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1990-10-29 第119回国会 参議院 産業・資源エネルギーに関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年十月二十九日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────   委員氏名     会 長         田  英夫君     理 事         大木  浩君     理 事         中曽根弘文君     理 事         深田  肇君     理 事         白浜 一良君     理 事         高崎 裕子君     理 事         古川太三郎君     理 事         足立 良平君                 合馬  敬君                 狩野 明男君                 川原新次郎君                 鈴木 省吾君                 田辺 哲夫君                 永田 良雄君                 藤井 孝男君                 星野 朋市君                 向山 一人君                 本村 和喜君                 菅野  壽君                 対馬 孝且君                 西野 康雄君                 福間 知之君                 三重野栄子君                 中野 鉄造君                 神谷信之助君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会長          田  英夫君     理 事                 中曽根弘文君                 深田  肇君                 白浜 一良君                 古川太三郎君                 足立 良平君     委 員                 合馬  敬君                 狩野 明男君                 永田 良雄君                 藤井 孝男君                 星野 朋市君                 向山 一人君                 本村 和喜君                 菅野  壽君                 対馬 孝且君                 西野 康雄君                 福間 知之君                 三重野栄子君                 中野 鉄造君                 神谷信之助君    事務局側        第三特別調査室        長        大平 芳弘君    参考人        財団法人日本エ        ネルギー経済研        究所総合研究部        長        藤目 和哉君        財団法人中東経        済研究所研究主        幹        小島  直君        石油連盟専務理        事        能登  勇君        東京電力株式会        社取締役     加納 時男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○産業資源エネルギーに関する調査  (国際エネルギー情勢及び今後のエネルギー需給見通しに関する件)     ─────────────
  2. 田英夫

    会長田英夫君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  この際、一言御報告いたします。  本調査会調査テーマにつきましては、昨年の第百十六回国会におきまして、初年度において産業問題を、第二年度において資源エネルギー問題を、次いで最終年度に両者に係る所要の提言を含めて調査の取りまとめを行うことに決定させていただきました。  したがいまして、本年度資源エネルギー問題について調査を行うこととなりますが、その調査具体的テーマにつきまして先般理事会において協議いたしました結果、「エネルギー需給構造問題点と今後のあり方」というテーマエネルギー需給構造に関する諸問題について、地球環境問題を含む国際的な観点から検討することに決定いたしました。  さらに、具体的な調査方法といたしましては、まず中東紛争動向を含む新たな国際エネルギー情勢及び今後の需給見通しについて政府側及び参考人から説明及び意見を聴取し、次いで総合的な省エネルギー対策等を含めた需要構造あり方について、また地球環境保全観点をも踏まえたエネルギー安定供給確保のための供給源等あり方についておのおの参考人意見を聴取するとともに、必要に応じ関係箇所の視察を行いたいと存じます。  また、産業資源エネルギー関係で当面する課題についても理事会等で協議し、適宜調査対象といたしたいと存じます。  以上、簡単でございますが、理事会協議決定について御報告いたしました。委員各位の御協力をお願いいたします。     ─────────────
  3. 田英夫

    会長田英夫君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  産業資源エネルギーに関する調査のため、本日の調査会財団法人日本エネルギー経済研究所総合研究部長藤目和哉君、財団法人中東経済研究所研究主幹小島直君、石油連盟専務理事能登勇君及び東京電力株式会社取締役加納時男君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田英夫

    会長田英夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 田英夫

    会長田英夫君) 産業資源エネルギーに関する調査を議題とし、国際エネルギー情勢及び今後のエネルギー需給見通しに関する件について、参考人から意見を聴取いたします。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人の皆様から、国際エネルギー情勢及び今後のエネルギー需給見通しについて忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  議事の進め方といたしましては、各参考人からそれぞれ二十分程度意見をお述べいただいた後、委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、藤目参考人からお願いいたします。
  6. 藤目和哉

    参考人藤目和哉君) ただいま御紹介いただきました日本エネルギー経済研究所藤目と申します。よろしくお願いします。  私の方からは、お手元にお配りしました資料にありますように、「わが国のエネルギー需給構造の現状と将来」ということでお話ししたいと思います。  最初のページをあげていただきたいと思いますが、一九九〇年代に入ってエネルギー問題、非常に大きな課題を抱えております。  最近のエネルギー問題と課題については、ここに四つ掲げてございますように、まず第一に中東湾岸情勢の影響ということですが、一つはいわゆるエネルギー安全保障問題ということで、これは英語で申しますとエネルギーセキュリティーと申しますけれども、エネルギー安定確保という問題と、それから石油市場状況が非常に変化したためにそれに対応していかなければいけないということでございます。  第二番目に、エネルギー需要増勢省エネルギーの停滞ということで、これは一九八六年に原油価格が暴落しまして、その後原油価格が安いということもありましてエネルギー需要増勢に転じている。これはちょうどイザナギ景気以来という大型景気が始まったというころでもありますので、景気原油価格の低落、その他エネルギー消費産業、鉄鋼だとか化学等エネルギー消費産業回復ということでエネルギー需要が非常に増勢に転じております。もちろん省エネルギーが停滞しているという状況下で起こったことでもあります。  三番目に、原子力への反対ということで、これは一九八六年の四月にソ連のチェルノブイリで起きた事故を契機に我が国でも原子力への反対が非常に強くなった。これについて国民的な理解を求める必要が出てきたということでございます。  それから四番目に、地球環境問題と特に炭酸ガス、まあCO2と言っておりますけれども、炭酸ガス排出量の安定化問題が、これは以前からあったわけですけれども、一九八八年ごろから非常に国際的な問題として取り上げられてきたということでございます。  以上の問題の中でどう対応していくべきかということが非常に重要になってございます。  それで、ちょっと図を御説明しながらいきたいと思いますけれども、まずことしの六月に、こういった多くの問題と課題を受けて通産大臣諮問機関である総合エネルギー調査会が、ちょうど一年前といいますか昨年の六月ごろから検討が始まりまして、ちょうど一年後のことしの六月に新しい長期見通しを発表したということでございます。それについて御説明して問題点を浮き彫りにしたいと思います。  三ページ目に総合エネルギー調査会長期エネルギー需給見通しの推移ということで図を示してございます。これは横軸に二〇一〇年まで年をとっております。それから縦軸石油換算の億キロリットルでエネルギー総量を示してございます。総合エネルギー調査会昭和四十年に発足したわけですけれども、その後大体二年ごとぐらいに長期見通しを改定しております。  このグラフで、一番左の方の上にちょっと飛び上がっている線が二本ございますけれども、これが昭和四十五年、一九七〇年の七月に出した見通しで、石油換算で約十一から十二億キロリットル、そのぐらいの量を見ておりました。ただ、その後第一次石油危機が一九七三年、それから第二次石油危機が一九七九年に起きまして、経済成長もスローダウンし、省エネが進みあるいは産業構造が変化してエネルギー需要全体が下方修正されてきております。それが二年から三年ごとに下方修正されて、一番下にあります昭和六十二年十月、⑧と書いてありますけれども、これが約三年前に出された長期見通しでございます。これは非常に低い伸びといいますか、年率一・六%程度伸びということで非常に低い伸びを見ておりました。  ところが、その後景気回復とか原油価格の暴落があってエネルギー需要がふえ始めて、一九八七年以降エネルギー需要が大まかに言って年率五%程度伸びてまいりました。これはちょうど実質経済成長率とほぼ同じ程度伸びております。そういうことを受けて今回、すなわち平成二年六月に発表された見通しは前の見通しを上方修正してございます。  それで、四ページ目にその需給見通し構造が書いてございます。この需給見通しを見るときに一番重要なのは石油依存度と言われております。石油依存度を低下させるということがエネルギー政策の基本になりまして、逆に言えばエネルギー全体を省エネルギーで抑えて、石油代替エネルギーの開発、拡大を促進するということが政策目標の柱になっております。  一九七三年の第一次石油危機のころは石油依存度エネルギー全体の中での石油の占める割合が大体七七%ぐらいだったわけですけれども、その後原子力天然ガスあるいは石炭等拡大によって石油依存度がかなり減りまして、ここにございます一九八八年度では五七%まで減っているという状況でございます。ただ、この石油依存度、三年か四年前はもう少し低かったということで、最近やや増大傾向にあるということでございます。  それから石炭については、第一次石油危機石炭比率も増大して、八八年度では一八・一%になっているということでございます。天然ガスについては、これは非常にクリーンなエネルギーということで、発電用都市ガス用中心拡大してきまして、八八年度九・六%ということになっております。原子力については、一九七三年ごろはたしかエネルギー全体の中で〇・六%程度だったと思いますけれども、その後拡大して八八年度には九%ぐらいになっております。水力については、大体横ばい傾向が続いておりますけれども、八八年度では、シェア横ばいで四・六%ということでございます。あとエネルギーについては太陽エネルギー、現在では太陽温水器等中心ですけれども、全体の一・三%を占めている。地熱については〇・一%という構造になっております。  今回の見通しでは二〇〇〇年、二〇一〇年について見通したわけでございますけれども、石油については二〇〇〇年で五一・六%、二〇一〇年で四六%まで依存度を減らすという方向が出ております。石炭については、二〇〇〇年までは量的にかなりふえますけれどもその後横ばいということで、一億四千二百万トンで横ばいということでございます。これは明らかに炭酸ガス排出量の多い石炭を抑制していこうという方向が出ていると思いますけれども、パーセントで申しますと、二〇〇〇年に一七・四%、二〇一〇年に一五・五%とシェアをかなり下げていくという方向がとられております。天然ガスについては、硫黄酸化物窒素酸化物も少ないわけですけれども、炭酸ガスについても排出量が相対的に他の化石燃料、すなわち石炭石油に比べて少ないということで、かなり拡大する方向が出ております。二〇〇〇年に一〇・九%、二〇一〇年に一二%という方向が出ております。  原子力については、これは安全性等の問題でいろいろ立地の確保が難しい状況ではありますけれども、炭酸ガスを出さない等、それから準国産エネルギーで安定的であるということで、二〇〇〇年にエネルギー全体の一三・二%、二〇一〇年にエネルギー全体の一六・七%とかなり大幅に拡大する方向が出ております。二〇一〇年に七千二百五十万キロワットというのは、現在約三千百万キロワットですから今後四千万キロワットをふやすということで、いわゆる百万キロワット級の原子力発電を約四十基これから動かしていくということで非常に高い目標と言われております。  それから、水力については比率はむしろ落ちていく、量的にはふえていくわけですけれども、そういう状況になっております。新エネルギーについては、今後太陽エネルギー中心あとアルコール燃料等今後もふやしていくということで、二〇一〇年に五%程度までふやすという方向が出ております。  これは、全体として石油依存度を落としていくということと、地球環境問題で特に地球温暖化防止ということで、炭酸ガス排出抑制のために省エネルギーとそれから石油代替エネルギー積極的拡大ということが中心になっております。  ここにはちょっと出ておりませんけれども、伸び率で一九八八年から二〇一〇年までエネルギー需要全体が年率一・五%ほどふえるということでございます。経済成長率については大体年率三・五%で伸びると見ておりますから、エネルギー伸び率経済成長率に比べるとかなり伸びを抑えるという方向が出ておりまして、これは省エネルギー力点があるということでございます。  それから、五ページ目は、今申しましたことを数字でわかりやすくということでとりました。今回の総合エネルギー調査会見通し政策目標年度を二〇一〇年度に設定したということでございます。この総合エネルギー調査会の新長期見通しというのは、見通しという言葉はちょっと誤解を与えるわけですけれども、決して予測的なものではなくて、むしろ政策目標を設定してそれに対してどう対応したらいいかという考え方に基づいてつくられているということでございます。  ここに石油依存度最初に出ておりますけれども、従来の見通しでは二〇〇〇年度で四五%まで落とすという目標だったわけです。それが二〇〇〇年度に五二%程度を占めることになり、二〇一〇年度に四六%ということでやや十年程度目標達成が先に延びるというような状況になっております。  原子力については、原子力依存度という言葉がありますけれども、エネルギー全体の中で原子力依存度を従来の見通しでは二〇〇〇年度に一六%ということだったわけですが、新しい見通しでは一三%程度、二〇一〇年度に一七%に上げるという方向になっております。原子力については、発電量の中での比率という数字がありますけれども、現在二七%程度、電気の中で二七%が原子力によってつくられているということでございます。従来の見通しでは四〇%程度を二〇〇〇年度に達成するということだったのですけれども、今回の見通しでは電力需要伸びをやや大き目に見ているということで原子力は三五%程度、ただ二〇一〇年度になると四三%程度に持っていくという方向であります。  それから新エネルギーについては、二〇〇〇年度に従来の見通しですと四・五%、大ざっぱに言いますと五%程度を達成するということだったわけですけれども、新しい見通しでは三%程度ということで、二〇一〇年度で五・二%になるという見通しでございます。  今回の見通し特徴の中で大きな点は、六ページ目にございますけれども、先ほど申しましたが省エネルギーに大きな力点を置いているということでございます。この省エネルギーは、いろいろ細かなことからいわゆるシステム的な省エネルギーということで、社会仕組みを変えるということまで含まれるわけですけれども、一番わかりやすい指標としましてはGNP一単位を生産するためのエネルギー消費量をどれだけ減らせるかということで、これを一九八八年から二〇一〇年までの二十二年間に三六%減らすということが目標になっております。これはちょうど第一次石油危機の起きた一九七三年から八八年における低下分に相当しているということで、この間に二回の石油危機がありましたから、原油価格が大幅に高騰した時代を含めて言っておりますので、いかに意欲的な目標であるかということがおわかりかと思います。  いわゆる弾性値という言葉がありますけれども、一次エネルギー供給伸び率GNP伸び率で割った数字ですが、それが〇・四二ということでかなり小さいといいますか、経済成長が一%伸びたときにエネルギー伸びは〇・四%にとどめるというかなり省エネ型の将来像を描いているということでございます。  最後に七ページ目に、今回の長期見通し政策体系ということで整理してございます。  左側に経済成長、下にセキュリティー、それから真ん中に地球環境問題、この三つの課題を同時に達成するといういわゆる非常に難解な連立多元方程式を解かねばならないということで、今回の見通しは非常に難しい課題を同時に解いていかなきゃならない宿題を負っているということでございます。  経済成長率については、二〇〇〇年まで実質ベースで四%、二〇〇〇年から二〇一〇年まで三%ということが目標になっております。セキュリティーというのは、いわゆるエネルギー安全保障ということですけれども、石油依存度を下げていくということですね。そういった方向で考えられていますけれども、これは先ほど申しましたように、二〇一〇年で五〇%を切るという目標が設定されております。それから地球環境問題については、地球温暖化ガス、特に炭酸ガスだけではないわけですが、炭酸ガス中心に削減していくという方向で、これは二〇〇〇年ごろにおおむね安定化するというような方向が出ておりますけれども、こういったことを目指して対応策がとられているということです。  これは繰り返しになりますけれども、最後に整理いたしましてまとめたいと思いますが、こういった経済成長を達成し、それからセキュリティー確保し、同時に地球環境問題にもこたえていくということで、その対応策としては省エネルギーが非常に強調されているということです。それから、いわゆるシステム化ということで社会全体の仕組みを変えていく。あるいは交通体系の整備とか、その他、仕組み全体を省エネ的にやっていくということ。それから未利用エネルギー、これは都市排熱ですね。これは下水とかあるいは地下鉄の空気の排熱とか、そういったことも含めて未利用エネルギーの積極的な利用ということを目指しております。  それから原子力発電の推進ということで、原子力については安定的なエネルギーであるということと炭酸ガスを出さないということもあって非常に意欲的な拡大が織り込まれております。  新エネルギーについては、経済性上なかなか難しいわけですけれども、あるいは技術進歩がなかなか思うようにいかないということがあるわけですけれども、やはり新エネルギーについてもやっていかなければいけないということが織り込まれております。  それからCO2炭酸ガスについては、この総合エネルギー調査会見通しでは二〇〇〇年以降横ばいという方向が出ておりまして、その後調整が行われてもう少し厳しい情勢になっていると思いますけれども、そういった方向が出ております。  以上、多くの課題を抱えながらこれから我が国エネルギー需給構造をかなり抜本的に変えていくという方向が打ち出されてきたということでございます。  どうもありがとうございました。
  7. 田英夫

    会長田英夫君) どうもありがとうございました。  次に、小島参考人にお願いいたします。
  8. 小島直

    参考人小島直君) 御紹介いただきました中東経済研究所小島でございます。  お手元資料の「最近の国際石油情勢」というのをごらんください。  まず、一枚目の今回の湾岸危機発生後の価格動向ですが、八月二日に湾岸危機が始まりましたけれども、そのすぐ前の七月末にOPEC総会がありました。このとき既にイラク軍クウェート国境に集結しておりまして、過剰生産をしていましたクウェートに圧力をかけるという総会になりました。この総会後既に石油価格は二、三〇%上がり、侵攻後さらに上がったわけですが、ことしの六月、七月、これは一九八六年と八八年に続く石油市況低迷の時期でありました。その水準からその後の石油価格上昇幅を見てみますとおよそ二倍の上昇になっています。第一次石油危機のときは石油価格名目で四倍、第二次石油危機のときには二・五倍から三倍でしたので、今回の石油名目価格上昇幅は第二次石油危機上昇幅に迫る勢いになっているということです。  それから、今回の石油価格の高騰のもう一つ特徴は、既にOPEC価格規制力が非常に弱まっておりまして、石油価格はニューヨーク、ロンドン、シンガポールの先物市場の変動に非常に左右されている。それが原油価格スポット価格に影響し、期間契約石油価格に影響してくるという構造になっております。  価格の動きは以上ですけれども、それでは侵攻石油需給バランスがどうなったかということですが、イラククウェート経済制裁対象になりまして、およそ四百万バレルの石油供給中断ということになりました。これに対しまして八月の末にOPEC閣僚市場監視委員会を開いて九月から増産するという決定を下しております。  お手元資料の五ページ目を見ていただきますと、侵攻前後の世界の石油生産量が出ております。これを見てみますと、非OPEC諸国についてはほとんど増産されていないということです。つまり非OPEC諸国にはもう緊急時の増産余力はほとんどないということです。七月、八月、九月についてOPECについて見てみますと、七月には供給過剰状態にありまして、OPEC生産量は二千三百六十万バレル。八月に入りましてイラククウェート供給が中断し、OPEC全体の生産量は二千万バレルをわずかに超える程度でありました。九月に入りまして増産になりまして二千二百十八万バレルということになりました。この二千二百十八万というのは、決して量的には現在のような石油高価格をもたらすほど少ない生産量ではないということです。  と申しますのは、現在のこの危機発生前までOPEC生産制限政策を続けておりましたが、九〇年の下期のOPEC生産上限は、この表の一番右側にありますように二千二百四十九万バレルです。OPECは、この生産上限にまで生産量を抑えることができれば、この冬場の季節需要期に目標価格である二十一ドルを達成できるであろう、そういう見通しを立てていたわけです。したがいまして、この生産上限二千二百四十九万というのは、六月、七月の市況の低迷を立て直すために設定したOPEC生産上限でありまして、およそこれに近い生産量があれば石油価格が二十一ドル程度に均衡するであろうと見られていた生産量です。九月の生産量は二千二百十八万ですので、この生産上限を若干下回りますが、ほぼ生産上限に近い生産量になっています。つまり、この二千二百十八万というのは絶対的な供給不足をもたらすほどの低い生産量ではなかったということです。しかしながら、先ほどの最初石油価格の図にありましたように、既に名目価格は二倍に上がったということです。  その理由を考えてみますと、まず第一に、今回の湾岸危機は既に発生して三カ月近くになりますけれども、イラク軍クウェートに大量に侵攻し、それを追ってアメリカを中心とする多国籍軍それからアラブ合同軍が段階的にサウジアラビアとその周辺に兵力を結集していった、湾岸の危機が兵力の結集に伴って段階的に高まっていったということがあります。そういう中東の情勢を背景に欧米の先物市場で思惑買いが発生して石油価格が上がっていったということです。したがいまして、先ほどの価格の図にありますように価格が非常に乱高下しておりますが、これは中東の緊張が高まったというニュースが流れるにつれて石油価格が引き上げられ、あるいは調停の動きが出てきたというニュースが流れますと下がるという、そういう乱高下をしながら、実際は傾向としては上がっていったということです。  それから、今回の価格上昇の、余り表には出ていません要因ですが、まずこの一ページ目の図を少し詳しく見ていただきますと、九〇年の上期を見ていただきますと、WTIというのはアメリカの代表油種ですが、その価格の方がブレントより高いという情勢にあります。これは原油の油種の品質格差上WTIの方が比重が高い、品質がよいということで、品質プレミアム上通常はWTIの価格の方がブレントよりは高い価格です。ブレントは北海油田の代表油種ですが、通常はこの九〇年の上期の価格差が正常な動きです。ところが、侵攻後、特に十月に入りましてWTIよりもブレントの方が高くなっています。通常、品質格差でいきますとこういうことは考えられないのですが、ブレントの方が高くなっている。  これは、一番大きな理由はヨーロッパの石油需給がタイト化しているということなんですが、その背後にありますのは、湾岸危機とともにもう一つ、ソ連の石油生産量が下がってきているということです。ソ連の石油生産量は一九八七年をピークに毎年数十万バレルずつ減っておりますが、ことしの九月に入りましてソ連の政府高官が、またことしもソ連の生産量は数十万減っているという発表をしております。それからさらに、ソ連が地中海市場でガソリンを買っているというようなニュースも流れまして、ヨーロッパでの石油需給バランスが地域的に見ますと特にタイト化しているということです。通常を見ますと、ヨーロッパとアメリカの間ではヨーロッパからアメリカに石油が流れているというのが通常ですが、最近はむしろアメリカから価格の高いヨーロッパの方に石油製品が流れているということで、ヨーロッパの需給バランスが特に地域的にはタイト化しているということがあります。  それからもう一つイラククウェートの油、これは軽質、中質の原油ですが、それを補てんするために生産されている油、これはほとんど中質、重質の油という状況です。特に、第二次石油危機以降、石油製品は軽質の石油製品、ガソリン、白物の需要は伸びておりますが、石炭ですとか天然ガスと競合関係に入っている重油はだぶつきぎみにあるということで、原油も軽質の油の方が非常に引き取り手が多いわけですけれども、ここに来て軽質、中質の油が相対的に減り、それを補って出てきた油が中質、重質ということで、軽質油の不足と重質油の過剰という問題が出てきています。  それからさらに、クウェートは大石油製品輸出国でありますけれども、今回クウェート経済制裁対象になりまして石油製品がクウェートから出てこないという状況にあります。特にインドですとかパキスタン、この辺は第二次石油危機後中東から輸出される石油製品に依存する傾向が非常に強くなっておりまして、クウェートからの製品輸出がとまったということでこの辺も非常に困難な状況に直面しつつあるということです。  そして、今後の石油の短期的な見通しですけれども、二ページ目の表を見ていただきますと、自由世界の石油需給バランスということですが、先ほど申しましたように、量的にはそれほどひどい不足な状況ではないということです。自由世界全体の需給バランスを見てみましても、第四・四半期の在庫の取り崩し量はおよそ百四十万バレル前後というふうに考えられます。これは通常の季節的な在庫取り崩し量とほぼ同じということですので、自由世界の需給バランスを総体としてマクロ的に見ればそれほど危機的な情勢ではないというふうに考えられます。これは現在のイラク軍と多国籍軍のにらみ合いがずっと続くという前提のもとでの需給バランスです。ですから、量的には総量としてはそれほど厳しい見方は出てこないということになりますが、地域的に見ますと、先ほどのように需給のアンバランスが出てきているというのが現状です。  特に、日本の場合には、湾岸危機が発生しましてすぐにこの年末までの手当てをした。さらに、石油の民間、国家備蓄も十分にある。百四十四、五日分の在庫があるということで、日本については対応が迅速なわけですけれども、そういった対応がとれている国は世界全体を見渡すと非常に少ないということです。  それから、今回の危機は、楽観的なシナリオを考えますと一カ月、二カ月先にはこの危機が終わってしまう可能性もある。そうしますと、数カ月先までも手当てをするというのは民間企業の動きとしては逆に非常にリスクの大きい面もあります。それで、ヨーロッパの石油会社は日本のような年末までの手当てをするという動きには出ておりません。ヨーロッパその他の石油会社はこれまでのような一カ月一カ月の石油の買い取りを主とした引き取り方法を続けているということで、危機の継続の中で苦しい情勢にあるというふうに考えられます。  それから、世界全体の在庫を見てみますと、これは統計がなかなかそろっておりませんけれども、OECD諸国全体では三十四億バレルほどの在庫があると見られております。しかしながら、この在庫は、これは国家備蓄も入れてですけれども、アメリカと日本と西ドイツに集中しているということです。これはアメリカのエネルギー省の長官も言っておりますが、湾岸危機がさらに激しくなって本格的な危機になった場合にはアメリカ、日本、西ドイツが協調して取り崩すということを言っております。現実に、このように在庫については非常にアンバランス、特定の国に集中しておりますので、需給関係がタイトになってくると取り崩しの仕方というのも問題になってくると思います。それから、通常第四・四半期から来年の第一・四半期、これは北半球は季節需要期に入りますので、現在の膠着状態が継続していけばもう少し価格は上がる、上昇ぎみになるのではないかというふうに考えられます。  今回の危機収束後、価格がどうなるかという見通しにつきましては、これはイラクの現在のサダム・フセインの政権が残るか残らないかということでかなり違ってくると思います。現在のイラクの政権が残るということになりますと、ちょうどこの七月のOPEC総会の時期と同じで、湾岸諸国はイラクの脅威が背後にあって、これまでのようなむやみな生産はできなくなるということで、この六月、七月の石油需給緩和の最大の要因は、これはイラク側が言っているように、クウェート、UAEの増産が最大の原因でありましたので、そういう原因がなくなるということで石油価格OPEC目標価格あたりに落ちつくのではないかと思われます。しかしながら、サダム・フセインという体制が崩れてイラクの影響力が非常に弱まるということになりますと、これはイラクも七百億ドルと言われる対外債務を抱え、石油収入が少しでも欲しい国ですので、イラクも生産能力がつき次第、それに合わせて生産量を高めてくるということも考えられまして、OPECの生産調整政策が非常に難しくなり、石油価格は軟化するということも考えられます。  以上でございます。
  9. 田英夫

    会長田英夫君) どうもありがとうございました。  次に、能登参考人、お願いいたします。
  10. 能登勇

    参考人能登勇君) 石油連盟の能登でございます。  お手元に、名前が入っておりませんが、「石油産業の当面の情勢」という資料がございます。これに基づきまして、要点をかいつまんで御説明いたしたいと思います。  まず、一ページをごらんいただきたいと思います。せっかくの機会でございますので、石油産業の現状をちょっと御紹介させていただきます。  我が国石油産業でございますけれども、先ほどの藤目参考人のお話にも出てまいりましたが、現在で一次エネルギー供給の五七・九%を石油が占めております。今後は、先ほどのお話にありましたように、このウエートが下がっていくという長期見通しでございますけれども、当分の間はエネルギー供給の大宗を占めるということでございます。輸入額でございますが、元年度で、原油で二百三十三億ドル、製品で百四億ドル、合計いたしまして三百三十七億ドルでございます。これは日本の全体の輸入金額の一五・七%を占めております。  それから、業界の概要でございますが、企業数は三十社ございます。このうち精製専業が十九社でございます。この十九社は石油精製だけを行っておりまして、販売は下にあります十一社の元売のうちのどれかを通じて行っております。この中で元売だけをやっている、つまり精製はやらないで元売だけをやっているというのが四社ございます。あと精製と元売とを兼ねているのが七社という数になっております。その十一社が下に列挙してございまして、平成年度の販売シェアも記載してございます。元売専業でございますけれども、上から四番目の共石、二つ置きましてモービル、エッソ、それから一番下のキグナス、この四社が元売専業でございます。よその製油所の製品を販売いたしております。  二ページを見ていただきまして、この三十社のうち、ここに書いてございます五社がアウトサイダーでございまして、残りの二十五社とカルテックス・オイル・ジャパンという会社がございまして、そこはインサイダーでございます。この二十六社で石油連盟は構成されております。  それから、年間の売上高は十二兆円でございます。製油所数は四十四、設備能力は四百五十五万バレル・パー・デーでございます。稼働率は平成年度で七〇・一%、これが概況でございます。それから給油所、いわゆるガソリンスタンドでございますけれども、五万八千二百八十五ございます。販売業者は三万二千八百三十五、つまり販売業者が一つしかスタンドを持ってないケースもありますし、幾つかのスタンドを持っているケースもあるということでございます。平均すると大体二つぐらいガソリンスタンドを持っている勘定になります。  それから、次は三ページでございます。イラククウェート侵攻後のお話につきましては、今小島参考人からお話がありましたが、その前はどうなっていたかということをかいつまんで御説明したいと思いますが、下の方に表がございます。これで御説明をいたします。  まず、需要でございますけれども、一九七三年、下の備考欄にございますように第一次のオイルショックのときでございます。このときの自由世界の需要は四千八百万バレルでございました。それが一九七九年、六年後には五千二百三十万バレルになっておりまして、これが過去最高の水準でございます。その後、第二次オイルショック等で石油価格が高騰いたしまして世界経済は停滞し、あるいは省エネルギーが進むということで需要は逐次減りまして、一九八五年にボトムになっております。一方、価格の方でございますけれども、下から二番目の価格のところ、三ドル二十九セントであったものが一九七九年には十八・九三ドルになり、年間としては一番のピークになります一九八五年には二十八ドル七セントという高い価格になっております。その後、一九八六年以降、逐次価格は低下いたしておりまして、一九八八年が底という格好で、また逐次上昇しつつあるという傾向にあったわけでございます。  どうしてこういうことになったか、どうして価格がこういう動向を示しているかといいますと、供給のところでOPECシェアというのを見ていただきたいんですが、数字で言いますと下から三番目の数字でございます。一九七三年には六二・三%がOPECの生産でございました。それが逐次落ちてまいりまして、一九八五年には三四・七%、シェアがほぼ半減してしまった。つまり、高価格OPECが維持いたしまして、そのために世界の需要が落ち込む、あるいはその間に北海等の油田等が開発されまして非OPECの生産がふえてくる、こういったこともありまして価格が下がってくる。価格が下がってきますから、今度は輸出をふやさないとOPECの収入が確保できない、増産をする、また価格が下がる、こういう悪循環になりまして、一九八六年以降しばらく原油価格が低落する時代が続いたわけでございます。  その後、一番上の欄でごらんになりますように需要が着実に伸びてまいりまして、一方、先ほど御説明もありましたが、非OPECの方の生産が大体ピークで頭打ちになってきたということもありまして、OPECシェアが逐次ふえてきて、今後OPECの発言権というのは強くなってくるだろう。特に、これも先ほどの御説明にありましたけれども、現在OPECの中でも数カ国しか今後生産をふやせる国はございません。したがって、OPECの影響力というものはこれから強くなるだろうと言われていたやさきに、こういったイラククウェート侵攻という事態が生じたわけでございます。  四ページは、クウェート侵攻後の国際石油情勢でございます。先ほどの御説明と重複いたしますけれども、真ん中にございますように、生産量で言いますとイラクシェアは世界の四・六%、クウェートが二・三%、合計いたしまして六・九%、輸出量でまいりますと、イラクが八・五%、クウェートが二・八%、合計いたしまして一一・三%、これだけが世界の輸出市場から消えてしまったわけでございます。その結果、価格の推移は下の表にあるとおりでございまして、これも先ほどの御説明と重複をいたしますけれども、ここで特に注意していただきたいのは、その一番下の灯油、これが非常に価格が上がっている。七月三十日に二十三ドル六十五セントであったものが、十月二十五日には五十四ドル五十セントと大体二・三倍になっております。  これは、クウェートの製油所から製品が入ってこなくなったこと、サウジの製油所で生産されるガソリンとか軽油、灯油、こういったものがあそこの戦車ですとか航空機とか、そういったものの燃料に使われるといったような関係で、これが一番需給が逼迫いたしております。原油の価格も上がっておりますけれども、製品価格はもっと上がっている、これが今回の事態の一つ特徴でございます。  それから次は、少し先に参りまして六ページでございます。  一番下の表をごらんいただきまして、現在、十月の上旬でそれぞれの国がこれだけの増産を行っております。つまり、侵攻前に比べまして三百六十万バレル大体増産が行われている。イラククウェートを合計いたしまして約三百万バレルでございますから、それを補って余りあるだけの増産が行われている。したがって、量的にはバランスはとれております。当然、需給関係からすれば、先ほどのお話にもありましたように、価格は二十ドルぐらいでおさまるべきである。  しかし、それがそうでないのは、新聞等で報ぜられますああいった先物価格、大体十一月渡しの価格でございます。十一月に引き渡されるときまでに戦争が起こる危険性はどれだけあるか、戦争が起きて、特にサウジの生産施設にどれだけの影響が出るか。これだけ増産いたしておりますと、もともとサウジは五百三十八万バレル生産をいたしておりましたので、それにさらに二百三十万バレル上積みされて約八百万バレル現在生産しているはずでございます。これに影響が出れば当然価格は高騰する、そのリスクをどう見込むかということで上積みされて、三十ドルとか四十ドルとかいう値段がついているわけでございます。  それから、八ページ以降でございますが、今度は日本の国内の石油需給の推移でございます。  下に表がございますが、五十三年度が過去の最高でございまして、二億三千五百八万キロリットルの需要がございました。以後、値段が高い、あるいは景気が停滞するといったようなことで、六十年度には一億八千九十三万キロリットルという数字になっておりまして、これが最低になっております。以後、元年度、二年度と逐次上昇をいたして、二年度は二億二千四十万キロリットルというのが本年度の予想でございます。  次に九ページでございますが、真ん中に表がございます。原油と石油製品の輸入量の推移でございます。  元年のところをごらんいただきますと、元年度は原油の形で二億一千八十九万キロリットル、それから石油製品の形で四千九百六十万キロリットル、これを輸入する計画になっておりました。大体丸くして原油が二億キロリットル、石油製品が五千万キロリットル。したがいまして、大体二〇%を製品で輸入していた、あるいはする計画であったというのが現状でございます。  次は十ページでございますが、先ほど来申し上げましたように全世界にとりまして、世界の輸出市場でイラククウェートの両国で一一%の穴があいたわけでございますけれども、日本にとりましても、一番上の行にございますように原油で一二%、製品で一四%、原油、製品両方を込めまして一二%のシェアでございます。大体日本にとっても同じぐらいの穴があいたというのが現状でございます。それをほかからの輸入をふやしまして、先ほど申しましたようにサウジとか、またイランも増産をいたしておりますが、そういったところからの輸入をふやしてこの穴のあいた分は確保しているというのが現状でございます。したがいまして、現在は、世界的にもそうでございますが、日本にとりましても原油は量的には間に合っております。  下にございますのが備蓄でございます。よく言われますように百四十二日分の備蓄がございます。一番右の欄でございますが、民間備蓄が八十八日分、国家備蓄が五十四日分ということでございます。過去に比べますと、第一次の石油危機のときは六十七日分でございましたし、第二次の石油危機のときでも九十二日分ということでございますから、それに比べて十分な備蓄があるということでございます。  なお、これは量的に不足する場合に取り崩すことになっております。したがいまして、現時点では取り崩すという動きはまだ出てきておりません。これは日本でもそうでございます。世界的にもそうでございます。かつ、先ほど申しましたように、非常に価格は高騰いたしておりますけれども、先物市場で戦争になる危険性を織り込んで上がっている価格でございますので、これを備蓄を取り崩してもなかなか冷やすことは難しいというふうに考えておりますし、もともと備蓄は価格を下げるのが目的とされておりません。これは国際的にもそうでございます。そういったことで、現時点では取り崩しはまだ予定が立っていないようでございます。  以上で全体の御説明を終わりまして、あと十一ページ、我が国石油産業の経営状況ということも書いてございます。  ポイントだけ申し上げます。②でございます。先ほど申しましたように、精製・元売三十社あるわけでございますけれども、その決算状況、経常利益で千六百二十億円、売り上げに対する利益率が一・一九%、製造業平均が五・八八%でございますので非常に低い利益率である、この点だけ申し上げておきたいと思います。  それから、次は石油関係の諸税でございます。  十三ページごらんいただきたいと思います。十三ページの表の右から二番目の二年度予算というところをごらんいただきたいと思いますが、これが現在の石油諸税の状況でございます。ガソリン税が二兆二千七百一億円、軽油引取税が七千八百四十六億円、石油ガス税が三百四十億円、航空機燃料税が七百二十一億円、石油税が四千五百三十億円、それから関税が千七十六億円、合計いたしまして三兆七千二百十四億円。このほかに、下の注記にございますように約三千五百億円の消費税がかかっております。先ほど石油産業の売り上げ十二兆円と申し上げましたけれども、そのうち約四兆円は税金であるということでございます。これが今需要が順調に伸びておりますので、一番右の欄、来年度では三兆九千六百六十四億円、ほぼ四兆円という数字に達するわけでございます。  最後でございますが、十四ページ、地球温暖化問題への対応ということでございます。  CO2の問題でございますけれども、過去、日本経済それから石油産業もそうでございますけれども、いろいろな公害問題を解決いたしてまいりました。石油を例にとりますと、今全部日本のガソリンは無鉛ガソリンになっております。まだヨーロッパでもアメリカでも有鉛ガソリンが売られておりますけれども、日本だけはもう無鉛ガソリンになっております。また、硫黄酸化物窒素酸化物についても、それぞれ適切な手を打って、脱硫をするなりして所期の目的を達しているわけでございます。  ただ、問題は炭酸ガスでございまして、要するに亜硫酸ガス、窒素酸化物を出さないようにして石油を燃やす、あるいは鉛を使わないでガソリンエンジンを動かす、これは可能なわけでございます。ただ、ガソリン、石油を燃やして炭酸ガスを出さないというわけにはいかない。かつその出た炭酸ガスを今度は全部回収しようとすると、これは炭素の単位でもって何億トン、何十億トンという話になります。これは出てきた副産物の処理でもうどうしようもなくなってきます。したがって、炭酸ガスについてはもう化石燃料を使わないようにするしかしようがないというのが今までの公害と一番違う点でございます。  しかし、それじゃ、化石燃料を使わないでちゃんと経済成長できるのかというのが次に問題でございまして、これは一番最初藤目参考人の方から御説明がありました総合エネルギー調査会の長期エネルギー需給見通しで、省エネルギーとそれから原子力のウエートを増すことで化石燃料のウエートを下げていこうということで回答が与えられておりまして、そういう格好でぜひ解決をしていただきたいというふうに考えております。外国の国際的な動きの中では課徴金を課す、それでその消費を抑制しようとか、そういう考え方がございますけれども、それはあくまで邪道でございまして、先ほど言いましたように既にもう非常に高い税金が課せられているわけでございまして、さらにそれに税金をかけるというのは非常に矛盾していると我々は考えておりまして、先ほど言いました総合エネルギー調査会方向でこの問題は解決すべきものであるというふうに考えております。  なお、これについてつけ加えて申しますと、本当に炭酸ガスがふえると地球は暖かくなるのかという大問題がございます。太陽の黒点の影響、太陽活動と関係があるんじゃないか、つまり黒点の数と関係があるんじゃないかという有力な説もございますし、それから過去のデータをとってみましても、この百年間温度は上昇してきていると言っておりますけれども、これは傾向値として上昇しているんであって、例えば一九四〇年から一九六五年ぐらいまでの間にはむしろ温度が横ばいか下がりぎみだった時代もあるわけで、まだまだ科学的知見は十分でないと思います。  ただ、そうは思いますけれども、先ほど来触れております総合エネルギー調査会の考え方では、いずれにしても省エネルギーは必要であろうということで、我々もそういった省エネルギーが大事だということ、それについては賛成でございますので、そういった方向でぜひ解決していただきたいと思うわけでございます。  以上でございます。
  11. 田英夫

    会長田英夫君) どうもありがとうございました。  次に、加納参考人、お願いいたします。
  12. 加納時男

    参考人加納時男君) 加納でございます。  それでは、最近の国際エネルギー情勢について御報告申し上げたいと思います。  最近三つの大きな変化が出ております。これは九〇年代、さらには二十一世紀初めにかけましてのエネルギー政策をめぐる制約条件ともなりかねないものと思われます。つきましては、発展途上国の成長と地球レベルでの環境保全、そしてまたエネルギーバランスの確保といった三つの目標を同時に実現することは私は不可能ではないと確信しておりますが、それを実現いたしますための政策に当たっての政策の合意づくりこそ課題ではないかという観点から御報告申し上げたいと思います。  第一の変化は、最近増勢の著しいエネルギー、なかんずく電力需要でございます。OHPを使わしていただきますが、先生方のお手元には同じもののコピーを用意さしていただいております。(OHP映写)  まず資料の一でございますが、これはOECDの経済指標とエネルギーを一九七三年を一〇〇にして並べたものでございますが、ごらんいただきますようにGDP五〇%伸びたものに対しまして、省エネルギーの成果もありエネルギーはわずか一四%の増でとどまっております。しかしながら、情報化、ソフト化、アメニティー指向といった変化から電力へのシフトは非常に強うございまして、先進国ではGDPを上回る五五%も伸びているというのが先進国共通の問題でございます。  これを日本で見てみましたものが次でございますが、日本の場合には第二図でごらんいただけますようにこの勢いをさらに超えておりまして、エネルギーは二〇%の増、先ほど来三六%の省エネルギーができたという藤目参考人のお話がございましたが、そのとおりでございまして、大変GDP当たりの省エネルギーは画期的なことをやってまいったのでございますが、反面電力へのシフトが非常に強うございます。結局情報を扱えるエネルギーは電気しかないと言うと言い過ぎかもしれませんが、情報社会に不可欠なエネルギーとして製造業でも、業務用と申しますが、オフィスビルディングにおきましても、また家庭用においても、情報化が進むに従い電力へのシフトが進んできて、先ほどOECD五五%と申し上げましたが、日本では七〇%が一九七三年以来の電力の増加で、省エネルギーということと電力の増加というものが別建てで進んでいるというのが特徴かと思うわけでございます。  このように進んでまいりましたエネルギーの増加でございますが、お手元のレジュメにございますように、これは先進国だけの現象でございませんで、ASEANでは六五年から八五年までの二十年間で十倍に、そしてインドネシアでは二十倍になっているわけでございます。ASEANにほかの発展途上国、例えば韓国とか台湾を加えました需要見通しを先般太平洋の会議に出ましてやってみたわけでございますが、大体十年倍増のペースということが確実視されておりまして、世界は先進国、途上国を問わず電力へのシフトが続いているというのが第一の特徴かと思います。  第二の変化でございますが、緊迫する中東情勢でございます。  小島参考人からお話がございましたので重複を避けましてポイントだけ御報告申し上げたいと思いますが、イラククウェートへの一九九〇年八月二日の侵攻に伴いまして原油価格が高騰したというお話がございましたが、多国籍軍の展開を初めとして現在いろいろな議論がなされているところでございます。  歴史的な特徴にちょっと思いをいたしてみたいと思いまして御報告申し上げるわけでございますが、イラクがペルシャ湾に出る出口はシャトルアラブ川とそれからクウェートの突端でございますワルバ島、ブビヤン島、ここを経由して出る、これしかないわけでございまして、かつて一九七三年にイラクがこのワルバ島それからブビヤン島を侵攻したことを思い出すわけでございます。  それからちょうど十七年たったわけでございますが、その一九七三年のまた十七年前を思い出してみますと、それは実は似たような話がイスラエルでございました。スエズ運河の国有化の宣言に伴いまして、イギリス、フランス、イスラエルの連合軍がスエズ運河を占領し国際的な非難の中で撤退をしたわけでございますが、その土壇場でイスラエルは、アカバのちょうど前にございますエイラートでございますが、エイラートの自由航行権を主張して最終的に取引に応じた。恐らくサダム・フセインはその歴史を踏まえた今回の侵攻ではないかという見方も一つあるのではないかと思われます。  もう一つの見方といたしまして、アラブ・イスラエル対立をこの問題にすりかえるという作戦が考えられておるようでございまして、去る十月八日のテンプル山におきますパレスチナ人の騒動、これに対するイスラエルの発砲、国際的な非難ということになっておりますが、このイラクの無法なクウェートへの侵攻をイスラエルの国連決議を無視した居座りというものと引きかえに撤退をのむという見方もあろうかと思います。  第三に気になりますのはメッカ、メジナでございます。これはいずれもイスラムの聖地でございまして、イスラムの聖地を異教徒の軍隊のもとに置くということを強調することによって現在の多国籍軍の中に動揺を来そうといったことも考えられるかと思います。  これらの問題のほかに今までに過去にこの地区で発生してまいりました王制転覆の経過をたどってまいりますと、一九五二年のエジプトの革命、イラクも五八年に王制がひっくり返っているわけでございますが、そのほかリビアあるいはエチオピアでございます。これはイエメンでございます。これが一番新しい七九年、イランでございますが、緑で書いたサウジアラビア、アラブ首長国連邦等を取り巻きます各国におきます王制が次々に倒れていったという地図と先ほどの地図とを重ね合わせてみますと、反王制、反西欧といった戦略に基づくイラクの介入というものが今後も考えられるわけでございます。  この地区に、先ほどの資料にもございましたが、百分比にしてみますと世界の原油の実は六五%が埋まっているわけでございます。中東と書いてございますが、今話題のイラククウェートは埋蔵量で見ると二〇%程度でございますが、イラクの覇権主義により仮にサウジアラビアやアラブ首長国連邦等への影響力行使という事態が近い将来考えられますと、世界の原油の六五%が埋まっているペルシャ湾岸に生命を預けているといった事態でよろしいのかどうか。石油依存体質、特に中東への依存体質を改めていくということと、それから中東和平への貢献というものが殊のほかエネルギー政策上重要ではないかと思われるというのが第二の点でございます。  第三の変化を申し上げたいと思います。  第三の変化は、地球環境問題の緊要化でございます。昨年の十一月に開かれましたオランダのノルドベイクでの環境大臣の会合におきまして、二酸化炭素など温室効果ガス削減への方向性が訴えられたわけでございまして、本年の八月のスウェーデンのスンツバルの会議におきましても重要なことが二点決定になっております。  これにはいろいろな御意見はあろうかとは思いますが、重要な点といいますのは、一つは、このまま温室効果ガス、特に二酸化炭素が増大していった場合には地球の環境に大きな影響があるということが国際的にコミットされたという点は重要な点かと思います。  第二の点は、対策は直ちに実施すべきだということが決まったことも重要な点かと思います。二酸化炭素を初めとする温室効果ガスの削減の具体的政策手段なり目標については合意が得られませんでしたが、これらについては、日本時間のきょうの夕方から始まりますジュネーブでの第二回世界気候会議において議論されるところでございまして、きょうの朝刊によりますと、二〇〇五年までに二〇%程度の削減といった原案も用意されているやに伝えられております。二酸化炭素を現状の、つまり一九九〇年レベルの現状に一人当たりを固定し、革新的な技術の開発によって、また政策の加速によって総量も極力安定化を図るといたしました去る十月二十三日の政府の閣僚会議での決定というものがあったわけでございますが、いずれにしましても、この第三の変化は今後いかにして地球の環境保全にエネルギー政策が大きくかかわってくるかということを示しているものかと思います。  よく日本は世界第四位のCO2発生国であるということが言われますが、若干疑問がございますのは、実は大手三社という言葉は不謹慎かもしれませんが、世界のCO2の第一位のアメリカ、第二位のソ連、第三位の中国を合わせますと、これだけで五割を超えている状況でございます。俗に大手三社、中小七社と言っておりますが、日本は中小七社、日本、ドイツ、イギリス、カナダ、イタリア、フランス、オランダと入れた中小七社の兄貴分で、第四位であるのは決して間違ってはおりませんが、第四位だというのを強調しても余り意味がないので、むしろ日本は世界のGNPの一三%程度を生産しながらわずか四・七%のCO2しか出していない、省エネルギー、環境技術の先進国であるということに思いをいたしながら、国際的な枠組みの中で省エネルギー、環境技術の国際水平展開を図っていくべきではないかというのがこのグラフの意味するところかと思うわけでございます。  環境問題で一つ気になりますことを申し上げたいと思いますのは、発展途上国の問題でございます。  お手元の第六の図でございますが、横軸に人口をとり、縦軸に一人当たりの二酸化炭素の発生量をとってみますと、それを掛け合わせたものが二酸化炭素の総量になります。御案内のとおり、アメリカが第一位で十二億トン炭素ベース、そして第二位がソ連で約九億七千万トン、第三位が国としては中国で五億二千万トン程度でございます。  何を申し上げたいのかと申しますと、現在いろいろ先進国が集まって議論しております先進国の二酸化炭素凍結というのが望ましいことなんですが、仮にここで実現したとしても、それだけでは済まないということでございます。大変生意気な言い方かもしれませんが、発展途上国を四カ所とってみました。ラテンアメリカ、アフリカ、中国、それからインド、インドネシア等のその他アジアでございます。何分人口が大変多うございます。その他アジアは十六億人、それから中国は十一億人強でございましょうか、非常に多いものでございますから、一人当たりの二酸化炭素の発生原単位は極めてわずかではございますが、人口がちょっとふえて原単位がちょっと上がると一挙に総量がふえるところが特徴でございます。  仮に二十一世紀の初めにかけましてこれらの四地域だけが変動して、ほかの国が一切変化なし、凍結といたします。四地域が、仮に人口がわずか一〇%だけふえて、原単位が最寄りの国の原単位に近づく、例えば中国が韓国に近づくといった意味でございますが、それだけの変化をして計算したのが点線でございまして、これでもって世界のCO2が三〇%以上増加することが明らかでございます。韓国は大体一トンのCO2発生の国でありますが、この国並みに仮になったといたしますと、それだけで世界のCO2は五割五分、五五%もふえるということでございます。  ドラスチックなことでございますが、中華人民共和国の人口がちょっとふえ、原単位が韓国並みになりますとこの絵の大きさになります。十一億七千八百万トンでございます。この大きさがどこの国と同じかといいますと、現在の世界最大のCO2発生国のアメリカと一致するということになります。その他アジアの国も同様でございまして、わずかにパラメーターを動かしただけで、これはどこと一致するかというと、世界第二のCO2発生国のソ連と一致する。第二のアメリカ、第二のソ連が発生する。  こういうことを考えましたときに、やはり国際エネルギー政策といたしましては、いかにしてCO2の発生を発展途上国も含めてマイルドにしていくのかというのが重要な点かと思います。  以上が最近の変化でございますが、残りました時間で若干、今のことから考えられます政策提言に近いようなものでございますが、感じたことを御報告して終わりたいと思います。  第一に御報告申し上げたいことは、省エネルギーの国際的な展開ということでございます。  第七図でございますが、この絵をごらんいただくとおわかりいただけますように、一人当たりGNPの増加と一人当たりエネルギー消費の増加とは大体プラスの相関があるわけでございますが、現在のマレーシアは、実は三十年前の日本と同じ一人当たり所得、一人当たりエネルギー消費であるというのがごらんいただけるかと思います。現在の韓国は、J六五と書いてありますのは一九六五年の日本、つまりちょうど二十五年前の日本である。そして、台湾は二十二、三年前の日本であり、シンガポールは十年前の日本であるということがこの時系列データから読み取れるかと思います。  問題は、これらの発展途上国の仲間たちがこれから生活の近代化、前進を図っていくためにどうしてもエネルギー消費がふえてくると思いますが、何とか日本が七三年以来やってまいりました省エネルギーシナリオ、日本はこの七三年から急カーブを切りまして、経済は成長をしてもエネルギーはそんなにふえない。先ほどのお話の三六%の省エネルギーというのはまさにこれでございますが、何とかこの省エネルギーシナリオに発展途上国の仲間が来られるように国際協力の重点を置いていくことが望ましいかと思われます。  第二の提言は電化率の問題でございます。  発展途上国の電化率をいろいろ調べてみますと、電化率の低い国ほど出生率が高いということが逆相関のグラフであらわされているわけでございます。いろいろな国を回ってまいりましたが、やはりパプアニューギニア、バヌアツ、ソロモンアイランド等いろいろな国の仲間たちは、なお医療設備がない、一次産業しかない、電気がないために起こっている貧困と、それから環境汚染に悩んでいるわけでございます。また、まきの伐採等も行っているわけでございまして、こういった国々の仲間たちに早く電気の明かりを届けたいということを私ども希望しているわけでございます。実は、出生率との関係についてはいろいろ議論がございまして、やはり産業が近代化されること、教育、医療が進むことが出生率をマイルドにしたいという気持ちを起こさせるという声も聞きましたので、これも世界のエネルギーと発展途上国のこれからの前進のためにも必要な協力の方策の一つかと思われます。  第三のポイントは、資料九にございますように、今までやってまいりましたエネルギー政策はどちらかといいますと石油離れ、石油危機に対した石油離れでございますが、これからの地球環境の危機、地球危機に対してはむしろ炭素離れではないかという提案でございます。  これは、横軸に非化石燃料率、縦軸に発電電力量当たりの二酸化炭素発生率をとりました。日本が何でも大概こういう話だと一番になるんですが、この絵をとりますと、サミット国の中でフランスが第一位でございます。フランスが最もCO2発生率が低い。なぜかといいますと、フランスは日本と同じように石油はとれないんでございますが、水力が意外とございまして、約二割ございます。加えまして、徹底的な原子力シフトをしいてきたこともありまして、非化石率、発電電力量に占める化石エネルギーでないエネルギーの率が何と九割にも達しております。それに続くものがカナダでございまして、豊富な水力に加え、CANDU炉という自前の原子力もあって、非化石率が八〇%を占めている。  日本は、先ほどの藤目さんのお話にもございましたように、今後非化石エネルギーをふやしてまいりますが、現状はまだ発電の原料で四一%でございます。何とかこれを五十数%に引き上げたいというのが今回の目標でございますが、そのためにも自然エネルギーの活用とともに原子力の安全な利用を図ってまいりたいというのが第四の話でございます。  最後に、今後の輸送エネルギーについて一言だけ触れたいと思いますが、この百年間ほとんど燃料転換が行われてこなかったのが輸送部門でございまして、輸送用エネルギーについて石油から石油以外の方向に変えられないのか。二つ問題がありまして、輸送部門についてのマストランジット・システム、大量輸送手段を大都市並びにその近郊に普及させること。それからもう一つは、何といっても便利な自動車でございますが、この自動車の燃料を石油から石油以外のものにかえられないのかというのが大きな現在のテーマになっておりまして、案としてはメタノール、圧縮天然ガス、電気自動車、ソーラーカー等いろいろございますが、これからこの研究開発が急務かと思われます。  一番最後になりましたが、未利用エネルギーの話で終わらせていただきます。  現在、都市並びに産業排熱利用されていない熱がございます。これらの熱をほうっておきますと環境汚染のもとになりますが、生かすならばクリーンなエネルギー源として使えるわけでございます。変電所から出てまいります排熱利用しました地域冷暖房を既に四カ地点で開始いたしております。また、浴場の排熱利用したもの、下水処理場の処理水、河川水、キルン排熱、清掃工場の焼却熱など、私ども東京電力だけでも既に十カ地点が実現いたしておりますが、こういったことを今後社会システムとして進めてまいりたいと思っております。  これからのエネルギー政策、障壁は非常にたくさんございます。しかし、これらの障壁に対しまして一つ一つ誠実に努力をしながら国民的合意をとりつけていくことができ得ますならば、先ほど申し上げました発展途上国の成長と環境の保全とエネルギーバランスの実現というこの三つは、決してトリレンマではなく、マルチレンマでもなくて、これらは必ず同時に実現できるのではないだろうかというふうに考えまして、意見陳述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  13. 田英夫

    会長田英夫君) どうもありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 西野康雄

    西野康雄君 本日は、参考人の方々お忙しい中お越しいただきましてありがとうございます。日本社会党の西野康雄でございます。  皆様方にいろいろと御意見をお伺いしたいと思います。まず小島参考人でございます。  今ここにいる国会議員はすべて中東のことで頭がいっぱいかと思います。そういう中で、イラク侵攻でございますが、イラクOPECで、戦後復興資金とでも申しましょうか、イラン・イラク戦争の戦後復興をしたいということで随分と値上げを要求しておりました。それを無視してクウェートは随分と生産をふやしたりして安く売っておりました。私は、これはイラクの怒りを買っていずれはクウェートへ来るのではないだろうか、そういうふうな予測まで立て得たわけでございますが、なぜクウェートイラクの要求をけって国家危機を冒してまで増産をしていたんだろうかと、そのことが非常にひっかかっておるんですが、中東をずっとごらんになってきた小島参考人はどういう御意見をお持ちでしょうか。
  15. 小島直

    参考人小島直君) まず、基本的に両国の石油政策の違いがありますが、両国の埋蔵量はおよそ九百数十億バレルということで、イラクは一千億バレル以上というふうな発表をしています。クウェートの方は、人口はわずか百九十万。当面需給が緩和している状況石油収入をふやすには、多少石油価格が下がっても、埋蔵量が豊富にありますから、生産量をふやして、それで増収を図るというのが基本的にあります。イラクも、将来的には大産油国になるというふうに見られております。埋蔵量が豊富ですので、これは将来はサウジに次ぐ大産油国になるというふうに見られておりますけれども、現状では先ほど申しましたように七百億ドル以上の対外債務を抱えておりまして、イラン・イラク戦争中に出荷設備は何とか整えたわけですけれども、生産能力の方にまで手が回らない。ことしの春、イラク石油相が日本に来まして油田の開発に協力を求めてきたわけですけれども、それを見ましても、現状では産油能力、油田の井戸元の産油能力が不足している、十分に伸びないということであります。  それで、おっしゃるような戦後の復興あるいは累積債務返済ということでは、外貨収入はクウェート以上に緊急を要しているという情勢で、この七月のOPEC総会イラク石油価格を二十五ドルに上げるようにと、そういう要求をしていました。しかし、二十五ドルに上げるというのは他のエネルギーとの価格競争を考えますと非常に難しいということでそれは否決されまして、OPEC目標価格は十八ドルから二十一ドルに引き上げられたということです。ですから、引き上げられたのはわずか三ドルということで、イラクの要求は半分も通らなかったということです。  それで、イラククウェート侵攻したのは石油収入だけの問題ではございませんけれども、この侵攻の理由を見てみますと、ほとんど当面の経済的な苦境を打破するための侵攻であったというふうに見られます。領土の問題とか国境線の問題、これは歴史的にありますけれども、この時点で侵攻したというのは当面の経済的な苦境です。これに対する打破をクウェートに求めたということだと思います。  それで、クウェートがどうしてあれだけの危険を冒して増産したかというのは、これはむしろクウェートの見方が非常に甘かったということですけれども、例えばイラン・イラク戦争中にサウジアラビアとかクウェート、アラブ首長国連邦はこれはイラクに資金援助をしていました。サウジの方は百五十億ドル、クウェートは百億ドルほど資金援助をしていたと言われております。これはイラン・イラク戦争というのはイラン革命の輸出を抑えるために防衛戦争をやったというのがこれはイラク名目で、この債務を棒引きにしろということを盛んに要求しています。サウジはこれを棒引きでいいというふうに言っていたらしいんですが、クウェートはこれは援助であるから返済してもらいたいという、かなりイラクに対して強腰の姿勢をとっていたと言われております。その辺は、八年間戦争を続けてきましたのでイラク側が疲弊している。経済的には事実非常に疲弊しているわけで、その辺の見方をクウェート側は誤ったんではないかと思われます。  イラクの方は、経済的には非常に疲弊しましたけれども、軍事的には終戦後も増強を続けていた。その辺の見方が非常にクウェートは甘かった。サウジはむしろ非常にその辺は慎重で、サウジ側の債権についても返さなくていい、そういうふうな態度があったと思いますので、その辺はクウェートの判断が甘かったというふうに見られます。
  16. 西野康雄

    西野康雄君 おっしゃるとおりで、私自身もクウェートの判断が非常に甘いなということを思っておるわけでございます。  そこで産油国の話で、イラクが随分と石油の理蔵量が多いということでした。石油の埋蔵量のいろんなものを調べてみますと、例えばイランという国は非常に少ない。インドネシアもそうですが、中東のことに関すると。そうすると、イランの方は石油の埋蔵量が非常に少ないがために、高く売って早くもうけておきたいという行動に出ると思います。それに比べて石油埋蔵量の多いところは、なるべく代替エネルギーが出てきてほしくないというふうな理由から、安くそして少しでも長く売っておきたいというビへービアに出るかと思います。  その辺で、産油国、つまり埋蔵量の多い国と埋蔵量の少ない国との間で非常に摩擦が起きるんじゃないだろうか、そんな気がするんですが、小島参考人は、例えばイランとイラクというふうなところの中でどうお考えでしょうか。
  17. 小島直

    参考人小島直君) 中東の産油国の石油政策あるいは特に石油の掘り方、これは中東以外の北海ですとかアメリカですとか、こういうところと比べると非常に保守的。保守的というのは資源保存政策が非常に強いということです。OPECの中で見ますと、今おっしゃるように資源をたくさん持っている国はある程度生産量をふやして価格を抑えて将来的に石油を使おう、ない国は早く石油収入を回収していきたい、そういう違いが出てくると思います。  問題は、中東諸国あるいはOPEC諸国と、OPEC以外の国との生産政策を比べた場合に甚だしい差がある。その差はどうしてかといいますと、中東諸国は第一次石油危機後、さまざまな経済開発をやってきましたが、残念ながら見るべき成果というのは非常に乏しい。石油化学ですとか輸出用の石油リファイナリー、これは輸出産業として発展しましたが、それ以外の工業化がうまくいっていないということです。ですから、依然として頼るのは石油収入しかない。原油で輸出するか製品で輸出するか、いずれにせよ、いずれは枯渇する資源に依存せざるを得ない。可採年数を計算してみますと、せいぜい百年、数十年から百年しかないということになります。  これは、価格が上がれば埋蔵量はふえてくるという問題はありますが、その問題は別にしますと、百年先に国の経済がおかしくなるということになりますと、これは石油の生産はそうどんどんできない。例えば英国ですと、石油産業GNPに占めるシェアというのはわずか八%です。湾岸の国は、これはひどい国になりますと六割から六割五分いってしまいます。ですから、湾岸の国はほとんど石油にしか頼れない。そうなりますと、ほかの経済開発がうまくいかないということになると、これはOPEC諸国に大枠としては共通しておりますけれども、石油はそんなにどんどん掘れないということになります。ですから、ある程度中東諸国が安定して石油供給してくれる、そういう体制をつくるためには、今度は消費国側が産油国に石油以外についても経済発展が図れるような経済協力をすべきであるということです。  例えば、中東の場合には韓国とか台湾のような輸出産業は全然育っていません。その理由は、一つは中東諸国の国内的な問題。それからもう一つは、残念なことに中東とそれ以外の経済関係というのは、ヨーロッパとの関係が非常に大きいわけですが、ヨーロッパというのは、御存じのように非常に外に対してはブロック的な経済です。ですから、日本と東南アジア、NIES諸国とアメリカとの間にできたような国際経済関係ができないということですね。ですから、中東諸国にもう少し油を掘ってもらいたいというためには、日本を初めとして先進諸国が石油以外の産業基盤を築くような経済協力をしなければいけないということが第一点と、それからそういった国がある程度発展してきたときに、受け入れるような国際経済の枠組みをつくらなきゃいけないということです。日本もそうですし、特に中東に近いEC諸国、この辺の経済の外に対する自由化ということが必要だと思います。  ですから、中東諸国の石油政策を変えるというのは単純な問題ではなくて、中東諸国の他の経済開発も同時にどういうふうに発展させていくかという観点も含めなければいけないというふうに考えております。
  18. 福間知之

    福間知之君 社会党の福間ですが、関連して、まず藤目参考人に。  最初のお話で、長期のエネルギー需給見通しというのを調査会の方で長年やってこられて、最近のやつが先ほど御報告ありましたね。これについて参考人の研究所としては妥当と考えられておるのかどうなのか。私は、ちなみに石油の依存率が二〇〇〇年度、二〇一〇年度この程度だというのは、これ以下にすることが望ましいとは思いますが、これでやっていけるのかどうかなと。かなり可能性はあるような気もするし、情勢の変化でこれはちょっとわからぬな、こういう気がしておるわけでございますが、総花的にこの長期見通しについて、藤目参考人にはコメントをひとつ研究所のお立場でお願いをしたいと思います。  それから、もう一点は加納参考人にお聞きしたいんですが、東京電力というお立場もありますので、焦点をそこへ当てますが、ことしの夏は、特に七月、大変な猛暑で、東京電力管内でかなり電力供給は危機にさらされた、こういうふうに承知をしております。七月十六日、十七日あたりは一日に百何十万キロワットから最大電力がオーバーしましたね。ちょうど百万キロワット原子力の三基か四基分ぐらい瞬間的にはオーバーしちゃった。それで、周辺から融通をしてもらって何とか切り抜けた。表には出ていないけれども、若干の電圧ドロップが見られた。これはゆゆしきことなのでございまして、そういう上でさて来年、長期とは言わぬ、さしあたって来年どうするのやということがまたこの暑さが続けば私は社会的に問題になると思いますので、そういう点をお聞きしたい。  二つ目は、実は私は原子力は一定のレベルで必要だ、こういう立場に立っておるものですから、かねがね関心を持っておりまして、この九月に実はスウェーデンとイギリスとフランス、特に廃棄物の処理施設とそれからリサイクルの施設を勉強に行ってまいりまして、日本が随分おくれているということを情けなく思っておる一人なんでございますが、そういう点で東電のお立場ではどういうふうに廃棄物なり再処理なりを考えておられるか。  スウェーデンは、再処理はしない方針を当面はとっていますね。そしてフォシュマルクの方に岩盤を掘って、中レベル、低レベルの処理をしています。あるいはイギリスはセラフィールドで、日本からも持っていってお願いしている再処理なども立派に手がけていただいています。フランスもラアーグあたりでこれをやってくれていますけれども、それぞれの原子力庁とか産業省のお役人に聞いても、日本と一緒に手を組んで安全で効率的な再処理をひとつやっていきたい、こういうことを聞かされて帰ってきているんですけれども、そこらも含めてコメントをお願いします。
  19. 藤目和哉

    参考人藤目和哉君) 御質問で、日本エネルギー経済研究所としてはどう考えているかということなんですが、私も理事長ではなくて、それから研究所としては二年か三年ごと見通しを出しておりますけれども、前に出した見通しがちょっと古くなっておりまして、それを今言っても余り現実性がないので、私の個人的な見方ということで許していただきたいと思います。  私の資料の四ページ目でありますけれども、まず省エネルギーについては、二〇一〇年まで年率一・五%というのはまずいろんな努力をしても難しいんじゃないかと思っております。これは、省エネルギーは一・五%、GNPは三・五%ということですから、常にGNPよりも二%エネルギー伸びを下回らせなきゃいけないということですね。よほどの政策努力をやったとしても、補助金とかあるいは税制上の優遇とか、そういうことをやったとしても、まあこれは努力目標ですからこういうことだと思いますけれども、実際に研究所としてはいろいろなモデル等を使って、いろいろいわゆる予測的なことをやりますけれども、そうしますと、やっぱり二%ぐらいは伸びるという形になりまして、省エネルギーは努力しなければいけないのですけれども、なかなかこれを達成するのは難しいんじゃないかなと思っております。したがいまして、全体の量がこれよりももう少しふえるということですね。  それから、石油依存度を二〇一〇年に四六%に落とすという、これもなかなか難しい目標で、これは反面原子力とか天然ガスとか石炭がどこまでいくかということなんですけれども、原子力については七千二百五十万キロワットというのは最大限の目標だと思いますが、実際にはなかなか立地が難しいこと等を考えると、ここまではなかなかいかないんじゃないかなと思っております。したがいまして、原子力がこの水準まではなかなかいかないんじゃないか。原子力については私自身はそんな危険なものだと思っていませんけれども、実際に国民とか住民がどう理解するかという問題ですから、もちろん最大限のPRとか、そういう努力はする必要はあるのでしょうけれども、実際にここまでいくのは難しいのではないかと思っております。  それから、天然ガスについても、非常にクリーンでいいのですけれども、天然ガスは液化して運んできて、また気化する、非常に高いものですね。それと、受け入れ設備等膨大な資金がかかるということで、これもそう簡単にはできないものですね。そういう意味でありますし、石炭については炭酸ガス問題というのがどうしてもありまして、そういった制約を考えると石油以外のエネルギーについては非常にハードルが高い。それは政策努力でかなりの程度解決していかなきゃいけないわけですけれども、実際問題としては難しいということですね。  そうしますと、当然エネルギー需要はこれよりも相当ふえますし、石油代替エネルギーについてはここまではなかなかいかない。それから、新エネルギーについても五%まで持っていくというのは特に経済性の面からなかなか難しいんじゃないかと思います。  そういうことで、石油代替エネルギーについてはなかなか目標の達成は難しいということになると、残るのは石油に頼らざるを得ないということですね。石油というのは基本的には、価格とか供給量において不安定と言われておりますので、できるだけ減らしていくという方向なんですけれども、今申しましたようにエネルギー需要はこれより伸びる。それから、石油代替エネルギiについてはなかなか目標達成が難しいということになると、二〇一〇年で五〇%を割るかどうかというのは非常に難しいところじゃないかということだと思うんです。研究所としては、恐らく来年ぐらいに研究所としての見通しを出しますけれども、これはいわゆる予測的なもので、膨大なモデルを使ってやりますが、恐らく答えとしては五割を切るのはなかなか難しい。最大限の努力をしたとしても難しいのではないかというふうに考えます。
  20. 福間知之

    福間知之君 わかりました。
  21. 加納時男

    参考人加納時男君) 福間先生から二つ御質問いただいておりますので、簡潔に一つずつ御報告申し上げます。(OHP映写)  まず第一番目は、ことしの夏の東京電力の供給はきちきちではなかったのかという御指摘でございますが、おっしゃるとおりでございまして、すれすれのところで紙一重であったというのが実態でございます。八月二十三日の最大電力の曲線がこの黒でございます。そのときの供給力は他の電力会社、東北電力さんを初めとして他の電力会社からの応援をいただき、また自家発電との連携もとりまして供給をしていただいたり、いろいろな努力をいたしました。加えまして、大口のお客様で四百軒の方々に特別な契約をしております。需要がかなり多くなって供給が厳しい場合には操業を一部抑えていただく、そのかわり割引をさしていただくという特別な契約をさしていただいておりますが、そのお客様にお願いしまして約九十万キロワットの電力を減らしていただきました。それからまた、テレビ等を通じまして国民の皆様に冷房の冷え過ぎを少し緩めていただけないでしょうかというお願いも率直に申し上げました。いろいろ御協力をいただきまして、すれすれで助かったというのが、この赤が限界、黒が実勢でございますので、このすき間がほとんどないといったのが実態で、先生の御指摘のとおりでございます。  先生の御質問は、来年はいかがかという、先の話じゃなくてとりあえず来年はどうかという問題でございます。  ことしも私ども、原子力発電所を新しく二基運転開始したわけでございますが、その二基目といいますのは柏崎刈羽二号原子炉百十万キロワットでございます。これは十月に営業運転ということでございましたが、夏場に試運転をやらしていただきました。これもこの供給力に入れましたが、これが来年は正規な供給力として入っております。それから、いろいろ設備事故で大変御心配をおかけしました福島第三号機が来年の夏には間に合うように運転をいたしたいと私ども考えておりますが、これが百万キロワット入ってまいるかと思います。東扇島地点というのがございます。これはLNGでございますが、これの一号機が既に百万キロワットで入っております。二号機をことし夏に試運転さしていただいたんですが、これがフルに来年三月に運転開始いたします。これで百万キロワットの手当てをしたいと思っております。そのほか、来年、水力で私どもでは今市それから電源開発さんで下郷というところで増設がございまして、これ七月の予定でございます。夏に間に合うように御計画いただいておりますが、このうちの大体七割を東電がいただくことでお話が済んでおります。  そういう私どもの水力、火力、原子力、すべて含めましたミックスの中で自前の供給力を図ると同時に、他の電力さんからの応援を一段とまたお願い申し上げる。お客様との御契約の中でまたそれを進めていく。さらに、この十一月から時間帯別料金というのを始めさしていただきますが、御家庭の中でも深夜に蓄熱しておいてエネルギーをためておいて昼間使っていただけるような、そういう機器も普及してまいりつつありますので、それをお客様方にも御協力をいただき、何としても来年の供給確保するとともに、先生御指摘のとおりエネルギーはリードタイムの長い産業でございますので、十年先を見据えた電源立地を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  第二点の御下問は、原子燃料サイクルについての御質問かと思います。先生御視察いただきましたヨーロッパのお話がございましたが、おまえの会社では何を考えているのかという御下問かと思います。  私どもとしましては、原子燃料サイクルは我が国にとりまして、資源プアな国と申しますか、いろいろ資源リッチな国がございます、水力の多い国、それから石炭の多い国、いろいろな資源リッチな国がございますが、日本はどうしても資源プアな国、フランスと並んでプアな国でございますので、こういった国のエネルギー安全保障として原子力は欠かすことのできない選択ではないだろうかと思われます。その原子力自立のためにはどうしても濃縮から再処理、廃棄物まで含めまして一貫した原子力自立のための原子燃料サイクルが不可欠であると思います。  よく再処理という言葉が使われて私ども使っておりますが、青森にもよく参りましてお話し合いしてまいりますと、実はこれはまだ使えるエネルギー、未利用エネルギーエネルギー資源の有効活用であり、一たん使ったけれどもまだまだ使える資源のリサイクルである。リサイクルこそ資源・環境問題を解くキーワードだとするならば、原子燃料サイクルこそ私どもとして、時間がかかりましても必ずや地元の方そして国民の方々の御理解の得られるものではないかということを切に願っているわけでございます。  もちろん、地元の方には揺れ動くいろいろ御不安な感情がチェルノブイリ以降あるのも存じ上げておりますし、さまざまな意思表示がなされているのも十分承知しているところでございますが、私どもはこの青森を何としても最先端の技術エネルギーのメッカとして発展をしていくことによりまして地域との共存を図ってまいりたい。私どもでは何かよくいろいろ批判を受けますけれども、この青森はエネルギーの先端技術センターである、またそうなってほしいという願いを込めましてこれからも努力してまいりますので、先生の御指導をよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  22. 西野康雄

    西野康雄君 能登参考人にお聞きしたいと思います。  先ほどの御説明の中で石油諸税のところ、お時間の都合もあったのか大分はしょられたようでございます。石油に関する税の体系というのでしょうか、税制というものについて業界としてはどのようなことを望まれているのか、少しお述べいただければと思います。
  23. 能登勇

    参考人能登勇君) まず第一は、先ほど御説明いたしましたように非常に高額の税金であること。ヨーロッパに比べるとそんなに高くないじゃないか、よくこういうお話をされる方があるのですけれども、ヨーロッパの場合は付加価値税、日本の消費税に当たるものが一五%とか二〇%とか、そういう高い税で成り立っていることからおわかりいただけますように間接税に重点を置いている国でございます。そういった国と比べて日本は同じぐらいの税金を取っている。日本は直接税のウエートが高い国でございますから、そういうところでこれだけ巨額の税金を取っているのはおかしいということが第一点でございます。  第二点といたしましては、先ほど御説明いたしました表でもわかりますように、年々かなり税額はふえてきております。こういった増収分はやはり還元すべきではないか、少なくともその分は還元すべきではないかというのが第二点でございます。  それから三番目といたしましては、消費税が導入されますときにほかの既存の間接税については全部調整が行われております。物品税は廃止されておりますし、それから電力料金、ガス料金についての税金につきましても廃止されるとか軽減されるとか、あるいは昔の料飲税でございますとか、ああいったものについても税率の引き下げが行われて、消費税とプラスアルファにならないようにという措置が講じられたわけでございますけれども、石油関係の諸税についてだけはそのままに単純に税額を含めて三%消費税が課されている、この辺はやはり不公平ではないかということでございます。  それと、第一に申しました問題点意見にも共通いたしますけれども、やはりエネルギー源というのはいろいろあるわけで、公平に、イコールフッティングであるべきだという主張もございます。  若干順不同でございますが、そういった点を今私どもとしては感じております。
  24. 西野康雄

    西野康雄君 もう一点お伺いいたします。  カリフォルニアあたりでも、自動車に対してメタノールを使う、そういうふうな指導が最近方針として出されたように思いますが、石油業界としてはそのメタノールの分野へ進出なさるのか、将来的にはどういうふうなことを考えておられるのか、能登参考人にお伺いしたいと思います。
  25. 能登勇

    参考人能登勇君) メタノールの供給についても私どもの業界として御協力してまいりたいというのが基本的な考え方でございます。  日本でも、地方自治体等でかなり熱心に御検討なさっているところもございますし、いずれにいたしましても、メタノール自動車が普及するためには、まず自動車ができ、かつそれに燃料を円滑に供給する体制が進まなければいけない。ですから、自動車業界と車の両輪でございまして、私どもの方は供給の方、メタノール車の普及の度に合わせまして皆さんに御不便をおかけしないように供給体制を整えていきたいというふうに考えております。
  26. 西野康雄

    西野康雄君 藤目参考人にお伺いいたします。  藤目参考人日本エネルギー経済研究所では、日本の現在のエネルギー消費を一〇〇とするならば、フランスは一六四、イギリス二〇四、アメリカ三〇一、こういう数値をお出しですが、日本は欧米並みにエネルギー需要というのは今後とも伸びていくのか、あるいはほぼ現状がとまりなのか、そういった点を少しお聞きしたいと思います。エネルギーの需要予測とでも申しましょうか、その辺を藤目参考人にお願いしたいと思います。
  27. 藤目和哉

    参考人藤目和哉君) 今おっしゃった資料、どこかで入手されたということでしょうか。  世界のエネルギーの需要については各国ごとに一応モデル等で予測はやっております。日本の場合は、先進国なんですけれども、例えば家庭用の一世帯当たりのエネルギーの使用量等は欧米よりはまだまだ低いということです。もちろん、気温とかいろいろな家屋構造とかそういう違いを調整したとしてもまだまだ低いとか、交通用のエネルギーの需要でもまだ相対的には少ないというようなこともあります。それから、経済成長自体が欧米に比べれば高目に推移するだろうと。総合エネルギー調査会見通しでは、二〇〇〇年まで四%、その後三%ということですけれども、日米構造協議で決まったような四百三十兆円をこれから公共投資するということになると、それだけでも我々の試算だと〇・五%か〇・六%ぐらいエネルギー需要を押し上げるというようなこともありまして、そういうことでこれからの経済成長のパターンとか生活パターンが、豊かにはなったとはいえ欧米に比べてまだ相対的には低いと思いますね。  だから、そういうことを考えると、エネルギー需要伸び自体は欧米よりはどうしても伸びる傾向にあるということです。もちろん、炭酸ガス排出抑制等から、できるだけ効率的にエネルギーを使うことによってそれを抑えていこうという目標になっているわけですけれども、それでもやはり所得が上がっていけばある程度エネルギー消費は伸びていくということで、欧米諸国に比べてはやはり高目の伸びになっていくというのがある意味では自然、まあ自然という言葉はあれですけれども、我々の分析からするとそうなっていくんじゃないかということでございます。
  28. 西野康雄

    西野康雄君 最後の質問になるかと思いますが、新しいエネルギーの開発、特に核融合というものに対しては非常に期待をかけられておりますが、なかなか遅々としてよい答えが返ってきておりません。藤目参考人に、核融合の見込みというものについてお伺いしたいと思います。
  29. 藤目和哉

    参考人藤目和哉君) 私自身、技術屋じゃなくてむしろ経済屋なんでその辺は難しいんですけれども、私どもいわゆる二〇一〇年ぐらいまでは長期見通しと言うんですが、その先は超長期見通しと言っています。そのときには核融合についてはどの程度組み入れるかというのは、一応経済研究所としてそれなりの位置づけはしていますけれども、これはいろいろ情報を集めても、すぐできる、例えば二〇〇〇年ぐらいまでに実用化されるという論文もありますし、百年、二百年単位では実現しないというような論文もありまして、非常に評価するのは難しいということです。  ただ、そういったいろんな専門家の意見を聞いたり論文を読んだりしましても、まあ二〇三〇年とか二〇五〇年という、タイムスパンと我々は言っておりますが、その時間的な幅で考えますと、まず入ってこないんじゃないかというふうに見ています。ただ、これは核融合の研究に携わっている人からすれば、そんなことはないと言われるかもしれませんけれども、我々としては二〇三〇年とか二〇五〇年、ちょっと幅がありますが、その中ではなかなか入ってこないんじゃないかということで超長期の見通しをやっております。
  30. 西野康雄

    西野康雄君 四分ほど時間が余りましたけれども、これで終えさせていただきます。
  31. 田英夫

    会長田英夫君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  32. 田英夫

    会長田英夫君) 速記を起こしてください。  引き続き参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次発言を願います。
  33. 藤井孝男

    藤井孝男君 今会長からお話がありましたので藤目参考人に御質問をさせていただきます。自民党の藤井でございます。  先ほど長期エネルギーの需給の見通しについてお話がございました。これは基本は、まず最大の力点というのは、ここにも書いてありますように、省エネルギーを最大の目標にしている。そのためにいろいろな数値が出ておるわけでありますが、特に第一次石油ショック以来相当な省エネルギー我が国においては行われて、その結果三六%ですかの省エネが実質的に行われた、こういうことなんでございます。そして、今後二〇一〇年を次のめどといたしましてまた同じ程度省エネというものをやっていく、こういう目標でございますね。  しかし、先ほどのお話を聞いていますと何となく心もとないというような感じもあるわけです。それは、いかに石油依存度を低めるかということにつきましても、五〇%以下に抑えるのも大変厳しい状況、こういうことでありますから。しかし、目標でありますからそれに向けて達成をしなければいけないというのが最大の責務ではないかと思います。  ついては、それにかわるものとすればやはり原子力の発電というものが非常に大きなファクターを占めてくるんだろうと思っております。その点につきましても、先ほど福間委員の方からの質問にもございましたけれども、これらの問題につきましては特にチェルノブイリの事故以来、いろいろな形での原子力に対する反対運動等もあるわけでございますが、世界の実勢を見ますと多分四百二十五基ぐらいが今現在稼働しているのではないか、世界の原子力発電。チェルノブイリ以降も相当数の原子力発電が新しく稼働した。私は七十数基稼働したのではないかと思っておるわけです。  そういうことから、やはりこの二〇一〇年の目標を達成するためにはどうしても我が国においても原子力というものを重視しなければいけない。それにつきまして、藤目参考人見通し、そしてさらにもう一つは、CO2の問題等も関係あるんですが、もちろん原子力という非化石燃料ということもありますけれども、もう一つ、先ほどお話ありましたようにLNGのいわゆる目標、これも二〇一〇年には相当数シェアを広げていくという話であります。これには資金とかいろいろな問題があるわけでありますけれども、やはりこれにつきましても、私はこれからかなりの開発を促進していかなきゃならないんではないかというふうに思っておるわけであります。  いずれにいたしましても、この原子力、特に我が国におきましては今四十五基の原子力が稼働あるいは計画等々されておるわけですけれども、二〇一〇年のこの目標を達成するためには、原子力の場合においてはまだ七十基近く新しく原子力発電所を建設しなきゃならないというふうにも聞いております。その点につきまして藤目参考人の、その実現の可能性、あるいはLNGについてのこれからの見通しについて、これは先ほど福間委員からもそういった意見が、御質問がありましたけれども、もう一度その点につきまして、この二点に絞ってお伺いいたしたいと思います。
  34. 藤目和哉

    参考人藤目和哉君) まず原子力については、現在三十九基、三千百万キロワット余が動いていますね。それから、二〇一〇年についてはこの目標は七千二百五十万キロワットですから、そういう意味ではこれから四千万キロワット余建設し、稼働させるということです。大体原子力は百十万とか、最近は大きいのでは百六十万とか百七十万とかいうのもありますけれども、小さいのもありますので、ざっと平均して百万キロワット級のものをつくるとしますと、これから四十基建設して運転させるということがこの目標になっていますね。  確かに、世界的にはまだこれから原子力をやっていこうという国もありますし、フランスなどではもう発電量のうち七〇%以上ですね、日本では今二六%と言われていますけれども、七〇%以上を原子力に依存してなお八〇%まで上げようという国もありますし、五〇%を超えている国はかなりあるわけですね。そういうことでありますし、それからスウェーデンが二〇一〇年まで原子力を完全に撤廃しようということで国民投票で決まっていたわけですけれども、なかなか省エネルギーとかあるいは原子力にかわる電源確保が難しいということでやや変わってきていますので、そういうことでこれから原子力について国際的にどう位置づけられるかというのはなかなか難しいと思いますね。  チェルノブイリの事故が一九八六年に起きて、それ以降急速に反対運動が強まったと思いますね。その前、一九七九年にアメリカのスリーマイル島で事故が起きたわけです。その影響も小さくはなかったわけです。スウェーデンの二〇一〇年撤廃もスリーマイル島の事故の影響で国民投票で決まったということなんですけれども、チェルノブイリはやはりそういうスリーマイル島の事故に比べれば格段に深刻な事故であったことは確かなんです。ですから、その影響が非常に残っていて、世界的にも一方で開発が進む国もあれば、もう一方でかなり抑制していこうという国がありましてなかなかその判断が難しいんですけれども、世論の動き自体は非常に状況状況によって変わってきますので、これから二〇一〇年までどうなるかというのはなかなか判断が難しいと思います。  一部の国では、やや原子力を見直そうという国もありますし、依然として悲観的な国もありますので、そういう意味では難しいんですけれども、結論的には、これからも原子力自体はかなりふえていくと思いますね。たしか世界平均で原子力への発電量の中の依存度は一七%ぐらいだと思いますけれども、これはこれからもどんどん大きくなっていく方向にあるということは確かだと思います。  そういうことで日本に振り返ってみますと、原子力については、ヒューマンファクターと言っていますが、炉の建設技術ももちろんそうだと思いますけれども、運転の訓練とかそういう要素、いわゆるマネジメントの技術ですね、そういうところが大きいと思いますので、その点では日本ではほかの国に比べれば格段に進んでいて、そういう面から事故の可能性というのは非常に小さいということだと思います。ただ、それを国民なり住民がどの程度理解するかというのはまた別な次元の話で、なかなか実際を見てみると非常に理解していただくのが難しいような状況にあるということは確かですね。ただ、これも今後の世論の動きがどうなるかというのは、またもう一つ……。  ただ、私自身は、そういう世論も変わるかもしれませんし、いろいろあるんですけれども、まず事故を起こさないということが最大のPAといいますか、最大の原子力についての理解を進めるということだと思います。仮に日本でなくても諸外国で事故が起きた場合にはまたその影響を受けるということで、なかなか難しいエネルギーであるということは確かだと思いますね。ただ、私個人的には、ここまで達成するのは本当に難しいんじゃないかなと。いろいろ関係者の方が努力されているとは思いますけれども、難しいんじゃないかと思っています。ただ、ほかの一部の国のように完全撤廃するというようなこととはまた違いますから、それはそれで原子力というのは非常に重要な役割を果たしていくということだと思います。  それから、LNGについては非常に期待されているんですけれども、規模の経済といいますか、ある程度の大きさの規模がないと、LNG、液化天然ガス自体は現在たしか三千数百万トン輸入していると思いますけれども、例えば三百万トンぐらいの規模であれば経済性があるんですが、それ以下になると非常に経済性が悪くなる。これは地方の都市ガス会社で少量でもやっていこうという方向にありますけれども、なかなか小規模では経済性が出にくいというようなこともあります。それから東京、関西、あるいは中部ですね、名古屋地域、この地域ではもうある意味ではかなり目いっぱい天然ガスだけの発電所等が入っていますので、天然ガスの需要の四分の三は発電用ということで、この発電用で三大都市地域以外でどれだけ伸びるかというのがこれからのかぎだと思いますけれども、実際問題は規模の経済もありましてなかなか難しい壁があるということであります。  ただ、この辺についてももちろんいろいろな隘路を打開していくという政策努力が行われるでしょうから、この見通しよりは上回る可能性ももちろんあると思いますけれども、私自身はなかなか達成が難しいんじゃないかなというふうに思っております。  以上です。
  35. 田英夫

    会長田英夫君) あと四人の方に順次藤目参考人に御質問いただきますので、簡潔にひとつお願いいたします。
  36. 中野鉄造

    中野鉄造君 藤井先生から今いろいろ質問ございましたけれども、私も実はそこのところをいろいろお尋ねしたかったわけです。  藤目参考人のお話を聞いて感じることは、結局、これから先はLNGにしてもなかなか今お話しのように難しい面がある、それからまた原発にしても広瀬隆現象と言われるようなああいうことでなかなか今後の四十基も幾らもという新設というものは非常に壁が難しい、これからの長期エネルギー需給見通しというようなものの最重点に置くものは結局省エネである、こういうことになるんじゃないかと思うんですが、ほかに何かございますでしょうか。  それと、これは非常に細かな具体的なあれですけれども、例えば東京都が今回、何か小口の宅配あたりに電気自動車を貸与するといったようなことをやり始めたようですけれども、あれはいわゆる代替エネルギーにはなると思いますが、果たしてあれは省エネになるのかどうか、そこらもひとつお尋ねしたいと思います。  以上です。
  37. 藤目和哉

    参考人藤目和哉君) なかなか難しいんで、どれもこれも難しいといって悲観的なことばっかり言っているんですけれども、もちろん政策目標としては高いところに置いて、それで努力するということが重要なんですが、やはり今おっしゃったようにほかに何かあるかと思いますと、これといって決定的なものはどれもないということですね。  したがいまして、省エネ原子力推進も、天然ガス利用とかあるいはほかの新エネ開発とかそういったものも、どれ一つ決定的なものがあってそれで解決するというものはないわけですね。だから、そういう意味でいろいろなことを組み合わせて、それぞれいろいろなことをやって何とか対応していくということじゃないかと思うんですね。そういう意味では、原子力だけで解決するわけでもなし、省エネだけで解決するわけでもなし、新エネだけでまして解決するわけじゃないということで、あらゆることを多様にやって、それで対応して初めていろいろな困難を乗り越えることができるんじゃないかということを私自身は、いろいろ難しいとは言いましたけれども、最終的にはそういう困難を乗り越えて何とか対応していけるとは思っていますけれども、どれも非常に難しい目標であることは確かだと思います。  電気自動車については、これ特に電気を使う場合には、自動車としての、いろいろな環境汚染だとかそういう面からいったら非常に負荷が小さいわけですね。ただ、その電気を何でつくるかということが非常に重要で、仮にそれを化石燃料でつくった場合にはやっぱり炭酸ガスが出ますし、だからそういう場合には原子力でつくるとかあるいは燃料電池とかいろいろなことが言われていますけれども、そういうことをやらないと、使うときには電気ですけれども電気をつくるのはまたエネルギーが要りますから、結果的には対応策にならないというおそれもあるわけですね。  それから、電気自動車が省エネになるかどうかというのは、これは非常に難しい話で、もちろん効率が今よりも大幅に改善されて、これはむしろ加納さんの方が詳しいと思いますけれども、いわゆる電池の機能ですね、これが非常に改善されれば省エネにもなりますが、今の状況では余り省エネにはならないと思いますけれども、今後の技術改善次第というところじゃないかと思います。
  38. 神谷信之助

    神谷信之助君 今の省エネの問題ですが、なかなか難しいんだけれども、しかしこれは解決していかなきゃいかぬというように思うんです。  そういう意味で藤目参考人にお聞きしたいのは、エネルギーの効率的利用のための画期的な技術開発というのが新たにやっぱり求められていると私は思うんですけれども、そういった点についての展望というか、御存じの向きがあればお話しいただきたいと、こういうように思います。
  39. 藤目和哉

    参考人藤目和哉君) 省エネルギーの技術については、第一次石油危機俊一番進んだのは製造業における技術の進歩ですね。これは、エネルギーコストが上がったためにそれに対応しようということで企業が合理的な行動をとるとすれば、製造業におけるエネルギーコストダウンというのが非常に経営上メリットがありますので、それで非常に進んだということですね。それが最近ではやや停滞しているというのは、ごく最近は別としてエネルギー価格が安くなったとか、それから円高もエネルギーを安くする作用がありますので、円高も含めて非常に省エネについてインセンティブがなくなったということですね。それと、今は人手不足ということもありまして、むしろ省力化の投資の方が優先されるというようなこともあって、省エネ技術自体への投資というのが非常に停滞しているという状況ですね。  それから、交通用では自動車が大型化したり多機能化しているということで燃費が非常に今悪くなっていますけれども、これは目標としてはかなり改善しようということですね。家庭用でもテレビが大型化したり、いろいろなものが大型化、多機能化して省エネが後退しているということは確かなんですけれども、それに対して決定的にこれはという新しい技術というのはちょっと今のところ考えられない。  よく超電導の問題が出ますけれども、超電導によって相当省エネになるとか、あれは電力を貯蔵する機能もありますので、昼と夜の格差を縮めるとかいろいろ言われているんですけれども、省エネ技術についてはこれといった決定的な技術というのがあるわけではなくて、結局はあらゆる部分で小まめに開発していかなきゃいけない。それに対して製造業、交通部門、それから家庭、あるいはこういう事務所ビル等の建物の中の技術ですね、それを少しずつ政策的バックアップ等で小まめに改善していくしかないんじゃないかということであります。  以上です。
  40. 古川太三郎

    古川太三郎君 石油もどんどん上がってきました。そして原子力発電も恐らくこれからつくっていこうと思うと相当単価が高くなるんではないか、こう思うわけなんですが、こういうった化石燃料とかあるいは原子力への抵抗といいますか、そういうもので単価が上がっていきますと、新エネルギーといいますかクリーンエネルギーに向かう力が強まる、私はそう思っているんですけれども、経済的効率から見てどのぐらいまで石油が上がればそういう力が働くものかどうか。あるいはまた、原子力発電ではなかなか今のところコストは、ほかの風力とか温度差発電とか地熱とかというように見れば高い。だけれども、それが原子力でなくてほかのエネルギーにやってもいいじゃないかというような、交換ができるのはどのぐらいまでいけばそういう力が出てくるのか、そういうものの何か研究があれば教えていただきたいと思います。
  41. 藤目和哉

    参考人藤目和哉君) 実際にはそういう研究がいろいろ行われているんですけれども、なかなかこれといった決定版のものはないというのが結論かと思います。  原子力発電については、我々が計算すると、生涯コストと言いますけれども、原子力発電が廃炉されるまでの計算とかほかのエネルギーについてもそういった生涯コストですね、そのエネルギーの生産設備が廃止されるまでのコストでやると、原子力がやはり今までも決定的に安いということになりますから、最近のように原油価格が上がればさらに安いということだと思うんです。  新エネルギーについては、よくバレル三十ドルとか五十ドルとかいろいろ言われたんですけれども、非常に一種の蜃気楼を追っかけているような感じがありまして、三十ドルになるとまたさらに上がってしまう。三十ドルになるとそれじゃ出てくるかというと、そうじゃなくて今度は五十ドルというようなところにならないと出ないというようなことがありましてなかなか難しいんですけれども、私のいろいろ読んだ中で、バレル四十五ドルというのが今度の総合エネルギー調査会の二〇一〇年の見通しですけれども、そのぐらいになれば経済的に導入が可能ないろいろな新エネルギーがかなり出てくるんじゃないかと思いますね。  ここには余り出てないんですけれども、オイルサンドとかオイルシェールとかいった石油にかわるエネルギーもありますし、いろいろな形で出て、そういう意味では四十五ドルとか五十ドルぐらいが今の段階では一つのめどかなと思います。ただ、これといって決定的なものがあるわけじゃなくて、新エネルギーも、太陽エネルギーもやるし、風力もやるし、それから温度差発電もやるし、いろいろな形のものを今から多様に進めていって初めて二〇一〇年に何%にいくという話じゃないかと思います。  以上です。
  42. 足立良平

    足立良平君 民社党の足立でございます。  時間もございませんので簡単にお聞きいたしたいと思いますが、省エネルギーの関係、先ほども既に出ているんですが、考えてみますと第一次石油ショック以降のほぼ同じレベルを長期見通しとして持っているということになりますと、従来のエネルギーの使用の状況あるいは産業構造状況、それから価格状況、あるいは今までの技術革新とこれからの技術革新の進歩の状況、こういう省エネルギーを達成していく要因というもの、どれ一つとりましても相当厳しい状況が想定をされると思うんです。したがって、そういう面で第一次石油ショック以降の省エネルギーとほぼ同程度省エネルギーを将来の長期エネルギー計画で見込んだ考え方といいますか、その辺のところをひとつお聞かせを願いたいと思います。
  43. 藤目和哉

    参考人藤目和哉君) 総合エネルギー調査会自体は、会長が稲葉秀三、私どもの研究所の会長でもあって、それから全体の取りまとめをやっている需給部会長が私どもの研究所の理事長ということで、一応私どもの研究所も参加しているんですけれども、基本的には通産省の考え方というのが強く反映されていると思うんです。やはりGNP当たりのエネルギー消費を三六%今後二十二年で落とすというと、そのぐらいやらないと基本的には供給に対応していけないといういわゆる供給確保の面からと、それから炭酸ガス排出量を抑制していかなければならないという面、この二つの大きな課題に対応するためには、結果的に三六%程度省エネをやっていかないと需給バランス上対応できないということですね。  したがいまして、偶然一九七三年から八八年までのGNP当たりのエネルギー消費の減少率と一緒になったわけですけれども、それは一緒にするという考え方じゃなくて、今言った石油依存度も五割以下に落とす、それからCO2についても抑制をするというようなことを考えると、そのぐらいやらないと需給問題が解決しないということですね。実際にそれができるかどうかというのは、もちろんいろいろな検討をして、いろいろな積み上げで、製造業ではどの程度、交通用ではどの程度、民生用ではどの程度ということをいろいろ検討した上でそれに対応する形にはなっていますけれども、最終的には需給問題の課題に対応するということでそういう数字が出てきたと思います。
  44. 田英夫

    会長田英夫君) 藤目参考人には、大変お忙しい中をありがとうございました。御退席いただいて結構です。
  45. 藤目和哉

    参考人藤目和哉君) どうも失礼しました。
  46. 田英夫

    会長田英夫君) 引き続き、他の三人の参考人の方に対する質疑を続けます。
  47. 藤井孝男

    藤井孝男君 まず、小島参考人にお伺いいたします。  先ほど答弁の中で、これからの中東と日本との経済協力の話がございました。今は、とにかくほとんど、日本の中東に依存している石油というのが七〇%ということでございますが、今後は、そうしたことに対しまして産油国も、単なる石油という将来的にはいずれ枯渇することを踏まえて、やはりいろいろな計画を立てていると思うんです。そこで、しからば日本がこれから特に中東地域に対して投資を促進をしなければならないということになろうかと思います。  大変個人的なことですが、実は私はかつてアラビア半島に住んでおったことがございまして、アラビア石油という会社に十二年間勤務をいたした、そういうこともありました。そうした中で、私がいた当時、日本からの石油以外に関する投資というのは、今現在の状況はわかりませんが、カタールに神戸製鋼が製鋼所を出したというようなことがありますけれども、そういった意味で今後日本の湾岸諸国、産油国に対しての経済協力というのは、例えばどういったものが非常に望まれるのか、また産油国側としてどういったことを望んでいるのかという点について、参考になる御意見がありましたらお願いいたしたいと思います。
  48. 小島直

    参考人小島直君) 産油国側は、経済開発についての姿勢がまちまちですけれども、サウジ、カタール、この辺は工業化を重点的にやりたい。クウェートあたりですと工業化はまああきらめているというか、むしろ金融立国、そして石油、この二本立てでいきたいということですが、工業化を目指している国を取り上げましても、現状のシステムでは、さまざまなシステムで延長していきますと非常に先行きは難しいと思います。ですから、かなりいろいろな角度からシステムを変えないと中東における工業化というのはうまくいかないと思います。  まず、日本の対中東の経済協力の姿勢ですけれども、産油国については、これは民間ベースでやるというのが基本です。非産油国については、政府の援助もある。エジプトは、援助の年次供与国になっております。それぞれに問題がありまして、産油国に対する経済協力というのは、基本は民間ベースでやるということになりますと、当然これは完全に採算ベースでやりますので、民間は採算に乗らないものはやらないということになりまして、特に、第一次石油危機のときは中東の経済開発に日本が参加するというのもブーム的になりましたけれども、第二次、その以降ほとんど対中東の民間の経済協力というのは下火になっております。連年減少していると言っていいほどです。イラン・イラク戦争後、復興需要というのが出まして若干盛り返しておりますが、これも第一次石油危機後のピークに比べると非常に低いということです。  中東産油国の工業化、これを民間ベースでやってうまくいきそうなのは石油の下流部門ですね、リファイナリー。サウジは輸出用のリファイナリーをつくりまして大成功しておりますが、あと石油化学、それからアルミ製錬、電力多消費する、エネルギー多消費型のアルミ製錬、この辺が輸出産業として発展する可能性があり、既に発展しています。それ以外の産業については、輸入代替の工業化もかなり難しい。輸入代替の工業化をいたしましても、例えば東欧ですとか、最近ではアジア諸国の安い工業製品が流入しますので、工業化がなかなか難しいということです。  ある経済学者が中東の経済開発についてこういうことを言っていたんですが、中東の産油国は労働力が非常に足りない、ですから日本の最新鋭のロボット工場を持っていけば、労働力不足が解決できてうまくいくというふうに言っておられましたけれども、それは一つのやり方かもしれませんが、それだけではうまくいかないということですね。  例えば、現在サウジとECの間でどういう問題が起きているかといいますと、サウジは石油化学産業というのは、これはもう輸出産業として立派に発展させたわけです。日本にもエチレンなんか大分入ってきていますが、ECは先ほど申しましたように非常に対外的には保護主義的で、ECはサウジのエチレンを事実上輸入制限しているということです。ですから、非常にエネルギーコストが安くて、石油輸出用リファイナリーとか石油化学というのは競争力が一見ありそうでも、国際経済のシステムがそういうシステムですとうまくいかないということです。ですから、サウジとECのいわゆる貿易摩擦というのはもう十年近くやっていますが、依然として解決してないということです。  ですから、そういう非常に一見低コストのエネルギーを持っていて、エネルギー産業では非常に発展する余地、可能性は非常に大きいんですが、それすら国際経済的なシステムも変えないとうまくいかないということですね。  それからもう一つ、中東の工業化で今度は非産油国の方ですが、非産油国の方は、これはもう労働力が非常に産油国に比べますと豊富で賃金のコストも非常に安い。例えば、東南アジアのNIES諸国よりも賃金水準だけを比べればはるかに安いわけです。ですから、日本が日本の技術と資本と中東の非産油国の安い労働力をうまく組み合わせれば、これはうまくいく可能性があるということですが、これも国内の市場は非常に小さいですから、輸出産業としての基盤をつくらなきゃいけないということですね。  そうしますと、まず非産油国については、国内の経済的な発展にもいろいろ問題がありまして、経済が非産油国についてはかなり社会主義的な路線をとりましたので、その修正も必要ということがあります。国内の経済システムをかなり合理化しなきゃいけないという問題もありますが、これも市場の問題ですね、市場をどう確保するのか。つまり、非産油国の工業製品、例えばエジプトの綿花というのは世界的にも最も品質がいいと言われていますが、エジプトはほとんどこれは原綿で輸出しているわけです。製品としては輸出してないわけですね。一例で言えば、英国のバーバリーコートというのは、これは原綿をエジプトから輸入してあれだけの製品を輸出しているわけですね。ですから、加工のやり方によれば非常に質の高い工業製品になる、そういう素材があるわけですけれども、これもそういう工業化の方向性というものの歩みが非常に遅いエジプトサイドにも問題がありますが、先進国のサイドも、原料を輸入して先進国側が工業製品で輸出するというそういうシステムが依然としてありますので、そこから変えていかなければいけないということです。  それから日本の援助について申しますと、これは対中東援助を見ていて問題になるのは、一つは要請主義ということですね。これが非常にマイナスしているということだと思います。要請主義というのは、これは援助を受ける国の主権を侵害しないということで要請主義になっているというふうに思われますが、問題は受け入れ国の方で得た援助、それをうまく消化していくシステムがないということです。ですから、要請主義というのは産油国がこのプロジェクトに金をつけてくださいと言ってきたときに、日本側が若干の審査をして援助をつけるというシステムですけれども、プロジェクトの発掘から日本も協力していかなければうまくいかないだろうということが考えられます。  それから、中東の非産油国というのは非常に経済状態が悪いので、現地の通貨というのは切り下がっています。日本円はどんどん切り上がっていくということで、返済する国にとってみますとベースは自国の通貨で考えますから返済コストが非常に高くなっていくということですね。ですから、その点も考えて援助というのをやらなければいけないということです。  日本の援助というのは、最初の出発点がそもそも日本の国際収支の黒字を減らそうと、そこがむしろ先決になっていまして、どこにどういう有望なプロジェクトがあるからお金をつけるというよりは、早く約束額だけは消化したい、そういう面があると思いますね。それではせっかくの援助も受ける側の国の経済発展にうまく役立たない。それが例えば対エジプトの援助を見ていて感じられる現状だと思います。
  49. 藤井孝男

    藤井孝男君 今のお話に関連しまして能登参考人にお伺いします。  今のお話の中でサウジアラビアという話がありましたが、その中で精製部門等々についての工業化が進んでいるということですが、いわゆる下流操業の部分につきまして、これは特にサウジアラビアが中心だと思うんですが、日本に対して下流操業の部分について進出をしたいという意向があるというふうにも聞いておるんです。そうなりますと、先ほどの参考人のお話にもありましたように、日本の石油精製業は収益率が非常に悪いということもありますし、またしかしながら、そういった産油国側がいわゆる一貫操業の一端として日本に対して精製工場に進出したい、その下流部門に進出したい、こういう意向があるように聞いていますが、その点はいかがお考えですか。
  50. 能登勇

    参考人能登勇君) 具体的にはそういう申し入れが日本に対してあったというふうには承知いたしておりません。  ただ、これについては通産省の方の方針を我々の方で話を伺っておりますのは、これは外資法に基づいて、まだ例外品目でございますので許可が要りますが、三つの条件を満たせば認可してもいいんじゃないかというのが通産省の方針であるというふうに伺っております。  一つは、緊急時における安定供給確保できること、これが第一の条件でございます。それから、国内における構造改善に資すること。企業の集約化とか、いろいろ目標がございますので、そういったものの阻害要因にならないことということだと思います。三番目といたしましては、相手国の上流部門への我が国からの進出、これを認めてほしい。この三つの条件が満たされれば認可してもいいんじゃないかという基本的なお考えと聞いておりますし、私どももそれに同意いたしております。  ただ、今申し上げましたように、具体的に申し入れがあったというふうには承知いたしておりません。
  51. 藤井孝男

    藤井孝男君 今の問題は中長期的な立場で産油国側がどういうふうに出てくるかという話の中での話ですけれども、今の話で結構でございます。  時間がありませんので、また能登参考人にお伺いしますが、石油製品の価格が非常に上がっているということですね。  石油を見た場合には、短期的な場合と長期的な場合がありますが、先ほどのそれぞれの参考人の話の中にありましたように、特にこれから需要期を迎える石油製品の需給バランスがどうなるかというのが非常に心配であるということなんで、その中でクウェートイラクから、特にクウェートから主に日本は石油製品を輸入しておりましたけれども、それを埋めるためにまたそのほかのソースから輸入しなきゃならないということですが、ただサウジは例の多国籍軍が展開しておりますから、サウジも目いっぱい製油所で製品を生産しておるわけですけれども、そのほとんどはこの状況の後まだ輸出に回されてないというようなことだと思うんですね。したがって、今後とも国内の精製能力を目いっぱいやるんだと思いますが、その点についての価格見通しと、それから日本の精製工場の製品の生産能力、もう一つは第二次回収ですか、その点についての状況等について教えていただければありがたいと思います。
  52. 能登勇

    参考人能登勇君) まず製品輸入の点でございますけれども、先ほどちょっと時間の関係で説明を省略してしまったんですが、私の資料、「石油産業の当面の情勢」という資料でございますが、十一ページをごらんいただきますと、上から二つ目に④というのがございます。十月十九日に資源エネルギー庁は、下期の原油処理量を昨年の同期に比べまして一一%増産するようにということを決定いたしました。それで製品の輸入を国内処理に振りかえようということでございます。  先ほど申し上げましたように、製品を二割輸入しております。これを製品の輸入は一割にしようと。あとの一割は、残り八割は国産でございますから、その国産の八割を一一%増量する。ですから全体にすれば大体九%ぐらいになります。これでバランスさせようと。今御指摘のありましたように、ほかから輸入といいましても、かえってそこの値段をつり上げてしまいますので、そういった国内処理で対処していこうというのが第一点でございます。  それから、二番目は能力の点でございますが、これは七〇%が昨年の実績でございますので、まだ能力に余地はございます。ただ、二次処理の能力につきましては、特にこれは、ほかの参考人からも御説明ありましたけれども、最近は重質油を処理しなきゃいけなくなってきますので、二次の方の能力は大分手いっぱいになってきておりますが、これも大体このぐらいの処理はできるということでございます。  また、二次の設備につきましては、昨年ぐらいからかなり設備投資が行われておりますので、それも能力化してくると思われますので、今のところ大丈夫というふうに見通しております。
  53. 藤井孝男

    藤井孝男君 それにまた関連する話ですが、要するに消費者のサイドから見ますと、まさに価格の問題があろうかと思います。ついては、まさにこれからの需要期というのは灯油、軽油、これが中心だろうと思うんですね。そういうサイドから見ますと、これはわかりやすく言えば、消費者から見ますと今までの石油業界の価格のメカニズムというのが非常にわかりにくくなっているんではないかという点があるわけです。  これは端的に言えば、石油が下がったときにはなかなかそれが端的に価格に反映されない、また逆に上がったときにはすぐにそれは価格になる、いわゆる便乗ではないかというようなことを言われるわけですね。ですから、私は能登参考人にお願いいたしたいのは、そういった価格メカニズムについてやはりもっとPR活動といいますか、そういったものをしっかりやってもらわなきゃいけないのじゃないか。よく後入れ先出しとかなんとかといろいろ価格のメカニズムがございますね。そういった問題等々についてやっぱり消費者の皆さん方に、こういうメカニズムであるのでこうであるとわかりやすく説明すべきではないかなと思うのですが、その点についていかがですか。
  54. 能登勇

    参考人能登勇君) 価格の点につきましては通産省の方からそれぞれの石油会社に対しまして、原油価格及び輸入製品価格の変動に伴うコストの増減に対応したものだけを価格改定するようにという指導を受けておりまして、そのために毎月関係資料を提出して報告するようにという指導を受けております。その指導に基づきまして原油価格のアップ分あるいは輸入製品価格の増加分、これだけについて値上げをお願いするという方針でやっております。  それから、PRにつきましては御指摘のとおりでございまして、私どもも反省しているわけでございますが、後入れ先出しというような会計処理的なことを言いますと非常にわかりにくい。そうではなくて、もう既に原油は高くなっている、製品を値上げしていただいたお金を使わないと高くなった原油がまた手当てできなくなる、つまり再取得するために必要な資金を早く回収させていただきたいと。これは会計的に言いますと後入れ先出しということになるのですけれども、そういう専門的な言葉を使わないできちっとそういうふうに、高くなった原油を購入するためには、どうしても今またすぐ製品を値上げしていただかないと新しく高くなった原油は購入できなくなりますと、こういう説明をすればよかったというふうに今非常に反省しておりまして、これからそういった点、国民の皆様によく御理解いただけるように努めていきたいと思っております。
  55. 藤井孝男

    藤井孝男君 よろしくお願いします。  それから、加納参考人にお伺いいたします。  先ほど原子力の話をいたしましたけれども、これもいろいろ難しい問題がたくさんあるようでございます。ただ、東京電力さんという立場でも結構ですが、これからの原子力産業、先ほどいろいろ参考人の話がありましたけれども、どういった点に重点を置かれてこの原子力発電というものを着実にやっていくかということについて、御意見があったらお伺いしたいと思います。
  56. 加納時男

    参考人加納時男君) これからの原子力産業原子力を平和利用していく立場から何が重点かということでございますが、何といっても資源に乏しい日本の国のエネルギーの安全保障の面からも、またCO2、SOx、NOxを出さないという意味での環境への優しさを持っている点からも、私は不可欠なものであると。  先生の御質問にお答え申し上げますと、その中でどういう覚悟かということでございますが、何といっても安全、安定した運転の積み重ねが、地味ではございますが、この問題を理解していただくための一丁目一番地といいますか最優先課題であろうと思っております。  そういう意味では、設備事故等によりまして非常に御心配をおかけ申し上げましたことを大変深く申しわけなく思っておりまして、このようなことの再発の防止に努めるとともに、第二にはあらゆる情報を徹底的に公開していくということであろうと思っております。そういう意味では、たくさんの部品から成っている、数百万点の部品から成っている設備でございます。最先端技術ではございますが、その部品にトラブルがあるというのは、これはあり得ないとは言えないと思います。それが放射能事故になるようなものにならないような仕組みを考えると同時に、たとえトラブルでありましても、これはその都度情報を公開しまして、よくわかっていただくということこそ、これも時間はかかりますけれども王道ではないかと考えているところでございます。  三番目には、積極的な対話活動、目に見える原子力というのが私どもは大事な課題だと思っております。既に私ども東京電力だけで申し上げましても、この一年間に一千回に及ぶ説明会をやりました。それから、サイトには三つの地点がございますが、二十五万人の方に見ていただきました。設備が見える、そして情報が見える、原子力関係者の顔が見える、三つの見える原子力を目指してこれからもやっていくことこそ、先ほど来先生方からお話の出ております、二〇一〇年までの原子力七千万キロワット強というのは非常に難しいのではないかということに対するお答えにもなるのかと思います。年間二基ずつつくっていけば、二十年で四十基はできます。できるかできないかじゃなくて、できることについてどう受け入れていただけるかどうかこそが、合意こそが今一番問題で、時間とか技術とか、物理的には十分可能だと思っております。よろしゅうございましょうか。
  57. 藤井孝男

    藤井孝男君 先ほど加納参考人のお話でおもしろかったのは、電化率と出生率というのがありましたね。要するに電化率の低いところほど出生率が高いということですか、これは。そういうことですね。  と申しますと、日本の場合に当てはめますと、電化率が非常に高いために出生率が低いということになりますと、今日本の出生率というのは一・六人ぐらいですから、これを解決するためにはまず暗くなったらみんな電気を消せばぐっと出生率がふえるんじゃないかというふうに逆に読んだんですけれども、これは冗談といたしまして、いずれにしましても今後とも原子力発電を初め、これから発展途上国もどんどん電化率は高まってくるだろうと思うわけですね。  そこで、先ほど藤目参考人にもお伺いしたんですが、LNGのことになるわけですけれども、これが非常に見通しとしてはいろいろ問題があるということですが、これにつきまして電力業界としまして、このLNGに対しまする今後の見通しといいますかLNGの埋蔵量といいますか、これはサウジを初め、先ほども申し上げたカタールにおきましても相当な埋蔵量があるわけですね。そうしたものに対してコスト的な問題が非常にあると思うんです。特に、非常に投資額が高いということと同時に、また石油と違ってタンカーの建造にも相当コストがかかる。いろいろの問題があるわけですが、いずれにしましても今後ともLNGに対しましての電力業界の考え方、これは私かなりポイントを握っている部分があるんじゃないかと思うんですね。これについて御説明いただきたいと思います。
  58. 加納時男

    参考人加納時男君) お答え申し上げます。  先生の御質問、二つあるかと思いますが、一つは電化率の話でございます。(OHP映写)  先ほど図示させていただきましたのは、これはいろいろインタビューを通じまして現地の電気が入ったばかりの国の方々とお話をしてまいったときに出てきたのがこのグラフを考えた原点でございますが、やはり大事な点は、今までエネルギーといいますと人口掛ける原単位といいますか一人当たり消費量、人口と原単位を掛けたものがエネルギー総量で、どうしても我々原単位のことにすぐ頭がいっちゃうんですが、実は人口というのも非常に大きな要素ではないか。  人口がどんどんふえているのは、今世界の四分の三の人口を占めている発展途上の国の仲間たちでございます。そこで、彼らが本当に人口の増大を望んでいるのか、それはなぜなのかというのが非常に関心があったわけでございますが、実は、話し合ってみますと、人口の増加は決して好ましくないけれども、何しろお医者さんにかかる機会がない、あるいはかかっても医療機械が使えない、電気がない、だから死んでしまうかもしれないから余計産んでおくんです、こう言われましたときにやっぱりつらい思いをしたわけでございます。そういう意味で、やはりこの出産率を何とかマイルドにするのに電化というのは大きな役割を果たすのじゃないかということが一つございました。  もう一つの点、第二の点はLNGのことでございます。LNGにつきましてどう考えているのかという御下問でございますが、あらゆるエネルギー、自然エネルギーから原子力、この原子力は私全然違うエネルギーだと思っています。これは例えば技術エネルギーと名前をつけたいんですけれども、火の発見以来、人類が初めて手にした燃さないで使えるネルギーという意味で大変なエネルギーかと思っているのでございますが、今そういう御質問でなかったのでそこは省略させていただきまして、LNGだけに絞らせていただきますと、LNGにもやはりほかのエネルギーと同じように強みと、それから弱みと申しましょうか課題があるかと思います。  強みと申しますのは、何と申しましても相対的にクリーンであり、長期契約により安定しているということ、それからもう一つ天然ガスの持つ使い勝手のよさというのがございますが、先生御指摘のとおり課題がございます。一つは、先生の御指摘の最大のものの一つにございました初期投資が大きいんじゃないか。確かに液化装置、マイナス百六十二度で液化するわけでございますが、かさを小さくして専用船で運びます。このためのタンカーのまた油も要るわけでございますが、そのタンカーの建造費、いろいろなものがかかってまいります。それに加えまして、そういう非常にお金が高いこともあって、需要変化への対応力というのがそうなくて、テーク・オア・ペイ、引き取るか、あるいは全部払うといったような、かなり硬直的な契約もこれまでかなり見られたところでございます。そういうことがございます。  それからまた、賦存している地域が、これは余り議論されておりませんが、調べてみますと、ソ連と中東に多いわけでございます。ソ連も変わってきたからいいじゃないかという見方ももちろんあるんでございますが、特定の地域に偏っているエネルギーに過度に依存するということは、どうもエネルギーの安全保障の見地からはいかがかというのが私どもの業界の考え方でございます。  しかし、先ほど来いろいろ御指摘のございますように、環境問題を解決するのにこのLNGがかなり役に立つ。CO2を確かに出しますけれども、原子力のようにゼロというわけにはいきませんが、それでも石炭の半分程度というので済みますので、相対的にクリーンなこのLNGを生かして使っていくというので、かなりのウエートをかけてまいりたい。LNGと原子力が、量的には環境面を含めましてかなり役立つエネルギーの二本柱になるのかなと思っております。  心配な点は、もう一つ価格の問題でございまして、価格がどうしても石油にリンクしておりますので、石油がわっと上がりますとLNGも上がってしまうというのは大変私ども業界人としてはつらいところで、電気料金を何とか上げないようにするために、LNGに余りにも過大に依存してしまうのもやはり問題ということで、合わせわざと申し上げましょうか、自然エネルギーも開発し、省エネルギーも努力し、そしてLNGも使い、石炭も極力クリーンに、そして使い勝手のいい石油も入れ、なお原子力も安全に使っていく、こういう合わせわざで一本ということで我々頑張ってまいりたいと思っております。
  59. 中野鉄造

    中野鉄造君 まず初めに、中近東に非常にお詳しいと聞いておりますから、小島参考人にお尋ねします。  今もお話がありましたが、従来から私どものこの地球、世界の化石燃料埋蔵量が、今のペースでいった場合にあと何年ぐらい使えるとか、いろいろ聞いたことがあるんですけれども、今日の産油国で、今のペースでいった場合にどのくらいの埋蔵量というものが推計できるのか。それが一つ。  それと、ことしの八月二十九日にOPEC閣僚監視委員会が声明を出しまして、大きく分けて三つの声明を出したわけですね。必要に応じて増産体制を確保するということだとか、市場の安定を図る、あるいは三つ目に危機の終了後は一九九〇年、ことしの七月総会の合意に復帰するということで、OPECの最低参考価格が二十一ドル、生産上限が二千二百四十九万バレル、こういうような声明を発表しておりますけれども、その紛争終結、いわゆる危機が終了したというのを、どういうときをもって危機が終了したとするのか。あるいはこの声明を、こんなことを言っては不謹慎かもしれませんけれども、額面どおりこれ信用してもいいんだろうかということですね。この点についてお願いします。
  60. 小島直

    参考人小島直君) 現在、世界の埋蔵量、これは産油国が発表している数字をそのまま積み上げていきますと、一兆バレルほど確認埋蔵量はあります。ただ、OPEC諸国というのは、生産制限政策を続けていた間に、これは割り当て量を埋蔵量あるいは生産能力に準拠して割り当てる、基本的にそこが割り当て量政策のベースになっておりまして、八〇年代の後半に相当埋蔵量を上方修正しているわけですね。これは、我々としては確認のしようがないということです。昔は国際石油会社が産油国の利権を持っていまして、埋蔵量を確認しておりましたのでかなり信憑性が高かったんですが、現在は、特に中東産油国の場合そういう状況ではありませんので、産油国側が発表した数字をそのとおり使わざるを得ないということです。ですから、どの石油専門誌も産油国の発表した数字をそのまま使っておりまして、現在、世界全体では確認埋蔵量が一兆バレル、北アフリカも中東というふうに我々は言っていますが、そうしますとその七割が中東にあるということです。  可採年数というのは、これは国によって差がありますが、中東の湾岸の大産油国、これは生産量が下がっていますので、可採年数を計算しますと百年近い、あるいは百年を超えている国が幾つかあります。ただ、可採年数、これは十年を切ると枯渇の段階と一般的に言われておりまして、アメリカはもう既に十年を切って久しいんですが、アメリカは完全に枯渇の段階にありまして、アメリカのエネルギー省の発表でも、石油価格が四十ドルに将来上がっていってもアメリカの生産量はもうふえないというふうに見られています。ですので、可採年数が幾らかというのは非常にこれは、例えば中東産油国の生産量が倍になれば、例えばクウェート生産量が百五十万から二百万になる、あるいは二百五十万になれば、その分母が、割る方が大きくなってしまいますのでこれは非常に変動します。ということです。  それから、この湾岸危機が終了した場合にOPECはどういう政策をとるかという御質問だと思いますが、基本的には現在のOPECはことしの七月の決議が現在もベースとしては生きている。八月の閣僚市場監視委員会でそれは一時棚上げというような状況になっておりますので、OPEC全体としては危機が終了すれば七月の決議に戻すということだと思います。  ただ、どの時点で危機が終了したかというのは、これは全く政治的な判断で、例えばアメリカの主張は、これはイラク軍が完全に撤退し、なおかつサバーハ家が完全に原状、もとの状態に復帰する、そのアメリカの二条件が実現した段階で危機が終了というふうにアメリカは判断すると思いますし、アラブ諸国の中の親イラク的な国は、とりあえずイラク軍が撤退すればいいんではないかと。その後は、例えば国連軍なりアラブ合同軍が監視役を引き受けて、その後の体制はゆっくり考えていこうということになりますので、どの時点で危機が終了したと判断するかというのは、これは原状ではなかなか申し上げられません。  ただ、三カ月経過いたしまして、イラク側は相当何とかこの紛争といいますか湾岸危機をおさめたいという方向に傾いてきておりますが、それに対して、ややイラクが弱気になっているというか軟化してきておりますので、現状ではアメリカが強く出ている。アメリカの二条件が保証されない限りは湾岸危機解決にはならないという、そういう情勢です。ですので、どの時点で危機終了というのは、完全な政治的な判断ということになりますので、ちょっと私ここで今申し上げられませんが、基本的にOPECとしては、危機終了ということになれば、おっしゃるようにことしの七月のOPEC総会の決議に戻すということだと思います。ただ、その戻す過程ではかなり石油価格は乱高下があると思いますが、そこに戻したいということだと思います。  OPECとしては、これは何とか第三次石油危機を起こしたくないという意見が非常に強いわけですね。これは石油離れで懲りておりまして、今の湾岸危機を第三次石油危機につなげたくないという意識が非常に強くて、できる国は増産しているわけですので、何とか七月の決議を生かしていきたいという方向になると思います。
  61. 中野鉄造

    中野鉄造君 能登参考人にお尋ねいたしますが、先ほどから言われている石油諸税の撤廃あるいは軽減、これによって石油の需要というものに対してどのくらいの影響を見ておられますか。撤廃あるいは軽減をしたら、非常に価格が安くなるわけですね、当然のことながら。それによって石油の需要というものに対する影響はどういうように見ておられますか。
  62. 能登勇

    参考人能登勇君) 私どもの主張は、やはり基本的なエネルギーに対して、冒頭にも私の御説明のときに申し上げましたように、一次エネルギーの大宗を占めているものに高額の課税をしていいんだろうかということ。それから、他のエネルギーに比べて石油だけに税金がかかっている、だけというのは語弊がありますけれども、非常に高額にかかっている、イコールフッティングでない、この点が問題だということで考えております。したがって、これらの税金が軽減あるいは撤廃されて石油製品の価格が安くなった場合にどれだけ需要がふえるかという点は、余り検討いたしておりません。実際には、さっき申し上げましたような、そういう基本的なエネルギーに高額の税金をかけていいものだろうかという点、あるいは不公平があるじゃないか、ほかのエネルギーに比べて不公平ではないかという点に着目して軽減をお願いしているわけでございます。
  63. 中野鉄造

    中野鉄造君 最後加納参考人にお尋ねいたしますが、先ほど藤目参考人に私お尋ねしましたけれども、例の電気自動車、これコスト面でもあるいはいろいろな技術面でも実用化できるという見通しはどのくらいかかりますか。
  64. 加納時男

    参考人加納時男君) 電気自動車は大変魅力があると申しますか、大変騒音が少ない、ガソリン車の四分の一ぐらいでございますし、排ガスはゼロだというので需要端では大変クリーンでございます。  問題は、その電気をつくるのに例えば石炭とか石油とかを使っていますと、同じじゃないかという御指摘かと思います。それが一つあると思いますが、この電気のもとを、さっき申し上げました非化石燃料といいますか、水力のある国は水力、自然エネルギーのある国は自然エネルギー、どちらもない国は原子力と私は思うんですが、それらを中心としながら非化石燃料にかえていくことによって電気自動車というのは化石エネルギーからの脱却に一つ役に立つんじゃないかということでございます。  先生の御下問の今後の見通し、特に問題になっておりますのは、今までの電気自動車は充電による走行距離が九十キロメートルぐらいで短いわけでございます。走行距離が短いこと。二つ目には、加速性と申しておりますけれども、最高速度まで上がるのに時間がかかって、時速もせいぜい七十キロメートル。これでは使いものにならない。しかも、バッテリーが重くて人が乗っかると動かない。バッテリーだけでしか動かないなんてよく冗談言われるぐらいにバッテリーが重たい。これは鉛電池を使用しているからでございます。逆に言いかえますと、これをかえれば全部変わるんじゃないか。きょうの陳述で全部一貫してネアカに申し上げているのは、夢を持つと必ず実現するという確信があるからでございます。  じゃ、具体的にどういうことでございますかというと、日本のオンロードで今走っているのはわずか七百五十台程度で、オフロードで千五百台あるわけでございます。あとは電動フォークリフトで十四万台程度あるんですが、こんなのじゃとても話になりませんので、これからどうするのかというんですが、例えば私ども東京電力といたしましては、実はつい先日でございますが、メーカーさんと協調しましてナトリウム硫黄電池方式の評価に入りました。これ、実はドイツで最初スタートしたプロジェクトなんですが、画期的なことは時速が百二十キロメートル出る、しかも一走行が百九十キロメートルということなんで、考えますとこれは都内ではかなり使えるんじゃないかということでございます。もちろん高速で遠距離走るのは快適な自動車で従来の自動車とか、そういうふうに考えますと使い勝手があるんじゃないだろうかと思われます。  なお、政府におかれましても来年度の目玉事業として、自治体に電気自動車千台分の助成をなさると伺っておりますが、いろいろな電気自動車の方式を研究しながらも徐々にこれから広がっていくんじゃないだろうか。すぐに何かできるというものじゃございませんし、ブッシュ大統領がアメリカで演説していらっしゃいまして、年間百万台は燃料転換するんだとおっしゃるんですが、日本でそういうドラスチックな対策がとれるのかどうかわかりませんが、私どもは私どもなりに、ともかく今までの電気自動車の悪さを追求して、これを改善すると逆に新しい魅力になる。さっき能登参考人からもお話ございましたように、メタノールにかえても流通手段が大事ですから、電気自動車の場合バッテリーをぽいぽいと入れかえていくようなスタンドを用意し、そのスタンドでは夜間の安い原子力電気を利用して充電しておきますと、これは負荷の平準化にも役に立つというふうに、かように考えている次第でございます。せいぜい勉強してまいりたいと思っております。
  65. 中野鉄造

    中野鉄造君 終わります。
  66. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間が限られていますので、三人の参考人の方にそれぞれ一、二問ずつお伺いします。先にまとめて質問をいたします。  加納参考人ですけれども、私どもは原発がだめだと言っているわけではなくて、原子力エネルギーは人類のエネルギー問題の克服のために大きな可能性を持っているというように思っているんです。ただ、現実に進められている点では経済性が優先をして安全性が軽視をされているんではないかと。そのほかにも公開の問題とかいろいろありますけれども、ひとつきょうはその点について、先ほどちょっとお触れになった福島第二原発の三号機の再循環ポンプの水中軸受け事故の問題ですね、事故の調査報告書も読ませていただきました。  これをつくっているところは、アメリカのポンプメーカーのバイロン・ジャクソン社から荏原製作所が導入して製作をされているんですが、そのもとのバイロン・ジャクソン社の方では設計変更の必要があるのじゃないかという指摘もある。ところが、結局は溶接方法を変更するということで審査をパスして、それで動かそうというようにお考えのようですが、ここにもやっぱり、設計変更というのだと大変な資金が必要になるということで、そういう指摘もあるのに安全性が軽視をされている一つの例ではないかというように思うんですが、この点についての見解をお聞きしたいと思います。  それから、能登参考人にお伺いしますが、なぜ国際石油価格が急騰したのかという問題は、先ほどもおっしゃっていましたけれども、これは九月二十七日の日経の社説ですが、湾岸危機の打開が手詰まりとはいえ、世界全体の需給バランスはそれほど崩れていない。それなのに原油価格が急騰している。その中には投機的要素が非常に大きいという指摘があります。だから、メジャーとか内外の石油資本とか日本の総合商社なんかの投機なりあるいは買い占めといいますか、そういうのがあるんじゃないか。さらに日経の社説では、株、債券市場から転入の投機筋が実需を扱うトレーダーの常識を超えたような大口の取引規模で投機的な売り買いを続けているという指摘があるんですが、この点についての御見解をひとつお聞きしたい。  もう一つ、これは能登参考人小島参考人に聞きたいのですが、価格の急騰の原因は今申し上げたような投機によるということになりますと、そうすると当面は余りにも実需からかけ離れた先物取引を中止させる対策が必要だと。アメリカの政府、議会でもそういうことが言われ、検討をされているというように報道されています。そういう規制の強化と同時に、先ほど能登参考人は備蓄原油の放出、これについては日本の場合はだめなんだというようにおっしゃっていますが、先進諸国での、先ほど言われたアメリカ、日本、西ドイツの備蓄分の放出の拡大といいますか、こういうことも必要ではないのか。この点では、小島参考人のおられる中東経済研究所の岸本主任研究員さんですか、この方が十月三日の毎日新聞のインタビュー記事で、特に備蓄を取り崩さない限りじり高は避けられないというコメントを出しておられますが、そういったこととも関連をして御意見をお聞きしたいと思います。  それからもう一つ、今度は能登参考人ですけれども、国内の石油価格がなぜこんなに上がったのかという点で国民の不満といいますか疑問が大きいわけですが、海外の価格が上がったということは事実ですわね。しかし、その点で言うと、三円ないし四円ぐらい上がったのになぜ九円も上がるということになるのか。この点では、通関統計を見ますと、二月は一万七千六百四十円、九月は二万七十五円で二千四百三十五円のアップ、通関統計でいいますと。ですから、それですと三円ないし四円ぐらい値上がる。だから、各社の報告と通関統計との食い違いは一体なぜ起こっているのかという点ですね。金利その他のやつが二円ほど上がったというのは、それはまあそれぐらいだろうとしますと、問題はそこのところが今度の国内石油価格の値上がりのポイントになるんではないかと思うので、この点の御説明をお願いしたい。  以上でございます。
  67. 田英夫

    会長田英夫君) 神谷君の持ち時間が三十分、あと十分ぐらいですからその辺をしんしゃくしてお答えいただきたいと思います。  まず、加納参考人、お願いします。
  68. 加納時男

    参考人加納時男君) 神谷先生から御指摘のとおり、原子力については私ども、安全性を経済性よりも軽視してないかというようなことではなく、十分な安全性を第一に考えて推進してまいるつもりでございます。  御質問のバイロン・ジャクソンの共振の件についてだけお答えしてよろしいでしょうか――。  ということで、バイロン・ジャクソンという会社が設計しました水中軸受けポンプでございますが、これに共振があり得る、あるということは、バイロン・ジャクソンが発表したというのは事実でございます。私どもの方ではどういうような状況のもとで共振が起こり得るのかということを実験もしております。今回の事故は経済性を重視したために起こったのではないかというような御意見もあろうかと存じますが、私どもでは今回の事故原因は溶接が不十分だったと。水中軸受けリングの本体への溶接を隅肉溶接でやっておりましたが、この隅肉溶接が不十分であった。隅肉溶接というもの自体が溶接の成果を十分に検証しにくい溶接方法でありますことから、これを一体遠心鋳造型のものにかえるか、あるいは容易に溶接不足が発見し得る完全溶け込み型にかえるということが本命であろうということで、そのように対処したわけでございます。  なお、バイロン・ジャクソンからのアナウンスメントも直ちに検討いたしましたが、私どもではZNの成分がどのような状況になったときにどのような振動が起こるのかということも調べたつもりでございます。何分にも、もう大丈夫だ、安全だ、もう心配ないと思ったときが一番危険なときでございますので、先生のお言葉を十分体しながら今後とも安全性第一に考えてまいりたいと思います。
  69. 田英夫

    会長田英夫君) 次に、能登参考人
  70. 能登勇

    参考人能登勇君) まず、先物市場価格が非常に高騰しているという点については、私どもは決して好ましいこととは思っておりませんが、先ほど申し上げましたように、十一月渡しというその時点において政治情勢、軍事情勢がどうなっているかわからないというときには、やはりどうしようもないという、決していいことではございませんけれどもさりとて抑えようもないというのが正直なところの考えでございます。  これに介入するとすれば備蓄を取り崩すということでございますけれども、今ここで全体的な数量というのは先ほど言いましたように足りているわけでございますから、ここで取り崩してしまってもし万一量的不足が起きたときに備蓄がなかったらどうするんだと。それではエネルギー安定供給はできなくなるということもございます。そういうことで、これは日本だけではございません。先進諸国でIEAという国際機関をつくっておりまして、そこでやはり先ほど申し上げましたように、自由世界全体を見ても需給バランスは大体とれている、ことしの冬はよほど寒いというようなことでもない限り今のままでやっていけるはずだから、備蓄の取り崩しは当分考えないでいこうという結論でございますので、それに従っていくということでございます。  それから通関統計、これはかなりずれがございます。日本に到着いたしましてしばらく保税に入っておりまして、実際に使うときに出されてまいります。そういった関係で通関統計、ずれがございますが、先生おっしゃいました八月でございましたか、それとのずれというのは逐次時間が過ぎていくと修正されていくと思います。実際にはこれ資源エネルギー庁の方で全部石油精製の各社からデータをとっておりまして、それに基づいてチェックをして、原油の値上がり、輸入製品価格の値上がり、それに見合った価格改定であるかどうかというチェックをしておりますので、その点間違いないはずでございます。
  71. 小島直

    参考人小島直君) まず先物市場の問題ですが、これがなぜ発展したかといいますと、一九六〇年代に国際石油会社、メジャーが上流部門から下流部門をほとんど統合支配していたわけですが、そういう体制が二つの石油危機を契機に崩れたということと、それから八〇年代に入って先進国の経済でさまざまな規制が撤廃されて、市場原理重視の経済体制に移行していったわけです。九〇年代を考えますと、国際石油産業がまた垂直統合を強化されるというふうには考えられません。OPEC諸国での下流部門進出というのがありますが、それも限界がありますので、統合が強化されるというふうには考えられません。それから、先進国の経済施策も基本的には市場原理重視という方向に向かうと思いますので、むしろ先物市場というのは広がるのではないかと思います。ただ、こういう非常時の価格の変動の規制、それには課税とか、そういう市場原理をベースにした規制手段というのは幾つか考えられると思いますので、そういう対処の方法があると思います。  それから、備蓄につきましては、これはアメリカと日本あるいはヨーロッパ諸国と全く考え方が違うということです。アメリカは、特にアメリカの消費者ですが、アメリカの消費者の場合には、これは石油、特にガソリン価格が上がってきたからその値上がりを抑えるために放出しろというのがアメリカの消費者一般の考え方で、それが議会に反映されているということです。それで、アメリカ議会では早く備蓄を取り崩せという意見が非常に強くなってきたわけです。それに対して政府は、これは危機用なのでそういうことでは基本的には取り崩せないというふうに答弁していましたが、しかし大統領の中間選挙も近くて実験的にアメリカは取り崩しました。  しかし、アメリカ以外の先進消費国、IEA諸国の考え方は、これは危機用のための、非常時のための備蓄である、非常時に取り崩しするものであるということで、さきのIEAの理事会でも基本的にはそのアメリカの消費者的な考え方は抑えられまして、IEAが当初目指したように国家備蓄については非常時に取り崩すという、そういう方向でまとまっております。私も基本的にそれで正しいと思います。
  72. 古川太三郎

    古川太三郎君 連合参議院の古川でございます。  時間の関係上お二人しかお聞きできないと思うんですが、まず能登参考人にお願いします。  新エネルギーというのは先ほど大変なロマンがなければなかなか開発できないというお話もありました。しかし、まあ汚い話ですけれども、しりに火がつかなければこれまた解決、そういったものの考え方ができにくいというようなこともございます。先ほどの話でバレル大体四十五ドルから五十ドルぐらいの石油価格になれば新エネルギーの開発も促進されるだろうというようなお話もありました。  そこで、先ほどから石油の諸税が約四兆円という、一つの単品商品としては非常に大きいのでそれだけに不公平だというようなお話もございましたけれども、これはむしろそういう諸税がもっと大きくなればなるほどそういう考え方に、新エネルギーの転換がしやすいんだと。今またアメリカの話が出ましたけれども、アメリカでは石油を安く使っていたからGNP弾性値でも日本よりも非常にむだが多いというようなこともございます。そういう意味から、むしろ四十五ドルとか五十ドルぐらいに、そこまで持っていった方が日本の経済力というのはむしろ持続するんじゃないか、あるいは将来的に見てもクリーンな新エネルギーの開発に力が注がれるんじゃないか、そういう考え方が成り立つかどうかというのをお聞きしたい。  いま一つ加納参考人にお聞きしますが、電力というのは電力会社だけの販売になっております。今、割と大きな病院だとかあるいは大きなビルを建てる場合に、自家発電もやっているところがありますね。そういったところが電気を売れるような法改正をした場合、どのようなことになるんだろうか。また、家庭でもこれからソーラー電気の開発なんかで屋根にたくさんつけようというようなこともございます。それが本当に使える電力になるぐらいの技術開発ができたとすれば、家庭の電気のメーターが逆に回って、むしろ東電さんなら東電さんに貯蓄できるような方向でも考えるならば、こういう節電の考え方もできるんじゃないかなというようなことなんです。  いま一つ、原電も最初につくったものがそろそろ耐用年数が来ているのもあるんではないか。そういったものはどうお考えになっていらっしゃるのか、そのことをお聞きしたいと思います。
  73. 能登勇

    参考人能登勇君) まず、四十五ドルぐらいにしたら電要抑制になるかどうかということでございます。これは私の個人的な意見でございますけれども、とにかく基礎的なエネルギーでございますので、高くたって使わざるを得ない。やはり需要はそれほどは減らないだろう。今よりは減るかもしれませんけれども、減らないだろうということが第一点でございます。それから、そういった基礎的なエネルギーのコストが上がった場合に日本の製品の国際競争力は一体どういうことになるんでしょうか。国際競争上非常に不利になるんではないかということ。それから、新エネルギーということであれば、要するに既存エネルギー全部がそういった抑制の対象になるべきではないか。石油だけの税金を上げないでほかのものも全部税金を上げるべきではないか、それで新エネルギーのための財源を捻出すべきではないかというふうに考えます。  それから、最後の点でございますけれども、税金はもう既に四兆円払われておりますが、そのほとんどが今道路財源に使われております。これもやはり非常に弾力性を失っている一つの問題かと思います。四兆円の税収があるわけですから、これを一般財源に入れて新エネルギーの開発なんかにどんどんお使いになればいい。新しく税をお上げになる必要はないんで、少し道路財源の方から回して、ガソリン税、それから軽油引取税は全部道路財源に充てるんだ、こういうルールもやはりそろそろ見直すべきときではないか。これだけ自動車というものが普及してきた時代。昭和二十八年、昭和二十九年のころ非常に自動車が少なくて、自動車に乗るガソリンというのがぜいたく品であった時代とはわけが違う。今は国民の足になっているわけでございますから、やはりそこら辺も考え直す、見直す必要があるんではないか。  ですから、一つは上げるというのはおかしいというのが私の意見でございますし、それからもう一つ、財源であれば今でも四兆円税金をお払いしているわけですから、その中から充当できるのではないか。それには今の財政の仕組みを少し変えていけばいいのではないかというふうに考えます。
  74. 加納時男

    参考人加納時男君) 先生の御下問は二つに分かれるかと思います。  第一の点につきまして、まずコジェネレーション、それから分散型と言っておりますソーラーなり風力なり御家庭でもお使いになるようなもの、一つはそれによる発電を期待できるのかどうか、期待したらどうか、二つ目はつないだらどうか、三つ目は買ったらどうか、こういう三点に分かれる問題だと思います。  結論から申し上げますと、私どもいろいろな形のエネルギーのそれぞれの持つ強みを生かしながら弱みを補完し合っていくということで、こういうコジェネでございますとかソーラーとか風力とか、使えるところで使っていくということに賛成でございます。はっきり申し上げたいと思いますが、ぜひともこういうものを生かせるところは生かしていきたい。しかし、それがあるからほかのは要らないというほどのウエートになかなかならない。それから、コストとしてなかなか競争ができてないというのも、これも残念ながら事実でございます。  一例を申し上げますと、コジェネレーション、確かに私もこれ大好きな一つなんですけれども、今まで一生懸命やってきてやっと百五十万キロワット。といいますのは、大変多く見えますが、日本全体の発電量の一億七千万キロワットから見るとごくわずかなんでございます。百五十万といいますと一%弱になりますか、そういうものでございまして、これがあるからというわけにはいきませんが、これも一%といえども大事だというふうに考えております。  それから、これらをつなぐことに問題があるのかどうか、特に逆潮流と言っていますが、先生がおっしゃった買い取ったらどうかということでございます。安定した系統としてこれらの電源が機能していただけるならばぜひそうしたいと思います。  ちょっと問題があって今検討している部分が一部ありますのは、実は太陽光とか風力なんかの場合でございますが、少し専門的になりますが、直流で電気が起きますからこれを交流に変えるためにインバーターを使います。そのインバーターによって電流のひずみがほかのお客様に行くんじゃないか。これは現実にありますので、それの防止策が一つと、それからもっと大切なことは安全の問題でございます。  実は、商用電源と言っていますが、私どものお売りしている電源と自家用の電源がつながって、どこかで事故があったときに、例えば作業をしていらっしゃる、あるいは何か作業をしようとしていらっしゃる方が、当然電気が切れた、停電したんだと思っても、自家用の電源から電気が逆に流れてくる、このために感電をされるというケースがあります。これは何といっても人命にかかわりますので、事故があった瞬間に切り離すとか、そういう装置をやらなきゃいけないというので、今実は真剣に詰めておりまして、それができた暁には私どもの系統として、今たいてください、今とめてください、こちらの方が安いから今おたくの方はとめてください、今おたくの方が安いからたいてくださいというふうに、系統として安定することができるならばぜひ買わせていただきたいということをこの席ででもはっきり申し上げられると思います。  第二の問題でございますが、原子力の問題で、耐用年数がそろそろ来るのではないかということでございます。確かに商用の電源ができましてから約二十年が経過しようとしております。四十年ぐらいもつという設計でつくっておりますので、あと二十年ぐらいが当初考えていた耐用年数になろうかと思いますが、原子炉でございます。いろいろな部品については定期検査の都度更新をしたり、いろいろやってきておりますが、一番大切な原子炉そのもので御質問が出ていると思います。  耐用年数にはまだ時間があるとは申せ、何といっても安全第一に考えておりますので、あらゆる事象、あらゆるトラブルを深刻にとらえまして、これがどのようなことに発展し得るのかというところの解析を行い、また外国の知見も取り入れ、そしてまた新しく開発された安全技術については、バックフィットと言っていますが、可能な限り既存のものにも、炉にも適用していくということで長寿命化を図っていく。ただし、経済性のために長寿命化を単に図るんではなくて、先ほど委員の先生からも御指摘がございましたように、安全こそ第一だと思いますので、絶えず安全性を最優先して考えてまいりたいと思っております。
  75. 足立良平

    足立良平君 私に与えられていますのは十二分しかございませんので、一括御質問をいたしまして、十二分以内にひとつ考え方を聞かせていただきたい、こう思います。  簡単に申し上げたいと思いますが、まず小島参考人にお聞きをいたしておきたいと思います。  冒頭の陳述の中で、ソ連の生産量が低下している、それが継続をしている、このように御指摘がございました。これは、アメリカの方の生産量あるいはまたその内容がいわゆる枯渇段階になっているんではないかという御指摘も先ほどございましたけれども、ソ連の場合の生産量が低下している理由は、いわゆる枯渇として見ればいいのか、あるいは投資がほとんど行われていない、あるいは技術革新が行われていないために生産量が低下しているのか、どのように見ればいいのか、この点をお聞かせ願いたいと存じます。  それから、能登参考人に考え方をお聞かせ願いたいと思いますのは、能登参考人のレジュメを拝見いたしておりまして、一番最後の十四ページの(2)でございますけれども、いわゆる地球環境問題をめぐりまして科学的知見が不十分な現状ではCO2排出の凍結とか削減とか云々、こう書かれておりまして、これを強行することは拙速であり時期尚早、こういうふうな石油業界としてのお考え方が提示をされているわけですが、現在の段階におきましては、確かに科学的知見というものははっきりしていないということは言えると思うんですけれども、しかしCO2排出と温暖化の傾向というのはやっぱり大きな影響があるだろうというふうに想定される中で、世界的にCO2の削減ないしは凍結という方向に向かって世界の世論が動いていく状況に私はあると思います。  したがって、そういう点からいたしますと、石油業界としてこのようなお考えを持たれているその根底といいますか、そういうことはいかなるものであるのか、もしございましたらお聞かせを願いたいと存じます。  それから、最後でございますけれども、加納参考人にお考え方をお聞きをいたしたいと思います。  冒頭の意見陳述、大変興味深く私聞かせていただいたわけでございますが、そこで、発展途上国の地球環境との関係というのは大変これは重要な問題であるというふうに思います。ただ、さりとて発展途上国は今以上に経済発展するなというわけにいきません。エネルギーを使うなというわけにもいかない。そうなってまいりますと、そこで問題なのは、地球全体として使われる化石燃料というものを抑えていこうとするなら、使用するに易しい燃料、例えば石油燃料というのは比較的使用するに易しい。それから原子力の発電というのは、今ちょっと核拡散の問題がありまして問題が出てきているんですけれども、これを今発展途上国の中にどんどん原子力発電を技術移転するといいましても、それの運転のノーハウというのは大変難しいのではないか。たまたま日本の場合、昨年IAEAの原子力発電に関する運転技術の査察といいますか、いわゆる技術チェックが行われまして、これは日本は世界一の運転技術レベルにある、こういう結論が出されたように承知をいたしております。  そうすると、地球全体として、例えば使いやすい石油とかあるいはまたその種のエネルギーは発展途上国のものにある程度移していく。そして使いづらいといいますか、あるいは相当技術レベルの高いエネルギー源は、例えば先進国でそれを重点的に使っていく。そして地球全体として化石燃料というものを抑えていく。こういうふうな考え方をとることも必要なのではないか、こんな感じもいたすわけですが、加納参考人の御意見をひとつお聞かせ願いたいと存じます。
  76. 田英夫

    会長田英夫君) まず、小島参考人
  77. 小島直

    参考人小島直君) ソ連の減産の理由ですけれども、ソ連の石油産業は現在非常に困難な状況に直面しておりまして、埋蔵量は八五年をピークに減ってきております。そういう意味では資源が枯渇の段階に入っていると言ってもいいと思います。ただし、埋蔵量はそのときどきの技術水準ですとか価格、資金力、そういうのに依存しますので、そういうことを考えていきますとまた別のことも言えると思います。  減産になった第二の理由ですが、ソ連の石油産業、これは外貨を獲得するために採算性を無視して、一種の国防産業のように採算性を無視してやってきましたが、いわゆるペレストロイカになってそういう採算性を無視した投資はできないということで石油部門への投資が減っている、これが生産量が減っている第二の理由です。  さらに、アゼルバイジャン等での政治的な混乱、これが石油関連の資材の供給をおくらしている。それによって油田、井戸元での生産がおくれている。これも減産の第三の理由ですので、現在のソ連の政治的経済的混乱が石油産業にしわ寄せされて減産になっているということです。  ただ、ソ連の場合には、埋蔵量的にはこれまでのところ減ってきておりますが、例えば今度シェブロンが参加することになったテンギス油田、これは二百億バレルあると言われておりまして、仮にそれだけあるとすればアメリカの埋蔵量の三分の二ぐらいまで一つの油田であるということですので、可能性も残されている。ただし、一般的にはこれは条件の悪いシベリアの北の方へ行くことになりますので、開発は非常に難しいと思います。ただ、欧米の石油会社は今一種のソ連参加ブーム的になっておりまして、西側の石油会社は石油開発についてはかなり前向きの姿勢です。
  78. 能登勇

    参考人能登勇君) 科学的知見は現状では不十分であると私ども考えております。しかし、だからといって科学的知見が完全に確立されてからでは手おくれになっているかもしれないから、今からできる対策は講じておこうという国際的な流れであることも十分承知いたしております。  ここで私ども反対しておりますのは、例えば炭酸ガスの量を現状で凍結する、あるいは一〇%削減する、あるいは化石燃料を現状に抑える、あるいは一〇%削減、こういう直接的な規制ですとか、あるいはそういった結果をもたらすために課徴金等をかける、いわゆるカーボンタックスとか言われておりますが、そういうものをかける、こういうやり方は反対であるということでございます。  総合エネルギー調査会の方で長期需給見通しを立てられまして、その中で原子力あるいは省エネということを柱にして今後の長期需給見通しをはじかれました。その結果に基づきますと、大体二〇〇〇年までは人口の増加に見合った程度の増に抑えられる、要するに逆に言えば一人当たりの炭酸ガス排出量は現状維持できると、こういうことで政府の方で方針を決定されましたが、そのお考えについては私どもも支持いたしております。
  79. 加納時男

    参考人加納時男君) 足立先生の御指摘のとおり、地球環境に優しいエネルギーの組み合わせということで、先進国と発展途上国がそれぞれの強みあるいは弱みを認識し合って手を携えていくことが大事だという点では、先生のおっしゃるとおりだと思います。  ちょっと具体的なデータを短い時間でポイントだけ御報告申し上げたいと思います。(OHP映写)  先生からお話がございましたように、先進国なんでございますが、先進国がすべて今即非化石燃料原子力かということでございますが、私は先進国の中にも、ちょっと変な言葉ですが、ハイドロリッチといいますか水力リッチな国があって、カナダのような国ですと水力が本当に六割も七割も、かつて七割、今も六割あって、それでもなお原子力をやって石油を減らしてきた。石炭がちょっとふえていますが、これからこれを減らしていこうというようで、これから十基原子力をつくるというふうにカナダでは原案をつくっているようでございます。  スウェーデンは、確かに水力の豊富な国でございましたが、水力は四大河川は開発しない、原子力はふやさない、ふやさないばかりか減らすということに決めて、それからCO2は現状維持といって動きがとれなくなって、さきに社会民主党でございますか、与党でございますが、原子力の廃止はちょっと修正するというふうに九月二十六日でございましたか、お決めになったというふうに承っておるので、恐らく変わってくると思いますが、現実にはスウェーデンの半分が原子力でございます。  こういうことで水力リッチな国でもやっておりますが、先進国はすべてそうともまいらないわけでございまして、実は石炭リッチの国もあるわけでございます。石炭がたくさんある国は実は石炭で電気をつくっておりまして、これ自体の大きな問題は、アメリカは六割も石炭で、原子力をふやして実は二割にもなってはおりますが、依然石炭中心であります。先生のお話の発展途上国で、例えば中国を見てみますと、中国は現在約七割が石炭、そして二割が水力あと石油で、これからの増加分は石炭中心にやっていくけれども、原子力も来年から運転開始します秦山を初めとしまして三基今やっておりますが、これからふやしていきたいということでございます。  ここで、先生の御質問にお答えになるかどうかと思うんですが、私は三つあるような気がいたします。  まず、こういう発展途上国は即石油と行かずに、発展途上国ではまずやっぱり省エネルギーが一番で、それの技術援助をしていく。その上で、発展途上国で自然エネルギーが使えるところがございます。ただ、惜しむらくは、中国も実は膨大な水力資源があるんですが、需要地からうんと離れているために初期の設備投資のお金がないということなんで、逆にお金がないならばそれを国際機関をかませ、日本もかんで開発していくというのが一つの答えであり、それが需要地と離れているならば送電線を建設して送電線で持っていけばいいんじゃないかというふうにも考えられます。  なお、その中国が自力更生も考えて原子力をやりたいというので、国境を越える原子力の災害ということがあってはいけませんので、日本も積極的に国際協力するということにしたわけでございますが、発展途上国は、その自然エネルギーを生かしつつも原子力エネルギーをやれる技術水準を高めてこられることがまた発展途上国の離陸の条件とも言われているのかもしれませんので、発展途上国への技術の援助もしていく。  そして、先進国でも水力の使えるところは水力、そして自然エネルギーを使えるところは、ニュージーランドのように地熱など使えるところは使いながらも、また原子力を既に行っており、十分に安全性が確保できる国は、先ほど先生からIAEAの査察のお話がございましたが、さらにこれに加えまして国際機関になかなか入れない台湾などの国につきましては、民間レベルでの世界原子力発電事業者協会、WANOと申しておりますが、これも発足をいたしましたので、WANOを通じまして全世界の民間電気事業者といいますか、電気事業者が手を携え合って原子力の安全な技術の水準向上を国際協力の枠の中で進めてまいりたいというふうに思います。  先生の御趣旨には大変賛同しているところでございますので、ぜひとも先進国も途上国もそれぞれの強みを発揮しながらやってまいりたいと思っております。
  80. 田英夫

    会長田英夫君) ありがとうございました。  以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人一言お礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査会参考にいたしたいと存じます。本調査会を代表して厚くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)  なお、本日、参考人から御提出いただきました参考資料のうち、発言内容把握のため必要と思われるものにつきましては、本日の会議録の末尾に掲載させていただきたく存じますので、御了承いただきたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十二分散会