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1990-04-27 第118回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年四月二十七日(金曜日)     午前九時開議  出席分科員    主 査 粟屋 敏信君       亀井 善之君    野田  毅君       北川 昌典君    串原 義直君       沢藤礼次郎君    常松 裕志君       元信  堯君    山花 貞夫君       山元  勉君    吉岡 賢治君       渡辺 嘉藏君    兼務 有川 清次君 兼務 沢田  広君    兼務 東  祥三君 兼務 北側 一雄君    兼務 春田 重昭君 兼務 山口那津男君    兼務 木島日出夫君 兼務 藤田 スミ君    兼務 川端 達夫君 兼務 菅原喜重郎君    兼務 江田 五月君  出席国務大臣         建 設 大 臣 綿貫 民輔君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 佐藤 守良君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁長官官房         会計課長    森   悠君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁大都市圏         整備局長    三木 克彦君         国土庁防災局長 市川 一朗君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官    福本 英三君         建設大臣官房会         計課長     小野 邦久君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君  分科員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   増田 生成君         警察庁交通局高         速道路課長   小池 登一君         国土庁土地局土         地政策課長   鈴木 省三君         国土庁土地局土         地利用調整課長 大日向寛畝君         国土庁土地局地         価調査課長   吉野 洋一君         大蔵省主計局主         計官      浜中秀一郎君         大蔵省主計局主         計官      林  正和君         大蔵省理財局特         別財産室長   川端 正次君         大蔵省銀行局銀         行課長     小山 嘉昭君         文部省高等教育         局私学部学校法         人調査課長   高  為重君         水産庁振興部振         興課長     海老沢志朗君         建設大臣官房技         術調査室長   青山 俊樹君         建設省建設経済         局宅地企画室長 木村 誠之君         建設省河川局水         政課長     徳山  直君         建設省河川局河         川計画課長   定道 成美君         建設省道路局国         道第一課長   藤田 忠夫君         建設省住宅局住         宅総務課長   今泉 浩紀君         建設省国土地理         院地殻調査部長 田中  穰君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  渡辺  尚君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     山下 宣博君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    糸林 芳彦君         予算委員会調査         室長      多田 俊幸君     ───────────── 分科員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   井上 普方君     元信  堯君   串原 義直君     渡辺 嘉藏君 同日  辞任         補欠選任   元信  堯君     吉岡 賢治君   渡辺 嘉藏君     常松 裕志君 同日  辞任         補欠選任   常松 裕志君     山元  勉君   吉岡 賢治君     山花 貞夫君 同日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     北川 昌典君   山元  勉君     串原 義直君 同日  辞任         補欠選任   北川 昌典君     沢藤礼次郎君 同日  辞任         補欠選任   沢藤礼次郎君     井上 普方君 同日  第一分科員北側一雄君、山口那津男君、江田五  月君、第二分科員川端達夫君、菅原喜重郎君、  第三分科員東祥三君、第六分科員沢田広君、春  田重昭君、第七分科員有川清次君、木島日出夫  君及び藤田スミ君が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成二年度一般会計予算  平成二年度特別会計予算  平成二年度政府関係機関予算  〔総理府(国土庁)及び建設省所管〕      ────◇─────
  2. 粟屋敏信

    粟屋主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  平成二年度一般会計予算平成二年度特別会計予算及び平成二年度政府関係機関予算建設省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺嘉藏君。
  3. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 当委員会のトップを切って質問させていただくことを光栄に存ずる次第です。二点にわたって質問いたしたいわけですが、質問の資料としてスケッチをお配りさせていただきますので、委員長の御了承をいただきたいと思います。
  4. 粟屋敏信

    粟屋主査 よろしゅうございます。
  5. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 では、第一点の都市計画の問題でございます。  まず、都市計画法第二十九条等で、市街化地域では千平米以上の開発行為には県の許可を受けるようにという規定が行われておるわけですが、これは何のためにあるのですか。
  6. 望月薫雄

    望月政府委員 お話しのとおり、都市計画法では、市街化区域におきましても一般的には千平米以上の開発行為知事許可を要するということに相なっております。これはもう申し上げるまでもなく、当該市街地計画的整備を図るためのものであり、言いかえれば、無秩序な開発がなされないようにという視点からのものでございます。
  7. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 今御答弁がありましたように、そういう趣旨とともに、環境整備その他、災害防止、あるいはまた進入道路の問題、雨水の問題、そういう環境整備のことを含めて千平米以上の、ある程度の規模以上の開発にそれぞれの規制を加えるため許可行為だと私は思うのです。これは当然ですね。
  8. 望月薫雄

    望月政府委員 お説のとおりの趣旨に基づくものでございます。
  9. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 しからば、もし千平米以上の開発行為を、意図的に開発許可を免れるために分離、分割分筆等行為がなされて、これが明らかに法の網をくぐり抜ける手段ために使われたような場合に、県並びに市に対して建設省はどのような指導監督をされるのですか。
  10. 望月薫雄

    望月政府委員 お話しのとおり、千平米というのが一つラインとして引かれていて、それ以上のものは許可、それ以下のものは必要ないと制度的にはなっておるわけでございます。先生御承知のとおり、県の規則等でそれをさらに三百平米まで地域を限って下限を下げるということももちろんできるわけでございますが、一般的には千平米という線が引かれている。そうなりますと、ただいま御指摘のように、例えば千を切る、九百数十平米で開発を行うという現実応用動作というものが残念ながら散見され、それがまた社会的に批判の的になっているということも私ども幾つかの事例を承知いたしておりますが、こういったものについて、そのことをもってよしとするかどうかという御指摘でございます。  私どもとしては、当該行為を全体としてどう見たらいいか、あるいはその前に、当該行為にかかわる土地所有関係がどうであるかなどによっていろいろと慎重な配慮が必要でございますが、基本的には、一般的には私ども、今先生お話しのような事例については全体的な動きというものを念頭に置いてこの事務に取り組むようにということを常に指導しておるところでございます。
  11. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 今承りますように、全体的な構想、スケール、そういう観点に立ってこれが千平米以下に無理に作為が行われておるんだ。こういう場合には、これは全体のスケールの中で判断をしていただく、そういう規制指導は当然だと思うのです。  このことについてもう一度、じゃどうするか、具体的にどういうふうな手段でそれを防止、歯どめをされるのかということと、いま一つは、これが予見できない場合もあります。そういうことは全然予見しなかった、しかし後になって、結果的にそういうふうに行われた。こういう場合と二つ出てくるわけですが、前段に対する対処の仕方、それから全く予見できなかったが、実際問題としては千平米を超えるため作為が行われている、それがために県は適用証明を出したり市が建築確認をおろしたりしてしまった、こういうふうに後手になった場合と、この二つに対してどう対処していくか。これは立法趣旨に基づいてきちっとお示しをいただきたい、こう思います。
  12. 望月薫雄

    望月政府委員 先ほど申しましたように、一体的な開発とみなせるかみなせないかという、いわば認定にかかわる面が出てまいりますが、いずれにしても姿勢としては、一体的な開発の一部であると認定できるものはそれらしい許可手続をとるように、とらせるようにということが指導基本でございます。  ただ、率直に言いまして一体性認定、これは言うほど簡単ではない面がございます。例えば、先ほども申しましたけれども土地所有関係がまだ自分のものになっていない、他人のままであるとか、そういったような状態のものを一体的なものと認定するには、行政実務処理をする上ではいささか難しさが伴います。その意味で、先ほど来私が申し上げていることを完璧に行うことは、実務処理の上では多分苦労、困難が伴うことであろうと思いますが、一体的開発とみなされるものについては積極的に許可を取らせるようにということが私ども指導基本であるわけでございます。  しかし、一体開発云々が十分認定できないままに千平米未満の開発行為が、今先生指摘のように建築確認という段階で先行していくことは現実の問題としてあろうかと思います。そういったことも頭に置きながら通常私ども指導していますことは、そういうおそれがある場合には、当該開発者に対して、自後の開発行為についてはいわば念書をとってそこらについての指導をするというのが現実的なやり方であり、また今日の制度のもとではそこらに限界があるのではなかろうか、こんなふうに思っておるところでございます。
  13. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 私の地元朝日プラザ鷺山という高層マンション計画が進められているわけですが、県の道路証明は昨年の十二月二十七日に、そして市の建築確認はことしの四月十三日付でそれぞれ済んだわけです。しかし、この事業はもともと千平米を超える千二百平米程度の事業であったわけです。これには鷺山校下数千人の方々が猛烈な反対をしていらっしゃる。  なぜかというと、まず第一は、この鷺山は歴史的にも有名な斎藤道三の居城でありまして、非常になだらかな、優雅な、史的な価値のある由緒のある山で、標高は六十八メーターという非常に低い山です。これの中腹、大体真ん中あたり、三十メーターか四十メーターあたりに平地、台地がありますもので、そこに建設しようというものですから、山腹なものですから災害水害あるいは火災、またがけ崩れ等心配を周囲がしておること等々から地元としては今大変な問題になって、これが一年有半続いておるわけですが、今申し上げたような県の適用証明と市の建築確認がおりて一挙にこれがまた噴き出したという状態なんです。  これについては、建設業者大阪市の株式会社朝日住建なんですが、その土地だけでは十分なマンションなりませんので、隣地の細井三郎さんの所有地三百三十七平米を含めて千百九十七平米の事業を行おうとされたのですから、当然開発許可が必要なんです。そこで昨年五月にこの細井さんの土地分筆いたしまして、三分の二の用地は事業から外し、三分の一の百十四平米のみを組み入れまして九百七十四平米として開発許可を免れようとした節があるのでございます。それがために、その分筆して組み入れました細井さんの土地百十四平米の上には彼の住宅そのものが建っておるのでございます。  今お渡しいたしましたこの地図の中で黄色い部分は従来の土地で、そしてその四角いところが細井三郎さんの土地で、これを含めてこの開発が行われるわけです。そうでないと道路に一部しか面しておりませんので。そこで細井三郎さんのこのくさび型の妙な形を分筆したのです。これだけを組み入れて、黒い部分のみを残しまして、そして九百七十というかつかつの線にしてこういうことが行われたわけであります。そして、この分筆したそのもののところに細井さんの家が建っておりますので、細井さんの家を取り壊して取り除かない限り道路がつかない、こういう格好になるのでございます。それがため細井さんそのものはこれを売って、そして私は大阪へ転居するんだ、こういうことをもう平然と町内にごあいさつをされたのです。  そういうようなところから見て、いま一つは、マンション計画が十九戸なんです。約千五百平米ですから極端に大きなものじゃありませんが、六階建てが山腹に建つということ、そして十九戸のマンションため駐車場は十台分、それも軽自動車用駐車場でありまして、普通乗用車ですと七、八台しか入らないという駐車場でございます。何回も言うようにこの付近山腹でありますから、この付近駐車場を確保することは不可能なんです。細井さんの残り地二百二十数平米を組み入れて駐車場にしないとマンションとしての機能が果たせないのです。  こういうようなことから、この計画はどう見ても千平米の許可基準を免れようとした節があるのでありまするが、これについてはどう御判断いただけますか。
  14. 望月薫雄

    望月政府委員 大変現地に即した詳細なお話でございますので、私ども直接のことについてこういう感想を持つということを申し上げるのはこの際不適当かと存じますが、今お話にもありましたが、本件について言いますと、細井さんの土地所有のままで現在これまで残っていらっしゃるわけでございますね。それを私どもどう見るかということになるわけですが、先生お話しのような見方というものも、私ども感じとしてはそこそこ受けとめる部分もございますけれども、はっきりとこの場でもって、そういうものであるという断定の上に立ってこの手続が適切でないとかあるとかいうことを言うことについては、この際私ちょっと御遠慮させていただきたいと思います。  ただ、一般論として、先ほど来言っているように、一体的な開発基本であるという指導を私どもしているところでございますし、開発許可に当たります県当局においてもそういった方向の中で事務処理が適切に行われているものというふうに考えているところでございます。
  15. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 今申し上げました分筆をいたしました百十四平米そのものもまだ細井さんの名義にしてある。そして細井さんの名義のままでその朝日プラザ鷺山マンション事業計画に入っておるのです。だから、やることが実に巧妙でありまして、実質的にはもう細井さんの名義そのもので一部分を組み入れ、一部分を残しておる、細井さんが家を壊して出ていけば当然その後は組み入れる、これはもう火を見るより明らかなんです。  この点については十分な御指導と御監督をお願いするとともに、そこでいま一つ問題は、こういうことがまかり通りますと、これに接続した、上の方に四千五百と書いておきましたが、この地域にまだ四千五百平米、そういうなだらかな台地があるのです。これを昨年九月にある土建業者が入手をいたしたのです。ですから、もしこういう手法が通れば一棟ずつ建てていけばいいのですから、四分割、五分割いたしまして、千平米以下にしてどんどんやっていけばいいのです。そうなったら、ここに水害災害先ほど申し上げたように火災が起きても消防車そのものが入れない。四メーターの非常に狭い道路で、鋭角もありまして、もうとてもじゃないが、災害が起きたときには大変なんですね。  そういうようなことから今私ども一番心配しておりますることは、こういうことがまかり通っていく、そして後になって、その事実行為ができてきた、もうどうしようもない、そしてまた後から後から行われていったら、この都市計画法の千平米のラインは全く無意味になってしまうのではないか。これはどう見ても、立法趣旨から見ても何としてもとめなければいけない行為なんですが、こういう明らかなものについては建設省としては何とか断固として措置していただくことができないものかどうか、こう思うのですが、どうでしょう。
  16. 望月薫雄

    望月政府委員 この件について私ども県当局との間でもまだ具体的なお話を伺っていないわけですが、ただいま先生お話を承りますと、確かに大きな土地が、ある特定の企業の所有に移っている、当然のように今後ある種の開発行為が予定されておるのではないかということも私どもよくわかるところでございます。図面を見ましても、そこについてはいわゆる街路等あるいは排水施設等基盤施設も現状では整備されていない。こういったところをどのように計画的に整備を図るのか図らないのかということは大変大事な問題でございます。私ども、今後県当局においてどのような処理をするか見守りたいと思いますが、いずれにしても、本日の先生の御発言の趣旨等も踏まえながら、県の動向等について必要とあらば私どもも御相談に乗らせていただきたいというふうに考えている次第でございます。
  17. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 局長さん、恐縮ですが、もう一つ。  私はこういうような意味から、千平米というのは、今まで大都市からずっと地方都市まで地価の高騰その他、こういうマンション計画が流れてきておるわけですね。これを食いとめるために、やはり三百平米から千平米まで、こういうことは県の規制でできるのだという規定があるわけですから、この際建設省として各府県に、必要のあるところには三百平米なり五百平米でもいいと思うのです、余り極端に小さいのも困りますが、五百平米ぐらいまでは規制の対象にするように、そういう指導をされたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  18. 望月薫雄

    望月政府委員 一般原則千平米に対しまして三百平米までを規則でもって地域を限って決められるというのが現在の法の体系でございます。ということは、言いかえればこれは当該地域に精通している地元公共団体知事さんの判断にかかわるものが非常に重いというふうに我々受けとめております。  また同時に、これを例えば五百なり三百なりにしたときに、あるいはまた五百をかつかつに切るケースとか、三百を限りなく近い低い数字で切るケースとか、まあ言ってしまえばそういう事態も一般的には予想されるところでございますが、ともあれ私ども先生がおっしゃるようにこの開発許可基準というものは計画的な町づくり整備という観点からの基準でございますので、そういった視点から、地域地域の特性に応じてその辺の規則の制定、運用が適正に行われるように、そういった意味での御指導は申し上げていきたい、かように考えているところでございます。
  19. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 その点ひとつ厳格に立法趣旨に基づいてお進めいただきますることを要望いたしまして、次に、長良川治水の件について承りたいと思います。  現在の長良川治水ために、しゅんせつ塩害防止河口ぜき、こういう三段論法で今度長良川河口ぜきがつくられることになり、今その第一期の工事が進められておるわけです。そこで、私は地元長良に住んでおりまするし、長良川流域災害は、戦前はともかく戦後の水害には全部立ち会いをし、その水防に奔走してきた一員として、非常に優しいがいざ怒り出すと大変に怖い川であることだけはよく知っておるわけです。  そこで、こういう三段論法長良川水害未然予防が本当にできるのかどうか。特に、これは素人一般論なんですが、素人がぱっと考えたときに、長良川の中に、せき柱が十一本できるのだ、両岸含めて十三本なんだ、だから六十五、六メーター障害物が川の中にできて本当にいいのだろうか。上下に川幅しゅんせつしてやるからいいんだ、こういうような説明がよく出てくるのですが、これによって本当に川上からの洪水、川下からの高潮あるいはまたその他の異常出水等に耐えられて、河川の各施設が機能して十分国民あるいはまた地元民を水害から守る自信があるかどうか。まず、これを承りたい。
  20. 近藤徹

    近藤政府委員 今先生から、長良川河口きの現地にお住まいの実情まで踏まえてお話がございましたので改めて御説明するのも恐縮でございますが、今お話がありましたように長良川というのは昭和三十四年の伊勢湾台風を初め、三十五年八月、三十六年六月と、当時の計画高水流量四千五百トンを大幅に上回る出水が頻発しました。そこで、この川の計画を見直す必要が生じたわけでございます。  この当時幾つかの方法が検討されましたが、その結果は、まずこの高水流量を、基本高水ピーク流量八千トンのうち、五百トンは上流のダム群洪水調節をして、河道計画高水流量を七千五百トンとする計画を定めたわけでございます。四千五百トンから七千五百トンに引き上げるわけでございますから、川幅を広げること、それから引き堤をすること、その他を検討したわけでございますが、結果的には大規模しゅんせつをするということが一番合理的な方法であるという結論に達したわけでございます。大規模しゅんせつをいたしますと塩水の遡上があることから、まず最初に河口ぜきをつくって潮どめをして、そしてその上で早期に大規模しゅんせつをする必要があるという結論に達しました。その結果、長良川河口きの建設計画が決まりまして現在に至っているわけでございます。  それで、御質問せき柱が十三本あるというお話でございますが、これらの影響はしゅんせつ計画の中に十分織り込んでございますので万全でございます。
  21. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 伊勢湾台風のときに四千五百から八千立米に引き上げられた。私はあのときに長良川を見ておったのです。あのときに私のところも水につかったのですが、あれは堤防電車道において切れているのですね。ああいう欠陥堤防については、断じてあんなことはあり得ない、あれは四千五百だったからああいうふうになる。だが、異常出水というのは予想を上回ることが幾らでもあるのです。この河口ぜきをつくられて、今の人知の限りにおいて水害が完全に予防できるとは私は言えないと見ているのです。もっともっと予見できないいろいろなことを予想することによって、河口ぜきはむしろ危険ではないかという心配を私はしておりますが、時間がありませんので、これにはこれ以上突っ込みません。また後日行います。  そこで、これと関連するわけですが、五十一年九月十二日の水害のときには、これは御案内のとおり長良川安八地内で切れた。だからほかは助かった。妙なもので、どこかが切れると助かる。伊勢湾のときもそうなのです。みんなそうなのです。どこかで長良川が切れるからほかが助かる。ところが、この安八方々は大変な水害に見舞われた。それで一人の方が亡くなった。そこで、これは国の責任だということで、一審では地元が勝訴をいたしまして十九億六千五百万円の損害補償の仮払いが行われたわけです。しかし二審では、今度は堤防の破堤は予見不可能というようなあの判決は私は全く合点がいかないのですが、地元敗訴ということになって、今利息を含めて二十七億円余の返還を建設省等から千三百人の被災者に請求が来たのです。一方、河口ぜきの建設のためには漁業補償ということで付近の漁業をやっておる一部の方々には八十億円の漁業補償がおりてくる。漁業振興費として五十億円、合わせて百三十億おりてくることになった。余りにも矛盾が多いという感を抱かざるを得ない。  必要でない河口ぜきにこのように金が使われたということは、これは同じ地元なものですから、一方は水害を受けて被災した、それの復旧のために金を使ってしまった、その金を利息をつけて返せと言われた。片一方は漁業補償がおりてきた。地元民は神経を逆なでされて、今非常に深刻な内部的な問題が起きたのでございます。  原告団の説明によりますると、この千三百人のうちで、連絡のとれない他地域や他府県に転出した十一名等を除いては現在返還には難色を示しておる。これは当然だと思うのです、災害復旧のため、家を直したり畳の入れかえ、家財、家具の整備等に使ってしまったのですから。そしてまた、生活困窮者もあるわけなんです。こういう状態の中でこういう返還を一律に利息をつけて行えということは、私は少し矛盾というか過酷ではないか、こう思うのですが、この点についてはどうですか。
  22. 近藤徹

    近藤政府委員 まず、長良川河口ぜきの必要性は先ほど御説明したとおりでございますが、しかし、この建設の結果、地域の水産業には残念ながらある程度の影響が出ざるを得ない。その問題については、この事業の必要性を御理解いただき、また、それによって損害を受けると予測される者については補償するということで、これらはいずれも政府の定めました損失補償基準要綱に基づきまして適正に補償するということでございます。そして、現在関係者と交渉を行いながら逐次補償金の支払いをしているところでございます。  一方、今お話のありましたように昭和五十一年九月の安八町地先で長良川出水によって破堤した件につきましては、地元の方から訴訟が提起されたわけでございます。お話のありましたように、一審判決では国が敗訴いたしまして仮執行額十九億六千五百五万円余が支払われたわけでございますが、これらについては二審の段階で国の勝訴が認められました。既に原告に支払われております仮払い金については、年利五%の利息を付して総額約二十六億円の返還を求めることになったわけでございます。これは国の債権として債権管理法の手続に従って返済を求めることになっておりまして、この手続に基づいて返済をお願いしているところでございます。  そこで、先生には万全かというお話で、我々の計画河川計画ができたからたちどころに安全となるわけではございませんで、その計画に基づいて河川が完成した場合に安全となるわけでございます。そういう意味では、これらの水害も工事の完成が待たれたまだ中途段階において計画を上回る出水ため破堤したものでございまして、我々としては残念でございますが、訴訟に訴えられた方については、我々の治水努力の成果を御理解いただきながら、返済には応じていただき、なおかつ今後治水の安全度の万全を期して努力していきたいというふうに考えております。
  23. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 最後に大臣に承りたいのですが、昨夜私は原告団のある幹部とも会いまして、この問題についていろいろ突っ込んだ御意見も聞き、窮状も聞いてまいりました。その結果、こういう復旧に使った金で利を生む金ではないんだ、それに利息をつけて返還させようということは無理ではないか、だからこの際、元金を返済すること、いま一つは、いたずらに争いを長引かしておることは好ましくないので終止符を打つことについても考えたい、こういう前向きの話も出ておるわけなんです。  こういう点について大臣として、これは政治的にどうあるべきか、同時に、どうしても返せない人があるわけですが、強制執行してでも取り立てるつもりなのかどうか。この点は大臣として、要するに法そのものを遵守することは言うまでもありませんが、政治家としてこれはどうあるのが正しいのかという御判断を御意見として承りたい。
  24. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 この問題につきましては、私が大臣に就任して早々に現地の皆様方からの御陳情等々も承りました。ただいま局長からお答え申し上げましたように債権管理法の手続がとられておる問題でございまして、この法のもとにいろいろと執行されるわけでございますが、個々の実情を見てまたいろいろと検討させていただきたいというふうに考えております。
  25. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 それでは時間が来ましたので終わりますが、どうか二度と災害のないように万全を期していただくことを前提に、ぜひ善処をお願いいたしたいと思います。  以上で終わります。
  26. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて渡辺嘉藏君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田スミ君。
  27. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 建設省は、三年前からふるさとの川モデル事業を実施していらっしゃいます。まず最初に、この事業の目的、ねらい、そういうものを御説明いただきたいと思うのです。  実は、私の地元、堺市の旧市内を通っております内川もふるさとの川ということになりまして、今鋭意、堺市の方もそのプランの具体化を進めているところでありますけれども、国の方としてはその具体化プランをどういうふうに掌握していらっしゃるか、まずお伺いをしたいと思うのです。
  28. 近藤徹

    近藤政府委員 まず、ふるさとの川モデル事業の件でございますが、ふるさとの川モデル事業というのは、大いに市町村の皆様の川を愛する気持ちを体して立派な川を整備したいということから発想したものでございます。本来、県管理の川については県の方で河川改修をするわけでございますが、それらが町の中心を流れておって、町の景観等と一体となって河川整備によっては立派な都市景観が創造できるようなものについては、ぜひ市町村の皆様のアイデアを出していただいて、市町村のシンボル的な河川整備していきたいということでございます。  このため地元市町村から水辺空間整備計画を策定していただいて、それらの中で特に適当と思われるものについては採択して進めようとしておるものでございます。昭和六十二年度に制度を創設いたしまして、平成元年度までに全国で九十七河川をモデル河川に指定しまして、このうち三十八河川について整備計画認定し、現在事業を進めておるところでございます。  そこで、今お話のありました堺市では内川というのがございますが、これはこの事業の発足当初に、六十二年にモデル河川に指定をしたものでございます。ちょうど堺市の中心を流れている川でございまして、都市河川でございますから、ヘドロの堆積その他もございますし、また出水時にははんらんするということもございます。もともと市の中心ということで市民との触れ合いの場でもございますので、これは地元堺市及び大阪府等の皆さんのアイデアをいただきまして、町並みと一体となった立派な河川整備したいということで今その整備計画の検討を地元でしているところでございまして、これらが治水上、利水上からも適切なものについては我々の方で今後認定して事業を進めていく、そのために必要な補助金を助成するということになろうかと思います。
  29. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私も、建設省のこのふるさとの川事業というのはそれこそ大変すばらしいアイデアだ、ぜひ実のあるものとして進めていただきたい、こういうふうに思っているわけですが、問題の内川というのは、今もお話ありましたが、大変ヘドロの堆積がひどい状態であります。下水道の普及の方も私もかねてから建設省にお願いをしてまいりましたが、おかげでこれは当初の目的よりも二年も早く完成をするというようなことになりまして喜んでおりますが、そうなりますと、いよいよこの内川のヘドロというのは早くしゅんせつをし、川をせっかくきれいな水が流れてきましても、そこで改めて汚れ直しをするというような状態を取り除いていかなければなりませんので、そういう点からは、ふるさとの川の事業によって一層しゅんせつ事業が促進するのだというふうに理解をしてよろしゅうございますね。
  30. 近藤徹

    近藤政府委員 おっしゃるとおり、内川は大変ヘドロが堆積しておりまして、河川環境からも都市環境からも決して好ましい状態でございません。まず、しゅんせつが最大の急務だと考えておりまして、この計画を真っ先に取り上げたいと思っているわけでございます。  ただ、ここは、しゅんせつするにしましても、河岸が脆弱でございますから、付近の周辺への影響も考えられますので、その前提としまして、まず護岸を整備し、しゅんせつができるような状態にしていくということが今後の工事の工程計画となろうと思います。
  31. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 問題は、そうなると、いよいよお金の話になってくるわけでありますが、ふるさとの川事業というのは、先ほど特別に補助というお話がございましたが、そのために特別に予算をかさ上げするとかというようなことではなしに、通常の河川改修事業として進めるというふうに聞いておりますが、間違いありませんか。
  32. 近藤徹

    近藤政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  33. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 そこがやはり担当する市町村なりあるいはまた府県なり一つの悩みになってくるわけであります。ヘドロのしゅんせつ事業も一定これまでも進めてまいりましたけれども、これまではどうしても一つの予算の枠の中で、内川のヘドロしゅんせつをしようか、あるいはもう一つ狭間川という大変問題の川がございまして、そこの改修をしようかということで、いつも頭をひねりながら事を進めているわけです。そして、この狭間川というもう一つの川のはんらんなどがございますと、そこにぱっとお金を回していかなければ対応できないということで、しゅんせつ事業がまたいっときおくれたりするというような状態が繰り返されているわけです。だから、このモデル事業を持っているところは総枠をふやしていく、せめて総枠をふやす、その御配慮を特に内川の場合に求めたいと私は思いますが、いかがでしょうか。
  34. 近藤徹

    近藤政府委員 予算のことになりますと大変つらいわけでございますが、いずれにしても大きな計画のもとに着実に進めていくことが大事だろうと思いますので、内川については今おっしゃいましたような計画に基づき、また狭間川は狭間川のそれぞれの計画に基づきまして、ある意味では大阪府全体の治水の安全と河川環境をどうしていくかという総合的な判断の中で必要なものについては極力重点配分していくことが適切じゃないかというふうに考えております。
  35. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 話がそこまで来ると堂々めぐりになってくるわけですが、大臣、今も申しましたように、川を愛するというその思いを広げていく点でも大変大事な事業だというふうに思うのです。  それで、私のところでも、内川のほとりにふるさとの川モデル事業という看板が立ちました。そうすると、それだけでもやはり思いは川の方に走るわけです。ヘドロで非常に汚れていたところにそういう立て札ができただけでも、みんな改めて、ああこの川がよみがえるのだ、こういう思いが私はみんなに走っているというふうに思うのです。  特に、この堺の内川というのは室町時代につくられまして、中世の自治都市に大きな役割を果たしてまいりました。今有名な千利休の利休の周濠というふうにも呼ばれまして、堺の歴史とともに流れてきた川なのです。だからその復活というものを大変期待をし、以前からこの川をよみがえらせたいという学者の皆さんを含めた市民グループのいろいろな川をきれいにする運動も一方ではあって、そこからもさまざまなアイデアが出されてきておりますけれども、せっかくの事業でございますので、私は名をつけた以上、実もあるものにしてやるという御配慮を大臣としてもぜひしていただきたいということをお願いしたいわけですが、最後にこの問題で大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  36. 近藤徹

    近藤政府委員 計画計画として事業を強力に推進せよというお話だと思います。我々は、治水事業としては先ほど長良川水害お話もございましたが、全国的には治水の安全度が非常に低い中で予算を極力確保しながら、なおかつこのような地域の中心となる川についてはまだ努力をしていこうというふうに考えておるわけでございます。
  37. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 時間の制限もありますのでこれでこの問題をおきますが、もちろん内川も治水という点でも大変大事なことになっています。現にこれまでも何度もはんらんいたしまして、この汚い水が外に溢れ出していったときには、しかも周りは過密化しておりますので大変なことになるわけです。だから、そういうことも含めて御配慮をいただき、全国的にもモデル事業が推進することを私は期待をしておきたいと思います。  次は、阪神高速道路公団で今新しい路線の計画一つとして堺三宝−松原間の大和川線というのを打ち出しております。具体化を大変急いでいると聞いておりますが、進捗状況をお聞かせください。
  38. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 阪神高速道路の大和川線は、南大阪地域において臨海部と内陸部を連絡して、大阪都市圏の基幹道路となる第二環状線の南側の部分を形成するとともに、大阪南部地区における東西方向の交通混雑の緩和を図って地域の発展に寄与しようとするものでございまして、区間は堺市の築港八幡町から松原市の三宅中に至る約十キロの区間でございまして、往復四車線の幅員で事業を進めようとしているものでございます。平成元年度から事業化をいたしまして平成十二年度に完成を目標にしているところでございます。  現在、公団において環境に関する調査を中心に事業を実施しているところでございます。都市計画大阪府でやっていただくわけでございますが、これの大阪府の作業に御協力を申し上げて早期に都市計画決定が進められるように図っているところでございまして、逐次本路線の整備を推進していくことにいたしております。
  39. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 地元の者はこの計画を聞いたときに、本当に大きな驚きで聞いたわけです。それは名前のとおり大和川に沿った通称大和川線と言われておりますが、堺で一番公害のひどいところを通過することになっております。ここに公団創立二十五周年の記念式典で配られました地図がありますが、ここで公団が希望路線という名前を使って大和川線はここにつくりたいという説明を地図の上でわざわざしておられるわけです。これも本当に地元の住民にとっては寝耳に水というのはこういうことなのかという思いがいたしました。  なぜ地元の人がみんな驚きかつ衝撃を受けたかというと、ここは今も言いましたように、堺と言えば四千百五十九人も公害認定患者がいる町で多いのですが、公団が希望路線だと線を引きましたその真下の地域の公害患者を拾い出してみますと、そこに四百三十一人、約一割の人が集中しているのですね。それを見ても明らかなように、ここはNO2も年平均値で〇・〇三PPmで、〇・〇四PPm現在の基準で見たらそういうことになっておりますが、「〇・〇四PPm以上〇・〇六PPm以下の日数とその割合」というところを見ますと、年間八十九日、二四・七%が〇・〇四PPm以上、現在の基準をとてもクリアしていない、そういう状態になっているわけです。さらにこれが、私たちは改悪だと言っておりますが、〇・〇二PPm以前の基準で見ますと、年間三百四十九日がつまりクリアしていない、そういう地域になっているわけです。だから公害患者が四百三十一人もまだここで認定患者としておられるという状態になっているわけであります。  さらに、この地域はもちろんですが、大阪府下のNO2簡易測定運動という皆さんが御自身で取り組まれた簡易測定結果というのがここに出されておりますが、ごらんのように赤いこの地域が、まさに指定される今度この道路が通過するのだという地域なのです。これが赤くだんだん色が黒くなるほどひどいのですが、ここもそういうふうに大変ひどいということは、こういうところでも示されております。  こういうふうに見ますと、この新たな道路計画によって公害発生源が一層ふやされるのだというふうに住民も心配しておりますが、この点建設省はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  40. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 この路線は、先ほども御説明申し上げたように現在都市計画決定に向けて環境に関する調査などが行われている段階でございまして、都市計画決定に際しては、都市計画決定権者において環境評価を行うことと制度上なっているところでございます。その中で、計画路線の周辺におきます環境の現況を把握するとともに、計画の目標時点における環境に及ぼす影響を予測いたしまして、環境保全目標に照らして評価を行うことといたしているものでございます。その際、環境保全目標を満足するように構造上の対応等適切な対策を講じていくということは当然のことでございまして、新たな公害発生源になることはないように進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  41. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 環境の目標を達成するように現在アセスメントも進めているし、新しい路線ができることによって環境の悪化を招かないように取り組んでいきたいというふうに今の御答弁を聞かせていただいたのですが、日米構造協議で輸入インフラの整備をやるということで輸入大国化を一層目指す方向になっています。今はまさに、関西空港が完成されればそこから大量の輸入貨物が吐き出されていきまして、そしてこの地域を通過していこう、こういう状態になっているわけです。皆さんもそういうことがあるからこの道路計画に大変御熱心だというふうに考えております。  しかし、そういうふうに大量に通過する道路の建設も、アセスメントをしたからそれでうまくいく、環境目標を達成していけるというようなことにはなかなかならないのじゃないか。しかもNO2の発生源規制も一向に効果は見られておりません。だから、アセスメントをしたからもう大丈夫だと言われたんじゃ住民の方はたまったものではないわけです。そういうことを重々承知しながらこういう計画を進めるというのは、住民から大変無責任だというそしりを免れることはできないというふうに私は考えます。  もう一度この環境問題に対して、建設省の環境汚染を広げないというところの決意のほどを聞かせていただくとともに、その問題についてはそこに住む者が一番よく知っておりますので、やはりそこに住む者の意見というものを、この大阪府のアセスメントというのは知事が調査をして、そして知事に回答を求めるわけです、不思議なことですが。アセスメントというのはそういうことになっているのです。だから別名アワセメントと言うのですよ。そういうふうなアワセメントにならないように住民の意見というものを大いに尊重していくということをここで約束していただきたいわけです。
  42. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 アセスメントにつきましては、御懸念の点を含んだものでやることは当然のことでございます。手続的なことでのお尋ねでございますが、御承知のとおり、都道府県の都市計画の審議会を開催する前に地元の説明会を開催いたしまして、アセスの準備書の閲覧とか住民の意見の聴取ということをやることといたしております。
  43. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 手続的なことではないのです、私が申し上げているのは。手続的なことはよくわかっているのです。それで、どこでも住民に閲覧するんだとか意見を市の委員会で聞くんだとかいうようなことなのですが、そこに住む者が最も影響を受けるにもかかわらず、十分その合意がなしに強行されるということが非常に問題なのです。だからそこに住む人たちの合意、それを尊重していただきたいわけです。どうなのですか。
  44. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 制度的には御承知のとおりでございまして、そこでの目的は、住民の意見を聴取するということを目的として制度がつくられているわけでございますので、十分機能するようにその制度を生かすことは当然のことでございます。
  45. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 もう時間がなくなりましたが、私はもう一度重ねて、こんなひどいところに新たな公害発生源を設けようとしているのだから、少なくともその問題については住民の意見をよく聞き、そしてその合意のもとに進めるのだ、ゆめゆめ強行はあってはならないということをここで申し上げておきたいと思います。  最後に、民間住宅の明け渡し問題なのですが、二十五日の朝日新聞でも掲載されておりますが、東京都の港区が昨年、区内に約二千人いるひとり暮らしの老人を対象に実施したアンケートを見ますと、木造賃貸住宅の住民のうち二七%が立ち退きを迫られているか、あしたにでも追い出されそうな状態だというふうに報道しております。これは、私の方の地域でも住宅難と土地高騰で住宅問題のトラブルが非常に多くなりまして、ある日突然暴力団まがいの地上げ屋に明け渡しを迫られて途方に暮れるというような人たちが多くなっております。  そこで、きょうは警察庁にもお願いをしておりますが、警察や市役所に相談に駆け込む、駆け込まざるを得ないわけですが、例えば警察の方に参りましたときに相談窓口というのがありまして、どんな暴力を受けたか、迷惑行為があったかということをしつこく聞かれたあげくの果てに、これは刑事事件にはなりませんねということで、弁護士さんのところへ行ってください、こういうようなことになってしまうわけであります。  しかし、実際に地上げで本当に暴力の一歩寸前にまでいくような恫喝だとか脅迫だとかということで、住民の不安というのは大変深刻であります。だから私は、警察としても関係行政機関と連携をとるなどして、警察自身も被害者の立場に立って機敏に対応するとともに、地上げ屋の恫喝におびえる住民の日常的な相談業務というものにぜひ取り組んでいただきたいというふうに考える次第であります。  もう一つ建設省の方も地方自治体の関係機関とよく協議をして、問題の多い地域には日常相談窓口の設置だとか住民の不安解消のための体制というものをとるべきだ。これは全国どこでもということではなしに、問題が起こっているところはやはりそういう体制を特に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
  46. 増田生成

    ○増田説明員 警察といたしましては、地上げのような民事問題に暴力事犯がかかわりましたような問題につきまして市民の方からの相談があった場合についての対応でございますが、これは各都道府県警察に民事介入暴力の担当者を指定しておりまして積極的に対応するというふうに努めてまいっておるところでございます。  また、ただいまお話ございましたが、相談の内容が刑罰法令に触れるものについては検挙を徹底するということでございますが、直ちに刑事事件として立件できないものもございます。そういうものでございましても、事案の内容に応じまして警告、制止等の犯罪の防止をするということは当然でございますが、そのほかにも地方公共団体の各種の相談窓口がございますので、そういうところでございますとか、あるいは弁護士会の民事介入暴力被害者救済センターを紹介するなどいたしまして、関係機関、団体と連携をいたしまして、市民サイドに立って積極的かつ迅速に対応しておるところでございまして、今後ともそのように努めてまいりたいと思っております。
  47. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 住宅行政の立場から、今の問題どういうふうになっているかということを申し上げたいと思いますが、基本的には今警察の方からお話がありましたように民民の問題が基本でございます。したがいまして、例えば家賃統制令を廃止したケースあるいは消費税を執行するケース等々いろいろと賃貸住宅についての問題がございまして、次第に公共団体の末端の窓口が整備されつつございます。したがいまして、今申し上げましたような問題あるいは公営住宅に入居できる資格のあるような住宅困窮者などについてのいろいろな相談というのは、直接行政サイドの問題ではないかと思っておりますが、それの周辺の問題として、民民の問題も相談を受ければ適切にアドバイスをするということではないかと思いまして、そういう窓口を問題の多いところにはできるだけ広めにつくるようにこれからも指導しますし、私どももそれを国の立場として全体を統轄する指導に当たりたいと思っております。
  48. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 時間が参りましたので、これで終わります。
  49. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。  次に、有川清次君。
  50. 有川清次

    有川分科員 私は、鹿児島県の大隅半島という最も過疎が進行するような、どう開発していけばいいのか悩む地域から選出されておりまして、そうした立場から、何としても道路網の整備、そして企業の誘致などがスムーズにいくような情勢をつくりたいという立場で、質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点は、国土開発幹線自動車道の東九州自動車道の早期着工、整備促進の件についてでございますが、北九州市を起点として鹿児島市を終点とする東九州自動車道は、さきの平成元年一月の国幹審におきまして、三区間、延長百九十一キロが基本計画の中に組み入れられました。地元民は大変喜んでおるところでございますが、長年にわたる関係住民の切実な要望がやっと具体的な形になった、こういうふうに考えております。均衡ある国土の発展を図る立場から、多極分散型の国土開発を決めた四全総に基づき決められたものだというふうに理解をいたしております。  南九州は、御案内のとおりに九州の背骨とも言われます九州縦貫自動車道も、難工事部分があったとはいえ、いまだに人吉−えびの間が未開通のままでございまして、まさに大動脈を断ち切られたままの末端神経が麻痺したような状態になっているのが現状だと思います。体も手足の末端まで血が通ってこそ健康な五体が保たれるわけでありまして、今日の我が国土における道路交通網の現状は、こうした地域整備促進が非常におくれているように思われてなりません。そうした弱点を克服して健全な五体にするためには、これからかなりの時間を要すると思われる東九州自動車道の早期着工、整備が極めて重要だと思うのでありますが、まずは東九州自動車道の整備方針について所見をお伺いしたいと思います。
  51. 三谷浩

    ○三谷政府委員 四全総におきましては、国土計画基本的課題といたしまして、定住と交流による地域の活性化を進めるため、高速交通体系の整備を進める必要があるとしております。これを受けまして、建設省では、多極分散型国土の形成を目指しまして、二十一世紀に向けて高規格幹線道路網一万四千キロメートルの形成が必要と考えております。そのため、現在進行しております第十次道路整備五カ年計画の最終年度であります平成四年度に、おおむね六千キロメートルを供用させる予定でその整備の推進に積極的に取り組んでおります。  今、御案内の東九州自動車道でございますが、北九州市を起点として大分市、宮崎市を経て鹿児島に至ります延長四百十八キロメートルの路線でありまして、今お話がございましたように東九州の発展に資する重要な路線であります。  鹿児島県分について申し上げますと、志布志町から隼人町間につきまして先般の国土開発幹線自動車道建設審議会において基本計画が決められたわけでございます。現在、この区間、他の宮崎、大分の区間についても同様でございますが、地域開発状況それから交通需要など総合的に勘案しつつ、整備計画の策定に必要な調査を実施しております。  なお、基本計画以外の、まだ基本計画になっていない予定路線の区間がもちろんあるわけでございますが、その予定路線の区間についても、道路整備効果あるいは採算性の双方を勘案しつつ調査を進めております。  今後とも、高規格幹線道路整備については積極的に努力をしていきたいと思っております。
  52. 有川清次

    有川分科員 積極的に取り組むという方向を出していただきましてありがたいと思いますが、問題は、高速道路計画決定までの手順を見てみますと、整備計画まで早期にのせ込まない限りなかなかすぐ供用できるという状況にならないという問題があると思うわけでありまして、そういう意味ではかなりの時間を要する。地元では高齢者も多いわけですが、おれたちが生きているうちにはこの道路は日の目を見ない、こういう不満もかなりあるわけであります。そういう意味では、早急に国幹審を開催して整備計画を策定することが何よりも重要だと思うのです。特に今お話がありました隼人−志布志間七十二キロ、これが私たちの大隅半島のちょうど屋台骨になるわけであります。  そういう意味で、含めて次期国幹審の開催の見通しについてもお伺いをしたい。三年ないしは四年後に、平成元年でしたからそういうふうに言われておるわけですが、あるいは第十次の五カ年計画平成四年度に六千キロ供用ということを御答弁なさいましたけれども、一年でも早くこの国幹審の開催を急いでいただくというふうなことが今重要なのではないかと思いますが、その辺の開催の見通しについて御見解をお伺いしたいと思います。
  53. 三谷浩

    ○三谷政府委員 現在、国土開発幹線自動車道の基本計画の区間というのは、前回の国土開発幹線自動車道建設審議会で追加をされました基本計画千三百六十四キロ、そのほかに従来から基本計画部分がございまして、合わせて千六百キロ弱が基本計画になっているわけでございます。その中から道路整備効果の観点あるいは採算性の観点というものをいろいろ今調査をいたして整備計画に格上げをしていく、こういうことになります。  それで、今お話がございましたように、当然ながらそのためには審議会を開かなければいかぬわけでございます。昨年の一月に開かれたのが第二十八回の審議会でございます。その前回、二十七回が昭和六十一年に開かれております。その前が昭和五十七年、こういうことでございますから、大体三年ないし四年というようなことで来ておりますが、現在、私ども、高速道路網を含めて高規格幹線道路整備が非常に立ちおくれておりますので、これを非常に積極的に進めたい、こういうことも一つの目標にしておりまして、先ほど申し上げましたように、第十次五カ年計画の六千キロメートルあるいは二十世紀中の九千キロ、こういうようなことで今懸命に頑張っております。そういう意味で、現在この基本計画区間につきましても環境調査とか路線調査というものを鋭意実施しております。私どもこの三年ないし四年の間隔をより短縮できるように、この調査の方、こういうものを急いでおります。
  54. 有川清次

    有川分科員 日米構造協議の関係でも内需拡大の問題などあるわけでございます。今御答弁いただいて、急いで頑張るということのようでございますから、期待は申し上げるわけでありますが、公共事業、社会資本の充実という立場で大いに力を入れて、三年ないし四年という従来のパターンでなく、ぜひ国幹審を引き詰めて開催し、振興を図っていただきたい。  さらにまた、今計画の中で、調査されている中で、経済的な効果を含めてというお話がありました。確かに有料道路になっていって経済的な面もおろうかと思うわけでありますが、卵が先か鶏が先かという、全体の活況をどうつくるかという意味では、そうした総合的な十分な御判断がどうしても必要だと思います。特に、志布志−隼人間の七十二キロは乗りおくれないように、これは強く要望しておきたいと思うのです。  その中で、今志布志港の方で開発が進んでおります。飼料工場等がどんどんできてまいりまして、林立する状況でありますが、関連して、志布志からの陸上の交通量が非常に増大をしておる。そしてまた、今は私たち地元で志布志港を物流拠点基地としていきたい、こういうふうな力の入れ方をしておるわけであります。  例えば志布志港の貨物の取扱量などを見てみますと、昭和五十五年−六十二年、この辺までは少ないわけでありますが、六十三年以降、貨物量が二倍以上に増大をしてきた。そのために、国道の二百二十号線あるいは二百六十九号線あるいは主要地方道などがもう一・五倍ぐらいの交通量になりまして、非常にふん詰まりの状況があるところでございます。そういうことを考えますと早急に態勢をとらなければならぬと思いますので、ひとつ現状を申し上げておきたいと思います。  また、空港から非常に距離が遠いわけでありまして、県下第二の都市である鹿屋ですが、一時間半以上かかるということで、企業誘致も不可能だ、なかなか困難だという難点になっております。  さらにまた、この大隅半島は第一次産業、とりわけ農業の主要生産地帯でございまして、こうした農産物の流通面でも、輸送の促進、時間の短縮、そういうものが非常に大きなポイントになっておると思いますので、地域活性化の重要なポイントという立場からもぜひ整備計画の中に早急に入れ込んで、着工、完成まで促進していただくように要望申し上げておきたいと思います。  この区間に対する個別的な見解はまだ述べられる状況じゃないと思いますが、そうした調査事項などが今日どの程度まで進んでおるのか、若干御報告いただければありがたいと思います。
  55. 三谷浩

    ○三谷政府委員 御案内のとおり国土開発幹線自動車道につきましてはスタートがおくれておりまして、高速道路で申し上げますと現在一万一千五百二十キロのうち四千六百六十キロの供用でございます。まあやっと四〇%程度、先ほどお話がございましたように、縦貫道は九州の一部を除いておりますがようよう完成をして、今横断道の建設というのが現状でございます。そこで、早期の整備を図るという観点から、あるいは投資が大きいという観点から有料道路制度というものを適用してやっておるわけでございます。  そういう観点から、この基本計画に決めた区間のいろいろな調査をして、整備計画への格上げのためのいろいろな調査というのは、地域開発状況、交通需要というようなことを申し上げましたが、そのほかに路線計画あるいは環境影響評価、こういうものに必要な調査も今進めております。整備計画に上げるためにはやはり環境アセスメント等も実施をするわけでございますので、そういうような関連の調査をいろいろ進めておりますし、そのほか、この路線の整備効果であるとかこういうことももちろん必要でございます。さらに、その関連の地域のいろいろな開発状況なんかの指標、こういうものももちろん参考にさせていただいております。
  56. 有川清次

    有川分科員 前向きな構えての御報告でありました。今、路線のいろいろな環境アセスもありますけれども、環境的な影響や整備効果、開発効果というものなど考えると、第一番目に飛び込むんじゃないかなと思うのです。そうした十分な総合的観点から末端に血を通わせるためにぜひ努力をしてもらうように、特に要望申し上げておきたいと思います。  それじゃ次に移りたいと思いますが、今申し上げました関連で、なかなか十数年はかかるだろう、こういうふうに言われる今日の東九州自動車道の状況を考えるときに、当面する国道の整備というものがどうしても急がれなければならないと思うわけです。  鹿児島県の場合には、鹿児島市が人口五十三万幾らとなっておりますけれども、残念ながら第二の都市の鹿屋市が七万八千ぐらい、川内が七万をちょっと切るという状況で、第二の都市が十万を下回るという他県にちょっと例を見ない状況があるわけです。これはやはり交通網などの問題が絡んでおると思いますけれども、そうした意味で大隅地域の一層の振興、活性化を図らなければならないと思います。  そういう意味で、鹿児島市と鹿屋市を結ぶ、そして志布志へ通ずる、こうした中央に直結できる一つ道路というのが早急に整備されなければならぬというふうに思いますが、非常に交通量も増大しておるのが現状でございまして、国道二百二十号線の整備状況と今後の見通しについて、まずお伺いをしたいと思うのです。  特に、この鹿屋区間では鹿屋バイパスが今取り組まれておりますが、まだトンネル部分等が残っておりますので、この辺がいつごろまでに終わるのか。  それから、古江バイパスの一つの準備が進められていると思いますが、その進捗状況と見通しについて。  さらには、垂水市内は特に新城区域と海潟区域で二区間の整備が今行われているところでありますけれども、いよいよ住宅が手狭に建ち込めたそういう地域になっておりまして、用地取得費等が非常にかさむようになりましてなかなか延長が延びないという状況になっております。予算は従来とほとんど同程度だと伺っておりますが、そのために進行が非常におくれておるというふうに思います。思い切った予算増額などによって工事促進を図るべきだと思いますが、今後の予算の増額とか見通しですね、今申し上げた各点について御見解をお伺いいたします。
  57. 三谷浩

    ○三谷政府委員 鹿児島県内の一般国道の二百二十号線は、大隅地域におきます重要な幹線道路でございます。特に、鹿屋市内では非常に交通量が多くて混雑が激しいわけでございます。また、垂水市内では非常に幅が狭くて歩道が十分に確保されていない、こういう区間もございます。そのほか、垂水から姶良郡に至る間は異常気象時におきます通行規制区間も設定をされておる、こういう状態でございます。  したがいまして、建設省では、鹿屋市内では交通混雑の緩和を図ることを目的とした鹿屋バイパスというものを既に着工もしておりますし、また一部供用もしております。今この鹿屋バイパスについては積極的に仕事を進めておりまして、十次五計で全線暫定二車線ぐらいで予算をいただいて開通をしたい、こういうことも考えておりますし、また垂水市内では新城の拡幅、あるいは海潟拡幅、早崎防災などの整備も進めております。また、平成元年度には鹿屋から垂水市に至ります延長七・五キロメートルの古江バイパスに着手したところでございます。  今お話がございましたように、鹿児島−鹿屋、この間の交通の混雑緩和、それから安全対策、こういうものについての事業促進を図ってまいりたいと思っております。
  58. 有川清次

    有川分科員 古江バイパスの着手はわかるのですが、大体いつごろまでをめどにしながら取り組まれるつもりなのか。  それから、新城区間における今の予算増額について、構造協議との関係もあって、この辺がなかなか予算が伸びないでしょう。思い切って伸ばすという意味で、あなた方の方でどのような見解を持っておられるのか。  いろいろ重要なところはたくさんあると思いますが、大隅半島にとっては現在はここがのど元なんです。そういう意味で、その辺の決意のほどを予算を含めてちょっとお聞かせを願いたいと思うのです。
  59. 三谷浩

    ○三谷政府委員 私ども、昭和六十三年度から第十次五カ年計画を発足させて今事業を推進しております。総投資額が五十三兆円でございます。平成二年度がちょうど三年目に当たります。今予算の審議をしていただいているわけでございますが、私ども道路関係の予算、平成二年度は有料あるいは普通の一般道路合わせまして初めて七兆円を超えだ事業費を要求させていただいております。私ども、もっとふやしたいのはやまやまでございますが、いずれにしてもこの予算を獲得しまして五カ年計画の完全達成というのが私どもの望みでございますので、ひとつまた御理解をしていただきたいと思っております。  そこで、この場所についてでございますが、古江バイパスのことをまず申し上げますと、これは先ほど申し上げましたように平成元年度に着手をいたしたわけでございます。したがいまして、道路整備というのはまず着手をしたところについて調査をして、計画を完全に固めることが大事でございます。その計画を固めてからでないとスケジュールが未定でございますので、ちょっと今申し上げるわけにはいかないと思っております。  また、新城、海潟の区間でございますが、これは先生が一番よく御承知だと思いますけれども、これについては沿道家屋がございます。地元の協力を得るということが各論では大変重要でございますので、こういう地元の協力を得ながら逐次整備を進めてまいりたい、こう思っております。
  60. 有川清次

    有川分科員 地元は大いに協力して進行していると思うのです。問題は、その額が用地費に余計とられてしまって前進をしない、路線が延びないという問題があるわけでありますから、今後については増額などしかと検討しておいていただくように要望申し上げておきたいと思います。  それでは次に、関連して、国道四百四十八号線という大根占町から内之浦の方へ抜けていく道路があるわけですが、まさに大隅半島の山間僻地を横断的に結ぶ道路であります。ここが早期に改良されていきますと、観光の開発とか地域振興、過疎をとめるという意味でも大変な役割を果たすと思うのですが、そういう意味では早急に進行していただきたいと思うところでございます。  現在の工事区間、大体の改良のめど、そういう進捗状況を含めてお伺いいたします。
  61. 三谷浩

    ○三谷政府委員 国道四百四十八号線は、指宿から宮崎市に至ります幹線道路でございます。このうち、大隅半島にかかわる区間は大根占町から大崎町まで七十八・五キロございます。この七十八・五キロのうち、既に改良をいたしました道路の延長が五十八・一キロメートルでございます。改良率七八%でございますが、未改良区間がまだ二十・四キロございます。  そこで、この二十・四キロの未改良区間のうち、田代町であるとかあるいは内之浦町において四つの工区十二・七キロについて道路改良事業を実施しているところでございます。うち三キロは供用済みでございますが、残りの六・九キロについては平成二年度の予算が通ったときに着手をしたいと考えております。
  62. 有川清次

    有川分科員 それでは、その点については進捗しておるようでありますし、未改良区間が急がないと問題のある地域だと思いますので、御努力をお願い申し上げておきたいと思います。  もう一点だけ、主要地方道の、東九州自動車道から鹿屋を通って吾平、佐多へ抜ける、これを私ども大隅縦貫道と言っているのですが、ちょうど大隅半島の背骨に当たる部分であります。この整備をぜひ促進していただきたいと思いますが、その進捗状況と見通しをお伺いいたします。
  63. 三谷浩

    ○三谷政府委員 今お話がありました主要地方道鹿屋吾平佐多線でございますが、これは大隅半島を縦断いたしまして、鹿屋市と佐多町を延長八十キロ余で連絡する道路でございます。  この路線の全体の改良率は六四%でございます。したがいまして、非常にネックのあるところであるとかあるいは整備効果のあるところについて、例えば大根占町中野それから半ケ石地区の二カ所で延長六キロ、あるいは佐多町、郡と尾渡瀬、島泊地区、こういう三カ所で延長十・五キロについて事業を実施しております。このうち、大根占町半ケ石の〇・二キロと佐多町島泊の一・一キロについては平成二年度にも完成をさせたいと頑張っておりますし、また、残る三カ所についても引き続き早期の完成を図るべく事業の促進に努めてまいりたいと考えております。
  64. 有川清次

    有川分科員 それでは、時間も来たようでございますので、ローカルの問題をたくさん申し上げましたが、もうしびれを切らしていますから、血のめぐりがよくなるようにぜひ最大の努力をしていただくことをお願いを申し上げまして終わります。  どうもありがとうございました。
  65. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて有川清次君の質疑は終了いたしました。  次に、菅原喜重郎君。
  66. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 建設産業における労働力不足の解消と労働条件の向上を目的に、政労使の三者構成による建設労働者対策の組織体を設置する必要性を感じますので、質問いたします。  先般、建設関係の団体より要請されました件を読んでみます。  現在、建設産業における投資総額はGNPの二〇%を超え、就業労働者数は約五百九十万人と全国雇労者総数の一〇%が就労しております。  周知のとおり、建設産業は国民が安全、快適に暮らすための生活関連産業であり、全産業が継続的に発展していくための基礎産業として、社会資本整備の充実向上を担っております。この産業の盛衰は国家の発展、繁栄に多大の影響を与える重要な基礎産業であるにもかかわらず、三Kあるいは六Kと言われる、きつい、汚い、危険、また給料が安い、休日が少ない、格好が悪い等、社会評価は不良で、若年労働者の参入が極端に少なくなり、特に直接現場の重要な役割を果たす技能労働者は平均年齢四十三歳から四十八歳とも言われ、年々高齢化を来しています。  さらに、現在、建設業法に基づく許可業者数は約五十一万社もあり、その九九%が資本金一億円以下の企業という実態であります。しかも重層下請制度を反映し、建設業の男子生産労働者の賃金は月額定期給与平均二十四万五千円で、製造業の二十六万六千円と比較すると九%低くなっています。その上、賃金支払い形態は日給あるいは日給月給制を採る企業が大半を占めており、さらに出来高払い制度もかなり採用されている不安定な雇用状況にあります。  また、労働福祉の面では、事業主の基本的責務である労働保険及び社会保険に未加入の企業が多数存在しています。すなわち、労災保険未加入企業は少ないのですが、雇用保険未加入企業が多いわけでありますから、退職金制度についても他産業に比較して不十分で、制度を持たない企業もがなり存在しています。さらに、建設生産は移動生産であるため臨時、日雇い労働者も多く、小零細企業が大半の実態では、安全衛生問題の対応、企業福祉も他産業と比較しておくれている現状にあります。  この状況を放置すると、ますます建設産業へ、殊に現場へは若年労働者が参入しなくなり、産業の阻害、国家の衰退にもつながりかねない問題となっています。さらにこのことは、外国人労働者問題を一層複雑、増大化させるものと考えます。  これらを解決するには、行政、企業、労働組合が一丸となり、建設労働者の生活、労働条件の向上、また建設産業の近代化、魅力化に努力していかねばなりません。したがって、直接の関係省庁である建設省に、恒常的にこの問題に専門的研究と対応できる政労使の三者構成による建設労働者対策委員会(仮称)なるものを設置し、真剣にこれらの問題解決に当たっていただきたいというわけでございますが、私も同感でありますので、建設省の見解を伺いたいと思います。
  67. 望月薫雄

    望月政府委員 ただいま先生からのお話の中にもありますが、現在建設業の担っている役割というものはまことに重いものがございます。経済的な規模の大きさあるいはその内容の多面化、さらにまた今後の社会資本、住宅整備していく上でその代表的、根幹的担い手としての果たすべき使命と役割、寄せられる期待というものがますます高いわけでございますが、一方でいろいろと問題を抱えているのもこれまた現実でございます。そういった中で、とりわけ今お話にもありましたけれども、あすの建設産業を担っていく中堅技能者、若者たちがいかに建設産業に喜んで入っていただけるかという環境づくり、これは建設産業のみならず我が国の国民経済、国民生活を支えていく上で非常に重要な課題だという認識を持っていることは、私どもも同様でございます。  そういった観点から、特に、私ども建設省行政の立場のみでなくて、関係建設業界の皆様方にも一緒になっていただいて、平成元年度から建設産業の構造改善プログラムに今鋭意取り組んでいるさなかでございます。  この内容等については時間の関係で省略いたしますが、一口で言って、私ども、この大きな役割にふさわしい産業へのさらなる発展と、若者にとって魅力のある産業への発展、向上ということが基本でございまして、特に象徴的に申し上げたいことは、若者たちが喜んで参入できるような環境づくり、これを重視して取り組んでいるさなかでございます。  そういった非常に多面的な問題に取り組むために、私どもとしては、御承知のとおり中央建設業審議会というところで根幹的な政策体系を終始御議論賜っておりますが、ここには当然のように建設労働界の方々にも御参加いただいているわけでございますし、何もその場のみならず、具体的なプログラムを検討し進めていく上では内容のある施策を構築しなければならないという観点から、建設産業の現場で働く方々あるいはまた建設業界の方々と懇談会等を濃密に持ちまして意見の交換を積み上げておりますし、今後とも積み上げていくことが基本である、かように考えております。  そういった中で、今、先生から具体の対策委員会の御提言がございましたが、私ども、要するに実質としてそういった意見交換、情報交換、ともに考える体制というものをしっかりと組んで事に当たってまいりたいというのが現在の段階でございますし、おかげさまでプログラムも二年目を迎えまして、機運は着実に上がっているというのが今日の段階でございますので、御理解賜りたいと思います。
  68. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 建設産業に対応するプログラムを今作成中だというわけでございますが、ぜひこの建設産業、それも、この現場に従事する労働者がもう日本の国の衰退を招く兆候のようなそういう現象もあらわしてきておりますので、十分にこのことの対応を大臣にもお願いする次第でございます。  実は、こういう点で、公共事業あるいはこういう建設事業に新しい技術の刷新をなす開発がされたり、あるいはそういう労働問題の機械化や何かに取り組んでいられる事業所関係もあるわけなのですが、いずれにいたしましても、そういう民間の現在合理化、開発化されている技術はどんどん吸収し、取り上げるようにもしていただきたい、こう思うわけでございます。  それではまた、第二問に移っていきたいと思います。  この公共事業の効率的執行と建設産業の発展のため、技術力、施工能力が向上するよう業界育成策を、今申し上げましたような点も含めまして実施すべきだと考えております。建設省にこういうことに対する対応があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  69. 望月薫雄

    望月政府委員 先ほども申し上げましたように、建設産業が本当に適切に、適正に近代化、発展していくことが今後の求められる最大の課題であるという中で私ども構造改善に取り組んでいるということを申し上げましたけれども、とりわけその中で重視していますことは、まず一つは不良不適格業者を排除する、言うなれば技術面で劣る企業というものは要するに業としての将来を期待できないということを明確に示しながら、行政をしっかりと取り組んでいくということが一点。それからもう一つは俗な言葉で言うと元請、下請関係の合理化という問題もありますが、これは実は元請、下請という言葉自体も私ども今いかがなものかと思っておりまして、言うなれば総合建設産業と専門建設工事業というものの有機的な連携体制というものをどう構築していくかという点。さらにまた、今おっしゃった生産性を向上していくということ。もう一つ言えば、経営の近代化というものもつきまといますけれども、それらを包含しての生産性の向上。さらに、先ほど申しました若者にとって本当に魅力のあるような施策を講じながら確保していくということが今は軸になっておりまして、こういった中で私どもは具体の援助体制も含めながらやらせていただいております。  端的に言えば、建設業振興基金等の機能も十分使うとか、何よりもお金の問題よりもソフトの政策にともに取り組む体制というものが最も基本であるということで、言うなれば、全面的に官民一体となって今取り組みをしておるということをあえて申し上げさせていただきたいと思います。
  70. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 いずれにいたしましても、建設業界、これは入札から下請問題から含めまして前近代的な要素が多分にまだ残存しておりますので、ひとつそういう点も考慮しての改革を進められますように切にお願い申しておきます。  次に、地元から要請を受けておりますので質問いたします。  国道二百八十四号の気仙沼地区の未改良区間の整備計画がどうなっているのか。岩手県側はほとんどできておりますが、宮城県側が県北なためか、またダム建設の問題とも絡んでいるということで、大変私たちの地域が不便しておりますので、この点の説明をお願いいたします。
  71. 三谷浩

    ○三谷政府委員 一般国道の二百八十四号線でございます。これは陸前高田市を起点といたしまして一関市に至ります、延長が五十三キロの幹線道路でございます。  今お話がございました気仙沼市について申し上げれば、道路延長が十・五キロございます。そのうち八・四キロメートルは改良済みでありますけれども、残りの二・一キロメートルが未改良であります。その未改良の区間でございますが、これは昭和六十三年度に宮城県が事業に着手をいたしました新月ダム、このダムの湛水区域に入るためにつけかえをしなければなりません。したがいまして、その新月ダムの進捗状況と調整を図る必要がありまして、この調整を図りながら整備を進めるということになります。
  72. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 その調整の見通しについてはいかがでございますか。
  73. 近藤徹

    近藤政府委員 新月ダムにつきましては、昭和四十九年度に実施計画の調査にかかりまして昭和六十三年度に建設事業に着手したものでございます。現在、用地補償関係に鋭意努力しているところでございまして、百七十五世帯の予定地権者のうち五十三名の方がまだダムに反対しているという状況でございますが、鋭意御理解をいただきまして、早期にダム計画、それに基づきます。ただいまのつけかえ道路計画等の御理解を得るよう努力してまいりたいと考えております。
  74. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 早急にこの促進方をお願いいたしまして、次の質問に入ります。  主要地方道二戸田子線、田子十和田湖線の国道昇格が要望されてきております。それで、この国道昇格についての建設省の考え方をお伺いいたします。
  75. 三谷浩

    ○三谷政府委員 国道昇格につきましては、最近では昭和五十七年四月一日に八十三路線、五千五百四十八キロの追加指定を行いまして、現在一般国道は四万六千キロメートル強でございます。  国道昇格におきましては、現在、地方建設局それから都道府県におきます調査を実施しているところであります。いろいろなデータ関係を今地方建設局等で集めておりますが、この調査が終わりましたら私どもの方へその調査結果が提出されるわけでございますが、そこで、先般策定をされました高規格幹線道路網を踏まえまして、あるいは一般国道の整備状況とかこういうものを踏まえまして、第十次五カ年計画の期間の中で、具体的には平成四年度までに国道昇格を行いたい、こう思っております。  現在、全国から国道昇格の希望が百八十路線、一万二千キロ程度出てきております。
  76. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この路線編入は、次回は一応いつごろに決定が見られるようになる予想でございますか。
  77. 三谷浩

    ○三谷政府委員 昭和五十七年が前回でございまして、その前が昭和五十年、こういうことでございますので、そこでは大体七年ぐらい、こうなっておりました。ただ、新しく追加指定した路線につきましてやはり整備を急ぎまして、その整備水準がある程度整ったときにまた次の新しい路線を追加指定をする、こういう仕組みになっておりますので、若干整備がおくれていた関係で今に至ったわけでございます。  先ほどちょっと触れましたが、具体的には一万二千キロメートルぐらいの私どもの今聞いております要望路線についてのいろいろな指標について調査をしていただいております。そのデータ、さらに国道昇格につきましては道路法の第五条に要件が載っておりますからその法律との照らし合わせももちろんしなければなりませんし、さらには道路審議会、こういうような手続が要るわけでございますが、今のところ第十次五カ年計画の期間中にやる、こういう予定でおります。
  78. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 要件を満たすようでございますならばこの件もぜひ編入していただきたい、こう思います。  次に、国道四号の金田一バイパスの整備の見通しはどうなっておりますか。
  79. 三谷浩

    ○三谷政府委員 金田一バイパスでございますが、これは二戸市内の交通混雑の解消と交通安全の確保を図るため計画をされた延長約三キロメートルの二車バイパスでございます。これまで青森市側の延長約〇・七キロメートルを供用いたしました。現在、一般国道の三百九十五号線との交差点までの区間、これはちょうど一キロございますが、これについて何とか今年度中にでも供用を図るべく整備に努力しているところでございます。
  80. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 ぜひ整備の促進方を強く私からも要望する次第でございます。次に、主要地方道大船渡綾里三陸線、石浜−白浜間の改修の整備の見通しについてお伺いいたします。
  81. 三谷浩

    ○三谷政府委員 主要地方道大船渡綾里三陸線は、大船渡市猪川町を起点といたしまして三陸町越喜来を終点とする幹線道路でございます。  三陸町石浜と白浜の間の三陸町八ケ森地先から清水地先間の延長一・四キロのバイパス事業平成元年度に事業着手をいたしました。平成二年度以降につきましては、引き続き事業を実施し、できるだけ早い時期に完成を図るべく事業の促進に努めてまいる所存でございます。
  82. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この地域は、全く中央に出る路線はこれが一本でございますので、この促進方をこれも強く要望する次第でございます。  次に、三陸縦貫自動車道大船渡三陸道路整備の見通し、どのようになっておりますか。
  83. 三谷浩

    ○三谷政府委員 これは高規格幹線道路網の一万四千キロのうちの一般国道自動車専用道路整備をする区間でございまして、この三陸縦貫自動車道は仙台から石巻、それから大船渡、釜石を経まして宮古に至ります二百二十キロの路線であります。沿線の諸都市を連絡し、地域の振興に重要な役割を果たす高規格幹線道路でございます。  大船渡三陸道路は、この自動車道の中の一部を形成いたします大船渡市から三陸町に至る十七キロメートルの一般国道自動車専用道路で、現在、用地買収、それから工事に着手しております。当面、新三陸トンネルを含みます延長五キロの区間の早期供用を目途といたしまして、事業の促進を図っております。
  84. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この整備の完了の見通しは、この区間、いつごろになると思われますか。
  85. 三谷浩

    ○三谷政府委員 これからの予算のつきぐあいにもよりますので、ちょっと私どもとしては、何とかその第十次五カ年計画の期間の中ででも、こういう目標でやっておりますが、ただインターチェンジ付近におきまして文化財の調査とかこういう問題も残っておりますし、したがいまして、目標は私どももいろいろ考えておりますが、いわゆる見込みがもう少しはっきりするまでには時間がかかろう、こう思っております。いずれにしても事業の促進を図ってまいりたいと考えております。
  86. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この区間は御承知のように道路も山越えの区間でございまして、大変難渋して通っているところでございますので、促進方をこれも強く要望する次第でございます、  次に、綾里川地下ダム総合開発事業についてでございます。このダムは地下ダムとして本州では第一番目のダムではないかな、こう思っているわけでございます。そしてまた、この地下ダムの技術が日本で確定するならば、諸外国、殊に砂漠地帯の国々からも引き合いがどんどん出てくる、そういうダムになるのではないかと騒がれたダムでございますので、この早期完成を望んで地元の人たちは期待をしているわけでございます。この進捗状況はどうなっておりますか、お聞きいたします。
  87. 近藤徹

    近藤政府委員 綾里川ダムは、岩手県三陸町に建設されます洪水調節、流水の正常な機能の維持、それから三陸町の水道用水の補給を図ろうとする多目的ダムでございまして、岩手県が事業主体となって実施する多目的ダムでございます。昭和六十一年度より実施計画調査に着手しているところでございます。  今おっしゃいましたように、一つは上流側に重力式コンクリートダム、高さ三十四・五メーターのダムを建設します。それから下流部に鋼矢板で地下にダムとなるものを建設いたしまして、上流の容量と下流の地下の容量とを合わせて一体となって所期の目的を達成しようとするものでございまして、おっしゃるとおり本州では初めてのダム構想でございます。  現在、下流側の規模、容量等について検討中でございまして、これらがまとまり次第建設段階に進み、工事の着手ということになると思います。今鋭意調査中ということでございます。
  88. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 大臣に要望いたしますが、この地下ダムというのは、今お聞きのように本州では第一号でございまして、新しい技術が駆使される、そういうダムでございますから、一刻も早い完成に向かって大臣の方からもひとつ努力させるように要請いたします。  以上をもちまして私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  89. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて菅原喜重郎君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  90. 沢田広

    沢田分科員 大臣、御苦労さまです。また再度大臣に就任されまして、大いに御健闘ください。  一つは水資源の問題で、わずかな時間ではありますけれども、有効に生かしていきたいと思っております。  首都圏における水の今後の需要というものは非常に多くなるものと思われますが、都市の拡散はあるとしても、大体どの程度の水の需要をこの首都圏内において考えられているか、まずお答えいただきたいと思います。
  91. 近藤徹

    近藤政府委員 首都圏における水需給でございますが、現在の不安定取水をしておりますのが日量五百七十万トン、現在の都市用水の需要量は年間で五十七億トン、平成十二年にはこの見込みが七十六億トン、十九億トン増加する状況でございます。現在の需要量におきましても、豊水期には水はとれますが渇水のときにはとれないというのが、今申し上げましたとおり五百七十万トンということで、供給量の能力は不足しているという状況でございます。
  92. 沢田広

    沢田分科員 どの程度の計画で、テンポで需要に間に合うように対応しようとしているわけですか。
  93. 近藤徹

    近藤政府委員 利根川、荒川等を中心としてフルプランに載せられました計画等に基づきまして、平成十二年に向かってバランスをとるよう鋭意事業を進めてまいりたいと考えております。
  94. 沢田広

    沢田分科員 そうすると、十二年間は不足のままで続くということになりますか。
  95. 近藤徹

    近藤政府委員 実態的には、現在不安定取水と申し上げましたが、こういう状態が続くのはやむを得ないことだと思いますので、各事業を早期に完成させるよう鋭意努力してまいりたいと考えております。
  96. 沢田広

    沢田分科員 先般、私も沖縄の方の委員長を仰せつかって沖縄にも行きましたが、沖縄も夏の部分で五十六日断水なのですね。これもしょせんもう変わらない状況で、だんだん水資源というものは、しかも沖縄なんかとすれば、流しておれば海の水になってしまう。だから知事にも、四回ぐらい使うことを考えないとだめだ。だから、飲む水を次には工業用水に、工業用水に使ったものは今度はかんがい用水に、どっちか順番は別としまして、それから今度は下水道に、そして下水道の水を再利用にというふうに考えなければならぬ時代を迎えてきておる。今は水も使い捨てという状況なのであります。ですから、水の高度利用といいますか再利用というものも今後の大きな日本の課題になってきている。それに対して、十二年も水の需要が追いつかない状態の中で、そのままで放置していてよいかということが問われると思うのですね。  ですから、十二年もとても待てないというか、待てる期間ではない。もっといわゆる重点配分をして四、五年ぐらいの間に体制を整える。確かにダムの築造とかそういうものには困難が伴います。困難が伴いますが、それをあえてしなければならぬのが政治だと私は思うのでありまして、その点をひとつ、これは大臣の方から決意のほどをお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
  97. 近藤徹

    近藤政府委員 おっしゃるとおり不安定取水という状況で、我々としては一日も早く解消したいというふうに考えておりますが、何せ水資源開発施設というものは、例えばダムにいたしましても、地元の水没地域の方の生活再建、地域開発という大きな課題がございまして、これらについても、関係機関と調整をしながら円満に地元の方が納得のいくように努力をしているわけでございます。その結果、どうしても時間がかかるということが大きな課題でございます。  それから、やはり有効利用という面で見れば、我々も河川事業の中でもさまざまな工夫を凝らして、できるだけ水資源開発が進むように努力してまいりたいと考えております。
  98. 沢田広

    沢田分科員 これは希望的な観測で事が済むことではないのですね。やはりもう洗濯ができなくなった、水の給水制限をするという時期がしばらくありましたけれども、それは大変な家庭内の問題に波及するわけですね。ですから、水というのはどういうことであろうと何が何でも最低の生活の基本でありますから、細胞みたいなものでありますから、これは何としても悠長な話ではない。我々の方の二瀬ダムにしてもあるいはその他のダムにいたしましても、水がダムになくなってくればいや応なしにそういう事態を迎えるわけですから、気候によってはそういう事態を迎えても大丈夫なような貯水だけは考えなければならないというふうに思いますから、それは確かにお住まいになっておられる方の生活条件も考慮しなければなりませんが、それは価額とか補償の問題になると思うのです。ですから、補償によって——自分の祖先の墓までなくなってしまうということは断腸の思いではありましょうけれども、やはりそういう大乗的な立場に立ってこれを処置するのが政治ということになると思うので、やはり説得して対応をしてほしい、こういうふうに思います。これは念のために申し上げておきます。  次には、今度は洪水の方の話であります。  関東平野の雨期における洪水というものは非常なものがありまして、建設省でやっておるため池方式というのは有効でない、無効である、言うならばかえって害になる、こういうふうに思いますが、あえて若干、二分ぐらいでちょっと言っておきますと、大体勾配は二千五百分の一から三千分の一の勾配ですから、流速というものは極めて低い。勾配がないのですから、一メーターとか一メーター半ぐらいの流速で走っておる。しかも、その中にああいうビルができますと、その下を地下一階にしてためる、こういう方法を今建設省では指導しておる。そんなものはへにもならない。ためておけばためておくほど被害が大きい。  もう一つは、荒川の堤防は今度どのぐらいになると今予定していますか。APでもTPでもいいですが、どのぐらいになると思いますか。
  99. 近藤徹

    近藤政府委員 まず荒川の治水計画の考え方を御説明させていただきますが、荒川のように上流に山岳地を抱え、下流に大東京圏を抱えているような地域におきましては、水源地域においてはまず洪水の流出をおくらせること、それから下流へ流下してきた洪水は速やかに海に流すということが治水計画基本でございます。  したがいまして、今おっしゃいましたように、上流では二瀬ダム、滝沢ダム、浦山ダム等を建設し、中流部においては調節池を設け、下流部においては古くは荒川放水路等を設ける等、河道の流下能力を拡大することによって治水の安全を図ってきたところでございます。  現在荒川の堤防では、遊水地区間で天端高がAP十四・四二五メートルで計画して進めておるところでございます。
  100. 沢田広

    沢田分科員 APで十四・四二ということは、東京湾の中等水位からいけば、大体荒川は東京湾より一メーター十下がっていますからね、河床高は。ですから結果的には、二メートルぐらい中等水位までありますから、そうすると十六メートルぐらいが、言うならば海抜の高さで議論する場合の高さになる。それ以下のところは、荒川が満水になった場合には全部水没する、こういうことになる。わかるでしょう、この点は。だから、天端の高さまで荒川がなればすべての樋門は閉じてしまいます、逆流しますから。その後、いや応なしに中の水は流れない。こういうことでいわゆる調整池ができるわけですね、大調整池が。そこへその水をためておくことがかえって水害を起こすことになるということは、それでわかりませんか。どうやったら太平洋に、東京湾にとそこの部分を早くなくしておくかということが政策の目標になるわけじゃないですか。だからあらゆる場合に、流れる間は空にしておいて、絶対に空にしておいて、雨が降っても年じゅう空にしておいて樋門を閉めたときにためる、こういう原則にならなければ調整池の役割を果たさないのじゃないですか、どうですか。
  101. 近藤徹

    近藤政府委員 先ほど申し上げましたとおり、上流では洪水を一時的に貯留して下流の河道があくのを待つ、下流の河道では速やかに海へ流すということが基本でございます。そういう意味で、上流部にダム、中流部に遊水地をつくったわけでございます。その結果、もともと関東平野というのは利根川と荒川の洪水ででき上がった土地でございますから、いずれの土地も、一たん堤防が破堤すれば確かに水没する危険性がございます。したがって、堤防を補強することによって、荒川の上流の洪水が下流ではんらんするのを防いできたわけでございます。  しかしながら、この堤防ができたことによって、確かに荒川本川の洪水災害からは免れましたけれども、御心配のように、その背後地に降った雨による被害、いわゆる内水被害と言っておりますが、これによる被害はふえるのではないか。したがって、荒川が洪水時に荒川本川の水位が高いために、背後地における内水が荒川の中へ入っていけない、その結果被害が増大するのではないかという趣旨の御質問だと思います。  それにつきましては私どもは、まず、本川の洪水を守るためにこの堤防を補強し、少なくとも水位のある、エネルギーのある水からの被害は守る。それから内水につきましては、荒川の水位が下がったとき早期に放流できるように内水河川の改修をし、それから荒川本川が洪水が増水してきたときは水門を閉める、閉めた結果のものにつきましては、地域の実態に応じまして、内水ポンプ等で排除することによって万全を期したいというのが我々の考え方でございます。
  102. 沢田広

    沢田分科員 大まかはいいんですが、そこの、その間があるんですね。だから言うならば、樋門を閉める時期というのは満潮時になってきたとか逆流が激しくなってきたとか、そういう判断は若干それぞれありますけれども、樋門を閉めたらもうあけられないんですね。あけたり閉めたりというわけにはいかない、それは水圧で絶対に動きませんから。そうすると、こういうビルにつけたときに地下に貯水をさせておくということの意味は、雨が降っている間、空にしておかないと余分に水がたまってくるという現象になるわけですから、樋門を閉めるまではビルの下の水は空にする、こういう基本原則でなければならぬということになるわけですね。それはおわかりになりますか。置いておけば置いておくほど被害が大きくなる、内水面現象が大きくなるわけですから。要すれば、樋門が閉まるまでの間は全部、ビルの下にあります、あるいは遊水地にあるところの水は空にする、こういう基本原則で進まなかったならば、これは万一の場合の被害が、床下が床上になる、こういうことになるわけでありますから。この基本原則はおわかりになると思うのですが、いかがですか。
  103. 近藤徹

    近藤政府委員 御質問については、私、荒川を中心に申し述べてきましたが、一般に都市の河川におきましては、いわゆる流域に降った雨が……。
  104. 沢田広

    沢田分科員 ちょっと勘違いしている。荒川を主体にして言うのはいいのです。荒川が十六メートルの高さになるということになっているから、そうすると、大宮であれ浦和であれ川口であれ、そういうところにビルをつくったりなんかするときには、そこに貯水槽をつくらせる指導をしていますね。その貯水槽の持っている意味というものはナンセンスだということを言っているわけでして、もしもっとつくらせるならば、それは、早く流させてそこを常時空にする状態を持続させていくということが要件として必要だし、もっと極端に言えば、グラウンドレベルの上の貯水槽をつくらせて、グラウンドレベルの上にたまる水を早く放水させるという基本原則に立たないと、地下にためるという意味は成り立ちませんよということを言っているわけです。
  105. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先生の今のお話は、ビルをつくる際に地下に貯水槽を義務づけているのはおかしいというお話だと思いますが、建築基準その他国の法律制度では、そういうものは義務づけてはおりません。したがいまして、多分それが義務づけられるとすれば、地方公共団体におきますいわゆる宅開要綱、マンション要綱あるいは建築物の要綱あたりで義務づけているのではないかと思います。  その場合には、具体例がどこだかよくわかりませんので的確な判断がどうかわかりませんが、通常考えられますのは、とりあえず雨を地下に一時貯留しまして、雨がやんだ暁に徐々に地下水に流す、あるいは河川に流すということで、一時貯留的な効用が必要な地域において、地方公共団体の判断でやっているものではないかと思います。具体的な例がわかりませんので、一般的なお話として申し上げておきます。
  106. 沢田広

    沢田分科員 それが各市町村なりなりという考え方でいくから、大所高所に立たないですからそこに問題が起きるので、要すれば東京湾と荒川とそこの場所、こういうことの関係で判断をしなければならぬのですからね。そこへためておくことが余計に被害を大きくすることであるから、樋門を閉めるまではどんどん排水を早くしておかなかったならば、今度は実際に樋門を閉められた後の雨水というものはいや応なしに満水になっていくわけですから。そのことはわかるでしょう。ですから、それは各県ごととか各市町村ごととかという指導じゃないのですね。関東平野全体を考えて対応するということになれば、樋門を閉めるまでは、ブザーを鳴らすか何で警鐘を鳴らすかわからぬが、それまではどんどん排水をさせていくという指導をしなかったならば、ためておくことによって余計被害が増大をする。だから私は、グラウンドレベルの上をポンプでどんどんくみ上げる仕掛けのようなものの方が、それならばよりプラスである、ためておくという方針はかえってマイナスになるということを申し上げておるわけで、樋門が閉まるまでは排水専用でいかないと、それは余計内水面現象が起きます。この理屈はわかるでしょう。
  107. 近藤徹

    近藤政府委員 今の御説明で状況はわかりましたので、私なりに解釈して答弁させていただきますが、荒川に流入するような中小河川における洪水の対応はどうかということだろうと思います。  それで、東京湾との関係がいろいろありまして、荒川は洪水時には水位が高くなってくる、高くなる前に中小河川洪水はできるだけ早期に吐くべきではないか、おっしゃるとおりだと思います。そして、荒川の水位が高くなってきたときは、残念ながらその背後地の中で水を処理しなければいかぬ。その中小河川の下流では鋭意内水排除ポンプで排水していきますが、この中小河川を上流、末端まで全部一挙に洪水が流下してくるとなると、中小河川の間でまた上下流関係が出てくるわけでございます。  特に、御承知のように埼玉県は数十年前はまだ田園地帯でございましたから、それなりの田んぼその他で水がたまっておったわけでございますが、一挙に都市化してまいりますと、中小河川の下流部の方で大被害が出てくる。したがって、上流部の方で住宅を建築する場合には、従前その地域で保水していた程度の機能は確保していただくことによって上下流関係の中でそれ相応の水処理をして対応していただきたいということで、地域のいろいろな開発に当たって、その地域治水特性から指導しているものだと思います。それはそれなりに適正な判断ではないかと私は考えております。
  108. 沢田広

    沢田分科員 さてそこで、時間の関係がありますから、次に、今地下水はどのぐらいあると、大ざっぱな関係でいいのですが、例えば十年前の地下水の水位はどのくらいであったと思っているか。それから、現在この関東平野の地下水はどのぐらいになっていると思っているか。それぞれの土木事務所や関東地建におられた方もいるでしょうからお答えいただきます。どの程度かは勘でいいです。
  109. 近藤徹

    近藤政府委員 その件につきましては、私、資料を持ちませんのでお答えしにくいわけでございますが、昔は地下水取水によって、関東平野でも地盤沈下が大変厳しいことが課題、になりました。近年おさまっているということは、それなりに地下水取水も適正な状況になっているのだと思っております。
  110. 沢田広

    沢田分科員 今地下水がどんどん下がっていっているのですね。昔は、子供のころは六メートルとか七メートルぐらいの井戸で水は給水できたし、言うならばポンプで上がったりもした。今だんだん地下水が下がりまして、一番湿地帯のようなところでも二十メートルから三十メートル地下水が下がってきておる。このことは何を象徴しているかということになりますと、一言で言えば砂漠化が進んでいるということになるのでありまして、このまま放置していけば、エジプトと同じように関東砂漠が生まれてくる、こういうことになるわけなんで、結果的にはいわゆる地表に降った水が地下に正常に地下水として転化をしていかない、全部排水に回ってしまってだんだんコンクリートの下の砂漠化が進行している、こういうことをあらわしているわけです。私も、実験じゃないですが三十メートルぐらいのポンプを掘って、二年、三年ぐらいまでは続いておりましたが、その後は水が出なくなってしまった。そのくらい地下水が枯渇をしてきている。まさにこれは重大な問題なんです。  だからコンクリで全部きれいにすることはいいことだが、このごろは浸透コンクリートも生まれてきましたけれども、もっとよほど植樹をしませんと、大森林でもたくさんつくりませんと地下水還元はだんだんなくなってしまって、それも、しかも川のそばの場所ですからね、川のそばの場所であってしかもそのぐらい地下水が下がっていっている。こういうことは、もともとあそこは浦和水脈というものが関東平野にはあったわけでありますけれども、それ自体が、矢板とかパイルを打ちますからそういうことによって水路も変わってきているし、障壁もできたことも原因があるのだと思いますけれども、そういう現象が起きておる。これは建設省でまず確実な調査をしてほしいと思いますが、その点いかがですか。
  111. 近藤徹

    近藤政府委員 地下水は一方では重要な水資源であるということもございますし、歴史的には先生のおひざ元でも地下水を利用していろいろな産業が発達してきたわけでございますが、近年、都市化の進行、産業の発展に応じて過剰な地下水取水が行われたことによって、地域によっては地盤沈下を起こしたという現象もあります。それらは適正な地下水利用という形で現在各機関がいろいろ指導しているところでございます。我々としては、水資源利用の立場あるいは治水上の問題等から、必要なものについては地下水観測等を進めておるところでございます。
  112. 沢田広

    沢田分科員 もちろん、病院とかその他既得権がありまして当時使用していたところは、病院等ではもちろん地下水が物すごく多い、やみで掘っておる場所もなくはない。病院は冷房に使ったりそういうことで大変利用率が高いわけでありますが、そのことをとやかく言うつもりはありませんけれども、地下水の取水制限というものもさることながら、地下水そのものがだんだんと減ってきている現象というものは、今から対応していかないと難しい問題になるということを私は指摘をしているわけでありまして、それをどういうふうにして今度は確保するかということについては、緑であるとかあるいはコンクリの透水式であるとかいろいろ考慮しなければならないと思いますが、そういう大きな日本的な問題になるということを指摘をして、それは御検討をいただきたいということを、今の答弁でもちぐはぐで十分理解してないようでありますが、委員長の方がずっと理解しているようでありまして、その点は当局も委員長によく指導してもらった方がいいと思いますから、私の方はこの辺で終わります。  土地規制区域と監視区域、これのもっと拡大をしながら整理をしていく。今度宅地並み課税ということでさらにまた農地がなくなって宅地化が進むわけですが、その中においてもなお緑地帯というものを一定面積を必ず確保して宅地化をするあるいは宅地並み課税を課する、こういうような方法をきちんと計画を立てて対応してほしいということを申し上げておきます。答えは要らないです、時間の関係で。  それからもう一つは、市町村の開発指導要領の中で、これは四メートル道路のときにも一回やりましたが、きのう法務省関係で若干判例の適用というものを質問しました。しかし、法務省の管轄、裁判所関係の判例の適用というものは、念のためですからもう言ってしまっておきますが、判例必ずしもパーフェクトでないのでありまして、四メートル道路の判例も判例でやろうとすることは無理ですから、これは当然法律にするなら法律にすべきであって、これを指導要領とかによって、また開発などについて土地の提供を無償でしなければ開発許可をおろさないなどという指導要領は、これは憲法違反にもなるわけでありまして、今も自治省でやってきましたが、これはそういうことはさせないようにします、こういう自治省の答弁。  建設の方はやみくもにやくざ者みたいに開発行為があったときにはぶったくる、こういうことで、さもなければ受け付けないとか許可をおろさないとか、言うならおどかし行政、こういうことは憲法の正常な運営としては望ましくない。ただ、流し作業のようなデベロッパーが住宅をつくってどこかへ行ってしまう、売り主がいなくなってしまう、こういうような場合はきちんと将来の展望で、道路であろうと公園緑地であろうとそういうものを確保する必要がありますが、地元の者が開発行為をして地元に存在する場合は、憲法で保障されている職業あるいはそれぞれの権利、所有権というものの権利は保障されてしかるべきだと思うのです。それを都市計画法に準ずる部分は無償で提供しろ、提供しなければ許可をおろさない。おろさないとはっきり言えばこれは完全に犯罪になりますが、黙ってじんぜん日をむなしくしていると片っ方は金利で泣いてしまうから、結果的に泣く泣く寄附をする。こういうのはやくざ者のやり方ですよ、あえて言っておきますが。そういうことはやめた方がいい。もっと国民に理解を求めるなら求めて、そして土地の提供などというのは、道路にするというなら別ですよ。寄附まで求めるというのは行き過ぎだと思いますから、その点は、指導要領に当たっては十分注意するように切望して、十二時から本会議ですから、後の人もそのぐらい締まれば大体本会議場まで歩く時間があるだろうということで、言いっ放しですが、これはまた別の機会に譲って、以上で私の質問は終わります。
  113. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、元信堯君
  114. 元信堯

    元信分科員 私は一級水系、一級河川内での砂利採取と内水面漁業のかかわりについて二、三御質問いたしたいと思いますが、その前に、建設大臣が管理者になっておる一級水系、全国に河水系あるか、ちょっと教えてください。
  115. 近藤徹

    近藤政府委員 百九水系でございます。
  116. 元信堯

    元信分科員 この百九水系の中で、今河川敷内で砂利の採取が行われている水系はどこであるか、教えてください。
  117. 近藤徹

    近藤政府委員 ちょっと手元にございませんので、後ほど報告させていただきます。
  118. 元信堯

    元信分科員 これははっきりしなければ議論にならない。この前の部屋にヒアリングに来たときもそう申し上げておいたのですがね。  わからなければ言ってあげますが、全国で天竜川ただ一つてあります。砂利採取をしているのは天竜川一つだと承知しているが、違うなら言ってください。
  119. 近藤徹

    近藤政府委員 水産資源保護法により内水面保護区域となっている中で砂利採取しているものは、天竜川水系一水系ということでございます。
  120. 元信堯

    元信分科員 そうすると、ほかにも一級河川、一級水系の中で砂利採取しているところはたくさんある、こういうふうに理解していいですか。
  121. 近藤徹

    近藤政府委員 七十四水系ございます。
  122. 元信堯

    元信分科員 それでは、一級水系の中で保護水面に指定されている水系というのはどのくらいありますか。
  123. 近藤徹

    近藤政府委員 約十水系でございます。恐縮ですが、後で正確に。
  124. 元信堯

    元信分科員 一けたのものに約もないものだが、ではその約十水系の中で天竜川だけが砂利の採取を行われている、こういうことですが、天竜川だけで行われている理由は何か格別ありますか。
  125. 近藤徹

    近藤政府委員 特に特定した理由はないと思います。
  126. 元信堯

    元信分科員 御存じのとおり、天竜川というのは静岡県内だけで言いましても佐久間ダム、秋葉ダム、船明ダムその他ダムの多い川でございまして、ダムができますとそこから下には土砂がおりてこない、そこで砂利をどんどんダムから下で採取をすると、下の方は当然河床が下がってくる、河床が下がってまいりますと内水面漁業にとっていろいろ不都合が生じておるわけですが、河川局としてはそういうものを掌握されていますか、どういう不都合があるか。
  127. 近藤徹

    近藤政府委員 我々としては砂利採取等によって異常に河床が低下するということはまた河川の維持上も問題もありますので、地域によっては砂利採取規制区域、禁止区域等を設けて指導しているところでございます。
  128. 元信堯

    元信分科員 天竜川においてはかなり河床が低下してしまいまして、例えば支流で二俣川という川がありますが、それと本流との出会いのところが滝になってしまっているのですね。かなり段差ができてしまって、そこをアユが遡上することができない。あるいは阿多古川という川がございますが、この川は以前は天竜川の本流と水面が接しておったわけですが、最近どんどん河床が低下する、流路も変わるということで、季節によっては阿多古川の水面と天竜川の水面が接続しないというような事態もあって、その間はアユの遡上は不可能になってしまうのです。そういうようなことがしばしばあるわけです。そういうような状態においてまだ砂利採取を続けることが適当だとお考えになりますか。
  129. 近藤徹

    近藤政府委員 まず、河川洪水がはんらんして地域の皆さんの人命財産に対して災害を及ぼすことを防ぐということが大きな課題でございますから、基本的には洪水流量がたくさん流れるように管理していくことが大事でありまして、そういう意味では河床低下ということは望ましいわけでございますが、一方で、おっしゃるように内水面漁業の問題あるいは河川に架橋されている橋梁の根固めの問題あるいは河川を利用して取水している水利用者への影響の問題その他がございますから、適切なところで河床を維持することが河川管理上も適当ではないかと考えております。
  130. 元信堯

    元信分科員 今申し上げましたほかにもいろいろ弊害がございまして、例えば砂利採取に際しては一定地域から一定量の砂利をすくい出して、それをふるいにかけるわけですね。それぞれ粒径によって商品化しまして、商品にならないこれぐらいのぐり石と言うのですか、直径二十センチ前後の石は全部河原へ戻しちゃうわけです。それで高水敷を形成したりするようですけれども、その結果どういうことになるかというと、河原の粒径が一定化しちゃうのですね、大体同じようなぐり石ばかりになってしまう。そうしますと流路が甚だ安定しません。いろいろな粒径のものがあれば、それがかみ合って切り込みみたいになって一定の安定をするわけですが、玉石ばかりでごろごろ転がるわけです。したがいまして、しょっちゅう流路が変わるとか、さらにまた石が転がりますとアユのえさであります珪藻が付着しなくなる、非常に付着しがたくなる。そのために天竜川全体で珪藻の発生量が減ってしまいまして、アユが小さくなる。六月一日解禁でございますけれども、八センチが許可される最低の大きさでありますが、八センチあるかなしというところまで今アユが小さくなってしまっているのですね。これも砂利の採取に起因するものでないかというふうに考える。  そう考えてまいりますと、先ほど御答弁をいただきましたように、保護水面が設定をされている、すなわち内水面漁業が非常に活発に行われているという意味ですね、そういうところでこれ以上砂利を採取するのはどうも無理なんじゃないかな、こういうふうに思いますが、今判断するしないは、一般的な原則としてお話がありましたが、天竜川についてこういう状態を申し上げておるのですが、個別具体的にいかがでしょうか。
  131. 近藤徹

    近藤政府委員 まず冒頭に、水産資源保護法による保護水面の規制がある河川先ほど約と申し上げましたが、九水系でございます。  それから、やはり河川はある意味では水産資源の宝庫でありますが、一方では地域洪水の被害を及ぼすという大きな課題があり、また河川水を利用して農耕あるいは生活用水を取水している皆さん方がございます。そういう方々に共通の財産であるところから、そのような理念に立って管理していくことが大事であろうと思います。  天竜川も、この流域における母なる川でもあり、また暴れ川でもあったわけでございますし、その観点から、洪水時において被害を軽減し、また利水が安定的にとれるようにしながら水産資源の保護にも努めていくことが肝要ではないかと考えております。
  132. 元信堯

    元信分科員 どうも一般論から踏み出したくないというお気持ちがありあり見えるわけであります。  それでは、まことにおっしゃるとおりではあるわけですが、大臣、どうでしょうか、一級河川の管理計画をお立てになりますね。その場合に利害関係者、たくさんあるわけでしょうが、内水面漁業関係者の意見を聞くというような積極的努力というのは何かされていますか。
  133. 近藤徹

    近藤政府委員 管理計画とおっしゃいましたのは工事実施基本計画のことだと思いますが、この計画河川全体の洪水時の水の処理をどうしようかという観点に立ちまして、上流部でどの程度水を貯留し、下流の河道にどのように洪水を流すか、具体的には基本高水ピーク流量を設定しまして、そのうち上流ダム分で洪水調節する量を設定し、下流の河道へ流下させる計画高水流量を設定するという形で進んでおりますので、直接は今おっしゃいました問題には影響はないわけでございます。問題は、実施の段階で内水面漁業の問題とどう整合を図っていくかということでございまして、水産資源保護法にのっとりまして必要に応じて関係機関と協議しながら進めていきたいと考えております。
  134. 元信堯

    元信分科員 計画段階ではそういうことは考慮する必要はない、実施段階で気をつければいい、こういうふうに聞こえますけれども、そうなんですか。
  135. 近藤徹

    近藤政府委員 そのとおりと考えております。
  136. 元信堯

    元信分科員 大臣、これはちょっとまずいと思うのですよ。河川というものは、もちろん洪水を防除する働きもありましょう、利水もありましょう。しかし最近建設省では親水ということもお考えになっているのじゃないですか、水に親しむ。まして内水面漁業というのは単にレジャーだけじゃなくて食糧生産という観点も、大きくはないですがなくもありません。  そういういろいろな機能を有している川の根本的な計画を立てるときに、内水面のことについては考える必要がない、実施のときにもめごとにならなきゃそれでいい、こういう考え方では少し時代のニーズに合わないのじゃないか、こういうふうに思うのですね。もう少し積極的な内水面漁業に対する配慮をなすべきだ、こう思いますが、これは大臣の御見解を聞きます。
  137. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 私は、先般から公共事業あるいは建設行政というものについて皆さんに申し上げておるのですが、これは自然を破壊したり住民をいじめるためにやるものではないのでありまして、やはり社会の公共福祉向上のためにやるわけであります。したがいまして、河川の行政につきましても災害防止するということが一番の主目的でありまして、そのために建設行政をやっていくわけであります。  今おっしゃるように、内水面の関係者の皆さんや漁業関係者の皆様方のことを全然無視してやるということではございません。したがいまして、そういう御意見も貴重な意見として入れるように、先ほど局長が答えましたように、いろいろとそういう機関なり御相談の機会もあるわけでございますから、我々としてはより大きな立場から河川行政をとっておるということでございまして、今この審議会のメンバーにお入れするかどうかということはまた別の次元の問題ではないかと考えております。
  138. 元信堯

    元信分科員 先ほど局長がお答えになったのは、今大臣がお話しになったのとはちょっと違うんじゃないかと思うのですね。要するに、計画の段階ではそういうことは考慮しなくていい、実施の段階でトラブルにならなければそれで結構、こういうのが局長お話で、大臣はもうちょっと積極的なことがあったと思うので、大臣のお話を体して、局長、その辺をもう一遍。
  139. 近藤徹

    近藤政府委員 先生もちょっときつくおっしゃっていると思いますが、上流でどの程度の大きさのダムをつくり、下流にどの程度の洪水を流すかという計画の設定に当たっては、その基本的な事項——内水面はその段階でいろいろ調整するというほどの課題ではございませんから申し上げたわけでございますが、実施の現場でどのように工事を設計し、あるいは砂利採取の問題とどう対応するかというときは、当然水産関係の関係機関と十分調整していく。我々の計画地域の皆さんに愛される河川をつくる上で、整備していく上で当然でございますから、大臣が申し上げたとおりでございます。
  140. 元信堯

    元信分科員 それでわかった。ちょっと考え違いがあるんですよ。洪水をどうするか、あるいはダムをどういうふうにつくるかということは内水面漁業と関係ないとおっしゃっているわけですね。これは関係あるんですよ。まず、川には水がなければ魚がすめない。ところがダムをつくると水がなくなるということもございました。このごろ建設省指導が多少変わって、大井川などで最低の景観を維持するための流量を確保されたなどということは大変好ましいことだと思っていますけれども、それにしてもそういう基本的な計画の中に内水面に対する配慮を入れてもらわないと、そんなときには関係がない、実施の問題だけだというのはちょっと理解が不十分じゃないでしょうか。
  141. 近藤徹

    近藤政府委員 私どもがダムを計画し下流の河道を設定する場合には、例えば上流にダムをつくる場合には、そこでたくさんの方に先祖伝来の土地を提供していただかなければいかぬ。これは国全体としてそこの治水の安全度を守るためには、総合的な判断でその方たちに犠牲をお願いするわけでございますから、審議会の皆さんの御意見を伺う。また下流で河川川幅を決める場合には、それに関係する方の用地を提供してもらわなければいかぬ。そういう意味では、公共の立場で御議論いただく意味で、上流で犠牲を強いるか下流の方に用地を提供していただくか、そういうバランス感覚の問題をここで決定しているわけでございまして、その中にある水面を直ちにどうするかということは、この段階ではまだ決定する段階ではございませんので、私はそう申し上げた次第でございます。
  142. 元信堯

    元信分科員 それこそ水かけ論だから、この問題を深く蒸し返している時間はありません。  大臣、ちょっと要望しておきます。根本的な計画をお立てになるときから、川には水が流れ、水には魚がすんで、その魚を楽しみに生きている人もたくさんあるんだということをぜひ念頭に置いて計画していただきたいと思うのです。各河川ごとに砂利の採取の規制を決める場合も、今のところどこでどれだけ砂利を採取するかということは、漁業者には全然御相談がない。いざ実施という段階になって砂利の業者が同意書をとりに来る、これが実態なんです。そういうようなことではスムーズにいかない。実際必ずしもスムーズにいってないのです。いってないから申し上げるわけでございまして、後ほどその実例を一、二申し上げたいと思いますけれども、ぜひ御留意いただきますようにお願い申し上げておきたいと思います。  具体的な砂利採取のことについてお聞きしたいと思います。  先ほどから話に出てまいりました水産資源保護法でございますが、天竜川における保護水面の設定状況について説明してください。
  143. 海老沢志朗

    ○海老沢説明員 天竜川におきましてはアユの産卵のための保護水面ということで、河口から十六・四キロの地点までを指定しております。
  144. 元信堯

    元信分科員 保護水面内では工事とか砂利の採取が規制される。許可を必要とするとか協議を必要とするとかということになっています。この場合の河川管理者は建設大臣、保護水面の管理者は静岡県知事だと承知をいたしますが、この規定に基づいて建設大臣から協議があったというようなことは今日までございますか。
  145. 近藤徹

    近藤政府委員 協議した例はございません。
  146. 元信堯

    元信分科員 水産資源保護法の十八条によりますと「河川法第二十三条から第二十七条まで若しくは第二十九条の規定による許可若しくは砂防法第四条の規定による制限に係る許可をしようとする場合において、当該工事が保護水面の区域内においてされるものであるときは、政令の定めるところにより、あらかじめ、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林水産大臣に協議しなければならない。」と書いてあります。  それでは伺いますが、保護水面区域内で工事をやったことはありませんか。
  147. 近藤徹

    近藤政府委員 保護水面の区間の中で工事その他をやった事例はあると思いますが、今おっしゃった規定で、保護水面の区域内においてそのような砂利の採取計画に基づいて工事が行われる場合で、その工事が埋め立てもしくはしゅんせつの工事または水路、河川の流量もしくは水位の変更を来す工事であるという場合に、河川管理者がその採取計画を認可しようとするときは、あらかじめ当該保護水面を管理する都道府県知事または農林水産大臣に協議を行うことと定められておりまして、それらの工事はいずれもこの工事に該当しないと判断されたため、協議をしていないと考えております。
  148. 元信堯

    元信分科員 今おっしゃったのは砂利採取のところですね。砂利採取じゃなくて、一般の工事についても全然そういうことはなかったということですか。
  149. 近藤徹

    近藤政府委員 ございません。
  150. 元信堯

    元信分科員 局長さんですから細かい現場のことは一々御存じないかと思いますが、例えば堤防あるいは橋脚の根固めをするときには、ヤードをつくって、そこを埋め立てて橋脚の補強をするわけですね。あるいは護岸の根入れをするときには、やはり矢板を入れて流れを変えます。これは今の規定に該当しませんか。
  151. 近藤徹

    近藤政府委員 その工事の中途段階では多少の変動はあろうと思いますが、工事そのものは河岸の補強ということでございますから、直ちに河川の流量、水位そのものは変更を来さないと考えております。
  152. 元信堯

    元信分科員 工事のプロセスにおいて流量もしくは水位の変動を来すというのもこれに含まれると思いますが、この法律は水産庁御所管でしょうから、水産庁の御見解を伺います。
  153. 海老沢志朗

    ○海老沢説明員 私はその工事についての実態を存じておりませんので詳しくは申し上げられませんけれども、御承知のように保護水面は水産動物が産卵、稚魚が生育し、種苗が発生するのに適している水面であって、かつ必要な措置を講ずべき水面として農林水産大臣が指定した水域でございまして、そのため国は補助金までもつけまして県に管理をお願いしている水産振興上極めて重要な水域であるということでございます。
  154. 元信堯

    元信分科員 今申しましたように、川の水の中に入る護岸の根入れというのですか、根固めをするために、工事の期間中は流量を変更するわけです。あるいは橋げたを補強するために、そこの工事のときはそこのところは埋め立てて人工島をつくってやる、こういうふうになっているのです。これでもその期間が終わって、何年間にわたることもあるのですが、取っ払ってしまえばもとのとおりになるから許可が要らない、この法律はこういうふうに読めますよ。
  155. 海老沢志朗

    ○海老沢説明員 それは平たく言いまして、程度の問題であると思います。先ほど私から御説明を申し上げましたように、保護水面の管理者は都道府県の知事でございます。したがいまして、管理者等の判断がここに入ってくるのではないかと思われます。
  156. 元信堯

    元信分科員 判断のことを聞いているのじゃないのですよ。法律をどう読むかということを聞いておるわけでございます。  その場合、そういう大がかりな、例えば実例を申し上げますと、橋をかけるというようなことで橋のピアというのですか、コンクリートの柱、そのために直径十何メートルというような大きな人工島をつくってその中で中を掘っていくというような工事をこの前やりました。そういうときは保護水面の中で、一年半か二年くらいかかった工事だと思いますが、その間ずっとそういう埋め立てをして中を掘っておるというような工事をしても、この法律に関係がないのかどうか。実際の判断はどうするか、それは県知事が決めるのでしょうが、法律を管理する者としてそこをどうお考えですか。当然関係するでしょう。
  157. 海老沢志朗

    ○海老沢説明員 御案内のように、保護水面の十八条においては「埋立若しくはしゆんせつの工事又は水路、河川の流量若しくは水位の変更をきたす工事をしようとする者は、政令の定めるところにより、当該保護水面を管理する都道府県知事又は農林水産大臣の許可を受けなければならない。」と法律でなっております。
  158. 元信堯

    元信分科員 時間も詰まってまいりましたからなんですが、どうもちょっとあなたの言っていることは無理があるのですよ、埋め立ててしまっているわけですからね。これは何年か先にまた掘り返すからいいということにはならないと思うのですよ。保護水面区間の中で埋め立てをやるということになると、これはやらなければいかぬと思いますよ。そうでしょう。何年かたてばもとへ戻るからといったって、川の流れなんてしょっちゅう変わっているのだからね。人工的に変えるときはこれはやらなければいかぬというのですよ、法律的に。ほかには読めないです。ですから、やはりこれはきちっと都道府県知事、この場合でいえば静岡県知事に協議をするあるいは許可を得る、これは必要だったと思うのです。  砂利採取についても同じなのです。今さっきの御答弁では、砂利採取でも保護水面のところでやったことはない、こうおっしゃっていますけれども、例えば平成二年度第一・四半期の原石採取明細表によれば、明らかに、例えば河口から十二・六キロ地点で七千五百九十九・四九平米にわたって砂利を採取する、これはおたくの方の文書でしょう。そういうふうに書いてある。この地点はもちろん保護水面の中なのです。やはりこれは協議、許可が欲しいでしょう。どうですか。
  159. 近藤徹

    近藤政府委員 河川の区域内ではありましても水面の外の区間もございますし、砂利採取については当該地域の実情に応じて現場の方で判断して処理しているものだと存じます。
  160. 元信堯

    元信分科員 そのときに水面の上にあったから保護水面の外になる、こういうようなお考えでしょうか。そうすると、さっきの河川法との規定なんかで随分おかしなことになるわけですよ。詳しく言っている時間はありません。水産庁、どうですか。保護水面の区間の水面というのは何を指しますか。水の流れているところだけが水面ですか。
  161. 海老沢志朗

    ○海老沢説明員 これは例規集にも載っておりますけれども、最大時流量があるときに水が冠水する範囲を水面としております。
  162. 元信堯

    元信分科員 もう一遍教えてください。最大時水があるときというのはどういう意味ですか。
  163. 海老沢志朗

    ○海老沢説明員 周年の場合、水が御承知のように季節によって変動するわけですけれども、季節的に見て一番奥まで、高いところまで水が来たところまでを水面と考えるということでございます。
  164. 元信堯

    元信分科員 天竜川では水が高いときは全部一面水の下になるわけです、高水敷の下まで来ますから。そうしますと、水がないからそれに該当しないというようなことではないと思います。今まで私も現場でこの話し合いに出ていましたから、建設省は盛んにあなたがおっしゃるようなことを言っておりましたけれども、そういうのでは通らないのですね。あるいは時期的に保護水面の禁漁区間でないからいいとかと言っているけれども、これは周年保護水面というのが設定をされているということなんです。したがって、どうしても協議はしなければならぬと思うのです。してほしいと思うのです。それは知事判断するかどうかじゃなくて、協議はする方でまず判断しなければならないでしょう、法律があるのですから。法律に沿ってきちっとやってもらいたい。  それを私がきちっとやってもらいたいと言うのは、今までの答弁でも明らかなように、どうしても建設行政というのは建設業界の方を向いているのですよ。内水面の方は向いていない。したがって、何か問題がなければというような姿勢がありありと見えるわけですけれども、そうやって協議をすれば、知事はいやでも応でも当該の漁業権者と協議をするでありましょうから、今言う漁業者の意見の反映というのはなされるわけです。それを今のような姿勢ではどこでもされないということになってしまうので申し上げている次第でございまして、以上のことについて御理解をいただいて、ぜひとも内水面の振興のために建設官庁も御配慮を賜りますようにお願い申し上げて終わりたいと思います。
  165. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて元信堯君質疑は終了いたしました。  午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ────◇─────     午後零時三十分開議
  166. 亀井善之

    ○亀井(善)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。吉岡賢治君。
  167. 吉岡賢治

    吉岡分科員 綿貫建設大臣及び建設省におかれましては、国民の生活にとり日に日に重要さを増しております総合交通体系や河川管理など、その所管に懸命に取り組んでいただいていることに心から敬意を表するものでございます。  予算委員会の第八分科会で発言の機会を与えていただきまして、心から感謝をしているところでございます。建設省への質問は私は初めてでございますので、要領を得ないところもあろうかと存じますが、兵庫五区の住民の声を率直にお伝えいたしますので、建設省の真摯な答弁を心から期待する次第でございます。  さて、関西で現在進行中ないし構想中のプロジェクトは五百六十件、総額にして二十二兆円に達する、このように見込まれております。二十四時間空港である関西国際空港、そして関西文化学術研究都市あるいは大阪湾ベイエリアの開発、神戸沖空港、明石海峡大橋など大規模開発プロジェクトがメジロ押しに計画、推進をされているところであります。今こそ関西復権のチャンスである、このように言われながら、日本の中の関西の役割ということだけでなく、世界に対して関西が何を提供していくのか、こういったグローバルな視点に立った開発現実のものになりつつあると思います。  また、国民生活への影響もそのことにより少なからずあり、経済あるいは社会の発展の拡大ははかり知れないものがあろうかと存じます。それだけに、互いのプロジェクトに調和と整合性が求められ、またネットワーク化することにより、地域の発展に相乗効果をもたらすことが望まれていますし、地域開発プロジェクトや交通アクセスの整備、情報ネットワーク化に当たっては、国民生活にとり環境や住みよさとの調和が重要課題になってくるのは当然のことと言わねばならないと思います。  しかし、これらのプロジェクトは大阪湾岸に集中いたしております。そして結果として東西への広がりをもたらし、瀬戸内側が飛躍的に発展することは間違いないというふうに思われますが、問題は、南北に視点が当てられていない、こういうように思っているところであります。北近畿、とりわけ但馬、丹波地方には、リゾート法による指定があるのみで、とりたてたプロジェクトもありません。計画的な交通アクセスの整備など地域振興の施策にも乏しいように思われるところであります。  私は、二十一世紀には、この南北の格差があってはならないと思っています。確かに但馬、丹波は過疎には違いありません。現に、学窓を巣立った若者は都市へ流出し、取り残されたお年寄りの人たちが不安を抱えながら生きています。高齢化社会は全国平均よりも二十年早くやってくるわけであります。また、都市で定年を迎えて、定年後はふるさとへ、こういうUターン。考えてみますと人材供給の基地というふうに言えるかもしれません。しかし、そこには滴る緑、紺碧の海、そしてまじめに生き抜こうとする人々がいるわけであります。また、すぐれた特色ある伝統と文化を、味わい深い気質、人情を持つ人々によって支えられているところもございます。  その地域の特性を均質化しないような工夫を持った開発が今望まれております。南北方向の交通システムの充実整備はまさに重要な施策である、このように思っているところであります。何となれば、過疎地域に住む人々にも、二十一世紀へ向かって若人が躍動し、誇りを持って生き抜く権利があるはずであります。南北格差を是正するための最優先課題は交通システムの充実整備にある、このように思い、お尋ねをしてみたいと思います。  実は私、昨日運輸省に、JR福知山線の複線化あるいは山陰本線の電化延長といったものについて質問してまいりました。きょうはこの分科会道路の問題についてお尋ねをしたいと思っているところでございます。そこで、非常に素朴なところからお話をさせていただきたいと思います。  まず一つは、今の鳥取、村岡、豊岡を経て宮津までの間の地域道路を何とか国道に昇格していただけないだろうか、こういうことでございます。  京都府北部あるいは兵庫県北部、さらに鳥取県東部に位置する各地方におきましては、地域活性化を最重点課題として取り組んでいるところでございますし、現在推進されている北近畿自動車道などいわゆる高速交通体系の整備、さらには平成五年度末にコミューターの一番機が飛び立つと言われ今計画推進中の但馬空港の完成、こういうものを見ますと、これらを補完する幹線道路としての整備が重要な課題になってまいります。  一般国道への昇格ということについて、その見通しをまずお聞きしてみたいと思うのでございます。
  168. 三谷浩

    ○三谷政府委員 地方道から一般国道への昇格を最近では昭和五十七年四月に実施しております。その際の規模は八十三路線、五千五百四十八キロでございます。この結果、今国道の総延長が四万六千六百キロ、こうなっております。  幹線道路網の再編成という観点から、国道昇格は随時行ってきておりますけれども、今般、昭和六十三年度から発足をしております第十次道路整備五カ年計画の期間中に次の国道昇格を実施する考えでございまして、現在地方建設局あるいは都道府県等において、国道昇格の要望路線につきまして、その整備状況、あるいは交通量、人口等の基礎的事項についての調査を実施しているところであります。近くその調査の報告が私どもになされる予定であります。  この調査報告書が出されました際には、先般策定をされました高規格幹線道路網の計画先ほどお話のございました路線等が現実の問題としては当該路線については関係してくると思いますが、あるいは他の一般国道の整備状況等も勘案しつつ国道昇格の路線の選定を行いたい、こういうふうに考えております。  現在私どものところで伺っております話では、全国から一万二千キロメートル、百八十路線という要望がなされておりますが、その調査の報告を待って各要望路線についていろいろ選定をしていきたいと思っております。当然今お話のあった路線、私どもも要望を伺っておりますし、その際に検討させていただくことになります。
  169. 吉岡賢治

    吉岡分科員 今お答えいただいて、調査中、これから選定をするということでございますが、とりわけこの主要幹線道の沿線には、氷ノ山国定公園、山陰海岸国立公園、若狭湾国定公園などが相連なっておりまして、今後のリゾート開発、観光の振興はもとより、産業立地の推進、そして地場産業の育成発展など、地域活性化に大きく貢献するであろう重要道路であると思っています。  そのため、京都府あるいは兵庫県、さらに鳥取県の関係沿線市町が相集い、丹後・但馬・因幡を結ぶ府県道国道昇格促進協議会を結成をし、そして宮津−鳥取間の国道昇格運動を展開しているところでございます。地域間交通の増大を背景に自動車交通が広域化している昨今でありますが、国道網の大幅な将来構想延長の見直しを実施され、ぜひとも一般国道に組み入れていただきますよう、心からお願いをしておきたいと思います。  続いて、二つ目の問題に入りたいと思いますが、国道百七十八号の整備計画についてお尋ねをしたいと思います。  この国道は、京都府舞鶴市から但馬地域の中心都市豊岡市を経て鳥取県岩美町に至る延長百九十一・三キロメートルの日本海沿岸部の東西幹線道路であります。この国道は国道九号、三百十二号などとともに、但馬地域の骨格路線であり、これまで順次その整備を進めてきましたけれども、現状においては未改良区間が多く、また、二車線改良済みの区間についても、線形不良あるいは勾配の急な箇所があり、その整備水準は低位にとどまっています。このため、浜坂町から豊岡市、約五十五キロでございますけれども、一時間三十分も要する現状にあるところであります。高規格幹線道路へのアクセス幹線としてその規格の向上を図っていくためにも、道路整備の推進をしていく必要があろうかと思うところであります。鳥取そして豊岡間の整備の状況と今後の見通しについてお聞きをしたいと思います。
  170. 三谷浩

    ○三谷政府委員 一般国道の百七十八号線は、舞鶴市を起点といたしまして豊岡市を経まして鳥取県の岩美町に至ります実延長が百九十一キロメートルの幹線道路でございまして、そのうち兵庫県側を通っております区間が百十キロでございます。整備状況は全線で七三%の改良率となっておりますが、全国平均よりやや下回っております。舗装は一応一〇〇%ということでございます。  そのうち、豊岡市の江野から香住町の土生の間の四・九キロ、この間につきましては、幅員が非常に狭い、いわゆる幅員狭小区間や、縦断勾配が厳しい区間、こういう区間が連続をしております。大規模な改良工事が必要であるという判断に立ちまして、建設省によります権限代行事業の豊岡道路ということで昭和五十八年度から事業に着手してまいりました。これまでに二・四キロ完成しております。また、香住町の土生から同じく香住町の香住の間の未改良区間のうちの二工区、延長で三・二キロございますが、これにつきましては兵庫県が道路改良を実施しております。  今私ども、第十次道路整備五カ年計画を昭和六十三年度から実施しておるところでございますが、今後とも早期完成を目途に事業の促進を図ってまいりたいと考えています。
  171. 吉岡賢治

    吉岡分科員 今おっしゃいましたように、現在兵庫県においても管理道路であるという立場から、下岡工区、香住工区、全部工区、諸寄工区、こういうふうにしながら道路改良工事及び特一工事を鋭意進められておるところでございます。また、建設省におかれましても、今お話がございましたように権限代行事業、こういうふうに取り上げていただきまして、豊岡−香住間の第二工区三千三百メートルに着手していただいております。さらに、第三工区として千六百メートルの部分平成元年事業化され、平成二年に用地買収に着手をされる、このように聞いておるところでございます。一日も早い完成をぜひお願いしたいと同時に、事業費の拡大ということをお考えいただきたいと思うのでございます。  現地建設局の方に聞いてみますと、平成二年度から少しずつ少なくなるんじゃないかという心配があるなどということも聞き及びますと、私たち過疎地に住む者にとりましては第四工区が早急に事業化されるであろう、こういう期待を持っているところでございますので、ぜひ事業費の拡大をお願いをし、地域の活性化のために豊岡第四工区の事業化を何とかお願いをしたいと思うのでございます。
  172. 三谷浩

    ○三谷政府委員 まず、予算面でございますが、これは平成二年度の予算を今御審議いただいておりますが、私ども道路関係の予算といたしましては、先ほど申し上げました第十次道路整備五カ年計画の三年度目といたしまして、全体の伸び率が事業費ベースで三%をお願いしております。五カ年計画の完全達成を目指して私ども今頑張っております。  それで、先ほどお話がございました豊岡の二工区、三工区に続きましての未改良区間がまだ残っております。ちょうど一・七キロメートルだと思いますが、これは兵庫県において調査を進めております。事業化の問題につきましては、現在事業をしております工区の進捗状況を勘案しながら検討させていただきたいと思っております。
  173. 吉岡賢治

    吉岡分科員 この幹線は海岸線にずっと延びておりまして、まさに地域における幹線道路というふうに言って差し支えない道路でございます。ぜひ深い御理解をいただきながら、今三工区、ここまではめどがついておるわけでございますけれども、そこで権限代行事業をやめられるということになりますと大変だと思います。県の方としても鋭意努力をするということで進めておりますので、ぜひ深い御理解を賜りたい、このように思っております。ひとつ第四工区の事業化をぜひお進めいただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  三番目の問題といたしまして、北近畿自動車道についてお伺いをしたいと思います。  この事業につきましては、昭和六十二年の六月、四全総において、高規格幹線道路網の一部に春日町−豊岡市間約六十キロが組み込まれました。平成元年八月に春日町−和田山町間約三十六キロメートルの基本計画が決定をされました。そして、平成二年三月、春日町−青垣町間二十四キロメートルの環境アセスメントが終わったというふうに聞いております。そして、平成二年事業に着手し、建設省の施行が十七キロ、兵庫県の施行が七キロメートル、このように設計調査を行い、平成三年に用地買収に入る予定、このように聞いておるところでございます。まさに但馬地域の自治体関係者及び住民のひとしく喜んでいるところでございます。但馬地域に初めて高規格幹線道路が入ってくる、こういうことになるわけでありますからその喜びはひとしおでございます。  ところが、現在では完成までにおよそ十年間の計画だ、このように聞いているわけでございます。兵庫県としてもリゾート構想を現実のものにしていきたい、こういう方向もあるわけで、但馬地域の活性化と住民の利便性のためにぜひ事業進度を上げていきたい、こういうように県も意向を明らかにしているところでございます。遠阪トンネルから和田山町間の早期事業化、こういうことを進めていただきたい、このように思っておるところでございますが、とりあえずその点についてお聞きしたいと思います。
  174. 三谷浩

    ○三谷政府委員 高規格幹線道路網は、四全総の多極分散型国土の形成という考えに従いまして、一万四千キロメートルを二十一世紀初頭までに建設を完了しようというものであります。その前段といたしまして、今世紀中に九千キロまでその供用延長を延ばそう、こういうことで整備を進めております。  大きくいきまして二種類がございまして、一つは国土開発幹線自動車道として整備をする、もう一つは一般国道の自動車専用道として整備をする、こういう考え方のものでございます。この北近畿豊岡自動車道は、その後者の一般国道自動車専用道として整備をするということで、その一万四千キロメートルの構想の中に組み入れられたわけでございます。  今お話がありましたように、春日町から豊岡市に至ります延長約六十キロの高規格幹線道路でありまして、沿線地域開発と発展に資します重要な路線であると私どもも認識しております。この路線につきましては、昭和六十三年度から近畿自動車道の春日インターから一般国道九号に接するまでの区間三十六キロメーターについて基本計画が策定をされまして、高規格幹線道路調査を進めておるわけでございます。  それで、その三十六キロのうちの春日町から青垣町の間、これが二十四キロでございますが、これについて調査が整い、現在、環境アセスメントの手続を進めているところでございます。環境アセスメントの手続の中に公告、縦覧とかこういう手続が入っておりますので、これは今まだ進行中でございます。平成二年度に環境アセスメントの手続が終了いたしました暁には、この二十四キロの区間について春日和田山道路一期として何とか事業に着手をしたい、こういうことで今そういう手続を進めておるところでございます。
  175. 吉岡賢治

    吉岡分科員 今、和田山のところまではお聞かせいただいたとおり事業化が進められる、こういうふうに理解をしているわけでございますが、和田山から豊岡間につきましても建設省で現在概略計画線の調査を実施中というふうに聞いております。調査の促進を要望するとともに早期事業化をぜひお願いをしたい。また、兵庫県におきましても向こう十年というのを早めたい、こういう希望がございますので、その点について再度お聞きしておきたいと思います。和田山−豊岡間についてお願いいたします。
  176. 三谷浩

    ○三谷政府委員 和田山から以北の区間、これにつきましては、現在、交通需要推計あるいはその整備効果、こういうものについて基礎的な調査を進めてきております。引き続きまして、この和田山から豊岡市に至る区間につきまして整備効果の検討を進めることとしております。  一方、この地域、御承知のとおりいろいろな山地に囲まれたあるいは円山川と山地に囲まれた地域を通過する、こういうことでございますから、地質調査それから気象調査も行わなければいかぬと思っております。あわせてルートあるいは構造の検討を行う必要があろうかと思っております。そういうようなことのほかに、さらに並行いたします一般国道の九号線あるいは三百十二号線、こういうものの整備状況をも一緒にあわせて調整をとりながら調査を進める、こういうことでございます。  それから、整備を促進する方法はないかというお話がございました。一般的に申し上げますと、大きな高規格幹線道路整備目標を掲げておりますが、例えば高速道路につきましても、従来年間大体二百キロの整備を進めてまいったわけでございますが、第十次五カ年計画ではそれを二百五十キロ体制ということでスピードを上げておりまして、さらに一般国道の今お話しの対象のような、近畿道のようなこういう路線につきましても、自動車専用道路として整備をしておりますけれども、北近畿豊岡自動車道のような一般国道自動車専用道として整備をする区間についても年間百キロ、合わせて三百五十キロ体制。従来、高速道路が二百キロ体制でございますから、まあざっと倍まではまいりませんが、そのスピードで、とにかく二十一世紀初頭までには、残された期間短いわけでございますけれども、この高速道路等の整備を促進したいというのが建設省としての姿勢でございます。
  177. 吉岡賢治

    吉岡分科員 以上三点について質問をさせていただきました。ぜひ建設省の真摯な御検討をいただき、そして今申し上げましたとおり過疎に悩む地域に社会資本の投下といいますか、そういう意味で光を当てていただき、地域の活性化、そしてそこに住む人たちが本当にまじめに、さらに生きがいを持ちながら生きれる地域づくりにぜひ御協力いただき推進を図っていただきますようにお願いを申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  178. 亀井善之

    ○亀井(善)主査代理 これにて吉岡賢治君の質疑は終了いたしました。  次に、常松裕志君。
  179. 常松裕志

    常松分科員 大臣、これは四月二十五日の朝日新聞の記事でございますが、ごらんになりましたでしょうか。ごらんになっていただけばわかりますように「”家なし老人”増加」という大変ショッキングな見出しがついておりますが、東京都内で木造の賃貸住宅やアパートの建てかえが迫られまして、そこに家主さんから追い出されて住んでいられなくなって、そして入居する家がないということで、家なしのお年寄りがふえているという大変ショッキングな記事であります。  今国会の冒頭で海部内閣総理大臣が施政方針演説を行いましたが、その折、重点施策といたしまして三つ挙げられました。そのうちの第二にこういうことをおっしゃっております。  「第二に、公正でしかも心から豊かさを享受できる社会を建設していくことであります。特に、長寿社会における福祉の充実、土地住宅問題の解決、内外価格差の是正は当面の急務であります。」こういうふうにおっしゃりながら、さらに敷衍をいたしまして、「このため、「生涯はつらつ、生涯しあわせ」を基本理念とする新人生設計計画ともいうべき構想を推進する」いわゆるゴールドプランでありますが、推進しつつ今後の、福祉の施策を進めていく。同時に、住宅問題に関連をいたしましても、この施政方針演説の中で、「私は、国民の間に豊かさの実感が乏しいのは、住生活の貧困が大きな要因であると考えています。地価の高騰は、社会的な公正感を揺るがせ、国民の住宅確保の夢を奪っております。」こういうふうにおっしゃっているわけであります。  こういう施政方針演説の行われている国会の時期に、今大臣にごらんいただきましたような悲惨な事態が起こっているということにつきまして、まず大臣の御所見をできればお伺いしたいと存じます。御感想をお伺いしたいと思います。
  180. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 高齢化社会に向けまして、高齢者がふえる場合の住生活の安定ということは非常に重要な課題というふうに私ども考えております。  先ほどの新聞を拝見させていただきましたが、現時点でいろいろ問題になっておりますのは、ちょうど三十年代の後半から四十年代の初めごろにかけまして木造賃貸住宅が非常にふえた時期がございますが、ちょうど今その住宅の建てかえ期になっておりますと同時に、東京は御案内のとおり土地利用の変化も非常に速いスピードで進んでいるわけでございます。  そういうことで、古い賃貸住宅に老人、高齢者がそのままお住みになっているという事態がいろいろあることは私ども承知しております。現に、直接こういう高齢者の住宅に対する対策としては、その実態を一番つかんでおります公共団体が全体として高齢者向けの住宅をどうするかということで当然に対策を考えるわけでございますが、現時点での政策体系としては、低額所得者等で非常に住宅に困窮している方々に対しましては、老人向けの公営住宅というものをつくってそこに優先的に入居させる、あるいは単身者でも高齢者の場合には入れるというようなことで、まず公営住宅制度がおるわけでございます。  したがいまして、公共団体はまず実態を押さえながら公営住宅の拡充に努めるわけでございますが、東京都の各区におきましては、なかなかそれでは実態に追いついていかないということがございまして、民間賃貸住宅を借り上げてみたりいろいろしまして、各区ごとにいろいろな施策を打っているやに聞いておるところでございます。  さらに、二十一世紀に向けてお話しのような高齢化が進むわけでございますが、その場合に国、公共団体を通じてどういうふうな住宅政策体系であるべきかということは、ただいま住宅宅地審議会で審議の最中でございまして、平成三年度からの五カ年計画では一つの大きな柱になってくるのではないかというふうに考えております。
  181. 常松裕志

    常松分科員 大臣、一言だけ御感想をお尋ねいたしたいと存じます。一言で結構でございますから。
  182. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 今局長がお答えいたしましたように、本当にお困りの方に、本当に裸でほうり出されて何もないということはないと思いますが、これは地方自治体でいろいろやってくれていると思いますが、今の古い住宅で、私はここで死ぬまでいるのだという人もありますし、それから、これは建てかえを促進しなければならないというようなことでいろいろの問題があるようで、それぞれそのときによって状況があるようでございますが、今御指摘のようなもう何もない、行くところがないというようなことは絶対にないようにしなければならぬと思っております。
  183. 常松裕志

    常松分科員 きょうは公団住宅の建てかえ問題についてお伺いをしたいわけでありますけれども住宅公団でこれと同じようなことが起こってはならないことだ、あってはならないことだ、こういうふうに実は私は考えております。  今、住宅公団が三十年代に建設した公団住宅を次々に建てかえているわけでありまして、私の選挙区でも柳沢団地、久米川団地あるいは府中団地というようなところがその対象になっていて、きょうもそちらから大変心配をされた方々が傍聴にもお見えになっているわけでありますが、これら対象団地は非常に高齢者が多うございます。  ここに、多摩公団住宅自治会協議会というところでお調べになった「六十歳以上世帯の家賃負担率調査報告」というのがあるのですけれども、この報告を参照して申し上げますと、建てかえ住宅の対象住宅には、大体高齢者の方々、六十歳以上の方々でございますけれども、五軒に一軒は高齢者の方々がお住まいです。  そのもっと前提として言いますと、東京というところは高齢者の方々が非常に多いわけですが、その東京の場合、六十歳以上の高齢者の方々の老人のみ世帯の場合に、大体三軒に一軒が借家あるいは賃貸借住宅に入居されているという事実があります。これは東京都の調査ですけれども、東京都全体では六十歳以上の高齢の方々は三分の一が借地あるいは賃貸住宅に住んでいらっしゃる。その中で公団住宅の居住者がいらっしゃるわけですけれども、そういう意味では公団がどういう政策を、あるいは政府がどういう政策をとるかということは、この六十歳以上の方々の三分の一にも達する借家あるいは賃貸借住宅に住んでおられる全体の方々にも影響するような、そういう影響力を持っていると私は思うのですが、その住宅公団が建てかえをする。  その公団、今言ったように六十歳以上の方々が五軒に一軒。公団で建てかえる場合に、その公団はこれまでもずっと第三分位の方々を対象にするんだ、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、私が今ここに持っている資料は久米川公団の居住者の方々の場合でございますけれども、六十歳以上の方々の場合に、第一分位から第二分位の方々が九三・四%に達する。第一分位と第二分位で九三・四%、六十歳以上の方々の場合ですね。そうしますと、公団が建てかえに当たって、第三分位の方々への住宅供給ということで建てかえを進めていきますと、必然的にこの六十歳以上の方々の居住権というものは脅かされる。長年住みなれた、そして皆さんとなれ親しんできたその団地に住んでいくことができなくなる、希望しても住むことができなくなる、そういう事態があるのではないかというふうに大変心配しているわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  184. 渡辺尚

    渡辺参考人 高齢化社会に向けて公団、我々はいろんな面で施策を行っておるわけでございます。募集関係とかいろいろやっておるわけでございますけれども、特に先生質問の点は建てかえに関連してどうかという問題だと思います。  建てかえにつきましては、従来から入っておられる方、いわゆる居住者の方々の理解と協力を得て進めることが最も重要なことでございまして、我々は二年間というお話し合いの期間を設定してやっているわけでございます。  一般の方々につきましても、例えば六五%割引の家賃から、戻りの場合でございますけれども入っていただく、これを七年間で戻すというような措置を講じておるわけでございますけれども、高齢者の方々、特にその一定の収入以下の高齢者の方々でございますが、その方々にとりましては、希望される場合には他の公団賃貸住宅でできる限り同程度の家賃の住宅をごあっせんする、あるいは一般の場合にはいろいろ、例えば五年間でありますけれども、四〇%二万円を限度として低減措置をとるというようなことをやっておりますが、一定の高齢者の方々につきましては、五年間でございますけれども住宅扶助限度額を超える場合、もともとの家賃との関係で、もともとの家賃が住宅扶助限度額よりも高い場合にはその額になりますが、五年間それを超える分については免除するというような特別措置も講じているわけでございますし、一般の方々の場合には、事業のなるべく円滑な推進ということから、一遍戻りを決められた方にはそこでずっと、変更ということは困るわけでございますけれども、高齢者の方々につきましては、一定期間もう一度考え直してまたほかへ移りたいという場合にはそういうものをあっせんするというようなことで、いろいろと対策を講じているところでございます。
  185. 常松裕志

    常松分科員 いろいろの施策についての指摘はまた後でさせていただきますが、政府の施政方針演説の中で、海部総理はこうおっしゃっているわけですね。地価の暴騰があるいは地価の高騰が住宅問題を引き起こして非常に深刻な事態を引き起こしているのだ、こういうことを指摘されて、そういうことのないようにしていこうじゃないか、これが海部総理の基本的な考え方です。  ところが、公団は建てかえに当たって暴騰している地価をそのまま建てかえ後の家賃にはね返らせて、そして、高齢者の方々に対して施政方針演説の中で海部総理がかくあってはならぬと言っていることとまさに逆に、公団は地価の高騰をそのまま建てかえ後の家賃に反映をさせている、こういうことであります。  総理はこう言っているのです。「生涯はつらつ、生涯しあわせ」そういうことを基本に進めていく、こういうことなのですけれども、結局残りたくても残れない、長年住みなれた団地に住みたくても住めないということがこれから予想されるわけですし、またそういうおそれ、不安を非常にたくさんの方々がお持ちだということになりますと、「生涯はつらつ、生涯しあわせ」どころか、生涯くたくた、お先真っ暗、これが実際今、公団住宅の中で六十歳以上の方々がこの建てかえに当たって抱いている不安だろうと思うのです。  したがって、この建てかえに当たってはそういう高齢者の方々の不安を除去するように最大の努力をしながら進めるというのが基本でなければいけないと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  186. 渡辺尚

    渡辺参考人 土地の評価の問題が一点あったと思いますが、くどくど申し上げることもないと思いますが、要は、その建てかえ事業自体、相当の費用がかかります。そういう問題。あるいは建てかえた後の住宅というのは、これはやはりあくまでも新たにつくられた住宅を供給するということでございますから、通常の用地買収によって供給している新規の住宅との均衡というものも国の施策機関として考えなければいけない。そういうことで、評価につきましては建設大臣の承認も得てやっておるわけでございます。  先生のおっしゃる老人をいかに大事にするかという問題、これはもうそのとおりだと思います。ただ私たちは、先ほど申しましたように、そういう観点からも通常の管理あるいは建てかえに関連しまして相当の努力をして種々の施策を展開しておると思っておるわけです。元来福祉、狭義の意味での福祉でございますけれども、その問題ということになりますと、これはそれぞれの機関の目的等によって役割分担をしながらやっていくということが基本ではないだろうか。そうしますと、我々住宅都市整備公団がやっていく場合にはやはりそういう施策の限界というものがあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  187. 常松裕志

    常松分科員 全体の家賃の問題につきましては異論がありますけれども、きょうは高齢者の方々の問題に絞ってお尋ねいたしますから、それはまた建設委員会がそういうところでやっていただきます。  先ほど申し上げましたように、現実に今住んでいる方々のうちの五人に一人は六十歳以上、そしてその方々は、大部分は三百五十万円以下あるいは第一、第二分位の所得、こういうことを前提にしていろいろ考えていただきませんと、結局、公団はどのように言おうとも実質的には立ち退かせることになるというふうに思うのです。  少し具体的にお尋ねいたしますけれども、二年間の期間とおっしゃいましたね。しかし、都営住宅の場合は、本当に住民と合意がされるまで何度でも話し合いを進めますよ。公団は年次計画だって示さないじゃありませんか。もしきょう出してもらえるのだったら、少なくとも私の選挙区の中だけでもいいですし、あるいは全体として三十年団地のどこから手をつけていくのかというこの年次計画をぜひ出してくださいよ。それだけだって、理事、随分不安はなくなりますよ。だって、わずか二年間ですもの。二年間でこれからの人生を全部決めろなんてことは無理ですよ。そのことが一つあります。ですから、その計画、二年間の問題。  さらに申し上げますと、賃貸契約書の中に、家賃を三カ月以上滞納した場合には立ち退かなければならない、こういう条項が入っているわけですね。立ち退き義務です。明け渡し義務です。こういう点がやはり高齢者の方々にとっては最大の不安の中身です。だから福祉事業は公団の仕事じゃないと言っても、例えば年次計画を示すということ、これはできるわけですよ、何も突如二年間にしなくても。二年間でなくて、もっと期間をかけることだってできるわけですよ。ですから、まだまだ改善の余地がある。  時間もありませんから少し話を進めますと、今、柳沢団地で建てかえをやっていますね。もしわかれば、一体何世帯ぐらいの方々が本移転をすることになっているのか。途中経過でしょうけれども、教えてもらえればと思うのです。大体五軒に一軒は本移転だと思うのですが。本移転される方は、それはほかにも事情はあると思いますけれども、大部分で言えば、結局のところ住み続けることができないからということで長年住みなれた団地を、柳沢団地をそれこそ泣く泣く出ていく方々だと私は思いますよ。  これは、これからの団地についても全部言えるのです。先ほど言ったように、とにかく五軒に一軒は六十歳以上の方々なんですから。例えば先ほど言ったこの自治協の調査によりますと、久米川団地にしても桜堤にしても府中にしても、全部六十歳以上の方が二〇%以上です。そして、その方々は現状でさえ家賃負担率が、公団あるいは建設省基準としている一七%以上の負担をしている方々がそれぞれ四六%とかあるいは五六%とか、つまりもう二軒に一軒は一七%以上の負担をしているのですよ。ですから、これで今度、建てかえになって家賃が値上がりになるということになったら、とにかくほとんど全部の六十歳以上の方々はこの一七%を超えますよ。事態はそういうことなんですよ。そういう調査結果です。  しかも、厚生年金あるいは国民年金の支給開始年齢だって、厚生年金は六十歳、国民年金は六十五歳でしょう。あるいは、先ほど住宅局長がおっしゃいましたけれども、各自治体でやっているいろいろな助成措置は六十五歳からですよ。それなのに、公団は七十歳からだというのですね。これは改善の余地があるのじゃありませんか、七十歳というのは。だって、どこにも七十歳なんてことはないのですよ。高齢者は六十五歳なんですよ、私は六十歳からだと思っていますけれども。ですから、こういう点だって改善の余地がある。  それから、特別措置を五年間と言っていますね。ところが、これも理事理事だってもう実際に専門的にやっていらっしゃるでしょうから御存じのとおり、久米川団地のB1の一DKの場合あるいはB2の−DKの場合ですけれども、この五年間の特別措置をとった場合に、あの七年間の七段階減額方式あるいは十年間の七段階減額方式の場合では全く特別措置の意味をなさないのです。こういう問題があるんですよ、意味をなさないという問題。  あるいは三つ目に、公団はその特別措置で、住宅扶助限度額を超えるものについては高齢者の方々について負担すると言っていますね。ところが、これは理事、おかしいと思いませんか。住宅扶助の限度額、今で言うと五万九百円、これを皆さんの方が家賃の適正な負担率としている一七%で割りますと、収入は三百六十万円ですよ。年間三百六十万円の一七%分が五万九百円に相当するんですよ。これじゃね、みんなこれより以下なんだから。  さらにもっと問題なのは、生活保護費が上がっていく。生活保護世帯の方々は助かりますよ、五万九百円が上がっていけば。それだけ生活保護の家賃の補助が高くなる。ところが、公団に住んでいる高齢者の方々は逆なんですよ。扶助の限度額が上がっていくことは御自分の負担の金額が上がっていくことになるのですよ。これで特別措置と言えますか。  これが皆さんが今やっている特別措置の実態なんですよ。これでもう全部やり尽くしたというふうなことは言えないと思うのですね。しかし、とにかくそういう問題があるという点について、どうですか、公団の方は御認識なさっていらっしゃらないのですか。
  188. 渡辺尚

    渡辺参考人 大分御指摘の点が多いので、順を追って申します。簡潔にいたします。  お答えしますが、先ほど先生ちょっと言われた、福祉は公団の仕事でないということは決して私言っておりませんで、それぞれ役割分担なんだから、我々が一生懸命やるにも限度があるということは御理解いただきたいという趣旨でございます。  それから事前公表の問題でございますが、これは御説明するまでもないと思いますが、現実に建てかえに入るためには、周辺の公共施設の状況とかあるいは下水道なんかの計画がいつごろできるのか、いろいろな条件をクリアしなければいかぬわけです。したがいまして、そういう意味で、見通しがなかなか立たないものについて申し上げることはかえって混乱を招くであろうということで、我々はそういう点を全部クリアしたものについて説明会に入っているということでございます。  それから七十歳の問題でございますが、順不同かもしれませんのはお許しいただきたいと思いますが、通常の建てかえに対する措置をする、さらに一定の高齢者等について特別な措置、減額措置をするわけです。したがいまして、そういう場合に考えなければいけないと思いますのは、国一般の制度においてやはりその対象というふうに認められるものということは一つ必要であろう。そういうことから我々は、いわゆる生活保護制度の中の老齢加算の年齢七十歳、これを持ってきておるわけでございます。  それから五年の問題が出ておりますが、これもやはり他との均衡等を考えてやっておるわけでございまして、ほかの公団賃貸住宅に彩られる方についての減額措置期間が五年であるというようなことでございます。  漏れがありましたら後でまた御指摘によってお答えさせていただきます。
  189. 常松裕志

    常松分科員 あと、計画を今出せたら出してください。
  190. 渡辺尚

    渡辺参考人 今申しましたように、全体としては三十年代につくったものを二十年くらいでやるということでございますが、具体の団地をいつから入るかということにつきましては先ほど御説明したとおりでありまして、クリアしてその年度の予算が通って、その予算に基づいてできるということがはっきりした段階で御説明に入りたいということでございます。
  191. 常松裕志

    常松分科員 いや、その問題ももう少しやりとりしたいのですけれども、だったら、東京都だってそうですけれども、それから二年間で打ち切りじゃありませんよ。あなたがさっき言ったように、本当に住民の合意と納得を得て進めるというんだったら、東京都を見てごらんなさいよ。本当に合意に達するまで何度だってやっています。二年で打ち切ったりしていないんです。考えてみてくださいよ。二年間で人生決めろ、そんなの無理ですよ。だって我々普通、大学へ入ってからだって四年間で人生を決めるんですよ。その点だって改善の余地があるじゃありませんか。  それから七十歳の問題、これも一々やりとりしていてもしょうがないんですけれども、私こう思うのですよ、大臣。御高齢の方々が長年住みなれた団地で住み続けたいというふうな希望を持つ、このことは当然じゃありませんか。大臣の御両親は御健在かどうかわかりませんが、僕の両親なんかでも僕のところなんかに来たがらないんですね。やはり御近所で親しくしている方々のところにずっと住んでいたいというんです。私、それが普通だと思うのですよ。  そういう御高齢の方々にとっては必ずしも、久米川団地にしたって柳沢団地にしたって桜堤にしたって、極端に言えば今のままだっていいのです。建てかえてもらう必要なんかないんですよ、十分なんですから。特に久米川団地なんか、理事知っているように十四戸建て増ししたお宅があるのですね。ああいうお宅なんか広さも広しになっているわけですから、何も建てかえてもらう必要なんかないのです。そういう気持ちは皆さん持っていると思うのです。ただ、御近所の方々で育ち盛りの子供さんを抱えたりしているお宅を見れば、それは昔狭くて困ったことも頭にありますから、ああいう人たちのことを考えれば広くしてほしいという若い人たちの希望も、うん、まあまあそれはよくわかるなということもあるでしょう。あるいは困窮者がいっぱいいますから、建設省、公団がもっと団地をつくりたい、そういう建設省や公団の気持ちだってわかっていらっしゃいますよ。わかっていますけれども、しかしそれにもかかわらず今のようなことでは、理事は全部手を尽くしているようなおっしゃり方だけれども、結局柳沢団地を見ても、現実には困った方は本移転でほかに皆さんと別れて移り住むようになってしまって、結局それは建てかえではなくて、追い払われているのも同然なんですよ。  今六十歳以上の方々というのは、みんな戦後の日本を支えてきた方々じゃありませんか。今日の繁栄を築いてきた方々じゃありませんか。生涯はつらつ、生涯生き生き、これをしたいというのが海部総理の基本方針であるとするならば、今進めていらっしゃる特別措置がこれでもう全部なんだ、これで終わりなんだ、もうこれ以上改善する余地は全然ないんだということじゃなくて、もっと本当に高齢者の方々の気持ちに立った、その立場に立った措置をこれからだってやっていくことはできるんだ、そういう点の検討の余地はあるのでしょう。検討してくださいよ。もっと本当に安心してその団地に住むことができるような措置をぜひ進めてもらいたいと思うのです。
  192. 渡辺尚

    渡辺参考人 先ほどちょっと御質問があって漏らしました柳沢の本移転希望ですけれども、現在の結果では三〇%です。
  193. 常松裕志

    常松分科員 戻りがですか。
  194. 渡辺尚

    渡辺参考人 本移転でございます。本移転が三〇%ということでございます。
  195. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 今、公団賃貸住宅についての、住みなれた公団賃貸住宅に御高齢の方々がずっと住み続けたいというお気持ちは私どもよく理解いたします。ただ、公団の賃貸住宅というのは大都市圏中心に相当なストック、七十万戸近くございますが、非常に貴重な国民全体の資産でございます。私どもはこの資産をできるだけ有効に活用しながら、より多くの人たちに住んでいただきたい、しかもいろいろな方々に住んでいただきたいというのが基本でございます。  その中で、確かに御高齢の方々で本当に困っておる方々については何とかしてあげたいということで、公団が大変な努力をしておるわけでございます。今いろいろと住宅扶助との関係でお話がございましたが、国の全体の体系からしますと、本当にお困りの、本当に資産も何もなくて困っている方々にはちゃんと福祉体系があるわけでございます。したがいまして、住宅扶助五万二千円あるいは五万九百円というお話が出ましたが、これを国からいただこうと思えば、全資産を調査いたしまして、本当に困っている方々についてやろうというのが我が国の福祉体系なわけでございます。公団の場合にはそういうことまでやっていないと思いますし、フローで見てそれ相当のものについては最大の努力をして御高齢の方の居住条件をよくしたいということで、公団の限りある中で御努力されているというふうに私ども見ております。例えば公営住宅、公社住宅等の同じような社会のストックでございますが、これについては公団よりももっと御高齢の方が多うございます。そういうものも含めて御高齢に対してどういう対策ができるかというのは今後私ども十分に検討してまいりたいと思いますので、公団の努力を御理解賜りたいと存ずる次第でございます。
  196. 常松裕志

    常松分科員 そうすると、これからもっと検討してくれるということですね、局長
  197. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 当初申し上げましたように、高齢化社会に向けて平成三年度以降五カ年計画をやるわけでございますが、その際に、どういうふうに御高齢の方々の居住条件を安定させるかということについてただいま審議会で議論をしております。それに基づいて検討してまいりたいということでございます。
  198. 常松裕志

    常松分科員 そういうことは質問してないですよ、委員長質問にちゃんと答えてないですよ。それはそうじゃなくて、居住者の方々に、高齢者の方々に対する措置についてもっと検討する余地はないかということを先ほど質問したのじゃありませんか。それに理事局長も答えてないじゃありませんか。答えてくださいよ、それは。
  199. 亀井善之

    ○亀井(善)主査代理 申し合わせの時間が参りましたので、これにて常松裕志君の質疑は終了いたします。  次に、山花貞夫君。
  200. 山花貞夫

    山花分科員 ただいまの常松委員の質問を受けまして、まず一、二お伺いをさしていただきたいと思います。  今もお話がありました建てかえ事業につきましては、六十一年度からかなりの団地におきまして事業が進んでおります。東京の久米川団地あるいは東京の府中団地などにつきましては、常松委員や私たちの地元でもありますので、いろいろなお話が私たちの耳にも陳情その他の形で入ってきているところであります。  今、常松委員が指摘しておりましたとおり、全体の計画としては五年間のうちの初めの二年間は合意を取りつけるための努力をされておる、こういうことなのですけれども、この二年間というのがいかにも短いのではないだろうか。さっきも質問がありましたとおり、あらかじめかなり早い段階で計画地元に知らされ、あるいはその段階であなた方の団地については建てかえの希望がありますかというような調査から始まるのではありませんで、住んでいる皆さんにとっては大体ここでこれからの自分の人生をと考えておったところを、晴天のへきれきのように建てかえ問題が始まる。このことについて考えるだけで数カ月、半年はたちまち過ぎてしまうわけでありまして、久米川、府中団地の場合にも、昨年の九月から始まっていますからもう来年の九月には期限が来る、こういうせっぱ詰まった状況の中で多くの悩みが今団地の中に渦巻いているところであります。  公営住宅の場合にはむしろそうではないということについても指摘がありましたけれども、公営住宅の場合にはいわば法定建てかえといった法律上の根拠がかなりしっかりとしている。それに比べまして公団の場合には、そうした法律上の根拠につきましては施行規則ということになると思いますし、むしろ公団の方が柔軟性を持ってじっくりと住民の合意を取りつけるための努力をされる、そしてそのための期間も必要だと思うのですけれども、公営住宅の場合の法定建てかえとは違っていわば任意建てかえと言われている公団の場合には、この点について公営住宅以上にある程度期間にも余裕を持ち、公営住宅以上の合意取りつけの努力が必要だと思うのですけれども、こうした公団の建てかえ問題についての合意取りつけに関する基本的な考え方を伺いたいと思います。
  201. 渡辺尚

    渡辺参考人 我々は、この建てかえ事業に入ります前に相当いろいろ研究等をしたわけでございます。くどくど申しませんが、御説明に入って、それも極めて具体的な説明に入るわけでございますが、そして二年間十分お話しさせていただくということで、従来からの経緯から見ましても十分であるというふうに私は思っております。
  202. 山花貞夫

    山花分科員 今のようなお立場が住民にとってはとても納得ができないということだと思いますし、私たちも全く同じ立場です。こうした問題について、法律の仕組みからの違いということについても公団は振り返って考えるべきである、こういうように思います。公団では建てかえしようとする法律上の根拠はどこに求めておられるわけですか、御説明いただきたいと思います。
  203. 渡辺尚

    渡辺参考人 これは、公営住宅法にございますような建てかえについての特別規定というものは公団法にはございません。したがいまして、そういう意味では、そういうものに基づいて行う事業という定義になりますと、いわゆる法定事業ということになりません。したがって任意事業だと思いますが、公団が行う事業そのものにつきましてはそれぞれ公団法の規定によっておるわけでございまして、たしか二十九条に基づいて行っております。
  204. 山花貞夫

    山花分科員 しかし、公営住宅の場合のように一たん出て行って戻る場合等々詳しく規定があるわけではありませんでして、それと、具体的には施行規則にある用途廃止という手続になると思うのですけれども、しかし、そうしたいわば手続面の根拠はあったとしましても、結局は契約を解除するということになるのじゃないでしょうか。そうなりますと、公団法に根拠を求めるのではなく一般法に根拠を求めるということになると思いますが、御認識を伺いたいと思います。
  205. 渡辺尚

    渡辺参考人 公団の事業としての法律的根拠ということになりますと今申し上げたとおりでございますが、今度は居住者の方々との関係について申しますと、まさに今先生が御指摘なりましたように、契約を解除するという段階になりますと更新拒絶でありますとかそういう手続がございますが、それは借家法によって行われることになると思います。
  206. 山花貞夫

    山花分科員 御答弁いただいた点は、たしか五十五年五月三十日の最高裁判決がいわば判例としてのリーディングケースになっていると思いますけれども、一般民法、借地・借家法の原則に基づいてとり行わなければならないということについては今の御答弁もその趣旨であったと伺いました。ということになってまいりますと、先ほどちょっと違う条文をおっしゃいましたけれども、「公団は、特別の事由により必要があると認めるときは、用途を廃止することができる。」という特別の理由につきまして、公団なりのお考えはもちろんおありになると思いますけれども、議論が我々と違っているところです。結局、借地・借家法に基づいた「正当ノ事由」ということがなければ解約の申し入れはできないということだと思いますし、伺いますと、過去裁判になったケース幾つかあるようですけれども、これは契約の解除、正当事由をめぐっての争いということになって、現在も係属しているものもあるのではなかろうかと思います。  しかし、契約を解除するのでなければ合意解除という手続が必要だと思います。合意解除の場合にはあくまでも住民の納得がなければ、借家人の納得がなければこれは成立しないわけでありまして、一般の民事の民間の場合と全く理屈は同じだと思っております。一般の民事の実務的な問題につきましては、私も仕事柄日常的に取り扱うわけですけれども、この二年間で、とりわけ一対一の関係ではなくてある程度集合住宅的なもので交渉するという場合には、二年間というような例は私の経験上知りません。集団生活をしているという限りにおきましては、常松委員もおっしゃっておりましたとおり、そこでの生活の場ということについての執着心というもの、それに対する郷土意識というもの、そういうものがありますから、この期間というものはある程度期間がかかるわけでありまして、先ほどの議論にまた戻りますと水かけ論になりますけれども、合意によるというところが大事だということになれば、その点につきましては、公団法は公団法としても最大限住民の合意ということを重視すべきであるという意味におきましては、期間の問題を含めてやはりその点を強調しなければならないと思いますが、この点についての御見解を承ります。
  207. 渡辺尚

    渡辺参考人 期間の問題につきましては先ほど申し上げたとおりです。居住者の皆様方の理解と御協力が重要であるということは先ほども申し上げたとおりでありまして、そのために二年間という期間の中で我々は最善の努力をしているということでございます。
  208. 山花貞夫

    山花分科員 最善の努力であると同時に、また、きょうは分科会ですから、とにかくそうした住民の不満に対して誠意を持って対応していただきたいということを公団にお願いしますし、建設省に対しても、こうした問題点についてこれからさまざまな場面で検討していただきたいことをお願い申し上げまして、同時に、これから合意ということになりますと一対一の話し合いという場面もあると思いますし、あるいは自治会という形で話し合いの場面もあるのではなかろうかと思いますけれども、かつて例の家賃裁判等の問題のときに、自治会の団体を不逞のやから呼ばわりしたなんてことが議論になりましたけれども、そういうことじゃなくて、さまざまな形の交渉事につきまして、個人の場合もあるだろうし団体の場合もあるだろうし、誠意を持ってこれから取り運んでいただきたいということをこの機会に要請をしておきたいと思います。この点だけひとつよろしく。
  209. 渡辺尚

    渡辺参考人 先ほども申し上げましたように、この事業の円滑な推進のためには、居住者の皆様方の理解と協力がぜひとも必要であります。その意味で、我々は可能な限りその御意見等をしんしゃくしながら円滑に事業を進めてまいるよう努力いたしたいと思います。
  210. 山花貞夫

    山花分科員 次の問題に移りたいと思います。公団、どうもありがとうございました。  実は今私、この委員会に入りまして、総理大臣あての八王子市初沢町の三和団地自治会の皆さんからの要請書をいただきました。書式等の関係もありますから、改めてこれは建設省を通じてということになるか、提出の手法について考えたいと思います。  昨年の四月でありますけれども、この三和団地におきまして下水道工事をしておりましたところ、約百五十世帯が住む団地でありますけれども、地下に非常に大きな旧陸軍の地下ごうが発見されました。全長が三・四キロある、縦横に地下ごうが張りめぐらされておりまして、きょうの要望書を拝見しますと、高さ三、四メートル、幅四、五メートルの大きな地下ごうということであります。戦争中に中島飛行機のいわば疎開用の工場がその中につくられるという経過があったようでありまして、こうした地下ごう問題につきましては、かつてもいろいろ建設省にお願いして、多摩地区の地下ごうについてきちんと処理をしていただいたという経験も持っているわけでありますけれども、久しぶりにこうした地下ごうの問題が出てまいりました。もしここで危険なことが起こったらというのは、地元心配としては当然ではなかろうかと思います。  この造成をして建設した、団地をつくった会社に交渉いたしましたならば、これは自分のところの管理ではない、国の責任であると言って交渉相手になっていないということのようであります。しかし、これまた一つの理屈ではあるのじゃないかと思うわけでありまして、この地下ごう問題につきまして東京地裁昨年の十月に出た判決によりますと、この防空ごうにつきまして、これは「土地とは独立の工作物として、所有の対象となる。」とした中で、地元土地所有者等に移管する等、売り払う等々がなければこれはやはり国が責任を負わなければいかぬといった判決が出ているようでありまして、こうした工事をした会社の言い分についても理屈からは一つの筋があるのじゃなかろうか、こういうように思っております。  もっとも、この判決につきましては国もいろいろ争っているところだと思いますので、こうした建前についてきょうは触れることなく、一応そうした経過にあることだけ指摘した上で、ただ、これはかつて全国的に調査をされまして一たん決着がついたはずだったのですけれども、また大問題となっておる。やはり自分の住んでいる下に工場ができるような地下ごうがあるということでは地元の皆さんも安心しておられないということがあるわけでありまして、まず一つ二つ整理して伺いたいと思うのです。  まず最初に、かつてこの地下ごう問題について建設省が取り組んだ際、全国の調査の結果どうだったのか、どのくらいあって、その後の措置の状況がどうなっているのか、事業全体の経過についてまとめて御報告をいただきたいと思います。
  211. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  地下ごう問題につきましては、実は終戦の直後の二十一年度から二十三年度までに対処したことがまずございます。これは地盤沈下とか土砂崩壊によって交通安全上危険なものについては、特殊地下土木施設整備事業として補助率十分の十ということで、二十三年までそういう事業を行いました。それから、二十四年度は事業は引き継ぎましたが、補助率は二分の一ということで下げております。  さらに、都市災害の発生後の措置ということではこれまでの二十一から二十三と同じでございますが、二十五年から昭和四十八年度までは、都市施設が被災し、その復旧に伴い防空ごうの埋め戻しを必要とするものや防空ごうだけの災害、それに防空ごうが災害の原因をなすものについては、都市災害復旧事業として補助率二分の一をもって事業を実施しているところでございました。  さらに、昭和四十九年から五十六年にかけて特殊地下ごう対策事業というものも実施しておりますが、これはどちらかというと危険の予想ということを含めている点で新しい事業でございまして、この事業は、市街地に現存いたします地下ごうを対象に、土地の陥没、人畜の転落等の危険の予想されるものについて埋め戻し事業を実施する地方公共団体に対して補助をしたものでございます。当時の調査結果によりますと、神奈川、広島、東京、鹿児島などを中心に全国で約三千四百カ所の防空ごうがございまして、危険度によりABCというふうに仕分けをいたしまして、そして危険度の高いものがAでございますが、そういうものから順次埋め戻しの事業を実施して、その数は四百十七カ所に及んでおります。補助率は二分の一ということでございます。  以上のことがこれまでの地下ごう対策事業の概要でございます。
  212. 山花貞夫

    山花分科員 今御説明ありました特殊地下ごう対策事業ということで全国的に調査をされ、事業を行った際に、八王子の今指摘をいたしました大きな地下ごうにつきましても市役所の方から報告があったと承知しているわけでありますけれども、その報告の内容とこれに対する建設省の方の対応はどうだったのでしょうか。
  213. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 東京都、それから八王子市ということで、この防空ごうについては四十九年度当時の調査で建設省の方に上がってきております。そして、このときの実態調査の結果によれば、危険度はCランクということに位置づけをされております。こういう判断は、私ども全国全部回るということはなかなかできませんので、地元公共団体お話し合いの上でそういうふうに決めていくのは、これはすべてについてそうでございますが、そういうランクづけにしていたというのが四十九年の状況でございます。
  214. 山花貞夫

    山花分科員 実は先ほど引用した判決におきましても、「人家からあまり離れていない位置に入口を有する本件防空壕への立入りを防止する措置を講じることなく長年にわたって放置してきた点において、被告国は、その所有及び占有に属する本件防空壕の保存に瑕疵があったものというべきである。」こうした理由が書かれているわけでありますけれども、これまた判決の理屈がどうこうということはさておきましても、現実に大きな団地の下に大きな地下ごうがあるということですと、その危険に対する住民の不安というものは非常に大きいわけでありまして、これは八王子市が現在第三回目の調査中ということのようでありますけれども、そうした結果に基づいて、危険性あるいは今後の危険の可能性等があった場合には、市役所からいろいろ要請が来ると思いますけれども建設省もかつて終わった事業ということではなく、新しい現実の課題として正面から取り組んで、住民の不安解消のために、予算の点も含めてでありますけれども御協力、御指導いただくことをお願いしたいと思いますが、この点いかがでしょうか。
  215. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 先生あえて議論はされないとおっしゃいましたが、この防空ごうの所有権の問題についてはやはり私ども大事な問題だと思っております。しかし、それは別の件の訴訟でも私ども主張しておりますし、この八王子の団地の地下ごうの問題についても、私どもはこれまで別件で控訴理由に述べているような考えを持っておりますが、それとは別にどうだというお尋ねでございますから、御案内のように現在八王子市が実情調査を行っておるところでございます。実はまだそういう地下ごうの全貌はわかっておりません。しかし調査の結果危険だとなったらどうするかというお尋ねだったと思いますが、そういうことでありますれば、その時点として私どもはどう考えていくかということを十分考えていきたいと思っております。
  216. 山花貞夫

    山花分科員 実は、社会党の都会議員団、市議会議員団が現地に行きまして、地下ごうは非常に大きなところですから自由に立ち歩きできる感じでありまして、見てきたわけであります。その全員の印象としても、これは危なくないようで、しかしいざ地震等があった場合に一体どうなるかということについて、どのくらい危険があるかということについては素人にはなかなかわからないところがあるわけです。結論的には、現在市が行っている調査、そして国の管理責任があるかないかは別にして、これは建設省もぜひ関心を持っていただいて、市の調査の予算等ではなかなか無理があるかもしれませんから、できればそういった問題について、これは東京都も関係してくるかもしれませんけれども建設省がリーダーシップをとって対策を講じていただきたい、こういうように思います。これは改めて大臣のところに要請に伺うかもしれませんので、ぜひこの点はよろしくお願い申し上げる次第でございます。この点一つだけお答えいただきたいと思います。
  217. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 今のお尋ねは、建設省は調査をやったらどうだ、こういうことでございましょうけれども、私どもとしては、今八王子市が一生懸命やっている、都も協力してやっているということで、そう長い時間もかからずに調査結果は出てくるのではないかと考えておりますので、それを待って判断をしたいと思っております。
  218. 山花貞夫

    山花分科員 これは大臣にお伺いすると言っていなかったのですが、実は先例もたくさんありまして、これはぜひやっていただきたい。大臣、こういう新しく起きた問題ですから、感想でも結構ですからできましたら一言お伺いいたしたいと思います。
  219. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 今局長が申し上げましたように、地方自治体でもいろいろとお調べになっているようですから、その辺の状況等も調べてみてその上で判断をしたいと思っております。
  220. 山花貞夫

    山花分科員 ありがとうございました。  では、次の質問に移りたいと思います。  八王子市の石川町に所在いたしました旧日本陸軍の高射砲陣地は、戦後一たん米軍が接収いたしまして、その後五八年に大蔵省に移管されたようでありますけれども、広大な土地につきまして昭和三十八年六月十九日に国学院大学に払い下げがなされております。この経緯について。  また、時間の関係もありますから一緒に伺いますけれども、売却の面積、売却の代金、用途指定の内容、売却条件等を含めて明らかにしていただきたいと思います。
  221. 川端正次

    川端説明員 御指摘土地につきましては、当初八王子市から公園緑地用地として無償貸し付けの要望がありました。その後、八王子市がら無償貸し付けの要望を取り下げるとともに、国学院大学へ払い下げてもらいたい旨の要請がありました。こういうことから、国有財産関東地方審議会に付議の上、昭和三十八年六月十六日、国学院大学に大学敷地として売り払いしたものでございます。  用途指定の期間は大学敷地の用に供した後七年間とされております。また、この期間が満了するまで転売は禁止されております。処分いたしました土地は八万三千百六十五平米でございます。
  222. 山花貞夫

    山花分科員 今売買代金についてはお触れにならなかったわけですが、私たちは四千百万円と承知しております。間違っておったら御訂正いただきたいと思います。  実は、この八万三千平米の土地につきまして、今説明の中にありましたとおり、その前の三十五年六月十日に市が国有普通財産無償貸し付けの申請を提出いたしまして、緑地としていこうということだったわけです。その後、国学院大学の方から大学の敷地として我々の方に譲ってもらいたいという申し出があって、当時八王子の市役所としましては、今は二十をはるかに超すような日本で一番の大学の町になりましたけれども、まだ大学誘致の初めの段階だったものですから、緑地とすることはあきらめまして、いわば権利を譲ったわけであります。権利を譲ったのですけれども、当時の市と大学の約束事といたしまして、もし将来この大学用地を大学が使わなくなった場合には市に優先的に譲っていただくということについて約束をして、大学が譲り受けたという経過でございました。  ところが、最近になりまして、この土地は百億から百五十億、市が百億と言って大学が百五十億と言う、こういうように言われているわけであります。その四千百万円の土地が、三百六十五倍と計算上は出てまいりますが百五十億の土地になった。これを今度、市ではなく第三者に転売しよう、こういう事態になっている。このことは、地元では大学の土地転がしてはないか、こういう言われ方も新聞報道なんかを見るとあるわけでありますけれども地元で問題にされているところでございます。  これは正確かどうかについては後ほど確認しますけれども、昨日の段階におきましても大学で会議が開かれまして、きょうは理事会であるということが私の耳に入ってきております。他の土地を買うということについてきょうの理事会で正式に発表する。そうなってまいりますと、その資金としての百五十億円ということになるわけでして、八王子市の方には来ないで、大学は民間の企業に売ってしまうのではないか。八王子市役所が買ったならば緑地として残ります。そうではなくて民間に売られた場合には何ができるかわからない。一、二の企業名が挙がっています。といった問題で、普通の民間の企業が転売する等々のことならばまだ世によくあり得ることかもしれませんけれども、二つの問題があります。  一つは、昔、市役所に譲ってくれと言った際に優先的に市に渡しますという約束があった。第二番目に、大学ですから教学施設ということで優先的に払い下げを受けておきながら、これを第三者に転売する、その値段が四千百万円から百五十億円という値段になっているとすれば、町の疑問としては、やはりおかしいのではないだろうかという疑問が出ると思うのです。幾つかの大学が抱えたこうした資産の問題については、昨年も帝京大学問題等があったりいたしましたけれども、文部省は監督官庁として、こうした一般の市民の疑惑を招くようなことについては指導すべきであると思うのですが、いかがでしょうか。
  223. 高為重

    ○高説明員 まず一般論として、私学の経営につきましては私学自身が、大学の現状、将来計画等を慎重に検討いたしまして、自主的に判断して運営に当たるべき事柄で、本件につきましても、大学の長期的計画に従って教育研究条件の整備を図っていくこととの関連で、今御指摘の八王子の校地を売却する方針が決定されたものと聞いております。  なお、若干の経緯がございましたので、ちょっと長くなりますのでかいつまんで御説明申し上げますと、そうしたことで、国学院大学におきまして八王子の校地の譲渡方針を決定した後に、都内のある公共団体から譲渡の打診を受けたのでその話を進めようとしましたが、国有地払い下げ当時の担当理事の記憶によれば、取得後十年以内に他に譲渡するようなことがあればまず八王子市に連絡をとるという口約束がなされていたこともありましたし、また長年の八王子市の好意に対する礼儀としてもということから、理事長は六十三年十二月に市に赴きまして、校地譲渡に至る学内の事情等を御説明し、その上で市の方から譲渡を受けたいという意向がなされましたので、さきの公共団体からの打診の話は断り、その時点から大学としては交渉の対象を八王子に絞って交渉をしておったと聞いております。
  224. 山花貞夫

    山花分科員 結局私が伺った点について全くお答えがなかったわけですが、市長の方も大学側には怒りを覚えており、大学側の態度は今後社会的な批判を浴びるだろう、こういうふうに言っているわけであります。  きょうは分科会ですから問題提起にとどめることになりますけれども国土庁に今後この問題、まだ把握しておらないと思うのです、実際に届け出が出ておりませんから。出た場合の対応について伺って、改めての機会にいたしたいと思います。
  225. 吉野洋一

    ○吉野説明員 国土庁におきましては、従来より国土利用計画法に基づきます土地取引規制の的確な運用に努めているところでございまして、先生指摘のような場合におきましても、東京都におきまして厳正な審査が行われるものと考えております。
  226. 亀井善之

    ○亀井(善)主査代理 これにて山花貞夫君の質疑は終了いたしました。  次に、北川昌典君。
  227. 北川昌典

    北川(昌)分科員 私は、高速自動車道の問題につきましてまずお尋ねを申し上げたいと思います。  昭和四十二年に高速自動車道として路線が決定されたのが七千六百キロメートルだと思っておりますけれども、この七千六百キロメートルの予定線と申しますか採択された路線のうち、既に供用を開始したところ、さらに施行命令が出されたところを除いて、未着工の延長はどのくらいになっておるかお尋ねいたしたいと思います。
  228. 三谷浩

    ○三谷政府委員 七千六百キロ以後、昭和六十二年六月に審議会の議を経まして今一万一千五百二十キロとなっております。その一万一千五百二十キロの予定路線のうち基本計画が出ておりますのが八千五百九十キロ、整備計画が出ておりますのが六千九百九十五キロで、現在供用しておりますのが四千六百六十一キロでございます。
  229. 北川昌典

    北川(昌)分科員 そうしますと、結局今から整備しなければならない、建設しなければならないという延長は五千二、三百ということになるわけでしょうか。
  230. 三谷浩

    ○三谷政府委員 一万一千五百二十引く四千六百六十一でございますから、六千強になろうと思っております。
  231. 北川昌典

    北川(昌)分科員 現在、一年間に建設していくペースは大体何キロくらいのものでしょう。
  232. 三谷浩

    ○三谷政府委員 計算をいたしますと六千八百五十九キロでございます。それで、現在、高速道路の平均整備延長、供用延長と申しましょうか、年間二百五十キロでございます。
  233. 北川昌典

    北川(昌)分科員 二百五十キロ程度でまいりますと、六十二年に採択になりました全路線が完成するのは三十年近くかかる、こういうふうに理解していいのでしょうか。
  234. 三谷浩

    ○三谷政府委員 全体一万四千キロメートルの整備を、私ども二十一世紀の初頭と考えております。  ちなみに、先ほど二百五十キロということを申し上げましたが、これは昭和六十三年度から発足をいたしました第十次五カ年計画で二百五十キロに引き上げたわけでございます。従来は二百キロ体制でございました。したがいまして、二百五十キロ体制をこれからずっとということを決定しているわけじゃございませんが、今二百五十キロまで引き上げまして整備を促進しているということでございます。
  235. 北川昌典

    北川(昌)分科員 今のペースでいきますとかなり時間がかかるわけで、四分の一世紀ぐらいかかるわけです。こうなりますと、高速自動車道の価値といいますか、果たす役割が非常に薄らいでくると私は考えるわけですけれども、でき得るならばこれを十年か十五年という年数に限って早急に建設を進めるべきではないかと思うのですけれども、その点建設省としてはどのようにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  236. 三谷浩

    ○三谷政府委員 御承知のとおり、これから高齢化社会を迎える、あるいは社会資本の整備が非常におくれておる、こういう事態から見て高規格幹線道路網の整備の促進は非常に重要かと思っております。そういうことで、現在の高速道路につきましては施工の促進が必要であること、さらにまた、あわせて非常に巨額な投資も必要とするものですから、有料道路制度を用いまして整備の促進を図っているところでございます。
  237. 北川昌典

    北川(昌)分科員 私は宮崎県の実情をお訴えして御理解いただきたいと思うのですけれども、ことし発表されました県民所得が百七十七万一千円、これは東京都の約半分でございます。同時に、これは全国四十七都道府県のうちの四十三番目ということで、極めて貧乏県の部類に属するわけであります。こうした経済のおくれの大きな原因は、何といいましても宮崎県における交通網のおくれが大きな要因になっておると思います。北から南までただ十号線が主要幹線でございまして、あとにはないわけでございます。同時に、JR線も日豊線もまだ複線化されていない。恥ずかしい話ですが、こういう交通網が極めておくれておる県でございます。そういった関係で大きな企業もございません。北に旭化成、南に王子製紙、この二つくらいで、あとは小さな企業が今ぼつぼつ来つつありますけれども、そういった状態でございます。主として農業県でございますので、農業、林業、漁業が一つの大きな産業でありますけれども、そのうち野菜等につきましては、全国でもピーマンが一位、あるいは里芋が二位、カボチャとかブロイラー、肉用牛といった農産物は全国でも上位を占めておるわけでございますけれども、これらを市場に出す場合に、先ほど申しました道路事情が悪い関係で北九州市まで八時間かかりますし、広島までは十一時間三十分、さらに大阪までは十六時間、東京までは二十二時間、こういう状況にございます。したがって、都市近郊の農産物と比べますと時間がかかりますから鮮度が落ちます。コストも高くなります。こういう関係で、高知物に比べましても三〇%の割安、こういうことで貧乏県がいつまでも続くということにならざるを得ない現状にあるわけです。  こうした中で、県挙げて、県民挙げてぜひ高速自動車道の建設をということで国に対して要望いたしまして、国の方も御理解いただきまして、六十二年九月に東九州自動車道四百三十キロ、九州横断自動車道延岡線が百十キロでございますが、これは予定線として採択いただいたわけでございます。しかし昨年、平成元年一月の国幹審では、延岡−清武間の七十九キロを含む東九州縦貫道全体で百九十一キロが基本計画に昇格されました。あとは予定線として留年をしたわけでございますけれども、大変期待が大きいわけでございますので、こうした点についてひとつぜひ実情を御勘案いただきまして、この東九州自動車道の早期実現をお願いしたいところでございます。  そういったことを含めまして御質問いたしますけれども、今度基本計画から実施計画ですかについて審議をされる国幹審はいつ開かれるのか、その時期をお聞きしたいと思うのです。
  238. 三谷浩

    ○三谷政府委員 今先生が御指摘なりました国土開発幹線自動車道については二つございまして、一つが東九州自動車道、それからもう一つが九州横断自動車道延岡線のことだと思いますが、まず東九州自動車道は、北九州市から大分、宮崎を経まして鹿児島に至ります四百十八キロの路線であります。当然ながら東九州の発展に資する重要な路線でございます。もう一つの九州横断自動車道延岡線は、熊本県の御船町から宮崎県の高千穂等を経て延岡に至る延長百十キロの路線であります。これは九州の東西を連絡する路線であります。  宮崎県について申し上げますと、東九州自動車道の延岡市から清武町の七十九キロにおきましては、先般の国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして基本計画が策定されたわけでございます。基本計画から整備計画、それから施行命令、道路公団の施行、供用、こういう格好になるわけでございますけれども、現在基本計画のこの区間につきまして、これはほかの、もちろん鹿児島県あるいは宮崎県、それから大分県、この三県の地域について同じ条件でございますけれども、この区間につきまして、地域開発状況あるいは交通需要など総合的に勘案しつつ、整備計画の策定に必要な調査を実施しております。  それから、残りの区間につきましては現在予定路線でございます。したがいまして、これからの整備というのはもう一つまた順々に進めていくわけでございますが、その予定路線の区間については、道路整備効果であるとかあるいは採算性、こういうものの双方を勘案しつつ調査を進めております。  冒頭申し上げましたように、高規格幹線道路整備については積極的に進めていく所存でございます。
  239. 北川昌典

    北川(昌)分科員 積極的に進めていただくということで大いに期待するわけでございますけれども、国幹審でいろいろ論議される段階ではやはり採算性を重視するというのが中心ではないかと思うのですけれども先ほど実情を申し上げましたように、地域の活性化、地域の産業の振興、このことによって都市と地方の格差を是正していく、こういう大きな役割を高速道は持っておると思うのです。そういった面で、ひとつ地域の実態というものを十分踏まえていただいて国幹審に臨んでいただきたいと思うのですが、ここは大臣、いかがなものでございましょうか。
  240. 三谷浩

    ○三谷政府委員 まず、基本計画が決まりました区間についてどういう検討をしているか、こういうことで申し上げますけれども一つ道路整備整備効果の観点というのがございます。これは拠点都市間の連絡であるとか他の交通拠点との連携であるとか、あるいは高速交通サービスの全国的な普及、こういう問題あるいは交通需要、地域開発、こういうものもやはり勘案していかなければいかぬと思っています。もう一つは採算性の問題でございます。  それから、実際の調査といたしましては、路線の細かい調査であるとか、それからもう一つ基本計画の区間について申せば環境評価、こういう調査もまた必要でございますし、こういうものを今、例えば御指摘の路線につきましては九州地方建設局が担当しておりますから、いろいろな調査を進めておる、こういうことでございます。  それから、予定路線につきましては、環境アセスの問題はその後でございますので、それを除いたもう少し概略的な検討をしている、こういうことでございます。
  241. 北川昌典

    北川(昌)分科員 今、宮崎県ではリゾート地域第一次指定を受けまして、リゾートの開発が進んでいるわけですけれども、また同時に、運輸省、建設省に大変なお力添えをいただいて、宮崎新港が新しく完成いたしました。宮崎空港も拡張が実現いたしました。海と空の分は非常に大きく門戸が開いたわけですけれども、残念ながら、先ほど申しましたように陸の面が、言うならば言葉が悪いかもしれませんが、ふん詰まり、こういう状況でございます。したがって、そういった実情を十分御理解いただきまして、ひとつぜひ東九州自動車道ができるだけ整備計画に乗り、そして施行命令が出るようなお力添え、陳情になりますけれども、お願い申し上げておきたいと思うのですが、これは御答弁要りません。  もう一つ、今九州は、九州八県が九州は一つということで、各県知事が先頭になりまして九州地方の振興に力を入れているわけでございますけれども、それに対しては、今九州縦貫道が鹿児島まで行っております。東九州自動車道、それと申しました横断自動車道延岡線、これが完成して初めて九州の経済に大きな力を与えると思うのですけれども、そういった面もお含みいただきまして、ひとつ九州振興はとりもなおさず日本の大きな発展につながるという気持ちでぜひ御配慮をいただきたいと思うのですが、大臣のお力添えをいただきたい。
  242. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 私、国土庁長官のときに四全総をつくりまして、そのときに九州へ参りましたところが、九州は一つだ、こう皆さんおっしゃるのですが、お話を聞いていますと、私は九州は一つ一つじゃないですか、こう言った。これは一つになるときは、高規格幹線自動車道等ができまして、ネットワークがきちっとできるということが大事でございまして、やはり九州が一つになるためにも道路整備というものは至上命題だと思います。  建設省におきましても、その御期待に添うように今後一生懸命やっていきたいと思っております。
  243. 北川昌典

    北川(昌)分科員 よろしくお願い申し上げておきたいと思います。  高速自動車道と関連いたしまして、ちょっとお聞きいたしたいと思うのですけれども、本州と九州は関門トンネル、本州と北海道は青函トンネルで、それから本州と四国は三つの本四架橋で大体結ばれた、このように思うわけですけれども、残るは、日本の列島を一体化するためにはやはり四国と九州を結ぶトンネルか架橋、まあ架橋はなかなか難しいと思うのですけれども、こういったことが将来必要じゃないかと思うのですけれども、その構想はお持ちでないかどうか、お聞きしたいと思うのですが。
  244. 三谷浩

    ○三谷政府委員 今お話がございましたのは、豊予海峡の問題でございます。これにつきましては、四国と九州を結ぶ海底トンネルの構想があるというふうなことを聞いております。この区間、私は数字を今ちょっと持っておりませんが、海底の海深が深くてこれは橋というのはなかなか難しいので、やはりトンネルという構想、これによって西瀬戸内海を中心とした大分、愛媛、広島、山口、こういうような西瀬戸内地域が一体となった経済圏を構成するということでございます。  四全総においても、長期的な視点から本州、四国、九州の広域的な圏域の形成を図るための交通体系について検討をされる、こうなっております。私どもだけではございませんが、国土庁が中心になりまして、西瀬戸内地域全体の総合的な地域整備計画に関する調査を調査調整費で実施しております。建設省も、その六省でございましたか、その一省として参画をいたしまして、六十三年それから平成元年、この調査調整費によります調査に参画をしております。現在、私ども取りまとめをしている段階でございます。そこで、その構想のいろいろな長期的な検討がなされているやに伺っております。
  245. 北川昌典

    北川(昌)分科員 時間がございませんのではしょって御質問いたしたいと思いますけれども、宮崎から国定公園日南海岸を走る国道として二百二十号線があるのですけれども、これは日南国定公園のロードパークとしてかつては全国的に有名でした。今は災害の多い道路として全国的に知られておるという道路でございまして、とりわけ県南と県東を結ぶ生活道路であるし、産業道路、唯一の道路でございますけれども、非常に災害が多い。一昨年は二週間にわたって交通どめになりました。地域の産業活動もできない、こういう状況もございました。地域の人たちに大変大きな被害があったわけですけれども、この災害復旧に対しては、建設省からも現地に調査をいただきまして、早急に取り組んでいただきまして復旧はもう既に完成したわけですけれども、常時こういう状態が、災害が起きてくるということは、これはもう本当に地域にとっては大変なことなのでございまして、これが災害に強い道路としてつくっていただくというお話もあったわけですけれども、これについてはどのように受けとめてといいますか計画がおありでしょうか。  それと、もう一つ続けて申し上げますが、陸の孤島と言われる県南地方と県西を結ぶ地方国道でございますけれども、県が管理いたしております二百二十二号線というのがございます。これが非常に時間もかかりますし、狭隘であるということもございまして、二十二、三年前からバイパス、いわゆる牛ノ峠線バイパスということで着工したわけですけれども、いまだに供用開始ができる状態にないわけなんですね。もう三百億以上突っ込んでいると思いますけれども、その投資効果の面からも大変問題がございますので、建設省の方にもお願いして設計変更をいただくということで、現道の二百二十号線にタッチをするということで計画変更をいただいたわけですけれども、このタッチまでの建設完成時期はいつごろになるでしょうか。二十二、三年、地元としては待ちに待っておる道路でございますので、一遍お聞きしておきたいと思うのです。  以上の二つでございます。
  246. 三谷浩

    ○三谷政府委員 まず第一番目の国道二百二十号線でございます。これは、今お話がございましたように宮崎市から日南海岸沿いの日南市、串間市を経由して鹿児島県の国分市に至ります延長百八十五キロの幹線道路でございます。宮崎県内は海岸線の屈曲が大変著しく、地形的にも非常に急傾斜でございます。景色の点では大変よろしいのですが、地質的には特殊な地層、私ども日南層群と言っておりますけれども、こういう地域を通っておりますために、県内の九十二キロのうちの三十二キロが例えば雨量が非常に増したりいたしますと通行どめをする、こういうような異常気象時におきます通行規制区間に指定してございます。  このような状況の中で、過去の災害発生状況あるいはのり面調査の結果から、災害発生の危険の高い小目井、鵜戸、立石の三地区につきましていろいろ抜本的な対策を講じております。これらは、例えば道路を海側に振るとかあるいは小さな延長のトンネルを掘るとか、こういうような工作でございます。鵜戸地区につきましては本年度完成をめどに工事を進めております。それから立石地区では用地買収を進めております。それから小目井地区につきましては現在早急に事業を実施すべく調査中でございます。  今後とも、安全で災害に強い二百二十号線にするために、一層の事業促進に努めてまいりたいと考えております。  それから、もう一つの二百二十二号線でございます。これは日南と都城を結ぶ幹線道路であります。今御指摘がございましたのは牛ノ峠の付近だと思いますが、この区間二十一キロにつきましては非常に地形が急峻で地質も悪うございます。こういうことから、昭和四十二年度から直轄による一次改築事業として進めてきておりますが、これまで都城側の六キロ、日南の二キロが供用しておりますが、残る区間のうち、日南市側の供用区間から現道タッチまでの六キロを今最重点で進めておる、こういうことでございます。  こういう大変地形の厳しいところでございますので橋梁とトンネルが連続をするという工事でございますけれども、次期五カ年計画での完成を目途に事業を推進しているところであります。
  247. 北川昌典

    北川(昌)分科員 二つとも地域の発展、振興に大きな阻害になっておりますので、できるだけ早く完成するようにお力添えをお願い申し上げておきたいと思うところでございます。  それから次に、これはまた陳情のようなことになりますけれども、宮崎県の方から国道昇格について申請というかお願いが上がっておると思うのです。  指宿宮崎線の四十三・三キロ、都城串間線の二十四・三キロ、大分県の臼杵日向線の百十・九キロ、延岡高岡線の百四・九キロという路線が国道昇格のお願いを申し上げておると思いますけれども、この昇格の時期といいますか審議されるのはいつごろになって、決定するのは大体いつごろになるのでございましょうか。
  248. 三谷浩

    ○三谷政府委員 国道昇格は七、八年、大体七年間隔ぐらいで従来やっておりました。前回は昭和五十七年の四月一日に八十三路線、五千五百四十八キロが追加指定されました。この結果四万六千六百キロ、今国道がございます。  次の国道昇格、これを私ども今検討しております。第十次道路整備五カ年計画期間中に指定をしたいと思っておりますが、今やっておりますことは、要望路線につきまして全国にございますので、地方公共団体並びに地方建設局に対して、国道昇格の要望路線の整備状況それから交通量、人口等の基礎的な事項について調査の実施をお願いしております。まだ調査結果が私どもの方へ報告されておりません。しばらくして調査結果が出てまいると思っておりますが、この結果について、先般の高規格幹線道路網の計画を踏まえて、一般国道の整備進捗状況、こういうものを勘案して、第十次道路整備五カ年計画、これは昭和六十三年度から始まっておりまして五カ年間の計画でございますが、この期間中に次の国道昇格の選定を進める考えでございます。  今御指摘がございました路線、これは私ども要望路線として伺っております。全国で百八十路線、一万二千キロ要望が出ておりますけれども、もちろんその選定の際には今お話がございました路線につきましても検討をさせていただきます。
  249. 北川昌典

    北川(昌)分科員 時間が差し迫りましたけれども、最後に一つだけお尋ねしたいと思います。  かつては山岳道路を通りますと「落石注意」という余り意味もない標示がありましたけれども、これが今まさに市街地でも落石注意という状況が起きているようなことだと思うのですが、昨年の十一月二十一日に北九州・小倉で、都市整備公団の住宅で三十メートルの高さからタイル壁が落下してお二人のお年寄りが死亡されています。さらにまたお一人の御婦人が重傷を負っておられます。また、同じ年の十一月二十一日には東京新宿区で十一階建てのビル、これは建設中のようでございますけれども、重さ六トンのコンクリートの塊が落下して駐車中のワゴン車をぺしゃんこにした、こういう報道もある。また、ことしになりまして一月五日には、私のところの県でございますが、宮崎市の青島、これは観光地でございます。この年は五万人来たそうでございますけれども、この参道の五階建てのホテルの壁が長さ十二メートル、幅二メートルですかが落ちまして、たまたま通行人がおらなかったことで事故には至らなかった、こういうことでございますが、さらにことしの一月九日、福岡県の豊津町の豊津小学校では、四階建ての屋上からモルタルがはげ落ちまして、これはちょうど児童の出入り口だそうですけれども、落ちた、しかし、これはたまたま児童がおらなかったので事故にならなかった、こういうことでございます。  また、四月の八日には北海道で商店のモルタルが落ちてお年寄りが亡くなっておる。このように相次いでそういうビルの壁の落下が生じております。  また、四月の二十日には福岡市におきまして七階建てのビルの外壁が落下しておりますが、これまたけが人は幸いなかったわけですけれども、もし通行中の人たちがおったならば大惨事になりかねない問題でございます。  こういった点、やはり今は規制といいますか、建物の健康診断をするという義務づけがないのでしょうか、管理責任者として、住宅を管理する責任者にそういう義務づけがされているものは、制度はないのでしょうか。
  250. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先生指摘のビルの外壁の落下問題でございますが、大変ゆゆしい大きな問題だと私ども思っております。  いろいろな落下事件がございますが、いろいろ見ておりますと、おおむね十年以上を経過した古いものが大変多うございます。今そういう管理責任義務というのはどうなっているかというお話でございますが、建築基準法上あるいは民法上は、建築物の所有者あるいは管理者がそういうビル全体の状況をよく維持管理するという義務は当然に持っております。したがいまして、安全確保のためにはビル等所有者あるいは管理者が定期的に十分な外壁調査等を行う必要があるわけでございます。  建築基準法ではそのほかに、それに加えまして十二条一項で、共同住宅とか学校等の特殊建築物または大規模な建築物につきまして、所有者または管理者に対して、定期的に建築物の状況を調査をしまして特定行政庁に報告するよう義務づけております。したがいまして、その結果を見て特定行政庁も指導するという体制にございます。  それから、今般の事故等にかんがみまして、緊急に安全点検を実施する必要があるというふうに私ども思いましたものですから、昨年の十一月二十九日付で全国の特定行政庁に対しまして「既存建築物における外壁タイル等の落下防止について」という通達を出しまして、容積率四〇〇%以上の地域内あるいは避難経路、防災時の避難経路でございますが、その沿いにある三階建て以上の建築物で竣工後おおむね十年以上経過したものにつきまして、特定行政庁を通じて所有者に対して安全点検を必ず実施するようにということで指導したところでございます。  いろいろな工法の外壁があるわけでございますが、私どもはより確実な方法で点検ができないかということで今勉強いたしております。その結果に従いまして、外壁タイル等の設計、施工、診断、改修の方法、診断の実施体制等について検討しておりまして、これによりましてさらに診断の徹底を図りたいと考えております。
  251. 北川昌典

    北川(昌)分科員 福岡では早速、学校は県教委、市教委が調査をした結果、半数以上が大変危険な状態にある、タイルがはみ出しているとかこういう状況にあるという報告も出されているようですが、これは将来にわたって大変な事故になりかねませんので、十分御指導いただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  以上で終わります。どうもありがとうございました。
  252. 亀井善之

    ○亀井(善)主査代理 これにて北川昌典君の質疑は終了いたしました。  次に、川端達夫君。
  253. 川端達夫

    川端分科員 大臣、よろしくお願いいたします。  四月の六日に日米構造協議の中間報告がまとめられまして、いよいよ七月の最終報告に向けて、というよりも、これからの日本のあり方にかかわる重大な一つの節目を越したということ、スタートについたということだと思います。  構造協議に関しましては、当予算委員会も集中審議を含めましていろいろな角度から議論がされてまいりましたけれども、私はその中で共通している観点、これは総理もおっしゃっていることでございますが、日米構造協議で提起をされたいろいろな課題というものは、すべて、一つの側面としては、日本が国際社会の中で貿易摩擦などを起こさずに、孤立をせずに健全に発展をしていくための手だてである、もう一つの側面は、それらの項目は基本的には国民生活を向上させるものである、今まで経済大国と言われてしばらくたっているわけですが、そういう経済優先の中で、よく振り返ってみれば、生活が先進国に比べて決して一流とは言えない側面をいっぱい持っている、そういう意味で、そういう部分をきっちり底上げをしていくということを政治もそして行政もやっていくべきだ、そういう課題であるというふうに思っております。  そういう意味で、国民の皆さんも、この構造協議でいろいろ提起された問題を含めて、そうだ、しっかりやってほしいという期待というものもこの構造協議について非常に大きくなったのではないか、そういう観点の中で、これから結果を問われるといういよいよスタートを切ったということです。アメリカとの問題での結果だけではなくて、私は国民の皆さんの注視のもとでやられるということで非常に大きな意味を持っている、政治のあり方も問われているというふうに思いますが、そういう意味で、きょうは建設省委員会でございますので、建設省の立場から、いわゆる社会資本の充実整備という大きな責任を持たれる部署であります、この構造協議に対して実際にも臨まれたと思います、その経緯も含め、これから諸課題をこなしていくときの基本的な重点課題についてお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いします。
  254. 福本英三

    ○福本政府委員 私も構造協議に参加してきた者でございますから、私からかわりましてお答えさせていただきたいと思います。  先生の御指摘のとおり、この構造協議におきまして公共投資の問題がいろいろ議論されたわけでございます。この公共投資につきましては、要するに社会資本の充実というようなことでその増加というようなこともあるわけですが、一方で、先生今御指摘のように国民生活の質の向上ということも取り上げられたわけでございまして、中間報告におきましては、公共投資の配分に当たっては国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできる限り配意していくということが報告の中に書かれておるわけでございます。  建設省関係の公共事業は、住宅、下水道、公園、道路河川等、いずれも国民生活と密接に関連するものばかりであるというように考えておるわけでございます。建設省としては、従来から経済力に見合った豊かな国民生活を実現するために、これらの住宅・社会資本の充実に取り組んできたところでございます。アメリカに言われるまでもなく、これらの事業の推進を図ることは国民生活の質向上に何よりも必要だと考えておるわけでございまして、今後ともこれらの中間報告なども踏まえながら、住宅・社会資本の一層の充実に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  255. 川端達夫

    川端分科員 今いみじくもおっしゃいましたけれども、まさに今までも建設行政に携わる皆さんとしては国民生活の向上を目指して懸命の御努力をしてこられたと思いますし、我々もそれは評価をしたいと思います。そういう中でいろいろな財政上の問題も制約もありました。そういう中で、その枠の中で可能な限りの御努力をされてきたといういわゆる延長線、そういう流れの延長線として到達していくというスピードそして内容で、果たして今構造協議で話題になり指摘をされ、そして国民の皆さんも期待をされているような状態になるのだろうか。今までのペースからいえばかなりジャンプをしないと、子供がよくやるテレビゲームなんかでもぴょこんと跳び上がるというのがありますけれども、ああいう部分がないとなかなかそういう状況にならないのではないかな。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、まさに答えを問われてくるという状況でありますので、これを具体的に今どうかというのはなかなかお答えしにくいかとも思いますが、そういう情勢であるという部分で取り組んでいかれる心づもりといいますか、御決意を確認をさせていただきたいというふうに思います。
  256. 福本英三

    ○福本政府委員 やはり社会資本の整備充実を進めるためには、投資額の増額ということが何よりも必要だと思っておるわけでございます。私ども建設省なりに努力しておるわけでございます。  幸いに今度の構造協議の報告でも、自主的な社会資本整備の総額の今後十年間の計画をつくるとなっておりますが、現在の水準よりも大幅に拡充されることになろうというような一項もございまして、そういうようなこともアメリカとの関係で中間報告の中に盛られたものでございますから、私どもといたしましてはこういう方向なども踏まえながら、今後さらにそういった増額ということにも努力していきたいと考えておる次第でございます。
  257. 川端達夫

    川端分科員 ぜひともに期待をして見守っていきたいと思いますし、我々もそういう部分では支援をしてまいりたいというふうに思います。  さて、そういう客観的な情勢の中で、今おっしゃいましたような施策の中で一、二具体的な部分についてお尋ねをしたいと思うのですが、まず初めに下水道の充実整備ということでありますが、構造協議の中でも随分話題になったやに伺っておりますが、欧米先進国と日本の状況というものをどのように御認識されているのかということについて、それと、これからの、ギャップがあることは承知をしておりますが、その部分に関しての見通しも含めてお聞かせをいただきたいと思います。
  258. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 我が国の下水道の普及率は、昭和六十二年度末において四〇%という数字になっております。イギリスが九五%、アメリカが七三%等、欧米と比較すると大きく立ちおくれた状況にございまして、我が国において本格的な下水道整備計画的に行われるようになりましたのは、昭和三十八年の第一次下水道整備五カ年計画決定以降でございます。現在、昭和六十一年度から平成二年度を計画年度として、普及率を三六%から四四%に向上させることを目的とする第六次の五カ年計画に基づいて整備の推進を図っているところであります。
  259. 川端達夫

    川端分科員 このスタートが、歴史的にヨーロッパなんかはもう本当に昔々からそういう思想でやってこられたという部分と、日本は三十八年からやってきたという部分で非常におくれているということの非常に大きな一つの理由であると思います。そして、今第六次の五カ年計画を策定をされるという段階に来ているわけですけれども、これからそういう部分でどこの目標まで、要するに先進国並みということはアメリカが七三%、イギリスが九五%ということの現状でありますが、どういうレベルまでをどれくらいにしようというふうな目標ゾーンというのですか、そんなことに関してはいかがなんでしょうか。そして、それに対する裏づけ、お金があればいいということなのか、そのほかの要因も含めて対策をお聞かせいただきたいと思います。
  260. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 建設省では、下水道に対する期待が近時特に高まってきておるところから、その整備の推進を図ってきているところでございます。  しかし、先ほど申し上げましたように、我が国の下水道普及率は昭和六十三年度末で四〇%となっております。東京、大阪のような政令指定都市では普及率は八〇から九〇%台となっておりますけれども、その他の市町村では下水道整備の立ちおくれが目立っておりまして、特に人口五万人未満の市町村では普及率が七%ということで、二千以上の市町村がまだ下水道に手をつけていないという状況にございます。今後、私どもが下水道の普及拡大を図るためには、これら中小市町村の整備の促進が一つの重要なことだと思っております。  実は平成三年度から新しい五カ年計画、第七次の下水道整備五カ年計画を策定してまいりたいと思っておりまして、現在、都市計画中央審議会において、中小市町村の下水道整備の促進方策、大都市等普及が進んでいる地域においては浸水の安全度の向上をどう図っていくか、高度処理を実施して水質保全を強化していく等、今後の下水道のあり方について審議をしているところでございます。  全体としてどれくらいの水準を考えているのかということでございますが、私どもとしては国土建設の長期の目標の中では、二〇〇〇年で普及率七割まで持っていきたいというふうな案を持っております。
  261. 川端達夫

    川端分科員 第六次の今年度までの計画の中で八%くらいですか、普及率が上がっていく、そして三〇%までしようと思うと、これはこれから相当な急勾配でふやしていかないとできない。逆に、国際社会の中の日本人の生活という部分からいえば、やはりそれが社会的要請であるということで、ぜひともにそういういろいろな御議論を通じてその実現に御努力をいただきたいのですが、その中で、おっしゃいましたように、これからは下水道をつくった部分の普及率というものが非常に上がりにくい場所に来ているわけですね。大きい都会ですと、一本引けばその一本の周りに家が軒並み並んでいる。ところが、これからはそれが非常に効率が悪くなるという部分では、設備の部分も非常に過大な負担になると思いますが、そういうことを言っておられない要請というものに対して、これからの御議論の中で取り組んでいただきたいと御要望申し上げておきたいと思います。  同時に、そういう全国の流れの中で、滋賀県の水準を見ますと六十二年度で全国平均の半分の二 〇・四%という非常に低い水準にあります。たまたま今大臣がおられないですけれども、大臣も少し若いころに琵琶湖のほとりでお過ごしになった時期もおありなようでございますけれども、御案内のように琵琶湖というものは近畿圏の水がめということで非常に大きな水資源として、まさに生活、命のもとであるという役割を果たし、同時に自然環境というものを持っている非常に大事な国民的な資源であり資産であるというふうに思いますが、滋賀県の使った水も雨が降った水も含めて、ほとんど全部と言っていいほどが琵琶湖に流れ込んでしまう。そういう意味で、その水資源を守っていくという部分には非常に大きな努力を必要とするし、逆にその責任もあるという位置づけをされているわけですが、そういう中で滋賀県民もみんなで守っていこうという意味で、環境を守ろうということも含めて、例えば俗に石けん条例と言われるような、県民に多少の不便はあっても合成洗剤を使わずに粉石けんを使おうではないかというふうなことまで努力をしているわけですが、やはり一番の決め手はハードな部分での下水道の普及ではないかなというふうに思います。  そういう意味で、残念ながら現実二〇・四%ということで、これは大変だなというのが実感でありますけれども、そういう琵琶湖の持つ特異性、それからその水資源あるいは自然環境の役割というものが非常に大きいという意味で、私は、これから下水道普及を進めていただく中では特段の御理解と御配慮を心からお願いをしたいと思いますし、一つの思いつきに近いようなものですけれども先ほどおっしゃったように、これからかなりの急ピッチで下水道普及をしなければいけないというときのモデル的な事業という部分でのお取り組みもお考えいただければありがたいなと思うのですが、いかがでしょうか。
  262. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 先生お話ございましたように、六十三年度末の滋賀県の下水道の普及率は約二〇%でございますが、これをとっても、この五年間ぐらいで急速に伸びてこの数値になったということが実情でございます。  現在、琵琶湖の水源としての重要性にかんがみまして、その水質保全のための琵琶湖総合開発計画の一環として、琵琶湖流域下水道及び大津市の公共下水道等について積極的な整備の促進に努めているところでございます。  さらに、富栄養化という問題が大きな問題でございまして、これを防止する対策として、我が国において初めて高度処理を導入して、琵琶湖の水質保全については先駆的な事業を導入したものでございます。今後とも琵琶湖の水質保全のための下水道の整備ということで促進を進めてまいりたいと考えております。  なお、滋賀県の構想でございますと、二〇〇〇年までに約五〇%の普及率という目標を掲げているというふうに承知をいたしております。  以上でございます。
  263. 川端達夫

    川端分科員 もう一つの件でありますが、道路行政についてお尋ねをしたいと思います。  道路も、先ほどのこれからの建設行政の中で非常に大きな柱の一つであることは言をまたないわけですけれども、特に最近の交通事情の発達変化、そういう中で、従来の道路というものに対してかなり抜本的な改造というのですかあるいは新しい道というものが全国各地で要請が強まっていると思います。  時間も限られておりますので、特に滋賀県は、いわゆる東海道、それから中山道の両方を抱える、いつの時代の歴史にも、戦国時代、もっと前の平安朝の時代から含めまして、常に道路として登場をするという、まあ人物的には余り登場しないですが、かなり歴史上の要所である。これは今でもやはり東西、それから北陸方面を含めましての要所であることは間違いないと思いますし、現在の道路に関してもその大きな役割を担っているという自負を県民みんな持っているところでありますし、その分ではいろいろな形でも協力をしてきていると思いますが、そういう中で三点について、現在の計画と進捗状況、それから今後の展望についてお聞かせをいただければありがたいなと思います。  一つは、国道一号線、ほとんど二車線の部分が多いわけです。用地買収等々、いろいろな問題を抱えているのは事実なのですが、その拡幅計画、それとバイパスあるいは架橋の問題についてどういう状況になっているかということが一点。それともう一つは、新しくということでもう随分たちましたが、名神高速道路、ここも非常に渋滞をするという部分での拡幅計画、これはかなり進んできているようでありますが、その現状と見通し、それと、非常に期待をされている部分が第二名神計画、その計画の進捗状況についてお伺いをしたいと思います。
  264. 三谷浩

    ○三谷政府委員 まず第一番目の問題でございます国道一号線の拡幅、バイパス、架橋等の進捗状況でございます。  今先生指摘がございましたように、一般国道一号線というのは東京から大阪を結ぶ大動脈でございますし、まだ国道の整備の水準は非常に低いわけでございますが、それでも国道一号線全体として四七%の部分が四車線となっております。滋賀県はまさにその途中の主要な通過地域ということでございますが、全体としては四車線化が進んでおりますのは三二%ということで、残念ながら平均より低うございます。  そういう観点もございまして、滋賀県内につきましては、草津の拡幅であるとか京滋バイパスの供用ということで、全体七十一キロのうち二十三キロ、これが先ほど申し上げました三二%でございますが、四車化されるほか、水口バイパス五キロ、これは暫定二車線でございますので、将来四車線ということで供用済みでございます。  いわゆる事業中あるいは計画しているものについて若干紹介させていただきますと、増大する交通に対処するために、現在、土山拡幅四・九キロあるいは水口拡幅四・一キロ、こういう事業を促進するとともに、平成元年度には栗東水口道路四・三キロの区間について新規に着手をいたしました。今後はこれらの事業の促進を図るとともに、都市周辺のバイパス計画ための調査を進めるということで、国道一号線の整備促進に努力をしてまいりたい、こう思っております。  それから、現名神高速道路の拡幅の問題でございます。  東名、名神いずれも大変渋滞をしております。昭和五十七年に名神高速道路の渋滞状況にかんがみまして、京都南から吹田の二十七キロの区間、あるいは昭和六十一年に栗東から瀬田東九キロ、こういうものにつきまして四車線を六車線にするという整備計画を策定いたして鋭意事業を進めております。  まず、その京都南から吹田間の二十七キロについては、設計協議、用地買収、工事を行っておりますが、地元の協力を得まして、現在昭和六十三年度から平成四年度まで実行しております第十次道路整備五カ年計画の期間中に供用を図るべく、今努力をしております。  それから、もう一つの拡幅区間の滋賀県の栗東から瀬田東の九キロについては、設計協議を行っております。第十次から若干はみ出るのですが、平成五、六年ごろまでの供用を目途に事業の進捗を図っているところでございます。  最後に、第二名神でございます。  そういうことで、現在の東名、名神につきましては局部的な拡幅等を行っておりますが、いずれにしても大変な混雑でございます。したがいまして、第二東名、名神というのを現在の東名、名神に並行して整備するということで、一つの多極分散型国土の形成のための根幹となる重要な路線でございます。  そういうことから、去年の一月に開かれました第二十八回の国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして、愛知県の飛島村から神戸市間の第二名神高速道路基本計画百六十五キロにつきまして策定をしていただいたわけであります。  整備の順序といたしましては、これから整備計画、それから施行命令、こういう順番になりますので、現在、整備計画の策定のための必要な環境調査、路線計画について具体的な調査を行っております。これらの調査を促進するとともに環境影響評価を実施して、こういうものを踏まえまして、審議会の議を経て重点区間について整備計画を策定した上で、第十次道路整備五カ年計画期間中の平成四年度までに逐次事業に着手をしてまいりたい、それで二十一世紀のできるだけ早い時期に概成をさせたい、こういう考えで今いろいろな準備をしております。  以上でございます。
  265. 川端達夫

    川端分科員 ありがとうございました。  時間の都合で、今全体的に下水道と道路についてお伺いしましたけれども、振り返ってみれば、今社会資本の充実というのが本当に問われているのだな、求められているのだなという状況であると思います。これは財政上の問題を含めては非常に難しい問題を抱えていますけれども、しかし、それを乗り越えてやらなければいけない時期だと思います。建設省の役割、責任は非常に大きいと思います。  先ほどたまたま私その話題に触れたときに大臣御不在でしたけれども、琵琶湖に対する思いは大臣もいろいろな思い出をお持ちだというふうに思います。琵琶湖を抱える県としても、またおのおのの立場で努力をしてまいりたいと思いますし、私もそういう立場で頑張りたいと思いますが、広く国民生活が世界先進国になれる一つのキーを持っている役所として、いろいろな形で御活躍を心からお願いをして終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  266. 亀井善之

    ○亀井(善)主査代理 これにて川端達夫君の質疑は終了いたしました。  次に、江田五月君。
  267. 江田五月

    江田分科員 長良川河口せきのことについて伺います。  予算委員会分科会というのは大体地元問題が多いようですが、私は岐阜県あるいは愛知県、三重県あたりは地元ではございません。実はきのう、建設省の方に来ていただきまして、この河口せきの問題、いろいろ話を聞いたのですが、反対運動がなかなか根強く今も行われておる、外の人ばかりが反対して、大体関係する皆さんは余り反対してない、そんなことも言われたりいたしましたが、しかし実はそうでもなくて、この河口せき、私が所属をしております社会民主連合という政党、岐阜県になかなか優秀な組織がありまして、その地元の皆さん方、事務局長が村瀬惣一さんというのですが、この方などを中心にもう十七年来この問題に取り組んでおるわけでありまして、私もこの皆さんの熱意を受けまして、いろいろ研究をさせていただいているわけでございます。  ちょうど今から八年前に、昭和五十七年四月当時、参議院の建設委員会に所属をしておりまして、この問題を質問いたしました。議事録を探し出してきましてもう一遍読み直してみたのです。当時の答弁された国土庁の水資源局長が高秀秀信さんで、横浜の市長になられたというわけで、時の移り変わりを感じているわけですが、しかし長良川河口せきの問題は依然としてどうも住民の皆さんの完全な納得の上で工事が行われているということになっていない。八年前に私が質問をした当時はまことに珍しい質問であったかと思いますが、最近に至って国会でも質問がなされたり、あるいは地元のいろいろな反対運動が起きておったりいたします。いろいろな集会とかシンポジウムとか署名運動、集団陳情、請願、カヌーのデモなどというのがあったり、あるいはフォークの集会、また先日、ついこの間ですが、私どもの同僚ですが、参議院議員田英夫さんを初め、全部で国会議員十三人が地元へ出かけていろいろ視察をされるというぐあいで、反対運動が続いております。  きのう、実は建設省方々から私の部屋でいろいろ説明を受けました。十三種類、いろいろな資料で詳しい説明を受けて、これを聞いておりますと、確かに建設省の説明はどこにも論理的に破綻がないように聞こえます。そのときはなるほどと思います。それで帰って、ゆっくりふろでも入りながら考え直してみますと、しかしやはりどうもというところがまた思い出されてきたりというぐあいなんです。ずっと反対運動が続く。これは八八年の七月が起工式で九四年完成、こういくはずだったものが、まだ完成をしておらずにずっと続いているわけです。反対運動がだんだん高まってくる。一体なぜこういうふうに反対運動がいつまでもいつまでも続いていくのか。これはなかなか難しい質問になるのかもしれませんが、大臣、どういうふうにお感じになりますか。
  268. 近藤徹

    近藤政府委員 その前に、私の方から事情説明をさせていただきたいと思います。  きのう、担当の方から先生に御説明しておりますので、若干ダブることになるかとも思います。  河川事業は、他の社会資本整備と並んで国土の整備をするわけでございますが、他の整備が生活の快適性、利便性を向上させる事業であるのに比較しますと、国土保全という立場の事業でございますから、なかなか理解していただけない点もあるのではないかと思います。  例えば治水問題につきましても、大洪水になったときには、被害をこうむった方からは治水事業のおくれを大変指摘されるわけでございますが、一たん雨の降ってない場合には、地域の人々からは等閑視されるのではないかという気がするわけでございます。また、利水につきましても、渇水のときにはパニック状態なりまして大変社会的な問題になりますが、通常は、我々の進めている水資源開発の必要性についても一部の方にしか理解されないという問題点がございます。  長良川については、また繰り返しの御説明になると思いますが、そもそも輪中の歴史であるとか宝暦治水の歴史とか、あるいは明治改修のときの、河川法の制定そのものが明治二十九年にできたわけでございますが、その当時の国会で、国が直轄で河川工事をやるべきであるという強い指摘があり、特に木曽川を中心としてあったと聞いております。それらが明治の河川法制定の動機にもなっているわけでございまして、非常に治水に悩んできた地域でございます。現在におきましても、全国のゼロメーター地帯の約三分の一がこの地域に集中しているという状況でございまして、治水の問題は依然としてこの地域の重大な宿命でございます。  その長良川の改修として、いろいろな比較検討を行ったわけでございますが、河川改修をして大規模しゅんせつをする、その場合に、塩水遡上によって地域にいろいろな被害が及ぶのを防ぐため河口ぜきを建設するということで従来進めてまいりまして、流域の皆さんも、一市七町一村の方がぜひ早急に建設を促進するようにという議会議決もしておるわけでございまして、地域治水の安全性の上では依然として変わらないわけでございます。しかしながら、現在は地域の住民の移動も多い時期でございますし、価値観の多様化した時代でございますから、いろいろな問題でいろいろな御意見をおっしゃる方も多いと思います。我々としては、関係者の御理解を得ながら、この事業を着実に進めていきたいと考えている次第でございます。
  269. 江田五月

    江田分科員  「長良川河口堰の建設促進要望・陳情等」、これだけ陳情、要望があるという珍しい資料をいただきまして、こういう資料は拝見することもなかなか珍しいかと思いますが、そういう要望があることもよくわかります。確かに治水の問題あるいは利水の問題、平生はそれほど支障なく生活をしておる、いざというときのことであるからなかなか理解をしていただきにくいということもあるかもしれませんが、それにしてもこんなに長期にわたって完全な理解を得られずに、しかも最近はますますマスメディアの関心なども高くなって反対運動が起こっておるというので、どうも何か住民の皆さんが、そうはいっても、必要性についても、あるいはこの河口せきがつくられたことによって起こるいろいろなデメリットというものについての不安についても、胸にすとんと落ちないところがやはりあるのだと思うのです。  これはそういう反対運動がずっと起きているところに、建設省としてそうはいってもいろいろなことをやっていかなければならぬ、こういう難しい立場に立たされる建設大臣として、そういう住民運動やなんかの皆さんにどういうお気持ちで臨まれるかということをひとつ聞かせてください。
  270. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 私は、この長良川の問題のみならず、建設行政あるいは開発というものにつきまして、これは何も住民をいじめたり自然を破壊するためにやるものではないので、社会公共福祉のためにやるものなんですね。したがいまして、その中でなるべく住民の皆さんの御理解、御協力を得たい、こういうことでございまして、今回のこの長良川河口ぜきの問題もやはり水害防除とか、ただいま局長がお答え申し上げましたように、あるいは水資源の確保という公共福祉の大きな目的で計画されておるものであります。しかも、これは河川審議会やその他水資源開発審議会等々の合法的な手段も経、また、各県や住民の皆さん方の意見等々も聞きながら進めておるわけでございます。  最近価値観の変化によりまして、いろいろの自然保護ということで反対運動も起きておるようでございますが、私どもは自然保護をしながらひとつ開発を進めようという努力をしておるわけでございます。社会公共福祉のためにやる事業でございまして、その辺をどの辺に視野を持って考えるかということだと思うのでございまして、できるだけこの災害防除あるいは水資源の確保というような大きな、より多くの最大多数の最大幸福を求める行事だというふうに御理解を願いたいと思っております。
  271. 江田五月

    江田分科員 よくわかりますけれども、しかし、建設大臣としては確かに社会公共全体の立場から、これはこういうことで必要だということでおやりになる。ところが、おやりになるその仕事が、そうはいってもそこで現実に生活している皆さんには不安も与えたり、きしみも与えたり、負担もかけたりするわけですね。  そこで、そういう皆さんが思っていらっしゃることはやはり聞かなければいけないので、建設省建設省でもちろん専門的な知識経験をお持ちですから、それはこういうことで心配ないんだよということがおありでしょう。しかしまた、建設省に見えない、そこに住んでいる人間ならではのいろいろな、わかることもあるし不安もあるわけですから、これは、おまえたちの立場は我々と違うのだから断固としてもうあとはただ進めるべしというのでなくて、やはり住民の皆さんの声はしっかりと聞く。もちろんそうはいっても、いつまでも延ばしていればいいとかそういう話ではないわけですけれども、十分に聞く耳を持って、この人たちの言っているところを、どこに一体彼らがここまで一生懸命言わなければならぬ不安があるのだろうかという理解をしてみようという気持ちを、私は行政担当者としては常に忘れてはならぬと思うのですけれども、大臣、いかがですか。
  272. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 住民というのはどこをとらえて住民というのか、これは災害におびえている住民もあるわけですから、私はやはり議会制民主主義というもので、議会が世論の代表だと思うのです。この住民パワーの話を重視するのか議会の話を重視するのかというようなことになると、これは非常にややこしい問題になるのです。したがいまして、私どももできるだけ住民の多くの方々の意見を聞いて、例えば、後から御質問があるかもしれませんが、サツキマスとかその他の問題もあるでしょう。それらの問題についても、これは絶滅をさせないように努力をしますということもお答えしておるわけですから、その辺も十分御理解を願いたいと思っております。
  273. 江田五月

    江田分科員 建設省がおっしゃることを私も理解をしようと思って一生懸命聞くわけです。それを、おまえは建設省の言うことは聞く耳持たぬじゃないかという——まあ大臣はそんな気持ちはないと思いますけれども、そういうふうに言われるとそれは誤解なんで、そうではなくて、また反対のことでおっしゃる皆さんの気持ちも、彼の身になったら、なるほどこういうことでこういうことを言われるのだな、しかしそこは、じゃこういう誤解ですよとか、あるいはこうしますよとか、そういう態度が常にないと事がうまく進まないのではないかということを申し上げたいわけですが、こんなことはかり議論していても時間ばかりたちますから、中身の問題で若干伺っておきたいと思います。  治水と利水とどちらが一体主目的なのか。どうも今までの経過をずっと見ておりますと、都市用水、生活用水、工業用水、いろいろあると思いますが、利水の方がこれまでは主であった。水資源開発公団法に基づいて水資源開発施設として水資源公団が実施するということでもあらわれているように、利水の方が主目的であった。それがどうも最近は治水目的に主たる目的が変わっているように見受けられるのですが、これはいかがですか。
  274. 近藤徹

    近藤政府委員 まず、私ども、この事業水資源開発公団が実施しているということは事実でございます。その限りにおいて、水資源開発は利水が主ではないかというふうに御理解される方もあろうかと思いますので、経過的に御説明しますと、これは御説明したと思いますが、まず昭和三十四年、三十五年、三十六年と大出水がございました。それを契機に治水計画の練り直しを行ったわけでございます。  そこで、昭和四十年に長良川計画高水流量を、従来四千五百トンでございましたが、これを八千トンにし、この長良川上流でダム適地がないわけでございますから、少なくとも五百トンぐらいは上流の方で洪水調節していただいて、やむを得ずどうしても下流では七千五百トンまで広げざるを得ない。その広げ方については、技術的にいろいろな検討を行いました。堤防を引き堤する案、堤防を高くする案、それから河道しゅんせつする案、三つについて検討したわけでございますが、堤防を引き堤するというのは、これだけの都市圏を、当時千二百、現在千六百世帯ぐらいの方を移転してもらわなければいかぬ、しかもこれが達成されるまでは長い間治水の安全度は放置されるということもございますから、これはなかなか現実的でない。それからまた、堤防の高さを高くするということは、天井川をさらに高くするということで、一たん破堤した場合の被害は激甚になりますので、どうしても河道しゅんせつするという案が一番合理的であろうというところから、大規模しゅんせつ、その際に塩水の遡上が懸念されますので、河口ぜきを建設しようということで大要が昭和四十年に決まりまして、そして昭和四十三年に、なおかつ河川審議会の議を経まして、潮どめぜき機能を持つ河口ぜきを建設するということを決定したわけでございます。  同時に、中部圏の水資源開発としてもこの河口ぜきは主要な位置を占めるということで、昭和四十三年に長良川河口ぜきを水資源開発事業としても実施するということが、政府関係行政機関の協議、同時に関係県の知事の意見を聞いた上で定められたわけでございまして、これに基づきまして水資源開発公団に治水の目的と水資源開発の目的をあわせ持つ事業として、その事業の実施を指示して、昭和四十六年度より建設事業として水資源開発公団が実施してきているわけでございます。  治水、利水あわせ地域の重要な事業であるということは、そういう経緯でございますから、経緯そのものはいささかも変わってないわけでございまして、いろいろ御説明のときにいろいろなふうに受け取られておりますが、事業執行者としては、長い間かかっておると思いますが、事業の重要性については何ら変わってないわけでございます。
  275. 江田五月

    江田分科員 昭和五十三年、つまり三全総の策定された翌年に長期水需給計画ができた。そして、これを基本的な方向づけとして、その後にウオーターサプライ二〇〇〇でしたか、そういったものもあったりというようなことで、多少の変化はあるのでしょうが、そういう大きな方向づけに従ってここに河口せきをつくる、三重県、愛知県、名古屋、それぞれに水を供給する、あわせて洪水防止の目的を兼ねるということで各県に同意を求め、そしてその同意を得て工事を進めておるということで、どうも当初は利水目的が強かったのではないか。ところが、その後次第に水の需要の状況というものが、経済構造の変化とか、人口の動きも変わってきたでしょうし、いろいろな要因で変わってきた。  そこで、利水というよりもむしろ治水目的の方が今強くなっているというふうな感じを受けるのですけれども、この費用負担はどうなんですか。利水ということで、この水の供給を受ける自治体からの費用負担が非常に大きくできておる。今のような治水ということが重要な目的だというにしては、費用負担が利水の方向に余りにも偏っているのではありませんか。
  276. 近藤徹

    近藤政府委員 正確な数字はまた後で御説明させていただきたいと思いますが、洪水調節の機能を持つ治水分といたしましては、この事業の負担は約四割、利水分が約六割ということになります。その限りにおいては、どちらが重点かというお話もあろうかと思います。  ただ、この事業において生み出されますいわば水の単価という面で見ますと、現在木曽川水系で開発されている各ダムの水資源開発単価から見ますと二分の一とか四分の一とかということで、比較的安い水と言ったら申しわけありませんが、水資源単価はそういう状況でございまして、この大きな事業を進めていく上においてそれぞれ負担能力といいますか、それらの実態も踏まえながら、またこの事業の実態を踏まえながら負担させていただいているわけでございます。とりわけ、私どもはこの河口ぜきを完了した後に速やかに大規模しゅんせつをしなければならないという治水上の義務もございまして、それらの事情も勘案して、総合的な判断からこのようなアロケーションになっておるわけでございます。
  277. 江田五月

    江田分科員 河口にせきをつくるわけですから、そうしますと、それは確かに、大規模しゅんせつをするから洪水のときも流れる水の量はふえるから、せきがあってもそのせきは上げてしまうわけで、大丈夫流れる、あるいは津波が来ても、これはせきを上げて上流までざっと海水が上れるようにするから揖斐川の方に水が行っちゃうようなことはない、こういうような説明です。  しかし、関係する皆さんは、それじゃ例えば地震だとか不均等の地盤沈下が起きて、せきが上げ下げがうまくできないというようなことが一時的でも起こることだってあるでしょう、そういうときに洪水が起きるとか、高潮、津波が来ると一体どうなるのだという心配もするわけです。そういう不均等地盤沈下あるいは地震、そういったことでこのせきが上下しなくなるというようなことまで考えに入れられているのですか。
  278. 近藤徹

    近藤政府委員 我が国の土木構造物は、一応、関東大震災クラスの大規模な地震においても十分機能するような技術基準で設計しておるわけでございますが、当然ながら、この長良川河口ぜきもそのような前提におきまして、あらゆる場合を想定して安全なように設計しておるわけでございます。また、停電等さまざまな障害のときにも、予備発動機を設ける等によって二重三重に安全な構造のように設計しておるわけでございます。
  279. 江田五月

    江田分科員 例えば五年間なら五年間、モラトリアムといいますか、工事を凍結して、その間もっと十分な検討を加える。もう十分検討を加えているからその必要はないというお答えかもしれませんが、仮に五年なら五年、工事をとめておくとどういう不都合が生じますか。
  280. 近藤徹

    近藤政府委員 先ほども言いましたように、治水計画上では七千五百トン、上流のダムをあわせて八千トンという計画を昭和四十年に設定したわけでございますが、そのときから既に、大規模しゅんせつによって早くこの流下能力を増大させなければならぬという目的意識を持ちまして、とりわけその前提となる塩害遡上をとめるために、まず河口せきを建設しようということで自来進んできたわけでございます。  御承知のとおり、昭和五十一年の大水害では、もしこのときに大規模しゅんせつが終わっていたらこの長良川の水位ももっと低く、あるいはあの破堤もなかったのではないかということが想定されるわけでございます。仮に一メートル水位が低いと、堤防は前と後ろと二割勾配でございますから、結果的に四メートル堤防が厚いのと同等になるわけでございます。そういう意味では、一日も早く水位を下げたいというのが私どもの希望でございますし、恐らくこれは地域住民、長良川河口沿岸の六十何万の住民の悲願だろうと思います。  そういう意味では、我々は今、地域住民の中にいささかでも不安のないようによく説明はいたします。その反対運動の方の中にもいろいろございまして、たまにはダムのない川を全国で一つくらい残せという御意見もありますし、先ほどのサツキマスというような絶滅種があるからこういうのは大事にとっておいてはどうだという御意見、治水上の不安、あるいはゲートが閉まらないのじゃないかという御不安、そういうものについては、関係県あるいは市町村を通じて徹底的に御説明させていただいて御納得いただきながら、我々としてはこれを一日も早く完成させることが我々の義務だというふうに考えております。
  281. 江田五月

    江田分科員 大臣からもサツキマスという魚の話が出ましたが、五十九年八月二十八日閣議決定の「環境影響評価の実施について」、そして六十年四月一日のこれについての建設省要綱、これをいただいたのですけれども、この要綱にのっとった環境影響評価、アセスメント、これはこの工事については行われていないのです。それはなぜですか。
  282. 近藤徹

    近藤政府委員 この長良川河口ぜきは昭和四十三年にスタートしたわけでございますが、当時から、このかなり前から長良川はウ飼いで有名な河川であるところから、自然保護の問題あるいは水産資源保全の問題が大きな課題だろうと考えておったわけでございます。  ですから、手続的にはどうあれ、環境問題とすれば大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音振動、地盤沈下、悪臭あるいは動植物の保全とありますが、水質汚濁の面でいえば水質保全、先ほど言いました塩害防除、あるいは土壌汚染という意味でもこの河口ぜきはむしろ早急に実施しなければいかぬ問題でございます。そうなりますと、水産資源の保全というのは各項目の中で最重要課題だろうと考えたわけでございます。その結果、当時では、魚類の専門家約九十名に及ぶ木曾三川河口資源調査団を組織いたしまして、昭和三十八年から四十三年にわたって徹底的な調査研究を行ってきたわけでございます。  その結果、従来学問の関係では不明であった事実が幾つも明らかになりました。アユの人工種苗の大量生産技術、またアマゴ、サツキマスの人工種苗技術というものはこれが契機になって開発されたものでございまして、これによって現在では各魚種も大幅に漁獲量がふえてきている状況でございまして、手続的には環境影響評価の手続はとっておりませんが、実質的には他の公共事業に比べると極めて早い段階に既に完了していたと我々は考えておるわけでございます。
  283. 江田五月

    江田分科員 確かに、環境影響評価についての要綱などができる前からスタートしている事業であるからということで、別に法的にアセスメントをやる義務はないとはいうものの、これだけ大規模のものですから、実質的におやりになっておるという話ですが、やはり環境影響評価の要綱にのっとった影響評価はされておいた方がいいのじゃないかとも思います。  それから、そういうこともやらずに、とにかく何か大変急がれるというような、あるいは意見を聞いてもらえないというような不満があったりで、それはなぜだと考えると、どうもこれは、費用を全部といいますか、費用の多くの部分を関係自治体に押しつけることができるから、国としては腹の痛まぬ仕事だから、余り人の言うことも聞かずに国がどんどんやるのじゃないかというような批判もあったりするわけです。確かに建設省の皆さんの使命感も大切だと思いますが、しかし同時に、人の意見を、その意見を言う人の気持ちになってよく聞いてみるということも大切なことなので、反対をしている皆さんのおっしゃっていることにも耳を傾けていただきたいということを要望して、質問を終わります。
  284. 亀井善之

    ○亀井(善)主査代理 これにて江田五月君の質疑は終了いたしました。  次に、沢藤礼次郎君。
  285. 沢藤礼次郎

    ○沢藤分科員 通告しておりましたこと、あるいはきのう建設省方々といろいろ事前に意見交換しました事項の後に、実は一つ材料が入ったので、これは質問というよりは要望をさせていただきたいと思います。  というのは、つい四、五日前の四月二十二日から二十三日にかけまして、岩手県の県南部を中心に集中的な大雨がございまして、災害が発生いたしております。その状況調査がきのうの夜詳しく入ったので、これについてはくどくど申し上げませんが、おとといの段階では総額四億六千七百三十九万、かなり局地的に集中しておりまして、大船渡市、一関市、陸前高田市、花泉町、住田町といったところに局所的に集中しております。この災害等につきましては、ひとつ現地等とも連絡をとりながら適切な対処をお願いしたいということをまず冒頭にお願い申し上げておきます。  最初の質問は、建設省所管事業に係る国庫補助率の問題であります。  数年来、各種の補助金類が補助率の引き下げということで、もちろん建設省所管だけじゃございません、地方自治体では、私も県議会におった関係上よくわかっておるのですが、県あるいは市町村自治体、いろいろな財政上のやりくりに苦労しておるわけであります。例えば道路整備におきましては三分の二から十分の五・五、下水道整備におきましては十分の六から十分の五というふうに引き下げられているわけであります。この措置についてでありますが、平成二年度までということになっておるわけでありますけれども、三年度における復元と申しますか、補助率引き下げをなくす、もとに戻すという点についての見通しと確約、確言をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
  286. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 補助率カットについてのおただしですが、おっしゃるとおり補助率、何回か切り下げが形として行われております。これは私どもは、やはり国の厳しい財政事情を踏まえながら、一方、社会資本整備の着実な推進、あるいは内需主導型経済成長の定着等を図るため、どうしても公共事業費の確保を図ることが不可欠だということから行われたものだというふうに認識をしております。  そこで、現在の六十二年度引き下げ分について、平成二年度までの暫定措置としてただいままで引き続いておるわけですが、この暫定措置の終了後の取り扱いにつきましては現在関係省庁間で検討会をつくって鋭意検討を行っているところでございまして、その際に、昭和六十二年度引き下げ分については平成三年度から復元するという前提で、事業費確保の観点あるいは地方財政事情などに留意しながら、今後総合的に検討の上、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  287. 沢藤礼次郎

    ○沢藤分科員 財政当局とのやりとりが続くだろうと思います。私は東北岩手の人間ですから、自分の視界半径のことしかわからないというとあれですが、地方におりますと公共事業建設省所管の予算が非常に大きな期待を持って迎えられております。ということは、また逆に言えば社会基盤整備がおくれているということにもなるわけですが、これは自治体にとっては大変重要な課題であります。何とかひとつ、地元では期待しておりますから、何とかなるだろうと約束していただいたもの、平成三年度からはという期待を持ってみんな見詰めておりますので、ぜひ頑張っていただきたい。私どももそれなりの立場でそれぞれの場で主張いたしてまいりたいと思いますので、ぜひこれの取り組みを強化していただきたいとお願いします。  なお、あわせて、今申し上げましたように、公共事業が持っている意味と申しますのは、例えば私どもからいえば公園が足りないとか道路の舗装率が全国最低基準であるとかいった状況がありますので、私ども地方議会におったころには傾斜配分ということを再三国の方に要望しております。ほかはどうでもいいからということじゃございませんが、そういった実情を踏まえた公共事業の配分ということについてもあわせて御配慮をお願いしたいと思います。  さて、その公共事業についてでありますが、一般会計六十六兆二千七百三十六億円の予算の歳入歳出ともにNTT株関連が一兆三千億円あるわけであります。公共事業がそのほか六兆二千百四十七億円、〇・三%増、これは実質減と同じようなものですね。全体が九・七%ふえているわけですから公共事業もっと欲しかったなという気はしますが、NTT株の活用事業が私どもの岩手県内にも各所に張りついておりまして、今後こういう事業が欲しい、こういう事業を進めたいと意思表示をしている事業の中にも、NTT株関連の公共事業でもって考えたらどうかというふうな話し合いのスタートを切っているものもかなりあります。  そういった関係上、NTT株の動向に大変関心を持たざるを得ないわけですが、仮にと申しますか、NTT株の株価変動ということが伝わってきたときに、歳入の確保は大丈夫なのか、事業の確保は大丈夫なのかという声が出たのは事実であります。もし株価が低迷するというふうなことになった場合のこの事業に対する影響はどうなのか、それに対する手だて、手当てはどうなのかということをお聞きしたいと思います。
  288. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 これは大変難しい御質問でございまして、御承知のように株価の動向等も勘案して昨年の売却を見送ったわけでございますが、一方先生がおっしゃるとおり、このNTT株売り払いの資金活用による事業の特に地方での重要性を踏まえて、結局、俗な言葉で恐縮ですが、今までの金のやりくりでNTT株活用事業は今のところ存続しているわけです。  ただ、これはもう釈迦に説法ですが、NTTの株の売り払いが未来永劫に続くわけはないので、仮に株価が非常に好調な価格になったとしてもやがては期限が来るわけですから、そのときのことについては、私どもこれはもちろん一番責任を持っておられます財政当局とのお話し合いの上ですが、こういう無利子貸し付けという形で始まった事業、それはそれなりにあのとき時点において公共事業費を約二割程度アップするという働きを持ってだんだんと定着もしておるわけですから、もちろんその時点にならないと確定的なことは申し上げられませんけれども、あらゆる知恵を絞って財政当局とも御相談しながら対処してまいりたいというのが現在の気持ちでございます。
  289. 沢藤礼次郎

    ○沢藤分科員 やりくりの、今の段階は無理でしょうかね、最悪の場合はこれでやるというふうな何か腹構えみたいなものはないですか。それは今言えませんか、どうですか。
  290. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 どういう方法でやるかということについては、口が裂けてもというか、私には能力がないと言った方が確かだと思いますが、ただ、だから約二割にも該当する巨大な、特にNTTのB型は実質補助金同様でございますから、それがすとんと落ちてそれで建設省が黙っているという気は全く私にはないということだけお答えしておきます。
  291. 沢藤礼次郎

    ○沢藤分科員 聞き取りようによっては大変心強い決意表明ともお聞きしておきます。  率直に言いまして、この種の事業あるいは開発吸収型のいろいろな事業というふうなことが話し合いに出ていまして、地方自治体によっては、腹をくくって第三セクターの問題に踏み込むかというふうなこと等を含めましてかなり深刻な思いをしながら踏み出している、あるいは踏み出しつつある、こういう時期でございますから、NTTがだめだったからだめですよということのないように、ぜひひとつこれも大臣以下御奮闘のほどを心からお願いをし、お祈りをしておきます。  次の問題は、これは前回といいますか昭和六十三年五月十八日の建設委員会でも触れたのですが、簡単に再度触れさせていただきたいと思うのです。  建設業の退職金共済制度の問題であります。一人親方と言われるあの人たちはかなり不安定な状況にありまして、後継者の問題もありますけれども、体がいつまで続くか、五十数歳で続かなくなる、やめるといったふうな場合に安定した退職金制度がない中で、公共事業等でも適用されております建設業の退職金共済制度というのにかなり期待しているわけです。ただ、実際公共事業の発注の側、国でもそうですし都道府県段階でもそうなんですが、発注する場合の単価には、証紙代というのですか、退職金共済制度の負担金というのですか、これが含まれて発注されているのが普通だと思うのですね。それが実際、末端の建設業者、一人親方の人に当たってみますと、元請関係、下請関係という間のクッションの問題もあるかもしれませんが、必ずしも証紙が手渡されていないという実態にまだぶつかるわけなんです。  建設省は再三、いやこれは現地説明をしている、業者に指導しているとおっしゃるわけで、その労は多としますが、この制度の普及状況と、それから証紙を確実に渡すという徹底度というのですか、これが最近どう改善されてきているかの状況等についてお知らせ願えればと思います。
  292. 望月薫雄

    望月政府委員 お説のように、建設労働者の労働福祉を改善する、あるいは建設労働者を確保していく、言葉はよくないかもしれませんけれども安定して働いていただくということの観点から、私どもいわゆる建退共制度は大変大事な分野である、こう認識いたしておるところでございます。そういった中で、積極加入ももちろん進めるわけでございますが、特に証紙の購入あるいは共済手帳への証紙の貼付といったことが間違いなく励行されるように、今までも現在もしっかりと指導しているさなかでございます。  特に直轄工事のことをちょっと触れさせていただきますと、これについては発注あるいは執行に当たりまして、予定価格の中で費用を積算していることは当然でございますが、さらに入札資格審査の際に加入状況等を勘案しているとか、あるいは工事を受注した建設業者に対して掛金収納書を提出させるなどのことをやりまして、いわば事後のチェックもしているつもりでございます。とはいえ、おっしゃるように、一般的な公共事業者が果たしてどこまで励行しているかという点については御指摘の点もあろうかと思います。そういった意味で、他の公共発注者に対しても要請を強めているところでございます。  特にここで申し上げたいことは、昨年の七月からでございますけれども、私どもこういう問題は、業者はもとよりでございますが、そこで働く者もしっかりと知る、あるいはそういうことについての意識を高めるということが必要と考えまして、現在工事現場におきまして、共済契約者の現場におきましては「建設業退職金主済契約適用工事現場」こういったふうな標識を掲示いたしております。言うなればそれがあるかないかということが世間的にも大変に重いものと考えておりますが、こういったことをやることによってさらに具体的に進んでいくものと期待いたしております。
  293. 沢藤礼次郎

    ○沢藤分科員 この点についてはお願いをして、次の問題に移るわけですが、人の性格にもよるでしょうね。心配心配でしょうがない、なかなか手帳に張る証紙の数がふえないということで自分で買って張っている人もいるのです。そういう期待の向きもあるものですから、特に今おっしゃっている中で直接発注し受注する関係からは目が行き届くし、一体どうなっているんだというふうなチェックもできると思うのだけれども、さらにそれが下請とか孫請関係になりますと、下請契約約款というものは必ずしもきちんと締結されていない。これは建設省ではかなり指導していただいて、ひところよりは前進しているのですけれども、まだ残されている部分がある。孫請になるとなおさらというふうなところで、今後下請代金支払いの問題も含めまして、下請契約約款をきちんと結ぶ、それに対する点検もするというふうなことを強化していただきたい。あわせてお願いをしておきたいと思います。  次に、道路についてでありますが、四全総の一つの大きな柱というのは交通ネットワークだ。定住と交流ということになっているわけで、それの大きな柱が道路網の整備ということになるわけです。この問題については、特に道路の事情の後発県である岩手、その中でも、国道四号線とか高速道沿いの中心部の縦の線は非常に整備されているのですけれども、横断の道、あるいは特に三陸、太平洋岸、そういったところでの整備が非常に望まれているわけです。  仙台−宮古間のいわゆる三陸縦貫自動車道の促進をぜひお願いしたいと思うのですが、きょうの質問は、その県南部分、岩手に関連する部分の大船渡三陸道路、これの進捗状況と見通しをお聞きしたいということが一つと、あわせて、その地区の主要地方道、大船渡綾里三陸線の整備、私もあそこを何回も通るのですが、大変うねうねと羊腸の線というのですかね大変なカーブが続いているところがございまして、あの辺は陸の孤島と言われてまいりました。これの改良等についてと、二つの点お願いいたしたいと思います。
  294. 三谷浩

    ○三谷政府委員 まず第一点の、三陸縦貫自動車道の整備のことでございます。  四全総におきまして、多極分散型国土の形成を図るための高速交通体系の整備、こういう観点から高規格幹線道路網の構想が打ち出されております。私ども、二十一世紀に向けまして高規格幹線道路一万四千キロメートルの形成が必要であると考えております。現在進行しております第十次道路整備五カ年計画でこの供用延長を六千キロメートルまで高めようということで鋭意努力しております。  その一本でございます三陸縦貫自動車道でございますが、この路線は、仙台から石巻、大船渡、釜石を経て宮古に至ります延長二百二十キロの路線でございます。沿線の諸都市を連絡し、地域の振興に重要な役割を果たす高規格幹線道路でございます。大船渡三陸道路は、この自動車道の一部を形成する大船渡市から三陸町に至る延長約十七キロメートルの一般国道自動車専用道路で、現在、用地買収及び工事を進めております。当面、新三陸トンネルを含む延長約五キロ区間の早期供用を目指して事業の促進に努めてまいる考えでございます。  それから二つ目の、主要地方道大船渡綾里三陸線の件でございますが、この路線は大船渡市猪川町を起点といたしまして三陸町越喜来を終点とする幹線道路でございます。この三陸町の石浜地区の改良につきましては、三陸町の八ケ森地先から清水地先の延長一・四キロのバイパス事業平成元年度に事業化いたしました。平成二年度以降も引き続き事業を実施いたしまして、できるだけ早い時期に完成を図るべく事業の促進に努めてまいる考えでございます。
  295. 沢藤礼次郎

    ○沢藤分科員 道路につきましてもう一点だけお聞きしたいのですが、岩手県は大変広うございまして、これは岩手県の地図ですが、この部分はかなり動脈が発達しているわけです。東北新幹線、高速道、今話があった三陸縦貫道、こうなるのですが、北上川が中心を流れていまして、この西側は今申し上げた道路なり新幹線なり整備している。右側の、北上山地の開発に関連する北上川左岸の部分について、道路が管轄も規格もかなりまちまちになっておりまして、盛岡から主要な地域を通って宮城県塩釜までという一貫した道路体系をつくっていきたい、一部国道、主要地方道が二つ三つというふうなところをつなぎ合わせて動脈をつくりたいという熱願がここ数年来ございまして、連続的に国の方にもお願いしているはずなんですが、これはどうなんでしょう、取り組みといいますか見通し等も含めて。
  296. 三谷浩

    ○三谷政府委員 適正な全国幹線道路網の形成を図るために、建設省は、国道網の再編成、いわゆる国道昇格といっておりますが、これを過去数回実施してまいったわけでございます。最近では、昭和五十七年四月一日で八十三路線、五千五百四十八キロの追加指定を行ったわけでございます。  次の国道昇格につきましては、現在準備中でございます。具体的には、地方建設局あるいは都道府県等におきまして、この国道昇格の要望路線の整備状況やあるいはその交通量、人口等の各基礎的な事項につきましての調査を現在依頼しております。近く調査報告が我々の方に出されると思っております。この調査報告書が出された折に、先般策定されました高規格幹線道路計画あるいは一般国道の整備状況を踏まえまして、第十次五カ年計画、これは昭和六十三年度から平成四年度までで目下実施中でございますが、この五カ年計画の期間中に国道昇格の選定を進める考えでございます。  現在、全国から一万二千キロ、百八十路線等につきまして要望が出されております。今先生が御指摘ございました路線についても私ども要望を伺っております。選定の際には当然この路線についても検討をさせていただきたいと思っております。
  297. 沢藤礼次郎

    ○沢藤分科員 あっという間のあと七分間ということなので、まとめて最後に水害対策についてお聞きしたいと思います。  アイオン、カスリン以来、岩手というのはどうしても水害常襲地帯という言葉がついて回ります。この対策については継続的に大変努力していただきました。突如として人間の名前が出てきて恐縮ですが、先ごろまで盛岡工事事務所の所長をなさっていた向井さんという方、ハードな仕事の中でも人間というのは大切だなということをつくづく感じますね。あの方の人柄とか誠意というのですか、土地買収とか何か難しい問題があの人柄でもって随分進んだのじゃないかな。岩手県内の自治体の評価はすごくいいのです。大臣、ひとつ人間ということも大切にしていただきたいと思います。  さて、それはそれとして、前から継続しておりました北上川の水害、三カ所ほど質問します。  北上市の枢要な駅のすぐそば、救急内水対策事業をお願いしておりました。これの見通しをお願いしたい。それから、非常に大きな事業であります一関の遊水地の事業の進捗状況はどうか。それから、それと隣接します川崎地区に大変大きな災害をいつももたらしております砂鉄川、千厩川の改修の問題がございます。これらについて、現状と見通しをお願いいたしたいと思います。
  298. 近藤徹

    近藤政府委員 まず一関遊水地から御説明をさせていただきたいと思います。  北上川は、岩手県から宮城県に流れている河川でございますが、岩手県の一番南側に位置し、下流が狐禅寺という狭窄部のために大変はんらんを起こしているところでございます。この地域水害防除のために、一関遊水地事業を昭和四十七年度に着手いたしました。三つの遊水地を整備することにしておりますが、まず当面第一遊水地につきまして、昭和五十六年八月に出水したときの水位、エレベーション二十三・〇八メーターをめどに、洪水から人家の浸水を防ぐために周囲堤をこの地域に築造してまいりました。一応平成二年度には概成させたいと考えております。  それから、第一遊水地、第二遊水地、第三遊水地内では全戸数三百四戸の方がおられるわけでございますが、現在二百七十戸の方が移転完了しまして、その進捗率は八九%になるわけでございます。これが終わりましたら、今度はさらに堤防の高さをアイオン台風当時の水位、エレベーション二十五・四六メーターの高さ見合いまでかさ上げをしてまいりたいと考えております。  それから、川崎村の関係でございますが、砂鉄川というのが北上川の左岸に合流しているわけでございます。下流部六・七キロは直轄管理区間でございまして、この部分の無堤部解消を図るため、現在、築堤用地の買収を促進中でございます。それから、上流は、これは岩手県が工事を担当しておるわけでございまして、昭和四十一年度に小規模河川改修事業という費目で改修に取りかかりまして、掘削、築堤を計画しておるところでございます。  それから、北上市内は無堤地が多いわけでございますので、無堤部について漸次堤防を築造しながら、内水対策については総合的な調査を進めながら検討していくこととしております。今おっしゃいました救急内水事業というのは、地元の皆さんとの調整を図りながら、従来は各箇所ごとに内水ポンプを築造してきたわけでございますが、もう少し形態的に平時は倉庫に入れておいて出水のときだけ内水ポンプを設置するというようなことによって、幅広い地域で弾力的に内水排除ができるような制度を考えておりまして、これらについては大変要望が多いわけでございますので、地元の皆様あるいは広い地域の皆様と調整を図りつつ、かつまた優先順位の高いところから整備していきたいというふうに考えております。
  299. 沢藤礼次郎

    ○沢藤分科員 時間が来ましたので、もう一つだけで終わらせていただきます。  宮城県と岩手県の境に夏川という川がございます。昔から、こっちが高くするとこっちに洪水が起こり、こっちが高くするとこっちに洪水が起こるという、大変歴史的な繰り返しのあったところです。最近は幸い両県とも仲がよく、共同していろいろ相談をしたりお願いしたりしておるという望ましい方向にいっているわけですが、これを早く完成してほしいということを最後に一つお聞きしたいと思うのです。  これもひっくるめまして、岩手県の中央部から南部にかけましては骨の髄まで水害というものに痛めつけられている体験を持っています。実は私の家もアイオンでやられました。本当に、火事も大変ですが水害も大変なんです。後始末に何カ月もかかるというふうな状況がありまして、水害の恐ろしさ、そしてまた過酷さというものを身にしみて体験しているのですが、何とぞ水害対策、あるいは防災対策につきましては鋭意努力をしていただきたいということを要望を込めまして、最後の夏川の分だけお聞きしたいと思います。
  300. 近藤徹

    近藤政府委員 おっしゃるとおり、夏川は下流部は宮城県でございますが上流が宮城県と岩手県の県境ということでいろいろな問題がございますが、両県調整を図りまして、昭和五十七年度から小規模河川改修事業で六・五キロメートルを採択いたしまして、現在築堤を計画的に鋭意進めておるところでございます。
  301. 沢藤礼次郎

    ○沢藤分科員 御健闘をお祈りいたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
  302. 亀井善之

    ○亀井(善)主査代理 これにて沢藤礼次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、木島日出夫君     〔亀井(善)主査代理退席、主査着席〕
  303. 木島日出夫

    ○木島分科員 私は、これから高速道路における交通事故防止の問題、特に高速道路でのわだち掘れ解消を目指してそして交通事故を解消する問題に絞って、時間の許す限り質疑をしたいと思います。  最初に最近の交通事故の状況ですが、とうとう昨年度が一万一千八十六人、過去十五年間で最悪になっている。第二次交通戦争という言葉も使われるようになってきている。交通事故防止を図り国民の生活と生命を守ることは緊急かつ重要な課題になっていると考えるわけであります。  そこで、ここ二十年来の交通事故発生状況の推移を高速道路と一般道路との対比で私ちょっと調べました。数字を述べさせていただきます。  昭和四十五年と昭和五十五年と平成元年、この間どのように推移しているかを調べてみましたところ、交通事故件数が四十五年が二千六百七十一件、全体に対する高速道路の割合が〇・三七%。これが五十五年になりますと、高速道路の事故が二千百五十二件で、割合が○・四五%にふえる。それが平成元年度になりますと、事故件数が五千二百七十四件で、全体の事故に対して〇・八%にふえているわけです。  同じく死者の数を言いますと、昭和四十五年に高速道路では百四十八人で、全体に占める割合が〇・八八。これが五十五年には百二十四人で一・四二。そして平成元年度になりますと三百七十一人で三・三五%に、高速道路での死者の数の割合がふえている。  負傷者数でいきますと、昭和四十五年に六千六十八人で全体の負傷者数の○・六二%。五十五年には三千八百十五人で〇・六四%。そしてとうとう平成元年度には八千九百八十八人で、全体の負傷者数の何と一・一%にまで高速道路での割合が急速にふえているということが統計数字からいえるわけであります。  総務庁長官を本部長とする交通対策本部があり、昨年十一月二十八日に本部長名で非常事態宣言も出されまして、総務庁、警察庁、建設省、運輸省などそれぞれの立場で高速道路における事故防止対策を推進していることと思います。  高速道路における交通事故は、一たん発生すると重大な結果が起きるということ、そして、これからの日本の高速道路交通は産業の発展そして国民生活にとっても非常に重要な位置を占めるということから、交通事故の高速道路での多発の原因、これはいろいろ複合しておるかと思うのですが、非常に重要な課題だと思うわけであります。そこで、いろいろな複合する要因の中から、きょうは高速道路におけるわだち掘れの問題に絞って質問をしていきたいと思います。  最初に、高速道路のわだち掘れが高速での自動車走行に及ぼす危険性について各省庁がどのように認識をされているのか、建設省、公団、警察庁に順次お伺いしたいと思います。
  304. 山下宣博

    ○山下参考人 高速道路上の実際の問題でございますので、私の方からお答えをさせていただきます。  高速道路の路面の管理につきましては、毎日の目視観察及び定期的な路面性状測定によりまして路面の性状を把握いたしまして、必要に応じて修繕を行っているところでございます。  わだち掘れやひび割れ等の路面性状につきましては、走行性、交通安全、車の快適性あるいは沿道の環境に関連するものでもございますので、一定の水準を保つように維持修繕を行っておるところでございます。そのため、社団法人の日本道路協会でつくられました道路維持修繕要綱というものがございますけれども、これに準拠いたしまして、高速道路のわだち掘れにつきましては一般道路より厳しい二十五ミリを望ましい値といたしまして維持修繕の目標値といたしております。  わだち掘れと交通事故の関連につきましては現在のところ明確な関連は認められておりませんけれども、雨天時の交通事故の急増にかんがみまして、事故とわだち掘れとの関連についてもさらに今後詳細な分析を行いまして、よりきめ細かい維持修繕を行いまして事故の減少を図っていきたいと考えております。
  305. 小池登一

    ○小池説明員 お答えをいたします。  平成元年中に高速道路において発生したすべての交通事故についての事故原因を申し上げますが、前方不注意が三〇・五%、ハンドル操作不適が一六・二%、その他ブレーキ操作不適であるとか速度超過、安全不確認、これらが原因として発生しておりまして、わだち掘れが交通事故発生の直接的な事故原因であるという捜査の結果は警察としては出ていないということでございます。
  306. 三谷浩

    ○三谷政府委員 ただいま道路公団からもちょっとお話がございましたけれども、いわゆる道路上での交通事故の問題につきまして、交通事故の発生というのはさまざまな要因が重なって発生するということでございます。具体的には、その事故の要因というのを大別いたしますと、人の状態それから車両の状態、さらに道路状態それから交通の環境の問題、こういうようなものが組み合わさって発生するわけでございます。  それで、今高速道路の問題につきまして道路公団からもお話がございましたけれども、わだち掘れと事故との相関性、これにつきましては現在のところ見出されておりません。今後、さらに事故発生状況それから路面等の関係につきまして詳細に調査分析をいたしまして、その結果を踏まえて、よりきめ細かい維持修繕を実施することによりまして、走行の安全性それから快適性が確保されるよう、私ども指導してまいりたいと思っております。  なお、雨天時の安全確保の問題、これにつきましても安全な速度で走行されるよう利用者の協力も得ていきたいと考えております。
  307. 木島日出夫

    ○木島分科員 私は現実に起こった事故とわだち掘れとの関連性を質問したのではなくて、わだち掘れの高速自動車走行に及ぼす危険性について質問したつもりなのですが、各省庁からの認識についてお伺いをいたしました。  手元に一昨年、一九八八年八月十五日付の信濃毎日新聞の記事を持ってきているわけであります。私の住んでおります長野県南部、高速自動車道中央道が通っておるわけでありますが、「怖い“わだち”に水たまり 雨の中央道 スリップ事故続発」という見出してあります。  「雨の中央道でスリップによる大事故が続発している。県警の調べでは、事故のほとんどは「スピードの出し過ぎ」が主な原因。しかし、県内の中央道ルートには、スパイクタイヤなどでできたとみられる“わだち”が随所にあり、たまった雨水が高速で走る車を危険にさらしているのではないか、との見方も出ている。「雨の日はハンドルがとられやすい」「高々と水しぶきが上がり運転しづらい」などドライバーの不安の声も目立つ。」  わだちと事故の関係を解明する必要がありそうだということで、タクシー運転手の声、「雨の日は怖い。特に中央道は、わだちが多いからハンドルがとられやすい」また「一般ドライバーからも「わだちに入ってタイヤが空転した」「大型車が水をはね上げるので、追い越しができない」「車体が揺れるので、マナー違反とは知りながら、わだちの少ない追い越し車線を走ることが多い」などの声が出ている。」  いろいろ触れられまして、そして、高速道路でわだち掘れのところに雨水がたまったところを高速で自動車が走れば、いわゆるハイドロプレーニング現象が起きて大変危険であるということも指摘をした上で、西ドイツでは一九七五年にスパイクタイヤの全面禁止が行われた。その理由の一つに、高速道路アウトバーンでスパイクタイヤによって道路表面が削られた結果、わだちに水がたまり、ハイドロプレーニング現象が発生して大事故が頻発したからだ。それも一つの理由になっているということが指摘されているわけであります。  私も頻繁にこの道路は利用をするわけであります。時速八十キロで法定速度で走行車線を走っておりますと、追い越し車線を大型が九十キロくらいで追い抜いていくわけですが、そこにわだち掘れがありますから、一斉にたまった水がドライバーのフロントガラスにかぶってくるわけです。一瞬前が見えなくなるというのが続いていくわけです。もしあんな状況で急ブレーキなどをかけたら、それこそ大事故が起きかねないという本当に危険な中で毎日のように高速道を利用させていただいているわけであります。  長野県は積雪寒冷地域であります。冬場のスパイクタイヤやチェーン、そして夏場は観光客が大量に入り込んでくるという中で、わだち掘れの進んでいくスピードが一般の東名、名神よりもある面では多いのではないかと思うわけです。  先ほどの答弁の中で、二十五ミリ、二センチ五ミリを一つの目標値にして改修を図っているということでありました。また、私の調べでは二年に一回わだち掘れの深さを全線測量しておるということをお伺いしておりますが、積雪寒冷地域で、また中央道は東名に並んで国の基幹道路としての位置づけがされておるわけで、最近交通量が非常にふえておりますから、少なくともこの中央道に関する限り、そういう特殊事情を踏まえて、わだち掘れの調査を二年に一度から毎年一回はやってほしい。そして二十五ミリというのはどんな科学的根拠があるのかお聞きしたいのですが、この辺ももっと科学的な根拠を持って、小さな値でわだち掘れ解消に取り組んでいただきたいという要望をしますが、いかがでしょうか。
  308. 山下宣博

    ○山下参考人 わだち掘れの解消についてでございますけれども、私ども高速自動車国道におきます交通事故の増大、中でも雨天時の交通事故が最近ふえておりまして、縦断勾配の少ないところあるいは横断方向の勾配の少ないところで排水の悪い区間等につきましても、新しい排水をよくする工夫等もいろいろ重ねております。  わだち掘れの測定についてまずお答えいたしますと、一般的には二年に一回、高速の測定車を走らせます。これは、いわば立体写真の原理と言ってもよろしいかと思いますが、夜間ある角度をもって光を斜めに当てて上から写真を撮り、これを解析するという方法でございますけれども、高速でこの測定車を走らせまして二年に一回測定をしているところでございます。  ただ、御指摘のようにタイヤによる摩耗等の激しい区間につきましては必ずしも二年に一回ということではございませんで、区間によりましては一年に一回測定をいたしております。中央道につきましても、最近大型車が若干増加をしているという傾向がございますので、最近につきましては、走行車線、追い越し車線交通量あるいは大型車の混入率等がそれぞれ違いますので、特に摩耗の激しい走行車線につきましては、現在のところ一年に一回の測定をやっているという状況でございます。長野県内の中央高速道路でございます。
  309. 三谷浩

    ○三谷政府委員 わだち掘れの基準の考え方についてという御質問がございましたので、若干御説明をさせていただきます。  舗装の維持修繕というものは、供用しておりますときに、今先生は安全の問題を御指摘されましたけれども、例えば運転者の乗り心地ということもわだち掘れによって大変阻害されるわけでございますから、そういうような乗り心地の確保というのが一つ問題がございます。  それから、雨が降ったときの水はねの問題、それから当然ながらそういうわだち掘れがあると騒音を引き起こすわけでございます。もちろん沿道にもよりますが、そういう騒音の悪化防止、それから道路構造の保持、こういうものを総合的に考えていかなければいかぬだろうと思っています。  それから、諸外国の例もやはり参考にしております。あといろいろな研究もされておるわけでございますが、一つの維持修繕の要否を判断する目安といたしまして、先ほど道路維持修繕要綱によって道路公団が実施しているということを申し上げておりますが、ここではそういう関係者、学識経験者の議論をかなりしていただきました。そういうようなことを経まして、維持修繕の要否を判断する目安といたしまして二十五ミリというものを採用したわけでございます。
  310. 木島日出夫

    ○木島分科員 交通安全との関係で、わだち掘れ解消のための目標値を何ミリにするかというのをぜひ中心に据えてほしいと思うわけであります。また、わだち掘れの状況を調査するのも、交通安全という観点を中心に据えてほしいと思うわけであります。  そこで、わだち掘れが降雨時の高速自動車交通にとってどのような影響をもたらすものであるのか自動車工学、土木工学からの研究を深める、そしてその研究成果を取り入れて事故防止対策を推進することが今非常に緊急かつ重要な課題になっていると思うわけでありますが、このような視点からの研究体制の現状がどうなっているのか、建設省道路公団、お答え願いたいと思います。
  311. 三谷浩

    ○三谷政府委員 これは各省、交通安全の問題については種々研究がなされておると思いますが、私どもの範囲でちょっとだけお答えをいたしますと、交通安全対策というのは道路行政の中でも大変重要な問題でございます。そういうことでございますので、土木研究所あるいは現場を中心に種々の研究をやっております。  例えば土木研究所の例で御紹介いたしますと、道路の安全確保の観点から、平成元年度、これは金額でどうということではございませんが、金額で申し上げますと七億円かけまして、道路の線形それから舗装等の道路構造、さらに私どもが設置をしております交通安全施設、例えば防護さく、道路標識、こういうものの交通安全に関する調査研究、それから実際のいろいろな事故対策に役に立たせます事故多発地点の事前事後調査、これはある措置をいたしまして事前と事後でどういう変化があったか、こういう調査でございますが、こういう成果を道路整備に反映しております。  それから、当然ながら交通事故というのは要因が非常に多岐にわたっておりますので、道路以外の分野の専門家との共同研究も必要だと思っておりますが、データの収集の問題とかあるいは分析システム、こういうものにつきまして、今関係省庁と連携を保ちながら検討を進めております。
  312. 木島日出夫

    ○木島分科員 ハイドロプレーニング現象にかかわる自動車工学、道路工学的な視点からの研究成果を踏まえた上でこの目標数値が二十五ミリになっているのかどうなのか、それはどうなのですか。
  313. 三谷浩

    ○三谷政府委員 先ほどから申し上げておりますように、交通事故の対策を立てるためにはいろいろ要因分析をやってその結果を利用する、こういうことになろうかと思っております。  そこで、わだち掘れと事故との相関性、これはむしろ道路公団からお答えしていただいた方がいいかと思っておりますが、例えば道路公団でいろいろ検討をした結果、現在のところその相関性というものが見出せない。今後さらに、事故発生状況と路面等の関係、これは例えばいろいろな諸条件によってかなり細かい分析も必要と思われるわけでございますが、こういうような観点から事故発生状況と路面等の関係について詳細に分析をして結果を得ることが必要だろうと思っております。
  314. 木島日出夫

    ○木島分科員 お聞きする範囲では、科学的な研究成果の上に立って二十五ミリという目標数値が設定されたとはまだとてもうかがえないので、その辺の研究を一層進めていただきたいと思うわけであります。  私の手元に、社団法人日本自動車タイヤ協会のタイヤの水上滑走現象、ハイドロプレーニング現象に関する研究成果があるわけであります。そこでは、路面の質、粗さ、これと自動車のスピード、それとわだち掘れ等にたまった水の深さ、水深の相関関係がどうなのかについてかなりいろいろな研究、実験をして、それが一覧表、グラフになって出ているわけであります。  ちょっと見ますと、水深が十二・五ミリ、先ほど目標数値が二十五ミリと言いましたからその半分ですね、その半分の水深で時速が八十キロになると、路面の状況が粗くても平滑でも、乾燥時のタイヤと路面との摩擦係数と比較しますと、これがゼロになってしまうという数値があるわけなんですね。  先日NHKがスペシャル特集を組んでおりまして、片側タイヤが水の中、片側が路面、そういうことで高速で走らせまして急ブレーキをかけますと、必ず自動車がスピンして回転してしまう。この実験結果によっても水の上を走っているタイヤは摩擦係数が下がっているわけですから、急ブレーキをかけると必ずスピンする。NHKがそういう映像を出しておりました。  こんなことを考えますと、二十五ミリを目標値にするという今の建設省道路公団さんの数値の設定は非常に非科学的である、危険を放置しているものではないかと指摘せざるを得ないわけなんですが、見直しを科学的に検討していただきたいと思います。検討すると言っていただければ結構ですから。
  315. 三谷浩

    ○三谷政府委員 先ほど申し上げましたように、二十五ミリを目安として決めたことにつきましては、総合判断あるいは関係の長時間の議論を経まして一つの目安として決めたわけでございます。  今おっしゃられることは、結局わだち掘れと交通事故とどういう関係があるのか、こういう御質問でございますので、これについては、私ども今の段階で例えばカーブの区間はどうかとか、あるいは線形とか、いろいろなものが全部関係してまいると思います。したがいまして、今のところ相関関係はないという結果を申し上げたわけでございますけれども、ただ、もちろん今後の調査が、いろいろな検討が必要ではないとは申し上げておりません。したがいまして、そういういろいろな研究が必要だと思っておりますが、現在のところ、いろいろな観点から私どもがこの二十五ミリを目安としたのは適当と考えております。
  316. 木島日出夫

    ○木島分科員 必要がないどころか、平成二年四月一日に政府から出された「時の動き」の「特集交通事故防止対策」号の建設省の文章の最後のところで、高速とは書いていませんが、「事故発生原因の一層の複雑化が予想されるところです。こうした状況の下では、従来の事故統計のみから対策を講じることは極めて難しく、」ということを指摘して、「個々の事故について道路構造との関連について調査し、対策の検討を行うことが必要です。この着実な交通事故分析・研究の積み重ねが、より実効ある交通安全対策の実施につながっていくと考えられる」、まさにこのとおりだと思うのです。  そこで最後に、個々の具体的に発生した事故の複雑な、複合的な原因を調査検討するのは大事だと思うのですが、実際に事故が発生したときに捜査するのは警察庁であります。業務上過失致死事件ということで、こういう捜査書類を警察、検察当局がほかの省庁に開示するというのは非常に難しさもあろうかと思いますが、その辺、起きた事故の具体的な分析についてどのように手だてをとられようとしているのか、建設省、そして警察にお伺いしたいと思います。
  317. 三谷浩

    ○三谷政府委員 高速道路の事故の発生が非常に増加をしているという御指摘先ほどございました。高速道路そのものが非常に延伸をしておりますけれども、それを上回る事故発生が出ていること、これは事実でございますし、また交通安全対策というのは大変重要でございますし、交通安全対策の推進が極めて重要であるということは私どもも十分認識しております。  そこで、先ほど来申し上げておりますが、交通事故とわだち掘れの関係についてはまだ十分解明がなされていない点もあろうかと思っておりますので、さらに調査研究は進めますが、いずれにいたしましても、今後とも事故発生状況に即応した交通安全対策を重点的に推進する所存でございます。具体的に申し上げませんが、昨年の緊急事態発生におきましても、高速道路のみならず一般道路についても事故多発地点のいろいろな安全施設整備等できるだけのことはしてまいったところでございますし、また今後とも実施する方向でございます。
  318. 小池登一

    ○小池説明員 最初に調査研究の方について申し上げたいと思いますけれども、もちろん警察は交通事故、とりわけ死亡事故を一件でも少なくしようということで、事故分析が必要だということは十分認識をしております。したがいまして、従来より事故分析の結果を生かして各種の交通安全対策を講じてきたところでありますけれども、御指摘趣旨を踏まえまして、ここにお見えの建設省等と十分連絡をとり合いながら、より詳細で総合的な調査分析の手法について検討を進めてまいりたいと考えております。  さらに、警察の手持ちの統計資料の公表の問題でございますけれども、これまでも交通統計につきましては積極的に公表をしてまいっております。また、道路管理者等の関係機関にも適宜資料を提供いたしまして活用を図っていただいてきております。また、道路構造の点につきましても、事故処理等を通じて気づいた点につきましては御連絡を申し上げて、道路面からの対策も講じてきていただいております。  今後も、事故当事者のプライバシーに関するデータにつきましては慎重かつ十分な配慮をした上で、関係機関の協力を得ながら事故防止対策を推進してまいりたいと考えております。
  319. 木島日出夫

    ○木島分科員 終わりますが、先日、日本道路公団の名古屋管理局の御援助をいただきまして、私も中央道の岡谷のインターから飯田のインターまで現実に走ってわだち掘れの現状を見ました。まだまだ二十五ミリまで達しているかどうかわかりませんでしたが、非常に危険な感じを受けとめたわけであります。二十五ミリにかかわりませず、速やかにドライバーの要望を受けて路面の舗装に取り組まれることをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  320. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて木島日出夫君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  321. 粟屋敏信

    粟屋主査 平成二年度一般会計予算平成二年度特別会計予算及び平成二年度政府関係機関予算中総理府所管国土庁について、政府から説明を聴取いたします。佐藤国土庁長官
  322. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 総理府所管のうち、国土庁平成二年度予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁の一般会計歳出予算は、二千三百九十七億五千四百万円余を予定しておりまして、前年度予算に比べ、十八億二千百万円余の増となっております。  さらに、大蔵省所管の産業投資特別会計に計上の日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法第二条第一項に該当する事業のうち、国土庁に係る無利子貸付金について、歳出三百四十二億七百万円余を予定いたしております。  その主要な内容は、  第一に、第四次全国総合開発計画の総合的推進等の国土計画の推進  第二に、地価の安定、適正な土地利用の促進等の総合的土地対策の推進  第三に、水資源の開発及び有効利用の促進等の総合的な水資源対策の推進  第四に、良好、安全な都市環境の整備を図るため大都市整備の推進  第五に、人口の地方定住を促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興の推進  第六に、国土を保全し、国民の生命及び財産を災害から守るための総合的災害対策の推進  第七に、地域活性化施策に関する調査研究等及び具体化を図るため地域活性化施策の推進  第八に、地方都市開発整備、工業の再配置、地域産業の高度化及び産炭地域の振興を図るため地域振興整備公団の事業の推進であります。  国土庁予算の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります平成二年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。  どうもありがとうございました。
  323. 粟屋敏信

    粟屋主査 以上をもちまして総理府所管国土庁についての説明は終わりました。     ─────────────
  324. 粟屋敏信

    粟屋主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山元勉君。
  325. 山元勉

    山元分科員 私は、琵琶湖総合開発についてお伺いをしたいと思います。  琵琶湖の恵まれた自然環境の保全と水質の回復を図って、その資源を正しく活用するための総合的な施策を施して住民の福祉と近畿圏の発展を図ろう、こういう趣旨については十分御案内のとおりでございます。文字どおり国家的なプロジェクトとして極めて重要な事業だと私ども滋賀県民も認識をしております。この間の国土庁初め国の皆さんの御尽力に心から感謝を申し上げます。  その事業も、昭和四十七年から着手されまして十八年を経過いたしました。あと二年、平成三年度で終わることになっています。あと二年という現時点になりましてその進捗状況についていささか危惧するところもございますので、どのように把握をされているのか、進捗状況について御説明をいただきたいと思います。
  326. 三木克彦

    ○三木政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、琵琶湖総合開発事業は、琵琶湖の自然環境の保全と汚濁した水質の回復を図りつつ、下流阪神地域の水需要に対する水資源開発事業及び琵琶湖周辺の地域整備事業をあわせて推進することによりまして、近畿圏の健全な発展に寄与しようとするものでございます。  これらの事業にかかわります全体の計画事業費は約一兆六千億円でございますが、これに対する十八年を経過いたしました平成元年度末までの実績の事業費は、約一兆二千五百三十億円余でございました。進捗率は約八〇%に達しております。
  327. 山元勉

    山元分科員 地域開発の分、水資源開発の分あるいは県、市町村負担分と、もう少し詳しく中身についてお知らせをいただきたいと思います。
  328. 三木克彦

    ○三木政府委員 このうち地域整備事業にかかわる進捗率でございますが、七八・六%でございます。また、水資源開発公団が実施しております琵琶湖治水・水資源開発事業の進捗率は八六・三%でございまして、地域整備事業にかかわる進捗率が相対的におくれておるわけでございます。次に国直轄事業と県、市町村事業の関係でございますが、県、市町村事業の進捗率は七八、一%でございます。また、国直轄事業の進捗率は八一・六%、こういった状況でございます。
  329. 山元勉

    山元分科員 そうすると、今全体がおよそ八〇%とおっしゃいましたが、地域開発関係が七八・六%、水資源開発関係が八六・三%、地域開発関係が大変おくれているというふうに見えるわけですけれども、おくれているその主な事業についておわかりでしたら述べていただきたいと思いますし、そして、その事業がおくれている主な要因をお知らせいただきたいと思います。
  330. 三木克彦

    ○三木政府委員 各事業のうち、進捗率の低い事業につきまして進捗率を申し上げますと、都市公園関係でございますが、四〇・四%、補助ダムの関係が四二・二%、自然公園施設が四三・四%、ごみ処理施設が五一・〇%、河川が六二・三%、道路が六二・九%でございます。なお、直轄ダムのうち高時川のダムにつきましては非常におくれておりまして、一三・二%という状況でございます。  これら事業の進捗がおくれております理由でございますが、各事業ごとに状況は異なりますが、主として予算の確保の問題、用地取得の難航の問題、埋蔵文化財調査による問題などが理由でございます。
  331. 山元勉

    山元分科員 この琵琶湖総合開発は下流のための水資源開発、このことに端を発しているわけです。そういうことからいえば、予算の問題、土地取得の問題あるいは埋蔵文化財の問題と要因はあるとおっしゃいますけれども、今申し上げましたように水資源開発に端を発している立場からも、これは県民サイドからの感覚かもわかりませんけれども、利水のため事業治水だとかあるいは保全というものが相まって進まなければ所期の目的を達せられないと思うのです。そこのところで、どういうふうに今まで相まってということでの御努力があったのか、お伺いしたいと思います。
  332. 三木克彦

    ○三木政府委員 御指摘のようにこの二つの事業は車の両輪というふうに言われておりまして、全体計画の中で相互に連携を図りつつ同じようなスピードで実施されることが望ましいわけでございます。  水資源開発事業につきましては、事業を担当いたします水資源開発公団の御努力によりまして鋭意図られまして、ほぼ計画年度内に達成するのではないかと思われる様子でございますが、地域整備事業につきましては、非常に残念な要因が幾つかございましておくれておるわけでございます。従来から国土庁といたしましても、地域整備事業につきましては、予算確保、事業の実施につきまして、関係省庁がたくさんございますが、そういったところと御相談をしながら進捗を図るべく努力をしてきたわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように予算の確保が思うに任せなかったことが主な理由でございますけれども、それとあわせまして、先ほど申し上げました用地確保の問題、文化財等の問題も複雑に絡みまして事業の実施がおくれてしまったということでございます。  今後は、こういった状況を回復すべく、あと二年残されておるわけでございますが、できるだけ事業費の確保に努めまして、でき得れば年度内に、計画期間内に達成されるよう万全の努力を払ってまいりたいということで考えておるところでございます。
  333. 山元勉

    山元分科員 この琵琶湖総合開発に関して滋賀県民が一番心配し、懸念したのは、自然の破壊、水質の悪化、こういうことであったわけです。今申し上げましたように、両々相まって進めなければならない。私どもの感情からいいますと、先行して地域整備とかいわゆる治水あるいは保全の事業が進められて水資源開発が行われる、こういう形を強く望んでいたわけです。そういう意味でいいますと残念な、県民にとっては非常に恐ろしいといいますか、危険な状態でこの期限を迎えようとしておるわけです。  そこで、主として予算の獲得に問題があったというふうにおっしゃったわけですけれども、国の予算、財政が非常に厳しくて、マイナスシーリングの時代がずっとあって、その間どのようにこの琵琶湖総合開発問題が扱われたのか、どういう努力があったのか、もう少し詳しくおっしゃっていただきたいと思います。
  334. 三木克彦

    ○三木政府委員 この計画期間がちょうど、いわば成熟期を迎えます昭和五十五年から約十年間にわたりまして厳しいシーリングを受けたわけでございます。特に公共事業のうちでも河川関係につきましてはほぼ前年並みという状況でございました。そういった中で全般的にも治水関係事業はおくれを生じたわけでございますし、また、水質の保全を図ります下水道事業についても同様でございました。そういった中で、治水関係事業につきましては特に中小河川の改修、これが全国的に大変需要の多い事業でございまして、その配分に当たりまして、法律に基づきます計画でございます琵琶湖総合開発事業につきまして十分な留意はいたしましたものの、相対的にやはり計画が期待しておりますような事業費はつけられなかったというのが実態でございまして、この点は非常に残念に思っているわけでございます。  そういった実情でございますけれども、その状況を回復すべくできるだけ努力してまいりたいというのがただいま私どものとっている姿勢でございます。
  335. 山元勉

    山元分科員 御努力をいただくということですから御期待を申し上げたいわけですけれども地域開発についてももう少し詳しく見てみますと、国直轄の事業の進捗状況が八一・六%で、地域の県、市町村、自治体が行う事業が七八・一%というふうにおくれているわけです。しかし、内容的に見ると、元年度までで滋賀県八千二百億円、国直轄が千五百億円、比で見ますとおよそ五・五対一ぐらいの割合なんです。改めて、八千二百億円という数字は滋賀県のような小規模県にとっては大変な努力であったと思うのです。急がなければならぬということで元年度も当初予算七百億円余りを積んであるわけですわ。これは県の当初予算の一八%に当たるわけですから、急いで完成をしなければならぬ、完了しなければならぬというので大変な努力がされていると思うわけです。特に、先ほどおっしゃっていただいた低い方からの事業ですね、これは主に地域開発事業、こういうふうに考えていいわけですか。ちょっとお答えください。
  336. 三木克彦

    ○三木政府委員 先ほど申し上げましたような事業は市町村、県が御担当になる事業でございまして、地域開発事業そのものでございます。
  337. 山元勉

    山元分科員 これはやはり、先ほども申し上げましたように、一番大事な治水だとか保全という部分を市町村が担当して、そして進捗率四〇%、五〇%というのがある。そういう状況は何としてでもこの二年間で克服をしなければならぬ。ぜひ御努力をいただきたいと思います。  期限が来ても相当の量が未完了、または、ひどいのになると未着手で来てしまうような事業があるわけです。その未完了にどうしてもなるであろう、あるいは着手すらできないという主な事業についてお伺いしたいと思います。
  338. 三木克彦

    ○三木政府委員 先ほど申し上げました進捗状況が極めておくれております事業につきましては、相当に予算を確保いたしましても事業実施の面で完成がかなり難しいというものがございます。それからまた、直轄の方でございますが、ダムにつきましては、その見通しが極めて難しいというものもあるわけでございます。そういったことで、この関係事業につきましては、いろいろ努力はいたしましても、期間内の達成がかなり難しいのではないかなと憂慮されておるところでございます。
  339. 山元勉

    山元分科員 先ほども申し上げましたように、県民は大きな危惧を持っていた事業であって、未完了やあるいは未着手の事業というのは大変大事な事業、性格でいいますと途中で中断してはならない事業だとか、あるいは土地の価格の激しい高騰がありましてこれからも非常に難しいであろうという事業が大変多いわけです。先ほどからも重ねて言っていますけれども、大幅な予算の増額確保がどうしても必要だ、そうでないと大変なことになる。  例えば草津川のつけかえ工事というのがございますけれども、途中まで行っていてJRの線路のところまで来てとまってしまっているわけです。これから土地取得というのは大変な仕事だというふうに思うのですね。さらには、まだ手がつけられていない、例えば大津放水路、今そのことに手がつけられていないばかりに去年も関連の河川のはんらんが大津市内で起こっているわけですね、そういう手をつけなければならぬ、中断してはならないという事業が残っているわけです。  そういう今申し上げました二つの例だけでも大変だと思うのですが、そういう個々の事業について申し上げることは今はできませんけれども、こういう難問について、今申し上げました草津川だとか大津放水路ですね、どのように見通しを持っていらっしゃるのか、あるいは見解を持っていらっしゃるのか、お伺いしたい。
  340. 三木克彦

    ○三木政府委員 御指摘のとおりの状態でございまして、これにつきましては、従来いろいろな要因でこんな状態になってしまって残念であるということを申し上げたわけでございます。  どんな努力をしてきたかと申しますと、先ほど予算の確保についていろいろ努力をしてきたということを申し上げましたが、昭和六十年から適用されました補助率のカットの制度がございます。この琵琶湖総合開発事業につきましては適用しないということで、地方公共団体の財政面での確保、これに努力をしてきたわけでございます。こういった補助率カットをクリアしている事業というのはほかには余りございませんで、琵琶湖総合開発事業がそういう意味では特記されておる、こういうわけでございます。  そういう努力をいたしてまいりましたが、なお、先ほどから申し上げておりますようないろいろな要因で今のような事態になっておるわけでございまして、事業そのものにそれぞれいろいろ固有の事情がございましてなかなか進捗が図りがたい側面がございますが、一つ一つ事業者におかれて予算の確保を初め用地の確保、そういったことに努力をされまして、期間内にできるだけ完成できるように努力をしていただきたいということでお願いもし、国土庁としても調整をいたしておるという状況でございます。
  341. 山元勉

    山元分科員 一つ一つ事業については申し上げませんと言いましたから申し上げませんけれども、何としてでもこれはやはり、当初に危惧した、私どもも率直な言葉で言いますと、反対運動とかいろいろの問題を乗り越えてこのことについて着手はされたわけですから、それ見たことかということにならぬように、あるいは琵琶湖がいびつな状況の中で残っていくということにならないような努力をぜひしていただきたい。後ほど長官のお気持ちもお伺いしたいと思います。  もう一点だけ、少し別の問題ですけれども、期限が平成三年度で切れる、そして新たな水の供給の問題が出てくるわけです。そういう約束で下流の皆さんにも負担をしていただいて工事を急いできたわけです、事業を急いできたわけですね。そういう新しい水の供給の問題についてお伺いしたいわけです。  水位が低下しても関連の住民の生活に支障がないように、あるいは自然の破壊が起こらないようにというのがこの事業基本の精神であるわけです。そのことについては建設省と滋賀、大阪、兵庫の知事さんみんなが集まって相談をして、その精神を確認をしながら、五十七年の五月ですけれども合意ができているわけです。できるだけ早い時期に新しい水の供給を始める、少なくとも遅くとも昭和六十六年度、すなわち平成三年の期限が終わるときには供給を開始するよう措置する、こういう覚書があるわけですね。それをさらに、五十九年の十二月には国土庁も入ってそれぞれの知事さんが覚書を改めて確認をしていらっしゃる。南郷洗堰の操作の問題とそれから新規の水の供給の問題で、今申し上げましたように六十六年度末には決める、こういうふうになっているわけです。これは県民が大変不安を持っているわけです。  今申し上げましたように、進捗率が八〇%かつかつの状況で、今あと二年というふうになっている、そして大事な事業が残っている、けれども新しい水の供給だけが始まる。そうすると、水位が低下したときの影響というものは、これは反対といいますか一番の問題意識を持っていたわけですから、そのことが解決されないままに見切り発車されるのではないかというふうに不安を持っているわけです。私どもは、確かにこの事業を二十年間かかって、国の努力なりあるいは下流県の皆さんの協力というのがあって、水を出さないとかなんとかいうだけではならないということは十分承知しているわけですけれども、しかし、やはり六十六年度末にどういうことが起こるのかということについては強い不安を持っているわけです。そのことについて見切り発車というのですか、そのことについての見通しなり見解がございましたらお伺いしたいと思うのです。
  342. 三木克彦

    ○三木政府委員 ただいま御指摘のような水需給と琵琶湖総合開発事業の関係につきまして、そういったお約束がなされているということはお話のとおりでございます。あと二年でございますから、計画期間内に琵琶湖総合開発事業が完成いたしました場合には約四十トンの水出しを行う、新規利水、開発が行われるということになるわけでございますが、先ほどからのお話のように、琵琶湖総合開発事業のうち地域開発関係事業におくれを生ずる、水を出した場合に水位低下その他、地域の状況に大きな影響が考えられるという状態でございます。  こういった状況につきましては、ただいまの状態でいろいろ議論するのも一つには必要かと存じますけれども、二年間やはり事業を懸命にやってみまして、その成果を見ましてからその時点で御相談というか、その実態をいろいろと分析いたしまして御相談を改めてさせていただくということがよろしいのではないか、こう思っておるわけでございます。期間が来れば直ちに全部利水を行うというふうな形式的なことではなくて、事業の実態、進捗の状況を踏まえてそのときに判断をするというのがよろしいのではないかとただいまのところは考えております。
  343. 山元勉

    山元分科員 繰り返して、このようにして建設省国土庁が入って約束をしているわけです。負担金を出していただいている下流の県の皆さんとも約束しているわけですね。  そこで、今おっしゃるように改めて相談をしますということです。けれども、そのときになって相談をしますということなんですけれども、そこへきて、これは約束だから、二回も三回も合意をしているのだ、判こを押してあるじゃないかということでは困るわけですね。ですから、改めての相談というのは、その前提に、琵琶湖の周りの皆さん、安心をしてくださいよ、そういうことにはならないことを前提にして相談をしますよ、ということにならないと私どもは安心できないし、おちおちと平成三年度末が迎えられないということなんですが、重ねてですけれども、こういう不安というものは持たなくてもいいというのですか。県民の皆さん、安心をしていいと、琵琶湖の周りの皆さん、安心しなさいよということが言ってもらえるのかどうか、重ねてお伺いしたいと思うのです。
  344. 三木克彦

    ○三木政府委員 ただいま琵琶湖関係の流況は比較的安定をいたしておりまして、下流区域におきまして渇水が起こるというような事態は避けられております。こういう状態のもとでございますから、下流県からの新規利水に対する要望というのはそれほど緊迫したものではないという実情でございますが、しかし、下流の水位の状況を見ますと、やはりある程度の水の供給が必要であるという状態には変わりはないわけでございます。そのことを全く配慮しないで二年後に決めるというわけにもいかないとも存じますが、琵琶湖を取り巻く周辺の地域の状況、下流の水需給の状況、そういったことを全般的に考慮いたしまして判断をすべきものというふうに考えております。
  345. 山元勉

    山元分科員 だれもが平成三年の雪のぐあいだとか四年の天候のぐあいはわからぬわけですから、どういう事態が起こるかわからぬわけです。けれども、少なくとも今申し上げましたように、そういう遅くとも六十六年度末にはという覚書は確かにあるけれども、そのことについて十分滋賀の意見を尊重するという立場では、しっかりと確認をしておいていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  最後に、長官にお伺いをしたいわけですけれども先ほどから申し上げてきましたように琵琶湖総合開発というのは特別措置法をつくった。これは、一つの地方自治体だけの努力ではどうにもならない、近畿全体の健全な発展ということを目標にして、国家的なプロジェクトとして始められたわけです。そのことは十分御理解をいただいているだろうと思うのですけれども、その事業が期限ぎりぎりになって進捗率八〇%、残っている二〇%が大変難しい問題を含んでいるものばかりですから、相当の決意が地元にもなければならぬと思いますけれども、国としてもこのことについて大きな努力をしていただくように私どもは期待をしているわけですけれども、そういう立場での国土庁長官の御見解を伺いたいというふうに思います。
  346. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 山元先生にお答えいたします。  先生と同じような、琵琶湖総合開発は極めて重要な開発であるという認識をしております。そんなことでございますので、先ほどから先生と政府委員との一問一答を聞いておりまして、各事業の進捗に跛行性が非常に見受けられるということは大変御心配一つだ、こう理解をしておるわけですが、国土庁としては、今後とも関係省庁とかあるいは滋賀県、地元市町村と一層緊密な連携を図りながら、事業計画期間内の完成に向けて予算の確保等になお一層の努力をしてまいる所存でございます。  実は先生質問を聞いておりまして、先生のおっしゃる意味もよくわかるのですが、二年という期間がございますものですから、全力を尽くす、こういうことで御理解を願いたいと思うわけでございます。
  347. 山元勉

    山元分科員 ありがとうございました。以上で終わります。
  348. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて山元勉君の質疑は終了いたしました。  次に、春田重昭君。
  349. 春田重昭

    ○春田分科員 長官、御苦労さまです。ちょっと私はのどを痛めておりまして、大きい声でできないものですので、御了解いただきたいと思います。  土地問題と住宅問題の二点に絞ってお尋ねしていきたいと思いますが、まず土地問題。ことしの一月一日現在の地価公示価格が、三月二十三日ですかに、発表されました。全国平均で約一六・六%の上昇でございます。とりわけその中でも、大阪圏が住宅地で五六・一%、商業地が四六・三%ということで、飛び抜けて高いわけです。私は大阪在住でございますので、そういった点で非常にひしひしと感ずるわけでございますけれども、今や国民にとっては土地の取得というのは高ねの花といいますか、宇宙旅行に匹敵するぐらいに夢のまた夢になってきているわけですね。  土地の高騰の原因にはさまざまな要因があるということで国会に報告されておりますけれども、そういった要因とともにやはり行政の対応が的確でなかった、いわゆる後手後手になった感もあるわけですね。そういった点で、土地の問題については監督官庁が佐藤長官でございますので、これは一年前のことでございますから即佐藤長官の責任じゃないと思うけれども国土庁全体としての総責任者として、こういった土地が毎年上がっていく、こういう点でどのようにお考えをお持ちなのか、ひとつ簡単に御答弁いただきたいと思います。
  350. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 春田先生にお答えいたします。  実はもう先生の御指摘の、先生の方が私よりお詳しいわけでございますが、この地価高騰の原因につきましては、東京と大阪、非常に基本的に違うと思います。基本的に共通しているのは、金融緩和ということが共通していると思います。あと、東京などは事務所用地のビルの確保とか、また大阪におきましては東京に比べて割安感があるとか、あるいは関西新空港を含めてプロジェクトが並んでいる、こんなことが期待感で土地高騰の原因になっている。  そんなことでございまして、国土庁としても何とかしたいということでございまして、とりあえずは監視区域のより的確な運用、今先生がいわゆる後手後手とおっしゃいましたけれども、実は私はずっとこの四月、まだわずかですが見ておりまして、やはり知恵が民間の方が上回っておるな、民間人の金もうけの方がはるかに国より進んでいる、こんなことが結果的に後手になった、こんな感じがするわけです。  そんなことで、現在は土地対策にはいろいろな、例えば都市政策とかあるいは税制の見直しとか宅地供給とかございますが、とりあえずは取引の規制で監視区域のより的確な運用ということでございまして、現在は東京で面積を三百から百にするとか、後手に回らぬように努力したいというようなことでございまして、まず地価の安定に努めておる。下げるというのは先生御存じのように難しいので、地価の安定に努めておるというようなことで頑張っているわけでございますが、今度は今までと違いますのは、二つの点で違いがあると思うのです。一つは、昨年、先生御高承のとおり土地基本法をつくりまして公共優先の原則を打ち出したということでございます。またもう一つ、昨年十二月二十一日に土地対策関係閣僚会議を開きまして、そこで十項目の重点事項を申し合わせをいたしました。先生御存じのように、宅地供給とかあるいは土地税制の総合的見直しとか投機的土地取引の抑制とかをつくったということでございまして、今度は海部内閣が全力で取り組む、その中に先生方の御理解と御協力を得てやりたい、こんなことで今頑張っておるわけでございます。  そんなことでございまして、これから地価の安定に努める、そういう形の中に税制の見直しもする、それからもう一つ土地に対する感覚でございますが、土地神話がありまして土地を持てば必ずいい、これをできれば壊したい。少なくとも土地を持てば不利になる、こんな税制をつくってみたい。そんなことで総合的な見直しをやりながら地価の安定、できれば地価を下げる努力をしたいと頑張っておりまして、何分の御理解と御後援をお願いする次第であります。
  351. 春田重昭

    ○春田分科員 土地基本法というのはあくまでも精神面をうたった内容でございますので、やはり実効力というか効果のある、そういった面ではもっともっと現在の法律を手直ししていく必要があるのではなかろうかと思っております。  さて、きょうは四月二十七日、一月一日よりわずかまだ四カ月でございますけれども、私たちがいろいろな業界の方と接触をする中で、本当に一月たてば相当取引価格が上がっている。極端なことを言ったら、相談があって二、三日待ってくれ、その二、三日の間に他の業者が入って上がっているということで、非常に上昇率が高くなってきているわけですね。そういった点で、公示価格と取引価格は実際は違う面がございますけれども、四カ月たった現在で、全国といってもなんですけれども、少なくとも三大都市圏でそういった変化があるのか、それをつかんでいるのかどうか、その辺ちょっと簡単に御説明いただきたいと思います。
  352. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 地価の動向を東京圏と大阪圏についてちょっと御説明させていただきますが、東京圏で今回の高騰が始まりましたのは昭和五十八年ごろからでございまして、五十八年の地価を一〇〇といたしますと、東京圏では平成二年の地価公示では二三四・七という指数になっております。二・三四倍でございます。それに対しまして大阪圏は二七八・一ということで、これは住宅地でございますが、大阪圏の方が累積上昇率は高くなっておるわけでございます。(春田分科員「それはわかっているんだから一月から四月までの変化、時間がないから」と呼ぶ)そういうことで非常にこの五、六年、大阪圏の上昇は東京圏に比しまして上がり過ぎるくらい上がっておりまして、私どもも一月以降の動向につきましても十分注目をしておりまして、鑑定士あるいは業界の関係者等から、いろいろな最近の情報を得るように努めております。そういう中で、一部その行き過ぎのところは値崩れが始まっているという情報も耳にしておりますし、なお強含みでまだ先行きは不透明だ、そういうふうな情報もございまして、そこら辺の情報はまだはっきりしていない。私どもも、もう少し大阪圏の地価については地域別に調査をし、分析をもう少し深めたい、そういうふうに思っております。
  353. 春田重昭

    ○春田分科員 御丁寧な御答弁はありがたいのですけれども、限られた時間でございますから、ひとつ簡潔によろしくお願いしたいと思います。  国土利用計画法には、この法二十七条による監視区域と、十二条による規制区域制度がございます。監視区域は届け出制でございまして、違反しても勧告か名前の公表ぐらいでそうそう重いものではない、取引も契約も有効である。規制区域制度につきましては許可制でございまして、違反した場合は罰則も相当厳しいわけですね。当然この取引もいわゆる無効となるわけです。  最近、海部総理また佐藤長官も、この規制区域の導入の意思を国会等で何回か御発言なさっているわけでございます。この規制区域の問題については、過去にも相当国会でも問題になりましたけれども、まだ一度も発動されていない。この制度は根本的には知事判断するわけでございまして、しかし、国は規制区域の指示はできるわけですね、この法できちっとなっている。  そこで、この今回の発言の真意でございますけれども、これはいわゆる不動産業界に対する単なる威嚇なのか、それとも本当に、いわゆる必要な条件等が整えば規制区域を導入するんだ、そういうかたい意思があるのかどうか、その辺の真意を長官にお伺いしたいと思うのです。
  354. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 今先生から御指摘のあった規制区域の問題につきまして私も総理も発言したわけですが、基本的には、先生御存じのとおり、監視区域というのは都道府県の長あるいは政令指定都市の長が運営されているということでございますが、大変実は乏しい人員と乏しい予算で頑張っておるわけで、これは実は我々も同情しておるわけなんですが、そういう形の中にとりあえず監視区域を強化する。  実は、これは先生も御存じと思いますが、例えば届け出面積を三百から百にした場合に、三百平米の場合は大体捕捉率が一五%ぐらいですね、百にしたら六〇から七〇ぐらい捕捉できるということで、大変地価の安定に役に立つんだ。例えば東京都などが六十二年に東京で百平米にしたら、それから地価が安定したようにある程度理解しておる。そんなことがございますから、とにかく先生指摘の後手に回らぬようにということで、三月二十七日に全国の都道府県の責任者を集めましてこれをよくお願いし、また実は毎週各府県、大阪知事や京都府知事、市長等集まっていただきまして、それからきょうも実は東京都を中心に集まっていただくということで、監視区域の強化をお願いしておる。実はそういうことをやりながらどうしても急激な上昇が防げないという場合がある場合は、条件さえ整えば規制区域ということも念頭にやりたい。  ただ問題は、先生も御存じのようなことで規制区域については二つの条件がある。一つは地価の凍結、もう一つは一定の取引以外は取引ができないわけです。実は困っておりますのは、公共団体が仮に規制区域をかけた場合、公共団体は欲しい土地が買えないわけです。それを一体どうするかを含めてやはり問題があるわけですが、何とか条件が整えば思い切ってやりたいという気持ちは依然持っておる、こう御理解願いたいわけでございます。
  355. 春田重昭

    ○春田分科員 長官が今おっしゃった、一定の条件が整えばというのはどういうことですか、規制区域を発動する場合に一定の条件が整えばということは。
  356. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 それは、監視区域をより強化しましてこれをとことんやってみて、それでもどうしても急激な上昇が避けられないような場合、こういう意味でございます。今のところまだそこまで行っておりません。  それからもう一つは、ここへきましてかなり地価も高くなっておるものですから、そういうことで、きょうも実は東京都、それから千葉、山梨等の知事と会ったのですが、果たして規制区域をかけて効果があるかどうかということについては実はそういう意味で疑問もあります。というようなことでございまして、いろいろな条件をにらみながら何とかやってみたい気持ちも持っておりますが、なかなかやりにくいですね。  それからもう一つは、仮にやることによって地域の経済社会に大きな変化を与えるということがございまして、その辺も配慮しなきゃいかぬものですから、念頭に置きながら対処したいというところで御理解願いたいと思うわけでございます。
  357. 春田重昭

    ○春田分科員 ただしかし、いろいろな条件がまたその後つくわけでございますけれども、監視区域は大体三百から百にやっております。この効果が出てくるのはまだ先だと思うのですが、東京は既に六十二年の十一月にやっていますね。元年がそれによって〇・何%ですか、四%、二年がもう六・六になっていますので、ちょっとまた揺り戻しが来ているのかという兆しを心配しているわけでございますけれども、この監視区域をやってもなおそれで地価上昇はとまらないとなった場合は規制区域も考えるという今の長官の発言でございますが、例えばそれが一〇%とか二けた台になった場合にはこれはもう監視区域では限界があるんだという考え方なのか。あるいは百平米をやっても効かないのなら、さらにミニのそういった規制もかけて、例えばもう百から以下をいわゆる監視区域をまずやるんだという考え方があると思うのですが、大臣はどうお考えになりますか。
  358. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 大臣からも御答弁いたしましたように、まず監視区域を厳正的確にやる。二けたの上昇率にもなるような場合にはまず監視区域を早目に指定すべきだ。なおその後の情勢が二けた台に二〇%にも達する、そういう場合には、捕捉率を少なくとも取引の半分ぐらいにまで達するように、例えば届け出面積の下限を百平方メートルまで引き下げるとか、そういうふうな処理をしながら抑制効果を上げたいということであります。  ただ、もう監視区域で万全のやるべきことは全部やった、それにもかかわらずまだ急激な上昇の程度がおさまらない、そういう場合にはやはり規制区域を念頭に置かざるを得ない、そういうふうなことであります。
  359. 春田重昭

    ○春田分科員 東京とか大阪とかの大都市は大体三百から百にしていますね。これは、監視区域を百をさらに下げるという考え方はあるのですか。
  360. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 ちょっと質問の御趣旨がはっきり理解できなかったのですが、監視区域を百に下げた場合にどれくらいの捕捉率になるかという御質問でしょうか。
  361. 春田重昭

    ○春田分科員 今百にしているでしょう、東京、大阪は。それを、要するに届け出面積をさらに引き下げて五十とか八十とか、そういうことも考えているのかということです。
  362. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 地域によってこれは取引の実態はかなりなりますが、百以下の取引が相当あってその部分の上昇率が高いと認められる場合には、百をさらに引き下げるということは理屈の上ではあります。
  363. 春田重昭

    ○春田分科員 まあ、いずれにしましても、規制区域を導入した場合には今長官がおっしゃったようにいろいろな経済の大きな混乱も来すし、また、地方自治体もこの買い取り義務が出てくるわけですね。また、業界の方が裁判へ行った場合はそういった費用も要るわけでございまして、いろいろな問題があろうと思いますが、私は監視区域で限界というのはやはりあると思うのですよね。これからの動向を見ざるを得ないと思いますが、三割はまだ捕捉できないわけでございますから、そういった面では、いわゆる必要条件が整えば思い切ってやる、そういった判断を長官はやるべきである、このようにお願いしておきたい、こう思っております。  それから、大蔵省の方がせっかくお見えになっておりますので……。先ほど長官もおっしゃったように、高騰の原因には金融緩和というか金融機関の過剰融資という問題があるわけです。これにつきましては、総貸し出しの割合を全体の土地の造成以下に抑えるという形でこれからかなり効果が出てくると思うのですが、ノンバンクの問題、ファイナンスとかリース会社とかこういったところの、いわゆる銀行、金融機関系列のそういったノンバンクが国会で大きな問題となったわけでありますけれども、これに対してはなかなか把握しにくいという点があるわけでございます。こういったいわゆるノンバンクに対する規制というのは今後きちっとできるのかどうか、この辺のところを大蔵省の方からひとつ簡潔にお答えいただきたいと思うのです。
  364. 小山嘉昭

    ○小山説明員 御指摘のとおりでございまして、ノンバンクに対しては大蔵省が所管する法律、貸金業法はこの点についてはかなり不備があろうかと思います。しかし、それを前提にした上で、やはり地価に対してノンバンクからの融資、それはさらに銀行からノンバンク向けの融資が原資になっているわけでございますが、それが影響していることは間違いありませんので、御承知のとおり今般不動産業向け融資は量的規制をいたしました。次に、その不動産業向け融資が規制されたということになってノンバンクに抜けてしまうのでは意味がございませんので、建設業、ノンバンク、これについては不動産業向け融資とあわせて計数を徴求いたすことにしたわけでございます。そしてその計数次第で、私どもとしては現在は量的指導というのは行っておりませんけれども、その可能性を検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  365. 春田重昭

    ○春田分科員 昨年の十二月末までに約六十九兆円が大体出ているということでございますから、相当こういったところでいわゆる土地の高騰の原因になっているのじゃないかと思いますので、これは厳しくそちらの方で報告を求めて、そしてしかるべき処置をとるべき必要があろう、こう思っておりますのでよろしくお願いしたいと思います。  時間がございませんので、大蔵省の方はちょっとほかにもあったのですがこの問題でもう終わりとしたいと思うのです。  それから、特別土地保有税の問題についてお伺いしたいと思うのですが、現在税調でこの問題がいろいろ論議されているわけでございます。国土庁建設省、それぞれ何か御意見を出しているみたいでございますが、建設省の方のお考えはどうも現行税制をさらに強化といいますか拡大していく形でお考えになっているみたいであくまでも地方税である、新聞報道によると国土庁の方はいわゆる新しい国税としてお考えになっているやに報道されているわけでございますけれども国土庁のお考え、それから建設省の方もお見えになっていると思いますが、それぞれ簡単にひとつお答えいただきたいと思います。
  366. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 お尋ねの特別土地保有税につきましては、現在遊休地の利用促進等を図るために設けられている制度でございますが、現在建設省で提出しておられます法案との関係でさらにこの特別土地保有税を見直すというふうな考えがございますが、私どもも工場跡地等の低・未利用地の利用促進という観点からは建設省と同じような考えを持っております。  ただ、ちょっと幅広にいろいろ意見を言っておるのではないかという御指摘でございますが、先般二回にわたりまして、私どもも税制調査会の土地委員会国土庁としての地価動向、土地取引の現状、これまでの土地対策等についてヒアリングを受けたわけでございます。その中で、土地税制の果たす役割として、土地の資産としての有利性を減殺し投機需要や仮需要を抑制するとか、あるいは法人、個人を通じた税負担の公平を確保する必要があるとか、さらには有効・高度利用を促進する必要がある、そういった視点から税調でも幅広に御議論をいただきたい、そういう御意見、御希望を申し上げたということであります。
  367. 木村誠之

    ○木村説明員 ただいま国土庁から御説明がありましたとおりでございますが、簡単に申し上げます。  建設省は今回大都市におきます対策法というのを出しまして、その中で遊休土地転換利用促進地区の指定あるいは遊休地の通知勧告制度を設けました。こういった土地計画制度の整備充実とあわせまして、遊休地に対する保有課税についても見直しを行う必要があるのではないか、このように考えておる次第でございます。
  368. 春田重昭

    ○春田分科員 国土庁の方にお伺いするのですが、特に法人の含み益というのがいろいろ問題になっているわけでございます。国土庁土地保有移動調査でも、法人の五〇%が当初から利用する意思がないという答えが出ているということで発表されていますけれども、そういった投機的な土地とか遊休地には私は思い切った措置をとるべきではないか。我が党が土地増価税ということでそれを主張しているわけでございますが、現在の法人所有土地の資産額は八八年で五百十四兆五千億円、帳簿価格が八十兆六千億ですから、差額四百三十三兆九千億が含み益と言われているわけでございまして、これが法人の一つの大きな武器になりまして銀行から借りる、損金扱い、四年間はできないようにちょっと法改正されましたけれども、これにさらに土地を買う、これが高騰の原因という形になっているのですね。そういった点で含み益に対するいわゆる土地増価税、これは一考を要するのじゃないかと私は思うのですが、今回の税調の論議の中でこういった考え方を国土庁としては強く主張して、そういった土地高騰の大きな原因になっているものについて歯どめをすべきじゃないかと私は思っておりますけれども、お考えどうですか。
  369. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 税調小委員会では、そういう評価益に課税するということも含めて幅広に御審議をいただけるものと思っております。ただ私どもとしましては、いわゆる再評価税につきましては、いまだ実現していない利益に課税するということでございますので、所得課税の基本問題にかかわる大きな問題でございますし、また恐らく課税技術上も、増価益の把握をどうするとかあるいは土地利用型企業とそうでない企業とのアンバランスをどうするとか、いろいろ問題はあるんだと思います。そういうことですので、慎重に関係省庁とも御相談しながら我々の検討も進めていきたい、そういうふうに考えております。
  370. 春田重昭

    ○春田分科員 個人では相続税という形で時価に相当する税がかかってくる。法人はこういった形でかからない。個人と法人のそういった税の不公平感もあるわけでございますし、また、今建設省計画されております宅地並みの課税につきましても、零細なそういった農家についてはこれが施行されたらもろにかかってくるわけですよ。そういった点で、個人の方たちが血を流して、法人等が、企業等が血を流さないというのは余りにも不公平感が強いわけでございますから、税の公平の面からも私はいろいろな障害があろうかと思いますが、こういった点もひとつ前向きといいますか強気で国土庁が主張していただきたい、このように要望しておきます。  最後になりますけれども住宅問題ですね。建設省の方にお伺いしたいと思うのですが、現在公営住宅がございます。公営住宅には単身者は原則としてだめ、ただし例外として六十歳以上の御老人、女性の場合五十歳ですか、身体障害者、生活保護者、それから引揚者等については単身者でも公営住宅法で認めているわけです。ところが大都市の、中でも中小企業に働く若者、青年ですね。これは寮もございませんし、安月給でちょっとしたマンションにも入るわけにはいきませんし、当然公営住宅に入りたいけれども法律で入れないということで老朽化したアパートに住む、これが犯罪の一つの因にもなっている。こういった点で私は、若者向けの、いわゆる単身住宅、単身入居用の公営住宅を法改正してつくるべきではないか。公団住宅等は単身者向きの、そういった若者向きのものを入れているわけですよ。公営住宅だけはそういった歯どめになっている。こういった点で、確かに弱者といいますか、高齢者の方とか身体障害者の方を優先して、若者はまだ弱者の範囲に入らないということでこういう形になっていると思うのですが、大都市に住む青年は非常に安月給の中で苦労しているという点で、ひとつ若者向けの公営住宅、単身者入居を前向きに考えていただきたい、こう思うのですが、どうでしょうか。
  371. 今泉浩紀

    ○今泉説明員 ただいま先生から御指摘ございましたように、公営住宅につきましては世帯主、世帯を持っている方を中心に、例外的に単身の方を入れているわけでございます。先生今おっしゃいましたように、年寄りの方とか体の不自由な方というお気の毒な方を中心にやっていて、若い方の単身住宅はやっておりません。そういったことにつきましては私どもも認識をしているわけでございますが、やはり施策の重要性と申しましょうか、重点性ということで、そちらの方に重点を置きながら鋭意やっているということでございますので、その辺御理解をいただきたいと存じますが、今先生指摘のとおり、大都市におきましては、特に若い方も含めましての住宅取得が非常に難しくなっているということでございますので、公共的な賃貸住宅の供給の中で、今先生の御指摘につきましても勉強してまいりたい、このように思っております。
  372. 春田重昭

    ○春田分科員 終わりますが、一定の所得制限をしても結構でございますから前向きにひとつ考えていただきたい、こう思います。  大臣、大臣の時代で土地の高騰をとめた、そういう歴史に残るように、しっかり頑張っていただきたいと思っております。
  373. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて春田重昭君の質疑は終了いたしました。  次に、北側一雄君。
  374. 北側一雄

    北側分科員 私の方からは、大阪湾の臨海開発構想についてお聞きしたいと思います。  御承知のように、大阪湾の臨海につきまして、地元では先日大阪湾ベイエリア開発推進協議会という、これは産官学の協議会でございますけれども、これが大阪湾ベイエリア開発整備基本的方向という中間構想を発表されました。また大阪府は、府で独自に研究もされておられますし、国の方でも運輸省、建設省、通産省とそれぞれの立場で大阪湾の臨海について調査をされております。昨年あたりから大阪湾の臨海開発につきまして、もちろん総論の段階でございますけれども、非常に議論が活発になってきております。  国土庁として、この大阪湾のベイエリア開発について、また再開発についてどのような取り組みをされておられるのか、お聞きしたいと思います。
  375. 三木克彦

    ○三木政府委員 御指摘のように、大阪湾の臨海地域でございますが、我が国の経済、社会の中心地として発展をしてきた近畿圏の中にありまして、工業機能や物流機能などにおいて重要な役割を果たしてきた区域でございます。近年、産業構造の変化等に伴います工場等の敷地の遊休化、あるいは人口の流出等によりまして活力の低下が見られるのではないかという指摘を受けているところでございます。  この地域につきましては、六甲アイランドあるいはテクノポート大阪というふうな多様な大規模プロジェクトが計画、構想されております。また、ただいま御指摘もございましたように、関係省庁や関係自治体、財界等においてもいろいろな形での調査が行われているわけでございます。また、この点も御指摘がございましたように、昨年の九月でございますが、地元の公共団体、経済界等を構成員といたします大阪湾のベイエリア開発推進協議会が発足をいたしまして、この地域開発問題につきまして非常に熱心に取り組んでいらっしゃるわけでございます。そういった意味から申しまして、この地域開発整備は近畿圏の活性化を図る上で大きな意味を持つというふうに期待をしておるところでございます。  国土庁といたしましては、この地域におきましていろいろな構想がございますので、広域的な観点から総合的な開発整備方針を策定する必要があるだろう、こういうふうに考えておりまして、そういう取り組みを今後推進をしてまいりたいというふうに考えております。
  376. 北側一雄

    北側分科員 具体的に、国土庁としましてこの大阪湾の開発構想についてこのような調査をしておるとかいうことがあれば教えていただきたいと思います。
  377. 三木克彦

    ○三木政府委員 国土庁で行いました調査の関係について申し上げさせていただきたいと思います。  まず、昭和六十一年度から六十三年度にかけまして阪神臨海地域における再開発構想策定調査を実施をいたしました。臨海地域における既成市街地及び旧埋立地の再開発構想に係る調査でございます。  引き続き、二つの調査を実施する予定でございます。  一つは、阪神臨海地域における再開発プロジェクト推進調整調査でございまして、平成元年度から三カ年の予定でございます。これは、大阪湾臨海地域におきます各種の機能施設基盤施設開発整備の方針及び臨海地域開発整備を推進するため事業推進方策、こういったものを検討するものでございます。  もう一つは、阪神臨海地域における大規模開発事業推進支援制度検討調査というものでございまして、これは平成二年度より三カ年で実施をしていきたいというふうに考えて要求をしておるものでございますが、これは大阪湾臨海地域開発整備に係る事業の推進体制及び支援体制、こういったものについて検討を行うための調査でございます。
  378. 北側一雄

    北側分科員 それでは、この大阪湾のベイエリア開発整備に当たって、整備方法ですね、国土庁基本的な考え方を、簡単で結構でございますのでお聞きしたいと思います。
  379. 三木克彦

    ○三木政府委員 先ほど申し上げました再開発構想を発表いたしましたが、開発整備基本的な考え方として、三点を構想の中で発表いたしておるわけでございます。  第一点は、我が国の国際化、情報化等に対応いたしまして、アジア・太平洋地域を基軸とする世界に開かれた多様な人、物、情報の交流空間の形成を目指す、これが第一点でございます。第二点は、近畿圏の発展を先導する産業先進区域の形成を目指す、これが第二点でございます。第三は、蓄積された文化環境とウォーターフロントの特性を生かし、多様な機能を集積するアメニティーの高い複合都市文化空間の形成を目指す、以上三点が基本方向であるというふうにこの調査の中では言っております。
  380. 北側一雄

    北側分科員 今、これは大阪湾だけではなくて、ウオーターフロントブームなんて一部では言われておりまして、さまざまなところで、全国で臨海の開発、再開発が構想されておるわけなんですけれども、私、この臨海の再開発について構想の段階で非常にしっかり踏まえておかなければいけないことが幾つかあると思いますので、その点についてお聞きしていきたいと思います。  まず第一点目なんですけれども、私は、今後の臨海の開発計画には、何といっても第一番目に環境保全、さらには一歩踏み込んで、既に現在悪化してしまった環境の改善という視点が非常に大切であると思います。環境保全、環境改善という観点から、国土庁はどのような施策をとられていくのか。また、この環境保全という観点とともにもう一つ大事なことは、景観面への配慮というのが非常に大切であると思います。これまでの開発は、どちらかというとこういう景観面を無視した開発が非常に多かった。これからは景観面、周囲からどのように見えるかということにもしっかり配慮をしていかなければいけない、そのように思います。こうした環境保全の点、また景観面への配慮の点、国土庁はどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  381. 三木克彦

    ○三木政府委員 ただいま御指摘のございましたように、臨海部の開発に当たりまして、全国的にもそうでございますし、大阪湾の臨海部でもそうでございますが、やはり工業機能、物流機能が集積する、あるいは新しい都市空間として形成されていくという過程の中で環境が損なわれる、水質が汚濁するというふうなことが残念ながら出てまいっておるわけでございます。また、もう一つ指摘のように、景観についてでございますが、工場地帯が立地いたしましたために、浜に出て自然に親しむという意味での景観その他もろもろのウオーター景観が損なわれているということは御指摘のとおりでございまして、非常にそういう点で残念な事態になっております。  ただ、私ども大阪湾につきまして国土庁として構想を策定していく過程におきまして、ベイエリアの開発に当たりましては、ただいま先生指摘のように、環境の改善、既に損なわれているものがあるならばそれを復活してさらにいいものにしていく、こういう点が必要かと思います。景観についても同様でございまして、そういう意味で非常に大きなエリアであるベイエリア開発におきましては、そういった環境や景観の回復が可能であるというふうに考えておりますので、全体として一体となった環境や景観の回復を図りつつ、新しい創造も含めて構想を考えていくべきであるというように考えております。
  382. 北側一雄

    北側分科員 先ほど国土庁の調査の概要報告の中にも、「大阪湾の海域環境については、湾奥部を中心として水質、汚染範囲ともに必ずしも改善されてきていない状況である。」という現状報告がされております。一方では、今おっしゃったように親水機能の回復なんというふうなことも言われておられまして、このようなプロジェクトを進める前提問題として、この大阪湾の水質改善、こういうことがまず先決問題であると私は思いますけれども、これは具体的にどのように進めていかれるのか、お聞きしたいと思います。
  383. 三木克彦

    ○三木政府委員 大阪湾につきましては、御指摘のとおりの実態でございます。ただ、これにつきましては、水質の保全、改善ということで、いろいろな観点から、下水道の整備であるとか工場排水の抑制であるとか、いろいろな措置がとられて少しずつ改善に進んでおりますけれども、ただいま御指摘のとおりの実態であることは間違いないわけでございます。また、海域全体につきましては、瀬戸内海の環境を保全するという立場からの規制も働いてくるというふうなことでございまして、いろいろと努力はされているところでございます。  先ほど申されましたように、ベイエリアの開発はそういったものをさらに促進する一つの大きなチャンスであるというふうに考えられます。土地利用が転換し、空間の使い方が変わっていくわけでございますから、そういった意味で、環境を損なうような体質の使い方から、環境を改善し、保全、むしろ創造していくというふうな使い方に変わっていくべきであるというふうに考えますので、その点を十分配慮した構想を確立すべきであるというふうに思っております。
  384. 北側一雄

    北側分科員 こういう開発は往々にして構想がどんどん進んでいきまして、現実に今汚れているこの大阪湾をどうするのかということをほっぽらかしにしておいて、構想だけが進んでいくということがありがちだと思います。今おっしゃったように、構想を推進するとともに、今現にあるこの大阪湾の水質改善という問題をしっかり進めていただきたいと思います。  次に、私今は環境保全という視点を言ったわけなんですけれども、二番目に、私この臨海ベイエリア開発に当たって大切だと思っていることを申しますと、これはベイエリア開発だけではなくて、都市開発一般にそう言えるかと思うのですが、これからのベイエリア開発には居住空間というものが必ずないといけないと思うのです。夜になったらもう人が全然いない、昼間は人がいるけれども、夜になったら全然人がいない、そんな異常な都市や町をこれからはつくってはならないのじゃないかと思うのです。やはり人がそこに住まなければ本当の町づくりというのはやっていけないというふうに考えます。特にこれまでの臨海の開発といいますのは、どちらかというと居住機能を無視したために、多くのところで内陸部と臨海部との交流が遮断されてしまった。このベイエリアにおける居住機能の導入というのが私は非常に大切であると思うのですけれども、この点につきまして国土庁のお考えをお聞きしたいと思います。
  385. 三木克彦

    ○三木政府委員 ただいま御指摘のございましたように、新しい臨海部の空間というのは、新しい使い方をするということが多かったものですから、今まで既成市街地でなかったような土地利用、空間利用が行われております。そのためにいわゆる居住性という点で非常に欠けている点があるというのは御指摘のとおりでございます。そういう点は御指摘のとおり大変まずいわけでございまして、職住の近接、それから町そのものが人のぬくもりのある町であるということは大変大事なことでございますから、そういった意味から居住性の導入につきましては、それぞれの臨海部の開発構想の中で、大阪湾ももちろんでございますけれども、十分心がけていくべきことであるというふうに考えております。  大阪湾につきましては、先生御存じかと思いますが、導入につきまして再開発構想の中でも強調をいたしておるところでございまして、臨海部の開発に当たりまして最も留意すべき重要な点であると私どもも考えております。
  386. 北側一雄

    北側分科員 一方では住宅の供給ということも別の要請からあるわけですので、ぜひこの大阪湾の臨海開発構想については、この居住機能の導入というのをしっかりやっていただきたいと思います。  今申しましたように、従来の臨海といいますのは、内陸部と臨海部が全く遮断されてしまっている、交流がない、そういうベイエリアが多いわけなんですけれども、この居住空間をつくるということとともに、内陸部に住んでいる市民が臨海部をしっかり利用できる、私はそういうことがこれからやはり大切であると思います。先ほどもおっしゃっていましたが、市民への水際線の開放の問題、親水空間を整備していく、こういうことが内陸部と臨海部とのそういう人的な交流を深めていくためには非常に大切であると思いますけれども、その点に関して具体的にどのようなお考えをお持ちか、お聞きしたいと思います。
  387. 三木克彦

    ○三木政府委員 この点も御指摘のとおりでございまして、ただいままでの臨海部の開発では、工場用地などは非常に巨大な空間を埋立地につくるものですから、水際線を市民が奪われるということで、親水というようなことからほど遠い状態になっていることは仰せのとおりでございます。それで、こういった工場が今土地利用転換の中で変わっていくという状態でございまして、そのときに親水性を回復する、既成市街地にいらっしゃる市民の方々が親水空間を取り戻すということが非常に大事なことである、こう思っておるわけでございます。したがいまして、例えて申しますと、工場が土地利用転換しました場合に親水型の公園をつくるとか、そのためのアクセスも後背地との関係も十分留意するとか、そういった具体的なプランも取り入れまして親水空間の回復、確保に努めるということだろうと思っております。
  388. 北側一雄

    北側分科員 それでは、このベイエリア開発事業推進に当たっての問題点についてお聞きします。  ベイエリアの開発に当たっては規制緩和、特に土地利用の規制緩和ということが常に問題となってくると思います。この規制緩和という問題に関しまして国土庁がどういう考えを持っておられるのか。また、今後の開発主体というのは民間であったり第三セクターであったりするわけですけれども、この規制緩和、またそれに伴ってインフラ整備がされる、そこには開発利益が必ず伴うわけです。土地基本法の第五条にも開発利益の還元について規定されておりますけれども国土庁としてこのベイエリア開発に伴う開発利益の還元、また受益者負担という問題に関しましてどのようなお考えをお持ちか、お聞きしたいと思います。  その他、ベイエリア開発事業を推進するに当たっての国土庁基本的なお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  389. 三木克彦

    ○三木政府委員 ただいま大阪湾のベイエリアで構想が検討されております区域は、非常に広範な区域でございます。こういう広範な区域で土地利用が一度に変わっていくチャンスというのはめったにないわけでございますから、そういった意味では非常に大胆な発想で基本的なインフラの整備をしたり、将来に備えたいろいろな施設整備していくことが必要であろうと思われます。  そういった中で、さまざまな法律によりまして規制が行われております。例えば都市計画法の用途地域であるとか港湾計画の中のいろいろな区域の指定であるとか、いろいろなものがございます。こういったものが大きな枠組みの中で邪魔になるというふうなことがございますれば、関係省庁とも協議をいたしましてその点のまずさというのを取り除いていくという必要があろうかというふうに考えております。しかし、またこれは構想が全体的にでき上がりませんとこの辺がはっきりいたしませんので、その個々の段階で検討されるべき問題ではないかと考えております。  それから推進体制についての関係で、受益者負担でございますが、非常に大規模開発が行われるわけでございます。大規模土地があるということでございますから、この大規模土地を非常に効率高く使うためにはインフラの整備が非常に大事でございます。そのためにはやはり土地を持っておられる方々土地の価値が上がるわけでございますから、そういった意味で受益者負担をしていただくことが大事であろうかと思っております。このあり方についてでございますが、まずインフラの用地関係につきましては、これは買収をしていたのでは大変巨額の資金を要します。それからまた、インフラ整備の周辺の方々には巨大な開発利益が属することになるということでございますから、従来からあります区画整理の方式、こういったものを大規模に活用いたしまして、少し大がかりな開発者負担の方式がとられるべきではないかというふうに考えております。  これは土地に関してでございますが、施設整備に関しましても、この広大な区域におきますインフラ整備については相当の施設整備の資金を要しますから、これを全部公共で負担するということでは、全国的な配分の中でなかなか難しいわけでございます。ここだけに集中して投資をするわけにはいかないということでございますので、その点についても立てかえまたは全面負担ということも検討して、早く公共インフラができることによるメリットをそういった負担方式の中で生かしていくということが必要ではないかと考えておりまして、土地の拠出や施設整備につきまして、開発者負担の方式をこの地域にふさわしい方式として編み出していくということが必要であろうかと考えております。
  390. 北側一雄

    北側分科員 この規制緩和という問題に関連するわけなんですが、ベイエリアの開発に伴ってインフラ整備もされていかざるを得ませんので、周辺の地価、土地の値段が高騰するおそれがあると思うのですね。これまでも、さまざまなプロジェクトが実施されるのはいいのですけれども、それによってとんでもないほど地価がその周辺で上がってしまったという問題がさまざまなところで出ております。このベイエリア開発の推進に当たって、周辺の地価対策についてのお考えをお聞きしたいと思っています。
  391. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 大阪府、兵庫県等のベイエリア周辺におきましても、ここ二、三年来大変地価が上昇しております。そういう情勢に対応するため、順次監視区域の指定、届け出対象面積の引き下げ等行ってまいりましたのは、先生も御案内のとおりだと思います。  ただ、この措置をさらに徹底するために、三月二十七日にも関係地方公共団体を呼びまして打ち合わせをしましたほか、直接国土庁長官からも知事等に厳正的確なこの監視区域制度の運用について指示したところであります。東京一極集中を是正する上で大阪の発展が非常に期待されておるわけですが、高地価がそういう今後の大阪圏の発展を抑制し阻害することがないように、監視区域制度を百平方メートルまで下げていないところはできるだけ早く下げるように、また、既に百平方メートルに引き下げておるところにつきましても、厳正な審査事務を行うように要請し、指示したところであります。
  392. 北側一雄

    北側分科員 御存じのように大阪は今関西新空港という大きなプロジェクトがございまして、それに伴うさまざまなプロジェクトが大阪を中心としてたくさん行われているわけですね。実施されているわけなんです。そういう構想はずっと昔からあって、でも一方では周辺地価対策というのがなおざりにされたために、大変な地価の高騰にここ数年なってしまったわけなんですね。  この大阪湾のベイエリア開発というのは、この関西新空港の次に来る関西の非常な大プロジェクトじゃないかと思うわけなんです。だから、同じ間違いを二度としてほしくない。このベイエリアの再開発構想の推進とともに、いかにしてこの周辺地価対策をやっていくのか、地価の安定、抑制をしていくのか、それをしっかり考えた上での推進をしていただきたいと考えます。  今後の臨海の開発構想の推進に当たって、最後にもう一つ大事な視点についてお聞きしたいと思うのですけれども、このような大きなベイエリア開発構想というプロジェクトについては、地元のさまざまな市民のコンセンサスを構想の具体化の進展に従ってきちんととっていく、これが非常に大切であると思うのですね。そのためには、地元の市民に対してしかるべき情報をきちんと公開をしていく、また宣伝活動を行っていく、さらには地元の意向などを構想段階からしっかり聞いていくことが大切であると考えます。  今、大阪湾ベイエリア開発は非常な一大プロジェクトになることは間違いないと思うのですけれども、正直言いまして、大阪の市民はそんなに今は関心がございません。そんな情報がないからです。例えば大阪湾ベイエリア開発の一番の目玉である堺泉北港は、マスコミでもいろいろな取り上げ方をしています。ディズニーランドのような一大レジャーランドをつくるんだとか、そんなことも新聞に出ました。このような堺泉北港だったら、例えば地元の堺市、それから高石市、泉大津市、こうした地元の各市の市民への情報公開、それから意見聴取、こういうことを心がけていく必要があると私は思います。この点、国土庁としてどのようにお考えかお聞きしたいと思います。
  393. 三木克彦

    ○三木政府委員 ただいまのお話のとおりでございまして、大規模な広域的な開発でございますから、関係者の十分な合意が必要であるという基本的なところは仰せのとおりでございます。  まず、関係の地方公共団体、これはそれぞれの地域の利害が違いますので、いろいろ意見を調整する必要があろうかと思っております。それからまた、関係省庁、いろいろ専門的分野が違いますから、各省のそれぞれの専門性を生かした御意見の調整が必要であろう、こう思います。また、土地を持っていらっしゃる企業、この方々は自分の土地を活用するわけでございますから、そういう方々の間の調整もしなければいかぬ、こう思っております。  先生仰せのとおり、それぞれの市民の方々にどういう形で総体的な合意を得られるようにするか。今のところ私どもといたしましては、自治体を通じてそういった意見が構想に反映できるということが一番大事だと思っておりまして、推進協議会においても、各地方公共団体がそれぞれお入りになっているということでございます。現在は府県の段階でございますけれども、いずれ構想が熟してまいりますれば、具体的な問題として市町村の御意見も十分承る、こういうふうなことになってこようかと思いますが、現在の段階では骨格を議論しておりますので、その骨格をどうするかというところで、推進協議会中心の開発構想の検討が現段階では適当ではないかというふうに考えております。
  394. 北側一雄

    北側分科員 最後に、一点だけお聞きします。  今のお話のように、情報の公開、宣伝活動、地元の意見聴取、しっかりやっていただきたいと思います。  最後に、今のこの大阪湾ベイエリア開発構想につきましては、運輸省、建設省、通産省、各省庁においてさまざまな調査をされておられます。国土庁というのは調整機関としての役目も持っておるわけでございますので、今後この問題につきましてどのような調整の役割を担っていかれるのか、お聞きしたいと思います。
  395. 三木克彦

    ○三木政府委員 御指摘のとおり、各省において専門的な立場からこの区域をどういうふうにしていくかというふうな調査が行われ、構想が検討されております。しかし、それぞれの立場だけではできないわけでございまして、これを調整をしていくことが必要であろうかと思います。国土庁では調整のための調査費の制度もございますので、こういったことも活用し、なおそれぞれ集まっていただいて議論を闘わしていくという段階の中でいろいろきめの細かい構想の検討ができると思いますから、そういう会議の場も十分セットしていきたい、そういう形での調整を心がけていきたいと思っております。
  396. 北側一雄

    北側分科員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  397. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて北側一雄君の質疑は終了いたしました。  次に、山口那津男君。
  398. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 私の方からは、大都市の防災対策についてお伺いをいたします。  大都市ないし人口の集中した地域における震災対策の現状について、概括的なお答えをいただきたいと思います。
  399. 市川一朗

    ○市川政府委員 大都市におきます災害対策の現状でございますが、大都市の中でも特に代表的な東京圏につきまして申し上げますと、御案内のとおり東京圏は我が国の人口、諸機能が一極に集中しておりまして、大規模な地震など広域的な災害が発生いたしました場合、災害脆弱性というのが非常に懸念されておるわけでございます。このため、例えば建造物やライフライン施設につきまして、耐震化、不燃化あるいは延焼遮断帯の形成、さらには避難地、避難路の整備等を引き続き進めておるわけでございますが、そのほかに水害防止ための総合的な治水対策も実施していく必要があると考えている次第でございます。  さらに、災害時におきます情報収集伝達体制あるいは応急復旧体制の整備といったようなことも図る必要もございますし、また特に東京圏の場合は、首都機能という重要な機能を持っております。その首都機能を維持するために、その機能のバックアップ体制の確保ということも極めて重要な課題であると考えております。  そういったような観点に立ちまして、私どもはかなりきめの細かい対応策をいろいろと講じておるわけでございますが、特に国におきましては、このような災害対策を計画的かつ総合的に推進していくために、内閣総理大臣を会長といたしまして、関係省庁の大臣と、それから学識経験者という形でございますが、NHK、日赤、日銀、NTTの各長から構成されます中央防災会議というものを設置しておりまして、いろいろと予防的な対策あるいは災害が発生した場合の状況に応じました対応を講ぜられるような、そういう体制をとっておる次第でございます。
  400. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 特に大災害の予想される地域におきましては、例えば東海地域については一部自治体等で防災マップなるものがつくられているというふうに伺っております。東京においても、例えば東京都においては地域危険度というものをメッシュで示したマップが、これは区部において昭和五十九年、その他の地域においても昭和六十二年でしたか、作成されております。このような防災マップの全国的な作成状況についてはおわかりでしょうか。
  401. 市川一朗

    ○市川政府委員 防災マップにつきましては、現在国土庁といいますか、国が特に力を入れている点でございまして、基本的な考え方をまず申し上げますと、風水害とか地震等の災害の履歴とかあるいは危険箇所、それから避難地、避難路等、それから地域災害に関するそういったようなもろもろ細かい部分も含めました正しい情報をわかりやすく統一的な形で、地域住民の方が見てすぐわかるような形にマップ化しました防災マップというものの整備が、具体的な災害が起きました場合非常に有効に機能するという考え方に立ちまして、特に昭和六十三年度から防災マップのモデル事業を実施しております。  具体的にちょっと申し上げますと、やや災害の類型別にとりあえず進めておりまして、まず地震系ということで、静岡県の静岡市、清水市を昭和六十三年度に対象に取り上げました。それから平成元年度におきまして、水害系ということで、埼玉県の草加市、これは綾瀬川が水害常襲地帯でございますので一つのモデルになると考えました。それから、長野県の須坂市を土石流の対象として取り上げまして、それぞれ防災マップのモデルを作成しているところでございます。  この考え方は、平成二年度以降も引き続き進めてまいる考え方でございますが、国土庁といたしましては、こうしたモデルマップを充実させるとともに、各地方公共団体におきましてそういったものを参考にしながら防災マップを整備し、その普及を促進していただきたいということで、例えば昭和六十三年十月でございますが、「住民向け防災マップ作成に向けて」という冊子を全国の地方公共団体に配付したりしておるところでございます。こういったような状況を受けまして、全国でもかなりのところで防災マップの整備が進んでおると理解しておりますが、例えば東京都について申し上げますと、東京二十三区のうち二十区では何らかの形の防災マップがつくられていると承知しております。
  402. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 ぜひとも早急にその整備を進めていただきたいと思います。  次に、東京を含む南関東と言われる地域においては、地震予知連絡会の指定によりまして地震等の観測強化地域に指定されているというふうに伺っておりますが、この指定については何らかの法的な根拠はあるのでしょうか。
  403. 田中穰

    ○田中説明員 地震予知連絡会と申しますのは、国土地理院長の私的諮問機関でございまして、法的なものは別段ございません。それは、地震予知連絡会の委員会で、自分らが観測とか予知情報を効率的に使うためにそういうところを指定したのでございます。
  404. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 大規模地震対策特別措置法、この三条によりまして地震防災対策強化地域の指定ができることにはなっているのですが、この南関東はまだその指定はなされておりませんね。確認ですけれども、どうでしょうか。
  405. 市川一朗

    ○市川政府委員 御指摘のとおりでございます。
  406. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 この南関東において指定をするとすれば、そのための認知の前提となるような条件というのはどのようなものが考えられるでしょうか。
  407. 市川一朗

    ○市川政府委員 大規模地震対策特別措置法でございますが、これは、大規模な地震が発生するおそれが特に大きいと認められる地殻内におきましてその地震が発生した場合に地震による被害が著しく生ずるという、地震の発生の切迫性と被害の甚大性、そういった二つの要件を満たしている地域につきまして必要があると判断した場合に地震防災対策強化地域を指定するわけでございます。そういたしまして、その地域におきまして想定されましたような地震の発生が予知されました場合には、その時点で内閣総理大臣が警戒宣言を発令いたしまして、それから地震が発生するまでの間、場合によっては数時間の場合もあるかもしれませんし、場合によりましては何日かの余裕があるかもしれませんが、それまでの間にあらかじめ決めておりますマニュアルに従いましてできる限りの対応策を講ずるということを目的とした法律でございます。  ただいま御指摘の南関東地域でございますが、現在のところ強化地域としては指定してございませんで、強化地域に指定されておるものは東海地震の対象地域だけでございます。  この東海地震と南関東地域との基本的な違いは、東海地震につきましては、かなりの確率で海洋型の巨大地震、マグニチュード八クラスの地震の発生が可能性として想定されておりまして、そのような地震の場合には相当程度の前兆現象が生ずるというところから、それを観測体制をきちっと講ずることによって把握すれば、地震の発生が予知できる可能性が非常に高い、基本的には空振りすることは覚悟の上で大体予知できるという前提のもとに、その場合、予知できましたら警戒宣言を発令できるということで指定しているわけでございます。  南関東地域におきましては、そのようなM八クラスの巨大地震が起きる可能性はまだ大分先のようでございまして、とりあえず想定されますのはM七クラスまでの地震でございまして、それが直下型で起きた場合には被害が大きくなるということで懸念されているわけでございますが、その直下型地震に関しましては、震源域の特定等も含めまして、予知の可能性がどの程度あるのかといった非常に難しい問題がございまして、私ども今それをいろいろ検討している段階でございまして、指定までに至っていない、そんなような状況でございます。
  408. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 今の指定の前提として、先ほどの観測強化地域に指定されたその観測データ、これが利用されるということになるのでしょうか。つまり、この観測強化地域の指定がいわば後の地震防災対策強化地域指定に至るための予備的な働きをする、このように理解していいのでしょうか。
  409. 市川一朗

    ○市川政府委員 基本的には、私もそういうふうに理解しております。
  410. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 そうしますと、特別措置法の四条で、この対策の強化地域に指定された場所はさらに観測、測量等の強化をするという規定があるわけですけれども、ここで言うところの観測の強化とそれから先ほど申し上げた予知連の指定に基づく観測強化、これとの関係についでお答えいただきたいと思います。
  411. 田中穰

    ○田中説明員 観測、測量の強化につきましては、測地学審議会の建議に基づきまして観測計画をつくっておりまして、それに従って各省庁とも鋭意観測を強化して実施しております。
  412. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 観測強化地域から対策強化地域へ変わるそのつながり、関係というものがいま一つ明確でないように思われるのです。先ほど予備的な観測という性質があるというふうにお答えいただいたと思いますけれども、その関係についてもう一度お尋ねしたいと思います。
  413. 田中穰

    ○田中説明員 観測のことでございますが、まずその前提となるものは長期的予知の判断でございます。そういうところで異常があらわれた場合には順次そういうところを強化していって、現在では東海地域につきましては連続観測機器等も含めまして強化されておりまして、予知が可能だろうというところまで来ております。
  414. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 それでは、次へ移ります。  法律上の対策強化地域に指定されない段階での防災対策がいろいろあろうかと思うのです。例えば、災害が起きた場合の応急対策の活動のシステムをあらかじめ策定するとか、あるいは防災基地を順次建設をするとか、そのようなことが考えられると思うのですが、未指定の段階での対策について、具体的に国土庁建設省、それぞれのお立場でお答えいただきたいと思います。
  415. 市川一朗

    ○市川政府委員 まず、先ほど来御指摘がございました観測体制の問題も含めてでございますが、南関東地域は、先ほど御答弁ありましたように、東海地域と一緒に観測強化地域として地震予知のための観測を強化しておるわけでございます。東海地震の強化地域として法律上規定された地域では、もちろん観測体制を完璧に近い状態まで整備いたしましてやっているわけでございますが、南関東地域につきましても、かなり規模で観測強化地域として観測体制が整備されていると私どもまず理解しております。  それから、先ほど申し上げましたように、大規模地震対策特別措置法による強化地域にはされてない段階でございますので、何といいましても地域指定がされた状態と比べますと程度はそこまではいってないということは否定できない事実でございますが、南関東地域の震災対策といいますものは極めて重要な課題であるという認識は関係者間で一致してございますので、都市の不燃化、耐震化、あるいは避難地、避難路の整備などの防災性の強化に努めるということのほかに、広域的な震災応急対策の充実を図ってまいっておるわけでございますが、特に昨年アメリカのサンフランシスコでロマプリータ地震が発生いたしまして、近代都市で地震が起きた場合にはどういった問題が生ずるかといったことにつきましてかなり具体的かつ詳細な教訓を得ておりますので、そういった問題も踏まえまして、一層の震災対策の充実強化に向けまして、政府関係省庁挙げて現在取り組んでおる次第でございます。
  416. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 建設省お答えになりますか。ひとつ簡潔にお願いします。
  417. 青山俊樹

    ○青山説明員 建設省におきましても種々の対策を現在考えておりまして、例えば河川の高水敷を緊急避難路として使うような整備もやっておりますし、それから防災用のヘリコプターを整備いたしまして、それで全般的な災害状況を調べるとか、種々の対策を行っております。
  418. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 江東地域、すなわち隅田川、荒川、江戸川等に囲まれる地域の液状化の対策についてお伺いいたします。  液状化は、御承知のように新潟地震、最近では日本海中部地震、そしてまた今御指摘のあったサンフランシスコのロマプリータ地震等で確認されておりまして、また、関東大震災時にも事後の調査で液状化があったであろうと推定されております。東京江東地域においてもかなり広い分布で液状化が予測されている状況ですが、これに対する対策として個々の建物、構造物等について建設省としてはどのような対策を講じておられますか。
  419. 青山俊樹

    ○青山説明員 お答え申し上げます。  建設省におきましては、新潟地震等を契機といたしまして地盤の液状化対策を含む耐震対策を進めております。具体的には、液状化現象の発生が予測されます地域におきましては、道路橋につきましては道路橋示方書、それから共同溝、これは道路の下を通る共同溝でございますが、共同溝につきましては共同溝設計指針、建築物につきましては建築基準法令に基づきまして、それぞれ、構造物の基礎を液状化のおそれのない地盤に置くというやり方とか、あるいは液状化のおそれのある地盤につきまして地盤改良を行って液状化を防止するやり方、あるいは液状化のおそれのある地盤に対しましては地盤の抵抗力をあらかじめ低くなるものと見越して低減しまして設計を行うというふうな対策をとりまして、液状化に対する安全性を確保するということをいたしております。
  420. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 液状化の予測されるこの地域は、有楽町層といわれる緩い砂の層で覆われる沖積地がその対象になっておるようですが、それだけではなくて、東京の湾岸部の埋立地においても液状化が恐れられている地域があると聞いております。  東京都の最近の調査によりますと、埋立地においても三〇%を超える地域で液状化のおそれありと予測されているようであります。埋立地の場合は、いわば人工の場所でありますから、あらかじめ対策が可能であろうと思われます。近年、ウォーターフロントの開発が論議されているわけでありますけれども、今後の開発に当たって埋立地の対策、新たにつくるところの対策とそれから既設の埋立地における予測されるものに対する対策、この二面においてお答えいただきたいと思います。
  421. 市川一朗

    ○市川政府委員 液状化の問題は先生御案内のとおりでございまして、東京について考えますと、河川の周辺部とか湾岸の埋立地等、この辺のところは緩い砂地盤になっておりまして地下水位が高いところでございまして、局所的に発生する可能性が高いとされておるわけでございます。  国土庁といたしましては、液状化の問題は比較的新しい課題でございまして、まだ十分に解明されていない部分もある層でございますので、学識経験者による液状化対策検討会を現在設けておりまして、そこで学術的、技術的検討をいろいろ進めていただいておるわけでございます。かなり部分はわかってまいっておりますが、基本的な対応の仕方ということで、東京都の湾岸地域の埋め立てによる開発につきまして私ども認識しております問題点は二つでございます。  一つは、地盤改良等により液状化の発生そのもの防止する。できるだけ起きないようにするということで、やや具体的になりますが、地盤改良とか、締め固めをするとか、あるいは排水ポンプ等によりまして地下水位を低下させるとか、そういった具体的な措置を念頭に置きながら地盤改良等により液状化が起きないような措置を講ずるということが第一点。それから第二点は、液状化が起きましてもそれによる被害が生じないようにするということでございまして、具体的な問題点としてはいろいろあるわけでございますが、例えば基礎ぐいをしっかり打つとか、あるいは地中の方に地中壁、地中はり等の基礎構造を充実していくとか、そういったことをやっていくことによって対応する必要があるし、そうすればある程度の対応はできるのではないか、まだ十分解明されていない部分があるにしても対応はできるのではないかといったような考え方を持っておる次第でございます。
  422. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 既に地上に建物あるいは構造物が建ってしまっている地域について、液状化を予測した上でそれを防止するような対策あるいは技術は進んでいるのでしょうか。
  423. 青山俊樹

    ○青山説明員 いろいろと非常に難しい問題がございまして、例えば基礎ぐいを継ぎ足すとかいろいろな対策そのものは考えられるわけでございますが、まだまだ研究調査しなければならない分野が多いところではなかろうかと思います。
  424. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 開発が先に立ってこれらの調査が後回しになるようなことのないように、鋭意進めていただきたいと思います。  次に、江戸川、荒川等の大河川においての河川の防災対策でありますが、いずれの河川もいわゆる高規格堤防、スーパー堤防整備を進める計画であると伺っております。特に江戸川については全河川の流域においてスーパー堤防をつくるという計画ができ上がっているようでありますが、それに当たって、単なる防災という観点だけではなくて、江戸川の場合ですと流域の距離はさほどないわけで、しかも貴重な都会に近いオープンスペースとして比較的ゆったりとした、リゾートとは言わないまでも、人が親しめる空間になり得る余地があるわけであります。これまでこの江東地域において、河川地域を隔てる、交通を阻害する要因であり、また災害をもたらす危険な存在であるというマイナスイメージが強かったわけでありますが、これからの時代はぜひともプラスのイメージに転換するような、その一つの対策としてスーパー堤防、大いに期待されるわけであります。  そこで、この江戸川の下流域に江戸川水閘門というのがございます。ここは今、ごく小さな船しか航行できないようになっておりますが、そのすぐ下流に水上バスの駅ができておりまして、そこまでは河口から上ってこれるようになっております。これからの江戸川のスーパー堤防化に伴っては、ぜひとも上流までこのような水上バスが通れるような施設をつくるべきであろう、このように私は考えます。そこで、水閘門の改修計画があると伺っておりますが、水上バスが通れるような施設をつくるのは可能なんでしょうか。
  425. 定道成美

    ○定道説明員 お答えいたします。  先生がおっしゃられましたように、現在江戸川の水閘門の改築計画が出ております。私たちは、この仕事をする場合にまず実施計画という調査をいたします。その後地元協議とか、あるいはこれが安全であるとかいうような設計が終わりました段階で次に建設工事ということに入りますが、現在はその実施計画調査に入っているところでございます。先生の今おっしゃいました水上バスは幅がたしか六・八メーターのものであったと調べておりますけれども、この閘門につきましては今後とも、地元の自治体ですか、そこともよく協議いたしまして、前向きに検討してまいりたいということに考えております。
  426. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 江戸川区においては、臨海公園という立派な施設ができております。そこへ運ぶための水上バスであるわけですが、上流域においては柴又付近で河岸の公園が整備される予定になっております。そのほか水元公園とか、この流域にさまざまな施設がございますので、それらを結びつけられるような水上バスの航行が可能な設備というものをぜひともつくっていただきたい、そのため地元住民の意見も取り入れていただきたい、このようにお願いをいたしたいと思います。  もう一点ですが、今度は荒川について。これもスーパー堤防化を進めるというお話を伺っておりますが、これは岩淵水門から下流域については全流域つくられるのでしょうか。
  427. 定道成美

    ○定道説明員 現在の計画では、優先的に現在隅田川の方を着手しているところでございますが、正式に全体をやるということまではまだ持ってきておりません。ただ計画として練っているところでございます。
  428. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 最後になりますが、河川が人に親しめるようにという観点から、今河川の内部にモーターボートとかあるいはさまざまな小型船舶が停泊しているようでありますが、ほとんどが不法係留であるというふうに伺っております。これらが合法的に停泊できるような対策というものも必要であろうと思います。その点を含めて、これからの見通しについてお答えいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。いかがでしょうか。
  429. 定道成美

    ○定道説明員 今後とも全力を挙げてやってまいりたいと考えております。
  430. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 終わります。
  431. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて山口那津男君の質疑は終了いたしました。  次に、東祥三君。
  432. 東祥三

    ○東(祥)分科員 公明党の東でございます。このたび当選させていただきました新人議員でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  まず初めに、具体的な問題から御質問させていただきたいと思います。初めに、荒川河口橋建設の進捗状況についてお尋ねいたします。  ことしの三月にJR京葉線が開通いたしました。この開通によって、江東区の湾岸地区の交通の利便が飛躍的に上昇いたしました。ここに地図を持ってきているのですが、江東区の湾岸地帯というのはこれを指すわけでございます。しかしながら、首都高速の湾岸道路沿いに三百五十七号という国道が走っているのですけれども、これが幾つかの川あるいは湾によって分断されております。幸いなことに、ことしの四月に舞浜−葛西間の舞浜大橋が完成いたしました。しかしながら、私が住んでいる地元の江東区から葛西の方に行くためには、まだこの三百五十七号を使うことができない、使うためには一度首都高速に乗って迂回していかなければならない、そのような状況になっております。昨年の十一月には、夢の島−葛西間の荒川河口橋の工事が着工されたといううれしいニュースが入りました。今くいが打たれているわけでございますが、この工事の総工費と、それから完成予定日はいつごろになるのでしょうか。
  433. 藤田忠夫

    藤田説明員 お答えいたします。  一般国道三百五十七号、これは東京湾岸道路でございますが、今御指摘のように、荒川河口部につきましては一般部がございませんで、交通渋滞の原因になっております。このような状況を踏まえまして、現在荒川湾岸橋の上流側と下流側と両側に各三車線の橋梁を計画いたしまして、昨年の十一月に下部工に着手したところでございます。  お尋ねの総工費でございますが、現在の見積もりでは二百五十億となっております。それから供用の見通してございますが、実は荒川は船の航路がございまして、それを確保しながら工事をやらなければいかぬ、それからもう一つ、渇水期に施行しなければいかぬというような問題もございまして、なかなか一挙に工事を進めることができません。現在の見通しては、平成七年度に完成というようなことで考えて工事を進めております。  以上でございます。
  434. 東祥三

    ○東(祥)分科員 平成七年度内に開通目標というふうにおっしゃっているのですが、先ほど申し上げました舞浜大橋、これが着工したのが昭和六十年で、ことしの四月、今月一応完成した。四年間かかっているわけですね。そのときに費やされた費用が七十三億円、単純にこの尺度を使いまして、縮尺を使ってはかったとしても、荒川河口橋の場合この倍以上があるのじゃないか。また、今御答弁にありましたとおり、総工費二百五十億円、約三倍の費用がかかる。また、規模もそれぐらいになってしまうのじゃないか。そうしますと、今平成二年度に入っておりますので、余すところ六年弱なのか、これで果たしてできるのかどうか御答弁願いたいのです。
  435. 藤田忠夫

    藤田説明員 先ほども申しましたように、工期的には平成七年ぐらいになるということでございまして、予算的には、非常に大きな橋でございますので、相当集中投資していかなければいかぬというふうに覚悟しております。できるだけ予算を確保して、平成七年度には供用できるように頑張ってまいりたいと思っております。
  436. 東祥三

    ○東(祥)分科員 地元江東区から見ると、これが一日も早く完成されることを望んでおるわけでございます。というのは、御案内のとおり、この地域には一大リゾート地がいろいろとありまして、稲毛海浜公園あるいは幕張メッセあるいはららぽーと、JRアートクラブ、ディズニーランド、葛西臨海公園、ウッディランド東京、こういう一連のものがあります。一日も早く開通してくれれば、どれだけ地元の人々が喜ばれるかわからない。全力で一日も早く完成されることを望みます。  次に、これに関連しているのですが、やはり三百五十七号線、十三号地から今度は大田区方面に行くこの間が、東京港トンネルというのですか、これが計画されているのかどうか、この辺についてお願いいたします。
  437. 藤田忠夫

    藤田説明員 東京港トンネルにつきましては、既に都市計画で三五七の一般部として設置するように計画はされております。
  438. 東祥三

    ○東(祥)分科員 いつごろ着工になりますか。
  439. 藤田忠夫

    藤田説明員 先ほどお話のとおり今やっと舞浜大橋が終わりまして、次に荒川河口橋に着手したばかりでございますので、しかも今度のトンネルは、事業費の総額についてはちょっとまだわかりませんが、相当大きな費用を要するということでございますので、これからどういうふうにやっていくか検討してまいるというような段階でございます。
  440. 東祥三

    ○東(祥)分科員 今度は、これができれば大田区、横浜方面に向かって産業道路につながっていく、それができて初めて三百五十七が貫通するということでございますので、状況はよくわかりました。  次に、墨田区内の荒川河川敷の利用についてお尋ねいたします。  荒川河川敷というのはこういうふうになっておりまして、墨田区が現在管理を任されているのでございますが、ここには隅田運動場、四ツ木橋緑地あるいは八広運動場といったものができております。ただ、ここで利用される方々というのはほとんど自動車を使って来る、違法駐車等がかなりありまして、周りの地域に住んでいる人々に大変な迷惑をかけている。そういう視点に立って、何とかしてこの荒川河川敷の一部を駐車場に利用させてほしいという強い強い区民の声があるのですけれども、新たに河川敷の中に駐車場を果たしてつくることができるのか、御答弁願いたいと思います。
  441. 徳山直

    ○徳山説明員 お答えいたします。  墨田区内の荒川の河川空間の利用につきましては、荒川河川環境管理基本計画におきまして、一つは積極的に公園、運動広場などとして整備を行う整備ゾーンというものと、二点目には荒川の自然環境を生かしました自然観察や野草の広場などとして利用することが望ましい自然利用ゾーンを配置することを定めておりまして、保全と利用の調和がとれた河川空間環境の確保を図るということにしているところでございます。  御質問駐車場の設置につきましては、ただいま申し上げました自然利用ゾーンではその性格上認めることは難しいわけでございますが、整備ゾーンで駐車場のスペースを確保できるかということにつきましては、現在この整備ゾーンはすべて墨田区の野球場等の運動広場、公園として利用されている状況にあるわけでございまして、このため、新たな駐車場のスペースを確保いたしますためには現在の野球場等の敷地を利用する以外には困難ということでございます。建設省といたしましては、今後墨田区からこの野球場等の利用のため駐車場施設を野球場の一部、現在占用が認められております野球場内に駐車場を設置したいというような申請がもし出されますならば、河川管理上の支障が生じないように墨田区におきましてその当該駐車場の管理方針を決定し、さらに安全管理上の措置を講ずるということを前提といたしまして前向きに検討する、そういう方針でございます。
  442. 東祥三

    ○東(祥)分科員 大変温かい御答弁、ありがとうございます。早速地元へ戻りまして、区長とも相談いたしまして、その方向でお話をさせていただきたいと思っております。  次に、防災対策に関連して質問させていただきます。  初めに、これは文部省とも関係するのですけれども、現在、小中高等学校が災害時の避難場所として指定されております。例えば江東区においては、これは「災害時における避難所一覧表」というふうになっておりますが、全部で七十九校が災害時における避難所として指定されております。長期避難と一時避難という形で分かれております。人数的に言うと一時避難の場合が三十三万五千百人、長期避難の場合が十六万七千五百五十人、こういうふうになっております。  しかし問題は、これだけの人を収容する計画になっているにもかかわらず、学校には全く何の備えもないということでございます。江東区だけではなくて、すべての学校に食糧、水あるいは医薬品など何もそろっていないのが現状でございます。私は、学校を地域のミニ防災拠点と位置づけて必要最小限度の設備は備えつけておくべきであると思っております。ここで言う必要最小限度の設備とは、先ほど申し上げましたような食糧、水あるいは医薬品などに加えて、学校にはほとんどプールがありますから第一次防火に役立てる水は十分にある、したがってプールには消火栓、そしてまた災害が長引いた場合どうしても飲料水が問題になってまいります、したがって浄化装置、こういったものが備えつけられていなければならないのだろう、このように思います。さもないと、長期避難になったときパニックが起こるのは目に見えております。長官の御意見を承りたいと思います。
  443. 市川一朗

    ○市川政府委員 避難地の問題に関しましては、ただいま先生指摘のとおり、災害時におきまして住民を災害から守るためにそれを確保しておくことが防災上非常に重要でございます。ちょっと一言申し上げますと、特に避難地の場所の確保が困難な市街地部でこそ避難地の場所の確保が必要であるという、基本的にやや矛盾するような問題も抱えまして、整備に対しましてはそれぞれの地方公共団体におきまして非常に苦慮しているわけでございますが、しかし極めて重要であるという観点から、関係者一丸となりましてこの問題に取り組んでおるわけでございます。  御指摘がございましたように、東京都におきましてもそれぞれの区部でかなり具体的な避難場所等を指定し、整備しているわけでございますが、基本的な考え方といたしましては、災害が起きました場合に、まず一時的にその避難場所に避難していただくわけでございますが、さらに一時的な避難場所に避難した被災者のうち住居等を喪失するなど引き続き救助を要する人が出てまいるわけでございまして、こういう方々を収容、保護するために区市町村においてさらに学校、公共建築物等を避難場所として定めているわけでございます。  そういったような場所に御指摘のような避難場所としての機能の向上を図るべきではないかといったような問題は、私どもも極めて重要な問題と考えておるわけでございますが、具体的には、例えば江東区について申し上げますと、私どもの承知しておるところの範囲でございますが、避難所に指定されている小中学校におきましては、震災時を念頭に置きまして災害応急物資格納倉庫を設置いたしまして、発電機とかろ水機とか仮設便所等を備蓄している、それがすべてであるかどうかでございますが、基本的にはそういう考え方で備蓄していると聞いておりますが、御指摘のとおり、確かに食糧等は備えておらないのが実情でございます。
  444. 東祥三

    ○東(祥)分科員 ということは、結論がよくわからなかったのですけれども、私が先ほど述べた視点に関して前向きに取り組んでいただけるのでしょうか。
  445. 市川一朗

    ○市川政府委員 小中学校の施設の活用等につきましては、文部省の所管する行政との調整等もございますので、私どもがその気になりまして取り組んだ場合にすべてのテーマがそのとおり満たされるものであるかどうかという点も含めまして、今後前向きに検討してまいりたいと思う次第でございます。
  446. 東祥三

    ○東(祥)分科員 温かい御答弁をありがとうございます。  ただ、前もって私の方で文部省の方とも若干この点についてお話しさせていただいたのですけれども、文部省側としては、国土庁からの要請があれば学校を地域防災の拠点に活用することに全面的に協力させていただきたい、このような言葉をいただいております。もちろん非公式でございますので、国土庁長官の方から、子供を預かっている学校、また先ほどいろいろなお話ありましたとおり、ある地域においてはほとんど避難場所を確保すること自体難しい、自動的に学校になってしまう、そういう地域も多々あると思いますので、そういうところに先ほど申し上げましたようなものが配備されていれば、多くのお子さんを抱えるお母さん方にとってみても極めて安心できるのではないか、このように思います。具体的な話は地方公共団体のレベルになっていくと思うのですけれども、少なくとも国土庁長官、そしてまた文部大臣ともにこの点について賛同をいただけるならば、今後の話というのは極めてスムーズに展開していけるのではないか、このように思います。どうもありがとうございます。
  447. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 東先生にお答えしますが、今局長の答えたとおりでございますが、実は先生お話を聞いておりまして御指摘のとおりだと思います。地震を受けて避難した、避難したところが水も食糧も何もないということになると実は大変なことでございまして、今政府委員が答弁したとおりでございまして、一度よく考えまして、そして文部省と話しまして対応したい、こう思っておりますから、よろしくお願いします。
  448. 東祥三

    ○東(祥)分科員 ありがとうございます。  次に、まだ時間がありますので、もうちょっと大きな防災対策について質問させていただきます。  国土庁は昭和五十六年から六十二年にかけて、六年間かけて南関東地域地震被害想定調査を実施されまして、その結果を六十三年に発表されました。これでございます。私ども東京の下町に関しては、まずどのような被害が想定されるのか、簡単に御説明ください。
  449. 市川一朗

    ○市川政府委員 六十三年の十二月に国土庁で公表いたしました被害想定は、実は南関東地域で大規模な地震が起こった場合にどのような対応策を講ずるべきかといったその対応策をまとめる際の基礎資料として策定したものでございますので、起こり得る最大規模の地震による被害といったものを全体的傾向として把握しようとしたものでございます。  若干具体的に、できるだけ簡単に申し上げますと、まず想定いたしました地震の規模は、相模湾を震源域とするマグニチュード七・九規模の地震でございまして、これは大正十二年の関東大震災の際の地震と同じ規模でございます。その際、東京のいわゆる下町地区では、地震動は震度六程度、それから地盤の液状化の可能性はある程度ある、津波につきましては波の高さ一メートル前後の軽微なものが発生する、建築物につきましては使用不能となる被災率は五ないし一〇%程度、火災につきましては木造密集地域において発生する、道路、ライフライン系につきましては半数程度が被害を受けることが予想され、機能はかなり低下する、こういった被害想定がなされております。
  450. 東祥三

    ○東(祥)分科員 ありがとうございます。  このような極めて重要な、また六年の年月をかけて得たこの調査結果というのは、当然各省庁に配付されていると思います。また、これに基づいて各省庁が独自の調査をされていると期待いたしますけれども、各省庁がどのような調査をしているか、国土庁は把握しておられますでしょうか。
  451. 市川一朗

    ○市川政府委員 まず、この被害想定を公表するまでの検討の過程におきましては、関係省庁連絡会議等で十分議論しながらまとめていったものでございますので、公表いたしましたのは国土庁でございますが、政府関係機関がそれぞれこの内容につきまして理解の上で公表されているというふうに御理解いただきたいと思う次第でございます。  具体的にそういった被害を想定いたしまして、むしろ問題は、その被害の想定よりも、それに対してどういう対応策が必要かということでございますので、南関東地域震災応急対策活動要領というものも同時に定めまして、その際公表してございますが、私どもといたしましては、その際決めました活動要領をさらに有効に機能するよう具体的に内容を詰めていく必要があるということで、現在はそちらの方に力を入れておるという状況でございます。
  452. 東祥三

    ○東(祥)分科員 余り深い議論に入ると時間がなくなってしまうのでさらっといきたいと思うのですけれども、こちらで持っている資料によれば、南関東地域の地震対策として災害対策総合推進調整費、これは国土庁予算だと思うのですが、これによって実施している他省の調査というのは、通産省のみがやっている。自衛隊の災害派遣計画に関する調査、震災対策関連生活必需品調査というのがあるみたいです。ということは、今お話にありましたとおり、調査の段階から関連省庁が参加したので、その後は基本的には各省独自の調査はやっていないというふうに理解してよろしいのですか。
  453. 市川一朗

    ○市川政府委員 私の説明が若干不十分でございまして、申しわけございませんでした。  各省庁でいろいろ対応しておりますけれども、ただいま御指摘がありました調整費による調査といいますのは、一つの調査を行うに際しましての考え方といたしまして、調整費という予算を使いまして行う調査にふさわしいということで行われておるものでございますので、そのテーマが限定されておるわけでございますが、それ以外に、例えばちょっと列挙して申し上げますと、経済対策調査あるいは緊急時における輸送活動に関する調査あるいは救護班派遣計画、広域後方医療実施計画、広域後方医療機関抽出のための基礎調査といったようなこと、それから防衛庁関係の調査、そういったものもあわせて行っておりまして、ただ、それぞれはそれぞれの予算項目でやっておりますので、調整費では部分的にしか出てこないということでございます。
  454. 東祥三

    ○東(祥)分科員 わかりました。  時間がなくなってきてしまいましたので、最後に、基本的には防災対策に関しての主務官庁というのは国土庁であるわけですから、防災対策が各省庁個別で対応していてはスムーズな防災対策はとれないだろう。そういう意味で、国土庁がリーダーシップをとってこの被害想定調査に基づく各省庁の対応というのを明確に把握しなければ、ばらばらの対応しかとれないことになってしまう。そういう意味で、各省庁がどのような防災対策を講じているのか、また講じようとしているのか、そういう根っこの部分というのは最低把握しておかなければならないだろう、このように思います。最後にこの点について長官からの御所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
  455. 市川一朗

    ○市川政府委員 まず、私からお答え申し上げます。  南関東地域の防災対策、いろいろ御指摘がありましたとおり極めて重要な課題でございますので、私ども先ほど来申し上げているような対応をしてございますが、さらに一層対応策を深めまして、場合によりましては法的規制も伴った対応の必要もあるのではないかといったようなことまで含めまして現在検討しておりまして、できるだけ災害が発生しないように、あるいは万一地震等が発生いたしましても被害が大きくならないように、関係各省庁取りまとめまして全力を挙げて取り組んでまいりたいということで、具体的な項目も挙げましていろいろ検討しておる次第でございます。
  456. 佐藤守良

    ○佐藤国務大臣 東先生にお答えしますが、今政府委員がお答えしましたが、先生の御指摘のとおりです。だから、そういう事態に十分対応できるように最善の努力をしたい、このように考えております。よろしくお願いします。
  457. 東祥三

    ○東(祥)分科員 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  458. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて東祥三君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管国土庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後七時二分散会