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庄司中君 そうなっているといいましても、あの
業種の場合には日進月歩ですから、どんどんどんどん新しい
ノウハウが出てくる。そうしますと、
企業秘密にしようと思えば
管理すればいいわけですよね。どんどん変わってくるわけですから、余り公然と知られてないわけですから、やろうと思えばできるわけです。だから、おもしろくないと思ったら
企業秘密で差しとめ請求をしていくということが比較的できやすいといいますか、やろうと思えば
企業秘密がどんどんふえてくるということであります。つまり、この
法律に書いてあります「虞」ですよね、蓋然性がもうフルに使われたら取引の障害になっていくだろう。
技術の進歩の早いところは何も
情報サービスだけじゃありません。エレクトロニクスの産業もそうであります。つまり、
保有者の方は悪意を持ったらいろんなことで制限をすることができる。この
規定だと恐らく「虞」でどんどんやってくるということだって考えられるわけです。
私が
心配をしますのはやっぱり「虞」の中身です。もっと本当に慎重に細かく考えていかないと、ある産業にはこれでいいかもしれない、しかしある産業については非常にやっぱり問題が起きやすい。起きやすいということは取引条件に混乱を与える、それから
技術の水準の
高度化を阻害するという問題になるわけでありますから、その点につきましては、各
業種ごとに
企業秘密の
意味というものも恐らく違ってくるだろうというふうに思いますので、その条件を踏まえて
行政としての
対応をくれぐれも
お願いしたいというふうに思います。
それでは、次の問題に移りたいというふうに思います。
一つは、先ほ
どもお話がありましたけれ
ども、
知的財産研究所の
アンケート調査で、大体一部上場の
企業が
対象になっているということでありますけれ
ども、非常に
営業秘密の問題について関心が高いということが言えるだろうというふうに思います。例えば
秘密として
管理という項目をとってみますと、
管理規定が七四%既にあるというふうになっていますね。それから種別でいきますと、
雇用契約が二五%。それから就業規則が九四%、これは非常に高いですね、ほとんど一〇〇%に近い。誓約書が二八%で三〇%に近いわけであります。この
一つ一つをとってみますと、恐らくこの
法律ができますと、各
企業はこれへの
対応を決めてくると思うんですよ。だから、現在ここまで行っているけれ
ども、これがもっと急速に高まってくる。私が予測をしますと、誓約書のところはかなり高まってくるおそれがありますね。つまり、やめてもほかの
企業に
営業秘密を移転させないという気持ちはかなり強いだろうと思いますから、この辺が高まってくる
可能性があるだろうというふうに思います。
ただ、私が考えてみまして、
契約ということが恐らく裁判のときになると非常に重視をされる。
契約がつくられる条件というものはやっぱり考えておかなきゃいかぬだろうと思います。例えば
雇用契約というのが二五%で四分の一ありますけれ
ども、これは、
会社が雇用をする、就職をするときに、恐らく
企業と
個人の間に結ばれる
契約だろうというふうに思います。そうしますと、
企業と
個人ですから力
関係が実際には物すごく違いますよね。こんなのはひどい
契約だと思ってもやっぱりサインせざるを得ないだろうというふうに思いますね。そこで約束をしてしまうことはもう圧倒的に多いだろう、力
関係で。拒否したらそこの
会社
に就職できませんから、おもしろくないと思ってもやっぱりサインするということがあるだろうと思います。
それから就業規則でありますけれ
ども、これも労働協約と違いまして、就業規則の場合には雇用者の方がかなりイニシアでこれを決められるわけですね。過半数の
労働者を
代表する人に見せればいいわけです。見せてオーケーをとればいいわけです。双方が協議をして決めるような労働協約とは違うわけです。そういう点では、何といいますか
従業員の意思が必ずしも十分に反映をしていないという問題がありますね。反映をしていないけれ
ども、それが
契約としてみなされた場合はどうだろうかというふうな問題が実はあるわけです。
問題は誓約書だろうというふうに思います。
営業秘密のある箇所の
仕事をやっている人がやめた場合に、やめるについての誓約書をとるということがこれから恐らく考えられてくる。今はそれでも三〇%でありますけれ
ども、これが急速にふえてくるということになりますと、むしろ私が
心配をしますのは、
従業員と
使用者の間の
営業秘密という問題です。これは
使用者の方がある
意味では強制力で圧迫して何かに使うようなことじゃなくて、ノーマルな労使
関係の中にこの問題を入れていっていただいて、例えば
雇用契約のときはもう
企業と
個人で力
関係が違いますから、その処理についてはこういうふうにするとか、そういうふうなことをやっぱり考えていかないと、心ならずもサインをしないと雇ってくれないというふうなことが起こりますので、
営業秘密という問題、これは不正な開示か正当な開示かという問題が非常に大きいわけでありますから、そして
守秘義務を負うわけでありますから、そういう
意味では一種の
企業側の強制とか圧迫ということだけではなくて、むしろノーマルに自覚的に
守秘義務が行われるというふうにやっていただくということが必要だろうというふうに思います。
先ほ
ども局長は、労働省とも十分相談をしたというふうな話をされておりますけれ
ども、とかく系列
関係、下請
関係を含めまして
一つの強制力といいますか、支配、労務
管理の道具に使われますので、その辺は十分にノーマルな労使
関係の中でこの問題をやっていただくように配慮していただきたいというふうに思います。
そろそろ時間が来ました。その問題については、これから努力をしていただきたいと思います。今までの経過をひっくるめて簡単に御返事をいただければと思います。