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1991-03-01 第120回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月一日(金曜日)     午後二時十五分開議  出席委員    委員長 亀井 善之君    理事 鴻池 祥肇君 理事 佐藤 敬夫君    理事 武部  勤君 理事 二階 俊博君    理事 柳沢 伯夫君 理事 左近 正男君    理事 山中 末治君 理事 春田 重昭君       岩屋  毅君    木部 佳昭君       坂本 剛二君    平泉  渉君       藤井 裕久君    古屋 圭司君       増子 輝彦君    宮崎 茂一君       村田 吉隆君    山村新治郎君       赤松 広隆君    緒方 克陽君       小林 恒人君    常松 裕志君       細川 律夫君    浅井 美幸君       草川 昭三君    佐藤 祐弘君       高木 義明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 村岡 兼造君  出席政府委員         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部長      黒野 匡彦君         運輸省地域交通         局長      佐々木建成君  委員外出席者         運輸委員会調査         室長      長岡日出雄君     ───────────── 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   魚住 汎英君     加藤 紘一君   藤井 裕久君     倉成  正君   古屋 圭司君     津島 雄二君   増子 輝彦君     衛藤征士郎君   村田 吉隆君     中西 啓介君   常松 裕志君     和田 静夫君 同日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     増子 輝彦君   加藤 紘一君     魚住 汎英君   倉成  正君     藤井 裕久君   津島 雄二君     古屋 圭司君   中西 啓介君     村田 吉隆君   和田 静夫君     常松 裕志君 三月一日  辞任         補欠選任   古屋 圭司君     岩屋  毅君 同日  辞任         補欠選任   岩屋  毅君     古屋 圭司君     ───────────── 三月一日  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案内閣提出第六三号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、中部運輸局岐阜陸運支局自動車検査登録事務所設置に関し承認を求めるの件(内閣提出承認第二号) 二月二十六日  精神薄弱者に対する運賃の障害者割引の適用に関する請願山元勉紹介)(第一四五二号)  同(渡部行雄紹介)(第一五〇一号)  同(阿部未喜男君紹介)(第一五一一号)  同(小野信一紹介)(第一五二二号)  同(高木義明紹介)(第一五二三号)  同(逢沢一郎紹介)(第一五七七号)  同(井上喜一紹介)(第一五七八号)  同(石橋一弥紹介)(第一五七九号)  同(浦野烋興君紹介)(第一五八〇号)  同(小澤潔紹介)(第一五八一号)  同(太田誠一紹介)(第一五八二号)  同(金丸信紹介)(第一五八三号)  同(倉田栄喜紹介)(第一五八四号)  同(小杉隆紹介)(第一五八五号)  同(志賀節紹介)(第一五八六号)  同(鈴木恒夫紹介)(第一五八七号)  同(中西啓介紹介)(第一五八八号)  同(浜田幸一紹介)(第一五八九号)  同(松本十郎紹介)(第一五九〇号)  同(三原朝彦紹介)(第一五九一号)  同(宮下創平紹介)(第一五九二号)  東北本線(沼宮内〜八戸間)の存続に関する請願菅原喜重郎紹介)(第一五二一号)  同(小野信一紹介)(第一五九三号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一五九四号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第一五九五号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  新幹線鉄道に係る鉄道施設譲渡等に関する法律案内閣提出第三五号)  鉄道整備基金法案内閣提出第三六号)  全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案内閣提出第三七号)      ────◇─────
  2. 亀井善之

    亀井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出新幹線鉄道に係る鉄道施設譲渡等に関する法律案鉄道整備基金法案及び全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左近正男君。
  3. 左近正男

    左近委員 きょうこの新幹線関連三法を一括して審議をすることになったわけですが、なぜこれを一括でやるのか。これは委員会等でもいろいろ論議をしていくというか、我々論議してきたわけですが、政府側に言わせれば、この三法はもう表裏一体法案である。それほど表裏一体であれば、例えば整備新幹線建設促進特例法案というような一本の法案にまとめたらいいわけでして、三本ばらばらにしてなぜ一体的な法案なのか、その辺を聞かしてください。
  4. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今回御審議いただく三法案は、新幹線鉄道に係る鉄道施設譲渡等に関する法律案により既設新幹線譲渡新幹線鉄道保有機構の解散を定め、鉄道整備基金法案により、機構をスクラップとして新たに鉄道整備基金を設立するとともに、新幹線譲渡収入の一部を活用して基金による鉄道助成を実施することとし、さらに全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案により、新幹線鉄道規格線等について基金を通じ新幹線鉄道と同様の助成が実施されるよう措置するものであり、平成年度予算案に盛り込まれた鉄道整備促進施策を実施するために三法案は一体的な法律案であるため、したがって政府として一括審議をお願いしているところであります。
  5. 左近正男

    左近委員 それでは、なぜこの鉄道整備基金というのを設置せなあかぬのか、この理由は何ですか。
  6. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先生御承知のとおり、鉄道は、道路、港湾、空港と並びまして必要不可欠な交通施設であり、国土の均衡ある発展、地域の振興を図るためにも鉄道網整備を積極的に推進してい く必要があります。  このような状況を踏まえ、緊急に整備が必要な新幹線鉄道主要幹線鉄道及び都市鉄道整備等を促進するため、別途、新幹線鉄道に係る鉄道施設譲渡等に関する法律案規定により実施される新幹線鉄道保有機構からの既設新幹線譲渡に伴う収入の一部を活用しつつ、これに一般会計等からの補助金等を加えまして、総合的かつ効率的に鉄道助成を行う特殊法人鉄道整備基金を設立する、そういうような理由でございます。
  7. 左近正男

    左近委員 今大臣からのお話を聞けば、結局、究極のところ、いろいろきれいごとを言っていますが、この基金設置については、整備新幹線建設するために基金設置する、それが主たる目的ではないですか。どうですか。
  8. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 鉄道整備基金設立の主たる目的一つ整備新幹線整備にあることは先生指摘のとおりでございますが、鉄道整備基金は、新幹線鉄道だけではなく、主要幹線鉄道整備、また、通勤混雑緩和に資します都市鉄道整備もその目的とし、新幹線譲渡収入の一部を活用して、整備新幹線財源に活用するだけでなしに、都市鉄道等の無利子貸付制度を設立することにもなっておりますので、鉄道整備に関する総合的な基金だと考えております。
  9. 左近正男

    左近委員 この基金が今答弁されたように総合的な鉄道整備の母体となる基金である、こういう答弁でありますので、理解をしていきたいと思います。  それでは、この基金財源はどこから持ってくるんですか。
  10. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 鉄道整備基金財源につきましては、一括審議をお願いしております新幹線鉄道施設譲渡法案に基づきまして、既設新幹線譲渡しますその収入の一部を活用する、この収入の一部でもちまして新幹線鉄道建設に対する交付金交付を行いますとともに、主要幹線鉄道あるいは都市鉄道整備に対する無利子貸し付けを行う、これが一つ財源でございます。それからもう一つは、従来一般会計から鉄道整備に充てておりました助成財源、これを鉄道整備基金に投入しまして、特定財源と合わせて鉄道整備を効率的に行っていこうと考えているわけでございます。
  11. 左近正男

    左近委員 新幹線譲渡代金の一部というのは、額はどれぐらいですか。
  12. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今回、新幹線施設譲渡につきましては、譲渡時点における価額九・一兆円をもって譲渡することになっておりますが、この九・一兆円から既設新幹線債務相当額八・一兆円を除きました一兆円を整備新幹線財源に充てるというのがその一つと、それからもう一つは、新幹線譲渡収入のうち、清算事業団債務償還しますその資金について、清算事業団の資金繰り上、可能な範囲で無利子貸し付けを行うということも考えております。
  13. 左近正男

    左近委員 今あなた、新幹線譲渡、九兆一千億円で譲渡が決まったと、これはどこで決めたんですか。これからの問題と違うの。あなた、勝手に決めたの。
  14. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 予算上九・一兆円となっておりますが、今回譲渡する新幹線施設はいわば国民共有財産とも言える公共性の高い財産でございまして、適正な時価で譲渡することが必要であると考えております。このために、譲渡価額につきましては昨年予算要求をいたしました後、JR株式基本問題検討懇談会新幹線譲渡に関するワーキンググループを学識経験者から成るメンバーで設置しまして、そこで価額評価方式等について検討し、譲渡時点における取得価額、これは土地、償却資産それぞれについて評価するという点で約九・一兆円という額を定めたわけでございますが、さらに、この法案が成立しました後、新幹線鉄道保有機構新幹線鉄道施設評価審議会設置しまして、そこで再精査していただくことになっております。
  15. 左近正男

    左近委員 だから、この譲渡等に関する法律案三条または四条に基づいて最終的に譲渡金額が決まるんでしょう。違うの。
  16. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 最終的にはそのとおりでございます。
  17. 左近正男

    左近委員 だから一兆円というお金、一兆円がひとり歩きし過ぎと違う。この一兆円問題というのは、この法律ができて、これから客観的に評価審議会等でどれぐらいの価額譲渡をしたらいいのかということが慎重に審議されるんじゃないですか。あなたら、一兆円を先へ先行させ過ぎじゃないですか。どうですか、その辺。
  18. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 確かに先生指摘のとおり、最終的には法案の成立後、新幹線鉄道施設評価審議会においてオーソライズするということになっておりますが、予算性格上、私どもとしましてもいろいろな方法で検討して、一応九・一兆円という見込みを立ててございますので、これもそう結論と違わない数字になるんではないかと考えているので、ここで九・一兆円という一応の予算上の積算のもとになった数字を申し上げたわけでございます。
  19. 左近正男

    左近委員 まあ余り時間ないからあれやけれども、大体あなたらは先へ何でもし過ぎやで、ほんまに。  そこで、この一兆円問題、一応、一兆円ということを八兆一千億から再評価して九兆一千億何がしになるということを前提にして質問しますが、この一兆円、金利六・五五%、六十年間元利均等支払い年間七百八億円の支払いJR三社から行っていく。この割合について東日本が三三・七、東海が五五・七、西日本が一〇・六ということですが、これは現行リース料割合と異なっておる。なぜ異なっておるのか。
  20. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 現行リース料につきましては平成年度に定めたわけでございますが、リース料性格上、平成年度という比較的近い時点における各新幹線鉄道収益見通しと、国鉄改革時、六十二年の四月時点における各新幹線の再調達価額、これを掛け合わせた数値の比率を基礎として算定したものになっておりましたが、今回は、譲渡という永久に変わらない配分額を定めなければならないわけでございますので、その収益見通しにつきましても、リース期間終了時点と想定されておりました平成二十八年度という先に見通しを設定して、その時点における収益、それからまた、その期間中に見込まれる設備の維持更新の費用も勘案して今回の配分額を定めたところでございます。
  21. 左近正男

    左近委員 あなた、よう二十五年先もわかりますな。だからこれ、やっぱり何か理由があるんでしょう。東海の方は文句言うたからちょっと下げたとか、端的に言いなさいよ。
  22. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 東海東日本、各JRがいろいろ文句を言ったのは事実ですが、その文句理由というのは、それぞれの新幹線収益見通しというのがリース料のときと異なっているということでございまして、長期的に見れば、既に成熟しておりますJR東海東海道新幹線伸びは鈍化する、また、開業が最も早かったことから施設経過年数の長い東海道新幹線維持更新費は相対的に高くつく、一方、上越新幹線東北新幹線は最近の伸びから見て今後も順調に伸びていくであろう、そういう各社意見、また客観的な事実等を勘案して、先ほど申し上げましたような配分を決めさしていただいたわけでございます。
  23. 左近正男

    左近委員 この一兆円というのは、六十年間各社に対する割合、また財源、これは変更しないということを約束できますか。
  24. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 いわゆる今言われました一兆円というのは、譲渡時点、ことしの十月一日を予定しておりますが、そのときにおける取得価額九・一兆円と先ほども申し上げました保有機構の総債務額八・一兆円との差額のことでございますので、したがいまして、この一兆円は、譲渡時点における九・一兆円の一部として譲渡価額を構成しておりますので、今後譲渡価額というものは、一たん譲渡してしまえばそれまででございますので、変わることはございません。
  25. 左近正男

    左近委員 新幹線がなくなる法案ですが、保有 機構法の二十三条では、二年ごとリース料金については再評価をしながらやっていく、こういう法の精神は今回の法案にはないということでよろしいですか。
  26. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 新幹線鉄道保有機構法ができましてリース料を決めましたときには、いまだ上越新幹線あるいは東北新幹線開業後、日が浅いこともございまして、その収益見通し等について一定期間ごとに見直していくということになりましたが、今回は、ある程度それぞれの新幹線収益見通しが立てられるようになったという前提で先ほどの計算をいたしましたので、譲渡額を最終的に決定したということでございます。
  27. 左近正男

    左近委員 これは保有機構も大きな借金を持っておるし、清算事業団もたくさんの借金を持っておる、債務額八兆一千億。せっかくこれを九兆一千億に再評価するのだったら、その一兆円は借金の返済に充てるのが筋じゃないか、こういう強い世論もありますが、この点いかがですか。
  28. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 清算事業団債務処理問題につきましては、現時点において長期的見通しが立っているわけではございませんが、今回の財源構想は、国鉄改革時におきます保有機構債務八・五兆円というスキームはそのまま変更しないという前提になっておりますので、八・五兆円が今債務が減りまして八・一兆円になっていますが、これは従来どおりその債務に充てる。差額の一兆円につきましては、整備新幹線財源問題の解決が喫緊の課題とされていること等の事情も総合的に勘案しまして、現下の国民的課題であります整備新幹線建設財源問題の解決のために活用することとしたわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
  29. 左近正男

    左近委員 この法案は非常に巧妙な法案なんですね。頭のいい人がつくった。このとおりうまくいけばこれはいいかもわからぬけれども、後ほど若干いろいろ触れますが、私は、こんな六十年先まで見越してやるようなことは絵にかいたもちになりがちだ、その辺を非常に心配しています。これはまた後ほどちょっと触れたいと思います。  そこで、JR三社がこれは年間七百八億円という金を余分に負担するのですね。これは大変なことじゃないですか。経営悪化につながりませんか。
  30. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今回の譲渡によりまして、本州三社におきましては、一方で、損益上リース料を支払わなくなるという点で経費が減少しますが、他方で、譲渡代金金利と、譲渡を受けました新幹線施設のうちの償却資産について減価償却費を立てますので、その分経費が増大する、双方差し引きしますと経費が増加することになりますが、三社の現在の経営状況経常利益状況から勘案して、決して経営を悪化するものではないと考えております。
  31. 左近正男

    左近委員 それでは、この一兆円の受け皿をつくるために鉄道整備基金というのを設置しなければならぬ、これはある面では私は理解ができると思うのですが、ほかに、この基金は、運輸省からの補助金についてもこの基金を通すという法案内容になっているわけですね。例えば地下鉄補助について、新年度かなり努力をしていただいて六百五億円、今後これは基金を通じて支払いがされると思いますが、こういう国からの補助金について、なぜ基金を通さなければならないのか。基金を通すことによって地下鉄補助金はふえますか。どうですか、その辺。
  32. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今回の鉄道整備基金による助成は、一方で既設新幹線譲渡収入の一部を活用するということと、一般会計から従来も鉄道整備に充てておりました助成を一元的に鉄道整備基金を通して交付を行うということになっておりますが、これらいずれも我が国の鉄道の今後の整備のための助成金でございますので、これを鉄道整備基金という新たな組織体の中で一元的に管理運営することが望ましいと考えております。  これは一つには、多くの鉄道助成、いろいろな補助がございますが、そういったメニューを一カ所で一元的に管理して実施する方が効率的であるということ。それから補助金交付等の諸手続、これは一方で特定財源による交付金、無利子貸し付けもあり、他方一般会計予算からの助成もございますが、こういったものの諸手続を一元化することが効率的である、こういったこと。それからまた、鉄道整備基金はそれなりの組織、要員を持っておりますので、助成業務を効率的に行うためにはこの組織体を利用することが鉄道事業者にとってもプラスになる。そういった総合的な判断から、一般会計からの補助も含めて、鉄道整備基金を設立運営することとしたわけでございます。
  33. 左近正男

    左近委員 これは今まで各地方公共団体は、例えば地下鉄補助は、大塚さんのところへ、あなたのところへ頭を下げに行くか地域交通局長か知らぬけれども運輸省へ頭を下げに行った。今度は基金にも頭を下げに行かなければならぬ。二回頭を下げに行かなければいかぬ。あなたたち、規制緩和や行革やと言っていながら、これは地方に二回も足を運ばせて頭を下げに来させるわけだ。これは二重行政じゃないのですか。何で地下鉄建設、国からの補助をダイレクトに地方公共団体に渡したらぐあいが悪いのですか。
  34. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今申し上げましたように、鉄道助成を一元化して鉄道基金を設立するということは鉄道事業者にとっても有意義なものと考えておりますが、今先生指摘のような手続が煩雑になるかどうかという点については、私どもも、運輸省においては交通政策観点から助成の基本的な指針を定め、実際の助成事務的な手続はできるだけ基金のみで行えるように、個々のプロジェクトごとに仕組みをすっきりさせて、これは役所だって頭を下げるような必要のない事務簡素化が必要でございますが、鉄道整備基金においても二重行政にならないように十分今後手続等規定整備していきたいと考えております。
  35. 左近正男

    左近委員 それはひとつやっていただきたいと思います。  そこで、こういう国から直接というか、国が一〇〇%持つ財源については、基金の中でも明確に区分して運営されるという理解でよろしいですか。
  36. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 法律でも一項と二項に分けてございますように、それぞれの趣旨に応じて区分して運営していくことになろうかと思います。
  37. 左近正男

    左近委員 そこで僕は、これは頭が悪いのか、この法案を一通り読ませてもらったのですが、この基金の二十条と二十一条との関係、これはこの基金補助対象事業を決める権限はだれが持っているのか、運輸省が持っているのか基金が持っているのか、この二十条と二十一条の関係が僕は非常にあいまいだと思うのですね。だから、補助対象事業を決める権限はどこが持っているのか、基金運輸省か、どちらですか。
  38. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 基金が行う助成業務は、既設新幹線譲渡収入の一部を活用して行う業務一般会計からの補助金に分かれておりますが、特定財源についても運輸大臣業務実施方針に基づいて無利子貸し付けについては事業認定を行う、一般会計においては今までの予算制度と同様に運輸大臣予算上決めるということで、いずれの場合も運輸大臣補助金の決定をするということに変わりはございません。
  39. 左近正男

    左近委員 それなら基金は、運輸省が決めたものを、金をばらまくだけか。
  40. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 ばらまくのではなしに、効率的にかつ簡潔といいますか、総合的に事務処理をしていくということで運営していきたいと考えております。
  41. 左近正男

    左近委員 言葉は悪いけれども基金はほとんど権限はないということだな。
  42. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 政策的な判断という意味権限基金はそれほど持たない、これは運輸省交通政策上の観点からやる、補助事務手続助成業務経理事務等基金が行うということでございます。
  43. 左近正男

    左近委員 運輸大臣金庫番ということか。
  44. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 金庫番の職務はよくわかり ませんが、できるだけそういう実務的な経理業務助成交付手続ということを行っていく組織だと考えております。
  45. 左近正男

    左近委員 僕は、基金というものについて、それは金庫番的な会計処理運輸省が決めたそういう事業計画基本計画に乗ってただ事務的に作業をするだけの基金であっていいのかどうか、これは少し疑問なんですよね。ある程度基金にも政策的な判断をさせるような機能を一部持たせてはどうかというような感じもします。その場合、客観的にそういう基金運営についての、補助金対象事業についてのいろいろ論議をする審議会的なものを基金のもとに設けてもらえないか、このことによって基金運営が公平かつ合理的、公正にできるのじゃないか、私はこういう考えを持っておりますが、この点いかがですか。審議会的なものを設けてもらいたい。
  46. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今申し上げましたように、基金は実務的な業務をやるとともに、もちろん、いろいろな補助金がございますが、そういうメニューの相談を受けたときに専門的知識でアドバイスするというようなことはあろうと思いますが、政策的な問題については、むしろこれは運輸省、国の責任でやるべきであると考えており、今先生指摘のような審議会といいますか、そういった学識経験者意見を聞くというのは、むしろ運輸省のレベルで、今後、例えば運輸政策審議会に基本的な鉄道整備あり方を聞くというようなことを通して公正を期していきたいと考えております。
  47. 左近正男

    左近委員 この基金運営審議会というようなものを設けることについては不都合ですか。
  48. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 最初に申し上げましたように、二重の煩雑な手続あるいは鉄道助成二元化を避けるという意味におきまして、むしろ政策的な問題、今後の助成あり方等運輸省で行っていくということが必要かと思いますが、もちろん鉄道整備基金運営についていろいろ問題がありますときには、いろいろな機会を通じて広い範囲の皆様の意見を聞く機会は持つようにしなければならないと考えております。
  49. 左近正男

    左近委員 そんな抽象的なことではぐあいが悪いわけです。つくるのかつくらぬのか、どっちですか。
  50. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 というような理由で、今のところは基金自体運営審議会的なものをつくることは考えておりません。
  51. 左近正男

    左近委員 これだけやっておっても時間ないから、また同僚議員が触れるだろうと思います。  そこで、将来の鉄道整備について運輸省としてはどんな構想をお持ちなのか、この機会に聞かせていただきたいと思います。
  52. 村岡兼造

    村岡国務大臣 大量、高速、定時、安全、低公害といった輸送機関の特性を有する鉄道は、国内幹線交通及び都市の通勤通学輸送の足として重要な役割を果たしておりまして、鉄道ネットワークの整備充実が強く要請されておるわけでございます。  二十一世紀を展望した交通体系のビジョンについては、現在運輸政策審議会においても御審議をお願いしているところでありまして、運輸省としても、これらの審議結果を踏まえ、二十一世紀に向けた鉄道整備の推進について全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  53. 左近正男

    左近委員 僕は鉄道整備ほど国民生活にとって密接な大切な事業はない、そういう判断をしているわけですが、運輸省鉄道整備の五カ年計画的なものをつくる考え方を持っておられないのかどうか。例えば公共事業関係の計画、国全体で十五も五カ年計画なり長期計画があるわけですよね。これは運輸省関係では港湾整備五カ年計画、海岸事業五カ年計画、空港整備五カ年計画がありますが、こういうような形で鉄道整備の五カ年計画というものをしっかりと策定する考え方をお持ちでないかどうか、私はぜひとも持ってもらいたいと思うのですが、この点いかがですか。
  54. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 ただいま先生が例示されましたような空港整備あるいは港湾整備といったものと鉄道整備を比較しますと、現在の鉄道整備の事業主体というのは、今後民営化されるJRあるいは民営鉄道というように、民間の事業者の将来の投資の規模あるいは事業量というものが計画の内容の一部になってくるという点で、同じような計画を国自体の責任でつくるということについては若干問題があろうかと思います。  しかし、鉄道助成を行っていく上において中長期的な計画というものは何らか必要だと考えており、運輸政策審議会において今後御議論をいただいて、そのような方向の計画を策定したいと今のところ考えております。
  55. 左近正男

    左近委員 これはぜひともお願いをしたいと思います。  そこで、今度日米の経済摩擦等々から四百三十兆円の公共事業、新年度は二千億円ということで、これは運輸省はどれぐらい分捕ったんですか。
  56. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 お答え申し上げます。  平成年度予算において、生活関連重点化枠としまして全体で二千億でございますけれども、このうち鉄道の分について申し上げますと、地下鉄の新線建設に対しまして交付されます地下高速鉄道建設補助金として二十二億二千万円が予算上計上されておるわけでございます。
  57. 左近正男

    左近委員 運輸省も大変頑張られたと思いますが、公共事業の予算配分というのはなかなか難しいということで、これは思ったより多いか少ないか私はよう判断しませんが、非常に微々たるものである。  そこで、この鉄道整備というものをやはりしっかりと公共事業としての位置づけをやるべきじゃないか。大都市の交通整備なんかについては公共事業としての位置づけをしっかりやっていく、こういうことが必要じゃないかと僕は思うのですね。例えば、少し古いですが、一九八八年の行政投資されておる金額のうち、第一位は島根県です。一人当たり三十九万七千円。私は大阪出身ですが、大阪は四十七位ですよ、最下位ですよ、十八万六千円。いかにこの公共投資的な財源が大都市に対して振り分けられておらないか。この辺もっとメスを入れてもらって、大都市の交通整備なんかは公共事業としての位置づけをしっかり確立させていただきたい、このように思いますが、いかがですか。
  58. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 大都市鉄道整備財源の確保に関連した問題の御提起でございますけれども平成年度予算におきまして、大都市鉄道のうち地下鉄に対する補助金につきましては、まず公営地下鉄について申し上げますと、先生方の御支援をいろいろ賜りました結果、前年度に対しまして五〇%増の五百九十五億円を計上いたしております。それで内訳につきましては、平成年度に繰り延べなしに交付すべき補助金として五百四十七億円を確保いたしますとともに、平成年度交付の繰り延べを行った補助金二百三十一億の一部を前倒しをして四十八億円を回復するということが可能になりました。以上のうち二十二億二千万円は、先ほどお答え申し上げましたように生活関連重点化枠として認められたものでございます。  それから、補助制度の面でも大幅な改善を図ったわけでございまして、一つは、従来は補助金地下鉄事業者に対する運営補助として整理してきたわけでございますけれども平成年度からは資本費補助というふうに改まったわけでございます。予算上も、その結果、地下高速鉄道建設補助金は財政法第四条に言う公債発行対象経費というふうになりまして、いわゆる公共事業費として位置づけられたわけでございます。これによって、今後は概算要求シーリングの面で他の公共事業費と同様の取り扱いがなされるというふうに思っております。  それから、公営の改善の二番目の点としましては、新規に採択されました路線につきまして、補助金の分割交付期間を従来の十年から五年間に短縮するというような改善が行われました。  それから、営団地下鉄につきましては、公営地 下鉄に対する補助と同様に、平成年度から補助金性格を公共事業費として位置づけて約十億円を確保いたしますとともに、営団の七号線でございますけれども、駒込—目黒間の新線建設工事について、その費用の四〇%について、今度新設をお願いしております鉄道整備基金から無利子の資金を貸し付ける制度が新たに設けられたということでございます。  そういうような制度改正が行われたわけでございますが、公共事業費扱いとすべきではないかというお尋ねの趣旨が、道路や港湾のようなあるいは空港のような公共事業費の扱いにすべきではないかというお尋ねであるとしますれば、この点につきましては、先生十分御承知かと思いますけれども、公共事業費についてはいろいろ歴史的な経緯がございまして、対象を新たに追加するということが極めて困難な状況にあるというふうに思います。そういうことで、地下高速鉄道建設補助金を公共事業関係費という、いわゆる狭義の公共事業費として位置づけるということは、慎重に検討する必要があると思います。
  59. 左近正男

    左近委員 これはあんたらの仕事と違うんかい。やはり努力してくれなあきへんがな。難しい、難しいではぐあいが悪い。やはりこれからもそういう立場で頑張ってくださいよ。よろしいか。
  60. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 第一歩としまして、公共事業費扱いになりましていわゆる公債発行対象経費になったわけでございますが、御指摘の点は頭にとどめておきたいと思います。
  61. 左近正男

    左近委員 新年度一生懸命やってくれはったことについてはよく感謝します。その上にお願いしているのですから、よろしくお願いします。  そこで、新幹線保有機構が廃止になるわけですが、保有機構には、資料をいただいたところでは、理事長以下七十三名の職員がおられるわけですが、今度基金に移りますと、この職員については全員基金で雇用不安がないという理解でよろしいか。
  62. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 役員を除いて現在員で六十五名でございますが……(左近委員「我々の資料は、間違いを持ってきたんかい」と呼ぶ)それは定員と現在員が違いますので、現在員としては六十五名でございますが、新幹線鉄道保有機構から鉄道整備基金債務の償還業務あるいは新幹線鉄道施設の登記業務等が引き継がれます。そういう関係もあり、六十五名のうちの相当部分は鉄道整備基金に引き続き職員として採用されると考えておりますが、これはもちろん新幹線鉄道保有機構の職員の希望を聞く必要があり、その希望に応じて、その他の職員についても雇用の不安のないように適切に指導していきたいと考えております。
  63. 左近正男

    左近委員 ごたごたは絶対起こさないということでよろしいか。
  64. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 雇用不安のないように万全を期したいと思います。
  65. 左近正男

    左近委員 信じましょう。  この基金の構想で、当初計画では、通勤混雑緩和対策として三大都市に定期収入の〇・五%、こういう構想を断念されているわけですが、それでは、通勤混雑緩和対策というのはこれからどうやっていくのか、どんな財源でやっていくのか、いかがですか。
  66. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 先生今御指摘通勤混雑緩和対策の納付金の関係でございますが、御指摘のように、平成年度の要求の際に、三大都市圏を対象に考えまして、通勤定期収入の千分の五を鉄道事業者から納付金という形で納付していただいて、それと同額の資金を基金から出しまして、いわゆる通勤混雑緩和対策無利子貸付等の制度を要求したわけでございますが、この点につきましては、要求時にその対象と考えておりました駅設備等の改良に関する工事の具体的内容の詰め、あるいは整備指針の策定などが十分詰まらなかったというようなこと、それからまた運賃コストとの関係、それから徴収方法、義務的徴収とするか否かといったような問題について、関係者との調整を含めてさらに検討する必要があるというようなことから、平成年度におきましては制度創設は見送ったわけでございます。今後引き続き検討するということにしております。  しかし、先ほど御答弁申し上げましたように、通勤混雑の緩和につきましては、平成年度予算案におきまして、地下鉄予算の大幅な充実強化、それから大都市鉄道整備に対しまして無利子貸付制度が創設されましたというようなことなど大きな前進を見たということでございます。  それから、さらに財投の面でございますけれども、駅施設の改良等につきまして、当面、開銀融資に新たに通勤混雑緩和対策工事という類型を設けることが認められましたものですから、これを活用して積極的に進めていきたいというように考えております。
  67. 左近正男

    左近委員 この構想は、平成年度は無理だけれども、将来まだ引き続いてこの構想に基づいて運輸省としては努力をしていくのか、もう断念されたのか、どちらですか。
  68. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 要求をしまして結論が出ますまでの間にいろいろと議論が行われましたものですから、その議論も念頭に置いてこれからいろいろ考えていくということでございます。
  69. 左近正男

    左近委員 どっちになるかわからぬというこっちゃな。——答弁せんかい。
  70. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 今のところ結論が出ておりませんでして、引き続き検討させていただきたいということでございます。
  71. 左近正男

    左近委員 どちらになるかわからへんことやね。あんたら、もう大阪弁で答弁してもいいよ。  次に、大阪の問題を一、二やりたいと思います。  片福線の建設がかなりピンチになっているわけですね。総工費が二千三百五十七億円ですけれども、地価の上昇等で平成七年の完成予定というのがかなり困難になってきている。そこで、地方公共団体も応分の協力は当然いろいろしなければなりませんが、やはり国の方もNTTの無利子融資等何らかの追加応援を私はしてやってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  72. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 今御質問のありました関西高速鉄道株式会社の件でございますけれども、片福線、京橋—尼崎間十二・三キロを建設中でございますが、平成元年三月に着工しまして、平成年度の完成を目指して工事を進めておるところでございます。  この片福線に対します運輸省の方の助成の現在の内容でございますけれども、片福線の大都市交通に占めます重要性にかんがみまして、まず、鉄道建設公団のP線方式を適用しているということのほか、開銀の出融資、それからNTT・Cタイプの無利子融資を行うなどの手厚い助成措置を講じて整備促進を図っているところでございます。  御質問のNTT・Cタイプ無利子融資につきましては、毎年所要額を計上しておりまして開銀を通じて融資をしているわけでございますが、平成年度は三十億円という予定になっております。現時点で追加融資がこれから必要になるかどうかということでございますが、現在の時点で追加融資が必要かどうかということは特に考えておりません。  御指摘のように、大阪地区では地価が非常に上昇いたしまして、そのために、この線の全体の工事費が当初の計画額を大幅に上回りそうだということは私どもも承知しておりまして、その点につきましては、現在、関西高速鉄道、それから主要な出資者である大阪府、大阪市、JR西日本といったところで工事費の見直し作業をまず行うとともに、増資を含めてその対応策について検討をしているという状況でございます。
  73. 左近正男

    左近委員 その辺の事情はようわかっているのですよ。だから、やはり国としても今後いろいろな形で努力をしてやってほしいと思うのですが、どうですか。
  74. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 建設費の見直しが行われ、それから公共団体によるあるいは関係者による増資といったような問題がまだ検討途上でございますので、その検討の結果を踏まえてよく考え てみたいと思っております。
  75. 左近正男

    左近委員 ひとつ親切に相談に乗ってあげてほしいと思います。  そこで、もう一件、大阪の外環状線、これは既に昭和五十六年に運輸大臣の工事の事業認可を受けているのですね。この事業認可についてはJR西日本に継承をされているのですか。
  76. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 されております。
  77. 左近正男

    左近委員 それであれば、工事認可を受けてもう十年ほったらかしというのは少しぐあいが悪いのではないでしょうか。だから運輸省として、この外環状線問題について、具体的にどういう条件がそろえば工事が開始できるのか、具体的なスケジュールというか、そういうものも指導していただいて、やはり地元ではかなりこの線を期待をしているわけですから、ひとつ一肌脱いでいただきたいと思いますが、どうですか。
  78. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 大阪外環状線については、先生が今御指摘されましたように工事の認可をしているわけでございますが、国鉄の財政事情の悪化から、事実上工事着手に至らず今日に至っております。  ただ、平成元年五月の運輸政策審議会の答申におきまして、西暦二〇〇五年までに整備することが適当である区間と位置づけられており、現在、この計画についてJR西日本と関係地方公共団体との間でいろいろな問題について検討を進めているところでございますので、運輸省でも、この検討の促進、かつ検討結果を踏まえ、答申どおりに整備されるように努力したいと考えております。
  79. 左近正男

    左近委員 僕は大塚さんを信頼しているわけで、今の答弁どおり、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  先ほど地域交通局長から、新しい年度地方公共団体地下鉄建設助成について、かなり改善された内容について御答弁をいただきました。大変ありがとうございます。  そこで、この補助の繰り延べがまだ残っているんですね。幾らぐらい補助の繰り延べは残っているのか、国としていつごろまでに完全に返してやるのか、また、今後は絶対この補助の繰り延べをしないと約束できるのか、この三つについて答弁してください。
  80. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 今お尋ねの公営地下鉄に対する補助金の繰り延べの問題でございますけれども平成年度の補正予算でそれまで繰り延べになっておりました補助金千二十四億円というのを回復していただきましたが、平成年度に新たに二百三十一億という繰り延べが発生したわけでございます。  それで、今回の平成年度予算におきましては、二百三十一億のうち四十八億円の繰り延べを回復したということで、当初予定されていたペースよりは繰り上げて回復したわけでございます。四十八億回復いたしますと、残りが百八十二億ということになります。百八十二億につきましては、さらに今後早急に回復措置を講ずるよう引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
  81. 左近正男

    左近委員 答弁抜けてるやんか。これからは一切せえへんて、それが抜けてるやんか。
  82. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 失礼しました。  今後は新たな繰り延べをするようなことが生じないように、最大限努力したいと思っております。
  83. 左近正男

    左近委員 どうもありがとうございます。  そこで、法案にまた少し戻りたいと思います。  国鉄清算事業団債務ですが、先ほど総括審議官もおっしゃいましたように、今二十五兆九千億ですか、あるわけですね。「日本国有鉄道清算事業団債務の償還等に関する具体的処理方針について」平成元年十二月十九日閣議決定、この内容を見さしていただきましたが、土地で九兆九千億円、JRの株を売却して解消さしていこう。これだけの膨大な債務、どういう見通しをお持ちで仕事をされておるのか、ひとつ本音のところで聞かしていただきたいと思います。
  84. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 清算事業団が承継しました二十五・五兆円の債務は、平成年度までは金利増によって債務そのものが累増しておりましたが、昨年国会で御審議いただき成立させていただきました特別措置法により、三月、今月の終わりに営団の出資持ち分を政府一括譲渡する等もございまして、また、土地も一兆円に近い額が処分できる見通しでございますので、平成年度末、平成年度首は、先生がただいま言われましたように、二十六・二兆円に初めて債務が減ることになりました。  今後、土地をできるだけ早期に適切に処分するとともに、JR株式も処分することによって極力長期債務をなくしていきたいと考えているわけでございますが、土地につきましては、一昨年暮れの閣議決定に基づき、平成年度までに実質的な処分を終了するとしておりますので、そのころまでに全体の長期債務の償還について決着がつけられるようなスケジュールを考えているところでございます。
  85. 左近正男

    左近委員 今年度も土地の売却について計画どおりいかなかったんですね。これは地価という社会的、政治的な問題もありますので、売却というのは非常に難しい問題だと思いますが、これだけの借金をずるずる引きずっていくというわけにもいきませんので、今答弁されたように、ひとつ鋭意努力をしていただきたいと思います。  そこで、この借金返済の有力な武器であるJRの株式の問題ですが、この平成年度から上場を開始していこうという方針を閣議決定されておられる。このJR株の上場についての基本的な考え方はどうなのか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  86. 村岡兼造

    村岡国務大臣 JRの株式につきましては、清算事業団債務等の償還及びJRの完全民営化という国鉄改革の趣旨に沿って、できる限り早期かつ効果的な処分を行う必要があります。平成年度に処分をする場合にも備え、検討、準備を進めておるところでありますが、実際の売却につきましては、株式市場の動向を十分見きわめつつ、慎重に対応していくことが必要であると考えております。
  87. 左近正男

    左近委員 この株式上場の必要な条件というか、東京の証券取引所が示しておる条件、純資産額が資本金の二倍以上であること、上場前三年間の利益額が資本金の三割、直前一年は四割以上であること、上場直前期において配当実績があること、この三条件が今日時点でそろっておるのはどこの会社ですか、JRの三社のうち。
  88. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今先生が言われました主要な上場基準について、現時点で三つとも満たしているところはありません。と申しますのは、最後の一割配当をまだ実施しておりませんが、本州三社につきましては、ことし三月期の決算において経営が順調でございますので一割配当をする予定でございます。この配当をしますと、東日本東海は今の主要な三つの条件は満たすことになります。  西日本については、ことし三月期の決算で純資産額についての基準は満たしますが、利益額については、今のところ平成年度になるのではないかと考えております。
  89. 左近正男

    左近委員 この三条件というのは、法律ですか。
  90. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 証券取引所の上場に関する独自の基準でございます。
  91. 左近正男

    左近委員 その独自の三条件をクリアしなければ絶対だめだということですか。
  92. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 これは、上場審査を受けてJR等から説明をしなければ、私ども運輸省の立場からは何とも申し上げられませんが、今までのいろいろな企業の上場に当たっては、極めて基本的な基準ではないかと考えております。
  93. 左近正男

    左近委員 JR三社は一生懸命頑張っておるのに、二社だけやって一社取り残したといったら、これは勤労意欲にも影響しますからね。かなり政策的な配慮が必要じゃないかと私は思うのですが、これは質問事項にないかもわからぬけれども大臣はどう思いますか。
  94. 村岡兼造

    村岡国務大臣 JR株式の具体的な売却方法等 につきましては、JR各社経営動向、株式市場の動向を見きわめつつ、適切に判断をしてまいりたいと考えております。
  95. 左近正男

    左近委員 もう大臣に余り言わんとくわ。  そこで、最近、このJRグループ株式上場問題を協議するJR株式基本問題検討懇談会というのが設置されておるわけですね。ここでは、このJRの株の売却について三社一括には慎重論が続出したというような記事の内容になっておる。したがって、この三社のうちどこか一社を先行してちょっと市場に上場したらどうか、様子を見たらどうかというような意見だろうと私は思いますがね。運輸省として、どこか一社を先行さす方向をとるのか、あるいはまたこの条件を満たしておるところから一斉方式をとるのか、そういう基本についてはどうですか。
  96. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 JR株式基本問題検討懇談会ではいろいろな角度から検討しておりまして、いまだ結論を出しているわけではございません。どこを上場するのか、あるいは一括売却か、分割か、三社についてはどういう形でやるのかにつきましては、今大臣から申し上げましたように、一つJRの民営化をできるだけ早期に実現するという要請もございますが、他方では、何せ相当な量に上る株式の処分をしなければならないということで、株式市場の動向、株式市場における資金量、新規上場に対してどれだけの資金量があるか、これは景気にも影響されますが、そういうことを総合的に判断して決めなければならないと考えております。
  97. 左近正男

    左近委員 運輸省は、これは仮の見積もりだと思いますが、今年度予算では千五百四億円の株譲渡益というものを計上しておりますが、平成年度、株式の市場がどうであれ絶対に株の上場をやっていくのか、あるいはまた、株のダウがかなり下がってどうやら不安だ、中東の問題も済んで株も少し上がるんじゃないかというようなことも言われておりますが、絶対に期限的に平成年度に必ず株の上場をやるのか、もしくは、株式が低迷しておればやらぬ場合もあり得るのか、どちらですか。
  98. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 実際の売却につきましては、JR株式基本問題検討懇談会が昨年暮れに出しました中間意見にも御指摘がありますように、株式市場の動向を十分見きわめながら、慎重に対応していかなければならないと考えております。
  99. 左近正男

    左近委員 それで僕は、この一兆円の負担が七百八億円、また、株式の上場に当たっては事前に一〇%配当をしなきゃならぬ、こういうことをJR三社がやれば、JR三社の財政体質はかなり弱体化する、弱くなるというような心配をしておるのですが、その点はどうですか、心配ないですか。
  100. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 最近の経営状況、体質等を総合的に判断すれば、心配ないと考えます。
  101. 左近正男

    左近委員 えらい自信を持っておられるけれどもね。まあいいでしょう。  そこで、今のJR関係会社は、民間になったんだ、なったんだと言いながらも、法的には私は特殊法人だと思うのですよ。まあ民間と国営の中間ぐらいな存在だと思いますね。  そこで、この株の上場をやれば、経済的な柱というか、かなり民間会社になれる環境整備ができると思いますが、そうなった場合、現在の会社法、旅客鉄道株式会社、日本貨物鉄道株式会社、会社法を運輸省としては改正をしていこうという考え方を持っておられるのか、ここ当分はそのままの状況運営していこうと考えておられるのか、いかがですか。
  102. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 完全民営化の観点からは、この会社法の規制につきましては、基本的には全株売却後に整理することが適当であると考えておりますが、具体的な方針については、JR株式基本問題検討懇談会等における検討状況を踏まえて今後対処していくことになると思います。
  103. 左近正男

    左近委員 ちょっとあれだけれども、まあいい。  そこで、次に新幹線整備法の問題で一、二質問をしておきますが、今度、整備新幹線を三線五区間についてやっていこうということ、この総事業費が一兆六千五百億円、これは六十二年九月時点の試算である。もう既に委員会での答弁の中でも、一五%上がっておる、こういう答弁をされておるわけですね。これは、建設費が上昇をしていくことはもう明らかであります。  私は、こんな例を出すのはどうかと思いますが、東北新幹線の場合、当初の建設費は八千八百億円であったのですね。これが実際は二兆六千五百億円もかかっておる。三倍以上かかったのですよね。こういう例から見ても、この整備新幹線の三線五区間について一兆六千五百億円というようなことは、これはもう到底あり得ない。そうなった場合、建設費が大幅に引き上がった場合、どういう対応をされるのか、建設費の枠内で工事をやっていくということになるのか、それに見合った何らかの対応をしていこうとするのか、その辺どうですか。
  104. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 東北新幹線建設費が当初計画より結果的に上がったことは御指摘のとおりでございますが、これの大きな要因というのは、東北新幹線の工事期間が、特に最盛期が昭和四十六年から五十年代半ば、ちょうど二度にわたるオイルショックがあったときでございまして、大幅な物価の高騰が工事費の増額をもたらしたと思われます。  それに対して、整備新幹線につきましては、最近物価が安定していることもあり、またその建設費については比較的長期の調査結果に基づくものである、また、地元のコンセンサスもほぼ得られているというような状況を勘案しますと、東北新幹線の当時のような建設費の高騰がないことはもちろん、できるだけ現時点で公表しております建設費の範囲内で抑えていけるんではないかと思っております。特に、これから工事にかかわる技術の改良、開発等によって建設費を低減していくように関係者を指導していくつもりであります。
  105. 左近正男

    左近委員 まあそんなきれいごとの答弁をしたって、現にあなた、この一兆六千五百億円というのは六十二年九月時点評価ですよね、試算ですよね。そうでしょう。——答弁せにゃ議事録に残らへんがな。
  106. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 六十二年四月時点での建設費でございます。
  107. 左近正男

    左近委員 じゃ、あなた、もう既に一五%上がっている。一五%上がったら二千四百七十五億円もう工事費が上がっているのですよ。そうでしょう。そういう計算じゃないですか。現にこれだけ上がっている、あなた上がらへんと言うけれども
  108. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 その後一五%上がっているというような資料は、私どもでは計算しておりませんが……。
  109. 左近正男

    左近委員 うそを言うたらあかんよ。自民党の質問で、一五%上がっていると答弁してるやないか。何言うとるねん。
  110. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 私の答弁の限りにおいてはそういうことは申し上げておりませんので、地方負担の一五%か何かの間違いじゃないかと思いますが……。
  111. 左近正男

    左近委員 上がってないんな。上がってたらどないする。
  112. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 全然上がってないとかいうような、今正確な計算はしておりませんが、先ほど申し上げましたように、今一五%上がっているという事実はございませんし、できるだけ六十二年四月時点建設費に抑えるように今後も努力していきたいというつもりでございます。
  113. 左近正男

    左近委員 上がっているの間違いないよ。そんな——まあいいや。  そこで、僕が心配しているのは、今度この基金法の二十八条で鉄道整備基金債券を発行できるようになるわけですね。これは見境なく債券の発行ができるのか。こんなことをやれば第二の国鉄になることは明らかなんで、その辺きちっとした限度があるのか。どうですか。
  114. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 二十八条の第一項に書いて ございますが、そこのただし書きで、「長期借入金の借入れ及び債券の発行は、特定債務の償還等を行うために必要がある場合に限り、行うことができる。」つまり、基金は、新幹線鉄道保有機構から引き継ぎました新幹線鉄道に係る債務の償還に充てるためにのみ借り入れたりあるいは債券を発行いたしますので、鉄道整備のために借金をするということはございません。したがって、鉄道整備借金でやっていって、まあ第二の清算事業団という言葉は若干問題がございますが、長期借入金がそれによってふえていくという仕組みにはなっておりません。
  115. 左近正男

    左近委員 金には印がないわけで、ここらを厳格にやるのですな。
  116. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今の意味では、厳格に行います。
  117. 左近正男

    左近委員 そこで、この法案によって、JR三社がやっと民営化してかなり活力を持った経営をされているのに、今回の基金設置なり株の譲渡等々、配当の問題等々入れて、やはりJR三社が今後財政的に弱くなるというようなことでは困るわけで、まあ念のためですが、もう一兆円についてはこれ以上は絶対にふやすことはない、固定したものだ、そしてJR三社についての経営状況については、このこと等によって悪くならない、このことをはっきりあなた言えますか。
  118. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 一兆円の財源は、譲渡額の一部でございますので固定したものでございますし、これによって現在の経営が悪化するというような状況にないと考えております。
  119. 左近正男

    左近委員 私、ちょっと時間があれですが、ちょっと始まるのが遅うなりましたのでこれで終わりますが、最後に一問だけ。  私、東海道新幹線を毎週のようにたくさん利用をさせていただいて非常に感謝をしておりますが、やはりこの新幹線の安全問題について、時々大丈夫かいなというようなことを思うときがあるわけです。巨大装置であります。ジャンボも落ちないという神話が崩れたし、原子力発電もああいうトラブルが起こりました。新幹線、もしこれにトラブルがあったら、事故が起こったら、これは大変な問題でございます。  ちょうど東海道新幹線開業二十六年、乗客三十億人を運んだということで、死傷者ゼロを更新されておる、これはJR、旧の国鉄を含めて関係者の大変な努力のたまものだ、このように思います。非常に感謝をしております。よくやっているなあと思っているのです。しかし、まあどこの機構も、大体三十年たてば、減価償却の問題も半分以上済むと思いますし、かなり構造的な施設の面で私は大丈夫かなというような感じを持つわけです。  したがって、この点、今日時点、これは二十六年もたったということで、以降の点検のマニュアルは、今までのマニュアルではなしに、もう少し構造物も含めたかなり的確な完全なマニュアルで点検をして安全の確保を図っていただきたい、私はこのように思っております。少し揺れが当初よりも、私、これで八年目ですが、ずっと東京—大阪、年間百回以上乗っています。少しそういう感じがするわけですね。だから私の危惧だと思いますが、その辺について今後もう少し慎重にやってほしいな、こう思いますが、大臣なり担当者、どうですか。
  120. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 東海道新幹線の揺れにつきましては、試験車によって十日ごとに動揺管理、揺れの管理、また営業列車では毎日のように列車動揺自動測定器による揺れの管理を実施しておりまして、データ管理上では最近特に揺れが大きくなっているということは見られないと聞いております。  しかし、東海道新幹線開業以来二十六年たっておりますので、その安全確保ということはさらに一層注意をしなければならないので、今後も構造物あるいは電気設備、車両等についての安全対策について、JR東海を一層指導していくつもりでございます。
  121. 左近正男

    左近委員 よろしくお願いします。  これで終わります。
  122. 亀井善之

    亀井委員長 次に、緒方克陽君。
  123. 緒方克陽

    ○緒方委員 ただいま同僚議員から三つの法案について総括的に質問がされました。私も、特に鉄道整備基金とそれから整備新幹線の問題について質問したいと思うのですが、多少ダブる面も何カ所かはあると思うのですけれども、その辺についてはぜひよろしくお願いしたいと思います。  まず第一に質問いたしますが、鉄道整備基金というのが今回創設をされるわけですけれども、いろいろな特殊法人というものを調べてみました。それで、似たようなものがないのかなということで調べてもらったのですけれども、どうも文部省関係でいうと私学振興財団ですか、そういうものが似ているのではないかということのようです。今度の整備基金というのは、いろいろな金の流れがあるということで、非常にわかりにくくなるといいますか、言うならばブラックボックスになるということがあるのではないかというようなことで、いろいろ疑問の声が率直に出ているわけです。  そこで、この鉄道整備基金というものがほかの特殊法人と違う、例えば私学振興財団ともまた違うと思うのですけれども、一体その特徴はどういうところにあるのか、非常にわかりにくく、金の流れあるいは権限もそういうふうになっているんじゃないかというふうに思われますが、特徴は一体どういうことになっているのでしょうか。
  124. 村岡兼造

    村岡国務大臣 鉄道整備基金は、緊急に整備が必要な新幹線鉄道主要幹線鉄道及び都市鉄道整備を促進するために、新幹線鉄道に係る鉄道施設譲渡等に関する法律案規定によりまして実施される既設新幹線譲渡に伴う収入の一部を活用しつつ、これに一般会計からの補助金等を加えまして、総合的かつ効率的に鉄道助成を行うために設立するものでありまして、鉄道助成を対象としたこのような基金は我が国としては初めてのもので、今後の鉄道整備に大きな役割を果たすものと期待をいたしております。
  125. 緒方克陽

    ○緒方委員 鉄道助成それから鉄道整備ということで、総合的、効率的にやるんだというような答弁ですが、先ほどの同僚議員の質問でも、権限その他を含めて非常にあいまいな問題があるわけですが、一応そういうことでお答えをいただいたということで、次に進みたいと思います。  二つ目に、この鉄道整備基金を進めていく議論の中で、新幹線鉄道保有機構を廃止をして鉄道整備基金ということになっていくわけですが、一時議論の中では、特別会計ということでやるのがいいのではないか、あるいは特別会計ということを具体的に議論の段階で私は聞いたこともあるわけですけれども、なぜ特別会計にならなかったか、特別会計でいいのではないかというふうに思われますが、その辺についてはどうでしょうか。
  126. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今般の鉄道整備財源構想におきましては、新幹線鉄道保有機構保有する既設新幹線譲渡収入の一部を活用することとし、鉄道整備基金が一方で同機構からの債務償還等の引き継ぎ業務を行い、他方新幹線鉄道主要幹線鉄道及び都市鉄道整備に対する助成を行うことといたしております。  このように、従来からの特殊法人の仕組みを活用しつつ、新しい財源鉄道整備に対する助成に活用するため、新たに特殊法人鉄道整備基金を設立することが必要となったものであります。
  127. 緒方克陽

    ○緒方委員 私が質問いたしましたのは、特別会計ということがいいのではないかということで具体的に議論もされてきたということでありまして、それが消えた理由は何なのかということでお尋ねをしております。その辺をはっきり答えてください。
  128. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 要求時点から特殊法人鉄道整備基金で要求させていただきましたが、その以前に特別会計も含めて検討したことは事実でございます。  ただ、特別会計というものは、今財政法の第十三条に規定がございますが、「国が特定の事業を行う場合、」これは公共事業の港湾整備特別会計 なんかを指しています。それから「特定の資金を保有してその運用を行う場合」、資金運用部資金特別会計のようなもの、「その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」、これは総合エネルギー特会等を指しておりますが、私ども鉄道整備の今回の財源対策というのは、特定財源一般会計財源を組み合わせ、しかもこの特定財源については、従来の新幹線施設債務を払いつつ、収入債務の差について特定財源に充てるという独特の仕組みでございますので、要求段階までの検討では現在の特別会計の制度にはどうも詰め切れなかったというか乗らなかったということが一つと、それから、先ほど大臣から申し上げましたように、新幹線鉄道保有機構業務も引き継ぐという点で、新幹線鉄道保有機構をスクラップ財源にして鉄道整備基金をつくることがより効率的ではないか、またその業務目的補助金交付手続の充実、効率化という点で特殊法人の方が効果がある、総合的に判断して特殊法人にしたわけでございます。
  129. 緒方克陽

    ○緒方委員 そういう新幹線機構の問題もあったということですが、将来的に鉄道整備を一貫して行うという観点からすれば、特別会計というようなことは将来的にもこれは検討されていくべき課題ではないかなというような気がしますけれども、その将来の方向としては一体どうでしょうか。
  130. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 将来、鉄道整備基金を充実強化させていくということが当面の私どもの目標でございますので、鉄道整備基金をこれからつくる段階で、特別会計というよりは、この鉄道整備基金をさらに何とかいいものに育てたいと思っております。
  131. 緒方克陽

    ○緒方委員 今の時点ではそうしか答弁ができないかと思うのですが、これからの長期的なことを考えた場合にはそういうものが必要ではないかなということを私は意見として持っておりますことを申し上げて、次の問題に行きたいと思います。  それに関連して、先ほど同僚議員からも質問ありましたけれども鉄道整備の五カ年計画の策定の問題などもありましたが、今日の状況、省エネ、それから環境問題、あるいは交通安全、それから交通渋滞と、そういったいろいろな問題が今起きている中で、現在、鉄道の復権の時代というふうに言われていいのではないか、そんな意味で、大臣としては鉄道の現状についてどういう認識をされているか、お尋ねをしたいと思います。
  132. 村岡兼造

    村岡国務大臣 鉄道は国土の均衡ある発展と地域の振興を図る上で不可欠の交通機関であるのみならず、先生指摘のとおり、環境問題、安全性の確保、省エネルギー対策等の観点からもその役割は今後ますます重要になるものと認識をいたしております。運輸省といたしましても、鉄道整備に積極的に取り組んでいくことにしており、今回の鉄道整備基金の設立もそのような観点からの施策と考えております。
  133. 緒方克陽

    ○緒方委員 そこで次に進みたいと思うのですが、この鉄道整備基金法案の提出の理由といたしまして、「鉄道整備に関する助成の拡充強化」、それから「鉄道事業者等に対する助成を総合的かつ効率的に行う」ということが挙げられているわけでありますが、これは、純粋の意味でのいわゆる国鉄の分割・民営化ということがされてきたわけですけれども、そういうものと逆行するということになりはしないかと思うのですが、そこらについての御認識をお尋ねしたいと思います。
  134. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先生御承知のとおり、鉄道整備につきましては、投下資本が非常に多額に上ること、また、投資の懐妊期間が長いこと等から、鉄道事業者経営判断のみにゆだねていたのでは十分な整備の実現が困難な場合があります。このため、今般、鉄道整備基金を設立いたしまして、鉄道整備に対する助成を強化すること等により、交通政策上必要な鉄道整備を促進するため、そのようなことにした次第でございます。
  135. 緒方克陽

    ○緒方委員 私の質問は、国鉄分割・民営化ということがやられたんだけれども、それに逆行するということになりはしないかというのが質問の趣旨ですから、質問に答えていただきたいと思います。
  136. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほど話したような理由で、逆行はしていないと考えております。
  137. 緒方克陽

    ○緒方委員 関連していきますけれども、今度の整備基金の中にも交通整備ということがいろいろ言われているわけでありますが、交通というのは、それぞれの個別企業がみずからの利益優先ということだけではなくて、公共的な交通の体系的な整備というのがぜひ必要だということでありまして、そんな意味で、政府としてもそういう方向でこれからしっかりした方針を出しながら指導をやっていくべきではないかというふうに思いますが、この点についてお尋ねいたします。
  138. 村岡兼造

    村岡国務大臣 鉄道整備基金からの助成は、言うまでもなく、個別企業の収益優先のために行うものではなくて、国の総合的な交通政策上の観点から緊急かつ重要な鉄道整備を対象として行うものでありまして、この基金の設立により、鉄道がその特性を発揮できる分野において、公共交通の体系的な整備を図っていくことができるものと期待をいたしております。
  139. 緒方克陽

    ○緒方委員 次に、今後の問題ですが、先ほど同僚議員からも出ましたけれども、これからの鉄道整備について、この整備基金を軸に今後展開をされていくであろう交通体系のあり方について、先ほど非常に大きな成果を上げるであろうということでこの基金の位置づけについて御説明があったわけでありますが、そんな意味でいいますと、他のいろいろな業界とかあるいは業種において整備計画が出されているわけでありますが、鉄道についても整備五カ年計画などでぜひ示されていくべきであると思います。先ほどの答弁で、運輸政策審議会などでそのような方向で努力をしていきたいとか、そのような方向でいきたいというような答弁があったのですが、いま一度そのことを具体的に明確にしていただきたいということと、今回の基金の考え方の中では、整備新幹線以外には、例えば大都市の交通緩和とかあるいは在来線の維持活性化ということについて長期ビジョンが示されていないわけです。そんな意味で、そういう問題についても今後広範に意見を吸い上げるということが必要ではないかというふうに思います。  この二つ、一つの質問ではありますが、内容的には二つになりますけれども整備計画の問題と、それから交通緩和とか在来線活性化のビジョンといいますか、そういうものも含めた中でこれからの計画が示されていくべきではないかというふうに思いますけれども、その辺についてどうでしょうか。
  140. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほども左近先生のところでやりとりありましたけれども、ただいま先生指摘鉄道整備の中長期計画につきましては、今後できるだけ早く運輸政策審議会において御審議をいただきますことを考えております。  また、大都市圏の方につきましては、運輸省では都市交通や地方の交通に関する二十一世紀を展望した交通体系のビジョンを策定するため、現在運輸政策審議会において御審議をお願いしているところでありますが、今後とも幅広く御意見を承りつつ、大都市圏の交通混雑緩和や地方在来線の維持活性化等の政策課題に的確に対応してまいりたい、こう思っております。
  141. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは、今御答弁いただきましたように、政府としてはできるだけ早く運輸政策審議会に答申を出していただくようにお願いをしたいというふうに思います。  それから次、七番目ですけれども鉄道整備基金法の第一条の「目的」に関連して質問をしたいと思います。  これは確認するという意味でありますが、その中に「鉄道事業の健全な発達を図る上で必要となる事業又は措置を支援する」というふうにあるわけでありますけれども、それは当然にして地方在来線の維持発展というものも含めてあるということで理解をしていいのでしょうか、その点についてお答えをいただきます。
  142. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 第一条の「目的」にそのようにあり、また、具体的には第二十条の二項の四号で「その他の鉄道事業の健全な発達を図る上で必要となる事業又は措置」という表現がございます。これは先生の御見解のとおり、そのような地方在来線の今後の発展ということも含んでの表現でございます。
  143. 緒方克陽

    ○緒方委員 そのことに関連して、地方在来線の運営補助あるいは災害復旧費、安全対策を含む安全・防災対策等助成事業というものがありまして、運輸省からいただいた「平成年度予算 重要事項の概要」の二十三ページでありますけれども、そこで安全・防災対策等助成事業費が六十三億円ということで組まれているわけでありますけれども、前段質問しました地方在来線の維持発展ということも含めてやるというふうに言われている割には、いかにも予算的には少ないというふうに思いますが、その辺についてお答えを願いたいと思います。
  144. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 先生今御指摘の安全・防災対策の中には、中小私鉄に対する運営費の補助、欠損補助、あるいは特定地方交通線の特別交付金等も含まれておりますが、特に平成年度予算におきましては、JR九州の豊肥線の災害復旧費に対する補助が制度として新設された等、内容的には新たな充実強化があったと認識しております。今後ともこのような中小私鉄に対する助成等については所要の額の確保を図っていきたいと考えております。  もちろん安全そのものについては、これは鉄道事業の経営の基本でございますから、助成の有無にかかわらず、JR各社において安全投資に重点を置くように努力しており、また我々もそのように指導しているところでございます。
  145. 緒方克陽

    ○緒方委員 それで、きのうレクのときにお尋ねをしていたのですが、今言われましたように、鉄道軌道整備法第八条第四項ですか、ということで、平成年度鉄道災害復旧事業助成ということで、内容が一部改善をされて、地方自治体の負担も含めた形でやられるようになったということは大変望ましいわけであります。  そのことは後ほどお尋ねしますけれども、その際、今度新幹線保有機構からJR譲渡をされるわけでありますが、JRが大災害を受けたときには別途規定があるわけですけれども、仮に受けたとしてもこの助成の制度の中身からいって適用になるというようなことには恐らくならないだろう、収入の面からして、いろいろな状況からしてならないとは思うのですが、新幹線というのも法的にいうと鉄道整備法の助成措置のそういうものの対象に入るのかどうかということについてはどうでしょうか。
  146. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今回のJR九州の災害復旧助成の創設につきましては、JR九州の経営状況が大変厳しいという状況のもとで制度を創設したわけでございます。  新幹線施設については、譲渡後において施設は本州会社みずからの資産となることから、大規模災害復旧事業も在来線と同様に三社みずからの負担で行うのが原則となると考えております。現在の本州三社の経営実態から見ると、相当大規模な災害が新幹線施設にあっても十分自力復旧が可能と考えておりますが、万一本州三社のそのような大きな資力をもってしても復旧困難であるような非常事態が生じた場合については、そのときにはそれなりの対応をしなければならない所存でございます。
  147. 緒方克陽

    ○緒方委員 それに関連して御質問いたしますが、確かに今言われましたように、この制度というのは法的にあったのですが、実際には二〇%が国の補助で、あと八割は鉄道事業者負担ということで、なかなか適用がなかったということですが、今回豊肥線のあの大事故で、言うなれば国鉄分割・民営化のときに、三島の大変厳しい経営状況の中で、いろいろ国会でも質問はされておりましたが、十分対応がされていない中でこういう問題が起きてきたわけです。  そこで、具体的にお尋ねするわけですが、例えば昨年の七・二の大水害といいますか、そういう場合、いろいろあるわけですけれども、国道などは直ちに建設省が仮復旧をやって、それから本復旧をやる、あるいは、例えば中小企業向けには低金利のお金を貸し付けるとか、さらには河川その他いろいろな意味で緊急的に対応がされるというふうになっているわけです。それだけ大災害が起きると地域に対していろいろな問題が起きるということで対応がされているわけです。  しかし、今回のこれを見ると、例えば豊肥線の場合でも、昨年起きて、そしてことしの予算で要求して来年ということになるわけですが、例えば予算が通った四月段階で大変な災害が起きたということになりますと、もう一年先ですね。そして、予算が通るまでは何にもできないということにもなる可能性もあるわけであります。  せっかく制度ができたということでありますけれども、そんな意味で、一つは内容の拡充ということですね、四分の一、四分の一と五〇ということでありますが、その改善ということと、そういうような激甚災害的な場合について、例えば予備費でやるとか、あるいは何らかの方法でやるとか、そんなものが検討されないと、地方にとっては重要な鉄道、線路というのがもう一年も二年も通らないということになれば大変な問題ですので、そこら辺については、ことしできたものにさらに追い打ちをかけるようですが、何らかのことが検討されていいのではないかというふうに思いますが、その辺についてはどうでしょうか。
  148. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今回の助成制度は、新設の制度としては大変手厚いものだと考えております。そして、実際に災害が生じた場合に復旧を一日も早くするということは地元の要請でもございますので、これは助成制度ができた以上は、補助金が出るのを待ってではなしに、直ちに復旧する、補助金はその復旧に対して出すというような仕組みで、迅速な災害復旧を行っていくということは我々の指導目標にしなければならないと考えております。
  149. 緒方克陽

    ○緒方委員 ただ、今そういうふうにお話がありましたけれども政府としては予算を要求して決めていかなければ、予算が通らなければ執行できないという面もありまして、それでは、多分予算が通るだろうから、もうわっとやるという場合に、後で予算が通らなかったということはないと思うのですけれども、そこの、いつの時点でそれでは鉄道事業者がそのことを見込んでやるのかということになると、非常に難しい問題があると思うのです。その辺をやはりはっきりしておかないと、どの時点鉄道事業者JR地方自治体が決断をして、では、もうとにかくやろう、金の問題は後だというふうにやるのかというのは非常に大きな問題のような気がしますが、どういう時点で、どういう話し合いの場でそれはやられていくということになるのでしょうか。
  150. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今回はまだ予算が通っておりませんので、予算が成立し、またこのような法案が成立しましたら、通達を出し、また内規を定めなければならない。その際にはどういう災害に適用があるかということが明確になると思われますので、その助成が受けられるかどうかということもおのずから補助金交付要綱等によって事業者の方で知り得る、そういうことをもとに、今後同じような災害が出た場合には助成が受けられるという前提で災害復旧を一日も早くするような仕組みにしたいと考えております。
  151. 緒方克陽

    ○緒方委員 重ねてで恐縮ですけれども法律的には確かにこの整備基金という法律の中で地方のそういうものについても金がおりていく。今までは直接運輸省からおりていったわけです。新しく法律ができたということではなくて、法律そのものは鉄道軌道整備法八条四項であって、それが内容的に充実をされたということであって、特別に災害補助のことで法律ができたというふうには私は理解をしていない。制度的にこう流れが変わったということでありまして、どうもそのことでは納得がしがたいし、私が質問しましたようなことについては答えになっていないのではないか。  法律事項ではないのではないかということが一つと、それから、これから交付要綱といいますか、そういうものをつくられるということですから、そういうものの中にされていけばこれは問題ないかなと思うのですが、地元としては大変いろいろな希望もありますので、この際、その点についてお尋ねしておきたいと思います。
  152. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 確かに、先生言われましたように、今までも法律上では読めるような形になっておりましたが、この法律をもとにした通達でそういうものが対象にならないというので、制度がなかったわけでございます。今回はその法律の、例えば資力、信用に乏しいというような解釈を、交付要綱等でJR九州も対象になるように改めるということで明確にされるわけで、今後はどういうものが対象になるか、今までよりも範囲が広げられ補助が受けやすくなることが明確になると思われます。
  153. 緒方克陽

    ○緒方委員 重ねてで恐縮ですけれども、そういたしますと、年度のところで予算をどれだけ組むかということも関連します。今度の場合でも、六十三億ですけれども、この災害の場合幾らですか、八億七千三百万ですけれどもJR部分を除けば七千万弱ですね。そういうぐらいの数字のようですけれども、それは一定的に、そうすると来年度も何億とかいう単位で組まれていくというようなことになるのでしょうか。
  154. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今回のJR九州の災害額が約三十二億、それの二五%として八億円余が予算に計上されているわけでございます。ただ、このような大きな災害が毎年起きるとは考えられませんので、平成年度にどのように予算に計上するか、状況を見なければならないと思いますが、そういう災害が再び起きたときには、事後であれ何らかの形で予算に計上し、補助を執行するつもりでございます。
  155. 緒方克陽

    ○緒方委員 そういたしますと、もう最後ですけれども、言うならば、他のところのように、道路補修のように緊急にはいかないけれども、そのような場合、この要綱ができたり法律の趣旨が随分変わったということの中で、緊急的に対応が今までよりもできるようになるというふうに理解をしていいでしょうか。
  156. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 道路等と異なりまして、事業者というのはとりあえずは自前の借入金その他で災害復旧をするという手もございますので、後で補助が受けられるということがはっきりしておれば、災害復旧を迅速に行う点で支障がないと考えております。
  157. 緒方克陽

    ○緒方委員 そういうことですので、後ほどその交付要綱などができる場合にはお示しをいただいて、これからもこういう問題が起きてくる、まあ起きない方がいいわけですけれども、起きたときには早急に対応できるようにぜひお願いしておきたいと思います。  次に、この鉄道整備基金財源について五、六点お尋ねをしたいと思います。  先ほどもお話がありましたけれども、約一兆円を上積みをするということで、この分が基金の中に入ってくるということになっておりますけれども、その基金の根拠は何かということでお尋ねをいたします。
  158. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 いわゆる上積み一兆円、上積みという言葉は適切ではないと思いますが、この今回の譲渡価額というのは、譲渡時点、ことしの十月一日を予定しておりますが、その時点における新幹線施設取得価額、土地と償却資産取得価額評価して九・一兆円に一応したわけでございます。この九・一兆円につきましては、JR株式基本問題検討懇談会新幹線施設譲渡のワーキンググループを設け、学識経験者の間で計算の仕方等について意見をまとめ、国鉄改革時の新幹線施設を八・五兆円と評価したわけでございますが、そのときと同じような手法で土地、償却資産評価して今回の額を出したものでございます。  ただ、先ほども申し上げましたが、この法律が通りますれば、新幹線鉄道保有機構に臨時に新幹線鉄道施設評価審議会を設け、そこでもう一度具体的な内容を精査することにしております。
  159. 緒方克陽

    ○緒方委員 そこで二つ質問しますが、一つは、先ほど言われた九・一兆円ということで譲渡をされるわけですが、その既設新幹線の買い取りはJR経営を圧迫するということになるのではないか、あるいは、株式上場が先ほどから議論されておりましたけれども、それに影響を与えるのではないかというふうに思われますが、この二点について。
  160. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今回の御審議いただいております新幹線鉄道施設譲渡に関する法律案の第一条にも書いてございますように、むしろこの新幹線施設譲渡というのは、JR株式の上場に当たって環境を整備するために行うことが第一の目的でございます。と申しますのは、新幹線鉄道施設をリースの形でやっておりますと、この債務が確定しないという問題があり、また、新幹線施設という膨大な施設の今後の維持更新等を行っていく投資額、これが償却費を通して内部留保できないという問題がございます。  そこで譲渡することになるわけでございますが、先ほども御答弁さしていただきましたように、譲渡後当分の間は損益上若干経費が増加することになりますが、これは現在のJR本州三社の経営状況、経理内容、利益の見通しから見て上場に差し支えございませんし、経営を圧迫しない、むしろ新幹線施設譲渡することによって経営基盤が強化されると考えております。
  161. 緒方克陽

    ○緒方委員 その辺はいろいろ疑問のあるところではないかというふうに思いますが、そういう御答弁ですから、これから一体どうなるかということでは慎重に見きわめていかなければいけない問題ではないかというふうに思います。  それから、これはダブっての質問で恐縮ですが、結局、既設新幹線の売却あるいは譲渡ということで約一兆円のお金が出てくるということになるわけでありますけれども、なかなかこの清算事業団債務が減らない、そういう現状があって、ようやくことしわずかに減ったという状況の中で、必ずしも事業団の用地の売却がスムーズにいってないというのが今日までの状況で、計画どおりに今までは一遍もいってないわけですね。どうですか、この三年間うまくいっておりますかね、清算事業団の用地の販売というのは。
  162. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 確かに先生指摘のように、清算事業団の当初の計画であります収入の大部分を占めます土地につきましては、六十二年度、六十三年度、元年度におきましては、計画どおりにいかなかった面がございます。  これはいろいろ理由がありますが、地価の異常な高騰によって一般公開入札が原則としてできなかったことや、いまだ更地にするというような基盤整備が進まなかった点もあります。しかし、平成年度におきましては予算上一兆円の土地処分収入を見込みましたが、ほぼこれに近い数字が達成できるものと考えております。したがいまして、平成年度だけで過去三年間の実績を上回る土地処分ができる、また、平成年度におきましては、さらに地価を顕在化させないいろいろな手法を用いて土地処分を促進していく、こういうことから、清算事業団債務は今までのように金利分ふえるのではなしに、順調に減少していくのではないか、また、今後JR株式の処分が開始されれば大幅に債務が減少し、債務が減少しますと金利も減りますので、方向としては債務がなくなる方向に収れんしていくことを我々は考えております。
  163. 緒方克陽

    ○緒方委員 今までも用地の売却についてはこの委員会でも何回も取り上げられているわけですが、なかなか目的のとおりにはいかなかったということで、私が質問したのは、例えば、最初の年から含めて三年間で完全に目標の分だけ販売ができましたかということをお尋ねしたわけですから、その辺についてお答えください。
  164. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 過去三年間で、土地だけで言いますと、六十二年度、計画が三千億円でございましたが実績は千三百二十九億円、六十三年 度、計画が三千億円でございましたが実績は二千四十一億円、元年度が三千五百億円に対して二千七百億円、三年間合計で九千五百億円を目標にしましたが、六千七十億円の実績でございました。こういう意味では目標を達しておりません。
  165. 緒方克陽

    ○緒方委員 そんな意味で、いつも努力をしているとかいうことを言われますが、目標はできるだけ高く売りたいということで上げるべきですが、実際それが売れていないという今日の現状の中で考える場合に、先ほども出ましたように、国鉄の長期債務の返済に充てるべきではないかというのは、率直に言って、これは国民感情とかいろいろなことの中で、土地は売れないわ、今度はお金が幾らか余裕が出てきた分はそっちに回すのかということについては、やはり率直な疑問とかあるいは批判とかいうのがあると思います。その辺はやはり真剣に考えていくべきじゃないかというふうに思うのですが、どうですか。
  166. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 先生指摘の問題については、私どもも都内あるいは関係者の間で真剣に検討いたしました。長期債務につきましては、国鉄改革時に発生しておりました三十七兆円のうち清算事業団が二十五・五兆円を引き継いだわけでございますが、これについては、土地あるいはJR株式、それから新幹線鉄道について六十二年四月時点で再評価した二・九兆円分というように債務償還のスキームが決まっており、これを今回変更するものではございません。  今回は、新幹線譲渡に当たって取得価額譲渡時点でもう一度評価した結果、たまたま債務相当額を引いても一兆円余剰が出る、これを国民的な課題である整備新幹線財源に充てるということで、長期債務の返還を犠牲にしたとかあるいはそちらを削ったということでは全くございません。  土地については、確かに過去三年間そういう問題がございましたが、平成年度から不動産変換ローン等新しい方式を導入し、また一昨年暮れの閣議決定でも平成年度までに実質的な処分を終わるように期限を明確にいたしました。また、この目標に沿って、この三法案を御審議いただいた後、清算事業団法の改正で汐留等大規模用地、これがいよいよ目玉の土地処分になりますが、これについて株式変換の予約権つきの事業団の特別債券を発行する法改正をやるということで、そういう準備をしているところでございます。
  167. 緒方克陽

    ○緒方委員 スキームを変更したわけではないということで、たまたま一兆円が出てきたので整備新幹線へということですが、質問をしているのは、国民の率直な、どうですか、借金を返すことをまずすべきじゃないですかということについて、本当の気持ちをお聞きしたいわけです、そういう国民の声に対して。
  168. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 長期債務の返還ということも、我々、国鉄改革の仕上げといいますか、一層の推進のために最大の課題一つと考えており、したがいまして、JR株式の処分についても適切、早期にやらなければならない、土地についても適切にやらなければならない。まさに今回の新幹線鉄道施設譲渡法律案JR株式上場のための環境整備目的としたものでございますし、これから国会に提出させていただく予定の清算事業団法の改正も、汐留等大規模用地を適切な価額で処分するための手法を考えており、長期債務の返還には今まで以上の努力を重ねているところでございます。  しかし一方で、二十一世紀へ向けて、我々鉄道行政を担当している者として、国民の要請の強い新幹線あるいは都市交通の改善、このような鉄道整備をやっていかなければならないという要請、これも緊要の課題でございます。その辺を総合的に考え、今回は鉄道整備基金の設立をまとめ、かつ御審議をお願いしているところでございます。
  169. 緒方克陽

    ○緒方委員 そこで大塚さん、そういう二つのことはわかりました。一生懸命土地も売りますと言いますけれども、どっちも大事だからということですが、そこで、言うなればこういう厳しい現状ですから、いわゆる旧国鉄の債務を返すということに回したいこともありますが、いろいろなことがあってなかなか難しいと、国民の皆さんの御理解をぜひお願いしたいと、国民の皆さんの声に対してどうですかという質問をしているわけですから、そこらについてお答えをしていただきたいと思います。
  170. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 予算要求時にもできるだけそういう点では広報に努めたわけでございますが、今回の新幹線鉄道整備についても、その整備が効率的、重点的に行われることに留意しております。整備新幹線についても、私ども、スーパー特急とかミニ新幹線と言われるような運輸省規格案を含めて整備をしていくというのもその趣旨でございますので、この財源というのは有効に、効率的に、最大限効果を発揮できるように使っていかなければならないと考えております。
  171. 緒方克陽

    ○緒方委員 いや、だからその辺のところについては御理解をお願いしたいということはもう言えないということですか。
  172. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 私が今御説明しましたように、一方で長期債務償還については土地、株式等の処分を円滑に行うという点において努力をしており、他方整備新幹線建設という国民的要請にこたえているということで、十分国民に御理解いただいていると考えております。
  173. 緒方克陽

    ○緒方委員 いや、国民に御理解をいただいているというよりも、いただいていないそういう声があるから、御理解をしていただきたいというふうに政府としてはどうしてならないのですか。じゃ、勝手に思って質問するなということですか。あなたの言い方はおかしいですよ、そんな言い方は。
  174. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 大変失礼しました。  御理解していただきたいと考えております。
  175. 緒方克陽

    ○緒方委員 はい、わかりました。  それで次に、鉄道整備の長期ビジョンとも関連しますけれども、この整備基金への一般会計あるいは産投会計からの補助とかあるいは貸し付けというのが当然されていくと思いますけれども、その見通しは、どういうふうに将来的に、まあ何%とかいうふうには言えないかと思うのですが、そこらについてと、もう一つは、当然この一般会計からの補助を増額をしていくべきだというふうに思いますけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
  176. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 一般会計等からの各種鉄道助成につきましては、平成年度予算案において、二年度予算と比較しまして、地下鉄補助が四百一億円が六百五億円に、新幹線に対する無利子貸付金、公共事業費でございますが、それが七十一億円から百二十八億円に、リニアの技術開発補助が二十二億円から四十七億円にというように大幅に増額されているところでございますが、特定財源も含め、今後とも、所要の予算額を確保するように平成年度以降も努めたいと考えております。
  177. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは、その点についてはこれからも一生懸命努力をされるということでありますので、そのことを強く要望をしておきたいと思います。  それから次に、この基金財源の無利子貸付制度というものについてお尋ねするわけでありますけれども、資金繰り上可能な範囲内でやるんだということになっているわけですけれども、その範囲内でということはどういうことなのか、具体的にお示しを願いたいと思います。     〔委員長退席、二階委員長代理着席〕
  178. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 鉄道整備基金による無利子貸付制度は、既設新幹線譲渡収入のうち、新幹線施設債務に充てるものの中でも清算事業団に対して負う債務がございます。これは総額で約二兆円でございますが、その清算事業団に対して負う債務に関しまして、清算事業団の資金繰り上可能な範囲で活用することにより行われるというもので、平成年度にはそれが百五十八億円という枠が設定されたものでございます。
  179. 緒方克陽

    ○緒方委員 それは今後も変わりないということ ですか。
  180. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 これは、毎年度清算事業団の資金繰りというものを今後見通していかなければならないわけでございますが、私どもとしてはできるだけ資金繰り上可能なものを無利子貸し付けに回したいと考えております。
  181. 緒方克陽

    ○緒方委員 これが今後だんだん肥大化をして、長期債務の償還に回す分が少なくなるということが危惧をされるわけですけれども、上限というのは設定はないのでしょうか。
  182. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 清算事業団の抱えております長期債務の償還に支障のない範囲ということでございますので、肥大化することのないように毎年度予算でチェックされることになると考えております。
  183. 緒方克陽

    ○緒方委員 そういうあいまいな話では困るのであって、毎年度そういうふうに決めるということですが、それでは困る。一体、上限というのはどの程度を考えてあるのかということをお尋ねしているわけです。
  184. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 まず二兆円という、それのかかわるところでの資金繰り上という限度がございます。この二兆円を清算事業団に返していく上において、毎年、無利子貸し付けに回し、清算事業団にどれだけ返すかということでございますから、それほど膨大な額に今後なるとは考えておりませんが、ただ平成年度の百五十八億円というのは、少しでもふやしていくことが今後の無利子貸付制度の活用上必要じゃないか。しかしそのためには、清算事業団の長期債務の償還を、先ほどから申し上げておりますようないろいろな方法で円滑に行うということが、この二兆円の債務の資金繰り上可能な範囲を広げる上での前提になると考えております。  ただ、具体的にどれだけになるかということは、今からちょっと平成年度以降も見通せませんので、これから我々その辺も十分検討したいと考えております。
  185. 緒方克陽

    ○緒方委員 そういう御答弁では困るわけです。ふえないようにします、なかなか先はわかりませんということですけれども、これがふえるのじゃないかと大変みんな心配しておるということですから、ある程度、どの程度のところまでなるのじゃないかということを言ってもらわないと、法律が通ってしまった後は、いやあのときの審議ではなかなか見通しがつかない、なるべくふえないようにしますというふうに言ったけれども、だんだんふえたということじゃ困りますから、この法律が通る前に、その辺はどの程度だということをぜひ示してもらわないと困ります。
  186. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今申し上げましたように、毎年度の資金繰り上の問題でございますけれども、このもとになりますのは、新幹線譲渡収入のうち、一般の金融機関あるいは財投に返す金ではなしに、国鉄改革時に再評価された二・九兆円分、現在二兆円になっておりますが、清算事業団に二兆円の債務新幹線鉄道保有機構が負っておるわけでございます。これが鉄道整備基金に受け継がれて、二兆円について長期分割で清算事業団に払っていく。そのうち清算事業団が毎年資金繰り上困らない範囲で無利子貸し付けに回すということでございますので、当然その範囲というのは限度がございます。  ただ、幾らになるかということは、ちょうど土地や株についてどれだけ四年度に見積もれるかということを今の段階で言えないのと同じように、清算事業団の収支計画を四年度以降まだ立てられませんので、しかし先生の御危惧されている点については、私どもも長期債務の償還というのが大きな課題でございますので、その範囲内ということで、決してこちらに譲るという意味じゃございませんので、肥大化するとかあるいは長期債務の償還に支障を来すということのないような措置と考えております。
  187. 緒方克陽

    ○緒方委員 長期債務の返済、返還に支障は絶対にないということでいいですか。
  188. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 それからもう一点、今の二兆円の償還方法につきましては、法律に基づいて政令で定めることになっておりますので、そこでおのずからその償還方法に基づいてこれの範囲が出てくることになるということでございます。したがって、今先生言われましたように、長期債務の償還に支障のないということを前提としております。
  189. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは、この法案審議の過程で、そういうものについて政府側としては明確なそういう答弁がされたということで、厳しくこのことについては守ってもらうということを確認しておきたいというふうに思います。  それから次に、通勤混雑緩和対策納付金というものが、当初は、我々が昨年説明を受けた段階でも、前段のころですが、あったわけですけれども、これがなくなったわけですが、それは一体どういうことでそうなったのでしょうか。
  190. 佐々木建成

    ○佐々木(建)政府委員 先ほども同様な御質問がございましたけれども、御指摘のように、通勤混雑緩和対策納付金を徴収して大都市の鉄道の乗りかえ駅の改良をやるという案を平成年度予算要求案に盛り込んだわけでございますけれども、要求時に対象と考えておりました駅設備等の改良に関する工事の具体的な内容の詰めだとか、こちらで示しますガイドラインの策定等が十分詰まらなかったということ、それからまた、この納付金と運賃コストとの関係、それから徴収方法をどうするかとか、義務的徴収とする必要があるのかどうかというような問題がいろいろ提起されまして、そういった点を含めまして、関係者との調整を含めてさらに検討する必要があるということで、平成年度における制度の創設は見送ったわけでございます。それで、今後引き続き検討をするつもりでおります。  ただ、先ほどもお答えしましたけれども通勤混雑緩和一般については、平成年度予算案におきまして、地下鉄予算の大幅な増額あるいは制度の充実、それから大都市鉄道整備に対しまして無利子貸付制度が創設されたということなど、一定の大きな前進を見たというふうに考えております。  また、駅の施設の改良等につきましては、当面開銀融資に新たに通勤混雑緩和対策工事という類型を設けまして、特利五で五〇%融資という恵まれた条件での制度を設けましたものですので、これを活用して積極的に進めるということもやりたいと思っております。
  191. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは次に、基金財源の最後ですけれども、この鉄道整備基金は債券を発行することができるということになっているわけでありますが、その歯どめは一体どういうところまでになっているのか、そのことについてお答え願いたいと思います。
  192. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 基金の債券の発行につきましては、助成業務のための発行は不適当であると考えておりまして、法律案の第二十八条第一項ただし書きに明記してありますとおり、基金新幹線鉄道保有機構から承継いたします八・一兆円の債務の償還を行うために必要がある場合、新幹線譲渡収入の条件と債務の条件が違います、そのタイムラグを埋めるためにのみ債券を発行できる、こういう限定がございます。
  193. 緒方克陽

    ○緒方委員 タイムラグの分だけということですね。  次に、この鉄道整備基金の運用についてお尋ねをいたします。  鉄道を含めた事業については国民の要望がいろいろあるわけです。その中で、とかく政治介入ということがいろいろ言われているわけですけれども、それは排除されなければならぬということでありますが、この基金については、基金の運用については国会への報告義務というのは一体どうなっているのか、あるとすればどういうことかということで、一般会計なり産投会計なり、あるいは特定財源というものがあると思いますが、その辺はどうなっているでしょうか。
  194. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 鉄道整備基金そのものの報告義務はございませんが、鉄道整備基金一般会計から入ります財源については、当然のことなが ら、一般会計予算として国会で御審議していただくわけでございます。  特定財源一般会計財源を含めて、その資金収支計画等につきましては、財政法第二十八条に基づきまして予算の参考書類として毎年国会に提出されることとなっております。
  195. 緒方克陽

    ○緒方委員 参考資料として添付されるということですが、そこで次に、資金運用の明朗化を図るために公開の制度を入れるべきじゃないかということであります。  それに関連して、法第二十一条の第一項では、大臣は「公表」するということになっているわけであります。この公表というのは官報とかいろいろな方法があるわけですが、私は、官報ということになるのかどうか、またすべきではないかということと、それから同時に、この基金業務経過といいますか業務報告書といいますか、あるいは決算ということについても公開をされるべきであると思いますが、この公表ということの中身をできるだけ広く行うということが肝要ではないかというふうに思いますけれども、その辺についてはどうでしょうか。
  196. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 ただいま御指摘いただきました業務実施方針の公表につきましては、現在検討中でございますが、官報公告の方法を含めて、基金運営の明朗化が図られるような方法を検討してまいりたいと思います。  また、基金の財務諸表につきましては、官報に公告し、かつ財務諸表と事業報告書を各事務所に備えて置いて一般利用者の供覧に付する便宜を図るように、法律の二十六条で規定されているところでございます。
  197. 緒方克陽

    ○緒方委員 それで三番目ですが、これは同僚議員からも既に言われましたが、基金の運用を明朗化するために、学識経験者、利用者など多くの国民を含めた鉄道整備基金運用委員会あるいは審議会というようなものをつくるべきだということで先ほど質問が出ましたけれども、これは私からも、強くこの点については、要望といいますか申し上げておきたいと思います。  次に、鉄道建設公団についてお尋ねをいたします。  この鉄道建設公団の収入は、基金から入るものと財投から入るものを区分をいたしまして、それから支出ですね、整備新幹線建設関連とほかのものを分けて、大体どういうような見通しになるのか、この点についてお尋ねをいたします。
  198. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 平成年度鉄道整備基金が設立されることによりまして、鉄道建設公団についての補助金、補給金等につきましては、既設新幹線鉄道譲渡収入に係ります特定財源及び国の一般財源等を財源とする助成金はすべて今回設立が予定されます鉄道整備基金を通じて公団に助成されることになります。ただ、その他CD線、P線等を初めとして助成金以外の所要資金につきましては、従来と同じように鉄道建設公団が財投資金等を借り入れて、公団はこれらによって鉄道整備を行い、借入金につきましては将来のCD線、P線等の貸付料等で返済することとなるのは従来どおりでございます。  こういう仕組みのもとで、毎年の予算要求を行い、所要の鉄道整備を行うことになりますが、三年度予算案におきます公団の総収入、総支出はともに五千六百五十四億円でありまして、このうち補助金収入、補給金収入特定財源収入、産投特別会計収入の合計八百五十三億円につきましては、基金が設立されればそれ以降は基金からの収入となります。初年度は、基金の設立が十月一日でございますので、基金が設立されるまでの間は一般会計からも支出できるようになっておりますので全額ということではございませんが、平成年度以降は今申し上げましたような種類のものは全部基金からの収入となる。  平成年度の財投収入は千二百九十九億円であり、また、支出のうち整備新幹線関連のものは六百四十六億円でございます。
  199. 緒方克陽

    ○緒方委員 次は、同僚議員から鉄道整備補助事業の関連で質問がありまして、レクチャーを受けるときにも、鉄道事業者は、基金にも相談に行く、それから役所にも相談に行くということになる場合に二重になるじゃないか、どっちにも頭を下げなければいかぬということになるじゃないかということでいろいろ言いましたら、ケース・バイ・ケースでやる、最終的には運輸省がやるかなというようないろいろなことがあって、鉄道事業者としては非常に困るということになるわけでありますが、さっきの質問で、そこらは明確にしてもらわないと困るということで、大塚さんの答弁では、プロジェクトごとに基準をつくっていくというようなお話がありましたけれども、これは本当に困ると思うのですね。二カ所に行かなきゃならぬ。そしてどっちが権限を持っているかようわからぬみたいな、では権限があるところに行くかということで、非常に困るわけですから、そういう意味では、基準をつくられるということですが、今からでしょうけれども、どういう基準を今考えておられるのか、そこらがあればお示し願いたいと思います。
  200. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 相談に行く場合にも義務と権利がありますが、相談する権利といいますか、あちらに聞いてもわからないことがわかったという意味での相談の窓口は、二元化する方がいいかと思います。しかし、実際の手続その他の義務の方、これは絶対に二重行政は避けなければならない、手続が逆に煩雑になることは避けなければならないと考えておりまして、先ほども御答弁させていただきましたが、助成の基本指針のようなものは運輸省で決めるけれども、実務的な、事務的な処理につきましては基金の方で行うということについて、両方に同じ人が同じ説明に行くということはできるだけ避けるような一つのスキームなり手続規程を今後設けたいと考えております。
  201. 緒方克陽

    ○緒方委員 では、その基準づくりの骨格みたいなものもまだない、我々が質問して要望しているような問題点はあるので、これから考えていかなきゃならぬ、そういうことですか。
  202. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今後、鉄道整備基金組織ごと業務等を詰めてまいりますときに今のようなことを配慮してやらなければならないわけでございますが、鉄道整備基金運輸省に比べて職員が割合に数はありますので、申請手続その他について迅速に処理するという点ではそういう窓口は鉄道整備基金にしなければならぬと思っておりますが、国の政策指針、こういうものは当然運輸省補助金の決定権は運輸省でございますので、そういう点は運輸省に残す。しかし実際に、例えば何かどうしても両方がヒアリングをしなければならぬというときには一緒にヒアリングする。これは手続規程というか実際の運用の慣行というか、そういうところまできめ細かく配慮していかなければならないと思っております。
  203. 緒方克陽

    ○緒方委員 そのことについては、いろいろこちらから要望するまでに、きょう初めて基準みたいなものをプロジェクトごとにつくりたいという答弁がありましたし、今までのヒアリングではそこら余り言っておりませんから、こういう内容については、後ほどまたいろいろ政府に対して我々の要望といいますか考え方を話したいと思いますから、そのときは十分対応していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  204. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 これはなかなか手続上のいろいろな相談とそれ以外の相談もありますので、ある部分は設立後の運用の中で改善していくこともあるかと思いますが、事前に予測できることはできるだけ私どもの方で明確に手続の指針を考えていきたいと思っております。
  205. 緒方克陽

    ○緒方委員 質問に対して答えてくださいよ。そういうものがつくられるに当たって、我々がいろいろ問題提起をするので、政府としては対応してもらいたい。それについて、もちろん対応されるでしょうけれども、まじめに対応してもらいたいという質問ですから、そのことについて答えてください。
  206. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 いろいろの御要望がありましたら、十分対応していきたいと考えます。
  207. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは次に、整備新幹線の問題に 移っていきたいと思います。  今度の整備新幹線建設費が、先ほどからもいろいろ議論があっておりますように一兆六千五百億円ということになっておりますが、建設費の見通しはこれで十分というふうに見ておられるのかどうか。
  208. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 これは六十二年度運輸省が検討委員会に提出した価格でございますが、その後の建設費の高騰があるのかどうかについては、私どもとしましては、できるだけ今後の建設技術の改良あるいはコストダウンということを考えて、この範囲におさまるように努力したいと考えております。
  209. 緒方克陽

    ○緒方委員 それで、先ほどもコストダウンということを言われたのですが、そのためにいろいろ経費がかからないような技術を研究している、開発しているというふうな話がありましたけれども、それはどういうことでしょうか。
  210. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 具体的なこれとこれということではなしに、鉄道建設公団等建設主体においても技術というものについては絶えず努力をしておりますので、そういう建設の成果というものを踏まえて、できるだけ建設費が低減されるように建設主体等も指導していきたいという意味でございます。
  211. 緒方克陽

    ○緒方委員 具体的に技術的な問題でというふうに言われるから、何か可能性があるのかなというふうに思うわけですよ。具体的にさっき答弁がありましたからね。それはもう上がらないようにやります、何でも口では言われるけれども、答弁をされるからには、例えば単価が下がるとか、あるいはこういう方法で下がるとかいうことを言わなければ、それは絵にかいたもちであってちっとも説得力がないわけですから、そこのところがあるかどうか。それがないとこれは大変な問題になると思いますから、同僚議員の質問にさらに追加してお尋ねをするわけです。
  212. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 この問題は我々も大変重視しておりまして、鉄道建設公団の技術陣等にも検討をお願いしているところでございますが、例示させていただきますと、例えばトンネル工法については、新しいトンネル工法によってトンネルの支保部材やコンクリート等について経費を節減する、あるいは高架橋についても経済設計をやる、あるいは電気施設について新技術によって部分的に簡略化できるとか、あるいは車両開発についても変電所建設費を含めて軽減するとか、いろいろな項目にわたって今そういう問題について取り組んでいるところでございます。
  213. 緒方克陽

    ○緒方委員 しかしそういうことで幾ら削減できるかというのはちっとも明らかになっていないわけで、それはもちろんいろいろな意味で鉄建公団もいろいろ皆さんも努力をされていると思いますが、そのことではなかなか明らかにならないと思います。  そこで、さらに具体的に聞きたいと思うのですが、この建設費一兆六千五百億円が、仮に建設費が上がると、もう物価もいろいろ上がっているわけですから、そういう場合は一体この工事そのものはどうなるのでしょうか。
  214. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 私ども、今の整備新幹線整備につきましては、予算が決まりましたときから整備新幹線の三線五区間についてはおおむね十年を目途に完成するように努力していきたいと言っております。そういう範囲内においてできるだけ建設費も当初の積算どおりに行いたいわけでございますが、仮に一部建設費が増大した場合においても、基本スキームに沿って負担割合等は変えないという前提でやりますし、この十年の努力目標ということも、同じようにその際も達成するように所要の資金の確保に努めたいと考えております。
  215. 緒方克陽

    ○緒方委員 お尋ねしますけれども、今まで新幹線東海道から東北とやられておりますが、当初計画どおりにいったことが一遍でもありますか。
  216. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 先ほども東北新幹線の例が出ましたけれども、確かに以前の新幹線については当初計画と建設費の実績が異なっております。ただ、今回につきましては、相当な期間を経て、しかも実際の建設ということを念頭に置いて積算した建設費でございますし、幸い最近は物価も比較的安定している時期でございますので、若干の経費の増というものを、先ほど申し上げましたような一方で技術開発等による建設費の削減によってカバーすることを努力目標にしているところでございます。
  217. 緒方克陽

    ○緒方委員 努力目標はいいですけれども、今までかつて一遍もなかったことを、口先だけで努力をする、努力をするということでは、これは国民に対して責任のある答弁というふうには言えないと思います。  そこで、さらにもうちょっと具体的に聞きたいと思いますが、北陸新幹線の軽井沢—長野間のフル規格による建設問題ですけれども、これは地元で今いろいろ相談がされているようですが、これはもちろん見切り発車はないと思いますが、現在地元での協議の状況はどういうふうになっておるでしょうか。
  218. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 軽井沢—長野間の問題につきましては、信越本線沿線の一部市町村で反対があるように聞いておりますが、これについては長野県が中心になって地元の了解をとるということで、今県がそのような検討あるいは協議を進めているところと聞いております。
  219. 緒方克陽

    ○緒方委員 したがって、そういう合意がなければ見切り発車はないというのは当然のことでしょうか。
  220. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 昨年暮れの申し合わせでも、「必要な調整を行った上で着工する。」となっておりますので、見切り発車はございません。
  221. 緒方克陽

    ○緒方委員 それから、これに関連してですけれども、三千億円の建設費増の扱いをめぐって、当事者であるJR東日本と地元の協議の現状というのは一体どうなっておるでしょうか。
  222. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今も申し上げましたように、地元市町村等と長野県が並行在来線の扱いについて調整を行っているところでございます。またJR東日本についても、地元との調整を見守りながら、私ども必要がありましたら調整を進めたいと考えております。
  223. 緒方克陽

    ○緒方委員 次に、JRへの貸付料二〇%についてお尋ねをいたします。  今回行われますJRの支払う貸付料の上限というものは当然あるというふうに考えられますが、その辺についてはどうでしょうか。
  224. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 整備新幹線の貸付料につきましては、その新幹線鉄道開業に伴って生じます受益額を上限として設定することを基本として算定することにしております。
  225. 緒方克陽

    ○緒方委員 受益額を算定してということでありますが、それが二〇%に足りないときは一体どうなるでしょうか。
  226. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 私どもの計算としましては、整備新幹線の三線五区間につきましては平均して二〇%に達すると考えておりますが、仮に再計算をして達しない場合におきましても、JRの負担割合は変わらないものでございます。  過去の申し合わせにおきまして、JRの負担については、整備新幹線の営業主体となるJR開業後に支払う整備新幹線貸付料、それから既設新幹線譲渡収入の一部を充当するということになっておりますので、当然一方が減れば一方がふえるという形になります。
  227. 緒方克陽

    ○緒方委員 次に、そのことに関連して、このことがJR経営圧迫の要因とならないように配慮をすべきであるというふうに思いますが、その辺についてはどうですか。
  228. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今申し上げましたように、貸付料が新幹線開業に伴う受益額を限度とする限りにおいてはJR経営は圧迫しないし、そのような仕組みを変えるつもりはございません。
  229. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは次に、整備新幹線の保守管理費あるいはランニングコストの経費負担は一体どういうふうになるのかということであります。
  230. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 新幹線開業後の保守管理費、ランニングコストは、鉄道建設公団が貸し付 けております他の鉄道路線と同様、営業主体でございますJR各社が負担することとなります。
  231. 緒方克陽

    ○緒方委員 それに関連してでありますが、フル規格の新幹線にしても、スーパー特急にしても、ミニ新幹線にしても、その方法はいろいろあるわけですけれども、結局これを行う場合には財源をどうするかという問題が大きな問題になるわけでありまして、そういうことも含めて、JRなりあるいは地方自治体、地元住民、そういった意見を総合的に判断するということが当然求められているわけであります。そういう地元住民なり利用者の意見を十分に聞くべきだというふうに思いますが、その辺についてどうですか。
  232. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 整備新幹線の取り扱いにつきましては、整備計画の決定以来さまざまな観点から検討が行われてきておりまして、特に昭和六十三年から検討が進められました整備新幹線の検討委員会におきましては、沿線利用者の代表とも言える知事も構成員に加えて審議を行いました。また、それとともにJR意見も聞くなど、総合的な検討が行われて、今の先生指摘になりましたスーパー特急やミニ新幹線の着工あるいは財源措置が決定したものでございます。また、並行在来線問題についても、地元の県で十分調整するという前提で今行われておりますので、関係者の意見は反映されているものと考えております。
  233. 緒方克陽

    ○緒方委員 反映されているものではなくて、これからの問題も含めて言っているわけですから、そこら辺についてはどうですか。
  234. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 並行在来線問題については、地元関係者の調整が前提となっております。
  235. 緒方克陽

    ○緒方委員 並行在来線問題は、これまたいろいろ地元でも要望がそれぞれの地域であるわけでありまして、十分地元の意向を尊重してもらいたいと思います。  時間がなくなってきましたので、あと二、三点だけ。  大臣にお尋ねしたいわけでありますが、さきの所信表明の中でも安全問題が非常に大事だということで、当委員会同僚議員もいろいろ質問をいたしました。それにはJRの労使関係の安定というのが、この安全を守り事故防止を図る輸送業務の最も中心的な問題に関連するということで、労使関係の安定化が非常に大きいということで議論をされてきたところであります。  私も昨年の五月二十九日のこの委員会で質問をいたしました。当時の運輸大臣は大野さんでありましたけれども、「清算事業団職員の雇用問題につきましては」ということで、ちょっと中を飛ばしまして、「やはりJR各社の労使間の安定ということは大切なことでございますから、それらも私は十分認識して、そして私のできる範囲内においての万全の努力を今日もいたしておるところでございます。」というふうに御答弁をいただいたわけであります。  そこで本日は、その答弁に基づく努力の経過をお伺いするとともに、村岡大臣におかれましても、本問題の解決のためにぜひ御努力をお願いしたいというふうに思うのでありますが、どうでしょうか。
  236. 村岡兼造

    村岡国務大臣 元清算事業団職員の雇用問題につきましては、政府としても万全の措置を講じてきたところでございますが、さらに、再就職促進法が失効した昨年四月以降も、公共職業安定所において個々人の希望等に応じた就職あっせんが行われるよう、労働省にもお願いをしてまいりました。  JR各社の労使関係が安定することは、JR経営の安定、安全輸送の確保などの見地から極めて重要であると考えております。したがいまして、このような精神に沿って当事者間において円満な解決が図られるよう、労働省とも緊密な連絡をとりつつ、今後ともさらに努力してまいりたいと考えております。
  237. 緒方克陽

    ○緒方委員 時間がなくなりましたので、あと一点だけ質問をいたします。  基金法の第十六条、九ページですけれども、「代表権の制限」ということであります。ここで、「基金理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が基金を代表する。」ということでありますが、この利益が相反するというのは一体どういう場合なのかなということでございまして、そのことについてお尋ねをいたします。
  238. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 この条文は通常の特殊法人に例文としてございますが、具体的に基金の場合を考えますと、これは他の特殊法人も同様な例があると思いますけれども、例えば基金の不用財産理事長自身が買い受けるというような場合、実際にはないと思うのですが、そういうところが想定されます。
  239. 緒方克陽

    ○緒方委員 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  240. 二階俊博

    ○二階委員長代理 赤松広隆君。
  241. 赤松広隆

    ○赤松委員 委員長のお許しをいただきまして、私の方から、与えられた時間は一時間でございますが、いろいろ質問も重なっておりましたりしておりますので、できるだけ簡略にお尋ねをいたしますし、全く中身が同じようなものはなるべく省いて御質問したいと思いますから、聞かないことは答えないように、聞く前に答えないように、あらかじめお願いをしておきたいと思います。  さて、鉄道整備基金をめぐりまして審議に付されておりますこの三法案について、我が党としてもまだ賛成反対は正式に決めてないわけでありまして、それを決める上でもどうしても確認をしたい幾つかの点について、質問をさせていただきたいと思います。  本三法案につきましては、二十一世紀を展望しながら、我が国のあるべき総合交通体系整備の上で欠くことのできない、また基本となる鉄道について、一民間、一地方公営企業体では、その莫大な投資負担や財源の求め方等考えますと、とても実現不可能な、そういう鉄道整備計画について、着実に、しかも比較的短期間に可能ならしめるためのものと考えております。しかし一方では、たまたま本州JR三社の業績がいいというようなことを背景にしながら、悪く言いますと、この既設新幹線をより高くこの三社に売りつけて、懸案でありました整備新幹線建設財源をつくったとも考えられる点なきにしもあらずではないでしょうか。  今回の新幹線鉄道施設譲渡整備基金創設が、所期の目的どおり、将来にわたっての鉄道整備進展に大きく貢献できるよう願いつつ、以下具体的に質問をさせていただきたいと思います。  まず、譲渡価額についてお伺いをいたしたいと思います。これは、当然お互いにわかっていることなんですが、次の質問をするための確認という意味でお尋ねをしたいと思います。  建設債務額、承継簿価と言いかえてもいいと思いますが、この建設債務額国鉄改革時の再評価額と違っているわけです。違って当然なんですが、その理由は何かということをまずお尋ねをしたいと思います。     〔二階委員長代理退席、委員長着席〕
  242. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 国鉄改革時におきます建設債務額とは、承継時点での既設新幹線の帳簿価額のことでございます。帳簿価額は、それぞれの新幹線建設したときに、その建設に要した金額を計上するためにある時点で再評価した場合に、建設時期の古いもの、例えば昭和三十九年に開通しました東海道新幹線などは建設時点から評価時点までの期間中の地価上昇や物価の影響が強く反映される、また一方、最近でき上がったものは余りその差がない、こういうことで帳簿価額と評価額の差となったところでございます。
  243. 赤松広隆

    ○赤松委員 当然そういうことだろうと思います。ただ、結果的に数値を見てみますと、JR東海については、その建設に要した費用、すなわち承継簿価と再評価額は約五倍となっています。JR東日本の分についてはわずかにアップ、西日本については約二倍程度。これは今総括審議官が言われたように、建設年次が違いますから当然建設費のかかった分が違う。ただ一方では、再評価というのは同じ時期に再評価しているわけですか ら、国鉄改革時に同じ時期に再評価をしているわけですから、その時代とか年代の時の経過で説明をされるのだろうと思っております。  それでは、国鉄改革時の今申し上げた再評価額が、今回の平成三年十月一日の再々評価では、東海道、山陽新幹線の方はアップしているにもかかわらず、JR東日本譲渡される東北だとか上越新幹線については、反対にこれはダウンしているのですね。余り伸びなかったというんだったらわかるのですが、反対にダウンしている。そうすると、考えようによっては、今回の再々評価が正しいものであるとすれば、国鉄改革時に行った再評価額というのは一体本当に正しかったのだろうか。きちっとした同じ手法でやったというふうに私は説明を聞いておりますが、同じ手法でやっているものが何で今度は下がっちゃうのか。しかも、このJR東日本譲渡されるであろう東北、上越新幹線についてはそういう傾向が顕著なものですから、その点について確認をしたいと思います。
  244. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 東海道新幹線と山陽新幹線がアップしている理由というのは、東海道新幹線については、東海道ベルト地帯を通っておりますので、その施設の土地の値段が非常に上がっているということが大きな要因になっております。また山陽新幹線も同様で、大阪付近の地価の上昇を反映している。今回の再々評価に当たりましても、償却資産については減価償却相当分を引いていずれもダウンするわけでございますが、その償却資産の方のダウンというのは、東北新幹線上越新幹線というのは施設が比較的新しいので、償却費が相当きいて、償却資産が土地——土地はもちろん東北、上越も上がっておりますが、それ以上に償却資産のダウンが大きい。それに対して、東海道新幹線と山陽新幹線償却資産は下がっていますが、それ以上に土地のアップがきいているという結果、土地と償却資産を合わせた価額で六十二年と比べますと今のような結果になったということになります。
  245. 赤松広隆

    ○赤松委員 今、総括審議官が後で追加されたように、当初、土地で説明しようと思ったってそんなことは通用しないのですね。上がっているのは、別に東北だけ上がらないわけじゃないし、むしろ仙台あたりは、遷都論もあってどんどんその地価効果、地価の高騰というのはあるわけですから、それではもう全く説明できない。  では、今もう一つ理由で言われた償却資産だ、それの違いなんだ、確かに年次が違いますからね、それもわかるのですが、その償却分というのは、その評価をする上でどれぐらいの割合を占めるものですか。おおよそでいいですよ、そんな細かい数字でなく、二割だとか三割を占めるとか。
  246. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 全体でいきますと九兆一千二百七十五億のうち、償却資産が五兆一千二百九十四億、土地が三兆九千九百八十一億、ちょっと比率で今計算できませんが、五兆一千億と四兆というぐらいの差でございます。
  247. 赤松広隆

    ○赤松委員 そうしますと、償却資産が非常に大きな比率を占めてその再々評価を低めているということが言えると思うのですね。  それじゃ、東海道新幹線ができてもう二十五、六年、あるいは山陽がその後でというようなことになってきますと、今日時点ではその東北新幹線なり上越新幹線というのは償却資産の負担が非常に重い、ただ、五年後、十年後を考えたときは、反対に、再々評価をまた改めてするとなれば、当然これはもう極端にずっと下がってくるということが言えると思いますが、どうですか。
  248. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 またそのときの土地の上昇とのバランスの問題だと思いますけれども、そういう償却資産だけとっていいますと、そういう面もあると思います。
  249. 赤松広隆

    ○赤松委員 私が言いたかったのは、いわゆる経理上の計上の仕方でいろいろあるでしょうけれども、今回行われた再々評価あるいは前回国鉄改革時に行われた再評価というのは、その意味でこれが絶対的なものではないなということが言えるのではないかということを確認をしたかったためにそのように申し上げたということであります。  次に移りますが、今回の譲渡価額東日本については三兆七百六十八億、東海については五兆八百二十三億、西日本については九千六百八十四億ということを聞いておりますけれども、この根拠というのは一体何か。多分今聞いたことだろうと思うのですが、それについて改めて確認しておきたいと思います。
  250. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今回は新幹線施設を永久に譲渡してしまうということで、リース料のときの配分根拠を見直しまして、まず収益見通しにつきましては、長期見通し平成二十八年度までを見通した、これにつきましては、上越や東北については伸び率が高くなる、東海道は、今までは伸びておるけれども伸び率が鈍化するというような影響が出てくるわけでございます。それからまた、それまでの費用として維持更新費を考えておりますが、この維持更新については、施設の古い東海道新幹線について維持更新費が大きく出るということになります。  この収益から費用を引いた収益力の見通しを出し、それと、先ほど申し上げました譲渡時点におけるそれぞれの評価額を掛け合わせたものの率で配分を考えたわけでございます。
  251. 赤松広隆

    ○赤松委員 そうしますと、私の方から答えを申し上げるようなことになってしまうと思いますが、一つは、資産を譲渡するわけですから、資産の評価もあると思うのですね、今申し上げたような。その資産の評価一つと、もう一つは、今言われたのは、やはりJR各社の今後の経営見通しだ。その二つの要素で、まあ最終的ないろいろなネゴシエーションもあったでしょうけれども、五兆何がしなり幾らなりのいわゆる売り渡し価額の根拠を決めたということでいいですか。
  252. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 各JR自体の経営見通しじゃなしに、その新幹線経営見通しという意味でございます。
  253. 赤松広隆

    ○赤松委員 そうしますと、一つは、これは私は実態から仕方がないかなという側面もあると思うのですが、この路線は多分もうかるだろう、ここは収益が上がるだろう、そうすると、その意味で物としての財産価値はなくとも、その収益性というような、まあ形のないものですね、それを評価をして値段を決めたということになると思うのですね。  そうすると、言い方はおかしいですが、例えば保育園の保育料が、子供たちには同じ保育措置をするのですが、実際にはその親の財布の重い軽いによって措置料が決まってくると同じような形で、今回のこの額についてもこういう決め方が、各路線の収益見通しだとか経営の今後のあり方だとか内容だとかによって決められてくることがどうなのかなという問題提起だけしておきたいと思います。  さて、それで問題は、今まではリースだったわけですが、今度は譲渡に伴う経費の変化が出てくると思うのですが、これについてそれぞれお尋ねを順次していきたいと思うのです。  従来のリース料は一体幾らだったんでしょう。ネットでいいです。
  254. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 平成年度の貸付料は七千二百八十億円でございますけれども、消費税分二百十二億を控除した、JRが実質的に負担する貸付料は七千六十八億円でございます。
  255. 赤松広隆

    ○赤松委員 そうしますと、七千二百八十億円、これは、申しわけないのですが、例の一兆円分と八・一兆円分のそれぞれありますね、多分分けて中身を持ってみえると思うのですが、その内訳、わからなければわからないでいいですが、わかれば今御答弁願えますか。
  256. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今申し上げましたのは、平成年度リース料でございますので、八・一兆円分ということでございます。
  257. 赤松広隆

    ○赤松委員 ごめんなさい、今のはリース料でした。そうしますと、七千二百八十億が今までのリース料で、今度は譲渡をされてそれに対して払っていくことになるわけですが、これが例の一兆円分と八・一兆円分で、これは多分ふえるだろうと思いますが、これは幾らになりますか。
  258. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 平成年度で、合計額だけ言いますと七千三百三十八億円でございますから、先ほど平成年度リース料七千六十八億円と申し上げましたので、二百七十億円ふえるという計算でございます。
  259. 赤松広隆

    ○赤松委員 そうしますと、二百七十億円が、いわゆるリース方式から譲渡方式に変わることによって、まあこれは一番重い時期ということはありますけれども平成四年では二百七十億程度が負担増になるということですね。  そうしますと、今私どもがあらかじめ聞いておりますのは、従来のリース料に比べると四、五年は高い、額はだんだん逓減していくと思いますが、高い。しかし、それ以降はそれ以下になっていくという御説明を聞いていますが、そういうことでいいのですか。
  260. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 減価償却費は今のところ定額と考えて毎年変わらないとしますと、金利負担分が譲渡代金を償還していくためにずっと減っていきますので、今先生指摘のとおりになると思います。
  261. 赤松広隆

    ○赤松委員 先ほどの総括審議官の答弁を聞いていますと、今回のこういう方式は、いわゆるJR本州三社の上場のための環境を整備することが第一の目的なんだというふうに答えをしておられました。ただ、第一の目的はそうなんだけれども、むしろそのリースから譲渡をすることによって経営基盤は強化をされるということを言われていましたが、強化をされる中身というのは何ですか。なぜ強化をされるわけですか。
  262. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 大きな理由は二つあると思います。  これは一つは、上場に当たって株主保護というような面において、将来の大きな資産の債務が確定してない、今の新幹線鉄道保有機構法では二十一条で貸付期間終了後譲渡することになっておりますが、どういう条件で譲渡するかということが明確でない。また、貸付料そのものも、一応制度的に固定はしておりますけれども、将来変わるかもわからない、こういう問題があると指摘されております。  それからもう一つは、これは特にJR東海のように、既存の線の償却費が少ないところが会社の内部での償却費不足から内部留保ができない。ところがJR東海の場合には、JR東海収入の八五%を新幹線が占めておりまして、今後新幹線維持更新に相当な金がかかりますけれども新幹線による利益は税金に持っていかれる、減価償却費を計上できないので内部留保ができないという問題があります。そういう減価償却費を計上して膨大な施設維持更新等投資を行っていく、この二面が私申し上げました環境の整備に当たると思っております。
  263. 赤松広隆

    ○赤松委員 言われる意味はわかるのですが、じゃ、今例に出して言われたJR東海ですが、まあ債務が確定することが果たしてその経営基盤を強化することになるのか、ちょっと僕はわかりませんが、もう一つ言われた減価償却費を計上して、まあ全部税金で持っていかれずに、その分内部留保しながら次の維持管理なり新しい補充に充てていくなり、そういうことができるということで、その一面はわかるのですね。  しかし反対に、JR東海は例の品川駅の新たな用地取得の問題もあり、それからまた、私が十五日に御質問申し上げたあのあたりの不採算路線ですが、西名古屋港線の問題だとか南方貨物線の問題だとか、これも正式に買うと決まったわけではありませんが、そういう問題も出てくるなんということを考えてきますと、果たして今回のこの平成四年で二百七十億ですか、これだけのいわゆる支払い増、これは先ほど先輩議員からもお話ありましたように、本当に経営を圧迫しないのだろうか。大丈夫だ、平成元年は一千億円も利益が出ているから大丈夫だなんということだけで本当にいけるのかなと思いますが、その点はどうですか。
  264. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 もちろん、現在のJR経営状況が順調だという背景には、日本経済そのものの景気の維持等いろいろな他動的な要因もございますが、JR本州三社は、それぞれに今経営状況を見ますと、今後とも当分の間、十分な経営基盤を確立していけると考えておりますし、JR東海についても、もちろんこれから品川新駅問題等は東海自身にとっても大きな問題でございますが、これも東海道新幹線が好調である、輸送需要がどんどん伸びている証左でもございますので、今後の経営努力によっては引き続き現在のような状況を維持できると考えております。  今回の譲渡によりまして償却費等が相当大きくなりますので、最初金利が大きい何年間かは確かに頑張らなければならぬ、しかし長期的に見ればかえってJR東海にとってプラスになる、経営基盤の強化になる今回の譲渡だと考えております。
  265. 赤松広隆

    ○赤松委員 ぜひそう願いたいのですが、しかし実際には、最初の数年間経常利益の約半分が経費増で消えていくことになるだろうと思っていますし、先ほどからの御答弁では、例えば物価も余り上がってないとかなんとかいろいろなお話がありましたけれども、じゃ今借りている、実際にこれから返していくお金ですね、片方は固定金利ですが、片方は変動金利ですから、いつまでも今の金利がずっと続くということはこれまた保証がないわけでありまして、そういう意味で非常に不安要素もあるということが言えると思います。  それはあえて答えをもらいませんが、ただ私が思いますのは、将来にわたって健全な経営債務償還を維持していくためには、やはり収益の方を上げていかないといけないわけですね。それで、義務的経費、例えば給与というのも、何%かはともかくとして毎年実際上がっているわけですし、また上げていかなければいけないわけです。そういう義務的経費増もあるわけですから、じゃ、実際に収益をふやすのはどの道があるのか、どの方法があるのかということになると、鉄道の専用事業者ですから、もう総客数をふやして、そしていわゆる運賃収入を上げる、それしかないんじゃないかと思います。まだ例外的にはそれは他の事業まで今やっていますけれども、それは主流をなす事業ではありませんから、主にはやはり乗客増に頼るよりしょうがないんじゃないかと思いますが、どうですか。
  266. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 また近くJR各社から今年度の決算状況、また来年度事業計画等のヒアリングをやる時期になると思いますが、今のところは、少なくともJR三社から運賃を改定する必要があるというような、あるいは近くあるというような話は聞いておりません。  また、収入増につきましては、もちろんそういう輸送需要をふやす、あるいは運賃収入をふやすという方法もあるかとは思いますが、今回の国鉄改革の趣旨からいって、関連事業等でも努力していくというのも一つの会社としての収入増の道ではないかと考えております。
  267. 赤松広隆

    ○赤松委員 今から運賃値上げのことを聞こうと思ったのですが、私が今言ったのは、とにかくお客をふやして運賃を上げて、運収を上げるよりしようがないんだ。ところがJR東海あたりは、もういつも言われることですが過密ダイヤで、多少の輸送力増強があるかもしれませんが、そう本数を何本もふやすなんて、たくさんふやすなんということはできませんし、私どもも利用していますが、いつ乗ってもほとんど満席というような状況が特に「ひかり」については続いていますから、そんな意味で、客をふやすことは、特にJR東海あたりについてはなかなか望めないだろう。そうすると、こうした義務的経費増を何とか消化をしていくためには、ことしとは言いませんが、遠からず運賃値上げを考えないと収入増ということもあり得ないんじゃないだろうか、これはいい悪いは別として、こういうことを思いますが、大臣どうですか。
  268. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今総括審議官から一部お答えしたようでございますが、JR東海につきましては、現在順調な経営状況にありまして、今回の新幹線譲渡による経営への影響を勘案しても所要の利益の確保は可能と考えておりまして、譲渡によ る損益悪化のために運賃の値上げが必要になるような事態が生ずるとは考えておりません。  なおまた、経費の節減や種々の増収対策等によりまして経営内容の充実に努めるよう、当省としても引き続き十分指導してまいりたい、こう思っております。
  269. 赤松広隆

    ○赤松委員 大臣から、当面運賃の値上げはない、来ても、受け付けないか受け付けるかどうかは知りませんが、とにかくそんなことは考えていないということを聞いたので、次に移っていきたいと思います。  さて、今回の問題については、実は昭和六十一年十二月四日に制定された新幹線鉄道保有機構法というのがあったのですが、まだ六十一年というとそう大昔のことじゃないわけですね。六十一年十二月にこの鉄道保有機構法を、今後のこれがいわゆる鉄道に対する指針なんだということで制定されて、そしてその中では、リース期間三十年たったらJR各社にこの線については譲渡するんだということが法律で書かれているわけですね。ただ、中には、その時点では譲渡なんだけれども、それが有償なのか無償なのかということは明確に書いてはありませんけれども、私ども素人が考えますには、常識的に、三十年もリース料を取っておいたんですから、もうそれはその時点では無償で渡す、あるいは新たな線ということになるかもしれませんが、そんなことなのかなということを思っておったのですが、その時期から四年、五年がたつと、今度は保有機構から整備基金だというようなことで、ある意味で言うと朝令暮改も甚だしいのではないかと思いますが、まあそれはさておいても、三十年リースでやる場合に比べて、JR三社にとって経費増、負担増は否めない事実だと思いますが、その点についてはいかがですか。
  270. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 まず最初の御質問内容でございます新幹線鉄道保有機構法の二十一条でございます。これにつきまして、私どもも今回も当時の事情をいろいろ勉強させていただきましたが、「別に法律で定める」と書いてあるところは、やはりその時点で、貸付期間終了の将来におけるJR経営状況、財政事情あるいは国民の意識等を勘案する必要があるために別途政策判断を行うこととしたところであると思います。  今回は、これを譲渡するということになりまして、いわば国民共有財産ともいえる公共性の高い資産であり、適正な時価で譲渡する必要があるために、譲渡時点における取得価額ということで新たに評価をいたしました。この譲渡によって、先ほども申し上げましたけれども、一方でリース料というものを支払わなくなりますが、他方で、損益上では、金利負担、それから償却資産減価償却費というのが経費増の要因になりますので、総合的に言えば経費は増加します。しかし、その経費の増加の程度というのは、現在の三社の経営状況経常利益の計上状況等から見て悪影響を経営に及ぼすものではないと考えております。
  271. 赤松広隆

    ○赤松委員 次に行きます。  多くの委員の皆さんからも既に何回も質問が出ましたが、私もその答弁を聞いていましてどうしてもまだ理解ができないのですが、例の上乗せ一兆円、上乗せと言うと何かいいかげんに上乗せしたみたいだから、再評価と再々評価額のバランスと言った方がいいかもわかりませんが、なぜそれが一兆円なのか、その辺が、いろいろ御説明をされるんだけれども、落ちてこないというか、なるほどとわからないわけですね。それと加えて、今度はこの一兆円の負担割合ということでも、東日本がふえてJR東海が減っている。この辺もでは一体どうなのか。再評価のときは、本当の、何というのですか、物に対する評価から見るとJR東海というのは上がっているわけですね。今度一兆円が入ってこういう負担割合なんかのことを考えてくると、今度はJR東海が減って東日本がふえてくる。  いろいろ何回も今まで説明されたと思いますが、一回わかりやすく、なるほど、ああそうかわかった、これはもうこの負担割合仕方ないな、なるほど一兆円上乗せ分はこういう意味なのかというようにちょっと御説明をいただけませんか。
  272. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 私も、方程式といいますか考え方は申し上げられても、ではそこに数字を入れてこの答えになるというのは、コンピューターでやりましたので、自分で計算したわけじゃございませんが、まず九・一兆円というのは、一兆円という切りのいい数字で非常に誤解を生むのですが、八・一兆円に一兆円上乗せして九・一兆円になったんじゃなしに、九・一兆という答えが出てきたから差額が一兆円になったということでございます。この九・一兆円という評価につきましては、これは原則的には六十二年四月のときの再評価の際と同じ手法を使いまして、新幹線鉄道施設について、土地は各市区町村別に分け、各市区町村別の新幹線施設のある場所から、これが商業地に当たるか住宅地に当たるか農地に当たるか工業地に当たるか等用途別に分け、その市区町村の用途別の平均地価を出して掛けた、それで面積の大きいようなものについては補正も行っております。これは前回と同じような手法を使ったわけでございます。そうしますと、結果的に九・一兆というからちょうど一兆円になるわけでございますが、厳密に言えば九兆一千二百七十五億になったわけでございます。  それから配分額につきましては、その要素については先ほど申し上げましたが、なぜJR東海の比率がリースのときより四%くらい下がりJR東日本が四%くらい上がってそれぞれが五六%、三四%になったかということでございますが、これは資産の方はJR東海がふえていますが、先ほどから言っておりますように、収益見通しを長期にとりましたために東北と上越がぐんと大きくなった。しかも、今回はリース料のときと違いまして、維持更新に関する費用も検討対象の要素に入れた、この費用がJR東海については大きい。老朽化と言ってはいけませんけれども経過年数の長い施設ですから維持更新の費用が高く出る。したがって、収益から費用を差し引いたその数値が将来収益見通しが高くなる東北や上越より低くなったために、その要素が響いて結果的にJR東海リース料のときの比率よりも下がったということで、この方程式に虚心坦懐に当てはめましたら結果がそうなったということだと思います。
  273. 赤松広隆

    ○赤松委員 まだそれでは理解できないのですよね。なぜかといいますと、今総括審議官は、東日本はこれから収益伸びていくんだ、そういうことを加味してこういうふうにしたと言うのですが、そんな、何年次にはこれぐらいだろうというようなことは前に評価しているときだってわかると思うのですが、そのことだけ言ってもしようがありませんので、ただ、今言われたように、ちょうど一兆円なんというのは非常にこれはうまくできているなということで、これはやはり整備新幹線財源づくりのために頭のいい人がそういう方式を考え出して、打ち出の小づちみたいに一兆円出してきたのかなという気が私はしていますが、それはともかくとして、今の答弁では、とにかくコンピューターに入れてきちっと決められた手法でやったらたまたまそのバランスが一兆円だったんだという言い方ですが、じゃ、この一兆円というか、九・一兆ですね、九・一兆円が出た、算出をした日にちというか、その算定の根拠になった日にちはいつですか。
  274. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 その計算をした時点ということでしょうか。——土地の評価につきましては、先ほど言いましたように、土地の平均価格を求めたのは平成二年の四月で求めて、それを譲渡時点に延ばしたということでございます。また、このような方式につきましては、昨年の八月の予算要求のときから新幹線譲渡ワーキンググループ等でもそれを検討していただきまして、コンピューター等に入れ、かつ仮にその手法が正しい、答えが正しいとしてもJR各社が了解する必要がありますので、そういうところとも十分相談して決めたということでございます。
  275. 赤松広隆

    ○赤松委員 今、平成二年と言われましたか。平成三年の十月一日じゃないのですか。違います か。
  276. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 譲渡時点はことしの十月一日でございます。
  277. 赤松広隆

    ○赤松委員 ごめんなさい。  そうしますと、問題は、なぜそんなことを聞いたかといいますと、これはすべてが土地評価だけで判断するわけではないと思いますが、少なくとも平成二年四月の土地評価でことしの十月一日にこの法律が通れば実際に譲渡されるわけですね。今言った平成三年十月一日。そうすると、その間の価値増といいますか、価値が上がるというのを、もう一度その辺をきちっと、金額が上がっていくのか、多分上がるだろうと思うのですが、再評価をし直す、あるいは金額を確定するということはあり得るのですか、平成三年十月一日時点で。
  278. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 ちょっと私が言葉足らずでございましたけれども、地価公示額等は平成二年四月のものを使い、その結果についてことし十月一日、三年十月一日の譲渡時点に上昇率を加えて延ばしたということになっております。
  279. 赤松広隆

    ○赤松委員 そうしますと、最後の確認ですが、今出ている金額というのはもう変わらないということですか。
  280. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 相当いろいろと計算しましたので自信を持っておりますが、最終的には、先ほどから申し上げておりますように、この法律が成立しましたら新幹線鉄道保有機構新幹線鉄道施設評価審議会という臨時の審議会を設けて、そこで再精査していただくことになっております。
  281. 赤松広隆

    ○赤松委員 だから私が聞いているのは、そこの審議会でやるのはわかっているのだけれども、そのときの評価の材料になるものは、平成二年の四月のときの、今あなたたちが計算したそれをそのまま使うのですか、それともその審議会では、これは平成二年の四月のものだから、例えばその審議会が開かれるその時点評価を使うのですかと、場合によって金額が変わることもあり得るのですかと、それを確認したいのです。
  282. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 その評価審議会も、法律が成立しましたら直ちに検討していただくというので、準備等考えますと、恐らく私どものデータが最新のものになると思います。ただ、再精査しますから数字的に若干変わることもあり得るという前提でそこで御検討いただくわけでございます。
  283. 赤松広隆

    ○赤松委員 それじゃ、時間がありませんから次へ行きます。  整備新幹線について若干お尋ねをしますが、運輸省の説明によれば、今回着工の三路線、それぞれ言いませんけれども、三路線五区間、調査とか準備の区間も入れれば五区間は、この間大塚さんの答弁でもあったと思いますが、この三路線五区間というのは緊急的かつ採算のとれる、投資効率の高い路線なんだ、だから選んだんだというお話だったと思うのですね。私は、はっきり言いましてその点について大変疑問に思っております。これは、疑問に思っているから必要ないという意味じゃなくて、ぜひそれは必要なんだけれども、しかし本当に緊急的かつ採算のとれる、投資効率の高い、あなたたちが言われるような路線なんだろうかということを大変疑問に思うわけです。  それでお尋ねをしますが、それじゃ、これら整備新幹線開業後の収支見通しなりを持っていらっしゃると思いますが、採算がとれると言うのだから当然お持ちだと思いますが、それぞれの路線、調査とか準備のあれは結構ですから、今言われておる盛岡—青森、八代—西鹿児島、軽井沢—長野、この三路線だけでいいですから、これについての収支見通しをそれぞれ明らかにしてください。
  284. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 ちょっと今個別に申し上げるデータをお出しできませんが、この負担割合というのは収支をあらわしているといいますが、JRが実際に負担するのは、受益の限度で貸付料を出す、だから三線五区間平均して建設費の二〇%分は受益額がある、こういう計算になるかと思います。ただ三線五区間について全部がぴたっと二〇%じゃなしに、例えばJR九州の八代—西鹿児島間については若干それより下がるし、長野あたりについてはそれより上がるというような変動はございますが、基本的には八〇%について何らかの手当てをして、残りの建設費の二〇%分が開業後受益として返ってくるという、貸付期間を三十年と考えて、三十年間で二〇%が返ってくる、こういう計算になるわけでございます。
  285. 赤松広隆

    ○赤松委員 何というのですかね、JR各社からの支払いの要件はこうだから、それは経営負担にならないんだという意味での答弁であれば、今の総括審議官さんの答弁でわかるのですが、僕が言っているのはそういうことじゃなくて、この路線を選んだわけですね、その選んだ根拠というのは、この路線が緊急的かつ採算のとれる、そして投資効率の高い路線だから選んだと言われているわけですから、本当にそうなんですかと、そうであればその裏づけを見せてくださいと、教えてくださいということを僕は言っているのです。
  286. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 もちろん時間短縮効果とか建設費とか総合的に当時検討して着工順位そして区間を定めたわけでございますが、採算性といいますか、収支ということからいえば、二〇%平均の貸付料を取れば、それで収支とんとん、今までと同じ経営、並行在来線と同じ経営になるという前提になっております。
  287. 赤松広隆

    ○赤松委員 だから、その辺がちょっと認識が違うと思うのです。  例えば、具体的な例で言いますが、軽井沢—長野間でもいいですが、ここに対して、とにかく予想される受益の分で払うんだから、その二〇%が負担なんだから、余分なものを払わないんだからと言われるけれども、極端な場合、だれもお客が乗らない、その路線としての収益が上がらない、そういうときに、それは不採算路線、赤字路線ということにならないですか。
  288. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 今、軽井沢—長野の例で言われましたが、これは整備新幹線の検討委員会のときに、軽井沢—長野につきましてはフル規格でもミニ規格でもそれぞれに大きなメリットがあるということで、両方の結論を出さないでペンディングになったという経緯がございますので、どちらかだと大幅な赤字だというような線区ではございません。
  289. 赤松広隆

    ○赤松委員 ちょっとその辺の出発点がどうやら違うようなのでなかなか議論がかみ合いませんが、要は、私が言いたいのは、これらの路線が不採算路線で、総括審議官は繰り返し、二〇%だから、その分で払うんだから、見返りで払うんだからということを言われるけれどもJR各社経営上負担となるようなことは絶対にないですね。この場で約束できますか。
  290. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 受益の限度という基本スキームは変えませんので、JRの負担にならないというふうに考えています。少なくともJRが実際に出す貸付料というのは、それ以上にならない線で今後整備を進めていくわけでございます。  それから、各線で二〇%を超えるか下がるかということについて、ここで御勘弁願いたいのは、これについては各JR鉄道建設公団等で今後厳しく受益の見通しについて議論をしなければならぬということで、それに予断を与えることは避けたいということと、もちろんJRとしては受益を低く見積もって将来安定的な経営をしたい、鉄道建設公団としては高く見積もるということで、その辺の調整も必要になってこようかと思います。
  291. 赤松広隆

    ○赤松委員 これは運輸省からもらった資料ですが、これを見ましても明らかですが、今この十年間は三路線五区間をやるわけですが、計画案の中にまだいっぱいあるのですね、これだけあるのですから。そうしますと、今後北海道もやってくれだとかあるいは四国もだとかいろいろなのが、私どもも言うかもわかりませんが、ここもだあそこもだという話が当然出てくると思うのです。そのときに、今の基本的な考え方、受益の範囲で、二〇%の論理で、本当にそれらを受けてやっていくことができるんだろうか。また、いろいろ政治的な圧力もあるでしょうから、そうするとそれがどんどん入ってきて、それは第二の国鉄、第二の清 算事業団に本当にならないだろうかということを心配しているわけです。  私はもう一つあえて私自身の考え方を言うと、まあ表向きは余り格好いいことを言わずに、例えば採算がとれるだとか投資効率が高いだとかということばかりに理由をつけるんじゃなくて、ここは投資効率が低いけれども、ここは採算がとれないけれども、これは公共交通として国の責任でやらなきゃいけないのです、だから、その分はJR各社に負担をさせることができないので、例えば国の負担が少しふえたとしても、補助がふえたとしてもこれはこうやってやるのです、ここはそんなことしなくても採算が十分合うんですということの方が、現実に僕は合っていると思うのですね。ですから、すべてがすべてこの鉄道路線は採算に合うなんということを前提にしてやったら敷けるところなんというのはないわけだから、その辺のことを理由をきちっとつけて、言えば性格づけをすれば、第二の国鉄、第二の清算事業団なんということにはならないんじゃないか、またそれの方が私ども納得して気持ちよく賛成できることになるんじゃないかと思いますが、どうですか。
  292. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 ただいま私が申し上げました負担割合あるいは貸付料が二〇%になるというのは、整備新幹線の三線五区間に限ったスキームでございまして、他の基本計画線等を長期的な課題として検討するときには、全く別な負担割合その他の検討が必要になると思います。
  293. 赤松広隆

    ○赤松委員 そうしますと、三路線五区間以外については、私が今申し上げたような要素も入る余地もあるということで考えていいですか。
  294. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 当面は三線五区間の建設に努力するわけで、他は長期的課題ということでございますが、その長期的課題の中では、採算性等は当然新たに考えなければならないと思います。
  295. 赤松広隆

    ○赤松委員 以心伝心で理解ができたということにして、次へ行きます。  この基金ではリニアについてもその対象としていますけれども、中央リニアですね、実験段階の技術開発に要する費用だけでも三千四十億、うち国庫補助四百九十億と今予測をされています。しかし、これは実験線にかかる、あるいは開発のためにかかる費用でありまして、本格着工ということになりますと、この鉄道整備基金との関連でやはり財源措置についてもきちっとしていかなければいけない。これについてどう考えていくのかという点もやはり出す時期に来ているんじゃないだろうかと思いますので、これは大変重要な問題ですから大臣の方から御答弁をいただければと思います。
  296. 村岡兼造

    村岡国務大臣 ただいまリニア中央新幹線の本格着工についての財政措置、どう考えるか、こういうことでございますが、二十一世紀における高速交通機関として重要な役割を果たすことが期待されておりますリニアモーターカーについては、平成年度から山梨新実験線の建設に着手し、平成年度末までに実用化のめどをつけるべく各種の試験を行うことといたしております。  また、中央新幹線については、現在全線にわたりまして地形、地質等の調査が日本鉄道建設公団及びJR東海によって行われているところであります。  先生指摘の点も含め、中央リニアの実用化に当たっての諸課題につきましては、これらの調査結果や技術開発の成果を踏まえて今後検討すべき問題と考えております。
  297. 赤松広隆

    ○赤松委員 まだこの時点ですからこれ以上申し上げませんけれども、ただ、これもやはり莫大なお金がかかると思いますので、財源措置についてもきちっと今から考えて御用意をしていただければということを要望しておきます。  次に、あと二問だけ簡単に質問いたしますが、清算事業団債務状況に関連をして具体的にお伺いをしたいと思います。今のリニアにも関連をいたしますけれども。  今、清算事業団は、二十五・九兆の債務を償還していこうということで、先ほど質問があったように土地の売却なりあるいはJR株式の売り渡しなりで償還をしていこうということで御努力をされておるわけでございます。汐留についても、株式変換権つき事業団債券の売却なんという新しい手法も取り入れながら、早期に完全に債務一掃をすべく御努力をされていることに敬意を表するところでございます。  そして、私の地元でございますが、この間、当面これから売り払う土地の一覧表等も見せていただきましたが、私の地元の笹島の貨物駅跡地についても、今、清算事業団用地としてあるわけです。この跡地をどうやって使っていくのかというようなことで、まあ懇談会等もできて今地元名古屋市等も入っていろいろ相談もしておるわけですが、一つには、中央リニアが、今、路線としては名古屋を通って名古屋にも駅ができるということは自明の理ということで認識をしておりますが、その新駅の候補地として、もう今やあれだけのまとまった広い、しかも都心部での唯一の最後の土地はもうあそこしかないんだ、他の交通機関とのアクセスだとか新空港を含めた南部地域でのゲートウエーに位置するだとかいうようなことを考えていきますと、そこに中央リニアの駅をつくったらいいじゃないかという意見が非常に強いわけですが、土地の処分の問題と絡めて、どういうように笹島駅跡地問題について考えておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  298. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 笹島駅の跡地につきましては、名古屋の都市圏に残された貴重な開発空間であり、交通施設を含んだ将来の地域整備とも整合性のとれた開発が必要でございますので、今、事業団が地元名古屋市等と検討しております土地利用に関する計画ができますれば、これを受けて適切な方式で適切な処分をするように清算事業団を指導したいと思います。
  299. 赤松広隆

    ○赤松委員 リニアの駅として考えるというのも一つの選択肢の中に入っていますか。
  300. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 中央新幹線につきましては、いまだその地形調査、経済調査等を行っているところでございますので、まだ名古屋に駅をつくるというようなことは今の段階では私ども検討しておりませんが、笹島駅の利用については、交通施設空間としても必要であればそういう地元の意見も十分酌みたいと思います。
  301. 赤松広隆

    ○赤松委員 それでは、結論は出ておりませんけれども、そういう強い意見もあるということで御理解をいただいておきたいと思います。  最後に、これは大変重要な問題ですから大臣に御答弁いただきたいと思いますが、整備新幹線整備に伴いまして、例の政府・与党間の覚書というのですか、あの中で「並行在来線は、開業時にJR経営から分離することを認可前に確認すること。」となっているということを聞いております。ところが、今現実に在来線、その上を旅客ばかりではなくてJR貨物も通っておるわけでありまして、JR貨物はJR旅客各社からレールを極めて安く借りているということがあるわけですね。これは安く借りているからまたJR貨物の営業が成り立っているという側面もあるわけでありまして、その意味で、在来線をJR各社から分離をしてしまう、経営から分離をするということは、JR貨物にとって大変な問題、死活問題だと私は思いますけれども、国としても物流政策全体の中で貨物輸送のネットワークを確保していくんだという意味で、このJR貨物の問題についてどのように考えられるか、最後にお伺いしたいと思います。
  302. 村岡兼造

    村岡国務大臣 整備新幹線の並行在来線をJRから経営分離することが必要となる場合には、貨物輸送の取り扱いにつきましては、貨物列車を迂回方式とするか、新線区間を運行するか、あるいはまた第三セクター区間を運行するか等の問題についてJR貨物とも十分協議をし、引き続き貨物輸送を確保できるよう運輸省といたしましても適切に対処してまいりたい、こう思っております。
  303. 赤松広隆

    ○赤松委員 村岡大臣から、貨物輸送については旧来どおり確保できるように運輸省として努力していきたいという前向きな御答弁をいただきましたので、以上をもって、五分前でございますが、 質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  304. 亀井善之

    亀井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十五分散会