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1990-11-14 第119回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年十一月十四日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月十三日     辞任         補欠選任      秋山  肇君     星野 朋市君      梶原 敬義君     庄司  中君      渕上 貞雄君     三重野栄子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         及川 一夫君     理 事                 大浜 方栄君                 後藤 正夫君                 守住 有信君                 会田 長栄君                 千葉 景子君                 猪熊 重二君     委 員                 石渡 清元君                 岡野  裕君                 鎌田 要人君                 木暮 山人君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 鈴木 省吾君                 福田 宏一君                 二木 秀夫君                 星野 朋市君                 大渕 絹子君                 喜岡  淳君                 庄司  中君                 種田  誠君                 西岡瑠璃子君                 三重野栄子君                 木庭健太郎君                 諫山  博君                 沓脱タケ子君                 高井 和伸君                 三治 重信君    国務大臣        通商産業大臣   武藤 嘉文君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       相沢 英之君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       大島 友治君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        公正取引委員会        事務局官房総務        課審判官室長   生駒 賢治君        公正取引委員会        事務局審査部第        一審査長     元永  剛君        経済企画庁物価        局長       田中  努君        科学技術庁科学        技術政策局長   須田 忠義君        科学技術庁科学        技術振興局長   林  昭彦君        科学技術庁原子        力局長      山本 貞一君        科学技術庁原子        力安全局長    村上 健一君        科学技術庁原子        力安全局次長   長田 英機君        環境庁水質保全        局水質管理課長  浜田 康敬君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課産業廃        棄物対策室長   三本木 徹君        厚生省社会局庶        務課長      加納 正弘君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        坂本 吉弘君        通商産業大臣官        房審議官     横田 捷宏君        通商産業省通商        政策局次長    麻生  渡君        通商産業省貿易        局長       堤  富男君        通商産業省立地        公害局長     岡松壯三郎君        通商産業省基礎        産業局長     内藤 正久君        資源エネルギー        庁長官      緒方謙二郎君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        向 準一郎君        資源エネルギー        庁公益事業部長  川田 洋輝君        中小企業庁長官  高橋 達直君        労働省労働基準        局安全衛生部労        働衛生課長    下田 智久君        建設省住宅局建        築指導課建築物        防災対策室長   十亀  彬君        自治省財政局財        政課長      湊  和夫君        会計検査院事務        総局第一局長   安部  彪君        会計検査院事務        総局第二局長   澤井  泰君        会計検査院事務        総局第五局長   山本  正君    参考人        中小企業金融公        庫総裁      渡辺 喜一君        中小企業信用保        険公庫総裁    片山 石郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和六十二年度一般会計歳入歳出決算昭和六十二年度特別会計歳入歳出決算昭和六十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十二年度政府関係機関決算書(第百十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十二年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十四回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十二年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十四回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、梶原敬義君、渕上貞雄君及び秋山肇君が委員を辞任され、その補欠として庄司中君、三重野栄子君及び星野朋市君が選任されました。     ─────────────
  3. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 昭和六十二年度決算外二件を議題といたします。  本日は通商産業省経済企画庁科学技術庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 及川一夫

    委員長及川一夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略し て、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 及川一夫

    委員長及川一夫君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 千葉景子

    千葉景子君 本日は、最近大変ふえていると言われておりますいわゆる欠陥商品に基づくさまざまな被害、そしてそれに対する救済の方策などについて御質問をさせていただきたいと思います。時間も限られておりますので、本来ならばこれは通産省のみならずほかの厚生省など関係各省がございますが、きょうは通産大臣中心にいたしまして御意見をお伺いしていきたいというふうに思っているところでございます。  まず、消費者にとって購入した商品あるいは使用している日常商品などについては、すべての面で安全で、そして公正なものを求められるということがやはり基本的には保障されるべきではないかというふうに私は思っているところでございます。しかしながら、今日の社会あるいは商品経済などを見ておりますと、大変技術も高度に発展をしてきている、また大変専門化したさまざまな商品も開発をされている、またそれが大量に生産をされ消費者の手元に届いている、こういう実情がございます。そしてまた、商品流通過程も大変複雑なものを含んでいるということで、消費者にとってはその商品内容、その技術的な仕組み、あるいは流通過程等すべてを知るということはこれはほとんど不可能に近いと言っても過言ではございません。なかなか知識情報を得る手段というのは少のうございますし、そういう中から考えますと、普通に商品を購入をして使っているけれども、思わぬ出来事に出くわすとか、あるいはその商品の持つ性質、あるいは場合によっては欠陥、そういうものによって何か事故に遭遇するかわからない、こういう状況に置かれているのではないかというふうに思います。  日本技術というものは世界でも大変すぐれているというふうに評価もされ、製品チェックども大変厳重に行われているというふうに私も受けとめてはおりますけれども、いろいろな調査などによりますと、やはりそういう中からもさまざまな問題が生じているということが言えるのではないかというふうに思います。  その一例といたしまして通産省から、事故情報収集制度報告書というものがまとめられておりまして、私も拝見をさせていただきました。こういう内容を見ておりますと、これの中では全く使用方法で問題があったということもありますし、それから単品で原因がすぐに発見をされてそれに対する対処がなされたというのもございますけれども、中には原因がよくわからないとか、あるいは今まだ調査中であるとか、そういうものも大変多くこの中に報告をされているところでございます。もし原因がわからないというようなことがありますれば、これは消費者にとっては結局はいろいろ事故なり被害があったけれどもそのままやむを得ないかなということになりますし、調査中の問題などもなかなか時間もかかるという状況もあるようでございます。  こういう最近の複雑な商品実情などから見て、それからこういう事故情報などの統計などを見たときに、やはり何らかこれからこういう問題についていろいろな面で対策を講じていかなければいけないのではないだろうかという私は感じがするのですが、こういう事故情報統計等ごらんになりまして、消費者被害あるいはそれの救済などについてどんなふうに通産省としてはお考えになっていらっしゃるか、まずちょっとその基本的な認識というんでしょうか、そこらについてお伺いしたいと思います。
  8. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 従来から私ども消費者の安全を確保するという観点からいろいろと努力をいたしてきておりまして、御承知のとおり消費生活用製品安全法、これでSGマークも設けましていろいろとやってきておるわけでございます。しかし一方においては、今御指摘がございましたように、原因がわからないというようなものもあるわけでございまして、そういうものに対しては民法の七百九条の適用という形でやってきておるわけでございます。  できる限り消費者皆さんがやはり安心して製品をお使いいただけるような体制にしていくということは当然のことでございまして、私どもはそのような方向で努力をいたしておるというふうに考えております。
  9. 千葉景子

    千葉景子君 これまでもこういう情報収集をなさって、それに対する指導ども当然行われてきているだろうというふうに思います。それから、消費者側においてもこれはどこかに責任があるのではないか、製品問題点があるのではないか、それによる被害をこうむったというようなときには、どうしてもやむを得ないときには訴訟などを通じてその被害救済を求めてきたというのが実情ではないかというふうに思うんですね。ただし、これまでのいろいろな法的な救済手段を見ておりますと、これは消費者側にとっては大変時間あるいは費用、さまざまな訴訟上の困難、こういうことを乗り越えて救済を求めていたというのが実情ではなかろうかと思います。  これまで大変有名な問題になった事件などを見ますと、例えばサリドマイド事件というものがございました。これなどは、わかりませんけれども被害を受けた方が一千人を超えるのではないかとも言われておりますが、これは結局は一九六三年に裁判所に提訴がなされて、十年にわたる裁判を通じてようやく一九七四年に和解という形で一定救済が図られたということでございます。  それからまた、いわゆるキノホルムによるスモン事件訴訟というものがございました。これも一般に市販をされておりましたいわゆる整腸剤ですね、これを使用することによって二万人を超える方々がさまざまな失明だとかあるいは歩行困難等の障害を受けられたということでございます。これもやはり大変長い期間にわたりまして裁判を通じて救済が求められて一定和解が成立をしたわけですが、これはそれでもその間厚生省の方でスモン調査班が組織をされて一定原因究明がなされてきたということもあり、訴訟の中でもそれが大分役立っていたということも言えます。  また、同じようにカネミ油症の問題、これもやはり普通に使われていた食用油、これの中に合成化学物質が含まれていてこれで被害を受けた。これも長年にわたる裁判での救済が求められてきたということでございます。  また、そのほかにも森永の砒素ミルクの問題であるとか、あるいはクロロキンの事件であるとか、こういうような薬害がかなり大きな部分を占めておりますけれども、やはり普通に日常生活の中で使うそういうものから被害を受けたという問題でございました。  こういう大きな事件などは、かなりの皆さんが結束をされまして、それを通じて訴訟が行われてきたということがありますけれども、これを見ても、やはり消費者にとってはこの商品がどういう構造を持って、一体何が含まれて、そしてそれがどうしてこういう被害につながっているのかということのメカニズムであるとか、あるいはその因果関係であるとか、そういうことを立証するというのは、いわゆる素人といいましょうか、専門的知識を有さない消費者にとってはもうこれは大変困難なことでございますね。しかし、現在の訴訟上では、やはり被害を受けた原告といいましょうか、それを訴える側ですべてそういうところを立証しなければいけないという仕組みでございますので、やはり長きにわたってさまざまな、長期間にわたる訴訟継続をするということになろうかというふうに思います。  こういう大変困難なことを経て、裁判所などでも少しでも被害者あるいは原告に立証の容易な方法考えようとか、あるいは公平さを図ろうとい う努力は重ねてこられたというふうに思うのですけれども、やはり立法上、こういう現在の法制度の中では消費者にとっては大変困難がつきまとうというのが実態ではなかろうかというふうに思っています。  ただ、そういう中でも、我が国の法制度の中でも幾つか救済を図る制度がございます。例えば医薬品などでは副作用被害救済基金制度というものが設けられておりますし、それから今言ったように一般民事救済というものもございます。それから、通産省の関連などでも消費生活用製品安全法というものに基づきましてSGマークなどを設けて救済を図っているということもあるようでございます。こういう意味で若干の個別の救済方法はあるのですが、なかなか統一的な救済手段というものは今設けられていないというのが現状ではないかと思います。  通産省で設けているSGマーク、それによる救済というのをちょっと簡単に御説明いただいて、今どんなふうにこれが機能していますか、御報告いただければというふうに思います。
  10. 坂本吉弘

    説明員坂本吉弘君) ただいまお尋ねの、いわゆるSGマーク制度につきまして、その概要と今日までの実績についてお話し申し上げます。  本制度は、今御指摘消費生活用製品安全法に基づきまして、日常使われる諸製品安全確保を民間の自主的な努力によって推進するという見地から昭和四十八年に設立いたしました製品安全協会において自主的な安全基準を作成いたしました。これに合格したものについてはいわゆるSGマークを付すと、こういう制度でございまして、現在ほぼ七十品目にSGマークが貼付されております。  代表的な商品といたしましては、乳母車とか、あるいは歩行補助車とか、バドミントンラケットというようなものでございまして、これらについて貼付しておりますマークトータルで約八億三千万枚というような数字になっております。これは平成元年末の数字でございます。  これを張っておりますが、さらにあわせて、これによって事故が起きた場合、SGマークが付された製品欠陥によって事故が起こって万一消費者人身被害が発生いたしました場合には、その被害者救済措置といたしまして二千五百万円を限度とする賠償金の支払いが確実に行われるようにするということを制度といたしております。また、死亡等重大事故が生じた場合には、明らかに被害者の方に責任があるという場合は別でございますけれども賠償に先立って一時金をお支払いして迅速に対応するというようなことにいたしておるところでございます。  統計的に申し上げまして、今日までの賠償実績でございますが、四十九年度から元年度までの賠償件数は二百九十五件、賠償金額トータルで一億四千百四十四万八千円ということになっておる次第でございます。  以上が概要でございます。
  11. 千葉景子

    千葉景子君 今御報告をいただきましたように、日常生活用品と申しましょうか、そういうところにはSGマーク適用によって一定救済が図られているということが言えようかというふうに思うんですね。しかしながら、それで必ずしも全部が網羅されるというわけにはまいりませんで、先ほどの事故情報報告書、あるいは最近、こういう相談にあずかるのは弁護士ということが多いんでしょうけれども弁護士会調査などをしてみますと、やはり思いもかけない事故に遭遇をしている。なかなかそれを直接に救済する制度というものがないものですから、交渉をしたり、あるいはやむを得ず訴訟になっているケースども多いというふうに聞いております。  これは、きょうは時間がありませんので、本当に一つ一つ指摘するわけにはまいりませんけれども、結構多いのが自動車欠陥事故であるとか、あるいは家電製品、その他燃焼器具、こういうものなどについてもかなりびっくりするような被害というものが出ております。これは最終的に、それが本当に欠陥かどうかというのはこれからいろいろ解明をされていく問題だろうというふうに思います。  例えば一例でございますけれども自動車助手席のダッシュボードの付近から突然出火をして、火を消そうとして片手運転をして横転して炎上事故を起こしたというようなことも指摘されておりますし、高速道路を走行中、後ろのエンジンから煙が出て、出火をして全焼してしまったとか、それから信号待ちしているときにエンジンルームから出火して、通りがかりの人と一緒に消火したとか、こういう例なども出されております。  それからまた家電製品などでも、これは報道されたケースもございますけれども、突然テレビからの発火ですね、それによって家が全焼したケースどもありますし、まあ全焼はしなくてもあたりを燃やしてしまったというのもあります。あるいは、ふだん使っているオーブントースターなどが過熱をして部屋じゅうが煙になったとか、それからビデオから煙が出たとか、あるいは電気毛布とか電気オーブン、冷蔵庫、こういうものからやっぱり煙が出たとか発火した、こういうことなども大分報告をされております。  それから、燃焼器具などでも、ストーブとかふろがま、あるいは瞬間湯沸かし器、ファンヒーターガスレンジ等、これは本当に日常私たちの周りにあるもの、こういうものからのさまざまな発火とか過熱とか、そういうことも報告され、これらも原因がわかりたものもあれば、あるいはどうもよくわからない、これから究明されなければいけないというケースもあるようです。  こういう一定の個別の商品、いろいろなもの個別に、SGマーク含めて、救済手段というものは少しずつつくられているんですけれども、どれにも該当するという救済手段ですね。どういう商品にも当てはまるという救済手段というものは現在ございません。こういう問題については、国際的にはやはり消費者保護という面からさまざまな取り組みとかあるいは手段が講じられるようになってきております。  例えて言いますと、アメリカなどでは、一九六二年にケネディ教書に基づいて、これはまあ消費者権利宣言みたいな内容になるんだろうと思いますけれども消費者は安全であることの権利、知らされるべき権利、選択できる権利、意思が反映される権利を持つことを明確にうたいまして、これらの権利実現のために政府立法的行政的行動が求められるんだということをきちっとうたい、ここからいわゆるPL法製造物責任法ですね、これの制定というものが実現をされてきたという経過がございます。この法律によりまして、製品に何らかの欠陥があって、その欠陥によって損害をこうむったときは製造者とか売り主は過失の有無にかかわらず賠償責任を負うと、こういう法制度がこれまで定着をしてきたという経過がございます。  それから、ECも一九八五年にEC指令を出しまして、やはりこれも無過失責任中心としました製造物責任法の統一的な国内立法を各諸国に命じているということで、これに基づいてEC諸国でも相当数国内立法が施行されるに至っているわけでございます。  こういうふうに、やはりこういう複雑な商品社会ということを背景に、それから製造者商品を使用する側というのは一般の契約と違って互換性がございません。片方が製造して片方素人であるという関係商品というものが流通をしておりますので、やっぱりこういう立場などを踏まえて考えますと、日本もこれから国際的なこういう動きと連動して消費者を保護するための施策というものが必要になってくるのではないだろうかなというふうな私は気がいたしております。いわゆる製造物責任法一般には言われますけれども、こういう制度の国際的な流れなどをかんがみるときに、日本でもこの法制度へ向けてそろそろ取り組みを始めなければいけない、あるいはもう制定に向けて準備をしなければいけないのではないかというふうに思いますけれども、こういう世界的な動きなどを含めてどんなふうにこの製造物責任法 について考えをお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
  12. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 今御指摘をいただきましたように、アメリカにおきましてもECにおきましてもこの製造物責任制度につきましては法体系もできておるわけでございます。私どもといたしましても、現在、製品安全協会の中に製造物責任制度調査研究委員会というものを設けておりまして、そこで今御指摘いただきましたような各国のいろいろの法体系についても調査をいたしております。  今御指摘のように、消費者がそういう事故に遭った場合にこれをどう救済をしていったらいいのか。特に従来は、先ほども私申し上げましたように、民法七百九条で対応していただいておりますけれども、特にこれは消費者の方で挙証責任をしなければいけないということになりますと、なかなか消費者では挙証責任ができないのじゃないかという御指摘もあるわけでございまして、一体その辺のところをどうこれから対応していったらいいのか。特にそういうアメリカEC法体系もございますし、それらを参考にしながら、要はしかしいろいろ今御指摘いただきましたようなものに対する消費者の取り扱いの不注意で事故が起きているということもあるわけでございまして、そういうものまで製造者責任を持たなければいけないのかどうかというような議論もあるわけでございます。その辺をどういう形でこれからまとめていくかということで、今までも研究委員会で御勉強いただいておりますけれども、私ども役所といたしましても、これから一体こういう問題をどう取り扱っていったらいいかということを真剣に取り組んでいきたいと考えておるわけでございます。
  13. 千葉景子

    千葉景子君 ぜひ真剣にお取り組みいただきたいと思うんです。一部の報道等によりますと、もう次期国会あたりにはこういう法律が出されるのではないかというような報道などもありまして、これは大変結構なことだというふうに思ったんですけれども、どうも今のお話ですと、今研究に取りかかっているというようなお話のようでございます。  ただし、このように世界的にももう既に運用され、大きな実績を上げているという報告もございますし、それから日本でも、例えば私法学会などがこの製造物責任に基本的な提言というのでしょうか、取りまとめた報告ども出されております。あるいは弁護士によるさまざまな問題指摘もございますし、公明党さんでしょうか、こういうものに対する試案なども既に出されているというようなことも聞いているところでございます。そういういろいろなことを総合してみますと、早急に研究も進めていただいて、やはり早くこういうものが救済できる場をつくっていただきたいというふうに思います。  ただし、いろいろなこれは問題点を含んでいるだろうというふうに思いますけれども、基本的にはやはりあくまでも消費者の立場を尊重してつくられるべきものであるし、それからこれまでの歴史とか、あるいはこれまでの救済の図られ方、それからさまざまな提言とか指摘を見ておりましても、これは少なくともやはり消費者の保護ということを基本にして、それから立証の困難性を救済する、そこにきちっとした基本を置いていただく、あるいは欠陥、まあ欠陥といいましてもなかなか難しいですけれども、どういうときに欠陥と言えるのかどうか、そういうことについてもやはり一定の推定規定を置くとか、あるいは因果関係ですね、これもなかなか難しいところです、普通裁判などで立証しますと。この原因でこの結果が当然起こったんだと、こういうあたりもやはり消費者にとっては、普通に使っていれば別に何も起こらなかったということぐらいしかわかりませんので、そういうところもきちっと盛り込んでいただく。こういうことなどを中心にしてやはり立法作業を進めていただきたい。私たちも当然取り組んでいきたいというふうに思っておりますけれども、こういう基本的な問題点をぜひ押さえておいていただきたいというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  14. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 先ほどもお答えをいたしましたように、今御指摘のようないろいろの事故が万が一起きたときに消費者をいかに救済していくかということは非常に重要な問題であると私は認識をいたしております。  ただ、今逆にまた御指摘をいただきましたように、なかなか難しい、因果関係一つ取り上げてもなかなか難しいし、それからもう一つ、もし製造物責任法というようなものを万が一考えた場合に、やっぱり保険制度というようなものも私は考えていかなければいけないのじゃないだろうかということも考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、安全協会の方においては委員会を設けていろいろと御検討をいただいてまいりましたけれども、いろいろと私どももこれは真剣にやっぱり役所自身で取り組んでいかなければならないという考え方は正直持っておるわけでございまして、そのような方向でこれから取り組んでまいりたいと思っております。  それと同時に、やはり製造者皆さんにもそういう事故が起きないような、できるだけ安全対策考えながら製品をつくっていただくということも大変大切だと思いますので、そのような指導も私どもはいたしてまいりたいと考えるわけでございます。
  15. 千葉景子

    千葉景子君 終わります。
  16. 喜岡淳

    喜岡淳君 科学技術庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  株式会社テイカの岡山工場からの廃棄物の中に放射線が含まれておったのがわかりました。これはことしの夏のことであります。科学技術庁の方で全国十の府県に対して調べたところ、同じような事実が確認されております。  私は香川県の出身ですけれども、香川県でも、八月に県がちゃんと認可した産業廃棄物の最終処理場三カ所を調べたところ、産廃として捨てた泥の中から放射線が検出されたわけです。捨てられておったところは香川県の三カ所で、合計十万トンと言われております。私ども香川県には放射能を扱うような原子力発電所もありませんし、放射線が出てくるような工場も一切ないわけですから、まさかこんなことになるとは夢にも思っていなかったわけですけれども、十年間にわたって十万トン分のチタンを含んだ泥が、産業廃棄物として尼崎の方から捨てられに来ておったわけであります。  そこで、県民も大変驚きまして、特に放射線を含んだものが、雨が降れば雨水の中に放射線が流されていくし、飲料水への影響とか、ひどいのはこの泥を使って、放射性廃棄物を含んだ泥で谷を埋め立てして、そこの上に土を覆いかぶせて、その上に稲をつくっておったわけですね。その米も既に収穫されて市場に出ておりますから、その米に対する影響とか、あるいは人体に対する影響とか、県民の中で大変な問題が発生しておるところであります。  そこで県議会でも大変な議論になって、香川県の方から科学技術庁に対して、チタンを含んだ汚泥の核種分析というものが依頼されておると思いますが、これはいつごろ分析結果が出るんでしょうか。科学技術庁長官、お願いいたします。
  17. 長田英機

    説明員(長田英機君) 先生今御指摘の分析結果でございますけれども、汚泥の分析を分析センターが県から依頼を受けておりまして、現在分析中でございます。まだ結果が出ておりませんが、近く出るというふうに聞いております。
  18. 喜岡淳

    喜岡淳君 長官、お願いをいたしておきますけれども、当初の予定は十月末ごろということであったんですよ。もう十一月も半ばを迎えつつありまして、このままずるずるいきますと、早くても一カ月後にできるかどうかまだわからないと思うんですよ。十一月の末にできるかどうかも今の答弁ではわかりません。大臣、県の方も皆さん心配しておりますから、十月末ごろとお約束されたものについてはひとつできるだけ早く出していただ きたいと思うんですが、そのあたりどうでしょうか。
  19. 大島友治

    国務大臣(大島友治君) 委員指摘の問題につきましては、大変いろいろと御心配かけて御迷惑とは思っておりますけれども、私が今聞いておる範囲内ですと、やはりああいう問題につきましては綿密な調査そのものが必要ということが前提に立ちますので、できるだけ早くということで詰めておりますけれども、今のところではもうちょっと、一カ月ぐらいはどうかなというような報告を受けているわけなんですが、一応その程度でひとつ御了承いただければと思います。
  20. 喜岡淳

    喜岡淳君 県民感情も非常に混乱しておりますので、また県の方としても対応方針を出しようがありませんから、十月末ごろというお約束でありましたから、あと一カ月ということでひとつ確認してよろしいですか。間違いなく、よろしいですか。
  21. 大島友治

    国務大臣(大島友治君) そのように御確認いただいて結構でございます。
  22. 喜岡淳

    喜岡淳君 それではひとつよろしくお願いいたします。  それでは、資料を配っていただきたいと思います。    〔資料配付〕
  23. 喜岡淳

    喜岡淳君 今のチタンの問題を受けて、科学技術庁中心にして厚生省通産省、労働省、この四省庁が「チタン鉱石問題に関する基本的対応方針」というものを出されております。九月七日付で出ておる文書でありますが、この文書をもとにして全国の自治体や企業に対して、これからチタンを含んだ鉱石については次のような対応をいたしますよという指導文書を出されたものだと理解いたしております。ただ、この文書を受け取った自治体あるいは企業の方では、どうもこの指導文書では具体性に欠けておるのではないかというような疑問の声も出ておるわけであります。そこで私は、この指導文書の内容について幾つかの疑問点がありますので、質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、この基本的対応方針は当面の対応措置と最終的な対応措置と二つに分かれておると思います。「当面の措置」の(1)の②のところであります。「従業員の作業環境は、電離放射線障害防止規則に定める基準以下であることを確認すること。」、要するに放射線の濃度の問題だろうというふうに思うんですが、この防止規則というのは、いわゆる病院のレントゲン技師さんとかあるいは原子力発電所なんかで働くプロの人たちといいますか、放射線を浴びるような職場で働く人たち、この人たちの職場環境は五十ミリシーベルトというのがこの法律で限度が決まっておりますね。したがって、このチタンを扱う工場あるいはこのチタンの汚泥を処分する処理場、ここでも五十ミリシーベルト以下にせよということだろうと理解をしておるんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  24. 下田智久

    説明員(下田智久君) 労働省におきましては、放射線業務に従事する労働者の健康を守るということで、労働安全衛生法に基づきます電離放射線障害防止規則というものを定めております。その中で作業環境条件というものを、この規則が適用される条件というものを書いておりますが、その条件といたしましては、放射性物質の濃度あるいは数量が一定以上であるという作業場に限ってこの電離規則を適用するということになっております。
  25. 喜岡淳

    喜岡淳君 そういうことでいきますと、いわゆるレントゲンの技師さんとか原子力発電所などで働く人たちは五十ミリシーベルトというところがあるだろうと思うんです。  そこで、今問題になっておるのはその辺の工場とか我々のすぐ身近の処分場から放射線を含んだものが出てきたわけですから、そこで働いておる人がこの五十ミリシーベルト以下であるかどうか、どうすればわかるんでしょうか。「確認すること。」というけれども、働いておる人が、自分の働いている職場が本当に五十ミリシーベルト以下で大丈夫かどうなのか、確認せいといったってどういう方法があるんでしょうか。  だから、例えば確認せよというのであれば、働く人たちについては必ず胸のポケットのところにどれぐらいの被曝を、放射線を浴びておるのか、それがわかるような被曝線量計というんですか、レントゲン技師さんなんかがつけていますよね、胸のところに。何かチェックできるようなものをつけています。だから、そこで働く人たちにだって何かつけると。そういう具体的な指導が必要じゃないでしょうか。どうでしょうか、そのあたりは。
  26. 下田智久

    説明員(下田智久君) 今回のチタン鉱石問題につきましては、その鉱石並びに残滓物、そういったものの放射線レベルを計測いたしましたところ、電離放射線障害防止規則が適用されるレベルよりかなり低いということでございまして、濃度的には問題ないというふうに考えております。
  27. 喜岡淳

    喜岡淳君 調べた結果、濃度的に低いから問題ないのだと、こういう御答弁だろうと思うんですが、そこに働いておる人は毎日毎日そこで働いていますけれども、不安なんですよ。だから逆に言えば、問題ないんだったらないと、明らかにそれがわかるように、ちゃんと胸に被曝の量を調べられる線量計をつけるように指導するのが私は本来のあり方だろうと思うんです。  原子力あるいは放射線に係る行政の最大の問題は、後から心配ない心配ないと言うだけなんですよ。本当にそれを納得させるような行為がないところに国民の不信感が広がっておるわけですから、必ずここにつけなさいと。原子力発電所で働いておる人だって胸につけておるじゃないですか、わかるように。つけてみて、ああ大丈夫だな、安心できるんだなと。こういう方が私は大事じゃないかというふうに思いますので、ぜひ従業員の人たち皆さんに被曝の量がわかるような被曝線量計をつけさせるような、そういう具体的な指導をしていただきたいと思います。  それからもう一つですが、この作業環境の中でいわゆるラドンガスの問題です。発がん性の高いと言われておるこのラドンガスというものは一体どういうふうにチェックするような指導をされておるのでしょうか。
  28. 長田英機

    説明員(長田英機君) ラドンガスの問題につきましては、現在ICRPにおきましてもその防護につきましていろいろな検討がなされております。すなわち、国際的にもいろいろな検討がなされております。また、当庁でもその測定方法あるいは現状とか、そういうものについて調査研究を進めているところでございます。  そのような段階にあるわけでございまして、この基本的対処方針の中で、特にラドンについてどうしろこうしろということは述べていないわけでございます。
  29. 喜岡淳

    喜岡淳君 それではお尋ねしますけれども、そもそも作業場で働いておる人たち、チタンを扱う工場あるいはチタンから出た汚泥を処分する処理場で働く人たち、つまり、こういう放射線の中で働いておりながらもこの人たちは一般人として扱うのか、それともレントゲン技師や原子力発電所で働くような人たちと同じような、プロと言ったら言葉は悪いでしょうけれども、そういう人たちのように扱うのか、そのあたりの区別はどうですか。
  30. 下田智久

    説明員(下田智久君) ただいま先生御質問の点につきましては、工場で働いておる場合に一定レベル以上の放射線がある業務につきましては、先ほど申しました電離放射線障害防止規則が適用ということになります。  ただ、今回のチタン鉱石の場合は、その放射線レベルは、私ども労働省が適用しております規則以下のレベルであるということで適用除外になるということでございます。したがいまして、先生御指摘の放射線を測定するフィルムバッジ等は管理区域に適用されませんので、規則上は使用する必要はないということになるわけでございます。
  31. 喜岡淳

    喜岡淳君 それはもう大体おかしいですよ。自分だっておかしいのは答弁されながらわかるでし ょう。結果的に五十ミリシーベルト以上になったかどうかというんじゃなくて、知らずにそこに働いておって五十ミリ超えた場合だってあるでしょう。いや、あるというかあり得るでしょう、そういう場合だって。そもそも私たち香川県の人間は、香川県内なんかにはチタンを扱う工場は一切ないんですから、今度のこんな放射線を含むものがあるなどとは思っていなかったですよ。だから処理場の人たちは皆知らずに働いていたんですよ。たまたま調べてみたら放射線が含まれておった。おたくの言うようなのは結果の話ですよ。だから結果的に今回の場合は五十ミリシーベルト以下だったからつけなくていいんだ、そうじゃなくて、私がずっと言っていることは、最初からつけておきなさい。つけておったら危険なときにはやめればいいしね。今の答弁でしたら、今回はもう五十ミリシーベルト以下だからいいというのは、それは結果論でしょう。私はそれはちょっとおかしいと思うんですよ。  だからこういう場合、これからはどこで何が出てくるかわからない、どこに何が捨ててあるかわからないということを前提にして、少なくとも放射性廃棄物が扱われる可能性のあるところではすべて胸にバッジをつけさせて、そして事後対処しなくてもいいようにあらかじめ予防していく。そういう前向きの積極的な方針で臨んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから次でありますが、この(2)、放射線を含んだものについてこれからどういうふうに管理をしていくのか、管理方法指導文書として書かれております。(2)の⑤、ここにこう書いております。「処分場における廃棄物は、今後検討される最終的措置に対応できる状態に保つこと。また、今後廃棄物を産業廃棄物の処理施設に持ち込む場合についても、最終的措置に対応できるよう他の廃棄物との分別を徹底し、当該廃棄物の監視状況を記録、保存すること。」、こういうふうに管理の方法について指導されております。  さて、この管理の問題で疑問に思うんですが、これまで政府の答弁あるいは科技庁のお答えを聞いておりますと、心配ない、安全だ、自然界にある放射線とほとんど変わらないから安全なんだということを強調されておりましたけれども、安全ならばわざわざ分別して処理する必要もないでしょうし、いつ捨てたのか、何トン、何キロ捨てたのか、どこへ捨てておくのか、存在場所などをわざわざ記録、保存する、こんな必要はないと思うんです。そのあたりを私は矛盾に思うんですけれども、どうでしょうか。
  32. 長田英機

    説明員(長田英機君) この搬出の件でございますが、私たちの立てました方針の考え方では、搬出しない場合ももちろん安全のための措置を講ずる、搬出して外に出した場合も安全のための措置を講ずる。基本的にはどちらでも安全だというふうにしなければいけないと考えているのでございますけれども、最終的にその廃棄物をどこへ持っていくかという問題といいますのは、最終的な検討の結果にかかわるところでございますので、地元の関係者の方の判断によりまして運び出した場合には、その後どのようにでも取り扱いができるように分別し、またその範囲を明確に記録しておいてほしい、こういうことでございます。
  33. 喜岡淳

    喜岡淳君 その分別の問題なんですが、私はこの方法はだめだと思うんです。なぜかといいますと、具体的に香川県の場合を考えてみましょう。今回香川県でチタンの問題が明らかになった。チタンはどこの県でも、香川県以外の九つの府県の場合は地元にチタンの工場があってそこから出たものが原因だったわけですね。香川県の場合は工場すらないのに出てきた。それは兵庫県尼崎市にあります大阪チタニウム製造、ここから出てきたチタンですね。これをわざわざ香川県の方まで捨てに来ておったわけですよ。  十年間で十万トンといったら莫大な量ですね。県外からの持ち込みなんです。放射性廃棄物を県外から香川県へ捨てに来ておるわけですよ。それも、過疎地を見つけては金になるからと言ってお年寄りをごまかして。お年寄りの方も不思議に思いますよ、余り値段がよ過ぎるから。だまくらかしてだまくらかして捨てに来ておるわけですよ。そういうことをやめてほしいというのが香川県の態度ですし、県議会でも議論になりました。そして県議会は、九月県議会で議論した結果、この大阪チタニウムからの搬入を直ちに禁止したんですよ、捨てに来てはならないと。  だから、私たちはもう捨てに来ないのかなと思っておったら、科学技術庁、九月七日付の四省庁のこの文書は何ですか。これは逆に言えば分別さえしておけば捨てに来たっていいということでしょう。業者からすれば、分別さえしておったら捨ててもいいじゃないかということになっておるわけです。だから、私はこの方針では不十分だろうと思います。逆に県外へ捨てに行く口実を与えられたというのが業者の見方でありましょうし、私たちも非常に残念に思う点ですが、その点どうでしょうか。
  34. 長田英機

    説明員(長田英機君) この条項の趣旨は今私が申し上げたとおりでございますが、その後の状況を見てみますと、搬出されているところもございますし、それから搬出されていない、今先生がおっしゃいました大阪チタニウムの場合には搬出されていないわけでございますけれども、そういう状況は区々でございます。したがいまして、その辺は地元の関係の方の判断によりまして、搬出される場合も搬出されない場合もあるというのが現状でございます。  ただし、搬出する場合には、最終的な措置にうまく対応できるように分別し――これから搬出するものでございます、今までのものじゃございませんが、これから搬出するものについてはそういうことで分別して、ちゃんと後の最終措置ができるように管理しておいてほしい、こういう趣旨でございます。
  35. 喜岡淳

    喜岡淳君 こういうふうに、分別さえしておけば捨てたっていいじゃないか、捨てに来てもいいじゃないかという余地を残さないように、しっかりとした指導をしていただきたいというように思います。  それから、(2)の⑦のところ、「従業員の健康管理について適切な措置を講ずること。」、この件で労働省にお尋ねいたします。  まず、健康管理について適切な措置をとらなければならない、なければならないというよりも適切な措置を講ずることですね。ということは、具体的にどういう危険性ということを考えておられるのでしょうか。何か危険性があるということで適切な措置を講ずるのでしょうか。
  36. 下田智久

    説明員(下田智久君) 放射線業務に従事する労働者につきましては、電離放射線によります健康障害というものが想定されるわけでございます。その健康障害と申しますのは、一般的には白血病でありますとか白内障でありますとか皮膚障害といったものが早期に出てくるというふうに言われております。したがいまして、こういった障害が生じないように、あるいは生じた場合には早期に発見いたしまして適切な措置を講ずるというのが電離放射線障害防止規則に定められておるところでございます。
  37. 喜岡淳

    喜岡淳君 白血病とか白内障とか、非常に恐ろしい言葉が出てきたわけですが、そういうふうにならないように適切な措置をとられるわけだと思いますが、具体的にどういう措置を指示、指導されておるのでしょうか。考えられておりますか。
  38. 下田智久

    説明員(下田智久君) ただいま申し上げましたような障害が起きないような措置をするということでございますが、まず第一に、放射線業務に常時従事する労働者につきまして、また管理区域で働いておるという人たちを対象といたしまして、血液検査、目の検査、皮膚の検査といった項目につきまして医師による健康診断を行わなければならないというふうに定めておるところでございます。
  39. 喜岡淳

    喜岡淳君 それはどういう程度でやりますか。例えば毎年やるのか、あるいは毎月やるのか。費用の負担とか、そのあたりはどうなっていますか。
  40. 下田智久

    説明員(下田智久君) 年二回行うことといたしておりまして、その費用負担につきましては事業者負担ということで実施いたしております。
  41. 喜岡淳

    喜岡淳君 それから、これは最終的な措置についてですから科学技術庁にお尋ねしたいと思います。  長官、大事なところなんですが、この指導文書の最後を読みますと、最終的に放射線を含んだ産業廃棄物への対応措置はまだ決まっていないんですね。これは一体いつごろ最終方針というものが確立されるんでしょうか。各都道府県も待っておると思うんです。
  42. 大島友治

    国務大臣(大島友治君) いろいろ御審議いただいておる重要問題でございますが、最終的な措置を検討する際には、より詳細な調査を実施いたしまして、そして総合的な観点から十分な検討を行う必要があるというふうに私ども承知しておるわけでございます。  具体的に申しますというと、まず、関係省庁と先ほど来御検討いただいているような協力をいたしまして、そして工場それから処分の場あるいは周辺の地形、水利等の自然的条件、あるいはまた工場、処分場における放射性物質の正確な分布、化学的性質、さらにまた鉱石の選鉱の状況、こういう諸問題につきまして多様な調査を実施しなければならないという考えのもとにスタートを切って、今やっておるわけでございます。  今御質問のように、それなら一体いつ結論を出すのかということが大事なことだろうと思うのでございますが、現在これらの調査を含めて最終的な措置の検討に総力を挙げて取り組んでいるところではございます。最終的な結論につきましては、調査、検討を待たなければならないということも多いので一概には言えないが、それぞれその段階における調査そのものの内容につきましてこれを検討し、できるだけ早い機会に結論を出したいということで努力はいたしております。しからば三月後だ、半年後だということを今ちょっと言いかねる点がございますので、若干御不満かとは思いますが、もうしばらく時間がかかるのじゃなかろうか。まあ二度と再び繰り返すことのないように専門的に十分に検査をし、調査し、そして検討会で措置をとっていきたい、こういうふうに考えておるのでございますが、それでひとつ御了承いただければと思います。
  43. 喜岡淳

    喜岡淳君 科学技術庁の場合は伝統的に、「むつ」問題などを見ておりましても、もう間違いないもう間違いないと言ってずるずる十年、二十年延びていくのがこれまでの伝統になっておりますから、いつごろできるのかということについては、めどというものをひとつはっきりと出していただかないことには、都道府県だって企業だってこれを待っておるんですよ。ですから、大体いつごろという、本当のアバウトでいつごろというのはわからないでしょうか。
  44. 大島友治

    国務大臣(大島友治君) ただいま申し上げましたように、伝統として、いつもあえてこういうことを申し上げておるわけじゃございませんけれども、私もずっと長くやっておればもう少し結論をぱちっと出してもいいんじゃないか、こう考えておりますが、前任者の考えもありますし、国の立場もございます。私はできるだけ御質問に答えられるように日常努めて実施させておりますので、そこでいつかということになりますと、恐縮なのでございますが、一年以内ぐらいになるんじゃなかろうか、私はこんなふうに考えております。  できるだけ詰めて結論を出してまいりたいと考えておりますので、ひとつ御了承をいただければ幸いだと思います。
  45. 喜岡淳

    喜岡淳君 ひとつ早期に指導方針を確立していただけますように、強く要望しておきます。  時間の関係で残りの分は午後に回して、午後あわせて原子力船「むつ」の具体的な廃船、解体のプログラムについてお尋ねをいたします。  最後になりましたが、産業廃棄物処理法、この法律改正が今度の通常国会にでも出されるのではないかということを聞いておりますが、通常国会に出るということで理解してよろしいでしょうか。
  46. 長田英機

    説明員(長田英機君) 私ども科技庁では産業廃棄物処理法を実は所管しておりませんので、まことに恐縮でございますけれども、私どもではわかりかねる問題でございます。
  47. 喜岡淳

    喜岡淳君 それは厚生省ということでしょうけれども、これは明らかに科学技術庁責任というか、音頭をとって放射性廃棄物の問題をやられておるわけですから、そのために科学技術庁厚生省通産省、労働省と、この四省庁が連名で出ておるわけですから、もう連絡が行っておると思うんです。そういう通常国会ということで聞いてよろしいですか。大臣、そういうことでいいですか。
  48. 長田英機

    説明員(長田英機君) 今申し上げましたように、その点につきましては私ども検討しておるわけではございませんので、何とも申し上げられません。
  49. 大島友治

    国務大臣(大島友治君) この問題につきましては、これは最終的な措置を検討する際にはより詳細な調査を実施しなければいかぬことだし、その結果に基づきまして総合的な観点から十分な検討を加えてこれをどうするかということを考えているわけでございますが、現在のところは、ではすぐに法改正までする必要があるかどうかということについて若干まだ検討不十分なところもございますので、その調査結果を踏まえて今後法改正の必要の可否を出してまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
  50. 喜岡淳

    喜岡淳君 それでは最後になりましたけれども、時間が過ぎておりますので要望だけ言っておきます。  我々社会党としては、既に申し入れをしたとおり、放射性廃棄物については堅固な建物をつくってその建造物の中でしっかりと保管管理をするように申し入れておりますので、こういう方向での検討もひとつよろしくお願いをして、終わりたいと思います。
  51. 会田長栄

    ○会田長栄君 会田でございます。よろしくお願い申し上げます。  まず第一には、日米協調の名のもとで次々と農産物の市場開放が行われているということは現実でございます。開放の度合いもアメリカEC以上であることは今日関係者周知の事実でございます。我が国において衆議院、参議院における国会決議も三たび行われていることも事実であります。これは通産大臣初め通産省関係局長も御承知のことと思います。とりわけ食糧自給力強化に関する決議ということで昭和五十五年、同時に、米の市場開放はしないということで六十三年に衆参というようにございます。もちろん政府も米の市場開放問題については大変苦労しながら今日努力されているものと思っていますし、山本農水大臣もこの国会決議を踏まえて日本の農業を守る、あるいは環境を守る、こういうことで一生懸命頑張っていることも承知しております。  そこで、通産大臣にお伺いをいたします。  十月九日、ワシントンでアメリカのベーカー国務長官と会談したことがその内容を含めて報道されております。したがって、この報道内容の中身について大臣みずからその見解をお聞きしたいというのが第一でございます。
  52. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) ベーカー長官との会談におきまして、何も米だけではございませんウルグアイ・ラウンド全体につきまして、何としてでもこれは今後世界の自由貿易体制を堅持するためにもぜひ成功させなきゃいけない、そのためにはお互い各国がいわゆる政治的な柔軟性を思い切って発揮をしなきゃいけない、そしてまとめる努力をしなきゃいけない、こういうことにおいては合意をいたしました。  ただ、ほんの一部の報道で、私があたかも米の譲歩をしたかのような発言があったというようなことにつきましては、全くそのようなことはございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  53. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは一つだけ、これは念のために確かめておきたいと、こう思いますが、十一 月十一日の夜、外務省から農水省にファクシミリで極秘メモが入った、これは事実でございますか。
  54. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 私は日本にいなかったのでございますが、そのようなものはないと私は承知をいたしております。
  55. 会田長栄

    ○会田長栄君 実は、その後このメモをめぐりまして、通産省と外務省と農水省との間に大変厳しい意見の対立があったものと聞いております。幹部の会合でといいますから審議官あるいは関連局長の間でと、こういうことでございましょう。通産省の幹部も、大筋はこの極秘メモのとおりでございますと、こう裏づけたと聞きますが、これも全くの虚報であるということでございますか。
  56. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) 当時、一部の新聞報道をめぐり、これがどのような事実関係であったかというようなことにつきまして情報の交換をいたしたことはありますけれども、おっしゃられますような極秘メモの存在、あるいはそれにつきまして私ども担当の幹部が確認をしたというような事実は承知しておりません。
  57. 会田長栄

    ○会田長栄君 承知していない。承知していないとするなら、あえて言いにくいことでありますがお聞きいたします。  海部内閣総理大臣からなぜ注意を受けるんですか。そうしたらこれは総理大臣のやり過ぎじゃないですか。私は、それは通産大臣も内閣の一員でありますから閣内における意思統一というのは非常に大事だろうとは思いますが、こういう事実がないのに、さもあったかのごとくとらえて総理大臣が通産行政の大責任者である通産大臣に総理官邸に来ていただいて、言葉をかえれば呼びつけて、注意を与えるというのは、では、どういう中身なのでございますか。率直にひとつ聞かせてください。
  58. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) これは先ほどもお話しを申し上げましたように、ウルグアイ・ラウンド全体について政治的な柔軟性をお互いに発揮しなきゃいけないということをお話ししたということを今お答えいたしました。当然その中には農業も入るわけでございまして、そういう意味でこれからそういうような誤解を、結局農業について柔軟性と言うと、何か米譲歩と、こう受け取られてしまうものでございますから、それはないのですけれども、そういう誤解を生むようなことのないように、農業問題というのはウルグアイ・ラウンドの交渉の終結に向けて国民の関心も非常に高まっているので、ぜひひとつこれからそういう農業問題について発言をするときは関係の省庁ともよく連絡をとり合ってやってもらいたい、こういう注意があったわけでございます。
  59. 会田長栄

    ○会田長栄君 私から言わせれば注意ではないですな。しかし、これはアメリカの国務省も通産大臣の発言、会談内容日本に伝えられるや最終的に否定したようでありますから、私もそのとおりだとここでは認めますが、この一連の経過を見ますと、私はやっぱり誤解を生むおそれ十二分にあると、こう思っております。  ただ、十二月のウルグアイ・ラウンド、多角的貿易交渉に当たっていろいろ言われておりますけれども、いわゆる海部内閣総理大臣そのものが、国会の三度の決議に基づいて内閣が日本の米の市場開放問題については決議同様、これは断固たる態度で臨むべきであるという決議に基づいてやると、こう言ってくれれば、農業を営んでいる人、消費者を含めて何ら心配することはないわけでありますけれども、なかなか総理大臣みずからが国会決議に基づいての米の市場開放問題については断固たる態度で臨むということを明確におっしゃらないものだから、たまたま心配の種がふえているという状況に実はあるのでございます。  そこで、海部内閣の一員といたしまして、この国会における三度の決議について今後どのように通産大臣が農産物の市場開放、とりわけ日本の米の市場開放問題について臨んでいくのかという決意のほどをぜひ聞かせていただきたい、こう思います。
  60. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) もう御承知のとおり、この間の臨時国会の総理の所信表明の中にも、米につきましては国会決議の趣旨などを踏まえまして国内産で自給するという基本的な方針で対処していくということが総理から述べられておるわけでございまして、私もその一員といたしましてこの方針で対処してまいる、こういう所存でございます。
  61. 会田長栄

    ○会田長栄君 日米構造協議などの問題もあり、日米間における懸案事項というのはまことに日本の政治にとっても重要でございます。しかし、何としてもこの農産物、とりわけ米の市場開放問題というのは今やECアメリカ日本というように厳しい状況下に置かれていることは事実でございますが、今決意のほどを述べられたように今後通産大臣としても対応してほしいと望んでおきます。  第二の問題は、政府平成二年十月三十日の閣議で石油代替エネルギーの供給目標を決定されたと聞きます。したがって昭和六十二年十月十六日の決定は廃止をする。  この代替エネルギーの種類からすると、原子力、石炭、天然ガス、水力、地熱、その他石油代替エネルギーというようになっていまして、実は私ここで一度確かめたいのは、前回の計画の中身を分析して今回の閣議で決定された目標数値を見ますと、このエネルギーの依存度というものが石油から原子力に相当重きを置くというように移っているわけでございますが、そのとおりで差し支えございませんか。
  62. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 移っているといいますか、私ども現在も中東湾岸情勢がこういうことで非常に石油については心配をいたしておるわけでございます。また一方においては、最近地球温暖化というものが大変大きな問題として取り上げられてまいりまして、その中でもCO2の排出の問題がそれに非常に関連するのではないか、こう指摘がなされておるわけでございます。  そういう意味からいたしましても、今後は石炭、石油といったような化石燃料は極力抑えていくという方向でいかなければならない。これらを考えてまいりますと、どうしても非化石エネルギーというものをより開発をしていかなければならない。そうなってまいりますと、その一つである原子力発電というものも私どもは重要な方法である、こう考えておるわけでございまして、今後も安全対策に対しては十分意を用いながらも、原子力発電は相当のこれは増加をしていくという方向で私どものこの間のエネルギーの長期見通しは出されておるわけでございまして、かわりと申しますか、もうかわりの一つと考えてもいいのではないかと私は思っております。
  63. 会田長栄

    ○会田長栄君 これはエネルギー供給見通しということで、実は一九八九年、原子力はエネルギー全体を一〇〇%に見ますと八・九、それが二〇〇〇年度平成十二年度では一三・三%、それが二〇一〇年度平成二十二年度では一六・九%原子力エネルギーに依存するという方向性を閣議で決定されているということ。それはCO2の問題もあってなかなか難しい状況にあるんだろうと思いますが、これと関連をいたしまして、原子力エネルギーに依存を高めるというのであれば、これは何としても原子力の安全性というものを一二〇%政府自身が追求していかなければいけないという情勢にあるのではないか。  そこで、実は原子力発電所の事故が大事故にならないまでも小さい事故日本の国内でも相次いでいる。その後アメリカのスリーマイル島あるいはソ連のチェルノブイリの原発事故、これが起きまして、人類がこれから生きていく場合に大変な課題だというととになって、今国際的にも提起をされているところでございます。  御承知のとおり、事故が起きる、住民が不安を持つ、地方自治体もその対応に迫られる。住民は賛成、反対まことに熾烈な取り組みになる。エネルギー庁は事故調査をする。原子力安全委員会もエネルギー庁内に設置されている事故調査委員会の意見をもとにして、みずからも調査をして評価をする、そして再開する。これが繰り返されてい るわけでございます。しかし、一向にこの問題というのは、なかなか国民全体に安心感を与えるというまでにはなっていない。  この問題に関連をいたしまして私は二つの点、こういう国民で合意でぎない原子力発電というものの安全性を追求していくために事故をなくすということで一〇〇%体制が整わない。私は、そこで働いている人たちの心を思うとき、まことに悲痛なものを持っています。みずから働いているところでありますから、その不安を前面に押し出して訴えるわけにはいかない。これはエネルギー庁の事故調査委員会の意見あるいは原子力安全委員会の意見をもとにして、これで大丈夫だろう、こう思って働いているわけでありますから。  ここで私がお伺いしたいのは、航空事故調査委員会というものが多発する航空機事故を防止するために昭和四十八年十月十二日に航空事故調査委員会設置法という制度ができまして、四十九年一月十一日に常設機関として発足しているんですね。その理由は、原因究明について公正な判断が必要である、こういうわけでございます。  この公正な判断というところが最も重要でございまして、これは原子力発電所の事故についても私は当てはめて、いわゆる国民の不安の解消のためにも努力しなければいけないんじゃないか。政府が一方でそういう努力をしながら原子力依存度を高めるというのであれば納得する方もいるでしょう。しかし、今日、ソ連における原発事故があって以来、その信頼というのは崩れつつあります。非常に原子力発電というのは危険の度合いが高くなっている、こう主張されているわけであります。  そこで二つお尋ね申し上げます。  資源エネルギー庁内に事故調査特別委員会が省議設置として原子力発電技術顧問会内に置かれると聞きますが、そのとおりでございますか。
  64. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  先生御指摘の福島第二原子力発電所第三号機の損傷事故につきましては、通産省といたしまして原子力発電技術顧問会というのがございますが、その中に三号機の調査特別委員会というものを設置いたしまして、技術的観点からいろいろ御意見を伺って我々事故調査を進めてきたところでございます。
  65. 会田長栄

    ○会田長栄君 ところで、今回答のあった福島第二原発三号機事故調査特別委員会が設置されて原子力安全委員会に意見を出しました。原子力安全委員会はみずからも調査をし、評価を加えて今日運転再開されたという現実になっております。  ただここで問題なのは、エネルギー庁内にある事故調査特別委員会では設計欠陥説を主張した委員がいる。どうも福島原発第三号機の事故は設計欠陥ではないのか。したがって、これはつくり直さなければいけないんじゃないかというのに、その意見はエネルギー庁内にある事故調査特別委員会は取り上げずに意見として出したと報告されておりますが、これは事実でございますか。
  66. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  福島第二原子力発電所第三号機の調査特別委員会におきましていろいろ御審議をいただいたわけでございます。その過程でいろいろな議論はもちろんあったわけでございますが、最終的には、調査特別委員会としてこういう結論であるというふうにまとめていただき、我々はそれを踏まえて原因対策、それから健全性の評価というものをしてきたわけでございます。
  67. 会田長栄

    ○会田長栄君 簡単なことをお聞きしますが、このエネ庁にある事故調査特別委員会の意見をまとめる際というのは、これは最終的に多数決でございますか。
  68. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  本件をいろいろ調査いたします場合にいろいろ御意見があることはあるわけでございますが、最終的にはそういう方向でおまとめいただいたということで、多数決とかそういうことでございませんで、技術的なことでございますので、皆さんの合意の上でこういうような結論をいただいたというふうに我々は理解しております。
  69. 会田長栄

    ○会田長栄君 次にお聞きします。  原子力安全委員会は、この問題に設計上欠陥があるということを認めた評価をしていますね。それは事実でございますか。
  70. 村上健一

    説明員(村上健一君) ただいまの点につきましては、原子力安全委員会といたしましては、法定の原子炉安全専門審査会というところに通産省の検討委員会がまとめました資料を主といたしまして審議をゆだねたわけでございますけれども、その検討結果については既に公表されておりますが、いわゆる設計欠陥であったというような調査報告の検討結果の内容にはなっておりません。
  71. 会田長栄

    ○会田長栄君 それではここで、平成二年十月六日付で、  福島第二原発事故 設計ミス認めた安全委 エネ庁よりは踏み込む という読売新聞の記事があります。その一節を御紹介しますと、  エネ庁の諮問機関の事故調査特別委員会の中にも複数の委員が、「ポンプの回転による振動とリングの共振の影響を考慮せず、共振に耐えられる全面接着式でなく、耐久性の低い部分接着式溶接工法を 云々ということで、設計欠陥説を主張する委員がいました。そして結果的に  エネ庁の最終報告書に、「設計欠陥を認めたくないのだろうか」 と、こういう報道がされております。そして、   安全委の判断は、この問題に決着をつけた。   安全委は、部分接着式では「溶接不足がなかったとしても、共振(による金属疲労発生力)を考慮すると、溶接部の(耐久)応力は、疲労限度に対し余裕が少なかった」とし、「現設計及び施工は、構造健全性維持の見地からの配慮が必ずしも十分でなかった」 こういうふうに出ているわけでございます。  そこで、最後にお尋ねいたしますが、航空事故調査委員会というものが設置をされる以前に航空機事故というものが多発していた。したがって、航空事故調査委員会設置法、これに基づきまして、今公正な事故防止のための委員会というものを常設機関として運輸省は持っているところでございますが、通産省といたしまして、あるいはエネ庁といたしまして、原子力の安全性、事故防止のための一二〇%安全性を追求していく体制をとるための検討というようなことで内部的に今検討されているかどうかお伺いいたします。
  72. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、原子力発電所の故障、トラブルの際には、通産省として原子力発電技術顧問会の御意見を聞きながら徹底した原因究明、再発防止対策というものをやってきているところでございます。それから原子力安全委員会にも御説明申し上げ、その意見も踏まえて所要の措置を講じてきているということでございまして、故障、トラブルの発生した場合には、客観的な調査、検討がなされているというふうに我々考えております。  そういうことで、今後とも通産省といたしましては原子力発電技術顧問会等専門家の御意見を踏まえつつ、原子力発電所の安全確保に万全を期していきたいと考えております。
  73. 会田長栄

    ○会田長栄君 最後でありますけれども、航空事故調査委員会を設置するときにも、専門家の調査を経て事故防止に全力を挙げますと再三繰り返してきても、航空機の事故が多発する、こういう経緯をたどっているんです。  だから、皆さんがこれから石油代替エネルギーとして原子力に依存するという考え方が政府の中で決められているとすれば、この片方で国民に対して、とりわけ原子力発電基地を抱えている地方自治体に対して安全性一二〇%の体制を、通産省として、エネ庁として対策を立てる必要があるというようにおっしゃってくれるなら安心いたしますが、もしもそのようなことをおっしゃっていて大事故につながったとき、どうしますか。そのことを最後に申し上げながら、ひとつ見解を聞いて私の質問は前段終わらせていただきます。
  74. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 先ほど審議官からもお答えしましたように、原子力の安全性の確保につきましては、これはもう専門家の英知を結集して行っているわけでございますけれども、先生御指摘の航空事故調査委員会に相当するようなものは、先ほどの答弁にもありましたように、実は原子力の世界では非常に古くから原子力安全委員会というものが通産省とは全く別に法律に基づいて設置されているわけでございまして、通産省が一義的に安全性について行政的に審査をしたものがもう一回ダブルチェックされるという仕掛けができているわけでございます。  したがいまして、私ども通産省としては通産省の中に技術顧問会というものをつくりまして、そこで専門家の意見を聞き、英知を結集して、私どもとしては自信を持った判断をするわけでございます。その結果というものが法律に基づく原子力安全委員会に報告され、そこでもう一度スクリーニングされる、審査される、こういうことになっているわけでございまして、私どもとしては、そういう通産省の中で云々というよりは、国全体としての原子力安全確保についての体制というものを尊重しながらそれらの機能を十分発揮させて、当初の目的でございます原子力発電所の安全確保ということについては万全を期してまいりたい、このように考えているわけでございます。
  75. 会田長栄

    ○会田長栄君 そうすると、通産は原子力行政、この事故問題対策については一〇〇%自信を持って国民に不安を与えないという決意なのでございますね。
  76. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 原子力については、安全第一ということを行政の基本にしているわけでございまして、安全確保については自信を持って行政をしているところでございます。
  77. 会田長栄

    ○会田長栄君 私はなかなかそう思えませんので、ひとつ今後とも一二〇%追求する姿勢で頑張ってほしいということをお願いして終わります。  ありがとうございました。
  78. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まず、中小企業近代化資金制度の問題でお伺いしたいと思っております。  この中小企業近代化資金という制度は、都道府県が特別会計を設置いたしまして国から補助金を受け入れ、そしてそれを元にして地方自治体が一般会計から同額の資金を繰り入れて、これを原資といたしまして中小企業の施設近代化のための費用を無利子で貸し付ける制度でございます。大変人気がある制度でございます。特に、今企業が設備投資主導型の経済になっておりまして、全国各地でこの資金に対する需要が物すごく強くなっております。  例えば私の住みます福岡県でございますけれども、ことしは年間十一億円の資金がございましたけれども、九月の段階でもう既に九億三千万円を貸し付けてしまいました。十月中にはすべて底をつきました。なくなりました。制度を利用したいといっても、もう利用できないまでに至っている現状でございます。これは私の福岡県だけに限らず、各自治体から悲鳴のような声が上がっておりまして、各通産局にもいろんな声が上がっていると聞いております。  何でこんな状態になったのかというのを、また、今どういう実態になっているのかをまず御説明願いたいと思います。
  79. 高橋達直

    説明員(高橋達直君) ただいま委員からお話がございましたように、この設備近代化資金でございますけれども、中小企業がその設備を近代化して生産性を上げていくというために、国の助成並びに県の資金の投入等を通じまして推進している対策でございますけれども、御指摘もございましたが、好景気が続いております。そういう中で中小企業者の設備投資意欲も大変旺盛でございまして、特に人手不足などの問題から省力化等のための設備に係る投資の需要が高まっている状況でございます。  一方におきまして、御案内のとおり昨年来の高金利が続いておる状況でございまして、この制度の有利さ、すなわち事業規模の二分の一までは無利子で貸し付けをするというこの有利性が相対的に強まっているという状況から、ただいまお話もございましたが、本制度に対する需要が各地で高まっているものと考えておるところでございます。
  80. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 福岡だけじゃないんですよ。ちょっと東京も調べさせてもらったんですけれども、東京の場合は昨年度も年度途中でお金がなくなっちゃった。結局どうしたかというと、先着の問題でまずもめまして、苦情が殺到しまして、そしてことしはそういうことを防ごうということでどうしたかといいますと、一件当たりの融資額を減額しているわけです。一律二〇%から三〇%カット。借りたくてもその分を借り出せない、そういう状況をつくり出している。結局そういうことをやるとどういうふうになるかといいますと、そのしわ寄せが、都が独自に融資制度をつくっているんですよね、そういうところにもどんどん殺到いたしまして、昨年ちょっと聞きましたら、そういう都独自の制度に約千五百件、二百億円もの申請があった。もうこれはちょっとひどい状況だなと思うんですよ。これはことしの状況じゃなくて、昨年度既にそういうことが起きている。  そういう要望も出ていたのにかかわらず、本年度の予算編成に当たってそういう要求が出ていたのにかかわらず、国が本年度やった分は補助金の部分を見ると六億一千万円でございまして、昨年に比べて増加わずか五千万円、これじゃどうしようもないと私は思うんですけれども、何でこんなことをされたのか。ちゃんと編成段階でやっていればこういう混乱はことしは起こらなかったのじゃないかと思うんですけれども、その点どうですか。
  81. 高橋達直

    説明員(高橋達直君) 御指摘のとおり、非常に人気のある制度でございまして、私どももできるだけ希望にこたえていくように予算を編成しているところでございます。  御指摘のように、平成二年度の予算で見てまいりますと、国庫の補助自体はただいま委員から御指摘のあったとおりでございますけれども、回収金というものがかなり多くなってございまして、平成元年度におきましては回収金が三百八十九億程度であったものが平成二年度の見積もりでは四百億を超えるという状況になっておるわけでございまして、そういった回収金も含めて貸付規模全体を決めているところでございますので、単なる国庫補助だけでごらんにならないようにしていただきたいというふうに思うわけでございます。  平成二年度の状況といたしましては、設備近代化資金の貸し付けの貸付規模でごらんいただきますと九億円増加している。また設備貸与の貸付規模でごらんいただきますと四十三億、合計で五十億以上の貸付規模が平成二年度においては多くなっているということを御理解いただきたいと思うのでございます。
  82. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 理解したいんですけれども、今事実足りないわけですから、現実に。そのことを知っていただきたいんですよ。もう正直言いまして、この問題、早急に対応することが私は必要だと思っておりますので、まずとにかく補正あたりで手を打つ必要があるんじゃないか。現実にもうどこも底をついてきているわけですから、その辺早急にどういう対策を打たれるつもりなのか、まず伺いたいんです。
  83. 高橋達直

    説明員(高橋達直君) 現在、御指摘のとおりに非常に需要が高まっておりまして、不足ぎみに推移をしているわけでございます。  ただ、不足の中でも、申し込みの中でやはり指導、診断等の関連がございますので、必ずしも申し込みがそのまま全部が決定になるという性格のものではないのでございますけれども、傾向といたしましては、御指摘のように非常に不足ぎみであるということから、特に今年度におきましては、各都道府県の予算の執行状況あるいは資金の借り入れ申し込みの動向等を現在も刻々把握をしているところでございまして、必要に応じましてその各地における予算の過不足を見まして再配分を行う。御案内のとおり年度の当初に事業計画をつくるわけでございますけれども、その事業計画 に従いまして資金配分を決定するわけでございますが、これを年度の途中でその資金の需給に応じまして見直しをして再配分をしていくという作業をいたそうという考えでおるわけでございまして、補正予算の点につきましては技術的に見まして、県の補正の時期がただいまからまいりますと年度末になるということから、受付から決定まで本制度が最低二カ月かかるという状況の中では、なかなか技術的に見て今年度の問題として対応するのは難しいという事実上の問題がございますので、申し上げましたように、予算の過不足の地域的な再配分をするということでとりあえず何とか対応していこうという考えでございます。
  84. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 とにかく、現状底をついているところに対して、そういう形できちんとした御配慮をまずいただきたいということをお願いします。  また、先ほどちょっと御指摘ありましたけれども、今金利高でございまして、そういう現象の中でこれは当分続くような事態でもございます。特に中小企業にとって、先ほど入手不足の問題をおっしゃっていましたけれども、今銀行からなかなか金も借りられぬわけですよ。そうすると、やっぱりこういう公共機関の融資というものがある意味ではもう今は中小企業にとっては命綱のようなものになっているのも現実でございまして、緊急措置はもちろんなんですけれども、特にこの資金の場合は、国が増額してくれないと、あわせて自治体は積めないわけですよ。何としても国の側が来年度予算あたりではきちんと対応していただきたい。  これは現実的にどうなのかと思いましたけれども、例えばこの資金の中に、大臣御存じのとおり消費税導入に伴って九億円ぐらいのお金、合わせると十億円ですね、これが入っているわけですね。来年は消費税導入の緊急措置はやめるということで、十億円余ると言っては失礼なんですけれども、出てくるようなこともありますし、そういった問題も含めて、ぜひこの資金を来年度予算では何とか増額の方向で検討していただきたいということをお訴えしたいんですけれども、大臣から一言ぜひお伺いしたいと思います。
  85. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) この制度は御承知のとおり非常に長い歴史を持っているわけでございまして、私の承知している限りは、今から何年ぐらい前でございましたか、正直要望が減ってきた時期があるわけでございますね。それで、今政府は御承知のようにシーリングをやっておるわけでございまして、中小企業予算全体をやっぱりそのシーリングの中で抑えられておる。抑えられているところで中小企業対策で何に重点的に予算を組もうかというと、減ってきているものは正直減ってきちゃったわけでございますね、やっぱりそこに持っていっても仕方がございませんから。ところが、今御指摘のとおり非常に人手不足になったり、あるいは金利が上がってきたりという形で、ここ二、三年じゃないんでございましょうか、非常に需要がふえてきたというのは。時代がこう変化してきた。しかし一方、国の方のシーリングはそのままずっときているものでございますから、その辺の対応が非常に苦しかったというのが私は実情であろうと思っております。  しかしながら、今本当に各県とも非常に困っておるということは私もよく承知をいたしておりますので、来年度の予算においては何とか中小企業対策全体をプラスにしていかなきゃならぬと思っておりますが、その中で、これも含めて十分財政当局と私は折衝をしていきたいと思っております。
  86. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大臣おっしゃるとおり、時代の変化ですごく制度自体、いろいろ実際今中小企業に対する制度は物すごくありますよね。見ましたらほとんど利用されていない制度もあるなという部分もあるし、そういう意味では時代の動きとともに柔軟な対応をすること自体が中小企業の対策だと思っていますし、大臣そうおっしゃっていただきましたが、ぜひこれは御尽力いただきたいということです。  次は、先ほどちょっとおっしゃっておりました温暖化の問題でございます。  ジュネーブで開かれておりました第二回世界気候会議でございますけれども、先日、ちょっと不満足な結果ではございましたけれども、一九九二年に国連の環境開発会議がございますけれども、一応そこで枠組条約に署名するということをうたった閣僚宣言を採択して閉幕いたしました。温暖化の問題が極めて深刻な問題だ、その中で、特に日本が取り組まなくちゃいけない課題だというのは大臣自身がよっぽど御認識されていると思うんですけれども、ただ会議の中で私非常に印象に残ったのは、太平洋とかインド洋に浮かぶ平たんな小さな島々のキリバスとかモルジブとか、こういう十四カ国の閣僚が、「最も二酸化炭素排出量の少ない国が、温暖化の最初の犠牲になってしまう」ということで叫んだというニュースを見たとき、本当に何か、日本は大量排出国の一つですから、そういう意味では非常に何か胸を打たれるような思いにもなりました。  今回の会議を見ますと、日本に対する評価は一面では例の地球温暖化防止行動計画をまとめたということで非常に高い評価があった反面、もう一方、国際環境団体がいわゆる気候犯罪人ということで五カ国を挙げておりました。その中の一つに日本も入ったということもございます。そういった今回の会議をごらんになって、大臣自身はどのような印象を持たれたかをまずお聞きしたいと思います。
  87. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 確かにそういうモルジブを初め非常にクリーンなところは、正直余り経済の成長が大きくないものでございますから、結果的にはCO2の排出量も少ない、こういうことであろうと思います。  日本は、御承知のとおり大変大きな経済大国になりましたために経済規模が大きくなりまして、それに伴って結果的にCO2の排出も多くなってきたということは事実でございます。しかし一面、いわゆるCO2を思い切って削減しようという形で技術改革をやってきたということも私はやっぱり国際的にも評価されるべきであると思いますし、日本国民はそれはよく認めていただけるところではなかろうか。正直、経済成長と比べてどれだけCO2を排出しているかという点から比べれば、先進国の中では明らかに日本は最低に近い状況にあるわけでございまして、アメリカなどと比べればずっと少ないわけでございます。  しかし、そうかといって一方この地球温暖化を何とか防止していかなきゃならないということは世界じゅうがこれはもう認識をいたしておるところでございまして、日本としてはそういう技術を一生懸命開発してやってきたけれども、なおかつもっと努力をしなきゃいけないということは十分認識をいたしておりまして、今御指摘のように、地球温暖化防止計画もこの間環境閣僚会議で御承認をいただいたようなことでございます。  今回の会議におきましても、その辺のところを、今お話しのように日本がそのような計画をつくったということに対しては評価をされ、そしてお互いにこれからより一層この温暖化防止について今後とも協力をし、特に技術開発などについては協力をし、またお互いに提供し合うというようなことの方向が申し合わされたということは私は大変よかったことではないかと思いますし、日本もそのような方向にせっかくお約束をいたしておるわけでございますから、今後とも努力をしていきたいと思っておるわけでございます。
  88. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今お約束の話が出ましたので、そのお約束のことをちょっと聞きたいんですけれども、行動計画の政府の政策指針でございますね、一項と二項がございまして、一項が国民一人当たりのCO2排出量を「二〇〇〇年以降概ね一九九〇年レベルでの安定化を図る。」と。第二項が続いてありまして、新エネルギーの開発によってCO2の総排出量を「二〇〇〇年以降概ね一九九〇年レベルで安定化するよう努める。」と、二つ並んでいるわけですね。今回、会議にいろいろ出たところを見ましても、こういう二つ並べたところ はないですな。日本だけのようでございます。通産省としてどちらが目標なのか、はっきりさせていただきたいと思うんです。
  89. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) これは今申し上げましたように、従来の技術開発を思い切ってやってまいりまして、先進国の中でも大変低いレベルのところまでまいっておるわけでございます。これをより一層今の技術の中で、例えば省エネルギーをやるとか、あるいは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、化石エネルギーをできるだけ抑えていくとか、いろいろ実現可能な努力をいたしますと、この第一の目標である国民一人当たりの総排出量を抑えるということがまあまあできるのではないかということで第一の目標を掲げておるわけでございます。  第二の目標については、しかし今後もより一層、例えばCO2の固定化であるとかいろいろと技術開発をより進めていこうということで、私ども官民挙げて努力をしていこうということでございまして、それがもしうまく新しい技術が開発されればその時点で早速それを取り入れて、それでCO2の排出に取り組もう。そのときには総排出量で大体九〇年レベルで二〇〇〇年以降やれるのではなかろうか。こういう形でうまく技術開発ができればというのが実は第二の目標でございまして、第一の目標は今やってきた技術開発とそして非化石燃料へなるべく代替をしていくとか省エネとかこういう総合的なものをやって実現可能なのが大体の第一の目標であろう、こういうふうに区分しているわけでございます。  決してそれが全く相反しているものではなくて、とりあえず第一の目標を何とかしなければいけない、しかしもっと新しい技術を開発できたら第二の目標もひとつ達成しよう、こういうことであり、その点は今度の会議でも、二つおかしいじゃないかというようなことは言われなくて、逆に評価をされたと私は報告を受けております。
  90. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私もその会議に出席したメンバーから話を聞きましたら、海外は、特にイギリスあたりは、先ほど第二の目標、大臣が努力目標だと言われている方が日本の目標だととらえているみたいなのですね。そうなると話がちょっと食い違ってくるなと私は思うのです。だから、じゃ日本として目標とは第一の方だ、しようがないと。国民一人当たりということは若干増加ですからね、増加でもしようがない。そういう目標になっているのだとはっきりやっぱり宣言しなくちゃいけないと思うのです。  特に大臣は新技術の開発とおっしゃって、私もきっとそういう部分を強化されるのだろうと思って行動計画をざっと読むのですよ。ところが、なかなかきちんと新エネルギーの開発の部分が出てこないですよね。例えば書いているところを読ませていただきましたけれども、新エネルギー開発部分でいくと、原子力の開発利用というのをぼんと一番目に挙げられて、続いて水力、火力。つけ足しのように突然太陽光とか風力の利用。やっぱり第二項に向かって、本当に抑制に向かって本気でやられるなら、そういうことがもっと別項立てで前面に出てこなくちゃいけない部分が、何か原子力開発の最後の末尾にちょっとしか出てこない。何か悲しいのですよね、見ていて。  確かに難しいのはよくわかります。難しいからこそ必死になってやらなくちゃいけないということになると思うのですけれども、何か目標として安易についていらっしゃるのではないかなという気もしますし、でもそれでしようがないのだとおっしゃるならば、日本としてはやっぱりきちんとした形をもうちょっと言わなければ、二段階目標じゃなくて日本としてこっちですよということをはっきり私は宣言すべきだと思うのですけれども、どうですか。
  91. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 先生のお話の中に、今回の会議日本の目標は第二の目標が目標なのではないかというお話があったということでございますが、会議に直接出席いたしました者として御答弁させていただきたいと存じます。  まず、我が国の目標につきましては、先ほど大臣から御説明申し上げましたとおり、第一段の目標と第二段の目標、これいずれも政府の目標であるということでございますが、この二つの関係については正しく理解されておりまして、イギリス政府の環境大臣とお会いしたときにも、向こうの方からおめでとうと、日本はよくこういう計画を決めたなという評価を受けた次第でございます。この席には私だけでなくて、一緒に参りました政府代表の安原次官もおられましたので、これは私ごとでございますが。  また、二つの目標につきましてはっきりしないではないかというお話ございましたが、先ほど大臣申しましたとおり、第二の目標につきましては技術開発を進めるということを我が国として高くうたっているわけでございますが、技術のことでございますので今予測している以上の成果が上がるということは十分考えられるわけでございます。そういう成果が上がった場合にはこれを生かして、一人当たり横ばいというのではなしに、さらにこれを切り込んでいくということで対処しようではないかということで二段の目標になっているわけでございます。  この二つの関係というものは国際的にも正しく評価され、若干説明が長くなって恐縮でございますが、日本が十月二十三日に決定をいたしましたが、これが大変なインパクトになりまして、ECの各国はそれぞれ目標を宣言していたのでございますが、ECとして統一の目標をつくろうではないかという動きになりまして、十月二十九日に彼らも目標を決めた。また、オーストラリアの大臣も、直接聞いた話でございますが、日本ができたんだからオーストラリアもやろうじゃないかということで、同じく十月二十九日に閣議で自分は強引に決めたというふうなことをおっしゃっておられました。また、EFTAの中でも議論になりまして、結局EFTAとしてはまとまらなかったんですが、十一月七日、この会議の途中でございますけれども、スカンジナビアカントリーズが同じく決定をするというようなことで、今回の会議の直前に日本の決定を受けて世界的な流れができたということでございまして、それをまとめましておおむね一九九〇年のレベルで二〇〇〇年で横ばいにしようという決定が行われたわけでございまして、その意味では世界の動向に大きく貢献ができたというふうに考えている次第でございます。
  92. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それは今まで日本がこういうものを出していなかったからですよ。どちらかというとアメリカと一緒で、CO2の問題では取り組んでいないところだというようなやっぱり意見があったわけでしょう。その中で初めて日本が出してきたわけですから、それは評価する者は評価するでしょう。ただ、じゃECの目標と比べて日本が本当に安定なり削減なりというものを出しているかというと、私はそうじゃないと思いますよ。一項目でいったら一人当たりになるわけですから、どう計算したって四%か六%その時点ではCO2増加するわけですから。私は、だからといって評価するということにはなり得ないと思いますし、逆に言えば、環境団体あたりから聞いていると、特に皆さん第二の目標が日本の目標だと言って喜んでいらっしゃって、いや日本は実は第一の目標がありましてという話をしなくちゃいけないところが非常に私はつらいところなんですけれども、それは意見として言わせていただきたいと思います。  時間が余りないので次へ進みます。  行動計画全部を読ませていただいたんですけれども、非常に詳細にやっていらっしゃいますし、特にエネルギー関係の部分では通産省の方、随分努力されたということは本当にこれは敬意を表します。  ただ、見ていまして、一番大事なお金はどうなるのかなと、財源は。非常にいろんな問題に多角的に取り組んでいらっしゃいますのでその辺がちょっと、国民の理解を得るためにはやっぱりこういうものをやるには費用もかかるんですよという部分というのは出していなくちゃいけないと思うんですが、その部分、何かざっと概算でもありま したら教えてほしいんです。
  93. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 先生御指摘のとおり、この地球温暖化問題といいますのはエネルギー問題と表裏一体の問題でありまして、私どもとしては、地球環境の保全という問題と経済の安定的発展、この両立を図るべくそのための総合的なエネルギー政策を推進するために最大限の努力をしているわけでございます。具体的には、長期的な視点から、まず第一にエネルギーの利用効率を一層向上させるということ、それから二番目には、先ほど来大臣からもお話がありました原子力を初めとする非化石エネルギーの積極的な導入促進を図るということでございます。  御指摘の、これらについてでは予算的にほどうなっているのかということでございますが、従来から地球環境ということを必ずしもそういう観点だけではなくて総合的なエネルギー政策ということで施策を進めておりますので、費用の総額をここで非常にクリアな形で申し上げることは大変困難なのでありますけれども、各年の予算につきましては、地球環境保全のための技術開発であるとか、省エネルギー、新再生可能エネルギーの問題、原子力の開発利用の推進等について、それぞれ適切な予算額が確保できるように努力をしているところでございます。具体的な金額、クリアには申し上げられないのでありますけれども、およそのイメージとして御理解いただくために、例えば省エネルギー及び新再生可能エネルギー、原子力の開発利用などについての予算額のおよその感じを申し上げますと、一千億円ちょっとというぐらいの規模でございます。
  94. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 これは通産省だけかかわる部分じゃなくて、例えば森林の問題が出てみたりいろんな形で幅広くやる分野でもございますし、なかなか出しにくい部分もあると思うんですけれども、ただ今後の問題といたしまして、やはり、これは通産省だけ言ってもしようがないんですけれども、閣僚会議全体として、この環境問題、特に温暖化問題の対策としてどれくらいかかるかということは、これから財源の問題はやはり大きくなると思うので、ぜひはっきりさせていただきたいし、そうなりましてもし出てきた場合考えられますのは、どんな形でこれを確保するかという問題になってくると思うんですね。一般財源になってくるのか。例えば政府も来年度から二千億円ですか公共事業の生活関連枠というのもありますし、どんな形でやられるのかなとも思います。それから実際、先進というか、こういう問題に取り組んでいるオランダ、スウェーデン、もう大臣御存じのとおり、こういうところでは例えばCO2排出税とか、それから環境税とか、そういうものを既に実施するとか実施しようというところもあるわけですね。こういった問題、今後通産省としてどんなふうにお考えになるかということをちょっと聞いておきたいんです。
  95. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) どんなふうにというお話は、ひょっとすれば何か新税を考えたらどうかというお気持ちなのか、あるいは予算を確保するために通産省はひとつ大蔵省に対して頭脹れということなのか、ちょっとその御質問の趣旨が私はっきりとあれでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましては、何としても行動計画がこういう形で関係閣僚会議で決定をいたしました以上、またこれは国際的にも今の話でお約束をいたしておるわけでございますから、その実現のためには最大限の努力をしなきゃいけない。そのための財政措置についても、できるだけ私どもは財政当局に対してやはり必要なものは必要だという形で確保するように努力をしていかなきゃいけない、こういう決意であるということを申し上げさせていただきます。
  96. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 余り新税とか言われると、こっちもつらいところがありますので。  ただ、もう一つ、行動計画を全部読ませていただいて気になりますのは、一つ大きな枠を出された。今後二〇〇〇年に向かってやっていくわけですけれども、どんな形でこれが展開されていくのかなというのが少し見えない部分もございます。例えば、通産省として年度ごとに具体的な計画を出していかれたり、そういうことをやられるんだろうと思いますけれども、まずそれをやられるのかどうか聞きたいし、そうやって年々やっていかれることが逆に言えば国民の理解を得ることにもなると思うので、どういうふうに今後具体的に計画を推進されるのかをお答え願いたいと思います。
  97. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 行動計画の具体化に当たりましては、総合的なエネルギー政策、それから先ほど来触れられております技術開発を積極的に進めていくことになりますが、また地球再生計画ということを提唱いたしておりますが、この国際的な枠組みを具体化していくというのも大事な計画であるというふうに存じております。そして、これらの実施状況につきまして、毎年度地球環境保全に関する関係閣僚会議報告をするということで対応してまいりたいというふうに考えております。
  98. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ぜひ国民に理解を得るためにも、報告とともにできれば今年度は大体こんなことをやりたいんだということをやっぱり先に明らかにしていただきたいと思うんですね。国民一人一人は何をやればいいのかという問題をやはり国民の側に投げてあげないと、実際これは本当に大きな問題でもございますし、そういうある意味では広報を含めた意味でぜひやっていただきたいと思います。  ちょっと行動計画の中で個別の問題を何点か伺います。  一つは、コジェネレーションの問題でございます。熱と電力を併給しますコジェネの問題なんですけれども、これをやりますと、今は発電だけじゃ四〇%しか利用できないのが七、八〇%まで利用できるというようなことで、非常に省エネの一つの決め手というような言われ方もされております。通産省の方も努力されまして、例えば自家発電の電気を同じビル内ならば他社に売れるような制度もおつくりになっておりますし、柔軟な対応をされておると思います。私もちょっと調べましたら、九〇年度はもうこの企業の自家発電が一千億キロワットの大台を突破するらしいということも聞いておりますし、非常にいいことだなと思っております。ただ、このコジェネレーションを本格的に伸ばすためには、やっぱり電気事業法の改正が避けられないというふうな見方がいろんなものに出ております。  先日の通産省の諮問機関である総合エネルギー調査会の石油代替エネルギー部会ですか、この中でも実際にこの自家発電の余剰電力を電力会社が買い取れるようにしなくちゃいけないという話が出てみたり、そのためにはやっぱり法改正が必要だというような論議がなされたというふうにお伺いしておりますけれども、やはりこういう問題をきちんと広げるためには法改正を含めて検討する時期に入っていると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  99. 川田洋輝

    説明員(川田洋輝君) コジェネレーションと申しますのは、先生御指摘のとおり、電気と熱を同時に発生させまして利用するというシステムでございます。したがいまして、熱需要と電力需要が適切な組み合わせがございます場合には、別々に供給するよりはエネルギー効率が向上するという効果がございます。  このコジェネレーションで発生した電気の取り扱いにつきましては、自家消費が大宗を占めておりまして、この場合は保安規制を除いて電気事業法上は自由な扱いとなっております。また、コジェネレーションに対する電力会社によるバックアップも逐次整備しつつございまして、既に行われているわけでございます。これからも整備していきたいと思っておりますが、そういう運用の問題でございます。したがって、私どもとしては、当面、電気事業法の改正を行う必要があるというようには考えておらないところでございます。  なお、このコジェネレーションにつきましては、燃料を燃やすというところからNOxの排出濃度が高いといった環境面の課題がございます。 これに技術面での対応などこれから改善を加えていく必要がある。将来的には、燃料を燃やす必要のない燃料電池というものが普及をされていくと、ますます広がっていくのではないかというように思っております。  先生が最後の方に御指摘になりました、コジェネレーションの電気を一般の需要家に自由に供給をするというケースについて考えてみますと、コジェネレーションの設置者というのは供給義務を負わないことになりまして、電力会社はそのコジェネレーションが故障などにより電気の供給を停止する場合に備えまして、一般消費者の負担のもとに予備電源を常時保有しなければならないといったような問題が出てまいります。したがって、先ほどの技術面の問題とあわせまして、私どもこういった既存電力システムとの整合性というものには今後十分考えを深めていきながら、最終的にはやはり御指摘のとおりエネルギー効率の向上につながるコジェネレーションの適切な普及促進ということに努めてまいりたいというように考えております。
  100. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ただ、やっぱり最終的に普及の問題がかかわってくる場合、実際にそういう委員側からもこの法改正の問題をやらないと難しいんじゃないかという話もあるわけですから、その問題についてはやはり検討だけはしていかなければいけない時期とは思うんですよ。いろんな技術上の問題もある、それから応用すれば法内でできるかもしれない、しかし法を出るかもしれないわけですよ、やり出したら。そういう意味では、全くやらないというふうにして何も検討しないという形というのは私はおかしいと思うんですけれども、いかがですか。
  101. 川田洋輝

    説明員(川田洋輝君) ただいまも申し上げたとおり、柔軟な態度でこれは臨んでいくことが必要だと思います。ただ、いろんな配慮要素もございますので、このステップを踏みながら検討を進めていくということが必要ではないかということで申し上げているつもりでございまして、今後、普及促進のためにいろんな角度から検討はやっていきたいというように考えております。
  102. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 続いて、フロンの問題について一つ伺います。  現在、特定フロンの代替フロンとして研究開発が進んでおりますフロン134aに対する通産省の現状認識を簡潔にちょっとお伺いしたいんです。
  103. 内藤正久

    説明員(内藤正久君) 今先生御指摘のフロン134aの開発が進んでおりますが、これは九二、三年ごろに実用化の可能性が出てまいると思います。御承知のとおりのハイドロフルオロカーボンでございますけれども、その安全性等につきまして検討が行われておりまして、世界的に主要企業が集まりまして、かつ公的な機関も参加いたしまして毒性の判定をいたしております。  それで、現在時点では急性毒性あるいは亜急性毒性はないという安全性が確認されてきておりますので、今後の慢性毒性等の判断の中で一両年の間に結果が出、その後実用化に進んでまいるものと思っております。  いずれにいたしましても安全性に十分に配慮して、それを踏まえて本格的な生産、使用が開始されるものと認識をいたしております。
  104. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私もこれ少し調べさせていただいたんですけれども、フロン134aというのは、確かにオゾン層は破壊しません。ところが、温暖化能力というもの、これはIPCCの報告なんですけれども、いわゆる二酸化炭素に比べると実に三千二百倍の温度化能力があるというふうに指摘されているわけです。フロン12よりはましですよ。フロン12に比べれば温暖化能力は半分。ただし、一般のCO2と比べれば三千二百倍ですよ。  先ほど研究段階とおっしゃったんですけれども、私ちょっと調べましたら、こういうものをつくっているところというのは昭和電工さんですが、ちょっと聞きましたら、少なくとも九三年七月までには一万トン規模の商業プラントの実働が可能だというような話が出ているし、ダイキンさんはことしの十月五千トンの生産設備に着工した。九三年時点でこれがもう一万五千トン生産される可能性が出てきているわけですよね、実際に。  確かに研究されて、毒性の問題なんかはないというような結果がだんだん出てきておりますけれども、見逃がしてはいけないのは地球温暖化の問題なんですよ。その辺はきちんと配慮していただきたい。大体今これを使うのはカーエアコンとか冷蔵庫なんですよ。そういう代替で使うんですけれども、もしこれが毎年一万トン出ていったらどうなるかというと、三千二百倍、単純に計算してみると日本の総CO2の排出量の一三%ぐらいになってしまう、野放しにしたら。  こういう問題はきちんとやっぱり認識していただきたいし、確かにもっとほかの物質といってもなかなか開発が難しいという面は認めますけれども、ただそういうものができると、今度はその処理の問題ですよ。もう実際に実用に入ろうかというところまで話が進んできているわけですから、通産省として何をやらなくちゃいけないかというと、こういう物質をカーエアコンに入れる、冷蔵庫に入れる、それが今度壊されるとき、排出されるときにどう処理するかという、処理するときの規制というものをきちんとしていかなければ大変な問題になるなということで、ちょっとこっちはびっくりしたんですけれどもね。こういう規制の問題についてぜひ今からでもやっぱり取り組んでおくべきじゃないかと考えるんですけれども、いかがですか。
  105. 内藤正久

    説明員(内藤正久君) 今御指摘の134aにつきましては、確かにカーエアコンあるいは冷媒等一部使用が始まっておりますけれども、それは塩素あるいは弗素にかえて水素を添加しておりますので分解が容易である。オゾン層破壊の効果は確かにおっしゃるとおり少ないわけでございますが、温暖化効果についてはいろいろなシミュレーションの分析がございます。それで、一説の中には先生の御指摘のような三千倍というふうな試算も出ておりますけれども、その辺の効果については今後とも十分に分析をし、それを見ながら対応を図っていきたいというふうに思っております。
  106. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もっと質問したいこともありましたが、時間になりましたので、単にこのフロン134aだけの問題じゃなくて、代替フロンの問題についてはきちんとそういう研究結果が実際に、IPCCというのは信用できる機関ですからね、ここに基づいて温暖化の問題は討議が始まったわけですから、代替フロンの問題についてはきちんとした形で対応を考えていただいて、安易につくらせて安易に出させるということを決してしないようにぜひお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  107. 高井和伸

    ○高井和伸君 私は、決算委員会でずっと行政手続関係の問題につきまして各省庁の実態、それから方向などをお聞きしております。それで、きょう今から通産省経済企画庁そして科学技術庁皆さんに御質問するわけでございますが、時間の関係から、私の趣旨を冒頭に申し上げまして、あと質問は具体的にいたしますので、私の質問の趣旨というところをまず冒頭に申し上げますので、よろしくお願いします。  きょうお聞きしたいのは二点でございまして、各省庁の管轄におきます行政手続のうち、侵害処分という国民の権利侵害をする可能性のある処分の手続の内容、それから行政指導といって国民の任意の協力を得る行政の一つの行為、その場面における実態、こういったある意味では国民に負担をかけるところもあるわけでございますが、そういった二つの手続がどのように行われているか。ある意味では不備、不統一があるし、そしてまた透明性の問題だとか公平性の問題という問題がどのような実態のもとに置かれているかということを私は聞きたいわけでございます。  そして、まず侵害処分につきましてはどういったことを私は聞きたいかと申し上げますと、幾つかの例を挙げていただきまして、事前手続の規定がどのようになっているのか、そして理由付記はなされているのか、そして文書閲覧の点ほどのよ うに処理されているのか、こういったことを実態に即してお述べ願いたいと思います。  そしてまた、行政指導につきましては、その行政指導を行った根拠法令はどうなっているのか、そして指導の形態、文書でやったかどうか、それから理由の表示はしたかどうか、それから行政指導ですから制裁はないかもしれませんが、規定上はあるかもしれません。そういった制裁の有無はどのようになっているかということが私のお尋ねしたい点でございます。  そういう前提におきまして、早速通商産業省にお尋ねしますが、侵害処分の点について四点お尋ねしますので、順次お答え願いたいと思います。  まず、侵害処分の第一として、ココム規制違反に対する制裁ほどのように行われているのか。  二つ目、消費生活用製品安全法に基づく改善命令ほどのように行われているのか。  三つ目、鉱山保安法に基づく保安命令、危害防止のための命令はどのような実態か。  四つ目、鉱業法に基づく鉱業権の取り消し処分、これはどのように行われているのか。  この四点についてまずお尋ねします。
  108. 堤富男

    説明員(堤富男君) ココムの件についてお答え申し上げたいと思います。  ココム規制につきましては、外為法に基づきまして通産大臣の許可に係らしめているわけでございますが、この許可をなしで輸出した場合、あるいは役務の提供をした場合には、同法の五十三条あるいは二十五条の二によりまして行政上の制裁を科すことができるわけでございます。  先生お尋ねの当該制裁を科すことを決定する場合には、同法の六十七条の規定に基づきます報告聴取等によりまして、念のため相手方に事実関係の確認を求めまして、相手方が違反事実を書面で容認するというようなこと、法律に定められました行政手続を十分駆使した上で行うこととしている次第でございます。
  109. 坂本吉弘

    説明員坂本吉弘君) 消費生活用製品安全法に関する部分、その改善命令につきまして、手続の実態をお答え申し上げたいと存じます。  改善命令は、御承知のとおり、設備あるいは損害賠償措置または検査方法その他につきまして、法三十条に基づき出せることになっておりますが、現実の手続といたしましては、試買あるいは苦情、そういったことに基づきまして私どもがその実態を知り、まず法八十四条に基づきまして事業場その他に立入検査を行いまして、そして特定製品安全基準に該当しているかいないかそのことを確認し、それに基づきまして必要な改善措置をとるように、事業者に対しましてまず指導を行うということにいたしております。それでなお改善が行われない場合には改善命令を出すということにいたしているところでございます。
  110. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 鉱山保安法についてお尋ねでございますが、法二十五条の実施方法についての保安命令の発動に当たって、また二十六条の危害、鉱害防止のための命令の発動に当たってでございますが、同法二十七条に定められている手続に従いまして、あらかじめ期日及び場所を通知し、公開による聴聞を行うという規定が置かれておりまして、これに基づきまして事前手続を実施し、このような命令を行うということでございます。  同じく同条にただし書きがございますが、事の性格上、急迫の危険がある場合にはこの限りではないというただし書きがついていることも同時に御承知願います。
  111. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 鉱業法の手続についてお答えをいたします。  鉱業法上の侵害処分としての取り消し処分は、法律の五十二条、五十三条、五十四条、五十五条、八十三条第一項及び八十七条に規定されておりますが、法令上聴聞等の手続が定められておりまして、これに基づく事前手続が行われることになっております。取り消しの処分の実績がありますのはこの中で五十五条の取り消し処分のみでありますが、これにつきましては、取り消し処分を行おうとする場合、あらかじめ当該鉱業権者の出頭を求めて公開による聴聞を実施する、そして聴聞を行った後に、取り消し処分が必要と認められる場合には取り消し処分を実施する旨を理由を付して文書で当該鉱業権者に通知をする、こういう手続きになっております。
  112. 高井和伸

    ○高井和伸君 大臣には後でまとめてこういった行政手続の実態についての御所見を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。  続きまして、行政指導につきまして、あらかじめお聞きしました四点の点につきましてどのように行われているのかという実態を先ほど指摘した視点からお答え願いたい。  その一つは、フロンの規制に関する使用合理化のための協力要請の行政指導はどんなふうであったか。  それで二つ目は、企業の調達活動の透明性の確保の行政指導はどうであったか。    〔委員長退席、理事千葉景子君着席〕  三つ目は、黒字減らしのための輸入拡大の行政指導はどのようなものであったか。  そして四つ目は、最近の石油製品価格に対する行政指導ほどのようなものであったかを順次お答えください。
  113. 内藤正久

    説明員(内藤正久君) オゾン層保護対策の円滑化のために、本年七月二日に主要ユーザー四十八団体及びメーカー代表四団体、需給関係及び輸入関係者の団体代表合計五十四の団体の長を集めまして大臣から協力要請をいたしました。その際文書を配付いたしておりまして、その文書を各傘下の会員に周知徹底させるように依頼をしております。かつ、新聞に発表いたしましてその周知を図っております。  その性格でございますが、これは本年六月にモントリオール議定書の締約国会議がございまして、そこで規制の強化が決まったということで、その規制の強化が今後法律として改正される事前の段階で十分に周知徹底し、関係者が対応を図っていただきたいという趣旨でございます。したがいまして、その根拠といたしましては、その中身として三点あるわけでございますが、規制物質の一層の削減を要請しておりますが、これは法律に使用合理化指針というのがございまして、その指針の実行という形になります。それから二番目に、新規規制対象物質等の使用の合理化ということを要請いたしておりますが、これは議定書に基づきまして今後法律改正をお願いするということを予定いたしておりまして、その事前の指導ということでございますので、設置法に基づく指導という性格でございます。それから代替品の開発利用と内外への技術移転の促進、これにつきましては、やはり法律の使用合理化指針に明記されておりますことを再度新たな状況を踏まえて徹底をするという趣旨でございます。    〔理事千葉景子君退席、委員長着席〕  以上のように、公平性、透明性及びその周知徹底ということを行っておるところでございます。
  114. 横田捷宏

    説明員(横田捷宏君) 企業の調達活動についてお答え申し上げます。  七月二十六日、大臣名の文書で百一の団体に対しまして通達を出してございます。これは日本の企業のいわゆる調達活動が閉鎖的ではないかということに対する誤解を招かないように、民間に対しまして望ましい調達活動の考え方あるいはその例示といったものも示しながら周知を図るということにいたしたものでございまして、個別の行為についてどうこうというものではございません。
  115. 堤富男

    説明員(堤富男君) 輸入拡大につきましての民間企業への要請を昭和六十年以来やっております。これはいずれも大臣のところにお呼びいたしまして、大臣の方からその趣旨を御説明していただいた上で、文書を平成元年度でございますと三百十四社に対してお配りをしたということで、文書でやっておるわけでございます。その文書の中には当然でございますが具体的な理由が書いてございまして、一点は貿易立国であります日本としての輸入拡大の必要性、もう一つは輸入拡大自身が消費生活の充実に大変役に立つというようなことを明記した上でお願いをしておるわけでござい ます。  ちなみに、これを実施するためにさらに政府等では輸入振興のための税制等の優遇措置も講じておる次第でございます。
  116. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 石油製品価格に関する行政指導についてお答えいたします。  石油製品の価格につきましてはマーケットメカニズムによりまして決定されるのが基本であるというふうに考えておりますが、当省といたしまして、石油製品の価格改定というものが国民経済あるいは国民生活に大きな影響を与えるということを踏まえまして、九月七日に石油部長通達をもちまして石油元売各社に対しまして、可能な限り企業努力によってコストアップの吸収に努力をしてほしいということ、あわせまして便乗値上げ防止の観点から各社ごとのコストの変動を毎月報告させるということなどの指導を行ったところでございます。  本指導の実施に当たりましては、公平性、透明性の確保の観点から指導は文書によって行っております。また、内容等については公表をしたところでございます。  また、コスト変動の報告内容につきましても、毎月各石油会社からの報告が終了した後でその概要について公表するということをやりますとともに、石油情報センターによりましてパンフレットを作成し、講習会等を通じて広く国民にも御理解をいただくようにして公表しているところでございます。
  117. 高井和伸

    ○高井和伸君 大臣にお尋ねしますが、日米構造協議などにおきましても行政指導の透明性、公平性というようなこともまとめられておられます。そして、侵害処分ということにつきましては非常に詳しく事前に調べていただきまして、法律の数だけでも全部で通産省の場合六十二にわたって国民の権利義務にある種の負担をかけさせるという規定があります。その規定を逐一ここで指摘するわけにいきませんけれども、かなりの面でもう少し丁寧にした方がよろしい、理由付記もした方がいいだろうし、事前手続もしっかりした方がいいだろうと、こんなような規定がたくさん見受けられるのですが、こういった側面、行政手続全般についての御所見があれば伺いたいと思います。
  118. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) たくさんの法律を抱えておりまして、特に私どもは一方においては産業界、一方においては消費者というものを抱えておるわけでございます。そういう中で法律に基づきましてやっぱりスムーズに行政が行われていくということが大変大切でございまして、その意味では法律を補完するという意味もあると思いますけれども、いずれにいたしましても、行政の運営が適正にしかも弾力的に行われていくということにおいてはやはり行政指導というものも必要ではなかろうか。  しかし、今御指摘がございましたように、日米構造協議におきましても、どうも日本の行政指導というものは非常にわかりにくい、何か法律はこう書いてあるんだけれども現実には実際それとは大変違ったというか、非常に拡大されていろいろなことが行われているんじゃないかという御指摘もございました。そういう面におきまして、私どもはこれから日本の行政を運営していく上に当たりましては、今御指摘のとおり、まず透明性を確保していかなければいけないということが非常に大切だと思います。  その面では、今もいろいろ答弁をいたしておりましたけれども、できる限り文書化をしていく、それからやはりPRと申しますか、できるだけこういう法律に基づいてこういうようなことを皆さんおやりをいただいたらどうですかとやっぱりPRをしていく必要があるのではなかろうか。それから、実際にいろいろと行政指導いたしました場合には、こういう理由によって、こういう法律に基づいて私どもは行政指導いたしましたというようなことがやっぱり一般によく知られていくような、そういうこともこれから十分我々は考えていかなきゃならないのじゃないか。幸い「通産ジャーナル」というようなものもございますし、我々としてはやはりそういうPR誌などはそういう方向にせいぜい活用していくということも私は大変大切ではないかと思っておるわけでございます。
  119. 高井和伸

    ○高井和伸君 ありがとうございました。通産関係はこれで終わりにします。  次に、経済企画庁について、御報告を受けました侵害処分の実態は二つある。その二つは、実は中身を見ますと非常に強烈な侵害処分というかそういったものでございまして、その一つとしては国民生活安定緊急措置法に基づくもの、もう一つは買い占め売り惜しみに対する緊急措置に関する法律に基づくもの、この二つの点でございますが、この二つの実態についてお尋ねします。
  120. 田中努

    説明員(田中努君) お尋ねの生活二法は、昭和四十八年、第一次石油危機の前後におきまして騰貴が行われる、あるいは原油価格等を中心としました生活関連物資が急騰するというふうな状況のもとで制定、発動されたわけでございますけれども、この発動の実態は、それぞれの法律におきましていわば第一段階の措置を適用したわけでございまして、ただいま先生御指摘のような非常に強い措置の発動には実は至らなかったわけでございます。第一段階の措置といたしまして、物資の指定、あるいは価格調査官の任命及び調査、そういうふうな措置を行ったわけでございまして、幸いその当時以降今日までこの法律の適用はしないで済んでいるという実態にございます。
  121. 高井和伸

    ○高井和伸君 時間もありませんので、きょうは経済企画庁はこの程度にいたしたいと思います。  続きまして科学技術庁にお尋ねいたしますけれども、いろいろ処分規定の問題については十ほどの法律があるというふうに報告を受けましたけれども、非常に技術的な問題が多々ありますので、行政指導についてお尋ねしたいと思います。  行政指導はどんなのが行われましたかということであらかじめ三つほど指摘を受けましたけれども、時間の関係で、原子力施設における事故などの報道に関する行政指導、それからもう一つは科学技術に関する技術情報の生産のノーハウというかハウツー物の点での行政指導が行われた、このように聞いておりますので、この二点についてその具体的な実態をお教えください。
  122. 村上健一

    説明員(村上健一君) 御指摘の行政指導につきましては、原子力施設におきます事故、故障等につきましては、規制法の六十七条に基づいて事故、故障等の報告を受けることになっておりますが、そういうものを踏まえまして報告を受ける際に、その内容技術的、専門的であるためにその内容の安全上の位置づけだとか影響の程度というものが直ちに理解されがたい面がございます。そういうこともございますので、関係分野の専門家等による御検討をいただきまして、昨年の七月に原子力施設の事故、故障等の影響の度合いをわかりやすく示すための尺度、影響度階と言っておりますが、これを導入いたしまして運用を始めた次第でございます。内容的には相当違いますが、形式的にはちょうど地震の震度階みたいなものでございまして、このトラブルは大体ゼロとか一とか二とか、そういうふうな表示をするものでございます。  私どもといたしましては、所管の原子力事業者に対しまして事故、故障等の発表をお願いするわけですが、発生の日時、場所、概要原因対策、影響などの説明とあわせましてその影響度階を、例えば公衆に放射線の被曝があったかどうか、従業者に被曝があったかどうか、施設が相当危なくなったかどうかという三点の角度から、ゼロからの数字を使いまして示すようにお願いした次第でございます。所管の事業者百十七、それから関係の公益法人十四に対しまして文書によりまして指導を行いました。この行政指導に基づきまして昨年の七月からきょうまでのところ八件の事故、故障等についてこの影響度階が付された格好でプレス発表がなされている次第でございます。
  123. 林昭彦

    説明員(林昭彦君) 科学技術情報関係のものについて御説明申し上げます。  科学技術関係情報流通の円滑化を図っていくためには、研究論文等の文献の作成の方法とかあ るいはデータベースの作成の方法、こういったものについて標準化を図っていく必要があるかと思います。当庁におきましては、四十八年の十月に学界あるいは大学、それから各種の情報機関の専門家、あるいは関係の行政機関の担当責任者、こういう人たちから成ります検討会を設置いたしまして、科学技術情報流通に関します基準の検討及び作成を行ってまいりました。現在までに抄録の作成の指針でございますとか、あるいは参照文献の書き方といったような十の基準と、それから三つの基準の案を既に作成しております。これらの基準というのは研究者等に使ってもらいませんと意味がございませんので、そういった観点から昭和五十年から毎年四、五回ずつ全国各地で普及説明会というものを開催しておりまして、これらの基準の必要性について研究者等に理解を求めるとともに、この基準を使っていただきたいという要請を行っている次第でございます。
  124. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ─────・─────    午後一時三十四分開会
  125. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十二年度決算外二件を議題とし、通商産業省経済企画庁科学技術庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  126. 千葉景子

    千葉景子君 私は、午前の質問の時間には、いわゆる欠陥商品被害、その救済などについて質問をさせていただきましたが、午後はやはりそれと同様といいましょうか、今度は欠陥がある原発の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。  同僚の会田理事からも、午前の質問の中で原子力発電の安全性について質問が出ておりました。通産省の方でも、それについては十分安全性を確認した上で原子力発電の事業に対して指導を行っているということでございましたけれども、若干最近のさまざまな事故などについて疑問の残る点もございますので、確認をさせていただきたいというふうに思います。  つい先日、福島第二原発三号機の運転の再開ということが決定をされました。これは、ちょうど一九八九年一月に事故がございまして、それから二年近く停止をして原因を究明したり、あるいはさまざまな修繕を加えて今回再開に至ったということでございます。この間、先ほども話に出ておりましたけれども、さまざまな調査もなさったようでございますが、この再開に当たってどういう手順で、それからどういう形でこの安全性が確認をされたのであるか、その辺について質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、この事故があった再循環ポンプでございますけれども、これは事故がありましたときに脱落した水中軸受けリング、これによってかなりケーシングに激しく衝突とかあるいは摩擦があったというふうに認識をしております。そのケーシングにつきましては、今回すべて傷があったところにはグラインダーをかけて全部きれいにつるっとさせたというんでしょうか、滑らかにした上で再使用するという形になったというふうに聞いております。このケーシングの材質というのはSCS16Aというステンレスの鋳造物、鋳物でできているということでございますけれども、鋳物というのは普通製造するときに内部に空洞ができたり、そういうこともあり得るというふうに言われている材質でございます。そういう意味ではそれが安全なものかどうか、空洞などができて何らかの危険とか問題がないかどうか調べるために幾つかの基準がやはり設けられているのだろうというふうに私は認識をしているところです。  法律をいろいろ検討させていただきますと、基本的には電気事業法がこの基本的な法律になろうかというふうに思うんです。電気事業法の四十三条では、「第四十一条第一項若しくは第二項の認可を受けて設置若しくは変更の工事をする電気工作物」云々とありまして、いわゆる使用前の検査をするということが規定されているわけでございますね。この使用前の検査については、その下に省令あるいはそれに基づく告示が示されて、どういう形でそれぞれの材質の検査とかあるいは品質の検査を行うかという基準なども示されているところでございます。  そこで、まず伺わせていただきたいんですが、電気事業法に基づく一連の法律によりますと、この鋳造物、こういうものについては使用前に原則としては放射線透過試験あるいは超音波探傷試験を行ってその材質の安全性を確かめるということになっているのではないかというふうに思います。今回はグラインダーをかけてそのケーシングについては修繕がなされたわけですので、私は、再開に当たってはまた当然これを使用する前の検査といいましょうか、そういうものが行われてしかるべきではなかろうかというふうに思いますが、今回再開に当たっては、この規定上設けられている超音波探傷試験とかあるいは放射線透過試験のようなものは行われたのでしょうか。その点についてまずお尋ねしたいと思います。
  127. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  まず、今先生お話がございましたように、ポンプのケーシング、これは製造時に放射線透過検査それから液体浸透探傷検査というのを全体的に行いまして、その材料の健全性というものを確認しているわけでございます。そういうようなものを使っていて今回このような損傷事象が起こったわけでございますが、今回とりました措置ということをまず御説明申し上げますと、再循環ポンプのBのケーシングでございますが、電気事業法四十二条に基づきまして修理を行うという届け出がなされておりますが、これは性能に影響を及ぼす修理ということで工事計画の届け出が出されて、それに基づきまして四十三条によりまして使用前検査というのを実施しているわけでございます。  それで、この使用前検査といいますのは構造検査、これは修理の内容を確認するということでございますし、あと耐圧・漏えい検査というのも必要でございます。  それから、最後の検査でございますが、ポンプでございますので全揚程それから流量というものをチェックする必要があるわけでございまして、これらにつきまして検査をいたしまして問題がないという確認をすることになっております。
  128. 千葉景子

    千葉景子君 今、今回の再開に当たっての安全性の確認のやり方というものを説明いただいたわけですけれども、それはよくわかるんですが、本来傷がついて削ったということでございますから、ある意味では工事前のものと今度の修繕をした後のものというのは別なものとなったということも言えるのではないかというふうに思うんです。だとすれば、やはり新しいものとして再検査をするということも当然あってしかるべきではないかというふうは思います。  それから、法律からいっても決して修繕をした後はそういう検査をしなくてよろしいというふうに書かれているものとも読めないわけなんですけれども、ここについては製造時に検査をしておれば、あと今回のような構造検査、漏えい検査等を行えばこれは十分足りるものだと、法的にも問題がないというふうにお考えなのでしょうか。
  129. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  今回のポンプの損傷事象といいますのは、水中軸受けリング等の衝突によりましてケーシングの開口部、それからボリュート側壁などに最大〇・五ミリ程度の浅い接触の跡が認められたわけでございますが、それでこういう事象をどういうふうにポンプの健全性という観点から確認するかということで、これは工学的な判断ということになるわけでございます。それで、〇・五ミリという浅い接触跡、衝突をしましてそういうものができたわけでございますが、この応力あるいはひずみというのは、やはり衝突の一番表面が大きいわけでございます。それで、内部にいきますにつれまし て減衰をするということでございますので、金属の表面、これに有意な欠陥がないという確認をすれば我々は十分じゃないかというふうに考えておりまして、今回このポンプのケーシングの接触跡を除去する修理の際に修理の前と後、当該部分につきまして液体浸透探傷検査というのをやっておりまして、表面に有意な欠陥が認められないということでございますので、これは内部にも新しい欠陥は生じていないという判断をしているわけでございます。  そういうことで、我々といたしましてはケーシングの健全性、これは製造時と同等の状態が維持されているという判断をしているところでございまして、こういうような考え方につきましては原子力安全委員会それから原子力発電技術顧問会にも報告いたしまして、特段問題がないという結論を得ているものでございます。
  130. 千葉景子

    千葉景子君 今判断の根拠といたしまして工学的な判断ということで御説明をいただいたわけなのでございますけれども、これは工学的な判断、知見というのでしょうか、その分野では当然そういう考え方というのは当たり前といいましょうか、専門的な考え方としては当然な考え方として通用しているものなんでしょうか。
  131. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) 先ほども申し上げましたように、このケーシングの強度に関する健全性の我々の今のような考え方につきまして、原子力安全委員会の専門家の方々、それから原子力発電技術顧問会の専門の方々に御報告をしていろいろ議論をしていただいて、特段問題ないという結論をいただいているものでございます。  したがいまして、我々としては、先ほど申し上げましたように、製造時と同様な健全性が確保されているというふうに考えております。
  132. 千葉景子

    千葉景子君 その際に、先ほどちょっとおっしゃったと思うんですが、浸透探傷検査は行っているということで確認をさせていただいてよろしいでしょうか。
  133. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  当該ケーシングの接触跡を除去する修理の際に、修理の前と後に液体浸透探傷検査を実施しております。
  134. 千葉景子

    千葉景子君 この液体浸透探傷検査、これはこの法律の技術基準によりますと、鋳造品については放射線透過試験あるいは超音波探傷試験、こういうものが一番基本であって、そういうものができなかった場合、あるいはそれで少し問題があったものでもこういう浸透探傷試験などをやって使用することができるというような記載になっているわけなんですが、今回のこの浸透探傷試験というのはこの法律の原則に従って行われたものなんでしょうか。それとも、逆に言えば、念のために行われたものと受けとめてよろしいんでしょうか。これはどういう根拠で行われたものですか。
  135. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、今回の接触跡というのが最大で〇・五ミリということでございます。そういうことで、この〇・五ミリについてどのぐらいの力がかかってこういうことになったかということでございますが、やはり衝突の一番表面というのが損傷を受けるとすれば一番大きいわけでございます。そういうことで、我々といたしましては液体浸透探傷検査、これは表面をチェックするのに一番いい検査方法でございますので、修理の前それから後、それぞれについてチェックをいたしまして、問題のない確認をしたということでございます。
  136. 千葉景子

    千葉景子君 今回の安全性の確認のプロセスを拝見をいたしますと、多分製造時にきちっとした検査を行っていた、そして今回の表面に傷がついたそれについては、工学的知見あるいはその結果を見た液体浸透探傷検査などから、製造時の材質とかあるいは安全性がそのまま確保されているというふうに判断された結果ではなかろうかというふうに思うんです。そうなりますと、今度は本当に製造時と同じだけの安全性が維持されているのかどうかということが逆にまた心配になってくるところなのでございます。  電気工作物を技術基準に適合するよう維持しなければいけないというのは、これは法四十八条ということで規定をされているんですけれども、その関係考えますと、この法律の告示第七十三条の必要な厚み、それが最初に必要とされた厚みと、それから今度は削り取ったということですけれども、その結果やはり最初の基準以上の厚みがなければいけないということになろうかというふうに思うんです。  製造時の使用前検査、当然なされたというふうに思うんですけれども、そのときには一体どのような検査がなされ、そして例えば最低の必要な厚み、それはどういうふうに基準をとられていたのか、そこについてちょっとお尋ねしたいと思います。
  137. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  今先生御指摘のケーシングの強度に関することでございますが、まず我々、このポンプのケーシングにつきまして発電用原子力設備に関する構造等の技術基準というものがございますが、これで計算をいたしますと、七十七・四ミリメートルの厚さが法令上は必要とされる最小厚さということになるわけでございます。それから、このポンプのケーシングにつきましては、工事計画の段階で最小肉厚九十二ミリメートル以上のものを使いますということになっております。それで、実際は百五ミリメートルの厚さがあるということを設置された当時の検査で確認をしております。したがいまして、今回〇・五ミリ削りましたといたしましても十分な強度上の厚さを持っているということで、我々先ほど申し上げましたような判断で本件を処理したわけでございます。
  138. 千葉景子

    千葉景子君 百五ミリですか。七十七・四ミリが最低の必要な厚み、それに対して百五ミリあったということが確認されているということなんですけれども、これはいつこういう検査がなされて、それからそれについては通産省の方ではどういう形で確認をなさっているんでしょうか。例えば直接通産省が測定をなさったとか、あるいは立ち会っていらっしゃるとか、あるいは何か書類上それを確認しているとかあろうかと思うんですけれども、それはどうなっているでしょうか。
  139. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) 厚さを測定いたしますのは、先生御承知のとおり、超音波によりまして厚さをはかるわけでございます。それで、今回のケーシングにつきましても、修理を行った部分につきまして代表的な五点を選びまして計算上必要な肉厚を有していることを確認しております。
  140. 千葉景子

    千葉景子君 もう一回確認させていただくんですが、製造時の検査、そのときにはそれはいつ行われてどういう形で確認をされているのかということ、それで今回はどうなっているか、ちょっと分けてもう一度言っていただけますか。
  141. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  設置のときでございますが、我々検査といたしまして材料確認検査、それから構造検査、それから耐圧・漏えい検査等をやっているわけでございますが、この検査の中で今のような寸法の確認をしております。
  142. 千葉景子

    千葉景子君 それは書類上でしょうか。それとも直接通産省のどなたかが立ち会われるなどして確認をとられることになるんでしょうか。
  143. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  検査のやり方といたしまして、検査官が実際立ち会う場合と、それから検査をやりました者の記録確認という方法があるわけでございますが、このような設置のときの使用前検査というのは、立ち会いをやっている場合もございますし、記録確認というやり方でやっている場合もございます。いずれにしましても、その数値を確認しているというわけでございます。
  144. 千葉景子

    千葉景子君 両方あるということですけれども、この福島の第二原発三号機のケーシングについてはいかがでしたか。立ち会われましたか、それとも書類上の検査でしたか。
  145. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) この検査といいますのは五十八年当時行われているものでございますので、そこら辺は十分調査して、またお答えさせて いただきたいと思います。
  146. 千葉景子

    千葉景子君 それはぜひ、どういう形で確認がなされたのか、あるいは多分確認がなされればそれに対する書類とか残っているだろうというふうに思いますので、それは別途また説明を受けたいというふうに思います。  今回、当時のものと材質も変わらない、そして最小の必要な厚みも保っているということはどういう形で確認がなされましたか。やはり同じように書類なのでしょうか。それとも直接立ち会われて確認をなさっているのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  147. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) 今回は、先ほどもお答え申し上げましたが、修理を行った部分の代表的な五点につきまして計測をいたしまして、計算上必要な肉厚のあることを確認しているわけでございますが、これは当方の検査官が確認をしております。
  148. 千葉景子

    千葉景子君 それはいつ確認なさったのか。そして、代表的な五点ということでございますけれども、その五点について必要な厚みがあったということで、そうすると最小の数字というわけではないのですか。
  149. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) 今お答え申し上げましたように、当方の検査官が六月でございますが立ち会いまして、五点について計測をされたのを確認しておりますが、これは修理を行った部分の代表的な近傍の五点ということでございます。
  150. 千葉景子

    千葉景子君 修理後について、参議院の十一月二日の科学技術特別委員会で同僚の吉田議員が質問をされまして、この際に、百五ミリというのが最小の肉厚の測定値だというように御答弁いただいているのではなかろうかと思いますけれども、そのとおりでしょうか。それとも、今のように、五点はかった一番最低値が百五ミリということなのでしょうか。
  151. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  百五ミリという数値でございますが、これは今申し上げました代表的な五点のうちの最小値が百五ミリということでございます。
  152. 千葉景子

    千葉景子君 今回測定をされたもの、それから製造時、設置時に測定されたもの、伺うと大変余裕を持った数字なんでございますね。もしそのとおりであれば、一定の厚みというのは保たれているんだろうというふうには思いますけれども、ただし今回の事故、先ほど工学的な判断ということで、表面に問題がなければそれ以上内部に問題があるということにはならない、これが工学的な考え方だということで判断をされたということなんですけれども、私ども素人考えかもしれませんけれども、あれだけ衝撃を受けたりしますと、やっぱり材質にひずみができたり、あるいは何か中に亀裂ができたりとか、そういうことがないのだろうかという大変心配をするわけなんですね。今回の事故によって例えばどれぐらい衝撃があって、それが例えばどんなひずみをもたらすかとか、そういうような解析とかあるいは計算とか調査とか検査、そういうことは具体的にはなさっていらっしゃらないんでしょうか。
  153. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) お答え申し上げます。  今のように、衝突いたしますと、先生お話しのようにやはり一番表面が厳しい衝撃を受けるわけでございます。そういうことで、我々は表面につきましていろんな検査をして有意な欠陥がないということを確認したわけでございます。  そういうことで、そういうような判断と液体浸透探傷検査の結果等から踏まえまして、特に工学的に本件衝撃力等を解析するというようなことは行っておりませんが、先ほどから申し上げておるとおりでございますが、ポンプのケーシングの健全性というのは、やはりこの衝撃の深さで発生いたします応力ひずみというものを考えますと、十分な表面のチェックで健全性というのは確認できるという判断をしているものでございます。
  154. 千葉景子

    千葉景子君 先ほど午前中の質問の中でも、この原因というのが設計上のミスではないかというような疑問も呈せられておりますが、少なくともやはり再開に当たっては十分な安全チェックをしていただく。原子力発電そのものの根本的問題はまた別な機会に譲りますけれども、やはり再開に当たっては、これだけ大きな事故であり安全性が地元の皆さんからも心配をされているということでございますので、特別に超音波試験とかそういうことをやらなくても工学的に大丈夫だという判断をなさったようですけれども、やはり法の基本的な考え方からいえば、使用前検査などは一定の大きな修繕がなされたというようなことがあればやはりやられてしかるべき問題ではないかなというふうに私は思います。  この使用前検査の四十三条というのは、一体どういう場合にはやらなくていいのか、あるいは大規模な修繕などがあったら新しいものを使うのと同じような検査をすべきだというような気もするんですが、そこの判断ですね。どんな状況のときにこの使用前検査を当然やられるのか、あるいはどの程度だったらもうやらなくていいのか。この辺について何か基準のようなものをお持ちであればお伺いして、時間もございませんので質問を終わりたいと思いますが、その辺については何か区分けというか基準とかお持ちですか。
  155. 向準一郎

    説明員(向準一郎君) 衝突によります影響というのは、基準をつくるというのはなかなか難しいわけでございますが、今回はやはり〇・五ミリというような最大の深さでございますし、我々もそうでございますが、先ほど申し上げました原子力発電技術顧問会の専門の先生方もそういう判断で差し支えないということで工学的な判断をしたわけでございます。  それからもう一つ、今先生お話しの、現在福島第二の三号機というのは、出力が七十七万キロワットぐらいで試運転をやっているわけでございます。再循環ポンプにつきましても、流量とか振動等を確認して健全性を確認しつつ今試験中ということでございますし、今後一〇〇%出力で数日間動かす予定でございますが、その後につきましても念のためプラントをとめまして点検を実施するというスケジュールでございます。  そういうことで、我々としては安全性に万全を期して本件を進めていきたいと考えております。
  156. 千葉景子

    千葉景子君 終わります。
  157. 喜岡淳

    喜岡淳君 午後からの質問は、原子力船「むつ」をいつどういう形でどこで具体的に解体、廃船に持ち込んでいくのか、その問題について聞かせていただきたいというふうに思います。  既にもう国会の審議の中でも、原子力船「むつ」については将来的に廃船をしていく、そういうことも決まっておりまして、政府の方からいただいた資料によりますと、平成三年度半ばからは解役の作業に取りかかっていく、ここまで具体的な将来計画が明らかになっております。しかし、一体いつどこでどういう方法を使ってこの「むつ」を本当に解体、廃船してしまうのか、この具体的な内容についてはまだ国会でもはっきりしていないのではないかというふうに思いますが、時期が時期ですから、はっきりしたこの解役の方針について伺いたいと思います。  「むつ」の件につきましては、本来、当初予算からいきますと百四十億円ぐらいの予算で終わっていたというふうに指摘をされておりますが、ずるずると無責任なまま今日まで来ておる状態にあります。原子力船の問題でいきますと、原子力船「むつ」のさまざまな欠陥については大山委員会からも具体的な指摘をしておるのを読ませていただきましたけれども、この委員会の指摘を読めば、原子力船を開発する技術がないまま実用化をしたのではないかというような気がするわけですね。  これは人間で言うと「むつ」の経歴書というのでしょうか、開発の経過の一部なんですが、昭和三十六年に原子力委員会が次のような決定をしていますね。昭和四十五年までに原子力船一隻を建造、運航すべきこととした。九年以内にやるというわけですね。そういう最初のところからがまず無理だっただろうと思いますが、ずるずるやってきて、途中で何回も中止を要求する議論があったし、国会の中でも、今やめればいいじゃないか、政治的な決断を求るめという質問が何回も繰り返 されただろうと思うのですが、その再三の中止要求をも振り切って進めてきた結果、平成二年度までに使った税金の累積は一千百二十六億円、百四十億円で済んだのが一千百二十六億円になるという状況であります。そういう意味では、戦後の幾つかの税金のむだ遣いの典型として、これにかかわった原研の幹部の皆さんや歴代科学技術に携わってきた政策担当者の皆さんは永遠に歴史にその名前が記録されるだろうと思うわけです。  去る十一月九日に「むつ」は予定の実験を中止して二日おくれで関根浜港に帰港いたしておりますが、これだって、本来はこの実験航海は八月末に終わる。私のいただいた出力上昇試験の実施計画表では八月末に終わる計画だったものが十一月になってもまだ続いておるわけですね。それで、年内には終わる予定もなくてさらに第四次の追加が行われるのではないか、八月末に終わる予定だったのが十二月末までかかるのじゃないかみたいな新聞報道さえ出ておりまして、またずるずると延びておる。こうなると、「むつ」の廃船、解役作業がまたずるずる延びていくわけですね。  お聞きいたしますけれども、三月二十九日に「むつ」が出力上昇試験に成功した。その際、大島長官は次のような談話を発表されております。「安全面、技術面に万全を期しつつ試験を無事遂行するよう、日本原子力研究所を厳しく指導、監督していきたい」、そういうきっぱりとした談話を発表されております。ところが、この三月二十九日に試験が始まって、その後一体どういうふうになったのか、私は一々新聞報道を追ってみました。  三月二十九日に実験が始まりました。翌日の三月三十日、原子炉は緊急停止いたしております。ついに四月一日は試験中断になっております。でたらめじゃないかということで、翌四月二日、むつ市は原子力研究所に対して厳重注意の申し入れを行いました。ところが翌日の四月三日、今度はまた原子炉は停止をして三日間点検に入った。やっと動き出したと思うと四月十二日、再び原子炉は手動で停止に入っております。翌日十三日、給水ポンプの制御機械が故障、そして十四日、翌日は試験が中断です。余りにひどいので、ついに四月十六日には青森県が原子力研究所に抗議をしておりますね。その後、四月二十八日に出力上昇試験がやっと終了した。これから一カ月たった五月二十八日、洋上試験に出ていこうと思って点検をしておったら原子炉が緊急にまた停止をしております。この三月二十九日から四月二十八日の一カ月の間でもこういう状況であります。  これを見て長官は、具体的に原研の幹部に対してどういう厳しい指導監督を行われたのでしょうか。
  158. 大島友治

    国務大臣(大島友治君) ただいま御指摘いただきましたように、三月にスタートをいたしましてからまさにその都度いろいろ問題を醸したように見られておりますが、私は、当初に申し上げましたように、必ずこの「むつ」の目的達成というものは、私もたまたま五十二年の政務次官当時からのかかわり合いもありまして、やはり「むつ」に対して将来何とかして所期の目的を達成したいなという気持ちも当時非常に持っておりましたので、それを踏まえますと、この立場になりましてもいまだに結論が出なかったというのは非常に残念である。  しかしながら、実施する以上は、先ほども指摘いただきましたように、本当に安全ということを踏まえて、当事者は最大の注意を払ってやってほしいということでスタートしたわけでございますが、時折そういう御指摘経過をたどってきておるわけでございます。私はその都度極めて厳しいというか、うるさいと言われる、憎まれ口をききながらも実施はしておりますが、今のところはおおむね八〇%の段階に来ておりますので、最後の仕上げをどうしても近いうちに実施して船としての資格を得、そしてまた、先ほども来年の中ごろにはいよいよ任務が終わるのでなかろうかというようなお話もされましたけれども、そのときにはそのように一応完全に近いという結論を出して処理していきたいなというのが現状でございますので、私は、これで終わったなんというような気持ちは絶対いかぬということで随分厳しくやっておるのでございますが、残念ながら時々御指摘のようなことがありますので、私も涙をのみながら実は見守っているのが現状の心境でございます。
  159. 喜岡淳

    喜岡淳君 憎まれ口をききながらやったとかおっしゃいますけれども、別に憎まれ口はきく必要はなくて、効果のある指導監督をする必要があるだろうと思うんですね。  今長官は、一生懸命涙が出るぐらいやったというふうにおっしゃっておりますが、ではその後、六月七日から洋上試験、初めて海に出ていってそこで出力実験をやりますが、これは六月七日から行われる予定でしたね。しかし六月七日に船を出港できなかったでしょう。出港したのは七月十日になったんじゃないですか。一月以上おくれていますよ。  それから、十日に出港したのはいいですが、十三日、出港して初めて原子力で「むつ」が動いた。「むつ」に原子炉を設置して以来実に十八年ぶり。初めての実験から十六年ぶり。ちょっと「むつ」を動かすのに十六年もかかったんじゃないですか、これ。それで動いたのかというと、その後蒸気流量計が故障したとか操作ミスで停電が起きたとか、一時はかじがきかなくなったというじゃないですか。原子炉を積んだものがかじがきかなくなった。そして、七月二十五日には原子炉の自動停止に追い込まれて、翌日二十六日には再び制御棒の信号系の故障とか、二十八日にも原子炉が停止、ついに二十九日には実験中止、そして三十日に関根浜港に帰港してきた。こんなありさまですね、厳しくされたとおっしゃいますけれども。  そして、これはたくさんの項目について実験をできずに残したままです、途中で中止したわけですから。そして、九月二十五日から第二次の洋上試験に出ていったのはいいんですが、これだって、二十五日に出港して十月一日には原子炉が停止をして試験打ち切りでしょう。十月八日に帰ってくる予定が一日おくれて十月九日に帰ってきた。これまた実験途中で試験打ち切りですから、かなりの項目が残った。また出ていかなければいけない。そして、第三次の洋上試験が十月二十九日出港です。ところが翌三十日には蒸気流量計がトラブルを起こして、もうこの洋上試験も中止。そして、十一月七日に帰港する予定だったのが、七日の夕刊、どの新聞を見ても帰ってきたと書いていないんですね。八日の朝刊も見たけれどもなかった。八日の夕刊にも書いていなかった。帰ってきたのは九日だったじゃないですか。さらには、これでもまた途中で試験中止しておるから第四次の洋上試験に出ていかなければいけない。  一体これ、長官は厳しくやったとおっしゃいますけれども、原研幹部の責任とか、あるいはだれかもうおまえは首をかけてでもやるかと、それぐらい厳しく言ったんですか。だれかやめた人がおるんですか、こんなでたらめやっておって。長官、どうですか。全然効果ないじゃないですか。
  160. 大島友治

    国務大臣(大島友治君) 決してでたらめでも何でもなく、私は報告をその都度その都度受けながら実施しておることは事実でございまして、技術的、具体的なものについてはそれぞれ局長なりからも説明はいたさせますけれども、私といたしましては、責任者もその都度私のところにも参りましてるる心情を述べておりまして、その都度私もきつく申し伝えて、最後の目的達成までは寸分も油断をすることなくやってほしいということで現在も続けておるのが実情でございます。
  161. 喜岡淳

    喜岡淳君 普通の民間企業でしたらかなりの人の首が飛んでおると思うんです。私はそれは実際国民感情からしたらそうだろうと思いますよ。どうして国がやる事業については聖域扱いといいましょうか、そういうことになるのですかと、そういう質問を受けたとき、私は答えに困りますよ、民間の人から聞かれた場合。ここだって決算委員会ですから、そういう費用を投下した国民、納税者の側からすれば、一体どうなっているんだという素朴な疑問があるんですが、それに長官はどう いうふうにお答えになりますか。
  162. 大島友治

    国務大臣(大島友治君) 御指摘のことにつきましては、私も素直に受けとめます。そして、先ほど御指摘いただきましたように、当初船をつくった、造船そのものは多分七、八十億じゃなかったかと思うのでございますが、結果的には一千億を超した。いかに税金のむだかと言われても否定するわけにはまいりませんけれども、その間にはそれぞれの地域の活性化のためには役立っておりますが、結論としてはやはり目的の原子力船としての「むつ」のその果たすべき任務は何であるかという答えを出さないでそのままに付してしまうということは、全く答えの無のままに税金のむだ遣いも甚だしいというまた一つの見方もあるのではないかというような感じをしておりますので、御指摘については十分私も反省すべきであるとは承知しておりますが、そういうことで最後の目的を何とかひとつ達しまして、海洋国家としての日本の大きな力になるデータが欲しいなというのが実際の心情でございます。
  163. 喜岡淳

    喜岡淳君 「むつ」の当初の目的を達成するためにとおっしゃいましたけれども、本来の目的はこれは海洋観測船をつくるという目的じゃなかったんですか。いつからそれが実験船に変わったんですか。途中で変わったんでしょう、目的が。海洋観測船としてつくろうとしたんだけれども、余り政府がけちって入札価格が安過ぎたものだからだれも来ない。そうしたら、もう観測の必要な機材なんか全部外して船だけつくって、いわゆる貨物船のようにしておけば安くできるじゃないかと、そして初めて入札が来たんでしょう。ところが、何か当初の目的は最初から実験船のような言い方をされると、これは全然目的が違うんじゃないですか。うまくいかなかったから実験船なんかにしてカムフラージュしておるだけなんでしょう。当初の目的は観測船なんですから。  それからもう一つは、地元に対するいろんな経済効果とかおっしゃいますけれども、あの青森県の母港、地元は今なお出稼ぎが全く後を絶っていない。今なお出稼ぎは続いていますよ。経済効果がどれだけあったか知りませんけれども。だから、そういうのは私は大言壮語して本当に「むつ」の問題を覆い隠すような答弁ではないかと思います。  お聞きいたしますけれども、第四次洋上試験をやるとおっしゃっておる。一体いつになったら海上試運転というのは責任を持って終わらせるおつもりですか、いつまでもずるずるいっていますけれども
  164. 山本貞一

    説明員山本貞一君) 先ほど先生御指摘のように、幾つかのふぐあいが生じまして、予定は今年三月時点で想定していたよりは数カ月おくれていることは事実でございます。かつ、先般十一月九日に第三次洋上試験航海を終えまして帰りましたが、一部、あと出力上昇試験あるいは海上試験が残っておりまして、その分を現時点多少のふぐあいを完全に修理するための検討と準備を今しておりまして、それから乗組員の休養というようなことも考えなきゃいけません。そういう意味で、現在第四次と申しますか、次の洋上試験をいつ行うかというのを私ども、あるいは原研で今検討中でございます。ただ、それほど遠いときじゃなく四回目の試験航海をやりまして、船としての諸検査を受けて資格を得たいと思っております。
  165. 喜岡淳

    喜岡淳君 まあ運輸省の方から免許証といいますか、許可を受けるまでには、私はそんな簡単にはいかないだろうと思いますよ。  そこで聞きますけれども、最後の一年間実験航海に出られる。それでもう「むつ」は終わりということですけれども、最終の一年間にわたる実験航海、これはいつまでに終わらせようというおつもりなんですか。さっきのお話ですと第四次の試験航海をやる、その後一年間いくわけですから、この一年間のいわゆる実験航海も後へずるずるいっていますと、これまた莫大な税金を海に捨てるようなものになりますから、いつまでにきちんとこれを終わらせるおつもりでしょうか。そこは責任を持って長官答弁してください。最後の一年間の実験航海、もうこれで「むつ」は終わりの航海ですよ。いつまでに責任を持って終わらせるのか。もうそれから向こうなしですよ。長官、教えてください。
  166. 山本貞一

    説明員山本貞一君) ちょっと実務的な御説明を申し上げたいと思います……
  167. 喜岡淳

    喜岡淳君 いや、計画全体の問題ですよ、最後のところですから。
  168. 山本貞一

    説明員山本貞一君) 先ほども先生言われましたが、当初、来年の秋ごろには実験航海を終えるという一応の計画はございました。現在でも、できればそういう方針でおります。  ただ、先ほど来お話しございますように、洋上の試験航海がちょっと延びておりますので、それから第四次の試験航海もきちっと何日というふうには申し上げられません。ただ、そう遠い先ではないと先ほど申し上げました。その後諸準備を行いまして、できるだけ早く実験航海に入って、実験航海はその準備期間も入れて大体一年程度と考えておりますので、来年の九月なりその秋ごろという当初の予定を今は目標にしておりますが、あるいは若干延びるかもしれない、そういうことでございます。  私どもとしては目標どおりぜひやりたいと思っておりますが、やはり何より一つはきちっとした安全対策を十分に講ずるということが一番大事なことだと考えておりますし、かつ、その中でもやはり予定したデータはきちっととりたいということと、この二つの要素を満たすために、最初考えましたスケジュールが若干おくれるということにつきましては望ましいことではございませんけれども、その点は安全を確保する、あるいはせっかく資金を投じたわけでございますので、データを得るという点を御配慮いただきまして、若干のおくれがあるかもしれないという点については御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  169. 喜岡淳

    喜岡淳君 大臣お尋ねしますけれども、当初の予定では、来年の秋ぐらいまでには最終実験航海は終わるという予定です。この線を守っていく、おくれても一年も二年もは絶対おくれない、最後のところを、少なくともこの線は原則的に守っていくということでいいんですね。
  170. 大島友治

    国務大臣(大島友治君) では、あえて一言だけ。  大変貴重な御意見を賜りまして、私もまさにそのとおりだと思います。  実は、来年の秋ごろという予定のとおりにいけばいいんですけれども、少なくとも私は来年中には解決をしていきたいという今気持ちでおるわけなんです。来年の秋といっても、若干今の経過をたどりますと延びるような感じもいたしますので、またまた延びたかというようなことも、これまことに苦しいことでございますが、せめて一、二カ月、秋が冬いっぱいということまではございませんが、十二月いっぱい、来年いっぱいぐらいをひとつ見ていただければいいんじゃなかろうか、こういうことで私も自信を持って進めさせていただきたい、こう思います。
  171. 喜岡淳

    喜岡淳君 今の大臣のお答えは、来年中だ、おくれても一、二カ月という答弁でありましたので、ひとつこの方向できちっとやって、またこれからずるずるいくようでしたらやっぱりこれは直ちにその時点で中止をするということでいっていただきたいというふうに思います。  それから、時間の関係で最後にお聞きいたしますが、実際の「むつ」の解役の問題です。  当初の予定でありますと平成三年度の半ば、一九九一年の夏ぐらいから解役に入っていくという予定でありますが、今がもう平成二年の秋です。もう一年以内の話になるんですね、予定からいけば。今から一年以内に「むつ」を解役にする、これは当初の計画ですね。したがって、もう大体科技庁の中では「むつ」の解役の方法について具体的な検討が当然できておると思うんです、もう一年以内のことですから。  新聞報道なんかによりますと、「むつ」の原子炉を撤去して、後は電気ヒーターを熱源とする模擬原子炉を設置して、後は実験船としてここで舶用 炉の研究に充てていく、こういうふうに書かれておりますが、あくまでも原子力船の研究は続けていくという方向が新聞報道で出ております。中身を読みますと、砕氷船用あるいは深海潜水調査用というふうに打ち出しておるようでありますが、これは間違いないんでしょうか。あるいは、これは全く新聞が勝手に書いておる「むつ」廃船後の方針でしょうか。
  172. 山本貞一

    説明員山本貞一君) 先ほど大臣から答弁ございましたが、実験航海、最初の来年秋、それにごく数カ月おくれ、努力目標としてはぜひそういうことでいきたいと思っております。  そして、その後解役の具体的なことに入るわけでございますが、やはり少しそこは冷やすというか、一年くらいは冷やす時間が必要になると思います。その後具体的な解役の作業に入ります。その解役の方法につきましてはいろんな方法がございますが、その方法を今平成二年度予算、それから三年度予算も要求しておりますが、その方法を検討することにしております。  今先生おっしゃいましたが、その後の船の使い方なり活用については、現在まだ関係者の中でアイデアがある段階でございまして、それの検討は今後進めたいと思っております。これは実際に実験航海を終えるころまでにはどういう活用の仕方をするのかということを検討してまいりたいと思います。  先ほどの新聞報道は、そういう意味ではだれかのというか、どこかの一つのアイデアが報道されたものだと推察いたします。
  173. 喜岡淳

    喜岡淳君 これからぼちぼち考えていくということでありますけれども、解役に入るのは来年でしょう予定としては、今もう十一月中旬ですからね。来年の夏、秋ぐらいから解役に入る予定だっただろうと思いますから、今から考えていくというのも全くこれは子供だましみたいないいかげんな答弁だろうと思います。そんなことないでしょう。大体動かすのにさえ十八年もかかったものを、解役する方法が一年やそこらでできるんですか。私は絶対そんなことあり得ないと思うのですけれども、検討しているんじゃないんですか。
  174. 山本貞一

    説明員山本貞一君) 先ほど来申しておりますように、来年の秋ごろに実験航海が終わる、当初の予定。それが若干延びる。そうしますと、今から一年ぐらいございます。それからなおかつ、これは努力目標でございますが、先ほど申し上げましたが、実際解役の作業を行うには、それから一年くらい冷やすと申しますか冷却期間を置いて具体的な作業に入るということになります。  解役というか実際の方法につきましては今四種類ぐらいございまして、密閉管理あるいは遮へい隔離、解体撤去あるいは撤去隔離といったような方式がございます。これは従来、原研で廃炉の経験がございまして、今勉強中でございます。そういう意味でどれがいいかを決めるということが一つ。それから、先ほどのその後の活用の方策につきましては、先ほど来申し上げましたように、決断にそんなに長い時間がかかるものではございませんし、今申し上げましたように、解役の方法にしてもあるいはその後の活用方法につきましても、私ども実際、実験航海が終わって、それから若干の冷却期間を置いて、それまでにはきちっとしたものが定められるというふうに確信しております。
  175. 喜岡淳

    喜岡淳君 時間の関係で、最後に二つだけ簡潔にお尋ねいたします。  一つは、重大な事故が起きた場合は直ちに中止をするというこれまでの方針は、今後も堅持されるのかどうか。  それからもう一つは、解役方法について一体いつごろ国民に明らかにされるのか、その期限についてお尋ねいたします。  長官、よろしくお願いします。
  176. 山本貞一

    説明員山本貞一君) 今先生中断条項について言われましたが、昭和六十年の初めに科学技術庁から当時の原子力船研究開発事業団に示しました方針がございます。そのことを御指摘だと思いますが、当時の中断条項につきまして国会答弁が再三ございますが、いわゆる中断条項につきましては、万が一にもそのようなことは決して起こさないという決意を持って研究開発を進めるという趣旨を表明したものでもあります。そういう意味で、計画の大幅な変更の内容として特に具体的なものをあらかじめ想定しているわけではございませんし、かつ、中断ということは万が一不測の事態が生じた場合ということでございますが、そのときにはもちろん一たん踏みとどまって、その時点で厳しい姿勢でその後の取り扱いを原子力委員会等に御相談しながら判断する、そういう趣旨と考えております。  それから第二の、解役の方法をいつまでにという御質問につきましては、先ほども申し上げましたが、私どもの目標としては、平成二年度予算と平成三年度予算にそれぞれ数億円の解役のための研究費、検討費を計上させていただいておりますが、できましたら基本的な方向づけを来年の秋ごろには行いたいというふうに思っております。同時に、それの具体的な詳細の方法なりにつきましてはそれから若干時間をかけて検討するということかと存じます。  なお、先ほどの実験航海の日にちが、目標どおりしたいわけですが、若干ずれ込む、努力目標としてもずれ込むということでございますが、その後冷却期間を置いてという具体的な作業でございますので、少なくともそれまでにはきちっとしたものが表に出ている、そういう形にしたいと思っている次第でございます。
  177. 喜岡淳

    喜岡淳君 終わります。
  178. 会田長栄

    ○会田長栄君 午前の部に続きまして質問させていただきます。  科学技術振興総合的基本方策の答申と問題、対応策についてお伺いしていきたい、こう思っております。  「昭和六十年九月二十四日付け閣議決定「当面の行政改革の具体化方策について」に基づき、及び科学技術会議の答申(昭和五十九年十一月二十七日付け「新たな情勢変化に対応し、長期的展望に立った科学技術振興の総合的基本方策について」及び昭和六十年十二月三日付け「科学技術政策大綱について」)を踏まえ、当面する科学技術振興政策について」云々というのをもとに、六十一年三月三十八日に政策大綱が決められました。その上に立って平成二年六月二十二日付で内閣総理大臣から科学技術会議議長あてに第十八号の諮問をされました。  そこで、まず第一にお尋ねしたいのは、昭和五十九年十一月二十七日に科学技術会議が答申された内容、その後の成果をまずお聞きしたい、こう思っております。
  179. 須田忠義

    説明員(須田忠義君) お答えいたします。  先生の通常第十一号答申というもの、それが現在の科学技術政策大綱のもとになっている基本政策でございます。それについては今後の科学政策についていわゆる三本柱、三つの基本的な方向をうたってございます。  一つは、基礎研究の強化を中心とした創造性豊かな科学技術の振興を図ること、それから国際性を重視した科学技術の展開を図ること、それと科学技術と人間社会との調和ある発展を図る、この三点を基本方針といたしまして、その他当面推進すべき重要研究課題並びに具体的な施策、その施策の中には人材の育成確保等が入ってございます。これがただいま先生御指摘の六十一年三月閣議決定いたしまして、現在科学技術庁を含め関係省庁はこの方向に基づいて科学技術政策を展開しているところでございます。
  180. 会田長栄

    ○会田長栄君 この答申の中の第三章「人材」の項で、まず一つは科学技術の振興を図る上で基本的事項は何が極めて重要だと答申していますか。
  181. 須田忠義

    説明員(須田忠義君) 具体的には重点施策の推進ということで、研究開発推進体制の整備強化、推進条件の整価強化ということでございます。  推進条件の整備強化の中で、研究開発投資の拡充、人材の養成、確保、科学技術振興基盤の強化、国際交流協力の拡充が指摘されてございます。
  182. 会田長栄

    ○会田長栄君 実は、この答申の中で非常に重要なことが指摘されている。科学技術会議からの答申で見逃すことのできないのはこの「人材」の項で、「研究者、技術者等の人材の育成、確保は基本的事項であり、質量両面にわたって研究者、技術者の充実を図っていくことが極めて重要である。」こう言っております。その他特に重要な項も三点ばかり挙げられております。  その点でお伺いいたしますが、人材の育成、確保を図る上でその基礎となるものは何だと認識していますか、お伺いいたします。
  183. 須田忠義

    説明員(須田忠義君) 科学技術の推進を図る担い手、中心はまさしく人材であると認識しております。  この人材は二つに分かれておるかと思いますが、一つは研究開発に携わる人材、それからあと製造工場等の技術者の養成、訓練、こういうことで二つに分かれると思いますけれども、創造的、基礎的研究の推進という観点から考えますと、優秀な研究者の育成、確保、これが非常に重要だというふうに認識してございます。
  184. 会田長栄

    ○会田長栄君 人材の育成、確保を図る上で最もその基礎となるものは、私は教育だと思っております。教育を抜きにして研究者、技術者の育成というものはなかなか図れないのではないか、その点を含めていわゆる答申をしているわけでございます。  しかし、研究者、技術者を育成する、こういう答申が出ている上で、とりわけ基礎的な分野において科学技術庁としてこの答申以降どのように努力されてきたのか、これを計数的にも明らかにしてもらいたいと思います。
  185. 須田忠義

    説明員(須田忠義君) 先生御指摘のとおり、優秀な独創性に富んだ研究者の育成については教育が非常に重要な役割を果たすというのは私たちも全くそうでございます。ただ、科学技術庁においてもいろいろな調査等において独創性のある芽を育てるにはどういう教育なり小さいときからの生活が重要なのかというようなことをいろいろアンケート等をとって調べまして、それをいろいろ考証しているところでございます。これはいかに自然に親しむ教育環境が大事なのか、そういうことも踏まえた大学までにおける教育の問題、これはいろいろな問題意識を提起しておるところであります。  それも非常に重要だと思うのと同時に、もう一つ若手研究者、大学のドクターコースを出た研究者、またドクターコース在学中の研究者の卵、これをどう育成していくかということを非常に問題としてとらえてございます。その点については科学技術庁もこれまで一定期間、いわゆる国立研究機関にポストドクター、ドクター卒業生を一時的に雇用するという政策並びに理化学研究所においてもこういうポストドクを採用していく、こういう政策、それから文部省等においての学術振興会の特別研究員制度の創設、こういうことを通じて若手研究者を育ててまいりたいという政策をこれまでも進めてきておりましたが、これからもますます本件施策を拡充していかなければいけないなというふうに感じているところでございます。
  186. 会田長栄

    ○会田長栄君 要するに、諮問・答申、諮問・答申、政策大綱というのを繰り返していながら、結果的には昭和六十年の九月二十四日閣議決定の「当面の行政改革の具体化方策について」というところと関連をいたしまして、なかなか言葉では高い目標を掲げた答申になっていますが、具体的に予算抑制という枠内にあってこの状態が克服できないのではないか、私はこう思うから、一体科学技術振興のために予算がこの四年間でどのようにふえていったのかということを聞きたかったわけであります。これが非常に重要なところなんです。どうぞよろしくお願いします。
  187. 須田忠義

    説明員(須田忠義君) 今、研究者の養成、確保についての政府関係予算という形ではちょっと今集計したものは持ってございません。ただ、先生のおっしゃる科学技術振興費、これについては、財政の厳しい状況の中でこの数年それなりに成長してきている、いわゆる伸び率を示してきているというふうには認識してございます。本年も来年度要求においても五・四%、これは関係各省庁全体の予算でございますけれども、原則ゼロシーリングの厳しい財政の状況においてはかなりの伸びで各省庁も努力しておるというふうには認識しております。  ただ、これは先生おっしゃるとおりこれで十分だと我々決して思っているわけではございません。まだまだ各省庁一体になって強化していかなければいかぬというふうには考えているところで、今後とも努力してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
  188. 会田長栄

    ○会田長栄君 この問題について前進させていくためには、どうしても教育の分野が非常に大きいということは至るところで指摘されております。まさしくそのとおりだと私は思います。  そこでお伺いいたします。  創造性豊かな人材の育成とその資質向上ということで創造性豊かな人材の育成を考えた場合、初等中等教育の段階では何が具体的に施策となるのかということを考えなければなりません。その際、この科学技術会議、これは政府の最高の諮問機関なんだそうでございますね、閣僚が十人入って、本当に大事な会議だと聞いております。  しかし、考えてみれば、今の小学校、中学校、高等学校、大学、大学院と含めまして、いわゆる初等中等学校の教育の現状というのは決してないがしろにできないんですね。これも御承知でしょう。しかし現実には、例えばことしから経過措置として文部省は小学校の理科、これをやめて生活科に変更していきましたね。いや、そんな細かいことはわからないと言われればそれまででありますが、しかし、ここが大事なところなんです。これだけ政府が閣議決定をして政策大綱を決めて、これからの日本は科学技術立国とまで言って前進させなければいけないということをうたいながら、結果的にはなかなかそこまで行っていないという状況にあるんじゃないだろうかということなんです。これは急に大学になって研究者とか技術者をつくろうといったってできないですよ。いわゆる小学校、中学校、高校を通じてその基礎的な分野をどう充実させていくかというところに実際一番大事な問題があるような気がしてならないんですよ。  内閣総理大臣が議長になって、内閣総理大臣に答申をして、なおかつその内閣で当然これなどが教育体系の中で生かされるというのでなければ、この基礎的分野というものは生きてこないわけですね。その点で私は、決して今日の初等中等教育の現状と科学技術振興対策というものは関連がないとは言えない現状になっていると思うんですよ。この点は、やっぱり答申は答申、しかし全般的にこれを盛り上げていくという視点に立たないで、それぞれの部署で努力していくということであれば、私は今の現状というのは克服できない、こう思っているんですよ。  そこでお尋ねいたします。  科学技術庁科学技術政策研究所第一調査研究グループというものがあって、まことに大変な調査をしてまとめています。これは大臣見ましたか。
  189. 大島友治

    国務大臣(大島友治君) ただいま委員の御指摘の人材というものからすれば、これはまことに今日の日本におけるあらゆる面における共通した問題点じゃなかろうか。なかんずく科学技術の面における日本の将来というものを考えた場合には、より一層重要なる問題であり、これはまさに御指摘のとおり教育を通じて施策をやらざるを得ないのではないか。  そこで、この科学技術政策研究所の件につきまして直接関係のあるところを御質問いただいたわけでございますが、私も現に現場を見てまいりまして、非常に厳しい研究を実施しておることは現実でございます。そこで私も指摘したことは、これだけの重要な将来に対する任務を帯びた研究をしておりながら、一体人材が十分取得できるのかどうかということを申し上げましたところが、やっぱり予算が大事だねというふうなことを言われまして、これはもうそういうことでまさに私ども 自身が科学技術における予算については本当にいささかどうも寂しさを感じております。同時に、教育という面からして科学技術も同じ目的を持った面における予算の獲得ということについては極力努力をし、かつまた御協力もいただいてやっておるわけでございますが、いささかその点につきましては心もとない点がございますが、決して私はひるむことなく、科学政策の面からも人材養成の面からもぜひこれに対しては積極的に努めてまいりたい、こう考えておるのでございます。
  190. 会田長栄

    ○会田長栄君 私も読ませていただきましたが、まことに背筋が寒くなる思いでございます。それは、理系志望というものが年々減ってきている。その上に、理系志望しながら、大学を卒業しても理系には就職しない、こういう現状になっている、このことを今最も大事に私どもが議論していかないと大変な状態になるのではないかという危機感を持っている一人であります。したがいまして、本当に今の初等中等教育の現状というものを科学技術会議もとらえて、この閣僚会議にその問題点指摘して総合的に政策をやっていかなければ時期は遅いのではないか、こう見ているんです。  そこで質問でございます。  なぜ理工志望が少なくなっているんですか。端的に、考えていることをお聞かせ願いたいと思います。
  191. 須田忠義

    説明員(須田忠義君) 先生御指摘の、先ほどの私どもの科技政策研究所で調査したところによりますと、いろいろな側面がございます。  一つは、就職後の博士になってから入った企業の研究者の処遇、環境、そういうような問題並びに学生時代実験に明け暮れる、文科系の人はともすると非常に学生生活をエンジョイしている。その中において理工系は実験、実習、どうも暗いイメージがあるというようなアンケート調査も出ています。非常に多角的な面でこういう現象、一つの学校教育問題だけではなく社会問題、全体問題が全部包括された問題としてとらえていかなきゃいかぬのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。  ただ一つ、先生先ほどからおっしゃっています、小学校、中学校のころから物に触れる、実験をやる、なぜだ、どうしてだと、そういう問題意識を持って育てていかなきゃいかぬのを、ともすればそれが欠けている面があるということも理科教育に対する一つの敬遠といいますか、そういうこともこのアンケートで指摘されております。非常に学生時代から、もっと小さいときからの問題、それから学生、大学時代の問題、それから卒業後の処遇の問題、非常に多方面にわたって理工系離れの要因が散らばっている、そういうふうに認識しているところでございます。
  192. 会田長栄

    ○会田長栄君 これは実は研究者とか技術者というのは民間部門において余り期待をすると、基礎的分野の研究というのはどうしてもおろそかになります。民間企業は御承知のとおり利益優先でございますから。そうすると、科学技術庁中心になりまして公的部門の分野で基礎的研究の基盤をどう充実させるかに私はかかってくると思っています。その際、研究者あるいは技術者を含めまして公的部門に登用していくという予算を確保しながらやっていかない限りしりすぼみになります。  今答弁ありましたけれども、それだけではございません。今の子供たちは何となく楽しいことだけ追求していって、何となくうまいものを食って、悠々とレジャーを楽しんでということだけではございません。私が先ほどから申し上げているとおり、これは初等中等教育の分野から自然科学に親しむような環境基盤というものをどのように整備していくかというところにかかってきていると思うんですよ。どうも科学技術というと科学技術庁、教育というと文部省。これが一緒になってどのように今日の現状を打開していったらいいのかということの分野というのは私は議論が少ないと思うんです。今の状態ではとにかく入学試験、偏差値、一から二、三、四と高校を区分けして入学をする。大学にも入学をしていく。卒業すればとにかく労働条件のいいところに行く。このコースだけだったらこの分野というのは私は寂しくなっていくと思うから、ぜひその点、文部省と科学技術庁は本気になって創造性豊かな人間を育成していくということを忘れないでぜひやってほしいということをお願い申し上げておきます。  それからもう一つお願いは、何といっても基礎的な科学分野というものを担っていくためには、これは公的部門で充実させていく以外にないと私は思っています。その点何の課題でも重要だと言いながらも、行政改革の枠がはまっちゃっていて、いつでもゼロシーリングという形で来ているものですから、何が重要か、何が当面このままゼロシーリングでもやっていかれるのかというようなことの先の見通しというのは、非常にいろいろと出ている。その点でどうしても科学技術庁長官に、この分野に公的部門における人材の育成確保ということについては、平成三年度、四年度にわたって新たな諮問を得なければできないなどという問題ではございませんから、その決意のほどを聞かせていただきたい、こう思います。
  193. 大島友治

    国務大臣(大島友治君) ただいま委員の方から、まさにこの教育というものとの組み合わせにおきまして基本的なお話を承りまして、私は全く同感だと、こういうふうな感じを持っているわけでございます。と申しますのは、先ほど局長も、文科系統と理科系統とでは実際にその職場における環境が違うというようなことがあります。それから先生からもただいま、子供たちが好きなものを食べて楽をしてレジャーを楽しむというような危惧もございました。こういうことがやはり日本の今日の実態ではなかろうか。  先ごろ、多分先月ではなかったかと思うのでございますが、労働の就業条件を統計をとった結果を見てみましたら、一番就労の減ったところが建設業、特に土木建築というところが非常に減ってきておる。それから第三次産業とかあるいはまた卸、小売という段階においては比較的就業者がふえておる。こういうことを見ましても、やはり私は汗を流すこと、その気持ちというものについて、若干気持ちが違ってきているのじゃなかろうか。そういう点からすれば、あえて理科系統の勉強をして、そして進んでそういうところの実践に行こうというような気持ちをもって当たっていくということは、少なくとも初等中等教育の中からその気持ちを教育していくということの必要性を私は特に最近痛切に感じておりまして、そこからスタートをして、やはり人材の確保ということをやらないというと、なかなか日本の科学技術も名前ばかりで実が伴わないのじゃなかろうかということを常に私は内外に向かって訴えている一人として、ただいま先生の貴重な御意見を承ってまさにしかりというような感じを持ったので、あえて実は先生のただいまの御意見どおりに私も進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  194. 会田長栄

    ○会田長栄君 基礎的研究をやる公的部門の人員の確保、処遇の改善、これは長官みずから必ず努力するというように、ぜひ振興のためにおっしゃってください。
  195. 大島友治

    国務大臣(大島友治君) これは私、今日本国に与えられた将来に向かっての大きな命題ではなかろうか、こう感じておりますから、私はその一端を担って、ただいま委員のおっしゃられた方向で私も努力してまいりたい、こう申し上げておきたいと思います。
  196. 会田長栄

    ○会田長栄君 それでは、残された時間に二つだけ質問をして終わります。  一つは、私前回の委員会で水俣病公害訴訟の問題について質問、御意見を申し上げました。その際、長年にわたってのこの訴訟の中で、実はそれぞれの裁判所和解勧告を環境庁長官の説明どおり拒否をしているという現状について、それはまことに悲しい事実である。行政の筋を通すなどということではなくて、今政治決断をしなければならないのじゃないかと申し上げましたが、その機会に、国は行政の筋を通すだけでなくて、国の行政がもう少し神経をとがらせて慎重に対応しておけばこの問題はもう少し被害が少なくて済んだの ではなかったのかというところで、当時経済企画庁もこれに関連をしておりましたということを一つ申し上げます。この点については、昭和三十四年十一月二日、水産庁長官から経済企画庁調整局長殿あてに要望書が提出されております。この件について当時どのように答弁されているかお伺いしたいというのが一点。  それからもう一点は、産業廃棄物法の改正に取り組むために今諮問をして議論を願っています。十二月までにその成果を得て、通常国会には産業廃棄物に関する法律の法改正の提案をしたいということを厚生大臣から聞きました。  そこで一つだけつけ加えてお伺いしたいのは、そのときも私が申し上げましたが、今産業廃棄物の不法投棄の問題で地方自治体は大変困っている。何か困っているかというと、廃棄物があるだけじゃない、それを除去するための財政的な問題で大変苦労をしておる。したがって、この法改正をするときには、産業廃棄物処理業者、これに責任を、経済的負担を負わせることも含めて検討しているのかどうかということを二番目にお伺いして私の質問を終わりたいと思いますが、答弁いかんによっては、まだ一分ぐらいありますからやるかもしれません。ひとつよろしく。
  197. 浜田康敬

    説明員(浜田康敬君) 先生お話しの、三十四年当時の水俣問題に関しまして水質保全行政を担当しておりましたのは経済企画庁でございますけれども、四十六年に環境庁ができましてその事務を引き継いでおりますので、私の方から先ほどの第一番目のお話につきましてお答え申し上げたいと思います。  御指摘のとおり、昭和三十四年の十一月二日付で水産庁長官から当時の経済企画庁調整局長あて要望書が出されておることは事実でございます。その内容につきましては、当時の水質保全法に基づきまして指定水域の指定あるいは水質基準の設定をする上で、まず同法の第四条にあります調査基本計画の調査水域に該当する水域として総合的な調査を早急に実施してほしいという趣旨の御要望だったようでございます。  これに対する回答はということでございますが、当時の文書記録等を私どもなりに調べてみましたけれども、これに対する回答といったようなものは文書では出されていないのではないか。これは私どもの文書だけではなくて、相手方であります水産庁の方にも照会をしてみましたけれども、そういった文書は出されていないということで、正式な回答文書は出されていなかったのではなかろうかというふうに考えております。  ただ、回答はいたしませんでしたけれども、その後の推移を見ますと、その要望のございました次の年の二月、水質審議会におきまして水俣の水域を三十四年度の調査水域として追加指定する、あるいは次の年にも継続調査水域とするといったようなことが行われておりますので、御要望の趣旨を受けて必要な調査等を実施していたものというふうに理解している次第でございます。
  198. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 先生御案内のとおり、ただいま生活環境審議会におきまして法律の改正を含めた産業廃棄物対策全般にわたります御検討をいただいているところでございます。その中で、先生御指摘の不法投棄がなされました産業廃棄物の原状回復につきましては、実はこれは費用を伴う問題であるわけでございます。原状回復等に関しましては、確実に原状回復をさせていくというようなことをどのように担保するのか。当然これは費用面も含めての検討になるわけでございますが、基本的には不法投棄を行った実行行為者がその負担をするというのが大原則でございます。しかし、実際に不法投棄を行いました実行行為者が処理業者等の場合でありますれば、大変零細な業者が多いというのも事実でございます。したがいまして、費用負担の責任をすべて実行行為者にということがなかなか難しいという状況もございます。  このような状況を私どももよく認識しておりますので、そういったことも含めまして、どのようにこの不法投棄のいわば原状回復をさせていくか、そういったことにつきましてもこの審議会の中で鋭意検討を進めているところでございます。
  199. 会田長栄

    ○会田長栄君 終わります。
  200. 守住有信

    守住有信君 先ほどは会田委員の方から、科学技術会議、科学技術振興、教育の問題までお話しになりまして、感銘深く聞いておったわけでございます。今度は私はひとつ、実践論、具体論としてそれが現実の場で、私は熊本でございますけれども、熊本という地域の場でどのように科学技術と地方振興、いわゆる実業の世界と研究開発の世界がどのように結びついて展開されつつあるか、またそれについての将来をどう通産省はお考えなのか、ここから入っていきたいと思います。  その前に、熊本県では細川知事がマイ・タッチ計画というもの、小中学校にパソコンを入れまして、今はパソコン通信へ発展しつつありますけれども、パソコンを入れられまして、実は学校の先生が、教育学部出身で文化系でございますので今もなお対応になかなか十分でない。むしろ子供の方が好奇心が強うございます。マイ・タッチ計画、それが今度は文部省が取り上げることになりまして、全国の小中学校、高校等にそういうパソコン導入というか情報機器の操作、そこらあたりから始まり出したなということを思いながらも、感銘深く聞いておったわけでございます。  もう五、六年前でございますか、通産省がテクノポリス構想というものをお立てになりまして、法律ができ、具体的な展開に入って既に五年たつわけでございます。私の、熊本空港の横のテクノリサーチパーク、それを中心にテクノ回廊ということで、他の町村の中核工業団地等も入りますけれども、やはりそのリサーチパークがセンターでございますから、国の、通産省のいろんな誘導、助成もあれば融資もございます。それと県の独自の融資なり助成、そういうものとを組み合わせまして、まず最初は電子応用技術研究所から始まり出しますけれども、あるいはまた熊本工大の研究所、NTTのソフトの研究所とか各種の研究所、さらに今回は富士通や日電やナショナルがあの地域に用地を取得いたしましていろんなもの。  まあ皆さん方御承知でないかもしれませんからもう一つ申し上げておきますと、いわゆるデザイン業というか、一種建築の資格を持った東京、熊本のいわゆるデザイン業、都市計画とか土木とか建築とか、まあ女性のファッションのデザインもございますが、そういうハード的な建築士の方々が集まり、テクノラボというふうな共同の利用。だから、一社ごとではございますけれども、研究マンの諸君が絶えず交流をして、工学部の学生や教授とも交流をする、NTTの研究開発マンとも交流をする、そういう形の場所が、集積と申しますけれども、どんどん出だしておるわけでございます。全国で二十何カ所と聞いておりますけれども、あれは静岡県の浜松でございますか、私も逓信委員という角度で逓信委員御一緒に視察も行ったわけでございますが、それぞれの大学の特徴、地域の特徴、産業界の特徴、それを一緒になって、国や県あるいは地元の経済界、企業グループ、学校、それが展開されております。  これについて通産省として、かつて五、六年前でございますけれども、いろんな政策の方向、手法があったと思いますが、五年たってみて全国的に、熊本だけじゃございませんが、それをとらえられてどのようなプラス面、マイナス面、なおどういう点が足らぬとか、あるいはどういうふうな成果があったか等々についてお話しいただければありがたいと思います。
  201. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 先生御指摘のテクノポリス構想でございますが、この構想は、五十年代の後半になりまして、石油危機後、いわゆる重厚長大型から知識集約型の産業に変わってきているという産業実態をとらえまして、産業技術、学術、住環境というものを有機的に結合させた町づくりをしようという考え方からでき上がった構想でございまして、具体的に法律として成立したのは五十八年であったわけでございます。これ以来総計二十六カ所の指定が行われておりますけれども、六十年度までに指定されましたテクノポリス 地域につきましては、目標年次を今年度に置いて開発が進められてきた状況にございます。  これまでの開発状況あるいは承認後の環境変化を踏まえまして今後見直しをしていくわけでございますが、過去の実績を見ますと、やはりテクノポリス地域への企業立地はそれ以前に比べますと年平均で一・六倍になっている、あるいは工場の敷地面積は二倍以上になっているというようなところから見ましても、私どもが構想をまとめましたときのねらいどおり、地方への企業の集積というものが進んでおるように考えているわけでございます。  これはもとより地元におきます皆様方の御努力のたまものでございますが、先生御質問の、今後これをどういう方向へ持っていくのかという点でございますけれども、当初ねらいといたしました産学住一体となった町づくり、この基本構想を基盤に据えながら、さらに新しい考え方を取り入れてまいりたいというふうに思っておるわけでございますが、具体的に申し上げますと、やはり地場産業の振興ということが大事だろうと思います。  地場産業の育成ということをまず基本に据えて、しかも住環境の整備ということを引き続き強化してまいりますが、これに加えまして、やはり各地域の個性化を重視していく個性ある町づくりということ、それからテクノポリス、各地にできておりますが、このテクノポリスの間の連携、地域間の連携、交流というものを図っていくことも大事であろうというふうに思っておりますし、さらに、新しい時代の要請にこたえていくという意味で、地域における国際化の拠点になってほしいというふうに考えておりまして、このような課題にこたえる新しいテクノポリスの開発計画というものを策定していただくように働きかけてまいりたいと考えておる次第でございます。
  202. 守住有信

    守住有信君 今後の第二期といいますか、何点かおっしゃいましたけれども、特にその中で地場産業との連携強化が私はまだなかなか不十分だ、こういうふうに見ておるわけでございます。  ほんの一例を申し上げますけれども、例えば電子応用技術研究所があって、あれはJICSTと結んでおりますが、こういうものを活用することも、余り地場の中小企業の社長さんはみずからは利用なさらぬ、若手のいろんな技術の実学の方の諸君たちがおるわけですが、それも実際、細川知事もあれはえらい力を入れてつくったんだけれども、なかなか利用されぬ。私は時々利用しますがね。まあ空港問題その他いろいろあれするときはやはり地域、情報よりも地域でございますから、いろんな文献をあれで引っ張り出すと安く引っ張り出せますからね。しかし、実態を見ましてもその利活用というものがまずない、共同利用型の場合。  それからまた、優秀な、さっき言いましたようなNTT初めその他の研究マンがこれから多数お見えになりますけれども、そういう方々と地場の企業、いろんな異業種交流、いろいろ通産省は御指導ですが、なかなかこれが商工会議所、経済同友会、いろんな場で、共通の場では私もアテンションしておるわけですけれども、実践ということになると、何か、下請化というふうな意識、イメージもありますし、そこらあたりを非常に、今度は県と一緒になられてそこらあたりのノーハウの提供、成功しておる地域が私は絶対あると思いますから、そういう実例を十分テクノポリスの地域の地場産業等々に浸透し、いろんな手法をアテンションしていただきたいというのが、これは最大の実はお願いであるわけでございます。  それからもう一点、これは土地の問題。農振地域の中にあるわけでございます。皆さん方、御参考までに申し上げておきますけれども、これは農振地域、農水省でございまして、県は農政部でございます。その農振地域には、テクノポリスのすぐそばで、後継者がおってあくまでも農業を続けていこうという農家の方々もいらっしゃいますが、ちょっと離れたところでは、兼業農家で息子の方は熊本市内に勤めに行っておる。おじいちやん、おばあちゃんがやっておられる。もうこの際土地を売りたい。ところが、その計画からちょっと外れておるわけですね。  それで農水省、農政部等もいわゆる交換分譲の形でそれをお互いが、いわゆるテクノポリスの工業団地等の予定地域とちょっと離れたところと、一軒一軒の農家の事情はそれぞれ違います。だから役場だとか農業委員会とか農協とか、いろんな関係が出てまいりますけれども、いわゆる商工観光労働部と農政部が一緒になって、それで特に土地問題でございますから、あくまでも農業を続けたい、これは当然のことでございますし、いろんな農業のイメージは出ておりますけれども、我々は若い農家として続けていく、そこと、もうこの際やめようという家庭の事情がある、そこと交換分譲のような形の手法も進めていかれれば、単に通産省だけでなくて、今科学技術庁と文部省の関連のお話が出てまいりましたけれども、本当に現実の場としての農林行政、農地の問題、農地振興、農業振興とそういう工業、そしてそこに技術立国と同時に雇用の場が拡大していく。それでUターン現象も起こっております。  いろんな各種大学、何も国立大学とは限りません、東海大学とか熊本工業大学とか、特に専門学校、そういう世界との連携もさらに今度は、今までどちらかというと国立大学中心でございましたな。それをもっと私大系の理工学部に広げるとか、あるいはもっと専門学校的なもの。一例を挙げますと、この間通産省のあれでソフトウェア開発の研究センターですか、人材の養成、プログラマーからシステムエンジニアへというのが近くテクノポリスの中ででき上がります。その場合もやっぱり私立の各種学校、プログラマーの専門学校、そういう方々も入っていかれて、より高度なシステムエンジニアに向かっていく。私は、あれはこれから大きな成果をあらわしていくだろう。雇用へもいろんな研究開発へも各地場産業の方へも、いろんな意味の効果があらわれていくだろうと思って、あの政策は非常に期待をしておりますけれども、そういう発想で、今度はテクノポリスセンター中心のいろんな研究所と、他の、研究だけじゃなくてやっぱり実学的な、実践的な地場産業の各種工業界がございますし、そういうものとの連携をどうやって資本的にも技術的にもやっていくかというのが今後の第二期のテーマではないか。まあ時間もありませんので、私の思っておることの一端だけを申し上げておきます。  それから次へ移りまして、実は自民党も、何も税制だけじゃございません、土地の総合対策ということをやっておりますが、かつて私は国土庁がつくりました工場等制限法、大都会の中であれは五百平米以上か何かだったですかな、新しい立地はさせないとなっておりますが、それ以前の工場が都内初めいろいろあるわけでございます。これについて、公共用地は不足でございます。東京を初め、住宅用地とか都市公園とか、いろいろ不足でございますが、この公共用地に提供した場合にのみ、まして四全総の地方分散、企業誘致いろいろございますが、それとあわせていろいろ政策減税的なことをお取り組みになる。  かつて通産省はそういう構想をお立てになって期待をしておりましたが、あのときは輸入促進減税が最優先というふうなことで延びたわけですけれども、そこらあたりについてどのような、土地問題全体の総合政策が問われておるわけですから、その中にお入りになりまして、旧都心その他大都会の中の公共用地の提供と同時に工場が地方分散ができる。やはり二次産業が移らぬとだめでございます。三次産業は、後から御質問しようと思うが、まあ大店舗法の規制緩和とか、それはいろいろ問題ありますけれども、やっぱり工場が地方へ分散する。それがまた技術の開発と実業といいますか、そういうことにも結びつくと思いますので、その点をひとつ御説明いただきたいと思います。
  203. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) ただいま先生御指摘のとおり、今や土地問題というものが政策的な大きな課題になっておるわけでございますが、その地価高騰の根源をたどってみると、やはり大都市 部、特に東京における需給の逼迫による価格の値上がりが次第に全国に波及していったということが見られるわけでございます。その意味で、通産省といたしましては、かねがね国土の均衡ある発展を図っていくことが必要だというところから、産業の地方への分散化ということによる、いわば大都市部の需要を減らし、地方の需要をつけるということを考えておるわけでございますが、先生御指摘の大都市部における工場の分散化を進めるというものが非常に重要な課題になっておるわけでございます。  その意味で、来年度の税制改正要求といたしまして私ども考えておりますのは、大都市にあります工場を廃止いたしましてこれを地方に移転する場合、その場合には特別な税制上の恩典を与えるように税制改正をしたいということでございます。ただしその場合にも、ただ大都市の土地を手放したというだけでは、またいわゆる土地転がしに利用されてしまっては何にもならないわけでございまして、先生御指摘のとおり、公共用の用途に手放した場合という限定をつけますし、また地方における土地取得に当たりましても、地方の開発に寄与する、地域の開発に寄与するような事業のための土地取得あるいは事業に対する投資という限定をつけまして、そういう二つの要件を満たす工場の移転に当たっては特別な税法上の促進策をとる必要があるのではないかという現在税制改正要望を行っておるところでございます。  昨年度も同様の要求をしたわけでございますが、土地税制は今年度平成二年度において議論をするというところから、一年おくれて今年度あわせて議論をしていただくという状況になっている次第でございます。
  204. 守住有信

    守住有信君 非常に大きな効果を持つと思いますので、しっかり私らもやらにゃいかぬと思っておりますのでよろしく。  時間もございませんので、もう一つ中小企業庁の方へお尋ねしますが、球磨の人吉に中小企業大学校、非常に御苦労がありましたけれども、合理的、科学的、客観的な基準でお決めいただいて、単に熊本でなくて、宮崎や鹿児島や沖縄と、それを含めての中小企業の経営者や管理職、職員も多少おるようでございますけれども、大部分は管理者や経営者、この中小企業大学校がやっと決まったわけでございます。それで地元は、決まった以上これに対して非常に熱意を持っておりまして、もう土地も整備されておる。工業団地の中でございますから、いつできるのかという点が一点と、それからもう一点は、やはり南九州は農業や水産業でございます。したがって、農業、水産はこれは別でございますが、農水省その他ですが、その加工業、農林水産の加工の製造業あるいはそれに関する流通、販売、こういう角度からのコースというかカリキュラムといいますか、まあ時間はまだあるようでございますけれども、それに対する地元の関心は非常に強い。鹿児島も宮崎も沖縄も同じでございますから、そういう角度での御検討に向かって地元に任せるなら任せるという任せ方もありますでしょうけれども、そこらについて、二点について御説明いただきたい。
  205. 高橋達直

    説明員(高橋達直君) ただいま守住委員からお話のございましたように、中小企業事業団の中小企業大学校の南九州ブロック校につきましては、本年の六月二十日に九州通商産業局に設置されました南九州ブロック校建設準備委員会において、ブロック内の四県の合意のもとに熊本県の人吉市に建設地点が決定したところでございます。  ただいまのお尋ねで、いつできるのかと、そしてその大学校の研修の内容をどのようなものにするのかという点でございますけれども、私どもといたしましては、この地点決定を受けましてできるだけ早く開校を図るべく、平成三年度の予算におきましては基本構想策定費を要求しているところでございます。これは建設のための事前の調査費でございまして、これが計上をされました暁には、平成三年度にそのような基本構想を策定いたしまして、その後設計に入ってまいりまして、基本設計、実施設計、そして建設工事というふうになるわけでございまして、もう少し、平成四年度以降も時間がかかるわけでございます。できるだけ早く準備をしてまいりたいというふうに思うところでございます。  また、研修の方針につきましては、そのような今後開校までに各種の設計であるとか建設工事とかいろいろな工程があるわけでございますが、その過程におきまして他のブロック校と同様に地元の四県の研修ニーズをカリキュラム委員会などで吸い上げまして、地元四県の中小企業経営者、管理者等に有効かつ適切な研修事業が実施できるように努めてまいる考えでございまして、ただいま委員から御指摘がございました、地元で非常に強い要望がおありになるとおっしゃっておられた農林漁業の加工業あるいは流通業につきましても、その経営に必要ないろいろなノーハウ等についてはこのカリキュラム委員会等で吸い上げて、実際の研修事業に生かしていくということになろうかと考えております。
  206. 守住有信

    守住有信君 もう一点追加して、あれは四、五年前でございますか、円高不況ということで輸出産業、中小企業が非常に衰退したときに、通産省と労働省が大臣以下事務次官、何か共通のプロジェクトをつくられまして、それ以来特定不況業種とか特定不況地域とか、今は高齢者雇用対策とか、非常に各省庁横断的に連携してお進みになっておる、非常に感心しております。縦割り行政でだめだと思っておりましたが、非常にやっておられる。  同時に、この中小企業大学校でも経営者の方、やはり労働省のそのテーマというか、労働安全以下いろいろございます。いろんな矛盾もあるかと思いますけれども、そういうものも、今は食品加工業等を申し上げましたけれども、そういうものももう少し幅広く、せっかくのチャンスで一週間とか三日とか宿泊してやられるわけですから、そういうこともちょっと視野を広げてということをひとつお願いをするわけでございます。  まだ時間がございますので、最後に残りました大店舗法の規制緩和、これをクッションという意味もあって何段階かに分けてお進めだと思っておりますが、これに関する、全国どこも同じですけれども、熊本県下の中小企業、特に零細企業の諸君たちは物すごい不安を持っておる。ちょうど米の問題と同じように、こう思っておるわけでございます。  そこらあたりを、中小企業団体中央会とか商工会議所とか商工会とかいろいろあります、そういうものを通じた、あるいは直接にもいろいろ啓蒙をおやりにならにゃいかぬと思いますけれども、まずどういうふうな手法で、特に小売業、商店街、こちらから見た対応策、政策をどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  207. 高橋達直

    説明員(高橋達直君) 御指摘のとおり、最近の中小小売商業をめぐる環境でございますけれども、構造変化が近年急速に進んでいる上に、先般の日米構造協議の中間報告におきまして大店法の規制緩和に関する措置が盛り込まれたところでございまして、この措置の実施に際しましては、中小小売商業に少なからざる影響を与えるものもありまして、今後の実施に当たりましては、中小小売商業の構造そのものに痛みを伴う場合も予想されるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、中小小売商業にもこの際思い切った対策を講ずる必要があるという認識を持っておりまして、消費者のニーズに対応して消費生活に密着した魅力ある商店街あるいは商業集積づくりのための総合対策を実施していくことが必要であるということで検討しております。この点につきまして財政当局その他といろいろと現在交渉中でございます。  具体的に申し上げますと、魅力ある商店街、商業集積づくりに当たりましては、やはりまず計画をきちんとつくることが重要かと思うのでございまして、この計画の策定に対する助成を強化していくというのが第一でございます。  さらに、この計画に基づきまして商業基盤施設であるとかあるいは商業施設、そういったものを 魅力あるものにするための助成を抜本的に強化していくという、いわゆるハード面への助成というのが第二でございます。  それと同時に、やはり町づくりの観点というところから、関連して公共事業と一体として行う必要があるという認識もございまして、関係省庁とも協力体制を構築していくことが重要かというふうに思っているわけでございます。  また、こうした商店街あるいは商業集積の整備に当たりまして、同時に個々の商店を整備していくということがお客様にとって魅力あるものになるわけでございますから、大変重要になるわけでございまして、いわゆる個店対策としての体質の強化も重要であるということで、これも強力に支援をしていく考えでございます。  さらに、中小店と大型店が共存共栄を図るという観点から、モデル的に、特に望ましい高度な商業集積を整備するというのも重要ではないかという認識でございまして、これにつきましても所要の対策によりまして強力に支援をしていく考えでございます。
  208. 守住有信

    守住有信君 いろいろ大店舗が進出して、データを聞きましたら、三割ぐらいは地元の小売店、専門店等が駐車場つきの大きなマーケットの中に入っておるとか、これは熊本のデータでございますけれどもね。もう一つは、東京なんかを見ておりますと、例えば古びた酒屋さんが左前だ、それで息子さんは勤めに行っておる。あとはおばあちゃまとお嫁さんだけだ。これが大きなチェーン店の末端になって、いろいろな食料品等はPOSシステムでちゃんと毎日持ってくるので、両方が成り立つ。傾きかかった住宅地の中の一軒のお店もそういうチェーンという形で成り立つ。あるいはマーケットの大きなものが建つとしても、その中に大資本だけでなくて、地元の商店、専門店も中へ入るとか、まあいろんな方式がある。そういうことで、地元との融和というか理解というか、抽象的には共存共栄ですけれども、そういうことがあるんだなということを感じております。  それからもう一つは、今おっしゃいましたハードというか、商店街は都市計画の一部でございます。そして、ましてや来年から道路交通がきちっと厳しくなるわけですから、特に駐車場つきという問題が重要で、これは道路の一部でもあるし、建築基準法、いろいろ建設省の都市計画、都市局とのかかわりも非常に強いわけですから、今ちょっとおっしゃいましたけれども、他の省庁、特に建設省、そして一番後ろは自治団体、第三セクター方式等の場合は絶対県だけではなくて地元の町村を一体とならせて進めていかなきゃこれはだめでございますから、中小企業庁としても他の省庁、これは通産省全体がそうでございますけれども、他の建設、自治あたりと十分な、それぞれの立法は縦系統でできるかもしれぬけれども、現実の場ではその三省庁が連携しながらできる。特に自治団体をかませてね。もちろん商店街、商栄会とかいろいろ中小企業の協同組合もあります。そういうものと一緒になっての政策展開というか、具体的に法律、制度と同時にそれを具体化していく手法が、モデルの方法もありますでしょうが、いろんな方法があり、余計仕事は大変だろうけれども、私らも同じでございますから、中小企業のために頑張っていくと、そういう思想でお取り組みいただくことを切にお願いを申し上げまして、終わります。
  209. 諫山博

    ○諫山博君 現代の社会において、エレベーターのない生活考えられません。企業活動においても個人生活においても、エレベーターが非常に大きな役割を果たしていることは言うまでもありません。  このエレベーターは、大変便利である反面お金を食います。設置に金がかかるだけではなくて、維持管理に非常に大きな金がかかります。団地居住者を例にとりますと、普通、一定の共益費を負担しています。この共益費の中で、エレベーターの維持管理費というのは相当な割合を占めます。横浜市にあるドリームハイツ団地を例にとりますと、一世帯当たりのエレベーター維持費は年額三万二千円です。これは、団地の共益費の三割を占めるそうです。このエレベーターの維持管理費の価格が不当につり上げられている、こういうことになりますと、もうこれは悪徳業者です。全国のエレベーター利用者の共通の敵と言わなければなりません。  そこで、具体的な問題について質問します。  エレベーターの維持、点検、修理などの業務、これは業界では保守と呼んでいるようですけれども、エレベーター製造会社の系列下にある大手の六社が全体のシェアの九八%を占めています。そのほかに、メーカーの系列下にない保守業者、独立保守業者と呼ばれていますけれども、全国に約百社あります。その契約高は全体の二%です。  公正取引委員会は、昭和五十九年三月九日に保守業者六社に対して勧告を出しました。その内容は、「標準料金の決定を破棄すること」、そのほか幾つかの項目です。勧告書の事実を見ると、大手六社が昭和五十七年春ごろから標準料金の値上げを協議して、約三%引き上げることなどを決めた。このことが公共の利益に反し、競争を実質的に制限したものである、こういう認定を受けて、公正取引委員会が排除を命じました。  このような勧告が出された事実があるのかどうか、お答えください。
  210. 元永剛

    説明員(元永剛君) 御説明申し上げます。  ただいま先生の御指摘の勧告は、昭和五十九年三月九日行っております。
  211. 諫山博

    ○諫山博君 同じ日に、公正取引委員会は、エレベーター保守業界上位三社、すなわち菱電サービス、日立エレベーターサービス、東芝昇降機サービスに対して警告を発しました。この三社は、エレベーターを系列外の業者が保守している場合に、修理に必要な部品を売らないという規制を行った、こういう疑いです。その結果、全国で百社もある系列外の保守業者は部品の入手が困難になっている。こういう事実に基づいて公正取引委員会は大手三社に、保守部品の供給方針を改善しなさい、今後このような行為がないようにという厳重な警告を発した事実がありますか。
  212. 元永剛

    説明員(元永剛君) 御説明申し上げます。  先生ただいま御指摘のように、勧告と同日に、当時の商号で菱電サービス株式会社など三社に対しまして、適切な措置をとるように警告いたしております。
  213. 諫山博

    ○諫山博君 今度は建設省に質問します。  エレベーター保守の業務は、年間の売り上げが昭和五十九年で一千二百億円、巨額なものです。エレベーター本体の国内売上高に匹敵する、あるいはそれを上回るものとされています。一方、エレベーターの所有者、管理者は、建築基準法によってエレべーターを常時適法な状態に維持することが義務づけられています。そのために、エレベーターの所有者などは通常、保守業者と継続的な契約を結んでいます。エレベーターの所有者がどの業者と保守契約を結ぶかはエレベーター所有者の自由であります。この事実に間違いありませんか。
  214. 十亀彬

    説明員(十亀彬君) お答え申し上げます。  保守業界の取引高については承知しませんが、建築基準法第八条によりまして、建築物の所有者、管理者は常時適法状態の維持義務があることについては御指摘のとおりでございます。
  215. 諫山博

    ○諫山博君 エレベーターの所有者がどの業者と契約するかというのは自由だと思いますが、どうですか。
  216. 十亀彬

    説明員(十亀彬君) 御指摘のとおりでございます。
  217. 諫山博

    ○諫山博君 大企業の系列下にある大手三社、これが系列外の零細な保守業者を締め出すために、押しボタン、スイッチその他修理に必要な部品を供給しなかった、供給を規制した。これが問題にされているわけです。年間の売り上げが一千二百億円というエレベーターの保守業務、これは相当大きな企業ですけれども、これを大手だけで独占する、系列外の零細業者を業界から排除する、極めて悪質な独占禁止法違反行為です。系列下に入っていない保守業者の場合には、料金が大手六社 に比べて非常に安くなっています。そのためにエレベーターの所有者でここと保守契約を結びたいという人がふえています。ところが、大手六社はこれを封じ込めるために部品の供給を制限している、これが公取の警告です。警告を受けたのは菱電サービス、現在三菱電機ビルテクサービスと呼んでいるようですけれども、さらに日立、東芝、この三社です。  公正取引委員会は、この三社に対して警告を発した後どのような指導をされたのか、そして現状は改善されているのか、説明してください。
  218. 元永剛

    説明員(元永剛君) 本件につきましては警告ということでございまして、その後関係人から具体的な措置をとったという報告はなされておりません。  ただ、警告と申しますのは、独占禁止法違反行為の認定はできないが違反の疑いがある場合に行います一種の行政指導でございまして、そういう警告の性格上、強制力をもって措置をとらせるということは困難でございますので、ただいま申しましたような状況でございます。
  219. 諫山博

    ○諫山博君 警告が強制力を持たないことは私も知っています。しかし公正取引委員会は、その警告が履行されたかどうかを追跡調査すべきではありませんか。あるいは、警告を受けた業者がどういう措置をとったのか報告を求めるべきではありませんか。これはどうされましたか。
  220. 元永剛

    説明員(元永剛君) ただいま申し上げましたように、本件は独占禁止法違反ありというふうな認定に至らず、疑いということで警告に終わったケースでございますので、それ以上のことは報告も受けていないということでございます。
  221. 諫山博

    ○諫山博君 警告は出したけれども、あとは放置していたというように聞こえますけれども、通常警告を出せば、その警告がどう履行されたか報告を求めていると私は聞きました。通常の場合は報告を求めているんじゃありませんか。本件ではなぜその措置をとらなかったのか。
  222. 元永剛

    説明員(元永剛君) 御説明申し上げます。  警告という措置の性格上、強制力をもって措置をとらせることはできないということ、困難であるということを申し上げましたが、同様に、報告につきましても強制力をもって徴収することは困難であるということを御理解いただきたいというふうに思います。
  223. 諫山博

    ○諫山博君 報告を求めなかったんですか。報告を求めたけれども報告が来なかったんですか。
  224. 元永剛

    説明員(元永剛君) 警告におきまして報告は求めております。
  225. 諫山博

    ○諫山博君 ことしの七月三十日に大阪地方裁判所が、東芝サービスを相手とした損害賠償請求事件で東芝サービス敗訴の判決を言い渡しました。これは、公正取引委員会が修理部品の供給制限に厳重な警告を出しているのに、その後で東芝が警告で指摘されているような行為を行ったわけです。これが不法行為だとして東芝は損害賠償を命ぜられました。  東芝サービスというのは、エレベーターの保守業務では日本第三位の大手です。昭和五十八年の年間売り上げが百四十七億円だと言われております。ところが、独立保守業者に部品を提供しなかったために、独立保守業者は修理を頼まれてもその修理をやれない、こういう事態になるわけです。これはいけないというのが公正取引委員会指摘です。その結果どうなったかといいますと、エレベーターの所有者は、部品を提供してもらえないようだったらこれから契約を続けるわけにはいかぬ、こういって独立業者との契約を破棄して東芝と契約をし直したでしょう。この事実は御存じですか。
  226. 生駒賢治

    説明員(生駒賢治君) 御指摘のような大阪地裁の判決がありましたことは承知しております。
  227. 諫山博

    ○諫山博君 これは公正取引委員会が警告したことがそのまま実践されていたらこういう問題は起きなかったはずですけれども、どう考えていますか。
  228. 元永剛

    説明員(元永剛君) 御説明申し上げます。  警告の経緯につきましては、先ほど申し上げましたように、調査の結果独占禁止法違反行為を認定するに至らなかったということでございます。そしてその結果、法的措置をとらなかったということでございます。  しかし、なお新たに独占禁止法に違反する行為があるというような具体的な情報があります場合には、所要の調査を行いまして、違反行為が認められました場合には厳正に対処する、そういう所存でございます。
  229. 諫山博

    ○諫山博君 エレベーターの保守料金が不当につり上げられているということです。この被害はほとんどすべての日本国民ですよ。団地居住者の場合には、維持管理に必要な共益費の三割まではエレベーターの保守管理費です。これが不当につり上げられている。そして公正取引委員会は警告まで出した。ところが、警告の出しっ放しで追跡調査をしていないということのようです。そういう問題が今なお解消していなければ、こういう発言がありましたけれども、今どういう状況指摘いたします。  私は、系列外の保守業者の団体であるエレベーター保守事業協同組合の理事長さんから現在の状況を詳細に聞きました。警告を受けた大手三社は、今なお零細業者に対して部品を提供しないか、あるいは提供するにしても三カ月後というような条件をつける、これがやられているんです。そして、大阪の場合には具体的に被害が起きて、東芝が部品を提供しなかったから結局お客さんを東芝にとられてしまった、こういう事情でしょう。公正取引委員会というのはこういうことを防止する、やめさせるのが仕事なんです。  私はどうしてドリームハイツの問題を取り上げたかといいますと、ここで詳細に事情を聞きました。ドリームハイツというのは千五百世帯が居住している大きな団地です。七十八台のエレベーターがあります。一年間の保守料は四千八百万円です。一つの団地で毎年毎年大手に四千八百万円払っているんです。ところが、独立保守業者の見積もりによると、これが三千四百六十万円でいい、こういうことになっております。この例でわかりますように、自由な競争が妨げられなければもっと料金の安い、大手以外の業者に契約は相当移っていくはずです。それではたまらぬというので部品の供給を規制しているのが大手なんです。独占禁止法違反でこれぐらいわかりやすい典型的な例は少ないと思います。  そして、この状態が今なお改善されていないということを私は指摘しますから、もしこの点で疑義があったら、例えばエレベーター保守事業協同組合の皆さんに聞いてください。ぜひ、せっかく警告を出したわけですから、この警告の立場が実際に貫徹されるように、そして我々エレベーター利用者の利益が守られるように指導してください。どうですか。
  230. 元永剛

    説明員(元永剛君) 御説明申し上げます。  ただいま御指摘の件に関しまして、事実関係を詳細まだ私は承知していないのでございますけれども、その点、検討させていただきたいというふうに思います。
  231. 諫山博

    ○諫山博君 事実を調べて検討されるそうですから、その成果を期待しておきます。  次の問題です。  先日、私は灯油問題を調査するために北海道に行きました。そこで痛感したことは、寒冷地帯における人たちの日常生活で灯油がどんなに大きな比重を占めているかです。北海道の人は、灯油に要する年間の経費は食費に匹敵すると言っています。一日に一食抜くことはできても、灯油だけは欠かすことができないという言い方もしておられました。これは北海道だけではなくて東北六県、北信越も同様だというふうに聞いております。  そこで、ことしの八月、やはり公正取引委員会ですけれども、北海道で石油元売六社と北石商札幌支部が共同して、市況を下回る価格で灯油を販売している小売業者に対する納入業者を解明しようということで、興信所まで使って調査をした疑いが認められています。元売六社が北石商札幌支部の要請を受けて揮発油等の安売りをやめさせる ように小売業者に要請した、こういう疑いも認められています。それで、今後このような行為をしないこと、必要な措置をとることという趣旨の警告書を出しているはずです。この警告はその後どのように追跡調査され、どのように実施されましたか。
  232. 元永剛

    説明員(元永剛君) 御説明申し上げます。  先生御指摘のように、北海道地区の石油製品の問題につきまして本年の八月二十二日に警告を行っております。ただし、これは小売販売業者の方とは共同ではございません。ただ、いずれにいたしましても、元売六社と小売販売業者の団体に対しまして警告は発しております。  その警告の内容でございますけれども、元売六社に対しましては、第一には灯油の安売りを行っていた小売販売業者への納入ルートに係る調査報告書を破棄してくださいということ、次には、各社において灯油、揮発油などの小売価格の維持または引き上げを目的として行っているとの疑いを持たれますような行為及び小売価格の決定に関与するような行為を行わないという確認をしてください、かつまたその旨を社内の関係部課あるいは各支店へ周知徹底してくださいということを求めております。次に、北海道石油商業組合札幌支部、これが先生御指摘の小売販売業者の問題でございますけれども、同支部に対しまして、今後支部員の揮発油などの小売価格について決定、協議といったようなことを行わないこと、及び安売り店に対して直接または元売業者を通じて販売価格の是正を要求しないことを決定してくださいということ、そうしてその旨を全支部員に周知徹底してくださいということを求めております。
  233. 諫山博

    ○諫山博君 警告を発した後、具体的な措置がとられているという答弁になりますか。具体的な措置がどこまで貫かれたかは別として、公取としては何らかの措置を求めて、回答が来たということですか。
  234. 元永剛

    説明員(元永剛君) そのとおりでございます。
  235. 諫山博

    ○諫山博君 灯油について警告を出して、その警告の履行状況をいろいろ公取が調べられたということは結構です。これと比べると、エレベーターの問題で警告を出しっ放しというのがいかに間違っているかということが明らかだったと思います。  そこで、次の問題です。  この公取の警告事件というのは、石油元売業者が灯油等の値下げを食いとめるためにいかに悪質なことをやっているかということを裏づけたと思います。  今度北海道に行って私が消費者から一番強く訴えられたのは、九月に灯油の供給が制限されて非常に不安を覚えたということです。原油の輸入は減少していないのに灯油の供給が一時的に減った、これは元売業者が意識的な売り惜しみをしたのではないかと、一様にみんなそう言っています。これが現地の声です。この問題を通産省調査されましたか。調査の結果はどうですか。
  236. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 八月二日のイラクのクウェート侵攻がありました後、石油の需給について適正化を図っていかなければならないということで、私どもいろいろ行政指導を行ったわけでありますが、灯油の問題につきましては、八月は不需要期でありますが、九月以降需要期に入ってまいりますので、いずれ海外要因によるコスト高の転嫁ということも行われるでありましょうから、いわゆる仮需要が起こって相当の、何といいましょうか、需給にヒッチを来すおそれがあるのではないかということから、私どもとしては、灯油を含め石油製品の元売業者に対しまして、そこは計画的に出荷をして、末端において混乱がないようにということは指導していたわけでございます。  後になりまして統計をとりましたところ、九月の灯油の元売ベースの出荷というのは前年、前の年の九月に比べまして二二%多い出荷をしているわけでございます。したがいまして、通常まだ本格的需要期に入っているわけでもありませんし、特に厳冬が早く来たということでもありませんので、マクロとして見ますと、私どもとしては十分な供給が行われていたというふうに考えております。  ただ、もちろん流通の段階あるいは消費者の段階で買い急ぎといいましょうか、この際早く買っておこうという判断をされた向きがあったかと思いますが、そういうことに対しましてもトータルとして供給が円滑にいくように最大限の努力をしたつもりでございます。
  237. 諫山博

    ○諫山博君 供給は減少していないのに小売段階では供給が制限された、この裏には元売の売り惜しみがあるはずだというのが共通の声でしたけれども、これは私が会った人がそう言っているだけではありません。例えば北海道消費者協会は十月五日に次のような要望書を北海道通産局に出しました。  八月下旬ごろから灯油を注文したが断られた、満タンで注文したが百リットルしか給油してくれない、こういう販売制限の苦情が数多く寄せられているというのが消費者協会の要望書です。  さらに札幌市で聞きますと、灯油販売に関する苦情の中で六〇%は供給制限に関するものだった、こう言っております。北海道新聞の社説は、「小売り灯油の販売量が制限されるなど、売り惜しみともとられる動きがあったのは遺憾」であると、これが共通の声です。  消費者が買いだめをしたのではないかというような言い方を通産省でされる方もおられますけれども、そういうことが根本的な原因ではない。さっき公正取引委員会の例を示しましたように、元売業者は値上げのために供給制限ぐらいやりかねないことを今まで行ってきたということを考えると、もっと実態を正確に把握して、しかるべき行政指導をすべきだと思いますが、どうでしょうか。
  238. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) そういう行動をするはずだという決めつけをされましたけれども、私ども先ほど申し上げましたように、事実は統計が示しておりまして、元売は前年同期に比べて二二%多い灯油を出荷しているわけでございます。  それから私どもは、もう少し後になってからでございますが、各通産局に苦情処理の窓口を設けました。そして、先生御指摘のようにいろいろ苦情がありますのを各通産局で受けつけて個別に処理をしておりますが、当初の段階で幾つかの苦情がございましたが、その後月を追って、十月、十一月と進むに従って苦情はなくなっておりまして、現時点において御指摘のような苦情は非常に少なくなっているということをぜひ御認識いただきたいと思います。  それはその後、九月は二二%増と申し上げましたが、十月にも対前年に比べて十数%増の出荷をいたしております。十一月に入ってさらに計画出荷をしておりますけれども、ことしは若干冬の始まりが、暖冬ぎみであるようでございまして、需要の方がそれほどふえていないのかもしれませんけれども、現在灯油が足りなくて困っているというようなお話は非常に少ない、皆無とは申しませんけれども非常に少ないということでございます。  また、計画出荷ということを先ほど申し上げましたけれども、何か需給に問題がありそうなときには、要するに仮需が生じそうな場合には計画的に出荷をしてまいりませんと全体としての秩序が乱れることになりますので、そこは前年実績などに基づいてそれを相当上回るような水準で出荷をしているわけでありますから、新しく流通秩序が非常に大幅に変わるというような、従来取引していなかった店に大量にお客さんが行くというようなことがありますと、そこには局地的にヒッチを起こすケースがあるわけでありますけれども、町全体あるいは地域全体で考えますと、灯油の需給についてはそれほど大きな問題は生じていない、私どもは現在そのように認識をしております。
  239. 諫山博

    ○諫山博君 灯油値上がりによる住民の被害をどのようにして軽減するかということが今緊急な課題です。公務員や民間の労働者には不十分ではありますけれども寒冷地手当などの制度があります。生活保護者や福祉施設にも冬季加算その他の 措置がとられています。しかし問題はその中身です。その内容は灯油の異常な値上がりが起こる以前のものです。これが現在も続いています。ですから、灯油値上がりの実情に即してこの問題にも抜本的な見直しが必要だと思います。  この点について、かつて菊池社会局庶務課長は、灯油の価格が非常に高くなるなど、経済情勢の変化があれば検討しなければならない、こう答弁しておられます。これは灯油の異常な値上がりが生じる前のことです。現在この立場で既に行われている例えば生活保護者や福祉施設に対する何らかの措置も見直さなければならないと思いますが、厚生省の答弁を求めます。
  240. 加納正弘

    説明員(加納正弘君) ただいまのお尋ねでございますけれども、最低生活の保障を行う生活保護でありますとか、あるいは社会福祉施設の運営など特別な給付を行わなければナショナルミニマムを確保できなくなるという場合には、国の施策において地域的特性に配慮するのが適当でございますけれども、その他の地域的特性に配慮する施策につきましては、各地方公共団体の自主的な御判断のもとに行われるのが原則と、こういうふうに考えております。  福祉灯油の問題につきましても、ナショナルミニマムを超える地域的特性に関する問題でございまして、新たに具体的な施策を講じるということは特には考えていないところでございます。
  241. 諫山博

    ○諫山博君 この問題では、既に社会福祉制度における地域的特性の問題に関する研究会の報告書も出ています。この報告書は、今厚生省が答弁されたような立場とは違います。「国においても」「必要な施策の実施と指導援助を行なうべきである。」ということが書かれていることは御承知のとおりです。これはやはり今後とも検討していただきたいと思います。  そこで、次に自治省ですけれども、地域的な問題は自治体の責任だというのが厚生省の説明ですけれども、今北海道では、地方自治体が独自に社会的弱者に対するさまざまな寒冷地対策を実施しています。福祉灯油、こういう名目で現金を支給している自治体もあります。灯油の購入券、引きかえ券を交付しているところもあります。さまざまなことが行われていますけれども、自治体の負担は非常に大変です。こういう問題について、自治省として例えば基準的な財政需要としてこのことをカウントするとか、あるいは特別交付金の増額を行うとか、自治体の大きな負担を軽減するための何らかの措置を検討すべきではなかろうかと私は思います。やるかやらないかという即答を今求めません。これは北海道とか東北地方に対する地域的な特殊の状況ということで検討に値するテーマだと思いますけれども、自治省の見解を聞かせてください。
  242. 湊和夫

    説明員(湊和夫君) 今お話のございました福祉灯油に関連することでございますけれども、私どもとしては、基本的にはやはり国の福祉政策の体系の中でこういった国民の生活水準の問題をどうするかというようなことをどう位置づけるか、あるいはそれに対応して地方団体がどのような役割を果たすべきものか、こういう問題があろうかというふうに考えておりまして、現段階でこの問題につきまして国の政策の中での位置づけとか、あるいは財源措置のあり方等が明確でない以上この問題を他の一般の福祉の単独施策の中から取り出して個別に財源措置をするということは、大変困難であるというふうに思っております。  なお、単独の福祉施策全般にわたる財源措置、これはいわば包括的に現在地方財政対策の中で講じているわけでございまして、現在平成二年度もこういう福祉の単独施策の充実に地方財政対策の上で配慮をいたしてまいっておりますが、地方の福祉の分野というのはいろいろ地域の実情に応じましてきめ細かくやられておるわけでございまして、地方団体が自主的な判断で展開される施策の充実という観点からは今後とも十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  243. 諫山博

    ○諫山博君 経済企画庁長官に質問します。  従来、この問題の政府答弁を聞いていますと、厚生省の答弁と自治省の答弁がすれ違うわけですよ。福祉問題は厚生省の所管だというのが一貫した自治省の立場です。地方の特殊性から生じる問題については自治省で処理していただきたいというのが従来の厚生省の答弁です。大体きょうの説明もそういう形になったと思うんです。しかし、現に灯油が異常に値上がりしてたくさんの人が困っているわけです。特に年金生活者あるいは母子家庭あるいは障害者、こういう人たちに対しては何の特別の手当てもないんですよ。このまま放置していいということにはならないと思います。また、このまま放置しておることは、例えば公務員に対して不十分ながら寒冷地手当が払われているという現実とも矛盾するし、あるいは生活保護者に対して、極めてわずかではありますけれどもやはり冬季の特別的な措置がされているということと比べますと、一番困っている年金生活者、一番困っている母子家庭や障害者をなぜ見捨てるのかという声が出るのは当然だと思います。  今までの国会答弁聞いておりますと、この点では厚生省と自治省の答弁が常にすれ違っております。やはり経済企画庁が音頭を取って、各省庁で話し合いを進めて、これは厚生省だとか、これは自治省だからうちは関係ないというんじゃなくて、総合的な施策を検討していただきたい。そうしないと問題は解決しないと思いますけれども、見解を聞かせてください。
  244. 相沢英之

    国務大臣(相沢英之君) 先ほど来、この問題につきましての厚生省と自治省の答弁を聞いておりますと、確かに今お話しのような多少のニュアンスの差はあると思いますが、私はそう大きく食い違っているのではないというふうに思っておるのであります。  と申しますのも、国の方は生活保護に値するような世帯についてのいわゆるナショナルミニマムを確保するための施策を行うということを建前としているわけでございますし、それからそれを超えると申しますか、それ以外の世帯に対する施策については、これはまたそれぞれの地域における特性に配慮しつつ、各地方団体がその対策考えるべきではなかろうかということになっているのじゃないかと思うのであります。各地方団体におきましても、先ほどお話しございましたように、各団体に対するいわゆる交付税算定の基礎となるところの基準財政需要額にいたしましても、その単位費用につきましては寒冷地の補正というものも行われております。いろいろと補正すべき要素はあると思いますけれども、例えばこういうような寒冷地に対して行政として必要になる経費も、そういうような補正を通じて一応確保するという建前で考えられているのではないかというふうに思っているのであります。  おっしゃるように、年金生活者とかその他の、いわゆる生活保護家庭に該当するのではないけれども社会的な弱者という言葉が適当かどうか知りませんが、に類するような世帯に対する手当がないではないかというお話でございます。この点は、例えば年金に関しましても、これは当然に物価上昇というようなものも一つの基準になりまして年金額の改定というものも行われているわけであります。  この灯油の価格の上昇というものが果たしてどこまで続くかでありますけれども、一時的な現象ではなくて長く続くようになれば、当然にこれは物価にも反映されてまいりますし、物価が上昇すれば結局それは年金の額にも当然に反映されてくると、そういうような形でその対策は行われてまいるのではないかと、このように考えております。無論、灯油について、例えば北海道の一世帯当たりに今回の灯油価格の上昇がどれだけの負担を大きくするか、その負担をそのまま年金その他の形で反映をすることができるか、対策考えることができるかということになりますと、なかなか技術的にも問題があろうかと存じます。  生活に要する経費についても、高くなるものもありますればまた安くなるものもある。その間において、総体としての物価の上昇をとらえまして年金の額等が算定されるわけでありますから、お のずからそのような形で対策考えられていくべきものであると思いますし、また、そういうふうになるようにしていかなきゃならない、このように考えております。
  245. 諫山博

    ○諫山博君 終わります。
  246. 三治重信

    ○三治重信君 原子力発電についてお尋ねをいたします。  石油問題も中東紛争で問題でありますが、後でまた聞きますが、エネルギー源として原子力というものが日本のエネルギー需給で非常に重要な役割を果たすとともに、原子力関係もそういうことで非常に重要になってきていると思うんですが、直ちに普通の重油や石炭の発電設備のように短期ではできない。原子力は非常に長期、少なくとも十年単位の長期でなければそれが実際の計画に乗ってこないのじゃないかと思うんですが、そういう意味において、過去数年といいますか、十年単位ぐらいのところで、計画と現実とが、供給がどういうふうな推移をしておるか。  それから、原子力発電の将来計画というものができているそうですが、それが本当にどの辺まで実現性があるかどうか。それで日本の電力の需給安定は大体こなせるつもりか。そういうものがうまくいかぬとなるのは、その大きな原因は、私はやはり原子力への反対というものがだんだん強くたってきつつある、したがって各原子力の設置の場所で、なかなかその反対を説き伏せて予定どおり原子力発電所を設置するのは難しいものかどうか。大体いけそうなのか。そういう見通しがあれば御説明願いたい。
  247. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 我が国の原子力発電の規模の推移でございますが、約十年前の一九七九年度末の数字を見ますと、千五百十二万キロワットでございました。現在これは三千百六十五万キロワットになっているわけでありますから、ここ十年の間に千六百五十三万キロワットふえたということであります。なお、現在現に建設中あるいは建設準備中というものがございますが、これらの能力は合わせますと千四百七十一万キロワットありますので、現在稼働中のものと合わせますと、つまり稼働中、建設中、建設準備中すべてを合わせますと、四千六百三十五万キロワットになることになっております。  ことしの十月に閣議決定されました石油代替エネルギーの供給目標では、各エネルギー源の供給安定性、経済性あるいは環境への負荷、導入の可能性等々を総合的に評価をいたしまして、いわゆるエネルギーのベストミックスというものを考慮をして定めておりますが、原子力につきましては、二〇一〇年の年度末に設備容量で七千二百五十万キロワットを見込んでいるところであります。原子力につきましては、供給の安定性あるいは経済性、環境負荷という点から大変すぐれた特性を有しているわけでありまして、この目標は、我が国のエネルギーの需給上ぜひとも達成が必要なわけでありますけれども、先生御指摘になりましたように、国民の間にございます原子力に対する非常に厳しい意識ということを考えますと、この達成にはなお相当の、格段の努力が必要でございまして、官民挙げての努力が必要かと思っております。  政府といたしましては、従来に引き続きまして、安全確保対策でありますとかバックエンド対策、あるいはまた立地促進対策、広報対策等の諸般の施策を講じまして、この目的の達成のために最大限の努力をしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  248. 三治重信

    ○三治重信君 それで、閣議決定の七千二百五十万キロワットアワーというのはどれぐらい、まあ決定だからそのとおり実現と言っていいことだが、実際の見込みというものはどうなんですか。どういうような見通しか。それはどういうところにこのネックがあるのか。
  249. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 七千二百五十万キロワットという目標を決めたところでありますので、私どもこれをぜひ達成させたいと考えておるわけでありますが、問題は、もちろん個別地点の、立地地点の問題ということになろうかと思います。  先生の御質問は、地点ごとに詰めたのかというような御趣旨かと存じますけれども、個別地点についてそれぞれ個別地点の積み上げによって七千二百五十万という数字を出したわけではございません。全体のエネルギーの最終的なベストミックスの姿、それを構築するという観点から定めたものでありますが、しかし、目標を設定するに当たりまして、全く架空にやったということではなくて、目標達成のフィージビリティーというものは十分検証しなければいけないということで、個別の候補地点の立地可能性につきまして評価をいたしまして、開発目標を達成するために十分な開発地点があるということを確認をした上で今の七千二百五十万を決めたわけでありますので、努力をすれば達成可能であるというふうに私ども考えておるところでございます。
  250. 三治重信

    ○三治重信君 ぜひひとつ、この原子力発電について各電力会社とよく相談してやっていただきたいと思います。  次に、石油の問題なんですけれども、この中東紛争でもすぐ生活に響くような価格の上昇というものが議論になっているわけなんですが、実際石油というものを七〇%も中東から供給をされているという日本の現実からいくというと、この中東紛争というものに対して、企画庁か通産省か、どちらでも結構ですけれども、この中東紛争というものを非常に安易に考えて石油の需給は大丈夫だというふうに国民に安心させているような気配がどうもありはせぬか。条件によっては大変なことになるぞ。中東紛争というものは、そういう意味において国民がもっと関心を持たぬと、日本の国民経済や産業に非常に影響があるということの条件を、こういうふうになるとこうなるという、石油が供給を制限されるとこういうふうになると。それは単に経済の需給関係だけでこうなるというんじゃなくて、中東紛争というものの動向いかんによってはこれは非常に日本関係するんだから、日本としても中東紛争を平和的解決するためにもっと真剣に考えてもらわにゃならぬということがもっとこの間の国会でも本気になって議論されれば、あんなふうな中途半端な政府答弁ではなかったんじゃないか。そういう意味において、特に中東紛争に対する認識の基本である石油の需要制限、七〇%も入れているものが半分以下になっちゃうとかいうようなことを想定をして、国民に対して警告なり、そういうものだから中東紛争というものは非常に日本に重要な関係があるんだという啓蒙活動をやらぬといけなかったんじゃないか、僕はこういうように思うんです。  それを、どうも企画庁なり通産省も、非常に国民に不安、動揺を与えないようにとばかり思って、石油は大丈夫だ大丈夫だというふうなことを言うと、中東紛争なんて自分のところには関係ない、だから日本はかかわらぬ方がいいという議論がほうはいとして起こってくる。この中東紛争というものに対する認識によって、そんなもの、何も中東に日本がかかわることはないじゃないかと、その方が大勢を占めちゃう、こういうことなんです。  ところが、実際中東紛争になってくると、こんなに石油が供給が制限されるんですよ。ほかに入れるところはないんですよ。だから中東紛争に対して日本は本気になって考えていかねばいかぬということになってくると、政府もあんなあいまいな答弁じゃなくて、もっと本気になって議論をしただろうと思うんです。  その基本は僕は石油の需給に対する――政府の方は言えぬから僕が言いますけれども、もしもあのときにアメリカがぱっと出なくて、フセインがサウジなり湾岸を占領したときにはどうなったか。もしも湾岸を占領したらば、日本の石油供給は一時的にも大変なことになったはずですよと。だからアメリカがぱっとこうやって、サウジの方へ出られないようにしたということについては、日本もそれは感謝をしなくちゃいかぬ問題だというふうなぐらいの認識で、政府がきちっとした態度をとっていくべきじゃないか、こういうふうに思うわけです。  そういう意味において、この紛争はどうなるかわかりません、平和的解決になるかあるいはアメリカがもういつまでも待てぬということで武力に訴えるようなことになるかもわからぬ。その予想はともかくとして、そういうふうな紛争なり深刻化することが結果として、石油供給が七〇%を向こうから入れてきているものがもしも半分になったら、三分の一になったらどういうふうに日本の経済に影響するんだということぐらい、そうなったらどういうぐあいになるということぐらい、政府としてきちんと国民に認識を新たにしてもらっておく必要があるのじゃないか、こう思うんですが、御意見はいかがですか。
  251. 相沢英之

    国務大臣(相沢英之君) 今の三治委員のお説、まことにごもっともであると思っております。  また私どもは、石油については供給面では大丈夫だということを申し上げておりますのは、事実世界全体として見ましても、イラクとクウェートの産出する油の量はOPEC二千二百四十万バレル・パー・デーのうちの約四百三十万バレル・パー・デーでございまして、これは御承知のようにサウジアラビアとかベネズエラ、インドネシア等等の国々の増産によって完全にカバーされないまでもほぼカバーをされるというような数字になっておりますし、また事実我が国について見ますと、イラクとクウェートから入ってきます油は総体の輸入量のそれぞれ約六%、足して一二%程度でありまして、これは今までのところほかの国からの輸入の増加で大体賄っております。また、どうしても需給がアンバランスになるといえば、百四十二日にわたる政府、民間合わせての備蓄がございますから、これを取り崩すことによってカバーできるというふうに思っております。  そういうようなことでありますから、さあ大変だ大変だと言うとまた第一次オイルショックのときみたいに、それ、今のうち買いだめしておかなきゃならないというようなことで、石油どころかトイレットペーパーやら何やらまで買いだめをするというような、そういう騒動になりかねませんので、私どもは、一般の国民の方々にそういう点では心配は余りないということを理解していただくという気持ちも込めまして大丈夫だと言っているのであります。  ただ、御案内のように、値段は相当に上がりましたから、先ほど来お話がございましたように、石油製品の価格についてもいろいろな影響を及ぼしているわけでありますから、決してこれをないがしろに考えるわけにはまいらない。ただ、幸いなことに為替の相場が大変円高に振れてまいりまして、ひところ一ドル百六十円まで安くなりました円が百三十円を割るというような状態になりまして、大体石油の価格で十ドル上がりましても為相替場でもって円が二十五円高になると大体相殺するという勘定になりますし、また為替相場の及ぼす範囲は石油価格だけではなくてあらゆる物資に及ぶわけでありまして、そういった点では大変にこの円高が石油の高騰による卸売物価、消費者物価に対する影響を緩和してくれているわけであります。  ただ問題は、果たしてこのままの状態で平和裏に中東の紛争が解決をするかどうかということでありまして、もし一たん軍事的な行動に出るようなことがあれば、それこそ恐らくお互いに石油の精製施設というものを爆撃する、破壊するということになることは目に見えているわけでありまして、特にサウジアラビアは我が国に対しましての最大の石油の供給国でございますから、もしそういうようなことにでもなれば、それはもう石油価格の恐らく相当な暴騰とあわせまして量的な不足も生ずる可能性もあるわけでありまして、それは我々としては絶対にあってはならない事態であるということを思っているわけであります。  ただ、幸いにいたしまして百四十数日の備蓄がございますから、仮にそういうことになりましても短時日のうちにこの解決が行われればその影響を比較的軽微に食いとめることもあるいは可能ではないかと思いますが、一たん破壊された石油の精製施設を復旧するには少なくとも両三カ月を要するというふうに聞いております。この点、もしあれでしたらエネルギー庁長官からも答弁をしていただいたら結構だと思いますが、ともかくそういうような事態になりますればおっしゃるように国民生活に対する大変な影響があるわけでありまして、私どもといたしましてもそういう事態にならないように、この問題が平和裏に解決することを希求いたすと同時に、政府としてもそのための必要な貢献というものに力を惜しんではならないと、このように考えております。
  252. 三治重信

    ○三治重信君 今石油の現実の需給の見通しについて長官がおっしゃられて、国民がそう不安を感じないということはこれは非常に結構なことなんです。非常にそういうことは、配慮はぜひ必要だけれども、中東紛争について日本政府の立場として、これがこういうふうに現実に今おっしゃったように油田が破壊されるようなことになったり、それから長引くとどういう影響がくるということをあらかじめ国民に知らせる努力というものは、安定だ安定だ、ちっとも関係ないという安心ばっかりさせておっていいものかどうか。心配事は国民とともに心配するという精神がなくて、ただ国民に安心だ安心だと言うことだけではいかぬ、僕はそこを言いたいんですよ。政府はこういう心配もしているんだ、だから中東紛争というものに対してこういうふうな真剣に対策考えるんだというところがないと、国民は、どうも僕は新聞論調や一般の人を見ていても、他人事の紛争だからできるだけかかわらぬ方がいいというような論調が非常に強く出てくると思うんですよね。だから、そういうことをもっと本当に、危機に対して国民が本気になって考えるというデータや、そういう心配がある、しかし現実の見通しとしてはそんなに心配要らないということを区別した政府の認識というものを僕は欲しいと、こういうことです。  それで、時間になっちゃってまずいんですが、一つだけ簡単に、大陸棚の韓国との共同開発について、これは野党の中で民社党だけが賛成してやったんだけれども、どうも音さたなくて、全然空鉄砲になっているんだけれども、実際はどうなっているのか、ごく簡単に御説明願いたい。
  253. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 日韓大陸棚の共同開発の状況について御説明をさせていただきます。  御指摘がありましたように、昭和四十九年に大陸棚協定ができまして、五十三年に国会で法案を通していただいております。その後、日韓大陸棚共同開発事業が昭和五十四年に開始をされまして、七本の試掘を実施いたしました。一部で油兆が認められたわけでありますけれども、商業化可能量の石油あるいは天然ガスの発見には至りませんで、昭和六十二年に一応第一ラウンドとしての探査を終了したわけでございます。この間に日韓両国、両サイドで合計約百八十億円の投資をしておりまして、これは二分の一ずつ日本側、韓国側で折半をしております。投資額はすべて民間の資金で賄われております。  現在、第二ラウンドの共同開発をやるべく、日韓両国の開発権者の間で共同事業の契約の締結のための協議を行っているところでございまして、協議が相調いますと、また第二ラウンドを始めるというふうな通びになっていこうかと思います。
  254. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 他に御発言もないようですから、通商産業省経済企画庁科学技術庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明十五日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会