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1990-11-21 第119回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年十一月二十一日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月二十日     辞任         補欠選任      大渕 絹子君     村田 誠醇君      篠崎 年子君     渕上 貞雄君      吉岡 吉典君     沓脱タケ子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         及川 一夫君     理 事                 大浜 方栄君                 守住 有信君                 会田 長栄君                 千葉 景子君                 猪熊 重二君     委 員                 秋山  肇君                 石渡 清元君                 尾辻 秀久君                 岡野  裕君                 鎌田 要人君                 木暮 山人君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 鈴木 省吾君                 野村 五男君                 福田 宏一君                 二木 秀夫君                 梶原 敬義君                 喜岡  淳君                 種田  誠君                 西岡瑠璃子君                 渕上 貞雄君                 村田 誠醇君                 木庭健太郎君                 諫山  博君                 沓脱タケ子君                 高井 和伸君                 三治 重信君    国務大臣        運 輸 大 臣  大野  明君        郵 政 大 臣  深谷 隆司君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        警察庁交通局交        通規制課長    島田 尚武君        総務庁行政管理        局管理官     木村 幸俊君        総務庁行政管理        局管理官     東田 親司君        法務大臣官房審        議官       本間 達三君        外務省国際連合        局国連政策課長  高須 幸雄君        大蔵省関税局監        視課長      本村 芳行君        厚生省保健医療        局疾病対策課結        核・感染症対策        室長       堺  宣道君        厚生省生活衛生        局乳肉衛生課長  難波  江君        林野庁指導部治        山課長      弘中 義夫君        運輸大臣官房長  松尾 道彦君        運輸大臣官房審        議官       土坂 泰敏君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    大塚 秀夫君        運輸省国際運輸        ・観光局長    寺嶋  潔君        運輸省地域交通        局長       佐々木建成君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       松波 正壽君        運輸省貨物流通        局長       吉田 耕三君        運輸省航空局長  宮本 春樹君        海上保安庁次長  豊田  実君        郵政大臣官房長  木下 昌浩君        郵政大臣官房首        席監察官     宍戸 成夫君        郵政省貯金局長  松野 春樹君        郵政省電気通信        局長       森本 哲夫君        労働省労働基準        局賃金時間部労        働時間課長    鈴木 直和君        建設省河川局防        災課長      加藤  昭君        自治省財政局調        整室長      香山 充弘君        会計検査院事務        総局第三局長   川崎 恒夫君        会計検査院事務        総局第五局長   山本  正君    参考人        東日本旅客鉄道        株式会社取締役        営業部長     北川 博昭君        九州旅客鉄道株        式会社取締役鉄        道事業本部長   川崎 孝夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和六十二年度一般会計歳入歳出決算昭和六十二年度特別会計歳入歳出決算昭和六十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十二年度政府関係機関決算書(第百十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十二年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十二年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十四回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、篠崎年子君、大渕絹子君及び吉岡吉典君が委員を辞任され、その補欠として渕上貞雄君、村田誠醇君及び沓脱タケ子君が選任されました。     ─────────────
  3. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 昭和六十二年度決算外二件を議題といたします。  本日は運輸省及び郵政省決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 及川一夫

    委員長及川一夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 及川一夫

    委員長及川一夫君) それでは、これより質疑 に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 梶原敬義

    梶原敬義君 きょうは、運輸省郵政省本省とその所管する箇所決算審査でございますが、最初会計検査院お尋ねをいたします。  運輸省並び郵政省等に関しての検査施行率について、昭和六十二年度はどのようになっているか、お尋ねをいたします。
  8. 川崎恒夫

    説明員川崎恒夫君) 運輸省関係実地検査施行率についてお答え申し上げます。  六十二年度決算検査実施状況でございますので六十三年度中に検査を施行した率でございますけれども運輸省の要検査箇所が八百五十一カ所でございまして、これに対しまして検査を施行した箇所は百八十三カ所でございます。施行率は二一・五%となっております。このうち特に重要な箇所につきましては要検査箇所が百十七カ所、検査を施行した箇所が五十九カ所でございまして、検査施行率は五〇・四%となっております。  以上でございます。
  9. 山本正

    説明員山本正君) 郵政省関係について御説明いたします。  郵政省に関しましては、地方特定郵便局等たくさんございまして、検査対象箇所が一万九千七百六十六カ所ございます。検査はそのうち百六十二カ所、〇・八%でございますが、このうち特に重要な箇所といたしまして本省とか地方郵政局、これら四十五カ所のうち三十三カ所、この実施率は七三%でございます。
  10. 梶原敬義

    梶原敬義君 最初に、運輸省関係でありますが、昭和六十二年度の会計検査院決算報告書によりますと、処置済み事項として、「ケーソン製作型枠損料及び外足場損料積算が不適切」、こういう項目が挙げられております。それから二番目に、「航空保安施設等警備費積算が不適切」、これも処置済みでございますが、両方挙げられておりますが、この内容についてそれぞれ説明をし、どのようなところに問題がありどのように処置をしたのか、その点について最初お尋ねいたします。
  11. 松尾道彦

    説明員松尾道彦君) ケーソン製作工事型枠損料等につきまして、積算が適切でなかったために積算額が約四千八百万程度過大であったわけでございますが、本件につきましては、六十三年十一月に、最終函型枠供用日数及び第一層の高さが約二メートル未満の場合における工事につきまして積算基準を改定いたしまして、六十四年一月以降契約を締結する工事から適用することとしたわけでございます。
  12. 梶原敬義

    梶原敬義君 若干、指摘された内容についてどこに問題があったのか、その点について。わからなければ、検査院からその点についてちょっと報告していただいてもいいんですが。
  13. 松尾道彦

    説明員松尾道彦君) 今御説明した中で、積算額が過大になっているのは、積算基準におきまして型枠及びその損料対象期間に関する規定が不備であったことによるものでございまして、積算基準を適正なものに改める必要がある、こういうことでございました。
  14. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に航空保安施設警備費積算関係で不適切という、この点についても内容について少し。私が説明してまた皆さんから説明を聞くより、どこに問題があってどのように処置をしたのか、その点について、金額等も触れていただきたいと思います。
  15. 松尾道彦

    説明員松尾道彦君) 警備費積算が適切でなかったため積算額が約二千七百六十万円過大になっておりました。このように積算額が過大になっていたのは、警備業務勤務内容疲労度が比較的小さく、その上二人勤務体制で実施されていたため、交代要員を要することなく交互に待機時間をとって長時間にわたって勤務できるものとなっているのに、疲労度が大きく長時間にわたって勤務することが困難な業務に適用する積算要領を準用したことによるものでございまして、警備業務実態に適合した積算をする必要がある、こういうことでございました。  これにつきましては、六十三年の十一月に警備業務実態に適合いたしました積算要領を定めまして、同年十二月以降契約を締結するものから直ちに適用する、こういう改善処置を行ったところでございます。
  16. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは場所はどこですか。
  17. 松尾道彦

    説明員松尾道彦君) 新東京国際空港関係航空保安施設七カ所並びに新東京空港事務所の管理棟警備業務関係でございました。
  18. 梶原敬義

    梶原敬義君 新東京空港というのは成田ですね。
  19. 松尾道彦

    説明員松尾道彦君) そうでございます。
  20. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうすると、会計検査院にちょっとお尋ねしますけれども、ほかにも空港はたくさんありますが、同じようなその種の例というのはなかったんですか。
  21. 川崎恒夫

    説明員川崎恒夫君) お答え申し上げます。  その種の指摘例についてはございません。
  22. 梶原敬義

    梶原敬義君 そうしますと運輸省、羽田の場合は、成田と同じようなケースというのはないんですか。
  23. 松尾道彦

    説明員松尾道彦君) これは、成田に限られた件でございました。
  24. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に移りますが、運輸省の所管の日本国有鉄道清算事業団、これにつきましては不当事項として指摘されたものが一カ所、そして処置済み事項が二カ所ございますが、この点については、きのう質問をとりに来られたときに、よく見ていただくようにお願いしておきましたが、問題点三カ所について、どのように対応しているのかお尋ねをいたします。
  25. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) ただいま御指摘日本国有鉄道清算事業団につきましての指摘事項は、一つは、不当事項として廃線敷の一部を道路として使用しているにかかわらず、非課税である道路部分について固定資産税及び都市計画税を納付していたものでございまして、改善措置として固定資産税等約四千七百五十一万円の還付を受けておりますとともに、今後の再発防止のために固定資産税関係事務取扱要領清算事業団において作成し、固定資産税の今後の納付に当たっての積算等について適正を期すという対応をしております。  それから処置済み事項でございますが、二項目について入札予定価格積算内容が不適切な部分があったということでございまして、これにつきましても積算標準という清算事業団内規の改正、またコンクリート舗装取り壊し歩掛かりという内規制定等を行って、今後再発しないような対応をしております。
  26. 梶原敬義

    梶原敬義君 あと関係するところは、日本貨物鉄道株式会社関係処置要求事項が一項目あります。JR各社では、処置済み、これが一カ所ございますが、この点についてあわせて。
  27. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) JR関係につきましては、一つ処置要求事項としましてJR貨物コンテナ管理が適切でなかったために所在不明のコンテナが相当数あるということでございまして、これにつきましては、JR貨物において六十三年十二月にコンテナ適正管理推進委員会を設置するとともに組織規定を改正し、コンテナ管理運用を行う課を明確化しまして、今後コンテナ管理が適切に行われるように対応しております。  また、処置済み事項でございますが、これはJR旅客六社におきましてそれぞれ駅前等に設置している駐車場について、周辺駐車場料金より相対的に低額となっているという御指摘がございまして、これについて改善措置としましては、JR各社において自動車整理場料金設定基準を定め、周辺駐車場とバランスを保つような措置を講じております。
  28. 梶原敬義

    梶原敬義君 運輸大臣、今運輸省関係する会計検査院検査報告で、いろいろと指摘事項処置要求事項改善事項とかずっと出ておりますね。これは非常に重大な問題で、また、私は氷山の一角だろうと考えておるんです。膨大な事業の中で会計検査院検査するには限界がある。その中でこういうものがどんどん出ておりますが、そ のトップの責任者としてどのようにお考えなのか、また、どのように対応をしていくのか、決意をお聞かせ願いたいと思います。
  29. 大野明

    国務大臣大野明君) 運輸省は陸海空を包含する非常に膨大な行政でございます。それだけに仕事の量も多く、また仕事内容も多岐にわたっております。  私どもとしては鋭意努力をいたしておりますけれども、その間において、今先生が御指摘なさったものもある点もございました。私どもといたしましてはこれから先も一生懸命努力をして、そういうような御指摘がなくなるようにしていきたいと考えております。
  30. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に、郵政省に移ります。  先ほど会計検査院から、検査施行率についても全体からすると非常にわずかなパーセント、〇・八%でしたか、そういう状況でございますが、何回も同じようなことが繰り返されておりまして、一つ不当事項として、「職員現金領得」したもの三十五件、二億八百二十二万円、これは毎年毎年でございますが、それが一つと、もう一つは「郵便局等が使用しているファクシミリ借料が不適切」、これは処置済み事項でございますが、この二つの重大なことを指摘あるいは処置要求を受けておりますが、これについて若干の内容あるいは対応についてお尋ねをしたいと思います。
  31. 宍戸成夫

    説明員宍戸成夫君) 昭和六十二年度の決算検査報告には、郵便局出納官吏あるいは出納員補助者現金出納事務に従事中、公金を横領したというような場合の不正行為であると私どもは承知しております。  このような職員不正行為が後を絶たないということは大変遺憾に思っております。従来から検査監査の励行、綱紀の粛正、内部牽制組織強化など、各種施策を実施してまいっております。特に現金を扱う職員には不正行為の機会と誘惑が生じやすいので、職員に対する防犯意識を高めること、職場における検査監査の徹底、内部牽制組織強化などにより、不正行為防止になお一層努力する所存でございます。
  32. 木下昌浩

    説明員木下昌浩君) もう一点御指摘になりました、六十二年度決算報告処置済み事項の中で、郵便局で使用しておりますファクシミリ借料が不適切だというような御指摘があることについての御質問でございます。  ファクシミリにつきましては全国郵政局に配備するということで、郵政局単位で六十一年度から順次配備することで進めてまいってきておりますが、その契約の現実の借料単価が各郵政局単位でばらばらでございまして、安く借料を設定したところと比べますと高いところは大変不経済になっているという御指摘でございます。  このファクシミリ借料が割高になっている地域があると申しますのは、私ども借料予算単価を設定した際の設定単価契約実勢単価に比して若干高過ぎたということが一つ。それから標準的仕様を定めまして予算を示達いたしましたが、その仕様を上回る高性能機種を選定した地方郵政局があったということ。それからまた、地方郵政局ごと借料単価の決定を行うに当たりまして、各郵政局間の情報交換が十分ではなかったということが主な原因であろうと考えております。  私どもは、これらの原因にかんがみまして速やかに処置を講じたところでございます。  一つは、予算示達単価を適正な単価にしたということ。それから予算示達の際に具体的に機種を例示いたしまして、余り高性能のものを借り入れることがないようにしたということ。それから三点目は、地方郵政局間の単価に関する情報交換を密にしたということでございます。  こういった処置をとりましたことによりまして、借料単価はその後の契約改善されているところでございます。
  33. 梶原敬義

    梶原敬義君 さらに郵政省の管轄では日本電信電話株式会社、この関係処置要求事項として一件、処置済み事項として三件挙がっておりますが、この内容についてはもう一々触れなくても結構でございますが、郵政大臣、このようなことが毎年毎年会計検査で次々に、六十三年もいろいろと出てきますが、この決算委員会でも絶えず指摘をされて少しは改善の方向に私はいっているんじゃないかと思いますが、責任者といたしまして、この種の問題に対してどのようにお考えか、お尋ねします。
  34. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 先生指摘のように、郵政行政は国民の信頼を集めることが第一でございます。今三十万の職員が全力を挙げて努力し、労使関係も順調に参っております。そういう中だけに、このような事件が続きますことはまことに遺憾でございます。  職員不正行為防止するためには、さらに防犯体制を確立していくということが大変大事なことだと考えまして、郵政省挙げて、例えば防犯対策協議会の開催あるいは特定郵便局長防犯対策打合会など、各種会議研究会を重ねているところでございます。  私といたしましては、これらの研究対策が形式に流れないように、大きな効果が上がるようにさらに内容を充実すべく、きちっと指示して、このような事件の根絶を図りたいと思っております。
  35. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひそのように努力をしていただきたいと思います。  ただ、やっぱりお金を扱う職場ですから、誘惑を断ち切るためにハンディーコンピューターみたいなものか何かですぐそれが記録に残り、また相手にその瞬間に受領証を、一々書くのじゃなくて、渡せるような何か工夫をして、今の進んだそういう情報化技術を取り入れて、そういう面から誘惑が起こらないような方法も考えていただいたらどうかな、このように思います。  次に、これは直接決算とは関係ないんですが、私は、地元の問題について運輸大臣お尋ねをしたいと思います。  ことしの七月二日に、熊本県の阿蘇、そして大分県の竹田地方を中心にして集中豪雨がありました。これは福岡県の一部、佐賀県の方も大変被害が出たんですが、JRに関して非常に被害の大きかったのは、熊本県の阿蘇郡の宮地から大分県の竹田通り緒方に至る約四十七キロですか、この間がもう鉄道線路がずたずたになり、いまだ復旧めどが立っておりません。過去六十二年間、地元住民皆さんの足になり、そしてまた地域経済あるいは観光、そういうものに非常に密着をした大事な豊肥本線が御承知のとおり開通のめどが立っていない、そういう状況でございます。  きょうはJR九州の代表の方もおいでいただいておりますがこの豊肥線地元皆さんの、復旧に対する非常に強い要望、決意をじっくりお伺いしたい、このように考えております。  最初に、JR九州ですか、運輸省でも結構ですが、この災害状況と、そして今日どうしているのか、そして将来どうするのか、その問題についてお尋ねをしたいと思います。    〔委員長退席理事千葉景子君着席〕
  36. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 今回の豊肥線被害は七月二日の集中豪雨によるものでございまして、山林の崩壊や河川のはんらんに起因するものも多く、治山治水事業と一体として対策を立てる必要があることから、JR九州におきましては熊本県、大分県など関係自治体と連携をとりながら復旧作業に当たっているところでございます。  被害箇所については、現地調査、測量を行うとともに復旧工法等を検討し、道床更換などの作業に順次着手し、現在八十八カ所の被害箇所の中、比較的工事に取りかかりやすい三十一カ所については既に部分的に復旧工事が完了していると報告を受けております。しかしながら、今回の被害が四十七キロの区間の休止ということで大変甚大でございまして、かつ山岳地帯でもあり、工事用通路の確保が困難な箇所もあること、橋梁の架設に時間を要することなどから、豊肥線復旧の見通しは今後約一年を要すると現在推定しております。
  37. 梶原敬義

    梶原敬義君 豊肥線災害額復旧に大体必要 であろうという額、これをあわせて。
  38. 川崎孝夫

    参考人川崎孝夫君) 今回の豊肥線災害に際しまして、地元住民の方に大変御迷惑をおかけして、心苦しく思っておりますことを冒頭申し上げたいと思います。  今の御質問の、今回の豊肥線災害額でございますが、復旧に要する額といたしまして当初四十六億円程度ということで見込んでございましたけれども、その後現地調査等を詳細にやりました結果、現在のところでは、災害復旧に要する費用といたしましては三十三億円程度と見込まれております。
  39. 梶原敬義

    梶原敬義君 運輸大臣は、現地視察をされたのでしたかね。
  40. 大野明

    国務大臣大野明君) まだいたしておりません。
  41. 梶原敬義

    梶原敬義君 私も災害対策委員長を何年か前にやったことがあるんですが、ことしの七月三十一日に本院の災害対策委員会がありまして、その席で私も質問をいたしました。  いろいろ考えてみますと、もし仮にNTTのような全国一律のネットワークの会社であれば、これはもう恐らく即座に復旧にかかるだろう。ところが、もう小さく分割して、それぞれの地域採算をとりなさいという会社になりましたから、経営安定基金の約三千九百億円の運用益、これでやっと採算を賄っておるというような状況ですから、これでこの約三十数億円の工事JRでやれといったってなかなか無理ではないか。したがっていつまでたってもめどがつかない、どうするのか、こういう質問をいたしまして、そのときに運輸大臣官房国有鉄道改革推進部監理課改革推進企画官の藤井さんが言っているのは、「今回の災害が例を見ないものでございまして、分割・民営化先生指摘のように失敗ではなかったかというようなそしりを受けないように、私どもとしても適切な対応をしてまいりたいと思っております。」と、非常にすっきりした答弁をいただいておるんですが、まだそのめどがはっきり立っていない、そういう状況です。  私は、その大小は別といたしましても、これは人間の手かどこか、五体の動脈の一部が切れたような状況。お医者さんから聞いた話ですが、人間動脈も切って二十四時間以内ならまた接げば接げるという。しかし、これは来年の十月三十一日まで今休止許可が出ているんです。しかも、後から議論をしたいと思うんですが、それまでに完全に復旧するかどうかということはなかなか本当のめどがついているかどうか、そういう状況です。  やっぱりこれは大なり小なり、中東でイラクがクウェートを侵攻したらそっちに皆さんの目がいくように、一部五体の動脈が切れているような状況の中で、私は運輸大臣が本当に責任を感ずるなら、こういうような地元皆さんが不安であっちこっち陳情もしているような状況の中ですから、現地を見て、そして大臣の頭の中で判断してどうするかをやってもらいたくてしようがなかった。  今お聞きしましたら、大臣はまだ見ていないというんですが、これは大臣、少し職務怠慢ではないでしょうか、いかがですか。
  42. 大野明

    国務大臣大野明君) 職務怠慢と言われればあるいはそうかもしれませんが、いずれにしても、中東問題等も起こり、運輸行政の中で非常に苦労をいたしたところでございます。  私はそれを言いたいわけでなく、十分いろいろな方面からの御陳情も賜り、省内においても、また政府部内においても論議をいたしまして、概算要求にもひとつこういうような事態というものは今後も起こるであろうから、JR九州のように経営基盤が余り強くないところ等々もあるわけですから、今後これらの点についても考えなきゃならぬと同時に、ただいま申し上げましたように、三年度の概算要求にこの豊肥線のみならずその他の路線も含めた災害復旧予算を要求いたしまして、そして大蔵省あるいは自治省等とも鋭意話をいたしております。  それと同時に、先生指摘のように、これは単に鉄道の災害という簡単なものでないということもよくわかるのは、やはりこれは治山治水、そういうようなものを含めて建設省あるいは地方自治体とも話し合いをいたしながらJR九州あるいはまた熊本県、大分県に対しても適切な指導をしておるところでございますが、大変な被害であるということなので、来年の十月三十一日をめどに今復旧にできるところからかかっておるというところでございますので、何としてでもこの沿線の皆さん、そしてまた九州のほぼ中央部を横断しておる幹線でございますから、復旧には最大限の力を入れてやっていきたいと考えております。
  43. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣、これは運輸省だけでやれるものではない、自治省、建設省、林野庁、それからまた大蔵省、全体に関係する問題で、担当者は非常に苦労していると思うんですね。しかし、いろんな法律の枠等があって、それぞれできることとできないことがありまして非常に難しい、そういう状況でだんだん延びてきておる。そういう状況ですから、これは少し超法規的といいますか、高い次元でやっぱり大臣が、国鉄改革で分割・民営化をしたそういう状況の中で地元住民に不利になるようなことをしない、そういう基本的な考え方があるわけでしょうから、それに基づいて一体どのようにするかということをやっぱり大臣が先頭に立ってやっていただきたい問題でございます。あと一々聞いてまいりますから、大臣のお考えをまた後ほどお尋ねしたいと思います。  運輸省としてほどのように取り組んでこられたのか、そしてこれからどのように取り組もうとしているのか、最初に。
  44. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) この休止しております豊肥線につきましては、当該区間のみならず熊本大分間を結ぶ幹線であり、生活路線としてまた観光路線として市民に利用されている現状でございますので、早期に復旧を図る必要があると我々は考えております。  今回の復旧工事治山治水事業と一体として作業を進める必要があることから、JR九州に対して治山治水を担当する自治体と連携を十分にとりながら、計画的かつ迅速に復旧に取り組むよう指導しているところであり、私どもはまた出先の九州運輸局にも最大限のバックアップをするように指示しております。  今日、事故の被害が甚大でございますことから、我々としても一方で、今までの制度では対象になりませんJR九州に対する災害復旧助成を予算要求しておりますとともに、JR九州復旧作業状況を適宜フォローして早期に復旧できるよう、運輸省も全力を挙げて指導しているところでございます。
  45. 梶原敬義

    梶原敬義君 鉄道軌道整備法という法律がある、あるいはまた新たに鉄道整備基金の創設を考えているやに聞いておりますが、そういう内容を今言う時期かどうか難しい時期であろうと思いますが、言える範囲におきまして、法律の改正なりあるいは来年度予算要求なりについて。
  46. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 今先生指摘いただきましたように、運輸省としまして来年度の予算要求において、鉄道の整備に対するバックアップ体制を強化するために鉄道整備基金の設立等、従来にない新しい制度の予算要求をしているところでございます。  その中でも、今回のJR九州災害については、その復旧が新線を建設すると同様な費用を要すること、またJR九州は、これも先ほど先生が御指摘いただきましたように、経営安定基金運用益で辛うじて利益が出ている。今年度の経常利益が四十億円弱でございますので、今回の災害復旧費でほとんど経常利益が食われてしまうというような状況でございますので、そのようなJR九州の経営基盤の弱さから見ても助成をする必要があると考え、現在来年度予算要求の中にこれも重要項目として災害復旧費の一部を国が助成し、また地方公共団体も助成するように、大蔵省、自治省等関係機関と鋭意折衝中でございまして、その実現のために最大限今後も努力していくつもりでございます。
  47. 梶原敬義

    梶原敬義君 今自治省のお話が出ましたが、自 治省の方もこれは地方財政の問題との絡みもあり非常に難しい問題で、なかなか物の言いようも難しいと思うんですが、自治省といたしましては、現状その沿線の市町村というのはもう大変な過疎でございます。同時に高齢化が非常に進んでおります。また、阿蘇と別府を結ぶ観光ルートの路線でもございますが、こういう点から考えて、この豊肥本線の災害復旧に対して基本的にどのようにお考えになっているかお尋ねをいたします。
  48. 香山充弘

    説明員(香山充弘君) ただいま御指摘がありました豊肥線の問題でございますけれども、これは何と申しましても地域の足として、あるいは地域浮揚のために不可欠な路線というふうに私ども考えておりまして、地元の方からも再々切実な御要望をいただいております。  率直に申し上げまして、私どもとしてもこれはJRの御負担で復旧していただければそれにこしたことはないと考えておるわけでありますけれども、分割・民営化されました今、そのようなことがどこまで言えるのかという問題がございます。  運輸省予算要求の構想では地方団体に財政負担を期待しておられまして、ところがJRの場合は、民営化されたことに伴いまして、再建法の規制というのが従来国鉄の場合にはございまして寄附等の制限がなされておりました。JRは、直接的にはこの対象法人ではなくなっておりますけれども、国会の方で附帯決議をいただいておりまして、それを受けて当分の間は従前の国鉄と同様の審査をするというような扱いにさせていただいております。この際は、地元に受益があるかどうか、あるいはJRとしての一般的な設置基準を超えているかどうかという点がポイントになってまいります。  私ども豊肥線の問題につきましてもこのような取扱基準との関係で認める余地があるかどうかということをこれから検討していくわけでございまして、先ほど申し上げました地域の足の確保の問題、こういったことと地方団体の財政負担の問題、こういったことを含めまして関係省庁間で十分協議をいたしていきたいと考えております。先生が御懸念のような地方団体への影響の点も勘案いたしまして、妥当な結論が得られるべく努力をしてまいりたいと考えております。
  49. 梶原敬義

    梶原敬義君 きょうはもう恐らくそれまでしか言えないと思います。  次は建設省の関係ですが、おいでですか。  何カ所か橋の橋脚が倒れたり、大野川の鉄橋と玉来川の鉄橋、河川の上にあった鉄橋が二つとも流されておりますが、これらも一体どこまでが建設省の関係する復旧工事で、どこまでがこれはJRの方かというのがなかなか区分けの難しいところもあると思いますが、私は、川自体が問題があって橋げたから流されたところもあるわけですから、建設省もできるだけ応援をすべきだと考えておるんですが、いかがでしょうか建設省は。
  50. 加藤昭

    説明員(加藤昭君) お答えいたします。  流失しました橋梁の復旧につきましては、橋梁の管理者であるJR九州が実施するというのが原則であると考えている次第でございます。  しかしながら、本橋梁の復旧地域の振興に重要であることから、河川改修事業内容と突き合わせながら河川改修事業と協力できる護岸などにつきましては実施するよう検討してまいる所存でございますので、よろしくお願いする次第でございます。
  51. 梶原敬義

    梶原敬義君 農林水産省お見えですか。――農林水産省の関係も何カ所か、大臣、後で集中豪雨関係の写真をそちらに持ってまいりますが、たくさんあるんです。御協力をいただかなきゃ恐らくうまくいかないところもあると思うんですが、農林水産省としては、林野庁ですか、どのように現地で相談をしながら対応されているのか、お尋ねします。
  52. 弘中義夫

    説明員(弘中義夫君) 今回の梅雨前線豪雨によりまして、九州中北部を中心としまして甚大な山地災害が発生してございます。  林野庁といたしましては、そのような山地崩壊箇所のうち次期降雨等により人家、公共施設等に被害を与えるおそれがあり、緊急に復旧を要する箇所につきましては、災害関連緊急治山事業等により早急に復旧を図ることとしておりまして、既に関係機関とも協議をし、順次復旧工事に着手しているところでございます。  御指摘のございましたJR豊肥線の不通となっっている箇所の沿線におきましても幾つかの林地崩壊等が発生しておりますが、このうち緊急に復旧を要する箇所であり、かつ治山事業での対応が可能な箇所につきましては、既に熊本大分両県からの申請のあったものにつきまして、関係機関とも協議をいたし、二十二カ所、事業費約六億三千万円の事業を決定しております。既にこれらの事業につきましては順次着工をしており、早期復旧整備に努めているところでございます。
  53. 梶原敬義

    梶原敬義君 JRと相談をしながら、この建設省の護岸をやり、あるいは林野庁とも相談しながら今言われたような関係するところを復旧していくというわけですが、復旧の実務は現地、県が中に入ると思うんですが、一体どういうシステムでやっておられるのか。
  54. 加藤昭

    説明員(加藤昭君) 河川の護岸事業につきましては、現在大分県が河川管理している区間でございますので、災害査定業務が終わりました後、県の河川課の方で事業を実施することになります。  ただ、事業を実施するにつきましてはJR九州の方との事業調整が必要でございますので、十分大分県とJR九州との調整を図った上、事業推進をしてまいりたいと思っておりますので、ひとつよろしくお願いする次第でございます。
  55. 弘中義夫

    説明員(弘中義夫君) 治山事業関係につきましても、実施は熊本大分両県でございますが、県からの報告によりますと、現地の復旧に当たりましてはJR九州の実施する事業との調整もございますので、現地で十分調整を図った上で治山事業として対応の可能なものについて治山事業で実施するという判断をしたというふうに聞いております。
  56. 梶原敬義

    梶原敬義君 JRの代表の方にお尋ねします。  現地と今言われましたが、呼吸がぴたっと合って、そして速やかに復旧の体制がとれているのかどうなのか、その点について。
  57. 川崎孝夫

    参考人川崎孝夫君) JR九州としましてこの災害復旧の体制でございますけれども災害の起きました後に、熊本県側では宮地、大分県側では竹田に現地の復旧事務所を設けておりまして、そこから先ほどお話のございました熊本県、大分県の県の関係部署と十分連絡をとりつつ、またさらに本社の施設部の工事課が一応一括して担当しておりますので、そこからも各県と連絡をとりながらやっておるところでございます。  それで、今回の災害につきましては鉄道線路だけということではなくて、周辺部の林地とかあるいは河川、こういうことで大変広範囲にわたっておりますので、私どもとしましては積極的に両県の方に御相談に伺い、両県の方も積極的に応じていただいておりまして、現在のところスムーズに協議が進んでおる、このように感じております。
  58. 梶原敬義

    梶原敬義君 運輸大臣、今お話がありますように、スムーズに進んでおっても来年の十月三十一日までは開通の見込みが立たない。これは前の国鉄だったら恐らくその半分で、来年の梅雨の前ぐらいにはもう工事が終わるぐらいのスピードで当然やっているはずですよ。そういうような状況なんです。しかも、これは大蔵、自治、建設、林野庁にかかわる内容ですから、少し高度な政治的な判断も要るだろうと思うんです。ぜひ運輸大臣時間をつくっていただいて、御案内しますから、現地を一度視察していただきたい。  申し上げたいのは、七月二日に集中豪雨がありまして、これは人もたくさん亡くなりまして、家屋も流失して、農産物に被害が出、また農業施設にも被害が出て、道路河川もずっとやられたんですが、ほぼ激甚災害の指定も受けながらだんだん復旧めどが立っておるんです。本格的にめどが立っていないのはJRだけなんです。大変地域住民は不安に思っているんです。ぜひ大臣、現地 にひとつ入ってください、そのことをお願いします。いかがでしょうか。
  59. 大野明

    国務大臣大野明君) 豊肥線につきましては、今いろいろと先生からお話を承り、また各省庁から答弁ございましたけれども、実際これは非常に災害箇所も多く、また山間部というような条件、それからまた、ただ単に鉄道の線路を復旧するのみならず、再び同じような雨が降ったときにでも安心できるくらいの工事をするべきという考えをみんな持っておるわけでございまして、そのために多少の時間もかかり、また同時に逆に膨大な資金もかかるわけでございます。  そういう意味で概算要求で出しておりますし、またこれは暮れの予算でもって最大の力を振るわなきゃならぬということも考えております。いずれにしても、視察も当時行くつもりでおりましたけれども、非常に道路あるいはまたそういうようなあれがずたずただから、少し時間たってからというのが今日になってしまったので、国会の合い間を見て、一度視察をさせていただき、暮れの予算に迫力を持って財政当局と当たろうと、こう思っています。国会は十二月十日から始まるそうですから、その前に行ければいいですけれども、なかなか大臣稼業も忙しゅうございますので、時間はまた後でということにさせていただきたいと思います。
  60. 梶原敬義

    梶原敬義君 大野伴睦さんの血を引く人ですから、あの新幹線をやられたその御子息に当たる方が、たった四十七キロ、三十三億の復旧運輸大臣のときにできないとかめどがつかないとか、これはどうも――だから、もういろいろ申し上げませんが、ぜひ現地を見ていただきたいと思います。  それからJR各社の平成元年度における収益報告、税引き後当期利益を簡単に御説明願えますか。――それじゃ、私が言います。  JR北海道の黒字が二億円、それから東日本が五百七十二億円、東海が六百六十七億円、西日本が二百五十七億円、四国が三十六億円、九州が三十八億円、貨物が二十九億円、合計で一千六百一億円の税引き後の利益が出ております。その中でJR九州を見ますと、経営安定基金の運用収益が二百八十二億五千九百万、そして差し引き利益は、赤字がずっと出て、それの利益は安定基金の運用収益が入ったことによって三十八億円の黒字が出ているという内容ですね。  ただ、JRのこの決算書を見ますと、確かにそういう非常に厳しい経営内容でございますが、資金調達の状況というのを報告されておりますが、「所要資金は、概ね自己資金を充当」しているとこの報告書に出ているわけなんですね。そういう意味では、JR九州運輸省としても、しっかりこの復旧をやるという決意を、そしていつまでにやるという決意を指導すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  61. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 先生が今挙げられましたように、経営安定基金二百八十二億円で営業損失二百八十七億円をカバーして、ようやく経常利益三十八億円を平成元年度において出しているというJR九州状況でございますし、今後九州方面における高速道路の開通等でますます自動車との競争も厳しくなってくるという経営環境にありますので、私ども、この豊肥線復旧というのはJR九州にとっても一大事業である、そういう観点から、助成を含めてできるだけバックアップをしていくように努力していきたい決意でございます。
  62. 梶原敬義

    梶原敬義君 JR九州の方に決意をお聞きしたいんですが、私先ほど言いましたように、経営安定基金というのは、これはやはりそういうことも含めて約三千九百億円が国民の血税から出ているわけですね。そしてしかも、今清算事業団管理している基金がこれからどんどんおたくの方に、会社の方におりてくるわけですね。今既に約六百億円ぐらいもうおりてきているわけでしょう。それは全部運営できるわけですからね。そういう状況になっておりますから、甘えるのもほどほどにして、ひとつそういう状況全体を勘案して、一体いつまでかかるのか、難工事箇所は二、三カ所ありますが、そういうのもきちっとやるというめど地域住民に私は発表すべきだと思うんです。その点について、決意をお伺いしたいと思うんです。
  63. 川崎孝夫

    参考人川崎孝夫君) 先ほどからお話が出ておりましたように、全体の復旧ということになりますと、何分にも災害規模が大変大きく、長期間を要する見込みでございます。例えば、熊本県側でトンネルとトンネルの間の山肌を通っている路線が全部崩落しておるというようなことがございまして、そういうところにつきましては取りつけ道路等がなかなかつくりにくいものですから、線路を復旧しながら先に進んでいくというような方法をとって復旧せざるを得ないというような事情がございまして、見込みといたしましては、あと一年程度復旧工事を終わらせることが可能ではないかというように私ども考えております。  いずれにしましても、地元住民の意向というものも大変強うございますので、私どもといたしましては早期復旧に全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。  またそれに伴いまして、先ほどからお話の出ておりました助成の仕組みにつきましても、関係箇所の御理解をいただきまして何としてでも通していただきたい、このように考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  64. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間が参りましたから、最後に運輸大臣に、ぜひ運輸省の担当者、そしてJR、今の決意がありましたが、大臣がそうやらせる、そういう決意をお伺いし、本当に地元に入っていただくこともお願いをして、最後に一言決意を伺いたいと思います。
  65. 大野明

    国務大臣大野明君) この豊肥線災害復旧につきましては、るる陳情もいただいておりますし、先ほど来申し上げましたように、私としても並み並みならぬ決意で、この幹線路線を一日も早く復旧するように努力をいたします。
  66. 梶原敬義

    梶原敬義君 終わります。
  67. 喜岡淳

    喜岡淳君 それでは、ただいまから運輸大臣に四点にわたりまして御質問をさせていただきたいと思います。  一つJR四国の近代化問題についてであります。二つ目にはJRの踏切安全対策について、三つ目にはJRの本来の使命であります安全輸送の確立について、四つ目には障害者対策の取り組みについてであります。  六十二年度の特徴といたしましては、国鉄の分割・民営化初年度としてこの年進められております累積債務の解決ということと同時に、公共交通機関として再建をしていく、これが本来の目的であっただろうというふうに思います。そういう意味では、公共交通のかなめとして国鉄を見事再建したということで歴史に名を残すのか、あるいは逆に分割・民営ということで国民の不安をかき立てていったのか、そういう大きな分かれ道になっておるかと思います。  今も梶原委員の方から、分割した弊害として九州豊肥線災害復旧問題がありました。私も九州の話を聞いておって感じましたが、やはり私の住む四国も、JRの中では非常に経営基盤の弱いところであります。したがって、同じような心配をいたしております。そういう意味では、国民の心配にこたえて、本院でも昭和六十一年十一月二十八日、十三項目にわたる附帯決議が行われたところであります。私のきょうの四つの質問は、実はこの附帯決議が昭和六十二年度決算の中で果たしていかように行われたのか、この点についてのお尋ねであります。  まず最初に、この附帯決議の中でもうたわれておりますが、地方ローカル線の充実の問題であります。  去る九月十七日に運輸大臣は、運輸行政の視察ということで四国を訪れられております。四国は、瀬戸大橋が開通をいたしまして本州と一体化することができました。ようやく孤島ということを脱却したわけでありますけれども、せっかく本州と四国が橋で結ばれた割には、それに接続する 四国のJRの電化というものが非常におくれております。  四国の運輸事情につきましても、御承知のとおり徳島市に至ってはようやく今から二年前に特急列車が入るようになったというような状況であります。その上、四国のJRの車両は、見ればすぐわかりますが、非常に老朽化をいたしております。航空事情につきましても、高松の場合は去年の十二月にやっとジェット機が入ってくるようになった。そういうように四国は非常に後進地として取り残されておるわけであります。その上経済基盤が弱い、財政基盤も当然弱いという四国であります。せめて交通事情を全国平均にまでは引き上げていただきたい、これが四国四百四十万人島民の非常に切実な願いであります。  そのためには、国の役割というものが非常に求められております。大臣、四国を視察された御感想をぜひ聞かせていただきたいというふうに思います。
  68. 大野明

    国務大臣大野明君) 四国を視察したというのでなく、香川県高松周辺及び高松空港等を視察したわけでございます。  JR四国の電化率というものは一三・五%ぐらいと聞いておりますし、また複線化も五・五%程度と、確かに低いということは私も認識をいたしております。  ただ、今もお話がございましたように、瀬戸大橋ができて、鉄道網の整備には非常にJR四国は意欲的でございまして、たまたま本日伊予市―伊予北条間二十九キロが電化されるというようなことで、鋭意努力をいたしておりますし、また同時に、やはり速い電車を走らせようということになると、路線の基盤等も整備いたしませんと、それこそ安全というものがモットーでございます。そういうようなことでこれからますます事業を進めていくわけでございますが、また新型の振り子式気動車等も入れ、車両の整備にも力を入れていると聞きまして、私も非常によくやってもらっているので、感謝をいたしてまいりました。  私どもといたしましても、JR四国は財政基盤も脆弱でございますから、できるところは何とか考えていきたいというふうに思っております。
  69. 喜岡淳

    喜岡淳君 四国視察の際に記者会見をされておりますが、その記者会見の中で大臣は、四国に高速鉄道をということを打ち上げられております。そして、瀬戸大橋を経由してミニ新幹線で入ってくるんだと、そういう構想を述べられておりますが、四国の高速鉄道の構想、これは何か具体的なビジョンというものをお持ちでしょうか。
  70. 大野明

    国務大臣大野明君) 今も申し上げましたように、瀬戸大橋、いろいろこれについても環境アセスの問題等もあるやに承っておりますので、それらの解決がついたら考えることができるというような趣旨でお話ししたつもりでございます。  いずれにしても、四国という島でございますので、アクセスというものは最大の願望でありましょうし、また同時に、ミニ新幹線のようなものを走らせるにしても、先ほど申し上げたようなやはり基盤整備というものが前提にあるんだというようなことも聞きまして、軽々にここからここまでだと言うわけにはまいりませんが、そういうことができればしてもいいじゃないかということであります。
  71. 喜岡淳

    喜岡淳君 軽々にはというお言葉でありましたが、四国島民の平均的な気持ちを述べますと、ミニ新幹線とか高速鉄道構想とかそういうものは、どちらかというと何か遠い先の将来展望、願望であって、また政治家が何か言っておるじゃないか、そういうような受けとめ方が非常に強いわけであります。  四国島民が一番求めておりますのは、今大臣おっしゃいましたように基盤の整備だろうと思います。とりわけ本日、ちょうど十一月二十一日ですが、今お話のありましたように高松―松山間の一部が電化開通をいたしておりますから、ようやくこれで四国のJRの電化率が一三・五%となるわけです。一三・五%と喜んでおりますと、全国平均は五〇%を超えておるというわけです。そういうことを見ておりますと、やはり一番待望しておりますのは四国の複線電化ということでありましょうが、四国の複線電化に当たっては、余りにも全国平均と比べますと格差が大き過ぎますから、どうも四国は差別されているのではないか、こういう声も島民の中から出てくるわけであります。本当に、差別されておるのじゃないかという島民の声に対してどういうふうに答えられるんでしょうか。
  72. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 先ほどJR九州の話がございましたが、JR四国も、経営安定基金をもとにその運用益、平成元年度で百五十一億円を計上することによってようやく経常利益六十億円余を出しているというような状況でございます。  一方、JR四国は、その営業キロが八百数十キロということで、JR六社の中で一番わずかな鉄道を運営している。したがって、このわずかな鉄道をしっかり大事に今後育てていかなければならないことは当然でございます。しかも、高松―徳島間あるいは高松―高知間を見ましても、特急の平均速度が六十数キロである、こういう点で、こういった在来線、幹線鉄道の高速化、近代化というのは極めて必要なものだと考えますが、やはり今後JR四国におきましても輸送需要の動向、経営基盤等から考えてできるだけ努力をしていかなければならない。また、高速化、近代化におきましては電化、複線化等も重要でございますが、需要動向等から見てその他の方法、例えば軌道構造の強化JR四国が最近採用しております振り子式気動車等、新型気動車の導入によってもその実現が可能でございますので、多様な方法によってJR四国においてもできるだけ近代化を進めていくように、我々今後も指導を続けたいと考えております。
  73. 喜岡淳

    喜岡淳君 ぜひ四国の近代化について、格別の御指導をいただきたいというふうに思います。  やはり、瀬戸大橋をつくっても、一兆二千億円の税金、あれで瀬戸大橋ができたんですけれども、せっかく電車に乗って四国に入ってきても、途中から電化されていないんですね。電化区間は今言いましたように四国は一三%台です。あとの八七%は電化されておりませんから、電車はもちろん動かないわけです。  ですから、とりわけ四国、九州、北海道などの三島に対する御指導をよろしくお願いしたい。この場でお願いを申しておきます。  次に、踏切の安全対策であります。  JRの踏切事故につきましては、依然として多発しております。この間、六月一日の参議院の運輸委員会で私はこの問題について質問をいたしましたが、その際、政府委員から次のような御答弁がありました。「重大事故も依然として踏切事故を中心に起きております」、これが大塚政府委員の答弁でございました。  ところで、踏切安全対策はどのように進められておるのでしょうか。
  74. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 踏切安全対策に関しましては、一つは、踏切道改良促進法に基づきまして踏切道の改良を行っていくということで、五カ年計画を立てて、本年度が最終年度でございますが、各JRにおいて保安設備の整備等を行っていくということが挙げられます。また、最近の踏切事故というのが、一種踏切にかかわらず、道路交通が自動車側の過失によって起こっているものが多いということから、警察、道路管理者等関係方面とJRがその安全対策について協議するように指導しているところでございます。  そういった総合的な道路交通安全対策、また踏切施設の改良といったことによって、できるだけ踏切事故を減らしていきたいと考えております。
  75. 喜岡淳

    喜岡淳君 それでは、踏切安全対策予算についてお尋ねをいたします。きょうは決算委員会ですから、予算決算の対比をさせてもらいたいと思います。  昭和六十二年度の踏切保安設備整備費補助金、これ、予算段階では九億九千万円でありました。六十三年度の予算は六億六千三百万円、平成元年度は三億七百万円、平成二年度は一億二千四百万 円。予算段階で見ましても、この四年間で八分の一にまで急激に削減されております。しかも、昭和六十二年度で言いますと、九億九千万の予算に対して決算は八億七千二百八十万円、こうなっております。決算でまたかなり減っておりますね。そういう意味では、踏切事故が多発をしておる折でありますから、しっかりと必要な予算はつけるべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  76. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 現在の踏切道改良促進法に基づきます保安設備の補助の基準としましては、営業損失ないしは欠損が出ているものが対象となっておりまして、六十三年度には旅客会社六社全部が対象となっていましたのに対して、その経営状況から平成元年度には東日本と東海が、また二年度には西日本が補助基準に該当しなくなったために、三島会社のみが予算上の対象となっています。そういうことから予算の額が減っております。しかし、三島についてはできるだけ計画に基づいて保安設備の整備ができるような予算を来年度も確保したいと考えております。  特に、来年度は踏切道改良促進法の期限が切れる年でございますが、我々は、今後の踏切保安設備の整備の引き続き重要なことにかんがみ、踏切道改良促進法の改正も国会に提出したいということで、今準備をしているところでございます。
  77. 喜岡淳

    喜岡淳君 今の御答弁は、六月一日の運輸委員会での御答弁と少し観点が変わっていたというふうに思います。  六月一日の参議院運輸委員会で私の質問に対しての御答弁の内容は、計画的に踏切整備を進めてきたから減っておるんだと、こういうふうな御答弁でありましたが、私はこの計画的に進めてきたということには疑問を感じるんです。四年間で予算が八分の一に減ったということは、踏切対策は八倍進んだのか、そういうふうに単純に思うわけです。しかし、計画的にやっていると言いますけれども、やはり事故状況は変わっていない。しかも、来年はこの五カ年計画の踏切対策が切れてしまうということでありますから、今おっしゃったように、法改正の際には踏切安全対策強化するという観点での取り組みをお願いしたいというふうに思います。  四国の場合でも、踏切事故は相変わらず後を絶っておりません。昭和六十二年は四十三件ですね。六十三年五十四件、平成元年五十四件、分割・民営化された後は非常に発生率が高くなっておりますので、ここの点については格別の配慮をいただきたいというふうに思います。  それから、踏切の問題で具体的な質問をさせていただきます。  私は、予算をしっかりつける、もちろん必要な予算ということですが、必要な予算をしっかりつけるということと同時に、踏切の事故防止についてはやはりJR運輸省だけではなくて建設省あるいは警察などの関連した省庁が協力をして、共同で、縦割りの縄張りを超えて、真剣に安全のために協力活動をしていくべきではないか、そういう観点から具体的な質問をさせていただきたいと思うんです。    〔理事千葉景子君退席、委員長着席〕  といいますのは、先ほども大塚議官の御答弁にありましたように、踏切対策としては、自動車側の過失も多いのでここの指導を強化していくということを言われました。私は、確かにドライバー、運転手も責任があるかと思いますが、つい最近、高松の地方裁判所で画期的な判決が出されておりますので、それに関係して質問させていただきたいと思います。  済みませんけれども、資料をお配りください。    〔資料配付〕
  78. 喜岡淳

    喜岡淳君 図面があった方がわかりやすいかと思いますので、図面をお配りいたします。  お手元の図面は、高松―徳島間を結んでおります高徳線中流という踏切の図面であります。図面の真ん中の黄色で囲んだのがトラックであります。そこへ、そのピンクで囲った、キハ一八五―一五と書いた特急列車、これがぶつかって事故が起きた、現場の図であります。  この踏切の事故で具体的に考えてみたいと思いますが、この事故は、ことしの一月八日午前八時四十分ごろ、トラックが踏切を南側に渡りました。そして左折をしようとしたんですが、道路が狭いためにトラックが曲がり切れずに、切りかえるためにバックで踏切に入ったわけです。そのときに警報機が鳴って、特急が衝突したという事故でありまして、トラックの荷台の鋼材によって列車の窓ガラスが割れました。ここで一人が死亡して、あと十一名の方が重軽傷を負ったわけであります。そういう事故でありました。  JR、警察、運輸局ともに、当初トラック運転手の過失責任というのをずっと追及しておりました。四国運輸局もドライバーの責任は大きいぞということで、四項目にわたる通達も発したところであります。  しかし、この十一月一日高松地方裁判所では、この事故について次のような判決を出しております。これが判決の主文でありますが、この文書の中では次のように書かれております。「本件事故現場である踏切及び三叉路交差点は従来から危険性が指摘されていたところである」などの理由により、「今回に限り、刑の執行を猶予する」、こういう判決であります。やはり踏切事故は、一つ一つ見ていきますと、必ずしもドライバーの責任ではなくて、逆にJRの責任がこういう裁判で明らかになっておるわけです。  私は思いますが、これまでの踏切事故のほとんどがドライバーに責任が嫁せられておった。今度の場合は、この踏切の責任者であるJRが危険な踏切を放置しておったのではないか、こういう判決になっておるわけでありまして、JRの不備をついた異例の判決ということだろうと思います。  運輸省の方も既にこの判決結果を御承知だろうと思いますが、今度の判決についての御感想をお聞かせください。
  79. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) まだ判決内容について十分検討させていただいているわけではございませんが、ドライバーの責任とともに、この踏切の周囲の状況が危険であったということは、JR四国あるいは道路管理者、警察等全体的にこの対策を講ずる必要があるのではないかと考えられております。また、そのような対策を今現地でも検討しているように聞いております。
  80. 喜岡淳

    喜岡淳君 しつこく言いますけれどもJR四国の場合は踏切が非常に多いんです。踏切の数は平成二年三月現在千四百四十一あります。営業キロ当たりでいいますと一・六八、全国平均は一・三〇ですからもうダントツに四国は踏切が多いんです。  そういう意味では、踏切対策強化すべきなのでありますが、JRに対する踏切保安設備整備費の補助金は、四国の場合六十二年度四千万円だったんです。それが平成二年度で一千三百万円にまで落ち込んでおります。これは予算レベルでありますが、予算レベルで約三分の一にまで減っております。しかし、その間JRの踏切事故はふえておりますし、今度の裁判所の判決のようにJRの不備が明らかに出ておるわけですから、踏切の安全対策に対する必要な予算をしっかりとつけていただきたいというふうにお願いしたいと思います。  そこで、具体的な踏切の安全保安対策として、運輸省にお願いをしたいことがあります。  一つは、余りお金がかからないんですけれども、踏切にのぼり旗を立てるということです。四国の場合はすべての踏切に黄色いのぼり旗を立てて注意の喚起、安全の呼びかけをしております。これを立てた当初は大きな効果がありました。ところが、やはり月日がたちますと、のぼりの色が抜けてみたり、あるいは子供がいたずらをしてみたりね。あののぼりを持って戦争ごっこしている子がおって、僕も捕まえてしかったんですけれども、あるいは風でどこかへ飛んでいったり、のぼりが不備になっているところもたくさんありますから、ぜひ一斉に踏切点検をして、つけるべきところにはきちんとしたのぼりを改めてつけていた だきたい、そういう御指導あるいは点検をお願いいたします。  二つ目には、中流の場合に限らず、この間も神奈川県の茅ケ崎市で、大型観光バスが踏切を無理して渡って、向こうが狭いものですから曲がり切れずに列車と衝突事故を起こした。いわばこの中流の事故と非常によく似たタイプの事故が起きております。そういう意味では、今後、運輸省だけではやはり無理でしょうから、警察、建設省、そういった関係当局が協力をして、縦割りの行政の壁を越えて、とにかくみんなで自分のできることをやろうじゃないか、お互いに力を合わせてやろうじゃないか、そういう方向で踏切の安全対策に総合的に取り組んでいただければ、それほどお金もかからずに効率的にできるのではないか。お金がなければやはり知恵を出すということが大事かと思いますが、こういう対策についてどうでしょうか。
  81. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) のぼりの問題につきましては、JR四国の実績等よく勉強させていただいて、必要な指導をしたいと考えます。  また、横の連絡につきましては、各県に交通安全対策会議がございまして、そこには運輸省の出先の運輸局、あるいはJRも入っておりますので、こういう場で積極的に踏切の安全対策について今後連携をとり、対策を講じていくようにこれも私どもから指導していきたいと考えています。
  82. 喜岡淳

    喜岡淳君 それじゃ、きょうは警察の方にも来ていただいておりますので、警察の方としても、この踏切の安全対策の問題、今JR運輸省の方からの御答弁がありましたけれども、ぜひ協力した体制で取り組んでいただければ効果が上がるかと思います。  きのうもテレビで、踏切、交差点の手前の車の駐車禁止といいますか、そういうこともやっておられましたけれども、警察の方としてはどうでしょうか。
  83. 島田尚武

    説明員(島田尚武君) 全国的に見ましても、毎年踏切における死亡事故だけでも百件以上発生しております。これはJRのみではなくてすべての鉄道についてであります。特に本年の状況を見ますと、私どもの統計によりますと、十月末現在で昨年は八十一件であったところが今年は既に百十六件の死亡事故が発生しているということで、この踏切の事故の問題は非常に重要な問題だと思っております。  警察といたしましては、個々具体的な事故ごとに捜査を通じてその原因がどこにあったかということを知り得る立場にありますので、その捜査等によるデータを踏まえて、その後の事故の防止のために関係機関に対して資料を提供し、十分な協議をして地域実態を踏まえた総合的な施策が推進されるように、積極的に各関係機関に働きかけるように努めてまいる、これが私どもの基本的な立場であります。  今回の事故現場に関しましても、踏切の拡張、道路の拡幅等について、JR四国及び道路管理者であります高松市に対し要請及び協議を行うとともに、さしあたって、今先生指摘ありましたように、ドライバーに対して注意を喚起するための看板を付近に立て、さらに、具体的なことになりますが、本件、トラックによる鋼材の搬送先でありました鉄工所に対しても特に強く指導を行っているところであります。  今お話のありましたように、最近、全国的に目立っておりますので、一層関係機関と緊密に連携をして、縦割りでない施策の実施、その促進に努めてまいりたい、そう考えております。
  84. 喜岡淳

    喜岡淳君 ぜひ安全の取り組みを、よろしくお願いしたいと思います。  踏切の関係で、ちょっと運輸大臣質問したいといいますか、ぜひ運輸大臣に知っておいてもらいたいことがあります。  これは、この間政府委員の方にもお伝えしたのでありますが、JR四国ですね。去る六月七日にJR四国の社長を呼ばれまして注意をされたというふうに聞いております。JR四国の社員アンケートをとった結果、二割もの人が安全より利益優先なんだというアンケート結果が出た問題で、社長を呼ばれて御注意されたというふうに聞いておりますが、どういう御注意をされたんでしょうか。
  85. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) これは前回にも先生から御指摘をいただきましたので、その設問設定が、社員や利用者から見て利益と安全をてんびんにかけるがごとき経営をしているとの誤解を招くおそれがあるものと判断いたしまして、六月七日に私JR四国の社長を呼びまして、この点について厳重に注意するとともに、経営幹部を含む社員の安全意識の再確認と教育の徹底を図るよう指導したところでございます。
  86. 喜岡淳

    喜岡淳君 安全意識の再確認と教育の徹底ということを言われたわけでありますが、私はその効果がまだ出てないのではないかというふうに思っております。  それは、去る十一月十七日の踏切事故の件に関してJR四国のとった態度であります。幅二メートルほどの農道のところを小学生が渡っておりました。自転車で渡っておったんですね。ところが、複線でありまして、上りの快速列車にはねられたんです。その小学生は機敏だったために、自転車がぐしゃぐしゃにつぶれただけで、奇跡的に命は取りとめました。そして、その問題に対してJR四国が言ったことは、三十メートル横の遮断機のある踏み切りの警報機が鳴っているじゃないか、それを聞いて渡らなかった子供が悪いんだと言ったわけですね。子供が渡った幅二メートルの農道の踏切は、遮断機も警報機もついていませんでした。東に三十メートルの踏切には遮断機と警報機がついているんです。だからその音を聞いて渡ればいいんだと言ったんです。その音を聞いて渡ったところが、反対側から来た列車にはねられたんです。こんな対応というのはあるんでしょうか。  私は日曜日に、その踏切事故の起きた周辺でずっと聞いて回りました。踏切の周辺にたしか四つの工場がありましたよ。木工工場があって、電動のこぎりの出してきたごみを集じんするファンが大きな音をたてて回っていますよ。その工場が二つあるんです。そのほかにも工場が二つあってうるさいですよ。聞こえないですよ。耳の遠い人なら聞こえるわけないんですよ。そうしたら今度は、三十メートル隣の踏切の遮断機がおりておるか、あの棒を見て渡ったらいいじゃないかと言うんですよ。目の遠い人は見えないですよ。こんな対応というのがありますか。どうですか、大臣。
  87. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 私もこの記事を読ませていただき、もしこのようなことを発言したとしたらまことに遺憾だと思いますが、現在、JR四国に問い合わせたところ、このようなことは言ったことはないし、だれが言ったか不明と言っておりますが、いやしくもこのような記事になるような誤解を招くような発言があったとすれば厳重に注意すべきであるし、また、踏切問題は極めて重要でございますから、今後ともその対応には十分注意するように指導したところでございます。
  88. 喜岡淳

    喜岡淳君 私はJR四国のお客さんをふやしたい、それが自分の仕事だろうと思っておりますから、おわびをして回りましたよ、十八日の日に。ところが、その中流の踏切の場合もそうです、今度の踏切のぼうやの問題もそうですよ。やはりJR民営化して、これで再建してやっていくんだというのであれば、どうして近所の周辺の人に、JRの幹部が歩いて回らないんでしょうか。そうすれば、ああJRは私たち住民のことを考えてくれておるんだな、そうしたらまた今度利用するときはJRに乗ってみようかな、こう思うのが普通の人間の心情だろうと思うんです。  ですから、そういう意味では、民営化というのは単にその所属労働組合によって人の振り分けをするとか、あるいは民営化ということでうどん屋がふえただとか、何かそういうふうな世間から誤解をされるような分割・民営化であっては決してならないと思います。幹部の人の姿勢がやはり現場に反映するわけですから、私はやはり運輸大臣を初めJRを担当する運輸省の幹部の皆さん方が 本当にどういうふうに考えておられるのか、またJR四国の社長以下幹部がどういうことを考えておられるのか、本当に疑問に思うときがあるわけです。ぜひ分割・民営の本来の趣旨であります公共交通のかなめとして、地域交通のかなめとして国鉄を再建していく、この本旨をしっかり守ってやっていただきたいというふうに思うわけです。答弁は要りません。  それから引き続いて事故の問題、安全問題についてお尋ねをいたします。  JR東中野の事故が起こって以来、東日本の一連の事故、また北海道の年末年始の踏切事故、これは十一名の死亡者が出ております。さらには、最近では新幹線の座席がダブりで販売されておって、乗ろうとしたら席がなかった。切符は買っておるのに乗れなかった。この間、この十月ごろですよ、隣の木庭健太郎議員も、切符を買っておりながら乗れなかったと言って怒っておりました。ですから、こういう考えられないような事故が、どこかよその問題じゃなくて、この決算委員会の場所でさえあるわけですよ。わずか何十人かおるこの中の人がかかわるということは、よほど頻度の高いこれはトラブル、ミスだろうと思うんですね。大臣の席の五メートルしか離れていないところの人が巻き込まれているわけですからね。非常に身近にこれが起きているということだろうと思うんです。  そこでお尋ねをいたしますけれども、最近のこれら一連の事故あるいはミス、トラブル、こういうものについての大臣の御感想を聞かせていただきたいというふうに思います。
  89. 大野明

    国務大臣大野明君) 私は大臣に就任したときに、何といってもこの運輸行政のモットーは、安全第一にありということを申し上げました。最近の事故、いろいろあるということも承知いたしておりますけれども、いずれにしても、事故がないように対策を講じることが私どもの責務であろうと考え、日夜腐心もいたし、努力もいたしておるところでございます。これから先もより以上努力をさせていただきたいと考えています。
  90. 喜岡淳

    喜岡淳君 具体的に、JR東海の問題でお尋ねをいたします。  九月の七日に、三重県で踏切工事作業員の方がミスをした結果、警報機、遮断機が動かなくなって普通列車と軽トラックが衝突をしております。二週間たった九月二十一日、今度は名古屋市で踏切警手の方が遮断機をおろすのを忘れて、そこへタクシーが入ってきて貨物列車と衝突した。タクシーのお客さんは重体であります。その翌日、同じく名古屋市で、輸送係の方が標識を見落としたためにポイント確認もせず誘導して、電気機関車が脱線をいたしております。今度は、これは十月六日、岐阜県です。運転士の方が停止信号を見落として回送電車がポイントを破損いたしました。二日後の十月八日、同じく岐阜県であります。輸送係がポイント操作を指示せずに、停止の標識を見ずに誘導したために、電車がまたポイントを破損いたしております。この翌日十月九日、三重県で助役がポイント操作をしないまま誘導をして客車が脱線をしたなどなど、わずか二月の間に愛知、岐阜、三重の非常に近接したところ、ここで連続事故、ミスが続いております。  この問題については、中部運輸局の方で特別に視察といいますか、監査といいますか、指導に入ったというふうに聞いておりますが、JR東海で連続ですね。これはどういうふうに原因考えておられて、今後どういう対応をとられようとされておるんでしょうか、ちょっと疑問なんですね。毎日のように近接したところで起きているんですよ、すぐ近くで。
  91. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 今先生が挙げられましたように、十月の初旬に相次いで事故が発生したために、十月十七日に中部運輸局が実地調査を実施したわけでございます。これはその前の九月二十二日に、これも今挙げられましたように笠寺駅で車両脱線事故が発生しておりまして、九月二十七日に中部運輸局長より警告を発した直後の連続事故でございますので、同種事故の再発防止のために本社、関係電車区、車掌区、それから事故が発生しました三駅で直接関係者から事情聴取し、実態を調査したものでございます。  調査は、運転取り扱いに関する基本動作のミスによるものが多いものですから、その励行状況、それから関係者相互間の確実な打ち合わせ、それから規定の遵守状況、教育訓練状況、この四点を中心に実施しまして、運輸局はそれぞれの事故の直接原因及びその背景要因を確認した上、個々の事案に対して現場で、また本社に対して改善方策を指導しております。  これを受けまして、JR東海は十月二十六日には車両脱線事故の防止に関しては基本動作の再徹底を行うこと、教育訓練を実施すること、それから事故防止会議を実施すること等の報告を行っております。この報告結果を現在中部運輸局でも見守っているという状況になっております。
  92. 喜岡淳

    喜岡淳君 私はやはり安全性を早急に確保して、お客さんが危ないから乗らないなどということが決してないように、やっぱりJRは安全だ、快適だと言われるようにしていただきたいと思うんです。私も毎週金曜日はJRの新幹線で四国へ帰りますし、日曜日の夜は夜行寝台の瀬戸に乗って寝ながらこっちへ来ますから、本当に体を預けていますからね、ひとつよろしくお願いいたします。  それで、事故の原因あるいは今後の対応の問題でお願いをしたいと思いますが、九月二十二日に笠寺駅で貨物機関車が脱線いたしておりますが、このときの操作は本線作業をやったことのない全く別のところで、一回もやったことのない線へ入れているんですよ。それから十月九日の鳥羽駅の客車脱線、このときの操作をやった助役の方は運転扱いという方でありまして、信号の操作をいつもやっておる人なんです。こんな作業なんかやったことのない人がやっているんです。全然やったことのない人がやったり、あるいは作業をしたことのない場所でやってみたり、どうしてこういうことをやるのかよくわからないんですが、私はぜひこの事故については、一つは労使協議をすぐやるべきではないか。事故が起きて一カ月もたたないと労使協議がやられていない。そういうのは何か私は、労使協議ということをもっと的確にぴしっとやって、本当に職場JRの方も一体となって安全にやっていくんだ、そういう早急な労使協議が非常に必要だろうと思いますので、要望しておきたいというふうに思います。  それからもう一つは、先般も六月の運輸委員会のときにも言いましたし、昨年末の質問主意書の中にも書きましたが、事故調査についての体制のあり方、御承知のように飛行機の方でありますと事故調、あるいは船の方で言いますと海難審判庁などなど、一般的に見て第三者機関が事故原因の究明に当たらない限り、本当に公平で科学的で客観的な事故原因調査は私はできないと確信をいたしております。  運輸省の方はこれまでも、いややっておるから心配ない、鉄道保安連絡会議をやっておるとか、あるいは交通安全公害研究所がやっておるとか鉄道総合技術研究所でやっておる、こういう御答弁でありますが、私は第三者機関の設置ということをしない限り、やはり臭い物にはふたをする、本当の事故原因を科学的に究明できないのではないかというふうに思いますが、私はこの第三者機関、名前がどうかは別として、第三者による事故調査委員会といいますか、そういう第三者機関の設置をするべきだろうと思いますが、どうでしょうか。
  93. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) これは前にもお答えしておりますが、船舶や航空に比べて鉄道というのは、過去の事故についての経験の成熟度が非常に高くて、また物的証拠が残っているという面から、関係者による究明ということで、その原因把握あるいは対策というものが比較的立てやすいということから、今例えば海難審判庁とか航空事故調査委員会のような第三者機関はございません。  ただ、全体的に鉄道安全についてどういう方向であるべきかというような大きな問題の必要があ りますれば、私ども運輸技術審議会という、これは鉄道だけではございませんけれども、運輸の安全や技術をやる審議会もございますので、そういうところで議論をするという方法がございますが、現在のところは、原因が基本動作のミスとかマニュアルの不励行とか、そういったことでございますので、むしろ鉄道事業者がもう一度、安全は鉄道輸送の第一の基本的な使命であるという原点に戻って経営を行っていくということが今一番大事じゃないか、事故を減らす大事なことではないかと考えておりますので、全力を挙げて私どもこれからも鉄道事業者を指導していくつもりでございます。
  94. 喜岡淳

    喜岡淳君 その御意見は、多分いつも同じような答えだろうというふうに思います。私は、それは立場はわかりますけれども、率直な話、本当にもう一個人として率直に話をする場合、同じパターンの事故や同じパターンのミスがどんどん連続しているんですよ。しかも近接したところでしょう、さっきの東海の例で言うと。  はっきり言いましょう。夜事故をやったやつの入れかえで、日にちが変わって午前一時か二時にまた事故をやっておるんでしょう。同じことをやっていますよ。事故をやったその後始末のときに事故を起こしておるんですよ。こういう同じミス、同じ事故のワンパターンがずっと続いていくというのは、やはり今やっておる安全対策には何か問題があるという証拠でしょう。ですから、そういう意味では本当に客観的に、本当に痛いところをついてでもやる、安全のためには少々痛いところをつかれたってやるんだと。それぐらいのきちんとした決意がなければ、私はこんな連続ミスの解決とか同じパターンの事故をとめることはできないだろうと思うんですよ。問題はそこですよ。  ですから、そのためには思い切ってやはり第三者機関を設置して、安全対策に対して運輸省JRはこれだけの金をかけておるんだ、これからの二十一世紀の交通の売り出し文句というのは、いかに安全に金をかけておるか、これがリッチな交通機関に二十一世紀はなっていくわけですから、そういう意味では安全を売り物にしていく、それこそがJRが他社に負けない高級品なんだ、こういう商品になっていくのが時代の流れですから、やっぱりそういう意味では金をかけてでもしっかりと第三者機関を設置する、そういう検討をしていただくように要望をいたしておきます。  ところでお尋ねいたしますが、今JR各社の人員数はどういうふうになっておるでしょうか。  時間の都合で言いますが、私が疑問に思いますのは、かつて分割・民営の際に、JRのいわゆる適正人員、これについて、民鉄並みでいけば定員はどれぐらいなのか、今現実に働いておる鉄道事業従事者は何人おるのか、これを調べてみる必要があると思って調べてみたんです。  例えばJR東日本の場合ですね。いわゆる民鉄並みでいけば――少々違いがあればまたお知らせください、JR東日本の場合は七万五百八十、民鉄並みですね。これは、鉄道事業従事者は六万五千五百。これ以外にうどん屋さんとか自動販売機の人とか、鉄道業務以外の方が乗っていくわけです。四国の場合はといいますと、この間、去年一月三十日に地方労働委員会でJR四国の当時の泉人事課長さんが次のように認められております。民鉄並みでいくならばレール部門は三千八百三十五名だと。今何人おるんですかと言うと、いや、実数は三千四百ですと。  結局、東日本と四国だけを今言いましたけれども、民鉄並みと比べてみたところで、今の鉄道事業従事者の数は大きく割り込んでおる。果たしてこれで安全体制がとれるのかどうかということに疑問を感じております。  それで、委員長にお願いいたします。後で民鉄並みの各会社ごとの人数、それと現実の各会社ごとの鉄道事業従事者数、これについて資料をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それから、時間がなくなってまいりましたので、最後に障害者問題についてお尋ねをいたしておきます。  今JR各社が採用しております障害者の方の人数、また障害者雇用促進法でいけば各会社とも何人の障害者を雇う義務といいますか、人数があるのか。そして実際に雇用されておる障害者の人数、これについて教えてください。
  95. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) この身体障害者の雇用に関しては労働省が御所管で、私ども具体的な数字をはじくということについて十分知識がございませんのであるいは数字的に間違っているかもわかりませんので、その辺は御了承願いたいと思いますが、まず雇用者数は、七社合計で、これは法律上の換算値も含めまして約九百六十人となっておりまして、法定雇用者数に約六百四十人不足していると聞いております。
  96. 喜岡淳

    喜岡淳君 時間が来ましたので、最後に大臣にお尋ねをいたします。  今数字がありましたように、障害者雇用促進法による枠を大きく割り込んでおります。JR自身が障害者雇用を十分されていないということを見ても、いかにJRが障害者問題に対して取り組みが弱いのかということが明らかになったと思います。既にアメリカでは、先般ADAと呼ばれる全米障害者のための特別な法律がスタートいたしております。そして、すべての障害者が公共交通機関について心配なく乗りおりができる、列車にもその席を置く、エレベーターもしっかりする、そういう画期的な法律がスタートいたしておりますが、今JRのことを聞きますと、非常に心もとない実態でありますので、このADA、全米障害者法、この精神についてどういうようにお考えで、今後JRとしては、この附帯決議の第十二項にありますように、障害者対策をどう進められようとしておるのか、最後に御決意、御感想をおっしゃっていただきたいと思います。
  97. 大野明

    国務大臣大野明君) ADAにつきまして私の所管いたします交通関係、すべての身障者の方が社会に進出するにおいて公平にというようなことが盛り込まれていると聞いておりますが、我が国におきましても、心身障害者対策基本法もございますので、私ども、やはりその趣旨に沿いまして、その設備とかそういうようなものの改善を適切にいたすようにいたしておりますが、それは物の問題であって、今先生お尋ねの点は、要するに六百人ぐらい、これは正確な数字かどうかは別として、身障者の雇用が少ないではないか、こういうお尋ねでございますが、やはり社会に出て働いていただくということは大切なことですから、このようなものも、実は私も労働関係をずっとやっておりまして、努力をして法案をつくり、また同時に身障者を雇わない企業については一人につき幾らという法定の数がございますから、それに満たないものはペナルティーを金目でいただいて、それをまた還元してやっておるというようなことなので、JRがそうやっているかどうか私つぶさに知りませんけれども、ひとつ十分雇用するように指導したいと思っております。
  98. 喜岡淳

    喜岡淳君 私、先般JR岐阜駅へ行ってまいりまして、岐阜駅が今高架の工事をきれいにやっておられますが、あそこに障害者団体の方からの申し入れで障害者が利用しやすいようなエレベーターをつくってもらいたいということで、地元の障害者団体とJR岐阜駅との間で話し合いがやられておるようなんですが、ひとつこの問題については、岐阜駅こそやはり今度は障害者問題で胸を脹れるような、新しい駅として脚光を浴びるような取り組みをお願いしておきたいと思います。  それから、最後になりましたが、これから整備新幹線とかリニアモーターなど、ああいった大きなプロジェクト、あるいはJR本州三社の株式の公開とか、何かしらそういう方向に流されてしまうのではなくて、あくまでもやはり、国鉄が分割・民営化をしたときにはこの参議院の場所においてきちんと附帯決議が通っておりますから、この附帯決議がきちんと遵守をされていくように、そのことがJRを公共交通機関のかなめとして再建していく政治が選んだ道だったと思うんです。確 信を持って選んだわけですから、この決議全項目にわたってきちんとやっていくようにお願いをしたいと思います。  また、CO2の問題やあるいは騒音、土地問題、環境問題等々で車の時代が列車の方に切りかわっていくという時代も間近にやってくるだろうと思いますから、そのときに果たして分割・民営化は失敗だったのではないかと、こういう悔いが出ないように、政治が選んだ責任を持った道を進めていっていただきますようにお願いをいたしまして、時間ですから質問を終わります。  ありがとうございました。
  99. 種田誠

    ○種田誠君 私は、運輸大臣並びに運輸省関係者の方に、まず伺いたいと思います。  過日の当委員会におきまして、労働省に対しまして中小企業における人手不足対策並びに外国人労働問題などについて伺ってまいったわけでありますが、本日は、とりわけ人手不足の激しい、三K職場の典型とも言われるトラック運輸関係業界の人手不足の実態やらその原因対策などについて伺っていきたいと思います。  労働省が調べました八九年度の技能労働者等需給状況調査によりますと、旅客・貨物自動車運転者は十二万九千人ほど不足をしておって、これからもその率は上昇をしていく、そして六大都市におきましては、トラックの稼働率は〇・八六、そして運転者などが休みを当然とりますから、それをかんがみますと遊休車は二割から三割ほどあるのではないだろうかと、こういうふうにも言われているわけであります。そして、ある大手運輸会社のこれは八八年度の採用者でありますが、中途採用者一万二千人おったそうでありますが、そのうちの半数が退職をしてしまっている、退職率が何と六〇%近くあるという、こういうふうなことも聞いております。  そういう中での人手不足と言われるこの実態を、運輸省におきましてどのように見ておるか、まず伺いたいと思います。
  100. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) 先生指摘のとおり、トラック業界におきましては、労働力不足が極めて深刻な状況になっております。  その状況をちょっと申し上げますと、平成二年の八月、ことしの八月でございますが、労働省の調査結果によりますと、昨年、元年の十一月における旅客・貨物自動車の運転者の不足数というのは十三万五千人に達しているという報告がございます。これは全体の必要数の大体八・三%ぐらいに当たります。八・三%ぐらいが不足数であるという調査がございます。  それから、先生が今御指摘になりましたけれども運輸省の調査で六大都市におきまして、六十三年度の数字でございますが、トラック一台当たり運転者が〇・八六人しかいないという状況でございます。トラックの運転手も休みをとりますので、一台に一人では一台がフル稼働しない。大体一・二人ぐらいが必要なわけでございますが、この〇・八六人という数字をさらに一・二で割りますと〇・七強となる。ということは、一台について有効な運転者が〇・七強しかいない、二、三割はトラックが動かないというような状況に立ち至っております。  このような深刻な状況でございまして、我々も今後労働力確保対策というものに大いに努力していかなくてはいけないと考えております。
  101. 種田誠

    ○種田誠君 今述べられたような深刻な現状の中で、どういう問題が今日的に起こっておりますでしょうか。
  102. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) トラック事業におきます人手不足は、ひとりトラック業界のみならず産業界にも影響を与えております。ドライバーの不足によりまして、例えば年末等の繁忙期を中心といたしましてトラックの確保が困難となって、荷主企業自身の物流システムのあり方、ひいてはその生産、販売の体制そのものを見直さざるを得ないというような深刻な認識を荷主サイドにも生じせしめているという状況に立ち至っていると考えております。  また、事故の関係でございますけれども、営業用トラックを第一原因者、加害者とします交通事故件数とか死亡事故件数も若干増加の傾向にございます。あるいは過労運転を原因とする死亡事故件数も増加しているという状況でございまして、さらにはトラック事業者の過労運転防止義務違反の件数などにつきましても多数に上っているという状況にございます。  経済の好況によりまして輸送需要の好調が持続する中で、人手不足を背景とする長時間労働というものがその要因の一つとなっているのではないかと懸念されるところでございます。
  103. 種田誠

    ○種田誠君 今お答えありましたように、業界ばかりでなくて産業界全体に対する影響力も今顕著であるし、とりわけそこに働く労働者の労働環境はますます悪い方向に今追い込まれつつある、こういうふうに指摘をされているところでもあります。そういう意味で、単なる人手不足ということに対してどう対応するかということが労働力の確保という視点ではなくて、業界全体のこれからのあり方ということにもかかわってくる問題だと思うんです。  そういう中で、とりわけこの人手不足に陥っている原因というか、たくさんのことが複合的に重なって今日的な状況が起こっているんだとは思いますが、今考えられている特徴的な原因というのはどういうところにございますか。
  104. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) トラック業界におきまして人手不足が著しくなっているということの原因でございますが、基本的には、若年労働者が売り手市場となっておりますことを背景としまして、トラック事業においては避けることのできない現場労働というようなものが一般的に忌避されることが大きな要因であると考えております。トラック業界の労働条件が他産業に比較しまして低位にあるということが人手不足の要因となっていることも否定し得ないと考えております。  その一つは、労働時間が他産業に比べて長いということでございます。元年度におきますトラックの総実労働時間、これは約二千六百時間でございます。その一年前の六十三年よりも七十時間ぐらいは減少しておりますけれども、全産業の平均であります二千百時間と比べますと、依然として大きな格差があるという状況でございます。その中で、特に所定外の労働時間、超過勤務でございますが、こういうものが年間五百時間を超えておりまして、全産業平均の二・七倍ということになっておりまして、恒常的に超過勤務に依存する比重が大きいという状況にございます。  それから、労働条件の低位性の二番目でございますが、最近の若年労働者が特に職業選択の重要な要素としております休日制度につきましても、週休二日制を実施している企業や、他産業に比して、休日自体が少ないということが挙げられます。  それから三番目に、収入の問題でございますが、毎月の収入というようなものは他産業とそう変わりはないわけでございますけれども、ボーナスを含めました年間の総収入というのはやはり少ない。特に労働時間が長いということを考え合わせますと、時間当たりの収入というのは全産業に比べまして下回っているということは認めざるを得ない状況はございます。  こういうような、労働条件がやや全産業に比べて低位であるということが、トラック業界における人手不足の大きな原因であろうと考えております。
  105. 種田誠

    ○種田誠君 今述べられた一つ原因でありますが、さらに、私も調べていく中で驚いたんですが、先ほど全国平均の労働時間を申されておったようですが、何と四社に一社は年間三千時間を超えている、こういう状況もある。そして週休二日に関しても、完全に実施しているところがトラック運送事業関係では路線トラックで全体の二%、区域トラックで全体の一二%にすぎない。この数字から見ますと、労働条件が極めて悪いということを超えまして、いかにそこに働いている労働者の方に、とりわけドライバーの方は大変な過酷な労働を強いている、こういう実態はあると言わざ るを得ないと思うわけなんです。そして、このことは今ここで初めてわかったことではなくて、私はもう過去十数年も前からトラック業界に関しての問題点として指摘されてきたことではないだろうかとも思うわけなんです。  そういう意味で、六十二年度にもこのようなトラック業界の実態を踏まえて、いわゆる経営戦略化構造改善事業などが実施されてきただろうと思います。そして、さらには最近に至っては、運輸省の方でも緊急にプロジェクトF緊急対策というようなものも考えてこられたと思うんです。  この六十二年度の経営戦略化構造改善事業は、果たして今のような問題に関してどれだけの効果を上げておるのでしょうか。
  106. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) 経営戦略化構造改善計画の実施状況でございますが、この計画はいろいろな観点を盛り込んで計画を立ててございますが、その中で、経営方式の改善ということで、労働時間の問題などを踏まえた人事の活性化のための給与体系等に関する研修なども実施しておりまして、労働力不足などに対応していくというような方向での改善も、徐々にではございますがなされております。
  107. 種田誠

    ○種田誠君 この経営戦略化構造改善事業、もう少し具体的に、どういうことをやってきたのか述べてほしいと思います。
  108. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) 経営戦略化構造改善計画は、大体四つの柱から成り立っております。  一つはソフトな経営方式の適性化に関する事業ということで、いろいろな経営計画などを立てまして、経営方式の革新を進めようとするものでございます。  それから二番目の柱が共同マーケティング事業でございまして、共同でいろいろなマーケティングを実施するということを通して個々の企業の市場対応能力を高めようというものでございます。  それから三番目の柱がコンピューター化と申しますか、コンピュータリゼーションの事業をやっていくということで、最近のトラック事業におきましても情報システム化というようなことが不可欠になっておりますので、そういうコンピューターを導入して経営管理の合理化とかマーケティングの活動の効率化を進めていこうというものでございます。  そして、最後の四番目の柱が人材開発事業ということでございまして、経営の基本は人でございますので、新しい知識とか資質を備えた人材を養成して、企業の経営能力の向上を図っていこうということでこの四番目の柱ができております。  以上申し上げましたような、大きく言って四つの柱で改善計画を進めているということでございます。
  109. 種田誠

    ○種田誠君 そういう視点で六十二年度から今日まで改善事業を行ってきた。その成果、効果、それはどういう形であらわれておりますでしょうか。
  110. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) この経営戦略化構造改善計画は六十二年度から五カ年計画でやることになっておりまして、現在その途中でございますので、今後その成果を取りまとめていきたいという段階でございます。
  111. 種田誠

    ○種田誠君 その流れの一環としてもまた位置づけられるんだろうと思うんですが、とりわけ労働力確保のための総合的な対策として、先ほど申し上げましたプロジェクトF緊急対策というものもなされていると思うんです。  その後の進捗状況というか成果はどうでしょうか。
  112. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) プロジェクトF緊急対策というのは昨年暮れにつくったものでございますが、これは最近の物流事業における労働力不足が深刻化しておりますので、とりあえず緊急的に実施する事柄を挙げて計画をつくったわけでございますが、その後、運輸政策審議会の物流部会で、もっと総合的な観点から労働力対策に取り組まねばならないということで、ことしの二月に諮問いたしまして、現在鋭意審議を願っており、近々十二月の初めには答申をいただこうと思っております。  プロジェクトFの緊急対策もそういう答申の中にさらに盛り込んで、今後鋭意的確に、答申に盛られた施策を遂行してまいりたいと考えております。
  113. 種田誠

    ○種田誠君 先ほど答弁がありましたように、トラック運輸関係の労働力不足の特徴的なものとしては、労働時間とか低賃金とかそういうところに特徴がある、こういうふうに述べられておりました。  そこで、いわゆる物流二法と言われる法律がことしの十二月一日から施行されますし、来年の四月一日からはとりあえず四十六時間体制が実施されていくわけでありますが、そういうことを前にして、長時間労働に対しての効果のある対策としてはどのようなことを今考えておりますか。
  114. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) 現在、先ほども申し上げましたように総合的な施策につきまして運輸政策審議会で御審議願っている最中の段階でございますが、今後の労働力不足というものが長期的、構造的な問題であるという認識のもとに、各種対策について施策を盛り込んで強力に推進してまいりたいと考えております。  その中で、やはり労働力を確保するためには、トラック産業というものを魅力ある職場にしていかなくてはいけない。魅力ある職場にするためには、先ほど来申し上げておりますような長時間労働、こういうものを是正していかなくてはいけない、あるいは賃金体系などの見直しも図っていかなくてはいけないというような面、さらには福利厚生面の充実とか、そういう意味での労働環境の整備を図っていかなくてはいけないというような観点からの施策、そしてさらには人材確保のための施策といたしまして、トラック事業は中小企業が九九%でございますので、例えば共同で求人募集活動を行うとか、そういう求人募集方法の改善であるとか、研修とか資格制度の充実というようなことを図って人材の確保に努めていかなくてはならないと考えております。  さらには、女性とか中高年齢者の活用がどのようにしていけば活用できるかというような点につきましても、現在鋭意御審議を願っているような段階でございます。
  115. 種田誠

    ○種田誠君 聞くところによりますと、トラック関係の業界などにおきましては、賃金体系などもまさに百社あれば百の賃金体系がある、それに等しいような状態なんだと、こういうようなことも聞いているわけでありますが、先ほど来の答弁の中にも、いわゆる時間当たりの賃金を見ますと全産業の賃金からははるかに少ない、こういうふうな指摘もありました。  長時間労働にしても休日に対する消化の問題にしても低賃金の問題にしても、私は今までの指導体制なり、これを具体的に実行していこうという体制に何か問題があったんじゃないかと思うわけでありますが、先ほどの構造改善事業の進捗の状況ども踏まえて、その辺のところには問題点があるというふうには思いませんでしょうか。
  116. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) 従来から構造改善計画などを立てまして鋭意やっておるわけでございますけれども、最近の労働力不足の深刻化が極めて大きいというような現状を踏まえまして、今後一層対策の実施に努力してまいりたいと考えております。
  117. 種田誠

    ○種田誠君 実際、長時間労働とか低賃金の賃金体系の改めとか、雇用の今後の体制づくりに関して運輸省が指導監督するとすれば、どういうところに対する指導監督をこれまではしてきたんですか。
  118. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) 例えばでございますが、去る八月に区域トラックの運賃の認可をいたしました。その際に、週四十八時間制から週四十六時間制に来年の四月には完全に移行しなくてはいけないわけでございますけれども、そういう場合、当然労働時間が短くなりますと人手がたくさん必要となりますので、総人件費が上がるということになります。簡単に言えば、一般的に言えば四十六分の四十八ぐらいは総人件費が上がるというこ とになりますが、そういう意味での労働時間短縮のための人件費の増加というものをも見込んで運賃の認可などをしております。そしてその際に、運賃の認可の際に条件をつけまして、そういう内容の運賃認可であるので今後各事業者は労働時間の短縮に努めなくちゃいけないというような条件をつけております。  現在、その後のフォローアップということで、今後十分にそこらあたりの労働時間の短縮が、確実に認可の条件につけたような方向で労働時間の短縮が図られているかどうか、今後フォローアップして調査、指導してまいりたいと考えております。  そういう個々の具体的な問題をもとらえて指導しているところでございます。
  119. 種田誠

    ○種田誠君 十二月一日から実施になります物流二法案に関しても、事業の適正化などをこれから指導監督していく実施機関などについても極めて重要な位置づけを与えられるんだろうと思うんです。ところが、そのようなものに関して当面全日本トラック協会がその任に当たっていくというようなことも聞いておりますが、先ほど来の、これまでの業界の体質改善、労働条件の改善、そういうことが十二分に当初目的を達成できなかった、実績を上げられなかったというのは、何かその辺のところに問題があるようには思いませんでしょうか。
  120. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) 労働時間の短縮問題につきましては、現在、事業者とか労働者側双方にとって大きな問題となっておりますので、中央に設けられております政労使による輸送秩序確立懇談会におきましても、輸送秩序の確立のほか時短問題が重要な検討課題となっております。そういうことを中央でやっておりまして、さらに地方におきましても同様な形でトラック協会とか労働団体が頻繁に意見交換を行っているというところでございます。  さらに、これは五十八年の参議院運輸委員会の決議に基づきまして地方運輸局長あてに通達したところでございますが、ブロックごとに物流政策懇談会というものを設けまして、トラック協会あるいは関係労働団体というものが当面の課題である労働時間の短縮の問題を含めまして幅広く現在意見交換を行っているというような状況でございます。  そのようなことを通じましても労働時間の短縮問題につきまして従来から指導しておりますし、今後ともその指導を強く行ってまいりたいと考えております。
  121. 種田誠

    ○種田誠君 これまで、今述べられたような視点で指導をしてきたことはよくわかるんですが、問題は、先ほど冒頭で局長の方からも述べられたように、トラック業界関係の労働者の労働環境の実態というのは余りにも過酷な状態に置かれている。そういう中での緊急を要するプロジェクトF緊急対策がなされたように、緊急を要する施策の実行が必要なわけですね。  そういうことを考えた場合、従前来の指導体制のほかに、やはりそこには反省すべき点は反省をして、新たにこういうことが合理的に担保できるような、そういう例えば同じトラック協会の中に依拠していくとするならば、その中に労使公平な運営委員会などをつくって、そこが運輸省からの指導を受けて地域における労働環境の改善などに関する責任母体になっていくとか、何かもう一つ、今日までの組織形態だけに依拠するのではなくて、新たな視点に立った効果ある指導監視体制、そういうものをつくるというお考えはございませんか。
  122. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) 先ほど申し上げましたように、中央における輸送秩序確立懇談会あるいはブロックごとの物流政策懇談会、そういう機能を持った組織をつくっておるわけでございますが、先生指摘のとおり、労働力不足問題というものは極めて深刻な緊急を要する問題でございますので、そういう状況に十分対応できるように、従来のそのような組織を使いまして、その運営において先生のおっしゃるような点につきまして今後十分政労使ともに中身を検討してまいりたいと思っております。  先ほど申し上げましたような懇談会等によりまして、現在でも労働団体とトラック協会とはかなりの意思疎通を図りながらやっております。今後その運営に当たりまして、先生の御指摘のような趣旨を踏まえて労働力問題に対応してまいりたいと考えております。
  123. 種田誠

    ○種田誠君 ちょっと視点を変えまして、トラック業界関係における現在の流通システムというもの、先ほど来喜岡委員の方からもJRなどの交通輸送機関も踏まえてこれから考えなければならないのではないだろうかというような御指摘もあったんですけれども、そういう流通の全体的なシステムに問題があるのでないだろうかというのが一つ気になるところなんです。  それからもう一つは、やはり私たち国民においてもこれは意識の変革がこれから必要になろうかと思うんですが、余りにも利便さを求めて過剰サービスを物流産業に求めているという、そういう視点もあるのではないだろうかとも思うわけです。そういうシステムに物流の業界をつくってしまっている、こういうところに問題点はないかと思うわけでありますが、御見解はいかがなものでしょうか。
  124. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) 先生が御指摘の、余りにも利便性を追求した物流のニーズ、こういうものが、物流システム自体を円滑なものとするということを阻害しているのではないかというような御指摘でございますが、私も、いわゆるジャスト・イン・タイム・サービスというような言葉で言われますような、必要な物を必要なときに必要な量だけ運んでくれというような形態、多頻度少量輸送のサービスでございますが、こういうサービスにつきましては、我が国産業全体の生産や販売の合理化を進める上で、在庫費用が圧縮できるというようなメリットから我が国の経済の発展にも大いに意義のあった、役割のあった事柄であろうと思います。しかし、それはあくまでもそれに携わる物流輸送業者の方での豊富な労働力が調達できるということがあって初めて可能なシステムでございまして、最近の労働力不足であるとか、道路混雑の激化とか、いろいろ問題が生じている中で、そういう多頻度少量輸送というものについてはある程度曲がり角に来ているのではないかと考えております。  労働の投入密度が非常に高くなる輸送でございますので、当然にコストは上がっていくというような関係にございます。したがいまして、余りにも過度な多頻度少量輸送というようなものにつきましては、これに対応した適正なコスト、これを支払う必要があるのじゃないか。そういう意味で、輸送業者の側も弾力的な価格体系といいますか、そういうものも検討していかなくてはいけない時期ではないかというように考えております。
  125. 種田誠

    ○種田誠君 六十二年度のトンキロベースでの国内貨物輸送のシェアが五〇・二%だった。そして、今後もトラック輸送関係の物流ニーズは小口化しつつ多頻度化しつつ伸びていって、平成十二年度には現在よりも五五%ぐらい伸びるのではないだろうか、こういうふうなことが第四次全国総合開発計画作成時に見込まれていたと思うんですね。  ところが、今局長述べられたような視点で、例えば小口化、多頻度化、反省しなきゃならない。荷主の余りにも利便さを求める過剰な申し入れ、宅配システム、そういうものに対する反省を加えた場合、果たしてこの辺のところはどのように位置づけたらいいのか。今後の物流体系の関係の中でどのようにこれを位置づけていくのか。最近におきましては特に環境問題とのかかわりとか省エネへのかかわりとか、こういうことも言われているわけであります。  そういう意味で、物流体系全体を今もう一度見直しをして、その中におけるトラック輸送のあり方とかJR輸送のあり方とか船舶輸送のあり方とか、そういうことを今この時期に検討して見直す、そういうお考えはございませんでしょうか。
  126. 吉田耕三

    説明員吉田耕三君) 先生指摘のとおり、トラック輸送というものはドア・ツー・ドアという利便性を持っておりますから、輸送需要のニーズの高度化にまさにぴったりした輸送機関であったわけでございます。したがいまして、御指摘のとおり、現在では輸送トンキロでトラックが我が国全体の輸送量の五一%を占めております。  しかし、このトラック輸送への傾斜という問題につきましてはいろいろな問題点も出てくる。労働力不足というような問題におきましても、トラックよりも大量輸送機関たる鉄道とか船舶というものの方が労働力を食う割合は少ない。さらには道路混雑の問題とか、さらに地球環境の問題がございます。我が国が出しているCO2の量というのは、石油ショック以降、五十年度から六十三年度までの十三年間で、産業部門、民生部門、運輸部門の三つの部門を合計した値はほぼ横ばいでございますが、運輸部門はその中で四六%もふえております。その四六%ふえたうち、トラックは七六%ふえている。逆に鉄道とか海運は、荷物が減って下がったということでマイナスが立ったということなのでございますが、そういうような地球環境問題からもトラック輸送への傾斜というのは問題があろうかと考えております。  したがいまして、私は、トラック輸送が持つ利便性、ドア・ツー・ドアという利便性と、鉄道、船舶の持つ大量性というメリット、これを結合しまして、お互いが協調した形での一貫輸送を行う方向に持っていくべきではないかと考えております。両端の端末の集配輸送というのは、これはトラックに依存せざるを得ない、真ん中の幹線部門というものは鉄道とか船舶を利用すべきではないかというような観点から、集配車がそのまま貨車に乗り込めるようなピギーバック輸送、そういうものについてもこれを促進していかなくてはいけないだろうというように考えまして、単に個々の企業の人手不足に対応して労働力を確保するという確保対策だけではなくて、それも大変重要なのでございますが、我が国の物流システム全体を人手のかからないような物流体系に少しずつでも変えていくべきではないかと考えております。
  127. 種田誠

    ○種田誠君 この点に関して、今大臣も局長の意見なども聞いておったと思うんですが、トラック業界における人手不足の現状を、労働条件の改善、そして業界のこれからの改善等々考えてまいりますと、全国的な交通体系のあり方、物流のあり方、そういうところに行かざるを得ないわけですね。その辺に関する大臣の所見、考え方などを伺いましてこの点に関する質問は終わりにして、次に行きたいと思います。
  128. 大野明

    国務大臣大野明君) まず、トラック輸送の問題でございますけれども、これは、人手不足というものはただこの業界だけでなく、日本全国各界における今一番深刻な問題と受けとめております。特にトラック業界というのがいわゆる三Kの象徴的なように言われておるわけでございます。いずれにしても、時短であるとかあるいは週休二日であるとか、なかなか荷主さんとの関係ででき得ないということもあるということは、それは流通にまた十分関係してくるわけで、これはそういうような産業部門もありますし、一般の方々のやはりドア・ツー・ドアというようなことでの小口輸送が最近大変に大幅に伸びてきたり、いろんな形で大変に需要が大きいことは事実であります。  しかし、その中で業界もいろいろ体質改善を目指しておるということも聞いておりますし、また先ほど局長から答弁ございましたように、今運政審の物流部会で来月早々には答申が出るわけでございますから、その中にどのような形でどのようなことが含まれてくるか今存じませんけれども、それに沿って、またそれに足りないところは私どもがより以上考えてでもやっていかなければならない。本当に日本の経済を支える上において、また国民生活を支える上においてなくてはならない業界でございますけれども、それだけに悩みも大きいので、先ほど申し上げましたように、今鋭意努力もいたしておりますから、ひとつ今後十分見守っていただき、また御忠告があれば賜りながら参考に資してやっていきたいと思っています。
  129. 種田誠

    ○種田誠君 次に、郵政省の方に伺いたいと思います。  過日、新聞を見ておりましたらば、長期信用銀行などが発行しましたワイド、利子一括払い型利付金融債というんですか、このことに関して大分大きな国民の人気というか喜びがあった、そういうような報道がなされておりました。  ところが、喜んでばかりいられないのは、この時期に便貯金関係の流れを見ますと、九月、十月、二カ月続けて、聞くところによりますと一兆円近い資金の流出がむしろその結果生まれてしまっているとか、こういうようなことを耳にしておるんですが、郵政省は、このようなワイドの発行と郵便貯金の関係での資金の流出などについては今どのように見ておりますでしょうか。
  130. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) 貯金局長の松野でございます。  例年の傾向ではございますが、この九月、十月といいますのは、レジャー資金とかあるいは結婚資金等の支出がふえるせいもありまして、純増加額がマイナスになる時期であることは事実でございます。ただ、本年はこれに加えまして、これまでの、十年前でありますが、過去の非常に高金利の定額貯金が大量に集中満期の時期に当たっておりまして、これが十一月まで続いております。この影響もございます。また、先ほど御指摘ありましたように、他金融機関の商品へのある程度のシフトということもこれは確かにあるようでありまして、こんなことがマイナス額が大きくなりました原因だと思っております。九月には九千八百四十四億円、十月には九千八百六十三億円というマイナスが二カ月続いておりまして、これは私ども当然真剣に受けとめております。  ただ、私どもの年間の営業状況を見てまいりますと、大体冬のボーナス期が十二月から一月に続きますけれども、ここで大体年間の純増の六割ないし七割が郵便貯金に入ってくるというふうなことがございまして、今後の冬のボーナス期においていかに営業をしっかりやるか、それから十一月五日に新しく発売になりました、私どもニューMMCというブランドで言っておりますけれども、この新しい形のMMC、市場連動型の比較的高金利の商品をどうやって御利用いただくかというふうなことに全力を挙げてまいりたいと思います。  先ほどのワイドの問題でありますが、これは、私なりの分析でございますが、ちょうど十月期のワイドに異常な高金利が出たわけでありますけれども、この売り出し直前に、例えば長期国債などのいわゆる長期金利がちょうど高騰いたしまして、その結果、十月期のワイドが非常に他の月に比べまして異常な高い金利がついたということがございます。その後、現在ではこの長期金利が低下といいますか安定した形に下がってきておりまして、例えば十一月期のワイドの金利、よそ様の商品ではありますが、七・四〇%ということになっておるようでありまして、落ちついた状態になっておると認識しております。  いずれにしましても、この郵便貯金がことしの四月から十一月までで全体の資産の約四分の一に相当する三十数兆円が大量の集中満期に来ておるという状態があわせて進行しておりまして、いろいろ営業面につきましてなお一層努力せにゃいかぬというふうに、今決意を新たにしておるところでございます。
  131. 種田誠

    ○種田誠君 私、六十二年度の一般勘定貸借対照表などをちょっと見せてもらっておりましたらば、郵便貯金関係というのはその大半が定額郵便貯金に依拠しておって、金額的に百七兆ぐらいになるわけですか、ほぼ九割以上のものじゃないかと思うんですが、十割近いんじゃないかと思いますけれども、こういう形で貯金制度が維持されていくということは、果たして今日的に、先ほどMMCの話もちょっと出ておりましたのですが、国民のニーズが多様化しておるし、それから国民自身がいわゆる最近はいい悪い別にしても利殖の目も肥えている、こういう状況にもあるわけですね。十年ほど前には逆にこのために郵便貯金の方 にわっと人が押し寄せたというようなこともあったようでありますが、むしろそういうことが郵便貯金の場合にあってはいけないんじゃないか。むしろある程度安定した貯蓄形態が、多様な国民のニーズによる選択のもとになされていくべきではないだろうかなとも思うわけなんですが、その辺のところはどのようにお考えでしょうか。
  132. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) 先生、今種類別の現在高につきまして、定額貯金のシェアにお触れになってお述べになられましたので、ちょっと種類別の現在の状況を申し上げたいと思います。  先生の今言われました六十二年以降に新しい要素が出てまいりましたのが、昭和元年の六月に小口MMCという市場連動型の貯金が新しく官民共通商品で入ってきてございます。  ことしの六月末現在のこの種類別の構成比でありますが、主なところを御披露いたしますと、出し入れが自由な通常郵便貯金が一一・六九%、それから毎月積み立てる積立郵便貯金が〇・五八%、定額郵便貯金が七九・八二%になってございます。一方、MMC貯金を含む定期郵便貯金が七・九〇%でございます。その他、住宅積み立てであるとか進学積み立ての貯金がございます。  この定額郵便貯金は徐々にMMC貯金に移行しつつありまして、昨年まではこれは八十数%であったわけですが、先ほど申し上げましたように七九・八二%でございまして、少しずつ何といいますか、私どもの言う郵便貯金が、販売しておる商品の中でMMC貯金との絡みで少し平均化しつつある傾向にあるというのが現状であります。
  133. 種田誠

    ○種田誠君 今の答弁の趣旨はよくわかるんですが、いずれにしろ定額貯金の今までの形態からいえば、預入期間は十年、極めて長い間で、かなりの部分がまだ硬直している状態にもあるのじゃないかと思うんですね。  そういう意味で私は、やはりこれからの定額貯金のあり方に関しても、先ほど来申し上げましたように多様なニーズにこたえる、そのための商品の改革というか改善というか、そういうものを積極的に図っていかないと、先ほど来のワイドのようなことが起こるとその都度その都度振り回されてしまう、そういうことになるかと思うんですが、この点に関して大臣の方ではどのようなお考えを持っておられますか。
  134. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 先生指摘の、国民のニーズにこたえて商品の多様化を図っていくというのは、郵政省としては当然考えることではないかというふうに思っております。  ただ、定額郵便貯金に関して申し上げますと、預入時の利率が十年間固定されて非常に安定的な利回りが得られるとか、あるいは利息が利息を生む半年複利であるとか、預入後六カ月たてばいつでも払い戻せるという流動性であるとか、数々のよき面があるわけでございますから、その意味では収益性とか利便性を兼ね備えた商品であるというふうにまず認識をしておるところであります。  ただ、今御指摘ありましたように、今後の金融の自由化が本格的に進む中にあって、金融自由化のメリットを小口預金者も享受できるような、そういう国民、利用者の側に立っての商品全般について多様化を図っていく、この方向はきちっと打ち出していかなければならないと思っております。
  135. 種田誠

    ○種田誠君 六十二年度の一般勘定損益計算書を見ますと、この年は一千八百五十三億円の赤字を出している。前年度までは多分黒字だったと思うわけでありますが、なぜこの年だけに突出して赤字が出ておるのか。私はこの計算書を見ただけでは全く理解できないんですが、これはどういうことなんでしょうか。
  136. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) ただいまの御質問にお答えする前に、先ほど私、小口MMCの導入を昭和元年六月と間違って言いました。平成元年に訂正させていただきます。大変恐縮でございました。  ただいまの御質問でございますが、昭和六十二年度におきまして、御指摘のように一般勘定で千八百五十三億円の損失が生じております。これは次の年度の昭和六十三年度におきまして会計処理基準を現金主義から発生主義に変更する前提的な条件整備といたしまして、昭和六十二年度に支払い利子の支出期間の是正を行ったことによるものでございます。  この是正内容でございますが、郵便貯金の支払い利子につきましては、昭和六十一年度までは事務処理上、三月分の利子を出納整理期間内でございます翌年度の五月末までに確定できませんでございました。これは事務処理上の都合であったわけです。そのために、特例として翌年度の歳出に回しておったのが六十一年度までの扱いでございました。しかし、郵便貯金業務のオンライン化が進行いたしまして、この三月分の利子額の把握が五月までの出納整理期間内に可能となりましたことから、昭和六十二年度からこれを是正して、昭和六十二年度は六十二年の三月から六十三年三月までの十三カ月分の支払い利子という、変則ではありますが、この十三カ月分の支払い利子を費用として計上したために一時的に赤字が生じたという経緯でございます。
  137. 種田誠

    ○種田誠君 今おっしゃったように、六十三年度の時点に立って見ればそのことがわかるのかもわかりませんが、決算というのはその年その年に今言われたようなことが決算書上わからないと、この決算をする上で、私どもは六十三年度の決算を今審査するのじゃなくて六十二年度のを審査しているわけですから、そうしますと、六十二年度の決算書の損益計算書欄にそのこと自体がどこかに記入されていないと、私たちにはちょっと理解できない数字としてあらわれてしまうわけですね。  ところで、そういうことと同時に、実際六十二年度の本来の通常単年度でやった場合には、六十二年度は赤字だったんでしょうか黒字だったんでしょうか。
  138. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) 概略の数字で恐縮でありますが、昭和六十一年度までの決算のやり方で仮にやったとした場合、単年度では約八千億円の黒字でございます。
  139. 種田誠

    ○種田誠君 そうであれば、そのこと自体が、数字は正確でなくても結構なんですが、黒字であったことが間違いないのに、これをぽっと見せられたとき、損益計算書を見ますと一千八百五十三億円の赤字、こうなっておるわけですね。こういう記載の仕方を我々国会議員に提出しておいて、こうやって質問しなければ我々も理解できないというのでは、国会の審議なかなかやっていけないと思いますので、これからの決算の表示に関しては――私は現金主義から発生主義に行ったことはいいと思うんですよ、ただ、その行くときに私たちにもわかるようにしていただきたいと思うんですが、この点に関しては大臣のお考えはどうでしょう。
  140. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 理由を付記するとすれば、損益計算書の脚注に付記するというのが必要だろうと思うんですが、この時期私はおりませんでしたから当然推察でございますが、ただいまお話があったように、六十二年度決算については発生主義導入の前提としての支出期間の是正ということでございましたので特に付記をしなかったんだろうと思います。この件については、発生主義を導入した昭和六十三年度の損益計算書には、会計処理基準を現金主義から発生主義に変更したと脚注に付しております。  先生指摘はまことにごもっともでございますので、今後は本当にわかりやすい決算書となるように努力をしてまいりたいと思います。
  141. 種田誠

    ○種田誠君 終わります。
  142. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時五分まで休憩いたします。    午後一時二分休憩      ─────・─────    午後二時六分開会
  143. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十二年度決算外二件を議題とし、運輸省及び郵政省決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  144. 守住有信

    守住有信君 通告いたしましたとおり、最初郵政省郵政大臣に御質問申し上げたいと思います。  ついさきの通常国会の逓信委員会で審議の結果成立いたしました国際ボランティア貯金、これにつきまして実は私の考え方、ずっと審議を通じて、その後も考えて私なりに活動してまいりましたので、決算ではございますが、新しい法律制度でございますから、ここから入らせていただきます。  この国際ボランティア貯金は、政府による援助ではなくて、国民一人一人の善意の浄財によりますところの途上国に対する、むしろ途上国というよりもその国民に対する援助でありまして、草の根のボランティア活動を支援することによって他の先進国に見劣りのしないような、国際社会に貢献できるというところに今日的な意義があります。また、地域のそれぞれの郵便局といたしましても、一種の社会的役割と申しますか、その評価につながってくるというふうにも思いまして、この法律制度の発足を私は高く評価したいと考えております。  私なりの考え方で申し上げますが、今アジア、アフリカなどの開発途上国では、慢性的な栄養不良や簡単に防げる感染症によって一日に約四万人の子供が死亡し、約八億人の人々が安全な飲み水すら十分に手にしていない生活環境のもとにあると聞いております。また、約十三億人の人々が衛生サービスのない地域社会で暮らしておりまして、さらには約八億九千万人の成人が読み書きのできない状況、そのためにユネスコでいわゆる識字運動というものが展開され出したと、このように聞いておりまして、また国連の専門機関もいろんな角度で各国に呼びかけておる状況にあります。  きのうでございますが、ODAにつきまして外務省等にもいろいろ御質疑がございました。ODAによる政府援助は、負担金だとか無償援助、有償援助等低利の融資もございますけれども一兆円を超える状況になってきましたが、いわゆる民間資金による国民一人当たりの援助は一九八七年度で我が国はわずか〇・八ドル程度にすぎません。同じ先輩国である西ドイツと比べてみましても、西ドイツでは一人当たり十・五ドルと日本の十倍以上になっておりまして、日本のいわゆる非政府、民間による援助水準は極めて低い、同じ自由主義社会国家の中でも欧州や北米等々通じましてもいわば一番下だ、こういうふうな現実があるわけでございます。  他方では、我が国の中で、特にNHKの映像などで海外の厳しい現状や、一方では日本人のボランティアが現地で一生懸命活動していることは部分的に一応我々国民は知ってはいます。ところが、この問題につきまして非常にいろんな方々がこれに共感して、さあいざ行動を起こそうといたしましても、どこに寄附していいのか、どんな団体がどのような活動を行っておるのか、またその結果はどうなのか、あるいはその団体を信用していいのかとか、いろいろ簡単にわからないというのが実態でありまして、こうしたことも原因となって我が国の民間レベルの海外援助が、経済大国と言われながらもその地位に見合ったものになっていないのではないか、このように考える次第でございます。  もう一つございますのが、私のとらえ方でございますが、欧米のボランティア活動が活発なのは、いわゆるキリスト教による影響も大きいと思いますけれども、我が日本におきましても、仏教によろいわば慈悲の心とか喜捨の心とか、最近は福祉の心、こういうことでございますけれども、そういう思いやり、福祉という問題につきまして、先進国に負けないような取り組みが必要だ。したがいまして、この制度が来年一月から発足されるわけでございますけれども、それぞれのいろんな工夫のPR、積極的なPRの仕方によっては、ボランティア貯金の普及はかなり図れるのではないか、このように受けとめております。  開発途上国の現状を踏まえまして、国際ボランティア貯金の仕組みをどうやって国民の皆さんにPRするかということがまずもって大切なことと思います。聞きますと、郵政省ではビデオ等により開発途上国の現状の周知をやっているようでございますけれども、できるだけ多くの方々にアジア、アフリカ等の途上国の現状を知っていただくために、大臣もよくお話しでございますけれども、まず、職員みずからがこの貯金制度創設の背景や意義、効果というものをよく理解しておくことが必要であります。従来のセールス貯金、まあ民間とも競争しておりますけれども、それと全く違った角度のものではないか、こう受けとめておるわけでございます。  また私、同じ熊本出身のアルベルト・フジモリ氏がペルーの大統領にもなりまして、その間のビデオ等も、ペルーにおける原住民のインディオその他の人たちの生活ぶりもまざまざと拝見したわけでございます。そういう映像というものとも結びつけての職員あるいは地域の方々へのPRの浸透、こういうことにつきまして、深谷郵政大臣は別の角度からも郵便局を愛と思いやりの郵便局、ふれあいの郵便局づくり、こういうもので全国を駆け回っておられますけれども、そういうお考えからもこの大きな意味を持った将来の可能性、郵便局のイメージアップを踏まえたところのこの国際ボランティア貯金について、大臣のいろんな御抱負なり、法律が通りました後の御体験を通じてのお考え、取り組み等をお聞かせいただければありがたいということで、まず御質問申し上げます。
  145. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 我が省の先輩である守住先生を初めとする皆さんの御協力で、国際ボランティア貯金がいよいよ来年の一月四日からその取り扱いを開始しようとしているところでございます。  ただいまお話がございましたように、私は、郵政行政というものは、その仕事の事柄から、愛とぬくもりのあるものでなければならない。すべての行動をそこを基本として考えて、さまざまなアイデアを持って、細かいことにまで注意しながら努力していこうではないか、こう呼びかけてまいったわけであります。目の御不自由な方への初めてのはがきの発売なども含めて、国内的にもいろいろやってまいりましたが、この国際ボランティア貯金というのは愛と真心の国際版だ、そんなふうに思っております。  世界がこんなに近くなりまして、我々も国際参加をしなければならないのでありますが、同時に、御指摘のように、開発途上国を含む多くの国国は、まだまだ食糧難にあえいだり、あるいは医療が不足しているとか、さまざまな問題を抱えております。日本では、ODAを中心といたしましてさまざまな援助を進めてまいったところでありますが、さて国民のお一人お一人が、では国際参加という面で実感として暮らせるような状態にあるだろうかと考えますと、それはかなりおくれているのではないかと思われます。  そこで、身近な郵便局を通じて御自身がこの国際ボランティア貯金に参加していただくことによって、あなた自身が国際協力に参加しているのだという、そんなお気持ちもあわせて抱いていただきたい、そのように希望しているわけでございます。  このボランティア貯金につきましては、松野局長を初めとして職員一丸となっていろいろ工夫を加えてまいりました。例えば明るいデザインの独自の郵便貯金通帳を用意いたしまして、国際ボランティア貯金に参加しているという、そういう感覚をお持ちいただくとか、あるいは一年に一回抽せんでその方たちの中からボランティア使節というものをその国に派遣して、実際の状況を見て御報告をいただくとか、そういう一連の仕事どもプラスアルファいたしまして、ただいま鋭意準備をいたしているところでございます。  おかげさまで、予約なども受けつけるようにいたしましたら、例えば映画俳優であるとか歌い手さんであるとか、有名な方々が次々とただいま予 約をしていただいておりまして、その面からも話題に一役買っていただいているような感じがいたします。  局長職員皆さんにも申し上げているのでありますが、これは例えば二万四千の郵便局を通じて行うわけでございますが、他の貯金と違いまして目標が幾らといったような形を設定して無理やりするのではなくて、正しいPRを通じて積極的に自主的に皆さんにお考えいただこうという、その趣旨をぜひ徹底してまいりたいと思っているわけでございます。  そういう意味では、例えば先生指摘の、開発途上国の現状のさまざまなニュースを多くの方にごらんいただくなどといったようなことも大変重要でございまして、御指導いただきながら、積極的にその成果を上げるべく努力をいたしたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げる次第です。
  146. 守住有信

    守住有信君 あとは貯金局長で結構でございます。  今の仕組みはいわゆる通常貯金、銀行なら普通預金と申しますが、その利子の二割、私計算してみましたら、大体明治以来通常貯金は銀行より高く、こういうのが伝統の考え方でございますが、ちょうどその二割寄附をいただければ銀行の普通預金と全く同じになる、こういうことでございます。まずそこからスタートされまして、その浸透を図ると同時に、人によりましては全額あるいは半分とか、そういう雰囲気、考え方もどんどん出てくる、その選択の自由、そういうことも今後ございますでしょうし、あるいはまたこれのいわゆる情報公開、行政の公正性、透明性という問題も当委員会でも長く議論が出ておりますけれども、そういう角度からも、これ国の機関としてやるわけでございますから、会計検査院もございます。そういう後の結果の、いわゆる寄附をなさった方へのあれは、今、抽せんによって現地も見ていただくという大臣のお話もございましたが、後の結果の情報公開というか、広く、当然お考えだろうと思いますし、その他いろいろ実務的にお考えのことを二、三御説明いただければ、本日は与野党を通じて多数の方々、逓信委員でない方々もおられるわけでございますので、その辺も含めてよろしくお願いします。
  147. 松野春樹

    説明員(松野春樹君) おっしゃるような形で今進めておるわけでございます。今通常郵便貯金の利子の二割ということで制度がスタートしました。いろいろな形があろうという御指摘でございますが、当面この事務の簡素な処理、簡便な処理ということで二割ということでスタートしたわけでありまして、将来はこれはまたいろいろな形が考えられようと思います。  それから、これも御指摘でございますが、何といいましても、この寄附金が預金者の善意によるというのがスタートのすべてでございます。預金者の信頼を損なうようなことがないように、慎重に手続面を行っていかなければならないというふうに考えてございます。手続の詳細は、実は目下詰めのための検討を今急いでいるところであります。来年の一月から制度そのものがスタートしますので、来年に入りましてそごを来さないように、今、日夜検討を進めておるところであります。  簡単な手続面を申し上げますと、最初に交付を希望する団体、これは民間の海外援助団体でありますが、これを公募いたします。配分決定までには郵政省による事務的な審査、これはもちろんでございますが、関係省庁との必要な協議を行い、さらには郵政審議会にも諮問した上で、本当に援助をするにふさわしい事業に配分をする。これは単純な補助金ではございませんので、本当に援助をするにふさわしい事業に配分を行っていくということを基本に考えたいと思います。  なお、この配分結果につきましては、これは私どもの方から公示といいますか、明らかにしてまいりたいと思っておりますし、またパンフレット等も作成しまして、もろもろの手段で預金者の皆さんに周知して、御理解を得ていきたいと思います。一過性の事業ではなくて大変長続きをしなきゃいかぬ事業でありますから、特にその辺に重点を置いて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  148. 守住有信

    守住有信君 結構でございました。  あとは運輸省の方へ移らせていただきます。  通告表にございますように、かつて、あれはもう二年半ぐらい前でございますか、当委員会で、長陽から高森を通りまして高千穂、延岡に至るという路線計画がございまして、十七年前、高森、外輪山の中でございますけれども、トンネルを掘られました。我々はそのトンネルの開通を非常に期待しておりましたけれども、外輪山特有の地下水脈に三カ所か四カ所かぶち当たりまして、地下水が溢水をして枯渇する。周辺の農業、生活用水も水が、湧水がかれてしまうという現象が起こっておったわけでございます。ここに書いてございますいわゆる高森トンネルの地下水脈被害の補償という問題がございまして、これは運輸省、鉄建公団ともども非常に御努力をいただきまして補償が成立した、基金づくりが終わったということを地元から聞いておるわけでございます。  その辺の経緯とか、どういう方式なのかとか、補償額。特に私が聞いている範囲では、住民の何か反発、前は物すごい反発が出ておったわけでございますが、鉄道が通らなかったのは残念でございますけれども、その溢水の被害と地下水の枯渇という問題は、一応これから補償金基金で長期的に安定した水確保ができる、このような感じで受けとめておりますけれども、この辺の事情、結末についてちょっと御報告をいただきたいと思います。
  149. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 高千穂線の高千穂―高森間は昭和四十八年十二月建設工事に着手いたしましたが、このうち工事中の高森トンネルにおきまして、昭和四十九年十一月と五十年二月、また五十一年一月の三回にわたり異常出水が発生し、高森町内の飲料水約千二百戸分及び農業用水約九十ヘクタール分に使用しております自然湧水、井戸等が枯渇したのが概要でございます。  これに対して、公団はその都度応急対策を実施いたしましたが、一方恒久対策につきましては、高森町と公団の間で協議が難航し、約十五年を経ました。しかし、関係の皆様の御尽力、また先生の御指導の結果、昨年九月三十日に飲料水及び農業用水の渇水補償について双方が合意に達しまして、補償契約の調印を行うことができたわけでございます。  契約の概要は、飲料水の設備や現物補償をいたしまして、他に補償金約二十四・五億円を支払うことになっております。補償の内容につきましては、公団と高森町の間で協議を重ねた上で合意されたものでございまして、一時いろいろ問題がございました地元住民の皆様にも、この合意結果は十分御理解をいただいているものと考えております。
  150. 守住有信

    守住有信君 長い間の懸案でございましたが、あれは石原運輸大臣のときからでございます。二年半ばかりかかりましたけれども、どうも私が調べたところでも、水という命に次ぐ大事なものでございますが、住民は安心して生活をしておる。あとはヨナの被害だけがなお残っておるわけでございますけれども、これは運輸省関係ではございませんので。どうもありがとうございました。  そこで思いますのが、これ、高森線、高千穂、延岡へ、宮崎県と熊本県。もう一つ最大のが午前中も出ておりました大分県、東九州と西九州をつなぐ唯一の鉄道でございます。これが午前中も御論議が出ましたように、七月二日の大災害。申し上げておきますが、あのときすぐ国土庁長官は、関係十二省庁でございますか、お連れになりまして、ヘリコプターで大分県、熊本県、福岡県の南もございましたし、佐賀県の大洪水もございました。十二省庁と御一緒にいらっしゃいましたし、我々参議院議員もそのときも参加しました。その後、参議院の災害対策委員会の一員として調査団として直後も参りました。そして、バスの中でJRの諸君から、もうヘリコプターでしか、山の奥 の奥でございますから、鉄路が乱れ山が崩れ道路もめちゃめちゃ、鉄橋も流されておるというビデオを見せられたわけでございます。  自来、私も災害対策委員会でこの問題を取り上げまして、相当痛烈に運輸省さんを攻撃した覚えがございます。攻撃するだけじゃだめでございますので、私、その後、八月末でございますが、予算の概算要求のころの自民党の交通部会でこの問題を申し上げました。単にこれは一豊肥線の問題ではない。分割問題も今出ておりましたけれども、分割問題はさておきましても、いわゆる力の弱いJR、これに対して、やっぱり法律、制度的に、これは九州だけではない、四国、北海道、こういうこともある、あすは我が身と思ってくださいという言い方で、四国、北海道の自民党の先生方も拍手をしていただいた、こういうことを思い出すわけでございます。  その後、運輸省の方から、大分熊本の国会議員同士で協議会をつくっておりますけれども、その中で九月四日、運輸省から鉄道整備基金(仮称)による鉄道災害復旧支援体制の整備、こういう案が出てまいりまして、いわゆる三分の一ずつの補助、こういうことでございました。  その後、私もやっぱり参加して御協力申し上げなければいかぬというふうな気持ちから、運輸省にもお伺いいたしますし、自治省の財政局にもお伺いしますし、もちろん大蔵省主計局にも行くということで、これはいつか国会で申し上げましたように、災害対策というのはイデオロギーとか与野党の違いもない問題でございますから、一緒になって一日も早い復旧と同時に、事実上の工事の執行の方は、いろいろ午前中出ておりましたように、林野庁や河川局やいろんなものの中で鉄道を復旧させるわけですから、資金的な問題について安定ができるように、こういう思いでおるわけでございます。  そこで、主要な点は既に梶原委員から御質問も出て、いろいろな角度での御説明もなされておりますので、実は後で申し上げる空港関連、航空関係、国際問題等もございますので、今度は運輸大臣でございますが、大野大臣に一遍、大分熊本、どちらからでも結構でございますが、大分空港あるいは熊本空港にお寄りいただきまして、熊本空港周辺の、細川知事等が御陳情申し上げておるいわゆる国際エアカーゴ基地構想、こういうのもあるわけでございますので、と同時に、目の前の最大の災害、これに対してJR工事事務所を二カ所つくってやっておりますけれども、建設省の出先あるいはまた林野庁の出先、それと県、これの組み合わせ方等々についてもまた直接御視察いただいて、御激励もいただくと、地域住民も、大分県民も熊本県民も非常に安心する。  私は、これの法律と予算をできますならば来年、かつまた地域の振興や観光振興、いろいろな問題、単に通学、通勤の足の問題だけでないととらえておりますので、大野運輸大臣なかなかお忙しゅうございますでしょうがそこは飛行機で、やっぱり運輸省でございますからヘリコプターもお使いになりまして、上からもごらんになる。国土庁長官はやられたわけでございます。あそこは調整推進官庁でございますが、運輸省は中核となる実施官庁でいらっしゃいますので、もう一回この点についてのお考え、お気持ちをお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  151. 大野明

    国務大臣大野明君) 午前中にも御答弁申し上げましたように、何とか時間をつくって豊肥線の視察に伺うつもりではおります。そのときに大分空港あるいはまた熊本空港の国際化、エアカーゴ化というようなお話も今ございましたので、一緒に拝見できれば結構ですが、後から御質問もあるようですけれども、ソウル―鹿児島便が飛ぶ。昔は熊本へ飛んでおった。どうしてもというようなことで鋭意交渉した結果、これは来年春から飛ぶようになりますし、やはり地方空港の国際化というものは確かに大切なことなので、私も推進いたしております。何といっても成田管区その他の整備がこれからまだ多少年月がかかりますので、地方空港を充実させたい、かように考えております。  その中で、熊本は今申し上げたような結果でございますし、また大分もそのような御要請があると承っておりますので、ひとつまた御意向を賜りながら推進していきたいと思っております。
  152. 守住有信

    守住有信君 よろしくお願い申し上げます。  そこで、実はその熊本空港でございますが、できましてから長年三千メートルの滑走路で、今は広島や仙台空港あたりが二千五百から三千に延ばそうという御計画と聞いております。三千メートル滑走路で滑走路自体は非常にいいわけでございますが、御承知の片霧、片雲と称する自然現象、欠陥空港、霧空港と言われてもう十数年たつわけでございます。高森トンネルとはちょっと意味が違いますけれども十数年たつわけでございます。これも二年半前、石原運輸大臣のとき以来、あれは林航空局長でございましたけれども申し上げましたが、非常に斬新な発想で、まさしく運輸省空港技術といいますか、そういう方々がお取り組みになって、大分私も勉強させていただきました。  日本の国内空港はカテゴリーIという仕組みである。成田だけがカテゴリーIIである。霧のロンドン・ヒースロー、その他スイス等の高台にある空港は霧や雲がかかる。離着陸の回数を安定的に向上させるためにカテゴリーIIIという方式を導入しておる。それを、地方空港ではあるけれども、非常に欠航率が一番高い熊本空港からひとつ調査をして導入をしようではないか、こういうお取り組みになったと聞いておるわけでございますので、より素人にもわかりますように、会議録でも私は県民に知らせますものですから、その辺のところをひとつ御説明をいただきたいと思います。
  153. 宮本春樹

    説明員(宮本春樹君) お答えいたします。  熊本空港の霧対策についてのお尋ねでございますが、熊本空港につきましては、先生ただいま御指摘のとおり、特に春から夏にかけまして霧の発生のために視程の不良によりまして定期便が欠航するケースが大変多くて、旅客の利便に支障を与えているところでございます。このため、現在設置されています計器着陸装置、ILSといいますけれども、及び航空灯火の性能の向上を図ることといたしまして、来年度の予算要求に熊本空港の、先生ただいま御指摘ございましたILSの高カテゴリー化のための経費を盛り込んでいるところでございます。  このILSの高カテゴリー化が実現いたしますと、着陸を可能とする気象条件につきまして現在は、着陸決心高度と言っていますが、それが六十メートル以上、滑走路の視程距離が六百メートル以上なければ着陸できない、そういう状況でございますけれども、これが整備されますと、高度十五メーター、滑走路視程距離二百メーターにまで改善することになり、定期便の就航率の向上及び運航の定時性の確保に大きな効果が期待できる、そのように考えているわけであります。
  154. 守住有信

    守住有信君 また、いろいろ聞いておりますと、国際パイロットの方は国際線の中ではカテゴリーIIIとかIIがあるから訓練済みだ、国内パイロットの方は成田以外でございますから国内はみんなカテゴリーIだということで、そういう訓練がまだできておらぬとか、あるいは管制官の問題、いろいろソフトというか、そういう問題もあろうと思います。そこらあたりの問題は、いろいろ労働組合というのが後ろで、余り表に出ませんけれども声を聞くわけでございまして、今回は九州全体、熊本県民が長い間切望しておる問題でございますのでよもやないと思いますけれども、そこらのソフトの方はどういう段取りで、それぞれ航空会社自体が訓練をしていくのか、管制官の方は当然直営、直轄でございますけれども、そこらあたりにつきましてもちょっとまた御説明をいただきたいと思います。
  155. 宮本春樹

    説明員(宮本春樹君) 高カテゴリー化の整備のスケジュールについてのお尋ねだと思いますけれども、平成三年度からの予算措置が実現した場合のILS高カテゴリー化の整備のスケジュールにつきましては、平成三年度に基本設計等を行った 上で、四年度以降に用地の買収及び造成、それからILS及び航空灯火の機器の購入、設置を順次行うとともに、ただいま先生指摘ございましたソフトと申しますか、そういうものが必要でございます。  航空会社側でも、この高カテゴリー化に対応して機上に機器の装備が必要であり、また乗員の訓練等の準備を進める必要もありますのであわせてこれを行いまして、また管制の準備もいたしまして、平成七年度から実際の運用を開始する、そういうことを予定して準備万端整えたい、そのように思っております。
  156. 守住有信

    守住有信君 予算編成の前でございますけれども、私どもも、熊本選出国会議員も県知事以下も一緒になって今度は大蔵省に大いに当たらにゃいかぬと覚悟をいたしております。しかし、それにつきましても、二年半でございましたけれども、いろいろ調査検討をされてここまでおやりになった。国内空港でヨーロッパ方式を導入するというようなことで、この席をかりまして皆さんに感謝申し上げる次第でございます。  それから、また空港でございますが、今度は国際化、韓国と熊本空港との結びつけの問題、これが一時途絶えておりました。いろいろ聞いてみますと、あるいは地元の新聞等でもこのように報道をされておるわけでございます。見出しは、「日航の熊本―ソウル便 五輪ブーム去り乗客減 利用しにくい発着日 県、冬季対策でテコ入れ」と。例えば韓国との空港利用は、熊本県人約二万二千人ある。ところが、熊本空港の利用はわずかその中で六千人である。福岡空港、鹿児島空港等へ移っておるわけでございます。そういうものは一体なぜだろうかというのでいろいろ分析をして書いておりますが、要するにウイークデーだけだ。つまり、九州はアジアに一番近い地域でございますけれども、ソウルにしても香港にしてもその他につきましても、アメリカ、ヨーロッパ等と違って一週間とか二週間とかの観光ではございません。しかも、近間でございますからやはり土曜、日曜の発着便でないとこの利用率は上がらぬといいますか、土曜、日曜が物すごく乗客はふえるわけでございます。ところが、調べてみますと、この新聞にもはっきり出ておりますように、いわゆるCIQ業務という、これは運輸省が直接責任ではございませんけれども、大蔵省、厚生省あるいは法務省の入管、この業務があわせて国際線でございますので、それの執行、行政サービスがぴたっと合わないとそういう土曜、日曜を中心とするダイヤ編成が組めない。韓国側はこれを非常に求めておるようでございますけれども、このCIQ業務というものが三省庁に絡んでくるわけでございます。  そこで、大蔵、厚生、法務どちらからでも結構でございますから、この熊本空港のCIQ業務、確かにちょっと聞いてみますと、大変でございます。末端の行政サービスの職員でございますから数人しかいない。そうして例えば三池港とか三角港とか、場合によっては八代港なんて六十キロも離れておりますが、そこから通勤というか出張してくる。それで交代制勤務ではない。そういう小人数の国のサービスの出先機関が現実の問題としてもちろん増員もないし、いろんな業務を合わせわざで持っておって、熊本市内におるわけでもございません。そういう問題がもろもろあって、これがデッドロックになって、日本の航空会社、外国、アジアの航空会社は切望しておる、熊本県庁以下も産業界も切望しておるけれども、この問題が隘路になって前へ出られないと、こういうふうに聞いておるわけでございます。  そこで、まず現状をそれぞれの省にお尋ね申し上げる次第でございます。
  157. 本村芳行

    説明員(本村芳行君) お答えいたします。  地方空港におきましては、現在国際定期便ないしは国際チャーター便というものが入っておりまして、その際当然税関業務というものが発生いたします。これは主に入国旅客の検査業務でございますとか、あるいは航空貨物の通関業務というものが出てまいりますが、これは特定の曜日の特定時間帯に現在集中しておりまして、その際私どもといたしましては各地方空港行政需要等を十分勘案いたしまして、近隣諸署からの応援を得て円滑かつ迅速な業務処理に支障のないように対応をしている状況でございます。  御指摘のように、現在熊本空港につきましては週一便国際便が入ってきておりまして、ただいま申し上げましたような業務が発生しておりますが、現在私どもとしましては近隣諸署からの応援を得て円滑かつ迅速な業務処理に努めている状況でございます。  仮に御指摘のように、閉庁の土曜日でありますとかあるいは日曜日に熊本空港に国際定期便が入ってくるという事態になりました場合には、先ほど御指摘のございましたような税関の場合には八代の支署でありますとかあるいは三池の支署、そういう応援官署の方から応援を派遣しておりますけれども、そういう応援官署における業務も含めまして業務処理体制について検討していく必要があるというぐあいに考えている次第でございます。  以上でございます。
  158. 本間達三

    説明員(本間達三君) 入管関係についてお答え申し上げます。  まず、現状でございますが、熊本空港に現在日本航空が週二便、これは月曜日と水曜日各一便でございますけれども、運航されているわけでございます。当然国際便でございますと出入国の審査をしなければなりません。それが私ども仕事になるわけでございまして、現在、福岡入国管理局の熊本出張所からこの空港職員二名を派遣いたしましてその審査業務を行っているというのが現状でございます。  それから、先ほどちょっとお話が出ました、仮に土、日曜日、これはつきまして航空機が入出航する、こうなりました場合にどうするのかという御指摘があろうかと思いますが、この点につきましては、現在の熊本出張所の配置人員二名をもってしては賄い切れないという面がございますので、八代港出張所それから三池港出張所等から職員の応援派遣をするということをまず考える必要があろうかというふうに考えております。  さらにまた、全国的に職員の配置を見直して熊本出張所に増配置するということもやはり検討しなければいけないかというふうに考えているところでございます。  応援派遣につきましては、最も近いのは八代港出張所でございますが、先ほど先生も御指摘になりましたとおり約六十キロございます。正確には五十五キロぐらいだというふうに聞いておりますけれども、相当時間的にも一時間半ぐらいかかるということでございまして、大変不便な点がございます。そういう隘路もございます。  それから、増配置の点でございますが、定員事情が大変厳しゅうございますし、その中で全国的に地方入国管理局の業務が増大しております。そういう観点からいたしますと、これも相当の困難を伴うものと私どもは覚悟しておりますが、仮にそういう土日の運航ということが実現するんだということになりますれば、私どもはその中でできるだけの工夫をするということを検討しなければいかぬというふうに考えているところでございます。
  159. 難波江

    説明員(難波江君) お答え申し上げます。  熊本空港における検疫業務についてのお尋ねでございますが、まず現状についてお答えを申し上げます。  現在熊本空港には長崎検疫所熊本空港出張所が設置されているわけでございますが、国際定期便は週に一便ということで検疫対象人員も少ないことから、三角出張所及び水俣・八代出張所の三名の検疫官により現在対応しているところでございます。  さらに、先生指摘のように、仮に休日に定期便が就航するようになったような場合におきましては、検疫業務は休日勤務となるために交代制勤務が必要となるわけでございます。現在の体制では交代制勤務を行うことは難しい状況にあるわけでございますが、熊本空港出張所を管轄する長崎 検疫所全体の中で対応策がないかどうかを検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  160. 守住有信

    守住有信君 全体の中で対応策、しかも交代制勤務ではない。代休はふやさにゃいかぬ。週休二日も絶対これは進展させにゃいかぬ。  それで、私が思いますのに、行革そのものの理念はあれだけれども、私は、末端の国家公務員の行政サービスと中央における企画行政的なものと、この価値というか、末端の国民あるいは外国人に直接サービスをする行政、ここの問題がはしなくもこういう問題を通じまして、小さな問題かもしれませんけれども、私は地方空港を、成田はなかなかでございます、大苦労で、長い苦労が続いておる。羽田の沖合い展開も大分またかかる。大阪の関西国際空港も地盤その他でもっともっとかかる。そこで、やはり地方空港を、特にアジアとの関係では、熊本だけに限らぬだろうとは思いますけれども、まず熊本を念頭に置きまして活用していかにゃいかぬ。その場合にやはりCIQの問題、末端の行政サービスがある、定員はこうだ、こういうことでございますので、皆さん方どのように内部の、九州の全体の中で検討するとか、いろいろお話は抽象論ではございますけれども、本当に実践論としてまず目の前の土日中心のダイヤが組めるのかどうかということがまず私の脳裏を絶えず現実論としては走るわけでございます。  お互いこの決算委員会で、お役人同士でございますから、政府全体で行革は進めておるよと、定員は縮減だよということで、あんまりはっきり言えないかもしれません。総務庁の行政管理局の方どなたか来ていただいておるはずでございますが、どうぞ前の方へ座ってください。本当は総務庁の日にやりたかったんですけれどもね。三省庁の横へ座ってください。申しわけないけれども一体ですから、関連があるから。  そこで、こういう一つの例、本当の末端の国民や外国人との直接需要にこたえていくという行政サービス、ニーズにこたえるということ、各省庁も午前中の論議もいろいろございました。トラック業界の問題も変化にどうこたえていくかということで、これは民間とも知恵を絞っていろんな方策をお講じになりますが、末端の現実的な行政サービス、私は正直言うと郵便局というものを長い間預かってまいりました現業公務員の一人の親分でございましたけれども、本当の末端の行政サービスというもの、この問題だと私は痛烈に思いを深くしておるわけでございます。  そこで、行政管理局としても総務庁としても、こういう問題にどのように、まず現実的に目の前の問題としてはお取り組み、お考え、三省庁との間でやろうとしておられるのか、そこのところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  161. 木村幸俊

    説明員(木村幸俊君) お答えいたします。  国家公務員の定員管理の問題でございますが、これにつきましては先生よく御承知のとおりでございまして、行政需要の動向、さらには行政の円滑適正な運営、そういった観点を十分念頭に置いて行ってきているところでございます。  ただいまずっと熊本空港等CIQ関係の機関につきましてお話しございましたけれども、そういった機関につきましても、私どもといたしまして業務実態等を十分踏まえつつ、また関係各省庁と御相談させていただきながら、今後とも適切に対処していきたいと、こういうふうに考えております。
  162. 守住有信

    守住有信君 御答弁は、抽象論、観念論になっておるわけですけれどもね。  私はもう一つ考えておりますのが、例えば、よその省庁のことでなんでございますけれども、食糧管理事務所の検査の問題ももっと農協その他に委任して国家公務員はそれをチェックする、こういう役割に移っていかにゃいかぬ。ところが、今の三省庁は末端の国家公務員がみずからやる、こういう仕組みでございます。だから、繰り返しになりますけれども、他の省庁の中でも企画部門は私は少数精鋭主義だと思っておりますが、本当の最前線の、国民や外国人に直接行政サービスと、一定の法秩序のもとに行う行政サービスについての重視という価値判断を行管の中でどのような御議論があっておるのか。  前も私は入管の審査問題、偽装外国人労働者の問題等々、あれは福岡で二人死亡しておられます。月月火水木金金というふうなお仕事ぶりで、福岡入管は二人亡くなっておられる、私は花輪を贈りましたけれども。そういう最前線の国家公務員の方々の問題と、マクロ的な、企画的な管理的な業務の問題と、そこの価値観というものを、メスというものを私はまず区別しなきゃいかぬのじゃないか、こういう実例を見るにつけてもそう感じておるわけでございます。何らか、あなた個人でもいいし、今度はお帰りになって上司とその問題を――総務庁の日に私、質問の時間がないものだから残念でございますけれども、総務庁長官とも実は議論してみたいと思っておったわけでございますが、お帰りになりましてそこも御議論いただきたい。  それで、まだちょっと時間がありますので、もう一つの発想は、これは県に委任されませんか、三省庁。県の委任事務ですよ。県はこれを県民の代表、県庁職員として知事以下切望しておるわけ、この事務委任という形。私思いますのに、例えば厚生省で言うならば検疫ですな。国内の牛や豚やいろんな食品衛生上の問題もこれはチェックしておられるわけだ。ただ外国からのものという特殊な植物とか、それは勉強させればいい。委任事務で県庁職員の一部ですから個別的に指導していけば可能ではなかろうか。あるいはまた税につきましても、それは地方税で仕組みは違うかもしれぬけれども、ごく限られた関税の問題でございます。全般的な関税ではありません。これについても事務委任していく。入管の方はちょっと法秩序の問題もありますけれども、パスポートなんかは県庁でもやっておるわけだ、県庁職員が。  そういうことを深く専門的にあれしておりませんけれども、事務委任という形。地方公務員、同じ公務員でございます。いろんな省庁が機関委任、事務委任をやっておるわけですから、こういう発想がそれぞれの省庁と同時に行政管理庁としても出てこないだろうか、こういう私は目のとらえ方をしておるわけです。これが片づかないと、先ほど言いました国際エアカーゴにつきましても、地方空港の活用というのは運輸省がいかに切望され、飛行場のハード面を整備されましても、航空会社が一生懸命になって競争の中で張り切ってやろうと思いましても、これは実現できない。  私はつい結論の方を先に言いましたけれども、こういう委任の仕事、県庁職員、県に対する委任という発想を考えたことがあるかどうか、ちょっと個人的意見でも結構でございますから、そこらあたりからほぐしていかぬとこれは前へ進まぬ、こう思っておりますので、それぞれの考え方、感想でも結構ですよ、それなりの仕事をやってきておられるわけですから。他の仕事でも三省庁皆県に委任事務もあるわけですから、そこらあたりも最後に総務庁の行管からもまた御意見を聞きたいと思っております。よろしくどうぞ。
  163. 東田親司

    説明員(東田親司君) 先に総務庁の方から考え方を述べさせていただきたいと思います。  今先生指摘のとおり、税関、検疫等のいわば水際行政につきまして、地方公共団体への権限移譲を図ってはどうか、そういう余地はないのかというお考えかと思うのでございますけれども、私どもも、これらの行政を見させていただいておりまして感じますのは、例えば検疫法にいたしましても関税定率法はいたしましても、それぞれの法律で相当国民の権利義務に大きな影響を与える権限が規定されておるわけでございます。例えば検疫では隔離をするとか物を廃棄するとかそのようなこと。あるいは、税関におきましても、物を廃棄したり積み戻しの命令をしたりするようなこと。このように国民の権利義務に重大な関係がある分野でございまして、これらの分野につきましてはやはり全国的見地から統一的、公平、こういう処理が必要な分野じゃないかと思います。ある いはまた、全国的規模で迅速な対応が求められるケースも出てくるのではないかと、こういうふうに考えております。  そういうことで、地方への権限移譲というのは、一方で住民に身近な行政住民に身近な地方公共団体において処理してもらうと、こういう考え方で進めているわけでございますけれども、こういう分野の行政につきまして、地方への権限移譲というのにはなじみがたい面が強いのではないかというふうに考えております。
  164. 守住有信

    守住有信君 ちょっと、国民の権利義務とおっしゃったけれども、県庁職員だって、相手は国民の一部の県民。県民かもしれぬけれども、国民の人権、生命、財産その他権利、これを行政事務として執行しておるはずだ。それに軽重はないはずだ。ただ、全国的に統一的にコントロールする権能は、私は各省庁が持つべきである。当然です。それに従って県庁支部職員が事務委任を受けて、その指揮命令のもとに、法令に誤りなきよう勉強もし、研さんもし、指導も受けて執行していく、こういう思想ではないかと思うのですが、地方公務員について行管は余り考えておられませんかな。民間のように思っておったですかな。
  165. 東田親司

    説明員(東田親司君) 私の説明が不十分だったかと思うのでございますけれども先生おっしゃるように、全国的見地からの統一的な処理あるいは公平な処理、これが広く求められておる分野である。その背景には、なぜ統一的でなきゃならないか、なぜ公平でなきゃならないかと考えたときに、これは国民の権利義務に重大な影響を与える分野であるからではないかというふうに申したかったわけでございまして、私ども国家公務員だったら権利義務は十分に守られるけれども地方公務員であればそこは心配があるということを申すつもりはございません。
  166. 守住有信

    守住有信君 まあそこはおっしゃるとおりだと思いますが、その統一的、公正なという場合に、基本あるいは運用の細目、指針もですよ、国が、各省庁が地方公務員をその部分に関してのみ当然コントロールするわけでございます。そしてまた、一種の前座公演みたいなことにもなろうか、私は行政学は余りやったことがないものですからうまい言葉が出てきませんが、そういう考え方でいかないと、それならばやはり定員増ですよ。それしかない。定員増です。定員は抑えておいて、いろいろなほかも機関委任、事務委任があるわけだ、国の行政事務について県庁は。ここにもかつての鹿児島県知事もいらっしゃるが。ちょっと不規則発言になりますけれどもね。そこの哲学というのが何か一歩足りぬ。  これは私は、第三行革審か、鈴木さんが会長になられましたのでね。一つの具体例として、今は経営者団体の方だけれども、実例で地方分権論をやっていきたいと。観念論的な地方分権論ではなくて、一つの実例を通して、実践的な姿で分権というものをやっていきたいという考え方も持っておりますし、一つのこれは具体例ではないか。  それで、それがやれぬ間は定員増ですよ。そうでないとずっと永久に、熊本空港に限らず、この国際化の時代、アジアと日本という関係、人と人との交流、観光振興、こういう日本人とアジアのいろいろな国の人たちとの交流もできない。航空会社というのはコストでございますから、やはり搭乗率が六〇%か、六〇%ないとこれはできない。それの隘路が、土曜、日曜をまずやろうと思ったらCIQの問題でこれができない。これは一熊本空港の問題ではございません。かつまた、今後の将来を考えていったとき、その行政需要に対して的確な果たして対応ができるだろうか。私は二者選択だと。定員増か地方分権か。  第三の道がある、あるいは合わせわざがあるというなら、皆さん方の個人的なお考えでも結構ですから、お聞かせいただきたい。今三省庁もいらっしゃいます。総務庁の方が先に言うたから、何か制圧的なあれで、皆さん方お世話になっておるものだから、余り自由な発言が、ここは国会という自由な場でございますから、我々国会議員も皆さん方答弁する人も、答弁そのものに何ら拘束はされないわけです。私はそんな気持ちでおりますので、どうぞまた政府委員という立場を離れても自由な、参議院というのは私はそうあった方がいいと思っておるんですが、自由な討論の場、お互い難しい問題は一つ一つ情報交換、意見交換をしながらほぐしていかないと前に展開はできないんじゃないか、このような気持ちでございます。せっかく各省庁四人もお並びでございます、関係省庁。それぞれのお気持ちなりあれを率直に語ってください。定員が足らぬなら足らぬと、こうだと。これいろいろ制約の中でよそは減らしてこうやっておるとか、そういうのを我々の肌で感ずるようによろしくお願いします。
  167. 本村芳行

    説明員(本村芳行君) お答えいたします。  全国に税関は九税関ございまして、七千数百の定員で私どもやっておりますが、特に地方空港の問題につきましては、国際化の要請あるいは地方経済の活性化ということで非常に私どもとしても前向きに対処している状況でございます。  その中で、空港における税関業務と申しますと、これは主に旅客の携帯品の輸出入の許可とかあるいはその検査、関税それから消費税の徴収等、いろいろございます。これは、先ほど総務庁からの御答弁もございましたが、こういう業務はやはり全国統一的にやっていかなきゃいかぬ、また公平性もきちんと担保をしていかなければならないというそういう要請が非常に多くございまして、基本的にはやはり国の業務ではないかということで私ども考えておりまして、なかなか地方公共団体に委任するということは非常に難しい分野ではないかというぐあいに考えている次第でございます。
  168. 本間達三

    説明員(本間達三君) 今問題になっておるのは、出入国管理行政のうちの出入国審査業務だろうと思いますが、先生御存じのとおり、この出入国審査、これ一つ間違えますと大変社会経済あるいは治安、国民の各般にわたって大変な影響を及ぼす問題でございます。最近、審査業務は相当に複雑困難化いたしまして、専門化も進んできている分野でございます。そのような事務の性質から申しますと、やはり国家みずからがこれをとり行うのが最もふさわしい業務ではないかというふうに考えておるところでございまして、これらの行政につきまして、やはり総合的な見地から統一性、公平性を保ちながら進めるということが最も適当だろうと考えております。  その意味で、地方にこの権限を移譲するということについては、私どもは消極的な見解をとっておるところでございます。
  169. 堺宣道

    説明員(堺宣道君) 検疫業務につきましてお答え申し上げます。  検疫業務というのは、御案内のとおり検疫法の第一条の規定に基づきまして、「国内に常在しない伝染病の病原体が船舶又は航空機を介して国内に侵入することを防止する」ということを目的としているわけでございます。これを達成するためには、各検疫所におきまして、まず海外における検疫伝染病等に関する情報の収集、次には外国から来航する船舶及び航空機の到着時における検疫等、さらには国内防疫との連携による追跡監視等の他の検疫所との緊密な連携あるいは調整に基づく協力体制によりまして全国規模で行う必要があるわけであります。さらに、検疫伝染病の患者が発生した際には、特に業務の迅速性が求められるということでございます。  このような検疫業務の性格から見まして、これを国の業務として一元的に実施することが必要不可欠であるということから、検疫業務地方公共団体に権限移譲するということには消極的な考えでございます。  以上でございます。
  170. 守住有信

    守住有信君 最後ですが、私が言っているのは、国が絶対の統制権を持つわけです、基準も細目も指導も。一切を任せるというのじゃない。こういう発想でございます。  こういう議論を聞いておると、これは自治省が幾ら地方分権を叫んでも、第三行革審が言うても全く進まぬなという感じを持った次第でございま す。私は、かつても運輸省の問題を二年半も続けまして穴をあけていただいたわけですから、この問題も今後引き続き他の先生方とも一緒になって大きな第三行革審の流れの中ででも進めていきたい、このように考えております。  いずれにしても運輸大臣、おいでをお待ちしておりますのでよろしく。  以上で終わります。
  171. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私は、運輸省に対して、運輸行政に関し二点質問したいと思います。  まず第一点は、鉄道事業者の約款認可に関する件。  ことしの五月二十九日、参議院の予算委員会におきまして私は、現行鉄道営業法が鉄道事業者に対する運送約款の作成、届け出、認可の義務を課していないということについて、改正したらどうかというふうなことを質問いたしました。しかし運輸省は、その必要性はないというふうな御答弁でした。  御承知のとおり、約款というのは、大量取引を円滑に処理するために企業が利用者との間の契約条件をあらかじめ定型的、画一的に定めておく規則でございます。この企業が一方的に制定する約款が利用者に不利益を及ぼすようなことがあってはならないというふうなことから、約款については、一般論として行政によるチェックが必要であるというふうなことは、政府の機関の一つである国民生活審議会等でも言っているところであります。  まず、運輸省が所掌している旅客及び貨物の運送に関する法律の中で、約款の作成や届け出や認可について法定している法律の名称だけ挙げてください。
  172. 松尾道彦

    説明員松尾道彦君) 運送約款につきまして届け出あるいは認可を義務づけている法律といたしましては、道路運送法、海上運送法、港湾運送事業法及び航空法並びに通運事業法がございますが、先生御案内のとおり、通運事業法におきましては十二月一日をもって廃止されるわけでございまして、これにかわる貨物運送取扱事業法、並びに道路運送法から分離独立されました貨物自動車運送事業法でも同一趣旨の規定がございます。
  173. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 結局、陸上、海上、航空のほとんどの分野において、旅客、貨物の運送に関しては約款を届け出ろ、あるいは認可を受けろ、こういうふうになっているわけです。  ところが、鉄道及び軌道営業においては、約款に関する義務が何ら規定されていません。これはどういう理由からでしょうか。
  174. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 鉄道事業の運送条件につきましては、鉄道事業は不特定多数の利用者を対象とするものであり、その公共性が極めて高く、利用者の利益を保護する必要性が大きいこと等によりまして、契約内容となるべき事項について全国的に統一することが利用者の便益及び鉄道の利用の増進のため望ましいこと等の理由に基づき、これは明治三十三年に制定された法律でございますが、鉄道営業法及び鉄道運輸規程、運輸規程の方はその後何度も改正を行っておりますが、営業法が本則で四十二条、鉄道運輸規程が七十九条もあり、他の法律に見られないように運送約款の内容となるべきようなものが国の法律、またそれを受けた省令で詳細に規定されておるわけでございます。  したがいまして、特に約款を一般的に認可の対象とする必要性が少ないことから、法令上認可を必要としていないものであると考えております。
  175. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 今あなたがおっしゃったように、まさに鉄道軌道営業は大量の人間を輸送するものである、そして、これを画一的に処理する必要がある。だからこそまさに公正な約款があることが必要だと、こういう事態になっているわけです。それに対してあなたは今、鉄道運輸規程があるからよろしいんだと、一口に言えばそういうことをおっしゃった。  鉄道営業法は、運賃に関しては一カ条定めているだけなんです。それから鉄道運輸規程というのは全部で七十九条あります。この一カ条の鉄道営業法と七十九条の鉄道運輸規程で、これで十分賄えるんだ、だから要らぬのだと、こうおっしゃる。本当にそうかどうかということについてもう少し聞きたいです。  東日本旅客鉄道株式会社、見えておりますか。――東日本旅客鉄道株式会社は旅客運送に関しどのような内部規則を設けておりますか。
  176. 北川博昭

    参考人(北川博昭君) 当社といたしましては、旅客運送約款といたしまして東日本旅客鉄道株式会社旅客営業規則、またこの規則に対する部内規定といたしまして旅客営業取扱基準規程がございます。
  177. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 あなたが今おっしゃったのは、その規則は本にするとこのくらいあるんです。厚さにして五センチぐらいある。しかも、旅客鉄道営業規則は本文三百二十七条ある。そして、旅客営業取扱基準規程は全文で四百三十二条ある。これだけなければ実際には約款としての効果がない。約款として処置できないからこそ会社はこれをつくっているんでしょう。先ほど、どなただったかな、要するに、あなたは正規に七十九条の鉄道運輸規程があるから十分だと言うけれども、十分だったらなぜこんなものが必要なんだ。これがなければ実際に運用できない。しかも、これについては運輸省の届け出も認可も何もない、こういう状況なんです。  運輸大臣、依然として、鉄道軌道の旅客営業について、約款について、何ら運輸省は関与する必要はないと、このようにお考えでしょうか。
  178. 大野明

    国務大臣大野明君) 本年五月二十九日の参議院の予算委員会で、先生の同様御趣旨の質問をいただいたわけでございますが、そのときの議事録を今読み返してみますと、「いずれにしても鉄道営業法の規定は、長年にわたる運用あるいは慣例というものを蓄積した上でおおむね適正に行われていると思っております。しかし、仮に具体的な問題があるとすれば、ひとつ今後研究したいと思います。」という答弁を私がしているわけでございますが、JRの営業規則等について周知徹底しているかどうか、そしてまた、その運用基準について問題があるかどうか、こういうようなことを利用者の立場に立って今後指導監督をしようというふうに考えています。
  179. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私が問題にしているのは、この前の予算委員会のときもそうなんですが、この鉄道営業規則の中にある不正利用者に対する制裁条項の不当性についてなんです。  まず運輸省にお伺いします。  輸送機関を不正に利用した者に対する制裁条項を規定している法律及びその内容、条文だけで結構ですから読んでください。
  180. 松尾道彦

    説明員松尾道彦君) 旅客の運賃、料金の支払いに関する不正乗車の規定でございますが、鉄道営業法第十八条と道路運送法第二十九条がございます。  まず鉄道営業法第十八条の規定でございますが、鉄道について、有効な乗車券を所持しない旅客は鉄道運輸規程の定めるところによりまして割り増し運賃を支払うべきものとされておりまして、この規定に基づき鉄道運輸規程第十九条というのがございまして、旅客が乗車した区間に対する相当運賃とその二倍以内の割り増し運賃を請求することができる、こういう規定になっています。  次に道路運送法第二十九条でございますが、路線バスでございます一般乗り合い旅客自動車運送事業につきまして、有効乗車券を所持しない旅客につきましては、「その旅客が乗車した区間に対応する運賃及び料金並びにこれと同額の割増運賃及び割増料金の支払を求めることができる。」、こういう規定がございます。
  181. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 国会が議決した鉄道営業法十八条では、運輸規程の定めるところによる割り増し運賃を払えということだけを国会としては議決している。これに対して運輸省は、省令で、「相当運賃及其ノ二倍以内ノ増運賃ヲ請求スルコトヲ得」ということになっていて、結局旅客は三倍払わされるということになるわけです。  私はお伺いしたい。  鉄道運輸規程を定めるについて、三倍という金額がどうして妥当なのか。三倍が相当であることについて国民的な意思をどのように確認してつくったんですか。それとも役人が頭の中で三倍ぐらいにしようというだけなんですか。どういう合理的根拠があるんですか。
  182. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) この鉄道運輸規程は、現在の省令も昭和十七年に制定されておりまして、大変古いものでございますが、そのときから多くの運用を経て、一般の利用者にも理解されていると考えています。  直接的に利用者その他の意見を聴取するというような手続はございませんが、長年の積み重ねで判例等もございまして、妥当なものと考えられていると思っております。
  183. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 道路運送法のバス旅客に関する問題は、これは国会が決めたものなんです。これについては、運賃及び料金並びにこれと同額の割り増し運賃及び割り増し料金ということで、一口に言えば二倍ということになっている。道路運送法では二倍になっている。ところが、運輸省が省令で定めた鉄道運輸規程の方は三倍になっている。  道路運送法の二倍ということに関連して何か検討したようなことはあるのかないのか。また、バスは二倍で鉄道が三倍だということの合理性はどこにあるんですか。
  184. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 確かに先生が言われましたように、バス、航空は二倍、それから旅客船と鉄道が三倍になっております。いろいろな経緯があろうかと思いますが、バス、航空よりも鉄道の方が不正乗車が容易で不正乗車への誘因が強いという交通機関の形態、出改札その他を考えまして、そういう点から、この増し運賃というのはいわば民事上の制裁でございますが、鉄道の運送秩序を守るためにこれが妥当だということで定められたものと考えております。
  185. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 もう少し検討してみられたらどうでしょうか。  問題は、これがさらに先ほどのJRの営業規則にいくと、もっとひどいことになるんです。  東日本旅客鉄道株式会社にお伺いします。  おたくの会社の旅客営業規則によれば、次のような場合、どういう制裁金を課すことになりますか。  まず第一、鉄道定期乗車券を記名人以外の者が使用したときはどうなりますか。
  186. 北川博昭

    参考人(北川博昭君) お答えいたします。  ただいま先生質問のケースの場合につきまして申し上げますと、定期乗車券を記名人以外の者が使用したときは、営業規則によりまして、その定期券を無効として回収いたします。それから、当該旅客からは、その定期券の効力の発生した日から無効の事実を発見した当日までその定期券を使用して券面に表示された区間を毎日一往復ずつ乗車したものとして計算した普通旅客運賃とその二倍に相当する額の増し運賃を合わせて収受するというふうになっております。非常におわかりにくいかと思いますが――よろしゅうございますか。
  187. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 要するに、あなたが今言ったことを具体的例に当てはめてみれば、例えば、兄の六カ月定期の最終日に、記名人以外の弟が一回使った場合、百八十日分の往復運賃の三倍ということで、弟が兄貴の定期を不正に使用して一回乗ったら、片道千円のところが百八万円取るということになるんですよ。計算してみなさい、そうなる。  それじゃ、第二番目の問題として、期間満了後の鉄道定期乗車券を期間満了後に使用した場合は、どういうふうな制裁金を課すということになっていますか。
  188. 北川博昭

    参考人(北川博昭君) ただいま先生の御質問のケースについて申し上げますと、有効期間満了後に定期券を使用したときは、営業規則によりまして、定期券は無効として回収しますと同時に、当該旅客からは、有効期間満了の日の翌日からその事実を発見した当日まで、その定期券を使用して券面に表示された区間を毎日一往復ずつ乗車したものとして計算した普通旅客運賃とその二倍に相当する額の増し運賃を合わせて収受することになってございます。
  189. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 これもあなたが今言ったのを具体的例に当てはめてみれば、期間満了一年後にその定期券を一回でも使った場合、その券面の期間の往復運賃の三百六十五日分の三倍を取る、こういうことになるわけです。だから、先ほどの話と同じように、片道千円のところを、期間経過後一年たって、あらこんな定期があったということで仮に一回使ったとする。片道千円、幾ら取られるか。二百十九万円取られるんです。よろしいですか。  その次、第三番目の問題として、鉄道とバスとの連絡定期券を不正使用した場合、増し運賃、要するに制裁金はどのように計算しますか。
  190. 北川博昭

    参考人(北川博昭君) ただいまのケースについて申し上げますと、鉄道とバスの連絡定期券によって不正があった場合でございますが、東日本旅客鉄道株式会社の旅客連絡運輸規則、これも約款でございますが、これによりまして当社の営業規則を準用することになっておりまして、鉄道の乗車券の場合と同様に取り扱うこととしております。  つまり、定期券を無効として回収すると同時に、当該旅客からは、鉄道とバス合計の普通旅客運賃とその二倍に相当する増し運賃を合わせて収受することになってございます。
  191. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 ほかにこれ、うんと問題があるけれども、その問題だけについて申し上げれば、鉄道営業法ないし鉄道運輸規程によって三倍までよろしいということが仮にあるとしても、バスについては、先ほど言ったように道路運送法で二倍しか取っちゃいけないということに法律でなっている。それにもかかわらず、何で鉄道の定期とバスの定期と一緒になると、バスの方までが三倍、今言ったような計算方法によって三倍取られることになる。いかなる法的根拠に基づいてバスの方まで三倍取れるのか。
  192. 北川博昭

    参考人(北川博昭君) ただいま御指摘のありました点につきましては、鉄道営業法の第十八条ノ二のところで、終わりの方でございますが、この十八条ノ二の規定は、「鉄道ト通シ運送ヲ為ス場合ニ於ケル船舶、軌道、自動車又ハ索道ニ依ル運送ニ付之ヲ準用ス」というふうになってございまして、自動車についても準用するというふうに営業法で定められております。  また、これを受けまして、鉄道運輸規程におきまして、その第七条でございますけれども、二倍の増し運賃を取るという第十九条の規定につきまして、これにつきましても、「鉄道ト通シ運送ヲ為ス場合ニ於ケル軌道、自動車又ハ素道ニ依ル運送ニ之ヲ準用ス」というふうになっておりまして、自動車についても、こういった根拠に基づきまして三倍、結果的に三倍になるわけでございますが、増し運賃をいただくように私どもは定めておるところでございます。
  193. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 あなたの方でそう解釈するなら、またそれは後の問題にします。  私がもっと聞きたいことは、この二倍だとかあるいは三倍だとかということは、鉄道運輸規程十九条の解釈からは出てこないんじゃありませんかということをお伺いしたい。要するに、鉄道運輸規程十九条が規定しているのはこういうことなんです。有効の乗車券を所持せずして乗車したる者は、「其ノ旅客ガ乗車シタル区間ニ対スル相当運賃及其ノ二倍以内ノ増運賃ヲ請求スルコトヲ得」と書いてあるだけなんです。「其ノ旅客ガ乗車シタル区間ニ対スル相当運賃」なんです。定期券を持っていようが、兄貴の定期を弟が持ってこようが何しようが、「其ノ旅客ガ乗車シタル区間」、その区間に対する相当運賃の二倍の罰金というか、二倍の増し運賃を請求できると書いてある。  これがあなた、定期券の場合には乗車したる区間というのは何なんであって、それに相当する運賃というものはどういうふうにお考えなのか。この鉄道運輸規程十九条をどのように解釈したら、そんな先ほど言った定期券の場合のような不合理 な結果が出てくるんですか。わかるように説明してください。
  194. 北川博昭

    参考人(北川博昭君) 鉄道に不正に乗車をされた場合の取り扱いでございますけれども、定期券について御質問にありましたとおり、名義人以外の者が使ったというふうなケース、あるいは有効期間を経過後の定期券を使用されたというふうなときについてでございますけれども、いずれも、その事実が明らかになった時点で私どもとしては、そういった不正の乗車がその定期券の有効期間経過後ずっと継続して行われているというふうなこと、あるいは名義人が変わっておりますときには、その定期について有効期間について当該名義人以外の者が継続して不正に使用しているというふうに考えるべきものというふうに考えておりまして、そういった考え方に基づきましてこの罰則規定ができておるわけでございます。
  195. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 全然私には納得できない。時間がないからこれ以上押し問答しているわけにはいかぬ。  ただ、あなたに申し上げておきたい。憲法三十一条というものをごらんになっていただきたい。憲法三十一条は法律の適正な手続条項なんです。要するに、刑罰に限らず、行政罰にしろ、いわんやこんな民間の損害賠償について、勝手なものをつくって一方的に押しつけるわけにはいかないし、憲法三十一条の罪刑法定主義というのは、犯罪と刑罰との間には相当性がなきゃならぬということになっている。要するに、ある犯罪なり行政に反する行為であれ、約束違反があったとしても、それに対する刑罰なり制裁なり、経済的制裁含めて、こういうものはバランスがとれていなきゃならぬというのが憲法三十一条の規定なんです。千円のものを不正乗車して百万も二百万も取っていいなんという、こんな規定は憲法条項に違反するとあなた思いませんか。これは見解の相違だと言えばそれで結構。しかし、世間は納得できぬと思う。  会計検査院にお伺いする。時間がないので簡単に答えてもらいたい。  東日本旅客鉄道株式会社は、会計検査院検査対象であるか、これが一点。  二点目、昭和六十二年度決算における、東日本旅客鉄道株式会社における不正利用件数、不正利用に基づく収受等金額について検査してあるか。あればその数字を教えていただきたい。
  196. 山本正

    説明員山本正君) 東日本旅客鉄道株式会社は、清算事業団の全額出資会社でございまして、国から見ますと孫出資団体ということになりますので、会計検査院法二十三条に基づきまして、私どもは六十二年四月から検査をしております。  二点目でございますが、東日本旅客鉄道株式会社検査に当たりまして、収入についてももちろん全般的な検査はやっておりますが、特に今回問題になっております不正乗車に着目して検査を行ったことはございません。したがいまして、この発生件数とか態様については現在把握しておりません。
  197. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 もしそういう数字を検査していれば、私が先ほどから申し上げているようなJRの東日本の旅客営業規則だとか旅客営業取扱基準規程、こういうものの内容というものも検討できるし、検討したはずだろうと思うんです。ところが会計検査院としても、いろいろ仕事がいっぱいあって、こんなわずかなことに手つけられないというのは私も了解はできるけれども、しかし、できればもっといろいろこういうところにも、収入金額のうちのこの不正利用による収受金額を調べていただければ、こんな営業規則というものは妥当なんだろうかどうだろうか、こういうものは改善するべきではなかろうかというふうな種々の意見があり得ると思う。会計検査院として今後ともきめ細かく、金額は少ないかもしれぬけれども、国民にとっては困るこんな規定を検討していただきたい。  なぜ私がこんなことを申し上げるかというと、具体的には、JRの各駅において不正乗車した人間に対して、今のような法外な値段を言って、これを承知するかせぬかと、承知しなければ、会社員の場合だったら会社に言うよ、学生の場合だったら学校に言うよ、会社やめになったら困るでしょう、退学になったら困るでしょう、これは詐欺なんだ、警察に言ったらあなたつかまるぞ、こう言って、こんな法外な値段を利用者から取っている。  こういう状況について会計検査院、もう少し会計検査の立場をさらに進化して、制度の改善等についても意見を言ってもらいたいと思う。所見はどうです。
  198. 山本正

    説明員山本正君) ただいまの先生の御質問、何分にも不正乗車にかかわる制裁の問題でございます。私ども会計検査院では、国や出資団体の会計経理についての検査が主として行われているわけでございます。御質問の、不正乗車にかかわる制裁規定がいかにあるべきかというような問題につきましては、私ども検査になじまないのではないかと考えておりますので、そのことについての答弁は差し控えさしていただきたいと思います。  ただ、この制裁規定の運用に関しましては、今後の運賃収入の検査の中で留意していきたいというふうに考えております。
  199. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 この問題に関して、最後に大臣。この前のときも大臣は検討してみましょうというふうなこともおっしゃっていただいた。それに対して役人の方は、全然そんな必要はない、こういう返事だった、この前のときも。今回、大臣いかがです。これについて少し検討してみられたらいかがでしょうか、御意見を。
  200. 大野明

    国務大臣大野明君) 今、いろいろと議論を聞かせていただいたわけですけれども、この前は具体的なことはもう終わったから言いませんが、鴨居と国分寺駅間の学生さんの問題で答弁したのでございますけれども、そのときの議事録ずっと見ますと、先生全国昭和五十七年から六十一年で八万件で、そして金目にしては本当に七億ぐらいなんですね。収入の〇・〇二%ということですが、私はそういうことよりも、八万件、八万人かどうかはちょっとつぶさにわかりませんけれども先生質問の中に、年間何億も人が乗っているんだと、こういうお話であれば、私は逆にそういうまじめな、きちんと払う方もおられるんですから、そこら辺は、それは三倍を取るとか、二倍を取るとかという議論をまた一度考えてみたいと思いますが、いずれにしても、この問題につきましてちょうちょうやっていてもしようがありませんけれども、やはり不正乗車をなくすということはいいことですし、また、社会人であればそれくらいのことはわきまえるのが当然でございましょうし、ですから先ほど申し上げましたように、周知徹底をさせるとか、その運用に基準が間違っていればそれはひとつ指導しようじゃないかと申し上げたのはそういう意味なんです。ですから、そこら辺をよく考えながらやらせていただこうと思います。
  201. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 第二点の問題についてお伺いします。  これはタクシー料金値上げに関する問題なんです。五月二十六日に東京・横浜地区のタクシー料金が平均九・六%値上げされた。その後全国的にも同様に値上げがされている。そして、この値上げの中心的理由として運輸省が言っていたことは、タクシー乗務員の給与を含む労働条件の改善に充てるためである、こういうふうに言われて値上げが認可されたわけです。これは恐らく現在でも運輸省の所見としては変わらないと思いますが、現在五カ月経過した。関東運輸局では通達で、八月末までにタクシー乗務員の労働条件改善実施状況について業界から報告を求める、こういうふうになっておりますが、具体的にはどんな報告が来て、どのようにタクシー乗務員の労働条件が改善されているでしょうか。
  202. 佐々木建成

    説明員佐々木建成君) 先生今御指摘のように、五月二十六日に東京地区におきますタクシーの運賃改定が行われました。御指摘のとおり労働条件の改善を主たる目的として認可したものでご ざいます。これは、申すまでもありませんけれども、タクシーの運転者の労働条件の改善ということによりまして良質な労働力の確保を図る、それによりましてタクシーサービスの維持充実を図るということがねらいでございます。それで五月十八日に通達を出しまして、八月末にとりあえず中間的な調査結果をまとめたわけでございます。  これにつきましては、八月末で報告をとったものと、その後さらに労使交渉の状況等を把握していった結果、現在把握しておる点を申し上げますと、まず一つは、全自交系の会社でございますけれども、今春闘で運賃改定による増収分をある程度見込んだ賃金改定を実施しておりまして、さらに来春闘においても引き続き改善を図るというようなことになっております。  それから二番目に、中立労協系の会社につきましては、九月に増収分の還元内容につきまして合意を見ております。  それから三番目に、その他の労使につきましては、運賃改定後三、四カ月の実増収の動向を見きわめた上で、具体的な還元内容について目下交渉中であるということでございます。  現在におきまして把握している点を具体的に申し上げますと、解決した会社としましては、まず先ほどの全自交系でございますが、会社の数にして十九社、運転手と技工、それから事務職を含めまして全体で一方四千名から成っております。それから中立労協系でございますが、十六社、二千七百名、これも技工及び事務職を含む数字でございますが、これについて合意に達しているわけでございます。  その改善額でございますけれども、各社で若干の差はあるわけでございますけれども、年間で全自交系につきましては四十ないし五十万円程度のアップ、それから中立労協系につきましては五十万円強のアップというようなことになっております。その他のグループにつきましては、先ほど申し上げましたように、目下交渉中だということでございます。
  203. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 今お知らせいただいたのは、賃金に関する件だけです。賃金に関する件としても、年間四十から五十万円程度値上げになった、こういうようなお話です。  私が伺いたいのは、年間四十万でも五十万でも結構です。要するに今回値上げした分は、労働者の労働条件の改善に充てるんだということで値上げを認可したんだから、年間において四十万ないし五十万程度賃金がアップしたというこの金額が値上げ相当分ということでしょうか。
  204. 佐々木建成

    説明員佐々木建成君) お答え申し上げます。  運賃改定の改定率は、先ほど先生も御指摘ございましたけれども、九・六%ということを前提にいたしまして運賃改定を行っております。それで、現在実施中でございますけれども、増収がだんだん図られているという状況にございます。その中で今申し上げましたような賃金の改定が行われている、それから今後交渉で実現するものもある、こういうことでございます。  申し上げるまでもありませんけれども、タクシー事業というのは運転者がいなければ成り立たない事業でございまして、特に若年労働力の不足というようなことを背景に、労働条件の改善による良質な労働力の確保ということがタクシー事業者にとって必須の事柄でありまして、最大の努力を傾注すべき経営課題だというふうに認識しておるわけでございます。  したがいまして、先ほどから申し上げておりすように、労働条件の改善を目的として今回の運賃改定をやったわけでございますので、その改の成果が労働条件の改善に生かされなければなないというふうに考えておりますし、今回の改定によって増収が現に行われておりますので、でるだけぎりぎりの努力を傾けてそれが労働条件の改善に充当されるようにすべきであると考えております。
  205. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私の質問には直接はお答えになっていない。私が質問したのはそういうことじゃない。  賃金の問題はそれにしても、それ以外の労働時間の短縮の問題だとか勤務体制の、要するに勤務を何時間体制を何交代でやる、こういうふうな勤務体制改善の問題、こういう問題がすべて、何とかタクシー運転手の労働条件を改善しようということだった。こちらについては何らの報告もない。報告がないということは、あなたの方で調査していないんじゃありませんか。それはわからぬけれども。もしあるんだったら答えてください。  次に、労働省に聞きたい。  塚原労働大臣は、五月十八日の記者会見において、運転手の労働条件が改善されるよう指導していく。今秋に、今秋というのはもうことしの九月、十月、今の十一月も含めて、今秋にタクシー運転手の賃金、労働時間の改善状況を調査すると、こういうふうに述べたと報道されている。述べたのは本当なんだろうと思うので、具体的にどのような指導なり、どのような調査をされたかお伺いしたい。
  206. 鈴木直和

    説明員鈴木直和君) お答え申し上げます。  本年五月のタクシーの運賃の改定に際しまして、労働省としましては、関係の労働基準局長に対しまして、運賃改定を機に、各事業者において労働時間等の労働条件の改善が図られるよう事業者団体を通じて強く指導するとともに、一定期間後にその改善内容について報告を求めるよう指示したところでございます。  なお、労働条件の改善状況につきましては、現在関係局において取りまとめ中でございます。
  207. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私がきのういろいろ資料要求というかレクしたときには、何にも調査していないような話だったけれども、調査しているんですか。調査したのなら、どういう調査があって、その結果はいつ出るんですか。
  208. 鈴木直和

    説明員鈴木直和君) 関係の労働基準局長から事業者団体等に、労働条件の改善等について強く指導している段階でございます。その結果については、報告を求めるということにしておりますので、そういった報告が、現在取りまとめ中でございます。
  209. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 要するに、それは今あなたがおっしゃったのは、大臣が言った、今秋にタクシー運転手の賃金、労働時間の改善状況を調査するということとは関係ないことです。  もう時間がないので、運輸大臣に申し上げたい。  運輸大臣が今回の値上げに関し、参議院運輸委員会においてもいろいろ御答弁なさっている。我が党の片上公人委員質問に対して運輸大臣は、これはともかく値上げ分は労働者の、乗務員の労働条件改善に充てると、こういうふうにおっしゃっている。労働大臣も同じですよ。あなた大臣じゃないけれども、よく言っておいてくださいよ。もしそれうそで、実際には企業利益の方へ入れてしまうんだったら、国民に対するペテンにすぎぬ、これは。許しがたいことです。  ですから運輸大臣、実際に値上げした分が、労働者の賃金に労働条件改善に回っているか回っていないかということを、今後も厳密に正確に調査するようにお願いしたいと思う。所見をお伺いして終わります。
  210. 大野明

    国務大臣大野明君) 本年度のタクシー運賃の値上げ、一番最初東京が五月にやったわけでございますが、そのときに協会長を呼びまして、これは良質な運転手を確保するためにも、賃金あるいはまた労働環境等の整備に使わなきゃならぬということをはっきり申し上げました。その後各地でやはり値上げの申請もあり、認可したところもございますが、そのときに、私が一々行くわけにまいりませんから、運輸局長を通じまして同じ趣旨のことを言わせております。  そして、先生一つだけ誤解を招かないようにさせていただきたいのは、要するに一〇〇%賃金じゃなくて、例えば三〇%、三、四〇%と言ってもいいですけれども、それくらいのことはむしろ仮眠室をつくるとか、きちんとした設備をするのも、これはやはり労働条件として大きな環境整備でございますから、七〇%ぐらいはでき得る限り 還元してやってほしい、これは賃金に。あとは労働環境、労働条件の改善等に使うべきであると、私も労働大臣経験者でございますから、そのようなことも含めて言いました。  また同時に、きょうは塚原労働大臣来ておりませんけれども、私からもはっきりとその趣旨を申し伝えておきます。
  211. 諫山博

    ○諫山博君 JR豊肥線は、熊本市と大分市を結ぶ九州横断の幹線です。大塚議官も言われましたように、生活路線でもあり、観光路線でもあります。この災容復旧に来年十月末日までかかるというのは極めて重大です。  大分県の竹田市長に会いましたけれども、秋の観光シーズンにJRが走らなかったために、全市的に大きな被害をこうむったと言っておられます。そして、帰省シーズンである来年の夏ごろまでにはどうしても復旧してもらいたい、こういう希望を述べておられました。  休止期間は来年の十月三十一日までになっていますが、この期日までに復旧できたらよいというのでは大変困ります。一日も早く復旧すべきだと思いますが、運輸省の見通しと腹構えを御説明ください。
  212. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 確かに先生がおっしゃいましたように、地元にとっては足になっている区間でございまして、今言われました竹田市長と地元からも強い陳情を受けております。  休止許可期間は十月三十一日になっています。来年の十月三十一日までにはぜひ復旧したい、またそのための支援体制としての予算要求もしているところでございます。  それよりも早くということでございますが、JR九州部分的には大変築堤崩壊等が大きく、また橋梁の損壊も甚大でございますので、先ほども私申し上げましたが、その一部については新線を建設すると同様な工事が要るということで、JR九州でもどうしても一年近くかかると言っておりますが、今後とも何とか早く復旧するように、いろいろな面で支援していきたいと考えております。
  213. 諫山博

    ○諫山博君 復旧に要する費用は三十三億円という説明がありました。これはJRが負担すべき金額でしょうか。例えば鉄道防災事業費の補助金などもあるはずですけれども、そういうものも考慮した上でJRが負担すべき金が三十三億という意味でしょうか。
  214. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 現在ございます鉄道防災事業補助というのは、河川改修とか砂防林をつくって事前に鉄道の安全、災害防止する際に、鉄道だけじゃなしに、その沿線の住民にも利益が得られる場合に補助をするという制度でございますので、災害復旧について、JR九州のような場合には現在補助の制度がございません。  そこで、このままですと、先ほどJR九州も申し上げました復旧費三十三億全額を会社で負担しなければならない。そこで現在、国と地方公共団体が助成できるような予算要求を我々行っている次第でございます。
  215. 諫山博

    ○諫山博君 国鉄が経営していたころは、国鉄の災害復旧費用はすべて国鉄で処理していたんじゃないでしょうか。国鉄の災害復旧について、地方自治体に一部負担させた例がありますか。
  216. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 国鉄時代には、国鉄自身が負担しておりました。
  217. 諫山博

    ○諫山博君 国鉄の時代には、災害復旧はすべて国鉄の経費でやっていた、分割・民営化されてからは復旧費の一部を自治体に負担させようと。こうなりますと、だれのための分割・民営化だったのかということが問題になります。分割・民営化を進めた政府と、これを推進した政党の政治責任が問われなければならないというほどの問題です。  大きな災害が発生した場合に、分割・民営化した新しい会社、特に九州、四国、北海道では、大きな災害に対処できない事態が起こるのではないかということは、分割・民営化の国会の中で論議されたことです。この問題について橋本運輸大臣は、新会社の収支試算を行うに当たって、災害復旧に要する費用を織り込んで積算している、こう答弁しています。鉄道災害については新会社で処理できる、こういう説明です。  国鉄分割・民営化のときには災害復旧費はすべて新しい会社で負担する、こういう建前ではなかったんですか。
  218. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) まず、国鉄時代には自分の力でできたではないかという点につきましては、国鉄は確かにそのようにすべて自分でやっておりましたけれども、これは何も災害復旧のためというわけじゃございませんが、全体的に大きな債務を抱えるようになって、その結果今回の改革を行ったわけでございます。かつ、JRになりまして災害復旧、本来は事業者自身が行うということが望ましいのでございますが、今回は未曾有の災害であったという点において、JR九州の経営基盤がいまだ弱い点から、我々として、国あるいは地方もバックアップしなければならないと考えております。
  219. 諫山博

    ○諫山博君 私が聞きたかったのは、国鉄分割・民営化のときには災害復旧費はすべて新会社が負担する、こういう建前ではなかったのか。別な言葉で言えば、災害復旧費の一部を自治体に負担させるというようなことは予定されていなかったのではないかということです。
  220. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 今回の補助要求が国、地方とも新たな制度要求であるという点もそれを示しておりますように、今まではそういうことは考えていなかったということでございます。
  221. 諫山博

    ○諫山博君 そうなりますと、国民をペテンにかけたのではないかと言わざるを得ません。分割・民営化のときには、災害復旧は新会社の責任でやる、運輸大臣がこう答弁しているわけです。地方自治体に負担させるというようなことは全然念頭になかった。ところが、分割・民営化されると、今度は新会社復旧させる、新会社でできなければその一部を自治体に負担させる、これはまさにだまし討ちじゃないですか。  そこで、午前中の答弁を聞いていますと、JR各社の中では大きな収益を上げている会社もあるし、九州、四国、北海道のように、余り収益を上げていないところもあるようです。これは、JR九州の経営基盤が弱いから自治体にやらせるという意味なのか、それとも大きな収益を上げている、例えばJR東海などでもこの程度災害が起これば自治体に責任をとってもらうのか、どちらですか。
  222. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 今回は、過去の平均的な災害を超えた災害が発生したということで、これについて我々も助成をしようということでございますが、現在考えておりますのは、JR九州JR四国、JR北海道のように、その地域の特性から特に地域のために鉄道を今後も維持していかなきゃならない、その前提として経営安定基金も設けられているような会社を対象に考えております。
  223. 諫山博

    ○諫山博君 そうすると、分割というのは、弱いところに被害をしわ寄せさせる、こういうことが初めから予定されていたのかということになります。経営基金といいますけれども、九州などでも経営はやっていけるようにする、これが分割・民営化のときの大前提ではないですか。この問題がいろいろ質問されて、その都度政府は万全だ、やっていける、心配は要りません、こう言っています。しかも、基金基金と言いますけれども、これは黒字経営させるためにどれだけ必要か、こういうことで積み立てたものです。当時手切れ金という言葉も使われました。基金がなければ赤字だというようなことは、これまた分割・民営化のときの建前を全く無視した議論です。  そこで次の問題を質問します。  JR九州というのは、民営ではありますけれども株式の一〇〇%を国が持っている大企業です。自力で災害復旧ができないというのは、今も申し上げましたように国鉄分割・民営化のときの大前提を無視するものです。災害特別委員会で鉄道軌道整備法による融資のことが問題にされました。そのときに運輸省の藤井改革推進企画官は、JR 九州の経営規模、利益の状況等から見て、この法律の適用は困難である、こう答弁されました。法律上不可能というのではなくて困難だという説明です。また、藤井企画官は、JR九州は資力があると断ぜざるを得ない、こういう答弁も繰り返しました。  この整備法の適用が困難だというのは、反面から言えばJR九州には十分な資力がある、だから補助の必要はない、こういうことではないんですか。
  224. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) これは、鉄道軌道整備法の書き方の問題だと思いますが、資力があるというのは、通常金持ちだという意味にも使われますが、銀行から金を借りられるというような意味で資力というのが今まで運用されてまいっております。JR九州は、今災害復旧費が三十三億ということでございますが、三十三億の金を借りられないかといえば借りられる、そういう意味で鉄道軌道整備法の適用について疑義がある。法律改正をする必要があるかどうか今検討しておるわけでございますが、他方、それじゃJR九州はこのような災害復旧費を全額自力で調達し復旧できるかということになりますと、将来JR九州におきましても、経営安定基金に頼らずに営業損益自体で利益を出すことが望ましいのですが、当面は、営業損失を出し、営業外で経営安定基金の運用利益でカバーしてわずかに経常利益を出す。平成元年度で三十八億円出しておりますが、そのほとんどが災害復旧で消えてしまうということになりますと、JR九州全体の今後の鉄道の維持経営が難しくなる。そういう総合的な判断をして、我々は助成要求に踏み切った次第でございます。
  225. 諫山博

    ○諫山博君 運輸省説明には矛盾がありますよ。整備法の適用が困難だ、補助金は出せない、それはJR九州に資力があるからだ、これが一つの前提です。もう一つは、JR九州には十分な資力がないから自治体の応援を求めるほかはない。矛盾じゃないですか。  そこで、JR九州が整備法による補助は困難だというような資力を有しているのであれば、これはJR九州が自力で復旧するのが当然じゃないですか。借金してでもJR九州自身の力で復旧すべきだ、自治体に責任を負わせるべきではないと私は考えますけれどもJR九州には借金をしないという何か規定なり原則があるんですか。
  226. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 先ほどから論ぜられております鉄道軌道整備法、「その資力のみによっては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるとき」、「その資力のみによって」という解釈を今法律上どう読むかということについて検討しておるのでございますが、従来の運用が狭く解釈しておりますので、そういう場合には、JR九州においては経営基盤は弱いけれども借金をしてやるということはできるというような面で、鉄道軌道整備法の適用について問題がある。その場合には法律改正をする必要がないかという議論をしておるわけでございます。  今回、JR九州について助成を行うというのは、JR九州の今後経営基盤を考えたときに、このようにいわば新線をつくるような部分も多い災害復旧について、国、地方もバックアップして復旧事業を行わなければならない、そういう考えでございますので、何とか御理解いただきたいと思います。
  227. 諫山博

    ○諫山博君 JR九州が借金をしないで済むのは一番望ましいですよ。しかし、借金することが禁止されているわけではないでしょう。開銀の低利融資も利用できるはずです。そういう自分自身の努力をせずに、復旧費の三分の一を自治体に負担させようというのは、余りにも安易過ぎるではないか、虫がよ過ぎるではないか、私はこう言っているんです。しかも、分割・民営化のときには、JR九州だけで災害復旧はやるということを運輸大臣は言明したんですよ。この問題は、参議院の附帯決議でも触れられていることです。  私は、JR九州が借金してでもみずからの力で災害復旧すべきだ、自治体に責任を負わせるような悪い慣例をつくるべきではない、こう思いますが、どうですか。
  228. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 先ほどの改革時の答弁、その部分を読ませていただきますと、「過去の平均的な実績規模の災害に対する備えというものは経費の中に盛り込んで」いると。先ほど未曾有と申し上げましたが、今回は過去の平均的なものでないので問題が生じているということでございます。  それからもう一つは、JR九州自身がやるという問題でございますが、今後JR民営化の趣旨にのっとって独自に経営をやっていかなきゃならぬ、その際にこの復旧を行って、もう一度豊肥線について鉄道経営ができるかどうかという点についてJR九州自身が、自力ではなかなかできない、何とか国、地方公共団体のバックアップが欲しいというので、今関係方面、関係省庁と折衝しているところでございます。まだ折衝中でございますので、助成をすることになったという段階ではございません。
  229. 諫山博

    ○諫山博君 三十三億の被害が未曾有の災害のように言われますけれども、国鉄時代には大体年間二百億程度災害が毎年起こっていたんでしょう。そして国鉄全体でこれをカバーしてきたんでしょう。ところが、我が党の反対を振り切って分割・民営化を強行して、こういう事態が出てきたんじゃないですか。その責任をとろうともせずに、JR九州自体で借金をする努力もせずに、自治体に負担させようというのは虫がよ過ぎると言っているんです。  運輸大臣質問します。  企業ですから、借金しないのは望ましいですよ。ただ、自治体に責任をとってもらうというのは、自分自身でありとあらゆる努力をして、どうにもできない場合に初めて提起される問題じゃないですか。そういう状況を無視しながら、とにかく三十三億の災害だ、JR九州の手に余る、だから自治体の負担。これは分割・民営化のときのあの答弁から見ても正しくないし、抜本的にこの問題は再検討すべきだと思いますが、見解を聞かせてください。
  230. 大野明

    国務大臣大野明君) いずれにしても、この豊肥線、本当に考えられないほどの災害でございまして、先ほども写真を見せていただきましたけれども、これは今先生指摘のように、竹田市ともお話をなさったようですが、観光収入も減るというようなことで、大変地方自治体も困るというようなところから、一日も早く復旧させるためには、それは確かにJR九州が全額やることもいいのかもしれませんけれども、やはりこれだけの災害を手をこまねいて国や地方自治体が見ていれば見ているで怒られるという点も出てくるのではないかというようなことを考え、国としても、ひとつこの暮れの予算要求にやってみようということで出してございますけれども、これが通るか通らないかは今のところ何とも言えません。  やはり幹線であると同時に観光資源に大きく寄与するものであるし、また、地元住民の皆様方も一日千秋の思いですから、法律論は別にして、一日も早く私はやるのがいいのではないか、こんなふうに考えております。
  231. 諫山博

    ○諫山博君 私たちは国鉄の分割にも民営化にも反対しましたけれども、やはりそれが正しかったということが具体的に証明されたわけです。  私は、JR九州だけでどうしても復旧できないというのであれば、鉄道軌道整備法の適用基準を再検討してでも国とJRの力で復旧すべきだ、このことを提言しておきます。そして、地方自治体の負担なしに速やかに豊肥線災害復旧していただきたいということを要望しまして、次の問題に移ります。  新幹線鹿児島ルートの問題です。  熊本県八代駅から西鹿児島駅までの整備新幹線建設に要する費用は幾らぐらいで、JR及び自治体の費用負担はどのくらいになりますか。
  232. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 現在、着工調整費として予算要求しております九州新幹線鹿児島ルートの建設費、これは八代―西鹿児島間でございますが、六十二年四月価格で四千三百億円でございま す。地元負担額につきましては、工事を一種工事と二種工事とに区分して、それぞれ一〇%、二五%を地域で負担することとされておりますので、現時点で正確な数字は申し上げられませんが、おおむね一五%程度と仮定しますと、四千三百億円の一五%で六百数十億円と見込まれます。  また、JRについては、建設費の五〇%を負担するということになっております。
  233. 諫山博

    ○諫山博君 新幹線の建設で自治体がJRの三倍の費用を負担する、その金額は建設費の一五%で六百四十五億円、大変なことです。同時に、新幹線によって地域住民の貴重な足である在来線を廃止する。廃止した後は自治体の負担で勝手に運行せよというのがどうも政府とJRの立場のようです。  そこで、新幹線の建設は伴う自治体の負担あるいは在来線の処理は対する自治体の負担、これが九州で大問題になっていますけれども、東北とか北陸ルートでもこれが大きな問題になっているんじゃないでしょうか。
  234. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 先ほど地方公共団体がJRの三倍と言われましたが、JRは五〇%、地方公共団体は平均して一五%ということでございます。  それから、今の並行在来線の問題につきましては、これは基本スキームにおきましても、整備新幹線を整備する際には並行在来線について処理をした上でということになっておりますので、現在各沿線の県を中心にこの問題を検討しておりますので、鹿児島のほかに青森、富山、長野においても検討をされているところでございます。
  235. 諫山博

    ○諫山博君 鹿児島県の幾つかの自治体で話を聞きますと、新幹線が走るようになっても、鹿児島本線の川内駅と西鹿児島駅間はJR九州が引き続いて経営することになる、こう言われています。JR九州説明書きを見ますと、「可能な限りの経営努力を行うことにより、当社で経営することが可能である」、こう書かれているだけです。  JR九州が川内駅と西鹿児島駅間は将来とも直接経営する、こう理解していいですか。
  236. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) これはまだ地元で調整中、協議中の問題でございますから、JR九州の最終的な結論はついて私ここで申し上げるわけにいきませんが、地元JR九州が表明した意見としましては、現時点では、川内―西鹿児島間につきましては、これも若干経営が苦しゅうございますが、先生言われましたように、効率化を図ってJR九州自身が引き続き経営する、それから川内―八代間については、これは相当赤字が見込まれるので、整備新幹線の整備開業の時点において経営分離を行う、こういうことのようでございます。
  237. 諫山博

    ○諫山博君 私は鹿児島の各自治体で聞いてきましたけれども、川内駅と西鹿児島駅間は引き続きJR九州が運行する、このことをだれも疑っていませんよ。当然そのことを前提にして、新幹線に賛成か反対かが議論されているわけです。今の御説明を聞くと、必ずしもこれが確定的でないように聞こえますけれども運輸省の方針はどうですか。
  238. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) JR九州の意見としてはそういうことでございますが、これから地元の県とJR九州が詰めていく段階において最終的な結論が出ていないと申し上げたわけでございます。  私どもも、その辺のことはJR九州及び県がまず話し合っていただくということで、事態の推移を見守っているところでございます。
  239. 諫山博

    ○諫山博君 地元の者から見ますと、非常に重大な問題です。地元は、JRが引き続き運転するということを前提にして、新幹線賛成か反対かを検討しているんですよ。ところが、これから検討する課題だというのであれば、そのことは地元に正確に伝えないと、これまた、だましたというそしりを免れませんよ。  そこで次に、八代駅から川内駅間についてです。  これは、JR九州は経営分離せざるを得ないと言っておりますけれども、そうだとすれば、路線を残そうとすれば第三セクターによるほかはない、大体そういう前提で地元では議論されております。その場合に、この第三セクターにJRが参加するのかどうかということが一つの問題です。地元では、当然JRが第三セクターの一翼を担う、参加する、そのように理解されていますけれども、これは間違いないですか。
  240. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 今も申し上げましたように、そのような条件について、県が地元市町村等の意見も聞きつつ、またJR九州とも協議をしているという段階でございますので、私ども最終的な地元の意見というものをまだ聞いておりません。
  241. 諫山博

    ○諫山博君 地元では、第三セクターが運行するようになれば、これにJRも参加すると言われているし、大体自治体はみんなそう理解していますけれども、これも早合点ですか。
  242. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 地元で、そのような問題も含めて第三セクターのいろいろな課題について、今検討しているというふうに聞いております。
  243. 諫山博

    ○諫山博君 第三セクターにJRが参加するのか、JRが手を引いてしまうのか、これ大問題なんですよ。ところが地元では、JRが参加するかのように言われている。これはJR九州がそう説明したに違いないわけです。これも、もし私が言ったようなことが地元の誤解だとすれば、正確に地元説明してください。そうでないと、何だ、JR九州は参加すると言っていたけれども参加しなくなったのか、こういう問題が出てきますよ。どうですか。
  244. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 我々運輸省が、JR九州の意思を束縛したり変更させるつもりは毛頭ございません。ただ、JR九州がいろいろな条件を提示して今話しているというところでございますので、私がどちらの結論をここで申し上げるという段階でありませんので、肯定したり否定しているわけではございません。
  245. 諫山博

    ○諫山博君 運輸大臣質問します。  私は、今二つの問題について地元の理解を伝えました。一つは、川内と西鹿児島間はJRが直営でやっていくとみんなこう信じ込んでいるわけです。もう一つは、第三セクターにJRも参加する、地元の人はみんなそう考えているし、そういう前提で新幹線賛成反対を議論しています。  ところが、どうも今の答弁を聞いていると、両方とも確定的ではないように思うんです。確定的でないんだったら地元に正確に伝えないと、地元の人をだましたことになるんじゃないかと言っているんです。大臣、どう思われますか。
  246. 大野明

    国務大臣大野明君) これ、新聞ですからよくわかりませんけれども、十一月二十日、きのうの毎日新聞らしいですが、JR九州熊本、鹿児島両県との第三回協議会が二十日、福岡市のJR九州本社で開かれ、川内―西鹿児島間はJR九州が経営を継続するとの方針を何か打ち出したらしいですね。それからもう一つは、八代―川内間をJR九州から経営分離、第三セクター化する、こんなようなことらしいですよ。その第三セクターにする中身まで書いてございませんから、JR九州が参画するかどうか、そこまでは今のところ全然わかっておりません。  ただ、いずれにしても、私のところへはこの九州新幹線鹿児島ルートを何としてでもつくれという強い強い陳情が多々ございますということを踏まえて、私としては対処していかなきゃならぬ。また、ことしを逃がしたらできないんだという本当に悲壮なお気持ちの方が多いやに見受けておる現状でございます。
  247. 諫山博

    ○諫山博君 八代駅から川内駅までのJRの資産は約百億だと聞きました。第三セクターが出発するとすれば、この百億はJR九州が第三セクターに無償譲渡しますか、しませんか。
  248. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) その問題についても、JR九州地元が今詰めている課題の一つだと思いますが、まだ正式に要望なり結論を、私ども地元から聞いておりません。  ただ、今言われました無償譲渡につきまして も、財務処理上の問題あるいは税制上の問題が残っているやに伝え聞いております。
  249. 諫山博

    ○諫山博君 もし第三セクターが出発するとすれば、無償譲渡してくれという要求になるのは当然です。その場合に、JR九州としては無償譲渡する方針があるのか、運輸省としてはこれを認めるのか、この点を明らかにしてください。  無償譲渡ということになれば、例えばJR九州としては特別損失の問題が出てきます。あるいは、譲渡する側にも税金がかかるし譲渡を受ける側にも税金がかかります。さらに、固定資産税がどうなるのか。こういう問題もありますけれども、方針が決まりましたか。あるいは、この問題を運輸省なりJRは検討しているんですか。
  250. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 何度も繰り返しますが、今JR九州地元で、まず整備新幹線を何とかつくらなければならないという前提で、並行在来線の問題について知恵を出し合って検討しているところでございますので、私ども、その知恵が出たところでまたいろいろ問題がありましたら、運輸省の立場で解決に努力したい考えです。
  251. 諫山博

    ○諫山博君 無償譲渡については、地元の要求は明白ですよ。第三セクターになれば無償譲渡をしてもらいたいという要求をするのは当然です。これに対する運輸省なりJR側は、全く方針も決まっていないし検討もされていない、こう聞いていいですか。
  252. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) JR九州と県においては、いろいろな問題を具体的に今意見交換し、協議していると聞いておりますので、全く方針がないとかそういうことではございません。  ただ、運輸省は、まず県の方においてこの問題をまとめていただくということで、そこでいろいろな問題が出てきたときに対処したいと考えております。
  253. 諫山博

    ○諫山博君 今地元では、第三セクターについてバラ色の夢が意識的に宣伝されています。第三セクターになったら本数もふえるし、運賃も安くなるし、いろんな面で結構だということがさんざん宣伝されている、このことは運輸省も御承知だと思います。  そこで、第三セクターになったら今までどういうことになってきたのかということを聞きます。これはローカル線廃止に伴う第三セクターの例です。この場合は資産が無償譲渡されています。転換交付金が一キロ当たり三千万円払われています。五年間は欠損の二分の一の補助金が出されます。固定資産税は五年間減免、こういう措置が行われているけれども、二十八社中二十二社が経常損益で赤字、営業損益で見ると二十五社が赤字、こういうことです。  八代―川内間というのは百十六・九キロです。ローカル線並みだとすれば、三十五億一千万円の転換交付金が払われなければなりません。当然補助金も必要になります。こういう金は出す計算はしているんでしょうか、政府なりJRの方ではどうですか。
  254. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 国鉄改革時に行われましたローカル線の廃止問題と今回の第三セクターないし分離の問題は、これは別問題だと理解しております。ただ、整備新幹線を整備します場合に並行在来線が今後どう扱われるかということは、今後の我々の検討課題だというふうに理解して、これからいろいろな課題に取り組みたいと思っております。
  255. 諫山博

    ○諫山博君 ローカル線廃止に伴う第三セクターでは、今私が指摘したようないろんな手当てがされました。それでも大半は赤字なんです。もし在来線を第三セクターに移すということになればどういう結果が出てくるのかということが、明確にまだ示されていないんですね。そして、現地では第三セクターになればすばらしいというバラ色の夢がばらまかれている、これが実情です。  そこで、鹿児島県庁でいろいろ事情を聞きましたけれども、新幹線の建設、在来線の廃止について、来年度の予算の概算要求との関係で十二月上旬に回答しなければならない。そこで大慌てです。この時期を逸したら新幹線の誘致は永久にできなくなる、こういう言い方もされております。東北新幹線の事情を聞きますと、全く同様です。岩手県の一戸町では、在来線廃止を公式に聞いたのは十月の初めだ。しかも、十一月末日までに、新幹線を選ぶか在来線を残すか、この二者択一を迫られている、こう言われております。  この十一月末日までに、あるいは十二月上旬までに回答しなければ、永久に新幹線の誘致ができなくなる、これはどういう意味ですか。私はこの意味がさっぱりわかりませんから説明してください。
  256. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) そのように地元の県が言っていることは承知しております。私どもの言葉ではございません。  ただ、私どもの要求というのは、青森ルートにしろ鹿児島ルートにしろ、地元の強い整備新幹線に対する要請に基づきまして、着工調整費として予算を要求している。また、これは、並行在来線の問題等諸条件が処理されれば着工し得る予算であるということで、予算の確保も一方で必要ですが、他方で諸条件も整備しなければならない。そういうことから地元では、着工に至るための諸条件を整備しようということで、各県とも並行在来線の問題を今真剣に検討しているところでございます。
  257. 諫山博

    ○諫山博君 東北の方で十一月末日まで、鹿児島県で十二月上旬までに回答しなければ、新幹線の誘致は永久にできなくなる、こう言われていることは運輸省は御承知だと言われました。しかし、どうもそれは地元が勝手にそう思っているだけで、運輸省に責任がある話ではないということのように理解されます。  私は、新幹線の建設そのものに反対ではないんです。しかし、新幹線の建設というのは地元の負担なしで行うべきである、さらに、新幹線の建設と引きかえに在来線を廃止すべきではない、こういうことです。そして、今求められているのは、新幹線建設について自治体の経費負担がどうなるのか、在来線ほどうなるのか、第三セクターになった場合にさまざまな問題が生じますけれども、自治体あるいは住民にどういう影響が出てくるのかということを正確に知らせることが必要だと思います。正確に知らせる努力をせずに、新幹線に賛成か反対か、在来線の廃止を認めるか認めないか、こう言って今問題が提起されておるわけです。その端的なあらわれが、十一月末日まであるいは十二月上旬までに回答しなければ永久に新幹線は誘致できない、こういう理解が広まっているわけです。どうもこれは誤解としか思われませんけれども運輸省はそのことを承知の上で、この誤解を解こうとはしておられません。  私は、最後に運輸大臣に答弁を求めます。こういう問題を十分地元の自治体やあるいは住民に知らせて、その上で自治体なり住民の全面的な、しかも正確な意見聴取をすべきだと思いますけれども、その努力がされていないと思うんです。運輸大臣、どう思われますか。
  258. 大野明

    国務大臣大野明君) 努力をいたしております。  それはなぜかといいますと、私が本年二月二十八日に運輸大臣に就任して間もなく、運輸行政に関して一番初めに陳情に来たのは新幹線沿線の方方ばかりでございました。そのときにも地元皆さん方に、これが通ることによって在来線の問題も生じるだろうし、十分検討をしておいてください、ことしのシーリング、また八月の概算要求、これを何とか命がけでやるから、そして暮れの予算に上げたいと思うからということで、十七年ぶりにやっと暮れの土俵に上がることになったわけでございます。それもひとえに地元の皆様方の熱意と同時に、そういうようないろいろな理解あっての上での陳情というふうに理解いたしておりますから、今に始まったということはないと思います。  むしろ、本当にもう十二月も間もなくでございますから、一日も早くしていただくことがいいというふうに考えております。
  259. 諫山博

    ○諫山博君 終わります。
  260. 高井和伸

    ○高井和伸君 私は、運輸省郵政省両方に共通のテーマで御質問いたします。  第一は、行政手続に関する統一法制の必要性の前提条件として、各省所管の手続について具体的な実態お尋ねしたい。二つ目は、行政指導の手続においてその手続の実態お尋ねしたいということでございます。  質問の趣旨は、行政の中におきまして手続法制がどうもほっておかれて、ある意味ではばらついて置いておかれ、さらに国民の権利義務の保護という面ではやや行政目的の後ろに引っ込んでしまっているのじゃなかろうかという視点でございます。  それで、私の時間二十分でございまして、余りございませんので、能率よくやりたいと思いまして、それぞれ各省の最後には、行政手続法制、統一法制への各省の御決意を各大臣からお尋ねしたいというふうに考えております。  それでは、まず運輸省の方から、私の方であらかじめお尋ねした、いわゆる国民の権利義務に関与する侵害処分、ある意味では国民の権利を制限したり、一たん与えた免許を取り上げるというような手続の中におけるどんな法制がありますかということで、あらかじめリストをいただきましたらば、大変御努力いただきまして、運輸省関係では八十の法律があるということでございまして、その中から四つピックアップしてお尋ねいたします。それで、質問は一括してさせていただきまして、順次答えていただきます。  第一の問題は、個人タクシーの免許を与えた場合、その免許を取り消す手続は具体的にはどうなっているのか、道路運送法上の免許の問題一般でも結構でございますが、それについての実態お尋ねしたい。  それから、それに関連しまして、こういった行政手続法制への歩む道に一つ記念碑的な判例として、昭和四十六年十月二十八日の個人タクシーの免許に関する最高裁判例がございます。その以後における運輸省対応はどのようになっているのかという点。  三つ目は、いわゆる車検の民間車検場における車検をできる事業場、それの指定の取り消しなどにおける手続の実態はどうなっているのか。  四つ目は、御報告いただいた中で非常に数が多かったのは、海上交通安全法上の巨大船に対する指示、この数が大変多いものですから、二万というような数字が出ておりました。それの実態はどうなっているのかということで、この四点についてお答え願います。  その際、ちょっと前提でございますが、私の興味を持っているのは、事後手続じゃなくて事前手続としての告知弁明の機会の提供というものがあるのかどうか。それから、処分するについての理由の付記がきちっとなされているのかどうか。さらには、関連文書へのアクセスが保証されているのかどうか、文書閲覧の問題ですが。そこらについてのことを踏まえてお答え願います。
  261. 佐々木建成

    説明員佐々木建成君) 第一点の、道路運送法上のタクシー等のケースについてお答えいたします。  タクシー等の旅客自動車運送事業について、その事業の運営において法令違反等があった場合に、道路運送法第四十三条の規定に基づきまして、免許の取り消しまたは事業の停止を行っているわけでございますけれども、免許の取り消しまたは事業の停止を行おうとするときは、同法第百二十二条の二の規定に基づきましてあらかじめ利害関係人等の出頭を求めて意見を述べ、証拠を提出する機会を与えるために聴聞を行っております。その上で処分の内容及び根拠を明示して文書で処分の通知を行っているわけでございます。  それから二番目の個人タクシーの免許基準について昭和四十六年の最高裁の判例で、免許基準の内容を公開せよというような趣旨の判決がありましたが、この件につきましては、当該裁判の係争中の昭和四十五年の十一月二十八日にハイヤー、タクシー免許申請事案、増車申請事案等に関し、資格要件、増車基準等を明確化して公開するよう各陸運局長あてに通達したわけでございます。これを受けまして各陸運局長がタクシー免許基準等に関しまして公示を行っておるところでございます。
  262. 松波正壽

    説明員(松波正壽君) 第三番目に御指摘のございました、いわゆる民間車検の指定等の実態についてお答えをしたいと思います。  今御指摘のございました民間車検場と言われますのは、指定自動車整備事業者ということでございまして、その事業運営において法令違反があった場合には、当該事業等を規定しております道路運送車両法の第九十四条の八の規定に基づきまして、指定の取り消しまたは保安基準適合証等の交付停止処分を行っているところであります。  この指定の取り消し等を行おうとするときに当たりましては、今申し上げました同法の第百三条、つまり聴聞の規定でございますけれども、それに基づきましてあらかじめ当該処分にかかわる者、すなわち指定自動車整備事業者の出頭を求めまして釈明及び証拠の提出の機会を与えるために聴聞を行いまして、その上で処分の内容及び根拠を明示いたしまして、文書で処分の通知を行っているところであります。
  263. 豊田実

    説明員(豊田実君) 巨大船等に対する指示の件でございますが、この指示は船舶交通のふくそうする海域におきまして、その安全を図るため海上交通安全法第二十三条に基づいて行っております。御指摘のように非常に年間の指示件数が多いわけですが、具体的内容としましては、例えば東京湾における浦賀水道航路等を航行しようとする船舶につきまして、その危険を防止するために海上交通センターと常時連絡をすることであるとか、あるいは航路の入航予定時刻を変更するというようなことを指示を行っております。この指示は、今申しましたような非常に船舶交通のふくそうする中で臨機応変にやらなければならないというようなことで、いわゆる事前手続は行っておりません。  それから、もう一点の理由の付記につきましても、今申しましたような状況で行う指示でございますので、一般的には理由の付記は行っておりませんが、時間的な余裕がある場合、例えば航路の入航予定時刻を変更してもらうというような指示については理由を付しております。  また、文書の閲覧でございますが、実際閲覧を求められた実績はないということですが、私どもとしては、原則として閲覧に供するということにしております。
  264. 高井和伸

    ○高井和伸君 今具体的に示されました規定を見ますと、聴聞の場合におきましても必ずしも義務的規定じゃなくて、「することができる」というようなことで道路運送法の方では任意規定になっておりますし、それから道路運送車両法における聴聞規定は、これは「あらかじめ」「公開による聴聞をしなければならない。」という非常に強い規定で権利保護、国民というか処分を受ける方の立場からは強く保護される規定になっているということを指摘しておきたいと思います。  次にお尋ねしたいのは行政指導の点でございますが、これもやはり行政処分という公権力の行使という側面じゃなくて、任意に行政目的を達成するために国民に対してあることをやってくれ、あることをやらぬでくれというようなことで、行政指導という名目のもとに国民にある種の負担をかけることになるわけでございます。そのことで最近行った行政指導、運輸省の場合三つほど挙げていただきましたので、それについて個々の具体的な例をお尋ねします。  年末年始輸送に関する総合安全点検の行政指導、それから自動車の安全対策強化に関する行政指導、それから東京湾海上交通センターとの情報交換の励行という行政指導について、順次その実態を述べてください。  私の興味を持っている点は、これも日米構造協議でも指摘されたとおり、行政指導の透明性、公平性ということが求められているということがアメリカの方からも言われておりますが、国民の立場から見ても同じでございまして、やはり行政指 導を任意の相手方の同意によってやることであってもある種の負担をかけることになるわけですから、その前提としては根拠法令があるのが望ましいんだろうし、理由はちゃんと文書で知らせるのも望ましいんだろうし、制裁はあらかじめあっちゃいけない、江戸のかたきを長崎で討つようなことがあっちゃいけないという前提で行政指導が行われるべきだろう。そういうことによって行政の信頼をかち得るだろうというような立場から私は質問しているわけでございまして、そういった点を踏まえて三つの行政指導についてその実態をお聞かせください。
  265. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 第一点の年末年始の安全総点検について申し上げますと、御承知のように、交通事業にとりまして安全の確保というのは一番大切な使命でございますが、年末年始というのは輸送の繁忙期に当たりますので、関係者全員が心を引き締めて安全の確保に万全を期さなければならない。そういう意味でこの時期に安全の総点検を求めることによって自覚を促そうということでやっているものでございます。  根拠は、関係の設置法の規定でございまして、具体的なやり方としましては、今申し上げました趣旨並びに具体的な実施計画を文書にいたしまして、関係局長の名前で事業者の団体に協力の要請をする、そういうやり方をとっておるわけでございます。結果につきましては報告を求めることにしておりますが、それ以外特段制裁を求めるというようなことは一切やっておりません。
  266. 松波正壽

    説明員(松波正壽君) 第二番目の、自動車の安全対策強化についてお答えをいたしたいと思います。  運輸省といたしましての最近の例として、本年三月に行いました自動車の安全対策強化に関する指導といたしましては、昭和六十三年、平成元年と二年連続しまして、先生も御案内でございますが、道路交通事故の死者の数が一万人を超え、また、このような状況を踏まえまして、昨年十一月ではございますけれども、交通対策本部によりまして交通事故非常事態宣言が発せられたという厳しい状況下の中にございまして、これらの背景、事情等の理由も記載した文書によりまして、自動車製作者の団体でございます社団法人日本自動車工業会の会長に対し、会員各社に指導徹底を要請したところでございます。  これは、運輸省設置法及び道路運送車両の安全性の確保を図るという道路運送車両法の法目的に沿いまして、自動車の構造装置につきましてより一層の安全性の向上を図るため、自動車メーカーに対しまして、ポイントを二つに絞りまして、その一つといたしましては自動車の構造装置の安全性に係る研究開発を強化すること、もう一つの点といたしましては自動車の安全性の一層の向上に係る装置の装着拡大を図ること、これらを指導をいたしたところでございます。  特に後段で申し上げましたところの自動車の安全性の向上に係る装置の装着拡大につきましては、具体的に申し上げますと、アンチロック・ブレーキ・システム、我々ABSと称しておりますが、あるいはエアバッグあるいは後席三点式の座席ベルト等の装置を装着した車両を自動車ユーザーが求めた場合には、その要望に応じて提供できる体制を整備するよう指導をいたしたところでございます。
  267. 豊田実

    説明員(豊田実君) 三番目の東京湾海上交通センターとの情報交換の励行についてでございますが、この行政指導は、昭和六十三年七月に東京湾で発生しました潜水艦と遊漁船との衝突事故にかんがみまして政府の事故対策本部が決定しました船舶航行の安全に関する対策要綱を踏まえまして、東京湾海上交通センターと連絡をとる船舶として新たに百総トン以上であって最大搭載人員が三十人以上の船舶を加えたものでございます。これらの船舶について位置通報等の対象船舶ということにしたものでございます。  この指導は、船舶交通がふくそうする海域における船舶交通の安全の確保を図るという海上交通安全法の法目的に沿って行っているものでございます。これらの指導を行うに当たりましては、平成元年三月に、東京湾を管轄します第三管区海上保安本部長から、この指導を行うに至った背景事情等の理由を記載した文書を使いまして、関係海事団体、関係官公庁に対して指導内容の周知、指導の協力を要請しております。  本件はあくまで指導でございますので、励行しないということで制裁を行うということはありません。
  268. 高井和伸

    ○高井和伸君 御丁寧な御答弁をいただいているうちに時間が過ぎてきましたが、運輸大臣お尋ねしたいわけでございますが、最終的には今臨時行革審でも討議されているように、行政手続における透明性という側面から政府も閣議了解事項のように一歩前進、二歩前進という段階できていると思いますけれども、そういった閣議の構成メンバーとしても、運輸大臣行政手続統一法制の御決意をお聞かせ願います。
  269. 大野明

    国務大臣大野明君) ただいま、個々の問題につきましては担当の政府委員から御答弁申し上げたところでございますが、いずれにいたしましても、運輸行政は陸海空にわたる交通機関あるいはまたその利用者の方々など非常に広範な対象でございますので、所轄法律を運用して行政を進めていく上では、行政運営の効率性、組織体制の制約等の要素を考慮しつつも、公正かつ適切な行政手続の確保により国民の権利、利益の保護に十分配慮した行政運営を行っていくことが重要だと考えております。  また、本年四月の第二次行革審の答申や六月の日米構造協議の最終報告等においても、行政手続法の統一的な整備や行政指導の透明性、公平性の確保の必要性が指摘されておるところでございますし、運輸省としても、第三次行革審における審議等を踏まえつつ、今後とも公正で民主的な運輸行政をいたしてまいりたいと考えております。
  270. 高井和伸

    ○高井和伸君 郵政省質問する予定でございましたけれども、時間がございませんので、今から少し私のおしゃべりだけをして、次回に譲りたいと思います。  郵政省におきましてもあらかじめ、先ほども申し上げました侵害処分などについて法令を調べていただきましたら、十二件ございました。さらに、行政指導についても幾つか例を挙げていただきましてお話を聞きました。  そういう中で、やはり私が素人ながら、第三種郵便物の認可の取り消しなんという国民にとっては大変郵便料金をたくさん払わなきゃいかぬような手続がどのような手続で行われているかだとか、それから電波を使う立場の人たちが与えられた免許を取り上げられる場合にはどんな手続をなされているだろうかだとか、放送局の認可がどのように行われて、競合する場合はどう調整されているだろうかだとか、いろいろ質問したかったわけでございますけれども、先ほどの運輸大臣の答弁いただいたように、前向きにこちらもやっていくということは大臣におかれても同じだろうということを期待しながら、私の時間がなくなりましたので、これにて終わります。
  271. 三治重信

    ○三治重信君 きょうは全体の時間がえらいおくれちゃっておりますので、私は予定したことがあるのでちょっと早く質問を終えたいので、ひとつごくごく簡潔にお願いいたします。  運輸省お尋ねしますが、外務省もお見えになっておると思うんですが、その両方からひとつ。  国連の安全保障理事会の議決によっていろいろ国連協力をする、それに一番手っ取り早いのがやはり輸送業務、航空、海運等の輸送業務だろうと思うんですが、それがどうも輸送物資の問題とそれから戦地、いわゆるサウジアラビアなんかの戦地ですね。戦地の中へ入っていけるのかいけぬのか、そういう問題が相当議論されたわけなんですが、基本的に、そういうふうなものが運輸省、外務省の方でどの辺まで民間の船や飛行機を活用して国際協力ができると考えておられるのか、ひとつお願いします。
  272. 寺嶋潔

    説明員(寺嶋潔君) 今般の中東紛争に係りますいわゆる政府の中東貢献策の一環といたしまし て、輸送協力という問題がございますが、その中で海運会社あるいは航空会社、民間に協力をお願いして物資を輸送するという場合の対象になる物資、これにつきましては、民間の海運会社、航空会社、また関係の労働組合、いずれも武器、弾薬、兵員につきましては運びたくないという意思を明確にしておられます。したがいまして、政府といたしましても、こういう民間の意思を尊重しまして、武器、弾薬、兵員の輸送を要請はいたしておりません。  それから、行く先でございますが、これにつきましては、安全確保に万全を期する見地から、十分に事前に紛争の動向に注意をいたしまして、安全が確認される場合にこれを配船するということにいたしております。  そういう見地でこの民間輸送協力をお願いしておるわけでございます。
  273. 高須幸雄

    説明員(高須幸雄君) お答え申し上げます。  我が国といたしまして、湾岸地域において平和回復活動に携わっておる国に対しまして輸送協力を行っているわけですけれども、これにつきましては、日本籍の船及び飛行機にお願いしているほかに、外国籍の船舶や航空機にもお願いしているところであります。  この場合の荷物の対象でございますけれども、我が国といたしましては中東貢献策として行う輸送協力につきまして、武器や弾薬、兵員というようなものを対象としないという方針で臨んできておりますし、今後ともこの方針を維持する考えでございます。
  274. 三治重信

    ○三治重信君 そういうふうにするとして、それは今までやった経験からいってそういうふうなことだということなんだろうが、国連の決議に対する国際協力ということが、それでしようがない、大体満足できる、こういうことですか。それとも、武器、弾薬はだめたけれども、ほかの物資、食糧とか医薬品とか、そういう普通の平和的なものは大いにできるというか、それもまた難しいというのか。どうですか。
  275. 寺嶋潔

    説明員(寺嶋潔君) 海運について申し上げますと、現在日本籍の船、おおむね二万トンクラスの貨物船を政府が用船いたしまして配船しておりますが、これらの船は、建設資材でありますとか生活関連用品というようなものを運搬いたしております。その限りにおいて、今回の中東紛争に関します我が国としての貢献として十分役立っておるというふうに認識をいたしております。
  276. 高須幸雄

    説明員(高須幸雄君) お答え申し上げます。  我が国といたしまして、中東における安保理の決議を受けて行われております平和回復活動に対しまして、日本の政策で、かつまた憲法の範囲内で、できる限りの協力をするということでやってきておるわけでございまして、ただいま御答弁ありましたような物資の輸送を行うということで、我が国としての貢献は十分評価を受けているというふうに認識しております。
  277. 三治重信

    ○三治重信君 ちょっと先ほど一つ質問を落としたんですが、我が国の船や飛行機だけで足らぬときに、外務省の方は、外国のやつを契約するのは外務省の責任だというようなお話だったんですけれども、今後国際協力やる場合には、外国の船や飛行機も相当使う覚悟で協力をするつもりでおりますか。
  278. 高須幸雄

    説明員(高須幸雄君) お答え申し上げます。  先ほどお話し申し上げましたとおり、我が国といたしましては、輸送協力を行う、日本の憲法及び政策の範囲内でやるということで、できる限りの協力をしておるところでございます。  その際、日本籍を持ちます船舶、航空機はもちろん御協力をいただいているところでございますけれども、さらに、外国籍の船舶、航空機も必要であるという限度において、そのチャーターも行うという方針でございます。
  279. 三治重信

    ○三治重信君 運輸省、外務省結構です。  郵政省お尋ねします。いろいろ資料をいただきましてどうもありがとうございました。  この電電の改革で、第一種電気通信事業の一覧表をいただいたんですが、長距離系が三社、衛星系が二社、地域系が七社、国際通信が二社、それから自動車電話等が十四社と、こういうような一覧表になっているわけなんです。電電公社は一社であるけれども事業を開放したということで、こういうふうな第一種電気通信事業者ができたわけなんですが、それの経営効果というんですか、営業成績というものの概観はどういうようになっていますか。
  280. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 今先生のお話しございましたように、六十年に電気通信の面で改革をいたしましたのは、これまで独占でございました通信事業にできるだけ競争を入れて、その競争の成果が利用者にはね返ってできるだけ安い料金で多彩な電気通信サービスをエンジョイしていただこうと、こういう発想でございます。  御指摘のような数の新規参入がございました。しかしながら、経営面という問題でございますが、例えば元年度決算におきましては、NTTは当初の事業計画に対しましてほぼ一割増の四千八百四十七億円の経常利益が上がっているという状況でございますが、この新しい事業者は、まだネットワークの整価の拡充のための多額の設備投資が必要でございまして、これによりまして、資金コストの負担だとか減価償却費の負担だとか、そうした点でこの元年度決算で見ておりますと、現在四十六社のうち八社が累積の損益を、赤でございましたのをようやく黒にした、残りの三十八社は依然として累積の赤を抱えておる、こんな状態でございまして、総体として見ますれば、まだまだ安定した経営基盤には到達していない、こういう状況と言えるかと思います。
  281. 三治重信

    ○三治重信君 そこで、自動車電話等が十四社あるわけなんですが、この自動車電話や携帯電話については日米構造協議でも問題になったところなんです。私は素人でよくわからぬからお尋ねするんですが、この十四社ごとに電波数が違うし、電話機も相互には使い切れないのか。電話機はどこへ行っていても同じように使えるけれども、その周波数に合わせる電話機か何か操作かなんかやらぬと、この自動車電話や携帯電話は利用できないのか。製造会社はどれぐらいで、その地域ごとの電話機でないと相互利用ができないのか。電話機そのものは製造会社が幾つかあって、十四社の電波はどこでも調整して使えると、こういうふうに有効刺拍ができるのかどうか、その点ひとつお願いします。
  282. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) お尋ねの自動車電話でございますけれども、これは自動車電話も携帯電話も同じものでございまして、自動車にひもがついたのが自動車電話と称し、ちょん切れたのを携帯電話と称しておりますのですが、このビジネスをやっておりますのは、たしか現在七社ございます。
  283. 三治重信

    ○三治重信君 これ、十四社じゃないの。
  284. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) ちょっと、その十四社にはほかのものが入っているかと思います。  七社でございますが、この七つがばらばらにやっているわけじゃございませんで、実は、こうした問題には、周波数も御指摘のとおりの問題もございますので、現在自動車電話は各地域にNTTの提供いたします自動車電話、携帯電話と、それから新しい事業者が提供する自動車電話、つまり各地域には二社が競争しているという状態になっております。その二社は、一つは東京、首都圏を中心にしましたNTTの方式に類似した方式を使っているグループと、もう一社は首都圏、中部圏を除いた全国、関西やら東北やら、これは主として北米方式の自動車電話を使っております。  メーカーは国内国外いろいろございますが、端的に申して、現在六社がつくっております。しかし方式は、今申しましたように首都圏、中部圏の方式が一つ、あとは、会社が別々でございますが方式は同じ、共通でございます。したがいまして、現在は、NTTの方式をとっている限りにおいてはNTTとの接続は問題ないわけでございますが、北米方式を入れた部分のところが関東圏、首都圏に乗り込んでまいりましたときには、これまで接続できなかったという問題がございました ので、これはアダプターを取りつけることによって自由に全国どこへ行っても通話ができるという状態になっております。かてて加えて、そのアダプターをつけると非常に重くなるから、大型になるから、もっと小型にしたいという要請がございまして、これが日米でもいろいろ話をいたしまして、今申しましたような首都圏でもアダプターなしでも使えるシステムが、来年でございますけれども、導入されようと、こういう事態に相なっているということでございます。
  285. 三治重信

    ○三治重信君 ありがとうございました。  終わります。
  286. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 他に御発言もないようですから、運輸省及び郵政省決算審査はこの程度といたします。  次回の委員会は二十八日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会