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深田肇君
それなりに毎年少しずつは前進をしているという御
説明をされたんだろうと思いますが、それはそれといたしまして、
中国の
残留の
孤児の問題については、時間の
関係もありますから私の方から先にいろんなことを、感じたことを申し上げた上で、結論的な
お話をいただいた方がいいんではないかと思いますから。
実は、いわゆる四カ月間の
定着促進というのがありますね。そしてその後いわゆる八カ月間で自立のための
研修というのがあるわけですから、俗に十二カ月と、こう言われるんですけれ
ども、
日本語の習得だけでも十二カ月間では大変不足だろうし、短いだろうと思います。いわんやその間に、その
方々はそのとき一歳でも四十五歳ですから、五歳なら五十歳ですから、いずれにしても十七、八歳から、もっと言えば小さい時から
日本語の勉強をするわけじゃなくて、
中国なり
サハリンで
それなりの
言葉での
生活なり環境で育った者が、機会があって我々の方に帰ってきたと、訪問してきた、墓参、いろんなことがありましょうけれ
ども、そういうことを含めながら
日本に定着しようと、こう
考えるわけでありますから、そうなりますと、そのいわゆる四十五年間の固定的な教育や環境の中ででき上がったものを、いろんなことがあって
本人の
意思で帰ってくるわけでありますから、その中で一年間で努力せよということは、
一定の理屈もあるのかもしれませんが、常識的に
考えて私
どもは短いだろうと、困難だろうと実は思いました。
そこで、
それなりに
中国から帰ってきた
仲間たちに接触をする機会に聞いてみたり、それからまた、そのための世話をしている埼玉の所沢の定着センターがありますから、メンバー
たちの話を聞いてみたり、
お世話をしている
ボランティアのという
言葉がいいかどうかわかりませんが、我々の近隣の
仲間たちが一緒になって話を聞いてみますと、本当に短い、もっと言えば中途半端過ぎる。そのこと自体がむしろ彼らを
混乱させたり、かわいそうなことが起きているんじゃないか。たまたまやむを得ないことから起きたというふうにとりたいのでありますが、不幸な事件が起きたりもしているわけですね。
日常的にはもっと惨めなものでして、
自分たちの
生活を少しでもカバーしようとしますから、
日本の
生活の中で廃棄物として処理された、捨てられたものを拾って帰ってきて
自分たちが使おうと思ってみたり、そういうふうにかき集めるならまだいいんだけれ
ども、人様の方へ手を出してみたりということまで起きてくるという
状況は、いわゆる四カ月間の中でとにかく最低限ここで仕上げなければならない。しかもその間における経済的や精神的な圧迫感は大変なものだというあらわれがそこにあるだろうというふうに僕は思いますので、大変これは率直に申し上げて、短いし不十分だというふうに、四プラス八の十二もそう思います。
それから八カ月の方も、実際問題はもうそろそろ
生活を
考えなきゃいけませんから、働きながらとか
生活環境を探しながら、そこへ来て
研修しようというのだから、これは言うならば定時制へ行くぐらいのエネルギーが要るわけですから、これまたとにかく四十五歳、五十歳超えた
方々にとっては大変なことだというふうに思います。しかも、連れ合いを連れて帰ってきたり、そして子供を連れて帰ってきたり、中には養父母を連れ帰ってきたメンバーからしますと、大変な努力がそこに要るということはだれでも想像できるわけなんであって、最初
大臣に、ぜひひとつより温かい
施策なり大胆な
施策が必要ではないかというふうな
意味で御
質問申し上げたのは、個別のこといろいろ挙げますと、大変不足であるし、足らないものがあるんではないかというふうに
一つは思います。
全部しゃべっちゃいますが、
サハリンの場合でも同じことなんですね。
サハリンの
方々の場合なんかでも、七十歳が中心だようであって、今回は五十五ぐらいの方が帰ってきておられますけれ
ども、これは珍しいわけであって、時間の問題であって、人間の生命力との
関係を含めて大変なものだと思いますから、そういう
意味ではより積極的な
施策が必要なんではないかというふうに実は
考えているわけでございます。
そういったことを
中国問題で感じましたときに、
最後に
中国問題で申し上げておきますと、やっぱり
生活保護法の適用をする以外に今の
日本の国内法ではないんだというふうには思いますけれ
ども、だんだんと
日本で
生活しますと、その
本人たちが言うんですよ。わがままだと言っちゃ困っちゃうんだけれ
ども、
生活保護をもらっているのが何かわびしくて、それから今帰ってきたから同じ
仲間です。同じ
日本人から、あれは
生活保護法で面倒を見てもらっているんだとかね、見てやっているんだと言うのが中にはおるそうですから、そういうふうに言われたり見られているんではないかと
本人が思う、また言われたこともあると。こういう
状況になってきますから、こういう
孤児たちで
日本へ帰ってきて自立しようという構えでおる
方々に対しては、
生活保護法以外の何かいわゆる温かい
施策をしてあげる方がよりいいんではないか。これはきょうあしたでできる問題ではないでしょうけれ
ども、そういったようなことを実は感じていることを申し上げて、積極的な
施策を
お願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうかね。