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1990-06-14 第118回国会 参議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月十四日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  六月十二日     辞任         補欠選任      藤田 雄山君     鳩山威一郎君  六月十三日     辞任         補欠選任      合馬  敬君     大鷹 淑子君      三治 重信君     猪木 寛至君  六月十四日     辞任         補欠選任      肥田美代子君     三上 隆雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山東 昭子君     理 事                 久世 公堯君                 宮澤  弘君                 竹村 泰子君                 中村 鋭一君     委 員                 大鷹 淑子君                 岡部 三郎君                 関口 恵造君                 原 文兵衛君                 久保田真苗君                 田  英夫君                 堂本 暁子君                 肥田美代子君                 三上 隆雄君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 中西 珠子君                 立木  洋君    国務大臣        外 務 大 臣  中山 太郎君    政府委員        科学技術庁長官        官房審議官    石田 寛人君        外務大臣官房審        議官       太田  博君        外務省アジア局        長        谷野作太郎君        外務省北米局長  松浦晃一郎君        外務省欧亜局長  都甲 岳洋君        外務省中近東ア        フリカ局長    渡辺  允君        外務省経済局長  林  貞行君        外務省条約局長  福田  博君        外務省国際連合        局長       赤尾 信敏君    事務局側        常任委員会専門        員        辻  啓明君    説明員        防衛庁防衛局防        衛課長      萩  次郎君        科学技術庁原子        力局動力炉開発        課長       佐藤 征夫君        科学技術庁原子        力局核燃料課長  結城 章夫君        科学技術庁原子        力局原子力バッ        クエンド推進室        長        広瀬 研吉君        科学技術庁原子        力局原子力開発        機関監理官    白川 哲久君        法務省入国管理        局登録課長    山崎 哲夫君        厚生省援護局業        務第一課長    村瀬 松雄君        資源エネルギー        庁長官官房原子        力産業課長    日下 一正君        資源エネルギー        庁長官官房国際        原子力企画官   藤田 昌央君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査 ○千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力平和的利用に関する協力のための日本国政府フランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 山東昭子

    委員長山東昭子君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  先般、藤田雄山君、合馬敬君、三治重信君が委員辞任され、その補欠として鳩山威一郎君、大鷹淑子君、猪木寛至君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 山東昭子

    委員長山東昭子君) 国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 田英夫

    田英夫君 外務大臣は、またあしたからアメリカにおいでになるということで大変御苦労さまですが、通告してありませんけれども、冒頭にそのことを伺いたいと思います。  今回のサンフランシスコでの外相会談、本来はサミットへ向けての日米間の首脳会談の準備といいますか、下話といいますか、そういうことが主になるだろう、こう言われていたわけですが、どうやら日米構造協議の問題が複雑になってまいりましたので、その話が中心になるのではないかというふうに言われておりますけれども、今度の外相会談内容という点、まあこれからおやりになることですからあれはできないでしょうけれども、話ができる限りのことをお知らせいただきたいと思います。
  5. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 十五日にサンフランシスコにおきまして日米外相会談を持つことになりましたが、今回の外相会談では、三月に行いました日米首脳会談の際のいろいろな話も含めて二国間の問題、また国際情勢全般についていろいろと議論をすることになろうと思います。その中で考えられますことは、ただいま委員から御指摘のように、SIIの問題も含め、これからの日米問題、それからあわせて先般行われました米ソ首脳会談あるいは米韓首脳会談、それから米朝遺骨返還をめぐる米側からのお考え、これからのアジア全般に対する考え方等を伺いたいと思っておりますし、我が方からは、先般東京において行われましたカンボジア和平に関する東京会談あるいは中国問題等について日本考え方を申し述べたい、このように考えております。
  6. 田英夫

    田英夫君 その具体的な内容は、帰られましてからまた機会がありましたらお話を伺いたいと思います。  今触れられました中に関連をするんですが、ことしは日米安保条約三十年ということで、この問題を改めてマスコミでも取り上げておりますけれども、我々も、この激動する国際情勢の中で日米安保条約をどう考えるべきかということをお互いに議論をし、正しい方向へ向けていかなくちゃならぬと思うんですが、このことに若干触れてみたいと思います。  言うまでもなく、米ソの間で核軍縮中心とし て話し合いが極めて順調に進んでいくという、このことを核にして、一方でヨーロッパでは東ヨーロッパ変化、そしてそれに伴う東西ドイツの統一というような、十年前では想像できなかった事態が今世界で起こっていると思います。私は、その根本的な構造というのは、かねてからこの委員会でも申し上げてきましたけれども、いわゆる東西対立、つまりアメリカ中心とする資本主義陣営ソ連中心とする社会主義陣営というイデオロギー対立世界政治構造の根幹であったものが、これが根っこから崩れ始めているという、そのことにあると私は思っています。  したがって、これからの世界政治というのは、資本主義がいいのか社会主義がいいのかという見方では律しられない。一部に、今回の東ヨーロッパ変化社会主義の挫折である、ペレストロイカも同様だという見方がありますけれども、私は、それは一方的なことであって、イデオロギー時代が終えんを迎えているという、そういう見方をすべきだ、こう考えているわけですけれども、そういう中で日米安保条約というのを見てきますと、私は明らかに変質せざるを得ないというふうに思いますけれども大変大ざっぱな質問から入りましたけれども外務大臣はどのようにとらえておられますか。
  7. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今委員指摘のように、安保が改定された一九六〇年の当時の国際情勢と今日の情勢とでは相当大きな変化が起こり始めているというふうに認識をいたしております。田委員が御指摘になりましたような、ヨーロッパにおける東欧中心とした大きな変革の流れ、これがどういう形をとりますか、ECの統合とあわせて将来大ヨーロッパに包含されていくのか、どういう形でヨーロッパ安全保障体制がこれから構築されていくのかということは、今日の時点でこれを申し上げる立場にまだないと思います。ただいま米ソ陣営あるいは各国のそれぞれヨーロッパを平和な地域にするためのいろんな話し合いが行われつつある。その間に立って、やはり世界軍事大国と言われたアメリカソ連首脳が会って、この両国が抱える膨大な財政赤字軍事費影響もたくさんあるこの両国財政赤字をどのような形で削減していくかということは、恐らく両国首脳の大きな問題ではないか。そういう意味で、START条約基本的な合意に達し、このSTARTIIをスタートさせるというふうな話し合いが行われておりますが、私は率直に申し上げて、イデオロギーとかそういうことを抜きにして、ソ連自身国内政治情勢というものはまだ非常に流動的ではないか。これはゴルバチョフ大統領政治的な権力をずっと維持できるかどうか、あるいはそれぞれ共和国が独立していく過程で、そういう新しい体制へ進行することを好まない勢力がどのような形で動いていくのか、あるいは軍部がどのような行動に出てくるのか、私は、当分これは日本としても目が離せない激しい変化流動状態に今ソ連はあるという認識を持っておりまして、そういう状況の中で、この日米安保条約というものは、日本安全保障に現在の状況では欠くことのできない要素がまだあるという認識を実は持っております。
  8. 田英夫

    田英夫君 今言われたことは私も同感の部分が多いんですけれども、ただ、ソ連ゴルバチョフ政権がどうなるかというようなことも、確かに今後の国際情勢を見ていく上で、あるいはひいては日米安保条約というような日本の外交に大変大きな影響を与えることは事実と思いますけれども、やはり私は根源は、世界イデオロギー対立時代ではなくなってきたということの上に立ってそういうことを見ないと間違うんじゃないか。ゴルバチョフがいなくなったら、ソ連はもう全くまたもとの強烈な社会主義体制の国になって、東欧その他を率いてというような状況になるということは全くあり得ない、私はこう思っております。  そこで、日本を取り巻くアジア情勢予算委員会でも随分議論をされてきましたので繰り返しませんけれども政府の御答弁は、ヨーロッパ緊張緩和が進んでいるけれどもアジアは違うと。確かにゴルバチョフ大統領も、アジア大変複雑であってヨーロッパと同じ物差しで考えられないという意味のことを言われている。これは確かに事実です。しかし、以前に比べると大きな変化が起こっていることも事実ですね。特にアメリカ対ソ戦略というものは明らかに緩和、融和の方向に向かっている。例えば在日、在フィリピン、在韓国のアメリカ軍削減するということをはっきりと打ち出して、在日米軍は五千人減らすというようなことが明らかになってきている。ところが、当初政府は、特に防衛庁は、在日米軍削減はあり得ないということをついことしの一月まで言っておられた。これは速記録を見てもはっきり残っております。どうも在日米軍がいなくなるのは困るというような感じさえ私は受けたんですけれども、明らかに日本を取り巻く周辺の、アメリカ対ソ戦略というものは削減方向といいますか、そういう方向に向かっているというふうに受け取ります。特に例えばフィリピンの場合などはこの五月ですか、アーミテージ団長以下のアメリカ交渉団フィリピンに乗り込んでマングラプス外務大臣とかなり激しくやり合っている。その激しいやりとりの中で出た言葉かもしれませんけれども、報道されるところによると、アーミテージ団長は、米軍が要らないと言うならいつでも出ていくというような激しい言葉さえ出てくる。こういうところの言葉の端々かもしれませんが、明らかにアジアにおける米軍の存在というものが以前に比べればはるかに削減方向に向かっていこうとしていることは事実だと思います。そういう情勢外務省防衛庁はお認めになりますか。
  9. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 今先生が御指摘アジア太平洋におきます米軍の再編問題に関しましては新しい動きが確かに出てきております。それはこの四月に米国防省議会に送りました「アジア太平洋地域戦略的枠組み」の中にもうかがわれるところでございますが、ただ念のために申し上げたいと思いますけれども、この報告書でも指摘しておりますけれども、今後十年間のアメリカ目標は、アメリカコミットメントを維持しつつ国防予算の縮減と脅威状況変化ということに対処するということをうたっておりまして、基本的にはアメリカコミットメントを維持する。さらにはヨーロッパ戦略環境変化東アジアには反映をされていない。したがって、アメリカ前方展開体制が引き続き必要である。そういう大前提のもとでの先生指摘の再編、さらには削減でございまして、全体として一割程度削減を今後三年間に考えていき、それを第一段階といたしまして、後の第二、第三段階をいずれは考えていくという姿勢を打ち出している次第でございます。
  10. 田英夫

    田英夫君 防衛庁はいかがですか。
  11. 萩次郎

    説明員萩次郎君) ただいま外務省の方からありましたと同じ認識でございますが、アメリカ東アジア戦略構想の中での考え方というのは、今後十年間を三段階に分けて、最初の三年間で東アジアから一割程度の人員を削減するということで、まず第一段階考え方は、今お話がありましたように、従来のコミットメントは守りながらも財政とのバランスをとるという考え方があるだろうと思います。それで第二段階以降どうなるかは、アメリカ報告でも言っておりますように、世界全体の動きを見ながら改めて考え直すということでございますが、依然としてアメリカとしては、今お話がありましたように、従前のコミットメントは守っていくという考え方はそのまま続くであろうというふうに考えております。
  12. 田英夫

    田英夫君 念のために申し上げておきますけれども、私は、国会質疑応答というのは、政府に対して御意見を伺うということではないと思っています。私の方からも、野党側からも意見を言う。国会側からも意見を言う。そして政府が間違っていれば、それは直してもらうと、こういう前提で話をしておりますので、念のために申し上げます。  そこで、例えば先日のワシントンでの米ソ首脳会談核軍縮合意ができました。核軍縮大変 前進をいたしましたが、その中の一つ大きな特徴は、今まで合意大変困難であろうと言われていた海の核――艦上発射巡航ミサイル、いわゆるSLCMについて、別枠にはなりましたけれども上限八百八十発ということで合意ができた。これは核軍縮という観点からすると、大変注目すべきことだと思います。このことは、当然在日米海軍を含めて日本を取り巻く米軍核戦力というものについても影響を与えることになりますから、このことを政府はどう評価しておられるか、どう考えておられるか。
  13. 赤尾信敏

    政府委員赤尾信敏君) 私は、今先生の御指摘されましたSTART戦略核兵器削減についてアジア太平洋地域にどういう影響を与えるかということについてのみ私の意見を述べさせていただきたいと思いますけれども、この米ソSTARTについての実質的な合意、これはまだあと一部残っておりますが、今後詰める点もありますけれども、これはいわゆる東西関係の安定に資する、改善に資するということで、この戦略核といいますのは必ずしもこの地域には関係ない、その点だけを指摘しておきたいと思います。  ただ、もちろんどういうふうに関係あるかといいますと、東西関係改善に資する、そういう意味で全体的にいい影響を与えるという、そこに意義があるというふうに思います。
  14. 田英夫

    田英夫君 私はそのことを聞いたんじゃないんです。STARTのことを聞いたんじゃなくて、別枠で海の核のことを聞いているんです。それをどう評価するか。SLCMのことを聞いているんです。START別枠になった部分を聞いているんです。
  15. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生指摘SLCMは、まさにSTARTのほかにSLCMに関する宣言ということで、八百八十基の上限を含めましてこれは政治的拘束力を有するという形ではございますけれども、そういうことができるということは私どももそれなりに評価しておりまして、今後ともSTART全体についても同様でございますけれども、今後の米ソ間の話し合いの進展を注目して見守っていきたい、そしてまたアメリカのこういう努力を私どもとしても可能な限り支援していきたい、こういうふうに考えて、その結果に関して私ども注目している次第でございます。
  16. 田英夫

    田英夫君 どうも核軍縮について私が期待しているようなお答えが出てこないんですね。  つまり、日本政府は、ずばり言って、米ソ核軍縮ということについて積極的にこれを支持し、進むことを歓迎し、日本のできることをやろうという姿勢ではないと思わざるを得ない。  この前の委員会でもちょっと申し上げましたが、今の問題は日本非核原則にもかかわる問題です。別枠検証がないということになりましたから、依然としてこれはアメリカ意見が通ってしまったと。この前の委員会でも答弁がありましたけれども、核のあるなしは明らかにしない、核を積んでいるかどうかも明らかにしないという基本方針は通ってしまっているわけですから、検証をしないということになると依然として非核原則はあいまいのままになるわけです。  これはそれとして次の問題に移りますが、アメリカでは日米安保条約についてむしろ従来とは全く違った意見が表面化してきているということに注目をすべきじゃないかと思います。つまり、質的な変化アメリカ側が既に求めている。例えば国防総省の中では、日本防衛力がこれ以上増大することを好まないという意見が高官の間で、高いレベル人たちの間で公然と話されている。議会の証言でもそれが出てきている。アメリカから見た日米安保条約効用というものが以前とは全く変わってきているんじゃないか。以前は言うまでもなく対ソ戦略の一環としてこれに日本を組み込むというその効用が最も大きなものであったと言えると思いますけれども、最近は日米安保条約があるから日本軍事大国化を防げるというような意見議会の中でも、国防総省の中でさえ公然と口にされている。これは明らかな変化と見なければならないし、あたかも二十年前に日中国交回復ができ、日中平和友好条約が結ばれてきた過程で、中国日米安保条約を支持するといったあの当時の気持ちと共通するものがあるんじゃないかと思いますけれども、このアメリカ側変化外務省政府はどう判断されますか。
  17. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 確かに先生指摘のような動きアメリカ議会その他に出てきているのは事実でございます。しかしながら、アメリカが、これは行政府議会、それから世論を通じて全体として申し上げれば、やはり日本を従来どおりアジア太平洋における重要な同盟国であるということで重視しておりまして、これはアメリカ政府が発表しておりますいろいろな報告書等にも出てきておりまして、先ほどちょっと引用させていただきました「アジア太平洋地域戦略的枠組み」というこの四月の報告書の中でも、日米関係アメリカアジア安全保障戦略における重要なかぎであるということで、そういう従来からの考え方を前面に打ち出しております。  ただ、先生指摘のような考え方が最近一部ではございますけれども出てきているわけでございまして、私どもとしては改めて日本平和憲法のもとで専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないという基本理念のもとでやってきているわけでございますので、そういう基本的な考え方を堅持しつつ、その点を引き続き関係者に理解を求めていきたいと、こう考えております。
  18. 田英夫

    田英夫君 松浦局長の言われたこと、全く私もそのとおりだと思うんですね。今、ただ納得できないのは、一部にと言われたけれども、私はむしろそれが大勢になってくる日が非常に近いと思います、アメリカの中で。  それはそれとして、となれば、今も軍事大国にならないということを言われた。政府がこれを一致してそういう方向に行こうとお思いになるなら、来年度から始まる防衛庁中期防衛力整備計画、新しい中期防、この計画というものは再考されるべきじゃないか、そういう軍事力増大というような方向に行かないようにという立場から中期防というのは作成されなければならないのではないかと思いますが、一部報道されるところによると、新しい五カ年計画では二十三兆円を投入するというようなことが言われている。となれば、今年度で終わるのが十八兆、それにさらに五兆上積みした二十三兆。五兆上積みするということは、五カ年計画ですから一年度、単年度で一兆円上積みするということになりますよ。世界が今そういう緊張緩和方向にあって、アメリカでも今申し上げたような日本軍事力増大してはいかぬというそういう声が大きくなっている中で、二十三兆円ものお金を投入してさらに増大をするということがあっていいかどうか。防衛庁はもう既に新中期防策定を急いでおられると思います。二十三兆円というのは正しいのかどうか、そして内容は言えないと言われるに違いないけれども、骨組みだけでもお示しいただきたいと思います。
  19. 萩次郎

    説明員萩次郎君) 現在、平成二年度末まででございますが、中期防ということで防衛計画の大綱の水準の達成を図るということを目標として防衛力整備計画をやっておるわけですが、その平成三年度以降の防衛力整備計画、次期防でございますが、これは現在防衛庁においても作業を進めている段階でございます。  それで、今お話ございました金額の点でございますが、私どもはまずどういうものが必要になるであろうかという中身の作業をしておる階段でございまして、金額がどうのこうのということは一切まだ議論をしておりません。  そこで、今その作業レベルがどの程度かということでございますが、平成三年度から始まるわけでございますので、ことしの暮れの平成三年度の予算を決定するまでにはもちろん作成をしなければならぬわけでございまして、私ども鋭意努力をしております。それで、まだ具体的に煮詰まった段階ではございませんが、基本的な考え方として今検討の際の方向としては、正面装備につきましては量的拡大よりも質的向上ということを基本 とすべきではないか。それから、正面装備よりはむしろ各種の支援能力の充実を図る必要があるのではないか。それから、最近人手不足という時代でもございますので、隊員施策というのを充実させるというようなことで、防衛力全般にわたる効率化合理化ということを中心とすべきではないかということで作業をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、政府安全保障会議中心として策定作業が進められるわけでございまして、今月半ばより安保会議において議論が開始されるということで、この作業が今後数カ月続くことになろうというふうに考えております。
  20. 田英夫

    田英夫君 幸いにしてこれから作業が進むということですから申し上げておきますけれども、もし二十三兆円というような数字を投入されると、これが事実だということになりますと、これは防衛庁頭がおかしいんじゃないかと思われますよ。これは日本国内だけじゃなくて、先ほどから申し上げているアメリカのそうした声、さらにアメリカどころか日本周辺の、かつて日本が侵略をし、軍事的に攻撃をしたそうしたアジア地域の国々、政府、そして国民の皆さん、これは絶対に許さないと思いますよ。そういう日本軍事力拡大を絶対に許さない。日本の国際的な立場、特にアジアにおける立場というものは極めて悪くなる。これは警告をしておきたいと思います。  それに関連をしていわゆる防衛計画の大綱、これは今日本の防衛の根幹であるわけですけれども、その防衛計画の大綱の「目的及び趣旨」という前書きの部分ですけれども、そこに明記されておりますが、国際情勢及び我が国周辺の国際政治構造が当分大きく変化しないという前提に立てばと、つまり、我が国を取り巻く国際情勢、そして国際政治構造、これが変化しないという前提に立ってこの防衛計画の大綱というものはつくられているということが「目的及び趣旨」というところで明記されています。まさに我が国を取り巻く我が国周辺国際情勢、国際政治構造というものは変わりつつあるということになれば、大前提が崩れるわけですから、防衛計画大綱の趣旨に沿っても、これは防衛計画そのものを変更しなければならない、防衛計画大綱そのものも変えなくちゃいけない、こういうことになると思いますが、いかがですか。
  21. 萩次郎

    説明員萩次郎君) 大綱は昭和五十一年という、当時緊張緩和、デタントが言われた時代策定されたものでございます。  それで、大綱の中にも書いてございますが、国際情勢に対する基本的な認識というのは、「核相互抑止を含む軍事均衡や各般の国際関係安定化の努力により、東西間の全面的軍事衝突又はこれを引き起こすおそれのある大規模な武力紛争が生起する可能性は少ない。」というのが一点。それから、我が国周辺においては、「大国間の均衡的関係及び日米安全保障体制の存在が国際関係の安定維持及びわが国に対する本格的侵略の防止に大きな役割を果たし続けるもの」という認識に立っております。すなわち国際的にも大規模な武力紛争は生起しないだろう、我が国周辺の様子を見ても日本に対する本格的な侵略は防止されているだろうという考え方に立っております。  防衛計画の大綱というのは、デタントの時代につくられました後、アフガン問題などが起きまして、また一時冷戦が厳しくなった時期に、大綱についてはデタントぼけではないかというようなことが言われたわけでありますが、私どもとしては、五十一年のときのデタントの状況というのが今日また再び出てきているのではないかということで、大綱の考え方基本的な国際情勢に対する認識見方としては、現在と十数年前と基本的に変わっていないのではないかという考え方を持っております。
  22. 田英夫

    田英夫君 きのう私は外務省の各担当の方にきょうの質問の予告をしまして、今のことも予告しましたから、今答弁を準備されたとおりお読みになったということはよくわかります。しかし、それはまさに私が聞こうとしたことを言ってしまわれたわけで、五十一年の三木内閣という性格、今海部さんですから同じといえば同じかもしれませんが、国際情勢は全く違っている。むしろ私が読み上げたこの条項を防衛庁が正確に取り上げられるならば、その後の緊張状態が起こってきた、アフガンとかそういう状況が起こってきた中で言えば、逆のことがそのときに言われてもよかった。そして今、最後に言われた部分、あの五十一年当時と今と似ているというのは全く認識が違いますね。これは防衛庁もう一回勉強し直してもらわないと困る。国際情勢は全く違いますよ。あのときのデタントというのと今の国際情勢というのは根本的に、さっき冒頭から申し上げているように、イデオロギー対立というものがなくなっていく、そういう状況をもっときちんと判断をされないと、日本の進む道は間違うと思います。  その問題はその程度にして、次の問題に移りますけれどもアジア太平洋という考え方、これは代表質問でも私はアジア太平洋平和会議という名前で申し上げたんですけれども、これからのアジア太平洋というのは、私は、外務大臣アジア外相会議というような言い方で一つの構想を持っておられる、私もそれは賛成ですが、にもかかわらず、実はこのままの情勢でいくと、これからのアジア太平洋の問題、特に安全保障問題というのは米ソ主導型になっていくんじゃないだろうか。アメリカソ連がこの問題に共通して力を合わせてアジア太平洋の問題に主導権を握っていくんじゃないかという感じを持っています。これは大変とっぴなように思われるかもしれませんけれども、既に私はその兆候があらわれていると思う。例えば日本の北方領土の問題、これについて最近その兆候があらわれているように思います。これは日ソ間の交渉で解決できる問題ではない。アメリカがこれに加わらなければ解決できないんじゃないかという、そういう動きが出てきているんじゃないでしょうか。これは外務大臣お感じになりませんか。
  23. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 率直に申し上げまして、日ソの関係は、先生も御案内のとおり、平和条約が締結されていないという状況下にございます。そして領土問題も解決されていない。こういう状況の中で、日ソの政府首脳同士がさらなる新しい時代に向かっていろんな話し合いをするという条件は、今日のところなかなかまだつくられておらないと私は思います。  私は、先ほどからの委員お話を承っておりまして、やはり米ソの今日までの両国首脳話し合いへの努力というものは、お互いが強大な軍備を持っていたという共通の条件のもとで、やはりこの両大国が大統領初め国務長官あるいは外務大臣同士がそれぞれワイオミングとかいろんなところで二国間の問題あるいは世界のいろんな問題を話し合って、その二国間のもとでいろいろな国際戦略の問題もそれぞれの自国の利益を主張しながらいろんな話し合いが行われていると私は考えております。  そういう状況は、今御指摘のように、例えば北方領土の問題一つにしましても、日ソ間では日ソ間のいわゆる戦後の未解決の問題、こういう認識でございますが、米ソの間では戦後の東西関係における未解決の問題、こういう認識で話をしておる。こういうことを考えてみますと、まさしく新しい時代へ向かって米ソ首脳がどんな話し合いをいわゆる表に出さない形でしているのか、これはまさに後世史家によって明らかにされるところでありますけれども外務省としてはそんなことは言っておれない立場でございますから、私はあす出かけて日米外相会談においても、米ソ外相会談における両国間の話し合いの経過もぜひ承りたい。そういう全体的な考え方をどのように日本政府が考えを立てる際に入れていくのか、あるいは九月に来られるシェワルナゼ外務大臣と私との会談の中で、ソ連が一体どういうふうな認識を持って米ソ関係を考え、またアジア太平洋を考えているか。このようないわゆる話し合いを通じてこの国の安全というものあるいはアジア太平洋全域の安全というものを日本なりに考えなければ ならない時代が来つつある、私はそのように認識をいたしております。
  24. 田英夫

    田英夫君 まさに、だからこそ私も申し上げたいのは、外務大臣がベーカー国務長官やシェワルナゼ外相と会われるということがこれから大変重要だと思うんです。米ソアジアにおいても共通の利害を今後ますます持つことになるんじゃないだろうか、私はそういう感じがするわけです。一一月八日にモスクワで行われたベーカー・シェワルナゼ会談の内容というのは、私も報道でしか知り得ませんけれども、その端々を見てもそういう徴候を感じます。  そういう中で、これは中山外務大臣御自身が六月十一日の衆議院の安保特別委員会で、国連憲章五十三条の旧敵国条項の削除に向かって働きかけたいという意味のことを言われた、これも報道で読んだんですが、これはそのとおりでしょうか。
  25. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) そのとおりでございます。
  26. 田英夫

    田英夫君 私は今世界がまさに激動しているということを冒頭申し上げた。そして、東西ドイツの統一という現実がもう迫りつつある。明らかにこれは第二次世界大戦のヤルタ体制が崩れつつある。これはアメリカにとってもソ連にとっても非常に大きなことでありますけれども、そういうヤルタ体制あるいは戦勝国対戦敗国という仕分け、実は国連憲章五十三条にあらわれているように、国連自身も戦勝国対戦敗国という中でつくられた。もちろん日本も今メンバーになっていますからそれなりの発言はできますけれども、そのヤルタ体制構造の中でできたのが国連だと思います。そういうことに対して中山外務大臣が五十三条の問題を提起されたのは、私はまさに的を射ていると言ってもいいと思います。同時にこのことは、一歩誤ると大変大きな誤りにつながるおそれがある。つまり日本の国際的立場大変悪くなるということにつながるんじゃないかと思うんです。  質問をしないで先に結論を言っちゃいますけれども日本はまず、そういう五十三条というような問題を取り上げるならば、あの戦争の責任というものをもっともっと世界に向かって明確にとるべきじゃないか。この前の盧泰愚大統領の来日のときに、天皇のお言葉問題を初めとして強制連行された朝鮮人あるいは韓国人の名簿の問題というようなことが改めて提起されてきた。あるいは中国の花岡事件というのもあります。つまり、あの戦争に対する反省、責任のとり方というものが従来極めて甘かった。そういうことが今改めて国際的に責任を問われて提起されている。このことをはっきりと処理するといいますか、反省をした上に立って五十三条というような問題の発言が出てこないと誤解を招くんじゃないだろうか。私も敵国条項というようなものをもう取るときじゃないだろうかと思います。そして実はあと五年、一九九五年という第二次世界大戦が終わって五十年というところを目指してアメリカソ連世界じゅうに展開している自国の軍隊と基地を撤去すべきだというようなことを私は提唱しているわけですけれども、そういうことを言う前に、まず戦争に対する責任をはっきり反省をするという行為が目に見えてないと、このせっかくの外務大臣の御発言も誤解を招くんじゃないだろうかということを申し上げたいわけです。  大臣の御感想を伺いたいと思います。
  27. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今委員から旧敵国条項の適用について、日本がこの扱いを誤ると大変な批判を受けるというお話がございました。私どもは、無条件降伏というあの敗戦の際に連合国による軍事裁判が行われて、いわゆる戦争責任を非常に明らかな形で犯罪行為として処罰を受け処断をされたということは、これはもう国の内外にとって明らかなことでありまして、ここで戦争犯罪人のいわゆる裁判が行われた。インドのパール判事のように日本無罪論を主張していただいた国の代表者もおられました。しかし、戦争が悲惨な形で行われたことは事実でございまして、そのような形で我々はこの裁判を無条件で受けるとともに、新しい日本が平和を目的とする国家として認められて独立をし、やがて国連にも加盟をすることができて、平和愛好国として国家としては国連への拠出金もしかるべき金額を拠出し、国際社会に現在は貢献をできていると私ども思っておりますが、この長い戦後の歴史の中で、委員が御指摘のように、あの戦争に対する日本考え方というものが果たして述べられ切っていないのではないかという御指摘でございますけれども、竹下総理の国会における発言、あるいは海部総理の今回盧泰愚大統領が来日されました際のお話、こういうごあいさつの中に日本の過去の戦争に対する反省を十分込めてアジア太平洋地域の方々にこの機会を通じて改めて日本考え方を示されたものと、私はそのように理解をし、また、これから我我は二度と戦争を引き起こしてはならないという平和愛好国に徹していかなければならない、このような考え方でおります。
  28. 田英夫

    田英夫君 申し上げたいことはたくさんありますけれども、次の問題に移ります。  カンボジアの東京会議、この問題ですが、政府東京会議をどのように評価しておられるか、最初にそれを伺いたいと思います。
  29. 谷野作太郎

    政府委員谷野作太郎君) 今回の東京会議は、先生御承知のように、六月四日と五日の両日、カンボジアの当事者間の方々で行われたわけでございますが、二日間の協議の結果、いわゆる包括的解決ということをカンボジア紛争についてはよく言いますが、それにつながる幾つかのステップとして停戦の問題あるいは最高国民評議会の設置の問題等々、幾つかの点で重要な、かつ具体的な内容のある合意が達成された。そういう意味におきまして、そのようなコミュニケがシアヌーク殿下とフン・セン氏の間で署名されたことはそれなりに大変大きな意義があったものと思っております。  他方、これにつきましてキュー・サムファン氏がこのコミュニケの内容を支持するに至りませんで、その点は若干残念なこととして残りました。  今後、日本政府あるいはカンボジア和平に関心を持ちます例えばタイ等の国に課せられた課題と申しますのは、今回東京でせっかく得られました合意をカンボジアのすべての当事者の方々に及ぼす、言いかえればクメール・ルージュ一派にも今回の東京会議合意内容を理解していただく、支持していただく、そういう作業があります。それに目がけて懸命な外交努力を今後展開していきたいと考えております。
  30. 田英夫

    田英夫君 このカンボジア問題をめぐってはパリなどの国際会議も随分ありましたから、その経過を見ていると、常にいわゆる四派という形で取り扱われてきたと思うんですが、今度の東京会議では二派といいますか二政府、国民政府対プノンペン政府という形で、シアヌークさんとフン・センさんの二人の会談、こういう取り扱いになっているわけですけれども、これはどういう理由ですか。
  31. 谷野作太郎

    政府委員谷野作太郎君) 経緯は御記憶のとおりでございますが、今回の東京会議につきましては、さきにチャチャイ・タイ首相が訪日されました折に海部総理との間において会談がございましたが、その際にチャチャイ首相より、日本がシアヌーク、フン・セン御両者の会談を主催されてはいかがであろうかという御示唆がありまして、これを受けての会談でございました。したがいまして、東京会談に関しましては、当初からタイの政府も私どもの理解も、そして当事者の方々の御理解も、これはシアヌーク殿下とフン・セン氏の間の合意を目指す二者会談として位置づけられてきておりまして、それから御記憶だと思いますが、本年の二月でございましたか、バンコクで行われました会談も、これはシアヌーク殿下とフン・センさんの間の二者の会談ということがございまして、今回のこのシアヌーク、フン・セン二者会談が初めての試みではなかつたということでございます。そしてあえてつけ加えますれば、そういう形の会議であるということについては、事前にキュー・サムファン氏の御理解も得ておったという のが私どもの理解でございます。
  32. 田英夫

    田英夫君 確かにシアヌーク殿下とフン・セン氏が二人で会談したというのは今までにたくさんあるわけですね。会われた直後に私もシアヌークさんに会いましたら、大変フン・セン氏の人柄を褒めていたというようなこともありました。今回東京会談の折に、外務省のお計らいで私もシアヌークさん、それからソン・サン首相、それにキュー・サムファン副大統領、三人の方にそれぞれ会う機会がありましたから、その会った折にキュー・サムファン副大統領が私に話しました。これは外務省とは受け取り方が違うと思いますけれども、率直にそれを申し上げると、五月にタイでカンボジア四派が個別にタイのチャワリット副首相兼国防相の作成した五項目から成る文書にイニシアルだけ署名を済ませて、東京でこれに正式署名をすれば円満にいく、こういうつもりで自分は東京へ来た。そして東京に着いてみると、四派による会談ではなくて、カンボジア国民政府と非合法であるプノンペンかいらい政権と彼は言うわけですが、との二者会談という形式になっていた。カンボジアの四派対等というやり方は、カンボジア問題パリ国際会議でも、ジャカルタにおける非公式協議でも、従来一貫して踏襲されてきたやり方であるにもかかわらず、東京会議ではベトナム、フン・セン側に一方的に譲歩して二者会談の形式をとった、これが自分が出席を拒否した一つの理由だ。このことはシアヌーク殿下も、キュー・サムファン氏が出席を拒否した理由二つのうちの一つだと、こういうことを言っています。シアヌークさんはプロトコルという言葉を使いました。つまり、合意文書の内容と、今から申し上げますが、その問題とこのプロトコルの問題、この二つが拒否した理由だ、こういうことを言っています。したがって、これは受け取り方がキュー・サムファン氏の場合は今アジア局長が言われたのと違うということだけ申し上げておきます。  それから、このプロトコルという問題については、これは釈迦に説法ですけれども、こういう国際会議の場合大変重要なことだと思うのは、私もジャーナリストで取材をして知っていますが、ベトナム戦争のパリの和平会議のとき、これもまさに四派なんですね。つまり、アメリカと南ベトナム政府、それに北ベトナム政府と南ベトナム解放民族戦線、それぞれ二つのグループではありますけれども、しかし例えば南ベトナム政府アメリカのかいらいだと、附属物だと言われたくない、同時に南ベトナム解放民族戦線も北ベトナムの付随物だとは言われたくないという状況の中で、フランス政府大変苦労をして円卓方式というのをとった。入ってくる入り口まで配慮をしたと聞いています。今回も円卓方式をとられたようですけれども、これは明らかに円の片側にシアヌークさんがいて、反対側のところにフン・セン氏がいて、その随員という格好で両側にいると、四角いテーブルと余り変わらない並び方になっている。この辺もまさにプロトコルというシアヌーク殿下らしい表現で言われたんでしょうが、この配慮が問題だったんじゃないかなと思います。  それはそれとして内容の問題です。この点でも外務省の言われることとキュー・サムファン氏の受け取り方が違うんですけれども、これは私もよくわからないんですが、キュー・サムファン氏が言うには、タイでイニシアル署名した五項目の文書の冒頭に、カンボジア問題パリ国際会議、PICCを基礎とする包括的な政治解決のために努力すると、こういう文言をつけ加えたいと、イニシアルサインした文書にさらにそういうものをつけ加えたいと。つまり、パリの国際会議での一致している点をつけ加えたいという話が日本側からあった。それで、自分はそれならいいと思っていた。ところが、またさらにそれを取り払おうじゃないかと、取り払いたいということを日本政府は言ってきた。このPICCを基礎とする云々という文言は、従来から国連の第四十四回の総会で百二十四カ国が賛成投票して認めているし、国連の安保理事五カ国の和平案でもこの点が取り入れられているし、国際的に認知されているものであるにもかかわらず、日本側はどうしてこれを取り去ろうと言ったのか、大変疑問だと言っていますが、この点はいかがですか。
  33. 谷野作太郎

    政府委員谷野作太郎君) 幾つかの問題御提起がありましたので、最後の問題にお答えする前にお許しを得まして若干のことを御説明させていただきたいと思います。  第一点はプロトコルの問題について御提起がありましたが、先ほど申し上げましたように、今回の東京会談というのは、一方においてシアヌーク殿下、他方においてソン・サン氏という二者の構えでございまして、そのシアヌークさんの下に三派の方々がついてこられるという形で今回の東京会談が持たれるということにつきましては、まさに今御指摘のありましたタイにおける確かに初期の四派の方々がイニシアルをした合意文書というのがございますけれども、そこにまさに東京会談は二者の構成であるということが書いてございまして、したがいまして、キュー・サムファン氏もその点はプロトコルの問題として理解をされて、そして東京に来られたというのが私どもの理解でございます。  それから第二点は、円卓会議、いすの問題でお話がございました。確かにベトナム和平会議でいろいろな工夫があったことは私ども承知しておりますが、そんなことも私どもの頭にありまして今回迎賓館で行いましたけれども、まさに同じような丸テーブルで、いすの大きさ等々全く同じに配慮したつもりでございます。シアヌークさんが確かに中心には並んでおられましたけれども、その両側に全く同じ形の同じ大きさのいすに皆さんがお座りになっておったということでございます。  それから、最後の包括的な和平解決という点でございますが、確かにほとんどこの円卓を囲んでの実は会議というよりは、むしろ裏でいろんな日本政府も入りましてやりとりがございましたものですから、あるいは先生が御指摘のようなことも非公式にはあったのかもしれませんけれども、しかし何かそこに誤解があるとすれば、日本政府は包括的政治解決を取り下げたというふうにキュー・サムファン氏がおっしゃっておるのでありますれば、それは大変な誤解でございまして、私どもは、タイの政府もそうでございますけれども、一貫して私どもカンボジア和平のあり方について強く主張しておりますのは、まさに停戦だけではだめである、包括的な政治、停戦ともう一つの政治の解決の部分、それを両にらみしなから並行的に進めるものでなければその永続的な解決にはならないということで、包括的な政治解決というのは日本政府の当初からの、そしてまた今回の東京会談での強い主張でございました。そこで、東京会談で得られた文書をごらんになるとわかりますけれども、まさに包括的政治解決という文言は出てはまいりませんけれども、その思想に支えられた、いろんな具体的な、まさに包括的政治解決というものをより具体的に書けばこういうことになるのだなということで、停戦と例えば最高国民会議が同時に発足しなければならない等々、その包括的政治解決の基本的な思想、考え方にのっとった、かつ具体的な記載の仕方に今回の東京会議の文書はなっておるということでございます。
  34. 田英夫

    田英夫君 さっきちょっと申し上げましたけれども、改めて質問の形で伺いたいんですけれども、キュー・サムファン氏は、五月にタイでチャワリット国防相の案、これにそれぞれイニシアル署名した。そのチャワリット・ペーパーというものに署名をした四派が東京に集まってフルネームのサインをすれば、これは円満にいくと思ってたんだという、この点はどういうふうにお考えですか。内容が変わってしまったと言っているんです。
  35. 谷野作太郎

    政府委員谷野作太郎君) いわゆるチャワリット・ペーパーといいますのは、いわば一つの過程における内部文書といいますか、そういうことでございますので、詳細を申し上げる事由は持ちませんけれども、ただいま申し上げましたように、そこに明確に書かれておりますのは、形式の問題としては、東京会談は二者の会談であるというこ とが一つと、それから、内容の点でございますが、いわゆるチャワリット・ペーパーにつきまして、まさに先生が御指摘の、あるいはキュー・サムファン氏もそうおっしゃっておるんだとすれば、まさに包括的な政治解決、包括的な解決ということが、当初四派がイニシアルされた文書におきましては、極めて明確性を欠いておりました。そこで、その後いろいろな、四派のみならず、カンボジア和平につきまして大変関心を寄せる関係国が多うございます。タイもそうでございますし、そのほかの国もいろいろございますが、そういうところからいろいろな意見が寄せられまして、やはり去年のパリ会議以降私どもが追い続けた包括的な政治解決ということをいま少しく明確に、せっかくの東京会談で得られる文書であるならば書き込むべきであるということになりまして、むしろより明確に、かつ具体的に包括的な政治解決ということを書き込んだのが今度の東京会談における文書でございます。  私が若干奇異に思いましたのは、このような包括的な政治解決というのは、むしろキュー・サムファン一派、クメール・ルージュの一派にとりまして、決して不利益なことではございません。したがいまして、今後時間をかけて御説明をすればわかっていただけるのではないかというふうに期待をしております。他方、これは私の想像でございますけれども、バンコクでイニシァルした文書とは若干違いますものですから、新しい文書についていわば本部の了解を得る手続に時間的な余裕がなかったということがあるのではないかと、私は想像しております。
  36. 田英夫

    田英夫君 最終的に二者といいますか、シアヌーク殿下とフン・セン首相が署名をしたわけですけれども、その合意文書の署名には両者とも肩書をつけなかったというふうに聞いてますが、これは事実ですか。
  37. 谷野作太郎

    政府委員谷野作太郎君) その点はそのとおりでございます。その背景といたしましては、シアヌーク殿下がまさにこういうことをおっしゃっておりましたけれども、カンボジア国民政府の大統領であられるわけですけれども、そのシアヌーク殿下、そしていわゆるヘン・サムリン政権のフン・セン首相でございますが、お互いにお互いを認めてないわけでございますから、こういった公的な文書で両者が肩書をつけて署名されるというのはお立場上それぞれできなかったということ。これは、厳格に申し上げれば、相手国の政府の存在を認めるということにつながりかねないことでございますので肩書を外されたということを聞いておりますし、そして、先ほどちょっと申し上げました、バンコクで先般、二月でございましたか、シアヌーク殿下とフン・セン氏の間の簡単な文書の署名がございましたが、このときも御両者は肩書を外して御自分のお名前だけを署名しておられます。その前例にならわれたのだと思います。
  38. 田英夫

    田英夫君 私がシアヌーク殿下自身から聞いたところでは、自分は肩書をつけることをやめようと提案をしたけれども、フン・セン首相が肩書をつけたい、こう言ったので最後の署名に時間がかかった、結果的にはフン・セン氏も了解した、こういうことを言っておりましたので、理由は今局長が言われたのと若干ニュアンスが違います。それから、キュー・サムファン氏の言うことですからこれは対立する立場で言っているわけですが、今度の東京会談の結果、二人とも肩書なしで署名をしたんだから、これは国民政府とへン・サムリン政府の間の合意ではない、こう言っております。それから、ソン・サン首相とも会いましたが、ソン・サン氏も、自分はクメール・ルージュに対しては大変大きな批判を持っているけれども、カンボジア問題は四派が合意しなければ成立しないというのが基本だと思うということを言って、この東京会談合意文書に自分は縛られないということを言っております。この辺がこれからの一つの課題になると思います。外務省の御努力は私は評価しますから、この辺をやはり明確にしていく必要があるんじゃないかと思います。  それで、最後にもう一つ聞きたいのは、キュー・サムファン氏、クメール・ルージュの側はしきりに、現在もベトナム軍がカンボジアにいる、三万という数字を挙げていますが、昨年の九月に全面撤退したことになっているベトナム軍がなお、へン・サムリン軍の軍服を着てカンボジア領内にいるんだということを言っています。そういう状態の中で、国連が参加して国連管理下の選挙をやっても意味がないんじゃないかということを言って、だからまず完全撤退を確認してくれということをしきりに言うんですが、これは日本政府はどうお考えですか。
  39. 谷野作太郎

    政府委員谷野作太郎君) 確かに昨年の九月にベトナムはカンボジアから兵をすべて引いたということを述べたわけでございますけれども、その当時から言われておりましたことは、これが国際的に認知されたメカニズムを通ったものでないということが言われておりまして、その点は私どもも遺憾に思っております。他方、その後例えばベトナムがまた兵を入れたというような風説もございますが、日本政府としてどうかというお尋ねであるとすれば、私どもは、残念ながらその実態、真相について有権的に申し上げるだけの材料を持っておりません。しかしながら、いずれにせよ、これもパリ会議以降御議論関係国であるところでございますけれども、外国軍の、この場合はベトナム軍の撤退の検証と申しますのは、停職あるいは外国からの軍事援助の停止の問題、いろいろあります問題の包括的な解決の枠組みの中でこれも解決されるべきものということでございまして、確かにカンボジア和平を考える場合にこの問題が関係国の非常に大きな関心であることは私どもも承知しております。
  40. 田英夫

    田英夫君 その点は、五月十六日の夜九時からのNHKのニュース番組の中で、NHK取材班がカンボジア領内に入って取材したものを放送されて私も見ましたが、明らかにベトナム兵の捕虜が登場をして、ベトナム兵だということをその場でしゃべっているという、このことで実証をされているというふうに考えてもいいんじゃないかと思います。  最後に大臣に伺いたいんですけれども日本政府は従来からカンボジア国民政府、いわゆる三派連合政府を承認して、ヘン・サムリン政権は承認しないという態度をとり続けておられましたし、これは過去十一年、ベトナムが侵攻して以来そういう態度をとって、ベトナムに対して厳しい姿勢をとってこられた。国連でもそういう演説を歴代の日本代表がされてきましたし、バトナムに対する経済制裁を続けておられるという状況の中で見ると、これはキュー・サムファン氏も指摘しているんですが、今回の東京会談のやり方は大変ベトナム・ヘン・サムリン政権寄りではないか、日本政府基本姿勢を変えたのですかと彼は私に言いましたけれども、この点について最後に大臣に伺いたいと思います。
  41. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今委員お尋ねの点につきましては、日本政府は従来の外交方針を変えておりません。
  42. 田英夫

    田英夫君 カンボジア問題はこの程度にしますけれども、七月にパリで国連常任理事国五カ国のカンボジア会議があって、そこに四派がまた呼ばれている。この点についてはキュー・サムファン氏も、自分たちは喜んで出ますということを言っておりました。こういうことが進む中で、日本政府もぜひひとつ、アジアの重要な問題ですから、それなりの力を発揮していただきたいということをお願いをしておきます。  別の問題に移りますけれども、この前もちょっとここで触れましたが、在日韓国・朝鮮人の問題に入りたいと思います。  盧泰愚大統領が来日をされたのを契機に改めて在日の問題が大変クローズアップをされてきております。在日というのは、今の若い日本の皆さんはほとんどそういう感覚がないと思いますが、言うまでもなくこれは強制連行で連れてこられた朝鮮の人たちがその大部分である。七十万とも八十万とも言われておりますけれども、その子孫ということになるわけで、先ほど申し上げた戦争責任 ということに直結をする問題だと思います。だからこそ盧泰愚大統領も、日韓の友好ということを考える中でこのことに改めて触れてきていると思います。私もいわゆる在日という人たちに多くの友人を持っておりますから特にこの問題を深刻に考えます。  いわゆる協定三世の問題については、四月三十日の中山外務大臣と韓国外務大臣の協議の中で大筋合意というふうに言っていいと思いますが、合意していますけれども、韓国側は依然としてまだまだ納得しない。特に一番もとになる一世、二世について三世よりも取り扱いが悪いというのは一体どういうことですかということを私に言った在日の人もいます。この一世、二世にも外相会談合意したような点を適用すべきだと言っていますが、この点は政府は、法務省ですか、どうぞ。
  43. 山崎哲夫

    説明員(山崎哲夫君) 田委員も御承知のとおり、先般韓国側との協議でまとめられました三世問題対処方針というものは、日韓法的地位協定第二条に基づく協議という性質上、在日韓国人三世以下の子孫が専ら協議の対象とされている部分でございます。法務省としましては、これから所管法令の改正等具体策を検討することとなります。その際、同様の歴史的経緯とか定住性を有する人人の存在についても念頭に置いて検討する考えであります。在日韓国人一世、二世の法的地位及び待遇につきましては、日韓法的地位協定ですか、昭和四十年にまとめました、及びこれに基づく出入国管理特別法により定められておりますが、今後三世以下の子孫の法的地位及び待遇について検討するに際しましては、一世、二世との関連についても検討する考えでございます。
  44. 田英夫

    田英夫君 これは過去の経緯をたどると、本当に在日の人からすると、台湾を含めた中国系の人もそうなんですけれども、驚くべきことなんですね、御本人の立場からすると。日本に住んでいて、同時にしかし、当時は日本国籍ということで取り扱いを受けてきた人たちが、しかもその中で強制労働をし、しかも大変差別を受けて苦しい思いをしてきた人たちが、日本サンフランシスコ平和条約を結んだ直後に一局長の通達で突然日本国籍を失ってしまう、宙に浮いてしまうという事態が起こったんですね。これは今からさかのぼって申し上げても仕方がないことかもしれませんが、日本政府の扱いとしてはこれがそもそも大間違いだったと思いますよ。強制連行をして連れてきた人たち、その子孫を今までは日本人だといって戦争には駆り出すわ、強制労働はさせるわという、そういう中である日突然おまえさんたちは日本人じゃないぞという取り扱いというのがあっていいでしょうか。外国の例ですと、この場合には大体本人に国籍選択の自由を与えている、そういう経過を経ていくということだったと思いますが、今これ外務省や法務省の方に今から三十何年、四十年近く前のことを言ってもしようがないかもしれません。しかし、これは日本政府の問題なんですね。今からでも遅くはないからこの問題については、特に一世、二世の方についてはまさにその当時の被害者その人たちですから、当然この一世、二世から正しい取り扱いをやって、それを協定三世に及ぼすという姿勢が正しいんじゃないでしょうか。
  45. 山崎哲夫

    説明員(山崎哲夫君) 田委員も御承知のとおり、昭和四十年に日韓法的地位協定がまとまっておりますが、その際、やはりこの人たちの歴史的経緯及び定住性というのに着目しまして、一般の外国人とは違いました法的地位、待遇が定められておるものでございます。さらに今回、日韓外相定期協議でまとまりました対処方針につきましては、一世、二世よりも三世は日本におきます定住性が高まっていることを踏まえまして、その人たち立場に配慮してさらに厚い法的地位、処遇をするということでまとまっておるというように承知しております。
  46. 田英夫

    田英夫君 在日人たちの間で、これは韓国籍、朝鮮籍を超えて今新しいグループがつくられています。在日同胞の生活を考える会という、まだ余り表に出ておりませんけれども、朝鮮総連でもなければ民団でもないという形のグループが次第にふえています、若い人たち中心ですけれども。その人たちに会って話を聞きますと、共通の悩みは自分の母国語ができないということ、日本語は日本人と何ら変わらないぐらいうまいんですけれども、こういう中で生活しているものですから韓国語、朝鮮語ができないという、それで自分たちでグループをつくって韓国語、朝鮮語を学ぶ会をつくって勉強している。これも日本政府は――きょうは文部省の方はお呼びしてありませんからいずれ機会があったら申し上げたいと思いますけれども、近くこの人たちは文部省にお願いをして財団をつくってそういう民族教育、これは民族教育といいますと、すぐ朝鮮総連のいわゆる朝鮮学校、朝鮮大学というものを皆さん連想されるんですが、これは別として、過去のそういう事情の中で日本に来て定住をしている人たちの問題ですからこれはやはり便宜を図ってあげる、それで言葉、文化、そういうものをぜひ勉強したいと言っている、そういうことをむしろ支援をしてあげるという姿勢が必要じゃないかと思います。そういうことからすると、いわゆる外登証、外国人登録証の常時携帯義務とか指紋押捺の問題とかということは、全くこれは廃止し、除外するというのが当然の私は措置だと思いますが、法務省はどうですか。
  47. 山崎哲夫

    説明員(山崎哲夫君) 指紋押捺問題につきましては、昭和六十二年の百九回国会におきまして附帯決議がなされているという経緯、また去る四月三十日に日韓定期外相協議の結果まとまりました三世問題対処方針において在日韓国人三世以下の人々についての方向性が示されている経緯にかんがみまして、現在、指紋押捺制度にかわる制度について鋭意検討、研究を行っている段階でございます。ただ、人権上問題もなく、指紋押捺よりもより心理的負担が少ないという方法として、例えば外国人登録に戸籍的な事項を加味することなど、多様な方法について検討しておりますが、なお検討すべき問題もありまして、いまだ結論を得る段階に至っておりません。  他方、外登証の常時携帯につきましても、これは外国人の居住環境及び身分環境を現場において即時に確認をするというものでございまして、不法残留者が現在十万人にも及ぶ現状に照らしまして、基本的には維持すべきものというふうに考えておりますが、ただ、この三世問題につきましては、御承知のとおり、対処方針で三世以下の立場に配慮した適切な解決策を見出すこととなっておりますから、今後、在日韓国人三世以下については、携帯制度の運用のあり方を含めいろいろの面から検討してまいりたいというように考えております。
  48. 田英夫

    田英夫君 時間がなくなりましたので、実は在日人たちだけでなくて、日本政府、法務省の日本にいる外国人に対する取り扱いというのは大変私は問題があると思います。ある在日の人は、東京法務局の窓口にぜひ田さん行って見てきてください、とにかく人間扱いじゃありませんよというふうなことを言っています。それで最近、入管トラブルホットラインというものを民間の市民運動の人がつくりました。これはそういうトラブルが始終ある、それをすぐ電話でホットラインに訴えて、人権担当の弁護士さんたちが政府とかけ合うという、そういうようなことまで起こっていますよ、今。  それで、この問題については時間がなくて、残念ながら来ていただいたのにそれ以上触れられませんが、もう一つそれに関連して、厚生省、四月二十七日に韓国の太平洋戦争犠牲者遺族会、本部はソウルにあるそうですが、その梁順任さんという常任理事たちが厚生省を訪ねて、この人のお父さんも日本に強制連行されて、行方不明でいまだに生死がわからないということなんですが、朝鮮人、韓国人の犠牲者の名簿を出してくださいという要求をしてやりとりがあった。そのやりとりのメモを実は私に、この人知っているものですから私にくれました。そのときの対応をされたのが援護局の業務第一課長ですか、御本人が来てくださ ったんですが、そのやりとりを見ると、まことに私は、まあ憤激をしたんですね、このやりとりを読んで。  まず、外交レベルの話だからあなたとは話せないということから始まって、そしてその梁さんという人は、自分のお父さんは天皇の臣民という形で協力をさせられた。だから、名簿が日本人と一緒になっているというのもその証拠じゃないか。日本人、朝鮮人分けてない、ごったになっているからなかなかその中からえり出すのが大変だということを厚生省で言われたら、そういう発言をしているとか、外交レベルの交渉を答えられないというのは一体どういうことだと、遺族に対しても答えられないのか、遺族が一人一人全部ここへ来て聞かなくちゃいけないのかというようなやりとりをしているんですけれども、これは後でお目にかけますけれども、このメモを読む限り、あなたの対応というのはそういう日本が強制的に戦争で連れてきた外国人のその遺族の取り扱いとしては私は大変不当だというふうに思うんですが、内容を見せないで申し上げても言いにくいかもしれませんが、後でお見せしますが、今のようなことがあったことは事実ですか。
  49. 村瀬松雄

    説明員(村瀬松雄君) お答えいたします。  厚生省は、旧軍についての人事関係の事務を引き継いでおりますので、軍人、軍属につきましての名簿を保有しております。
  50. 山東昭子

    委員長山東昭子君) 村瀬さん、もう少し大きな声で。ちょっと聞こえにくいものですから。
  51. 村瀬松雄

    説明員(村瀬松雄君) 一九七一年に韓国政府の要請によりまして、朝鮮出身の軍人、軍属の死亡者名簿を外交ルートを通じまして送付しているところであります。  ただいま先生がおっしゃられました団体が陳情に来られました際でございますけれども、個人的な資料でありますので、死亡者の名簿にはプライバシーの問題がありますので、御遺族個人から照会がありますれば応じます、しかしながら、団体に一括してお見せするような性格のものではございませんというふうにお答えしたわけです。また、これはもちろんでありますが、日本人についても同様な取り扱いでございますということを重ねて申し上げました。それからさらに、今申しましたように、韓国政府に対しましては死亡者名簿を送付してありますというふうに御説明いたしたわけでございます。
  52. 田英夫

    田英夫君 時間がありませんので、いずれまた話す機会をつくりたいと思いますので、この程度で終わります。
  53. 太田淳夫

    太田淳夫君 先ほど田さんの方からもお話がございましたが、この二十三日で日米安保条約が改定、発効してから満三十年を迎えることになります。先ほどもお話がありましたが、その間、日米安保体制がやはり前提としてきました東西関係の枠組みが大きく変化したことはいろいろと議論をされていたところでございます。そうしたいろんな変化を踏まえまして、日米両国の間でも、中でも見直し論が出てきたり、あるいは政府・自民党内でもさまざまな論議があると聞いているわけです。  政府はこうした状況を踏まえられまして、安保条約を今後どのような位置づけをしていくのか、外務大臣に最初にお伺いしたいと思うんですが、同時に、アメリカでもどのような考え方に立っているのか、あわせてお伺いしたいと思います。
  54. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 日米安保体制というのは日米関係の基礎であるという考え方がございます。その意義と重要性は大きな変化はない。今後ともこれを堅持するべきだ。米国はこの日米安保条約を重視していると私は思います。
  55. 太田淳夫

    太田淳夫君 従来の御答弁と余り変化はないと思いますが。  それでは、時間もございませんので、日米地位協定について何点かお聞きしておきたいと思うんですが、せんだってこういう報道がございました。外務省防衛庁は、「在日米軍駐留経費の日本側負担増加要請に対応して、円建て経費のうち新たに米軍基地日本人従業員の本給全額と光熱費を負担する方針を固めた。」ということで報道されていたんですが、この方針について御説明願いたいと思います。
  56. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生御案内のように、現在、在日米軍日本人従業員に関しましては、国会で認めていただきました特別協定に基づきまして、手当に関しましては負担しておりますが、基本給は負担しておりません。  今後の問題に関しましては、在日米軍経費の問題に関しましては、今大臣が申し上げましたように、私ども日米安保体制というのは日本安全保障にとり引き続き不可欠であると考えておりますので、その効果的な運用を確保していくということは極めて重要であるという観点から、自主的にできる限りの努力を払っていきたいと考えておりまして、さらに検討していきたいと考えておりますが、具体的な点に関しましてはこれからの検討事項でございまして、何ら現段階では決まっておりません。
  57. 太田淳夫

    太田淳夫君 きょう、これも新聞の報道ですけれども、ローエン国防次官補がある新聞社とのインタビューの中で、在日米軍支援の一環として日本米軍駐留経費負担に関する中期五カ年計画策定するよう期待を表明したということが報道されておりますが、こういうことはかねてからアメリカ側から米軍経費負担については日本に負担増を求めることは再三話があったわけでございますが、五カ年計画策定というのは、今これから次期中期防衛力整備計画、この策定作業に入っているわけでございますが、これがアメリカ側の正式な要望としますと、やはり中期防のいろんな論議の中にも影響してくるんじゃないかと思うんですが、その点どうでしょう。
  58. 萩次郎

    説明員萩次郎君) ローエン国防次官補の発言の内容はまだ存じておりませんが、日本の五カ年計画ということを言っておられるとすれば、次期防のことかとは思われますが、在日米軍駐留経費も、従来、現在の中期防におきましては防衛関係費の中に入っておりますので、今後の五カ年計画で同じような経費を取り扱うということになれば、当然次期防の中でその金額をどう取り扱うかということになろうかと思います。  しかしながら、来年からの次期防の中で駐留経費をどう位置づけるか、どういうものを経費として扱うかということはまだ決まっておりませんので、今後の次期防の検討の中で安保会議中心とした作業で検討されることになろうかと思います。
  59. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私ども今の防衛庁から御説明がありましたとおりの認識を持っておりまして、ローエン次官補の発言に関しましては、報道では承知しておりますけれども、実際にどういう発言をされたかは承知しておりません。  いずれにしましても、米側で、特に議会中心でございますが、日本のバードンシェアリング、中でも在日米軍の経費負担増に関しましては大きな期待を待ってきているということは事実でございます。いずれにしましても、今防衛庁から御説明がございましたように、それからさらに私が先ほど御説明申し上げましたように、今後自主的に日本側としては検討していきたい、こう考えている次第でございます。
  60. 太田淳夫

    太田淳夫君 仮に現在以上の負担増に応じるということになるとしますと、新たな協定が必要になるんではないか、そういうふうに思うわけでございますが、その点はどうでしょうか。
  61. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先ほど来申し上げておりますように、今後検討していくということでございますので、まだ結論を得ていない現段階で、これ以上の答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  62. 太田淳夫

    太田淳夫君 昭和五十三年に日本在日米軍経費の負担増に踏み切ってからそれ以後見てみますと、五十四年に語学研修手当、隊舎建設整備費、いわゆる思いやり予算の範囲が拡大をしてきているわけです。ところが、アメリカにおける日本に対する安保ただ乗り論ですか、これが広がり始めまして、六十二年には地位協定の特別協定を結ん で日本人従業員の扶養手当などの一部負担に応じるようになったわけです。その後、さらに六十三年にはこれを全額負担するように改定された。それがことしから実施されるわけでございますが、こうした流れを見てみますと、何か歯どめのない思いやり予算というような感じがするわけでございますが、その点はどのように受けとめていらっしゃいますか。
  63. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 最初に申し上げさせていただきたいと思いますのは、先ほど中山大臣が指摘されましたように、日米安保体制というのは日本安全保障にとり今までも不可欠であり、今後とも不可欠なものであり続けるだろうと私ども考えているという点でございまして、そういう観点から日米安保体制の効果的な運用をどうやって図っていくかということをやはり真剣に考えていく必要がございまして、その点から申し上げまして、先ほど来申し上げておりますように、アメリカにおきましては議会中心日本に対しましてバードンシェアリングの要求が強くなっているわけでございます。その背景にはアメリカ財政赤字問題がございまして、それと同時に、日本アメリカとの間の相対的な経済力の増強ということがございまして、アメリカ側の期待が高まっているわけでございます。  そういうものを背景にいたしまして、今先生指摘のような形で近年思いやり予算ということで出発いたしまして、日本側の経費負担をかなり増額してきているわけで、これはアメリカ側も高く評価しておりますし、私ども安保体制の効果的な運用に貢献してきた、こういうふうに考えている次第でございます。
  64. 太田淳夫

    太田淳夫君 いろいろな御説明された理由というのは私たちもよくわかるわけでございますけれども、やはり在日米軍の駐留経費につきましては、歯どめを明確にして、無原則に応ずべきではないのではないか、こういう考え方を持っているわけです。  安保体制日米両国民の信頼の上に成り立っている以上、我が国の国民感情も十分配慮すべきでありますし、内外の国際情勢のいろいろ変化というものもやはり考慮していくべきではないかと思うんです。そういう国際情勢変化の流れの中で、今までと同じようなことで対応してまいりますと、やはり国民の感情の中にも米軍に対するまた不信感というものを生じてくるのではないか、こういう感じもするわけです。  ですから、日米間というのは、これはどうしたって日本におきましては主軸でやるわけで、やることは私たちも当然であると思っておりますが、長期的な観点に立った場合には、原則をきちっとした上でやはり対応していくべきじゃないか、そのことがより両国間の国民の信頼関係を深めるんじゃないか、こう私は考えるわけですね。  例えば、最近もいろんな論議を交わしておりますと、安保から三十年ですから安全保障条約ができましたときを経験していない人たちも随分ふえているわけです。あのときの国内情勢国際情勢はもう随分さま変わりをしているわけですが、その中で、例えば東京の、首都の周辺にあれだけの広い米軍の基地がある。しかも無償で提供されているんじゃないか。一方、東京で働いてみえるサラリーマンの皆さん方は首都圏で住めなくなってどんどんどんどんこれから地方へ出ていかなければならない。そういう点からいろんな不満がやはりあるんじゃないかと思いますね。基地を撤去しろとは申しませんけれども、そういった点で、いろんな面でかえってここら辺で原則をきちんとして日米間で話し合ってそういうものをつくっていかないと、これはかえって両国間の信頼に傷をつけることになるんじゃないか、そういう心配をしているわけですが、その点はどうでしょうか。
  65. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生御案内のように、日米安保条約が締結されましたのはちょうど三十年前でございますが、この三十年前の日米の経済力を比較してみますと、GNPで申し上げれば一対十二、つまり日本のGNPが一に対しましてアメリカが十二というものでございましたけれども、三十年後の現在はアメリカの五兆ドルに対しまして日本は三兆ドルということで、アメリカの六〇%ということで彼我の差は非常に縮小しているわけで、これはとりもなおさずこの三十年間日本日米安保体制のもとで平和と安全を享受しつつ経済発展に専心してきたという成果がそういうところにもあらわれているわけで、私ども安保体制というのは非常に大きな成果を三十年間もたらしたと考えているわけで、今申し上げたような経済力の相対的な差が縮まっていることも十分念頭に置き、そして日本安全保障のために不可欠なこの日米安保体制の効果的な運用をどうやって確保していくかということを考えまして、在日米軍は、御案内のように日本の平和と安全、さらには極東の平和と安全に寄与するということで日本に駐留しているわけでございますので、日本といたしましては、そういう諸般の事情を十分勘案の上、先ほど来申し上げておりますように、自主的にさらに検討していきたい、こう考えている次第で、ぜひこの点に関しましては国民の皆さんにも御理解を賜りたいと思っておる点でございます。
  66. 太田淳夫

    太田淳夫君 ですから、その御理解を得るためにもそういう原則的なものが必要ではないかと申し上げているわけですね。思いやり予算がされましたときにも、当外務委員会は私はおりませんが、内閣委員会でもいろいろ論議されて激しい議論もあったわけでございますけれども、それからもう十年以上経過しているわけですから、そういった点で確かに日本の経済力が大きくなった背景には日米関係がありました。日米安全保障条約というものがそういう経済的な面でも一つの役割を果たしてきたことはあろうかと思います。そういうことはみんなわかっていて私も申し上げているわけですね。どうでしょうか、その点。
  67. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生先ほど御指摘になりましたように、当委員会でもその他のいろいろな委員会でもこの在日米軍の経費負担の問題は議論が行われておりますし、それから先生今御指摘の特別協定及びその改正議定書を審議していただいた段階におきましてもいろいろな御議論を賜っている次第でございまして、私どもといたしましては、先ほど来自主的に今まで負担をふやしてきたと申し上げましたけれども、いずれも国会で御承認いただきました地位協定及び特別協定及びその改正議定書に基づきまして経費負担をふやしてきたわけでございますので、その点は十分御理解を賜りたいと思う点でございます。
  68. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、もう一点だけちょっと念のため伺っておきますけれども、駐留軍経費が増額となったとしましても、その経費も我が国の次期防の総枠の中に含めるのか。含まれる、別枠とはしない、そういうふうに受けとめてよろしいんでしょうか。
  69. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 防衛庁から御答弁いただいた方がよろしいかと思いますが、私どもは、先ほど来申し上げておりますように、次期防に対しましてはこれから安全保障会議中心に検討を進めていくわけでございますが、経費の負担に関しましても次期防との関連を十分念頭に置いて検討をしていきたい、こう考えておりますが、具体的には次期防の中で経費問題にどう対応していくかということは今後検討をしていきたいと思っている課題でございまして、現段階ではまだ結論を得ておりません。
  70. 太田淳夫

    太田淳夫君 大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
  71. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 次期防につきましては、近く始まる安全保障会議政府全体としての総合的な検討が行われるものと考えておりますし、したがって、現時点で外務大臣としての立場でこの内容について議論をすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  72. 太田淳夫

    太田淳夫君 それではもう一点、地位協定で国民生活に関係ある問題についてお聞きしておきたいと思うんですが、最近においても在日米軍による事故とか訓練に伴う国民の被害が続いているわけですけれども、このような事故の場合、米軍に よるものということがすぐに判明しない場合があるわけです。    〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕 これは米軍がその訓練などを行う際に、ほとんどの場合我が国の政府機関はどこも連絡を受けていない。仮に事故が発生しても米軍から通報されるレートもできていないということによるんじゃないかと思うんですが、その点について外務省ではどのようにお考えでしょうか。
  73. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 最初に事故についてでございますが、これは先生指摘のように、一般論として申し上げれば、米側日本側に通報する義務はございませんけれども、公共の安全に大きな影響を及ぼすような事態については、米軍によるものであることが判明次第、従来から日本側に連絡してきておりまして、私どもも引き続き事故につきましては日米間で連絡を密にしてまいりたい、こう考えております。  それから訓練についてでございますけれども、これは先生御案内のように、安保条約及び地位協定上、米軍が軍隊としての機能に属する諸活動、この中には訓練が入ってまいりますけれども、それを行うことを当然の前提としておりまして、米軍が個々の訓練につきまして日本側に事前通告を行う義務を負っておりません。しかしながら、これも同様でございますけれども米側日本の公共の安全に妥当な考慮を払って活動するということは当然でございまして、このような観点から国民生活に重大な影響を与える訓練につきましては、事実上米側は可能な限り日本に対しまして自主的に通報してきております。  こういうことからわかりますように、条約上の義務はともかくといたしまして、米軍も国民生活の点に関しましてはそういういろいろ配慮はしてきてくれておりますけれども、私どもといたしましてもできるだけ米側と緊密な連絡をとりつつ国民の生活に対する影響米軍の活動との調和を図ってまいりたい、こう考えております。
  74. 太田淳夫

    太田淳夫君 少なくとも事故が発生した場合米軍はすぐわかるはずでございますので、直ちに外務省に通報するとか、あるいは低空飛行訓練など訓練空域で行わないで、また国民生活に影響を与えるおそれのある訓練などに対しましては事前に日本政府に通告する、そういう制度的なこともきちんと設けるべきじゃないかと思いますが、その点がいろいろと米軍の行動に何か重要な影響を生ずると、そういうこともないんじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  75. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 今申し上げましたけれども米軍は地位協定上義務を負っていないにもかかわらず、日本の国民生活に重大な影響があるものに関しましてはできるだけ連絡を密にするという対応をしてきてくれておりますので、事故に関しましても、先生今御指摘のように、発生次第、米軍によるものということが判明すれば日本側に連絡してくるのは当然でございまして、まさに米軍もそのように従来から運用してきておりますので、引き続き米軍との連絡を密にして対処してまいりたい、こう考えております。
  76. 太田淳夫

    太田淳夫君 また、米軍の艦艇でございますが、いわゆる提供施設、区域に入る際、一部の例外を除きましては、これまた我が国政府に通告がなされていないようである、こういうふうに思えるんですが、原子力推進の艦艇、例えば原潜などは二十四時間前に通報がある。原潜といえば最も機密性の高い艦艇でありますから、そうしたものに事前通報を行わせているわけでございますから、米軍艦艇一般にもこれを当てはめても特に障害があるとは思えないんですが、地域住民への配慮、国民生活への配慮といった点を考えますと、こうした点もやはり米軍と協議をしてきちっと通告すべきではないか。そうしたことがまた米軍と我が国との信頼関係の緊密化を示すことになるんじゃないかと、こう思うんですが、その点はどうでしょうか。
  77. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生まさに御指摘のように、米国に提供されております施設、区域に出入りすることは、米軍条約上、これは具体的には地位協定五条でございますが、条約上の権利でございまして、出入りのために日本側に通告する義務は課されておりませんで、先生がまさに御指摘のように、原子力推進艦の入港に際してのみ通常このような入港の二十四時間前に日本側に通告することを自主的に米側はやっているわけでございますが、この事前通告を義務づけるべきではないかという先生の御指摘でございますが、今申し上げましたように、条約上そういう義務を負っていないということに加えまして、米軍にそういうことを要求しますことは米軍艦船の円滑な運用に支障を来すと私どもは考えております。  念のために申し上げたいと思いますが、今私が申し上げましたのは施設、区域への出入りでございまして、これは地位協定第五条二項でございますが、三項は一般の港への出入りを書いておりまして、一般の港への入港に関しましては、通常我が国当局に適当な通告を行うことになっておりまして、これは米軍がまさに行ってきておりますので、あわせて指摘させていただきたいと思います。
  78. 太田淳夫

    太田淳夫君 最後に、先ほど田先生の方からもお話ありましたが、ベーカー国務長官にお会いになって、日米外相会議が十五日ですか、日本時間十六日ですね、行われるということが言われていますね。これで海部総理がブッシュさんに会った。大蔵大臣がブレイディ財務長官にお会いになった。いよいよベーカーさんと中山外務大臣がやはり構造協議のいずれも調整ということで大きく報道されているわけですが、これはこの間も委員会で私ちょっとお聞きしましたけれども、最終報告へ向けてアメリカ側としても公共投資の問題を初めとして相当な決意を固めてきているんじゃないか、そういう感じがしてならないんですね。  せんだってある雑誌を見ていましたら、大蔵大臣がブレイディさんに会ったんですね。あるいはパリに行ってパリでも会見された。そのときに、やはり公共投資の問題については総枠提示ということで主張をされた。それを称して日本の国益を守ったという表現がされているわけですが、その反面、やはりアメリカ側に対して非常な何というか思惑違いみたいな点を与えた。そのために円安の報復があったというようなことも報道、そういうふうに書いてあるんですね。そういう点を見ますと、これはアメリカは相当な決意で臨んできているんじゃないかと思うんですね。  それで、外務大臣もベーカーさんにお会いになるんですが、ベーカーさんはもうブッシュさんの懐刀みたいなものですからね、米ソ首脳会談にしたって何にしたって全部ベーカーさんがいて準備を整えて首脳会談へ臨むというぐらいな方でございますから、その点で相当なこれは圧力があるんじゃないかという感じがするんですが、いかがでしょうか。その点をお聞きして質問を終わります。
  79. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) ベーカー長官との会談が私はSIIの問題だけでなしに、先ほども田委員にお答えいたしましたけれども、時間が極めて限られておりますし、私もあしたの午後出て明後日の朝九時ごろ着いて十時半ぐらいから会談をやって、それで昼飯を済ますと、ベーカーさんもワシントンから来てそのまままたワシントンに帰るというようなお互い激しい日程でございますから、時間としては私は不十分であるというふうに思っておりますけれども、大事な日米関係についてはいろいろと協議をいたしたいと思っております。その中に構造協議問題も出てくる可能性は十分あろうと思いますが、全体的に見まして、アジア問題を含めて世界的ないろんなグローバルパートナーシップとしての、例えば麻薬に対する考え方をどうするのか、あるいは環境汚染に対する両国の取り組みをどうするのかとか、グローバルな問題も含めてやるわけでございますから、    〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕 委員大変御心配をいただいて感謝をいたしておりますけれども、私も日本立場を率直に披瀝をしてこの日米間の長い友好関係を維持するように努力をしてまいりたい、このように考えておりま す。
  80. 太田淳夫

    太田淳夫君 終わります。
  81. 立木洋

    ○立木洋君 きょうは中東問題に対する日本外交という点についてちょっとお尋ねしたいと思いますが、御承知のように、パレスチナ国家が独立宣言をして二年半を経たわけですが、この間順調に進むかのように見えた時期も一時期ありましたけれども、依然として問題が山積しておりまして事態は大変だと思うんですね。  それで、世界の平和と安全という問題を考えるならば、当然この地域における民族自決権の完全な確立、同時に平和と安全が守られるということが非常に重要ですし、最近問題になっておりますソ連東欧などのユダヤ系住民の移住の問題、これはこの間の米ソ会談でも問題になったところで、またアラブ諸国としてもなかなか強い反応を示しております。また、五月二十日にはイスラエル人によるパレスチナ労働者の銃撃事件、その後の軍の出動等々があったり、また若干続いた空白期間がありましたけれども、シャミル内閣がまた登場したというようななかなか強硬な立場をとっている内閣のようですし、こういう問題が出てきている中東を日本外務省としてほどのように今ごらんになっておられるのか、まずその点からお聞きしたいと思います。
  82. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 中東情勢につきましては、東西関係の枠組みが変わってまいります中で事態はむしろ流動化しておる。ある意味では緊張が高まっている傾向にあるというふうに私どもも考えておりまして、事態を憂慮しておるわけでございます。  問題の中心はやはりアラブ・イスラエル紛争であろうかと思いますけれども、この問題につきましての我が国の基本的な立場は、既に御承知かと思いますが、イスラエルが六七年以降占領したすべての地域から撤退すること、それから独立国家樹立の権利を含むパレスチナ人の民族自決権が承認されるべきこと、それからイスラエルの生存権が承認されるべきことという原則基本にいたしまして、問題は交渉によって解決されるべきであって、その交渉にはPLOが参加すべきだというのが我が国の基本的な立場でございます。  このような基本的な立場に立ちまして、あらゆる機会をとらえまして我が国としてもその立場の表明、それからあるいは関係当事者との対話を深めること、さらには占領地のパレスチナ人に対する援助を強化するというような手段を用いましてできるだけ問題の解決に貢献をしていきたいというつもりで努力しているところでございます。
  83. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) アラブとイスラエルの対立問題については、日本政府としてもかねてから重大な関心を持っておりまして、今地球上で大変緊張している状況にあると私ども認識をいたしております。  先般来日されましたPLOのアラファト議長にも、私はとにかくエジプトのムバラク大統領が提案しておられたムバラク提案というものでイスラエルとの話はできないものかと。また、その後来られましたイスラエルの外務大臣に対しても、中東の和平をぜひ実現してもらいたいと強い要請をいたしておりましたが、なかなかこの深い対立というものは容易に解決する兆しがない。私どもは、もしここに平和が来たならば、日本は応分の協力をこの地域人たちのためにするという気持ちを十分伝えてございます。
  84. 立木洋

    ○立木洋君 今局長もおっしゃった、また大臣も述べられたことについてわかるわけですけれども、ただ、一九七三年の中東戦争の後、日本政府がとってこられた対応の中で、国連でほとんど毎回繰り返してパレスチナ問題という決議が採択されているんですが、この中に民族自決権の問題、固有の権利の尊重ということが掲げられ、占領地からの撤退の内容なんかが明記されているんですが、今局長が述べられた三つの基本的な点からいえば、このパレスチナ問題の国連決議に対しては賛成されるのが当然のように私たちは見るんですが、国連の決議では毎回棄権されているんですね。これはどういう意味なのか。独立国家を含む民族自決権の尊重、全占領地からのイスラエル軍の撤退等々の内容は、今それが基本的な立場だと述べられているのだけれども棄権されている。どういう意味なのか、そこがどうしても理解しにくいんです。
  85. 福田博

    政府委員(福田博君) まさに先生今お尋ねの話は、そういう御疑問をお持ちになるのだろうと思いますが、そういう御質問が前にもございまして答弁書を出したこともございます。そこのところをちょっとかいつまんで申し上げますと、我が国は、中東和平問題の解決には独立国家樹立の権利を含むパレスチナ人の民族自決権の承認が必要である、そういう立場をとっておりまして、例えば一昨年の十一月にアルジェで開かれたパレスチナ民族評議会におけるパレスチナ国家樹立宣言、そういうものの採択というのは、パレスチナ人の長年の民族的悲願の意思表明として重要な意義を持っているという認識は持っております。  他方、御承知のとおり、国連決議、今案文そのものは持っておりませんが、それにはいつも国家承認の話が入っておるわけでございます。御承知のとおり、国家承認を行うためには国家としての要件を充足していること、具体的に言えば領域があること、そこに住んでいる住民がいること、それからその住民を統治するために実効的な政治権力が確立しているということ、それから国際法を守る意思と能力があることというような一定の条件がございますが、そういう最低限度の条件というのがいわゆるパレスチナ国家について充足されているかというと、そういうふうには考えておりません。したがいまして、御承知のとおり、PLOにつきましても、またこの宣言にありますパレスチナ国家につきましても、私どもは国家承認も政府承認も行っていないわけでございます。  そういうものが含まれておるわけでございますので、したがいまして全体として国連総会のパレスチナ問題における決議案の採択でも、そういう考えで私どもは賛成しないで棄権をしているというのが現実でございます。
  86. 立木洋

    ○立木洋君 パレスチナ問題の基本というのは何かといったら、民族自決権、国家の創設を含む完全な権利が認められるかどうかというのが私はやっぱり根本だろうと思うんです。これを前向きに一歩進める立場をとるかどうするのかという点に私はなってくるだろうと。大体戦後の国連憲章の中でもこのことが明記されているわけですし、御承知のように、一九六〇年の独立付与宣言あるいはその二十五年後のこれの実行状態が国連でも問題になってきたわけです。そして戦後の状態を見ても、百余りの国々が独立宣言をして、そしてそれが国際的にも認められた地位を確立してきている。ですから、やはりそれぞれの民族が自分たちの国を持ち、独立するという権利が完全にすべての民族に保障されるということが私はやっぱり根本問題だろうと思うんです。  前も、これは福田さんにお聞きしたわけではないのだけれども、例えばカンボジアの政権をどういうふうにごらんになるかということになると、それなら、どこに首都があって、どの地域が領土であって、どれだけの住民が統治下に入っているのかと。しかし、その歴史の経過からいうならば、今までの経緯に基づいて日本政府は、今のカンボジアの民主政府ですか、シアヌークさんのあそことの承認ということで経過してきているわけです。  だから、国家の形態、その実際の状況というのはさまざまな経緯があり得るわけで、問題は、その民族みずからがやっぱり国家を持ち、独立したい、そういう民族自決の権利を行使するということに対して、それぞれの世界の国々がどういう対応をしていくかということが私はやっぱり基本になければならないだろうと。また日本政府も、そういうことを公的な見解としては、今局長が述べられたように、やはり国家の創設をも含む民族自決権の尊重ということをきちっと述べられておるんだけれども、現実の対応としてはなかなかそうはなっていない。この間お聞きしますと、パレスチナ国家に対しては、これは法的な承認かどうか は別としても、既に百十八の国々がパレスチナ国家を認めているんですよね。  ですから、この間のアラファト議長を政府として招待されたというふうなところまで踏み込んだということも私たちは決して見ていないわけではありませんけれども、やはりもう一歩この問題についての基本的な点を明確にされることが大切になっているのではないだろうかというふうに思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  87. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 若干繰り返しになるかとは思いますけれども政治的な意味におきましては、我々は、先ほども申し上げたように、独立国家樹立の権利を含むパレスチナ人の民族自決権の承認が必要だという立場をとっておりますし、一昨年のPNCのパレスチナ国家樹立宣言の採択に際しましても、我が国としては、これはパレスチナ人の長年の民族的悲願の意思表明として重要な意義を有するという認識を持っているという立場を表明しておるわけでございます。  ただ、先ほど条約局長から御答弁がございましたように、法律的な国家承認の問題となるとまた話が別でございまして、実は私ども調査いたしましたところでは、明確に新しいパレスチナ国家を承認している国の数というのは今六十四でございます。アジアの国を含めましてまだ未承認の国が非常に多いという国際的な状況にもあるわけでございます。
  88. 立木洋

    ○立木洋君 最近のパレスチナ問題に対する国連での投票の状況を見てみますと、いろいろな状況を見てみますと、大体アメリカとイスラエルが反対という採決の結果というのが多いんですね、一部西側の国々の中では棄権という国ももちろんありますけれども。それで、あの独立宣言がなされてアラファト議長が国連に参加して演説をするというふうな問題になったときに、アメリカ側はビザの発給を拒否したということで、会議そのものがアメリカではなくてジュネーブで行われたというふうな経緯もありましたし、また、世界保健機関が加盟を認めるかどうかという問題も、これも大変金額アメリカは拠出しているわけで、あなた方が加盟を認めるならば拠出金を出さないぞというふうな、おどかしとも言えるような態度がとられた。この間の中東和平国際会議の問題についての国連での決議でも、百五十一カ国が賛成しているけれどもアメリカ、イスラエルは賛成しない。こういう問題等々、私はやはりアメリカのとっておる態度というのはイスラエルの状態とあわせて極めてごり押ししているというふうな状況というのが、国際的にますますごり押ししているんではないかというふうなことがどうも最近の動きの中では一層はっきりしてきているんではないかというふうに思うんですけれども、こういうアメリカやイスラエルなんかの態度については日本政府は、事パレスチナ問題に関連してですが、ほかの問題に広げるとまたいろいろあれでしょうから、この問題についてはどういうお考えを持っているのか。これは賛成されているのか反対されているのか、やはり批判的な見解をお持ちなのか、そこらあたりはいかがなんでしょうか。
  89. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 確かに先生指摘のように、イスラエルと米国が同じ立場をとる場合というのはいろいろな問題については多いかと思います。私どもは一つ一つのケースについてまた私ども立場をとっておりますけれども、他方、イスラエルにとってみますれば、イスラエルの立場ということで申しますれば、一つ一つの問題がまたイスラエルの安全、生存の根幹にかかわってくるという認識をイスラエルは持っておる。そこに一つの国際的な孤立感と申しますか、そういう感じを持ってそこから行動しておるという問題もあるかと思います。それから米国についても申しますれば、米国にはまた米国としての何が最も現実的であるかという判断があるかと思います。  したがいまして、私どもは私ども見方をその都度イスラエルなり米国に話をし、場合によっては要請もし、申し入れもしてきておりますけれども、そういう状況だということでございます。
  90. 立木洋

    ○立木洋君 かつて例えばPLOに所属しているいろいろな組織がテロ行為なんかがあったりしたこともあったし、また、あの憲章自身の中にはイスラエルを抹殺するみたいなことが書かれてあるだとか、いろんな問題、経緯があった。こういう点については、もちろん私たちはパレスチナの民族自決権を完全に尊重するという見地をとりながらも、そういう点については私たちも批判をしてきたわけですが、この点は、八八年に独立宣言がなされ、さらにこういうイスラエルに対する態度を完全に変更するという声明を出されて、すべての形態のテロ、これを絶対に完全に放棄するということも宣言されたわけですし、またイスラエルの生存ということについても、決して破壊しないという態度も明記をされたわけですね。こういうふうにパレスチナ自身も自分たちの大義を貫くためにはどうなければならないのかということをやはり見定めながら事態を前進させてくるという状況になってきたんだろうと私は思うんです。  ですから、今の状況の中で、確かにソ連だとか東欧の新しい変化の中でユダヤ系住民が移住をする、これは私は当然自由な権利として認められるべきだろうと思うんですね。ですから、またその人々がどこに移住するかというのは当然自由でなければならないけれども、それが占領地への移植という形をとると、これは事態がまた変わってくる。今の状況が一層緊張した状態になりかねないという要因もあるわけで、こういう問題についても、やはり日本政府としては民族の自決権を尊重する、イスラエルの完全な占領地からの撤退ということを主張されるならば、この問題に対してもしかるべき対応があっていいんではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  91. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) ソ連からのユダヤ人のイスラエル移住の問題につきましては、中東地域において非常に深刻な問題として受けとめられているというふうに私ども考えております。この問題につきましては、実はことしの二月でございますが、外務省としてステートメントを出しておりまして、その中で、イスラエルの占領地へのソ連ユダヤ人の入植は違法であり容認されない、これは従来からとってきておる立場でございますが、その立場を再確認いたしまして、このようなソ連ユダヤ人移住者の占領地への入植は中東和平の達成にとっても有害であるし、イスラエル政府が占領地への入植を回避させることを強く希望するという立場を公にいたしまして、その後イスラエルとの話をいたします機会にはこの立場は繰り返し私どもも申し入れております。
  92. 立木洋

    ○立木洋君 最後に、もう時間がありませんから大臣に。  今中東の問題は非常に山積しているので、この面にも十分に目を配っていただいて、やはり日本との関係も非常にあるわけですから、民族自決権の問題、それから占領地からの撤退の問題等々も含めてより一歩努力を進めていただきたいと思うんですが、その点の御所見をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  93. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今政府委員からもお答え申し上げましたように、また私自身から御答弁申し上げましたように、平和をつくっていくためあるいはイスラエルとパレスチナの和解をどういうふうにするのが一番いいのか、今思い出してみると、ムバラク提案の後にベーカー提案というのが御存じのようにございました。しかし前進をしない。ここに一番の大きな悩みがあるんではないか。  私どもは、先日もエジプトの外務担当の大臣が来られましていろいろと現地あるいは周辺国の状況をお伺いしておりますけれども、なかなか難しい環境にあるという認識を持っておりますが、せっかくの御意見でございますから、私ども十分踏まえて国連等において積極的に和平構築のために努力をしたい、このように考えております。
  94. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 田さんもお尋ねだったんですが、先般のブッシュさんとゴルバチョフ大統領との首脳会談合意事項が共同声明という形で発表されました。これはSTARTIIを初めとして画期的な内容を含むものであった、こう思うんですが、 中山外務大臣はこの共同声明をどのように評価していらっしゃいますか。
  95. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 世界人たちが一番成り行きを見詰めていたこの米ソ首脳会談において、戦略兵器削減条約への基本的な合意ができた、またSTARTIIを前へやるというようないろんな協定が、かつては激しく対峙していた両国の間に合意ができたことを私は高く評価しております。
  96. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 新聞報道等では、これはもう完全に冷戦体制に終止符を打った、こう報じられておりますが、この首脳会談を契機としていわゆるコールドウオーという言葉は今やもうデッドランゲージになった、このような理解を外務大臣はしていらっしゃいますか。
  97. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 冷戦時代が終わったと私はまだ申し上げたことはございませんで、終わり終わりつつある過程にあるというふうに認識をいたしておりますが、いずれにいたしましても、例えば今回の米ソ首脳会談におきまして、米ソ通商協定というものはソ連における移民法の成立が条件であるというような、いろいろな何といいますか条件つきの合意もございますが、一方では化学兵器の問題とかいろいろな合意ができたことは大変好ましいと。ただ、私どもは明後日ベーカー長官ともお目にかかりますけれどもアメリカソ連の間のいろいろな話し合い、これをやはり日本としても十分認識しておかなければならない。こういう意味で、実は今回の日米外相会談ではそういう点もぜひ話をしたいと考えております。
  98. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 少なくとも一連の米ソ首脳会談を含めソ韓首脳会談も行われましたが、こういったことでありますとか、それからもちろん東ヨーロッパにおける過去一年間のまことに劇的な変化というものが世界的なまさにグローバルな東西南北を超えたデタントに飛躍的に加速を加えているということはお認めになりますか。
  99. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 新しい国際的な枠組みづくりが始まったというふうに私は認識をいたしております。
  100. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いや、ですから、軍縮を初めとするこれは感情の問題も含めたデタントですね。このごろ例えば環境問題で手に快い環境とか、そういう言葉が使われますね。肌ざわりのいい環境問題。同じような意味で、この国際間の問題も現実の軍縮交渉とかそういうことだけではなくて、例えば今回ブッシュさんがゴルバチョフさんを迎えたその気持ちの中に、アメリカ国民の気持ちも含めて、ゴルバチョフさん、あなたも大変でしょう、あなた国内問題がいろいろありますから御苦労さんですね、我々が協力できるところはしっかり協力いたしましょう、少なくともアゲインストするのではなくて協調していきましょうと、そういう温かい気持ちの流れのようなものが私はあったと思うんですが、そういうものが世界的になって、それが結果的に核軍縮を含めたデタントにつながるということをお認めになりますでしょうかとお伺いしているんですが。
  101. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私は委員指摘のようなことが大事なことだと思っておりますが、先般もアメリカの上院の軍事委員会ソ連ゴルバチョフ大統領軍事顧問が証人として出席をしていろいろな質問を受けておられる話をテレビで拝見をしておりまして、ああ今一つ大きな歴史の節目が来つつあるなという認識を私持っておりますけれども、やはり完全に国際的な軍縮が実施をされるという確認がそれぞれの国の政治を預かる者にとって重大な問題ではないかと、私はそのように考えております。
  102. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 その現実具体的な問題については、もうこれは田さんもお尋ねになりましたし、私もしっかりとお尋ねをしたいんですけれども、時間がありませんので省略をいたしますが、ゴルバチョフ大統領はにもかかわらず国内にいろいろな問題を抱えておいでですね。エリツィン氏を初めとする急進派の皆さん、一方にはいわゆる保守派、それもウルトラコンサーバティブな勢力が存在をして挟み打ちに遭っている。一方、民族自決でバルト三国を初めとして独立運動がむしろ過激をきわめた形で出てきているんですけれども、大臣は、ゴルバチョフ大統領がこういった国内の経済的困難も含めた障壁をいわば外国の助けもかりて彼は乗り越えることができるというふうに理解をしていらっしゃいますか。
  103. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私は率直に申し上げて、かたい言葉で言うと、不透明、不安定、不確実という言葉を絶えず答弁のときに使っておりますけれども、先般も訪日されましたソ連の女性の副首相がおられました。いろいろとお話をいたしまして、ソ連の現実の社会生活というものは大変な困難性を持っている。しかし、私は民主化が非常に進んでいるという認識を強くいたしております。
  104. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 とすれば、ソ連の対日姿勢でありますとか軍事戦略でありますとか、そういうものが国内のいろいろな困難や制約や介入や制肘、こういうものにかえって影響されてソ連の対日姿勢というものに変化が起きてくるだろう。これは軍事力の展開も含めて、そのような影響を最近一連のソ連動き、これは米ソ首脳会談も、ソ連国内事情も含めてそれが日本に対して影響を及ぼすであろうということはお考えになりますか。
  105. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 先般来日されたソ連の要人のお話の中にも、日本政府が昨年来受け入れております経済調査ミッション、このミッションがソ連の上層部にレポートを出しております。そのレポートを読まれたソ連政府の幹部の方々は大変高い評価と関心を持っておられるという話を直接私聞いておりまして、私どもはやはり日本をもっと知ってもらうための人的往来、これをもっと進めなければならないと、そのように思っておりますし、また拡大的にそういうふうな作業を進めていくことによって、いまだ日本に来たことのないソ連のいろんな指導者たちが日本の現実を見て、私は新しい日ソ間の展開が図られる一つの舞台をつくりつつあるのではないか、このように認識をいたしております。
  106. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 とすれば、北方四島、北方領土に限定をして、例えばソ連の現在の経済困難とかそういうような状況が北方四島の返還にいい影響を与えるであろう可能性はあるとお認めになりますか。
  107. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 現在のところソ連政府の領土に対する基本的な考え方に何ら変化はない、私どもはそのような認識を持っておりますが、私どもの念願である領土問題の解決に向かってこの考え方が転換されていくということに大きな期待を寄せておるものでございます。
  108. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これは非公式な発言であったかと思うんですが、アメリカゴルバチョフさんがふと漏らした言葉に、取材に来た日本のマスコミの人たちも含めて、なぜ日本人たちはせっかくの機会であったのに北方領土の問題について私に尋ねようとしなかったのか、こういうことを言ったということが報じられていたように私は思うんですけれども、そのことは大臣は御承知ですか。
  109. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 今のような話は私どもとしては承知しておりません。
  110. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いずれにしても、これらの急激な変化でありますとか、外交のテンデンシーといいますか、はやりの言葉で言えばトレンドが私は結果的には北方領土の返還に少なくともマイナスの影響は与えるものではない、このように理解をしております。  そこで、この間、私下斗米さんという大学の先生ですが、この方のお話を伺ったんですが、ソ連国内に非常に楽観的な方もおられれば悲観的な方もいらっしゃる。悲観的という表現が当たるかどうかわかりませんが、ドラスチックな意見の中には、場合によればソ連邦という枠組みが崩れてそれぞれの共和国が独立をする、その可能性が非常に近い将来にやってくるかもわからない、こういうことをおっしゃっていたんですが、たまたまきのうの新聞を見ていますと、ロシア共和国はロシアのコンスティチューションがUSSRのコン スティチューションにシュペリアである、優位に立っているということを主権宣言という形で採択をいたしましたね。ですから、連邦法よりもロシア共和国の憲法が優先する、こういうことですね。これも今申し上げました一つの、これだけ急激な変化をしているんですから場合によれば本来領土を持っていないソ連邦というものが崩壊をしてしまう。そうなった場合、例えば平和条約を締結するあるいは領土の返還交渉をするという場合に、交渉の相手国はこれほどこになるんでしょうね。
  111. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 先生指摘のように、ソ連の中でいろいろ各共和国におきまして民族主義的な動きが強くなっており、そして各国のいわば主権といいますか、権限の強化ということを目指してのいろいろな動きが出ておることは確かでございます。しかし、今現在ソ連で考えられておりますことは、やはり連邦と共和国との権限関係をもう少し明確にしようという動きが出ていることも御承知のとおりでございます。  そういうことで、新たな条約というような形で権限関係を明確にした上で共和国により自治権を与えた形での連邦をつくっていこうということでございますので、私どもとしては将来の動きは大体その方向に行くのではないかと思いますので、その行方を見きわめつつどのような権限関係になるかということを確かめることが必要である、そういうふうに考えております。
  112. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いや、ですから、私は全く仮定の問題としてそういった枠組みができずに連邦というものが全く崩壊をした場合、例えば北方領土は相手方はロシア共和国になるのか、そしてその交渉の相手の人としてはゴルバチョフさんではなくてエリツィンさんになるんだろうか、ロシア共和国の議長さんになるんだろうか、その場合のことをお尋ねしているんですが。
  113. 都甲岳洋

    政府委員(都甲岳洋君) 世界にはいろいろな連邦がございますわけでございますが、ドイツにしてもアメリカにいたしましても、そういう中央政府と各共和国あるいは州の権限というのが明確にされていく中で、そういう問題をどこが究極的に権限を持つかということが決まるわけでございます。多くの場合には領土主権あるいは外交主権、軍事問題等については中央政府が最終的な権限を持つということでおさまっている場合が多いわけでございますので、今後のソ連共和国と連邦の関係もあるいはそういう関係になっていくかもしれない。そういうことで、現在の時点でこれについて予断をするということは余り有益な議論ではないと私は考えております。
  114. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 それは有益な議論ではないかもわかりませんが、私は起こり得る一つの可能性としてそうなった場合のことをお尋ねした次第でございます。  終わります。
  115. 山東昭子

    委員長山東昭子君) 国際情勢等に関する調査についての質疑はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ─────・─────    午後一時四十二分開会
  116. 山東昭子

    委員長山東昭子君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、肥田美代子君が委員辞任され、その補欠として三上隆雄君が選任されました。     ─────────────
  117. 山東昭子

    委員長山東昭子君) 千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力平和的利用に関する協力のための日本国政府フランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中山外務大臣
  118. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) ただいま議題となりました千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力平和的利用に関する協力のための日本国政府フランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  日仏両国には、昭和四十七年に原子力平和的利用に関する協力のための現行協定が締結されていますが、その後、我が国は核兵器の不拡散に関する条約を締結し、また、国際原子力機関との間で保障措置協定を締結いたしました。他方におきまして、フランスも欧州原子力共同体及び国際原子力機関との間で保障措置協定を締結いたしました。さらに、国際的にも核不拡散政策の強化の動きが見られます。このような事情を踏まえまして、現行協定の改正のため、政府は、昭和六十三年七月以来、フランス政府との間で六回にわたる交渉を行いました結果、平成二年四月九日にパリにおいて、我が方木内駐仏大使と先方シェール外務省次官との間でこの議定書に署名を行うに至った次第であります。  この議定書は、原子力平和的利用の分野における日仏間の協力のための法的枠組みを一層整備するものであり、核物質防護に関する規定、核物質等が協定の適用を受けるための要件としての事前通告に関する規定、機微な技術に関する規定等が新たに設けられることなどを定めております。  この議定書の締結は、原子力平和的利用に関し、我が国にとって重要なフランスとの協力を長期的に安定した基礎の上に確保するものであり、今後の我が国の原子力平和的利用の促進及び核拡散防止への貢献に資するものと考えられます。また、フランスとの間の友好協力関係の維持及び増進の観点からも、本議定書の締結は有意義なものと考えております。  よって、ここにこの議定書の締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  119. 山東昭子

    委員長山東昭子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  120. 久世公堯

    ○久世公堯君 最近、発展途上国も含めまして世界的にエネルギー需要は着実な増大が見込まれておりますが、その中で、再び石油需給の逼迫などの資源制約の顕在化が懸念されているわけでございます。このために、需要面におきましては総合的な省エネルギー対策の強化が求められ、供給面におきましては石油依存度の一層の低減が必要だと思われます。  去る一週間ぐらい前でございましたか、通商産業省の総合エネルギー調査会で、「地球規模のエネルギー新潮流への挑戦」と題するところの中間報告が出されましたが、ここでも指摘をされておりますが、国際的なエネルギー需給の緩和あるいは地球環境問題への対応といった国際貢献の視点からも、原子力はすぐれたエネルギー源と言われているわけでございます。  エネルギー政策、特に原子力発電をめぐる問題は、国内的にもまた国際的にも重要な政策課題でございます。私は、たまたま一昨年、約十日間ヨーロッパ原子力事情を視察をいたしました。各国とも原子力開発に極めて熱心でございまして、国民生活に不可欠なエネルギーを安全かつ低廉に供給するという信念に基づいて当事者は努力をいたしております。また、原子力発電に対する国民の理解を増すためにさまざまな努力を払っておりました。私はこの視察以来、原子力問題の重要性を従来よりも一層認識をいたしまして、国際的な情勢も含めて興味を持ってフォローしている次第でございます。  一般にこの先進国の情勢について申しますと、チェルノブイリ事故以降も、フランス、西独、英国あるいは米国等の主要国におきましては、原子力政策を推進いたしております。昨年七月のアルシュ・サミットにおきましては、これらの主要国は、原子力発電が地球環境の問題に対しても大変有効であるということを評価しているわけでございます。  フランスにおきましては、積極的な原子力開発利用政策を実施しております。総発電量の約七割を原子力発電に依存し、安い電力をイタリーとか英国、近隣諸国にも輸出いたしております。西独は、豊富な石炭資源を有しながら、原子力発電を積極的に推進しております。総発電量の約四割でございます。英国は、北海油田の開発に成功し、石油の輸出国となっておりますが、経済性のすぐれた軽水炉導入を決定いたしまして、長期的なエネルギーセキュリティーの視点から原子力を積極的に推進いたしております。米国にも私は時々参りますが、ブッシュ政権下でも、レーガン政権に引き続きまして、エネルギーセキュリティーなどの視点から原子力発電を推進いたしております。より安全を目指して次世代の新型炉の開発にも着手し、また環境保護団体も、地球環境対策上原子力を評価する動きも出てきております。一方、スウェーデンとかイタリーにおきましては、原子力からの脱却を目指しておりますけれども、さて、といって原子力に代替するエネルギー開発には行き詰まっている状況と承っております。  私は諸外国の視察以来、やはり国内原子力事情についても調査、視察をしなければいけないと思いまして、東海なり敦賀なり美浜なり、こういうところを体験をいたしたわけでございます。我が国の場合は、特に原子力安全対策について万全の策を講じており、私は世界に誇るべきものと確信をいたしております。現在、我が国は原子力発電三十八基、そして三千万キロワットの原子力発電所が稼働いたしております。エネルギーのベストミックスを図っていく上におきましても、原子力発電の推進が必要でございます。ただ、もちろん諸外国と同じく、いろいろと反原発運動を背景にいたしまして原子力開発が難航していることも事実でございます。  私は、これから日仏原子力協定の改正についての質問を行うに当たりまして、私が日ごろ原子力問題について持っております考えあるいはささやかな体験についての感想を述べた次第でございます。  以下、原子力問題についての国際的な連携、協力という点を中心にして科学技術庁、外務省、通商産業省等のお考えをお尋ね申し上げたいと思います。  まず最初に、原子力問題についての国際的連携について三点お尋ねを申し上げたいと思います。事実とか内容の点に関しては、ひとつ科学技術庁あるいはもし必要があれば通商産業省の方から御答弁を願い、その後三点を総括して原子力問題についての国際的連携という角度から外務大臣に御答弁を願いたいと思うわけでございます。  まず第一点目でございますが、最近アジア諸国を初め発展途上国においても原子力開発が進捗をいたしております。チェルノブイリ事故からも明らかなように、原子力安全問題は一国の問題だけではなく、各国共通の問題として取り組むべきものでございます。世界的にもすぐれた原子力安全対策についての技術を持っております我が国が、発展途上国などに対して原子力の安全性等について協力を推進し、国際貢献をするということが我が国の原子力開発にとっても重要と考えておりますが、これについてのお考えを承りたいと思います。
  121. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  原子力の安全確保は、基本的にはそれぞれの国が責任を持って行うべきものでございますが、これが高いレベルで実施されるようにするためには、国際協力が極めて重要でございます。チェルノブイリの事故を契機にますますその重要性は高まってきておる、かように認識しておるところでございます。  このため、途上国を含めまして百十三カ国が加盟しております国際原子力機関、IAEAなどにおきまして、安全確保のための国際的な基準あるいは指針の策定、技術情報の交換、あるいは安全研究などの協力活動が行われてきておるところでございますが、我が国もこれらの活動に積極的に貢献してきたところでございます。  また、我が国独自の活動といたしましては、途上国の原子力安全担当者を対象とした原子力安全規制セミナーの実施、原子力研究交流制度等に基づく研修生の受け入れ、国際原子力機関技術協力計画に基づく研修生の受け入れ、さらには各国関係機関との取り決めに基づく研究協力などを行ってきておるところでございます。  さらに、本年五月には韓国との間におきまして安全分野の協力等を内容といたします原子力協力取り決めが締結されたところでございまして、今後具体的な協力が進められるところでございます。  今後とも、原子力先進国の一員といたしましての国際的な責務を果たすため、このような発展途上国との原子力安全に関する国際協力について積極的に対応してまいる所存でございます。
  122. 久世公堯

    ○久世公堯君 今後原子力を開発していくためには、先進諸国間における安全性の向上あるいはPA面での協力といったような国際的な連携を図ることが重要と思われますけれども、この点についてはどのようにお考えでございましょうか。
  123. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  原子力の安全確保につきましては、我が国のみならず、原子力の開発利用の推進を図っております国々における共通の課題でございまして、安全性の面で諸外国との協力を進めてまいりますことは極めて重要と考えておるところでございます。このため、従来からアメリカ、フランス、西ドイツ等の先進諸国との間の二国間協力、先ほど申し上げましたIAEA、それからOECDの原子力機関等の国際機関を通じましての多国間の協力の形で安全性向上のための国際協力を展開してきておるところでございます。  また、PA、パブリックアクセプタンス、広く一般への原子力の受容ということでございますが、PA面におきましても、国民の理解と協力をいただきます上で国際的な連携を図ることも極めて重要と考えておるところでございます。  現在、パブリックアクセプタンスに資するため、国際原子力機関あるいはOECDの原子力機関における原子力の必要性あるいは安全性等に関する各種の情報の取りまとめ等に協力を行っておるところでございます。  特に日仏間の原子力協力につきましては、我が国の総利用の二〇%のウラン濃縮役務をフランスに委託してきておることを初めといたしまして、使用済み燃料の再処理委託、六ケ所村再処理工場の建設のための技術協力、安全分野における研究協力等、現行協定に基づいて行ってきておるところでございます。  以上でございます。
  124. 久世公堯

    ○久世公堯君 きょうは日仏原子力協定の問題でございますが、今おっしゃいましたように、フランスと我が国は原子力分野では世界でも先導的な技術を持っているわけでございまして、国の基軸エネルギーとして積極的な開発を進めているわけでございます。今御指摘がありましたように、現行協定のもとにおいても大変な協力関係にあるということを具体的に承ったわけでございます。  そこで、三点目の御質問を申し上げたいと思いますが、フランスからの技術導入と我が国における研究開発の成果を活用して、今もちょっとお触れになりましたが、青森県の六ケ所村において建設計画が進められている核燃料サイクル施設は、.我が国が自主的な核燃料サイクルを確立する上において極めて重要であって、私はぜひともこれを進める必要があると考えますが、このような自主的核燃料サイクルの確立についての政府のお考えをお尋ねしたいと思います。
  125. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答えを申し上げます。  先生指摘のとおりに、自主的な核燃料サイクルの確立は、我が国が長期間にわたりまして原子力発電を推進し、エネルギー供給の安定化を図る上に必要不可欠な課題であると認識いたしておるところでございます。  現在、青森県六ケ所村において進められております核燃料サイクル施設の計画は、我が国におけ る自主的な核燃料サイクルの確立のために必要なものでございまして、エネルギー政策及び原子力政策上極めて重要なプロジェクトであると認識しておるところでございます。  政府といたしましては、今後とも安全の確保を大前提に、地元の皆様の一層の御理解と御協力をいただきまして、核燃料サイクル施設の計画が円滑に推進できますよう最大限の努力をいたしてまいる所存でございます。
  126. 久世公堯

    ○久世公堯君 ただいま原子力問題についての国際的連携について三点お尋ねしたわけでございますが、外務大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、今第一点目は発展途上国におけるところの原子力開発についての国際貢献。二点目は先進国との間の、特に安全性あるいはPA面での協力、とりわけきょうの議題となっております日仏間の問題。そして三点目には、今フランスの技術導入を受けて六ケ所村に建設計画をしている核燃料サイクルについての確立の問題。三点を政府委員の方から御答弁いただいたわけでございますが、これを通じて原子力問題についての国際的な連携についてお考えを伺いたいと思います。
  127. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今委員からお尋ねの政府委員答弁をいたしました三点につきまして、日本国政府といたしましては、被爆国であるという立場でまずあくまでも原子力開発は平和利用ということに原則徹していなければならない、こういうことで、先進国との間におきましても核不拡散条約の締結、あるいは国際機関における日本の協力、また発展途上国におきましても、先般いろいろ国際機関におきましても、日本の平和利用の協力と不拡散の問題についてあらゆる場において努力をいたしてきておりますが、今後とも政府といたしましては、核不拡散というものを大きくとらえながら、原子力の平和利用のために、先進国及び発展途上国ともども協力をしながら進めてまいりたいと考えております。
  128. 久世公堯

    ○久世公堯君 それでは次に、原子力の平和利用とその枠組みについてお尋ねを申し上げたいと思います。  原子力の利用に当たりまして、原子力を平和目的に利用することを確保していくことが絶対に必要だろうと思います。そこで、原子力平和利用のための国際的な枠組みにはどのようなものがあるでしょうか。また、特に技術面での密接な協力を進めている国の間の平和利用面からの枠組みは一体どのようになっているか、一般論と、それから二国間と申しますか、そういう問題について実態をお尋ね申し上げたいと思います。
  129. 太田博

    政府委員太田博君) お答えいたします。  まず、先生お尋ねの国際的な枠組みでございますが、国際社会がこれまで原子力平和的利用を促進するとともに、核拡散の防止を図るという二つの基本的な目的を追求してしてきたことは先生先ほど来御指摘のとおりでございます。  まず、一九五七年には国際原子力機関憲章に基づきまして国際原子力機関が設立されました。  それから、一九七〇年に発効いたしました核兵器の不拡散に関する条約、いわゆる核防条約におきまして、核兵器国がいかなるものに対しても核兵器を移譲しないということを約束する一方、非核兵器国は核兵器の製造等を行わないこと、原子力平和的利用活動にかかわるすべての核物質について国際原子力機関による保障措置を受け入れること等を約束することになりました。この核防条約に基づきます保障措置協定が非核兵器国と国際原子力機関との間でそれぞれ結ばれるようになったわけでございます。  さらに一九七四年のインドの核爆発実験を契機といたしまして各国による核不拡散政策が強化されまして、一九七八年には原子力資材等の移転に関する供給国グループの指針であるいわゆるロンドン・ガイドラインというのが作成されまして、核物質や技術等の移転に当たって一定の輸出規制措置がとられることが表明された次第でございます。  それから、さらに国際的な枠組みといたしまして、いわゆる核物質防護条約というのが発効いたしております。核物質を不法な取得及び使用から防護する国際協力の必要性が強く認識された結果、一九八七年に至りまして国際輸送中の核物質について一定の防護措置をとることを義務づける核物質防護条約が発効いたしました。  このような多数国間の枠組み、協力に加えまして、二国間の原子力協力の場におきましても、平和利用と核拡散の防止という二つの目的を同時に達成するという観点から、原子力平和的利用協力協定というのが結ばれておりまして、核拡散防止のための国際的な枠組みの一部を構成しているのが現状でございます。  それから、技術面での協力につきましては、一定の分野の技術を移転する場合は平和的非爆発目的の確保等の規制を適用すべきであるという考えが先ほど御紹介いたしましたロンドン・ガイドラインに示されておりまして、輸出規制措置がとられることが表明されております。我が国といたしましては、このような技術が移転される場合にも平和的な利用が確保されるよう万全を期しているところでありまして、今回の日仏協定の改正はまさしくそのような努力の一環で核拡散の防止という観点からの規制の強化を図ったものでございます。
  130. 久世公堯

    ○久世公堯君 我が国の原子力の利用は、原子力基本法に基づいて厳に平和目的に限られているわけでございます。我が国が外国の原子力利用に関係する場合においてもこの精神を貫くべきものであると思いますけれども、いかがでございましょうか。  また、今の原子力基本法にのっとって我が国から移転されるものに対して平和目的に限って利用されることになるとすれば、日仏間において我が国からフランスに移転される核物質なりあるいは機微な技術等に対して新しい協定ではどのような方法によって平和利用が確保されるように仕組まれているのでございましょうか。
  131. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) 今ほどの先生の御質問のうち前半部、原子力の平和利用の考え方に関しましてお答え申し上げます。  我が国の原子力の研究開発及び利用を進めるに当たりましては、原子力基本法に基づきまして平和の目的に限りこれを進めておりますことは先生指摘のとおりでございます。  これは我が国の原子力政策を宣明した規定でございまして、我が国法としての効力が及ぶ限り原子力の研究開発、利用は平和の目的に限り行うべきであることを定めたことと承知しておるところでございます。  さらに原子力の平和利用につきましては、我が国が外国の原子力利用に関係する場合にも、原子力委員会で過去に決定いたしておりますように、原子力基本法の精神を貫くべきものと考えるところでございます。今後とも原子力基本法の平和利用の精神を堅持いたしまして、原子力の研究開発及び利用を進めてまいる所存でございます。
  132. 久世公堯

    ○久世公堯君 それでは、ただいまもお話のございました核不拡散政策と今回の改正協定の意義について、またそれに対する我が国の取り組みについて承りたいと思います。  今回の協定の改正は核不拡散の規制を強化することにあると私は承知しておりますけれども、こういう視点から見た現行協定の問題点なり、あるいは改正協定における各種の規制権の内容について具体的にお答えをいただきたいと思います。
  133. 太田博

    政府委員太田博君) お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、今回の協定の改正の目的は核不拡散の規制の強化ということでございまして、現行の協定が締結されて以降、先ほど御説明申しましたように、特にインドの昭和四十九年の核爆発実験を契機といたしまして各国による核不拡散政策の強化、これが図られることになりました。したがいまして、現行協定の問題点と申しますのは、そういう新しい核不拡散強化の観点に照らして規制が不十分であるということでございまして、今回の改正はこの不十分な点を補って新しい核不拡散体制の強化を図ったということでございます。  具体的に申しますと、現行協定では、協定に基づいて移転された核物質等は平和的目的にのみ使用されることとなっておりましたが、改正後の協定におきましては「平和的非爆発目的にのみ使用されること」ということが明記されることになりました。  それから、第二点といたしましては、現行協定には核物質防護に関する規定は存在しておりませんけれども、改正後の協定におきましては、協定の適用を受ける核物質には適切な核物質防護の措置をとることということとされました。  それから、管轄外の移転の場合の規制でございますが、これは現行協定にもございますけれども、この規制の内容を一段と強化いたしました。  それから、現行協定では機微な技術というのが規制の対象となっていなかったわけでございますけれども、今回の改正によりまして機微な技術に関しましても、先ほど申しましたような平和的非爆発目的利用ですとか、それから管轄外移転の規制等々の規制が適用されるというふうにされた次第でございまして、以上が改正点の具体的な点でございます。
  134. 久世公堯

    ○久世公堯君 核不拡散の一つの手段は、先ほどもお話がございました国際原子力機関、IAEAの行う保障措置だとされております。今回の日仏協定におきましてもこの保障措置が適用されるということですが、核不拡散上重要な国際課題でございますこの保障措置について、我が国として何か貢献することができるかどうか、この点について承りたいと思います。
  135. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  IAEAの保障措置は、有意量の核物質が平和的な原子力活動から核兵器その他の核爆発装置の製造のためまたは不明な目的のために転用されることを適時に探知すること及び早期探知の危惧を与えることによりこのような転用を抑止することを目的といたしておりまして、核不拡散上重要な手段であると認識しておるところでございます。  このようなIAEA保障措置に対しまして、我が国といたしましては、IAEAのフルスコープ保障措置を受け入れるなどの国内保障措置を充実することはもちろん、以下のようなさまざまな面で支援を実施しているところでございます。  例えばIAEAへの査察員等の職員の派遣、アジア太平洋地域国内計量管理制度に関するIAEAトレーニングコースの我が国での開催、IAEAが用いている測定装置や監視装置を我が国みずからの研究開発資金で開発する対IAEA保障措置支援計画、これはJASPAS、ジャスパスと呼んでおりますが、を実施しており、また我が国からのIAEAに対する特別拠出金によりまして諸外国と協力して保障措置手法の検討を行っております。  さらに我が国の大型化、自動化した施設の保障措置の実施のため、我が国が特殊な保障措置機器の開発を行い、これをIAEAが利用しているところでございます。  我が国といたしましては、このようなさまざまな支援を今後とも実施し、IAEA保障措置の実施に対しましてさらに貢献してまいりたい、かように思っておるところでございます。
  136. 久世公堯

    ○久世公堯君 最近、核拡散の危険性がいろいろと指摘されている国が、あるということを承っております。アジアでは例えばNPTの非加盟国であるところのインドとパキスタンが問題だろうと言われております。このインドとかパキスタンは昔から核兵器の開発の疑惑がございましたが、最近の米ソのデタントによりましてインド、パキスタンに対する超大国軍事影響力が低下をいたしております。こういうところからカシミールにおける核兵器の使用の懸念が高まってきていると聞いております。こういうような国への核拡散を抑止する視点からも、我が国は積極的な核不拡散政策を展開する必要があると思いますが、お考えを承りたいと思います。  また、こういうような情勢でもございますから、今回の日仏協定の改正は世界の核不拡散体制の強化に資することになるだろうと思いますが、いかがでございましょうか。外務大臣から御発言をいただきたいと思います。
  137. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 原子力の利用につきましては、我が国としては積極的な核不拡散政策を展開しておりまして、平和的利用の確保を追求していくことは御指摘のとおりでございます。このため、日本は核不拡散条約を核拡散防止と原子力平和利用とを両立させる国際的枠組みの基本として位置づけ、同条約を基礎とする核不拡散体制の強化のために努力を傾注しているところでございます。  具体的には、機会あるごとに国連軍縮会議等の場及び二国間の会談、協議の場におきましても、未締結国に対し同条約の締結を訴えておりまして、御指摘のインド、パキスタンに対しても、先般海部総理が両国を訪問されました際、両国首脳に申し入れたところでございます。  今回の協定改正も、核拡散防止の観点からの規制の強化という国際的な動向を踏まえたものでございまして、御指摘のとおり、世界の核不拡散体制の強化に資するものと認識をいたしております。
  138. 久世公堯

    ○久世公堯君 ただいまの点に関連をいたしまして、一九九五年、これはちょうど二十五年で期限が切れることになろうかと思いますが、この核不拡散体制を今後維持強化に向かわなければいけないと思っておりますが、これに関連して我が国はどのように対応するのか。また、これに関連をいたしまして、ことしの八月に核不拡散の再検討会議というものがあると承っておりますが.それに対してどのように我が国が対応するか承りたいと思います。
  139. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 核不拡散体制が一九九五年以降も存続をし、強化されることが国際の平和と安全にとり極めて重要であるとの認識を有しております。日本はこのような立場から、本年八月のNPT再検討会議の場を含め、今後ともあらゆる機会をとらえてNPT未締結国の早期締結に向けての外交的働きかけを行う等、核不拡散体制の拡充強化に一層の努力を傾注してまいる所存でございます。
  140. 久世公堯

    ○久世公堯君 原子力政策あるいは国際的な協力、そして今回議題になっておりますところのこの日仏原子力協定の改定問題につきまして主な点を承ったわけでございますが、フランスという国は自分の国の歴史と伝統、そういうものに対して大変誇りを持っている国だと私は昔から思っております。党派のいかんを問わず、小学校の先生がルイ十四世やナポレオンの偉業をたたえ、それをまず教える。また、三色旗を掲げ、あのアロン ザンファン ドゥ ラ・パトリーユで始まるラ・マルセイエーズを高らかに歌って、自国に対する大変な誇りと自信を持っている国である、このように理解をいたしております。  特に昨年は革命二百年。ここで注目すべきことは、フランスが技術の面においていろんな世界の最たるものを持っているということを示したことでございます。例えばパリの東北部にございますところのラ・ヴィレットの科学・産業博物館、あるいはまた衛星の分野におけるところのSPOT、あるいは新幹線の二倍の速度で走る例のTGV、いずれもフランスが世界に誇る技術をあらわしたものだと私は思うわけですけれども、その中でも最も技術の粋というものの一つが原子力の分野であろうかと思うわけでございます。私は、今回のフランスの原子力協定の改定に当たりまして、フランスのこの技術というものを高く評価するとともに、フランスが自分の国に対して伝統、歴史あるいはそういう技術に大変誇りと自信を持っているというところに敬意を表している次第でございます。  私が一昨年フランスの原子力発電所を視察いたしましたとき、御婦人の技術者がたくさんおられました。また、御婦人の広報担当者もたくさんおられました。そして、原子力発電の担当責任者の方からこんな言葉を聞いたわけでございます。我我はアラブの石油よりもフランス人の技術者を信ずる、あるいは我々はアラブの王様よりもフラン ス人の技術者を信ずる。こんなふうな言葉を聞きましたときは、今申し上げましたフランス人の自分の国に対する誇りと技術に対する自信というものに対して大変感銘を受けまして、私どももその精神を学ぶべきものだと思った次第でございます。  私がこの感じたことにつきまして関係省庁から感想をお願いしたいと思うわけでございますが、あわせて関係三省から原子力科学政策についての基本考え方も最後に承りたいと思います。  まず最初に、エネルギー政策を担当される通商産業省から、今後のエネルギー政策における原子力の位置づけ、あるいは国際的な連携のあり方について承りたいと思います。
  141. 藤田昌央

    説明員藤田昌央君) お答え申し上げます。  ただいま先生指摘ございましたように、エネルギー資源に乏しい我が国といたしましては、フランスと同様、エネルギーセキュリティーの確保の観点から、供給安定性、価格安定性にすぐれております原子力を不可欠なエネルギー源として位置づけまして、従来よりその利用を積極的に推進してきたところでございます。  また、エネルギー問題は、資源制約の克服、地球温暖化問題への対応等、世界的な視野に立った対応が重要でございますが、その中で、技術集約型のエネルギーでございます原子力につきましては、先進国が率先して開発に取り組むべきものと考えておる次第でございます。  通産省といたしましては、今後ともエネルギー源としての原子力の重要性にかんがみまして、安全性の確保に引き続き万全を期しまして国民の理解を得、安全性の一層の向上、PA対策等の面でさらなる国際協力を促進することによりまして、原子力の利用を着実に進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  142. 久世公堯

    ○久世公堯君 今のアラブの石油よりもフランス人の技術者を信ずる、この言葉についての感想を聞かせてください。
  143. 藤田昌央

    説明員藤田昌央君) まさにナショナルセキュリティーがエネルギー問題において重要であるということについては、エネルギー政策を担当いたします通産省といたしましても同じ考え方を持っております。その意味で、また原子力は技術集約型のエネルギーでございまして、そういうようなエネルギーを我が国として率先して開発していくべきものと考えております。
  144. 久世公堯

    ○久世公堯君 それでは次に、原子力政策一般を所掌する科学技術庁から原子力開発の基本政策について伺いたいと思います。あわせて今の言葉に対する感想もお願いいたします。
  145. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  今ほど御答弁のございましたように、エネルギー資源の約八割を海外からの輸入に依存しております我が国におきましては、エネルギーの安定供給の確保を図りますことは何より重要でございます。この課題に対しまして、原子力は高度な技術を集約して生み出されるエネルギーでございまして、技術を持つこと、技術を手にすることによりまして解決の道が開かれていくという、そういう種類のエネルギーであろうと認識いたすところでございます。  先生の今のお言葉を承りまして私思い出しましたのは、現在生きております原子力委員会が定めました原子力開発利用長期計画、これは昭和六十二年に定めておるわけでございますが、その一節に、石油の特徴を述べました後で、「これに対して原子力は高度な技術を集約して生み出されるエネルギーであり、エネルギーの安定確保という課題を、「資源を持つこと」に加えて、さらに「技術を持つこと」により解決する途を拓くものである。すなわち、原子力は、技術力によってグローバルなエネルギー問題の解決に大きな役割を果たし、それを通じて国際緊張の緩和や国際協調の進展に貢献することを期待し得る人類の貴重な知的資源である。」と述べておるところがございまして、そのくだりを思い出した次第でございます。  このように、原子力は供給の安定性、経済性あるいは最近議論されております環境影響等の面ですぐれたところを有しておりまして、我が国のエネルギー供給構造の脆弱性の克服に貢献する基軸エネルギー源として、その開発利用を推進することが重要であると考えておるところでございます。また、初めの方に先生から御指摘のございましたように、原子力開発利用を円滑に進めてまいりますためには、国民の皆様の御理解と御協力をいただきますことが何より重要なことであると認識しておるところでございます。  このようなことから、今後とも安全確保に万全を期するとともに、大方の皆様方の理解と協力を得ながら原子力の開発利用を着実に推進してまいる所存でございます。
  146. 久世公堯

    ○久世公堯君 最後に外務大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、一つは先ほどの言葉についての御感想も承りたいし、また外交政策全般を預かられる外務省から、原子力政策と核不拡散への取り細みにつきまして承りたいと思います。
  147. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今委員からお話のフランス人の言葉、これはやはり自国の科学者、またその技術開発力についての大いなる自信を示したというふうに私は認識をいたしております。日本におきましても、委員指摘のように、エネルギー資源に極めて恵まれていない国家でございまして、我々が戦後あるいは戦前において使っておりました水力発電もなかなか先行きは暗いものがございます。また、新しい技術として太陽熱発電とか、あるいは地熱発電、潮流発電、このような発電の新しい技術につきましても、まだ経済性が確立されていないという観点から見ますと、残されたエネルギーとしては原子力の発電によるエネルギーの確保ということがエネルギー資源に恵まれない日本にとっては極めて重要なことだと私は認識をいたしております。  一方、原子力の利用につきましては、非核原則基本として私どもは平和利用に徹すると、また国際的には核不拡散の運動をこれからさらに進めなければならないと、このように考えております。
  148. 久世公堯

    ○久世公堯君 日仏の原子力協定の改正についての御質問は大体以上にさせていただきたいと思いますが、残った時間で少し日米関係についての一般的な外交問題について御質問申し上げたいと思います。  私は、長く内政ないし地方自治というものを体験をいたしました経験から、日米関係について二つの持論を持っているわけでございます。一つは、経済関係だけが日米関係ではないということでございます。もう一点は、東京とワシントン、あるいは東京とニューヨーク、そういう関係だけが日米関係ではない。この二つの点について外務大臣の率直な御意見を承りたいと思う次第でございます。  まず第一点の、経済関係だけが日米関係ではない、もっと広い視野から日米関係を考える必要性というものを痛感をいたしております。最近は、日米関係と申しますと経済摩擦、貿易のインバランス、スーパー三〇一条問題、あるいは先般の構造問題協議というふうに、経済関係が主として論議の対象とされておりますけれども、我が国の外交の基軸とも言い得る日米関係というのは、経済関係だけではなくて、政治、行政、社会、文化、そういう各般にわたる広い視野において考えなければいけないと思うわけでございます。  例えば、先般の日米構造問題協議あるいは従来から論議をされた経済問題につきましても、例えば先般の流通問題、土地問題、投資問題あるいは大店法問題、こういう問題の本当の抜本的な改革を図るためには、あるいは日本の国土構造にも問題があるし、日本の中央、地方を通ずる行政体制にも問題があって、それを改革しない限り本当の改革にはならない、こんな感じさえするわけでございます。  また、外務大臣はよく外交と内政は車の両輪だと言われておりますけれども、外交上の課題は内政上の確かに重要問題であり、また内政上の重要課題は、同時に国際的な関連が多くて、外交上も非常に大事な問題だろうと思うわけでございま す。  こういう意味からも、私は外務省は一方において国内行政というものを十分に知り、外交、国際的な視点からこの総合調整というものを行っていただきたいし、また他方におきまして、米国の国内各分野の内政上の問題も踏まえて外交をやっていただきたい、こういう感じを持っておりますが、いかがでございましょうか。
  149. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今御指摘のように、日米関係は単なる経済問題だけではないと、こういう御指摘でございますが、全く同感でございます。日米関係はかねて良好でございましたが、最近はアメリカ日本に対する貿易の収支が継続的に赤字を計上しておる、しかもアメリカの貿易赤字の約半分に達しているというようなことに加えて、日本からの不動産を買う話、あるいはいろんなアメリカの一般大衆の心にとげが刺さるようなことも実はございまして、私も、日米関係が不健全な状況になることを外務大臣としては極めて用心をしている立場にあると思っております。そういうことで、やはり日米間は経済だけではなしに、国家の安全保障の面においても大きなかかわりがございますし、さらにこれを支えるものはやはり両国の国民、これがお互いに相手の考え方をよく理解できるような仕組みというものがどうしてもこれからは必要になってこようと思います。戦後フルブライト留学生でたくさんの日本人がアメリカに勉強に渡られておりますが、アメリカから日本に来て勉強される方は極めて少のうございました。私はそういう意味で、これから日米間の草の根的方々がもっと多く交流をされる、そして日本の社会でもアメリカで勉強してこられた方々がアメリカの社会で生活をしたその体験を生かしてアメリカの発想というものを理解できるようなことであってもらわなければなりませんし、また日本人もよくアメリカ人を理解してもらいたいと、こういうことで内政即外交、外交即内政という言葉を私は就任以来使っているわけでございます。
  150. 久世公堯

    ○久世公堯君 ありがとうございました。  もう一点は、先ほども申し上げました東京―ワシントンだけが日米関係ではないということでございます。あるいは経済問題であれば、東京―ニューヨークと言った方がいいのかもしれませんが、私は日米関係というものは、そういう東京とワシントンというような点と点の関係ではなくて、地方自治交流も含めた面と面の関係でなければならないと考えております。私はたまたまここ二年ぐらいの間に二度ばかり全米知事会議というものに出席をいたしましたが、それ以来アメリカの二、三十人の知事さんといろんな面で交流を続けております。で、アメリカの知事は、御承知のとおり、歴代の大統領で州知事の経験を持っているのは十四名おられるはずでございます。大統領は四十一代でございますから三分の一でございますし、任期を考えますと二分の一ぐらいが知事出身の大統領だと思うわけでございます。御承知のとおり、アメリカの知事は第一級の人物が多いし、米国の政界におきましても大きな発言力と力を持っていると思います。そこで外務大臣とされましては、こういう東京―ワシントンだけの日米関係か、もっと広い面と面との交流の面か、また今申し上げましたような知事というような存在について日米関係のより改善に対してどのような対応をされるおつもりか、承りたいと思います。
  151. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 日米知事会議お話委員から御指摘になりましたが、私は地方自治の指導者がその立場立場において両国の地方自治の現状あるいは未来について語り合っていただくことは大変有意義だという認識を持っております。また、姉妹都市の面を見ましても、現在日本の姉妹都市の中で米国の町と姉妹都市を結んでいる数は全体の約半分近いところがございます。そうすると、七百六十三姉妹都市が結ばれておりますが、米国との関係では二百四十九都市これが結ばれておりまして、それぞれの間にいわゆる地方自治体との、先生の御指摘の面と面とのつながりが深く行われておる。また一方、青年会議所あるいはライオンズクラブ等におきましてもこの姉妹関係が随分多く結ばれておりまして、そういう意味では地域に根づいた面と面とのつながりが大変深くなっていると私は認識をいたしております。
  152. 久世公堯

    ○久世公堯君 外務大臣は静岡県の興津にあります西園寺公望公の坐漁荘というのを御存じでございますか。今はかなり埋め立てが行われましたあの海岸べりに坐漁荘があるわけでございまして、その近くに水口屋という旅館がございました。当時のいろんな各界の層の方が水口屋に泊まって坐漁荘を訪れたというふうに承っております。  私は、アメリカの元大統領あるいは前大統領で現在生きておられる方といいますか、御存命の方は四名かと思うわけでございます。ニクソン大統領はニュージャージー州のウッドクリフレイクというところにおられ、フォード大統領はカリフォルニア州のランチョミラージュというところにおられ、カーター大統領はアトランタにおられ、レーガン大統領はロサンゼルスにおられると承っております。こういう大統領がワシントンで政治をやられてから、自分の御郷里にお帰りになりまして、そしてそこで余生を送られ、あるいはそこをいろんな各界の方が訪ねておいでになる。また、例の二十八代大統領のウィルソンなどは、プリンストン大学の学長を経てからニュージャージー州の知事になり、そして大統領になられた。一州を治める者が一国を治める、私はすばらしいことだと思います。そして、大統領をおやめになってから自分の郷里あるいは自分のいわれの深いところにお住まいになっている。静かなところでいろんな方とお会いになっていると承っております。こういうことについて、どういうふうにお感じでございましょうか。
  153. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今先生から御指摘の大統領の中で何人かの方が知事の御出身であられたり、また、大統領をおやめになった後、御自身のふるさとあるいは好みの場所で余生を送られる中で、いろんな人たちがそこを訪問していくということはまことに好ましいことである。日本の歴代の総理の中にもこういう方々を訪ねられた方々もいらっしゃいますし、また、閣僚の中でやめられた閣僚を訪ねていかれる。例えば今回安保三十年で特派大使として行かれる安倍晋太郎氏は、帰りに外務大臣当時何遍も日米問題を話し合ったシュルツ前国務長官をサンフランシスコにわざわざ訪ねていかれるということでございまして、そのように旧交を温めていただくということはまことに結構なことだと私は思っております。
  154. 久世公堯

    ○久世公堯君 先ほどの西園寺公望公の坐漁荘、あの付近には老公というお酒があるはずでございます。西園寺公をたたえてお酒までできたという話があるわけでございます。そういうことを考えますと、今、安倍元外務大臣が当時のシュルツ国務長官をお訪ねになるというお話を承りましたが、外務大臣の御郷里は余り空気のきれいなところとも思えませんけれども外務大臣は御自身この点についてどのようにお考えになるのでございましょうか。
  155. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私ども一般の市井の者でございますと、そのような方々をお招きするということもなかなか大変なことではございますけれども、私どもも折に触れていろいろと存じ上げている方々が訪ねてこられた場合に、家族同士のつき合いをするということは大変両方の思いを込めた機会になるというふうに存じております。坐漁荘のお話をされましたが、さらに戦後では吉田茂総理が引退されてから大磯に引きこもられましたけれども、たくさんのやはりアメリカの高官が訪ねていったということもよく存じておりますし、そういうことでの両国間の深い心のつながりが育成されていくものだろう、このように考えております。
  156. 久世公堯

    ○久世公堯君 二点目にお尋ねをいたしました東京―ワシントンだけが日米関係ではない、同時に、私はこういう国際的な問題、外交問題の上からも私どもの内政上の問題として東京の一極だけに集中しているこの実態というものを改めなければいけない、これをいつもつくづく感ずるわけで ございます。そして、そのためにあらゆる人が努力をしなければいけないということを痛感している次第でございます。  以上をもちまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  157. 三上隆雄

    三上隆雄君 ただいま発言の指名をいただきました三上であります。ただいま自民党の久世先生から極めて格調の高い質問、御意見が出され、その質疑のやりとりでこの原子力政策というもの、理想に向かってはほぼ言い尽くした感もございますけれども、私は今回の日仏新原子力協定に最も関係のある青森県を地元とする立場で、現実的な、しかも現地的な質問を若干申し上げていきたい、こう思います。  日仏新原子力協定の最大の目的は、フランスの術技を導入して青森県に使用済み核燃料の大型再処理工場を建設し、大量のプルトニウムを抽出してその本格的な利用を開始しようとするところにあります。しかし、政府や科学技術庁が推進してきたこの核燃料サイクルの構想は既に世界的にも破産していると言わざるを得ないと思います。既にオーストラリア、スウェーデン、イタリー、アメリカなどを筆頭にしてかつての原発推進政策は根本的に転換され、今では世界の多数の国々が脱原発へ向けて確実な歩みを進めておるのが現状ではなかろうかと思います。特に使用済み核燃料の再処理によるプルトニウムの利用は、安全性も経済性も全く成り立ち得ないことが明らかとなっており、最先端を歩んでいた国々でさえ中止や方向転換を余儀なくされているのが実情ではなかろうかと思います。  最近、西ドイツではバッカースドルフの使用済み核燃料再処理工場が経済性の不成立と周辺環境の放射能汚染の危険性を理由に建設中止となりました。また、イギリスのセラフィールド再処理工場に近い地域では、従業員の子供を初めとして白血病等が他の地域に比較いたしまして十倍にもなっているというこの事実、日本でも既に報道されているところであります。また、プルトニウムの平和利用として世界で初めて高速増殖炉の研究開発に着手したアメリカでは、クリンチリバーでの建設を既に一九八三年に中止しております。最近は、稼働していた小型の研究増殖炉も停止することになっております。イギリスのサッチャー政権さえも、高速増殖炉の開発計画は中止することを一昨年決めております。また、西ドイツはカルカールの実証用増殖炉の運転開始を無期限に延期してしまいました。こうした状況を、中山外務大臣、どのように認識しておられるのか、まずそのことを最初にお尋ねいたしたいと思います。
  158. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今委員指摘のように、いろいろと原子力政策を展開している国家もございますけれども、厳しい面も御指摘のようにございますけれども、やはり積極的にやっておる国家も実はございますし、私もフランス等へ参りましてグルノーブルのスーパーフェニックスの現場も見てまいりました。実際、積極的にやっている面も多々ございます。そういう意味で、日本日本立場でこの問題に取り組んでいかなければならない、私はそのように認識をいたしております。
  159. 三上隆雄

    三上隆雄君 それでは、具体的に質問をさせていただきます。  最近まで高速増殖炉の開発が何かがむしゃらに進められていた感じがするわけでありますが、フランスではスーパーフェニックス―Iがナトリウム漏えい事故等がありまして挫折し、西ヨーロッパ諸国の動向と相まって、国際協力によるスーパーフェニックス―IIの建設計画も破綻してしまった状況にあるわけでありますが、その危険性が余りにも大きい上に、建設費も、再処理費を含めた発電コストも、軽水炉の何倍にもなることが判明したからであります。  そこで、スーパーフェニックス―Iは百二十万キロワット規模の大型炉でございますけれども、この発電コストが幾らになっているのか、日本政府はフランスからそのことを聞いておられるのでしょうか。もし聞いておるならば、はっきりそのコストが幾らになっているのかをお知らせいただきたいと思います。なお、軽水炉に比べて増殖炉がどれほど割高になっているかも認識しないままに日本も同じ誤りを繰り返そうとしているんではないかという、そういう懸念もありますので、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  160. 佐藤征夫

    説明員(佐藤征夫君) お答えいたします。  フランスの高速増殖実証炉スーパーフェニックスの現状につきましては、一九八六年に全出力運転を達成いたしました後、今先生指摘のございましたとおり、一九八七年に使用済み燃料貯蔵槽のナトリウム漏えいにより、その修理対策等のため運転停止状態にございましたが、昨年、一九八九年一月に運転が許可されまして、四月に送電網に連結され、六月に全出力運転を達成してございます。その燃料交換等のための計画停止を除きますと、現在順調に稼働しているというふうに聞いてございます。ちなみに六月十四日現在も稼働中というふうに承知してございます。  その高速増殖炉スーパーフェニックスの発電コストでございますが、フランスで稼働中の軽水炉、PWRの発電コストの約二・五倍と聞いてございます。
  161. 三上隆雄

    三上隆雄君 それでは、次に入りたいと思います。  天然ウランの主成分は九九・三%も含まれているウラン238でございますけれども、これはこのままでは燃えないわけであります。プルトニウムを燃料にして燃えないウラン238を燃えるプルトニウムに転換して利用するための原子炉が高速増殖炉であるわけでありますけれども、高速増殖炉の開発が挫折したとなると、今の原発では、天然ウラン中にたった〇・七%しか含まれていない微量成分であるウラン235を燃やすことができるにすぎないわけでありますから、これではエネルギーをウランに求める原発は完全に展望がないと言ってもいいと思うわけでありますけれども、これについての考え方をお聞きします。
  162. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、天然ウランの中に九九・三%を占めますウラン238は、そのままでは核分裂性物質ではございませんで、中性子を吸収いたしましてネプツニウムを経まして、プルトニウム239になりまして核分裂性の性質を獲得いたしますことは先生ただいま御指摘のとおりでございます。  それで、現在の軽水炉は、御承知のように、天然ウランの中に入っております〇・七%分、先生指摘のウラン235を約三%ぐらいに濃縮いたしまして、その濃縮ウランによりまして原子力発電を行っておりますのが現在の軽水炉でございます。そういうことではございますけれども、実は現在の軽水炉の中でも三%分のほかはウラン238でございまして、そのウラン238が炉内、原子炉の中でプルトニウム239に転換しつつあることは御承知のとおりでございますし、転換したプルトニウム自身も既に炉内に存在するときからもう既に燃焼をしておるというのも御承知のとおりでございます。  さて、今先生がおっしゃいましたように、現在わずかなウラン235のみしか燃やせないのではないかと、そういう御指摘でございますが、現在世界的にウラン鉱石の価格は全体非常に安定しておるということは、現在の需要に比べまして相当長期間見通しましてもウランの供給は安定しておるであろうということが一つあるかと思います。その意味では、現在の軽水炉におきます原子力発電が長期化していくことは一つの大きな趨勢であろうかと存じますが、同時に長い視点、長期的視点から見ますと、いずれウラン鉱石は次第次第に減っていくわけでございますので、その意味ではプルトニウムをより有効に利用できる原子炉の形、すなわち高速増殖炉等を開発しておきまして、あるいはそれに伴いますプルトニウムの利用体系を開発しておきまして、先生先ほど御指摘のウラン鉱石の中に、天然ウランの中にあります九九・三%分のウラン238、これをプルトニウムとしまして燃料としては用いていくという格好にいたしまして、全体の超長期にわたります安定なエネルギー源として原子力を活用してまいりたい、かように 考えておるところでございます。
  163. 三上隆雄

    三上隆雄君 物足りない点は、また後で出てくると思いますから、それなりに進めてまいりたいと思います。  次に、高速増殖炉が世界的に破産したとなると、プルトニウムの平和目的の使い道はなくなります。そうすると、今の原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出すこと自体が無意味になってしまうわけであります。若干のプルトニウムを使おうという新型転換炉も実際には発電コストが非常に高くなります。青森県の大間にも今電源開発株式会社が建設を計画しておる新型転換炉の建設費とその発電コスト、それをどのように見積もっておられるのか、その積算を明確にお答えいただきたいと思います。
  164. 日下一正

    説明員(日下一正君) 建設費につきましては、ちょっと今手持ちがございませんので、後ほどお答え申し上げますが、発電コストにつきましては、現在軽水炉でございますとキロワットアワー当たり約九円と見積もられているわけでございますが、大間に建設が予定されています新型転換炉におきましては約一・五倍と申しますから約十五円ぐらいになろうかと見積もられております。  以上でございます。
  165. 三上隆雄

    三上隆雄君 後ほどそのコストについて議論する場がございますから、順次進みます。  ウラン燃料用に設計してある現在の原発の軽水炉でプルトニウムをまぜて使用するのは、それ自体危険性を大きくするものでありますけれども、この混焼の場合の燃料コストは幾らになるのか、また発電コストは幾らになるのか、本来のウラン専焼の場合のそれと比較してお答えをいただきたいと思います。
  166. 日下一正

    説明員(日下一正君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、軽水炉の場合ですとキロワットアワー当たりの発電原価は約九円と見積もられているわけでございます。いわゆるプルサーマル、MOX燃料と言われておりますが、ウラン、プルトニウムの混合酸化物燃料を使いました場合の発電コストが軽水炉の発電コストと比べてどうなるかという御質問でございますが、発電コストの大宗を占めますのは原子力の場合ですと資本費でございまして、約八割が資本費でございます。したがいまして、燃料コスト関係はもともとウエートが小さいわけでございますが、ウラン、プルトニウムの混合酸化物燃料の場合と通常のウラン燃料の場合を比較いたしますと、プルトニウムを利用するという側面から特別な取り扱いを必要とする面がウラン、プルトニウムの混合酸化物燃料の場合におきましてはコスト増加要因でございます。片や原料となりますウラン資源が節約できる、あるいは濃縮工程が節約できるというコスト軽減要因がございまして、総体といたしましていわゆるプルサーマルと軽水炉、通常のウラン燃料を用いた軽水炉のその発電とはおおむね発電コストにおいて変わりはないというのが私どもの推定でございます。  以上でございます。
  167. 三上隆雄

    三上隆雄君 現実的なことについては私はもちろん素人でございますから、国会の場で皆さんの権威あるお答えをいただくのが私のきょうの役目でありますから質問を続けてまいりたい、こう思います。  次に、プルトニウムの単価はウランに比較してどのように評価しておられるのか。今までも若干説明がありましたけれども、その場合、東海再処理施設で精製されるプルトニウムについて、そしてそれに要した経費をすべて含めて幾らになるのか、その辺の評価をどうされておりますか。
  168. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) ウランとプルトニウムの値段の比較でございますが、三%の濃縮ウラン一キログラムを考えます。この三%の濃縮ウラン一キログラムをつくりますのに天然ウランが五ないし六キログラム必要でございます。その値段と、天然ウランの濃縮を行いますから、濃縮をするために六弗化ウランというものに変えるための費用が必要でございます。さらに三%の濃縮ウランをつくるために濃縮の作業が必要でございまして、こういったコストを現在の標準的な価格で計算してみますと、一キログラムの三%濃縮ウランをつくる費用は大体十三万円ぐらいになるというふうに見ております。  一方、プルトニウムでございますが、プルトニウムは一般に市場価格はないわけでございまして、その都度その都度売り手と買い手が話し合いまして値段は決まっております。それで一概に申し上げにくいわけでございますが、動力炉・核燃料開発事業団が東海村の再処理工場で回収したプルトニウム、これを過去に電力会社から買い取った例がございます。そのときの値段は一キログラムのプルトニウム、これは核分裂性プルトニウム量でございますが、百万円ちょっといたしております。ただ、この三%の濃縮ウランと一キログラムのプルトニウム、これは価値が違うわけでございまして、三%濃縮ウランのうち燃える成分は三%でございますが、プルトニウムは大体一〇〇%、核分裂性プルトニウム一キログラム持ってくれば一キログラムすべてが燃えるわけでございまして、プルトニウムは薄めて燃料として使うということになります。そういうことで、一概に比較はできないかと思っております。  次に、東海再処理工場で精製されるプルトニウムに要した費用ということでございますが、これは再処理の費用というふうに解釈させていただきますと、現在東海村の再処理工場の再処理の経費は、使用済み燃料一トン処理当たり一億八千万円ということになっております。
  169. 三上隆雄

    三上隆雄君 なかなか直観的に我々は比較ができないけれども、これだけの人が見て聞いているわけですから、順次進めてまいりたいと思います。  次に、東海再処理工場は国の出資金で建設し、運転しているわけであります。これをきちんと償却、返済するためには、今後の再処理費は幾らと見積もっているのか、またプルトニウムの単価は幾らと見積もられているのか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  170. 佐藤征夫

    説明員(佐藤征夫君) ただいま東海再処理工場におきましては、再処理をトン当たり一億八千万円で行っております。
  171. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) 若干補足してお答え申し上げます。  今動力炉開発課長がお答え申し上げましたのは、現在の動燃東海再処理工場の再処理料金でございます。先生の問いは、全額国の出資金で建設、運転したものであるならば、それを償却、返済するためにはどういう価格であるべきであるかという問いであろうかと存ずるわけでございます。  これにつきましては、動燃東海再処理工場の性格を申し上げなければならないわけでございますが、動燃東海の再処理工場は再処理の実需要、すなわち電力会社から出てまいります使用済み燃料を実際再処理するという機能が一つ、それに加えまして先行プラント、あるいはパイロットプラントと申しましょうか、我が国におきまして再処理技術を確立するという、そういう使命を持って計画し、建設し、運転してまいっておる、そういうプラントでございます。その意味では、商業プラントとはその実体におきましてもかなり隔たったところがあるわけでございまして、その過程におきましていろんなトラブル等もありましたことは先生御承知のとおりでございます。ただいまの状況は、それぞれのトラブルも克服いたしまして、大体安定な運転の見通しを得たというのが現在の状況かと思うわけでございます。  そういうことでございますので、現在の動燃東海再処理工場の全額償却、返済ということにした場合の料金は幾らかということにつきましては、今私ども即座にお答え申し上げます材料は持っていないというのが現状でございます。  以上でございます。
  172. 三上隆雄

    三上隆雄君 それでは、計数的なことは後ほど資料を提出していただきたい、こう思いますので、一応私の質問を続行してまいりたい、こう思います。  次に、フランスやイギリスから返還輸入されるプルトニウムについて、再処理費だけでなく、輸送や護衛、それぞれそれも経費であるわけでありますから、これを明らかにしていかなけりゃならぬ、こう思うわけです。  その護衛には海上保安庁がわざわざ今回二百三億円の国費を使って専用船を建造するという、予算化されようとしております。その輸送と護衛にいかほどの費用を要するのか。それによってプルトニウムのコストが当然高くなると思うわけでありますが、この点を明らかにしていただきたいと思います。  この海上保安庁の巡視艇にはほかの用途はないはずであります。したがって、この巡視艇の建造費と運転費は全面的にこのプルトニウムの輸送コストに含めなくてはならないと思うわけですが、その点についてもお伺いをいたしたいと思います。
  173. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) イギリス、フランスからのプルトニウムの返還輸送は一九九二年の秋ごろまでに海上輸送により行いたいというふうに考えております。その場合のコストという御質問でございましたが、先ほども御説明申し上げましたように、プルトニウムにはいわゆる市場価格はございませんので、売り手と買い手が話し合いましてケース・バイ・ケースで値段が決まってまいります。そういうことで、一九九二年に運ぶプルトニウムが幾らになるかということは今申し上げることはできないわけでございまして、これから動力炉・核燃料開発事業団、買い手でございますが、買い手であります動燃事業団と売り手でございます日本の電力会社が話し合って決まっていくものであるというふうに思っております。  なお御参考に、昭和五十九年にフランスからやはり同じように動燃が海上輸送いたしておりますけれども、そのときは核分裂性プルトニウムで合計百九十キログラムのプルトニウムを運んだわけでございますが、このときの買い取り費用は百九十キログラムで合計約十億円でございました。  次に、輸送にかかる費用はどうかという御質問でございますが、これも二年半ほど先の輸送になりますので、その具体的な輸送方法、つまり輸送船をどうするか、ルートをどうするか、核物質防護措置がどうなるかといった詳細が今決まっておりません。そういうことで、現段階でその費用を正確に算定することはできないわけでございます。ただ、これも前回の昭和五十九年の輸送の例で申し上げますと、そのとき動燃事業団が使いました輸送のための経費は約五億円であったというふうに承知いたしております。  それから、一九九二年の輸送につきましては、今先生指摘のように、海上保安庁に護衛をお願いするつもりでございまして、現在、海上保安庁の方ではそのための護衛巡視船を建造中でございます。その総建設費が約二百三億円であるというふうに聞いておりますが、この具体的な運航経費、そういったものがどうなるかということについては、これからの検討課題であると思っております。
  174. 三上隆雄

    三上隆雄君 それでは次に、青森県に建設が計画されております再処理工場で精製されるプルトニウムについて質問をしていきたいと思います。  そのプルトニウムが幾らでできてくるのか、その積算の根拠も含めてぜひお答えをいただきたい、こう思います。その積算の計算なくしてこれはやっているはずがないと思いますから、この機会にどうぞ明らかにしていただきたいと思います。
  175. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) 六ケ所村の再処理工場でございますが、これは日本原燃サービスという民間会社がつくることになっております。その処理能力は年間八百トンの使用済み燃料を処理するということでございまして、八百トンの処理を行いますと、年間にプルトニウムが、核分裂性プルトニウム量で申し上げまして四トンから五トン程度回収されてくるというふうに見ております。  この再処理工場の運転経費といいますか、そのコストにつきましては、これは企業経営の問題でございまして、私どもの方からその数値を申し上げることはできないかと思っております。
  176. 三上隆雄

    三上隆雄君 先ほどもその輸送の関係、そしてまた今回の積算が企業機密で発表できないと言いましたけれども、やはりこれははっきりした計算に基づいて計画されたと思うんですよ。そして、その移管すること自体が国が事業者側に要請してやっているわけでありますから、当然このプルトニウムによって公共料金である電力料金の一番大きな基礎となるわけでありますから、これを明らかにする必要があると私は思うので、これを出していただきたい。そうでないと、今まであなた方の言っている原子力発電によるコストというのは何から出しているんですか。また、これからやろうとするのはどこから出てくるんですか、明白にしてください。
  177. 日下一正

    説明員(日下一正君) お答え申し上げます。  今三上委員の方から原子力発電のコストにかかわる問題でもあると、こういう御指摘がございましたが、原子力発電のコストにつきましては、通商産業省におきまして毎年度、原子力発電なら発電の発電所の耐用年数の間の平均コストにつきまして原価試算をしているところでございます。先ほど申し上げましたように、一キロワットアワー当たり九円と言っているわけでございますが、再処理コストにつきましても、その九円のうちのおおむね六十銭程度であろうというふうに見積もられているわけでございます。ですから、発電コスト、電力料金に占めます再処理コストがいかほどになるものであるかというのは過去の実績等もかんがみまして計算がされているところでございますが、先ほどから申し上げておりますのは、個別の契約、個別の事業に関しますコストにつきましては、これは個別の経営や契約にかかわり、また海外の再処理事業者との交渉のバーゲニングポジションにもかかわるものでございますので、当省の方から、あるいは政府の方からお答えするのにはなかなか難しい問題があるということでございます。
  178. 三上隆雄

    三上隆雄君 ちょっと今前段を聞き漏らしましたけれども、今のは原発に伴うコストなのか、再処理工場によって出るコストなのか、それをもう一度確認したいと思います。
  179. 日下一正

    説明員(日下一正君) お答え申し上げます。  原子力発電によって起こされた電力のコストでございます。したがいまして、その中には燃料コストでございますとか、建設のコストでございますとか再処理のコスト、もろもろのコストが含まれているわけでございます。一キロワットアワー当たり九円と申し上げた数字の中に再処理に要する費用約六十銭が見込まれているということでございます。
  180. 三上隆雄

    三上隆雄君 ですから、私の聞いているのは、青森県に建設が予定されている再処理工場で精製されるプルトニウムからくる原子力料金、コストというものを聞いているんですよ、原子力発電ではなく。
  181. 日下一正

    説明員(日下一正君) まず第一に青森県で計画されている再処理工場、これは計画中でございまして、科学技術庁によりまして安全審査中でございます。したがいまして、なかなかコスト面について事業者としても確定しにくいところがあろうかと思いますが、その工場におきまして提供されるサービスが再処理の役務契約でございます。したがいまして、青森県の六ケ所村で提供されるサービスの役務契約が電力会社によって購入されて、それがその電力発電コストの一部分を形成するわけでございます。したがいまして、先ほどから発電コストの中においてどのぐらいと見込まれているかと申し上げましたのは、再処理に要する役務の費用でございます。  なお、先生お尋ねの青森県の具体的プロジェクトはどうかと、そこが幾らかという点につきましては、科学技術庁の方からもお答え申し上げましたとおり、個別企業の経営に関する問題でございますし、他の競争企業との競争条件にもかかわる問題でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  182. 三上隆雄

    三上隆雄君 それでは、後ほどまとめて資料要求をいたしますから、進めてまいりたいと思います。  元東京都立大学助教授で、今は原子力資料情報室代表である高木仁三郎先生の計算によると、三%濃縮ウラン燃料一トンの価格が約三億円であるのに対して、等量の熱を発生する三%のプルトニウムを含むMOX燃料一トンの価格は十億円から十二億円にもなるということです。    〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕 科学技術庁や通産省はこの数字をどう思いますか。それと、この数字はおおむね正しいでしょうか。その辺の御見解と考え方をおっしゃってください。
  183. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) まず、三%の濃縮ウランでございますが、先ほど私一キログラム当たり百三十万円と試算を申し上げました。で、一トン当たりにいたしますと一億三千万円でございます。で、これに先生がおっしゃった三%濃縮ウランの、これはウラン燃料ということだと思いますので、燃料にするまでの加工賃を加えますと、私どもの計算では二億から三億程度というふうに見ておりますので、今先生のおっしゃった約三億円というのはちょっと高いような気もいたしますが、そう大きく外れておらないというふうに思います。  次に、等量の価値を生むMOX燃料、つまりプルトニウムとウランの混合燃料でございますが、これが十億円から十二億円ではないかという御質問でございますが、これは非常に高いと思います。と言いますのは、この数字の根拠でございますが、MOX燃料――ウランとプルトニウムの混合燃料の中にはプルトニウムが大体三%ほど入っております。したがって、そのMOX燃料一トンということになりますと、プルトニウムが三十キロぐらい入っているかと思いますが、三十キロのプルトニウムを生産するのに再処理を行うわけですが、再処理量といたしましては使用済み燃料で六トン程度になるかと思います。その六トンの再処理のコスト、これはどういう仮定を置かれたのかよくわかりませんが、例えば東海村の動燃の再処理工場の例で申し上げますと一・八億円でございまして、これを六トンに掛けまして約十億円ということで、それにさらにMOX燃料にするための加工賃を加えて十とか十二という数字になっておるのかと推察申し上げます。  ただ、この計算につきましては、私どもは再処理費をそのままプルトニウムの生産コストとみなしておるわけでございまして、この点は必ずしも適切とは考えておりません。といいますのは、再処理を行いますのは、何もプルトニウムをつくるだけが目的ではございませんで、プルトニウムのほかに回収ウラン、ウランの生産も行われますし、放射性廃棄物の適切な処理も行われるということでございまして、再処理費イコールプルトニウムの生産費という見方は正しくないのではないかと思っております。
  184. 三上隆雄

    三上隆雄君 そうしますと、私が発言しましたその価格よりも安いという、安くできるという見解でいいわけですか。まあその計算がなかなか面倒だと。  それじゃ、どの程度安くなるという御見解ですか。
  185. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) 今手元に計算の数値ございませんが、三%の濃縮ウランの燃料と三%プルトニウムを含むMOX燃料のコストといいますか、その生産費用ということは、プルトニウムの値段をどう見るかということで大変変わってまいるわけですけれども、そんなに大差はないものであるというふうに理解いたしております。
  186. 三上隆雄

    三上隆雄君 大差はないというのは、さっき私が発言した十億から十二億円という、それと大差がないということですか。
  187. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) 三%の濃縮ウランの燃料体をつくる費用が二億とか三億程度だと思います。それに対して大差がないのではないかと見ております。
  188. 三上隆雄

    三上隆雄君 計算が違うんじゃないの。じゃ、この十億円から十二億円というのは、科技庁の計算では、通産省の計算では全く計算でき得ないということ、比較できないということですか。
  189. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) この十ないし十二億円の根拠はつまびらかに承知いたしておりませんが、これは恐らくプルトニウムの生産コストを再処理費そのもの全体を、再処理に要したコストをすべてプルトニウムの費用というふうに数えて、こういうふうに高目に出ておるんだと理解しております。
  190. 三上隆雄

    三上隆雄君 私の言ったことが高目に出るということは、じゃ、通産省の計算するその根拠を示してください。
  191. 日下一正

    説明員(日下一正君) 通商産業省におきましても、科学技術庁の方で今答弁されたのと同じ見解を持っておりますが、高木先生がどういう根拠でそういう数字を示されたかはつまびらかにしておりませんが、先ほど御説明申し上げましたとおり、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の場合におきましてより高くなる部分というのは、燃料加工工程におきまして、プルトニウムでございますから、品質管理とか放射線の遮へいとか、そういう加工に費用が高くなる要因があるわけでございます。片やウランの使用量が減る、そして濃縮が不要になるというマイナスの方、マイナスといいますか、コストが減る方の要因があるわけでございます。    〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕  もう一つの要因は、科学技術庁の方からも指摘がありましたように、プルトニウムの価格をどう見るかというところがあるわけでございますが、電気事業者はプルトニウムを持っておるわけでございまして、先ほど冒頭先生が御指摘になられましたように、使用済み燃料の中には資源がたくさん入っているわけでございます。ウランにしましてもプルトニウムにしましても中に入っているわけでございますから、取り出さなければそのまま価値がない側面があるわけでございますが、それを取り出して活用していく、こういう性格のものでございますし、プルトニウムそのものはなかなか国際的に一般に流通しているものではございませんので、市場に出せばどのぐらいの市場価値があるかというのは判定しにくいところがあるわけでございますが、全般としてはMOX燃料、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料を使いましたケースとウランのケースの大差がない、プラス要因、マイナス要因があって大差がないというのが私どもの理解でございます。
  192. 三上隆雄

    三上隆雄君 それでは次に進みます。  動力炉・核燃料開発事業団がフランスの技術を導入して東海村につくった再処理施設のパイロットプラントとは何だったのでしょうか。そしてまた、商業施設を設計、建設するための技術を確立することを目的としてつくられたパイロットプラントであったはずですが、それにもかかわらず、そこで確立された技術によって設計するかわりに、また改めてフランスの技術を新規に買って設計するというのでは、その間に動燃事業団のしてきたことは実質的には何の意味もなかったということになるわけであります。しかも、動燃の東海事業所の設計、そして建設の中心を担ったメーンコントラクターは当時の日本揮発油株式会社、現在の日揮株式会社であったわけでありますが、原燃サービスが六ケ所村に計画している再処理施設のメーンコントラクターは日揮の競争相手の三菱重工に変わってしまっております。この間に日揮が獲得してきた技術やノーハウが十分に生かされるはずはございません。なぜこんな状態になったのか、それを明確に御報告を願いたいと思います。
  193. 佐藤征夫

    説明員(佐藤征夫君) 動燃事業団の東海再処理工場は、先ほど審議官から御説明ございましたとおり、我が国におきます再処理需要の一部を賄うとともに、再処理技術の確立を図るという研究開発的な性格をあわせ持つ工場でございます。昭和四十六年に建設に着手し昭和四十九年に建設が終了、各種試験を実施いたしまして、昭和五十二年より実燃料を利用したホット試験に入り、昭和五 十六年には本格運転を開始し、現在年間九十トンベースの運転を行っているところでございます。  先生指摘のとおり、民間再処理工場の主工程につきましてはフランスからの技術導入によるとの方針で計画が進められてございますが、混合転換工程、ガラス固化工程等につきましては動燃事業団の技術が採用されることになっております。また、動燃事業団では東海再処理工場で得た経験、知識に基づきまして、設計のコンサルティング、技術者の派遣、民間工場の要員の養成等の協力を実施しておりまして、十分技術が民間再処理工場の建設に生かされるものと考えております。
  194. 三上隆雄

    三上隆雄君 十分に技術がどうなんですか。
  195. 佐藤征夫

    説明員(佐藤征夫君) 生かされるものと考えております。
  196. 三上隆雄

    三上隆雄君 私の聞いているのは、東海村でつくってその研究成果がどのぐらい期待されたのか。それがあってもなおかつ今回フランスからその新規技術を導入しなきゃならぬ、購入しなきゃならぬという、それについての質問をしているんです。
  197. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) 日本原燃サービス株式会社は六ケ所村の再処理工場を建設するわけでございますが、この六ケ所村の再処理工場が大規模な商業用プラントとして運転が行われるよう、国内外の最良の技術を導入するという方針で技術の選定を進めてまいったわけでございます。  それで、東海村の技術がなぜ使われなかったのかという御質問かと思いますが、それはこういうことかと思います。  六ケ所村の再処理工場の主工程に用います技術は、まず動燃東海再処理工場の処理能力が非常に小そうございまして、その技術をそのまま大規模な六ケ所村の商業用再処理工場に適用することは必ずしも適切でなかったということがございます。  次に、フランスにおきまして処理能力年間八百トン、これは六ケ所村と同じ規模でございますが、この工場が他国に先んじて運転が行われることになっていたということがもう一つございます。  それから三番目に、動燃の東海再処理工場の建設が行われましたのはもう二十年前でございまして、その当時のフランスの技術を導入したわけでございますが、むしろ最新の技術をフランスから導入するということなども勘案いたしまして、日本原燃サービス株式会社は今回のような技術導入を行うというふうに決めたものと理解いたしております。
  198. 三上隆雄

    三上隆雄君 それから、日揮株式会社から三菱重工に変わったその理由はどうなんですか。
  199. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) 再処理工場の建設をどういうメーカーにやらせるかという問題は、これは再処理会社、日本原燃サービスの判断事項でございます。結果的に東海村のメーンコントラクターでございました日揮が六ケ所村では三菱重工になっておるのは事実でございますけれども、東海村の建設によって得られましたいろんなノーハウというものは動燃にも蓄積されておりまして、そのノーハウあるいは技術というものは有効に六ケ所村の建設に、日本原燃サービスの方に移転されておるというふうに理解いたしております。
  200. 三上隆雄

    三上隆雄君 わかりました。  それでは次に、動燃事業団は、物品調達に当たっては競争入札を避けてことごとく随意契約によっており、しかも金額要件についても具体的な額を明示していないことなど、平成元年の特殊法人に関する調査結果報告書においても総務庁行政監察局から厳しく指摘されておるわけであります。その改善を勧告されているところでありますけれども、動燃事業団はこれについてどのように反省し、どのように改めようとしているのかを明らかにしていただきたいと思います。  その東海再処理施設の設計と建設、そしてその修理と改善、そしてまた稼働のために投ぜられたそれぞれの費用の金額を今国会において明らかにしていただきたいと思います。  また、原子力船「むつ」は、我が党のたび重なる忠告と提言にもかかわらず、いろいろなトラブルを起こしながら何の意味もない実験のために浪費の上乗せを進めようとしております。とうとうその額は一千億円を超える国民の税金のむだ遣いとなってしまいました。また、動燃事業団の再処理施設はそれよりもさらに大きな国費の浪費になってはいないでしょうか。その点について質問をいたしたいと思います。
  201. 佐藤征夫

    説明員(佐藤征夫君) 動燃の東海再処理工場の総建設費は、昭和六十三年度末時点までで約九百八十億円、総操業費は約四百二十億円と承知してございます。  先ほど御説明しましたとおり、動燃事業団再処理工場は再処理技術の確立という研究開発的な性格と、それから再処理需要の一部を賄うという性格を持って運転をしてきたものでございます。その再処理需要の一部を賄うという観点からは総操業収入が約六百四十五億円あったと承知してございます。また今後、先ほど申し上げましたとおり、今までの開発の成果を民間の再処理工場へできるだけ生かすようコンサルティングあるいは人材の養成、そういったところで大いに努力してまいるよう動燃を指導してまいりたいと思います。
  202. 白川哲久

    説明員(白川哲久君) 原子力船「むつ」についての御質問でございましたので、お答えを申し上げます。  原子力船は今「むつ」を原子力第一船ということで開発を進めておるわけでございますけれども、やはり技術的に考えますと、メリットと申しますか、いろいろ特徴があるわけでございまして、すなわち、通常の船舶に比べまして非常に高い出力が得られる、あるいは核燃料を使いますので、通常のエンジンに比べまして長期連続の航行が可能である、さらには、これまた核燃料を使いますので、空気中の酸素を必要といたしませんから長期間の水中の航行が実現できるといった幾つかの特徴を有しておるわけでございます。したがいまして、将来的には今申し上げましたような原子力船のメリット、それを生かせるような分野におきまして海上輸送と申しますか、船舶の動力源としてその高度化に貢献する可能性があるというふうに我々は考えております。  先生御案内のように、日本はやはり四方を海に囲まれました海洋国家でございますし、また、世界有数の造船海運国でございますので、こういう我が国の状況を考えますと、やはり原子力船の研究開発を段階的着実に進めまして、将来必要が生じた時点で適切な対応ができる程度にまでこの原子力船に関する技術、知見、経験、そういうものの蓄積、涵養に努めることが必要であろうと思っております。  原子力船「むつ」につきましては、これまで長い歳月と経費がかかっておる点は先生指摘のとおりでございますが、我々といたしましては、既に実験再開が可能になっております「むつ」、これを使いまして陸上炉では得がたい貴重なデータ、経験を蓄積して将来に備えるということが必要であろうという認識をしております。
  203. 三上隆雄

    三上隆雄君 原子力船「むつ」についてはいろいろトラブルがあるわけですが、我々地元の者としては事故が起きてからやめるんでは困るんです。とにかくこれほどトラブルがあって、成果もなかなか期待できないと言う専門家もいるわけですから、いろいろ物の研究というのは失敗が成功のもとという例えがあるけれども、やはりそろそろ私ども地元の人間として、またいろいろ原子力政策を批判する者からいって、もはやあれはけじめをつけた方がいいと、そのことを要望しておきます。  先ほどの総務庁の行政監察局からの指摘に対してどう対応するのかも明確なお答えをもう一度お願いします。
  204. 佐藤征夫

    説明員(佐藤征夫君) 総務庁の勧告によりますと、動燃は過去二十年間相当の国家資金を注ぎ込んだけれども、注ぎ込んだその成果が十分でなかったかどうかというような御指摘でございますが、動燃事業団におきましては、先ほども御説明申し上げましたとおり、民間企業にできるだけ成 果を引き継いでいくということで努力してございますが、総務庁におきましては、特に指摘がございました点は、ウラン資源の長期的な安定確保という観点から、ウランの海外鉱床の整理等が主でございまして、特に再処理工場につきまして強い指摘があったものではございません。
  205. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) 若干補足して申し上げさしていただきます。  基本的に申しまして、先ほども申しましたように、動燃事業団の東海再処理工場は、一つは再処理の実需要に対応しようという、そういうことが一つあるわけでございまして、それとともにパイロットプラントと申しますか、我が国で初めてかなり大きな規模の再処理をやろうという、そういう両方の目的を持って計画し、建設し、運転してきたものであるわけでございます。  その過程におきまして確かにいろいろトラブル等もあったことは事実でございますし、動燃の現場の技術者はそれなりに非常に苦労してきたことも確かにあるわけでございます。なお、その過程におきまして多くの皆様方に御心配をおかけしたことにつきましては深くおわびする次第でございます。ただ、おかげさまをもちまして動燃事業団はそういう経験を経まして再処理工場を安定的に運転し得る段階に到達したということが言えるわけでございます。  さて、この動燃東海再処理工場を今後どう活用するかということになるわけでございまして、総務庁等の考え方も、基本的になるべく東海再処理工場で得られた知識、経験をうまく民間に移転することが一つと、それから今後とも安定的に東海再処理工場を使っていくということになるわけでございますけれども、御承知のとおりに、動燃は我が国におきます原子力の総合研究開発機関、プロジェクト実施機関であるわけでございます。そういうこともございますので、動燃のプロジェクトの方向といたしましては、これから先も引き続き再処理の実需要を賄っていく一方、将来におきましては若干難しい再処理みたいなこともやっていくとか、そういう研究要素もあるであろう、そういう研究要素と実需要を踏まえながら将来に持っていくということでお話をしておりまして、今後とも動燃をその方向で研究開発の方向づけをするように話し合っていきたい、かように考えておるということを御承知いただければ幸いでございます。
  206. 三上隆雄

    三上隆雄君 動燃のその目的なり事業のやっていることはわかるんです。その場合の物品の調達等について競争入札を避けている。そういう経営実態というものはどう考えているんですか。それに対する反省がどうなのかということを聞いているんです。
  207. 佐藤征夫

    説明員(佐藤征夫君) 御指摘の点に関しましては、今後競争入札及び見積もり合わせ等を適切に行っていくよう指導してまいる所存でございます。
  208. 三上隆雄

    三上隆雄君 適切な指導をするというんですか。今まではそれを認めてきたんだね。何省庁でもやっぱりそういう形でやっているんですか。私は初めて国会議員になって、町村ではそんなこと許されないと思うけれどもね。
  209. 佐藤征夫

    説明員(佐藤征夫君) 先生指摘のとおり、動燃事業団の研究開発を行う特殊な性格からすべてのものが競争入札できるということではございませんので、競争入札できるものにつきましてはできるだけ競争入札の方向でということで従来からもおりましたが、より一層徹底させていきたいということでございます。
  210. 三上隆雄

    三上隆雄君 どうぞ関係省庁は適正な指導をするようにお願いをしたいと思います。  それでは次に、今までいろいろお答えされたものに関連すると思いますけれども、動燃事業団は東海事業所での再処理によって発生する高レベル放射性廃棄物や超ウラン元素を含む廃棄物を北海道の幌延に持ち込もうとしておる情報もあります。その計画は、道知事選挙や道会議員選挙や、また国会議員の選挙においても明確に否定されております。横路知事もはっきり拒否しているにもかかわらず、国会での約束すらほごにするかのように、推進のための許すべからざる工作をし続けておるようであります。  高レベル廃棄物については、再処理を最も先行して進めてきたフランスでも行き詰まりを見せております。二月十日の新聞も報じておりますように、ロカール首相は、国内四カ所に計画している放射性廃棄物処分実験場の試掘調査を凍結すると発表しました。東海事業所で生まれる廃棄物といい、フランスやイギリスから返還される廃棄物といい、青森県で生まれる予定の廃棄物といい、一体高レベル放射性廃棄物や超ウラン元素廃棄物を住民が納得できるような形で最終的に安全に処分できるような場所が将来どこかにあらわれるのか、その点について外務大臣ほどのように考えているか、御見解をただしたいと思います。
  211. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 本件に関しましては、所管外でございますので、外務大臣はそのことに関して国の政策の方向性を申し上げるべき立場にないと私は考えております。
  212. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) お答え申し上げます。  最初に、幌延の貯蔵工学センターについて御言及がございましたが、貯蔵工学センターの立地は地元や道の理解と協力を得て推進していくということが基本でございまして、このように動燃事業団を今後とも指導していくつもりでございます。  なお、高レベル放射性廃棄物の最終処分についてでございます。  高レベル放射性廃棄物は、安定なガラス固化体にいたしまして、冷却のため三十年から五十年間程度貯蔵した後、最終的には地層処分することを基本方針としてございます。  私どもといたしましては、高レベル放射性廃棄物の地層処分、これを動燃事業団を中核推進機関としてやらせておるわけでございますが、現在、処理処分技術の確立を目指した研究開発を進めているところでございまして、現在までの研究開発によりまして地層処分の技術的見通しが得られつつあるというふうに考えてございます。また、今後さらに研究開発を推進していくことによりまして、我が国で安全な地層処分が実施できるというふうに考えてございます。  また、研究開発についても国民の理解を得つつ進めていくということとしてございまして、処分予定地の決定は実施主体が地元の理解と協力を得て慎重に行うこととしてございまして、このような所要の手順を踏まえていくことによりまして、将来我が国で処分予定地が選定できるものと考えてございます。
  213. 三上隆雄

    三上隆雄君 いろいろ安全に留意しながら高レベルの廃棄物を青森県の六ケ所村に一時的に貯蔵するという、そういう今のお答えもあったし、今までも言われてきているけれども、その高レベル廃棄物を保管するという協定が青森県となされているのか、それをまず確認してから入っていきたいと思います。
  214. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) お答え申し上げます。  我が国の電気事業者が青森県に立地を要請いたしましたときに、返還廃棄物についても再処理施設の敷地内で受け入れるという計画であることを説明し、それを受けまして青森県及び六ケ所村においてこの核燃料サイクル計画を受け入れていただいたものというふうに承知してございます。
  215. 三上隆雄

    三上隆雄君 今廃棄物をその発生した敷地内で処理するという、そういうお答えもありましたけれども、じゃ六ケ所村で一時的にも保管するものは、六ケ所村の再処理から出たそのものについて保管するという解釈でいいですか。
  216. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 六ケ所村の日本原燃サービスの再処理施設のサイト内で貯蔵いたします高レベル放射性廃棄物につきましては、この再処理施設から発生いたします高レベル放射性廃棄物に加えまして、我が国電気事業者が英仏の再処理事業者に再処理を委託しておりますけれども、ここから返ってきます返還のガラス固化体、これもあわせて貯蔵するという計画になっております。
  217. 三上隆雄

    三上隆雄君 じゃ、結局外国に移管しておったその返還されるものもすべて六ケ所に一時的に保 管されるということですか。
  218. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 高レベル放射性廃棄物のガラス固化体につきましては、ガラス固化体にしました後三十年から五十年間程度の冷却が必要でございます。六ケ所村の民間再処理工場のサイト内で貯蔵されます高レベルガラス固化体につきましても、最終処分されるまでの三十年から五十年を目標とした貯蔵が行われるという計画になっておるわけでございます。
  219. 三上隆雄

    三上隆雄君 それでは全国の三十八基ですか、今稼働している発電所、それから出るのは高レベルの廃棄物とはみなされないんですか。その廃棄物はどうなるんですか。
  220. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 全国の原子力発電所から発生しますものは低レベル放射性廃棄物でございまして、これにつきましては電気事業者が中心となってつくりました日本原燃産業が六ケ所村で埋設処分をするという計画を現在進めておるところでございます。
  221. 三上隆雄

    三上隆雄君 結局、フランス、イギリスに移管したもの、それから全国の発電所からの廃棄物すべてをとりあえずは六ケ所に一時的に保管、貯蔵するというんですね、とりあえずは。
  222. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 動燃事業団は東海事業所に再処理工場を持っておりましてこれを運転しておるわけでございますが、この再処理工場から発生します廃棄物につきましては、貯蔵工学センターにおきまして貯蔵をするという計画でございます。  なお、六ケ所村で貯蔵されます廃棄物、これは先ほど申し上げましたとおり、日本原燃サービスの再処理工場の敷地内におきましては海外から返還される廃棄物及び再処理工場の運転によって発生しました廃棄物、これが貯蔵されることになるわけでございます。
  223. 三上隆雄

    三上隆雄君 結局は青森県の六ケ所に全部を貯蔵するということになるんですね、一時的に。その一時的という定義は三十年から五十年という、我々一般的には少なくとも一時的にはという一般的常識はせいぜい三年から五年という常識だと思うんですね。青森県で誘致を決定した段階でそのようなことをはっきり明示しましたか。一時貯蔵は三十年から五十年ですよということを明示しましたか。
  224. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) お答え申し上げます。  どういう具体的な説明をしたかについては確認をさせていただきたいと思います。
  225. 三上隆雄

    三上隆雄君 ここにこれだけのお歴々がいてそれに答弁できないんですか。はっきりそんなこと説明して青森県も受けたんでしょう。
  226. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 青森県で受け入れを決めていただきます際に、青森県におきまして専門家で会合を持っていただきまして検討が行われたわけでございますが、そのときに返還廃棄物の貯蔵についても検討が行われ、その報告書の中に記載されておるというふうに承知してございます。
  227. 三上隆雄

    三上隆雄君 専門家会議で一時的に保管するんだからいいという認め方をしたんですか。専門家が三十年から五十年、その常識を疑うけれども、その当時三十年、五十年というのが政治家はもちろん、知事初め県議会地域住民に徹底しましたか。これは大変重大なことですよ。
  228. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 高レベル放射性廃棄物の処理、処分につきましては、若干繰り返しになって恐縮でございますが、これは固化体にしましたときに熱を持ってございまして、三十年から五十年間程度目標とした貯蔵をするということが必要になるわけでございまして、その貯蔵の後に地層処分をするということが国の政策になっておるわけでございます。で、電気事業者及び日本原燃サービスにおきましては、この国の基本方針にのっとりまして六ケ所村におきます再処理施設の計画、返還廃棄物の受け入れ、貯蔵の計画を推進しておるものというふうに理解してございます。
  229. 三上隆雄

    三上隆雄君 それはね、あなた方はわかっていると思うけれども、青森県民にそれを知らしめたかというんです。そこを聞いているんですよ。子供だましをしちゃ困るんです。
  230. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 返還廃棄物の青森県におきます受け入れにつきましては、いろいろな形で県当局等から説明がなされ、確認がなされておるものというふうに理解してございます。例えば、先ほど申し上げました昭和五十九年七月に立地を申し入れました際に、その説明の中に、再処理施設におきまして海外からの返還廃棄物の一時貯蔵を行うことが明記されてございまして、また、五十九年十一月に出されました「原子燃料サイクル事業の安全性に関する報告書」、これは県の方から出された報告書でございますが、これにおきましても返還廃棄物を貯蔵するということが明記されておるわけでございます。また、ことしになりまして県議会におきまして県事務当局から説明されました資料等によりましても、この六ケ所村の再処理工場の敷地の中におきまして返還廃棄物を貯蔵するということがはっきり説明がなされておるわけでございます。
  231. 三上隆雄

    三上隆雄君 いや、最近の情報ではそれはわかり切っているんです。ですから、青森県が六ケ所村と動燃と五者協定した段階でそのような詳しい説明をしているかというんだよ。一時保管するということの定義、三十年から五十年というのは、最近その締結が全部終わった後でわかっていることでしょう。そんなこと説明してないでしょう。地元の住民の理解と協力を得なきゃならぬということを言いながら、そういうことをひた隠しに隠しながら進めているんじゃないですか。
  232. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体の貯蔵につきましては、三十年から五十年貯蔵をするということは国の基本方針として明示してきておるわけでございまして、電気事業者、日本原燃サービスはこの国の基本方針に沿って具体化を進めておるわけでございます。また……
  233. 三上隆雄

    三上隆雄君 いや、それはあなた方がそう思っても、地域住民にいつそれを説明したの、何年何月何日。
  234. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 先ほど若干御説明が不足したところもございますが、昭和五十九年十一月に青森県の専門家の方でまとめていただきました「原子燃料サイクル事業の安全性に関する報告書のあらまし」という中にも、高レベル放射性廃棄物の「ガラス固化体は、最終処分のために搬出されるまでの間、厳重な管理のもとに貯蔵されます。」ということが明記されておるわけでございまして、このことはその最終処分に出されるまでの間はこの六ケ所村の民間再処理工場の敷地内におきましてガラス固化体が貯蔵されることを示しておるものと理解しております。
  235. 三上隆雄

    三上隆雄君 だから、その最終処分地がない場合には、結局は六ケ所に永久的に保管するということでしょう。  もう少し続けます。じゃ、最終処分地のその可能性はあるんですか。
  236. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 現在、動燃事業団を中核推進機関といたしまして、地層処分のための研究開発を鋭意進めておるところでございまして、現在までのところ、安全な地層処分ができるという技術的見通しも得られつつある状況でございます。このような技術開発を進めていくことによりまして、安全な地層処分が我が国で実施し得るものというふうに考えてございまして、また国民の理解を得ながら研究開発を進め、また所要の手順を踏んでいくことによりまして、必ず我が国におきまして最終処分予定地が選定できるものというふうに考えてございます。
  237. 三上隆雄

    三上隆雄君 ついでに聞いておきますけれども、その安全な地層処分ということは、六ケ所村には重大な活断層もあるし、地下水位の高いところだし、私ども、また学者の一部にも、あれは適地ではないという見方も出ているんですが、その判断でよろしゅうございますね。安全な地下層ではないね。
  238. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) 民間の事業者が核燃のサイクル施設の立地地点を選定したわけでございますが、その際に一般的に言いまして十分な広さの敷地が確保されること、あるいは施設の建設、運 転に必要な資材、機材等の運搬が容易であることといった条件を満足する必要がございます。事業者はこれらの条件を総合的に判断いたしまして、六ケ所村を核燃料サイクル施設の立地地点として選定し、地元に立地の協力要請を行ったものであるというふうに理解いたしております。  なお、国といたしましては、核燃料サイクル施設の立地が安全を確保する上で支障がないものであるかどうかについて、立地地点周辺の、今先生おっしゃいました地盤なども含めまして、厳正に安全審査を実施していくことにいたしております。
  239. 三上隆雄

    三上隆雄君 そこで、この社会的、政治的な状況を申し上げて大臣の御見解をいただきたいと思うんですが、確かに五十九年、国の要請に従って動燃がその仲介役的な立場をとりながら、青森県は確かに手順としてはそのすべてを消化して、条件をそろえて誘致したのか、とにかく立地されることになったわけですかね。チェルノブイリの事故以来、県民の認識が変わりました。そして、あらゆる選挙を通して私どもはそのことを訴えてきました。  その結果、すべての選挙は核燃料サイクル施設の集中立地は要らない、白紙撤回せよという、そういう決定を、与えられた民主国家の中で与えられたすべてのものを尽くして私どもは選挙で勝ち抜いてきたんです。しかしながら、それは直接選挙でないから北村知事はそれをまともに受けざるを得ない。むしろそれに抵抗するのは認識が不足しているから、選挙の結果が出ていると、そう言っているんです。私は逆だと思います。認識が不足しているから反対の意向が強くならないと思うんです。しかも、自民党の国会議員を初め県議会政治家たちが、今批判を唱えるあるいは慎重を唱える学者の意見をまだ一度も聞いてないで判断しているんです。しかも、私が先ほど言ったように、その一時貯蔵というのは三十年も五十年もそんなものかと。また、今世界で一番恐ろしい核というものを今初めて認識するようなことなんですよ。  ですから、私は県民投票をして、正式に県民の意識が変わった階段で県民投票でその決着をつけなさいと、それが民主主義の原則ではないかと言っておるけれども、それを問うて県民投票しようとしないですよね。  ところで大臣、これが絶対安全だとするならば、大臣の地元に誘致する気がありますか、この施設のどれ一つでもいいから。あなたは国の大臣として国策に沿うてやるとするならば、それぐらいの覚悟はありますか。
  240. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私は、今日ここで外務大臣としてこの条約の審議については御答弁をする立場にございます。しかし、委員指摘のような住民投票に関しましては、あるいは県議会の議決あるいは知事の御意向、このような地方自治の独自性というものを尊重しなければならないと、私は一般の立場で申し上げざるを得ないと思います。また、所管の科学技術庁の長官がそれらの問題について御答弁を申し上げるのが筋道だと、これも原子力関係におきましては原子力委員会、これがすべて国の原子力に関する方針を検討する機関でございますから、そのような意識に基づいて行われているものと私は認識をいたしております。
  241. 三上隆雄

    三上隆雄君 大臣から言いますと、当然そのようなお答えがくるだろうとは予測しますけれども、少なくとも大臣も日本人として、そこの地域住民として住民が要らないとしたならば、やはりその意思を尊重しなきゃならぬと思うわけです。ですから、きょうこの提案された法案を審議させなきゃならない立場の所管大臣としてそのことをどう思うか、もう一度聞きます。でないと、私は青森県民の立場として、国民の立場としてこの法案を許すことはできないと思います。通すことはできないと思います。
  242. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) この日仏原子力協定の改正議定書に関する御審議につきましては、あくまでも日仏両国政府間の協定事項でございまして、これについて私は御答弁をする責任と義務を持っておりますけれども、現実に地方自治体におけるこの再生処理の問題につきましてここで御答弁をすることはいかがなものかと、私はこのように考えております。
  243. 三上隆雄

    三上隆雄君 地方自治の立場で聞いているんじゃないんです。国家の内閣の一員、一人としてこういう地域の住民の実態がこんなに動いているのに、変化しているのにどう対処するかという、あなたが所管大臣として聞いているんですよ、内閣の一員として。
  244. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 重ねてのお尋ねでございますが、地方自治に関しましては自治大臣がおります。また、科学技術に関しては科学技術庁長官がおります。そのような点で御理解をいただいて、所管の閣僚をお呼びいただいて御答弁をいただくことが私は常道ではないかと、このように理解をいたしております。
  245. 三上隆雄

    三上隆雄君 これ以上は外務大臣からのお言葉はいただけないと思いますから、次に進めたいと思います。  そこで、私は実は三時間の時間を要望したわけでありますけれども、二時間ちょうだいしました。まだ若干時間がありますけれども、ここで時間ぎりぎりになると私の資料提示のチャンスがなくなるかもしれませんので、あえて資料の提示を求めたいと思います。  それでは後ほど、大分量的に多くなりますから、委員長にその御配慮をお願いし、資料で提示しますから一応朗読したいと思います。  その資料については、まずIとして、「英、仏に委託している再処理について」。  その1「使用済み核燃料再処理に伴う外国との契約について」。その(1)として、「イギリス、フランスとの契約と協議事項の内容」についてお願いします。(2)として「アメリカとの協議事項とその内容」について。(3)「プルトニウム輸送の護衛に関する協議事項とその内容」について。  次に、2の「経費」として、(1)「使用済み核燃料の海外への全輸送について」、各回の年月日、それから輸送数量、輸送方法と運賃ですね。(2)として、「返還プルトニウムの予定数量と輸送方法、回数、時期及び予想運賃」。海上保安庁の専用護衛艦を出すということになっていますから、その「固定費と運転費」です。(3)「高レベル廃棄物の返還時期、加工形態、数量及び予想運賃」。(4)「TRU廃棄物の返還時期、加工形態、数量、予想運賃及び貯蔵先」でございます。(5)「再処理の費用」でございます。小さい①として「プルトニウム抽出のための経費と抽出プルトニウムの単価」であります。小さい②「高レベル廃棄物の加工費用と貯蔵費用」であります。  大きくII、「原燃サービスが計画している再処理工場について」資料提示を願いたいと思います。  具体的に1、「フランス企業との契約内容と技術料」。2として「建設費」。3として「年間の運転費と償却費」。4、「抽出プルトニウムの単価」。5、「高レベル廃棄物の年間発生量と加工費と貯蔵費」であります。6、「TRU廃棄物の年間発生量と加工費と貯蔵費」であります。7、「大気と排水への核種ごとの年間放射能排出量」です。  大きなIII「発電コストについて」の要求であります。  その1、「イギリスの原子力発電所と火力発電所の発電コスト比較」であります。2、「フランスのスーパーフェニックス―Iの発電コスト」。3、「新型転換炉原型炉「ふげん」の発電コストとウラン、プルトニウム比率」であります。4、「新型転換炉実証炉(大間)の推定発電コストとウラン、プルトニウムの比率」であります。5、「高速増殖炉「もんじゅ」の推定発電コストとウラン、プルトニウムの比率」。6、「軽水炉でのプルサーマルの発電コストとウラン、プルトニウムの比率」であります。  大きなIIIIとして「協定とガイドラインについて」資料を提出願いたいと思います。  その1として、「フランスと欧州原子力共同体及び国際原子力機関との間で締結された保障措置協 定」、日本語版のものをお願いしたいと思います。2として、「ロンドン・ガイドライン」、これまた日本語版のものを提出していただきたいと思います。  いろいろ数多くのリストを今申し上げましたけれども、これに対して出せないものは何かと言ったらいいのかな、私はすべてのものを出していただきたいですが、その資料のでき得る限り早い機会に出せるものはどれですか。
  246. 山東昭子

    委員長山東昭子君) ただいま三上隆雄委員から膨大な資料要求が出されましたけれども、これは後ほど理事会で協議をさせていただきたいと存じます。――すぐわかりますか。
  247. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) 承りまして懸命に私もメモったつもりでございますが、全体リストが極めて膨大でございますので、書面で見せていただきまして検討させていただければ幸いでございます。
  248. 山東昭子

    委員長山東昭子君) それではそういうことにさせていただきたいと思います。
  249. 三上隆雄

    三上隆雄君 早速資料を提示しますから、それで即刻判断してお答えをいただきたいと思います。それによってまた私も質問を続けたいと思います。
  250. 山東昭子

    委員長山東昭子君) 後ほど理事会で協議をさせていただきたいと存じます。
  251. 三上隆雄

    三上隆雄君 それによって私はまた質問を続行しますから、まず出せるものを示してください。
  252. 山東昭子

    委員長山東昭子君) 即刻は無理だと思いますけれども。先ほど理事会でお話をいたしましたでしょう。――それでは提案者から。(三上隆雄君資料を手渡す)  それでは、政府側どうですか、今の資料要求について。
  253. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) ただいま全体のリストを見せていただいたところでございます。このリスト、極めて膨大でございますので、ぜひ持ち帰らせていただきまして検討させていただければ幸いでございます。
  254. 山東昭子

    委員長山東昭子君) それでは政府側としては検討をしていただいて、私ども理事会の方でもそのリストを見ながら協議をさせていただきたいと思います。  それでは三上さん続けてください。
  255. 三上隆雄

    三上隆雄君 いや、少なくとも今すぐ出せるというものを示してください。
  256. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) 出し得るものも含めまして全体、書き方、いろいろ私どもの方からも若干確認させていただきたいこともございますので、それを含めまして持ち帰らせていただければ幸いでございます。
  257. 三上隆雄

    三上隆雄君 じゃ、いつまでに検討していただけますか。
  258. 山東昭子

    委員長山東昭子君) 三上さん、それは協議させていただきたいと思います、理事会の方でも、政府の方でも。
  259. 三上隆雄

    三上隆雄君 いや、無制限に協議するということはないでしょう。少なくともいつならいつまでかかるという……。
  260. 山東昭子

    委員長山東昭子君) それはちょっと内容によって、まだ検討していない、今渡されたメモだと思いますので、政府側としても難しいだろうと思いますし、理事会としても協調をさせていただきたいと申し上げました。(「委員長政府にかわって答えることはないんだ」と呼ぶ者あり)だって答弁が出ているじゃありませんか。  じゃ、重ねて石田審議官
  261. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) 可及的速やかに検討を進めさしていただきます。
  262. 三上隆雄

    三上隆雄君 少なくとも、次の機会が十九日といいますから、十八日までに資料を出せますか。
  263. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) いろいろございますが、できる限り努力させていただきます。
  264. 三上隆雄

    三上隆雄君 公正、公開の原則にのっとってこの資料を、私は出せないことはないと思います、すべてを出すように私から強く要望して、次の質問に入っていきたいと思います。  そこで、原燃サービスの再処理工場が計画どおり進められて稼働するとすれば、そこで発生する高レベルの廃棄物は毎年どれほどの量になって、また、その中のストロンチウム90やセシウム137というような極めて半減期が長い核種を見れば、広島に落とされた原子爆弾が発生させた核分裂生成物の何倍になりますか、その点についてお答えをいただきたい。
  265. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) お答え申し上げます。  一年間に八百トン日本原燃サービスの再処理工場がウランの使用済み燃料を再処理するとしまして、それに伴い発生します高レベル放射性廃液がガラス固化されるといたしますと、一年間に約一千本程度のガラス固化体が生産されることになるというふうに承知してございます。  なお、放射能量の比較につきましては、ちょっと今具体的に手元に数字を持ち合わせておりませんので、検討させていただきたいと思います。
  266. 三上隆雄

    三上隆雄君 委員長、先ほど資料の提示を求めましたが、私の質問に対して検討させるということについても、後ほどその資料と一緒に御回答いただくことをまず要望しておきます。――私の今の質問に対して政府側が検討すると言ったでしょう。検討した結果を資料と一緒に出すように、その結果を。出せなきゃ出せないでいいんです、その理由を示してください。
  267. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) 六ケ所村の再処理工場の中の放射能量、特にストロンチウム、セシウムの量というお尋ねでございました。これはいろいろ前提を置いて一つの計算でございますが、再処理のプロセスの中に内蔵する放射能量を計算してみますと、セシウム137、これは半減期が三十年でございますが、大体二・八億キュリー程度になるかと思っております。次に、ストロンチウム90でございますが、これは半減期が二十九年でございますが、再処理のプロセスの中にあるストロンチウム90の量といたしましては、約二億キュリー程度になるのではないかと計算してございます。
  268. 三上隆雄

    三上隆雄君 次に進みます。  この工場で発生する超ウラン元素を含む廃棄物は毎年どれほどの量になりますか。これお答えできますか。
  269. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 日本原燃サービスの再処理工場におきます高レベル放射性廃棄物以外の廃棄物の発生量でございますが、種類、形態等がさまざまでございまして、一概には申し上げにくいものでございますけれども、例を申し上げさしていただきますと、低レベルの濃縮廃液につきましては約二千二百立方メートル、廃溶媒につきましては約百六十立方メートル等でございます。
  270. 三上隆雄

    三上隆雄君 次に、結局はこの再処理工場ができることによって、すべての新たなところに高レベルの廃棄物や超ウラン元素の廃棄物の処分場が決定されるまでは、これは先ほどの質問とダブりますけれども、六ケ所村に置くということになるわけです、なるような感じがしますけれども、この処分場の選定はどうなっておるか、それを再確認したいと思います。どこか歓迎して誘致するところがもしやあるのかどうか。新たな処分場が決定されない限り、六ケ所に置くしかないということになるわけでしょうけれども、このことを青森県民は了解していないんです。その場合はどうしたらいいものか。むしろ皆さんに相談をかけたいぐらいの気持ちですよ。先ほど言ったように、青森県はこれを願っていない。
  271. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 高レベル放射性廃棄物につきましては、安定なガラス固化体にしまして、冷却のため三十年から五十年間程度貯蔵をしました後に最終的には地層処分することが基本方針でございます。  青森県六ケ所村で建設が予定されております民間再処理施設の敷地内では高レベル放射性廃棄物のガラス固化体が貯蔵されますが、これは最終的な処分がなされるまでの三十年から五十年を目標とした貯蔵でございまして、これはあくまで冷却のための貯蔵でございまして、最終的な処分予定地の選定とは全く関係かないものでございます。最終処分予定地につきましては、動力炉・核燃料開発事業団を中核といたしまして進めております 地層処分技術の確立を目指しました研究開発等の成果を踏まえ将来選定されるものでございまして、現在のところ日本全国ひとしく全く白紙の状況であるということを御理解賜ればと思います。
  272. 三上隆雄

    三上隆雄君 まだ最終処分地の決定しない段階で青森県では一時的にもこれは私は受けることはできないと思います。そうでなければ、そのことを県民に問う手だてを、日本政府としてその手だてをしてください。県民投票をすることを要望します。そうでなければ、別なところへその選定の場所を決めてからこの契約をしたいと思います。
  273. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 青森県の六ケ所村におきます日本原燃サービスの再処理施設の中におきます高レベル放射性廃棄物のガラス固化体の貯蔵でございますが、これはあくまで冷却のための貯蔵でございまして、処分予定地の選定とは全く関係のないことであるわけでございます。高レベル放射性廃棄物のガラス固化体が貯蔵されますことが、最終処分予定地の選定につながるものではないということにつきまして御理解を賜ればと存じます。
  274. 三上隆雄

    三上隆雄君 いろいろ理由を言うけれども、とにかく三十年から五十年は置くということでしょう。それを決めないと、私は一時保管ではないと思うんです。じゃ、それはどのぐらい進んでいますか。別な場所を選定する進行状況はどうなんですか。
  275. 広瀬研吉

    説明員(広瀬研吉君) 現在、動燃事業団が中核となりまして地層処分の技術の確立を目指した研究開発をやっておるところでございます。この研究開発は、我が国におきまして安全な地層処分ができるということにつきまして、例えば人工的につくりますバリアの研究、それから天然の地層に関します研究等を進めておるわけでございます。  昨年十二月に原子力委員会の放射性廃棄物対策専門部会から、「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発の重点項目とその進め方」が出されたわけでございますが、この報告書におきましては、現在までの研究開発によりまして、我が国におきまして安全な地層処分ができる見通しが得られつつある、なお今後はさらに人工バリア等に重点を置いて研究開発を進めていくべきであるということになってございまして、動燃事業団がそれを受けまして研究開発を鋭意進めておるところでございます。
  276. 三上隆雄

    三上隆雄君 いろいろ質問の中で資料提出やらお答えを願ったわけでありますが、一部では検討する、あるいは資料については後日にゆだねられた面もありますけれども、私に与えられた時間若干ありますけれども、次はその資料が提示された後に私の時間を続行さしていただきますから、私のきょうの質問は終了させていただきたいと思います。
  277. 山東昭子

    委員長山東昭子君) それでは、本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十五分散会