運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1990-12-07 第119回国会 参議院 社会労働委員会育児休業制度検討小委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年十二月七日(金曜日)    午後三時三分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     小委員長        小野 清子君     小委員                 清水嘉与子君                 西田 吉宏君                 前島英三郎君                 糸久八重子君                 菅野  壽君                 木庭健太郎君                 沓脱タケ子君                 乾  晴実君                 勝木 健司君                 西川  潔君    事務局側        常任委員会専門        員        此村 友一君    説明員       労働省婦人局長   高橋柵太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○育児休業に関する件     ─────────────
  2. 小野清子

    ○小委員長小野清子君) ただいまから社会労働委員会育児休業制度検討小委員会開会いたします。  本日は、育児休業問題の今後の取り扱いについて御議論願うわけでありますが、その前に、まず、これまでの議論について小委員長として整理をしてみたいと思います。  去る六月二十二日には、現在国会に提出されている四党共同提案育児休業法案説明が行われ、また、同日共産党から、十一月八日には自民党から本小委員会の場でそれぞれの考え方が示されております。  これら三者の意見の主要な論点をお手元の資料のようにまとめてみました。  第一に、労働者が求めたときは、男女ともに子が一歳に達するまで育児休業を取得できることとすることについては、三者とも一致しております。  第二に、育児休業中の手当については、四党法案及び共産党考え方では、給付割合は異なるものの、労働者所得保障するための経済的給付を考えているのに対し、自民党ノーワーク・ノーペイ原則から手当の支給は適当でないとしております。  第三に、不利益取り扱いについては、四党法案及び共産党考え方では、これを禁止するべきであるとしていますが、自民党は、制度を否定するような不利益取り扱いは許されないはずであるとして特段の規定は設けないこととしております。  第四に、担保措置については、四党法案においては罰則を設けていますが、自民党罰則を設けないという考え方であります。  第五に、中小零細企業への配慮について、自民党弾力的措置検討するとしていますが、四党及び共産党助成措置等検討すべきであるとしています。  以上のようなものが主要な論点かと思いますが、これらの点について、各党より、御意見なり補足すべき点などあれば、順次御発言願います。
  3. 前島英三郎

    前島英三郎君 今、小委員長の方から議論整理につきまして取りまとめた結果が御報告されたわけでございますが、また、何回かの小委員会を開くに当たりまして各委員先生方の御意見も私ども伺ったわけでありますが、自民党といたしましては、これ以上の議論が行われましても各党各会派がこの小委員会の場で歩み寄るというのはなかなか難しいのではないかという感じがいたします。この辺で政府に預けていただきまして、そしていろんな時間的な制約もあると思いますので、立案作業を行わせてはどうかということを、この席で私どもは御提案申し上げたいと思いますので、お取り計らいをいただきたいと思います。
  4. 糸久八重子

    糸久八重子君 ただいまの自民党さんの御提案なんですが、私どもはこれまで七回にわたってこの小委員会の場で審議を行ってきたということを考えますと、全く白紙で政府に預けるということには反対でございます。  先ほど小委員長整理をなされました論点について、どういう方向政府立案をさせていくのか、自民党のお考えがあれば示していただきたいと存じます。
  5. 前島英三郎

    前島英三郎君 ただいま糸久先生のおっしゃられたとおりだと思いますので、私どもといたしましても、本小委員会で積み重ねてまいりました議論は十分尊重したいと考えております。  一方、余り多くの枠をはめてしまいますと、政府立案作業が進まなくなり、せっかく法制化の機が熟しているのがかえって難しくなるのではないかというふうにも思うわけであります。  そこで、お伺いいたしました御意見も十分踏まえた上で、御提案といたしまして、私ども考え方の柱となると思われる点を、これからお許しをいただき申し上げたいと思うわけでありますが、これに沿いまして政府検討していただければいいのではないかというふうに考えたわけでございます。  そこで申し上げますと、まず第一に、男女労働者が等しく育児休業を取得し得る制度とすること。  第二に、育児休業制度についての労働者の権利を実質的に確保できるような法律とすること。  第三に、育児休業期間中の何らかの経済的援助措置について検討をすること。  第四といたしまして、育児休業取得実効性を確保するための措置について検討すること。  第五に、中小零細企業につきましては、その経営の実態を踏まえて弾力的な措置を講ずること、というような五点に絞られるのではないかという気がするところでございます。  育児休業法制化に当たりましては、本小委員会における審議経過も踏まえまして、以上の点に留意して政府検討を行うことによりまして、成案を得るよう私どもといたしましては最大限の努力をいたしまして、政府にも努力を促してまいりたいと思っているわけでございます。  どうぞ、委員先生方に私の提案についてぜひともお諮り願いたいと存じます。
  6. 小野清子

    ○小委員長小野清子君) ただいまの前島委員の御提案について、何か御発言がございましたらおっしゃってください。
  7. 糸久八重子

    糸久八重子君 前島委員の御提案をお伺いいたしましたが、私ども野党四党、連合参議院法案を提出している関係から、やはりこの提案についての協議をしたいと思いますので、暫時休憩を求めたいと存じます。
  8. 小野清子

    ○小委員長小野清子君) それでは、暫時休憩いたします。    午後三時十分休憩      ─────・─────    午後三時三十分開会
  9. 小野清子

    ○小委員長小野清子君) ただいまから社会労働委員会育児休業制度検討小委員会を再開いたします。  それでは、野党協議の結果について御報告願 います。
  10. 糸久八重子

    糸久八重子君 それでは、四党及び連合参議院、それから同調者でございます参院クラブ、それから共産党も同調して話し合いをしたところでございます。  そこで、我々といたしましては、条件をまずつけたいと思うところでございますが、その前に、政府に起案させるということについては、自民党が立法府で成案を得る努力を放棄したということを非常に残念に思うところでございます。  そこで、私たちは幾つかの条件を申し上げまして、それにのっとっての労働省起案をぜひお願いしたい、そう思います。  それでは申し上げたいと存じます。  一、政府労働省に対し、立案に当たっては、育児休業制度検討小委員会における与野党合意事項はもちろん、一致しなかった点についてもその論議の状況を十分踏まえること、特に、休業期間中には何らかの所得保障措置を講じること、また、不利益取り扱いの禁止・原則原職復帰罰則等実効性を確保するための措置についても十分検討すること。  二、政府立案させるとしても、参議院社会労働委員会育児休業制度検討小委員会は存置し、四党共同法案についても引き続き審査できる態勢を残しておくこと。  三、今回の立案経過を踏まえ、政府案参議院先議とすること。  四、現行労働法体系上、民間労働者について育児休業制度法制化されれば、公務員についても当然、同様の措置が講じられることになるものと考えられるが、与野党としても、育児休業法制度は官民同時に制定施行されるべきものであり、このため必要な法的措置次期通常国会で講じられるべきであるとの見解を明らかにすること。  五、育児休業法制化に当たっては、現行特定職種育児休業法の水準を決して下回らないものとすることを保証すること。  以上、四党の条件を申し上げたいと思いますので、これにつきまして自民党側の御回答を得たいと存じます。
  11. 前島英三郎

    前島英三郎君 五項目にわたりまして、今糸久委員から問題の提起をされたわけでございますけれども立案に当たりましては、政府はこの小委員会での与野党意見が一致した点を尊重することは当然だと思います。一致しなかった点については、小委員会での議論を踏まえつつ政府立場検討をすべきものであると私たちは考えております。  四野党委員先生方所得保障が必要というお考え、我々は原則ノーワーク・ノーペイという立場に立っておるわけでありますが、これが我々と皆さん方との間に考え方の差があることは事実でありますし、そのほか実効性の確保の問題等についても同様だと思うんです。しかし、これらの問題は制度をつくる上で確かに重要な論点でありますから、政府立場においても十分に多角的な検討がなされるように我々も期待をしたいと、こう思っております。  それで、社会労働委員会育児休業制度の小委員会の存続は、これは私たち異論はございません。  皆さん問題提起三つ目といたしましては、参議院先議の問題ですが、これまで本問題について小委員会において熱心に討議してきたことを踏まえて、政府法案を提出する場合においても、そのような経過を十分尊重すべきであるという気持ちから出たことだと思うんですが、私としてはこれを真摯に受けとめたいと思っておりますが、しかし、法案先議云々の問題については具体的にどうということがお答えできない事情をぜひ御理解いただきたいと思います。  それから、四つ目現行労働法体系上の問題でありますが、これまでの取り扱いを見ましても、民間において法制化がなされれば、公務員についても同様の措置が講じられるようになることは、これはもう自然の流れであるという方向で私ども努力をしたいと、このように思っております。  五番目の問題でございますが、育児休業法制化に当たっては、現行特定職種育児休業法との問題でございますが、法制化問題の検討に当たっては、現行育児休業法趣旨は十分理解した上で進めてきたつもりでもございますし、現行育児休業法の適用の対象となっている方々にとりましても、二十一世紀に向かって後退のない形で制度が構築されることが望ましいと私たちは考えておるところでございます。  以上、かいつまんでお答えを申し上げました。
  12. 小野清子

    ○小委員長小野清子君) 御意見ありますか。
  13. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 異論ないんですが、前島委員から今の自民党のお話の中で、参議院先議の問題、これは小委員会意思決定をするということはできないという条件があるので、そうおっしゃったんだと思いますけれども、これはぜひ国対でもそのことを自民党としても実現のできることを強く要望しておきたいですね。
  14. 西田吉宏

    西田吉宏君 運営上の問題でしょう。これはやっぱり国対委員長のところへ行ったら政治上の重要な相談になる。これは議運に任せるべきですよ。
  15. 前島英三郎

    前島英三郎君 これは真摯に受けとめるという姿勢をもって……
  16. 西田吉宏

    西田吉宏君 これは僕らが言うと僣越だ。
  17. 前島英三郎

    前島英三郎君 ぜひ御理解をいただきたいと思います、よくその趣旨はわかりますので。
  18. 小野清子

    ○小委員長小野清子君) 昨年の第百十六臨時国会において、参議院社会労働委員会内に育児休業問題に関する小委員会が設置されて以来、一年有余にわたり育児休業制度について各方面にわたって検討を続けてまいりましたが、本日、本小委員会検討状況につきまして一定の整理が行われますとともに、次期通常国会において育児休業制度法制化を実現すべきである旨与野党委員意見の一致を見ることができました。今後の検討作業についてもそのような積極的な立場から与野党委員が歩み寄りまして、政府に本小委員会のこれまでの検討状況を踏まえ、法案作成に当たらせることにつき合意に達しました。  実りある結論を期待しておりました小委員長といたしまして、委員各位の御努力に敬意を表しますとともに、政府には、法案作成に当たり、以上のような経緯を十分踏まえるよう強く要請いたします。  この際、労働省高橋婦人局長発言を求めます。婦人局長
  19. 高橋柵太郎

    説明員高橋柵太郎君) ただいま小委員長より、政府において法案作成作業を行うようにとの御発言がございました。各党派それぞれの御見解に一致している点、あるいは一致していない点があり、大変難しい点もございますが、労働省といたしましては、これまでの小委員会での御審議経過を踏まえまして、多角的な見地から論議し、次期通常国会に向け、育児休業制度法制化を実現すべく早急に今後の成案づくりに向けて努力してまいりたいと思います。  今後とも、どうか御指導、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
  20. 小野清子

    ○小委員長小野清子君) 本小委員会は今後とも存置し、引き続き必要に応じて本問題を御議論いただくこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会