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1990-04-20 第118回国会 衆議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年四月二十日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 越智 伊平君    理事 近藤 鉄雄君 理事 佐藤 信二君    理事 野田  毅君 理事 原田昇左右君    理事 宮下 創平君 理事 加藤 万吉君    理事 佐藤 敬治君 理事 村山 富市君    理事 神崎 武法君       粟屋 敏信君    池田 行彦君       石井  一君    稲村 利幸君       今枝 敬雄君    内海 英男君      小此木彦三郎君    越智 通雄君       工藤  巌君    後藤田正晴君       左藤  恵君    田澤 吉郎君       戸井田三郎君    葉梨 信行君       長谷川 峻君    浜田 幸一君       林  義郎君    原田  憲君       町村 信孝君    松本 十郎君       村田敬次郎君    村田 吉隆君       村山 達雄君    井上 普方君       川崎 寛治君    串原 義直君       嶋崎  譲君    新村 勝雄君       新盛 辰雄君    戸田 菊雄君       藤田 高敏君    松浦 利尚君       武藤 山治君    和田 静夫君       日笠 勝之君    冬柴 鐵三君       山田 英介君    佐藤 祐弘君       三浦  久君    大内 啓伍君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         法 務 大 臣 長谷川 信君         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君         文 部 大 臣 保利 耕輔君         厚 生 大 臣 津島 雄二君         農林水産大臣  山本 富雄君         通商産業大臣  武藤 嘉文君         運 輸 大 臣 大野  明君         郵 政 大 臣 深谷 隆司君         労 働 大 臣 塚原 俊平君         建 設 大 臣 綿貫 民輔君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     奥田 敬和君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)         外務大臣臨時代         理       坂本三十次君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 塩崎  潤君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 石川 要三君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      相沢 英之君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      大島 友治君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 佐藤 守良君  出席政府委員         内閣官房長官 大島 理森君         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       公文  宏君         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院事務総局         職員局長    大城 二郎君         公正取引委員会         委員長     梅澤 節男君         公正取引委員会         事務局経済部長 糸田 省吾君         警察庁刑事局保         安部長     加美山利弘君         警察庁交通局長 関根 謙一君         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  杉浦  力君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       徳宿 恭男君         総務庁人事局長 勝又 博明君         総務庁行政管理         局長      百崎  英君         防衛庁参事官  内田 勝久君         防衛庁長官官房         長       児玉 良雄君         防衛庁防衛局長 日吉  章君         防衛庁人事局長 畠山  蕃君         防衛庁経理局長 藤井 一夫君         防衛庁装備局長 植松  敏君         防衛施設庁長官 松本 宗和君         防衛施設庁総務         部長      吉住 愼吾君         防衛施設庁建設         部長      黒目 元雄君         経済企画庁調整         局審議官    安田  靖君         経済企画庁総合         計画局長    富金原俊二君         科学技術庁長官         官房長     平野 拓也君         科学技術庁長官         官房会計課長  中村 光弘君         環境庁長官官房         長       渡辺  修君         環境庁自然保護         局長      山内 豊徳君         環境庁水質保全         局長      安橋 隆雄君         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁長官官房         会計課長    森   悠君         国土庁長官官房         水資源部長   苗村 滋克君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁地方振興         局長      野沢 達夫君         法務省民事局長 清水  湛君         法務省刑事局長 根來 泰周君         外務大臣官房長 佐藤 嘉恭君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省欧亜局長 都甲 岳洋君         外務省経済局長 林  貞行君         外務省経済協力         局長      木幡 昭七君         外務省条約局長 福田  博君         外務省情報調査         局長      佐藤 行雄君         大蔵大臣官房総         務審議官    篠沢 恭助君         大蔵大臣官房審         議官      西村 吉正君         大蔵省主計局長 小粥 正巳君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省理財局長 大須 敏生君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         国税庁次長   岡本 吉司君         文部大臣官房長 國分 正明君         文部省初等中等         教育局長    菱村 幸彦君         文部省教育助成         局長      倉地 克次君         文部省体育局長 前畑 安宏君         厚生大臣官房総         務審議官    加藤 栄一君         厚生大臣官房審         議官      伊藤 卓雄君         厚生大臣官房老         人保健福祉部長 岡光 序治君         厚生省健康政策         局長      仲村 英一君         厚生省生活衛生         局長      目黒 克己君         厚生省児童家庭         局長      古川貞二郎君         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産大臣官         房予算課長   山本  徹君         農林水産省経済         局長      川合 淳二君         農林水産省構造         改善局長    片桐 久雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    松山 光治君         農林水産省畜産         局長      岩崎 充利君         農林水産省食品         流通局長    鷲野  宏君         林野庁長官   甕   滋君         水産庁長官   京谷 昭夫君         通商産業大臣官         房長      熊野 英昭君         通商産業大臣官         房総務審議官  関   收君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       山本 貞一君         通商産業大臣官         房審議官    合田宏四郎君         通商産業省通商         政策局長    畠山  襄君         通商産業省貿易         局長      内藤 正久君         運輸大臣官房長 松尾 道彦君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省国際運輸         ・観光局長   宮本 春樹君         運輸省地域交通         局長      早川  章君         運輸省海上技術         安全局船員部長 田辺 淳也君         運輸省航空局長 丹羽  晟君         海上保安庁次長 野尻  豊君         郵政大臣官房長 白井  太君         郵政省通信政策         局長      中村 泰三君         郵政省電気通信         局長      森本 哲夫君         労働大臣官房長 若林 之矩君         労働省労働基準         局長      野崎 和昭君         労働省職業安定         局長      清水 傳雄君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官    福本 英三君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君         自治大臣官房総         務審議官    芦尾 長司君         自治省行政局長 森  繁一君         自治省財政局長 持永 堯民君         自治省税務局長 湯浅 利夫君         消防庁長官   木村  仁君  委員外出席者         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   澤邉  守君         予算委員会調査         室長      多田 俊幸君     ───────────── 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   石井  一君     今枝 敬雄君   越智 通雄君     町村 信孝君   林  義郎君     村田 吉隆君   吉井 英勝君     佐藤 祐弘君 同日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     石井  一君   町村 信孝君     越智 通雄君   村田 吉隆君     林  義郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成二年度一般会計予算  平成二年度特別会計予算  平成二年度政府関係機関予算      ────◇─────
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  平成二年度一般会計予算平成二年度特別会計予算平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田静夫君。
  3. 和田静夫

    和田(静)委員 まず、国鉄長期債務処理方針ですが、政府は十二月十九日に閣議決定をされたようですけれども、これに基づいてどういう処理計画を立てたのか、運輸大臣説明してください。
  4. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 国鉄清算事業団の抱えます二十七兆円に上る膨大な長期債務につきましては、最も中心的な償還財源清算事業団の持っております土地JR株式でございますので、私どもとしては、この土地をできるだけ適切、迅速に処分したい、またJR株式についてもできるだけ早く上場処分したいということで、現在検討を進めております。  土地につきましては、現在まで予算に計上された額を十分消化していないような実績でございますが、これは公開入札が原則となっているのに対し、地価影響を及ぼすというようなことでなかなか地元の了解を得られないというようなことも一つの理由になっております。そこで、土地に関しましては、地価を顕在化させないいろいろな処分方法検討いたしまして、例えば建物つき土地売却方式、あるいは土地信託方式、また不動産転換ローン方式等方法を取り入れ、今後迅速に処分していきたいと考えているわけでございます。  それからJR株式につきましては、平成元年度に主な上場基準に達する会社も出てくることから、遅くとも平成三年度に上場処分を開始し、このような償還財源によって今後の長期債務処理を迅速に図りたいと考えております。
  5. 和田静夫

    和田(静)委員 これは、こういうふうに確認をしておいていいですか。きのういろいろ資料をおたくからもらいましたが、平成九年度までに土地はすべて処分をする、その額は九兆九千億円ということでありましたから、これでもって債務が一体幾ら減るのだろうか。さらに、これは少なくとも私の試算では約二十二兆円、それも非常にかたく見積もったつもりです。余りにも差がひど過ぎるわけでありまして、昔から官業の民営化はいつも安い払い下げで財閥を潤してきたという日本の歴史がありますから、国鉄改革が後の世代にいろいろ言われないためにも、適正な価格売却する必要が私はあるだろうと思います。これは、長年私はあなたと論争してきたところです。  それで、前に七・七兆円ぐらいのお話があったところを今度は九・九兆円になっていますから、三年前の論議を思い浮かべてみますと少しは検討されたということになるわけでありますが、汐留国鉄本社、今言われた土地信託等方式を採用するにしても、幾ら評価をされているのか。なぜ政府が九・九兆円という安い評価をするのか。まあ今も言ったように評価額を上げてこられましたけれども、正当な評価見直しを私はこの機会に要求をしておきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  6. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 九・九兆円というのは、昨年初めの地価公示額をもとにした、かた目の一応の試算でございまして、また新たな公示価格も出ましたので、現在再評価をしております。また、これは全体の試算でございますので、個別の案件につきましては、先生御指摘の汐留の用地あるい は国鉄本社跡地等については私ども相当高い評価ができるものと考え、できるだけ適切な価格処分したいということで検討しているところでございます。
  7. 和田静夫

    和田(静)委員 JRの株を、今言われましたように来年度から売却が開始をされる。東日本、東海、それに西日本、これは恐らく全部含んででしょうが、大体どれぐらいの売却益を描いていらっしゃるのですか。
  8. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 JR株式につきましては、これも長期債務償還の貴重な財源でございますので、できるだけ適切な価格処分したいと考えておりますが、株式価格というのはJR経営動向、さらには株式市況動向等にも左右されますので、現在では私ども予測することができませんので、お許し願いたいと思います。
  9. 和田静夫

    和田(静)委員 いや、それは今の答弁当然なんですが、大臣、お互いに政治家として、株なら株で一体どれぐらいのことを頭に描きながら市場に臨もうとするのか、その辺はどういうふうにお考えになっているのですか。
  10. 大野明

    大野国務大臣 ただいま総括審議官から答弁いたしましたように、平成三年度に株式上場をするということについては、鋭意今懇談会等で御尽力、御審議をいただいておるところでございます。  政治家としてと言っても、これは今もお話があったように、経済動向であるとか株式市況であるとか、こういうものに影響をされますから、今そこまではあれですけれども土地先ほど九・九兆円、これも公示価格が新しく出たのですから見直そう、また株式ももう少し時間をいただかないと、幾ら政治家であろうとこれはわかりかねると申し上げる以外にないと思います。
  11. 和田静夫

    和田(静)委員 いや、そういうことを言っているのじゃなくて、例えば市況なら市況がどれぐらいの価格のころに売り出したいなという感じをあなたは持っているのですか。
  12. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 JR株式処分につきましては、先ほど申し上げましたように、遅くとも平成三年度に処分を開始したいと考えておりますが、当然その売却の時期、方法等については株式市況等も勘案しつつ適切な処分ということを前提に、現在JR株式基本問題検討懇談会というのを省内に設け、学識経験者の方々に検討していただいているところでございます。
  13. 和田静夫

    和田(静)委員 時間がないですからあれですが、新幹線売却が伝えられていますね。どういう方針でこれはやられるのですか。売却益というのは保有機構にも入っていくわけですね、大臣。そうすると、国鉄長期債務減少に一体つながるのだろうかという危惧があるのですが、この保有機構新幹線売却した場合にどうするのですか。
  14. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 新幹線、営業中のものにつきましては、現在新幹線保有機構が所有し、これを本州三社にリースしているところでございますが、JR東海からは、持っている償却資産が少ないため、現在のリース方式ではなく上場前に財務体質改善のために新幹線の譲渡を受けたい旨の要望がございまして、私ども上場前には各社の財務体質強化という観点から、この新幹線譲渡問題を決着をつけなければならないと思っておりますが、いろいろ問題点もございますので、現在鋭意検討しているところでございます。  新幹線保有機構そのものの問題もあわせてこれから検討していくこととなろうと思います。
  15. 和田静夫

    和田(静)委員 どうしても危惧されるのは、今までの説明でもそうですが、昨日も部屋でいろいろお聞きしましたが、二十七兆一千億円に上るこの国鉄長期債務がどうなるかということが、どうしても私にはある意味ではさっぱりわからないわけであります。国民負担にかかわることなんで、これは遅くなるほど金利がふえていくことは当然でありますね。そうすると、返済計画をやはり提出をしてくれるぐらいの親切さがないと、私たちには判断ができないということになります。見事に国民負担がなくなるのであれば、あなた方が言っている行政改革は成功したと言えるのかもしれませんが、そうではない。赤字を国民に転嫁をして、清算事業団職員だけは約束をほごにして解雇をした。後のことは一向に、三年有半前の、例えば私とあなた方との論戦も一つも守られていない、こういう状態になるわけでありまして、これは返済計画というのを、大臣どうです、提出しませんか。あなただっておわかりにならないんじゃないかな、聞いただけじゃ。
  16. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 ただいま申し上げました長期債務二十七兆円につきましては、土地JR株式中心とした償還財源で極力償還していくということでございまして、これで償還し得ない分は、最後、国民負担となりますので、我々としてはこの国民負担を極力なくすという点で、先ほどから申し上げておりますように、土地もできるだけ高く、適切な価格前提ではございますが処分したい、またJR株式も適切に処分したいと考えておるわけでございます。  なお、今国会に提出させていただきます平成二年度の特別措置法案におきましても、清算事業団が保有しております帝都高速度交通営団出資持ち分一括政府に譲渡する等によって債務減少を図っておりますので、二十七兆円に上る債務も今後減少していく方向にあるということを考えております。特に今年度は、土地についても新たな不動産転換ローン等方式を採用しまして、従来にない多額の処分を行う予定でございますので、そういうものも含めて債務減少の道をつけていきたい。  ただ、先ほど申し上げましたように、JR株式というのは株式市況等によって処分価格が変わってまいりますので、私ども今ここで予測値を出すということは適当でないと考えておりますので、こういうものを含めて将来の償還計画というのは今つくり得ない状況でございますが、できるだけ二十七兆円というものを処理していくというのが私ども方針でございます。
  17. 和田静夫

    和田(静)委員 大臣、私は今のことを求めておきますよ。それはお互いわからないような状態に置かれたままでは論議のしようがないと言っておいてよいと思うのです。  それから、これは忘れていけないのは、国鉄改革は終わっていないということであります。成功か失敗かは実は今後にかかっているわけであります。例えば、上野駅に高層ビルを建てる計画が今あって、これは地元商店街旅館街中心として猛烈な反対運動がありますね。JR東日本地元への対応というのは大変悪いわけであります。事態は非常にこじれていく方向にある。改革法十条に基づいて地元の承諾を得て計画を立案をすべきだと私は思う。改革法十条というものを死文化させるような形でJR当局が行動を起こすというのは、これはやはり慎重に考え直さなければならぬことだろう、こう思うのです。長期債務国民に負担してもらわなければならないかもしれないJRが、またJRというのはそうした関係でできた会社でありますが、もっと地元商店街その他に対して謙虚でなければならぬと思うのです。これは大臣、あるいは政府全体として官房長官、どう考えます。
  18. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 中小企業への配慮規定もあることでありますから、私どもとしては常日ごろJRに対して、一方では経営活性化のために関連事業へ積極的に進出する必要はありますが、他方で地元との調整等について配慮していくように指導しているところでございます。
  19. 和田静夫

    和田(静)委員 そういう答弁をされただけではこれは済まない問題でありまして、もっともっと地元民の意向をくみ上げる努力というものをやるべきでしょう。自由民主党のそれぞれの部会にもこれらの諸君がお出ましになっていろいろと具体的に説明をされているようでありますが、しっかり対応を求めておきます。  それからもう一つは、JR東日本住田社長が、内外タイムス記事に対して圧力をかけて中止をさせた、そういう報道がありますね。最近さらに追い打ちをかけるようにして、配達証明でもって記事の謝罪と自己の主張を書いた記事を掲載するようにどうも求めているようであります。内外タイムス発行部数を私は知りませんしあれですが、恐らくこれは駅売りを主体としているものであります。つまり、駅売りの新聞、雑誌などに圧力をかけやすい、JRがそういう立場にあるわけで、民営化したからといって、こういう言論封圧的な、言論の自由を侵すのではないかと思われるようなやり方というのは、これまた慎まなければならぬことは当然だと思うのですが、大臣、これは御存じならば説明してもらいたいし、こういうことが二度と起こらない保証というものをしっかりするべきだと思うのですが、いかがです。
  20. 大野明

    大野国務大臣 今初めてその内外タイムス住田社長が云々ということを承ったのですが、内容がわからずして今後どうあるべきかと言われても、ちょっと今お答えしかねるところであります。
  21. 和田静夫

    和田(静)委員 私は事実に基づいて申し上げていますから、十分に気をつけられた方がよいです。なお引き続いてこのことは論議をしていくつもりでいます。  国際航空運賃ですが、日本航空は、旅行業の売り上げ達成報奨金というのですか、まあ早い話バックリベート、特別販売促進費が、報道によれば五百億から一千億あると言われていますね。これが本当だとすると、どうも私は国際航空運送協会の協定に違反をしているのではないだろうかという感じがいたしているのですが、このバックリベートというのは、どうなんですか、航空法に違反をする、運輸大臣、そうでしょう。
  22. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 お答え申し上げます。  先生今御指摘のその特別報奨金というようなことは、日本航空の会社の内部の科目としては特にございませんけれども、一般に、エアラインの航空券を旅行会社に販売してもらうことにつきましての手数料の問題につきましては、特に問題がない実態であると考えております。
  23. 和田静夫

    和田(静)委員 その額が五百億から一千億と言われるのは、これは本当のところですか。
  24. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 私の手元に今ございます日本航空の有価証券報告書の中に販売手数料というのがございまして、六十三年度の販売手数料、七百八十一億円でございます。
  25. 和田静夫

    和田(静)委員 公取に伺いますが、航空運賃が認可制ということは、これは独禁法の適用外ということですか。
  26. 梅澤節男

    ○梅澤(節)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  27. 和田静夫

    和田(静)委員 そうすると、運賃を認可制にする一方で、ともあれリベートがまかり通っている、手数料という名前であろうが。これでは認可制にする理由がどうもないのではないかという感じがするのですが、公取、いかがです。
  28. 梅澤節男

    ○梅澤(節)政府委員 認可運賃制度、これは航空法の立法制度の問題でございますから、関係当局から立法の考え方を申し上げるのが適当かと思います。
  29. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 航空法の運賃の認可制度の運賃幾らかということの問題でございますけれども、エアラインが自身で販売いたしますときのいろいろなコストとかそういったことを考えた形になるのではないかと思いますが、これが、自分で販売するかわりに旅行代理店を通じて販売する、そういうようなやり方をやっていく方がエアラインにとってもプラスの場合に、そのコスト分に見合うものとして払うものが販売手数料であると考えておりますので、特に認可運賃との関係で問題ではないと思っております。
  30. 和田静夫

    和田(静)委員 どうも答弁納得できませんが、航空運賃が高いという批判があって、それで日航は方向別格差是正をされました。例えば、東京発ロス行き往復運賃が三年前三十五万七千三百円、これから一七%値下げしたのだ。値下げしたと思ったら、逆にロス発東京行きが三二%値上げしましたね。これは一体どういうことなのですか。
  31. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 国際航空運賃の決め方でございますけれども、基本的には各国が各国発の運賃につきまして各国の通貨建てで決める、こういう形になっております。  ただいま先生の御指摘の前段は、日本航空の東京発、日本発のアメリカ向けの運賃でございますから円建てで日本航空が決める、こういうことでございますが、後段のお話は、ロサンゼルス発でございますとすれば、それはアメリカ政府とアメリカのエアラインあるいは関係のエアラインとの関係の問題が中心でございますので、そちらにつきましてはまずは私どもの方の問題ではないと考えております。
  32. 和田静夫

    和田(静)委員 日航の運賃が三二%上がったわけですよね、日航機の。
  33. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 アメリカ発の運賃の認可をアメリカ政府日本政府がするという、その中の対象エアラインに日本航空が入っているということであろうと思います。
  34. 和田静夫

    和田(静)委員 それでは、こういうことはどうなるのですか。日本の言ってみれば国際線の運賃、サンフランシスコ―東京往復が二千百十四ドル、それに対してサンフランシスコ―東京―ソウル往復が一千八百八十ドル、これはばかに日航は高いのですよね。
  35. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生の御指摘の運賃は、サンフランシスコとソウルの直行運賃のお話だろうと思いますが、これはサンフランシスコはアメリカ、それからソウルは韓国でございますから、私ども関係ではなくて、その両国政府とそれから両国のエアライン、その関係での決め方をしていく形ではないかと思っております。
  36. 和田静夫

    和田(静)委員 どうも理解ができないけれども、僕はもっと是正の努力をすべきだと思う。日本国民の日航運賃の高さに対する怨嗟の声というのは、大臣、みんなの耳に届いていると思うのですよ。ここのところ、やはり是正の努力を強く求めておきます。  ところが、日本航空が一方では多額の黒字に困って、黒字隠しと言っていいかどうかは別としまして、最近日航財団をつくるという話が出ていますが、これは本当ですか。
  37. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生の御指摘の財団につきましては、私、今手元に正確なその名称を書いた資料を持っておりませんものですから、名前はちょっと今お答え申し上げませんけれども、基本的には、日本航空が二十億円寄贈した形での財団をつくったということで、私ども運輸省としてそれを許可しております。
  38. 和田静夫

    和田(静)委員 もう許可をされているわけですか。
  39. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 今月民法上の許可をいたしております。
  40. 和田静夫

    和田(静)委員 それは何日ですか。
  41. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ちょっと今手元に資料を持っておりませんですが、後ほどまたお伝えいたします。
  42. 和田静夫

    和田(静)委員 次に移りますが、何か農林大臣その他お急ぎのようですから。  リゾート法の成立後の状況が余りにも過熱し過ぎていないだろうかということを非常に私は危惧するのです。私は、あちこちの資料やら本を読んでみたり聞いてみましたら、リゾートというのは、結局は国土の破壊ではないのだろうかという感じが最近非常にしてきまして、もう憂慮にたえません。昨日我が党の質問にも、御存じのとおり一つの例示がありました。どれくらいの地域でどれくらいの広さのリゾート計画があるのか、国土庁、資料はもらいましたが、まず簡単に答弁してください。
  43. 野沢達夫

    ○野沢政府委員 リゾート法に基づきます基本構想の承認状況でございます。  昭和六十三年の七月に最初の承認が出ましてからこれまでに二十の道府県の総合保養地域整備の基本構想が承認になっております。また、引き続きまして四県につきまして現在基本構想の承認申請が行われているというところでございます。
  44. 和田静夫

    和田(静)委員 そこで、法適用のプロポーズを決めた候補地が、全体としては千百万ヘクタールですか、これは何と驚くことに国土の三割ですね。これだけ日本の国土がひっくり返されていったら自然の大破懐はもう免れないんじゃないかと思うのですが、国土庁長官、あるいは六省共同ですからどこの大臣でも。
  45. 野沢達夫

    ○野沢政府委員 全体のリゾート法の面積につきましてただいま御指摘がありましたけれども、ちょっと手元に数字を持ち合わせておりませんが、各地域につきまして現在二十の地域で基本構想の承認がされております。おおむね十五万ヘクタールということを基本にして現在それぞれの承認された地域において整備が進められているところでございます。  自然破壊の問題というのですか、自然環境の問題が御指摘がございましたけれども、そもそもリゾート地域にとりまして良好な自然環境と申しますのは大変不可欠のものでございます。重要な資源でございます。したがいまして、こういった自然環境につきましてはできるだけこれを保存していく、自然環境の保存に配慮していくということに努めているところでございます。六省庁でリゾート法に基づきます基本方針を定めておりますけれども、その中でも自然環境の保全につきましては十分配慮するということが明記されておりまして、そういった方針に基づきまして現在各県の基本構想の承認を進めたりあるいは指導を行っているところでございます。
  46. 和田静夫

    和田(静)委員 六省関係からいただいた資料に基づいて私は数字をはじき出していますからね。承認済みのリゾートの基本構想、これは最も小さいもので六万ヘクタール、四千億円ですね。大きいものでは三十三万ヘクタール、金額に直すと九千六百億円などというものがあるわけです。後ほど僕は法人税の国内での税の収納問題などを論議するわけでありますが、国土計画であるとか西武グループだとか、この半分ぐらいは全部かかわっているわけですね。  そこで、これは端的に言って私は大変無節操なのではないだろうかという感じがするのです。リゾートというものは海外の例から見ても、地域の特性を生かして非常に長い年月をかけてやっています。そこらのところがどうも日本社会では忘れられているのではないか。行政の側もそのことを念頭に置いていないのではないだろうか。そして、考えてみれば金太郎あめのようにどこへ行っても大体同じようなリゾートという計画なんですね。今の答弁にもありましたように、十年ほどのうちに一挙に十数カ所もつくってしまう、これはもう行き過ぎだという感じがどうしてもしますよ。そのために地価が上がる、あるいは地方の破壊が進む、自然破壊だというようなことになるわけでありまして、これは六省だけではなくて政府全体としてしっかり考えなければならぬことだと思うのだが、官房長官、いかがです。
  47. 野沢達夫

    ○野沢政府委員 リゾート構想、リゾートの整備でございますけれども、最近の国民生活の変化というのでしょうか、余暇時間の活用あるいは健康志向、そういったことでこういったニーズがかなり伸びていることは事実でございます。そういった中で、健全な、良好なリゾート地域を整備するということで総合保養地域整備法を成立していただきまして、それに基づいて現在主務省庁、六省庁連携をとりながら良好な、そして健全なリゾート整備を推進しているところでございます。  これにつきましては、自然環境の破壊の問題とか地価の問題とかいろいろ御指摘もあるところでございますが、そういった点につきましては、先ほど自然環境の問題についても申し上げましたが、また地価関係につきましても、リゾート地域の承認がありましたら、監視区域制度などを活用して地価が安定するようにというふうな配慮をし、適正な土地利用につきましても配慮する、こういった点を多角的に指導しながら現在進めているところでございます。  いろいろ御意見があることは事実でございますので、そういった点を踏まえまして、関係省庁連携をとりながら、良好な、そして健全なリゾート地域の整備が推進されますように今後とも努力してまいりたいと考えております。
  48. 和田静夫

    和田(静)委員 これは月並みな答弁をされてみたところで、現実に起こっている状態はそういう状態にはないわけですから、しっかり対応を求めておきます。  大体一遍に全国数十カ所で、先ほども指摘しましたように国土の約三割というリゾートが成り立つはずがないと私は思うのですよ。もし途中で失敗したら一体これはだれが責任をおとりになるのです。六省庁大臣ひとつ、代表してやはり国土庁長官ですか。
  49. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 和田先生にお答えいたします。  実は先生の御指摘の点は大変大切な問題でございます。そんなことでございまして、各地域におきまする特異性のあるリゾート地域をつくりたいというようなことでいろいろ指導しているわけでございますが、これは基本的にはやはり民活ということで民間が中心になるということでございまして、行政機関は応援団みたいな立場をとっておるということでございまして、我々とすれば何としても成功させたい、そんなことで地域の活性化を図りたい、このように考えておるわけでございます。
  50. 和田静夫

    和田(静)委員 私は、もうかなりのところで失敗する危険性があるというふうに思いますので、これはそのころになって責任がどうだこうだと言ってみても始まらない問題でありますから、慎重な、ある意味では正確な対応というものを求めておきたいのであります。  これも既に資料をいただきましたから簡単に答弁をもらっておきますが、農地転用型のリゾート計画がかなりあると聞いていますが、農水省、これらは実際問題としてすべて認めておやりになっていくという考え方でしょうか。
  51. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 リゾート法に基づく基本構想を作成する段階で、その構想の中に農地転用がどの程度予想されているかということを私どもも調整している次第でございます。  既に承認されました二十地域合計の農地転用予定面積が三千八百五十九ヘクタールございますけれども、これはこの地域の整備計画が十カ年計画ということでございますので、この三千八百へクタールは約十カ年の間に農地転用がなされるのではなかろうかというふうに予定している次第でございます。
  52. 和田静夫

    和田(静)委員 全体として四十三万ヘクタールの中でですね。
  53. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 はい、そうでございます。この三千八百ヘクタール、十カ年ということでございますと、実は農地転用は全国で毎年四万ヘクタールぐらいございますので、その中で約一%ぐらいの比率になるのではないかというふうに見ております。具体的な農地転用の審査に当たりましては、その転用の確実性であるとか、それからまた農業に対するいろんな悪影響がないかどうか、そういうものを十分審査して具体的な転用を行う予定でございます。
  54. 和田静夫

    和田(静)委員 林野庁、ヒューマン・グリーン・プラン、昨日も説明を受けました。これで国有林の賃貸を計画をされているのですが、その合計が百五十カ所、一万五千ヘクタールにも及ぶわけですね。これだけの森林を破壊をして国民が得るところのメリットというのは一体何なんでしょう。
  55. 甕滋

    ○甕政府委員 国有林は、森林の三割、国土の二割を占める面積を擁しておるわけでございます。  最近、委員からも御論議のございますリゾートに対する国民的な要請にこたえまして、この国有林をその目的に適切に活用していこうということで、ヒューマン・グリーン・プランを今進めておるところでございます。これは現在までに十二地域につきまして国有林の活用を図ることにしておりますが、その中におきまして、保安林等につきましては林地保全のために適切な配慮を払うということは当然でございますし、またその使う形態等におきましても、国有林が地主という立場で関与いたしますので、遺憾のないように運用してまいりたいと考えております。
  56. 和田静夫

    和田(静)委員 先日来論議がありましたゴルフ場で問題になっている薬剤ですが、もう論議がかなりありましたので、私は総括的なことだけちょっと。  農水省が局長通達もお出しになった、この間も答弁があったとおりでありますし、私もいただきましたが、そこで、登録をした農薬しか使用できないという意味であるのかどうか。それと、ゴルフ場では薬品をたくさん使用しているわけですね。そうすると、総量規制という問題をどういうふうにこれは考えるのだろうか、そこのところをちょっと答えてもらいたい。
  57. 松山光治

    ○松山政府委員 農薬の使用に当たりましての非常に重要な点は、人畜なり周辺の環境に悪影響を及ぼさないということでございまして、そういう観点から多数の項目にわたりまして詳細な試験研究データをとり、それを安全性の観点からチェックいたしました上で登録いたしましたものを販売、使用する、こういうことで、しかも定められた方法で使用するように、そういう適正な使用を行わせておるところでございまして、引き続き関係省庁、都道府県とも連携をとりながら、そういう指導に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。  ただいまの総量規制の問題でございますけれども、特に心配されます水質との関係ということに相なろうかと思いますが、これにつきましては、環境庁等におきまして水質保全の観点からの検討を具体的におやりいただいておる、こういうふうに承知をいたしておるところでございます。
  58. 和田静夫

    和田(静)委員 EPNですね、これは水質汚濁防止法では含まれていない物質であるようですが、どうもゴルフ場で使用されて、地下水など水質汚染の可能性が濃厚ではないだろうかと私は思うのですが、厚生省、いかがですか、これは。
  59. 目黒克己

    ○目黒政府委員 水質の問題でございますが、各都道府県が行いましたゴルフ場周辺におきます水質調査におきましても、浄水場の取り入れ口において水道基準にあるようなものが検出された例はない、特にEPNのようなものが検出された例はないというように私ども聞いておるわけでございます。
  60. 和田静夫

    和田(静)委員 水質汚濁防止法がやはりしっかり守られるような指導の強化を私は求めておきます。  農薬に触れましたので、食品の汚染にちょっと触れますが、アメリカではポストハーベストをやっているようですね。ここのところは農水省、厚生省どちらか、どういうふうに実態把握をされていますか。
  61. 目黒克己

    ○目黒政府委員 ポストハーベストの問題につきましては、私ども安全性の問題についていろいろ検討いたしておりまして、何回かお答えを申し上げておりますけれども平成三年度を目途に調査研究を行い、一定の基準を出すべく今作業中でございます。  また、使用等につきましては、農水省の方からお答えがあろうかと思います。
  62. 和田静夫

    和田(静)委員 わかりました。これも答えはもらっていますからあれですが、そこで私は言っておきたいのは、このポストハーベストの農薬の中で、日本では登録されていない農薬がアメリカでは二十一種類も使われている、こう言われているわけであります。ここのところは、貿易問題とは別に、健康にかかわることなので十分な対応、検査をとるべきだと思っていますが、これはどちらでもいいですけれども、農林大臣ですか。
  63. 目黒克己

    ○目黒政府委員 ポストハーベストの基準をつくるに当たりましては、当然この当該使われております農薬、種類、それからそれがどういう種類の作物にあるいは農産物に使われているかというものを一つの農薬についてそれぞれ基準をつくらなければいけないわけでございます。それぞれの基準については、非常に徴量な測定をしなければいけないものですから、学者の中にいろいろの方法論はございますけれども日本に輸入されている農産物に使用されている残留農薬について、一定の基準をつくるに足るようなはっきりした科学的な根拠に基づいた検査方法、ソフトウエア等を今まだ検討中ということでございます。また、なお、世界各国でFAO、WHOの基準等々、既に基準があるものもございますし、ある程度の科学知見もあるのでございます。そのようなものを集約いたしまして、輸入食品の監視体制の中では現在のところそれほど危険なものはないというように私どもは聞いておるのでございます。
  64. 和田静夫

    和田(静)委員 機能性食品という定義がつくられるようですが、業界では早くもこの生産に入っているといいますか、製造過程に入っている、こう言われているのですけれども、機能性食品というのは一体何ですか、これは。
  65. 目黒克己

    ○目黒政府委員 機能性食品と申しますのは、食品の中に一定の健康増進等に役に立つようなものを入れまして、そして加工して食品とする、こういうようなものを一括して機能性食品というように定義をいたしているのでございます。この食品がどのように健康に効くかどうかといったようなメカニズムについてはいろいろ学者の中で御意見がある、このようなことは承知いたしているところでございます。
  66. 和田静夫

    和田(静)委員 そこで、身体への効果という点では、薬が薬効をうたってもよいことになっているのはよく私は知っていますが、しかし例えばカルシウムが体によいなどというような説明が何の因果関係説明ができるのだろうかということは非常に疑義がありまして、そういうようなうたい方というのは機能性食品についてどうも疑いがある。考えてみますと、機能性食品研究会は、これは大企業ばかりでしょう。早い話が、この大企業のお金もうけの手伝いを、機能性食品というような形のものを定義づけることによって政府側、官側がやるというような結果になりませんか。
  67. 目黒克己

    ○目黒政府委員 機能性食品の問題につきまして、今御指摘のような点について、当然安全性の見地から私ども検討会のメンバーも選び、また御議論をいただいているわけでございます。なお、先ほど申し上げましたように、健康増進に効くかどうかとか、あるいは安全性等を含めまして公衆衛生上の問題点について主として御議論をいただいているところでございます。
  68. 和田静夫

    和田(静)委員 今私が危惧をしたそのことについては、十分配慮をされておやりになるように求めておきます。私が指摘をしたことが近い将来やはりそうだったということがないように。  今、長寿社会への対応があらゆる面で求められていると思うのです。一言で高齢者といいましても、経済的にも健康上も家族関係もそれぞれ格差があって、考え方も種々雑多であります。したがって、高齢化社会のありよう、個人、家族、地域の連帯性を確立するために基本となる憲章的なものを今日もうつくることが必要な時代になっているのではなかろうか、そういうことを私は痛感をするのであります。  古いことを思い浮かべてみれば、国連の人権宣言だとか日本国憲法に基づいて児童憲章をつくる作業をやりましたね。そのときに老人憲章をも同時に制定したらどうだという論議があったのを思い浮かべるんですが、今こそ高齢者など社会的弱者の人権尊重を図るために、以前総理府に児童憲章制定会議事務局が設置をされた、同時に児童憲章草案準備会が発足をした、そして児童憲章最終案を作成をした、こういう経過をお互いよく知っているわけでありますから、同様の高齢者憲章づくりのための組織を政府の中におつくりになって、これは総理府ですか、おつくりになって、そしてもう検討をお始めになる、こういうことを考えられたらどうだろうかという提案をしたいのです。  また一方、自治大臣には、自治体における高齢者憲章づくりがあちらこちらで今進んでいるんですが、これらをやはり高揚をさせていくということも私は今日不可欠な社会的な要請であると考えていますけれども、いかがでしょう。
  69. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 和田委員、ただいま児童憲章の制定された経過に触れながら、長寿者憲章といったものを制定していったらどうか、そのための準備を進めていったらどうか、このようなお話がございました。児童憲章ができ上がった過程におき ましても、国民世論の盛り上がりが大きな支えになったわけでございますが、私どもはそのような国民世論の盛り上がり等を十分に見守りながら御提案の趣旨を検討してまいりたい、こんなふうに考えております。
  70. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 先生もお触れになりましたように、既に各地方自治体においては、地域事情に応じましてそれぞれ長寿社会計画あるいは大綱等を決めておる自治体がたくさんあることは、御指摘のとおりでございます。しかしながら、高齢者憲章を制定するということも施策の一つとして評価することができると思っております。基本的には、私の立場からいえば、各団体の自主性に任せるべき問題でもあろうかと思っております。
  71. 和田静夫

    和田(静)委員 今総務長官の御答弁がありましたが、私は強い期待を政府に寄せておきたいと思います。  この際、文部大臣にお伺いをしておきますが、これら高齢者憲章の中に盛り込むべきものを私は私なりに頭の中にいろいろ描いています。そういう中でひとつ、やはり高齢者生涯教育問題について一定の方向性などというものを宣言をするというようなことも私は大切な仕事の一つだと思っているんですが、文部大臣、いかがです。
  72. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 ただいま御指摘の高齢者憲章の問題につきましては、各省庁と連絡をとりながら十分対処してまいりたいと思っております。  今御指摘の生涯学習の問題でございますが、かつて、昭和六十一年に長寿社会大綱というのを閣議決定いたしております。その中に学習参加システムという項目を立てておりますが、そこで生涯学習システム並びに社会参加活動という二つの項目を出しております。そういったものを十分配慮しながら、考えながら、先生御指摘のような方向へ努力をしてまいりたいと思います。
  73. 和田静夫

    和田(静)委員 郵政大臣、さらに前からの質問を続行せざるを得ませんので、若干の質問をいたしますが、まず、リクルート社からの接待についてでありますけれども官房長官には一言も接待の報告はされませんでした。記者会見でも記憶にないと語っていらっしゃいましたが、三月十四日のリクルート事件の公判で検事調書に取り上げられました接待の事項二つについては、これはお認めになるわけでしょうか。
  74. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 この間、新聞を通してその調書の中に二回にわたって私に接待があったという、そういう報道がなされました。私といたしましては、接待を受けたというそういう認識は正直なかったものでありますから、いろんな角度から振り返って私なりにも調べてみました。  先生御案内のように、私ども東京の下町というのは非常に会合が多いものでありますから、また、私どもはどちらかというといろんな役所関係も含めたさまざまな会合に小まめに出ているようなタイプだったものでありますから、非常に数多くて、具体的にこれがあのときのというのが定かでなくて、ただ言えますことは、何かを頼まれてそのために接待を受けたというような認識は全くないということを申し上げてまいったわけであります。
  75. 和田静夫

    和田(静)委員 その御答弁は何回か聞いたんですが、具体的に、五十九年二月、東京浅草の料亭で労働省の野見山審議官とともにリ社の位田当時の取締役と同席をされて、接待の認識は別として、そういう接待の状態にあったということは事実でしょう。
  76. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 まことに申しわけないんですが、五、六年前の話で、具体的な事実を私がきちんと認識したという状態ではありません。ただ、かつて労働政務次官などをやりました関係加藤さんともその他の方々ともじっこんでございましたから、御一緒するという機会はあったことは間違いがありません。ただ、それがただいま御指摘の会合であるかどうかということは全く定かではありません。
  77. 和田静夫

    和田(静)委員 もう一つ出ているのは、六十一年九月、東京平河町のスナック「ラテン」で当時の加藤労働次官を含みましてリ社からの接待を受けたというような調書になっているわけですけれども、検事調書そのものが全部私は正しいなどと思って言っているわけじゃありませんが、こういうようなことは、今あなたは御記憶にないと言う、日時を設定することが記憶にないと言われればそれまででありますが、あったということでしょうか。
  78. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 ただいまの御指摘について正確な答えになるかどうかはわかりませんが、今の「ラテン」というのは、私自身が大変懇意にしている店でございまして、家族や友人や新聞記者等も含めて非常に数多く、小ぢんまりした店なものですから、行った場所でございます。そういう店の中で、まあせいぜい十五、六人しか入らない場所で、そこへほかの客が来て一緒に騒ぐということもございました。こういう場所で御報告するには余り適切ではないのでありますが、そういう場所が「ラテン」でございます。ですから、特別そこへ招待されたというふうな形ではありません。
  79. 和田静夫

    和田(静)委員 今の御答弁を聞いていますと、検事調書に出ているような一回、二回というようなものを限定するだけではなくて、それ以上の何回もの接触があって、どれがどれか特定ができない、こういうような関係にどうもあるようであります。  五十八年と六十一年の選挙の際に、あなたの選挙事務所にはリクルートの社員が多数派遣をされて、運動費用もリクルートが相当お持ちになった、これは情報ですが、私はそういう情報をここに手にしていますけれども、これは事実ですか。
  80. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 その前に、前段和田委員の言われた、「ラテン」その他の会合で頻繁にそういう方たちと会ったといったようなお話がございましたが、そういう意味では全くございませんで、よく私どもが他の関係で使っていた場所であるということを申し上げたわけでございます。  ただいまの先生御指摘の選挙というのは、何年と何年でございますか。
  81. 和田静夫

    和田(静)委員 五十八年と六十一年です。
  82. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 五十八年、六十一年ともに私どもはもう選挙にかかりきりでわかりませんから、どこの会社、どこの団体がどのような形で応援していただいたかというのは定かではありません。ただ、私どもは裸一貫で政治の道を歩んでまいったものですから、あらゆる人たちが本当に無報酬で積極的に応援をしていただいて今日まで当選を重ねてまいったわけでございます。選挙になりますと、私も私の身内もほとんど外に出ておりますので、ただいま御指摘のような事実関係については、私どもは明らかではございません。
  83. 和田静夫

    和田(静)委員 六十三年以降もリクルートの大沢さんとあなたが頻繁にお会いになった、そういう情報も得ているわけですが、これはいかがですか。
  84. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 前にも申し上げたことがございますが、彼とは五十一、二年ごろからの友人でございます。したがいまして、彼との交流というのは長い間の期間でございます。続いておりました。ただ、六十三年のあのリクルートの騒ぎが起こりましてから、率直に申し上げてまことに友情としては残念ではございましたが、会うことも極力避けようということでほとんどお会いする機会はございません。せいぜいあれからお会いしたとしても一、二回程度のことでございます。その前は一木会といったような交流親睦団体等でお会いするということがございました。
  85. 和田静夫

    和田(静)委員 一、二回はその後もお会いになっているということであります。  そこで、過日来問題になっていますリクルートからの退会届をお出しになるというような話があったのですが、私は、リクルートから受け取られて処理をした会費、後でお返しになったと言われたものの帳簿は当然原票があると思うのですが、それ。それから、返金をした際の銀行振り込みなどの控えの原本、これは提出できるわけでしょうか。
  86. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 過日来、資料の提出等につきましては、委員長もしくは理事会で処理をしていただいておけますので、出す出さないということは別といたしまして、今まで私が申し上げてまいりましたことは全くそのまま事実でございます。
  87. 和田静夫

    和田(静)委員 それでは委員長、これは今答弁がございましたから、理事会にお預けをしますが、よろしいですか。
  88. 越智伊平

    越智委員長 理事会で協議をいたします。
  89. 和田静夫

    和田(静)委員 これは報道ですが、報道では、リクルートの内部文書に「S職名簿」、スペシャル職というのがあって、その中には藤波元官房長官の元秘書さん、安倍元幹事長や遠藤政夫前参議院議員の御夫人などとともに、あなたの秘書の石塚さんの名前も載っているということになっていますね。これは実際は政治家の秘書や妻であって、その給料名目で献金がなされていたのではないかという疑義があるわけですが、それを偽るために名目上リクルート社員としたというようなことではないのだろうかと思われるのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  90. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 この間新聞の報道を見ましたが、多分先方のところからのニュースソースだということで記事になったと思いますが、私どもはそこいらについては関知いたしておりません。
  91. 和田静夫

    和田(静)委員 たびたび言われますように、石塚さんが本当にリクルートの社員であったなら、どういう職務についてどんな仕事をされていたかというようなことは、大臣御存じだったわけですか。
  92. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 石塚君がリクルートにかかわりがあったというのは五十三年前聞いたことがございますが、当時といたしましては格別に社会的な問題になっていなかったものでありますから、全く私どもは深い関心を持っておりませんでした。  それから、どういう形の仕事かということにつきましては、彼とリクルート社の関係でございまして、私は定かではありませんが、渉外のようなことをやっていたということを最近報告を聞いております。――御無礼いたしました。六十三年のことでございます、済みません。
  93. 和田静夫

    和田(静)委員 これも、渉外のような関係の仕事をおやりになっておったということを証明できるような資料が出せるのでしょうか。  また、念のためでありますが、石塚さんが六十三年十一月に公認の秘書として衆議院に登録をされた、その際に事務局は提出をされた履歴書を衆議院事務局の確認書をつけて提出をしてもらいたいなと思っているのです。私は、この程度の事実確認の作業というのは、委員会での手続、国会法百四条だとかなんとかいうような手続などというものは省いて、大変問題になっている時期でもあるので、郵政大臣が自発的におやりになって当然ではないだろうかというふうに考えているのですが、いかがでしょう。
  94. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 彼を公式な秘書として採用した際の履歴書を私は見ておりませんが、恐らく、聞いた範囲ですけれども、大学を出てからの細かい入退社を記述するようなことはしてなかったような感じで聞いております。
  95. 和田静夫

    和田(静)委員 私がそう申し上げたのは、官房長官は過日の答弁で、私が四項目挙げた中にこれが入っているのですが、その裏づけは自分なり自分のいわゆる事務関係者に全部やらせた、こういうふうになっているわけです。官房長官は履歴書を点検することができたが、国会で問題を提起している私たち国会議員はそれを今の段階では見ることもできないという状態がちょっと不合理じゃないかと思うものですから申し上げているのですが、官房長官、どういうふうにお考えになります  官房長官に求めてもあれですから、大臣、そういう考え方で私は申し上げたので、どうですか、今言われたようなことを裏づけられるためにもお出しになってみたらいかがです。
  96. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 先ほど申したような次第で、資料等につきましてはお任せしたような形になっておりますので、私どもの方としてはただいま申し上げたとおりでございます。
  97. 和田静夫

    和田(静)委員 それでは、大臣答弁がありましたから、委員長、これも理事会にお預けをいたしますが、よろしいですか。
  98. 越智伊平

    越智委員長 和田委員に申し上げます。  今の履歴書の問題等は、院にあるのであろうと思いますけれども、これは我が理事会だけではいきませんので、御承知のように議運の方とも協議をしないと、我が方だけで出せとかなんとか、そういうことを含めて協議をいたします。
  99. 和田静夫

    和田(静)委員 それで、今まで若干の質問をしてきましたが、私、これをずっと整理をしてみました。こういうことに素直になると私は思うのですね。  官房長官、食言という言葉は言葉を食べるというところから出ているそうなんですが、いかに飽食の時代とはいえ、言葉を食べるなどということを私たちはやはりお互い戒めなければならぬのだろうと思っていますけれども、深谷郵政大臣にずっと聞いてまいりまして、リクルートとの関係に関する疑惑というのが、長い答弁を通じて、先ほど答弁だけを言うわけじゃありませんが、どうもすっきりしないのですね。その大きな理由というのは、大臣とそれから秘書官の発言、これはずっと一体性ですから、この発言を含めてどうも発言のたびに内容がずっと変わってきたという経過が残念ながらあるものですから。それで、訂正に次ぐ訂正ということを聞かされてまいりました。大臣は三月二日に記者団に対して、昨年二月スタッフを動員して調べたがどうぞ御心配なくと言われました。あの時点で調べたのだから心配ないと言明を一時期されました。現時点ではこの発言というのは誤っていたと思われるのですが、これは見解、訂正をされていいわけですね。
  100. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 和田委員にお答えしますが、当委員会においても他の場所におきましても、私の認識の違いとかあるいは事務的な調査のそごを来したことによって、このたびこういうふうな形になりましたことをまことに申しわけないと思っているわけであります。私は、このたびの私のそういうボタンのかけ違いといいましょうか、申告がおくれたこと等について、総理を初めとする国民の皆様に大変御迷惑をかけたということについては、本当に申しわけないと思っております。私なりに、すべての反省の上に立って誠実にお答えをしてまいったつもりでございます。心から重ねて申しわけないということを表明させていただきます。
  101. 和田静夫

    和田(静)委員 スタッフを動員して調べた結果、大臣就任時には自主申告をしなかった、これは食言ですよね、官房長官。  それから、さらに三月十四日のリ事件公判の直後にも、今も言われたのですが、接待に記憶はない、昭和六十三年以降パーティー券、陣中見舞いなどを受けたことはない、それ以前も私の記憶にはない、これはもう全面否定をされた。関係者の地検の証言を完全に拒否をされたということになるのでして、ここのところをこういうふうでずっときたことを考えますと、どうも私は、大沢元専務を参考人として本委員会に、締めくくり総括の前までに呼んでいただかなければ大臣答弁を裏づけることができないのではないかということで、大沢元専務の参考人招請を要請をいたします。
  102. 越智伊平

    越智委員長 これも理事会で協議をいたします。
  103. 和田静夫

    和田(静)委員 六十三年夏以前も以降も金銭授受がなかったように言っていらっしゃるのですが、ところが、九日後の二十三日には千二百三十六万円の献金を認めた、お認めになったという、これは食言。今御答弁がありました認識の違い、あれがあって迷惑をかけたということですね。  それから、大臣の牧野秘書官は三月十七日に、毎月二万円の会費について、事務所ではそういうたぐいのものは見当たらなかった、銀行口座の調査やリ社への問い合わせをするつもりはないと語られた。なぜこういう発言が出たのか。ここのところは、ちょっと大臣、現時点ではどういうふうにお考えになっていますか。
  104. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 本当に説明しにくくて申しわけないのですが、牧野秘書官にもそこいらのいきさつを聞いたのですけれども、いわゆる公式な記者のインタビューとか記者会見という場所ではなくて、ふだんいろいろな記者の皆さんが常時おいでになる、そういう中のひょっとした発言がそういうような記事になったといって、本人も非常にそれを悔いておりました。きちっとしたコメントを求められた記者の質問とかいうような状況ではなかったというふうに聞いておるわけであります。
  105. 和田静夫

    和田(静)委員 牧野秘書官が三月十九日に、資金提供は一昨年夏以降はないと思う、パーティー券について「毎年のように百枚も購入してもらうなんてことはありえない。盆、暮れの資金提供は少なくとも六十三年はあるはずがない。後援会費も六十三年夏以降は絶対ない。六十三年より以前のことについてはよく調べてみないとわからない」と語りました。ここのところもどうも腑に落ちないところでありますね。  もう時間がありませんから続けますが、さらに大臣は三月二十日に、資金援助について、一昨年夏以降についてはないという確認がとれていると否定をされた。それ以前の資金提供については再調査をし、できるだけ早く公表するとしゃべられましたね。再調査したところ、わずか三日後に千二百三十六万円もの政治献金の発見がされたわけであります。スタッフを動員して調べてもわからなかったものが三日間でわかってしまったわけであります。ここのところも、後からこの問題を読んだ者の一人として大変腑に落ちない。さらに、六十三年夏以降も月々二万円を受け取っていらっしゃった。夏以降についてはないという確認がとれているというのを三日後に修正をされている。官房長官、これも食言なんですよ。食言の定義は前段申し上げました。さらに、リクルート社と関係がないかのような形で、パーティー券や陣中見舞いなど受けたことはない、こういう三月十四日の発言を三月二十三日に陳謝をされている。これも、官房長官、食言なんですよ。  官房長官、私はこういうふうに客観的に後からずっと記事だとかああいうものを読みながら素直に思うのです。というのは、国民の中にリクルート事件はやはりもう徹底的に追及をすべきだという世論というのは世論調査でもまだ非常に深いわけでありますから、そして海部内閣はそのことを非常に表看板にされているわけなのであえて申し上げるのですが、自分の秘書がリクルートの社員であれば、リクルート社との関係というのは一度で私はすっきりわかるはずだと思うのですね。もしわからないのならば、石塚さんはリクルートのいわゆる社員ではないか、派遣社員ではないか、それともすべて虚言であるか。こういう数々の食言というのは、やはり私は、迷惑をかけましただけでは許されないものだろう、現職の大臣として。  また、大臣は四月九日に、石塚さんが後援会の世話役として活動していたことを認められて、それまでのボランティアという答弁を修正されたわけであります。ボランティアであったのかそれとも世話人であったのか、それともボランティアで世話人であったのか、いずれなのかということもこれは実は正確でないのですが、ここのところは、大臣、どうなんです。
  106. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 これも前に申し上げたことでございますが、私どもの事務所にはいろいろなタイプの人たちが協力をしてくれておりました。石塚君の場合も政治家を志して、残念ながら今日までそのチャンスはなかったのでありますけれども政治家になりたいということも含めて一生懸命頑張ってくれておりました。このたびのこういう件になりましてから、改めて彼の大学卒業以降の経歴なども私も点検をいたしましたが、例えば五十三年、他の議員の御指摘で、当時運転手をしていたのではないか、こう言われたりもいたしたのでありますが、そういうときもほかの会社に厳然として社員として勤めていたわけでございます。彼は積極的に、自分の勉強も含め、また私どもの選挙や後援会づくりにも参加してくれておりまして、私はその行為に甘えていたと言われればその批判は受けなければならないとは思っておりますが、そういうつき合いが続いてまいったのであります。ですから、五十五年後援会の世話役として云々という話もその延長線上でございます。  私百身も政治家になりたくて、ほぼ十年ほとんど無給で某先生のもとに通い続け、そしてやがて区会議員から都会議員と上がってきたものでありますから、そういうケースもあり得ると私なりに受けとめていた。そこいらには、これからの時代にはそぐわないと思って反省すべき点もございますが、私どもの認識はそういう認識でございました。
  107. 和田静夫

    和田(静)委員 ここのところの答弁、余りはっきりしないんですが、私は、石塚さんが深谷さんと一緒にお歩きになって秘書名刺をずっとお渡しになっていたときの、昭和五十六年から六十一年の間に配られたと考えられる、なぜならばファックス番号などが入っていない古い名刺でありますが、そういうものを収集して持っていますからあれですが、石塚さんという方は、私も大変話題になって恐縮だ、気の毒だと思っているのですが、非常に評判のいい秘書でして、さすがあなたが連続、非常な高位当選をされるもとをつくっていらっしゃる、これはもう本当にたぐいまれな秘書だという、我が党のもちろん下部組織の諸君だって非常によくつき合っていまして、立派な秘書である、そのことは何も否定はしない。そう証言する人はたくさんいますよ。それなるがゆえに私は、大臣の今までの答弁の曲折というのは許せないんですよ。一人の非常に有能な秘書がこのことによって傷つけられるというようなことは、私は、それは大臣、十分に考えなきゃならぬことだと思っているのであります。  彼がリクルートの嘱託の派遣社員なら、私はリクルート社の承認なしに後援会での活動はできなかっただろう、こう思いますよ。それから、彼が昼も夜も非常によくお働きになっているわけですが、大変敬服する思いだし、本当に持てるものならこのぐらいの秘書を持ちたいなと思いますよ。それぐらいの証言がある秘書でありますが、後援会の世話人がちょっと自分の体があいている間だけボランティアするなんていうことはどうもできるはずがない。また、ボランティアのそういう状態の人を自由民主党の秘書会名簿に載せるケースというのも大体考えられないんじゃないだろうか。彼がリクルートの承諾を得れば、既にあなたと知り合いだった大沢元専務があなたにそのことを連絡をしてこないはずがない。そして、先ほどもちょっと触れました、もし彼がリクルートの派遣社員なら、リクルートからの政治献金、パーティー券、毎月の会費、陣中見舞いを派遣社員が知らないということはあり得ない、それが社員たる者の仕事であろうからと私は思いますね。  そうすると、石塚さんという人は後援会の世話人をして第一秘書になった、それほど深谷さんから信頼を得ている人物であったわけですから、そういう人物を社員としているのですから、社員を通して、あるいは社員に知らせて献金や陣中見舞い、パーティー券を購入することになる。したがって、深谷さんはずっとリクルート社との関係を知っていたはずである。もし石塚さんがリ社の派遣職員でなくて単にお金をもらっていただけの関係だというふうに考えてみますと、そうすると深谷さんが旧知の大沢専務なりリクルート社に頼んで、あるいは申し出を受けてこういう話というのは成立をした話だろうというふうに衆参の論議をずっと読んでみてそう思うんですね。  秘書の収入、生計をどこから得ていたかも知らないのでは、これはどうも変だ。つまり第一に、石塚さんが単純なボランティアというのは不可能である。第二に、深谷さんは、石塚さんが派遣社員だとしたら、リ社との関係を知っていないはずがない。第三に、秘書給料分をもらっていただけだということにしてみれば、これも深谷さんは必ず関与をするからできることだろう。よって、リクルート社との関係が後から調べていって判明したというのは、これはもうすべて食言であるというふうに残念ながら考えざるを得ません。  そこで、私は前回も申し上げたのですが、やはり深谷さん、この辺のところは大変たくさんの食言が続いているのですから、当然大臣をおやめになるのがしかるべきだ。私は、ある意味ではあなたの将来などというものを、東京での活動を見ながら考える政治家の一人として、素直に、率直にそう申し述べます。  私は何も、ここは裁判所であるわけじゃありませんからこれ以上のことを申し上げようとは思っていませんが、大臣は一般人以上の倫理を要求されるわけであります。したがって官房長官、もし大臣がおやめにならないのなら、これだけの食言、私はずっと、何というか、ある意味じゃ簡明な論理を展開してきたつもりなのでありまして、この方が大臣のままで海部内閣におられるのであれば、私たちは、やはり今までの食言の状態を見ると、郵政大臣の発言というものは信用できないですし、内閣全体に不信を表明しなきゃならなくなってくる、そういうことだろうと思うのです。私は、自発的に辞任をされることを今素直に求めているのですが、もしそのことがないとするのならば、官房長官、やはり総理と十分に相談をされて罷免をされてしかるべき筋合いのものだと思います。いかがですか。
  108. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 総理の指示によって私が深谷君の自主申告を、内容をチェックをいたしました。また細部につきましては事務方を使って点検をいたしたわけであります。  今、深谷君の一連の発言について食言があったのではないかという御指摘もございました。しかし、深谷君の方から私に対する自主申告、この内容について私はその範囲内においてチェックをいたしましたが、確かに深谷君の閣僚就任時における認識の甘さとか、それから調査の不徹底とか、そういうことで大変遺憾な事態であったということだけは、これはもう間違いはありませんし、その点は私も厳重に注意をいたしまして、深谷君も大変申しわけのないことだと厳しく反省をいたしておるわけでございます。  その他いろいろの問題につきましてただいま委員の御発言がありましたが、それは総理にしかとお伝えをしておきます。
  109. 和田静夫

    和田(静)委員 私、先ほど申しましたけれども官房長官、私の論理展開はすべて深谷さんと秘書官の一体の発言をもとにして行ってきたわけでありまして、私がつくり上げたものではありません。したがって、もし官房長官がこの私の簡明な論理を今のような形でもって肯定をされないということになるのならば、私は、総理と相談をされると言ったのですが、統一見解を求めます。したがって、あとわずか時間が残っていますけれども、その統一見解が出るのを待ちます。(発言する者あり)
  110. 越智伊平

    越智委員長 これにて和田君の質疑は終了いたしました。  次に、新盛辰雄君。――ただいまの問題につきましては、理事会において協議をいたします。  次に、新盛辰雄君。
  111. 新盛辰雄

    ○新盛委員 世界の海上輸送量の四分の一のマーケットを持っております日本ですが、我が国の貿易額に占める海上貿易額というのは、その割合がどれぐらいになっているか、お示しをいただきたい。
  112. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 先生御承知のとおり、我が国の貿易物資のほとんどは海上輸送で運送されているものでございます。
  113. 新盛辰雄

    ○新盛委員 それじゃ、どれぐらいなんだ。何%だ。
  114. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 ちょっと詳しく数字は持っておりませんが、航空輸送を除きましてはほとんどすべてでございますので、重量で申し上げますればほとんどが海上輸送であるというふうに言えると思います。
  115. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そんな答弁しているからだめなんですよ。数字がわかっているでしょう。あなたが知らぬのならこっちで言うわ。わかっているの。あなた、政治家が言うような答弁をするなよ。
  116. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 ただいま申し上げましたとおりでございまして、数字を申し上げますと、重量では九九・三%でございます。
  117. 新盛辰雄

    ○新盛委員 日本経済、そして物流全般にわたるそのウエートを占めている海上輸送、この輸送に携わっております船員の皆さんの御苦労ももちろんでございますが、最近の海運行政、いわゆる全体的な展望に立って、ドル安あるいは円高という状況のときと、ドル高・円安という状況のときと、その横造が大きく変わってきているわけでございます。運輸大臣、その点のいわゆる展望といいますか、将来の海上輸送に対する、運輸行政としてどう見ておられるかをお示しを願いたい。     〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
  118. 大野明

    大野国務大臣 ただいまも局長から答弁いたしましたが、我が国の国民の生活の多くを依存しておるところの物資の運送について、これはもう大変に大きな役割を持っておる、これなくしては我が国の国民生活も維持できないと言っても過言じゃないと考えております。
  119. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今とらえられている視点は、行政としてこれからどうするかという問題では当を得ていないのですが、答弁としては納得できませんが、我が国日本の商船隊、世界に誇る大きな力を持っておりました。それが最近では、この商船隊の内容がさま変わりをしている。便宜置籍船、あるいは後ほど述べますが、マルシップ混乗体制、こういうことで変わっておりまして、今世界を駆けめぐっております約二千隻の日本の船、商船隊、実はその八〇%は外国人船員であります。しかも、船の日本船籍か外国用船かという比較におきましても、今から十年ほど前までは五〇対五〇ぐらいでございましたけれども、もはや六〇%を超える勢いで外国用船がふえている。これはゆゆしきことなんです。日本の将来展望として、今日の日本海運の空洞化が進んでいるということであれば、それに対する対策が必要である。  フラッギングアウト、海外貸し渡し船、これがもうどんどんどんどん出てくるのでは大変なことだというので、御承知のように海運造船合理化審議会、通常海造審といいますが、この海運対策部会小委員会フラッギング・アウト問題ワーキンググループでいろいろと論議をして、一昨年の十二月の十六日にフラッギングアウト防止策についての報告書が出たことは御存じだと思います。その結果は、海外にどんどん船が流出をしていくのでは大変だというので、日本の商船がいなくなるということで、その危機感からフラッギングアウトが極端に進行する場合についての安定輸送の確保のみならず、この優秀な日本の海技技量を、雇用安定の、海技の伝承として、その観点から問題を見る必要があるという指摘があったわけですよ。この指摘を受けて、海外貸し渡し方式による日本人船員と外国人船員との混乗が最も現実的な有効な方策であるというふうな形の中で血の出るような官公労使の交渉が行われて、最近新マルシップ混乗体制が確立をしたと聞いております。  私が指摘をしたいのは、このまま放置していけば一体日本の船は守れるだろうか。当面する緊急最重要課題として外航船員の雇用と保全、そして育成を図る基盤の構築をする必要がある。いわゆる最小限度のナショナルミニマムを設定をする時期に来ている。これは何回か歴代の運輸大臣とも議論をしておるわけでありますが、いまだにその方策が出されていない。これは行政の怠慢だと思うのです。このことについて、どういうふうに今運輸行政として考えておられるのか、お聞かせをいただきたい。
  120. 大野明

    大野国務大臣 ナショナルミニマム問題につきましては、これは今も先生からお話がございましたように、歴代の運輸大臣、多くのやりとりをしておるわけでございます。佐藤運輸大臣の国会議事録も見ましたけれども、自来日本にとって、先ほどもお答えしたように海洋国日本でございますから、いずれにしてもこれは真剣に考えなければならない問題であります。しかし、それ自体を取り上げる人々によってやはりいろいろな議論もございますし、現今の状況からいって、国民的なコンセンサスを得るということについては、これまたいろいろな観点からの激しい論議もあるわけで ございますが、しかし日本人である以上、やはり日本の船がすべてなくなっていいとか、日本人船員が全部いなくなっていいとか、こういうようなものではないということは認識しておると思います。しかし、それだけでは事が運びませんので、中長期的な視点に立って、昨年の秋から、先生が事あるごとに発言したことがございますので、運政審の国際部会において御検討、御論議をしていただいておるというような現今でございます。
  121. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今、日米構造協議等で議論が盗んでございますが、この物流の社会でも海運業を中心にして問題が大きくなってくることは当然であります。  外航海運は御承知のとおり、国際的には単一性のあるもの、一物一価の中で経済的な規則がつけられているわけでもないし、社会的な規制があるわけでもないわけであります。そして、為替レートの変動によって、特にその動静が、動く、静かになるその関係というのは大きな影響を与えることは御存じだと思います。この六十年の規制緩和で、当時ダンピング競争の激化をあおった、それで北米問題が発生したわけであります。そうした投機的な過剰船舶の中で、我が国の外航海運の構造改革だ、それがもう今や緊急雇用対策として取り上げざるを得なくなったという、まさにそこまで追い込んだこと自体問題であります。  この外航二船団、船主団体で見ますと、昭和六十年、一九八五年四月一日の状況が、当時船員が二万六千百九十三人いたのですよ。それが平成元年、一九八九年、昨年の十月一日八千四百十二人です。マイナス一万七千七百八十一人、六七・九%も船員が減ったのです。わずか三年か四年の間にこんなに激変する企業がありますか。国鉄JR問題もございますね。改革問題もあります。しかし、船の方でこれだけの数が減ったことを国民の皆さんは知っていますか。  運輸行政として、特にこうした面で三分の二の船員が海上から切り捨てられたという現実、これが緊急雇用対策として出ましたよ。そして、この雇用対策についても、政府が一生懸命面倒を見たわけじゃない。国鉄のように三年間猶予を持って処置をしたわけでもない。結局海員組合などが雇用促進のためのいろいろな手だてをして、政府の方にもいろいろ助力もいただいた面もありましょうけれども、主として行政がしたのじゃないのです。国がしたのじゃない。これは海員の皆さんが血の出るような努力をされたということを知っておられるのかどうか。  しかも、このような不安定な状況の中で、根本的には日本商船隊を維持することができるのかどうか、非常に不安になっているから、その保全と育成とをこれから将来の政策課題として取り組んでほしい、このことを懸命に主張しておるわけです。どこか私が言っているのは間違っておるでしょうか。しっかりひとつお答えいただきたい。官房長官は海部総理のかわりに答えられませんか。
  122. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 先生御指摘のとおり、六十二年度、三年度、労使が血のにじむような努力によりまして緊急雇用対策が実施されました。私どもとしてはそれによりまして、離職する船員に対しましては、海上職域、陸上職域等につきまして労使ともに私どもと一緒になって職域開拓に努力をしておりますし、また離職をして職が見つからない間には、船員の失業保険とか就職促進手当等の諸手当を支給して、その間訓練等もしていただきまして再就職の機会を待っていただく、そういう対策を実施してきておるわけでございまして、今先生が御指摘のとおり、日本の外航船員は一万人を割るような状態でございます。私どもといたしましては、もうこれ以上船員が減らないようにいろいろな対策を立てていきたいと考えて、これからもいろいろな諸対策を講じてまいりたいと思っております。
  123. 新盛辰雄

    ○新盛委員 ここで確認しておきますが、この長中期的な海上職域外航船員の確保を図るためにも、今近代化船を中核として適切な、今お答えがございましたが、処置をされているというのですけれども、それらの歯どめをどうつくるか、これはただ一生懸命やっているというだけじゃだめですよね。この歯どめをつくるためにどうするかということについて、政策的な問題ですから、ぜひひとつ運輸大臣お答えください。はっきりと策定をしてまいります、こうお答えいただければいいのですが。いや、運輸大臣答えてくださいよ。
  124. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 平成二年度の予算等におきましても、新しく船特法の改正等によりまして、どうしても海上職域を離れざるを得ないというような方々は一部船員雇用促進センターというようなところで吸収いたしまして、海上職域にとどまっていただきたい、そういうような対策をとっております。(新盛委員「答えになってないんですよ」と呼ぶ)
  125. 宮下創平

    ○宮下委員長代理 新盛君、委員長の許可を得て発言してください。
  126. 新盛辰雄

    ○新盛委員 はい、わかりました。ナショナルミニマムを策定できますかどうですかと聞いているのです。そのお答えだけですよ、大臣
  127. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 先生先ほどお話しになってございますように、外航海運にかかわるナショナルミニマムの設定につきましては、従来からいろいろな大臣のときに御質問がございましてお答えしているとおりでございまして、ナショナルミニマムというような形で明確に設定することは、いろいろな考え方があって難しい問題がございますけれども、中長期的視点に立って日本の海運の将来像、船員問題も含みますけれども、そういうものについてはどのようにしたらいいかというようなことについては、これは大変重要な問題である、そのように考えまして、昨年末来運輸政策審議会、これは運輸省の基本政策を審議するところでありますが、そこにそのための部会がございますが、そこで審議をお願いしているところでございます。
  128. 新盛辰雄

    ○新盛委員 運輸省は、外国でこうした問題で特に政策的な面に及んで計画をしている国を御存じですか。
  129. 宮本春樹

    ○宮本政府委員 お答えいたします。  日本と同様の問題を世界の先進海運国も抱えておるわけでありまして、主として船員、人のコスト高に伴いまして、外航海運を維持していくことがなかなか困難になってくる。そういう意味で、フラッギングアウト現象ということがヨーロッパの国を中心として非常に起きているわけでありまして、それにつきましては、ヨーロッパ諸国では特殊な登録制度をつくりまして、そういうところに登録した船舶に対しましては自国の船員でなくてもいいというようなことでコストの削減を図る、そういう政策をとっていることは、北欧諸国等を中心に行われていることは承知しております。
  130. 新盛辰雄

    ○新盛委員 各国々の、特に海運の進展に寄与している国では、本当に国策としてその取り扱いをしているわけですよね。日本の貿易物資の、先ほどは九〇%とおっしゃいましたけれども、正確には八〇%をちょっと過ぎていますけれども、今状況が違っていますから。そういう日本経済、我我の食糧を初めとして大変重要な位置にあるこの海上輸送の面で、国が政策的にきちっとした展望をつくらない限りだめだ。長中期の展望を立てるとおっしゃいましたが、それはナショナルミニマムという言葉がいろいろあったとしても、そういうものを持っていなきゃいけない。各国々がそれでもう取り組んでいるわけですから、そのことについては明確に、これから一つの素材として入れていただきたい。  それで、特にこれらの問題からさますと、海上職域の開拓も必要ですし、部員の雇用確保とかあるいは計画造船の促進あるいは海上秩序の形成もしていかなきゃなりません。その中で、特に今回、新マルシップ混乗の徹底によって職場の確保と海技の伝承を図っていく。船舶の安全、海運秩序の観点からこうしたものを取り入れたけれども、配乗基準の問題にしても、あるいは対象船舶の問題にしても、管理機構あるいは部員の雇用計画、こうした各種の問題があるわけであります。  今度運輸委員会に御発表になるはずの、いわゆる審議をされるという予定にしておられます船員の雇用の促進に関する特別措置法というのは、これは今回こうした問題に触れて、外国船に配乗、いわゆる便宜置籍船、FOCでありますが、そういうものに配乗される基準をお決めになったわけですし、それに対する日本船員の確保のためにどうするかというこれは内容であろうかと思います。一億八千万とかおっしゃっておりますが、こんなものでいいのかどうかわかりませんけれども、この経緯を少し、目的は何であるか、そしてまた雇用確保の面において、一体きちっとした将来の展望を描いておられるのか。フラッギングアウト防止のためにかくなければならぬということについて官労使が一致したことはそれなりに理解しますが、これ以上削減をされてはならないという、その面から申し上げているわけですから、お答えいただきたい。
  131. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 まず、今回の予算措置の関係から御説明申し上げますと、先生御承知のように、外航海運における日本船舶の減少、これは大変なものでございまして、これをどうしても食いとめていかなきゃいかぬということで、日本船への外国人船員の導入の拡大がもう実施されております。  そういう中で、我が国の船員をめぐる雇用環境は大変また変わってきている。そういう背景を受けまして、今回、船員の雇用の促進に関する特別措置法、それを改正いたしまして、このような船員の労働をめぐる環境を踏まえて、外国船へ日本人船員を配乗促進していく。そういうことによって、日本人船員について、海上職域の確保、またその雇用の一層の安定、そういうものを図っていく、それがねらいでございまして、船員の雇用の促進センターというところがございますが、そこに離職船員を雇用いたしまして、外国船へ船員労務供給をする、そういうような趣旨で法改正をお願いしようというものでございまして、その予算額としては一億八千万ほど予定をされているところでございます。  この考え方は、私どもとしては、一たん職を離れます船員の方々は陸上へ行きますともう海に戻ってこない、そういう背景がございまして、どうしても海上優先、海上の職域を確保していきたい、船員としてとどまってもらいたい、そういうねらいがあるわけでございます。
  132. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そうした面で、雇用の確保というのが一番大きな課題になるわけでありますが、最近、この人材確保といいますか、商船大学、専門学校あるいは海員学校等を出た方々が、卒業者が、なぜかこの海上の外航船とか内航船等にお乗りにならない、希望しない、就職しない、こういう現状であります。それはどういうことなんでしょうかね。労働時間とか賃金とか、大変陸上ともう逆転してしまったということも含めて、御回答いただきたい。
  133. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 最近、商船大学、商船高専の卒業生が海上の職にだんだんつかないような傾向が出てきたというようなことでございますが、これは、陸上企業からの求人がかなり多くなってきております。それから一方で、我が国の海運業は大変な不況の時代を迎えておりまして、そこでかなりの合理化を、先ほどお話がありましたようにやっておりまして、そういう中で新規職員の採用を極端に抑制してきた。そういうことを踏まえまして学生たちが、将来に大変な不安を持ってきている、そういうことで海運界への応募が少なくなってきたというのが原因だと思っております。  また、労働環境におきましても、賃金、時間等についてかなりの問題があると私どもも認識しております。
  134. 新盛辰雄

    ○新盛委員 まあ世界的な船員、職員の不足を来している中で、日本人の船員の活用を図るというのもこれは必要なことになっているわけですが、考えられるのは部員の職員化ですね。いわゆる海技の継承をしていただかなきゃなりません。そのためには、広範な意味の海枝技量職員養成、そうしたものが必要になってくるわけですね。  そして今、マンニングというので、非常にこれはいいマンニングもあれば悪いマソニングもある。いわゆる就職のそうした引き抜きとかいろいろ内航路では起こっているわけでありますが、これはSECOJというのがつくられまして、これまでの船員の将来の職域の開拓とかあるいは技量の資格の取得とか、そうしたものに対するいろいろな指導をしているわけです。この日本船員福利雇用促進センター、通常SECOJと言っていますが、こういうところでもいろいろと指導はしておられるようですが、事務費はありましても、これが管理費はゼロで、こうした一つの目配りというのがなかなかできない。企業間の人材移動を容易にする制度をつくってみたらどうかという指摘もあるわけです。  こうしたことについて、陸の方では、地域雇用開発等促進法というのがありますが、助成もしているわけですから、これに準じてこうした取り扱いができないのか。人材振興法の海上版といいますか、そういうものをつくった方がいいのじゃないか、こう思うのでありますが、考え方を聞きたい。
  135. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 雇用対策を充実するために新しい仕組みを考えたらどうかという御指摘でございますけれども、現在私どもは、先生今お話しのとおり、船員雇用促進センターというところで職業訓練、職業紹介、今度労務供給事業をさせるということで、ここを中心にして船員の雇用対策を進めておりまして、私どもとしてはここを充実するということを第一義的に考えてまいりたいと思っております。
  136. 新盛辰雄

    ○新盛委員 船員部長、あなたと議論していたって、ずっと中身はわかっているわけですけれども、政策の問題を言っているわけですよ。今人材確保の問題もそうですが、この商船大学の卒業者たちの意識を調べたのをごらんになったと思うのですけれども、なぜ海運会社に希望しないのか、これに対して、家庭を離れるのが嫌だ、船員職業に魅力を感じない、船員職業の将来性に不安がある、海運の将来性もまた不安だ、こう続いて非常にウエートが高いのです。そして、船員職場の魅力をアップするのに具体的な対策がない、対策を立ててほしいという方が三九%おるのですね。そしてまた、国として経済安全保障上、一定規模の日本船籍の確保について必要な政策を講じてほしいという方は三五%いるのですね。意識調査ですよ。そしてさらに、官民一体となって海運を国民に正しく理解をさせ、日本人船員の後継者の育成を図る、これを望む人が三五%。しかも、特に後継者の部分においては四〇%の人が、ぜひそうしなければ、日本の商船隊もつぶれるが海運業も成り立っていきませんよという指摘ですよ。さらに、一定規模の新採用を継続的に行わなければ大変なことになるというのに対しては、二九%、約三〇%ですね。また、今度の新マルシップ、いわゆる混乗に対してアンケートがとられておりますが、仕事だから混乗船に乗船するという方が六〇%なんです。仕事だからしようがない。しかしできることなら混乗は嫌だ、絶対に乗船しないというものを合わせますと四〇%ですね。  こういう状況ですから、日本のいわゆる海運に魅力を持たせること、後継者を育成すること、海技の伝承をきちっとやること、そしてこれから一定規模の将来展望をつくってほしい、そうでなければ、私どもは、なぜ商船大学とかあるいは専門学校、海員学校を出て就職をして海上の方に行かないのか、陸上にほとんど勤務するわけですね。こうしたことについて、我々非常に憂慮しているのですよ、どうするのかと。これは運輸大臣、あなたのお考えを聞かせてください。
  137. 大野明

    大野国務大臣 自分の進むべき道の将来にやはり不安があるということは、これは社会にとっても大きな問題でございますし、また、個人にとっても極めて重要なことでございます。しかし、今先生がおっしゃられたこと、全部私承っておって、非常に幅広いことでございますが、これは前向きにひとつ考えていかなければならぬということを考えております。
  138. 新盛辰雄

    ○新盛委員 海の方は余り御関心がないのか、陸の岐阜羽島をおつくりになる方が非常にいいのでしょうけれども、海はひとつ大事にしてくださいよ。この機会にひとつ関心を持っていただくように要望しておきます。  労働省、労働大臣、来ておられますね。  この船に乗っておられる方々ですが、例えば外航、内航、近海、いろいろございますけれども、ここでは海上で働いている船員、いわゆる労働者ですね、そして陸上で働いている労働者、こういうふうに見ますと、賃金の比較、これは一体どういうふうになっているか。三十五歳を基準にして見ますと、昭和五十年段階では、大学卒の技術者で陸上労働者十九万二千五百一円です。そして、内航船員さんは、船員ということで外航は高いとおっしゃっているからですけれども、内航の場合を言いますと十九万三千九百三十八円。確かにこのころは賃金が船の方が高かったのですね。ところが、これが昭和六十三年、それから十三年たちますと、陸上の方が二十九万六千八百一円、内航船員の方が二十七万五千二百十六円、完全にその賃金の面でも逆転していますね。中高年齢層に至れば、圧倒的に陸上の賃金の方が高くなっているということが言われています。外航船員は、ほかの国の船員さんの三倍も取っているんだという話が一時ありました。しかし、その後どんどんどんどん外国人が乗ってくるようになりましてから状況は変わっているのですよ。  それと同じように中高年齢層が圧倒的に多いこの海運業、今逆ピラミッドと言われている現状ですね。これはここにありますよ。これから見ましてもピラミッドを逆さまにしたような状況ですよね。だから、この高年齢者がここ数年のうちにおやめになった後、後継者もできていない、しかも養成をしても、いろいろと部員を職員化することについても多くの問題をはらんでいた、なお新卒の人たちが入らない。これで一体どうなるかということは、賃金に魅力もない、そして労働時間に至りましては、昨年でしたか、船員法の改正で約二、三時間、これは当時の橋本――あなたとやったですかね、運輸大臣、船員法改正。どっちかだ。とにかく船員法改正で労働時間短縮をやったのですよ。しかし、海上と陸とは違う。これまで二時間の差がずっと出てきておるわけですが、この場合年間四千時間も働いているという実績がありますね、海上で。自分の息子は絶対に内航の船員にはしませんよ。だから、内航船員は今欠員状態。しかも船員不足であちこち引き抜きが会社ごとに起こっているというすさまじい現状です。それからマンニソグが横行したりしているわけですが、こういう現状でございますが、労働省として、陸上と海上と労働時間が同一のものでなければならぬ、あるいは賃金もかくなければならないという、いわゆる労働者条件としてどう見ていらっしゃるか、また、どう把握をされているかをお答えをいただきたい。
  139. 塚原俊平

    ○塚原国務大臣 数字のとり方でいろいろとあるかと思うので、私どもの数字を言うとまたしかられるかもしれませんが、一応船員労働統計、毎月勤労統計、昭和六十三年のものを見ますと、まず給与、これは全部平均ですけれども、内航船員三十四万五千百六十二円、外航船員で四十五万六千七百七十七円、全産業平均で見ますと三十万百七円ということになっております。  それから労働時間につきましては、内航船員が二百三十九・八、外航船員が二百六十一・四、全産業平均百八十三・五ということですから、これは時間で割ってしまいますと先生のおっしゃる数値と恐らくかなり合ってきてしまう。この資料だと、給料は内航船員、外航船員の方が全産業平均よりよくなっていますが、時間が多いですから、先生のかなりの数字が一つの基本になるのではないかなというような、今御指摘になられたような気がいたします。  労働時間につきましては、これは一応船員法の中でとなっておりますので所管外ということになるのですが、先生が今御指摘になりましたいろいろと非常に難しい、時間短縮をしにくい要件というものが、特別な資格が要るとか、あるいは余り大勢の方を乗せることが無理であるとか、これはもう釈迦に説法になりますが、先生御承知の数多くの難しい条件があるので非常に難しいものがあると思います。ただ、労働省といたしましては、なかなか実現するところまでは難しいのですけれども、最終的にというか、何とか週四十時間を目指して頑張っていきたいというふうに決意をして、いろいろな御指導をいただきながら頑張っているところでありますので、何とかそれに近づくような条件ができればいいなと、これは期待するしかないので、その程度のことでまことに恐縮なのでございますが、そういうことでございます。
  140. 新盛辰雄

    ○新盛委員 船員部の方はこうした労働力保全対策についてどうお考えになっていますか。
  141. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 先生御指摘のように、労働時間につきましてかなり長時間勤務というのが特に内航等におきましては実態でございまして、陸上は、陸上労働者が週四十時間を目指して着々と進められているということでございます。私どもといたしましても、それに合わせるような形で週四十時間を目指して昨年の四月に船員法を改正しまして、五十六時間制から四十八時間制にまず第一歩で踏み出したわけでございまして、そういうことで海上労働につきましても労働時間の短縮を年々図っていきたい、こう考えております。  また賃金につきましても、先ほどお話がございましたように、内航もかなり以前は不況でありましたし、外航につきましても大変厳しい時代を経てきましたので、その間にベースアップというものがなかなか思うようにいかなかったというような実情がございまして、そういう状況を踏まえながら、これからの賃金の改善等も、これは労使にまたいろいろと御苦労をお願いすることになると思いますけれども、私どもも徐々にアップしていくことを期待しておるわけでございます。
  142. 新盛辰雄

    ○新盛委員 内航問題についても、海運造船の中の構造不況の代表格である内航は、円安で今ちょっとほっと息はついておりますが、これまで合併や企業再建、設備の削減、船腹の供給過剰に対する合理化、こんなことでずっとやってきましたけれども、船員不足は深刻な状況になっております。だから、賃金、労働時間についてはぜひともめり張りをきかせて魅力ある職場につくり上げていただくように希望します。  この内航路まで外国船員を乗っけなきゃしようがないなという話もあるそうですが、それは事実ですか。
  143. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 外国人労働力の日本船への導入の問題につきましては、先ほどお話がありましたように外航船についてはそういうお話がございまして、新たなマルシップ混乗というようなことをやっております。内航船につきましては一部、これは旅客船でございますけれども、旅客船の分野につきまして、これは内航船、外航船を問わずクルーズ、客船が最近ふえてきているわけでございます。そういうのを含めて、専門技術者の中に入ると思いますけれども、外国のエンターテイナーとかソムリエとか、そういう方々について入れてはどうかという動きがございます。
  144. 新盛辰雄

    ○新盛委員 海洋を中心とした新時代、クルーザー時代。確かに、ふじ丸とかにっほん丸とか豪華船が今既に出航してやっているわけですが、そうした面での厨房の外人あるいはコックを使うとかいうのはよくわかりますけれども、しかし、全体的には日本の船員を確保するという視点に立ってこれらの問題の解決を図らなければいけないと思うのです。ただ安易に外国に頼ればいいというものじゃない。言ってみれば、外国人船員をそれほど使うほど日本の方が技術も優秀なんですし、そうした面でも十分配慮しなければならないことだと思います。  そこで、海技の伝承として、ぜひこれは結論をお聞きしておきたいと思いますが、従来のこうした合理化によって、雇用対策をしてあるいは混乗船をつくってという、そういう中で、この職員化を図るために船員経歴を尊重して海技の資格を短期間で取得できるようにしてはどうか。そして、現実的には今、日本船舶職員養成協会というのがありますが、一体これは機能しているのですか。確かに、免許を与えるとか云々の関係はよく耳にしますけれども、海技の資格を取らせるためには、外国にもそうしたいろいろなやり方がございますが、居住地の近いところできちっと取らせる方法もあるじゃないか、あるいは機能的な習熟をさせていくためにもっといい方法があるのじゃないか。離職した船員の面倒は海員組合がこれまで福祉事業センターでもって見ていましたけれども、海技継承は、運輸省では海技の伝承委員会というものが設置されたやに聞いておるのですが、非常によいことだと思いますよ。だけれども、この際、日本船舶職員養成協会のみが唯一の全国組織だとしないで、まだほかにもあるんじゃないですか。それを他の学校も含めた全国的な組織にしてすぐ習熟ができるように、養成ができるようにできないのでしょうかね。特定のことは言いませんよ。そのことの、いわゆる後段の方の御回答をいただきたい。
  145. 田辺淳也

    ○田辺(淳)政府委員 海技免状を取得する、いわゆる船舶の職員の養成機関でございますけれども、これは大きく言いまして大型と小型と二つに分かれておりまして、例えば三級、四級、五級の海技士の資格を養成する施設、これは先生御承知のとおり、商船大学とか商船高専、海技大学、海員学校、水産大学等々、これは全国的に百七十六の課程がございまして、例えば六十三年度は三千五百二十九人の方々がそこを卒業されております。  先生おっしゃった養成協会の方ですが、これは小型の船舶操縦士の資格にかかわる養成施設でございまして、全国法人としては日本船舶職員養成協会がございます。それから地方法人として、尾道の海技学院とか中国船舶職員養成協会また関門海技協会、この四つの協会がございますし、このほかに国が設置者となっております海上保安学校とか海上自衛隊の第一術科学校というような施設もございまして、これらの小型資格の養成施設では、これは六十三年度、ちょっと古い数字ですが、千九百七十二回の講座を開設しておりますし、そこから出てきております卒業生は二万九千九百十三名というような状況でございまして、現状では大型、小型のそういう施設につきましては、私どもとしては対応ができておると思っておりますが、今後そういう必要があればまた十分に対応していきたいと思っております。     〔宮下委員長代理退席、佐藤(信)委員長代理着席〕
  146. 新盛辰雄

    ○新盛委員 船員部長、この後段の、そういう要請があれば対応していきたいじゃなくて、確かに今まで二万数千人そうした習熟をさせてやっているんだということでありますが、機能・能動的に、こういう時期ですから、こういう段階に来たんですから、全国的にこうした一機関のみでなくて複数のものを確立をするように、これはいろいろとそれぞれの要望があると思いますが、ぜひひとつ実現の方向で御検討いただきたい。  次に、こうしたこのマルシップ体制に入りますと、この外航船員の所得税の減免措置を今諸外国でもとられていますよね。今度の新たなマルシップ体制で乗船する日本人船員について、この所得税の減免措置というのはできないものか。自治省段階では漁船の、昔二十九年にできました地方税法によりますと、それは確かに御承知のようにこれは短期間で一航海して帰ってくる。しかしもう今や一年、二年外地に滞在するというようなこともございまして、きょうは地方税の問題は住民税の問題ですから、考え方だけお聞かせいただいて、所得税減免措置の方はできないものかどうかお聞かせをいただきたいのですが、大蔵大臣どうですか。
  147. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 現行税制上、御指摘のように長期間海外に出ている船員の方でありましても、配偶者そのほか生計を一つにしております親族が我が国に居住していることなどによりまして我が国の居住者に該当する方は、ほかの給与所得者と同様の所得課税が行われるということになっております。申し上げるまでもなく、同じ所得金額を有する者には同じ税負担を求めるという公平負担の観点からそのように考えられている、いわば所得税制の大原則でございまして、御提案のように特定の職業や勤労形態に注目して減免措置を講ずるということはなかなか難しいことと考えます。
  148. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今主税局長から税制の立場でお答えを申し上げましたが、確かに委員が御指摘になりますように、海外主要諸国を調べてみますと、イギリスにはそうした税制をとっておる部分が一部あるようであります。しかし、そのほかの国においては、西独がかつてドイツ人船員に対する所得税の減免措置を内容とする法律案を提案をしたことはあるが、これは否決をされて不成立だったということのようでありますし、アメリカ、フランス等ではこうした措置を講じていないということであります。そしてその理由は、恐らく私は今主税局長が申し上げたような観点からであろうと存じますし、その点については私も主税局長と同様の見解をとります。  ただ、先刻来の委員の御論議を拝聴しておりながら感じますことは、今運輸省、審議会に御相談をかけておるようでありますが、一体中長期に見て、我が国の所要船腹、どの程度なのか。また同時に、その日の丸商船隊というものを外航海運において維持をしていくとした場合、その船の、今近代化船、超近代化船と言われておりますけれども、それが今後新たに建造されていきますそれぞれの船の能力により、当然省力化が進むでありましょう。そうなりますと、一体そういう所要量から出てくる人員というものがどの程度になっていくのかという問題ももう一つあろうかと思います。  同時に、先ほど来の御指摘の中で、当然よく委員が御承知のことでありますが、余り論議になっておりませんのは、船員数の減と裏腹に非常に経営の厳しくなってきております船員保険制度を、今後どういう形態に持っていくことが今後の船員労働というものの実態に合った対応ができるかという一つのかぎでもありましょう。そういう意味では、我々が政府の中においても勉強すべき点は多々あると思います。  しかし、問題のもう一つは、先ほど御指摘になりましたように、関係の学校等に学びながら、海上に職を求める意思を当初から持たず陸上に職を持つ若い方々がふえている。こうした点はむしろ教育の中において、海というものをもう少し国民が理解する工夫を必要とするでありましょうし、同時に、先ほど委員の御指摘にもありましたような海技上の資格というものが陸上資格とどう短時間に共通資格として通用し得る、言いかえれば陸上からまた海上に戻り得る、そうしたコースをいかに確保するか、こうしたことがあろうかと思います。  国際競争の激化しておる中において混乗船がふえていくという、そうした方向というものはやむを得ないことでありましょうけれども、少なくとも基幹職員について、日本の優秀な船員を今後ともに保持するための対応策というものは、必ずしも税という視点からばかりではなく、私はいろいろな視点で我々自身も考えるべき、そのような感じを持っております。
  149. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 先ほどからの論議を聞いておりまして、海洋国日本、海の男に対する議員の至情というものは、本当に将来展望も含めて私も大変感銘を受けて質疑を見守っておりました。しかし、住民税という御指摘でございますので、これになりますと、ちょっと議員の満足になるお答えにならないと思います。  それは、もうこんなもの、そんな詳しく言う必要はありませんけれども、地方自治体にとってはこの住民税というのは固定資産税と並んで主要財源でございます。そして、しかも所得に応じて負担を求めるというものでございますから、今言う外航に出ておる、特定な職業に従事しているということだけを理由にして住民税減免を図るという形は、税負担の公平の見地からも大変難しいのじゃなかろうかと思うのです。ですけれども、自治体にとって住民の理解が得られれば、そういった 減免措置もまた講ぜられる形ができるのじゃなかろうかなということで、ちょっと心を痛めておって、何かいい知恵がないかなと思っておるのが現状でございます。どうかひとつそういった意味で御理解を賜りたいと思います。
  150. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この問題はまた後刻機会を見て、十分資料を背景にしてやりたいと思います。  文部大臣には本当に申しわけございませんでした。我が党の小野参議院副議長の御葬儀に行かれるというのに、足どめさせて恐縮です。  お答えいただきたいのは、かく申し上げてきましたように、日本の国、四面を海に囲まれて、貿易を通じて経済、産業、文化すべてこれは海より発達をしてきているというこの現状の中で、海洋日本、七月の二十日が、全国的な海事関係者が集まって、海の日を記念をして、一生懸命、海に対する理解、関心を深めていくということでございます。昔は海軍記念日、五月二十七日というのがございました。海上自衛隊あたりも五月二十七日はそうした面で取り締まりあるいは海上保安、安全のためにやっておられるわけですから、それの同意語にとらえるつもりはございませんが、特にこのたび、学校教育における我が国の林業の取り扱いについて――皆さんもきょうは緑の羽根をつけておられます、私もつけていますが、こういうふうに緑を愛することを教育の中でもやっていこうじゃないかというので、林業、森林の大事なこと、国土保全あるいは水資源涵養、健康保全、そうしたことに関する林業の面でこの見直しをしよう、もっと関心を深めよう、もっと小さいころから学校教育の中でも取り上げてやろう。これは一昨年、何かそんな請願、陳情があって、第百十三国会ではその趣旨を踏まえてこの請願を具体化しようというので、どうされたかわかりませんが、それと同じように海のそうした日を、大事にする、海に対する関心を深める、こういう意味でこうした設定をしていくことは大事なことじゃないか。教育の面で、学校教育の面でどうこれから指導要綱として現場の方に落としていかれるのか、お聞かせをいただきたい。  第二の問題は、これは官房長官の方になるのでしょうか、本当は総理府の方になるのでしょうか、例の、祝日に海の日を設けたらどうかと思っているのです。それは、今現在祝日は十三日ございますね。今度、聞くところによりますと例の即位の礼、これは一日休日で祝日ではないわけでありますが、一月二回、五月二回、九月二回、十一月二回。この中で、五月五日のこどもの日から九月十五日の敬老の日まで、六、七、八月は祝日がないのですね。海の日を記念日として祝日にできないものか。それほど海洋日本、これまで七つの海を駆けめぐったということもですが、リゾート、ウオーターフロントあるいはこれからのマリノベーション、関心を持ってほしいという、そんな希望もありますので、これをひとつ、文部大臣は前段の答え、後の部分は代表、いわゆる内閣の代表にお答えいただきたい。
  151. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 四方海に囲まれております我が国にとりまして、海洋についての正しい知識と、さらに委員御指摘のような海への関心を身につけることは、学校教育においても非常に大事な課題だと私も考えております。  従来からいろいろなことをやってきておりますが、特に社会科、理科の中でこのことを教えております。私も教科書を二、三見てみましたが、海の記述はかなりございますが、やはり漁業を中心にした海の記述が多いように見受けました。そして中学に入った段階で、委員御指摘の海運の問題がちょっと出ております。  しかし、今お話しのように日本は貿易立国でございます。その大部分、九九%以上が船によって輸送されているというそういう現実を考えますと、やはり海運についての今後の認識を新たにする、あるいは海全体についての認識を新たにするという海洋に関する教育の一層の充実が必要だろうと思います。このような一層の充実に向かって私も努力をしてまいりたいと思っております。
  152. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 七月二十日海の記念日、これを休日にしたらどうかというお話であります。なるほど私どもの子供のときは「我は海の子」を皆歌ったわけだ。しかし、時代の変化によって、さらに一段と海の重要性について国民各界各層の認識を深めたらという発想のもとでおっしゃったのだろうと思いまして、それはそれなりに一つの魅力ある方策だとも思っておりますが、既に十三ございまして、ほかにも働く者の日、障害者の日等々、十幾つも希望があるようでございます。そういうようなことでございまして、さらに増加させるということも国民生活や経済活動の面でも影響もございまするし、まあ国民世論の動向とそれから国民の各界各層、特に海に関係した各界各層の一段のまた盛り上がりも様子を見まして、その上で対処をいたしたいと思っております。
  153. 大野明

    大野国務大臣 我が国は何といっても四方を海に囲まれておって、海洋国日本でございます。先ほど来先生が海及びそれに関連する、またそれに従事する皆様方に対してのいろいろの御意見、造詣深いのを非常に感銘をいたしました。  そこで、今も答弁ありましたように、七月二十日海の記念日ということで、従来まで私どもも地方公共団体や海事関係者等で式典を行い、認識を深めていただくように資してきたところでございます。ちょうどことしは時あたかも五十周年ということで、盛大にやろうということを今計画をいたしております。  ただ、それを祝日にするということにつきましては、やはり国民のコンセンサスを得なきやなりませんということはもとよりでございますけれども、やはりそれによって、海上保安庁等も抱えております運輸省としては、そういう国民の安全あるいはまたいろいろな問題について、これはひとつ大いに国民各位も認識していただきたいし、士気も高揚をさせなきやいかぬとか、そしてまた私は、今官房長官、「我は海の子」というような昔の童謡、そういえば歌ったなあと思って思い出しておりました。  私は、先ほど先生から羽島駅をつくることは、というようなことを言われましたけれども、岐阜県においても海洋少年団というのがありまして、そこの最高顧問をやって、でき得る限り海に親しむように、山国の子でもさせるようにいたしております。ただ、海というものに対する認識が、先ほども九九・三%国民生活を支える物資を輸送しておるという重大な認識を忘れておるというか、海というとレジャーというくらいしか認識のないものをひとつ大いに改めるような行事もやっていきたい、かように考えております。
  154. 新盛辰雄

    ○新盛委員 次に、日ソ北洋サケ・マス交渉について、もはや東京で行われました三月二十五日の交渉が中断をして、十八日からモスコーで今開会されております。この日ソ漁業合同委員会での状況ですね、新聞でもよく知っているところではありますが、日本は一万五千トンを当初要求して保持しようとしたのだけれども、一万二千五百トンに下げて、ソ連は相変わらず一万トン、そして漁業協力費をうんと出せ、こんなふうに強く要求しておりますし、九二年度は沖取り禁止、まさに公海上でのこの操業もだめ、こういうことになりますと、必然、北洋マス漁業のこの漁場、もちろん減船をせざるを得ないし、大変な問題が出てくるということで、最近ではあちこちで決起集会等が開かれております。御存じのとおりだと思いますが。それを受けて、昨年の十二月二十二日に閣議で了解されました国際漁業再編対策、これはその特定漁業として農林水産大臣が指定することになるのだそうですが、まず伺いますが、この閣議了解事項の視点は何なのか、ひとつ教えていただきたい。
  155. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  まず現状でございますけれども、我が国の国際漁業をめぐる情勢というのは委員御承知のとおりでございまして、二百海里体制問題あるいは流し網漁業、今お話しの国際世論が非常に厳しいということ等がございまして、この再編整備ということはどうも今後増加する傾向にある、余儀ないことだ、こういうことが予想されるわけでございま す。また、再編整備を行うということになれば、この減船というのは漁業者だけの関係ではない、関連業者とかあるいは従業員、その他地域ぐるみに非常に影響が大きいということ等も私どもよく承知をしておりますので、これを行うためには非常に注意深く、かつ円滑にこれを進める必要があるというふうに思っております。  これらのことを勘案した上、国際規制の状況を総合的に勘案をいたしまして、操業の維持に支障が生じた特定の漁業について計画的な減船を行う、同時にこれに伴う所要の対策を総合的に講ずる、こういうことで昨年十二月の閣議了解がなされた、こういうふうに認識をしております。
  156. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今回、独航船百二十九隻のうち三分の二の八十六隻が減船になりますね。これから先また日ソ漁業交渉でどう削減になるか、これは大変なことなんです。この補償をめぐりまして、今おっしゃいましたように、現在の国際社会における我が国の立場も考えた上で、科学的根拠や漁獲実績をもとにした外交交渉によって我が国の国際漁業の存続を確保することが必ずしも可能な状態でなくて、漁業の種類によっては縮減やむなしとの判断もせざるを得ない。この局面が増加することによってこうした特定漁業をしようということになるわけですが、このことは外交のあり方として極めてまずいやり方だ。なぜそう追い込まれなきゃならぬのか、これは国際的な摩擦の面でそうなったんだ、漁業が犠牲になることはないじゃないかというのが偽らざる地元の皆さんの御意見ですよ。こうしたことについて、外交でもって後退をする、減船をする、しようがないじゃないかで事は終わっていいのかどうか、それが第一。  そして、安易にこの指定がされた場合に、漁業交渉の相手国から足元を見られまして、ああ日本はどうせ減船すれば後は補償するじゃないか、だから沖取りも禁止したっていいんだよ、どうせ減船になれば、それぞれ業界が共補償を初めとしていろいろやるだろう、こういうことになりかねない。これは大変な問題でして、あと、中身のお金の問題になると大蔵ですから、そこでこの考え方をひとつお聞かせをいただきたい。
  157. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、我が国の国際漁業をめぐる情勢、大変厳しいものがあるわけでございます。私ども、いろいろな面で外務省と一緒に漁業外交を進めておるわけでございますが、この一連の動きというものは、御承知のとおり二百海里体制のさらなる定着あるいは国際海洋秩序の変化に伴う大変不可避的な面もあるわけでございます。  個々の対外交渉の問題にはそれぞれ最大限の努力を払っておるわけでございますけれども、そういった変化に対応して我が方の既得権を適正な内容で確保していく上でも、国内の既存の体制というものについて一定の変化を受け入れるという場面が非常に多発をしておるわけでございまして、これを国内的にも円滑に対応していくために、先ほど大臣から申し上げたような考え方に基づきまして今回の閣議了解を行っておるわけでございます。このことが今後の漁業外交の展開の上で戦術的にも大変不得策ではないかという見方、先生からあったわけでございますけれども、私は、やはり一定の変化にたえる体制というものを持って対外交渉に臨んでいくということが交渉の我が方の立場を強くするという一面があるというふうに考えまして、このような措置をとったものというふうに理解をしておる次第でございます。
  158. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そしてさらに、減船した者に対しての国の救済費、いわゆる交付金ですね、これがこれまでやられているわけですが、一定期間の減船に限り交付されることになっているのはわかりますね。しかし、漁業によってはいろいろな漁場で操業をしておりますから、減船しなければならない原因はただ一つでない場合があるでしょう、複数の場合がありますからね。流し網イカあるいはこれまで以西の方もそうでありますけれども、サケ・マスももちろんですが、そういうようなことで、一度減船交付金を交付したら、またこれから年あるいは二十年後国際漁業がどういうように厳しくなるかわからない。よくなる方は余り考えられないのですよ、今の状況で。だから、こういうことからしますと、一度減船した漁業には将来とも永久に救済措置はできないんだ、もう一度やったからおまえだめだ、こういうふうになるのか。これは考え方ですけれども、それはゆめそんな乱暴なことはおやりにならないとは思いますが、これは確認の意味でお聞かせをいただきたい。
  159. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ただいまお話ございましたように、今回の閣議了解に基づく国際漁業再編対策において予定をしております減船漁業者に対する救済費交付金でございますが、御指摘のとおり期限を限って行うことにしておるわけでございます。私どものこの考え方は、国際秩序の急激な変化に伴って生ずる減船について、新たな事態に移行するための漁業者の経済的な負担というものを極力軽減するという観点で、過渡的な措置としてこの救済措置を考えておるところでございまして、新しい事態に対応できる状態になれば、むしろそういうリスクづきの漁業として御対応をいただくというふうなことが基本であると考えておるところでございます。
  160. 新盛辰雄

    ○新盛委員 大蔵大臣、これまで、この場合は母船式のサケ・マス漁業の減船に伴う救済としてお聞きいただきたいのですが、減船に対する政府の交付金ですね、経費の補てん金とか特別救済金とか利益補償金、共補償金に対する残りをどうするかという補償あるいは政府の融資あっせん、こんなのがあるのですが、今まで、六十一年減船のときに共補償で残っている五千三百七十万円、あるいは昭和六十三年の休漁に伴う融資で四千万円。もう共補償を負担し切れないと言っているのがこの業界の叫びですよ。漁業者の嘆きです。それで、五十二年のときには八十七隻の減船があったのですね。そのときには約三億六千三百万円補償されたのですよ。これはちょうど二百海里が設定されたころ。五十三年では七十三の減船でもって三億九千七百五十万円の補償がなされたのです。ところが、六十一年の減船四十三隻、これではもはや八千万円。六十二年、六十三年、今回の系統からの要求によりますと五百八億円もなければとてもじゃないが大変だ、負債が残るのだ、こうおっしゃっているわけですよ。  確かに二百海里時代に、混乱のときですから、当然二百海里が引かれれば減船せざるを得ないということで、そのことに対する手だてをしたのだ、今や十二年ぐらいたっているのだからそれは自分でちゃんとそれぐらいのことは想定してやりなさいといったって、国際漁業交渉はなかなかそうはいかない。アメリカにしてもソ連にしてもそうですよ。だから、こういうことはいわゆる漁業外交として出てくるわけですから、その結果によって減船になるのですから、やはりこれは政府が交付金の面でも面倒を見なきゃならないのに、最近は見舞い金だとおっしゃっている向きがある。これは一体どういうことなのか、その辺のところをひとつ教えていただきたいのですが、どうですか。
  161. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ただいまお話にございました今回の閣議了解に基づく救済措置の水準につきまして、過去の滅船対策の事例を引いたお話がございましたけれども、私ども、御指摘のように、数次にわたる減船を行ってきている事実は確かでございますが、漁業の実態も時間の経過とともに相当変わってきております。それに応じて救済措置の内容も変化をしてきておりまして、御指摘のとおりサケ・マス漁業については六十一年の状況もあるわけでございます。したがいまして、今回の救済措置の検討に当たりましても、当然、最近時の救済措置との均衡あるいは減船対象になります最近の漁業実態というものを踏まえて、適正な水準を考えていく必要があるというふうに考えております。  また、共補償という問題がありますが、これまでの減船対策におきまして、この共補償というようなものを政府の救済措置で対象にしたことはございません。あくまでもこれは民間レベルでの、いわば業者の仲間間のある種の慣習的な補償の仕組みでございまして、この決まり方について政府として一切関与しているものではないということでございまして、この点については、政府の救済措置で直接の対象にすべきものとは私ども考えておらないところでございます。
  162. 新盛辰雄

    ○新盛委員 大臣はどうですか。
  163. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今水産庁長官からお話がありましたけれども、北洋サケ・マス漁業につきまして、我々としてはあくまでも交渉そのものが成功裏に進んでくれることをまず第一に心から願っております。しかし、残念ながら、今後減船が必要となり得るという情勢であるとなれば、近年講じてまいりました減船対策との均衡など踏まえて、農水省とよく相談をしながら適切に対応してまいりたいと思っております。  ちょうど今委員が引用されました五十二年、五十三年、特に五十三年でありましたか、非常に交渉がずれてゴールデンウイークの後に出漁という事態になったとき、本院におきましても、たしか村山委員も御一緒ではなかったでしょうか、社会労働委員会として北海道の基地、それぞれの漁船の基地、釧路等調査に参ったことがございます。当時はやはり大変な周辺への影響が出ておりまして、私ども、その非常に深刻な事態を踏まえた報告書を院に提出したことを記憶いたしております。  水産庁長官が述べられましたように、その後の情勢の変化というものは相当大きなものがあるわけでありますが、そうしたことをも脳裏に置きながら、農水省から御相談がございましたならば、近年講じてきた対策とよくかみ合わせつつ対応してまいりたいと思っております。
  164. 新盛辰雄

    ○新盛委員 次に、二百海里の全面適用の日本海側における実現のことについて、もう総括質問の際にも取り上げたことですから。海上保安庁にはお出かけいただきましたけれども、日韓漁業自主規制措置は六十二年の十月に締結をしたことなんですが、不法操業、乱獲、漁具の被害、操業上のトラブルの発生、最近はもう大変悪質になっている。船の名前を隠して韓国の漁船が大量に日本海に入ってきている、こういうことで、このまま放置しておきますと漁業の荒廃とか資源の枯渇はさらに進んでいくだろう。また、漁具の被害に対する補償も何もない。沿岸の漁業者は経営のピンチに立っているということなんですけれども、四月十七日の閣議で決定されました漁業白書を見ましても、このことに対して憂慮すべき内容は記述されておりますけれども、そのために、沿岸周辺における、これからつくり育てる漁業を振興させる、こんなことで逃げているわけですが、外交上の問題としてこの際明確にしておきたい。  これは外務大臣は努力をしますとおっしゃいましたけれども、抜本的な解決の方法一つあるのですよ。それは、自国の、我が国の資源は我が国が責任を持って管理することができる、そして取り締まり権、管轄権、これは我が国二百海里内において確保することが絶対に不可欠である、このことの一点張りで交渉すべきじゃないか。また、沿岸国における資源への主権とかあるいは管轄権、これはもう既に二百海里が設定されて定着しましたよ。各国々もそのことを守っておりますから、これはもう世界の潮流なんです。  それが日本の沿岸は、日本海側は十二海里、そして二百海里はない。しかも、太平洋側は二百海里設定されているけれども、中国と韓国は除くとされている。こんな例は世界にない。だから、この際、この適用を太平洋沿岸の韓国、中国は、制裁じゃありませんが、適用除外にしなさい。日本の二百海里、どこの国も日本に相談なしにおいては領海に入ることはできない、海域に入ることはできない。また、日本海側の方も、これは竹島とか尖閣列島いろいろ問題はありますよ、まだ。そのことだけでも一時間二時間かかると思いますよ、議論すれば。だけれども、この際外交交渉の中でしっかりと二百海里を設定しなければ、北洋だけじゃないのですね。最近は以西の方々も、これじゃ大変だ、中国が集団的に三百隻も対馬周辺に最近はあらわれてやってきたというし。だから、こうした状況をこのまま放置できないじゃないか。釜山日報によると、朝鮮側の方も、この日本と取り決めました日韓漁業自主規制措置を守らない韓国は、漁民は、国辱である、まさにこの韓国といえどもルールを守らないということはけしからぬという社説が出ていますよ、最近。だからそういう、韓国国内でも問題が出ているということですから、この際、二百海里を、全面適用措置を図れるようにひとつぜひとも力強い交渉をしてほしい、これを申し上げて御回答を得たい。農林水産大臣官房長官、お願いします。
  165. 山本富雄

    山本国務大臣 これは外務大臣からお話がある方がいいと思いますけれども、我が省の関係につきましての考え方を申し上げたいと思います。  今委員の御指摘のとおり、沿岸漁業者が非常に悲痛な叫びを今上げておる、二百海里水域を設定せよというふうな声が非常に強いということはよく承知をしております。  しかし、これまた委員御承知のとおりでございまして、韓国や中国がこの二百海里漁業水域設定問題についてどう考えているかということなども見きわめなければならない。そして具体的には、日韓漁業協定あるいは日中漁業協定そのものの改定が必要である、これは当然のことでございますから、これに向かって進んでいくためにはかなり困難な情勢があるというふうに思わざるを得ない。  そこで、非常に隔靴掻痒の感もありますけれども、とにかく例えば韓国側に対しては監視強化措置その他、あるいは漁民に対して、今先生は、韓国側からも国辱だと、こういう声が上がっているというお話でございますが、それらを大いに教育をしていただく。あるいはまた中国に対しましても、底びき網の漁業について我が国の漁業規制措置というものがあるわけでございますから、これを十分守れというふうなことを粘り強く交渉していく以外に、今のところは方途はないというふうに思っております。  しかし、漁民の皆さんの、沿岸の方々の声も十分承知をしながら、外国漁船の操業適正化ということにつきましてはできるだけ一生懸命やらしていただきたい、こう思っております。
  166. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 ただいま農林大臣からもお話がありました。私も同じであります。  しかし、仮に我が国による一方的な二百海里水域の全面的または部分的適用ということになりますると、種々の面にわたって多大の影響が生じ得る問題でございます。日中関係、日韓関係全般にわたって大変な影響を及ぼすものでございますので、慎重に判断するべきものだと思っております。
  167. 新盛辰雄

    ○新盛委員 終わります。
  168. 佐藤信二

    佐藤(信)委員長代理 これにて新盛君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  169. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川崎寛治君。
  170. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 さきに総括質問で、ヨーロッパの大きな変化、それから日本対応の仕方、そういう問題について、グローバルな問題についてお尋ねをいたしましたが、そのときにも指摘をしておいた点でございますけれども、要するに米ソという両超大国が巨大な軍事大国になるわけですね。超大国ではなくなるわけです。日本とドイツが経済大国として九〇年代から二十一世紀に向けて非常に大きな影響力を持つ国になってくる。その場合に、今、日米構造協議でも、つまりアメリカ側からいろいろ指摘をされ、イニシアチブということで障壁をどうするかということが議論になっているわけですが、その場合に一番問題になりますのは、労働時間の問題というのが絶えず国民の暮らしの基本の問題として問題になっている。  そこで、今お手元に表をお配りしてございますが、これは私がつくったのではなくて、全部政府の資料でございますから。ただ一々説明しておったら時間がかかりますので表をお手元に配ってあるわけです。決してメンタルテストではありませんが、まずこの一番右端の下の「年間総実労働時間の国際比較」というのをごらんください。絶えず議論になっておりますように、日本は二千百六十八時間、西ドイツ、フランスは千六百時間、こうなっておるわけでありまして、所定外が、日本が二百二十四時間、西ドイツは七十八時間、フランスはなし、こういうことになっておるわけです。大変大きな開きがあるわけでありまして、敗戦国から奇跡の復興をいたしましたドイツと日本というものをひとつ中心にしながらお尋ねをしたいと思うのです。  そこで、公務員問題の担当の大臣でございます塩崎長官にまずお伺いをいたしますのは、同じ敗戦国からやってまいりまして、何でこんなに実労働時間に開きが出ちゃったか。何が原因か。今、急いで何とか完全週休二日へということを中曽根内閣以来ずっとやってきているわけですね。しかし、なかなか進まぬ。金融が完全週休二日に入った。公務員も、交代勤務の難しいところも週四十時間で実行してみよう、こうして入ってきているわけですね。  まず三人聞きますよ。総務長官と大蔵大臣と、それから、きょうは総理大臣おりませんから、内閣の大番頭であります坂本官房長官、三人にそれぞれのお立場、お立場でひとつ、なぜこんなに開いちゃったか、まずそこの感想を、難しい政策論は今問いません、まず感想を率直に述べてください。
  171. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私が真っ先に御指名を受けたのはよく理由がわからないような気がするわけでございますが、これは労働時間の問題でございますから、しかもまた公務員だけの労働時間がどうかという問題じゃありませんから、恐らく労働大臣が一番適当かと思います。  私は、個人的には、やはり西ドイツは生産性を上げることに成功して、このような労働時間であれだけの水準の経済成長ができ上がったことがこのような労働時間をつくり上げたもとだ、原因だ、こんなふうに、これはもう全く私の個人的な見方でございます。
  172. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 私は、ちょうど敗戦のときが小学校の二年生でありますけれども、その当時から土曜日が半日、日曜日が一日休みというものを何ら疑わずについ最近まで参りました。そして、それは社会的な風潮としてもそうだったと思います。  そしてまた、こうして時間数で対比をされました表を改めて見ると、随分違っているなという感じがいたしますけれども、同時に私が感じますことは、これは大変失礼な言い分になりますけれども、負けなれた国と初めて対外戦争に負けたという日本と、随分その戦後処理においてもその手法等に開きがあったな。これは、敗戦後これだけの年数がたちましても、ややもすると戦後処理というものがまだ院においても論議をされる日本と、非常に早い時期にそうした問題を処理してしまった西独、そういう対比からいきましても、負けなれた国と初めて負けたという国との差というものもあるいはあるのかな。経済復興その他についてのいわばタイムテーブルを振り返ってみても、そのような感じがいたします。
  173. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 何かおまえの考えておるそのまま言え、こう言いますから、それで申し上げるわけですが、やっぱり日本人の勤勉の精神の一つのあらわれ、終戦直後ですから、もう一切日本の町は廃墟に帰して、食う物もまた食わずというようなのが一般の風潮でありましたから、これは大変だと思う。それがやっぱり勤勉の精神、長い間培われてきたこの勤勉の精神というもの、それで人一倍働かなければならないというような気持ちがあったのではなかろうかな。  それと、やっぱり日本の方は、いわゆる民主主義とか自由とかというその訓練というものは西ドイツに比べても、西ドイツはナチスでやられましたけれども、それ以前の歴史をたどれば、日本の方がまだ自由とか民主主義とかいうような風潮よりも、何といいましょうか、みんな連帯の精神といいましょうか、家族主義といいましょうかね、そういう風潮で、お隣も働けばおれも働こうというような気持ちが広がっているのではないかな。そういう日本人の固有の、日本株式会社なんといって非難された言葉にとらわれたこともありましたけれども、とにかく日本人にそういう風潮が、働こうという風潮がみんなに広がったんじゃないかな、そんなような気がいたしますがね。
  174. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それぞれ率直な御意見を聞かせていただきまして、敗戦の回数が多いか少ないかということもございましたが、しかし、これは学校五日制の方をごらんいただきますとわかりますように、アメリカなんか一九二〇年代からなんですね。歴史的に学校のみならず、社会一般にこういうことで進んでしまっているわけです。それからイギリスも十九世紀の公教育の成立当初から、こういうふうになっておりまして、つまり、今私たち労働時間をどうするかという議論をしておりますときに、疑っていないのですよ、長時間であるというのが当たり前だという。それで外から責められて、大変だ大変だ、こういう議論をしておるわけですけれども、やっぱりこれは日本の長い歴史あるいは社会生活、そういうものの中にありますこういうものをどう克服していくか、これは政治の大きな課題であろう、こういうふうに思います。  例えば今問題になっております証券の問題なども、実は、独立すると同時に証券取引委員会という行政委員会があったものを大蔵省の中に入れて、大蔵大臣、よく検討してください、大蔵省の中に入れまして、そしてアメリカ式だったものを全部規制緩和したのですよ。そして資本蓄積、輸出促進ということで走ってきたわけです。そういうもののひずみが今いろいろ出てきているわけです。だから、つまり、これは後で学校五日制の問題――幸いにして新しい文部大臣はパリに五年、若い一番フレッシュなときに勉強しておられますから、私はもう大変期待をしているわけですね。期待をしておりますが、つまり人間の暮らしあるいは自由や民主主義、そういうものを根本に据えるということがなかった。やはりその点は、これから労働時間の問題は外から責められるというのではなくて、国内でどうしていくかということが大変大事な問題であるということを三人の御感想に触れながら述べさせていただきたい、こういうふうに思います。  そこで学校五日制の問題に入りたいと思いますが、国民生活審議会、これは総理の諮問機関でございますが、総合部会が余暇・生活文化委員会の最終報告書を承認をいたしました。この中では、去年の四月の中間報告に盛り込まれました余暇促進法というものは先送り、こういうことになって、これは大変残念な点でございます。しかし、学校五日制という問題については、これは前川レポート以来ずっと議論が来ておるわけでございますけれども、学校五日制の導入という点については非常に明確に打ち出してきておるわけでありまして、その学校五日制という議論は教育にかかわる文部省の中のプロパーの問題だ、こういう認識ではいけないということが強くあらゆる面で今出てきておるわけですね。学校五日制の導入というのを余暇充実のための公的部門と民間の役割、責任から余暇活用の手だて、そういうものとして学校五日制、それは当然教職員の週休二日制という問題と絡むわけでございますが、打ち出されてきたわけです。  そこでこの学校五日制の、こういうはっきりした打ち出され方をしてきておりますから、文部省としても対処していかなければならないわけです。文部省が現在進めておりますこの学校五日制の問題というものについての調査研究協力校をやっておりますが、それについて御説明いただきたいと思います。
  175. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 学校五日制の問題につきましては、昭和六十三年の七月に、文部省内に関係局長等をもって組織いたします教員の週休二日制・学校週五日制に関する省内連絡会議を、これは官房長中心になってやっておりますが、設置をいたしまして、教員の週休二日制及び学校五日制について連絡及び検討を行ってまいったところでございます。  また平成元年度からは、社会の変化に対応した新しい学校運営等に関する調査研究の一環といたしまして、学校週五日制について研究することといたしまして、先ほど先生御指摘のとおり、平成元年八月に調査研究協力者会議を発足させ、同年十二月には公立学校六十八校を指定をいたしまして、平成二年三月には国立学校十校を学校週五日制を試行する調査研究協力校として指定をいたしました。  学校週五日制の問題につきましては、今後教育課程審議会の答申に沿って、教育課程のあり方とともに教員の勤務形態など学校運営のあり方、子供の生活にかかわる学校と家庭、地域社会との連携のあり方などに留意しながら、その対応を具体的に研究することが必要であると考えております。  この際、民間においての週休二日制、いわゆる仕事場でございますが、そこの週休二日制が中小企業ではまだ十分に普及していない状況にあるわけでございまして、また世論調査の結果を見ると、学校週五日制に反対する意見というのはまだございます。かなり、半数以上ございますので、国民世論の動向などを配慮しながらこれは検討していく必要があるのではないかと思います。  こういう問題については、このような幅広い観点から検討する必要がある課題でございまして、調査研究協力校を指定して学校週五日制を試行いたしまして、検討に必要な実証的な資料を得ることが必要だと思っております。また、調査研究の結果を踏まえ、およそ平成三年度末までに学校週五日制について一応の結論を得たい、こういうふうに考えております。
  176. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、この調査のための予算というのは、平成元年度の予算で一千万ついたわけですね。その一千万平成元年度に予算がつきながら、今大臣説明の協力校による実験、それが一年おくれた。つまり、平成元年度に研究のための予算がついておりながら、これだけ内閣の中でも大きな国際公約になり、また学校五日制というものが公的な部門と民間部門、今世論がと、こういうことで世論のところに逃げておりますけれども、しかし公的部門と民間部門をつなぐ問題としては学校五日制、週休二日制というのはかなめの問題だということが絶えず指摘をされてきながら、なぜ平成元年度の予算についたものをこの平成二年度の四月から実施しなければならぬのか。  教育内容の改善、教育課程実施推進という元年度の一千万の新規予算でございますが、内容は何か。これはよく聞いてください、大臣。これは前任者の問題ですからあれですけれども、調査研究協力者会議委員十五名、会議八回、調査研究協力校の指定八ブロック各一県八校、六十四校。これはふえますけれども、これだけのことをやるのに一年かかるのですか、文部省は。何で一年、平成元年度に予算が、大蔵大臣予算平成元年度につけてあるのですよ。ところが、八県六十四校かを指定をして実行するというのはことしの四月からなんですよ。私は、時代の要請というものの認識があるのだろうかと疑うのですよ。これだけの内容のことをやるのに一年かかったということの意味が私にはわからない。だから、なぜかかったかという必然性ということを文部省は説明してください。これは文部大臣ではその経過知らぬわけですから。
  177. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 この学校五日制の検討を始めるに当たりましては、まず調査研究協力者会議、外部の専門家とか学校の先生、その会議を八月に開催しまして、そこで実際に学校を指定して実験に入る具体的なやり方を検討していただいたわけです。調査研究協力校における研究の内容及び方法、これをどのようにするかという具体的なやり方をここでずっと検討いただいたわけです。試行の形態としまして、月に一、二回土曜日を休業日にする。その際の具体的なやり方として、授業時数をどういうふうにする形態があり得るかというようなことを検討いたしました。そのほか、具体的な指定の手続もございました。  ですから、学校を指定したのは平成元年の末に指定しておりまして、そこで検討会議でいただきましたやり方、要綱に基づきまして学校と一緒に相談いたしまして、あなたの学校はどういうやり方でやるかというようなことで作業を進めてきたわけでございます。学期はちょうど新学期からやる必要がございますので、実際の学校の運営ということはことしの四月からでございますが、その準備ないし相談、それから実際のやり方につきましては平成元年度中からずっと進めてきた、こういうことでございます。
  178. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 実は社会党の中にも学校五日制、週休二日制という対策委員会をつくりまして、私が委員長をしておりました。それで、内閣官房長官後藤田さん、ここにおられるが、後藤田さんが官房長官のときに、これは中曽根内閣の公約だよ、文部省は非常に鈍い、遅いから、内閣として縛ってくれということも官房長官のところへ言ったんですよ。官房長官はそのときに、世の中変わったなあ、昔は働け働け、物は買うな、節約せい、しかし今は遊べ遊べ、物はどんどん買えと言うんだから、世の中変わったなというそんな話まで官房長官ともいたしましたが、今の説明は一年かかったということの説明にはならないと思うんですよ。  それで、七月に省内のということを言いましたが、実はこれも私たちが中島文部大臣と何遍も何遍もやりまして、そうしたら初中局と助成局と別別の答弁ですから、こんなことじゃ学校五日制と週休二日というものは一つの、関係の深い問題でございますから連絡会議をつくってくれ。ようやく六十三年七月、文部省の中に連絡会議をつくって、加戸官房長が当時座長をしたわけですよ。加戸さんは非常に熱心だった。だから九月からやりますというのが、六十二年、概算要求で問題になり、そして六十三年の予算に成立をしましたときには平成元年の九月から、こういうことでございましたが、残念ながら不幸な事件なども文部省にありまして、リクルートの関係等もございまして、文部省はこの問題には取り組めなかったと私は思います。しかし、それならそれだけに、なお一層社会の要請に対しましては私はもっと取り組んでくる。だから昨年の、平成元年の九月からやれたことをなぜここまで延ばしたかということは、大変残念だということを指摘をしておきたい、こういうふうに思うわけです。  そこで、先ほどこの表をごらんいただきましたように、文部省の方に一遍一遍説明してもらいますと時間がかかりますから、ごらんいただきますとおわかりのように、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、みんな学校五日制でやっておるわけです。日本だけ、これは今の答弁でもまだまだ時間がかかるお話に聞こえます。非常にこれは日本の場合には学校五日制という問題もおくれるんじゃないか、こういうふうに思いますが、そうしますと先ほど、去年を入れて三年間の実験をやるわけですね。文部省、そうですね。そうすると、九二年の三月三十一日で実験が終わるわけですか。そうしますと、九二年度に公務員の完全週休二日というのを目指しておるわけでございますが、人事院総裁、今お見えですね。  人事院は、宮崎勇さんを座長とする労働時間の研究委員会もつくりまして、いろいろ去年の暮れに出してきました。そうしますと、これからこの完全週休二日というものに入れていくためには何が問題かという点で人事院としては方針をお出しになっているか、それを伺いたいと思います。
  179. 弥富啓之助

    ○弥富政府委員 お答えを申し上げる前に、私、本院に在職させていただきました間、いろいろとお世話さまに相なりました。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いを申し上げる次第でございます。  さて、ただいまの御質問でございますが、学校五日制の問題につきましては、現在、学校職員の週休二日制、これにつきましては、先生御案内のとおりに休業期間の中にまとめてとるという、まあ弾力的な形態による四週六休制が実施されているということでございます。しかし、これは従前からいろいろとお話がございまして、職員の勤務条件の面から申し上げますと、やはりこれは基本的な形態による実施が望ましいのではないか。また将来完全週休二日制の実現ということを念頭に置きますと、その態様をよく考えますときに、学校五日制についての早急な検討がまさに望まれるところでございまして、人事院といたしましても、これまで文部省に対しまして検討の促進をお願いを申し上げてきているところでございます。  文部省におきましても、ただいまのお話のようにこの問題につきましては実験学校を設けていろいろと御研究を行うこととしているようでございますが、学校五日制についての理解と認識を深めるためにも積極的に進めていただきたいと考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、公務における完全週休二日制の国全体の労働時間短縮の計画期間内における速やかな実現に向けて、今後とも引き続き積極的な検討を要請してまいりたいと考えておるところでございます。  また、先生が今言われましたように、どこに問題があるのか。これは学校教育のプロパーの問題でございまして、人事院としてはそこまで申し上げることはいかがかと存じております。ひたすら、やはり公務全体の中から考えていただきたいな、かように考えておる次第でございます。
  180. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 基本型でやってほしいということ。まとめ取り方式では、これは実際完全週休二日というものにならないわけですよ。ですから、この学校五日制の協力実験校で今実験に入っておるわけでございますけれども、これは文部省の、教職員の週休二日制というものも目指した学校五日制の検討なのかどうか。つまり、大変強く経済審議会の要求が出ているわけですね。  経済審議会が八八年五月の「世界とともに生きる日本――経済運営五カ年計画」、これは八八年から九二年度でございますが、さらに昨年の十月、構造調整部会を設置して、そして労働力委員会、物価委員会、土地・地域委員会、国際経済委員会という四つの委員会をつくっておるわけです。労働力委員会は時短の問題を真っ正面に据えまして、「社会的機運は盛り上がりつつあるが、そのテンポはなお鈍い」、こういうふうに週休二日に向かっての今の社会のテンポが鈍いということを指摘しておるわけです。ですから、官房長官政府が国全体のスケジュールを示すよう、こういうふうにこの経済審議会の労働力委員会は要求しているわけです。国全体のスケジュールを示せ、こういうふうに言っているのです。これはどこに示してもらうのですか。これは経済企画庁かね。官房長官示してくれ。  官房長官、私、国会というのは事後承諾機関じゃない。いろいろ僕は、後で救急車の問題も、説明に来た政府委員に腹立てたこともあるのですが、何かここで政府がやったことを承認してくださいというような姿勢じゃ僕はだめだと思うんですよ。これは、国会のあり方というのが今議論になっているわけだし、我々も、野党も大いに勉強しますけれども、やはりこれは国権の最高機関ですから、ここで議論しながらそれが具体的に政府が進めていくということにならなければいかぬと思うのです。そういう意味では、内閣全体のスケジュールを示すよう求める、こういうふうに経済審議会の方は言っているのですが、この内閣全体のスケジュールというのはどこが出すのですか、どこが我々に議論せいといって出してくれるのですか。
  181. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 今、私も詳しくありませんので、後ほどひとつ一番最も詳しい人から説明をいたさせます。
  182. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 川崎委員に御答弁申し上げますが、私は公務員の労働時間の問題も担当でございます。もちろん教育公務員もその中に含まれるわけでございましょうが、御承知のように、今申されました昭和六十三年五月の閣議決定経済運営五カ年計画、これはサブタイトルがついておりまして、どっちがサブタイトルかわかりませんが、「世界とともに生きる日本」ということで、六十三年度から平成四年度間におけるところのあらゆる政策、そして一つ方向について出されているわけでございます。そこでは、「公務員については、」「業務の一層の効率化等を図りつつ、国民の合意を形成し、完全週休二日制を実現するよう努める。」しかし、これはタイムスケジュールを示したものではない、この期間にこのような努力をしていくということを示したものだと私は思うわけでございます。  ただし、もう御案内のとおりに、昨年の八月の人事院の提言を受けまして、完全週休二日制に向けた検討の一環として、本年四月から交代制等職員の週四十時間の勤務制の試行を開始いたしました。したがって、私どもは、国家公務員についてでございまするけれども、この試行状況や土曜閉庁の定着状況を見きわめながら、さらにまた民間における週休二日制の普及状況、それから国民世論の動向等を勘案しつつ検討を進めていきたいというふうな考え方を持っているところでございます。  したがいまして、私は、民間の週休二日について特にタイムスケジュールをつくったもの、あるいはこれを強制していくようなものはまだ見られないところではないか。そして、今公務員の中でも、今教育公務員につきましてお話がありましたように、やはりその部門部門の特殊性がありますから、それに応じてのまた進め方を考えなければならないのではないか、こんなふうに進めているところでございます。
  183. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 私は、公務員の場合に絞ってこれから少し議論しますが、学校五日制の問題については、昨年の経済審議会の中に設けられました構造調整部会は、全体を言いますと同時に、学校の週五日制の問題については、「現在着手している調査研究協力校の研究を踏まえ、早期に実現すべきである」こういうふうに言っておりますね。公務員全体は九二年度に完全週休二日に入れたいという方向で動くのですね。人事院、どうですか。
  184. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 川崎委員先ほど説明申し上げましたように、経済運営五カ年計画は、確かに五カ年計画の中でございまするけれども、六十三年度から平成四年度とありまするけれども、その中の表現は、「公務員については、」「業務の一層の効率化等を図りつつ、国民の合意を形成し、完全週休二日制を実現するよう努める。」終期をあるいは目標の時期を明示したわけではございません。そして、このような大きな問題を取り上げるとすれば、私は、おっしゃるようにタイムスケジュールを一つ取り上げ閣議決定をする、あるいは法律をつくるというようなことが、義務的な期限をつくるとすれば必要だと思いますが、まだそこまではいっていなくて、今申し上げましたように、国民の合意を形成しつつ努力をしている段階でございます。
  185. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 しかし、全体は、交代制勤務の場合は四十時間で試行しよう、こういうことで四月一日から入った。大学病院とそれから国立病院はまだそれに取り組めないでおる。こういう問題がございますね。そこで、この問題は一つこれからの中でも非常に大きな課題だと思います。  厚生省にお尋ねをいたしますが、厚生省は、この交代制勤務のやつが四十時間で試行に入っているわけですね。ほかのところも入っているわけですから。そうすると、国立病院の場合に四十時間の試行というものに入るためにはどうしたらいいのか、どうして入れようとするのか、その点を明らかにしてほしいと思うのです。
  186. 伊藤卓雄

    伊藤(卓)政府委員 お尋ねの国立病院・療養所におきます週四十時間勤務制導入の問題に関しまして、先生御指摘のように、この試行の問題について私ども今般それが可能かどうか鋭意検討いたしているところでございます。御案内のように、閣議了解の線に沿いまして、医療サービスを低下させないという前提に立ちまして、増員、予算の増額を伴わない方法がないかといろいろ検討いたしたわけでございますけれども、現状の体制のもとでは看護婦等の勤務のローテーションがなかなか組みにくいといったような問題がございまして、本年の四月からの試行は見送らざるを得なかったわけでございますけれども、さらに週休二日制の実現に向かいまして私どもとしては徹底した業務の見直しあるいは合理化等も進めてまいりまして、さらには、勤務の特殊性など厳しい事情を御理解賜るよう関係省庁とも協議をいたしまして、実現に努力をしていきたいと思っております。
  187. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 予算、定員、能率を落とさない、まあ三無主義ということでございますが、しかし定員、予算というものがなければと、こういうお話なんですね。厚生省なかなか困っている。予算、定員というそこを縛って、できない、しかし努力する、それでは困るので、何とかそこを破る方法ですね、大蔵大臣、どうですか。
  188. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 私がこれをお答えを申し上げるのが適切なのかどうか、むしろ総定員管理の権限をお持ちの総務庁がお答えになる方が望ましいのかとも思いますけれども、私は国立病院・療養所のことを考える場合に、他の職種とちょっと違った問題点があるなと思っております。それは根本的な問題でありまして、看護婦養成の数の問題であります。そして、いたずらに国立病院・療養所等が看護婦の増員に踏み切れない地域の実情、言いかえれば、その地域に必ずしも充足率が民間の医療機関に十分でない時期に、ある程度以上の増員をいたしました場合に、この世界においては官民逆格差の問題がありまして、民間の医療機関が手不足になってしまうという問題がございます。これは、委員も御承知のように、新たな公的医療機関を設立いたします際に地域で必ず問題になる問題点一つでありまして、こうした問題点一つはあろうかと思います。  ただ、今後のことを考えてまいりますと、これはむしろ、ただ単に病院医療のことばかりではなく、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の中における在宅介護の指導に当たり得る資格を持つ人々の養成という視点からしましても、現状のままで推移することはできないわけでありまして、こうした状況と見合いながら判断をしていくべきものであろうか、そのように思います。
  189. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 たびたび申し上げましたように、慎重な試行を、あるいは土曜閉庁の定着状況等を見きわめながらこの問題を進めていきたいと考えているわけでございます。  そこで、今御指摘の交代制等職員の週四十時間勤務制の試行に当たりましては、特に今御指摘がありました予算、定員の問題に影響があるかどうかというようなことも大事なことでございますので、そこで、試行は、大蔵大臣が御説明したところに尽きると思いまするけれども、現行の予算、定員の範囲内で実施するということに明示いたしておりますので、私どもはこの中でどのような試行状況になるかということを見て、またそれから進めていかなければならない、こんなふうに考えております。
  190. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 ところが、今厚生省は、それではできない、しかし努力はしましょう、こう言っているのですから、どうしたらいいのですかと。定員、予算、それじゃできないのです、こう言っているのですから。だからそれを破る方法は何ですか。これは文部省もそうだと思いますよ。文部省はちょっと違うのかもわからぬけれども。厚生大臣、どうですか。
  191. 津島雄二

    ○津島国務大臣 委員の御指摘のとおり、週四十時間体制の導入は政府の重要な方針でございまして、私どもも大切な政策課題と受けとめてございます。これを国立病院や療養所の職員について実現をするにつきましては、先ほど政府委員からのお話もございましたように、困難な問題も抱えておりますし、また、看護職を初めとする人員養成、マンパワーの確保というのは、厚生省全体の立場から見ましても、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の中でも最も重要な課題になっておるところでございます。  今後は、関係各省庁と協議しながら条件整備を一生懸命やっていきたいと思いますが、この際、付言いたしたいと思いますのは、看護職の確保は非常に難しいわけでございまして、労働力が不足してくる中でやはり人並みの労働条件を差し上げないと、看護職の確保自体が難しくなるという危機意識も持っておるということを付言させていただきます。
  192. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 じゃ、文部省はどうですか。
  193. 國分正明

    ○國分政府委員 国立大学の関係でございますが、本年の四月からおおむね一年間、交代制等の職員について週四十時間制についての試行を行うという方針は決めております。それぞれ六カ月程度やるということで、前半、後半に分けまして、病院等につきましてはいろいろ課題も抱えておりますので、前半につきましては病院を抱えていない国立大学、後半については病院を抱えている国立大学について実施しよう、こういう形になっておりますが、病院自体につきましては、先ほど来厚生省の方からお話がございましたように、現状の体制のまま試行を行うということについては、患者サービスその他の面で大変問題が多く難しい点もある、こういうことで、引き続き検討していこう、こういう形になっております。
  194. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 これは、国立病院の場合もそれから大学病院の場合もいろいろと困難な条件がありますが、しかし、それを乗り越えて進めていただきますことをひとつ希望いたしたい、こういうふうに思います。  そこで、学校五日制の問題に返りまして、これは協力校で学校五日制の実験に入っているわけですけれども、この実験が終わると同時に、一方では公務員の場合には土曜閉庁、完全週休二日というものを、一九九二年度土曜閉庁という方向が目標でみんな努力しているわけですよ。それに入れなければいかぬ、こういうことで、それぞれ交代制勤務の場合も努力しているわけです。それから、一般の公務員の場合には、土曜閉庁の月二回の週休二日と、こう入ってきているわけですね。  そういたしますと、学校五日制の実験が終わる、一方公務員の方は土曜閉庁、完全週休二日、そこに入っていくという場合に、この学校五日制というのは週休二日、つまり四十時間でそれぞれ試行をやっているわけですけれども、そういうものとの絡みで言いますならば、学校五日制というのは当然週休二日制という問題とも関連をして進められている、そして完全週休二日に入っていくという方向を目指しているのか、あるいは学校五日制だけでとまっているのか。そこの点はいかがですか。  これは当然全体として進めるということになりますならば、この完全週休二日の足並みをそろえるべきだ。それは経済審議会の労働力委員会の答申もそうですし、あるいは今度の「豊かな時を創るために 新しい余暇社会と生活文化の創造に向けて」という中でも、この学校五日制という問題については繰り返し繰り返し触れてきておるわけでありまして、そういう意味では、この学校五日制というものをそういうものの中に社会的な位置づけをして進めているのかどうか、あるいはそこに進められるのかどうか、その点を伺いたいと思います。これは文部大臣ですか。
  195. 倉地克次

    ○倉地政府委員 お答え申し上げます。  先ほどお話がいろいろありましたように、交代制勤務の職員、これは学校の教員も含むわけでございますけれども、それの週四十時間勤務制の試行を平成二年度から行うことになっている次第でございます。ただ、小中学校、それから高等学校の教員の週四十時間勤務制の試行につきましては、先ほどお話のありました学校週五日制の調査研究協力校におきまして、その学校五日制の研究の中でいろいろ試行をしていただくというふうになっているわけでございまして、週休二日制の 問題と学校五日制の問題は密接に関連して、私どもいろいろ検討しているところでございます。
  196. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、週四十時間制、こういうことになりますと、現在のまとめ取り方式ではそれができなくなる、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  197. 倉地克次

    ○倉地政府委員 学校五日制の研究の中で、どの程度学校五日制を実施するかということも同時に御研究願っているわけでございまして、そうしたものとの関連におきましてまとめ取りの問題もいろいろと検討する必要があるのじゃないか、そのように考えておる次第でございます。
  198. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 それでは、社会の要望というのが学校の枠内でとまっておった時代からいたしますと、もう大変大きく要望が強まっておるわけですから、学校五日制と週休二日制というものの、公務員全体が土曜閉庁に向かっている中で、この学校五日制の検討というのが進められる、週休二日制の実現に入っていくということについて進めてもらいますことをお願いをいたしたい、要望しておきたい、こういうふうに思います。  そこで、次には文部大臣、ちょっと時間がたっちゃったのですが、特にドイツと日本というのは、さっき冒頭に比較をお願いしました。  そこで、ドイツに長いことおりましてドイツ人を奥さんにし、そして政治評論などをいたしております仲井君というのがおりまして、その人が自分の子供さんを八八年の六月、七月と二カ月日本に連れてきまして体験入学しているわけです。それで、「カタリーナ民子の体験入学」というのを「世界」の八八年十一月号で書いておりまして、これは日本とドイツというものを比較します場合に大変大きな教訓がある、こう私は思いましたので、これは大変失礼だと思いましたが、文部大臣に読んでおいてほしいということをお願いいたしました。  ドイツの教員と日本の教員との大変な違い、あるいはドイツでは一時過ぎにはもう学校が終わる、そうすると子供も帰れば先生も帰っちゃう、夏休みになれば十三週間ばっと完全に解放されて学校にはだれもいない、こういうドイツの状況でございまして、これはもう日本とは比較にならない状況でございますが、パリに五年間おられたという文部大臣の、これを読まれた率直な感想というものを伺いたいと思います。
  199. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 委員御指摘の「カタリーナ民子の体験入学」という、仲井斌さん、ボン在住の評論家で奥さんがドイツ人だそうでございますが、そのお子さんがカタリーナ民子とおっしゃるわけですけれども、その体験入学を書いたこの仲井さんの論文を読ませていただきました。ヨーロッパの制度その他、私の経験と重ね合わせて大変懐かしく読ませていただいた部分もございます。  私の率直な感想をというお話でございますから、お許しをいただきまして二、三お話を申し上げてみたいと思いますが、ここの中で私が感じましたのは、子供というものは大変頭がやわらかいものだなというような感想もありましたし、あるいはムッターシュプラッへと書いてありますが、いわゆる母国語というもの、これはなかなか離れにくいものだという問題。そういった問題もありましたけれども、やはり大きな部門というのは、私は、社会制度の違いが随分あるな、日本とあちらとの社会制度の違いというものは大分あるし、さらに社会的な背景というものが違うから、子供の教育というものはドイツで行われる場合と日本で行われる場合と随分違うものがあるということをつくづく感じました。  さらに、ドイツの方での教育の成果でしょうか、あるいは民族性でしょうか、自己主張を非常に強くするという部面、さらに、それに反して日本側が友達仲よく融和体制をとっていく、互いに助け合ってみんな支えていくというような融和体制、そういったものを感じました。まだほかにも、バカンスのとり方でありますとか休みに対する考え方、特にこれは宗教的なものに根差したものが若干あろうかと思いますが、日曜日は安息日というふうに言われておりますし、さらに、私がおりましたところでは、土曜日には教会に行くようにということもあったようでございます。そういった制度面の違い、そういったものを私自身つくづく感じました。  さらに、最後に感じましたのは、このカタリーナ民子さんがドイツへ再び帰りますときに、日本におって仲よくなった日本人のお友達たちとパーティーをやったり、あるいは非常に打ち解けた形で日本から別れていった、そういう経験をして別れていったということが書いてありますが、あの辺は目頭が熱くなるような感じを受けましたけれども日本人の温かさというものも大変強調されているというふうに私は感じました。  率直な感想を申し上げさせていただきました。ありがとうございました。
  200. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 大変ありがとうございます。率直に御感想を述べていただきまして、私は大変うれしく思います。  これはひとつ、やわらかい頭、こういうことでございますけれども、今のこの日本の社会をどう変えていくかということの場合に、学校五日制なり週休二日制なりという問題も中に据えて、大変厳しい問題でありますけれども、どう解決をしていくかということを考えなきゃならない。この中では、教育のあり方そのものが違う、がつがつ詰めますから。仲井君は、こんなにのんびりしておったらおくれるのじゃないかと心配する。しかし、ボンの中学校の先生の奥さんは違うと、大学まではそうかもしらぬけれども、大学には入学試験がない、大学に入って四年では出られないのだ、六年かかるのだ、だからその間に専門家としては非常な勉強をする、だからそこからはうんと違ってくるのだということを、その早期教育に反対をする奥さんは自信を持って主張するわけです。  そういうことなどがありまして、私は大変感銘を受けました。これはぜひ一遍、文部省と日教組と、ひとつこれらを議論してみて、本当にどうしたらいいかということを率直に話し合ってみるということは日本の教育のために大事だ、こう私は思いますから、これは答えをと言うとまた後ろの方から何か締められて言えないと思うからあれですが、文部大臣、そういうこともひとつやってください。そういうことで日本の教育を、それから今の危機をどう乗り切るかということをお願いをしたい、こういうふうに思っております。  なおここで、「土曜日よ こんにちは」というやはり仲井君の、これは仲井君は西ドイツ、ボンの海外日本人補習学校の校長先生を十何年しているのです。いろいろな経験をして日本と比較しながら、そして、父母がいろいろ書いております。これはNHKの出版協会から出ているのですが、これもひとつ文部省はよく読んで検討してください。  次には、救急体制の問題についてお尋ねしたいと思います。  第二次交通戦争、こう言われて、この間NHKで長時間特別番組を見ました。私はこれは大変感銘を受けました。いろいろな問題があるな、こういうふうに思ったのです。それから、民放でもいろいろやっておりますし、あるいは産経新聞で、「花時計」というコラム欄に遠藤周作さんが「救急車に医師が乗らない不思議」というのを書かれたり、あるいは「諸君」という雑誌の五月号で、フジテレビの黒岩キャスターが「人はなぜ救急車で死ぬか」という救急医療にメスを入れたこの文章も読みました。  実は私は二回、もう一つ言いますと三回経験しているのです。救急車のお世話になったというか経験しておりまして、一回は、パリで大変ハードスケジュールで動いておりましたときに、友人がパリの中華料理店で飯を食っておりましたら、心臓麻痺というのか倒れてしまったのですね。そうしたら、たまたま隣のテーブルに大変美しいフランスの女医さんがおりまして、すぐ診てくれました。と同時に、すぐ電話をしてくれたらピーポーが来たわけです。そしてさっと運んで、それが実に早いのです。それで、彼は救急医療センターに連れていかれまして一晩泊まりましたが、幸いにして元気で後の行動を一緒にしたわけですけれども、そのときに、パリのそういうシステムといいますか仕組みというものは進んでいるなということを大変痛感をいたしました。それからもう一回は、これは私の妻の父が、実は大変田舎で、しかも遐郷離島におりますから、そこから、非常に熱を出しまして、発熱で、三時間くらいかかって来たわけです。そして、それは肺炎だと、こう見ておったものが違ったのですね。別の熱だったのです。これはしばらく病院にもいろいろ随分大変な苦労をして頑張ってもらいましたけれども、亡くなりました。そういう二回。それから一遍は、妻の母が心筋梗塞で倒れたとき、これは亡くなりまして間に合わなかったのですけれども。救急車が来ましたけれども、亡くなった、間に合わなかった。そんな三回経験がございまして、それだけに身につまされる思いでこういう記事あるいはテレビを見てまいりました。  それで、このフランスのドクターカーのシステムであるとか、アメリカのパラメディックであるとか、あるいは西ドイツのさらにはヘリコプターを配備してやっているとか、そういうのをずっと見ますと。ハリなんかの場合には十八世紀から馬車であった、こういうのですから、大変やはり、これは社会が違うんだということで済むのかどうかの問題ですね。  そこで、こういう救急医療体制という問題が今非常に議論になってきておるわけでございますが、私はやはり、消防庁の救急隊というものは、今いろいろな社会の要請にこたえてもらうために今の体制というのを変えなければいかぬ、こう思います。いろいろ研究された報告も読みました。それから、厚生省もいろいろ検討に入っていることは聞きました。しかし、どうも何かまだるっこい感じがいたしておりまして、ですから、今のこの救急体制というものを、命を救うという点に重点を置いた体制にどうしたらいいのか。つまり、今は救急隊が連れてきたら病院は診てあげましょう、こういう状況ですから、そうなりますと、今の消防庁の救急隊、そういうもののあり方というものも当然これは変えなければいかぬ、こう思います。  そこで、外国の調査とかそういうことは、もうこの際時間がございませんから、特別に詳しく御報告は要りませんけれども日本の場合もこういう救急医療体制というものを急速に、特に交通戦争の時代というものに入っておるわけでございますから、検討していかなければいかぬと思うのでございますが、まず自治省が今どうしようとしておるのか、自治大臣の考えを伺いたいと思います。
  201. 木村仁

    ○木村政府委員 現在、消防行政におきまして救急の問題が非常にクローズアップされていることは御指摘のとおりでございます。自治省・消防庁といたしましては、厚生省等とも協力いたし、かつ、自治省に救急業務の将来像を考える懇話会を設けまして研究を重ねますとともに、救急隊員の教育訓練の充実向上ということに格別の力をいたしているわけでございます。  研究会におきましては、ドクターカーの導入でありますとか、あるいはパラメディックの可能性でありますとか、あるいは消防隊員の当面の能力向上による応急処置の拡充でありますとか、そういうことを積み重ねながら、救命率の向上ということに格段の力をいたしてまいりたいと努力をいたしている次第でございます。
  202. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 今ドクターズカーのことも言っておられるわけですね。そうしますと、パラメディックスも検討する、こういうことですが、しかしこれは、現在医療行為ができないということになりますと、検討しておりますじゃだめなんですよ。これは検討しておりますなんということは知っているのですから、ここでは、医療行為ができる救急隊員が現場に駆けつける、それから現場から搬送する車の中で治療する、そういう体制をつくるには今のどこを変えなければいかぬのか。つまり、消防法の改正が必要なのか、あるいは、消防法の二条に「医療機関その他の場所に搬送すること(傷病者が医師の管理下に置かれるまでの間において、緊急やむを得ないものとして、応急の手当を行うことを含む。)」こういうふうになっておりますが、それを緊急の医療行為までできる救援隊の体制にする、それが現行法でできるのか、基準見直しでできるのか、法律改正が必要なのか。大臣、それはどうですか。
  203. 木村仁

    ○木村政府委員 技術的な面がございますので、私からお答えさせていただきます。  救急隊員が医療行為をやれるかどうかという点でございますが、現在、先ほど御紹介いただきましたように、緊急やむを得ない措置として応急処置を講ずるということができまして、そして現在の消防救急隊員の教育訓練のレベルあるいは現在の医療の事情あるいは国民一般の要請の程度等を勘案して、まあこれくらいのところまでは応急処置として定型的に認められるのではないかというところを救急隊員の行う応急処置等の基準にまとめているわけでございまして、その中には一部医療行為も含まれております。したがいまして、私どもは救急隊員の訓練、教育を徹底いたしますことによってこの応急処置の内容を充実していくことは、法律の改正なくして可能であろうと考えております。  ただ、現在は、御承知のように百三十五時間という訓練で資格を与えておりますが、現実には各消防本部あるいは消防学校でそれを超える時間、中には二百時間を超える訓練をしているところもありますが、全体としてはなお低い。例えばアメリカのパラメディックは千時間ほど教育を受けるわけでありますから、そういう状態のギャップを埋めていきますためには、なお私どもとして相当の努力をしなければいけないと考えております。
  204. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 努力をするためにそういう体制をつくる何カ年計画とかそういうことになっているのですか。つまり、今日本の場合百三十五時間ですか、アメリカの場合千時間を超していますね、千三百時間ぐらいです。そうしますと、明らかに救急看護士ですか、そういうふうなアメリカのパラメディックのそれからしますと、相当ギャップがあるわけですけれども、それを直していくために、しかも全国的にそういう体制にしていくためには、これは当然何カ年計画とかいうことでやらなければならぬわけですが、まだ検討ですか、そういうのに入っているのですか。
  205. 木村仁

    ○木村政府委員 現在、私どもとしては鋭意研究をしておるところでございまして、御承知のように厚生省等におきましても研究が進んでおります。これをお互い意思疎通を図りまして、現在委員は相互に乗り入れを行って意見交換しておりますが、これを全体的な努力として高めていかなければいけないと思いますが、まだ年次計画には至っていない状況でございます。
  206. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 これは厚生大臣にも後ほどお尋ねしますけれども、厚生省も検討している、実行部隊の消防庁はいろいろ検討している、こう言うのですね。何で一緒に検討できぬのですか。
  207. 仲村英一

    ○仲村政府委員 私どもは、初期救急、二次救急、三次救急という形での医療の供給面から考えておりまして、そういう研究をする際には自治省の担当の方もお入りいただくということでやっておりますが、自治省の方は主に搬送体制ということでお考えになっておるので現在のところは別になっておりますが、私どもとしては、内容的に将来、その接合部分をうまくすり合わせるという必要はあると考えております。
  208. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 自治省が、消防科学総合センターというのが平成元年三月に「消防機関におけるドクターカーの導入及び管理運営に関する調査研究委員会報告書」というのを出しているのですね。報告書が出ているのですよ。これは厚生省としては全然検討に値しないのか、これを検討して厚生省として結論を出してくるのか、それよりもやはり両方で搬送部門をというのか。厚生省の言い分は、いや消防庁というのは運べばいいんだ、運ぶ検討をしているんだと、こういうお話ですが、しかし問題は、現場で診る、そして搬送する ときに治療ができるかどうかというのが救命率の格差になるわけですから。アメリカやドイツやフランスと比較をして格段に開いている、それを埋めるためにどうしたらいいのかというのが今の国民の要望なんですから。厚生省は、消防隊は搬送を研究しているんだ、医者の方は医者の研究だ、これじゃ困るのですから、何で一緒にできぬのか。官房長官、どうして一緒にできないのです
  209. 津島雄二

    ○津島国務大臣 川崎委員にまず御理解をいただきたいと思いますのは、救急医療対策につきましては相当な時間をかけまして体制の整備を計画的にやってまいりました。これは医療の面とそれから搬送の面と両方が一致協力してやらなければならないわけでありますが、現在、休日、夜間を含めまして一般的な疾病に対しましては大体いい体制がおおむね整ったというふうに考えております。  そこで、今御指摘の救急医療など高度な医療技術を要する救急医療の体制について、例えば搬送中の問題とかまだ不十分な面があるということは、御指摘のとおりだと思います。  もっとも私も、海外経験、四年パリにおりましたけれども、恥ずかしい話ですが、自分で事故を起こしましてピーポーのお世話になりました。そのときは余りいい扱いを受けなかったのでありますが、これは相当前でありますからあえて比較の対象にはしないつもりでございますが。  そこで、川崎委員御指摘のような問題は、多くの方々の今非常な関心を集めておられますので、これはどうしても救命率を向上しなければならない、そういう意味で厚生省は重い責任を負っておると思います。ここで御理解をいただきたいのは、自治省の方、消防庁の方から御答弁がございましたけれども、結局一番大事なのは医療的な判断が要るわけでございますね。ですから、外国でパラメディックの方が搬送中におやりになる場合も必ず医者の判断が何らかの形で得られる体制ができているわけですね。そういう意味では、やはり私ども厚生省の方で本気になって一緒になってやりませんとできない。  きょうは、委員の御指摘は、それじゃ一緒になってやってくれという叱咜激励と受けとめさせていただきますので、そこで今どういう現状にあるかと申しますと、昨年九月に救急医療体制検討会を設けまして、高度の救急医療を行う救命救急センターや、それから患者搬送途上における医療の充実など総合的な検討をお願いしております。そこで、この検討をできるだけ早い時期に報告を取りまとめていただきまして、これを受けて揺るぎない救急医療体制を確立したい。私の立場からも消防庁と一緒になってやることをここで委員答弁させていただきたいと思います。
  210. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 大変前向きに厚生大臣答弁されましたので、どうぞひとつ官房長官、これは官房長官ですから、自治省だ、消防庁だ、厚生省だ、搬送は搬送しておけばいいんだということじゃないわけですから。そうすると医師の判断、こういうことでしたが、直接なくても今は無線体制もできているわけですから、救急の本部がちゃんと二十四時間体制で医者がそれに応じられるということであれば、機械も進んでいるわけですし、そういうことで医師の指示を受けながら救急隊員がやっていくということもできるわけですから、そういう具体的な方向にしていく。だから、それぞれが縦割り行政で検討しています、検討していますでなくて、ひとつ海部内閣としてはそういうものを統一をして一緒に進めていく、早急に国民の要望にこたえていくということに対して、官房長官の考えを伺いたいと思います。
  211. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 委員のおっしゃるとおりでありまして、今厚生大臣だって非常に前向きな答弁をされました。役所は縦割り行政であることは、これはある程度やむを得ない点もありますが、命は一つで待ったなしでありますから、そこはちゃんと協力してやるように私からも関係省にお願いをしたいと思っております。
  212. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 どうかひとつそういうことで、縦割り行政を乗り越えて進めていただきますことを期待をしたい。約束をしてくれたんですから実効があるだろう、こういうふうに期待をいたしております。  そこで次には、先ほど公務員の労働時間の問題で完全週休二日。しかし、これは農家は違うんですよ。私の郷里に、これは土地の基盤整備が非常にうまいぐあいにできまして、それに接続をした酪農組合というのがありまして、県下で一番いい酪農組合ができているんです。それから、幸いにしてここは若い後継者が残って頑張っているんです。ところが、この人たちは休めないんです。休みがないんですよ。  つまり、牛にはえさだけやっておいてほったらかしておいて、結婚式だ葬式だというので出ていったらいいかというと、そうじゃなくて、その場合には乳房炎を起こすわけです。やはり乳は搾らにゃいかぬわけです。そこで、乳を搾るという絶対的な要請がございますから、どうしてもせめて一日休みたいというのがこの酪農家の願いでありまして――農林大臣、おってくれたんですか。ありがとうございます。
  213. 越智伊平

    越智委員長 厚生省はいいですか。
  214. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 厚生省はいいです、どうも。  そこで、酪農に対するヘルパー制度というのを自分たちでやっているのです。自分たちでやっていますが、大蔵大臣もよく聞いておってください。一軒が基本金五千円、牛一頭につき三百円。だから六十頭おりましたら、基本が五千円でしょう、そうしてあとの頭数によりますのが一万八千円でしょう、二万三千円自分で負担をして一日休むのです。ようやく一日休めるわけです。それを酪農組合でヘルパーさんという酪農のOBの人などを頼んで、そしてローテーションでやっているわけです。これはもう最初から決めておりますから、緊急の場合にはお互い同士で調整をする。こういうことで月に一日は休むということを努力しているわけです。  四十四、五年ごろからそうした酪農家の願いというのが大変ありまして、今度畜産振興事業団から七十億出してもらってヘルパー制度というのができるようになりましたが、私は大変結構なことだと思います。ようやくにして国の制度でそうしたものが進もうとしているわけですから、これの進め方。特に若い後継者が頑張っていけるような体制というのをつくらにゃいかぬわけですから、そのためにどういう形で進めていこうとしているのか。それから、特にいつごろから具体的になるのか。さらには、現在二万三千円負担をして月に一日休んでいるわけですが、その自己負担というのが今度の制度で減ることになるのか。そこらの点について御説明願いたいと思います。
  215. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  一番最後にお話しの数字のこと、あるいは具体的な見通しなどは政府委員からまた答弁させます。  その前に、先生の御質問で勉強させていただきましたが、先生は長い間この問題について大変我が方の畜産の担当者を御激励くだすって督励を願った、こういう話を聞いておりまして、心から敬意を表する次第でございます。  個人的な体験で恐縮ですけれども、私は終戦直後三年自分で開拓をいたしまして、そのときに牛を十頭飼いまして、あのころは搾乳機なんというのはなかったのです。手でみんな搾ったんです。手がもうだめになるぐらい、しびれちゃうぐらいやるんですけれども、もう時がたちまして、今は非常に合理的になりました。しかし、酪農家が変わらないつらさを訴えておるのは休めないということなんですね。私も、選挙区でしばしばそれを、自分も体験しておったものですから見ておりまして、何とかヘルパー制度というものを公的なものにできないか。先生の御郷里のように、場所によっては、組織によってはきちんとやっていた、涙ぐましいような組織を持っているのも私見ておりました。しかし、それは個人個人のグループでございますから、ぜひこれは国が畜産経営、酪農経営一つの柱としてやるべきじゃないか、 こういうふうに考えておったわけでございます。  幸い今度、平成二年度にお話のように七十億円振興事業団から出せるということにもしなれば、これをひとつ活用いたしまして、そして酪農経営はなかなか大変ですから、それでもこれでも、これによって酪農家が休みもとれる、先ほどお話のような事故だってあるわけですから、病気だってあるわけですから、その場合には休める、心の安心ができるようなところへだんだんと持っていきたいというふうに私自身も念願をしておるわけでございます。  以下、政府委員からお答えをいたします。
  216. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 本年事業団から酪農ヘルパー事業についての助成を行うということにいたしました。この事業の基本的枠組みにつきましては、全国と都道府県段階に基金を設置して、酪農家の突発事故が発生した場合や休日を確保するという場合に飼養管理の代行を行うようなヘルパー組織の育成とか定着を図るための体制整備、あるいは研修を通じた熟練した技術を有するヘルパー要員の確保とか育成等を実施することといたしておりまして、この対策を通じて酪農後継者等の円滑な就農と酪農経営の安定的発展を図ってまいる。こういうような形のものにつきまして、具体的に申しますと、酪農家が突発事故の作業代行や休日を確保できるようなヘルパー組織の育成なり、運営の円滑化なり、研修を通じた熟練した技術を有するヘルパー要員の確保とか育成のための条件整備というものに対して助成を行うということでございますので、この辺のところにつきまして負担の軽減が図られていくのではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから、いつごろから進めるかということでございますが、酪農ヘルパー事業は現在もさまざまな形で実施されておりまして、地域の実情等々によりましてかなり形態も異なる、それから関係する団体等々もそれぞれ多いというようなことがございまして、今後十分関係者とも相談しながら実態に即したものとする必要があるということで、ある程度時間がかかるのではないかというふうに伺っておりますが、私どもといたしましては、できるだけ早期に事業ができるように努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  217. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 ぜひ早急に、できるだけ早くこれが実行といいますかそういう体制が発足できますようにお願いをいたしたい、こういうふうに思います。  時間がございませんので、最後に、文部大臣、最後までお願いして大変恐縮でしたが、義務教育費国庫負担制度というのは、毎年これは問題になってきたんですね。年末になりますと、もう学校現場は大変騒々しくなるわけなんです。義務教育費の国庫負担から事務職員、栄養職員の給与の国庫負担をカットするということを財政当局は繰り返し要求をしてきておりました。もう五年間これはもめてきておるのです。しかし、私は、やはり日本の義務教育費が前進してきた一番の基礎だ、こういうふうに思います。ですから、歴代の、これは本当は総理大臣は文部大臣を二回経験しておりますので、総理大臣がおられるとなおよかったのですけれども、文部大臣が本当に強い決心で、この問題を制度として、義務教育費国庫負担制度から事務職員、栄養職員をカットさせないということについて、文部大臣としてこれまでの歴代の文部大臣同様頑張ってほしい、こういうふうに思うのですが、文部大臣のお考えを伺いたいと思います。
  218. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 学校の事務職員につきましては平成二年の予算の定数では三万二千八百七十六名おりますし、さらに学校栄養職員につきましては八千三百六人おります。委員御承知のとおりであります。私は、いずれも学校の基幹的な職員だという認識のもとに立っておりますので、この国庫負担制度というものは今後とも堅持してまいりますように努力を重ねたいと思っております。さらに、平成二年度の予算ではこのような処置がなされておりますことをつけ加えさせていただきます。
  219. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 では、そういうことで文部大臣は義務教育費国庫負担制度の堅持のために頑張ってほしい、こういうふうに要請をいたしておきたいというふうに思います。  自治大臣、後先になって恐縮ですが、消防庁長官先ほど来いろいろ答えられました。そこで、パラメディックということは法改正がなくてもできそうだというふうなことを消防庁長官は言ったのですが、これは厚生省ともぶつかる点も出てくるのではないかなという懸念もしますが、しかし、消防庁がこれをやりたい、つまり今の基準を新しい時代の中で解釈をすればできることもあるのだろうと思うものですから、そうしますと、このドクターカーの導入、あるいはその前にパラメディックの確立、そういうことについて自治大臣としては、この点について強い決意で、先ほども、年次計画はない、こういうことでしたが、ひとつ消防庁なり自治省としての年次計画を急いでもらうということでこれは国民の要望にこたえてほしい、こういうふうに思いますので、最後に自治大臣のお考えを伺いたいと思います。
  220. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 先ほどから救急医療の面に関しましては、パリの御経験を交えての形で感銘深く聞いておりました。しかし、現実にドクターカーといっても、お医者さんを常時配備していくというような形で、またさっき言われたように、予算関係、定員の関係、四十時間勤務体制、交代でやれるかやれぬか、これは警察、消防にとっては非常に今厳しい環境条件です。  ですから、パラメディカルにしても千時間もあの特殊教育をアメリカでやらなければいかぬというようなことですし、しかし、輸送中に死んでしまうという形の事故がとてもふえている現状にかんがみまして、何とかして今厚生省の御協力をいただきながら、看護士と申しますか、注射の一本も打てて途中で助かるような形の体制は、これは何としても早急に整備してまいらなければならぬ。お医者さんの資格とか医療の資格とかという難しい問題点もあるのでございましょうけれども、まず人命第一、救助第一という観点から、もし法改正も含めて必要ならば厚生省と検討して御協力をいただきたいと思っております。
  221. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 最後に、大蔵大臣、冒頭労働時間の問題でドイツと日本の大変な開き、しましたね。それから、学校教育の現場におけるドイツと日本の開きというのは、保利文部大臣から率直な御感想もありました。今の救急隊の問題も、救急体制の問題も、今問題にしていましたのはフランスとかドイツとかアメリカですね。そうすると、経済大国という日本がどこかやはりこれらの国々と比較しますとおくれている。つまり、フランスは十八世紀から馬車で始めておる。やはりそこに欠けておるのは人間という問題だと思いますね。ですから、そういう意味では大蔵大臣は、少しそれぞれのいろんな今の緊急のそういうことに対しては財政当局としては思い切った、そして早急に体制ができる、そういうことのために予算は見るということで、大蔵大臣のお考えを伺って終わります。
  222. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 非常に地味なテーマを、しかも真剣に取り上げていただいたことに敬意を表します。ただ、すべてのお考えに私は一致をしたというわけではありません。そして、必要な部分について必要な財政措置を講じていくのは当然のことでありまして、これからも私どもとして努力をしてまいりたいと思います。  ただ、今最後に述べられました、もう一度繰り返されました救急医療について私から逆に、教育畑の御専門である委員に御検討を願いたいことが一つございます。  大変嫌な言い方でありますが、戦争医学という言葉があります。そして、その戦争医学というものは、今平和時における役割として、まさに交通災害等の事故に際し、患者の搬送中における延命医療というものに極めて大きな役割を果たしております。遺憾ながら、第二次世界大戦後、今日まで平和の中にありました日本において、私は一番おくれている分野の一つはこうした分野の医学であろうと考えてまいりました。そして、私なりに各大学医学部等に、名称は、戦争医学という名前はいけませんけれども、こうした考え方による講座をつくっていただくというお願いをしてみたこともありますが、興味は示されながら、実はついに実っておりません。しかし、なぜその戦場医学という言葉が大事かといいますと、本当にめちゃめちゃな被害を受けて担ぎ込まれてきた患者、まず命を助けてしまう、そしてその後の治療は、むしろ後方に搬送してから細かい治療を行うということで、複雑な負傷の中から一番延命のために必要なポイントを的確に発見し、それに全力を集中して行う治療という理解をいたしますと、実はこの点に非常に大きな問題が私はあろうかと思います。  先ほど自治省と、と申しますか消防庁と厚生省との間の研究が二本立てというお話がございました。私は、こうした分野における大学医学部の現行の講座制の中において専門として教育を行っている場かないことも、こうした点についての差異を生ずる一つ問題点であろうかと思っております。こうした点につきまして、教育現場にもおられた御経験を生かされ、大学医学部における人材養成の視点からこうした分野も御検討いただければと先ほどから感じておりました。
  223. 川崎寛治

    ○川崎(寛)委員 戦争医学というお話でございましたが、まさにパラメディックはベトナム戦争が契機になっているわけですから、そういうことは大変不幸な結果から出てきているわけでございますけれども、今大蔵大臣も言われましたように、私は、交通戦争という言葉がございますが、どうこれを防止するか、ハノーバー大学が大学として五人が二十四時間体制でおる、そして事故調査をやる、あるいは治療をやる、そういうことをやっておりますから、大学のあり方自体もいろいろと検討しなければならない点たくさん、今御指摘のとおりだろうと思います。我々もまた検討させてもらいたい、こういうふうに思います。終わります。
  224. 越智伊平

    越智委員長 これにて川崎君の質疑は終了いたしました。  次に、山田英介君。     〔委員長退席、佐藤(信)委員長代理着席〕
  225. 山田英介

    ○山田委員 最初に、文教委員会との調整がございまして、文部大臣に先においでいただいておりますので、お尋ねをいたします。  まず、在日韓国人三世問題、九一年問題、大変重大な局面を迎えているわけでございますが、私は、永住権付与の問題とか指紋押捺制度の問題とか、九項目、大きく重要な問題点が上がっておりますけれども、それとは別に、二点ほどぜひ文部大臣の御決断をいただきたいな、こう思っているわけでございます。  その一つは、まず国民体育大会というのがございます。実は、この参加資格に国籍条項がございまして、大学生それから社会人、すなわち国体の一般種別、この部では在日韓国人の方は出場資格がない、こうなっているわけでございます。御案内のとおり、高校生につきましては、五十六年の滋賀国体から実は国籍条項が外されておりまして、出場できるとこうなっております。中学生につきましては、六十三年、これは京都国体から国籍条項が撤廃されておりますから、参加ができるということになっておりますが、大学生と社会人についても国体に参加できるようにしてさしあげたらどうなのかな、こう思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  226. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 先生がこの問題について大変御熱心にいろいろお考えをいただいているということについては、かねがねよく承知をいたしております。  仮に、一般的に外国人の参加を認めるということで検討するということになりますと、関連して検討する課題がかなり多うございます。時期的に見まして、ことしの九月、十月に行われますいわゆる福岡国体に間に合うように結論を出すということはなかなか難しいのでございますけれども、せっかく先生からこういう御提言それから御提案がございますので、その趣旨をよく日本体育協会に伝えまして、この問題について適切な対応方について速やかな検討を促してまいりたい、そういうふうに思っております。
  227. 山田英介

    ○山田委員 九月の福岡国体から大学生並びに社会人も国籍条項が撤廃をされまして晴れて出場できるように、特段の文部大臣の御努力をお願いしたいと思います。  次に、就学通知と申しますか、在日韓国人の子弟の場合は義務教育就学義務というものがないわけでございます。だからといって、通知とか案内とか出さないでいいということではないのだろうと思うのですね。ですから、通知ということではなく案内というような形で、私は、六十万人を超える在日韓国人、その子供たちに、入学式の約二カ月前から所管の教育委員会から、どちらの学校へ、そして入学手続の時期はこうですということをむしろ案内をしてあげるということは、これはできることではないのかな。といいますのは、例えば日常の忙しさ等もありまして、入学をする年でありまた時期なんだけれどもそれを忘れてしまって、後で大変な思いをするというようなことも間々あるわけでございます。私の調べたところによりますと、教育委員会によりましては、これは案内というようなそういう形でむしろ能動的にそう対応しているところも幾つかあるようでございます。ですから、地位協定の趣旨からいきましても、日本の生徒に準じて扱うということ、あるいは申し出があれば小中学校への入学は認める、許可する、こうなっているわけですから、そこのところは私は文部大臣が指導力を、リーダーシップを発揮されまして、そうして案内という形でいいからそれはそれぞれの機関からきちっと出してあげなさい、これは全国一律にきちっとやってあげた方が私はいいと思うし、またそうすべきだと思いますが、ぜひこういう一つの日韓の両国関係の大きな、何というのでしょうか、大事な時期にもあるわけでございますから、そういうふうに方針を変えるとか転換をするとか、ちょっと大げさな言い方かもしれませんけれども、そこのところはやってさしあげていいのではないか。ぜひ前向きな御答弁をお願いをいたします。
  228. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 委員御指摘のとおり、今日でも地域によりましては広報でお知らせをしたり、あるいは各戸に就学案内を送付するというようなことが行われているのは事実でございます。  今回の協議で外交的にいろいろ交渉あるいは協議がなされている折でありますから、結論を今私がここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、就学案内の発給、委員から御指摘がありましたようなことにつきまして私どもで指導をしてまいることについては検討してまいりたい、こう思っております。
  229. 山田英介

    ○山田委員 今、最後のところがちょっとぼわぼわという感じでわからなかったのですけれども、それは文部大臣、要するに部分的ではなくて基本的に案内をしてあげる、そういう方向で考えておるというふうに理解してよろしいですか。
  230. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 考え方といたしましては、委員御指摘のとおりの方向検討をしてまいりたいということでございます。
  231. 山田英介

    ○山田委員 次に、外交、防衛関係につきまして幾つかお尋ねをしたいと思っております。  文部大臣、どうぞ文教委員会の方に、結構でございます。  まず、防衛庁長官においでいただいておりますけれども、まず基本的に、昨日、我が国にありましては米国防総省報告、東アジア戦略構想なる日本関連部分の全文が明らかにされたところでございます。それで、私もちょっと読んだのですけれども、アメリカの対日軍事分野における今後十年の軍事戦略というものを規定する極めて重要な文書というふうに私は受けとめております。  そこで、幾つも実は問題があるのですけれども、昨日明らかになりきょう午後の質問ということでありますけれども、幾つもある中のまず、非常に私は関心を持っております米国の我が国に対する経費負担の問題ですね。これは非常に随所に増額を求めていくという、こういう記述になっているところでございます。ですから、まず防衛庁長官に、このアメリカからの東アジア戦略構想の中にあります我が国に対する負担増額要求、これにどう対応なさろうとしておられますか、お伺いをしたいと思います。
  232. 石川要三

    ○石川国務大臣 今の委員の御質問ですが、最後にちょっと聞き取れなかった点があるのですが、こういうふうに理解してよろしいかどうかと思うのですけれども、今回のこのアメリカの議会に対する報告の中で特にいろいろと日本に対する経費負担、こういうことについてのお尋ねということでよろしゅうございましょうかと思うのですが、この点につきまして我が国としては、安全保障にとり不可欠な日米安保体制、この効果的運用を確保していくということが重要なことになるわけでありまして、従来より在日米軍の駐留経費の負担につきましてはできる限り努力を行ってきているところでございます。  昨日、米国防省は「アジア太平洋地域の戦略的枠組み――二十一世紀に向けて」を発表したわけでありますが、この報告書におきましては、在日米軍駐留経費負担について我が国の貢献はここ数年にわたり増大をし続けている、米国としてはさらなる経費分担を追求することが適切である旨の趣旨が述べられていることは承知しております。  いずれにしましても、我が国としては今後とも自主的判断のもとにできる限りの努力をしていきたい、こういう基本的な考えであるわけでありまして、平成二年度予算におきましても、在日米軍駐留経費負担につきましては所要の措置を講じて計上しているわけでございます。このような見解で今後とも自主的努力をしていきたい、かように考えております。
  233. 山田英介

    ○山田委員 質問の仕方も悪かったかしれませんが、私はそういうことではなくて、この戦略構想を見ていきますと、今大臣はあえて駐留経費ということについて絞って御答弁されておりますけれども、そうじゃなくて、実はこの構想の中には、駐留経費、それから地域任務を遂行する上の経費、それからグローバルな、世界的な規模で米軍が展開をする安全保障努力という言葉を使っておりますけれども、それに要する経費、これを含めて我が国に増額要求をする、こういうふうになっているわけです。ですから、私は、この構想にある増額要求に基本的にどう対応なさるのですかということを伺ったわけです。
  234. 日吉章

    ○日吉政府委員 お答え申し上げます。  米軍が我が日本に駐留いたしております目的には、我が日本の防衛のために寄与するという点と、それから日本が含まれておりますこの地域全体の平和と安定に役立つ、そういう大きな二つの任務でもって日米安保条約に基づきまして日本に駐留しているというふうに考えられます。したがいまして、我が国は、日米安保体制の効果的な運用を確保していくという意味では、狭い意味の日本そのものの防衛のために寄与している米軍に対してできる限りの支援をするということは当然のことでございますし、日本を含みますこの東アジア地域全体の平和と安定のために果たしている米軍の役割に対しましても、日本の国家といたしましては、やはり日本もその中に含まれておりまして日本の安定に寄与しているわけでございますので、それを受益する国家としてそれ相応の努力といいますか、負担といいますか、支援といいますか、そういうようなものをすべきだ、かように考えておりまして、そういうふうな物の考え方をこの報告書の中にも書かれているのではないか、かように理解いたしております。
  235. 山田英介

    ○山田委員 そういうことではありません。私が申し上げているのは、今防衛局長がおっしゃったことは、要するに日本防衛のためと、あわせて日本が含まれるこの地域の、アジア・太平洋地域の任務遂行のために我が国に駐在する在日米軍の駐留経費をその一部を負担をする、支援をするということは当然のことだ、こうおっしゃっているわけです。それはもうそのとおりなんですよ。私が伺っているのはそうじゃなくて、この戦略構想を読めばすぐわかるのですけれども日本を基点とした米軍の要するに作戦行動、日本を基点とした米軍の運用についての経費も今後負担をしてもらいたい、こうなっておるわけです。ですから、今局長おっしゃったのは駐留経費のことであって、それは日本防衛のためと地域防衛のため、こうなるわけでございます。これはもうそのとおりなんです。そういうことじゃなくて、要するに軍を運用する経費についても財政的支援をしてほしいと言っているわけですよね。そこに対して我が国政府はどう対応しようとされているのですか、受け入れる方向なんですか、それともお断りになるのですかということを、委員長、僕は伺っているわけです。そこのところを外さないで、正面から答えてください。
  236. 日吉章

    ○日吉政府委員 在日米軍の経費につきましてはいろいろな性格の経費が含まれているわけでございますが、これらにつきまして、米側が日本及び日本を含みますこの地域におきます平和と安定のためにどのような形で効果的にその部隊の展開あるいは駐留、その活動ができるかという観点で、それに対しまして日本としてどのような協力の仕方があるかということだと思います。  その点につきましては、従来地位協定及び特別協定等によりまして財政負担等を日本はしているわけでございますが、今後もこれらにつきましてはどのような形で支援を続けていくのがよろしいか、これから検討を続けていくべき問題だ、かように考えております。
  237. 山田英介

    ○山田委員 ことしの二月にチェイニー国防長官が訪日されまして、防衛庁長官もお会いになっておるはずです。この報告書の末尾に極めて重要な記載がございまして、これらの米国の経費の日本側の負担増加要求に対して、日本政府はこれに同意をした、あるいは認めた、こういう記述が最後の締めくくりのところにあるわけです。ですから、石川防衛庁長官はチェイニー長官と先日お会いになったときに、これらのいわゆる負担増額要求は対して基本的に同意をした、基本的に理解をした、こういうことじゃないのですか。
  238. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先生御指摘の在日米軍の経費の負担問題は、チェイニー長官が参りましたときに総理を初め一連の会談で出ておりますので、最初に外務省から御説明させていただきます。  先生御指摘の今回の報告では、こういう表現がございます。一九九〇年二月のチェイニー国防長官の訪歴中、日本政府はさらに多くの接受国支援を行うよう努めることの必要性を確認した、ただしその方法と日程を予測することは困難であるというのがございますが、実際にそれではどういうやりとりが総理を初め外務大臣防衛庁長官等で行われたか、まとめて申し上げますと、まず総理についてでございますけれども、チェイニー長官から、今までの日本側の在日米軍経費負担問題に対する対応について感謝を表明し、それからこれを評価する、米国以外との関係でも日本側は今後とも努力を継続してもらうことが重要であるということをチェイニー長官が言われまして、これに対しまして総理より、日本側はこの在日米軍経費負担問題についてはこれまでも自主的に努力してきており、今後とも日米安保体制の効果的な運用を図るとの観点からできる限りの努力を積み重ねていきたい、こういう基本姿勢を述べておられます。以上を受けまして、私が今申し上げました今回の報告の表現になったものと考えております。
  239. 山田英介

    ○山田委員 何といいますか、御都合のよろしいところをピックアップしておっしゃっているわけですけれども、要するにこの東アジア戦略構想全体がありまして、その中に最後の部分で、要するにそれらのアメリカの東アジア戦略構想を最後に受ける形で、本年二月のチェイニー長官訪日の折に基本的に増額要求を認める、理解を示した、こうなっているわけです。  ですから、じゃ、これは大臣に御答弁いただけるように角度を変えますけれども、在日米軍の駐留経費は、これは地位協定に基づき、そしてまた、要するに雇用問題とか労働問題とかという労働政策、雇用政策、そういう次元からなされておる。しかし、そのベーシックな部分では地位協定という根拠があるわけです。ここで戦略構想で言われております米軍の運用に対する経費、この負担を将来日本に求めていく、また負担するよう促す、こういう重大な記述があるわけです。それはアメリカの我が国に対する一つの考え方あるいは方針、戦略ともいうべきものだと思うのです。  じゃ、アメリカからこの米軍運用のための経費の負担、財政的支援の要請を受けた場合に、これは受けるのですか受けないのですか。
  240. 石川要三

    ○石川国務大臣 先ほど委員の最初の質問の中にチェイニー国防長官との私の名前が出ましたのですが、実はそれは前任者の時代でございまして、私ではなかったわけであります。  あのときも、先ほどお答えがされたと思いますけれども、今までの我が国の努力に対しては評価しておる、ただし今後とも一層の負担をお願いしたい、こういう趣旨のトップ会談が行われたわけでありますが、したがって、具体的に政府政府の間でのさらなる要求の内容につきましてはまだ私どもは承っていない段階でございます。そういうことでございますから、基本的には私が先ほど申し上げましたような考え方に立脚しているわけでありますが、まだ具体的な段階じゃございませんので、それ以上の対応につきましては実はまだ考慮しておらない、こういう状況でございます。
  241. 山田英介

    ○山田委員 いや、それは具体的に要請されていないというのは、要請されたということを前提に私は今質問しているわけではないわけです。この文章を読む限り、近い将来必ずそれは要請されるのではないか、その場合にどう対応するのですかということを伺っているのですが、その質問に対しては正面からお答えをいただけていないわけでございます。  それじゃもし、もしと言うと仮定の場合は答えられませんとまたなるかもしれませんけれども、もし米軍の運用に係る費用の負担を現行の日米防衛協力の枠組みの中で、それは受け入れることができるのですか、できないのですか。  それから、もしそれを、要求を受け入れるということのためにはどうするのですか。
  242. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 私どもの在日米軍経費の負担問題に関しまして、これは日米安保条約、それから地位協定に基づきまして負担をしてきておりまして、先生が先ほど来言及しておられます今回のアメリカの報告書におきまして、日本側の負担増を求めるという表現が何カ所かございますけれども、それはいずれも今私が申し上げました在日米軍経費の負担にかかわる問題でございまして、一カ所、これもちょっと引用で恐縮でございますけれども、こういう表現がございます。「米国は、引き続き日本に対し日米間で合意された役割と任務の概念に合致するよう防衛力の向上と経費の負担の増大を求めていく。」こういう表現でございますけれども、ここで言っております経費分担の増大の「経費」といいますのは、やはり在日米軍の経費と私どもは了解しております。したがいまして、先生、先ほど来運用云々という表現を使っていらっしゃいますけれども、私どもは在日米軍の関係の経費ということで従来からも検討してまいりましたし、これからも検討してまいりたい、こう考えております。
  243. 山田英介

    ○山田委員 要するに、私も今、日本部分の全文を持っているのですけれども、いいですか、ここのところに日本に対する戦略の主要五項目というのがありまして、三つ目には、「世界の主要地域における安定維持に向けた西側同盟国とのわれわれの政治的努力に、日本を今よりさらに密接に取り込むと同時に、」これも実は後でお伺いします。その次です。「日本から作戦行動を行う米戦力への資金的援助の増大を含め、日本に地域的調整への支援を促す。」こうなっているわけですよ。「地域的調整」というのはアジア・太平洋、この地域の要するに次元ですね。これはもう間違いなく米軍、はっきり言っているじゃないですか、「米戦力への資金的援助の増大」、米戦力ですよ。米駐留経費と言っていないのですよ。それはもう読めばわかりますよ。  もう一つありますよ。いいですか。「日米協議」のところに、「しかし、日本が米軍による地域的安全保障努力、さらに世界的安全保障努力から大きな恩恵を受けている以上、米国が日本の追加的負担を求めることは妥当であろう。」これはやはりそういう脈絡上にあるわけです。そこで最後に、「チェイニー国防長官の訪問中、日本政府はホスト国としての支援拡大の必要性を認めた。しかし、その手段と日程を予想するのは難しい。」現時点では、それは今こうしますということじゃないわけですよ。ですから、そういう一つの構想の脈絡の中において、私はその場合にどうするのですかということを申し上げているわけです。  では、大臣、私はこの問題をこう伺います。  新しい特別協定を結ばなかったら、今私が申し上げました駐留経費はいいですよ、地位協定があるのだから、根拠が。それがどんどんふえていっていいという意味じゃなくて、それはわかるのですよ。じゃ、米軍を運用する経費を日本が出すということになったら、新しい特別協定か何かつくらなきゃできないのじゃないですか、根拠をつくらなかったら。それはどうなんですか。
  244. 松浦晃一郎

    松浦政府委員 先生、恐縮でございますけれども、私も同じ文書を持って先ほどの先生の御説明を伺っているのでございますが、先生御指摘の政治的な問題に関しましては、確かにこれは在日米軍経費の問題ではございませんで、これは日本が第三世界に対し行っております援助のことを意味しておりまして、先生御承知かと思いますけれども、最近アメリカの議会で日本に対しましてバードンシェアリングと言うとき三点ございまして、この第一点が日本の防衛力整備拡充、第二点が在日米軍経費、第三点が援助でございまして、先ほど先生が引用されました政治問題というのがこの援助の絡みでございますが、それ以外のところは在日米軍経費のことでございまして、私どもから見ますと、まさにそこで言っておりますのは在日米軍経費の問題に尽きると考えておりまして、今後の問題に関しましては、この在日米軍経費を、先ほど説明いたしましたように、従来、安保条約と地位協定に基づきまして負担してきておりますけれども、今後どうするかということに関しましてはさらに検討を進めてまいりたいと考えております。
  245. 山田英介

    ○山田委員 大臣、それは私の質問の答えじゃないですよ。  ですから、米軍の運用に係る経費を我が国が例えば一部負担をするという場合には根拠が必要でしょうと、こう聞いているわけです。必要だとおっしゃってくれればいいじゃないですか。新しい取り決めがなければそれはできないでしょうということを私は伺っているわけであります。
  246. 福田博

    ○福田(博)政府委員 ただいまの山田先生のお尋ね、必ずしもちょっとよくわからないところがありますが、御承知のとおり、地位協定の二十四条が基本的な経費負担についての協定でございますが、そこには、合衆国軍隊を日本に維持することに伴うすべての経費は、特別に後に書いてあるものを除いては、アメリカ側が負担すると書いてあるわけでございます。今あります仕組みは、我が国は施設、区域を全部無償で提供しておりますし、それから特別協定によりまして労務費の負担を行っているという仕組みになっておるわけでございます。今まで自主的にそういう努力をしてきましたし、それから今後も自主的に努力したいというのが我が方の考えでございますが、もう一言だけ、恐縮でございます。  ですから、今後自主的にどういうことをするか決めていけば、その段階でどういうことが法律的な仕組みとして必要かということは考えていかざるを得ませんが、今のところそこまでは考えが至っていないというところでございます。
  247. 山田英介

    ○山田委員 私は納得いたしません。したがって、この件については質問を留保させていただきます。  ただ、大臣、一言答えてくださいよ。いいですか。米軍運用のための経費を日本が一部負担をするということになれば、特別協定か何かそういう根拠が必要でしょうということを聞いておるのです。委員長、そのことに対して、必要なのか必要じゃないのかということは答えさせてくださいよ。
  248. 石川要三

    ○石川国務大臣 厳密に言いますと、そういうことの質問に対しては、これは外務大臣の実は所管であろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  249. 山田英介

    ○山田委員 では、防衛庁長官としては何か答弁ありますか。きょうは臨時代理お見えになっていますけれども、この後で伺います。
  250. 石川要三

    ○石川国務大臣 今委員の御質問を……
  251. 佐藤信二

    佐藤(信)委員長代理 ちょっと整理しましょう。もう一回しましょう。山田英介君。
  252. 山田英介

    ○山田委員 在日米軍の駐留経費を負担する場合には、その根拠というのは地位協定に求めることができます。根拠があるから出せるわけです。米軍を運用するための経費を日本が負担するという場合には、地位協定ではない、それは根拠としてないわけですから、新しい根拠づけが必要でしょう。その場合には特別協定とかそういうものが新規につくられなければ、根拠がないのにお金を出すわけにはいかないわけですよね。ですからそこのところを、必要か必要じゃないかということを私は伺っているわけで、必要だと言ったから後でそれをどうのこうのと言うわけではないので、委員長、それをちょっと……。
  253. 佐藤信二

    佐藤(信)委員長代理 もう一回再答弁してください。
  254. 石川要三

    ○石川国務大臣 先ほど申し上げましたように、そうなりますと条約の問題になるわけでありますから、当然私の所管外でございますので、御答弁は差し控えさせていただきます。
  255. 山田英介

    ○山田委員 それでは官房長官外務大臣臨時代理の坂本官房長官に今の点をお伺いをいたします。
  256. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 議員の言われる米軍の運用経費というか、特に御関心のあるのは、例えば遠い他地域に行く作戦行動費みたいなことも考えておられるのじゃないですか。そういうようなものは特別の取り決めが必要であるだろうとあなた、おっしゃるのでしょう。それは私も、特別の約束か特別の協定か何か知りませんが、そういうものの根拠は必要だと思います。
  257. 山田英介

    ○山田委員 そういうものか何かかなんて、随分簡単な感じになっちゃいますが、まあわかりました。外務大臣臨時代理としての答弁として伺いました。  それでは、四時から定例記者会見が官房長官はございますので、何点か先に、それに間に合うように伺いますが、この東アジア戦略構想をずっと見ていきますと、トータルで見ますとイメージがはっきりしているのですね。実は地域任務あるいは駐留経費、日本防衛のための駐留経費と同時にあわせて言っていることは、世界的規模の米軍の運用に係る経費、これらについても日本に負担をしてもらいたい、そういう方向日本を促すという、そこまでセットになっているわけですね。  それで、その戦略があって、この構想の中には、米国と西側同盟国に日本を今よりさらに密接に組み込む、こう戦略構想ではうたわれ、そして具体的には日米欧三極協議、日米欧トライアローグという構想がブッシュ大統領から示され、日米欧で協力してやっていこうということについて海部総理も合意をした、了解した、こういう流れが今あるわけです。  私は、官房長官にお伺いしたいのですけれども、このいわば日米欧トライアローグと言った場合に、欧州復興開発銀行に対する出資とか、それからサミット七カ国の外相級の定期協議の場を設定する、日米欧で。それからCSCE、全欧安全保障協力会議、これに日本政府はオブザーバーとして参加したい、こうなっているわけです。こういうものについては、ある意味では政治とかあるいは軍縮、あるいはまた経済、あるいはまた環境、こういう非軍事分野における日米欧のトライアローグ、三極協議体制、こうとらえることができると思うのです。私が心配しておりますのは、今の東アジア戦略構想のその中身との関連において、事務局主催とはいいますが、NATOのセミナーに日本政府が初めて参加をする、こういうことになっているわけです。これは経済分野、非軍事分野におけるトライアローグというのとまた違いまして、軍事分野における日米欧の三極協議、トライアローグ、こういう側面があると私は思うわけです。  そこで、情報交換だけで済むのですか。先日、社会党の山口書記長の質問に対するお答えでは、話を聞くだけなんだ、こういうふうな答弁なんですけれども、話を聞く、あるいは情報交換だけで済むんですかという心配があるのです。それから、今まさに私がこの戦略構想について申し上げ、質問をいたしましたのと重なりますけれども、NATOのセミナーに参加するということが突破口になってどんどんどんどん先に行って、そしてグローバルな、もっと世界的規模の軍事分野におけるバードンシェアリングを要するに要請されるんじゃないですか、背負い込むことになりはしませんかという心配があるわけです。それはこの戦略構想と読み合わせ重ね合わせて考えますと見過ごしにはできません。それから、セミナーから定期協議へまたこれが段階的に参加をしていくという形で拡大していくんじゃないですか、こういう心配もあります。それからさらに、今回のNATOセミナーへのオブザーバー参加というのは、外務省首脳と民間の防衛専門家となっていますが、防衛庁の幹部が呼ばれることも将来あり得るんじゃないですか。それから、対米武器技術供与の枠組みは既に取り決めがなされましたけれども、対欧、対ヨーロッパ、対NATO、まあNATOと言うと語弊があります、対欧武器技術供与の問題あるいは武器技術交流の問題などというものも、その将来は何か透けて見えるんじゃないかなというまた心配があるわけです。それからもう一つ、間違いなくNATOというのは、東西対決の時代におけるシンボリスティックな機構です。軍事機構です、これは間違いなく。対するワルシャワ条約機構があるわけですから。そこにオブザーバーとはいえ、セミナーとはいえ、日米欧軍事分野におけるトライアローグ、そこにまたしっかりと組み込まれていくことになりはしませんか。  ですから、先ほど申し上げておりますように、在日米軍駐留経費などという次元ではなくて、世界的規模における西側防衛の要するにかなめとしてのいわゆる任務遂行のためにこれだけ経費がかかるんです、かかっているんです、ですからその規模で日本も負担の分かち合いをすべきですというところにどうしても引きずり込まれていく、方向づけられてしまいかねない、こう思うものですから私は申し上げているわけでございます。  時間が官房長官ありませんので、この今申し上げました中の、NATOのセミナーから定期協議、そういうところにどうぞ日本も参加してください、こう言われた場合に応じちゃっていいんですか、応じるんですか、それが一つです。  それから、防衛庁の幹部がNATOに、このいわゆる軍事会議、こういう安全保障会議、ここに例えばアメリカやNATOから招待されたら、今回外務省の幹部が行くように、それも行くんですか。  この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  258. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 お答え申し上げます。  我が国が、最近の国際情勢の変化に基づきまして、安全保障の問題あるいは軍備管理・軍縮の問題についてグローバルな見地から意見交換を行い、情報を的確に把握していくということは緊急の必要性がございます。そういう観点から、今回NATOの事務局等が主催いたしますセミナールに我が方としては参加をするということでございますので、そういう意味では、そういう情報の把握あるいは我が国の考え方等を十分に理解してもらうためには非常に貴重な機会であろう、そういうふうに考えております。  そこで、このようなNATOのセミナールに参加することとNATOの協議に直接参加するということは全く関係ございませんで、私どもは、NATO加盟国の協議への参加ということは、オブザーバー参加を含めて全く考えておりません。  それから、今回は、このセミナールに対しましては外務省から小和田務審議官等を中心として参加することを考えておりますけれども、今回のセミナールには防衛庁よりも関係者が参加するというふうに承知いたしております。
  259. 山田英介

    ○山田委員 今の御答弁ですけれども、軍縮とか安全保障とかそういうものを勉強する、何もNATOに出かけていって勉強しなくても、全欧安全保障会議とか、まさにそれは多国間における安全保障体制、軍縮の分野というものがあるわけですから、そういうところに出席をなさってむしろ勉強なさればいいんじゃないですか。NATOへ出かけていって勉強するということはちょっと踏み込み過ぎなんじゃないですか、それは。勉強するところはいっぱいありますよ。日米欧トライアローグの中で、何も軍事分野において、まさに軍事機構のNATOに出かけていってまで軍縮の勉強を何でしなきやいけないのですか。
  260. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 先ほどから申し上げておりますように、現在の国際情勢の変化というのは非常に激しいわけでございますから、その変化につれて安全保障の問題等いろいろな側面についての情報を的確に把握するという必要があるわけでございます。そういう意味で、あらゆる機会をとらえてそういう情報の把握あるいは意見の交換ということをする必要があるわけでございまして、NATOの事務局が主催いたしますこのセミナールというものも、ヨーロッパの国あるいは米、加が参加して、そういう観点から安全保障の問題を協議する場としては非常に貴重な場であると考えております。  ですから、私どもといたしましては、そのような機会というのはあらゆる機会にとらえていくということが、グローバルな見地から安全保障の問題を日本が理解する上で不可欠のものであるというふうに考えておりますので、そのように御了解いただきたいと思います。
  261. 山田英介

    ○山田委員 必ずしも御答弁に納得したわけではありませんが、ただ、NATOの定期協議については、オブザーバーを含めて絶対に参加しません、するつもりは毛頭ありません、その答弁だけいただいておきます。また時間をつくりまして、留保した部分も含めて、別の機会に議論さしていただきたいと思います。官房長官、どうぞ記者会見へ。  次に、土地問題を若干質問させていただきます。防衛庁長官も結構です。
  262. 佐藤信二

    佐藤(信)委員長代理 防衛庁、いいです。
  263. 山田英介

    ○山田委員 まず、本年一月一日における全国の土地の公示地価というものが明らかになりました。その中で、住宅地について言いますと、全国では一七%ぐらい平均で上がってきている、大阪圏の住宅地は五六%も一年間ではね上がった、それから東京で六・六%ぐらいだったでしょうか。いずれにいたしましても大変な一年間での地価上昇、異常なまでの上昇。大阪圏の五六%の上昇というのが東京の地価の水準に近づいてくればこれがまた東京へ逆波及しかねないという、その意味では極めて緊迫したそういう地価の情勢、局面を迎えていると思います。ですから、極めて重要な問題です。  そこで、端的に申し上げます。まず国土庁長官にお伺いいたしますが、大阪圏が五六%も一年間で上がったなんということはもう大変なことですね、長官。私の調査によれば、あるいは言わせていただければ、三年ほど前から大阪圏上がるぞという兆しは随所に見られていたんです。じゃ、五六%上がってしまいました、それで監視区域、三百ですか、それを百平米にまで下げてください、網をもっとかけてくださいということを大阪圏の何人かの県知事さんに、府知事さんといいますか要請をなされたという報道に接しているわけです。何で五六%まで上昇するまで手を打てなかったんでしょうか。
  264. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。  先生御指摘のとおりでございまして、ことしの一月の地価公示調査で、全国で一七%、大阪は約五七%上がったわけでございます。実は監視区域につきましては、先生も御高承のとおりでございますが、これは都道府県の知事あるいは政令指定都市の長が運用されます。実はこれが非常に少ない人員と乏しい予算で頑張っているということを御理解願いたいと思うわけでございますが、大阪の地価高騰は三つの理由があったと思います。一つは金融が緩和しているということ、それからもう一つは東京の地価に比べて割安感があったということ、それからもう一つは、実は関西新空港を含めて社会資本のプラスが大きかった、そんなことで期待感が強かったということでございますが、実は大阪もいろいろやっておりました。一口に言いますといろいろな努力をしておったようでございますが、民間の知恵が上回ったという感じは否めないと思います。  そんなことでございまして、国土庁といたしましても、三月二十三日に全国の担当者を集めまして、監視区域制度が後手に回らないようにということで指示し、その後実は愛知、名古屋、それから大阪、京都など各地を呼びまして、今先生の御指摘のように監視区域が後手に回らないように、的確に運用するように、それとともに地価の値上げをしないように最善の努力をしている状況でございます。
  265. 山田英介

    ○山田委員 要するに、国土庁長官、後手なんですよ。典型的な後手のケースですね、これは。五七%上がっちゃってから呼ぶんじゃなくて、もっと早くから呼ばなきゃそれはだめなんじゃないですか。これはひとつ厳重に私は指摘さしていただきます。  それから、監視区域制度が細かくなれば確かに地価上昇に一定の歯どめをかけ得る、そういう力はあると私は思います。ですから、人員は予算措置を伴うという事情はわかります。ただしかし、きょう大蔵大臣もおられますけれども、これはやはり土地問題というのはもう、何というのでしょうか、制度をつくりました、地価安定のためにいろいろ法律をつくりました、でも運用が甘く、何かいろいろ例外規定があって、それでまた先に行ってしまいましたということがもう許されない、そういう局面を迎えていると思うのです。ですから、監視区域制度の厳正な運用というものが有効であると国土庁長官が本当に認識できるんであれば、大蔵大臣にも私はお願いしたいんですけれども、それが十分大都市圏あるいはまた地方主要都市圏について運用できますように予算措置をお願いしたいと思いますし、また要求をなさるべきだというふうに思います。これは申し上げておくだけにとどめます。  それから、スーパー重課の問題で一言申し上げたいんですけれども、今は土地の所有の長短によって重課、軽課というものが決められていて、ですからそれは確かにスーパー重課、二年以内の超短期土地の譲渡、この課税は厳しくなっているわけです。二年超え五年までの短期譲渡はもうちょっと軽くなる、五年を超えれば一番軽い譲渡課税で済む、御案内のとおりです。  ただ、そこで、個人のスーパー重課適用と法人に対するスーパー重課適用では大きな格差があります。余りにも企業、法人に対する適用が私は緩過ぎると指摘せざるを得ません。個人の場合は、二年以内に譲渡した場合には、取得から譲渡までの二年以内の場合には、総合課税とか住民税はね返りとかいろいろ合算しますと九〇%以上の、まさにこれはスーパー重課ですよ。ところが、企業の場合は御案内のとおりですから、二〇%からこれが三〇%にやや重くされたというだけなんですね。ですから二年以内に、極端な話、きょう買って明日売ったとしても、そこに一億円の差益というものが発生したとすれば、法人、企業の場合は、スーパー重課つくりましたといっても二千万円の税金を負担するのか三千万円負担するのかの違いでしかたいのです。七千万円は入るわけですよ。分離課税も認められている。これは今後の土地税制の議論の過程において、あるいは我が国の土地問題解決を目指してのいろいろな仕事の中に、この点はぜひひとつしっかり国土庁長官も念頭に置いて取り組まれていただきたいと思います。それを一言、ちょっと答弁いただきます。国土庁長官、一言でいいです。十分念頭に入れてやりますとかなんとか、一言でいいです。
  266. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 おっしゃるとおりでございます。  土地政策上、土地税制の果たす役割は重要と考えております。そんなことでございまして、今おっしゃった点は念頭に置いて十分対処したい、こう思っております。
  267. 山田英介

    ○山田委員 保有税強化というのが今日的な土地問題にアプローチする最大の焦点であることは言うまでもございません。防衛、安保の方でちょっと時間をとっちゃったので、もうこれ以上ちょっと無理なんです、時間的に。機会を改めましてしっかりまたやらしてもらいますけれども、ともかく保有税強化、今スーパー重課、十分念頭に置いて当たりますとおっしゃいましたから、これもさようだと理解しておきます。  大蔵大臣、一言済みません、保有税強化それからスーパー重課。企業、法人にとって非常に優遇されておる。
  268. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今委員の御意見を承っておりましてちょっとひっかかりましたのは、法人に対する重課のあたり、多少私は理解が違う部分があるような気がいたします。ただ、同時に、御指摘になる問題点、その認識は私どもも変わりません。  ただ、今まで私どもとして非常に苦しい思いをしてまいりましたのは、土地というものに対する基本政策と申しますか、あるいは国民的な哲学が確立をしていない中で、土地政策というものの中の重要な役割は果たしますけれども、本来わき役としての働きしかできない税及び金融というものがいや応なしに主役の役割を演じさせられてきたということであります。本来、やはり土地問題というものの基本は宅地をいかに創出するかということが基本であり、さらに一極集中を排除して国土の均衡ある発展を続けるためにはいかなる基本政策があるのか、その中において税はいかなる役割を果たすべきか、金融はいかなる役割を果たすべきかということでありました。しかし、それがないままにこの地価高騰の対応を、主役のような形で税が受け持たなければならなくなりつつあったところに私は一つ問題点があったと思っております。  そして、今たまたま委員は個人についての例示を挙げられたわけでありますが、実は個人の大都市部における土地所有というものを想定して税の議論をいたしましても、従来私どもが非常に悩まなければならなかったのは、父祖伝来の地でその方が仕事を続けられる、住み続けることができるような税制を志向すべきなのか、しかもその方がどこかへ移っていただいて、そこを再開発し、よりたくさんの住民が住めるような住宅を建設し得るように税は働くべきなのか、常に悩むところでありました。こうした点について、今、土地基本法を成立させていただき、一つの足場を持った上で、保有税ばかりではなく土地税制全体について私どもは税制調査会に小委員会を設けての御審議を願っております。  我々は審議のお願いをした立場として予見を与えるようなことを申し上げるわけにはいきませんけれども、少なくとも、今国民の中に持てる者と持たざる者と、資産格差というものが非常に厳しい御論議の対象になっておる折から、その資産課税の適正化という視点と同時に、私は、もう一つは、大変素朴な言い方ですけれども、本当に地価の高騰していると言われる大都市部においてでも、とにかくまじめに働いていればいつか家は持てるんだという夢を国民が失わずに済むような土地政策、それを前提にして、その中で税はいかなる役割を果たすべきかというこの二つの視点だけは持って御論議をいただきたい、税制調査会にもそのようなお願いを申し上げております。
  269. 山田英介

    ○山田委員 保有税を強化する、そのことが、我が国のまじめに働く庶民、サラリーマンにとって都心へ一時間ぐらいの範囲内で通えるところに年収の五倍ぐらいで家を持てるようにしたい。そのためにいろいろな方策が考えられるわけでありますけれども、本来土地税制というのはわき役であるはずだ、しかし今それが主役と位置づけられようとしていることにむしろ問題があるんだ。保有税を強化するということがまた土地の流動を促し、土地価格の安定あるいは引き下げにつながる一つの大きなポイントであるということについては共通の認識を持っているものと理解をいたします。  そこで、例えば規制の問題なんですけれども、都市計画法で市街化区域、調整区域、いわゆる線引きをしております。しかし、このいわゆる線引きが現実には形骸化をしているというふうに言わざるを得ないと思います。これは建設省の所管でございますけれども、おおむね十年以内に優先開発をすべき区域、これが市街化区域です。他方、大蔵大臣の所管する法律あるいは制度として相続税納税猶予制度というのがあります。二十年営農を継続すれば相続説は猶予しましょう。ですから、二十年間は市街化区域内の農地、これはいわゆる住宅地として出てこない、供給されない。いま一つは自治大臣が所管なさる制度、長期営農継続農地制度、あらゆる機会に言われていることです。十年間また繰り返してその適用を受けることができる。一方において線を引いて十年以内に優先開発すべき区域と政府が決め、他方において十年間、二十年間、あるいは半永久的にそれらの制度の適用を受ければ、市街化区域内の農地も農地のままで開発されずにずっと残っていってしまう。これは、同じ政府がなさっておる政策とは信じがたいほどの相反するやり方がそこにある。これは問題だと思います。確かに個々の制度、法律の政策目的というのは、伺えばごもっともです。しかし、土地問題をどうするかというふうに考えて整合、いわゆる全体的に見た場合には全く相反する仕組み、そういう中身になっている。  これはきょうは改めての問題提起にとどめますけれども、もうそろそろ長期営農継続農地制度、相続税納税猶予制度、企業、法人等の持つ保有税を抜本的に強化しなければという流れが一つにあり、と同時に個人レベルにおいてもそういう制度というものはやはり大きく見直しをする必要があるんだという認識を私は持つわけです。ですから、この二つの制度、それから保有課税、特に企業の持つ遊休地、これについてのアプローチはぜひ外さないでいただきたいと要望をいたしておきたいと思います。  土地関係でおいでいただきました大臣の方々は結構でございます、席を外していただいて。  法務大臣、済みません。時間がなくなっちゃって、コンピューターシステムの話、ちょっとできなかったものですから、また次の機会に。建設大臣国土庁長官、済みません、どうぞ結構でございます。自治大臣も結構でございます。  郵政大臣お見えでしょうか。まとめて在日韓国人三世問題に関連してお伺いすることだったのですが、文部大臣の都合で冒頭文教関係をやらしていただきました。  郵政大臣にお伺いしたいのですが、要するに業務用無線なんです。在日韓国人の方がタクシーの運転手をしておりまして、無線をぜひつけたいとこう要望されておる方が多いのですが、この業務用無線の免許がおりない、許可できないという。これは国籍条項があるのです。電波法の五条でございましたか、国籍条項があるのでこれは無理だ。収得できるように――こういう日韓関係の新しい関係、時代の構築を目指しての九一年問題で、本当に大事な時期を迎えております。こういうときであることも踏まえて、在日韓国人のタクシーの運転手さんにぜひ無線をつけさせてあげていただいていいんじゃないか、いただきたい、こう思うのですが、いかがでございましょうか。
  270. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 山田委員にお答え申し上げたいと思います。  御案内のように、在日韓国人がレストランで使用しているオーダー用の無線機とかあるいはNTTが免許を受けている自動車電話、あるいは無線局の免許を有する企業の社員としてタクシー等の車両に搭載する無線局を使用する、これは別に問題はないわけでございます。  ただ、外国人、外国企業等に業務用の無線の免許を付与するということについては、日本は相互主義をとっているものですから、まことに残念でございますが、今韓国は外国人等に対する相互主義の政策をとっていないものでありますので、現状では応ずることができないという状態にございます。
  271. 山田英介

    ○山田委員 相互主義で、韓国にそういう仕組みがないからこれは無理です、こういう御答弁なんですが、在日韓国人の方々は歴史的に大変な経緯を持って日本に入国をされた方々ですから、他の外国人と横並びで相互主義、そういうふうにその国がなっていないからそれは無理ですよというところでくくっちゃっていいのかどうか。私は、そこは郵政大臣としてもっとおおらかな気持ちで、そしてまたもっとやさしい気持ちを持って、相互主義で向こうがそうじゃないからだめなんですで切ってしまうのでは、余りにもそれはどうなんですかという気がしてなりません。  私、伺うところ、昨年の十二月に韓国、大韓民国におきましては、電波管理法中改正法律、昨年十二月三十日公布されております。それで、その中を見てまいりますと、この施行が、実施が本年の七月一日と、こう伺っております。この改正法律の中に、大統領令が定めるところにより、何と何と何の無線局を設置、開局あるいは許可することができるということも含まれているやに伺っておりますけれども、どうなんでしょうか。この実施は、今四月ですから五、六、七、もう二、三カ月後には法律が実施されるわけです、大韓民国において。そうであれば、そういう意味で七月一日から相互主義に基づいて、在日韓国人のタクシーの運転手さんに無線開設許可できるというふうに郵政大臣としては韓国政府当局と十分連絡をとって、そしてまたぜひ相互主義にいけるように必ずこの大統領令、その中身等についてこうやろうじゃないか、私は積極的な働きかけがあってしかるべきだと思います。いかがでございましょうか。
  272. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 今山田委員の御指摘のように、昨年の十二月に韓国では相互主義の実施を可能とする電波管理法の改正が行われました。お説のとおり、本年の七月から施行ということに相なっております。  その前から郵政省といたしましては、韓国側にこういう相互主義をとってもらえないかといったような働きかけも若干いたしておりました。幸い、昨年の十二月にそのような形になったものでありますから、私どもといたしましては、この韓国における法制の整備の進展を踏まえて適切に対応してまいりたいと思いますし、山田委員の御指摘の御意見は大変大事でございますから、よく受けとめて努力をしたいと思っております。
  273. 山田英介

    ○山田委員 ぜひ七月一日から相互主義がスタートできるように特段の、御答弁のとおり、また期待を申し上げておりますので、よろしくお願いいたします。どうぞ大臣、結構です。  次に、運輸大臣にお見えいただいております。恐縮です。常磐新緑の建設計画につきまして一、二お伺いをさせていただきます。  まず、本年三月上旬における新聞報道に接しました。それは運輸大臣がこの常磐新線の建設ルートあるいは建設方法、財政的措置のやり方等々、運輸政策審議会に諮問をなさいまして、答申が出ました。それによりますと、東京、秋葉原、浅草、北千住、埼玉県の八潮、三郷、そして流山経由で茨城県の守谷というところまでは答申ルート案ということでこれが明らかにされたところでございます。ところが、本年の三月になりまして、運輸省がこの常磐新線建設の関係一都三県に対して、非公式に代替ルート案、第二ルート案というものをどうかという形で打診をした、こういう報道がなされました。運輸省が本当にそういう考えを持ってそのように打診をしたのかどうか、一つは事実の確認です。  もう一つは、やはり運輸政策審議会の答申ルートというものは極めて大事なものであり、そして尊重されるべきものだと私は考えます。それほどまた権威のあるものだと思います、運輸大臣の諮問機関ですから。ところが、その答申を諮問して出していただいて、そしてその後に第二ルート案、それを無視するといいますか、つぶすようなそういう形の進め方というものはいかがなものかと私は思います。  したがいまして、運輸省がそういう考えを持ってそういうふうに非公式に打診したのかということが一点。私は、運輸政策審議会答申ルートどおりに早期に着工そして促進をすべきだ、かように思いますけれども大臣のお考えをお伺いをいたします。
  274. 早川章

    ○早川政府委員 まず、事実関係につきまして私の方から御説明申し上げたいと思います。  先生ただいま御指摘のとおり、常磐新線の新設というのは、昭和六十年に答申を得ました運輸政策審議会からの東京圏の高速鉄道網の計画という形の中に常磐新線を新設すべし、こういう話がございます。そこで、私どもとしては、その常磐新緑の整備という方策についても、種々関係の地方公共団体あるいはJR等と議論を進めてきております。  一方、例えば十一号線と申しまして、蠣殻町から松戸等に進む路線、あるいは八号線と申しまして、その途中から分岐いたしまして野田方向に上がる線、それらもいずれもいわゆるこの六十年の運政審答申にはそれぞれ整備すべき路線という形になっております。  私どもは、従前からも、また現在もそうでございますが、常磐新線を別なルートに切りかえるというような議論というのはいたしたことはございません。地方公共団体に対しましても、そのような打診をしたことはございません。ただ、いわゆる東京圏の北東部というものは鉄道網の整備がおくれていると言われている地域でございますので、それぞれの鉄道をそれなりに整備を進めていくという方針でございますので、その議論をしている過程で、十一号線という路線というものもあるし、常磐新線という従来から先生お話しのような路線もある、そういうものを組み合わせながら、一体化法と申しまして、昨年の六月に成立を見ました法律がございますが、住宅地と鉄道整備を一体的に整備をする、そういう法律の目的を達するというようないろんなことがあるじゃないかというような議論が、これはまた数多くその種類の議論をいたしておる中で話題として上ったことが、たまたまそれだけを提案したような形で新聞に報道されたということでございますが、その際も私どもお話し申し上げている中身は、いずれも整備をする、こういうことで進めていく、そのための方策を全体的に考える必要がありはしないか、こういう議論だったというふうに御理解をいただければ幸いでございます。
  275. 山田英介

    ○山田委員 じゃ、大野大臣からぜひ一言。
  276. 大野明

    大野国務大臣 ただいま局長から事実関係において答弁をさせていただきました。私は、今御指摘の報道の問題ですが、これは一部あったということも承知いたしております。しかし私は、運政審の答申どおり、基本路線は、常磐新線は変わらないとはっきり申し上げておきます。ただ、今も局長答弁がございましたように、地下鉄十一号線も同じ答申で整備すべきもの、こういうことでございますから、常磐新線と並行してやっていこうということでございますから、そこら辺どうぞ誤解なさらないようにしていただきたいと思います。
  277. 山田英介

    ○山田委員 最後の項目でございますが、東京の土地価格が暴騰する、それが家賃にはね返る。家賃負担が大変だということは、在京の大使館にもこの負担が非常に過重になっているということは言えるわけでございます。外務省の方、おられますか、政府委員の方。
  278. 佐藤信二

    佐藤(信)委員長代理 山田君、いいですか、運輸大臣は。
  279. 山田英介

    ○山田委員 どうぞ大臣、結構ですよ。いや、僕は、官房長官は記者会見があるからどうぞと申し上げたんですが、外務省の方、おられますよね。
  280. 佐藤信二

    佐藤(信)委員長代理 ちょっと恐縮ですが、質問をしていただかないと。答弁できますか。――外務省福田条約局長
  281. 山田英介

    ○山田委員 まだ質問の途中ですから……。
  282. 佐藤信二

    佐藤(信)委員長代理 山田英介君。
  283. 山田英介

    ○山田委員 数年前に、ウガンダ大使館が東京の地価高騰、それがはね返った家賃負担、非常に厳しいということで実は閉館をいたしまして、インドのウガンダ大使館といいますか、公館が日本を兼轄をする、こういう事態が発生をしております。フィジーという国の大使館もその後閉館を余儀なくされたのではないかと思いますが、これは後ほど答弁のときに確認でお願いしたいと思います。  実は、そういう国際的な交流あるいは外交の拠点が、異常な地価高騰によって閉館を余儀なくされる、それが経済的な理由によって制約をされる、あるいはなくなってしまうということは、極めてこれは重大なことでございます。また我が国にとりましても、それは決して名誉なことではございません。ということで私は、六十二年の大蔵委員会でございましたけれども、いわゆる民間のマンションなどを賃貸で大使館活動をやっている、あるいは公邸をそこに持っている、負担が非常に大変だというような状況を踏まえまして、希望する国々のために何らかの形で日本政府が手を差し伸べられないのか、あるいはフォローさせていただけないのかという考え方の中から、外国大使館ビル構想というものを申し上げた経緯がございます。  それでその後、外務省、また関係御当局の努力もございまして、大使館の公邸については、目黒区の立地でございますけれども、三十カ国の大使館公邸が平成五年度完成を目途といたしまして力強く進捗を見ている。外務省の取り組みを非常に多とするところでございますが、大使館公邸はそういうことで目鼻がつきました。しかし、いわゆる大使館活動をするオフィスビル、オフィスについては、これは一体どうなっているのか。公邸はまあ何とかなる。オフィスビルの方はどうなっているのか、非常に重大な関心を寄せざるを得ないわけでございます。その点につきまして御説明をいただければと思います。
  284. 福田博

    ○福田(博)政府委員 確かに先生が御指摘になりますように、土地の高騰ということで外国の日本における外交活動が十分にできないということでは、我が国の国際的な地位の向上に伴いますいろいろな諸活動にとっても極めて望ましくないことになるという見地から、我々といたしましても、外務省としてもそれは十分に認識いたしまして、できる限りの協力を行うということを鋭意やってきております。  それで、先生ただいまお話がありましたように、まず大使公邸用の建物につきましては、目黒区の東京ガスのガスタンク跡にマンションを建設するという予定があって、これが具体的に進んでおるようでございまして、外務省としても大変それを喜んでおります。ぜひともこれが早期実現して完成するということを期待しております。  先生のお尋ねの大使館用の事務所につきましては、南青山所在の一民間企業所有地を適当物件といたしまして、目下関係方面で構想を推進するということで調整が進められております。しかし、まだ具体的な構想として公表できる段階に至っておりません。いずれにいたしましても、外務省といたしましては引き続きこういうものも早期に実現するようできるだけ協力していきたいと思っております。
  285. 山田英介

    ○山田委員 公表できる段階に至っていないということでございますが、私の調査によりますと、港区青山一丁目、都市計画青山公園の一部、それとNTTの都市開発株式会社の所有地、そしてまたその一角にあります都有地、民有地、これらを候補敷地として鋭意検討が進められている、こう承知しているわけでございます。  問題は、都市計画青山公園の一部になるわけでございますこの当該区域が、都市計画法に基づく都市計画公園の指定を受けている。いま一つは、建築基準法上の第二種住専、住居専用地域の指定を受けている。規制の網が二重にかぶせられているわけでございます。したがいまして、この二つの規制をクリアしなければこの外国大使館のオフィスビルというものは、これは建てることができなくなるわけでございます。  そこで、建設省おいでですか、政府委員の方。
  286. 佐藤信二

    佐藤(信)委員長代理 建設大臣いらっしゃいますよ。
  287. 山田英介

    ○山田委員 わかりました。安心しました。  その二つの規制がかぶせられている土地に、実は外国大使館のオフィスビルをぜひ建設したいということで動きがあるわけでございます。このいわゆる都市計画公園指定という規制と第二種住専、住居専用区域という二つの規制があるわけですけれども、これがぜひクリアできれば大変いいことだな、私はこう思っているわけですが、これはどうなんですか。
  288. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 都市局の所管にもまたがっていますが、用意されておりましたものをお読みします。  当該構想の対象となる東京青山の民有地は、都市計画決定された公園の区域内にあるため、都市計画法第五十三条のいわゆる都市計画制限が適用されて、土地所有者は、知事の特許を受けて公園施設として整備する場合を除きまして、容易に移転、除却することができ、かつ木造等で二階建て以下の建築物しか建築できないということとされております。  また、当該構想の内容として、大規模な事務所、会議場、ホテル、レストラン等の施設が計画されていると聞いていますが、第二種住居専用地域内にあるために、特定行政庁の例外許可を得た場合を除きまして、これらを建築することはできないこととされています。  特定行政庁の例外許可については、利害関係を有する者が出席する聴聞による順間を行い、建築審査会の同意を得た上で行われることとされております。したがいまして、制度上は公園の中の敷地だということで、非常にそこのところがきつくなっているということかと思います。  したがいまして、これが建築可能となるためには法令上どのような手続が要るかということでございますが、今申しましたように、公園の区域内にあるために、構想の内容が民間事業者に係る都市計画公園としての特許基準に該当し、知事の許可を受ける必要がございます。  また、当該構想の内容として大規模な事務所、会議場、ホテル、レストラン等の施設が計画されていると聞いておりますが、これは先ほど申しましたように建築審査会の同意が要りますので、建築審査会の議を経て特定行政庁の許可を得る必要があるということで、都市公園法と建築基準法と両方の特別の手続が要るということに相なります。
  289. 山田英介

    ○山田委員 それは要するにクリアできるということですね、今の御説明は。都市計画法の五十九条の四項を御説明なさいましたが、特別規定、今おっしゃいましたね。それから建築基準法の四十八条の二項について、その二つがある。これは、クリアするためにはここのところが使えるのだというそういう御説明だと受けとめます。
  290. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 お答えします。  御提案を受けまして、現在東京都の方で今おっしゃいましたような手続を含めて検討しているというふうに聞いております。
  291. 山田英介

    ○山田委員 最後の一問ですが、建設大臣に。  この外国大使館オフィスビル構想、その敷地がこういうことで南青山の一角に進められている、対象として。今御説明いただきまして、最終的には東京都と一緒に開発をしようとする所有者NTT都市開発株式会社、今鋭意協議をしている。これは協議が調いますと建設大臣のところへ申請するわけです。申請といいますか協議をしなければならないという流れになっております。そのとき は国際親善あるいは外交の重要性というようなものを十分踏まえられまして、ひとつ極めて前向き、積極的に御支援をいただき、御対応をいただきたいと思いますが、一言建設大臣の御答弁をいただきまして、質問を終わらせていただきます。
  292. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 私は詳しいことをまだあれしておりませんが、何か公聴会とかいろいろなことがあるようですね。何かそういう手続等もあるようでございますから、そういう合法的な手続が得られてきちっとするものであれば、それはもう前向きでやりたいと思っております。
  293. 山田英介

    ○山田委員 終わります。
  294. 佐藤信二

    佐藤(信)委員長代理 これにて山田君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田高敏君。
  295. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、日米協議問題についてお尋ねをしたいと思いますが、この国会は日米協議国会じゃないかというぐらいこの問題で既に予算委員会でも大変な論議が続けられてまいりました。私この委員会における議論を聞きながら、また中間報告と称する日米構造問題の日米双方のコメントが発表されましたが、こういうものを精読いたしまして、今なお理解できないことが幾つかございます。  特に、今度の日米交渉のあり方について既に同僚諸君からも質問がありましたが、私はいずれの国といえども、国家間の平和的、友好的な発展というものは、いうところの平和五原則というものをお互いが尊重し合っていく、あえて言えば、主権・領土の相互尊重、内政不干渉、平等互恵、平和共存といったような平和五原則というものをお互いが尊重する立場で初めてそこに友好的な発展があるのじゃないか。わけても日米の関係は、言うまでもなくパートナーシップだと言われ、あるときには運命共同体とまで言われてきた間柄であります。だれが何と言おうとも、我が国は日米関係というものを特に大切にしなければならないという立場にあるわけであります。そういう関係からいきましても、今度の日米交渉にあらわれてきておるアメリカ側の態度というものは、私は非常に紳士的ではない。率直に言って高圧的であり、傲慢である。それに対して、大変残念なことですけれども日本の側のこれまた対応は対等、平等ではない。悪く言えば、半ば従属的な対応の仕方に終始してきたのではなかろうか。この点は、この両国のコメントを見て私はそのように痛感するわけであります。  私の考え方が杞憂であったり間違いであればいいと思うのですけれども、直接その衝に当たられた外務大臣はきょうはいらっしゃらないわけでありますが、大蔵大臣あるいは通産大臣、特に関係の多い所管大臣からその所見を伺いたいと思うのです。私はこういったことをなぜ言うかというと、まだいわば中間報告というのは全く日米協議の問題でいえば入り口に入ったばかりで、これからがまあ本番といいますか大事な段階に入るわけですから、やはり外交交渉のあり方として基本的な立場というものを明確にお聞かせいただきたいと思うわけであります。     〔佐藤(信)委員長代理退席、宮下委員長代理着席〕
  296. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 委員よく御承知のとおり、日本側におきましては外務省、通産省、大蔵省三省が議長省として担当いたしました。ですから、通産大臣と私と双方の立場からお答えをさせていただきたいと思います。  私は、必ずしも今委員が御指摘になりましたような受けとめをいたしておりません。確かに、双方のアイデアの提供をし合う中において、我々もまた相手の国の教育のあり方にまで、介入という言葉を使われれば確かに介入でありましょうか、あるいは貯蓄の率の低さといったものを問題にしといった形で議論をしてまいりました。アメリカ側も本当に言いたいことを言ったと私は思います。例えば、私どもの守備範囲の中におきましてよく論議をされる公共投資を一つの例にとりますならば、アメリカ側のアイデアが、日本の貯蓄率を低める、そして公共投資を拡大させるという趣旨から始まり、それがいわゆるGNP対比一〇%、三年ないし五年といった言い分に変わった。そしてそれについての論議は、確かに我々は非常に激しいやりとりもいたしました。しかし同時に、私どもは二十一世紀がやってくるまでの間に我が国の国民生活の質をできるだけ向上しておかなければならないという国内の責任もございます。ですから、アメリカ側から指摘をされたから計画をつくる、アメリカ側から指摘をされたからGNP対比何%といった目標を設定し、アメリカ側から毎年の予算を管理されるようなことは、我々としては全く応ずることのできないことでありますから、こうしたことに対しては私どもは峻拒いたしました。  そして、マスコミの中には私も強硬過ぎるのではないかというような御批判も一時期は受けました。しかし、我々としては平成二年度中に期限の到来する八本の長期計画について、国民生活の質の向上のためには当然これを継続していく必要があるわけでありますし、その内容を向上させていく必要もあるわけでありますから、こうした点は我々として素直にこれを認め、中間報告にも記載をいたしました。なお、同時に、今世紀中にどの程度の公共投資をしていくべきか、それは国民生活の質を高めるという視点からも、長期計画のない、例えば文教あるいは社会福祉施設整備といったものをも含め、さらには地方単独、第三セクターといったものを広くとらえて、どの程度の公共投資をすべきであるか。これは我が国自身の意思として計画をつくろうといたしております。  確かにその限りにおきまして、途中の論議は激しいものがございました。しかし、我々は日本としてなすべきことをなそうとしておるわけでありまして、我々も内政干渉と言われるなら相手に対して相当内政干渉がましいことも言ってきている。結論として、我々は将来に向けてみずからなすべきことをペーパーにまとめた、そのように考えております。
  297. 武藤山治

    武藤国務大臣 今大蔵大臣からも御答弁がございましたけれども、この日米構造協議、今交渉というお話がございましたが、私どもは交渉という言葉は使っていないわけでございますけれども、その辺は見解の違いがあろうかと思いますが、我我としては、今お互いの貿易収支は大変日本の黒字、アメリカの赤字でございます。これを多少なりとも緩和していくという方向はお互い両国の友好関係にとって大切なことでございます。ただしかし、いわゆるミクロ的なものだけでなかなかできないのですけれども、できる範囲はやはりやっていこうということ、そしてそのためにお互いに改善すべきところを改善していこうじゃないかということからアイデアが出たと思います。  今もお話ございました、私どもからもアメリカの現在の、例えば経営者が非常に短期的な立場で経営をせざるを得ないということが結果的に輸出競争力をなくしていくんじゃないか、あるいは技術開発という面に割合力を注いでいないということもやはり輸出力を減退してきたことではないか、あるいは労働者の教育ももっとしていただかなければならないんじゃないだろうか、こういう指摘は私どもからしてきたわけでございます。また向こうからももちろんいろいろ言われてまいりましたけれども、これも既に昨年の六月に、産構審の流通部会それから中政審の流通小委員会、この両合同部会において今後の九〇年代の流通ビジョンというのは打ち出していただいておりまして、やはり消費者のことを考えたらもっと思い切って流通政策は変えていくべきだ、こういう方向でいろいろ御指摘をいただきました。それを踏まえて私どもは大店法の問題を含めていろいろと改善策を考えておったわけでございますが、たまたまアメリカからも指摘をされ、これは当然こちらも考えておったことだからもっと思い切って進めようじゃないかという形でこの間の中間レポートにあるような形のものをつくった、こういうことでございまして、それは確かに内政干渉と言われかねないような、例えば最初大店法を廃止しろというようなことを大変強く言ってきたというよう な点は、内政干渉と言われれば言われるかもしれませんが、それは私どもとしてはできないことはできないという形でお断りをしたわけでございます。そういう面では、私は、結果的に両国がお互いにこういうアイデアを出し合ってやろうということでまとまったということにおいては、両国の関係にとってもまたこれが世界の将来の経済の上にとっても決してマイナスではなかった、こう感じておるわけであります。
  298. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 大変丁寧な答弁をいただいたわけでありますが、時間が少ないものですからはらはらしながら答弁を聞きました。  私は、協議であろうと交渉であろうと、日米間の協議であり交渉であることには間違いない。そういう言葉じりではなくて、お互い前段申し上げたような両国間ですから、毅然たる対等、平等の意識を持って今後とも交渉、協議に臨んでほしい、このことを明確に申し上げておきたいと思います。  あえてこのことを申し上げたのは、このコメントの表現を見ましても、日本の場合は、希望するとか期待するとか、大変謙譲の美徳を発揮し過ぎたような表現ばかりなんですね。アメリカ側の方は、こうすべきだ、ああすべきだ、この法律はこう変えるべきだという極めて断定的に出てきておるわけでありまして、客観的に見ましてもアメリカの今回の対応の仕方には何だか我々がすとんと胸に落ちないものがあるということだけは、これまた私の所見として明確に申し上げておきたいと思います。  そこで、この日米協議の問題で私は、これだけ議論をしてきたのに、また我々の同僚から質問もいたしましたが、これまた釈然としないことがあります。それは、今回の日米協議の問題は大きく分けて大店舗法の問題であったり公共事業の問題であったり独禁法の問題であろうと思うのですけれども、アメリカの一番意図するものは何か、ここへ焦点を絞ったときに、私は、アメリカの求めるものは日米貿易のインバランスを解消するというところにあるのではないだろうか。もし私のこの認識に誤りがなかったとすれば、今度の中間報告、あるいは七月の最終報告に向けて協議が継続されるわけですけれども、今盛られた内容で、公共事業においても果たしてどれだけ数量的なものが貿易のインバランスとしてこれまた数字的にあらわれてくるのだろうか、このことが明確にならないでさてアメリカ側は抽象的な合意だけで納得がいくのだろうかということになると、私はそういう納得するところまではいかないのじゃないかと思うわけであります。  と申しますのは、ここにも少しく資料を持っておるわけでありますが、アメリカの民主党院内総務であるとか、あるいは上院の財政委員長であるとか、あるいは国際貿易の調査小委員長であるとか、あるいは有名な上院議員のこの中間報告に対するコメントが出ていますね。これを見ましても、いわゆる中間報告に盛られたような合意を我我は求めておるのではなくて、米国としては輸出と雇用がどれほど拡大するかが成否を判断する基準である。ある議員は、同じような言い方でありますが、どのように合意されたかに関心があるのではなくて、いわゆる結果として日米の、特にアメリカの対日輸出の拡大がどういう条件によってどのように結果として出てくるかということに対して我々は関心を持っているのだ、こういうコメントが出ておるわけでありまして、これは既に御承知だと思うのですが、私は、こういう立場からいって数量的なものが出ない限り、この問題は、この協議は最終的には調わないのではないだろうかという心配をしておる一人であります。これは多くを申し上げるまでもなく、貿易関係の改善については、八七年の五百六十三億ドルをピークとして毎年減少をしてきている。ところが、米国の対外赤字の中に占める日本の取引条件というものは八七年から逆に赤字としてはふえておる。三七%から四四%、そして去年が四五%というふうに不均衡な状態が拡大をしておる。こういうものを数字の上で減少していくような方向にしない限り、この日米協議というものは最終的に調わないのではないかという心配をする一人であります。その点に対してのお考えを聞かせてもらいたい。
  299. 武藤山治

    武藤国務大臣 この間うちから今の御意見はもうそれぞれの先生方から出てきておったわけでございますが、正直、貿易の収支というのは、やはりそのときの金利であるとか為替であるとか、あるいはいろいろの各国の経済の動きといいますか経済の状況であるとか、いろいろの観点からこれは出てくるわけでございますし、とりわけ日米の貿易収支を私は見ておりますと、例えば昨年でも四百九十億ドルという確かに大きな赤字でございますけれども、一昨年と比べると日本は世界で一番アメリカから輸入しているわけですね。一八・何%という数字になっておりますし、あるいは金額からいってもアメリカから買っておるのは、たしか四百五十億ドル買っておるわけでありまして、これはヨーロッパの、それこそイギリス、ドイツ、フランス三国合計したのはたしか四百六十億ドルですから、そういう面からいくとヨーロッパの三国が輸入しているくらいのものを日本は輸入しているわけでありまして、もう本当に輸入ナンバーワンなんですね、アメリカから。  しかし残念ながら、今度は日本から出ているものを見てまいりますと、自動車はこれは別といたしますと、あとは結局ICであるとかあるいはその他いわゆる投資財ですね。結局アメリカの工場を動かすために必要なものがどんどん日本から出ていっているというのがほとんどでございまして、私は、そういう面ではアメリカの経済をある程度支えているのが日本のそういうものではなかろうか。日本からそれが出ていかなかったら結局アメリカの経済を支えられないということでもございますから、そういう面で私は貿易収支を改善をしていくというのは非常に難しい。今度の構造協議の結果、今御指摘のように、それじゃ幾ら減るのだと言わなければできない、それは確かにアメリカは結果主義でございますから、そういうことを言うのはよく私はわかるのでございますけれども、そういう定量的にこれを言うことは私はなかなか難しいと思っております。  幸い、来月の二、三、四とサンフランシスコで四極通商会議がございますので、議会のお許しがいただければそれに参加するのを機会に私はワシントンへ参りまして、議会の皆様方によくその辺は話をしたいと思っておりまして、今御指摘のあった例えばダンフォースさんなんかその一人で、ダンフォースさんが非常に、ボーカスその他の皆さんにもお集まりをいただけるようなアレンジもしてやろうとおっしゃってくれておりますので、そういう議会の皆さんの前でよく日本のいろいろの実情を私は私なりの考え方でお話をし、この構造協議で私どもがお約束したことはきちんとやりますよ、しかしそれによって定量的に幾らお互いの貿易収支が改善されていくかということまではできませんということを私ははっきり申し上げようと思っておるのでございますけれども、努力はいたしましても、その辺やはり先ほど申し上げたように、アメリカ側にも努力をしていただかないと私はこの日米の貿易収支というのはなかなかよくならないと思っております。しかし、一九八八年よりも八九年、あるいは一九九〇年はまた一九八九年よりもお互いの貿易収支が改善していくことだけは間違いがございませんので、私はそういうことでアメリカの理解を得たい、こう思っておるわけでございます。
  300. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 今答弁がありましたような方向に日米の貿易関係が動いておることはもうそのとおりだ。しかしそういう中で、なおかつ今日こういう日米協議が起こっておるという現実もこれは重視しなければいかぬわけですから、私はすべてが今のこの数字だけでどうこう言うわけではありませんけれども、アメリカの貿易収支の中に占める日本のこの取引の条件というものが先ほど申し上げたような数字にあらわれておる、これをやはり軽減していく方向に我が国も努力すべきじゃないか。  そのためには、私は、日本の業界の積極的な協力も得ると同時に、雇用条件のアンバランス、これは先ほど我が党の川崎議員の方から質問がありましたが、やはり貿易のインバランスを解消するための大きな要因というものは、我が国の雇用条件、労働時間なりあるいは定年制の問題なり、年金の水準の問題なり社会保障のいわば全体的な水準、なかんずく労働時間なんかはアメリカやヨーロッパと比べて、先ほどグラフを出して質問をしましたが、かれこれ四百五十時間から五百時間ぐらいの開きがある。こういう条件の中で貿易をやるといえば、これはおのずからコストの面においても大きな差が出てくるわけでありまして、私は、雇用条件のインバランスというものを、これまた我が国の場合大変おくれておるわけですけれども、積極的にその解消に向けて努力をする必要があるのじゃないか、その努力をしなければ本来的な貿易のインバランスを解消することにはならない、今回のこの日米協議の根本的な問題を解決することにもならないと思うわけでありますが、そういう点についてのこれまた所見を労働大臣を含めてお尋ねをいたしたいと思います。
  301. 塚原俊平

    ○塚原国務大臣 ちょっと今細かな数字を持ち合わせていないのでございますが、アメリカと日本は四百時間まではちょっと離れてはいないと思いますが、それでもやはりアメリカの方が労働時間が少ないというのもそのとおりでございます。  日本は、究極はこれは非常に難しいのですけれども、ともかく平成四年の末までに何とか千八百時間程度に近づけたいという目標がございまして、そのための三つの要素があって、まず年休を、あれは二十日間かな、それをきちんととってもらうとか、あるいは週休二日をきっちりしていただく、それからもう一つ、時間外労働時間を百五十時間以内にしていただくというこの三つの要素を解決しなくちゃいけないのですけれども、特にその一つの難しい背景にやはり中小企業の存在というものがございます。そういった中でできるだけ近づけていきたいというようなことで、構造協議の中にも、これはたしか公務員関係のものも入っているのですか、何とか週四十時間という一つの目標も実はお書きしたわけでございます。ただ、今段階的にちょっとなっているわけですけれども、すぐしろと言われましても、そういう中小企業等の配慮もございますものですからなかなか難しいのですけれども、さらに決意を新たにして、国民的課題でございますので、究極の目標に向けて一生懸命頑張ってまいりたいと決意をいたしております。
  302. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 選挙のときと違うて、決意を新たにしても、これは余り実効が上がらないので……。  私が申し上げたいことは、確かにアメリカとの関係では二百時間とか、ヨーロッパの西ドイツやフランスの場合でいえば五百時間ぐらいという差がありますが、例えば一九九二年までに千八百時間を目標として努力をしていこう。仮に千八百時間になりますと、これは大変ラフな数字ですが、雇用創出の面においても約八十万人ぐらいの雇用創出ができるだろう。消費拡大の面についても、金額でいえば四兆五千億、あるいはそのことが内需拡大の面では八兆三千億ぐらいの内需拡大になるのじゃないか。これは相当大きな数字でございまして、こういう雇用面のインバランスというもの、国際的なおくれというものを解決することが私は遠いようで近道ではないか。そのためには一九九二年というところまで待たずして、半年でもそれこそ、この大店舗法の調整期間を二年間といったのを一年六カ月にしましたが、そういう形の努力が今非常に必要じゃないか。大変これは失礼だけれども、この種の日米協議のような問題が出てくると外務省やあるいは通産省や大蔵省にもたれ切りで、労働省なんかはちょっと枠外に置かれておるのじゃないでしょうけれども、おってもいいんじゃないかというような、そういう気持ちではなくて、むしろ本質的に解決すべきものについてはもっと積極的にこういった日米協議の中に入り込んでいって問題の解決に当たるべきじゃないか、こう思うわけです。  そういう意味で、例えば一九九二年週四十時間制、労働基準法の改正の問題については、もうこの一九九二年には本則一本でいく、猶予条件みたいなものはもうなくしていくというようなことについて、特に主管省である労働大臣として、今私が幾つかの数字を提起しましたが、そういうものを踏まえて、それこそそこに向けて異常な決意でやるというお考えがあるかどうか、聞かしてほしいと思います。
  303. 塚原俊平

    ○塚原国務大臣 決意という表現が選挙向きだった感じでちょっとあれなんですけれども、異常な決意というところまで果たしてできるかどうかわかりませんが、一生懸命頑張りたいと思います。
  304. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、政治家同士の議論は今大臣が言われたようなことでいいと思うのですね。細かいやりとりではなくて、そういう姿勢でお互いが議論をし合うところから生産的な結論が生まれてくると思いますので、ぜひひとつ労働大臣頑張ってほしい、こう思います。  そこで、公共事業の問題でありますが、これはもうみんなから言われたとおりでありまして、我が国は住宅の問題、下水道の問題、あるいは緑地、公園の問題、道路の舗装の問題、おくれておることは間違いないわけですから、これこそ超党派的におくれを早く国際的な水準に引き上げていくということについては異論がないと思います。ただ、日本の場合はもう地価が高いものですから、下手に公共事業費をふやしてみても土地代に食われてしまう。ですから、これからの対応の仕方としては、私は地代に余りとられない地域の公共事業に重点を置いていく。大変都会の方には失礼な言い分ですけれども地価の高いところはもう最小限にして、そしてできるだけ、一極集中主義の排除ではありませんが、おくれた地域というのは、下水道一つ見ても、水洗便所一つ見ましても、これはもう地方の方が決定的におくれておることは間違いないわけですから、そういうものの水準平準化のためにもそういったところへ重点的に公共事業をやっていく必要があるんじゃないか。これは特に建設大臣にひとつお尋ねをしたい。  全体的な時間の配分から質問事項を固めて申し上げますが、私はこの公共事業について、二本の柱で日米協議が成り立っておると思うのですね。一つは五カ年計画で事業を拡大していきましょう、いま一つは十カ年計画によって新しい公共事業を拡大していきましょう。――ちょっと小さい声でやってください。
  305. 宮下創平

    ○宮下委員長代理 御静粛にお願いします。
  306. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、そういう二つの面で公共事業を拡大する、こう日米協議は一応合意に達しておるのですけれども、我が国の財政事情を将来展望を含めて考える場合、財政がかなり硬直してくるんじゃないかということを心配をします。  この間、消費税廃止の前提に立って今日の、今迎えておる財政事情というのはここ三、四年来の経過から見て緩んできておるからという観点に立って、私は私なりの持論を主張いたしました。しかし将来、大蔵省が出しておる中期展望から見ましても、例えば国債費は予算の約二割程度のものはこれはもう払っていかにゃいかぬ、支払いはしていかにゃいかぬ。そして防衛費は、これはぜひ私はGNPの一%ということではなくて、今日の国際情勢の中から見てやはり凍結していかなきゃいかぬと思いますね。私ども社会党が三年間凍結しましょうという提案もしておりますけれども、GNPのパイがどんどんふえていくわけですから、一%といっても一つの県の一年間の予算に匹敵するぐらいの防衛費がふえていくわけですから、そういうものはやはり抑制していくということが、この日米協議の公共事業をふやすという観点から見てもこれは検討をしなきゃならぬのじゃないか。世界の大勢から見てもこのことは十分主張できると思うのですが、この点については防衛庁の長官からお答えをいただきたい。  三つ目は、これは大蔵大臣に対してでありますが、今言ったように、仮に防衛費というようなものはいろいろな関係から優先的に予算化しなきゃいかぬ。そして、公債費は今言ったような形で、これまた優先的に予算化しなきゃならぬ。厚生省が社会保障充実十カ年計画で、あれは六兆円だったですか、六兆円というようなものを、これは最低の条件でしょうけれども打ち出した。出した以上は、これまた今の国民のニーズからいってそういったものを最優先的に予算化しなければいかぬだろう。こういうふうに見てまいりますと、ここで公共事業の――いま一つは国債の、六十年サイクルで建設国債を回していくわけですが、これも先刻御承知のとおり、耐用年数は六十年だと言っておりますけれども、今日の常識をもってすればこれはもういわゆる三十年サイクルで回さなければいかぬということが常識になってきている。  そういうことを考えていくと、財政というものは非常に硬直化してきておるのじゃないか。そういう中でアメリカが期待するような公共事業というものをここで考えていくということになれば、これは財政的にはその財源をどこから見出してくるのだろうか。頭のいい橋本大蔵大臣ですから腹づもりはあるのでしょうけれども、私は、非常に短絡的な質問で失礼ですけれども、どうも消費税の三%というものをやがて五%、七%に税率を上げていく、そこでこの日米協議の公共事業の枠の拡大の財源に充てるのじゃないか。そういうことがもし前提に立ってこういう公共事業の拡大というものを約束するとすれば、これは極めて国民を小ばかにしたというか、国会の我々をないがしろにした考え方ではないかと思うのですが、これもちょっと、私が思い過ごしであったらこれにこしたことはないと思うのですけれども、そのあたりを含めて大蔵大臣の御見解を聞かせてもらいたい。
  307. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 最初に、用地代の高いところは公共事業は後回しにしろというような御説だったかと思いますが、四全総に示されておりますように多極分散型の国家をつくるために、建設省の行政もその線に沿ってやってまいりたいと考えております。土地の高いところはそれなりに地方自治体にもいろいろの負担を願わなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
  308. 石川要三

    ○石川国務大臣 お答えいたします。  財政を硬直させないために特に防衛費等は凍結をしたらどうだ、こういう御意見でございます。  先生の基本的な考えにつきましては、私も理解するところは多々ございます。しかし御承知のとおり、私どものこの防衛というものは大綱というもの、これの達成を目標にいたしまして計画が行われているわけでありまして、その実施に到達するための毎年の予算が計上されているわけであります。そういうことで、ようやく平成二年度の中におきましてはこの計画の達成、おおむねと言っていいと思いますが、そういう到達がされるわけでありますが、しかし内容につきましては、私もいろいろと担当から聴取いたしましたところでは、かなり装備品の効率化とかあるいは補助金の整理統合とか、いろいろとその編成に当たっては削減に努力をしている、こういうところも多々見受けられます。そして今日では、かつてはございましたようないわゆる防衛費の聖域化というものはもう取り外されておりますし、そういう点も非常によい方向に進んでいる、私はこのように思っております。  ただ、残念ながら先生の御見解の凍結ということにつきましては、私はいささか見解を異にしておるわけでございます。事は防衛でございますので、先に凍結ありきということにつきましては、いささか見解を異にしているわけであります。
  309. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 非常に幅広い視点から問題を提起され、答弁を求められましたので、多少の時間をいただきたい、こう存じますけれども、確かに委員が御指摘になりましたように、ようやく赤字公債依存体質を脱却したとはいいながら、国債残高百六十四兆円というものを考え、そして利払い費が一般会計予算の中の二割を占める、この状況が非常に厳しいものであることは言をまちません。そして、その限りにおいて我々はこれからも非常に厳しい財政運営を強いられることになります。  同時に、今社会資本整備というものにつきまして、構造協議との関連でのお尋ねでありましたが、委員はこれを二つに分けられましたけれども、私はもう一つあると思います。というのは、十五本の長期計画のうちの七本、平成二年度に終末を迎えないものはその計画どおり着実に進める、この三つ目の要素が加わると思います。  そして、それは一方で、歳出歳入ともに見直しを繰り返しながら、制度の合理化、あるいは歳出の削減等の苦労をしながら行っていくことでありますから、大変厳しいものであることは間違いがありません。ただ、お言葉を返すようでありますけれども、そのために消費税の税率を引き上げるといった考え方は持っておりません。  また、防衛費につきましては、防衛庁長官が述べられましたけれども、我々は防衛費といえども聖域という考え方は持っておりませんから、それぞれの年度における予算編成の途中、十分これを精査する、そう考えております。
  310. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 少し数字を挙げて公共事業の関係で言えば、仮に八%になればどうだ、あるいは一〇%になればどういったことになるか、これは我々が予想しておる以上に財源が要るわけですから、そういった議論をする時間がありませんのでこれは省略しますけれども、今大臣がおっしゃったように、素朴に国民が心配しておるのは私は消費税が一つあると思うのです、率直に言って。そういったところへ短絡的に手をつけるようなことだけは長期展望を含めて絶対ない、そういう前提に立ってこの日米交渉全体を財政的な見地からもまとめてほしいし、まとめるべきだということを強く主張しておきたいと思います。  防衛費の関係は、これは情勢が変わってくるわけですから、聖域化するようなことはもうこれは絶対やめなければいかぬ。戦車だとかやれ何だとかといいますけれども、このごろ戦車をたくさんつくって、さあどこで戦争するんだろう。これはもう本当にそういう点では防衛費の内容そのものに立ち入って、これは将来軍縮、削減の方向に我我は取り組まなければなるまい、こう思います。  そのことは、きょうはここでそのことをやりとりしましてもなにが出てまいりませんので、大店舗法の関係で三つばかり質問しようと思っていたのですが、一つだけに絞って質問をいたします。  これは中間報告によりますと、三年後再改正をやって特定地域をつくるようなことになっておりますが、この特定地域を適用除外にする考えがあるのかどうか。特定地域を設定する場合の概念といいますか基準といいますか、これは人口であるとか商業の集積度とかその地域の購買力とかいろいろあるだろうと思うのですが、そういうものは大方どういうものを想定なさっておるのか。そして、この特定地域というものについて、何だかあちこちから流れてくる情報によりますと、アメリカ側に特定地域とはこういう地域ですということを何かサゼスチョンを与えておるような情報が流れてくるわけでありますが、そういうことになっているのかどうか。もしそうであるとすれば、余り包み隠しをするようなことをしないで、例えば三大都市であるとか、あるいは例えば県庁の所在地であるとか、そういったことを考えているのであればいるんだというようなことを早目に出して、そして国会の中でお互いが議論をし合っていく。いかぬものはいかぬ、いいものはいい、そういうけじめをつけながら議論をすることが大事じゃないかと思うのですが、どうでしょうか。  いま一つは、特定地域の関係について、特定地域を仮に法律で指定しても、出店規制について自治体が条例で規制条例というものをつくるという場合は、これは阻止することができないんじゃないか、強制的に。これは憲法との関係においてもできないんじゃないか、こう思うのですが、そのあたりについて自治大臣の見解を含めてお尋ねをいたしたいと思います。  そして、経企庁長官、ちょっと公共事業のところでお尋ねしようと思ったのですけれども、時間がありませんから結構です。
  311. 武藤山治

    武藤国務大臣 この間も答弁をさせていただいたのでございますが、特定地域という問題については、今御指摘のとおり、三年後に特定地域についてはこの規制の撤廃を含めて検討する、こういう表現になっておるわけでございまして、具体的に特定地域はどういうものであるかということを正式の協議の場でアメリカに言ったことは全くございません。  それじゃ、私の頭の中にはどういうものがあるかということでございますが、これもこの間答弁をさせていただきましたが、大都市という一つの考え方はございますけれども、一体それを、今御指摘のように、例えば三大都市圏とかなんとかというような表現で法律の中に書き込むというのは、非常になかなか私は無理があるんじゃないかなという感じがいたしておりますし、そういう書き方よりも、やはり法律に書くとすれば、今御指摘のように、人口密度であるとか消費動向であるとか商業集積度であるとか、そういうやはり合理的な基準でもってやるということだろうと思うのでございますが、いずれにしてもしかし三年先の話でございますので、これからいろいろ各界各層の御意見を聞き、審議会にもいろいろ御相談をしながら検討をしていくわけでございますから、今のところは全く白紙でございます。  それから、いま一つの地方自治との関連というのは、確かに今でもいろいろ地方で条例をつくっておやりをいただいておりますし、これは今やはり憲法の地方自治との関係、非常に難しい問題がございます。ただ、自治省ともいろいろ御相談をいたしまして、来年度といいますかこの年末からの通常国会目指して法律の改正を私ども進めようと思っておりますけれども、その法律改正のときには地方自治体においてもひとつそういう規制の緩和については御協力をいただくような、そんな法律に私どもははっきりと明文化していきたい、これは自治省においてもその点は御理解をいただいているところでございます。
  312. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 仮定の質問でございますけれども、一般的に申し上げれば、地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて各自治体において独自の規制を行うことが認められると思います。しかし今度の、もしも仮に大店法が廃止もしくは改正という形で法律上明確にされて、独自の規制を行う形を規制されるという内容のものであれば、これは当然自治体においても、そういった今までの来った経緯を踏まえて、国の法律の趣旨に沿うように配意してくれるであろうということを期待しております。
  313. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 一応考え方だけ聞かしてもらって、次に進みたいと思います。どうもありがとうございました。  時間的な関係で、次にココムの問題についてお尋ねをしたいと思います。  これも今国会で、総括質問以来ずっとお互い議論をしてきたことですからもう多くを申し上げませんが、今日の国際情勢は、先ほどもちょっと申し上げたように、米ソ関係の改善を初めとしまして、米ソ間の軍縮がどんどん進展をしている、中ソも和解をした、あるいはイラン・イラクの戦争も停戦になった、そしてベルリンの壁は御案内のとおり崩壊をした、ソ連の政治改革、ペレストロイカは、いろいろ困難な事情があるけれどもすばらしい前進をしておる、カンボジアからはベトナム軍が撤退をした、あるいはカムラン湾からソ連軍が撤退をした、米軍がアジアから撤退するということで、韓国やフィリピンに対しても三年先を目指して一つの条件が提示をされておる。こういった今私が羅列をしましたような条件を総合的に見ても、世界は今や軍縮の方向に大きく動いておることだけはだれ人も否定することはできない。こういう条件の中で、冷戦の遺物といいましょうか、冷戦の落とし子といいましょうか、そういうものの一つが私はココムだと思うのですね。これはどう考えても、今前段触れましたような国際情勢が平和の方向に、軍縮の方向に大きく動いておればおるだけに、私は、このココムの撤廃に向けて我が国政府が積極的な取り組みをやるべきじゃないか。  せんだって、総理が東欧諸国に参りまして、あのような経済協力をやってまいりましたが、私どもの入手しておるいろいろな条件から見ますと、ポーランドにしても、ハンガリーにしても、その他の東欧諸国は、経済的な援助もさることながら、自分の国の工業生産がどんどん発展していく、活性化していく、そういう生産手段なり機械なりあるいは先端技術というようなものを欲しいのだ。それぞれの国は今相当な借金を抱えておりますけれども、そういう借金の支払いについても、経済援助という形よりも、経済活性化さす形の中でそういう借金も払っていきたいのだ。そのためには、ココムのような貿易障害ですね、国際的な経済的な障害というものを排除してもらいたいという声が非常に強まってきておると思うのです。こういうものに対して日本が今こそ、日米協議ではありませんけれども、私はアメリカがこの問題についても非常に消極的だというように理解をしておるわけでありますが、やはり日本がアメリカの方も向いて、こういう情勢の中でココムのようなものは撤廃しようじゃありませんか、こういうイニシアチブをとるべき時代というか、時期を迎えているのじゃないか、私はそう思うわけであります。そういう点について、今日段階における政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  314. 林貞行

    ○林(貞)政府委員 最近のソ連、東欧の情勢につきましては、先生御指摘のような動きがあるわけでございますが、そのような動きにもかかわらず、ココムは西側の安全を確保する上で依然重要な役割を果たしているというのがココム参加国の一致した認識でございます。  他方におきまして、ココムでは従来よりココムリストの見直しを行いまして、不必要な規制品目を削減し、真に必要な品目に限定するということを念頭に置きましてリストの合理化、合理化といいますと削減ということでございますが、このリストの合理化を行ってきております。我が国といたしましても、最近のソ連、東欧における改革の動き等も踏まえまして、参加各国とも話し合いながらリストの合理化を今後迅速に行っていく必要があると考えております。当然のことながら、右合理化の結果としてココム規制の緩和が行われるわけでございます。
  315. 武藤山治

    武藤国務大臣 今外務省の経済局長から答弁がありましたように、これはやはり西側陣営として今日までお互いの安全保障という観点からやってきたことは、御承知のとおりでございます。  確かに、世界の国際情勢は非常に変わりつつあるわけでございますから、これはやはり緩和の方向にいかなきゃいかぬというこは当然で、その点は今外務省からも答弁がありましたように、この二月にも東欧情勢に対応して、例えばコンピューターあるいは通信、工作機械、こういったような三分野を含めた規制リストの緩和について、とにかくそういう方向でいこうじゃないかという合意も見ているわけでございまして、私ども通産省としても、その辺の対応を見ながらできるだけいわゆる前向きに検討していきたいと思っております。
  316. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、前段も触れましたように、日本自身も総理が例えばハンガリーやポーランドに対して経済援助をやっていく、そこまで踏み込んでおきながら、こういう貿易の障害になるようなものはそのまま残すということになりますと、やっておることにいうところの整合性がないのですね。  このココムができた由来というか、その理由というのは先ほども言われたようなことですけれども、もう東西間がこれだけ融和の方向に向かって、それこそ対立から対話、対話から協調の時代に入ってきておる、そして、その大きな面から見て、ソ連のペレストロイカというものは、これは民族問題で少しがたがたやっておりますけれども、ペレストロイカそのものは、これは我が国としても全面的に成功さすという立場で協力をしていかにゃいかぬということになってまいりますと、まあ大変これは一つの妥協的な言い方ですけれども、ココムの問題についても、もう早い全廃を前提にして、どうしても無理であるとすれば、今中国に対してココム規制が大幅に緩和されていますね、それぐらいの条件を、東欧諸国に対しても我が国が踏み込んで、ココム解消に向けて、パリ会談になるのかサミットになるのかそのあたりで、ドイツやフランスあたりが、フランスは若干慎重なところもありますけれども、西ドイツあたりは相当積極的に廃止の方向に踏み込んでおるわけですから、そういう点について、外務大臣がおられないので残念でありますけれども、ぜひ私は、近く開かれるサミットにおいても、そういう面で日本外交が新しい日本外交の芽というものを出していく必要があるんじゃないかと思うのです。  そういう点について、臨時代理なんですかね、正式な代理なんですかね、臨時代理なんですか、坂本官房長官・外務大臣のひとつ所見を聞かしてもらいたい。これは非常に私は大事だと思うのですね。
  317. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 冷戦からデタントへ、ヤルタからマルタへ、そういう大きな歴史的な転換は、私は議員と同じ認識を持っております。大きな時代の転換があれば必ずその成果は個々の問題についても及んでくるもの、そう思うておりますが、まあしかし、日本は、今全く世界は一つになってしまったというわけではありませんので、今までの西側陣営とも協調をしながら、やはりそこは緩急よろしきを得てやるべきものだ、こう思うております。しかし、歴史の大勢の赴くところはやはりその方向に進んでココムの問題も徐々に改善をされていくのではないか、緩和されていくのではないかな、そう思っております。
  318. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 大変大ざっぱな答弁で、官房長官ですから、名前だけはそれこそ臨時に外務大臣でしょうから、余り無理な答弁をするのもどうかと思いますけれども、私は率直にこう思うのですね。ココムの問題にしても日米協議の問題もそうですけれども政府は口を開けばグローバルな観点から我が国がすべての問題に対応しなきゃならぬ。今度の国会の中でそういう点を強調した答弁というのは、私はやはり今国会の一つの特色じゃないかというふうに見ておるわけでありますが、そういうグローバルな観点からいけば、今言ったように世界の平和、軍縮の方向が動いておるわけですから、それに見合った、それに整合性のある、このココムのような障壁は我が国が積極的にその障害を排除していくという立場をサミットにおいても鮮明にすべきじゃないか。  また、日米協議の中でも、私は、アメリカなりあるいはヨーロッパに呼びかけて、これももうずっと以前に国会でも議論になったかと思うのですが、パナマの第二運河をつくるとか、あるいは日ソの関係もだんだんと改善をされて北方領土の問題も具体的な日程に上ってきておるような時期ですから、それであればあるだけに日本がアメリカにも呼びかけて、シベリア開発をどう促進をしていくんだ、あるいはヒマラヤ山系のふもとに大きな発電所をつくって、そしてアジアの民衆に電気を与え、水を与えていくというような大きな、それこそグローバルな視点に立って事業を興していく。そして日米関係で、何だかスーパーや百貨店の規制を緩和するとか強めるとかというようなところや、あるいは日本の公共事業はおくれておるにしても、そこへ予算をこうふやせとか、独禁法なんかわかり切ったことを強化しなきゃいかぬなんということで日米関係ががたがたがたがた混乱するんじゃなくて、もう少し日本の姿勢をきちっとして毅然たる態度でアメリカに呼びかけるものは呼びかける。あなたら何をおっしゃっておるのですか、ココムなんかは撤廃すべきじゃないですかと、こういう姿勢が出てこなきゃ、もう何を見ておってもアメリカさんの顔色をうかがって日本外交はついていくというような、そういう印象が強く出てくるわけですよ。  私は、幾ら臨時と言われながら、そういう点ではもう少し誠意のある具体的な答弁をひとつ欲しいと思うのですが、どうでしょうか。
  319. 林貞行

    ○林(貞)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、現在ココムではココムリストの見直しを行いまして、合理化の作業が進められております。私どもとしても、ソ連、東欧等における改革の動きを踏まえまして、このリスト合理化の作業は今後迅速に行っていく必要がある、こういうふうに考えております。
  320. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 先ほど答弁いたしましたが、その大筋の方向に向かって政府としても努力をいたします。
  321. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 大変御無礼ですが、非常に間の抜けた答弁でして、もう本当にその点では私も失望しました。  しかしこの主張は、今後継続して私どもは強く主張すると同時に、今私のこの質問は極めて具体的でして、一度に廃止にいかなければ、せめて中国並みに踏み込んでいくというような、そういったことについてサミットならサミットあたりでやるかどうかという具体的な提案を含めて質問しておるわけですから、そういうものにお答えする姿勢がないと、せっかく私どもが本当に真剣に、剣道の達人ですけれども、私どもここで質問するときは本当に真剣勝負をやるぐらいなつもりで質問しておるわけですから、剣道の達人たまたまお二人そろっていますけれども、私は、やはりそういう真剣さがないと、もう答弁はその場限りで何とかなにすれば、時間がたてばいいというようなことであれば、これはやはり国民の期待にはこたえられないと思いますので、大変御無礼かもわかりませんが、私は率直に私の気持ちを訴えておきたいと思います。  そこで、次に、ウルグアイ・ラウンドの問題ですが、これは五月の段階、七月の段階ということでだんだんとこう作業が煮詰まって、ことしいっぱいには、特に今日本の農民が関心を持ち、我々自身関心を持っておる米の問題が、このウルグアイ・ラウンドでどういう結論になるんだろうか。これは農畜産物の十二品目のうち、でん粉だったですか、乳製品と二つがまたことし継続して見直しの議論がある。あるいはいよいよ来年の四月からは牛肉・オレンジの自由化が始まるという条件の中で、日本の農民、農家の人たちは、わけても米作地帯の農民は、この日米協議以上の関心でウルグアイ・ラウンドの行方を見守っておると思うのですね。このことについて農林大臣から、国会決議も御案内のとおりあるわけでありますが、その国会決議を踏まえて、日本代表としてはせっかくの努力を続けられておると思いますが、この今の中間的な経過と見通しについてお尋ねをいたしたいと思います。
  322. 山本富雄

    山本国務大臣 お答え申し上げます。  基本的に、先生、この間来本会議あるいは当委員会でも姿勢として申し上げてまいりましたけれども、米は我が国民の主食だ、したがって、これは日本農業の基幹の作物であるということは今さら申し上げるまでもないわけでございます。またその上に、例の水田、稲作というのが環境保全だとか国土保全に非常に役に立っているというふうなことも今立証されております。さらに、農村、山村を経済的に支える非常に大事な役割を持っておるということなどもございまして、そこで、衆議院、参議院、国会両院で御決議を賜っておる。この御決議の精神を体しながら今日まで歴代大臣、前大臣もそうでございますけれども、とにかく米は国内自給でまいりますということを国の方針として言い続けてきたわけでございます。私もこれはそのまま踏襲をいたします、しっかりやってまいりますということをこの間来続けて申し上げてきたわけでございます。  現在、外務大臣お留守でございますが、メキシコでやっておりますけれども、これには米の問題は出ておらないことは先生御承知のとおりでございます。しかし、いずれにいたしましても、時期が夏からさらに秋、年内というふうに迫ってまいりまして、アメリカなどからおいでになる、あるいはECなどからおいでになる方々が、私、お目にかかるたびに必ず日本農業の問題、特に米問題を発言をなすって、そして自由化の必要性などをお説きになる。私どもは私ども方針、米は自由化することはできないということをいろいろな角度から申し上げて、もう私、二カ月たつわけでございます。  そこで、現在の推移と申しましても、つい先般、スイスのジュネーブで、今まで提案をされた事項について各国の専門家、事務当局が出まして確認をし合う作業をしてまいりました。それで、その確認する作業の中で我が国としては今までの主張をさらにはっきり申し上げまして、食糧安全保障等の観点から、我が日本としては、米のような基礎的食料については、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じ得るよう提案を行っておる、このことをさらに強く確認をしているわけでございます。あるいは五カ国の農相会議などというものも呼びかけが既に来ておりまして、それらを含め、これからどういう形で最終決着ということになるかわかりませんが、いずれにいたしましても、この残された期間、今申し上げたような方針に沿って米を国内産で自給するということを貫くべく最大限の努力をしてまいりたい、こう考えております。
  323. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 先ほどの労働大臣の決意じゃありませんけれども、この問題については国会決議もあることですから、農林大臣は職を賭してでもそれこそ異常な決意でこの我が国の完全自給のために最善を尽くすということであるかどうか、これはひとつ後でお答えをいただきたいと思います。私は、日本の場合は、米を二割も三割も減反しながら一方で米を輸入するなんということは、これは農民だけでなしに物の道理に合わないと思いますね。全然減反も何もしていないのであればなんですけれども、減反はする、そこへ同じ品目の米を入れるなんということは国民感情としてもこれは絶対受け入れることはできないと思うのですよ。そういう点からぜひ完全自給に向けて、この上ともの御努力をお願いをいたしたい。  私は、一つだけなにするのですが、アメリカにしたって、ヨーロッパにしても自分の国の主食、これは何と言うんですか、今先ほど言われた基礎的食料とかおっしゃいましたが、日本でいえば米、フランスや西ドイツでいえば小麦とバレイショかもわからぬし、アメリカでいえば小麦と牛肉かもわかりませんね。そういう主食については、お互いが何だかんだと言って議論をし合ったり、あるいは日米でいえばそれを貿易の取引材料にするようなことではなくて、お互いの国の主食は、自給率というものは完全に保障し合いましょうという、そういう国際協定をこじゃんと結ぶようなことはできないのかどうか、このあたりについてはどうでしょうか。
  324. 川合淳二

    ○川合政府委員 ガット・ウルグアイ・ラウンドにおきまして、農業交渉におきまして日本が提案しております内容といたしましては、今先生のお話がございましたように、基礎的食料につきましては、安全保障の観点から所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じ得るものとすることということがございます。これは、今先生がおっしゃったような趣旨でございます。
  325. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 ガット条項の十一条の2(c)の(i)項、そのさらに川とかという条文を見ますとそういう条文がありますが、そういう条項によっても、一方で減反をして政府がいろいろな措置を講じておる場合には最低の輸入義務が免除されるという意味に読める条項がありますね。そういったところを最大限に活用して、今答弁がありました趣旨に沿って国会決議が生かされるように御努力をお願いいたしたい。農林大臣のさらなる決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  326. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  非常に示唆に富むお話もいただきました。また、私、先ほど来外国からおいでになる方々で必ず日本の農業問題、米問題にお触れになる方々には、今先生のおっしゃったようなことも含めましてできるだけ時間をとって徹底的に言っているということでございます。最善の努力を続けたい、こう思っております。
  327. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 職をかけてもやってください。  最後に、少しく個別問題になりますが、中央競馬会にかかわる馬券場設置の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  これは大蔵大臣の御出身である岡山で起こっておる問題でありますが、ここ四年間、馬券売り場の問題について設置するかどうか、これが地元で大変紛糾いたしまして、岡山の市議会においては、居住地域にこういった馬券場的なものを設置することは適当でないということで、設置することは適当でないという決議をいたしました。また、そのことを受けて、岡山の市長も中央官庁に対し、あるいは地元の諸君は農林省やあるいは中央に向けてかれこれ十数回にわたって陳情をしておるわけですね。  そして、時間の関係がありますのではしょって申し上げますが、一番最近の新しいなにによりますと、去年の十一月の二十二日、衆議院の決算委員会で当時の鹿野農林大臣は、今日のそういう経過と現状に即して我が党の小川議員の質問に「現在のような状況のもとで建設工事を続けても承認されるような事態にないということは明確に申し上げられるところでありまして、工事の中止についてさらに強力に中央競馬会を指導する考えであります。」また、最後に「工事の中止について、さらに強力に中央競馬会を指導する考えであります。」こう言っておるのですけれども、ここにも写真を持ってきておりますが、こういう答弁がされた後、どんどん工事が進んでおるわけですよ、こういう形で。そして、この中へ機械を入れれば終わるところまでかれこれ進んでおる。地元の市議会が設置することに反対をする、そして市長もそのことを受けて中央競馬会に対しても要請をする、農林省に対しても要請をする、そういうことであるにもかかわらず、監督官庁は依然としてこういう既成事実が進行しておることを黙認しておるのですね。  こんなことで果たしていいのかどうか。地元が、自治体がそういう決議をやっておるぐらいですから、中央競馬会の理事長さんお見えのようでございますが、この際、中央競馬会としては業者と今までの約束をここで白紙に返したらどうでしょうか。そうしないと非常にいろいろなことがうわさに上がりまして、これはおもしろくないですね。ロッキードに関係しておる、リクルートに関係しておるような大物代議士がバックにおって操っておるのだとか、それから現状がこのままだったらこれは認めることはできぬけれども、来年の市会選挙に向けていろいろ工作をやって、馬券場設置賛成の議員をたくさん出して、それでそこで決議をひっくり返して住民の意思に反したようなことをやる。その地域の住民は七三%まで反対署名をとっておるわけですよ。そして四年もかかって国会で議論になって、大臣がそれは中止するように指導しますと言いながら既成事実がどんどん進行していく、これは何としても私は理解できない。これはぜひひとつこの国会で中央競馬会の理事長さんからも明確なお答えを聞きたいし、監督官庁である農林大臣からもこの委員会でひとつ明確な答えを欲しいと思うのですが、どうでしょう。
  328. 澤邉守

    ○澤邉参考人 私どもの場外馬券の発売所の岡山地区におきます設置につきまして、地元が大変紛糾しておること、私どもも大変残念に思い、また申しわけないと思っております。  先生のお話にございましたように、昨年の十一月二十二日の決算委員会におきまして小川委員から御質問なり御意見がございまして、農林大臣また私も同じような御答弁を申し上げましたけれども、工事の中止について強く指導する、大臣からは競馬会を強く指導するというお答えをいただきまして、私も聞いておりましたし、その直後に農林水産省の畜産局から強力な指導を受けまして、私どもも直ちに誘致者である株式会社日隈と申しますけれども、ここに強い工事中止方について指導をしたところでございます。さらに十二月に入りまして、上旬中だったと思いますが、正式の文書によりましてさらに工事を中止するように、地元の混乱を回避するために中止をするようにという強い申し入れをいたしました。その結果、即刻にということにつきましては、そのようにいかなくて私ども大変遺憾に思っております。工事を実施する上についていろいろな事情があったのかもしれませんけれども、私どもは即刻という中止方を申し入れたわけでございますが、直ちに中止というわけにはいかず、二月の終わり、三月の初めに一部かかったかと思いますが、以来中止をいたしております。  そこで、ひとつ御理解いただきたいと思いますのは、私どもは中止を強く申し入れまして、それは十二月以前からも何回もやっておるわけでございますが、それが入れられなかったのは大変残念でございますけれども、私どもには強制的に差しとめる権限はございませんので、強い申し入れということを何回もやってきたところでございます。  そこで、この問題について私どももどのように処理するかにつきまして非常に苦慮をいたしておるところでございます。場外売り場の設置につきまして、日隈という株式会社が誘致をしたわけでございまして、私どもはまだ設置することを決定しておる以前の段階でございます。現在もそうでございます。誘致について地元が同意をするかどうかという問題について争いがございまして、当初は関係町内会から正式の文書をもって、意思決定をして私どもに同意の文書をいただいておりますが、反対が依然として鎮静化せず、その後さらに激化するようなことで両者の対立が今なお続いておるということでございます。  この種の問題についてどのように解決をしていくか。私どもは、地元の住民の間の意思が対立し紛糾が起こっているということでございます。これはやはり地元の自治的に解決をしていただくのが一番望ましいことではないか。私どもは誘致を受ける側でございまして、まだ設置を決定はいたしておりませんので、誘致の段階での意見の対立について私ども外部の者が白黒の決着をつけるのはやはり慎重を要するのではないかというようなことで静観をしてきておるのが現状でございます。そういう情勢でございますが、いろいろ事態も動いておりますので、今後のこの問題に対します中央競馬会としての処理についての判断をどうするかという問題につきまして、今直ちに判断を固めるということは困難な状態にあるというふうに考えております。
  329. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 まさに優柔不断といいますか、ひど過ぎると思うのですね。岡山の市議会が岡山の市長が、こういうものはいけません、建設もやめてください。あなたも今言ったように、日隈さんだったら日隈さんに、業者にそういう工事の関係を含めて指導した。何も聞かないのでしょう。国の方針にも、農林大臣がこれはいけません、中止をします、指導します、建設するのをもう中止しなさい、そうしたら、国の方針にも従わぬ、自治体の首長の言うことも聞かぬ、市議会の決議にも従わぬ。そういう悪質、悪徳と言えば悪いけれども、そういう業者に対して、なぜあなた、そこまでの寛大な態度をとらなければいかぬのですか。こんなことが続けば、行政に対しても政治に対しても不信感だけが起こるだけですよ。そういう点についてはやはりけじめをつけるものはきちっとけじめをおつけになったらどうですか、四年も続いておるのですからね。そして、今子供たちに対してまで脅迫が来ておる。これは実際、警察にもきょうは聞きたいぐらいだけれども時間がないからやめますけれども、市の方針にも、議会の方針にも、国の農林大臣が中止を指導したことも聞かないような、そういう業者に対して、なぜそこまで今答弁なさったようなことで優柔不断な態度をおとりになるのですか。けじめをつけられたらどうですか。農林大臣、どうですか。こんなことが――局長じゃないよ、これはもう大臣だよ。
  330. 宮下創平

    ○宮下委員長代理 大臣の前に、局長答弁を求めます。
  331. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 先生御指摘のとおり、十一月二十二日の国会で、農林水産大臣の方から工事の中止について強力に中央競馬会を指導するということがありまして、その経過につきましては、先ほど中央競馬会の理事長の方から申し上げたとおりでございます。私どもも、誘致者が中央競馬会からの再三の要請を無視して工事を続行されたことはまことに遺憾なことというふうに考えております。  ただ、場外馬券場は、建物の外部部分の建設が完了しただけでは機能しないというわけでございまして、中央競馬会の管理のもとで馬券発売に必要な機器の据えつけや配線を初めとする内装が行われなければならない。というようなことで、私どもといたしましては、内装工事に関与することがないように中央競馬会を指導しているということで、場外馬券場としての機能を備えた施設の完成を見ることはないというふうに考えております、ただ外部ができたといたしましても、内部のそういうような工事ができない限りは。  私どもといたしましては、いずれにいたしましても、現状では地元調整が十分になされているという判断はいたしておりません。中央競馬会から承認の申請が出される状況にはないというふうに考えておりますし、もし仮に出されるようなことがあっても、承認が下されることはあり得ないことであるというふうに認識しておることでございます。そういうことでございます。
  332. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それは将来その申請が出てきても、場外馬券場としての申請が出てきても許可しないということですね。それでいいんですね。大臣、どうですか。その点だけ、その点だけ聞かしてください。
  333. 山本富雄

    山本国務大臣 従来の経過はよく私も勉強いたしました。  それで一つは、今理事長からいろいろお話がありましたが、理事長をきつく指導いたします、私から。  それから二つは、地元調整が行われない限り、この問題については承認はいたしません。――いや、いや、調整ができない場合ですね、整わない場合には、それは承認はいたしません。
  334. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 地元の調整が、これはもうできてない、紛糾が続いておるのですよ。そして、市議会なり市長がこれだけの態度を明確にして、農林大臣も今の建築、建設をやっているのをやめなさいと言っても聞かないんでしょう。そして、これ、議事録読みましても、その周辺の設置反対運動をやっておる家庭に脅迫電話がかかってきて、うちに火をつけるとか、通勤に気をつけないと、子供に注意せよとか、こういうことまでやっておる業者に、何で国が今おっしゃるような優柔不断な態度で対応せなきゃいかぬのですか。そういうなんであれば、もう聞かないんだから、そういう業者は将来申請してきても、これはもうやめます、許可しませんということをこじゃんと言われたらどうですか。
  335. 山本富雄

    山本国務大臣 先生、お言葉を返すようで大変恐縮ですけれども、承認申請などは出てきていないんですね。出てきていないんです。だから、出てきていないことで今ここで議論はできませんけれども、従来の経緯からして地元調整が整わない、先生は、もう整っていないんだ、将来も整わないんだ、こういうふうにおっしゃってますが、整わない限りは承認をいたしません、こういうふうに申し上げているんですから、極めてはっきりしているんじゃないでしょうか。
  336. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 一つだけ、済みません。  中央競馬会に最後に一つ申し上げますが、中央競馬会がここと、業者と契約をしているわけですから、契約をする方向ですから、中央競馬会自身が、こういう常識外れの業者との間の契約は結ばないという態度をこれまた明確にされる必要があるんじゃないでしょうか。私は、やはりこれは政治不信を起こすと思うのですよ、こういったことは。これは党派の問題じゃないです。どうですか。
  337. 澤邉守

    ○澤邉参考人 誘致者であります株式会社日隈のこれまでのいろいろやり方については、私どもも遺憾な点があると思っております。  ただ、これはいろいろ経緯がございまして、地元の町内会が一たん賛成をしまして、賛成というか同意をしたのだから推進をしてほしいという声も依然としてあって、両者対立しておるわけでございますので、その辺のこともやはり慎重に考慮しなければいけないという趣旨で先ほどのようなお答えをしたわけでございまして、今直ちにここで白黒はっきり決着をつけろという趣旨での御意見かと思いますけれども、そのようなことは非常に難しい状態にあるとお答えしたわけでございます。
  338. 宮下創平

    ○宮下委員長代理 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十一日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時七分散会