○小林守君 私は、ただいま
議題となりました
平成二
年度地方財政計画について、
日本社会党・
護憲共同を代表いたしまして、
総理並びに関係大臣に御質問いたします。
まず最初に、今日最も緊急の課題である日米貿易摩擦を背景とした
日米構造協議の問題について伺います。
新聞等で拝見いたしますと、日米協議でアメリカから日本に対して要求されておりますのは六分野、二百数十項目とされておりましたが、その全容についてなぜか
政府は明確にいたしません。しかし、事態は刻々と進んでおります。したがって、私は、二点について具体的に伺います。
第一は、公共投資の問題であります。
社会資本の
充実は、豊かさが実感できる国民生活の実現の上でも、アメリカから要求されるまでもない内政の最優先課題であります。ところで、新聞に紹介されております対日要求を見ますと、公共投資に関する包括的
事業計画の策定と個別公共
事業計画の改定強化を求めていると理解いたします。また、対日要求においては、
事業及び
資金をできるだけ中央
政府にシフトするよう求めているとされていますが、これは事実であるのか。だとするならば、国と
地方の公共投資の構造を転換しようとしているのか。公共投資に関するこれらの対日要求の対応について、
海部総理に御
所見を伺います。
さらに、公共投資を拡大するのは結構ですが、その裏づけとなる
地方の
負担はどうなるのでしょうか。財政制度審議会や新行革審は、国の一般
歳出や
地方財政計画における
歳出については名目成長率以下とするよう求めておりますが、この
方針とどのように整合を図り、整理されるのでしょうか。
総理並びに
大蔵大臣に具体的にお答えをいただきたいと存じます。
第二に、いわゆる大店法の問題ですが、中間
報告によりますと、
地方公共団体の独自規制についても是正指導するとされております。通産大臣は、談話で、関係
地方公共団体の御協力をお願いするとされておりますが、是正指導と協力要請では大分性格が異なると考えますが、いかがでありましょうか。
地方公共団体の自治立法権にかかわる問題でもありますので、
自治大臣、通産大臣、それぞれのお立場で御答弁をお願いいたしたいと存じます。
次に、行財政改革について伺います。
昨日、臨時行政改革推進審議会が最終答申を行いました。しかし、この答申は
採決で決せられたと聞いております。七人の委員は
国会の承認に基づいて就任したものであり、その七人の意見が一致を見ないまま答申がまとめられるというのは極めて異常であります。答申は今後の
政府の施策にも重大な
影響を与えるものであります。私は、二人の委員から提示された
修正意見を十分
議論し、取り入れることを促す努力を
政府も行うべきであったと思います。
海部総理は、この新行革審の
全会一致ではない答申を
内閣としてどう受けとめるのでしょうか。答申を最大限尊重すると
総理は述べられましたが、このような多数決による文案の決定の
経過をどう受けとめるのでしょうか、
見解をお示しいただきたいと思います。
また、行財政改革の重要なキーワードは「増税なき財政再建」であったはずです。しかし、実際は
消費税という公約違反の大増税が強行実施されました。今日、新行革審は、二〇二〇年における国民
負担率について五〇%を下回ることを目標とするとしていますが、
政府としても目標は同じなのでしょうか。五〇%以下に抑えるというのは
政府の公約と明確に受け取ってよいのでしょうか。
大蔵大臣の
所見を伺います。
さらに、
政府の「高齢者保健
福祉推進十か年戦略」、いわゆるゴールドプランが示されておりますが、そのホームヘルパーの増員計画を見ても極めて不十分であり、十年たってもヨーロッパの水準には追いつかないものであります。しかも、補助単価が低く、思うように人材が集まらない危惧もあります。十カ年戦略に関して
平成二
年度政府予算案における
事業費の
地方負担分は約八百億円とされ、
交付税の
単位費用もアップはされておりますが、十分とは言えません。私は、ホームヘルパーについては十年で
政府案の二倍、すなわち、二十万人とし、補助単価も倍にしなければ、高齢社会に対応する
福祉は大丈夫とは言えないと思います。したがって、
平成二
年度の
政府予算案並びに
地方財政計画については組み替えるべきだと思いますが、
総理並びに
自治大臣の明快な答弁を求めます。
行財政改革の質問の最後は、
国庫補助負担率の
特例の問題であります。
先ほど
日米構造協議について伺いましたが、公共投資を伸ばすといっても、
地方の受け皿が必要であります。
特例措置は
平成二
年度で切れることになっておりますが、今度こそ約束は守られるの
でしょうか。臨時的なばらまき行政はあっても、
地域格差の是正や本格的な
地域振興、東京一極集中の是正などについての体系的な政策の展開はあいまいとなっており、
地方自治体の
政府を見る目は厳しくなっております。この際、
総理から、約束は果たすと明確にお答えをいただきたいと思います。
続きまして、
地方財政計画そのものの問題について伺います。
第一には、
地方財政計画の意義は何かという点であります。
例えば、
地方交付税法第七条においては、「
内閣は、毎
年度」「翌
年度の
地方団体の
歳入歳出総額の見込額に関する書類を作成し、これを
国会に提出するとともに、一般に公表しなければならない。」とされております。
地方財政計画は、個々の
地方公共団体にとりましても、翌
年度の
予算編成の指針となるものであります。しかし、ことしのように、
内閣が
予算編成を行い、閣議でこれを決定しても、
予算案が総選挙の執行の関係で
国会に提出されないという事態において、地財計画が決定されたのは三月であります。果たして
地方団体にとって
財政運営の指針たり得たのかという疑問を感じます。地財計画の意義を失わしめることしのこのような事態を
自治大臣はどのように受け取られているのでしょうか。御
所見を伺いたいと存じます。
第二に、
地方財政が
地方団体のトータルな行政、経済行為をとらえているかという問題であります。
現状の地財計画は普通
会計分のみをあらわしていることは承知をしておりますが、
地方公営企業等の投資や運営が拡大する中で、現状の地財計画の枠では全体がつかめなくなっております。私は、
地方財政が大きく見えるか否かとか、普通
会計と企業
会計は別とかいう
議論ではなく、区分けは区分けとして、
地方団体及び関連企業の活動がトータルにつかめるように地財計画も改革を図るべきだと考えますが、
自治大臣の
見解を伺います。
第三に、計画と決算の乖離の問題であります。
最近ではその幅が小さくなったとは言われますが、依然としてあることは事実であります。こうしたことは、
地方財政においては中期的な見通しのもとに計画的な
事業の執行が求められているのに対して、
政府においてはそのときどきの景気等によって増減を図り、しかも財政
負担の変更等をもたらしていることも大きな原因であると考えます。
地方自治の確立は、
地方財政の安定した拡充と
地方分権の確立にあります。したがって、私は、この際、
地方財政の中期展望を明確にし、その展望に基づいて
地方財政運営を推進するよう改めるべきと考えます。
地方財政の中期見通しについては、過去さまざまな
議論が行われていると思いますが、この際、
自治大臣の決断を促したいと存じますが、いかがでありましょうか。
最後に、私ども
日本社会党・
護憲共同、公明党・国民
会議、民社党、進歩民主連合の四会派は、参議院における連合参議院とも連絡、協議しつつ、
政府の
平成二
年度予算案の組み替え要求を本日
政府並びに与党に行いました。
私どもの
趣旨は、公約に反し、国民の反対を押し切り導入した
消費税をことし九月三十日をもって廃止するとともに、老齢
福祉年金の引き上げ、ホームヘルパーの増員、育児休業法の制定など
歳出の
充実を図ることであります。財政状況を見ても、
消費税の存在の必要性はなく、国民は不公平
税制の是正こそ強く求めております。
政府・与党においては、この当然の
予算案の組み替えについて真摯に
検討し、速やかに実現されるよう要求し、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣海部俊樹君
登壇〕