運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1990-03-08 第118回国会 衆議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年三月八日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 越智 伊平君    理事 近藤 鉄雄君 理事 佐藤 信二君    理事 野田  毅君 理事 原田昇左右君    理事 宮下 創平君 理事 加藤 万吉君    理事 佐藤 敬治君 理事 村山 富市君    理事 神崎 武法君       粟屋 敏信君    池田 行彦君       石井  一君    稲村 利幸君       内海 英男君   小此木彦三郎君       越智 通雄君    工藤  巌君       倉成  正君    小坂 憲次君       後藤田正晴君    左藤  恵君       坂井 隆憲君    田澤 吉郎君       戸井田三郎君    葉梨 信行君       長谷川 峻君    浜田 幸一君       林  義郎君    原田  憲君       松本 十郎君    村岡 兼造君       村田敬次郎君    村田 吉隆君       村山 達雄君    伊藤  茂君       川崎 寛治君    木間  章君       串原 義直君    佐藤 泰介君       嶋崎  譲君    新村 勝雄君       新盛 辰雄君    戸田 菊雄君       藤田 高敏君    松浦 利尚君       武藤 山治君    和田 静夫君       市川 雄一君    日笠 勝之君       冬柴 鐵三君    矢追 秀彦君       正森 成二君    三浦  久君       伊藤 英成君    大内 啓伍君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  海部 俊樹君         法 務 大 臣 長谷川 信君         外 務 大 臣 中山 太郎君         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君         文 部 大 臣 保利 耕輔君         厚 生 大 臣 津島 雄二君         農林水産大臣  山本 富雄君         通商産業大臣  武藤 嘉文君         運 輸 大 臣 大野  明君         郵 政 大 臣 深谷 隆司君         労 働 大 臣 塚原 俊平君         建 設 大 臣 綿貫 民輔君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     奥田 敬和君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 坂本三十次君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 塩崎  潤君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      砂田 重民君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 石川 要三君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      相沢 英之君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      大島 友治君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 北川 石松君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 佐藤 守良君  出席政府委員         内閣官房長官 大島 理森君         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         公正取引委員会         委員長     梅澤 節男君         公正取引委員会         事務局官房審議         官       矢部丈太郎君         公正取引委員会         事務局経済部長 糸田 省吾君         警察庁刑事局長 中門  弘君         警察庁警備局長 城内 康光君         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  杉浦  力君         総務庁長官官房         会計課長    大橋 豊彦君         総務庁行政管理         局長      百崎  英君         防衛庁参事官  内田 勝久君         防衛庁長官官房         長       児玉 良雄君         防衛庁防衛局長 日吉  章君         防衛庁経理局長 藤井 一夫君         防衛施設庁長官 松本 宗和君         防衛施設庁総務         部長      吉住 愼吾君         防衛施設庁施設         部長      大原 重信君         防衛施設庁建設         部長      黒目 元雄君         防衛施設庁労務         部長      竹下  昭君         経済企画庁国民         生活局長    末木凰太郎君         経済企画庁物価         局長      栗林  世君         経済企画庁総合         計画局長    冨金原俊二君         経済企画庁調査         局長      田中  努君         科学技術庁研究         開発局長    須田 忠義君         環境庁長官官房         長       渡辺  修君         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁長官官房         会計課長    森   悠君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁大都市圏         整備局長    三木 克彦君         法務省刑事局長 根來 泰周君         法務省人権擁護         局長      篠田 省二君         法務省入国管理         局長      股野 景親君         外務大臣官房領         事移住部長   久米 邦貞君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省欧亜局長 都甲 岳洋君         外務省経済局長 林  貞行君         外務省条約局長 福田  博君         外務省情報調査         局長      佐藤 行雄君         大蔵大臣官房審         議官         兼内閣審議官  谷口 米生君         大蔵省主計局長 小粥 正巳君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         大蔵省国際金融         局次長     江沢 雄一君         文部大臣官房長 國分 正明君         文部大臣官房会         計課長     吉田  茂君         文化庁次長   遠山 敦子君         厚生大臣官房総         務審議官    加藤 栄一君         厚生大臣官房老         人保健福祉部長 岡光 序治君         社会保険庁運営         部長         兼内閣審議官  土井  豊君         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産大臣官         房予算課長   東  久雄君         林野庁長官   甕   滋君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       山本 貞一君         通商産業大臣官         房審議官    横田 捷宏君         通商産業省通商         政策局長    畠山  襄君         通商産業省機械         情報産業局長  山本 幸助君         中小企業庁小規         模企業部長   川田 洋輝君         運輸大臣官房長 松尾 道彦君         運輸大臣官房会         計課長     岩田 貞男君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         運輸省航空局長 丹羽  晟君         郵政大臣官房経         理部長     木下 昌浩君         郵政省通信政策         局長      中村 泰三君         郵政省放送行政         局長      大瀧 泰郎君         労働大臣官房長 若林 之矩君         労働省労政局長 岡部 晃三君         労働省労働基準         局長      野崎 和昭君         労働省職業安定         局長      清水 傳雄君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官    福本 英三君         建設大臣官房会         計課長     小野 邦久君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君         自治大臣官房長 小林  実君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      吉本  宏君         予算委員会調査         室長      多田 俊幸君     ───────────── 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     村田 吉隆君  小此木彦三郎君     小坂 憲次君   越智 通雄君     坂井 隆憲君   井上 普方君     伊藤  茂君   嶋崎  譲君     木間  章君   武藤 山治君     佐藤 泰介君   市川 雄一君     矢追 秀彦君   小沢 和秋君     正森 成二君   大内 啓伍君     伊藤 英成君 同日  辞任         補欠選任  小坂 憲次君     小此木彦三郎君   坂井 隆憲君     越智 通雄君   村田 吉隆君     池田 行彦君   伊藤  茂君     井上 普方君   川崎 寛治君     武藤 山治君   木間  章君     嶋崎  調君   矢追 秀彦君     市川 雄一君   伊藤 英成君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 泰介君     川崎 寛治君     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計補正予算(第2号)  平成年度特別会計補正予算(特第2号)  平成年度政府関係機関補正予算(機第2号)      ────◇─────
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  平成年度一般会計補正予算(第2号)、平成年度特別会計補正予算(特第2号)、平成年度政府関係機関補正予算(機第2号)の三案を一括して議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤鉄雄君。
  3. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、総理及び関係閣僚に御質問を申し上げたいと思います。  本予算委員会は、さきの総選挙最初予算委員会でございますので、まず、総選挙の結果について御質問をいたしたいと思います。  海部総理、我が自由民主党は、総理中心として戦いまして、まさに衆議院二百八十六議席の安定多数を確保することができたわけであります。昨年の夏の七月の参議院選挙のことを考えれば、まさに驚くべき成果であると言っていいと思うわけでありますが、総理、なぜ我が党はこれだけの勝利を得ることができたのか、総理のお考えをまず承りたいと思います。
  4. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 選挙の結果についてのお尋ねでございますが、まず最初に、極めて厳しい状況の中で迎えた選挙でございましたけれども、自由民主党は、内外の山積するいろいろな諸問題について新しい時代を築くための選挙であると位置づけまして、対外的には、今東西の対立が終わりを告げて、世界平和共存に向かって流れていこう、そしてその中で日本の果たすべき役割は、今までいろいろと我々が行ってきた自由民主主義市場経済東欧諸国で顕著に起こりました社会主義的統制経済の失敗、こういったものを踏まえて、新しい枠組みづくりが始まっていく世界日本も積極的に貢献していかなければならないし、これまでの経済力とか蓄積した技術力とか経験とか、そういったものを生かして協力をしていきたいという、新しい世界枠組みづくりに積極的に参加したいという対外政策を掲げたことと、それから国内的には、やはり公正で心豊かな社会というものを目指して、特に高齢化時代国民生活を守るための物価の問題、土地問題に対する対応、そういったようなことについて具体的な政策をひたむきに掲げたこと、さらには、リクルート事件の反省に立って政治改革も徹底して行っていきたい、これらの十の問題点を全国で我が党のすべての候補者がこれを厳しく受けとめて、そして地をはぅような努力をして国民皆さん説得工作を続けた選挙戦の結果であったと、二百八十六という議席でこの国会に臨むことができましたのは、有権者の皆さんに心からお礼を申し上げたいような感謝気持ちでいっぱいでございますが、この結果を謙虚に受けとめて、より一層政策努力を続けていかなければならない、このように受けとめております。
  5. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 総理お話がございましたように、まさに我が自由民主党は大変広い分野の政策課題をひっ提げての選挙でございました。ただ野党は、社会党中心としてまさに消費税の廃止を訴えての選挙であったわけであります。それを中心としての選挙であったと私は思うわけでありますが、自民党は安定多数を確保いたしました。しかし野党は、公明党、民社党、そして共産党まで議席を減らしたわけでありますが、ひとり社会党は大幅な議席を伸ばしたことも事実でございますが、この現象について、総理はどういうふうにお考えでございますか。
  6. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 どう申し上げたらよろしいのでしょうか、選挙というのは、確かに消費税が大きな争点の一つであったことは事実でありますけれども、消費税だけであったとはちょっと考えられませんが、ただ、消費税の問題については、私は率直に言って、いつの演説会でも、党首討論会のときでも、税の問題は決して楽しいお話ではありませんけれどもお願いしなきゃならぬことだから率直に言わせてくださいと言って、自民党見直し案の説明や主張等も続けてまいりましたが、もちろんさきに述べたように、外交問題や政治姿勢や内政のほかのテーマについても述べてまいりました。  社会党が大きく議席を伸ばされたこと、これは事実でございます。どう思うかと言われても、ちょっとここでどう思うこう思うということよりも、その事実を率直に受けとめさせていただいて、先ほど申し上げたように、この事実を謙虚に受けとめながら、今後の国会において実りある議論、実りある政策論争が行われていくようにしたいものだ、こう願っております。
  7. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 私は、自由民主党が安定多数を確保した、そしてあえてその対極として社会党議席数を伸ばしたということは、やはり国民は、私たち国会議員に論点を明確にして徹底的に議論してもらいたいということのあらわれではないか。やはり是は是、非は非として堂々と議論する。どうも、消費税の問題だけではございませんが、さき臨時国会を見ても、いろいろ国会対策上の話し合い、悪く言えば駆け引きが先行して十分に議論ができなかった。私は、さき臨時国会におきましても、税制改正に関する特別委員会理事をしておったわけでありますけれども、参議院を通ってきた野党税制見直し法案衆議院議論する機会がなかったということも含めて、やはり国民はもっともっと活発な議論をしてもらいたいということのあらわれが、片や自民党、そして片や社会党というふうに行ったのかなというふうに分析をするわけでございますので、そこで総理消費税でございますけれども、最近のいろいろテレビ会社その他の世論調査を見ましても、いっときと変わりまして、現状のまま継続してもらいたいという考え見直しをして継続してほしいという考え方がいろいろな世論調査の六割をもう超えているわけですね。これはいっとき世論調査と大きな違いでございますが、海部内閣消費税見直し法案を今般国会に提出されたわけでありますけれども、この消費税見直し法案審議について、そしてその成立について、総理はどのような御決意で、お考えで臨まれるのか、承りたいと思います。
  8. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 消費税の問題をめぐって今度の選挙で多くの時間を割いて論争されたことは、御指摘のとおりでございます。  消費税に対する基本的な考え方は、来るべき高齢化社会を迎えて、今までの不公平だと言われた税制を直して、直接税に偏り過ぎておった仕組みを改めて、減税を行いながら資産課税消費課税もバランスよく組み合わせていくという、そういう趣旨で起こった税制改革でございます。昨年の四月からこれは消費税もスタートをしておるわけでありますけれども、ただ国民皆さんや各党からいろいろな御意見や御不満があったことも率直にこれは受けとめさせていただいて、政府自民党が思い切って見直し案考えて、委員よく御承知のように、各般にわたっての見直しも実行してまいりました。人間性の尊厳に触れるような問題、例えば出産の問題とか教育とか、今住宅政策が非常に大切なときですから家賃に対する非課税とか、食料品小売段階非課税流通段階半額とか、そのほかいろいろな問題について見直しをしたことを選挙中にも国民皆さんにお訴えをして、ぜひ御理解いただきたいとお願いをしてまいりました。  ただ、選挙中、この消費税問題をめぐって、野党首脳の方のお話では、今度の選挙消費税の存廃を決める国民投票意味がある、こういうことをおっしゃったわけでありますけれども、ひたむきに訴えた結果、国民皆さん自由民主党に過半数の御支持を与えていただいた。この意味からいけば、その角度から見れば、私は、自民党見直し案国民の多数にお認めいただけたのではないか。  しかし、世論調査を眺めてみても、いろいろな世論調査がありますが、今委員指摘のように、六割を超える者がその見直しをして実施をしていけという声もございます。しかし、最高の御議論を願う場所はやはり国会だと思いますし、それから中身はとおっしゃいますけれども、選挙中にもやはり野党首脳皆さん個別間接税の発想をお出しになったり、直間比率は七対三というところの数字も出てまいる。そうしますと、税収六十兆円時代の七対三の間接税といえば、一体その十八兆円前後のところはどのような姿かたち間接税をお考えになっておるのだろうか。やはりそういったようなことがこれから将来に向かって議論をしていく接点になるのではないかという気持ちがいたしますし、私は、選挙の結果とか世論調査の結果だけではなくて、この国会における御議論も一番大切な議論の場である、こう受けとめますので、与党、野党のそれぞれの考え方が、将来の税制に向かってどのような姿が望ましいかということを積極的に御議論を願って、議論のかみ合うところを探し出していく努力をしていくことがこれから大切だろうと思い、政府は、国会見直し案提案をして御議論をいただき、御審議を賜りたい、こういう考えでおるところであります。
  9. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 総選挙後、海部総理は第二次海部内閣をつくられたわけでございますが、この組閣に当たりまして、清新にして実力のある閣僚を布陣されたわけでございます。最近のフジテレビの世論調査においても、海部内閣支持率は五二%、テレビ朝日に至っては五五・六%、大変高い内閣支持率でございます。最近の内閣支持率考えますとこれは大変な改善だと思うわけでありますが、総理、なぜ海部内閣支持率が最近こんなに高いのでしょう。
  10. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 そのような数字の発表があったことは、大変心強いことだと思ってありがたく受けとめております。  それから、第二次内閣を組閣しますときは、申し上げましたようにいろいろな、内外ともに問題がたくさんございます。人材豊富な我が党で適する方が非常に多いわけでありますから、この問題を片づけるためにどのようにしたらいいかということで、この問題に取り組んでいく、問題解決するにはどうしたらいいかということの角度から考えてふさわしい陣容を選んでいったということでございまして、お認めいただきましたことに心から感謝をしております。
  11. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 こうした非常に改善された内閣支持率は、第二次海部内閣に寄せる国民の期待の大きさを示すものと思います。  そこで総理施政方針演説でも承ったわけでございますが、改めてこうした強い内閣支持率を背景に、どのような政治課通そして政策課題にお取り組みになるのか、一言でひとつお話をしていただきたいと思います。
  12. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 その一言でということだけはちょっと御勘弁いただきまして、やっぱり国際社会の中で今日ほど劇的に世界情勢が変わったことはございません。しかもスピードも物すごく劇的であります。私が、ことしの一月早々にヨーロッパを訪問したときにコール首相話し合いをしましたときは、ドイツの統一問題についても三段階方式とか、十項目の提案とか、最初条約共同体からスタートしてのいろいろな話がございました。けれども、あれから一カ月くらいの間に、予想以上に世界情勢は変わって、ドイツの統一問題というのはもう具体的にあすの日程に入ろうとしておるほど進歩は速いわけであります。ですから、こういったヨーロッパ動きに対して、アジア・太平洋にもいい影響が来るように積極的な努力をしていかなければなりません。新しい世界の秩序をつくろうという模索の中に日本も積極的に参加をしていって、力の支配が世界枠組みをつくっておるときには力でお役に立ちましょうということは言えないし、言ってはいけない立場でありましたけれども、自由で豊かで明るい世の中をつくりたいという世界動きに対して御協力をし、国づくり人づくりに積極的に貢献していくというのは、これは日本がきょうまでを顧みて果たさなければならぬ大きな使命だと思いますから、まずこれは力強く取り組んでまいります。  国内は、いろいろ豊かさが実感できるように、そして公正であるように、高齢化社会消費者立場考えながらやっていかなければなりません。特に、今問題になっております、国は豊かになったが一人一人に豊かさの実感がないというお言葉には、住宅問題から土地問題から幅広くあります。とても一言では言えませんけれども、それらのことを全部踏まえて、公正な社会をつくるための、そして心豊かな世の中をつくっていくための諸施策を強力に進めていきたい。  ですから、そういった意味において、きょうまで選挙その他を通じて訴えてきた問題を実現すると同時に、これは実はかねて前川レポートというものがありましたけれども、あれなんかにおいても構造を変えていく、内需中心経済政策にしていく、それが世界との摩擦をなくしていく方法だということで努力してまいりましたが、特に最近重要な日米の間における経済構造協議の問題もございます。いろいろな努力を続けてきてはおりますけれども、結果がまだ双方において大変な隔たりもあります。これはもう、ことしの目の前の春に中間的評価、夏には最終報告という日程も近づいてきております。これに対しても、きょうまで各実務者間においてそれぞれ日米間で問題を指摘しながら、日本から米国へは七項目、米国から日本へは六項目、大きく分けるとそれだけのものをさらに細分してどうするかという構造問題の協議も続いておるさなかでありますから、これを双方の努力によって片づけていくことが、世界の大きな秩序づくりの根底になるべき日米関係がこれによってゆがんでいったりよくない方へ走っていくということは断じて避けなければならぬと考えておりますので、これを当面の経済の最重点課題として取り組んで解決に向かって努力をしていきたい、こう思っております。
  13. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 本予算委員会で当面私ども審議いたしますのは、平成元年度予算に対する補正予算でございますが、本来ですと、この補正予算は総選挙前に与野党協力で通すべきものであったと思うわけでありますけれども、野党側の協力がなくて総選挙後に持ち越されてしまったのであります。もうきょう三月の八日でございますので、今年度もう日数もそう多くないわけでございますが、ぜひひとつ、私どもも補正予算の衆参両議院の通過に努力をしなければならぬ、政治家として。同時に、この補正予算が執行されるためには、関連のいわゆる六法案がございますから、これも与野党の合意で早急に通さなければならない。私どもも努力をいたしたいと思いますが、総理中心として、関係各政府側も全力を挙げて、この補正予算そして関連法案の国会通過に取り組んでいただきたいということを御要望をして、次に進みたいと思います。  海部総理は就任してすぐにワシントンへ行かれ、そしてメキシコ、カナダへ飛ばれました。そして、お正月の忙しい中を縫って西ヨーロッパ主要国、そしてポーランド、ハンガリーを訪問され、また選挙後、本当に国会が再開した慌ただしい土日を利用しての訪米でございました。総理お話の中にもございましたが、まさに国際情勢は激動しておりますし、日本総理だけが孤立しているわけにはいかない。どんどんどんどん世界を駆けめぐっていただきたい。各国の総理大臣、首相がそういうまさに華々しい外交をみずから展開しているわけでありますから、私ども国民総理が非常にアクティブに国際的に行動されますことに対して全面的な支持をしているわけでございますが、この今般の日米首脳会議、カリフォルニア州のパームスプリングズで行われたわけでございますが、私は、総理から直接、この会談のセットがどのような経緯でなされたのか、そしてどのような話をされたのか、また、これからの日米関係また世界の中で日本が果たすべき役割、意義についても当然お話があったと思うわけでありますが、総理御自身の口から改めて今回の日米首脳会談の意義について御説明をいただきたいと思います。
  14. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 基本的に申し上げますと、日本の外交の基軸は日米関係であることは御承知のとおりでございます。そして私は、この日米関係を基軸にしながら日本が戦後選択をした自由民主主義市場経済は制度として間違いなかった、ますますその意を強くしております。同時に、世界の大きな移り変わりの中でヨーロッパにおける大きな変化も、自由と民主主義と市場経済の価値を認めて、平和共存のできる対決と対立のない時代をつくっていこうという動きに入っておることは御承知のとおりでございます。そうなりますと、アメリカとヨーロッパ動きというものについて日本も積極的にできるだけの協力をし、できるだけ参加もしていかなきゃならぬ、またいくべきである、こう思ったのです。  昨年の九月、ブッシュ大統領と日米首脳会談をいたしまして、日本もアメリカと政策協調しながら二国間関係のみならず、例えば累積債務問題で苦しむ途上国に対する協力の問題でメキシコともいろいろ話し合いをしましたし、また、地球環境の問題で方々の環境問題について日本も積極的に協力をしていくというような話もしておりました。今年早々、松永前通産大臣が訪米のときにブッシュ大統領と出会って、議題を決めないでこれからの大きな、グローバルの関係についても話し合いたいという、そういう伝言もいただき、また、マルタ会談にブッシュ大統領が臨む前にも電話がかかってきましたときに、世界動きについて日本の意見も聞いてきたり、私は、アジア・太平洋の問題もどうぞ忘れないで、平和と安定はヨーロッパだけで終わるものではありませんし、日本には日ソ問題というものもあるし、いろいろなことをそのとき電話で要望しました。  また、地球的規模の協力という面からいくと、日本がきょうまで鉄のカーテンの向こう側にあって入りにくかった東ヨーロッパに対して積極的な援助をするということは、まさに地球的規模の平和と繁栄への協力でございますが、それらのことについては西側の首脳も高い評価をしてくれましたし、またブッシュ大統領ともそのことについていろいろ話し合いをしておきたい、こう思いましたので、ヨーロッパ訪問が終わった後では外務省を通じて、西側首脳との会談内容等についての報告とともに、それらのことについての話し合いもしたいという私の意向も申し上げておきました。  日米関係が極めて重要であるということは、これは与野党挙げてお認め願っておるところであり、過般の党首討論会においても、社会党委員長もそのことをお認めになり、アメリカを訪問するという意向を表明される。私も訪米して、率直な意見の交換をしたいということで、その点は全く意見が一致したわけでありますけれども、大統領の方から電話がかかってきて、自分の都合のあいておる日はこの日であるから、西海岸まで行くので都合がついたらそこで話すことはできないかという電話の申し入れもありました。私はそのときに、国会の開会中でありますから、施政演説や質問を受けなければならぬその日程もあります、同時に、海外へ出るには議院運営委員会の了解も要りますから、その二つを取りつけてから御返事をしますということで、提案だけは受けたのでありますけれども、皆様方の御了解がいただけましたことと、幸いに西海岸まではトンボ返りで往復して会談時間ができるということでありましたので、決心をして往復をしてまいりました。  積極的に、これからは首脳同士の話し合いも、ヨーロッパ、アメリカではもう日常茶飯事のように気軽に行われておるわけでありますから、事情が許すなれば、議題を特定しないでいろんな問題について率直な話し合いをするということを続けていったらいいのではないか。友好国の間柄というのは、まさにそういうものであってしかるべきものだと、私はこう判断をして、日米首脳会談をやってきたわけでございます。
  15. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 総理は、ブッシュさんと総理、大統領の関係で二回お会いになっておるわけでありますね。二回お会いになったのですから、お二人間の相互信頼、相互理解は一段と深まったと思うわけでありますが、その日米首脳同士だけの会談の内容について、いわゆる個別分野に触れた話し合いがあったかどうかというようなことをいろいろ周りで憶測をするわけでありますが、私は総理、あえて申し上げるのだけれども、まさに日米首脳だけの話ですから、あなたが最も外交問題で信頼される中山外務大臣すら同行されない、片やブッシュさんは国務長官のベーカーさんも連れないで、お二人で話し合いをしよう。何の話があったって私はおかしくないと思うのです。そのための日米首脳会談ですから、だから突っ込んだ話をされて、大きな世界の政治の問題から個別案件だって構わないのであって、それは表に出す話と出せぬ話があって当たり前なんです。日米、各国首脳で話をしたのを全部話をしなければならなかったら、何のための首脳会談ですか。私は、総理がおっしゃったかどうか知らないけれども、いろいろな事情があって日本はどうしても米は買えないんだよということも本音でお話があったっておかしくないと思うのです。そうしたら、向こうは向こうのいろいろな要望があるわけで、それは言うことであって、ただ格好だけの首脳会議で、密室に入って全部外で話をしていいような話をするのであったら、時間のむだじゃないですか、そんなことは。  ですから、そのために総理大臣になっていただいたのです。そのための大統領でしょう。何でも言ってください、お任せしているのだから。その結果がどうかということは、まさにおのずから結果で総理は政治責任をとられるべきだ。一々経過についてお話をする必要は全くないと私は思いますので、いろいろ揣摩憶測があるようでありますが、私は、それはもうお任せしたことだ、それが嫌なら、我々が信頼できなかったら総理をおやめになっていただく以外にないのでありますから、その点はぴしっとしていただいていいと思うのでありますが、ただ総理、もう二回お会いになって、ブッシュ大統領というのはどういう人なんでしょうね。私はブッシュさんとは直接話したことはないけれども、二、三回目の前で会ったことはありますが、海部総理とブッシュ大統領は何か性格も似ているしウマが合うような気がするのですが、まず総理御自身から、政治家ブッシュというのはどんな人か、いい機会でありますから承っておきたいと思います。
  16. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 ブッシュ大統領との首脳会談においては、特定の議題を決めずに話し合おうということで、何らの交渉をしたり何らの取り決めをしたりするんじゃなく、大きな、グローバルな問題から二国間問題から地域問題から、本当に幅広く、食事の時間も入れると六時間以上にわたってずっと隣席で話し合っておったわけでありますから、随分いろいろなお話をいたしました。  また、どんな人かとこう言われますけれども、やはりアメリカの指導者でありますから、いろいろ率直に物の言い合える、極めて信頼のできる、真摯な人柄の人である、こう思いました。飛行場まで迎えに来てもらって、車に一緒に乗って会談場まで走った。そういったときにも、沿道から人がたくさん立って手を振っている。大統領、一生懸命手を振っていらっしゃる。私も思わず一緒に手を振ったのですが、そういうようなことが同じような心の通い路を感ずるところなのかな。やはり政治家として、いつも有権者の方を向きながら、彼はアメリカのことを率直に考えておられる。私も日本のことを考えていろいろな意見の交換を高い次元に立って十分にすることができた、こう思っております。
  17. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 まさに日米関係は重大な、大事な関係であり、かつての駐日アメリカ大使のマンスフィールドさんも、世界の中で日米ほど二国間の関係で大事な関係はない、こうおっしゃいました。私も全く賛成でございます。その日米関係で今最大の問題はいわゆる経済関係、経済摩擦と言われているわけでありますが、私は日本の経済も結構今いいし、アメリカの経済も結構いいと思うのだけれども、幸い経企庁長官がいらっしゃいますから経企庁長官に承りたいのでありますが、長官日本経済の現状についてどういうふうに見ていらっしゃいますか。ついでに、アメリカ経済はどうでしょう。悪いのですか、いいのですか。
  18. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 日本の経済並びにアメリカの経済をどう見ているかというお尋ねでございますが、近藤先生にはいささか釈迦に説法の感じがいたしますが、御答弁を申し上げます。  日本の経済は、御案内のように需要は大変に堅調に推移いたしておりますし、企業収益もさらに増加を続けております。雇用者数が堅調に増加し、有効求人倍率も依然として一・三程度ということであります。ただ、年初来に御承知のように為替あるいは株式、債券の動きにつきまして一種の攪乱要因と申しますか、不安定な現象があらわれておりますけれども、今申し上げましたように経済の基調、ファンダメンタルズとしては変化がない、景気拡大の基調には特段の変化は見られないということでございます。  ちなみに、けさの為替は対ドル百五十円二十五銭ということで始まっておりまして、きのうの終わりの百五十円七十五銭よりは若干強含みになっております。  なお、今回の景気上昇期間は、六十一年の十一月を底として、ことしの二月で三十九カ月続いております。御承知のように神武景気の三十一カ月を上回り、イザナギ景気の五十七カ月、岩戸景気の四十二カ月に続くところの戦後三番目の長さとなり、今のままでいけば少なくとも岩戸景気を上回ることは確実である。  それから、経常収支の黒字幅は、これは縮小しておりまして、平成元年度が六百十億ドルの黒字でありますけれども、平成二年度は大体五百六十億ドルの黒字というふうに見込まれております。物価も需要が拡大する中で引き続き安定的な基調を保っているという現状でございます。  それからなお、アメリカの経済でございますけれども、アメリカの経済につきましても、御承知のように大変に順調な推移を示しているのでありまして、特に対日本との関係におきましては、御承知のように貿易収支につきましても五百六十億程度あった赤字幅が逐次狭まってまいります。そういう意味におきまして、私はアメリカ経済の推移につきましても今のところ特別に心配することはない、このように考えております。  なお、お尋ねございましたらもう少し申し上げますが、とりあえずは。
  19. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 今経企庁長官からお話がございましたように、日本経済も大変いい線いっている、アメリカ経済もいい線いっているんですね。だから、日本経済一体と考えれば問題はない。ただ、いわゆる貿易収支という切り口で切ってみると、日米間に五百億ドル、四百九十億ドルの国際収支のインバランス、日本の黒字、アメリカの赤字があるからこれは確かに問題でありますが、しかしどうでしょう、これを急に変えようとすると非常にドラスチックな政策をしなければならない。極端に言うと日本経済は非常な不況になってくる、アメリカはインフレになる、もうジャパンマネーが行かなくなってアメリカの株が暴落する、いろいろなことがあるわけでありますから、これは収支のインバランスがいつまでも続いていいということじゃありませんが、むしろこの改善には冷静に一歩一歩やるべきだと思うわけであります。  ただ、そういってもアメリカの国際収支の半分が日本との赤字だとなると、アメリカ側のいら立ちもわかる、やっぱり議会のいら立ちもわからないじゃないので、対日批判の声が強まっていわゆる包括貿易法案にスーパー三〇一条が採択になった、こういうことでございます。  そこで外務大臣に承りたいのでありますが、我我はこのスーパー三〇一、しょっちゅう新聞に出ておるのだけれども、一体どういう内容のものか、必ずしも国民はわからないで言っているわけでありますが、日米関係が大事なだけに、きょうは幸い全国にこうして放映をされている際でございますから、外務大臣から改めてスーパー三〇一条とはどんなものかについて簡単、明快に御説明をしていただきたいと思います。
  20. 中山太郎

    ○中山国務大臣 スーパー三〇一条は、いわゆる包括貿易法が採択された中の一部でございまして、この背景、どういうことでアメリカの議会でこういうものが立法されたか。それは、一九八七年の五百七十億ドルに上る米国の貿易赤字、これに対する議会のいら立ちがこの包括貿易法案を成立させたという背景があったと思います。  なお、この内容につきましてはUSTRに対して八九年、九〇年両年について米国が貿易自由化を求めていく上で優先的に取り上げるべき貿易慣行と貿易相手国を一方的に認定して、調査協議を行って、当該相手国との間で貿易問題の解決が見られない場合には対抗措置をとる、こういうふうな強い内容を持ったアメリカの国内法でございますが、日本としてはかねてこのようなスーパー三〇一条のような米国の国内法で海外の国々を相手に一つの罰則を規定するということは極めて遺憾であるという意思を表明してまいっております。
  21. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 そこで、このスーパー三〇一条の対象に上がったのが日本のスーパーコンピューターと人工衛星と木製品だ、こういうふうに我々聞いているわけでございますが、通産大臣に承りたいのでありますが、なぜスーパーコンピューターがこのスーパー三〇一条の対象になっているのか、そしてこれに対して日本はどういうような対応をしてきたのか、これから日米関係の改善のためどういう対応をしようとお考えなのか、承りたいと思います。
  22. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今外務大伍からも、この三〇一の問題については大変日本政府としては遺憾であるということでございますが、アメリカとしては、日本政府のスーパーコンピューターの導入について、大変大きな値引きを強いられるとかあるいは技術的な問題でいろいろ日本企業に有利ではないか、こういう受けとめ方をしているわけでありまして、その点日本側もいろいろ努力をいたしまして、幸い来年度の予算案の中でも文部省の方も何か非常にそういう点では予算措置をしていただいているようでございますし、技術的な問題についても相当詰めてまいりまして、最近は専門家会議の中でも大分うまくいっているようでございますが、まだ多少問題点も残っているようでございます。  やはり私どもは、三〇一の問題は別といたしましても、日米友好、こういう関係からできるだけ向こう側の言い分も聞きながら、しかし例えば技術的な問題でも、入札の問題などで日本は御承知のとおり会計法で同じものであればその中で安いものを買わなければいけない、こうなっているわけですが、先方はある程度技術の方にももっとウエートを置けというようなことがありますけれども、これはある程度の技術を満たしたものであれば、ある程度の性能を満たしておれば、やはりそれについては安いものを買うというのがどうしたって日本政府の、これは法律上そうせざるを得ないわけですから、その辺は事務当局が今よく向こうへ説明をしているようでございますので、近い将来私はこれは解決するのではないかというふうに期待をいたしております。
  23. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 次に、人工衛星でございますが、これについて科学技術庁長官そして郵政大臣、お二人からそれぞれ、なぜこれが取り上げられて、そしてどういうふうに政府としては対応してまいったのか、対応していくのか、御説明をしていただきたいと思います。最初に、科学技術庁長官お願いいたします。
  24. 大島友治

    大島国務大臣 結論的に申し上げますと、衛星問題につきましては真剣にこれは努力をしていく、同時に今後とも日米間でもお互いに積極的に話し合いをしていくという考えでおりますが、そこで二、三、従来の経過といいましょうか、それを申し上げてみますると、人工衛星の調達の問題につきまして、スーパー三〇一条の枠外で、日米貿易委員会のフォローアップの会合といたしまして日米の専門委員会として、昨年の十一月の末から始まりまして今日までというか先月まで三回にわたって話し合いもしているという経過をたどっておるわけでございます。  さらにまた、我が国の宇宙開発は、自在な宇宙活動を展開するために必要な技術基盤の確保を目的として我が国としては推進しておるのでありますが、米側は、衛星を開発することに反対しているというのではございませんけれども、研究開発した衛星が実用的な、実利あるいはまた商業目的に利用されるんじゃないか、その結果衛星そのものが売れなくなるんじゃないかというような心配をされているように私どもは考えておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、決して我が国としてはそういうことでなくてやっておるんだということ。したがいまして、これからも政府としては米国の問題意識というものとその真意につきまして、いろいろ今のような経過を十分踏まえて、今後とも、総理も述べられておりますように真剣に努力していくということで、先ほども申し上げましたように昨年の十一月から既にもう専門家の会議を三回ばかりやっておりますけれども、実は来週早々にも第四回目を開いて、今後積極的にこれを進めていくというのが今日我が科学技術庁として考えておる状況でございます。  以上でございます。
  25. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 ただいま科学技術庁長官から既にお答えいたしておりますから簡単につけ加えさせていただきますと、要するにアメリカ側は、外国衛星を調達するに当たって日本側市場を開放せよ、こう言っているわけです。ただその場合に、技術開発の部分だけは別に考えてもいいという配慮なのです。それに対して日本側の方は、技術開発ということはこれからの宇宙開発を考えますと非常に大事ですから、その技術基盤をつくるためには実験と研究を重ねなければならない、しかし実験と開発というものと実用というものは二次的には一体化するものでございますから、そこの区別がなかなか外国、アメリカには理解できない、我が方は相乗りでいこうという考え方でおりますから。  例えば通信衛星の四号を例にとりますと、世界で初めての移動体衛星通信装置を搭載しているわけです。これは研究開発の要素はまことに大きいわけですが、これが成功いたしますとNTTが実用にも使う、相乗りなんですね。要は、技術開発の要素がどれだけウエートを置いているかということで我々としては判断したい、しかし向こうは実用化された部分は開放しなければいかぬ、ここに大きな違いがあるようでございます。  ただいまもお話がありましたように、専門家会合で鋭意調整をいたしておりまして、日本側も新たな提案を含めて積極的な協調を図ろうと努力しておりますので、いずれ理解されるものと考えております。一層日米関係を良好にするためにも努力をしなければならぬと思っております。
  26. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 木製品が問題になっておりますけれども、農林大臣どうですか。
  27. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  林産物が今お話しのいわゆる三〇一条の適用対象とされた段階で直ちに、制裁を前提とした交渉には応じられないということをはっきり表明いたしました。しかし、日米関係は非常に大事でございますから、友好関係を維持していく上で冷静な話し合いが重要だ、こういう観点で、建築基準、JAS、関税分類の技術的事項についての話し合いには応じますけれども、関税引き下げにつきましては、先生御承知だと思いますが、林産物のMOSS協議、これの合意によりまして大幅な関税の引き下げ等の措置を講じました。三九%という結果でございますから非常に大幅でございます。またその結果、木材製品の輸入も大幅に増加をいたしまして、平成元年、六十一年との対比では二・七倍、三倍ですね。こういうことから、その必要はないという旨の説明をいたしてまいったところでございます。  また、今後の対応でございますけれども、スーパー三〇一条のような一方的制裁措置の発動を前提とした交渉には応じられない、これは従来からのスタンスでございますが、この基本方針のもとに、技術的事項については専門家による話し合いを通じましてもう既に四回もやっております。近近またいたしますが、相互に納得のいく解決が得られるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。  なお、米側の主張する関税問題につきましては、現在進行中のウルグアイ・ラウンドにおいて検討すべき課題である、このように承知をしておりまして、その方向で対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  28. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 スーパー三〇一条は報復措置を前提としたものであるという問題は、私は確かにあると思うわけであります。しかし同時に、日米関係を良好に展開していくためには我が方として努力すべきことはあるわけでございますので、三大臣それぞれ、いろいろその理を尽くしていきたい、こういうことでございますので、ぜひひとつその努力を進めていただきたいわけでありますが、こうした三〇一条との日米のいわば対決みたいなものをちょっと先送りするような感じで、私は、昨年の秋にいわゆる日米構造協議が始まって、そして既に三回も日米間で専門家レベルの議論が進められているというふうに解釈、理解しておるわけでございますが、外務大臣、このスーパー三〇一と今の日米経済構造協議の関係、そして、これら三回の日米協議にどういう進展が見られるのか、これをひとつ簡単に御質問申し上げたいと思います。
  29. 中山太郎

    ○中山国務大臣 スーパー三〇一条につきましては先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、日米構造調整協議につきましては、日米間の経済問題、こういうものを長期的に良好な方向に維持していくために日米間のそれぞれの専門家によって協議を行う、こういうことで昨年のアルシュ・サミットの際に両国の首脳によってこの設置が決められたわけでございまして、今日まで御指摘のように三遍会議が持たれております。日米双方それぞれの国の問題点、お互いに勉強し合っておりますが、例えば日本側からアメリカに対しては、アメリカのいわゆる競争力の弱いのは、何といいますか、貯蓄率が低いとか、あるいはアメリカの働く人たちのいわゆる訓練の度合いが日本に比べて低いのではないかとか、あるいはこの膨大な双子の赤字を何とか早期に解決して均衡のとれた財政を堅持すべきでないかというようなことを日本側も堂々と主張しておりますし、アメリカ側は日本に対して、市場アクセスをするについても、御存じのように大店法の問題とか、アメリカで厳しい刑事罰を科している独禁法の問題とか、いろいろな問題について双方が意見の交換を行っておる、こういうことでこれからも協議を続けていく、こういう性格の状態になっております。
  30. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 そこで、今外務大臣からも話があったわけでありますが、日米構造協議の中で三点取り上げられているというふうに私は理解しておるわけであります。第一点がいわゆる大店法の問題でございますけれども、通産大臣、なぜ大店法が問題になるのですか。そして、大臣はどういうふうにこの問題について取り組まれていかれるのか、承りたいと思います。
  31. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 アメリカは、この大店法があることによって外国からのいろいろの輸入、向こうから輸出、日本が輸入しようというその製品の市場が阻害されている、こういう観点に立って大店法の問題を取り上げているようでございます。私は必ずしもそうだとは思わないのでございますけれども、まあしかし、そういう指摘もございますので、正直私は、日本がアメリカから言われたからというだけではなくて、大店法というのは消費者のことを考えなければいけない、こう書いてあるわけでございますし、そういう点からまいりますと、今まで五年も十年も出店希望したのが出店できるまでにかかっているというような点は私は問題があると思うのです。  ですから、こういう点を思い切って運用を改善する、少なくとも二年もかからないうちに結論を出すということをきちんとやれば、私は、それでうまくやっていけるのじゃないだろうか。ただ私もモスバカーさんにもまだ会っておりませんし、ヒルズさんにも会っておりませんし、あるいはアメリカの議会筋の皆さんとも会っておりません。なぜ向こうが廃止、廃止とおっしゃるのか、私はその真意もできるだけ早くひとつこれは確かめてみたい。そして、日本では百六十二万という中小小売商が本当に一生懸命消費者のためにも努力をしてやっているわけでございまして、そういう人たちのことを考えますと、アメリカでは今中小小売商は大変少なくなってしまっているわけでございますから、そういう日本とアメリカの違いもよく説明をし、そして向こうに理解を求め、とにかくこれでひとつやらしてみてくれということを私はアメリカによく話をしてみたい、こんなようなふうに考えております。
  32. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 公正取引委員長、なぜ独禁法ですか。
  33. 梅澤節男

    ○梅澤(節)政府委員 今回の日米構造協議で競争政策なり独占禁止政策の問題を議論を交わしておるわけでありますけれども、私は、やはりその背景には、日本の経済社会なり取引社会に果たして自由で公正な競争ルールが作動しているのかというアメリカ側の危惧なり疑念があるということが背景にあると思います。ただしかし、この問題は、先ほど通産大臣がおっしゃいましたように、日米でそういう議論が出たからという議論ではありませんで、そもそもが日本市場経済の今後の発展のために、なかんずく我が国の消費者の利益のために何をなすべきかという問題でありまして、その点からいえば、公正取引委員会といたしましては、まず現行の独占禁止法の運用をより強力なものにするということと、もう一つは行政運用万般を含めまして透明度を高める、内外ともにわかりやすいものにしていくという努力が必要であると考えておるわけであります。  そのために、幸い平成二年度の政府予算の中では公正取引委員会の、主として違反事件に対処いたします部門の機構、定員の増強を盛り込んでいただいておりますし、例えば外国の事業者が我が国の市場でいろいろ事業をする場合に当たって、我が国の独占禁止法なり取引について疑念なり苦情があった場合にそれを受け付けてあげるというふうな措置も講じられておるわけでありますが、問題は非常に広範にわたっておりまして、私どもは昨年来各種の委員会あるいは内部検討作業を今急いでおります。結論を得次第、まず国内に公表いたしまして、ことしの夏ごろと言われております日米構造協議の期間の間におのずから我我の対応は明らかになっていくと思います。  ただ、もう一つつけ加えますと、この議論日米の対話の中では制度の問題が議論に上がっております。我が国の独占禁止法あるいは反トラスト法、EC諸国の各競争法、理念は共通するわけですけれども、当然のことながら、制度の仕組みなり周辺の法体系は全部異なるわけであります。アメリカが議論いたしております制度の問題について、必ずしも整理されていない部面もあるということでありますが、幸い今回の構造協議の対話を通じまして議論もかなり整理されておる部面もございます。ただ、罰金量刑が低い、あるいは価格カルテルに対する料率が低過ぎるという主張がございまして、これに対する私どもの論点は、詳細は省略いたしますけれども、この点についてまだ平行線をたどっておるというのが現状であります。
  34. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 日米構造協議の専門家のいろいろな議論前の中で、米側から日本はどうも公共投資に対する金の出しが少ないじゃないか、GNPの一〇%くらいまで公共投資に向けるべきだという議論があったと聞いておりますが、大蔵大臣、この点についてどうお考えでしょうか。
  35. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 まず申し上げたいことは、去る二月二十二、二十三の両日における第三回の構造協議におきまして、日本側からは平成二年度の政府予算案につきまして説明をいたしました。その中で、現在内需を中心として景気が力強い拡大基調を続けている、しかも元年度におきましてNTT株式の売却を行わなかったという厳しい財政事情にもかかわらず、NTT活用事業を含む公共事業関係費の総額について引き続き高水準の金額を確保していた、また財投計画等につきましても所要の伸びを確保していたという点につきまして、アメリカ側は率直に評価するという言葉をもってこれにこたえております。また、今後とも中長期的観点から社会資本整備に着実に対応していく、努力していくということも日本側としては表明してまいりました。  こうした中におきまして、アメリカ側からさまざまなアイデアの提供がなされております。これも私は中長期的な観点からその必要性を論じておられるものと理解をいたしておりますし、我が国の公共投資はこれまで一貫して欧米諸国に比してはるかに高い投資水準を維持してまいりました。その結果として社会資本整備の水準は、ばらつきがありますけれども急速な改善が見られていることも事実でありまして、今後の中長期的な公共投資のあり方というものにつきましては、我が国自身の問題として、そのときそのときの財政事情でありますとか経済情勢等に配慮をしながら、私どもは着実に整備を図っていくべきものだと考えております。  今現在を申し上げるならば、内需を中心として順調に拡大をしておりますことから、公共投資を拡大して景気刺激を行わなければならないというような状況にはないことも事実であります。
  36. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 大臣のお話の最後にあったわけでありますが、現在景気が非常にいい状況にあるから、これ以上公共投資を拡大しなくてもいいじゃないかというようなお話、これも私はわからないわけではないわけであります。  ただ、きょうは建設大臣に一言承りたいのですが、日本の経済は、これ以上公共事業をふやすとインフレになっちゃうとか、それから、むしろ人手不足だから消化できないというような議論もちまたに聞きますが、建設大臣、我が国の建設業というものはもう余裕がなくなっておりますか、どうでしょうか。
  37. 綿貫民輔

    ○綿貫国務大臣 ただいま大蔵大臣からも御答弁がございましたが、我が国の社会資本整備というのは、アメリカから指摘されるまでもなく、この立ちおくれを取り戻していくという努力はずっとしていかなければならない問題だと思います。そういう意味で、中長期的にこの社会資本整備というものは続けていかなければならない。ただいまの景気の状況とかいろいろございますけれども、これらの問題とは別に中長期的計画を着実に実行するような方策を今とっておるところであります。
  38. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 私も、日本の経済が民間主導型で民間設備投資がどんどん進んで景気がよくなっていく、この現状自身は決して悪いことではない、非常に望ましいことだとは思う反面、この民間投資がどんどん進むから公共事業はちょっと景気の観点から抑えよう、こういうことになってきますと、まさに日本人は、世界で最も美しい画像のテレビを見、そして世界で最もきれいな音をCDで聞き、最も乗りやすい自動車に乗り、そして使いやすいパソコンを駆使している、だけれども、実際日本人の生活は、道路も悪いし、下水道も整備不足だ、公園もない、ともかくつつましい住居の中で生活をしている、こういうことになる。すなわち、やはり民間主導型はいいんだけれども、それだけを誇張しちゃいますと、それだけがどんどんよくなって非常にアンバランスな社会をつくっていくみたいな気がするんですね。カラオケだけはすごくみんなうまくなっちゃったけれども、帰るうちは不足している。これではよくないので、どうも最近の株がいまいちなのも、また円がちゃんとしないのも、何かそういう日本の経済構造社会構造のゆがみみたいなものが敏感に株や為替に反映しているのではないかという感じも私はするわけでありますので、これも経済協議の中でアメリカ側から指摘があったと聞いておるのでありますが、日本は設備投資ばかりしちゃって、どんどんそっち側だけ伸びちゃって、これはまた輸出にいっちゃうから、多少これは抑えて公共投資をふやせという話も私は理屈がなくはない、こういうふうに思うのです、どうするかは問題でありますが。  そこで、総理、どうでしょう。民間設備投資、民間活動と、それから公共の設備投資、公共投資とのバランスをやはりそろそろこれから政府としても考えていくべきだと思うのですが、総理の御所見を承りたいと思います。
  39. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今、総理にということでありましたけれども、私の方から前もって申し上げたい点が一、二ございます。  これはもう近藤委員経済企画庁長官をお務めであり、十分その点を御承知の上でお述べになっておられると思いますけれども、確かに内需主導型経済構造の定着を図る、そして豊かさを実感できる国民生活を実現していくために、それを支える基盤としての社会資本の整備が重要課題であることは、委員の御指摘のとおりであります。ですから、こうした考え方のもとに、従来から公共事業関係につきましては、それぞれの長期計画を策定するなど着実にその整備を進めてきたわけであります。しかし、依然として整備水準が十分でない分野があることも私はよく承知をいたしております。ですから、民間投資とのバランスを考慮しながら、今後とも社会資本の充実に努めてまいらなければならないことは当然でありますけれども、同時に、公共投資というもの、公共事業というものが経済に与える影響というものをお考えいただきましたときに、例えば平成二年度の予算を考えます場合に、果たして我々はアクセルを踏む必要があるのか、あるいはブレーキをかける必要があるのか、そう考えてみますならば、私は、今アクセルを踏む必要もない、ブレーキをかける必要もない、前方を注意しながら運転をしていかなければならない時期だと考えております。
  40. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 時間もなくなったので、総理、後でまとめて承ることにいたします。  大蔵大臣のおっしゃるアクセルを踏む必要がないという気持ちもわかりますが、そこで私はあえて建設大臣に、さはさりながら、多少アクセルを踏むだけの余裕がありませんかということを実は承ったわけでございます。いわゆる財政再建計画、赤字国債依存体質からの脱却というのは、この平成二年度予算において達成できた。私はこれは、長年の我が党内閣努力、そしてこれを支える国民皆さんの真摯な努力また御協力があって初めてこういう赤字国債依存脱却といういわば快挙をなし遂げたというふうに思うわけであります。  そこで、大蔵大臣に承りたいのでありますが、第一目標は達成したのです。だけれども、まだ百六十二兆か六兆の借金を抱えていますから、またこれから厳しくいくんだということだと、どうでしょう。やはり世の中は厳しいばかりじゃ困るので、一つ達成したら、今度は少し前向きに従来と違った財政運営、いわゆる概算要求基準でゼロシーリングだ、マイナスシーリングだ、その中で全部詰め込んでしまうという形でこれからの財政運営を考えるのか、この際、もうちょっと前向きの柔軟で新しい財政運営をお考えなのか、その点について大蔵大臣のお考えを承りたいと思います。
  41. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 私は今までの経緯を長々と述べようとは思いません。しかし、概算要求基準というものが各省庁の要求の総枠を示したものとして、その省庁それ自体の中で、枠の中におきましてそれぞれの施策の優先順位等を決定され、効率的な要求をしてきたという効果、また、それが結果的に各年度の予算編成におきまして、社会経済情勢を踏まえた財源の重点的、効率的配分に効果を生じたということは、委員もお認めをいただけると思うのであります。  一方、確かに平成二年度ではおかげさまに、本当に国民の御協力を得てとあえて私は申し上げたいと思いますけれども、赤字公債依存体質というものを脱却することができました。しかし、連年の公債発行による公債残高は、二年度末におきましては百六十四兆円に達すると見込まれております。国債費が歳出予算の二割を超えて他の政策的な経費を圧迫しているという状況も変わってはおりません。また、国鉄清算事業団の長期債務の処理問題など我々が残しておる問題もあるわけでありまして、再び特例公債を発行しないで済むような財政禍造に一日も早く持っていきますためには、財政事情はなお厳しいと御理解をいただかなければなりません。今後ともに歳出を中心にして引き続き財政全般を見直していく必要がございます。  また、先般財政制度審議会から特例公債依存体質脱却後の具体的な財政運営のあり方につきまして御報告をいただきましたが、この中におきましても、やはり今後ともに概算要求基準の設定によって概算要求の段階から制度改革、歳出の削減合理化を進めるべきであるという御指摘をいただきました。どのような概算要求の基準を設けるかにつきましては、私どもは財政審の考え方を踏まえながら、そのときどきの財政事情を、あるいは経済情勢というものを勘案して、慎重に検討していくつもりでございます。
  42. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 私は、決して放漫財政がいいということを申し上げているわけではないので、大臣のおっしゃりたいこと、よくわかるのでありますが、ただ、あえて申します。あえて申しますが、財政再建計画内で、厳しい概算要求基準のもとで、ゼロシーリングだ、マイナスシーリソグだとやってまいったことは事実でありますけれども、しかし同時に、例えば私が経企庁長官をやっておったときの六十二年には、六兆円の大型補正予算を組んで内需拡大の景気対策をやり、そして昨年も、そして今度の補正予算もそうでございますが、いわば補正予算で多少の、言ってみれば枠組みの外枠で考えて、本体は枠組みの中に入っているけれども、外枠でいろいろなことを政府がお考えになったことがいわば現在の景気をもたらし、結果的には赤字国債依存体質脱却ということも可能になったということを考えますと、私は、大臣のお言葉わかっておるつもりでございますが、ここは新しい展望を持って経済運営をしていただきたい。まさに平成時代の本格的な予算を、しかも昭和生まれの総理大臣である海部さんのもとで組むわけでありますから、従来と同じパターン——大蔵大臣、大蔵大臣も我々昭和世代の政治家のチャンピオンなんですから、そういう枠組みにこだわらないで、何か新しい展望を持って、まさに総理もおっしゃっておられます心豊かな社会、二十一世紀への跳躍台をつくろうとおっしゃっているわけでありますから、これはやはりそういう前向きの財政運営によって初めて可能であると思いますので、重々お気持ちはわかってお話をしているつもりでございますが、もう時間がなくなったので、最後に総理大臣から、日米経済協議に臨む総理のお考えと、そして財政運営についてのお考えを承りまして、私の最後の質問にいたしたいと思います。
  43. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 日米構造協議に臨む心構えということでございますが、私は、日米関係というものが外交の基軸で極めて大切なものであるということ、同時に、日本はこの国の性格からいって、孤立して生活をしていくことのできる国ではない、相互依存関係を積み重ねていかなければなりません。しかも、日本とアメリカは、その持つお互いのGNPの比は世界の中で今や三七%を超えるほどのものになっており、また、貿易の依存度は、日本とアメリカ、日本から見ると三〇%になっております。この日米関係、大切なものが経済の関係によって揺らぐようなことがあってはいけないというのが私の基本的な考え方であって、首脳会談でも、アメリカ側には具体的な問題よりも全体を通じて日本に対するいら立ちに近いものがある、大統領は機敏にそれを感じ取って、議会やあるいは国内にあるいろいろな問題を日米双方の首脳話し合いによって解決していきたい、片づけていきたい、いい状況に持っていきたい、こうしきりに真剣に言われました。私も、そのとおりに受けとめております。  そして、よく日米の貿易の差が一方的に五百億ドルになっておる、四年ぶりで今四百九十億ドルとちょっと下がりました。これは内需振興政策日本が一生懸命努力したおかげでありますけれども、それは説得力が余りありません、率直に言って。大統領もそのことばよく知っておられました。そして、アメリカの製造業者にとって日本世界第二の市場になってきたということはよく知っておる。アメリカの農民にとって日本が最大の市場だということもよく知っておる。対米黒字が日本努力をしておって四百九十になったことも知っておると言われますが、それはすべて解決できる問題ではありません。今むしろアメリカにあるいら立ち、私が率直に心配しておるいら立ちは、修正主義者という言葉で出るように、日本自由民主主義の国だというけれども、ルールが違うんじゃないか、日本は特異な国ではないかという論がアメリカのいろいろなところで出てきて、そうだそうだというような声がだんだんだんだん大きくなりつつあるということを私は大変懸念をするものです。  九月にアメリカへ行きましたときも、私はボストンへ行って、アメリカの知識人二十名近くと時間を決めずに、日本は異質の国ではない、同じ自由と民主主義の価値を求めて努力をしていく国なんだということを盛んに言いましたけれども、例えば市場参入の問題、我々が日常何でもないことだと思ってやっております系列の問題、取引の問題、いろいろな日本社会の仕組みや社会動きが、アメリカから見ると、何か質が違うものではないか、ルールが違うのではないかというところに来ております。ですから、単純にお金の計算で貿易のバランスさえ整っていけばいいというよりも、その間にある構造的な問題をお互いの努力によって話し合って解決をしていく必要があるのではないだろうか。まさに大統領と私がいたしました話し合いはそういうことでございました。  三〇一条の問題についても、確かに言及はございました。けれども、私はその三〇一条というのは、一方的な制裁を掲げての交渉というのは、かえってお互いの民族感情からいっても問題を別の次元に飛び火させてしまったのでは解決できないから、静かに話し合いによってできる問題は片づけていきましょう。木材のことや衛星のこと、今それぞれお聞きになっておりました。スーパーコンピューターのこともお聞きになっておりました。それぞれの努力が今続けられておるわけでありまして、制裁を一方的にちらつかせる交渉じゃなくて、話し合いによって片づけていこう。同じように構造問題も、日本とアメリカとの間においてお互いに指摘し合って、実務者レベルで幅の広い今いろんな議論をしておりますが、こうだからいけない、こうだからできないということの言い合いだけじゃなくて、もう一歩前進して、こことこことはこうしたらできるんじゃないだろうか、できないこともあるけれどもできることもあるというそういった整理、前進をお互いにやることが大切だということで、私は認識を一致してまいりましたので、これらの問題には真剣に取り組んでいきたいと思いますが、いずれにしても、大きな日本社会日本の経済、日本の将来全体に影響する問題でございます。孤立したのでは日本国際社会の中でやっていけないという大きな前提のもとで、どうぞ高い次元に立って、近藤委員初め御列席の多くの委員皆さん国民皆さんの御理解と御協力もぜひ賜りたい、このように思っております。
  44. 近藤鉄雄

    近藤(鉄)委員 同僚の原田議員が関連して御質問を申し上げたいということでございますので、私の質問はこれで終わります。  ありがとうございました。
  45. 越智伊平

    越智委員長 この際、原田昇左右君から関連質疑の申し出があります。近藤鉄雄君の持ち時間の範囲内でこれを許します。原田昇左右君。
  46. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今、総理お話を承って私も全く同感なんでございますが、日本とアメリカはともに自由と民主主義を共通の価値観にしておりますが、今日ほどその真価が問われている時代はないのではないかと思います。東西の冷戦構造は今や大きく崩れて、東欧も本家のソ連も自由のあらしに見舞われておるという時代であります。そういう時代に、世界のGNPの半分近くを占める日米両自由主義大国が懸案をどう処理するかということは、文字どおり世界経済の動きを左右するほどの大事な問題だと思います。  そこで、日本として、私は、今回総理がアメリカに行かれて率直に胸襟を開いて話し合われたということは大変意義が深いことだと思います。それに対して、何か今、国内では重い荷物をしょわされただけというような批判があることは事実であります。しかし私は、実はこの荷物というのは当然日本の国の中にある問題であって、何も首脳会談を通じて負わされてきたという話ではないと思うのですね。国民がその重荷の存在を首脳会談を通じて認識できたということだけでも非常に私は結構ではないか。というのは、アメリカが横造協議で要求しているのは、内政干渉がましい点を除けばおおむね正論だと思うのです。  これまでの生産者側にウエートを置いた我が国の経済構造消費者側にウエートを置いた仕組みに変えていく必要があると思う。そして、そのために早晩手がけなければならない問題ばかりであります。これらはいずれも避けては通れません。要は、アメリカからの外圧があるから仕方がなく手をつけるのではなくて、我々自身のために変えていくという認識と行動が必要だと思うのです。  そういう意味で、総理が今回の会談において率直に話し合われた意義を国民によく話していただいて、そして内閣を挙げて、また、それに我々も全力的に協力をして、むしろ挙国一致くらいのつもりでこの問題に取り組んでいかなければ大変なことになる、こういうように思います。単に日本の国内問題だけでなくて、国際的にも非常に大きな問題になる。問題は、危機が迫っているということを認識しないことが一番大きな危機だと言われております。その点について総理の率直な御見解を国民の前で示していただいて、呼びかけていただきたいと思うわけであります。
  47. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 原田委員のただいまの高い次元に立っての御質問に、私は率直に敬意を表します。  同時に、日米首脳会談で議論しております間に、私はさき近藤委員の御質問にも答えましたように、ただ単に貿易収支が五百億ドルを超えるとか下がるとかいう問題だけではなくて、世界の力による対立の枠組みが変わって、今度はいかにして豊かに幸せに自由に暮らすかという、そういった仕組みを構築しようとしておるさなかに、日本とアメリカ、GNPにおいては大きな力を持つ、ECの統合が起これば、ECも非常に大きな力を持ってくる、その一角にある日本がアメリカとの間の経済関係のみでせっかくの世界秩序に貢献すべきいい状況が崩れることはよくないし、同時に日本にとっても、きょうまで四十五年を振り返ってみますと、平和を守り、繁栄することができたというのは、この自由貿易、自由経済体制の中で日本はその能力を発揮して伸びてくることができた。これからは世界に対してできるだけ貢献もし、世界と共通のルール、共通の基盤に立っていくことが、言葉をかえれば日本の国内生活の質を高めていくことであると言えるわけでありますから、私は将来の日本のために、また国民生活の質を充実していくためにも、経済構造の改善は今自主的に取り組んでやるべきである、こう思っておるわけです。  そして、冒頭にお述べになりましたように、重い荷物を背負わされて帰ってきたではないか、これはちょっと違うわけでありまして、首脳会談のとき自身も、大統領は双方努力をしようというので、我が方からアメリカにもいろいろ指摘しました項目がございますけれども、アメリカ自身の財政赤字の削減への努力やら、教育改革への努力やら、投資と貯蓄のバランスを変えていくための税制努力とか、いろいろなことにも触れながら、さらにアメリカもやるべき改革は思い切ってやっていかなければならぬ。日本日本で、指摘された問題を自主的に受けとめながらできるだけのことをやっていく。そのことは、日本が平和と安全を守りながら経済的に豊かにしていこうという、戦後のスタートのときに皆さんとともに決めた大きな目標だったと思うのです。  昭和三十五年に日米安全保障条約の改定が行われましたが、あのときに条約の中で、安全保障が大切な基盤であることはこれは間違いありませんけれども、相互協力という言葉を条約の冒頭に入れて、前文と中身の中にも、我々、この緊密な経済協力と自由な諸原則、諸制度を強化することと、それぞれの国の経済政策において食い違う問題を取り除くことの努力をすること、両国の間の経済的協力を促進しようということを、これをきちっとお互いにうたってスタートをして、その枠組みの中できょうまでお互いに努力をしながらやってきた間柄であります。首脳会談のさなかにも、私は最近の為替の問題について率直に心配をしましたので、両国の協力を話し合ってそのことも確認をしました。それは世界の経済にとって非常に大切なことだからであります。  だから、いろんな意味日本の将来のためにこの努力はぜひやらなきゃならぬ。何かルールが違うのだ、共通の基盤がないんだというようなそういう発想、そういう考え方がお互いの心の中に生じてしまったのでは、これはよくありません。その意味で、たくさんの項目があります。大きく分けて言われたのは六項目と言いましたが、細かく実務者協議の問題をずっと追跡しておりますと、何十項目かにわたってお互いに指摘がありますから、できるものとできないものは確かにあるでしょう。その区分けもしなきゃなりません。すぐできなくてもお互いの努力でやれるものもあるでしょう。そういった区分けを精力的に努力をして、双方の努力によってお互いに合意ができるように、とりあえずは春の中間的評価、夏の最終報告までの間、余りもう時間もございません。真剣に取り組んで解決をしていくことが、これはまた将来の日本と、極端に言えば将来の世界の経済にとっても大きな影響を及ぼす問題でありますので、私は最重要に受けとめていただきたい、こう思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  48. 原田昇左右

    原田(昇)委員 総理お話で極めてこの問題が重要であり、しかも緊急を要するということがわかりたわけでございますが、本協議は一定の期限があると承知しております。要は、内閣が責任を持って対処してこれを自民党が強力にバックアップするという態勢をつくることも非常に大事でありますし、同時に、私は野党皆さんにも、野党の党首がアメリカに行って議会関係者とか向こうの当局者等と十分意見を交換していただくということもこれから非常に大事じゃないかと思うのですね。そういう意味で、みんなでこの問題について取り組んでいくという雰囲気をつくることが私は大事じゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  49. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 これは一海部内閣、一自民党という問題ではなくて、この日本の国とそしてアメリカとの当面は経済構造協議でありますけれども、その及ぼすところはやはり世界の平和と安定にもいろんな意味で影響があるということは、先ほどから私も率直に申し上げさせていただいておるとおりでありますが、それには、私どもが当面は一生懸命窓口として対応しておりますけれども、あらゆる立場、あらゆる階層の皆さん方の御理解と御協力が必要なことは言うをまちません。昨日も、参議院質問の中で、これは非常に重要な問題だからひとつしっかりやれとか、あるいは国会議員レベルにおいても超党派でいろいろ意見の交換をしたらどうかとか、あるいは民間の経済人にもそういったような委員会でもつくって協力してもらったらどうかとか、いろいろ前向きの積極的な党派を超えての御意見もいただいて私は率直に敬意を表したところでありますが、もちろんいろいろな段階ですべて日本考え方というものを伝えるとともに、日本の国内でそれらのものに合致して、将来を平和で豊かで明るい、せっかく今築き上げてきたこの問題をさらに続けていきたいという気持ち皆さんがお持ちいただいて、皆さんが御協力いただくことが最も望ましい、願わしいことでございますから、委員の御意見に私も心から賛成をさせていただきます。
  50. 原田昇左右

    原田(昇)委員 さらに日米協議について関連してお伺いしたいのですが、日米安保条約は日米関係の基幹だと思うのですね。しかも、日米関係というのは、日本のこれからの外交においても国際戦略においても何といっても基軸になるべきものだと思います。その安保条約なしでもいいなんという、何か選挙中そんなような声も聞こえてきたようでございますけれども、私はそういう無責任な考え方は排して、首脳会談においてもこれを基軸にしてやっていこう、そしてお互いに協力しようということ、あるいは駐留軍経費についても日本も積極的に支えていくということが当然話し合われたと思うのですが、その点についてはいかがになっているか、一言御説明をいただきたいと思います。
  51. 中山太郎

    ○中山国務大臣 さき日米首脳会談におきまして、ブッシュ大統領から在日米軍経費負担について日本努力を評価するという御発言がございました。これに対しまして海部総理からは、「在日米軍支援を含め日米安保体制の円滑な運用を引き続き確保するために必要な協力を行っていく」という御決意が述べられたわけであります。さらに日米外相会談におきましても、ベーカー国務長官から、日本努力感謝しつつ引き続き期待をしたいという御発言がございました。私は、今後とも日本としてふさわしい努力を続けたいということを申し上げた次第でございます。  政府といたしましては、日本の安全保障にとって不可欠な日米安保条約の効果的な運用を確保していくことは極めて我が国にとって重要であるという考え方で、従来より自主的に努力を続けてまいりましたが、今後とも自主的に努力を続けていくという考えでございます。
  52. 原田昇左右

    原田(昇)委員 先ほど近藤委員質問を聞いておりまして、構造協議と並んでスーパー三〇一条の問題が議論されましたが、私は、スーパー三〇一条というのは、先ほど御答弁が外務大臣からありましたように、アメリカの国内法を海外に適用するのですから甚だけしからぬ話だと思います。しかも日本をターゲットにして、日本、ブラジル、インドだけを不公正な国として指定したということは、大変私は侮辱的なことだと思うわけであります。これに対して、しかも今アメリカで、もっと品目を追加してくれとアメリカ業界が動いておる。下手をすると五十品目くらいの要望が出てくるのじゃないか、こういう報道もなされておる。まさかこれを、こんな侮辱的なものを、日米友好の精神で、我々は我々のことをやるんだ、あなた方もちゃんと正せということを率直に言ってもらい、まさかもっと追加ということはないでしょうね、そんな侮辱的なことは。
  53. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私からお答えをさせていただきます。  私どもとしては、先ほど外務大臣の説明もありましたように、今また原田委員指摘のように、この三〇一の問題は大変遺憾なことだと思っているわけでございまして、全くこれ以上のものがないように、私どもはそう期待をいたしておりますけれども、また、向こうから何か言ってまいりましても、これはよく話をして、そういうことのないようにこれからしっかり対処していきたいと思っております。
  54. 原田昇左右

    原田(昇)委員 わかりました。しっかり対処するという御決意を伺いまして安心いたしましたが、ひとつこれについては政府もしっかりと、こちらはやることはやる、向こうにもやることはやってもらうということをぜひ徹底していただきたいと思うわけであります。  さて、経済運営について伺いたいのですが、最近円為替が下落を続けてきておる、大変憂慮しておるわけでありますが、先ほど総理も、これは国際協調によって防止しなければいかぬ、為替の安定を図らなければならぬということで首脳会談でも触れられた。大変適切な御発言だったと思います。非常に評価をいたす次第でございますが、ただ、これからの経済運営に、何か新聞報道等によりますと、日銀は公定歩合の引き上げということを、まあ日銀が言っておるのかどうかわかりませんが、そういう空気がある。それに対して私は、インフレ対策だということについては少し問題があるんではないか。物価は最近ずっと安定しておりますし、日銀の発表した、三月六日に出た企業短期経済観測調査によりましても、人手不足ということは続いておりますけれども、物については、製品の能力の拡大等でやや需給緩和しつつあるということで、インフレ基調というのは一切見られないわけですね。  さらに、公定歩合の引き上げで、今まで三回やりましたけれども、それによってじゃ円為替が強くなったかというと、一向に改善しない。したがって、公定歩合と円為替、円安防止対策とは私はちょっと異質のものではないか、違うものではないかという印象を持っておるわけであります。しかも、インフレ対策も今それほど——やるにはむしろマイナス面の株価の下落とか、あるいは投資の足を引っ張るとか景気の足を引っ張るという方が心配ではないかと思うわけで、大変難しい問題だと思いますけれども、これについて日銀はどういうように考えておられるか、御説明をいただきたい。
  55. 吉本宏

    ○吉本参考人 三重野総裁、海外出張中でございますので、私がかわってお答えをさせていただきます。  最近、一部に日本銀行が公定歩合を引き上げるということを決断したというような報道が見られるのでありますけれども、これは一つの憶測でございまして、そのような事実はございません。私ども大変迷惑をしておりますので、この点、まず念のため申し上げておきたいと思います。  私どもは、ただいま原田委員の御指摘のとおり、昨年三回公定歩合を引き上げておりまして、二・五%から現在四・二五%ということになっているわけであります。そこで、ただいまのところこれら公定歩合の引き上げやあるいは各種金利の上昇の効果あるいはその影響等を見守っている段階でありまして、こうした政策姿勢に特に変化はございません。  御指摘のとおり、為替相場はこのところ円安方向に振れております。けさの東京市場の寄りつきが百五十円二十五銭ということで、百五十円を若干上回っているわけであります。しかし、御案内のとおり、我が国の経済の現状を見ますと、内需を中心として非常に順調な景気の拡大を続けておるわけでありまして、良好なファンダメンタルズに特に変化はない、このように考えております。そういったことで、ただいまの為替相場の動きはやはり投機色が強いというふうに見られますので、アメリカを初め各国との協調体制のもとで、今後とも為替市場において強力な措置をとっていきたい、このように考えているところでございます。
  56. 原田昇左右

    原田(昇)委員 要するに、為替相場については各国との協調等によって対処する、公定歩合の引き上げは当面考えてない、こういうことでよろしいですな。
  57. 吉本宏

    ○吉本参考人 ただいま為替相場について、各国と協調してきちっとした措置をとってまいりたいということを申し上げました。  公定歩合の問題につきましては、私どもが政策決定を行う場合には、そのときの景気、物価、為替相場あるいは今後の市場金利等を総合的に勘案いたしまして決断をする、こういうことでございますので、現在のところはそういう段階にない、このように考えております。
  58. 原田昇左右

    原田(昇)委員 私は、物価については非常に安定しておると思うのです。ただ、問題は土地なんですね。土地が非常に値上がりする。そもそも我が国は世界でトップクラスの所得水準になったと言われておりますが、それにふさわしい豊かさを実感できる国民生活というものがどうも実感がないということでありまして、これからゆとりのある国民生活を実現するに当たっては、私は、内外価格差の問題に加えて、最も重要かつ緊急な政策課題の一つは土地問題だと思うわけであります。総理の言われる公正でしかも心豊かな社会というものを建設するためにも、政府はこの問題に本当に真剣に取り組む必要があると思うわけであります。  そこで、今回の土地の高騰状況を見ますと、例えば六十二年の統計で見まして、私の手元にあるのですが、六十二年のGNPが三百三十五兆円、それに対してその一年間の土地の資産増加が約三百七十四兆円。ですから、まあ寝ててもGNPだけは稼いじゃった、こういう話になっておるわけでありまして、まことに憂慮にたえないところであります。  そこで、この土地高騰は最近地方の中核都市にまで広がりを見せているという状況でありまして、もはや放置できないと思うのです。で、大蔵大臣、非常に融資の方を抑え、チェックをしていただいておりますが、その中でどんどん土地が上がっておるという現実。どういう状況かということをちょっと調べてみたのがあるんですが、法人企業による土地取引が急激に増加しているということも事実のようであります。  このように法人が土地取得に走る理由の一つは、法人に対する課税上の扱いが少し甘いんじゃないか。つまり節税のために借金をして土地を購入するという事例がかなり見られるんではないかと思うのですね。そうすると、節税ないし投機的な土地取得というものが行われると、給料生活者は、一生懸命ため込んでやっと土地を買おうというのが、もう買えないような値段になってしまう。そういうところを抑制するには、少なくとも法人のそういう土地についての借入金による買いあさりということはできるだけできないような仕組みを考える必要があるんではないか。優良宅地造成ということでやるんならこれは別ですが、そういう投機とか節税とかいうことでやれないような方策はないのか。税法上、例えば土地取得のための借入金の利子は経費とみなさないというようなことはできないのか。個人の場合は経費とみなしちゃもらえないわけですが、法人の場合は、全体の法人会計の中で今度四年間延期するというような措置がとられておりますけれども、四年延納するだけの話でありまして、この辺を何かこれから考えていく必要はないかと思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
  59. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 私どもは今日までも、土地の高騰というものに対抗するためにさまざまな形で税制を活用してまいりました。これは、直前まで同じ海部内閣閣僚として席を同じくしておられた原田委員はよく御承知のことであります。そして同時に、我々から何回も本院におきましても御答弁を申し上げてまいりましたのは、土地について税が主役ではあり得ない、土地の高騰を防ぐための有効な補助手段の一つではありますけれども、税が主役で土地対策は行えるものではないということも申し上げてまいりました。  そして、そうした中で、今委員が御指摘になりましたような、例えば法人による節税あるいは投機的な土地取得というものを抑制するためには、六十三年の税制改正におきまして、新たに取得した土地に係る借入金の利子につきまして一定期間損金算入を制限するといった内容の措置を講じております。今後ともに税負担の回避行為を避けるための不断の見直しの必要性はあると考えております。
  60. 原田昇左右

    原田(昇)委員 国民が豊かさを実感できるような社会をつくるには、私は、緑豊かな美しい町づくりというようなものも進めていく必要があると思うのです。今回の急激な地価高騰によって、住宅を初めとして道路とか公園等の社会資本の整備が著しく困難になってきておる。常磐新線という計画もありますが、これも、その整備に要する費用というのはどんどん追加されていかなきゃならぬ、こういう状況であります。そこで、土地税制見直しについて今大蔵大臣から御答弁ありましたが、いろいろな議論や提言もありますが、土地の保有に対する課税を強化すべきであるという意見は極めて多く出ておるわけであります。そして、現行税制には土地の保有に対する税として既に地方の固定資産税等があります。土地問題は一部の地域の問題だけでなくて、国土政策を踏まえて広域的な角度からその解決に当たる必要があるのではないかと思います。そして同時に、開発利益を社会へ還元するという視点も大事じゃないかと思います。  そこで、私は、例えば国税として、大都市圏について土地の保有とかあるいは事業所に注目して、そういう新しい開発利益を還元するような税金を創設して、その税で社会資本整備を図る、あるいは常磐新線の財源にするとか環状道路の財源にするとか、あるいは広域的な下水道事業とか、あるいは道路、公園等の財源にするというようなことをこれから考えていく必要があるのじゃないか。  例えば、これは自治省の調べでも、東京の固定資産税というのは実物評価に比べて非常に低い評価になっておるわけですね。地方へ行きますと、地方の中小都市ですと実態の六、七割ぐらいまでいくんですけれども、東京の場合あるいは大都市圏というのはもう二割以下、一割ぐらいの評価にしかなっていないわけですから、私は、大都市圏についてはもう少し集積のメリット、開発のメリットを享受しておるものに供出していただいて、それによって大都市圏の整備を図るということをしませんと、これはもう大変な土地代になり、社会資本の整備ができない、こういうことになるということを大変憂えておるわけでございます。どうかその点についても、きょう確たるお答えはできないと思いますが、私の提案としてひとつぜひ可能性について御検討をいただきたい。
  61. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 確たる答弁は要らないということでありますけれども、今私から申し上げたいことは、先般成立をいたしました土地基本法の第五条で、価値の増加に伴う利益に応じた適正な負担の基本理念というものが盛り込まれておりますことを考えましても、今委員が御提案になりましたようなお考えというものは、土地政策全般の中で検討されるべきことであろうと思います。  いずれにいたしましても、土地税制につきましては、土地基本法に示されました基本理念にのっとって、土地に関する政策全体を踏まえた上で、税負担の公平の確保を図りながら総合的な見直しをすることにしておるわけでありまして、税制調査会におきまして、この四月にも小委員会を設けて本格的な御検討をいただくことになります。その場合に、私は、大事なことは二つの視点だと思っております。  一つは、まさに土地価格の高騰によって、持てる者と持たざる者というものがこの国の中に生まれてしまった。そして、その資産格差というものに対して課税の適正を求める国民の声にどうこたえるかという視点でありましょう。  しかしもう一点は、土地政策全体の中において、ともかく大都市において一生懸命まじめに働いていればいつか自分のうちが持てるんだという夢を国民に持っていただけるところまで、土地政策全体を見直していく中における土地税制の役割は何かということでありましょう。いずれにしても、こうした概念を踏まえながら、私どもとしては税制調査会の小委員会に御検討をゆだねたいと思っております。
  62. 原田昇左右

    原田(昇)委員 時間も限られてまいりましたので、ひとつ私はこういう新聞を、新聞というのですか、「前進」という週刊の何かビラですね。これは公然と駅頭等で売られておるわけです。これを見ますと、「御所・常陸官邸を砲撃」、そして「天皇「即位の礼」「大嘗祭」をずたずたに粉砕せよ!」、それから、ここにありますよ。これをごらんください。「天神峰封鎖に大報復戦を」、そしてここにあるのは「天神峰現場闘争本部を封鎖した運輸省、警察、公団を絶対に許さない。すさまじい怒りの報復あるのみだ。」報復をすると、こういうことを書いておるわけです。委員長、これをちょっと配付させていただいて……。
  63. 越智伊平

    越智委員長 理事にちょっと回して。
  64. 原田昇左右

    原田(昇)委員 それでは続けます。要するに、こういうことを宣言しておる。しかも、極左暴力集団によって起こされた事件というのは、ことしになって十六件あります。一月八日に常陸官邸における爆発物発射事件、京都御所における爆発物発射事件、そのほかいろいろたくさんありまして、最近では二月二十七日、清水建設社長宅放火事件、これは何か祭壇をつくったという建設会社に対する報復だ、それから三月七日は関西国際空港の専務宅の放火事件、こう相次いできておるわけであります。昨年だけで二十七件、一昨年に至っては千葉県の収用委員長の襲撃事件、いまだに重傷で病院におるわけですが、こういうことをやっておるわけであります。  私は、言論と政治活動の自由の保障されておる国におけるこの自由に対する挑戦であるわけですね、まさにこういうことを放置しておくということは許されないのじゃないか、個々に刑法を適用して適法性を摘発してみても、これだけの大きな極左暴力集団という集団の組織を解体することにはつながらないと思うのですが、今一体どういうことになっているのか、その辺の取り締まり責任者の国家公安委員長、ぜひ御所見を伺いたい。
  65. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 委員指摘のとおり、最近の極左暴力集団のテロ、ゲリラの現況というのはもう大変攻撃対象を拡散させているわけです。それで、今見られたような機関紙を公然と発行いたしまして、しかも犯罪を予告し、そして犯行を自認する声明まで出しておるという現況でございます。このような無法状態がいつまでも続くなんということは法治国家としてまさに許せないゆゆしき事態である、こういう認識に立ちまして、警察当局はもちろん総力を挙げて未然防止も含めて検索に当たっておるところでございますけれども、はっきり申しまして、この極左個々人の刑法上の犯罪を調査して、まあ探知して検挙に至るという過程ではとても追いつかないくらいの今情勢でございます。  したがって、御指摘のように組織的犯罪集団を解体にまで追い込むという形でなければ、これから今御指摘のような国家的な大行車を控えている事態を踏まえて大変憂慮しておるというのが現実です。ですから、現行法を果断に適用いたしまして治安責任を全うしなければいかぬという形で考えておるところでございますけれども、これは非常に政治的な重大な決断を要する問題でもございますから、法務大臣、もちろん最終的には総理の決断も仰がなければいかぬわけの問題でありますが、こういった現況を踏まえて、第一線の警察官の士気を阻喪しないように、治安責任を全うしていきたい、総力を挙げて取り組みたいと考えておるところでございます。
  66. 原田昇左右

    原田(昇)委員 私は、この暴力は自由と民主主義に対する挑戦だと思うのですね。そして、それを一つ一つ対応しておる警察の諸君には本当に御苦労だと思うわけでありますが、今御答弁のありましたように、個々の暴力行為に対する対応だけでは、私は、この犯罪集団の解体ということはできない、これをひとつ断固として法治国家としての決意をもう示さなければならぬ段階ではないかと思いますが、総理、いかがでございますか。
  67. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 民主主義にとって、暴力はいかなる理由をつけようと許されるべきものではありません。そうして、法は国と社会の秩序を維持し、形成して、もって国民生活社会秩序を守っていかなければならぬものでありますから、私は、その点はきちっとけじめをつけて対処していかなければならないと思っております。
  68. 原田昇左右

    原田(昇)委員 ぜひともこの問題には不退転の決意で取り組んでいただきたいと思います。  時間が来ましたので、これで終わります。
  69. 越智伊平

    越智委員長 これにて近藤君、原田君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  70. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。伊藤茂君。
  71. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 総選挙後の最初予算委員会審議になるわけであります。さまざまの問題、政策課題が山積をしているというのが現状でありまして、真剣な議論をしなければならないと思います。  冒頭に、総理に所見を伺っておきたいと思います。  私は、これからの国会、あるいはまたこれからの政局というのは、日本の政治にとって非常に大事なときであろうと思います。総理の施政方針の中にも、先ほどの答弁の中にも、世界は今や激動、ドラマチックな展開をまさに示している、そういう中で日本の持つ責任はますます大きなものがあると思います。  そういう中でこれからの国会考えますと、昨年、参議院選挙で与野党が逆転をいたしました。言うならば、与党自民党が少数という、野党の方が多数という参議院が存在をする。そして今度の総選挙の結果、私どもにとりましては残念でありますが、自民党は多数を占められたわけであります。私は、ねじれ現象とかいろいろなことが言われますが、何かタクティクか、あるいはやりくりでこのねじれをどうするのかということではないことを国民は求めておられるのだと思います。このような状況の中で、言うならば数の論理、衆参ともに多数があるという意識で、数の論理で国会が運営される、あるいはまた法案が処理をされるという時代は終わったのだろうと思います。これから論議の時代に入らなければならない。論議も、それぞれ与党、野党あるいは各党からさまざまの政策見地が出されるわけでありまして、真剣な議論をしなければならないと思います。真剣な政策議論を展開をする、そうしてまたさまざまの必要に応じた真剣な協議をする。そういう中で、国民の期待にこたえ得るようなこれからの論議あるいは政治をどうしていくのかという非常に大きな課題に迫られていると思います。  私ども社会党も、言うまでもありませんが、野党結束の努力を懸命にやりながら、そうしてまた、反対、批判の立場以上に、我々は日本の将来をどう担っていけるだろうか、総選挙の結果は自民党多数でございましたが、改めてこの現実から政権交代に挑戦をするような、そういうやはり決意と熱意を持って真剣な勉強をしなければならない。懸命な努力と勉強をしながらこの時代に沿うような新しい政治を展開していく、私ども大きな責任を負っているというふうに考えております。  そういう中で総理の御所見を伺いたいのですが、本会議総理の御答弁を伺っておりますと、衆議院から参議院に法案が回った場合にはしっかり議論していただきたいとかいうふうな表現が何回かございました。衆議院では与党自民党が多数であります。当然参議院に送られていく、参議院は違った構造になっているということになるわけであります。何か従来思考でお考えになっているのかなあ、そうでなければいいのですが、という感じも本会議の議場で総理の御答弁を伺いながら思いました。やはりこれから先は今までとは違った議論をしなければならない、そうして、数の論理ではない、本来の言論の府、本来の政策論争、本来のやはり政策の合意と実りを生み出すような場としての機能を持たなければならないということを非常に思うわけであります。そういうことを考えますと、議論につきましても、衆議院での数の意識と論理で、衆議院議論があったのではうまくいかないと思います。今、補正の議論をいたしておりますが、これから本予算になりましたら大変なことになると思います。どちらが損得というよりも、政府も大変な難しいところにぶつかるような局面も予想されるではないだろうか。そうしてまた、国民皆さんにさわやかに思っていただけるような議論をどうするのかという段階になっているのではないだろうかというふうに思います。  そう考えますと、私は、これからの議会の使命というのは非常に大きいわけでありまして、与党も謙虚な姿勢でまじめな政策議論をやっていただきたいと思います。私どもも懸命な勉強をしながら、言うならば単に批判だけではなくて、私どもで勉強したさまざまの私どもの提案を提起をしながらいい議論をしていくということが必要なのではないかというふうに思うわけであります。そういう意味で申しますと、今まで以上に豊かな政策審議がなされる、必要に応じて協議もなされる、どうやはり数の論理の対決ではない実りをつくっていくのか、国会もそうなると思います。そうなりますと政府の皆様の対応も、今までとは違った段階、何か世界も大きく変わっておりますが、日本の政治も何か新しい段階、国民の皆様に新鮮な意識で、そうしてまた、そういうさわやかな認識を持っていただけるような努力をしていくというふうに思うわけであります。  国会のこともございます。政府の対応もあるだろうと思います。それについての御所見を冒頭に伺いたいと思います。
  72. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 伊藤委員の御指摘のように、衆議院選挙の結果は、おかげさまで自民党が安定多数を得させていただきました。しかし、参議院野党の総計が自民党の数を上回っておることもそのとおりでございます。  私が時々御質問を受けて、この現実の中では衆議院で通過成立したとしてもという前提つきで、参議院では絶対に通りませんよと、この議会の数の論理からいって、この現状をどうするかという角度の御質問もよくございましたので、私は、議会政治というものは初めから数だけで全部決まってしまっておる、いわゆるねじれ現象というのでしょうか、今日のこの状況の中では絶対に何も通らないぞというような角度で御議論をいただくと、議会政治はやはり国民のためにあるわけですから、国会の中の議論と措置だけで何も成立しないというのはこれはいけないことでありますから、誠意を尽くしてお話し合いをしながら、どこかで接点を求めて議論を続けていっていただくようにする。国会審議をするところでありますから、その本来の機能に立ち戻るべく各党の皆さん方の御努力が続くと思いますし、私どもも、また政府としてもそのような考え方で対処をさせていただきたい、こう思っております。
  73. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 そういう意味での一つのあかしとして、冒頭に伺っておきたいと思います。  お昼のテレビのニュースを見ておりましたら、ブッシュ大統領が全米電子工業会で七日、アメリカ時間七日ということですからついさっきなんでしょうか、演説をなさったという報道がなされておりました。その内容を聞いておりますと、日米首脳会談において個別のさまざまな問題、例えばスーパーコンピューターや半導体などなど、突っ込んで具体的な話を行ったということが報道されております。  まだ全文、詳しいものは見ておりませんが、私は思うのですが、日米間で首脳お話をなさるというのは当然大事なことだと思います。また、私どもも、アメリカを訪問する、さまざまなコミュニケーションパイプで実りのある議論をするという活動を積極的にやりたいと思っております。委員長の訪米の計画もございます。土井委員長だけではない、さまざまなレベルでのそういうものをやる中で、これが政権党を目指す努力の一つであろうという気持ちがしているわけであります。ただ私は、こういう物事は今日の日本の政治あるいは国民生活日本の経済にかかわる重大問題でありますから、不明朗か不透明な形は非常にまずいと思います。  私は、今回の日米食い違いの経過を通じて、官房長官が訂正記者会見をなさったりいろいろなことがあったようでありますが、何かそういうことがありますと勘ぐって、中身が出ると総理大臣が困ることがあるのかなとかどうとか、そんな感じに実はなってしまうと理由がわからないですね。やはり国民皆さんに不透明か不明朗な印象を与えない、なるべくやはりオープンドアで、国民皆さんに論議を通じあるいは政府として率直に語りかけるのが政治の役割でございますから、何か非常に不愉快なというのか変な感じがするわけであります。  今まで本会議などでの総理の御答弁がございました。私は、真実は両国トップが胸の中に御存じなわけですからなんですが、やはりどうなるのかなと心配しておりましたら、見ておりましたら先ほどお昼どきのニュースでブッシュ大統領が、今申し上げましたように、具体名を挙げて個別問題について突っ込んだ話をしましたというニュースが流れておりました。そうなりますと、総理がお答えになっていた、特定の個別問題については話し合いはしていないのであって幅広く懸案について話をしたということと違ってくる。言うならば、総理の御答弁を聞きながら、ちょっとテレビをつけたら全く別のブッシュ大統領のニュースが流れてくるというふうなわけであります。非常にこれは問題ではないかと思うわけでありまして、何も鈴木元内閣当時の御苦労なさった外務大臣のことまでは申しませんけれども、やはり明朗で透明な、国民に語る態度を持って真実を明らかにすべきではないか。  午前中、お昼前にそんなニュースもございましたので、この日米食い違いの問題につきまして率直にひとつお答えをいただきたい。
  74. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 別に私は隠し事をしたり秘密の約束を首脳同士でしてきたことは全くございませんし、また、言われますように、いろいろな高い角度から国際情勢全般の問題とか二国間の問題とか地域問題とか、いろいろな問題について六時間ほどお話をしたことも率直に申し上げております。  それから、今具体的にお触れになりましたお昼のニュースというのは、あれは向こうから来た電文を見ましてもちょっと私もいかがかなと思う点がありますから正直に申し上げますけれども、スーパー三〇一の問題についてはまとめて大統領の方から、そこの中にある木材の問題とかあるいは人工衛星の問題とかスーパーコンピューターの問題とか、そういったことは名前を出してスーパー三〇一の問題があるという、そういう発言はございました。けれども、突っ込んで個々別々に入っていって、これはいつまでにどうするとかこれはどうするとかいうようなことについては、全く話し合ったことはございません。  私の方から申し上げたことは、三〇一というのは今、日本では、制裁を一方的に掲げてそしてその中での交渉には応じられないという、こういう議論がずっと前からあります、けれども私は、そういうことを言って応じない、だめだと言っておったのでは大事な日米関係に別の面でひびが入っていくし、今ありますいろいろな諸問題にさらに一層距離をつくることになるので、現実にそのような交渉には応じないという態度であるけれども、話し合いをしてスーパー三〇一に示された三つの問題は全部実務者レベルあるいはそれらの別別の会合で話が続いておると、こういうふうに報告も聞いておりますし、そのようなことで解決をいたしましょう、これは言いました。  それから、そのときに覚えておるのは、半導体という名前も出ましたので、半導体はたしかスーパー三〇一の問題ではなかったはずであるし、既に二年半も前から報復関税を受けてしまっておることも事実でございます。ただ、その調達率の問題において、達しておるか達しておらぬかという議論が国内にあることは知っておりましたけれども、そのことについても、首脳会談で特に議論すべき問題だとは私は受けとめませんでしたし、向こうも一般的な話の中ですっと触れられた中に四つの固有名詞が出ておったのではないか、それは私も率直に思いますが、その中の一つ一つについて突っ込んだやりとりをやって、こうだああだというようなことは、これは全くございませんでした。
  75. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私が申し上げたいのは、冒頭こんな話題になってしまいましたが、冒頭申し上げました気持ちからすれば、非常に大事な今日の政治の使命であろうと思います。それだけに、率直に国民の皆様に語り、率直に国民の皆様の御意見を伺いながら我々が真剣な議論をして、どのような打開策を求めていくのかという役割を果たさなければなりません。そういう気持ちで私どもまじめに考えておりますと、いや、個別テーマが出たとか出ないとか、何がどうとか、何か隠されているような印象すら私ども持つというふうなわけでありまして、私どもの率直な印象でもって、今構造協議で話題となっているさまざまのテーマはこれはもう世間に明らかなわけであります。日本側の問題、アメリカ側の問題、一覧表になって皆報道されておりますね。そういうことの中での主要な問題について、全然話も言葉もないというようなことはあり得ないのだろうと思います。同時にまた、首脳の話ですから、その問題はどういう形でやりましょうかとか、この問題はこういう決着をつけましょうとかというところまではいかない、しかし、そういう問題が非常に重要であるという認識、それから具体的、個別テーマも、話としても、また念頭にもきちんとあるというのが当然の姿であろうというふうに私は思うわけでありまして、個別テーマは話しておりませんという切り口上のような言い方になりますと、何か国民の皆様から見てわかりにくいことだなという気がするわけであります。  ですから、これらの問題についても、今もちょっと伺いましたが、改めてやはり国民皆さんの前に何か言いわけとか言い直しとかいうことではない表明をしていただいて、そうして、さっき総理おっしゃいましたが、さまざまな意見の違いはございますけれども、今日の日米関係を真剣によくするように努力をしなければならぬということは、これは当然のことであります。そういう方向にお互い知恵を絞っていくということが今政治のあるべき姿勢ではないだろうかと思うわけでありまして、よろしゅうございますか。
  76. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 首脳会談のテーマの中で、今お触れになりました構造協議の問題に絞って申し上げますと、御承知のとおりに、日本側からはまとめてアメリカに七項目、アメリカ側からは日本側に大きく分けて六項目、細かく分ければ何十項目という問題について実務者間の討議が続いておることは御承知のとおりでございます。  それらの問題について率直に言うと、今までの経緯を振り返ってみると、アメリカの世論やアメリカの国会が担当当事者の意見を聞くところによると満足できる状況ではない、そうして両方が歩み寄って構造問題の解決をしようと思って努力を積み重ねてきても、それは隔たりがあり過ぎて満足できるような姿になっておらぬ。そのことをブッシュ大統領は、自分は非常に心配をしておるのだ、そして、日本側に対しても、それは日本のためにもひとつ歩み寄って、どこかで話し合いができるような合意点を見つけるような努力を、夏には最終報告を出さなければならぬ、春には中間報告がある、時間も余りないのだ、何とかそこまでの間に努力をするようにしていかなければならぬ、大事な日米関係がこれでおかしくなることは避けなければならぬ、大きく変わる世界の中で、この日米関係は大事なんだということを非常に深刻な危機感を持って述べられた。  私は、その気持ちは率直に受けとめさせてもらいましたし、同時に、私の方としても、きょうまでも手をこまねいて見ておったわけではありませんが、前川レポート以来内需振興をするような努力もやってきた。目に見えて日米の貿易のアンバランスというのは是正するように、三年間続いて目立ってきた五百億ドルを超える日本の対米黒字も四百九十億ドルになる。そういう努力は続いておりますが、そういったことではもう説得力がないし、アメリカの世論もおさまってきておりません。むしろ、それよりも我々がごく当たり前だと思ってやっておるいろいろの問題、まさに今度の構造協議で指摘されております何十項目にも及ぶような問題は、日本国内ではごく当たり前のことだと思ってきょうまでやってきましたことが、アメリカ側から見るとそれはルールが違うんじゃないか、それはおかしいではないか、もっと門戸を開放しなきゃならぬじゃないか。要するに、貿易帳じりの何億ドルということを乗り越えて、社会の仕組みそのものの中でもう少し共通のルール、共通の基盤に立つようにしなきゃならぬのが、経済構造問題についての協議をやっておる真の目標だというようなことをきちっと指摘をされる、私の方もその重要性はきちっとわかります。  ですから、たくさんある問題の個々を取り上げて首脳会談で今やるよりも、それは既にきょうまで専門家、実務者の間で話が進んでおって、いいことはできる、できないことはできない、これはああだ、これはこうだという仕組みがずっと続いておるわけですよ。それらの問題にまで深入りすることは避けて、全体の問題として、夏の中間的評価までに、そして最終報告書を出すまでに、時間は短いけれども、日米関係が非常に大切ですから、帰っていって最重要課題として取り組んで努力をしていく。私は、この問題、この問題というよりも、構造協議は全体議論の中で全体を進めていくようにしなければならぬ。その中で、できることと、できぬことをさらにできるようにするような努力も我々の方で努力をしてやっていかなきゃならぬ。そういった意味で、全体をとらえて真剣に取り組んでいくということも表明しました。  ブッシュ大統領の方からは、日本のそういった努力や説明に対しては、よくわかっておると、そして、その数字の下がったことも言ってくれました。同時に、アメリカが財政赤字を下げる努力、貯蓄をふやすための努力もいろいろ言われました。両者の歩み寄りでやっていこうという大きな立場話し合いは率直にいたしましたが、何々何何という個別品目を挙げてそれを具体的にどうするこうする、今実務者レベルでやられておる未解決のような問題について、詰めた話をしたことはございません。
  77. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 総理がおっしゃいました具体的な中身のことについては、後ほどちょっと時間をとって議論をさせていただきたいと思います。  いずれにしても、一つの問題として、冒頭申し上げましたようなこれからの政治、これからの国会、これからの政府という意味からいいまして、何か不透明、不明朗な印象を持つものですから、やはりこれらについて、何か個別問題には一切触れないというと、触れないのもおかしな話じゃないかと、普通の人はそう思うと思いますね。ですから、やはり大事な日米間の非常に重要な問題ですから、総理も背水の陣をもってなさねばならぬというお気持ちだろうと思いますが、私どもも、その個別のメニューについては、政策の違いがあると思いますが真剣な議論はしたいと思います。そういう中での問題なんで、何かやはり率直に国民に語られるという姿勢を持って対応していただきたい。今回の、総理が本会議で答弁されたことですから、これらの問題がこれから日米首脳の発言を通じてどうなっていくのかということも私ども見ておりますし、きちんとしたけじめも求められるかもしれませんが、そういう対応の基本姿勢を実は申し上げたわけであります。  幾つかこれから質問させていただきたいと思いますが、一つは、総選挙が終わりました。総選挙が終わった直後の問題に関連いたしましてまず伺いたいのは、選挙と金という問題であります。  私は思いますが、リクルート問題その他大変大きな事件がこの二、三年間ございました。国民の皆様の大変な怒りを買ったわけであります。いろいろな意味でこれは国民皆さんが深刻に考えた問題だと思います。そういう意味からしましたら、先般の総選挙に臨む各党の対応が本来どうあるべきだっただろうか。私は、あのような汚職とか、選挙とお金とか、お金の政治とか、こういうのはやめなければならない。そういう国民の世論にこたえて、この前の総選挙などでは、むしろ大きな責任を持ち、またリクルートに関しても大きなかかわりの経過のあった与党自民党の方から、お金を使う選挙をやめましょう、お互いに清潔な選挙をやろうではありませんかということを呼びかけるぐらいの姿勢があって私は当然だと思うのですね。また、各党一致してやはり金のかかる政治、金のかかる選挙、こういう実態を乗り越えましょう、お互いに国民の前に浄財でもって、そして限られたお金でもって政策をもって争う、そういう選挙をやって政治を変えようではありませんかというのが、私は筋だったと思います。率直に申し上げまして、選挙の状況というものは全く逆の状況である、逆であったということを私は非常に残念に思います。日本の政治に今問われているものと将来の課題からいって、非常に残念なことだと思います。  本会議でも話題となりましたが、これは一部報道ではなくていろいろな新聞にたくさん実は報道されているわけでありますが、多額の今までにない、田中金脈以上という表現も随分ございましたが、かつてない多額の金を自民党はお使いになった。通常の経団連ルートで年間百億ですか、百二十億ですか、決まっているようですが、そのほかにさまざまの業界に特別の献金を依頼をして、それによってほぼその内容が実現をいたしまして百数十億、合計二百五十億とか二百七十億とか、あるいは三百億とか、また報道によりますと自由民主党本部でそれぐらい使う、そうして実際には派閥、個人、その他ございますから三倍ぐらい使うのかなというようなことすら実は新聞紙面で読むわけであります。途方もないことだ、一体このリクルートのけじめ、政治改革、金の政治への反省、金を使う選挙への反省というものはどうだったのだろうかというふうに思うわけでありまして、私は多くの国民がそう思っておられると思います。  そういう意味から申しましたら、直接の掌握者は自由民主党、与党におかれましては幹事長のようでありますが、総裁として一体こういう事実関係がどうだったのか、どう思うのかということをやはり国民の前に明らかにされる、また見解を述べられる責任があるのではないだろうかというふうに思います。申し上げましたように、本当に今度の選挙は、選挙の前に与野党一致して、膨大に金を使い過ぎるのはやめましょう、清潔な政治をつくるためにきれいな選挙をやりましょう、そういう気持ちを与党が持たれるのが私は本当だったと思いますが、残念ながら実態は全く逆だった。非常に悲しいことだと思います。どうお考えになりますか。
  78. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御指摘のように、今選挙とお金の関係をめぐって政治改革議論が各党間で高まってきておることは、よく承知しております。自民党としても政治改革を断行しなければならぬという大きな願いも持っております。今度の選挙につきましても、いろいろな報道はあったことを承知しておりますが、私は、そのような膨大なお金を自民党が無理して集めてやったというようなことは事実に反すると思います。そうして、そのようなことは今後できる限り改善をしていかなければならぬ問題でもございます。  ただいま政府としては、選挙制度審議会に政治資金と選挙制度を含む御審議を願っております。そこの答申をいただいたならば、できるだけその問題については、選挙制度の改革、思い切ったものをやっていかなければならぬと決意をいたしております。
  79. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 総理、やはり事実は私は明らかにしなければならないと思います。そしてまた、いずれこの選挙などを含めました公式の報告というものが出されるわけであります。また、その報告がどの程度透明度があるのかということを年じゅう指摘をされております。私は、国会のどこかの場で、日本の政治をきれいにして立派にしようという志をお持ちの皆さんらが集まって、こういう今までの経過と報告、不透明とあるけれどもどうしようかと。新聞を見ておりますと、法定選挙費用を上回るぐらいの額を解散の当日にもう何か支給されるような話も党とか派閥とか大々的に報道されておりますけれども、やはり何かそうしようというけじめを一遍つけるような努力を私はなされるべきじゃないだろうかと思います。  同時に、本会議総理の御答弁もそうでございました。選挙制度とか金のかからない選挙制度というところに答弁の話を持っていかれる。私は、違うと思います。何もいつも引き合いに出される奄美の選挙区の例とかを引くまでもなく、今求められているのは、やはり政治倫理をどうきちんと確立をするか。倫理規範としての倫理綱領その他が残念ながら守られていないわけですから、法的規範としてそれをきちんとする。そして、百年前にイギリスの政治腐敗防止法があったわけであります。NHKのテレビなんかでも再放送が出ておりましたが、私も見ましたけれども、あの改革によって金の政治とかあるいは政治汚職とか政権汚職とか、そういう言葉が政界から消えたということがございました。そういうけじめを私はやはりつけるべきであろう。  前々内閣でしたか、与党の中でも伺っておりますと、私どもが提案をした政治倫理法、野党四党で共同で提起をしておりましたが、同じような共通性を持った趣旨で政治浄化法をつくろうということでさまざま案文の研究もあった。いいことだなあというふうに私は伺っていたのですが、できればそういうこともすり合わせてきちんとするという方向。やはり総理の立派な恩師であられた三木さんが残されたあの三木私案、私どもあれを何遍も赤線を引っ張って拝読をしながら倫理綱領などの参考にもさせていただいたわけでありますが、そういうけじめをつけるということが、私の方から言うと総選挙の、膨大な金の選挙の一つの反省ではないだろうかという気持ちもするわけであります。  最高の責任者として率直な気持ちを述べていただきたいと思います。
  80. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 選挙とお金の問題については、議員おっしゃるとおりでございます。そして、自由民主党も昨年政治改革推進本部をつくって、そこでいろいろ議論をして国会に提出しました、そして昨年皆さんの御理解と御協力もいただいて成立をしました公職選挙法の一部改正の法律も、そういった物の考え方の中から生まれてきた第一歩であったと私は評価をさせていただいております。  さらに、選挙戦を通じて、これはどうしても解決していかなければならぬことは、今もイギリスの選挙法をお触れになりました。私は、一八八三年の英国の腐敗防止法のように、いろいろな厳しい罰則を伴ったようなものが今度の公職選挙法の改正の中にも入ってきました。けれども、そういったところを絞るだけで問題が解決するかというと、そうではございませんので、政策中心に、また日常活動から選挙活動から議員個人が一人ですべて何もかも手配、手当てをしなければならぬというような政治の仕組み、選挙の仕組みもいろいろな角度から日を当てて考え直していかなければならぬ問題だ、こう思っておるのです。  幸いに、今選挙制度審議会の審議が進んでおります。そこでは政治資金を含む問題と選挙区制の問題と、選挙のあり方をめぐって近く答申が出ることになっております。願わくば、各党の御意見を聞きたいといって審議会もお呼びかけをしたわけでありますから、野党も御出席願って、野党の意見を率直にそこでも述べていただいて、どういう意見とどういう意見のどこが重なったならばそこは答申に入ってくるかとか、いろいろな場面での対話と議論があろうと思いますから、どうぞいろいろな知恵を出し合って、議論をまとめ合って前進させていくように、我々はその答申をいただいたら思い切ってそれに対しては、ことしが議会開設百年という記念すべき年でもありますので、政拾とお金の関係をきれいにしていくために、政治のあり方を制度そのものにまでさかのぼって、一遍与野党の合意を求める議論を展開していただくためにも、いろいろの材料を提供して御議論を深めていただきたい。おっしゃるように、こういうような選挙は、この次から少しでも少しでもきれいになっていくような努力を今からしていくべきだ、こう思います。
  81. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 今、日本の政治に問われているのは、やはり世界の中の日本という視点からどうとらえているのかということが非常に大きいと思います。よく経済は一流、政治は三流と、まあ前内閣のあたりに随分これが言われました。恥ずかしいことだと思います。やはり私どもは、世界に誇りを持てるようなきれいな民主主義の日本でありたいというふうに思います。そういう意味からいったら、私は、志を高くと言うと言葉は悪いかもしれませんが、やはり高い見識を持って日本の政治をどうしていくのかという視点が大事だろう。私は、また例に引いて恐縮ですが、亡くなられた三木元総理などもそういうお気持ちで最後にあのような力作も残されたということだろうと思います。  私は、そういう意味考えますと、やはり選挙制度の方に持っていってはだめだと思います。それでは解決つかないと思います。現に奄美がどうですか。あるいはまた、明治以来の小選挙区を広めた歴史のときにどのような腐敗とダーティーな事件が起こったか、歴史にちゃんと残っているわけであります。問題はやはりお金と政治という根本原理について、みんながきちんと守らないならば、イギリスでもアメリカでもあれだけ厳しいことをやっているのですから、英米並みの対応ぐらいはきちんととって、世界に恥ずかしくない日本の政治のベースをつくる、いいことではないだろうかというふうに思うわけであります。  そういう意味で、本会議の御答弁でも、何か金のかからぬ選挙制度を選挙制度審議会の答申にして、小選挙区あるいは小選挙区・比例代表ですか、制度の方に話を持っていかれるわけでありますが、歴史の経過を見ても今日の日本の政治、選挙の現実を見ても、それでは私はよくならないと思います。政治家自身の、政党自身の原点をきちんとどうするのか、イギリスでもアメリカでもやっていることぐらいはちゃんとやりましょうという決断をしていただきたい。  もう一つ申します。私は今までの議論で欠けている一つがあると思います。それは法定選挙費用の問題です。法定選挙費用がこれは法律によって決められております。法定選挙費用が守られているという実態、これは選挙をおやりになっている、またやっている気持ちからしたら、とてもかけ離れていると言える実態が大きいのではないでしょうか。それは選挙期間中、選挙前とありますけれども、法定選挙費用という概念は日本の法律の中でももう死語と化しているという評論がございました。イギリスの腐敗防止法の場合には、まさにそれがかぎだったわけであります。選挙の中から、国民から選ばれて政治家が生まれ、そしてまた選ばれた者がまじめに政治をやる。その生まれるとき、誕生の瞬間にお金を膨大に使う者とお金を使わない者と、それによって何か運動や得票の差が起きるというふうなことというのは非常に私は不幸なことであろう、不幸な構造であろうと思います。イギリスの場合には、この法定選挙費用を守らない、破った者、これはその選挙区では一生立候補できないというふうな仕組みになっているわけであります。現在の法定選挙費用、選挙が終わった直後でございますから、みんな報告を出したりよくわかっているのだと思いますが、こういう状態をどうしたらいいのか。総理、どうですか。そういう問題意識をお持ちになりませんか。
  82. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 選挙費用の中で、具体的に今御指摘の法定選挙費用について、私もかつていろいろ議論、研究に参加をしたこともございます。そして、一定の金額の小切手みたいなものをつくって、そして一々小切手を切って、それが終わったときにはもうそれ以上お金を使うことができないよというような制度を設けたらどうかとか、自民党の中でもいろいろ真剣な議論がございました。選挙運動のあり方自身をもっと党が中心になって、党の機関が中心になってやったらどうかという議論もございました。  正直に申し上げますと、そのときに、イギリスがそうであるように、そこを締めようと思うと選挙区の姿かたちもイギリスのようにして、党の支部というものが権威を持って政策宣伝活動やいろいろなことをできるようにしないと、同じ政策の者が同じ選挙区で複数いることになると、政策の争いからややもすると逸脱する面が出てくるのではないかという議論も出てきて、選挙制度、選挙の仕組みそのものを考えなければならぬという議論をいろいろしたことを思い出しております。  けれども、おっしゃいましたように、ここは非常に十八世紀的な発想になるかもしれませんが、この間の公職選挙法の一部改正にしても、公民権停止というものを伴ったり罰則を伴ったりすることによって一歩前進したわけでありますから、これは各党間の御議論を通じてお願いしなきゃならぬことでありますけれども、党としても政治改革大綱の考え方の中には、そういったイギリスの選挙法、それに見習ってお金のかからないような政策中心選挙ができるようにしていこうということがもう既に党議決定で決まっております。私は、昨日、また伊東本部長にお願いをして、そして自由民主党の中のあの仕組みを再発足していただいて、もう一回その中の問題を検討し直していただく、自民党としても答申を待っておるだけではなくて、検討をし直してまた進めていただく、いろいろな御研究を始めていただくようにお願いを申し上げておるところでございますから、この機会に選挙とお金の関係が少しでも前進していくように、今後とも一層検討をさせていただきたいと思います。
  83. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 総理、伊東正義さんが本部長となられて、新聞で二、三回拝見しましたが、最近自由民主党の中では政治改革の熱はすっかり冷めてしまったと嘆いておられるというふうなことがございましたが、そんなことがないようにぜひやっていただきたいと思いますし、私どももお互いにやはりそういうことは刺激し合っていい時代になるようにしていきたいと思います。  いずれにいたしましても、リクルート問題があり、そしてまた今回の総選挙の実態というものがあり、何か真剣に考えるというのは特にやはり政権与党としての国民の皆様への責任ではないだろうかと思うわけでありまして、今までの本会議などの御答弁でも私は不満でございますけれども、勇断と決断を持って、日本の政治をもっとグレードの高い、国民の皆様が胸を張って語れるような、そういう時代にするような努力をしていただきたいと思います。  それに関連をいたしまして、このリクルートのけじめ、組閣に関連をしていろいろ報道をされました。総理がそういう意味で、ある意味では後藤田委員会の大綱以上といいますか、さまざま努力をされたといいますか、そういう気持ちを持っておられたことは私は評価をいたします。同時に、さまざま報道されておりまして、新内閣に七名、献金をいただいたことが公表されているわけでありますが、ある新聞を読んで、これは政治家としての、大臣としての名誉のためにも困るんじゃないかというふうに思いましたし、またそのとおり読みますと私もかちんとくるのですが、読売新聞ですか、出ておりましたが、例えば国土庁長官ですね。「献金、ありがたいこと」という見出しで「佐藤守良を純粋に応援したいということだった。ありがたいことと思っている」、届けもしておりますし云々ということがございました。また、坂本官房長官、常識的な範囲内であって特別問題はございませんし、法的にもきちんとしておりますということを言われておりました。  私はこういうのを見ておりまして、何かこう不感症になってきたんじゃないかという気がするのですね。あの問題自体は、非常に巨大な、日本の政治と、それから一つの、財界と申しましょうか企業人とのかかわり、いろいろな意味でやはり鋭く反省をしなければならないというふうな問題があったと思います。また、そういう経過をいろいろかみしめながら、お互いにやはり献金の問題その他を含めてどうしていったらいいのだろうか、真剣ないい活動のできる国会議員としての保障も必要だし、同時にやはりダーティーなことにわたらないような努力も真剣にしなければならないというわけでありまして、年じゅうそういう気持ちを持っていなければ私はおかしいと思います、政治家として。「ありがたいこと」というように報道はなりておりましたが、こんなことおっしゃったんでしょうか、どうでしょうか。こんな気持ちでおられるとしたら、私は国民の皆様への政治家のお気持ちとしてはいかがなものかという気がするわけであります。  また、総理、失礼ですが、恐縮なんですが、千四百四十万円ではないという何か一部の報道でございまして、一部の報道ですか、さっと読んでいるだけなんですが、そのとおりなんでしょうか、絶対ないのでしょうか。
  84. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 政治資金というものは、社会的にある企業が問題を起こす前でありましたならば、これは通常の政治資金として受け取って処理をしていくということでございました。これだけリクルートが問題になっておりますので、私は今後は十分細心の注意をしていかなければならぬと戒めております。  また、私は、すべて私が受け取ったものは、千四百四十万円、総裁選挙の前に自主的に公表をさせていただいておりますし、それ以外はございません。
  85. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 国土庁長官、どういうことですか。
  86. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 伊藤委員にお答えいたします。  今総理が答弁したとおりでございますが、政治資金規正法に基づく合法的な献金ということでございまして、いずれもリクルートが社会的批判を受ける以前に通常の政治資金として受け取っていたもので、問題はないと考えております。
  87. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 先ほど不感症という言葉をあえて使わせていただきましたが、まあ今のようなこことなら、「献金、ありがたいこと」という見出しで出ても不思議ではないことなんでしょうね。こういうことでそう時間をとるのも嫌ですから、いずれにいたしましても、野党が与党にごてごて文句を言うということではなくて、やっぱり日本の政治のもっと高いグレードを持ったものをどうつくっていくのかという意味で、勇断を持った今後の総理の御努力をお願いしておきたいと思います。  次に消費税の問題、これにつきましても選挙の大きな政策の争点、また焦点でございました。これから一体どうしていったらいいのか、まさに大事な問題であります。  私は思いますが、亡くなられた大平総理の当時からもう十年間、この大型間接税論争が展開をされてまいりました。そのたびごとに否決をされ、つぶれ、あるいはまた今回もさまざま御批判も高いという状態になっているわけであります。私は、十年間のこの大型間接税論争が今日まで来て、このまままた二年、三年、四年とやっていいんだろうか、やっぱり我々政治家は、また国会はどうしたらいいんだろうかということを、総理も同じだと思いますが、深刻に実は考えるわけであります。これ以上やはり国民皆さんの前に混乱と御迷惑といらいらする気持ちを持っていただくような状態がなくなるようにどう努力をしたらいいのか、これは私ども政治家に真剣に今問われている問題ということであろうと思います。  私も大蔵委員会で長年勉強させていただきましたので、自分の信条としても思いますが、やはりタックス・イコール・デモクラシー、タックスデモクラシー、すべての政策の中で最もベーシックな表現、国民の皆様から汗の結晶あるいは企業の御努力の結晶をちょうだいをして、よりよき社会のためにどう使うのかということが税財政の基本でございますから、それを踏まえなければならないと思いますし、また、よくいろいろな外国の言葉にも、税制は政治の顔、社会の顔とも言われます。ゆがんだ税制ではゆがんだ社会あるいはゆがんだ政治、言うならば税制に対する国民の信頼度はその国のデモクラシーの表現であろうということも言われているわけであります。総理も同じだと思いますが、私は、やはり国民の皆様が納得されない、ゆがんだ税制でゆがんだ政治とかゆがんだ日本とかということはなりたくないと思います。何とかこれを打開をしなければならないというふうに実は思うわけであります。  そういう意味で、昨年の参議院選挙、今度の総選挙と、これは国民の御審判の明確な現実ですから、これは事実ですから、ここからスタートをし、そしてまた、国民の皆様の世論その他の動向を、できればオープンドアで参加をしていただくぐらいの気持ちで、やはり国民の多数の合意をどう形成していくのかという努力をしていかなければならないというふうに思うわけであります。  それに関連して二、三申し上げたいわけでありますが、その前提として、総選挙の結果消費税は信任されたかどうか。総理も言葉を選んで今までも御答弁なさっておりますし、私どもも、参議院選挙、昨年の与野党逆転は消費税への表現だというふうに申しました。というのは、消費税に関するさまざまの世論調査が実は参議院選挙のあの結果とほとんど同じだったという事実があったので、私どもはそう申し上げたわけであります。何も議席をたくさんとったからというふうな気持ちではありません。今度の場合でも自由民主党は多数をお占めになりました。多数を占められました。しかし、消費税に関するさまざまの世論というものはいろいろあるわけであります。  先ほど、午前中の近藤さんのお話の中でテレビのさまざまの世論調査の報道がございましたが、私も見ておいたので申しますと、近藤さんが言われなかった部分です。今回の総選挙の結果に不満ですか満足ですか。不満が五七・六、満足が三六・一。これは近藤さんと同じテレビの報道ですからね。消費税について信任されたと思いますか、思いませんか。思いません五六・三、思う三七・〇、わからない六・六というふうなこともございまして、やはり何か国民合意をどう形成していくのかという視点から謙虚に、また真剣に考えるという姿勢が必要なのではないかと思いますが、簡単にお気持ちをお答えください。
  88. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 いろいろな言葉とか現象がございますので、それを一つだけ取り出して言いますとちょっといけないことが起こるかもしれません。  私は、選挙中によく野党首脳が今度の選挙消費税の存廃をめぐる国民投票だと、こうおっしゃっておったのを思い出しますと、自民党が安定多数をいただいたのは、認められたのかなというふうに調子よく解釈もできますし、また、今お示しになった世論調査と同じところでも、六割以上が見直しをしたのを認めてやろうという答えが出ておるのも事実でありますから、まあ、そういう調子のいいところだけとってこういうところで言いますとこれはよくありませんので、私もそうは即断はいたしませんといつも申します。そして、選挙を戦ったのも消費税だけで戦ったわけじゃございませんから、ほかの外交問題とか内政問題とか政治姿勢とかいろいろでやったわけでありますから、その結果を踏まえて、政権を担当させていただいた以上、この選挙の結果というものは謙虚に受けとめて、そして見直しをした案がありますから、それをこちらは提出さしていただく。  テレビといえば、選挙前でしたか、伊藤委員がテレビにお出になって税制姿かたちを述べられるときに、たしか直間比率の問題についても七対三ぐらいが妥当だと自分は思っておるんだと御指摘になった。なるほどそうだな、そうするとここは私は交わるんじゃないだろうか、自民党も今出しております案は七対三でございますから。そうすると、間接税に三割を求めようということになれば、六十兆の税制では三、六、十八兆。十八兆の間接税をどのようにお考えになっておるのか。選挙中の個別間接税の問題等のことも思い合わせて、それをきちっとお示しいただければ、三割のところは合うわけですから、そこが議論がかみ合うスタートになるんだなと私は大変これは御期待させていただいてお待ちしておったわけでございますが、そういうような謙虚な気持ちで個々の議論を続けていきますと、やはり国民皆さんの方でも、十年も続いた税にもうそろそろ終止符を打って安定させたらどうだというお考えがあることも事実ですよ。これは伊藤先生、選挙中私に、もしするとまた二年たってまた変わるんですかということを率直に聞いた人もございました。  だから、できればここで所得と資産と消費とバランスのとれた税体系にしよう。選挙制度でも御指摘のあった欧米諸国の中でも、世界でも四十七カ国のOECD加盟国なんかがもうこの付加価値税でやっておるわけでありますから、国民皆さんに御理解と御協力を求めて、この世界に通用する安定的な公平な税制というものを、きちっと十年来の紛争に片がつくならば、これはことしはまた税制改革のためにも将来記録に残る年になるのではないだろうか、こんな期待もしますので、どうかひとつお願いしますが、間接税の問題をどう扱っていくのか、御議論をかみ合わせていただきますように、それが国民皆さんが期待しておることではないでしょうか。
  89. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 がっちりかみ合った議論を後ほどもちょっとやりたいと思います。また、そういうことが私は与党、野党それぞれ政治の責任であろうと思います。そうしてまた、これからこの国会なども通じまして真剣な議論やさまざまな話し合いをしなくちゃならぬというふうに私は思っているわけであります。  その前に、ちょっとお返しをするわけじゃありませんが、総理のお耳に痛いことかもしれませんが、ひとつ事実についての見解を伺いたい。  自由民主党の当選なされた皆様が今度の選挙消費税問題について、正式の文書である選挙公報などでどのように公約をなさったのか。総理や大蔵大臣が何言ったかということはよく知っていますよ、新聞に出ていたからね。それで、ずっと今調べております。調べておりますと、非常に不思議なんですが、大体三割台から四割近い方々が一言も公報にもお触れになっていない、税金のことをね、消費税のことも。そうしてまた非常に巧みな表現で、総理や大蔵大臣の言われることとは大分違った表現をなさっている方もいらっしゃる。  また、調べておりましたらびっくりしましたが、消費税廃止を公約をなさっている議員がいらっしゃるわけであります。これは総理ちょっと、議会の中でも最年長、そしてまた議長も務められた方でございますので、私は御本人の政治家としての名誉のためにもこれは必要なんだろうというふうに思います。この人だけではなくて、私もあと一、二発見をいたしましたが、まあとりあえずごらんください。自民党公認原健三郎さん、「原健最後のお願い!!」云々と書いて、「合掌九拝」と書いてございますが、公約の第二項目目が「こじれた現行消費税は廃止する。」こういう内容でございます。  私は、総理、どういうのでしょうね、やはりこれは政治家の良識の前の話だと思いますね。政策の戦いをするわけですから、国民の皆様から多少御批判があろうとあるまいと、やはり自分の信念を述べて、そうして選挙に臨むというのが筋であろうというふうに思います。     〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕  あえて申しますが、ほかはお名前をまだ挙げませんけれども、あと二、三の方が、同じような内容の方がいらっしゃるのを発見をいたしました。そうして、先ほど申し上げましたように、三割から四割近い方々が消費税について何も触れられていないというふうな状態であります。あえて与野党の得票数からいって四六・一及び四六、〇・一しか違わぬということまでは余り力説はいたしませんけれども、総理としてか総裁としてかどうお考えになるでしょうね。  自由民主党消費税を定着、継続をする、あるいは見直し提案をされております。それと全く逆の公約をなさって御当選をなさる、党の党議に従っておやりになる場合には、国民の皆様への、有権者の皆様へのお約束と逆のことをするわけですから、政治家としては潔く立場をお決めになるべきであろうという気もいたします。あるいはまた、こういう公約をなさって御当選なさったのですから、これに従って御主張し、発言をし、行動をなさるのが筋だというふうに思いますが、どうお考えになりますか、総裁としての所見も含めて。
  90. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 党としては正式の態度をきちっと決めて、政策を公認候補のすべてにも徹底をして渡してございますし、また、総裁遊説でたまたま兵庫県に参りましたときに、当時の原候補も横においでのところで、私は、党として消費税の問題について率直にお願いしますと国民皆さんにもお約束をさせていただいてきておりますので、自由民主党の公認候補としておやりになったことでありますから、私の方からこのことについては、きょうここで御指摘いただいたことも厳にお伝えをして、以後は我が党の基本的な態度に従った国会行動をしていただくように党としてお願いをいたします。
  91. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 総理、いきなりこの人どうしますかみたいなことをすぐここで即断はできないでしょう、さまざまな機関もあるでしょうし。ただ、あり方問題として、政治家は有権者の皆様に自分の政治信条と政策を公約して御役票をいただき、選ばれてここに参るわけであります。さまざまそれは党議その他とは矛盾もあるときもあるでございましょう。しかし、当然ながら政治家ですから、選んでいただいた皆様に対する公約、それに対して責任を持つ、私は、これがやはり政治の言うならば原理であり、スタート台である。まあ、小学校の社会科の教科書からしてもそうなるのだと思いますが、この方を具体的にどうなさるのかというところまでは別にいたしまして、そういう政治家の原理としてのお考え方をどうお持ちでしょう。
  92. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私は、やはり政党人としては、政党に所属して選挙を戦います以上、党の公約を決めるまではいろいろな御自由な御議論もありましょうけれども、選挙を戦うときには党の決定に従って戦っていただくべきである、こう思いますから、厳重に注意をいたします。
  93. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 今後を見守っております。  それから、税制の今後ですね。どうしたらいいんだろうか。やはり真剣に与党も我々もそうですがお考えになると思います。私は、年来の主張でありますが、こう思っているわけであります。  どうやってこれだけ複雑になり、あるいはまた国民の御批判、御不満もあり、世論調査でも廃止か見直しかという世論調査もあります。率直に言いまして、廃止よりも見直しの方が最近は多いという傾向がございます。同時に、消費税はこのままでいいですかとなると一割あるかないかという姿があるじゃありませんか。どういう見直しですかとなるとまたさまざま、多くの御意見があるというのが事実であります。私は、何とかして国民の皆様から御納得のいただける税制、どうそこに軟着陸をしていったらいいのか、そのゴールをどう目指していったらいいのか、非常に大事なところだろうと思います。  私がここで総理に申し上げて見解を伺いたいのは、消費税間接税だけの問題にすべて集中をして議論しても私は打開が難しいと思います。  一昨年になりますか、私ども仲よし野党政審会長、合宿勉強をいたしまして、不公平是正十項目という提案をしたことがございました。夏合宿していいものをつくろうというのですね。私どもの語り合っている気持ちは、何か反対、反論の野党政策というのはもうやめましょう、常に政府に、与党に負けない、先を見る、正論をどう構築をするのか、そうでなければ政権交代はできない、そういう努力を真剣にやろうではないかというのが、私ども仲よしの政審会長同士ではいつも話し合っている気持ちであります。十項目提案につきましても与党の方でも相当真剣にお受けとめになりました、まあ採点は別にいたしまして。  その後、税制に関する基本構想というのを出したわけであります。それが参議院提案をされました税制再改革基本法のベースになったわけであります。間もなく同じような内容を、ちょっと手を入れまして、当国会に私ども野党共同で提案をすることとなっているわけであります。  その中で私どもが主張していることは、国民の皆様に御納得のいただけるそういう中身と論議の手順は何だろうか、五つほど実は柱を立てているわけであります。第一に、うそから始まってはいけません。何といいましょうか、やはりきちんとした公約、きちんとした目標、場合によっては政府もそれを鮮明になさる。場合によっては私は、与野党一致してこういう大原則の方向にやろうではありませんか、二十一世紀社会を展望しながら、やはりふさわしい目標を設定してお互いに案を出し合うとかいうことでもいいと思います。それとは残念ながら余りにもかけ隔たった中曽根さんの当時からの経過になってしまいました、現実に。これは大前提であります。  二つ目には、やはり不公平感をなくする。あえて不公平感と申しましたが、現実の不公平の構造もさまざまございます。非常に難しいですね。これを一々どうやるのか。大変な勉強と努力を必要とします。同時に、いろいろな社会的要因で、税制の決定、執行、それが国民の前に大きく明らかにならないので、不公平感という形で非常に高い比率を示しているという側面もございますが、何かそういう不公平感を一掃宣言といきたいところなんですが、打開宣言でもいいし、そういうものがお互いにできるような努力をしていくというのが二つ目にあるんじゃないだろうか。従来、政府の機関での世論調査でも、不公平というアンサーが世論調査では八割、非常に悲しい現実です。最近のこの二、三年間の消費税論争、売上税論争などでさまざま含めてまだ増幅されているというふうな傾向もございます。これを解きほぐす打開案を持たなければなりません。  そうして三つ目には、不公平と重なりますが、特にやはり資産課税の問題、土地税制の問題ですね。これらについて総理は、恐らく政府税制調査会の四月から十一月までの作業日程を念頭に置いて秋までにはという本会議の御答弁があったと思いますが、私はやはり大きな柱は、まさに政治の決断として今求められているということではないだろうかという気持ちもいたしますが、それがございます。  それから四つ目には、財政審議会の答申がございましたが、やっぱりこれからの財政運営、財政審の答申のように、財政運用としてどうするのかという意味での議論も必要です。同時にポリシーとして、政策としてどういう負担でどういう社会をつくるのかという意味でのさまざまな要素も加えた将来の財政ビジョンも持たなければなりません。要するに、国民からちょうだいをしたものをどう使っていくか、税金の使い道の問題ですね。  また、もう一つ非常に大きな問題は、福祉と負担という問題があると思います。今あるのは、昨年、一昨年と国会にも資料として出されているのは、年金、医療などを含めて現在の制度を前提にして十年、二十年、三十年と単純試算をすればこうなります。単純な数字とグラフが出てくる。もう一つは、現内閣では三%を上げる意思はありませんということも総理はよくお答えになっておりますし、前の内閣でもそうでございました。しかし、国民皆さんは、三十年後のシナリオかデッサンまではこれはできないことですから、そこまでは求めていないと思います。ただ、どういう福祉のためにどういう負担という具体像を、高齢化社会になりますからお金が要りますという一般論だけでは私は国民の実感としての御納得はできないと思います。こういうことも私は与党、野党掘り下げた勉強と努力を、共同の勉強でも共同の協議でも中心は議会の論議ですから、徹底的にやろうではありませんか、そういうことを。  そういう上に立って、それでは先ほど総理もおっしゃいました直間ですね、私は七、三程度がいいと思います。ただ、総理が言われましたように、数字にすぐどうなりますかということよりは、政府・与党の首脳の方々が今まで六、四とか五、五がいいとかいうような御発言も大分偉い人がなさっておりましたから、そうではなくて、長年このペースで来ましたから大体この辺ではないでしょうかと申し上げているのですが、そういうものの設計をどうしていくのか、あるべき直接税、あるべき間接税、そのバランス、これの設計を国民皆さんが合意できるようにどうしていくのか。  現実に私はそれらを考えてみますと、それぞれに簡単なことではないと思います。専門的な、実務的な勉強、努力も大変なことがあると思います。真剣な議論もしなければなりません。そういう上に立って、そういう手順と中身をずっとやって、私は、それでもわからぬという日本国民じゃないと思います。そういう手順と中身を踏んで、真剣な努力をお互いに汗を流してやったら、国民の皆様は御納得いただける、私はそう確信をしているわけであります。そういう手順と努力をお互いにやろうではないかということを申し上げたいわけであります。  ただ、ここは総理と違うのですが、私ども、土井委員長が本会議で代表質問で申しましたように、前提として、非常に混乱した十年間の経過を振り返ってみましても、大きな責任はやはり政府・与党にあるわけでありますから、現在の消費税は廃止あるいは凍結というものを前提にしてその議論をする、最もそれが国民の皆様の合意を得られる道ではないだろうかと思うわけであります。  ちょっと長いこと言ってしまいましたが、私の方からも意見を交えながら御意見を伺うという討論がいいと思いますので申し上げましたが、そういう手順、あり方論、どうお考えになりますか。
  94. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 さすが御経験の深い伊藤委員の御質問でございますので、私もメモをとりながら拝聴しましたが、消費税だけの議論ではだめだとおっしゃる冒頭のお話も、たまたま私が思い出すのは、昨年、税制改革法案を提案したときに我が党の当時の山中税調会長が趣旨説明で述べたことと同じで、消費税だけをとらえて賛成か反対か、いいか悪いか、これでどうしようかということでは解決にならぬわけであって、ほかの税の仕組み全部とあわせて、例えば減税をこうするとか資産課税はこうするとか、したがって消費の方にはこれだけの御負担を願うとか、いろいろな税制の仕組みの中での御議論でないと、御理解も深まらないし、進んでいかないだろうと、私も率直にそう思いますし、不公平感をなくするということ、それも二年ぐらい前までは、税に対する世論調査を見てみますと、やはり高過ぎるということとともに不公平だということが強く出ておったわけでありますから、それらの問題を片づける作業も一緒にしていかなければならぬのは当然のことだと思いました。  ですから、いろいろ御指摘になった問題等についても、今後お話し合いを進めていきますときに、やはりそれはどうぞ今の現状を認めて、現状の上に立ってさらに前向きにどうしていくかということの御議論をしていただかなければならぬわけでありますから、高齢化社会を迎えての費用の負担の問題とか、どの程度の福祉をやっていくのかということ、高負担高福祉に入っていくのか、あるいはアメリカ型のものでいくのか、日本日本型にゴールデンプランというものを一応打ち出して計画等も立てておりますけれども、そういったようなことをあわせて、必要な費用はこれくらい負担が要るようになるからこのようなお願いをしたいということで、結果として直間比率の問題も出てこようと思っております。  私はそういう意味で、今御提案のように各党各会派でそれぞれの問題について御議論を深めていただくということ、そういった場をつくるということは非常に結構なことだと思いますので、それこそ各党間のお話でまたそういう仕組みをつくっていただいてお勉強をしていただけるというならば、私は非常にすばらしいことだと思います。
  95. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は先ほど申しましたように、総理に前向きの御答弁をいただきましたが、それぞれについて大変な努力を必要とすると思います。私どもも、先ほど申し上げましたように、これからはやはり提案する野党としてさまざまな勉強を掘り下げてやっていきたいと思います。  例えば不公平是正ですね。これにつきましても、これはスローガンで言っているわけではありませんから、何か不公平と言われているのか、どうやったら直せるのか、どういう方法が現実可能なのか、すぐできるのかできないのか、いろいろな問題が実はあるわけであります。  ただ、選挙後、与党は新執行部になられまして、政調会長なども何かゴルフの会員権とか株とか、売買のときには税金があるけれども、大変なテンポで値上がりしてもこれは課税がないのはおかしいというふうな発言もなされておりましたから、新たな視点も加えましてこういう問題の議論をするということも必要であらうと思います。  後ほどちょっとまた触れますが、土地問題につきましても、私どもは私どもなりに幾つかの柱を立てた提案をさせていただきたいというふうに思っております。政策提案としてできれば野党共同で打開の方向をどうするのか、さまざま世界のことなど大蔵省も始めているようですが、私どももやっているわけであります。また、一番大きな問題は福祉の問題というようなことがあるわけでありまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、現状では単純な試算があり、三%を守るという言葉があり、しかし実感としてどういう負担でどういう福祉になるのかということがわからないというふうな状況があるわけであります。それらを考えますと、さまざま具体論としての展開というものを相当、一定程度の時間もかかるだろうと思いますが、やらなければならない。その辺はひとつ大蔵大臣の気持ちも伺っておきたいと思います。  その前に、総理の御答弁に、私の申しました難しいこと、廃止か凍結か、これを前提にしてと申し上げました。私は思うのですが、やはりこれは決断と気持ちの問題だろうと思います。私は、この会場で忘れることができませんけれども、この会場で強行採決をされたあの夜、御案内のように海部総理がこの席にお座りになって指揮をとられたわけであります。その前までは金丸さんが座っておられた。金丸さんがそこを出られるときに、こんな国会は嫌だと申されたということを新聞で読ませていただきました。何かやはりそういう本当に国民合意の税金というもの、税制というものをことしいっぱいならことしいっぱいのうちに、十月なら十月までにやろうじゃないか、そういう決断の問題ということであろうと思います。やはりそういうことは大事じゃないかなという気が私は非常にするわけであります。  いずれにいたしましても、これからやはり二年、三年、五年、十年続けていくわけにはいかない問題だと思います。そうして、今、我々政治が世界日本の中でやらなければならない大きな問題が目の前に山積をしているという状況でございますから、そういう気持ちで、一たんやめてやるんだというところについては、先ほど総理お答えになられませんでしたので……。
  96. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 一たん廃止してとか凍結してとかおっしゃいますけれども、税制として既に昨年の四月から始まっておるものでありますので、それを凍結するとか廃止するというと、またそこで一つの混乱が出てまいりますので、私は先ほど、現状から出発してどのようなことをしたらいいかを御研究願いたいということを申し上げたわけでございます。  また、そのときも、委員会では確かに御指摘のような状況も出てまいりましたが、でき得れば、野党皆さんにもおいでをいただいたところで議論の終わった後で採決をすべきであったとは思いますけれども、いつまでも放置するわけにもいけなかったということもございますし、その後はまた、一部他の野党皆さん方の御良識と御相談をいただいて法案の修正ということも行い、本会議の方では皆さんに御出席をいただきながらその修正の採決もできたということでございますので、どうぞそういった経過もひとつあわせて思い出していただいて、その中に立って修正、見直しの問題等も修正条文の中に入っておるわけでありますから、それらも、今のままの状況で前へ進める中でお話し合いをしていかなきゃならぬ問題だ、こう思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  97. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 先ほど来総理が極めて克明に御答弁を申し上げましたように、私どもは確かに十年にわたる間接税論争というものを、この消費税見直し案を御審議をいただく過程において国民の御理解をいただき、定着させることによって決着をさせたい、そう希望いたしております。これは私自身の率直な気持ちであります。  同時に、委員が述べられましたように、非常に広範な角度でさまざまな問題点を論議する、これについて私は決して異論を唱えるつもりはございません。と申しますよりも、先ほど来委員自身が御引用になりました四野党政策担当責任者の方方から当時自由民主党に御提案をいただきました不公平税制是正の共同提案の中身も振り返り拝見をいたしておりました。そして、それに対して当時自由民主党から出されました回答を読んでおりました。そして、ある意味では、相互の理解がありながら、全体の中で論議が終結しないままに、今後引き続いて話し合い、検討とされておる項目が多かったことに改めて着目もいたしております。そういう意味では私は、全体について話し合いが行われ、党対党の御論議の中から将来に向かっての姿がおのずから定まっていくということに決して異論を申し上げるつもりはありません。  さらに、この当時、この四野党の御意見をおまとめいただきました当時、また、それを受け取りました当時の自由民主党として不公平税制というものに抱いておりましたイメージと、今日の時点において不公平と言われるものの中には差異が生じておると思います。  例えば、当時は原則非課税になっておりました有価証券の取引、これが原則課税に変わってきたこと、あるいはその他の税制改正の中を踏まえてまいりますと、それなりに方向が出てきたものもありますが、先刻来本院の場におきましても御議論が出ておりますように、土地の高騰という現実の中から資産格差が生じ、その資産格差に対する適正な課税を求める国民の声というものが出てきたということを踏まえれば、この御議論の当時四野党から提起をされました以上に、土地についての問題点は深刻になっておる、そう理解をいたさなければならないと思います。こうした点について掘り下げた論議がなされることに私は全く異論はありません。
  98. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 まあ、申し上げましたように、これからいろんな議論をしなければならないわけであります。また、国民の皆様への政治としての大きな責任であろうと思います。  私どもは、土井委員長が本会議で申しましたように、やはり国民の御納得を一番得られる道、それは、これだけの公約問題とかあるいは強行とかさまざまの経過があったわけでありますから、一遍白紙に戻して、そしてあるべきものを、そう時間をかけないで、そう長い月日をかけないでとにかく真剣にやるということではないだろうか。まあこれらの詰めは本予算にも関係をして十分な議論がなされるであろうと思いますから、考え方だけ提起をして、お考えを伺いました。  次に、冒頭話題にいたしましたが、日米首脳会談と今後、構造協議やあるいは防衛負担の問題やさまざまの問題があるわけでありますが、構造協議に関連をいたしまして何点かお伺いをしたいと思います。  前提に申し上げておきますが、私も私どもの党も、日米関係は非常に重要に認識をいたしております。特に、やはり日米経済関係というのは、これは世界にとっても非常に大きな意味づけを持つのが今日の実態でありますから、重要性をきちんと認識をしながら対応していくことを考えております。総理も時間があったらいつか読んでいただきたいと思いますが、いわゆる土井提言とかいう中にも、さまざまの一歩進んだそういう考え方を提起してございますのであれでありますけれども……。  そういう上に立ちまして、私は心配しているのは、さまざまの懸案がございます。また、秋の中間選挙その他などの構図がございまして、それもあり、両国の歴史の経過もあり、非常に下手をしますとエモーショナルな対立が高まるという危険性を年じゅうはらんでいるわけであります。九二年ですか、パールハーバー五十周年になるそうでありまして、そんなときとエモーショナルな対立がぶつかったら大変なことになっちゃうだろうと私は思うわけでありまして、やはりエモーショナルな対立をないようにしながら、リーズナブルな合意をどう目指していくのか、努力をしなければならないと思います。これは私どもも、野党立場でも、政府とは当然見解の違いもあるわけでありますが、日米関係を重要視をするという立場からの努力をしていきたいというふうにも思っているわけであります。本来でしたら、日米の経済合わせて世界GNPの三分の一以上を占めるという大きなウエートを持つわけであります。今私から申すのはなんですが、やはり世界経済は東西南北お互いに抜きがたい相互依存、相互関係が非常に強い、そういう構造になっているわけでありまして、言うならば非常に高い相互依存構造の国際経済の中で、できれば、日米がどういうふうに協力をして世界に貢献できるのか、そういう議論まで実はいかなければならないというのが本来の姿だろうと思いますが、さまざまの経過がございましてなかなかそうなっておりません。今問題となっている、例えば構造協議に関係をする日米双方のさまざまのテーマ、あるいはまたスーパー三〇一に関係をした状況、ウルグアイ・ラウンドに関係をする農産物の問題などなど、私どももさまざま今勉強を積み重ねておりますが、言うならば政府・与党が御努力をなさる、相互に刺激し合っていい結論を出す意味におきまして、例えば社会党としての処方せんを出していくとか、そういう新しい努力をぜひやってまいりたいという気持ちでおります。  そういう気持ちを持ちながら、幾つか意見を交えてお伺いをしたいのですが、重要性の程度でランクづけはいたしませんが、順不同で申しまして、例えば土地問題、住宅問題があるわけであります。昨年成立をいたしました土地基本法、総理も御承知だと思いますが、一昨年になりましょうか、私どもが四野党政審会長を中心に勉強いたしまして、共同で提案をさせていただきました。その提案を、国会に法案を出しましたら、当時竹下さんでしたかね、野党皆さん非常に勉強していいもの出したので政府も出そうということで、国土庁を中心に勉強なさって成案が出てきた。さまざま立場の違いもございますから違いの調整議論がございましたが、そういう経過を経て成立をしたという経過があったわけであります。私どもも今後土地問題につきましても、できたら近い時期に、我が党だけではなくて野党共同で、今やるべき重点政策は何だろうか、緊急政策は何だろうかという御提案もさせていただきたいというふうに実は思っているところであります。そういう気持ちでおりますと、本会議における総理の御答弁、土地税制という問題につきましても、四月早々から小委員会がスタートする、今大蔵省が選挙期間中も含めて事前の勉強をなさった、そして十一月をめどに報告を出すようにしたい、これは政府、行政としての一つの筋であり柱でございましょう、それ以上にしかし何かやはり政治としての提案や政治としての決断が求められているというのが現実の今日の日本の姿ではないだろうか。大都市の市民の皆さんからすれば、切実な思いで政治に対してそれを求めているというふうなことであろうと思います。  私はそういう意味で申しまして、完全に整理といいますか、共同でも整理をされておりませんが、幾つかの問題については緊急に取り組むべきではないだろうか。言うならば、日本自身が日本の将来社会のためにやるべきことがおくれおくれて今日に来て、そのツケがたまってしまってアメリカの方からぎしぎし言われている、こういう構造だろうというふうに思うわけであります。もっと刺激が足りなかった野党の責任もあるかもしれませんが、というふうな気持ちがいたします。  例えばですが、一つは、午前中の与党の御質問にもございましたが、土地金融、不動産融資の問題、これは日本銀行の責任も大きいわけでありますが、何遍かやはり大きな社会問題となり、そのたびに通達が出されたり指導要綱が出されたりしながら、最近の状況を見ますと、首都圏以外の、例えば大阪圏その他で、また周辺の中都市というのですか、値上がりが広がっている、そういうところへのやはり融資が非常に大きな規模になっているという現状が言われているわけであります。何か後追いのような指導、対応ではなくて、思い切ってそれらに対して、私は金融機関なり財界にしてもそういう責任感と社会的認識をきちんと持つべきだと思います。そういう見識を持った財界人が、政治もそうですが、求められているというのが今日の姿であろう。私は、金融政策上、やろうと思えば幾つかの手段はあると思います。これが例えば一つの柱であろうと思いますが、これをどうしていくのか。  それから、二つ目で申しますと、余りにも巨大な含み資産、これも私が申し上げるまでもなく、上場会社で、土地、株を含めて五百兆と概算をされている。土地で約三百五十兆、株で百五十兆とか言われているわけでありますが、まあ年間GNPの額を超えるバブルが存在をしている。まあ株価その他にもこういう構造が、何かのときには大きな影響を与えざるを得ないという面もあるかもしれません。どちらにしても、やはり健全な企業活動と経済とは言いにくい状態だと思います、それで多くの庶民が泣くわけでありますから。  例えば韓国の場合には、御案内のように五〇%ですね、売買のときにその差益は社会に還元してもらうという法律をつくりました。大蔵省も勉強に行ったようですが、私どもも一遍行ってまいりたいというふうに実は考えております。それからヨーロッパの場合には、そういう方法というのは開発利益社会還元税制とかあるいは増価税とかいう中でさまざま行われている。前にもよく報道されておりましたが、イタリアの場合なんか地方税で三〇から七〇までの幅で自治体が選択できるということでしたが、何かそういう不労所得でもうかった部分を社会に還元していただいて、そして快適な勤労者、市民のための住宅をつくる。入っている人はみんなそれを知って、いい政治のもとでこれができると思っている。そういう方法か手段というものは私はとられるべきであろうと思いますし、世界の常識としてやられて当然のことであろうと思います。  ただ、それを再評価でやるのか、あるいは増価税方式でやるのか、あるいは企業会計として含み資産が表に出ないという形は、時価評価の問題ですね、これは日本の企業会計制度、むしろ国際的には少数の制度ですから、そういうものをどうしていくのかとか、イタリアのように十年に一遍は再評価をするとか、いろいろな方法があるでありましょう。それは日本の土壌のもとで最も可能な方法として私はあると思います。そういうことは十一月を待つのではなくて、そういう方向づけやテーマやあるいはみんなの議論というのは政治の責任で始めるというのが今日のニーズではないだろうかという思いがいたします。  もう一つ申しますと、政府の方では百万戸住宅建設という計画を出されております。これも揚げ足取りで言うわけではありませんが、新聞を読みますと、百万という数字が先に出て、お役所でつじつま合わせの中身をつくるのに苦労しましたなんという打ち明け話なんというのが何か新聞に載っておりました。まあそれは別にいたしまして、私は今の状況というのは、例えば東京や大都市でマンションを買おうと思ったらもう五千万円で買えません。五千数百万、六千万近いという状態でしょう。一戸建てのうちといったら、もちろんですが一億以上ですね。所得からいって、それを求めようと思ってもファンドもないしローンが組めない。今までの同じ手法で、住宅金融をやりますから、枠をふやしますからお買いなさいという方法はもう通用しないようなクレージーな状態になっているということなんですから。  例えば、特に公共所有地で未利用地の問題、これも政府の方でも大分着目をされて努力を始められておられるようであります。そういうところに、一挙に大規模でなくとも精いっぱい可能な範囲でひとつ政府の方でもさまざまな援助措置を講じて、このクレージーなマーケットに追随するのではなくて、クレージーなマーケットの事情を変えていくような、そういうパブリックな、公共の努力をやる。西ドイツ社会住宅なんという発想もそこからきているんだと思いますが、そういうふうなことは一体やれないだろうか。  その前提として、例えば首都圏、大都市圏などにおけるところの土地の利用状況か未利用状況などについての情報公開というのも大きなことではないだろうかというふうに思うわけであります。ヨーロッパでの土地制度、それから自治体、公共に取得できる、その内容なんかも、日本にも法律はありますが、ヨーロッパは非常に充実をしている。私は、土地国債とかいろいろ考えても、何か考えてやったらいいのではないかと思いますが、三つ、四つ申し上げましたが、そんな柱も考えられるということではないかと思います。  いかがでしょうか、そんなことも幾つかだけ出させていただきましたが、そういうことも含めて、十一月に政府税調の小委員会の答申が出るのを待っているという姿勢ではだめだと思います。せっかく今、国会をやっているわけですから、こういう中で私どもも提案したいと思います。皆さん方からも大きな骨太の柱を提起をして、こういう問題をやりたい、やろうではないかということで、また国民の各界あるいは専門家の人の御協力を得るというようなことが、今構造協議の一つの柱であるこれについても必要ではないだろうかと思うわけでありますが、土地といいますと関係大臣にわたるわけでありますが、御見解を。
  99. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 非常にマクロの問題から当面する問題までを含めての御質問でありますので、もし答弁を落としました場合はお許しをいただき、後刻補足をすることをお許しをいただきたいと思います。  そこでまず、委員、一つは政府税制調査会の小委員会が生まれました後の作業のタイミングを問題にされ、もう一方では日米構造協議を例示に引かれました。しかし、構造協議は恐らく四月の早早ぐらいには第四回の会合を持つことになるでありましょうし、七月ぐらいまでには最終の時期を迎えることになろうと思います。その構造協議の中において、アメリカ側からのアイデアとして提供されております公共投資でありますとかあるいはそれに関連する土地問題、この中には当然税制をも含みますけれども、これらに対する回答というものは、その構造協議の最終時限までにそれなりに我々としての結論をまとめる必要があるわけであります。もちろんその答えの中には、例えば年末まで考えなければならないという答え方もあり得るわけでありますけれども、いずれにしても構造協議としてはそこが一つの終点になります。     〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕  そしてまた、この四月から、早々には政府税制調査会の中に小委員会を設けていただきまして、私どもは土地税制というものについて御検討いただきたいと思っておりますけれども、その結論というものは、おのずから税制調査会の委員の任期に拘束をされるわけでありますから、委員が御指摘になりましたころまでにはそれなりの結論が出るでありましょう。そしてその中で、これは専門集団として御検討いただくことでありますから、自由濶達な御研究を願わなければなりませんけれども、私の立場からあえてお願いを申し上げるとするならば、小委員会で土地税制というものをお考えいただくについての二つの切り口があろうかと思います。  それは、まさに東京を中心として地価高騰の中において、その土地を持つ方あるいは住宅を持つ方と持たざる方との資産格差が拡大をしたことにより、その資産格差の拡大というものについて国民から非常に批判が、声が出てきている。資産課税としての側面から土地税制というものを適正化していく、そういう視点が一つでありましょう。  もう一つは、とにかくまじめに働く限りにおいて、この東京においてでも自分のうちが買えるようにしてくれという国民の声に土地政策全体でどうこたえていくかという中における土地税制の役割というものでありまして、私はその二つの側面から御検討がいただければと願っておるわけであります。  そして、そうした中で今、構造協議におきまして、例えば平成二年度の予算案の説明を先回の構造協議で日本側はアメリカ側に対して行ったわけでありますが、アメリカ側としては、現在の経済情勢の中、財政事情の中におきまして非常に高い水準の公共事業費総枠を維持したということについて評価をした上で、中長期的な観点からの論議をアイデアとして展開をしておられます。我々としては、何といいましても、やはりお互いの生活環境をよくするための社会資本整備というものは当然必要なものでありますから、その折々の経済情勢あるいは財政情勢を見ながら、当然着実に整備を図っていく必要があることは理解をいたしておるところであります。ただ、いきなり、今すぐに公共投資を拡大して景気を刺激する必要があるかと言われるなら、我が国の経済の現状から、私はそう理解をいたしてはおりません。  そして、お述べになったことですから続けてお答えをさせていただきたいと思うのでありますが、もう一つの問題点として金融をお触れになったわけであります。今ちょっと私正確な資料を持っておりませんけれども、昨年来通達を発出しあるいはチェックを行うようになり、さらにその手をノンバンクまで広げるようになりましてから、ある程度のブレーキはかかってまいりましたが、しかしやはり地方銀行において多少伸びておる傾向はございます。ただ、これは投機的な土地取引に対する融資というよりも、むしろそれぞれの地域における公共投資の中における地価の高騰分を補うという色彩が濃いように私どもとしては感じておりまして、今後ともにチェックを必要とするという状況であることは間違いがありません。  また、企業の含み資産としての土地、これをどう考えていくのか、将来の税制の上においての問題点も提起をされました。また、公共の未利用地についての利用もお触れになったわけでありますけれども、これらについてはそれぞれ私は個別の論議として、また我々も申し上げることがあろうかと思いますし、日本社会党としてのお立場においてもなお補足して御説明をいただく必要のある部分もあろうか、そのように伺っております。
  100. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 当会期のうちにも、いろいろな場で土地、住宅問題、国民立場に対する政治の責任としても、あるいは日米間の今日の論議の中でどうすべきかについても、建設的で、しかもやはり積極的な議論をぜひともやりたいというふうに思っております。  きょうは問題提起程度になりますが、それから大規模小売店、大店法の運用という問題が大きなテーマになっているわけであります。私は思うのですが、やはりこの問題に関連をして、言うならばアメリカの要求、要望もある。消費者立場があります。それから地域商店街の皆さん立場があります。どういうふうにこれをデッサン、考えていったらいいのだろうか。私は、これにつきましても国内で優先的にやられるべきさまざまの努力というのがどんどん進みませんと、やはりアメリカの要求という形だけで連日大きく報道される、いろいろな意味で、国際摩擦と同時に並行して国内摩擦といら立ちが高まるような、何かそういう不安を感ずるわけであります。  いずれにいたしましても、これらについてもやはり大きなデッサンをどう描くのかが必要であろうと思います。大都市圏と地方圏の態様、それから自治体と国、自治体がどの程度の役割を果たし得るのかとか、いろいろな問題がこれは絡まってくる大事な問題であろうというふうに思うわけであります。  私などの経験でも、難しい経験もございますし、それから野党の政治家として地域などで活動した中でも、ああこれはよかったというふうな例もあるわけであります。例えば大きなお店が進出をしますと、当然ながら反対運動が起きます。しかし、消費者立場、特に大都市圏では人口がどんどんふえますから、これも大事な要素になるという中で、ある意味では共存共栄というのか、やはりお互い協力をしながら、商店街が古いスタイルではなくて、銀座にお買い物に行くよりもこっちで買おうというような気持ちができるぐらいのものをつくろうではないかというふうな方向でいろいろと御努力なさった経験なども見ているわけであります。いろいろな意味努力がなされなければならないと思います。  その具体諭は別にいたしまして、ちょっと見解を伺いたいのは、経団連の流通委員会がこの大店法につきまして、構造改革阻害の要因となっているという見解を発表をされました。そうして三年後をめどに廃止を含めて見直すという相当激しい内容でございます。日商その他の方からもいろんな見解もあるんだと思いますが、通産大臣が何かそれについての見解も言われているようであります。  何か一部の新聞を見ますと、運用をまず改善をしたいというふうな報道もございますし、何か経団連の意見に近いような見出しで報道されている新聞もあるのですが、これらの問題についてさまざまな要因が複合しているわけでありますけれども、やっぱり日米関係も大事だが、地域の中小零細商店街の皆さん、これは安全協会をやったり、防犯協会をやったり、いろいろな地域社会の担い手となっている方々が多いわけですね。これが崩れるということになりますと、何か日本の地域社会構造にも問題があるようないろんな問題も感じますけれども、経団連が出された提言、見解についてどうお考えになっておりますか。
  101. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 お答えさしていただきます。  今経団連の提言のお話もございましたけれども、私は直接聞いておりませんが、役所が承知しておるのでは、必ずしも三年後の見直しのところに廃止とはっきりうたっているのかどうか、その辺がちょっと新聞報道と私どもが受けているニュアンスとは少し違いますけれども、いずれにしてもせっかくの先生の御指摘は、その新聞報道によっての提言はこういうことになったじゃないかということ、それに対しての考え方を、こういうことだと思いますので、そのような形でお答えをさせていただきたいと思います。  私のこともまたいろいろと新聞報道がございますので、これは私まだ就任して一週間ちょっとでございますが、一貫して言ってきたことは、とにかく今まで、今お話しのように各地各地でいろいろ地域の小売商の皆様方と進出しようとする大型店の間に摩擦がございまして、そのために従来大体平均五年くらいじゃないでしょうか、実際かかっているのが。中には十年もかかっているというのもあるようでございまして、これは大店法の中の、消費者のことを考えながら、消費者のことを配慮しながらという目的からいけば、いささか私は運用面で欠けるところがあったのじゃないか、こう思っております。  そういう面においては、今度はぜひひとつ、少なくとも二年もしないうちにきちんと進出しようとしたその大型店が進出できるかどうか、とにかくまずイエスかノーかはっきりさせ、そしてこういう形ならよろしいよという形で届け出を受理し、そしてそれが二年かからないうちにとにかくきちんとするということをしなけりゃいけないと私は思っておりますし、幸いそういう形で今運用の改善を考えているようでございますので、私としては今のお話の、地域の中小小売商の本当に生存権と申しますか、一生懸命消費者のために働いておられる方々のことも考えれば、そう簡単に軽軽にこの経団連のおっしゃるようなことを云々するのはまことに今の時期では私はいささか行き過ぎだと思っておりますので、まずこの運用の改善をとにかくきちんとやるということでやらしていただきたい。  ただ、やはり日米の友好関係もございますし、アメリカの皆さんにも、どうしてあなた方は廃止ということをおっしゃるのか、こういう形で運用をきちんと改善をしていって、あなた方の国の企業がどんどん日本へ出てきたいときでも、きちんとそういう二年の間にしっかりやれるのならば何も問題ないのじゃないかということもよくお話をして、ひとつできるだけそういう理解を深めながらそういう方向でやっていきたいというのが私の今の考え方でございます。
  102. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 もう一点伺います。  公共役資をふやせとか、GNP比一〇%とか、社会資本整備の問題も話題となっておりますが、私はいろんな意味で、日本自身の問題としても当然そうなんですが、もっとどういう国土、どういう都市、どういう地域をつくるのかという意味のグランドデザインを、国と地方含めた共同の努力でできないのだろうかというふうな気持ちがいたします。公共事業というと、何か土建会社がどう仕事をするかみたいなイメージへすぐ直結するような今日のイメージがありますけれども、私はやはり、もっとどういう地域社会を築くのかというそういう大きなデザインがあってしかるべきだと思いますし、そういう意味で一番おくれているのが都市改造といいますか、大都市改造というふうな問題があるということだと思います。  時間ももうそうありませんから一つだけ伺っておきたいのですが、私はそういう中でお金の使い道の問題があると思います。きのう総理もシュミットさんにお会いになられたようですが、シュミットさん、さまざまいい提言をなさいますが、友人のない日本ということも言われたこともございましたが、前にお会いしましたときに、日本人はお金の使い方を知らないということを言われたことがございました。これは、ジャパンマネーの総量というものは巨額なものになるわけであります。二十四時間世界じゅうを駆け回っている。貯蓄を見ましても、個人貯蓄六百三十兆、法人貯蓄六百七十兆ですか、千三百兆ぐらいのお金がある。そういうお金をどういうふうに誘導し、また効果的に使っていくのかというものが非常に弱いのではないか。したがいまして、ハワイからアメリカあるいはまたオーストラリアまで行って土地の買い占めをやってはひんしゅくを買ったりという現象が起きます。国内でも、膨大なお金があるのに有効に社会建設にどう使われているのかという意味では、まだまだ大きな問題があるというふうなことではないだろうかと思います。何かやはりそういう膨大な日本のお金というものを国際的にも国内的にも——例えば国内でどのように金融、金利その他の政策をもって誘導し、そしてまた真の意味での地域社会をどうつくるかという意味での内需ですから、これの大きなプランをつくれば私は巨大な内需の量だと思いますが、そういう視点というものはお考えになっていないのでしょうか、どうなんでしょう。
  103. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今委員が御指摘になりましたような考え方というものは、当然政府部内においても検討の繰り返されてきておる問題点であります。企業のモラルといった部分は除いてお答えをさせていただきますけれども、例えば公共投資の中で、例えば地域開発等に、あるいはその他の新たな大型プロジェクトに民間活力を活用しながらその仕事を進めていく。関西国際空港等々、例示を挙げれば幾つかのものが挙げられるわけでありますが、そうしたものを我々がそれぞれの地域のいわば拠点的な事業において活用いたしておるものもそうした視点を含めておるわけでありまして、今後ともにそうしたものは当然考えていかなければならないこと、そのようは考えております。
  104. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 総理構造協議に関連をいたしまして伺っておきたいと思いますが、訪米、首脳会談以後、さまざまのマスコミの報道を見ましても、日本が背負ったところの大きな問題、数々の深刻な問題ですね、毎日列挙をされておりました。国内でさまざま深刻な話になって、さまざまな議論が行われておるというのが総理の訪米後の実は今日の姿であります。午前中の御質問の中でも、総理の答弁の中で、いやアメリカにも言うことは申しましたというふうなことを伺っておりました。私は、日米間の問題というのは、さっき申し上げましたように、リーズナブルな結論、合意をどうつくるのかという努力をしなければならない。冷静に考えたら、日米双方に問題と責任があるのは当然のことであります。どちらの方が多いのかということについてもアメリカの専門家、知識人の中でも非常に率直な御発言もあるように私も聞いているわけであります。そういうことについて両国首脳お話をなさって、そうして後から日本の国内で報道され、話題となり、さまざま懸案とされている。もう日にちはありませんからということで、来週いっぱいどうするか、あるいは四月の初旬にどうするか、七月までどうできるか、差し迫ったこれは課題でございますが、そういう中で日本で一体どうしたらいいのかという話題が毎日出てくるわけであります。双方の責任と申しましたら、先ほど総理もお触れになりましたが、例えばアメリカのこの財政赤字などなどの問題、貯蓄の問題などいろいろあるわけであります。これらについて、ではアメリカ側では一体どういう努力をすることになったのか、あるいは総理から注文があって、どういうひとつ目標か何か立てるということでやっているのか、そんな話は国の内外を通じて一つも報道が来ません。  こういうことでは私はリーズナブルなあるべき合意の姿ではないと思います。一方的に海部さんの方がブッシュさんから荷物を背負わされたと言ってもやむを得ないのが、訪米後のさまざまの報道を通じて認識をする国民の状況ではないだろうかという感じがするわけであります。日本でこれだけのさまざまの課題で努力をするということでしたら、当然ながらアメリカが努力をしなければならない課題、構造協議の中でアメリカ側のテーマとして設定をされている問題がずっとあるわけでありますから、どうなったんですか、アメリカ自身どういう努力をなさいますか、あるいは財政均衡にしろ、どういう目標でどうなっていますかというようなことが相互にやはりあるべきといいますか、それがリーズナブルな合意の姿であろうと思います。そうしてまた、グローバルパートナーとか、イコールパートナーよりまた進んだというふうにも評価をされているわけでありまして、一体そういうことがどうなっているんでしょうかという感じがいたします。  率直なそれについての御見解を伺いたいと思いますし、あわせて伺いますと、竹下さんがいわゆる政府特使でしょうか、ブラジルの大統領の祝いですね、行かれるそうでありまして、十二日にはブッシュさんにまたお会いになるとかいう日程も実は伺っているわけでありますが、総理、この訪米以降の難しい局面の中で何かそういう問題についても特使のように竹下さんにお願いをするとか、そんなことなどございますか。
  105. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 先ほどの近藤議員の御質問にも答えましたが、アメリカへ行って特にお荷物を背負わされて帰ってくるとかそういうことはございませんでした。また、お荷物を背負いに来いという話でもございません。話全体の中には、今年初頭の欧州訪問のときの西側首脳との話の内容とか、東側ヨーロッパ首脳との話の内容とか、それに対してどのように日本がこれから積極的に協力をしていこうとしておるのかとか、それに似て、それ以外の地域問題にアメリカと協調してどのように取り組んでいかれるのか、麻薬の問題とかテロの問題とか累積債務の問題についてもいろいろグローバルな立場話し合いをいたしましたし、地球環境の問題についても率直な話をいたしました。  私の方からは、ヨーロッパのそういった平和と安定という新しい枠組みヨーロッパだけでとどまるというのではだめであって、アジア・太平洋地域にもこれは及んでくるように日本は積極的に努力をしているが、まだアジア・太平洋にはいろいろと、現に戦争の続いておるカンボジアとか、西側といろいろ問題の残っておる中国とか、軍事力を背景に対峙しておる朝鮮半島とか、領土問題をめぐってまだ難しい状態が目の前にある日ソ関係とか、いろいろなことがありますから、それらのことについても率直に私は話をいたしました。  二国間の問題については、安全保障条約が果たしてきたきょうまでの役割と、日米友好関係の基軸としてこれを貫いていかなきゃならぬということも話をいたしました。経済問題についてはスーパー三〇一条の問題、それから経済構造協議の問題、これについてでありますが、構造協議の問題については、既に先生御承知のように、数十項目をお互いに持ち合ってアメリカにも要求をし、アメリカから日本にも要求し、その主張を何回も繰り返して既に報道されておるとおりでありますから、その中のどれ一つをとって片つけたら全部片つくというような問題ではなくて、全体をひとつきちっとしていかなければならぬことであると私も受けとめておりますし、大統領も全体の構造協議の前進、成功ということを期待をされておるわけです。  ただ問題は、結果として貿易のインバラソスが変わったから解決したと言えるかというとそうではなくて、それを乗り越えて、日本はルールが違う国ではないかとか日本は異質なのではないか、自由と民主主義の価値を一緒にするというけれども、それは違うんではないかという深刻な議論もございます。もちろん中には、委員も御指摘のように、いや日本は市場閉鎖していないよ、うちのスーパーコンピューターは百台も買ってくれた、そういったことをアメリカ議会でつい六日に証言をしてくれたコンピューター会社の社長の話も知られておるところでありますけれども、いろいろな議論の中で、やはりアメリカにありますいらいらというか感情的な日本に対する何とかしろという問題の背景は、やはりルールとか仕組みとかいろいろなものを変えていかなきゃならぬ。私たちは日本でこれはごく当たり前のことだと思ってやっておりますことも、一つ一つ個別にアメリカと日本との実務者会談なんかで話し合ってみると、それは障害である、それはもっと開け、いろいろな意見が出てきて、そういった話が続いておることは大統領もよく承知だと思いますし、ついこの間の会合の結果はアメリカ側の代表は不満である、このような言い方、やり方をやっておると、何十項目にわたって朝から晩まで議論をしても、こういうわけだ、ああいうわけだというところでとまってしまう議論が多過ぎる、これはやっぱりもうちょっと門戸を開いて全体として進んでいかなければならぬのだという雰囲気があることはこれは事実でございます。  だから、私と大統領の話しましたことは、個々の問題のここをああしよう、こうしようということはもう実務者レベルで既に議論をし尽くし、できることやできないことや、やるべきではないかと思うことや、両国の不満が述べられ合っておるわけでありますから、アメリカはアメリカで、例えば教育の制度の問題にしても、あるいは財政赤字を減らしていくという問題にしても、あるいは貯蓄投資バランスの中で日本側の指摘にこたえて民間貯蓄をふやしていくというための税制の問題とか、いろいろ努力をしてきたということは率直に話もございました。  また、日本側のやっておる輸入拡大の努力、それによって景気が三十九カ月もずっと拡大で続いておる。内需の努力は認める。アメリカの輸出がふえておることもわかっておる。けれども、それですべてが片つくものではないから、さらにもう一歩積極的な努力をしないと全体の雰囲気がおかしくなる、こういう、一言で言うと深刻な問題でございますから、私どもも日米関係というものは大切であって、構造協議で話されておるどれをとらえてこれをとらえてというよりも、全体をもう一回別の角度から光を当てて、あらゆる段階で話し合いでできるなら話もして、お互いにわかってもらうところはわかってもらいながら、一層の努力を続けていこう。それは実務者レベルを離れて、私どもが内閣の最重要課題として取り組んで、これに真剣な努力をするということもきちっと話し合いをして、その点では同意しておるわけでありますから、どこをどうするここをどうする、これはきょうまで実務者が話し合ってきたことを詳しく報道されておるとおりでありまして、上の方でも、アメリカでも御承知であり、しかし不満を持って御承知だということも率直に申し上げなければなりません。それを打開するための努力をこれから春の中間的評価、夏の最終報告に向けてやっていこうというわけであります。  たまたま三月十五日のブラジルの大統領の就任祝賀式に、竹下元総理には特派大使として行っていただくように内閣としてお願いがしてございます。行かれる往復のときにそれでは、旧知の間柄の閣僚もアメリカにはいらっしゃるわけでありますから、これらの問題についてはいろいろな角度から話し合っていただいて、これらの問題が前進するように私は期待をしておるところでございます。皆さんの御努力を重ね合っていただいて解決をしていくのが、これは一海部内閣のためじゃない、自民党のためじゃない、日本のためだと思いますので、どうぞよろしく御理解と御協力をお願いしたいと思います。
  106. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 総理、私が言いたかったのは、構造協議でもだんだん期限も近づいてきますが、双方右を出してやってますね、こう。総理が行かれました、それから後ずっしりと何か荷物をしょったという報道が、現実問題、毎日、新聞、テレビ見てごらんなさい、とにかく。そういうことなんで、言うならば、国民の皆様から見てリーズナブルな摩擦の解決のために、我々はこういう努力をしましょう、国内でもさまざまな努力をしなくちゃならぬ。アメリカの方は、どうしていただけるんですか、そちらもやってくださいよという形が見えるところで、イコールパートナーシップという言葉があり、あるいはグローバルなんとかのパートナーシップというのがあり、さらにはブッシュさんは総理のことを、日本はキープレーヤーであるという報道もあったように伺っておりますが、そういうネーミングにふさわしい日本の姿勢ではないだろうかということを申し上げたいわけでありまして、総理の御説明を伺いましたが、ぜひやはりそういった形で国民の皆様に目に映ってわかるようにお願いをしたいと思います。  国際情勢の認識について二つだけ、これは総理に伺いたいと思います。  私は思うんですが、総理もおっしゃっておりますように、言うならばドラマチックに世界は大きく変わっている。まあ、大河ドラマではありませんが、まさに「翔ぶが如く」というふうな状態であります。いろいろと動きを見ながら、本当に興奮するような場面もいろいろ出てくるというのが今日の状態であります。そういう中で、一体我が日本はどのような座標軸とどのような進路を据えたらいいんだろうか、まさに政治の大きな課題であろうと思います。さまざまな問題がこれからも当議会で議論されるでありましょう。  まず一つ伺いたいのは、総理の九〇年代アジア観であります。これからの政治を考えますと、九〇年代の社会観、世界観、そういうものを持って、やはりどう構築をしていくのかということが必要ではないだろうかと思うわけであります。  アジアの周りを見ましても、先般総理も、二十二日ですか、お会いになったようですが、チェイニー国防長官の来日、在日米軍五千人の削減、在韓米軍の削減あるいはフィリピンのクラーク基地などがどうなるか。また報道によりますと、パウエル・アメリカ統合参謀本部議長は、日本周辺のソ連の軍事的脅威、これは、そういう危険な動きは非常に薄まったというふうに証言をしている。ソ連のシェワルナゼ外務大臣は、将来アジアでのソ連の軍事的プレゼンスはなくなるであろうというふうに発言した。非常にやはり、数年前には考えられなかった非常に大きな変化が起こっている。また起こりつつある。それが順調に進むようにしなければならないという状態に今あるわけであります。  それらを考えながら、総理の本会議の御答弁を伺っておりますと、ヨーロッパあるいは米ソ関係、ドラマチックにデタントの方向に進んでおります。アジアにはまださまざま緊張と課題が残されておりますという認識が語られるわけであります。  私は思うのですが、日本はやはりアジアにおいてデタントの面でも経済面でも重要な幹事役を果たさなければならない。それだけの力と責任を持っている存在になっているわけであります。そうなりますと、ヨーロッパと比べてアジアにはまだまだ難しい状況が残っているという評価を、あるいは現状認識を総理が述べられるというのではなくて、一体どういうふうにこれからニューデタント時代のアジアを構想するのか、そのために一体日本は何をしていくのかということが私は問われている、言うならば、受け身ではない積極的なそういうものが求められている、また、しなければならないというのが日本の一つのポジションではないだろうかという気がするわけであります。  確かに私はヨーロッパと比べたら難しさがあると思います。経済的にもヨーロッパには片やECグループ、九二年統合、まあギリシャ、ポルトガルが加わっても大体均質的な経済システムが存在をしている。それから東欧の努力ですね。これから一つ共通の家が建つというが、どう生まれるのか。軍事的にもやはりNATOとワルシャワ条約機構ですね。双方ともだんだんレベルダウンしていくわけでありましょうし、ワルシャワ条約機構だって実際にはもうほとんど機能しにくいような状態になっていると見ているわけでありますが、軍事的対称性がある。  アジアの場合には、経済的にも日本のような国からそれからNIESの典型からLLDCの極端な国まで、さまざま四つか五つの経済タイプが存在をしている。軍事的にも非対称性で複雑な構造になっている。こういう中で一体アジアの将来をどう解きほぐしていくのかという意味でのさまざまの活動とさまざまの努力と勉強をしなければならないというのが、今アジアの中での日本の置かれている実は責任であろうと思います。そういうことをしっかり勉強しつつストラテジーを組んでどのように日本提案をしアクションを組んでいくのかというのが、外から日本を見る目であり、外国から日本の政治家あるいは日本の指導者を見る目であろうという感じがするわけでありますが、そういう意味でのあれが、本会議でも私の聞いている範囲で薄かったものですから、そういう中でのアジア観と申しましょうか、これからのシナリオ、進路と申しましょうか、どういう構想なり御見解を総理はお持ちでございますか。
  107. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 アジア・太平洋地域の問題につきましては、私がヨーロッパとアジア・太平洋地域はまだ違うという認識を持っておりますのは、現実にヨーロッパのように二つの軍事同盟が対決をして、NATOとワルシャワ条約機構ということでそれがきちっと力の対決の枠組みの中でおさまっておったところというのは、その枠組みと力の対決の感覚が抜ければ、その枠組みを今度は政治的に利用することによって前進させていくこと、安定の仕組みをつくることは比較的デザインが描きやすいんだ、こう思うのです。現に統一ドイツの問題についても、NATOの枠内にとどまる、そして東ドイツは軍事的には特別な扱いをするんだというようなことが前面に出てきて、今議論の対象になっておるようであります。  けれども、アジアの方はそういった軍事同盟というような枠組みでなく、いろいろな国があっていろいろな状況があって、しかもカンボジアは今でも戦争が続いておる。朝鮮半島は軍事力を背景にした国境の対峙がある。西側と対決してまだその融和状況に戻っていない中国との関係がある。ソ連と日本との関係がある。これをそれぞれ一つ一つ日本は積極的に取り組んで解決の努力をしていかなければなりません。カンボジア和平における会議には積極的に日本も参加をしていく。もし戦闘状態が終わったら、復興のときには日本がイニシアチブをとってカンボジアの復興には積極的な役割を果たすということは、それぞれの場で申し上げておることであります。南北朝鮮の対立問題を解くためには、韓国との友好関係を続けながら、強化しながら、北朝鮮にも政府間の話し合いをしたいという提案をしている。まず話し合いを始めるところから、そこの平和と安定をつくり出していこう。中国とは人物の予備的接触も始めておりますけれども、改革・開放路線というものをきちっと定着させながらこれは進めていかなきゃならぬ問題だ。それぞれにいろいろ日本努力しなければならぬ個別の政治問題が残っておりますから、ヨーロッパのように、ちょっと事情が違うんだということをいつも申し上げさしてもらっておるのです。  しかし、顧みて言いますと、ASEANの国々もNIESの国々も経済的には非常に力がついてきて、ASEANとNIESの経済成長率というもの、これはアジアの平均をとってみましても、NIESの方が少し高いわけでありますけれども、ASEANも追いついてきておるから、平均でも世界の平均の二倍以上の成長率を示しておるというように、私は九〇年代のアジアをどう見るかとおっしゃれば、九〇年代のアジア地域は経済的には非常に注目をされる地域になってくる、こう思っております。  それは、ECが恐らく強くなっていくということがわかるように、アジアも強くなっていくならば、それはお互いに開かれた市場で強くなって、アメリカとヨーロッパとアジアというものは、開かれた市場同士でお互いに相乗効果を上げて強くなっていかなければなりません。そのために日本はどういうことをするかといえば、最近日本はASEANあるいはNIESの国々からの輸入がふえておることは御承知のとおりでございます。投資がふえておることも御承知のとおりでございます。だから、それらの国々の経済発展のためにも、日本は今できるだけ経済協力ができるところ、努力ができるところへは積極的に協力をしております。経済援助のみならず、技術移転とか文化交流のために日本青年海外協力隊のようなものもアジア中心に出ていっておりますし、拠点大学をつくった、学術文化の交流も人物の交流もアジア地域と一生懸命やっております。そしてアジアとともに、やはり日本はアジアの一員として生きていくわけでありますから、前半で申し上げた非常に不安定な政治的な問題については、それぞれ個々別々の対応をしながら安定するように努力する。後半申し上げた経済問題については、きょうまでの努力の成果は確実に出ておるわけでありますけれども、九〇年代に向かって一層努力をしていって、日米欧の三角形関係の経済というものが世界の平和と安定に本当に役立つように、特にアジアにおいては日本も力を及ぼしていかなければならない、協力を惜しんではならない、このように思っております。
  108. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 総理、熱心にお述べになりましたが、私は、やはり世界から見られている日本日本の政治家、指導者が、あるいは政府が何をしなければならないのか。例えばヨーロッパの大きな変化の中で、やはり共通の家という構想が熱っぽく語れるというふうな状態があります。アジアの場合には、十数年前のヘルシンキ宣言のまだ以前の状態と申しましょうか、という状態に置かれている。何かアジアで共通の家という思想をどうやったら語れるんだろうか。あるいはまた経済、それから安全保障、協力関係含めて、ヨーロッパとは違った難しさを持っている、アジアの構造というのはそうだと思います。しかも、そういうものを超えて経済的にもヨーロッパ以上に大きく発展し得る地域ですから、そういう中で、やはり新しい枠組み、新しいグランドデザインというものを懸命に考えたり勉強して貢献をする、そういう役割だと思うのですね。  ですから、恐縮ですが、総理、一生懸命お答えになったけれども、もっと何か発想というのか、グレードの高いといいますか、そういう努力をしなくちゃいけないのではないだろうかという気持ちがいたしますが、これはお互いに勉強して、いい議論をしなくちゃならぬ問題だと思いますから、さらに議論を発展させていきたいと思います。  もう一つだけ関連して申し上げたいのですが、在日米軍駐留費の問題であります。平成二年度予算案にも関連をして真剣な、かつ具体的な議論がこれからも展開をされることだと思います。  私は、一つだけ見解を伺っておきたいと思います。何か、肩がわりではありません、日本の自主的判断で、そして負担を増加をする、やってまいります、そして特別協定をまた新しくするということになるわけでありましょう。これが大体極限まで進んでまいりますと、地位協定自体の何か質的に変わってくるというふうなことにも私はつながってくることだろうというふうな気持ちがいたします。  同時に、考えてみますと、今の話と絡みますが、米ソあるいはヨーロッパを含めてドラマチックにこのニューデタント時代が進行しつつある、あるいは進行してくる。今のような形をとっていたら、アジアの緊張構造はいつまでも同じように残るという、そういう方向に協力をすることになるんじゃないかという私は懸念を持つわけであります。ですから、やはりもっと新しいデタント時代のアジアをどう構想するのか、そのためにどういうアクションをとるのか、あるいはヨーロッパ共通の家のような大きな構想をどう持つのか、いいものをどんと置いて、そういう中でこの現実からスタートをした方向づけの処理をしていくというのがとるべき態度ではないだろうか。  私は、これからの国会議論にしても、アメリカから言われてやるわけではありません、いや肩がわりではありません、日本の自主的判断でだんだんふやしてまいります、協定も新しくします、何だか知らぬけれどもどんどんどんどんそうなっていく、そういう説明と議論だけでは私はうっとうしいんだろうと思いますね。もっとやはりこういう問題についても、ある意味ではきちんとした政策とビジョンを持ち、ある意味ではアメリカにも我が日本はアジアの重要な幹事役としてこうしたいということを述べるとか、そういうことが前提の姿勢にないと、私はいい方向に行かないんじゃないかなという気持ちがいたしますが、いかがでしょうか。
  109. 中山太郎

    ○中山国務大臣 今伊藤先生からいろいろ御指摘ございましたアジアのこれからの安定の問題、非常に重大な局面に我々は近づきつつあるというふうに思っております。  御案内のように、先ほども総理からお答えをいたしましたが、ワルシャワ条約機構とNATOとの間でこの軍事機構が現存していることが、いわゆるヨーロッパの共通の屋根の下にみんなが暮らせるという、交渉ができるということを、実はこの間総理と一緒にドイツへ参りましたときにゲンシャー外務大臣がはっきりとそのように申しておりました。もしこの軍事機構が双方になければヨーロッパのこれだけの話し合いというものはできなかったろうということを申しておりまして、私どもはこのアジア地域、今先生御指摘のように、いろいろなヨーロッパと違う地理的な、歴史的な、文化的な違いがございます。そういう中で、この地域に二十一世紀に向けて平和を構築していくというために我々は大きな力を尽くさなければならない。そういう中で日米安保条約というものが現存しておる。私どもはこれを基軸に日本外交というものを今日まで展開してまいりましたが、片や北朝鮮とソ連の関係あるいは中国との関係、あるいはベトナムと中国との関係、いろいろとそれぞれアジア地域には従来の共産圏にも軍事同盟がございます。そういう中で、この新しいカンボジアの紛争を終結させるために日本もただいまできるだけの努力をいたしておる最中でございまして、昨年の八月にパリで開かれましたカンボジア和平会議は残念な結果に終わりましたが、現在なおインドネシアのアラタス外相を中心にカンボジア和平の構築のためにASEAN各国も協力をし合っているという状況でございます。  こういう中で、近くシェワルナゼ、ソビエトの外務大臣が日本へ来られるという状況を踏まえて、私どももやはりこれからのアジア・太平洋の平和と繁栄のために、日ソ関係を中心にどのように新しいアジアを構築していくのか、あるいはカンボジアの和平後のアジアの安定のためにどのような考え方で協議を続けるかということを始めなければならない時期が近づいてまいった、このように考えております。
  110. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 短い時間ですが、最後に補正予算と財政法二十九条についての見解を申しまして、見解を伺いたいと思います。  私は、今回の補正予算と、それから補正予算に関する規定、財政法二十九条という立場考えてみますと、財政運営の基本にかかわる問題が問われているという気持ちがいたします。そうしてまた、ある意味では、この財政民主主義の基本問題ではないだろうかという気もするわけであります。  財政法二十九条、御案内のように二十九条の一項、二項というものが書かれております。その中心は、本来緊急あるいは義務的な経費について、というのが精神であらうと思います。大蔵省の説明もちょっと聞きましたが、一項の中段とか二項とかいうことでこれは説明がつくんだとか、さまざまなことを伺うわけでありますが、私はこの財政法の二十九条の規定がどういう経過を持って今日に至ったのかということを考え直してみる必要があると思います。  いつも強調されますように、財政法第四条の問題、戦時中の経済も含めてさまざまの反省の上に第四条がつくられたという経過を持っております。二十九条についても同じ経過があったわけであります。戦時中に追加予算、追加予算で膨大な軍事費を組んで、そうして日本の財政構造が危機的な状態になったということなども含めて、そういうことがないように、補正のあるべき姿は何だろうかということを取り決めたというのが、私はそういうさまざまの歴史的経過と反省を含めてこの二十九条は成り立っていると思うわけであります。  ですから、何か理屈上条文にくっつけて理屈がついても、そういう経過と精神に反するようなことを大々的にやっていくということは非常に大きな問題だというふうに実は思うのでありまして、そういう意味では補正予算についての規定である財政法二十九条の精神に立って補正は組まれるべきである。この中身につきましてはいろんな場で指摘をしておりますから改めて申しませんが、さまざまな意味でこの二十九条の規定と精神とは相反するものがたくさん盛り込まれていると思います。総理にも昨年暮れの来年度予算につきましての党首会談の場合にも私どもも厳しく申し上げたところであります。  また、そういう考え方以上にもっと大きな問題がここにあるというふうに思うわけでありまして、かつてないといいますか、非常に大きな六兆円近い規模での補正になっております。なぜこれだけの規模になったのか。言うまでもなく最大の原因は膨大な自然増収であります。そういうものがあってこれが組まれてきた。それじゃ税収見積もり、当初予算のはどうなったのかということについてもたびたび私どもは指摘をいたしてまいりました。言うならば財政運営の基本にかかわるような問題を含んだままイージーに組まれていると言うしか言いようがないと思います。しかも、政策判断の上で国会で十分議論をして当初予算の議論としなければならない問題がここに多いというわけだと思います。当然ながら、六つのさまざまの基金を設立をする、本来本予算で十分議論をされて、これはいいことだからもっとふやすべきではないかとか、これはおかしいではないかとか、さまざまそういう議論があって組まれるべき性格のものがさまざま組まれているということになっておりますし、もう一つ私は言いたいのは、現実にこの総選挙の中でさまざまこれが使われました。  例えば、年金の前倒しにしたって、何かこの補正を出して我々が、政府がというような形で非常に、与野党合意でやったにもかかわらず宣伝をされたのは事実であります。あるいは、消費税に関連をいたしまして商店街の皆さん、何かアーケードをつくる、何がどうとか、お世話いたしますとかというふうなことが各地でさまざま行われたことも私ども聞いております。減反に関連をして農業に向けて言われたことも事実であります。何か選挙向けに組まれたような問題を選挙後にそのまま出してくるというのは余りにも不見識なことではないだろうかというふうに私は思うわけでありまして、財政法二十九条の規定及び精神、あるいは財政民主主義といいますか、今後の財政運営の一つの基本姿勢にかかわる問題としてやはり考え直されるべきであるというふうに思うわけであります。  どうでしょう、大蔵大臣。大体解釈について、提案をされている政府としての立場の御見解を、恐らく想像するところお述べになるんだろうと思いますが、私は、やはり今日の膨大な自然増収の規模などを含めた財政運営、そしてまた歴史的な経過も含めたこの財政法二十九条の立場などを踏まえた真剣な御判断があるべきではないかというふうに思いますが、時間が余りありませんので、簡単にひとつお答えいただきたい。
  111. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 まず第一に申し上げたいことは、財政法二十九条の内容をこのテレビを通じて国民にも御承知をいただきたいと思うのでありますが、法律上または契約上国の義務に属する経費の支出を補う場合、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合等を挙げているわけであります。今回の補正予算の編成に当たりましても、おのおのの経費につきまして財政法二十九条に照らし十分精査の上、我々はこれを計上をいたしました。  また、確かに元年度補正予算の規模は五兆八千九百七十七億円でありますけれども、まず第一に、地方交付税交付金が税収の補正増によりまして九千九百十七億円ふえたこと、及び六十三年度の決算剰余金によりまして全体として大幅増となり一兆五千九百五十九億円になりましたこと、また六十三年度剰余金の二分の一を国債整理基金特別会計に繰り入れました結果八千六百六十一億円、また二年度に特例公債依存体質脱却というものを目前に控えております中で特例的な歳出削減措置、いわゆる隠れ公債と御批判を受けてまいりましたものなどの返済や返済見合い財源を確保すべくその処理に努力をしたこと、これによる経費が二兆七千七百四十億円、今申し上げましたものだけを合わせましても実は五兆二千三百六十億円となります。また、この他の歳出におきましても、災害復旧等の事業費が四千二百五十六億、給与改善費が二千六百七十七億円といったような状況でありまして、いずれも私どもとしては財政法上問題のない、むしろ二十九条に照らして精査した上で編成をいたしたものであります。
  112. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 もう時間ですから、総理、大蔵大臣、最後に見解だけ述べて終わりにしたいと思います。  大体、政府それから大蔵省、そのような態度でこれを通そうということでございましょう。私も予算委員長もそうですが、大蔵委員会で長年財政の勉強をしてまいりました。技術論よりも、何か私は税法にしても財政法にしても、守るべきやはりルールなり背景にある構え方なりというふうな勉強をさせていただいたことを大事に思っております。そういう意味から申しますと、先ほど申しましたように、本来財政法二十九条で緊急あるいは義務的なものと限って、例えば災害とか給与とかになりますね、ということでやるのが当然の筋でありますが、選挙向けあるいは恒久的につながるさまざまの基金をつくる、あるいはまた大蔵大臣が御説明になりました隠れ借金の整理、厚年に返すとしましても、厚年に借金を返すのじゃないのですよ。一たん入って、それから別途特別保健福祉事業資金として使われるとか、いろんな問題が含まれているわけであります。やはり物事はきれいにやりましょう、これは。やはり本予算で十分な時間をかけて、お互いに政策的に実りある議論をして政策を、予算を決定していく、これが国民の汗の結晶としての税金と予算に対する私ども国会あるいは政治家のとるべき態度であろうというふうに思いますし、しかも何か言われているのは、それの関連のさまざまなことが決まらないと採決をしないとか何がどうとかけさの新聞に出ておりました。私は論外だと思います。やはり国会国民の良識、これはだれが考えてもこうじゃないですか、これはおかしいではないですかというようなことがあったら、きちんとそれを区分けをし整理をして、そして国民にわかるような責任を果たすというべきであろうと思います。何か採決しないとか何がどうとか、そんな古い国対駆け引き型のことをやったら、本予算の場合なんかはどうなるのですかと思いますよね。これは膨大な法律と大規模な予算をどう処理するのかという問題があるわけでありまして、その点を厳しく私は指摘をいたしまして、質問を終わらさせていただきたいと思います。  冒頭申し上げましたように、重要な政治の時代でございますから、いろいろ対立点もございます。しかし、いろいろな意味で、やはり与党、野党お互いに共同の責任、あるいは力の論理ではない、やはり実りある豊かな議論という形で私どももやっていきたい。気持ちを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  113. 越智伊平

    越智委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。  次に、矢追秀彦君。
  114. 矢追秀彦

    矢追委員 私は、限られた七十分という時間でございますので、具体的な問題を取り上げて質問をいたします。したがいまして、簡潔、明快に答弁をお願いをいたします。  まず最初に、消費税についてでございますが、先ほど来も議論が出ておりました。総理は、あくまでも消費税は昨年実施をされた、したがってその上に立って見直し案を出し、そして協議をしたい、こうおっしゃっておるわけでございますが、一昨日提案をされました政府のこの消費税見直し法案は、私は大変大きな矛盾と、それから欠陥をはらんでおる、こう指摘をせざるを得ないわけでございます。  まず第一に申し上げたいことは、消費税の持つ構造的な欠陥というものは一層解消されていない、これは廃止をする以外にできないと私は考えるわけでございますが、まずその点はいかがですか。
  115. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 昨年秋の臨時国会はおきまして消費税廃止関連の各法案を野党四党で共同提案をされました際にも、政府側として消費税の逆進性というものについて何回か見解を求められました。消費税という税制が逆進性を所得に対して持っておる、その事実は、これは私ども決して否定をいたしません。  しかし同時に、税というものは一つの税制のみをもって全部を律するべきでないことは委員がよく御承知のとおりであります。そして、それぞれの税制の特徴を組み合わせることによってそれぞれの制度の持つ欠点を消していく努力がなされておることも委員が御承知のとおりであります。そして、今逆進性という意味委員がお述べになりました部分が一体その何を指されるのかわかりませんが所得税をも含めました税体系の全体、税制全体、さらには社会保障制度その他歳出面も含めて、その中で御論議をいただくべきことであらうと思います。  ですから、例えば今回の消費税見直しに当たりましても、今逆進性の緩和という御指摘でありますからその部分からまいりますならば、消費税そのものにおきまして飲食料品の負担軽減のための特例措置を講じると同時に、住宅費、家賃、あるいは身体障害者用物品、第二種社会福祉事業、お年寄りの方々に対する在宅福祉サービス等を非課税といたしました。また、年金生活の方々のために、所得税や住民税におきまして公的年金等の控除額を引き上げて一層の減税を実施することといたしました。年金受給者の所得税の課税最低限、六十五歳以上の夫婦世帯でありますと三百一万八千円でありましたものを三百二十一万八千円に上げておるとおりであります。また、歳出面におきまして高齢者の保健福祉施策を飛躍的に充実させてまいりますために、在宅福祉あるいは施設福祉等の事業に沿いまして、今後今世紀十年間の間の目標として「高齢者保健福祉推進十か年戦略」等を策定し、その着実な実施を図るほかに、平成二年度予算におきまして、社会的に弱い立場にある方々に対する各種の施策についてもきめ細かい配慮を払ってまいりました。こうした措置によりまして、消費税の持つ逆進性というものについては大きく緩和されたと考えております。  そのほかの視点からの御論議がありますならば、なおお答えを申し上げたいと思います。
  116. 矢追秀彦

    矢追委員 だから、私最初申し上げたように、消費税そのものには逆進性があるわけですよ。これはあなたもお認めになったわけですから。今そういう逆進性を緩和するためにいろいろ並べられました。だからそれでいいというわけにはいかないのです。というのは、そもそもこの消費税は導入に問題があることはもう私たちも再三指摘し、いろいろ議論もあったところでございますから。  私が言いたいのは、消費税そのものの持つ構造的欠陥が逆進性である、もう一つは消費者の払った税金がすべて国庫に入らない、こういった二つの大きな問題を持っているわけです。それを少々手直しで緩和したからそれでいいんだ、これではまずいわけでございまして、私はやはり一たん廃止をしてやり直す。  というのは、今度出された政府案、大蔵大臣はいろいろいい点をお並べになりましたが、私が指摘したい一つは、では今回食料品非課税になったからといってどれだけ値下がりがするのか。この点は私は余り値下がりがしない、こう思うわけです。若干はするでしょう。しかし、全体的には値下がりはしない。というのは、複数税率になっておりますし、またハンバーグ一つ取り上げましても、ファストフードのところへ行って食べれば消費税はかかる、持って帰ればかからない、そういう複雑なことになってきておりますし、さらに途中の運賃であるとかあるいは包装代であるとか、そういったものは全部三%が残っておるわけでございますから、私は物価に与える影響は非常に少ない。もう経企庁では既に〇・四%しか総合的には下がらないというデータを出しているわけです。したがいまして、物価に与える影響というものも非常に少ない。私は物価が下がるということは到底考えられない、こう思う次第でございます。  さらに、それ以外に今回この見直しによりまして、結局小売の方にせよ全部これはつくりかえなきゃならぬ。いろいろなそういった事務経費、そういったものもやはりコストアップに私ははね返ってくる。さらに、この小売の非課税で結局内税になるわけです、ある意味では。消費者は見てもわからない。この中に消費税は、確かに食料品非課税ですからそれはなしでしょう。しかしその中に、じゃ消費税は小売の方が全部負担するのかあるいはこれは少しはやはり値上げの中で含まれておるのか、こういった問題もございまして、私はやはり、この政府見直し案は少しは見直されたかと思いますけれども、それをもってこれがベストである、こうは言いがたいし、やはり私は、最初申し上げたように一番構造的な欠陥を持っておる、それは直らないわけです、幾らやっても。だから廃止をして見直すべし、これが私どもの意見でございます。  さらに、非常に自慢をされておりますが、出産費であるとかあるいは埋葬料、そういったものを非課税にした、だから見直したのだ。これはもともと課税するのが間違っておるものです。私は食料品非課税にするならなぜ医療も全部非課税にされなかったのか。まあ中山外務大臣もお医者さんですから医療のことはおわかりでしょう。健康保険にかかるものだけは非課税であとは課税、お産だけは非課税にした。あるいは埋葬料、そういったものはもともと——教育にしてもそうです。じゃ教育にしたってどうなんですか。入学金だけじゃないですか。教科書はどうするのですか。いやいや大学の。義務教育は当たり前の話だ、こんなのは。言うに及ばず、義務教育は教科書は無償なんだから。だから、そういった意味において私はこの見直しはだめと言いたいわけでございます。  さらに、もう一つ申し上げたいことは、要するに政府は今回の税制改革の手順を誤ったわけです。先に消費税ありさで来たわけです。これがそもそもの間違い、そして公約違反、そして強行突破、そして強行導入、こう来たわけでございまして、やはりそういったことも反省した上に立って、納税環境をつくるためにもやはりまず税制を公平にする。そして、今後国民の負担は幾らにあるべきなのか。政府が今度出されました、昨日も出ましたいわゆる財政の試算によりますと四〇%となっておりますが、そういった国民負担がいいのか悪いのかこれは別といたしまして、そういう高齢化社会へ向けて、二十一世紀へ向けてのビジョン、それはゴールデンプランを出したとおっしゃいますけれども、あれはただ文章を並べてあるだけでございまして、財政的な問題の上からどうするのだということはまだはっきりできていないじゃないですか。そういうこともきちんとした上で、さあその上で税制改正をどうするか。私たちは既に公平税制といたしまして総合課税の強化、それからキャピタルゲイン課税の強化、そしてもう一つの公平税制といたしまして、あらゆる税の公平化ということを言っておるわけでございます。  そういった意味を、そういう手順を間違ったところから混乱も起こったわけですし、国民の合意も得られない。選挙が終わった後のテレビの討論会のあの世諭調査でも、やはり反対、廃止の方の方が多いという結果が出ておるわけでございます。だから、ここでその手順を直す意味の上からももう一度廃止をしてそして見直す、そしてどういう税制がいいかということを国民合意を形成する、こうあるべきではないかと思いますが、総理いかがですか。
  117. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今委員がお述べになりました中には、私どもとしてお答えをさせていただかなければならない点が随分多々あるようは思います。  まず、お述べになりました構造的欠陥の中で国庫に入らないというお話の提起がございました。  税制国民経済の中で機能していく中には国民各層の御協力が不可欠であり、その意味税制における公平性と簡素性というものはともに重要な要素でございます。委員がお述べになりましたのは、恐らく事業者免税点制度や簡易課税制度等、中小零細事業者に対する特例措置を頭に置かれてお述べになったと思いますが、この種の税になじみの薄い我が国の現状の中で、二つの重要な要請の間のぎりぎりのバランスをとっていく政策判断から、こうしたものは生まれてまいりました。しかし、この制度につきまして消費者中心としてさまざまな御論議があることを私どもも承知をいたしております。政府としてもこうした点を踏まえまして、これらの制度につきましては、消費税の申告納付が一巡する平成二年五月まで実態把握を行い、これらの制度をどう見直すかを十分検討の上で提示するということを既に閣議決定しておりまして、これは今後誠実に私どもとして対応していくつもりであります。また、申告納付の回数をふやすといったことで、できる対応はいたしてまいりました。  また、その価格が下がるのかという御指摘がございました。これは、消費税は価格への転嫁を通じて最終的には消費者に御負担を願う制度でありますから、脱負担の変化が価格に適正に反映されなければなりません。今回見直しにより非課税に、あるいは特別低税率が適用されることになります商品などにつきまして、税負担の変化、すなわち仕入れ税額分の低下と自己のマージンに対する負担軽減効果が適正に価格には反映しなければなりません。各省の御協力をいただき、最大限の努力をしてまいるつもりでございます。     〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕  また、複数税率を設けたために事務が複雑となる、これは確かに制度の簡素化という観点からだけ言うならば、単一税率が望ましいことは間違いありません。しかし、現行消費税においてこうした観点から三%の単一課税を採用いたしましたけれども、単一税率を採用いたしましたけれども、逆進性の緩和等の視点から、国民の御要望に対して飲食料品について特別の措置を講ずるということになったわけでありまして、何らかの事務負担を事業者にお願いを申し上げることになることは事実であります。しかし、これは消費者の方々のための政策的判断と税制の簡素性の要請との比較考量の中から選択をしたことでありまして、私どもとしてはできる限り御協力をいただけるように努めてまいる所存であります。  私どもそういう視点から考えてまいりますと、今委員からは、その飲食料品についての小売段階非課税が税額がわからなくなるという御指摘がございました。しかし、これは食料品非課税という国民の御要望にこたえる結果として出てくる問題でございまして、これには御理解をいただきたいと思うのであります。
  118. 矢追秀彦

    矢追委員 総理、今の大蔵大臣のは見直しに対する説明ですが、私の聞いているのは、そもそも今後の税制改正はどうあるべきかということについて、要するに先ほど私の質問した点についてお答えいただきたい。要するにボタンのかけ違いから始まったんだから、ボタンをかけ直して、そしてやるべきことをやった上で国民の合意のある税制をやるべきだ。総理の御所見を聞きたい。
  119. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 税制改革は、私どもは二十一世紀に向けて必要なものだと思って去年の四月からお願いをしたわけでありますが、御指摘のようにスタートの時点においていろいろ手違いがあったり行き違いがあったり、皆さんからおしかりを受けるような場面があったことは、私も率直にこれは反省もいたしております。  したがいまして、この間の選挙のときには、私はいかなるところでも、例えば党首会談でもあるいは政談演説会でも街頭演説会でも、それらのことには率直に触れ、税の話は楽しい話ではございませんけれども、しかし皆さんにお願いをして、負担をしていただかないと国は成り立っていきません、自民党は世論を重視していろいろと省みてこのような見直し案をつくりましたということを詳しく御説明をして、そして御理解と御協力をお願いしますと訴え続けてまいったつもりでございます。そして見直し案国会提案させていただきますと。選挙中に野党首脳皆さんも、廃止一辺倒ではなくて、直間比率の問題も七対三ということを肯定しながら個別間接税の問題にお触れになり、そしてそれぞれのことについて、ぜいたく品なのか非ぜいたく品なのか、あるいは普及率によったらどうなるとか、税率はどうするのかというかなり具体的なことまでお漏らしになりましたが、具体的な案は固まって出てまいりませんでした。したがいまして、それらの案等もお出しをいただいて、私は接点はどこかにきっとあると思いますから、その接点のあるところを議論の出発口として、そして御議論を深めていっていただいて、税制改革はぜひ定着させていただきたいと思うのです。  税は世界のいずれの国でもやっておりますし、このような付加価値税はOECD加盟国初め四十七カ国で既に行われておるということも先生御承知のとおりだと思います。間接税の持っておりますいろいろな逆進性の問題については、大蔵大臣るる述べましたように、他の一般歳出やその他のことについてあわせていく、減税も先行させておる、そして資産課税も今度はきちっとやる、所得と資産と消費とのバランスのとれた公平な税の構築をしていくのだということで御提言しておるわけでございますから、どうか、選挙中に我々は党を挙げてこのことについては率直にお願いをして、スタートさせてください、見直し案提案いたしますということを率直に訴えて選挙をしてきたわけでございますので、どうぞそのスタートラインだけはお認めをいただくようにお願いをいたします。
  120. 矢追秀彦

    矢追委員 そこが基本的に食い違っておるわけですね。要するに総理は、今消費税についてはいろいろ問題があったから見直して、それからお願いをしたい。我々は、この消費税構造的欠陥があるから一遍なくして、そうして白紙にして、二年間はちゃんと代替財源もこっちはこっちで考えておるわけですから、そして二年後にちゃんとした話し合いをしながらやりましょう。こういうことなのですから、そこの土台が違うておるわけです。だから、そこはボタンのかけ違い。その辺は見解が分かれるかもわかりませんが、私としては、消費税が悪いから見直されたのでしょう。百点満点のものだったら見直しされないわけです。だから、やはり悪かったから反省をされて見直されたんですから、もう一歩、根本的な問題を抱えている消費税ですからそれは一たん廃止をして、これからやり直す。その過程においては私たちのいろいろな主張は主張として出しながら、相談するなら相談してもいいと思います。その根本問題が違う、このことだけ御指摘をしておきたいと思います。  次の問題といたしまして、先ほども伊藤委員からもお話が出ておりました補正予算の問題でございますが、私も参議院衆議院を通じまして予算委員会あるいは大蔵委員会で予算については質疑もしてまいりましたが、今回のような補正予算はお目にかかったことがございません。これはもう二十九条はもちろんのこと、大型であること、先ほど大蔵大臣るる説明をされておりましたが、私はさっきの説明では到底納得はできません。  具体的に伊藤委員はお触れになりませんでしたので、その点をこれからやっていきたいと思いますが、まず、この補正は選挙の前に出されて、そして解散ということで廃案になりました。そして選挙後に出されてきたわけですが、表紙が変わっただけで中身は全然変わっていないわけです。したがいまして、私たちも選挙中にはこの補正予算には問題ありとさんざん指摘をしてきたわけでございます。しかし一向にそれには耳をかさないで、この問題のある補正予算をそのまま、それこそ表紙を一号を二号と変えただけで出してこられた。これは非常に問題があると私は思うのですが、まず総理、その点はいかがですか。
  121. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今委員から御指摘でありますけれども、私どもとしては、今回の補正予算、選挙のあるなしにかかわらず、必要な項目を計上し、編成をし、御審議をお願いを申し上げておるわけでありまして、その間に選挙が挟まりましたためにその対応に必要がなくなった項目はこの中にはない、そのように判断をいたしまして、再度御審議をお願いをしたいと考えておるところであります。
  122. 矢追秀彦

    矢追委員 しかも選挙が二月の十八日ですから、それから国会が召集をされれば補正予算の審議は三月に入ることはもう自明の理だったわけですね。年度末までもうあとわずかしかないわけですよ。だから、緊急だからこの項目と言いたいと思いますけれども、そんなことは初めからわかっているわけですね。それになぜそういうそれこそ緊急でないものをたくさん並べながら、それを緊急と称して、そうしてこの補正予算に入れてきた。しかも表紙だけ塗りかえる。私たちの指摘には一向耳をかさない。選挙で安定多数を得たからかす必要はないというおごりの姿勢だと私は言いたいわけでございますけれども、そういう点は納得が全然できません。  次に問題点指摘をいたしますけれども、まずこの二十九条に違反しないとおっしゃっていますが、なぜ違反しないのですか。その理由をまず挙げてください。
  123. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 委員の御指摘がどういう意味なのか正確にとらえ切れないわけでありますが、例えばこの財政法二十九条の解釈の上で問題がないかと言われますならば、先ほど来申し上げてきておりますように、我々はこの財政法二十九条に照らして十分に精査をいたしたつもりであります。また、仮に当初予算に計上されていない新規施策の経費の計上に問題があるという御指摘であると仮定をいたしますならば、財政法二十九条は既定経費の増額しか認めないというものではなく、予算作成後に生じた諸情勢の変化に対応するために特に緊要となった新規施策のための経費も当然含まれておる、こう理解をいたしております。
  124. 矢追秀彦

    矢追委員 それでは、具体的に一つ言いますと、大蔵省からいただいた資料にはいろいろ書いてございますが、その最初の言うなればいわゆる給与の問題とかそういうところには非常に緊急性がある、このように書いておるわけですが、あとのところはみんな早急にとか、できるだけ早くとか、可能な限りとか、そういう表現になっていますね。だから私は、その緊急な事由には当たらない、こう言いたいわけですけれども、その辺はいかがですか。  例えば、いわゆる国立劇場の問題あるいはそのほかのいろいろな基金、資金がつくられておりますけれども、これはどうしてもこの年度内にやらなければ間に合わぬことなのですか、いかがですか。
  125. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今第二国立劇場に係る用地取得費につきましての御質問がございました。これは、来年度からの第二国立劇場の建設に向けまして、その前提として周辺地域の民間地権者とともに進めてまいりました特定街区の構想が昨年末固まりましたことから、元年度中に所要の手続を開始するために第二国立劇場の敷地を早急に取得する必要がある、芸術文化関係者からの強い要望でございます。元年度中にやはり所要の手続を開始するために敷地の取得を急ぐという、私どもはこの判断を了といたしております。
  126. 矢追秀彦

    矢追委員 私は、芸術文化の振興を悪いとは言っていないのですよ。そんなこと、今大臣の答弁のことであれば、何でも補正に組めるのじゃないですか。大事な問題が、いろいろな重要な問題がある、だからこれは土地を買わなければならぬ、だから早くやらなければならぬから補正予算で組みましょう。補正予算は平成元年度補正予算ですよ、大臣もう釈迦に説法だけれども。三月三十一日までにちゃんとしなければならぬものでしょう。それまでに絶対しなければ何か問題になるというのなら、私はそれは許しますよ。だから、先ほど申し上げたように、この「補正予算早期成立の必要性」、こういうことに書いてある中に、例えば「給与改善費」につきましては、「遅くとも三月九日には補正予算が成立していなければ、大きな混乱をもたらすこととなる。」まあこれは一つですね。その次に「厚生年金等給付改定実施期日の繰上げ」、いわゆる五百四十六億の追加については「年金の支払い財源の裏付けを欠くことになるので、速やかな補正予算の成立が必要である。」それからその次は「国際分担金及び拠出金」、「その支払いが遅延するような事態となれば我が国の国際的信頼を失いかねないので、我が国の信頼確保のために、速やかな補正予算の成立が必要である。」ここまでは、私、話はわかるのですよ。その後は、今言ったように「補正予算をできるだけ早く成立させることが必要である。」大分トーンが落ちておるのですね。それからその後の具体的な事項の中で、今御指摘をいたしました芸術文化振興対策としても、土地とかそんなのは一つも書いてないよ。「民間における基金設立の要望、資金拠出の気運の高まりに対し、国として早急に応える必要がある。」この程度のことなんですよ。だから、仮に四月に入ったっていいじゃないですか。どうなんですか。  これは、ほかもついでに言っておきますよ。「できる限り早期に実施する」あるいは「産業活性化事業の支援を早急に講ずる必要がある。」「追加出資を早急に行う必要がある。」「できる限り早期にこれに応える必要がある。」「できるだけ早期に対応する必要がある。」できるだけ、できるだけとありますから、できるだけというのはいつまでなんですか。四月に入ったらだめなんですか、これは。大臣、大体あなたの言うことわかっているんですが……。
  127. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今第二国立劇場の用地のお話を御例示でお出しいただきましたのでそれにお答えをいたしましたところ、芸術文化振興基金にも絡んで御意見がございました。しかし、この芸術文化振興基金につきましては、昨年末に民間から元年度中を目途として文化振興のための基金設立の要請と同時に資金拠出の要請が行われ、既に元年度の経理で資金拠出を行うことを予定しております企業が多く存在をいたしました。そして、このような企業につきましては、基金設立の時期が来年度にずれ込みますと、拠出の多くを白紙に戻して再検討という事態になるということから、国もこの時期を逸せずに対応する必要があるという判断をいたしたことであります。あるいは地域の環境保全対策費の補助のように、元年度中に各地域、都道府県及び政令指定市等におきまして、国と一体となった取り組みを強化しようという機運の中で、地域環境保全対策推進のための基金をつくるべく基金条例の制定を行われたり、元年度の補正予算への計上を進められておるところから、国としても元年度補正予算でこれを支援する必要があると判断をいたしました。
  128. 矢追秀彦

    矢追委員 今の大蔵大臣のお話を聞いておりますと、一つは今の国立劇場ですよ。今ごろになって金が集まらぬ、見通しが立たなかったのですか。仮に集まらないと、これは一応当て込んでいるといったって、まだこれからやるわけでしょう、事業は。これからつくっていくわけでしょう。それはことしじゅうでなければ困ります、仮に、それで百億円穴があくのですか、予算に。あかないのでしょう、この問題は。しかも、あくなら、あくということがわかったら、ほかの処置の仕方があるのじゃないですか、平成元年度予算というのがあるのですから。予備費だってあるじゃないですか。  だから、補正予算というのは、先ほどから議論されておりましたように、私も言っているように、要するに災害であるとか給与の改定であるとかあるいは緊急に何か事件が起こった、あるいはどうしてもお金が要る場合のみにやるべきであって、何でもいいからやって——私は何もこの項目が全部悪いとは言っておりません。やらなければならぬことです。芸術振興だって日本はおくれています。やらなければなりません。しかし、だからといって財政法を曲げ、しかも自然増収の見積もりを誤ったためはそれを隠す。言うなれば、野党消費税の代替財源として使おうと言ったのを、これを何とか減らした方がいいように勘ぐりたくなるぐらいです。これは私の勘ぐりですから、私のひがみ根性かもしらぬけれども。だから、そういう自然増収の見積もり、税収見積もりも誤りですよ。ああ、たくさん金が集まったから、しかも選挙の前にそれを組んだ、選挙で大盤振る舞いをやります、それで勝ったかどうかは別といたしまして。だけれども、その選挙中だって、先ほども言ったように、私たちはそれに対しては十分意見は言ったわけです。だから、終わったら少々検討したってもいいじゃないですか。私はこれは納得できませんよ。これは国立劇場の問題だけじゃないです。ほかのを全部含めまして、どうしても三月三十一日までに出さなかったら大変な事態なら私はわかるというのですよ。そうじゃないじゃないですか、この項目については。  もう一つありますよ。しかも基金とか資金、これは行革にも反しますよ。そういうこともあえてして、そうしてやろうとしている。まだもう一つあるのですよ、隠れ借金の問題も。そういうことを含めて今回の補正予算、これは大蔵大臣どう抗弁されましても、これはもう二十九条に違反するのが一つ。それからもう一つは、いわゆる臨調の最終答申にもはっきり出ているじゃありませんか、こういう基金とかいろいろな特殊法人はつくっちゃいかぬと。これを資金とか基金という形で隠れみのにする。だんだん国会審議の外へ外へ持ってこようとしているじゃありませんか。こういう姿勢も私は許せないし、しかも厚生保険特会に対するあの一兆五千億、これは借金を返したのじゃないじゃないですか。一遍入れてまたほかのものに使うのじゃないですか。それ自体は老人保健法で大事な問題でしょう。しかもこれは隠れ借金を返す。私も隠れ借金の問題では大蔵委員会で随分やりました。二十六兆もあるわけです。早く返さなければいけません。しかし、だからといって借金を返したような顔をして全然違うものにそれを使う、そういうことじゃないですか。だからこの補正予算の組み方そのもののまず姿勢にも問題がある。さらに中身にも問題がある。だから私たちは承服できない、こう申し上げておるわけです。  重ねて、この先ほど私が申し上げた問題が、どうしても三月三十一日までにこれを処置しなければ大変なことが起こる、そういう緊急なものなのかどうか、お答えいただきたい。
  129. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 税収の見積もり誤りにつきましては、これはおわびを申し上げる以外にありません。私どもとしても大変残念であります。また、これから先こういう事態を起こさないように、最善の努力を払っていかなければならぬと思っております。  しかし同時に、今元年度補正予算につきまして御論議をいただきました論点、もう一度繰り返してお答えを申し上げさせていただきますと、例えば芸術文化振興基金の創設につきましては、昨年末に民間の方々から、元年度中を目途として芸術文化振興のための基金設立の提言及びそのための民間資金拠出の呼びかけ、政府に対する相当額の負担の要請が行われたことを受けまして、その主たる寄附者としての民間企業の募金がちょうど元年度中の経理で予定をされておるものが多く、これが来年にずれ込みますと、もう一度白紙に戻るといった事情も勘案をし、私どもとしてはその所要の措置を講じたことであります。こうした措置を我々はとりましたということを申し上げなければなりません。  そして今、その行政改革等は対しての視点からの御論議をいただきましたわけでありますが、これは事務方のペーパーを一々全部読み上げるつもりもございませんけれども、私どもとして、それぞれの問題につき最近の諸情勢やその変化に適切に対応することによって国民生活の向上や安定を目指したものでありまして、その目的及び運用について厳しく精査した上で予算に計上いたしました。  また、基金創設のための財源の一部は出資金として、委員から御指摘はありません、私の方から申し上げることでありますが、建設公債の形で賄っておる部分がございます。これは、出資見合いの支出が有形無形の資産として後世代に残っていくということから考え、後世代もその利益を享受されるわけでありまして、こうした考え方をとっておるわけでございます。  そして、これから先まだ一層我々は財政体質を健全化するための努力をしていかなければならないわけでありますが、そうした中で、今回厚生保険特別会計の中に設けました勘定につきまして今委員から御異論がございました。  これは、今後とも国の財政事情がなお厳しいと見込まれる中におきまして、当分の間、安定的に老人保健の基盤安定化を図るための財源を確保すると同時に、年金財政に対する国民の信頼の向上に資するためにも、厚生年金国庫負担の繰り延べ措置について将来返済に充て得る財源を厚生保険特別会計の中に確保する。その二つの政策要請の緊要性にかんがみて、元年度補正予算におきまして、厚生年金国庫負担繰り延べ分の返済見合い財源を用いて特別会計に当分の間資金を設けて、平成二年度においてその運用益を活用しようとするものでございます。  これは、特別会計の業務勘定に資金を設け、その運用益を老人保健制度の基盤安定化措置に充てるものでありまして、年金財政との関連におきましては、繰り延べ返済が完了したという性格のものではありません。しかし、補正予算における各般の財政体質改善努力の一環として、厚生年金国庫負担の繰り延べ措置について将来の返済に充て得る財源を確保するという意味合いで、返済に一歩踏み出したものと考えております。
  130. 矢追秀彦

    矢追委員 また国立劇場の問題に戻りますけれども、企業がお金を出すのが、三月三十一日まで出さないと金が集まらぬという。幾らなんですか、これ。一兆とか二兆という金額ですか。百億円でしょう、あてがっているのは。違いますか。
  131. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 ただいまのお尋ねは芸術文化振興基金の件だろうと思います。芸術文化振興基金は、三月末、つまり元年度中をめどとして民間から約百億、それから政府から五百億ということで構成をされているものであります。
  132. 矢追秀彦

    矢追委員 大蔵大臣、百億のうち何ぼ集まるかどうか知りませんけれども、両方で五、六百億ですわ。これを何でこの補正予算にまで組み込んで——その今の理由がよくないですよ。この財団を早くつくって劇場を早くやらなきゃならぬから、だからどうしてもこれはやらなきゃならぬ。例えば平成元年度予算についていた、工事が来た、穴があいた、それならまだわかりますよ。これからでしょう。しかも企業が金を会計年度ぎりぎりまで、これつくらぬことには金は集まりません。百億ぐらい穴あいたっていいじゃないですか、簡単に言えば、極端に言えば。だから私さっきから言っているでしょう、先ほど言った項目について、三月三十一日までにどうしてもやらなかったら緊急事態が起こるとか、そういうことであればこれは許しますというのです。そうでない理由ばかりですよ。  しかも、さっきの後の答弁、これも納得できません、いわゆる厚生保険特会の問題は。これは明らかに保健福祉事業資金に充てるのでしょう。年金財源というのは建前論ですよ。これは厚生保険に入っていない人なんて怒りますよ。そうでしょう。年金の財源の問題なんですから。こっちは厚生保険ですから。しかも老人保健の、これは大事なことですよ。健康保険はいろいろ問題がありますからちゃんとしなければいかぬと思いますけれども、私が今申し上げたように、この補正予算、二十九条、さらに出資の問題、いわゆる基金、あるいは基金をたくさんつくる問題、それから資金を出す問題、とにかく財政の、いわゆるきちんとしていかなければならぬ。今景気がいいからお金が集まっている、消費税も入れたから税金がいっぱい入る、だから何やってもいいんだ、そんなことやっていたら、ことしの後半だって景気はどうなるかわかりませんよ。これから円安がどう進むか、あるいはアメリカからどんどん言われて公共事業をどんどんやらなきゃならぬ、人手は不足している、資材は上がってくる、インフレになる、株だってこういう状況じゃありませんか。だから財政というのはきちんと節度を持ってやらなければいかぬのです。そのために財政法があるんじゃないですか。それを先ほど来大蔵大臣ごたごたごたごた言われますけれども、私は絶対納得できません。もう一回はっきりと、三月三十一日までに先ほど申し上げた項目について、それでなかったら緊急に大変な事態になる、さっき私が前半で読み上げたような給与の問題とかあるいは災害復旧の問題のような、そういう問題と同じであると、そういう論証をしてください。それができなかったら、あと質問できません。
  133. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 これは、矢追委員のおっしゃるように、百億ぐらい穴があいたっていいじゃないかという前提に立ちますならば、それは緊急性はないということになるのかもしれません。これはお言葉を返すようですけれども、やはり例えばその第二国立劇場の用地を取得したいと考えている方々、あるいは芸術文化振興基金にその会計年度において自社のある程度の利益を拠出しようとしている、そうした方々にとりまして、その年度内にそれが処理できるかできないか、これはやはり私は大変な問題だと考えるのが至当であろうと思います。  また、厚生保険特別会計につきまして、私は先ほど申し上げましたけれども、年金財政との関連では繰り延べの返済が完了したという性格のものではないということも私は認めながら、同時に、将来返済に充て得る財源を厚生保険特別会計の中に確保するという、こうした視点も申し述べておるわけでありまして、医師として非常に豊富な知識をお持ちのこの分野につき、格段の御理解を賜りたいと思うのであります。
  134. 矢追秀彦

    矢追委員 私は、穴があいたっていいという意味は、そもそも、先ほど申し上げたように、穴があいたら困る緊急性のものではないということを言うための、言葉が足りなかったらそれは訂正しますけれども、先ほど私は、前提としてこの項目について悪いとは一言も言ってませんよ。みんなやらなければならぬことです。老人保健の問題だって、あなたおっしゃるとおり、やらなければならぬです。まあ医療関係者といっても、私はそれはそれで理解がないわけじゃないですけれども、私は、財政法とかあるいは予算編成のあり方とか、そういうお金の動かし方がルーズになっていいのかと、そういうことを聞いているのです。  だから、先ほど言ったように、二十九条に基づいて、今申し上げた、この後の項目ですね、これについては緊急性は私はない、平成二年度予算でもよかったのではないか。もし平成元年度予算でどうしてもやらなければいかぬのなら、なぜ今ごろこんな補正で、しかもいまだかつてないじゃありませんか。今までこれだけ出てきたのは初めてですよ。しかも時間的な問題もあるじゃないですか。それははっきりしていただきたいです。
  135. 津島雄二

    ○津島国務大臣 矢追委員から厚生保険特会に資金を創設することについて言及がございました。  委員御案内のとおり、老人保健制度につきまして平成二年度より加入者按分率を一〇〇%に移行することによりまして、健康保険組合等被用者保険の拠出金負担増という問題が起こることは御高承のとおりでございます。そういう意味におきまして、老人保健制度の基盤安定化のための措置をとることは、私どもの立場から申しますと、まことに緊急な要請でございます。  こういう緊急の要請にこたえるために、国の財政状況が大変厳しい中でございますけれども、元年度の補正予算におきまして自然増収等財源の余裕が生じているということから、このような資金を創設していただくということでございまして、私どもはこの財源を活用していただいて当面の緊急な課題についての措置をとらせていただき、老人保健制度の基盤の安定化を図るという考え方でございます。  なお、申し述べますと、それでは厚生年金の国庫負担の繰り延べ分の返済についてはどうかという点も御言及になりましたので申し上げますが、厚生年金保険事業の財政の安定が損なわれることのないよう、この点はできるだけ速やかな返済の完了に向けて今後とも適切に対処してまいるつもりでございます。
  136. 矢追秀彦

    矢追委員 厚生大臣はお金をもらった方だから、余り言いたいことを言えぬのじゃないかと思うんですけれどもね。というのは、今非常に緊急とかおっしゃいました。確かにそれは按分率一〇〇%でお金が要ることは事実です。だからといって、私はここで申し上げたいのは、臨調の最終答申でもいろいろ問題にしている、こういう新しいものをどうしてつくったのかと言いたいわけですよ。特別保健福祉事業資金、こういったものをね。これは大蔵大臣、どうですか。何でこんなことしなきゃいかぬのですか。もっとすっきりとして、老人保健法の問題なり、それに対するお金の手当てはいろいろやりようがあるでしょうが。保険制度そのものだって、もっと根本的にやっていかなきゃならぬのじゃないですか。確かに医療費も二十兆円を超えました。抑制しなきゃいかぬと思います。もっと制度の問題あるいは予防に力を入れる、保険制度をどう変えていくか、これだって政府の怠慢ですよ。私はそう思います。それは別といたしまして、私はこういうやり方に問題があると言うのです。まあこれ以上言ってもこれは押し問答でね。総理、どうですか。大体もうわかっているんですよ、あなたの言いたいことは。総理、これは予算ですからね。あなたが提案されているんですから、政府として。
  137. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 委員から大変厳しいおしかりをいただいておりますけれども、私どもはあくまでも今回補正予算を編成いたしますに際し、各省庁からの要望というものは十分に精査したつもりであります。そして、二十九条の解釈の上で問題のない項目を選んだつもりでありますし、先ほど来申し上げておりますように、それぞれの問題につき、それぞれの緊急性があると判断をしてこれだけのものをまとめてまいりました。  そして、その中でまた厚生保険特別会計の問題について今御指摘を受けておるわけでありますけれども、これは先ほど来申し上げておりますように、今後とも国の財政事情がなお厳しいと見込まれる中において、当分の間安定的に老人保健の基盤安定化を図るための財源を確保するという要請と、また年金財政に対する国民の信頼の向上に資するために、厚生年金国庫負担の繰り延べ措置につきまして、今すぐお返しのできる状態であればそれはベストでありますけれども、その状況にない中で、将来返済に充て得る財源というものを厚生保険特別会計の中に確保するという二つの政策的な要請の中から、私どもとして考えた結論であります。  私どもとしてこうした考え方を採用いたしました理由は以上のとおりでありまして、私どもとしてはこうした対応策について御論議をいただくことは当然であろうと考えておりますけれども、同時に、先ほど来委員が述べられるような考え方のものとは少し異なりまして、また繰り返して申し上げて恐縮でありますけれども、年金財政との関連から申しますならば、繰り延べの返済が完了したという性格のものではありませんけれども、補正予算における各般の財政体質の改善努力の一環として、厚生年金の国庫負担の繰り延べ措置が、将来の返済に充て得る財源を確保したという意味合いにおいて、一歩踏み出している点を御理解いただきたいと本当に考えておるところであります。
  138. 矢追秀彦

    矢追委員 それが理解できないんですよ、おかしいんだから。そんなことやってないじゃないですか、今まで。だから今回の補正予算、本当に道を開いたとかなんとかかっこいいことを言われますけれども、このまま行ったら本当に私は心配ですよ、今後の財政運営というのは。そうでなくても、この中期展望だって出ているように、ますますいわゆる国債残高はたまる一方じゃありませんか。まだ減るところまでいくのは相当年月がかかります。二百兆円までいくのですから、最後は。そういう中で少しずつでも返していかなきゃならぬ。隠れ借金の問題もある。百六十四兆ではおさまりません。私はたしか二十六兆円という指摘をしたと思いますけれども。だから、そういう意味で財政をきちんとしなきゃいけない。節度ある財政が必要です。  そうでなくても、今アメリカから公共投資をふやせと来ているのでしょう。総理、どうですか、この間ブッシュさんと会われて。GNPの一〇%も公共投資をしろと言うんでしょう、アメリカは。そんなことできませんよ、現実に。そんなのイエスと言ったらえらいことになる。これはもう列島改造論以来の大混乱になりますよ。そういう問題も片方抱えているだけに、やはり財政法によってきちんとしておかないと、アメリカから見たら、ああ、こういうことができるのか、どんどんやれと言われますよ。そういうこともありますから、財政の節度ある運営、だから財政法はちゃんと守りなさい、こう言っておるわけです。これはもうここまで言っても平行線ですから、これで私は質問はやめますけれども、総理、どうですか、姿勢として。
  139. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 いろいろ大蔵大臣が詳しく御説明をしましたとおりでございます。
  140. 矢追秀彦

    矢追委員 総理、ひとつ財政の方もよく勉強してくださいね、そうでないと困りますから。  ちょっと構造協議にこれから入りますけれども、今の公共投資に続きまして申し上げますけれども、これは大蔵大臣どうですか、今度はあなたのバックアップの立場に立ちますから。要するに、アメリカのGNPの一〇%までやれという問題ですよ。これは到底私は受けるわけにはいかぬ。ただ、生活関連の公共事業について、公共投資については、やはり日本は住宅あるいは下水道あるいは公園、そういったいわゆる環境整備がおくれていることは事実ですから、これは私たちも強く主張してまいりました。我々は生活者の立場ということを強く主張しておるわけでございまして、その点は大いにやらなければならない。  したがって、土地の問題、特に住宅の問題については真剣に取り組んでいただきたいと思いますが、ただそれが、公共投資をどんどんやれやれとアメリカから言われて、あの言いなりになったら、予算編成なんか全然できないわけですね、財源の問題だけではなくて。その点ははっきり、きちっと、構造協議でもいろいろな議論は出ております。私も承知をしておりますが、日本の財政というものはまだまだ、アメリカの双子の赤字も厳しいかもしらぬけれども、日本だってこれは決して油断できないのですから、その点はひとつ大蔵大臣、どういう認識を持っておられるのか、今後対米折衝においてこの問題についてはどういう姿勢でいかれるのか、これはしかと承りたいと思います。     〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕
  141. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 まず申し上げたいのは、私どもとして去る二月二十二、二十三日の第三回構造協議の際におきまして、双方から率直にそれぞれに対するアイデア等々を述べ合ったわけであります。その中におきまして、今委員が述べられましたような公共投資の問題についても、さまざまな論議がアメリカ側から提起をされました。  私どもとしてまず申し上げたいことは、今委員が述べられましたような例えばGNP対比何%といったような目標設定というものは、我が国自体の財政の経済に対する機動性を失わせしめるものとして、こうした考え方は我々としてはとれるものではありません。これが一〇%といったようなものは、これは論外でありますけれども。そもそも例えばGNP対比何%といった形で固定をしてしまいますことは、経済に対する財政の機動的な対応力を失わせしめるという視点から見て、問題があることであります。これは今委員が御指摘になった、私もそのとおりであると思います。  ただ同時に、確かにこのところずっと我が国は社会資本の整備という点で、公共事業に対しての投資をふやしてきておりますし、これは欧米諸国の水準に比べて伸び率は高いものでありますけれども、なお整備にばらつきがあり、おくれのあることも事実であります。そして、我々の生活環境を改善していくという意味における社会資本に対する充実の努力というものは、計画的に、そのときどきの経済、財政の状況を見ながら我々自身がきちんと仕上げていかなければならないこと、そのように考えており、この部分については本当に支えていただきましてありがとうございます。
  142. 矢追秀彦

    矢追委員 公取委員長もお忙しいようですから、独禁法の問題が一つの大きな日米構造協議のテーブルにのっておるわけでございますけれども、アメリカの方はアメリカと同じような独禁法にしろと言いますし、あるいは日本立場からいいますと、アメリカと全く同じようにしていいのかどうかという問題もあろうかと思いますが、今問題になっておる点で、私たちもこの独占禁止法というのはやはり強化をすべきであるということは年来主張してきたとおりでございます。ただし、アメリカと同じような形までにすることはやはりいかがかという気もいたしますが、ブッシュさんはきのうもある会合で、独禁法の面については、向こうは緩和と言われておる、こちらの方は強化、こういうふうなことになっておるわけでございますけれども、このアメリカの要求しておる独禁法の問題については、公取委員長としては今後どういうスタンスで臨もうとされておるのか、お伺いしたい。
  143. 梅澤節男

    ○梅澤(節)政府委員 けさの近藤委員の御質問にお答えしたところでありますけれども、独禁法なり競争政策をめぐる問題は、法律の運用の話と制度の話、仕組みをどう考えるかという二通りあるわけであります。私どもは専ら現在の独占禁止法の枠組みのもとでこの運用を一段と強力にやるということと、もう一つは透明度を高めると申しますか、内外ともにわかりやすい運用を図っていくという基本方針で議論をしておるわけでございます。  ただ、制度の問題につきましては、必ずしもアメリカの反トラスト法と日本の独占禁止法を同じにしろというベースで議論をしているわけではありません、各国それぞれ法体系は違うわけでありますから。しかも我が国の独占禁止法の現在の規制の内容は、先進諸外国と比べて全く遜色がない水準というのは、学界等でも共通した認識になっておるわけであります。  アメリカから提起されたいろいろな制度の問題で私が痛感しますのは、必ずしも論点が整理されてない点もあります。その点については、今回の日米の対話を通じて問題点が整理されてきておるという意味では、私は今回の構造協議というのは大変意味があると考えております。ただ、強いて申し上げますれば、けさほども申し上げましたけれども、罰金の量刑、それから価格カルテルに対する課徴金の料率というものについて、議論は平行線をたどっておるわけであります。これに対する我々の論点というのは時間の関係があって省略をいたしますけれども、現在そういう平行線をたどっておるわけでありますけれども、さらに対話を深めていきたいということでございます。
  144. 矢追秀彦

    矢追委員 四月、それからその後までに合意まで行けると思われますか、見通しですが。
  145. 梅澤節男

    ○梅澤(節)政府委員 少なくとも競争政策とか独占禁止政策の話というのは、両国政府が合意して、協議して物事を決めるという性格のものではございません。したがいまして、我々としては、ただ、この経済のグローバル化した現段階において、特に米国側が日本の国内の政策運用を理解するということは非常に大切なことでありますから、やはり理解を深める努力はしていかなければならないと考えております。
  146. 矢追秀彦

    矢追委員 総理、具体的な問題は出なかったとおっしゃいますけれども、独禁法も含めまして構造協議があるわけでして、今の公取委員長の話だと、日本の今のやり方は守る、運用でいいと。ということは、いわゆる独占禁止法の改正案、法律改正までは考えていない、これは貫いていく、こういう姿勢ととってよろしいですか。総理、あなたのお考え
  147. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今議論されております個々の問題について、私は、この場でどうするこうするということをお答え申し上げるわけにいきませんけれども、両国間できょうまでずっと積み重ねてきた問題がいろいろなところで行き詰まっており、とまっており、それが進展していないところに今度のアメリカ側の問題提起もあり、また構造問題に対して別の角度から一回議論を進めなければならぬという問題があって、政府では関係閣僚に、それぞれの問題、きょうまでの経緯と問題点とテーマがたくさん出ておりますから、それぞれのことについてできることできないことをきちっと仕分けをしながら、またできないこともどこを突破口にしたらできるようになるのか、それを精力的に今各閣僚がそれぞれの担当部署で取りまとめておりますけれども、最終的には春の中間的評価と夏の最終報告までに責任を持ってまとめて、これは合意するとかしないとかじゃなくて、日本はこれだけ協議の成果を踏まえてこのような姿かたちに変えて前進をしておるということを通告ができるようにしたいと思って、努力を続けていくわけであります。
  148. 矢追秀彦

    矢追委員 この間からの代表質問の答弁、それからきょうの総理の答弁を聞いておりますと、今回の日米首脳会談は、要するに具体的な問題は出なかった、しかし、いろいろ行き詰まっている問題はちゃんとしようやという、私は別にその中身を疑っているという意味じゃなくて、それはわかるのですよ、これから議論するんでしょうから。しかし私は、今回の訪米のあり方、それからアメリカの最近のいろいろな動き、私もブッシュさんとは副大統領当時にお会いしたことがございますけれども、いろいろなアメリカの、特に議会を中心とした日本に対する攻勢は、それこそ私は大変なものである。私はある意味では、総理、今度の四月の中間のいわゆる報告というものはかなり正念場と見ていいんじゃないか。  だから、私はあえて総理、ここで言うとまたアメリカがどう反応するかということで、独禁法についてはどうする、あるいは大店法についてはどうする、あるいは公共投資はどうする、そのほかいろいろございますけれども、防衛分担金の問題どうする、言えないとは思いますけれども、私は一つのスタンスとしてぜひ総理に確認しておきたいのは、もう時間も余りありませんので、まずその根底に、やはり日本国民生活立場、いわゆる消費者あるいは国民生活、そういう立場は絶対守るというこの立場だけは崩してもらっちゃ困る。  だから、先ほど公共投資で言いましたように、アメリカの言うとおりにやったらもう財政はめちゃくちゃになるし、インフレになるし、大変なことになる。GNPの一〇%の公共投資なんかは絶対できないわけです、日本としては。これははっきりノーと言ってもらわなければ困るし、これはもう絶対に調ってもらっちゃ困るわけです。しかし、今まで日本政府が、私から言わせると怠慢、これは言葉は悪いかもしれませんけれども怠ってきたことによって、アメリカがその攻撃に拍車をかけてきた、そういったことは構造協議の二月の資料を読みますと、私はかなりあるように思います。  独禁法についても、強化を私たちは随分言いました。公共投資も、生活関連の公共投資はやりなさい。そして、それこそ日本人が今何が不満かといえば、お金はあるけれども生活環境が不備だ、下水道なんかもう先進国と比べて問題にならないほどおくれている、住宅はウサギ小屋、しかも土地は高くなった、そういった不満も日本にもあるわけですから。だからといって、じゃアメリカの言いなりになっていいのかという問題もあるわけですから、そういった意味で、私は国民生活というものをきちんと守る上の立場に立って、どこか一部のグループとか一部の企業とか、そういう立場に立たないでひとつやってもらいたい。これが一つ。  それからもう一つは、防衛分担の問題です。これは防衛庁長官にお伺いをいたしますけれども、その後で結構ですけれども、これは円建てで払え、こういうことですね。こういうことも要求として出てきて、これも大変な問題ですよね。  そういう意味で、まず総理の基本的なスタンスと、できれば、どの問題、要するに重点度ですね、例えば独禁法がトップ、その次が大店法、これは言えないかもわかりませんけれども、いわゆるこの四月に対するまずこの問題の認識度、それからこれに対してどう対処する、その際の立場ですね、これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  149. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 日米構造問題協議につきましては、これほかねてから日本が自主的に国民生活の質を高めなければならないと思って着手をしてきたこと、いわゆる前川レポートにありますように、内需を振興して、国際社会の中においては貿易の相互依存関係というものをしっかりと認識したことをしていく、あるいは今指摘されておりますように、物価の問題でも内外価格差の是正の問題とかたくさんございます。それらのことが今度日米構造協議では、日本側からはまとめてアメリカに七項目、アメリカ側からはまとめて六項目、項目別にすると随分たくさんになります、何十項目となります。それらのことについては、委員指摘のように、荷物を背負って帰ってきたとか、これを約束をしてきたとかいうことでは決してございません。それよりも、全体が足踏みをしておるがために非常ないら立ちがアメリカの議会や一部の知識人や国民の間に広がりつつある。これが出ていくと、日本は同じ自由と民主主義の価値を共存する国なんだろうか、アジアと手を結ぶときに日本とのこの関係でいいんだろうかというような深刻な、二国間関係に悪い影響が及んでくるようになってはいけないという懸念を率直に大統領は私に伝えたということ。私もそれについては、戦後のきょうまでの日本の歩みの中からいって、これから果たしていかなきゃならぬ立場からいって、また現在の日本国際社会から孤立して果たしてやっていけるのだろうか、あるいは世界が新しい枠組みづくりにこれから積極的に皆が力を合わせていこうというときに、日本が経済貿易の問題だけで孤立してしまっておって、日米関係も崩れていって、それでこの国のあすはあるんだろうかということを深刻に考えますと、これらの問題については、独禁法の問題とか大店法とかいろいろお触れになりますけれども、そういう個々の問題一つ一つではなくて全体をまとめて、四月の中間的評価までに、今までの言い分と違って、できるだけの前向きの日本側の取り組む姿勢や対応というものも示していかなければならぬ。そのために、できることとできないことを、いいことといけないこととをきちっと仕分けしながら、できるだけ日本の経済構造を変えて世界の中で孤児にならないように、日米関係の中で同質社会意識をきちっとみんなが持てるような社会構造をつくっていくためのまさに重大なテーマであるということは、委員指摘のとおりに私も自覚をいたしております。  ですから、これらの問題については担当省にそれぞれお願いしておりますけれども、どれが一番、どれが二番という順番でなくて、テーマになってきてきょうまで議論してきた問題は、できることはみんなできるようにまとめて中間的評価のときには出すようにしてもらいたい。一つとか二つとかに限らないでやっていかなければならぬ。国民の生活を高めていくことは当然のことでございます。
  150. 石川要三

    ○石川国務大臣 お答えいたします。  先日のチェイニー長官のテレビを通じての談話は、これは私としては長官の一般的な一つの期待感というふうに受けとめているわけでありまして、公式の要請はまだないわけでありますから、今の段階といたしましてはこれ以上の答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  151. 矢追秀彦

    矢追委員 では、以上です。
  152. 越智伊平

    越智委員長 これにて矢追君の質疑は終了いたしました。  次に、正森成二君。
  153. 正森成二

    ○正森委員 総選挙が終わって初めての予算委員会ということで、私は日本共産党を代表して質問するに当たりまして、先ほどの日米首脳会談のあり方や構造協議、在日米軍負担増要求など、外交、防衛をめぐる諸問題、また消費税廃止問題など数多くの論点がございますので、これらすべてを伺いたいと思いますが、本日は補正予算の審議で時間も限られておりますので、金権企業ぐるみ選挙と補正予算の若干の問題点に絞って質問をさせていただきます。  御承知のように、さき選挙では消費税の廃止、金権政治の一掃、その方策としての企業・団体献金の禁止、米の輸入自由化阻止などの三点が大きな争点でございましたが、総理、あなたも施政方針演説の中で、そのうちの一つ、金権政治について、「リクルート事件の反省の上に立って、政治倫理を確立するとともに、金のかからない政治活動や政策中心選挙の実現」に全力を挙げるというようにお述べになりました。ところが、さきの総選挙はその全く逆ではなかったでしょうか。私どもの承知しているところでは、小沢幹事長は財界に三百億円の資金を要請されました、そう報道されております。実際は二百四十億円だそうですね。その内訳は、経団連も後で追認しました業界に直接言われた自動車と電機・電子、建設、銀行の四業界から特別献金を出してほしい、それを裏打ちにしてつなぎ融資を八九年の十二月に五十億円、九〇年の一月に百億円、計百五十億円お集めになりました。そのほかに証券、電力、生保・損保、鉄鋼、石油の各業界にも特別献金を要請されました。それから、経団連ルートの八九年度の下半期の通常献金の過半及び九〇年度の上半期の通常献金の相当部分、それらを合わせて二百四十億円を集めてお使いになったというように言われております。  現に、このうちの百五十億円の借金については、ここに私は持ってまいりましたが、総理が二月二日に党首討論をなさいました。NHKです。お覚えだろうと思いますが、その中で、率直に言うと借金をして今度の選挙に臨まなければならなかったという実態もあるわけでということで、銀行から借金をされたことはみずから認めておられます。これは事実ですか。
  154. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 言われるような報道があったということは承知しておりますけれども、私はそのような実態を承知してはおりません。ですから、むしろ選挙をやるに当たって正直に、借金をしたという実情を私は知っておりましたから、党首討論会のときに申し上げたことはそのとおりでございます。借金をしなければ選挙に臨めなかったということでございます。
  155. 正森成二

    ○正森委員 今間接的な表現でございましたが、我々の承知しているところでは、第一勧銀を主銀行として、都銀九行から百五十億円お借りになったようでありますが、総理の答弁自体もそれを否定はなさいませんでした。逆に、借金をしたということを今お認めになりました。  そこで、次に伺いますが、小沢幹事長は二月三日のNHKテレビで、私が各業界を回って何百億集めたとか、それを出せと言ったという事実は一切ないというように非常なたんかを切られたわけでありますが、その後ある大手自動車メーカーの幹部は苦笑いして、小沢さんもうまいことを言うもんだ、自分が業界を回ったのではなくて呼びつけたんだから、こう言っておるわけであります。つまり、回って集めたというのは違うが、呼びつけて集めたというのは本当だという意味のことを、当の、集められた方の財界代表が言っているわけであります。つまり、指揮をとったのは小沢幹事長だが、業界首脳を都内のホテルや自民党本部に呼んだり、小沢さんの代役が業界を回ったりしたというだけだと言われておるわけであります。これは非常に上手なレトリックでありますが、こういうことをやってお金を集めたからこそ与党は安定多数をおとりになり、皆さん方もそこに並んでいるんじゃないですか。まさにそうだと言わなきゃなりません。  そうすると、五十億円要求された例えば自動車業界では、政治資金規正法で許される上限は約十二億円程度で、子会社を使っても二十億が限度だと言われているんですね。政府・与党が明白な政治資金規正法違反を強要しているんじゃないんですか。一番上限でも、どんな大きい会社でも一億円なんですよ。五十億だったら三千万とかいうように決まっているんです。だからこそ財界は三百億も出せないと言うたのでしょう。それを財界を通り越して、各業界ごとにそれだけの金を集めることを要求するというのは、政府・与党みずから、みずからも定めた政治資金規正法の罰則つきのそういう要件に違反しておる、そういうことでこの選挙をやったということになるんじゃないですか。
  156. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 そのような具体的なことがあったかどうか、それは承知しておりませんし、そのようなことは私も聞いておりませんが、いずれにしても、自由民主党としては選挙を戦うためにできるだけ厳しくやっていかなきゃならぬ。今回の場合は、言いわけするわけじゃありませんが、もう励ます会なんかは自粛しなさい、個人の議員のお金集めはほとんど自粛をいたしました。そういうときに、やはり選挙活動には一定のお金も要るわけでありますから、党としてもやらなきゃならぬ努力を幹事長はしてくれたと思っております。
  157. 正森成二

    ○正森委員 自治省にお伺いしますが、全国百三十選挙区の法定費用は全部で幾らですか。
  158. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 法定選挙費用といいますのは、御案内のとおりでございますけれども、各候補者が支出し得る、それぞれの候補者の支出限度額でございますので、ですから、これを集計するというようなことは普通やらないわけでございますが、仮にこういう計算をしてみました。  選挙区ごとに法定選挙費用の額に立候補者数というものを乗じた金額を出します。それを全国で集めます。そういたしますと、そういうやり方をいたしますと、全国で百五十二億円になります。
  159. 正森成二

    ○正森委員 いいかげんなことを言うたらいかぬですよ。全国百三十選挙区、一選挙区当たりの法定費用を百三十全部足すと幾らか、こう言うているんです。それを立候補者数全部なんて言っているじゃないですか。そんなもの、立候補者数全部のことは聞いてないんです。  現に、ここに自治省から私は資料をもらっているのですよ。自治省の書いた資料ですよ。それを見ると、全国百三十選挙区の法定選挙費用を全部足すと二十億五千六百六十九万四千八百円、こうなっているのです。もちろん、自民党は一選挙区に二人出したり三人出したりしていますよ、現に公認された者は三百三十余名ですから。その数を掛けるとこれの約二・五倍で五十億円余りです。いいですか、これが法定選挙費用です。それに対して小沢幹事長は、六倍の三百億出せ、こう言ったのですから。党本部は、もちろん党本部のビラも出さなきゃならないし、遊説にヘリコプターを借りなきゃならないし、党本部の費用は別に要りますよ。しかし、それを合わせても新聞報道によると百億をちょっと上回るぐらいだ、こうなっているのに、それの三倍も集めるというのは、これは初めから金権選挙を公然とやるということでやってきたことにほかならない、こう言わなきゃならないのです。  しかも、自民党が使うのは党本部の金だけではないのですよ。派閥の金もあれば候補者個人の金もある。ある大手建設会社の役員は、業界が議員さんや派閥に渡す陣中見舞いの総量は、低く見積もっても党本部が言うてきた三十億の五倍、まあ十倍との間でしょうね、こう言うておるのです。それだけ膨大な金を集めてあなた方は選挙をやったんですよ。  国家公安委員長に伺います。三日一日現在で選挙の逮捕者は全国で六百三十七名、うち九割強の六百十一名が買収容疑だ。ところで、逮捕者の最も多かったのは総理の出身県の愛知で三十七名、いずれも自民党員で、全員が買収ということになっているのですよ。例えば四区の杉浦正健陣営では、十二名の市会議員と候補者の弟までが逮捕されておる。かずのこに現金入りの封筒を忍ばせたと報道されております。妻と長男が逮捕された二区の丹羽兵助陣営では、靴下の包み紙の中に現金入り封筒が入れられたと言っております。国家公安委員長、この二つの陣営について逮捕された被疑事実の要旨を簡単に言ってください。
  160. 中門弘

    ○中門政府委員 お尋ねの件のまず愛知二区の違反の関係でございますが、これは、昨年の十二月中旬ごろ二十数人に対しまして投票取りまとめ等の趣旨でそれぞれ現金数十万円の供与の申し込みをしたという容疑事実につきまして、現在まで二名を逮捕し、捜査をしているところでございます。  それから、愛知四区に関係します事案につきましては、候補者の実弟が昨年の十二月上旬ごろ運動員に対しまして現金千数百万円を供与いたしまして、供与を受けました運動員はさらに十数人に対しまして投票取りまとめ等の趣旨でそれぞれ現金十数万円を供与したという容疑事実につきまして、現在までに十四名を逮捕し、捜査中でございます。
  161. 正森成二

    ○正森委員 総理、お聞きのとおりで、あなたは同じく二月二日の党首討論で、きれいに集めてきれいに使うんですからお認めください、こう言っているのです。これがきれいに集めてきれいに使ったということになるのですか。
  162. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今後厳しく戒めていかなければならない使い方であると思います。
  163. 正森成二

    ○正森委員 きれいな使い方でないということをお認めになりましたが、これは企業献金などでぽんぽん集めているとそういうことになるのです。総理は、企業というのは社会的存在だと常に言われますが、アメリカでは八十年前の一九〇七年に企業献金禁止法が成立しておりますが、その前提に二つの事件があったのです。そのうちの一つのパーキンソン事件というのでは、アメリカでは判事が一致して「たとえ制定法になんら企業献金を禁止する規定がない場合でも、それは法人あるいは会社の目的を絶対的に超えたものであり、それは全く是認しがたい違法な行為である」アメリカではこう言っております。また、法廷での議論では、「寄付というものは個人がするもので、その個人がしないで、会社に集めた金を多数決で、ある政党に寄付するのは個人たる選挙民の選挙をする権利の侵害である」というように言っております。これと同種のことは、こういうことが許されるなら選挙民の権利の侵害になる、結局こういう企業が州の支配者となるという意味のことが言われているのです。  だから、日本でも現に企業はこう言うているのですよ。「企業が議員に何のために金を出すのか。投資にたいするリターン、株主にたいする収益を確保するのが企業だから、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待する」これは経済同友会の石原さんの発言であります。同時に、最近の一月二十二日、朝日に載ったのによりますと、「企業にとって、政治献金は汚職と背任のはざまを綱渡りするようなもの。もうけに結びつけば贈賄、役に立たないと分かっていて出せば背任になる。」これは至言ですよ。こういうことを言うているのです。ところが、企業献金は禁止すべきなのに、小沢幹事長は、二月二十五日の読売によれば、終盤戦の十四日、小沢幹事長は記者会見で「企業ぐるみといわれるくらい経済界にがんばってもらわなくては困る」と発言、これに対して斎藤会長は「十分やっている。これ以上というなら際限がない」と珍しく憤然と反論した、こう言うているのです。  企業ぐるみ選挙、特に企業献金禁止というのは、総理社会的存在だからというだけでは、これは今のままでは放置できないんじゃないですか。簡単に御答弁ください。
  164. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 企業もやはり社会的存在であり、しかも税もちゃんと負担しておるわけでありますし、企業は社会で雇用もきちっと持っておるわけでありますし、いろいろな意味で企業は初めからいけないと決めてかかるのはいかがかと思いますし、また、ヨーロッパでは禁止していない。御指摘のアメリカでも、政治行動委員会というのを企業がつくって、企業からは献金しないが、政治行動委員会が集めてそして献金するという道はあることはよく御承知のとおりだと思います。  しかし、だからといってこの問題はほっておいていいとは言わないで、私は政治資金と選挙のあり方、資金とそれから政治活動のあり方、そういったものを含めて審議会の答申を今いただこうとしております。我々は一歩前進して、そういったことに対する誤解やあるいは疑いを解いていくためにも、政治改革はぎちっとしなければならない大切なテーマであると、こう心得ております。
  165. 正森成二

    ○正森委員 自治省に簡単に聞きますが、政治活動の運動員に企業から人が派遣されて、その候補者が資金や費用を払わない、企業がこれを負担している場合に、その人件費は選挙費用上はどう扱われますか、簡単に。
  166. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 一般論で申し上げますが、候補者選挙運動員との間は、その報酬を支払うという関係に立たないというのが大原側でございます。つまり、運動する人は奉仕的にやる、いわばボランティアとしてやるということでございます。ですから、候補者がそういう選挙運動をやる人の費用を負担しないというのがむしろ普通であるということでございます。寄附をもらったことにはならないということでございます。
  167. 正森成二

    ○正森委員 運動員の定義によりけりで、そんな選挙参謀やら市会議員やらなんかじゃなしに、選挙事務所で働く人間に対して費用を払うなんというのは公選法やら皆にちゃんと書いてあるじゃないですか。そのことを私が聞いているのに、さっきの答弁といい、一生懸命先の先を読んで、できるだけ政府・与党に迷惑かからぬようにしようということで、忠誠心は見上げるけれども、国会に対しては忠誠心がない、こう言わなきゃなりません。  しかし、時間がないから次に移りますが、ここで総理、企業ぐるみの典型例について伺いたいと思うのです。これは事実を申し上げます。  三重一区では、関係者もおられるかもしれませんが、自氏党が三名出たのです。ほかに社、公、共、民、無所属、九名が立候補した。そのうち、自民党の一名は山本幸雄氏の地盤を引き継いだと言われる岡田克也氏で、有名な流通業者、大手ジャスコの会長、岡田卓也氏の次男であります。  四日市はジャスコの発祥の地で、岡田屋が二十一年前にジャスコに改名したものであります。この陣営では文字どおりジャスコの企業ぐるみ選挙が行われました。選挙事務所を一区内で四日市、津、鈴鹿など八カ所に設けましたが、ここの事務員はジャスコ社員が親交会というジャスコ独特の業者との交流組織に出向ということで、ジャスコの費用ですべて賄われました。その人数は、四日市の十数名を初め、パートも入れると約百名に達します。一年前から行われたといいますが、昨年夏からと見ても人件費は莫大であります。  ジャスコは一区内に二十店舗を持っております。アルバイトも含めて約三千名の従業員がいます。正規社員は千数百名です。これが全部運動員等に使われました。朝礼で店長から各売り場主任、フロア長に、その後フロア長等から全員に岡田克也後援会カードが渡されて、一人十名以上が割り当てで集められました。グループ十七社、大体おおむね全部行い、関係業者が一千社ありますが、それにも同様に働きかけたと言われております。  こうして三十万名の名簿を集めました。そのうちダブりは約三割あったと言われておりますが、ジャスコ事業本部の向かいの住友生命ビル二階を借りて、パソコン四台にこれを打ち込んで管理した。そして、最初に言いましたジャスコの従業員がローラー作戦で戸別訪問を行って、二重丸、丸、三角、ペケというように仕分けして、これをパソコンに打ち込んだ。土曜日、日曜日は正規の社員を多数動員して、そのためにパートの時間給は土日だけは五割アップした。かわりの人数集めを行った。公示期間中は、三ないし四回にわたり職務中も含めて従業員は電話をかけて、三角などを二重丸、丸へ格上げする、そういう行動を行った。  このような企業ぐるみのために、後援会等のノルマに耐えかねて辞職した人もおります。ジャスコは退職金が企業年金制度になっているので、やめるにやめられないといった人もおります。ある当選した陣営では、私は直接聞いたのですが、ジャスコ従業員は会社の奴隷だ、こう言っているありさまであります。これは思想、信条の侵害、人権無視じゃないですか。法務省人権局長、来ていますか。
  168. 篠田省二

    ○篠田政府委員 委員ただいま御指摘の事案につきましては、事実関係がつまびらかでございませんので、それが人権侵害になるかどうかという点につきましては、現在の段階では意見を控えさせていただきたいと存じます。  なお、一般論といたしましては、企業内におきましても、憲法で規定されております思想、良心の自由というものは尊重されるべきであるというふうに考えております。
  169. 正森成二

    ○正森委員 それは当然ですね。  そこで、総理、この陣営では、昨年十一月ごろから、名古屋テレビ、中日テレビ、中京テレビ、東海テレビ、三重テレビ、民放五社で販売広告を行ったのです。博報堂が作成したと言われていますが、これはもうひどいもので、まずエプロン姿の奥さん風の女性が出てきて、大きな声で「オカダさんちのカツコさーん」と呼ぶのです。そしてジャスコの広告宣伝を始める。ジャスコは四日市の岡田屋から出発して、その次男の克也氏が出馬表明していることは周知の事実です。政界関係者も有権者もあきれ返ったというのです。もし愛知三区で、総理がコマーシャルをどこかの会社を使ってやらせて、「海部さんちの俊樹さーん」とやったらどうです。総理はそれを認めますか。
  170. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私は自分の選挙区へ今度は一回も帰れませんでしたので、また、コマーシャルをやるほど裕福でもございませんのでしておりませんが、ひとつ正森委員に私の素朴な疑問を率直に言わせていただきますけれども、企業ぐるみ選挙というのが我々がきょうまで受けていた感じは、むしろ野党皆さんの中で、これはごく一部だとは思いますが、企業が挙げて、下請まで集めて、これに投票しろとおっしゃった実例とか、あるいはほかに組合ぐるみの選挙というものも現にあるわけでございますし、それから、政治資金のこともいろいろおっしゃいましたけれども、これはきょうはいい、悪いを言うのではありません、御指摘がありましたから、びっくりしたことを思い出すままに言いますが、野党の中で一番たくさん政治資金を集めて届けていらっしゃるのは共産党でございます。昭和六十二年もたしか四百九十一億中央と地方を通じてお届けになっておる。いい、悪いというのじゃありません。それほどお金を使わなければならぬ、政治にお金がかかっておったのだという現実があったわけですから、そのお金を使わないように政治改革を思い切ってやっていかなければならぬ、私はこういう気持ちをますます強めたわけでございます。
  171. 正森成二

    ○正森委員 総理は、この件について十分お答えができないので、矛先をよそへ向けられましたが、私は、企業ぐるみ選挙とか労働組合選挙なんというのは日本共産党とは無縁であります。ほかの党だと思いますが、最後の——あえて申しません。政治資金が多いという点について言いますと、総理は言われましたが、我々の政治資金が多いと言われているのは赤旗の販売代金ですよ。我々の政治資金のうち九割以上は赤旗の販売代金で、我々は、零細な方々も含めて一カ月五百円とかそういうぐあいにお売りして政党の本来の宣伝をやるということが九割以上を占め、残り一〇%のうち五%は党員の党費であり、残り五%弱が個人からの政治献金です。ですから、あなた方のようにリクルートから株をもらってぬれ手にアワで何千万ももうけたり、あるいは企業から何十億円も献金を受けているというのとは全く違うということを申し上げておきたいと思うわけであります。  それだけではないのです。このジャスコというのは、ここに持ってまいりましたが、これを見てください。これがジャスコが二月十八日、投票日当日に全戸に対して新聞折り込みで配った広告ですよ。「オカダヤがジャスコになって20年。」という見出しで十八日にこの新聞折り込みをやっているのですよ。そして、投票日翌日の十九日、二十日の二日間、一割五分引きの特別セールをやる。いいですか、岡田という人が候補者に出ているのですよ。ジャスコの次男だということは全部知っているのですよ。それをこういうことをやって、ジャスコの従業員も有権者も皆、当選したときの当選御礼の安売りだ、利益誘導だ。しかも、ここには珍しく商品が載らないで、二十何名載っておりますが、そのうちの五名を除いて全部一区内のジャスコの店長なんです。これが先頭になって後援会集めをしたのです。その顔がずらっと載っているのです。  しかも、それだけではないのです。こういう特別セールをやるからと言って、前の日の二、三日間に従業員が時間中にジャスコカードというのを持っている十万名に電話しているのですよ。十万名あれば通るのです。この候補者は結局九万七千票とっているのです。企業ぐるみもひどいじゃないですか。いいですか、こんなことをやっているのです。これでもいいと言うのですか。当選された自氏党の陣営が、三重一区の有権者はジャスコにパソコンで在庫管理をしていられるようなもんだ、こう言っているのですよ。あなた方の議員自身が言っているのですよ。そんな企業ぐるみをやっているのです。  それだけではないです。自動車販売連合会では、自民党支援の中核部隊として強力な運動を展開した日本自動車販売連合会、従業員三十五万人を抱える自動車販売会社二千社が、人と車と組織をフルに回転し、全国で票集めに駆け回った。五十八人当選したらしい、推したうち。取りこぼしたのは二人か三人。一生懸命に働いたので、それなりの成果を上げることができた、こう言って、それで物品税の復活などは、これはもう絶対やってもろうては困る、現行の乗用車六%の税率は約束どおり三%に下げてもらわないかぬ、十種類近い自動車関係諸税の整理、廃止もお願いしたい、後藤一正副会長は早くも自民党への要求を言っている、こう載っているのです。  だから、企業ぐるみ選挙をやれば、必ずその見返りを要求するんですよ。それで自民党は多数をとっているのじゃないですか。私どもは、それはまじめに我々が考えて、そういうことでなしに本当に有権者の意向が反映されるようにしなければならぬというように思いますし、これらの点については関係当局は違法は違法として、自治大臣、時間がもうありませんのであえて答弁には立っていただきませんが——お立ちになりますか。それじゃ簡単に、取り締まるべきは取り締まってください。
  172. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 今いろいろ御指摘をいただきましたけれども、治安当局はもうこの違反選挙に関して本当に不偏不党、厳正公平な立場で全国の警察も駆使して違反摘発をやっておるわけでございますから、今いろいろの御指摘の件はございましたけれども、これらについても事実に照らしてやっておることであって、捜査当局の厳正、不偏不党ぶりを御信頼いただきたいと思います。
  173. 正森成二

    ○正森委員 これ以上は申しません。しかし、よくお考え願いたいと思います。  そこで、残された時間わずかですが、大蔵大臣、補正予算の問題点等について伺います。  今年度の補正予算は五兆八千九百七十七億円という超大型です。なぜここ三年ほど数兆円ずつの補正予算が財政法二十九条の規定の精神に反して作成、執行されるようになったのですか。それは大蔵省は地価高騰だとか株価上昇だとかいろいろなことを言われるかもしれませんが、三年間も続いてこういうことが起こったというのは、ほかの委員からも先ほど質問がございましたけれども、大蔵省が当初予算で意図的に税収を低くして財政を緊迫状態に見せかけて、消費税導入が将来にとって不可避だと国民に思わせる政略的意図だと見られても仕方がないのじゃないですか。結果的には三年連続で数兆円の大型の補正予算を組んでいるのですよ、税収はあったのですから。
  174. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 昭和六十二年度、六十三年度、平成元年度の補正予算におきまして、確かに相当規模の補正予算を編成しておるところであります。しかし、強いてその内容について申し上げますならば、六十二年度におきましては二回の補正を行いましたが、その一度目、これは二兆七百九十三億円でありますけれども、主として内需拡大のために公共投資の追加などを内容とするものでありました。また、二次補正におきましては、税収増に伴う交付税の増及び六十一年度決算剰余金の国債整理基金特会への繰り入れ、そのほかに各種の、いわば義務的経費の計上等を行いましたほか、特例公債の減額を財政体質改善のために行っております。  六十三年度の補正におきましては、税収増などに伴う交付税の増、また厚生年金繰り入れ特例措置の一部返済及び六十二年度決算剰余金の国債整理基金特会への繰り入れが歳出の大宗を占めておりまして、またその他の歳出につきましても、いわば義務的な経費のほかに、消費税の創設等税制改革の関連経費、農産物輸入自由化関連対策費等、諸情勢の変化に適切に対応する必要のある経費を計上したわけであります。  元年度補正、先ほど来申し上げておりますことを長々と繰り返すつもりはございません。そして、確かに税収の見積もり誤りについての御指摘は、これは私ども自身が残念に思います。しかし、委員が言われましたように意図的なものであったと言われますことは、これは私は心外でありまして、大蔵省の職員は真剣に見積もりを行いましたけれども、結果としてそれがぴしりと合わなかったという御指摘は甘受しなければならぬと思います。
  175. 正森成二

    ○正森委員 意図的でないと言われましたが、一年ならそれは私どももそう思いますけれども、大蔵省の俊秀をもってしても三年連続同じ過ちを犯す。仏の顔も三度までということがありますけれども、国会予算委員会では三度、四度は通用しないということを申し上げておきたいと思うわけであります。  特に、今、義務的経費とか緊急に必要となった経費という点から見ますと、公務員の給与改善費などは最優先さるべきものですね。ところが、大体給与改善費は、昭和四十四年から五十三年度までは当初予算に五%計上されていたのです。財政難になってからも、五十四年から六十年までは二・五%ないし一%は入っていたのです。ゼロになったのは六十一年から。そして、六十二年からは連続して数兆円の大型補正予算、自然増収が出るというのは、これは財政運営としておかしいんじゃないですか。少なくとも、これは給与改善費などというのは、五%とは言わないまでも、一定額を当初から計上しておくというのが当然じゃないですか。それで見ますと、今年度の予算はまだ後で本予算審議がありますが、今年度の予算にも給与改善費は全く計上してないんですよ。それでしかも、これは補正予算組みましたけれども、剰余金がまださらに一兆円ないし二兆円出るという見込みですよ、恐らく。おかしいんじゃないですか。何はさておいても必ず要るに決まっている給与改善費は、今まで長年続けてきたように何%か入れるというのが当然でしょう。それを入れないでおいて、給与改善費は三月十五日までに払わなければいかぬ、こう言うて政策関連のいろいろな審議まで一日や二日でやれというようにせき立てるのは、みずからの過ちを野党に転嫁するということではないですか。率直に財政当局として反省する必要はないですか。
  176. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 税収見積もりの誤りにつきましては私百身が残念に思い、その批判を甘受しなければならないと思うと申し上げております。これは、時計を気にしておられるところ大変恐縮でありますけれども、ここ数年実体的な生産活動が非常に好調でありましたことに加えて、株、土地、円高といういわゆる三高、また原油と金利安と言われる、こうしたものが相乗効果を生じて確かに見積もり誤りを生ずる結果になっておりました。この点については、ですから私はおわびを申し上げております。  しかし同時に、その給与改善費の問題につきまして、確かに私どもが初めて国会議席を占めましたころ一定率の金額が計上されておりましたことも存じております。しかし同時に、その当時は往々にして人事院勧告を完全実施するか否か自体が大変な問題になったことも御記憶のとおりでありまして、そうした状況を考えていただきますとき、現に給与改善費が計上されておりません六十一年度以降も毎年勧告の完全実施によって給与改定がなされております。こうした今の厳しい財政状況を勘案した中で、計上を行いません状況ではありますけれども、同時に人事院勧告の完全実施をしてきているという実績もお考えをいただきたい。平成元年度及び平成二年度予算の中におきましても、確かに予算編成の段階におきまして厳しい財政事情を勘案した結果として計上はいたしておりませんけれども、我々としては最善の努力を尽くして給与改善に取り組んでおるつもりであります。
  177. 正森成二

    ○正森委員 時間がございませんのでこれでやめさしていただきますが、国民負担率が非常に上昇しているという点で、近く二〇二〇年には五〇%未満になるという報道もあります。そうすると、結局は消費税は税率アップをするより仕方がないというように私は思いますが、時間が参りましたので、この点については指摘だけにとどめて、私の質問を終わらせていただきます。
  178. 越智伊平

    越智委員長 これにて正森君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤英成君。
  179. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 まず、平成元年度の補正予算の内容並びにその考え方について質問をいたします。  まず内容でありますけれども、その件について二点、まず伺います。  第一は、今回のこの補正予算の歳入に消費税が含まれているかどうかということ。  それからもう一点は、歳出について、一部、自民党消費税対策としてPRした項目があるとも言われております。例えば中小企業特別対策費などはそうだと、こう言われるわけでありますが、それは事実かどうか、まず伺います。
  180. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 まず第一点の御質問でありますけれども、平成元年度の補正予算におきまして、消費税を財源とする補正は行っておりません。元年度補正予算におきましては、所得税、法人税、有価証券取引税についてのみ補正を行っておりまして、消費税については補正を行っておりません。  また、第二点で御指摘でありました、元年度補正予算の中において自民党がPRに使ったと言われたのですか。
  181. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 そういうふうに聞いているが、そういうことは事実かどうか。
  182. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 それは私、ちょっと正確にお答えを申し上げる資格がございませんけれども、例えばその中小企業対策費を、私どもはこれを計上いたしておりますけれども、例えば中小企業をめぐる厳しい情勢の中における商店街の活性化、人手不足対策などを内容として緊急に中小企業の活性化を図るものでありまして、現在の中小企業者を取り巻く状況を考えれば極めて緊要な政策であると考えておるわけであります。
  183. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の中小企業特別対策費というのは、消費税対策としてではないということでありますか。
  184. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 今申し上げましたような事由でこれは計上いたしたものでありまして、消費税議論とは無関係のものでございます。
  185. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今回のこの補正予算の組み方の問題について、これはもう本日それぞれの委員からもいろいろ指摘されたわけでありますが、何といっても今回の五兆九千億という規模は、財政法の二十九条の趣旨に照らしてもこれは余りにも大き過ぎる。そしてまた、その緊急性においても、これまた先ほど他の委員からそれぞれの事項に基づいていろいろ指摘もありましたけれども、その緊急性等についても極めて問題である、こういうふうに思うわけであります。したがいまして、今回のこの五兆九千億が当初予算に比べますと九・八%という大きな規模になっているわけでありますけれども、これはもう極めて異常だと思わなければならぬ、このように思うわけであります。  そこでまず、来年度以降、こうした補正予算の問題について財政法上の趣旨に照らして適切にちゃんと組んでいくのかどうか。今回私は極めて問題だと思っておりますが、その点について伺います。
  186. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 これは伊藤委員にお言葉を返して恐縮でありますが、私どもは、今御審議を願っております平成元年度の補正予算につきましても、財政法二十九条に照らして問題があるとは考えておりません。その条文を踏まえて精査したつもりであります。そうして、今後におきまして、また平成二年度補正予算の必要が生じるかどうか今つまびらかにする状況ではございませんし、むしろ平成二年度の予算をこれから御審議をいただく状況で、その後のことに敷衍することはいかがかと思いますけれども、少なくとも我々は財政法に反する行動をとるつもりはございません。
  187. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 実は、これはこれ以上細かく議論することは本日は省略いたしますけれども、これは先ほど来それぞれお話がありますとおりに、私は過去のずっと事例を見てみましても、最近のこの補正予算の大規模な状況というのは、これは極めて問題であります。これは先ほど大蔵大臣からも話がありましたけれども、税収の見積もりということからしてもこれは極めて問題だろう、こういうふうに思うわけであります。したがって、この補正予算の組み方についてはぜひ十分に慎重に今後は運んでいただきたい、このように思います。  次に、日米協議の問題について総理にお伺いいたしますけれども、まず今回、日米首脳会談の内容について、アメリカ側の発表の内容と総理の話された内容に食い違いがあるというようなこと等でいろいろ問題になりました。本日もその件についても話が出ましたし、昨日ブッシュ大統領が演説をした中に具体的な項目について言及をされたということが伝わっておりますし、そして本日、その件について官房長官も記者会見等もされているようでありますが、その中に電気通信の問題について、ブッシュ大統領は触れたと言い、そして官房長官はそれは含まれていないということを言ったようでありますが、これはこれから確認をされるつもりですか。  私は、大統領が直接具体的な項目について言及をされたということは、それだけの関心があるからこそ言ったんだと思うのですね。この問題について外務省の方から、新聞の記事で言いますと、勘違いしたんじゃないかとかいろんな見方をしたりしておりますが、私はそんなことで済まないんだろうと思うんですが、確認をされますか。
  188. 中山太郎

    ○中山国務大臣 委員指摘の点につきましては、外務省として確認をいたしたいと思います。
  189. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、どれだけ入っていた、入っていないという議論は、本当はそんなに重要な話じゃないのかもしれません、ただし、もしも入っていたりすればそれはそれだけの関心が高いということは、これは考えなきやならぬということだと思うのです。そういう意味で、総理も先ほど、きょう他の委員質問に対して、項目は挙げました、しかし詰めて話をしたわけじゃないというような言い方をされたりいたしましたけれども、ならばそれは、こういう話はあったということはむしろちゃんと話をされた方がみんなの誤解をなくすことになるだろう、こう思うのです。  何と言っても、日米の今までの経済摩擦と言われる多くの問題は、それぞれの意識の差ということが後々非常に大きな問題になってくるということだと私は思うのですね。そういうことでぜひお願いをしたいし、事実この首脳会談が行われたすぐ後のアメリカの新聞では、これは翌日のアメリカの新聞の一部でありますけれども、ブッシュ大統領は総理に対して、いわゆる通商問題についてその解決を強調したんだとか、あるいはそれにプレッシャーをかけたんだとか、そういうタイトルが、あるいは見出しのものが非常に多くあります。御承知のとおりです。  中身を見れば、それぞれの項目について言及をされて、そしてそれについての解決を迫っているという書き方は、もうほとんどがそうだと私は思うんですね。これはアメリカ側に流されている実情であります。だからそのことは十分に認識をされてやっていかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。  それで、総理にお伺いしますが、今回大統領がなぜあのように急いで会談をしようと話しかけてきたのか。私は、あの会談を呼びかけてきたあの状況も、報道されている状況からすれば極めて異常なやり方だと思うんですね、あんなにも忙しいときに。総理もあんなに忙しいときに、しかも夜零時過ぎ、ホテルにというような状況でありますし、なぜあんなに急いだのだろう。そして、ブッシュ大統領は総理に対して政治的指示をしてほしいと言われたそうでありますが、どういう意味だと総理は受け取っておられますか。
  190. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 最初に申し上げさしていただきたいことは、ブッシュ大統領との一連の首脳会談が終わりました直後に、二人で同席をいたしまして、それぞれプレスリマーク、新聞に対する共同発表というのをいたしまして、大統領は大統領としての考えをずっと言われた。私は私としての受けとめ方や会談内容について発表を二人そろってしておるわけでありますから、それが一番正確な状況であらうと、こう思っておりますし、また、お話がございましたように、経済協議の問題ももちろん大切な重要問題だからお話をいたしましたが、二日間にわたって六時間以上も、食事の時間も挟んでですけれども、話し合いましたことは、激動するヨーロッパ情勢についても随分時間を割きました。それから、日本とアメリカが協力をして日米以外の地域問題にどのように協力していくのかという問題にも随分時間を割きました。  私は、ブッシュ大統領とゴルバチョフ書記長のついこの間の長時間の電話会談の話や、あるいは最近のコール首相とブッシュ大統領とのお話や、その他のこともいろいろ聞きました。同時に、私が西側の首脳や東欧の首脳とこの一月に会ってきた話も率直にブッシュ大統領に伝えもいたしました。また、ニカラグアの問題とかパナマの問題についても話しましたから、非常にいろいろな、まさに地球的な問題について日米は今後こうやっていくんだということについてのお話が大きなメーンテーマであったことも一つでございます。  日米関係に絞って申しますと、防衛の問題と経済協議の問題の二つでございました。  そこで、率直に申し上げますけれども、経済構造協議の問題は、これとこれとこれというふうに名前を出したものが大切だとか、出したから大事、出さなかったから大事じゃないという受けとめ方は私は決してしておりません。大統領はスーパー三〇一の問題を話すときに三つのことに触れられました。それは、具体的に固有名詞は出ました。けれども、木製品についてこういうことをしようとか、スーパーコンピューターについてはこうするとか、衛星についてはこうするというような中身に立ち入った話は一切これはしておりません。半導体という名前が出たときは、むしろ僕は、これはスーパー三〇一には関係のないテーマのはずだがなと思ったり、二年半前にはいろいろともう既に制裁を受けておる問題でありますが、これはいろいろな意味で達成率が足りないから重要に思っていらっしゃるのかな。名前が出たことは事実です。けれども、それについてどうするかこうするかという議論を個別の問題について首脳会談でやったということは全くございません。  それから、構造協議の方の話は、SIIということで全部絞りまして、SIIのきょうまで続いてきた話はとこういう言い方でありましたが、御承知のように専門家会議でやっておる項目は三つや四つじゃございません。日本がアメリカへ縛って出したのでも大きく縛って七項目、アメリカからは六項目来ております。人によってはそれを三十数項目とも言い、百幾つにも分かれておるとも言われるほど、実に複雑多岐にわたっておることも御承知のとおりであります。  じゃなぜ今かという先生の御疑問ですが、私はこれは率直に申し上げると、アメリカ国内に今大変ないら立ちみたいなものがある。それはこの構造協議を始めますときに、スーパー三〇一の問題とは切り離してこれを行うことによって日本の内需振興、輸入拡大というものに加速がついていくようにしたいという望みがあったのだろうと思います。日本もそれについては前川レポート以来とり続けてきた政策でありますから、やらねばならぬことも当然でございました。ですから、輸入をふやして輸出の方をなるべく、輸入によってどんどんとその差を狭めていくような、たしか記憶に誤りなければ、昨年で百七十八億ドル、これは貿易収支において減ったはずでありますが、残念ながらアメリカとの間では五百億ドルを超えておったのが四百九十でとまっておるわけですよ。そういうところで、それにプラス、日本はルールをともにするのか、同じ自由の価値を共通に持っておるのかというような意見等も出てきておるので、ここは思い切って一つ二つではなくて全部まとめてもっと促進して、もっと前向きにやろうではないか、こういう気持ちが大統領には強かったと思うし、私もそのようなふうに受けとめてきたわけでございます。
  191. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 総理、こういうことだと私は思うんですよ。これは四月に中間報告を出さなければいけない。これが今進んでいる状況だととてもアメリカの方が納得できる状況にならないんじゃないか。私たちがよくアメリカの政治家やら行政府の方と会って話を聞きますと、いつもというぐらいに出る話は何かといいますと、官僚だけでやっていたら、そのときは一生懸命努力はされるのでしょうが、解決にならない。だから、これは政治的決断として総理の力でやってほしいという、総理の政治決断を私は求めていると思うんですよ。だからこそ、この時期に急いでやるということじやないんでしょうかね。
  192. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、きょうまでの長い間続いてきた実務者会談の結論というものに満足をしていない、したがって、別の角度からさらに日米関係を大切に考え努力をしてほしい、こういう要請であろうと思います。私は、それを率直に受けて、これは内閣の重要課題として、日米関係というのは大切でありますから、一内閣、一自民党の問題じゃありません、日本の問題でありますから、これは真剣に取り組んでいこうと受けとめて帰ってきたところであります。
  193. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 総理のその気持ちは、私はアメリカにも伝わっていると思うんです。だから、アメリカの先ほどごらんいただきました新聞にも、総理は、今回の経済改革についてそれを改革をする、経済構造を改革をするという約束をしたという文章は何回か出てまいりました。そして、この問題が総理の新しい内閣にとって最重要課題の一つだという文章は、これまた何回もそれぞれの新聞に出てまいります。  そこで、お伺いしますけれども、総理に対して大統領が政治的指示をして政治的リーダーシップをとってやってほしいというふうに言われて、それに対して真剣に努力をすると答えられたそうでありますが、この真剣に努力するというのは、具体的に今政治決断が求められているその中で、この四月の初旬の中間報告とそして七月の最終報告でどのようなものになると考えておられますか。
  194. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 非常にたくさんのテーマについて話し合いが行われたわけでありまして、中には、これはできるものとできないもの、できるにしても直ちにできるものなのか、時間がかかるものなのか、いろいろな話し合いがなされてきたと思います。それを各省の担当の人に任せておったのではなくて、各省担当の大臣にまず指示をして、そこから上がってきたものを別の角度から見て、私は、日本国民生活というものの立場考えながら決断をしていかなきゃならぬことがある、それは夏の最終報告までにやらなきゃならぬ問題であると思っております。非常にたくさんございますから、項目が。
  195. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それでは、ほかの角度からお伺いしますけれども、アメリカ側はそれぞれの、四月のものあるいは七月のものについて、納得しなかった場合にはどういうことが日米間に起こると考えられますか。これは二、三日前のアメリカの公聴会でも出たりしておりますが、例えば上院の財政委員会の国際貿易小委員長のボーカスは、彼なんかは日本をスーパー三〇一条の適用対象とする法案を出すと言ったりしております。あるいは、ゲッパート民主党院内総務は対日制裁法案を提出をすると彼らは言っております。総理は、これはアメリカ側にとって納得できるものでないと思った場合には何が起こると考えられますか。
  196. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 例えばスーパー三〇一条の問題にお触れになりましたけれども、制裁を一方的にちらつかせての交渉という立場でいきますと、別の悪い影響もより起こるので、話し合いによって解決しましょうというので、大統領が具体的に指示いたす三つの項目についてはそれぞれ別々に、構造協議とは別のところで話が進んでおるわけでありますし、半導体も指示されましたが、そのようにアメリカ側が理解できぬときは報復関税を既にかけられたという結果もございます。  ですから、これはどうなるこうなるという結果じゃなくて、今きょうまで努力をし、話をし、日本の実情やでき得べきことについての情報や説明は随分してあるはずでありますから、それらの問題についてこちらもできるだけ努力をしてペーパーに書いて提出をする。その結果をアメリカがどう受けとめて、どうされるかは、我々としては、願わくは日米関係がこれ以上悪くなっていかないような対応をしてほしい、こちらもできるだけのことはしますと、こういうことだと思います。
  197. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 もちろんこの問題は、日本国民生活なりあるいは国内の業者等それぞれの対策は十分に図らなければなりません。同時に、この四月の報告、これは、アメリカ側ではこの報告についての評価基準をつくらなきゃならぬという話まで一部出たりしておりますね。そういう話が出たりしておる。この結果いかんではいろいろなことが私は起こると思うのですよ。だからこそあの忙しいときに、総理を直接大統領は呼ばれたと思うのですね。だからこそ、今の日米関係を考えたときに、日本のこの構造改革をやろうと思ったときに、総理のリーダーシップが必要だと大統領は考えたと思うのです。そういう意味で、この四月並びに七月の報告に対する決意を、これは簡単で結構ですが、お願いします。
  198. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 私は、日米関係は極めて大切だと考えておりますから、内閣の最重要課題としてこの当面の経済構造問題には取り組んでやってまいります。
  199. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それではちょっと伺いますが、今回のこの首脳会談の話の問題についても、まずアメリカ側の新聞等の出方を見ますと、日米間の貿易インバランスの削減のために云々という話が、文章がすぐに出てまいります。今回も出てまいりました。今構造改革等でこういう形で進めておりますが、日米間で議論しているこの問題がそれなりに解決されたら、日米間の貿易インバランスはかなり解決できると総理考えていらっしゃいますか。
  200. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 先ほどそのことを詳しく申し上げようと思ったら、ちょっと答弁を短くせよという御注意もありましたので途中でやめてしまいましたが、お許しをいただいてちょっと触れさせていただきます。  日本は、今輸入の努力をいろいろしておって、数字の上では日本の輸入は多くなっておりますけれども、入ってくる先が直接アメリカというよりもASEAN、アジアNIES諸国からの物がふえておるという現実等もございますから、日本の貿易がどんどんふえても、それが直ちにそれだけの分日米の貿易インバランス是正に役立つものとは私は言い切れないと思います。ただ、アメリカからの製品輸入を期待しておりますし、アメリカもまた副大統領を長にしてホワイトハウスの中に輸出競争力強化委員会をつくって積極的に日本に製品輸出を考えております。また輸入促進税制提案したり、あるいは草の根輸入促進のためのいろいろな施策をアメリカへ向けても出しますから、アメリカの物の輸入はふえるであろうと私は思っております。  ただ、今アメリカを支配しておるいらいらの中の一つは、この金額の数字だけではないと私は思うのです。四百九十億になったことも、また大統領自身がアメリカの製造業者にとって日本世界第二の市場だ、アメリカの農民にとって日本は第一の市場だということまで承知して、四百四十億ドルに日本に対する輸出がふえたということは評価して、それでもなおかつ何か市場が開かれておらぬじゃないか。ですから、貿易インバランスだけではなくて市場が開かれるようにという、我々が何とも思ってないような制度、仕組みの中にも、少し門戸を開け、これはやらなきゃならぬというようなテーマがあるんだと思います。それらのこともどの程度までしたらいいのかということが今度の大きな問題になってくると私は思っております。
  201. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は答弁は求めませんが、この貿易インバランスを考えたときには、一つは経済政策というような問題もある。しかし、一番根本的なことは、やはり競争力、商品力を高めなければ、アメリカから見て対日輸出ということを考えた場合にはこれは私は不可能だと思うのですね。不可能です。  だから、例えば大店法云々という話をしたとしても、じゃ大店法を法改正なりあるいはなくしたりということをしたらアメリカの商品がすぐよく売れるのかというと、それはそういうものでもないというふうに考えなければなりません。  だから、そういう意味ではこの交渉の中でも日本として本当にアメリカに対して言うべきことはちゃんと言わなければいけないし、それを向こうにも理解させなければいかぬ、こういうふうに思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。  それから、時間が余りありませんので簡単にお願いしたいと思いますが、防衛庁長官総理の方がいいでしょうかね、次期中期防衛力整備計画、次期防についてお伺いをいたします。  私は、これも結論だけで結構ですが、今世界の軍事情勢は特に去年くらいから猛烈な変化をしてきたりしております。それで、現中期防は来年の三月末で切れます。こういうふうに考えたときに、その次期中期防は期間、今は期間は五年でなっていますが、その期間はどういうふうに考えるのか。そしてまた、その規模についての考え方、防衛費ですね、予算の額の問題についてどのように基本的に考えられるか、簡単にお願いしたいと思います。
  202. 越智伊平

    越智委員長 石川防衛庁長官。簡単に願います。
  203. 石川要三

    ○石川国務大臣 お答えいたします。  御承知のとおり現在の中期防で大綱の大方が達成されるわけでありまして、次期中期防をどうするかということが当面の大きな課題であります。この問題については実はもう昭和六十三年十二月の安保会議において、これが切れた後計画的にこういう案をつくるということは当然必要だということは意見が一致しているわけであります。  ただ問題は、今御質問ございましたように、この計画の対象期間あるいはその関係経費、これはどうするかということにつきましては、今詰めている最中でございまして、それが今までのように五年を三年にするとかあるいは途中でローリングするとか、そういった点はまだ極めて不明確でございますが、今鋭意防衛庁としては、経済情勢あるいはこれからの国際情勢を十分に勘案しながら検討をしている、準備をしているというのが現時点でございます。
  204. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 総理にお伺いしますが、今世の中がこんなに大きく動いているのですね。ということを考えれば、五年間を固定して考えるということは不可能だと私は今思うのですが、いかがですか。
  205. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 特にアジア・太平洋地域にもあるいは東西関係にもどんな影響が出るのか、いろいろな情勢を慎重に見きわめて対処していかなければならないと考えております。
  206. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 時間が参りましたので、これだけにさせていただきます。ありがとうございました。
  207. 越智伊平

    越智委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  208. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、質問時間が十一分しかございませんから、それで二、三質問を続けてやって、あと一括して御答弁いただくことをお許しいただきたいと思います。  まず第一の質問は、せんだっての与党の党三役と閣僚人事についてお伺いをいたします。  昨年の四月十八日に、リクルート事件について、高石元文部事務次官の起訴が終了し、いわゆる労働省、NTT、文部省ルートの捜査が終わりまして、四月十九日からいよいよ政界ルートに着手するわけですね。東京地検特捜部は、その政界レート捜査の着手に当たって新しく四つの班を編成したはずであります。その班とは、一が藤波孝生ルート班、班長佐渡賢一検事。二番目が加藤六月ルート班、班長は神垣清水検事。三、池田克也レート班、班長は熊崎勝彦検事。四、臨教審疑惑解明ルート班、班長樋渡利秋検事。これはベテラン検事でありますが、それぞれその班に検事を配して捜査に当たる。そして捜査した結果、五月二十二日に藤波、池田両氏が起訴されて終わるわけであります。  私は、なぜこういうことを言うかといいますと、問題の六十一年九月段階におけるリクルートコスモスのいわゆる未公開の還流株を受けた政治家は、たしか十七名だったと記憶しております。それを東京地検特捜部は絞りに絞って大体三人にターゲットを絞ったのではないか。そして、結論としては二名の起訴に終わった。とすれば、恐縮ですけれどもこれは事実ですから、加藤六月議員は、限りなく黒に近かった。そして、捜査が終了するに当たって、検察庁は特別に声明を出して、談話でしたか、加藤六月議員に対してはリクルートとは関係のないパーティー収入について、公設秘書と後援会の会計責任者が政治資金規正法上の報告、申告について脱落と虚偽の申請ありとして略式起訴して、これは恐らく私は、加藤氏に対する戒めのことではなかったかというふうに推測しております。  で、私は、これから先は質問ですけれども、党三役人事と閣僚人事につきまして、これは新聞の報道ですけれども、党三役人事の方は限りなく黒に近い方でもお入りになって、閣僚人事あるいは政務次官の人事については、これは排除された、色の薄い方が。この辺が私、わからないのですよ。政党政治ですから党三役人事の方が私の常識では上へ行くのではなかろうかという感じがします、上下がないのならないでいいのですけれども。どうして総理・総裁は区別されたか、それが第一の問題であります。  第二の問題は、六日の衆議院会議社会党の新村委員質問に対して総理は、リクルート関係の献金問題について新しく六名発表されましたね。それについて、それはそれでいいでしょう。私はちょっと気になりますのは、もうこれ以外にないのかということです、現閣僚で。何が気になりますかというと、なかったらなかったとはっきりもう一度ここで言っていただきたいのは、郵政相ですね。郵政大臣の記者会見で、私はこういうふうに受けとめました。  つまり、自民党の昨年の安倍幹事長時代ですよね、一つの自民党としてのけじめを出された。それは、六十三年夏ごろから以降はだめだというようなあれを出された。郵政大臣はその見解に照らして調べてみたがなかったというようなお話ですよね。だからその六十三年夏以降はなかったというふうに聞こえるのです。とすれば、じゃ夏以前はあったのか。というのは、その六日の本会議の答弁の中で、例えば塚原労働大臣、この人は自分で言われたのですね、正直に。私は立派だと思いますよ。五十九年の労働政務次官のパーティー券などについて言われておるわけですね。だから六十三年夏以前にも言っている人は言っているのですよね。そこはどうしてあれがあるのだろうか。郵政大臣は気になるような言い方をされましたから、これははっきりひとつここで、その以前はあったのかなかったのか、それをはっきりしていただきたい。  最後に一問だけ。私は午前中の質問を聞いておりまして、問題の日米防衛分担金に対する米側の増額要求に対して、外務大臣は前向きに対処するような御答弁をなさいました。防衛庁長官は、その後の質問の中で、まだ正式に言ぅてきておらぬから、何かはっきり正式にアメリカから言うてきてないから、はっきりしないような答弁をさっきされよりましたよね。これは私はおかしいと思うのです。もうアメリカでは上下院で増額要求をすることは決まっておるし、アメリカの国防長官はっきり言っているのでしょう。そうすると、アメリカのその要求を受け入れようと思ったら現行の地位協定、あるいは二年前でしたか決めました特殊協定の枠内では賄い切れぬと思います。そうすると、その対米要求にこたえようと思えば、現行の地位協定を変えるかあるいは新しく特殊協定を結ぶ以外に対応はできないと思いますが、この点防衛庁長官の御答弁をいただきたいと思います。
  209. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 党と内閣といろいろ人事をいたしますときに、内外ともに非常に重要な難しいときで、直ちに取り粗まなきゃならぬ問題がたくさんございました。党は従来のしきたりもございまして、党の三役というものを内閣を決める前に相談をして決定をいたします。政策的に極めてできる、政調会に向くということで任命をしました。内閣の方は、いろいろな立場においてそれぞれのポストで仕事をしてもらう人はだれがいいだろうかということを中心に選考をさせていただきました。結果として、このような顔ぶれができておりますが、力を合わせて政治改革を一生懸命やって、リクルート事件国民皆さんに信を失ったのを取り戻していく内閣にしなければならぬ、こう思っております。
  210. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 この間の閣議の後の記者会見は、食堂の中での慌ただしい形でしたから十分意が伝わってないかと思いますが、率直に申し上げまして、まず第一は、安倍前幹事長の言われた範囲の中で問題はないかということについて、秘書やスタッフを集めて聞きました。それに関しては完全に問題はないということであります。  で、それ以前の問題については、もちろんいろいろと調べさしたのでありますが、スタッフのかわったことなどもございまして、必ずしも正確ではありませんが、私の知る限りにおいては特別な関係はない、そういうふうに受けとめております。  以上でございます。
  211. 石川要三

    ○石川国務大臣 お答えいたします。  チェイニー長官の発言は、同長官の期待を一般的に表明したものと、こういうふうに受けとめているわけでございまして、米政府としての我が国に対する具体的要求、要請というふうな点についての受けとめをしていない、さように申し上げたわけでございます。  いずれにしましても、在日米軍の駐留経費負担につきましては、日米安保体制の効果的運用の確保のために我が国が自主的に努力をすべきものである、かように思っております。(楢崎委員「協定に関しての問題を聞いておるのです。」と呼ぶ)したがって、具体的に今まだ要請をされてない、こういう時点でございますので、答弁を避けさせていただきたいと思います。
  212. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 終わります。ありがとうございました。
  213. 越智伊平

    越智委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会