○山中郁子君 確かに
郵便局は
全国にたくさんありますし、今土地問題のこういう状況の中で、ねらわれるといえばねらわれるという大きな問題がいろいろあるんですね。私はこの点はまだ本当に端緒についたばかりでそう具体的なことも挙がってないという
お話で、
局長が親切に答弁してくださるんだけれ
ども、ちょっと聞きづらくてよくわからないところがあったんですけれ
ども、もう時間がないから聞き直さないで後でよく伺うことにします。
要するに、私がこの問題をやはり考えなきゃいけない、重視していかなきゃいけないなと思うのは、どう考えても例えば
東京の大手町の
東京駅のど真ん中の中郵なら中郵、ああいうところの高度利用みたいなものになっていけば、それは幾ら公的な利用とかいろんなことを言ったって結局あの辺の大企業の
事務所をつくる、高層ビルかなんかつくる、そういうようなことは容易に考えられるわけです。中郵だけじゃありませんよ。
郵便局の土地高度利用とか効率的利用とかといったら、そういうことはどうしても考えられていくわけでしょう。それらの問題と、また住民
要求の問題とか
国民的な公的な
郵便局というか
郵政省というか国の施設にふさわしいそういう使い方とのせめぎ合いというのはやはりかなり大きな今後の課題になるというふうに私は予感をいたしましたのでこのことをちょっとお尋ねしたわけです。
もう
一つ、きょうあと残された時間で職員の健康の問題というよりはもっと深刻な過労死の問題、このことについて、これは私ひとつぜひ
大臣にもお考えいただきたいと思ってお伺いするわけであります。
過労死というのが今国際語にもなっていて、重要な
国民的な社会問題になっているんですけれ
ども、特に
郵政事業における中間管理職の
人たちの過労死というのはかなり重視しなきゃいけない状況が生まれていると私は認識しています。中間管理職の方たちは労働組合にも入ってない、上にはたくさん偉い人がいる、そしてその中間的なところで本当にひどい
仕事をさせられています。もちろん労働組合に入っている
人たちだって大変な
仕事です。
郵政大臣というのは、私も随分何人もの
郵政大臣の方とこの
委員会の席上でいろいろ
質疑してきましたけれ
ども、必ずおっしゃるのは、
郵政事業というのは人間が主体である
事業であると。それはきょうもさっき
郵政大臣おっしゃいました。そこのところを本当に言葉だけじゃなくてやはり考えてほしいというふうに思いました。
一つの具体的な例としてちょっと申し上げますので、このことは事実だと思うのでそれで確認していただきたいんですけれ
ども、東海
郵政局管内の
昭和郵便局の
郵便課の副課長でいらした山内治一さんという方が、一九七七年、
昭和五十二年十一月十六日に
仕事中に倒れて、その次の日の朝亡くなったんです。
簡単にこの経緯を述べれば、この方は脳出血死で、それで公務上死亡に当たるとして申請をしたけれ
ども公務外と判定されて、公務上の死亡に認定されなかったんです。その後、一九八二年、
昭和五十七年に名古屋地裁へ提訴なすったわけです。そして一九八九年に、つまり昨年十月六日、公務上死亡の判決が出たんです。ところが十月二十五日、
郵政省が、東海
郵政局が控訴しているんです。これで現在まで至っている。こういう大きな筋書きは間違いないと思います。把握していらっしゃると思いますが、したがいまして現在これは係争中であるということなんです。
ですから、私は具体的な事例について裁判で争っているものについてここでどうこうあなた方に言ってもらおうということではないのです。一番肝心なところの一生懸命働いて病気で亡くなった
人たちについて、
郵政省の態度というのは私は本当にこれ関連のいろいろな資料を見まして怒りが込み上げてきました。というのはさまざまなことを言っている。
例えば、「社会通念上又は医学一般的に慎むべきとされているアルコールを好み、喫煙、食餌等をしていたものであり、自己の健康管理を自ら怠っていたものというほかはない。」「本来労働者は雇用契約の締結により「債務の本旨」に従った労務の提供義務があるものであり、当該労働の遂行ができる心身ともに良好な
状態を保持する義務がある。」、ほかにもいっぱいありますよ。要するにお酒飲んでたばこ吸ったから自分の責任だと、こう言うんです。そんなばかな話がありますか。
郵政大臣もお
仕事柄毎晩五回も六回も覚えられないぐらいいろいろそういう席をあれしたとおっしゃっているぐらいに、日本人の当たり前なことですよ。ここにいらっしゃる皆さんだって、
郵政省の幹部の人だってお酒飲んだりたばこのんだり、しない人も中にはたまにはいらっしゃるかもしれないけれ
ども、そんなの当たり前のことなんです。
それで、この方はどういう勤務の状況をしていたかと言えば、これは判決の中で明らかにされているんですけれ
ども、「午前一〇時から午後一〇時までの間、食事時間を除いてはほとんど無休憩、無休息であったといっても過言ではない。したがって、実質労働時間は一一時間に及び通勤時間一時間を加えると一三時間の拘束時間となっていた。」「
昭和郵便局へ配転後年休は一日も取得せず。死亡直前の週休日とされる
昭和五二年一一月一二日にも出勤している」。
この方は告一という、私よく知らないんですけれ
ども告一という管理職のランクがあるんですね。一時から九時までの勤務なのにそれが毎日十時に来ている。そして十時までの間ずっともう十二時間実質労働でしょう。それで食事する以外には休まないというんです。多くの方がそういうことは証明しているんです。そういう人が一生懸命働いてそれで死んで、たばこ吸ったからいけない、酒飲んだからいけない、自分で勝手にやっていたんだと、そんなひどい姿勢を
郵政省はとって、それで人間を相手にする、人間が中心になる
仕事なんだからなんてよくも言えたもんだと私は思うのです。
そのことは今次々にいっぱい出ていますよ。これは本当に
郵政局管内で私なんかが外から知る範囲でちょっとざっと見ても、八九年十月二十日
保険部の営業課長さんが急性心不全で死亡、
貯金事務センターで八八年三名亡くなっています。それから八九年四月だけで二名亡くなっている。八七年三月、
昭和郵便局貯金課の主事がクモ膜下出血で亡くなっている。それから松阪局、吉原局、それぞれ四十一歳、四十三歳という働き盛りです。やはり主任とかそういう中間管理職とかそれに近い
人たちです。そのほか
昭和郵便局長は現在脳梗塞で入院中です。それから中村元
郵便局長は、八九年八月に退職されたけれ
ども、退職を前にして七月に入院して、病気になっている。熱田
郵便局郵便課長の永田さんという方は五十四歳で死亡されている。みんな心筋梗塞だとかクモ膜下だとか、そういう容易に過労死につながることが推定される死因が多い。年齢的にこういう年齢ですから、まだそんなに年をとってはいない、働き盛りということです。
それで、こういう手紙が来ているんです。
私は三十年余り勤めた
郵便局を本年三月、五十二歳で退職しました。
一般的にはまだ退職を考える年齢でもなく、私の場合もあと三年ほどは勤める気持でいました。
私が退職を決断した理由はいろいろありまし
たが、主として健康維持に対する不安があったからです。
一日当り勤務時間平均十二時間(休憩時間は除外)最長十四時間。
一週間当り七十時間以上。時間外勤務は一月当り百時間以上であるが手当支給対象は三十時間以下。
休暇は週休のみで非番日、年次休暇は取得できる状況ではありませんでした。
在宅時間が七、八時間のため睡眠できるのは平均四時間。常に睡眠不足の
状態であったこと。
食事時間が朝食は午前五時頃、夕食は午後十一時頃となり、常識的な時間に出来なくなったこと。
週休日は睡眠不足と疲労の回復にのみ費す
状態となってしまったこと。
現在の
郵政事業は、
定員減はあっても
定員増はなく、一方で
事業運営の効率化と
営業活動をはじめとした各種
施策の
増加、取扱
物数の
増加、
そういうことで、
職員の労働密度は高くなってきていますが、対応には限界があり、その結果、「告一」職員や管理者にしわ寄せが行くことになり「働き過ぎ」の現象となって現れます。
私は個人的に存じ上げている人ではありません。まじめに
郵政事業の中で働いてきた方だということが容易にわかります。そういう方がこういう手紙を下さるということは、これは労働組合にこういう手紙をよこしたんです。自分は五十二歳であと三年は働こうと思ったけれ
ども、このまま働いていたら死んじゃうから、だからやめるという。
私は、やっぱり本当に深刻に考えるべき状況に来ていると思って、短い時間で、細かい詰めをして
郵政省にいろいろと反省もしていただいたり対応していただいたり、お約束をいただく時間が今ないんですけれ
ども、大まかなところでいいです、
大臣、人間の、人の
事業だとおっしゃるんだから、まず一生懸命働いている
人たちをこういう病気なり死なりに追い込むような、そして追い込んだ上でなおかつこんな裁判をして、酒を飲み過ぎたからいけないんだとかたばこを吸ったからいけないんだとか、勝手に働いていたんだとか、本当に死んだって死に切れないですよ。そういう人格を傷つけるようなことは
郵政省としてもう絶対にしてもらっては困るし、根本的に姿勢を改めていただきたい。これはもうぜひ
郵政大臣の
誠意あるお約束をいただきたい。