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1990-09-27 第118回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年九月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  八月六日     辞任         補欠選任      清水嘉与子君     熊谷太三郎君      須藤良太郎君     成瀬 守重君      小川 仁一君     上野 雄文君  九月二十六日     辞任         補欠選任      大渕 絹子君     稲村 稔夫君      谷本  巍君     村田 誠醇君      井上 哲夫君     山田耕三郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉川  博君     理 事                 青木 幹雄君                 北  修二君                 細谷 昭雄君                 村沢  牧君     委 員                 大浜 方栄君                 熊谷太三郎君                 鈴木 貞敏君                 高木 正明君                 成瀬 守重君                 初村滝一郎君                 本村 和喜君                 稲村 稔夫君                 上野 雄文君                 菅野 久光君                 三上 隆雄君                 村田 誠醇君                 猪熊 重二君                 刈田 貞子君                 林  紀子君                 山田耕三郎君                 星野 朋市君    国務大臣        農林水産大臣   山本 富雄君    事務局側        常任委員会専門        員        片岡  光君    説明員        農林水産大臣官        房長       鶴岡 俊彦君        農林水産省経済        局長       川合 淳二君        農林水産省構造        改善局長     片桐 久雄君        農林水産省農蚕        園芸局長     安橋 隆雄君        農林水産省畜産        局長       岩崎 充利君        農林水産省食品        流通局長     馬場久萬男君        農林水産技術会        議事務局長    海野 研一君        食糧庁長官    浜口 義曠君        通商産業大臣官        房長       熊野 英昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件)     ─────────────
  2. 吉川博

    委員長吉川博君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十六日、大渕絹子君、谷本巍君及び井上哲夫君が委員辞任され、その補欠として稲村稔夫君、村田誠醇君及び山田耕三郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 吉川博

    委員長吉川博君) 農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 菅野久光

    菅野久光君 閉会中の審査ということで、とりわけあす総理が訪米をされる、十月一日には国別リスト、そして十月十五日にはオファーリストと、この大事な時期を迎えて閉会中にもかかわらずこの委員会を開いていただきました委員長を初め理事皆さん方の御努力に心から感謝を申し上げたい、このように思います。  時間もございませんので、端的にいろいろお伺いをいたしたいと思います。  今年末に交渉期限を迎えるウルグアイ・ラウンド交渉に残された時間はいよいよ短くなってまいりました。本委員会でも、これまでウルグアイ・ラウンドにおける農業交渉をめぐる諸問題について幾多の質疑が交わされてまいりました。もう今この時期でございますから、この時期での当面する問題、まず国別リストの問題についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  十月一日までに各国農業保護状況について内外価格差などを試算した国別リスト提出を義務づけられているということですが、今その期限が迫っております。先ごろ明らかにされました国別リストの掲載は、国内保護項目では品目ごと最高保護水準、そして削減以前の全体的保護水準などでありまして、国境措置はすべての非関税措置関税換算関税相当額の統合、九一年から九二年以降のミニマムアクセスの設定などでありまして、さらに輸出補助金については、八七年から八九年まで各年ごとに行った財政支出減免税額輸出総量輸出補助金総額提出が求められているというふうに聞いております。  そこでまず、今回提出する国別リストを作成するに当たって政府基本方針をお伺いいたしたい。さらに、米をどう取り扱うつもりかも伺いたいと思います。
  5. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 今お話がございましたように、去る七月のウルグアイ・ラウンド農業交渉におきまして、各国国内支持国境措置、それから輸出競争輸出補助金でございますが、に関する事実関係を記した国別表を十月一日までに提出するということになっております。ただ、その提出までに今後の交渉のルールの方式その他につきましてもう少し詰めるべきであるという主張を私どもはしてきておりますが、必ずしもそのような進捗にはなっておりません。また、この国別表につきましては、各国交渉上の立場を害さないものであるというふうにもされております。  したがいまして、現在この国別表をどのように出すかということにつきまして内部で検討しておりますし、各省とも折衝しております。精力的に作業をしているところでございまして、詳細、内容につきまして具体的にお話しするわけにはいかない段階でございますが、私どもといたしましては、これまでにガットウルグアイ・ラウンドにおきまして主張し、立場提案してきたものを踏まえて期限までに提出したいという方針でおります。
  6. 菅野久光

    菅野久光君 今までの交渉してきたことを踏まえてやるということで、今鋭意検討中ということになりますかね。  それで、後の方で言いましたが、米の取り扱い、これについてきのうの衆議院農林水産委員会での大臣の御発言もあったようですが、その辺についてもう一度ひとつお願いいたしたいと思います。
  7. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) お答えをいたします。  十月一日、さらに引き続いて十五日にリストを出すことになっておりまして、今最後の詰めを全省を挙げてやっておるというところであります。今明日中には結論を出したいというふうに考えております。  中身につきましては今局長の申し上げたところまででございますが、従来我々が繰り返し申し上げてまいりました日本政府としての基本的な方針に従ってリストを作成したいというふうに考えております。  それから、問題の米でございますけれども、これも我が国の農産物、農作物の主幹の作物でございますし、かつ国民の主食であることは言をまちません。また、水田稲作の持つさまざまな国土保全環境保全の大きな意味合いもございます。国会決議もございます。等々踏まえまして内閣としては既に態度を決めておりまして、その方針に従って今後とも進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  8. 菅野久光

    菅野久光君 十月に入りますとこの貿易交渉委員会が随時開催されるということになっておりまして、この米の市場開放問題で大きな山場を迎えることになります。米の自由化問題については一部にさまざまな意見があるわけです。しかし、政府は米の市場開放は行わないというこれまでの方針に変更はないということを今大臣がおっしゃいましたけれども、もう何度も何度も確認はしているんですが、この場でもさらに確認をさせていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  9. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 今申し上げたとおりでございまして、従来の方針に基づいて今後とも進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  10. 菅野久光

    菅野久光君 そこで、その米の市場開放の問題についてさまざまな方が言われることはやっぱりあるんだと思います、いろんな考え方があるわけですから。しかし、国務大臣がいろいろこの問題について発言をしておるようでございますが、とりわけ通産大臣から国会決議見直しを求めるやの発言がなされているということを聞いておりますし、そういうことが報道されておりますので、その真意を聞きたいと思ったけれども通産大臣出張中だということで残念ながら大臣に直接聞くことはできませんが、私どもとしては、内閣として方針が決まっているということについて他の国務大臣がその内閣方針と違うかのような発言あるいは違う発言、そういったことがなされているということになればこれは大変なことだというふうに思うんです。  そこで、通産省大臣が出られないということで官房長出席を要請いたしましたが、官房長来ておりますか。
  11. 吉川博

    委員長吉川博君) 速記をとめて。    〔速記中止
  12. 吉川博

    委員長吉川博君) 速記を起こしてください。  それでは、引き続き菅野質問を続けてください。
  13. 菅野久光

    菅野久光君 官房長出席がおくれたために委員会がしばらくストップしたという状況をまずしっかり踏まえて対応してもらいたいと思います。官房長が来る前に、来ているものだというふうに思って私が申し上げたのは、米の国会決議見直しを求めていると言われる通産大臣出席を私は求めたけれども大臣出張中だということで、その大臣真意を聞きたいということであったのですが、本当に残念だったと。しかし、大臣発言について調査の上、官房長出席をしてもらうことになったということで、出席しているかと聞いたら、まだ出席していない、こういうことだったので、この委員会を暫時休憩して出席を待っていたという状況ですから、そのことをまずしっかり踏まえておいていただきたいと思います。  大臣発言は、七月三十一日、シンガポールにおけるアジア太平洋経済協力閣僚会議終了後の記者会見で、八月一日付の各紙にそれが載ったということですね。そこで、八月三日に本委員会が開かれまして、村沢委員質問に対して通商産業省通商政策局経済協力部長川口さんが次のようにお答えになっておられます。最後のところだけ言いますが、「通産省といたしましては、今後とも国会決議趣旨を体しまして対応していくという立場に何ら変わりはございません。」、こう言っているんですよ。これは当たり前のことなんですね。  だから、農水委員会通産相発言が取り上げられて、そして通産省を代表して川口部長がそのようにお答えになったんだというふうに思っておりましたら、その後、九月十一日の夜、同じくアジア太平洋経済協力閣僚会議二日目の会議を終えて記者会見した中で同じようなことを言われておる。また九月二十一日、本院の商工委員会で、我が党の梶原議員質問に答えて米の国会決議見直しを求めているような発言をされている。だから、八月三日のこの委員会答弁をされた川口部長のその国会対応通産省として大臣にきちっと伝わっているのかどうか、そのことをまずお聞きいたします。
  14. 熊野英昭

    説明員熊野英昭君) 出席がおくれまして大変申しわけありませんでした。  ただいまの御質問の当時の川口経済協力部長お答えをいたしました「通産省といたしましては、今後とも国会決議趣旨を体しまして対応していくという立場に何ら変わりはございません。」という趣旨のことも含め、国会決議につきましても、もちろん大臣自身国会議員でいらっしゃいますから十分御承知でございますけれども、たびたび事務的にも大臣に御説明してきております。
  15. 菅野久光

    菅野久光君 省内的には、国会大臣発言について論議になってこういう答弁をしているということは、その都度というか、この間の八月三日以降の中で大臣にきちっとやっているということですね。
  16. 熊野英昭

    説明員熊野英昭君) その都度、例えば先般、参議院商工委員会が開かれましたけれども、その事前にも十分御報告を申し上げております。おっしゃるとおりでございます。
  17. 菅野久光

    菅野久光君 そうなると国会決議を尊重するという閣議決定、これとのかかわりは一体どういうことになるのか。また、こういうような発言がされておるわけですけれども、農民の中では山本農水大臣姿勢については高く評価されております。しかし、今この時期で高く評価されているということを喜ぶべきかどうかというのはちょっと、当たり前といえば当たり前なんですね。当たり前のことを大臣がやっておられることが高く評価されるというのは本当に不思議なことなんですけれども、ほかの人がいろいろ変なことを言うものですから、きちっとした姿勢でおるということを高く評価されているんだというふうに思うんですよ。海部内閣のこの問題の正面切った責任者山本農林水産大臣ですね。その山本農林水産大臣国会決議をしっかり守り、そして閣議決定を忠実にとにかく守っていく、そういう姿勢でやっているときに、他の大臣がそこに何か水を差すかのような発言をされたということは山本大臣も御承知だと思うんです。そういったようなことについて、個人的にあるいは閣議の中でいろいろ論議されることはいいんですが、記者会見で発表されるということは一国会議員発言する意味とは大きな違いがあるわけですね。その点について内閣としては通産大臣のその発言について一体どういうようなことをなされておるのか、これは通産大臣がおらないものですから、山本大臣にひとつその点をお伺いいたしたいと思います。
  18. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 先ほど来の先生の御質疑、御指摘ごもっともだと私は思っております。武藤大臣はきょうここへお見えになりませんで、官房長が少し遅れましたが来まして、当たり前といえば当たり前の答弁をしておると。私に言わせれば相当苦心をして答弁しておるなと、こう私は受け取っておるんですけれども武藤大臣発言真意は私も図りかねております。真意のほどはよくわかりません。  しかし、はっきり申し上げられることは、国会決議衆参三たびにわたって行われていること、 それから海部内閣方針といたしまして閣議確認をし合っておること、そしてまた、当委員会におきましても、また衆議院農水委員会におきましても、あるいは衆参予算委員会におきましても、衆参の本会議におきましても、内閣責任者である総理大臣みずからがはっきり繰り返し言明をして今日に至っておること、また担当大臣でございます私自身がこの問題についてはたった今答弁をいたしましたと同じようなこと、これまた当たり前の話でございまして、それを繰り返し国会を通じて国民の皆様に申し上げておること、このことは間違いのない事実でございます。  私は、議院内閣制におけるこの種の問題について、私自身も米の決議には、参議院議員の一員としてこの決議に加わっておる責任もあるんだということもたびたび申し上げておるわけでございますし、また内閣としてもその方針について変更されたということはいまだかつて一度もないわけでございまして、その方針に基づいて今日までやってまいりました。  繰り返すようでございますが、通産大臣発言真意は私図りかねますけれども、いろいろその前後にいきさつもあったかというふうにも思いましたり、あるいはウルグアイ・ラウンドをともども今後やっていく大臣として通産大臣なりの苦心なり苦労なり心配なりということがそれらの発言にあるいはつながったのかなというふうにも思いをいたしております。いずれにいたしましても、内閣総理大臣、そして責任者である私の方針に全く変わりはないということでひとつ御了解を賜りたいと思っております。
  19. 菅野久光

    菅野久光君 今大臣から発言がございましたが、通産大臣はかって十年ほど前に農林水産大臣をやられた方ですよ。ですから、ほかの方が言うよりはもっとその発言責任を持たなきゃいけないそういう立場だというふうに思うんですよ。しかも今この大事な時期を迎えているときですから、海部内閣としてやはり国会決議を尊重するという閣議決定を各大臣が少なくともしっかり守って、国民に疑惑を招く、あるいは不信を招くようなことのないような対応総理としてもやってもらわなくちゃいけないと思うんです。そんなことで、通産省の方も、私が先ほど言いましたように八月三日のこの本委員会でのそれがどうも大臣にきちっと伝わってないんじゃないかというふうに思わざるを得ないんです。官房長はその都度やっていますということは言っていますけれどもね。  それから、この委員会に対する通産省対応も、やはり質問者要求にきちっとこたえてもらいたい。私もきょうの場合、米の内容について聞くのであれば担当審議官出席するということ、大臣がいないんですから出席するということはいいけれども、そうじゃなくて省内の体制の問題だということで、だから官房長出席してもらいたいということを質問者要求しているわけですから、その要求にきちっとこたえて、少なくとも委員会を休憩させるような不手際なことをしないように今後の国会対応をしてもらいたい。そのことを官房長に強く私は申し上げておきたいというふうに思います。きょうのこの論議大臣にしっかり伝えて、今後こういうようなことについての発言については十分慎重に対応すべきものだということをひとつしっかり伝えてもらいたい、このように思います。
  20. 熊野英昭

    説明員熊野英昭君) ただいまの先生の御指摘はしかと大臣報告をしたいと思います。
  21. 菅野久光

    菅野久光君 それで総理は、あすアメリカに出発されてブッシュ大統領とまた会うことになっているように聞きます。もう最後のこういう段階ブッシュ大統領から強くプッシュされたときに、海部総理にまたしっかり頑張ってもらわにゃいかぬというふうに思うんですね。そんな意味で、あす出発ということですから、これは委員長に私の方から申し上げたいんですが、ぜひ本委員会のこの論議も踏まえ、今後の閣議決定を守る、あるいは米の国会決議を守る、そういったような立場を堅持してやってもらいたいということと、今通産大臣の問題をちょっとやりましたけれども、何か内閣不一致と見られるようなそういうことのないような申し入れをぜひ総理にしてもらいたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  22. 吉川博

    委員長吉川博君) はい、伝えます。
  23. 菅野久光

    菅野久光君 それじゃそういうことでひとつよろしくお願いいたします。  次に、今、米の問題をやりましたが、私は北海道ですから、北海道においては米と同様に重要な基幹作目であります乳製品でん粉雑豆などについても現行輸入制限措置について今後も堅持する方針に変わりはないかどうか、その点をお伺いいたします。
  24. 岩崎充利

    説明員岩崎充利君) 牛乳・乳製品につきまして御説明申し上げますと、乳製品輸入割り当て制度の問題につきましては、過般六十三年の二月のガット理事会ガット規則違反という形のパネル裁定がなされまして、その後当事国米国との間で協議を行って、六十三年八月に当面の決着を見たということでございます。  この乳製品輸入割り当て制度につきましては、現在ウルグアイ・ラウンド交渉におきまして我が国輸入制限に関するガット規定適用要件見直しなり明確化を図るように提案しているということでございます。他方、米国及びケアンズ・グループは輸入割り当て制度等すべての非関税措置を関税化するとともに、輸入制限の根拠となるガット十一条二項自体の廃止を主張するという状況の中にございます。しかしながら、我が国といたしましてはウルグアイ・ラウンド農業交渉の場及び日米協議におきましても、何とか我が国立場なりを理解してもらうように現在最善努力をしているというところでございます。
  25. 菅野久光

    菅野久光君 最善努力ということだけでは私はちょっとこれは心配なんです。やっぱり米が大きく前面に出ているものですから、どっちかというと乳製品でん粉雑豆なんかの問題が陰に隠れてしまうのではないかということを大変私は心配をいたします。これも米と同様に本当に大事な作目なものですから、米の犠牲にならないようにと言えばちょっと言葉が適切でないかもしれませんが、米は米、これらの乳製品でん粉はそれはそれだということになるのかもしれませんが、その辺のところをもう一度きちっとした決意をお聞かせください。
  26. 岩崎充利

    説明員岩崎充利君) 乳製品につきまして、これはでん粉と同じ立場でございますが、我が国での重要な作物だということを踏まえて、我が国の酪農の存立が図られますように適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  27. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) でん粉のことについてお触れになりましたので申し述べますが、でん粉輸入割り当て制度につきましても、乳製品と同じように六十三年の二月にガットパネル報告におきまして規則違反ということにされたわけであります。しかしながら、私どもとしてはこの理事会結論に対して深い疑問を持っておるということで、その結論に遺憾の旨を明らかにしたところであります。その後、当事国でありますアメリカとの間でやはり協議を行いまして、現在のところでん粉輸入割り当て制度は存続するということで、そのもとでのトウモロコシの無税割り当て枠の拡大であるとか、あるいは抱き合わせ比率の緩和であるとかという内容合意を見たところであります。  現在、でん粉輸入割り当て制度をめぐります情勢というのは国際的には非常に厳しい状況にあるのはやはり乳製品と同じでございますが、芋及び芋でん粉というのは北海道及び南九州地域畑作におきまして非常に重要な役割を果たしております。我々としては今後ともこの輸入制限が存続できるようにガット規定要件見直しあるいは明確化について提案をしているところであります。  なお、今後交渉におきましても、各国我が国のこういう地域的な特色のある作物についての基本を守る立場から理解を求めながら最善努力をしていきたいというふうに考えております。
  28. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 雑豆について申し上げ ます。  雑豆につきましては、その需要が近年横ばいでございますので生産制限を実施しているということで、ガット十一条二項に該当するということで決着が図られているわけでございます。ウルグアイ・ラウンドにおきまして米国雑豆につきましても関税化提案をしているわけでございますが、私どもといたしましては、北海道畑作農業の重要な輪作体系の中に組み込まれているものであるという認識のもとに、最大限現行制度根幹維持努力してまいりたいと思っているところでございます。
  29. 菅野久光

    菅野久光君 本当に大事な時期なんでひとつ頑張ってもらいたいというふうに思います。  次にオファーリストの問題ですが、各国国別リストに加えて十月十五日までに保護削減計画リスト提出しなければならないということになっているようですが、このオファーリスト提出いかん日本農業の命運が決まるのではないかというふうに思います。オファーリスト提出するということは自由化につながるというふうに考えられるんですが、我が国がこれにどう対処されるつもりなのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  30. 川合淳二

    説明員川合淳二君) オファーリストにつきましても、御指摘のように十月十五日までに提出することが目標とされております。このオファーリストにつきましても、我が国としては意味のあるオファーリスト提出のためには交渉方式についての合意形成が必要だということを主張してきておりますが、御承知のようにこの点での合意というものはまだでき上がっておりません。したがいまして、このオファーリスト提出に当たりましては、国別表と同様、従来の我が国立場、主張を踏まえてこのオファーリスト提出したいということで、現在、鋭意検討をしているところでございます。
  31. 菅野久光

    菅野久光君 農民団体はもうこれを提出されれば自由化を認めるということになるのではないかという心配をしておりまして、きのうも東京で行われました農民団体の集会でもそういったようなことが言われておりますから、そういう心配がないようにぜひ今までの経過を踏まえて対応してもらいたいというふうに思います。  時間が余りございませんので、乳製品の問題でもう今年度中に日米間で協議を行う予定になっているわけで、この再協議についての見通し、これはどんなことになっておりますでしょうか、乳製品の取り扱いの問題については。
  32. 岩崎充利

    説明員岩崎充利君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、米国は、今までの米国ウルグアイ・ラウンドでの提案等々から今年度予定されている日米協議におきましても厳しい対応をとってくるものと考えております。ただ、先ほどから申し上げましたように、我が国といたしましては従来からの立場を踏まえつつ最大限の努力をしてまいる所存であります。
  33. 菅野久光

    菅野久光君 厳しい今の状況を何とか切り抜けねばならぬということで、けさの報道などでも米の価格をずっと引き下げていくというようなことが報道されておりましたが、この十年間、アメリカとかECというのはたしか農業予算を年々ふやしてきていると思うんですよ。日本は逆に農畜産物の価格の引き下げ、それから農林水産省の予算も約三〇%、ほかのあれから見ると三〇%近く圧縮されてきているのではないかというふうに思うんです。こうした中でECだとか、あるいはアメリカなんかが言っております農業補助の金額を下げていくなんていうことになれば、片方は今まで上げてきた、日本は逆に下げてきたのをさらに日本が下げるということになれば、これは大変なことになるんじゃないかということで、非常に農民の方々が心配されておるわけですが、こういう補助金等を減らしていくということについては余りにもECやアメリカの今の考え方が一方的ではないかというふうに思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
  34. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 今回のウルグアイ・ラウンドが始まりました背景といたしましては、八〇年代におきます世界的な農産物の構造的な過剰と申しますか、そういうものを背景に補助金つきの輸出の増大などが激化いたしまして農産物価格が大幅に低下した。同時に、各国でそれを支持するために農業予算が増大したというようなことで農産物市場の悪化あるいは農業予算の増大ということがあったというふうに承知しております。  したがいまして、各国ともに国内に困難な問題を抱えているわけでございまして、今回のウルグアイ・ラウンド交渉におきましてもなかなかその間の各国基本立場の相違と申しますか、それは埋められていないのではないかと思っております。中間合意がモントリオールを経まして成立しているわけでございますが、そこでは各国農業保護の相当程度の漸進的な削減を行うということになっております。この考え方に基づきまして今後の交渉が進められるわけでございますが、今御指摘がございましたように、我が国は輸入国の立場でございます。かなり開かれた貿易市場ということでECあるいはアメリカと違う立場があるわけでございますので、こうした点にも十分配慮をすべきであるという主張も従来から行っております。こうした立場に立って今後の交渉に臨んでいきたいというふうに考えております。
  35. 菅野久光

    菅野久光君 畑作三品の問題にちょっと移らせていただきますが、ことしの畑作三品の価格は十月の第二週ぐらいに決めたいというような方向でなされているようですが、もう新聞報道も、春の畜産価格の問題から麦そして米と引き下げてきたので畑作三品についてもそれと同じように引き下げるというような方向を固めたというような報道がなされております。私も、畜産価格から麦、米、次いで畑作三品の価格問題についてもう今までも何度かこの委員会質問をいたしました。下げるような要素ではなくて、むしろ労賃などの問題を見れば、一般の労賃から見ると農業の労賃というのは約半分なんですね。そんなことなどの価格決定についてのいろんな要素を考えたときに、下げる要素ではなくてむしろ上げる要素が多いのではないかというふうなことで言ってきましたが、非常にむなしい思いをしております。  そうした中で、とにかく農民は何とか生産性の向上を図っていく。その生産性の向上を図る中で、下げられた中でも何とかその下げを最小限に食いとめながら生活をしているというのが実態ですね。それがさらに内外価格差の名のもとに引き下げられるということになれば、農家の人たちというのは一体どうなるんだろうか、あの人たちの生活はどうなるんだろうか。食べ物をつくっているから食べ物には困らないだろうという戦後のようなそういうことではないというふうに私は思うんです。  ですから私は、今後の農業政策としては、価格政策ではなくて農家の所得をいかに保障してやるかという所得政策に切りかえていかなければならないんじゃないか。価格はこれこれ下げます、そのかわり生産資材等を含めてこれだけのことを政府としてはやります、したがって、農家の手取りは変わらないかちょっとよくなるということになりますということであればこれはだれでも納得できるわけですね。しかし、今までも私も言いましたけれども、生産資材の引き下げ一つだってほとんどなされていない。私はトラクターの車検の問題で警察庁やそれから運輸省に言ってきましたけれども、運輸省は整備関係の工場の収入が少なくなるんじゃないかみたいな感覚でどうもおるらしい。農畜産物の価格を引き下げるというのはまさに今日本の大きな政治課題です。しかし、反対にそういうことをやっている。  じゃ、農林水産省でトラクターの例えば車検の問題なんか、あるいは農業用貨物自動車の車検の問題なんかについて一体どれだけのことをやってきたのか、本当に私はやってきてないんじゃないかと思うんですね。それは運輸省あたりにちょっとは言っているかもしれませんけれども、何も実効が上がっていない。警察庁は私が言った限りでは例えばトラクターの問題一つ言っても、いやト ラクターの車検の問題はそれは運輸省の問題で、車検が二年になろうが三年になろうがあるいは五年になろうが、そんなにそのことによって事故が起きるとは思われないような話をされておるわけですよ。だから、そういういろいろな行政指導なりあるいは政策、そういったようなことの中でコストを下げる努力というものが政府の中で本当に真剣になされているんだろうか。  それから、農家の農畜産物の価格は下げても、下げたやつが消費者の手元に行ったときにさっぱり下がっていない。みんな途中の流通の中に吸収されてしまっている。農民だけが一方的に価格を引き下げられている、こんな状況なんですよ。だから、本当に私は農畜産物の価格の問題を論議するときに、何ぼこういうことじゃないか、ああいうことじゃないかと言っても結果的にはちゃんとうまく数字を合わされてしまって引き下げられてしまう。それじゃ余りにも農民がやる意欲をなくする、後継者を育てることができなくなってくるわけで、豊葦原の瑞穂の国がだめになってしまうんじゃないかという心配をしているんですが、いかがでしょうか。
  36. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 菅野先生るるお触れになりましたけれども、私も胸が痛む思いでございます。しかし、いろいろ今までやってきてむなしい思いをするというお話がございましたけれども、これはむなしいだけで済まないで、苦しくてもとにかくやり抜かなくちゃならないというふうに私も考えておりますし、先生もそういうふうに現場の皆さんとともにほぞを固めていただきたいと思っております。  確かに今御指摘の数々の点はそのとおりの面が私は多いと思います。多いと思いますが、しかし一方では、価格の問題については今ウルグアイ・ラウンドで盛んにやられておりますけれども、撤廃まで含めてあるいはオール関税化などということを、私どもはなかなか難しい相談だ、現実的でないと言っているんですけれども、そういうことを平気で言いまくっておる強大な輸出国もある。我が方は輸入国の立場であり、しかも狭い国土の中でどうしても最低限の食糧というものは確保していかなくちゃならない、そのための農業は維持しなきゃいかぬというふうなはざまにあるわけなんですけれども、しかし農業を続けていただくためにはそれなりの構造的な、あるいは今流通の問題も出ましたけれども、流通問題も含めましてあらゆる角度からできるだけ、行き届かない点が多々あろうと思いますけれども、予算という名のもとに、事業という名のもとに農村が崩壊をしちゃならないというそういう基本的な姿勢でこれからも進めてまいりたいということでございます。  具体的には来年度予算などにつきましても大変今苦労いたしまして、シーリングはやっと終わりましたが、それらの中でもいろんな点で創意工夫をして何とか担い手が残ってもらえるような、それには農村そのものが環境整備をし直して出直すという態勢をつくらないとなかなか若い方が居ついてくださらない。農業そのものよりも農村そのものを何とか守っていこうというふうな観点からも苦心、苦労を続けておる最中であるということでございます。大変不敏でございますけれども、ひたすら一生懸命やりますのでぜひお助けを願いたい、こう思っております。
  37. 菅野久光

    菅野久光君 私もむなしい思いをしながら、しかしまあ何とかとにかくしなきゃならぬということで、価格政策なんてもっともらしいような数字を並べて、だからこうやって下がるだなんと言ったってだれも納得しません、本当に。だから、総合的な農家の所得をどう保障するのかというような所得政策に切りかえていかないといかぬのではないかというふうに思いまして先ほどのような御提言をしたわけでございます。  時間が参りましたので、あとちょっと食糧庁の方にお聞きしたいというふうに思いますが、新米が出てくるわけですが、価格形成の場のスタートが若干おくれております。それまでのこの相対取引の値決めについてはどのようになされるのか、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  38. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) 自主流通米の価格形成の場につきましては、本委員会においても御議論をこれまでたびたびしていただいたところでございます。この場のことにつきましては、去る八月の三十日に形成をされまして、いよいよ発足ということでございますが、今先生指摘の点について、この実際の実施等につきましては、前々から申しておりましたように出来秋ということでございました。既に超早場及び早場米につきましては、従来の協議方式についての値決めが行われました。それから来月いっぱいの価格につきましては、去る九月の中旬に暫定的に両当事者、買い受け、集荷の団体の間で合意を見まして、暫定的に一カ月間の値決めが行われております。  なお、これは具体的内容でございますが、既に早場米の値段というふうに決まった部分についてはその価格、それから超早場及び早場米についての交渉がなされていないものについては昨年の価格と同額ということで決められているところでございます。
  39. 菅野久光

    菅野久光君 終わります。
  40. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 それでは、私から今差し迫っておりますガットウルグアイ・ラウンドに向けての農業交渉について主としてお尋ねをしたい、そういうことで一応質問の組み立てをしましたけれども菅野委員からいろいろ総体的な質問がされ、それに対する適切なお答えがありましたから、若干組み立てを変えまして質問を続けたい、こう思います。  ただ、私が考えるに、山本農水大臣の今までの一貫した日本の農業を守る、米を守るという姿勢に対しては私ども敬意を表しておりますし、今後のその対応についても御期待を申し上げるわけでありますけれども、先ほど来議論になっております内閣の一員である通産大臣が公的な場所で、しかも二度にわたって国会決議を見直さなきゃならぬというような発言をされている。そこで、きのうも私は地元の農民団体が来た席で、津島厚生大臣も列席されておりました。内閣の一員としてあの言動に対してどう対処するのかということをその場でも告げました。  そこで農水大臣、先ほど菅野委員から吉川委員長名でこのような意見があったということを申し入れよという要望がありましたけれども、私はそれでは済まない、この権威ある農水委員会で何度も決議した、そしてまた内閣でも決議確認している。それに対してこの権威ある農水委員会で少なくとも抗議をすべきだ、抗議文を出していただいて農水委員会としての姿勢を示すべきだと思いますが、まず委員長からその辺の取り扱いについて御見解を伺いたいと思います。
  41. 吉川博

    委員長吉川博君) 理事会協議して決定をいたします。
  42. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 理事会協議をするということですが、きょうのこの委員会中にその結論を出せますか。
  43. 吉川博

    委員長吉川博君) はい。
  44. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 じゃ、よろしく御配慮をお願いしたいと思います。  そこで、質問を続けたいと思います。  いろいろな考え方が国内にもあるしアメリカにもあるわけであります。そこで、このガットウルグアイ・ラウンドに関する報道の内容について若干触れてみたいと思いますけれども、何かこのラウンド交渉農業交渉イコールまた米市場の自由化なり開放に関する極めて短絡的なものであるというような報道がされているようでありますけれども、私は国民にもっとこの実態を正確に、ガットウルグアイ・ラウンド交渉について政府が主体になって報道をすべきである。これは商業紙がいろんな形で自己の判断でそれなりの報道をしますけれども政府国民に本当の実態を知らしめるとすれば、政府機関の報道を少なくとも民間の報道よりより以上に強化しなきゃならぬと思うわけでありますけれども、それに対する御見解を大臣から伺いたいと思います。
  45. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 従来もこの国会の場な どを通じまして、これは国民の皆様が注目をして、農水委員会予算委員会も本会議も見ておられるわけでありますから、これらの場を通して内閣の意見、私どもの所信ということは申し上げてまいったつもりでございますし、また新聞、テレビというのはこれは重要な国民とのPRの媒体でございますから、これにもよく真意が伝わるように私ども今までやってきたつもりでございます。  また、政府としては、政府広報紙その他いろいろございますので、それらも通じてできる限り本問題を含めまして、政府の施策についてPRをいたしてまいったつもりでございます。今後ともこれをしっかり強化して進めてまいりたい、こう考えております。
  46. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 結局、今までもそういう形で、それは政府筋の努力はありますけれども、商業紙よりも弱いから、それをしのぐ何かアクションを起こさなきゃならぬと思うわけですよ。その意味で何とか今までより以上な報道を政府の方からしかけていかなきゃならぬと思いますから要望しておきます。  それから、明日、海部総理がニューヨークへ立たれるわけでありますけれども日米の首脳がまさか米国のほんの一部と言われる精米業者の利益を守るために米を議論するとは思いませんけれども、もしそれが議論されて総理が何か条件をつけられるという危険性も今までの経緯からしてないわけではございません。それに対して担当大臣として総理に対して今回のその意をどういう形で伝えるのか、その辺の御見解と決意をお願いしたいと思います。
  47. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 今先生指摘のとおり、明日、総理アメリカへ向かって出発をされます。子供サミットに参加をしたいということが主でございますが、その際に日米首脳会談あるべしと、こういうふうに言われておるわけでございます。私ども承知しておるところでは、まだ首脳会談がいつの時点でどこでどういう形で行われるかということが固まっておらないようであります。したがいまして、中身につきましても、首脳同士ですから何を話してもいいわけですけれども、今までの例からすればおおよその大綱ぐらいは出てくるわけなんですけれども、今のところこれらも出ておりません。私ども承知しておりません。まあ調整中ということだろうと思います。  今先生のお尋ねの米の問題が出るのか出ないのか、その辺も定かではございませんし、私どもはもし出ても、これは総理は十分従来の政府あるいは日本国として進めてまいりました日本のガットウルグアイ・ラウンドに対する姿勢というものは貫かれるのではないかというふうに確信をしておるわけでございます。  また、いつどういう形で総理に話をされるかということでございますが、私ども今まで時々刻々閣議の前後などに総理にお話をする機会がございまして、よく承知をしておられるということでございますのでその心配はなかろうかと思っております。  なお、念のため、我が省からは塩飽審議官を同行させるということになっております。
  48. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 冒頭私は、当委員会内閣に対して抗議を申し込むという提案をしましたけれども、扱いはどうなるかは委員長にゆだねますが、担当農水大臣として少なくとも今までどういう手だてをしたか、そのことをまずお尋ねしたいと思います。
  49. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 質問の趣意がよくわかりませんけれどもウルグアイ・ラウンドの今までの経過でしょうか。
  50. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 通産大臣に対して、内閣の一員があのような重大発言をしていることに対して担当大臣としてどういうような行動をしたかということです。それから、これからどうするかということです。
  51. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) これは先ほど申し上げたつもりでございますが、このことについて私通産大臣に格別にお話をしたことはありません。またするつもりもございません。これは、一つは、内閣責任者総理大臣であるということでございます。また、本件に関する責任者は私であるということでございますので、その意味で私の主張、それから総理が従来国会において申し上げてきたことについて責任を持つということで筋は通っているのではないか、こういうふうに考えております。
  52. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 最大限山本大臣発言を期待したわけでありますけれども、とかく農水省が言うことよりも、特に貿易、外交については外務省、通産省等の意見が優先されて農業がだんだんだんだん押しやられてきている、そういう今までの経過をたどると、今までよりもっとより強力な抵抗をしていかないと、抵抗というのは当たらないかもしれませんけれども、少なくともそういう行動を示していかないと今、日本の置かれている農業の事情というものは国政全体の中でますます押しやられていくということが予想されますから、どうぞ毅然とした態度で、我々がついていますから、国会委員会の中でこのくらい与野党超党派で大臣を励ましているという委員会はないでしょう、どうぞバックアップを受けながらより一層強力に今までの姿勢を貫いてほしいと希望してお願いしておきます。  それでは、具体的な問題に入っていきたいと思います。  特にこのウルグアイ・ラウンド交渉に向けて、安ければ輸入した方がいい、そしてまた食糧安保というものは今の時代にそぐわないというような考え方もありますけれども、今まで政府が言っている、そしてまた私どもが主張している、これほど自由貿易に貢献している国家はないということは私から言うに及ばないわけであります。年間三百億ドルも食糧を輸入している輸入大国日本でありますから、その辺の事情は国民も諸外国も認めていただける状況下にあるわけでありますから、毅然としてその姿勢を貫いていただきたい、こう思うわけでありますけれども、その一つの裏づけとして若干の問題に触れてみたいと思います。  具体的に、日本で食糧原料を生産すると高いという議論に対して若干の反論をする意味で、あるいは実証をする意味で問題を提起し、あるいは質問してみたいと思いますが、例えば私は青森県ですからリンゴジュースあるいはオレンジジュースそしてトマトジュース、これらの実際国内で生産した場合の原料価格が消費者が求める価格のどの程度の割合になっているのか、そしてまた、それと相対比して缶入りのコーラ、コーヒーあるいはウーロン茶、このような比較をしてみたいと思うわけでありますけれども、これはきのうからその質問の通告をしておりましたからその資料を提示願いたいと思います。
  53. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) まずリンゴとオレンジジュースについて申し上げます。  自動販売機で小売価格百円で売られておりますリンゴとオレンジの一〇〇%ジュースについてでございますが、二百ミリリットルで売られているものについての聞き取りでは百円の約二割程度、つまり原果汁は二十円程度というふうに聞いております。
  54. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) 所管がちょっと違いますので、トマトジュース及びその他のものについて私申し上げますが、トマトジュースにつきましても、原料内容を見ますと、大体今生産者の工場持ち込みのトマトの値段がキロ四十八円ぐらいでございます。歩どまりが六〇%から六五%ということで、原料代にしますと約十九円、おおむね二割というのが実態でございます。  一方、コーラとかウーロン茶とかコーヒーの缶物でございますが、これは非常に嗜好品的な要素が強うございまして各メーカーとも内容についてはつまびらかにしないわけでございまして、大変恐縮でございますが本日の段階で数字を申し上げる状況にございません。
  55. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 ただいま果汁についてのお答えは正確な数字まで掲げて出されましたけれども、少なくとも一〇〇%ジュースで百円のものが二 〇%、この原料が安いから外国から輸入するという理論なわけですね、自由化して安い物を輸入するということは。逆にコーラ、ウーロン茶それからコーヒー等の原価がわからないという状態でその議論はならないけれども、少なくとも担当省庁としてコーラ、ウーロン茶、コーヒーこの程度、おおよそどのぐらいか、それも想像できませんか。私ははっきりした数字で議論するんじゃない、大体の数字がわかればそれで議論したいんです。お願いします。
  56. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) 先ほど申し上げましたように、コーラ、ウーロン茶、コーヒー、それぞれ大変多くのメーカーがございまして、特色を売り物に、例えばコーヒーで言いますと炭火焼きであるとかいろいろな特色を売り物にしておりましてなかなかその内容は明らかにできないわけでございます。しかし一方、国内産の原料を使っております今のトマトジュース等と比較してそれより高いということはないんだろうというふうに我々は推測しているわけですが、それじゃどのくらいかと言われますと、残念ながらお答えする数字を持ち合わせておりません。
  57. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 こういうはっきりした根拠を持って政策を立案していただかなきゃならぬし、国民を指導していかなきゃならぬ関係省庁が少なくともコーラという、あるいはウーロン茶についてはそんなに問題になっていませんけれども、コーラあたりはこれは原料代が五%いっているかどうかわからぬという見方さえあるわけですから、はっきりしたものをつかんでおかなきゃならぬと思うし、日本の果汁国産原料の重要性、価値観というものを国民にPRする場合に、そういうものをはっきり示しながらしないとやっぱり説得力を持たないと思うわけです。その意味で、私もいずれまた近いうちに質問の機会があると思いますから、どうぞそれまでに、ただいま、まだ発表できないというその数字を調べて提出していただくことをお願いしておきます。  そこで、先ほど菅野委員からも言われましたけれども、いつも私も例として申し上げますが、牛乳は生産者の販売価格が二百CC約二十円足らずなんです。米は一食分三十円足らずです。それが実際消費者が求めるときに、牛乳は六十円から若干強化して出すと百円のものもある。少なくとも三倍から五倍になっている。米についてはこれまた四倍、五倍あるいは七倍になっている。一合足らずの米がどんぶり一杯二百円で売られている食堂もあるわけですよ。ですから、輸入した場合に日本の消費者が安い物を求められるという感覚で、そういう消費者もいないわけじゃないんです。そういう報道もされているんです。米がアメリカに比べて四倍だとか、タイに比べて七倍だとかいう、それを直観的に判断すれば、食堂で今百五十円で食べているものはその五分の一で食えるのかなという錯覚さえ起きている。私は、政府の機関がもっと積極的に報道をすることによって、あのような反対の意見は出てこないと思うんです。  例えばことしの農産物の価格を振り返ってみますと、乳価は二・六%下げられました。麦は三・九%下げられました。米も一・五%下げられました。その下げた最たる理由は国際価格に比較して高いから。消費者、国民の理解を得るために、血のにじむような思いで農業団体が据え置きを要求したにもかかわらず、それぞれの価格が下げられてきたわけであります。その下げられた日本の生産物で供給する場合、イコール消費者の値段も下がってなきゃならぬのです。それが全く下がっていないでしょう。むしろ上げられている状況。そうすると、生産者の価格を下げた理由は、流通業者の利益のために下げているんじゃないですか。  ですから、そのことをはっきり農水大臣なり農水省の関係者が我々と一体になって国民を説得していかないと、日本の農業がアメリカと直接的に、できた生産物だけで価格比較されてはできっこないわけでありますから、その辺の日本の社会的、地理的、いろんな自然的条件の中でつくればこれ以上安くやれないのは限界ですよ、先ほど菅野先生も言ったようにね。ですから、これ以上は下げないから、皆さん、国益を守るために、日本の国土を守るために、自然を守るために、緑を守るために頑張ってくれよと言うんならいいけれども、合理化させるために下げるという論理でしょう。ですから後継者が育たないんです。その意味で、私は政府筋の報道をもっと強く進めるべきである、こう思うわけであります。  それについてもう一度大臣の御見解をただして次に行きたいと思います。
  58. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 三上先生のお説のとおりだと思っております。それは私どもが最近、国内外の方々に、ウルグアイ・ラウンド問題、あるいは米事情、日本の農業事情などをお話しする場合に、先ほど来出ておりますようないわゆる食糧安保論、これは一つの大きな柱なんです。しかし、いわゆる国土保全論、環境を守ろう、国土を守ろう、こういうことが非常に有効な説明になるということを私自身お話をしていてしばしば感じるわけでございます。ひいては、日本の長い間の伝統といいますか、文化論なども、私が考えていた以上に外国の方々もわかっていただけるんだなという体験も最近しばしばしております。そういう点から考えますと、今先生がるるお話しになりました生産者に対する農業政策の問題、あるいは国民に対するアピールの仕方というふうな問題の中で、やはり国土や緑を守っていくんだというふうなこと、そして食糧の大事なこと、これを中心に進めていく必要がある。  それからもう一つ、先生がお話しになりました流通問題でございますが、流通部門というのは日に日に拡大をしておりまして、これにある程度着目をしない場合には、あらゆる物価というものに対する対応ができないという時代に入りつつある、農畜産物についても同じである、こういう認識がございます。したがって、担当局長とも話をしておりますけれども、流通部門に対しましても、さまざまなこちらからお願いもしながら、ともどもやっていこうじゃないかというふうな指導をさらに強めてまいりたい、こう考えております。
  59. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 それからもう一つ、具体的に質問と要望を申し上げたいと思いますけれども、消費者が求めるその製品に対して原料の価格の構成比が幾らになっているのか、少なくともJAS法によって成分表は義務づけられておりますけれども、原価、例えばさっき言ったようにジュースの原価が百円の中で十九円でありますよ、二十円でありますよと、コーラがどれくらいに出てくるかわからぬけれども、少なくともその原価の表示をする、それを法制化するというか義務づける、そういうことを示すことによって国民もやはり正しい認識を得るんではないか、そう思うわけでありますが、私はそれを要望したいし、担当大臣として、あるいは所管の関係者としてどのようなお考えをお持ちか。
  60. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) JASの関係でお触れになりましたのでお答えしますが、御案内のとおり、日本農林規格はこれは品質を決めているものでございます。今委員の御質問は原価を表示させられないかというお話でございますが、現在の食品のたぐいは大体容器に印刷をしていくわけですが、一方、原価になります原料というのは、価格の変動等がございますし、それから各企業ごとにやはりその仕入れの値段が違ってくる、これを国の規格の中で表示させるということは、表示したものと中身とのその実効性の担保その他を考えますと非常に難しい問題があろうかと、にわかな御質問でございますが、私思う次第でございます。なおいろいろと各方面の意見等も聞いて検討させていただきたいと思います。
  61. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 今の問題よろしく御検討をお願いしたいと思います。  それでは、先般、吉川委員長を初めとして参議院農水委員会が三重県と愛知県を調査させていただきました。そして、それぞれ施設や園芸その他のものを視察させていただきましたけれども、茶畑を視察したときに、防霜ファンが大変な効果を出しているという具体的な例を見たわけでありますけれども、いかんせんリンゴ地帯にはその防 霜ファンの補助事業が適用されていないという情報も得ましたので、その辺の事情がどうなっておりますか御説明いただきたいと思います。
  62. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) リンゴに対します防霜ファンの件でございますけれども、ただいま農業生産体質強化総合推進対策の中の落葉果樹産地緊急対策事業という事業で、防霜ファンの設置が防霜効果あるいは経済性から見て適当であるというようなことが認められる地域に限りましては、その導入に対して補助をしているという現状でございます。そういう道が開かれているということでございます。
  63. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 ただいまのお答えの中で、もはやその補助の道が開かれていて、実際もう実施されているんですか。もしされたとすれば、青森県にもそういう例があるのかどうか。
  64. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) これは全国段階でそういう道が開かれておりまして、現に長野県ではそういう例がございますが、青森県ではまだその例はございません。道は開かれているわけでございます。
  65. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 確認しますけれども、いつの時点でその制度ができたんですか。
  66. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) これは数年前からそういう制度が開かれております。
  67. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 数年とは何年ですか。
  68. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 後で正確にお答えさせていただきます。ちょっとお時間をいただきたいと思います。
  69. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 どうぞひとつ、青森県でもこの降霜被害というのは、ちょうど花の満開のときに霜の降る時期なんですよ。それが霜がおりた場合に、その柱頭が侵されてそれが結実しないという現象がありますから、しかもそれが優秀な、台風も当たらない、どちらかと言うと盆地にその傾向が出るわけでありますから、どうぞそれひとつ適用されるように、そしてまた指導されるようにお願いしたいと思います。  それからもう一つ、この前の委員会質問と御要望を申し上げておきましたけれども、たまたま山本大臣が不在で、大塚政務次官が列席されて、前向きに検討されるというお答えをいただきましたけれども、またリンゴにちょっとこだわってみますけれども、学校給食法の補助事業で牛乳は認められておる、そしてまたオレンジ果汁も認められている。そこでリンゴ果汁も、自由化になって大変な産地では影響をもたらしておるわけでありますから、そしてまた鋭意増産に、あるいは良品の生産に励んでおりますから、どうぞ同じ条件でひとつ取り扱いをいただきたいということで要望しておきましたけれども、平成三年度の予算シーリングがもう出た段階で、その辺の具体的な御検討と取り扱いについてお答えいただきたい。
  70. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 学校給食の費用につきましては、原則といたしまして父兄負担ということになっているわけでございます。ただ、生産が過剰になっております温州ミカンのようなものにつきまして現に生産調整を進めなければならないという特別の事情がありますので、その消費の増進ということで学校給食に着目して、こういった原則に対します例外的な措置ということで助成をしてきているわけでございます。  ただ、リンゴにつきましてはミカンと違いまして生産過剰というような状況にはないわけでございますので、ただいまのところリンゴ果汁につきまして学校給食の対象として政府助成を考えるということは困難であろうと考えております。リンゴの需要増進につきましては、リンゴ果汁を含めまして広報、宣伝、市場調査等につきまして助成をいたしておりますほか、特に高品質の果汁生産に向けた果汁工場の設備の近代化でございますとか、あるいは果汁原料用果実の価格安定対策というようなことでその需要の増進なり、あるいは生産対策を講じているというのが現状でございます。
  71. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 オレンジとは違ってとおっしゃいますが、私はオレンジ、ミカンの方は過剰でないとは言いませんけれども、リンゴすら過剰の状態ですよ。その状態にまたリンゴ果汁が入ってきて、今までは一箱二十キロのものが大体千円前後、通年、平均しますとそのぐらいであったものが五、六百円、安ければ四、五百円という状況になってしまったわけであります。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 何としてもやはり地元消費をしていかなきゃならぬという状況に追い込まれたわけでありますから、少なくとも東北ブロックでも地元で生産されたリンゴ果汁を児童生徒に十分飲ませてやって、学校教育の中で、また地元産品の愛用運動をするという一環からしても、やはり牛乳、オレンジと同じような扱いをさせていただきたいというのが大きな念願でありますから、どうぞ先ほどのお答え、断言しないで、三年度予算では結局該当しないというお答えになりますか。
  72. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 先生おっしゃいましたとおり、学校給食にリンゴ果汁を取り入れるということは学校給食の方でお考えいただくということだろうと思いますが、これに対しまして政府助成をするかどうかという問題につきましては、やはりリンゴとミカンとの需給事情その他の問題がございまして非常に難しい問題であろうというふうに考えております。平成三年度予算でそのような要求を財政当局の方にしているということはございません。
  73. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 先ほど何度も要望しておきましたけれども、適用になるようにひとつ御検討をお願いしたい、こう思います。  それからもう一つ。広範なことになりますけれども、やはり日本の農業を改善していくためには、先ほど菅野先生も言ったように、国際的に競争するためには日本の農産物の生産性の向上を図らなきゃならぬ、そのためにはやっぱり販売価格が頭打ち、むしろ政府指導価格は下げられている状況、そういう中でコストを下げるというと結局生産費を切り下げるということです。それには共同化したり、その経営の合理化はもちろん、やはり機械の効率利用ということから機械のコストを下げていかなきゃならぬ、こう思うわけでありますけれども、その機械のコストは同じ品種でも、例えば稲の問題ですよ。コンバイン一つ見ても、バイオテクノロジーの応用によって同じ品種でも登熟の期間が調整できるという技術が今可能だと言われております。まだ研究費の不足からそれは実現できないけれども可能だという見解がその筋から出ていますが、これに対する情勢判断と今後の方針をお尋ねしておきます。
  74. 海野研一

    説明員(海野研一君) 水稲の品種育成に当たりましては、御指摘のように農業機械でございますとか施設でございますとか、そういうものの利用の効率化という面、さらには災害の危険分散というような面から、なるべくわせからおくてまで、それぞれにわたっての品種の育成ということが必要なわけでございまして、特に近年、良食味品種に人気が集まってきてから、そういう良食味品種をわせからおくてまでなるべくそろえていこうというようなことでございまして、特に今、南の方にとってみますと、同じコシヒカリ並みの食味と言われておりますわせでキヌヒカリ、なかてでヒノヒカリ、おくてでユメヒカリというようなものが育成されたところでございます。  ただ問題は、これが北へ寄れば寄るほどわせから、おくてはまずございませんけれども、なかてまでの泳ぎの余地が小さくなるわけでございまして、その意味では北ほど難しいわけでございますが、ただ既に東北地域でも、わせの「たかねみのり」でございますとか、「はなの舞」というようなのもできておりますし、もちろん、なかてで「つがるおとめ」、「あきたこまち」というようなものができてきているところでございます。特にこの育種の技術というものは日進月歩しております。そういう意味で、食味に関して同じ遺伝的な系統を持つもので、かつそれが栽培時期が違うというようなものを育成することも可能になっております。そういう意味で、できるだけ良食味品種で収穫時期の違うものを今後さらに育成してまいりたいというふうに考えております。
  75. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 時間も余りなくなりましたから、最後に、これまた生産費低減の意味合いからいろいろ今までも要望申し上げてきましたけれども、土地改良が基盤整備上何としても必要な条件でありますけれども、既設の土地改良をしたその関係から当然負担金が伴うわけでありますけれども、日本の農家のそういう負担を少なくとも正当な理由で軽減するためにはやはり公共の部分は生産者に負担させるべきではないと思うわけです。例えば生産者が一定の土地改良区を構成してダムを建設する、農道を整備する、水路を整備する、その負担を若干なりとも、若干というとあるいはその三割、四割、五割といういろんな条件がありますけれども、そういう負担が伴っているわけでありますから、そういう公共のものについては負担させるべきではない、こう思うわけであります。いろいろ日米構造協議の中でも、日本の農業の保護制度をすべきでないという今のガットウルグアイ・ラウンドの問題もあるわけでありますから、その意味ではそれは当然農家の負担でなく公共の負担で、国の負担あるいは県の負担でやるべきだと思うんですが、それに対する御見解と今後の対応を御説明願いたい。
  76. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) 先生指摘のように、土地改良事業につきましては、その公共性の程度に応じまして適切な国庫負担を行っているということでございますけれども、事業による利益が個別農家に帰するということもありますので受益農家にも応分の負担を求めているというのが基本になっているわけでございます。  ただ、最近の農業を取り巻く厳しい情勢にかんがみまして、これまでも農家負担の軽減を図るためのいろんな施策を講じてきているところでございますし、また、平成二年度からは特別の対策を実施するということで、五年間で一千億円の資金を積んでその対策を実施する段階に入っているわけでございます。それからまた、先生指摘のような公共的な施設、例えば幹線的な農道等のものにつきましては地域における公共性に応じた公的負担、都道府県とか市町村の負担もなされまして、農家負担が全然ないという場合が非常に多くなっている状況でございます。  それからまた、平成二年度から特に国営事業につきましては地方財政措置という点でいろいろ改善していただきまして、ダム等の公益性の高い施設につきましては、地方公共団体の負担について地方交付税の算定方式にその負担の実態が反映できる措置が講じられたわけでございまして、そういう措置を裏づけといたしまして、公共団体による負担が増大する、農家の負担が軽減されるという方向になっているというように考えている次第でございます。
  77. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 それぞれ今お答えがありましたけれども、例えば整備をした、土地改良をした、それによって利益をこうむるのが農家である、ですから、一定の農家の負担はその公益的な面にも負担を負わせるという考え方、例えば港の場合あるいは道路の場合、主として港湾、道路を供用して営利を目的、これはもちろんひいては国益のためにやっていることになりますけれども、自分の会社の営利のためにやっている人たちに、例えば港湾で業務をしている海運会社とか、それらに対して負担させている実態があるんですか。
  78. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) 農水省以外のところで、運輸省とか建設省の公共事業の場合に受益者負担というものは極めてまれであるというふうに聞いております。建設省の下水道事業だけが受益者負担というものを基本にいたしておりまして、あとはほとんどないのではないかというふうに承知いたしております。  私どもの例えばダム、水路、そういうものをつくってかんがい排水事業というのをやっておりますけれども、これにつきましても今後畑かん地帯等につきましては従来のような面積当たり幾らというような受益者負担の方式でなくて、例えば先行的に畑かん施設を整備いたしまして、その使用量に応じて料金負担をしていただくというようなそういう考え方も今後いろいろ検討に値するのじゃなかろうかというふうなことも今考えている次第でございます。
  79. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 終わります。
  80. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 私は二十分の持ち時間でございまして、大変短い時間でございますので、ウルグアイ・ラウンドを中心に、同僚議員からそれぞれポイントになるような項目の御質疑がございましたけれども、絞って申し上げたいと思います。  ウルグアイ・ラウンドもいよいよ大詰めに来ているわけでございますが、率直に言って全国民今かたずをのんでその行方を見守っているというふうな状況であろうと思いますが、私自身山本大臣の農は国のもとであるというそういう誠実な本当に信念的なお言葉を受けながら、その大臣のもとに最強のスタッフで今国際交渉に当たられている農水省の皆さんの御努力に対して深甚なる敬意を表し、また全幅のそれに信頼を寄せている者の一人でございますけれども、しかし、また一面におきまして、日々の新聞にいろいろあれやこれや出る、そういった記事を見ながら私個人も実は一喜一憂といいますか、そういう気持ちをやはりぬぐい去れない、こんな心境でございます。  しかし私は、ウルグアイ・ラウンドにつきましては、農業というのは商品交換と同じ次元で果たして論議するのが妥当なのかどうかということを素人なりにかねて疑問を持っているわけでございます。ウルグアイ・ラウンドを国際自由貿易という原則に立って何とか成功させなくちゃいかぬ、これは何人も異論のないことでございますが、しかし、その中で論ずべきことはいわゆるウルグアイ・ラウンドでの中心的な一つの基本理念はやはりマルチラテラリズム、こういった一つの理念があるわけでございまして、そういう意味では一方的に制裁を科するようなスーパー三〇一条なんという、これはもうまことにウルグアイ・ラウンドの精神から見ればおかしいじゃないかと私は思います。  また、今ウルグアイ・ラウンドの土俵の中でカバーされておらない例えばサービス部門であるとか知的所有権の問題であるとかあるいは海外投資の、インベストメントの問題であるとか、規律的な商道徳といいましょうか、そういう問題を含めたいろいろな問題を真剣にやっていただきたいということでございまして、やはり農業は今まで我が国が主張しているように商品交換とは別の次元で、いろいろ歴史とか文化とか言われますけれども、やはり人間の生活といいましょうか、そういうものに密着したものがあるということを痛切に感ずる者の一人でございます。そういう意味でやはり食糧安全保障あるいは基礎的食糧というものについては絶対守っていくという今までの主張を国際場裏において堂々と自信を持ってひとつ主張していっていただきたいということを切に思っているわけでございます。  最近のイラクのクウェートへの侵攻というふうな問題を見ましても、やはりエネルギー政策というものがああいう格好で七割も中東に依存した、そして歴史的に石炭をスクラップして石油にどんどん依存してきたのが果たしてエネルギー政策としてどうであったのだろうかということを私個人もちょっといろいろ考えさせられますし、そういう意味でやはり食糧の危機管理というものの重要さ、そういったものを改めて感ずるわけでございますが、そういう意味で、まあ農業の交渉が土壇場に来たこの段階において改めて現状についてどういうふうに認識し、そしてどのような見通しをお持ちであるかということについて端的にお伺いしておきたいと思います。
  81. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 鈴木先生と全く思いを一にしておるわけでございます。  最近私どもにたくさん、投書も含めて公私お手紙をいただくわけなんです。その中で例の今の湾岸問題、イラク問題を例示として取り上げまして、石油にしてしかり、食糧の場合には、これはもうよほど人間の生存を考えつつ、まさに慎重に対処していかなければならない一つの大きな最近における例であるというふうなお手紙が多いんです。私もそのとおりだというふうに考えております。  今先生の御指摘の中で、農業と工業は違うんだと、こういう端的なお話でございますが、私もそう思っておりまして、そのことは各場面、各会議、国内外の交渉の場などではっきり申し上げております。外国の農業関係者の方々もその議論に対しては異論を差し挟むものではありません。ただ、農業にだけ関して言ってみても各国それぞれ事情がございまして、申し上げるまでもございませんが、アメリカアメリカの利益を中心に考えておる、ECはECで、もう統合など間近でございますから、それらも含めて、ECの農業体制というものを過去の歴史の中からどういうふうに守り、そして育てていこうかというふうなECのやっぱり考え方がある。日本の米問題だけが特に指摘をされて、テーブルもできないうちに空中に舞っているんだと私は言っているんですけれども、そういう状況がございます。しかし、ECとアメリカなどの考え方の相違というものはそう簡単に一昼夜ぐらいで解けるものではない、妥協点がそう簡単に見出せるほどいと易しい問題ではないというふうに私は見ておるわけでございます。  したがって、我が国の従来の基本的な主張、そして米問題を中心にした、今先生のお触れになった食糧安保論は全く正しいものだというふうに私はますます考えておるわけでございます。そしてこれは、どんなことがありましても国内の世論を一致させながら国際的にわかっていただくということで進めてまいりたい。幸いといいましょうか、もう一日、十五日という日柄がございまして、当初これに対しても我々いろいろ意見ございました。土台ができないうちにそんな個々の問題まで入るのはおかしいじゃないかというふうな主張もいたしましたけれども、しかし、決められた以上はこれはしっかり取り組もうという日本本来の姿勢がございますから、その本来に基づいて今作業を最終段階でやっておりまして、今明日中には結論が出る、農林水産省としてはその結論に基づいて、カントリーリストについてもオファーリストについても進めてまいりたい、こういうことでございます。まあぜひひとつともどもやらせていただきたいと思っております。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕
  82. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 御答弁いただきましたが、先ほど来の質問の中で、ことしの十月一日あるいは十五日に出すカントリーリストあるいはオファーリストの問題につきましていろいろの質疑がございました。その答弁の中で、交渉方式合意形成に至っておらない、こういうふうな答弁があったと思うわけでございますけれども、実はその点がどういうことかということ。  あわせて、かねて、いわゆるタリフィゼーションといいますか、関税化の問題がいろいろ紙上に出ておりまして、ECは三〇%であるというふうなことで、それに対してアメリカがどうこうということで、ECとアメリカの記事がずっと出ておるわけでございますが、アメリカはそれに対しまして七〇%削減提案をしたというふうな記事が出ており、それに対して農林省も相当のショックであると某新聞には書いておったり、いろいろの記事が出ておるわけでございます。  また、けさほどの某新聞によりますと、農業保護三〇%削減の案を農業交渉に日本が出すというふうな記事を実は目にするわけでございます。二十九日、米ニューヨークでの日米首脳会談で農業保護削減努力する姿勢を海部首相は表明するというふうな記事、コメントを含めてあるわけでございますが、最後は米価など個別保護の削減は対象外として公約しない、こういうことを書いてございますが、いずれにしましても、AMSを三分野で七〇%削減に対して三〇%にする、こういうふうな提案をするというまことしやかな記事がありますけれども、先ほど来の御答弁で、今基本方針に従ってやっているんだ、こういうことですが、また基本方針のうちで米を除外したこういう案が有力なものとしてあるのかどうかということを含めて御質疑したいと思うんです。
  83. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 一番最初に御質問のございました交渉方式という点でございますが、これは例えば通常の関税その他の交渉でございますとオファーリクエスト、各国から自分のできるものを出し、かつ相手国からは要求を出すというような方式を決めた上でいろいろ出し合うというようなことがあるわけでございますが、今回のオファーリスト、それから国別表につきましてはそういう方式が決まらないままにスケジュールが決まってしまった。したがいまして、その間で各国のそれぞれの主張、利益を害するものではないという申し合わせもあるわけでございますが、いわゆるスケジュールだけ決めて中身の進め方が決まっていないという状況であるということを申し上げたわけでございます。  それから後半の点でございますが、御承知のように、ウルグアイ・ラウンドにつきましては八九年の四月に中間合意というものができております。ここでは、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、農業保護の相当程度の漸進的な削減ということにつきまして各国が同意といいますか、合意をしておるわけでございまして、各国これを前提といたしましてと申しますか、これを踏まえて恐らく国別表なリオファーを出してくるのではないかというふうに考えております。それが先ほどお触れいただきましたアメリカの七割、ヨーロッパの三割というような報道になっているわけでございますが、これは出てきておりませんので今のところ定かではないわけでございます。  したがいまして、我が国といたしましてもこうした合意に基づいて、これを踏まえてやっていかなければいけないと思っておりますし、また我が国といたしましては一方で日本提案の中でAMSという計量手段の問題がございます。これに基づいて削減するということは提案しているわけでございますものですから、こうした一連の中で先ほど来大臣が申し上げております立場、主張というものを踏まえましてオファーリストそれから国別表対応していくということでございます。
  84. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 時間もあれでございますので、いろいろ質問したい点もあるわけでございますが、いずれにしましても、先ほど来でん粉とか雑豆とかあるいは落花生とか、そういう地域的ないろいろの問題、北海道菅野先生の御質問もあったわけでございますが、まあ十三品目を含めて今国家貿易品目その他のあれに米だけが突出して何かウルグアイ・ラウンドというのは米だけという錯覚といいますか、そういうやつを一般国民は持っていると思うんでございます。そうじゃない、やはりこれはもろもろの問題を抱えておるということを含めまして、やはり国際場裏において国土が均衡に発展する、そういう意味でのそれぞれの地域の特産品、これを守るという面からもひとつぜひトータルとして御努力を願いたいということをお願いしたいわけでございます。  そしてまた、アメリカが、紙上によれば、要すれば九〇年農業法案を圧倒的多数で可決したと。そんないろいろ削減を言っておりながら、一方においては上下両院でそれをむしろ強化するような法案を可決しておる、まことに矛盾しておるというふうな動きがあるようでございますけれども、こういったアメリカ農業保護色を強めるというふうな動向から見まして、一体ウルグアイ・ラウンドに対してどういう基本的な態度でアメリカはこれからいくのかというものを含めまして、アメリカのそういう態度についての政府のお考えについてちょっと簡単に、時間もございませんが、お願いします。
  85. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 今お話しのとおりでございまして、アメリカ農業法、上下院で九〇年農業法が可決されているわけでございますが、今御指摘のようにその内容はかなり従来のものを踏襲しておりますし、ものによっては従来のものの保護度を高めていると言ってもよろしいものであろうかと思っております。現在の状況は、上下院の両院協議会がつくられましてそこで議論されるということになっています。ただ、財政上の理由からこの現在の農業法そのままでは受け入れられないという政府側の姿勢もあるようでございますので、私ども今御指摘のようにアメリカのウルグア イ・ラウンドにおける主張とこの流れと申しますか動向は非常にかけ離れたものであると思います。それはそのとおりだと思っておりますので、今後の動きを十分注視していかなければいけないというふうに考えております。
  86. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 先ほど来三上先生質疑もございましたが、私もかねてこの農政の問題というのは外交の問題とともに極めて内政的な問題であると。ローマの城は外敵によって滅びたんじゃない、やはり内部の分裂によって滅びたということわざが、実はこの農業問題を考える際に絶えずそんな例えが頭に浮かぶわけでございます。いろいろあれやこれや百花繚乱の議論があるのは結構でしょう。しかし、いずれにしろこの極めて重要な段階に、やはり日本としては外交一元化、農政保護あるいは農政を育成するというそういう観点から、国民が一致していかにして農業を守るかというそういう観点から、やはりコンセンサスというかいろいろの意見があっても、少なくとも我が政府要人を含めたそういうものが一本になって国際場裏に臨む、この姿勢こそがやはり何よりも大切であるというものを感じている者の一人でございます。  そういう意味で八百万、九百万という日本の極めて部数の多い新聞が、どうも農政についてはもう何か自由化善、そして自由化阻止悪、こういう価値基準を腹の中に持っておって記事を取捨選択しているんじゃないか、私はそういうふうにすら実は危惧している者の一人でございまして、そういう意味でやはり先ほど来ありましたこの広報といいましょうか本当の実態というか、日本国民として農業をどうして守っていくか、その手だてはいろいろあるだろう、やはり自助努力も必要だということも含めて、もうちょっといろいろの面でコンセンサスをひとつ促す幅広い国民的な世論といいますか、それが必要だなと、こういうことを痛感するわけでございますので、その点を含め、そしてまた米につきましては自給方針を貫くというその方針につきまして改めて、最後の時間になりますが、大臣の御決意を聞きましてひとつ質疑を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  87. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 大変な御理解と御激励をいただきましてありがとうございます。  二十一世紀を十年後に展望しながら、日本の国の進路について我々は政治の場で、与党あり野党あり各党ありまして、いろんな政策をお互いぶつけ合いながら日本の進路をよかれと思って論議を日々しているわけです。それからまた、国際的にもさまざまな問題が惹起しておりまして、それに対応を政治が迫られるというふうな日々だと思うんです。しかし、その中でこの米を中心にした農業問題ぐらい与野党が一致している問題はないんじゃないかと、もう幾ら考えてもそうなんです。  先ほども三上先生からも話がございましたけれども、とにかくどこへ行きましても大臣頑張れとこう言っていただけるのはこれ農林大臣以外にはないわけであります。必ず批判などがつきまとうことなんでございますが、それだけにやはり農業に対する一億二千万の国民のこの関心度合い、それから考え方というものが一致しているんだと、基本においては。いろんな将来に対する心配はそれぞれの方々がそれぞれの立場でしておりますけれども、しかし腹はとにかく日本農業はしっかり守っていこうやと、日本の食糧は米を中心にして国内自給を旨としながらいこうじゃないかというふうなことをお互い腹の中でもうみんな思っている、これはもう生産者、消費者とか、あるいは産業界とか官界とか政界とかの別はないんだと、こういうふうに私心得ておりまして、さればこそこうやって頑張っておられるんだと思っております。  そのつもりでこれからもやりますが、いずれにいたしましても、当面十月一日の国別表提出、あるいは十五日のオファーリスト提出と、私はこれは同じものだというふうに理解をしておるんですけれども、これが迫っております。もう一両日中に結論を出してジュネーブの方へ出さなきゃならぬというところでございますので、見ていただければ十分おわかりいただけると思いますが、従来の姿勢をしっかり貫きながら国民の総意をバックにしてこの主張だけは何としても貫きたい、こう考えております。よろしくお願いいたします。
  88. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 一分残っているようですから、今回の台風について、中央紙その他ではどうも家屋だ、橋梁だ、もちろん人的被害、そういったものの記事がございますが、農業被害というものが相当各地であるわけでございますが余り中央紙には載らない、こういう現況もあるわけでございまして、ひとつ簡単にその被害が一体どうだったのか、これに対する基本的対処方針、これだけ一言ひとつお尋ねいたします。
  89. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 私からごく端的に申し上げたいと思います。  十九号ですね、大型台風、しかもスピードが非常に遅かったことなどもございまして、非常に広い範囲で農林水産全般にわたって被害がございました。現在、九月二十六日の各都道府県の報告を集計いたしますと、被害の総額は千二百三十億円というふうな膨大な額に達するわけでございます。この被害状況につきましては、なお現在継続的に調査をしておりますが、被災地の実態をよく把握いたしまして、救済対策その他できるだけ対応を早めてまいりたいというふうに考えております。
  90. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 終わります。
  91. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 きょうはほかの先生方の質問とちょっと方向は変わりますが、二点にわたってお伺いしたいと思います。  第一点は、減反政策の今後の見通しというふうな点を中心にして、第二点は米以外の穀物の自給率というふうな面に関連してお伺いしたいと思います。  まず第一点目の減反政策の問題についてお伺いします。現在の減反の状況、減反面積、これが田本地面積に占める比率というふうなものについてお伺いしたいと思います。
  92. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 昭和六十二年度からの水田農業確立対策でやっております水田農業確立対策前期の最終年でございます平成元年度の転作の面積でございますが、八十四万五千ヘクタールでございまして、これが田本地面積に占める割合は三一・四%になっております。
  93. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 いわゆるこの減反政策が始まったのは昭和四十六年ですが、この四十六年当時の田本地面積、減反面積及び減反面積の田本地面積に対する比率はどういうぐあいになっておりますか。
  94. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 米の生産調整及び稲作転換対策が開始されました昭和四十六年度の実績でございますけれども、生産調整面積は五十四万一千ヘクタールでございまして、田本地面積に対する割合は一七・三%でございます。
  95. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そうすると、今お話をまとめてみると、昭和四十六年から現在まで二十年間にわたって減反政策を継続している。そして減反の面積はこの間に約一・五六倍に増加している。それから田本地面積に対する減反面積の割合は一七・三%から三一・四%に増加している、こういうふうな数字になりますが、間違いありませんか。
  96. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 四十六年と平成元年度はそういう数字でございます。間違いございません。  ただ、この間の経過におきまして、昭和四十九年から昭和五十二年あたりにおきましてちょうど穀物の国際需給の逼迫等がございましたので、この時期におきましては調整面積は一時減少いたしまして、田本地面積に対しては例えば昭和五十一年では六・六%という生産調整面積になってございますが、平成元年度におきましてはおっしゃるとおりでございまして三一・四%に上がっているということでございます。
  97. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 要するに水田として使える面積のうち現在三一・四%、これが水田として利用されないでいる。しかもこの水田として利用されないということに対する、後ほどお伺いしますが、各 種の助成措置が講じられているわけです。  今減反のことをお伺いしました。要するに昭和四十六年から現在までの間ずっと減反を続けてきている。減反の面積は今申し上げたように三割以上になっている。今度は逆に、じゃ実際に米をつくっている方の米作の面積についてお伺いしますが、米作面積は昭和四十六年当時はどのぐらいで、現在はどのぐらいになっておりますか。
  98. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 米を現実につくっております面積でございますが、昭和四十六年では二百六十九万五千ヘクタール、これが始まった年でございます。平成元年度ではそれが二百九万七千ヘクタールに減少しているわけでございます。
  99. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 実際に米をつくる面積は昭和四十六年に比べると七七・八%に減少しております。要するに現在の米をつくっている田の面積は二百九万ヘクタール。この二百九万ヘクタールというのは、たまたま平成元年度がそうだというんじゃなくて、ここ数年、昭和五十八年ごろからどのような推移で来ておりますか。
  100. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 現実に米をつくっております面積でございますが、昭和五十八年には二百二十七万三千ヘクタールでございました。それが昭和六十年には二百三十四万ヘクタール、昭和六十二年には二百十四万ヘクタールになりまして、前期対策の最後の年度でございます平成元年度には二百九万七千ヘクタールになったと、こういうことでございます。
  101. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そこで私は大臣にお伺いしたい。  米を実際につくる面積がもうここのところ七年間にわたって二百十万ヘクタールないし二百二十万ヘクタールという数字で推移してきております。現在から見てこの近々の将来の適当な水田面積としてはどのぐらいのものなんだろうというふうにお考えになりますか。
  102. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 数字の問題でございますので私の方から答えさせていただきます。  後期対策の三年間やる真ん中の年でございます平成三年度について見ますと、米の需要見込み量が九百八十万トンであるというふうに見込んでおりまして、これを平成三年度の平均反収で割りますと、必要な水田作付面積が百九十七万ヘクタールぐらいになるだろうというふうに見込んでいるところでございます。
  103. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そうすると、私が今二百十万ないし二百二十万ヘクタールぐらいがこの数年間の推移だ、こう申し上げたけれども、農水省としては、平成三年度の作付面積としては百九十七万ヘクタールぐらいがいい、二百万ヘクタールを割った数字がよろしいだろう、こうお考えだと。この傾向というのは今後もずっと続くようにお考えですか、それともまた増加するというふうにお考えですか。
  104. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) ただいま申しました平成三年度の百九十七万ヘクタールと申します面積は主食用の需要量ということになっておりますので、これ以外に平成三年度におきまして他用途利用米約五十万トンということで、その面積十万ヘクタールが百九十七万ヘクタールのほかにございますので、そういう意味で、二百九万ヘクタールという平成元年度のものと比べます数字といたしましては、二百七万ヘクタール程度というふうに御理解いただければと思います。
  105. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 それでそれがずっと、今後の見込みを聞いたのです。
  106. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 今後、水田農業確立対策をどのように実施していくかということにつきましては、現在行っております水田農業確立の後期対策等の実施状況でございますとか、あるいは米の今後の消費の動向というようなものを最近時点までさらに精査いたしまして今後の政策を決めていくべきものであるというふうに考えているところでございます。
  107. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 先ほどから申し上げているように、昭和五十八年からずっと今日までもう七年間にわたって二百十、二十万ヘクタールで来ていて、平成三年度、来年度にしても二百七万ヘクタールぐらいだと。この傾向が特別な事情がない限り継続するというふうに見れば、適当な作付面積としてはまあ二百万ヘクタールぐらいでいいんじゃなかろうか、こういうふうなことは子供が考えたって出てくる数字だと思うんです。  聞きたいのはその次のことなんです。もしそういうふうに二百万ヘクタールというふうなのが妥当な水田耕作面積であるとした場合に、現在における八十五万ヘクタールに及ぶいわゆる減反面積、これは今後どういうふうにしていくつもりなんですか。これは政策の問題として、大臣、どうお考えなんですか。この減反政策は今後もずっと続けるのですか、これからも五年、十年の間、特別のことがない限り二百万ヘクタールあれば水田としては十分だというにもかかわらず、その三分の一を超える数字の減反面積というものを今後どうしていくんですか。いかがお考えなんですか。
  108. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 今先生からるる御指摘がございましたけれども、水田農業確立後期対策、これが平成四年に一応終わる、二、三、四ですね。その後の見通しあるいは方向、こういうことでございますが、一つは今後ともかなり大きな米の需給ギャップが見込まれまして相当の需給調整努力が必要であろうということ。それから二番目は、またこの後期対策の推進の状況をしっかり把握をしなければならない。これは今局長答弁しているとおりであります。それから三番目は、水田農業の健全な発展を図っていく。先ほど来いろいろ申し上げましたが、これは国土保全とかそういう問題等とも大いに絡みがあるわけでございますけれども、そういうことなどを考えながら今まで助成策というのをいろいろ講じてまいりました。転作奨励金、これについても慎重に検討していかなくちゃならない、こういうふうに考えております。
  109. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 慎重に検討をされるのは結構なんですが、現在における減反に対する補償措置として農水省の方からお伺いした数字によれば、転作奨励金等の金額が総額において年間千五百十一億円、そのほかに施設整備助成金が四十億円、ですから年間千五百五十一億円ということでこの八十四万ヘクタールの転作のために国の金が出ているわけです。減反政策をどうするかということは、この千五百五十一億円の金が今後も、三年も五年も十年も続くのか続かぬのかという問題なんです。大臣のお考えはいろいろ検討しますということでありますけれども、それが本当に役に立つかどうかというふうな側面も含めて、金額の大きいことも踏まえれば、減反政策というものが今後必要なのかどうか、その辺を含めてもう少し真剣に検討していただきたいと思うんです。もう一度お答えください。
  110. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 水田再編対策、現在後期対策をやっているわけでございますけれども、先ほど大臣からもお答えしましたように、当面の需給関係を考えますと後期対策終了後も米を見ますとかなり需給ギャップがある。他方、大豆でありますとか小麦でありますとか飼料作物でありますとかそういうものについては自給率が低い。なお合理的な生産を振興していく必要があろうかというようなことで、単なる稲作の減反だけでなくてほかの必要な作物の振興ということをねらいとして水田転換対策をやっているわけでございます。そういうことからしまして、水田につきましても単なる米をつくる場所だけでなくてほかの畑作物がつくれる汎用水田といいますか田畑輪換ということを基軸に置いてやっております。  また、奨励金につきましても従来からいろいろ改善を加えまして、単なる基本的な助成単価といいますか、そのほかに当委員会でも昨年いろいろ予算編成をめぐりまして御論議いただいたわけでございますけれども、計画的な転換でありますとか、あるいは集団化、そういう政策に沿った経費にウエートを置きながら現在の水田利用転換対策をやっておるわけでございます。  また、今後後期対策が終了しましたら、先生指摘のような点も踏まえまして十分検討しながら全体としての農政の展開に沿ってやっていきたいというふうに考えております。
  111. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私がその次に聞こうと思ったこと を官房長先に答えております。  では次の問題に移りますが、要するに私は、米以外の穀物、その中で特に小麦と大豆について少しお伺いしたいんです。米、小麦、大豆の現在における一番近い統計的な数字でのカロリーの数値と総カロリーに占める数値を言ってみてください。
  112. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 昭和六十三年度の食糧需給表の速報値で申し上げますが、米につきましては供給熱量が六百九十二キロカロリー、それから小麦が三百十八キロカロリー、それから大豆が七十七キロカロリーになっております。総供給熱量二千六百二十九キロカロリーに占めます割合を申し上げますと、米が二六%、小麦が一二%、それから大豆が三%でございます。
  113. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 結局、一番近い統計によれば米の総カロリーに占める割合は二六%なんです。それに対して小麦が一二%、小麦は米の半分よりちょっと下だけの数字になっている。大豆は低くて三%になっている。この数字をなぜ私が特に取り上げて申し上げたいかというと、総カロリーに占める比率が今申し上げたような数字であるにもかかわらず、この米と小麦と大豆の現在の自給率がどうなっているかということをお伺いしたいんです。
  114. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 自給率でございますが、米につきましてはもう御案内のとおり、国内産で自給するという基本方針がございますので一〇〇%でございます。  それから小麦でございますが、昭和三十五年当時は三九%でございましたが、その後作付面積が減りまして、四十七年度はどん底でございますが五%になったわけでございます。しかし、四十九年産からは麦の生産振興奨励金の交付というようなことで対策を講じまして自給率の低下の傾向に歯どめがかかりまして、その奨励金の麦価への繰り込みが五十二年産から行われましたし、さらに、五十三年産からは水田利用再編対策におきまして麦が特定作物に指定されたということがございまして、六十三年度には一七%に回復しているわけでございます。  それから大豆でございますが、国産大豆の自給率は昭和三十五年は二八%でございましたが、近年は六%になっておるわけでございます。その要因といたしましては、やはり油をとる油糧用の大豆につきまして油脂の含量が高くてかつ価格が安い米国産の大豆の輸入が増加したわけでございますけれども、国産大豆の方につきましては煮豆用でございますとか、あるいは豆腐原料用というような独自の需要もあるわけでございまして、それらを中心に生産の拡大を図りました結果、食用需要につきましてはその大豆の自給率は昭和五十一年度一八%から六十三年度には三四%にまで回復しているという現況でございます。
  115. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 要するに私が申し上げたいのは、まず米について申し上げれば、昭和三十五年から現在までほとんど一〇〇%あるいは一〇〇%を超える自給率がある。それに対して小麦は昭和三十五年には三九%の自給率だったわけです。これが一番低いときには、昭和四十八年から五十二年度の間に至っては四%にまで下がっている。ここのところちょっと回復しまして一二%。昭和三十五年の当時三九%あった小麦の自給率が四%にまで下がって、またここのところで一二%までということだと、農水省としては小麦の自給率なんというものはどんなことでもいいんだと考えていると言わざるを得ない。また大豆も同じことです。昭和三十五年には二八%の自給率があった。一番低いときは三%、そして現在も三%の自給率、こういうことなんです。そうすると、米は一〇〇%自給率を確保せなきゃならぬけれども、小麦あるいは大豆、こういう穀物は自給率なんかどうでもいいんだ、こういう農水省の方針であると言わざるを得ない。しかし、そういうことで果たしていいんだろうか。  しかも、先ほど私がカロリーのことを申し上げたのは、総カロリーに占める比率が米は二六%です。小麦は一二%で半分じゃないですか。にもかかわらず何でこんなに小麦や大豆を虐待するんだというふうに言いたいわけなんです。このような小麦や大豆の自給率の現況というものについて大臣どうお考えになりますか。これはやっぱり農水省の責任でこういうふうに低下してきたと私は思うんです。どうお考えになりますか。
  116. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) もう私が申し上げるまでもなく、世界各国ともそれぞれ自国に適した穀物生産をやっているわけでございます。日本の場合にはこの温暖多雨な気候から米が適地適産で最も適しております。また、食生活にとりましても日本の周辺でとれる野菜とか魚とか、あるいは新しく導入されております畜産物、それぞれとの複合的な食品として最も基礎的なもの、食生活の面からあるいは国内生産の面からも一番穀物を生産する場合に米が基軸になろうということで米をやっておるわけです。外国の場合には、冷涼なまた乾燥した気候から麦でありますとか大豆とか、あるいはトウモロコシとかの生産がむしろ適しているということで、そういう生産をしているのがそれぞれの国の実態でございます。  日本の場合にも、ただ小麦、大豆につきましても日本的な食品としまして昔からの需要もございますし、日本にとっても北海道その他小麦作の適した地域もあるわけでございます。それから、昔からの日本の食品ということで日本の小麦に適していますめん用粉につきましては相当量の自給を達成したい。また、大豆等につきましても、納豆でありますとか豆腐でありますとかそういう日本の食生活に適したものにつきましてかなりの量をやっていきたいというようなことで、需要の面あるいは土地の自然条件に合わせた生産を進めていきたいということで、決して小麦、大豆を軽視しているわけではございません。  日本的な食生活に適合するものにつきましては、今後、企業との関係もございますので、品種改良を進めていくとか、あるいは生産技術の改善によりましてコストを下げながらそういうものを進めていくということで、決して軽視せずに政策の基軸に据えてやっているわけでございます。今後もそういう方向でやっていく考えでございます。
  117. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 もう時間がありませんから、今官房長お答えに対して私は一つだけ疑問を呈しておきます。  どういうことかというと、昭和四十六年度におけるカロリーの問題として米は三六%を占めていたんです。それが六十三年度になったら二六%に減っているんです。一〇ポイント落ちているんです。小麦は昭和四十六年に一二%を占めていて、それで六十三年も一二%を占めているんです。小麦は落ちていないんです。四十六年も一二%のカロリー率を持っていて、六十三年も同じなんです。大豆も昭和四十六年は三%、そして六十三年も三%、落ちているのは米だけなんです。しかも一〇ポイント落ちているんです。だから、四十六年の当時は小麦は米に対して三分の一のカロリー割合しかなかったけれども、現在は二分の一近いカロリー割合になっているんです。これは日本の風土に適しているとかどうとかという抽象的な文言だけで決着がつく問題じゃないと思いますけれども、時間が来ましたのでこれはまた後にします。  以上です。
  118. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 今官房長からずっと説明いたしましたけれども先生の御指摘は大変私ごもっともだと思っております。  この間私、埼玉と群馬へ農業事情視察に参りましたが、ブロックローテーションの部分を中心に見させていただきました。それは転作の作物としてどの程度小麦の方へいっているか、どの程度大豆へいっているかというのを見るために行ったわけでございまして、これは先生、カロリーと自給率の問題で非常にきつい御指摘がありましたけれども、どうしても小麦と大豆は力を入れていきたいというふうに考えておりますので、どうぞひとつ御了解願いたいと思います。
  119. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 よろしくお願いします。
  120. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党議員団は、九月十一日に 海部総理あてに米の輸入自由化阻止に関する三項目の申し入れを行いまして、その申し入れ書は山本農水大臣にお渡しをいたしました。その三項目といいますのは、「九月末に予定されている日米首脳会談において、コメの輸入自由化問題を協議しないこと」。二番目に、「選挙公約や国会決議をまもり、コメの輸入自由化阻止のために全力を尽くすこと」。三番目、「ウルグアイ・ラウンドでのEC孤立化のためのコメ問題の日米決着路線に同調せず、コメ問題をガット協議から外すこと」、以上の三項目ですけれども、農水大臣から総理にお伝えいただけたと思いますが、総理はこの三項目についてどのような見解を持っているかお聞かせいただきたいと思います。
  121. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 確かに先生の御指摘のとおりでございます。三つの申し入れの中で二項目並びに三項目につきましては、これはもうかねがね私ども総理も含めて申し上げているとおりでございまして、その方針を貫きますということは当委員会でも申し上げてまいりました。  その一項目目の日米首脳会談のことでございますが、これも先ほど来各先生方に申し上げましたけれども、今のところその問題が議題として入るか入らないか、米問題が出るか出ないか判然といたしません。まだ議題については調整中ということでございまして、あしたお立ちになりますので現在の時点でどうこう判断をするわけにはいかない。ただ、はっきり申し上げられることは、この問題については総理は十分認識をしておる、そして従来の日本政府の主張、すなわち国会決議も踏まえて国内産で自給するという米問題に対する基本方針を十分承知をしておられますので、もし万々が一その問題が出ても私としては何の心配もしておらないということだけ申し上げておきます。
  122. 林紀子

    ○林紀子君 我が党議員団はこの間、主婦連合会や消費者連盟、全国農業会議所など生産者、消費者の団体の方々とも米の問題で懇談を重ねてまいりましたが、この中で農業会議所の池田専務理事は、この三項目の申し入れについて、大変ありがたいこととおっしゃっていらしたことも御紹介させていただきたいと思います。  そして、これは先ほど来質問がありましたので確認ということでもう一度伺いたいと思いますが、十五日までに提出をしなければならないオファーリストですが、米はもちろんのこと、自由化を認めていない脱脂粉乳、でん粉雑豆、落花生、これも当然除外するべきだと思いますけれども、この辺についてはどういうことになっておりますでしょうか。
  123. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 先ほど来申し上げておりますように、現在鋭意検討を進めているところでございますので、内容に関するお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、我が国といたしましては、従来の我が国立場、主張を踏まえて提出するように現在検討しているところでございます。
  124. 林紀子

    ○林紀子君 それから、これは私もけさ聞いてびっくりいたしまして、ちょっと質問のお願いはしてなかったわけですけれども、けさのNHKのニュースで、ガットとの関係で、今後毎年生産者米価を引き下げていくというニュースがトップになっておりました。私も眠気が吹き飛びましてあわてて飛び起きたわけですけれども、いやしくも米価審議会というのがあるわけですね。ですから、今後毎年生産者米価を引き下げていくというようなことを一体いつ、どこで、だれが決めたのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。
  125. 浜口義曠

    説明員(浜口義曠君) ただいまけさのNHKの報道についてのお尋ねでございます。  具体的内容について定かでございませんが、今おっしゃったような毎年米価審議会を経ないで決めていくということはあり得ないことでございまして、そういう報道がどこから出たかというのは、私まだ、今先生からのお話もございますけれども、調べてはおりませんけれども、事実問題としてそういうことはございません。
  126. 林紀子

    ○林紀子君 やはりテレビであれだけ大きく扱われるということは全国の米の生産者に対しては大変大きな問題だと思うわけです。ですから、火のないところに煙は立たぬではありませんけれども、こういうようなニュースが伝えられたということについては、そういうことはないということにつきましてもはっきり農水省の方からまた発表していただきたいということもお願いしておきたいと思います。  それから次に、世界農業者クラブの代表をしている所秀雄さんという方ですが、元農水省の課長でアメリカ大使館の参事官も務められた方だと伺っております。ある講演会でこのように述べていらっしゃいます。「最も情けないことは日本の企業が、たとえば本田のような、自動車をアメリカに売り込みたいために、アメリカの国内の自動車、その他工業製品に対する保護主義が出ては困る、したがいまして、その矛先をかわすために、日本の農業は極めて閉鎖的であるからけしからんということを、日本人でありながら、アメリカの国内でキャンペーンをはっている」、こういうことを指摘しているわけですけれども、こうしたことがアメリカ国内で行われているということにつきまして農水省は御存じでしょうか。
  127. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 残念ながら今の事実関係については私ども十分承知しておりません。
  128. 林紀子

    ○林紀子君 私は今ここの手元に、これは一九八九年二月十四日付のニューヨーク・タイムズですが、この中で本田北米支社の茅野徹郎社長がキャンペーン・ツー・ビー・アメリカと題するインタビューに答えてこういうことを言っているわけですね。日本は市場開放しなければなりません。ある程度開放はしましたが、問題は農産物です。日本人の中には比較的競争力の少ない農業に生計を依存している者があり、これらの人々は非常に強いのです、こういうことを述べております。  また、一九八二年四月二十二日付、ちょっとこれは古い新聞になりますが、ミネソタ州のセントポール紙には、アメリカの輸出推進グループである大豆協会の年次会議我が国の自動車メーカーである日産が一万ドルの資金援助をしていたと報道されているわけです。八九年の農林水産物の総輸入額は五百億ドルを超えまして、対米貿易黒字額およそ四百五十億ドルを上回りましたね。そして、仮に米をすべてアメリカから輸入をしても対米貿易黒字額の七%にしかすぎない、トヨタ一社の対米輸出額の四割にしかすぎないということも言われておりますけれども、一企業が繁栄すれば我が国の農業が犠牲になってもいいんだというようなこうした自動車メーカーの姿勢はどうしても許すことはできないと思います。  また、こうした自動車メーカーの言動が先ほど来の質問でいろいろ話題になっております武藤通産大臣国会決議見直し発言にあらわれているのではないかとも思うわけです。大臣はこうした農業を犠牲にしても自分たちだけはさらにもうけを上げるというような企業の姿勢についてどうお考えになるか、お伺いしたいと思います。
  129. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 今の御指摘のケースにつきまして私、定かに承知しておるわけではございませんけれども、私どもかねて申し上げていますとおり、日本は農産物市場としては最大に開けた市場である、またそういう中で現在ウルグアイ・ラウンドでそういうことを前提にした提案をいろいろな点でやっておるわけでございまして、そういう実態を私どもとしては十分、先ほど来御指摘がありますようにいろんな手段、例えば広報でありますとか、あるいはそれぞれの業界、産業界のリーダーでありますが、そういう方々に私どもは現在の事情を説明しながら理解を得ていくということが基本であろうかというふうに考えております。
  130. 林紀子

    ○林紀子君 やはり、農産物と工業製品は違うということについて、そしてまた農業が犠牲にされてはならないということについてさらに農水省の強い姿勢要求したいと思います。  最後に、台風十九号の被害について先ほど大臣の方から基本的な姿勢についてお話がありました が、私はおととい、二十五日、岡山県南東部の牛窓町、邑久町といった被災地を調査してまいりました。そして町長や農協組合長からも要望を聞いてまいりました。具体的な要望について、時間の関係で三点ほどここで申し上げて、その要望についてのお答えをいただきたいと思います。  まず第一に、大きな被害に遭った地域にはできるだけ早く激甚災害の指定及び天災融資法の発動というのを行っていただきたい。そして農地、農業用施設などの災害復旧に万全を期していただきたいと思うわけです。これは調査に一定の時間がかかるということはわかりますけれども、これを一刻も早く被害調査、災害査定をしていただきたいということをお願いしたいと思います。  また、私が行ってまいりました牛窓町などといいますのは野菜の産地指定を受けておりますけれども、キャベツ、白菜、そして出荷するばかりの春菊などは全滅に近い状態だという話も聞いてまいりましたが、野菜については共済措置がありません。つなぎ資金として被害農家の経営立ち上がりと生活維持のため自作農維持資金などの貸し付け条件の緩和、融資枠の確保をぜひ図っていただきたい。また、今まで借り入れている公的融資資金や農機具代金などの借入金、こういうものについて償還期限の猶予、返済の延期ができるように取り計らっていただきたい。  それからまた、米などの農業共済がある部分について適正な評価を行うとともに、共済金の仮払いを実施するなどなるべく早く現金が農家の方たちの手元に届くようにお願いしたいと同時に、冠水などの被害によって米の品質低下が大変心配されておりましたけれども、これもぜひ共済上で救済措置を講じていただきたい。  この三点についてお願いしたいと思います。
  131. 川合淳二

    説明員川合淳二君) 天災融資法あるいは激甚災の点でございますが、現在その被害状況の迅速な把握に努めているところでございまして、その結果を見て考えたいということでございます。  それから、被害農家の営農資金でございますが、御指摘のように自作農資金があるわけでございますが、これらの融資枠の確保については被害の実情あるいは資金需要の動向を見きわめた上、これは県とも関係ございますので十分協議して対処したいと思っております。  それから、償還条件の緩和でございますが、これは個々の借入者の災害の状況によって対応するわけでございますが、これにつきましては既に九月二十五日に関係機関に対しその実情に応じ適切に対処するよう趣旨の徹底を図っております。  それから、農業共済の仮渡しでございますが、これは既に過去の例で対応をしてきておりますので、実情によって対応できるように既に準備をし始めております。  それから、最後にお話がございました損害評価の特例措置でございますが、これも被害の深度などが一つございますので、その辺をつかみながら対処していくということになろうかと思っております。
  132. 林紀子

    ○林紀子君 終わります。
  133. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 新多角的貿易交渉、すなわちウルグアイ・ラウンドは残された交渉期限が二カ月余りに迫り、大詰めを迎えております中での本日の委員会であります。  質問内容をまとめる中で幾たびかむなしさを感じながらも、与えられたわずかの時間ではありますが、我が国の農業、わけても米を守る立場から有効に活用すべく私なりの構想をまとめ、次の三点について質問をいたします。  第一点は、今日までの日米二国間交渉では、政府は、最初の意気込みとは裏腹に、結局はアメリカ要求、しかもそのいずれの場合も日本人の立場からすれば無理とさえ思われるものが多いにもかかわりませず、押し切られて妥結してこられたというのが現実のように思います。さきの牛肉・オレンジ交渉においても、当時の担当大臣は、言うべきことは言い、毅然として日本の立場を主張して、絶対に自由化を阻止してまいります、交渉内容については何分交渉中のことであり御容赦願いたいと、頼もしく申され旅立たれましたが、結果は自由化容認でございました。日米構造協議及び今日の多国籍軍に対する貢献策の決定の経緯もよく似ておりますように思います。これをもって対米追随政治と世間では言っております。  国の独立とは何なのかを考えさせられます中で、総理はまたアメリカへ行かれます。新ラウンド交渉では多くのことが協議をされておりますが、日米では米の市場解放問題に関連して農業交渉に関心が集まっております。私は、米の自由化日本農業の崩壊に通じるものだと心配をいたしております。山本農林水産大臣は米を守り通せる自信をお持ちでしょうかどうか。お持ちだとすれば、その論拠、すなわち根拠とされるところを表明していただきたいと思います。
  134. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) 米の自由化阻止、国内産で自給する、この方針を貫いてまいりたい、こういうことで今日までやってまいりました。また、外に対しましてはガットウルグアイ・ラウンド交渉の中でさまざまな提案を日本側としていたしました。これは先生承知のとおりでございまして、その提案に従って今日までやってまいりましたし、これから先もやってまいりたいと、こういうふうに考えております。  それから、お言葉を返すようで大変恐縮でございますが、先生冒頭、二国間協議アメリカとの間でと、こういう話がございましたが、私の聞き間違いならおわびをしたいと思いますが、まだ二国間協議などの段階にはなっておりません。
  135. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 第二点は、さきにも一部御質問がありましたようですが、お許しをいただいて私の立場から質問をいたします。  日本は、ガットの事務レベル協議や通商会議の席で、世界最大の農産物輸入国であり、食糧自給率が先進国中最低の水準にあることを理由に食糧安保論を主張、基礎的食糧については所要の国内水準を維持するため必要な国境調整措置は認められるべきであるとして、基礎的食糧である米の完全自給に他国の理解を求めてこられたのであります。しかし、デタントの時代に食糧安保は現実味がないという各国の批判は強いとのことでありますが、今回の中東事件では食糧封鎖が現に行われているではございませんか。理解を求める努力ももっとおやりになるべきではないかと思いますが、大臣の御所見を求めます。
  136. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) これもしばしば申し上げているわけでございますが、私、農林水産大臣の最大の務めは一体何かというふうに聞かれるならば、これは一億二千万人の国民に安定的に食糧を供給することである、そのことに尽きますと、こう言い続けてまいりました。これは農政の基本だというふうに考えて言ってきたつもりでございます。  しかも、先ほど官房長からもちょっと話がございましたが、我が国はたび重なる対外交渉、生産者の皆さんの大変な御苦労を背景にいたしまして、血のにじむような努力の結果、農産物に関しては世界一のオープンマーケットを現在つくっておる。そして、世界最大の農産物の純輸入国であるというふうなこと等も考えますと、また、米については先ほど来の論議のとおり三割減反ということを長く続けておるわけでございまして、そのことを時々刻々あらゆる国際会議の場面でしっかり私から言ってまいったつもりでございます。  今後につきましても、食糧安保問題を柱にいたしまして、これも先ほど来申し上げましたが、環境、国土を水田がいかに守ってきたか、あるいは日本の国の歴史の中で、日本国民とその農業、特に米に関するかかわり合い、まあ食糧文化論とでも言いましょうか、そのことなどについても主張し続けてまいったわけでございます。とりわけ食糧安保論というのは、冒頭申し上げましたとおり、日本の国民一億二千万人、この小さい国土に大変な国民がいるわけでございまして、この方々にいついかなる場合でも、今、中東問題、別の形で進行中でございますけれども、これらを他山の石としながら、しっかり食糧問題については取り組んでいかなければならないというふうに重ねて考え たわけで、このことをしっかり世界の国々に説明をしていきたい、こういうふうに考えております。
  137. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 第三点として、本当に食糧安保を考えるならば、農業就労者の六、七割までが高齢者という現実に目を向けるべきだという意見もあります。すなわち、アメリカはすぐにでも自由化すべきと言っておるのではなくて、十年後くらいを予定しています。しかし、十年もすれば日本の農業就労者は激減をして米をつくれる人がいなくなり、外米を阻止することよりも、価格や流通を国が管理する食管法などは廃止して、いずれは訪れる自由化に備えた健全な大規模農業の育成を考えなければならない、内政に青写真のないままではアメリカ自由化要求に抗することはできないとの意見でありますが、私はこの意見には賛成をいたしかねます。  しかし、競争に耐えられる自立農家の育成を怠ってきたか、あるいは取り組んだが実現できなかったのか、いずれかは事実であると思います。今に至っても自由競争社会に生き残れる農家の育成に関する実現可能にして有効な方策を持っていないことに対する責任は政治が負うべきだと思いますが、日本農業をどのように導いていこうとしておいでになりますのか、大臣の御所信をお伺いいたしまして私の質問を終わります。
  138. 山本富雄

    国務大臣山本富雄君) これから国際競争がますます激しくなる中で、我が国の農業をどういうふうに発展させていくか、これが我々に与えられた厳しい課題だというふうに心得ております。一番大事なことは、やっぱりつくる人、その方々がどれだけの能力をお持ちかと。幸いなことに日本の教育レベルは非常に高い。農村においても当然でございまして、しかも農業というのは手づくりだということを考えますと、経営者の一人一人の素質というものが非常に大きく農業の今後の発展に影響する、関係が深いということを考えますと、私はすぐれた経営感覚を持っている農業者、そしてさらに担い手が農村に住みついてくれさえすれば必ず展望は開けてくる。それでありますから、農業農村と、必ず農業の後へ農村という言葉をつけまして、村をつくり直す、つくり上げると、こういうふうに言ってまいったわけでございます。  加えまして、いろんな施策、例えば中核農家をつくっていくとかあるいは大規模農業を目指していこうとか、そのための方策として貸し手とか借り手とかいろんなやり方をしておりますけれども、こういうことも施策として進めていかなければならない。  同時に、日本は科学立国でございますから、科学技術、私筑波へも参りまして非常に興味深く研究の成果というものを見てまいりましたが、あれはただ象牙の塔の中で研究をされているだけでは能がないわけでございまして、いかに現場にあれをおろすか、できるものから早くおろしていくというふうなことで、筑波の皆さんにもお話をしてまいりましたけれども、科学技術を現場にいかにして導入していくかというふうな問題等々もございます。もちろん機械の問題もございまして、それらを総合的に予算の裏づけの中で事業としてあらわしながら展望を切り開いていきたいというふうに考えております。御協力をお願いいたします。
  139. 星野朋市

    ○星野朋市君 最後でございますので、農水産物の流通問題に限って質問をさせていただきたいと思います。  かねてから、私、農水産物の流通問題が非常に多段階で、この問題が非常におくれているんではないかという趣旨の主張をしてまいりました。先ほど大臣からも流通問題が非常に大事だというようなお話がありまして、大変心強く思っておるんですけれども、どうも現在の農水産物の流通問題に関しては、需要者の日本特有の構造にあるということから、現在の状態を是とするような議論が大体まかり通っている。学者なんかの意見も大体そういうことを前提にして話が進んでおります。  それで、これは七月二十四日の食品流通問題研究会、これの内容を見てみましても、流通マージンは決して高くないというふうなことがうたわれております。私どもにとってみては、日本の食料品に関しましては常に消費者は高い、生産者は安過ぎると。それで流通マージンその他については、これは加工品まで全部含めて高くはないということになっておりますけれども、生鮮食料品について見れば大部分が流通経費である。これをいかに改善しなくてはならないかというんで、もちろんその段階で消費者の価格を引き下げ、生産者の手取り価格を引き上げる。要するに、もうかる農業、農水産にしなければ今後存続する道はないということを考えております。また、そうでなくちゃならないと思っております。  農水省は食品流通改善促進法案というのをお考えのようでございますけれども、これはまだ法案としてはっきりしたものではございませんから御答弁いただけないと思いますんですが、その中に財団法人食品流通構造改善機構というものをお考えのようでございます。これの概要についてお話しいただきたいと思います。
  140. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) お尋ねの食品流通構造改善法案、これは先生おっしゃるようにまだ検討中でございますが、私ども最近の食品流通を取り巻く環境の非常な変化、それに対応するいわゆる消費段階、川下から川上に至る流通の効率化、あるいは多様な消費者ニーズへの対応、そういうために現在の食品の流通の構造を改善しなくちゃいかぬというふうに思って法案を出すべく努力しているところであります。  お尋ねの財団法人の件でございますが、これはそういう食品流通を担う企業あるいはお店、そういうものに対していろいろな援助の仕方があるんです。それは場合によっては低利融資でもある、場合によってはそういう新しい構造を改善する場合のいわゆるソフトの部分の設計をしてやる、いろんな機能を果たさなくちゃいかぬ。これは一つの財団法人の機関をつくりまして、そこにある程度の基金を積んで、そういう多様な構造改善に必要な助成措置、そういうものに取り組めるようにしようということで今構想を練っているところでございます。
  141. 星野朋市

    ○星野朋市君 今お話を聞きましたけれども、その中に大店法の問題に絡んで特に問題というか影響を受ける小売店の問題について助成を農水省で考えているというような点があると思うんですね。これは小売店が百六十二万のうち食品関係の小売店は六十一万ですか、そのぐらいあるというふうに聞いております。これは確かに大問題なんですが、日本の食料品店というのは非常に零細でして、人口一万人当たりにするとアメリカの五倍、これはアメリカは特殊ですから。だけども、イギリス、フランスに対しても二倍から三倍という大きさなんですね。これ適者生存ということは、大臣からこの前政治的な面ではもっと配慮すべきだというようなお話も承りましたけれども、いかにも多過ぎる。それで、現存するそういう店舗の数、それから業態を前提にして大店法の問題に絡めてこれを助成しなくてはならないということには私疑問を感じるわけですよ。小売店ももっと協業化して、生産者も協業化、大規模化ということを考えているわけですから、ここら辺を現存するこの姿を助成するという形でなくて、そちらももう少し効率よくやるという、そういうことを農水省としても進めていかなければ私はおかしいと思う。  それからもう一つ、この点に関しては通産省が商店街の活性化ということのための助成を考えている。ここら辺がダブるようなことはございませんか。
  142. 馬場久萬男

    説明員馬場久萬男君) まず最初の点でございますが、確かに日本の殊に食料品店は非常に零細な規模のものが多うございます。これは一つには、やはり日本の国民の食生活が主として生ものを食べる、買う方も毎日毎日生ものを買っていくというような形から、ある程度歴史的には必要で形成されてきたものでございます。ただ、最近のように各家庭における貯蔵施設も発達したり、あるいは供給する側もコールドチェーンができるというようなことでございますから、今おっしゃられるような現在ある小売店を全部温存するというような考え方は私どももいかがかと思っております。 その場合に、一方ではいわゆる大店法と言われておりますが、大規模な店舗が展開してくる。そういう中で、やる気のある個別のお店、これは消費者にとってはある意味で対面販売ということできめの細かいサービスができるという利点もあるわけですが、やる気のあるそういう店舗についてはやはり助成をして、立地条件その他からいっても大規模な店舗との競争力が弱い場合はある程度支援をしてあげるということは必要だと。そういう意味で取り組んでいくわけでございまして、現在あるものを全部保護するという考えではございません。  それから、通産省との関係をお触れになりました。通商産業省においても魅力ある商店街づくりというような構想を持っております。私どもの方はむしろ先ほど申しましたように食品というものに非常に着目しまして、食品の流通の持っている特有の、殊に最近の目まぐるしい変化、そういうものに対応する企業あるいは施設というものに助成をしていく。店全体をきれいにしてずっとやっていくという形とはちょっと違うかと思います。特に食品の場合は水も多く使うとか、においが出るとか、あるいは非常に生もののくずが出るとか、特殊なものがありまして、それはそれなりにきちっとした整備をしていかなければいかぬというような観点もありますので、通産省さんが考えていらっしゃるのとはやや目的、趣旨が違うと思っております。
  143. 星野朋市

    ○星野朋市君 最後でございますので、これは質問通告になかったんですけれども、このところの原油価格の高騰、これは生産者の生産費だけでなくて、当然のごとく肥料、それから特に最近はパッケージが非常にウエートを占めていると思うんですが、燃料代というのは実際には材料費と考えられてもいいほど製紙業界の燃料費というのは高い比率になるわけですね。当然のごとく包装紙代、それからこれからの輸送費、そういうものに非常な影響を与えると思うんです。日本の今のようなやや過剰包装とも思われるようなこういう事態で、ますます生産者の実際の手取り額、それ以外の部分がこの費用が増大すると思うんです。農水省としてもこの問題について十分配慮をしていただきたいと思いまして、質問を終わります。
  144. 吉川博

    委員長吉川博君) 本調査に関する質疑はこの程度といたします。  速記をとめて。    〔速記中止
  145. 吉川博

    委員長吉川博君) 速記を起こして。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二分散会