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1990-05-24 第118回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月二十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月十七日     辞任         補欠選任      石渡 清元君     山本 富雄君      新坂 一雄君     粟森  喬君  四月十八日     辞任         補欠選任      山本 富雄君     石渡 清元君      粟森  喬君     新坂 一雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         対馬 孝且君     理 事                 沓掛 哲男君                 吉川  博君                 小川 仁一君                 山田  勇君     委 員                 井上 吉夫君                 井上  孝君                 石渡 清元君                 遠藤  要君                 川原新次郎君                 坂野 重信君                 種田  誠君                 西野 康雄君                 野別 隆俊君                 及川 順郎君                 白浜 一良君                 上田耕一郎君                 新坂 一雄君    国務大臣        建 設 大 臣  綿貫 民輔君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  佐藤 守良君    政府委員        国土政務次官   伊藤 公介君        国土庁長官官房        長        北村廣太郎君        国土庁計画・調        整局長      長瀬 要石君        国土庁土地局長  藤原 良一君        国土庁大都市圏        整備局長     三木 克彦君        国税庁調査査察        部長       龍宝 惟男君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設大臣官房総        務審議官     福本 英三君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  真嶋 一男君        建設省住宅局長  伊藤 茂史君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        大蔵省理財局国        有財産第一課長  鈴木 一元君        大蔵省理財局国        有財産第二課長  中山 恭子君        大蔵省銀行局銀        行課長      小山 嘉昭君        大蔵省銀行局保        険部保険第一課        長        山本 孝之君        文部省初等中等        教育局小学校課        長        近藤 信司君        食糧庁管理部経        理課長      北村 壽夫君        建設大臣官房技        術審議官     玉田 博亮君    参考人        住宅都市整備        公団理事     片山 正夫君        住宅都市整備        公団理事     渡辺  尚君        日本銀行総務局        長        田村 達也君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○建設事業及び建設計画等に関する調査  (土地及び住宅問題に関する件)     ─────────────
  2. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業及び建設計画等に関する調査のため、本日、住宅都市整備公団及び日本銀行役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 建設事業及び建設計画等に関する調査のうち、土地及び住宅問題に関する件を議題とし、集中審議を行います。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 小川仁一

    小川仁一君 本日は土地及び住宅問題の集中審議、こういうことでございますので、主として今後の政策大臣のお考えを中心にお聞きしてまいり、私たちの考え方も述べてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  最初に、土地基本法関係について御質問申し上げますが、土地政策審議会が本日初会合を開きます。その中で、土地基本法をどのように具体的していくかが話し合われると思います。今後の土地政策基本方向が出されるのかとも感じております。そこで、昨年与野党合意で成立した土地基本本について、政府がどのように受けとめて政策化していこうとしているのかお尋ねをしてまいります。  土地基本法は、第二条以下第五条まで四つ土地についての基本理念を掲げております。まず、この理念についてどのように考えておられるか、国土庁長官の御認識をお伺いいたします。
  6. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 小川先生にお答えいたします。  先生も御存じのことでございますが、昨年末成立した土地基本法というのは四つ理念がございまして、その第一は土地についての公共福祉優先、それから適正な利用及び計画に従った利用投機的取引抑制価値増加に伴う利益に応じた適切な負担四つ土地理念としております。  これらの基本理念は、国及び地方公共団体の今後の政策の指針であることとともに、国民及び事業者にとっての行動規範となるようにしてあります。実は、このことを特に国民の皆さんに普及したいというふうなことをもちましていろんな角度からその普及に努力しておりまして、これら理念国民共通理念となるよう、今普及全力を挙げている状態でございます。
  7. 小川仁一

    小川仁一君 この土地基本法の成立を受けて、昨年の十二月二十一日の土地関係閣僚会議決定された今後の土地対策重点実施方針、ここで第一に言われておりますのは宅地供給の促進ですね。初閣議の後、長官記者会見で、地価の引き下げの基本宅地供給だということを述べておられます。要するに、宅地供給をふやせば地価は下がる、こういう言い方に聞こえるわけでございます。  しかし、土地基本法理念というのは、土地利用の制限、つまり土地利用計画的に行うということであり、言いかえれば市場原理ではなくて計画原理で行うことだと考えますが、今政府が進めている宅地供給というのは需給関係、つまり市場原理でやろうということで、どうも土地基本法理念とずれているという感じがいたしますが、長官いかがでございましょうか。
  8. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今先生の御指摘のとおりでございまして、同じ理解だと思うわけでございますが、私が宅地供給を申し上げたと申しますのは、土地対策については総合的な対策二つございます。その一つ政治的配慮、その一つ政策的配慮、この二つございまして、政治的配慮の中には、例えば率直に言いますと首都機能移転の問題とか国会移転等問題等政治的配慮だと思っております。それから政策的配慮の中に、実は土地政策というのは税制の問題とかその他いろいろ問題がございます。それから監視区域等取引規制の問題がございますが、やはり何といっても宅地供給、需要を上回る供給がないと最後は難しいんじゃないかということを申し上げたわけでございます。  そんなことでございまして、今先生指摘のように、土地基本法理念、むしろそれを推進してやっている、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  9. 小川仁一

    小川仁一君 そうすると、やはり計画原理に基づいてやっていく、こう認識してよろしゅうございますね。  次に、土地基本法の第二条に「公共福祉優先」、こういう項目があります。第三条の「適正な利用及び計画に従った利用」、第四条の「投機的取引抑制」、第五条の「価値増加に伴う利益に応じた適切な負担」が具体的内容として規定されております。しかし、今政府が実際におやりになっているのは、公共福祉内容である第三条以下の理念を棚上げして、とにかく公共福祉優先という旗を振りかざして、都市に住んでいる住民土地有効利用高度利用、こういうことで追い出している、あるいは都市の農民を市街化区域内農地宅地並み課税ということでこれまた追い出すことに力を入れておられるのではないでしょうか。そして、この土地は民間の開発業者によって住宅を建てる、こういうことになるのではないでしょうか。これでは政府地上げ屋開発業者のお先棒を担いでいるという批判が出るのは当然でございます。  今申し上げたことを含めて、公共福祉優先についてのお考え建設大臣国土庁長官にお伺いしたいと思います。
  10. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 憲法二十九条の財産権の問題に関しまして、この中にはいわゆる公共福祉に適合するように法律に定めるということで、それを受けてこの土地基本法の第二条があるものだと理解をいたしております。したがいまして、この公共福祉優先ということにつきましては、いろいろの角度から住民あるいはその地区状況に応じて考えられていくべきものだと考えています。今御指摘のように、デベロッパーとか不動産業界の方々のために公共福祉優先という旗印を振っているというようなことは建設省としては全然考えておりません。
  11. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今建設大臣のお答えしたとおりでございますが、実は土地についての問題は、昨年暮れに先生方の御協力によりまして土地基本法ができたわけですが、一番大きな問題は土地についての私権をどうするかという問題の中に公共福祉優先という項目が入ったことがございます。そんなことがございまして、私どもその理解を踏まえながら適切に運用したい、それで土地対策を展開したい、こう思っているわけでございまして、建設大臣答弁と同じでございます。
  12. 小川仁一

    小川仁一君 そのようにまともに理解をして次の質問に入ります。  次に、第十一条三項の住民意見の反映、それから第十二条二項の公有地拡大についてお尋ねをいたします。  この項は野党の修正によって挿入されたものですが、この点の具体化について、例えば関係する法律改正検討されておりますか。公有地拡大法とか都市計画法関係する条文を土地基本法理念に沿って改正すべきだと考えますが、建設大臣、御検討をお約束願えないでしょうか。
  13. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 都市計画決定についての現行制度について説明をさせていただきます。  都市計画決定に当たりましては、都市計画法に基づきまして、次に申し上げるような手順で住民その他の関係者意見を踏まえつつ決定を行うことにいたしております。  まず、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会開催等住民意見を反映させるために必要な措置を講ずること。次に、都市計画決定しようとするときは、あらかじめその旨を公告し、都市計画の案を公告の日から二週間公衆の縦覧に供すること。この場合に、関係市町村住民及び利害関係人意見書を提出することができ、提出された意見書の要旨が都市計画地方審議会に提出されること。さらに、学識経験者都道府県議会代表者等から構成されまする都市計画地方審議会の議を経て都市計画決定するというふうにいたしております。また、都市計画に定めます地区計画等の詳細の都市計画につきましては、区域内の土地所有者その他の利害関係を有する者の意見を求めて作成するということにいたしているところでございます。  今後とも、土地基本法趣旨を踏まえまして、都市計画につきまして広く住民その他の関係者意見が反映されるよう、制度の適切な運営に努めてまいりたいと思っております。
  14. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 公有地拡大関係での御質問でございます。  申し上げるまでもありませんが、土地基本法十二条の二項、この趣旨というのは、国なり地方公共団体公共施設を整備したりあるいは地域整備振興を図っていく上で、できるだけ公有地の確保に努めよ、こういった趣旨のものであるわけでございますが、具体的にこれを実現するための手法としては、申し上げるまでもありませんけれども、いわゆる任意買収から一番強烈な土地収用法に至るまでいろいろなステージがあろうかと思います。とりわけ、事業具体性をどこまで持っているかというその段階段階によって、私権との調整をやっぱり考慮しなきゃいかぬという面が十分配慮される必要があるわけでございまして、そういった中で強権性というものはおのずから違ってくる、かように考えておりますが、そういった中で特に公有地拡大法、これがかなりの成果、役割を果たしていることも事実でございます。  参考までに、四十七年に法律制定以来今日までおおむね一万ヘクタールのいわゆる公有地先買いが実現しております。これらはまたそれぞれ有効適切に利用されております。  さて、この法律制度を今後基本的にどうするかという御質問でございます。私ども基本的にはこの問題については、先ほど言ったような任意から強制的な収用までというそれぞれの段階において、言いかえればこの土地を必要とする事業具体性において考えていくことが基本であるわけでございますが、一方私ども考えなきゃならぬ一つ事情として、公有地を確保しようとする側、言うならば公共団体等でございますが、事業具体性が余りにも不明確な段階ではなかなか買い取るという意思決定もしにくいという現実もございます。そういったことで、基本的には私ども現行法制度の仕組みというものは今後ともこの辺を大きく変える必要はないんじゃないかと思います が、そうは言いましても、運用面でのきめ細かい対応は必要だと思っております。そういった観点から、昨年の六月でございましたけれども公有地拡大法施行令改正しまして、都市施設用地等につきましては従前三百平米という規模要件を二百平米まで引き下げたわけでございますし、今般また、いわゆる常磐新線関係宅地鉄道整備法、あの沿線地域におきます重点地区については届け出規模要件を大きく引き下げるというようなことを予定させていただいている次第でございます。
  15. 小川仁一

    小川仁一君 ただいまの御答弁、そういうことを書いてあるということは百も承知で物を申し上げている。現実民意を反映しているような都市計画審議会なんというのは存在しません。委員はお役所が勝手に決めた方です。実際、公聴会といっても形式的です。サクラを大勢集めておいて、そこに集まった住民意見なんか無視されてしまう。本当に民意が反映されているということは存在していない、私はそう言ってもいい。だから後で地域的な騒ぎが起きる。そういう意味ですから、真剣になって御検討願いたいと思います。これは、公共福祉という名前だけでただ土地を取り上げるという形で国民の生活を、あるいは生存権を否定するような形になっていくことを恐れるから、あえて御検討をお願いしたわけでございます。国公有地についても御検討をお願いしたいと思います。  時間の関係上次に移りますが、基本法の第四条では、「土地は、投機的取引対象とされてはならない。」とされております。しかし、相変わらず土地投機は後を絶ちません。このような現状について国土庁長官、どのような御認識をお持ちになっておられますか、どのような対応をお考えになっておりますか。また、不動産業を監督するお立場にある建設大臣のお考えもお聞きいたしたいと思います。
  16. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 御指摘のとおり、土地基本法四条では、「土地は、投機的取引対象とされてはならない。」と規定されております。適正な地価の形成という基本法の目的を達成するためにも総合的な土地対策が必要でございますが、まず投機的な取引徹底的に抑制するということが重要だと認識しております。基本法制定の際、あわせて国土利用計画法の一部改正をしていただきましたが、この改正法に従いまして、監視区域制度のさらに厳正、的確な運用に努めておるところでございます。また、金融機関不動産業に対する指導徹底、さらには土地税制活用等によりまして、今後一層投機的取引抑制に尽力していかなければならないと考えておる次第であります。
  17. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 御指摘不動産業者によります投機的取引のことでございますが、申し上げるまでもなく、私どもこれについては六十年代の初めから業界に対する指導を強めてまいっているつもりでございます。  そういった中で、今般地価がまた上がる、あるいはまた土地基本法制定があったという現実を踏まえまして、私ども再々度関係業界団体に対する指導を強めているところでございまして、本年の四月には改めて不動産業界団体に対しまして、言うならば企業者事業責任というものをしっかりかみしめて投機的取引をいささかも行わないようという指導通達を発出しておるところでございます。また、業界団体においてもこのことについては業界としての申し合わせを行っているわけでございますが、私どもその申し合わせを本当に守っていただくようにこれを十分監視しながら今後とも徹底した指導に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  18. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 投機的土地取引というのは、やはり過剰流動性というようなことが一番大きな原因だというふうに考えておりますが、さきに大蔵省の方でもそれについてのいろいろの通達等がありまして、いろいろその影響も出ておると思いますが、建設省でも不動産業者土地取引実態を把握するために、今年度から資本金一億円以上の不動産業者対象土地の取得の状況等調査するというようなこともやっておりまして、極力投機的土地取引抑制に努めておるところでございますし、今後も努めてまいりたいと考えております。
  19. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今大臣局長が申し上げたとおりでございますが、非常に難しい点がございます。  というのは、実は今、国土庁土地価格の安定に全力を挙げるということで監視区域強化をやっております。そんなことですが、そのことの中に、実は金融資本の緩和というのが背景にあるというようなこともございまして、特に大阪なんかの場合ことしは五七%上がりました。上がりました理由というのは、一つ東京に比べた割安感だと思うんですね。基本的にやっぱり大規模プロジェクトがたくさんある。土地に対する期待感が強い。しかも土地を持っている人は売らぬ、需給のアンバランス、そんなこともございまして、そういうことの中に土地神話は生きておるということでございまして、実は先生の御指摘、非常に難しい点がございますが、国土庁監視区域徹底強化を図り、その努力をしたいということでございます。
  20. 小川仁一

    小川仁一君 お答えは立派でございますが、どうかもう少し世の中を見て現実的な対応なりあるいは抑制なりをお考えにならないと、非常に現実行政指導理念とがかけ離れた結果になりそうだという感じがいたしておりますから、この点はくれぐれもひとつ御認識願いたいと思います。  さて、新聞で報じられているところによれば、東京都文京区の土地について長谷工コーポレーション国土利用計画法に基づいた東京都の行政指導価格を無視し、十三億円もの裏金を支払ったとされています。事実かどうか、事実とすれば明らかに国土法違反でありますが、国土庁調査結果をお聞きしたいと思います。
  21. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 長谷工の問題につきましてはいろいろ細かい事実がたくさんございますので、政府委員から答弁さしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  22. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 長谷工コーポレーション関係の事件が新聞に報道されましたのは四月十九日でございますが、私どもも四月十九日の新聞報道でそのような事実があるのかどうか関心を持ったわけでございます。早速同日、これは届け出勧告事務を処理しておりますのが東京都でございますので、東京都に指示いたしまして、すぐ事実関係調査報告するように申し渡したわけであります。東京都では四月十九日、当日ですが、長谷工を呼びまして事情を聴取しております。さらに二十三日にも関係資料等さらに追加させて、詳細に経過説明書等も提出させながら事情聴取をいたしまして、その結果が四月二十四日東京都から私どもの方に中間報告という格好で来ております。  ただ、御指摘の件につきましては、そういった調査をいたしましたが東京都といたしましては現在のところ国土法違反の事実を認めるまでには至っていない、そういうふうな報告を受けております。
  23. 小川仁一

    小川仁一君 国土庁東京都から聞いただけしかやっていないというふうに今のお話をお聞きしていいですか。
  24. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 監視区域制度運用等は、国土利用計画法に基づきまして地方公共団体機関委任事務となっておりますので、一応この事務に関して権利義務を有する公共団体が一義的に責任を持って調査等対応するのが妥当である、そういうふうな考えのもとに私どもは、今回の件だけではございません、類似の件が起こりましたら公共団体に指示し公共団体指導監督するという観点から対応させていただいておるところであります。
  25. 小川仁一

    小川仁一君 建設省にお伺いしますが、四月二十五日、「投機的土地取引抑制について」という通達をお出しになっております。その中で、「国土利用計画法第二十三条に違反するなど違法な行為があった場合には、宅地建物取引業法に基づき監督処分を行うなど厳正に対処する」、こう言っておられます。長谷工コーポレーションのやったことは宅建法第六十五条一項三号の他法令違反に当たるとお考えになっておりますか、どうですか。
  26. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) お話しの件につきましては、四月十九日の新聞報道で接したわけでございますが、私ども直ちに長谷工コーポレーションにおいでいただきまして事情を聞いております。そういった中で、取引の概要はつかんでおりますが、今おっしゃるような、あるいは新聞報道にあったような二つ取引のかかわりという実態については私どもまだ詳細に承知できる段階に至っておりません。  また、この関口の土地取引そのもの国土法に触れるかどうかということについて私ども関心を持っているわけでございますけれども、これはただいま土地局長の方からお話がございましたように、現在、担当部局でもって調査中というふうに承知いたしております。  したがいまして、現段階で私どもはこの案件国土法違反であるというふうに断定できる材料を何も持ち合わせておりませんが、いずれにしましても、今後の調査等の結果そういった違反ということが断定されたときには、私ども宅建業法によります適正な措置というものは当然考えていくことに相なる次第でございます。
  27. 小川仁一

    小川仁一君 国税庁にお聞きいたします。  新聞などによりますと、長谷工コーポレーションは、香港での土地購入を偽装し、違約金を支払った形にして約二十億円を捻出し、そのうち十三億円を土地所有者であるスタンダード・チャータード銀行裏金として支払ったと報ぜられております。  国税庁は、スタンダード・チャータード銀行に対してこの十三億円を土地売却代金として認定して重加算税を課した、こういうふうに書いてありますが、これは事実でしょうか。また、長谷工コーポレーションに対して差額の七億円について所得として認定して重加算税を課した、こういうふうにも報ぜられておりますが、これも事実でしょうか。
  28. 龍宝惟男

    政府委員龍宝惟男君) 長谷工コーポレーションとそれからスタンダード・チャータード・バンクとの間の不動産取引にかかわる御指摘でございます。  私ども、御指摘のような新聞報道等があったことは承知をいたしておりますけれども、従来から個別の課税処理にわたる事項については具体的にお答えすることを差し控えさせていただいておりますので、その点は御理解いただきたいと思います。  ただ、私ども国税当局といたしましては、国会で御議論をしていただいた事項あるいは新聞等で報道されたことにつきましては、常に納税者の適正な課税を実現するという観点から関心を持っておりまして、またあらゆる機会を通じまして課税上有効な資料、情報の収集に努めて、これら資料と納税者から提出をされました申告書等を総合検討し、御指摘のように課税上の問題があると認められる場合には実地調査等を行うことによって適正な課税に努めているということで御理解をいただきたいと思います。
  29. 小川仁一

    小川仁一君 中身出さないで理解しろと言われたって、これはちょっと理解の方法がない。  今度はちょっと角度を変えますが、長谷工コーポレーションスタンダード・チャータード銀行に表向き土地代金として支払ったのは百八十九億円、この数字は東京都の示した行政指導価格ですね。国土庁からお聞きしたい。これも秘密だというのであれば、国土庁が公示価格で試算すればいかほどの金額になるか、公示価格をもとにした試算の数字でもよろしいからお知らせ願いたいと思います。
  30. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 長谷工コーポレーションが購入しました文京区関口の土地取引にかかわる届け出でございますが、六十二年六月二日付で届け出がなされまして、東京都において厳正に審査し、また価格について指導した結果、問題がないということで不勧告通知になっております。  ただ、届け出に係る価格あるいは指導価格につきましては、やはり私ども公務員の立場ではプライバシーに属するということで、披露さしていただくのはちょっと御容赦いただきたいと思いますが、そういうことで届け出された価格に行政指導が加えられ変更された結果、不勧告通知として処理されているということで御理解いただきたいと思います。  なお、公示価格から考えてどうかということでありますが、価格というのは地点からいろいろ個別要因あるいは地域要因等を配慮しながら厳正に比準しないといけないものですから、直ちに幾らになるかということを申し上げるのはなかなか難しいと思います。そういう試算はまだしておりませんので、その点についても御容赦いただきたいと思います。
  31. 小川仁一

    小川仁一君 みんな秘密ですか。国会というのはこれだけ大きな新聞に上がったやつを全部秘密だからという官庁のお話で黙って承っていればいいということになると、ちょっとこれは現在問題になっている土地投機の問題について物を言えなくなってしまうと思うんですが。  さらに加えて、スタンダード・チャータード銀行は十三億円を受け取ったと認定されて追徴課税されたということも国税庁は言えないわけですね。それから、長谷工コーポレーションは二十億円のうち十三億円は土地代金として認定され、残りの七億円に対して追徴課税した重加算税だということも国税庁は言えない。この報道、これはうそというふうな認定をなさっておられるかどうか、国土庁国税庁からお聞きしたい。
  32. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 新聞報道によりますと、長谷工コーポレーションはこの土地を二百四億一千万円で購入したと報じられておりますが、その報じられているという事実は承知しておるわけでございますが、これが実際に売買された価格かどうか、あるいは百八十九億かどうか、その辺につきましては、先ほど申し上げたことから、ひとつ私の口から答弁さしていただくのは御容赦いただきたいと思います。  ただ、付近の公示価格、公示の標準地を探しまして参考までにその価格を見ますと、六十二年一月一日、文京区の四丁目、これは文京の四という標準地です。地番は文京区関口二丁目八番の一ですが、この地点の価格は平米百三十万円となっております。ただ、先ほども申し上げましたように、公示価格とその対象土地とはいろいろ条件も違います。標準地から比準作業あるいは現地調査、いろいろな作業をやりながら対象地の価格が評価されるということでございますので、その点も御理解いただきたいと思います。
  33. 龍宝惟男

    政府委員龍宝惟男君) 同じような答えで大変恐縮でございますけれども、個別の問題でございますのでお答えは差し控えさせていただきたいわけでございますけれども、例えば私ども税務調査をいたします場合に、一つの不動産取引がありまして、その支払われました代価が理由、名義のいかんを問わず所得に適正に反映をされているかどうか、税法上正しく処理されているかどうかという観点から税務調査を行いまして、課税上問題があれば適正に課税処理を行っていくということでございます。
  34. 小川仁一

    小川仁一君 この土地は転売されておりますね。国土庁おわかりでしょうが、買い主と価格を言ってください。
  35. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 価格の方は同様の理由で控えさせていただきたいと思いますが、転売の事実はございまして、二回転売されておりまして、一回目が六十三年九月三十日付で転売されております。また二回目は平成一年三月十六日付でありまして、転売先はいずれも住友生命保険相互会社でございます。
  36. 小川仁一

    小川仁一君 そうすると、これは転売目的で土地購入したというふうにも感じられるわけです。わずか二年の間でしょう。この取引は非常に不正常な感じがするんです。  もう一つお聞きしますが、東京都に、これを売買する場合に届け出た書類があるはずです。これは役所に届け出た書類ですから、当然公的な性格を持ちます。したがって、そこの利用目的をお知らせ願えればありがたいと思います。
  37. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 手元に届け出書の写しを持っておりませんので、ちょっと正確を欠くかもしれませんが、共同住宅分譲のためということであったと思います。
  38. 小川仁一

    小川仁一君 そうすると、それと転売の関係が私らには納得できない。こんな形で実は土地投機が行われているんです。あなたが転売したときの価格と購入したときの価格を明らかにすれば、どれだけの差額がそこへ出てくるかということが明確になる。こういうものを明らかにしてむしろ土地投機を抑えていくというのが今建設省国土庁に課された仕事じゃないでしょうか。その部分を全部押さえておいて、利用目的には共同住宅分譲といって土地は転売をしている。これじゃあなた方、何か業者が土地転がしをしたり投機的取引をしているのを後ろからかばってやっているような印象しか私らには感ぜられないんです。ですから、建設省通達もそういうことを前提にしてお出しになっている。こういう問題をもう少し私たちに納得のいくようにお示しを願って、そして土地の投機的な取引抑制を本気になってやらなければ、このままこういう状態が続いていけば幾ら通達出したって馬耳東風、企業にとっては。皆さんが秘密は全部守ってやる。何だこれ、なれ合いだというふうな言い方になっちゃうじゃないですか。こういう取引が幾つも存在していますが、大きく新聞に上がったのだけ私は問題にしたわけであります。  今後、こういう問題についてさらに角度を変えていろいろお伺いする機会があると思いますから、少なくともこの委員会では守秘義務なんて言ってないで、そういう行為をしたことをこの程度までは抑えましたとか、この程度まではブレーキをかけておりますとかということを明らかにできるような行政指導方針をとっていただかなければ、幾ら法律決めたって信用できないです。きょうはやめますが、いずれ納得できるような御答弁をぜひお考えおき願いたいと思いますし、行政庁の長官として国土庁長官、今私が申し上げたことについてお考えがあるならお聞かせを願いたいと思います。
  39. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 実は今政府委員からお答えしたわけですが、大変苦しい点があると思います。実は二つの点がございまして、一つ国土利用計画法に基づきまして、実は売買金額の届け出金額を仮に漏らしますと次は届け出なくなりまして、国土計画上国土の実態がつかみにくい点が一つございます。それからもう一つは、国家公務員の守秘義務というもの。この二つの点がありまして、藤原局長も話したいんですがしゃべれないという大変つらい心境だと思っております。  そういう形の中で、ではそれは放置しているのか、そうではありません。どうしたら先生の御指摘のような土地投機を防げるかということで厳しくやっていることを特に御理解願いたいと思うわけでございます。
  40. 小川仁一

    小川仁一君 気持ちはわからないでもありませんが、納得はできません。やっぱりこういう今大問題になっている土地の問題ですから、これは何とかして投機的な取引をいろんな角度抑制しようというときに、こういう事実が守秘義務という名目で国民の前に明らかにならないということは、国民はますます土地政策に対する不信感を強めるだけですから、これはぜひ、どこまで公表しろとは私申し上げませんが、少しきっちりした態度でお臨み願いたいと思います。これはまた改めて質問の機会があると思いますから、御検討おき願いたいと思います。  土地問題というのは、結局は突き詰めていきますと住宅問題に国民関心でつながります。そういう立場から、住宅問題についてこれから御質問をいたします。  この異常な地価騰貴によって、東京を初め大都市圏では住宅問題が深刻になっています。住宅価格は、国民生活白書によっても東京ではマンションで七千六百五十八万円とも言われており、とても勤労者の収入では入手することができません。東京圏では、中高層の住宅価格が勤労者の平均収入の十・六倍にもなっている。まじめに働いても、一生かかっても住宅が手に入らないという現状は、本当に困った状態だと思います。しかも、東京都には日本の人口の四分の一、三大都市圏では国民の半分ぐらいが集中している。こういうことについて、建設大臣基本的にどうお考えになっているかお知らせ願いたいと思います。
  41. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 大都市圏におきます住宅問題というものは非常に深刻であり重要な問題であるということは私どもも強く認識いたしておりまして、特にこの国会の冒頭に当たりまして、総理大臣から施政方針演説の中でも百万戸計画というものを具体的にお示しになっておるところでもございます。  私どもも、昨年の土地基本法の精神を踏まえまして、この国会に大都市法の改正、あるいは建築基準法、都市計画法改正等々の法案を提出させていただきまして、より一層住宅宅地供給できるような供給策について今行政を進めようとしておるところでございます。なお、来年度からは第六次の住宅整備の五カ年計画が始まるわけでございまして、いろいろの今までの諸問題を整理しながら新しい計画に臨んでいきたいというふうに考えております。
  42. 小川仁一

    小川仁一君 ただいまもお話ありましたが、海部首相がこの前の施政演説で、東京通勤圏で「勤労者が良質な住宅を確保できるよう、この十年間に百万戸を目標に新たな住宅供給を行う」、こう公約なさいました。建設大臣もさきのこの委員会において、百万戸の住宅供給など大都市での住宅対策を強力に進める、こう所信を述べておられます。  総理と建設大臣が同じような数字をおっしゃったのですから、かなり自信がおありだと思います。百万戸という数字の根拠のようなものがございましたら、この際お伺いしておきたいと思います。
  43. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今先生申されましたように、大都市圏では非常に住宅価格が上がりまして、貸し家から持ち家に住みかえたいと思っていた勤労者の望みが今まで以上に遠のいてしまう、あるいは良質な賃貸住宅に住みかえたいと思ってもなかなか手ごろなものがない。こういうことで、今までになく住宅に対する市民、国民の要求といいましょうか、そういうものが飢餓感にも満ちた格好になってきているわけでございます。  その際に私どもは、この百万戸の供給構想を考えた場合のことでございますが、どういう人たちが一番それでは困っているのかということでございます。今申しましたように、一番困っておられる方々は、結婚をされて子供がそろそろ大きくなってくる、そういう世帯で、従来住んでおりました貸し家からより広い貸し家に住みかえて子育てをやりたい、あるいは持ち家に住みかえたい、こういう人たちが一番困っているわけでございます。  したがいまして、一都三県の中でどのくらい住宅需要があるかということで、四全総の計画に基づきまして、四全総は十五年間の推計をしておるわけでございますが、これを十年間に直しますと大体三百八十万戸ぐらい住宅需要がある、こういうことになっております。私どもの国土建設の長期構想でも、大体首都圏につきましては同じような数字になっております。したがいまして、この三百八十万戸を前提にしまして、既存住宅の建てかえ分が大体この半分ぐらいあるだろう。それで新規の供給が半分、百九十万戸ぐらい要るだろう。こういうことで、国土庁建設省ほぼここら辺は考えが一致しているところかと思います。  そうしますと、今申しましたように、子供を持つ中堅世帯層でちょうど住みかえが要るという人たちがこの十年間どのくらいあるかということで推計をいたしますと、この百九十万戸のうち百万戸、約半分がどうしてもそういう人たちのために必要だということで、まずこの必要な数字を押さえたということでございます。それが根拠でございまして、これに伴っていろいろと具体のプロジェクト、住宅供給までつながるわけでございますが、これはちょっと長くなりますので、とりあえず省略いたします。
  44. 小川仁一

    小川仁一君 どうも百万戸必要だと総理が言われ大臣が言われる根拠というのははっきりしませんな。こういった者を対象にこういう価格でこういう面積のものをということを明確にしていただくと勤労者も喜ぶと思います。ですから、どれくらいの規模の住宅をどれくらい供給するということですか。そして、サラリーマンが取得できるような価格、つまり勤労者の平均収入の五倍なり、あるいは賃金の一五%以内の住宅供給するということですか、この百万戸というのは。
  45. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) とりあえず百万戸の算出根拠といいますか、必要な最低限度のことをお話し申し上げたわけでございます。今申しましたように、そういった需要層に対してでございますので、どういう規模のものでどういう価格のものを供給すべきであるということはこれから当然に決まってまいります。  まず、規模をお尋ねでございますが、現在、東京圏の最低居住水準未満の世帯の割合は一三・八%ということで、全国大都市圏を除きましたところがもう六%台になっておるのに比べて相当おくれておるわけでございます。これを取り返すのが非常に大事なことでございます。したがいまして、この水準の向上を図る最大のポイントということからも、三人から五人ぐらいの一般世帯でございますが、それが最大のポイントになるだろうということです。したがいまして、それを考えますと、最低居住水準は当然にクリアしなきゃなりませんし、できるだけ都市居住型誘導居住水準に近づける必要がございます。したがいまして、平均の規模も六十五平米から七十五平米程度の広さを念頭に置いて供給すべきだろうと考えております。  それから、どのくらいの価格あるいは家賃になるかということでございます。これにつきましては、住宅政策上、所得との対比でどのくらいがよろしいということで、前々から決まっておるものがございます。五十年八月の住宅宅地審議会答申ということで、その中の資料の中に標準的な世帯の家賃負担限度率は世帯収入のおおむね一五%程度、あるいは住宅ローンの支払い限度は世帯収入のおおむね二五%程度というふうにされております。それで、世間いろいろ言われておりますが、大体こういう数字で皆さん同意がいただいておるものと思います。  ただ、分母になります所得をどういうふうに考えるか、あるいは望ましい規模がどういうものであるかというようなところで、いろいろ細かいことになりますと相当原則的に違うところもございますが、私ども住宅宅地審議会の答申に基づきますものは税込みのボーナス込みの全体の収入ということで分母になっておるものでございます。これではじきまして当然ながら家賃の価格、住宅価格が出てくるわけでございますが、首都圏でこれをはじきますと、首都圏の平均勤労者の所得に対して五倍程度、ということになりますとおおむね四千万円ぐらい、家賃にしますと十四万円ぐらいが限度になってくるということでございます。  したがいまして、私どもは百万戸構想ではこれらの価格、規模を確保できるようにできるだけ具体のプロジェクトをそのように組んでいくということで、計画的な供給を図る制度及び具体の実施をやっていきたいということでございます。
  46. 小川仁一

    小川仁一君 年収をどう見るかということが非常に大きな問題だと思います。六百八十万と見ておられるか七百方と見ておられるかわかりませんが、住宅で本当に困っている人たちはその平均以下の年収の人たちが困っているわけですね。こういうことを考えますと、このまま進みますというと供給主体が民間が中心になってまいります。とてもじゃないけれども、今までの実績から見ましても普通のサラリーマンが取得できるような状況というものは考えられないんです。どうですか、その点。
  47. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今申しました百万戸というのは、実際には民間、それから住都公団、あるいは公社あるいは公共団体、いろんな事業主体が供給する住宅全体の中から今言いましたような一般勤労者的なものを選んでいるわけでございます。したがいまして、今申しましたような価格の目標その他は全体を通しての話でございます。その中で、それぞれ公団住宅は公団住宅なりに施策対象層というものをねらい、これは公営住宅ほどきちっとしておりませんけれども、大きなねらいは決まっておりますし、公営住宅も施策対象層は決まっておるわけでございます。  そういうことで、それぞれふさわしい財政援助も行われておりますので、そういった事業主体ごとに今度はそれぞれの施策対象層に合った住宅供給して、全体として先ほど申しました形になってくるということでございます。  そこで、今具体的にどのくらい公共が持つかというようなお話でございます。私どもこの百万戸構想、それからもっと広い立場から住宅供給するために新しい法律の提案をいたしてございますが、この中では具体的に住宅供給するにふさわしい土地というものを選んで、重点的にそこにインセンティブを与えていく、こういうことで考えております。したがいまして、今の時点でどこそこの土地の何番地にどういう住宅を何戸建てるというようなことは申し上げるわけにはまいりません。というのは、そこに地主さんがおりますし、全くその土地も買ってないわけでございます。  そういうことでございますが、今現在、公的住宅供給プロジェクトのプログラムというのがございます。これは、政府としてとりあえず今現在政府が首都圏あるいは近畿圏、中部圏でこういう住宅供給しているんだということを世の中に知らせて、一生懸命やっているので御安心くださいという趣旨で発表したものでございますが、その公的住宅プロジェクトのプログラムを、さらに供給を促進するという立場から可能な限り、これは推計が入るわけでございますけれども、いろいろと中身を吟味しましてやってまいりますと、百万戸のうち約三割が公団、公社、公営といった公共的な主体で供給できるかなということでございます。  これは、今申しましたように新しい法律ができて具体の重点供給地域が決まり、そして具体のプログラムができ上がってくるという過程で次第にその中身が詰まってくるということでございまして、今のところは公的住宅プロジェクトのプログラムから推計される数字で三割ぐらいかなと、こういうふうに考えております。
  48. 小川仁一

    小川仁一君 勤労者に住宅供給するには、地価を下げることが前提だと思います。東京都の地価は五十九年に比べて約三倍上がっております。とても勤労者が手の届くものではありません。国民生活白書を見ると、東京圏で勤労者が購入可能な住宅は、七十八平方メーター住宅を想定すると、さっきは七十五と言っておられますが、一平米当たりの土地代金が大体試算して三十二万円ぐらい。今度は逆に平成二年の公示価格で言いますというと、一平米当たり三十五万円前後の土地というと埼玉県の川越か千葉県の我孫子あたりですが、実際はその三〇%か四〇%の割り増しといいますか、実際購入の場合は値が上がるだろう。とても通勤圏なんという状況じゃないんです。  今考えなきゃならないのは、この百万戸構想を持ち出しても不可能で、海部総理せっかく総理になられて、かつての人みたいにうその公約などをすると大変気の毒でございます。したがって、どうしてもこれを実現してもらわなければならないが、実現するためには東京地価を三〇%ぐらい引き下げることが必要だと思いますが、どうでしょうか。これは長官建設大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  49. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 小川先生の御指摘でございました、土地をどう下げるかといることでご ざいますが、現段階におきましては実は地価をどうして安定をさせるかということに全力を挙げて監視区域強化してやっておるということでございます。  そんなことで、昨年暮れに土地対策関係閣僚会議で今後の重点項目項目をもちまして、特に大都市における宅地供給という方針を立てたわけでございます。  実は、私は四月二十二日にヘリコプターで東京上空から東京、神奈川、埼玉、千葉と見ましたが、土地はございますね。私は驚きましたが、例えば企業の低・未利用地もまだ随分ございます。それから国公有地、これもかなり活用できます。農地も随分たくさんございます。大体統計では六万三千ヘクタールと申しますが、そのうちの二万ヘクタール仮に出れば、先ほど伊藤局長言いましたけれども、大体一戸建て住宅と中高層マンションの混住で約六十戸と言われますね、一ヘクタール。それから中高層マンションで二百二十戸できます。そうすれば当然、二百二十戸の住まいならば四百四十万戸ということで出るわけでございます。  この宅地をどうして下げるかということでございますが、これは今後の土地政策のあらゆる総合的な配慮をしまして、税制もしかり、それから取引監視もしかり、あるいは宅地供給もしかり、そういう形の中で何とか総理の言っている、五、六倍で住まいを持ちたい人が買えるようにしたいというようなことで今全力を挙げているわけでございます。その点特に御理解を願いたい、御後援をなお一層お願いしたいと思うわけでございます。
  50. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今、地価を下げなければ住宅供給できないんじゃないかというような御指摘でございましたが、そういう点等も勘案いたしまして、今回国会に御提出申し上げております宅地住宅供給策としての大都市改正案等々、御審議願うわけでございますが、それらによりまして計画的に住宅供給できるようにしたい。住宅供給できれば、需要と供給のバランスによって地価も安定するのではないか。そういう方向で努力をしていきたいと考えておる次第であります。
  51. 小川仁一

    小川仁一君 地価の引き下げという問題も含めながら、一体この東京というところにどの程度の事業所と住宅と人口が存在すれば許容範囲の中に入るのか。ごみの問題もあります、下水道、道路、車、あらゆる角度から考えて、東京、首都圏で適正に生活ができるとすれば、どの程度の人口で抑えればいいのでしょうか、もしお考えがありましたらお聞かせを願いたい。
  52. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 東京圏の人口は、ただいま御議論のとおり、増加率は鈍化しておりますけれども、なお再集中の傾向にございます。第四次の全国総合開発計画におきましては、国土の均衡ある発展を図るため東京圏の人口を二〇〇〇年までに三百万の自然増を中心とした増ということに抑える、こういうことで考えているわけでございます。先ほど住宅局長が申し上げました三百八十万戸というのは、この人口を基礎に戸数を計算したものでございます。
  53. 小川仁一

    小川仁一君 東京全体で何人ですか。
  54. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 東京圏全体で三千三百万人、増加は三百万人、こんなふうに考えておるところでございます。
  55. 小川仁一

    小川仁一君 まだ幾つも聞かなければならないことがありましたが、傾向を見ますと、持ち家住宅からだんだん賃貸住宅に変わってきております。したがって、これからの百万戸構想の中でいわゆる公的な賃貸住宅拡大するという方向が非常に必要だと思いますが、この点についてお考えを伺いたい。
  56. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 先ほど百万戸の中で公的な住宅は三割だと申し上げましたが、これは当然ながら賃貸住宅が重点になろうかと思います。そのほか、非常に期待しておりますのは未利用地であるとか市街化区域内農地といった土地でございますが、これらにつきましても、できるだけその地主が貸し家を経営するという形で住宅供給していただくというのが先ほど申しましたような需要層に対応して一番よろしいのではないかと考えておりますので、施策もそういう方向に重点を置いたものになろうかと考えております。
  57. 小川仁一

    小川仁一君 地価の引き下げあるいは東京都内における規制区域の発動、それから公的賃貸住宅の拡張、こういったようなことをぜひこれからの行政の中に生かしていただきたい、こう申し上げまして私の質問を終わります。
  58. 種田誠

    ○種田誠君 私も土地住宅対策についてお伺いしたいと思いますが、小川仁一先生質問と幾つか重なることがあるかと思いますが、御容赦願いたいと思います。  土地住宅対策を適切にこれから実行するに当たって、まず私たちが確認しておかなければならないことは、今回の戦後最大と言われる土地の高騰、このことがどこに原因があったのかということが私たちが正確に認識するべきまず最初だと思うわけでありますが、その点について国土庁におきまして、簡潔で結構でございますが、どのように御認識をしておるか、伺わせていただきたいと思います。
  59. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 昭和五十八年ころから六十二年ころまでの東京圏の地価上昇につきましては、都心部等における事務所ビル需要の急激な増大、都心部等の業務地化に伴う住宅地の買いかえ需要の増大、これらの需要増大を見込んだ投機的取引等が好景気、金融の緩和状況等を背景として複合的に影響したというふうに考えております。  また、大阪圏、名古屋圏等における地価上昇の要因といたしましては、依然として金融緩和基調が続いておること、また先行して高騰いたしました東京圏と比較しまして相対的に割安感が生じ、投資的あるいは投機的な需要が増大したということ。さらには、大阪圏等を例にとりますと、新空港、関西文化学術研究都市都市再開発、交通機関の整備等々、いろいろな都市の整備が進展しておりまして、そういう進展とあわせてこれらの地域における今後の発展期待感が強まっている、そういうことも影響しているんじゃないかというふうに理解しているところであります。
  60. 種田誠

    ○種田誠君 そうしますと、一つには事業者などの土地、建物に対する需要の増大があったこと、また金融政策などにおける緩和措置のあったこと、それが最終的に投機的な不動産売買までをも導いてしまった。そういうふうなところに大きな原因があったのだろうと思われるわけでありますが、そうだとするならば、そのようなことが再び起こらないようにするのが対策だと思うわけであります。これまでの間に国土庁においてとってこられた対策、そしてその対策は果たして功を奏してきたのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  61. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 政府におきましても六十年の半ばごろからいろいろな対策を講じてきておりますが、特に六十二年の暮れから三年にかけまして緊急土地対策要綱あるいは総合土地対策要綱を閣議決定いたしまして、この要綱に従いまして需給両面にわたる総合的な施策を政府が一体となって進めてきているところでございます。  当面の地価抑制策といたしましては、監視区域制度の創設に基づくこの制度運用、あるいは不動産業者金融機関等に対する指導、さらには税制上の措置としまして、超短期重課制度の創設や居住用資産の買いかえ特例の原則廃止等々の税制上の措置等を講じてきたわけでありますし、また供給促進対策といたしましては、再開発促進のための再開発法等の一部改正による再開発地区計画制度の創設とか、さらには優良宅地開発のための特別立法、さらには宅地鉄道一体整備のための緊急措置法等々いろいろな制度も整えながら、供給促進のための体制整備をしてきておるところであります。  総合施策ですからいろいろまだたくさんございますが、そういった需給両面にわたる対策、さらには今後は土地税制をさらに総合的に見直す中で、いろいろ土地が資産として有利だ、そういう面もできるだけ減殺していくという観点から、現在、政府税調土地委員会で審議が続けられておりますが、そういう場でもそういう視点も含めて幅広く積極的に検討し、具体的な対策が進められていくと期待しておるところであります。
  62. 種田誠

    ○種田誠君 今局長が述べられた中で、まず最初に監視区域の適切な適用をしてきた、このような説明があったわけでありますが、ことしの三月に発表されました地価公示価格などを見ますと、東京や大阪ばかりでなくて、かなり地方の中核都市、東北の仙台や札幌や、また静岡などの周辺の地域、また中国地方の都市などにもかなり大幅な地価の上昇現象があらわれている。そして、皮肉にも東京においてもまたぞろ値上げ傾向があらわれてきているわけであります。この点について、適切に監視区域の適用を指示してきたという局長の立場としてどのようにお考えでしょうか。
  63. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 適正な地価の形成を図っていくためには、先ほど来申し上げておりますように、需給両面にわたります総合的な対策を推進するということが重要でございまして、土地取引規制だけで対処するというのには一定の限界があろうかと思います。  ただ、私どもとしましては、投機的な取引等をまず抑制することが大切だということで監視区域運用を非常に重視して今日までまいってきております。その中で、監視区域制度を創設していただいた六十年の六月以降、各公共団体地価抑制策としてまず監視区域の的確な運用をお願いしておるところでございまして、現時点ではこの監視区域制度運用しておる公共団体は一都二府三十四県十二政令指定都市、市区町村数で申し上げますと七百七十三特別区市町村というふうに、非常に広範な地域でこの監視区域制度運用されておるわけであります。  ただ、非常に遺憾なことでございますが、地価の現状を見ますと、御指摘のとおり大阪圏初め地方圏でも依然として高騰が続いております。そういう中で、この監視区域運用が後手に回っておるのではないか、あるいは監視区域だけでは不十分じゃないかという御指摘もよく耳にするわけであります。確かに公共団体も非常に真剣に取り組んではおるんですが、ややもすると後手に回ったという嫌いは我々としてもなしとしないという反省をしております。  それで、三月の二十七日にも各公共団体を呼びまして、監視区域運用について総点検を行う、指定がおくれておるところは指定を早急に行いますし、また実効が上がらないところは面積を引き下げる等、厳正化を行う、また特に今後なお上昇が続く、あるいは新たな上昇が起こると懸念される公共団体につきましては、国土庁長官から直接知事に具体的な監視区域運用の指示をしていただいたところであります。そういうことで、監視区域の厳正的確な運用を今後とも行いながら実を上げていきたいというふうに考えております。
  64. 種田誠

    ○種田誠君 監視区域制度の適切な運用はもとよりお願いしたいわけでありますが、局長もまだ記憶に新しいと思いますが、昨年の土地特別委員会におきまして、当時の石井長官が、監視区域制度ではやはり一つの限度があるかもわからない、より適切な地価対策対応するためには、規制区域が無理ならば少なくともその中間に値するような、あえて言うならば準規制区域みたいなものを真剣に考えなければならないだろう、そして対症療法的に土地を押さえておいて、その間に総合的政策を展開しようじゃないかと、こういうふうな答弁があったと思うんですね。局長自身はそのとき口を濁していたようでありますが、さらに長官が念を押されまして、いや局長の腹の中も私と同じでありますと、こうあのときに石井長官は述べていたと思うんです。  そういう意味で、長官が述べたのですから、当然建設省内においてそのような検討が今までになされてきたものと思いますが、この件についてむしろ国土庁長官の方に答弁をいただきたいと思います。
  65. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 種田先生にお答えいたしますが、実はそういう話は私は全く知らなかったんですが、この間の予算委員会で質問を受けました。石井君は私の同期で仲間でございますが、大変正義感の強い方でございまして、なかなか地価の安定が難しい、監視区域強化してもなかなか難しいというようなことで、しかも規制区域はなお正直言うとやりにくい、こんな点がありまして実は石井君はそういうような発言をしたと私は思います。  ただ問題は、規制区域につきましてもいろいろ言われていますが、二つの大きな問題点があると思います。 規制区域は、先生御存じのことでございますが、地価を凍結する、それから一定の取引以外というのは取引を許可しないのでございますが、二つの欠点の一つは、実はこの間、今土地局長が言いましたが、監視区域強化の場合で、都道府県知事を全部直に呼んでお願いをしたときに、仮に制区域やられますと、地方自治体が欲しい土地が買えないというんです。それからもう一つ実は困りましたのは、仮に取引の許可願いを業者が出した場合に、不許可にした場合に土地の買い取り請求があったらどうするかというんです。そうすると、地方自治体はお金がない。国土庁にもその機関がないんですよ。そんなことがございまして、規制区域もいろいろ言われていますが、実はそういう欠点もあるという話がございました。  そんなこともございまして、恐らく石井君がそういう正義感に駆られて、真ん中はどうだろうかと、こういう話をしたんじゃないかと思いますが、実際にはなかなか難しい、こんなように実は理解しておるわけで、その点特に御了解いただきたいと思うわけでございます。
  66. 種田誠

    ○種田誠君 その後の経過。
  67. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 先生から御指摘ございましたように、私もそのときの詳細な御質疑内容をよく承知しておりまして、最終的に、国土庁長官の指揮監督のもとに一体となって一生懸命仕事を進めておりますので勉強させていただきますという御答弁を申し上げたと思うのですが、その後、私ども土地局の中でチームもつくりまして、規制区域制度改正についてどういう方途があるか、そういうことをいろいろ勉強したわけでございます。  少し詳細になって恐縮でございますが、例えば規制区域の指定要件が厳し過ぎる、投機的取引の集中という要件を削除できないかというふうな意見もあるわけですが、例えばその点について申し上げますと、規制区域は御承知のとおり地価の凍結、一定の利用目的以外の土地取引は認めない等、極めて厳しい私権制限を課する制度でございますので、そのような厳しい私権制限に見合ったやはり厳格な指定要件が不可欠であろう。もしこれを外してしまいますと監視区域の指定要件とほとんど同じになってしまいまして、この辺の両制度の区別ができないとか、さらには規制区域につきましてはほとんど区域指定のときの価格に凍結されるわけですが、その価格が厳し過ぎると。それだったら少しアローアンスを認めるとか、あるいは価格凍結を届け出時点の価格で審査をしたらどうか、そういうふうな意見もあるわけですが、そうしますと現在の監視区域制度でございます届け出勧告制を許可制にするのと非常によく似てくるわけです。  そうなりますと、現在の監視区域制度届け出勧告制では不十分だ、許可制にしないといけないという合理的な理由がなければいけないわけですが、その点につきましても、現在、勧告に至る例は非常に少ないわけです。公表時点でほとんどの関係者が行政指導に従っておられるという実態がございますので、その辺もまた非常に難しいのです。それと、規制区域にしますと全取引を許可対象にしますので非常に事務量がふえる。だから、そういう点も勘案して、一定の足切りといいますか、ごく小さい取引は許可制から外したらどうかというふうな考えもあるわけですが、そういたしますと、どうしても許可対象物件とそうでないものとの二重価格制あるいは契約単位の細分化等を招来するおそれもある。  いろいろ勉強しましたが、非常に難しいのです。しかしながら、私どもとしましては、土地取引規制のあり方としてより合理的なものを常に勉強しないといけない、検討しないといけないという気持ちは持っておりまして、今後ともそういう気持ちで対応していきたいと思っております。  なお、ちょっと長くなって恐縮ですが、総理からの指示もございまして、監視区域の指定、運用は後手にならないように厳正的確に行うこと、場合によっては規制区域の指定も念頭に置いて厳しくやってほしい、そういう指示もございましたので、先般、長官関係知事においでいただきましていろいろ要請した際にもその旨伝えていただいたわけです。そのとき、規制区域に関する知事のいろいろな意見、見解が披瀝されましたが、その際にも、規制区域運用についてどうしても問題あり、あるいは制度について問題ありということであれば、公共団体からも今後積極的に意見を出してほしい、そういう意見も踏まえ、さらに我々引き続き検討さしていただきたい、そういうふうに考えております。  長くなって恐縮でございます。
  68. 種田誠

    ○種田誠君 ぜひとも有効な手段として監視区域及び規制区域、さらには新たな規制のあり方などを前向きに検討していただきたいと思うわけであります。  その関係で一点だけもう一つ伺いたいんですが、先ほど来も話がありましたが、常磐新線が新しい法律に基づいてつくられようとしているわけであります。先ほども公有地拡大法に関して、最近いわゆる面積を二千平米にまで引き下げる、こういうふうな対応でより公有地拡大が可能になるような施策を展開していると、こういうふうな答弁があったわけでありますが、私は御提案申し上げたいと思うんですが、一つの行政目的として何としても一定期間の間にこれをなし遂げなければならない、そういうふうな課題を持った施策については思い切った土地取得の可能性のあるような施策を行うべきだろうと思います。そしてこの常磐新線が予定されている地域においても監視区域が一部指定はされておりますが、地価の高騰がかなり激しいわけであります。  そして、実際、茨城県においても土地区画整理事業のいろいろな試みをしながら土地の取得を考えているわけでありますが、なかなか困難な実情にあるやにも聞いております。そしてさらに、近近線路の地域、駅の地域、その周辺の地域計画が発表されるということになりますと、これはもうデベロッパーは黙っていないわけであります。したがいまして、そういうふうな計画が発表されると同時に、その地域だけに関してはもう土地の移動を許さない、その地域に関しては規制区域と同じような適用をしていくという、これは行政の合目的的な目的を達成することによって国民福祉にこたえるわけですから、何としてもその辺のときには国民のコンセンサスを得られているものとしての事業計画でありますから、思い切った決断をして土地に対する厳しい施策を実行していただきたいと思うわけであります。  次に、こういう形で土地が仮にこの首都圏においてもそして地方においても供給されるような施策が行われたとしても、私はそれだけでは十分でないような気がするんです。というのは、土地供給は何のためにあるかといえば、当たり前に働いているサラリーマンが当たり前の価格で当たり前に取得できて、借りられて、そして一生涯を平穏に過ごすことができる、そういうふうな施策へと展開されなければ、土地供給があっても意味がないと思うわけですね。  そういう中で、私は今の施策の中で大きく欠けているものが一つあるんじゃないかと思います。というのは、それが地価高騰の原因にもなっているわけでありますが、結局、今回の首都圏における地価高騰の原因の一つに、先ほど局長も述べておられたことでもあるわけでありますが、例えば文京区にしても千代田区にしても中央区にしても、いわゆる日本の法制の中での用途指定の区域がなされております。第一種住宅、第二種住宅地域、いろいろあります。しかし、そこはオフィスビルと住宅街が混在しているわけです。そこで、オフィスビルの賃貸と住宅の賃貸を同じレベルで競争させたら、当然事務所ビルの賃貸料の方が上がってしまうわけです。また土地の取得に関しても、事業所用の土地の取得と住宅用の土地の取得で同列のレベルで争わせた場合には、市場原理によって当然これは高い方に落ちついてしまうわけです。それができてしまう今の用途規制区域になっているところに土地高騰の原因があったとは思われないでしょうか、どうでしょうか。
  69. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 確かに御指摘のとおり、宅地供給を促進する際にやはり土地利用の規制に関する措置とか、あるいは土地利用計画に係る事業を的確に行う中で進めていくということが大変大切だと思っております。特に土地基本法の十一条でも、必要に応じて詳細な計画をつくり、また広域の見地に配慮して計画を策定しながら宅地供給促進を図っていくとの趣旨の規定が置かれております。土地利用計画の策定とあわせた宅地の開発あるいは有効高度利用の促進というのが大切だと思っております。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕  具体にどういうふうに計画を充実していくかというのは、いろいろまた難しい問題があろうかと思いますが、ただ現在建設省で国会に御提出になっております都市計画法及び建築基準法の一部改正法案等におきましても、基本法の精神を体した計画の充実という方向での改正内容が盛り込まれておると私は理解しております。
  70. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 良好な都市環境の確保とかあるいは住宅地の適正な供給を図るために、地域ごとの建築基準の用途の充実を図ることは極めて重要なことだというふうに私ども認識をいたしております。このため、住宅地、殊に新たな住宅地をつくる場合については、できるだけ住宅地域としての純化が図られるように第一種の住居専用地域または第二種の住居専用地域の指定を行ってきているところでございます。  ただ、現にいろいろの用途に供されている、用途が混在している地域について、これを住居専用という用途地域に指定することは既存の店舗とか事務所等の建てかえを不可能にするという点から、なかなかその土地所有者について厳し過ぎるということで困難なことも少なくございません。これに対応するために、必要に応じまして、部分的なものとはなりますけれども地域住民等の合意の形成を図りながら地区計画という制度を活用いたしまして、その地域の用途を住居系に持っていこうというような制度も設けており、現に活用もされているところでございます。  それからなお、今回国会に提出させていただいております都市計画法及び建築基準法の一部改正によりまして創設を予定しております用途別容積型地区計画制度というのがございますが、これは大都市の中心部あるいはその周辺部におきまして、住宅と商業用の用途が混在している市街地、こういうところで事務所と住宅では住宅が競争力が弱いというようなことは御指摘のとおりでございますので、住宅の用途に供する建築物について容積率の緩和を行うことによって競争条件を有利にすると申しますか、そういうことを考えております。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕 ただ全体として見ました場合に、用途規制をもって地価抑制するということは、実は現在第一種住居専用地域、第二種専用地域という事務所が建てられないような地域においても非常に地価が高くなっているという実情を見ましても、それをもってすべてというわけにはいかないというふうに考えております。
  71. 種田誠

    ○種田誠君 今両局長さんが言われたこともよくわかるわけでありますが、ただ経済企画庁の物価局自身が私の今質問していることを指摘しているわけですね。日本の土地計画の中において、土地基本法の十一条一項の土地利用計画、そして二項で詳細計画、あれが入った背景というのはまさに現在の用途地域の規制だけでは不十分であると、そういう意味で少なくとも欧米並みのいわゆる計画的な土地利用計画、よくマスタープランとか言われておりますが、そういうものを念頭に置いてあの条文はつくられたと思うんですね。そして、それを受けてさらに二項で詳細計画がつくられたのだと思うんですよ。これが、今局長は日本は用途規制があるから、それは用途規制は土地の上昇とは関係ないというようなことを言いましたけれども、むしろ用途規制があってもそれが不十分であったがために今回土地の高騰が起こってしまったということを正確に認識しないところに新しい土地対策ができないということを理解してもらいたいと思うわけであります。これは経企庁の御指摘ですから。  そして、私は今大事なことは、先ほど言いましたように、土地供給がなされる、なされた土地に対してこれからいわゆる全体のマスタープランとしてこの地域は商業地域にしていこうじゃないか、この地域住宅地域にしていこうじゃないか、そう決めたらそれを動かしちゃいけないんですよ。ここは緑地にしようじゃないかと言ったら永久に動かしちゃいけないんですよ。その意味で基本的なマスタープランをつくるべきだろう。そして、マスタープランができた後で住民意見などをよく聞きながら詳細計画をつくり上げていく、こういう視点に立った計画をぜひつくっていただきたいと思います。これ、いかがでしょうか。
  72. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 用途規制というものが、例えば第一種住居専用地域に指定してあるところには事務所は建てられない、だから地価の高騰はないというぐあいにはいかない、現実を見ておりますと。そこを私先ほど申し上げたつもりでございますが、しかし、その用途が第一種住居専用地域のように純化されていることは地価高騰防止の上で有用であるという点もあると思っております。  それで、今の企画庁のレポートのことは私ども承知しておりますが、私ども都市計画法では八種類の用途地域を持っておりますけれども、さらに先ほどちょっと御説明申し上げましたけれども地区計画という制度で、そのエリアは限られますけれども、そういうところにおいて住民の合意というもの、意思というものを前提としながらその地域の中である目的を持った用途地域というものをつくることができるようにしておりますので、現行制度で用途の純化というものはかなり守られているというふうに考えているし、これからさらにそういうことを進めなきゃいけないと思っているところでございます。  一たん決めたものを変えない方がいいのか、あるいはその社会情勢によって変える方がいいのかというのは議論があるところでございますが、都市計画法ではどちらかというと十年たったら見直そうというような考えに立っておりまして、町の生々発展を見ながら都市計画法を是正するんだという思想に立っております。
  73. 種田誠

    ○種田誠君 その点についてはもうこれ以上議論する気はありませんが、ただ念頭に置いてもらいたいことは、現在の施策の中で土地高騰が起こってしまったということ、首都圏の高騰が起こったということを局長の方ではしっかりと押えておいてもらいたいと思うわけであります。その上に立って新しい施策をぜひ展開してもらいたいと思います。  次に、そういう形で優良な宅地が出てくるわけでありますが、ちょっととここで伺っておきたいのは、この間、政府税調のヒアリングが国土庁建設省ともにあったと思うんですが、簡単で結構ですが、どのような形で新しい税制に関しての提言をなされてきたのか、ここではっきりと国会の方へ、委員会で報告してもらいたいと思うわけでございます。
  74. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 土地委員会の方からこれまで二回ヒアリングを求められまして、主として地価の動向、それと土地対策の現状等を中心に御説明申し上げたわけですが、せっかくの機会ですから、私どもとしましては土地対策を進める観点から、土地税制につきましては土地が資産として有しておりますその有利性をできるだけ減少させて投機的な取引とか仮需要を抑制していくという観点が重要だと。さらには法人、個人を通じて税の公平を確保する。それと三番目に土地の有効な利用を促進していく。こういった税制の役割があると理解しているので、ひとつそういう観点からも積極的な御審議をお願いしたいというふうに御意見申し上げたわけであります。  その際、なお具体的に申し上げますと、一つには法人保有土地に対して保有税を強化すること、それともう一つは、譲渡益課税につきましては完全分離課税制度等が検討対象として考えられるのではないか、ひとつそういう点につきましても積極的な御検討をお願いしたい、そういうふうなお願い、御意見を申し上げた次第であります。
  75. 福本英三

    政府委員(福本英三君) 建設省でも、四月の下旬に小委員会においてヒアリングが行われたわけでございます。このヒアリングは、今も国土庁からも説明ございましたが、税の要望を聞くということではございませんで、土地関連施策について各省がやっていることをいろいろ聞くというようなところに中心があったわけでございます。  そこで、建設省といたしましては住宅宅地供給施策につきましていろいろな考え方を御説明したわけでございますが、せっかくの機会ということで、住宅宅地供給施策の一環としての土地税制についての建設省考え方というものをあわせて口頭で最後に説明したというようなことでございます。具体的には、低・未利用地に対する特別土地保有税の強化とか、あるいは市街化区域内農地に対する固定資産税あるいは相続税等の課税の適正化といったようなことを考え方として説明したところでございます。
  76. 種田誠

    ○種田誠君 まさに今土地に関する税制をどのようにするかということが、資産格差の拡大してしまった今日において、唯一と言っていいぐらいの決め手だと思うわけであります。そういう意味で、後世の私たちの子供や孫たちに恥ずかしくないような、そしてその子供や孫たちにおいても土地が資産の公平化に向かっていくような税制等含めて建設省及び国土庁においてむしろこれは頑張ってもらいたい。そして、もう既に皆さん方の間接的な提言が逆に通産省や農水省やその他の省庁からむしろ足を引っ張られるような、そういうふうな動きもあるやに新聞などにおける報道もなされております。ぜひとも土地保有税に向けての新たな意気込み、そして不当な含み益を許さないとか、そしてまた不公平な税制をどう救っていくかという正義感に基づいた、歴史の選択を間違わないような税制をつくるために頑張っていただきたいと思います。  先ほど小川委員の方からも質問があったわけでありますが、過日、住宅建設第六次五カ年計画に関する建設省からのマスコミに対する何か発表があったように聞いております。五月十四日付の読売の夕刊によりますと、「ゆとり住宅四三%以上に 四人世帯で九十一平方メートル(都市圏)」と、こういうふうなことでどうも記者発表がなされているようですが、この第六次五カ年計画について伺っていきたいと思います。  その前に、第五次五カ年計画一つ目標にされていた最低居住水準の住宅をなくすというこの点については、この五カ年計画の中でどのように推移してきたでしょうか。
  77. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今五月十四日の読売の記事のお話ございましたが、これは私どもが発表したものではございません。  この中にいろいろ書いてございますが、今まで発表したといいますか世の中に公にしておりますものは二〇〇〇年に向けての建設省の国土建設の長期構想というのがあるわけですが、この中で住宅についてはどういうふうに考えるかということで、誘導居住水準以上の居住水準のある世帯が全世帯の半数以上になるようにするということ、あるいはストックの戸当たり平均値が百平米になるようにするというようなことは長期構想で既に発表しておりますので、この中にもそれは書かれております。現行五期五カ年計画でも、二十一世紀初頭では誘導居住水準以上に住む世帯が五割以上になるようにということを居住水準の目標に掲げているところでございます。  したがいまして、この中に書かれましたことはそういうふうに事実に合っていることもございますが、六期五計に向けて、あるいは十カ年計画に向けて書かれている部分はほとんど発表しないものでございます。ですから、私ども考えてないものが書かれているところでございます。  それから、五期五計で解消を目標にしておる最低居住水準が現在どうなっているかということでございますが、六十三年度に総理府統計局の住宅統計調査が発表になりました。これが唯一住宅に関するセンサスみたいなものでございまして、これで住宅政策の実績あるいは効果を判断していくわけでございます。それによりますと、全国で三千七百四十一万世帯あるわけでございますが、最低居住水準未満の世帯が三百五十五万世帯ということでございまして、九・五%ということで初めて一〇%を割っております。ただし、京浜大都市圏、いわゆる東京圏でございますが、これについては一四%ということで格段に最低居住水準未満が高うございます。一方、大都市圏を除きます地方につきましては六・四ということでございます。  したがいまして、ここは最低居住水準の解消の考え方でございますが、最終的に、この人は最低居住水準未満に住んでおるけれどもこれは住んではいけないんだ、したがってこの住宅に住みなさいということでそこに移転を命令するという、こういうシステムではございませんで、環境整備をしていって次第に居住水準の向上を図っていこう、こういう政策をとっておりますから、私どもその他地域の六・四というのは相当にいいところまでいっている、解消に近づいておる、こういうふうに考えております。ただ、大都市圏の方は、今申しましたように東京圏を中心にしてまだ一割を超えておりますので、これはまだまだ問題であるというふうに考えております。
  78. 種田誠

    ○種田誠君 この最低居住水準未満の世帯を一日も早く解消していくような施策をぜひとも進めていただきたいと思うわけでありますが、今局長が述べられた数字の中で、さらにつけ加えれば、東京都はもっと高くて一七・七%になっているんですね。ですから、東京都に関してはこの問題はかなり深刻な問題だということを受けとめておいていただきたいと思います。  なお、この最低居住水準未満の世帯を減らしていくと同時に、あわせて誘導居住水準の世帯をふやしていくという、まさにこれが課題になってくると思うんですが、第六次五カ年計画の中において、この誘導居住水準面積は都市型四人世帯で九十一平方メートルぐらいを目指すというふうに言っているようでありますが、その辺のことに関しての現在の考え方などがあれば示していただきたいと思います。
  79. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 先ほど申しましたように、国土建設の長期構想及び現行の第五期五計では二十一世紀初頭の居住水準目標というものを定めております。したがいまして、次の五計はどうなるかということでございますが、これにつきましては現在住宅宅地審議会で新しい経済社会の変化に対応した住宅政策の体系はどうあるべきかということで基本的な見直しをお願いしております。それに基づいて、次の五計についての基本的な考え方もその中で御議論いただいておりますので、その結論を待って最終的には決まるわけでございますが、今申しましたように、長期構想及び五計では二十一世紀の目標としてそういう誘導居住水準の目標を定めておりますので、この点は余り動かないのではないかというふうに考えております。  したがいまして、審議会で御議論いただいております中身としては、次の五計でそういった良質ストックをどうやって蓄積をしていくか、あるいは高齢化社会において、先ほど言われましたような居住水準の問題で、やはり高齢者対策というのは非常に大きなウエートを占めておりますが、それに対して現行住宅政策でいいのかどうかというようなあたりが一番御議論になっている点でございまして、そこら辺が今後の重要な課題になってくるであろうと考えております。
  80. 種田誠

    ○種田誠君 今述べられた点、まさに今日的な課題だとも思います。ぜひとも誘導居住水準面積を持った住居をできる限り大きく引き上げるような施策を展開していただきたいと思うと同時に、高齢化社会にも対応した住居の構想なども積極的に進めていただきたいと思います。  要は、そのような住宅供給されたとして、先ほど小川委員の方からも質問がありましたが、当たり前に働いているサラリーマンの方がその所得でもって当たり前の家賃で当たり前の価格でもって住居が借りられる、そして取得できなければならないわけであります。それは多分各省庁の皆さん方共通の認識だと思うわけでありますが、現実にこの首都圏で公営住宅にしてもそれから公団、公社住宅にしても民間住宅にしても、果たしてこのまま黙っていてそれが確保できるかどうかということについて伺いたいと思います。何も手を打たないでそれが確保できるかどうかということです。
  81. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 何らの政策も打たずに確保できるということはなかなか明言できないことかと思います。
  82. 種田誠

    ○種田誠君 では、どういうふうな手だてを今考えておりますか。
  83. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 現行の五期五計によりますと、民間の市場の家賃で最低居住水準をどうしても確保できない層に対しては、できる限り公共賃貸住宅ストックを充実しましてこれにお住みいただくようなそういう環境をつくるべきであるということでございまして、そのために大都市圏を例えば東京圏でありますとか大阪圏でありますとかに分けまして、それぞれ五年後の世帯別の収入であるとか、それから何人世帯の規模のものがどのくらい数があるかというようなことをいろいろ推計をいたしまして必要な公共ストックをはじき出して、そこから公共賃貸住宅建設戸数をはじいて五計に組んでいるところでございます。  それで、さらにその上の層になろうかと思いますけれども、持ち家に住みかえる層につきましては、できるだけ良質なストックに住みかえていただきたいということから、公庫融資等の政策の低利融資を用意いたしまして、それも必要な戸数分を五計に計上して毎年の公庫融資の事業を予算を取っていく、こういう形で現在進めておるわけでございまして、各五期五計を立てるごとにそれぞれ五年後の状況を見通して需要量をはじき、計画を立てる。こういう形で、できるだけ目標に向けて近づきたい、こういう努力をしているところでございます。
  84. 種田誠

    ○種田誠君 五次五カ年計画においてもやはり同じような視点に立って、当たり前に働くサラリーマンが適正な家賃で借りられ取得できるような政策にしようということで過去にも取り組んできたんだと思うんですね。  ところが、その結果今どうなっているかといいますと、もう省庁でも十二分におわかりだと思いますが、佃の大川端にリバーシティ21という地域開発がなされて住宅が建っているわけです。発表されたところによると、東京都の関係住宅が三DKで五万五千二百円、住都公団の方が二LDKプラス一Kで、九十八平方メートルですが、二十三万四千三百円、そして三井不動産、民間でありますが、三LDK、八十四平米で三十九万六千円。東京都のこの家賃に関しては東京都の方でいろいろな施策を打ってこのような金額に抑えているわけでありますが、問題は住都公団、これは公的資金がたくさん行っている公団でありますが、ここの家賃にしても二十三万四千三百円となっているわけですね。先ほど局長が言っていた、子供さんがちょっと大きくなってきてもう少し良質な住宅に入りたいという世帯が、果たしてこの住宅を借りられるかどうかですね。  ちなみに、後ろにいられる課長補佐さんとか課長さんにおいてこの二十三万四千三百円払えるならば、ここから個々の省庁に通えば本当に職住接近でいいと思うんですね。払えますか、どうでしょうか。
  85. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 私も佃の一番高いところの公団住宅を見てまいりましたが、私自身、大変結構な場所でございますけれども、家賃は簡単に払えるものじゃないと思っております。  ですけれども、これは先生にぜひとも申し上げたいのは、大都市圏で公団が働いておりますのは佃島だけではないわけでございます。あそこはそういう公有住宅をつくっているという例でございます。したがいまして、ちょっと全体の様子を申し上げますと、六十三年度の首都圏におきまして四千九百七十五戸の新規供給がございますが、その平均家賃は九万四千円でございます。それから過去のつくったストックで空き家が出てまいります。これは非常に転勤族が多うございますので、ストックの中からどんどんと空き家が出てまいりますからそれを募集いたしますが、これが新規供給の三倍ぐらいございます。一万三千戸ぐらいございますが、その家賃は約四万円でございます。そういうことでございまして、公団全体としてどういう住宅、どういう家賃のものを供給しておるかというところで御評価をぜひともいただきたいと思います。  それではそういう都心部のああいう場所にああいう住宅を公団は絶対つくったらいかぬのか、こういう話でございますが、これはせっかくできました工場跡地で、しかも町づくりをやりながらやっていく場合に、都市型の世帯、特に近接地に住みたいという需要もございますし、それからこの新聞記事にもございますようにいろんな世帯形態がございます。共稼ぎもあれば、それから熟年層で会社の経営者的な者で、むしろ賃貸の方がいい、こういうことで都心に住みたい方もおられるわけでございまして、そういう需要層に公団が絶対供給してはいけないかというとそういうことにはなっておりませんで、そういうものも供給をし、さらにこれが年代を経てまいりますと次第に中堅所得層、場合によっては低所得層まで入るような時代がやがて参ります。そういうことで、長い目で都市資産として見ていただきたい、かように存ずる次第でございます。
  86. 種田誠

    ○種田誠君 私は別に佃島のこのビルばかりについて言っているんではなくて、同じように臨海副都心に開発住宅がつくられるわけですね。この家賃も基準家賃が三人世帯六十五平方メートルで二十万円なんですよ。これはたくさんの住宅がここにはできます。局長は公団のこの佃島だけのことを今おっしゃっておったようですけれども、今都市の再開発をする中で、住宅を建てかえたり、また新たに都心部につくっていくということになりますと、決して安い家賃にはならないと思うんです。  したがいまして、これには私は一つにも二つにもこれから工夫を重ねなきゃならないと思うんです。土地に関しても別に取得するだけが能じゃなくて、土地を公団が借り上げる、借地の上にビルを建てるというようなことも考えてほしいと思います。借地権は大切な権利ですから、それで十二分にやっていけるわけです。そういうのも考えなきゃならない。そして、さらに民間に関しても積極的な施策を今展開する時期に来ていると思うんですね。そういう意味で都心部における賃貸料、もう一度前向きに見直していただきたい、このように思うわけです。
  87. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今、新しい臨海部におきます住宅供給お話が出ました。私ども今回の首都圏あるいはその他の大都市におきます住宅対策考えた場合に、臨海部の工業地帯あるいはその埋立地、こういったところで住宅供給する余地が相当あるというふうに見込んでおりまして、これが大きなポイントだと思っております。その際に、今回の東京都の住宅建設の構想というのは一つの大きなモデルになっていくだろうというふうに考えております。先生のおっしゃるとおりでございます。  ただ、あそこで出ております二十万円云々という話は、これは供給時点、つまり新しい住宅建設して供給する時点でどのくらいの家賃であれば可能かというようなことから全体の計画を組んでおります。それが一点と、それから当然に埋立地でございますので埋め立てその他にコストがかかっておりまして、そういう土地を持っている部署とそれから供給する部署とは当然また違っておりますので、そこら辺のいろんな話し合いの中から私どもとしてはむしろ非常に東京都の方で御努力いただいたというふうに考えております。  したがいまして、国有地や公団、JRの用地もそうなんでございますが、今後ともそういう地主さん側に非常に御努力いただくというのが一点目。それから先生今言われましたようにできるだけその土地高度利用をすると同時に、何らかの工夫をしてできるだけ家賃を勤労者向けに下げていくということをやっていくということがぜひとも必要だろうと思っています。その際に、公団につきましては膨大な賃貸ストックもございますので、全体の賃貸の経営の中でいろいろ工夫することも必要でございますし、それから国の方もお手伝いをすることが必要になっているかと思います。  それからまた、先ほど先生言われましたように、土地所有者土地を売るのではなくて貸し家として供給するということが非常に重要でございます。先ほどの御答弁の際にも申し上げましたが、したがいまして私ども市街化区域内農地等等でもっと貸し家が供給できないか、しかもその場合に今までのような一種住専の容積率じゃなくて高い容積率で供給できないかというようなことで、新しい施策を考えているところでございます。
  88. 種田誠

    ○種田誠君 それともう一点、公営住宅に関して伺っておきたいんですが、東京都の方の公営住宅などに関しての資料ですが、第一種、第二種の区別の中において四〇%の方が収入超過になっちゃっているというようなこと、それから公社住宅入居者の三〇%が本当は公営階層の方だ、こういうふうに指摘されているわけですね。そうしますと、この時点でそろそろ、特に大都市圏においては第一種、第二種とか公団などの見直しをある程度しなければならないんではないだろうか、こういうふうに思うわけですが、これからの住宅政策は大都市部と地方都市というのにある程度分けて施策を展開する必要もあると思うんですが、その辺を踏まえて、この点についてはどうでしょうか。
  89. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 現在の公営住宅制度そのものとそれから実際の運用でございますが、先ほど需要推計の手法を御説明した際にちょっと申し上げたんですけれども、どちらかといいますとナショナルミニマム的な発想で施策を遂行しております。したがいまして、そのナショナルミニマム的な発想というのは大都市たると地方たるとを問わず日本国であればというようなことがどうしても伴いますので、今の先生の御指摘のような事実上いろいろと問題が出ているところも出ているかと思います。  これに加えまして、公社賃貸でありますとか公団賃貸は、これこそ大都市地域、地方を分けまして、大都市地域に対する施策として考え出されたものでございますので、公営住宅にプラスをして公社賃貸、公団賃貸が重なっている、こういうふうにお考えいただければよろしいかと思います。  そういう全体の体系の中で先生指摘のような問題がございますので、物と人との関係というのは非常に微妙でございまして、簡単に移せばいいというものではなかなかございません。そこら辺で、制度をどういうふうにしていくかということがこれから問題になってくるかと思います。そういうことを含めまして現在住宅宅地審議会でも議論しているところでございます。
  90. 種田誠

    ○種田誠君 住宅問題は戦後四十五年たちまして、これまで四十一年からはまさに住宅建設計画法に基づいて五年度ごとにやってきたわけでありますが、もうそろそろ戦後四十五年間のストックの上に日本全体の住宅のバランスを考えて良質な住宅をつくり上げる、そのために国民一体となっていわゆる住宅に関する基本的な法律をつくり上げて、それに基づいて今後の住宅政策を維持していく、このような考えは今ございませんでしょうか。
  91. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 住宅基本法の問題は毎年のように国会でも議論になっております。私どもそのたびに総理答弁でありますとか大臣答弁でも同趣旨のことをお願いして申し述べておるところでございますが、特に土地とか住宅とかというようなこういう問題につきましては、国民、各政党間のコンセンサスが一致しなければなかなかいいものができないんではないか、かように存じております。  そういう観点から見ますと、国、地方公共団体の責務の考え方でありますとか、住居費負担の、先ほど来何%とかというようなことをいろいろ申し上げておりますが、その際にも分母と分子、考えていることが違うわけでございます。そういったいろんなことで考え方がまだまだ違っておりますので、この点で今すぐこの基本法制定するということはなかなか難しいんではないかということでございます。
  92. 種田誠

    ○種田誠君 私は、土地の問題に関しても住宅の問題に関してもそろそろ国民の議論は全部出尽くしたな、そして私たちの施策も大体出尽くしたな、こういう時期だからこそ住宅に関していつまでも住宅建設計画法、昭和四十一年以来の施策じゃなくて、ここで新たに出発をしたらいいだろうということを考えて提案しているわけですが、大臣いかがでしょうか、建設大臣お願いします。
  93. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) ただいま御指摘のように、住宅問題につきましてはただいま戸数でやっておりますが、戦後の住宅建設のときの戸数が用いられたりしておりまして、ただいまは質の問題とかいろいろと問題が絡み合っております。建設省といたしましても良質な住宅供給策というものについていろいろと考えておりますが、今局長がお答えを申し上げましたように、各政党間あるいは国民の間にコンセンサスが得られれば、それらについてさらに一歩踏み出した基本法等の制定も望ましいことだというふうに私ども理解しております。
  94. 種田誠

    ○種田誠君 時間がなくなってまいりました。まとめて二つだけ質問いたします。  一つには、今まで述べられたような形で住宅供給される、そして土地の再開発がなされる、そのときに今一番困るのは建設業者の方々だと思うんです。実際、建設業者の方々は公共事業に関してはくじ引きをして、今回だれが当たるだろうか、当たった人は不運だと、こういう形で今入札がなされているわけであります。ちなみに東京都の昨年度の入札状況を調べていただきたいと思います。そしてまた、このような公共事業が一体どこに原因があって建設業者の方から回避されているんだろうか。単価が悪いのか、歩掛けが悪いのか、その辺のことについてこれからの考え方を教えていただきたい。  そして問題は、再開発をいたしますと建築廃材や残土が出ます。この残土をどうするかということに関して、実際処理するのは中小の業者なんです。この業者の方々にどうしたらば正確な情報などを与えられるか。むしろ今横浜と徳島で新たな形で、横浜の残土を徳島に埋め立てる、徳島の砕石を横浜に持ってくる。これは一つには中小の方方であれば、情報さえしっかりしていればそれができるわけです。そういうことに関する建設省の今後の御指導、その点について伺いたいと思います。  最後に、きょう文部省から来ていただいておりますので、実は私は土地問題にしても住宅問題にしても、国民の新たなコンセンサスをつくるのには何としても教育が重要だろうと思うわけであります。そして、これも昨年の暮れに実は土地特の委員会で石井長官にお願いしたんですが、文部省にお願いをして、小学校、中学校、高校の教育の中に、土地とは何なのか、住宅とは何なのか、公共利用とは何なのかということを指導していただきたい、このように申し述べてきたわけでありますが、その結果が文部省の方でどうなっているか、またこれからどうしたらいいか、それも伺いたいと思っております。よろしくお願いします。
  95. 玉田博亮

    説明員(玉田博亮君) それではまず最初御指摘にございました、ただいま民間工事を中心にいたしまして特に建築の需要が著しく増大しております。こういったことから、工事量の増加あるいは型枠工等の技能労働者の不足、こういったことが主たる原因になりまして一部におきまして御指摘のような不調が発生しているのが実情でございます。  私どもといたしましては、公共工事を発注するに当たりましては、まず適切な予定価格をきちっと積算をするということが第一でございます。これには、労務賃金単価の実勢価格を正確に把握する、それから資材の単価についてはそのときどきの情勢に応じてそれを用いて発注する、そういったことでございます。それからさらに重要なことは、適切な工期を設定していくということでございます。この点につきまして私ども、例えば労務者を事前に集める、そういう必要な期間をさらに新たに別途に見込んで適切な工期を設定するとか、さらにはゼロ国債を活用いたしまして年間を通じました工事発注の平準化を図っていく、こういった努力を続けているところでございます。  こういった努力におきまして、建築、土木等の公共工事が民間事業者によりまして適切に施工されるという努力を今後とも続けてまいる所存でございます。
  96. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 建設残土などに関する御質問がございました。  お説のとおり、最近非常に建設残土あるいは建設廃棄物がふえております。これについて、数字は省略いたしますけれども、特に首都圏のことで申し上げますと、羽田の沖合展開が平成三年度で終わる、埋め立てが終わるということになりますと、そこで処理したものも含めて今後どう対処していくかというふうな大変いろいろな問題を抱えている局面にございます。  ただ、ここではっきり申し上げたいことは、建設残土というのがあたかも邪魔なもの、捨てるもの、こういうふうに誤解されがちでございますが、見方を変えますと、これは大変に貴重な資材でもある、こういった認識を我々持って問題を対処しなきゃならぬ、こういうふうに考えております。  そういった認識の中で、現在、特に首都圏におきましては私どもの関東地方建設局が中心になりまして関係県相集って対策協議会を持っておりますが、いずれにしましても、今先生がおっしゃいましたが、発生する側の情報と、それから処分といいましょうか受け入れる側、求める側の情報、これを一元的に集中的にまとめるということが大変大事だろうと思っておりまして、そういった方向へのこれからの一層の機能を強化してまいりたい。  幸いにしまして、各県におきましてもそういう動き、協議会等々持ちましてやっている時期でございますが、我々いずれにしましても事業サイドの情報というものも大いに民間も含めてインプットしながら、これを情報交換して適切に処理、活用していこう、こういう道筋を進めてまいりたいと考えております。
  97. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 土地についての基本理念を学校教育へ取り入れていただく点につきましては、土地特の御審議を踏まえまして、本年一月に当時の石井国土庁長官から文部大臣に対しましてお願いをしたわけでございますが、現在の学習指導要領が平成元年三月に見直されたばかりでございまして、学習指導要領は原則十年に一回見直しということになっているのだそうです。したがって、これを見直して入れるということは直ちには難しいわけでありますが、ただ、現在の学習指導要領上も土地問題を取り上げ得る、そういうふうな御解釈でございます。また、教科書会社が現実には教科書を作成しておりますので、そういう教科書を改定する際に、私どもの方から教科書会社に働きかけてできるだけ入れていただくというふうなお願いはできるんじゃないかということですので、今後もそういう形で努力していきたいというふうに考えております。  ただ、教科書ではございませんが、この四月に初めて基本法に基づく啓蒙活動の一つとして、四月一カ月間を土地月間と定めましていろいろな啓蒙普及活動を行わせていただきました。これは一朝一夕に十分な成果を上げ得るものではございませんけれども、最初の月間としてはまずまず順調にスタートが切れたんじゃないかと思います。その中でも、ある新聞社等にお願いしまして、小学生新聞とか中学生新聞というのがございますので、この中で基本法理念を盛り込んでいただきまして、少しその辺はカバーさせていただいたつもりでございます。今後も努力したいと思います。
  98. 近藤信司

    説明員(近藤信司君) 委員から土地の問題、住宅の問題につきましていろいろ御指摘をいただいたわけでございますが、私どもこういった問題が非常に公共的な問題であるということを子供たちが十分認識をしているということが大切であろうと考えております。公共性の理解を学校教育において一層深めますよう、児童生徒の発達段階に応じまして指導を行っているところでございます。  今御答弁がございましたように、教科書におきましても、土地公共性であるとか都市問題等につきまして記述もなされているわけでございます。そういった中でも指導が適切になされていくよう、私どもも十分留意をしてまいりたいと思っております。文部省といたしましても、今後とも学校教育におきまして、こういった問題の理解が子供たちに十分深まっていきますよう指導の充実を図ってまいりたいと考えております。
  99. 白浜一良

    ○白浜一良君 私は十二時からの質問の予定でございましたが、ただいま十二時九分でございまして、これから一時間質疑があるということ、非常に心苦しく思っております。大臣の御都合でどうしても一時からだめだということらしいんですけれども、しかしここにいらっしゃる皆さん方の心情を考えれば、これから一時間私頑張ってやるということは苦痛にたえません。皆さん方の心情を思いはかりまして、私、四十五分前後には質疑を終わりたい。非常に譲った気持ちで、私、これ全体の流れの上から言っているわけでございまして、まず皆さん安心していただくためにお話をさせていただきます。  まず最初に、建設大臣、また国土庁長官にお伺いしたいんですけれども、先日、昨年度の高額納税者一覧ばっと載りましたですね。あれ見られましたですか。あれ見たら、いわゆる土地でもうけた人が六十三人いらっしゃるんです。いわゆる日本が経済大国と言われている中で、高額納税者百人のうち六十三人が土地でもうけた方というこういう実態、これ大臣どう思われますか。
  100. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) ただいま御指摘のように、六十三人という数を私も承知いたしております。いろいろの事情、それぞれ個別の事情によってそういう所得が得られたものだと思いますが、最近土地をめぐりまして不公平感が生まれたりいろんなことをしておるということはまことに遺憾なことだと考えております。なお、地価の安定あるいは供給策ということについてさらに一生懸命やらなきゃならぬというような気持ちを持っています。
  101. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 大変異常なことだと思っておりまして、土地騰貴がいかにそれに大きく影響しているかということでございます。  そういうことでございまして、現在国土庁でやっておりますことは、いかにして地価抑制するか、そういうことで監視区域等強化してやっておるということでございます。基本的には、先生も御存じのとおりでございますが、大体土地価格はGNPと同じ価格ならいいんだと思うのですけれども、大体今日本のGNPは三百六十七兆ぐらいだと思いますが、実質は土地評価は一千八百兆。これを一体どうするかということで、全力を挙げて地価を安定させますとともに、将来にわたりまして地価を下げるべく努力をしておりますので、何分の御理解と御協力をお願いする次第でございます。
  102. 白浜一良

    ○白浜一良君 私が冒頭にこのことを伺いましたのは、本当に日本という国、安定した豊かな国家というものを築くためにも、ある意味で異常な、これいわゆる納税者という立場から見たら異常なんですよ。ですから、所轄官庁でございますし、国土庁におかれましても建設省におかれましてもそれぞれ大事な施策があるわけでございますが、もっと日本全体の経済をかじ取りしようというぐらいの、そのぐらいの意気込みを持ってやっていただきたいということで私まず冒頭に伺ったわけでございます。  土地というものは、住宅にいたしましても、道路、公園という非常に大事な部門からいいましても、供給面から見ましたら大きなものは三つしかないわけです。一つは御存じのように国公有地ですね。それから二つ目はやはり主に企業が持っておりますいわゆる低・未利用地、三つ目が利用されるであろうという市街化区域内の農地という、供給面から見れば大きなものは三つしかないわけです。  それで、まず国公有地についてお伺いするわけでございますが、全国で国公有地の未利用地というのはどのぐらいあるかお述べになってください。
  103. 中山恭子

    説明員(中山恭子君) 大蔵省で把握しております大蔵省所管の普通財産のうち未利用地でございますが、規模としてまとまったものにつきまして一千平米以上で国有財産台帳価格が一億円以上のものというようなものに限りますと、約一千三百八十ヘクタールでございます。この未利用地のうち、国ですとか地方公共団体利用するということが決定しているもの、それから国有財産審議会におきまして将来の公的な事業に備えて留保しておくということが決定されているものなど、処理方針が既に決定しているものがございます。それ以外のものにつきましても、原野ですとか利用が難しい財産というのがございまして、これらを除きました分につきましても地方公共団体とかそういうところから利用要望がありまして検討中のものというのが大半でございます。
  104. 白浜一良

    ○白浜一良君 ある新聞の報道によりましたら、大半が確かに国有林なんですけれども、十一万ヘクタール都市周辺にあるという新聞報道がされておりました。  そこで、ただいまおっしゃいましたように、いわゆる一億円以上の国有財産の未利用地というリストを大蔵省からいただきまして、ありがとうございました。なかなか出てきませんでしたね。きのうですよ、これ出てきたのは。  感情は抑えまして、それで、これ簿価で一億ですから、実際は物すごく値打ちがあるわけです。そして、この利用計画一覧もらいましたけれども、これほとんど白紙なんですね、そうおっしゃいましたけれども。それで、私は思うんですけれども、それはいろいろな形で大事な財産ですから利用されなければならないと思いますが、少なくとも大事な国有地をどのように使うか、そういう利用目的ですね、特にここは宅地に使いますよというような、そういう考えはできないんですか。
  105. 中山恭子

    説明員(中山恭子君) 先ほど申し上げましたとおり、一千三百八十ヘクタールございますが、この中に原野ですとか湿地帯等、利用困難というものが含まれております。そういったものを除いていきますと、宅地に使えるものというのは大変限られてまいりますのですが、例えば一都三県、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県に限ってみますと、大蔵省で把握しているところでは、昨年の十二月末の調査をもとにしておりますけれども地方公共団体住宅供給公社、それから住都公団等から公共住宅プロジェクト用地として利用要望が出ているものというのを挙げてみますと、約二十ヘクタール程度でございます。
  106. 白浜一良

    ○白浜一良君 私先ほど言いましたように、都市周辺には十一万ヘクタールあるんですよ。それ二十ヘクタールというのは余りにもひどいというか、これ以上責めるつもりございませんが、要望だけしておきます。大蔵省に国有地の有効利用の研究会があると伺っておりますが、やはり宅地供給というのは非常に大事な要素でございまして、十分配慮して研究していただきたいと思います。答弁要りません。  それでもう一つ、国有地という面で、建設省が所管されていると伺っておりますが、法定外公共物というのがあるんですね。これ全国にどれぐらいあるんですか。
  107. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 昭和四十二年度にサンプル調査でございますが調査をしております。それによりますと、合計で四千三百三十四平方キロメートル存在するというふうに推定されております。
  108. 白浜一良

    ○白浜一良君 はっきりわからないらしいんですけれども、もしそういうものが処分される場合にどういう方法でなされるんですか。
  109. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 処分されるとおっしゃるのはもしかして払い下げるというようなことの意味であれば、当然それは今は公共財産ですから、それを普通財産にし、大蔵省の御担当の手を経て処分される、こういう格好になります。
  110. 白浜一良

    ○白浜一良君 私、これも新聞報道で知ったわけでございますが、茨城県の境町というところでこの法定外公共物処分の経過といいますか、非常に手違いがあったという、これちょっと説明していただけますか。
  111. 牧野徹

    政府委員(牧野徹君) 御指摘の事案は、多分、茨城県猿島郡境町字藤波、北野地内に存する約一万三千五百平方メートルのことかと思います。これは古くから堤防とそれから境町の町道として境町が管理してきたものでございます。ところが、この境町は昭和五十二年の六月から十月ごろにかけて、その隣接の民有地を買収いたしまして一体として宅地造成を行いました。その際に、五十三年のころですが、国有地の一部八千百平方メートル程度を国から譲渡を受けることがないままに土地の表示及び所有権の保存登記をして分譲を行ってしまいました。まことにゆゆしい事態だと考えております。そういう事態でございます。
  112. 白浜一良

    ○白浜一良君 まことにゆゆしい問題なんです。これ以上責めません。しかし、これは町に払い下げられて結局道路と住宅になったからよかったんですけどね、結果論ですよ。もしこういうことが非常に不当なことに利用されていたら、これは責任重大なんですよ。だから、私は思うんですけれども、こういう昔の図面が非常にずさんであった、地形が変わった、いろいろあると思うんですけれども、この境町でもそういうへた地とはいうものの四千坪あるんですよ。もう今の土地の感覚からいったら物すごい面積なんですよ。だから、私は思うんですが、そういう手違いもないように、きちっとした形で利用されるように、できたらこの所管も利用計画策定ということも地方に全部一遍ぱっと任してみたらどうかと私思うんですけれども、これはいかがでございましょうか。
  113. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) この法定外公共財産の管理のあり方は、率直に言って実情等も正確に把握できてないということ等を含めて、いろいろと御指摘のような問題点もあり得るわけでございます。そういった中で、管理問題いかにあるべきかということは実はもう長年の課題、懸案でもございますが、率直に言いまして、私どもこれについて具体的に明確な制度というものの確立にはまだ至っておりません。  ただ、そうは言いましてもお話しのようにできるだけこの地方密着型という面が大事である面も否定できないわけでございまして、建設省としましては昭和五十六年に建設省所管の国有財産取り扱い規則の一部改正を行いまして、都道府県知事から市町村に権限を再委任できるという道を開かせていただきました。現在のところ、十一の県で六百九十三の市町村に管理権限が委任されておりますけれども、何分ともこの問題、率直に言って時間がかかるなという感じも否めないところでございます。
  114. 白浜一良

    ○白浜一良君 私が伺いましたら、昭和五十三年に公共財産管理制度調査会というのが建設省に設けられたと伺っております。いろいろ管理体制を検討されたが結論はまとまらぬという、今局長おっしゃったとおりだと思いますが、非常に大事な財産でございますし、道路、公園、宅地というこういう大事な用途から見れば非常に大事な財産ではないかと思うわけでございまして、どうか前向きに、これは私は聞きましたよ、わからぬのですって、詳しいことは。じゃ調査したらどうやねん言うたら、そんな金もない、こういうふうにおっしゃっておりましたが、そういうことではこんな大事な財産ありながら非常にもったいないという、こういう境町のようなことがあってもいけないし、どうですか、ちょっと前向きな答弁をしてくださいよ。
  115. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先生には御承知のことですから繰り返しになろうかと思いますが、いわゆる法定外公共財産というのは、里道だとか水路だとか、あるいはため池、原野、運河、寄り州、こういったふうにさまざまなものでございます。率直に言いまして、この区域等も現場においても必ずしも明確に把握しにくい。そうなりますと、結局は何かというと明治年間にやりました地租改正のときにさかのぼる公図、こういったものに一一当たって現場を確認する、こういう膨大な作業と、しかも今申しましたように寄り州だとか水路だとかということになりますと現場も大分変わっている、こういった実態が率直に言ってあるわけでございます。  私どもも、今先生の御指摘のとおり、まず基本はやはり実態の把握をやるべきだということはよくわかります。我々もそういった認識を十分受けとめてこれから取り組ませていただきたいと思いますが、ただ明快に胸を張って、しっかりと調査して明確な制度の確立に向けて頑張るということをちょっと今私ここで申し上げる自信はございませんが、おっしゃった趣旨も十分踏まえながらこれからの検討、研究をしてみたいと思います。
  116. 白浜一良

    ○白浜一良君 答えにくいとは思いますが、前向きにお願いします。  二つ目は、こういう土地供給という面で一番論議されていることですが、企業の持っている低・未利用地ですね。先ほど藤原さんがおっしゃいましたけれども、いわゆる土地が上がったという理由に、そのとおりなんですけれども、金融緩和があったというんです。それからいわゆる投資的、投機的、そういう売買があるとおっしゃいましたですね。確かにそのとおりなんです、土地を買った方が資産形成できるという。そういうことで非常に特に企業が土地を買いあさるという経過があったわけでございますが、特にその中で企業の保有しているいわゆる低・未利用地、これの実態をつかんでいらっしゃいますか。
  117. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 国土庁では平成元年度に首都圏の低・未利用地の量につきまして調査をいたしてございますので、その結果を御報告申し上げます。  この調査は、首都圏の既成市街地及び二十キロ圏内の二千平方メートル以上の土地につきまして、土地利用状況、法規制の状況等を踏まえまして、土地利用転換の可能性を検討したものでございます。調査対象となりました件数は二万三千六百件、面積の合計は一万七千四百ヘクタールでございます。この中で、未利用地、農林地等比較的容易に利用可能と思われる土地が約二千六百ヘクタール、工場、倉庫等一部が土地利用転換可能と思われる土地が約三千七百ヘクタール、より高度利用を図ることが望まれる土地が約二千ヘクタール、こういった状況でございます。
  118. 白浜一良

    ○白浜一良君 国土庁が出していらっしゃる資料によりましたら、事業土地に占める未利用地の割合というのは六・二%、そのうちに利用の具体的計画がないというのが七八%、このように伺っておるところでございます。結局、こういう形で土地が企業の所有であるということ自身、先ほど藤原局長がおっしゃったように、いわゆる投資的、投機的商いになっておるわけでございます。長官、どうでしょうか、昨年成立しました土地基本法土地の適正利用という精神にこれは反していると思いませんか、この事実。どうですか。
  119. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今先生の御指摘のとおりで、実はこれはテレビで報道しておりましたが、二十年間適正利用といってうそをついておった事実が出ておりました。でございまして、一々正確に見てみなきゃわかりませんけれども、かなり事実と違ったものが多いんじゃないか、こう思っております。  そんなことでございまして、実は先ほど局長答弁したことでございますが、二千平米以上の遊休地、特に低・未利用地につきまして調査しまして、これからそれをどうするかということで、実は今一番考えておりますのは、これはちょっと余談になりますが、四月二十二日にヘリコプターで東京都内を視察いたしました。そのときに、非常に低・未利用地が多いのにびっくりしたんです。ほとんど青空駐車場になっている。これをいかにして宅地供給させるかというふうなことでございまして、その一環として二千平米以上の遊休地を調査さしたわけですが、そんなことでございまして、住まいの持ちたい人には住まいが持てるように、しかも率直に言いますと、一つのモデルケースとして所得の五、六倍でひとつ住まいを持てるように何かうまい利用法はないだろうか、そんなことで現在いろいろ折衝しておる最中でございます。  ただ、経済界の中においても、先生御高承のとおり、例えば日経連、経済同友会、日商会頭等も、一口で言うと社会倫理性に大変目覚めたような感じがします。また経済団体連合会もいろいろありますけれどもその方向に行っておるということがございまして、かなり有効に活用できるんじゃないか、こんなことで現在いろいろお願いしている最中でございます。
  120. 白浜一良

    ○白浜一良君 私は単刀直入に土地基本法の精神に反しているかどうかということを伺ったわけでございますが、結局そういう形で企業にそういう土地が保有されているという、それの方が資産運営にとっていいということなんですね。  そこで一番問題なのは、先ほど藤原局長がおっしゃったように、一つは金融という問題ですね。当然土地の値上がりが激しいわけですからお金を借りてでも土地を買う。まあ当たり前のことなんですけれども、日銀の反省もございましたが。それともう一つは、やはり税制というか、こういう二つの面があるわけですが、きょうは大蔵省来ていただいていますので、ことしに入って総量規制というのをされました。これに踏み切られた理由ですね。昨年まではヒアリングヒアリングと、もう何を言ってもヒアリングや言うておりましたけれども、私、土地の特別委員会に入っておりましたので。それで、ことしに入って総量規制というのをやられました。これに踏み切られた理由と、実際今きちっと守られているのかどうか、これをお答えいただきたいと思います。
  121. 小山嘉昭

    説明員(小山嘉昭君) お答えいたします。  大蔵省金融機関土地関連融資、これに対します抑制措置としましては、ただいま委員から御指摘ありましたように二つの大きな柱でやっております。  一つは、個別案件として投機的な土地取引、これに対する融資について個別にヒアリングという名前の行政指導を行っております。これは六十二年以来やっておりまして、これの効果につきましては、私どもとしては金融機関についてはさすがに極めて浸透してきておるというふうに認識しております。  ただ問題は、金融機関がノンバンクに金を貸す、ノンバンクは運転資金として金を借りておりまして、それをどういう形で使っているかについては大蔵省の監督権限も及ばないわけでございます。ノンバンクに関する法制もございませんので、したがってそこは極めて間接的な行政になるということで、その辺についてはいま一つ踏み込んでいかなければいかぬというふうに思っておるわけでございます。  二番目が量的な規制、総量規制と称するものでございますが、こういう土地に着目しまして融資額全体について指導しております国は、世界じゅうでまず主要国にはございません。それだけ強い規制でございます。これが実行状況がどうなのかということにつきましては、本年の四月から四半期ベースで実施いたしておりますので、四半期ベースでありますとことしの六月末に数字は全部、計数的にはその後の概数把握等も含めますと八月中には概況が把握できるというふうに思っております。これにつきましては、過日大蔵大臣が大蔵委員会の場におきまして、衆議院でございますが、計数を公表したい、こういうふうに述べておられるわけでございます。私どもとしては、現在までのところかなりなウオーニングを課しておりますので、まずまず順調に動いているかなとは認識しておりますけれども、事は土地でございましてなかなか大変な問題でございますので、注意には注意を重ねてまいりたい、こういうふうに考えております。
  122. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう一つ伺いますけれども、そういう手を打たれた。それ以上に打てる手というのは何か考えていることはありますか。
  123. 小山嘉昭

    説明員(小山嘉昭君) この二つの手段を講ずるに至りますまでに随分私どもとしては検討いたし、恐らくこれ以上強くなってまいりますと、今度は別のことを心配しなければいけない。つまり、この委員会でも大きな議題でございますけれども住宅供給等をふやしていく側面というのは土地政策の半分以上を持っていると思いますが、そこに響いていき出しますと元も子もない。その辺のバランスをどうとっていくかということを考えております。現在においては、これ以上強い措置というのは考えておりません。現在の強い措置をとにかく実効性を上げてやり抜いていく、こういうところに私ども関心はございます。
  124. 白浜一良

    ○白浜一良君 国土庁に伺いますが、今大蔵省考え方を伺いましたが、これは国土庁としてどのように思われますか。
  125. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 大蔵省からお答えいただきました総量規制の中で、できるだけ地価抑制のための実効を上げていただきたいと期待しながら見守らせていただきたいと思っております。
  126. 白浜一良

    ○白浜一良君 なかなかうまいこと言われますな。  もう一つ税制という面で、日本は非常に保有税が低い、御存じのとおりなんですけれども、よく言われているわけです。いわゆる日本の保有税は、固定資産税、都市計画税、特別土地保有税、この三つ足しても日本では平均一・九%、こういうふうに言われておりますね。アメリカでは三・四%、イギリスでは五・六%。結局、何ぼ譲渡課税を厳しくしても持っていた方が得やから、保有税が低いから。これは一般的に言われていることなんですけれどもね。  そこで、通産省は何か新聞報道によりますと反対しているということらしいですけれども国土庁としては新しい保有税を考えていらっしゃるという報道を伺ったんですが、これちょっとお述べいただけませんでしょうか。
  127. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 先ほども答弁させていただきましたが、先日、政府税調の土地委員会に関係各省ヒアリングを求められておる中で、国土庁説明させていただいたわけですが、その目的は、土地に関するいろんな地価その他の動向あるいは土地対策の現状がヒアリングの中心であったわけですが、せっかくの機会ですから土地対策土地税制に期待している点につきまして申し上げまして、積極的な御審議をお願いしたところであります。  その中で、税制としては、土地の資産としての有利性を減少させ、投機需要、仮需要を抑制する。個人、法人を通じた税負担の公平を確保する。有効高度利用を促進する。こういった点が土地税制として重要だと理解しており、これらの観点から、土地の取得、保有、譲渡等の各段階において積極的な見直しが行われることが望ましい、そういう考え方を述べさせていただいたわけであります。その中で、さらに具体的には、例えば法人土地所有についての保有税強化、さらには譲渡益課税の完全分離課税等についてその可能性を検討していただきたい、そういうことを申し上げたわけでございます。
  128. 白浜一良

    ○白浜一良君 非常に抽象的なんですけれども、四月十八日の新聞に「建設省税制改革案」ということで書いておりますが、「特別土地保有税 三大都市圏で強化 千平方メートル以上対象」、このように報道されておりましたが、このことに関しましてはどうでしょうか。
  129. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほど来しばしば御答弁申し上げておる中にありますように、大都市圏におきます住宅対策宅地対策として、私ども今国会に都市計画法、建築基準法の一部改正を提案しているわけです。その中で特に一つの柱として申し上げたいのは、法人等が所有している低・未利用地について地区計画制度を導入し、適正な有効利用を進めるように勧告をする制度を起こそうということで御提案させていただいておりますが、問題は、その勧告にも従うか従わないか等々のことを考えたときに、やはりこういった制度の創設は合わせわざで、法人の所有するそういった土地にかかわるいわゆる保有税、俗に言えば特別土地保有税の体系のものに近いと思いますが、これについて見直す必要がある、こういう考え方に立っております。  そういった気持ちでございまして、前提としての新しい制度でございますが、これはおおむね五千平米以上くらいの低・未利用ゾーンといいましょうか低・未利用地の地区、これを対象にしたいと思っておりますが、その中で個々の所有者は別別なことがあります。千平米以上の土地所有者については具体的にそういう格好で勧告をしていきたいという制度を今提案申し上げておりますので、それとの関連での税制強化の方向が必要である、こういうふうに考えております。
  130. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう一つ、現在行われております特別土地保有税ですね、これはいろいろ聞きましたら非常に基準面積が大きいわけですね。所有期間も非常に限定されているということで、実効性が非常に弱いというふうにこれは一般的に言われておるわけですが、このいわゆる基準面積をもっと引き下げるとか、年限ももう撤廃するとか、そういう考え方はどうなんでしょうか。
  131. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) お説のとおり、現在の特別土地保有税は昭和四十四年以降に取得した土地対象にしているということと、それから二千平米以上のものということが対象になっております。加えて言うと、土地利用状況について、いわゆる資材置き場だとかあるいは駐車場だとかいう格好で、ある一定の基準はございますが、利用されていればそれもまた有効利用であるというふうに認定されているわけでございます。  先ほど来申し上げておる私どもの新しい提案というのは、やはり都市計画という目で見てその地区の当該土地をどういう方向に利用するのが必要であるか、望ましいかということを基本に据えて言うなれば勧告等に結びつけられている、こう考えているわけでございますので、おっしゃるように、現在の特別土地保有税のあり方とはおのずから違った部分が出てくる。言うなれば、四十四年以前の分も対象にして考えたいし、あるいはまた二千平米以下でも、千平米という数字を頭に置いて考えたいしということで、現在検討させていただいておるところでございます。
  132. 白浜一良

    ○白浜一良君 各省庁間の難しい問題があるとは思うんですけれども、やはり大事な土地に対する今までの原因を撤去するための対策なので、どうか頑張っていただきたい、このように思うわけでございます。  三点目に、いわゆる供給源というのは市街化区域内の農地ということなんですが、これもなかなか難しい問題があるわけでございますが、伺いましたら、自民党でまとまっている案は要するに東京二十三区内というふうに伺っている。建設省は三大都市圏という、このようにお考えですね。そのように漏れ伺っているわけでございますが、これはどうですか。
  133. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 市街化区域内農地税制に関しまして、私ども先ほどの都市部の低・未利用地と基本的には同じ考え方でございますけれども、要するに市街化区域内農地をいかにして有効に住宅供給に結びつけるかということが非常に大事であるというふうに考えているわけでございます。  しかも、この施策は、言うまでもありませんけれども東京圏の住宅問題の現状を考えてもおわかりのとおり、二十三区の中で完結する性質のものではございませんし、東京圏というものをより広く、具体的には首都圏整備計画によります近郊整備地帯、あるいは若干それを加えてそこからにじみ出す地域までも念頭に置いて取り組まなきゃ今後の住宅宅地供給対策というものは難しいんじゃないか、こういうことで我々は法案を御提案させていただいているわけでございますので、結論からいいますと、二十三区にとどまらずにもっと広い三大都市圏を対象として頭に置かせていただいておるというのが現状でございます。
  134. 白浜一良

    ○白浜一良君 最後にお伺いいたしますが、それでいいと思うんですけれども、大事なことはやはり市街化区域の緑地確保という面で非常に大事な要素もございますし、実際農業としてあった方がいいというそういう土地もあるわけでございます。また、そういう市街化区域宅地並み課税されますと、非常にそこに不当な不動産業者が介入して地価がかえって上がってしまうという、こういうことがあってもいけない。いろいろ難しいことがあるわけでございますが、最後に建設大臣国土庁長官にお伺いいたします。  いわゆる宅地供給という面で私、今三つの角度から言いましたけれども、いろんな省庁とかかわりますけれども、やはり豊かな国土を形成するためには頑張ってもらわなきゃならない要素であるわけでございまして、最後に御決意を伺って質問を終わりたいと思います。
  135. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 御指摘のとおり、住宅宅地供給を図るためにはただいまの三つの候補地があるわけでございまして、これらを総合的に住宅宅地供給策に振り向けることによって地価の安定、さらには住宅の潤沢な供給に通じていくように努力をしていかなければならないと思っております。
  136. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  先生の御指摘のとおりでございまして、実は土地対策につきましては昨年暮れに御存じのように土地対策基本法をつくりました。それからまた、昨年暮れに土地対策関係閣僚会議を開きまして、内政の最重要問題としまして今後の取り組むべき施策という十項目を決めました。  そんなことでございまして、現在は地価の安定に努めながら宅地供給をどうするかということでございまして、例えば首都圏でも現在先生がおっしゃった国公有地あるいは法人の未利用地あるいは農地を含めて六万三千ヘクタールございますが、それをいかにして供給し、しかも価格を安く出すかというようなことでございまして、税制その他を含めまして最善の努力をしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  137. 白浜一良

    ○白浜一良君 終わります。
  138. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ─────・─────    午後二時一分開会
  139. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業及び建設計画等に関する調査のうち、土地及び住宅問題に関する件を議題とし、集中審議を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  140. 石渡清元

    石渡清元君 それでは質問をさせていただきます。  午前中からいろいろ各問題点等々についての質疑があったわけでございますけれども、改めまして、建設大臣の今回の集中審議に当たりまして土地あるいは住宅政策について計画あるいは政策並びにそれをいかに推進をしていくか、そういう態勢を含めた全般的な御所見をお伺いいたします。
  141. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 今、大都市圏におきます住宅宅地の不足ということは大変大きな問題になっておるわけでありまして、この国会の冒頭に海部総理みずからも施政方針演説の中で百万戸住宅供給計画を発表される等々でございまして、私ども建設省といたしましてもこの問題に今精力的に取り組んでいきたいと考えておるところでございます。  特に、地価の高騰ということにつきましては、いろいろ国土庁で規制面でおやりになっておりますが、さらにその住宅宅地供給策ということによって地価対策にもこれはプラスになるということで、ただいまこの国会にも大都市法等、住宅宅地供給策を盛り込んだ法律を出させていただいておるところでございます。これらを推し進めることによりまして住宅宅地がさらに潤沢になって住宅宅地問題の解決への前進になるように、また土地対策にもプラスになるようにということで今取り組ませていただこうとしておるところでございます。
  142. 石渡清元

    石渡清元君 要は、宅地住宅立地をいかに確保し、あるいは拡大をしていくかということと、そしてどのような良質な住宅供給していくか、あるいはその方法はどうか、こういうことに尽きるかと思いますけれども、順次その三点についてお伺いをいたします。  その前に、さきの日米構造協議で土地住宅関連の項目が七項目ほどあったと思うんです。宅地供給の促進、土地税制の総合的見直し、国有地等の利活用、住宅宅地供給促進に必要なインフラ整備、借地借家法の見直し、線引きの見直し、公的土地評価の適正化、こういったようなことが項目にあったかと思いますけれども、その後これがどういうふうに取り組まれ進捗していくか、一項目ずつお願いします。
  143. 福本英三

    政府委員(福本英三君) 今先生指摘のとおり、日米構造協議の中間報告におきましては、土地利用に関して七つの項目が盛り込まれておるところでございます。このうち建設省として重点的にやっていくものが三つございますので、それを中心にちょっとお話し申し上げたいと思います。  まず第一番目の「大都市地域における住宅宅地供給の促進」ということでございますが、これにつきましては先ほども大臣からもお話しいたしましたが、そういった関係、広域的な住宅宅地供給方針の策定、工場跡地等の低・未利用地の有効活用、市街化区域内農地宅地化などを図るため、いわゆる大都市法あるいは都市計画法等の改正案をこの国会に提出しているところでございます。  それからその次の、項目の第四に当たるわけでございますが、「住宅宅地供給促進に必要なインフラ整備」という項目がございます。こういった問題につきましていろんなことが書いてあるわけでございますが、そのインフラの整備の促進につきましては、予算の獲得あるいはその配分等を通して努力しておりますし、またそこに書かれております土地収用制度の活用につきましても、通達等を出しましてその活用方を進めておるところでございます。さらにまたその項目の中に、大深度地下の公的利用に関する制度検討しろというようなことが書いてあるわけでございますが、この制度につきましても現在内政審議室を中心にその調整が進められておるところでございます。  さらにまた、その大きな項目の六番目といたしまして、「線引き等の見直し及び個別の規制緩和の推進」という項目がございます。これにつきましては、建設省といたしましてまず線引きの見直しにつきましては従来から必要に応じ適宜見直しを進めてきておるところでございまして、昭和五十七年から現在まで全国で約六万九千ヘクタールの市街化区域拡大してきたところでございます。また、用途地域の見直しについても触れておるわけでございますが、これも例えば昨年十月の東京都における見直しによりまして、都区部においては容積率が約九%増加するなど必要に応じた見直しを進めてきているところでございます。今後とも、計画的な市街地整備の見通しあるいは公共施設の整備状況等を総合的に勘案しまして適宜見直しを進めてまいる所存でございます。  また、この項目の中に「個別の規制緩和の推進」ということが書いてあります。これは優良プロジェクトに対する規制緩和の推進ということでございまして、こういった制度は特定街区でございますとか総合設計あるいは再開発地区計画など各種の制度があるわけでございまして、そういうものをさらに活用して引き続き推進してまいりたいとまた思っておるわけでございます。  そしてまた、先ほども説明申し上げましたが、今回提出の都市計画法等の改正案には、市街化区域内農地等におきまして、公共施設整備とあわせて高さ、容積率制限等を緩和する住宅高度利用地区計画制度というものの創設を考えておりますし、さらにまた都心部、周辺部等において住宅を併設した建築物に容積率の割り増しを行う用途別容積型地区計画制度の創設というようなことが盛り込まれておるところでございます。  なお、そのほかこの中間報告には「土地税制の総合的見直し」ということがあるわけでございますが、これも御承知のように税制調査会に小委員会が設置されて現在その検討が進められておるところでございまして、建設省としてもその動きを見ながら積極的に対応してまいりたいと考えております。  また、その中間報告の中に借地借家法の見直しということがございます。これも現在法務省の法制審議会で検討が進められているところでございまして、こういう見直しが行われますれば賃貸住宅供給促進あるいは木賃住宅の建てかえの促進などについてもよい影響が出るというふうに考えられますので、私どもその結果が出ることを期待しておるようなところでございます。  以上でございます。
  144. 石渡清元

    石渡清元君 よくわかるんです。午前中の質疑でもそういったような御答弁があったのですが、もう少し具体的にどう進んでいくのかなというところをお伺いをしたいわけなんです。例えば、宅地供給の促進にしても大都市法等々今提案をしている、確かにそうなわけであります。それでは、じゃ一体今これからこの事業を推進するのに宅地の必要量というのをどの程度に置いているのか、計画フレームでどのくらい必要とし、具体的に今どこまで確保されているか、ストックされているか等々についてもう少し数字を挙げて御答弁をお願いします。
  145. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 御質問のことについて首都圏を中心に御答弁させていただきたいと思いますが、いわゆる首都圏の近郊整備地帯までの区域、これを念頭におきまして私ども土地理院の調査等から推計いたしますと、全体の面積が現在七十七万ヘクタールございます。その中に住宅地は約十四万ヘクタール、おおむね二割弱存在いたしておりますが、さらにこのほかにいわゆる商工業用地だとか公共施設用地あるいは造成中の都市的な利用土地、こういったものを加えますと、総体的に見て首都圏の近郊整備地帯までの区域ではおおむね五割程度が都市的な利用に向かっておる現状であると、こういうふうに理解しております。  そこで、先生の御質問の今後の宅地の需要という問題になるわけでございますが、首都圏について私ども四全総のフレームを前提に物を考えるのが至当と思っております。こういった中で、人口フレーム、自然増の姿での将来を展望しての人口増を描いているわけですが、こういった人口増等に見合う、あるいは世帯の分化等に見合う住宅需要というものをベースにしてはじきますと、おおむねさらに四万ヘクタールくらいの新規の宅地供給が必要であるというふうに言われています。この際の四万ヘクタールというのは、実は先ほど申しました都市土地利用に既になされている土地土地利用の転換も含まれるわけでございますが、現在私ども建設省としては、この四万ヘクタールの需要というものに対して、新規にはそのうちの三万ヘクタールくらいの分を非都市土地利用から都市土地利用への転換ということで対応する必要があるんじゃないか、こんなふうに考え政策をとっておるところでございます。  その内容は、具体的にはいわゆる市街地におきます工場跡地等の低・未利用地の住宅利用、これも一つございますし、あるいはまた市街化区域内農地住宅地への誘導、あるいはまたさらに調整区域等も含めてのいわゆるニュータウンの開発、こういった三本柱でこの需要にこたえる施策を展開する必要があると考えておるところでございます。
  146. 石渡清元

    石渡清元君 四全総ベースでという御答弁で、わかるわけでありますけれども土地というのは年々変わっていますので、いわゆる都市土地利用比率と申しましょうか、市街化動向は近年どういうふうに移り変わっているか。首都圏でいいです。
  147. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) ただいま申しました国土地理院の調査から推定させていただきますが、首都圏の先ほど申しました七十七万ヘクタール区域、この中での都市土地利用というのは昭和五十四年から五十九年の間に約一・九万ヘクタールふえております。その中で住宅が〇・五万ヘクタールふえている、こういった状況になっております。
  148. 石渡清元

    石渡清元君 それと、大都市法の関係で都道府県計画、これの重点地域指定の基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。
  149. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今般私ども御提案申し上げている一連の法改正の中で、首都圏あるいは近畿圏、中部圏、大都市圏について計画的な住宅宅地供給を進めようという内容を盛り込ませていただいていますが、その大きなポイントとして、都府県を越えた広域的な計画基本方針をつくらせていただきたい、こういったことを置いておりますが、それを受けて各県において県計画をつくっていただく。その際に、今先生指摘のいわゆる宅地開発、住宅供給を重点的に目指すべき地域地区というものを重点地区として掲げるということを予定させていただいているわけでございます。  これは、内容といたしましては、したがいまして新規ニュータウンの開発というふうにかなり広域的な大規模なものも当然想定いたしますと同時に、端的に言いまして既成市街地等の、密集市街地等での低層住宅密集地区、こういったもののいわゆる何といいましょうか、建てかえといいましょうか更新といいましょうか、有効利用の道、あるいは低・未利用地の有効利用の方向等々、それぞれの規模は必ずしも一律に申し上げにくいわけでございます。ただ、私どもとしましては、いずれにしてもそういった地域地区によっての一つの目指すべき方向がそれぞれあるわけでございますので、こういった具体の施策を頭に置いての重点を志向すべき地区というものを、宅地面、住宅面で重点地区を定めていただきたい、こういう構えでおるところでございます。
  150. 石渡清元

    石渡清元君 そうしますと、重点地域というのはあくまでも都道府県に任せて、その事業内容、規模と質でもう任しちゃうと、こういう意味なんですか。それとも何か具体的なガイドラインのようなものがあって、それがどういうすり合わせになるんでしょうか、地方団体というのは。
  151. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 具体的な住宅の重点供給地域というのは、例えば工場跡地でありますとか国公有地でありますとかJRの土地でありますとか、住宅市街地をつくるに際して核になるような土地を中心にして、しかもその周辺地域を含むというような感じのものやら、あるいはある程度公共施設は相当整備をされておりまして、ただ市街地全体として未利用、まだ利用度が低いというようなところでもっと利用できるではないか、もっと住宅が入ってもいいというようなところを指定するということになろうかと思います。これは住宅サイドから判断をし、それを都市計画の方で受けていただくという形に法制度の方は考えております。
  152. 石渡清元

    石渡清元君 こだわるわけじゃないんですけれども、低・未利用地とか国鉄事業団の跡地とか、そういうことは直接都道府県とは別な形、確かに都道府県にあるかもしれませんけれども、都道府県計画についての重点地域考え方をお伺いしているんで、都道府県が所有しているなら別ですよ、今答弁のあった土地が。そうでなくて、都道府県計画の中で重点地域を指定する仕方というんですか、あるいは重点地域になるべき条件とか、そういうのはどうかというお伺いなんですが。
  153. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) この点、先ほどちょっと御答弁申し上げましたように、いわゆる新規に宅地開発をすることを念頭に置いた重点地区の場合と、それから低層住宅密集地のいわば建てかえ、高度利用という部分といささか取り扱い方の基準は変わってくることは当然でございますが、私ども特に宅地のサイドで申し上げますと、やはり基本的なガイドラインというものは国も含めて整理しなきゃならぬという認識に立っております。言うなれば、調整区域等での開発行為あるいは市街化区域内における農地の宅地化に当たっての方向づけ、こういったものをやるに当たっての基本的な考え方というものは、建設大臣が定めます基本方針、広域方針の中で一連の整理をして公共団体とのそごを来さないようにしていきたい、かように考えているところでございます。
  154. 石渡清元

    石渡清元君 今のはいわゆる一般的な土地ということで、結局あと高度利用するのは上へ伸ばすか下へ下がっていくかということになろうかと思いますけれども、地上部分の空間を利用する場合立体化とかあるいは中高層的にするわけでありますけれども、容積率規制緩和等々あるいは高さ制限とか、それはどういう手順で進めていくつもりなのか。
  155. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 具体的な手順ということになりますと、結局はその用途地域を今ある一種住居専用地域を二種に塗りかえるとか、そういう手続がまず基本になろうかと思います。それで、その場合も土地利用の動向とかあるいは公共施設の整備がどんなふうに進んでいるとかいうことを踏まえながら進める、そしてその用途をより高度に利用できる地域に指定がえをするということが一番基本的なところでございます。  それからさらに、プロジェクト単位に見まして、公開空地の確保をすることによって都市環境をよくしていくというような優良なプロジェクトにつきましては容積率の特例を認めていくという特定街区の制度とか、あるいは総合設計の制度だとか、あるいは再開発地区計画というような制度の活用ということになってまいるところでございます。  さらに、市街化区域内農地につきましては、公共施設整備とあわせて高さ制限、容積率、建ぺい率等の緩和を行いまして、良好な中高層住宅供給を誘導いたします住宅高度利用地区計画制度、あるいは住宅と非住宅の用途別に容積率を定め、住宅を設けた場合に容積率の緩和を行うという用途別容積型の地区計画制度というものの創設を盛り込んだ都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案をこの国会に提出さしていただいたところでございます。
  156. 石渡清元

    石渡清元君 それでは地下の関係にいきますけれども、日本は技術が進みまして、かなりの地下空間まで利用できるそういう時代になってきたと思いますが、技術的に現在どの程度まで地下利用ができる技術を日本が持っているか、あるいは具体的にその実現ができるものか。
  157. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほど私どもの福本総務審議官から御答弁申しましたように、関係省庁の一つとして大深度地下利用についての法案、構想を整備させていただいておりますが、当然これは関係省庁一致して調整することに相なります。  そういった中で、私ども当然技術面での可能性というものが非常に大事な問題であるわけでして、建設省におきまして、この辺の技術面での諸課題について学識経験者の方々に御参加いただきましていろいろと研究、検討を積んでいるさなかでございます。今日までの段階、具体的には建設技術開発会議というのが建設大臣の諮問機関でございますが、その中に地中開発専門部会というのを置きまして研究いただいています。  今現在中間報告をいただいているその内容によりますと、基本的には都市部での深度五十メートルから百メートル程度まで、この区域について想定した場合に、断面が百五十ないし二百平方メートル、直径からいきますと二百平方メートルというのは大体十四、五メートルになろうと思いますが、その辺までの地下施設を建設することは十分可能である、こういう御報告をいただいています。もちろん工法としてはシールド工法ということに相なろうと存じますけれども、その際に、計画、設計あるいは施工の各段階で安全への配慮、こういったものが必要であることは当然でございますが、技術的には十分可能であるという中間報告をいただいております。
  158. 石渡清元

    石渡清元君 非常に進んできたということはよくわかるわけでありますけれども、まさに日米構造協議のインフラ整備の部分で大深度地下、これは本当に各省庁いろいろ調整しなければならない点はよくわかりますし、またそれぞれ思惑があるようでありますが、やはりインフラ整備という面で建設省がかなりリーダーシップをとっていただいて大深度地下利用について促進方を、そのために建設省としては何が一番大事かということをもう少し一般的に発表していただくなり、それが必要ではないかと私は思うんですけれども、その辺について、またどういうふうに他省庁と調整していこうかというその方向性などもお願いいたします。
  159. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 大深度地下については、現在内閣審議室を中心に各省庁が調整中という所階であることはるる申し上げていますが、基本的に東京圏のような大都市地域の大深度地下をどう使うかという、この辺が大きな問題点、ポイントだろうと思っています。  私どもは、やっぱり大深度地下というのは大都市の整備を進める上で非常に貴重な空間である。ということは言いかえれば、かなり先を見越しての計画的な、本当に必要な利用に限った利用というものを念頭に置いての空間活用というものが大事ではなかろうかということで、私ども利用の方向としては公共事業公共施設用地としての空間として対象考えてもらいたい、これが一点ございます。  それからもう一つは、何といいましても大深度地下といいましてもこれからいろいろと法律面での御議論、研究が要るかと思いますけれども、私どもが今まで学者先生方にもお願いして研究した経過としましては、大深度地下といえども所有権、私有財産権は及んでいるということを排除することができない空間であるということに立っておりまして、そうなりますと当然のように私権との調整ということが大変大事になる。もちろん、その所有権の存在イコール補償が必ず必要というふうに考えるべきだとは思いませんけれども、いずれにしても私権との調整というものが大事になり、したがってそうなりますと調整をめぐっての手続というものが大事になる。言ってしまえば、その利用の目的あるいは利用計画の調整、それから私権との調整、こういったこと等を私どもとしては先ほど来申しているような方向で案を考え、現在関係省庁との協議に臨んでいる次第でございます。
  160. 石渡清元

    石渡清元君 公共空間ということで非常にいいと思うんですけれども、結局個人あるいは法人の私権の問題、制限の問題になってこようかと思います。その場合に、それでは大深度は公共空間だけれども、中深度までは所有権者の利用なり処分の対象になり得ると、そういう考え方というのは出てくるものなんですか。
  161. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) まず、私どもが念頭に置いていますいわゆる大深度という地下空間の概念でございますが、私どもは、大都市地域の地下のうちで、言うならば地下室などの地下工作物が通常存在する深さよりも下で、かつ建築物の基礎の底部、くい等の底ですね、そういった基礎が通常達する良好な地盤というものがあるわけでございますが、支持層と我々理解していますが、その支持層よりもさらに下の空間と、こういったことで位置づけていまして、そうなりますと、その面での先ほど言ったように私有権というものは否定はできないが財産利用価値がどうかという面で、その辺の調整手続をどう考えるかというのは問題であると考えております。  ところが、今おっしゃったように、これよりも浅いところは今私が申しましたように地下空間として地下利用というものが私的な利用形態としてもあり得る部分でございますので、これを全くもってそういった空間利用というものについては私権を排除するということはなかなか現行の我が国の法制の中では考えにくいんじゃないかというふうに考えております。
  162. 石渡清元

    石渡清元君 わかりました。  それと、午前中の建設経済局長の御答弁で農地の関係、市街化区域内の宅地供給に関するあれで三大都市圏に及ぶという範囲ですか、そういう御答弁がありましたけれども、何か都市農業はみんな家が建っちゃうような、そういう誤解のような間違った考えも一部あるようなんで、その辺のところを、どういうところを宅地として出してもらうか、もう少し地域の方にわかりやすい御答弁をもう一度お願いします。
  163. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 例えば首都圏で言いますと、現在市街化区域の中に農地が三万四千ヘクタールくらい存在しようかと思いますが、私ども今後住宅宅地対策考える上で、このすべてが都市土地利用あるいは住宅利用というふうに向かうべきものとは決して考えておりません。これはもう今までもあらゆる機会にも申し上げているところでございますが、あくまでも市街化区域という一つ都市計画上の位置づけのある空間ではございますが、この区域におきます農地について、保全すべきものと都市土地利用への転換を図るべきものというものの区分を明確にしたい、まずこれを基本にスタートさせたいと、こういう考え方でございます。  では、その区分はどう考えるかということでございますが、やはり一つにはまず線引きといいましょうか、市街化区域、市街化調整区域の設定の問題でございますが、やっぱりこの線引きを見直すことによって本当に農業を継続的にするべき農地というものはそちらに出ていくこともあり得るという意味で、暫定的な線引き見直しを当然これは考えなきゃならぬわけでございます。しかし、そういった上に立ちましてもなお優良農業として継続するにふさわしい農地あるいはそういった意思の強い農地が、いわゆる都市計画の面で見て生産緑地等という位置づけで十分有益、有用性を持つ土地があり得るわけでございますので、そういったところについては積極的に生産緑地制度等に組み込んで、言うなれば土地利用の形態を長期にわたって担保していただく、また農業もそこで専念していただくということがまず必要だろうと思っています。  ついては、そういったことをやった上でなお農業に向かうという土地もあるいはあり得るのかもしれませんが、私ども基本的にはそれ以外の地域については宅地化を目指すべきところ、市街化区域という地域の属性からしてそういう方向づけで、先ほど来申しておるような住宅利用への道というものをいろんな制度を提案申し上げながら進めてまいりたいと、こういう考えでございまして、くどいようでございますが、そうなりますと、市街化区域内の農地のすべてを何でもかんでも都市土地利用に持っていく、また持っていくべきであるという認識をいささかも持ってないわけでございまして、あくまでも明確に区分をした上で一つの方向づけをそれぞれ目指したい、こう考えておるところでございます。
  164. 石渡清元

    石渡清元君 わかりました。  結局、住宅の主体というのは、建設省初め都道府県あり市町村あり、公営、公団、公社、さまざまな主体があるわけなので、土地の場合はタイムリーに適切に有効にするためには土地に関する各種情報をどこかで総合的に整備をして、場合によっては公開するとか、そういったようなことがこれから必要になってくるんじゃないかと思いますが、これは国土庁にお伺いします。
  165. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 確かに、土地に関する情報の総合的、体系的な整備が今後土地対策を進める上におきましても非常に重要だと認識しております。そういうことで、総合土地対策要綱におきましてもあるいは土地基本法におきましても、そういった趣旨のことが定められておるわけでございます。  簡単な例を申しましても、例えば土地取引に関する情報も法務省にございますが我々の方には十分ないとか、あるいは土地の所有に関する情報も税務関係の情報が中心でございますが、必ずしもこういう情報も全部公開されているわけではない、そういうふうな状況でございます。したがいまして、我々としましては、国、県あるいは民間にどういう土地情報が分布しておるのか、それがどういう形で利用可能なのか、その辺を調べ、かつ関係機関等の御協力も得ながら、できるだけ総合的、体系的に整備するような工夫を今後していきたい、そういうふうに考えております。
  166. 石渡清元

    石渡清元君 住宅供給するのにいろんな条件の場所があるわけです。判断するときに、例えば用途のかなり混在して建っているところが多いですから、そういったような用途別延べ面積比率のような数字というのがあるのか。あるいは建物の集合状況地区建ぺい率、これは割合わかりやすいと思いますが、あるいは道路の整備状況、道路率とかあるいは建て方混在状況、いわゆる共同住宅延べ面積の比率が地域によってはどうかとか、こういったようないろんな指標をもとにしながら宅地計画をしていかなければいけないと思うので、その辺のところは把握されて今までの御答弁計画が進んでいるかどうか。
  167. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) ただいま御質問の中の用途の混在状況、建物の集合状況、街路整備状況、建て方混在状況について御説明申し上げます。  東京都についてひとつ例とさせていただきますと、昭和六十一年現在東京都の区部におきまして、全建物の延べ床面積の約六七%が住宅となっております。それから、商業、業務の施設が約七%となっております。それで、実際もっと混在している状況もございます。再開発などそういう地区で行っているわけでございますが、その実情を荒川区の白鬚西地区の約六十ヘクタールにおいて見てみますと、用途混在の実情は、事業の施行前でございますが、住宅は約九百五十戸のほかに、石油のタンクが四・二ヘクタール、それから業務施設、店舗を含めまして七十件が混在しているというようなことで、かなり混在している地域にあるところもございます。  それから、以上が土地利用状況でございましたが、建物の集合状況でございますが、これは建ぺい率の平均で把握することができると思います。東京都区部におきましては約五一%、大阪市におきましては約四七%、横浜市においては約二七%となっているところでございます。  次に街路の整備状況でございますが、都市計画決定された道路のうち、東京都区部では約五六%まで整備をされております。全国平均で見ますと四三%程度でございます。また区部における道路率でございますけれども、これは現在一六%となっておりまして、まだまだ目標から遠い状況にございます。  それから建て方の混在状況でございますが、住宅に占めまする共同住宅の戸数の割合で見ますると、昭和六十三年の住宅統計調査によりますれば、東京都で約六二%、全国平均で約三一%という数値になっております。
  168. 石渡清元

    石渡清元君 なぜお伺いしたかと申しますと、やはり人口が成熟化あるいは社会が情報化、国際化、多面化してきて、量から質の時代に入ってきたわけですね。したがって、それらの環境を踏まえて、ただ住宅単体をつくるということでなく、町づくりとか都市計画を含めた住宅建設が今求められていると思う。したがって、今お伺いをした以外にも都市防災事業等々も組み込んでいかなきゃいけないと思うんですが、それらについてどういったような形で、結局総合的にやらなきゃいけないということなんですが、具体的にどういうふうに総合的に住宅建設を進めていくかということをお伺いしたいと思います。
  169. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今回の大都市住宅対策ということで新しい制度の創設をお願いしておりますのは、現在の都市計画都市構造の成り行き中で、特に大都市地域においては住宅及び住宅地の供給が問題であるということで、別途の手を入れるといいましょうか、そういう形で入ってくるのだと私は理解しております。したがいまして、先ほど先生がおっしゃいましたようなそれぞれの地域の用途の混在状況であるとか、建物の集合状況であるとか、街路の整備状況公共施設の整備状況、それからどういう住宅がどれくらい込んで建っているか、木造住宅が建っているかというようないろんな要素を勘案しながら、ここはどういう手法を使ったらいいかということを中心に公共団体が頭を使うということになろうかと思います。  したがいまして、国、県で供給方針、供給計画をつくってまいりますが、最終的にはこの供給計画に基づいて、市町村、区の段階が個々の都市計画的な手法あるいは建築基準法の手法を使いながらそれぞれの町にふさわしい住宅供給をやっていく、こういうことになろうかと思います。  したがいまして、この制度は生き物で動いてまいりますので、今の段階でこの地域はこうというふうにきちっと申し上げられませんが、そういう手続を経ながら具体の住宅の町づくりが進んでいくのではないかというふうに考えております。
  170. 石渡清元

    石渡清元君 わかるんですが、質のより高いものを求めながら建設をするのですけれども、やはりある程度の規模をやる以上は、どうせやるならさまざまな住環境の整備をその建物だけでなくやらなければいけないんではないかということでお伺いをしたわけです。  それでは逆に、平成二年あるいは平成三年度、具体的に住宅必要量というのはどのくらいの計画で、実際具体化するのはどのくらいなのか、あるいは過去二、三年の計画と実績を含めてお伺いをしたいと思います。
  171. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 先ほどの説明は御質問に対しまして若干言葉足らずでございますので、つけ加えさせていただきますと、例えばその結果木造賃貸住宅が密集している地域につきましては、現在でも木造住宅のそういう密集を建てかえを誘導しながらいいストックに持っていこうという町づくりをしながらやる手法もございますし、それから工場跡地につきましては再開発地区計画制度もございますし、そういった都市計画あるいは具体な要するに事業手法を駆使してやっていくということでございます。  したがいまして、その中で防災的な面で非常に十分でない地域があれば、先ほど先生がおっしゃいましたような防災街路の両側の建物をできるだけ不燃化していくというような手法もあわせてやるとか、要するにいろんな事業手法がいっぱいございますので、そういう事業手法、都市計画制度、そういったものを駆使してやっていくということになるだろうかと思います。  それから、今それでは住宅需要はどのくらいあるかというお話でございますが、これは全国的な話とそれから首都圏の話と両方あると思いますが、今現在全国的なベースでの話で申し上げますと、四全総で、これは六十二年の六月に作成したものでございますが、二〇〇〇年時点で住宅の総ストック数が四千六百万戸である。これは、人口とか世帯数の推計から必要量が出てまいりますので、相当かたい数字だと思います。その結果、これは四全総の場合には十五年間の計画でございますけれども、約千九百万戸の住宅建設が要るということになっております。したがいまして、年ベースに直しますと百三十万戸くらいだと思います。具体的に五カ年間でどうなるかというのは、今後の第六期の五カ年計画で定めることになろうかと思います。  それで、先ほどちょっと申しましたが、首都圏ではどうかと申し上げますと、四全総で人口フレームを抑制型を採用しておりまして、そのための一極集中を抑制するようないろいろな施策を講じなきゃいけませんが、その結果、十五年間で五百七十万戸の住宅はどうしても新しく建てる必要があるだろう。したがいまして、十年間では三百八十万戸の住宅建設が要るだろうというふうになっております。これはいわゆる私ども現地建てかえと言っておりますが、既存の住宅の建てかえも含んでおります。そういう住宅で新しく三百八十万戸の住宅が要るということになっております。  これらを踏まえて、今回の大都市圏におきます住宅住宅地の供給方針あるいは供給計画、さらには第六期の五カ年計画の全国版あるいは地方計画というようなものの中身を詰めてまいりたいというふうに考えております。
  172. 石渡清元

    石渡清元君 前段の方の御答弁なんですけれども、実情に合わせてとりあえず住宅を建てる、余り環境整備をしないでとは言いませんよ、建てるんだという。なぜいろいろ環境整備をすべきかというのは、住宅だけどんどん建てますと、例えば東京の場合、上水道あるいは下水道の能力はどうなのか。あるいは、ちょうど適地があるから建ててしまった、そのアクセス、交通関係がどうなのか。不便だとすると今度は車をみんな使うようになる、そうすると今度は駐車場がない。やたら住宅の周りに置く等々、中小マンションで都市部はかなりそういう問題が出ておりますのでお伺いをしたわけなんですけれども、そういったような生活必需の水の関係やら、あるいはこれは駐車場などもかなり一緒にセットで考えていかないといけない状態になるのではないか。もう一度その点についてお願いします。
  173. 真嶋一男

    政府委員真嶋一男君) 先ほども土地高度利用のときにちょっと申し上げましたけれども、いかなる場合も公共施設の整備というものとにらみ合った形で高度利用が行われなければならないということは当然でございます。それに向かって努力をしているところでございます。  特に、駐車場のお話がございました。それで、駐車場につきましては、実は私どももこの平成二年度から相当な対策をやらなければならないというふうに考えております。これまで二年間、駐車場のあり方についての委員会をつくりまして議論してまいりまして、一応の成案を得ました。  そこで、一番大きな柱は、やはり駐車場の附置義務を今よりもっと強化すべきである。ビルの駐車場の附置義務、今は二千平米あったらつけよということでありますが、それを千五百とか千とかという数字まで下げて附置義務を強化しようということが一つ。それから、一つのビルに入れるべき車の数も今までよりも多くするということで車の入れる数を実質的にふやしていこう、この二点が中心になっております。そして、それを実際に適用するのにどういう問題があるかということで、今各地方公共団体との意見交換をやっておりまして、六月中には今私が申し上げましたことにつきまして地方公共団体通達を出して、それをもとにまた公共団体が条例をつくるという段取りに持っていきたいというふうに考えております。
  174. 石渡清元

    石渡清元君 今までの話は、中堅勤労者層に良質な住宅を提供する、割合こういうようなことだと思うんですけれども、高齢化社会に向かいながら、高齢者とかあるいは障害者、母子世帯等々についても公的な住宅、いわゆる福祉的な配慮を持った住宅、地方団体ですとケアサービスがついた住宅ども神奈川なんかでもつくられているようですけれども、そういったような点についてはどのような御計画があるのか。
  175. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) ちょうど現行の五期五計が最終年度でございますので、第六期の住宅建設五カ年計画では、今おっしゃいましたような高齢者対策といいましょうか、高齢化に向けての住宅対策はどういうふうに展開すべきかというようなことで相当大きな柱になろうかと思います。  ただいま現在におきます住宅対策がどうなっておるかということをかいつまんで御説明申し上げますと、公営住宅法に基づきまして公共団体がその自分の区域の中の住宅事情、特に低額所得者、高齢者、障害者、母子世帯といったような福祉、弱者の住宅事情というものをまず的確につかみまして、その必要に応じて住宅供給しなければならない、こういうことで法律上義務づけられております。したがいまして、建前は公共団体がそういう需要をきちっと押さえて低額所得者等に対します住宅供給をきちっとするということでございます。公団住宅とかでは、中堅所得者層でそういう高齢者が一緒に住む、あるいは障害者が一緒に住まわれる、こういう場合につきましては、それぞれ必要に応じまして設備の改善をするということで、後からプラスしていろんな設備をつけることも現にやっております。それから優先入居等もやっておるわけでございます。  それからあと、今度は持ち家で、廊下の段差をなくすとかアプローチをどうするかとか手すりをつけるとか、こういうことにつきましては、新築の場合には割り増し貸付制度がございますし、それからでき上がったものについて途中から改良する場合には改良融資でそういうことができることになっております。特に、平成二年度予算では、高齢者向けのいろんな設備につきまして改良資金で初めて割り増し貸し付けができるような形に予算で計上してございます。  そういうことで、現状は住宅対策全体の体系の中で、それぞれの割り振りの中でそれぞれの階層に対応した高齢者、障害者に対して手を差し伸べるという対策になっているところでございます。
  176. 石渡清元

    石渡清元君 いずれにいたしましても、今の土地事情からすると、さっきも御答弁になりました建てかえをかなり促進して、建てかえ部分を含めた良質な住宅供給にかなり頼る、特に都市圏はそうならざるを得ない。未利用地とかいろいろ言いますけれども、あいているからといってすぐそこが適地かどうかというのはなかなか難しい問題がありますので、そういう建てかえを促進するような、ちょうど昭和二、三十年代のあれはもうかなり老朽化になっている木賃住宅なんかもかなりあるようですので、それを促進する方法を今どんなような手だてを講じられているか。
  177. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今の住宅の建てかえの問題は、非常に大きな問題だと思っております。  現状、私ども力を入れておりますのは、公営、公団といった公共賃貸住宅、これは建てた時点で三十年以上たちますと、三十年前の社会経済情勢あるいは財政力等々から非常に規模が小そうございまして、老朽化しておりますし、狭小でございます。したがいまして、これを建てかえる、公共賃貸住宅を建てかえるというのが一点ございます。  それからもう一つは、大都市に人口が集中した過程で民間の木造賃貸住宅が御指摘のとおりいっぱい建ったわけでございますが、これがもうとっくの昔に更新期を迎えつつあるということでございます。したがいまして、これらの老朽住宅の除却やら共同住宅の建てかえということを、公共施設もなかなか整備されておりませんので、最小限の公共施設を整備しながら建てかえを誘導するということで、今現在、市街地住宅密集地区再生事業という事業手法をつくっておりまして、公共団体にお願いをし、これに対して補助をするという形でやっております。  さらに、平成二年度の予算におきましては、この公共賃貸住宅の建てかえに際して従前居住者に対する移転用住宅建設が非常に重要でございますので、これが円滑化のために大変大きな役割をするわけですが、これに補助をするということでリロケーション住宅供給事業というものを予算でお願いをしてございます。  それから、その他もろもろ、市街地住宅密集地区再生事業につきましても、大都市圏につきましては地区要件、今までいろいろ事業採択の要件が非常に厳しかったのですが、もっと広範にできるように要件の緩和などをやっております。  そういうことで、予算上もいろいろ手当てをしておるところでございます。
  178. 石渡清元

    石渡清元君 今の建てかえでリロケーション住宅、これがないとなかなか実際問題として移れない、こういうことになるわけです。具体的にもう少し、リロケーション住宅をつくるなりあるいは建てかえをするための補助とか、数字的に少し御説明いただけますか。
  179. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 公共住宅の建てかえの場合に、まず再生のマスタープランをつくります。市区町村の単位ごとにつくるわけでございますが、その際に計画の策定についていろいろ補助がございます。  それから、具体的に地域リロケーション住宅、今お話ございましたように建てかえとそれに関連する事業に伴い、仮移転住宅あるいは本移転住宅を必要とする者を入居させるリロケーション住宅をつくるわけですが、事業主体は公共団体、公団、公社等としておりまして、これにつきましても供給計画の策定の補助費、それから建設につきまして具体的に再開発住宅制度の補助対象に追加をいたしまして補助率三分の一で補助をするということになっております。
  180. 石渡清元

    石渡清元君 また、建てかえに伴って、先ほどの日米構造協議のあれじゃありませんけれども、ここでも借地借家法等々の問題にもぶつかってくると思うので、法務省が法整備を今やっているというのもそうなんですが、建設サイドとしてはこの改正についてどういったような方向あるいは何が必要かというようなことはお答えいただけますか。
  181. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 借地借家法の問題につきましては、政府全体でいろいろと土地住宅対策を閣議あるいは地価関係閣僚会議等々で決定をする際に必ず入っている項目でございまして、政府全体としても早急に見直しをするという方針で進んでいるところでございます。これは住宅対策上から考えてみますと、今のお話はどういうことを要求しているかということでございますが、私ども住宅供給する家主さんの側のいろんな意見、それから借家人サイドのいろんな意見、これも団体もいろいろございますが、これは直接法務省の方で試案をつくりまして、それを団体にお配りをし、団体から意見を徴しているところでございますが、私ども関係の団体の意見を十分に勉強させてもらって、そして法務省に各省の幹事会みたいなのがございますが、その幹事会に建設省の方で出席をさせていただいて、そこでこういう意見もあるよ、こういう意見もあるよということでいろいろと議論をしているところでございます。  この前の日米構造協議の中には、貸し家供給の促進に寄与するであろうということで借地借家法の改正を進めるというようなことが書いてございますが、今回の改正の中でいわゆる正当の事由というのが、今までは裁判所の判断に全く任せられていたわけでございますけれども、今回はきちっとなるたけ書こうということでございますので、そういう面では私ども相当な進歩であるというふうに考えております。
  182. 石渡清元

    石渡清元君 わかりました。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、公営、公社、公団あるいは間接供給の公庫でも、そういったような公的なセクターをまとめてとか、あるいは個々に相談してという答弁が何回もされておるのですけれども、一緒になってお互いの連携を深めてこの住宅建設を進めていく、そういったような考え、あるいはそういう場というのがあるのですか。
  183. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 端的な問題としては、大都市圏で都府県の境界を越えて、かつその事業主体の自分の守備範囲を超えていろいろと全体としてどういう住宅供給をするかというのが非常に重要だろうと思います。したがいまして、今回のいわゆる大都市法と私ども申しておりますものはそういうことをねらったものでございまして、今までにないことを法律上の制度にしていきたいということでございます。
  184. 石渡清元

    石渡清元君 それとインフラ整備関連でございますけれども、結局場所がなければ供給圏を広げるということになるんですが、宅鉄法、これの緩和ができてどのように効果的に動いているかどうか、まず伺いたいと思います。
  185. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 昨年の六月に宅鉄法の公布をさせていただきました。もう少しで一年になるわけでございますが、現在この法律に基づく具体の動きとしては常磐新線があるわけでございますが、常磐新線の建設並びにその沿線の開発に向けて、関係県それから国、具体的に言うと建設省、運輸省ともどもいろいろと緊密な連絡をとらせていただいております。  内容は大きく言って二つあろうかと思いますが、一つは鉄道の建設整備主体の整理、スタートに向けての準備ということでありますが、この点につきましては現在運輸省が大変御努力いただきまして、中心になりまして関係県あるいはJR東日本等々との協議を今精力的にやっているところでございます。いろいろと紆余曲折を経ているようでございますが、いずれにしましても遠からず一つの方向づけができるものと期待させていただいております。  これを片方に踏まえながら、関係県におきましても精力的に準備態勢に入っている今日でございまして、具体的には、特にこの沿線地域はやはり宅地開発を進めるに当たっていわゆる区画整理方式が主軸になろうと思いますが、そのための用地の先行取得、こういったことに大変力を注いでいるところでございます。とりわけ、茨城県は茨城県当局が中心になって、あるいはまた千葉県、埼玉県等においては市レベルにおいて公社等も活用しながら具体的に地元との調整に入っておられる、こういうふうに承知いたしているところでございます。  いずれにしましても、この施策は大変首都圏の住宅宅地対策の上で重要な施策でございます。私ども今後ともこれに一生懸命相協力して推進に努めていくつもりでございます。
  186. 石渡清元

    石渡清元君 今まではどちらかというと公的セクターの推進のあれだったのですけれども、一方ではかなり民間にも実際問題としては依存しておるわけで、民間セクターの良質な住宅供給のための活用を積極的に指導あるいは助成をしていかなければいけないんじゃないかというぐあいに考えます。そういったような企画とかあるいは技術的なこととか、あるいは資金融資面での民間セクターの活用について何かございましたらお願いします。
  187. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 具体的に常磐新線の沿線地域というのは、私ども、フレーム的には大体六十万人近くの人たちの住まう空間といいましょうか住宅宅地供給を目指すということで、八千から一万ヘクタールくらいの開発を目指しているわけでございますが、おっしゃるようにこの開発はかなり民間の力、民間というのは必ずしもデベロッパーばかりでなくて区画整理組合の傘下組合員のことも含めて、民間の力というものが大変重要になってこようと思います。  先ほど申しましたように、私ども特に重点的地区については公的主体が積極的役割を果たす区画整理事業を推進してまいりたいと思いますが、あわせて民間の開発というものも大変重要な分野として適正に誘導する必要があるということでございまして、私ども別途優良宅地に関する法律を一昨年にお認めいただいて施行いたしておりますが、民間デベロッパー等が行う事業も本当に優良な方向に誘導していくということで、我々はこの面での関係公共団体との連携は当然深めておりますが、とりわけ、こういったものについてよく言われます、指導要綱等によります開発協議の時間が経過し過ぎるとかというような問題を一つずつ克服していくということも大事である。  また、おっしゃるように、低利資金の提供といいましょうか融資の問題等についてもできるだけの措置を講じたいということで、平成二年度予算案におきましてもその辺のところを盛り込んだ内容を提出させていただいているところでございます。
  188. 石渡清元

    石渡清元君 民間の場合いろんな形が考えられると思うんですけれども、その中で民間地権者との関係で借り上げ方式だとか信託方式だとかいろいろ各地方団体でもやっていますが、そういったようなことについて何か建設省がリードしたり、あるいは具体的な形で情報を流す、そういうことはあるんですか。
  189. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 今お話しの、民間の地主さんから土地を貸していただくとか、あるいは民間で建てられた住宅を借り上げるとか、いろんな方策がございます。  現在でも、例えば借地方式では公団の特別借地方式というようなことで既に千二百戸、千百七十八戸でございますが、ぐらいの実績が上がっております。それから、民間の信託銀行が土地信託で賃貸をやっておりますものが一万三千六百戸ぐらい出ているということでございます。それから借り上げ方式でございますが、公団の場合には特別借り受け方式というのをやっておりまして、これが千二百八十三戸の実績がございます。それから公社でやっておるものがございますが、これは実績は五百四十五戸。したがって、公共団体でやる場合には、今回東京都の都民住宅なんかでこれからやっていこうとしておりますものが公社が借り上げてやっていくという方式でございますが、これから伸びると思いますけれども、今現在は国の地域特賃B型でやっておりますものが五百四十五戸でございます。  それから、公庫の土地担保賃貸住宅の一括借り上げ制度というのがございますが、これが今始まったばかりで百八十二戸ということで、いろんな方式を駆使して、何とか良質な賃貸住宅で適正な家賃のものができないかということでございます。今後ともこういう方法を工夫し、一層実効あるものにしていきたいと考えております。
  190. 石渡清元

    石渡清元君 時間ですので、最後の質問答弁は簡単で結構でございます。  あと社宅なんですけれども、大企業の社宅というのはかなりデラックスなそういう印象が強いんですけれども、やはり中小零細企業の社宅に対して何らかの手当てをするのも一つ住宅供給のいい方法だと思いますし、また大企業の社宅だけだと何か人材が偏在化するような感じで、そういう意味で力の弱い中小企業関係の社宅の応援なんかいかがかと思います。それの考え方について。
  191. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) 簡単に現行制度を申し上げますと、いろんな制度がございます。金融公庫では、産労住宅と言っておりますが、産業労働者住宅というのがございます。住都公団では給与用特定分譲住宅というのがございます。それから、雇用促進事業団でも労働者住宅設置資金貸付というのがございますし、年金福祉事業団でも福祉施設設置整備資金貸付というのがございます。いずれの制度におきましても、大企業と中小企業と融資率でございますとか金利とかに当然差を設けておりまして、中小企業の場合には有利なお金が借りられるということになっております。  さらに、これは中小企業オンリーに非常に効くかと存じますが、金融公庫の土地担保賃貸の中高層建築物融資制度というのがございますが、平成二年度予算で中小企業の借り上げ社宅用の、中小企業の場合にはなかなか自分で土地を手当てをしていくというのは難しゅうございますので、地主さんに建ててもらったやつを一括して借り上げるということで、中小企業の借り上げ社宅用の賃貸住宅建設資金という制度を設けました。  しかし、全体を通じて住宅対策上社宅をどう考えるかということでございますが、いずれの金利も通常の住宅対策として一般勤労者あるいは国民大衆にお貸ししておる金利よりも高い金ということで住宅対策上は体系化を図っておりまして、問題は社宅というのはあくまでも企業とそこの従業員との間の労使間での話し合いで企業内福祉対策としてやられるものだということで、住宅対策としては、住宅をつくるときにどうしてもいい住宅をつくっていただきたいということでこういうことをやっておるということでございますので、御理解をちょうだいいたしたいと存じます。
  192. 石渡清元

    石渡清元君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  193. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今度問題になっております八六年から始まった東京地価暴騰というのは、世界でも日本の東京でだけ起きたという点で非常に特異な性格を持っているんですね。しかも、若干去年は少し下がったけれども、大阪圏初め全国に広がる、それがはね返ってまたことし東京が上がるというような状況で、ですから大都市圏に住んでいる国民にとって被害も非常に大きい。だから、特異な性格を持っていて非常に激しくて被害が大きいという点では、国民的課題の最大のものの一つだと思うんです。そういう性格なので、なかなかなまはんかな取り組みでは恐らく解決は難しいと思うんです。そういう点でぜひ、国土庁建設省、それから我々国会の側も、それからそれぞれの政党も、この土地住宅問題というのは本格的な構えで取り組まなければならないと思います。  日本共産党は八七年九月に地価問題の緊急提言というのを発表しまして、ことしの一月二十五日、改めて緊急提案を発表したんですが、まず、なぜ日本でだけ、特に東京でだけこういう地価の異常な暴騰が起きたのかという原因をしっかり突きとめなければ、抜本的な対策もとれないと思います。午前中の審議で土地局長は、東京の場合、需要増大、投機的取引、金融緩和、こういうものが複合したというふうに言われて、この三つは必ずしも間違いじゃないと思うんですけれども政府責任に触れてないのはやっぱり欠陥だと思うんです。  雑誌「都市問題」、八八年五月号と七月号に、東京市政調査会主任研究員の金倉さんという方の「東京土地需要構造の変化と地価問題」という論文があって、これ私読んでみて、なかなか鋭く書かれているし、東京地価暴騰の原因についても的確なかなり構造的な指摘があると思いました。  まず基本的原因は、東京への新たな事務所集中、これに基づく土地需要、これが基本原因なんですね。それから主要な加速的要因、それを加速させた主な原因、これは金融緩和による不動産業者投機的土地取引だと。これも私もそうだと思うんです。  その後、土地局長の触れなかった背景についてこの論文は触れています。それを可能にした背景には、民間活力導入政策のもとでの都市開発関連の規制緩和や国公有地の大量払い下げなどがあると。やっぱりこの背景ですね、これは特に中曽根内閣の政策として有名で、こういう問題に目をつけなければ、政府が本気でやると言っても一番大事な政府責任にかかわる地価暴騰の原因、背景について自覚がなければ手も打たないということになると思うんです。  まず、この基本的原因としての東京への事務所の一極集中、これは国土庁一つ責任があるのは、この委員会でも取り上げましたけれども、首都改造計画東京都市圏で五千ヘクタールという過大な事務所床需要見通しを掲げたんですね。これは慌ててその後千六百から千九百ヘクタールに直したんです。三倍にあなた方書いた。こういうことがこの土地需要をわあっとさせるんですよ。そういう点では、主要な責任じゃないかもしれないけれども副次的責任国土庁も持っている。  それで、この事務所ビルの東京集中、外国からも来ているんですけれども、これを規制するためにということで私どもも前からそれを規制するものとして事務所に負担を課せろということも主張してきました。特に四全総の国土庁の原案にはそれがはっきり書き込まれていたんです。国土庁の最初の原案は、東京中心部等に立地する事務所に対して、その便益の享受に応じて負担を求めるなどと書かれていた。これもこの委員会でも取り上げましたが、それに対して住友不動産の安藤太郎国土審議会会長などから、これはいたずらに東京からの事務所の追い出しをねらいとするものだという文句をつけられて、あなた方は負担のあり方について検討するというふうに腰砕けになっちゃったんですね。これは非常にだらしない、残念なことだったと思うんですね。やっぱり安藤太郎氏に何言われてもやるべきだったんですよ、あなた方は四全総で。  ここに臨時行政改革推進審議会の、おととしの六月十五日、地価土地対策に関する答申を持ってきてありますが、この答申にも今度は「都市集積の受益に対応した負担制度」ということもはっきり書かれているので、今度はこういう東京への事務所の一極集中に対して当然効果のある規制措置になるようなこういう負担制度、これは腰砕けにならないで主張してほしいと思うんですが、まずこの基本問題について長官答弁を求めます。
  194. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 上田先生にお答えしますが、先生からも今御指摘があったわけでございます。そんなことでございまして、東京地価高騰につきましていろんな議論がございまして、今先生の御指摘のとおり、事務所需要の予測につきましていろんな意見があったのは事実でございます。ただ問題は、予測されたほどなかったというような結果が出たようなことも聞いておるわけでございます。  そんなことでございまして、現在我々考えておりますのは、東京におきます地価高騰につきまして、どうしてこの地価抑制するかということを考え、しかも昨年暮れ、御存じのことでございますが、土地基本法をつくりまして、まず公共福祉優先基本原則を決め、それから土地政策の展開等を考え需給両面にわたり一層の強力な推進をするということを決めたわけです。それとともに、土地対策関係閣僚会議を開きまして、今後実施すべき重点実施項目ということで約十項目つくり、特に大都市地域における住宅宅地供給の促進とか、あるいは総合的な税制の見直しとか、あるいは投機の抑制、こんなことを決め、海部内閣の内政の最重要課題として取り組んできておるというようなことでございます。  そんなことでございまして、第一番には地価抑制をどうするか……
  195. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それはいい。私が聞いているのは、事務所ビルの東京集中の規制負担制度、これをやるかどうかということを聞いているんです。
  196. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) この点につきましては、税につきましてはこれは総合的な判断が必要だ、こう思っております。ただ、税におきましても三つの観点からこれをやりたいと思っています。そんなことでございまして、十分検討したい、こう思っております。
  197. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 一般論じゃなくて、聞いたことを答えてください。  今の問題は、十分検討するというんじゃなくて、今度は財界の圧力に屈しないで国民の要望にこたえた態度を示す必要がある、そういう責任を負っているということを私は厳しく申し上げたい。  それから金融問題については、これは主な加速要因ですけれども、後で日銀その他にお伺いしますが、この背景になった中曽根内閣の政策です。天野元建設大臣は、再三この建設委員会で、国有地の払い下げが地価高騰の引き金になったと何度もここで明言されたんですね。それで、どうやら大蔵省も最近国有財産中央審議会に新しい諮問をして、民間払い下げをどうも再検討するという姿勢を示しているようですが、今度の日米構造協議の日本側の中間報告にはとんでもないことが書かれておりまして、「大都市地域の国有地については」ということで、処分その他の方法のトップに「適切な民間の都市開発プロジェクト」というのがまたもや出てきている。  だから、大蔵省が多少態度を変えるかなと思うと、今度はアメリカの圧力でこういう妙なものがまた出てくるという点で我々は大いに警戒しなきゃならぬと思うんですが、午前中も白浜委員から国公有地の問題、それから企業の持っている未利用地などについて質問がございました。きょうはもうデータは省きますけれども、こういうものを民間払い下げということでなしに、国公有地を緑と住宅に活用する、これは当然必要です。特に地方自治体の先買い権というのを、言葉だけでなくてやっぱり本物のものにすることが必要だと思うんですね。西ヨーロッパの都市ではどこでも市、自治体が本当に公有地を持っていて、それを有効な都市計画に活用しているという経験からもやっぱり学ぶ必要があると思うんです。  ですから、ひとつこれも国土庁長官にお伺いしたいんですけれども国公有地の民間への払い下げではなくて、これを緑と住宅に活用する、大企業の一定の未利用地などについては価格規制も含めて自治体に先買い権を与える制度を本格的に考える時期に来ていると思うんですけれども、この問題についてはっきりした答弁をお伺いしたいと思います。
  198. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほど先生国公有地の払い下げが地価高騰につながったということにつきましては、必ずしも正確じゃないと思います。また、東京におきます地価高騰、大阪における地価高騰、いろいろ理由は違います。東京におきましては、最初先生がおっしゃったような事務所用地への需要の拡大から、住宅事務所の買いかえ需要その他の問題から実は地価が高騰した。大阪の場合は、やっぱり大規模プロジェクトとか期待感でその背景に金融緩和がある、このように理解しておるわけでございます。  そんなことでございまして、国公有地の民間への一般競争入札については、背景についてはいろいろな問題があったものですから、二つの点に配慮して今やっております。一つは、国土利用計画法改正による国等の適正な地価の形成についての配慮規定を創設しました。それからもう一つは、関係行政機関における地価への影響に配慮した緊密な連絡情報交換等により適切に対処することとしておるところでございますが、今後とも国公有地の処分に当たっては、地価への影響に十分配慮しつつ広範な分野にわたる諸施策をより一層強力に推進してまいりたい、こう思っております。
  199. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 自治体の先買い権問題の答弁はありませんでしたけれども、これはしっかりやっていただきたいと思います。  中曽根民活のもう一つの罪は、先ほどの論文でも指摘しておりましたけれども、規制緩和です。山手線の内側ではすべて五階以上の建物を建てられるようにしてはどうかと。これは八三年三月です、ここから始まっていったわけです。中曽根内閣の規制緩和、インセンティブ付与、一体どのぐらい出てきたかと我々ちょっと調べて拾ってみました。これはまだ全部拾い切れませんけれども、百近いです、八三年以来。これに関して出た通達のコピーを集めましたら、通達のコピーだけで十五センチぐらいになりました。大変なことを中曽根内閣はやったのだなということを改めて私は思ったんです。  それで、こういう問題で民間をある程度誘導するということだったんでしょう。我々もすべてこれが要らぬとは言いません。先ほども中間報告並びに新たに建設省として容積率の優遇措置、こういう制度も提案しておることなどもありました。そういう民間誘導の供給策は、これは一極集中や地価暴騰に結びつかないような措置をしなければ逆効果にもなりかねないので、我々はまず規制区域、これの発動、地価の凍結、土地取引の許可制の実施を思い切ってやらなければ、世界で東京だけというような暴騰に対して、これにも発動をしないというのじゃ、これはいつ発動するかということになりますからね。  それで、それを発動している間に都市計画の再検討が必要だと思うんです。用途制限、それから容積率の規制なども強化地区の詳細な計画を民主的につくっていく。だから、規制区域の発動と同時に都市計画を本当にしっかりと進めていくことがなければ住みよい都市はできない。これは先ほど申し上げましたような西ヨーロッパの都市はすべてそういうことをやっておるんですから、日 本でも本気でやればやれないことはないので、それこそ政府も国会も、自治体も住民もみんなで力を合わせて東京を中心とする大都市を住みよい都市にするための大きな仕事を共同でやらなきゃならないと思います。これは指摘だけにとどめます。  きょうは、あと二つの問題を時間もありませんので取り上げたいんですけれども一つは金融政策、これは主として大蔵省と日銀に責任のある問題です。  先日、日銀が「わが国における近年の地価上昇の背景と影響について」というものを発表して、これはマスコミでも異例の自己批判と報道され、既に国会でも取り上げられました。八六年、七年、八年とマネーサプライが異常に膨張していったということはもう既に認められておりますし、この報告の中でも認められております。この報告は、金融の緩和が地価暴騰の第二の原因だったということを日銀として責任を認めたんですね。  日銀からいらっしゃった方に具体的にお伺いしたいんですけれども、八六年十一月一日、八七年二月二十三日、第四次、第五次の公定歩合引き下げがあったんですね。朝日新聞社のアエラ三月十三日号は、日銀の内部では、地価高騰を招いたのは四回目、五回目の公定歩合引き下げと緩和に原因があったと議論されている、特に第五次利下げの八七年二月、これは「八六年十一月が「景気の底」だっただけに、日銀内部でも疑問が持たれている。」と報道されていますが、いかがですか。
  200. 田村達也

    参考人(田村達也君) 日本銀行の総務局長でございます。  金融政策は、そのときどきの経済情勢、為替の情勢あるいは物価の情勢を総合的に判断した上で決定するものであります。その決定の過程で、現状分析についていろんな意見を内部でも交換することがありますが、おっしゃったような意味で、四次、五次の引ぎ下げでそんな内部的な対立があったとかそういうことはございませんで、いつもの通常の公定歩合の変更過程と同じように情勢判断に基づいてやったわけであります。  当時、やはりなお円高がさらに進行するのではないか、不況がさらに進行するのではないかという懸念、あるいは海外からは、日本の景気を刺激して世界的な経済の拡大に寄与してほしいといった声、そういった状況の中で政策がとられたものでございます。
  201. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっと待ってください。あなた方のこの報告では、  六十一年一月以降累次にわたって公定歩合を引下げ、六十二年二月には公定歩合は二・五%と日本銀行創業以来の低水準となった。これまでも金利低下の下ではマネーサプライの伸び率が高まり、これが地下上昇の一因となっているという関係が看取されるが、こうした関係は今回の地価上昇局面においても妥当する。 というふうに書いているわけでしょう。「地価上昇の第二の要因は金融緩和である。」、ちゃんと図まで出ていますよ。  そうすると、この第四次、第五次の二回の公定歩合引き下げは正しかったというんですか。地価暴騰は関係なかったというんですか。はっきり答えてください。論文にも書かれているんだから、影響について。あなたの責任を問うているわけじゃないんだから。
  202. 田村達也

    参考人(田村達也君) この論文でも指摘しておりますように、金融緩和と地価の動きというのは、過去においてもいろいろな関係がありますし、今回も関係がある。そういう意味で、金融緩和の一つの影響として地価の上昇という問題が出てきたことをこの論文でも指摘しておるわけであります。ただ、こういった地価の動きについての背景、その影響等は分析しておるわけですが、金融政策を全体としてどう評価するかというふうな問題意識でもって書いた論文ではありませんで、地価の問題を中心にして因果関係等を分析しているわけでございます。  それでは金融政策全体としてどういう評価をするかということになりますと、やはり金融政策というのは総合的な判断に基づいてやるということでありますから、景気がどうなっていたか、あるいは海外との関係はどうなっていたか、そういうこともすべて分析しながら考えていかなきゃいかぬということだろうと思います。おっしゃるように、地価と金融緩和という関係で言えば、先生の御指摘のような一面もあるということをこの分析は行っているわけであります。
  203. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 このアエラには、澄田前日銀総裁のインタビューが載っている。「後の二回は、私の決心が大きな要因だったとはいえる。」、澄田前日銀総裁は余り相談しないで一人でやったと。それで質問は「八七年二月の五回目の利下げは宮沢蔵相から要請があったのですか。」、どう答えているか。「宮沢氏が利下げを強く希望していた、ということは私も知っていた。それ以上は言えないが。宮沢氏は、四回目の時も五回目の時も、これ以上の円高が進むのは食い止めなければいけないと強く思っていて、公定歩合引き下げを強く望んでいるという空気は私も察していた。」というんです。  つまり、宮澤大蔵大臣と澄田前日銀総裁のツーカーの関係で強く知っていたので、彼の決心でやったんですよ。その結果、あの金融の緩和が超金融緩和政策で猛烈な地価暴騰の資金がどんどん出ていったんですよ。そうすると、これは日銀だけの問題じゃなくて、当時の大蔵省、宮澤大臣責任がある。  なぜ宮澤さんはそういうことをやったのか。八五年九月のプラザ合意のツケですよ。八五年九月のプラザ合意でアメリカがぱっと政策転換して、ドル安円高に切りかわった。あの猛烈な円高が日本で進んだじゃありませんか。それで、余り円高が進むので大蔵省はドル買いに出るわけだ、日銀に言って。日銀は猛烈なドル買いをやったんですよ。  もう時間もありませんから、詳しく言いません。前にもちょっと引用したことがありますけれども、東経大の宮崎義一教授の岩波新書「ドルと円」が詳細にこの経過を分析している。アメリカ側ベーカー財務長官による口先介入、口先でドル安でいいと言うと、ぽんぽん円高になるわけです。アメリカは口先介入でいいけれども、こっちは日銀の介入ですよ。八六年だけで日銀の外為特別会計の支払い超過分が四兆三千五百十億円に達した。この円資金の流出が当然マネーサプライを一・四%分上昇させた。こういうものが大企業の投機熱や、転売によって利益をねらう地上げ屋の横行につながっていったということを宮崎教授は詳細に分析しているんです。  こういうことになりますと、結局八五年九月、これは竹下蔵相だ、アメリカの言いなりになってプラザ合意をやって、二百四十円が何と百五十円までぴゃっと行くんですから。円高でどれだけ日本の輸出関連中小企業やなんかがひどい目に遭ったか、これはもう皆さん御存じだ。ところが、それに目を奪われている間に、日銀が主導して大企業の持っておるドルを外為特別会計を使って買う。そうすると円資金が、どんどん過剰流動性があふれ返って、それで超金融緩和政策でしょう。これはもう大変なことになって、世界で日本だけの地価暴騰が起きるんですよ。こういう原因がなければ、世界で東京でだけ地価暴騰が起きるわけないじゃないか。あのプラザ合意のツケを、輸出関連の中小企業や機械中小企業、下請企業だけでなくて、特に東京の都民が、また中小企業が全部地価暴騰という形でかぶせられたんですよ。それが今、日本全国に広がっているんだから。  だから、やっぱりこういう大問題――日本共産党はすぐ日米軍事同盟を持ち出すと言うけれども、こういうとんでもないことをやらされるのは、これはアメリカの第五十一州のような安保に基づく従属関係があるからなんですよ。だから、金融的従属もやる、機関投資家がドルを売れば今度は日銀が出ていく。日銀が出るについて日銀で討議もしないで、大蔵大臣に言われたんだかツーカーだか知らぬけれども、総裁個人の決心で二回もやったというんですよ。それ以来、二・五%の公定歩合がずっと続いていくわけでしょう。  だから、斎藤さんが、自民党の議員だけれども、泥棒が逃げてから縄をなってもしようがないじゃないかということを委員会でおっしゃったんだけれども、そういうまことに恥ずかしい日本の金融政策の大失敗、土地政策の大失敗が国家的規模で起きたんです。だから、そういう問題を本当にみんなで追及して、これを直させなければ地価問題は手がつかないんですよ。  だから、私は政府責任を追及したいんだけれども、ここには総理大臣もいないし大蔵大臣もいないので、日銀に対しては、これは融資規制を徹底するために、土地融資、土地投機実態の公表、ノンバンクに対する規制のための法改正、日銀の窓口規制の強化、投機資金の回収、土地担保の制限、こういうものにもやっぱり踏み切っていくイニシアチブを発揮しなければこれまでの誤りの責任をとったことにならぬと思うんですが、いかがでしょうか。
  204. 田村達也

    参考人(田村達也君) 金融政策の運営は、先ほども申しましたけれども、そのときどきの経済、物価、総合的な判断においてやっております。一方、金融政策ということになりますと、やはり金利政策が中心でございまして、量的な規制あるいは窓口規制でいろんな個々の統制を強めるというふうな方向でもございません。できることが今いろいろ限界があるわけでございますけれども日本銀行の金融政策としてももちろん、この論文でも御指摘しておりますけれども地価の動向等十分考えながら運営していくという基本的な考え方はこれからも続けていくということになろうかと思います。
  205. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもありがとうございました。しっかりやっていただきたいと思います。  次に、私は首都圏の住宅問題、特に家賃問題、これを取り上げたいと思うんです。  首都圏の勤労者が本当に一生働いても自分の家を持てない、それからマンションも買えない、賃貸住宅にもなかなか入れないという状況になっているだけじゃなくて、今の地価暴騰の中でどんどん木造アパートの取り壊しが進み、お年寄りの方なんかは東京に住めなくなってどこかへ出ていかなきゃならぬというような状況があるわけなので、家賃の問題というのは、勤労者が払える家賃の住宅をというのは東京住宅問題で最も重要なテーマだと思うんですね。  先ほどから、住宅宅地審議会の市街地住宅委員会が去年の六月に発表いたしました中間報告「大都市地域における住宅供給の促進について」に言及されている。この中で、家賃問題で非常にこれは重要な、また正しい提言だと思うんですけれども、こう書いてあるんですね。「土地投機をできるだけ排除するとともに、土地を高密度に有効利用することにより、住宅供給要因の改善を図り、これに伴う住宅価格・家賃水準の適正化を通じて、これらと住宅取得能力との常識的なバランスを回復していくことが重要である。」、やはり住宅の価格と家賃のレベルを適正なものにして、勤労者の住宅取得能力とのバランス、今壊れちゃっているんだけれども、それを回復しなきゃならぬと言っているわけです。その次にこう言っている。「この場合において、政策的に大量かつ適正な価格の住宅供給プロジェクトを促進していくことは市場価格・家賃全体の適正化をもたらす。」、だから「政策的に」というのは政府、自治体の責任で行う住宅ですね。だから、公社、公団、また公営住宅などのことですが、大量かつ適正な価格の住宅供給しなきゃならぬ、つまり安い家賃の公共住宅です。これを大量に供給することが市場の家賃をもやっぱり下げるということだと思うんですね。住宅局長、こういう考え方は賛成でしょう。
  206. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) ここに書いてありますことは、大量かつ適正な価格の住宅供給をたくさんやって市場価格を安定させて、その中で要するに勤労者が負担できるような家賃水準にしていく、こういう趣旨でございまして、それはそのとおりだと思うんです。ただし、先生今言われましたように、ここで言っております「適正な価格の住宅供給プロジェクト」が公共プロジェクトということとは直接結びついておりませんで、公共も民間も含めてできるだけそういうものをたくさんやっていこうという趣旨に解しております。
  207. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 民間も適正家賃のものをどんどんこれからつくってもらいたいと思うんですが、それで家賃をどう下げるかということで地価の問題が大きいわけですね。  東京都は、臨海部副都心の住宅用地について、埋立原価、この間大きな新聞記事が出たんですけれども、一平米三十九万円という東京の臨海部副都心です。非常に都心に近いところだけれども、これを一平米三十九万円と破格の地価を基準として決めたと。これはまず住都公団に建ててもらうので、いろいろ交渉してそうなったと。それで、何とか家賃を二十万円ということにしたいということを出した。ところが、東京都のそういう住宅が都心に近くても家賃二十万が基準だったら大問題である、都議会でこれから大論議になるだろうということになった。こういう東京都のやり方、二十万円、これでもまだ高いという。しかし、東京都は二十万円にするためにあの土地を平米三十九万円という埋め立ての原価でやったんだけれども、まだ高くなる。  こういう東京都のこの政策等については、住宅局長としてはどう評価されていますか。
  208. 伊藤茂史

    政府委員伊藤茂史君) けさほどもちょっとこの問題出ましたが、今回の新聞に出ておりますのは、四月に策定した臨海副都心住宅マスタープランというのが基本になっております。そこでは、先生今言われましたように、中堅所得層が入居可能となるような家賃となるような対応策を総合的に検討する必要があるということで、都として意思決定をしております。  それで、臨海副都心の検討をされている公団住宅につきましては、その供給時点が今時点でございませんので、数年先になる見込みでありますので、供給時点を勘案しながら中堅所得層の入居可能となるよう配慮していきたいというふうに考えておりまして、公団も地代負担が軽減されて目的を達するようにいろいろと現在方策を検討しているところと聞いております。  おっしゃるように、地代、土地代が安くなれば一番効果的なわけでございますが、これにもやはり、午前中も申しましたように地主さんのそれぞれの事情もございますし、限度がある話でございますので、今回は東京都としては非常によく住宅について理解を賜ったものと考えております。
  209. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 結局、都心で安い住宅といったら、これは今のやっぱり地価ですね、これが問題になる。  全国市街地再開発協会の「大都市都心部における住機能確保に関する調査」、ことしの三月に出たものです。これに新しい家賃設定として「地価を反映させない形での家賃設定」という研究が載っているんですよ。一々言いませんけれども、とにかく地価をそのままにして都心の港区などで建てると、やっぱり月百万円の家賃になっちゃうと思うんですよ。それで、地価を家賃に反映させないように、このためには、建設省もおっしゃっているような容積率の二〇〇%割り増しとかいうようなことも言っております。  それから、固定資産税の非課税なんていろいろなことを言われているけれども、とにかくそういうふうに地価を家賃に反映させないで、地代相当額を固定資産税の約三倍、非常に安いですよね、固定資産税額の約三倍程度に抑えていけば、この港区などでも月十二万円、十二万五千円とか、そういう家賃にできるんだという研究を発表しているんですね。  だから、こういう全国市街地再開発協会、これは地方自治体なんかも、公共団体も入っているんですけれども、そういうところで何とか住んでいこうという苦労をしているわけですよ。  さらに、御存じと思いますけれども、都心の五区、千代田、中央、港、新宿、台東などではどんどん定住人口が減っちゃうので、定住化を推進するために附置住宅といって、ある規模以上に大きな開発をやる企業には、そのビルには住宅を必ずつけろという条例を都心五区ではつくっているんですね。  特に中央区では、敷地三千平米以上の開発業者には附置義務住宅の一部、四分の一以上を低家賃住宅にしろ、それでそこに住む低所得居住者には三十年間家賃補助をやるというファンドを創設したんですね。江戸川区では、民間賃貸住宅家賃等助成条例というのをことしつくって、お年寄りがアパートが建てかえられると追い出されるでしょう、そのときマンションに住みかえた場合に差額の家賃を全額補助する、二億円の予算を組んでやっているわけですよ。そういうふうに、区だとかこういう民間団体でも何とかして都心で安い家賃で住まわせられるようにと苦労している。  住都公団、ちょっとここへ来てください、渡辺さん。  それで、僕は住都公団のやっているのはけしからぬと思うんですよ。こういうふうに民間や自治体が一生懸命安い家賃にしようと言い、住宅宅地審議会の小委員会も政策的に安い家賃の住宅をつくることが市場価格をも適正化すると言っているのに、日本で一番大事な公団が建てかえをやる、そうすると地価の値上がり分を再評価して新しく家賃に入れて物すごい高い家賃にして大問題になっているじゃありませんか。  世田谷の東経堂、これはもう既に決定されたんですけれども、東経堂団地、公団の説明を聞いてお年寄りの方がその場で腰を抜かしたんですよ。そういう報告を私は聞きましたよ。何でそういうことをするのかということ。これは政府の審議会の中間報告、自治体や民間がいろいろ苦労してやっていることと全く違うじゃありませんか。むしろあなた方は、市場価格に合わせなきゃならぬということで家賃の三年ごとの値上げやら、建てかえ住宅地価の値上がり分を家賃算定に入れてしまうという、これまでの家賃算定方式を根本的に変えようとすることをやっているじゃありませんか、どうですか。僕はやめてほしいと思うんですね。
  210. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 大都市地域で賃貸住宅をともかく大量に供給したいということ、あるいは居住水準を上げたいというようなことで建てかえを六十一年度からやってきておるわけでございます。その場合に、建てかえによって新しく建設される賃貸住宅というものは、公団が通常の一般買収といいますか新規に賃貸住宅供給していく場合と全く同じでございます。したがいまして、新たに建てかえによって供給される賃貸住宅の家賃というものを考えてみた場合には、我々が既にほかの制度といいますか、建てかえ以外で新規に賃貸住宅供給して、そのものとの均衡をとった家賃になることがやはり全体として必要であるというふうに考えておるわけでございます。  そういうことで、建てかえの場合の土地の評価につきましては、これは建設大臣の承認を得まして時価で評価してやるということになっておるわけでございます。しかし一方、従前居住者というのがもちろんおるわけです。その方々の理解と協力を得てやっていかなきゃならないことは申すまでもありません。  したがいまして、我々はそういう方々に対して、例えば家賃の急激な変化に対して激変緩和をするということから、初年度は公募家賃、つまりその住宅を一般に公募した場合に幾らになるかという家賃に対して六五%引いた家賃でお願いする。それが七年間で一般の公募家賃にすりつくような対応をとっている。あるいは公団の例えば四十年代の団地に移られるということであれば、それをあっせんする。さらに、一定の所得水準以下のお年寄りでありますとか生活保護世帯、そういう方方に対しましては、まず第一には家賃がなるべく同程度になるような住宅をあっせんする。さらに戻られる場合には、五年間でございますけれども住宅補助限度額を新しい家賃が超える場合には住宅補助限度額を超える部分についてはこれは免除するというようなこと。それから、先ほどちょっと申しましたほかの住宅をあっせんする場合にも、これも五年間でありますけれども、四〇%、二万円を限度として移られる先の住宅の家賃を軽減するというような対応をしておるわけでございます。  もちろん家賃は安いにこしたことはございません。我々は決して意図的に高くしようなんということを考えているわけではございませんが、やはり公団の持っております政策上あるいは施策上の役割分担、それから財源、こういった制約の中で我々としてはできる限りの対応をしているということでございますので、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
  211. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 世田谷の東経堂団地の場合は最終家賃は十万九千円で、今の家賃の大体三倍になっちゃうんですね。腰を抜かすわけです。今渡辺理事は、いろんな減額メニューとか、それから七年七段階方式等々についてお話がありました。七年七段階方式でも、減額後の概算家賃、最初三万円ですけれども八年目には十万九千円になるんですからね。十年間七段階でも、結局これは十一年目には十万九千円になるわけですからね。  それで、この問題で私が今申し上げたのは、中間報告に、政策住宅、ここを適正な家賃にすることが市場の家賃にもいい影響を与えるんだという報告がせっかく出ているわけだ。住都公団というのは、日本の政策住宅の中では最も大きな、最も歴史のある、そういう大切な住宅ですよ。そこでそういうことを実行していかなければ、これはもう絵にかいたもちになるわけだ。しかし、住都公団の側は決まった方針だから、私が根本的に直せと言ったって、幾ら渡辺理事度胸があってもなかなか言えないですよね。そういう点では住都公団としてはこういうお答えしか出ないかもしれないけれども、国、建設省建設大臣の問題になってくると僕は思うんですよ。  こういう地価暴騰、特に東京土地住宅問題、これは本当にどう解決するかが一番問題になっていて、それで安い家賃のみんなが入れる住宅、何とかぎりぎり入ろうと思っても、こういう住宅ではかなりの部分が出ていかざるを得なくなっているわけなので、こういう公団家賃の方式、特に建てかえの際の地価の時価による算定等々の方式の抜本的な見直しですね。そして、本当に公団の建てかえでこういう問題が起きないように、やっぱりみんなが喜んで住み続けていけるような方式をひとつ、建設大臣、これまでのいろんな実例、事例があります、今またうんともめています、こういう問題も、公団の建てかえ問題だけでなくて、きょう私が述べたようなさまざまな問題点を本腰で取り組んでいただいて、家賃問題について一層の検討をしていただきたいと思うんですが、建設大臣の御答弁を求めたいと思います。
  212. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) いろいろ実情を聞いてみますと、今建てかえたところは時価にすると物すごくすばらしいところになっていまして、十万円と言われますけれども、それは時価よりもずっと安いというふうに聞いております。今まで三万円に入っていたから、きれいにしても三万円で入れさせろ、こういう今の御主張でございますけれども、みんなみんなと言われても、あなたが言われるみんなもあれば、もっといいところへ入りたいというみんなもあるわけですから、その辺をいろいろ考えながら、先ほど渡辺理事が申し上げたように、いろいろ皆さんのお気持ちを体しながら建てかえをしていこうという建設省の方針でございますので、その辺は御理解願いたいと思っております。
  213. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 不満ですけれども、終わります。
  214. 新坂一雄

    新坂一雄君 連合参議院の新坂でございます。  きょうは、綿貫建設大臣また佐藤国土庁長官御一緒に、土地対策についての論議をひとつ深めてまいりたいというふうに思っております。  サラリーマンの視点から、土地問題についていろんな考え方がございます。特に、土地基本法ができて以来、政府はもちろんのこと財界あるいは労働界、各政党とも今の政治の一番の不満の原点と言われている土地問題に対してのいろんな論議が出てきているというふうに思っています。そういう意味では、去年の今ごろ思いもつかなかったような土地問題に対するアプローチがいろいろ出てきたということで、一歩前進ではないかという感じを強くしております。  そこで、サラリーマンの視点からいいますと、最近サラリーマンは五合とっくりじゃないかというふうに言われています。一生つまらないということでございます。特に、毎日毎日同じように満員列車に揺られながら、通勤地獄と言われているほどの過密列車に乗りながら生活の糧ということで働いている。そういうことの一方で、土地の値上がりの分だけいわゆる投機的な投資によってもうけた人たちが楽をして暮らしているんじゃないか、こういうような不公平感がどうしてもまだあるということで、特に最近のマスコミの政党支持率にしても、一番の不満は土地問題に対する不満というのが厳然として今不満の一番高いものでございます。  ということで、一番の政治に対する基本は、やっぱりユートピアといいますか夢を与えるといいますか、そういう意味で言いますと、この土地対策の一番基本になっているものは、もろもろの現実対策がございますけれども、例えば遷都論とかあるいは新都論とかというようなことで、今ある枠組みを一回崩して考えてみたらどうかということで、たしか去年の土地問題特別委員会のときにいろいろと新都論を論議しまして、特に委員長発言で、今後そういう新都論あるいは首都機能の移転論の論議を深めようじゃないかというような委員長の特別発言もございました。  そういった意味で、この新都論についても、単なる新しい都を今ある中でどこかへ移すというようなことじゃなくて、その時点で明治以来ずっとそのままあった都道府県単位のものでいいのかどうか。例えばサラリーマンにいたしますと、例えば大阪のサラリーマンといっても大阪府に住んでいるわけではございませんで、やはり京都、奈良、兵庫から通っている人たちにとってみると、近畿は一つという文化圏の中にあって物事を考えているということで、たまたまいわゆる現住所は各府県ではございますけれども、実際に考え方としてはその文化圏の中に属している一種の道州制的なワンブロックを一単位として考えた生活を考えているのではないかという意味でございまして、明治以来続いておりますそういう都道府単位のもろもろの施策がそれでいいのかどうかというふうなことも、非常に素朴ではございますが、サラリーマンがやはりいろんな問題に直面したときに考えていることでございます。  そういった意味で、取りまとめということではございますが、佐藤国土庁長官に、この遷都論といいますか新都論といいますか、首都機能移転についてのお考えはどんなところを考えておられるか、最初にお聞きしたいということでございます。
  215. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 実は今のお話を聞きまして大変私は懐かしく感じたんですが、今の道州論というのは、かつて永野重雄先生が道州論の急先鋒をやっていまして、そのときにはかなり道州論がいい勢いでいっておりましたけれども、あの方が亡くなりましてからちょっと衰えた感じがします。そんなことでございまして、大変懐かしいお話を聞いて楽しく聞いておったということでございます。  遷都論につきましては、実は私がいつも言っておるのであるいは重複するかもわかりませんが、土地問題につきましては二つの視点が必要だと思っています。一つ政治的配慮一つ政策的配慮、この二つが大切だと思います。したがって、実はこの二つの両輪がうまく回らないとなかなか土地問題は解決できない。その政治的配慮が、一つは首都移転の問題とかあるいは国会移転の問題、そういうことになると思います。それで、これは大変国民生活へ大きな影響を与えるものですから、ただ単に国土政策上の問題だけでは決められません。  そんなことでございまして、今国土庁の中にも石井前長官のもとで一月に新首都問題懇談会をつくりまして、第二回目をやったということで、各界各層の人を委員にお願いしまして幅広く御意見を聞きたいというようなことで、今検討に入ったということでございます。
  216. 新坂一雄

    新坂一雄君 同じ趣旨でございますが、綿貫建設大臣、国づくりの現場の責任者ということで、この遷都論、新都論についてはどんなお考えでございますか。
  217. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 遷都とか分都とか展都とかいろいろな言葉がございますが、とにかく一極集中ということを緩和しようということで出てきておる政策課題だと思います。  御存じのように、今私どもの自由民主党の金丸先生を中心に遷都問題のいろいろ研究会が開かれておりまして、これには超党派で皆さん御参加でございます。国土庁長官も私もメンバーになっておりますが、先般もぜひこの会に出てこいと言われまして行きましたところ、皆さん非常に熱心にこの問題に取り組んでおられまして、国会決議をやろうかというところまで議論が熱しておるようでございます。ここにおられます参議院の先生方も皆さん御参加でございますが、そういうことでございまして、遷都ということが皆さんのコンセンサスを得て、全部というわけではございませんが、四全総の中でありますように、業務核都市とかあるいは多極分散型とかいろいろ言われておりますが、そういう方向に向かって一歩でも二歩でも前進していけば非常にいいことではないかな、こう考えております。
  218. 新坂一雄

    新坂一雄君 そういった論議をいろいろなところで深めていきたいものだなというふうに考えています。それの延長でございますが、首都機能の移転、これをやっぱり強力に進めていくということが土地対策一つの柱ではないかというふうに考えております。  それで、一省庁一機関が東京から出ていく計画をたしか竹下内閣のときに宿題として与えて、答案が去年八月出されました。それで、それの原案がたしかそのときのあれで七十九機関が移転するということで閣議決定されたというふうに聞いております。去年の国会の審議でも移転状況についてお聞きしたんですが、その後半年過ぎておりますが、これは推進するということで総意になっております。現状、進捗状況はいかがでございましょうか。
  219. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 御指摘のとおり、昨年の夏に七十九機関十一部隊の移転の移転先等を取りまとめられたところでございます。その後の進捗状況でございますが、まず本年の三月二十三日に開催されました土地対策関係閣僚会議におきまして、国土庁長官から土地対策担当大臣として各大臣に、おおむね五年以内を目標に移転が具体化するよう努めてほしいということを要請されたところでございます。実務といたしましては、移転の円滑な推進につきまして三月二十九日に国の機関等移転推進連絡会議を開催いたしまして、各省庁で確認を行ったところでございます。  実際の移転状況でございますが、税関研修所、宇宙科学研究所の二機関については移転を行っております。また、東京外国語大学など十三機関十一部隊につきましては、移転のための具体的な予算措置が講ぜられておるところでございます。着実に推進が図られているというふうに考えております。
  220. 新坂一雄

    新坂一雄君 七十九機関十一部隊ということになりますと、約百ぐらいあるわけでございますが、今お話聞きますと、これは約三十ぐらいしかまだ具体的にはなっていないということでございますか、ちょっと確認でございます。
  221. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 具体的な計画が予算措置等で講ぜられたものについて申し上げたわけでございまして、その余の機関につきましても具体的に移転をすべく、どういう形でするか、予算関係その他につきまして検討を行っているところでございます。具体化したものを申し上げたわけであります。
  222. 新坂一雄

    新坂一雄君 ちょっとくどいようでございますが、今具体的に予算もついて、あるいは既に移転したというところをお挙げになっておりますが、いわゆる最終締め切りが今挙げられた機関については五年をもってすべて完了するというふうに考えて確認させていただいていいんですか。ちょっとそこがよくわからないんですが。
  223. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 先ほど申し上げましたように、国土庁長官からおおむね五年を目標に移転が具体化するように、できるだけ完了に近い形で行えるように、こういう御趣旨で各大臣に御要請したところでございます。
  224. 新坂一雄

    新坂一雄君 それの関連でございますが、国土庁の方で低・未利用地についての調査を進められたということでございますが、この対象はいわゆる国有地の低・未利用地のものが対象として入っておったのでございましょうか、なかったのでございましょうか。
  225. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 先ほども御紹介申し上げました平成元年度に国土庁が行いました低・未利用地の調査につきましては、民有地を対象といたしてございまして、国公有地は入ってございません。
  226. 新坂一雄

    新坂一雄君 土地対策については、やはり民にとらわれず官民一体になって痛みを分け合うというのが趣旨でないと、いろいろといわゆる民有地の公共的概念ということで、考え方によっては都市から住民を追い出す政策じゃないかという考え方があるほど、非常に民にとっては痛いなあと思われるところもたくさん出てきております。したがって、やはり公有地、国有地についてもそれはそれで対象にして、その中で一体になって考えていくというのが基本的ないわゆる国民的課題の解決策じゃないかと思います。したがって、データ一つについても民有地だけ調べて官は残しておくんだというような考え方だと、まあ一種のサラリーマン的やっかみで言いますと、ちょっと何かどこか落ちているんじゃないかなという感じになると思います。だから、その辺はそれも入れてこれから検討対象にするという考え方でないといけないと思うのでございます。  それで、大蔵省の方では三大都市圏についての国有地の洗い出しを今やっておるというふうにお聞きしておるのでございますが、その中でいわゆる一体何をもって未利用地かという定義がちょっとあいまいだと思うんです。そこでまず、何をもって未利用地、低利用地と言っているのかという定義をひとつはっきりさしていただきたいというふうに思っております。
  227. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 先ほどの民有地を調べたという点でございますが、公有地を決して除外したわけではございませんで、むしろ公有地は別途の手法によりましてもっと詳細な調査が可能であるという前提から、比較的わかりにくい民有地について調べたということでございますので、御了解いただきたいと思います。  調査を行いましたときの低密度利用実態でございますが、この調査を進めてまいりますにつれまして、何を未利用地とするか、何を低利用地とするか非常に問題でございました。未利用地といたしましたのは、現在建築物として全く使われていないものを未利用地というふうにするのが一番適当ではないかというふうな考え方で未利用地とする。
  228. 新坂一雄

    新坂一雄君 建物がない……。
  229. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) はい、建ぺいされてない、こういうことでございます。  低利用地につきましては、一定の建ぺいはなされているけれども極めて低密度利用でございまして、これにつきましてはある程度高度利用を心がければ比較的容易に高度利用が可能になる、そういった土地を低利用地と位置づけた、こういうことでございます。  非常にこの分類は難しゅうございまして、私どもも迷ったところでございます。
  230. 新坂一雄

    新坂一雄君 その最後のところでございますが、密度の低い高いというその密度というのは数量的な、例えば二階建てだったらもっと上に建てたら高密度、高度利用になるんじゃないかとか、要するに密度が低い高いという極めて抽象的な言葉なんですけれども、そのデータをとるときに何か対象がないと、これ何をもって低密度という基準がわからないんですが、そこを教えてください。
  231. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 少し細かくなって恐縮でございますが、例えば低利用地につきましては六つほどに分類してございます。その一つが例えば材料置き場であるとか資材置き場に使われているもの、こういった類型がございます。それからまた次に、住宅展示場であるとか中古車センターあるいは工事の飯場等に使われているもの、こういう類型もございます。それからもう少し建ぺいが進みまして、五階建て以下の利用、こういったものも対象にされております。それから工場倉庫についてでございますが、かつては工場倉庫として使われながら、今その工場が産業構造の転換によりまして土地利用が変わりつつある、こういったものも類型として整理してございます。こういったものをまとめましていわゆる低利用地、こういうふうに分類したつもりでございます。
  232. 新坂一雄

    新坂一雄君 そうしますと、先ほど午前中の論議でありました国土庁の資料によりますと、会社の土地取得、この状況調査によりますと、八割が会社の持っている土地利用計画がないというデータが出ているという、これ物すごいデータが出ているんですけれども、それの利用計画なしというのは全くあれですか、要するにそのまますぽっと置いておく状態のものを全部対象にして計画ないということの状況なんですか。これは、現状は何をもって利用計画なしなんですか。
  233. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) お尋ね調査結果は、国土庁資本金一億円以上の民間法人に対して毎年アンケート調査を行っております企業の土地取得状況等に関する調査結果だと思いますが、平成元年度三月末時点の法人の所有する事業土地の未利用地の割合は六・二%でありまして、その六・二%のうち、利用予定時期について具体的計画がないもの七八%、約八割ということでありますので、事業土地全体としては六・二掛ける七八%ということであります。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕  未利用は、やはりアンケートでございますのでアンケート回答者が利用してないという意識を持った土地ということですので、恐らくそういう永久構造物等の事業用地としては使っていない、だから全く資材置き場や倉庫あるいは工場建物、事業用地、そういった事業に直接結びついた形で有効に使っていない土地は全部入ってきているんだろう、そういうふうに思います。
  234. 新坂一雄

    新坂一雄君 わかりました。  そこで、先ほどの国有地のリストから、東京都の国有地の実態の中で東京食糧事務所深川倉庫というのがございます。ここの利用実態というのが一体どんなふうになっているのかというのがよくわからないんですが、要するに土地が八万平米あって、その中で建て面積が四万五千平米ということで約半分ぐらいのところに建物が建っているということでございますが、どういうような状況になっているのかというのをちょっと教えてください。
  235. 北村壽夫

    説明員北村壽夫君) 深川にございます政府倉庫の用地面積でございますけれども、全体で七万九千平方メートルございます。この中には倉庫が十九棟、それから庁舎等がございます。その建築面積が四万九千平方メートルございます。それで、残りが米穀等を出し入れするいわゆる必要な通路、それからトラック等が出入りしますものですから、それらの待機場所等のスペースに充てております。  以上でございます。
  236. 新坂一雄

    新坂一雄君 これは要するに高さはどうなっていますか、一階建てなのか二階建てなのか。
  237. 北村壽夫

    説明員北村壽夫君) 一階建てでございます。
  238. 新坂一雄

    新坂一雄君 例えばいろんな国有地の中の施設があるのでございますが、例えばの一つとして東京食糧事務所がこういう約八万平米近いところで約半分の建て地面積があるというようなことで、一階建てだということだった場合、かなり大きなスペースがとれるんじゃないかなという気がいたします。そうしますと、そういう国有地でも、先ほどの低密度利用といいますかのところをもっと高度利用したらいいんじゃないかというお考えを民間だけじゃなくて官の方にも考えを及ぼしていただきまして、二階建てをさらに五階建て六階建てにすればその五倍六倍というスペースが利用できるという発想に立っていただきたいなということでございます。  もちろん、食糧事務所などへ出たり入ったりということでいろんな、例えばこれをサラリーマン住宅にするについてはそういう面での住環境はどうかという性格的なものもあるかもわかりません。しかし、例えば発想をそういうところにひとつ持っていっていただきたいなというふうに思っております。  それからもう一つ、同じように公務員住宅の高密度利用ということができるんじゃないかという一つの例に、江戸川の西葛西住宅というのがございまして、ここもやはり八万平米近くの土地に千平米の建物が建っている。八万平米の土地に千平米の建物というようなことで、かなりそういう意味では低密度ではないかなとデータ的には推測されるんですが、実態はどうでしょうか。
  239. 鈴木一元

    説明員(鈴木一元君) 実は、その後土地の移動などがございまして、区画整理によりまして、当初は七万八千平米ぐらいあったのでございますが、いわゆる減歩になりましてほぼ半分の三万九千平米になっているのでございます。それだけの面積に対して今六棟十四階建てを建ててございまして、戸数にして六百六戸ございます。それで、延べ面積で申しますと五万五千平米ぐらいございまして、敷地面積に対しましては約一四〇%ぐらいでございます。その一四〇%、ここは法律的には二〇〇%の容積率でございまして、容積率からしてみますと約七割ぐらいを使っているというわけでございます。  私どもいろいろ今まで公務員宿舎をつくったりなんかした経験から申しますと、いろいろ斜線制限があるとか日影の規制があるとか、あるいはもっと申し上げれば付近の住民のいろいろな問題があるとかございまして、通常は容積率いっぱい使えるというのはむしろ珍しいのでございまして、まず直観的に申し上げれば半分使えればむしろいい方かなというぐらいの感じでございます。ここは七割使っているわけでございますので、むしろそういう意味では非常によく使っているというふうに思っております。
  240. 新坂一雄

    新坂一雄君 どうも今の公務員住宅の例はかなり高度利用をされているような例を結果的には御紹介したような形になっておりますけれども、何かとんちんかんなお話のようでございますが、大蔵省公有地リストになりますと、これが本当にまだ八万平米が千六百平米の建て地になっているという資料しかないんで、その辺がちょっと何というんですかとんちんかんな資料になっているんじゃないか。それで、そういうのはやっぱり一番最新のデータを入れて情報を公開してほしいと思うんですよ。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕 何かわからない古いデータをいただいて、それをもとに審議したって余り意味がない話なんです。  ただ発想は、大臣、そういう国有地でもやっぱり高度利用するという発想で、いわば倉庫であってもあるいは公務員住宅であっても、そこへやっぱり網をかけていく発想に立ってほしいなというサラリーマン的視点からの御確認でございますので、ひとつよろしくお願いしますということでございます。
  241. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  実は先生の御指摘のとおりでございまして、土地対策関係閣僚会議での意見としては、そのような国公有地利用につきまして高度利用するようによくお願いしてございます。例えば住宅公団などは、この間もちょっと現地見た場合に、古い建物は五階建てになっております。これはもっと高層化したらどうだろうかということで、すべて今先生の御指摘のような形で各閣僚にお願いしておるということでございます。
  242. 鈴木一元

    説明員(鈴木一元君) 今私ども公務員宿舎を担当しておりますものですから、特に都市部の言ってみれば比較的低いものというのを建てかえまして、それで高いもの、高層集約化ということで、現在一番高いもので先ほど申し上げたような十四階建てというのをしているのでございますけれども、一般的に効率が悪くなりますものですから、小さい敷地のものを処分しまして、比較的大きな規模の敷地のところに全部集約するというやり方をやっているのでございます。  ここ三年間、今年度、平成二年度の計画も含めて三年間でございますけれども東京、千葉、埼玉、神奈川、この一都三県で旧来の建っていた建物を壊して、そこに新しく公務員宿舎をつくった戸数が八百七十九戸でございます。これは計画も含みます。それに対して、むしろ取り壊したといいますか廃止した方が七百八十五戸なんでございます。全く更地に新しくつくったものの戸数は入っておりません。ということから申し上げますと、意外にふえないものでございますね。これですと戸数にして一二%ぐらいの増加なんでございます。  ですから、私ども公務員住宅が非常に不足していますものですから、できるだけたくさん欲しいのでございますけれども、どうもその方式では余り戸数の増加というのは期待できないなというふうにむしろ悲観的に思っているのでございます。かつ、これは比較的取り組みやすいところから始まっていますものですから、むしろその困難度というのは増していくだろうということで、戸数増ということから申し上げるとちょっとなかなか期待薄だなというふうに思っております。
  243. 新坂一雄

    新坂一雄君 実際には進める上で非常に問題が多いかと思いますけれども、ひとつ今国土庁長官お話があったような発想でもってやっていただきたいなということのお願いでございます。  それから問題がちょっと飛びますけれども、先ほど上田議員からの御指摘もありましたように、遊休地などに対する自治体の買い取り優先権といいますか、いわゆる公共事業を進める上で一番基本になっている買い取り優先権、こういうものがやはりこれから一番問題になってくるところじゃないかと思いますけれども、こういう自治体が土地を買う場合に買い取り優先権という、これをどういうふうに保障していったらいいのかというのが一番問題になってくるんじゃないかと思います。  ちょっと気がかりなのは、もちろん住民地区でプランを立てていくんでしょうけれども、やはり今の民主政治、地方議会だと思います。その地方議会で、例えば県会議員とか、あるいは府会議員とか部会議員の中で、例えば不動産会社の社長を兼業している方がその地方議会にいて、そしてそういう買い取りのことをやる場合に、かなりそういうところがブレーキになってきはしないかという心配がございます。これまではそういう土地開発ということが一つの経済の推進の担い方としてはよかったわけでございましょうが、これからそういう面で一つのブレーキを踏むような状況になった場合に、どうやって確保していくか大変な問題になってくると思いますが、いかがでございましょうか、先取り権の確保は。
  244. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 先生も御承知のことでございますが、既に公共施設用地あるいは公共事業の予定地として都市計画等が決定されております土地については、先買い制度等が法制的に整っております。また国土利用計画法でも、遊休土地として認定いたしまして勧告してもなお利用されないという場合には、買い取り協議等を行いながら公共団体で取得できる、そういうふうな道も制度的にはあるわけですが、しかしこれから土地の有効適切な利用を進める上で、あるいは公共事業を推進する上で公共的な土地の確保というのは非常に重要だと思っております。公有地拡大法もございますが、そういう制度だけではなかなかうまく対応できない、そういう問題もあると思いますが、非常に難しい問題も含んでおりますので、ひとつ制度的な問題も含めて、基本法にも規定された課題でもございますので、今後引き続きこれは勉強課題、検討課題にさせていただきたいと考えております。
  245. 新坂一雄

    新坂一雄君 もう一つの問題は、今土地の値上がりが首都圏では鎮静して、その分が関西あるいは中部圏に及んでマンションが上がっているという現象があって、またもう一回東京に戻ってきたんじゃないかというお話もありますが、いわゆる金融の融資ということで、大蔵省の方が来ておられるかどうかあれでございますが、特に関西の方に対する不動産融資ということの実態がどういうことになっているかということでございます。土地関連融資、この抑制についてお聞きしたいんですが、融資の実態がおわかりになりましたら教えてください。
  246. 小山嘉昭

    説明員(小山嘉昭君) お答えいたします。  関西地区金融機関不動産業向け融資を、どういうとり方をするかということでございますけれども、関西地区に本店を有する地方銀行、第二地方銀行、それから信用金庫、こういう定義で関西地区金融機関というふうに考えてみますと、その不動産業向け貸し出しは昨年九月末残高で四兆三千億円でございます。これは前年同月比で二七%増、かなりの増加を示しております。直近の数字は、半年ごとにとっておりますものですから、本年三月末の数字はまだ私どもも得ておりません。
  247. 新坂一雄

    新坂一雄君 今の大変な融資の増という実態があるわけですが、これに対して、要するに関連融資の抑制ということは特にこの二七%増ということに対して対策は講じておられるわけですか。
  248. 小山嘉昭

    説明員(小山嘉昭君) これまで、御承知のとおり、投機的土地取引、これについてヒアリングを通じまして審査を個別にしてまいったわけでございます。  しかし、この関西地区地価の動向あるいは融資の動向等も私どもには大変強い印象を与えまして、個別に一件一件この価格は適正かどうか、こういうことをやるのもこれは大事でございます。しかし、量的に規制をする、総量を規制するという考え方も必要ではないかということで、ことしの四―六月から四半期ベースで総量規制に踏み切ったわけでございます。したがいまして、今後はこの規制に服しますものですから、量的には全体の金融機関の貸出額の枠内に伸び率がおさまっていく、全体の伸び率と同じような形で不動産業向け融資も展開していく、こういうことになろうかと思います。
  249. 新坂一雄

    新坂一雄君 これで終わります。
  250. 山田勇

    ○山田勇君 我が国の経済力は、国民資産が経済企画庁の調べでは一九八八年において約六千兆、国民総生産、GNPで三百七十二兆円となっております。これは国民資産また一人当たりのGNPでもアメリカを追い抜いたことを示しているわけですが、我々国民としては、これだけの数字にあらわれた経済大国の実態国民生活の中に豊かさとして、また潤いとしての実感がないのであります。特に本日のテーマであります土地住宅といった生活基盤でもある住環境においては、既に言い尽くされておりますが、ますます状況が悪くなり、普通一般サラリーマンが都市圏では一生かかってもマイホームが持てないほど高くなってしまった。人間である限り、生まれて自分の家を持つ夢がかなえられないようでは働く意欲さえもなくなるんではないでしょうか。  まず、住宅土地問題に対する現状認識を国土、建設大臣にお伺いをいたします。
  251. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今先生指摘のとおりでございまして、今回の地価高騰というのは、大都市勤労者の住宅取得の困難化、あるいは資産格差の拡大による不公平感の増大とか社会資本整備への支障等、我が国社会経済に重大な問題を引き起こしてきております。また、こうした地価高騰等に伴う往生活の貧困が国民の間に豊かさの実感が乏しいことの大きな要因ともなっておるということでございまして、土地問題の解決は現下の内政上の最重要課題の一つであると認識しております。
  252. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) ただいま国土庁長官がお答えしたと同じ気持ちでございます。大変、資産格差というようなことから不公平感等々も生まれておりまして、今内政上の最大重要課題であるというふうに認識をしております。
  253. 山田勇

    ○山田勇君 不動産経済研究所が五月の十日に発表したものによりますと、近畿二府四県の四月の新築マンションの平均分譲価格が先月に比べて一挙に千二百万円余り高くなり六千万円を突破し、東京圏を抜き全国一となったと報じられております。  また、先日のNHKの土地問題に関する報道番組によりますと、東京マネーとか大阪マネーとか言われるものが鳥取とか松山とか地方の各部市に流れ込み、金に糸目をつけぬ買いあさりが地方でも地価の急騰に拍車をかけているようですが、こういったことについて自治体としては、ただあれよあれよと拱手傍観をしているわけではないんでしょうが、ここでもなすがままのような感じが見受けられるんです。このようなことでは、今後二十一世紀に向け国民生活を豊かで潤いのある生活先進国家づくりを進めるのに、この異常に高い地価に無秩序な土地利用がこの推進を阻むことになるんではないでしょうか。  地価の高騰は今まででも何度か生じてきましたが、そのたびごとに問題点が指摘され、土地供給土地税制の見直しが講じられてきたのでありますが、結果として今回の地価高騰に見られるようにその対策はその場しのぎでしかなかったのか。恒久的な対策ということは難しいことであるとは考えますが、過去の反省という立場から国土庁長官認識を伺います。  先ほど来、午前午後の各委員質疑を聞いておりましたが、例えば政府税制調査会が国土、建設意見を求められております。藤原局長もこの際ですから十分申すべきことは申し、意見を申し上げているということでございます。  そこで、不動産譲渡所得に対する課税の特例、これは租税特別措置法であります。土地収用等により土地が譲渡される場合、譲渡所得から五千万円が特別控除される。住都公団等に土地が譲渡される場合は、収用対象事業への譲渡としてこの特例を受けることができる。これは平成元年一月から控除額が三千万円から五千万に引き上げられております。  これは僕個人の考えですが、両大臣にお伺いしたいんですが、こういう調査会で意見を言われる場合、これはいっそ時限立法という形で、二年なら二年、三年なら三年で、この五千万円をもう少しいわゆる非課税税率を上げればもう少し土地が出てくるんではないかという気持ちもします。その点も踏まえまして、両大臣認識を伺っておきたいと思います。
  254. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生にお答えしますが、御指摘のとおりで、過去にいろいろな動きがあったと思います。また、特に今回の土地高騰につきましては実は非常に役所はまじめにやっておりますが、民間の知恵と力と利益追求がまさっておったというようなことが逆に地価高騰につながった、こんなことにつきまして、現在では監視区域強化しまして、そういうことがないように努力しているということでございます。  今度は今までとちょっと違いますのは、昨年暮れに土地基本法制定されました。特に、公共福祉優先土地理念を打ち出したということでございます。それともう一つは、昨年、土地対策関係閣僚会議を開きまして、今後実施すべき重点項目として約十項目、大都市地域における住宅宅地供給とか、あるいは税制の見直しとか、あるいは投機の抑制とか、そういう方向を決めまして、海部内閣の最重要課題として取り組んでいるということが今までと違う点でございます。  また、税制の問題につきましては三つの観点がございまして、そのうちの一つは、今土地神話がございまして、土地を持てば必ず金もうけができるとかよくなるという、この土地神話をなくすために、土地の資産としての有利性を減殺する、そういう形の中で土地投機とかあるいは仮需要を抑制する。それからもう一つ大切なことは、例えば個人には相続税がございますが、企業には相続税がございません。そんなことでございまして、大変不公平感がございますが、個人と法人との税制を公平にする、これをポイントに置き、そういう形の中でどうして土地高度利用化を図るか、こんな形で、土地の取得あるいは保有、譲渡の各段階におきまして適正な措置をとるというような形でこの間の税調でもお願いしておるわけでございますが、土地保有税等につきましてはまた政府委員から説明させますので、よろしくお願いする次第でございます。
  255. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 長官から御答弁申し上げたとおりですが、税調ではさらにそれに加えまして、具体的な一つ検討可能性として、法人所有土地に対する保有税の強化とか、あるいは譲渡益課税につきましては完全分離課税等、そのほかにも若干申し上げておりますが、そういう趣旨検討をひとつお願いしたいと申し上げております。  また、先ほど御指摘収用対象事業等に対する特別控除制度、さらには市街化区域内農地に係る税制、工場跡地等の低・未利用地に対する特別土地保有税の強化の問題、こういう問題につきましては、直接関係の深い建設省とも常にこれは意見交換し連携を強化しながら、できるだけ一緒に行動していきたいというふうに考えております。
  256. 綿貫民輔

    国務大臣綿貫民輔君) 御指摘土地税制関係の問題につきましては、ただいま税制調査会で土地税制についての抜本的検討が行われておるようでございますが、その中で、今御指摘のような点も含めて御検討願いたいと思っております。
  257. 福本英三

    政府委員(福本英三君) 先生からも先ほど五千万の話が出ましたので、ちょっと補足して御説明申し上げたいと思います。  私どもけさほどの審議でも御説明申し上げたわけでございまして、小委員会にもこれから建設省としての考え方をまとめて要望していくという格好になろうと思います。そのときの重点的な考え方といたしましては、けさほども申し上げましたように、低利用地あるいは未利用地をどう考えていくかという問題、それからいわゆる市街化区域内農地の課税の問題があるわけでございますが、それとともに、先ほど先生からも御指摘のありました五千万の問題というものがございます。これは、土地収用などにおける特別措置がずっと五十年以来三千万だったのが、二年ほど前に五千万に引き上げられた問題でございますが、これは先生も今御指摘のように暫定的な措置ということになっておりまして、まだそれも私どもとしてはぜひ恒久化したいと思っております。  さらに、五千万の連れ子というような言葉を使っていいかどうかわかりませんが、それの関連で代替地の取得の引き上げの問題とか、あるいは優良な宅地開発に対する特別措置の問題などがまだ金額的にそれが解決されておりませんので、そういう問題も含めましてそれから要望していきたいと思っております。  いずれにしても、そういった問題が、今大臣からも御説明がありましたが、土地税制の総合的な見直しの中で考えられるということになっておりますので、今後とも我々はそういった考え方に沿って努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  258. 山田勇

    ○山田勇君 今、大企業の多くは、人材確保、また節税対策の立場からも社宅とか独身寮の投資に力を入れているようでございます。企業にそんなゆとりがあるなら、もっと賃金を上げてほしいという働く立場からの声もあるわけでございますが、地価や株価の高騰で莫大な含み益を手にした企業や資産家は、それを担保にさらに投資を拡大し、ある研究所、これは日本証券経済研究所の試算でありますが、東証一部上場企業九百社の土地、証券の含み益の平均は、十五年間で五・四倍に膨らんでおります。全国給与労働者の年間所得は二・一倍にすぎないという不公平さも指摘をされておりますが、また、先ほど各委員質疑の中でもございました、日銀が自己批判という見出しで金融緩和が地価高騰の一因だったという新聞記事がこの五月十日に出ておりましたが、これは一因どころか大きな要因だったと思います。また、だったという過去形でなく、どうして手おくれにならない対策が講じられなかったのかと残念な気もいたします。  地価の上昇については、その原因として指摘されてきた不動産融資について、税制調査会の土地税制委員会において銀行業界代表も認めているところとなっておりますが、生命保険業界不動産業への進出あるいはノンバンクへの貸し出しなども地価高騰の一因になっていることは否定できない事実であると考えます。もう少し素早い対応がなされなかったのかという残念な気持ちがいたします。  そこで、ただ金融緩和が地価高騰に連動したという事実はもう私も十分認めますし、また金融引き締めがある程度の地価高騰のブレーキになった要因ということもこれは十分私も理解いたしますが、いわゆる投機的、いわゆる土地転がし的、そういう投機ばかりを目的とした土地のための金融、融資と、今までこつこつ中小企業や建設会社なんかがその地元の人との連携の中で何百坪とか千坪とか確保したものに対して、まじめに住宅政策供給の一環として、それは私企業ですからそれなりの利益はそこにオンをしてありましょうが、まじめに住宅をつくっていこうというまじめな建設業者もいるわけです。そういう土地転がしとか地上げをして取得した土地でなく、本当にまじめに土地を取得した業者がいる。しかし、これは建設省とすれば、大変言葉が悪うございまして申しわけございませんが、もうみそもくそも一緒にした形の中で金融引き締めをぐっとしてしまう。そうなりますと、開発が遅々として進まないという現状が大阪にもたくさんあります。我々のところにも陳情が来ておりますし、私らの組織の中にもいわゆる建設同盟がありますが、そこらなどはもう一緒にされると困るんだという陳情もありますので、その辺も含めてひとつ御答弁いただければ幸いでございます。
  259. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) あるいは大蔵御当局から答弁していただくのが適切な御質問かと思いますが、ただ、土地関連融資につきましては、私どもの方からたびたび大蔵省に適正な指導をお願いしておりまして、既に先生御承知のとおり、六十二年から監視区域内における融資につきましては、土地利用計画法の届け出対象土地に対する融資に際して、県からの不勧告通知を確認の上、融資していただくとか、あるいは土地利用計画内容を確認していただく等、個別に特別ヒアリングを通じて指導していただいておるところでございますし、また、去年十月にはノンバンクも対象に加えるということで強化してきていただいております。  また、こういう個別指導だけではどうも限界があるという視点から、先般より土地関連融資については総量抑制をやってきておられるわけでございますが、私どももかねてから銀行局とは総量規制ができないかという話はしていたわけでございます。しかし、大蔵省の方では、そういう手だてを余り厳しくやりますとみそもくそも締めてしまう、悪い融資、望ましい融資一緒くたに締めてしまって、むしろそういう総量抑制の際には往々にして優良プロジェクトに対して厳しく働く心配がかなり強いのだ、そういうふうな御懸念を聞かされておったわけです。今回の総量抑制に当たりましても、その辺も十分配慮しながら指導を進めていただける、そういうふうに私は考えております。
  260. 山本孝之

    説明員山本孝之君) ただいまの藤原局長答弁と重なるかもしれませんが、大蔵省としてもお答えしたいと思います。  委員指摘のように、地価問題は非常に重要な問題でございますので、その点十分認識しておりまして、大蔵省といたしましてもこれまで数次にわたりまして通達を発出いたしまして、投機的な土地取引に係る融資を厳に排除するようにということで金融機関指導してきたところでございます。この金融機関の中には生保会社等も含めておるわけでございます。  そして、さらに昨年十月にはノンバンクに対する融資につきましてもこういうような抑制をするようにという指導をしておりまして、そして、ただそれだけではなかなか効果が出てこなかったという面もございまして、三月には先ほど藤原局長も言いましたような融資の総量につきましての規制をしておるところでございます。
  261. 山田勇

    ○山田勇君 金融の規制だけで地価抑制ができるとは考えません。そこに当然総量的な対策を講じていくことが必要であります。土地取引段階において、単なる土地転がし、また値上がり待ちの土地保有者を規制する措置を充実すべきではないかと考えます。こうすれば、いわゆる宅地供給や設備投資のための土地取得などには影響を与えずに規制できるのではないかと考えます。  国土利用計画法土地基本法の成立とともに改正され、投機的な取引についてはチェックできることになりましたが、この運用については厳正に行うべきであると考えます。この点、国土庁の取り組みについて考えを伺います。  さらにお尋ねしますが、今後の問題として、金融の緩和時においては、地価の動向、土地取引について十分監視するような制度の創設を検討すべきではないかと考えます。また、国土庁として大蔵省などの関係機関との連携を保ち、調整機関とはいえ、国土庁が主導的な役割を果たすべきであると考えます。今後予定されております行革審で、土地行政の進め方について国土庁として積極的な見直しを要望すべきではないかと考えます。その点の御答弁をいただきまして私の質疑を終わります。
  262. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 基本法と並行して御審議いただき、制定していただきました国土利用計画法一部改正に基づく監視区域における、転々売買されるような土地利用の目的のない取引に対しましては、早速施行通達等も出しまして、厳しくこの制度を活用さしていただこうと思っております。また、その過程でいろいろ問題の不動産業者等が出てまいりました場合には、これも建設省と御相談さしていただきまして、建設省の方でも厳しくそういう不動産業者に対しては指導するということにしてございます。  また、土地対策の総合的な推進につきましては、これまでも土地担当大臣が置かれておりますし、閣僚会議も設置されてございます。また、きょうから土地政策審議会も発足いたしまして、基本法に基づき今後講ずべき施策等につきましても審議を進めていただくということになっております。各省の御協力も賜りながら、ひとつ総合性を欠かないように頑張っていきたいと思っております。
  263. 山本孝之

    説明員山本孝之君) 大蔵省といたしましても、土地問題の重要性にかんがみまして、今後とも金融機関が投機的な土地取引を助長することのないように率先指導してまいりたいと思っています。
  264. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  二つの問題があると思うんです。一つは金融総量抑制でございますが、実はこれは大蔵省には非常によくやっていただいておりますが、なかなか具体的事実がつかみにくいんです。実は私が土地局長に言っておりますのは、国土庁でわからぬものだろうか。というのは、監視区域の統計がございます。そのときに、例えば私が土地を買う場合でも、今ちょっと買えば一億、二億、三億でございますと、個人で金を持っているわけじゃありません、どこか金融機関から金を借りるわけです。それが、どこの金融機関に幾ら借りると明記してあると非常にいいんですが、これは国土法違反になるんです。この辺がもしできれば年間百二十万件の取引実態が把握できるわけです、何々銀行は幾ら融資した、それが過融資かどうかということが。  それからもう一つは、金融につきましては銀行がわかりにくい点が一つ。私、実は銀行の支店長と随分話したんですが、例えば企業が融資申し込みをしますと、土地取引と正式に名前を出すのは少ないわけです。あれは運転資金その他でやるわけです。その辺があるものですから、その辺を含めてどうするかということをやらないと、なかなか金融の総量規制は難しいと思います。  したがって、私はこれがもしできれば、恐らく悪質な不動産業者を倒産させることができると思うんですよ。そのくらいしないと土地対策にならないということで、今何とかいい方法はないかと検討を命じているわけでございます。これができると、きちっと金融の総量規制ができます。大蔵省に具体的にお願いできます、何々銀行はおかしいじゃないかと。ここまでいかないと金融の総量規制はできない。  それからもう一つは、大体今不動産融資は八十兆ぐらいと言われます。正規の金融機関が五十兆、ノンバンクで二、三十兆と言われますが、実は都市銀行はきちっとやっていますが、子会社がそうではないというのが随分あるわけです。これを含めてどうするかということをしないと、大蔵省もよくやっていただいておりますが、総量規制はなかなか難しい、こう思っております。  それからもう一つ先生の御指摘は、今縦割り行政で、もっと国土庁はしっかりしろという励ましとおしかりだと、こう思います。実は国土庁長官は正直言いまして色男じゃございません。けれども、力も金もないのが国土庁というところでございますが、実は力は総理からもらいました。あとは金がないということで、これを何とかしたいな、こう思っておるわけでございます。土地基本法ができましたし、閣議決定もされたものですから、先生の御指摘のように十分力を発揮するように頑張りますが、何分の御理解と御後援を心からお願いいたします。よろしくお願いします。
  265. 山田勇

    ○山田勇君 ありがとうございました。
  266. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会