○福田
委員 あと四日たちますと、いよいよ待望のと申しますか、ゴルバチョフ大統領が訪日をされるわけであります。ソ連首脳の初めての訪日ということで大変注目をされる、また歴史的な意味も大いにある、こういう訪日でございます。歴史的にと申しましたのは、
日本にとりましても戦後四十五年間、長期にわたる懸案問題というふうなことで解決がつかなかった問題について話し合おう、こういうことでありますから、
我が国にとりましてもまことに歴史的でありかつ画期的である、こういうふうに思っております。
これは大統領の方にしましても、ほかの西側先進諸国にはもう既に全部行っているわけでありますけれ
ども、
日本だけまだ行っていない、こういうことでありますので、そういう意味におきましても、大統領としてもこれは
意義の深い訪日である、こういうふうに思うわけであります。
そういうことでありますけれ
ども、日ソ間というのは長い間不信の塊、こういうふうなことで参りました。歴史的に言えば日露戦争、それからシベリア出兵、そしてソ連の対日参戦、こういうことがございました。これは国家間の非常に不幸な歴史で、また紛争、事件というふうなものだったわけでありますけれ
ども、第二次大戦後も領土問題とシベリアの抑留者の問題、こういう非常に不幸な問題が発生してきていまだに解決していない、こういうふうなことであります。
こういうことが積もり重なりまして、そして不信が増大されました。
日本も大変な不信をソ連に持っているというのが
現実であります。特に
日本の方に不信が強いということで、ソ連嫌いというのが
日本人のかなりの
部分を占めるのじゃないかな、こういうふうに思っております。
そういうことですから、今回のソ連の大統領の訪日ということはその不信の解消ということを目指して、これからどのような会談になるかわかりませんが、それを一つの大きなテーマとして
努力をしていただく、また当然のことながら、
我が国もそれに対応して
最大限の
努力をする、誠意を持って
努力をしていく、こういう姿勢が大事ではないか、こういうふうに私は思っております。
そこで、大統領が来日すれば
両国間の中心的な課題は領土問題である、こういうふうに当然
考えるわけでございまして、この話をまずしなければいけない、こういうことになろうかと思います。しかし、来日の直前、ただいまでございますけれ
ども、四島返還は当然のことながら外交当局が主張し、また
日本国政府、国民もそういう主張をしてきたわけでありますけれ
ども、それ以外にも二島返還とかいろいろな案が入りまじって言われておるというのが現状でございます。
このことにつきましては、先般衆議院の本
会議で北方領土問題の解決促進に関する決議案、これは「北方領土の返還実現は、
日本全国民の長年の悲願である」こういうふうに表現されておりますけれ
ども、そういう悲願と言うぐらいの願望を
我が国は持っている。そしてこれはかねがね言ってきたことでありますけれ
ども、四島は
日本固有の領土である、こういうふうに長い間主張をし続けてきたという経緯がございます。返すのが当たり前ということであろうかと私は思いますけれ
ども、しかし、こういう四島返還ということはきちんと主張し続けることに極めて重要な
意義があると思います。それは、
我が国が領土と主権を一生懸命守る国であるということをほかの国にも、そして
日本の国民に対しても示し続けなければいけない、こういう意味合いにおいて極めて大事なことであると私は思っております。
そんなふうなことでありますので、こういう主張はいかなる情勢下においても主張し続ける。事実主張し続けてきたわけでありまして、冷戦下においてもしかり。そして、その冷戦構造が崩れ、対立の図式がなくなりつつある今でも全く同じ主張をし続ける。これは当然でありますし、また我が自民党もそういう主張を続けてきたということでございます。
今回、大統領が来られましてこういう主張をしっかりとソ連に主張し続けなければいけない、これは当然でございます。しかしながら、先ほど申しましたように、二島問題とかいろいろな議論があるわけでございます。
この四島問題については、四島を主張するということについては、社会党さんが先般、千島返還から四島返還に政策転換をされた、こういうふうに伺っております。これは社会党さんが大変思い切った決断を下したな、若干遅きに失したけれ
ども、非常に
現実的な対応をされたというふうなことで、私は敬意を表したい、こう思います。ただ、新聞によりますと、そこの四島返還を通り越しまして、二島段階返還まで進んでしまった、それも
承認するというふうに書いてございました。これはちょっと随分頭の切りかえが速いなというふうに私は思っております。非常に柔軟な思考をされていらっしゃるな、こう思っておりまして、私
どもちょっとそこのスピードにはついていけないなというふうな感じもいたしております。
この二島返還論というのは、別に社会党さんがいいとか悪いとかそういうことではなくて、これは今現在、非常に方々で議論をされておりまして、もう二島返還が当たり前だというぐらいな常識的な案だというぐらいにまで取りざたされている、こういうようなことでありますけれ
ども、私は先ほど申しました四島返還という主張が消えておるわけではないのだし、これはれっきとして我我今でも言っておるわけです。国会でも言っておるわけですから、この主張をあくまでも
交渉において貫き通していただきたい、こういうふうに思っております。
そうでないと、国民も一体四島なのか二島なのか、または多元外交をしているのではないかとかいったような不信を持つ可能性がある。外交を信用できないというふうなことになっても困りますし、また
交渉当事者でございます外務当局も、これは
交渉がしにくい、迷惑だというふうなこともありますか、あるのではないか、こういうふうに私は思うのでありますけれ
ども、そういうふうなことも含めまして、これはもうひとつしっかりした
考え方を持って
交渉に臨んでいただきたい、こういうことを私は思っておるのであります。
そこで、まず確認の意味で、
交渉の基本的な姿勢というものをひとつ御
説明をいただきたい。従来と変わらないのか、もしくは何らかの変化があるのかどうか、そういうふうなことをお聞きしたいと思います。
それともう一つの原則であります政経不可分、このことについても変わるものか、変わらないのか、この点御
説明をいただきたい、こう思います。