○神田厚君 私は、民社党を代表し、ただいま
議題となっております
野党四
会派提出の
消費税廃止関連四
法案に
賛成し、
政府提出の
消費税見直し法案に
反対する
討論を行うものであります。(
拍手)
自民党政府は、昭和六十三年七月に、シャウプ勧告以来の抜本
税制改革と称する
消費税導入を柱とする
税制改革関連法案を
提出をいたしました。我が党を初めとする
野党の強い
反対にもかかわらず、
政府・
自民党は衆参両
委員会で強行
採決を行うなど、議会制民主主義をじゅうりんする異常な事態の中で、拙速に
消費税を
導入し、昭和の
政治史の
最後のページに汚点を残したのであります。
このような不幸な生い立ちをたどった
消費税が
平成元年四月から
実施されることとなりました。我が党は、
消費税実施に当たり、次のような警告を行っております。すなわち、我々が強く
反対し、いまだ
国民合意を得ていない
消費税が本日
実施されるに至ったことはまことに遺憾にたえない。
消費税はまさに拙速に
導入されたため、
国民各層の
対応が不十分であり、かつ、
欠陥だらけの
税制であるがゆえに、その
実施は、
国民生活はもとより、経済、社会に大混乱を引き起こすことは必至であると断ぜざるを得ないという厳しい
内容でございました。そして、我々の懸念したことはすべて
現実のものとなったのであります。
今日まで
消費税に対する
国民の憤りは極めて強く、昨年の
参議院選挙では、
消費税廃止、
税制再
改革をスローガンに戦った
野党が勝利をおさめ、
与野党の勢力は逆転をいたしました。この選挙結果を受けて、社会、公明、連合
参議院と私ども民社党は共同して
消費税廃止関連九
法案を秋の臨時
国会に
提出し、約一カ月間、実に延々八十四時間に及ぶ真摯な
審議を経て可決、成立させたのであります。このことは、
我が国憲政史上における画期的出来事であり、新しい
時代を切り開くものであったと受けとめております。
今
国会においても、私どもは、選挙
公約を誠実に守るため、再び社会、公明、進歩民主連合と四
会派共同で
消費税廃止関連四
法案を
提出をいたしました。昨年の
参議院での
審議に引き続き、
議員立法としてまとめられた立派な
法案が
国会で堂々と、しかもまじめに論議をされたこと自体、新しい
政治の流れが生じている確かな証拠であると強調したいのであります。
政府・
自民党も、選挙
公約を守るため
消費税見直し法案を
提出しましたが、今日までの
審議においても明らかになったように、海部総理が
公約した思い切った抜本的な
見直しとはほど遠い、
小手先だけのずさんきわまりないものと断ぜざるを得ません。
食料品について、生産、
流通段階で
軽減税率を課し、
小売段階では
非課税とする
内容となっておりますが、税隠しとなり、本当に価格が下がるか全く保証のない、
消費者にとっては最悪の
改正と言わざるを得ません。また、
事業者にとりましても、レジやソフトの切りかえ、商品の仕分けなど煩雑な
事務負担を強いられるなど、問題の多い中身となっております。しかも、八千五百億円の減収に対して
代替財源を全く示さないなど、
政府・
自民党の無
責任さはまさに問題であります。
私は、この
審議を通じて、今後の税論議を進めるに当たっての有意義な
問題点の指摘がなされたものと高く評価をしております。
第一は、
消費税の
免税点制度、
簡易課税制度、限界控除
制度には大きな
欠陥があること。第二は、
政府が
高齢化社会の
福祉ビジョンを示し得ず、
高齢化社会に
対応した
消費税導入の
正当性を確証できなかったことであります。第三は、現行
税制に多くの不公平が温存されていること、とりわけ
土地税制に抜本的なメスが入れられず、資産に対する
課税が手ぬるく、
国民の
批判の的となっていることであります。
税制改革はいまだ道半ばであり、これらの諸点については、今後とも徹底論議をすることを提唱したいのであります。
さて、我々は、
提出している
消費税廃止関連四
法案の成立に
全力を注いでまいりました。しかしながら、現下の
国会状況におきましては、残念ではありますが、私どもの
廃止法案も、
政府の
見直し法案も、ともに廃案となることは必至であると言えます。両案が廃案という事態になれば、当然のことながら現行の
消費税が無傷のまま残ることになり、
国民から強く
批判をされている多くの
欠陥は、何一つ
是正されないこととなります。こうした結果を招くことは、
政治に対する
国民の
不信を増大させるだけであります。したがって、これら
法案の
審議が終了した後は、当事者能力を持つ各党
責任者による協議の場を設け、
不公平税制や
土地税制も含め、
消費税問題について速やかな決着を図るべきことを提唱いたしております。
税制協議機関のあり方については種々の論議があるようでありますが、私ども民社党としては、建前論にこだわらず、実質的な中身の濃い
議論を公党が
責任を持って行うことこそが最も重要であるというふうに考えております。
両
法案が廃案となったならば、
政党は
責任を持って新たな
税制をつくらなければならず、その時期は、来年度予算の編成の前であるべきだというふうに考えております。
最後に、四
会派の八名の
提出者が、長時間にわたる
審議において見事な論戦を展開し、四
法案の正しさを
国民に力強くアピールし、御奮闘されてきたことに感謝の意を表明し、私の
討論を終わります。(
拍手)