○久世
公堯君 最近、発展途上国も含めまして
世界的にエネルギー需要は着実な
増大が見込まれておりますが、その中で、再び石油需給の逼迫などの資源制約の顕在化が懸念されているわけでございます。このために、需要面におきましては総合的な省エネルギー対策の強化が求められ、供給面におきましては石油依存度の一層の低減が必要だと思われます。
去る一週間ぐらい前でございましたか、通商産業省の総合エネルギー
調査会で、「地球規模のエネルギー新潮流への挑戦」と題するところの中間
報告が出されましたが、ここでも
指摘をされておりますが、国際的なエネルギー需給の
緩和あるいは地球環境問題への対応といった国際貢献の視点からも、
原子力はすぐれたエネルギー源と言われているわけでございます。
エネルギー政策、特に
原子力発電をめぐる問題は、
国内的にもまた国際的にも重要な政策課題でございます。私は、たまたま一昨年、約十日間
ヨーロッパの
原子力事情を視察をいたしました。各国とも
原子力開発に極めて熱心でございまして、国民生活に不可欠なエネルギーを安全かつ低廉に供給するという信念に基づいて当事者は
努力をいたしております。また、
原子力発電に対する国民の理解を増すためにさまざまな
努力を払っておりました。私はこの視察以来、
原子力問題の重要性を従来よりも一層
認識をいたしまして、国際的な
情勢も含めて興味を持ってフォローしている次第でございます。
一般にこの先進国の
情勢について申しますと、チェルノブイリ事故以降も、フランス、西独、英国あるいは米国等の主要国におきましては、
原子力政策を推進いたしております。昨年七月のアルシュ・サミットにおきましては、これらの主要国は、
原子力発電が地球環境の問題に対しても
大変有効であるということを評価しているわけでございます。
フランスにおきましては、積極的な
原子力開発利用政策を実施しております。総発電量の約七割を
原子力発電に依存し、安い電力をイタリーとか英国、近隣諸国にも輸出いたしております。西独は、豊富な石炭資源を有しながら、
原子力発電を積極的に推進しております。総発電量の約四割でございます。英国は、北海油田の開発に成功し、石油の輸出国となっておりますが、経済性のすぐれた軽水炉導入を決定いたしまして、長期的なエネルギーセキュリティーの視点から
原子力を積極的に推進いたしております。米国にも私は時々参りますが、ブッシュ政権下でも、レーガン政権に引き続きまして、エネルギーセキュリティーなどの視点から
原子力発電を推進いたしております。より安全を目指して次世代の新型炉の開発にも着手し、また環境保護団体も、地球環境対策上
原子力を評価する
動きも出てきております。一方、スウェーデンとかイタリーにおきましては、
原子力からの脱却を目指しておりますけれ
ども、さて、といって
原子力に代替するエネルギー開発には行き詰まっている
状況と承っております。
私は諸外国の視察以来、やはり
国内の
原子力事情についても
調査、視察をしなければいけないと思いまして、東海なり敦賀なり美浜なり、こういうところを体験をいたしたわけでございます。我が国の場合は、特に
原子力安全対策について万全の策を講じており、私は
世界に誇るべきものと確信をいたしております。現在、我が国は
原子力発電三十八基、そして三千万キロワットの
原子力発電所が稼働いたしております。エネルギーのベストミックスを図っていく上におきましても、
原子力発電の推進が必要でございます。ただ、もちろん諸外国と同じく、いろいろと反原発運動を背景にいたしまして
原子力開発が難航していることも事実でございます。
私は、これから日仏
原子力協定の改正についての質問を行うに当たりまして、私が日ごろ
原子力問題について持っております考えあるいはささやかな体験についての感想を述べた次第でございます。
以下、
原子力問題についての国際的な連携、協力という点を
中心にして科学技術庁、
外務省、通商産業省等のお考えをお尋ね申し上げたいと思います。
まず最初に、
原子力問題についての国際的連携について三点お尋ねを申し上げたいと思います。事実とか
内容の点に関しては、ひとつ科学技術庁あるいはもし必要があれば通商産業省の方から御
答弁を願い、その後三点を総括して
原子力問題についての国際的連携という角度から
外務大臣に御
答弁を願いたいと思うわけでございます。
まず第一点目でございますが、最近
アジア諸国を初め発展途上国においても
原子力開発が進捗をいたしております。チェルノブイリ事故からも明らかなように、
原子力安全問題は一国の問題だけではなく、各国共通の問題として取り組むべきものでございます。
世界的にもすぐれた
原子力安全対策についての技術を持っております我が国が、発展途上国などに対して
原子力の安全性等について協力を推進し、国際貢献をするということが我が国の
原子力開発にとっても重要と考えておりますが、これについてのお考えを承りたいと思います。