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1990-04-19 第118回国会 衆議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年四月十九日(木曜日)     午前九時三十二分開議  出席委員    委員長 越智 伊平君    理事 近藤 鉄雄君 理事 佐藤 信二君    理事 野田  毅君 理事 原田昇左右君    理事 宮下 創平君 理事 加藤 万吉君    理事 佐藤 敬治君 理事 村山 富市君    理事 神崎 武法君       粟屋 敏信君    池田 行彦君       石井  一君    稲村 利幸君       内海 英男君    江口 一雄君      小此木彦三郎君    越智 通雄君       工藤  巌君    倉成  正君       後藤田正晴君    左藤  恵君       佐藤謙一郎君    田澤 吉郎君       戸井田三郎君    葉梨 信行君       長谷川 峻君    浜田 幸一君       林  義郎君    原田  憲君       松本 十郎君    村田敬次郎君       村山 達雄君    井上 普方君       川崎 寛治君    串原 義直君       嶋崎  譲君    新村 勝雄君       新盛 辰雄君    戸田 菊雄君       藤田 高敏君    松浦 利尚君       武藤 山治君    和田 静夫君       日笠 勝之君    平田 米男君       薮仲 義彦君    山田 英介君       三浦  久君    山原健二郎君       吉井 英勝君    大内 啓伍君       阿部 昭吾君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君         厚 生 大 臣 津島 雄二君         農林水産大臣  山本 富雄君         通商産業大臣  武藤 嘉文君         運 輸 大 臣 大野  明君         郵 政 大 臣 深谷 隆司君         建 設 大 臣 綿貫 民輔君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     奥田 敬和君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)         外務大臣臨時代         理       坂本三十次君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 塩崎  潤君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      相沢 英之君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 佐藤 守良君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局官房審議         官       矢部丈太郎君         総務庁長官官房         審議官     新野  博君         総務庁統計局長 井出  満君         経済企画庁調整         局審議官    安田  靖君         経済企画庁物価         局審議官    加藤  雅君         経済企画庁総合         計画局長    富金原俊二君         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁長官官房         会計課長    森   悠君         国土庁長官官房         水資源部長   苗村 滋克君         国土庁計画・調         整局長     長瀬 要石君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁大都市圏         整備局長    三木 克彦君         国土庁地方振興         局長      野沢 達夫君         国土庁防災局長 市川 一朗君         法務省刑事局長 根來 泰周君         外務省経済局長 林  貞行君         外務省経済協力         局長      木幡 昭七君         外務省条約局長 福田  博君         大蔵大臣官房審         議官         兼内閣審議官  谷口 米生君         大蔵大臣官房審         議官      西村 吉正君         大蔵省主計局長 小粥 正巳君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省理財局次         長       松田 篤之君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       山口 厚生君         大蔵省証券局長 角谷 正彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         大蔵省国際金融         局長      千野 忠男君         国税庁次長   岡本 吉司君         厚生大臣官房総         務審議官    加藤 栄一君         厚生大臣官房審         議官      熊代 昭彦君         厚生省薬務局長 北郷 勲夫君         厚生省保険局長 坂本 龍彦君         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産大臣官         房予算課長   山本  徹君         農林水産省構造         改善局長    片桐 久雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    松山 光治君         農林水産省畜産         局長      岩崎 充利君         農林水産省食品         流通局長    鷲野  宏君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       山本 貞一君         通商産業省通商         政策局長    畠山  襄君         中小企業庁小規         模企業部長   川田 洋輝君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   大塚 秀夫君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省国際運         輸・観光局長  宮本 春樹君         運輸省地域交通         局長      早川  章君         郵政省通信政策         局長      中村 泰三君         郵政省電気通信         局長      森本 哲夫君         建設大臣官房総         務審議官    福本 英三君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君         自治省財政局長 持永 堯民君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         参  考  人        (日本銀行理事) 福井 俊彦君         参  考  人         (東日本旅客鉄         道株式会社常務         取締役)    松田 昌士君         参  考  人         (日本たばこ産         業株式会社代表         取締役社長)  水野  繁君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理事         長)      石月 昭二君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理         事)      荘司 晄夫君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理         事)      池田  本君         予算委員会調査         室長      多田 俊幸君     ───────────── 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   後藤田正晴君     佐藤謙一郎君   松本 十郎君     江口 一雄君   冬柴 鐵三君     平田 米男君   山田 英介君     薮仲 義彦君   木島日出夫君     山原健二郎君   楢崎弥之助君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   江口 一雄君     松本 十郎君   佐藤謙一郎君     後藤田正晴君   平田 米男君     冬柴 鐵三君   薮仲 義彦君     山田 英介君   山原健二郎君     吉井 英勝君   阿部 昭吾君     楢崎弥之助君     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成二年度一般会計予算  平成二年度特別会計予算  平成二年度政府関係機関予算      ────◇─────
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  平成二年度一般会計予算平成二年度特別会計予算平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
  3. 新村勝雄

    新村委員 官房長官、おられますね。  私は、三月六日の本会議質問で、総理に対してリクルート問題についての質問をしたわけです。そのときに、総理は、これこれの方々が政治資金を受けたという答弁をされました。そのときに、郵政大臣のお名前はなかったわけです。その後、その事実が発覚をしたということでありますから、これは総理質問者に対する答弁が結果的には真実でなかった、こういう結果になっておりますが、これに対して官房長官はどのようなお考えですか。
  4. 坂本三十次

    坂本国務大臣 閣僚に対するリクルート社等からの献金については、各閣僚就任時に調査し、私に自主申告してきた内容を取りまとめて、三月六日に総理から公表したものでございます。しかし、その後、郵政大臣から、同社からの献金等が判明した旨の申告がなされましたので、私としても直接同大臣から説明を聞くなどによって確かめて、詳細に公表をしたものでございます。  このように再度公表するようなこととなったということについては、郵政大臣閣僚就任時における調査徹底を欠いたことが原因であることは否めません。この点についてはまことに遺憾に思っております。私から同大臣に厳重に注意し、同大臣も深く反省をしているところでございます。
  5. 新村勝雄

    新村委員 郵政大臣御当人の問題であると同時に、総理答弁が結果的にうそであったということでありますから、これは郵政大臣本人責任あるいは官房長官責任もあるでしょうが、総理としてどうするのかということですよ。その点はいかがでしょう。
  6. 坂本三十次

    坂本国務大臣 郵政大臣就任時における自主申告、これが調査徹底を欠いて、そしてなかったということにつきましてはまことに遺憾に存じております。総理もそういう気持ちだろうと思っております。
  7. 新村勝雄

    新村委員 いや、その気持ちだというのはどういうことですか。それでいいわけですか。それは結果的にうそを言ったということで、それで済みますか。それは、そのお気持ちであるというのはどういうことですか。
  8. 坂本三十次

    坂本国務大臣 自主申告でございますから、やはり各閣僚のこの自主的な調査によって、そして総理公表をされたということでございます。しかし、今申し上げたように、郵政大臣自身調査徹底を欠いた、その結果において総理報告ができなかったということについてはまことに遺憾に思っておる、そういう趣旨でございました。私もまた総理も、そういう気持ちだろうと思っております。
  9. 新村勝雄

    新村委員 私は、三月六日に、これは国会議員として、代議士として、そしてまた同時に党を代表して質問したわけですよ。その質問者に対して、その答弁が結果的に誤りであったということに対して、その一片の言いわけで済むのかどうか、官房長官、この問題について余り軽くお考えになっては困ると思いますよ。もう一回お願いします。
  10. 坂本三十次

    坂本国務大臣 今申し上げたように、確かにまことに遺憾でございまして、心から質問者議員に対しても遺憾の意を表明を申し上げたわけであります。
  11. 新村勝雄

    新村委員 委員長官房長官答弁、了解できません。もっと誠意のある、内容のある答弁をするようにお願いいたします。
  12. 越智伊平

    越智委員長 この問題については理事会で協議をいたします。——坂官房長官、もう一度答弁してください。
  13. 坂本三十次

    坂本国務大臣 先ほども申し上げましたが、郵政大臣閣僚就任時における調査徹底を欠いたことがこの原因であることは否めません。この点についてはまことに遺憾に思っております。同大臣にも厳重に注意をいたしましたし、同大臣も深く反省をしておるところであります。
  14. 新村勝雄

    新村委員 それだけでは納得できません。そこで、この問題については引き続き同僚議員から取り上げたいと思いますので、きょうはこれで打ち切ります。  次の問題でありますけれどもリクルート事件に端を発して政治家やその周辺の株による政治資金づくりが問題となり、ぬれ手でアワ式の錬金術が国民の指弾を受けております。  その例が、ことし一月報道された、中曽根元首相の金庫番と言われた太田英子氏とコーリン産業小谷光浩氏との間で行われたとされる国際航業株十万株のケースです。六十二年八月二十二日、十万株が一株五千百円計五億一千万円でコーリン産業から太田さん名義に売られ、その一カ月後の同年九月二十一日に、今度はコーリン産業太田さん名義の十万株を一株六千三百円で買い戻したというものです。太田さんが初めに株を買った資金全額コーリン産業から融資を受けたものであると言われ、しかも金の動きは実際になく、コーリンが株を買い戻したとき清算されて、利益だけが太田さんに渡されたといいます。これはリクルート事件と全く同じ構図であって、このとき国際航業の株は小谷氏によって買い占めをされている最中であったわけで、刻々急騰していたその時期であります。  国際航業株をめぐる疑惑としては、昨年五月の新聞報道があり、与党の有力議員関係者にかかわる八億円の申告漏れ、また所得税法違反の事実があったと言われています。こういう一連事態に対して、官房長官はどうお考えですか。
  15. 岡本吉司

    岡本政府委員 今先生の方から脱税事件があったというようなお話もございましたものですから、私の方からとりあえず御説明させていただきますけれども、我々といたしましては、こういった国会の場における議論であるとか今お話がございましたような各種いろいろな情報は常に収集に努力しているところでございます。我々としまして、そのような収集した資料並びに御本人からいろいろな申告書等も出てまいりますので、必要があれば調査等行うなどして課税の充実に努めているところでございます。
  16. 坂本三十次

    坂本国務大臣 ただいま議員の御質問の件については具体的に詳細事実を私は把握いたしておりませんので、ひとつその担当の方から事情を御説明を申し上げたいと思っております。
  17. 新村勝雄

    新村委員 事情を承知しておられないということでありますが、それは事情調査をされるお考えありますか。
  18. 岡本吉司

    岡本政府委員 大変恐縮でございますけれども、我々、個々の納税者方課税状況につきまして調査するとか調査しないとかいうことは、従来から我々の立場上申し上げられないということで御理解を賜っておるところでございますので、よろしくお願いしたいと思っております。
  19. 新村勝雄

    新村委員 いや、それは国税としてはそういうことだと思いますよ。だけれども官房長官としては、これは政治改革が言われているときであるし政治とも関係がないとは言えないわけですから、こういったことについて調査をされて判断をされるかどうかということを伺っているわけですよ。官房長官に伺っているわけです。
  20. 坂本三十次

    坂本国務大臣 私、今申し上げたように、私自身は具体的に細かいことは存じません。しかし、これは税務関係することでございますので、今担当者からの説明を、御報告を申し上げたということでございます。
  21. 新村勝雄

    新村委員 いや、官房長官は御存じないということですよね。だから、それをお調べになるかどうか、そういう気持ちがあるかどうかということを聞いているわけですよ。
  22. 坂本三十次

    坂本国務大臣 これは具体的な問題の取り扱いについてでございますが、私といたしましては、総理から指示がありました就任時におけるいわゆる自主申告というようなことは取り扱いましたが、ただいま申されたような件につきましては個別個別に判断をされて、そして関係当局の方から説明を申し上げられるという範囲内において御説明を申し上げるということにさせていただきたいと思います。
  23. 新村勝雄

    新村委員 また、小谷氏がみずから買い占めた銘柄によって、相対取引を活用しながら巨額の実質的政治献金をしているという疑いが持たれています。これら一連事態について官房長官はどう考えますか。
  24. 坂本三十次

    坂本国務大臣 ただいま私申し上げましたように、私はその具体的な事実もよく存じません。やはり事実を確認をして、法令の許される範囲内において御報告すべきところがあれば、関係の方から御報告を申し上げるだろう、こう思うております。
  25. 新村勝雄

    新村委員 官房長官は、調査をして報告すべき点があれば報告するということでありますから、まあそれでいいと思います。  法務省刑事局長見えていますか。この点に関してお伺いをしたい。
  26. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまのお話をお伺いしておりましたところ、先生の御指摘も、犯罪嫌疑があるという御指摘でないようでございます。  一つは、政治献金かどうかという問題については、私どもの所管するところではないわけでございます。  ただ、いつも申し上げているところで恐縮でございますけれども捜査当局犯罪嫌疑があるというふうな把握をいたしましたときには、一般的には適切な対応をするということを申し上げているわけでございまして、その点に至りました場合には、そういう適切な対応で対処するものと考えております。
  27. 新村勝雄

    新村委員 国税はいかがですか、国税の御見解は、お考えは。
  28. 岡本吉司

    岡本政府委員 再度御答弁を申し上げるようなことになりますけれども、我々といたしましても、各種情報国会議論等々踏まえまして、常に適正課税に努めているところでございますけれども、今後とも引き続き努力したい、こう思っております。
  29. 新村勝雄

    新村委員 大蔵大臣にお伺いしますけれども、この一連事件、これは事件とはまだ言えないかもしれませんが、株の相対取引ということはいろいろその弊害が指摘をされていると思います。そこで、株の相対取引については禁止ないしは規制をすべきである、こういう考えがあるわけですが、大臣はどうお考えですか。
  30. 角谷正彦

    角谷政府委員 株式取引に関しますと、私どもの所管は証券取引法ということになるわけでございます。証券取引法は、先生御承知のように、広く一般大衆投資家が参加するいわば有価証券市場におきまして市場透明性あるいは公平性を確保する、そしてそれによりまして一般投資家の保護を図るということを目的としているわけでございます。  こういった証券取引法目的から見ますと、市場外での相対取引につきましては、それが非常に詐欺的な行為であるといった場合はともかくといたしまして、取引内容とかあるいは取引条件とかそういったものは直接規制対象にしておりませんし、また、それは専ら契約自由の原則ということにゆだねられているところでございます。したがいまして、上場されている株式でありましても、それが市場外相対取引である限りにおきましては、どんな価格とかどんな条件でこれを売買するかということは専ら民事法対象になるものでございまして、証券取引法上の規制の枠外と言わざるを得ないわけでございます。このことは特段日本だけがそうというわけではなくて、諸外国における証券関係規制法も全部そうなっているわけでございます。
  31. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今証券局長専門家としての答弁を申し上げたわけでありますが、私自身が株の取引というものに余り知識を持ちませんので、証券局長が御答弁を申し上げたとおりの内容であると心得ております。
  32. 新村勝雄

    新村委員 国際航業については、さまざまな法に触れる問題があると巷間言われているわけですが、法務省のお考え、この株取引についてのいろいろな問題について十分捜査をする考えがあるかどうか、この点についてどういうお考えであるか伺います。
  33. 根來泰周

    根來政府委員 いつも同じ答弁で大変恐縮でございますけれども、私ども検察庁を所管しているものでございますので、検察庁を差しおいて捜査をするとかしないとか申し上げるわけにはまいらぬわけでございます。また、私ども捜査をするということになりますと、やはり犯罪疑いがあるという前提で物を申し上げるわけでございますから、人権の問題もございますし、従来から問題になっております指揮権の問題もございますので、ここで軽々にどうするということは申し上げかねるところでございます。  ただ申し上げられることは、一般論といたしまして、先ほど申し上げましたように、捜査当局犯罪嫌疑ありという判断をいたしましたときには適切に対処するのが従来からの慣例でございますし、私どももそういうふうに信じておりますので、そういう御理解でお願いいたしたいと思います。
  34. 新村勝雄

    新村委員 官房長官にお伺いしますが、株の取引、今までリクルートを初めとしてこの件もそれに類似したものであると思いますけれども、株の取引政治家との関係がとやかく言われておる、また、政治改革が言われている今の時期に、株取引政治家との関係についてどうあるべきであるか、そういった一連事件について長官はどうお考えですか。
  35. 坂本三十次

    坂本国務大臣 株のことは私は余り詳しくは存じませんけれども政治とそれから株の取引という点でございますが、私は、今の件は別といたしまして、詳しくは存じませんが、まあ一言で言えば疑いの持たれないように、やはり政治家としての節度を守って対処すべきものだ、こう思っています。
  36. 新村勝雄

    新村委員 次に、自治大臣にお伺いをいたしますが、これは消費税自治体との関係でありますが、消費税は、個人の生活に深刻な影響を与え、混乱を与えている。私経済に対する影響が大きいわけでありますが、同時にまた地方自治体に対する影響も少なくないわけです。そこで、地方自治体に関する消費税の現在の納入状況はどうなっていますか。
  37. 持永堯民

    持永政府委員 納入状況というお尋ねでございますけれども、恐らく使用料とか手数料とかそういう関係転嫁した場合のことかと存じますが、具体的な数値、金額としてどの程度今入っておるかというところまでは実は調査をいたしていないわけでございまして、転嫁なりあるいは公共料金改定を行った団体がどのくらいあるかということについては別途調査しておりますけれども金額がどうなっているかというところまでは実は調査をいたしていないという状況でございます。
  38. 新村勝雄

    新村委員 自治体によっては、これは建前とすれば三%上乗せをするのが建前でしょうけれども、それでは住民に迷惑をかけるということで、三%納入あるいは計算をするにしても、実際三%手数料等を下げてやっている自治体がありますね。上乗せをしているあるいは上乗せ分を下げているという二つの行き方をとっていると思いますが、この上乗せとそれから下げている、この両方の取り扱いをしている自治体はおのおのどのくらいありますか。
  39. 持永堯民

    持永政府委員 先ほど申し上げましたように、公共料金改定を行って転嫁をする場合、あるいは今お話ございましたように、下げてといいましょうか企業努力等料金の引き上げを行わずに転嫁を吸収する場合、両方あるわけでございますけれども、これにつきましては、先ほど申しましたように、全体として転嫁がどの程度行われているかは調査いたしておりますけれども、その中で、そういった企業努力によって料金を変えずに吸収した場合とかあるいは上乗せした場合とかいうことにつきましては、これは消費税転嫁の問題だけじゃなくて一般的なコストアップという問題もありまして、総合的な判断でもってそれぞれ料金を決めるということもございますので、今お話ございましたようなそれぞれの数字がどうかということについては掌握をいたしておりません。
  40. 新村勝雄

    新村委員 これは、消費税地方自治体にどういう影響を与えているか、また自治体がこれに対してどう取り組んでいるというか受け入れているかということを判断する重要な指標だと思うのですよ。上乗せをしているか、あるいはそれだけ下げているか。それについて把握をしていないということは、これはちょっと怠慢ではないかと思いますがね。
  41. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 今財政局長からお答えさせましたように、消費税導入に伴って確かに、例えば上水道とかあるいは公営住宅等々で一般に上乗せをしております。大体トータルの数字で私も見ましたけれども、大体七五%から八〇%の、既にきっちりと上乗せをしておりますけれども、個々の企業努力と申しますか、それによって転嫁をしていない自治体もある、そういったことは聞いております。
  42. 新村勝雄

    新村委員 そこで、上乗せをしている、あるいは割引をしている、いろいろありますが、特別会計においてはこれは税金を実際納めるわけですからそれで消費税の流れは一応できているわけですけれども、ただ上乗せをしたり、あるいはしなくてその分引き下げているということが不統一であるということは、消費税地方自治体に全く定着をしていない、あるいはその本来の趣旨が、本来の趣旨というか地方自治体に対する消費税実施ということそれ自体が無理があるというふうに考えるわけですけれども大臣はいかがですか。
  43. 持永堯民

    持永政府委員 ちょっと言葉が足りなかったかと存じますが、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、この転嫁そのものはかなりの団体で、八割とか、あるいは事業によって違いますけれども九割とかいう多くの団体で実施をしております。その限りにおきましては、転嫁そのものは定着していっていると思います。  ただ、上げたり上げなかったりというお話でございますけれども、これは、企業努力でも限界があって、値上げをしないと経営ができないという団体は値上げということになりますし、あるいはある程度企業努力でもってコストを下げて、そして三%を既定の料金の中で吸収をするという形もあるわけでございまして、これは値上げはしておりませんけれども転嫁はしているわけでございますから、上げた上げないということではなしに、やはり転嫁をしたかどうかというところがポイントだろうと思っておりまして、そういう意味ではかなり多くの団体がそういう措置をとっている、こういうことでございます。
  44. 新村勝雄

    新村委員 特別会計はそういうことで納税をするということでありますが、一般会計については納税をしない。歳入歳出ともに同額とみなすという規定がありますね。しかし、実際には歳入歳出の各項目の中に消費税は含まれているわけですね。ですから、実際には含まれているけれども同額とみなすということなんですが、歳入歳出両方に同額に含まれているとは限らないわけです。多くの団体では歳出の方に——ですから、歳入はこれはいわば売り上げ、歳出は言ってみれば仕入れに当たるわけですね。この売り上げと仕入れとはバランスしていないのが普通なわけですけれども、多くの場合には歳出の方に多くの消費税が含まれている、こういう場合が多いと思います。  そこで、歳入と歳出それぞれの款項目の中で消費税が含まれている項目、歳入歳出で含まれている項目、それぞれどういうものがあるのか、またどのくらいの額であるのか、その統計がありますか。
  45. 持永堯民

    持永政府委員 御指摘のように、歳入歳出両面で影響が出てくるわけでございます。確かにお話ございましたように、歳出の方により大きい影響が出てくるわけでございますが、これはやはり一般会計の財源というのは、かなりの部分はいわゆる租税でもってこれが財源になっておりますので、当然そういう形になってくるわけでございます。  それから、項目ごとにどういう経費でどの程度かということでございますけれども、これは地方財政計画のベースで申し上げますと、これは元年度の数字でございますが、歳出では一般行政経費で約六百億強、それから公債費、これは手数料で、わずかでございますが若干ございます。それから維持補修費、これが二百億強でございます。それから投資的経費、いわゆる公共事業なり単独事業でございますけれども、これが約四千八百億、そのほかもろもろのものが三百八十億ばかりございまして、全体で約六千億でございます。  歳入につきましては、そういった経費がふえることに対応しまして国庫支出金でございますとか地方債でございますとかがふえてまいりますし、それから使用料手数料も当然、もちろん非課税のものと課税のものがございますけれども、増加してまいります。そういったことで、歳入としては、国庫支出金、地方債、使用料手数料、雑収入、この項目について増加がございまして、増加分が約二千六百億ということでございます。
  46. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、歳入の方に含まれる消費税が、これは元年度の数字で二千六百五十四億、歳出が六千三十四億ということのようですが、こういう数字が出るのですけれども、こういう実態に対して、差し引きなしという仮定のもとに行われているわけですね。そうしますと、かなりの無理というか矛盾があるんじゃないかと思いますけれども大臣はいかがお考えですか。
  47. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 先生指摘のように、この歳入歳出区分の中で、確かに地方財政に差額分の影響があるということは数字上は明確でございます。ですけれども、聞いてみますと、この差額分の収支バランスは地財計画で十分措置してあるという形に聞いておるわけです。ちょうど今聞きましたように、歳出分は六千億、歳入は二千六百億という形の差額分が相当額、三千数百億あるという数字的な問題に関しては、どうしてあるんだという形で聞いたわけでありますけれども、地財計画の収支バランスで措置してあります、平成元年度の場合には、こうこうこういうわけでこう措置しました。では平成二年度はどうだ、歳出影響額と歳入影響額を見込んで措置してありますということでございます。したがって、地方財政計画には支障を来さない、措置してあるというように聞いております。
  48. 新村勝雄

    新村委員 これは個々に当たってみますと、全体としてはバランスをとってあるということでありますが、個々の自治体にしてみるとこれが決して少ない数字ではないし、軽視をすべき問題ではないと思うのですね。例えば歳入に課税売り上げが二十億ある。その場合には三%で六千万、売り上げにかかる税がそこに含まれている。歳出の方には課税仕入れ、これが公共事業とかいろいろな物資の購入とか、そういったもので仮に二百億あったとする。その場合には、それに百三分の百を掛けて〇・〇三を掛けると五億八千、約六億弱ということになるわけです。そうなりますと、全体としては地方財政計画でバランスはとっている。しかし、個々の自治体にしてみますと、これは還付をしてもらえるべき金が約六億出る、こういうことでありますから、個々の自治体から見ると、これは一つの自治体をとってみたわけですけれども、そうでない団体もあります。逆の団体もわずかではあるけれどもあると思います。イコールの団体もあると思います。こういうことでありますから、しかも地方財政計画ではこの点についての補てんはしていないわけですね。ですから、そういう点で団体間の不均衡が生ずる。これは計算上生ずるわけです。これについては大蔵大臣はどういうお考えですか。
  49. 持永堯民

    持永政府委員 先ほど申し上げましたけれども、一般会計の場合の歳入、収入の大部分というのは租税、いわゆる課税売り上げではない租税で賄っておりますので、そういった関係から、当然のことながら全体としてもあるいは個々の団体においても、今申し上げました消費税影響額というのは歳入歳出とかなりギャップが出るというのは、一般会計の性格上そうなるわけでございます。  そこで、トータルとしては、先ほど大臣から申し上げましたように、地方財政計画上そのギャップ分は当然一般財源という形で穴埋めと申しましょうか、全体としてバランスがとれるようにしておるということでございますし、個々の団体につきましても、これは最終的には普通交付税の算定に用いております単位費用の中でそういった部分を織り込みまして交付税の計算をしておりますから、そういう形で個々の団体についても所要の財源措置がされておる、こういう形になっておるわけでございます。
  50. 新村勝雄

    新村委員 地方財政計画は基準財政需要額を計算をして、それに基づいて歳入歳出の均衡がとれるように、マイナス分については措置をするあるいは交付税を交付するということでやっておるわけですから、全体としては均衡がとれているわけですけれども、少なくとも消費税の実施に関するこういう事態については補てんがされていないわけなんですよ。先ほどの説明にもありますように、平成元年度の統計によっても歳出六千三十四億に対して歳入二千六百五十四億ですから、この違いがちょっと多過ぎると思いますね。     〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕  ですからそういうことについて、消費税実施、我々は消費税反対ですから、これは消費税を十月から廃止をするということですけれども、少なくとも現在は消費税が実施をされているわけです。しかも、地方団体はその税制のもとで財政運営をやっているわけですから、これはこういう矛盾に対して国の方でしかるべき措置をするというのが本来の姿ですね。しかも、全体としてはバランスをとっていても個々の団体についてはバランスをとっていないわけですから。というのは、こういう事態といいますか、こういう消費税実施に伴って起こってくる地方団体の財政上の不均衡に対して何ら手を打っていないということは事実なわけですよ。ですから、大蔵大臣はこういう事態は御存じだと思いますけれども、それについてどういうお考えかということを一言何とか言ってください。
  51. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 消費税の実施の有無にかかわらず、毎年度予算編成に際しましては地方財政計画との調整は十分にいたしてまいっておるわけでありまして、私どもとしては十分対応をいたしてきておると考えております。強いて申し上げますならば、地方自治体は非常に御努力をいただいておりますけれども、なお消費税転嫁自治体があると聞いておりまして、これらが完全に定着をしてくれることを願っております。
  52. 新村勝雄

    新村委員 地方団体に対して配慮をされているということはわかりますよ、配慮をされているからどうやら地方団体もやっているわけですから。わかりますけれども、ただ、新しい税法の実施に伴ってこういう明らかに矛盾が出てくるわけですね。しかも、その矛盾については政府は御存じなわけですよ。ちゃんともう歳出六千三十四億、歳入は二千六百五十四億とわかっておるわけですし、その差額は全体としては均衡とれたにしても消費税実施に伴う矛盾としてあらわれているし、その矛盾というのは団体ごとに違うわけですから、不利をこうむっている団体もあるし、有利な団体——有利というのは少ないでしょうね。不利なところがほとんどだと思いますが、そういうことに対する措置がしていないというところに実は問題があるわけですよ。そういう第一線の自治体の実態を調査をして積み上げればすぐにその数字が出てくるわけですから、それを地方財政計画の中になぜ織り込まなかったのかという疑問が実はあるわけなんですね。この点については大臣はいかがでしょうか。
  53. 持永堯民

    持永政府委員 先ほど来申し上げておりますように、全体としては六千億と二千六百億、約三千数百億のギャップがあるわけでございまして、これは地方財政計画上全体のバランスをとっているということでございます。それから個々の団体につきましても、経費ごとに消費税影響を受ける経費につきましては、影響分について当然単位費用を決定する際にそれを織り込んで決定しておりますから、各団体の必要な経費について、基準財政需要額については消費税影響分が上乗せされた形で措置をされているということでございますので、交付税でございますから、各団体の個別の具体の経費とびたっと合うということはそれはない場合がありますけれども、いずれにしても標準的な需要額、標準的な経費についてはそういう措置をしておりますから、個別団体に対してもあるいは全体についても、このギャップについては手当てをしておるということでございます。  これは、今回はそういうことで全体として六千億と二千六百億、三千数百億のギャップが出たわけでございますけれども、ある意味では消費税の導入によってそういう経費がふえたということでございますが、毎年のことながら、例えばいろんな意味で単価が上がるとかいうことで歳出がふえる場合がございまして、そういう場合もやはり全体としてバランスをとり、そしてまた、ふえる経費については交付税の計算上そういう問題を反映させて措置をしております。それとある意味では同じでございますので、決してその分を手当てしていないということではないわけでございますので、御理解をお願いしたいと思います。
  54. 新村勝雄

    新村委員 しかも、国は交付税の配分にしても基準財政需要を下回っているわけですね。自治体の運営に実際にかかる費用よりは一五%あるいは二〇%下げているわけですから、基準財政需要を全部見ていないわけですから。そういった点からしてもやっぱりこの点は問題があるのではないかと思うのですね。  それからもう一つは、これは個人でもよく議論になりますね。個人の納めた消費税が国庫に入らないという問題がよく指摘をされますけれども、一般会計の中でも、歳入歳出ともに消費税は含まれているわけですね。特に歳入の場合は、これは住民から直接、売り上げの中に含まれる消費税は項目としては少ないし、金額としても比較的少ないわけですけれども、それにしても売り上げとして歳入の中に含まれているわけです。含まれているのですが、これは国庫に入らないということになりますね、これも。この点もちょっと説明しにくいということだと思いますね。大臣はどうお考えですか。
  55. 持永堯民

    持永政府委員 一般会計の場合のこの同額とみなすという規定でございますけれども、これは大蔵省の主税局からお答えになるのがよろしいのかと思いますが、私どもの承知しておる限りで申し上げますと、一般会計の場合は、先ほど来申し上げておりますように、いろんな行政経費を総合的に経理するという性格を持っておりまして、そういう意味で、課税売り上げに要する課税仕入れというものの範囲が、あるいは対応関係余り明確ではない、いわゆる普通の企業なりあるいは公営企業のような形で売り上げと仕入れというものが相対関係に必ずしもないという、そういう性格がございます。そういう意味で、いわゆる仕入れ税額控除という考え方が一般会計の場合は事実上非常になじみにくいという性格を持っておるというのが一点ございます。  そういったことがございまして、ああいうみなし規定を置きまして、納付もしないあるいは還付もしないということにしておるわけでございますが、仮にいろんな計算をして何らかの形でそういう措置をとったとしても、結局は国の一般会計にせよあるいは地方の一般会計にせよ、消費税というものは国の場合はまさに消費税そのものの形で一般会計に入りますし、地方の場合は消費譲与税なりあるいは地方交付税という形で地方の一般会計に入ってまいりますので、そういう意味からすると、結局自分が自分に納めるとかあるいは自分が自分に還付するというような結果になってしまいますので、そういうことからしても、一々還付なり納付というものをする意義が乏しいのではないか、そういうようなことからああいうみなし規定が置かれたというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  56. 新村勝雄

    新村委員 いや、今の御説明は違うのですよね。地方団体といえどもこれは一つの事業者とみなすというのが法の原則でしょう。しかも、特別会計についてはそのとおりやる、一般会計についてもこれは一事業者とみなすという原則のらち内にあるわけですね。だけれども、一般会計については今おっしゃったような説明を国はなさっておりますけれども、これは厳密に言えば間違いだと思いますよ。私は消費税を肯定しているわけじゃありませんよ、ありませんけれども、現に消費税が進行中ですから言うわけですけれどもね。ですからこれは、消費税を実施されるんだったら地方団体も一般会計についてもきちんと計算をして、不足な団体に対しては還付をするということでなければいけないと思いますし、理論的にも一貫性がないと思いますけれども大蔵大臣はその点、どうですか。
  57. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変恐縮でありますが、私は委員の御意見の方がよくわかりません。むしろ事務的にきっちりとした説明を先ほどから申し上げておると理解をいたします。
  58. 新村勝雄

    新村委員 いや、質問の趣旨がわからないというのは、わからないと言う方がおかしい、わからないというのはちょっとわからないのですよね。だって、一般会計についてだけ除外して、特別会計はちゃんと税金を取るということ。しかも、一般会計の中にも消費税があるのですよ、消費税が入っているわけですよ。歳入でも、使用料なんかは大体ほぼ課税ですよ。それから県支出金にも一部課税がある。それから手数料についても一部課税があるわけです。それから歳出については、普通建設事業、これはほとんど全部課税。それから災害復旧費等についてもかなり課税がある。それから失対事業費等についても一部課税。ですから、歳出についてはかなりの課税がある。ということはそれだけ消費税が含まれている。歳入については確かに税金が地方団体の大宗ですから、主幹ですから、これは少ないわけですけれども、それにしても一部あるということなんですね。  そうしますと、これは明らかに地方団体も一つの経営体です。しかも、国の方でも特別会計については一つの経営体とみなして経理しているわけです。税金もその方針で税金を取っているわけですよ。一般会計だけなぜ除外したのかということについての理論的な御説明がどうもはっきりしないということなんですよ。ですから、自治大臣はその点についてどうお考えかを伺いたい。
  59. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 これは財政局長からまた補足させますけれども、一般会計においては歳出歳入はゼロとみなすということになっていますわね。そして現実には先生が御指摘されたように、歳入歳出の中に差額分ありということですね。これは現実にあります。先ほど平成元年度の分においては先生が数字を挙げて御指摘いただいたようにギャップがあります。そのギャップに関しては、地方財政に影響を与えないように、これらの単位費用の積算に当たってもそれらのことを見込んで地方団体に対して所要の措置を講じてありますということですから、それで地方団体には財政的な影響は与えていないということであろうと思っております。
  60. 新村勝雄

    新村委員 いや、ところが与えているのですよ。結果的に与えられるわけですよ。ただ、それは全体の数字が六千三十四億と二千六百五十四億の差額ですから、それを三千三百の自治体に分ければ大したことないと言えるかもしれません。しかし、理屈は通らないということなんですよ。しかも、地方財政計画で全体の均衡はとっていると言いますけれども、この税金によって生まれてくる個々の団体に対する不均衡は何ら是正をされていない。ということは、この事態から起こってくる自治体の不足分、要するに還付を受けるべき額、これが標準の十万程度の市であれば、まあ六、七億くらいでしょう。ですから、大したことないと言えば大したことないのですけれども、理屈が合わないということですよ。だから、この問題については還付をすべき額を、これはすぐわかりますから、それに対する措置を——いや、これは私は消費税を是認していませんから。ですけれども、現在既に進行しているその事態に対して国は何らかの配慮をされるのがこれは当然だと思います、理屈からいって。その配慮をなされるかどうかということです。
  61. 持永堯民

    持永政府委員 一般的に一般会計の場合は、仕入れは売り入げよりも大きくなるというのは先ほど来申し上げておるとおりでございまして、それは結局、一般会計の売り上げといいますのは、地方団体の場合でいいますと、例えば会館の使用料とか何らかの手数料とか、そういうごく一部のものでございまして、大部分の財源は税なり交付税なり、いわゆる租税で賄っておるという状況にございますから、常に売り上げよりも仕入れが大きくなるというのは当然の結果として出てくるわけでございます。それを仮に、今先生が御指摘のように消費税法を一般の事業者と同じ形でそのまま適用するとした場合には、確かに大きな還付という問題が出てくるかもしれませんけれども、これは私の立場で申し上げることじゃないかもしれませんが、もし仮に一般会計についてああいうみなし規定を置かないとした場合には、別途租税とかあるいは補助金とか、そういう部分について納税計算上どういう扱いをするか。特定収入という制度が別途特別会計の場合もございますけれども、そういう制度を恐らく導入することになるんじゃなかろうかと思います。そうしますと、お話のような還付という問題は発生しなくなる、これは制度の仕組み方でございますけれども、そういうことになるんではないかというふうに思っております。  いずれにしても、還付が出る出ないという問題はございますけれども、そういうギャップがあるという事実は確かに現実あるわけでございますが、それは先ほど来申し上げておりますように、消費税ができたことによってふえる歳出については、全体としても個別の団体についても歳出分の財源は手当てしているわけでございますから、その点は財政運営上支障を生ずることはないというふうに考えておるところでございます。
  62. 新村勝雄

    新村委員 いや、繰り返しになりますけれども、全体としてそれはバランスはとっていらっしゃることはわかりますよ。だから地方団体としては、どうやら支障なしにやれるということはわかるんですけれども消費税実施に伴ってこういう矛盾が出るということはおわかりになっていたはずですし、あの規定を置いたねらいというのは、大したことないから無視しろということだと思うんですよ。これは言ってみれば限界控除制度とか非課税制度とか、消費税を曲げている多くの規定がありますよね。それと同じ範疇の思想だと思うんですね。少しぐらいはもう切り捨てろということだと思うんですよ。しかも、この制度のために、個人と同じように自治体は住民から税金を預かるけれども国には届かないという事態がここでも起こるわけですから、起こるわけですね。大臣、それはお認めでしょう。特にはっきりしているのは、歳入の場合なんか、歳入で税金のかかるものはあるわけですけれども、だから、それに対しては住民は三%納める、納めるけれども国には届かないという事態自治体の中でも起こっているわけですよ。これは個人でも同じ、起こっているわけですけれども。そういうことに対するこの税金の非合理性というか、それに対してはやはり大臣としても反省をしていただかなければならないし、また、これに対する何らかの措置をとらないと自治体としては不満である、あるいはそこに負担の不公平ができるということだと思うんですね。ですから、自治大臣のお考えをもう一回伺いたいと思います。
  63. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 先生の御指摘の点を踏まえて、地方財政の個々の自治団体におきましても消費税影響額が出ないように措置してまいります。
  64. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、大臣はまあこの点の不合理についてはお認めになったということですよね。お認めになったわけですね。この現行の消費税地方自治体の中でこういう事態を起こしていることについては、これは不合理であると、各三千三百団体に対して、その額はとにかくとして、全国で総額約四千億円程度の不均衡を引き起こしたという事実についてはお認めになりますかということですよ。
  65. 持永堯民

    持永政府委員 それは先ほど来申し上げておりますように、そういう影響が出たのは事実でございますし、同時にまた、それは支障がないようにちゃんと措置をしておるということも事実でございます。
  66. 新村勝雄

    新村委員 いや、繰り返しになってどうも困るんですがね。それは全体として均衡をとったということは認めますけれども、個々の団体について消費税実施に伴って出てきたこの不均衡なり不合理についての修正はされていない。されていないんですよ。大臣、どうですか。されていないんですよ。ですから、それについてのしかるべき措置をおとりになる考えはあるかどうかということです。
  67. 持永堯民

    持永政府委員 お話を伺っておりますと、税制上の問題と財政上の問題と二つあるんではなかろうかというふうに思いますけれども、財政上の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、影響分は個々の団体についても全体としても措置をしているということで御理解いただきたいと思います。  税制上の問題として、あのみなし規定がいいかどうかという、そういう御議論もあるやに伺っておりますけれども、これにつきましては先ほど申しましたように、一般会計の特性、大部分を租税で賄っておる、したがって、通常の企業とかあるいは公営企業とかそういったものと違いまして、収入と支出、つまり売り上げと仕入れというものが対応するという性格がないという非常な特殊性がございますからああいうみなし規定を置いているということでございますので、これは税制上の問題として、政策判断はそれはいろいろあろうかと思いますけれども、やはり一つの方法である、このように思っております。
  68. 新村勝雄

    新村委員 この問題は納得できないんですがこれで打ち切って、次の問題をお願いをしたいと思います。  交通問題でありますが、運輸大臣にお伺いをいたします。  大臣よく御承知だと思いますけれども、東京の東部というのは、東京に入ってくる鉄道、東京を中心とする放射線の鉄道ということを考えた場合には常磐線一本ですね。常磐線一本しかない。私鉄、JR両方を通じても常磐線一本しかないわけです。関東鉄道とか東武鉄道、京成、新京成というのはありますけれども、それはいずれもその沿線の乗客を運んで常磐線に乗り入れる、常磐線に接続をするということになっています。したがって、東京に向かう放射線は、東京に直接乗り入れをする鉄道としては常磐線が一本だということなんですね。これは東京を中心に考えた場合には、東京の西側あるいは北側、南側いずれも、西、南、北いずれもJRあるいは私鉄がたくさん通っているわけですけれども、東京の東部だけが鉄道に恵まれない、こういう事態が長い間続いてまいりました。この交通政策について、この事態をどういうふうにお考えであるか、まず伺いたいと思います。
  69. 早川章

    ○早川政府委員 先生指摘のとおり、東京圏を見た場合に、西部あるいは南部方向に比しまして、北東部と申しますか、その地域に対する鉄道網の整備がどちらかというと疎であるといいますか、ややおくれているということは御指摘のとおりだと考えております。
  70. 新村勝雄

    新村委員 そこで、この事態に対して運輸政策審議会も約三年前に答申を出しております。そのときの報告でも、常磐線及び常磐線と相互乗り入れをしている千代田線がありますけれども、この混雑率が日本一である。時には三〇〇%に達する。三〇〇%というのは定員の三倍乗るわけですから、これは大変な混雑です。こういう状況にあるわけですけれども、これに対して、常磐線の混雑緩和のために第二常磐線、常磐新線、名前は決まっていないと思いますが、新しい鉄道を早急に建設をすべきである、こういう答申が出ておりますね。これについて大臣はどうお考えですか、もちろん御存じだと思いますけれども
  71. 早川章

    ○早川政府委員 事実関係の面でございますが、昭和六十年に運輸政策審議会から答申第七号ということで、常磐新線、とりあえずは東京駅、秋葉原経由で茨城県の守谷町南部までということで、その先は、需要の動向なり沿線地域の開発状況を勘案して整備して、最終的には研究学園都市、こういう路線を整備すべきものである、こういうふうに答申を得ているところでございます。
  72. 新村勝雄

    新村委員 整備すべきものであるという答申が出ておるわけですが、これに対する政府の対応が極めて鈍いのですけれども、これに対する政府のお考えあるいは今後の対策等について伺いたいと思います。
  73. 大野明

    ○大野国務大臣 お尋ねの常磐新線につきましては、これは、首都圏の住宅地というものが今大変足りないことはもうよく御承知のとおりですが、そういう意味からいっても大きな役割を果たすと同時に、現況今お話あったように三〇〇%の混雑率である、これの緩和にも当然役立つわけでございますし、通勤通学のためにも、これはもう必要な路線であることは重々承知をいたしております。そして、一都三県にまたがる非常に大きな構想でございますので、そういう意味で今関係機関でその用地の確保であるとかあるいはまた財源の調達であるとか、いろんなそういうものを鋭意努力もし、また大いに進めておるところでございます。いずれにしても、運政審等の答申に沿って一日も早くできるように私もしたいと考え、督励をいたしておるところであります。
  74. 新村勝雄

    新村委員 この問題については、あらゆる機会に政府に要請をし、またお尋ねをしてきたわけです。第一次海部内閣の運輸相の江藤さんにお伺いしたときに、この内閣でやりますよと言ったのですよ、あの人は。私がやりますと言ったのですが、その後さっぱり進展を見ていませんけれども、現在の進捗状況というか今までのというか、前であればJRがすぐに取り組むという、大変促進ということについてははっきりしていたわけですね。ところが、今どうもはっきりしないわけです。事業主体がどうなるのか、資金がどうなるのか、どういう者が責任をとるのか、これは最終的には政府に責任をとってもらわなければ、指導力を発揮してもらわなければどうにもならない問題だと思いますが、この問題についてはどうもはっきりしない。どこにお願いしたらいいのかはっきりしないわけですね。一体どういう形で、今どういう協議、検討が行われているのか、これもまたはっきりしないということなんですが、そこらの事情について、ひとつ明快にお答えをいただきたいと思います。
  75. 早川章

    ○早川政府委員 大臣から御答弁申し上げましたように、およそ六十キロにわたります極めて長大な路線でございますし、関係する地方公共団体も多い、こういうことでもって協議がある形をとるのに多少手間取っているという点がございますが、現在のお話し合いといたしましては、これは実は既に答申のときにも、当時の国鉄の財政状況からいって第三セクター等が一つの考え方だろうというふうに答申自身にお書かれになっているように、その開発主体と申しますか整備主体のあり方が非常に難しかった路線でございます。その点につきまして、既に長い期間、関係自治体、JR、私ども加わりましていろいろ議論しているわけでございますが、現時点では関係自治体を中心にこれをどういうふうに持っていくかという議論を煮詰めていただいているところでございまして、私どもといたしましては、JRの財政状態等も勘案しながら、いわば地方公共団体がこれをどういうふうに推進していくかという形をぜひとっていただくようにお願いしながら協議を促している。それで現実に協議も進んでいる、こういうことでございまして、その協議結果を踏まえまして、私どもといたしましては、この事業に対してどのような国の助成措置というのが考えられていくかというようなことはその上でまた考えさせていただく、こういうことで臨んでいるところでございます。
  76. 新村勝雄

    新村委員 これはやはり国が、運輸大臣が指導力を発揮していただかなければどうにもならない問題だと思いますね。地元と協議をしている、あるいは協議機関をつくってやっているといいましても、大臣が指導力を発揮していただかなければ、あるいは政府が指導力を発揮していただかなければ、これはいつになっても進まないと思うのですよ。ですから、大臣としてどういう指導力を発揮をされてどうするのかということについて、これがまたいま一つはっきりしないのですが、これからどういう取り組みをなさいますか。
  77. 大野明

    ○大野国務大臣 政府だけでもってすべてが解決する問題であれば、それは私も強力に直ちにやることもできることもあると思います。しかし、やはり地方自治体の意見も尊重して、その御意見を聞いて、それを取りまとめ、その上で私がこうやれと言うならできますけれども、いきなり、まだ自治体の協議中の間にやれと言ったら、逆にこれまた、よく野党の皆さんに横暴だとおしかりを受けますけれども、そういう形になるということは逆に新線のためにならぬ、こう思っておりますから、時期が来たらやらさせていただきます。
  78. 新村勝雄

    新村委員 実際に国が指導して地方自治体も参画をしてやっている大きなプロジェクトもあるわけですね。兆単位のプロジェクトがあるわけですよ。ですから、やはり政治というのは選択でしょうから、この問題がいかに地域の痛切な要求であるかということ、それからまた国の立場からしてもこの線がいかに必要であるかということは御理解、御認識がいただけているわけですから、そういう点で、いつお伺いしても同じようなつかみどころのない答弁しかないわけですよ。どういう手順でいつを目標にして進めるのかということについてのお答えが全く聞けないということが問題なわけです。どういう手順でいつを目標にしてやるのかということについて、もう少し実のあるお答えはありませんか。
  79. 早川章

    ○早川政府委員 常磐新線につきましては、昨年の通常国会で成立を見ましたいわゆる一体化法の法律の対象とする路線としてイメージされていると思います。私どもといたしましては、この法律で考えられている宅地開発と鉄道整備の一体的推進という法律の目標をこの鉄道の形で実現していく、こういう使命を担っているものと考えております。したがいまして、いわばこの鉄道の整備を一応十年、地価の監視期間が一応十年という形で法律で明記されておりますので、そういうような課題として受けとめて、その上で、今大臣の御答弁がございましたように、地方公共団体のコンセンサスというものが得られた段階におきまして、この鉄道整備のために必要となる整備主体、これは第三セクターという形になろうかと思いますが、そういったものの発足、あるいはそれに関連いたしまして基本計画というのを地方公共団体が策定いたしますが、その辺も実は現在、一部地方公共団体が既に手がけられてきておりますので、そういった基本計画との調整をしながらこの鉄道整備というものが浮上してくる、こういうふうに理解をいたしております。
  80. 新村勝雄

    新村委員 この問題についてお伺いをしているわけですけれども、二年前にもあと十年、去年もあと十年、今もあと十年。そうしますと、十年はいいんですけれども、その起点がいつなんですか。いつから十年なんですか。来年もまた十年、再来年もまた十年ということですか。ですから、いつを目途にしてどういう具体的な協議をしているかということのもう少し実のあるお答えをいただきたいということですよ。
  81. 早川章

    ○早川政府委員 十年という一つの目標を持って従来から進めてきているそのスタート時点がおくれているということは事実でございますが、実は鉄道整備というのは第三セクターの発足だけでございませんで、地方公共団体が基本計画をつくって、それに協議をしていく対象として鉄道整備事業者が登場してくるという経緯がございます、法律の仕組みもございます。  私どもといたしましては、地方公共団体の基本計画策定というものがおよそあと二、三年、現実に今一部始められている地方公共団体でもあとおよそ一年半ぐらいはかかるものと見ておりまして、そのタイミングで第三セクターが仮に設立できたといたしましても、実際に用地買収その他の鉄道整備が進んでいくのはそれからおよそ三、四年、あるいは五年ぐらいかかっていく。その後鉄道の完成までに五年ぐらいかかってくるというようなイメージで、現在この鉄道整備というものを考えております。  したがいまして、十年というタイミングは現時点という形から十年という考え方もございますし、第三セクターが発足してから十年という考え方もございますけれども、その辺は多少まだ詰めて考える時点にはなっていない、こういうことでございますので、その実態、地方公共団体の協議の結果等を見ながら、極力早く鉄道整備が進み完成いたしますよう考えていく。そのためには、例えば地方公共団体の側でも、あるいは鉄道建設公団等の場をかりましてでも既にいろいろな調査は始めておりまして、空中写真等を撮影したりそういうことでもって多少この発足に時間がかかりましても、鉄道整備の実態にはそう大きなタイミングのずれがないように考えているところでございます。
  82. 新村勝雄

    新村委員 なかなか具体的なお答えは得られないようでありますから、次の問題に入ります。  国土庁にお伺いしたいのですが、この前に、土地情報が一番重要ではないか、土地情報の収集についてぜひお力をいただきたいということをお願いしたわけですが、この問題については今どういうふうなお考えで、どう進めようとなさっておりますか。
  83. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 新村先生にお答えいたします。  先生指摘のとおりでございまして、土地情報は非常に大切な問題でございまして、総合土地対策の基本的な問題でございます。そんなことでございまして、土地に関する所有とか利用とか地価の問題等につきまして体系的に整備することが大切ということでございまして、現在各省庁と連絡しまして情報の体系化に努力しているというところでございまして、実は土地局長に指示しまして、今その整備の第一歩に入ったというところでございます。
  84. 新村勝雄

    新村委員 土地情報については、市区町村がかなり詳しいものを持っていますよね。ですから、市区町村が今持っている情報を総合的に集大成をすれば、完全ではないにしてもかなり正確なものがやれると思います。そういった点で、市区町村の協力によって、あるいはまた最新の技術を駆使をするということも必要でしょうけれども、そういうような方法によってなるべく早くお願いをしたいと思います。  日本全国の面積は三十七万七千八百平方キロ余りということはわかっているのですが、その中身が必ずしも正確でない。各地目ごとに合計をすると、その差がかなり出てくるというようなことがありますね。そういったことでやはり何といっても土地情報の整備ということが先決だと思いますが、技術的な問題あるいは事務的な問題についてで結構ですからお願いをしたいと思います。
  85. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 国土庁で直接行っております調査あるいは間接調査も含めまして、例えば地籍調査等を中心といたします国土調査、あるいは地価に関する地価公示とか都道府県地価調査、あるいは毎年、これはサンプルでございますが、土地の取引状況あるいは保有状況等に関する調査を行っておりますが、非常に部分的でございます。先生指摘のように関係省庁もそれぞれ行政目的に従っていろいろな調査、資料をお持ちでございますし、また、特に都道府県あるいは市町村にはかなり詳細な資料がございます。そういう資料をできるだけ体系的に整理することが大変重要だと考えております。  ただ、そういう情報を丹念に整理いたしまして、そのうちどういう資料をどういう形で収集、分析するような体系にするのか、そういったことにつきまして大臣の指示も受けまして、現在鋭意検討しておるところでございます。できるだけ早くそういう情報をできるだけ幅広に整備したいというふうに考えております。
  86. 新村勝雄

    新村委員 この土地問題を議論する場合に、例えば東京三十キロ圏内の地目別面積は現状どうなっているのか、空閑地がどのくらいあるのか、農地がどのくらいあるのかというようなことについての情報もまた極めて不十分なわけですね。ですから、そういう点についての整備をお願いしたいということ。  それから、土地問題解決のアプローチの一つの面としては、方向としては、利用計画をどうするかということが重要な要素だと思いますね。ですから、特定の、一定の地域に対する利用計画、これは都市計画法の中で決めることになっておりますけれども、都市計画法だけでは十分でないわけで、今後どういうふうに利用計画を決めていくか、策定していくかということが重要な問題だと思います。そのことによって土地基本法の所有権と利用権とを分離して利用権を重視をしていくという考え方がそこに打ち出していけるわけでありますから、そういう点での国土の利用計画という面からの国土庁のお考え伺いたいと思います。
  87. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 土地対策を進めます上で、土地利用計画の果たす役割は大変重要だと認識しております。土地基本法におきましても、国、公共団体はいろいろな条件を勘案しながら必要な土地利用に関する計画を策定することと定められておりますし、また必要があると認めるときはこの土地利用計画を詳細に、また広域の見地に配慮して策定するということになっております。  したがって、今後この基本法の規定等にも基づきまして、国、都道府県、市町村それぞれの段階において個別法による既存計画の改定見直しあるいは必要に応じて計画制度の新たな整備、そういうことの充実も図ってまいらなければならないと考えております。現に、工場跡地等の低・未利用地あるいは市街化区域内の農地の計画的な整備等を目的といたします法案が建設省で現在検討されておりますが、その中でも、例えば住宅地高度利用地区計画とか用途別容積型地区計画、さらには遊休土地転換利用促進地区制度、そういった土地利用計画の新しい手法も検討されているやに聞いております。そういうことで、それぞれのところでいろいろ計画の整備充実を図っていくべきだ、そういうふうに考えておる次第でございます。
  88. 新村勝雄

    新村委員 終わります。
  89. 宮下創平

    ○宮下委員長代理 これにて新村君の質疑は終了いたしました。  次に、松浦利尚君。
  90. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 最初に、日銀の理事、おいでになっていますね。お忙しいそうですから、大臣済みません、先に日銀の方に質問しますが、担当大臣ですからしばらく後の方にさせていただきます。  御承知のように、最近、G7以降、御苦労いただいて声明の中に円の問題が挿入されたのはされたのでありますが、それ以降の円の動きを見ておりますと、依然として非常に円安の方向に振れている。百六十円を境にして一進一退を続けているのですが、実はマネーサプライ、これの増加を拝見をさせていただいておるのです。  これをずっと見てまいりますと、八九年の四月から、一〇・二%だったものがしばらくずっと九%台、それも九%の上の方で推移してきておるわけですね。これも名目成長率から見れば少し高いところだと思うのです。しかし、これが十二月に入りますと一〇・六、それから一月が一一・五、二月が一一・八、三月が一一・六と非常に大きいのですよ。そうすると、実際問題として、今日銀が必死になって円を支えていますね、逆に言うと円を吸収しておるわけです。ですから、引き締めをしておられる、こう思っておったのです。当然、市場そのものにも必要な資金は流さなければいけませんから、オペは行われておると思うのです。しかし、そのオペの関係が、実はこれもきのう日銀の方から急いでデータをいただいたのですが、国債の動きを見ますと動きが非常に大きいんですよ。  そうすると、市場で円を吸収して、片一方では円を流しておるわけですから、それが相殺されまして、実質的には効果を発揮しておらぬのではないかという疑問を持つのです。こういう金融政策をとっておられる限りやはり円は円安の方向に働くのではないか、こう思わざるを得ないんですよ。ですから、金融政策担当の日銀としてはこういう状況について少し詳しく、理事専門家だそうですから、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  91. 福井俊彦

    ○福井参考人 お答えを申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、金融情勢を判断してまいります場合にいろいろな経済金融指標がございますけれども、その中でマネーサプライの動きというものがやはり中心的な指標として非常に重要な指標でございまして、私ども金融政策を運営してまいります過程におきましても、マネーサプライの動きにつきましては細心の注意を払ってその動きを見ているというところでございます。そしてまた、ただいま先生が正しく御指摘なさいましたように、マネーサプライの伸び率というのは昨年の春過ぎぐらいから一たん九%台、それまでずっと二けたの伸びでございましたが、一たん一けたの伸びに落ちましたけれども、また昨年の後半以降、金利が上昇しております中にありましてもそれに逆らうかのごとくマネーサプライの伸び率が再び高まっておりまして、現在ただいまの水準では前年比伸び率が一一%台という状況でございます。  ただ、一つ、二つ特殊要因もこれにはございます。一つは、金利が上昇してまいります過程では企業がさらに金利が上がってからでない、早目に資金を調達しておこうというふうに、金融機関からの前倒しの借り入れ行為が出るというふうな特殊な事情もございます。それから、金利の自由化がますます進んでおる過程にございますが、日本の場合には、先生も御承知のとおり昨年の十月から大口定期預金、自由な金利がつきます大口定期預金の最小単位が一千万円というところまで下がりまして、いわば自由化が非常にすそ野の広いレベルで進展しつつある状況に入りました。こうなりますと、自由な金利のつく預金の魅力がほかの金融資産との比較で高まりました結果として、マネーサプライの統計上、対象となっております金融資産の範囲の中に対象となっていない金融資産からの移転が行われる、シフトインが行われるという形で、こうした幾つかの特殊な事情がマネーサプライの伸び率を実勢以上に高めているという点はございます。  私どもは、そうした点も吟味しながらマネーサプライの水準そのものの実勢ということを判断いたしておりますが、そうした割引事項を考慮いたしましても、なおかつ現在のマネーサプライの水準は、先生指摘のとおり経済諸活動の水準との比較において引き続き相当高いところで推移している、こういうふうに意識しております。  したがいまして、金融政策の運営上は引き続きかなり慎重な運営でなければいけない。金融面の指標以外にも、実体経済あるいは物価を押し上げかねないもろもろのコスト要因というふうなことも念頭に置きますれば、いわゆるインフレ圧力というのが日本の経済の中に潜在的にある程度蓄積されてきている可能性が強いということでございます。それと高いマネーサプライ水準というものが結びつきました場合に、それがもたらすリスクということは十分頭に置いているわけでございまして、そうしたことを総合的に判断して、昨年の春以降四次にわたって金利引き上げ措置を行ってきた。それは、現状の物価はまだまだ落ちついた状況にございますけれども、潜在的なインフレ圧力が顕在化するリスク、そのリスクを実際に顕在化させないために、過去四回の金利の引き上げは予防的措置ということで実施してきているわけでございます。  それから、毎日毎日の金融市場におきます私どもの金融調節、その積み重ねが金融政策そのものの姿となるわけでございますが、毎日毎日の金融市場におきましては、為替市場におきます介入そのものも、円資金を供給したり吸収したり、金融繁閑の度合いに確かに影響するファクターでございます。そのほかにもデーリーな金融市場に金融の繁閑をもたらす要素はたくさんあるわけでございます。したがいまして、日によりまして先生指摘のオペレーションが資金の吸収に当たったり、逆に資金の供給に当たったりいたします。しかし、私ども資金を供給したりあるいは吸収したりいたします動作の一連の帰結として、どの程度の強さで金融市場の調節に当たっているかという最後の帳じりの姿をごらんいただきます場合には、金融市場におきます金利の動向をごらんいただければ、どの程度の強さで日銀が金融調節に当たっているかという姿が一応集約してごらんいただけるわけでございます。  実は、昨年の五月以降今日まで、私どもの中心的な政策金利でございます公定歩合で見ますと、通計の引き上げ幅は二・七五%、先生御承知のとおりでございますが、私どもはそれをバックにいたしまして日々金融市場の実際の調節に当たっております。これが先生指摘のオペレーションという手段を使っての私ども市場の中でのアクションでございますが、その結果として、私どもが少しきつ目の調節を行ってまいりますれば、結果的に金融市場の金利が上がってまいるわけでございます。金融市場も短期の金融市場から長期の金融市場までいろいろございますけれども、昨年の春以降今日までの通計しました市場金利の上昇幅というのは、短期の金融市場で見ますと、大体もうラウンドナンバーですが三%くらいは通計上がってきているわけでございます。これはすなわち、一日一日をとりますと資金を供給する日もあれば吸収する日もございますけれども、通計してみますとそれだけの金利上昇を結果としてもたらす強さでの金融調節をしてきている。その背後には先生指摘のとおり潜在的なインフレ圧力、そしてマネー水準が非常に高いということを頭に置きながら調節してきているという状況でございます。     〔宮下委員長代理退席、原田(昇)委員長代理着席〕
  92. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 丁寧にありがとうございました。  それでは、私たちが懸念をしておりましたが、円の安定というよりも市場あるいは景気、こういったものを優先した形がとられておるのではないかというふうに私は誤解をしておったわけですけれども、そういう事実はないとは思うのですが、これはひとつ大蔵大臣にお尋ねをしておきたいのですが、こういった金融市場の動き、これについて大蔵大臣としてはどのように見ておられるのかが一つ。  それからもう一つは、これは新聞あるいは週刊誌だったか記憶しておらぬのですが、G7の場所で金利の引き上げについて、公定歩合の引き上げについてはしないというような約束があったというような、これはうわさですけれども流れておるのですが、そういう事実が現にあったのかないのか。そうすると、私たち素人判断ですが、ある程度引き上げる時期というものがそろそろ来かかっておるのじゃないか、そういうふうに私たちは思うのです。しかしそれは、どうするこうするはあくまでも金融政策を担当しておる日銀の判断によるところだと思うのですけれども、そういった問題を含めて大臣の御答弁をいただきたいというふうに思います。     〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕
  93. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 公定歩合の引き上げ、引き下げ、いずれにいたしましても金融政策が日銀の専管される事項であるということは、まず私どもよく承知をいたしておることであります。  その上で今の御指摘にお答えをいたしますと、確かにG7の席上それに類似した話がなかったわけではありません。と申しますのは、IMFのカムドシュ専務理事から概況の報告をされました中に、世界的な高金利に対する警戒という点について非常に強い御発言がありました。警戒という意味での御発言であります。そうした中におきまして円の問題が論議をされました中で、いわば金利のスパイラル現象を起こすような、エスカレーションを起こすようなその引き金を日本は引く意思はない、その元凶となる意思はないということは、日銀総裁と御相談の上、私からその席上申し述べたことであります。しかし、それは例えばマネーサプライ、今委員から御指摘がございましたけれども、あるいはマネーサプライをにらみながら、あるいは現実の金融市場における金利の動向あるいは為替の動向を見ながら日銀当局として公定歩合を操作する自由を喪失しているような状態のものでは全くありません。ただ、世界的な高金利へのスパイラル現象を起こすその原動力に日本はならない、なる意思はない、これは日銀総裁と御相談をした上で意見を申し述べたことであります。
  94. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そうすると、現在の金融市場状況はどう思われますか。
  95. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは私ども余り申し上げるべきことではないと存じますし、日銀当局として最善の判断をもって対応しておられるともちろん考えております。ただ、私どもの立場からいたしますと、株式市場あるいは債券市場と並びまして為替の状況等は常に注意を払っておる対象の事項でありますし、これに連動いたしまして金利についても、またマネーサプライにつきましても私どもはそれなりの関心を持ちながら見守っております。
  96. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ありがとうございました。お忙しいでしょうから、どうぞお引き取りください。  それでは、続いて大蔵大臣にお尋ねをいたしますけれども、どうもこんなことを言うと外野席からということになりますけれども、G7とかG5というのを横から見ておりまして、どうも性格が変質してきておるのじゃないかという感じを私たちは受けるのです。それはなぜかというと、例えば西ドイツなどは御承知のように東西ドイツの統一あるいは通貨同盟、こういった、協調ということよりも国内の問題が優先されてきている。そういった問題が各国にありまして、そうするとフランスは比較的安定しておる状況だ。そうすると、また日本の環境を見れば、日本は独自にアメリカとの間に日米構造協議という形で二国間の話し合いが進んでいくというようなことをずっと見てきますと、従来のような円なら円という、あるいは各国通貨のレートについての調整、協調機能というのはもう働かなくなってきておるのじゃないか、こういう感じがするのです。今度大変御苦労なさって、確かに声明の中に円の問題が取り入れられて、大臣大変御苦労されたと思ってその点は感謝をしておるのですが、そのことと、市場の動きを見ておりますと、結局、私が言ったように、協調体制というものがだんだんだんだん限界に来て崩れてしまっておるのじゃないだろうか、そういう感がするのです。  それから総務長官にちょっとここでお尋ねしておきますけれども、OECDが各国の消費者物価についてのデータを出しておられるのですが、そのデータを見ますと、OECDの二十四カ国、最近の五カ年間の消費者物価上昇の推移を見ますと、対前年比で八六年が二・七%増、八七年が三・三%増、八八年が三・七%増、八九年が五・九%増、九〇年が六・二%増、これは推定ですが、OECD二十四カ国の平均物価というのがこう出されておるのですね。ですから、どうも世界全体がインフレぎみだという状況が現実にこういうデータから読み取れるのですが、そういう数字、出ておりますか、確認をさせていただきます。
  97. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 消費者物価の問題は所管は企画庁長官でございますけれども、私どもは統計局で消費者物価の数字を取りまとめております。数字でございますので、統計局長から御返事をさせていただきたいと思います。
  98. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 それでは、総務庁からの御答弁の前に私なりの感じをそのまま率直に申し上げたいと思います。  私は、世界経済が全体として七年を超える長期間の成長を持続してまいりました中、また対外不均衡というものも近年だんだん減少してきております中には、この主要国間の政策協調というものが非常に大きな役割を果たしてきた、そしてこの好ましい状況をもたらした大きな要因であったと考えております。そして、委員はその役割が崩れたという御認識かもしれませんが、私はそうは思っておりません。むしろ逆にG7のような場というものはますます大きな役割を担わなければならなくなったのではないか、そのような感じがいたします。  たまたま今委員から、西独について、両独統一あるいは通貨同盟という国内の問題に対して非常に意識がいってしまっているのではないのかという御指摘がございましたが、私は、それぞれ各国は自国の国内問題を抱えてこうした会議には臨んでおると考えております。そして事実、そうした論議もございました。しかし、そうしたそれぞれの国の問題点を踏まえた論議の上に改めてその折その折に枠組みというものは確立をされておるわけでありまして、その意味で私は、G7とかあるいはたまたまファイブとお使いになりましたけれども、G7ばかりではない、主要国の協調体制というものは、枠組みは非常にしっかりと今後も続いていくべきであるし、現に続いておる、そのように考えております。  仮に今回G7がなかったとした場合に、欧州の中における両独統一をめぐる欧州各国の関心というものは、下手をすれば地球上に他の地域のあることを忘れてしまいかねないぐらい歴史的に大きな問題である、私はそのように思っております。そしてそれは、またヨーロッパだけで対応し切れる問題ではありません。同時に、この壮大な試みというものがもし失敗に終わったとすれば、世界経済全体を大きく揺るがせる事態にもなりかねません。そうした中において、それぞれの国の持つ問題が率直にその場において提起をされ、それぞれの問題を他の国々も認識をした上で各国が世界経済の中において果たし得る役割というものをそれぞれ確認をしていく、それは私は非常に大きな政策協調であると考えており、今後もこうした枠組みは崩すべきではない、日本もまたその中において積極的な役割を担っていくべきである、そのように感じております。
  99. 井出満

    ○井出政府委員 お答えいたします。  OECD二十四カ国について、消費者物価指数の総合指数等々については計算してございませんで、いわゆる購買力平価、それぞれの各国の通貨の実勢購買力をはかる購買力平価について、二十四カ国について調べて公表しております。  以上でございます。
  100. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 失礼しました。大臣、今私の言ったこれは、消費者物価ではなくて購買力平価を基準にして出した数字だと思うのですが、いずれにしても世界各国共通しておるのは、非常にインフレぎみだということ自体ははっきりしておるのですが、ただ心配になりますのが、テートマイヤー連銀理事ですか、前に次官をしておられた、この方が、G7が終わりました後、週刊誌に談話として載っておったのですけれども、各国にも、さっき言ったようにドイツのような独自の政策が非常に多くなってきて、協調にも限度がある、限界がある、こういう発言をしておられるのですね。ですから、そういった意味で今までのような協調を優先するという、そういうG7の時代がだんだん終わりつつあるのではないか、そういう感じを持つのです、この人の発言から見て。  私は、今大臣が言われたように、日本にとってG7、G5というものは非常に必要だと思いますし、これからも日本としての発言の場として当然強化していってもらいたいと思う立場に立つのですが、しかし実際の流れとしては、このテートマイヤー連銀理事の発言に見られるように、協調には限界が来ておる、こういうことをこの方がG7が終わった後発言しておられるのですね。こういう点についてどう思われるのかが一つです。  それから、現実にアメリカというのがどうもドル高を是正する動きをとろうとしておらないのではないかという気がするのですね、現在とっておる金融政策は。これはあくまでも感じですよ。ですから、この二つについて、ひとつ大臣からお答えいただきたいと思うのです。
  101. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 G7に参加をされましたアメリカの代表は、あくまでもグリーンスパンであり、プレイディであり、またマルフォードであります。そして、少なくともその方々からそのような御発言は出ておりません。いろいろな方が日本でもいろいろなことをおっしゃるわけでありまして、週刊誌によりますと大蔵省の国際金融関係者の諸君の中では私は非常に評判が悪いと書いてありまして、それで一体だれが言ったのだろうと私も気になりますけれども、みんな、私以外ですとけろけろとした顔をして言っております。そして、そういう発言というもの、これは私は、責任者として会議に参加しておられた方々が述べられたことが正規のものであり、個人的見解を述べられる部分について余り一喜一憂することはいかがなものかなと、率直にそういう感じを持っております。  そして、しかしそういう発言が報じられておるように、アメリカの中にもそうした雰囲気が私は全くないとは申しません。しかし、仮にそういう状況を放置し、アメリカの製品は当然高くなるわけでありますから、輸入拡大の努力にブレーキがかかる。日本としてその輸入の拡大に努め、一方で内需を振興しながら日本の経済というものをもって今日に至っているわけでありますけれども、世界経済の中においてそのバランスが崩れるということを一体どう評価されるのか。仮に我が国が非常に強い姿勢を持って高金利政策をとり、我が国の都合のみにおいて金利政策を運用した場合に、一体世界経済にどういう影響が出るだろうかとか、考えればいろいろなケースが出てまいます。  そして私は、アメリカ合衆国を代表してG7に参画されたブレイディ財務長官にしてもグリーンスパンさんにしても、G7の共同声明に盛られたような形で意見の集約を見たわけでありますから、大変失礼でありますけれども、個々の方々の御発言というもので一喜一憂するのは我々としてはとるべき態度ではなかろう。また、仮に円安がこのまま進行しドル高が続くという事態になりましたときに、アメリカの赤字の縮小への努力、我が国の内需を中心とした経済拡大という、世界経済の中における相互の役割というものがどう変質をするかを考えれば、私は、それほど深くそうした発言の真意を追及したいとは思いません。
  102. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 今大臣の言われたことでいいと思うのですが、大蔵大臣としての御発言で結構だと思うのですが、ただ問題は、アメリカの通貨当局の担当である連銀の理事がこういう発言をなさっておるというところはやはり重みがあると思うのですよね、G7に出席するしないは別にして。しかも、この方はかって政府の中枢におられた方ですから。だから、そういった発言をただ単に軽く見過ごしてしまうと、やはり大きな影響を後に与えると思うのですよ。ですから、できればこういう問題について具体的に事実かどうかの確認はやはりされて、こういうことが既に活字になって流されておるわけですから。ですから、まあ軽重の問題があるでしょうけれども、やはりこういうものに対しては的確な大蔵当局の御発言があってしかるべきではないか。そういうものが見過ごされてしまうと、変にまたこれが市場影響を与えるというようなことにもなりかねないというふうに思うのですよね。ですから、そういう点についてぜひ、これはもう大臣の御発言でそのまま尽きると思うのですけれども、もう一遍、やはりこれは余り軽く見られると問題があるのじゃないかという意味において御理解いただきたいと思うのです。
  103. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、決してそうした御発言を軽く見るつもりはございません。  ただ、ちょうどロサンゼルスにおきまして日米の蔵相会談を行いましたとき、あの時点でも為替の問題がありまして、私は、アメリカ側の当局者の発言というものの中に必ずしも適切ならざる発言があるのではないかということについて、ブレイディ長官に意見を申し上げました。そのときにブレイディさんが非常にはっきり言われたことは、責任者は自分だ、その他の人間の言葉に振り回されてもらうことは自分としては不本意だと、非常にはっきりした言葉でした。  私は、この言葉というものの重みをそのとき非常に大切に受けとめて帰ってまいりました。そして、今確かに私は連銀の理事というポジションの重みを感じないわけではありません。しかし、やはりアメリカ合衆国政府を代表される財務長官としての御発言というものを私としては大切にいたしたい、そう考えております。
  104. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは次に参りますが、総務庁長官にお尋ねをいたしますけれども、先ほど言われた購買力平価ですね。これを国際統計課の方でOECDの方に御報告なさったというよりも、OECDから出されておる資料が既にあるのだそうですが、そこで、もう時間が大分たっておりますから端的にお尋ねをいたしますが、一九八九年の円の購買力平価は一ドル二百二円という数字になっておると理解をしておりますが、その点についての御確認をお願いいたしたいと思うのです。
  105. 井出満

    ○井出政府委員 お答えいたします。  OECDで二十四カ国について、私どもが価格資料を提出しまして、それに基づいて各国二十四カ国について購買力平価を計算しております。その結果によりますと、一九八九年の結果については、先生の御指摘のとおり、一ドルが二百二円になっております。
  106. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それから、経済企画庁長官が入っておられぬので非常に議論がしにくいのですが、経済企画庁が「物価レポート'89」というのを実は大臣、出しておられるのです。この中を見ますと、物価水準を日米比較で昭和五十年度を一〇〇として計算をしておられるのです、昭和六十三年度まで。この資料で見ますと、大体購買力平価が日米間では百六十円から百六十五円の間に入るようになっているのです。  それで実はお尋ねをしたいのですが、これは野村総研の林常務が言っておることなんですが、大体円の実力は百六十五円程度だという見出しで、「購買力平価からみて一ドル=百六十五円程度が実力だろう。」というようなことを野村総研の林さんが言っておられるのです。そうすると、実質的に現在百六十円前後で振れておるわけですが、この購買力平価と為替レートというものは本来関係のないものなんですが、具体的に言うと、円の実力としての評価は大体購買力平価に見合ったものではないかということは成り立つと思うのですよ。ですから、そういう問題について、これもやはり大蔵大臣からお聞きすると非常にまずいお立場かもしれませんが、もし答えられるのでしたらお答えいただきたいと思うのです。
  107. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員自身がお述べになりましたように、私は、為替レートと購買力平価が運動する、それを一義的に連動させてとらえるというのは必ずしも正確なものとは考えておりません。  私自身が本当に生まれて初めて昭和三十五年にアメリカに行きましたとき、一ドル三百六十円の時代でありますけれども、一ドルが百円ぐらいの価値しかないなと思わされるものもありましたし、一ドルが五百円ぐらいの価値の感じをさせられるときもありましたし、私が欲しいと思うもの、支払わなければならないものによって相当そういう意味での開きはございました。  こうしたものを、私はそのOECDの御調査というものの権威を別に疑うわけではありませんけれども対象としてとらえられるもの、そしてその各国における普及状況、あるいはサービスが入るのか入らないのか、消費のとらえ方はどうなのか、そのポイントの置き方によって私は購買力平価というものの数字にはおどりが生ずる性格のものであると思います。そうなりますと、必ずしもこれを連動させて考えるという考え方は、今私としては余りとる考えはございません。
  108. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この豊かさがなぜ実感として国民に伴わないかという問題については、経済企画庁長官が来られてからここで議論をさせていただきたいと思いますから、今の大臣答弁で一応留保させていただきたいというふうに思います。  それじゃ続いて、総務庁長官が内閣委員会の方に御出席なんですね。ですから、総務庁長官に限定してこれからちょっと質問させていただきますが、それは、きのう行革審の答申が出されました。で、特徴はどこかというと、土光臨調から出された答申、それから前の行革審から出された答申等を見まして一番違っておる点というのは、「増税なき財政再建」という言葉がなくなっておるのですよね。そのことは、逆に言うと、増税について政府はフリーハンドを握ったということになるわけですよね。それはするかしないかの問題じゃないのですよ。増税について今度の答申はフリーハンドを政府に与えたというふうにこれは読み取れるのですよね。特徴としてはそれがもう最大の特徴なんです。その点について、総務庁長官はどう思われますか。
  109. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 昨日、松浦委員の御指摘のように、私どもは新行革春から最終答申を受け取りました。それについての私どもの態度は、最大限答申を尊重してまいる、こういうふうな考え方であることはもう御案内のとおりでございます。  今「増税なき財政再建」という文言が今度の新行革審の答申の中に見られないじゃないか、したがってそこで増税というフリーハンドを獲得したのではないか、こういうお考えのように質問をされたと思うのでございますが、私どもはやはり何といっても、今回の答申にありますように基本的な考え方は臨調以来一貫しておりますということで、私は、「増税なき財政再建」の文言はないにいたしましても、財政の体質の健全化という言葉の中にこの「増税なき財政再建」の何と申しますか、理想、考え方は否定されてフリーハンドを与えた、必ずしもこんなふうに考えるべきではない。やはり財政体質の健全化は進めていくべきである。やっと特例公債依存体質から脱却したばかりでありますから、そういった考え方をとって、健全化という言葉で私はその思想を受け継いでいる、こんなふうに考えているところでございます。
  110. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣の御答弁はそれでいいと思うのですよね。しかし、国民はわからないですよ。結局、財政の健全化ということは当然行われなければいけませんよね。歳出の見直し等はやらなきゃいけませんよ。しかし、私が具体的に聞いておるのは、増税をする、増税に対してのフリーハンドを得たんじゃないかということを聞いておるのですよ。財政の健全化じゃないのですよ。ただもう増税のフリーハンドを握られたということになるんじゃないですか、こう聞いている。ですから、そうでないならない、そうならそうだ、こういうふうにお答えいただければいい。するかしないかは別ですよ。
  111. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私が最初に申し上げましたように、基本的な考え方は臨調以来一貫しているということは、「増税なき財政再建」の考え方も踏襲されているというふうに考えていきたい、こういうことでございます。
  112. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その「も」は要らぬのじゃないですか。
  113. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私は、今度の答申は非常に広範な線がありますから、それだけを答申したということではないと思います。
  114. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 こだわりますけれども、私が聞いていたのは、増税するかしないかなんですよ。フリーハンドを得たんじゃないですかということだけなんですよ。だから「も」は要らないのですよ。「増税なき財政再建」を踏襲するなら踏襲されるんだ、こう言われればいいのですよ。だから、非常に議論をわかりにくくしてしまうのです。さっき大蔵大臣の金融に関する答弁なんて、非常に明快でした。歯切れがよかった。総務庁長官、歯切れのいい人かと思ったら、歯切れが悪いですね。  どうぞ、増税なき、これは非常に大切なところですから、だから、海部内閣がするしないとかそういうことを言っているのじゃないのです。これは少なくとも出されたこの行革審の最終答申について、これが欠落していますから、「増税なき財政再建」という部分が。ですから、それは増税をすることもフリーハンドを得たということになるんじゃないですかということを聞いておるのですから。御理解いただけたでしょうか。そのことだけ御返事してください。
  115. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私は、フリーハンドを得たというふうに考えておりません。そのことだけ申し上げたいと思います。
  116. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大蔵大臣、やはり今度の答申の中で最大のポイントがその増税のところだと思うのです。それと連動して私たちが思うのは、例の国民負担率ですね。そうすると、この前の答申では五〇%、これは六十一年六月十日、五〇%をかなり下回る水準に国民負担率を抑えることを目標としてきたはずなんです、実際は。ところが、これでいきますと、二十一世紀初頭においては四〇%台半ば。ですから、四五%を超えるところですね。それから将来、二〇二〇年のピーク時には五〇%近い。当然そういった段階になってきた場合に国民に対しての負担を求める、そういったものがやはり裏側にあると思うのですね、この数字から見て。そうなってくれば当然増税を将来せざるを得ない。ですから、私は、さっきから言うように、増税についてのフリーハンドを得たんじゃないのかという質問を繰り返し聞いておったわけなんですよ。ですから、その点について、総務庁長官とそれから大蔵大臣からお答えいただきたいと思います。
  117. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 この点ももう松浦委員の方がよく御理解をされていると思うのでございますけれども、臨調の答申、しかも今度の答申との間の国民負担率の相違は、私は、表現において少しの差はあるように見えますけれども、大きな考え方は変わっていない。ただ、臨調の答申は二十一世紀初頭の目標について、国民負担率を五〇%をかなり下回る、こういうことにいたしました。そのときに、瀬島委員国会の御答弁で四五%、これを大体二十一世紀の初頭ということで二〇〇五年というような考え方が出されたようでございますが、今度は二〇二〇年、高齢化のピーク時の負担率を想定したものでございますから、このような表現をした。しかしながら、やはり二十一世紀の初頭の負担率を出さなければ、十五年ないし二十年延びた将来のところだけでは不十分であろう、こういうことでございますから、今度はもう一つ明快に、表現としてはむしろ二十一世紀の初頭には四〇%台半ばをめどにする、こんなふうな表現を入れて、臨調の答申の線と変わらないような表現を出したわけでございまして、私は、これでもって今度は増税の方向に行くというふうに読まれるというふうなことは全く考えられないと思っております。
  118. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、臨時行政調査会が発足をいたしましたとき、土光さんが「増税なき財政再建」という象徴的な旗印を掲げられ、そしてその旗印のもとに今日まで行財政改革への努力が進んできたことに対しては、非常に高い評価を払ってきておる一人であります。そして、そうした視点から今回の答申を私なりに読んでみまして、その骨格が崩れているという印象は受けませんでした。そういう考え方の上でお答えをさせていただきますと、私はやはり、租税負担と社会保障負担というものを合わせました国民負担というものの今後、そのあり方については、究極的には国民が必要とされる公共支出の水準と裏表の関係でありますから、受益と負担のバランスの中で、そのときどきの情勢において国民的な選択が行われるべき事項であると思っております。  ただ同時に、先般来本院で、例えば社会保障関係において国費の投入をもっと大きくしろというような御意見がありましたときに、我々は社会保険のメリットを生かすべきである、一般会計からの安易な投入はすべきではないということを申し上げてまいりました。そして、そのような視点から私どもはこれからも物事を考えていきたいと思っておりますし、むしろ国民負担率の目標を示された今回の行革審の最終答申というものは、我々にとって今後ともに歳出節減あるいは制度の合理化等について極めて厳しい努力を強いるものという受けとめを私はいたしておりまして、将来にわたって増税へのフリーハンドが渡されたとか渡されないとかという視点以上に、我々としては大きな課題を将来に対して背負った、そのように受けとめております。
  119. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この問題は、これから予算委員会あるいは各種委員会で議論されることでしょうから、きょうはここでとめておきます。どうぞ大臣……。  それから、建設大臣にお尋ねをしたいのですが、実はこれは私の地元の宮崎県の問題に関連をしてお話をしますので、御理解をいただきたいと思うのですが、実は、私のところはリゾート法の指定の第一号を受けたところなんですが、今非常に県外資本が集中をしてまいりまして、それで目抜き通りの商店街が買い上げられてしまいまして、上物が全部壊されて広っぱになってしまって、くしの歯が抜けたようになっておるのです。結局、これは投機マネーが動いておると思うのです、上物が全然建ちませんから。それからもう一つは、私のところのシンボルゾーンともいうべきところに霞が関ぐらいのビルが、マンションが立つという計画がもう既に出されているのですよ。ちょっと地元の間にいろいろトラブルが起こり始めておるやに聞いておるのですけれども、しかし、実質的にこれを見てみますと、全部法律的にはクリアされているのです、どれもこれも全部個々の問題については。今度のマンションについても法律的なことは全部クリアされておるのですよ。  それで具体的に、それではどういう人たちが入るのかといえば、宮崎県民じゃないのですよ。みんな東京都の人たちのセカンドハウスとかそういうものにこのマンションが全部使われるのですよ。地元の人はほとんど入ることができない、非常に高いですから。逆に言うと、リゾート法の第一号の指定を受けて、さあというふうに県民が意気込んで、知事を中心に必死に努力をしておるのですが、その裏側では東京マネーが進出をしてきて、何か宮崎に東京租界ができるのですよ。全く異質なものが突然出てくるのです。これも率直に言って現在の法体系の中ではどうにもならないのですよね。それぞれ法を全部クリアされておる問題だ、こう思うのです。  そこで、建設省にお尋ねをしたいのは、こういった地域に対してグランドデザインといいますか、新しいコンセプトづくりが必要じゃないか。ですから、来られるのはいいけれども——今までは、来られた人たちはどういう人たちかというと、工業資本でも住宅資本でも地元の人たちと融和した形で存在しておったのですね。ところが、今度はもう全く地元とは無関係に、逆に言うと相対立する形のものができてしまう。そういった点をどうかして防ぐために、新しい調和を求めた開発の手法というものが考えられないだろうか。これは私個人の考え方ですが、例えば地域環境デザイン憲章とか、言葉は悪いのですが、そういったものが法律によってつくられることによってそういった異質の進出というものも地域になじませるというような、そういう方法をとるお考え方はないだろうか。今すぐというわけではありませんが、建設省あるいは国土庁でそういったものについてぜひ一遍研究をしていただいて、早く手を打っていただけぬだろうか、そう思うのです。これは宮崎県の問題ではなくて、恐らく全国至るところに起こってきておる現象だと思うのです。東京圏との距離が近くなれば近くなるほどこういう状況が生まれてくると思うのですね。その点について、ぜひ国土庁長官と建設大臣から御意見、お考え方をいただきたい、こう思うのです。
  120. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  それぞれの地域がその地域の特性に応じてきめの細かい規制を行うことが望ましい場合につきましては、都市計画法上地区計画という制度が用意してございまして、地区レベルの公共施設の整備とそれから建築物に関する規制を詳細に定めることができることとしておりますが、こういう制度を活用していただいて良好な町並みの形成を図るように地方公共団体と協力してやっていきたいと思っております。
  121. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えいたします。  地域の活性化、これはもとより地域の発展のために大変重要なことでございますけれども、この地域の活性化に当たりましては、ただいま先生から御指摘がございましたような地域社会との調和ということを図りながら、地域の主体性とそして創意工夫によりまして地域の特性を生かした個性豊かな地域づくりを進めることが重要だと考えております。そのような観点からいたしますと、国土利用計画の全国計画におきましても、国土の利用に当たりましては、安全性、快適性、健康性といった観点から質の向上を図っていくということが重要だという指摘がなされているところでございまして、その地域の条件に即した快適で健康な生活の基盤を支えていく、そういうものをつくっていくことが重要だと考えております。  そのような観点から、今後とも建設省初め関係省庁と緊密な連携のもとに、地方公共団体の協力を得ながら、地域主導の地域づくりを進めていくに当たりまして、十分そのような御指摘の点を踏まえて対処してまいりたいと考えております。
  122. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 局長さんお二人の御答弁でいいのですが、ただ、個別的規制ではもう対処し得ないところにまで来つつあるわけですよね。ですから、地方自治体を御指導いただいたり、その他の方法でぜひ御努力をこれからいただきたいのですが、しかし、当面はそれでいいとしても、やはり将来の問題として一定の枠組みが必要になってくるんだと思うのですよ。だから、そういった問題について、この際大臣としての御意見をいただきたいというふうに思うのです。
  123. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 ただいま事務当局からお答えいたしましたが、宮崎というのはリゾート地帯で大変いい自然や文化に恵まれたところだと聞いておりましたが、ただいまのお話を聞きますと、この間まで地価が下がっておったのですね、宮崎。そこへ、そんなに魅力的なところへどんと出ていくというのを僕は今聞いてびっくりしておるのです。新しい時代の変化だと思いますが、ただいまデザイン計画とか新しい法律とか言われますが、そこまでいくかどうかわかりませんが、ただいまのような乱開発というようなことが地域の環境を壊すという御指摘だと思いますが、そのようなことがないようにいろいろと指導していきたいと思っております。ただいまのデザイン計画等々につきましては、また地方の自治体でもお考えになることでもございますし、いろいろとまた御相談の機会があれば、そういう方向でぜひ計画的な都市づくりができるようにしていきたいと考えております。
  124. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 松浦先生にお答えします。  今建設大臣がお答えしたとおりでございますが、実は私は、現地の開発等につきましては、先生の御指摘のとおり、地元と調和を図ってやったと、こう思うのですが、一遍よく実情を調べまして、十分対応してみたいと、こう思っております。
  125. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私の地元のことを例にしてお話を申し上げたのですからその点は御理解をいただいて、ぜひ将来の問題としてこうした問題についてどう対応するのか、そういう方針を政府としても御検討いただきたいということをお願いしておきたいと思いますが、よろしいでしょうか。——それじゃ、そういうことでお願いしたいと思います。どうぞ、両大臣、結構ですから。  それから、経済企画庁長官がまだ入ってきておられないので、農林大臣、大変申しわけありませんが、実はこれは農林省の応援団になるかもしれませんが、御承知のように六十三年の六月の二十日に牛肉の自由化を発表されまして、そしていよいよ来年の四月から牛肉の輸入ということになってきておるのですが……(発言する者あり)
  126. 越智伊平

    越智委員長 どうぞ質問を続けてください。——質問を続けてください。——質問を続行してください。
  127. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それじゃ、貸しにしておきましょう。  それじゃ、時間がありませんから急いで事務局の方から御答弁いただきたいのですが、生体牛、子牛、これが外国からどれくらい無税、課税区別して入ってきよるのかお聞かせいただきたいと思います。数字だけでいいです。
  128. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 生体牛全体といたしますと、平成元年度で三万九千頭でございますが、そのうち子牛につきましては無税分で二万八千頭、それから有税分ですと大体三千頭程度かというふうに思っております。
  129. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これが生産農家にどういう状況を与えておると判断されますか。
  130. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 子牛につきましてはかなり価格が高水準で推移しているというふうなこともありまして、肥育農家にとっても不足するような形の子牛につきまして輸入を図っているというような状況でございますが、ただ全体といたしましてもかなり、全体として子牛が大体百五十五万頭ぐらい国貸で出てくるということでございますが、そのうちの二万八千頭あるいは三万頭ちょっとと、有税分も入れてというようなことでございますので、そんなに大きな影響はないのではないかというふうに考えております。
  131. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで、これから自由化されまして、現在、これは事実かどうかわかりませんが、毎週二百五十頭分ぐらいが羽田に飛行機で飛んできよるというのですが、毎週二百五十頭、それは事実ですか。
  132. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 生体牛の輸入数量が昭和六十三年度で大体三万八千頭ぐらい、それから平成元年度で約三万九千頭ということになっておりますが、このうち航空機で輸送されました生体牛の割合が大体三割ぐらいということで、昭和六十三年で約一万三千頭、週平均にいたしますと約二百四十頭ぐらい、それから平成元年では約一万頭ということで、これは週平均で見ますと約二百頭程度ということになっております。
  133. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 飛行機で牛が来るわけですが、今度は自由化されまして、チルドビーフで入ってきますね。そうすると問題になりますのは、大体外国の牛肉はおいしくないというのが定説だったのですが、ところが具体的に言いますと、今まで草で飼育しておったのですね。グラスフェッド中心だったものが、今度は穀物中心のグレーンフェッドに変わってきている。現在でも既に輸入牛肉の中にグレーンフェッドが入っておって、穀物飼育の牛が入っておって、肉質が今は何か、本当は区別しなければいかぬのですけれども、末端の肉屋さんでは一緒にブレンドして売られておる、わからないと、そういう状況にもう既になっておる。ですから、これが自由化されて仮に別枠になっても、コーナーは別にしても、もう全然日本人の嗜好と変わらない、高級品は別ですけれども、変わらない状態になっておるんだ、そういうことが言われておるのですが、そういうことは事実ですか。
  134. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 表示の問題につきましては、私ども、輸入牛肉なり国産牛肉ということの区別なり、部分肉、部分というのか、部位なり等々をはっきり書くようにということを指導いたしております。  それにつきましては、不当景品類及び不当表示防止法に基づきまして、公正取引委員会の認定を受けて関係小売店が自主的に定めております食肉の表示に関する公正競争規約、現在二十四都道府県で設定されておりますが、これでも輸入牛肉である旨の表示を義務づけるというような形の中で、こういうような形で表示につきまして私どもはっきりするようにということの指導を図ってまいりたいというふうに思っておる次第でございます。  それからもう一つ、チルドということと、それからグラスフェッドからグレーンフェッドということでございまして、確かに日本人の嗜好に合うように、草だけじゃなくてやはり穀物を食べさせて、日本人の嗜好に合うような形での飼育ということがなされていることもまた事実であるというふうに考えております。
  135. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣、今お聞きになった経過なんですが、そこで大臣にお尋ねしたいのです。  来年の四月一日以降の自由化を目の前にしまして、実は日本の企業がオーストラリア、アメリカに進出をいたしまして、これは私が調査した範囲内ですからあるいは間違っておるかもしれませんが、オーストラリアには三菱商事、伊藤萬、ジャスコ、丸紅、日本ハム、伊藤ハム、野崎産業、東食、明治乳業、雪印、こういったところが既に現地法人を買収したりあるいは直接進出して、加工から流通まで握り始めているわけですね、日本の企業が。そうすると今度はアメリカでは、ニチメン、伊藤忠、それからゼンチク、丸大、伊藤ハム、明治乳業、西友、ダイエー、これはアメリカでは御承知のように寡占化が進んでおりますからオーストラリアのようにはいきませんけれども、現実問題としてはそういう寡占企業と今言ったような日本企業が合弁をつくりまして、そしてさっき言いましたように草から穀物、そういう飼育の方法によってチルドによる日本上陸をねらっているのであります。  ここで私非常に解せないのは、確かに資本は自由化されていますから、日本の企業がどこに進出してどうしようと何しようと構わない。しかし、そういう日本の企業が海外で生産をし、日本に向けて持ち込んでくる。そのことが、逆に言うと、農林省が子牛価格の安定制度とか、そういった制度をつくって今日までの日本の農業、特に畜産農業というのを支えてきた。そのためには私たち国民もある部分税金を農家に注ぎ込んで、そして生計を守るための努力をしてきた。ところが、今度の四月一日以降は、そういう努力をしてきたにかかわらず、日本の企業が日本に持ち込んできて農家に打撃を与える。こういうパターンについて、これはもう資本の自由化であり自由貿易である限りやむを得ない経過ではあると思いますが、どうもしっくりいかないですね。  ですから、一体こういうところでどれぐらいの頭数を日本企業が飼育しようとしているのか、そういったことが農林省の方にまだ把握されておらないのですね、率直に言って。相当膨大な数に上るように書いてあるんですよ、現地の新聞などに。オーストラリアなどではその企業進出に対してボイコットの運動すら起こってきていますね、日本企業に対して、畜産に対して。そういう状況について、大臣、今後どうされようとするのか、そして実際に肉用子牛生産者補給金制度というもので対応できるのかどうか、それが非常に心配なんです。ですから、こういった問題についての大臣の御所見を承っておきたいと思うのです。
  136. 岩崎充利

    ○岩崎政府委員 事実関係について述べさせていただきますと、先生指摘のように、一部の商社なり加工メーカー等が米国、豪州等の牧場等に進出する動きがあるということは、これは各種の情報等を通じて承知いたしております。  その状況につきましては、これは情報によりますと、牧場への投資件数が大体十八件ということになっておりまして、このうち米国、豪州での投資先牧場が十一件ということになっております。ほかの国につきましては、どうもやはりその当該国の国内の需要を賄うという形のようでございますが、米国、豪州につきましては大体四十万頭ぐらいの出荷、これは年に大体三ないし四回転ということでございますので、四十万頭ぐらいの一応出荷が考えられるんじゃないかというふうに考えております。ただ、これ全部が日本に仕向けられるということでもなく、やはり当該国の中での仕向けもあるということでございますので、例えば大胆に、これはわかりません、なかなか難しいんですが、大胆に推計いたしますと、例えば四十万頭の半分ぐらいが日本に出てくるということでございますと大体二十万頭、これは部分肉ベースにいたしますと大体四万トンぐらいというふうに考えているわけでございます。ただ、日本への輸入量というのは、牛肉につきまして平成二年度では大体四十万トンぐらいということでございますから、大体輸入量の十分の一程度ということで、そんなに大きなものではないというふうに考えておる次第でございます。
  137. 山本貞一

    山本国務大臣 お答えいたします。  今政府委員からも数字を挙げて説明をいたしましたけれども先生の御指摘のとおりで、一部の日本企業がアメリカとかあるいは豪州などで牧場だとかあるいはパッカーなどの分野へ進出をしておる、こういうことは情報で私どもある程度承知はしております。まことに残念なことでございますけれども、これはやむを得ない状況だなというふうに思っておるわけなんです。  そこで、数量の問題等につきまして、役所の方で、私からも大丈夫なのか、今後の状況ども含めていろいろ勉強さしていただきましたが、今のところは、今数字の発表のありましたとおり、国内の牛肉需給に与える影響は小さい、それほどのことではないというふうな数字だと承っております。  そこで、いずれにいたしましても自由化は目の前でございますから、これに対応していろいろ国会等でも御審議をいただきました肉用子牛の生産者補給金制度などを含めまして、とにかく品質を向上させる、うまい肉をつくる、あるいは低コスト生産の推進だとか、あるいは流通の合理化だとか、さまざまなことで対応措置を強化していくということが急がれるわけでございまして、これは総合的に強力に進めていきたいというふうに考えておりまして、国内の生産者に不安を与えることのないように対応措置を進めてまいりたいというふうに考えております。しかし、対外投資の動向は、これは注目をしていかなければならない、今後とも注意深く見守ってまいりたい、こう考えております。
  138. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ありがとうございました。  実は経済企画庁長官、あなたといろいろ最近の円の事情等を含めて物価問題を議論しようと思いました。その中の一つとして実は牛肉問題を農林大臣にお聞きしたかったのですが、あなたが来られぬために質問がもうあっちの方に絞られてしまって、議論ができなかったのです。だから改めて——いや、十二時からおいでになることになっておったのです。しかし、あなたは十二時においでにならなかった。これはやはり約束したことで、委員会の関係もあったと思うのですが、十二時から来られることになっておるのですが、ぜひひとつ質問ができなくならないように考えていただきたい、ぜひこれからお願いしたいと思います。  それで、もう最後になりましたから、一つだけ質問させていただきます。この「物価レポート」に書いてあることだけお聞きします。  それは、この「物価レポート」の五十六ページの「内外価格差と豊かさの実感」というところに、要するになぜ日本はこれだけ経済が豊かになっておるにかかわらず国民全体に豊かさの実感がないのかという書き出しで書いてあって、そしてそれは一つは、要するに購買力平価がアメリカの、端的に言って、これは数字はここに書いておりませんが、私が調べたところでは七五%程度なんですよね、購買力平価で計算した場合。その関係があって豊かさというのは感じないんじゃないだろうか、こういうふうに書いておられるのです。そして、そのことが内外価格差を生み出している。ですから、この購買力平価をもっとアメリカに近づけていかなきゃいかぬという意味に書いてあるわけです。  そして、特にその後段でどういうことが書いてあるかというと、これは読み上げます。「「購買力平価で評価した一時間当たり賃金」を試算してみますと、日米間の格差は一層顕著になります。我が国の所得水準を海外の先進国と比較しますと、一人当たり所得では高く、」これは事実高くなった。しかし、「一時間当たり所得では低いことが分かります。」ですから、裏返して言えば、裏返してという言葉はありませんけれども、その裏返しで考えておられるのでしょうが、「長時間労働は、欧米並みになった我が国の生活水準を支えた要素の一つである」。要するに、購買力平価は非常に低いが、国民所得、一人当たりのGNPは高くなったけれども、それを一時間当たりで計算をしてみると非常に低い、特に低い。ですから、結局その低い部分を長時間労働によって生計を支えているんだ、だから豊かさの実感がないんだ、だから働きバチのように働きまくる以外に欧米並みの水準に近づけることができない、これは正確な分析だと思うのです。  それで、現在二千百時間程度の年間労働時間を計画的に六十三年度から平成四年度中に千八百時間、これはもう今まで何遍も議論されてきたところですが、千八百時間にしようじゃないか、こういう議論がこの国会でも再三されているのです。ですから、そういう観点から見てみても、長時間労働というのはなくさなきゃいかぬ。しかし、これが具体的にはなかなか進まない。それじゃ、これは平成四年度までに千八百時間程度に向けて短縮することが目標として掲げられておるわけだから、経済企画庁としてはこれに近づけるために現在どういう手だてを打っておられるのか。基準法の法改正等を含めてどういう方向で進まれようとしているのか。しかも、日米構造協議の中に内外価格差問題というのが大きな問題として取り上げられておるのも現実ですから、この問題について一つだけ経済企画庁長官の御答弁をいただいて、終わらせていただきたいと思います。
  139. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、所得の面におきましては世界の一流の水準にありながら豊かさが実感できないという原因としては、確かに労働時間の問題あるいは生活必需物資を中心といたしまして物価が諸外国に比べて高い、いわゆる内外物価差がある、その他いろいろな原因があると思いますけれども、昭和六十三年につくりました「世界とともに生きる日本」では、豊かさが実感できる社会をつくっていかなければならないということでいろいろ対策が挙げられているのであります。その中におっしゃるような労働時間の短縮という大きな問題があるわけであります。  最近における実績を見てみますと、六十一年が二千百二時間、それから六十二年が二千百十一時間、それから六十三年が同じく二千百十一時間、平成元年が二千八十八時間とやや短縮をされておりますが、今後の趨勢といたしましては、週休二日制というものがだんだん普及してまいりました。役所におきましても公務員の完全週休二日制への移行、まだ実現いたしておりませんけれども、月二回の週休二日は実現をいたしておりますし、土曜閉庁が実現をしているわけであります。また、年次有給休暇を計画的にとるとか、または連続休暇を普及する。また、この間は交代制の公務員につきましても週休二日が実質的にとれるような対策を講ずるということも決められましたし、それらの施策を通じまして何とかこの計画期間中に週四十時間、それから年間の就労時間千八百時間を実現するような努力を関係各省と連携をとりつつ私どもも努力してまいりたい、このように考えております。
  140. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それはこの計画どおり、平成四年度までには千八百時間になるようにぜひ長官が中心になって進めていただきたいということを最後にお願いをして、終わらせてもらいます。ありがとうございました。
  141. 越智伊平

    越智委員長 これにて松浦君の質疑は終了いたしました。  午後三時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ────◇─────     午後三時開議
  142. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上普方君。
  143. 井上普方

    ○井上(普)委員 経済企画庁長官、お伺いしますが、実はこの間本会議で施政方針演説を承りまして、経済企画庁長官のお話も承ったのでありますが、その際に、ODA関係について何ら経済企画庁長官は言及するところがなかったのであります。由来、経済企画庁というのはODAの調整機能を発揮するところで、当然あるものと思って私も期待しておったのでありますが、なかったのです。どういう理由でございますか。ひとつお伺いしたいのです。
  144. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 突然の御質問であれでございますけれども、おっしゃるように、経済企画庁はODAの関係につきましても、関係の各省庁と協力いたしまして仕事を進めることになっておりますが、ODAという言葉は使っておりませんが、私の経済演説の十ページの後半にこのことについて若干触れております。「発展途上国への経済協力につきましては、我が国が国際的に貢献していく上でますますその重要性が高まってきているところであり、効果的、総合的な経済協力の推進に努め、政府開発援助に関する第四次中期目標の着実な実施を図るとともに、累積債務国等に対する資金還流を促進してまいる所存であります。」こういう説明をしております。
  145. 井上普方

    ○井上(普)委員 そこで、私はお伺いしたいのですが、世界で一番大きく金を出すようなODAになっておる、にもかかわらず今のそれだけしか実はお触れにならなかった。日本の経済援助はどういうような方向でこれからやっていくかという姿勢というものが、今の経済企画庁長官の演説でございますと、十年同じような言葉なんです。世界一の経済援助をやる日本としては何らかの特色がなければならぬと思うのでございますが、それがない、まことに遺憾だと言わなければならないし、また、このODAに関しましては国民の間からもかなり不信が募っておるのであります。  このことにつきましてはおいおいお伺いいたすといたしまして、いかなる方針で今後世界一のODAを使っていこうとせられるのか、お考えをひとつお示し願いたい。これは外務大臣の演説の中にはかなりあったように思われるのですけれども経済企画庁長官の経済演説の中には、それがただいまも述べられたるごとく、まことに簡単といいますか、何といいますかな、これは、おざなりでございます。でございますので、ひとつどういうような方針でいかれるのか、お伺いいたしたい。あるいは、これは外務大臣代理でも結構でございますが、どうでございます。
  146. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 大変にODAに関する記述が簡単ではないかというおしかりをこうむっておりますが、発展途上国に対する経済協力につきましては、今の申し上げました演説の中にも第四次中期目標のことに触れておりますが、一昨年の六月にこの中期目標を設定いたしまして、昭和六十三年から、一九九二年でありますから平成四年度までの五カ年間でODAの実績、総額を五百億ドル、つまりそれまでのおおむね倍の実績になりますように量的拡充及び質的改善を図るという基本方針が立てられておるのでありまして、その方針に従いまして関係各省庁相協力してその実施に努める、このような体制になっております。
  147. 井上普方

    ○井上(普)委員 総理府の「経済構造調整に関する世論調査」というのをやっています。それによりますと、国内でございますけれども、経済大国として豊かさを実感しておるというのは二二・四%で、国内の生活についてはこう考える。ODAの五カ年倍増計画については一七%の国民しか実は賛成していないのであります。六割近くの人たちがこのODA予算を増額するに当たってはこれはちょっとおかしいじゃないかという世論調査、これは総理府がやった調査なんです。五八%でございましたか、増額すべきじゃない、増額することについて疑問を呈しておるのであります。  そこで私は、こういうような疑問が国民の間からなぜ出てくるか、これは政府としては考えてみなければならない問題だと思う。それはなぜかと申しますならば、マルコス疑惑で象徴せられるように、対外援助につきまして不明朗なところがたくさんあるのじゃないか、人類愛だけでやる経済援助でなくなっているのじゃないか、こういう考え方が国民の中からあるから、六割近い人々が増額することに疑問を感ずるようになっておるのではないかと思うのです。  こういうことに対しまして、政府としてはどういうような考え方で今後臨まれるのか。少なくとも経済大国になりましたのですから、私どもは経済援助につきまして肯定的な立場に立たなければならない、しかしながら、国民の間からそういうような疑問が生ずることに対しては、政府としては責任を持って、国民が喜んで税金が出せるような体制にしなければならぬと思うのですが、その点についてはいかがでございますか。
  148. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 私からお答えするのが適当かどうかと思いますが、確かに、海外経済協力に関しまして一体日本の国がどういうようなことをしているかということについて、国内各般各層における理解が足らない点があるいはあったのではないかという気もいたしますし、また私どもも被援助国におきまして、特にODA関係の事業の実施が、果たしてその各国におけるニーズにぴたっと適合したものであるかどうかとかいうような問題についても、いろいろ耳にすることがございます。ただこの間も、私は経済協力基金の総裁等にこの点に関して質問をしましたら、聞きましたら、いや、伝えられるようなことは別にないんだということも聞いております。  いずれにいたしましても、せっかく相当大きな金を使いまして各国に対しましての援助をしていることについての国民の十分な理解を得られないということは、これまた残念なことでありますので、そういう点につきましては関係各省庁とまた協力をいたしまして努力をしなければならない、このように考えております。
  149. 井上普方

    ○井上(普)委員 いや、ともかくこの調査が出てからもう一年数カ月たつのです。政府とすれば、国民の皆さん方に喜んで出してもらえるような援助にしなきゃならぬという責任があると思うのですよ。これについて内閣としてはどういうようなお考え方でいかれるのか、外務大臣代理でもあるし官房長官でもあろうから、ひとつ坂本さんにお伺いしましょう。
  150. 坂本三十次

    坂本国務大臣 我が国が今日の繁栄を築き上げたということは、世界の平和からの大変な恩恵であります。平和の配当としても、これはやはり我が国にしては大変な重大な、我が外交におきましてはもちろんのことでありますが、日本国としても世界に対する大変な貢献をすべき、日本の得意わざとも言われるようになりたいと私は思うておりますが、ただし、委員の言われるように、どうも国民の評価がまだ低いのではないか、理解が足りないのではないか、もっと何か工夫をしろ、こういうお話でありますが、ごもっともなことだと思いますが、しかしこの問題は、我が国の援助のあり方は、非常に民生の安定に役立つとか福祉の向上に役立つとか、普遍的な要素がやはり各国の援助よりも強いように思われます。それだけ広がりがあるわけでありまして、まだ十分に国民の皆様方にはここぞという焦点を絞った訴え方が足りなかったのではないかなと思うておりますが、この点についても今後ともよく注意をしてやっていきたいと思います。  細かいことは政府委員からお答えいたします。
  151. 木幡昭七

    ○木幡政府委員 お答え申し上げます。  ただいま外務大臣代理のお立場から官房長官からお答えいただいたとおりでございますが、特に国民にどういう理解をしてもらうかという点につきましては、先ほど先生のいろいろ御批判があるという御指摘にこたえる形で、私ども、ここ数年来評価の充実ということについて特に意を用いて努力しているところでございます。実施官庁のみならず、第三者の公平な立場からの評価等についても、いろいろ現地に赴いていただきまして調査をしていただき、アドバイス等をいただいて、その反省の糧としているところでございます。  我が国の援助につきましてはどういう方向でやるのかという御指摘もございましたが、人道的な考慮というのが南北問題の座標軸でございますが、それを踏まえ、かつ相互依存という観点も踏まえまして、我が国の経験に立ってきめ細かな援助をしていくということで鋭意努力しているところでございます。先方のニーズにマッチした、かつ効果的、効率的な援助ということに特に意を用いている次第でございます。
  152. 井上普方

    ○井上(普)委員 いや私は、国民の間から不信がある、だからこれを解消するには政府はどういうような方法をやっているのだということをお伺いしたのだ。外務大臣臨時代理のお話は、私は何をおっしゃったのかさっぱりわからぬ。また外務省も、ともかく反省ばかりしてからに、一体どうするのだという方法がない。もうこれは何年も言われていることなんです。しかも、世界一大きくなっているのです。なけりゃならぬと思うのですよ。むしろ、フィリピンなんかにおきましては、本当に相手国民に感謝せられておるのかどうかということには我々は疑問を持っておる。むしろ、フィリピン国民の間では疑問あるいは不信感がマルコス事件以来出ているのじゃありませんか。これに対してどういうような方法でひとつ考えるか。機構的に考えなければいかぬと私は思う。そしてまた、これが効率的に行われるような方法でなければなりません。  ここに私は各国の資料を持っています。これは言うも恥ずかしいようなことがたくさんあるじゃありませんか。これなんか見てごらんなさい。これは毎日新聞の去年の一月二十四日の新聞ですけれども、フィリピン援助の通勤用の列車が、新しいのですよ、ぴかぴかのものが五十五両も雨ざらしになっているという写真が出ているのです、こういうように。去年です。総額は四十九億円、稼働しておるのは十両で、五十五両がともかく雨ざらしになってさびついておるというような姿が出ておるじゃありませんか。国民の間からは不信感が出てくるのは当たり前な話。これは貴重な税金ですからね。これは一例です。まだまだありますよ。これは総理府が調べた資料もあります。  そこで、こういうようなことがあるので、私は、政府としてはどういうようなこういうものをチェックする機構をつくっているのだということをお伺いしておるのです。お話がございましたら承りたい。
  153. 木幡昭七

    ○木幡政府委員 お答え申し上げます。  先ほどちょっと触れさせていただきましたが、そういう御批判にこたえる意味で、評価について省内で委員会をつくりまして、鋭意細かいところまでチェックするという機構的な手当てをしているところでございます。  また、御指摘のただいまのフィリピンにおける通勤旅客用列車の件につきましても、先方現場を訪問いたしまして、今後改善すべきところを何回も見まして、せっかくの援助でございますので、これまでの成果を踏まえて改善すべきところは改善するという具体的な問題についても一つ一つ手を打っているということで、努力をしていることは御理解賜りたいと存じます。
  154. 井上普方

    ○井上(普)委員 それが国民の目にもわからず、私どもにもわからぬから聞いているのですよ、これは。  そこで、一つの方法といたしまして、援助の公開制について政府は考えた。そこで、受注企業名の公表については、これは援助の相手国の内政干渉になるからということで外務省の方はなかなか言わない。けれども、国際事業団がかかわったものについては公表に踏み切ったと私は聞いておるのですが、どの程度発表しておるのですか、ひとつお伺いしたいのです。
  155. 木幡昭七

    ○木幡政府委員 企業名の公表につきましては、有償資金協力、無償資金協力等に分けまして、昭和六十二年度以降、私どもとして相当努力をしているところでございます。公表基準等も定めまして、先方が了承するものについては原則として公表していくという方向でやっているところでございます。細かい公表基準等は御要望がございましたら別途資料等で御説明させていただきますが、一例を挙げますと、有償資金協力につきましては、六十二年度以降の円借款関係につきまして相手国政府の了承を取りつけることを条件として公表するということで臨んでいることは御案内のとおりかと存じます。
  156. 井上普方

    ○井上(普)委員 そこでお伺いするのだが、相手国が了承せなんだのは幾つあるのです。金額にして幾らです。
  157. 木幡昭七

    ○木幡政府委員 突然の金額という具体的な御質問でございますので、私は手元に金額的な持ち合わせはございませんが、公表の方法といたしましては、年報等において定期的に公表するという形でやらせていただいております。
  158. 井上普方

    ○井上(普)委員 何%できていますか。
  159. 木幡昭七

    ○木幡政府委員 パーセンテージについては、申しわけないのですが、ただいま手元に持ち合わせがございません。
  160. 井上普方

    ○井上(普)委員 向こうの内政に干渉するおそれがありということで実は公表ができないのが実態じゃありませんか。しかし、金を払う国民側から見ますというと、マルコス疑惑のときにもこれがほとんど公表されなかった。政府は拒絶したのです。それで、国会におきまして論議になりまして、ようやくそこまでいった。なかなか公表しない。しびれを切らして会計検査院が検査に行った。ところが、これは外務省が余り協力しなかった。相手に対して内政干渉になるということで協力しないので、余り成果を上げずに会計検査院は帰ってきた。次の年には総理府がこれの実態調査を実はやったけれども、これもまた十分な成果を上げずに帰ってきておるというのが実情じゃございませんか。その間には、私が申し上げるまでもなく、在外公館へ行くのですから、在外公館の協力がなかったらできない。余り協力をしておるように私、話を聞いていないのです、これは。外務省はどういうような立場でやられておるのか知りませんけれども、すべて向こう側の内政干渉になるから、金は出したはいいけれども、内政干渉になるというので、出し損だなというような感じもするのですが、ここらあたりしっかりしたともかく対策というものを講じていただかなければ、先ほども申しましたように国民の五八%が援助の増額については疑問に思っている現状なんです。これは、政府は一体となってこの問題について解決してもらわなければいかぬと思うのですが、どうでございます、官房長官
  161. 坂本三十次

    坂本国務大臣 今おっしゃったようないろいろな問題もございましょうから、ただいま具体的に例示をされたフィリピンの例もございますし、篤とひとつ今後ともフォローアップをやって、点検をしっかりやって、進めていきたいと思っております。
  162. 井上普方

    ○井上(普)委員 ここらあたりで、実現はした、しかしながらフォローアップするということが私は必要じゃないかと思うのですよ。  私、今から十年ぐらい前でしたか、実はイラクへ参りまして、そして飛行場からバグダッドへ至る道、高速道路、片側四車線の立派な道路があるのです。行ったところが、往復八車線でございますので、ところどころに歩道橋がある。立派な歩道橋だなと聞いてみると、その歩道橋には全部エスカレーターがついておるのです。これはおおっと言うて聞きましたら、砂漠の中で歩道橋ですわ、砂をかぶってじゃりじゃりっと二、三遍いうたらそれで終わりで動かぬというのが歩道橋。これは一体日本が金を出したのかい、技術援助をやったのかいと聞きましたら、幸いにして日本じゃございませんで、欧州の某大国でございました。私はそのとき胸をなでおろした。こういうようなケースが日本でもなきにしもあらずなんですよ。  また、医療経済協力も私、見ました。見ましたら、果たして日本の大学病院でも持っておらぬような立派な施設がある。果たしてこれが動いておるのかいなと思って聞いてみましたら、動いていない。そういうような例もあるし、片方、インドへ行きましたら心臓外科の手術をする設備がある。見てみますと、それは余り金をかけずにやっておる、しかも立派な病院だと私は思った。それはどうしてかというと、関西にある成人病センターから専門のお医者さんが行って、向こうのお医者さんを訓練しながら施設をつくっていったというような、何といいますか、実に成果の上がった病院もある。しかし一方、プロジェクトチームあるいは商社に、丸紅やらあるいはどこやら知りませんけれども、商社に一括してともかく道具を全部納入させておるから、日本の病院よりもはるかにいいような病院ができて、機械は動いていないというような施設もなきにしもあらず。  しかも、この経済援助というのはどういうようにやっているかというと、商社あるいは日本の国内の業者がチームを組んでプロジェクトチームをつくって、そして向こうの政府にこんなことをやりなさいや、こんなことをやりなさいやと言って売り込んでいく。そしてまた、それが日本の外務省に返ってきて国内の要求になる。これはよろしいなということで採用になったら、そのプロジェクトチームが全部受注して仕事をする、こういうような仕組みになっておるのじゃないですか。ここに問題がある。これを直さなければならぬと思うのですが、どうです。これは通産大臣かな、だれかな。外務省か。通産省だろう、恐らく。どなたでも結構です。
  163. 木幡昭七

    ○木幡政府委員 ただいまの御質問の点につきましては、私ども、日本の企業の後押しをしているというようなことはODAについて言われることのないように常日ごろ配慮しているところでございます。御案内のとおり、一般アンタイにつきましても、我が国は牛場・シュトラウス合意以来大変努力をいたしておりまして、OECDの加盟諸国の中でも我が国のアンタイドの比率は最も高いところまで来ているわけでございます。日ごろいろいろな面で努力しているという点についても御理解をいただきたいと思います。
  164. 井上普方

    ○井上(普)委員 日ごろともかく努力しておることを認めてくれと言うけれども、こんなことをやりながらやっておるのでひとつ認めてくれと言うのならいいけれども、ただ口先で努力を認めてくれと言ったって、これは話にならないと思うのです。  ここにも総務庁のODAの監察結果が、これは評価調査がございます。私、持っています。持っていますけれども、いろいろとこれまた問題を示していますよ。これは六十三年の七月で、六十三年の終わりに発表になった。終わりだったかな、去年の初めですかな、評価は。こういうようなことを根本的に直す仕組みをつくりなさいと私は言っているのですよ。ただ反省しています、これだけじゃ話にならない。どうでございます、外務省。
  165. 木幡昭七

    ○木幡政府委員 経済協力についてのきちんとやる仕組みをつくれというお話でございますが、評価につきましては、先ほど申し上げましたように、省内に委員会をつくりまして有識者の意見等も御開示願うように、きちんとした省内的な組織が一つございます。そのほかにも経済協力に関する関係閣僚会議という場もございまして、いろいろ御審議を願うという場もあるわけでございます。そのほか会計検査院報告あるいは行政監察等につきましても私ども謙虚に受けとめまして、省内には官房長を長とするタスクフォースをつくって、常に問題点の改善に努力するという機構は省内的にちゃんとやっているつもりでございます。
  166. 井上普方

    ○井上(普)委員 それは私、あなたのをいただきましたけれども、これをいただいて、なかなかくれぬものだから、これはコピーして持っているのです。それで、経済協力評価報告書というのを私も目を通しました。十分なことできていないじゃないですか、これでは。実際できていない。私らが見て、できていないと思うよ。  一例を申しましょうか。例えて言うならば、エジプトに、皆さんも御存じのとおりあそこにオペラハウスができているのですよ。有名なんですかなあ。あれが民生安定のためになる、こう言うのだから、私らあきれて物が言えない。これはうそか本当か知りませんけれども、当時の大使がオペラが好きな人がおったがためにエジプトにオペラハウスをつくって、そして経済援助をやったというような話も承っておる。ほほうというようなことになるんですよ、これは。相手国の民生の安定とその生活の向上のためにと思うのだけれども、そういうような、もし外交官の恣意によってこれが使われるようなことになったら大変だと思うのです。だから私はあえてこれを言うのですよ。あの評価についてはどういう評価をしていますか。
  167. 木幡昭七

    ○木幡政府委員 お答えを申し上げます。  エジプト、これは私どもオペラハウスという形で協力したわけではございませんで、教育文化センターということで先方の要請に応じましてやったものでございます。私ども日本としてはエジプトを中近東における最も重要な国の一つと考えておりまして、同国経済社会の状況、大変難しい状況にかんがみまして、これまでもカイロ大学における附属小児病院とか低所得者層の住宅供給計画、その他種々援助をしてきたところでございます。  他方、エジプト政府から悠久の歴史を有するアラブ・イスラム文化の中心地であるカイロの中州、一等地に教育文化センターをぜひ建設してほしいという大変強い要望がございまして、私どもいろいろ検討し先方ともお話ししたのですが、先方としてはあくまで最も高い優先度を付しているという強い御要望があった次第でございます。このような経緯を踏まえまして、私ども先方の要請にかんがみ、またそういうアラブ・イスラム文化の中心地にそういう青少年等を含めた広い各層の教育、文化の中心となるような施設をつくることは有意義であろうということから、援助をした次第でございます。
  168. 井上普方

    ○井上(普)委員 この経済援助というのは、人道愛によって相手国の民度の向上、生活の安定を図るということ、これが目的じゃございませんか。文化の向上とかそういうようなことがあるのかいな。私はわからぬのですが、それにうとうていますかしら。私は寡聞にして聞いてない。  ともかく、エジプトに行けばオペラハウスがあるというので有名な話になっている。まだ日本にはいいオペラハウスはないのです。こういうようなことが、もし外交官の恣意によってつくられるとするならば大変なことなんだ。だから私は言っているのです。評価、評価とおっしゃいますけれども、外務省の評価なんというのは、これが出ました、目を通してごらんなさい。あきれるようなこと書いてあるよ、ここに。実に踏み込みが不十分な評価であると言わなければならないのであります。  だから、私はひとつ、経済企画庁と外務省と通産省と大蔵省と、ここらあたりチェックしていただくと同時に、フォローアップしていただかなきゃならぬ。この点についてどなたか大臣どうぞ。
  169. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員から御指摘になりましたような問題が従来からもたびたび本院において議論をされた経緯、私も承知をいたしております。  そして、そういう御指摘の中で、ちょうど六十三年の十二月に、政府・与党の間におきましてもこうした問題点についての論議が交わされ、その結果として内閣に対外経済協力関係閣僚会議を開催することといたしまして、官房長官を座長としてこれが発足をいたしました。そして、十分に機能しているかどうかという点になりますと、あるいは委員からまだ御批判があるかもしれませんが、この会議はその後も何回か開かれながら、従来欠けておりました各省庁間における情報の交換を含めて我が国の対外援助のあり方についての論議を進めておるところであります。  そして、私なりにその当時、党側でこの閣僚会議をつくるいわば世話役をいたしました立場から、その当時の問題点として認識をしたことを申し上げますと、相手国からの要請に基づいて当然外務省としてはそのプロジェクトの選定を行われるわけでありますが、その中での一つの問題点は、たまたま先ほど委員がうまくいっている、適切な対応のできている医療機関を例示に挙げられたわけでありますが、こうした例えば医学関係のプロジェクトの場合、外務省あるいはJICAの恣意的な選定ではなく、例えば国立大学でありますとかあるいは厚生省等の協力を得ながら、ソフトもあわせてそれぞれのプロジェクトを推進する体制をつくるべきである、あるいは農林水産関係等の協力におきましても、農水省等の専門家の協力を得ながら、プロジェクトの選定自体についても日本としての優先順位を考えていくべきである、同様に、例えば産業協力の部分におきまして、環境保全等の視点からのチェックも行っていくべきである、こうした視点からこの閣僚会議を発足をさせたわけであります。そして、いわゆる従来四省庁体制と言われておりましたものに、官房長官がいわば座長格として随時これを招集され、プロジェクト等について具体的な検討が行われる仕組みも用意をいたしました。その後、すべてが完全に私はこのとおりに機能していると申し上げるところまでの自信はありませんが、今申し上げたような仕組みを内閣としては用意をいたしております。  しかし、基本的には、一つは我が国の援助の中でアンタイドのものをふやしていく努力、先ほど経協局長も申しておりました。こうしたことにより、日本がいわれなき誹謗を浴びないで済むことを一つは考えなければならない。また、例えば累積債務国等に対する援助等を考えます場合に、今ブレイディ戦略の新債務戦略に乗りましてIMFとのプログラムの合意の上に日本の援助体制が機能する仕組みを用意する。その他さまざまなことでこうした御批判にこたえる努力を内閣としてもいたしておるさなかであるという点について、当時の関係者の一人として、また現内閣の閣僚の一人として、委員に御説明を申し上げる次第であります。
  170. 井上普方

    ○井上(普)委員 この問題については、関係閣僚会議等々が開かれるようになったということは私も承っております。そしてまた、それについての自民党側の意見というものもかなり強く反映するようになったという話も実は私も承っております。  しかしながら、これが一体本当にいけるんだろうかということを実は私も憂えるのです。といいますのは、竹下内閣のときでございましたか、アメリカからフィリピン援助につきまして多国間援助構想というものが出されて、そしてそれが日米の間で合意されたという事実がございます。それは、一つの問題について多国間でやることがあるいは効率がいいかもしらぬ。しかしながら、うっかりこれに乗るならば戦略的な経済援助になりかねない、私はそのおそれがある。現に中進国であっても政府の無償援助が行われるというような例もあるのです。だから、これはやはり厳に慎まなければならない。あくまでも人類愛に基づいた政府の援助でなければならぬと思いますので、この点について危惧を持っておりますが、この多国間援助構想につきましてはその後どういうように発展しておりますか、その枠組みと内容についてお伺いいたしたいのです。
  171. 木幡昭七

    ○木幡政府委員 フィリピンに対する多国間援助構想でございますが、これはフィリピンのアキノ政権を経済協力面で支援いたしまして、東アジアの重要な国の一つであるフィリピンの安定を図るということを主眼として、より多くの援助国が集まって一致してフィリピンの経済再建を支援するということで始まったものでございます。  我が国といたしましては、フィリピンの政治的な安定、経済的困難の克服が東アジアの安定と繁栄にとって極めて重要であるという考えを持っておりまして、フィリピン援助に努めてきたところでございます。昨年七月、世銀主催によりまして開かれました拡大援助国会合におきまして合意されたラインに沿いまして、現在着実なフォローアップに努めておりまして、フィリピン側も援助の実施、吸収能力の向上といった援助を受け入れる側の体制整備に鋭意努めておりまして、ミニ援助国会合を開催する等の努力もしているところでございます。また、フィリピン側においても構造改善にも努力するというようなことで、着々と努力しているというのが現状でございます。
  172. 井上普方

    ○井上(普)委員 今の御答弁で私は納得できない。といいますのは、これは人類愛から出発した、国民生活の安定ということが中心でなきゃならない。今のお話でございますと、アキノ政権の安定のためにというお言葉があった。まさにこれは戦略的な考え方じゃございませんか。こういうような考え方で援助をせられるということについては本来の意味合いが違ってくると私は思う。いかがでございます。
  173. 木幡昭七

    ○木幡政府委員 私がフィリピンのアキノ政権を経済協力面で支援しということを申し上げました趣旨は、これは当然のことながらアキノ政権のもとで鋭意努めておりますフィリピン経済の安定化の努力を支援するということでございまして、特定の政権を支援するという趣旨で申し上げたわけじゃございませんでしたが、ちょっと舌足らずでございましたら、この点おわび申し上げます。  我が国の援助が決して戦略援助ということではございませんで、その国の民生の安定向上に資することによってその国が経済的に安定する、それがまたその国が置かれている地域の安定にも役立つ、それがまたアジア全体の安定にも貢献する、そういうことで私ども支援しておるところでございます。
  174. 井上普方

    ○井上(普)委員 それはおかしい。今のお話を承りますと、ますますおかしくなってくるんだよ。マルコス政権のときには、マルコス政権の永続のために、援助するためにあのようなむちゃくちゃな援助をやったんじゃありませんか。政権の維持のためにやるんじゃない、国民の生活を向上させるためにやるんだ。それが人道的な経済援助の中心でなければならないし、そういう趣旨でつくられておるのでしょう。どうも外務省の考え方というのは、今も政権の安定をすることが先であって、そうすれば国民の生活も安定するんだというお考え、それは考え方として逆なんですよ。ここに日本の経済援助の、外務省の考え方の過ちがあると私は思うんだが、どうです。
  175. 坂本三十次

    坂本国務大臣 今政府委員答弁をいたしましたのは、その国のそのときの政権を援助するというそういう要素ではなしに、その国の民生の安定に寄与する、この大原則だけは外務省は間違ってはおらぬと思いますが、しかし、あなたのおっしゃるように、五十五台もほったらかしになっておったとか、結果としてロスがあったとか、これについては厳重にやはり今後ともフォローアップをし、反省をし、評価し直さなきゃならぬと思っております。先ほど大蔵大臣も申されましたけれども、海外経済協力に関する閣僚会議もございますので、官房長官が座長でございますが、そういう場を活用をいたしまして、そしていやしくも本末転倒などというようなことのないように、そしてきめ細かく実効を上げるように、国民の理解を得られるようにということで努力していきたいと思っております。
  176. 井上普方

    ○井上(普)委員 しかし、それにはできるだけ援助の内容、これを国民に知らすということが必要なんだ。これは、とかく向こうさんの内政に干渉するというような気兼ねをしながら、果たして向こうが言うておるかどうか私らわからぬ、外務省が言うておるだけじゃないかという気もするのですけれども、まあそれは信用いたしましょう。しかし、極力そういう問題を、内政干渉やということを言わさぬようにして援助をするようにひとつ御努力をお願いいたしたい。このことを強くお願いすると同時に、国民の皆さん方から疑惑を招いたり——喜んで出せるような経済援助にしなきゃいかぬと思いますから、私はあえて申し上げる次第であります。この点について御努力をひとつお願いいたしたいと思います。  続いて、実はきょうの新聞を見ますと、新行革審が最終答申をきのうですか、出したようです。それで、一番大きいところに「公的規制 実質半減を」「土地活用 私権制限も」と、こう大きく書いてある。ほほうと思いまして実はこれを読ましていただきました。  国土庁の長官にお伺いいたしますが、要約しますというと、土地利用計画を充実し、大都市で用途地域を見直し、共同・高度利用を推進し、私権の制限を含む強力な制度を整備し、土地税制の総合的見直しをやる、こう書いてあるのですな。これを受けて、新行革審の最終答申を受けて国土庁は何をするつもりですか。もう受けておるんだから、あなた方は。この私権の制限というのはどんなことするつもりなんです、ひとつお伺いしたいのですよ。
  177. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 井上先生にお答えしますが、恐らく、私はその新聞読みましたけれども、土地神話を崩すためにということでいろいろなことを書いてあると思うのですが、詳しいことは政府委員から答弁させますので、よろしくお願いします。
  178. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 土地対策につきましては、先ごろ制定していただきました土地基本法の理念に基づきまして、またそこに示されました施策の展開方向に従って今後対策を講じていかなければならないわけでありますが、当面の対策といたしまして、もう御案内のとおり、昨年末にも土地対策関係閣僚会議におきまして十項目の「今後の土地対策の重点実施方針」を決めております。この方針に従いまして、現在、大都市地域の住宅宅地の供給促進、土地税制の総合的見直しにつきましても、既に政府税調に小委員会を設け御検討に入っていただいておるようでありますが、税制の総合的な見直しあるいは借地・借家法の見直し等々、需給両面にわたる対策を進めておるところであります。行革審の方からも最終答申をいただいたわけでありますが、私どもも今後それをよく吟味しまして、そういう対策とも整合させながら、ひとつ土地対策を充実させていきたい、そういうふうに考えております。
  179. 井上普方

    ○井上(普)委員 その土地閣僚対策会議なるものの十項目も見てみました。そうすると、やはり私権の制限ということが書いてある。どういうことを指しておるのか、ひとつ私に、わからないのでお示し願いたいと思うのです。
  180. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 大都市地域の住宅宅地供給促進につきましては、工場跡地等低・未利用地の有効利用を促進するための制度を整備するということになっておりますが、恐らくその中で、現在建設省等で法制の検討を進めていただいておるわけですが、遊休地の利用を促進するための行政勧告制度とかあるいは勧告をした場合の実効力を担保するための制度、そういったものを検討しておられると思います。また、市街化区域農地につきましても、都市計画において保全するものと宅地化するものに明確に区分しまして、計画的な保全と宅地化を推進するための関係制度の整備充実を図っておるところでありまして、この中でもいろいろな土地利用計画制度、そういったものを考えておりますので、新たな地区計画制度、そういう土地利用計画に従って今後の土地利用を進めるということでありますので、ある種の、こういうのも私権制限の一環に入るんじゃないか、そういうふうに考えております。そういうたぐいのものが、土地利用計画上のいろいろな制約、そういったものが主たるものではないかというふうに考えております。  ただ、税制につきましても、今後展開によりましてはいろいろな、やはり取得、利用、処分、そういった各段階における私権の制限に広い意味では及ぶような部分もあるいは出てくるんじゃないかというふうに予想されるわけであります。
  181. 井上普方

    ○井上(普)委員 特に、私は憲法二十九条の関係で実はお伺いしているんです。土地が持ちます特性により公共の福祉優先のためにひとつ私権の制限をやるというのであれば私はわかるんだが、しからば公共の福祉とは何ぞやということが問題になってくる。ところが、この公共の福祉ということについて、先般の質問でも私は申し上げたんだが、行政権の独走であってはならない。これをするためにはやはりその地区住民の了解を得た上でなければ、すなわち土地利用計画の詳細について地区住民の了解を得るといいますか賛成を得るということによって初めて公共の福祉というものが私は出てくるんだろうと思うんですよ。そこのところを一体どう考えるのか、私はお伺いしているんです。  ただ、ここに出ております考え方からいたしますと、ただ単に、これは新聞記事でございますので、答申の全文とありますが、そこには「土地の計画的利用を図るため、私権の制限を含むより強力な制度を整備する。」と書いてある。これは一体どういうことかわからないので、わからないと同時に、政府もこの前の閣僚会議で決定しておりますので、あれは一体どういう意味なんだということを私はお伺いしているんです。あくまでも行政権の独走になってはならない、こういう観点が抜けているんじゃないだろうかと思いますので、お伺いしているんですよ。
  182. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 土地利用を土地利用計画に従って秩序的に行う場合にも、特に計画を策定するに当たりましては、基本法にも規定を設けていただきましたように、住民の意思が反映された計画でなければならないことは当然であります。住民の意思が十分反映されたような土地利用計画に従って利用面ではいろいろな形で私権が制限されていく、そういう趣旨に私は理解しておるわけであります。先生指摘のとおり、確かに土地利用に関する公共福祉というのは、やはりその時代、時代あるいは国民の意思に従って具体的には内容が詰められていくべきものだ、そういうふうに考えております。
  183. 井上普方

    ○井上(普)委員 しかしながら、住民参加ということが諸計画の中には全然出てこないんですよ、臨調の答申にいたしましても、政府の先般の土地閣僚会議内容にいたしましても。ただ私権制限だけはきちっと書くけれども、住民の参加ということが全然言ってない。それで果たして公共の福祉に沿えるのかどうか、私は大きな疑問を持つんです。だからここを聞いているんですよ、私は。  この間も私ちょっと申しましたが、戦災復興都市計画事業で道路面積はわずかまだ七%残っておるんですよ。その土地は、私権制限が厳しくやられています、売れないんですから。そしてまた、永久建築物を建てられないんですから。それで四十年ほったらかしてあるんですよ、これは。これは戦災復興都市計画事業だけではありません。都市計画で策定いたしますというと、そうするとその土地にはもう永久建築物は建てられないというのが大体の原則になっている。だから新しく家を建てようとしましても建てられない、実際問題としては。いつ着工するかわからないんだから。これも行政権の独走でしょう。そして私権の制限が行われておるんです、事実。だから、こういうようなことがあって、これには住民参加ということがないから、住民の皆さん方、不平たらたらですよ、どうしてくれるんだと。行政訴訟でも起こされたら国は負けるに違いないと私は思う、四十年もほってあるんですからね。こういうようなことをなくするためにはどうすればいいか。そして、公共の福祉のために私権の制限をやらなきゃならぬ場合もあるでしょう、私はあると思う。その手法というものについては全然触れられていないのが今までの答申であり、かつまた政府、閣僚会議の結論なんです。役人的発想なんです。ここに私は疑問を生ずるし、大きい問題があると考えますので、お伺いをいたしておるのであります。
  184. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えをいたします。  現行都市計画の法制の中で公聴会等によって住民の意見を反映をする場を手続上決めていることは、御案内のとおりでございます。  それから、先ほど来お話のございました未整備の都市計画道路につきましては、建築制限がかかっておりますが、これについては、基本的には当該土地の権利者が公共の福祉のために受忍すべき社会的な拘束に基づくものである、財産権に本来内在するものであるということが判例上も認められているとうつところでございます。しかしながら、長期間にわたって未整備のまま放置することは好ましくありません。そこで、事業費の確保あるいはどういうプログラムでこれから整備していくかというような計画的かつ効率的な整備を図るということで、土地の所有者の方々の希望に可能な限り対応できる、あるいは土地の先行取得というような制度も活用する場合もございますが、そういうことで事業の進行、それから土地の所有者の希望に沿うように努力をしているところでございます。
  185. 井上普方

    ○井上(普)委員 局長さん、それはだめだ。戦災復興都市計画事業の道路ですよ。それが七%まだ残っているのですよ。その道路上にある建物というものは、恐らく拡張の場合です、私の知っておる人で、これを先買い権で買うてくれといって行政官庁に要求いたしましたら、そんな金ないといって断られる。建築物ができない。しかし、今おっしゃった都市計画法の改正というのは昭和四十四年にできたのですよ。いいですか。そのときあなた方お役人が考えたことは、住民参加ということを考えていなかった。私どもがこれを当時の保利建設大臣お話しして、これは入れるべきだということでやったら、保利茂建設大臣は英断を持って住民参加を入れたがために、公聴会であるとかこういう制度が入れられたのです。役所の役人の頭の中には、住民参加というのは一かけらもなかった。ようやく修正ができて、これが実現した。  そうして、今から思いますと、一年しますというと、都市計画法実施一周年記念と麗々しくレセプションをやったのです。見ましたところが、今度の都市計画法の一大特徴はといって、住民参加にあると書いてあった。当時の皇太子御夫妻がこれに出席したという。まあ厚かましくも建設省は書くものだなと思って感心したことがある。今も麗々しく言うが、頭の中には住民参加というのは全然役人にはないのですよ。だから四十年間もほうってあるのですよ。だから、こういうことが起こらぬようにするにはどうすればいいかということを私は聞いておるのです。これは選挙した者だったらよくわかるのだが、建設大臣どうですか。あなたは役人とはちょっと違った発想が出てくるでしょう。どうです。
  186. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 全国で都市計画決定されております道路が六万二千キロありまして、今おっしゃるように六%強のものが今言ったような形になっておるわけですね。今井上さん御指摘の、東京都におきましてもマッカーサー道路と言われておる環状二号線、虎の門から汐留に至る一・三五キロ等々ございます。それで、この前の御質問から私もいろいろと調べてみました。そうしますと、やはり住民の方々が反対ということもございますし、区議会でもいろいろ問題があったようですが、東京都はこれはどうしても必要だというようなことを言っているような問題もございます。  そんなことで、先ほど私権制限という問題と公共の福祉の問題あるいは憲法二十九条の所有権の問題等々、大変土地の問題というのは複雑でございますが、公共の福祉の向上のためというその目標の設定の仕方ですね、そこにいろいろ官主導型ではいかぬ、こういうふうな御指摘でございますが、やはり計画を立てるときはある程度計画を立てて、住民の皆さん方の御同意が得られるように努力をしなければならぬと思います。過去四十年間こういう形になっておったということはまことに残念でございますが、それぞれの事情があったのだと思います。しかし、例えば四谷から新宿に至るような道路は、これはうまくいった例だというのもございます。そういうことで、なるべく住民の皆さんの御同意が得られるように、特に最近は立体道路等々という問題もございますし、いろいろな工夫を凝らしながら、公共の福祉の目的に沿いながら、土地の所有者の方も御満足いただけるような方向について努力をしてみたいと考えております。
  187. 井上普方

    ○井上(普)委員 四十年ほうっておけばそれはあなた、これはこのまま置いてくれというのは無理ないですよ。反対が起こるのも無理ない。私らの国でもそれはあるのですよ。こういうことでございますので、恐らくそれは住民参加が余りない計画なのでそういうことになったのだと思う。だから、これからの私権制限、いわゆる公共の福祉ということを表にするならば、都市計画法で言っておる住民参加あるいは国土利用計画法で言う住民参加を十分にやる、その上に立っての制度でなければならないことを強く要求いたしておきたいと存ずる次第であります。  続いては日米構造協議につきましてお伺いいたしたい。これは官房長官、何か記者会見があるようで時間が迫っておるようなのでお伺いしたいのですが、日米構造協議によって日米間の貿易収支が、アメリカさんからいうたら改善か、日本でいうと黒字が減らなければ一体どうなるのですか。その場合の想定はどういうように考えたらいいのですか、お伺いしたいのです。
  188. 林貞行

    ○林(貞)政府委員 日米構造協議は、対外不均衡是正に向けて両国の経済政策協調努力を補完するものとして始められたものでございまして、中長期的に見た場合に日米貿易インバランスの解消に資するものと考えております。もちろん、この構造調整と申しますのは簡単にできるものではございませんで、これが数字にあらわれるというのも時間がかかることは当然でございます。この点アメリカ側の代表団も、中間報告の後開かれました記者会見で、これは数字にあらわれるには時間がかかる、しかもそれは日本側の努力のみならずアメリカの努力にも関係してくるのだという趣旨のことを言っております。
  189. 井上普方

    ○井上(普)委員 日米貿易インバランス解消に貢献するものだ、こうおっしゃる。数字にあらわれるのはかなり年月がかかる、こう言う。そうなってくると、またまたアメリカの議会がぎゃあぎゃあ言うのじゃありませんか。ここ一、二年、二、三年のうちに貿易インバランスが何%ぐらいにまで、貿易収支でどれくらいの赤字にまで差が縮まった場合に初めて効果があると向こうさんは考えるのでしょうか。そこらあたりまでの話ができていますか。
  190. 林貞行

    ○林(貞)政府委員 先ほど申し上げましたように、この構造協議は、マクロの経済政策協調努力を補完するものとして両国の構造問題を取り上げておることでございますが、そういう意味において、マクロの経済政策協調のよろしきを得れば当然のことながらインバランスの解消に資するわけでございますが、これも先ほど申し上げたように時間がかかる問題でございます。これはアメリカも承知しておりますし、またアメリカも、これは日本の努力だけではない、両国のマクロ政策、それからアメリカ自体の構造問題への努力、こういうものにもよるということを言っております。したがって、例えば今先生がおっしゃいましたように、二年以内にインバランスが解消しない場合にアメリカが云々というのは、日本がここで自主的にとるといった措置を誠実にとっている限りにおいてはそういう問題は生じないというふうに考えております。
  191. 井上普方

    ○井上(普)委員 ちょっとわからぬな。経済局長、わからぬのだが、マクロの経済政策というのは何を指すのですか。構造協議ほど大きな経済政策はないと私は思うのだ。マクロの経済政策によって改善し、構造改善は補完的な意味合いだ、こうおっしゃるのだが、一体どういうことなんです。わからぬから聞いているんだ。
  192. 林貞行

    ○林(貞)政府委員 マクロの経済政策というものがどういうものであるかということは、私として有権的にお答えする立場にございませんが、私の念頭にございますのは、これは内需拡大とかそれから為替政策とか、そういうものを念頭に置いたものでございまして、いわゆる構造とは違ったものと認識しております。
  193. 井上普方

    ○井上(普)委員 内需拡大というのは、この構造協議によって内需拡大を図るんじゃないのですか。そして、マクロの政策といえば、例えばといえば為替政策とおっしゃるけれども、どうですか、為替政策で大蔵大臣、このインバランスを改善させるおつもりがありますか。私はないと思うんだが。
  194. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、今経済局長が答えられましたのは、あくまでもやはり日本は内需を中心とした経済成長を続けるための努力をすべきであり、そのためにも為替が適正な水準であることが望ましいという意思を表明されたものと受けとめております。
  195. 井上普方

    ○井上(普)委員 しかし、マクロの経済政策が中心であってとおっしゃいますが、この構造協議ほど内需に対して大きな影響を及ぼすものは私はないと思うのですが、いかがでございます、この点は。
  196. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 もちろん、この構造協議の中間報告に盛り込みました日本としての対応策は、公共投資の十カ年計画にいたしましても、またその他の分野におきましても、日本経済の構造の根幹に触れる部分まで含めて大きく対応しようとするものであります。その限りにおきまして、私は、委員の御指摘が筋違いのものだとは考えません。  ただ、それと、私は経済局長をかばうわけではありませんけれども、経済局長が言われた意味合いには少し食い違いがあるように思います。政策としては、確かに構造協議というものは大きな我が国の産業、経済政策全般の一つの柱でありましょう。しかし、その上にあるべき基本的な施策というもの、それは輸入を拡大しつつ内需中心の経済成長を続けるための施策、それがより大きな基本方針であるということを言われたように私は理解をいたしました。
  197. 井上普方

    ○井上(普)委員 大蔵大臣理解したというのですから、まああれですが、私はどうも、二つあってというような考え方にともかくとらざるを得ぬような御答弁であったと思います。それはそれにいたしましょう。  しかしながら、それほど大きなこの構造協議で、もしここ二、三年の間に貿易インバランスが、向こうさんから言わせれば改悪、こちらで言えば黒字が縮小しない場合、一体どうなるのです。これはアメリカ政府当局は了解しておるとは申しますものの、アメリカの議会といったら向こうの行政権、大統領府と敵対関係みたいな感じでいつも物を言っているのですけれども、そこらあたりが納得しなければ、また保護主義が台頭してきたぞなんて言って、またまた我々から考えて理不尽な要求を提示してこないとも限らないと思う。ここらあたりは一体、どういう向こうさんとの話ができておるのか。そこらあたりはきっちり示していただきたいと思うのですが、どうでございます。
  198. 林貞行

    ○林(貞)政府委員 私ども、日米構造協議においては、当然のことながらアメリカの行政府を相手にして話し合いを行っているわけでございます。  ところが、アメリカの行政府といたしましても、恐らく国を代表して、議会等の動き、それから議会のみならず広い動きを念頭に置きながらいろいろアメリカの立場というものを言っているものと考えます。そういう行政府の人が、この構造協議が貿易に与える影響というのは時間がかかる、それのみならず、これは日本側の努力のみならず、アメリカがやるべきことにも大いに関係があるということを言っているわけでございまして、その辺はアメリカ行政府、行政府といいましても、もちろん議会の意見もある程度踏まえた行政府の意見というふうに私ども理解しております。
  199. 井上普方

    ○井上(普)委員 しかし、新聞で折々出てくるアメリカの国会議員の談話によると、そんなのが問題じゃないんだ、結果が問題であるということを盛んに言っているのですよ。だから私はあえてこういうことをお伺いするのです。  しかも、すぐに向こうの行政府は、議会がこう言っているんだから保護主義が台頭するぞと言って、私らにすればおどしというような言葉で日本側に強要しておるとしか思えないのですがね。ここらあたりをはっきりさせていただかなければ、この中間評価の評価自体も変わってくる。いかがでございます、そこらあたりはっきりしているのかな。
  200. 林貞行

    ○林(貞)政府委員 先生おっしゃいましたように、アメリカの議会の中では、結果主義というものを強く主張していることもそれは事実でございます。ただ、行政府といたしましては、これは構造協議の性格というものを十分正確に認識して、その結果としてはすぐ出るものじゃないというものは認識して、それを記者会見等ではっきり言っている次第でございます。  議会の動きについてお話がありましたが、この構造協議に一番関心を持っております一人でありますボーカス上院財政委員会の貿易小委員長は、この中間報告に関しまして、自分が予想した以上の進展を見せている、この方向で日本が引き続き努力をしてくれることを期待しているという趣旨のことを言っております。
  201. 井上普方

    ○井上(普)委員 もう時間がございませんので、私は最後に申し上げたいのですが、私はそれが一番怖いと思う。そしてまた、日本の今までの外交というのがいつもそれであった。これはここ十年や二十年の話じゃない。幕末からの日本の外交史をひもといてみるというと、どうも相手さんに対してはっきり物を言わない、時間稼ぎだと向こうきんにとられるような外交をずっとしてきたような気がしてならない。今度の場合もそういうような受け取り方をせられておるから、厳しく要求せられておるんじゃないだろうかという気がいたすのであります。しかしながら、アメリカの議会の中においては、先ほども申しますように、結果がよくなければ、黒字が減らなければこれは承知できぬのだぞということをはっきりと言っている。  ところが、今初めて私は承ったのだが、行政府としたら、これは時間がかかりますよということをはっきり言っているというんだ。そういうことを向こうの国会にも、この中間報告が実施されるには、数字の上にあらわれてくるには時間がかかるということを、これを声を高らかにしてやはり向こうの方に知らせておかなきゃいかぬ。結果として向こうを裏切るようなことにもなりかねないと思うのです。  ここらあたりを外務大臣代理、どうお考えになります。
  202. 坂本三十次

    坂本国務大臣 議会筋から、今、井上議員の言われたような非常な声が上がって圧力が行政府にもかかっておるということは、よく承知をいたしております。  なるほど結果が物を言う、こうおっしゃいますけれども、しかし、今のようなインバランスが甚だしくてアメリカが耐え切れないというような事態は、それが続いたらアメリカも困るでありましょうし、こちらもやはりそれは困るわけでありまして、やはりアメリカだってある程度順調にいけば保護主義を議会が叫ぶというようなことはだんだんなくなってもらいたい。まして行政府は保護主義は困る。だから今度のブッシュ・海部会談におきましても、保護主義とともに闘うのだ。保護主義が出てきたからそれを利用しておどすというのではなしに、この保護主義は日米両国にとっても世界の自由貿易にとっても困るから、これはやはりどうしても保護主義と闘うのだ、こういう趣旨でおりますので、やはりこの構造協議を通じましてインバランスがだんだん減ってくるようにという期待をし、ある程度の確信を持って日米両国が協議をしたものだと思っております。  とにかく、SIIのIはイニシアチブでありますから、これが両国のためによかれと、アメリカも自国のためによかれと、そして自発的に、自主的に日本と対等の立場で協議をした、お互いに日米友好の間ですから、遠慮なくアイデアは出し合ったけれども、最後はやはりイニシアチブで自主的に、自発的に判断をしてここまで来たものだ、私はそう思うておりまして、これが日本にとりましても、やはり基本的には国民生活の質の充実とそれから消費者サイドの重視という、新しい流れに日本も豊かに切りかわっていく一つの契機になりはせぬか、それを期待しておるというわけであります。
  203. 井上普方

    ○井上(普)委員 私はあなたと違うのですよ、考え方が。世界の通貨基軸であるドルが崩壊せられたらたまらぬ、こういうつもりで日米構造協議も行われているのだと私は理解している。それはともかくといたしまして、今もうアメリカの行政府は、インバランスを直すには時間がかかる、こういうお話だ、それを理解しておるというのだから、このことは強くアメリカの議会に対しても時間がかかりますよということは言わなければ、結果がよくなければ意味ないじゃないかという性急なる議員が、これがまた保護主義に走りやすい議員だと承っておるので、ここらあたりははっきりひとつ言っておいてほしいということを強く臨時代理にお願いしておきます。時間があるそうですからどうぞ。  それからもう一つ、通告してありますのでお伺いするのだが、JR東日本の方はどなたかな。——一つお伺いするが、JRの東日本の経営陣、経営会議である常務会、そこに労働組合の首脳部が出席しておるという話が巷間伝わっておるのですが、本当ですか、どうですか。
  204. 松田昌士

    松田参考人 そんなことは絶対にございません。デマでございます。
  205. 井上普方

    ○井上(普)委員 それだけ承ればよろしゅうございます。  続いて、たばこ会社についてお伺いする。  たばこ会社が子会社をつくるのは私は、民間会社になって、いいのだけれども、この工場をつぶすのに、新しい会社をつくられてそれに全部渡してしまうというようなことをやっている。そしてまたそこの労務者は、それは組合員はともかく全員雇用しておるようだけれども、何ですか、関連産業を、全部首切ってしまっている。解雇通告を出している。関連産業といっても、実際はその会社は全部たばこ会社の天下りだ。それが全員通告をしておるという話を聞いておるのですが、どうなったのです。  そしてまた、時間がないから聞くけれども、この事件は、これは徳島県三好郡の池田町にある工場だ。野球で有名な池田ですが、あの池田というところは藩政時代から刻みたばこの名産地であった。それで刻みたばこの、あれは日清戦争でしたか日露戦争のときに全部買い上げて、そして専売制にやったわけだ。この町はたばこで生きてきた町です。その町に対して、工場閉鎖をするのに全然通告もなければ案内もないというのは一体どういうことなんです。こういうむちゃくちゃなことを平気でやるのがたばこ会社のあり方なんですか、お伺いいたしたい。
  206. 水野繁

    ○水野参考人 日本たばこ産業、非常に厳しい環境にございますので、たばこ事業そのものをいろいろ転換をさせていかざるを得ない、そのためには、日本たばこ産業だけでやる場合もございますけれども、ほかの事業と、ほかの会社と組んで新しい会社をつくるという場合もあるわけでございます。その場合には、従来ありました工場、そういうものをたばこ事業についてはやめまして、その場所、その職員、こういう人たちをできるだけ生かして新しい仕事に入っていく、こういうことをいたしております。  先生指摘池田工場につきましては、非常に由緒深い工場でございます。池田町につきましても非常に大事なところでございますけれども、全体の経営の中から見まして、今あそこのところにたばこをやめてワイヤーハーネスの事業をさせるということを決定いたしまして、この秋からそういうふうに移りたい、こう考えております。  たばこ会社の従業員につきましては、まず申し上げますと、できるだけ意向を入れ、そこの場所でもってできるものは使う、それから配置転換やなんかをいたしております。それからもう一つ、そこの池田工場におきまして、例として申し上げますならば、池田工場のたばこ事業につきまして、構内の清掃とか運搬とか、そういう補助業務をやってくださっている会社がございます。その会社の従業員の方々についても、我々としてはできる限り御希望を入れてその後の処置を考えたいということで、その事業所は閉鎖いたしますけれども、その会社の社長が出向きまして一人一人に希望を聞き、その希望をかなえるように努力いたしております。全員で非常勤社員を入れまして二十五名でございますけれども、うち二名の方々は高齢等でもってもう再就職しない、あと六名の方は自分たちで探す、十七名につきましてはたばこの関連の企業の方に就職を決定いたしております。したがいまして、私、報告を受けている限りにおいては最大限の努力をしてきた、こういうふうに考えております。
  207. 井上普方

    ○井上(普)委員 池田町に対してはどんな連絡をしたのです。どういう相談をしたのです。全然していないじゃないですか。私も新聞発表で初めて知った。新聞発表と同時に、この二十五名に対しては直ちに解雇通知を出しているじゃないですか。そういうようなことを平気でやっているんだよ、あなた方は。役場に対して、町に対してどんな連絡をとったのです。
  208. 水野繁

    ○水野参考人 労使関係の問題に絡む問題でございますので、我々の方としては、まず内部的には一月ごろから労働組合と協議に入っております。それから、そういうふうなことはその会社についても非常に影響がございますので、その会社にも話をいたしております。ただ、こういった話が全部固まりませんと、町長、町の方、こういう方々にごあいさつするわけにまいりませんので、その段階で報告を申し上げたというふうに私は聞いておりますが、今確認いたしておりません。報告を申し上げたと聞いております。  それから解雇通知ですが、三月末に会社の事業所がなくなりますので、その後の仕事についてはできるだけ面倒を見るという前提でそういう手続をとっておると聞いております。
  209. 井上普方

    ○井上(普)委員 あなた、私に言わせると今の答弁、ふざけるなと言いたいんだ。いいですか、町役場に対して、地元の役場に対しては連絡はせずに新聞発表しているじゃありませんか。労働組合員は新聞発表によって初めて知ったんだ。労働組合とは交渉してまだ完結していないうちに発表しているんだ。しかも、関連産業に対しては一月末に全員解雇の通知を出したんだ。それで、実は私が池田工場の工場長に対して、この二十五名についてはどうしたんだと言いましたら、何ら指示がございませんのでそのままでございますと、私が物申して初めて動き出したのが実情ではありませんか。  今のこの池田の町というのは、たばこによって栄えてきた町なんだ。産業というのはこれだけしかないところなんだ。その町の中心であるたばこ工場を閉鎖するに当たって、町役場と何ら連絡してないという、こういうやり方があっていいのか。たばこ会社の中の事情だけで勝手に決めてしまって、後からごつう通知するというような一片の通知でいいのか、私は大きな疑問を持つ。これが専売事業としてやってきた、過去何十年間やってきた専売工場であっていいのか。大蔵大臣、どう思います。人情としても許せぬじゃありませんか、これは。役場に対しては何ら報告をしていないのですよ。
  210. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今私は初めて承るケースでありますし、具体的な事実を存じません。存じません上で私の感じを申し上げますと、私は、あるいはたばこ産業、事務的に手順等に抜かりはあったのかもしれないとは思います、今の委員の御指摘でありますとおりであれば。ただ、同時に、たばこ産業というものが専売公社から民営化の道をたどり、自立への足取りを進めておりますときに、私はやはり将来を考え、独自の道を模索することは企業として当然のことであらうと思います。ただその中で、今度は長い間立地してきた地域社会との関係にどう対応していくか、そうした点について配慮が足りなかったとすれば、これは御指摘を受けるべき点はありましょうけれども、今聞いておりますと、新たな産業をその場に立地させるということでありますとするならば、当事者間で十分な話し合いが行われて、今委員から御指摘のありましたようなとげとげしい雰囲気ではなしに、新たな池田町の発展のために、新しい企業として立地するものが将来に向けての発展を続けてくれることを期待いたしております。
  211. 越智伊平

    越智委員長 井上君、時間ですので。
  212. 井上普方

    ○井上(普)委員 そういうような役場との交渉は全然ないのであります。ともかく直ちに、いきなり閉鎖ということで、他の産業に転換するというのは新聞発表によって初めて知ったというのが町長さんの述懐であります。こういうようなやり方が、少なくとも今まで国営事業としてやってきて、民間に移管したとはいいながら、まだまだ大蔵省が全部株を持っておる会社であります。国が株は全部持っておる会社であります。地域を、一体このような無残な姿で工場を切っていいものかどうか、私は大きな疑問を持たざるを得ない。  大蔵大臣、これが今までの国営企業のあり方としていいものかどうか、ひとつ十分御調査願って御返答を承りたいと思います。
  213. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、民営化されたたばこ産業として、企業としての独自の道を探すことをとめるつもりはございません。この点は御理解をいただきたいと思います。その上で私は、新たにその池田に立地させようとする関連企業、あるいは他の企業との合同によっておつくりになるのでしょうか、とにかく新たに立地させようとされる企業が将来性を持ち、たばこの工場のあった時代の池田よりも発展することを願いますけれども、今の委員の御指摘でありますから、事実について調べてみたいと思います。
  214. 井上普方

    ○井上(普)委員 この点につきまして私のところに少なくとも何ら知らされていないのであります。おっかないからでない。これは選挙の最中をねらってやってきたことであって、国会議員には全然話が通じておりません。もちろん役場には全然連絡がありません。こういうようなやり方で果たしていいんだろうかということを私は大きな疑問を持つわけであります。  時間が来たということでありますから、次の機会にこの時間をとってひとつたっぷりと質問いたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  215. 越智伊平

    越智委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。  次に、薮仲義彦君。
  216. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、本日、土地住宅問題を中心に、今一番問題になっております、国際的にもまた国内的にも最も重要な課題でございます地価の問題、それから住宅を今後どう推進していくか、この問題に絞って、昨年成立いたしました土地基本法に沿って、我が国の土地住宅の衝に当たられる枢要な閣僚の皆様の見解をただしながら、あるべき日本の土地住宅政策の方向をお伺いいたしたいと思うものでございます。     〔委員長退席、近藤(鉄)委員長代理着席〕  まず、これは国土庁長官にごく素朴な質問をいたします。  我々が地元へ帰って一番話題になりますのは、御夫婦の方がよく話題にします、薮仲さん、私たちは三十歳で家を建て始めよう、住宅のローンを組みます、公庫融資二十五年くらい組んでそれで建て始めますけれども、二十五年間たって夫婦でちょうど五十五歳、定年が間近になった、二人でお茶を飲みながら、私たちの人生何だったの、家を建てるのに苦労したな。また、これだけならいいのですが、子供さんが一人でも二人でも大学へ通うようになる、私立の大学へ行かれるようになったら、奥さんは笑いながら我々に、薮仲さん、お父さんの好きなたばこもちょっと我慢してもらいますよ、こういうのが普通の家庭の姿です。その御夫婦は何にも無理なことを夢に描いたんじゃない。家族で幸福な家庭を築きたいな、そして子供の教育ぐらいはやってあげよう、平凡な、ごくごく普通の奥様そしてお父さんが思った途端に、人生は、奥さんもパートに出てローンの支払いに終わる。定年になって、そこからやれやれと思って生活が大丈夫か、今度はまた年金が不安だな、また働きに出る。これがおおむね、恐らく国土庁長官もここにいらっしゃる各大臣も、先般の選挙で地元を回られると、土地住宅何とかしてよ、必ず出てくる話題はそういうことです。やはりこれが平均的な素朴な質問です。  このことにどうこたえるかということが多くの国民が一番望んでいることでございますので、その衝の中心に当たられる国土庁長官、そして建設大臣の御決意を一言ずつお聞かせいただきたいと思います。
  217. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 薮仲先生にお答えいたします。  今先生の御指摘の問題は一番大きな問題でございまして、政治的に一番大きな重要課題、こう思っております。そんなことでございまして、現在所得の数倍で実は土地と住まいが買えません。住まいを持ちたい人が買えないということでございまして、大体七、八倍ということでございまして、その乖離をどうするかということでございますが、今度は、今までと違いまして、昨年暮れに土地基本法ができました。それともう一つは、土地対策関係閣僚会議におきまして、全閣僚が十項目、特に大都市地域における宅地供給の促進とか、あるいは総合税制の見直しとかをやりまして、とにかく宅地供給に取り組もうというようなことで取り組んでおります。  そんなことでございまして、先生指摘のように、ことしの一月の地価公示で、大体平均一七%上がりました。特に大阪等が非常な高騰をしたわけですが、いかに地価の高騰を抑えるかということを中心に、現在監視区域を強化している、そんなこともございまして、地価をまず安定し、抑える、そういう形の中で実は考えておりますのは、政治的配慮と政策的配慮と二つあると思います。  政治的配慮は、一つは、率直に言いますと、首都機能移転とか国会移転とかという問題があるかと思います。また、政策的配慮の中にいろいろな、例えば土地政策あるいは税制の総合的見直し、あるいは特に土地神話を崩したい。今日本人は土地に対して特別な感情を持っておりますが、土地を持っていれば何らかプラスになるということで、この土地神話をなくしたい。土地を持っていてもプラスにならない、こんな税制もつくりたい。そういう形の中で地価を下げたい。そういう形で宅地供給をやるというようなことで、現在全力を挙げて取り組んでおるということでございます。
  218. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 住宅宅地問題につきましては、海部内閣におきましても最重要課題ということでとらえておるわけでございます。今国土庁長官が申し上げましたように、土地基本法にのっとりましても、土地は所有するというよりも利用するということにもっと重点を置かなければならぬということを言っております。今度建設省におきましても、大都市におきまして住宅宅地が供給できるような、これを誘導するような大都市法の改正等今回も二つの法案を国会に提出させていただきました。また、今後税制調査会におきましても、土地税制につきましていろいろ御審議をいただくわけでございますので、それらと相まって相乗効果が出て、宅地供給が豊かになるようにということを願っておるわけでございます。  なお、最近は、マイホームを持って一生ローンに悩むよりも、良質で低廉な賃貸住宅があればそれによってさらに人生を豊かにしたいという傾向もございますので、公営住宅等につきましてもそういうような方向で建設するような努力をしてまいりたいと考えております。
  219. 薮仲義彦

    薮仲委員 この土地基本法審議の過程でいろいろな課題がございましたけれども、その一番根っこに何があるのだろう。これは、今建設大臣国土庁長官も申されたように、土地に対する土地神話、土地を持っていればもうかるということがあるわけでございますが、このことを端的に言うと、二つの観点からきっちりしなければならぬと私は思います。  その一つは、やはり土地を持っていることが他のいかなる資産運用よりも有利である、保有コストがかからなくて値上がりを待つことは、どんな銀行の金融資産あるいはどんな形であろうと土地を持っていれば必ず土地は上がっていくという、いわゆる土地に対する資産価値があるわけですね。この資産価値をどうしても抑えなければならない。資産価値をなくせというような無謀なことは言いませんけれども、適正な資産価値にまで地価が安定しない限り、私はこれは変わらないと思うのです。そうしますと、やはりこれを今、先般来政府税調でもいろいろなドラスチックな意見が出ているようでございますけれども、資産の価値を適正なところまで抑えるための税制はどうあるべきか。  もう一つは、利用しないで土地は持っていれば得をするという、今はだれに聞いても土地は買いであり、持っていればいいんだ。特に個人と法人とをやった場合に、後ほど質問いたしますけれども、法人が土地を買いあさるという方向にございます。この二つ、いわゆる資産価値をどうやって公正なところまで、土地に対する評価ですね、土地の資産価値を下げていく、リーズナブルなところまで下げるということ。もう一つは、保有することは非常に損であって、これは利用しましょう。社会正義のためにも、公共の福祉のためにも、土地は保有ではなくて、利用しましょうという土地基本法の精神、これにのっとった、一つは税のあり方、いろいろあろうかと思うのでございますが、この方向について、国土庁長官いかがでございますか。
  220. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。  今おっしゃるとおりでございまして、実はどういう形で、今一番やっていますことは地価を安定させることでございますが、じゃこれをどう下げるかということでございますが、これはいろいろな施策がございます。例えば税制の問題もございます、土地政策の問題もございますが、一番基本的にはやはり宅地供給だと思っています。適正なる宅地供給をする。したがって、供給をどうするかという問題、しかもその供給をいかに安くするかという問題、その中に政策的配慮があるかと思います。税制の問題もあるかと思いますが、この点につきましては、これから十分各省庁協力しまして検討し、一口に言いますと、適正な価格に下げるように努力したい。そして、先ほど先生からも御指摘がありましたことでございますが、サラリーマンが、住まいを持ちたい人が住まいの持てるようにしたい、こんなことで考えているわけでございます。
  221. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは大蔵大臣と少し固定資産税、明年度はいよいよ固定資産税の見直しの段階に入ってまいりまして、固定資産税は本来的に、後ほど大臣とゆっくりやりたいのですが、固定資産税の性格は何なんだろうか。物税なのか、それともいわゆる応益負担の関係で、サービスの対価として固定資産税をお取りになるのか、この辺のところをしっかり大臣お話し合いをしたいわけでございます。  この固定資産税というのは、今の路線価でいきますと、自治省は最高路線価しか出しません。ただし、この最高路線価で比べますと、資料がありませんから。個人のプライバシーということでお出しにならない。静岡と東京の最高路線価で比べますと、六対一の違いがあるのです。じゃ静岡と東京で、行政サービスはそれほど集積、集中して住民に与えられるか。例えば、おっしゃるのは下水道とか上水道とか道路の構造とか、あるいは美術館がある、博物館がある、音楽堂がある。これだけのすぐれた文化レベルがある。住民に提供している。しかし、静岡と東京を比べて行政サービスが静岡が六分の一劣るか、こうなってまいりますと、私は必ずしも静岡が六分の一という感じは持っていないわけでございますが、これは後ほど伺います。  今消費税が論議されています。あの中で一番問題になるのは逆進性です。固定資産税ほど、物税というスタンスに立って最高路線価の見直しをやっていきますと、どこまでも限りなく上がっていきます。労働省等の、あるいは厚生省から出た資料をもらっております。年収を調べていきますと、サラリーマンとして定年までの所得はある程度の所得がございます。年金になった途端にがったり落ちます。しかし、固定資産税の評価は上がっていきます。自治省はこれに対して、いわゆる資産に、担税力に着目してと、こう言います。確かにここはそうかもしれませんけれども、私は、法人と個人の立場でお考えいただきたい。  今ここで最初に伺っておきたいのは、後ほど詰めてまいりますけれども、いわゆる固定資産税が自然と上がっていってしまう。いわゆる負担調整ということで昭和三十九年に見直したから、余りにもそのときの地価が高かったので、一・〇五という負担調整率を掛けてやろうということでやっておるわけでございますけれども、今はだんだん、自治省が宅地部分は二百平米までは四分の一ですよ、建物の床面積の十倍は二分の一ですよ、軽減していますとおっしゃるのです。しかし私は、この問題は東京都へ行って調べてきました。あの三十九年のとき確かにそうやりましたけれども、現実、見直した価格が高過ぎて、四分の一のところはずっと下だったのです。それが最近ようやく効いてきたというのが現状でございます。それで、来年またこうなるか。  ここで問題は、後ほど詰めますが、例えば固定資産税には土地と家屋があります。普通我々が会計法上の概念でいきますと、木造は二十年、建設省は、公営住宅の木賃は耐用年数二十年で、十年たったら建てかえ始めると、こう言うのです。会計法上も木造は二十年の耐用年数を認めているのです。しかし、東京のように地価がどんどん高騰します、あるいは建築費が高騰します。二十年前に仮に二百万で建てた家屋が二十年たった価値はどうなるか。自治省の計算は再建築価格で計算なさるのです。ですから、これは二十年たっても今の時価で、建築費で建てるとどうなるか、大変高くなるのが出てくるわけです。全部が全部とは言いませんけれども、二十年前の家屋の値段というのは下げられない、東京のように異常に高騰すると。本来は下がるべきなんだ、だれしもこう思うのです。ところが、自治大臣ももう御承知だと思いますけれども、東京の場合は下がらない。下がらないから家屋はしようがないからスタートのときの値段から上げないということで抑えている。しかし今度地価はずっと上がってくる。家屋は下がらないのに土地は上がってくる。  私の手元に年金生活者の具体的ないわゆる年収と固定資産税の支払い金額が出ておるわけです。これを自治省の方と論議をいたしますと、軽減しております、こうおっしゃるのです。しかし私は実態をもっときちっと調べていただきたい。私は自治省の言う最高路線価はわかります。ただし、これを続けていったら耐えられなくなる人が出てきます。我々日本国民は憲法二十五条によって最低限度の文化的な生活を保障されています。これは生存権かもしれません。今裁判をやって相手の人が負けたとしても、その人の生活権まで奪うことは裁判所は認めません。今の固定資産税をこのままほっておくと、その人の生活権を脅かしてくるのじゃないか。東京都に限ってあるいは大阪に限って、名古屋に限ってかもしれませんけれども、アメリカ等でやっているサーキットブレーカーとは意味合いが全然違いますが、高齢者あるいはお体の不自由な方あるいはそういう弱い方のための手当てをどうするかということを、やはり固定資産税の中で、来年の見直しの中で考えていただかなきゃならないと思っています。しかし、この問題は住宅問題をもっと詰めてから最後に大臣にお伺いします。  ここで素朴に、私は建設大臣自治大臣にこれからの質問を展開する前に伺っておきたいことがあります。各省の政策のコンセプトとして、東京で人が住めるか住めないか、東京を人が生活する町にするかしないか。東京都へ行きますと知事は、マイタウン東京、そして何とかコミュニティーを破壊しないようにしたい、こうやって頑張っていらっしゃる。しかし現実は非常に厳しい情勢にある。  そこで建設大臣自治大臣伺いたいのは、今、江戸三百年と言われた江戸の庶民文化はどこかへ吹っ飛んでいってしまう。昔は江戸っ子とは三代住むものだった。今は三代住んだら税金でそこへ住めなくなる。これは税法上の問題かもしれませんが。それはさておいて、今東京に住んでいる方、例えば港区であるとか中央区であるとかこういうところ、都心三区は人が住まなくていいよ、こういうコンセプトでやるなら話は別ですが、やはり私は、東京は人のぬくもりと、そこに首都としての文化が育ってほしい。大臣もフランスに行ったってイギリスに行ったって、その首都には伝統的な文化があり、すばらしさがあると思うのです。そういう意味で、この住宅都市政策をこの辺で本気になって考えていただかないと、東京は追い出しになってしまうんじゃないか。  ということで、一言だけで結構でございますから、東京を人が住める町にするのかしないのか。先ほどの論議は後ほどしっかりやりますから、建設大臣自治大臣の、住める町にするか住めない町なのか、その辺のところをごく簡単にお答えいただきたいと思います。
  222. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 四全総の中でも、このままほっておきますと東京には五百万人ふえるということになっておりますが、それを抑制しようということで、恐らく幾らになりましたか、そういう計画も立てられております。  それから、今回建築基準法と都市計画法の改正案を出しておりますが、大都市圏の中の商業地区等におきまして住宅を併設する場合には、それに容積率を大幅に付加するというような内容も入っておりまして、さらに住みよい町にするような誘導をしていくような法律を出しております。
  223. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 本質的に、委員指摘になったように固定資産税あたりは追い出し税であってはならぬと思います。やはりこれは毎年払わなければいかぬ形ですから、継続してのそういった住居環境も含めて、できるだけなだらかな形で、来年の見直しに当たってもその点は十分留意しなければならぬと思います。しかし、先ほど東京と静岡という例示を引かれて言われましたけれども、静岡の方が行政サービスも都市的環境もよくて固定資産税は安い、私はそれでいいと思うのです。はっきり言ってこれは最初の話と矛盾しますけれども、東京の場合、特に一極集中によって、東京に住んでおるサラリーマン層にしてみれば、他方、土地を持っている者と持っていない者の不公平感というのは、今そんな固定資産税の高い安いの問題ではなくて、もうまさに極限にまで来ているという実態、したがってその点は——そうかといって江戸の下町に住んで長い間住居してきた人たちが、年金生活者を例に引いても耐えられないような形にしてはいかぬと思います。ただそこの点を調和させていかなくてはいかぬところに、この税制と土地の問題の難しさがあると思うのです。御了承をお願いしたいと思います。
  224. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは本当は総理にお伺いするのが正しいのでしょうけれども総理は一般質問にはお出にならないということで、この衝に当たられる建設大臣にお伺いしたいわけでございますが、数字が非常に細かくなれば局長がお答えいただいても結構でございます。  総理は二年三月二日の施政方針演説の中で、「東京通勤圏において勤労者が良質な住宅を確保できるよう、この十年間に百万戸を目標に新たな住宅供給を行うことを初め、多様かつ切実な需要に応じた総合的な住宅対策を展開してまいります。」こう演説なさったのです。国民は、通勤圏に十年間に百万戸、すばらしいな、本当に総理の発言に期待をしたと思うのです。これを我々が建設省に伺いますとペーパーが返ってくるわけでございますけれども、四全総に基づくどうのこうの、あるいは手法としては大都市地域の住宅供給を促進する法律を直しますとか、あるいは容積率を変えますとか、いろいろなことを言うわけです。我々はお互いに十年以上住宅問題をやっている仲間ですから、そういう手法だとかそんな話をここでお伺いするには時間がもったいない。  東京通勤圏というと、通常我々の頭に浮かぶのは、東京、神奈川、千葉、埼玉、大体この一都三県を例に挙げて東京圏、こういう表現を使うわけでございますけれども、建てるとすれば公営住宅か公団住宅か持ち家か民間借家か、この四つしかないのです。六十一年から始まっている建設省の五期五計にしましても、要は建て方はその四つしかないのです。では東京に戸建てを何戸建て、神奈川に何戸建てという形で、そのブロックに、県にどれだけの戸建てを、公営、公団住宅を、借家をつくろうとしているのか、ずばり数で言っていただきたいと思うのです。これは数ですから住宅局長でも結構ですから、長く答えないで、すかっと言ってください。
  225. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 お答えします。  なかなかすかっといかないところが問題でございますが、今回の大都市法は二つ大きな特徴がございます。一つは大都市圏の住宅問題を解決するためには、東京都を初めとしまして周辺の県が国と一体となって相談をして、それぞれ人口の配分でありますとか住宅の配分を決めようというような広域的な調整というのが一点ございます。それからもう一点は、先ほど先生おっしゃいましたように、従来の住宅計画というのは、国全体で何戸建てる、公営住宅は何戸だ、公団住宅は何戸だ、あるいは地方計画というのがございまして、関東地方では何戸建てる、それも同じように公的資金の住宅の戸数を決めております。それに従いまして都道府県がまたつくる、こういう格好になっております。つまりマクロの数字で戸数を表示した計画だったわけでございます。  今回の大都市法は、それが具体の住宅プロジェクトができ上がって国民がそれに住めるという状況にいかに遠いかということの反省に立ちまして、大都市法では住宅計画の立場から、先ほど申しましたような都道府県間の調整を経て、重点供給地域、つまりこの地域が公共施設の整備の状況からしてもっと住宅が入るではないか、あるいはこの地域はまだまだ土地が利用されてないからもっと住宅を建てたらどうだろうか、通勤距離からいっても相当いい場所だ、あるいは業務核都市としての整備からいってもこの地域は非常にいい地域であるというようなことで、地点とそこにおきます施策というものを住宅計画で決めます。それを都市計画で受けまして、具体の土地利用で土地利用計画を定めて、その中で住宅プロジェクトが生かされるようにしよう、こういう形になっておるわけでございます。  したがいまして、今先生が公営住宅は各都道府県、どことどこで何戸だ、こうおっしゃいましたけれども、それは今の体系からいきますと、住宅建設計画で都道府県別に事業主体ごとの戸数が決まります。その際に、大都市法は十年をもくろみまして、それと住宅建設計画と調整を図っていかなきゃならないということになっております。したがいまして、当然に住宅建設計画法に基づきます住宅計画とその具体の重点供給地域という形で、具体の地区に結びつくところが調整されることになろうかと思います。したがいまして、それが決まった後は都市計画を決めまして、それに従って各都道府県がその重点供給地域の中で、事業主体がそれぞれプロジェクトを構成をしてつくっていくということでございますので、一言で申し上げますと、まだそういうふうにはっきりどういう種類の住宅を何戸、どこでということは今申し上げられない。つまり、大都市法の中で調整を積み上げていくということでございます。
  226. 薮仲義彦

    薮仲委員 建設大臣、基本的な建設大臣のお考えを伺っておきたいのは、よく巷間言われますサラリーマンの年収で、どの程度の規模で幾らぐらいの住宅を持ち家として建設省はお考えになっていらっしゃるか。持ち家という表現の場合、大体年収の何倍、どのくらいの大きさ、これはいかがでございましょう。
  227. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 現在は七倍以上というようなことを言っておりますが、大体五倍から六倍ということを目標にしております。
  228. 薮仲義彦

    薮仲委員 伊藤局長にももう少し事務的なことはお伺いしたいのですが、建設大臣、今大臣がくしくも五・五倍前後でやりたい、あるいは七倍とおっしゃった。ところが、これは大臣も御承知だと思うのですけれども、本当に大丈夫かということになってまいりますと、もう非常に時間が限られていますから、こちらからどんどん言います。本当は資料を言っていただいた方がいいと思うのですが。  これは、社団法人都市開発協会の平成二年三月の資料。これで東京圏、いわゆる平均的なサラリーマンの年収でどの辺が住宅を持てるかというデータを出したわけですね。このデータの基礎になっておりますのは、建設省の五期五計に基づいて、専用面積、これは七十五平米、三人世帯、いわゆる誘導居住水準で考えましょう。これは中高層でやった方がいいでしょう。これが持てるか持てないか。年収については、本来総務庁の貯蓄動向調査でやるんですが、二年のが出ておりませんから元年から推計しております等々、本当に適正な基礎データでやった資料でございます。  参考に申し上げますと、十キロ圏では一億一千万を超えておりまして十七倍、正式には十七・二八倍。二十キロ圏、これは十・五九倍。サラリーマンの年収はこれでは非常に高いと思うぐらい高いところを見ているのです。サラリーマンの平均年収は六百三十九万六千円ですから、決して安くないですね。それの今乗数でございます。今申し上げたように、十キロから二十キロ圏で十・五九倍、二十キロから三十キロ圏で八・四三倍。もうこれで、建設大臣が言ったのは三十キロ圏も遠く及びませんね。それから三十キロから四十キロ圏で七・六八倍。四十キロ圏までもう建てられなくなってきた。さらに、今七倍ぐらいかもしれないとおっしゃったのは、これは五十キロ圏を超えているわけですね。五十キロ圏で七倍になっているわけですね。五・五倍前後とおっしゃったのは、もう建設省の目標とする五・五倍では建てられないのだ。  では、サラリーマンが最も期待しているのは、十キロから二十キロ圏ではもう全然だめで、五十キロというと一体どこまで行っちゃうのか、大変遠くの方まで行っちゃうわけですね。五十キロというとどこだといいますと、横須賀、茅ケ崎、平塚、伊勢原、東松山、成田の方まで行きます。成田から通勤圏ということも、あるいは強弁すればできるかもしれませんけれども、これは非常に困難だな、こう思うわけです。これは土地の値段の方から出てきたデータでございます。  しかし、これは郵政省のデータもあるわけでございます。郵政省の資料でいきますと、郵政省郵政研究所、平成元年三月、これは東京では住宅取得計画があっても実現できません。何を言いたいのかというと、これは自己資金は全国では一千四百十九万、都では二千二百十万を見込まなければなりません。そして、これで考えてみますと、貯蓄はどのくらい持っているのかというと、三四%しかまだ貯蓄が達成しておりません、この自己資金に対して。さしあたって、五年間で何とかしようというと、これは都区部では年間二百十五万貯蓄しなければなりません。そうしますと、年収の三七%を貯蓄しろ。ここに書いてありますのは、都区部の平均的サラリーマンでは、住宅取得の計画があっても実現するのは難しい。高い方でももう届かなくなりましたよ。これは郵政省が言っているわけです。  さらに東京都の、私、東京が住宅土地の中心だと思うのですね。東京都は一体何を考えているのだと思って、東京都へ行っていろいろと教えていただきました。ここでやはり東京都が言っているのは、こういうことが書いてあるのです。  これは「東京の土地」でございますけれども、ここで、言っていることは建設省の中身ですよ。第五期住宅五カ年計画に定める、標準世帯の場合、都市居住誘導水準九十一平米の専用面積のマンションを取得するとした場合は、区部では一億一千四百五十四万、十七・三倍です。多摩地区で六千百三十七万、年収の九・三倍です。これは東京都が何とかしようと思っておるその行政の中枢が、東京はもう九倍です。さらに平均的な勤労都民の年収の五・五倍で、どの程度のマンションが獲得できるかというと、わずか二十九平米です。  書き方は非常に痛烈だなと思うのですが、私はなぜこれを読み上げたかというと、東京の住宅事情というのは、いつも公明党が家賃控除を言うとあえなく大蔵省にはじかれるわけでございますけれども、本当に今家が建たないとなってくると、今申し上げたように家が建たないのですが、そうすると民間の借家を借りなければなりません。では、公営や公団の住宅があるだろう。私は東京都へ行ってきたのです。そして公営の計画はどうですか。残念ながら地価が高くて、東京で、元年では東京都の土地の取得はゼロになってしまいました。公営住宅用地を確保することは東京都は困難な状態になったということでございます。そうすると、公営も建たない、公団の住宅計画を見ましても都民の要求を満たすわけにはいかない。  持ち家は持てない、公営も公団も無理です。そうしますと、民間がここで出てきていただかなければならないわけでございますけれども、民間についてこう書いてあるのです。「地価の高騰により、家賃や地代負担の増大も多くの都民を悩ませている。都内の民営借家に居住する勤労世帯の昭和六十三年の平均家賃・地代負担額は、一カ月六万五千五百十九円で、前年比九・四%の上昇となっている。」家賃が九・四です。これに対し同世帯の平均実収入は一カ月四十二万一千九百十二円で、対前年比一・二%です。給料は一・二%で家屋は九・四%上昇しました。  こうなってきますと、家賃負担が大変です。ですから、連合等がやった調査でも、地価高騰による住宅事情の悪化により多くの回答者が、持ち家の道が遠のき将来の生活設計に支障を来している、家賃やマイホーム資金のやりくりで生活が圧迫されてきているとみんな言っているわけですね。そうしますと、家は建たない、家賃には圧迫される。こうなってまいりますと、私は、必然的に家賃控除の話も出てくるわけでございますが、これは後ほど大蔵大臣にお伺いしたいわけでございますが、一体これで東京都の住宅計画は大丈夫なのか。  建設大臣にお伺いしたいのは、建設省が五期五計で昭和六十一年から平成二年度までの目標を立てています。この建設省からいただいたペーパーの全国のペーパーでいきますと、公営住宅は約八八%、九割ぐらいいきそうだな、あるいは公庫住宅ももう一〇〇%を超えています、こう出てくるわけです。これは成績優秀だなと思って、翻って、これを東京は一体どうなんだろう。東京にいきますとこれが全く困難になってまいりまして、公営住宅は今ようやく五八・五です。公庫住宅は三三.五です。公営住宅も非常に建てるのが困難になってまいりました。これも建てかえが主でございます。そうなりますと、都民の住まいという問題が非常に大変で、五期五計だけじゃなくて、新しい居住用の、東京都の都民にどうやって低廉で安定した住宅を確保するかということは非常に重要な課題かなと思うのでございますが、大臣、今東京都の現実を幾つか申し上げました。いかがでございましょう。
  229. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 先ほどからいろいろ御答弁も申し上げたわけでございますが、大きくは、四全総に示しておりますように、東京一極集中ということを、ひとつ地方に分散して多極分散型国家、また東京周辺には業務核都市の形成等々、いろいろ示されておる方向をぜひ実現してもらいたいと思っております。  なお、大きくは、前の国土庁長官の石井さんとか今の国土庁長官佐藤さんが遷都論ということに非常に熱心に取り組んでおられまして、そういう大きな視点もございます。それから、最近は社宅というものを充実させるということで、雇用の面から非常にスピードアップされておる面もございます。それから、私も先ほど申し上げましたが、良質で低廉な家賃で入れる住宅というものの建設というものを進める。それからまた、土地と住宅というものの相関関係があるわけで、土地が高騰すれば住宅も高くなるということでありまして、土地対策につきましても今いろいろと施策を講ぜられつつありますが、要は需要と供給ということになると思います。住宅に入りたい人、それからそれを受け入れる賃貸住宅であろうと、あるいはマイホームであろうと、その問題になるのではないかと思いますので、それらの総合的な中で住宅というものは考えていかなければならないし、東京都の住宅事情というものも考えていかなければならないのではないかと思っております。
  230. 薮仲義彦

    薮仲委員 建設大臣に重ねてお伺いしたいんですが、今言ったように四全総で多極分散型の国土ということはわかります。さしあたって、今東京都にいる方のために、私は、ではどうするのかというと、やはり東京の方の場合は家賃の負担が非常に大きいわけです。建設省は家賃控除をお出しになった、予算要望で。これは大蔵省との折衝でなかなか実現困難ということでありますけれども、私はやはり将来的に家賃控除ということは、補助をするかあるいは控除するか、何らかの形で考えなきゃならないんじゃないか。税額控除か家賃手当か。  と申しますのは、これは、きょうは政府の資料でやった方がはっきりすると思って政府の資料だけやりますけれども、経企庁の国民生活白書、この中でこう書いてあるんです。「住宅に対する意識についてみても、借家世帯の六割は住宅の広さに不満をもっているが、家賃が家計にとって「影響がない」とする世帯はわずか三割で、残り七割はなんとかやり繰りしている現状をみると、居住状況の改善をめざした住み替えは容易でないと考えられる。良質で適正な家賃の賃貸住宅の供給がなければ、借家世帯の居住条件の改善は難しい」。やはり賃貸の低廉さがないと非常に住みにくいというのがあるわけです。さっき申し上げたように、家が建てられないわけですから。そうすると借家も家賃が重いんですという、これは経企庁の資料でございます。  しかも、続けてここに大事なことが書いてあるんです。「現在深刻な問題となっているのが夫婦のみや一人暮しの高齢者世帯である。」持ち家を保有していない八十五万世帯の借家世帯を見る必要があります。「借家世帯の場合は居住条件の改善には家賃の負担増をともなう可能性が高いが、高齢者世帯は所得水準が相対的に低いため、居住条件の改善は容易でないと思われる。さらに、高齢者はとりわけ都市部において経営者の思惑による契約の更新拒絶や入居拒否にあっている事例も多く、住み続けることに対しても不安を抱えやすい。」高齢者を取り巻く居住の問題には何とかしなきゃならないということがうたわれているわけです。  こうしますと、建設大臣、この借家に対する東京都の住宅問題、事情、いろいろくどく申し上げて恐縮でございますが、やはり建設省のおっしゃった家賃控除の考え方は、私は、現在の緊急避難的には、たとえ限られた年度であっても必要かなと思うわけでございます。この家賃控除をさらに御努力いただけないかと思いますが、いかがでしょう。
  231. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 ただいまいろいろと統計資料をお出しいただきまして、いかに住宅が持てないか、非常に遠いところになるよというお話でございました。若干そこに書かれてございますが、私ども、区部全体でどうということをやりますと確かに非常に高くなりまして全く持てなくなりますが、やはりこれを方面別に分けたりいろいろしますとそうでもなくなるということが一点と、それから、持ち家と貸し家と比較しますと、お説のとおり、貸し家の方が負担可能な区域がより都心に近いところで可能になります。例えば十三万円の家賃で入居可能な住宅、今現在の市場家賃でございますが、南西部の方は三、四十キロぐらい行かないとなかなかございませんが、北部、東部は十キロ、二十キロぐらいのところでも十三万円の家賃があるというのが市場状況でございます。  そういうことで、私ども、賃貸住宅にひとつ希望をかけたいということが一点と、それから今申しましたように、広域圏の調整ということを通じて具体的な住宅立地可能な場所というものを重点供給地域ということで、都市計画の手当てをしながらインセンティブを与えながら重点供給しよう、こういうもくろみでございますので、区部に立派な戸建てをあるいはマンションをというだけではなくて、もっと広域的な観点からの持ち家対策を進めたいというふうに考えております。  それで、今お話しの家賃控除のお話ですが、この前以来、この予算委員会でもたびたび御答弁申し上げました。私ども平成二年度の税制改正要望では確かに要望いたしました。しかし、今全体の税制の体系の中でやはり無理があるということで、これは断念をしたわけでございます。  今、第六期の住宅建設五カ年計画に向けまして住宅宅地審議会で次の住宅対策を御議論いただいておりますが、この中では高齢者対策というのが非常に大きな柱でございます。その場合に、今おっしゃいましたように、高齢者というのはなかなか収入がふえるわけではございませんし、それから居住の条件というものを変えるということもなかなかできない、このまま同じようなコミュニティーの中でずっと住み続けたいというような問題がございます。したがいまして、これはもっと公共団体が親身に高齢者世帯の住宅状況というものを把握をして具体的な手当てをしていく。つまり、現行の公営住宅でございますとか、それからシルバーハウジングプロジェクトと私ども申しておりますが、福祉対策との連携とか、そういったものを通じまして公共団体が親身になって高齢者のための住宅計画をすべきだろうと思います。  その中で、今現在東京の区部におきましても、例えば再開発に伴う高齢者世帯の移動に対して家賃補助をしましたり、あるいは中野方式と言いまして、具体に老人用の民間賃貸住宅をあっせんすると同時に家賃補助を出すというようなところもあらわれております。したがいまして、公共団体の方でも、これは公共団体に非常にふさわしい仕事だと思いますが、そういう形でだんだんと整備されつつございますから、これに対して国がどういう形で関与するのかというようなことを、先ほど申しましたような次の住宅対策に向けての審議の中で今議論をしているところでございますので、そちらの方に期待いたしたいと存じております。
  232. 薮仲義彦

    薮仲委員 一番住宅の衛に当たる建設省がそういうことでは非常に困ると思うのですが、私は、今税制改正が行われる中で、今度は大蔵大臣に私の考え方をちょっと申し上げたいわけでございます。  限られておりますから私の方で言いますけれども、今大蔵省に我々が例えば、大蔵大臣に時間があればじっくりやりたいのですが、お話しすると、住宅に対する税額控除というのは、もろにこれは生活費に係る部分でございます、所得税法の範囲の話でございます、所得税法の中では収入の段階、所得の段階で基礎控除の中に生活費に係る部分は当然配慮いたしております。例えば私が家賃税額控除を言うと、今度支出の分でも税額を見るんですか、収入と支出で国が手当てをしろという話ですかというようなことで、所得税を変えない限りこれは無理ですよ、税法上の問題ですというようなお答えがあるいは返ってくるかもしれません、きょうは推定でやっておるわけですから。  ただ私は、所得税法の問題は抜きにいたしまして、幾つかの考え方を挙げますと、これは本当は建設省に読み上げてもらった方がいいのですが、例えば建設省の目指すサラリーマン年収の五倍前後を目途とする一戸建て住宅における税制上の措置について、持ち家を持とうとすれば国の施策の中で今一体どれだけの税制上の恩典があるのですか。例えば、公庫からお金を借りるということも、公庫の金利差というのはいわゆる財投に対して一・一程度は国が利子補給しているわけですね。それだけでも恩典があるじゃないか。あるいはさっき奥田大臣ともやりましたけれども固定資産税の減免もあるわけです。あるいは住宅促進ということでローンの残額に対する優遇税制もあるわけです。あるいは個々に挙げてみますと所得税、贈与税。贈与も三百万まではいいですよ。お父さんが、子供が家を建てたいときに三百万まで贈与は認めますよ等々、ずっと挙げていきますと、取得にかかる所得税から贈与税、登録免許税、不動産取得税、住宅の保有にかかる固定資産税、住宅の譲渡にかかる所得税等々、ずっといきまして、新築の場合、一体初年度どのくらい優遇されますか。百五十四万という金額で出てくるわけです。そうしますと、土地を持って家を建てる人に国はそれだけ税制上の恩典を与えるのですね。  あるいはまた、社宅のお話も今ございました。社宅の場合は、もうこれは大臣が所掌のところでございますから十分御承知のように、はっきり言ってこれは、会社が仮に一万円ですといいますと、家賃の算定の仕方がいろんな数式ありますが、固定資産税評価額で家賃を計算していきます。その二分の一の、下のところでの話ですから、この方は、社宅の場合は税制上非常に有利な話なんですね。  こう考えてまいりますと、家を建てるときとか社宅の場合とか例示がございましたけれども、そういうことを考えると、やはり一戸建てを持てない場合の家賃に対する何らかの考え方はあってしかるべきじゃないか。固定資産税の追い出し税の話もございますけれども、やはり税全体の中の政府税調の見直しの中で、私の言いたいのは、高齢者あるいは年金で生活なさる社会的に弱い立場の人が東京で住みたいという場合に、住ませてあげることがそんなに悪いことなのか。  後ほど企業の含み益、お伺いしますけれども、いわゆる含みに対して我々公明党は、資産の再評価をやりましょうというと、これについては未実現の果実です、こうおっしゃる。ゴーイングコンサーンということをおっしゃる。中小企業もいわゆる承継税制で、土地に関しては今五六%、約二分の一の評価に落ちるわけです。中小企業、いわゆる法人格を持っている。そうすると中小企業も土地は二分の一じゃないか。大企業は資産の再評価がないじゃないか等々、トータルで、家賃控除の部分だけじゃなくてすべてを考えてみますと、個人と法人、そして社会的に弱い立場の人に対して、東京に住みたいなというこの素朴な気持ち、住みたいという気持ちがそんなに価値のないものなのか。農業者の場合は、今宅地並み課税が問題になっていますが、これも親の農業を二十年間継承しますと税制は猶予されます。そして、二十年たって続けていれば、これは免除されます。  このように農業者とか中小企業とか大企業とかいろんなことを考えて、社宅も含めて考えますと、東京で生まれ東京で育ったお年をとられた方が住みたいといったときに住めなくなったら、具体的に何とか手当てをするぐらいは政治家の思いやりとしてぬくもりがあってほしい。トータルの中で大蔵大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  233. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 むしろ土地住宅に関しては委員の方がはるかに以前から研さんを積んでおられますので、私から素人談義を申し上げるつもりはありません。  ただ、今の御意見を伺っておりまして、基本的に私はどうしても納得のいかない部分が一つあります。それは何かといえば、この東京という一地域にこれ以上人口が集中し、都市機能が破壊されるような状況を存続することを前提に考えるのだろうかという点です。私はむしろ、東京という都市に集まり過ぎている機能を分散すべきだと考えている論者です。そして行政機能にしても、私は首都に集中し過ぎているものをできるだけ分散すべきだと考えて今日までもまいりました。そういう考え方からまいりますと、私は、東京にと言われる集中自体が変えていかなければならない大きな我々のテーマではないかという気持ちが率直にいたします。  また、既に何遍も委員もお聞きになっておられるような議論を私はここでするつもりはありません。ただ、今の御議論を通じても出てまいりますもう一つの家賃控除の問題点は、税を負担なさらない方にはこの恩典はいかないということであります。これは税制で対応する場合の最大の問題点でありましょう。そして、今までに本院におきましてもまた参議院におきましても御党の皆さんからこの問題が大変いろいろ御論議をされましたときに、私はどうしても、いろいろな、例えば租特でやろうという方もありましたしあるいは所得で線を引こうというようなお考えを述べられた方もありましたけれども、税で家賃というものに対応します場合、どうしても、税を負担されない方々にはその効果は及ばないという問題点については解答が出てこないのではないかという考えを申し述べました。  そして、これは御党が否定しておられることを承知の上で申し上げますけれども消費税における家賃の非課税措置を我々は今回の改正案に入れたわけでありますが、これはすべての方々にその効果が均てんするわけでありまして、税で対応いたします限り、より高額な負担にたえ得る方がより大きな恩典を受けるということと同時に、税を負担されない方々にはその効果が及ばないという問題点は、どうしても私はぬぐい切れない問題点として脳裏にしみついております。
  234. 薮仲義彦

    薮仲委員 クールな大蔵大臣でございますから私もクールに申し上げますと、我々は東京一極集中あるいは固定資産税、いろんな税制を論ずるときに、法人と個人ということを厳格に立て分けているわけです。それで、いわゆる法人が集中することは大臣のおっしゃることに私は全く同感です。企業はむしろ分散してほしい。しかし、私は先祖伝来東京に住んでいましたという素朴な庶民の感情は大切にしてほしい。このことを今具体的に申し上げたいのが一つでございます。  それからもう一つ、公明党の言っているのは税額控除だけじゃないのです。家賃手当を言っているのです。いわゆる所得税で減免の及ばないところは、年収の一五%を超える部分については手当を出しましょう。これは建設省が、いわゆる家賃として年収に及ぼすパーセントはどの辺か、大体一五%前後あるいは二〇%という意見もございますが、公明党の政策は、一五%を超えたらば、税額控除じゃないのです、減税の及ばないところはもろに手当てをしたらどうでしょうか、こういう考えを持っておりまして、これは行く行く同僚議員が重ねて何回かやるでしょうから、きょうはほかの問題もたくさん聞きたいのでやめておきます。  ただ大臣、東京都のサイレントマジョリティー、本当に東京都民の声を大臣に申し伝えておきたいと思うのでございますが、一つは、東京都の企画審議室がつくった資料の中に東京都のことを書いてあるのです。東京都は六十二年には人口増の区が五区に減少してしまった。また、他府県からの転入が転出を上回り人口がふえている、社会増の区が五十八年には十区、五十九年には十二区あったが、昭和六十一年には八区、六十三年にはすべての区で人口が減ってしまった、住めなくなった、こう言っているわけです。  それで、これは建設大臣に直接関係するのですけれども、東京都の言っている「住宅政策の新たな展開のために」、東京都は何とかしようということで一生懸命やっているわけですが、そこの中で、大臣がおっしゃったことと東京都民の思っていらっしゃることに、ちょっと私、ここのところが非常に大事だなと思うことがございますのでお伝えしたいのは、東京都民の方はコミュニティーを維持したい、庶民文化を大事にしたいのだ。隣のおじいさんが住めなくなった、あの方も住めなくなったというのは嫌だ。千代田区のあるいは文京区の、ここに昔から住んでいた仲間が一人減り二人減りする、このコミュニティーは何とかつくっておきたい、これがやはり——きょうはやめておきますけれども、本当は私、住宅に対していろいろな批判があるのですけれども、このコミュニティーというのは大事だと思うのです。  それで、新しい仕組みの創造をつくっていきましょう。公共、民間を含め住宅供給の新しい仕組みがなければできません。東京都は合築とか信託をやろうとしているのです。そしてまた、新規家賃が高額化した公社公団にも入居が困難なので新しい施策が必要です、こう言ってコミュニティーを守りみんなで仲よく東京をよくしようというのを、東京都民の方が都知事を中心に考えていらっしゃるということは大臣に御承知おきいただきたいと思うのです。もうそれだけ知っていただけば十分でございますけれども。そのために私は、東京を住める町にしてくださいますかと冒頭に国土庁長官と建設大臣に伺ったのは、住みたいという素朴な人を住ませるような施策を大臣、やってくれますか。
  235. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 実は私は、何遍か本院の御論議の中で、土地政策というものを考える場合に、税というものあるいは金融というものはわき役だということを申し上げてまいりました。そして、その際に私自身考え方を申し述べる一つの例証として申し上げましたのは、まさに今委員が御指摘になりましたようなケースであります。そういう方々を、そのまま先祖伝来の地で仕事ができる、そしてコミュニティーを維持し住んでいくことができるような土地政策を、そしてその中における税制を皆さんは求められるのか、あるいはその方々が他に移り住み、出ていかれ、その地域が再開発をされ、より多くの住民の住居を与える方向に土地政策を考えられて税に期待をかけられるのか、その土地政策に対する基本政策がなければ税というものが主役にはなり得ないということを申し上げてまいりました。  私は、今委員が引用されました東京都の方々のまとめておられるお考えというのを理解をいたしておるつもりであります。そして同時に、私自身、一つは、資産格差の増大というものの中で資産課税の適正化を求める国民の声と、もう一つは、非常に素朴な言い回しですけれども、どうやったら一生懸命に働けば大都市部においても自分の家が持てるという夢を国民に持っていただけるのか、そうした土地政策の中で税の果たす役割というものを税制調査会の御論議の中に求めておるわけであります。
  236. 薮仲義彦

    薮仲委員 これはまたゆっくり機会があればやりたいと思っております。大臣の言わんとすることはわかります。  重ねて私は一つだけ言いますと、大臣の言おうとすることはわかるのです。ただ、税制に御専門の方は、相続財産とかあるいはあなたの生活を楽にするために、あなたの土地が、二億とか三億とかという土地を持っていらっしゃるのでしょう、これを例えば税務当局の専門家に聞けば、相続財産の例えば二億という評価は、これはもっと何倍かの評価のものを大蔵省は路線価では下げていますよ、二億だったら四億ぐらいの評価のものですよ、しかもこれを二百平米までは二分の一まで相続財産をカットしているのですよ、こういう話はあるのです、私はわかっているのです。  ただ、そこで何が言いたいかというと、例えばそこに住んでいらっしゃる方が土地の運用とか土地の資産の活用をわかっている人ならば、私だったら、これが二億の評価価値があるのだったら銀行に行ったらまあ担保は四億の価値はあると思うので、二億は貸してくれるから、そこに新しいビルをおっ建てて子供の相続財産のためをやるというのは私ならできるのです。私の言っているのは、弱い立場の、そこに住んで一生を終わろうという方の立場も、私のところに、きょうはできなくて残念なんですが、あるのですよ。そういう土地を顕在化しようじゃなくて、住んでいこうという素朴なおじいさん、おばあさん、我々の大先輩です。戦後の苦しい社会を東京の中で、あの壊滅的な中から立ち上がった方が住みたいという素朴なところには、サイレントマジョリティーとして大臣にお願いをしたいということだけは言っておきます。  こればかりやっているとだめなんで、そこで建設大臣、ちょっとお願いがあるのですが、私は東京都に行って公明党のセミパブリックということを相談したのです。このことについて東京都は、東京都もそうですよ、今やっておるのは東京の優良民間賃貸住宅をやりたいと思っています、このアイデアは公明党さんの考えとほぼ近似値ですねというお話もございました。ということは土地を顕在化しない。五十戸とか四十戸とかと言わないで、私が例えば庭先に一軒でも二軒でも都営住宅を提供しましょう、その都営住宅は東京都が建てましょう。さっき言ったように、東京都は土地信託でやろうとしているのですから、土地の問題はクリアできるわけです。その都営住宅を東京都がお建てしましょう。でも、東京都が建てるまでいかなくても、私が公庫から融資を受けます。二分の一か何分の一かは東京都が、あるいは国が援助しますよ。そのかわりそこに入居なさる方については、家賃についてはリーズナブルな、適正な家賃で入居できるようにしていただけませんか、こういうようなことをやっていくのがセミパブリックの一つの方法なんです。  もう一つの手法は、もう住宅局長に何回も言って、私が言っているのは、百坪持っていらっしゃる方が、半分は自分の家に使いましょう。お年寄りだったら三十坪もあれば十分立派な居住空間を持てます。あとの五十坪をお貸ししましょう。仮に二十坪ずつ家を建てて二階建てにすれば床面積四十坪ですから、三LDKぐらいは十分建てられますね。三LDKどころかもっと、五LDKぐらいいくのじゃないかと思いますけれども、まあ三LDKは十分いくのです。すると、二十坪のところへ二階建ての建物を二つ建てますと、これは床面積でいけば四十坪ですから、坪単価が建築費は大体建設省六十万前後のことをおっしゃると思うのです。そうすると一戸当たり六、四、二十四、二千四百万、二戸で四千八百万です。これをもしも、国と都でそこのところへ建てましょう、建てたお金は家賃で返してください。公庫融資でこれを計算しますと七万とか八万なんですよ、一戸当たり。しかし、今三LDK七万、八万というのじゃ安過ぎるのです。ですから、これを仮に十五万とか十六万に設定しますと、そのすき間があるわけです。このすき間は地代にも払いましょう、東京都のその二十五年なら二十五年の支払いにも払いましょう、それから家主さんの家も建てかえられますね。これで全部丸くおさまって地価を顕在化しなくていい。セミパブリックI型、II型。建設省のおやりになる地域特賃があるのですよ、A型、B型。東京都へ行って聞いたのですが、B型はゼロなんですよ。これは住宅局長と私、意見がいつもかみ合わないのですけれども、このような公明党の言うセミパブリックということは、やはり東京都も一つのアイデアとしてもう考えていらっしゃるのです。I型、II型といっておりますけれども。こういうような地価を顕在化しないでリーズナブルな家賃で入居できるような新しい展開を住宅政策として大臣に、ここですぐやりますとかやりませんじゃなくて、検討いただきたいと思うのでございますが、建設大臣、いかがですか。     〔近藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  237. 伊藤茂史

    ○伊藤(茂)政府委員 先生お話十分伺っておりまして、私なりにちゃんといろいろな計算もしてみました。確かにおっしゃいますようにその限りでは十分に計算上成り立ちます。私どもも同じ発想で、例えば公庫融資で小規模賃貸住宅というようなことで、家主さんとその場合には同じ建物の中に一緒に住むことになりますが、持ち家と賃貸住宅を両方一緒に融資をして、それで四戸以上の賃貸住宅を経営しながら持ち家の償還もしようというようなこともやっておりますし、先生の場合にはそれを同じ敷地の中で公営を別にしようということで、一つは民間賃貸ではなくて公営だ、こういうことでございますが、したがいまして公団の、例えば特別借地方式というようなことをやっておりますが、ああいう方式と発想は同じだと思います。したがいまして、先生の御発想十分意図はわかりますので、セミパブリックI、IIを含めまして検討させていただきます。
  238. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう時間がなくなったので、運輸大臣厚生大臣お見えでございますから——奥田自治大臣、きょうはちょっと固定資産税までいかなくて本当に申しわけなかったのでございますが、ここに資料はしっかり持ってきたのですけれども、土地住宅をもっとやりたかったのですが、本当にありがとうございました。いずれまたお願いしたいと思います。  運輸大臣お見えでございますので、ちょっと運輸大臣厚生大臣にお伺いしたいことがございます。これもやはり土地住宅にかかわりますので、ちょっと大臣方、私の意見を聞いていただきたいのですが、委員長、これを各大臣にお渡ししてよろしゅうございますか。——今渡した資料、これは大野大臣、ちょっとほかの土地住宅に関する大臣もごらんいただきたいのですが、一番最初に三島、新富士、静岡、私は静岡でございますが、例えば新幹線を利用して東京に通勤した場合にどうなるかという例でございます。これは三島で一戸建ての家を建てますと、敷地も書いてございますけれども、大体三千九百八十万。これは最新の住宅の実態で調べてあります。この所要時間が「こだま」六十分、バス十分で七十分を見ております、三島から「こだま」を使って。その次は、新富士から「こだま」が七十三分、バス十五分で八十八分です。それから一番下の段は静岡でございますけれども、いわゆる「ひかり」でございますと五十九分、バス十五分、七十四分。静岡の羽鳥とか富士市ですと今泉、こういうところで一戸建ての家が現実に建てられるわけでございますが、このローンの返却を見ていただきますと、三島で十五万九千円、新富士で十万四千円、静岡で十四万一千七百円で何とかいくかな。この計算式はありますけれども、きょうはやめておきます。  右側を見ていただきますと、当該の時間帯で、東京都心から行ったらどこへ行くだろう。六十七分前後を調べますと、横須賀線の鎌倉、同じく横須賀線で逗子、このあたりが大体六十七分から七十五分の間の土地でございます。ここはとてもさっき言ったように一戸建ては持てません。しかし賃貸ですと十七万なんですね。横須賀線の逗子でも十八万。規模は大体同じにしてあります。今度、新富士に見合うところの八十六分を見ますと、田園都市線のつくし野、同じく小田急線の本厚木、このあたりが八十六分前後の時間帯なんです。静岡に見合う七十四分を見ますと、根岸線の洋光台あるいはさっきの逗子も出てまいりますが、これの家賃が十五万、十八万となってきて、いずれもローンの返済額より家賃の方が高いんですね。ということは、今では新幹線で、例えば三島に家を持って通ったらどうなんだろう。家も持てるし、いいな。  二枚目のペーパーを見ていただきますと、各企業が、これはJR東海の資料でございますけれども、鐘紡とか信越化学とかダイセルとか、すべて全額会社負担です。しかも新幹線利用で通勤片道が二時間以内は全額出してくれるんですね。その他会社がここにずらっとこうございます。このように会社が新幹線の二時間以内は全額出してくれる。そうしますと、三島から通っても静岡から通っても交通費を会社が補助して、五万円までは大蔵省のところで税額を見てくださっております、いわゆる通勤費に対して。  じゃ、そのほかに東京—大阪等の問題を考えますと、JR東海は今七、四と言って、「ひかり」が七本、「こだま」は四本の輸送体系になっていて、今でも非常に厳しい輸送状況にあることは目に見えているんです。しかし、今大蔵大臣も申されました、建設大臣も申されました、東京へ集まるよりも地方へ分散してくれ。それならば私は、分散するためには交通の手段が必要です。そこにはやはりこのJR東海を使うのかな。いや、飛行機だってあるだろう。これはもう運輸大臣御承知のように、羽田から大阪間の枠はあと幾らかといったら、五便しかないんです。大阪空港も二百便の航空管制ができるんですが、二百便いっぱいに使っているんです。東京—大阪間のアクセスというと飛行機が満杯、このJR東海も今七、四体制でほぼ満杯で、この中に将来の乗客の推移を見ていますけれども、今大体八割、ひどいときは一二〇%の乗車率を超えておるわけです。そうしますと、どうしても私は、この東海道のJRというものの持っている経済的な力と、今おっしゃられた多極分散の立場から、このJR東海の輸送力の増強というのはもう非常に重要である。  特に、これもちょっと大臣にお伺いしたいのは、リニアという話が出てくるんですね。このリニアもいろいろ言葉があって、我々が運輸委員をやっているときに、大野大臣も私が当選したころ運輸委員長でございましたけれども、あのころ中央新幹線という言葉も出てまいりました。そして今は中央リニア新幹線という言葉に変わっております。一体この中央新幹線や中央リニアというのは同じものか別なのか。これが仮に別なものでやったらこれは全く採算合いませんし、これをもしもリニアで一本化してやるとなっても、これはJR東海の経営に非常に影響してまいります。私も民営化のときの運輸委員でございましたので、新幹線ができると在来線がどれだけ疲弊するかというのも目の当たりに見てまいりました。  ということで、今大臣に最初にお伺いしたいのは、中央新幹線とリニア中央新幹線というのは同じなのか違うのか。私は同じであると認識しておりますが、間違っておるかどうか。  それから、JR東海の輸送力の増強について何とか、住宅政策あるいは多極分散の上からも、あるいは日本の均衡ある経済発展の上からも、この輸送力は飛行機が満杯であればどうしても急務だと思いますので、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  239. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 全国新幹線鉄道整備法の第二条に「「新幹線鉄道」とは、その主たる区間を列車が二百キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道をいう。」という定義がございます。したがいまして、リニアモーターカーが予定どおり実用化され、毎時五百キロメートル以上の速度を出すことができますれば、この定義の新幹線鉄道の中に入ると考えております。  一方、中央新幹線につきましては、運輸省告示による基本計画でその名称が使われておりますが、中央リニアとか中央リニア新幹線というのは、将来リニアが実用化され、中央新幹線がリニアで建設された場合を想定して一部で使われている俗称でございますので、私どもその意味は理解しておりますが、正規には使っておりません。  それから、先生指摘の新幹線による通勤需要、最近順次ふえておりますので、私どももFREXの採用等その対応をしているところでございますが、東海道新幹線に関しては、JR東海において五カ年計画で現在の七、四ダイヤ、「ひかり」七本「こだま」四本のダイヤを八、四ダイヤにすべく、電気設備の整備等投資を行っているところでございますので、これができましたらそのような輸送力の増強も可能だと考えております。
  240. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう時間がないものですから、事務的な話は大体わかりますから、政治家同士の決断で話していただきたいのですね。私の言いたいのは、JR東海を増強するかしないか、政治決断で、もう政治家同士の決断として御返事いただきたい。  そしてまた、今申し上げた、わけのわからないことを言わないで、中央リニア新幹線というのはそれ一本なんですねと、これだけしか聞いていないのですから、もうすぽんと言ってください。
  241. 大野明

    ○大野国務大臣 先生お尋ねの中央リニア、これはもう、一つというふうに御理解いただいて結構でございます。  それから、新幹線の通勤の問題ですが、これは確かに、今総括審議官から御答弁申し上げましたように、需要の問題はこれはさることながら、やはり輸送力が伴わなければ何ともなりませんので、これを七、四を八、四にするというのも平成四年ぐらいにはやるということで、JR東海が今いろいろ設備その他をいたしておりますから、そのときには考えられると思いますけれども、現況でも一二〇%では何ともならない部分もありますし、私も岐阜羽島を抱えておりまして、名古屋の通勤圏でそういう話を随分聞くのです、それこそ。ですからやりたいのですけれども、現実を聞くと、これは技術的にできないと言われてしまえば無理なので、増強したときにはやれよ、こういうことになっていますから、その節……(発言する者あり)それは別問題として、いいことは、おやじのまねであろうと井上先生のまねであろうと、やろうと思っています。
  242. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間がございませんので、本当はもう一つホームステイの話を運輸大臣にお願いをしたかったわけでございますが、これは希望だけ申し上げておきます。  これからまた夏休みになりますと、かわいい子供が海外へ行くわけです。ところがこのホームステイ、最近マスコミも取り上げましたが、私は三年前からこの問題を国会で取り上げたのです。向こうへ行って、ホストファミリーとのミスマッチがあるわけです、あるいは語学力の不足。いわゆる観光業に携わる方が、少なくとも留学という問題とホームステイという認識の間違いから非常なトラブルも起きております。きょうはやめておきますが、このホームステイについて、かわいい子供が国際人として育つ大事な外国の文化に接する機会なんです。そこで大きな傷を負いますと立ち上がれなくなるのです。これは外務省も文部省も非常に心を痛めます。もちろん運輸大臣も一番心をかけていらっしゃることでございますので、どうか観光業者を通じてこの対策には心をお砕きいただきたいことだけお願いしておきます。ありがとうございました。  私は最後に、厚生大臣お見えいただきましたので、私がきょう質問したいのは、歯科の問題についてお伺いをさせていただきたいと思うわけでございますが、これは大蔵大臣がちょうど私が当選したとき厚生大臣で、そのとき私は、薬事法の改正を大蔵大臣に、厚生大臣でしたから質問いたしました。あのときは無我夢中で大臣に食いついたわけでございますが、当時の薬事法にはいわゆる安全性ということがうたわれておりませんでした。いわゆる適正を図るということでございまして、あのときキノホルムというスモンにかかわる問題で、その当時の厚生大臣、非常に御苦労があったことを私承知しております。そこで、薬事法の中に安全性ということを入れましょうということで踏み切られて、薬事法の第一条に安全性が入った。これは私は非常にすばらしいことだと思うのです。  きょう申し上げたい点はこの薬事法にかかわることでございますけれども厚生大臣、どうぞこっちへ来てください。  私がきょう申し上げたいのは、厚生大臣の手元にこれはもう行っていると思うんですが、一つは、高齢化社会をこれから迎えるに当たって何が一番重要かといいますと、歯科の範囲においては総義歯なんです。総義歯というのは入れ歯ですね。この総義歯というものが非常に重要な問題になってきます。しかも、今齲蝕あるいは歯周疾患の方が多くなって、四十代から総義歯になる方もいらっしゃるんです。人生八十年、四十年間はフルデンチャーの中で、総義歯の中で生活をしなきゃならない。物を食べるということは人生の非常に重要な楽しみの一つです。ところが、現在の歯科の臨床の先生方は総義歯について非常に心を痛めるんです。保険でこれをやりますか、それともいわゆる自由診療でおやりになりますかということを聞きますけれども、保険でやると歯科の先生は非常に良心的な治療をしたくてもできない。何とか保険の不採算を改善しなければならないというのが歯科臨床の先生、また学会の先生の痛いばかりの願いなんです。  そこで、きょう私がお渡ししたこの資料は、「診療ならびに技工行為に関するアンケート調査」、日本補綴歯科学会医療問題検討委員会。今のこの本の初めには、津留学会長さんと、この検討委員会でおやりになったのは平沼先生、愛知学院大学の教授です、前の補綴学会の会長さんですが、この補綴学会の会長さんが、臨床の先生方が総義歯は非常に治療をやりたくないのだということを言われないように、その講座、いわゆる大学の講座と臨床経験の十年末満の先生、十年以上の先生を中心に、いわゆるタイムスタディー、この治療には何分間の時間がかかって保険でどの程度見るべきなんだろうか、あるいは今なかなか厚生省が見てくださらない中間材料等の問題もあるんですが、このいわゆる総義歯をつくるときの一つ一つのステップですね、印象採得、咬合採得、いろいろな一つ一つを、この中でいわゆる医師の診療行為あるいは技工士のおやりになるところを全部検討なさって、きょうはやりませんけれども、こういう表にして、どれだけの保険の評価が妥当なんだろうかという形で、最後の方の四十一ページに「基本的技術料の一例」としてここに挙げてございます。  また、一番最後には現行の保険点数、これは四月一日に改定になっていますからこの点数じゃなくて、正確には上下顎で五千六百六十二点、五万六千六百二十円というのが現在の点数でございます。ところが、初めのところにもございますように、津留先生がこうおっしゃっているんです。  「コンプリートデンチャーでは約二倍近い数値を示し、」ここだけ読みますけれども、コンプリートデンチャーというのはいわゆるフルデンチャーですから総義歯です。総義歯が現在の保険点数の二倍ですよということをここで言われていて、これを大事にしてください、学者や臨床医がまとめた保険の点数に対する心の底からの念願なんだと言って、この初めの文章を書かれているんです。  そして、最後の四十一ページには平均的な値段として出ておりますけれども、これは九万四千七百五十点。これは今の保険点数の約倍ですね。ですから、これでいきますと——点数は、これは失礼しました、九千四百七十五点でございますが、金額に直すと九万四千七百五十円になるわけです。ほぼ倍になるわけですが、これについて、この研究をなさった平沼先生が、厚生大臣に聞いてほしいといって手紙を出されたといって、私のところにくださいました。  このところで申し上げますと、厚生大臣に送付した報告書は、昭和六十三年十月、日本補綴歯科学会が総会時に開催した委員報告公表したものであります。「この報告書は当時の学会長津留教授が”はじめに”で記してあるように歯科医療の中で補綴診療行為の適正な評価を得るための正確な判断基準としてタイムスタディーを主体に調査した素資料である。本調査の中より、とくに高齢者の健康保持、積極的な社会対応に対して極めて重要な診療行為である総義歯補綴を取り上げてみるとその診療基本的行為に対しての社会的認識と理解が低いことが示されている。すなわち、この調査での評価を現行の保険医療診療報酬と対比してもまったく適切さをかくものである。日本補綴歯科学会はこの調査資料をさらに検討し国民の医療、社会保障がより適正によりよく実施され国民の福祉に貢献するため努力したいと考えて」いますと言われて、この平沼先生はさきの補綴学会の会長先生でございますけれども、やはりこれからの高齢化社会の、お年寄りが安心して歯科の臨床の先生のところに行って入れ歯を入れてくださるような時代をつくってほしい、こう願っているこの資料を、私は今どうのこうのということを申しません、これをどうか今後の歯科診療の点数改正のときに大事にして検討をいただきたいという気持ちがございますが、大臣いかがでしょう。
  243. 坂本龍彦

    坂本(龍)政府委員 ただいま御指摘の資料につきましては、非常に専門的、詳細にわたっている資料でございまして、この調査がまとめられたという意味で一つの価値ある資料というように考えられるわけでございますが、いずれにしましても、今後の高齢化社会の歯科診療における義歯の重要性につきましては私ども十分認識をしておりまして、今回の診療報酬の改定に当たっても、このような観点から重点的に点数の引き上げなども行っております。  今後、この診療報酬上、義歯の取り扱いにつきましては、ただいまの報告書も含め、広く専門家の御意見等も十分伺いながら検討してまいる所存でございます。
  244. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは大臣にお伺いしたいのですが、さっきも橋本厚生大臣のころの薬事法の問題を申し上げました。きょうはもう時間が来ていますから、結論だけ申し上げて一言御答弁いただきたいと思うのですが、我々の厚生省に対する信頼の基本は、やはり、例えば局方という薬局方に載っているあの薬一つにしましても、厚生省が承認した薬であるというその裏づけがあって、厚生省の薬を安心して我々は服用しております。薬屋さんで買っております。この薬の新薬を開発するプロセスというのは、もう両大臣とも御承知のように、いわゆる基礎調査に始まりまして薬屋さんで売れるまでには、相当な前臨床の試験、それから臨床試験もございますが、動物試験をやったり健康な人を対象にしたり、しかもそれは小規模です。さらには病人を対象にして小規模、大規模にやって、この薬が世に出るまでにはほぼ十年近くの前臨床や安全性や催奇性、発がん性まで調べて、そして国民の口を通って健康増進のために使うというのが私はあるべき医療の実態だと思うのです。  私は、当選してから歴代の大臣にこの歯科の問題を言い続けてきたんです。何を言い続けてきたかというと、これに反して、歯科材料の導入のあり方が本当に中央薬事審議会を経たものがありますか。私があの橋本大蔵大臣に五十四年に質問してから、ほとんど毎年やっています。そして私は、歯科材料の安全性というのは、歯科の先生大臣も懇談してみてください。口腔の中に入れるということは、単なる物質じゃありません。明らかにこれは人工臓器です。入れ歯を入れた途端にこれは人工臓器として機能をしている。そして、口腔の中で物をそしゃくして人間の体を守っているのです。ですから、私は東京医科歯科にも行きました、愛知学院にも行きました、東京歯科にも行きました。私は専門じゃないんです。でも、先生方に会っていろいろとこの口腔の問題を聞いて、歯科材料として入れるときは少なくとも薬と同じ安全性だけは保ってください、このことだけはどの先生も言いました。しかも、臨床の先生が言うのには、我々は大学で歯科の勉強をしてまいります、歯科の学部は全国で二十九ある。そこの大学の先生が教材として教え、そこで技術として確立しますと、これは通法として学術論文が学会に発表されるのです。歯科技工とか薬剤の話じゃないのです。歯科の学会として権威ある学術論文が出まして、そして少人数の教授が、例えば製造メーカーとやった材料にしても他の大学できちんと検証して治験をして導入をするのです。  ところが、この歯科に関しては私が何回言ってもこれを改めない。ニッケルクロムのときも、大分県で不正請求があったとき、わずか数日でばたばたっと保険に入れてきたのです。ようやく坂本保険局長の時代になって、加算点数はゼロになっています。でも、このことでどれほど臨床の先生が悩まれたか。これは日歯の通達の中にもありますように、ニッケルクロムの中にはベリリウムといって発がん性の物質が入っているのです。当時厚生省が出したのは、その基準が決まってなかったのです。  事ほどきように、私が心配するのは、今薬が十年と言ったのですが、そのニッケルクロム以来、歯科の材料の中に入ってくる中で一番学会と臨床の先生が悩まれるのは、ポリサルホン樹脂です。それからポリエーテルサルホン、ポリカーボネート。私も、政治家になる前は合成樹脂を八年間やっていました。三十年前ポリカーボネートが入ったとき、これはハンマーやギアレーションとして使われておったのです。しかもこれを、国会図書館に行って資料を要求しますと、エンジニアリングプラスチック事典にしか載っていないのです。歯科材料とか医療の担当者に資料を下さいと言うと下さらない。これはエンジニアリングプラスチックなんです。私は、だからそれが入っちゃいかぬなんて野蛮なことは言っていないのです。素材の進歩や新しい技術や医療の向上は、私は国民の一人として期待をしています。しかし、口腔の中に入るというときには人工臓器です。今、人工の臓器移植ということで、どれだけ脳死の判定で厚生省が悩んでいらっしゃるか。肝臓や腎臓と口腔の中の人工臓器がなぜ違うと思われるのか。私は国民の一人として本当に残念なんです。こんな入れ方はしないでほしい。  私は厚生省から資料をもらっておりますと、ポリサルホンの導入の仕方もこんな不親切なペーパーが来るのですよ。改めていただきたい。国会ですよ。国会に出す厚生省の資料が何ですか、これ。何らこれは中央薬事審議会を経ないで入ってくるのです。それも経ましたとは言いますけれども、きょうは時間がなくて残念なんですが、医療用具についての薬事法の改正によって添付すべき書類があるのです。安全性、催奇性、すべてやるのです。ところが抜け穴があるのです。類似という言葉を使うと、物性だけで入ってくるのです。ですから、ポリサルホン、ポリエーテル、ポリカーボネートは類似ということで入ってくるのです。今入っているのはアクリル樹脂です。MMAとお医者さんは言います。MMAとは類似ということなんです。しかし、分子式や構造式を私は調べてあります。これはポリエーテルとポリエーテルサルホンとポリカーボネートは全部分子が違うのです。それを単なる物性だけが類似ということで、安全性を無視してお入れになっているこの厚生省の対応だけは断じてやめていただきたい。  臨床の先生が、今二十九大学があって、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリカーボネートを教えている大学がないのですよ。大学が教えないということは、臨床の先生がこの術式を通法として習っていないのです。習っていない材料が入るということはいかに危険であるか。この類似ということで、添付すべき——薬ならば十年かかる。丸山ワクチンなんか治験薬としてすらいまだに承認されていないじゃないですか。なぜこういう簡単に口腔の中に入れる歯科材料を安易にお入れになるか、私は一人の人間としてもこの厚生省のやり方は許しません。  安全の上にも安全であってほしい。これは私が初めて当選したとき、無我夢中に厚生大臣にかみついたとき、大臣はまじめに言ってくださいました。厚生省は国民の生命、健康を守り、安全には最も留意して、国民の医療に関しては責任を持つとおっしゃってもらった。私はそれがやはり厚生省のあるべき姿だと思う。今、この歯科材料のあり方については再検討をして、外すなら外す。安全が確認される前に保険に入れているんですよ、簡単に。これ、みんなわずか七カ月ですよ、入っているのは。大臣、知っているはずです。こういうことはやめていただきたい。臨床実験はわずか六十床、臨床の先生が言うのです。今の歯科材料の入れ方は、厚生省は人体実験ですか、こう言っているのですよ。しかも自動車部品と同じということは、凶器を口の中にほうり込むのですか。自動車と口腔の中を同じにしないでほしい。この臨床の先生のまじめな叫び、補綴学会の先生方の叫びを本気になって厚生大臣が聞いて、安全に留意していただきたい、これが私の念願です。
  245. 津島雄二

    ○津島国務大臣 薮仲委員のこのたびの御質問を機会に、私も実にいろいろなことを学ばせていただきました。委員はずっと長年この問題点につきまして御研さんを積まれた御質問でございますから、私はきょうは素直に承らせていただきます。  それで、これまでの新素材の出てまいります中で、これを新しく採用するかどうかという点で数次の御質問がございまして、代々の厚生大臣がこれを承って、これは現実にはだんだんと生かされてきていると思います。例えば今後の審査については、先生の御指摘のような問題の反省を踏まえて、きちっと添付資料を取ろうじゃないかという担当の方の考え方になっておりますから、私から申し上げるのもあれでございますが、大変に前進をさせていただいておると思います。それからまた過去の問題につきましても、やはりもし問題があれば再検討しようではないかという考え方もあるようでございまして、そういう意味で、大変専門的な御指摘でございますけれども、感謝をして承らせていただきます。  それから、前の方の総義歯の問題でございますけれども委員指摘のとおり高齢者を中心として健康を保つために非常に重要な治療でございまして、その場合の評価が現実に合っているかどうかということについて、平沼先生から私あてに四月十七日に書類の御送付をいただきました。一読をさせていただきましたが、残念ながら私事門家でございませんので、早速担当の方にお渡しをいたしまして、きょうの保険局長の御答弁になった次第でございます。今後とも一生懸命いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
  246. 薮仲義彦

    薮仲委員 以上で終わります。どうか安全のために御努力いただきたいと思います。ありがとうございました。
  247. 越智伊平

    越智委員長 これにて薮仲君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十日午前九時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時八分散会