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1990-09-21 第118回国会 参議院 商工委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年九月二十一日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  九月三日     辞任         補欠選任      翫  正敏君     深田  肇君  九月十七日     辞任         補欠選任      深田  肇君     翫  正敏君  九月二十日     辞任         補欠選任      浜本 万三君     大森  昭君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         名尾 良孝君     理 事                 中曽根弘文君                 前田 勲男君                 梶原 敬義君                 井上  計君     委 員                 合馬  敬君                 倉田 寛之君                 向山 一人君                 翫  正敏君                 大森  昭君                 庄司  中君                 谷畑  孝君                 吉田 達男君                 広中和歌子君                 市川 正一君                 池田  治君                 今泉 隆雄君    国務大臣        通商産業大臣   武藤 嘉文君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       相沢 英之君    事務局側        常任委員会専門        員        小野 博行君    説明員        公正取引委員会        事務局経済部長  糸田 省吾君        公正取引委員会        事務局審査部長  柴田 章平君        経済企画庁調整        局長       末木凰太郎君        外務大臣官房領        事移住部外務参        事官       内藤 昌平君        外務省中近東ア        フリカ局外務参        事官       内田 富夫君        食糧庁管理部企        画課長      紀内 祥伯君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        坂本 吉弘君        通商産業省通商        政策局長     畠山  襄君        通商産業省通商        政策局次長    麻生  渡君        通商産業省貿易        局長       堤  富男君        資源エネルギー        庁長官      緒方謙二郎君        資源エネルギー        庁石油部長    黒田 直樹君        中小企業庁長官  高橋 達直君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (中東情勢に伴う国民生活への影響に関する件)  (石油備蓄に関する件)  (石油価格値上げに関する件)  (原油確保に関する件)  (我が国石油会社在庫評価方法に関する件)  (中東における平和回復活動に係る我が国貢献策に関する件)  (中東情勢に伴う我が国中小企業への影響に関する件)  (大規模小売店舗出店に関する件)     ─────────────
  2. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十日、浜本万三君が委員辞任され、その補欠として大森昭君が選任されました。     ─────────────
  3. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 谷畑孝

    谷畑孝君 八月の二日にイラククウェートに侵攻した、そういうことから、とりわけ日本におきましては原油ということについての非常に大きな問題に実は発展をしておるわけでありますが、同時にまた、それに対する国連を中心とする解決策、そういうことについても大きな課題になっております。そういうことの中で、私は通産、それと外務に係ることについての若干の質問をしていきたい、こういうふうに思っています。  まず最初に、イラククウェート問題が国民生活に及ぼす影響、そういうことについて少し触れていきたい、こういうふうに思っています。  まず、その第一にお聞きしたいわけでありますが、イラククウェートに侵攻して以来、日本における原油輸入量推移がどうなっておるのか、クウェートそれからイラクが全体の原油輸入量の六%、六%と、一二%現実として日本へ入ってこない、そういうことについての不安があると思いますけれども、その点について通産省、ひとつお答えを願いたいと思います。
  5. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 先生指摘のとおり、イラク並びクウェートから従来日本は総輸入の約六%ずつ合計一二%の原油輸入をしておったわけでありますが、これが制裁決議によりましてとまったわけでございます。それに伴いまして、私ども石油業界に対しまして、これにかわる別の供給先から高値買いをすることなく輸入する努力をしてほしいという要請をいたしまして、各企業それぞれこの要請にこたえて努力をしていただいておりまして、目下のところ当面の需給にはほぼ問題のないような状態まで原油の調達は進みつつあるというふうに理解をしておるところでございます。
  6. 谷畑孝

    谷畑孝君 今のお答えを聞きますと、一二%減のところは他の増産だとかの状況の中で問題はないと、こういうことですね。  それでは、引き続きまして、この間中東湾岸国々によるオイルショックを二回実は経験をしておるわけでありまして、そのときにも十分に通産省外務省含めて大きな教訓になった、このように思うわけであります。とりわけそのような教訓の中で日本原油輸入量中東だけに集中する、そういうことが非常に危険であるということの一つあらわれであった、こういうようにも思うわけであります。その中で私が思いますには、例えば第一次オイルショック中東湾岸諸国に対する依存率が七七%であったと、その後五六%に減少してきている、その後の努力あらわれだろうと思うんですけれども、しかし私どもはさらに多角的な産油国からの輸入というそういう努力はもっ と必要じゃないか、とりわけ最近日ソ関係も大きく改善の道へとの状況にも近づいておりますし、アジアも含めてそういう多角的な原油輸入努力をされておられるのかどうか、またその努力をしようとしておるのか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  7. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 一九七三年の第一次オイルショック以降、御指摘のように日本産業界経済界あるいは国民の間で大変な省エネルギーあるいは脱石油努力が続けられたことは、ただいま先生お述べになりましたように一九七三年に我が国の一次エネルギーに占めます石油依存率が七七%であったものが、昨年にはこれが五七%まで下がるというようなことで低下をしておることにもあらわれておるわけでございます。そういうことで、日本の全体としてエネルギーの中における石油依存率というものは相当下げているわけでございますが、依然五七%のエネルギー石油によって賄われているのが現状でございます。  長期的な今後の問題といたしましては、長期エネルギー需給見通しというものを先般策定したわけでありますが、この中でこの五七という数字を二〇一〇年には四六まで下げたい、こういう目標を掲げているところでございます。  他方、しかしそうはいいましても、石油というものは非常に重要なエネルギー資源でありますので、これの安定供給確保することは依然として日本経済にとって大変重要な問題であります。石油の世界的な賦存量、何といいましてもやはり中東埋蔵量がたくさんあるというのは事実でございますので、これらの産油国との円滑な外交関係を維持し、これらの国々から安定的に石油輸入するという努力は引き続き進めていかなければならないものというふうに考えております。  ちなみに、石油輸入の中で中東依存をしている割合と申しますのは現在でも石油輸入の七二%が中東地域からの輸入と、こういうことになっているわけでございます。
  8. 谷畑孝

    谷畑孝君 二度のオイルショック経験の中で中東湾岸諸国からの輸入依存率を低めていくということを一つ今申されたわけですけれども、もう一つはやはり日本自身が憲法によって海外派兵ができない、こういうことの前提の中であの第一次オイルショックのときにもとりわけ日本外交自身も非常に苦悩されたと思います。また、第二次オイルショックのときにも大変な苦悩をしたのじゃないか。  振り返ってみますと、あの当時の官房長官でありました二階堂さんの声明もありましたが、とりわけアメリカ自身が当時イスラエル問題そしてパレスチナ問題、そういう状況を抱えておりましたし、日本自身第一次オイルショックのときにはいわゆるアラブ主張とそのアメリカとの主張の間に大きな板挟みになって非常に苦悩したという記憶が実はあるわけであります。第二次オイルショックのときにもイランアメリカ大使館における人質問題、そういう問題もありまして、日本イラン原油確保するという立場からも非常に大きな板挟みになって苦悩した。  そういうことでありまして、その中からやはりアラブという社会において西欧イズムというのかなかなかそれだけでは律し切れないアラブの神というイスラム教文化中心とした一つ文化的伝統もありますし、慣習もありますし、そういう状況をよく踏まえながら、日本自身海外派兵ができないということの中で経済援助といいましょうか、国民なりあるいは政府との官民経済援助、そして国民との友好、そういうことが非常に大事だったというのも一つ教訓だったんじゃないか。そういうことに私は思うんですけれども、その後そういう友好関係であるとか官民援助という点は一体どうなのか。それとODAにつきましては個人の所得の制限がありますから、なかなか湾岸諸国に対するODAということが適用できないという状況もあるわけですけれども、それ以外のそういう友好関係だとか援助、こういうことについて何か教えていただくことがありましたら、ひとつ通産大臣にお願いしたいと思います。
  9. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 湾岸諸国に対しましての経済援助でございますけれども、御承知のとおりエジプト、ヨルダン、それからトルコ、その三カ国を中心といたしますところに対しましましては、先回私どもで大体二十億ドルという形で援助をさせていただこうということにしたわけでございます。それ以外についても、今いろいろとイラクの侵攻に伴います中東情勢の変化によりまして被害をこうむっておられる国々湾岸諸国だけではないということもございまして、今後はこれがもっと広がっていく可能性はあるわけでございますけれども、とりあえず現在のところはそういう形で決めさせていただいておるわけでございます。
  10. 谷畑孝

    谷畑孝君 そうしたら次に、後ほどにまた質問の中でダブっていくかもわかりませんが、いずれにしても国民生活にとってやはり一番影響があると申しますのは、やはり原油価格上昇ということが非常に大きな問題になってくる。そして、原油価格が上がることについて、一度上がり二度上がるのか、あるいは三度上がるのか、それがどれぐらいにまでに長期化するのか、そういう不安が非常に大きな問題だと思います。  その点について二、三質問をしていきたいと思うんですが、まず第一に原油価格上昇によるガソリン灯油、そういうことについて絞ってひとつお答えを願いたいと思います。  例えば、イラククウェートへ侵攻する前は一バレル十九ドルであったものが現在二十五ドル、それがさらに推移していくのかどうか、そういう点の心配。それとまた、九月の十七日に石油の元売各社ガソリン等石油製品卸売価格を一リットル八円から九円の値上げをする、こういうことにもなっておりますし、またガソリンにおきましては百三十円前後になり、灯油におきましては九百五十七円前後、こういうことになってきている。とりわけ灯油ガソリンスタンドの人手不足もありまして、またこれから冬になっていくということもありまして、とりわけ不安をかき立てることになると思います。その点についての見通しを教えていただきたいと思います。
  11. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 御指摘のように、海外原油価格が八月二日の事件以降急騰しておりまして、この原油日本輸入されてくるわけでありますので、あるタイムラグを置いてではありますけれども国内製品価格にこれが転嫁をされてきているわけでございます。  御指摘のように、事件発生前、七月の原油平均的な価格と八月の平均的な原油価格を比較いたしますと、非常にラフに言いますと、一バレル当たり十ドル程度上昇ということが言えようかと思います。七月と八月の平均対比でございます。原油についてはそういうことでございます。  それから、製品については実はもう少しアップ率は大きゅうございまして、例えばシンガポールマーケットでのガソリン価格というものを見ますと、例えば八月一日のガソリンバレル当たり価格は、シンガポールで二十七ドル八十でございましたが、これが九月の二十日になりますと、五十ドル五十セントということで、これは二十二ドル七十上がっている。平均ではなくて一日だけの対比で恐縮でございますが、というようなことであります。  そういうことで、日本の総輸入は全体の八割が原油輸入しておりまして、二割がこういう製品輸入しております。したがいまして、全体の原価といいますのは、十ドル程度上がった原油と、それから二十ドル以上上がっているようなガソリン灯油といったような製品と、それの平均といいましょうか、加重平均で効いてくるというようなことになります。  そこで、これらの企業努力によって、合理化によって、極力吸収してもらうことを我々は期待するわけでありますけれども、大変大きな金額でありますので、企業努力で全部を吸収するというようなことは、これはとてもできる話ではありません。  そこで、私どもは九月七日に石油企業に対して通達を出しまして、考え方として、こういう石油製品価格マーケットメカニズムの中で決まるべきものではあるけれども、こういう情勢なので、第一に企業努力によって極力値上がりする要素を吸収してもらいたい。しかし、それと同時に価格について検討する際には、見込みとか予想ではなくて、既に確定したコストに基づいて計算をしてもらいたい。それを確認をするために通産省の方で毎月、月単位でこういうコストがどういうふうに変動したのかヒヤリングをさせてもらうということを通達したわけでございます。もちろん、いやしくも便乗値上げというようなことが行われないように、独禁法に違反することがないようにというようなことは指摘をしているわけでありますが、そういう通達を出し、その結果として、先般来一連の国内製品価格仕切り値段の改定が行われたわけでございます。  今までのところ、ヒヤリングをしましたコストアップ範囲内におさまっていると見受けられますので、特に不当なといいましょうか、いわゆる便乗値上げと言われるようなものではないというふうに私どもは判断をしております。  今後のことにつきましては、これは中東情勢がどのように推移をしていくのか、それに基づいて海外原油価格あるいは製品市況がどのように動いていくのかということに依存をいたしますので、私どもがここで見通しを述べるのは大変難しいというのが正直なところでございます。ただ、考え方として、今後上がる場合もありましょうし、下がる場合もありましょうから、私ども当面毎月コストヒヤリングをし、ウォッチをしておりますので、上がるときは正当な範囲で転嫁されるのはやむを得ませんけれども、同時にコストが下がった場合には、それが正しく価格のダウンに、引き下げにつながるように、その点も十分指導していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  12. 谷畑孝

    谷畑孝君 私も第一次オイルショックのときにちょうど結婚をいたしまして、今でも覚えておるわけですけれどもガスストーブが買えなくて、ともかくトイレットペーパーからもうラーメンまですべてが買い占められてしまうというちょうどそのさなかであって非常に記憶に新しいんですけれども、今から振り返ってみますと、それは実は投機の対象になっておったということで本当にもう腹が立つやらばからしいやら、そういう記憶があるんです。  今回の場合、一番最初原油輸入量はどうだといえば、これは大丈夫だ、こういうことである限りは上がる必要はないわけです。しかも原油価格は少し高くなっておるわけですけれども、しかしそれも今の時点ではそんなに大きな影響はない、こういうことだと思うんですけれども、昔のそういう経験があるんですから、さらにぜひひとつこれは厳重に消費者立場に立って監視を強化していただきたい、こういうように思います。  そこでもう一つ、そういうガソリン灯油価格が安定するために大手業者、それと小売との系列というのが非常に石油業界では強いと私は思うんですが、しかし今までは、系列に外れたスポットといいましょうか、そういうところと上手に競争しながら価格が相当安定をしてきた、こう思うんです。今日のように先行き不安ということになってきますと、なかなか原油が入らない、こういう石油製品を含めて入らないという状況の中で、スポットのところにおいて相当インフレを誘発していく大きな原因がある、そういうふうに思うんです。  その点について、縦の組み込まれたところに対する指導はそれはいいんですが、それを外れたところにおける、さらにそこに対しても従来どおり石油製品を正しく送っていただけるような、そういうことがないのかどうかということもぜひひとつ通産省、もう一度お答えを願いたいと思います。物価を抑えるために必要だと思いますので。
  13. 黒田直樹

    説明員黒田直樹君) 石油製品流通につきましては、ただいま先生指摘ございましたように、大手系列サインポールを掲げたようなところ、それからその場合にもいわゆる元売会社一社からだけガソリンとか灯油とか軽油といったような石油製品を購入している販売店と、それから複数元売会社から購入しているような販売店がございます。  そういうことで、系列のもとにあるような中小販売店とそれから複数関係したところ、あるいはいわゆる大手の一九売とは直接の系列にない販売店、いろいろ複雑でございますけれども、今資源エネルギー庁長官からお答え申し上げましたように、いずれにいたしましても量的な面では当面不足を生ずることがないようにということで、いずれの元売会社あるいは精製会社においても量の供給と量の安定という面につきましては十分努力をいたしているところでございますので、そういう系列あるいは系列以外ということで量的に大幅な不足は生ずることがないというふうに思っております。また、そういうことがないように私どもとしても努力をいたしていきたいと思っております。
  14. 谷畑孝

    谷畑孝君 ちょっと時間の関係で次に入りたいと思います。  この原油価格上昇によって、先ほどガソリン灯油に絞って聞いてきたわけでありますが、今度は経済企画庁長官の方で、物価全体に対する影響といいましょうか、とりわけこの商工委員会におきましては内外価格差の問題が非常に大きな問題にもなってまいりましたし、日本物価が世界一高い、こういうことで大きな議論にもなってきたところでありますけれども、その点について企画庁長官から、物価全体における推移はどうなのか、ひとつ教えていただきたい。
  15. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 中東における紛争が我が国石油製品あるいは物価に与える影響でありますが、イラククウェートからの輸入ストップによるところの一二%の減は大体ほかのところからの輸入増で賄えるというエネルギー庁長官の答弁がございました。量的には前回の第一次、第二次のオイルショック時代に比べまして非常に状態としてはいいということで、心理的に物価に対する影響は従前ほどにはないということは、これはおわかりいただけると思うのであります。  ただ、原油価格スポット物上昇に伴いまして長期契約分輸入もそれに準じて引き上げられるという計算方法になっておりますものですから、結局その影響が当然にあらわれてくることでありまして、石油製品価格が今回八、九円から十円の間に引き上げられましたことは既に御承知のとおりでございます。  これが国内物価に対する影響でありますが、いろいろな計算方法がありまして、私ども企画庁が六十三年のSNA(産業連関表)を用いてコスト面からの試算を行っておりますが、この試算を使いますと、原油価格が一〇%上昇する場合には国内卸売物価に対する影響は〇・二七%、それから消費者物価に対する影響が〇・一四%ということになります。ですから、これが機械的に仮に原油価格十八ドルが二十五ドルになったと仮定いたしますと、国内卸売物価で約一%、それから消費者物価で〇・五%程度上昇圧力になるというふうに計算をしています。
  16. 谷畑孝

    谷畑孝君 今のお話を聞いていますと、当面のところは一定程度大丈夫だ、大まかそういうような意見だったと思うんですが、今イラククウェート問題が発生しまして約五十日ですか、しかし即刻解決できるのかと言われてもだれもできると答えることができないわけでして、なかなかこれは長期化するという状況もあると私は思うんです。そうなってきますとまた原油価格もさらに上がってくる可能性もあるし、また同時に先行き不安という不安感に基づいて、若干第一次オイルショック、第二次オイルショックのような買い占めだとかそういうようなこともまたある可能性もあるわけです。  そこで次の問題として、我々が一番安心できるなと思うのはまず備蓄ですね。第一次オイルショック、第二次オイルショック以来備蓄を行ってきているというところにおける安心が実はあると思 うんです。そこで、現在備蓄百四十二日分と言われているんですが、この備蓄現状と、そして備蓄をどういうような条件のときに放出するのか。そういう点についてひとつお聞きしたいというふうに思います。
  17. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 現在日本では国家備蓄民間備蓄合わせて百四十二日分相当備蓄がございます。この備蓄と申しますのは、これは石油安定供給の量的な確保目的とするものでございまして、石油輸入量が減少して国内供給量不足を生ずる、こういう場合に放出するというのが基本でございます。  この民間備蓄の義務につきましては、石油備蓄法という法律をつくっていただいてこれに基づいて実施をしているわけでありますけれども、この法律の第一条に備蓄目的が書いてあります。これには、読ませていただきますと、「我が国への石油供給不足する事態が生じた場合において石油の安定的な供給確保し、もつて国民生活の安定と国民経済の円滑な運営に資することを目的とする。」と、こう書いてございます。つまり、石油供給不足する事態が生じた場合に使うのである。そのときに備蓄を取り崩して国内供給する、そうするとその結果として、「もつて」というのはその結果としてということだと思いますが、国民生活の安定と経済の円滑な運営が図られることになる、こういうことであろうかと思います。  それで私ども、一部に御議論がございます価格の安定のために備蓄が使えないかという議論に対しては、この備蓄目的がこういうことで定まっておりますし、中東情勢が極めて先行き読みにくい流動的な状況にある現状で、石油価格抑制のために当面国内石油需要を備蓄の取り崩しをすることによって賄うというのは法律目的にもそぐいませんし、石油安定供給確保するという見地から適切ではないというふうに考えているわけでございます。もちろん、私ども通産省といたしましては、国内石油需給状況を十分に注意を払って見守っているところでございまして、現実に供給不足するということが認められるような事態には、これはもちろん備蓄を機動的に活用することによりまして供給に万遺漏なきを期するようにしたいということでございます。
  18. 谷畑孝

    谷畑孝君 そのことについてちょっと異議があるんですが、もちろん石油製品価格が市場メカニズム、当然のことなんですけれども、今回のようにやはりイラククウェート侵攻ということでそれが一つの原因、引き金になっておりますし、非常に長期化されていくという危険性もある。だから、そういう意味ではやっぱりまず物価を抑えていく、そのために備蓄も含めて物価を抑えるために使っていくということはこの備蓄法にも僕はまさしく違法しない、そういうことを一つ思うわけであります。これはもう見解の相違ということです。  二つ目は、消費税導入のときに大蔵省あたりは毎日、新聞の半分を広告ということで消費税が大事だと宣伝、もう毎日毎日のように読んでおったんですけれども、今回通産省もそれ以上に、原油は大丈夫だという、物価値上げするのはもう問題だというような、もっと正確な情報を徹底的に新聞紙面に、きょう新聞社の方もたくさんおられるんですけれども、ぜひひとつそのあたりをしかけて不安を除去していくことが非常に大事な問題じゃないかと、こう思うんでございます。ちょっと時間がないものですから少しはしょらせていただきたいと思います。  次に、やっぱり今国民の中で一番心配しているのは何というても日本人の人質ですね、百四十一人。いつこれが解放されるのかわからないという状況で非常に苦悩されておる。私もこの記事を見るなりすぐにイラクへでも飛んでいって一番最初にひとつ外交ルートがあれば行きたいと個人的にも思っておったぐらいでありますけれども、最近同僚議員が行くという記事が出たり、あるいは安保特から行くだとかたくさんそういう動きがあるんですけれども日本政府として、これは外務省なのかあるいは通産省も含めて、一体人質の解放についてどう結果的にそれを解決していこうとしているのか、もうそれは犠牲にするのか、どうなのか。あるいはまたいろいろと新聞の投書欄も見ておりましたら、やはり過日救出されて帰ってこられた人質の人たちの声を聞いておりましても、一番心配なのは日本の政府がイラクを刺激することで、いろんな意味で刺激することが一番自分の命にかかわるということで常に一喜一憂しておられるということを聞いて、本当に私もどうしたらいいものかと、その点悩んでいるんですけれども、ぜひひとつそのあたり意見がありましたら、日本政府として特使を出す意向があるのかないのか、お聞きしたいと思います。
  19. 内藤昌平

    説明員(内藤昌平君) お答え申し上げます。  私どもとしましても、現在イラク政府自身により邦人を含める外国人が不当に拘束され、さらには出国が禁止されている人もいるという事態は、これは国際法上もさらには人道上も容認できない行為として極めて深刻に考えておるわけでございます。そこで、この問題は我が国のみならず多くの国が被害者としてかかわっておりますので、これらの国々と協力しつつ、我が国としましても外国人一般の一刻も早い開放と自由な出国を粘り強く働きかけていくというのが基本的な方針でございます。  そういう意味で、また我が国独自にも国際社会の総意をまとめて働きかけるように、国連事務総長あるいは赤十字国際委員会の総裁に、それぞれ中山外務大臣自身のイニシアチブで働きかけを行っております。それぞれの組織を通じてさらにイラク側に働きかけを強めていく所存でございます。
  20. 谷畑孝

    谷畑孝君 まあちょっと百四十一人の救出については少し抽象的で、国民感情としては直ちに政府の特使なりを含めて用意をしていただきたい、こういうふうに思うわけですが、時間の関係で次にいきたいと思います。  中東多国籍軍の支援策について一、二お聞きして終わっていきたいと思います。  これは衆議院でも少し問題になったと思うんですが、四WD車の搬送問題について、九月六日に四WD車八百台が中東に向かって名古屋港を出港しております。この問題について、荷物の性格づけだとかあるいは乗組員の安全確保をめぐって海員組合との間にも意思の一致が図れずに、運搬船の出港が一時おくれるという事態があったと聞いています。先月二十九日に発表された中東支援策には物資協力も項目に入っており、坂本官房長官は五日の朝に支援策第一弾である、こういうように発言をいたしました。性格づけをめぐって政府側の当事者である通産外務、運輸の各省の見解はそれぞれ微妙に食い違っています。中東支援策の一環の中、あくまでも民間輸出なのか、この際はっきりしてもらいたいと思います。こういうあいまいな姿勢が我が国に対する国際的な不信感を助長するのではないかと危惧をしてるわけであります。通産省はもちろん、外務省の明確な見解をお聞きしたいと思います。  そこで、この問題は各論でもう少し本当は掘り下げていきたいんですが、四WD車というのは御存じのように砂漠を走れる車でありますから、これはそこに銃を載せればまた逆に武器にもなりかねないという、そういうものであると思うので、ぜひそのあたりの性格づけの点について、非常に大事だと思いますので、通産外務についてお聞きしたいと思います。
  21. 畠山襄

    説明員(畠山襄君) 先般、今御指摘のように九月六日に四WD車八百台を中東に向けて積み出しを行ったわけでございますけれども、この車両の搬送という行為は、サウジアラビアを仕向け地に、米国の要請を受けまして、中東支援策の一環としての物資協力の具体的スキームが決まった段階には速やかにこれを行うようにするということで、私ども通産省企業要請をして行ったその時点では民間の輸出でございます。その具体的なスキーム、具体的な中東支援の予算が、今まで発表はありましたが正式に決まっていなかったわけでございますが、実はけさの閣議で決まったわけ でございます。それが決まりました段階でいち早くできるようにということで、私ども要請で行った民間の輸出、こういう性格のものでございます。したがいまして、この車両は、具体的なスキームが確定しますと、GCCに設立されます湾岸平和基金の運用主体と企業との間で売買契約が結ばれまして、そうした後は今御指摘の物資協力の一環ということに位置づけられるわけでございます。  それから、四WD車は改造すれば武器になるんじゃないかということでございますが、あれは改造はしていない普通の四WD車でございまして、そういう意味では汎用車、汎用のものでございます。
  22. 谷畑孝

    谷畑孝君 もう時間が来ましたので最後に、事件解決について日本として独自の平和的イニシアチブが握れないのかどうか、こういうことがこれから国民自身の大きな関心事でもあるし、これから国会の中でも議論をしていく必要があるんじゃないかと思うんです。  とりわけこの事態の中で自衛隊法を変えてまで自衛隊の海外派兵という声が上がってきたり、あるいは国連平和協力法、そういう意見が出てきたりあるいはその準備をしておるという状況もあるわけですが、私は思うんですが、いずれにしても湾岸における第一次オイルショック、第二次オイルショック経験なり、そういうものの状況から見ても、単に武力だけでそれを解決できるのか、ペルシャ湾の多国籍軍の配置という、そういうことに対する支援の中で解決ができるのかという点について非常に疑問に感じるわけでありまして、やっぱり一定程度イラクに対しても、政府側においてもイラクとのパイプも十分に持てるような総合的な外交視点を持たないと、全体がそこへ固まってどんどん力で入ってきている中では、だんだんだんだん孤立してにっちもさっちもいかなくなって戦闘の可能性も出てくるわけであります。  せっかくの日本の平和憲法を生かしたそういう平和外交という中でイニシアチブを握っていく必要はないのかどうか、そのためにも日本と同じ立場にある西ドイツだとかあるいはアジアの人々とも協力をしながら、アメリカとまた違った立場でのそういう大きな平和外交の仕方がないのかどうか、その点についてひとつ外務省にお伺いして質問を終わりたいと思います。
  23. 内田富夫

    説明員(内田富夫君) 今般のイラクの暴挙につきましては、平和と安定を破壊するものとして我が国としては容認することができないという立場に立ちまして、国際社会と一致協力して断固たる態度をとる。この場合の国際社会という意味は、国際連合を中心とした国際的な協力関係というものを中心としつつ断固たる態度をとるというのが軸でございますが、これに加えまして、先生指摘イラクとの対話のチャンネルの問題でございますけれども我が国といたしましては、こういったチャンネルをあげておくこと自体は重要であると考えておりまして、イラク側が安保理の、七本ございますが、諸決議に従った今回の事態の解決のための意思表示、あるいは日本人を含む全外国人の無条件出国の実現、こういったことを前提に日本政府との間で真剣な対話を行う用意があると、そういつた方向でございますればイラク側との対話に入るということを考える余地はあるというふうに考えております。
  24. 谷畑孝

    谷畑孝君 ありがとうございました。  質問を終わります。
  25. 吉田達男

    ○吉田達男君 八月二日の中東イラククウェートへの侵攻以来五十日、原油価格の値上がりが日本経済の中でどう克服されて抑え込まれていくかということが今日的な課題であり、日本経済運営であり、国民生活の問題であり、当委員会の課題で今日的な取り組みを要請されるところであろうと思います。  しかるところ、報道によりますと、石油連盟の建内保興会長は、八月二日の紛争が起こった四日後に緊急の理事会を招集されまして、これに出席した通産省資源エネルギー黒田直樹部長に、値上げの決定について行政指導で認めてもらうように頼んだと記者会見で明らかにしております。  そこで、黒田部長に質問をいたしますが、この会議で石油値上げを協議し決定した事実の経過はどうなのか。また、黒田部長が出席して値上げについて行政指導の要請を受けたという経過はどうなのか、お答えいただきたいと思います。
  26. 黒田直樹

    説明員黒田直樹君) ただいま先生の御指摘は昨日の新聞報道かと思います。八月六日に石油連盟の常任理事会及び理事会に私出席したわけでございますが、これはちょうど前日の八月五日に政府の対イラク経済制裁措置が事実上決められたわけでございまして、その中の大きな柱といたしましてイラクからの石油輸入を全面的に禁止するという措置が含まれていたわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、要請されて行ったというよりはむしろ私どもの方から、石油連盟の傘下の石油各社に対しまして今申し上げました前日の対イラク石油禁輸措置の背景等につきまして御説明申し上げると同時に、原料の大もとでございます原油を一部輸入禁止するということでございますので、それについて石油業界の理解を求めること。そして同時に、先ほど御議論ございましたように一二%ぐらい原油輸入に穴があくということでございますので、石油業界各社に対しまして今後の石油安定供給につきましていろいろ努力なり協力なりをしてほしいということを要請するために私出席をいたしたわけでございます。  したがいまして、内容といたしましては、私どもの方から今申し上げましたような対イラク石油輸入禁止措置の背景につき御説明し、石油業界の理解を求めること。そしてまた、石油業界に対しまして石油製品安定供給に遺漏なきを期していくために他の供給ソース、イラククウェート以外からの原油の調達あるいは製品の調達といったものについて努力してもらいたい。その際、高値買いといったような過去に第二次オイルショックのときに国際的な批判を受けたことがあるわけでございまして、そういったようなものを受けることのないように留意すべきこと。また、いわゆる便乗値上げといったようなことが起こらないようにということを要請いたしたわけでございます。  これに対しまして業界の側からは、一つ備蓄の取り崩し、特に民間備蓄の取り崩しと申しますか、民間備蓄の義務の軽減について弾力的に対応してもらいたいということ。また、原油よりも石油製品需給に問題が出てくる可能性があるので、国内での原油処理というものについて弾力的に対応してもらいたい、こういう要望が出されたわけでございます。具体的な要望としては以上の二点でございます。  そういったやりとりの中で、一つは今申し上げましたようにイラクからの輸入を禁止するという規制措置を講ずるわけでございまして、御承知のように石油産業につきましては六十二年ぐらいから石油審議会の答申も踏まえましていわゆる規制の緩和ということを行ってきているわけでございます。したがって、その際できるだけ平常時は規制を緩和して自由にしていく、しかし有事には規制と申しますか、そういう思想で石油政策というのを進めてきているわけでございまして、そういう流れはあるわけですけれども、今申し上げました八月六日の時点というのはイラククウェートに侵攻したということでまさに有事になったのだということで、規制もやむを得ないだろうというような御意見がございました。また、そのお話の中で、石油産業としても、一次あるいは二次のオイルショックのときには世の批判を浴びるような失敗がいろいろあった、今回はそんな批判を受けることのないように、関係当局の指導も仰ぎながら適切に対処していく必要があるなというような一般的な発言はございました。  しかし、値上げについて、価格の改定について具体的に行政指導を要請されたというような事実はございません。この点につきましては昨日、資源エネルギー庁長官が石連の会長をお呼びいたしまして、確認をいたしたところでございます。  以上が経過でございます。
  27. 吉田達男

    ○吉田達男君 経過を伺いましたが、この会はそうするとあなたが招集されたわけですか、主催をされたのは石油連盟じゃありませんか。主催者が、こういう事実があって要請をした、こう言っているんですね。こういう内容を要請したと言っている。そこで誤解がないようにということを念を押したというのだが、あなたはまさに誤解を受けているかもしらぬ。  そこで、あなたがそのやりとりの中で、さきの答弁をちょっと正確に聞き受けなかったのかもわかりませんが、値上げ原油が上がればやむを得ないという雰囲気の物のおっしゃり方をなさったんですか。
  28. 黒田直樹

    説明員黒田直樹君) 最後の点でございますが、八月二日に侵攻した直後の八月六日のことでございまして、そういう発言はいたしておりません。  それから、今の石油連盟の常任理事会をだれが招集したのかということでございますが、会合そのものとしては常任理事会は定例のものであったというふうに理解をいたしております。ただ、常任理事会というのは、石油連盟の中では限られた数の会社の常任理事が出席する会合でございまして、別途予定されておりました全会員の会社が出る理事会というのがございまして、それが二日後ぐらいに予定されていたわけでありますが、それを繰り上げて同じく八月六日にやっていただいたのは、私ども要請によるものでございます。それは私どもから、先ほど申し上げましたように事情経過についてまさに御説明したいし、私ども石油業界に対する要請を聞いていただきたい、こういうことでお願いをした次第でございます。
  29. 吉田達男

    ○吉田達男君 石油連盟の会長は責任ある立場の方で、会を主宰された方がこうおっしゃっておられる。推察するところ、その会議で、原油は上がるだろうということは素人でもわかるんですから、その責任ある方々は大変に真剣な議論の中で、上がったらこれにどう対応しようかということを議論されるのは当然であろうと思います。そこにあなたは始めからしまいまでいらっしゃったんですか。そこの議論はどういうふうに推移しましたか。
  30. 黒田直樹

    説明員黒田直樹君) 定かには記憶しておりませんけれども、それほど長い時間ではございませんで、三十分間程度の会合であったと記憶いたしております。したがって、それほど大きな長い議論があるというよりは、むしろ半分以上は、今申し上げましたように、私どもからの説明であったように記憶いたしております。
  31. 吉田達男

    ○吉田達男君 この問題だけにかかわっているわけにはまいりませんが、原油が上がればその分は上がってもしようがないという考え方がその時点のころからの通産省の行政指導を見ておるとうかがい取れるんです。  我々の期待は、いろんな方法を駆使して物価の値上がりがないように、石油価格が上がっても吸収する方法を行政指導として期待をし、またそれについては納得できる数値の展開をもって国民に開陳すべしと思っているんですが、そこが不透明なためにいろいろ言われている。その会合でのあなたが行った要請は二点と聞きますが、会長の発表はそれ以外にあるので、いやしくもそこの責任ある方の言われることが事実無根のことをおっしゃっているとは私は思えない。言葉の行き違いはあったかもわかりませんが、若干のやりとりがないはずはない会議であると私は思っているんです。全然なかったとそれを言わないから、始めからしまいまでおったのかと聞いても、それの返事もしないんです。だから、あなたはそれをきちっとされなけりゃならぬと思いますよ。
  32. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 出席したのは黒田石油部長でありますが、昨日の新聞報道を見まして、会長が本当にこういう発言をされたのかどうか私は疑問に思いましたので、昨日会長に来ていただきまして、どういうことであったのか、新聞に出る原因となりました一昨日の記者会見の様子、それから実際に八月六日のときにどういうやりとりであったのかということを直接建内会長から聞きました。  会長の御真意はどういうことですかということを伺ったわけでありますけれども、建内会長も八月六日の会合では、先ほど黒田部長が説明しましたように、石油産業として過去にいろいろ世の批判を浴びるような失敗もあったので、今度はそういう批判を受けることがないように関係当局の指導も受けながら適切に対応していきたい、したがってよろしくというようなごく一般的なあいさつはしましたが、それ以上のものではない、そういうことを自分はしゃべったつもりなんだけれども、新聞報道でああいうふうになっておって、要するに自分の真意が伝わっていない、こういう趣旨のことをおっしゃいましたので、私はその説明を了解して、そういうことであれば、今後いろいろな機会に、公的な立場の方でございますので、結果として誤って報道されることがないように御注意くださいということを申し上げておいたところでございます。
  33. 吉田達男

    ○吉田達男君 押し問答をやってもしようがありませんから、私はむげに事実無根のことば言われるはずがないという状況の判断をしておりますから、それに従って一言公取にお尋ねをいたしたい。  独禁法は価格協定等のカルテル行為を禁止しておりますね。特に寡占状態における石油業界価格の協議をしている疑いの強い会議を開いておる。これに対して通産省の方は、物価を上げないようにという強い信念で迫力を持って指導をしておる形跡がない。しかし、公取はこのようなことが事実かどうかについて真相をきわめて、そのようなカルテル行為の疑いのあるようなことを事前に押さえ込んで、協定して石油関連価格を上げてしまうようなことをさせないような立場をとられたいと思うが、この真相究明をどういうふうにしておられるか、あるいは諸般についてそのような目配りをしておられるか御答弁をいただきたい。
  34. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) ただいま委員お尋ねの件でございますけれども公正取引委員会が独占禁止法の厳正な運用に努めておるということは申し上げるまでもないことでございますけれども、特段石油製品に限らずすべての業界、すべての製品につきましていやしくもカルテルといったような独占禁止法に違反することのないように、公正取引委員会は日ごろから十分な目配り、厳重な警戒をしてきているところでございます。  もし仮にもそういった違反が行われているのではないかといったような具体的な端緒に接したならば、これは厳重な審査をしていかなければなりませんし、その結果、独占禁止法に違反するという事実が認定された場合には、これまた独占禁止法に基づきまして厳正な措置をとる、そういった態度で臨んでいるところでございます。
  35. 吉田達男

    ○吉田達男君 そのような事実があってからでは――既に影響国民に及んでいるのでそういう事実が発生しないような行政のあり方、業務のあり方を願っておるのであります。こういうことをやって、カルテル行為をして結果的に上がった、上がったから罰則を科する、これで手柄話じゃ公取は半分死んでしまいますよ。今国民が見ておるのは、寡占状態にある大手石油業界の商社がいかに系列を使っていかに一斉に石油関連商品を値上げするか、それをどこかで相談してやっているんじゃないかということを国民みんなが見ておるのだ。それを一番見なければならぬのがあなたですよ。  だから、このような事実がいやしくも会長の記者会見として公表されて、その中身が値上げについて協議をしたとなっているのだから、その真相を究明されるべきだと私は思うのです。それで事実がなければ幸いだと思う。しかし、その態度が牽制をして物価値上げを抑える十分な効果をさらに発揮するのだと思うので、重ねて御答弁を願いたい。
  36. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) 会長の御発言云々というお話でございましたのですが、先ほど資源エネルギー庁の方から御答弁もあったとおりでございま すし、私どもも正直に申し上げまして、昨日の新聞報道については非常に驚いたところでございます。  それで、早速資源エネルギー庁から事情の御説明を伺ったところでございますが、その内容は先ほど資源エネルギー庁の方から御答弁があったそのとおりでございます。いわばそういった事実はないということでもございましたので、私どもも一安心しているところでございますが、いずれにいたしましても独占禁止法違反ということは絶対にあってはならないと思いますし、そういったことが起きないように、私どもも常日ごろいろいろな観点でその対策を講じているところでございます。  例えば、もしそういった違反の疑いがあるといったようなことについて、よくある方法としては、一般の方々から私どもの方にいわゆる申告という格好での情報提供が行われましたりすることもあるわけでございますが、こういった情報を非常に大事にいたしまして、そういう問題が起きないように、あるいはそういった疑いがあれば徹底的に審査をするようにといったような方針でこれまでも臨んできているところでもございますし、今後ともそういった態度を一層強めていかなければならないと、かように考えているところでございます。
  37. 吉田達男

    ○吉田達男君 これ以上言っても歯切れのいい答弁が期待できぬから要請にとどめておきます。  真相をなぜきわめぬのか。これだけの事実が公表されて日本国民がみんな見ておる。これは条文を見れば明らかに不当な取引で、これに該当しますね、これが他の事業者と共同して対価を決定したり維持したり、もしくは引き上げたりするようなことを事業者団体は協議する行為をしてはならぬと、こうなっておる。国民はそういうことがわかっているから、これだけ出ておるのにのらりくらりして動かない公取を疑うようになる。それが政治の不透明ということなんだ。だから、積極的にやられたいという要請をしておく。あとはこたえるかこたえぬかは私ども調査しますから、それによってあなたが怠慢かどうかをまた判断しなければならぬと思っております。  企画庁長官質問をいたします。  政府は閣議でもってことしの経済推移について物価上昇を一・六に見ておる、成長率を四%に見ておる、こういうことでやったのでありますが、四月以降物価上昇は加速しておりまして、現在二・三でありますね、既にオーバーしています。八月の三十一日に前年対比がそうなっておりますから、私もその内容を見ましたところ、衣食住とも、衣が四・六、生鮮食品が五・九、文化教育関係が五・二等々上がって、八月の石油事件が起こるまでにもう二・三上がっているペースなんです。そこに原油価格上昇というプレッシャーが今まさに加わろうとしておるわけです。この閣議でもって一・六の物価上昇に抑えて経済運営をするというこの政府の方針は、果たして維持することができるかどうかと、こういうことであります。  所管の大臣とされまして、ここのところの経済分析をどうされておられるか。そして、どう見通されるか。これで抑え切って政策能力十分の長官の力量を発揮願いたいと思って、その政策の中身についてもお答えをいただきたいと思うのであります。
  38. 相沢英之

    国務大臣相沢英之君) 先ほども御答弁申し上げましたが、石油価格上昇我が国経済に及ぼす影響の中で一番懸念されるのが物価であります。私どもも、国民生活の面から言いまして、極力物価を抑制するということに全力を傾けなきゃならないと、このように考えております。  御案内のように、七月の全国の消費者物価が対前年二・三%になっております。八月の東京都区部が二・五%でありましたから若干七月は低くなっております。これからの物価推移をどう考えるかでありますけれども、先ほど申し上げましたように、原油バレル当たり十七ドルが仮に二十五ドルになると八ドルの上昇でございますが、そうなりますと消費者物価で〇・五%程度上昇がモデル計算上出てくるわけであります。  ただ、それはほかの物価推移も無論ございますし、また一つは、石油についてもこれは言えることなんですが、為替相場の問題があります。為替相場もひところ一ドル百六十円強までいきましたのが、また上がってまいっていることは御案内のとおりでありまして、百三十七、八円というところまでになっているわけです。  そこで、今後その為替相場はどうなるかということでありますが、仮に為替が一〇%下がった場合に消費者物価に対する影響は、これが〇・五%の引き下げになります。ですから、石油に関しましても原油価格上昇と、それから為替の円高、今は円高に向いてますが、円高の傾向とは相殺されてくるわけであります。ですから、ことしの一・六%の消費者物価上昇につきましても言うなれば年度半ばをやっと過ぎたところでありますから、これからの状況をなお見なければなりませんので、私どもとしましてはこれからも何とか当初の見込みにおさまるような努力をしていきたいと思います。  ただ、何といいましても原油価格については、ことしの計画を立てます際には大体一バレル当たり十七、八ドルということでそれを計算のスタートに置いておりますから、そういう意味からいきますと、もしこれがずっと続く場合においては、これは若干の影響が当然あるというふうに思います。
  39. 吉田達男

    ○吉田達男君 為替の円高という要素が石油原油高というものを相殺する効果を持つ構造の中にある、円高が推移すればこれはまた石油による物価高を抑える効果が期待できると、若干の理論値をお示しいただいた。これは通産省の方にも十分理論的には共通するものとして御理解あると思いますので、次の質問に移ります。  懐しい通産大臣に、お待たせいたしましたが、質問をいたします。  石油確保される責任は通産大臣にあります。第一次オイルショックのときにアメリカのピーターソン商務長官は、今やポパイは安いホウレンソウを失いつつあると言ってポパイ演説をいたしました。ホウレンソウは石油であり、ポパイはアメリカであったわけであります。  そこで、その石油確保についてアメリカは必死の努力を傾注して中東対策をしたので今日に至っておるのでありますが、イラク戦争以来の、先ほどから出ておりますイラククウェート、五・九、五・八の一一・七%、約四十万バレルが輸入禁止になったがこれについては大丈夫だと、こういうことで谷畑議員に今お答えがありました。ちょっと念のために聞きますが、それはどこに、どの国に手当てされてその量が大丈夫だというふうにおっしゃっておられるのか、具体的にお答えいただきたい。
  40. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 先ほど長官から御答弁をいたしたわけでございますが、その中身でございますけれども、サウジアラビア、また今後はアラブ首長国連邦も期待ができると思います。それから、イランから入っているものも増量いたしておるわけであります。いずれにいたしましても、今の四十万バレルちょっと、合計一二%になっておるわけでございますが、その程度のものは今のところ十分確保できておると、こういうふうに私は判断をいたしておるわけでございます。
  41. 吉田達男

    ○吉田達男君 当面手当ては大丈夫だということでありますが、大臣の判断の背景に物騒なものがあるわけであります。それは中東の紛争がどうなるかということであります。今の状態が長引くと考えられるのか、意外と平和的な解決ができるとこういう御判断なのか、ドンパチやって全体的にあの地域の石油輸送が困難になるか、それぞれの場合について輸入、輸送、要するに石油確保の手だてについているんな場合を考えておられると思うんです。念のためにその辺についての御判断をお伺いいたしたい。
  42. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) イラククウェート侵攻はいつまで続くのかということに対する見通し というのは、正直私もわかりませんが、世界じゅうの人が私はわからないんじゃないかと思うんです。これはやっぱりサダム・フセイン大統領がどういう考え方に立つかということが一番問題でございまして、先ほどイラクへ行ったらどうかというようなお話もございましたけれども、私どものところへも、ちょうど八月のあの紛争が起きまして八月の下旬だったと思いますが、イラク石油大臣が日本へ来たいという話もありました。私はそのサダムの権限を代理として必ず行使できるような形で来られるならば喜んでお目にかかりましょうということを申し上げて、しかし結果的にはこれは不発に終わったのでございますけれども、聞いておりますとイラクのサダムというのはもう全くの独裁者のようでございまして、その人がどう考えているかということによってこれは決まるのではないか。  私ども一番心配しておりますのは、長期化をいたしますと、需要期がその間に入ってまいります。今申し上げましたように、今のような状況の場合には何とかそれぞれの産油国が増産をいたしておってくれますので、世界的に見てイラククウェートが輸出しておったのが大体四百万バレルと言われておりますから、そのうちの三百万バレル以上は今何とか増産が体制もできているようでございます。ですから、不需要期は、不需要期といいますか、いわゆる冬場でないときはそんなに心配がないのでございますけれども、これが長続きをいたしまして冬場を迎えて依然としてこの状況が続いていくときに果たしてどうなるのか。私はよほどそのときには消費国が思い切ってみんな各国が省エネルギーにやっぱり努力をするということが必要であろう。  その省エネルギー努力をし、それから産油国により一層の増産をお願いし、それでもなおかつ不足の場合には、先ほど備蓄の放出の問題も議論がなされておりましたけれども、この間私はIEAで事務局長と話をいたしまして、備蓄というのはやっぱりそういう時期を考えて、今はなるべく各国とも放出をすべきではない、どうしてもそういう形で需要期に入って供給と需要との間にアンバランスが大きくなっていく、こういうときには各国が協力し合ってこの備蓄を取り崩すということをしなければいけないんじゃないか、こういう話をしてきたわけでございますけれども、そういうような形で長期化いたしましても、戦火が大きくならない限りにおいてはそういうような手もいろいろ使っていけると思うのでございます。  もっと心配なのは、今ちょっとお話がありましたように、サウジの油田がやられるということでございます。そうなりましたら、これは本当にお手上げになっていくのではないか。私どもは何としてもサウジの油田が戦火を免れるようにしてもらいたいというのが今切なる願いであるわけでございまして、フセイン大統領もぜひそのような無謀なことだけはしてもらいたくないというのがこれは本当に私どもの願いでございます。それがなければ、私はそんなに大きないわゆる第三次オイルショックというようなことは起きてこないのではないか、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
  43. 吉田達男

    ○吉田達男君 宗教は違いますが、アラーの神に半分は祈っておるような答弁でありまして、期待は安心にはならぬが、通産大臣に任せておけば量においては大丈夫だということになれば幸いと思います。量が確保されればパニック的な石油価格の高騰ということは避けられると思う。今までの学習効果もありますからやや国民も冷静に受けとめておられる。これは幸いしておると思いますが、しかし冷静になればなるだけに、価格上昇の根拠について納得しなければならぬという声は国民の中に高い。  通産省が指導されて九月の十七、十八日に元売十社が一斉に八円から九円二十銭上げられたが、通産省はこの指導の上げ幅の妥当性について数字の根拠をもってお示しを願いたい。  その時間がなくなりましたから、先ほど経企庁長官がおっしゃいました為替レートによるプラスの面、原油価格の上がった面、そしてまたそれを輸入して精製をして、その精製をガソリンから灯油、重油、ナフサ、ずっと分けてきますね、そこのところ、流通価格、こういうものの原価にわたって明らかにしていただきたいと思うんです。
  44. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 値上げについての指導というお言葉がございましたが、私ども値上げについての指導をしたわけではありませんで、コスト変動というものについてチェックをし、不当ないわゆる便乗値上げというようなことが行われないようにチェックする体制をとったということであります。  そのチェックのやり方でありますけれども海外の要因として原油価格が非常に大幅に上昇している、他方で為替レートが動いている、御指摘のとおりでございます。私どもがチェックをいたしましたのは、各社ごとに原油をどのように調達をしたのか、それから製品もあります、製品がどれだけの割合でどういうふうに調達をされたのか、そのフレート、船賃でございますね、これがどうであったのか、保険料がどうであったのか、それから金額が上がりますとそのための金融コスト、金利がかかりますが、それがどのような負担であったのかというような点について調べたわけであります。  精製コスト等についての御指摘がありましたけれども、これらについてはいわば私どもいろいろそれは変動があるのだろうと思いますけれども、そこは企業合理化努力によって吸収してもらいたいという意味でそこは今回の調査の対象にはいたしておりません。人件費あるいは国内運賃等についてはヒアリングをしておりません。  そこで、原油価格あるいは為替レートについては各社の実情に応じて算出をしたわけでありますが、為替レートにつきましてはこの調査をいたしました最近時点の一カ月の平均の為替レートを使いました。したがいまして、八月積みという原油でございましても、調査をしたのは九月十日からでございますので十日ほど円高の方にずれた為替レートで私どもは算定をいたしたわけでございます。それによって各社ごとにそういう要因を、コストアップの変動について報告をしていただき、この範囲内で値上げが行われたのか、あるいはそれを大幅に上回って値上げ表明が行われるのか、そこを見守っていたわけでありますけれども、先般発表されました各社の仕切り価格の改定は、以上申し上げた人件費等を含まない原油等のコストアップ範囲内にとどまっているというふうに私どもは認めた次第でございます。
  45. 吉田達男

    ○吉田達男君 結局、それじゃ端的に伺いますが、一バレルを幾ら、一キロリットルを何円と輸入価格を想定してやったのか、それから平均といってもレートは何円であったのか、これによって将来また変動がある場合にその数値の変動でどのようにまた価格計算ということが誘発されないとも限らぬ。そこはまたそのときの判断があるかわかりませんけれども、私どもはそれを何としても吸収という過程で企業努力を願いたいという期待を通産省に指導として願っておるわけであります。  また、精製過程におけるものは余り変わらぬから言わぬと言うけれども、例えばガソリンも一リットル八円、灯油も一リットル八円というと、上げ幅は八円であっても率では違いますよ。率では六・六%になるガソリンと、率では三六%になる灯油とは、これは受け取る市民の上げ幅についての感覚は大変に違いますよ。だからコストを示していただきたい、こう言っておるんです。
  46. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) ヒアリングの際に用いました為替レートは百四十六円十五銭というレートを使ってございます。今後当分の間、毎月コストの変動についてチェックをいたしますので、原油価格あるいは為替レートの変動によってコストが下がるという局面がありました場合には、これを当然価格に反映させるように私ども指導するつもりでございます。  それから、製品ごとに見たときに同じ額の引き上げであると引き上げ率が違うではないかという 御指摘、そこはその限りではまことにそのとおりでございますけれども、今問題になっておりますのは、原料である原油価格がどのように動いたか、その要素に限って価格転嫁がどのように行われるのかというのをフォローするというのが基本であろうかと思っております。石油製品価格は電力料金あるいはガス料金のような公共料金ではありませんで、通産省の許認可にかかわっているものではありません。基本はマーケットメカニズムで決まるべきものと私ども考えております。ただ、その影響するところが非常に大きゅうございますので、いわゆる便乗値上げと言われるようなことが行われると、これは非常に問題がある。それをチェックする必要があるということで、今申し上げたように原油が上がった部分、そこの部分がその範囲を著しく超えて価格転嫁が行われた場合にそれは問題があるのではないか。  こういう観点からチェックをしたわけでございますので、先ほど申し上げましたように、原油ガソリンであろうが灯油であろうが、みんな共通でございますので、以上のようなことになっているわけでございます。
  47. 吉田達男

    ○吉田達男君 もう一遍。石油を精製してガソリン、ナフサ、灯油、軽油、A重油、液化ガスに至るまであるんですね。そのコストを示されたいというのは、原料、あるいは原油によってまた成分の相違があって、精製する会社の特徴的なまた違いがある。違いがあるけれども、上げたのを見るとみんな八円上げておる、こういうことでしょう。  そこで、灯油を例にしてちょっと、さっきの率の矛盾を言いましたけれども、そのものが片方であり、原油を精製していわゆるコストをはじいてやるとしても、片方では製品輸入がはやっていますね。灯油なんかは製品輸入が四分の一あります。これが既に国際的な上昇の中でアメリカ軍の燃料なんかになってアップしましたから、それの影響がもろに入ってきた場合に、製品輸入としての価格石油原油精製のコスト計算をしたものとの差があるにもかかわらず、国際的な価格の方にスライドするような結果の値段になっておるんじゃないか。  率から言うと六・六%と三十何%、大きな違いがあるという灯油ガソリンの差を言ったけれども、結果的にその製品輸入国内精製のと実情で見ると、たまたまそれが灯油については合致する。だから灯油については、三井物産などは格別に手当てをして入れようというような動きにもう走ったりしておるでしょう。そういうようなものをこの中で納得いくように計数、指数を示して、委員会で明らかに願いたい。我々もそれでもってまたそれを追及してたださなければならぬと思うので、あえて時間超過したけれどもお尋ねした次第です。
  48. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 先ほども御説明しましたように、製品輸入につきましては実はその価格原油以上に値上がりをしているのが最近の傾向でございます。先ほどガソリンの値段を御紹介しましたが、灯油、ジェット燃料についてのシンガポールマーケット価格で申しますと、八月一日二十四ドル五十セントであったものが九月二十日には四十七ドルになってございます。二十二ドル五十セント値上がりをしております。そういうことで、製品輸入の比率が高いところは実はコストアップ要因が多いわけでありまして、それを安い原油からの国内生産で薄めて全体のコスト計算をしている、こういうことであります。値上げについてみんな八円で共通ではないかというお話でございますが、似たような値段にはなっておりますけれども、均一ではなくて、各社ごとにそれぞれ若干のばらつきがございます。
  49. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 二点ほどお尋ねをいたします。  石油の元売り業者というんですか、メーカーの会計処理方法は後入れ先出し法をとっておりますね。会計処理の方法といたしましては、先入れ先出し法と、移動平均法といいまして、石油会社のタンクの中に前から買った分と後から買った分と全部平均をして、平均価格で払い出して原価計算をする移動平均法と、それから後入れ先出し法、後から入れたやつをそのまま価格を払い出すという方法、三つの方法がありますが、この後入れ先出し法を今とっておる関係上、原油の値上がりが即国民生活に非常に響く、こういうような状況になっております。  いろいろとその経過はあるようでございますが、閣議でもこれはやっぱり移動平均法をとるべきではないかという議論もあったようですが、メジャーの関係からこういうことになったということのようでございますが、我が国における適用の仕方としては移動平均法をとるべきだ。上がったからそれを急激に、タンクの中に安いのがあるにもかかわらず、上がった分だけ先に値を上げていくという。逆に値が下がったときに、我々がガソリン灯油を買うときに下がったとおりにはそんなに現実に下がっていないんですね。ですから、上がったときは非常に敏感に反応いたしますが、下がったときにはなかなか下がらない。だから、この後入れ先出し法というのは本当に国民生活にとって無理がある、私はこのように思うんですが、いかがでしょうか、大臣。
  50. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) これは私は閣議で説明をいたしまして、閣議でも今のようなお話がいろいろ出ました。総平均法にしたらどうかというようなお話もございましたけれども、そういうお話もありましたので、できることならばということでこれはいろいろ事務当局を通じて各企業にもお話をいたしましたけれども、今お話しのように、これは世界的にメジャーが全部そういうスタイルでやっているものでございまして、メジャーと非常につながりの強い日本石油の元売り会社はやはりこれでやろうということで、しかもこれは二年前からどうも聞いてみるとやっておるようでございまして、原則としては三年間はそういうルールは、原価の計算方法は変えないというのが国税庁の通達にあるようでございまして、これを今回変えろと言って、もし変えることを国税庁が認めましても、企業がこれは承知をしなければいけないものでございますから、両方やってみたんですが、国税庁も、やはり二年のものをここで切りかえるということはどうも問題だと。そうなると、将来ともに企業がその都度適当に評価方法を変えて利益をそれだけ削減するというような形をやられたのでは大変だという心配もあったんじゃないかと思うのでございます。  いま一つは、やはりメジャーがとにかくそういうルールでやっている以上、なかなかそれに合わせてやっているものを今ここで変えろと言ったってこれは大変だというのが企業の大体考え方であったようでございまして、私どもなかなかこれを強制ができないものでございますから、やむを得ないという形で、後入れ先出し法で引き続いてそういう原価についての計算はやっていただくこともやむを得なしと、今度のそれぞれの内容のチェックに当たってもそういう観点でいろいろチェックを事務当局がさせていただいたということでございます。
  51. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 昭和四十九年に先ほど通産省の方からいただきました資料によりますと後入れ先出し法を最初に二社、これはメジャー系統の子会社の元売業者がやって、五十七年に一社、六十二年に三社、六十三年に二社、平成元年度に三社、このようになっておるようでございます。  問題は、先ほど言いましたように原油価格が下がったからすぐそれに比例して上がったと同じような率で末端の価格というのは非常に下がりにくい。上がったときには非常に敏感に反応する。ここのところは私は一番問題だ、このように思いますから、今すぐと言ってもこれは無理だと思いますので、メジャーがやったからしようがないというような、なかなか説明の理由がよくわかりませんので、きょうは時間がありませんから、その辺はまた後日ゆっくり説明をしていただきたいと思うんです。どう考えても矛盾をしているんですね。したがって、今後の検討課題にしていただきたいと思います。
  52. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 引き続いて私ども勉強 させていただきますけれども、正直、私先ほどもう少し十分お話をするとよかったのでございますが、一つは、もし万が一こういう形で計算方法を変えたといたしますと、今回確かに価格は徐々に上がっていくという形になりますね、徐々に。そうなってくると心配なのは仮需要で、必ず上がっていくことはもう間違いないわけでございますから、仮需要が起きて、これはもちろん私どもそういうようなことがわかれば行政指導でも抑えますし、あるいは法律でもって抑えることもできますけれども、買いだめ的なことが起きてくる、いわゆる仮需が発生するということも一つ心配されるというのは正直私どもはもう一つ考えておったことでございます。  いずれにしても、これは私どもがとやかく言うわけにはまいりませんので、企業がそういう気持ちになってくれなきゃいけませんので、そういうことができるのかどうかは検討いたしますけれども企業は自主的にそれぞれの企業の会計原則に基づいて会計をやっておるわけでございますから、せっかくそういうお話があったから私自身ももう一回勉強いたしますが、これは大変難しい。この間相当やったわけでございまして、大変難しいということだけは申し上げておかなければならないと思います。
  53. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 その仮需の問題や何かも価格の決め方の問題にもなると思うんですが、その辺についても後日また通産省の方で資料に基づいて説明して下さい。よろしくお願いします。  次に、全く石油関係ないんですが、八月一日の新聞と九月十三日の新聞によりますと、APEC、すなわちアジア太平洋経済協力閣僚会議の終わった後の記者会見において、米の自由化問題については国会決議を含めて、これは国会決議の変更ですかね、これを意図したような通産大臣の発言が新聞記事に次々に載りました。一応大臣に、大臣は前に農林水産大臣もやられたと思うんですが、大臣の意図をお聞きをしておきたいんです。
  54. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) まあ、新聞の皆さん、割合私の言った一言一句をそのままなかなか書いていただけなくて、多少刺激的な書き方でお書きになる場合があるものでございますから、こちらは困ることがあるのでございますけれども、私がシンガポール並びにバンクーバーで申し上げましたことは、とにかく何といっても私ども世界で一番自由貿易を享受している国でございますし、今後も自由貿易体制を堅持していくところにやっぱり日本の繁栄があると私は信じております。そういう面においてウルグアイ・ラウンドは、この十二月に向けて今一生懸命ジュネーブで各国がそれぞれ努力をいたしておりますが、これはどうしても成功させなきゃいけない。日本でもってこのウルグアイ・ラウンドをつぶすというようなことだけは絶対に避けなきゃいけない。  そこで、一番日本のウイークポイントは農業問題でございまして、各国から農業問題に対して手厳しくいろいろと日本に注文が来ておるわけでございます。農業問題というのは米だけではございませんので、米を含めて農業問題をどうするか。そこで、この間バンクーバーにおける共同記者会見がございました。共同記者会見のときにも、私は日本としては食糧安全保障の考え方は今後も堅持をしていくつもりでございます、ということをお答えをいたしておきましたら、日本の大臣武藤はこう言ったけれども、ヒルズさん、あなたはどうなのかと、日本の農業はそれでいいのか、しかも米の問題に対してどうかと、こういうまた質問が引き続いて、あれは日本の記者だったと思いますが、そういう質問が出ましてヒルズさんは、いや米の問題を含めて日本ではいろいろ考えてくれると思っておると、こういう表現であったと私は記憶をいたしております。  いずれにしてもそんなようなことで、この問題は、今後もウルグアイ・ラウンドをまとめていく上において、私は大きな問題になっていくことだけは間違いがないと思うのでございます。  そこで、私ども日本政府の立場として、少なくとも米の問題については今もう全く動きがとれない、何も申し上げるわけにいかないわけでございます。というのは、国会決議があるわけでございまして、そこで国会決議が今後とも金科玉条でいくのかどうか、あるいはある程度国会として、こういうウルグアイ・ラウンドをまとめるに当たって何か考えなきゃいけないとおっしゃるのかどうか。個々には与党、野党問わずいろいろ御意見がございますので、私としてはやはりその辺をあくまで今の国会決議を今後とも尊重していけと、あるいはまあこういう決議でもしてやろうとか、その辺をやっていただきますと、政府は政府で、またそれじゃ米というものについては一切動いてはいけないとこうおっしゃれば、米以外の農業問題で相当な私は一つの譲歩をしないとなかなか難しいという感じがするわけでございます。  その辺、いずれにしてももうタイミングとしては十二月でございますから、そろそろ国会で一体この問題をどうなのかという議論だけはしていただけるとこれはありがたいなという私は正直気持ちを持っているものでございますから、ついそういうようなことを申し上げたのが、いろいろ先ほど申し上げたように、その表現は少し何というか、どぎつく出ておったのではないかということでございます。
  55. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 今の大臣の発言を聞いておりますと、新聞の記事のとおりですね。だから本心が出ていると思う。私は、やっぱり国会決議を守っていただきたいという基本的な考え方に立っておる。  それから、農水省に伺いますが、日本が五百億ドルも食糧を輸入しておって、わずかな米の市場開放に最後までアメリカがこだわるというのは一体その背景は何なのか、それを聞いて終わります。時間は四十分までですから、要点をまとめてください。
  56. 紀内祥伯

    説明員(紀内祥伯君) 委員の御質問、相手の本音にかかわる問題でございますので、なかなかはかりかねる面がございますが、私どもとしてはやはり二つあるのではないかというぐあいに思っております。  一つは、やはり実利の面でございまして、RMAの提訴に見られますように、非常にアメリカの米産業は輸出依存度が高いわけでございます。全体の国際的な過剰基調のもとで、やはり輸出先の拡大という見地から求めておるという実利面が一つあると思います。  もう一つは、やはり現在のウルグアイ・ラウンドのもとで、貿易原則上の問題として象徴的に米を取り上げまして、ウルグアイ・ラウンド交渉におけるアメリカ立場をより有利なものにするというような二つの面があろうかというふうに推察しておるところでございます。
  57. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 終わります。
  58. 向山一人

    ○向山一人君 私に与えられた時間は三十分でございますので、幾つかの問題を簡潔にお答え願いたいと思います。  まず石油の問題で、九月十七日のニューヨークのマーカンタイル取引所の十月渡しの先物は一バレル三十三ドルの高値をつけましたが、もう昨日はニューヨークの取引所で三十五ドルの高値になってきております。一時の十五、六ドルの石油がもう三十五ドルの高値を呼んでおりますので、全般的に今後相当石油の値が上がるだろうという、こう予感がするわけでございます。我が国でも、先ほど来論議がありましたように、先般石油各社が八円から十円の値上げの発表を行いましたが、店によってはもう十五円も値上げをしている店もございます。  そこで、通産省は、我が国は過去二回にわたってオイルショックを見事に乗り越えてきたあのとうとい教訓を十分持っているわけでございますので、今回のこの石油の問題について、先般の二回のオイルショックの体験、教訓を十分踏まえておやりになっているかどうだか、まずもってお伺いをいたします。
  59. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 私どもは、第一次オイルショック、第二次オイルショック教訓を踏まえて何としてでも第三次オイルショックを招来し ないように、こういう形で努力をしておるつもりでございます。ですから、とにかくまず数量の確保ということに一生懸命になりましたし、価格の引き上げについても、輸入原油コストの引き上がった分だけはこれはもうやむを得ないけれども、それ以上のものは便乗値上げと認めるからそれはいけないよ、こういう指導をし、チェックをしながら、いわゆる輸入原油コストアップに見合った分だけを今度は上げるようだということだから我々は便乗値上げではない、こういう形にしたわけでございます。
  60. 向山一人

    ○向山一人君 申し上げるまでもなく、石油並びに石油製品等は国民生活の安定や産業経済関係の非常に重要なものであることは申し上げるまでもありませんが、前二回のオイルショックの体験から見ましても、国民に不安を与えるということが一番やはり大きな問題だと思います。トイレットペーパーの例がよく出ますけれども、全く国民に先行き不安があるということが大変に問題になるわけで、このことが結局は石油の場合のような重要なものに対しては買いだめや売り惜しみが行われる。実際にはそれだけの量がなくてもいいものが結局買いだめ、売り惜しみという形で価格が異常に上がっていくということになるわけですので、この点については過去二回のオイルショックの例を十分わきまえて進めてもらいたいと思います。  そこで、現在原油備蓄が百四十二日分先ほどからのお話であるわけでございます。国家備蓄が五十四日分、民間備蓄が八十八日分お持ちになっているわけですが、通産省は省令で八十二日分を持つように決めてあるようですが、これは今の百四十二日分との関連はどういう関連になっているのか、お答えを願いたいと思います。
  61. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 百四十二日と申しますのは、国家備蓄の五十四日分と民間備蓄の方の八十八日分を足したものでございます。民間備蓄八十八日分、平均でありますが、この中で法律上所持を義務づけている分が八十二日ということであります。
  62. 向山一人

    ○向山一人君 先ほどもお聞きしていますと、量に非常にとらわれていて価格の問題が割合に軽んじられているように私どもは感じるわけでございます。価格の問題というのは、特に石油の場合は石油会社に値を上げないようにしなさいと言ったところで、これは営利を目的として利益を上げようとしている者に値を上げないようにしろと言うよりも、国民に向かって備蓄は十分ありますよ、百四十二日分備蓄があるから、一二%クウェートイラクの方から輸入しておったけれども、その穴埋めについては心配はないんだと。先ほど来聞いていると心配がないようですので、心配がなければ心配がないということをかくかく国民にちゃんと知らせてもらえば、国民はもう二回のオイルショック経験していますから決してそんなに誤ったことはしないので、まずそのことを通産省がもっと、百四十二日分の備蓄によってイラク並びクウェートからの今まで購入しておった分、しかもこの購入しておった一二%の分についてはその他からもかくかくに補充もできるし、また一方においては省エネを行って埋めてもいきますけれども、値段が不当に上がるようならば備蓄を取り崩してもやりますよということをおっしゃってもらえば、国民は非常に安心して石油に対しての不安がなくなるわけなんです。  その点がどうしても私どもは、何か量にとらわれておって、量がなくなったら備蓄を取り崩すけれども、値段のことは余り考えていないように受け取られているのは大変残念なんですが、この点について通産当局のお答えを願います。
  63. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 大変難しい問題は、価格を抑えてしまいますと、これ結果的には市場メカニズムに基づかない価格をどういう形でできるかということでございますね。やっぱり自由経済ですから、例えば石油業法で標準額というのがございます。石油業法で標準額でも設定すればこれは別でございますけれども、今のような形で自由にしておいて幾ら仕入れは上がっても上げるな、これは企業はつぶれてしまうわけでございますからそれはできないのでございますね。やっぱり仕入れの上がったそのコストに見合う分だけはこれはやむを得ないと思うのでございます。  その仕入れがなぜ上がるかというと、国際原油の市場で上がるわけでありまして、日本が勝手に上げているわけではないわけであります。しかしながら、その辺のところはこれはもう我々としてはできる限り国際価格が上がらないようにということで、いろいろサウジアラビアあたりにもお願いをして、サウジアラビアも一生懸命そういう努力をしてくれておりますけれども、残念ながら今スポット物あたりは上がってきておるということでございます。この点は、だから日本だけが今持っている備蓄をもし取り崩しちゃって、そしてしかしそれも先ほどの御質問のございました後入れ先出し法だから、このルールを変えないことにはこれまたできないわけです。  それから、国家備蓄は今よりも実はもっと高い価格のものなのでございます。これはもう一ドル二百円以上の為替レートのときに買ったのがほとんどでございますから、国家備蓄のものは非常に実は高いコストになっているわけでございます。そういうものを国がそれじゃ税金でもってカバーして、国民の合意を得て、その差は税金で持つからもう何でもいいから安く出せと、こういうことは、それはやれとおっしゃればこれはやれないことはないわけですが、そのかわり一体それだけの税金分はだれが持つかと、こういうことになるわけですね。ですから、そしてそのときにはそれじゃ今度はそれこそ将来において量が確保できなくなったときは一体どうするんですかと、こういうことにもなるわけであります。私どもはできるだけ、だから価格も極力国際石油市場が上がらないようにIEAにもこの間申してまいりました。いろいろのルートがOPECとの間にありますから、とにかく価格はできるだけ上げないようにという話をIEAの連中に個人的にOPECの連中と話をするようにと、こういうこともしてまいりました。  それから、先ほど申し上げましたけれども備蓄についても世界的に例えば本当に急激に上がるとか、あるいは非常に需給がタイトになるとか、そういうときには思い切って、各国がそれぞれ大体平均すれば百日の備蓄を持っておりますから、これを放出しようじゃないか、こういうこともIEAで話し合ってきたわけでございます。  私はやっぱりそういう形で、もちろん価格もできるだけ抑えなければいけないが、何といったって量を確保するということがまず第一ではないかと、こういうことで今努力をし、価格については先ほどお話がありましたように、確かにガソリンとか灯油とかそのもの自体は上がりますけれども卸売物価全体に対する影響はそんなにないという形でございますので、今のところこの程度のところはやむを得ないかと、こう思っているわけであります。
  64. 向山一人

    ○向山一人君 私の問い方があるいは悪かったかもしれませんが、私も大臣と同じようにまだ石油の値段は上がるだろうし、別に石油の値段が上がることを、元値が上がるだけですから正直に石油値上げをするのは当たり前のことなんで、そのことを申し上げているわけではない。値上げしたけれども、また先ほどの国際的な原油価格値上げを考えれば日本もまだ恐らく上がると私は判断しているわけなんです。  ただ、不当に値上げをするのを通産省石油を販売する会社の方を監視するといったところで、これは利益を上げなきゃならぬ会社だから、何とかして一銭でも高く売ろうと思っているんですから、それを監視するよりも国民に対してもっとよく理解を求めておけば買う方が高くは買いません、それは。売る方に安く売れと言ったところでこれは利益を上げなきゃならぬから、そんな立場の者に安く売れと言わずに、買う方の方々に十分あるから安心してくださいということを通産省の方が国民に向かってやっぱり言ってもらいたいし、石油需給適正化法についてもあるいはまた石 油備蓄法についてもそういう考え方で一定の度を超した場合には国民にちゃんとその報告をしなきゃならぬとかというようなことがありますから、その精神はやっぱり国民に対してそういう状況を、今回の場合には百四十二日分の備蓄があるわけですから、だからよくそのことを国民に向かってやっていただきたい。そうすれば先行き不安などはなくなるであろう、こう思いますのでそのことをお願いしているわけです。
  65. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 実は今、PRをいろいろこれからやろうと思って研究しているところでございまして、今月中にはいろいろと、遅くて申しわけございませんが、PRの案も今いろいろ練ってやっておりまして、国民に十分理解を求めるようにしたいと思っております。
  66. 向山一人

    ○向山一人君 時間がありませんので本当にはしょっていろいろお聞きしますけれども、もう一つは、昭和六十三年の五月にこの商工委員会で私質問をしました。当時はイランイラクが戦争をしているころでしたから、もともとこの地域はいつ火を噴くかわからぬというのは歴史が証明しているところなんで、どうしてもこの地域を中心にして石油を買うというようなことは不安定な要素になるので、何とかもう少し方法はないだろうかと。特にアメリカとの貿易のアンバランスが非常に起きているやさきでもありますから、アメリカのアラスカの石油を何とか日本も参画して購入するようなことはできないのかということを当時の資源エネルギー庁長官の浜岡さんにお尋ねをしたわけです。そのときに浜岡長官は、日本アメリカとの間でエネルギーワーキンググループというのを設けていろいろ検討を加えて、このアラスカの問題についても真剣に検討をしているというふうな御答弁がありました。  ちょうど一年前になりますが、昨年の九月に私どもは参議院の方から産業と通信の関係の特定事項の調査アメリカとカナダへ参りました。アメリカの国務省へ行ったときに、アメリカの国務省の関係者と会談いたしまして、そのときに日米の貿易摩擦の問題でアラスカの石油の問題を質問というか、議題にいたしましたところが、出席している四、五人の関係の方は全員賛成をしておった。そしてまた、極東の担当をされている方は大統領も賛成していますと、ただアラスカ選出の議員の賛成がまだ得られていないけれども、みんな賛成ですというふうな意見があった。    〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕 これができれば、今後アラスカの石油日本へ入ることになれば貿易摩擦の問題も減殺されるでしょうし、大変結構なんですが、前長官の浜岡長官はそういう話がありましたが、現在の資源エネルギー庁長官はそのエネルギーワーキンググループで真剣にやっている結果は現在どうなっているのか、ちょっと簡単にお答えを願います。
  67. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 先生に八八年の五月にこの委員会で御質問をいただいているわけでありますけれども、そのときにも当時の浜岡長官が答弁申し上げましたように、本件、日米間で日米エネルギーワーキンググループというのを設けまして、そこで検討しているわけでございます。アラスカ原油につきましてはそのときにも、前回にも御答弁していますように、アメリカ国内法で、これは二つありまして、アラスカパイプライン法という法律と輸出管理法というのがあるわけですが、原則として輸出が禁止をされているわけであります。  それで、この問題についてこのワーキンググループでいろいろ協議をしているわけでありますけれどもアメリカの行政府の説明によりますと、行政府はこれを進めようとしているわけでありますけれどもアメリカの議会に原油輸出解禁への反対が非常に強くて、これを覆す見通しがないというようなことなんだそうであります。最近アメリカ原油輸入依存率上昇傾向にありますし、今回の対イラククウェート禁輸措置などもありまして、アメリカにとりましても今後原油需給についてはタイト化する可能性がありますので、当面本件についての進展を期待するのはちょっと難しいかなと、こんなふうに考えているわけでございます。    〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕  いずれにせよ、供給源の多角化、輸入ソースの多角化という点については、先生指摘のとおり、我々この問題も含めて引き続き積極的に進めて検討してまいりたいというふうに考えております。
  68. 向山一人

    ○向山一人君 いずれにしても中東だけに、中東に七〇%ぐらい石油依存しているようですが、できるだけもっと多面的な購入を考えるべきだと思います。  ソ連との関係が大変進展していますから、恐らくソ連との関係でも何十年か、二十年ぐらい前から例のチュメニの油田の開発に日本の投資を依頼されてきておりまして調査もしてきましたし、また二、三日前の新聞で見ると、中国へ行っている日中経済協会の河合会長などは、中国の李鵬首相が中国の石油の開発に日本も投資してもらいたいというようなことも言われている。いろいろ、もろもろのことを考えると中東以外の方からも石油の購入ができるようにだんだんなるだろうと思いますし、またアラスカの石油もガスの関係は既に台湾などにも輸出もしているようですから、いろいろこのワーキンググループの方で積極的に進めていただいて、もちろん法律の改正もしなきゃなりませんことも承知していますが、進めていただきたいと思います。  そこで、大変ひとつ失礼な問題かもしれませんし、また難しい問題ですが、現在の石油を優先的なエネルギー源とする時代というのは、二、三十年前に、もう三十年ぐらいこんな調子でやれば世界の石油はだんだんなくなってきちゃうと言われましたけれども、二十年たった今日全然なくなるような形もなくて、新しくどんどん開発されているわけです。最近は特に環境汚染の問題等も大変大きな問題として持ち上がっておりましたりしますので、代替エネルギーの研究等を今後どうしても積極的に進めていく必要があると思いますけれども、今の優先的な石油エネルギー源というものは、長官は何年ぐらい一体こういう状態が続くとお見通しを持っておられるのかどうなのか、後の代替エネルギー関係の焦点も一応つかまなきゃならないので、お考えだけを聞いておきたいと思います。
  69. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) あと何年石油がもつかという大変難しい御質問でございますのでお答えしにくいわけでありますけれども、例えば世界最大の油田がございますサウジアラビアの可採埋蔵量の統計なぞを見ますと、これは可採年数というのを見ますと百年以上、百四十一年というような数字が出ております。今のぺースで掘っておりましてあと百四十一年はもつ、UAEも百四十五年もつ、クウェートは百六十七年というような数字があります。よく世界の石油はあとこの調子で掘り続けると三十年というようなことを三十年前から言っておるということでありますけれども、確認可採埋蔵量というのは調査が進みますとその都度その都度ふえてまいりますので、そういうことではないかと思います。  我々、いずれにしても有限なエネルギーであることは間違いありませんので、また供給の不安定性等も考えますと、代替エネルギーの開発というのを一生懸命やらなければいけないわけでありますけれども、それでは石油がもうあと十年、二十年でなくなるのかと言われればそんなことはないというふうに考えているわけでございます。現に先ほども申し上げましたが、長期エネルギー需給見通しの二〇一〇年の展望で、石油への依存率を下げる努力をするわけでありますが、二〇一〇年においても日本の一次エネルギー供給の四六%は石油に頼る、こういう姿にしているわけでございます。
  70. 向山一人

    ○向山一人君 それから、先ほどお聞きしました石油備蓄の八十二日分というのは一体どういうところに根拠があって八十二日分になっているのかどうなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  71. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) ちょっとややこしい数 字を申し上げて恐縮でありますが、民間の石油備蓄義務は従来九十日分を法律上の義務として課しておりました。これは国際的にも九十日備蓄ということで言っておったわけでありますが、他方で日本国家備蓄三千万キロリットルの原油をためております。  ところで、一昨年からでございますけれども、この国家備蓄の三千万キロリットルを九〇年代半ばまでに増量をいたしまして五千万キロリットルの体制にふやしていこう、こういう計画をつくって年々その手当てをしているわけでございます。第一回の増量を実施をし、第二回目の増量はちょっとこういう情勢になりましたので今様子を見合わせているところであります。それらの国家備蓄の増強の様子等を眺めながら、民間の備蓄についてはこの九十日を七十日まで減少させよう、こういうことで四日ずつ備蓄義務を減少させてきているわけであります。二回四日間減少させましたので今八十二日になっている、こういう状況でございます。最終的には私ども国家備蓄が積み上がるのとぺースを合わせて七十日体制にもっていきたい、こんなことを考えているわけです。
  72. 向山一人

    ○向山一人君 きのうの産経新聞を見ますと、八十二日分を七十八日分に通産の方ではしていくというようなことで、今のイラククウェートの問題等で大変石油の量が心配になっているときにこういう八十二日分を七十八日分に減らす、どうもタイミングがよくないというふうに思いますけれども、どうお考えですか。
  73. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 今先生がお述べになりました新聞記事については、私どもまだ方針を決めているわけではございません。検討中の課題でございます。  今御説明いたしましたように、当初の計画では民間の備蓄義務というものを毎年四日分ずつ減少させて七十日に持っていく、他方で国家備蓄の方は三百万キロずつ積み上げていって五千万キロリットルにする、こういうことになっておるわけでありまして、この四日分、八十二から四を引いたのが七十八ということで計算上のものでございます。国家備蓄の方は今三千三百万キロリットル体制になっておりまして、それを三千六百に積み上げるところをこの情勢で見合わせている状況でありますので、そういう情勢のもとで民間備蓄義務を引き下げることがいいのかどうか、そこを今検討している、こういう状況でございます。
  74. 向山一人

    ○向山一人君 先ほどちょっと触れましたけれども日本は現在のような形のエネルギーがほとんど産出しないというようなことで、エネルギー問題が非常に日本にとっては大きな問題なんですが、従来から通産省の方は、原子力エネルギーは別としまして、自然エネルギー、いわゆる代替エネルギーの開発関係のことが法律で決まっておって、そしてこの中に新エネルギー総合開発機構というのをつくって、太陽エネルギーの技術開発とかあるいは地熱とか風力とかいろいろ自然エネルギー関係の開発に非常に力を入れております。私どもサンシャイン議員連盟でもこれらの視察を行ってきておりますけれども、これは非常に大事なことだと、今からこういうエネルギーの問題にもっと力を入れなければいけないんじゃないかというふうに率直に実は考えております。  この新エネルギー総合開発機構の方は政府が四十七億円の出資をしておりますけれども、この際代替エネルギー関係を、もう相当いいところまで技術も来ているようですから、もっと思い切ってこういう機構があるならばこの機構の資本金をふやすとか、この関係にもっと力を入れてもらいたい、こんなふうに思うんですが、大臣、お考えをお聞かせ願います。
  75. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 私ども、今御指摘のように、いろいろオイルショック経験いたしまして、代替エネルギーといいますか、新エネルギーの開発は非常に大切であるということで力を入れてまいりました。今御指摘のように、ぜひひとつ来年度予算ではこういう点も予算をいわゆる増額をする重点的な問題として取り上げていきたいと思っておりますし、今お話でございますサンシャイン計画でなかったもので最近いろいろ出てきておりますのは、例えばごみその他の廃棄物から新しいエネルギーをもっと確保したらどかというふうなこともこれから我々としては十分検討し、なるべく早いうちに実現をしていきたいと思っておるわけでございます。何にしても油に依存しなければならないけれども、その油が非常に不安定だと、こういう中にあってはぜひこういう新しいエネルギーの開発、実用化に向かって努力をしていきたいと考えておるわけであります。
  76. 向山一人

    ○向山一人君 時間が参りましたから、以上で終わります。
  77. 広中和歌子

    広中和歌子君 中東貢献策の第二弾として合計四十億ドルの支援を行うということが発表されたわけですけれども、その受け皿並びに使途について御説明いただきたいと思います。
  78. 内田富夫

    説明員(内田富夫君) 中東における平和回復活動に係る我が国貢献策に関しまして簡単に御説明申し上げますと、八月二十九日の閣議及び総理からの発表が我が国貢献策の全容でございまして、これを大きく二つに分けまして、一番に「湾岸における平和回復活動に対する協力」、大きな二番といたしまして「中東関係国に対する支援」、いわゆる援助経済協力、この二本柱でなっておるものでございます。  先生のただいまおっしゃいました四十億ドルということでございますが、八月二十九日にこの貢献策自体、自体と申しますか項目を発表いたしまして、これ自体は変わっていないわけでございます。したがいまして、その第一弾、第二弾という御表現も間違いではないのでございますが、貢献策としては二十九日に既に骨子が発表になっており、これは不変であるということをまず申し上げたいと思います。  それに加えまして、それじゃ金額の面、ここで若干の変化がございまして、八月の三十日にこの貢献策一つの方の平和回復活動に対する協力、これについて十億ドルを今年度に支出するということが発表になっていたわけでございます。それに加えまして、九月の十四日の閣議を通じまして、一につきましては十億ドルをさらに協力方意図を表明するということになり、二につきましてはもともと発表が行われていなかったわけでございますけれども、したがいまして初めてということになりますけれども二十億ドルの援助をするということで、それで合計全部合わせまして四十億ドルということになるわけでございます。  それからさらに、受け皿ということで御質問でございますけれども最初に八月の三十日に発表いたしました今年度分の十億ドル、これの大部分につきまして湾岸アラブ諸国協力理事会と日本国政府の取り決めに基づきまして、大部分と申しますと千二百二十九億円でございますが、この部分につきまして湾岸アラブ諸国協力理事会、GCCと申しておりますが、そこに対して、そこを通じて協力するということを本日の閣議で決定いたしまして発表になった次第でございます。
  79. 広中和歌子

    広中和歌子君 今後の中東情勢の変動から増額になるということも予想されますでしょうか。少なくともアメリカ側はそう期待しているようでございまして、これは最近の二十日の朝日新聞の夕刊でございますけれども、「ソロモン米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は十九日開かれた下院アジア・太平洋小委員会の湾岸危機に関する集中審議で証言し、日本政府に対して状況の変化に応じた追加的財政支援と、人員と船舶、航空機の中東地域への派遣拡大を求めていることを明らかにするとともに、日本政府の支援策決定の遅れが米議会などからの対日批判を招いた原因であるとの認識を示した。」、こういう記事が出ているわけです。こういう中で国民から理解を得るための、つまり支援をするための原則というものは何なんでしょうか。  そしてまた、今後このような要求というものが、要請というんでしょうか、事情によってはあり得ると思うのでございますけれども、歯どめといったものもあるんでしょうか。その二つの点でお答えいただきたいと思います。
  80. 内田富夫

    説明員(内田富夫君) 米国要人の米国国内におきまする発言につきまして私ども政府の特に事務レベルが国会の場で正式にコメントするというのはかなり困難を伴いますので、ソロモン国務次官補の問題と申しますよりは米国全体としての受けとめ方ということで申し上げさせていただきますれば、確かに我が方貢献策の策定のタイミングについて一時期米国において不満があり、それから最初に出ました十億ドルについてもややもうひとつすっきりしないものを先方が感じていたということはあり得るわけでございますけれども、二本柱をきちっとした形でまとめまして九月の十四日に発表いたしましたにつきましては、ブッシュ大統領からもこれを評価するという発言をいただいておるわけでございまして、全般的に日米関係という観点から見ますれば米国の評価を得ております。それから、私ども中近東アフリカ局でございますけれども中東諸国の評価というものもかなり前向きなものがあるということ、そういうふうに感じ取っておるわけでございます。したがいまして、そういう次第でございますから、この時点でまた追加ということは政府としては考えていないということを申し上げざるを得ないという状況でございます。  それで、何に使うのか、歯どめは何かという点でございますけれども、これは八月二十九日の発表で項目が明らかにされておるわけでございまして、特に一番の「湾岸における平和回復活動に対する協力」といたしましては四つの小項目を立てておりまして、輸送に対する協力、物資を提供することによる協力、医療サービスの協力、それからそれらに加えて船舶、航空機の借り上げ費の一部、そのほかの費用に充てるための資金協力ということで四つの項目を立てているわけでございます。それらにつきましてはGCCにおきまする基金をつくっておりますので、基金の運営委員会を通じて支出していくことになるわけでございます。その運営委員会というものがGCCと日本の間での合意を確保しながら使われていくということでございますけれども、これは二十九日の発表のときも、内閣総理大臣から御説明ございましたように、あくまでも憲法の枠内での活動であるということでございまして、平和回復活動というものもそういった枠内での最大限の日本の協力ということになろうかと思います。
  81. 広中和歌子

    広中和歌子君 今のお答えの中で、言葉じりをとらえるわけじゃないんですが、アメリカの評価それから湾岸諸国の評価ということをおっしゃいましたけれども日本国民の評価というものについてはどのように、調査をなさったことはございますか。
  82. 内田富夫

    説明員(内田富夫君) これは外務省から、特に外務省の事務方からお答えする問題として適当かどうかわからないのでございますけれども、八月二日のイラククウェート侵攻以後、政府としては官房長官談話を累次発表したり、それからいろんな意味で広報に努める、意見交換に努める、それから国会は閉会中でございますけれども、いろんな閉会中の審査で国会の御意見も拝聴をするということで、できる限りの、何と申しますか、国民と申しますと大変あれなんでございますけれども、政府として国民に納得していただくラインでの貢献策を策定したつもりであるということは申し上げることができると思います。
  83. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  次に、貿易保険と国際紛争についてお伺いいたします。  貿易保険というのはどういう成り立ちで存在しているのか、民間のいわゆる損害保険ですね、それとどういう形で違うのか、その存在意義というものについてちょっと御説明いただけますか。
  84. 堤富男

    説明員(堤富男君) 貿易保険は昭和二十六年にできておるわけでございます。それは貿易、輸出ですとか輸入ですとか海外投資を民間の企業がやる場合に、例えば今度のような場合でもありますが戦争に近い状況が起きたとか、我々の言葉で非常危険と申しておりますが、そういう不可抗力な結果お金がもらえるべきものがもらえなかったというようなことを保険として見るわけでございます。それからもう一つは、相手の信用の問題、信用危険と申しておりますが、相手の企業が倒産をしてしまった結果もらえるべきものがもらえない、この二つがカバーされております。  民間の場合には現在これに類似のものはやっておりませんで、船が壊れましたとか、そういう意味の保険はございますけれども、いわゆる損害保険ということでございまして、こういう貿易保険的な役割は、一応日本では今通産省がやっております貿易保険だけが業務としてやっておるという状況であります。
  85. 広中和歌子

    広中和歌子君 海外には例えばロイズとかいろいろございますよね。私もよく知っているわけじゃないんですけれども、たまたま小耳に挟んで。ああいうところの保険などが、こうした紛争状態というんでしょうか、危機が来ますと非常に掛金を高くするとか、それからあるいはもう受け付けないというようなことがあると伺いましたけれども、民間の他の国におけるこうした危険、リスク分散というんですか、それについてちょっとお話しください。
  86. 堤富男

    説明員(堤富男君) 通常の保険は、例えば物を、貨物を船で運んでいる途中でペルシャ湾を通る場合には、私の知識で最近知っておりますのは、保険料を十倍ぐらいにしないと受けられないというふうなことはございます。ただ、この保険とは実は性格が違うと先ほど申し上げました。別種の保険ということになっております。世界的には、ロイズのような民間でやっている保険というのは、むしろそういう運ぶ途中の損失ですとか、そういうことを保険に掛けておるわけでございますが、先ほども申し上げましたような貿易に関連した保険というのは、イギリスでもドイツでもフランスでも基本的には政府ないし政府機関がやっておるのが普通でございます。  そういう意味では、政府でやっておりますこの保険は、相手の国と貿易ができないような状況になってしまったり、相手の国が全く払えなくなってしまったような状況の場合には引き受けを停止する場合がございます。事実、例えばイラクとの関係ではもう引き受けをしようもございませんが、ただ相手の信用度、その国の非常危険度等に応じまして窓の開き方というのは段階的にやっております。非常にオープンなところから制限的に引き受けているところというようなことでございますが、我々貿易保険の一つの使命でございますので可能な限り開いてみる。それから、一つ経済協力的観点からも、できれば引き受けを広げることが今後のその国との貿易に役に立つという場合にはそういうことも、弾力化と我々の言葉で申しておりますが、弾力化ということもサミット等でも要請されておる次第であります。
  87. 広中和歌子

    広中和歌子君 中近東なんかですと、我々はそちらから油を買わなければ、買わせてもらわなければならないという状況の中で、こちらからいわゆる民間からの投資というものを促進しなければならない、あるいは物を売る、そうした貿易を盛んにしなければならないというふうに位置づけられていると思うのでございますけれども、そういう中でイラク向けの貿易保険つき商業債権というのがあると思うんですけれども、その金額、内容についてお答えください。
  88. 堤富男

    説明員(堤富男君) イラクとの関係では現在日本人全体が持っている債権というのは約七千億ございますが、そのうち保険に掛けてあるという、当省でやっております保険に掛けております金額は、残高ベースで四千三百億円ぐらいになっております。これは、日本側の債権者というのはメーカーでございますとか商社でございますとか、大変広範になっております。それから相手方は、イラクの場合には政府関係の銀行ですとか公団というようなものがいわば債務を負っているという格好になっております。
  89. 広中和歌子

    広中和歌子君 イラク問題が長期化いたしますと保険金請求が非常に増加するというふうに思いますけれども、資金繰りというのはどういうふう になっているんでしょうか。
  90. 堤富男

    説明員(堤富男君) 現在のところこれについての請求はまだ出てきておりません。恐らく、イラク状況について長期化をするのかどうか、そういう点が今後の請求にも関係いたしますし、企業としての資金繰りというのも請求の度合いに関係してくると思います。今後これがどのくらい出てくるかというのは、大変事態が流動的な現在ちょっとどのくらいかということを申し上げる段階ではないと思いますが、ただ請求が出てまいりますれば、当然、保険約款に従いましてこれをお支払いするということはもう契約上の義務でございますから、やらざるを得ないと思っております。  ただ、その資金繰りという点につきまして、この四千三百億というのは、通常の年でいきますと大体一千六百億円ぐらい払っているのが普通でございますから、かなり大きい金額であることは事実であります。したがいまして、資金繰りにつきまして必要な対策を講ずるというふうに我々は思っておりますが、請求の出ぐあいをしばらく見ていく必要があろうかと思っております。
  91. 広中和歌子

    広中和歌子君 最近における貿易保険の収支、それはどういう状況になっておりますでしょうか。
  92. 堤富男

    説明員(堤富男君) 基本的には七〇年代はほぼ黒字で推移いたしまして、八二年ぐらいから、これは世界的な状況とかなり絡んでおりますが、累積債務国問題というのが発生したわけでございます。それ以来特定の国に対して借金の返済を待ってあげるという、技術的な用語ではリスケジュールという言葉を使っておりますが、これが国際的な約束のもとにリスケジュールという形で返済を待つということになりますと、企業はその結果の支払いがなくなるわけでございます。一方で保険金の支払いをして、実際に日本に入ってくるのは十年間ぐらいかかって入ってくるというようなことでございまして、その結果、いわゆる資金繰りベースの収支では八二年以降悪化をしておるわけでございます。  ただ、八八年度におきまして一般会計から約九百億円を上回る出資をいただいたこともありまして、その当時からいわば収支改善策ということで、一つは保険の利用率のアップあるいは保険料を上げたというようなこともございまして、あるいは回収金の努力をいたしまして、今年度に入りましてからはかなり改善の方向に向かった段階であるわけでございます。ただ、先ほどのお話のようにイラクの話がこれからの話でございますので、これがまたある種の悪化要因になるのではないかと心配しておる次第でございます。
  93. 広中和歌子

    広中和歌子君 掛金収入というのはどのくらいなんでしょうか、年間。そしてこの掛金というのは、日本だけじゃなくてほかの国でもこういう貿易保険というのは国ベース、公的に持っているというふうに先ほど伺いましたけれども、率というのは国ごとに違うのでございますか。
  94. 堤富男

    説明員(堤富男君) 八八年ベースで保険料収入というのが約二百十四億円いただいたような格好になっております。八九年度の見込みではこれが恐らく三百五十億円ぐらいになるのではないかと思っております。このほかにもちろん回収金があるわけでございまして、約四百億円ぐらいの回収金、これが収入になるわけでございます。  支払いの方は年によって違いますけれども、先ほど申しました千六百億円ということで、その分が赤字になるわけでございます。この赤字は、世界の各国も実は八二年以降共通して赤字になっておりまして、ほかの国が赤字であるから日本も赤字でいいとは思っておりませんが、やはり一つの世界的傾向で債務国の支払い状況が非常におくれている、その分が保険会計にとって資金繰りベースでは赤字という格好で出てくるわけでございます。
  95. 広中和歌子

    広中和歌子君 累積するとどのくらいになりますんですか。それから、それをどういう形で解消していこうとなさっているのか。どこから、つまり結果的には国家財政のどこの部分から出しているんでしょうか。
  96. 堤富男

    説明員(堤富男君) 累積ベースというのでいきますと、元年度、昨年度の決算、これは見込みでございますが、累積で約四千四百五十五億円の借りがあります。この借りはどこから借りているかといいますと、基本的には財政投融資のお金、国の第二予算と言われております資金運用部から借りているという格好になっております。  この赤字は本当の意味の損失かというと、これが将来に向かっては返ってくると我々はまだ思っておりまして、なぜかと申しますと、債務国が今は払えないけれども十年間にわたって払いますという部分がこれから順番に返ってくる部分だと思っております。したがいまして、そういう意味では、回収の努力というふうに申しておりますが、発展途上国なり債務国の経済情勢がよくなる場合には順調に返ってくる。ある場合にはこれがまた延ばしてほしいということになる可能性もありますが、そういう意味の回収努力をしていくということになろうかと思っております。  もともと保険会計は収支相償うということになっておりまして、単年度ベースできちっと合うということではないんですが、資金繰りベースとしてもある程度の収支が相償っていくことが理想ではありますが、ここのところが最近の国際的な経済情勢、特に南の国の経済情勢の悪化に伴って、やや経過的な意味だと思っておりますが、赤字が出ておるわけでございます。ただ、今回のイラクのような場合は、これがかなり金額的にも大きい点は、資金繰りにはさらに努力が必要かというふうに考えております。
  97. 広中和歌子

    広中和歌子君 本当に言い古された言葉ですけれども、東西冷戦関係が解消して、そして本当に一つの地球ということで希望が見えてきたそのさなかにこのイラククウェート侵攻というのがあったわけです。これの見方はいろいろあると思いますけれども、ある意味で南北格差、先ほどからも累積債務のことでおっしゃいましたけれども、南北問題の一つあらわれではないかなというような見方もできるのではないか。つまり、先進諸国と後発国のあつれきではないか。  我が国は最近ようやく先進国の仲間入りをし、そして発展途上国を助けるという非常に大切な役目を背負っているわけでございます。直接のODA日本は頑張っているわけですが、そうした贈与とか借款だけではなくて、民間ベースでもさまざまな形で直接投資をしたり、つまり地元に工場移転をしたりといった形で、大きな目で見れば世界の経済に寄与しているといったような見方もできるんじゃないかと思うんですね。  そういう中でこの貿易保険というものを見ていったらどういうことになるか。先ほどの累積債務、いわゆる貿易保険の中における債務でございますけれども、希望的観測としていずれは返してもらえるということでございますけれども、ある意味でこれはODAの中の、つまり経済援助のオーバーヘッドの一つとして見るといったような新しい見方が必要じゃないかと思うのでございます。お立場からのコメントと、それから通産大臣、どのようにお考えでいらっしゃるのか、お伺いいたします。
  98. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 今御指摘がございましたけれどもイラク戦争についての見方は多少違いますので、これはコメントを差し控えさせていただきますが、今の貿易保険を今後ともやはり充実をしていかなければいけないというのは、今お話しのように累積債務が非常にふえてきております。こういう中で日本が今後とも海外へより企業が進出をし、そしてそれぞれの国の経済の発展に寄与する、こういう形からまいりますと、こういう保険が非常に大切であろうと私は考えております。なかなか大変でございますけれども、特に今の四千何百億あるものがなかなか返ってきそうにない中で、この貿易保険の会計をいかに健全に持っていくかというのが大変大切な問題でございます。これは財政当局ともいろいろ今話をし合っておりますけれども、できるだけいい形にして、そしてこれが活用され、そして海外へ進出する企業が安心ができるというようにしていかなければな らない、こう考えておるわけでございます。
  99. 堤富男

    説明員(堤富男君) それでは、大臣の補完といたしまして数字を申し上げたいと思いますが、貿易保険の役割は、先生のおっしゃるとおり、一般のODAに比べまして大変量的にも大きいわけでございますし、足の速さも大変でございますし、それから技術と設備と一緒になって出かけていくという非常に効果が大きいわけでございます。  俗に発展途上国の累積債務が一兆三千億ドルあると言われておりますが、日本がそのうち二千四百億ドルを持っておるわけでございます。約五分の一と申し上げたらいいでしょうか。この数字を円に直しますと約三十四兆円という数字になります。その三十四兆円のうち貿易保険のウエートというのが約十兆円ございます。それで、例えば輸銀、基金合わせまして六兆円でございますから、いかに貿易保険がカバーしている量が大きいかということは御理解いただけるかと思います。  その量の大きさと加えまして、貿易保険は、例えば海外投資ですとかという場合には技術と設備と一緒になっていきますから、いわばODAのあれが第一陣でベースをつくりますと、日本企業がいわばその上に花を咲かせる効果を持っているという意味では、足の速さと量の大きさ、質の高さというところはやはり貿易保険の役割だというふうに思っておる次第でございます。
  100. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。大変これは重要な問題だと思いまして質問させていただいたんですけれども、いい勉強になりました。  石油の値段などについて既に同僚議員から随分御質問がありましたのですが、少し時間がございますので一、二点重ねて伺わせていただきます。  米国では、石油一バレルにつき十ドル上昇いたしますとGNP一%の低下と言われておりまして、日本でも、ある銀行の調査によりますと、三ドル上昇で〇・三%低下と、同じような率で影響を受けるようでございますけれども、例えば十ドル、二十ドルといった上昇は比例的に影響していくんでしょうか。つまり、低下していくんでしょうか。それから、第一次、第二次石油ショックのときとの比較の中でお答えいただければありがたいと思います。
  101. 末木凰太郎

    説明員末木凰太郎君) GNPへの影響ということでございます。残りの時間も少ないようなので簡潔に申し上げざるを得ませんが、特に一次、二次と比較してという御指摘でございますが、まず結論を申し上げますと、一次、二次に比較すると影響は相対的に軽微ということでございます。  第一に、上昇幅が前回、前々回よりも小さい。第一回のときは、はかり方によりますけれども、四倍程度、第二次は二・五倍程度。今回は仮に十八から二十五ドルですと四割程度ですし、昨日ぐらいですとちょっと上がっておりましても七割程度でございますか、十七から二十九ドルに上がったとしても七割程度上昇幅が小さい。  第二に、その間にしかも日本のGNPは大きくなっておりますので、GNPの石油依存度、つまり一単位のGNPを生み出すときに何キロリットルの油が要るかという意味のいわば原単位、これが低下しております。数字で言いますと、四十八年度、第一次のときの依存度を指数化して一〇〇としますと、平成元年度は四七・三、計算でそういうふうに出ます。  さらに、この石油ショックが起こったときの経済環境が違いまして、御承知のように、特に第一次のときには既に日本経済がかなり問題の状況になっておりました。過熱していた、物価もかなり上がっていた状況ですが、今回は内需中心に腰の強い比較的順調な拡大をたどっている状況にあります。そういった背景で、消費者の皆様方あるいは企業の受けとめ方も前回、前々回に比して落ちついている、こういった状況を総合しますと相対的に軽微ということになります。  それでは、成長率にどのくらい影響するかということでございます。これは端的に言いますと、石油価格上昇分、量は問題ない、確保できるということで、価格で申しますと、その上昇分というのは日本経済から産油国に所得が移転するわけですから、その持っていかれる所得をどことどこで負担するか、だれの所得が減るかということによっても影響が違うわけです。いずれにしても、例えば企業の収益が圧迫されれば設備投資を抑える方向に働くであろう、消費者物価上昇を通じて家計の実質所得が減れば消費を抑制する効果が生ずるであろう、あるいはまた金利高に伴って住宅建設にも抑制の効果があるだろう等々の効果が順々にめぐりめぐって、そして最後にGNP全体がどうなるかということになるわけです。  これは、その間の相互関係、因果関係というのが複雑でございますので、なかなか簡単に何%と数字を申し上げるのはちゅうちょされるんですけれども、たまたま私ども経済研究所が、これはあくまで一つの方法論でございますが、モデルを使って計算をいたしました。この想定は原油価格十八ドルが二十五ドルに上がった場合ということでございますが、これが一生間続いたとして一年後のGNPのレベルがどのくらい下がるかというと、いろいろな前提を置いて仮定したわけでございますからそこは幅を持ってお受け取りいただきたいんですが、そうでない場合に比較してGNPで〇・二%程度の差が生ずるのではないかということでございます。ただ、これは向こう一年間ですから、今たまたま年度のちょうど途中なので今年度ということになれば半分以下ということになりますし、いろいろな相互作用が影響し合って出尽くすまでには時間がかかりますからそれだけの幅を見たり、あるいは経済主体に対する心理的な影響等々モデルではかれない要素もありますので幅を持ってお考えいただきたいんですが、その程度の数字が一応モデルを使えば出てきているということでございます。
  102. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。
  103. 市川正一

    ○市川正一君 まず、中東貢献策について伺います。  貢献策の物資供与の第一弾である約八百両の四輪駆動車やトラックについてでありますが、この車両供与はどのような内容、どのようなルートで通産省要請があったのか、その内容と経路をまず説明していただきたい。
  104. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) まず、要請がありましたルートでございますけれども、これは米国より外交ルートを通じてございました。  それから内容でございますが、これにつきましてはあのような四輪駆動の車ということでございました。
  105. 市川正一

    ○市川正一君 はっきりさせるために伺いますが、外交ルートと言ってもいろいろあるんですね。専らの通説は、アメリカの国防総省から在米日本大使館に要請があり、それが外務省経由で通産省に伝えられたというのが大体のルートですね。
  106. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) 私ども外務省を通じて承知をいたしました。そのさきアメリカの内部でどのような形でそのような伝達が行われたかということにつきましては、私どもつまびらかにいたしておりません。
  107. 市川正一

    ○市川正一君 大体わかった。要するに、外務省から話があったけれども、私が言うたようなルートだと。  そこで、供与される車両の仕様、要するにスペック、これはどうやって決めたのか。例えば通産省と米国防総省との打ち合わせをしたのか、それともトヨタなりあるいは三菱なりの各社と米国防総省とが直接打ち合わせたのか。どうですか。
  108. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) スペックにつきましては外交ルートを通じましてアメリカ側のニーズ、それから日本国内における調達可能性通産省がやりまして、これを民間の企業に話したものでございます。
  109. 市川正一

    ○市川正一君 そうすると、この車両の購入契約者はだれなんですか。
  110. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) この車両の搬送は、この時点におきまして将来行われます物資協力、これは具体的なスキームが決まってくるということにな るわけでございますが、決まった場合に速やかに行い得るように行ったものでございます。したがいまして、現時点におきましては日本企業がとりあえずの措置としてサウジの方に送っておるという状態でございます。
  111. 市川正一

    ○市川正一君 ようわからぬのです、さしあたりとか将来のことをとか言うて。  だれが購入契約者なんですか。あなたは通産省がこれの世話をやいたと言うんでしょう。
  112. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) まだ購入契約がなされておらないわけでございまして、この物資協力につきまして具体的なスキームが決まった段階でそのような契約が行われるということでございます。
  113. 市川正一

    ○市川正一君 そうすると、契約なしでもう車はずっと動いておるの。そんなあほなことあるかい、はっきりしてくれ。
  114. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) この段階におきましてはそのような契約があるわけではございませんで、具体的に物資協力のスキームが決まりました段階で速やかに実施できるという準備のために船が向かっておるということでございます。
  115. 市川正一

    ○市川正一君 船が向かっておる――ええかげんにしてくれよ。契約もなしにとにかく船を出せ、そういうことなんですか。現時点ではと言うけれども、それなら一体だれがこの金の支払い、しりをふくんですか。
  116. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) 代金の支払いなどの具体的な方法でございますけれども、これは現在、湾岸アラブ諸国協力理事会というものがございますが、そこに湾岸平和基金というものが設立されることを想定いたしておりまして、それができますと、そこの運用主体と企業との間で契約が結ばれるということになっていることを想定しておるわけでございます。
  117. 市川正一

    ○市川正一君 進めますが、もともとこれが名古屋港を出港した後で海員組合の方が問題にして、いわば表面化してきたんですね、それはもう御承知のとおりですよ。やみからやみへ船出したんですよ。  聞きますが、仕向け地はサウジアラビアになっているはずですが、この車両の受取人は一体だれなんですか、またエンドユーザーはだれなんですか。
  118. 麻生渡

    説明員(麻生渡君) 仕向け地はサウジでございます。受取人は日本企業のサウジにおきます代理人ということでございます。具体的に、最終的に供与される相手国につきましては、形式的にはまだ決まっていないという状況でございますが、今までのことを考えますと米国に供与されるものになろうというふうに考えております。
  119. 市川正一

    ○市川正一君 米国、すなわち今サウジにいる多国籍軍ということなんですね。  もう一遍聞きますが、この代金の支払いは大臣の方がまたこれはお詳しいと思うんですが、だれからだれへどういう方法で行われるんですか、きょうの閣議決定もいろいろおありのようですし。
  120. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 今、次長から答弁をいたしましたように、今回決めております日本政府の十億ドルの範囲内で今お話のありました湾岸平和基金、ここへ金を支出するということになっております。
  121. 市川正一

    ○市川正一君 そうすると、俗に言うGCCですね。このGCCの基金の使途とかあるいは支出先とか、それは事前にチェックできるんですか。
  122. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) GCCの中につくった湾岸平和基金というのが正確だと思います。GCCそのものではないわけでございます。  そこで、これをどういう形でいくかということなのでございますけれども運営委員会をGCCの中に設けまして、その運営委員会によっていろいろとチェックをいたしまして、そして支払いその他の事務を行う、こういうことでございます。
  123. 市川正一

    ○市川正一君 事前チェックできないんですよ。後の祭りなんです、後の支払いなんです。  そうすると結局、日本が財政負担をして供与したこの車両について申せば、サウジアラビアに駐留する米軍を中心とした多国籍軍の軍事行動のために使用されることもあり得るし、また、そうならざるを得ないと思うんですが、いかがですか。どうなるやわかりゃせぬ。
  124. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) これは確かにまだ実は陸揚げはしていないわけです、船が着いておりませんので、今海の途中でございますから。ですから、我々としては何とかこの支払いのやり方その他を、正直、船が着くまでにはしなければいけないということで一生懸命努力をいたしたわけでございまして、幸い船が着くまでに、おかげできょうの閣議で決定をさせていただきましたので、早急に事務手続は進むものと思っております。
  125. 市川正一

    ○市川正一君 私が言うているのは、船が着いてその車がどう使われるかという問題です。だから、これは軍事行動に使われないという保証はないんですよ。だとすれば、これは軍事援助ということになると思うんですが、いかがですか。
  126. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) これは先ほど次長が答弁をいたしておりましたが、私どもはあくまで汎用車という解釈でこの車をオーケーしておるわけであります。
  127. 市川正一

    ○市川正一君 解釈は何ぼ好きなようにしても、実際には軍事行動にこれが使われる。言いかえれば、事実上日本が軍事行動に参加していることと同じ結果をもたらすおそれがあるんです。  このほど発表されました防衛白書の一九九〇年版、この百四十八ページに、これもついこの間出たほやほやですが、こう書いています。「整備・補給・輸送・衛生などの後方支援は、作戦実施のための基盤であり、」云々。まさにこの後方支援態勢というのは軍事行動の一環をなすものです。ですから今回の貢献策は、私、今車両八百両の問題を申しましたが、米軍の中東における作戦行動と一体のものとして計画されているということをこの際厳しく指摘せざるを得ぬのです。  あえてこういうふうに申しますのは、武藤通産大臣が自衛隊法を改正して中東に自衛隊を派遣すべきであるという見解を表明されておられるだけに、国民が抱いている危惧というのは非常に大きいものがあります。私は憲法の平和原則に徹して通産行政にこの分野でも当たられるということを強く指摘し、要望して次の石油価格の問題に移らせていただきたいと思います。
  128. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) ちょっと一言いいですか、誤解があるといけませんので。  私は、自衛隊法の改正というのは何も武力を外国で行使しようということで申し上げたつもりはないわけでありまして、確かに防衛白書にあります後方支援の関係、これはやっぱり日本として何も今度の問題にとやかくということを私は言っているわけじゃございません。いずれにしても、こういう事態はこれからいろいろ出てくる可能性はある。そういう中で日本の国際的な現在の立場を考えれば、やはり現在の憲法の許される範囲でどれだけのことをできるのかということを議論しなければいけないんじゃないか。その中で自衛隊法の改正というのは、いわゆる防衛医官とかそういう人たちがせっかく民間のお医者さんでさえお願いをしているときに、防衛医官が外国のそういう同じようなところへ行って治療ができないというのはいかがなものだろうか、それはやっぱり自衛隊法を改正しなければいけないんじゃないかという意味で私は申し上げたわけでございますので、誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。
  129. 市川正一

    ○市川正一君 今の分はプラスアルファでお願いします。  ここに新聞その他、大臣の民放テレビでの録音もありますが、石油価格問題に入ります。  そこで、通産省は今回の値上げに当たって元売各社からコストアップ要因についてヒアリングを行った、そしてチェックしたということで先ほど緒方長官からチェック項目などについて答弁がありました。私はもうそれを繰り返すことはやめますけれども、それを伺って今回の価格決定の不透明性についていろいろの疑惑が表明されておりますが、それを解明するものになっていない。もともと今回の原油価格の高騰は需給の逼迫によって引き上げられたものではなしに、中東情勢を利用 した思惑から、あえて言うならば投機とも言うべき人為的に引き上げられたものであるということ、これは通産省御自身も認めておられるところです。これは国際石油市場における国際石油メジャーなどによる投機が原因であって、これに拍車をかけたのが高値の原油を買い急いだ日本石油元売会社自身であり総合商社の動きだと思うんです。  私が言いたいのは、通産省はこうした大企業の投機的行為を慎むように指導なさってきたのかどうか、まずそれを伺いたいと思います。
  130. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 私ども今回の事件が起こりました後にとりました措置は、大きく言って三つございます。  第一は、省エネルギーを提唱し、国民に呼びかけたことです。それから二番目は、石油企業に対して、イラククウェートから買えなくなった油を極力ほかのソースから調達をしてくること。ただし、これは高値買いという国際的な批判を受けることのないように十分気をつけて行動してもらいたいということ。そして三番目には、そういたしますと、節約をし代替調達の努力をしても足りなくなる場合が想定されますが、もし需給上逼迫をする、ショートすることがある場合には百四十二日持っている備蓄を弾力的に取り崩す用意があるという表明でございました。  以上のようなことで私どもは、日本石油企業関係商社等に対しては調達をしてくるような要請はいたしましたけれども、その際には高値買いをすることがないようにということをくれぐれもくぎを刺しておりますし、現にその後の各社の動きを見ておりますと非難をされるような高値買いをしたというような事実は見受けられないと考えております。
  131. 市川正一

    ○市川正一君 私は、今回のこの投機による価格形成にメスを入れていない、チェック項目もそうなんです。そして、その価格を前提に値上げを認めたというのは極めて不当である、こう思います。  しかも、加えて言うならば、これを機会に通産省は毎月コスト変動要因について報告を求められる、こうなっておりますね。その都度価格を改定させるように指導するというふうに伺っております。ということは、通産省主導で価格つり上げを継続するということを意図していると言われても私は過言じゃないと思う。なぜならば、石油業界は過当競争で、値上げをしても一月もすれば値崩れを起こし、値上げが通ったことのない有名な業界ですよ。現にことし二月の値上げも達成できなかった。その二月のコストを出発点にして上げ幅を見ることにしているというのは、石油業界が自分の力では達成できなかった二月の値上げ分を含めて今回の値上げ通産省が認めるということを意味すると思うんです。これを毎月これから実施するということは、下がりそうになると通産省が毎月お墨つきを出して価格の下落を抑える役割を果たす。言うならば下支え値上げ作戦と言わざるを得ぬと思うんです。  それが先ほど来吉田委員その他から指摘された例の石油連盟会長の、政府から値上げのお墨つきをもらった方が消費者の利益が得られ、値上げも浸透しやすいと思ったという発言に私は出ていると思うんです。通産省はいろいろ懸命にこの発言をめぐって否定なさいましたけれども、今回の値上げの実態は、まさに言うならばこのお墨つき方式を裏づけることに相なるというふうに私は思いますが、緒方さん、いかがでしょうか。
  132. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 石油価格につきましては、基本的にはこれはマーケットメカニズムで決まるべきものであって、行政が過剰に介入することはよくないことだというふうに私どもは認識をしております。また、非常に激しい競争が行われて価格形成が行われているのも事実でございます。  ただ、他方で石油価格につきましては過去においてもいわゆる不当な値上げ便乗値上げという御批判がいろいろございました。今回もそういうことが行われるのではないかという危惧の念が各方面から指摘をされて、私どもとしてはそういう便乗値上げというような不当なことが行われないようにそこをチェックする必要がある、こういう立場から必要最小限の介入をしたものでございます。したがいまして、コストアップがあった部分、それも先ほど御説明したように国内の人件費であるとか諸経費であるとかいう部分ではなくて、先生はそのことがけしからぬとおっしゃいますが、いわば不可抗力的に日本の力の及ばない外国における国際的な原油価格の高騰あるいは為替レートの変動というような外的な要因によって客観的に決まってしまうコスト上昇分、これをしっかりと押さえて、それと非常にかけ離れた価格上昇が行われるかどうかというものを監視する、こういうことでチェックをしているわけでございます。  毎月見ることにいたしましたのは、国際情勢がこのところまだ流動的でありますので、この事態がおさまるまでの当分の間と思っておりまして、事態が平静化をしたと認定されれば私どもは介入をやめるつもりでございます。その間、毎月コストを見ることによりまして、コストが上がれば、それはその範囲内で国内価格が上がるのはしようがないけれどもコストが下がった場合にはそれに連動して国内価格が下がるように、上がるときも上がるし下がるときも下がる、いわばその部分についてはガラス張りのわかりやすい価格形成が行われるように指導していきたい、こういう姿勢なのでございます。
  133. 市川正一

    ○市川正一君 私は、黒田部長にもう一遍ここへ来てもろうて云々というのはもうやめておきます。言うたとか聞かぬとかいうふうなこと、もうそれはやめましょう。  だとするならば、また今回の値上げが本当にやむを得ないというものであるならば、私は通産大臣に伺いたいんです。それを客観的に確認するためにも、また行政に対する国民の信頼を回復するためにも、今回ヒアリングをした内容と結果、及び通産省が適切と判断した根拠になる資料を、原価とは申しません、そういう資料を国民の前に公表すべきであると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  134. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 各企業の個別のものは、これは企業機密に属することでもございますから、私どもはそれを発表するというわけにはまいりませんが、今回私、今事務当局に指示をいたしておりまして、いろいろヒアリングをして各企業のは大体わかっておるわけでございます。そこで大体の平均的なものがわかると思いますので、それをモデルケースにいたしまして、それを国民に公表する、こういうことはぜひやりたいと思っております。
  135. 市川正一

    ○市川正一君 私が言うているのは、都合のいいようなものに加工せずに、今言うたヒアリングをした内容と結果と、それから適切と判断した根拠になる資料をそのまま生で出しなさいということでありますが、どうも認められたように私は受け取りつつ、時間が参りましたので、最後に二問だけ大臣にお伺いしたいんです。  一つは、今回石油元売会社が、卑劣な手段と私は言いたいんですが、徹底した売り惜しみ作戦をやってきたわけです。これは二月値上げが通らないと、石油売各社は八月に入ってイラククウェート侵略の報道を聞くや、さっき黒田さんもおっしゃいましたが、これを千載一遇のチャンスとして一斉に売り惜しみに出たんです。私ども調査でもまた新聞の報道でも、出荷停止をして言い値が通れば出荷するが、通らなければ出さぬという、そういうやり方をとってきました。そして、九月上旬の段階では、十七日には大体値上げの許可が出るということは業界の間ではもう広がっていたんです。そして、十七日待ちになっていたんです。私は、こういう値上げの環境づくりをした実態、それをやはり摘出して、例えば生活関連物資等の買い占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律とか国民生活安定緊急措置法の発動も含めて厳しく規制すべきでないかというのが第一点です。  第二点は、重要なこととして、今度の値上げを契機に石化製品の二〇%値上げも伝えられております。これを原材料にしている中小零細企業の経営が大きく圧迫されるおそれがある。したがって、石化製品便乗値上げの防止はもとより、値上げを抑える機敏な対応が求められると私は思いますが、大臣の所信と決意をお伺いして、質問を終わらせていただきます。
  136. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 市川先生は声が大きいものですから、何かいかにももっともらしく聞こえるんですが……
  137. 市川正一

    ○市川正一君 らしくとは何ですか、らしくとは。
  138. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 今の売り惜しみとか、この間も確かに衆議院でも共産党の方からそういうお話がございましたが、私どもはそういうことのないように実はチェックをしてきたつもりでございます。かつてそういうことがありましたので、今回は各通産局に窓口も即刻設けまして、もしそういうことがあったら言ってきてくれ、情報を聞かせてくれということをやっておるわけでございます。この間そういうお話がありましたが、少なくとも私どもとしては通産局の窓口にそういう話は出てきてはおりませんので、そういう方があったら、もうどうぞ遠慮なく通産局の窓口へ来ていただければ厳重に指導をさせていただくわけでございますので、そういうことは私どもはないと思っておりますが、もしありましたらどうかお教えをいただきたいと思います。  それから、石化の製品の問題でございますが、これは御承知のとおり、原油以上にナフサの国際的な価格動向というのが大変大きく影響いたすものでございますし、もちろん我々といたしましてできるだけ便乗値上げということのないように指導はいたしておりますけれども、それ以上の、いわゆる今のお話で一つ一つチェックをしながらやるというようなところまでは私どもはやらなくても、大きいメーカー、先ほどお話のあったとおりで、石油業界よりはまあまあお行儀がいいんじゃないかと私は思っておるわけでございまして、本当にまじめにおやりになる、こういうふうに期待をいたしておるわけでございます。
  139. 池田治

    ○池田治君 、静かな声でやりますので、よろしくお願いします。  通産大臣は夏の暑い間に、新聞やテレビ等の報道によりますと国際会議にも数回出席され、重要な役割を演じられてまいりましたし、国内的にもイラククウェート問題で閣議など大奮闘をなされておった。その間に石油精製工場へもせっせと足を運ばれて御勉強をなさったとかお聞きしておりますが、非常に私は感心しておるわけでございますけれども石油会社や精製工場ではどういう内容の御勉強をなさったか、ヒアリングの内容などをよければお教え願えませんか。わざわざ値上げの陳情で行かれたとも私考えられませんので、よろしくお願いします。
  140. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) 私どもそういう緊急事態に正直対処しての実は勉強ではなかったのでございまして、あらかじめもう前々から予定をいたしておりましたので、それぞれの企業の実態と申しますか、どういう形で操業が行われ、どういう形で生産性を高めておられるか、そういうようなことをできるだけ中心としてお聞きをしたいということで参りましたし、何も石油業界だけではございませんので、広くいろいろの業界を私は夏休みの間に勉強に参ったということでございます。できるだけ実態を私自身が正確につかんで、これからの通産行政にやはり生かしていかなければならない、こんな考え方で、石油業界だけではなくコンピューターの会社へも参りましたし半導体の会社へも参りましたし、いろいろと私は私なりに勉強させていただいたわけでございます。
  141. 池田治

    ○池田治君 大臣のお考えはわかりましたけれども、会社側ないし精製工場からのお話はどういうお話でございましたでしょうか。
  142. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) たまたま私が精製工場へ参りましたのは正直値上げが発表された後でございまして、ですから、精製工場へお邪魔をしてそういうような値上げの話は一切ございませんでした。いろいろと企業現状についてお話を承ったわけでございます。
  143. 池田治

    ○池田治君 話は御立派な話をされたと思いますが、私も実は精製工場へ夏の暑い間何カ所かへ参りましていろいろな話を聞いてまいりました。値上げについてもかなり深刻な様子も御説明を受けましたけれども、私は反論する資料がなかったので黙っておりました。大臣も行かれたら恐らくそういうお話を聞かれたんではなかろうかと、こう思っておりますが、これにつきましては自民党から共産党に至るまで超党派で先生方からいろいろお聞きになりましたので、私はこの辺でこの話は終わりにいたします。  そこで、次に中小企業の問題に移りますが、漁網を製作して中近東へ輸出している中小企業がございまして、これが今度のイラク戦争によって輸出ができなくなって非常に困っている、こういうことでございますが、これは何も漁網製作会社だけでなくていろいろな中小企業にも波及しているんじゃなかろうかと思っております。  そこで、先ほど輸出保険の問題も出ましたが、輸出保険に掛けてないこういう製品の輸出の債権額はどれだけあるものかお教えください。
  144. 堤富男

    説明員(堤富男君) 債権額のところだけお答え申し上げますが、先ほど日本全体で七千億、保険に掛けておりますのが四千三百億でございますから、約二千七百億円の保険に掛けてないものがあるという計算になります。
  145. 池田治

    ○池田治君 この人たちについての救済方法は、もう私は何らかの救済をせにゃならないと思っておりますが、民間企業でございまして、国と国との取引でございませんので国家賠償のような形で賠償するというわけにもまいりませんが、しかし、私企業を育てるという意味では通産省にも一端の道義的な問題があろうかと思いますが、この点いかがでございましょうか。
  146. 高橋達直

    説明員(高橋達直君) 今回のイラクへの制裁措置に伴いまして中小企業全体に影響が出るかどうかにつきましては、私どももかねてより注視をしてきたところでございますけれども、ただいま委員からお話もございましたが、漁網の会社等一部の会社におきまして資金繰りが苦しくなっているというような状況もございまして、そういった企業につきまして私どもとしましてはとりあえず金融措置で金融を円滑にすることによって業者の方々を助成申し上げよう、こういうことで八月十五日に大蔵省銀行局長と私の名前で政府の関係金融機関に対しまして、そうしたものについての資金の償還の猶予であるとかあるいは新規の貸付金に関しましては担保の徴求を弾力化するように、あるいは全国信用保証協会連合会に対しまして保証の機動的な対応につきまして特段の配慮をするように要請をしたところでございます。  そうした要請を受けまして、政府関係機関におきまして既にいろいろと相談に応じておりまして、一カ月ばかりたったわけでございますけれども、これまで二十一件の相談が寄せられております。そのうち六件につきましては既に融資、保証が決定されているというような状況でございまして、とりあえずのところはそういったつなぎ融資を中心にしました金融の円滑化によりまして私どもとしてお助け申し上げようと、こういう構えでございますが、今後この問題が仮に長期化して中小企業にいよいよ影響が出てくるということになれば、またその段階でいろいろと私どもとしてできる範囲の助成策を講じていこうと、かように考えているところでございます。
  147. 池田治

    ○池田治君 その場合、貿易保険の弾力的な適用ということはできないのでしょうか。また、融資政策と言われますが、これは担保がなければなかなか銀行等の融資は受けられませんが、無担保もしくは政府保証というような形でも融資の申し込みができるというような方策を考えておられるでしょうか、お伺いします。
  148. 堤富男

    説明員(堤富男君) 保険の弾力化ということでございますが、これはもともと輸出をする前に掛けていただくというのが保険でございまして、掛 けなかったので今から弾力化というわけには保険としてはまいらないわけでございます。もちろん、こういうこともあるので、今後ともぜひ保険は御活用いただきたいというのが私ども立場でございますが、一方で保険金の支払いという方の弾力化ということは、これは当然保険約款でのお約束でございますので、請求があれば大企業中小企業問わずこれは払わさせていただくということになろうかと思っております。
  149. 高橋達直

    説明員(高橋達直君) お金を借りる場合の保証の方でございますけれども、先ほど申し上げましたように私どもで全国信用保証協会連合会の会長あてにこの保証の問題についての要請をしております。中小企業者への保証に当たりましてはその実情を踏まえまして適切かつ機動的に対処するようによろしくお願いすると、こういう要請でございまして、これまでにも保証協会関係に既に七件のいろいろな相談が寄せられておりまして、その中で保証につきましては既に二件の保証決定をし、また二件については調査中ということで、これも前向きにやっておりまして、いずれにしましても弾力的に対応しようということで各保証協会がやっております。  なお、保証につきましては、めどといたしましては千五百万円までは無担保で保証をつけて融資するようにしていこう、こういうことで対処をしております。
  150. 池田治

    ○池田治君 半分ぐらいわかりましたが、保険の弾力的適用ということになりますと、先ほどの質問にもありましたように、資金の問題が大きく問題になろうかと思いますが、財投の資金運用部から借りて払っているということでございますけれども、この枠がやっぱりあると思うんです。一定の枠があるんですが、今回の紛争を契機としてもっとこれを広げる必要があるんじゃなかろうかと私は思っておりますが、いかがですか。  それからもう一つは、このイラククウェート紛争はもちろんですが、東欧諸国への支援もしくはソビエトへの支援、こういう貿易についてもかなり輸出保険の赤が出ているやに聞いておりますが、この実態はどうなっているか、お教えください。
  151. 堤富男

    説明員(堤富男君) 現在、財投資金、資金運用部から借りる限度は五千数百億円ということで枠はございます。ただ、これが十分かどうかという点は今後のもちろん支払いの請求量に応じて決まるわけでございまして、現在のイラク状況がどのくらい長期化するのか、あるいはその資金繰りがどうなってくるかというようなことで支払いの状況が出てくるわけでございまして、現在これは非常に注目をして私たちは見守っておる状況でございます。必要な手当てをする必要があろうかとは思っております。  それから二番目でございますが、東欧その他につきましては今数字が手元にございませんが、東欧諸国等につきましては保険の関係はまだ実は保険契約が必ずしも大きく出ておる状況ではございません。ソ連につきましては、確かに最近債務の支払いについて遅延がある状況にあります。そういう状況を踏まえながら、今後全体として保険としての意義を失わない範囲内で弾力的かつ慎重にやる、こういう難しいことをやらざるを得ないと思っております。
  152. 池田治

    ○池田治君 弾力的かつ慎重にということでございますが、北朝鮮の場合はどうなっておりますか。これはソビエトよりももっと前からの支払い遅延があったと思っておりますが。
  153. 堤富男

    説明員(堤富男君) 北朝鮮との関係は七〇年代まで保険を引き受けておりました。ところが、七五年ころからでしょうか支払いが滞り始めまして、八三年のラングーン事件があって以来全く支払いが停止しております。したがいまして、保険といたしましてはその後の引き受けは保険の理論上できないことになっておりますので、現在は保険の引き受けを停止しておる状況にあります。保険といいますのは、支払いのある程度の確実性がないと保険に掛けるということにならないものでございますから、さらに今回北朝鮮等にいらっしゃる皆さん方の御報告を受けていろいろ考えてみたいと思っております。
  154. 池田治

    ○池田治君 それでは、北朝鮮は今はもう貿易について保険を掛けさせていないわけですか。ソビエトの場合はそこまでいっておりませんね。
  155. 堤富男

    説明員(堤富男君) おっしゃるとおりでございまして、北朝鮮との関係では現在保険の引き受けを停止しておるという状況でございます。ソ連の場合には確かに支払い遅延がございますが、実はおくれてまた返済をしているという状況でございますし、ソ連の関係者との話し合いでは、これは短期的な問題であるという御説明も受けております。したがいまして現在では、正確に申し上げますと、条件つきで引き受けをさせていただいているという状況でございます。
  156. 池田治

    ○池田治君 ソビエトが今いろいろペレストロイカで問題がありますけれども、ロシア共和国が仮に自治権を確立して支払いもロシア共和国でやる、連邦政府ではない、そういう要請があった場合どうされる予定でございますか。
  157. 堤富男

    説明員(堤富男君) なかなか仮定の問題なので難しいのでございますが、少なくとも今まで保険の場合には国ごとに判断をするということになっております。例えばアメリカでしたら、アメリカ合衆国全体として先ほど申しました非常危険、戦争があるかどうかとかいう判断はせざるを得ないと思っておりまして、ソ連の場合には若干今後どうなるかということはおっしゃるような観点もあろうと思いますし、今まで国の機関として公団というのがございますが、この公団につきましても最近の支払い遅延状況を見ますと全部一律ではございませんで、やはり非常によく返していただける公団と返済が滞っている公団とありまして、これも一律に扱うかどうかという点、なかなか難しい点がございますが、まだ全体の状況が見えない状況では、やはり国全体として一つの判断をしていかざるを得ないかと思っております。
  158. 池田治

    ○池田治君 多分そう言われると思っておりましたけれども、私は夏にハバロフスクに行きましたが、ハバロフスク州は日本企業が八社入っている。ところが、日本企業はちっとも前向きにやってくれない、なぜかと言うと、紛争が起こった場合、トラブルが起きた場合の事後処理の問題を非常に問題にするからだと。ですから、ソ連邦全体とすればそういう補償能力に欠けるところもあるが、我がハバロフスク州はもう州独自でそれを考えておる、こう言っておるわけです。これは州知事が言いました。そういった場合、日本政府の対応はどうか、こう聞いているわけです。おわかりにならなかったら回答は結構ですけれども
  159. 堤富男

    説明員(堤富男君) ソ連は今大変な改革期にあると認識しておりまして、先ほどもお話がありましたように、この間までは貿易を一元化しておった。最近では貿易の権限を、私の知っている数字では、一万三千の団体、公団、企業に渡し始めているということでございまして、それぞれの企業の独立性というのがだんだん重んじられてくる過程でございます。したがいまして、確かに非常危険という戦争があるかどうかというような考え方の場合にはこれは一律ということでございましょうが、相手として信用ができるかどうか、相手が倒れた場合に保険金を払うという考え方がございますが、そういう信用保証の場合にはすべて一律ということではないのではないかというふうに思い始めております。  ただ、これは相手の信用度というのがアメリカの会社の場合、ヨーロッパの会社の場合ですと一つ一つその会社の信用度が信用調査機関等でわかるわけでございますが、ソ連の場合にはまだそういう、どこのあれが信頼できる、ここは信頼できないということが、いわゆるレーティングと申しておりますが、そういうことがまだできておりませんので、しばらくの間はやはり一律で見ざるを得ないかというふうに思います。
  160. 池田治

    ○池田治君 しっかり勉強されて時代におくれないように通産省も頑張っていただきたいと思います。時間がありませんので急ぎます。  通産省石油価格値上げによる便乗値上げを 防止するため消費者の相談窓口を設置されたということでございますが、これは公正取引委員会もカルテル一一〇番等を設置して便乗値上げの監視をするやに伺っています。衆議院でもこのことは総論は回答されておりますが、設置の時期とか配置とか人員とか具体的な施策はまだ何ら発表されておりませんが、その点よければひとつ国民の前に発表していただきたい、かように思っております。
  161. 柴田章平

    説明員(柴田章平君) 私どもかねがね原油価格上昇等を背景とした最近の石油製品等の値上げの動きにつきましては重大な関心を持ってその情勢を注視してまいりました。  当委員会としては価格カルテル等の独占禁止法違反行為についてはそのような情報の収集に努め、具体的な端緒に接しました場合には機動的に対応して厳正に対処するという基本的な考え方を持っているわけでございます。ただいま価格カルテル等の独占禁止法違反行為に対する監視の一環といたしまして一般消費者等から情報を広く収集するための窓口、このような窓口としてのカルテルの一一〇番を設置する態勢を整えたところでございます。カルテルの一一〇番は事務局の審査部の中に設置することを予定をいたしております。  なお、消費税の場合には十回線の専用電話で対応したところでございますけれども、今回についても、いずれにいたしましても各製品価格動向等を踏まえまして、設置の時期、規模等を検討した上で対応してまいりたい、このように考えております。
  162. 池田治

    ○池田治君 次は、もう石油危機が二回もありまして発電所の燃料源は石油から大幅に石炭とかLNGへ転換したと伺っておりますが、今回の石油火力発電からLNGまたは石炭火力発電への転換についての進みぐあいはどの程度のものかお教え願いたい。民間企業ではもう五〇パーはオーストラリア石炭に頼っている、こういう工場もあるようですが、いかがでございますか。
  163. 緒方謙二郎

    説明員緒方謙二郎君) 電気事業でございますけれども第一次オイルショックを契機といたしまして、御指摘のように石油代替電源の導入に努めてまいりました。その結果、オイルショック直前の昭和四十八年の発電電力量で見ますと、全電力量の七一%が石油に頼っておったわけでございますが、この比率が第二次オイルショック時の昭和五十四年には五一%に下がり、平成元年度におきましては約二七%まで下がっているのが現状でございます。私どもといたしましては、石油火力については引き続きその依存度の低減に努めまして、石油以外の御指摘のような石炭あるいは原子力といった非石油電源の開発を推進していきたいというふうに考えているところでございます。
  164. 池田治

    ○池田治君 終わります。
  165. 井上計

    ○井上計君 白熱した質疑が続いておりますし、また大臣は、伺いますと後公務で次の御予定が迫っておるようでありますから、簡単に申し上げます。  特に最近私が感じておることを一、二申し上げたいと思うんですが、ある意味では、これは私どもも含めてでありますけれども、政治家も国民も、日本人のほとんどが余りにも平和ぼけして、欲ぼけしておるのではなかろうか。最近の風潮をそのように実は強く感じることがあります。このままでまいりますと、日本はますます国際的に孤立化を深めていくのではないか、このような感じが強くするわけであります。  今度のイラク問題によっていろんなことが論議をされております。もちろん国内問題は重要ではありますけれども、同時にそれが国内問題だけに、お互いが議論を重ねていって、現在の湾岸問題はいろいろな事情等を国際的な立場で物を考えなければ、日本は実は逆に大変な不利な状況に陥るのではなかろうか、こんな懸念もいたします。湾岸産油国我が国依存している石油は全輸入量の約七〇%近く、六七%ですか、アメリカあるいは西ドイツ、フランス、イギリスに比べて数倍の依存度でありますから、果して我が国が今のような状態でいいのかどうか。それも私は反省すべきだ、このように考えております。  実は、八月の初めでありますが、院から派遣をされまして、メキシコの上院の招聘で自民党の議員と公明党の議員と私の三人でメキシコへ参りました。メキシコの上院、下院の外交委員会へ出席をして向こうの国会議員といろんなことを話し合い、懇談したわけでありますが、上院の外交委員会の議員十二名が全部我々に言いましたのは、日本はけしからぬということであります。要約いたしますと、百年前に日本は大変貧乏であった、中国の帆船に乗って日本移民がメキシコへやってきた、それを我々は助けて受け入れてやった、その日本が現在あのように金持ちになったのにかかわらず一向に援助しないではないか、こういうふうな実は強要であって、もちろんメキシコの事情はいろいろありますから私は額面どおりに受け取っておりませんし、また随分と誤解がありますけれども、だから日本はもっと我々に手を差し伸べろ、メキシコに対してもっと民間の企業が進出をしろ、あるいは政府間の援助を行え、このようなことを随分と言われて、余りにもその強要が強いものでありますから、私は端的に、もっと民主化しなさい、そして経済の民主化をしなくちゃいけませんと言った。  御承知のように、メキシコは特定のわずかの人たちによって経済の大半が握られております。したがって、貧富の差が非常に甚だしい。相続税がありませんからますます富める者は富んでいく、こういう状態であります。このことを指摘して大変物議を醸しました。しかし感じたのは、こんな誤解を受けておる、あるいは事実このように皆思っておるとすると、日本はこれからますます孤立化を深めていって、五年、十年先に一体日本はどうなるであろうか、こんな感じを強くしたわけであります。  メキシコの後ペルーに参りました。ペルーでも、日系のフジモリ大統領が当選をしたのは、日系の大統領ができれば経済大国日本援助してくれるからというので貧困層の大部分がフジモリ大統領に投票した、こういうことを聞きました。ところがそれについて、やはり日本は一向に、最近若干動きがありますけれども、ペルーについての関心が余り高まっておりません。だから、いいか悪いかは別として、このままでは大変なことになるのではなかろうかという実は懸念をしておるわけであります。  一方、国内では、先ほど質問の中で出ておりますけれども、米の自由化の問題でも自分さえよければいいんだという議論が先に立って自由化反対だという声が強いんですね。先ほど来お話がありますけれども石油の問題にしてももっと目を広げて考えていかなければ大変なことになる、こう思います。  そこで、政府及び政治家の責任として国民にもっと真相を知ってもらう。真実を話して国民にやはり五年、十年、将来のことを考えてもらうという努力を今直ちにしていかなくてはいかぬ、こんなふうに強く感じております。  そこで、具体的な質問一つだけ申し上げます。大店法の問題であります。  日米構造協議の結末がようやく六月の末にできました。大店法の出店緩和あるいは改正、特に二年後には大都市についての除外というふうな問題等が既に発表されました。五月の末に通産省から通達で出店規制についての緩和策が出ました。ところが、それについて依然として各地の中小商店街においては大変な反対運動が起きておるわけであります。絶対阻止、絶対反対という動きが依然としてあります。ところが、商店街の幹部等々と話をいたしますと、もう大勢やむを得ない、あるいは消費者のニーズにこたえていくためにはある程度の緩和は当然である、むしろそれよりも大企業と共存共栄できるような体制づくりを早くやりたい、それには政府がもっと努力をしてほしい、こういうふうな要望が強いんでありますが、ほとんどの零細商店、零細な中小小売商はとにかく反対さえしておればこのままで何とかいけるんだという、そういうふうな気持ちが強いんですね。 それをあおり立てているのが実は政治家なんです。そういう大会へ出ますと政治家が、どの党とは言いません、ほとんど各党とも、皆さんのおっしゃることは当然、絶対に反対します、絶対阻止しますということを言うものでありますから、実はこれではだめであろう、何とかもう我々は考え方を変えていかなくてはいかぬと思っておる商店主さえが、あのように皆議員が言ってくれるんだから、反対反対と言っておれば何とか阻止できるのではなかろうかという、こういう気持ちを持っておるんですね。私はこれは大変なことだなということを最近特に強く感じておるんです。  そこで、坂本審議官にお伺いしたいのでありますが、五月三十日の出店緩和通達以降どういうふうな情勢にあるのかということをまずお伺いをし、それからもう時間がありませんから、あと中小企業庁長官には、この次のこれからの商店街対策として平成三年度の予算面で何をどう重点的にお考えになっておるのか。それで最後に大臣から、大臣も随分と中小企業問題はお詳しいわけでありますし、特に大店法の問題については御苦労されておりますから、どういう方針でこれから処していかれるのか、これをお伺いすることにして意見と質問、以上であります。
  166. 坂本吉弘

    説明員(坂本吉弘君) ただいま御質問の点でございますが、御指摘のとおり五月の三十日に大店法の運用にかかわる規制緩和の通達を出したところでございます。その後の出店状況につきましては、私どもの手元で集計いたしましたのは七月三十日までの分でございます。六月では新たに出店表明が行われましたのは百五十一件、七月には二百二十四件でございました。これはいわゆる第一種、第二種両方を含めた数字でございます。端的に申しまして、そのレベルは従来に比べて比較的高い水準になっているのが実情でございます。  内容的には少し細かくなりますが、例えば百貨店とかナショナルチェーンと申しますか、全国的なチェーンストアというのは大体四分の一程度で、最近の傾向といたしましては地元のスーパーあるいは中小の専門店が大型化するという傾向が見られるところでございます。  もう一つの項目でございます地方自治体の独自規制を抑制してもらいたいという点につきましては、東京都を初めとして幾つかの県及び市におきまして独自規制を是正するという動きが見られます。  また、輸入品売り場につきまして一定規模まで調整を不要としたのでございますけれども、これは関東を中心にして二月間で二十件の開店状況が現在まで見られるところでございます。  以上、総じて新しい基準の運用状況という点でございますが、現在まで各通産局から報告を受けておるところによりますれば、一応順調に運用の適正化措置が展開されているというふうに考えられるわけでございますけれども、今後例えば事前説明が終わり、またその次のステップに行くに当たっていろいろと問題も出てこようかと思いますけれども、私どもといたしましては、先ほど井上委員指摘のように、新しい時代に即応した規制緩和の趣旨に沿って全体が円滑に運ばれることを期待しているところでございます。
  167. 高橋達直

    説明員(高橋達直君) 今後の中小小売商業対策はどのような重点であるかというお尋ねでございますけれども、私どもといたしましても、ただいま井上委員からるるお話がございましたように、日本小売業をめぐる環境は大変厳しくなっているという認識でございまして、流通構造の変革が近年極めて顕著でございまして、そうした流通構造の変化にまず対応していかなきゃいけないというふうに認識し、対策を講じてきたわけでございますけれども、今回の日米構造協議の中間報告にあるような大店法に関する措置につきましては、これはやはり少なからざる影響中小小売商業に与えるということも予想されるわけでございまして、そうしたものの実施に伴い、私どもとしてはこの際思い切った支援措置を講ずることにより、委員から御指摘もございましたが、消費者の利益を増進するという観点から大型店との共存共栄を図るということをその基本に思い切った支援策を講じてまいりたい、かように考えているわけでございます。  具体的には、やはり消費者の利便の増進ということになりますと商店街がやはり地域の顔でございますので、街づくりの観点というのが非常に重要になってくるのではないかという認識でございまして、そういう意味では商店街の皆様が魅力ある商店街あるいは商業集積地づくりというものを一生懸命やっていただくのを大いに支援しようというのが第一の眼目でございます。そのためには、まずその商店街をどのような方向に持っていくかということについての計画をおつくりいただくことについて支援を申し上げよう。その上で、実際に商業基盤施設であるとかあるいは商業施設をおつくりになるときに、これも思い切った支援策を講じていかなければいけない。  同時に、何と申しますか、道路であるとかあるいは駐車場であるとか、そういう公共事業とまた一体的に商店街を整備していく必要があるということで、このあたりは私どもだけではなくて政府全体として建設省や自治省などともいろいろとお話し合いをさせていただいているところでございまして、そういった商店街を街づくりの観点から魅力あるものにしていくと同時に、個別の商店についても低利融資あるいは無利子融資をもって助成をしていこう。さらに、先ほど来お話の出ております大手中小企業の共存共栄を目指すモデル的な地域、高度商業集積地というふうに呼んでおりますけれども、そういったモデル的な地域をつくることも助成していこう、このような観点から来年度の施策を抜本的に商業対策を中心に進めていくということで現在関係方面と協議を続けております。
  168. 武藤嘉文

    国務大臣武藤嘉文君) いろいろと政治家として高い見識でお話をいただきましたが、私ども本当に国際会議なんかに出ておりましても感ずるのでございますけれども日本に対する期待は非常に高いわけでございます。同時に、今お話がございましたように、政治家レベルではある程度、特に私どもお話し合いをしている人は、例えば今メキシコのお話がございましたけれども、私もサリナス大統領が来られましたときに、ぜひ会いたいということでお目にかかりました。いろいろ率直なお話をいたしまして、日本の支援策に対しては大統領は少なくとも非常に高く評価をしていただいておったわけでございます。しかし、一般の人をバックにするいろいろな議員の方々の中には、これは何もメキシコなどそのような国だけではなくてアメリカでさえ、アメリカの議会の中にはいろいろと日本に対して批判をされる方がたくさんあるわけでございます。実に誤解をされている点が非常に多いと思うのでございます。  日本はまじめにやってきておるのでございますが、何か一つ欠けているものがあるという感じは私もいたしておりまして、できるだけその辺は率直に話し合いながらも相手にとにかく耳を傾け、日本の直すべきところは直していかなければならない。私はODAどもその一つの問題点ではなかろうか、従来のODAのあり方もこの際少し変えていかなければならないんじゃないか。ただ相手のおっしゃることだけを聞いてやっていた。それはたまたま政府の指導者の人たちのことだけを聞いておって、その国の国民のニーズと必ずしも合っていなかったという点も私はあったのではないかと思うのでございます。もう少しきめ細かくODAなどはプロジェクトを選ぶ場合に考えていかなければならないし、あるいはまた同時に無償援助などはもっと私はふやしていかなければならないんじゃないだろうか、このような考え方を持っておるわけでございますが、そのようなことをこれから思い切って進めていくには、日本国民のまたコンセンサスを得なければならないというのも当然だと思うのでございます。  そういう点で、今私どもが進めようといたしております産業政策の、いわゆる生産重視から国民全体を重視していこうという考え方は、私はいい方向ではなかろうかと思っております。今度の日 米構造協議における公共投資の四百三十兆円もインフレを招くようなことはいけませんけれども、そういう意味においては国民の皆様方の生活環境をよりよくして、そして国民の皆さん自身が経済大国だという認識を持っていただいて、経済大国としてやっぱり各国にもっと思い切った温かい手を差し伸べなければいけない、こういうコンセンサスをつくることがこれから大変大切だと私は思っております。  今御指摘小売商業対策と申しますか流通対策も同じことでございまして、現在の消費者の皆様方の利便を考えるということは当然考えていかなければならないし、それから国際社会の中でやっぱり透明性というか、日本はどういう法律でやっているのか、あるいは法律にないけれどもどこの何によってああいうやり方をしているのかというようなわかりにくい点は、私はぜひ今回改めていかなければならないんじゃないか。そういう国際社会の中における日本の法体系あるいは制度というものは外国によくわかるようにしなければいけないんじゃないかと思っております。  そして、いま一つは、何といっても今日までそれぞれの地域社会の中で一生懸命御努力をされてこられた中小小売商の皆様方のこともこれまた考えていかなければならない。そういう観点から、私どもは大店法の改正を初め、これからの諸施策でその三つの観点をいかにうまくマッチさせていくかということでございまして、できるだけ透明性を持っていこうとすると、やはり中小小売商の皆様方には痛みを感じられるようなことがあるかもしれない。しかし、痛みはなるべく少なくして、しかしながら痛みは少なくしながらも、そしてその方々にやっぱりこれからは努力してください。改正反対というお話が今あちらこちらであるようでございますが、実際問題として今のようなことをいつまでもやって世界に通用するだろうか。やっぱり中小小売商の皆様方もその辺は御理解をいただいて、それに対応した姿勢を考えていっていただかなければいけない。  しかし、大型店とは違って、何といっても中小小売商の皆さんは力に限界がございますから、できるだけこれは横の連絡というか、商店街振興組合とか商店街とかいろいろございますけれども、そういうやっぱりお互いの団結をしていただくことがまず大切ではなかろうか。それから、いま一つは、そういう団結をする中でも、もうとにかく何か知らぬがただ親がやってきたからとか昔からやってきたから、おれは本当には余りやる気がないけれどもというような気持ちでは困ると思うのでございます。私は、やっぱりやる気を小売商の皆さんに起こしていただきたい。  そういう観点から、今細かいことは長官からも話を申し上げましたけれども、我々はそういう観点でとにかく育っていただこう、立派にこれからの時代においても生きていっていただける、それでそれは消費者のために大いに努力をしていただける、そういう中小小売商の皆様方のことは何としても我々はやっぱり守っていかなければならない。それは守るというか育っていただくような支えをしていかなければいけないのではないか。その予算だけはどんなことをしても確保していかなければならないし、あるいは税制面で何か考えなければならないことはこれも考えていこう、あるいは金融面でもやらなければならないことはやっていこう、こんな考え方で一生懸命努力をいたしておるということを申し上げまして、答弁を終わらせていただきたいと思います。
  169. 井上計

    ○井上計君 ありがとうございました。  終わります。
  170. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十分散会