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1991-03-13 第120回国会 衆議院 安全保障特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月十三日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 瓦   力君 理事 中川 昭一君    理事 増子 輝彦君 理事 三原 朝彦君    理事 宮下 創平君 理事 上田  哲君    理事 元信  堯君       伊藤宗一郎君    柿澤 弘治君       中谷  元君    山崎  拓君       山下 元利君    渡瀬 憲明君       沖田 正人君    加藤 繁秋君       左近 正男君    関  晴正君       冬柴 鐵三君    東中 光雄君       神田  厚君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 池田 行彦君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         防衛庁参事官  内田 勝久君         防衛庁参事官  宝珠山 昇君         防衛庁長官官房         長       日吉  章君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁教育訓練         局長      小池 清彦君         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛庁経理局長 村田 直昭君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁長官 児玉 良雄君         防衛施設庁総務         部長      箭内慶次郎君         防衛施設庁施設         部長      大原 重信君         防衛施設庁建設         部長      黒目 元雄君         外務大臣官房審         議官      川島  裕君         大蔵省主計局次         長       小村  武君         大蔵省理財局次         長       藤原 和人君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    小西 正樹君         外務省北米局安         全保障課長   森  敏光君         外務省中近東ア         フリカ局中近東         第二課長    大木 正充君         外務省経済協力         局政策課長   林   梓君         外務省条約局法         規課長     小松 一郎君         外務省国際連合         局国連政策課長 高須 幸雄君         外務省国際連合         局軍縮課長   神余 隆博君         通商産業省貿易         局輸出課長   鹿島幾三郎君         特別委員会第三         調査室長    下野 一則君     ───────────── 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ────◇─────
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  防衛庁長官から防衛政策基本に関し説明を求めます。池田防衛庁長官
  3. 池田行彦

    池田国務大臣 平素から我が国安全保障に深い関心を持たれ、御指導を賜っております衆議院安全保障特別委員会皆様に、私の所信の一端を申し述べさせていただきます。  今日、世界は、歴史的な変革期を迎えており、東西関係は、欧州中心として本格的な対話協調時代に移行しつつあります。また、このような変革の波は、我が国周辺地域にも及びつつあり、韓ソ国交樹立といったこの地域緊張緩和に向けた注目すべき動きも見られます。  しかしながら、アジア地域情勢は、欧州に比べて複雑であり、また、極東ソ連軍の膨大な軍事力の存在がこの地域軍事情勢を厳しいものにしていることに変わりはありません。さらに、深刻な経済不振が続く中で民族問題が一段と激化しているソ連動向についても、引き続き注目していく必要があります。  また、東西関係の急激な変化は、いわゆる第三世界において、民族、宗教、領土等紛争要因を顕在化させ、武力紛争が生起しやすくなるのではないかとの懸念を生じさせています。  このような中で、昨年八月、イラククウェート侵略、併合するという事態が生じたことは極めて遺憾であります。この明白なる平和の破壊に対し、国際社会は、戦後初めて国連中心に一致結束して事態の解決に努め、先般、イラク侵略の排除とクウェートの解放が達成されたことはまことに喜ばしい限りであります。これを契機として、湾岸地域における真の平和と安定が一日も早く実現されることを切望しております。  最近における国際情勢動向については、今後とも注目する必要がありますが、総じて見れば、防衛計画大綱策定の際に前提とした国際関係安定化流れがより進んだ形であらわれつつあると言うことができます。我が国としては、引き続き日米安全保障体制を堅持するとともに、我が国が保有すべき防衛力水準を定めた防衛計画大綱基本的考え方のもと、効率的で節度ある防衛力整備に努め、我が国の平和と安全を確固たるものとしていかなければならないものと考えております。そして、このような努力は、我が国に対する侵略未然防止に大きな役割を果たすばかりでなく、我が国周辺地域の平和と安定の維持貢献することになると考えております。  政府は、このような考え方に基づき、昨年末、新中期防衛力整備計画を策定したところであります。この新中期防につきましては、さきの本委員会において御報告申し上げたところであります。  また、防衛力整備と並ぶ国の防衛の柱である日米安全保障体制信頼性維持向上のため、我が国は、不断の努力を行っていく必要があると考えております。このため、日米防衛首脳の会談を初めとして日米間で間断のない対話を行うとともに、日米装備技術交流在日米軍駐留経費負担等の各分野において、日米防衛協力関係緊密化に尽力してまいりたいと考えております。  さらに、我が国防衛にとって必要不可欠な自衛隊在日米軍施設を確保するとともに、その安定的使用のため、防衛施設周辺地域との調和を図るべく、防衛施設周辺生活環境整備等の諸施策につきましても、引き続き積極的に推進してまいる所存であります。  以上、防衛政策に関する私の所信を申し上げましたが、私は、国民の理解と支持を得ながら、我が国安全確保のために全力を尽くしてまいりますので、委員長を初め委員各位の一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。     ─────────────
  4. 中山正暉

    中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。
  5. 中谷元

    中谷委員 中谷元でございます。本日は、自由民主党を代表さしていただきまして、湾岸戦争終了後の我が国防衛政策等につきまして御質問をさしていただきます。  昨年の八月二日にイラククウェート侵攻したことに端を発する湾岸戦争は、さまざまな面で我が国の有事における安全保障あり方について多くのことを教えてくれておりますけれども、経済大国として国際的な貢献を求められている日本の処置が、責任ある国家として湾岸戦争でどの程度の評価を今世界から受けているのか、これは諸外国首脳動きを見ればよくわかるわけでございます。それで、この戦争が終了した今、日本人は米ソ冷戦が終了したこれからの日本あり方世界安全保障について考えていかなければなりませんが、我々国会議員一連流れをよく今分析して、新しい対策について講じておかなければなりません。  そこでお伺いしたいわけでございますけれども、まず、現在の中東地域における和平の状況並びに今後イラクフセイン大統領フセイン政権というのがどのようになっていくのか、この見通しについてお伺いをさしていただきます。
  6. 大木正充

    大木説明員 お答えさしていただきます。  二月二十八日に多国籍軍武力行使が停止された後に、三月三日に国連安保理は、イラクに対してそれまで採択された十二の安保理決議すべての受諾を実行すること等を要求する決議六百八十六を採択いたしました。その後、三月三日の多国籍軍イラク軍双方司令官会議の開催、四日の戦争捕虜釈放開始等措置がとられてきておりますが、まだ多国籍軍側イラク軍側との間で正式な停戦が合意されるに至ってはおりません。米国は、一連国連決議が満たされた後に停戦文書署名、この署名の後に多国籍軍は直ちに現在占領中のイラク領土から撤退開始をするという立場を表明いたしております。  他方、イラクにつきましては、今月初めから、バスラ、カルバラ、ナジャフ等イラク南部シーア派地域、スレイマニヤ、アルビル等北部クルド人地域において反政府活動が活発化して政情の不安定化をもたらしております。元来イラクに内在するこれらの宗派的あるいは民族的不安定要因は、現下の情勢下イラク政府の将来についての見通しを極めて困難なものにしております。加えて、中東地域にはパレスチナ問題、レバノン問題等中東情勢影響を及ぼす不安定な要因が存在しており、今後の情勢は極めて流動的と言わざるを得ないと考えております。
  7. 中谷元

    中谷委員 まだまだ戦争影響が多分に残っているという状況でございますけれども、それでは防衛庁の方にお伺いしたいわけでございます。  今回の戦争によって防衛庁日本防衛システムのこれからのあり方という点でいろいろと教訓を得たのじゃないかと思いますけれども、どんな教訓を得たのか、また防衛庁として、このような事態を受けて今後我が国の国防の方針をどのような方向で進められるのか、この点についてお伺いをさせていただきます。
  8. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  まず、防衛庁としてという前に、今回の情勢というものを我々日本の国全体としてやはり十分に考え、将来に向かっていろいろな対応を考えてまいらなくちゃいけないんだ、こう思います。  先ほど、私の所信の中でも申し上げさせていただきましたけれども、世界はいわゆる冷戦構造を超えた対話協調時代に進みつつある。これは大きな流れとしてはそのとおりでございますけれども、しかし、当面の動きといたしましては、やはり地域的な紛争がむしろ惹起する可能性が多くなった、こういうところもあるわけでございます。それが不幸にして今回湾岸であんなことになったわけでございますけれども、こういったことをも踏まえながら、我々日本防衛あり方も考えていかなくちゃいけない、それからまた国際社会の中でのあり方も考えていかなくちゃいけない、こう思うわけでございます。  さて、今具体的に御質問の、今回の湾岸での動き、これを通じて防衛あり方についてどのような教訓を学び取ったかということでございます。  一つは、今回の湾岸での武力衝突が、俗にハイテク戦争、こういった言葉で呼ばれたことでございます。そのように今回は技術の進歩の要素がますます大切になってきた、このことは、専守防衛をその趣旨としております日本防衛においてもやはり技術要素というものを大切にしなくちゃいけない、こういう教訓一つ得られたと思うのでございます。  御承知のとおり我が国におきましては、大綱におきましても、諸外国技術的水準動向に対応し得るように質的な充実、向上を図っていく、こういう方針が掲げられておるわけでございますが、今回の事態を見ましても引き続きそういった質の高い防衛力整備努力していかなくちゃならないんじゃないか、こういうことを感じておる次第でございます。これも具体的に申しますならば、今回も脚光を浴びました例のペトリオットでございますね、これにつきましては既に昭和六十年度から調達を行っておるわけでございますし、また、今後MLRS、いわゆる新多連装ロケットシステムでございますね、それから早期警戒管制機などについても新中期防の中で織り込んでまいりたい、こう考えている次第でございます。  それから、そういった技術面の問題がございますし、さらにやはり指揮命令系統が通信の面も含めていかにスムーズに動くかというようなこと。そうして何よりも兵員の士気でございますね、これが大きな要素になったなということ、これは今回の湾岸状況に限らないと思いますけれども、これも一つ教訓だと存じます。  いずれにいたしましても、今回のいろいろな動きを見まして我が国防衛力整備上参考にしなくちゃいけない点は多々あると思いますけれども、今後とも情報の収集に努め、さらに調査研究を行ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
  9. 中谷元

    中谷委員 ただいま長官の方から教訓についてお話を聞かしていただきました。私として感じた教訓三つ、今挙げさしていただきます。  まず一つは、平時における防衛力というものはやはりきちっと整備しておかないと、クウェートのように侵略を受けてしまうということであります。  第二点は、やはり日本日米安全保障条約という条約を結んでアメリカとの同盟関係を確約しているわけでありますので、友好国やまた国際連合との協調とか協力姿勢、これにはもっと力を入れて正々堂々と取り組んでいかなければならないということ。  それから三番目には、今回政府政治判断をするに際しても、やはり世界各国軍事情報というものをもっとしっかりと入手しておかないと的確にまた迅速に判断ができないわけでありますので、この点の整備をしてもらいたいというふうな、大きな三つの点について指摘をさしていただきます。  最初の、防衛力はきちっと整備してもらいたいということにつきましては、先ほど長官もお述べになられたように、今戦闘電子戦化、ハイテク化されておりまして、その点についての日本防衛について質的な向上を図ってもらいたいということでございます。今回の戦闘の様相を我が国侵攻されたケースに当てはめてみますと、果たして日本は大丈夫かということを考えさせられるわけであります。  具体的に申しますと、今回航空機からのピンポイント攻撃ということによる誘導弾実効性が実証されているわけでありますけれども、このピンポイント攻撃から日本重要施設を守る手段を考えているのか。第二に、ステルス化された航空機ミサイルに対する探知システムはちゃんと整備をされているのか。第三は、弾道ミサイル巡航ミサイルに対する防御システム防衛システムは十分に整備をされているのか。第四は、上陸着陸侵攻に対する防衛システム問題点はどうか。第五に、核や生物化学兵器に対する防護システムシェルター等整備は十分にされているのか、防護マスクが非常時に民間人に渡るほどの準備または余裕があるのか。それから、情報戦でありますから近代化されたC3Ⅰシステム等どこまで今整備をされておられるのか。それから、偵察とか監視とか人工衛星が今回非常に大きな役割を果たしたわけでありますけれども、日本防衛につきましても、これからの時代を考えるとこういったものを大いに利用すべきであると考えます。  考えれば考えるほど日本防衛はまだ整備をしていかなければならない点が多いわけでありますけれども、これらの項目に対する姿勢はいかがであるのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  10. 畠山蕃

    畠山(蕃)政府委員 ただいまいろいろな点の御指摘がございました。  第一点のピンポイント攻撃、空からの攻撃という点でございますけれども、これにつきましては対空防空システムということで、後の三番目か何かに述べられましたミサイル攻撃に対する対処ということも含めてでございますけれども、航空自衛隊で、ナイキあるいはそれを換装しておりますペトリオットというようなことで重要地域に対する防護ということは考えられているわけでございます。それから、当然ながら、それに至るまでに航空機等による侵攻を防ぐためには、まず地上の二十八カ所のレーダーサイトによってそれを見つけ、あるいは北方に配置されることになっておりますE2C、さらに新中期防におきまして予定されておりますAWACSといったもので侵攻機に対する早期警戒というようなシステムを検討しているところでございます。  それから、着上陸侵攻に対する措置ということでございますけれども、これにつきましては、御承知のとおり陸上自衛隊におきまして着上陸侵攻に対する対処ということで現在着々と進めておりますが、特に新中期防におきましては新多連装ロケットシステムというようなことで有効にこれに対処するということでございますし、また、もろもろの従来から整備しております着上陸侵攻の船に対する対艦ミサイルというものも新中期防において本格的に整備を図る、あるいはまた対地支援攻撃機によります対処ということが考えられているわけでございます。  それから、防護マスクの点でございますけれども、これは現在防衛庁でもかなりのものを持っているわけでございますけれども、これを民間にという形には現在十分にはなっていないと承知しております。  それから偵察衛星につきましては、これは御承知のとおり、衛星の問題につきましては民間においてもその利用が一般化されているものについては防衛目的にも使うことができるということになっているわけでございますけれども、偵察衛星については今後の検討課題というふうに思っております。  なお、C3Ⅰについて御質問もございましたが、これについても従来から重点を置きまして着々と進めているところでございまして、特に情報につきまして情報本部というようなものを新中期防の過程においてつくるということで、これについて本格的な体制を整えるというふうに考えているところでございます。
  11. 中谷元

    中谷委員 今回大いに準備をしなければならないものが多々あるということは教訓として得られたんじゃないかと思います。その中で一番顕著だったのがやはり何といってもスカッドミサイルに対するパトリオット効果というか、あれがあるおかげで都市の建物や人命の損失が防げたということで、非常に効果があったわけでありますけれども、現在我が国が保有しておりますパトリオットの規模について、何台あるかということと、それから、現在日本都市スカッドミサイル等が、諸外国からICBM等が撃ち込まれる可能性があるのかどうか、その能力を実際外国は持っているかどうか、このことについて教えていただきたいと思います。
  12. 畠山蕃

    畠山(蕃)政府委員 ペトリオットミサイル装備状況でございますけれども、これは現在この時点においてオンハンドされております、整備されておりますのが、一個群につきましてナイキからペトリオットに換装された分がございます。なお、平成二年度末におきましては二個群目整備されるという形になります。さらに、予算的措置からいいますと、平成三年度予算をもって六個群のすべてについてナイキからペトリオットに換装されるという形に予算的手当てとしてはなるわけでございます。  それから、スカッドミサイルに対する対処能力という点にお触れになりましたが、現在我が国導入ないし導入予定とされておりますペトリオットにつきましては、これはその詳しい具体的な能力について明らかにするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、アメリカにおきましては現在、ミサイル対処能力あるいはECM能力等につきまして改善型のものを導入しているところでございまして、我が国はその改善型ではない、一歩前のところという状況でございます。したがいまして、高入射角で侵入してきますスカッドミサイルというものについて、必ずしも詳しいデータを持っているわけではございませんけれども、なかなか今の段階のペトリオットでは十分な対処能力が必ずしもあるとは言えないのではなかろうかということで、新中期防におきましてこのペトリオットのさらに改善、改革というものを予定させていただいておるところでございます。
  13. 中谷元

    中谷委員 まだ一個群、来年度でもまだ一個群ふえるくらいしかないということで、防空面についての防衛というのがまだ進んでいないようでありますので、大いにこれからも進めていただきたいと思います。  いずれにしましても、これからの我が国防衛力整備を考えてみますと、日本は憲法の制約がありますからその方策が限定されるのはやむを得ないわけでありますけれども、やはりアメリカとか諸外国との安全保障体制強化のためには、日本技術大国という、日本が持っている先端技術を大いに活用して安全保障体制強化貢献するべきだというのが一番の最善の策だと思いますので、今後とも大いにそういった技術面での研究を進められて、我が国の果たせる分野でこの技術の発展に協力すべきだと思います。  さて、このような状況の中で、今回湾岸貢献策の九十億ドルの拠出をめぐって政府はこのたび防衛費の一千億円の削減を決定し、実施されたわけでありますけれども、この一千億円の削減はどういう見地から決定をされたのか、また、今後中期防衛力整備計画等の推進について果たして影響があるかどうか、このことについて御説明をいただきたいと思います。
  14. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  御承知のとおり、平成三年度の防衛関係費につきましては、新中期防のもとで大綱に定める防衛力水準を勘案しながら、そしてまた厳しい財政事情ということも十分念頭に置きまして、いわば必要最小限経費を計上しておったわけでございます。そのことは、経費の中をごらんいただきましても、人件あるいは糧食といった関係、あるいは義務的経費でございます過去の契約に基づく歳出化経費、こういうところを除く一般物件費というところでは、若干の特殊要因を除きますと実質的にはマイナスになっておるというふうな姿であったということでも御理解いただけるわけでございます。そういったぎりぎりの予算計上額から御承知のとおり平成三年度の歳出額で十億円、それから国庫債務負担行為を含めますと千二億円の防衛費削減を余儀なくされたわけでございます。  今回の九十億ドルの処出という問題と日本の国を守る防衛費とは必ずしも直接の牽連関係があるわけではない。そちらの湾岸の方に協力すれば国内の防衛費を削っていいという話にはならないと思うのでございますけれども、それは先生もご承知のとおり、いろいろな議論がございました。やはり、こういった九十億ドルの貢献はどうしても日本としてはやらなければいけないけれども、それをすべて国民皆様方にいわば新しい税の形で御負担いただくのはどうなのか、その前に政府としてさらに一段の節減努力をすべきではないか、こういう議論があったわけでございます。そういった背景にはもちろん国民世論があるわけでございますけれども、具体的には国会でのいろいろな御論議を踏まえまして、先ほど申しましたように数字として、直接関係しなければいけない問題ではございませんけれども、我々といたしましては万やむを得ざる措置として、いわば断腸の思いでその千二億円の国庫債務負担行為を含めての減額をのんだということでございます。  そして、こういったことがこれからの防衛力整備悪影響を及ぼすのじゃないのかという御質問でございますが、私どもも必要最小限のことを計上しておったのでございますから、これはやはりこれからの防衛力整備影響を与えるということは避けられないと思うのでございます。しかしながら、何とかそういった悪影響を少なくできないか、最小限にとどめられないかということでいろいろ工夫をしてまいりましたし、これからもしてまいります。具体的には、これから整備を予定しております装備の中でも本当に基幹になるようなものについては手を触れないで何とかやれないか、それから部隊編成の面でも何とか影響を少なくできないかといろいろ工夫をしておるところでございますし、またこれからもそのようにしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  15. 中谷元

    中谷委員 大いに今後とも防衛力整備のために頑張っていただきたいと存じます。  それから、これから第二の教訓として人的貢献あり方について御質問をさせていただきます。  今回、人的貢献の面で日本は何もしなかったのじゃないかという海外からの声が非常に寄せられておりますけれども、その中でも特に人道的な見地によります避難民の救済、また医療活動、また多国籍軍の後方支援もできないようでは、率直な話、大きな犠牲を払って平和回復に取り組んでおる世界各国から、日本は金だけ出して人は出さないという批判を受けるのは当然のことであります。今後のことにつきましては、この地域におけるPKOの活動、またカンボジア等でこういった状況が想像されるわけでございますが、政党間でこのPKOの参加問題についてこれから話し合っていくわけであります。  法制局に確認をさせていただきますけれども、このPKO活動に自衛隊が参加できるかどうかについて、現在の見解をお述べいただきたいと存じます。
  16. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 委員ただいまお尋ねの問題につきましては、既に昭和五十五年十月二十八日付の政府答弁書におきましてその基本的な考え方はるる述べられているわけでございます。その内容は、いわゆる平和維持活動、PKOのために編成されたいわゆる国連軍についてでございますが、これは「個々の事例によりその目的・任務が異なるので、それへの参加の可否を一律に論ずることはできない」と前置きしまして、一般的に言えば、「当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、」この「目的」じゃなくて「武力行使を伴う」というところを注目いただきたいと思いますが、「武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。これに対し、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴わないものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないわけではないが、現行自衛隊法上は自衛隊にそのような任務を与えていないので、これに参加することは許されないと考えている。」政府答弁書では概略このように述べております。現在もこの考え方をとっているわけでございます。
  17. 中谷元

    中谷委員 現在の解釈から、ここでちょっと現実にPKOと照らし合わせてみたいと思いますけれども、国連における平和維持活動の中で監視団と平和維持軍というのがあるそうでありますけれども、その性格、目的、根拠はどうなっているのか。それから、各国における参加される人員の身分、組織、年齢等はどうなっているのか、行動原則はどうなっているのかという点について、今の解釈と照らして御説明をいただきたいと思います。
  18. 高須幸雄

    ○高須説明員 お答え申し上げます。  まず、国連の平和維持活動と言われますものは、具体的には国連憲章では規定がございませんで、戦後四十五年間の国連の歴史を通じまして、実際の慣行を通じまして発展、確立してきたものということが申し上げられます。そういうことで、平和維持活動には種々の形態がございます。  まず、先生御指摘の平和維持軍でございますが、これは一般的には、各国の部隊等を紛争地域に派遣いたしまして、停戦あるいは兵力引き離し、外国部隊の撤退等を確保したり、あるいは国内治安の回復、維持等の任務に当たるものでございます。停戦監視団と申しますのは、停戦監視、外国部隊の撤退の監視等の任務に当たるものということで、それ以外には最近選挙監視団というものも出てまいりました。一言だけ申し上げさせていただければ、最近はさらにもう少し発展いたしまして、今申し上げた三つの形態を全部含むような総合的な、例えばナミビアの活動とか、非常に総合的な活動が出てきていると申し上げられると思います。  武器の話でございますが、武器の使用につきましては、停戦監視団等については武器を携行いたしません。平和維持軍につきましては、国連説明におきましては、例外的状況下で自衛のためのみに使用が認められる、武器を持たせるということになっております。  各国からの参加状況でございますけれども、現在、当方の数えたところでは一万一千人に上る各国から提供された要員が活躍しております。出身国数は我々の計算では四十三カ国となっておりますけれども、相当多数の国が参加しているということが申せると思います。  具体的な身分ですけれども、平和維持軍それから停戦監視要員につきましては、これまでは各国の国内の軍人が派遣されてきております。一番いい例は北欧待機軍と言われている北欧諸国の例でございますけれども、国内に待機軍組織というものを持っておりまして、組織的に派遣しているということでございます。
  19. 中谷元

    中谷委員 ただいま御説明をいただきましたけれども、私もやはり、PKOへの参加につきましては今後積極的に参加、貢献すべき方向で考えていくと思いますけれども、形だけの参加ではかえって諸外国から不信を招くし、信頼ある組織でやってしかるべきであります。そういう面からいいますと、やはりPKOは軍事知識に裏づけられた、また訓練された人でなくてはならないわけでございまして、これから話し合いが行われるわけでありますけれども、組織をつくる予算的な資金の面からいっても、また現在の自衛隊の士気を低下させないためにも、第二自衛隊のような組織ではなくて、胸を張って出られる日本自衛隊が参加できるようにすべきじゃないかというふうに思います。政府、外務省としても、大いに海外の事情とか常識を国民にPRされまして、世界流れに乗りおくれないような努力をすべきではないかと、お願いをしているわけでございます。それで、特に日本の場合は法的な問題もありますけれども、自衛隊法を理由として憲法の要請たる国際協調主義の実現への対応を阻害しては国益にかなわないわけでございますので、この際、大いに自衛隊法の中にそういった任務規定を盛り込む等の検討も含めましてこの問題に対応していただきたいと思っております。  最後に長官に御質問をさせていただきたいわけであります。  現在日本の置かれている立場は非常に不安定な要素がございまして、今後、対米及び中東関係、またアジアにおける近隣諸国への信頼性等も回復してまいらなければなりませんけれども、現在の日本政府姿勢防衛庁考え方等を大いに諸外国にPRすべき時期に来ているのではないかと思いまして、対米及び対東南アジア等の歴訪等を検討されているのかどうか、私はやるべきであると思いますけれども、このお考えについてお聞かせいただきたいと思います。
  20. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  我が国あり方、とりわけ安全保障についての考え方、それからまた国際社会の中でどのように責務を果たしていくか、こういった点につきまして、世界の各国の十分なる理解をちょうだいしていくということは本当に大切なことだと存じます。そういった意味合いにおきまして、私どもといたしましても、各レベルにおきます各国との情報の交換なり接触、とりわけ今御指摘の米国、これは日米安全保障体制のパートナーでございますのでその関係、そしてまたアジアの近隣諸国との関係は、特に重要視しておるわけでございます。そういった中で、防衛首脳のレベルでの接触というのも大変大切だと思っております。そういった意味で私自身も、国会の方のお許しがちょうだいできるならば、なるべく早い時期に米国なりその他の国々に場合によってはお伺いいたしまして、密接な関係をつくってまいりたい、そして日本の将来に資してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  21. 中谷元

    中谷委員 大いに貢献をしていただきたいと思います。  そして、最後になりますけれども、今回得られた教訓のもう一つとしては、軍事情勢軍事情報が入りにくいという状況でございますので、今後、外務省、防衛庁はこの筋の情報を入手するために、例えば制服の海外における駐在武官の数とか体制、身分等をもうちょっとしっかりするとか、こういった世界に開かれた日本安全保障を考えて整備していただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  22. 中山正暉

    中山委員長 次に、三原朝彦君から質疑の通告があります。これを許します。三原朝彦君。
  23. 三原朝彦

    ○三原委員 中谷委員に引き続いて、私もまずは長官に御質問させていただきたいと思います。  中谷委員も少しそのことに関して話しておられまして、湾岸以後の問題あたりについて聞かれましたが、つまり私は、大きく言えば湾岸戦争が起こって日本が、国民一人一人として、また国家としていろいろなことを体験し、なおかつ対応してきたのですが、そのことに関していろいろ考えがおありになると思いますからお尋ねしたいのですけれども、例えば国内的には、海外派遣ということに関して去年の秋から大いに国連平和協力法で、これは廃案になりましたが、我々ディスカッションしてきましたし、また危機管理、つまり向こうにおられる、現地の人の安全をどうすればより国家として守れるのか、危機管理の問題あたりもクローズアップされました。さらには、私はこれは最も大切なものの一つだと思いますが、国民一人一人の意識ですね。私たちは平和を何だか空気や水のような感じで思っているのじゃないかということに、そこに大いに鉄槌を食らわされたという気もするわけでありまして、特にふるさとあたりへ帰りますと、我々のこの戦後四十六年の今日の繁栄あたりも、何だかのんびりしていても、何もしなくてもなったのじゃないかというような感じがあるようなこと、私は、それに対して強いインパクトを今回の湾岸戦争が与えたのじゃないか、国民一人一人に考えさせる時間を与えたと思うわけであります。  また、対外的に見ましても、我々の一国平和主義の、他の国家を全然納得せしめ得ないもろい論理ですね、特にまたこの三月に入って、アメリカのどこか有名な新聞あたりが世論調査しましたら、日本に対する不信感というのが信用よりも上回ったというような、そういう結果もありまして、日米協調などと我々は口では言いながら、実はアメリカ国民一人一人は、日本というものに対して一番頼りがないのじゃないかというような状況にある。これはまさに国家と国家というよりも、国民一人一人がそういうことになれば大変なことじゃないかと私は思うわけであります。  しかしながら、ともかく我々は自由主義陣営の一員として、四十億ドル出して九十億ドル出してという、そういう貢献といいますか、余り大きな声で言えないですけれども、資金的な貢献だけはしたわけであります。しかし、諸外国から日本のこの貢献に対して、資金的な貢献以外の人的貢献あたりも求める場面もあったのですが、逆に、この前我が党の高官の方が東南アジア、中国あたりを回られたら、それに対する懸念もあったというようなこともありました。中国あたりから大いに懸念する場面もあったというふうに聞きましたけれども、そういうことをもろもろ含めて、長官考え方なり御意見、感想を聞かせていただきたいと思う次第であります。
  24. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  三原委員御指摘のとおり、我々の今日の繁栄あるいは平和というもの、これは何となく、黙っておっても手に入るものだ、当たり前のものだ、こういうふうな受け取り方が従来かなり一般的であったという、それはそのとおりだと思います。しかしながら、本当を申しますと、この平和というものも、日々本当に平和を守るために努力をしなければ維持できないものである、そうしてまた繁栄についても当然の話でございます。今回のいろいろな世界動き、その中でも日本あり方をめぐって国民皆様方に改めてそういった事実が突きつけられ、関心が深まってきたということは、これはある意味では将来に向かって大変いいことではないかな、日本のこれからのあり方を考える契機になったのじゃないかな、こんな感じがするわけでございます。  そうしてまた、一国平和主義という御指摘もございましたけれども、私どもは今日、本当に相互依存関係の強まった世界の中で生きておるわけでございますし、しかもその中でいろいろな意味で大きな役割というか地位を占めてくる日本でございますから、これはいやが応でも世界全体の平和、そうして世界全体の繁栄を考える中でしか我々の存立も繁栄もあり得ないのだ、このことは御指摘のとおりだと思うのでございます。そういったことを基本にして私どもも考えてまいらなくてはいけないと思います。  さて、そういった中で、私どもとしましては、昨年来いろいろな論議をこの国会の場でも進めまして、そういった中から四十億ドル、さらに九十億ドルという資金的な貢献もしたわけでございますし、また人的な面でも、具体化したのは非常に少のうございましたけれども、民間機による避難民の輸送なんということもできたわけでございます。こういった我々の対応が必ずしも国際的に評価されていないところは残念ではございますけれども、我々としてはこれからも、憲法その他いろいろな制約もある、それから国民世論動向というものも十分注視しなければいけませんけれども、そういった制約の中でぎりぎりどこまでできるのか、そういうことを考えながら国際的な役割を果たしていくということが我々自身の存立のためにも不可欠なことではないか、こう考えている次第でございます。  したがいまして、今回の状態というのは必ずしも十分ではなかったかもしれないけれども、将来に向かってこれを生かしていくということが国民全体としても、またとりわけ政治の世界にございます我々お互いの大きな責務ではないか、こう考える次第でございます。
  25. 三原朝彦

    ○三原委員 池田長官から示唆に富んだ御意見を承って、ありがたく感激いたしておりますけれども、私ども地元に帰りまして言うんですね、今日我が国GNP一人当たりが二万一千ドル以上にもなったような時代に、それは享受したい、そのかわりほかのことは何もやりませんよ、そんなことはできませんと。それなら私が小学校へ行っていたときぐらい、昭和三十年代ぐらいのように貧困になろう、貧困になって今の生活から四分の一にも五分の一にもなって、そして世界経済に与える影響もないような小国、人間だけ多いけれども小国だ、そんなことなら日本だってよその国が、もっとしっかりしなさい、何だというようなことを言わないだろう。やはり世界の自由経済の中でこれほど繁栄を享受しておるならということを私たち本当に国民一人一人に訴えなきゃいけない、それが我々国民の代弁者、代表として出ておる人間としての責務でもあると私は思いますから、長官もその上に立ってリードしておられるので、大いにその方面をよろしくお願いしたいと思う次第であります。  ところで、湾岸停戦が成りまして、そしてこれから先、再建、復興になるのですが、日本はこういうときには抜け駆けしないように、じっと我慢していよう、今までは何もなかったんだからというようなことで自重もしておるようですけれども、その中で私が一つだけ、我々日本国民として、胸を張ると言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、他国に向かって言えることは、我々は死の商人ではなかった、マーチャント・オブ・デスではなかったということなんであります。  イラクが使った武器の五割ぐらいはソビエト製なんだそうです。しかしソビエトは、いやまだお金をもらっておりませんがと言っておるなんて話を聞きますが。あとはフランスだとか中国だ。そういう三国が死の商人の役割を演じたわけで、まことにけしからぬと思いますが――アメリカは違うのでありますが。八二年以降のイラン・イラク戦争以来まことにけしからぬ存在の国家群でありますけれども、その中にあって、我が国は武器輸出の三原則がありまして、そのもとでやっておる。そういうことをこれから先、きょうは外務省、通産省の方いらっしゃっておられますので、これをもうちょっと世界の中で影響を持つような行動もすべきじゃないか。国連の軍縮会議などありますが、その中で軍縮とともに兵器の拡散防止あたりも大いにやらなきゃいけない。そのリーダーシップ、日本は、我々は手を汚してないのですから、そしてなおかつ武器の輸出をしないでこれだけの繁栄を行っておるといういい例でもありますから、その面をやらなきゃいけないと思うわけであります。もちろん日米協調下での、民主主義国家である、そしてまた我々の一番信頼するアメリカに対しての協調的なつき合いというのはございますけれども、特に第三世界、つまり開発途上国に対して、国家がまだかちっと固まっておらぬような、民主主義国家でないようなところに武器などを輸出する、それによって死の商人の役割をするようなことはまことに言語道断だと私は思う次第であります。  そのことに関して再度通産省からの御意見も承りたいし、また外務省あたりからは、武器輸出に関してもっとリーダーシップをとって、第三世界に対しては慎むような、そういう方向で考えができないだろうかということをちょっとお尋ねしたいと思います。
  26. 鹿島幾三郎

    ○鹿島説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ございましたように、今回の湾岸戦争を契機といたしまして問題とされております武器の輸出でございますけれども、二つあろうかと思います。一つは、特定国、イラク等に対する大量の通常兵器の輸出の問題、もう一つは、核兵器あるいは化学生物兵器といった非人道的な大量破壊兵器の使用の懸念でございます。  先生も御指摘ございましたように、武器の輸出に関しましては、私どもとしましては平和国家としての理念に立ちまして我が国独自の立場から国際紛争等を助長することを回避するという目的のもとに、従来から武器輸出三原則に従いまして厳格に対処してきております。こうした我が国の政策というものは、国際的な平和と安全の維持に大きく貢献してきているものというふうに思っております。  ただいま申し上げました二つの点でございますが、まず通常兵器の輸出規制を今後どうしていくかという点でございます。これにつきましては、各国が自衛あるいは自国の安全保障のために武器を調達するといった問題、あるいは各地域におきます軍事バランスを確保するため武器を購入するといったいろいろな複雑な要素が絡んでおりまして、多くの国が非常に慎重な対応をとっていることが実情でございます。私どもといたしましては、厳格な武器輸出規制を実施している我が国考え方につきまして諸外国の理解を今後とも求めてまいりたいと思っておりますし、透明性、公開性の増大、あるいは各国による適切な管理の強化、こういったことにつきまして各国の理解を求めてまいりたいと思っている次第でございます。  次に、大量殺りく兵器関係でございますが、今回の湾岸におきます事態を通じまして非常にその重要性が改めて認識されております核兵器あるいは化学生物兵器、ミサイルといった大量殺りく兵器の拡散防止に関しましては、既に国際的な枠組みが存在しておりまして、従来からそれぞれの国際的な合意に基づきまして、例えば原子力関連の貨物でございますとか、あるいは化学兵器の原材料でございますとか、ミサイルの関連機材等につきまして外為法に基づきまして輸出規制を行ってまいっております。今後、これらの分野におきます拡散防止の徹底を図るために、関係国間で規制対象貨物の拡大といったような問題について検討が行われる予定でございますが、かかる規制強化を行うことにつきましては、正当な貿易活動を阻害しないように十分留意しながら、我が国といたしましても国際的な合意の形成に資するように国際的な検討に積極的に貢献してまいりたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  27. 神余隆博

    ○神余説明員 御説明申し上げます。  ただいま通産省の方から説明がありました点、そのとおりでございます。  それに加えまして御説明申し上げますと、通常兵器の移転の問題あるいは通常兵器の、特に開発途上国あるいは第三世界への輸出の問題に関しましては、先般海部総理の施政方針演説や、あるいは外務大臣の外交演説の中でも述べられておりますとおり、核兵器、生物兵器、化学兵器それからミサイルの拡散防止、こういった問題につきましては徹底的に拡散防止を強化するということと、通常兵器の移転につきましても透明性、公開性を増大し、日本がやっておるのと同じ程度になるかどうかは別といたしましても、各国による適切な管理の強化が必要であるということを強く御説明されたというふうに承知しております。  私どもといたしましては、これらの問題に関する国際的な取り組みの強化が必要であるというふうに考えております。この問題につきましては、なかんずく通常兵器の問題につきましては、昨年の国連総会におきまして中山外務大臣が問題の重要性を指摘いたしまして、一九八八年以降国連総会の決議に基づいて設置されております国際兵器の移転の専門家スタディーグループに我が国の方からも専門家を派遣して、既にもう三度ほど検討に参加しておる、こういう状況でございます。  従来からいろいろとつとに努力をしておりますけれども、今後とも、国連動きあるいは日本国連に対する協力といったようなことも勘案しながら、先生の御指摘の趣旨も踏まえながら、日本としてどのようなイニシアチブを今後とっていけるのか、さらに検討してまいるつもりです。
  28. 三原朝彦

    ○三原委員 確かに今課長さんがおっしゃった透明性、公開性というのは、それがやはり武器輸出を勝手気ままにさせないための一つの方法かもわかりません。  それと、武器輸出のことに関して今度はODAと絡めて政府の方から何か話があったことがありましたけれども、例えば日本は隣国の中国とやはり外交的に上手にやっていかなければいけないのですが、中国は武器輸出の中ではかなりの上位にランクされた国家でありますよね。そこのところはお互いに大人にならなければいけないのでしょうが、じゃ武器を出しておるからといってすぐ我々のODAをそれによってとめたりやめたりというわけにも簡単にいかないでしょう。といって一方では、我々のタックスペイヤーのお金でODAをしておって、ある国のいろいろな意味での経済発展、開発に資するようなODAの援助がある、しかし国内で本当に必要とした資金をそこで使わなかったら、よその国からお金が来たからそれをほかに使って武器を買ってしまうという、万々が一ですよ、そういうことがあれば、これこそまことに我々が意図するODAと反することになるわけです。そこのところも、そう簡単に基準を決めたりとか――是々非々、その場その場で適切であるということをやっていかなければいけないということを私どもも重々承知しておるところであります。  実は去年の秋に、世界で最貧国の一つのエチオピアに私は行きまして、エチオピアのメンギスツ大統領に会うチャンスがありまして、生意気ですけれども言ったのですね。あなた、日本国にいろいろな援助を要請すると言われますが、したところで、あなたのところは三十年間も内戦をやっておるからそっちの方に何もかも使われたんじゃたまりません、医療援助も昨年、一昨年あたりからかなりのものを病院に差し上げておるのですが、それも内戦をやった兵士ばかり来てというようなことでは何も前進的、積極的なことになりませんねと言いましたら、彼は、そういうことはわかっておる、わかっておるけれども人道的立場で何とか応援してくれ、それにつけても、我々はもう三十年も内戦をやっておるからそれが日常のことで、そう目くじらを立てて言うようなことではないじゃないかということを言っておったので、我々も戦争というのも人間がなれるとそうなってしまうのかなと思ったのです。  しかしながら、実際エチオピアあたりを見ますと本当に塗炭の苦しみを国民はしておる。我々は何とかしてODAの援助をしてやらなければいかぬなと本当に心の底から思うのですけれども、そこのところでちょっと、このクローズアップされておるODAとODAを受ける援助国の武器輸出の関係について、何か示唆がありましたら意見を承りたいと思う次第であります。
  29. 林梓

    ○林説明員 お答えいたします。  御指摘のように、今回の事変にもかんがみまして、軍事費、武器移転といったようなものが国際社会の平和と安定の絡みで非常に重要な問題になってきておりまして、我が国としてもいろいろ基本姿勢を明らかにしていくことが必要だということでございます。  今御指摘ありましたように、それぞれの国が自分の国を防衛する権利というのはもちろんあるわけでございます。それで、その国の軍事費というのは、その国が置かれておる隣国との関係とか、いろいろございます。それから歴史的な関係もございます。しかしながら一般的に、確かに過大な、膨大な軍事費を使って軍事力を高め、あるいは武器を使っているというようなことであれば、そういうお金を本来の、非常に貧しいわけですから経済開発とか福祉、医療に向けてもらいたいという我々の希望はまたはっきりしております。実際これを、我が国情報のあれもあるわけでございますが、相手国が一体どの程度の軍事費を持っているのか、あるいは武器輸出をどのくらいしているのかを我々が立証するすべというものは実はないわけで、どこかの国のそういう資料といいますか、情報に依存せざるを得ないという制約が実はあるわけでございますけれども、しかし、そうは申しましても非常に重要な問題でございますので、我が国の援助を実施していきます場合に、今先生御指摘のようなものをいかに反映させていくかということについて今検討を進めております。
  30. 三原朝彦

    ○三原委員 やはり今外務省、通産省さんが言われたように透明度、公開度といいますか、それができるように少しでもすることが、私は、貧困でありながら武器を買ってみたりとか、貧困でありながら自分のところで武器を売ってみたりするようなことを抑えるもとにもなるのかなと思う次第ですが、そう簡単になかなかいかないことは重々承知しております。国家的に民主的でない国家あたりですと、やはり今度のイラクはいい例でありまして、武器を持てば隣国をみずからの意思で抑え込んでしまおうというようなことになることは火を見るよりも明らかでありますから、我々は大いにそれを監視しなければいけないと思うところであります。  ところで、今度の質問はもう何度も質問されておることですけれども、例の国連の敵国条項ですね。五十三条と百七条ですね。これですが、まあいろいろな見解があるそうでありまして、もうそんな寝た子を起こすようなことをしなくても、実際問題として国連に加盟すればそういうことは事実として適用されないのですよという意見もあるらしいのですが、それでもやはり、あれはいつですか、ソビエトが敵国条項を持ち出して日本の四島と絡めて何か言ったことがありましたよね。そういうことから考えると、やはり国連憲章を改革するために我々は怠りなくやらなければいけないと私は思うのです。もちろん外交上いろいろ駆け引きがあるでしょうから、だからこそ今日までこれは存続してきたのでしょうけれども、ドイツあたりも、まあドイツに対して五十三条を使ってソビエトは二国条約をずっとつくっていったような経緯がありますよね。しかし、東ヨーロッパは今日のようにああいう状況になってしまったでしょう。そうするともう二国間で防衛協定を結ぶような状況もなくなってくるのではないか。そうなったときには、ドイツやイタリーとかルーマニアですか、数カ国ありましたが、ああいうところと話合いでもして、やはり何だか私は嫌な条項ですから、あっても現実問題としては何もそうなっていないと言われますけれども、他の旧敵国に入るような国家といろいろ連携でもとって、何か変えるような方針とかなんとかないのですか。それともドイツとかイタリーとかはこのことに関して何とも、現実は問題ないからいいやということになっているのでしょうか。ちょっとお尋ねしたいと思います。
  31. 高須幸雄

    ○高須説明員 お答え申し上げます。  旧敵国条項、先生おっしゃっているとおり国連憲章に二つあるわけです。これはあくまで私どもの考え方としまして、国連憲章といいますのは第二次世界大戦が完全に終わっていないときに交渉されていた、起草されていたものでございますので、あくまで第二次世界大戦後の経過的な規定として挿入されたという事実があるわけでございます。そういう中で、我が国国連憲章に基づく平和愛好国ということを認められて国連に入った。入った以上は、国連加盟国その他の国と我が国との関係というのは主権平等の原則にあるはずだ、区別するべきではない、そういうことだと思います。ですから、日本政府の立場としては、我が国に対してこの条項は適用されないという立場を堅持しております。  とはいいながら、現実の問題として紙の上に残っているということは非常に望ましくない、国民感情の観点からも問題があると強く感じております。累次、我が国国連総会等の場で、可及的速やかに削除すべしという立場を明らかにしてきております。さらに、昨年秋の国連総会におきまして中山大臣からも非常に力強く、こういう条項は新しい国際秩序を模索するときに極めて不適当で意味のないものであるということで、可及的速やかに削除すべきである、各国の理解を求めるということで訴えたところでございます。おっしゃっておられますようにドイツ、イタリーというものも基本的にはこういうことで対象国となっているわけですけれども、これら諸国は、政府としては公的な立場は明らかにはしておりません。しかし、二国間の協議の場では、時代おくれで削除が望ましいという考え方を私ども持っているということは承知しております。  今申し上げたような立場で国際的な立場を訴えてはおりますけれども、基本的に難しい点は国連憲章改正を伴うということでございます。ということで、非常に難しい手続ではありますけれども、これは良心に訴えて各国、世界の支持を集めていくということによって実現できると私確信しておりまして、今後ともあらゆる努力をして加盟国の理解と支持を得て、可及的速やかな実現を目指したいと考えております。
  32. 三原朝彦

    ○三原委員 またお金のことを言いますと日本は嫌われるかもしれませんけれども、御承知のように国連アメリカに次いで二番目の拠出国なんですね。それでありながらまだ旧敵国条項に該当するのは、実質的に何も問題がないと言いながらあるということはやはり私は日本国民の一人として理解に苦しむところでありますから、これから我々も大いにこのことは念頭に置いて条項の廃止に向けて頑張らなければいけないし、また外務省も事あるごとに努力していただきたい。そして旧敵国として考えられている国々に対しても大いに働きかけていただいて、廃止に向けて努力をしていただきたいし、我々もしなければいけないと思う次第でございます。  これで質問を終わります。
  33. 中山正暉

    中山委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十七分休憩      ────◇─────     午後一時三分開議
  34. 中山正暉

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田哲君。
  35. 上田哲

    ○上田(哲)委員 私どもはPKOについては全く見解を異にしますが、防衛庁長官は、これに自衛隊が入らなければ意味がないという趣旨の御発言があるようであります。その真意を伺いたいと思います。
  36. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  いわゆるPKOにつきまして我が国としてどのように対応していくか、この問題につきましては政府部内でもいろいろ考えておりますし、また各党間でもいろいろ御相談をいただくことになるんじゃないか、このように考えております。そういった過程でございますので、私ども今防衛庁としてこの問題につきましてこのような考えを持っておる、こういうことを申し上げるのはいかがと、こう考える次第でございますが、しかし、せっかくの上田先生の御質問でございますので、防衛庁ということではなくて、今も、長官、お前はということでございましたので、私個人としてこれまでどういうことを申し上げたかという点について申し上げたいと思います。  昨日の記者会見で質問がございましたので、私の申し上げましたところは、いずれにしてもこの問題は、日本としてどのように国際社会貢献していくか、これを考えなくちゃいけない。そういたしますと、現実に国際連合におきましてPKOというものは一体どういうものになっているか、それをよく考えて、役に立つものでなくちゃいけないのじゃないのかな、こういうことを申し上げたわけでございます。しかしながら、当然我が国には日本国憲法というものがございます。そうしてまた、国民世論動向というものも十分考えなくちゃいかぬわけでございます。そういった両者の兼ね合いの中で道を見出していくことが肝要ではないか、こう言ったわけでございまして、今先生御指摘のように、具体的に自衛隊についてどうこうということは、この関係で申し上げてないわけでございます。  ただ、一つ私が申し上げましたのは、このPKOの論議をめぐっていろいろ自衛隊がどうだこうだというお話がある、このことがいろいろ国民皆様方に対して、自衛隊あり方とか、そういったものについていろんな国民皆様方のお考えに影響を与える可能性がある、そこで変に曲がった、ゆがんだ影響を与えることになっては困るんだ、こういうことを申し上げた次第でございます。さらに申し上げますならば、そのことが、国民皆様方一般だけではなくて、自衛官の諸君にもいろんな思いを持たせるんじゃないか。  そういった意味で、私といたしましては、あくまで、これに参加すべきであるとかすべきでないとか、そういう話ではなくて、この論議の中で自衛隊というものが、表現はあるいは不適当かもしれませんけれども、ちょっと妙な取り上げ方をされまして、それが影響を与えては困る、こういう趣旨のことを発言したような次第でございます。
  37. 上田哲

    ○上田(哲)委員 今の御発言の中で、役に立つものでなければならない、自衛隊が入ってなければ役に立たないという御見解ですか。
  38. 池田行彦

    池田国務大臣 私が申し上げましたのは、やはりPKOと申しますのは国連のもとで活動している、そういった組織でございますから、当然それは国際的にいろいろ考えられて仕組みができ上がっているわけでございます。そこへ我が国として参加していくという場合には、やはり国連の方でこれまで行ってきた、あるいはこれからの問題についても考えておられる、それとうまく適合するものでなくてはうまくワークしないおそれがある、その辺はよく考えなくちゃいけない。一般論として申し上げたわけでございまして、そのために自衛隊がどうこうということには言及いたしておりません。これはやはり政府全体あるいは政治全体で考えていくべき問題ではないか、こう思っております。
  39. 上田哲

    ○上田(哲)委員 防衛庁長官としては、自衛隊が入らなくてもいいという御見解を明確にされますか。
  40. 池田行彦

    池田国務大臣 その点はこれからのいろいろな協議あるいは御相談を通じて、先ほど申しました政府全体あるいは政治の世界全体で決まっていくことではないか、このように考えている次第でございます。
  41. 上田哲

    ○上田(哲)委員 では、否定をされないということになりますね。  予備自衛官と自衛隊員との違いはあるとお考えですか、そうでないですか。
  42. 池田行彦

    池田国務大臣 予備自衛官の地位につきましては、先生御高承のとおり、自衛隊法上で規定されておるところでございます。したがいまして、現役の自衛官と予備自衛官とは、日本の国防の任とのかかわりでその役割が規定されているという側面を見れば共通したところがございますけれども、しかし、予備自衛官の方は平素はそれぞれ日常の御自分のお仕事、会社勤めなり自営業なりやっておられまして、そして有事には防衛招集だとか、あるいは平時でも訓練招集なんかに応じて、その限られた範囲内でその任務に携わるということでございますから、その面に着目すれば、これはやはり違いがある、このように考えております。
  43. 上田哲

    ○上田(哲)委員 この根本のところで私たちとは見解が違うわけでありますけれども、防衛庁長官の発言が乱反射されるので、公的な場所でしっかり確認しておきたかったわけであります。私は、自衛隊の参加がなければならないということはやはり防衛庁長官が否定しないという立場で、今後検討しなければならぬというふうに受けとめておるものでございます。  さて、きょう私は九十億ドルの問題についてひとつ詳しく御質問したいと思っておりまして、私どもは九十億ドルの支出そのものが反対であります。このことを明確にしておきますが、既に決定をいたしましたので、この問題を詳しくひとつ承っておきたいと思います。  九十億ドルは邦貨で幾らでありますか。
  44. 小村武

    ○小村政府委員 九十億ドルにつきましては、補正予算で計上いたしましたのは一ドル百三十円で換算しておりまして、一兆一千七百億円でございます。
  45. 上田哲

    ○上田(哲)委員 昨日、政府湾岸平和基金に対する追加的な拠出に関する日本政府湾岸アラブ諸国協力理事会との間の交換公文を決定をされました。  ただいまこれを手にしたところでありますが、これに基づいて少し具体的に伺っておきますが、今お話しの百三十円、九〇年度支出官レートは百三十三円でありますが、この九十億ドルに関して百三十円とされた根拠はいかがなものですか。
  46. 小村武

    ○小村政府委員 百三十円と見積もりましたのは、二月一日から十五日までの平均レートをとって補正予算に計上いたしました。
  47. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そこで、アメリカ等から流れてくる話によりますと、この九十億ドルが目下のところ円安で目減りをしている、ブレイディ財務長官は、補てんしてもらわなければ困るじゃないかということを発言されたとも聞いておりますけれども、あくまでも日本政府の支払いは邦貨一兆一千七百億円であるということを確認できますね。
  48. 小村武

    ○小村政府委員 御指摘のように円ベースで約束をしておりますので、日本国が湾岸平和基金に振り込みます金額は一兆一千七百億円でございます。
  49. 上田哲

    ○上田(哲)委員 念のために伺いますが、今レートは幾らですか。
  50. 小村武

    ○小村政府委員 きょうは少し強くなったと聞いておりますが、正確なところただいま確認をしてまいったわけでございませんので、また調べて御報告いたします。
  51. 上田哲

    ○上田(哲)委員 百三十六円十銭ぐらいの前後だろうと思いますから、まあ百三十六円として計算してください。何億ドルになりますか。
  52. 小村武

    ○小村政府委員 九十億ドルでございますので、一円違いますと九十億円の相違が出てまいります。約八十五億九千六百万ドルになります。
  53. 上田哲

    ○上田(哲)委員 大分差が出ているわけですね。アメリカ側からこれについて何か言ってくることがありますか。言ってきたとしたらどうしますか。
  54. 小村武

    ○小村政府委員 拠出額は円ベースでお約束をしておりますので、為替変動に応じてこの拠出額を増減するということは考えておりません。
  55. 上田哲

    ○上田(哲)委員 きのう閣議で決まった交換公文にはそのことが何も書いてないのですよ。邦貨でやるということは書いてある。しかし、目減りしたときはどうするなどということは書いてないので、またしてもぽんとどこかで話し合いが行われて追加支出なんということになっては困るのです。保証がどこにありますか。
  56. 小村武

    ○小村政府委員 九十億ドル相当額の一兆一千七百億円の拠出につきましては、我が国が自主的に決定をし、円ベースをもって拠出をするということをお約束をしておりますので、これを変更する考えはないということでございます。
  57. 上田哲

    ○上田(哲)委員 それがくるくるいつも変わるものですからね。現にこの交換公文にはそうした数値の違いが出た場合にはどうするなんということは書いてないのです。書いてないことは心配だから、ひとつ国務大臣として今のお話をオーソライズしていただいて、これはこれ以上追加支出なんということは円レートの変動によっては出てこないのであるということをしっかりしてください。
  58. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員からも御指摘ございましたし、政府委員の方からも御答弁申し上げましたように、これは円ベースで邦貨で約束したものであり、昨日閣議決定いたしましたその交換公文もそのようになっております。それからさらにつけ加えますと、国会で御承認ちょうだいいたしました予算も、一兆一千七百億円という円で権限をちょうだいしておるわけでございます。そういったことでございますので、これは、いわゆる九十億ドルの約束というのはこの一兆一千七百億円、その円貨での拠出ということになる、国務大臣としてもそのように考えております。
  59. 上田哲

    ○上田(哲)委員 はい、結構であります。  そこで伺うのですが、この一兆一千七百億円の財源措置が、いろいろな節減の努力とかさまざまな問題がございまして、予算操作が行われました。結局、これから一兆一千七百億円というものが円レートの違いによってはふえることはもうないんだということがはっきりしたのでありますが、防衛庁を含めて政府部内のさまざまな予算削減なり予算繰り入れなりの努力というものがあった末に、結果的に増税というところにいく、その総額は幾らになりますか。
  60. 小村武

    ○小村政府委員 御指摘のように、一兆一千七百億円のうち、まず既定経費削減それから税外収入の確保を図りまして、さらには三年度予算等におきまして防衛費等の御協力をいただいたわけでございます。その残った部分、なお不足する部分について六千六百八十億円、これが臨時の特別税として今回新たに御承認を願ったものでございます。
  61. 上田哲

    ○上田(哲)委員 ちょっとよくわからないのですがね。我々が提案され、国会を通過せしめた予算総額、さまざまな数字があるのですね。その中で、最終的に臨時特例国債を発行する等々の途中経過を踏まえた上で、最終的に国民の増税負担となっていく金額の総額はこの中で幾らかということをもう一遍伺います。
  62. 小村武

    ○小村政府委員 ただいま御説明いたしました内訳をもう少し詳しく申し上げますと、まず二年度補正予算で一兆一千七百億円の歳出を行います。この際、二年度におきまして既定経費の節減等を三百六十六億行い、さらに税外収入の確保、これを千六百四十五億増収を図りました。残りました九千六百八十九億円が二年度において歳入不足になるものでございます。  この部分につきまして、まず臨時の特別公債金を発行いたします。この償還財源として三年度におきまして二千十七億円の歳出削減を行い、さらに四年度以降九百九十二億円の歳出削減を行います。合計三千九億円の歳出削減を行い、なお残った部分については六千六百八十億円ございます。この部分について臨時の特別税をお願いしたということでございます。
  63. 上田哲

    ○上田(哲)委員 先の分まで今お話しになりましたけれども、つまり縮めて言うと、今の時点では九千六百八十八億六千六百五十三万円か、つまり臨時特別公債の発行額とイコールだということに理解していいわけですか。
  64. 小村武

    ○小村政府委員 そのように御理解いただいて結構でございます。  臨時特別公債は九千六百八十九億円の発行でございます。そのうち歳出で賄う部分が三千九億でございます。したがいまして、残りました六千六百八十億円が税で負担をお願いした分でございます。
  65. 上田哲

    ○上田(哲)委員 ちょっと待ってください。丸めて言うと九千六百八十九億ですが、細かく言うと九千六百八十八億六千六百云々ということになるんじゃないですか。ちょっとここのところは税金にかかわるから正確にお伺いしたい。丸めないでもらいたい。
  66. 小村武

    ○小村政府委員 臨時公債金は私は億円単位で申し上げましたが、九千六百八十八億六千六百五十三万円でございます。
  67. 上田哲

    ○上田(哲)委員 ここでようやく一致しました。九千六百八十八億六千六百五十三万円はびた一文ふえることはありませんね。
  68. 小村武

    ○小村政府委員 変更はございません。
  69. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そこで伺うのですが、この財源措置が、特に安保特ですから防衛費関係してお伺いしたいのでありますが、防衛費は一千二億円を繰り込むのである、そして九一年度においては契約分の頭金の十億円を入れるのである、こういうことになりますね。そして来年度以降の繰り入れについては、細かい数字が既に年割りになって予算委員会でも報告をされております。繰り返すことはありませんが、そういう形は、もう確認する必要がないことですが、それでいいですね。
  70. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  御指摘のとおりでございますが、正確に申しますと、実は平成二年度分で節減したものがございます。その中で防衛費関係が約四十八億円含まれておったと思います。それ以外に平成三年度以降のものとして約千二億円ございます。そのうち平成三年度分で現実の歳出額から減額されるものが十億円でございまして、あとの約九百九十二億円は、平成四年度以降の歳出が見込まれておったものが減額される、平成三年度予算との絡みでいいますと、国庫債務負担行為、それの限度額が減額される、こういうことでございます。
  71. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そのとおりです。  そこで伺うのですが、この臨時特別公債を賄う財源措置、これは臨時特別公債ですから全額市中消化ということになりますね。これはどんな手続でするのですか。
  72. 藤原和人

    ○藤原(和)政府委員 湾岸の支援のためのTB、いわゆるつなぎのための短期の国債、これを発行するわけでございまして、この金額は収入金ベースで今おっしゃったように九千六百八十九億円でございますが、これは私ども、いわゆるTBというのがございます。短期国債でございます。これによりまして市中から調達をする、こういうことで考えております。
  73. 上田哲

    ○上田(哲)委員 それは私が言ったことなんです。これは全額市中消化でなければいけないわけです。それをどういう段取りで進めますかということを聞いているのです。今三月十三日だからね
  74. 藤原和人

    ○藤原(和)政府委員 補正予算が通りまして、また湾岸平和財源の方も通ったわけでございますので、私どもといたしましてはできるだけ早くこの発行をしたいということでございますが、市場の状況なども十分慎重に見ながら決めていくということでございます。  具体的に申しますと、今週の後半にでもつなぎTBの入札を実施いたしたい、こういうことで考えております。ただ、幾らやるかということでございますと、たまたま年度末でもございますので、金融市場の関係も十分配慮しなければいけないということでございまして、今のところ、所要額の半分程度を今週の後半ぐらいに発行するかということでございます。その場合には、残った分は法律で出納整理期間内の発行もお認めいただいておりますので、四月の上旬ぐらいに発行する、こういうことになろうかと思います。
  75. 上田哲

    ○上田(哲)委員 非常にはっきりしてきました。三月十三日ですから、幾ら急いでやったって一兆円近いものがすぱっと消化できないだろう。大変すっきりしてきたのは、半分ぐらいは今月中にやって、あと四月にかかるだろう。これは臨時措置法によりまして、その四十八条で六月三十日までにやることができて、そして、それは今年度中の処理にするんだということがちゃんと先回りして書いてありまして、また五十二条の二項でも「同年三月三十一日に発行されたものとみなす。」六月まで行ったって全部今年度中にやったことにするんだよとなっていますから、手続上はちゃんと穴があかないようになっている。今のお話のように、半分三月中にやって四月になってから半分やることができるようになっている。そこは、手続はいい。手続はいいんだが、もう少し具体的に財源措置のプロセスとして伺うことになると、例えばどのくらい市中消化ができるのかという見通し、全部できなければどうなるのか。これは当たり前の筋がありますから当たり前のことを答えてください。
  76. 藤原和人

    ○藤原(和)政府委員 お答え申し上げます。  御承知のとおり短期国債というのは現在既に発行されているわけでございます、本件とは別に。それで、基本的には市場からのニーズというのはかなり高いわけでございます。そういうことを踏まえまして、私どもは従来から短期国債、TBの発行残高を着実にふやしてまいっております。  具体的に申しますと、六十三年度の末では約二兆三千五百億円でございましたが、それが元年度末では約五兆三千億になりまして、今度の二年度の末の見込みでは約七兆四千億ということで相当ふやしているわけでございます。それから具体的に、さらに昨年の七月以降は入札を月二回やるというような方向で、二回発行というようなことで進めておりまして、各自残高は、三カ月物と六カ月物でございますから御承知のとおり借りかえてまいるわけでございますから、毎月相当量のTBを発行しているという状況にございます。  一方、短期の金融市場というのは御承知のように七十兆とか八十兆とか言われるような規模でございまして、私どもはこのTB、短期国債というのはこういう短期金融市場の規模の中で順調に消化をされてきているというふうに考えているわけでございます。したがいまして、今回の九千六百八十九億円でございますけれども、もちろん発行の時期等につきましては慎重に市場を見るということが必要でございますけれども、基本的にはこの消化は可能だ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  77. 上田哲

    ○上田(哲)委員 それはそうだとしましょう。問題は、この交換公文でも明らかになっていますように、日米交渉でも明らかになっているのは、この九十億ドルというのは三月中に渡すわけですね。三月中に現金を渡すわけですね。そこは間違いないですね。
  78. 小村武

    ○小村政府委員 御指摘のとおりでございます。
  79. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そうしますと九十億ドル、一兆一千七百億円は向こうへ渡すのです。これを三月中に渡すのです。ところがこの財源措置は、それは市中消化は可能であろうということはあるけれども、明らかにほぼ半分は三月中に出せるが、あと半分は四月に行くのです。金がないのですよ。国庫金がないから、だからそれを何らかの形で消化の方法を考えているわけで、そうすると、将来の消化は可能でありましょうというのはそれはそれでいいとして、そこの議論は今する必要はないとしておきますが、少なくともその間というのは金がないわけですよ。これはどうするのですか。
  80. 藤原和人

    ○藤原(和)政府委員 ただいま御指摘のような問題はあるわけでございます。そこでいわゆる国庫の資金繰りと申しますのは、本件だけに限るわけではございませんけれども、日々いろいろな支出もございますし歳入もあるわけでございます。こういう日々の資金繰りというものは、国庫の資金繰り上、場合によっては大蔵省証券の発行等によりまして遺漏ないようにやっているということでございますが、大蔵省証券につきましては、御承知のように年度内の歳入で償還されるという意味で、通常の国債とは性格を異にしているわけでございます。
  81. 上田哲

    ○上田(哲)委員 つまりこの資金繰りは大蔵省証券の発行、つまりは日銀の借り入れという形になっていく部分があるわけですね。あらざるを得ないわけですね。
  82. 小村武

    ○小村政府委員 御指摘のとおり、TBが発行されるまでの間のタイムラグを埋めるために、いわゆるFB、財政法第七条で規定された政府短期証券を発行するということによって資金繰りをいたすということでございます。
  83. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そうしますと、これは金利がつくのですよ。今半分は年度内にやるんだということであって、手続を飛ばして結論だけ先へ行きますと、そこで半分が発行される。大体どうですか、今のところ七分ぐらい、細かくはわかりませんが、そんな感じのものでしょう。蔵券ということになると五・五%ですか。いずれにしてもその辺のところの金利が出てくる、こういうことになりますね。
  84. 小村武

    ○小村政府委員 税収確保あるいは三年度歳出削減、その間のタイムラグを埋めるために短期証券を発行し、それに伴う金利負担というのは当然発生いたします。
  85. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そこなんですよ、問題は。そこで私はさっき確認いたしました一千二億円、おっしゃるように四十八億、油を節約したり、先にありましたね。そして十億円は新年度予算当初にのりますから、残りは九百九十二億円ということになる。九百九十二億円というのはこれから三年に分けて、来年度は二百四十億円ですね、等々のことが細かく報告をされておりますから言うまでもないのだけれども、年割りで二百四十億円、五百九十二億円、百六十億円というふうに払っていくんだよということになります。これはそのとおりだと受け取りましょう。少なくとも三年かからないと九百九十二億円は入らないのですよ。そうすると、先ほど来の九千六百八十八億六千六百五十三万円の必要とする財源に対して、防衛費に関しては、金利を生んでいく金の中でその部分だけはおくれて来るということになる。この間のタイムラグで出てくる金が、今の七%と五・五%の半分ぐらいで、これを半々に分けて仮に六%ぐらいにとってみて百億を超えますよ。防衛予算からこれだけの金が入ってくるんだということはあるんだが、実際問題としてどんな資金繰りをしてもそこに百億円というほどの金が出てくるのです。これはどうしますか。
  86. 小村武

    ○小村政府委員 今回の全体のスキームを考える際にいたしました作業の一つとして、結果的には歳出削減あるいは増税で国民の皆さんに負担をしていただくわけでございますが、発行された短期証券につきましては、その元本分をこうした歳出削減あるいは増税でお願いをする。資金繰りに要するいわばコストについて、これまで増税でお願いするというのはいかがかということで、これにつきましては平成四年度以降発生する発行差減額繰り入れ等において一般会計から予算措置をするというふうに考えております。
  87. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そこまで言う前に、ざっとした計算で百億円ぐらいの穴があくだろう、余計必要になるだろうということを答えてください。
  88. 藤原和人

    ○藤原(和)政府委員 湾岸に関するつなぎのTBの金利負担の額がどのぐらいになるか、こういうことでございますが、これはいわゆる市中公募でございますから、実際に発行をしないと、どういう条件で発行できるかということがわかりませんので正確には申し上げられないわけでございます。  ただ、例えば最近の直近の入札のレートをちょっと申し上げますと、三月五日に入札をいたしました六カ月物のTBは七・四四二%でございました。ですから、日々金利は変わりますが、そういうようなことでございます。  そこで、おおよその見積もりとして申しますと、臨時特別公債九千六百八十九億円を例えば六カ月の期間で発行いたしますと、平成三年度中に一回は利子相当額の支払いが必要になるということでございます。したがいまして大体四百億円程度になろうかと思うわけでございます。それからさらにこの臨時特別公債は一般会計からの繰り入れと臨時税収で償還されるわけでございますから、最終的には平成六年度までかかるわけでございます。したがってその間は借りかえが一部行われるということでありますから、その間ある程度の利子相当額が必要になるということになるわけでございます。このような利子相当額につきましては、先ほど主計局からお答えしましたように一般会計からの国債費の繰り入れ等によりまして対応する、こういうように考えておるわけでございます。
  89. 上田哲

    ○上田(哲)委員 今のは九千六百八十八億についての問題ですね。私は特に防衛費の九百九十二億円についての数字を求めているわけですが、大体当たってくると思います。  もう一遍確認したいのですが、今の七・四とかあるいは大蔵省証券を使う場合には五・五だとか、こういう数字をならして言って、余り高く見ないで中間から少し低目みたいに、例えば私は六%ぐらいで見ても、この三年間にわたって九百九十二億円が入ってくる、そのタイムラグの中で百億円ぐらいはどうしても必要になってくるのではないかということを言っているのですが、大体当たっていれば当たっているで結構です。
  90. 小村武

    ○小村政府委員 御指摘の利率等の前提を置きまして計算をいたしましてまた後ほど御報告申し上げますが、最初の年は一年で六十億ぐらいとなると思います。
  91. 上田哲

    ○上田(哲)委員 大体当たっているわけですよ。私は細かい数字は後で出してもらいたいと思うのだが、問題を言いたいのは、さっき非常に細かい円の単位まで言ってお伺いしたのは、九十億ドルの支出は決まってしまったのだからその上で私は話をしているのだが、九十億ドルの支出について、最終的には国民の負担になってくる金、特に税負担になってくる金が一体幾らかということを確認したのです。そうしたら、九千六百八十八億六千六百五十三万円だということになった。これは変えないなと言ったら、これ以上変えないということになっておる。ところが、ざっと私の計算では百億を超えるような金が金利負担として出てくるのです。これがなくてはこの九十億ドルということが減っちゃうわけですよ、こっち自身が。アメリカの問題じゃないのですよ。だからそこのところが、その分だけがふえてくるじゃないか。これは九千六百八十八億六千六百五十三万円じゃ足りないということなんです、九十億ドルを向こうへ渡すという操作のために。そのことだけははっきりしてきたということを、それだけはっきりしてください。
  92. 小村武

    ○小村政府委員 先ほど来申し上げております基本的スキームは、臨時特別公債金の発行を前提としたものでございます。この臨時公債金の利子相当分につきましては別途財源措置が必要であるという意味においては、委員御指摘のとおりでございます。
  93. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そうなんですよ。だからこれを増税でやるのか、あるいは例えば一般会計からの繰り入れということで消化しちゃうのかという話は別なんです。だから私はここではっきりしてもらいたいのは、第一に、明らかにこの九十億ドル支出ということのためにこれから先必要なのは九千六百八十八億円ではないのだ、それプラス、私が簡単に試算しても、防衛費が入ってくるのがおくれる分というのか、三年分の分割払いということになることによって生ずるのが百億やそこらは十分あるのだ、こういうことになってくるのです。その数値を、それは財政的にいろいろ消化するのは結構なんだが、まさか増税ということの中に振り込むことはないでしょうね。これに関連する経費になるのだから、この関連する経費は明らかに私がざっと言ったって百億円以上の金はあるのだよということをはっきりしておきたいのです。そこをちゃんと説明してくれなければ困るよということです。
  94. 小村武

    ○小村政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、臨時公債金は九千六百八十八億六千六百五十三万円でございます。そのうち増税でお願いするのが六千六百八十億円でございます。この六千六百八十億円は元本の償還に充てられるということでありまして、利子相当分について税負担で今回新たな増税を予定をしていないということでございます。
  95. 上田哲

    ○上田(哲)委員 金がそれだけかかるということがはっきりして、これは増税の方に向けないということになりますから、ここのところは大事なことですからひとつ確認をしておきます。じゃ、その金はおかしいじゃないか、ほかから繰り入れればいいのだということにはすぐならないという話はまた、財政論は別として議論をすることにします。  そこで次へ行くのですが、防衛庁長官を前にしてなんだけれども、実際には一千二億、戦車やあるいは対潜ヘリをなくして、契約をやめてそっちへ繰り入れるのだと言っても、二十二兆七千五百億円というのは結局減らさないだろうとか、毎年毎年の防衛費の中で結局はかさ上げしちゃって見えないようにしちゃうだろうという疑念は消えないのですよ。いや、そうでないとおっしゃるのだったら、それは予算書の上できちっとしておかなければならないということになりますね。そのことをしっかりしていただければ、まあいいということにはならないけれども、議論としては成り立つわけです。しかし、そこがはっきりしないと、金は出すよ、戦車は幾つつくらないよという話はあっても、実際にはうやむやになるのではないかな、世界何番目の軍事大国になっちゃうのじゃないかなという話の中に消えちゃうという不安があるわけですね。ですからそこはどこでしっかりしていただくかといえば、予算書の上でしっかりしていただかなければならない。予算書の上でしっかりしてないのですよ。説明書はいろいろあるのです。  例えば、ここに大蔵の主計から出た「予算修正の説明」というのがありますよ。こういうのを見ると、「臨時特別公債に係る国債償還財源の国債整理基金特別会計へ操入二千十七億円を修正増加するとともに、この財源に充てるため、防衛関係費十億円、公務員宿舎施設費七億円及び予備費二千億円を修正減少することとする。」と書いてある。書いてあるのはそのとおり読めますよ。読めますが、予算書の上でははっきりしないのですよ。恐らくはこっちを削ってこっちがふえているからいいじゃないかとおっしゃるが、例えば今の百億円だって、どこかから来るかわからぬけれども、ちゃんと補てんしますよということになっておるのだから、国債整理基金から来るかどうか知りませんけれども、大きな予算規模の中で十億やそこらどこから持ってきたってわからないのですよと納税者は疑う権利がある。そうですね、納税者は疑う権利がある。説明書にいっぱい書いてあって、こっちはこれだけ減っているじゃないか、こっちはこれだけふえているから間違いなくこっちへ来たのだよと言うけれども、それはところてんでほかのところを回ってきたかもしれない、ほかへ行っちゃっているかもしれない。ですから私は、ここのところははっきりしなければならないと思うのです。予算書にはっきり、これは今の一千二億円のうちの頭金十億円、この十億円がしっかりここに入っているというのが予算書の上でどこに出ていますか。
  96. 小村武

    ○小村政府委員 まず十億円につきましては、修正済み予算書を提出しております。その予算書の甲号というのは国会の議決を経る項で形成しておりますが、この部分につきまして所定の修正をさしていただいております。甲号の中の項。組織は「防衛本庁」、項は「武器車両等購入費」「航空機購入費」「艦船建造費」それから「施設整備等附帯事務費」等の修正を行いまして、合計所定の金額の修正を行っているということでございます。  四年度から六年度までの国庫債務負担行為につきましては、これは国会にお諮りする際には丁号という形でお諮りをしております。
  97. 上田哲

    ○上田(哲)委員 私の持っておるのと同じですから、これ書いてないですよ。これじゃ説明にならないということを言っているのですよ。いいですか。これを削りましたよということはまさに書いてあるのです。こっちへ入れましたよということはどこに書いてあるのですか。私は同じものを持っておるから返しておきます。
  98. 小村武

    ○小村政府委員 先ほど御説明いたしましたように、国会に改めて提出いたしましたのは修正済みのものでございます。正式に議決をいただくときには、「平成三年度一般会計予算修正書」というのがございます。これをもちまして各経費について、修正部分について項と金額を明らかにしてお諮りをしておるということでございます。
  99. 上田哲

    ○上田(哲)委員 それじゃだめなんですよ。修正したのだから前の紙はないのだというような説明では、これは説明にならない。それは置きましょう。  新しく修正した紙はどう書いてあるかといえば、まさに臨時特別公債償還財源一般会計より受け入れ、繰り入れの方もそうですが、二千十七億四百八十六万五千円、こうなってますよ。これを透かして見れば、二千億円は予備費からであります、七億円は公務員の住宅の問題であります、十億円は防衛費の戦車、対潜ヘリの契約解除の頭金であります、こういうふうだと説明をするのです。説明はそうだというふうに書いてあるのです。書いてあるが、予算書の上できちっと立ててないですよ。そういうふうに読めと書いてあるのだけれども、そうなっているかどうかということは予算書の上で確認してないというのですよ。いいですか、さっきの百億円だって、書いてなくたってどこかで繰り入れることができるのです。国債整理基金から持ってくることがあるかもしれない、一般会計から持ってくることがあるかもしれない。予算書というのはそういうものじゃない。はっきりそのことを書いておいてくれなければ、この金がこっちへ来ましたということは、出入りがはっきりしないじゃありませんか。
  100. 小村武

    ○小村政府委員 平成三年度の予算修正につきましては、防衛関係費、公務員宿舎費の減額、それから予備費でございますが、これにつきましては、予算書はまず組織別になっておりますので、防衛関係費につきましては防衛本庁、それから公務員宿舎は大蔵省所管、予備費も大蔵省所管ということで所管が異なっておりますので、ページ数において一覧性を欠いているというところは御指摘のとおりでございますが、国会で議決をいただく項の単位におきまして明確に予算修正書をもちまして御審議をお願いしたということでございます。
  101. 上田哲

    ○上田(哲)委員 これはゆゆしき発言ですよ。国会という以上に予算、税制等々を審議する場があるのですか。国会には全部出してないがということになるのですか。私たちが正式にいただいた書類によって判断するという以外に別な書類があるのだということになりますか。国会には全部出してないということを言うのですか。
  102. 小村武

    ○小村政府委員 ちょっと語弊がありましたが、説明書、いわゆる便宜的な説明書につきましては私ども幾通りか予定をしておりますが、国会で御審議願うのは予算書という形で、財政法で項というところが議決項目になっているという意味で申し上げたものでございます。
  103. 上田哲

    ○上田(哲)委員 だからおかしいじゃないですか。国会は出された正式な書面によって、議案書によって、予算書によって判断をするのでしょう。そこで判断できなければ間違っているとか足りないかということになるんじゃないですか。そんなばかな言い方はないじゃないですか。そのほかにあるというのならほかのものを出しなさい。あなた方から出ているのはこの説明書というのがあるのですよ。説明書というのは予算書じゃないでしょう。そんなばかなことがありますか。国会というのは税金を審議するところですよ。それにあなた、出ている書類が十分じゃなくて、あとは説明だと言う。説明だって十分じゃないから言っているのですよ。そんなことは説明になりますか。あるというのなら全部出しなさい。国会に出したのは十分な書類がなかったというのなら、予算審議は初めからやり直しだ、これは。
  104. 小村武

    ○小村政府委員 私の説明の仕方が非常にまずかったものですから誤解を生じたかもしれませんが、予算書において御審議を願うということで、予算書において先ほど申し上げました計数は各所管別に提出をいたしておりまして、ページ数が異なるところでございますが、必ずその議決をいただく部分につきましては予算書においてすべて表示をされているということでございます。
  105. 上田哲

    ○上田(哲)委員 じゃ、我々は予算書に書いてあることで判断すればいいわけですね。予算書に書いてあることは理解するが、書いてないことは理解しなくていいわけですね、念のため。
  106. 池田行彦

    池田国務大臣 私からお答えするのが適当かどうかと存じますけれども、政府委員説明がちょっと技術的に過ぎるので、私は素人の立場からお答えさせていただきますけれども、国会で議決をちょうだいするのは予算書でございます。そこにきちんと金額が書いてあるわけでございますけれども、その御審議をちょうだいするときに、その参考に資するために予算説明等のいろいろな資料を御提出しているところでございます。  そうしてまた予算書で減るか減らないかというお尋ねでございますけれども、防衛庁予算に即して申しますと、平成三年度では当初国会に御提出いたしました段階ではたしか四兆三千八百七十億円の予算歳出をお願いしておったわけでございますけれども、今回それを修正させていただきまして四兆三千八百六十億円という限度額になりました。したがいまして、私どもはそれ以上の支払いはできません、平成三年度には。確実に消えるわけでございます。そうしてそれがどこで減るのかといいますと、各項がございまして、航空機等の購入費が減っている、あるいは艦船等の購入費が減っている、そういうふうにそれぞれ確実に抑えられてまいります。そうしてまた国庫債務負担行為の方につきましても、丁号でその国庫債務負担のできる限度額が九百九十二億円減っておりますので、これも当初私どもが予定しておりました額の契約はできないわけでございまして、確実にそれだけ減るわけでございますので、その点、御理解をいただきたいと思います。
  107. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そういうことを伺っているのじゃないのです。予算書に書いてないことは国会では理解しないのですよ。ここをはっきりしておかなければいけないのです。いいですか。ありますよ、予算書全部。私のところは出してもらったものは全部ここにあります。その上で書いてないんですよ。説明は、こっちを減らしてこっちへ持ってきたんだぞと書いてあるが、予算書の中に書いてないのです。  なぜ書いてないか。大蔵大臣の説明と違うから言っているのですよ。二月二十二日の予算委員会で大蔵大臣はこう言っているじゃないですか。「具体的には、予算書におきまして、」――その前から言いましょう。「つなぎの臨時特別公債の償還に当たりましては、三年度には防衛関係費、予備費及び公務員宿舎施設費の節減相当額二千十七億円、また四年度以降には防衛関係費の支出予定額に係る節減相当額九百九十二億円を国債費に計上し、国債整理基金特別会計に繰り入れること」にいたします。そこで「具体的には、予算書におきまして、」、いいですか、「予算書におきまして、三年度は予算修正により国債費の増額を行うとともに、その分につき国債費の内訳として」、いいですか、「新規に立目」、目を立てる、「新規に立目及び事項立てを行い、明確化を図る」と書いてあるじゃないですか。どこに目が立っていますか。目が立ってないということは、予算書に立ってないんですよ。これはおかしいじゃないですか。そんなごまかしは通用しませんよ。説明書を幾ら持ってきたって、そんなことは、予算書に出てないものはだめだ。
  108. 小村武

    ○小村政府委員 大臣が御答弁を申し上げたのは、平成三年度予算におきましてまず国債費の増額を行う、その分につき国債費の内訳として新規に立目、これは国債整理基金の――失礼いたしました。立目の問題でございますので、まず大蔵省、予算参考書の中の「臨時特別公債償還財源国債整理基金特別会計へ繰入」という目を立目をしたという趣旨のものとして御説明を申し上げたということでございます。
  109. 上田哲

    ○上田(哲)委員 それはだめだ、そういうことは。はっきりしているじゃありませんか。はっきりしているじゃありませんか。これは長い議論の経過があったでしょう。防衛庁長官、御存じのとおり、さっき私が申し上げたように、防衛費から持っていくということが九十億ドル賛否の問題になって大きなポイントになりましたから、そこでいろいろな御意見もあったろうけれども、そこのところを明確化することが予算委員会では大きな議論のポイントだったわけですよ。そして実際には防衛費を削るのだ削るのだと言うけれども、これからまだやるかやらないかわからないような契約部分をやらないということで後年度負担、国庫債務負担行為を持ってくるなんということはごまかしじゃないかという意見があって、いやいやそうではない、完全にそれは持っていくのだ。総理大臣まで引っ張り出されて、これは完全に次期防の総額すら変更する大きなものだ。あなたは、自動車、ジープの後ろから自転車が走ってくるとまで言われたんですな。(池田国務大臣「タンクの後ろからジープですよ」と呼ぶ)タンクの後ろからジープか、そこまで非常に身につまされるような説明をされたわけですよ。  その中で確定して、それを受けて大蔵大臣がはっきり、立目をすると言っているのですよ。立目されてないじゃないですか。これは予算書の欠落ですよ。あるいは食言ですよ。おかしいじゃないですか。その頭金の十億すらこうやって立目すると言っているのが立目されてないんだから、二千十七億円の中に入っているはずだなんという話でどうして納得できますか。説明書には多分これが入っているだろうなんということは幾ら書いてあったって、説明書は予算書ではありません。国会に対する正規の提案ではありません。そんなことを、いや実はこれは別なことを言ったんだなんということは、ここまで来ればこの話のポイントがずれてしまいます。これはだめですよ。
  110. 小村武

    ○小村政府委員 当日の議事録も私は読みました。議事録におきまして「三年度は予算修正により国債費の増額を行うとともに、」――予算修正には国債費の増額を行っております。これは既存の項で行っているわけでございます。「増額を行うとともに、その分につき国債費の内訳として新規に立目及び事項立て」をしているということでございますので、修正済みの予算書をごらんになっていただきますと、四百二十二ページの大蔵省所管のところに「事項」として「臨時特別公債償還財源の国債整理基金特別会計へ繰入れに必要な経費」二千十七億四百八十六万五千円を計上し、さらに四百二十六ページのところに目が書いてありますが、新規立目をいたしまして「臨時特別公債償還財源国債整理基金特別会計へ繰入」二千十七億四百八十六万五千円を計上した、この事実を申し上げているわけでございます。
  111. 上田哲

    ○上田(哲)委員 何度同じことをごまかすのですか。あなたが読んでおりますとおっしゃる二月二十二日の議事録の前の部分にはちゃんと「甲号歳入歳出予算、歳出におきまして、組織、防衛本庁の項、武器車両等購入費等の金額が減額されます。」云々が出ておるじゃないですか。これを受けて立目をすると言っておるのです。あなたが立目だと抗弁をされるのは二千十七億円のことじゃないですか。二千十七億をぽんと持っていって、その中に十億円の、ここに書いてあるような武器車両等購入費云々ということが出ているわけではないじゃないですか。これは説明の中にちょっと書いてあるだけですよ。これが予算書ですか。立目してないじゃないですか。  こういうやり方で、ぼこんとあんこをもちの中に包んでしまうようなやり方をしていたのでは、防衛庁長官を前にして悪いけれども、二十二兆七千五百億円というのは最終的にはうやむやになってしまうのではないか。ここまでいくはずだったのがこれだけ減ったからなのだという言い方でごまかされてしまうことになってはいけないではないか。だから、ここは完全に立目をすると言っているのだが、立目されていないという事実が明らかになっているのですよ。私は、これに対してこういういいかげんな言い方をされるのは国会審議に対する侮辱だと思いますよ。  予算審議が、こうした欠落した予算書をもってこのまま九十億ドルが通過していく。九十億ドルの支出は決まったが、さっきも指摘いたしましたように、九十億ドルは九千八百億円何がしの金で確定しているのだと。確定してない分、税金にならない、増税にはならないということだけは私はここで言質をとったけれども、その分だけは明らかに、低目に見積もっても百億円余計かかるということも明らかになっている。国の財政はたくさんあるから向こうから持ってくればどうにかなるだろうという予算操作のテクニックなど聞いているのではない。しょせんは国民負担になることをこんな形で説明できないということは、予算審議が全うされていないことになる。いわんや大蔵大臣がこれだけ国会議論の焦点となった防衛費を削って、具体的にこっちへ持っていく、入れますと言って立目しているというのを立目しておらぬ。説明書ごときでごまかすというのはとんでもないことですよ。  私は、この委員会でこれ以上議論することの意味を持ちませんから予算委員会に差し戻して議論してもらう以外にありませんけれども、このようないいかげんな答弁を、適当なところで官僚答弁でごまかそうというのはもってのほか。国政に対する、予算に対する、税金特に増税に対する審議に対してはもっと信義を持って正確に、誠実に資料を整備し答弁すべきだということを強く申し上げて、この審議は打ちかけにして、他の関連の中に持っていくことにします。  委員長、これで終わります。
  112. 中山正暉

    中山委員長 次に、加藤繁秋君から質疑の通告を受けておりますので、これを許します。加藤繁秋君。
  113. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 先ほど上田先生が余り官僚的な答弁でだまさないようにと言ったのですが、私新米ですので余りだまさないように、私誠実な人間ですから、どうぞよろしくお願いいたします。  きょうは、事前協議の問題について一点お伺いをさせていただきたいと思うのです。  皆さん方御承知のとおり、残念な戦争がやっと終わったのですけれども、戦争をするというときには、もちろん兵隊だけ行っても役に立たないわけで、弾薬とか医療、食糧、兵器、こうしたものが総合的になければ戦争ができないことは明白なのです。そういう中で、在日米軍から中東に向けて明らかに兵器の持ち出し、そして医療、食糧その他が運ばれているのじゃないか、そういうふうに私思うのですが、事実確認をよろしくお願いしたいと思うのです。  実は一月二十一日、二十二日の早朝に、呉の秋月という極東最大の弾薬集積基地から弾薬を満載した大型トレーラー、一台十五トンですけれども、これが七台佐世保港に着いて中東に向かったということ、これが一つです。  もう一つは、米軍の相模補給廠というところに野戦病院システムがあるわけです。これは今回の戦争中にある自衛官に見せたらしいのですけれども、その人の話によりますと大学病院並みの施設があったというのですが、これを中東に持っていっているというのが二つ目の問題です。  それからもう一つは、八月十九日から二十一日、佐世保基地から戦車揚陸艦サンバーナディノ、ドック型輸送揚陸艦デビュークの二隻、一月上旬に救難艦ビューフォート、貨物揚陸艦セントルイス、この四隻が出ている。これは佐世保基地にある全体の五隻のうち四隻が中東へ向かっているということ。これが三点目です。  四点目は、横田基地から第三七四戦術空輸航空団のC130輸送機、二十二機あるそうですが、その中の十数機が向かったということです。そして沖縄基地、E3A早期警戒管制機一つ、KC135空中給油機、これらが嘉手納基地から出発をしているということ。そして、これは在沖米軍調整官のスタックポール少将が言ったことなのですが、沖縄から第一次約二千人、第二次四千人、全体で八千人行って、そのうち七千七百人は海兵隊である、こういうことが発表されておるわけです。こういう人が中東に向かっている。  そしてもう一点、岩国から第一海兵航空団、AV8Bハリアー攻撃機三十一機、A6Eイントルーダー攻撃機十九機、これはフィリピン経由で中東に向かっている。  全体ではないかもしれませんが、私の知る限りにおきまして在日米軍が中東に向かっているということの事実確認について、まず最初にお伺いします。
  114. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま委員からいろいろ御指摘がございましたが、私も、在日米軍の一部の部隊あるいは艦艇等が移動した、こういったことは、一部については米軍が発表したものもございますし、またいろいろなルートを通じて承知しております。しかしながら、その詳細については一つ一つ承知しておりませんし、またこれは日米安保条約上も米側から我が国の方に通報しなくてはならない事柄ではない、このように承知しております。
  115. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 いろいろなルートで承知している、どういうルートか教えていただきたいと思います。
  116. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど委員からも御指摘ございましたが、一部につきましては米軍の方で発表したものもございます、また各種の報道もなされております。御指摘のありました秋月の弾薬庫というのは、たまたま私の選挙区でもございます。そういったこともございますし、また政府部内でもいろいろな、何といいましょうか情報の交換ということがあるわけでございますから、そういうもので承知しておるということでございます。
  117. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 それでは、先ほど私が申し上げたもののうちの一部は中東に向かっているという事実は認めるわけですね。
  118. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  先ほども御答弁申し上げましたように、在日米軍の一部の部隊等が湾岸に向かって移動をしたということは、米軍の発表にも一部あるわけでございますし、またいろいろなルートで承知しておる、こういうことでございます。
  119. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 私けさ外務省に聞いたら、在日の米軍が中東に向かった、どれだけの部隊がいつ動いたんですか教えてください、こういうふうに言ったら、何やらよくわからない回答があったのですけれども、その中で、米軍から移動の連絡があった、こういうふうに私聞かされたのです。そういう移動する場合に、米軍から移動という連絡は入るのですか、入らないのですか。
  120. 森敏光

    ○森説明員 お答えいたします。  ただいま大臣の方から御答弁ございましたように、私ども、今般の中東情勢に関しまして、米軍の艦船あるいは部隊の我が国から湾岸地域への移動ということにつきまして、日常の米側との外交上のやりとりを通じまして、一般的な形で海兵隊の一部等が米軍の運用上の都合によりまして湾岸地域に移動したということは承知しております。しかしながら、艦船やあるいは部隊の一々の動きのような米軍の運用の詳細につきましては、米側より連絡を受けるというようなことはございません。私どもその詳細については承知しておりません。
  121. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 それじゃ、日本政府というのは在日米軍が幾ら動いてもアメリカから言われなければ全然わからない、こういう状態になっているということですか。
  122. 森敏光

    ○森説明員 ただいま御説明申し上げましたとおり、私どもといたしましても日常の米側との外交上のやりとりを通じまして一般的な形でその情報等を入手しております。ただ、先ほど申し上げましたとおり、艦船や部隊の一々の動きのようなそういう米軍の運用の詳細については、米側より連絡を受けるというようなことはございません。
  123. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 先ほどと同じような答弁はもういいかげんにしてほしいのです。  それじゃお聞きしますが、移動という連絡があったということですが、具体的に言いますと、どの部隊が移動しますというふうに連絡があったのか。移動しますという具体的な部隊の名前と人数と連絡があったことを教えてください。
  124. 森敏光

    ○森説明員 繰り返しになって恐縮でございますが、日常の米側との外交上のやりとりを通じまして、一般的な形で先ほど申しあげました沖縄の海兵隊の一部、さらには空軍の一部、横須賀に乗組員家族を居住させております艦船の一部等が米軍の運用の都合により湾岸地域に移動したということは承知しております。他方、先ほど申し上げましたようにその運用の詳細については連絡を受けておりません。御指摘の人数等の詳細については承知しておりません。
  125. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 それじゃ、わからないそうですから次にいきますが、アメリカの兵隊が湾岸に四十一万人ぐらい一月十五日段階で集結をしている。これは恐らくいろいろなルートで知っていると思うのですが、それだけ米軍が中東に集結しているときに、政府としてその中に在日米軍が参加をするという疑問を持ったか持たなかったか、この点についてお伺いします。
  126. 森敏光

    ○森説明員 先ほど申し上げましたとおり、私どもといたしましては今般の中東情勢に関しまして米軍が湾岸地域に移動をしたというふうに考えております。特に在日米軍の一部が湾岸地域に移動したということで受けとめております。
  127. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 全然質問に答えていない。移動したんじゃなくて、米軍が中東に集結している段階の中で、在日米軍が行くかもしれないという疑問を持ったかどうか、この点についてお伺いしているんですよ。ちゃんと答えてください。持たなかったら持たないとはっきり言ってください。
  128. 森敏光

    ○森説明員 安保条約上、先ほど申し上げました移動につきまして、我が国に対して米側が協議しなければならないというような立場ではございません。私どもといたしましては、そのような移動が行われたとしても何ら問題があるとは考えておりません。
  129. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 一部移動の中で在日米軍が中東に向かった、こういうことは聞いたということなんですが、じゃその移動によって中東に行った在日米軍が具体的に戦争をしているということについて承知しているかどうか、これについてお伺いします。
  130. 森敏光

    ○森説明員 先ほど申し上げました米軍の一部が湾岸地域に移動したということについては承知しておりますが、その後の状況、その米軍の運用の詳細等につきましては、私ども承知しておりません。
  131. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 それじゃ具体的に、ミッドウェーというのが湾岸危機以来中東に入った四隻目の空母ですけれども、一月十七日に開戦が行われたときに、レンジャーのA6イントルーダーと一緒になって三隻のイラク海軍軍艦を沈没させた、これはイラク海軍の一五%に当たるものだというように言われているのですが、このような事実を政府は知っているかどうか、お伺いします。
  132. 森敏光

    ○森説明員 先ほど申し上げましたとおり、私どもといたしましては湾岸地域に展開されております米軍の具体的な行動の詳細については承知する立場にはございません。
  133. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 おかしいじゃないですか。具体的に在日米軍が中東で、しかもイラクの軍艦を沈めているという事実があるにもかかわらず、それに全然関知しない。本来ならばそれに対して、アメリカ大使館に対して在日米軍が行っているけれども一体どういうようになっているのかということを日本政府としては聞かなければいけないんじゃないですか。そういう聞くような積極的な姿勢が必要じゃないかというように思うのですが、その点いかがですか。
  134. 森敏光

    ○森説明員 先ほど御答弁いたしましたように、日本政府といたしましては、米軍の艦船あるいは部隊の一々の動き、そのような米軍の運用の詳細につきましては米側より連絡を受けるということはございませんし、当方として米軍が具体的にいかなる行動を湾岸地域で行っているかということにつきまして承知する立場にございません。
  135. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 そうしますと、アメリカ軍が移動だというふうに言えば日本としては何もできないということですか。この事前協議というものをつくった段階において政府が答弁をしているわけなんですけれども、この事前協議によりまして政府日本の意思に反する米軍の行動を制約できる、こういうふうに述べているわけなんですけれども、そうするとそういうことも全くできない、こういうことをおっしゃっているのですか。
  136. 森敏光

    ○森説明員 安保条約第六条の実施に関する交換公文、いわゆる事前協議の問題でございますが、事前協議は三つの主題から成っております。配置における重要な変更、装備における重要な変更並びに日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用。  先生御指摘の点は、このうちの日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用ということであるといたしますと、これにつきましては従来より、その戦闘作戦行動とは直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものでありまして、したがって、米軍が我が国施設、区域から発進する際の任務、態様がこのような行動のための施設、区域の使用に該当する場合には、米国は我が国と事前協議を行う義務を有す、このようになっております。
  137. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 具体的にミッドウェーは海戦をやっているじゃないですか。こういう事実は、これはもう皆さん知っていると思うのです。したがって、具体的に直接行ったかどうかは別にしまして、何か訓練で途中に寄ったというふうに言うのですけれども、こうやってぐるっと回っていけば、もうそれじゃ何をやってもいい、こういうことになるでしょう。そうしますと、事前協議なんかはつくっているけれども、政府はそういう言葉だけで、どうぞ米軍は何でもやってください、こういうことを許しているということですか。
  138. 森敏光

    ○森説明員 先ほど御説明いたしました直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものであり、したがって、米軍が我が国施設、区域から発進する際の任務、態様がかかる行動のための施設、区域の使用に該当する場合には米国は我が国と事前協議を行う義務を有するということで、我が国施設、区域を発進基地として使用するような戦闘作戦行動の典型的なものとして考えられますのは、航空部隊による爆撃、空挺部隊の戦場への降下、地上部隊の上陸作戦等が考えられるというふうにこれまでも御説明してきております。  今回の先生御指摘のミッドウェーの件につきましては、これは私どもとしては、先ほどから御説明しておりますように、その地域への移動であるというふうに考えております。
  139. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 移動したら攻撃するということらしいのですが、そういうわけのわからないこと、事前協議はなかなか難しい状況になっているということだけ理解ができたわけです。  そうすると、今度は日米安保協議委員会というのがあるわけなんですが、この日米安保協議委員会というのは事前協議の問題を取り上げるところなんですけれども、この中に、在日米軍の大きな移動、極東地域における作戦行動云々とあるわけなんです。この大きな移動というのはどの程度の部隊を指すのか、どの程度のものを指すのかをお答えを願いたいと思います。
  140. 森敏光

    ○森説明員 この岸・ハーター交換公文と言われますこの事前協議のもとでの「配置における重要な変更」につきましては、藤山・マッカーサー口頭了解というものがございまして、「陸上部隊の場合は一個師団程度、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度の配置」とされております。
  141. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 それでは、先ほど申し上げましたように、在日米軍は大体五万人ぐらいいるそうですが、そのうちの一万五千人が中東に向かっているということはこれに該当すると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  142. 森敏光

    ○森説明員 今回の在沖縄海兵隊あるいは空軍の一部の湾岸地域への移動のように、米軍部隊が我が国から他の地域に移動するということは、安保条約第六条の実施に関する交換公文に言うところの「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更」には当たらないというふうに考えております。
  143. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 それじゃ、今度は角度を変えてお伺いしますが、一月の二十日にシュワルツコフ米中央軍司令官が発表したわけですが、「イラクの複数の原子炉に決定的な損傷を与え、数年間は使用不能にできた、と確信している」と。これがもし事実ならば放射能の汚染のおそれがあり、最悪の場合には六十六万キュリーが外部に漏れる可能性もある、こういうふうに言われて、ある民間調査では、もう六十万キュリーが漏れたかもしれない、こういう疑問が大いにあるというふうに言っているのですが、政府はこのことについて事実をつかんでいるかどうかお伺いをしたいと思います。
  144. 神余隆博

    ○神余説明員 お答え申し上げます。  多国籍軍によるイラクの原子力施設攻撃に関しましては、現在までのアメリカ側の説明、これは先生先ほど御説明のありました一月の二十日以降を指すわけでございますが、これを総合いたしますれば、多国籍軍イラクの核関連施設をも攻撃目標として、空爆によって核兵器生産能力をほぼ一〇〇%破壊したというふうに言っておるということでございます。しかしながら、その攻撃の具体的な目標あるいは具体的な日時あるいは対象施設その他のことにつきましては、これ以上の詳細な説明は行われておりません。  他方、また、放射能の汚染につきましては、アメリカ側の説明によりますと、本件攻撃による放射能汚染は特に生じていないということでございまして、また他方、我々も種々調査をしておるわけでございますけれども、国際原子力機関、例えばウィーンにございますIAEA、国際原子力機関などによりますれば、現在までのところ、アメリカそして攻撃を受けたと言われておりますイラクからの通報もございません。そういうことでございますし、加えまして、イラン初めイラクの周辺の諸国からも汚染があったという通報が入っておらないということでございまして、ちなみに申し上げますと、原子力事故が起こった場合には、原子力事故の早期通報に関する条約というのがございまして、これはイラン等周辺諸国が入っておりますけれども、そこからも何らの通報が行われておらないという状況でございます。  いずれにしましても、そういう状況でございますので、私どもいろいろ調査をしておりますけれども、今回のイラクの原子力施設に対する攻撃に関しましては、このような具体的な事実関係がまだ依然として不明であるということでございますので、これ以上立ち入ったコメントは現時点では控えさせていただきたいと思います。
  145. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 そうすると政府は、攻撃したことは事実かもしれないけれども、放射能が漏れているかどうかについてはわからない、こういうことですか。
  146. 神余隆博

    ○神余説明員 確かにおっしゃいましたように攻撃したことについては事実でございますし、アメリカ軍もあるいは多国籍軍もそのように発表しておるわけでございますけれども、具体的に放射能汚染があったかどうかにつきましては、私どもとしては確認する手段を持ちません関係上、IAEAあるいはその他の関係方面から何らの通報もない、当のイラクからもないということでございますので、これ以上の確認する手段は今のところ持ち合わせておらないということでございます。     〔委員長退席、瓦委員長代理着席〕
  147. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 わかりました。  そうしますと、ブッシュ大統領が開戦直後の演説で攻撃対象の筆頭に核施設を挙げた、これは攻撃直後の演説でということなんですが、こういうことに対して日本政府は、米軍が攻撃直後に海部首相みずからがアメリカ軍の行動は全面的に支援をする、こういうふうにおっしゃったんですが、この核施設攻撃も支持するということに含まれるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  148. 神余隆博

    ○神余説明員 先生がおっしゃいましたブッシュ大統領のテレビ演説、これはアメリカの東部時間の十六日二十一時の演説をお指しになっておられるものと思います。私どもそのような演説があったという事実については存じておりますし、内容は、我々はサダム・フセインの核兵器能力を撃滅させる決意であるということをブッシュ大統領が言っておるという報道については知っております。  私どもといたしましては、これは総理も国会答弁の中で何度も述べておられるわけでございますけれども、日本の核に対する立場というものは何度も累次国連で表明しておるところでございますし、そのような立場についてはアメリカのみならず諸外国が聴取しておるということでございます。他方、今回の安保理決議六百七十八のもとで、クウェートに協力しております国連加盟国は、累次の安保理決議がございますけれども、これの関連の諸決議を堅持して、その上でこの地域クウェートを含みます湾岸地域における国際の平和と安全を回復するためにあらゆる必要な手段をとる権限を与えられておったわけでございます。したがいまして、多国籍軍による武力行使は、突き詰めて申しますと、このようなイラクの原子力施設に対する攻撃を含めて安保理決議六百七十八に基づいて行われた行動であるというふうに理解をしております。     〔瓦委員長代理退席、委員長着席〕
  149. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 それじゃ、国連は核施設攻撃も認めている、したがって日本政府もそれを、過去の国連決議を認めているのだから核施設攻撃はやむを得ない、こういう立場をとっていたということですね。大臣、どうですか、その点については。
  150. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま外務省の方からも御答弁申し上げましたけれども、国連安保理決議六百七十八号、これに基づく多国籍軍の行動に対しまして、我が国政府といたしましてはそれを支持し、そうして必要な今回の九十億ドル等の資金面の援助といいましょうか、支援もしたところでございます。
  151. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 私、今までずっといろいろな事実関係を聞いてきたのですけれども、これは全部事実関係聞いてみますと、まず政府は事前協議を積極的にやろうという姿勢がないということ、もう一つは、米軍が移動と言う、そして運用上の都合だというふうに言えば、どこに行こうと何もできないということ、そういうチェックをする体制が現在では全く不十分である、こういうふうに私理解できるのですが、いかがでしょうか。
  152. 森敏光

    ○森説明員 そもそも安全保障の問題につきましては、これはまさに国の根本にかかわる問題でございます。その安全保障を定める条約につきましては、当事者間に確固たる信頼関係がなくては成立する余地はございません。安保条約もそういうことで、政府といたしましては、米国が日米安保条約上の義務を誠実に履行するということ、その前提のもとで対応しております。
  153. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 したがって、政府というのは余り積極性がないしチェックする体制もないということでございますけれども、今後の問題として私提案したいわけですが、一つは、米国はこの核施設攻撃というのを想定していたんじゃないか。現に岩国の攻撃ヘリ、これは私の四国の伊方原発の上を低空飛行で何回も何回も飛んでいる。そして、それだけじゃなしに徳島の上空、これもまた低空飛行を何回もやっているという。しかも愛媛県の伊方原発の上を低空飛行していたときに、八八年六月二十五日には伊方原発の近くのビジターハウス付近に飛行機が落ちている。したがって、付近の住民だけじゃなしに、社会党はこういうことについてやめなさいというふうに言っていたのですけれども、なかなか言うことを聞かない。したがって我々としては、今後核施設の近くでは低空飛行のような訓練をやらせないというような、そういうことを政府は米軍に対して言わなければいけないんじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  154. 森敏光

    ○森説明員 米軍の行動につきましては、我が国の国内法令がそのまま適用されるということはございませんが、米軍は我が国の原子力施設の上空につきましては、その安全を確保するという観点から極めて慎重な飛行をしておるというふうに承知しておりますし、私どもといたしましても、原子力施設上空の飛行の規制につきまして米側に通報をし、合同委員会等の場でその安全性の確保について強く申し入れているところでございます。
  155. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 もう一点、最後に提案したいわけですけれども、この安保条約第四条には「この条約の実施に関して随時協議」というのがあるわけなんです。したがってどちらか一方が要請をすれば協議をするということになっているのですが、このことに関して神奈川県知事の長洲知事は政府に対して要請していると思うのです、随時協議をやりなさいと。こういうことのように、我々もやはり、今回の湾岸戦争によって移動だとか運用上の問題と言われたら何もできない、こういうことじゃなしに、ひとつ戦争が起きれば日本側から積極的に、こういう事件が起きているのだから一体どうするのかと、こういう随時的な協議を申し込むという積極姿勢が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
  156. 森敏光

    ○森説明員 先ほども御説明いたしましたように、私どもといたしましても、米軍の行動につきましては外交上の一般的なやりとり等を通じましてできる限りその情報の収集に努力しているところでございます。他方、累次申し上げましたとおり、その米軍の運用の詳細につきましては、これは私どもの承知する立場でございませんので、ここのところは米側から連絡が来るということにはなっておりません。  なお、この事前協議そのものにつきましては、これは先ほど御説明いたしました岸・ハーター交換公文に規定されております三つの主題につきまして、このいずれかに該当する行動をとるときは米国の方からこれを発議するという仕組みになっております。したがいまして、この問題につきまして我が国の方からこれを米国に対して提起するというふうにはなっておりません。
  157. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 終わります。
  158. 中山正暉

    中山委員長 次に、関晴正君から質疑の通告があります。これを許します。
  159. 関晴正

    ○関委員 短い時間でありますので、簡潔に質問いたします。  まず今日の世界情勢、言うなれば米ソを中心とする二強大国の関係というものが大きくさま変わりした、まさしく世界協調時代に入ってきた、こう思われます。こういうときに、なお我が国が安保条約というものに中心を置いていかなければならないものであるか。安保条約が新しく締結されてもう三十年ですね。この安保条約というものはもう要らなくなったんじゃないだろうか、安保条約をやめる、解消する、そういう時代に今入ってきているんじゃないだろうか、こう私は思うのですけれども、なかなか政府の方は、逆になおこれを活用しよう、こういう方向の姿勢でありますけれども、世界的に情勢が変わってなおこれにすがっていかなければならないと考えることは当を得ないんじゃないだろうか、こう私は思うわけです。  したがって、日米安保条約というものはいつまで続けなければならないものと思っておられるかという考え方ですね、今の考え方でいけば、我が国の存する限り安保条約に頼っていかなければならないというのに通じてしまうのじゃないだろうか。しかも、きょうここに渡されました池田防衛庁長官所信表明を読みますと、分析が非常に当を得ないんじゃないだろうか、こう思うわけであります。向かいのソビエトという国に対する考え方、見方が、なお大変な軍事力を持っておるから考えなければならない、こう書いていますね。この軍事力がどう動くというのです。この軍事力我が国侵略に向かってくるとか、そういう懸念が幾らかでもあるというのですか。全くないと言っていいんじゃないでしょうか。意思もなければそういう能力もないと見ていいし、我が国の外交政策というものはそういうものについてきちんとした判断をして進めていかなければならないと私は思うのです。  そういう意味において、安保条約締結三十年を経過した今日、そして、こうした国際情勢の変化に対応する日本防衛政策と申しましょうか、外交政策と申しましょうか、どちらからいってもよろしゅうございますが、私はもう安保条約は解消する、なくする、そういうときに至ったと見ていいんじゃないか、こう思いますので、御見解をいただきたいと思います。
  160. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、今世界情勢が大きく変わっておる、これは私もよく認識しております。米ソを中心といたしますいわば東西の対決、冷戦構造というものを超えた本格的な対話協調時代に向かっておる、そういった大きな流れは否定いたしません。しかしながら、このままストレートに、一直線にそのような理想とするような、極めて安全であり、不安も憂いも全くないような時代に結びついていくのかと申しますと、そう簡単ではないんじゃないかと存じます。  例えばヨーロッパにおきまして、とりわけそういった対話協調動きがずっと進んでまいったわけでございますけれども、現在の時点で見ますと、CFEにいたしましてもあるいはSTARTにいたしましてもいろいろ障害を持っているというのは、御承知のとおりでございます。とりわけ我が国周辺地域情勢を見ますと、ヨーロッパに比べましても、確かにそういった安定化への動きが加速されているのは事実でございますけれども、まだまだ不透明な面あるいは複雑な要素がございまして、将来の理想あるいは大きな流れはそういった冷戦構造を超えてのものだといたしましても、いわば新しい秩序を模索する過渡期である現在ではまだいろいろな面があるということは委員も御理解をちょうだいしておると思います。そういった情勢でございます。  そしてまた、ソ連の力について私の所信表明の認識はどうかという御指摘がございましたけれども、私は、ソ連が確かに今ペレストロイカの道を進んでおる、そして従来と変わった行き方を模索しておるというのは承知しておりますし、またそういった方向に進むことを期待しているところでございます。しかしながら、ソ連の国内も非常に難しいところでございまして、経済の方ではGNPが一一%を超すようなダウンになったという非常に難しい状況に逢着しております。そしてまた、そういった中でいわばペレストロイカを進めようという勢力もいろいろな障害に際会しておりまして、一部には保守的な力、そちらの方の影響力がふえるんじゃないか、こんなことも言われているのは御承知のとおりであります。  さて、ソ連軍事力、その中でとりわけ極東ソ連軍の力について申し上げますと、このところ、確かに量的な面での削減が進められている、これは私も認めます。しかしながら、量的な面での削減と申しましても、極東ソ連軍というのは六〇年代からほぼ一貫して増強が図られてまいりましたので、現在ピークの段階から減っておるけれども、例えば我が国防衛力整備大綱が定められた昭和五十一年時点と比べるとどうかと申しますと、これは地上兵力においても作戦航空機の数、艦艇の数あるいはその中での潜水艦の数、あらゆる指標をとりましてもその当時に比べてはるかに高い水準にあるというのは事実でございます。ようやくゴルバチョフが政権の座に着いたときとほぼ似たり寄ったりの水準にまで量的に削減されたというのが現在の状態でございます。しかもそういった中で質的にどうかと申しますと、これは大変な質的な向上が見られまして、例えば作戦航空機なんかにつきましても第四世代の航空機がどんどふえておる、あるいはミサイル巡洋艦、ミサイル駆逐艦あるいは原子力潜水艦の増強が見られる等々でございまして、そういった意味で量的な面で削減は進んでいるといいましてもまだまた高い水準であるし、質的には非常にその能力向上しておる、こういうことでございますので、やはりソ連が極東地域、みずからの領土を守るために必要とする力というものと比べた場合には、はるかにそれを超えた水準の力を維持しておるというのは否定できないことだと思います。  しかしながら、こう申し上げたからといって、私はソ連侵略する可能性があるとか脅威であるということを申しているわけじゃございません、脅威というものは力と同時にそういった意図が合わされなくてはならないわけでございますから。しかしながら、現実にそういった力を保有しているということは厳然たる事実であるということを指摘させていただいたわけでございます。そういった状態でございます。  国際情勢についても、大きな流れはそういった対話協調の方向であるといたしましても、まだまだ不確定、不透明な要素があるということでございます。そしてまた、現実に今世界の各国はそれぞれみずから防衛力整備し、あるいは各国との協調のもとにみずからの国の安全を確保するための努力をしておるわけでございまして、我が国の場合には憲法の理念の中で認められる必要最小限防衛力としてみずから自衛隊という力を持つ、それにあわせまして米国との間の日米安全保障体制を堅持していくということが我が国の今日の時代における存立、独立、そして平和を守るために必要不可欠なものである、このように認識しております。  なお、安保条約については、そのような安全保障上の観点のほかにも経済その他の面で相互関係緊密化という面もあるわけでございまして、総じて申しまして、私は今日の国際情勢の中においても日米安全保障体制は堅持しなくてはいけませんし、さらにその効果的な運用が図られるように努力をしていくべきものと認識しておる次第でございます。
  161. 関晴正

    ○関委員 新防衛庁長官、今長々と国際情勢についての情勢分析のお話をなされたと思います。なされたと思いますけれども、一番大事なことは、我が国侵略する、我が国攻撃をかけてくる国が予想された時代もありました、中国が、あるいは朝鮮が、あるいはソ連が。しかしながら、それらの予想した国々は、刻々それぞれ脅威の時代から去っていったと思うのです。したがって我が国は、防衛白書の中にもソ連を脅威とするというところから、もう脅威とする対象の国ではなくなった、この認識に今あると思われる。そういうことを考えますと、じゃ、ソ連でも攻めてくるようにまだ考えているのかしら、じゃ、どこからソ連が攻めてくるんだ。ソ連の国内情勢についても大変な状態にある、一国の経済を維持していくのに容易じゃない、我が国もまた援助の体制なり支援の体制をとらなければならないじゃないかという関係に今ある、こう思います。国が乱れているから日本侵略しようとか北海道に攻撃をかけようとか、そういうようなことは全くないでしょう。そんな余裕なんてソビエトにありませんよ。また、そういう意図もない。先ほど長官がいい話をしましたよ。軍事力だけではなくて意図もまた問題である。じゃ、この意図はどう思うか、どう分析するかですよ。ですから、私は、この四月にゴルバチョフも我が国にやってきて、そしてソ連我が国との関係についての長年の懸案事項というものを協議をして一つの成果を得るようにしなければならない、今お互いにこう思っておる段階だと思うのです。  ですから、基本的に私が申し上げたいことは、日本という国がアメリカという国に頼って、そして相手が侵略した場合には守ってもらえますよといって考えてきた時代から大きく変わった。そういうことを見ますと、私は世界情勢が大きく変わった。ドイツにおける東西の統一もなされた。また朝鮮における三十八度線を境にする南北朝鮮の統一といいましょうか合併といいましょうか、そういう方向にまた今来つつある。それは自民党の代表にしても我が党の代表にしても、先般朝鮮民主主義人民共和国を訪ねまして、行ってきているわけですよ。そういうことを見まして、またそういう折衝も、今日政府としても朝鮮民主主義人民共和国との間に重ねている段階です。ですから、この上我が国防衛だといって予算を膨らませてくる、またアメリカに依存していく、こういうところから区切りをつけなければならないときにあると私は思うのです。そうでもなければ区切りをつけるときというのはいつなんだろう、いつになったらこういう区切りをつけるときになるのだろうか、こう考えるわけなんです。  これでいけば、日本という国は一生日米安全保障条約という軍事条約というもので結ばれていかなければならない運命を背負って離れられない。それよりは日米友好条約を結んで転換させていくべきではないかということについての有力な意見も今台頭しているでしょう。そういう点については、きょうは外務大臣がそこにおられませんので、外務大臣にかわって、この安保条約に係る今度は新協定も出ているわけなんですけれども、新協定に入る前に、基本条約であるこの安保条約について、いつの時代になれば日本はこの条約を必要としなくなる、そういうお考えであるのか、考えているところがあるならばお聞かせください。
  162. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  日米安保条約の意義につきましてはまさに防衛庁長官の方からるる御答弁があった次第でございまして、私どもといたしましても、この日米安保条約というものは日米関係の基礎となるきずなでございまして、これが日本の平和と安全のためには依然として不可欠であると考えておる次第でございます。  そこで、いずれの日にかこれが不要になるのではないかというのがお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、これまでの日本の選択、すなわち最小限の自衛力とともに日米間の安全保障体制、この二つを柱として平和と安全を図るという選択が不必要となるということは想定できないのではないかと考えておる次第でございます。  したがいまして、今後ともこのまさに日米安保体制というものを基礎としながら我が国の平和を図っていくという状況が続くのだろうと思いますし、そこから先はどうだと言われても、そこのところは今のところは考えていない、こういうことでございます。
  163. 関晴正

    ○関委員 非常に残念なことなんでありまして、今問うても答えられないような格好ですよね。しかし私は、日本の将来のためにいつまでも安保条約に依存して進めていかなければならない時代じゃもうなくなった、そういう認識に立って早急に安保条約から離れて日米友好条約、そういう方向に進めていただくように要望しておきます。  そこで、第二点の質問に入りたいと思いますが、第二点の質問は、今度の予算に当たって防衛予算というものを一千二億削減した、こう言っておりますね。結構なことだと思うのです。もっともっと削ればもっといい、こう思うのです。ところが、平成三年度の予算を見ますと千二億の減額なんというのは何もないのですよね。トータルにおいてわずか十億の減額ということになっているんじゃないですか。たった十億の減額で千億の減額をしたように見せておりますけれども、千億の減額は平成三年度で減額になるのですか、ならないのですか。この点明快に答えてください。
  164. 池田行彦

    池田国務大臣 明快にお答え申し上げます。  平成三年度の予算国庫債務負担行為を含めまして約千二億円の防衛費削減がなされるということでございます。それをややアマチュア的な言葉に翻訳して申し上げますと、国庫債務負担行為と申しますのは、平成三年度において契約を結ぶことができる、こういうことでございます。そういう権限でございますから、それを含めまして千二億円減額されるということでございます。  先生御指摘の十億じゃないかという点につきましては、実際に平成三年度中に支払われる、支払うことのできる金額が十億円減額されたわけでございます。それ以外に、平成三年度中に契約を結びまして、それに基づいて後年度に支払いの義務が出てくる、そういったものは九百九十二億円相当額減額されたわけでございますから、これはもう契約が結べないということは防衛費のはっきりした削減でございますし、また、平成三年度の予算というのは、三年度中における歳出額と同時に、国庫債務負担行為の限度額についても総則あるいは丁号で定めておるところでございますから、千二億円の削減というのは文字どおりの削減でございます。
  165. 関晴正

    ○関委員 そういう説明で来られたようですけれども、私ども予算を見るときには、何だ千億減額するんだと言っていながらわずかに十億じゃないか、こういうふうに見るわけでありまして、この辺には相当なからくりもあるような感じが私はいたします。でも、御答弁はその程度の御答弁ですから、それなりに伺っておきます。  次に第三点、今度の新協定と申しましょうか、新協定によりまして向こう五カ年間、我が国アメリカ軍に対する負担の金額というものが相当に多くされる。これは一体この平成三年度ではどのくらいの金額になるのですか。いわゆる思いやり予算というものをどこまで高められていくつもりですか。
  166. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  平成三年度予算案におきましては、今御指摘になられました特別協定を御承認いただけるという前提に立ちますと、新たに在日米軍従業員の基本給及び光熱水料等の負担に要する経費として百二億円を計上している次第でございます。
  167. 関晴正

    ○関委員 私の質問に答えている内容が適当でない、こう思います。  在日米軍の駐留経費について、我が国の負担する経費がどのくらいになるか、いわゆる思いやり予算と言われて続けられてきた金額は相当にふえてきているじゃないか、この新協定によってまた余計にふえていくのではないだろうか。百二億円という今のお答えは何のお答えなのか、私にはわかりませんけれども、私どもの方の推定では、とにかく防衛予算のうちの一割を超える金が、思いやり予算、この協定に基づいて支出される予算の方向に変わってきている、こう見ておるのですが、その見方には間違いがないと思いますけれども、どうですか。
  168. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 平成三年度予算でお願いしております駐留経費でございますが、施設整備、従業員の給与等、光熱水料等を合わせまして千七百七十五億でございます。
  169. 関晴正

    ○関委員 四千七百七十一億円というのは何のことですか。今の千七百余億の話との関係はどういう関係ですか。
  170. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 四千七百億という数字、ちょっと私、どのような数字かよくわかりませんけれども、防衛施設庁の予算は三千四百億ほどでございまして、この予算の中に駐留経費に関する予算が含まれております。
  171. 畠山蕃

    畠山(蕃)政府委員 四千七百七十一億円といいますのは、ただいま申しました在日米軍駐留経費負担、いわゆる思いやりと称しておりますもののほかに、いわゆる周辺対策とか施設の借料、それから提供普通財産の借り上げ試算といったようなすべてのものを含んだトータル額でございます。
  172. 関晴正

    ○関委員 これは大臣にお聞きしたいと思うのですけれども、今度の協定によって思いやり予算と言われるものがふえてきますよね。このふえ方というものはどこまでふやしていくつもりです。これを含めまして、在日米軍我が国の駐留負担というものが今年度において防衛予算の一割を超えてきている。そういうことを見ますと、どこまでこれはふえていくのかしらという心配があります。しかも、この協定を新しく結ぶことによって生ずる負担増というものを見ますと、これは大変なことになるんじゃないだろうか、こう思うのですが、その限度は防衛予算の一割前後だとか一割以内にするとかそういうお考えはありますか。
  173. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  これからどの程度の負担をするかということでございますけれども、先ほど来政府委員の方から御答弁申し上げておりますように、従来我が国として負担しておりましたもののほかに、今回、新協定では在日米軍の従業員の基本給あるいは光熱水料等を新規に負担することにしたわけでございます。これは平成三年度から一挙に取り決めましたものをすべて負担するわけではなくて、段階的にだんだんふやしていくということにしております。私の承知しておりますあれでは、平成七年度におきまして大体日米の負担割合が五〇、五〇になる、こういうふうな推定になっておるところでございます。もとよりこれは、今御提案申し上げております新協定というものを国会で御承認いただいての上の話でございます。そういったことでやってまいりたいと思っております。
  174. 関晴正

    ○関委員 この問題については、また後刻機会を得て質問したいと思います。  最後に、弾薬庫にかかわる問題でお尋ねをしておきたいと思うのであります。  私どもの青森県の東北町に二百五十ヘクタールの用地を求めて弾薬庫をつくるのだ、こう計画があるわけであります。私は、その必要は全くないのじゃないか、こう申し上げたいわけであります。新長官においては、こういうようなものは必要ないのだということで方針を変えていただけないだろうか。  と申し上げますのは、六十一年度、六十二年度、六十三年度、そうして元年度、二年度、毎年毎年弾薬の金額というものがここに重ねられていっているわけであります。弾薬の購入費はこうして重ねられていくのですけれども、平成三年度においても千六百億ぐらい予定しておりますよね。今日、購入した弾薬というものが保有量においてどの程度あるのか、弾薬はどの程度年間に消費されておるのかという割合についてお答えいただきたいし、そういうことから考えてみますと、私は、弾薬庫というものを今早急に持っていかなければならない何らの事情にないのじゃないか、こう思いますので、その二点にわたってお答えいただければと思います。
  175. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  まず、弾薬の保有量につきましは、これは防衛力の中身になりますし、どの程度持っているかということを明らかにするのはいわば手の内を明らかにすることになりますので、従来からお答えは控えさせていただいておるところでございますのでそれはひとつ御容赦いただきたいと存じますが、ただ、防衛庁といたしましては、やはり継戦能力というものを高めていかなくちゃいけないだろう、こう考えておりまして、所要の弾薬の備蓄と申しましょうか整備を進めてきておるところでございます。  そうして先生御指摘の新しい弾薬庫の予定、これは東北町の中で予定さしていただいておりますけれども、やはり航空自衛隊について弾薬保管の能力、これが今非常に厳しい状態になっておりますので、ぜひ新設さしていただきたい、こう考えまして、今地元ともいろいろお話をしながら計画を進めさしていただきたい、こう考えておるようなところでございます。
  176. 関晴正

    ○関委員 私は、保有量の量なんかは聞いておりませんし、消費量の詳しい量を出せとは申し上げませんが、毎年毎年千五、六百億の金をかけて弾薬を購入しているわけですよね。国内から買い付けておるのもあるし国外から買い付けておるのもある。しかし、それは消費量においてどうなんだろう。これは一〇〇%蓄積されている弾薬なのか、消費されている弾薬というものもあるのだろうけれども、その関係はどうなっているのです。いつまでもいつまでも、毎年毎年購入して蓄えていかなければならない性質のものなのか、もう限度いっぱいになっているのじゃないだろうか、しかも、買った弾のうち使わないものはどう捨てていくんだろうか、しょっちゅう捨てていっているのだろうか、こうも思うのですけれども、この弾の取り扱について、使用の状況について御説明いただきたいと思います。
  177. 池田行彦

    池田国務大臣 かつて、たまに撃つ弾がないのが玉にきずという話がございました。自衛隊の弾薬の備蓄量が非常に低い水準にございまして、日常の訓練活動にも支障を来すというような状態があったわけでございますが、そういうことでは国民皆様方に安んじて暮らしていただくわけにまいりませんので、私どもとしましては、そういうところにちゃんと対応できるようにしてまいらなくちゃいけない、こう考えておりますし、それからまた、万一のときに備えて継戦能力をきちっと持っていくことが必要でございますので、そういった意味で、ただいま先生御指摘のように年々数百億円でございますけれども、そういった予算で備蓄を進めてまいりました。しかしながら、今もうだんだんかつてのような状態ではないわけではございますけれども、もうこれ以上要らないのじゃないか、捨ててもいいのじゃないかといったような状況にはない、まだ備蓄あるいは継戦能力の充実に向かって努力しなくてはならない水準であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  178. 関晴正

    ○関委員 とにかく、かつて弾がないのが玉にきずだという話がありました。今日は弾があり過ぎてむだ弾の連続じゃないだろうか、こう思いますよね。そういうときに、弾を買い過ぎ、弾を蓄え過ぎて貯蔵庫がないから青森県の東北町に貯蔵庫をつくろう、こうなっているのかとも思うわけです。しかし、先ほど申し上げたように、世界情勢やアジアの情勢を見ますときに、全くこれは用のない施設計画になってしまっているのじゃないだろうか、なってしまうこと間違いないだろう、こう思うので、これは前の長官にも私申し上げましたが、ひとつ池田長官も再吟味して、なるほどそうかなと、こう思っていただいて、こういうのはその計画をやめるようにしていただきたい、こう思います。  時間でありますので、要望だけにとどめておいて、終わります。
  179. 中山正暉

    中山委員長 次に、冬柴鐵三君から質疑の申し出があります。これを許します。冬柴君。
  180. 冬柴鐵三

    冬柴委員 公明党の冬柴鐵三です。  昨年八月二日、イラククウェート侵略、そして併合、このような事態以来、我が国の国際貢献をめぐる問題として再び自衛隊と憲法、そしてまた自衛隊国連憲章、このような問題がいろいろに論じられました。昨年の臨時国会では、政府国連平和協力法案を提案されましたけれども、一カ月の審議を経まして、御案内のとおりこれは廃案ということになりましたし、また湾岸戦争によって生ずる避難民の輸送のために特例政令という形をとられましたけれども、これも国会において、予算委員会において大きな論議となりまして、現在なお自衛隊機は飛び立つことができない状況のもとに、はや、これの特例政令の廃止まで論じられる、こういうような事態にただいま至っているわけであります。そういうことを踏まえまして、基本的なことで過去に再々論ぜられ、そしてまた法制局や防衛庁長官からも政府の見解として示されてきたこともありますけれども、若干まとめの意味でお聞かせをいただきたい、このように思っております。  まず、自衛権の行使についてでありますが、我が国の憲法それから国連憲章、これをあわせて考慮したときに、個別的自衛権を我が憲法下でも認め、そしてこれを許す、それによって今自衛隊というものは存在するわけでありましょうが、その解釈過程、論理過程というものを手際よく簡単に御説明いただきたい、このように思います。
  181. 日吉章

    ○日吉政府委員 お答え申し上げます。  我が国が国際法上、国連憲章第五十一条によります個別的自衛権と集団的自衛権を有していることは当然でございます。他方、憲法九条はいわゆる戦争を放棄し、いわゆる戦力の保持を禁止しておりますけれども、これによって我が国が主権国家として持つ固有の自衛権までも否定されたものではないというふうに解釈いたしております。しかしながら、我が憲法のもとで認められております自衛権の行使は、我が国に対する急迫不正な侵害に対しこれを排除するためとられる必要最小限度の範囲内のものでございますので、個別的自衛権の行使に限られると解釈しているわけでございます。
  182. 冬柴鐵三

    冬柴委員 これでほぼ示されたと思うのです。我が国には国家として固有の権利としての集団的自衛権は、これはあるけれども、今言ったような流れから、これを行使することは許されない、個別的自衛権は一定の限界で行使できる、それの要件を若干説明されたわけですが、ここに、自衛隊法三条には「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務」とする、こう定めているわけでありますが、ここに「防衛すること」という言葉があります。これは自衛隊による実力行動を意味すると思うわけでありますが、この実力行動はどういう限界で、しかもこの要件としてどういうものを挙げることができるのか。今の日吉官房長の答弁の中に若干触れられましたけれども、その要件について明確にお示しをいただきたいと思います。
  183. 日吉章

    ○日吉政府委員 この点につきましても累次国会等で御説明を申し上げていることでございますが、自衛隊法第三条の委員ただいま御指摘ございました、我が国防衛するための自衛権の行使というものには、第一に我が国に対する急迫かつ不正の侵害、武力攻撃の発生があること、第二にそれを排除するためにほかに適当な手段がないこと、第三に必要最小限度の実力行使にとどまるべきことという三つの要件を備えることを必要とすると、かように解釈いたしております。
  184. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それを基礎といたしまして憲法第九条第一項が禁ずる「国権の発動たる戦争」というのは差しおきまして、「武力の行使」「武力による威嚇」、武力の行使とはどのようなものを具体的に指すのか、これに関連いたしまして一つずつ伺いたいのですが、他国の軍隊の兵たん支援、これは今挙げられた三つの要件と絡めて憲法九条一項の武力による威嚇、武力の行使とどう関するのか、その点についてお示しをいただきたい。
  185. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 まず憲法九条第一項の武力の行使とはいかなる意味であるかというお尋ねでございますが、同項が「国権の発動たる戦争」と「武力の行使」、こういうふうに書き分けているところからしまして、国家間における戦争に至らない戦闘行為、言葉をかえて言いますと、実質的意味における戦争に属する軍事行動を言う、このように説明されているようでございます。  次に、同項の「武力による威嚇」、これはどういう意味かということにつきましては、通常、現実にはいまだ武力を行使しないが、自国の主張、要求を入れなければ武力を行使するという意思、態度を示すことによって相手国を威嚇することであるというふうに説明されているわけでございます。  そこで、他国軍隊の兵たん支援ということとの関係はどうなのかというお尋ねでございますが、このようにみずからは武力行使を行わない活動につきまして、それが憲法九条との関係で許されない行為に該当するかどうかということにつきましては、先般の臨時国会における議論で重々議論を尽くしたわけでございますが、当該他国による武力の行使と一体となるような行動としてこれを行うか否かによって判断すべきであるというふうに考えておりまして、この旨は従前から何回も答弁してきているところでございます。  以上でございます。
  186. 冬柴鐵三

    冬柴委員 じゃ小型武器あるいは小火器、こういうものを使用する場合を考えて、この武力の行使ですね、との関係はいかがですか。大体わかっていますから、簡潔に答えてください。
  187. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 簡潔に答えろ、こういうことでございますが、なかなかお尋ねは簡潔には答えにくい問題でございます。  余り時間をとらずに申し上げますと、小火器の使用との関係ということにつきましては、その火器の使用が国に向けられたものであるかあるいは国以外の個々人に向けられたものであるかということとか、あるいはその使用の目的が何なのかということとか、あるいは使用の状況等諸般の事情を総合して判断さるべきであって、ただその火器が小型であるということだけでその結論を一概に申し上げることはできないのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
  188. 冬柴鐵三

    冬柴委員 じゃ輸送に際しての護衛、これはどうなんでしょう。  それからついでに、掃海艇による公海上の機雷、浮遊物じゃない機雷の除去、こういうものと今の武力行使との関係はどうですか。
  189. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 まず輸送に際しての護衛との関係でございますが、これはどこの船舶を護衛するのかということとも関係しますので、事を我が国の船舶ということに限定してお答えいたしますと、外部からの武力攻撃が発生いたしまして、我が国が自衛権を行使しているという、そういう場合にその武力攻撃から海上交通の安全を確保するための護衛ということは憲法上問題ないわけでございますが、そのほかに人命、財産の保護または治安の維持の観点からのいわゆる警察行動として行う護衛というものについても、憲法九条との関係では問題は生じないであろうというふうに思われます。  ただ、後者の警察行動との関係につきましては、この海上における犯罪の予防、鎮圧という任務自体は第一次的には我が国におきましては海上保安庁の任務とされておりますので、海上自衛隊がこれを行うというのは、御承知のとおり自衛隊法八十二条におきまして「特別の必要がある場合」という限定要件が付せられているということでございます。  それから、機雷の除去についてどうかということでございますが、これは突然のお尋ねということになるわけでございますが、先ほど委員も限定されました浮遊機雷の問題はさておきまして、一般に機雷の除去が武力の行使に当たるか否かということに限定して一般論としてお答えいたしますと、それがいかなる具体的な状況のもとで、またいかなる様態で行われるか等によりまして判断すべきものでございまして、一概に武力の行使に当たるとか当たらないとかというふうにお答えできない事柄ではなかろうかというふうに思う次第でございます。
  190. 冬柴鐵三

    冬柴委員 これについても我が国に対する侵略という観点から除かれると思うのですが、念のため聞いておきますが、外国にいる日本人の生命、身体、財産、また日本の大使館等の機関、こういうものが他国の行為によって危殆に瀕した、こういう場合に、これを保護するために自衛権の発動を認め得る何らかのことがあるのか。  それからもう一つ、公海上で日本人の生命、身体、財産が他国の行為によって危殆に瀕しているという場合に、今の警察問題じゃなしに、自衛隊自身がその保護のために自衛権を発動できる場合が考えられるのかどうか。  この二つについてお伺いしたい。
  191. 小松一郎

    ○小松説明員 憲法との関係につきましては後ほど法制局の方からお答えがあると存じますが、まず国際法の観点から外務省から御説明をさせていただきたいと思います。  これは従来から繰り返し外務省の方から御答弁申し上げているところでございますが、まず外国人の保護という観点の御質問につきましては、自国領域内におります外国人を保護するということは所在地国の国際法上の義務でございます。しかし、その所在地国が外国人に対する侵害を排除する意思または能力を持たず、かつ当該外国人の身体、生命に対する重大かつ急迫な侵害があり、ほかに救済の手段がない場合には、当該外国人を保護、救出するためにその本国が必要最小限度の武力を行使することも、国際法上の議論に限って申し上げれば自衛権の行使として認められる場合がございます。しかしその際にも、自国民に対する侵害が所在地国の領土、主権の侵害をも正当化し得るほどの真に重大な場合に限られ、また自国民の保護、救出の目的に沿った必要最小限度の武力行使でなければならない、これが従来申し上げているところでございます。  次に、公海上での自国船への攻撃に対する保護、こういう点でございますが、これも国際法の問題に限ってお答え申し上げますが、公海上における自国の公私の船舶、航空機攻撃を受けた場合、国際法上の問題としまして、原則として自国は個別的自衛権の行使としてその攻撃を排除し得る立場にある、こういうことでございます。
  192. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいま外務省の方から一般的な国際法上の観点からの答弁があったわけでございますが、私どもの方は、憲法九条の観点から見た場合に、自衛隊がお尋ねのような事柄を行うことができるのかできないのかということについてお答えいたしたいと思います。  先ほど防衛庁の方から答弁がございましたように、憲法上武力の行使が許されるのはいわゆる自衛権発動の三要件というものが必要であるということでございまして、重複で恐縮でございますが、我が国に対する急迫不正の侵害があること、これが第一要件、そしてこの場合にこれを排除するため他に適当な手段がないというのが第二要件、そして第三要件として、必要な最小限度の実力行使にとどまるべきであるというふうに述べてきているわけでございます。したがいまして、これら三つの要件を充足しない限りは自衛権を発動、すなわち武力を行使することは憲法上認められないということでございます。  そこで、お尋ねの場合、すなわち外国において日本人の生命、身体、財産または日本政府の機関が危殆に瀕しているという場合に、ただいま申し上げました三つの要件を果たして満たすのであろうか、特に第一要件である我が国に対する急迫不正の侵害があることという要件を満たすのであろうかということを考えてみますと、これも断定的なお答えをすることができない場合ではあろうと思いますが、一般的には直ちにこれらの要件に該当するとは考えられないのではなかろうか、したがって該当しない限りは自衛隊外国に派遣するということは憲法上認められないという結論になるということでございます。  もう一つは、公海上においてということになりますと、日本の船舶あるいは外国の船舶に乗っている日本国民が危害を加えられる事態に瀕している場合はどうか、こういうことになるわけでございますが、その場合におきましても、この三要件のうちの第一要件を満たしているかどうかということとの関係におきましては、やはりただいま申し上げたのと同じ問題ではなかろうかというふうに一般的には考えております。
  193. 冬柴鐵三

    冬柴委員 内閣法制局の答弁はちょっと後退しているのじゃないかな。従来答弁、一般的とかそういうものをつけて答弁はしておられないように私は理解しているのですけれども、きょうは長官所信を伺ってのあれですから、それはまた後日の話にします。  そこで長官外国ではもちろんのこと、公海上も、今聞いたとおり自衛権の発動という場面はほとんど考えられない、我が国に対して直接あった場合はそれはある程度の、公海も問題ですけれども、そういうふうなことを考えたときに、空中給油機、言いにくいですけれども、これはどんなシナリオのもとに利用されることが予想されるのだろうか。私いろいろ考えてみたのだけれどもなかなかわからないので、長官の考えをお知らせいただきたいと思います。
  194. 池田行彦

    池田国務大臣 お答えを申し上げます。  まずその前に、ただいま法制局の方から御答弁がございましたけれども、例えば公海上において我が国国民の生命、財産等が危殆に瀕している場合というのは、これはやはり具体的なケースを考えなくてはいけないと思いますが、そのときに我が国の自衛権行使の三要件が満たされる状況があればそういった自衛権行使の対象になる場合もあり得るのだと私は考えております。法制局の御答弁もそういった可能性を否定するものではなかったというふうに私は今お聞きしておりました。それが第一点でございます。  さて、空中給油機のお話でございますが、これは現在我が方として予算あるいは新中期防等で整備を予定しているところではないということは委員御承知かと存じますが、そういった前提で御答弁させていただきます。  そういったことでございますけれども、もし仮に将来空中給油機というものを整備することが考えられるかどうか、考えたら日本自衛隊あり方との関係で一体どういうふうに説明するのかということでございますけれども、考えてみますと、我が国に対する急迫不正の侵害が武力攻撃でなされるというときに、当然要撃戦闘機等を通じてそういった外敵の侵略に対して行動しなくちゃならぬわけでございますし、あるいはそういったものを未然に防ぐために早期に侵略を察知いたしまして対応しなくちゃいけないということでございます。  そういった意味におきまして、早期監視態勢なんかを整備していくシステム、そういった中で空中給油機の機能というものが有効に作用するということは考え得るわけでございますし、また、そのようなあくまで自衛権の発動として行われるいろいろな行動の中での役割であるならば、これは憲法上も認められることになるんじゃないかと思いますけれども、しかしこれは今そういったものを予定しているわけじゃございませんので、あくまで仮定の議論でございます。
  195. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それじゃ、現に保有し、また保有する予定のイージス艦ですね、これはどんなシナリオで、どこでどういうもとに自衛権の行使として利用されることが予定されるのか、ちょっとイメージを聞かせてください。
  196. 池田行彦

    池田国務大臣 お答え申し上げます。  我が国の海上自衛隊は、御承知のとおり、地方隊とそれから護衛隊群、機動的な部隊と、その双方から成り立っておるわけでございますけれども、護衛隊群というのは大体一群がたしか八隻から成っておる、その中の二隻をいわば艦隊の防空中枢として考えておる、構成しておる、こういうことになっております。これまでもその防衛中枢にはターター艦というようなものがおったわけでございますけれども、イージス艦というのは、そういったターター艦にかわりまして護衛隊群の防空の中枢として役割を果たしていこうということでございます。  それからまた、これはさらに一歩進んだことになるのかもしれませんけれども、シーレーン防衛というような話がございますけれども、仮にそういったことで船団を護衛していくというようなことが将来あり得るとするならば、そのときにその護衛に当たる船団も含めた形の安全を守っていく、その防空の中枢機能をもちましていろいろな侵略に対する対応をしていく、こういう役割だと考えております。
  197. 冬柴鐵三

    冬柴委員 以前、西廣当時防衛局長だったかな、そのような答弁をされたのですが、私ちょっと納得できないのですよ。イージス艦というのは御存じのように大変な金額、一千数百億円の、単体の武器としては最高の価格のもので、これが防衛するのは、目的は空母、約一兆円の価値を守るためにこういうものがあるわけであって、船団を守る、鉱石船とか貿易船とか、それを守るためにこういうものが必要なんでしょうか。それから、船団を組むと言われましたけれども、そういう構成が日本にあるのでしょうか。そういうことを考えますと、イージス艦を使うシナリオが見えないのですよ。その点どうでしょう。
  198. 池田行彦

    池田国務大臣 船団を組むというケースは、平時においてはこれは考える必要もないわけでございますが、我が国の有事における国民の生活を最低限守っていくために必要不可欠な物資を輸送するという場合に、ある程度そういった必要物資を輸送する船舶が船団を組んでいただいて、それを海上自衛隊が護衛していく、こういうシナリオが想定されるなと考えられますけれども、やや専門的な立場から御答弁申し上げた方が適当かと存じますので、政府委員の方から補足説明させます。
  199. 畠山蕃

    畠山(蕃)政府委員 今大臣から答弁申し上げたことに尽きるわけでございまして、有事におきましてこのイージス艦が防空中枢艦として、八隻の護衛隊群の空からの、経空脅威と称しておりますが、それに対応するものとして船団を護衛するというのが一つのいわゆるシーレーン防衛と申しましょうか、そういうものとして考えられるわけでございまして、これは実は御承知だと思いますが、洋上防空体制研究会という中で、防衛庁内の研究会でございますけれども、この報告の中でも、経空脅威の増大に対応する対処方針として、まず警戒管制としてはOTHレーダー、それからミサイルの母機対処機能としては警戒管制機と要撃戦闘機の組み合わせが、第三の範疇としてミサイルそのものに対する対処能力としてイージス艦がというようなことで報告がなされているところでございまして、そういった洋上防空といいましょうか、シーレーン防衛全体の中での対応ということで十分なシナリオが考えられるのではなかろうかと思っております。
  200. 冬柴鐵三

    冬柴委員 私が申し上げているのは費用対効果の問題でして、このような高価なイージスが、ミサイルあるいは最終的には機関砲等、そういうもので船団あるいは護衛する船舶等を守るという費用対効果の問題を考えたときに、今の話はお話としてはわかるけれども、そんなことを国家がやっていいのかなというふうに思います。日本が航空母艦を持っておればこれはきちっとした説明がつくと思いますけれども、日本はそういうものは持っておりませんし、今の答弁では納得できないわけです。  しかし、これはまたさておきまして、次にPKOですね、これに対してどうするのかということが、本当に国論を左右するぐらいの議論がなされましたし、今後も続いていくべき問題、国民の間で広範にこれは議論し、そして国民的合意を得なければならない課題だと思います。  今、昨年の臨時国会の末に締結された自公民三党合意に従って、自衛隊とは別の組織による国際の平和と安全の維持に努めるための貢献策を検討されているところでありますので、その意味で自衛隊の出る幕が今ないように思うのですが、仮に将来自衛隊のこういうものへの参加について論議をするその場合に、長官はこういう問題についてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、仮定の仮定の問題で恐縮ですが、お聞かせいただいておきたい、このように思います。
  201. 池田行彦

    池田国務大臣 これからの世界の中で国際的にどうやって日本貢献していくか、その中で国連の平和維持機能、そういったものにどのように我が国として取り組んでいくかということは、これは党派を超えて真剣に考えなくてはいけない問題であろう、こう考えております。  今も委員から御指摘のように、昨年の秋にもいろいろな議論があったわけでございますが、その経過を踏まえましていわゆる三党合意というものができ、そういったものを踏まえて現在各党間でもお話し合いが持たれ、あるいはこれからも続けられていくのじゃないかと思います。私どもといたしましては、政府としてもいろいろ考えておりますけれども、そういった経緯がございますので、今防衛庁の立場からこれはこう考えておるということを申し上げるのは差し控えるべきじゃないか、こう考えている次第でございます。  ただ、一点だけ申しますと、私が昨日も記者会見でちょっと申しましたのは、やはりそういったものを考える以上本当に国際的にも通用するものでなくちゃいけない、実際に役に立つものでなくちゃいけない、このことは自衛隊をどうするかということは別として必要なことなのではないだろうか、こういうことを一つ申し上げました。それからいま一つ申し上げましたのは、この論議に絡まって自衛隊の話題がいろいろ出まして、そのときに、何と申しましょうか、憲法上の制約も、要するにいかにもこれは自衛隊だけにかけられている問題であって、ほかの組織ならばそれは問題ないのだという議論がございましたり、一方では、自衛隊が憲法上できるかできないかという議論は別として当分はこういったものは外しておけばいいのだといった、どちらかといいますと論理的な次元ではない、あるいはいわゆる理性の次元で考える問題ではないところで自衛隊が引き合いに出されて話題になることがある、こういったことが、要するにPKOに参加するかどうかという話ではなくて、自衛隊日本の中での存在、それに対する国民皆様方の認識に何かひずみを与えるようなことがあってはこれは残念なことだ。それからまた、自衛官の方々にも、それこそそういったことでいろいろな思いを持たせては、これはPKOの参加云々ではなくて別の面でのよろしくない影響があるのじゃないか、そこを懸念しておるということでございます。といいますのは、PKO参加の問題と離れましても、私ども自衛隊我が国の安全を守っていくといった使命を持っているわけでございますが、その使命の方に思わざる影響を与えるということは避けていただきたいな、こんなことを申し上げた次第でございます。
  202. 冬柴鐵三

    冬柴委員 こういう議論をする際に心得なければならないことを長官はおっしゃいましたけれども、これについては、自衛隊我が国の領域を防御することに徹するべきだという考え方もまた一方ではあるわけでして、しかしそれを超えてこのような自衛隊の参加を論議するについては、どうしても克服しておかなければならない前提というのはたくさんあると思うのですよ。そんなものについてどんな認識をお持ちなのか。――これはまた仮定の仮定の仮定になってしまいますね。私は、これはもう質問をやめておきましょう。  要するに、国民の広範なコンセンサスなしに事を進めると、今防衛庁長官がくしくもおっしゃったような問題を引き起こしてしまって、かえって本当に一生懸命日夜精励していられる自衛官に思わぬ心の痛みというものを与えてしまうのではないか。今回の特例政令なんかも、特に私はそういう気がいたします。こういうものについては考え方がいろいろありましょうけれども、私は非常に残念だったと思うわけです。国民の広範な支持なしに、今まで四十六年間なだらかに積み上げてきた防衛についての国民コンセンサスというものがあります。何か事が起こった途端に条件反射的にこれを飛び越えてしまうということは、思わぬ大きなひずみが所々に生ずるのではないか。ですから、今回こういう問題については、常々一つの哲学を持って論じておかなければならない問題だ、こういうふうに思います。  その観点から、PKO以上の問題になると思うのですけれども、法制局の意見は我々知っています。けれども、この国連憲章四十二条の集団的安全保障措置あるいは兵力的措置とかいろいろ言われますが、これに対して国連憲章四十三条で特別協定を結ぶ、こういうものについて例えば自衛隊がこれに参加するかどうか、そういう問題はこの憲法九条はかぶっている、射程範囲におさめているのかどうか。その点については長官はどう考えていられるのですか。
  203. 池田行彦

    池田国務大臣 これも仮定の問題でございますし、また現に国連憲章第七章四十二条あるいは四十三条に基づく国連軍がこれまで結成されたこともないわけでございます。将来そういうことがあるといたしましても、具体的にどういうことになるか、そこのところはわかりませんので、今あれこれ申し上げるのはいかがかと存じますけれども、そういったものがございますけれども一方において我が国には憲法もあるわけでございますので、やはり具体的にそういったケースが出てくれば、国連憲章の規定の仕方、それからそれに基づいて具体的に結成される国連軍のその具体的なあり方、そしてまた四十三条に基づいて結ばれる特別協定、それの中身等を考え、よく検討し、一方において、我が国の憲法でそれが認められるのかどうかという問題はやはりそこのところで検討しなければいけない問題になるのではないのかな、このように考えております。
  204. 冬柴鐵三

    冬柴委員 言われればそのとおりなんですが、事が起こってからそれをやろうというところに問題があって、やはり平素から国民の前でこういう議論はしなければいけないのじゃないか。しておいてこそ、そういうことがあればそれについて迅速に世論形成もできますし、それで手も打てる。しかし、事が起こってからではいろいろな案が出て、激論があって、対外的に何ら手を打つことができないままに日を過ごしてしまう。今までの我が国だけを守るという問題よりも、広く国際的な平和及び安全の維持、回復にどう対処できるのかという議論が、もう今国連憲章はあるわけですから、それから四十二条は四十三条の特別協定ができないためにいまだかつて結成されたことはない、これは客観的事実ですが、では、なぜ安保理に働きかけてこういうものに対して平素備えておこうじゃないか、そういう発想がわかないのでしょうか。  それからもう一つ国連憲章には四十三条の特別協定ができない事態対処するための手当てがあります。これが憲章百六条というところでありまして、今回の湾岸戦争に際してなぜこの百六条に安保理は進まなかったのだろう、その点私は非常に遺憾に感じているところなのであります。  それからまた、安保理が、例えばだれかが拒否権を発動したというときに、この憲章七章の措置をとることができない場合には、たしか朝鮮戦争のときに、一九五〇年十一月三日に国連総会で可決をされたいわゆる平和結集の決議というものがあって、そしてこの中には、必要ならば兵力の行使を含めて加盟国に対して集団的措置のために適当な勧告を行う目的をもって緊急特別総会を開き、審議することができる、こういう決議をしましたね。そして、その後一九五六年十月のスエズ運河事件あるいはハンガリー事件でこの平和結集の決議というものが国連によって認知された、確認されたと言われているわけです。ですから、百六条が発動されない場合には、総会による平和結集の決議でいわゆる兵力的措置というものもとり得るわけですね。そういう世の中がどんどん動いているときに、我が国は、それからそれを見きわめつつ考えていこう、こういうことなんですか。いかがですか。
  205. 池田行彦

    池田国務大臣 ただいまの御質問防衛庁長官の立場で御答弁申し上げるのが適当な問題かどうか、いささか疑問を持つわけでございますけれども、ただ、一般的に申しまして、国連が平和を守っていくためにいろいろな手段がある、それは今先生御指摘のとおりでございます。百六条もございますし、総会決議をやった例もあるわけでございます。しかし、先生御承知のとおり今国際情勢が非常に大きく変わってまいりまして、ようやく冷戦構造を超える時代を展望できるような時代に入ってきた。そういった意味で、国際連合が本来想定しておったような役割を果たせるような環境、条件が整備されてくることを期待したいし、また、そういった方向に向かって各国が努力しなければいけないという時代に入っておるのじゃないかと思うのでございます。ですから、そういった新しい時代を踏まえながら、さて、国連のそういった平和を維持するための機能をどう考えていくかということで、我が国国連加盟国の一員として対応すべきじゃないかと一般的には考えます。  そういったことでございますので、四十二条、四十三条についても、現にこれは条項があるのだから今日の段階から十分勉強しておくべきじゃないかという先生の御主張もよくわかりますけれども、一方でそれだけ国際情勢が動いているということがございますので、そういった国際情勢の変化に国連としてどう対応していくかという、それを見ながら、具体的なケースについて我が国としてどう対応するかということを検討するしかないのではないか、このように考える次第でございます。
  206. 冬柴鐵三

    冬柴委員 これは厳密な論議をしたり、あるいは後日このところで防衛庁長官がこう言われたというふうに引用して論ずるつもりで言っているわけじゃなしに、所信表明に対する防衛庁長官のお考えを伺っているわけです。もちろん、厳密ということになれば所管庁がありましょう。そのような前提で結構ですが、いずれにしましても、今回の湾岸における多国籍軍というのは、今私がいろいろ挙げましたこの国連憲章上のいわゆる国連軍ではないというところに非常に大きな問題があったと私は思います。それで、それを橋渡し、ブリッジするために六七八決議を引き合いに出されるのですが、この六七八というのは国連憲章上非常に大きな法律的問題点があるというふうに私は思っているわけです。それを申し上げますので、感想だけ聞かせてほしいわけです。  まず、形式的要件としまして、憲章二十七条三項は、安全保障理事会の決議の成立要件を規定していますが、そこには、安保常任理事国の同意投票を含む九理事国の賛成によって成立する旨が規定されているわけです。ところが、今回六七八が出るまでにこれを含めて十二の安保理決議がありますけれども、中国は十一まで賛成をしましたが、この部分についてのみ棄権という形をとりました。棄権は同意投票なのでしょうか、そこをお尋ねします。
  207. 小松一郎

    ○小松説明員 国連憲章の解釈にかかわる問題でございますので、まず私の方から御説明させていただきたいと思います。  御指摘のとおり、安保理決議六七八は一九九〇年十一月二十九日、賛成十二、反対二、これはキューバ、イエメンでございます。棄権一、これは中国でございます。これにより採択されたものでございます。国連安全保障理事会の表決に関する確立された国連の慣行によりますと、常任理事国の投票の棄権は反対投票とはみなされない、こういうこととされておりまして、同決議は、投票を行った全常任理事国の同意投票を含む九理事国以上の賛成投票を得たものでございます。したがいまして、国連憲章第二十七条第三項により、決議六七八は国連憲章上有効に採択されたものであると認識しております。  なお、安保理決議六七八の採択の際に安保理で行われました中国代表の発言においても、中国は本決議に反対票を投じるものではないという旨を明確に述べた上で棄権をしております。
  208. 冬柴鐵三

    冬柴委員 反対をしたわけじゃない、棄権したのですね。棄権したのは同意投票じゃないわけです。  それで、確立したということを今言われましたが、これは恐らく朝鮮戦争のときのことを言われたと思うのですが、あのときは確かにソ連は同意投票しませんでした。しかしながら、その前から中国の加盟をめぐって、いわゆる安保常任理事国としての権利を行使していなかった状態が続いていたわけであって、そういうことにかんがみ今言われたようなことが言われたわけであって、今回のように、この席に出席をし、そしてその表決に際して意見を述べながら棄権をするということは、反対をしたわけではないけれども少なくとも同意をしたことではない。これは法律家の常識だと思いますが、ここで私が言いましても蟷螂のおのでしょうけれども、私はこれを私の考えとして議事録にとどめておいてほしいと思うのです。  それからもう一つ、今のは形式的要件ですが、実質的要件においても欠けていたと思います。これは、このような武力行使を容認する根拠としては国連憲章四十二条があると思います。違うパターンをとりましても、この四十二条の要件というものは大事にしなければならぬ問題であると思います。  四十二条は何が書いてあるか。これは「安全保障理事会は、第四十一条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。」  ここに「四十一条に定める措置では」という四十一条の要件がまずあって、それだけでは「不充分であろう」「又は不充分なことが判明した」と認めなければならない。これは何かというと、今回四十一条に基づいてとられた経済制裁が十分であったか不十分であったかというところが非常に大事なところだったわけです。ところが、十一月二十九日のこのときに、この点が論議されましたか。そして、このときには少なくともイラクの輸出の九五%、輸入の九〇%は完全に閉塞されていまして、いまだかつてない経済制裁の効果を上げていたという事態なんです。私は、この十一月二十九日の時点でもこの要件は判断しなければならないし、一月十五日の時点でも判断しなければならない実質的要件の一つだと考えておるわけですが、この二つについて考えられなかったということは非常に残念に思うわけですけれども、その点についてお考えを示されたいと思います。
  209. 小松一郎

    ○小松説明員 まず、国連憲章の関係について御説明させていただきます。  同様の御質問は昨年の国連協力特別委員会でいただいておるわけでございますが、憲章四十二条に基づく措置をとる際に同条に定める要件を満たさなければならないというこの御指摘はそのとおりでございます。他方、安全保障理事決議六七八に基づきますいわゆる多国籍軍の行動が国連憲章四十二条に基づく軍事的強制措置の要件を充足していないのではないか、こういう御趣旨であると理解するわけでございますが、安保理決議六七八に基づきまして湾岸における平和回復活動に当たったいわゆる多国籍軍が、国連憲章四十二条及び四十三条が基本的に想定しておるような国連軍に当たらないということは既に予算委員会等で政府側より繰り返し答弁申し上げておるとおりでございます。  ただ、実質要件という御指摘でございますが、この安保理決議六七八は、経済制裁の実施を含めまして国連によるあらゆる努力にもかかわらず、イラククウェートからの即時、無条件撤退を求めた安保理決議六六〇及び類似の関連諸決議の履行を拒否しておる、こういう状況のもとで、イラクに対し決議六六〇及び類似の関連諸決議を履行する最後の機会を与えるということとともに、イラクが本年一月十五日以前にこれらの決議を完全に履行しない場合には、クウェート政府に協力しておる加盟国に対して、これらの決議を堅持し、かつ実施し、湾岸地域における平和と安全を回復するために武力の行使を含むあらゆる必要な手段をとる権限を憲章第七章に基づき与えたもの、こういうものでございまして、実態的には、武力の行使に先立ちまして他の解決の方途が十分に尽くされた上での措置と認識しております。
  210. 冬柴鐵三

    冬柴委員 後で防衛庁長官に聞きたいのですけれども、今の七章というのがくせ者でして、侵略の認定は三十九条、きちっと書いていますね。それから武力を八月二日以前の状態に引き戻して出ろという、これは四十条の規定に基づきますし、この経済制裁は四十一条。あと四十二条しかないのですよ。それで、これが国連軍でないということになれば、まさになぜ我々がそれに対していろいろな助力をしなければならないかという議論の根幹に触れる問題になってくるのですよ。ですから、少なくとも実質的要件はいかなる場合であってもこの四十二条の、今の経済制裁が役に立ってない、どうしてもこれだけでは相手を強制するに不十分だということが見きわめられないとできないというのが憲章四十二条の法意、立法趣旨でありまして、その点についてどうも欠けているように私は思うのです。まあ、事務方の意見はそれでいいわけですが、防衛庁長官はどうですか。
  211. 池田行彦

    池田国務大臣 今回のもろもろの措置国連憲章上の関係あるいはその決議の有効性等につきましては、先ほど来外務省から御答弁申し上げているとおりでございます。私から申し上げることはございません。  ただ、今実質的要件というお話ございましたけれども、先生もいろいろ御指摘ございましたけれども、現に八月二日にああいったイラクによるクウェートへの侵略、併呑という事態が起こった、それから経済制裁等の措置をずっとやってまいったわけでございます。そうして、イラクの輸出入の九割以上というお話ございましたけれども、確かにそういった輸出入九割以上とまったかもしれませんけれども、現実に十一月二十九日の時点においてもサダム・フセインの軍はクウェート侵略しておった、そしてまた、期限といたしました一月十五日までさらにいろいろな説得活動その他のことを続けたわけでございますけれども、現実にイラククウェート侵略事態は変わらなかったわけでございますので、やはりそういった事態を踏まえての平和回復のための活動であったということを考えるならば、いわゆる先生おっしゃる実質的な要件というものも充足しておったと考えるべきではないか、このように思います。
  212. 冬柴鐵三

    冬柴委員 もう少し経済制裁の結果を見きわめるべきだったとか、そういう心情的なことを私は言っているわけじゃないのです。法律的に経済制裁の効果が効いているじゃないか、それは四十二条の要件と真正面からバッティングする事実の存在だ、こういうふうに私は言っているわけです。これは議論にわたりますから差し控えますが、特例政令、どうされるのですか。
  213. 池田行彦

    池田国務大臣 御承知のとおり、今回自衛隊法百条の五に基づいて制定いたしました政令第八号は、今回の湾岸の危機でございますこの事態に伴い生じた避難民の輸送、そういったニーズに対応して制定したものでございます。そうして今、一応湾岸地域における戦闘行為は停止したということになっております。しかし、今回の政令の対象は、あくまで湾岸危機に伴い生じた避難民ということでございますので、そういった意味ではまだそういったニーズが具体化する可能性は存続しておる、このように考えてますので、私どもとしては、その政令も依然として必要性はあるもの、このように考えております。  そうして一方、もしただいま申しましたようなニーズというものが完全になくなった、こういう事態が参りましたら、その時点では、先生御存じのとおり、政令廃止という措置をとるまでもなくいわば実際上の効力を失う、こういうふうな性格の政令になっておるわけでございます。  それはそうでございますけれども、そういった事態であってもやはり具体的に政府として何らかの措置をとるということは、これはもちろんあり得るわけでございまして、その点につきましては総理が参議院の予算委員会でございましたか、そこの御答弁の中で、そういったニーズがなくなったとはっきりした場合には、正確な言葉は忘れましたけれども、内閣としてきちんとした政治的な判断をして処理をする、こういう御答弁を申し上げておる次第でございます。
  214. 冬柴鐵三

    冬柴委員 これは所管庁は防衛庁でありますので、総理や官房長官が廃止を閣議でするとかどうとかいう前に、やはり防衛庁として、その事態がなくなれば廃止政令をちゃんと閣議にかけて出す、そういう答弁がひとつ欲しいですね。その点をいただいて、私の時間終わりのようですから、終わらしていただきます。
  215. 池田行彦

    池田国務大臣 現在まだ、先ほど申しましたようにニーズが存続しておる、このように私ども考えておりますので、現在の段階ではこの政令は維持してまいります。そのニーズが完全になくなったという事態になりましたら、その段階で考えまして、適切な対応をしてまいる所存でございます。
  216. 冬柴鐵三

    冬柴委員 では、終わります。
  217. 中山正暉

    中山委員長 次に、東中光雄君から質疑の通告があります。これを許します。東中光雄君。
  218. 東中光雄

    ○東中委員 今国会は、湾岸危機をめぐりまして非常に勇ましい言葉がいっぱい出てまいりました。自民党の総務会長が本会議場で、空想的一国平和主義の意識革命をやらなければいかぬということを言われました。それから総理も、いずれの国家も自国のことのみに専念して他国を顧みない、こういうのはいけない、一国平和主義はいけない、国際協調主義の考え方に立たなければいかぬということを盛んに何回も強調されております。防衛庁長官も、国際の平和と安全のために我が国として金の面のみならず人の面でも貢献しなくちゃならぬ、防衛庁といたしましても、人の面での貢献という観点から自衛隊機の使用の可能性について検討する、こういうふうに言われておりますね。  要するに、一国のことだけ考えていたらいかぬぞ、他国のこともやらなければいかぬ、だから湾岸危機のようなことが起こったらそれに対する国際協調で協力をするんだ、防衛庁といたしましては。こういうふうに言われているのですが、一国平和主義じゃいけませんか。     〔委員長退席、増子委員長代理着席〕
  219. 池田行彦

    池田国務大臣 私は、一国平和主義という言葉の場合には、括弧つきでいわゆる一国平和主義というべきかなという感じもいたします。しかし、いずれにいたしましても、一国平和主義がどうかという議論は余り実りのあるものじゃないと存じます。  私どもといたしましては、やはり何といいましても、日本国民が平和のうちに、そうして満ち足りた暮らしを送っていくということを大切にしなくちゃいけないと思います。しかしながら、現在のように相互依存関係にございます世界の中で、しかもこれだけのいろいろな面から見まして大きな地位を占めるに至りました日本が、自国の平和、そして自国の生活を守っていこうといった場合には、やはり国際協調の考えのもとに処していかなくてはならないのではないか、このように考えている次第でございます。
  220. 東中光雄

    ○東中委員 自衛隊というのは専守防衛だとおっしゃいますね。それから、日本のことだけを考えるわけでしょう。日本に対する侵略があったらそれを排除する。隣りであろうが、何しようが、それは関係ないのですね。専ら日本のことだけを考えるという建前になっていますね。そうすると、自衛隊はまさに一国平和、いわゆる一国平和主義であるべきものなんじゃないですか。ほかのことを心配して出て行くというものじゃないでしょう。
  221. 池田行彦

    池田国務大臣 我が国は全体として国際協調のもとでしか生きていけないし、国際協調を考える中でしか私ども自身の平和を守れないということは、先ほど申し上げたとおりでございます。  さて、その中で自衛隊は一国平和主義だろうという御指摘でございますけれども、我が国の憲法、その中での自衛隊の位置づけというものを考えました場合に、これは専守防衛あるいは受動的な姿勢をとる、こういうことでございます。だから、自衛隊の任務というのは基本的に我が国自体の安全を守るということでございます。それはそのとおりなんでございますけれども、しからば自衛隊というものは一切国際協調あるいは国際的な貢献という場でお役に立つことができないかといいますと、それはまた違うんだと思うのでございます。基本的な、一番大切な任務でございます我が国を守るという意味では受動的な姿勢をとるわけでございますけれども、例えば今回の湾岸において湾岸危機に伴い生ずる避難民の輸送をするといった仕事につきましては、これはいわゆる軍事力の行使だとかいうようなものではもちろんないし、人道的な観点のものでございますから、これはそういったものとして自衛隊が国際貢献役割を果たすということは、我が国の憲法あるいは先ほど申しました専守防衛とか自衛隊の受動的な姿勢というものと矛盾するものではない、このように考えております。     〔増子委員長代理退席、委員長着席〕
  222. 東中光雄

    ○東中委員 それはえらい考え違いだと私は思っています。それは後でただしてまいりますが。  日本国憲法は、自衛隊が国権の発動たる戦争、それから武力の行使、武力による威嚇、そういうことをやることはできないということは九条一項からして当然だと思いますが、そうじゃございませんか。
  223. 池田行彦

    池田国務大臣 自衛隊は、我が国の憲法、そして憲法九条のもとで存在しておるものでございます。したがいまして私どもは、我が国が独立国として当然持っておる自衛権、その中でも現在の憲法のもとで行使を認められる個別的自衛権、それを現実的に担保していく実力といたしまして必要最小限防衛力を備えている、そういったものだと考えております。
  224. 東中光雄

    ○東中委員 国際紛争を解決する手段として武力の行使をすること、あるいは武力による威嚇をすること、あるいは国権の発動たる戦争をやるということは、自衛隊はできないということは当然のことだと思うのですが、法制局いかがですか。
  225. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいまのお尋ねは憲法九条と自衛隊との関係ということでございますが、従前から政府がとってきている見解を申し上げることになるわけでございます。  憲法九条、これはただいま委員が御指摘になりましたような規定内容でございます。しかしながら、その憲法九条は我が国が主権国として持つ固有の自衛権までも否定したものではなく、その自衛権の行使を裏づける自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、もとより同条の禁止するところではないというふうに考えているわけでございます。そしてまた、同条第二項で保有することを禁止している戦力というものは、自衛のための必要最小限度の実力を超える実力を言う、したがって、そのような超える実力の保持を禁止しているという趣旨であるというふうに政府は従前から解してきているわけでございます。  したがいまして、自衛隊は、自衛隊法にも明記してございますとおり、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つための不可欠の機関でございまして、その限度内の実力組織であるということで、決して憲法に違反する存在ではないというのが私どもの考え方でございます。
  226. 東中光雄

    ○東中委員 自衛隊は憲法違反だと政府が言っているとは私は一つも主張してないです。問題は、自衛隊は、侵略があった場合にそれを排除する自衛権があるから、自衛権を行使するための実力組織であって、陸海空軍その他の戦力ではないんだ、武力の行使をやっても、軍隊の武力行使のような外観をとっても、それは侵略に対する自衛組織としての自衛権の発動のための実力組織なんだと、こういう構想でしょう。違いますか。私の言っていることは違いますか。政府の見解はそういうことじゃなかったのですか。
  227. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいま委員が御説明になりました言葉の趣旨がどのようなものであろうかということを、こちらといたしましても若干理解しかねる点がございますので、私どもの申し上げているその内容は先ほど私が申し上げたとおりであるというふうに御理解いただきたいと思います。
  228. 東中光雄

    ○東中委員 それでは、陸海空軍その他の戦力――その戦力というのは実力であって自衛権を発動するための必要最小限度のという、そういう抽象的な言葉ばかり使っているから、そのうちに世界第三位の軍事費になっているということにもなりかねない。今その議論をするわけではないんだが。その陸海空軍その他の戦力ではないということは、ランド シー アンド エアフォーシズ アズ ウエル アズ アザー ウォーポテンシャルというふうに、日本国憲法の正訳というか英文憲法というか、当時憲法が制定されたときに連合軍に出した最終的な訳はそうなっていますね、だから、そのときは自衛隊はなかったわけだけれども、自衛隊はランド シー アンド エアフォーシズ アズ ウエル アズ アザー ウォーポテンシャルではないということなんですね。それには該当しない、これはいわゆる軍隊ではないということなんですか、国際法上で言う軍隊ではないと。
  229. 小西正樹

    ○小西説明員 自衛隊は国際法上軍隊として取り扱われるかという御質問だと解しますが、自衛隊は憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ないといったような厳しい制約を課されておりまして、通常の観念で考えられるような軍隊ではないと言えると思いますが、国際法上は軍隊として取り扱われるというふうに考えております。
  230. 東中光雄

    ○東中委員 軍隊ではないが軍隊として取り扱われる、今こういう御答弁でしたね。  軍隊ではないのです。そして日本は憲法九条の一項を実現するために、その目的のために軍隊でない自衛隊しか持てないことになっているのです。しかも国の交戦権を否定しているのですから、自衛隊は交戦権は持っていませんよね。国際法上で言う交戦権も持っていないということではございませんか。
  231. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、憲法九条の第二項は、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」このように規定しております。したがいまして、自衛隊はやはり「国の交戦権は、これを認めない。」という規定の適用を受けることは間違いございませんので、憲法九条二項に言う交戦権は有しないということは御指摘のとおりであろうかと思います。
  232. 東中光雄

    ○東中委員 憲法九条二項で言っている交戦権は国際法上の交戦権と同じであるという趣旨のことは、内閣法制局の答弁書で書いてあるじゃないですか。違いますか。
  233. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 国際法上の交戦権と憲法九条二項に言う交戦権との異同という問題に関係するわけでございますが、私どもが憲法九条で保持しない、これを認めないとしている交戦権とはいかなる意味であるかということにつきましては、これは戦いを交えるという意味ではなくて、交戦国が国際法上有する種々の権利の総和である。相手国兵力の殺傷及び破壊、相手国領土の占領、そこにおける占領行政、中立国船舶の臨検、敵性船舶の拿捕等の権能を含む、このような交戦権は自衛隊は有しないということでございます。
  234. 東中光雄

    ○東中委員 聞いていることに答えぬで、何言っていますか。この答弁書の最後に、「なお、国際法上も、交戦権は、通常、右に述べたような意味に解されている。」そう書いてあるではないですか。そのことを聞いたら、一番前の聞かぬでもいい、わかっていることを答えるということは、第一部長、あなたは本当にまじめじゃないよ。  それで今度は、国連憲章の四十二条によるいわゆる正規の国連軍、それから四十三条にも加盟国が兵力、便益、援助を提供する約束をしているという問題がありますね。この国連憲章四十二条あるいは四十三条で言う「兵力」というのは、あるいは四十二条で言うている「空軍、海軍又は陸軍」という言葉が二回出ますが、これは日本国憲法第九条二項に出てくる「陸海空軍その他の戦力」ということを、先ほど私は英訳文を言いました、それと全く同じ言葉を使っていると思うのですが、四十二条関係ではエア シー オア ランドフォーシズというふうに二回使っています。四十三条では、一項の方の兵力はアームドフォーシズというふうに英文では国連憲章はなっています。それから二項の方はフォーシズ、アームドがない。日本訳は同じ兵力になっていますけれども、こういうふうになっている。だから、ここに言う兵力提供の義務を日本は四十三条で約束したことになるのかならないのか、これも法制局第一部長にお聞きします。
  235. 中山正暉

    中山委員長 法制局第一部長を御指名ですか。
  236. 東中光雄

    ○東中委員 ええ、法制局がそういう見解を発表しているではないですか。
  237. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいま御指摘国連憲章四十二条には確かに「空軍、海軍又は陸軍の行動」という言葉があり、また四十三条には「必要な兵力」という言葉がございます。これと憲法九条にいう「陸海空軍その他の戦力」というその概念が同じであるかということでございますが、その件に関しましては、結局のところ我が国国連加盟に際しまして四十二条、四十三条に対してどういう態度をとったかということに絡む問題であろうと思います。この点に関しましては、前国会特別委員会におきましても、自衛隊が憲章四十二条に言う空軍、海軍、陸軍に参加することができるかという観点から何度も御質問をいただきまして、それに対しまして、委員も御案内のとおり、私どもの方から幾度にもわたって答えてきているわけでございます。  その内容は、ここで繰り返して申し上げませんが、要するに国連憲章七章に基づく国連軍への我が国の関与の仕方、参加の態様につきましては、現在まだ研究中であり、結果をいまだ明確に申し上げる段階ではない、結論的にはこのように申し上げてきたところでございまして、その点についてはなお研究を続けさせていただきたいと思っている次第でございます。
  238. 東中光雄

    ○東中委員 国連憲章がつくられたのは一九四五年でございます。日本国憲法が公布されたのはその翌年の一九四六年であります。そして、日本国憲法は、制定時の事情からいって、審議の中でいろいろ変わっていったけれども、これは英文と日本文と両方とも同時に実質的にはつくられている、そういうふうに理解をしています。そして、ランド シー アンド エアフォーシズ、日本文はそうなっている。国連の方は順番が違っておって、エア シー オア ランドフォーシズ、全く一緒なんですよ。日本国憲法の方はもっと広いのですね、「その他の戦力」というものがありますから。だから、これが同じように対応するものであるということ。兵力という言葉を使ってあっても、これは例えば、先ほどあなたは四十三条には兵力という言葉を使っておると言いましたが、英文の方は、英文も正文ですから、英文の方は一項は先ほど言うたようにアームドフォーシズということになっておる。二項はフォーシズとなっておる。日本語では同じ意味に兵力ということで使っておる。  そこで、アームドフォーシズと言うたら、例えばアメリカ軍だったら合衆国軍隊でしょう。ユナイテッドステーツ アームドフォーシズでしょう。だから軍隊なんですよ。ところが、日本自衛隊は軍隊じゃないのです。セルフディフェンス フォーシズ、こうでしょう。この間沖縄へ行ったときに自衛官の幹部の人たちが気楽な場所で、言ってもいいですかと言うて、セルフディフェンスと言われたらかなわぬ、自分を守るためのものか、何とかとれませんかということを言うていました。性質が違うのです。憲法上の性質が違うのです。アームドフォーシズ、それからセルフディフェンス フォーシズというのは性質が違うのです。日本は、陸海空軍その他の戦力を持たないという日本国憲法のもとでは、この国連憲章の第四十二条、四十三条に書いてある兵力提供の約束なんかできないのです。だから、国連に加盟するときにそのことをはっきりと岡崎外務大臣は言うたじゃありませんか。ここでは、日本文にすれば、この間海部総理大臣も何回か言いましたけれども、「その有するすべての手段をもつて、この義務を遵奉することを約束するものである」というふうに昭和二十七年六月十六日、日本国外務大臣岡崎勝男は言うた。それは英文にすると、バイ オール ミーンズ アット イッツ ディスポーザル、こういうふうになっておる。ディスポーザルというのは、日本が担い得るすべての努力、すべての手段ということで、「その有するすべての手段をもつて、」やる。有しないもの、憲法第九条二項によって保有しないと言うたもの、それではその義務を遵守することはできない。「その有するすべての手段をもつて、」と言うているのは、日本国憲法でランド シー アンド エアフォーシズ アズ ウエル アズ アザー ウオーポテンシャル、これを保持しないのだから、有しないのですから、有しないものではやらないという条件をつけて入ったのだ、これは憲法調査会で西村条約局長が、そういう形では言っていないけれども、そういう趣旨のことを言っているわけです。  ですから、日本国連軍に協力する義務がないだけでなしに、協力するフォーシズはないのです、自衛隊はフォーシズじゃないのだからやれないのだということになると思うのですが、どうですか。
  239. 小西正樹

    ○小西説明員 国連に加盟する際の経緯のお話でございますので、そこにさかのぼって御説明させていただきたいと思います。  我が国が昭和二十七年六月十六日付の岡崎外務大臣発リー国連事務総長あて書簡をもって国連に対する加盟申請を行いましたが、その加盟に当たりまして、我が国が何らかの留保をしたというふうには考えておりません。  一般に、国連国連憲章第四十二条に基づく軍事的な強制措置を決定する場合に、これに対する加盟国の協力というものの具体的な内容は、憲章第四十三条に基づいて、安全保障理事会と加盟国ないし加盟国軍との間で締結されます特別協定により定めることが想定されているところでございます。それで、兵力の提供を含めまして特定の内容の協力が義務となっているわけではございません。こういった背景を踏まえれば、そもそも我が国として国連憲章上の義務を履行し得なくなるというようなおそれは考えられないわけでありまして、今先生からお話がありました「有するすべての手段をもつて、」という表現も留保ではございませんで、むしろ、我が国国連加盟国としての義務を遂行するに当たりその有するすべての手段をもつて行うということについて明らかにしたものでございます。その目的は、国連憲章の義務の尊重を強調するということにあったわけでございます。  西村条約局長のお話がございましたが、これは国連加盟申請書を発した際の条約局長ではございません。国連加盟申請書を発したときの条約局長であった下田条約局長は、政府憲法調査会等の場におきまして、現実問題として憲法第九条のために国連加盟が妨げられ、国連憲章上の義務を遂行し得なくなるというような危惧を政府が抱いたことはないというふうに述べております。  したがいまして、以上申し上げたことから明らかなように、我が国国連加盟に当たりまして何らかの留保をしておるというふうに私どもは考えておりません。
  240. 東中光雄

    ○東中委員 今言われた書簡にも、さっき読んだ宣言と全く同じ言葉で、同じ文章が入っておるということです。あなたは宣言は殊さら避けて言いましたけれども、同じことです。  それから、この宣言にしても書簡にしても、義務を受諾するということだけでいいのを、さらにつけ加えて、あえてアット イッツ ディスポーザルという言葉をつけ加えたのです。バイ オール ミーンズだけでいいものをあえてそういうのをつけ加えたのはなぜかというと、当時の西村条約局長が憲法調査会のときに説明しておるじゃありませんか。わざわざつけ加えてあるのだから、下田さんがどう言おうが、そんなことではないのです。そして、日本国憲法と国連憲章と陸海空軍という点では同じ言葉でしょう。ないのだもの、だから有するものでやります、これが極めて素直な話じゃないの。そういうことで来たものを、今さら何を言っておるかということであります。集団的自衛権云々の話が出たり、とにかくとんでもない、湾岸問題が起こってからの若い学者の議論はむちゃくちゃを言うものだから、そういうことで論拠が変わってきておることは許されぬことだということをはっきりして、時間ですから終わります。
  241. 中山正暉

    中山委員長 以上で防衛庁長官に対する質疑は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十七分散会