて具体的に環境影響が大きいと考えられる要素等を抜き出した上で調査を行う、こういうことでございます。  今問題になっておりますこの道路事業についての環境影響評価の場合も、先ほど建設省からお答えがありましたように、「建設省所管道路事業環境影響評価技術指針」というものにおきまして、以上のような観点から、原則的な調査、予測、評価の対象となる要素、項目が選定されているものと私どもとしては考えているところでございます。
  86. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 環境保全立場からも、この計画を基礎項目に入れて、しかも住民の皆さんたちが縦覧しても意味がよくわかる、妥当である、こういうふうなものでなければ、やはり欠陥アセスというふうに言わざるを得ないというふうに私は思います。一番は、やはりそこに住んでいる住民の皆さんたちが納得のいく、そういうものでなければアセスの意味はないというふうに私は思っております。  それでは次に、ジャンクションについてちょっとお伺いをしたいと思います。  インターチェンジとジャンクションは違いますね。それで、今のところ、インターチェンジでの手法でもってアセスが行われている。アセスの方法がインターチェンジと同様な扱いになっているということなんですけれども、通過速度がまるで違うジャンクションについて、騒音とか振動、そのほかのアセスの手法は確立されたものがありますでしょうか。環境庁、お願いします。
  87. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 ジャンクション部における大気汚染なり騒音等の予測につきましては、幾つかの手法があるわけでございます。  この高速埼玉中央道路及び上尾バイパスに係る環境影響評価におきましては、これらのうちの一つの手法が用いられて、ジャンクション部における大気汚染、騒音の予測を行っているところでございます。いずれの手法も、しかしながら適用条件等に制約がございまして、残念ながら汎用的な手法、どれか一つこれが最高だという手法の確立までには至っていない。さらにこの手法の確立について検討がなされなければならない状況にあると認識しているわけでございます。このため、さまざまな研究機関で技術手法の開発に関する調査研究が行われておりまして、環境庁でも予測手法に関する調査を実施しているところでございます。これからも予測手法の開発、確立に努めてまいりたいと思っております。
  88. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 建設省にもお願いします。
  89. 井上靖武

    井上(靖)説明員 お答え申し上げます。  ジャンクション部につきましては、道路構造とか交通が非常に複雑でございまして、その予測には技術的になかなか難しいところがございます。  そういった中で、現在ではシミュレーション手法やあるいは模型実験による方法等がいろいろ採用されておるわけでございますが、この上尾バイパスにつきましては、このうちシミュレーション手法を用いて予測しております。これは、例えば騒音の場合でございますと、自動車を点音源とみなしまして、速度とかあるいは車頭の間隔、それからパワーレベル、これは自動車から発生する音ということでございますが、これを与えまして自動車を模擬走行させまして予測するものでございます。このようにして得られた予測値は、相当な精度を有しているというふうに我々は考えております。  しかしながら、環境庁の方でも先ほど申されましたように、ジャンクションを初めとした特殊部につきましては、やはり今後なお複雑な問題に対応できる手法について研究が必要だというふうに考えておりまして、私どもの建設省土木研究所を中心にしまして研究に努めてまいりたい、このように考えております。
  90. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 今、環境庁も建設省も、最終的には確立された手法がない、これは日本音響学会で確立されたものがないというふうにはっきりと言っているわけなんですが、それにもかかわらずアセスの中で環境基準を満たしているというふうに書いてある。非常に乱暴な話ではないかというふうに思います。やはり建設省も環境庁環境保全についての認識をもう少し本当に深めていただきたいというふうに思って、これも欠陥アセスと言わざるを得ません。  続いて、高速道路には環境施設帯を設けることになっておりますが、この環境施設帯の目的、どうあるべきか、望ましいという形について環境庁お答えいただきたいと思います。環境施設帯についてです。
  91. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 実は、御質問の御趣旨が一〇〇%理解できたかどうかわかりません。環境施設帯の望ましさですか。
  92. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 はい、そうです。緩衝帯、環境施設帯です。
  93. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 それが望ましいということは、私も全く異論がございません。
  94. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 望ましいあり方について、つまり環境施設帯はこうあるべきではないか、何の目的のためにこれをつくるのかということについてです。
  95. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 今おっしゃったそういった施設は、大気の汚染を緩和したり騒音を防止したりする上で必要な望ましい施設だということでございまして、そのあり方云々という点について具体的にお答えを用意しておりません。そういう趣旨から望ましい施設だと考えているということでございます。
  96. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 私どもでも環境保全の見地から、これは緑を植えたり、あるいは二酸化炭素、排ガスを吸収したり、騒音を和らげたりと、今と大体同じことを思っているわけなのですけれども、四車線以上の高架高速道路の場合には、二十メートルの環境施設帯を道路用地として確保し、その地域は通過交通の用に供さないことというふうに通達にありますが、この上尾道路の場合には、そこの部分にサービス道路が計画されておりますが、その点については建設省はどういうふうに思われますか。
  97. 井上靖武

    井上(靖)説明員 お答え申し上げます。  今、上尾道路のことでお話ししているわけでございますので、先生が今おっしゃいましたのは、他の道路の上部に設けられる高架の自動車専用道路、一体的に、いわゆる二階建ての道路ということでお答え申し上げますが、この場合におきましては、二つの道路を合わせた交通に起因する騒音量などの増大に対応できるように、まず下の道路への対策として、当該道路の車道端から幅十メートルの土地を取得いたします。さらに、上部の高架道路の車道端から民地までの間に二十メートルの離れがあわせて確保できるように、こういう用地を取得することとしております。これらの取得した用地につきましては、先ほど先生おっしゃいましたように植樹帯とか遮音壁等を設置するものとしまして、適正に管理するものというふうにしております。  さらに、幹線道路の上部にもともとこういう高架の自動車専用道路が設けられる、いわゆる二階建ての道路におきまして、上の道路、高架道路の車道端から二十メートル離すという考えの中には、この空間の中に下の道路が部分的に重なる場合があるということがあらかじめ想定されましたので、その二つの道路からの合成騒音への対応を可能とするため、そういうことを勘案しまして幅を二十メートルとしたという経緯がございます。したがいまして、二十メートルの幅の中に一般道路の幹線道路の一部分が入り込んだとしても、特にそれが問題ということはないというふうに考えております。
  98. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 環境庁と建設省の見解に少し相違があるというふうに私には思われます。環境保全の見地から環境施設帯は設置します。緑を植えたり、あるいは二酸化炭素、排ガスを吸収したり騒音を和らげたりするのが本来の目的でありまして、その中にサービス道路が含まれてしまいますと、騒音にも排気ガスにも拍車がかかります。これでは目的が達成されないのではないかというふうに思います。環境施設帯にならないというふうに私は考えますが、建設省は、環境保全もそれから住民の安全も考えますと、環境庁のように本来のあり方を考えてほしいと思います。  最後に、私は、環境行政と建設の仕事というのは連動してやっていかなければならないというふうに思っております。環境庁二十年に当たって、国民の命を守る、あるいは環境保全をする、そういう目的から、行政指導をするという形から一歩進めて、しっかりとしたアセス制度をつくるという時期ではないかというふうに思われますけれども、長官、改めてお考えいただきたいというふうに思います。
  99. 愛知和男

    愛知国務大臣 ただいままでの委員の御質疑の中で、私もいろいろなことを勉強させていただきました。時代が変化をしている面もございます。そういう点で、新しい手法なども開発をしていかなければいけないという話も先ほど申しました。目下のところ、現在のこのやり方で不都合がないと思ってはおりますが、先ほど申しましたけれども、なお法制化なども引き続き検討をしていきたい、このように考えます。
  100. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 一刻も早くお願いしたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  101. 小杉隆

  102. 長谷百合子

    ○長谷委員 きょうは、今最も深刻な問題と言われております地球的規模環境問題について、幾つかお尋ねしたいというふうに思います。  現在、中東湾岸地域では激しい戦闘が行われておりまして、一刻も早くこの戦争が中止されることを望むものでありますけれども、その中東、ペルシャ湾には、一千万バレルを超えるという、いまだかつて人類が経験したことのないほどの大量の原油流出し、その環境に及ぼす影響はもうはかり知れないものがあると思います。もとの生態系に戻るには百年かかる、二百年かかる、あるいはもうだめだというような予測までもあるわけですけれども、こういった事態に対しまして、どのくらい効果があるかちょっと疑問があるところですけれども日本が三十一キロメートルに及ぶオイルフェンスを送ったということは聞いておりますが、既に油は広がってしまって、固まってしまったりあるいは海底に沈んでしまったりというような状況で、回収が大変困難であるというふうに聞いております。このペルシャ湾に流出した原油に対しまして環境庁はこれまでどのような対応をされてきたのか、そして今後どのような対応を考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  103. 愛知和男

    愛知国務大臣 委員指摘のとおり、ペルシャ湾における原油流出というのは、地球環境への破壊あるいは周辺の国民の社会生活に悪影響を与えるとか、まことに数々の問題を提起いたしておりまして、大変憂慮しておるわけであります。  私どもといたしまして今日までとってまいりました対応の概略を申し上げますと、まず、原油流出がはっきりいたしました一月末、具体的には一月二十八日でございますが、環境庁湾岸原油汚染対策検討プロジェクトチームを設置いたしまして、ここで鋭意情報の収集なりあるいは分析、またさらに対応策の検討などを行ってまいりました。  また、その後、OECDの環境大臣会議というのが実はパリで開かれておりまして、ちょうど海部総理の緊急の命令もあり、国会のお許しをいただきましたので、私はそこへ急遽参りまして関係国の大臣との会談などをいたしてまいりました。特に、アメリカ環境保護庁長官、あるいはイギリスのヘーゼルタイン環境大臣等と会談を個別にいたしまして、今後の連携強化を約束をしてまいりました。また、その後、二月の五日、六日には国連環境計画、UNEPでございますが、ここの主催によります関係機関の会議が開催をされまして、国連の諸機関による即時の対応及び長期的行動計画の策定等議論をされました。この会議には、環境庁から環境汚染並びに野生生物などの専門家三名を派遣をいたしまして、積極的に参加をいたさせました。その後、私とアメリカのライリー長官との個別の会談を踏まえまして、ワシントンで外務省並びに環境庁の担当官と先方との連絡を密にとりまして今日に至っているわけでございます。  話はちょっと戻りますが、ジュネーブの会議におきましては、UNEPが長期計画を策定する、こういうことになりました。この計画は、モニタリングを含む長期対策に関する行動計画を策定する、こういうことで、この行動計画策定に我が国も積極的に参画をいたしております。  御承知のとおり、ここ数日来、湾岸における状況も変化の兆しを見せております。私どもといたしましても、一日も早くあの地域の戦闘が終わりまして和平が達成できるように祈っているわけでありますが、和平が達成をした暁には直ちに行動が起こせるように、今庁内のプロジェクトチームで、その場合にはどのような専門家を派遣したらいいかということなどを中心に対策検討しているところでございます。
  104. 長谷百合子

    ○長谷委員 これから、もう既に散ってしまった油に対して長期的、世界的な連携でというようなお話だと思うのですけれども、やはり油の問題で言いますと、何が一番効果があるかといいますと、直接的に浮かんでいる油、出た油をそのまま物理的に取るということが最も有効だというふうに思うわけですけれども、これはしかし油の性質上、大体一週間で非常に回収困難に陥るということを聞いております。そういったときが、今回の問題は大変泥縄という感じがするのですけれども、こういうことが二度と起こってはならないということは当たり前ですけれども、また、こういう問題が起こったというときに対していち早く、それこそ一週間以内に現場に出かけて油を回収船を出して物理的に取るという、こういう方策についてはどうか。このことを私はやはり世界的な連携、UNEPもそうですし、いろいろな世界会議でやるのは当たり前なんですけれども、このことについての検討はどうか。そして、我が日本において実際に出すということになったときに、日本は積極的に環境的な保全に対してリードしていくというお立場ですから、そういたしたときに具体的に出す船はどの程度あるのか、あるいは機構としてどうやって出す仕組みを、今の環境庁長官お話の中でも具体的にそういう話が出ているのかどうか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  105. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 先生お触れになられましたように、今回の事故油流出と申しますのは、まず量的に大変膨大であるという点で非常に注目されるわけでございますし、それに加えまして流れた場所がペルシャ湾、これは半分閉鎖性の水域でございまして、それに加えまして比較的浅い海域だということでございますので、環境影響が非常に心配されておるわけでございます。  しかし、何よりも特徴的なのは、ここで戦争が起こっているということでございまして、今まで私どもも、過去に同種の油流出問題、国内でもあるいは外国でもいろいろなことがあったわけでございますけれども、それはいずれもいわば平和時における、例えば船が座礁したとか、あるいはオイルのタンクから漏れ出たとか、そういうことでございます。しかし今回の場合には、まさに激しい戦乱が進んでいるということでございまして、先生も冒頭に触れられましたように、例えばどの程度の量が流れたのかというのも、膨大な量だということだけは想像がついているわけですが、具体的な数値もまだわからぬというような状況でございます。  そういう状況でございますので非常に制約はあるわけでございますが、ただいま長官の方からお答え申し上げましたように、環境庁といたしましてはこれまでのいろいろなノーハウ、私ども自身が持っているノーハウ、そういったものをいろいろと活用いたしまして、状況が許せばすぐにでも国際協力ができるようにというふうに思っておる次第でございます。もちろんこれは環境庁だけでできるわけではなくて、外務省あるいは海上保安庁、通産省等々と非常に緊密な連絡をとりながら、それぞれのもち屋もち屋で協力を申し上げたいということでございます。  とりあえず、先生も御高承のとおり、政府としてとった措置といたしましては、まずオイルフェンスを送ったということでございます。既に何便かに分けて送りまして、全体で約三十キロをちょっと超える量のオイルフェンスを送ります。  それから環境調査につきましても、実はサウジ、そういったところからも協力方の要請がございます。私どもとしてもできるだけ環境調査協力ができるように、シミュレーションをやるなり、あるいは状況が許すような場合には現地に専門家を派遣するとか、そういったことも考えている次第でございます。いずれにいたしましても、私ども、できる限りこの問題に取り組んでまいりたいというふうに思っております。  それから回収船につきましては、環境庁では直接担当いたしておりません。ちょっとお答え申し上げられません。まことに申しわけございません。
  106. 浅井廣志

    ○浅井説明員 お答えさせていただきます。  先生のお尋ねでございますが、油回収船でございますけれども、これは私ども海上保安庁におきましては、主といたしまして港内とか、そういう比較的に静穏な条件下で油を回収できるという回収船、これは全国で八隻持っております。このほかに、例えば民間の石油企業でございますとか、そういったようなところで何隻か持っているという状況でございます。
  107. 長谷百合子

    ○長谷委員 八隻ということですけれども、この大きさは大した大きさじゃないということも伺っているのですけれども、それと同時に、先ほど環境庁の方からも、またさらに善処するんだというようなお答えではなくて、じゃ具体的に、今どこかでそういうことがもう一度、同じ地域でもいいですけれども、同じようなことが起こったときに、具体的に何日間でそこに届けられるか、船が届くか、あるいはそれを届けたときにどの程度効果があるか、こういうことは考えておられるでしょうか。
  108. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 もちろん、その事故なりそういった事例がどこで発生するかにもよりますが、例えば国内で起これば、環境関係者、地方公共団体はもとより国からも可及的速やかに駆けつけて対応できると思います。  ただし、外国で起こった場合に、その外国の事例によって、これはまず当該国からの要請とかそういったものがなければならぬわけでございますので、外交ルートなどを通じまして要請があれば応ずるということになります。それは場所により事例によって、何日で行けるということはちょっと申し上げられないかと思います。
  109. 長谷百合子

    ○長谷委員 ですから、そういうことじゃなくて、要請があればというようなことをやっていると手おくれになってくるということが今度の湾岸状況でも明らかになったので、新たに、緊急時にすぐに、言ってみれば救急車のようなものですか、すぐに出せるという機構をつくっているのかどうかということが関心があるところなんですね。そのことはどうでしょうか。
  110. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 今先生がおっしゃったような、すぐにでも出る、いわば救急隊みたいなものがあるかというお尋ねであるとすれば、それはまだございません。
  111. 長谷百合子

    ○長谷委員 先ほどの説明の中でも、戦闘地域だからここはとても調査もできないのだ、あるいは出すのも難しいのだというお話ですけれども、一方では、政府の方では結構、自衛隊などはあっちへ持っていったらどうかというような積極的な勧誘もしているわけですから、どうかなと。環境の方だけはそうびびっていてはいけないのじゃないかというふうにも思ったりするのですけれども、むしろ逆じゃないか。環境の方で、日本は平和憲法を持つ国としては積極的に、危険があってもやはり頑張って行こうじゃないかという姿勢を見せていく必要もあると私は思っております。それで、今まだそういうものがないということですので、ぜひそういうものを早急につくっていただきたいということをここでお願いしておきます。  続きまして、地球環境の問題で言いまして、大変重大な問題であります地球温暖化の問題。  今、地球温暖化にはCO2の排出量というものも大きな原因となっておるわけですけれども、中東戦争の中でもクウェートの油田がたくさん燃えてしまって大量のCO2やNOx、SOxが排出されて、酸性雨やそれから一層一酸化炭素の排出量がふえているということで、その影響が心配されておるわけでございますけれども、そういった問題に対して既にIPCCそれから国際的な取り組みの枠組みの条約締結のための外交交渉が開始されているということは今お話を伺いましたし、一九九二年にブラジルで開催される「環境開発に関する国連会議」での採択に向けて交渉が進められている、そういうことは結構なことなのですけれども、具体的にこの枠組み条約締結に向けての日本の姿勢というのはどんなものでしょうか。
  112. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 先生仰せのとおり、地球の温暖化もこれまた大変な問題でございます。地球環境問題、いろいろとございます。オゾン層の破壊あるいは熱帯林の減少等々たくさんございますが、その中でも特に温暖化の問題というのは、長期的に人類社会の生存基盤まで覆す危険性を持っているということで、私どもも憂慮いたしておりますし、国際的にも大変大きな問題になってございます。  この問題をめぐりまして、あちらこちらでいろいろな国際会議が開かれておりますが、まさに今先生がおっしゃいましたように、九二年の六月にブラジルで開催されます国連環境開発会議、この場で地球温暖化防止のための枠組み条約、そういったものを何とか締結にまで持っていきたいということで各国とも努力をいたしておるわけでございます。今月の四日からでございましたが、そのための第一回の条約交渉会議というのがアメリカのワシントンの郊外で開催されております。私どもといたしましては、地球温暖化防止の非常な重要性にかんがみまして、環境庁はもとよりですが、すべての省庁一丸となって当たりまして、何とか実のある交渉ができますように、そしてみんなの希望でありますように、来年の六月までに枠組みについて合意ができますように積極的に取り組んできたところでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、私ども、昨年十月に温暖化防止行動計画というものを取りまとめておりますので、こういったものを踏まえまして、かつ、途上国の必要性とかそういったものも勘案しながら条約交渉に臨んでおるわけでございます。
  113. 長谷百合子

    ○長谷委員 昨年の十月に地球環境保全に関する閣僚会議地球温暖化防止行動計画というものが出されました。これはいろいろ何度も検討させていただいたのですけれども、この中に、行動計画、いろいろなメニューがいっぱい並んでいて、なかなかいろいろな方法があって、一見すると大変展望もあるように見えるのですけれども、よく読んでみますと、何回読んでも国民にとっては必ずしもわかりやすくない。と申しますのは、二酸化炭素の削減の目標を二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルで安定化するということですけれども、そもそも一九九〇年レベルで本当に温暖化が防げるのかという問題もあります。一人当たりの二酸化炭素排出量と、もう一つ二酸化炭素総排出量と二本立てで言われているわけですけれども、二つの目標があるのはどうも国民にとってはわかりにくいと思います。  そして、やはりこれは地球レベルの問題ですから、ある試算によりますと、二〇五〇年ぐらいまではいわゆる開発途上国のCO2の排出量というものはどんどんふえてくるというようなことが試算されているわけです。こういった問題を組み込んでいるのか、その辺の問題、ちょっとよくわかりませんが、どんなことで試算されているのでしょうか、根拠を教えてください。試算の根拠です。
  114. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 温暖化の場合には、例えばフロンなどと違いまして、生産なり消費のところだけを抑えればいいというわけになかなかいきません。と申しますのは、温暖化を促すガスというのはいろいろとございまして、特に炭酸ガス、これが恐らく五割を少し超えると思いますが、そのほかにフロンもございますし、メタンガスもございますし、窒素酸化物系統のものもございます。  そんなわけで、そういったものを全部見据えた上で温暖化防止をするための行動計画というのを、関係省庁ともども昨年の十月につくらせていただきました。今先生お触れになりましたように、かなり広範な領域をカバーしておりますので、一見してちょっとわかりにくいかもしれませんが、私どもとしては、いずれの施策も必要だということでたくさん盛り込んだわけでございます。  今先生お尋ねの、特に二酸化炭素の目標につきましては、いわば一人当たりの排出量をおおむね一九九〇年レベルで二〇〇〇年以降安定ということと、総排出量で二〇〇〇年以降九〇年レベルで安定という二つあってわかりにくいということでございますが、私どもといたしましては、まず、計画に書かせていただきましたけれども、この行動計画に盛り込まれた広範な対策を実施可能なものからまずやることによって、一人当たりの排出量でした場合に、おおむね九〇年レベルで二〇〇〇年以降安定というのをまず第一段に掲げまして、第二段といたしましては、さらに努力をする。例えばどういうことかといいますと、現状ではなかなか実現可能性がやや低いと思われるものであっても、技術革新などが早期に大幅に進む、例えばどんなことかといいますと、太陽光でありますとか燃料電池でありますとか新しい技術、そういったものが今思っている以上に進む、そういう状況をつくることによって大幅に進展すれば、総排出量においても安定できるということを考えて、その二つを合わせて一本の目標として掲げさせていただいたわけでございます。  そのほかに、この行動計画の目標の中には、先ほども触れましたが、メタンとかそういったほかの物質も温暖化に大きな影響を与えますので、それについても触れているわけでございます。  いずれにいたしましても、この行動計画地球温暖化問題が非常に国民的関心になり始めたのは本当にここ一、二年の問題でございます。まだまだ国民の各界各層に十分に定着しているとは私ども思っておりませんで、したがって、この平成三年度予算でいろいろな予算化をいたしまして、施策を推進することによりまして、先ほど言いました技術開発の促進はもとより、国民各界各層の方に温暖化防止行動の必要性といったものを認識してもらうような努力を重ねていきたいというふうに思っております。
  115. 長谷百合子

    ○長谷委員 今いろいろ説明を聞いて、要するに、できる限りでというようなニュアンスが大変強く、努力といっても、まあ何とかなるだろうというような程度で、なかなかあいまいで、これで本当に二〇〇〇年以降レベルが安定するというようなことは大変不安なのですけれども、きょうは外務省の方がおいででしたら、私、ちょっとお尋ねしたいのです。  例えば、さっき言いましたように、開発途上国のCO2の排出量ということに対して、やはり今の御答弁の中にもあったように、新しい技術、太陽とか地熱あるいは風力、こういったものを使うようなさまざまな技術というものがあるのですけれども、こういう技術協力に対して、例えば無償でやるというような、ODAですね、協力、海外援助、こういったことを積極的にやっていくべきではないかと私は思うのですけれども、そういったことは考えられておるでしょうか、具体的に。
  116. 小島誠二

    ○小島説明員 お答え申し上げます。  私どもも、地球的規模環境保全という問題の重要性は非常に強く認識しておりまして、そのために、私ども政府開発援助を通じて途上国を支援する分野は非常に多いと考えております。  先ほど御指摘のございましたCO2排出対策等等を含めまして、私どもといたしましては、主として技術協力、この中には専門家途上国に派遣するという手だてがございます。さらには、途上国から研修生というのを日本に招きまして、いろいろなコースを設けましてそこで技術移転をし、勉強していただく、訓練をする、そういった主として技術協力を通じまして技術の移転を図ってきておりますし、また、今後ともこの問題の重要性にかんがみまして一層こういった分野での協力を重視いたしまして拡充を図っていきたいと考えておるところでございます。
  117. 長谷百合子

    ○長谷委員 いつもODAのことで言われるのは、そういう専門官を派遣して、技術というものを持っていって、しかしそこのプラントに関しては日本の資本がばっちりもうけてくるんじゃないかというようなことが言われているわけですよね、批判されていると思うのですけれども。技術自体、技術といっても、私は具体的に聞きたかったのですけれども、例えば原発をやるなんということになってしまっては困るわけですから、具体的な新再生可能エネルギーを使った技術というふうに限定して、しかもそのプラント自身を持っていくようなもの、そういう計画ですね、協力をしたというのが、ただ技術者を出したとか専門官を出したということではない協力ということは考えているかということをちょっと聞きたかったのですけれども
  118. 小島誠二

    ○小島説明員 お答え申し上げます。  私どもが実施しております技術協力の中には、単に人が、専門家が参りましたりあるいは研修生を招くということのみならず、機材の供与ということも可能でございまして、機材の供与を通じまして、専門家を派遣し、また研修生を受け入れ、そういった機材を通じて技術の移転を図るということも可能でございます。また、私どもプロジェクト方式の技術協力と言っておりますけれども、これは専門家の派遣、研修員の受け入れ、さらには機材供与、こういうものを一つのパッケージといたしまして協力をいたしておりますけれども、こういった協力の手段を通じて機材を使いながら技術移転を行うことは可能でございます。  若干の例を申し上げますと、例えばタイにおきまして環境研究研修センターでございますとか、あるいはこれから始めるものでございますけれども中国におきまして環境保全センター、さらには、最近検討している案件でございますけれども、インドネシアにおきまして環境管理センター、こういったいわゆるセンターというものについての、これは無償資金協力で、建物でございますとか機材について協力をいたしまして、それと技術協力を組み合わせまして総合的な形で途上国に技術の移転をする、こういった努力をしてきておるところでございまして、将来につきましてもこういった協力を拡充していきたいというのが私どもの考え方でございます。
  119. 長谷百合子

    ○長谷委員 それから、行動計画の中では、二酸化炭素の排出の少ない都市構造の形成とか交通体系の形成あるいは生産構造の形成、エネルギー供給構造の形成というふうにありまして、それから最後、二酸化炭素の少ないライフスタイルの実現という項目があるのですけれども、このライフスタイルの実現というところが、私たちがこの行動計画を受けて具体的に身近な中でやっていかなければならない部分だと思うのですけれども、このライフスタイルを含めた見直しということが必要だと思います。このバランスといいますか、先ほどからの議論の中でも割合技術ということ、技術も、例えばCO2の固定化をする装置なんというのはまだ開発が始まったばかりで、それができればまた新たな環境問題が出てくるだろうというふうにも思われるような技術も入っておりますし、そういったまだ未知の部分が大きいのですけれども、その期待度といいますか、実際にCO2を削減するときにどちらにどの程度のバランスをもってそれを考えているのか。  具体的にライフスタイルを見直したときに、日本政府としては、例えばエコロジー税なんという、ヨーロッパではかなり検討されていて、幾つかの国では実際に導入されているわけですけれども、こういうものをしないでやっているのが日本のやり方なんだ、技術で乗り越えていくんだということをかなり言われておりますけれども、先ほど言いましたように、何しろ技術で乗り越えていけば済むというのじゃなくて、新たな環境破壊という心配もありますので、その辺のところを具体的に、日本でライフスタイルの見直しという対応等、それからガソリン税ですかね、ガソリンと言っていいかわかりませんけれども環境税というようなものについてどういう見解をお持ちか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  120. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 先生指摘のように、行動計画におきまして、ライフスタイルを見直していこうということを提言いたしております。具体的には、例えば紙あるいは瓶とか缶とかそういったもののリサイクルを進めていこうとか、あるいは過剰包装とか自販機だとか、エネルギー多消費型の私どもの生活のあり方みたいなものを見直したらどうだとか、そういうようなことを提言をいたしております。  私どもといたしましては、地球温暖化防止というのは、先ほど先生お触れになりました、交通から都市構造それから生産体系、エネルギー、あらゆる分野にわたり、しかももう一つ、例えば植生でありますとか緑をふやすとかいろいろな分野にわたっておりますので、それらを一つ一つできるところから実施していくということが大事だというふうに思っておりますので、このライフスタイルの変更につきましてもいろいろな意味でやっていきたいと思っているわけでございます。もちろん、ただ声をかけただけではなかなかだめでございますので、進みませんので、例えばリサイクルについて言えば、リサイクル法を今国会に提出をするといったようなものもその一つのあれだと思いますし、それから冷暖房の温度を適正にしていくということによっても、全体の量から見れば少ないかもしれませんけれども、それなりに効果のあることができるのではないかと思っております。  このライフスタイルの見直しというのは、言うはやすくして実際に行うのはなかなか難しい典型でございますけれども、先ほども触れましたように、環境教育なりあるいはいろいろなところに、各界各層の方に呼びかけることによって、また政府自身もできることはやっていくということによって何とかこの面でも成果を上げていきたい。またそうしないと、先ほど言いましたような炭酸ガスの排出の量をおおむね現状で二〇〇〇年までに安定化するというのはなかなか難しいということでございますので、この面も一生懸命やっていきたいというふうに思っているわけでございます。  先ほど先生のお触れになりました二番目の環境税というようなもの、それはカーボンタックスとかいろいろな名前になってございます。確かにこれにつきまして、オランダとかスウェーデンとか一部の国で既に炭素税が導入されておりますし、またOECDにおきましてもこの問題が検討されております。私どもといたしましても、こういう経済的な手法、例えば税を課すというそういった経済的手法によって環境保全型社会を形成していく、特に温暖化に対して効果を上げていくというのも一つの可能性だと思っておりまして、諸外国の動向を見ながら、またOECDなどの国際機関での検討状況を踏まえながらこのいわゆる環境税につきましても十分検討していきたいと思っている次第でございます。
  121. 長谷百合子

    ○長谷委員 全般の姿勢ということに関しては大体わかるのですけれども、しかし本当に、どの分野でどこまで対策を進めるとどの程度減っていくんだというようなものがもう少し見えてきませんので、少し具体的なところで定量的に示していただきたいと思うのです。  例えば自動車ですね。自動車の燃費改善を進めるといいますけれども、これを現在と比べて二〇〇〇年までに何%改善するということを考えておられるのか、こういうふうに改善するとどれだけ二酸化炭素が減るのか、ちょっと見えやすい形で出していただけたらと思うのです。
  122. 南戸義博

    ○南戸説明員 お答えいたします。  自動車の燃費向上対策につきましては、従来からエネルギーの使用の合理化に関する法律に基づきまして燃費目標値を設定すること等によりまして、より燃費のよい自動車の普及促進を図ってきたところでございます。しかしながら、近年の経済活動水準の高度化に伴うエネルギー需要の増大、それから大気中の二酸化炭素の濃度上昇に伴う地球温暖化問題等への関心の高まりに関連して、省エネルギーの重要性はますます増大してきていると認識しております。  こうした状況に対処するため、国内交通機関全体のエネルギー消費の大部分を占める自動車の燃費改善を一層進める必要があり、自動車のエネルギー消費効率、一般に燃費と言っておりますけれども、これの改善を促進するための目標等に関しまして、学識経験者、自動車ユーザー代表、自動車製作者代表等から構成される自動車エネルギー消費効率改善検討会を運輸省としては通産省と共同で開催し、現在検討を進めているところでございます。  今後、本検討会において、自動車製作者等に対する燃費改善技術の開発状況に関するヒアリング、実車走行実態調査等を実施し、その結果を踏まえて、平成三年中を目途に燃費改善の目標値及び目標年度、目標値達成のための方策等について提言が取りまとめられる予定でございます。運輸省といたしましては、エネルギーの使用の合理化に関する法律をともに所管する通産省と連携をとりながら、この提言を踏まえまして、自動車の燃費改善に向けて所要の措置を講ずることといたしたいと考えております。  したがいまして、先生指摘の、二〇〇〇年までに何%かというのは、こういった検討をし、提言をいただいて、それを踏まえて行政上具体的な措置を図って、こういった方向での技術開発を促進してまいりたいというような状況でございます。
  123. 長谷百合子

    ○長谷委員 要するに、これからつくっていくというふうに今理解いたしましたので、まだ今の段階では、こういうことでどれだけ減るとか、減らないとか、どうなるということは、はっきり言ってまだまだわからないというふうに理解いたします。もう少しはっきり目に見える形で、どこを努力し、何がどう変わってということを私は聞きたかったのですけれども、この後、モーダルシフトのこととか、それから立体交差、あるいはバイパスとか道路の構造とか、こういったもので変えていくということも盛り込まれていますけれども、こういった質問に関しては、詳しく聞いても恐らく何も出てこないということで、私は、そういう問題はここでやめることにいたします。  それから、さっきも言いましたように、技術革新といっても、新たな環境破壊を起こすような技術ではなくて、交通を緩和をするために立体交差をつくったり、あるいは交差点を変えたり、もっと環状道路をつくったりすれば、流れればCO2が減るなんという言い方は、私はとても納得しがたいというふうに思います。ですから、そういうことではなくて、水力、地力、太陽熱、風力というものが出されております。こういった技術の方にやはり一層の力を入れて、技術といえばこういうエネルギーを、化石燃料を全く消費しないような形のものに変えていく、そういう方向で進んでいってもらいたいというふうに思っております。  それと、CO2の問題で言いますと、これは大変深い関係にあるのですけれども、熱帯雨林の問題がございます。熱帯雨林は、つい最近も発表されました世界資源研究所による「世界の資源一九九〇年─九一年」というものによりますと、この熱帯雨林の減少は年間二千万ヘクタールと推定されているというふうにこの間出ておりました。それから、熱帯雨林消失の危機がもう本当に世界じゅうで叫ばれていて、何とか食いとめなければということはあちらこちらで言われているのですけれども、スピードは一向に減らないどころか、加速している。以前、一九八〇年のデータでFAOが推計したときには千百万ヘクタール、これからいってもかなり速いスピードになっているというふうに思います。それで、日本の商社が一〇%から一五%、マレーシアからの熱帯林の材木の輸入を減らすということを決めておりますけれども、それは結構です。  こういうことを気にしながら、私たち自身日本の使い捨ての文化というものを見直していかなければならないだろうというふうに思うのですけれども、そういったことも結構だけれども、とてもそれだけではもう食いとめられるというふうには思えません。ですから、この問題を食いとめる根本的な解決というのは、持続可能な開発、再生可能な開発というようなことも言っておりますけれども、そういった悠長な問題ではなくて、やはり今すぐ全面的に、森林には手をつけないのだというふうなことをやっていかない限り、本当に熱帯雨林の消失ということを防ぐことはできないのじゃないかというふうに思っております。そういったためのモラトリアムといいますか、今までなかなかそういうことはないのですけれども、何もしないということに対して、日本が積極的にお金を出していくということを考えていかなければいけないだろうというふうに思いますけれども、一方で四百三十兆の巨額の公共投資というものも、中身で環境という部門もあります。しかし、環境という部門があっても、そのことは、相変わらずコンクリートを使った公園をつくってみたり護岸を整備したりというような形で、自然を次の世代にそのまま残していこうじゃないか、こういう発想とは全く別の観点になっているかというふうに思います。こういう四百三十兆なんというお金を、日本の森林もそうなんですけれども、そういったものにモラトリアムとして積極的に出していくという発想の転換をしてほしいなというふうに思っておりますが、それはとにかくといたしまして、熱帯雨林に対してモラトリアムで保護しようという、こういったものに対して、外務省の方がいらっしゃるのでちょっとお聞きしたいのですけれども、例えばODAという形で、何もつくり出さないけれども援助をするということを考えてほしいと思うのですが、どうでしょうか。
  124. 小島誠二

    ○小島説明員 お答え申し上げます。  環境保全、なかんずく熱帯雨林の保存あるいは森林の保全あるいは造林、こういった分野、問題というものは、私ども政府開発援助、この目的の中ではますます非常に重要な意義といいますか地位を占めてきておると考えております。熱帯雨林の保護でございますとか、あるいは造林、特に造林でございますけれども、これは技術的にも困難でございますし、また時間もかかるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、いろいろな工夫をしていく必要があると考えております。また、森林の保全ということにつきましては、これはよく言われることでございますけれども、貧困でございますとか人口でございますとか、そういうものと結びついた問題でございます。したがいまして、私どもといたしましては、こういったものを総合的に、幅広い取り組みが必要ではないかと考えておるところでございます。  具体的に申し上げますと、私どもはベーシック・ヒューマン・ニーズということを言っておりますけれども、私ども政府開発援助の約三分の一がそういった貧困といいますか、住民の基本的な生活の質をよくするといった分野に非常に振り向けておるわけでございまして、BHNと申しておりますけれども、こういった分野でのODAというものを一層拡充したいと思っております。  それから熱帯林保護につきましては、これは私ども、いろいろな方策あるいは援助の制度を活用いたしまして努力をしておるところでございます。先ほどの御説明と若干重複いたしますけれども、簡単に申し上げますが、まず、無償資金協力によりますセンターの建設、プロジェクト方式技術協力によります植林等の技術の移転、人材の養成、それから開発調査という制度がございますけれども、これによりまして森林の保全でございますとか、あるいは植林についての計画をつくることをお手伝いするということ、さらには、有償資金協力、円借款でございますけれども、これを用いまして造林事業等に対して資金的な協力をする、こういったいろいろな二国間での協力の制度を活用して努力を続けてきておるところでございますし、また、国際熱帯木材機関、その他国際機関を通じまして、一層の支援に努める所存でございます。  今後とも、国際場裏での議論を踏まえまして、こういった問題に積極的に取り組んでまいるつもりでございます。
  125. 長谷百合子

    ○長谷委員 だから、今までそういうふうにもやられていたということで、その延長ではちょっとだめなので、発想を変えてもらいたいということを重ねてお願いして、ちょっと時間がないので先に進みます。  今、森林の問題に行きましたので、日本の森林の問題にも同じような深刻な状況、熱帯雨林とはちょっと性質が違うかもしれませんけれども日本の森林の乱開発による環境破壊、森林破壊ということは深刻な状況になっております。  これは、一九八七年はリゾート法が成立いたしまして、そのときにも、森林法なんかも解除いたしましたので、適用から除外するというようなことがありましたので、いろいろ心配がございましたけれども、このときも、国土庁長官だったと思いますけれども、自然環境破壊ということはまあ心配ないだろう、そういうことはないよ、あるいは、法文の中にも「自然環境保全との調和」というふうにうたわれているのですけれども、今の日本の森林は、大変な状態、大変な破壊という深刻な問題を起こしております。具体的に環境庁もこのチェックをするような機関として入っておりましたけれども、具体的にどんな環境保全のための手を打ってこられたかというふうに思います。ちょっと伺いたいのです。
  126. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法でございますが、この法律に基づきまして、リゾート構想を策定するに当たりましては主務大臣の承認が必要である、都道府県の基本構想について主務大臣の承認が必要である、主務大臣がこの基本構想を承認するときは環境庁に協議をするという仕組みになっているわけでございます。私ども環境庁としては、良好な自然環境を生かすべきリゾート地の整備、リゾート地の本来のあり方として、良好な自然環境を生かすべきものだというふうに考えておりますので、そのリゾート構想によって環境破壊が生じませんように、構想を練ります早い段階から十分な調整を図るように努めているところでございます。  それで、この構想についての協議を受けました場合には、一つは、国立・国定公園の保護と適正な公園利用を確保する、あるいは貴重な動植物を保護する、さらには公共用水域の汚濁を防止する、そして適切な環境アセスメントを実施する、こういったところで環境保全観点から総合的に審査をしまして、必要な意見を付しているところでございます。  具体的に、一般的に私どもが申し上げている意見を御紹介いたしますと、国立・国定公園内に設置される施設につきましては、事業実施に際しまして、自然公園法の手続というものが定められておりますので、個別にその適否を審査をいたしますよということを申し上げております。また、大規模な事業につきましては、さらに詳細な検討を加えた上でその規模、配置の適正化を図るようにということを申しております。そして、すぐれた自然環境保全に努め、景観との調和に配慮しながら、緑化、修景を行うべきである、まだ構想の段階でございますので、こういったような意見を通常付しております。また、その個々の事業の実現の段階で、冒頭申しました国立公園内の個々の手続をとらせるというような形で、環境破壊につながらないように十分配慮をしているところでございます。
  127. 長谷百合子

    ○長谷委員 ですから、そういう一般的なことを言われても、実際もう乱開発が起こってしまって、環境破壊が問題になってしまっているわけですよ。そういうところに対する環境庁としての反省といいますか、これでは幾らまた同じことを言われて、こういうふうにやっておりました、やりますと言われたって、とてもそれは何の力もないというか、言っているだけじゃないかというふうに国民は思うしかないわけですよ。一体環境庁は何のためにあるのだろうか、そういう気さえもするわけですね。だから、今までどおりにこういうふうにやっておりますというようなことだけではとてもだめだ。  私は、一つ思うのは、環境庁がいろいろ頑張っておられるということはわかるのですけれども、予算なんかを見ましても、環境庁だけではたった五百億程度ですね。それで、環境保全全体にいけば、各省庁が握っているのが一兆五千億ぐらいでしたか、持っております。こういうものをやはり実際に環境庁がちゃんと手にして、責任を持って──いろいろなところを見たけれども、結局建設省の言い分が通ってしまったり、通産省の言い分が通ってしまったりというような現場を私はあちらこちらでよく見ますので、こういうことでは環境庁はなかなか思うような政策ができない。環境を中心とした、環境庁長官がおっしゃったような、世界のリーダーとしてやっていくんだというようなこととは全くほど遠いのじゃないかというふうに思うんですね。だから、こういう環境庁を、本当に私たち期待しているような、環境行政を担えるような、環境省にしていくとか、各省庁に散っているようないろいろな環境部門というものを統合して、もう少し本当に前向きに──もう口で言ってもだめなんですよ、みんなわかってしまっている。美しいことをおっしゃっている、そのとおりだけれども、なかなか思うようにいかない。こういうことを本当にどうやって解決するかということをぜひ真剣に考えていただきたいと私は思うのです。  そういったことを重ねてお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
  128. 小杉隆

    小杉委員長 竹内猛君。
  129. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 先般の愛知環境庁長官所信表明に関連をして、まず長官の環境行政に対する政治姿勢について三、四点質問すると同時に、前回からこの委員会質問してきました霞ケ浦の浄化問題、それから環境破壊につながる新空港の建設問題、そして産業廃棄物の不法投棄という問題、この点について質問をします。  まず最初に、環境庁長官所信表明の中で、地球的規模から考えて、地域から行動を起こすという考え方に立って、それから、一貫してこの包括的な環境行政をやるというすばらしい発想から、二十一世紀は環境問題が山積するから、新たな決意で臨むと言われました。  さて、一月二十六日ですか、仙台の自民党の政経パーティーにおいて、よそ者が環境運動に入ってきた、イデオロギーも入っている、関係のない者はやるべきではない、こういう御発言があった。運動に偏向を来している、こういう批判もした。これに関連して、早速私たちのところに環境運動の団体から、環境庁長官は前の長官とかなり変わったな、こういう批判がありました。これは時代に逆行するのではないか、こういうふうに言われていますが、この点は事実ですね。まずいですね。いかがですか。
  130. 愛知和男

    愛知国務大臣 環境保全型社会づくりという大きな理想実現のためには、国民が一致、一丸となって協力体制を組んで取り組んでいかなければなかなか達成できないまことに大きな課題である、このように考えておりまして、国民各界各層の理解と御協力を得ながら環境行政を進めていく必要がある、そのように考えておる次第でございます。  御指摘のございました私の仙台での発言でございますが、御指摘のとおり、自民党の政経文化パーティーの始まる前のごく限られた時間の中での発言でございまして、意を尽くせなかった点等がございまして多くの方々に誤解などを与えてしまったことはまことに不徳のいたすところでございまして、この機会におわびを申し上げますとともに、私が申し上げたかったことを改めて申し上げさせていただきますと、私が申し上げたかったのは、そこへ住んでいらっしゃる住民以外の方々による環境保護運動を否定をしたつもりでは全くなくて、これらの方々の運動を、そこの地域に住んでいらっしゃる方々の、住民の理解と協力を求めていくという方向で展開されると本当の最終的な目的を達成できるのではなかろうか、このような趣旨のことを私は言いたかったわけでございまして、先ほど申し上げました環境行政あるいは環境の大きな目的を達成していくためにも、多くの方々の理解と御協力、一致団結した取り組みが大変大切だということを強調したかったわけでございます。  そういう点で申しまして、我が国ではこれから数多くの、いわゆるNGO、市民団体なども育ってほしい、このように願っているわけでございまして、私も既に多くのいろいろな方々とお会いをいたしておりますが、これからもさらに精力的に、こういった市民運動などをやっていらっしゃる方々と十分お話をし、また、そういう方々の御協力を得ながら、再三申し上げておりますとおり、国を挙げて、国民を挙げてこの環境保全型社会づくりと申しましょうか、この大事な地球を我々の子供、孫の代に伝えていく、伝えるだけではなくてもっとよくしていく、そのためには大変これは多くの努力が必要でございますが、そういう先頭に立って頑張っていきたいと思っておりますので、よろしく御理解のほどをいただきたいと思います。
  131. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今の御答弁を聞くと、かなり内容が充実していると思いますが……。  あのときに、引き続いて気仙沼でもまた妙な発言をされましたね。というのは、新月ダムの建設について反対をする人がその土地を買った、この運動、これはちょっとおかしいじゃないか、こうおっしゃられたですね。  それから長良川も、この河口ぜきの問題についても、これも前の長官は現地に足を運ばれて、そして長い工事期間ですからこの辺で一服して再検討しろと。建設省は、これは促進しなければならない、そういう役割がある、水資源公団はあるらしいからね。ところが一般の世論調査によると、あの長島町というところの町はこれをやられるとやはり被害が大きいという形で、世論の調査をすると四割から六割ぐらいが反対という声が強いですね。  そういうことを考えてみた場合に、やはりこの環境保全するという段階からすれば、長良川の問題についても前の長官が努力したぐらいの努力、それ以上のことをされても悪くはないじゃないか。私はやはり、この二十一世紀というのは、平和と環境と人間を大事にする政治でなきゃだめだと思っているのです。そういうことになると、この環境というのは一番大事ですよ。本来なら環境庁なんというのは環境省ぐらいにして、予算を六百億なんという程度じゃだめなんだ、これは。大体日本環境の予算を全部集めれば一兆四千五百十三億あるというのだ。こう説明されたのですよ、この間。このくらいのものを環境庁が握って、そして本当にすばらしい環境行政をやってほしいというのは、たしか前の総務長官かな、環境省というようなことを言ったことがある。  委員長はにこにこしているけれども、この委員長はなかなか熱心ですからね。環境については本当に熱心で、どこへでも飛び込んでいって勉強する。いや、私は一緒に行って知っている。だから、長官もしっかりひとつやってもらいたい。それで、さっきの新月ダムの問題や長良川についてはしっかりした答弁をひとつ。
  132. 愛知和男

    愛知国務大臣 お答えをいたします。  新月ダム、気仙沼の件に関しましては、私は特に発言をいたしておりませんで、何かのお間違いではなかろうかと思っております。  それから、長良川の問題に関しましては、私は特に後退発言をしたつもりはございませんで、前の長官が出されました見解に沿いまして私も発言をしているつもりでございます。  先ほど一般的に申し上げましたけれども、このような問題については大変大事な課題認識をいたしておりますが、やはりそこに住んでいらっしゃる住民の方々のこれは理解と協力がなければ目的を達成することができませんので、そういう意味で、その点を大変重要に考えつつ、そういう方方に必要とあれば説得をする、理解を求めていくという行動をしていく必要があるのではないか、このように思っております。  なお、環境庁をもう少し権限をふやすべきだ、こういうお話でございますが、実は一月の末にパリで開かれましたOECDの環境大臣会議に参りましたその際に、イギリスの環境大臣と個別に会談をする機会がございました。この人はヘーゼルタインと申しまして、御記憶があるかと思いますが、サッチャー首相を引きずりおろしたと言うと表現があれかもしれませんけれども、有名な人なんでありますが、イギリスにおける環境大臣の管掌の範囲を聞きましたら、日本の自治省から建設省から、それから運輸省ですか、何かいろいろなのを全部含めたような部分を全部担当していると聞きまして大変びっくりいたしまして、それに比べて我が環境庁はまことにこれは狭い範囲だ、こういうことを感じました。  これは国全体の行政のあり方の問題ですから、私が軽々しく申し上げてはいけないかもしれませんし、あるいは申し上げてもすぐそれがそうなるということではございませんが、とりあえず今与えられましたこの範囲の中で、先ほど御指摘ございましたけれども、精いっぱい、私も年も若うございますし、大いに行動をいたしまして頑張っていきたいと考えております。
  133. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 また必要があればその都度注文をし御注意を申し上げますが、新月ダムの問題は、これはもう毎日新聞が記事を出していますから、この記事を取り消すようにひとつよく調査をしないとぐあいが悪い、こういうふうに思います。  そこで、今度は去年に引き続いての問題でございますけれども、霞ケ浦の問題でたしか午前中に同僚の方から御質問があったと思いますが、そこで私は、去年もずっと続いてきたわけですけれども、昨年もこの委員会が現地に行きまして、それで自治体やあるいは住民運動の方々の意見をお聞きしました。そのときに四団体の意見がありましたが、その四団体の意見を総括すると、霞ケ浦のようなああいう膨大な汚染をされた地域においてのこの浄化問題というのは市民運動の限界を超えているものである、どうしてもこれは社会問題であり、政治問題であり、経済的な背景、裏づけがなければこれはだめだ、こういうことでありまして、政治経済的な対応が必要だということであり、その後いろいろな要請がございましたが、昨年の七月から、地元の常陽新聞が社を挙げて月一回のディスカッションを、シンポジウムをやっているのです。ことしの二月十六日に第八回目の会議がありました。自民党からは中山議員、それから私も出ましたし、公明党からも地元の県会議員が出て、それから地元の市町村長、それから住民運動の代表、それから学者としては筑波大学と茨城大学の教授が出て、いろいろと約四時間議論をしました。その四時間の議論を通じて問題になったことは、やはり去年のここで出したこととほとんど変わってない。変わるわけがない、水がよくならない限り、いつだって同じことを言うしかないですね。  そこで、ことしもまた同じことを申し上げるのですが、第一の問題は、去年ここで茨城県の環境局長を参考人に呼んで、ともかくこの一つの常陸川水門という問題がどの会議をやってもこれは出てくる、ところが役所の方からは、常陸川水門の水なんというのは大したことはないんだというようなことを公表をされたことがある、そうなると疑問がますます深まるわけだから、やはり関係の者、漁協、農協あるいは市民団体、自治体、国、県、それから関係する学者もいいでしょう、そういう人々と一堂に会して話し合いをする、そしてそこで、お互いに犯人を探るのではなしに、やはりこの水を汚している者、これはある者は加害者被害者になる場合もあるし、だれが犯人だというのではなくて、それぞれが自分の持っている立場から、湖をきれいにするんだという、官民一体というかそういう運動が必要だということで、ぜひこれをやってもらいたいということを要求したけれども、いまだに、環境局長が微力なのか、やる気がないのか、できていない。  それで、これはそこに集まった多くの皆さんは、第一にそのことをやってもらいたいというのが、これが住民の要求なんだ。さっき言ったように地域の住民の要求ですから、長官、よく考えてください。よそから来て騒ぐんじゃないのですよ。霞ケ浦周辺の地域の要求だから、これは聞いてもらわなければ困る。よそから来てあおるんじゃない。私も地域に住んでその水を飲んでいる。そういうことですから、これについては、これは環境庁がやるのか建設省がやるのか、そこに建設省が来ているから、一緒になってこれは県を督励してやってもらいたい。琵琶湖は既にもっともっときれいになるための努力をしているはずだ。同じ一級河川でありながら、何で霞ケ浦がそれだけ緩んでいるのかということについてはちょっとわからない。その点について。
  134. 武智敏夫

    ○武智政府委員 お答えいたします。  竹内先生お話しの霞ケ浦の水質保全に関連いたしまして、官民一体で会合を持つべきではないかというようなお話、昨年四月、五月、六月、三回にわたって御提案があったことは我々の方でも承知いたしております。そういうこともございまして、当時の局長から県の環境局長に、国会でも先生指摘のようなことでお話があったわけでありますが、環境庁としましても二度にわたって、県で開催するような方向で考えてほしいということで要請をいたしたわけでございます。  県におきましては、その後環境局が中心になりまして、水ですとか土地ですとか全体的なことをやっております企画部ですとか、あるいは農林水産部ですとか農地部ですとか土木部ですとか、それから工業用水等を担当いたしております企業局がございますので、そういった関係部局で、この会合を持つことについて協議を数回持ったようでございます。  特に、竹内先生からお話がございますような常陸川水門の取り扱いに関連しまして、この問題は非常に微妙な問題といいますか、かなり複雑な問題があるようでございますが、水道用水なり工業用水なりあるいは農業なり水産業、それぞれ事情が違っておりまして、利害が非常に錯綜いたしておるようでございます。そういうこともございまして、関係部局の調整が難航したというような報告を実は聞いたわけでございます。  そういうこともございまして、昨年の十月、私が就任してからでございますが、いわゆる関係部局を統合いたします県の副知事さんに直接お会いいたしまして、再度開催について要請いたしたわけでございますけれども、残念でございますが、現時点でなおまだ県において調整に時間を要しておるというのが現状でございます。
  135. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題はぜひ県を督励して進めてもらいたい。これは要請ですね。  次に質問をします。  この霞ケ浦の周辺は低湿地地帯でして、関東有数のため池の多いところでもあります。そういうところですから、この汚染を防ぐために、し尿処理であるとか家庭の雑排水であるとか、そういうものを処理するという力が非常に少ない。流域下水道というものをつくるとすると非常に金がかかる。そうだとすればその他の方式しかない。そうなると、今農林水産省がやっている集落排水、この事業が一番適切だという形で、補助率も高いということで喜ばれておりますね。  ところが、現実にこの周辺の下水道状況を見ると、外国と日本を比較するのはちょっと恐縮ですが、イギリスが五七、西ドイツが九一、スイスが八五、日本が平均で四〇、茨城県は二九、霞ケ浦周辺は二一%。同じ湖を持っている琵琶湖が三四、私の郷里は長野県の諏訪湖ですが、これは五四%。だから、そういう点で非常に下水道の施設がおくれている。だからなかなか処理もできないという形にもなるけれども、この点を進めてもらわなきゃならないのです。  そこで、これは農林水産省に伺うわけですけれども、農林水産省としては集落排水ですか、この事業の十年展望というのをつくっているようですが、そのときに四五%まで上げようという。現在はここは二一ですね。これについての展望はどうですか、農林水産省。
  136. 丸山利夫

    ○丸山説明員 お答えいたします。  私ども、この農業集落排水事業、言ってみますと農村の下水処理施設ということにお考えいただけばよろしいかと思いますけれども、これは現在、自治省その他の調査を踏まえますと、農村部での普及率というのは極めて低い、まだ数%にも達していないという状況でございます。私ども、これを近い将来、二十一世紀を目指しまして、少なくとも現在、中小の都市、大体四〇から四五%くらいと私どもは理解しておりますが、その程度を早期に実現したいということを一応内部の目標として今考えているところでございます。
  137. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 同じような形をとっている琵琶湖に比べて、この霞ケ浦地区はどうなっているか。
  138. 丸山利夫

    ○丸山説明員 お答えいたします。  霞ケ浦の流域についての御質問でございますが、まず茨城県全体について申し上げますと、現在までに私どもの事業で三十の地区を採択し、事業を進めておるところでございまして、霞ケ浦の流域につきましてはこの三十のうち十五地区、大体対象人口にいたしますと二万人弱の規模でございますが、これが採択され、今事業を進めておりまして、今年度末でこのうちの三地区が完了するという見通しになっております。
  139. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 滋賀県にはこの十カ年計画というのがあって、これに沿って十カ年目にはこうするんだという見通しがあるけれども、茨城県からそれが出てきていないというように聞いているけれども、これはどうですか。
  140. 丸山利夫

    ○丸山説明員 お答えいたします。  私どもが担当させていただいておりますこの農業集落排水事業に限って申し上げさせていただきますと、琶琵湖の場合につきましては特別法がございまして、そこで私どもの事業で百六十の集落を対象に整備するという計画を掲げていただいておるわけでございますが、これは私ども計画の最終年度を目前にしておりますけれども、現在で百七十三集落でございますか、目標を上回る地区を採択し、今事業に入っておるところでございます。  それから、霞ケ浦の地域につきましては、私どももこういう水質問題が重要な地域につきましては、地元からの申請、要望がございますれば積極的に対応するという考えでおりますが、今までのところ先ほど申し上げましたような実績になっておるところでございます。
  141. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 地元からの要望というと、琶琵湖の場合には、この琶琵湖の水が滋賀県だけではなしに京都、大阪の用水になっているということで、琶琵湖総合開発法という法律、特別措置法がありますね、立法が。茨城県の霞ケ浦にはそういう特別法がないためにこの計画を要求することができないのか、それともそういうものがなくてもそれはできるのか、それはどっちです。
  142. 武智敏夫

    ○武智政府委員 お答えになるかどうかあれでございますが、先生指摘のように、琵琶湖につきましては下流の大阪府なり兵庫県なり奈良県等のいわゆる水需給というような観点からの特別法があるというふうに理解いたしておりまして、これの所管は国土庁だというふうに理解いたしております。  我が方の問題に関しますれば、湖沼の特別法を私ども所管いたしておりまして、これは十年ごとではございますが、一応五年ということで運用いたしております。たまたまといいますか、霞ケ浦もちょうど今年度で計画も切れますし、それから琵琶湖も、霞ケ浦と一緒に指定したこともございまして、今年度切れるということになっておりますので、そちらの観点では五年先を見通した一種の計画の改定をやろうというふうに思っておりまして、動き出しておるところでございますので、十年先も見ながら五年先を見るかどうかはこれからの検討課題にしていただきたいと思っておりますけれども、そういう観点で琵琶湖の方もにらみながら霞ケ浦の方も考えていきたいというふうに思っております。
  143. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 午前中に時崎さんの質問の中にもあったと思うのですが、導水事業が行われている、霞ケ浦の水をふやして、それは農業用水だけではなしに都市用水にもなってくるということになれば、これも総合的な利用方法になるわけだから、当然琵琶湖と同じような水の利用状況になる。必要であるならば、やはりは霞ケ浦総合開発特別措置法、そういうような法律をつくる運動もしなければならない。そういう必要があればやらなければならない、そういうふうに考えておりますから、だからこれから相談ですね。きょうはもうこの辺でとどめておきますけれども、そういう必要があれば、それはやらなければならない。  さて、その次にはヘドロの問題ですね。建設省、見えていると思うけれども、去年も申し上げましたが、あそこに十八社の砂利をとる会社があるのですね。そのうち一社がつぶれて十七社。これは自分の好きな砂利をとってヘドロは下へ落としてそれで行ってしまう、こういうことをされていくのでは、幾らきれいにしようと思ってもそれはきれいにならない。このとり方自体はまずい、本当ならあれはやめてもらいたいんだけれども、何か権利があるようですね、採掘権がある。一定の時日が来れば、これも何とか処理をしなければならぬじゃないか。去年一年間見ているけれども一つも直っていない。一体、建設省は注意をしたのかしないのか。
  144. 日野峻栄

    ○日野説明員 御説明を申し上げます。  霞ケ浦の砂利採取は、先生御案内のとおりポンプで砂を吸い上げまして運搬台船に投入する方法で実施しております、この水中で洗う方法がございます。一方では、陸上へ運び出しまして陸上選別というのもやっておりますが、先生指摘のこの水中といいますか湖上で選別する方につきまして御説明申し上げますと、この運搬台船の排水口から排水と同時に吸い上げられたヘドロ分も排出されますけれども、その汚濁水の拡散防止につきましては、水中に汚濁水の拡散防止膜というのを設置して影響が外に出ないように、そういう防止に努めているところでございます。  そういうことで、この水中防止膜、深さが二メートルぐらいあるそうですが、これによって拡散を防止しているというふうに聞いております。
  145. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この点も、当初は四千五百万トン、こういうふうに聞いたけれども、このごろの話では五千万トンあると言っている。一つも減っていない。だから現在の予算からいえば、二十か三十万トンしか排除できない。たまる方が多いからますますヘドロが蓄積をされる、捨てるところもない、こういう状態ですから、これは建設省の責任だからもう少ししっかりやってもらわないと、この問題については今の答えではちょっとこれは不満ですね。住民運動も起こりますよ、これからまた。今のお答えを持っていくと住民運動が沸き上がることは間違いない。そのことははっきり言っておく。  その次、乱開発とゴルフ場建設によるところの流出河川の汚染を防ぐために、特に保水力を持っている新しい樹種を植えて自然の生態系を大事にすると同時に、護岸工事においても河川の改修工事においてもコンクリートで張りめぐらさないで、従来のアシやガマやヨシやそういうものを植えて自然浄化法というものができるようにしなければならない。ところが、今の工事はほとんどコンクリで締めてしまう。これではアシやヨシが茂る場所もないし、自然浄化ができない。この点は建設省、どうですか。
  146. 日野峻栄

    ○日野説明員 御説明申し上げます。  先ほど先生指摘のコンクリートの護岸でございますが、治水上どうしても堤防を強くしないといけないものですから、それでやっているわけですが、先生指摘のように環境上いかがなものかという御指摘がたくさんございます。それも確かでございます。  今、建設省では昨年度から多自然型の工法を少し取り入れていこうということで、そういう新たな試みをもう既に始めております。できるだけそういう多自然型の必要な護岸のところは、そういうところから始めていきたいということでスタートしておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  147. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 まあこの点も十分に監視をしながら、注意をします。  続いて、五十八の河川が流れ込んでいますね、霞ケ浦は。この河川の上流というのが大体ゴルフ場をつくったりごみを捨てたりする場所になっている。後で説明をしますが、恋瀬川という川の上流ではシアンが産廃から流れ出るという形でそこの土地改良もした、米が危ないという形で特別処理をしなければならない、そういう状態があり、ゴルフ場がやたらにつくられている。そして農薬が散布されるという形でますます海が汚れるという要素だけがある。  そこで我々は、これは役所もそういうことを言っているのだが、意識を変えなければだめだ、啓蒙だ、こういうふうに言う。啓蒙というのは何だ。年に一遍ぐらい集まって大騒ぎをしてそれが啓蒙か。そういうことじゃないのですね。そうじゃなくて、やはりこれは流域別の自然環境保全条例、これを制定させる、そして本当に運動の中で水をきれいにしていくということをやりたい。これは何も別に建設省の皆さんに頼まなくてもいい、これは運動だからやりたい、こういうふうに思っているのですね。これについて、ひとつ妨害をしないように、協力をするようにしてもらいたい。
  148. 武智敏夫

    ○武智政府委員 私どもの知るところでは、茨城県におきまして関係部局が協力いたしまして、「ふるさと茨城の森保全事業」というようなことで、いわゆる茨城県の平地林を保全することを推進するような事業をやったり、あるいは「緑の環境整備事業」ということで、地域の特色を生かしたような植林をしたり、あるいは中小河川なりため池等の整備をやるというような事業に取り組まれておるというふうに聞いております。  霞ケ浦の水質保全、これは非常に難しい問題がたくさんございますけれども、やはり保全するためにはその周辺の森林の保全が重要であるということは先生の御指摘のとおりでございますし、ほかの県を見ましても、例えば熊本県等におきまして、ことしの三月に地下水保全のための基金をつくりまして、水源涵養林をつくるというような運動もほかの地域でも見られておりますけれども、我々としましては、そういったようなことを側面的に応援できることをしたいというふうに思っているところでございます。
  149. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういう点で、運動をやるということも、ひとつ一緒になってよくする気持ちですから。  さて、そこで最後に、情報公開制というのを時崎さんからも話があったと思うのですが、那珂川から水を入れる、利根川から入れる、それをどこへ持っていくんだ、そうしたらどうなるんだ、こういう情報はさっぱりわからない。住民はつんぼ桟敷だね、これは。これでは困るので、やはり近代社会においては情報公開というのは一番大事なことだ。この辺、新長官も特に記憶をしておいてもらいたいし、情報公開という問題については何も霞ケ浦だけのことじゃないですからね。ひとつ明快な答弁をしてもらって、そして一般のその辺の役所の皆さんも、秘密にしないで、縦割りだけにしないように、一般に、丸く、だれにもわかるようにひとつ。
  150. 愛知和男

    愛知国務大臣 情報公開の話というのはまことに、民主主義のこういう社会体制の中で大変大事な点だと思っております。  私の個人的な話ですが、友人にも一生懸命その問題に取り組んでいる人物がおりまして、私もかなり洗脳されている一人でございますが、なお個人的な立場からも努力してまいりたいと思います。
  151. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 さて次には、渡良瀬遊水池に国際空港をつくるという構想が浮かび上がっているということが報道されました。茨城県、群馬県、栃木県、埼玉県の四県にまたがる渡良瀬遊水池は三千三百ヘクタール、筑波研究学園が二千八百ですから、それよりもはるかに広いところに、かつて田中正造が足尾銅山の鉱毒問題で、そこに重金属があるということから谷中村という村を引き揚げて、そこにこの遊水池をつくった、ここに事もあろうに国際空港をつくろうという話が浮き上がってきております。  しかし、それは別に、これは運輸省から話を聞きますが、そこにつくるというわけではないようですけれども、六百万の調査費が上がっているところを見ると、全然うその話じゃない。さて、どうですか、この実態は。
  152. 小坂英治

    ○小坂説明員 説明申し上げます。  今先生指摘になりましたけれども、いわゆる首都圏第三空港という言葉で渡良瀬遊水池に国際空港をつくるというような提唱も含めまして、現在民間団体、経済団体、学界等いろいろな案が出ております。  一方、私どもとしましては、運輸大臣の諮問機関でございます航空審議会で、空港整備の五カ年計画の策定に当たりましていろいろ御議論していただき、昨年の八月に中間取りまとめをいただいたわけでございますが、東京圏の空港能力というのは非常に制約を受けております。それで、この東京圏の空港能力を拡充する必要があるということから、いろいろ勉強すべきである、これは国内航空需要が二十一世紀の初頭には、今羽田の沖合展開事業をやっておりますが、相当厳しい状況になる、そのために二十一世紀の初頭の航空需要に対応するために東京圏で調査をすべきであるという中間取りまとめをいただいたわけでございます。それに沿いまして、私ども平成三年度から調査をしたいということで、調査費を要求しているところでございます。
  153. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 昨年の八月というころ、そのころに埼玉県の畑知事が、自分の出版として「熱き想いを」という本を出した。その中に、これだけ広大な土地がすべて国有地であるのはここだけであるから、遊水地の機能を残しながら空港を誘致してはどうかということを提言した。十月の関東知事会議で、茨城県の竹内知事がこれについて、ぜひ誘致したい、なるほど建設省出身の知事らしい話ですね、賛意を表したという。ところが、栃木県の渡辺知事は、これは農水省出身ですね、やはりここは歴史がある、そういう伝統のところだから、これはちょっと簡単にはいかないよ、それから地元である栃木県の藤岡市の議会では反対の決議をしている。地元の古河市では、これが新聞に出たその直後に、小倉市長が私のところへ、別な用事もあったから飛んできまして、この新聞については反対だという形で、古河市は反対。というのは五千人の仲間が、これは国際湿地条約といいますか、ラムサール条約か、これに加盟をするために署名をして運動をしている。日本でも珍しい鳥やいろいろな鳥類その他獣類が住んでおるところであり、大事な自然帯であるということからそういうことになったということです。  そこで、これに対して、運輸省は知っていますか、この辺のことは。
  154. 小坂英治

    ○小坂説明員 説明いたします。  今先生おっしゃった渡良瀬遊水池に空港をつくるという、その中身につきましては新聞で承知している程度でございます。
  155. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、七月には筑波にヘリポートの許可がおりて、成田空港から筑波へ、筑波から宇都宮へ、それから前橋へと通ずるヘリポートなんです。それから一般の市民は、市では、宇都宮の市長を中心にして、成田から宇都宮まで、土浦から学園を通って県道を国道に昇格をしてほしい、こういう運動が起こっている。あるいは東北新幹線に、あの周辺に駅を一つつくってくれという、すべて交通をそこへ持ち込んでいるんです。こういうことになるわけでして、これは陸も空もそこへみんな集中をしよう、そういうことになると、まあそれはあの狭い地域に空港をつくるということになると、騒音が激しいですね。また新たな、つまり自然を破壊するだけじゃない、騒音が激しいから、もう一つの今度は住民運動が起こってくるのですよ。こういうことについてすぐ賛成をしたりなんかするというのはどうも軽率じゃないかなという、空港をつくることに反対するんじゃないですよ、あの場所はやめてもらいたいということを言っているわけだ。これは運輸省、よく聞いておいてもらいたいが、どうですか。
  156. 小坂英治

    ○小坂説明員 今後の勉強の仕方の中で、いろいろなことについて検討しなくてはいけないと思いますが、すべて慎重にやっていきたいと思っております。
  157. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これはこういう問題を出して、またさらに委員会で、私は環境を守るために、交通のことも大事だから、環境を守るためにはあんなところにそういうものをつくってはいけない。特にラムサール条約に五千名が既に署名をして要請をしているような段階でもありますから、ぜひそのことを配慮してもらいたい。  続いて、私の地域だけでも、産業廃棄物を去年から不法投棄をしているところが何カ所かありますね。ここに場所を挙げますと、岩井市、境町、総和町、三和町、結城市、八千代町、土浦市、特に最近目立っているのが八郷町であります。ここではそれぞれの地域に特徴がある運動が起きておりますが、岩井では残土条例というのをつくって、残土条例が各市町村でつくられつつありますけれども、八郷についてはおびただしい量の不法投棄が行われて、ことしの一月の町長選挙が行われて現職の町長が落選をするというような状態もあり、現在石岡警察が業者二人を逮捕しているという生々しい事実もあります。  これについて、厚生省あるいは通産省等々で法律を出すということにもなっておるようですが、こういう産業廃棄物の投棄に対して、厚生省はどういう考え方をしていますか。
  158. 三本木徹

    ○三本木説明員 ただいま先生お話しになられました廃棄物の不法投棄の件でございますが、確かに不適正な処理の例として日本全国数が多いということでございます。  それぞれの現場に対する対応につきましては各都道府県知事がいろいろ努力をしているわけでありますが、現在私どもこの不法投棄問題について、どういうところに原因があるのかということを実は今やっておりまして、いろいろな原因がありそうでございます。一つは排出事業者の自覚のなさであるとか、あるいは処理業者の質的な問題であるとか、あるいはまた絶対的な処分場の不足の問題であるとか、極めて原因が多く考えられるわけであります。  そういう中で、現在私どもこの国会に、現在の法律、廃棄物処理法という法律がございますが、これの改正案につきまして総合的な対策が講じられるように、いろいろな角度から見直しを行っているところでございます。
  159. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それぞれの役場へ行っていろいろ交渉してみても、契約書というものがありますけれども、それには残土という言葉があるのですね。それだから、県には産業廃棄物等に対する県の条例がありますが、地方では残土条例、こういうことになっている。残土というものに対する規定、定義、これをどこでやっていますかね。建設省ですか、通産省ですか。きょうは来ているかな。
  160. 三本木徹

    ○三本木説明員 御説明申し上げます。  私ども、廃棄物の処理及び清掃に関する法律でいろいろ規制しているわけでありますが、通常、土砂のたぐいの残土につきましてはこの法律の適用は受けないという形で、現在まで行われております。したがいまして、各市町村等におきまして、残土による問題は残土条例等々かなり地域に即した形での対応が講じられているところでございます。
  161. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これでもう大体時間が来たようですから、長官とちょっとお話をしたいのですが、産業廃棄物というものは今も言うように非常に法律的には処理しがたい、抜け道が多い、罰則も軽い。それから残土という言葉があいまいである。あれやこれやが本当にあいまいでして、これについては通産省も厚生省も、社会党でも今そういう問題について提案をしようと考えているのですが、これからの社会の中では、生活をすれば生活のいろいろな廃棄物が出るし、人間が生きていればし尿も出るし、物をつくれば産業廃棄物が出るわけだ。これはいずれは処理をしなければならない、ただ反対ばかり言っているわけにはいかないですね。何とかしなければならないものですから、この処理方法のあり方について、長官として何か思いつく発想はありませんか。
  162. 愛知和男

    愛知国務大臣 今先生指摘のとおり、人間が生活をしておりますと必ずごみが出る。しかしながら、我々の今の生活を振り返ってみた場合に、必要以上のごみを出している生活をしているのではないかということに反省を求められている時代ではなかろうか、こういうことで、ライフスタイルを見直すというようなことなどが言われているわけでございます。  そういう観点から、きょうの閣議で、いわゆるリサイクル法というのを今度の国会へ提出するということになったわけでございますが、何とかごみが少しでも出ないようにする努力をそれぞれの立場でするような、そういう方向に誘導するための法律と理解をいたしております。  一方、どうしても出てしまったごみをどうするか、そういった側面が今度はあるわけでありまして、そのごみをだれが、だれの責任であるいは負担で処理をするかということだろうと思うのであります。それは製造者もそうだし、あるいは消費者もそうだし、あるいは国なり地方団体なり、だれがどういう責任を持って処理をするか、こういうことで、今度新しく法律改正の中でその辺を明快にしようということだと思うのでありますが、後の処理の問題、だれが負担するかといっても、結局は、国がやっても地方自治体がやりましてもそれは税金でやるわけですから、結局は国民みんながそれを負担する、こういうことになるんだと思うのでありまして、それをどういう形にするのが一番適切か、こういうことかと思います。  いずれにいたしましても、まず国民みんながごみをなるべく出さないようにすること、あるいは、出たごみに対しましてはそれを人の始末にしないでなるべく自分の責任において始末するといったような、ライフスタイルといいましょうか、そういうところが変わっていかないと、この問題の基本的な解決にはならないのではなかろうか、こんなふうに考えます。
  163. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わりますが、やはり二十一世紀は、平和と環境と人間を大事にする政治をつくるために大いに頑張ってもらいたいと思う。もし頑張らない場所があったら、時々物を言わせてもらいます。
  164. 小杉隆

    小杉委員長 斉藤節君。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕
  165. 斉藤節

    斉藤(節)委員 大臣所信表明に対しまして質問させていただきます。主として大臣に御答弁願いたいと思っておりますので、よろしくどうぞお願いいたします。  きょう御質問申し上げますのは、いろいろ表明されました種々細々した点について総花的に御質問申し上げたいと思っているわけでございます。いわゆる表明されましたお言葉の背景には、やはり大臣としての哲学あるいは事実というものが背景に述べられていると思いますので、そういったことについて御答弁賜ればと思うわけでございます。  まず、基本的な姿勢ということで、大臣地球規模で考え、地域から行動するという、これがいわゆる行動様式だと思うのでありますけれども、そこで私お尋ねしたいのでありますけれども、長官がこのように述べておるわけです。「オゾン層の破壊地球の温暖化、熱帯林の減少、有害廃棄物の越境移動等の地球環境問題は、全人類の生存基盤にかかわる問題として世界各国の重要な政策課題となっており、我が国として世界の主導的役割を果たしていくことが強く期待されております。」  このように大臣はお述べになっておられますけれども、どのような理念と申しますか哲学と申しますか、そういうもので世界の主導的な役割を果たしていこうと考えておられるのか、まずその辺をお聞かせ願いたいと思います。
  166. 愛知和男

    愛知国務大臣 地球の温暖化の問題、あるいはオゾン層、熱帯林、それから越境移動の話、その他にもあると思いますが、いずれにいたしましても、いわゆる国境なり、それから人種と申しますか、あるいは文化、歴史あるいは思想、信条、イデオロギー、あらゆるものを超えた課題でございまして、それこそ人類が手を携えてこういう問題に取り組まなければ解決できない問題だ、こういう認識を持たれるようになりましたのはごく最近のことでございますが、ぜひそういう中で日本が大きな役割を果たしていくべきだ。  その日本は、当面の環境問題、国内でいろいろと苦い経験等があります。まだまだ残っている問題もございますが、解決をしてきた問題もあります。そういう経験を生かすことも一つでしょうし、あるいは技術革新などを生かせる分野もありましょうし、また経済力を生かす部分もありましょうし、またそういう過程の中で育ってきました人材も豊富だと思いますので、そういうものを総動員をいたしまして、人類が当面しているこれらの課題に取り組んでいく、これが日本として、日本という国というよりも人間としてと言った方があるいはいいのかもしれませんけれども、まことに意義のある課題ではなかろうか、このように考えているわけでございます。
  167. 斉藤節

    斉藤(節)委員 そこで、環境保全の問題に入らせていただきたいと思いますけれども大臣は「環境保全は、平和国家を標榜する我が国が、世界に貢献するに最もふさわしい分野であると私は考えております。」このように述べておられます。  私もこの考えには全く賛成でございまして、また敬意を表しているわけでございますけれども、では、いわゆる我が国が今日のような経済発展を遂げることができましたのは、申すまでもなく発展途上国などから一次産品として原料を大量に我が国に輸入することができたからにほかならないわけでございます。また、そのために発展途上国環境破壊がかなりの部分でもたらされたのではないか、そういう原因じゃないか、そのようにも言われておるわけでございます。でありますから、我が国は単なるこういう発展途上国への資金面での援助だけではなくて、環境保全のための知的貢献が最も重要な課題であると私は考えているわけでございます。  そのためには、発展途上国に対する環境保全技術の輸出を行っていかなければならない、こんなふうに考えているわけであります。もろちん押しつけであったりなんかしてはならぬと思いますけれども発展途上国の理解を十分得た上でやっていかなければならないことではありますけれども、そういう環境保全のための技術を、我が国先進国でありますので輸出していかなければならぬと思うわけであります。  特に私が強調いたしたいと思いますのは、物資面、いわゆる環境保全用資材の援助のみでなく人材ですね、人材の援助が最重要であると考えておるわけでございます。すなわち、我が国は申すまでもなく優秀な専門家、技術者あるいは研究者、こういった方がたくさんいらっしゃるわけでありますから、こういう方々の派遣をまず行うことが必要であろうと考えておるわけであります。そしてまた、同時に、発展途上国の研究者の方々あるいは技術者を我が国で養成して送り帰してあげる。そしてその国自身環境意識を高めていく、そういうことがまず必要だと思うのでありますけれども大臣、その辺、いかがお考えですか。
  168. 愛知和男

    愛知国務大臣 委員指摘のとおりだと私も思っております。我が国が長年培ってまいりました公害対策等の環境保全技術あるいはその経験を移転をする、そして発展途上国環境対策を初め、地球環境保全に大きな役割を果たしていくことが必要である、こう思います。  具体的には、環境庁では国際協力事業団、これはJICAでございますが、ここを通じた専門家の派遣とか研修員の受け入れ等に積極的に対応してまいっております。これらはここ数年で数も急増いたしておると思います。  また、環境保全技術の移転を促進するという点につきましては、国連の国連環境計画、UNEPと申しますが、この国連機関の地球環境保全技術センターというものを我が国に誘致をしたいということで、今外務省等を通じて、あるいはその関係の地方自治体と協議を進めながら準備をいたしておりまして、この決定が五月になされると聞いておりますが、何とか成功させたいと思っております。  また、外務省やJICAを通じまして、例えばタイに環境研究研修センターというものの建設を今進めておりまして、既に要員を派遣をいたしております。また、中国に対しましては、日中友好環境保全センターというものを設立する準備を進めておりまして、もうそろそろ設計が終わるということで、ことしの秋ぐらいには着工ができるのではなかろうか、こういう段階でございます。またさらに、インドネシアにも同様な計画が検討されていると聞いておりますが、いずれにいたしましても、先生指摘のように発展途上国に対します日本援助、いろいろ開発のための援助もしなければならないとは存じますが、この環境に焦点を当てた援助というものをこれからも大いにやっていく必要があると思います。  いわゆるODAも日本の金額が非常にふえておりますが、その中でいわゆる環境ODAというものをふやしていくということをいわば国際約束の一つにいたしておりまして、平成元年からとりあえず三年間で三千億円というのが国際公約の一つになっているわけでございますが、これは外務省で担当されている分野ではあるかとは思いますが、私どもとしましても、こういういわゆる環境ODAというものもふやしていくように努力をしていきたいと思っております。
  169. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 ただいま大臣の方から大変詳しく御説明いたしましたので、ごくファクトに関します部分のみ、ちょっと私の方から補足的に触れさせていただきます。  まず、専門家の派遣でございます。これはもう大臣の答弁に尽きているわけでございますが、数字をちょっと申し上げますと、昭和五十年代におきましては、我が国から環境分野専門家を派遣する、環境庁が直接関与いたしまして専門家を派遣するというのは大体数人というオーダーでございましたが、大体昭和六十年代ぐらいから急増をいたしまして、最近ではもう大変ふえております。したがいまして、環境庁の職員だけではとても間に合わない、こういうことでございまして、地方公共団体あるいは大学あるいは民間の方、そういう方々に出かけていっていただく、活躍をしていただいているわけでございます。具体的に申し上げますと、平成元年度では、私どもが推薦した分としては六十名を超す専門家世界各地で活躍をいたしておるという状況でございます。  一方、先ほど先生のお触れになりました、我が国でいろいろな研修もしてやろう、我が国に受け入れて研修をすべきでないか、こういうことでございますが、これもまた先ほどの大臣の御答弁にもございましたように、急増いたしております。もうちょっと具体的に申し上げますと、環境庁で研修を始めましたのが、途上国の職員を引き受け始めましたのが昭和四十八年度でございます。環境庁が四十六年度にできておりますので、発足直後ぐらいからいわばやってまいりました。ただ、この時点では一コース程度、一コース十名前後というところでございましたが、ごく最近の数字を申し上げますと、平成二年度では十五コースに膨れ上がっておりまして、大気汚染、水関係、いろいろとアセスメント等々十五のコースにまで膨れているわけでございます。  それから、ODAの話が出ました。環境分野のODAは、先ほど大臣から御答弁ございましたように、これは政府全体としては三年間に三千億ということで着実にそれをこなしておるわけでございますが、環境庁分だけで、環境庁に計上したODAと申しますと、環境庁の役所の性格上、これは基礎的な調査という部分でございますので、よく言われますような、例えば下水道をつくるとか廃棄物処理施設をつくるとか、そういった上物がございませんので、環境庁のODAというのは数字は小そうございます。しかし、昭和六十一年度からわずか五百万円で始まった環境庁ODAも、平成元年度で一億になりまして、平成二年度では一億八千五百万、そして来年度予算要求におきましては、政府案におきましては二億五千万を計上しておるということで、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、途上国との環境協力というのを非常に重要視しておるということのあかしかと思っております。
  170. 斉藤節

    斉藤(節)委員 大変詳しくデータを挙げてお述べになられまして、大変ありがとうございました。  今御答弁ありましたように、確かに専門家派遣は平成元年度六十名を超すと言われましたけれども、六十一名なんですね。一名超しているわけです。私が思いますのに、国立環境研究所あるいは地球環境センター、去年から発足したわけでありますけれども、そういうところの研究者は、ただ単に大学の教授みたいに研究室に閉じこもっていないで、やはりどんどん海外に出ていってやる必要があるのじゃないかなと思うわけでございます。そのためにも予算を大いに獲得していただきたい、こんなふうに思うわけです。  また、研修員の受け入れでございますけれども、これはJICAの集団研修ですね。これは今もお述べになっておられましたけれども、余り多くはないですね。平成二年度は約五十名というようなことでございます。そういう点でやはりもう少し多くすべきではないか。  それから、外国人の受け入れですね。これは今何か御答弁なかったような気がするのでございますが、ございましたかね、外国人の受け入れ。ちょっとこんなデータをいただいておりますのでこれを見ますと、これは研究者でございますけれども、かなりの国から来ております。しかし、東南アジアからは非常は少ないわけです。タイだとかインドぐらいでございまして、中国だとか韓国はございますけれども非常に少ない。しかも滞在期間がほんの一週間ですね、十日とか。長くて三カ月というようなことでございまして、三カ月から六カ月近くもございます。半年近くありますけれども、研究者の外国人受け入れは非常に少ないではないかなと思うわけです。もっと東南アジアあたりから研究者を受け入れてそして養成して、先ほど申しましたように帰してあげるということが必要ではないかなと思うのですが、これはいかがでしょうか。
  171. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 まさに研究者も、私ども日本におきます環境分野での研究の能力の向上に伴いまして大変関心を持たれておりまして、私どもの国立環境研究所、かつて国公研時代にも中国アメリカ、イギリス等々から研究者も来ておりました。数は先生指摘のようにそう多くはございません。多くはございませんが、時々来ておりましたが、今度、昨年の十月に国立環境研究所の中に地球環境研究センターというのができまして、これはまさに文字どおりグローバルな事象についての研究をやるということですので、海外の研究者も積極的に受け入れるというそういうポリシーを積極的に打ち出しているわけでございます。  ただ、この研究センターができたのが昨年の十月でございますので、まだ実績というほどのものはそう上がってはおりませんが、海外に、こういうものが店開きをしたとあちこちに伝わっておりまして、恐らく近い将来いろいろな国から、先進国のみならず、先生の御指摘になりましたような途上国も含めて、研究者も私どもの研究施設に来て私どもと一緒に研究していただける、また制度上そういうことが可能なようになっておりますので、それを活用してまいりたいというふうに思っております。  それから、先ほどちょっと触れましたことのほかに、昨年は特にポーランドそれからハンガリーから、研修生というのでしょうか、人数で言いますとポーランドから二十名、それからハンガリーからは二十三名、それぞれ約一カ月少々でございますけれども、私ども環境分野、いろいろな大気汚染、水質汚濁対策等々のそういう実情を勉強してもらうのがありまして、昨年初めてやりました。東欧はいわゆる発展途上国という範疇に入らないわけでございますが、先生方御高承のとおりの東欧の環境汚染の状況でございますので、日本に学びに来てくれた、私ども快く引き受けて研修を実施した次第でございます。
  172. 斉藤節

    斉藤(節)委員 大変詳しく御答弁いただきましてありがとうございました。  私は、留学生につきましても、大学生、学部学生につきましては別な機会に文部省に対して御要望したいと思っておりますけれども、やはり大いにこういう理科系の、特にこういう環境問題の専攻学生、特に東南アジアあたりから大いに呼んで勉強させていくということが必要ではないかな、私そんなふうに今考えているわけでございます。  次の問題でございますけれども地球環境保全のための条約が幾つかあります。先ほどもいろいろ挙げられておりましたけれども、例えばさっき挙げられましたラムサール条約だとか、それからオゾン層保護に関する条約、ウィーン条約ですね。そのほか、ロンドン・ダンピング条約だとかバーゼル条約、いろいろございます。  これちょっとデータをもらったわけでありますけれども、国連加盟国百五十九カ国の中で、条約によっては加盟が非常に少ない、批准も少ないというようなところが多いわけでございます。例えばラムサール条約などは六十一カ国入っております。それからバーゼル条約なんか七カ国ですね。例の、今湾岸問題で大きな問題になっておりますけれども原油流出の問題でございますけれども、そういう批准国は七カ国で、我が国は入っていないんですね。このオゾン層保護に関しますウィーン条約は、先ほど調査室の方に調べていただいたんですが、六十五カ国と一機関、ECでありますけれども、これが条約に加盟してそして批准もしておるということでございますが、何しろパーセンテージからいきますと四一%くらいですね。非常に少ないわけでございます。  大臣が、我が国環境保全について国際社会で御活躍していくということでございますので、その辺、大臣所信表明を読んでみますと、「国際的地位にふさわしい積極的な環境外交を進めていく」、このようにお述べになっておられるわけでございます。私も大いに拍手をお送りしたいと思うわけでありますけれども我が国として、これら環境保全のための条約に不加盟あるいは批准をしていないそういう国々に対して、大臣はどのように環境外交を展開されようとしておられるのか。具体的なこともありましたら教えていただきたいと思います。
  173. 愛知和男

    愛知国務大臣 地球環境保全に関する国際条約、いろいろあるわけでありますが、その条約が実効性を発揮するためにも少しでも多くの国が加盟をすることが大事だというのは、委員おっしゃるとおりでございまして、こういう国際条約ができました場合にそれを日本としても率先して批准しなきゃなりませんし、またそれに加盟していない国々に対しましても、いろんな機会をとらえて加盟をするように働きかけていかなきゃならないと考えております。  先ほど御指摘幾つかの大事な条約で、まだ日本が加盟していないではないかという御指摘をいただきまして、実は条約の問題は外務省がやっていただいているわけでございますが、聞くところによりますと、外務省の物理的な人員の問題とか、それから最近は条約が非常に国際的にも多くなっているということで、なかなかそういう環境の中で物理的に対応ができない、こういう実情のようでございます。せんだって、予算委員会でも外務省の人数をもう少しふやすべきだというような御議論がどなたかからございまして、私は聞かせていただきながら、そのとおりだと思いながら聞いておりましたけれども、ぜひ外務省にも、今精いっぱい頑張っていただいているようでございますが、環境に関するものは少し優先順位を上げてほしいということを、私も個人的に外務大臣にお願いをいたしたりいたしております。  それはそれとしまして、当面、もう一つこれから大きな課題としましては、来年のブラジルにおきます「環境開発に関する国連会議」がございまして、そのときに気候変動に関する枠組み条約というようなものを締結したいということで、これはこれからでございますけれども、関係諸国そろそろ、せんだってのワシントンでその第一回の会議がございましたけれども、これから来年へ向けて会議が重ねられてまいりますが、そういう中でぜひ日本も大きな役割を果たしていくべきだ、こういうことで、これは外務省を初めとするところにもお願いをしております。私どもとしましても、精いっぱいの取り組みをしていきたいと思っております。
  174. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ちょっとダブるかもしれませんけれども大臣の重点施策についてお尋ねしたいと思いますけれども、「特に、開発途上国における環境問題の解決に資するため、日本にUNEP地球環境保全技術センターを設置するべく、引き続き努力してまいります。」このように大臣は述べておるわけです。  このことにつきましては、我が党の石田委員長が海部総理に対しまして、今回の代表質問の中で次のように提唱しておるわけでございます。すなわち、「地球環境保全開発途上国の持続的な経済開発との調和について総合的に検討する機関として、国連に調査研究の場を設置し、専門研究者等の人材養成を行っていくよう我が国世界に提唱すべきであります。」このように海部総理に質問申し上げているわけでございますけれども、このことは私考えますに、大臣所信表明のこれと全く符合するんじゃないかな、そんな感じをいたします。  そこで、このUNEPの地球環境保全技術センターの設置についての見通しはどういうふうになっておりますか。そしてまた、最近この問題について話し合われたことがあるのでしょうか、どうでしょう、その辺お伺いします。
  175. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 このセンターを日本に誘致したらどうだという構想につきましては、昨年の夏ぐらいから出てまいりまして、そのきっかけといたしましては、大阪市とかあるいは滋賀県とかそういうところが、それぞれの自治体としての世界に貢献していく一環としてそういった施設を持ちたいという意欲が出まして、それを我が国政府も取り上げまして、昨年夏以来これを提唱してきているわけでございます。  それで、現状での見通しはどうかということで、まずこのセンターとはどんなものかと申し上げますとこのセンターは国連と日本政府との間の合意に従って、いわばUNEPの施設の一部といたしまして本邦は置こうというものでございます。先ほど言いましたように、本件につきましては大阪市と滋賀県が非常に強い関心を持っておりまして、二つがそれぞれ競合するのではなくて、別々の分野で、すなわち滋賀県の場合ですと湖水の水質管理というものを中心に、それから大阪市の場合には湖水以外、いわば大気とか通常の水質汚濁対策とか騒音とかそういうもので途上国が必要としている技術を移転するものということで話し合いを昨年から進めているところでございます。  現在、私ども外務省と一緒に、それから関係する先ほどの二つの自治体と一緒に国連の本部に何度も伺いまして、私自身もUNEPの事務局長トルバさんと本件でも何回か話し合いをしておりますが、現在のところ幸い大変順調に進んでおります。そして、正式には本年五月にUNEPで、大体五月に毎年一回管理理事会を開いておりますが、その管理理事会の場で本プロジェクトについて関係する理事メンバーに御紹介をいたしまして、そこで正式に御了承を得られればいわば正式に決定という運びになろうかと思っております。  もちろん、関係する国々から御了解が得られますよう、これは我が国が率先して、我が国を含めまして先進国が持っている技術を途上国に移転しようというそういう計画でございますので、恐らく多くの国の賛同が得られるのではないかというふうに期待いたしておりまして、この五月のUNEPの管理理事会で正式に決定されるのではないか、またそうなるように外務省ともども努力をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  176. 斉藤節

    斉藤(節)委員 じゃ、このセンターは、今御答弁ありましたように、各地域地域の特性に応じた、大阪は水だとかそういうようなことで、一カ所に大きなセンターをつくるんじゃなくてばらばらにつくるんですか。
  177. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 このセンターといたしましては、いわばUNEP地球環境保全技術センターというものが一つできるわけでございますが、いわば支所のような、ブランチというような格好で、現時点では大阪市と滋賀県の琵琶湖畔、この二カ所に置くことを考えておりまして、それ以外にもたくさんあっちこっち置くということは現在全く考えておりません。いわば大阪と滋賀の二カ所に置く。  先ほども申しましたが、滋賀の場合には湖水、琵琶湖での非常に深い経験がございますので、湖沼関係の環境影響評価なり水質管理といったもの、それから湖沼関係のモニタリングでありますとか人材育成だとか、そういったようなことをやりますし、大阪の場合にはいわばそれ以外のもの、特に通常の大気汚染対策とか水質汚濁対策とか省エネ技術だとか、そういったものを含めまして研修なりコンサルティング業務でありますとか、場合によってはデータベースを置くとか、そういうようなことを考えております。将来は大阪ではさらに広げて、例えば緑、森林だとか野生生物保護だとか、そういったことも将来は構想としてはございますが、発足時におきましては、大気汚染とか水質汚濁とか、そういった通常の公害対策技術を中心にやっていきたいというふうに今考えているところでございます。
  178. 斉藤節

    斉藤(節)委員 次に、深くは突っ込まないのですけれども、ペルシャ湾の原油流出問題につきまして、ちょっと大臣の御所見を賜りたいと思うのです。  このたびのペルシャ湾における原油流出による環境破壊が非常に懸念されているわけであります。量につきましては午前中の大臣の御答弁にもありまして、いろいろ見積もり方によって何とも言えませんけれども、いずれにしましてもあれだけの大量の原油がペルシャ湾に流れ出していることは事実でございます。我が国としてどのような貢献をされていこうとして、どのような検討をしておられるのか。先ほども御答弁を聞いてはおりますけれども、また改めてお尋ねするわけですけれども、どのような対策を講じていこうとしておられるのか。  私どもは、公明党といたしましては、去る一月二十九日に海部総理大臣に対しまして、「ペルシャ湾原油流出による環境破壊に関する申し入れ」と題しまして、物資の提供それから技術提供、資金援助、人的貢献、そして政府内に対策本部の設置等五項目にわたりまして申し入れをしたところでございます。  また、大臣は一月末、OECD環境大臣会合に御出席になられまして、各国の環境大臣と協議してこられたと報告されておりますけれども、その協議がどのようなことでありましたのか、また、我が国としてどのようなペルシャ湾に対する貢献策を約束してこられたのか、約束されなかったかもしれませんけれども、されてこられたのか、また、どのように実行されているのか、お尋ねしたいと思うわけでございます。
  179. 愛知和男

    愛知国務大臣 湾岸原油流出が明らかになりました一月の末、それから間を置かずに一月の二十八日でございますが、環境庁の中にプロジェクトチームをつくりまして、この問題についての対応を図ってまいりました。  また、政府湾岸危機対策本部というのが実は湾岸の問題が起きましたときに設置をされたわけでございますが、当初環境庁長官はその本部の部員にはなっていなかったわけでございますが、この原油流出の問題が出まして、直ちに環境庁長官もそれの部員になるべきだ、こういうことから部員になりまして、政府の全体の取り組みの中で、この原油の問題については取り組んでいく体制ができております。  まず、その現状を的確に把握するというのは実はなかなか困難な面がございまして、現在のところ、関係諸国あるいは国連のUNEPを初めとする機関等々との連絡を密にして、情報の収集あるいは分析に努めているところでございます。御承知のとおり、湾岸の情勢も変化の兆しが見えてまいりまして、私ども一日も早く平和が達成されることを望むわけでございますが、そういう事態になりましたら直ちに行動が起こせるように、環境庁の中のプロジェクトチームを中心にいたしまして、今専門家の派遣その他対応策を具体化いたしております。  なお、OECDの環境大臣会議におきましては、これはそもそも最初は経済政策と環境政策の統合というテーマで開かれる予定になっておりました会議でございまして、そのテーマをもとにして会議が開かれたわけでございますが、緊急の事態でございましたので、特別声明を出したわけであります。  この内容につきましては御承知かと存じますので詳しくは申し上げませんけれども、こういう中で、ひとつ先進諸国力を合わせてこの問題には対応していこうという意思の確認と申しましょうか、そういうことをいたしました。具体的にはまだどうするというところまではっきりしていなかった時点でございましたので、まだ具体的にどういうアクションをとるかということにつきましては決めませんでしたけれども、お互いにひとつこの問題については力を合わせていこうという意思の確認をいたした次第であります。  なお、ちょっと先ほどのUNEPの地球環境保全センターのことにつきまして、実はこのOECDの環境大臣会議におきまして私がやりましたスピーチの中で、発展途上国に対する技術移転あるいは日本としての貢献といったようなものに触れまして、その中でこのセンター誘致の話に触れたわけでございます。そうしましたら、その後、演説が終わりました後、幾つかの国が非常に興味を持ち、私に対して賛意を表してくれた国がございました。かなり話題を呼んだように思っておりまして、日本の積極的な姿勢をアピールできたのではなかろうかと思っております。
  180. 斉藤節

    斉藤(節)委員 私、実はここに朝日新聞の二月一日の夕刊でございますけれども、ちょっとそのコピーがございます。これは「原油除去する環境義勇軍を」という題名で、もう大臣お読みになっておられるかもしれませんけれども、私はこれを読みまして、民間がこれだけしっかりやるのだから、国がこの際、今少々危険な条件にもありますけれども、何かアクションを起こすべきじゃないか、そんなふうに思っているわけでございます。  これ、ちょっと読んでみますと、大阪の市民運動家が呼びかけているわけでありますけれども、「百の議論より、とにかく行動に立ち上がろう」ということで、水問題に取り組んできております「河川湖沼と海を守る全国会議」というのがありまして、この辻田啓志さん、六十歳、この方が呼びかけているわけです。どういうようなことかと申しますと、この方が言っておりますのには、「動きが世界に広がれば、戦争を止めさせることもできるだろう」と気宇壮大なことらしいのです。  この辻田さんという方は、琵琶湖開発の差しとめを求めた琵琶湖訴訟の原告団の代表でもあったわけです。「水資源開発や国土開発で危機にひんした全国の河川湖沼と海と付き合ってきた経験から、今回の汚染がもたらす生態系破壊の深刻さを直感している。」そこでこのように言っているわけですね、「アラスカ沖のタンカー事故でも明らかなように、油を取り除くのに機械や化学の力はあまり役に立たず、最後はひしゃくですくい取る人海戦術。一日も早く、世界中から有志がはせ参じるしかない。そうした行動が次々に波紋を描けば、反戦のうねりを呼び起こす力にもなる」、このようなことで義勇軍の志願兵とカンパを募っているわけなんです。  政党や政府、財団あるいは労組などにもいろいろ働きかけているらしいのですけれども、こういうような義勇軍が出ることも私は結構なことじゃないかなと思うのでありますが、国としてこういった義勇軍に対して援助か何かできるものかどうか、これは突然の質問でございまして申しわけないのですけれども、どんなものでしょう。
  181. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 本件につきまして先ほど大臣の方から御答弁ございましたように、環境庁としてはこの問題が明らかになるとすぐにできる限りのことはやってみたわけでございます。ただ、何せ戦乱ということもございまして、もし国内でそういう事故が起こればすぐにでも、急遽専門家が行くということは可能なわけですが、何せロケットが飛んでくるようなところでございますのでその点は検討事項としておりますが、ただ、だんだん、今大臣の御答弁にございましたようにあの地域も昨日、きょう、いろいろと動いているようでございますので、そういった専門家の派遣が可能になるような状況になればすぐにでも行けるようにプロジェクトチーム検討しておりまして、きょうも実は五時から関係の幹事会、これは次官クラスなんでございますが、幹事会で本件も含めて検討するということになってございます。私ども大臣からも実は専門家の派遣方について遅滞なく行かれるように準備はおさおさしておけという強い指示を受けておりまして、何とかそれに対応できるように考えてはおります。  なお、サウジの方からは別途研究について支援をしてほしいというような要請も来ておりまして、これはいわばシミュレーションをやる話でございますが、むしろ日本なんかの得意な分野でございますので、こういったものについては共同でシミュレーションができないかどうか今探っているところでございます。
  182. 愛知和男

    愛知国務大臣 若干私の個人的なことから申し上げますと、せんだってテレビを見ておりましたら、あれはイギリスでしょうか、どこかのボランティアの人があそこへ行きまして、油まみれになりました野鳥を、えさを与えたり油をふいたりしている行動がテレビに映っておりました。私大変感銘を受けまして事務局に、一体こういう人たちはもともとあそこにいた人なのかそれともわざわざ出かけていってやった人なのか、あるいはどういう形で、全くボランティアで行ったのかあるいは行くに関して政府が何か関係しているのか、実態を調べるようにと指示をいたしましたけれども、なかなかまだ実態把握いたしておりません。  日本の中にも何とかしたいんだというお気持ちを持たれる方が非常に多くおられるということ、これはやはり大変意義のあることでございまして、そういう方々のお気持ちといいましょうか、行動ができるように、政府としてどういうことができるかというのはなかなか検討を要する面もあるいはあろうかと思いますけれども、とにかく私自身も、今自分で行くわけにはちょっとまいりませんが、何とかしたいという気持ちを非常に強く持ちまして、せんだって、たまたま日本のWWFと申しますところが何か募金運動をしているという記事を見ましたので、まことにささやかながらちょっと私も寄附をさせていただきましたけれども、とにかく国民の多くの方々がそれぞれの立場で何とかしたいというお気持ちを持っていただくのは大変ありがたく思っておりまして、そういう方々のお気持ちなどが実現できるように政府としてもできるだけのことをしていかなければいけない、このような気持ちを強く持っている次第でございます。
  183. 斉藤節

    斉藤(節)委員 大変ありがたい大臣のお言葉をいただいたわけでありますけれども、私もやはり戦争ほど環境破壊をもたらすものはないと考えております。そういう点で一日も早く戦争が終わってほしいと思っているわけですけれども、何か最近いろいろ流動的ですけれども、終わりそうな感じもしますので、終わりましたら早速我が国のできるすべての総力を挙げてこの環境破壊復旧のために努力していただきたい、そんなふうに大臣、お願いしたいと思うのであります。  次は、大臣の第二項目の方に入らせていただきますけれども、自然や小動物との触れ合いの場を設け、自然保護思想の普及に努めると述べられておるのでありますが、具体的にはどのようになさろうとされるのか。  また、かすみ網による違法捕獲が依然として後を絶たないような状況にございます。この防止について実効性ある新たな方策の検討を進めるということでございますけれども、具体的にどのようになさろうとしておられるのか御答弁願いたいと思います。
  184. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 お答えいたします。  まず、身近な自然との触れ合いを通じる自然保護思想の普及の問題でございますけれども自然保護思想の普及ということは非常に大事なことでございまして、特に自然との触れ合いの場を通じていくということはどなたもお認めいただいておるところでございますが、この機会をどうやって提供していくかということが常々私たち課題でございまして、一つのやり方でありますが、特に身近な自然あるいはふるさとの特色のある自然として、例えば蛍とかトンボ、こういった小動物の生息場所を大事に守っているような地域もございます。そういったものをもう少し広げて活用しやすくするという意味で、国といたしましては補助金の制度をもちまして、ふるさといきものふれあいの里、これは一例でございますが、こういったものの整備を進めるようにしております。  また、自然に親しむ運動、これは例年夏に行っておりますが、こういった諸運動などを通じまして自然体験の場をふやしていく、自然体験の機会をふやしていく、あるいはそういったことの基礎といたしましてボランティアの方の活躍というのは非常に大事でございまして、こういった方々が活躍しやすいようにその支援活動といったものについても予算措置をいたしておるところでございます。  それから、第二点のかすみ網の問題でございます。これは昨年も先生から御指摘いただいておりますが、実はかすみ網を猟法として禁じられましたのは昭和二十五年でございますから、もう随分時がたっておりますけれども、なかなか有効な規制措置といいますか、基本的には禁止されておりますからそれでいいではないか、後は取り締まりでいいではないかということで来ておったわけでございますけれども、何せ御存じのように網が非常に手軽に入手できるという形で違法捕獲に多用されているということで、もう少し使用の前で規制ができないかということで、私どもといたしましては関係省庁あるいは関係県と連絡を密にしながら取り締まりの強化をするとともに、例えば販売の規制というようなことができないか、それは新たな防止策の一つのアイデアとして今鋭意検討を進めておるところでございます。
  185. 斉藤節

    斉藤(節)委員 かすみ網の問題は前にもやりましたですから、通産省の方にもお聞きしましたので、そういうあれがありますが、いずれにしましても、何か海の網、魚をとる網をちょっと変えるだけですぐかすみ網になるというような問題がありまして、しかも製品としてでなくて、製品は製品でも魚をとる網として輸出もできるような状況になっておるということで法的に大変難しいんだという話は聞いておりますけれども、いずれにしましても何とかかすみ網をやめさせていくような方向にいかなきゃならぬ、そんなふうに私も思うわけでございます。ぜひこれは強力にお願いしたいと思います。  さて次は、時間もだんだん押し詰まってまいりましたけれども、都市環境保全対策につきまして大気汚染防止対策、つまりNOxによる大気汚染の改善策、これは自動車排ガスの総量抑制方策の具体化、こういったものをどのようにお考えになっておられるのか、きょうは余り時間がありませんから突っ込んだ議論はできませんけれども、また改めてやりますが、概略お尋ねしたいと思います。  また、水質汚濁防止対策、これは生活排水対策でありますけれども、下水道の普及につきましては、建設省等に計上されております下水道事業費、これが八千七百四十六億円とあるわけでありますけれども大臣所信表明でも述べられておりますように、排水処理施設の整備の推進に努めるということから何かほど遠いのではないか、こんなふうな感じもするわけでございます。実際問題、下水道の普及率を一%増大させるのに一兆円以上の予算が必要であると言われておるわけでありますから、しかも、現在の我が国の平均普及率は四〇%ぐらいだということでございます。これではいわゆる河川、湖沼の汚濁改善はなかなか進まないのではないかな、そんなふうに考えるわけでございます。昨年ようやく水質汚濁防止法が改正されまして、生活排水対策について市町村に対しまして厳しい責任を負わせることになっているのでありますけれども、国としてもっと財政的な援助を強力に推し進めていく必要があるのではないか、思い切った予算化はできないものか、そんなふうに思うのですけれども、いかがですか。
  186. 古市圭治

    ○古市政府委員 前段の窒素酸化物対策、自動車排ガスの総量抑制方策でございますが、御承知のように、個々の対策というものに対しまして、交通量が伸びる、またディーゼル自動車が増加するということで対策の効果が相殺されているというのが実態でございます。  このため、まず平成元年十二月に、中央公害対策審議会の答申に沿いまして、ディーゼル車を中心とした自動車一台ごとの排ガス規制というものをさらに大幅に早期に実施していくということをやっております。それからまた、特に特定の大都市地域等につきましては、地域全体の自動車排ガス総量の抑制というものの方策を検討しておりまして、学識経験者で検討した結果、昨年の十一月にその中間的な取りまとめを得ましてそれを世に問うたわけでございます。さらに今後具体化に向けて検討を進めたいと思っております。また、低公害車、電気自動車を中心として地方自治体の公害パトロール車への導入その他を現在行っておりまして、この普及啓発を図っていきたいと思っております。  これらの施策を通じて、環境基準の早期達成に向けてさらに努力を続けているわけでございます。
  187. 愛知和男

    愛知国務大臣 後段の下水の問題でございますが、たまたまきょうの閣議におきまして、平成三年度から七年度に向けての第七次下水道整備五カ年計画が閣議了解をされました。その際、閣議の場で私から特に発言を求めまして、東京湾等の総量規制区域、生活排水対策重点地域、あるいは指定湖沼の指定地域、公害防止計画策定地域等において特に重点を置いて整備をしていただきたいと関係省庁にお願いをいたしたわけであります。  御承知のとおり、現在は普及率四四%でございますが、この計画がそのとおり実現した暁にはこれを五五%に上げる、こういう計画になっておりますが、この計画が予定どおり進むように私どもも強く願っている次第であります。
  188. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ぜひともそれを実行していただきたいと思うわけでございます。  次に、環境に優しい経済社会づくりの推進ということについてでございますけれども、「経済社会構造環境保全型に変えていくことを世界に提唱し、」「世界に先駆けて環境保全型社会実現に邁進してまいる所存であります。」と、大臣述べられております。そして、この所信表明の中の第四のところで、環境に優しい経済社会づくりの構想を述べておられるわけでありますけれども、まず、この構想の実現のために手始めとして何を第一におやりになろうと考えておられるのか、その辺御所見を賜りたいと思います。
  189. 愛知和男

    愛知国務大臣 昨年十月に地球環境保全関係閣僚会議で、地球温暖化防止行動計画というものを決定いたしまして、この内容は、CO2の排出量を二〇〇〇年までに一九九〇年のレベルで安定化させるという目標を立てたわけでございますが、この行動計画を実施に移すために、いろいろと今関係方面で体制づくりを始めております。なかなか難しい部分もございますが、結局これを達成するには国民のライフスタイルを国民に見直していただいて、ごみを出さないようにするとかいろいろございます。私はそういうことだと思うのです。  そういうことになりますと環境教育の問題にもなるでしょうし、どうやって国民の間に啓発運動をしていくかということに結局はなるのではないかと思います。たまたまことしは環境庁ができまして二十年という記念すべき時でございまして、七月の一日が記念日でございますが、ことしはその前の六月いっぱいを環境月間と名づけましていろいろな啓蒙運動を展開をしていこうと、今その具体的な内容を鋭意詰めておるところでございますが、そんなことを手始めにいたしまして、環境に優しい社会づくりに取り組んでいきたい、このように考えております。
  190. 斉藤節

    斉藤(節)委員 もう時間もなくなってきたわけでありますけれども、今も御答弁があったわけでありますけれども大臣は、「大量消費、大量廃棄の現代社会のあり方を見直すため、政府国民、産業界等が一体となって行動することによりリサイクルを促進し、さまざまな社会経済活動を環境保全型へと転換していくためのシステムづくりにも積極的に取り組んでまいります。」と、このように述べておられるわけであります。  先ほども大臣、別の委員の御答弁にもありましたけれども、今通産省がリサイクル法を出されたわけでありますけれども、通産省や厚生省がこういったリサイクル法とか廃棄物処理法、そういった法案を出す前に、やはり環境保全基本法なるような、仮称でありますけれども、そういうようなものを、まず理念、哲学を環境庁として制定して、法律を出して、そのもとに、それの哲学にのっとったいわゆるリサイクル法とかなんとかをつくるのが本当は筋じゃなかったかなと、そんなふうに私自身は思っているわけですけれども、それができなかったわけでございまして残念だと思うのです。その辺、大臣の御所見もお伺いしたいと思うのです。  それから大臣は、「エコポリスの形成の促進や都市地域における環境資源の計画的管理の推進を図ってまいります。」このように述べておられるわけでありますけれども、このための法律などを御提案なされるお気持ちなのか、その辺あわせて御答弁願いたいと思うのです。
  191. 愛知和男

    愛知国務大臣 リサイクル法案に関しまして、御指摘のように、基本法といいましょうか理念をうたった法律をつくるべきであったということに関しましては、実は私どももそのようなことを考えた時期もあるわけでございますが、法制局その他法律の専門家によりますと、ただ理念だけの法律というのはなかなかなじまないというようなこと等々がございまして、関係各省といろいろ協議をした結果、私どもがそういう地球保全型社会形成という目標に資するのであれば、何も環境庁が基本法をつくらなくても、各省でつくるその法律の中に環境庁も一枚加えてもらって、そしてそういう中でその理想が、目的が達成できればいいのではないかというようなことから、協議をいたしまして、でき上がりました法律に関しましては、私どもは、これでこの法律を運用することによって私どもが理想とする方向に大きく前進ができる、このように考えております。  先生の御指摘の点は、基本的にはまことにそのとおりだと思っておりますが、手段としてこのような形になりましたけれども、それは目的が達成できると思っております。  なお、エコポリスの問題につきましては、政府委員から答弁をさせます。
  192. 久間章生

    ○久間委員長代理 渡辺企画調整局長、時間がないので手短にお願いします。
  193. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 エコポリス関係につきましては、企画調整局長が有識者の懇談会をお願いして検討していただいている段階でございます。私からお答えさせていただきます。  首都圏、近畿圏等の大都市圏では、大気汚染とか水質汚濁とかごみ問題、環境保全上の問題が山積している一方で、住民からは快適な環境づくりを求める、こういう状況でございますので、従来の個別の対策では不十分ではないかということで、総合的な観点からの環境政策を進めていきたいということで有識者にお集まりいただいて、まず首都圏については昨年九月に一応、広域環境管理のあり方についての御提言をいただきました。これから近畿圏、中部圏についても同じような作業をしてまいりますが、大事なことは、御提言をいかに実現をしていくかということでございます。これについて、またさらに検討をした上で関係の自治体に十分働きかけをしてまいりたい。  そういう段階でございますので、まだ法案づくりというようなことではございませんで、どのように進めていくか、引き続いて検討していきたい、こういうことでございます。
  194. 斉藤節

    斉藤(節)委員 時間が参りました。どうもありがとうございました。
  195. 久間章生

    ○久間委員長代理 寺前巖君。
  196. 寺前巖

    ○寺前委員 新しい大臣の基本的な姿勢をお聞きしたいということで、具体的事実を通じて二つお聞きしたいと思いますので、お答えをいただきたい、こういうように思います。  一つは、かなり話題になっております長良川河口堰の問題、これは、この建設は非常に危険だという声が住民に多うございますが、環境庁長官はどういうふうに見られているんだろうかな、これが一つです。  それからもう一つは、ことしになってから新聞を見ておりましたら、会津フレッシュリゾート構想第一号として、猪苗代町と東京の開発業者との第三セクター方式によって国有林野内にオープンしたみのわスキー場、ホテルとかいろいろな施設がある。これが、何かいつの間にやら第三セクターの所有物から勝手に、第三セクターの中に入っているエスティティコーポレーションという会社の所有物になっていきよる。それで地元では、あれはもう売ってしまうのと違うか、何か町がかんで第三セクターでリゾートの国土庁の第一号として進めてきているやつが、これはとんでもないことになっていくでということが新聞に載っておりましたので、これはリゾート、リゾートで大ばやりのときに、一体指導は大丈夫なのかいなと危惧します。  この二つの危惧をどういうふうに見られるのか、ひとつ大臣にお聞きをしたいと思うのです。  そこで、まず第一に長良川から聞きたいと思うんですが、昨年の十一月に朝日新聞社が、東海三県の住民に対してアンケート調査をやっているのです。それを見ると、中止せいという声が二二%、ともかく一時凍結せよというのが四六%、いや、どんどんやったらいいでというのはたったの一〇%だ。まあ六八%、七割近くの人が不安だからやめてくれ、こう言っておる。ところが建設省は事業をどんどん進める。  同じように「中部の環境を考える会」「長島・河口堰を考える会」の方々が、去年の十二月二十九日、現地長島町の全有権者に対してアンケート調査を無記名で全戸戸別訪問でおやりになっておる。全世帯数の九五・四%を回られ、全世帯数に対して五七・二%の無記名、無作為のアンケート結果が出てきている。それを見ますと、何とここでも中止の願いが二三%、一時凍結三九%、やれやれとこういうのはたったの一四%。やはり似たような数字が出てきているわけですね。  この二つのアンケート調査から考えてもまた、非常に危険だという不安が一番数全体として多いわけです。何で不安になりますかと私も聞いてきたら、あれは川が中州の三角州になっているところにできている、もともとそういうところだ、伊勢湾台風やいろいろなときに、ちょっとした工作物がてこになって決壊をして、そして沈んで大打撃を受けたという経験が過去にありますからや。ところが、過去の経験は、ちょっとした鉄橋があるとかなんかだけだったけれども、今度はそこをせきでとめて、海面より低い町の上は一・数メートルにわたるところの水が蓄えられるのですから、これはえらいことになる。不安に思いませんかと私も言われて、ほほう、これはえらい話やなとつくづく思ったわけです。  大臣、この問題はどういうふうにお思いになるでしょうか。
  197. 愛知和男

    愛知国務大臣 私もこのアンケートを拝見をいたしまして、かなり不安を感じていらっしゃる方があるんだなということは印象として受けました。しかし、私は個人的にもこの治水の問題につきましては余りよく判断をするだけの知識を持ち合わせておりませんので申し上げられませんが、また、環境庁という立場から申しますと、これはちょっと違う観点からの、視点からの世論調査の結果でもございますので、印象としては、かなり不安を持っていらっしゃる方がいるんだなという印象でございますが、率直な印象を申し上げますと、この建設をする責任である建設省なり水資源公団の、地域の地元の住民に対する説明なりなんなりが必ずしも十分ではないのではなかろうか、こんなようなことを感じております。     〔久間委員長代理退席、委員長着席〕
  198. 寺前巖

    ○寺前委員 説明が不十分というだけで事がどんどん進められると困るわけで、私は前にも島根県の中海の淡水事業、これを何回か行って見てきました。学者にもお会いしました。百聞は一見にしかずと言うけれども、やはり肌で感じた問題というのは、学者をぐっと詰めてみたり、関係者を詰めてみると、見た目というのは総合的な見方にどうしてもなりますわ、強いものですわ。あの中海を見ておったときには、たしかあれは農水省の所管でしたでしょう、一千億近くの金をばんとほうり込んでできていっておるわけでしょう。これは、使うか使わぬかというところまで随分金をほうり込んだわけですが、さてここでとめてしまったら、海の水が入ってきて海水でもってあそこを浄化しているものが、閉まってしまったら、さあ悪い水が流れてくる一方で、これ腐敗して一体どうなるだろうか、生態系はどうなるだろうか、環境全体としても見直しする必要はあるんじゃないだろうか、これは正直言って感じますよ。これは素人の感じの方が、私は値打ちが出てくるときがある。  ここも閣議決定をされたのがいつですかいな、これ。六八年でしょう。六八年に閣議決定して、今日九一年、今日に至ってますます不安が広がったという結果を見たときに、説明の不十分だということだけでは私はいかぬのじゃないだろうか。それはちょっと環境の側から考えても生態系全体から考えても、あれでよかったのかどうか。当時環境庁という、環境を見るような省はございませんでしたから。新しい視点で長官がそれを見てやるということの値打ちがあると思うのですが、私は、そういう角度で新しい環境庁の長官が乗り出してごらんいただくというのは大切な仕事じゃないだろうかと率直に感じますので、いかがでしょうか。
  199. 愛知和男

    愛知国務大臣 長良川が、環境立場から非常にいい環境を持った川であるという認識は持っておりますが、この長良川の環境破壊をされないようにした上でこの工事が進められるべきだ、そういうことで前長官と当時の建設大臣とが話し合いをされまして、前環境庁長官の見解というのが出ているわけであります。  それに基づきまして、建設省に対して、建設省と環境庁との間で追加的な調査項目等鋭意今詰めているところでございまして、最終的には建設省の御判断でございますが、私どもはそういう中で十分私どもの意向が反映できるものと思っております。
  200. 寺前巖

    ○寺前委員 十分意見が反映できるかどうか、環境庁長官は、不安がっているこの事態を直接生で声を聞いていただき、その目で体でもって見ていただく、私はそれが大切ではないだろうか、新長官におなりになったのですから、ぜひその立場をとっていただきたいということを申し上げたいのですが、その点はいかがでしょうか。
  201. 愛知和男

    愛知国務大臣 私が就任しましてから、もう既に地元からの、あるいはそれ以外の方々からの御訪問を受けましてお話を聞かせていただきました。事実、現地を視察をするかどうかということにつきましては、まだ国会がこのような状況でございますのでちょっとスケジュールを立てる段階ではございませんが、この問題に限らず一般論として申し上げますと、やはり現地を見ること、あるいは直接会って話を聞くこと、そういうようなことが政治家としての行動としては大変大切な行動であるという認識は持っております。
  202. 寺前巖

    ○寺前委員 ぜひごらんいただいて、そして私は、せっかくの建設の過程にあったとしても、大胆に将来を見通しておやめになる方が、住民が不安がっていることはやるべきではないということを申し上げておきたいと思うのです。  次に、先ほど言いました会津フレッシュリゾート構想の中で進められている事態の問題についてお聞きをしたいと思うのです。  何が起こっているのだろうかとちょっと調べてみますと、第三セクターでもって八八年の一月に猪苗代町とエスティティコーポレーションが横向高原リゾート株式会社というのをつくっているようなんですね。それで、その総事業費を二十二億七千百万円で、全体計画面積百七十五・二ヘクタールの事業をやり始めた。それで、リフト四基だとか駐車場二面とかロッジを一棟とかレストハウスを二棟など建設していくわけです。この地域は百三十三ヘクタール、水源涵養保安林になっておる。その保安林の一定部分を林野庁が伐採をしてそしてスキー場にする、そしてリフトの建設云云、こうなっている。もう一つは、この地域は磐梯朝日国立公園の特別地域だ。第二種特別地域、第三種特別地域が入っている。それを、環境庁はどうぞ結構でございますと言って、このリゾート開発をやらしたという。  ところが、事が進んでいって、調べてみるとこの第三セクターの会社というのは、初めのうちは町が千五百五十万円、そのエスティティリゾート会社の方は千四百五十万円と、町の方が出資額は多いんですが、何のことない、それが瞬く間に持ち株が変わっていって、会社が八七・一%所有するようになっていくわけでしょう。こんな事態を、表面的には、事を進めるにきには第三セクターでございます、公共的なものでございますという看板をしながら、内容的にはそういう会社に変化をしている。そうしてあげくの果てには自分の所有物だ、こうしてしまって転売しようなどということまで事は進んでいったわけでしょう。だから、町の人たちは、何だ、利用されて売られしまうんじゃないか。  林野庁、これわざわざスキー場、涵養林を削ってまで、切ってまで、伐採してまで提供したことをよかったと思うのですか。こんな第三セクターの会社にやらしてよかったと思っているのですか。一体それは知った上でやったのか、知らなかってしまったというのか、事は一体どうだったんや、明らかにしてください。
  203. 川村秀三郎

    ○川村説明員 お答えいたします。  スキー場等森林レクリエーション、こういうものにつきましては、最近とみに国民の要望が高まっております。また、地元の振興という意味合いも含めましていろいろ御要望が出てきております。そういう中で、当方といたしましても、個別の事案を審査いたしまして適切と思われるものについては使用許可をしておる、こういう状況でございます。  本件につきましては、先生指摘のとおり、六十三年に第三セクターとして横向高原リゾート株式会社ができておりまして、その後そういう増資の事実もございます。我が方としては、地元の意向等を踏まえてそういう使用許可を出しておる、こういうことでございます。
  204. 寺前巖

    ○寺前委員 よかったと思うとるの、この会社を認可して仕事をやらしてよかったと思っているのかと聞いているのや。町の人は、えらいことしはったやなと言うておるのや。あなた、これよかったと思うてるの、悪かったと思うとるの、どっち。
  205. 川村秀三郎

    ○川村説明員 発足いたしましてそういうことで開始しております。それで、これはあくまで地元の猪苗代町、それからもう一方の株式会社エスティティコーポレーションというところでやっております。最近、債権保全ということで保存登記をやったというような事実がございまして、この点で町の方といささかトラブルがあったという事実は承知しておりますが、スキー場あるいはその地元の振興あるいは国有林野を使ったそういったレクリエーションといったものについては評価しております。
  206. 寺前巖

    ○寺前委員 こんな会社と——この第三セクターというのは、初めは株を町が過半数を持っている、そういう看板だ。ところがこの第三セクターの会社が、つくったその日のうちに、町長さんとエスティティ株式会社と協定を結んでいるんですよ。その協定では、どんどんどんどん私の会社はふやせますよといって町の持ち株分は減らしていく計画がちゃんと協定の中で結ばれているんです。だから、あなたを看板にして世間を渡り歩くようにしておきますけれども、実権は私が握りますよということをやった会社なんだ。第三セクターはそういうものだったんだ。そんなものに渡すようなことをしておってよかったんですか。結果というのは、それを売ろうとしているように見えてきているんです、世間の人たちは。  さあ、林野庁はそんなところと契約をする、伐採をして協力してやった。そんなリゾート開発をこれからやらしておいたら、林野庁、責任持てぬな。林野庁はリゾート開発の中でここだけですか、国有林を提供してスキー場やゴルフ場をやっているのは。ああ、あそこは悪かったなだけで済むんであったら、私、まだ助かると思うけれども、ほかでもやっているんじゃないんですか。提供しているんじゃないんですか。リゾート構想地域を、国有林を提供してスキー場やゴルフ場はやっていませんか。何カ所ありますか。
  207. 川村秀三郎

    ○川村説明員 リゾート構想の承認済みに係る国有林野内でのスキー場、ゴルフ場でございますが、造成中を含めましてスキー場につきましては二十九カ所、ゴルフ場については十四カ所、こういうふうになっております。
  208. 寺前巖

    ○寺前委員 その場合に、提供して与える会社を、資金繰りだとかいろいろなことを全部調べるんでしょう。調べないんですか。もう何でも言うてきたところは無条件で貸してやるんですか。そうじゃないんでしょう。どうなんですか、そこは。
  209. 川村秀三郎

    ○川村説明員 森林レクリエーションのための使用許可につきましては、長官通達で審査の基準を定めております。  その主な内容といたしましては、例えば私どもの経営の方針書に適合するということ、あるいは利用者に対する良質なサービスの提供が確実に行われるといったこと、あるいはその施設の周囲に与える景観なり環境なりというものが適切なものであること、またその申請人の信用、能力、資産、そういうものを十分検討して行っているところでございます。
  210. 寺前巖

    ○寺前委員 だから、十分審査するというんだったら、ここの審査はどうやったんですか。その協定の中身まで知って、民間会社がどんどん大きくなる、その民間会社が信用を受けることになるのかどうか、これを転売するようなことにしておる会社と違うか、全部見ておかなあきまへんやろ。それがよかったとおっしゃるんですか。あなた、さっきから何ぼ聞いたって、よかったとも悪かったとも、うんともすんともその話はせえへんのや。それじゃあなた、責任持てませんよ。どうですか。悪かったら悪かったとはっきりして、どこで悪かったんだとあそこで調べるのが、第三セクターというから町が責任を持っておると思ったらあかん、許可したんでしまったなというんだったらはっきり言うたらいい。そうでなかったら、ほかのところはどうなっているんだというたって、全然しまったという反省から物事は進まへんがな。悪いこともあればいいこともあるんだ。失敗は世の中あるのが当たり前なんだ。だから、それをはっきりするということが一番値打ちなんだ。どうですか、それは、何遍言ってもあかんのか。
  211. 川村秀三郎

    ○川村説明員 本件につきまして使用許可を出したのは、昭和六十三年の十月十八日でございます。その時点で、事業実行の、先ほど申しましたような基準に従いまして慎重に検討した上で使用許可を行ったということでございます。  ただ、最近に至りまして、先生指摘の登記の問題がございまして、関係者から事情を十分聴取してまいりました。意図するところ、あるいは町の意向等を踏まえまして、その登記については、本来の姿である横向高原リゾート、第三セクターでございますが、こちらの方へ戻すということで是正をさせております。
  212. 寺前巖

    ○寺前委員 ちっとも言わへんな。その第三セクターというのは、これはくせ者だったなということが答えられないようでは、責任ある運営を林野庁がやったとは言えぬ。  環境庁も、これは特別な地域を提供したんだから、工作物をつくってよろしいということをやったわけだ、国立公園内にやるんだから。だから、ほかのところもこれはずっと起こってきます。林野庁がやったさかいと言うて判こを押しましたんかいな。これはやっぱり同じことだ。やっぱりきちんと見なあかんのと違いますか。これがよかったとも悪かったとも言えない態度は環境庁も同じですか。どうです。これはだれですか。
  213. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 ただいまの横向温泉スキー場の認可の経緯でございますけれども、自然公園法上の手続につきましては、昭和六十三年の八月十二日に、横向高原リゾート株式会社から申請が出てまいっております。リフト四本、駐車場、レストハウス等を内容とするスキー場事業ということで、公園事業の執行認可の申請でございまして、六十三年十二月十六日に認可しております。  私どもといたしましては、公園計画に基づく公園事業としての認可の考え方といたしまして、当時の資金計画あるいは事業計画の内容が利用計画に適合しているか、あるいは事業執行能力が確実であるか、あるいは施設の管理経営の方法が適当であるかといったような点について確認をいたしまして認可をしたところでございます。
  214. 寺前巖

    ○寺前委員 そんなことを言うておらぬ。で、結局よかったんかいな、悪かったんかいな。その相手の会社の性格というものが、ちゃんと表向きの第三セクターで最初提起しているやつは、町の方が持ち株が多いんだ。ところが、その日のうちに協定を結んで、何と民間会社の方が八割、九割持っていくようになっておるんだ。で、実権握りまっせと。それで、当時の課長さんに私聞きました。そんなことをやっておっていいんやろうかと私も思うていましたんや、こう言うておる。担当している企画の課長さんが不安がったままで企画が通りますのや。  だからあなた、よかったと思うか、そのときの審査のあり方は。あなた、そのとき直接の担当じゃなかったかしらぬけれども、今にして思ったらどう思いますか、それを聞いておるんだ。
  215. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 認可の時点におきましては、その当時の書面等に照らしまして判断をしておりまして、誤りはなかったというふうに考えております。
  216. 寺前巖

    ○寺前委員 大事なのは、事が起こった結果、今にしてみたらどこが悪かったんだろうか、何とそんな協定までやって、どんどんそれが大きくなっていく、あ、あの第三セクターに絡んでいる個々の会社をよく見ないと利用されよるな、これが反省としてなかったら、これからの行政機関としての責任を果たすことができぬじゃないか。私はそこをはっきりしてくれと言うているんだ。  ここからは大臣の答弁だ。それは、ここで大臣が指導性を発掘してやってもらわないと、責任ある官庁がもう自分の責任を守ることだけ言うておるんだったら話は進まへんがな。  そこで私は、疑惑がさらに出てきた。その民間会社、どんな会社やろ、社長さんだれや、中沢勤という人や。それでそんな人知らぬさかいに、日本紳士録持ってきたんや。そしたらそこには、えらい人や、元総理大臣福田赳夫さんの秘書をやっていたというのは。なかなか政治家やなあと思って、それを見ておったんや。それからその会社が、それじゃ政治家との絡みはどないになってるんやろと思って見たら、その当時の環境庁長官というのは稲村さんや。あれあれ、この間問題になった人や。それではその当時、環境庁長官にこの会社は政治献金を納めてへんやろかと見たら、エスティティコーポレーションが納めている。何と政治献金三百万円。これ以外、だれにも入れてへんのや、私、ずっと見たけれども。そしたらこれは稲村さんが何か言うて、おい、これええかげんにしてやらせてやってくれよということになった、とは私は知らぬで、そんなことは。知らぬけれども、何か絵にかいたようにざっざっざっと出てきよるやないか。だから、事は後から起こったときに、どこにメスを入れることを明確にしておかなかったら疑惑は残るでということをはっきりしなければいかぬ。だから、今からでもこの疑惑は明確にしてもらう必要があると私は思うのです。環境庁長官、いかがですか。
  217. 愛知和男

    愛知国務大臣 私の立場からはリゾート開発環境保全という視点でございまして、そういう視点から問題が起こらないように、今後とも適切に対処してまいりたいと考えます。
  218. 寺前巖

    ○寺前委員 今後ともはええのや。この事の起こった問題について、よかったか悪かったか、ちょっとも明らかにされないままで事が進むことはよくないと私は言っているんです。環境庁長官、だから、ちゃんときちんと許可を与えたんだから、与え方の上で問題点はなかったのかということを調べるように指摘をされてしかるべきではありませんか、私の質問はそれなんです。どうです。
  219. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 私どもの事業認可の建前といたしましては、この公園事業が認可なされて、公園法に照らしてきちんとスキー場としての運営がなされるということが前提でございますから、従業員の確保あるいは施設の管理運営の点で問題なく、自然環境への影響がないという運営のされ方であれば、特段の問題はないというふうに考えております。
  220. 寺前巖

    ○寺前委員 ちょっと環境庁長官に。  私は同じことばかり言うとるようやけど、さっきの何ぼ聞いたってわからへんのや。インチキ会社に握られたってかまへん、そんなことは知らぬのや、私らは関係ないんやということやったらいうことやとはっきり言うて、そんな関係ないと言わはるのやったら……。そうも言わへんのや。悪かったのかよかったのかどうなんやと言うたって、ちょっとも明らかにならへん。しかし、事が起こっているのは、売り飛ばしたろうかということにまで話がいっている、今や。それと、売り飛ばされるようなそれは自然環境のええところやったら、値打ちが上がりますわな、物件の。特別な地域が、国有林がそんなことにやられてしまったら、ばかにしなさんなと言わんならぬ話になるんや。だから、問題点どこにあったのか、きちんと調べていただきたい。これからもそうあってほしい、私はお願いしておりますのや。だから、環境庁長官、その御答弁で私は終わらせていただきます。
  221. 愛知和男

    愛知国務大臣 私も今初めて聞かせていただいたこともいっぱいございますので、よく調べて、今後きちんと対応してまいりたいと思います。
  222. 寺前巖

    ○寺前委員 ありがとうございました。
  223. 小杉隆

    小杉委員長 中井洽君。
  224. 中井洽

    中井委員 科学技術庁に来ていただいておりますので、最初に、過般起こりました美浜原発の事故の件でお尋ねをいたします。  大変残念な事故が起こったわけであります。環境委員会ですから原因とかそんなことは関係なしに、海水にこの事故で放出された放射能の量あるいは影響、そういったものをお調べになったと思います。結果を御報告いただきます。
  225. 漆原英二

    ○漆原説明員 お答えいたします。  原子力発電所におきましては、そこから異常な放射線が出されていないことを確認するため、発電所の周辺におきまして常時放射線のモニタリングが行われております。美浜原子力発電所周辺におきましても、福井県が二地点で空間線量率の連続測定を実施しております。このデータによりますと、事故発生時及びその後においても平常な値を示しております。また事業者も、これは関西電力でございますが、事業所内を含めて十三地点で連続測定を実施しておりまして、これらのデータも平常な値を示しております。  さらに、今回の事故により放出された放射性物質の量を推定しておりますが、この推定値は、通常の運転で年間に放出する場合の放出管理目標値に比べまして、気体で数十万分の一、また液体でも数万分の一という低いレベルの量でございました。  したがいまして、これらのことから、今回の事故による周辺環境への影響はなかったと考えております。
  226. 中井洽

    中井委員 事故は残念ですが、大したことなしに、環境にも何にも影響がない、こういう御報告であります。  九日発生したこの事故に対して、福井県は十二日に、何もなかった、こういうことを、安全宣言をマスコミを通じて発表いたしました。私ども、こういう事故は初めてでありますが、こういうときに国として安全宣言というものをきちっとおやりになるのが慣習なのか、あるいは今までそういったことはなしで、地元の県あるいは電力会社、そういったところにお任せになっておるのか、その点いかがですか。
  227. 漆原英二

    ○漆原説明員 お答えいたします。  今回の場合におきましては、福井県の衛生研究所が調べまして、その結果をもとに環境への影響について発表しているというふうに伺っております。  実は昨年ですか、タイコンデロガの事件がございまして、沖縄の南方海域におきまして米軍の水爆の事故がございましたが、そのときにおきましては科学技術庁が中心となりましていろいろ調べまして、その結果は国の方で発表しております。そういったことがございます。
  228. 中井洽

    中井委員 一般の国民の皆さんから見たら、原発の事故あるいは原発に対する不安というのはなかなか消えないと私ども承知しております。私どもの党は、原子力エネルギー推進、こういうことを一貫してお手伝いを続けてまいりました。特に日本人は、安全性に対する世界で一番強い祈念を持っている中で、どう御理解をいただいて原子力発電というものを進めていくか、特にこういう石油エネルギーに対する不安感が増大をしている中で、また環境に一番やさしい、可能なエネルギーとして、原子力を安全性を確保しながら進めていかなければなりません。  そういうときに、国民の不安は環境問題であり、事故が起こった、そうするとそれの安全を調べるのだ、宣言するのだと通産省、科学技術庁だ、これは役所の機構からいけば当然のことであろうか、法体系からいけば当然のことだろうかと私どもはよくわかります。しかし、国民から見たら、どうしてこのときに環境庁が出てこないのだろう、環境庁がどうして調べないのだろう、こういう率直な疑問がある。同時に、環境庁に対するある程度の信頼感というのも国民の中にあると私は思うのであります。  こういう点で、環境庁長官をおやりになってまだこの原子力発電のことについて、あるいはこれと環境庁との関連についてお勉強じゃないかもしれませんが、長く国会議員をなさっておられますから御存じの点もあろうかと思います。環境庁長官として、ひとつこういう問題にも環境庁が積極的に乗り出して、安全なときに安全、あるいは何にも影響がないよというときにははっきりないよと言えるような環境庁の任務、あってしかるべきだと私は思いますが、いかがですか。
  229. 森仁美

    ○森(仁)政府委員 ただいまお尋ねの中でも御指摘がございましたように、環境庁の任務ということと環境庁がこれまでやってまいりました行政の体系、それから国全体の原子力行政の体系というものから見てまいりますと、環境庁が今その任に当たっていないという事実がございます。  ただ、今お話しのような側面もまたございますので、私どもは大変関心は持っておりますが、行政の組織と行政の役割という分担の上では、今申し上げたように明確に区別がされているということを御説明申し上げておきたいと思います。
  230. 愛知和男

    愛知国務大臣 今官房長からお答えを申し上げたとおりでございますが、率直に言いまして私も実はよく承知をしておりませんで、環境庁がこのことをやるんじゃないのと言ったら、いや、法律でかくかくしかじかで、こうなっていますということで、初めてその辺の仕切りの仕方を勉強したわけでございますが、おっしゃるとおり一般の国民皆様方の印象としてはおかしく思われることがあろうかと思います。  したがいまして、この仕切りを今さら急に変えるというわけにはいかないかとは存じますが、私どもとしましても十分関心を持ち、またなおエネルギー全体の問題としまして、この機会に原子力発電に対する不安が広がってしまいますと、いわゆる地球温暖化の問題等々との関連からいいまして大変残念なことでもございますので、そうならないように、私どもとしましても、また私個人といたしましても国民皆様方に正しく理解をしていただくように努力を続けていきたいと思っております。
  231. 中井洽

    中井委員 次に入ります。  既にいろいろと御議論がありましたイラクのフセイン大統領の手によるペルシャ湾への原油流出の事件であります。この事件は本当に地球環境破壊につながる大変な暴挙だ、これだけでも私どもはフセイン大統領というのは許せない、こんな思いでいっぱいでありますが、現実に汚染が広がっていることも事実であります。したがって、日本としてできる限りこの汚染防止あるいは対策、これらに全力を挙げてお手伝いをすべきだと考えております。  私も党代表で、各党に先駆けて内閣の方へ申し入れをいたしました。官房長官の方から、どんなことができるだろうという実に率直な問いがございましたので、オイルフェンスを送ること、それから人海戦術以外にない、一刻も早く人を送るべきだ、こういうことを申しました。先ほどからの御答弁を聞いておりますと、研究をしておる、また平和になったら行かすのだ、こういうことを言われておりますが、こんなばかなことを言っておるようでは何の手伝いにもならないと私は思います。戦争地帯じゃないわけでありますから、一刻も早く人を派遣する、また環境庁がボランティアにお願いしてでもだれか日本人が行って、油の回収、環境破壊の防止に働く、そういった姿勢を見せてこそ初めて、手伝っているのだ、環境破壊防止に日本人も役立っているのだと理解してもらえる、このように考えておりますが、大臣いかがですか。
  232. 愛知和男

    愛知国務大臣 私も委員が感じておられますお気持ちと全く同感でございまして、できることなら私自身が飛んでまいりまして現地を視察するなり、あるいは何かできないか、飛んでいきたい気持ちでいっぱいでございます。  実際問題として国会もございますし、なかなかそれもかなわないわけでございますので、目下庁内にとにかく一日も早く行動が起こせるよう準備をするように強く指示をしているところでございます。
  233. 中井洽

    中井委員 戦争の行方と関係なく一日も早く、日本環境破壊防止で行動しておる、こういったことが目に見えた実績として出てくるように御努力をいただきたい。要望をいたしておきます。  次に、実は去年、この委員会でソビエト、ブルガリアへ小杉委員長やら佐藤先生、竹内先生、私、一緒に派遣をされて行ってまいりました。東欧圏の特にソビエトの大変混乱をした状況を見て大きなショックを受けて帰ってまいりましたが、実はそのときにソ連邦の環境庁長官と数時間にわたって大変有意義な議論をしてまいりました。議題の中心は、ゴルバチョフさんが来年四月日本へお越しになる、そのときに日本とソビエトで環境協定を結びたい、こういうことで交渉が始まっておる、この問題でございます。外交交渉の中でありますから環境庁がどこまで御関与なさっておるか私どもわかりませんが、当時向こうの環境大臣からは、日本は大変大まかな、大きな問題で提携をしよう、ソビエトは具体的な提案をしているんだ、この具体的な提案にこたえてほしいのだ、こういう要望がありまして、これらの要望は派遣をされた委員からそれぞれ環境庁に伝わっておるかと思います。  中身はなかなかおもしろい要望であります。チェルノブイリの原発の事故の後処理の問題、あるいはソフトエネルギーの開発の問題、あるいはソビエトにありますだれも入ったことのないような自然保護地区を日本の手で調査をしてほしい、あるいは子供同士の交流、なかなか愉快な提案であります。  同時に、日本とソビエトが北方領土の問題、また現在のソビエトのああいう軍部が再び国全体をコントロールしようとしておる状況では、ゴルバチョフさんは果たして来られるのか、来たとしても日本は正面切って経済援助ができない、そうすると環境協定でお手伝いをする、これ以外はないのかな、こんな感じも抱いております。  そういう点から、環境協定について環境庁としてどのように認識をされ、どういう方向で話を進めておるのか、話せる範囲で結構ですからお答えをいただきます。
  234. 加藤三郎

    ○加藤(三)政府委員 昨年の八月に、委員会先生方、戸塚委員長ほか中井先生も含めましてソ連などを御視察なされた御報告書は私も読ませていただきまして、大変興味深く思っております。  それで、今お尋ねの日ソの関係でございますが、ゴルバチョフさんのお話につきましてはちょっと後にさせていただきまして、まず、現状がどんなふうになっているかごく簡単に申し上げますと、現状では科学技術協力協定というものに基づきまして、環境分野では四つの分野協力を実はやっております。  一つが、国立公園及び自然保護区の設定、保全及び利用の問題でございます。第二は、オゾン層の保護とか温暖化などのいわゆる地球的規模大気問題でございます。それから第三点は、いわゆる普通の大気汚染対策でございまして、特に大気汚染の測定なりあるいは排出抑制の技術といったもので、大気環境保全と称しておりますが、そういうプロジェクト。それから四つ目が酸性雨の問題でございます。全部でこの四つにつきまして、先ほど申しました科学技術協力協定に基づきまして意見の交換、情報の交換、協力をやっておりまして、例えば昨年では十一月に東京でその会合が開かれておるわけでございます。  もう一つ、これも先生御高承のことでございますけれども、渡り鳥の保護ということで日ソ渡り鳥の保護条約というのが昭和六十三年十二月に締結されまして、ことし一月、その研究会を日ソ間で開いているようなわけでございます。  こんなぐあいに、一つは科学技術協力協定、あるいは条約に基づきまして日ソ間であるわけでございますが、先生指摘のように、ゴルバチョフさんがことしの四月に日本を訪問される予定になっております。それで、これに関連いたしまして、昨年の九月に当時のシェワルナゼ・ソ連外相が訪日されましたときに、ゴルバチョフさんがいらしたときにいろいろと日本政府との間で約束を交わすもののうちの一つといたしまして、環境協力協定といったものを結ぼうではないかというふうになっておりまして、現在外務省を中心に、環境庁はもちろん当たり前でございますが、入りまして、いろいろと事務的に折衝を進めているところでございます。  この中身がどんなふうになるか、まだ事務折衝で、正直に申しましてまだ現時点では詰まっておりませんので、余り詳しくわからないわけでございますけれども、恐らくこれまでの経験、つまり今まで科学技術協定などのもとでやってきた大気汚染、水質汚濁、廃棄物あるいは今問題となっております温暖化の問題、オゾン層の問題、それから自然保護の問題、こういう問題について恐らく幅広く取り上げていくような内容になるのではないかというふうに思っている次第でございます。
  235. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 ただいま先生のお触れになりましたことに、自然保護関係でちょっと関連がございますので、補足的に説明させていただきます。  ただいま加藤部長の方から御説明いたしましたように、科学技術協力協定に基づきまして、平成元年から国立公園、自然保護区の設定、保全及び協力のプロジェクトを発足させました。実は、昨年夏にソ連側から我が国に対しまして、極東の自然保護区、国立公園への専門家の派遣要請がありました。これはちょうど先生方の委員派遣の中にも書かれていることと同様かと思います。これに対しまして、昨年私どもの方から、前向きに検討するということで具体的にどういう専門家でどんなものを知りたいのかということを照会中でございます。  それからもう一点は、これも今加藤部長が触れましたが、渡り鳥条約に基づく専門家の交流も第二回目ということで、これも具体的に始まっておるところでございます。
  236. 中井洽

    中井委員 お答えいただいたものでついでにお願いをしておきますが、その行きましたメンバーでいろいろと話をしましたときに、シベリア、極東の自然保護区というのは大変おもしろい、特に日本では皆さん方のところのレンジャーの皆さん方が大変安い月給で本当に献身的に御努力をいただいておる、そういった人たちに順次行っていただく、そしてその実地を見た中からどういう保護のあり方、研究の仕方があるか、そういったことを考えていただくのがいいかなどということを議員同士でしゃべって帰りました。ぜひともそういった点も御検討いただきますようお願いいたします。  時間がありませんので先を急ぎます。  前の長官のときに、私は大変残念なことが二つございました。結局、長官がおやめになるまで委員会が開かれませんでしたから直接お尋ねをすることができませんでしたので、新しい大臣所信の中でお尋ねをさせていただきます。  一つは水俣問題であります。和解勧告が次々となされ、また各党、環境専門家も和解をすべし、かなりの形で努力をしてまいりました。残念なことにそれが一向に進んでいない。環境庁としてもお立場があり、大変微妙な言い方をされておることは承知をいたしております。この問題はその後どういうふうに政府の中で話し合われておるのかということが一つ。  それから同時に、ああいう時期に水俣の和解勧告を受けると決意をされて大臣が水俣を御視察になられるのなら結構であります。行った、現地の人はこれはひょっとしたら和解か、こう思っても何も進展がない、こんなまずい視察の仕方はないと私は思うのであります。環境庁にも大変不幸な出来事がその後起こりました。私どもいろいろな複雑な思いを抱くわけであります。  環境行政というのは非常に難しく、初め起こりましたときには大臣が率先して見に行く、問題を喚起する、そして世間全体がそのことで注目をして物事を進める、こういうやり方で日本は公害対策を随分やってまいりました。しかし、今やこういうふうに落ちついてきた時代環境庁長官が何でもかんでも見に行けばいいのだ、逆に言えば、見に行かなければわからない人が環境庁長官になる方が間違っておると私は思うのであります。水俣などはもう何十年という問題でありましょう。そういったことを何も決心せずに、決定することなしに見に行った、見に行っただけで、大臣終わったらしまいだ、方針は変わらない、こんなことは私は何の効果があるのだと思わざるを得ないのであります。大変御無礼な言い方をいたしますが、そういう点に関してどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
  237. 愛知和男

    愛知国務大臣 水俣病に関しましては、国としましても、この早期解決に向けて努力をすべき大変大事な課題であると認識をいたしております。ただ、訴訟に関しましては、国の行政のあり方の根幹にもかかわる問題でございますので、裁判所の判決をいただいた上で判断していくものと考えておりまして、現時点において和解勧告に応ずることは困難であるということでございます。  そこで、何とか早く解決の方法がないかということで、行政措置として所要の対策を進めていくことがより現実的なアプローチである、こういうことから、この問題の早期解決を図るための総合的な対策につきまして、平成四年度から実施をするように検討を進めておるところでございます。  先ほど長官の行動等について御指摘がございました。責任のある立場として軽率な行動を慎むようにという御指摘かと存じますが、一方、現実の姿を見ることあるいは直接お会いをすることというのは政治家としては大事な部分ということもあるでしょう。したがいまして、その辺の節度と申しましょうか、これはよく心得ながら、私は今後ともバランスのとれた行動をしていきたいと考えております。
  238. 中井洽

    中井委員 この問題に馬場先生、一番御熱心にお取り組みをいただきましたが、自民党の福島先生も大変御熱心におやりをいただいて、今回、熊本県知事に無事に御当選になられて、行政の責任者としておやりになります。環境委員メンバーを含めて、どうぞこれらの議員、知事と政治家として十分な話し合いをされて、大臣としておやりになることは、私は、閣内であるいは自民党内で、政府内で環境庁長官として方針をつくっていく、この御努力をいただくことがまず大事だ、見に行くだけで何もしない、ここまで言えば言い過ぎでありますが、それは方法が違う、このことを強く申し上げておきたいと考えております。  同じそういう対応でもう一つ、長良川河口堰についてお尋ねをいたします。  この河口ぜきは、私の選挙区の問題でもあります。発想や物の言い方あるいは現実は、先ほど寺前先生がお述べになったとおりであろうか、共産党さんと一緒だというのはめったにないことでありますけれども、ほとんど一緒であります。しかし、この長良川河口堰の問題は環境問題じゃないという御認識が足りない。建設省の問題だ、利水、治水の問題だと私は思います。私もあそこを選挙区として、しかも当選してから十一年、環境問題をずっとやってまいりました。あの河川に、環境庁がこれだけ大騒ぎをして守らなければならない貴重な自然あるいは自然体系があると聞いたことがありません。あるならば必ず私どもの耳に今まで入っております。あの河川が一級河川として日本でたった一つダムがつくられていない川である、このことを承知をいたしております。そして同時に、河口ぜき、二十数年前から時間がかかった、私ども、この過程の中で、随分補償問題から漁師さんとの問題から苦しんでまいりました。しかし、一度も自然環境の問題でこの河口ぜきが取り上げられたことはありません。  現在地元の人たちが一番不安に思っているのは、先ほど言いました利水と治水、建設大臣の所管であります。私は、環境庁長官が見に行かれる行かれると言うものですから、事務当局に何回も御忠告申し上げました。環境問題と関係ない、行くのなら建設大臣が行ってくれ、建設大臣が真っ先に行って現地と話し合いをすべきだ、こう言いました。残念なことに環境庁長官が行かれて、全国の方は、あの河川で環境問題がある、環境破壊が何かあるのだろう、こういうふうに認識をされておること、誤解をされておること、地元として大変残念であります。  同時に、大臣があたふたと、私どものように環境問題を専門にやってきた者の忠告を無視してお行きになった日は、二十六日、天皇陛下が即位の御大典をやられて、その後伊勢神宮へ御報告に来られる日であります。地元三重県は挙げて伊勢神宮へ行っております。そんな日にどうして環境庁長官が御視察に来られるのか、私は全く不愉快であります。この経過、説明してください。
  239. 武智敏夫

    ○武智政府委員 前北川長官が長良川河口堰に参りましたのは、先生指摘のとおり、治水の問題であり利水の問題でございますので、本来の所管はこれは建設省の所管かと思っております。ただ、環境庁といたしましても当然、いいか悪いかは別といたしまして、我々、長良川そのものはいい河川だというふうに思っておりますけれども、やはり環境の問題というのはこれは広い問題でございますので、関係あるというふうに思っております。  北川長官がなぜ、なぜといいますか、北川長官が非常に現地に行きたいというようなことも言われておりまして、先ほど出ました水俣の現地にも行きたいということもございまして、ただ、いろいろな日程の調整がございまして、私は直接一つ一つ日程に関係いたしておりませんので物を申せませんけれども、その合間を縫って行ったというのがあの日であったのではないかというふうに思っております。  北川長官も、帰られましてから長官の見解というのを出したわけでございますが、その中でも、治水、利水につきましてはいわば自分の所管でないけれども、自分が賛成派の方々あるいは反対派の方々の意見をいろいろ聞いておると、やはり建設省なり水公団でもっと十分説明する必要があるのではないかというようなことを言っておるわけでございまして、環境問題につきましては必要な水質なりあるいは自然保護に関する追加的な調査をやってほしいということでございます。その後、建設省とも話しまして、平成三年度末を目途に、自然保護なりあるいは水質に及ぼす影響について調査しようというようなことにいたした次第でございます。
  240. 中井洽

    中井委員 言わせていただければ、北川前長官は新幹線に乗ったら通るたびにあそこの河川を見れるのであります。私も大変残念な思いをいたしております。それなら、公共事業をやるすべての工事を大臣は全部見に行かれたらいいのだ。そんなばかなことはないと私ども思います。もう少し科学技術にのっとって、きちっとした形で行政をおやりいただきたい。  特に、大臣行動というのは大変な影響を与えます。それだけに、見に来てほしいという要望もあるでしょう。しかし、そのときにどういう意見──どうしてきちっと事前に御調査をいただく、そして同時に、そんな天皇陛下が来られて三重県挙げて御歓迎を申し上げておるときに、知事以下だれもおらないときに来る、そういうばかな日程で来るということのないように、十分気をつけていただきたい。  この二つの点で、大臣もこれから環境庁長官として各地から御要請があろうかと私は思います。政治家として御要望があって出ていく、これも一つ大事な仕事であろうかと思います。しかし同時に、環境、公害対策というのは、感情も大事だけれども、事実、そして科学技術、これにのっとってやってきたからこそ、日本世界の中で一番公害を解消する技術を持ち、そして地球環境世界に物を言えるだけのノーハウを持ったと私は思います。  そういう意味では、この委員会が果たしてきた役割も大きかったし、環境庁も地道に頑張ってこられた、そういう努力を無にするような、私どもみたいに長年やってきた者が不信感を抱くようなことをしていただきたくない、この思いを強く申し上げて、お答えをいただいて終わります。
  241. 愛知和男

    愛知国務大臣 先生の御見識に深く感銘を受けます。  まだ私は就任しまして二カ月でございますが、発言あるいは行動等につきましても十分責任を持って、これからも行動してまいりたいと思います。
  242. 中井洽

    中井委員 終わります。      ────◇─────
  243. 小杉隆

    小杉委員長 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  ただいま商工委員会において審査中の内閣提出、再生資源の利用の促進に関する法律案について、商工委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  244. 小杉隆

    小杉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会の開会日時等につきましては、商工委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十六分散会