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1990-11-07 第119回国会 衆議院 国際連合平和協力に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年十一月七日(水曜日)     午前十時九分開議  出席委員    委員長 加藤 紘一君    理事 高村 正彦君 理事 西田  司君    理事 浜田卓二郎君 理事 官下 創平君    理事 山崎  拓君 理事 池端 清一君    理事 上原 康助君 理事 高沢 寅男君    理事 日笠 勝之君       愛知 和男君    井出 正一君       石井  一君    植竹 繁雄君       古賀  誠君    自見庄三郎君       杉浦 正健君    鈴木 宗男君       園田 博之君    近岡理一郎君       中川 昭一君    中村正三郎君       中山 正暉君    野中 広務君       鳩山 邦夫君    浜田 幸一君       林  大幹君    町村 信孝君       三原 朝彦君    渡辺 省一君      石橋 大吉君    宇都宮真由美君       上田 利正君    小澤 克介君       大木 正吾君    岡田 利春君       川崎 寛治君    左近 正男君       水田  稔君    和田 静夫君       井上 義久君    遠藤 乙彦君       冬柴 鐵三君    山口那津男君       児玉 健次君    佐藤 祐弘君       東中 光雄君    和田 一仁君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  海部 俊樹君         外 務 大 臣 中山 太郎君         運 輸 大 臣 大野  明君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   奥田 敬和君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 石川 要三君  出席政府委員         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         内閣法制局第三         部長      津野  修君         警察庁長官官房         長       浅野信二郎君         警察庁警務局長 仁平 圀雄君         警察庁警備局長 城内 康光君         防衛庁参事官  内田 勝久君         防衛庁参事官  玉木  武君         防衛庁長官官房         長       日吉  章君         防衛庁教育訓練         局長      坪井 龍文君         防衛庁人事局長 村田 直昭君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁施設         部長      大原 重信君         外務大臣官房領         事移住部長   久米 邦貞君         外務省中近東ア         フリカ局長   渡辺  允君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合         局長      赤尾 信敏君         外務省情報調査         局長      佐藤 行雄君         大蔵省国際金融         局長      千野 忠男君         運輸省航空局長 宮本 春樹君         海上保安庁長官 丹羽  晟君         消防庁次長   島崎  実君  委員外出席者         国際連合平和協         力に関する特別         委員会調査室長 石田 俊昭君     ───────────── 委員の異動 十一月七日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     佐藤 祐弘君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 祐弘君     小沢 和秋君     ───────────── 本日の会議に付した案件  国際連合平和協力法案内閣提出第一号)      ────◇─────
  2. 加藤紘一

    加藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国際連合平和協力法案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野中広務君。
  3. 野中広務

    野中委員 ただいま議題となりました法案につきまして、数点の質問を申し上げたいと存じます。  最初に、昨日以来中曽根元総理及び佐藤幹事長代理自民党代表団団長とする一行がイラクを訪問され、フセイン大統領を初めサレハ国民議会議長等との会見を通じまして、イラク人質として拘留されております日本人及び在留邦人解放報道をされ、七十九人に及びます同胞が明日帰国をされるという報道を聞きまして、まことに喜びにたえないところであります。報道によりますと、団長談話として、何一つ条件もなく、先方の要請した協定書も結ぶことなくお帰りになるという報道を聞きまして、代表団皆さんの労を多とするものであります。  ここで改めて、この人質解放並びに在留邦人帰国に際しまして総理所信をお伺いをいたします。
  4. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 昨日来のいろいろな報告によりまして、七十、多分九名になると思いますが、きょうまで自由を奪われておったり人質としての生活をしておられた方が解放されて帰っていらっしゃるということは、御本人たちのためにも御家族のためにもまことに喜ばしいことでございます。ただ、願わくは、すべての抑留されておる邦人皆さんやすべての国の人質解放のために、一刻も早くこの事態が原則に従った根本的な解決がなされるように政府としてはさらに努力を続けていかなければならない、このように考えております。
  5. 野中広務

    野中委員 引き続いて総理並びに外務大臣にお伺いをいたしたいと存じますが、人質解放に至るまでの経過につきまして、ただいままで把握されておる範囲において御報告を願いたいと存じます。  なお、今総理もお述べになりましたけれども、残された人質及び在留邦人の問題につきましての見通し等につきましても、お伺いができれば御答弁をいただきたいと存じます。  さらに、今回の特別機ではそれぞれ家族あるいは一般の善意ある皆さん方から寄せられました多くの品物や手紙が、それぞれ先方人質やあるいは在留邦人皆さんに無事届けられたのか、そういう問題につきましてもあわせてお伺いをいたしたいと思うのであります。  なお、先ほど総理が今回の人質について非常に喜んでおる旨を申され、また、今後なお残された人たちへの配慮も申されましたけれども、私は、この報道の一部の中に、いわゆるクウェートの問題とさらにパレスチナの問題とをクロスして考えるといったような、そういうものに理解を示したような報道がされておるのを見たわけでございますけれども、これは今日までイラク問題について我が国がとってきた外交方針とは異なるのではないかと懸念をするものであります。したがいまして、これにつきましてもお考えをお伺いをいたしたいと存じます。
  6. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 人質問題の詳細につきましては外務省から後ほど詳しく報告させますが、私の聞いております範囲では、今回出国が認められた方々は病気あるいは高齢ということで人質としての生活が人一倍につらかった方々であろうと思いますので、これらの方々のため並びに御家族のために、そのことについては先ほど申し上げたように率直に喜ばしいことだと評価をしております。  ただ、きのうも私が心を痛めましたのは、テレビのニュースで、出国が決まった一人の方が、私はもう一人別の人と一緒にいた、二人おまえたちは帰すと言われて、後になっておまえ一人だと言われたので、私は同僚の一人を残してこなければならなかった、そのことを思うと胸が痛むと言われたのを聞いて、私は帰ってくる方の心中はいかばかりかとお察ししますが、同時に、残された方のお気持ちも思うと、本当に一刻も早く根本的な解決をして、すべての人質釈放ということは国際法上も人道上もぜひされるべきであるということを強くもう一回願わずにはおれませんし、同時に、この問題の根本的解決は、今こういった緊張状態をつくったこの局面を打開をして、言葉をかえて言うと、国連決議原則に従ってクウェートからの撤兵、クウェート政府の復帰、人質全面釈放、それがあって初めて次のステージに移り、恒久和平の問題についての新たな話し合いが提案されるようになっていくのである、このように考えておりますので、政府といたしましては従来の方針に立って粘り強く平和解決のための努力を続けていかなければならない、私はこう考えております。  詳細は外務省から御報告をいたさせます。
  7. 中山正暉

    中山国務大臣 今総理からもお話がございましたが、今回七十九名の方がもしお帰りいただくということになりますと、残されておられる方々は、人質となっておられる方々が百十三名、それからイラクに在住しておられる日本の方が百十五名、クウェートに六名なおおられるということでございます。政府としましても引き続きこれらの方々が一日も早く出国されますように、鋭意国連あるいは国際赤十字、また我が方の大使館を通じて積極的にイラク政府に交渉をいたしてまいりたい、このように考えております。  なお、先ほど総理からお話がございましたが、パレスチナ問題の解決という問題はアラブ地域の問題の解決には非常に基本的な大きな問題でございますけれども、今回のイラククウェート侵攻とは分離した形でこの問題を解決していくということが国際社会一つの大きな考え方の枠組みになっていることで、政府といたしましてもそのような考え方で今後とも努力をしなければならないと思っております。
  8. 野中広務

    野中委員 我が国人質の一部が解放をされましたことは、先ほども申し上げましたように大変喜ばしいことであるわけでありますが、私は一方、今回のように日本を初め一部の国の代表フセイン大統領と交渉することによって一部ずつ人質解放をされまして、国際連合のもとにイラクの暴挙を絶対に許すことができないという、そういう決意で結集している国々連帯を崩そうとするフセイン大統領の悪質な手段に結果として手をかすことになるのではないか。アメリカを初めとする友好国に、紛争が始まってから三カ月を経過してもなお我が国は人的な貢献もすることができない、またそういう道を見出すことのできないような我が国国会の状況、さらにはアメリカ中間選挙が本日投票が始まっておるという、そういう状態考えますときに、国際国家日本としての責任を果たし得ない現実をどのようにお考えになるのか、その御所見をお伺いをいたしたいと存じます。
  9. 中山正暉

    中山国務大臣 国際社会連帯をして、イラククウェート侵略によって起こってきたいろいろな、侵略行為によって行われた駐留軍を引き揚げてくるということの目的、また国連決議実効性を確保するためにやっていく大きな一つ目的がありますけれども、先般サミットにおきましても各国が抜け駆けでやってはならないという申し合わせも行われておる時点でございますし、やはりこの問題は、我々が国際協力をしながら全人質解放のために一層緊密な連携をつくってやっていかないと、国際社会、特に人質を抑留されている国々の中でどこかの国だけが一つ抜け駆けをやるということは許されないことである。しかし現実問題として、私どもは、厳しい外交の試練の中で関係各国十分連絡をしながら、全面的な解決のために努力をしていかなければならないと考えております。
  10. 野中広務

    野中委員 ここで私は、過去の歴史、我々の過去の厳粛な歴史を風化させてはならないという視点に立って、質問総理並びに関係大臣にいたしたいと存じます。  今国会でいろいろとこの委員会議論をされていく中に、第二次世界大戦を初めとして過去の歴史が何度か取り上げられてまいりました。また議論の中には、あたかも今中東で激しい戦闘が行われておるような、そんな状態での議論も聞くことができましたし、そこへやれ派遣するんだ、やれ派兵するんだといったような議論を連日繰り返してきたようにも思うのであります。私も、昭和時代を生き抜いてきた一人として、戦争の残酷さを限りなく知り尽くしておる一人でもあります。そして、だれよりも平和を求め、平和を愛しております。したがって、戦争を憎み、そしてそれを回避しなければならないという信念に燃えておる一人でもあります。その意味において、過去の歴史を風化させてはならないと考えます。  しかし、過去の戦争はいろいろな要因の相寄って開戦の原因となったものでありますけれども、総じて私は、日本が国際的に孤立化の道を求めてしまい、これを国際協調への努力によって解消する道を選ばずして、武力に訴えることによって解決手段を求めたところに、あの忌まわしい戦争の根本的な要因があったと考えるのであります。この意味において、一方、この過去を風化させてはならないと私は思いますことを、今度の国会審議を通じて、この国際的な孤立を求めていく我が国の限りないあり方——あるいはこの間、古い戦争中のもう茶色ぼけた新聞の幾つかを私は見てみました。やはり孤立化を進めていく中において、それを誘導するかのごとくマスコミ報道しておる姿を見て、今、国会論議を一部のマスコミがまた意図的に報道しておることを思い浮かべながら、慄然としたのであります。したがいまして、今もまた私は、孤立化の道を求めてはならない、このように考え歴史を風化させてはならないと思うのでありますが、これについてお考えをお伺いいたしたいと存じます。
  11. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 戦争の体験、歴史反省を風化させてはならないという委員の御指摘は、私もそのとおりだと思います。そうして、四十五年前の反省に立って、再三申し上げてきましたが、二度と再び国家意思侵略戦争をしてはいけない、軍事大国になってはいけないという誓いは、日本国民みんなの合意であったと思いますし、それがアジア・太平洋地域の平和と安定に役立ってきたことも、これは事実でございます。そういったものを風化させないのは当然のことでありますし、また、今回御議論願っておる平和協力法案にしても、国の意思で国が自由にどこかの国へ出ていこうとか、むしろ逆に、強い国が弱い国を力で侵略、併合することはこれからの国際社会では許してはならない規範なんだということを明確にはっきりしたいというのが私ども政治的な立場でありまして、国連決議によって平和の破壊者社会正義に反する者と糾弾を受けた国に対して、まあ仕方がない、できたことはしょうがないんだ、それよりもまあまあでおさめていこうというような、見て見ぬふりをすることは断じて許してはならぬというのが私の強い気持ちでもございました。  ですから、戦争に参加するとかしないとか、戦争をやるのか平和なのかという角度の議論ではなくて、平和を守るために何をするかあるいは孤立するかという重大な選択の岐路に立ったときに、我々も国際社会の一員としてそれなりの責任と影響を持つ国になった以上は、許される範囲内で協力をしなければならないというのが発想の原点でありますから、どうか野中委員のその御指摘の点については十分配慮しておるということを改めてもう一回申し上げさせていただきますし、また、ちょうど今から六十年前、日本国際連盟を脱退して、そして孤立への道を歩み始めた以後、世界から経済制裁を受けた、そして経済制裁の中で武力行使の道に走っていったという、そういう歴史反省は私も同感でございます。孤立しないで協調の中で、平和と繁栄を求めながら相互依存関係の中でどのようにして担っていくか。戦後四十五年間、日米安保条約のもとで現実に平和を守り続けてきた日本が、世界自由経済自由貿易という恵まれた制度、環境の中で、世界との関係の中でこれだけの豊かさと質の高い国民生活を維持できるようになったということは、日本ひとりでできたものでは絶対にないわけであって、世界との相互依存関係考えるならば、武力以外のお役に立てる点では積極的に国際社会の中で貢献をしていかなきゃならぬというのも、これからの日本の生きる大きな道しるべである、政府はこう考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  12. 野中広務

    野中委員 今日までこの委員会議論を聞いておって、私は、一人の政治の道にある者として、政党というのはこんなに過去を風化していいんだろうか、こんなに責任を感じないでいいんだろうかと思うことが、そしてそれをむなしく思うことが幾つかありました。その若干に触れてお伺いをいたしたいと存じます。  一つは、共産党憲法論議であります。ことごとく、共産党議論を聞いておりますと、それは憲法に触れる、あるいは憲法違反だ、こういう主張が行われてまいったのであります。政府を追及してこられたのであります。私の知る限りにおきましては、日本共産党日本国憲法制定反対をされたと承知をしております。憲法第一章は天皇を定め、第一条は、天皇日本国象徴であり日本国国民統合象徴と定めており、第二条は、皇位は世襲するものであり、その継承を定めておるのであります。昨日、本院における即位の礼の賀詞奉呈について日本共産党反対をされました。共産党憲法議論というのは、憲法の都合のよい部分は勝手に利用をし、全く無責任なものがあると考えるのであります。  この際、法制局長官にお伺いいたしますけれども憲法制定に対して日本共産党反対したのかどうか、お伺いをいたします。
  13. 工藤敦夫

    工藤政府委員 お答え申し上げます。  三十九年の憲法調査会報告憲法調査会の中の日本国憲法制定経過に関する小委員会でございますか、そういう報告書もございますが、それで見ますと、今委員指摘のような事実だと存じております。
  14. 野中広務

    野中委員 さて、もう一つは新東京国際空港、いわゆる成田空港であります。これは今なお残念ながら非常に未完成の、小さな、俗に言う欠陥空港と言われておるのであります。申し上げるまでもなく、長い反対運動、そして莫大な経費、とうとい犠牲者を出して今日に及び、五十三年開港となったのであります。これも私は過去を風化させてはならない重大な問題だと思っておるのであります。  当時社会党は、成田委員長を初め六十名の国会議員があの地域においてそれぞれ一坪地主となって反対運動の先頭に立って、限りなく反対運動の輪を広げてこられたのであります。その後、反対運動は中核と言われる学生たち中心として最近まで続けてこられ、社会党国会議員の一坪地主も、時代のその後の変化とともに所有権を譲渡され、たしか昭和五十七、八年ごろにはすべてなくなっておると承知をしておるのでございますけれども、この反対運動犠牲をこうむった神奈川県警の一人の警察官親たちは私の知人であります。この間、この家族テレビの画面を見ながら、現在の土井社会党委員長がさっそうとして成田空港から手を振りながら海外に出ていかれるのを見て、政党責任というのは一体何なんだ、政治家に良心はあるのか、自分の息子は一体何のために死んだんだ、その無念の涙とともに私に訴えられました。改めて私は、過去を風化させてはいけないと思います。私はその親御さんに、私なら大阪から香港に渡り、反対した空港からは乗らないでヨーロッパに行きます、またそれが反対した政治家のあるべき姿ではなかろうか、そんな過去を忘れ切ってしゃあしゃあとして出かけていく政治家もあるんですね、こう言って、慰めをする言葉もなかったのであります。  今申し上げた話に、非常に重大な時期を迎えておるときでございますから、その事実確認運輸大臣に求めることは難しゅうございますけれども、私は、申し上げた事実関係確認と、さらにこれについてどう考えておられるか、運輸大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
  15. 宮本春樹

    宮本政府委員 まず事実関係についてお答えいたします。  成田空港建設歴史において一坪運動等反対運動があったことは事実であり、現在もあるわけでございますが、御指摘社会党国会議員先生方も約六十名参加されていたわけであります。その後もとの地主等に返還されておりまして、現在は国会議員先生方は一人も所有されておりません。  なお、現在の一坪運動共有者は約千二百名余であります。  以上であります。
  16. 大野明

    大野国務大臣 ただいま局長から答弁いたしましたように、当時一坪運動というものが反対運動の一環として行われたことは事実でありまして、まことに遺憾でございます。しかし現在では、地元の千葉県あるいはまたその隣接の市、町等が一丸となりまして成田空港問題を中心とした地元連絡協議会をつくり、一日も早い解決を求めるべく今月一日から発足したところでございます。いずれにしても、地元方々を初め農民の方々、そしてまた地方自治体、政府、そしてまた空港公団等が一体となって一日も早い解決をしたいと考えておるところでございますし、私も、地元から呼びかけがあれば出ていって、過去に思いをはせながら、ひとつ一日も早く日本国際社会において恥ずかしくない空港建設に向かいたい。  と申しますことは、私は大臣になりましてから数多くの国々運輸大臣等々とも話をいたしますけれども、そのときに、日本経済大国でありながら空港ということになると、非常にお粗末だとはまさか外交官ですから、また政治家ですから言い回しはそうは言いませんが、端的に言うとそういうことを言われることが大変に多いということは、日本との経済交流あるいは人的な交流世界は大変求めておるんだなということを痛感いたし、内心非常に恥ずかしい思いをいたしておるところでございまして、私はやはりそこで、政治というもの、社会というものが、現在今日というのは点でございますが、将来を見詰めることが政治家として、政党として一番大切なことだということをむしろ教えられたような気持ちでございまして、点の論議も大切ですけれども、将来いわゆる洞察力というか先見のない政党であっては政権をとるといってもとれないでしょうし、政治家としても大成しないのではないかなということを教えられた思いの成田問題でございます。
  17. 野中広務

    野中委員 次に、国家公安委員長にお伺いいたします。  成田闘争は多くの犠牲者を出しましたけれども、その中で何名の警察官が死亡し、そして何名の警察官が負傷をいたしましたか。数字をお教えいただきたいと存じます。  即位の礼を前にいたしましてなおゲリラ闘争は各地で起きており、またその犠牲も出ておるのであります。先ほど私は、私の知人犠牲となりました神奈川県警家族心中の一部を披露いたしましたけれども、こんな状態にあって近代武器が使われておっても、国内では警察官のみが矢面に立たなくてはならない我が国であります。そのことを考え国家公安委員長の御答弁とともに御所信をお伺いいたしたいと存じます。
  18. 城内康光

    城内政府委員 事実関係につきまして私から御答弁させていただきます。  成田闘争警備におきましては、これまでに警察官五名が殉職しております。また、負傷いたしました者は三千八百人を超えております。  なお、ことしのテロ・ゲリラ事件は総数で六十二件でございまして、昨年の二十七件の倍以上ということでございます。大変許しがたい犯罪行為によりまして、これまでに死者を三人出しております。  その内訳を申し上げると、三月に都内で消防職員ゲリラ消火作業中に殉職をいたしました。また、四月に日本飛行機専務宅放火事件がございまして、専務の奥さんが焼き殺されております。それからまた、今月の一日から二日にかけて新宿警察署及び世田谷警察署に対する爆弾ゲリラ事件が起きましたけれども、その新宿独身寮におきまして警察官一人が殉職し、多数の者が重軽傷を負っております。  以上でございます。
  19. 奥田敬和

    奥田国務大臣 事実関係については今政府委員から述べたとおりでございますが、治安の水準の高いことは我が国の誇りの一つでもございます。しかしながら、今言ったような形で殉職された警官も含めまして、本当に心か哀悼の気持ちを禁ぜざるを得ません。特に、さきの新宿で殉職いたしました青木警部補の葬儀にも私は参りましたけれども、幸福な娘さん二人を囲んでの家庭が一瞬にして断たれた、そういった痛ましい犠牲に、悲しみを私は肌で感じ、怒りを抑えることができませんでした。  このような卑劣きわまりない無差別なテロ行為は、本当に民主主義の敵であると同時に、断じて許すことはできません。この追及には全力を挙げることはもとよりでございますけれども、どうかひとつ、そういった意味では国民的な大きな理解の上に立って、こういったテロ行為の断絶に国民の御協力を心からお願いしたいと思っております。
  20. 野中広務

    野中委員 ただいままで私が若干触れました幾つかの問題は、過去を限りなく風化をさせてはならないという大きな私の願いを込めた質問であります。どうぞ関係当局におかれても強い決意で臨んでいただきたいことを要望いたしたいと存じます。  さて次に、中東における情勢の認識についてお伺いをいたしたいと存じます。  八月二日のイラククウェートに対する暴力的な併合から三カ月、フセインの人質解放が意図的に順次行われ、なぜか時間稼ぎが行われておるような気がしてなりません。そして、関係諸国の連帯感をつぶそうと意図しておる悪質な手段が見え隠れしておるように見えてなりません。こういう時間稼ぎで、やがて雨季がやってきて戦闘をも困難な状態の中で、フセインの作戦が成功し、国連諸国の連帯が崩れていく中でクウェートの併合は完全に既成の事実となっていくのではないか、こういう懸念を私は持つのであります。こんな暴力が許されるならば、第二、第三のフセインが世界にまた今後あらわれてくるであろうことも危惧するのであります。  イラククウェート侵攻後、直ちにアメリカ、イギリスを初めとする関係諸国の軍隊がサウジアラビアに赴き、さらに湾岸警備の任についたからクウェートのみでおさまって、サウジアラビアや首長国連邦へのフセインの軍事力の制圧を免れることができたと私は思うのであります。そうでなければ、フセインはクウェートを含めまして中東における原油の六割以上を押さえて、世界経済は極度の大混乱をしていたと思うのであります。一国が武力で一国を制圧するようなことを断じて許してはならないのであります。軍事的に小さな国は、このようなことでは安全な暮らしを保障されることはないのであります。時間の経過の中で、私たち人質解放とは別の視点でフセインの許すことのできないこの暴挙を改めて認識し、我が国責任の重大さを自覚するべきだと考えるのでありますが、総理のお考えをお伺いいたしたいと存じます。
  21. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 戦後四十五年間の世界歴史の流れというものは、思想とかイデオロギーを背景にした東西両陣営の、しかもその頂点に立つ超大国の圧倒的な力の均衡の中で平和を保つという仕組みが長く続いてきましたが、その米ソの対立が終わり冷戦時代の発想が乗り越えられつつあるという、ある意味では非常に希望に満ちた世界の情勢の中で旧態依然とした力による侵略、併合ということが行われることは、これはやはり国際社会の大義として許してはならないし、今度のことを既成事実として認めさせてしまってはならないという、そういった角度からの委員の御質問には私も全く同感でございます。  そうであればあるほど、新しい世界の規範というものは、秩序というものは、力に頼るのではなくて、問題は話し合いによって解決をしていく。目指すところは平和と繁栄であるという一点に的を絞っていきますならば、ちょうど今欧州にあらわれておるように、もうイデオロギーの対立や戦争は乗り越えていこうという、これを世界じゅうに定着させなければならぬわけでありますから、その意味で私は、国連が戦後初めて機能し始めた、国連憲章の中に書いてあるお互いによき隣人として世界の恒久平和のために力を合わせて頑張っていこうというこの目標を達成するために、それぞれがやはりでき得る限りの力を合わせて平和と経済の繁栄とに尽くしていかなければならない。それが大きな歴史の流れであって、私は、それを日本も大切に見ながらでき得る限りの協力をしていかなければならない、この考えでございます。
  22. 野中広務

    野中委員 さて、私は今国会を振り返って、今国会の意義は一体何だったのだろう、こういう気持ちに今なっておるのであります。戦後四十五年間、地球上に数知れない戦争や紛争があったにもかかわらず、我が国は一度の戦火にもまみれることなく、平和に、かつ経済の発展をつくることができてまいりました。しかし、その間幾度か我が国国際協力のあり方について、あるいは警察予備隊から自衛隊へ変わってきた自衛隊の存在について、ときにはまま子のごとく扱い、現在では国民の大多数の認知するところでありますけれども、そのときどき、自衛隊の根本的なあり方を避けて通ってきた感じがするのであります。近代国家日本の危機管理につきましても、また同様に避けてきたのではなかろうかと思うのであります。  米ソが対立する構図が変わってまいりまして、世界の地図が音を立てて変わろうとしており、日本の国際国家としてのあり方が改めて問われようとするときに、今回の中東紛争というのはまさしく起きたのであります。国連平和協力法案審議の今国会は、まさしくその日米安保条約の傘の下で、米ソ対立の構図の中でどっぷりと平和と豊かさにつかり込んできた日本が、今サミット参加国にまでの道のりを歩んできて、新しい国際秩序の中で今我が国は何をなすべきか、これが論ぜられなくてはならないし、そういう重要な歴史的節目にある今国会ではなかったかと思います。  連日の論議を聞きますと、きのうまでで六十九時間九分という審議が行われております。本日予定される六時間五十分を加えますと実に七十五時間五十九分という審議をやってきたのでございますけれども、しかし残念ながら、論議は四十年ほど前の朝鮮戦争や三十年ほど前の安保改定のときと同じような、若者を戦場に送るのか、若者の血を流すのか、青年よ銃をとるな、憲法違反だ、集 団自衛権だ、やれ海外派兵だという法案の基本から外れた論戦に、政府答弁も残念ながらこういう重箱の隅をほじくるような揚げ足取りのわざにひっかかって一貫性を欠いてきたものであり、これを報道するマスコミの一部もまたヒステリックに開戦前夜のような報道をし、テレビ報道は、戦車が走ったり飛行機が爆撃をしたり地上戦が行われたりするような画面が国民の目に恐怖感を与えてき、否定的な世論を喚起するような意図ともとれるような状態から、法案審議の本質が、国際的な責任性が埋没をしてしまって、国家と民族の将来に責任を持たなくてはならない国会の使命とはかけ離れた論争のまま今日を迎えてしまったというのは、私はまことに残念でならないのであります。  私は今、この今国会における意義は一体何だったんだ、そんな自問自答をしておるのであります。このまま我が国が、口では金以外の、日本も汗を流さなくてはならない、協力をすべきだと言いながら手をこまねいていることは、将来の我が国のよって立つこの国際社会に、まことに孤立化の道をたどり、危険だと思うのであります。日本がもしクウェートのような状態になったら、一体どの国が助けてくれるんでしょう。どの国が守ってくれるんでしょう。限りなく不安であり、私は無責任であると思うのであります。  しかし、事ここに至っては、もう一度土俵を変えることも必要かもわかりません。しかしその際にも、私は第一に、国家の運命の責任者である総理の信念と決断のもとに、迅速かつ期間を限って、今何をやるのか、あるいはやれないものについてどう法律的に詰めていくのか、そういう政党間の共通の議論を深めて、早急に新たなスタート台に立って、日本がいかに何ができるかを早く決めるべきであると思いますし、集約をするべきであり、かつ実行するべきであると思うのであります。そのような状況と取り組むために、総理のお考えをこの際お伺いをいたして、私の質問を終わりたいと存じます。
  23. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御質問の御趣旨を私なりに受けとめさせていただきます。  それは、これができない、あれができないといって、日本世界に起こっておるいろいろな問題を黙って見逃してしまっていいのかという大きな問題がございます。  そうして、憲法の問題についてはこれから申し上げますけれども日本国憲法は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、」「安全と生存を保持しようと決意した。」こう書いてあります。そうして「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、」「自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務である」、これは日本国憲法の冒頭に書いてある大きな理念であり、精神であります。  そうして、第九条に書いてあることは私どもも十分に評価をし、この法律の第二条にきちっと書いてあるんですから、「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」という、憲法九条と同じことがこの法案に書いてあって、それはしないという、これはまさに委員先ほど言われた、歴史の教訓を風化しないようにということできちっと書いてあるわけでありまして、直ちに戦争に行くとか、直ちに戦争か平和かとか、そういう角度の議論ではなくて、全く新しく目の前に開けてきた、東西の冷戦時代が終わった、社会主義よさようならという国がヨーロッパにたくさん出てきた、欧州の統一ができた、このイデオロギーを乗り越えて、冷戦時代の発想を乗り越えて欧州が統一しようという動きを世界的に地球的規模で確立していこうとするためには、国連憲章にも日本国憲法と同じように、すべて「善良な隣人として互に平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するために」力を合わせて安全にしなければならぬと書いてあるんですから、力を合わせてやらなきゃならぬと日本憲法にも国連憲章にも書いてあるのに、日本は何もしてはいけない、何もしてはいけないだけでは、私はこれは孤立の道になると憂うるわけであります。  日本は、相互依存関係の中で今日の地位を持ち、しかも今日の地位ができたからこそ、去年一年間でアジア諸国から六百四十億ドルの製品や物の輸入をいろいろやり、アジア地域世界の中で成長力が一番になったというこの活力の根源には、日本の技術的、経済的なアジア諸国との相互依存交流が大きく役を果たしておったということを私は感ずるわけであります。そのためにも、お互いに平和な世界が大前提である。日本のように、資源がなくて、こういった国は世界の平和な環境というものが大前提であるはずでありますし、暴力に対して自国を守り得るのは、私は、乱暴かもしれぬが、アメリカとソ連といったきょうまで両陣営のトップであった超大国だけしかそういったことが言えない世界で、今度は力の強い者が弱い国を征服しても、併合しても、まあそれは黙って見ていよう、みんなが黙って見ておるようになったらどうなるんですか、世界じゅうでそういうことになったら。みんなが見てないからこういうことができるわけでありますから、できるだけのことをみんながしなければならない、仕方がないといって見逃すような、暴力を認めるような発想はこの際とるべきではない、これがこの法案を提出した真意でございます。御理解をいただきたいと思います。
  24. 野中広務

    野中委員 終わります。
  25. 加藤紘一

    加藤委員長 次に、三原朝彦君。
  26. 三原朝彦

    ○三原委員 最初の質問は、私がしたいと思ったことは総理が今熱弁をお振るいになったので、もうお聞きするようなことも……。これは質問ではなくて、私自身の意見として述べさせていただきたいと思います。  私たち若い者、期の短い若い者は金帰火来の生活でありまして、金曜日に帰って土、日、月曜日とふるさとで地元の人とお会いをして、いろいろな地元の陳情も聞こうし、また中央での状況、話なども地元へ向かってするわけでありますけれども、その中で確かに、率直に申し上げて、今さっき野中委員もおっしゃったように、やはり女性軍に対して今回の法案の賛同を一〇〇%得ようというのはなかなか厳しいということを、私も身をもって体験をいたしておるところであります。一つには、もちろん自分の夫や子供をあんな炎熱の地域はやるわけにいかぬというようなことで、本当に愛情から出た感情論といいますか、そういうものになるわけであります。しかし一面、私どもは、それだけで我々が、そしてまた我が国が将来に向かって前進していくわけにいかないじゃないかということで、私どもも一生懸命話し合い、説得もするわけであります。そういうことを女性の方というのは、対岸の火事というとちょっと語弊があるかもしれませんが、みずからのことではないというような気持ち考えられている向きも多いこともあるわけであります。  しかし私どもは、いつも政府側の御答弁でもありますように、我々のこの安定したGNP二万ドル以上を謳趣歌するような生活というのも、実はオイルにも頼る、そしてまた自由な貿易、経済にも頼るというような事実も、我々は一分一秒でも忘れることはできないわけであります。しかしその反面、といって私どもはその状況の中で、イラクというようなけしからぬ国がいて弱肉強食の典型のようなことを具体化する。そしてまた言うに事欠いて、もともとクウェートは自分の土地なんだというようなことを言ってみたりする。イラクという国ができたときにはクウェートという国があった。その中に入っておったわけでもない。アラブという世界はもともとは国境というものはない、アラブの諸国、アラブの民族がいたというようなことですけれどもイラク自体がクウェートをその前に統治しておったことは一度もない。そういうようなところでそれこそ隣にあるもの、何かおいしいもの、美しいものはとってしまうというような、そういうことは絶対に私どもは許しがたいという考えであります。まさにそうでなければ、悪が正義に勝つということを認める社会がこの世の中にはびこるということになるわけでありますから、それに関しては私どもは一〇〇%政府の側に立って、これからもますます地元に帰ってもそのことに関して地元方々理解していただく、説得する、納得していただくという努力をしなければいけないと思っておるところであります。  ところで、一九六七年にイスラエルが、国内的に不安定な状況であったパレスチナに侵攻して今日までパレスチナに駐留しておるということは、これまた紛れもない事実であります。しかし、それと今日のイラククウェートへの侵攻というのは明らかに差異があるわけでありまして、確かに現象的にはイラククウェート侵攻、そしてまたイスラエルのパレスチナ侵攻ということは、軍事的には他国を侵してきたということは、確かにそれは現象的には事件であったわけでありますが、差異というのは、私が考えますに、イスラエルの侵攻当時東西の冷戦があった、真っただ中にあって、そしてまたイスラエル自身の国家の存亡の危機というものがその状況の中であったということも我々は認識しなければいけないと思います。反面、クウェートイラクに対してどのような小さな侵略に対する脅威というようなものも与えたということは寸分たりともなかったわけであります。そういうことがありながら、イラクが戦車の音を高々と鳴らしてクウェート侵略してきた。まさにけしからぬという一語に尽きるわけであります。しかし、政府も大いにパレスチナ問題の解決に関して御苦労していただいておると思いますけれども、もう一度、それこそ地元に戻って地元人たちにわかるような言葉で、わかるような説明を、今のイラクの侵攻とパレスチナ問題との差異というものを少し教えていただければと思う次第であります。
  27. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 お答えいたします。  最初に、今回のイラククウェート侵攻は、まさに両方が国連の加盟国でもあり、またアラブ連盟の加盟国でもあった独立国同士の間で起こった話でございまして、一つ国家が他の主権国家武力で侵攻し併合するという、国際社会のいわば法秩序の根本に触れる問題であったわけでございます。他方、パレスチナ問題、いわゆるアラブ・イスラエル紛争と申しますのは、これはパレスチナという土地をめぐるユダヤ人とパレスチナ系のアラブ人の間の非常に長い歴史のある争いでございます。  そういう前提に立ちまして、御指摘の一九六七年のいわゆる第三次中東紛争の場合には、確かにイスラエルが西岸、ガザ地区を占領したわけでございますけれども、これに対して国連は安保理決議二四二を採択し、この占領された領土からのイスラエル軍隊の撤退、交戦状態の終結等を求めて問題を交渉で解決するように求め、その後もこの決議に基づきまして問題の平和的な解決のためにいろいろな外交努力が行われてきておるわけでございます。他方、今回のイラククウェート侵攻につきましては、これは国連の安保理が国際の平和と安全が破壊されたという認定をいたしまして、それを受けまして安保理諸決議実効性を確保したりイラクのさらなる武力侵攻を抑止するということを目的にして、例えば現在の多国籍軍の展開を含めまして国際社会努力をしておるということでございます。  逆に申し上げれば、六七年のイスラエルの西岸、ガザの占領につきましては、今回のイラククウェート侵攻の場合と異なりまして、国際の平和と安全の破壊があったという認定がなされたわけではないということにおいて、状況が全く異なっておるというふうに考えます。
  28. 三原朝彦

    ○三原委員 国際の安全と平和が破壊されたということ、そのことをまず我々が大いに認識して、これからもこのイラククウェート侵攻に対しの一〇〇%の努力をして、それが原形に復旧するようにということを我々はしなければいけない、そういうことのために政府が頑張っておられるのを援助、応援しなければいけないと思うところであります。  確かに私は、中東に今まで行ったことないのですけれども、ヨーロッパ諸国やアメリカを回っておっても、どうもやはり民族的なあつれきというのを理解しがたい場面があるのですが、確かにユダヤの人とアラブの人というのの精神構造、メンタリティーといいますか、そういうのはなかなか、仲よくすればいいものをと思うわけでありますけれども、それがなかなか歴史的に怨念が続いてきたというような状況でもあるようであります。しかし、この二つの問題はリンクして考えると本当に複雑になりますから、これは絶対に分けてこれからも解決の方向に進まなければ、もともと根本に差異があるということを認識して解決の方向に行かなければならないと思うところであります。  次に、東西の冷戦が終えんして、より低いレベルでの力の均衡といいますか、を目指しておることは、もうヨーロッパの方でそういうことが現実に着実に起こっておることは我々承知しておるところであります。一方、そのポスト冷戦といいますか、その中で間隙を縫って、このごろ政治学者の人たちが分析をしておりますが、力の真空といいますか、新たな秩序への転換期における一つの本当に忌むべき状況というのが今回のイラククウェート侵攻という現象だというふうに分析しておるところであります。地域間の紛争がこうしてイラクによって引き起こされ、そしてイラククウェート問題のみの解決を求めるなら、例えば何かどこかの点で妥協だとか調停というようなことも考えられるかもしれない。百歩譲ってですよ。しかし、こうした難しい、許しがたい紛争、いや侵略が起こらないように、将来にわたって未然に防止をするという観点に立つならば、イラク軍のクウェートからの無条件の撤退及びクウェートの原状の回復、そのことを完全に期することが私どもは肝要であろうと思うところであります。  それから考えますと、もうこれは話は撤回したようですが、サウジが一時期あそこの二島ですか、領土の一部割譲による解決などをちょっと言ってみたり、フランスが唱えた自由選挙、四項目の中の一つ、自由選挙をやりましょうとかいう、そういう何といいますか混沌とした中での選挙はできるわけでもないでしょうが、そういうことを唱えてみたりということは正しいアプローチではないと私は確信するところでありますけれども、その点に関して断固とした政府の御意見をお尋ねしたいと思う次第であります。
  29. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 ただいまの御質問クウェートの正統政府の問題にかかわることかと存じますけれどもクウェートの正統政府があのような形で武力によって追い払われたということは、これはまことに認めがたいことでございまして、我が国政府としても、当然のことながらクウェートとの外交関係を現在でも継続をしておるわけでございます。これが復帰をしないということになりますと、これはやはり先ほども申し上げた国際法秩序の根本に触れる問題になりますので、国連安保理におきましてもクウェートの正統政府の復帰が要求されておりますし、イラククウェートからの撤退、それからすべての外国人の出国とあわせましてクウェートの正統政府の復帰というものが今回の事態の解決の最も根本的な点の一つであろうかと思います。     〔委員長退席、高村委員長代理着席〕
  30. 三原朝彦

    ○三原委員 再度申し上げますけれども、これ一つの問題だけとって妥協だとかそういうようなことではなくて、私は、もうこういう地域紛争がこれから先どのような形で起こるかもわからない、しかしそれに対しても一つの確固とした例として、絶対に許しがたいものは許しがたい、未然に防止するという観点に立てば、絶対にこれは妥協してはならないということを私どもはここで再認識しなければいけないと思うところであります。  次に、これはなかなか微妙な問題かもわかりませんが、これは全く私の個人的な考えなのでありますが、日本外交の基軸はもちろん日米協調であることは、もう言わずもがなであります。このことは、もうひとときたりとも忘れてはならないことであります。その結果といいますか、その条件を我々が持っていたからこそ今日の我々の繁栄もあるということを認識しなければいけないわけであります。しかし、さらに重要なことは、いつも政府の方で言われるように、国連中心主義であることも重要なことであります。  日本とよく比較される西ドイツ、今度統一ドイツになりましたけれども、ドイツは同様に、ドイツ、アメリカ協調のもとでなおかつ国連も大いに尊重してということでなってきておりますし、またこれからなると思います。それで、特にコール首相は、先日、新聞報道などを読んでおりますと、ドイツの基本法をいずれ修正して国連の集団安全保障を遵守できるよう、みずからの軍隊も国連のもとでいろいろ行動ができるように準備するということを述べたわけであります。  我々がドイツのように国連中心に向けてそういう感じで外交を整えていくならば、海外での協力は金、物には限定でき得ないということになるわけであります。そうなると、これまでこの委員会議論してきた人的協力も何とかしなければということが帰結するところであり、また世界も求めておるところであると確信します。  これからの質問は、我が国に関しては憲法との問題もありまして、実現の可能性というのはもちろん現状ではなかなか厳しいということは私ももちろん承知しておりますが、我々と同じような体験、経験をしたドイツあたりでも、真剣に政府国家考えよう、国連にもっと貢献できるようにということをしておるわけであります。国連憲章四十二条、四十三条あたりのもとでの、何といいますか、国連軍というのができてということは今の世界ではまだまだあり得ないことかもしれませんけれども、そのような動きをやろうとしておるような国家がどこかこの中にあるのでしょうか、そこのところをちょっと少し勉強してみたいとまず思うわけであります。  もちろん、そういう状況を我々が望んだとしても我が国の国内法上ではこれはもう今のところは無理だということは、私どもも今回の委員会議論の中で認識もしておるところであります。しかし一方、やはり幾ら考えてみても、俗に言う三K、きつい、汚い、危険、これは今国内的に日本人が避けていこうとしておるんだということで我我自戒の念を込めて言う言葉ですが、そのようなことを国際社会の中においても我々が避けていくというようなことは受け入れられない問題であろうと私は思い、それがまた日本の特徴だなどと世界から言われるようになると本当に我々は情けないことだと思うし、また世界からの怨嗟の声が上がるのじゃないかと危惧するところであります。  また一方、これも何か物の本で読んだのを私の記憶が間違っていなければ、永世中立国のオーストリアは他国に軍隊をいかなる状況においても出さないということを決めておるそうでありまして、これに関しては、それはオーストリアに対しては失礼かもしれませんが、日本のように一四、五%もGNPを世界の中で持っておって大いに影響力を持つ国と違って、オーストリアのような小さな国でありますと、そのようなことを言ったとしても、他国、世界はそうそう問題にしない。事ほどさように我々は責任を持たされる立場にあるということも、我々は国民一人一人が理解しなければいけないところだと思います。  そういう状況を踏まえながら、これから先もこの国連と我々の結びつき、我が国の結びつきを考えていかなければなりませんが、話はもとに戻りますけれども、四十二条、四十三条あたりのことを中心にして国連軍への動きみたいなことをする国家がこの世界の中にあったのか、また今あるのか、あるであろうかというようなことを少し聞いてみたいと思うわけであります。
  31. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 このたびのイラククウェート侵攻に際しましては、国際社会の平和と安全の維持、回復におきまして、東西緊張の緩和という背景もございまして、国連が主導的な役割を果たしておるわけでございます。そこで、安保理が経済制裁を含めまして一連の決議を採択してきている次第でございます。  他方、国連歴史におきまして、これまで国連憲章第四十二条、四十三条に基づく措置をとったことはないわけでございます。国際情勢の変化はございますけれども、現時点におきましては、いまだこの四十二条、四十三条に基づく国連軍が極めて近い将来結成される状況にあるとは思われない次第でございまして、この点の御認識は御指摘のとおりだと思います。また、近い将来これが決定されるという状況にはないと思われます。また、このような動きを促進する国々があるかという点につきましては、今のところはこの四十二条、四十三条に基づくいわば本格的な国連軍の創設に向けての本格的な動きというものはないようでございます。     〔高村委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 三原朝彦

    ○三原委員 何かの形で、物や金ということだけではなく人的なことを、さらにさらに我々はどういう形で世界に寄与できるかということを考えていかなければならないことは、もうこれはどなたも理解できる、そして賛成していただけると確信するところであります。  ところで、今度のイラククウェート侵攻に関して、湾岸諸国への湾岸協力基金及び近隣の諸国に対して総計四十億ドルの資金援助、資金拠出ということを政府は決めておるところでありますけれども、それ以外に、先日ちょっと党の中で対外経済協力に関する委員会があったときに私も出席しておりまして、いろいろと議論の中でこういうおもしろい意見を述べられる先輩議員がいらっしゃったわけです。それは、四十億ドルの拠出金は大いに結構だ。が、それ以外に、オイルの値段がこうやって上がってくることによって、我々は既に世界で一番のODAをやっておる国ではありますけれども、こういう急な問題で開発途上国は大いに困っておるだろう。そうなると、もちろんトルコ、エジプト、ジョルダン三カ国への援助以外に、アフリカやアジアの国で石油を輸入しておる国はどのような状況であろうか。本当に困っておるであろう。もうハードカレンシーがなければオイルのお金も払えないというような国がたくさんあるんじゃなかろうか。そしてまた、社会主義経済が崩壊して今門戸を開放してきた東ヨーロッパの国々、この国々あたりでも、ソビエトとのリンケージの中で、バーター取引になる形でオイルをもらってガスをもらって自分の国でできたものを送り出してというようなことをやっておったのが、そこも崩れた中で、この東ヨーロッパの諸国も困っておるんじゃなかろうか。そうなると、何とかIMFあたりを中心にして財政的、経済的な援助をやる方法はないだろうか。例えば、十億ドルお金を借りたいと言ったら、五億ドルをIMFが貸して、じゃあ半分は日本が貸しましょう、そういう感じで、IMFあたりの国際機関にリーダーシップを持たせながら、日本もそれで貸してあげますよという、そういうアイデアはどうだろうかというようなことを話しておられたのでありまして、もちろんお金を貸してもらいたい国は今経済の構造調整の真っただ中にあって、借金の上にまた借金ということになるんでしょうけれども、そういうことをアイデアとして出された方がおられて、私もなかなかおもしろい案ではあるなと思ったわけでありますが、そのことについてちょっと御意見を承りたいと思う次第であります。
  33. 千野忠男

    ○千野政府委員 中東の周辺諸国が今回の湾岸危機によりまして大変深刻な経済的損失をこうむったわけでございまして、これに対しましては先ほど委員指摘のとおり各国協調しながら巨額の援助をしたわけでございますが、おっしゃるようにそれら以外の非産油開発途上国あるいは東欧の諸国、これらも石油価格の上昇などによりましてかなりの経済的な影響を受けていることは御指摘のとおりでございます。これらの国々への支援につきましては、従来からの二国間による援助あるいはIMF・世界銀行などの国際機関による支援の中で、それぞれの国が受けた影響の度合いなどを考慮しながら国際的な協調のもとで支援を行っていく、これが国際的に見て一般的な考え方に現在なっておるわけでございます。すなわち、今回の石油価格上昇による影響に対しましては、主要各国の間でいろいろな対応ぶりについての議論をしてきておるわけでございますが、特に新たな融資制度を設けるというよりは、むしろ既存のIMF・世界銀行等の融資制度を迅速かつ柔軟に活用するということによって、これらの被害を受けた諸国の経済調整努力を促進するということが重要であるというのがおおむね主要各国考え方でございます。  我が国は、御承知のようにアジアほか多くの途上国に対しまして、主要各国やIMF・世界銀行などの国際機関と協力しながら、厳しい財政事情の中で既に相当規模の援助を実施しておるわけでございまして、ただいま委員指摘のとおり既に世界第一位のODAの供与国になっておるわけでございます。そういうことで、財政負担の問題もございますので、やはりこれは、新たな基金の創設でございますとかあるいはIMFの支援と例えばほぼ同額の援助といったようなことを日本が独自に行うということは考えにくいのではないかと思いますが、しかし、今回の湾岸危機に伴う各国の個別の事情には十分配慮を加えていくことが重要だ、かように思っております。
  34. 三原朝彦

    ○三原委員 先日も三週間ほどアフリカを回ってきたわけですけれども我が国に対する期待というのは特に大きいものがあります。まして、東南アジアと違いましてアフリカは、日本にとってまさに、何といいますか、全く戦争の、そういう意味での踏み込んでいったというようなことがないわけですから、我々日本人に対して、日本国家に対してアフリカの国々というのは多大な期待をしておるということは事実であります。肌身をもって感じてきたところであります。これからも、特にやはりLLDCあたりに対してはさらにさらに、例えば新しいシステムの援助ができないとしても、今までの援助を拡大するという方向で大いに頑張っていただきたいと思うところであります。  次に人質問題、これは今野中委員が詳しく質問なさいましたので、私はできる限り——これはもちろん我が国人質になっている方々に対してこれからも大いに政府努力をして解放に向かって働いていただかなければなりませんが、同時に、人の命は日本人であろうとアメリカ人であろうとイギリス人であろうとみんな同等の万金の重みを持つものでありますから、そういう意味では、人質みんなが一日も早く解放できるような形を、何とかして皆さんの、政府の力で努力をしていただきたいと思う次第であります。何かきのうテレビなど見ておりましたら、ヨーロッパの外相が集まってこのことに関してみんなで協力してやろうということを申し合わせたというようなことを言っておりましたが、日本の方もそれに対しては情報を交換し合ってでも、人質みんなが一日も早く解放されるように要望するところであります。  先日、実は私の会館の方にも御主人が人質でという奥さん方が四名来られて、何とか頑張ってください、よろしくお願いしますというようなことを言っていかれたわけであります。我が事のように私も身につまされて物が言えなかったような状況でありますが、その点も大いに御尽力をお願いしたいと思う次第であります。  ところで、我が党の中谷委員からも質問があった、それと関連するのでありますけれども、次の質問は、殉職とか公務障害あたりになった公務員の処置、処遇に関してかなりの差があるようなことを認識しております。例えば、まあ一番この平和協力隊で行っていただくのが、自衛官の人が平和協力隊になっていただくのが主でありますけれども、そうでなくても、現実に今の法令に照らしてみても、例えば大洪水に遭った、じゃ知事さんの要請で警察の人が出ていって、機動隊の人が出ていって堤防の決壊を防ぐ、さあそれでも手が足りない、今度は自衛隊の方にも連絡をして自衛隊にも出てもらう、もちろん消防の方も出ていただくというようなことになったとする。例えば海の方の災害ならば、今度は海上保安庁もちろんやっていただくわけですが、そういう公的な機関の人が出て災害に対して働いていただく。それがかわいそうなことに一命を失われるようなことになった、そういうことになったときに賞じゅつ金というのが出ることになっておるのでありますが、それに関して、大体賞じゅつ金の費用というのは、その四つのお役所どれくらいずつか。防衛庁、警察庁、消防庁、海上保安庁の方々にちょっと聞かしていただきたいと思う次第であります。
  35. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 警察官が殉職した場合等に支給される賞じゅつ金の金額についてでございますが、最高千七百万から最低三百三十万円までとなっております。そして特別の場合に限りますが、この上限を二千万円までとすることができることになっております。以上は、警察庁の警察職員であるとか都道府県の警察職員であるとか問いませんで、およそ警察職員であればすべて支給対象になるわけでありますが、都道府県の警察職員につきましては、これに類する制度といたしまして、このほか都道府県から救慰金等が授与されることになっておりまして、またこの金額は各部道府県によりまして一様ではございませんが、最高のところは四千万円以下、最低のところでも二千万円以下となっております。
  36. 三原朝彦

    ○三原委員 消防庁か、海上保安庁か、続けて。
  37. 島崎実

    ○島崎政府委員 消防職員あるいは消防団員が殉職した場合の賞じゅつ金でございますが、功労の程度によりまして三百三十万から千七百万円、そして特別の場合には二千万円ということになっております。それは消防庁が表彰規程に基づいて支給するものでございますが、さらに都道府県及び市町村においても、それぞれ質じゅつ金に関する規則あるいは条例等によりまして国に準ずる措置が講じられております。  以上でございます。
  38. 三原朝彦

    ○三原委員 それじゃ賞じゅつ金、都道府県や市町村から出るお金はどのくらいになるんでしょうか、それは。
  39. 島崎実

    ○島崎政府委員 都道府県及び市町村において若干のばらつきがありますが、私どもとしては消防庁で支給する金額に大体横並びに合わせるように指導しております。
  40. 三原朝彦

    ○三原委員 その金額は幾らぐらいでしょう。
  41. 島崎実

    ○島崎政府委員 今消防庁の場合に三百三十万円から千七百万円、そして特別の場合には二千万円、こういうことでございまして、大体それに合わせるように指導しております。
  42. 三原朝彦

    ○三原委員 じゃあトータルですと四千万ほどになるわけですか。
  43. 島崎実

    ○島崎政府委員 最高額が出たということで仮定いたしますと、国、県、市町村からそれぞれ二千万円ずつ出て、最高六千万円、そういうことに相なります。
  44. 三原朝彦

    ○三原委員 じゃあ海上保安庁。
  45. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 海上保安官が公務上災害を受けた場合の賞じゅつ金は、最低が三百三十万、最高が千七百万でございます。
  46. 三原朝彦

    ○三原委員 じゃあそれに今言われたようなプラスアルファみたいなことはもうありませんか、最高額のことに関して。
  47. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 国家公務員でございますので、ただいま申し上げたところで全部でございます。
  48. 三原朝彦

    ○三原委員 じゃあ防衛庁の方、自衛官のことに関して。
  49. 村田直昭

    ○村田政府委員 お答えいたします。  ただいま御質問の件は賞じゅつ金の額でございますが、事例によりまして三百三十万から千七百万の範囲で支払われる、あるいは航空機のパイロットの場合には、同じ賞じゅつ金の、特別弔慰金と称しておりますけれども、これが千二百五十万から千七百万ということで額が高くなっておりますが、いずれにしても千七百万ということでございます。ただ、五条に別に定めがございまして、特別の功労がある場合には加給できる、増額できるという規定になっております。
  50. 三原朝彦

    ○三原委員 今お話しいただいたんですが、いずれにしろ最高になりますと、国家公務員ですと千七百万、地方の公務員になりますと、まあ私がお尋ねしたのは、つまり知事さんから要請あってというようなことを言ったわけです。知事さんの要請あって出たというようなことになりますと実は六千万。消防の方は六千万、警察の方も六千万ということになりますと、これはやっぱり客観的、具体的に明らかに値段、人の命の値段といいますか、そういう言い方すると語弊がありますが、賞じゅつ金というのは値段が違うというわけであります。そういうことから考えると、私は何とかここのところはやはり、これは別に今じかに平和協力隊の方というなにじゃなくても、これだけの差があれば、大水になった、同じ仕事をして四方がみんな殉職されたということになったときに、これは余りにも、残された方に対して何と我々は説明したらいいんでしょう。やっぱりこのことに関しては国の方でもこれから先大いに考えていただく、上の方に合わせていただくということは、これは当然のことじゃないかと思うわけであります。そのことに関してちょっと防衛庁の方から御意見。
  51. 石川要三

    ○石川国務大臣 ただいま警察、消防、海上保安庁、防衛庁、それぞれの人から賞じゅつ金の内容につきまして答弁がされましたように、いわゆる警察、消防署、こういうものと比べまして自衛隊の場合には非常にいただく金に大きな差がある、こういう事実があるわけであります。その理由は何かというと、これまた答弁の中でおわかりのように、警察官というような身分はやはり地方の自治体との関係がありますから、県知事さんとかそういうところからの救慰金というものがそれに加わるということで、結果的に大変な大きな差が出ているわけであります。  そういうことから見ると、これは制度的な問題で、出しちゃいけないと言うわけにはいけないわけでありますが、実際に災害に赴いて自衛官として命を落とした、あるいは警察官として命を落とした、しかしやっている内容については全く同じ災害に従事したということであれば、その制度がどうであれ、いただく金に倍以上の差があれば、三倍もあれば、これはもう本当に理屈ではない、理解できないことであろうと私はこういうふうに思いまして、非常に私自身も矛盾を感じているわけであります。  しからば、ではどこをどういうふうにすればそれが直るかというところでありますが、例えば国から授与される賞じゅつ金というもの全体を上げれば、上げれば上がったことは結構なんですが、その格差というものは詰まらないわけでありますから、制度的なことでそういう点でなかなか解決ができない。そういう非常に矛盾があるわけでありますので、これをどうしたらいいか。今その点で、この改善に大いにひとつ知恵を出して何とか平らになるように、命は変わりないんですから、そういう点での差のないような方法でひとつ検討してみたいと思うのですが、実際問題なかなか難しいということだけは私もわかっているのですが、これからさらに検討を続けてまいりたい、かように思います。
  52. 三原朝彦

    ○三原委員 じゃ、海上保安庁の方も、ちょっとそのことに関して御意見おありになるなら……。
  53. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 確かに今先生御指摘のような問題がございますので、私たちの方も関係の省庁とよくお話をいたしまして努力したいと思っております。
  54. 三原朝彦

    ○三原委員 やはり基礎的、基本的にそういう問題をまず解決しておかないと、今四つの省庁から組織立って何か海外に日本として協力して出すというときには、そういう人たちにやはり行っていただかなければならない問題でありますから、そういう基本的なこと、基礎的なことを解決しておかないと、我々も政治の側に立つ者の一人としてちょっと申しわけなくて、我々のために、国家のために行ってくださいというようなことも大きな声で堂々と言えるような状況じゃないということを私は感ずるのであります。  それと同じようなことで、今世界は本当に変わりつつあります。このアジアも変化がありまして、ソビエトと韓国が仲よくなったり、日本からも北朝鮮と、先日は外務省の方も行って、事務レベルでも話を始めようかという状況になってきたわけであります。冷戦の崩壊というのがアジアの方でも起こってきつつあるのではないか。うれしいことではあります。  そうなりますと、これから先は、私は、今申し上げたようなそういういざというときには世界へ向かって出ていっていただく方に対する、やはり日ごろの生活やそういうことに対して、我々国家として協力していかなければならない。それから考えると、先日あたりも自衛隊のいろいろな視察をしましたけれども、何だか終戦時にアメリカ軍がつくったバラックに住んでおったりとか、この前習志野なんかへ行きましたら、いやここでロサンゼルス・オリンピックのウラヌスに乗った西中佐が馬術のけいこをしたらしいですよなんていう、何だか六十年も前のような建物がまだあったりするような状況があります。そういうことを考えると、そういうところにいる人たちに炎熱のペルシャ湾に行って我々のために働いてくれと言うのもなかなか、私もまた言えるような状況でもない。  それから考えると、今申し上げました公務員の人たちの日ごろの処遇に関して、自衛隊もそうですが、他の人たちにも我々はさらに大いに目を向けて、精神的な面でのサポート、モラールサポートも当然でありますが、同時に物質的なことに関しても人並みに、人の倍も三倍もというのじゃなくて人並みにするぐらいのことは、我々はこれからその面に関して努力していかなければならないのじゃないかと思いますが、最後に、四つの省庁を代表して長官は御意見を承って、私の質問を終わらしていただきます。
  55. 石川要三

    ○石川国務大臣 本院におきましてもそのような処遇改善についての質問が数回ございまして、私はその際にも、これからの次期防の中で重点施策の一つとして、隊員の処遇改善等につきましての大きな柱としてこれに取り組みたい、こういう意思を申し述べているわけでございます。  ただ、これは聞きようによっては大変、見方によれば一つの人間差別というふうにとられる可能性もあるので、これはそういう意味じゃなくて、あえて一つの例を申し上げますが、私が部隊視察をしたときに、あるところへ行きましたら、その部隊の幹部が言うのに、その町で最近いわゆる、何というんですか監獄というんですか、そういう犯罪者を処置する監獄ですね、俗に言う。そういう施設の大変近代的なものができた。そのお祝いにその部隊の幹部が呼ばれたので行ってみて、その近代的な建物のすばらしさといいますか、それに大変びっくりした。と同時に、それと比べて自衛隊の宿舎の余りにもお粗末なのにもこれまたびっくりした。国のために一生懸命汗を流す、そういう隊員の宿舎、人間として必ずしも——いろんな原因があって犯罪を犯したのであろうけれども、そういう方々が入っておる、何というんですかあれは、獄舎ですか。そういうものと比べて非常に矛盾を感じたということを切々と訴えられたことがございます。  私はその点につきましては、なるほど、これは一つの大きな考えるべき問題だな、このように感じたわけでございまして、これからも隊舎を初め処遇の改善には鋭意努力をしていきたい、かように考えております。
  56. 三原朝彦

    ○三原委員 終わります。どうもありがとうございました。
  57. 加藤紘一

    加藤委員長 これにて野中君、三原君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十九分休憩      ────◇─────     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕