○石川国務
大臣 お答えさしていただきます。
ただいまの
委員の御質問、大変幅の広い角度からの御質問であったようでございます。したがいまして、的確に御趣旨に沿っての御回答ができるかどうかちょっと不安でございますが、私なりに今の
委員の御質問を要約をいたしまして、防衛庁という立場でお答えをさしていただきたい、かように思います。
まず第一に軍事
情勢、特にアジア・太平洋の中における軍事
情勢についていろいろと御
見解が申されました。これは、先ほどのヨーロッパを中心としてのいろいろな、米ソの緊張緩和、特に軍縮へ向かっていろいろと、外務
大臣から
情勢の変化につきましては詳細に御回答がございましたが、その中でも特にアジアに触れましてまたいろいろとお話がされているようでございます。特にまたそういう中で、ヨーロッパと同じように、アジアにおきましてもさらなる平和を構築するための
我が国の外交努力ということにつきましても述べられました。私はそういう
見解につきましては、全く防衛庁の責任者という立場からも、一つの世界
情勢の流れにつきましては考えを一にするものでございます。
特にその中で、再三私が申し上げましたように、ヨーロッパに比べてアジア・太平洋の中では依然としてヨーロッパと違った極端な緊張緩和というものが、特にソ連の平和に向かってのそういう流れというものが比較的にヨーロッパに比べてテンポが遅いというようなことにつきましても再三申し上げたわけでありますが、それは、先ほど来外務
大臣が申しましたような地政学上の理由、そしてまた、さらにソ連の今日までの蓄積された軍事力の存在、そしてまた、そのソ連の軍事力の近代化、そういうものが非常に、かなりまだ存在している、こういうことを特に強調して申し上げたわけでございまして、そういう中からいって、結論的には潜在的な脅威というものを私
どもは感じているわけである、こういうふうに申し上げたわけでございます。
その中で、私
どもはこれからの防衛大綱というものをどう踏まえていくかというならば、やはり今日の国際
情勢と当時のデタントというものにつきましては、これは現象面においてはかなり違いがあるけれ
ども、しかし、その根底に、私
どもは、この防衛大綱の策定に当たっての国際
情勢の見方というものにつきましてはやはり共通点がある。特に二点につきまして共通点がある。
一つには、やはり依然として東西の力の均衡、こういうものがあり、それがまたさらにこれからの国際社会の平和と安全のために非常に大きに寄与している、これが一点であるし、その結果として、当時は恐らく大きな大局的な戦争はなかろうという前提のもとに大綱に従っての
整備が行われているわけでありますし、もう一点につきましては、やはり日米安保条約というものの、今日までの私
どもの
日本にとりましては大変な平和のために大きな寄与をされておる、こういう点をとらえて、今日の大綱につきましては、やはりこれに従って今後の防衛計画というものは立案すべきではなかろうかな、こういうふうに申し上げたわけでございます。
先ほど
先生もちょっと御質問でございましたが、特に日米共同作戦の例を挙げまして、これからは
我が国の、この激変する国際
情勢に伴って、米国から脱却した
我が国独自の防衛
政策というものをとるべきではなかろうか、こういうお尋ねもあったわけでございます。
我が国の置かれた戦略環境等から日米安保体制を堅持するということはこれは先ほど来申し上げましたとおりでございまして、それを堅持するとともに、みずから適切な規模の防衛力をこれからも保持するようにして、
我が国への侵略を未然に防止することが防衛
政策の
基本である、このように考えておるわけでございます。
先生の御
指摘されたような、米国から脱却した
我が国独自の防衛
政策というものにつきましては、これはちょっと御質問の趣旨が必ずしも私としても正しくつかめないので、なかなか御質問に対しては的確なお答えにならないと思いますが、仮に御質問が日米安保条約を破棄すべきであるというもし御趣旨であるとするならば、その場合は、さらに
我が国の防衛につきましては現在よりも膨大な防衛力というものを必要とするのではなかろうかな、こういうふうにも思考されるわけでございます。しかし、このことは
財政的な視点からしても、また近隣諸国に与える影響からしても適当とは考えられない、かように思うわけでございます。
また、仮に御質問が
我が国の自主判断に基づき防衛
政策を進めるべきであるという御趣旨であるとするならば、
我が国は、従来からあくまでも自主的な判断のもとに防衛
政策を進めてきたわけでございますので、今後ともこの方針を堅持してまいりたい、かように思うわけでございます。