○矢田部理君 私は、
平成元
年度補正予算三案のうち、
平成元
年度一般会計補正予算及び
平成元
年度政府関係機関補正予算に対し、
日本社会党・護憲
共同を代表して、修正の動議を提出いたします。
その
内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
これより、その趣旨について御説明申し上げます。
平成元
年度補正予算につきましては、
予算委員会における審議を通じ明らかになりましたように、政府の税収の過小見積もりに起因する大幅な税の自然増収を背景に、これまで堅持してきた緊縮型財政のなし崩し的な転換を図るものであることを
指摘しなければなりません。
すなわち、政府提出の補正予算は、政府が当初予算編成時に掲げてきた緊縮型の予算編成方針に背反する大型補正予算となっているばかりではなく、
平成二年度予算の先取りとも見られる経費の計上が行われております。また同時に、こうした政府の財政運営は、会計年度独立の原則に照らして疑問を生じさせているほか、財政法第二十九条第一号「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」の趣旨から見ても適正を欠く経費が計上されているのであります。
さらに、こうした経費は補正予算で計上が認められている義務的な経費の範囲を逸脱した政策的経費であることも
指摘せざるを得ません。
我が国の財政は、特例公債依存脱却の目標達成を目前に控えているとはいえ、
平成元年度末の公債残高が百六十兆円を上回る見込みであり、国債費が歳出予算の二割を占めるなど極めて厳しい状況が続いております。この点は、政府みずからも当初予算編成の前提となる財政事情の中で
指摘しているところでありますが、このような財政改革道半ばの状況のもとで、これに逆行するような安易な財政放漫化は危険なしといたしません。
したがって、本補正予算につきましては、次のような
考え方で修正を行うことにしたのであります。
第一に、本補正予算では、本来補正計上になじまない新規施策である地域環境保全のための基金、芸術文化振興基金、農山漁村振興基金、中小商業活性化基金、地域産業活性化基金及び衛星放送受信対策基金の六基金の新設が予定をされております。いずれも慎重な審議が必要であり、本補正での財源措置は認めないことが妥当と考えました。
第二には、基金造成のための
資金の多くは、関係する政府関係機関及び政府出資法人へ一般会計からそれぞれ出
資金として繰り入れることとされておりますが、当該出
資金の新規計上及び既設基金への大幅追加等については政策的な経費であり、その財源は長期にわたって国民負担となる四条公債の増発で調達するため、これを削除することが妥当といたしました。
第三には、
平成二年度の施策とされている文化庁の用地講入費及び農林水産省の水田農業確立特別交付金等の新規計上につきましては、その必要性は
理解できるところでありますが、会計年度独立の原則及び緊要性等から本補正ではこれを削除することが妥当といたしました。また、プルトニウムの海上輸送に伴い警備救難体制強化を図るための護衛巡視船の新造等の経費につきましても、国会でなお
論議が残されている政策課題であることにかんがみ削除すべき経費といたしました。
第四に、歳出の削減の結果、歳入におきましては、出
資金等の
投資的経費の削減に対応して同額の四条公債の増発を縮減するほか、経常的経費の削減につきましては同額の特例公債の発行を削減することとし、国民負担の増加を厳に抑制することといたしております。
次に、修正案の
内容につきまして簡単に御説明いたします。
一般会計歳出補正の修正につきまして申し上げます。
歳出の修正は以上の
考え方に基づき、まず第一に、本補正予算に新規計上されている中小企業
金融公庫出
資金等五政府関係機関及び一政府出資法人への出
資金並びに追加計上の国立劇場出
資金等二政府関係機関及び一政府出資法人への出
資金の合計千五百六十一億円を削除することといたしております。
第二には、文化庁の用地購入費及び農林水産省の農山漁村振興緊急対策補助金等千二百六十六億円を削除するほか、プルトニウムの海上輸送に伴い警備救難体制強化を図るための護衛巡視船の新造等の経費八十三億円を削除し、これに対応する国庫債務負担行為の追加も削除することといたしております。
これにより、歳出の削減額は二千九百十億円となります。
第三に、歳入でありますが、歳出の削減額二千九百十億円のうち
投資的経費とされているのが千九百八十三億円であり、経常的経費が九百二十六億円であります。したがって、政府原案において四条公債の増発は六千五百億円となっておりますが、これを四千五百十七億円に縮減するほか、特例公債六千五百億円の削減は七千四百二十六億円の削減となるのであります。
以上の結果、修正による歳入歳出は政府原案よりいずれも二千九百十億円減額となり、修正後の補正追加額は五兆六千六十七億円、
平成元年度補正後予算額は六十六兆二百九億円となります。
なお、一般会計予算補正修正に関連して政府関係機関予算補正につきましても所要の修正をいたしております。
以上、修正案の概略を御説明いたしました。財政民主主義にのっとり、財政の放漫化を正し、健全財政を目指す必要最低限の修正であります。本修正の意図するところを十分考慮いただき、何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)