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1990-03-06 第118回国会 衆議院 本会議 第5号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二年三月六日(火曜日) ─────────────
議事日程
第五号
平成
二年三月六日 午後二時
開議
一
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続 ) ───────────── ○本日の
会議
に付した案件
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続) 午後二時四分
開議
櫻内義雄
1
○
議長
(
櫻内義雄
君) これより
会議
を開きます。 ────◇─────
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
(前会の続)
櫻内義雄
2
○
議長
(
櫻内義雄
君) これより
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
を継続いたします。
新村勝雄
君。 〔
新村勝雄
君
登壇
〕
新村勝雄
3
○
新村勝雄
君 私は、
日本社会党
・
護憲共同
を代表して、第二次
海部内閣
の
施政方針
に関し、
総理
並びに関係各大臣に対して質問をいたします。 まず、
政治倫理
についてであります。
海部総理
、倫理とは生きとし生けるものに対する無限に拡大された責任である、これは現代の
碩学シュバイツァー
の言葉であります。 そこで、お伺いいたします。 まず申し上げなければならないことは、あなた
自身リクルート事件
の渦中におられたという事実であります。あなたは、さきに
首相就任
の際、
リクルート社
から五年間に総額千四百四十万円の
政治資金
を受けたことを明らかにしました。また、一九七六年十二月から七七年十一月の
文部大臣在任
中、七七年七月五日と同年九月二十日の二回にわたり、いずれも
リクルート社
が主催した
シンポジウム
に講師として出席をし、
講演料
として合計百万円を受け取ったとされています。
リクルート社
の贈収賄は文部省を一つの舞台としており、高石氏に対し未
公開株
を譲渡したのは八六年十月三十日であります。
総理
は、八五年十二月から八六年七月まで
文部大臣
として在任しており、その期間に、部下であった高石氏らの
不法行為
が進行していたと推定されます。 これらの状況から判断するならば、
海部総理
、あなたは
リクルート事件
の渦中に身を置いていたと断定されてもやむを得ないと考えますが、いかがですか。 第二次
海部内閣
は、
リクルート関係議員
を一人も入閣させない方針で組閣されたと言われますが、
海部総理
御自身その渦中の人であったという事実は、極めて矛盾する事態と言わなければなりません。(拍手) また、最近の報道によれば、あなたは、さきに公表された額を含めてリ社から合計二千六百三十万円の献金を受けたとされています。これは事実であるか、明らかにされたい。さらに、
総理
以外の現閣僚中に
リクルート社
及び
関連会社
から
政治献金
を受けた者がないというのは真実かどうか。もしあれば、その氏名と金額を明らかにされたい。 今、総
選挙
を終わって、
リクルート事件
に関係し当選した
人たち
は、みそぎが済んだとして公然と
政治活動
を再開しようとしています。しかし、この考えは、
政治倫理
の原点から考えて容認することはできません。
フランス
の
詩人バレリー
の言葉に「
選挙
とライセンスこそ、我々の
社会
における最大のガンである。」という警句があります。もちろん、この言葉は、
選挙
を軽視し、あるいは冒涜するものではありません。みずからの
主体的判断
やモラルの確立を怠って
選挙
という手続に逃避しようとする
倫理的貧困
を戒めているのです。
政治改革
は、
民主主義
の原点である
選挙改革
から出発しなければなりません。それは、定数の
合理的配分
、
選挙公営
など、解決すべき多くの課題に直面しています。ちなみに、今回の総
選挙
における
自民党
の
得票率
は四六・一%なのに、同
党所属議員
の
議席占有率
は五三・七%であります。 一方、
選挙
に多額の
政治資金
を必要とすることは、
金権政治
の元凶をなすものとして、世の指弾を浴びています。殊に、今回の第三十九回総
選挙
で、
自民党
は財界に三百億円もの
選挙資金
を求めたと報じられています。これは事実かどうか、事実だとすればどこから幾らもらったのか、
総理
の
お答え
をいただきたい。
政治改革
の核心は
政治資金
にあり、その集め方と
透明度
にあります。
企業献金
は必然的に
政治家
と
企業
との癒着を生じ、公平な行政をゆがめる結果をもたらします。これを断ち切って
政治
の浄化を図るために、
企業献金
、
団体献金
の一切を禁止して、
政治資金
はすべて
個人献金
のみとし、その内容は公開すべきです。
総理
は、大胆な
政治改革
を公約して登場しましたが、
政治資金
の使途を一部制限したにとどまり、実効ある方策はほとんど提起されていません。具体的な
政治改革
の手順についてお示しをいただきたい。 周知のように、今回の総
選挙
は
消費税
を中心として争われたことは改めて申し上げるまでもありません。この
選挙
で、与党は勝利したと言っていますが、廃止を公約として戦った野党などの
得票率
は、
自民党
が得た
得票率
と全く同率の四六%なのであります。この数字を無視することはできません。しかも、
自民党
の多くの
候補者
は、廃止に近い
徹底見直し
を主張して、それを約束し、支持を求めたのではなかったのでしょうか。それにもかかわらず、
自民党
は
党公認
が二百七十五名当選したから
消費税
は認められたと公言しているようでありますが、それは
主権者
の意思を正しく受けとめる態度とは言えません。(拍手)
現行消費税
については、これを廃止とし、
国民合意
の
税制改革
を目指すべきであります。
海部総理
の見解をお尋ねいたします。 次は、
自民党
が突如として一方的に提起したのが、いわゆる
体制選択論
であります。 そもそも、この時期に
自由主義
か
社会主義
かの選択を
日本国民
に迫るというのは一体どういう感覚なのだろうかという疑問を抱いた
国民
がはるかに多かったと思います。有権者を愚弄するのも甚だしいのであります。
総理
、今や、世界の
政治潮流
は
多元的民主主義
であります。
共産党独裁
から解放された東欧といえども、それは
資本主義
を直ちに導入しようとするのではなく、
社会民主主義
を最良の
政治経済システム
ととらえ、その樹立に懸命に努力している
ことば周知
の事実であります。その意味で、
自由主義
か
社会主義
かという
選択論
は、いかに
国際情勢
に無知であるかを示すものにほかなりません。(拍手) そもそも、
自民党
に
体制選択
を迫るような資格があるでしょうか。
土地
で暴利をむさぼる自由、
リクルート疑獄事件
に見られる
構造汚職
の自由、
金権選挙
の自由など、その実態が果たしてよい体制と言えるでしょうか。
総理
の目指す自由とは一体どういう自由なのか、正確に御説明をいただきたいのであります。 次いで、今回の
ブッシュ大統領
との
首脳会談
でも議題となった
日米構造協議
について伺います。
総理
、今回の
首脳会談
で、
内需拡大
、
市場アクセス改善
などについて
積極的取り組み
を約束したとのことですが、目前に迫った
中間報告
、そして夏の
最終報告
ではいかなる
具体策
を打ち出すのですか。また、その中で、大
規模小売店舗法
の
規制緩和
か同法の撤廃か。また、
独占禁止法
は、
公正取引委員会
の拡充など
規制強化
か
法改正
による罰則の強化か。さらに、
公共投資
の一〇%
拡大要求
に応ずるのか。これらの点について、まず明快な答弁をいただきたいと思います。 米国では、
管理貿易
の圧力が高まり、四人に一人が
日本
に非友好的な感情を抱きつつあるとも言われ、その一方、
我が国
では、経団連や
小売業団体
が米国による
内政干渉
を非難するに至っています。 例えば、先日
我が国
を訪れたブレジンスキー元
大統領補佐官
も、
貿易摩擦
で敵対的な感情が生まれていると警告しているわけでありますが、これを
日本側
から見るとき、
政府
の姿勢にもその責任があると言わなければなりません。すなわち、この問題は、
国民
が豊かさを実感できる
経済政策
を確立をする絶好の機会であるとの認識、言いかえれば、試練をチャンスとして活用する積極的な立場を明確にした上で、リアリズムに立脚した両
国民
の総対話を展開する必要があると思うのであります。
政府
は、今後、財界を初め
民間レベル
での
日米構造協議
の場も検討されているようですが、さらにもう一つ、
消費者レベル
における協議の場が必要ではないでしょうか。 昨年秋、
アメリカ
の
消費者運動
のリーダーで世界的にも有名なラルフ・ネーダー氏が
日本
を訪れ、これを迎えた
我が国
の
消費者運動
の一部で、両国の
消費者
による
構造協議
に向けた検討が既に始まっていると聞いております。今後このような
市民レベル
での自発的な
取り組み
が具体化した場合は、
政府
としてもできる限り支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、
アメリカ側
から
日本
の
閉鎖性
の一つに見えない
参入障壁
があるとして批判されています
親企業
と下請などの
系列関係
についてお尋ねいたします。 部品、
中間財
などの
品質管理
、迅速な対応、アフターケアなど
競争力
に直結する
企業行動
は、
我が国
の場合、この
系列関係
がしっかりしていることによると見られていますが、これが果たして
参入障壁
として取りざたされてよいのでしょうか。最近、
アメリカ
においてさえ、
我が国
のこの
親企業
と下請の
系列関係
が、
企業
のプロダクティブパフォーマンスを支える
産業競争力再生
の重要な要素として指摘されているではありませんか。ただし、
経済合理性
を無視した
生産系列
の
従属的関係
と、これに基づく
取引慣行
による障壁に対しては、独禁法の運用の改善によって対処し、
開放性
を確保すべきであると考えますが、
政府
の今後の対策を明らかにしていただきたいと思います。 ところで、今回の
構造協議
で米国から要求のあった
公共投資
の拡大は、極めて重大であります。
政府
は、この際、さらに踏み込んで、
内需主導型経済
の定着を目指す今後の
社会資本整備
の
あり方
を内外に明確にすることが必要であります。
欧米先進国
に立ちおくれている下水道など従来型の
公共投資
に加えて、
大都市
への
一極集中
の是正と均衡ある
国土開発
、
アメニティー重視
の
都市環境整備
、ハイテクを活用した
公共交通機関
の整備や
高度情報化社会
の確立に向けた
基盤整備
、
情報発信拠点
としての
地域開発
など、生活のゆとりと質を確保する新しい視点からの
各種社会資本整備
の
中長期展望
を早急に提示すべきであると考えますが、いかがでしょうか。 次に、
土地
問題でお伺いをいたします。 今日の
土地狂乱
と
サラリーマン
の
住宅難
は、すべて
自民党
の
長期政権
の帰結、すなわち、
自民党
が進めてきた
自由主義体制
の結果であります。このゆがんだ事実については、いかに目まぐるしく政権をかえてみても、もはや弁解、釈明は許されないことをまず肝に銘ずべきであります。 顧みると、
土地
の暴騰は、まず
所得倍増政策
と称した
池田政権下
で起き、続いて
列島改造政策
と言われた
田中政権下
で全国化し、さらに最近では、
規制緩和
、
民活推進
、東京一極
集中政策
の
中曽根政権下
で
狂乱状態
を引き起こしたのであります。つまり、
自民党政権
が三度にわたって政策的結果として大幅な
土地
の暴騰をもたらしたものであります。
自民党
の責任は決して逃れる
ことば
できません。
海部総理
、こうした
自民党
による
土地無策
をいつまで続けるおつもりですか。
土地
の制度、政策を確立するには法制上、税制上あるいは金融上から抜本的な改革を加えなければならないにもかかわらず、
土地基本法
一つとっても、
社会党
など四
野党案
が
政府案
を終始リードしながら昨年の
臨時国会
で成立したことは、既に御承知のとおりであります。また、
国土利用計画法
の改正についても、
社会党
など
野党案
が先行していることも、つとに知られているところであります。 このように、
自民党政府
は、この
土地政策
については依然として有言不実行であり、いまだにその姿勢は、
土地
の
値上がり益
による
政治資金
の
培養優先
であり、
土地関連税収
の
大幅増
を期待するのみであって、真に解決を図るものではありません。 そこで、お尋ねをいたします。
我が国
の
土地制度
は、明治以来百年余、多くの変遷を経て今日に至っているのでありますが、これを抜本的かつ
国民的立場
から解決をするためには、まず、
日本全国
の実態を計数的に把握しなければなりません。そして、この
関係資料
は
国民
につまびらかに公開されなければなりません。 つきましては、
土地所有
の
実態把握
のため、法人、個人の
面積規模別所有者一覧
を今
国会
に速やかに提出していただきたいのであります。次に、
土地利用
の状況についてですが、これまた全
国民
的に
利用状況
を確認し、
値上がり待ち
の
遊休地
に対して強力に
有効利用
を徹底させるため、法人、個人を問わず、
資材置き場
や
平面駐車場
などいわゆる低利用を含めた
遊休地
の
所有者別一覧
を提出することであります。
総理
、以上の二件の
基礎資料
を公開することなしに
土地制度
の
抜本的解決
は絶対にあり得ません。
総理
の御見解と御答弁を明確にお願いをするものであります。と申しますのも、今月号の
月刊誌
に、某
財界人
が
法人分
を含めて約十二兆円の
土地資産
を所有しながらわずかの納税しかしていないという驚くべき実態が紹介されているからであります。 次は、
土地
の
評価制度
についてであります。 さきに成立した
土地基本法
にも、
社会党
などの要求によって、抽象的ながら一定の趣旨が条文化されている重要な点が、
土地
の
公的評価
の
一元化
であります。一物四価を早急に改め、少なくとも
公的評価
は迅速に
一元化
し、法制、税制上の
行政的基盤
を整備することであります。
総理
、せっかくの
土地基本法
を単に
宣言法
や
理念法
に終わらせないために、
土地行政
にとって最も不可欠な
公的評価
の
一元化
を今年度中に着手するお考えがあるかどうか、明確に
お答え
いただきたい。 次は、
住宅
問題であります。
住宅
の供給の
質的低下
は、諸外国から冷笑の的となって久しいが、
海部総理
、あなたが欧米の
首脳たち
との
会談等
で、多分に恥ずかしく、肩身の狭い思いに駆られていることでしょう。こうした
我が国
の
社会資本軽視
の
政治姿勢
は、
自民党
の
基本的体質
なのですが、それにしても、西ドイツや
フランス
などと
日本
との
住宅格差
は余りにも深刻な実態で、今や
都市サラリーマン
へのしわ寄せは甚だしく、その苦しみ、不満、怒りは
爆発寸前
と言っても過言ではありません。今回の総
選挙
で、東京、大阪など
大都市
で
自民党公認
が議席、
得票数とも
に反自民に遠く及ばない
少数派
に転落させられたことも、その反発のあらわれと言えるでしょう。 そこで、この
破局寸前
の
住宅
問題を解決するには、
住宅
を供給する国の責務を法律的に明確にする
住宅保障法
を早急に制定することであります。
住宅保障法
は、
住宅
の質、量、価格、
住環境等
のミニマムを保障し、
困窮者登録制
を確立することであります。この
住宅保障法
は、我が
社会党
が十年来提案してきましたが、
海部総理
、
政府
としても早急に同様の法案を提出するかどうか、お伺いをいたします。 一般に
土地
問題を解決をすれば
住宅
問題は解決されると言われますが、今日の
自民党政府
による
土地
問題の解決を待っていたのでは、
住宅
問題の解消は不可能と見るべきであります。したがって、今日、特に都市においては、低家賃の
公共住宅
を緊急、大量に建設、供給することが必要であります。ところが、この公営、
公団住宅等
の
公共住宅
の
建設戸数
が十年前と比べ約四万五千戸も減少しています。
海部総理
、
政府
は
公共賃貸
よりも
公庫融資住宅
に力を入れていますが、今後は、
土地
の確保と
ローン地獄
に苦しむ
公庫住宅
でなく、供給の重点を低家賃を原則とした公営、公団、
公社等公共住宅
に移すべきであります。
総理
、実質的に持ち家と言われる
公庫住宅重視
から公共の
賃貸住宅中心
に本年度から転換するよう強く要求します。明確に
お答え
いただきたい。
我が国
の
経済政策
は、もう一方で
地球環境
の保全という世界的な課題に対してこたえられるものでなければなりません。
日本
の提唱によって設置された国連の
環境
と開発に関する
世界委員会
は、一九八七年に
報告書
を取りまとめ、持続可能な開発という目標を提起した
ことば
、既に御案内のとおりであります。これをわかりやすく言えば、人類と自然が共存できる
経済
ということだと思います。昨年七月のアルシュ・サミットにおいても、その
経済宣言
は、
OECD
に対し、
経済
と
環境
を両立させるために必要な
政策研究
を要請し、これを受けた
OECD
は、同年十二月に、
環境破壊
の影響を
経済
の指標に組み込むための研究を
重点課題
の一つに指定し、
日本政府
にも
参加協力
の要請をしてきたのであります。この要請に対し積極的に対応する必要があると思うのですが、
政府
の姿勢並びに協力の状況について御報告いただきたいと思います。 他方、
経済
企画庁の来年度予算として、新たに
地球環境保全
のための
産業経済政策検討費
が計上されました。しかし、
日本
の
経済
をめぐる新しい状況は、必ずしも
地球環境
の問題だけではありません。急速な
高齢化
に伴う
福祉
の拡充と
国民負担率
の増加という要因をも視野に入れる必要があるのであります。つまり、検討しなければならない新たな
産業経済政策
として、
環境水準
、健康と
福祉
の水準、
国民負担率
、
経済成長率
の四大要素、さらには
市民参加
の度合いを加えた
五大要素
を統合化することによって、人間と自然が共存できる
経済成長
をはかる新たな尺度を確立をし、これを
国際社会
にも提案していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。 ところで、来る四月二十二日は、すべての国のすべての人々が地球に対して優しい生活を見出すきっかけにしようという趣旨で、
アースデー
と呼ばれているのを御存じであろうと思います。これは、一九七〇年にカリフォルニア州で始まり、ことし初めて世界的な規模で
市民レベル
の行動が展開される予定と言われています。
政府
は、
地球環境
への負荷を軽減するライフスタイルの
あり方
の検討であるとか、
地球環境保全
に関する
啓発活動
などの施策も重視していると言われます。そうだとすれば、市民によるこうした自発的な
取り組み
に対して
政府
は支援、協力を惜しんではならないと思うのですが、いかがでしょうか。 次に、
福祉政策
についてお尋ねいたします。 何よりも問題なのは、
中曽根行革
以来、
自民党政府
は、一方で
福祉財政
を削減しながら、他方では
国民負担率
を引き上げているという矛盾した対応であります。まずこの事実をお認めになるかどうか、はっきり
お答え
をいただきたいと思います。 例えば、一九八九年度の租税及び
社会保険料負担
は
国民所得
の三八・八%と見られておりますが、五年前のそれは三四・五%だったのであります。一方、
社会保障
に対する
国庫負担率
は、同じ期間に
国民所得
の四・六%から四・〇%へと逆に下がっており、これは当然のことながら、
自治体
及び
利用者
の負担を高める結果を招いているのであります。一方で
福祉
を削減し、他方で
国民負担
を高める
自民党政府
のやり方は、いわば高かろう悪かろうという路線であり、低
福祉
なのに
重税感
が伴う自助型の
社会
を形成するものと言わなければなりません。 そこでお尋ねしますが、あなた方
自民党
が総
選挙
に不利と判断して先送りした
サラリーマン
の
年金支給開始年齢
の繰り延べ、それに
老人医療
の
自己負担増
について、
政府
は今後どうするのかということであります。私は、高
福祉
・
納得負担
と言える連帯型の
社会
を目指す立場から、
福祉
はもうこれ以上レベルダウンさせないことをこの際明確にすべきであると考えますが、いかがでしょうか。(拍手) また、
政府
の「
高齢者保健福祉推進
十か年戦略」について、二点お尋ねいたします。 その一つは、
在宅介護サービス
についてどこまで国が責任を持つのかということであります。食事、入浴などにいつも介護を必要とするいわゆる在宅重介護の
対象者
は、今約四十万人、十年後に約五十八万人程度と推定されます。この人々が必要に応じて毎日でも公的な
介護サービス
を利用できるようにすることが、
国民
の安心と納得を確保する
最低条件
ではないでしょうか。 もう一つは、
デイサービスセンター
など施設を確保する上で、
大都市部
の
用地確保
をどうするかということについてであります。極めて困難なこの課題に対して、例えば、
土地
を
自治体
に売却すれば
譲渡所得税
を免税にするといった方法で
自治体
による
土地先買い権
を強化する方向、また、
中央官庁
の
合同庁舎化
を進めたように、保健所、
社会福祉事務所
、
各種施設
などの
合築化
を本格化すべきではないでしょうか。また、数多くある省庁の
出先機関
や県の施設についても、
所在地市町村
の要請があれば
当該市町村
の
関係施設
を合築するなど、柔軟な対応をすべきではないかと思うのであります。 なお、具体的な問題をもう一つお尋ねいたします。 それは、
国鉄民営化
以来、旧国鉄及び現
JR職員
に対する
不当労働行為
に対し、各地の
地方労働委員会
から実に七十九件もの
救済命令
が出されたにもかかわらず、
事業者側
は和解の二件を除いて履行していないという驚くべき問題についてであります。
政府
は、これらを含めた再
就職希望者
約千六百名について、いわゆる再
就職促進法
の期限であるこの三月末日までに救済し、一人の職員も路頭に迷わせないという当時の
中曽根総理
の答弁を厳守、実行すべきだと考えますが、方針を承りたいと思います。(拍手) 以上、山積する課題に対し、我々
国会議員
は、単に
政府
に対して質問し提案するだけではなく、
国会
において
議員同士
が
十分討論
を深めなければなりません。 そこで、
自民党
の総裁として、
国会改革
について
お答え
いただきたいのであります。
国会
は、国権の
最高機関
としての権威を与えられながら、いたずらに旧慣、先例を墨守するにとどまり、時代の進運に伴わない側面が多く見られます。殊に指摘したいのは、院の
意思決定過程
が明確でなく、政党間、
議員
間の討論が極めて不足していることであります。 そこで、私は次の二つを御提案したいと思うのであります。 第一は、各
委員会ごと
に
議員相互
間における討論の機会を保障し、全委員が
議員
として対等の立場で参加する定期的な
政策協議
の場を設けること、第二は、各会期に一回、
議員
のだれもが参加できる公開の
政策シンポジウム
を本院として開催することであります。 かつて憲政の神様と称せられた
尾崎行雄
氏が「
国会
は議事堂ではなく
表決堂
にすぎない」と言われたそのままの状況を、本
会議場
に参集されたすべての
同僚議員
とともに深く反省することを呼びかけ、私の質問を終わります。(拍手) なお、
総理
にお願いしたいことは、今、
日本
の
国会
は、両院において
政治勢力
が異なるといういわゆる
ねじれ現象
のもとにあります。これも、
主権者
たる
国民
が与えた
政治状況
である以上、
政治家
はお互いに知恵を出し合わなければなりません。殊に、
総理
は、今までの
自民党政治
とは全く違った発想と哲学とを持って対処しなければならないと考えます。
総理
のこの点における賢明な御判断とお考えとを強く要望して、終わります。 ありがとうございました。(拍手) 〔
内閣総理大臣海部俊樹
君登壇〕
海部俊樹
4
○
内閣総理大臣
(
海部俊樹
君) 最初に
政治倫理
についての御発言があり、私の
政治資金
についても御指摘がありましたが、私にも
リクルート社
からの
政治資金
もございました。五年間で千四百四十万円でありました。ただ、これは、
社会
的に同社が問題になる前の通常の
政治資金
として受け取っておったものでございますが、今後は十分に注意をして対処をしてまいらなければならぬと
考え
ます。なお、それ以上の
金額
はございません。また、私が
文部大臣在任
中は、
文教行政
について厳正に対処してまいりました。御理解をいただきたいと思います。 現
閣僚
について
リクルート社
及びその
関連
からの
政治献金
についてでございましたが、これは各
閣僚
から
内閣官房長官
に対し自主的に申告が行われているものでございますので、その取りまとめを次のように御報告します。すなわち、私の分千四百四十万円、
橋本大蔵大臣
二百四十万円、
大野運輸大臣
六十万円、
塚原労働大臣
六百三十万円、
坂本官房長官
八百九十三万円、
砂田北海道
・
沖縄開発庁長官
二百二十万円、
佐藤国土庁長官
千四百万円であります。これらの
政治献金等
については、いずれもリクルート問題における
政治献金等
に関する
自民党
の
見解
に照らして問題はないものと
考え
ております。 また、
財界
から三百億円もの
政治資金
を求めたとの
報道
についてお触れになりましたが、その
報道
があったことは承知いたしておりますが、
現行制度
にのっとってそれぞれ
対応
してきたものであり、
報道
のような巨額な
財界
からの
企業献金
があったとは承知いたしておりません。
企業献金
、
団体献金
の一切を禁止して、
政治献金
は
個人献金
のみとして、その内容を
公開
すべきではないかということでございますが、
企業
等の団体も
一つ
の
社会
的存在であることを
考え
ますと、
政治活動
に関する
企業
の団体寄附がよくないと決めてかかるのは適当でないと思います。もとより、節度を持って
政治献金
を調達すべきは当然のことでありますが、
政治献金
の
公開
性を高める努力は必要と私は認識をいたしております。 なお、各党それぞれにおいても
政治資金
の問題について御議論をいただいており、
選挙
制度
審議会の意見も
伺い
ながら、さらに努力をしていく所存でございます。 また、現在、
政治改革
を進め、信頼の
政治
を
確立
することが何よりも必要とされております。
リクルート事件
の反省の上に立って、
政治倫理
を
確立
するとともに、金のかからない
政治活動
や
政策
中心
の
選挙
の実現など、実のある
政治改革
を全力を挙げて進めていく。
さき
の
国会
における公職
選挙
法の
改正
は高く評価されるものであり、これは
平成
の
政治改革
の第一歩としてとらえられるものであります。 現在、
選挙
制度
審議会において、定数是正を含む
選挙
制度
及び
政治資金
制度
の抜本的
改革
のための
具体策
について精力的に御審議をいただいております。
選挙
制度
審議会が各党各会派の御意見を聞きたいと言ってお招きするときは、どうぞ
野党
の皆さんも御出席をいただいて、
野党
自身
の御意見を審議会にも述べて反映をさせていただきたいということを心からお願いをしておきます。 なお、ことしは時あたかも
国会
開設百年という記念すべき年であります。御答申をいただいたら、その
改革
の実現に向けて不退転の決意で
取り組み
ますから、引き続き各党各会派のこの問題に対する御理解と御
協力
もこの場からお願いを申し上げておきます。 与
野党
の
得票率
を見ても、今回の総
選挙
で
消費税
が認められたとは言えない、
消費税
を
廃止
しろ、やり直すべきではないかとおっしゃいます。 しかし、今回の
選挙
におきまして
消費税
が重要な争点となりましたこと、また、我が党は、思い切って
消費税
の見直しをして、世論の指さす方向、
国民
の皆さんの御意見を聞いて、大幅に見直しもしたわけであります。
選挙
中には、
社会党
は、今度の
選挙
は
消費税
の存廃を決める
国民
投票だとも言われたのであります。もしそうであるとするなれば、過半数の支持をいただくということは、
国民
投票の結果はどうであったでございましょうかと私は申し上げたいのでありますけれども、そこは謙虚に、自由民主党はそのことだけを申し上げるのではなくて、与
野党
の御議論を通じて、
消費税
の中身について
国会
で御議論をいただぎたい、こう思っておるわけでありますから、我が方も見直し案を出しますから、
選挙
のときに御提案になった個別間接税に関する問題もやはり
国会
にお出しになって、そこで議論を重ねることが本当の議会
政治
というものではないかと
考え
ておりますので、一日も早く御議論をいただき、我が党としましては、二十一世紀を支えるための必要な
税制
である、
高齢化
社会
を展望して、
重税感
、不公平感をなくすためのものであるということを、私
自身
、党首
討論
会でも、
選挙
中の至るところの遊説でも、
国民
の皆さんに向かって、楽しくない、そしてつらい話であっても御
負担
はお願いしなければならぬと言って、
消費税
の定着をお願いし続けてきた
選挙
でございますから、これを
廃止
しようという
考え
はございませんので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。(
拍手
)
総理
の目指す自由について、今御議論の中で、
自由主義
か
社会主義
かの
選択
を
国民
に迫って
考え
が古いと、こうおっしゃいましたが、私は
自由主義
か
社会主義
かの
選択
を今度の
選挙
で迫ったものではありません。何回も申し上げましたが、自由、
民主主義
と市場
経済
、そして
社会主義
と統制
経済
、これは東欧においてもう歴史的に勝負がついておることだと私は言い続けさせていただきました。そうして、自由、
民主主義
と市場
経済
を貫いていこう、目の前に内政、外交ともにたくさんの問題を抱えておるわけでありますから、現実的、具体的な
政策
をお願いをしておる自由民主党に引き続き
政権
を担当させてくださるか、あるいは連合
政権
構想をいろいろ言っていられる
野党
連合に
政権
をお任せなさるのか、この御
選択
を
国民
の皆さんに私は率直に訴えたわけでございます。御理解をいただきたいと思います。 また、日米構造問題
協議
のことにつきましては、私は、日米問題というのは現下の
世界
情勢の中でも最も重要な
課題
の
一つ
であると認識をいたしております。
日本
の外交の基軸は日米でありますから、ここにおいて、
経済
問題その他においてこれがよくない
関係
にどんどんいく
ことば
、これは阻止しなければなりません。抱える構造問題の
改革
に向けても今鋭意
検討
しておるところでありますが、日米間においては、きょうまでいろいろな問題を実務者レベルで議論を続けてきておりますけれども、
アメリカ
国内にいら立ちがあったり、
アメリカ
の議会にいろいろな動きが出てきておって、
経済
問題のそういう点だけが妙に
拡大
されていくことはこれはよくないことだと
考え
ましたので、
国会
のお許しを得て私は
首脳会談
に行き、率直にこの問題の重要性について話し合いをいたしました。 これは、申し上げれば、前川レポートというものを
中心
に数年前から
我が国
の
経済
構造の自主的な調整作業が行われて、内需を
拡大
すること、輸入をふやすことによって
国際社会
の中における
日本
の
責任
と
立場
を守っていこうという努力がきょうまで続いてきておったわけであります。
国民
生活
の質の向上や
消費者
重視の観点からも、この構造
改善
はできるだけ努力をしていかなければならない
我が国
のための
政策
でもございました。私は、この努力を今後とも一層続けることによって、
国際社会
における
日本
の
立場
、同時に、
日本
と
アメリカ
との間にあるこの構造問題
協議
の
解決
に向けて前進をしていかなければならぬと
考え
ておりますので、どうぞ皆様方の御理解をお願いしたいわけでございます。 また、日米構造問題に関しましては、
国民
生活
の質の向上からできるだけの努力を行うのですけれども、
市民レベル
においても広く議論等が行われることは、私も、先生の御指摘と同じように、極めて有意義なことであると
考え
ております。 また、
系列関係
が参入障害となってはいないかという御
質問
もございましたが、今、
日本
の
企業
の実情や
系列関係
の問題、その他品質を高品質、高精度に保っていかなければならぬという問題などたくさんあると思います。私は、それらの問題につきましても率直に
関係
者とお話をしながら、ただ、系列
企業
間の取引を優先することに伴って
独占禁止法
上問題となるような行為があるとすれば、
公正取引委員会
において厳正に対処されるべきものと
考え
ております。 また、
生活
のゆとりと質を
確保
するという観点から、
社会資本整備
の
中長期展望
を早急に提示すべきではないかと御指摘がございました。 豊かさを実感できる
国民
生活
を実現するためには、いろいろな問題がありますが、
社会資本整備
の基本的な方向を
公共
事業
関係
の長期計画の策定というところに持っていこうというお
考え
は、きょうまでも十五本にわたる中長期の計画をつくって努力をし、そのうち八本はほぼ一〇〇%を超える達成率を今日も達しておるのですけれども、依然として諸外国と比べて
社会
資本の見劣りはするわけでありますから、
国民
生活
のためにでき得る限りの充実を図っていかなければならぬと
考え
ております。 また、
土地
保有の
実態
を把握しろ、
土地所有
者
状況
、
遊休地
の所有者別
状況
を把握しそれを
公開
しろとの御指摘でございます。
土地
に関する施策を実施するに当たっては、
土地利用
のデータを体系的に把握、管理することが不可欠でございます。こうした観点から、今後とも、
土地
の所有及び
利用状況
、地価の動向、
土地
に関する基礎的な情報の総合的な
整備
に努めてまいりたいと
考え
ております。
住宅保障法
についてお触れになりましたが、
社会党
が
国会
に提出されたことのあることは私も承知させていただいておりますが、
住宅
に関する基本的な
考え
方を示す法律として、
住宅
政策
の目標、国の責務、
住宅
費
負担
の取り扱い問題等に関して、
国民
及び各政党の間のコンセンサスがいまだ形成されておらないと
考え
ております。
政府
としては、
国民
の居住
水準
向上のため、
住宅
建設
計画法に基づき
住宅
建設
五箇年計画を作成し、その達成に努力をし、あわせて、緊急に
大都市
地域での
住宅
供給
を引き続き促進していく
考え
でございます。 また、
住宅
政策
の基本は、
国民
のニーズにこたえて居住
水準
の向上を図っていくことにあると
考え
ております。したがって、今後とも公庫融資等の持ち家対策と
公共賃貸
住宅
などの借家対策とをバランスよく展開していくのが必要であると
考え
ております。 また、
福祉
予算と
国民負担
についてお触れになりましたが、これまでの財政
改革
の過程においても、
国民
生活
の安定と向上を図るため、
社会保障
関係
予算については特別の配慮を行ってきたところでございます。
国民負担率
の上昇は、
福祉
の充実に伴う
社会保障
給付費の増額と過去の国債の大量発行に起因する公債費の増が主なる原因と
考え
ております。今後の財政運営の基本的方向としては、本格的
高齢化
社会
の到来における
国民負担率
の
水準
の上昇を極力抑制することが必要であり、そのために、当面、国債残高の累増を抑制することが大切だと
考え
ております。 また、
土地
を
自治体
に売却した場合の
譲渡所得税
の免除についてお触れになりましたが、
土地
を譲渡した場合には、収用等の場合の五千万円特別控除や、公有地
拡大
法の買い取り手続により地方団体等に買い取られる場合の千五百万円特別控除が適用されますほか、その
土地
の所有
期間
が五年を超える場合には一律二〇%の軽減課税が行われるなど、最大限の配慮を行っているところでございます。 また、
自治体
施設
の合築についても、各地方
公共
団体において現在各種
公共
福祉
施設
の複合化に意を用いているところと承知いたしております。今後とも、住民の
福祉
の向上を図りつつ、各地方
公共
団体における用地の一層の有効活用を期待いたします。 省庁の
出先機関
の
合築化
についても、
さき
の地方の
考え
方と等しく、国の
出先機関
の省庁の
合同庁舎化
については積極的に推進し、その際、地方
公共
団体の
施設
との合築についても必要に応じて対処をしていかなければならないと
考え
ております。
国鉄
清算事業団
職員
についてもお触れになりました。
政府
は、全力を挙げて再就職
確保
に努力してきたところでございます。しかし、いまだ千六百名の就職先未定の
職員
が残っておりますが、残された一カ月の
期間
も、全力を挙げて再
就職希望者
の再就職促進に取り組むよう清算事業団を指導してまいりたいと
考え
ております。残っている再就職先未定の
職員
も、再就職先を見つけることができますよう真剣に最大の努力を払われることをお願いするとともに、
地方労働委員会
からJR各社に対し
不当労働行為
の
救済命令
が出されていることは承知いたしております。これらの事案については、中央労働
委員
会等において当事者間においてなお係争中でございますので、
政府
としてはコメントを差し控えさせていただこうと思います。 最後に、
国会
運営についてお触れになりました。
国会
で
議員
が
討論
をするようにすることを
考え
るとの御提言でございます。これは、
議長
さん初め各党の皆さん方がお話し合いによって御決定いただく問題とは存じますけれども、
政府
といたしましても、まことにいい姿でありますから、ぜひそのような御提言が実りますように心からお願いをいたしますとともに、両院の
ねじれ現象
についてもお触れになりましたが、確かに、衆議院はこの間の
選挙
の結果安定過半数を賜っておりますけれども、参議院は与
野党
が逆転であります。だからといって、衆議院で通る法律が参議院に行っては絶対に通らないよということを初めから決めてしまったのでは、議会
政治
というものは一体何のためにあるかということは最大の問題点でありますから、前半の
委員
の御指摘のように、与
野党
の
議員
が十分御調論をいただくこと、ここを大きく期待をさせていただく次第でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
佐藤守良君
登壇
〕
佐藤守良
5
○
国務大臣
(佐藤守良君)
お答え
いたします。 私に対する
質問
は二つあったと思いますが、その
一つ
は、
土地
の
有効利用
を徹底させるため
個人
、
法人
を問わず
遊休地
の
所有者別一覧
を作成し
公開
すべきではないかという御提言でございますが、
遊休地
の所有者別
状況
の把握、
公開
についての御指摘がありましたが、
大都市
地域における低未
利用
地の有効高度
利用
は、
土地
対策上重要な
課題
でございます。こうした観点から、低未
利用
地の
実態把握
とその
利用
を促進する
制度
の
整備
が必要であると認識しております。 二つ目は、
土地
の
公的評価
の
一元化
を今年度中に着手する
考え
があるかどうかということでございますが、公的
土地
評価制度
については、先生御高承のとおり四つございまして、地価公示及び都道府県地価調査、相続税評価、固定資産税評価がございます。これらについては、それぞれ
制度
の目的に応じた評価がなされており、
一元化
する
ことば
容易ではございません。 しかしながら、公的
土地
評価に対する
国民
の信頼を高めることが重要であることにかんがみまして、昭和六十三年六月に閣議決定した総合
土地
対策要綱において、相続税評価、固定資産税評価について、その性格を考慮し、地価公示との
関係
に十分配慮しつつ、その均衡化、適正化を推進することとしております。 また、昨年成立しました
土地基本法
において、公的
土地
評価について相互の均衡と適正化に努めるものとされており、
さき
の
土地
対策
関係
閣僚
会議
においても、公的
土地
評価の適正化を行うことを申し合わせたところでございます。今後とも、
関係
省庁におきましては、その推進が図られるべきであると
考え
ております。(
拍手
) 〔
国務大臣
北川石松君
登壇
〕
北川石松
6
○
国務大臣
(北川石松君) 新村
議員
の御
質問
に
お答え
申し上げます。
環境破壊
の影響を
経済
指標に組み込み、そうして
検討
を開始する
OECD
の
要請
に積極的にこたえるかどうか、また、人間と自然が共存共栄する可能についての
経済成長
をはかる尺度をどうするか、この御
質問
について
お答え
申し上げたいと思います。 人類はもとより生きとし生きる万物がその生存の基盤であるところの
地球環境
を
保全
するには、持続可能な
開発
を実現することが
世界
の共通
課題
となっておることは御指摘のとおりであります。そのためには、
環境
と
経済
を統合した指標をつくることが効果的であると思います。また、このような観点に立ちまして、昨年のアルシュ・サミットが
OECD
に対しまして新たな
環境
指標の
開発
のための
検討
を求めたのは、御承知のとおりでございます。これはまた時宜を得たものであると
考え
る次第でございます。 これを受けまして
OECD
で行われている
環境
指標の
検討
のため、
環境
庁といたしましては、専門家の派遣等によりましてこれに大きく
協力
する
ことば
もちろんであり、今後とも、人間と自然が共存共栄することについて、積極的にこれに参画し、貢献してまいり、私は中和の心を持って精励してまいりたいと思います。(
拍手
) 次に、
アースデー
について御
質問
でございますが、
地球環境保全
のためには、
地球
的視野に立って
考え
、足元から
行動
するとの理念を持って、国はもとより、地方も
国民
も
企業
も挙げて
地球環境
への負荷を少なくするための努力と
行動
をしていきたい。 このような
趣旨
から、国連では、六月五日を
世界
環境
の日としまして、
世界
各国におけるところの啓発運動に参加いたしております。
政府
といたしましても、
世界
環境
の日が、これは
我が国
の提唱に基づきつくられたものでありまして、この経緯にかんがみまして、例年六月五日は
環境
週間として、
環境
保全
のための
啓発活動
を実施いたしております。本年もまた、
環境
週間を
中心
として普及啓発の
強化
を図ってまいりたい、このように思っております。 一方、御
質問
の
米国
の民間団体が
中心
となりまして四月二十二日に
アースデー
を行われますが、民間団体等がそれぞれの
立場
から
環境
保全
に取り組むことには大きな意義がございますし、
環境
庁といたしましては、
アースデー
の行事につきまして、申し出があれば個別に
検討
し、適切に対処してまいりたい。特に、
地球環境
は大事な問題でございますから、本院はもとより
国民
の御理解の上に立って、本庁もまた精励恪勤いたします。 ありがとうございました。(
拍手
) 〔
国務大臣
津島雄二君
登壇
〕
津島雄二
7
○
国務大臣
(津島雄二君) 新村
議員
の
質問
の第一点は、年金の支給開始年齢の繰り延べの問題について今後どうするかということでございました。 老後の所得保障の柱として、年金
制度
の
確立
は
政治
上の最大の
課題
でございます。しかしながら、
高齢化
の急速な進展の中で
現行制度
を維持することもまたなかなか容易でない
ことば
、御承知のとおりでございます。こうした中で、現行の年金給付
水準
を維持しながら後代の
負担
を過大なものにならないようにするためには、厚生年金の支給開始年齢の引き上げは避けて通れない
選択
肢であると
考え
ております。今後、高齢者雇用の
確保
を図りつつ、前
国会
で設けられた支給開始年齢見直し規定の
趣旨
を踏まえ、総合的に
検討
してまいる所存であります。いずれにせよ、この問題については、受益と
負担
に関する
国民
的合意を形成するよう努めてまいりたいと
考え
ております。 新村
議員
の
質問
の第二点でございますが、
老人医療
の
自己負担増
は今後どうするのかという点でございました。 老人保健
制度
について、
平成
二年度において
制度
の基盤安定化を図るための措置を講じることとしておりますが、老人保健
制度
の
あり方
については、自己
負担
を含め、費用
負担
等についても引き続き
検討
を行い、適切に対処してまいりたいと
考え
ております。 新村
議員
の
質問
の第三点は、
在宅
の重
介護
の
対象者
が必要に応じて毎日でも公的な
介護サービス
を
利用
できるようにすべきであるがどうかということでございます。
社会党
の重
介護
保障
政策
大綱においては、ホームヘルパーが毎日
在宅
の要重
介護
者を訪問することとされていることはよく承知をいたしております。私どものゴールドプラン、すなわち「
高齢者保健福祉推進
十か年戦略」においては、ホームヘルパーの訪問とともに、ショートステイ、デイサービス等の各種
在宅
福祉
サービスを思い切って
拡充
することとしており、必要に応じてこれらのサービスを総合的に活用することによりお年寄りやその家族を支援していくことが適切であると
考え
ております。同時に、家庭での
介護
が困難な方々については、特別養護老人ホームや老人保健
施設
を大幅に
整備
していく
方針
であります。 今後、
政府
としては、ゴールドプランの目標の着実な実現に向けて全力を挙げていく決意でございます。(
拍手
) ─────────────
櫻内義雄
8
○
議長
(
櫻内義雄
君) 不破哲三君。 〔
議長
退席、副
議長
着席〕 〔不破哲三君
登壇
〕
不破哲三
9
○不破哲三君 私は、
日本
共産党を代表して、内外
政策
の諸問題について、海部首相に
質問
いたします。 首相は、
施政方針
演説
の中で、今
世界
は歴史的変化のさなかにあるとして、新しい平和共存の
世界
の構築とか冷戦の克服の歩みなどについてしきりに語りました。しかし、その
世界
にあって
日本
が何をするかということになると、
政府
演説
で強調されたのは、これまでどおりの力の
政策
であり、日米安保
体制
の堅持、節度ある軍備
拡大
など、従来の冷戦型の
政策
の繰り返しだけでした。そこでは、今日、
世界
平和の焦点となっている軍事同盟の解体はおろか、軍縮の問題さえほとんど無視されているのであります。これは、日米軍事同盟にすべてをかけてきた
自民党政治
の古い枠組みでは、
世界
の現在の大きな流れにもはや
対応
できなくなっていることの告白ではないでしょうか。 まず
伺い
たいのは、軍事同盟の解体という
世界
的な
課題
をどう
考え
るかという問題です。 四十五年前に国際連合が創設されたとき、二つの
世界
大戦の痛苦の教訓からの最大の問題とされたのは、相対抗する軍事同盟の存在を認めない
世界
秩序をつくることでした。この教訓に逆らって、冷戦の中で、国連憲章からいえばいわば脱法的に生み出されたのが、核兵器で対抗し合う軍事同盟という現在の
体制
だったのです。 今日、
世界
の安定した平和を目指そうとするならば、
世界
のすべての軍事同盟の解体、外国軍隊の撤退の問題を避けて通ることはできません。東ヨーロッパでの激動による積極的な変化の
一つ
も、チェコその他でソ連軍の撤退やその
協議
が具体的に始まったことにありました。 海部首相は冷戦の克服を歓迎すると言いますが、
日本政府
として、軍事同盟のない
世界
を目指して努力する
意思
があるかどうか、明確な
答弁
を求めるものであります。 アジア・太平洋地域について言えば、日米安保
体制
は、この地域での冷戦
体制
のかなめをなすものです。首相は、日米軍事同盟が
世界
平和と矛盾しないことを示そうとして、専守防衛、非核三原則などの制約を強調しました。一体、首相は、日米安保
体制
がベトナム戦争や中東紛争で果たしてきた役割を、在日米軍の活動を含めて、専守防衛の範囲内のものだと本気で
考え
ているのでしょうか。また、六〇年の安保改定以来のこの三十年間、寄港などのいわゆる一時通過を含めて、
日本
に
アメリカ
の核兵器が持ち込まれた
ことば
一度もないと
責任
を持って保障できるのでしょうか。 日米安保
体制
が、
日本
をこの地域における
アメリカ
の核戦争の第一線基地にするとともに、自衛隊の自動参戦をも予定した攻撃的かつ侵略的な軍事同盟であることは、事実が示すことです。この軍事同盟を
強化
する
政策
を現実には進めながら、
他方
で冷戦の克服や平和共存の
世界
の構築を云々しても、それは偽善のそしりを免れ得ないでしょう。(
拍手
) 首相
演説
は、また、核兵器廃絶の
課題
についても、もっと一般的に言えば核軍縮の
課題
についても、ついに一言も言及しませんでした。今日、核兵器の廃絶を目指す核軍縮の
課題
は、国際
政治
の
中心
問題となっています。そのときに、核軍縮について語るべきものを何
一つ
持たないのだとしたら、被爆国
日本
の
政府
としての資格を疑わざるを得ません。改めて、核戦争阻止、核兵器廃絶の
課題
に対する
見解
と態度を問うものであります。 なお、昨日の
答弁
で
総理
が唱えた核の均衡と抑止の
立場
なるものについては、これは既に八〇年代冒頭の国連報告でも、今存在する最も危険な集団的誤謬として退けられた議論であることを指摘しておきたいと思うのであります。 日米軍事同盟の問題で特に重視すべきことは、
アメリカ
からの軍備
拡大要求
が
国民
生活
を圧迫する最大の重荷の
一つ
となっていることであります。一般
消費税
をあきらめた大平首相が、
アメリカ
の雑誌でのインタビューで、
米国
の軍備
拡大要求
をそのまま受け入れれば、
国民
生活
に
関連
する予算の削減と増税とが避けられなくなる、こう答えたのはちょうど十年前のことでした。ところが、この十年間の
自民党政治
は、そこで懸念されたとおりの道を歩いてきたではありませんか。十年前に軍事費で
世界
第八位だった
日本
は、今や
アメリカ
、ソ連に次ぐ
世界
第三の軍事大国となりました。そして、その
負担
は、まず
福祉
や教育の予算の切り捨てとして、次いで売上税、
消費税
という増税計画として、
国民
生活
に転嫁されてきたのであります。 この軍備
拡大
が
アメリカ
の
要求
と計画を受け入れたものであることは、
米国
政府
が議会に公式に報告しているところです。しかも、
アメリカ
の
要求
はとどまるところを知らず、昨年十二月には、一九九二年までに
日本
の軍事費と戦略援助予算をGNPの三%にまで
拡大
することを
米国
政府
に義務づける法律まで制定されました。
総理
、あなたは
アメリカ
のこういう態度を
内政干渉
だとは
考え
ませんか。
日本
の軍事費をどうするかは、
日本
の主権に属する問題です。
日本
があなた方の言うように主権国家であるならば、こうした干渉的な軍備
拡大
の
要求
はきっぱりと拒否すべきであります。そして、
日本
が率先して軍縮に転換することで
世界
の平和に貢献する道を選ぶべきであります。日米安保
体制
のもとではこうした干渉は当然だというのならば、
日本国民
の主権と安全のために、日米安保
体制
という枠組みそのものの是非を今こそ根本から再
検討
すべきではありませんか。(
拍手
) 今回の日米
首脳会談
は、その経過も内容も、日米軍事同盟のもとでの日米
関係
の異常な
実態
をあからさまに示したものでした。率直に言って、この会談に至る経過は、首相が
アメリカ
大統領の電話一本で呼びつけられたといった印象を
国民
に与えました。総
選挙
直後の
国会
の開会中、
国会
での代表
質問
も受けないままで
アメリカ
との
首脳会談
を緊急に行うという理由は、一体どこにあったのですか。そのこと自体が、
米国
政府
を
日本
の
国民
と
国会
の上に置く対米追従の態度であります。 この会談で、在日米軍の経費を含む
日本
の軍事費や戦略援助の
拡大
の問題について、どのような
協議
とどのような約束がなされたのですか。また、いわゆる
構造協議
問題で、
アメリカ側
からは何を
要求
され、何を首相は約束してきたのですか。この緊急
首脳会談
が、具体問題での何の取り決めもない、
協議
もない、一般的な意見交換にとどまったなどという説明は、通用するものではありません。これまでも、日米会談での重大な取り決めが、
日本
の国内ではひた隠しにされ、後で
米国
政府
の報告などで明らかになるといったことは、しばしばありました。今回の会談でいかなる対米公約を行ってきたのかについて、首相には
国民
の前で明らかにすべき厳粛な義務と
責任
があるはずであります。 次に進みましょう。 首相は、
世界
の歴史的変化の第一に、ソ連・東欧での変化を挙げました。東欧で
国民
が見放したのは、スターリン流、ブレジネフ流の
政治
、
経済
の
体制
であって、ここに
社会主義
そのものの失敗を見るのは見当違いであります。我々は、東欧諸国で、それぞれの
国民
が、自主独立と
民主主義
の
立場
に立って、今日の激動の中からよりよい
社会主義
への道の探求に成功することを希望するものであります。 もともと科学的な
社会主義
の運動と理論の根本は、
社会
の現実と法則を正しく見て、当面する
国民
の苦難にこたえるとともに、よりよい
社会
を目指すところにあります。その意味で、当面
日本
共産党が目指しているのは、
資本主義
の枠内での民主的な
改革
の実現であります。そして、情勢が求め、
国民
の賛成があるならば、究極的には搾取
制度
を卒業して、より高度な
社会
に前進しようというものであります。 人類が
国民
主権の原則を初め自由と
民主主義
をかち取ったのは
資本主義
の時代においてですが、その民主的な前進に最も貢献したのは、
資本主義
の支配勢力ではなく、
社会主義
運動を重要な柱とする人民の運動でした。
日本
でも、専制
政治
が支配した戦前の暗黒時代に、
国民
が主人公という民主
政治
の旗を
国民
の先頭に立って掲げたのは、政党では、科学的
社会主義
の党である
日本
共産党でした。そのときあなた方
自民党
の先輩たちは、自由と
民主主義
に対する弾圧者の側に立っていたではありませんか。これが歴史の真実であります。自由と
民主主義
の価値を力説する
総理
がこの歴史をどう反省しているか、
伺い
たいのであります。(
拍手
)
日本
共産党は、戦前から
国民
が主人公の民主
政治
の
立場
を貫いてきた政党として、
日本
の将来について、どのような段階においても、複数政党制や
選挙
による
政権
交代制を含む議会制
民主主義
の充実
拡大
の道を進むべきだということを早くから展望してきました。私たちは、この
立場
から、東欧諸国での民主化のうねりを、その変革の途上ではさまざまな試行錯誤があるとしても、全体としては、
社会主義
の本領を発揮する方向での新しい前進の過程として歓迎するものであります。
日本
でも、長期にわたる
自民党
一党
政権
の終結、
政権
交代への要望は、今回の
選挙
の争点の
一つ
でした。
自民党政府
としては当然今の
政治
がいつまでも続くことを望むでしょうが、私がここで
総理
に聞きたいのは、
国民
主権の
立場
から
政権
交代をどう
考え
るかという原理の問題、基本問題についてであります。 現在、
自民党
を含む
日本
の政界の一部には、
世界
観や価値観、さらに安保、外交
政策
の一致を
政権
交代の前提として
野党
に求める議論があります。これは、
政治
を
選択
する
国民
の権利に制限を加えて、特定の
政権
体制
の永続化を押しつける議論であり、
国民
主権の原則とも、思想信条の自由の原則とも矛盾するものとは
考え
ませんか。民主
政治
の原理にかかわる問題として、
総理
の
見解
を問うものであります。 今の
日本
で国政の争点となっているのは、
資本主義
か
社会主義
かの
選択
ではありません。
日本
では、他の
資本主義
諸国と比べても、
国民
にとっての
民主主義
の不足が際立っており、私たちは
資本主義
の枠内での
民主主義
の徹底こそが現在の
日本
の
政治
の
中心
問題だと
考え
ています。 首相も、
演説
の中で、
日本
の
社会
が当面している幾つかの問題点を挙げました。しかし、それらは、
我が国
社会
が大きな変動期を迎えたからだとして済ませられる問題ではありません。
日本
は、
政府
が
世界
のGNPの一四%を占めると誇る
世界
第二の
経済
力を持っています。にもかかわらず、首相
自身
「
国民
一人一人に豊かさの実感が乏しい」と言わざるを得ないのは、この
経済
力が、長い
自民党政治
のもとで、軍備
拡大
や米軍基地、大
企業
の利益を最優先に使われ、主人公である
国民
のために使われていないからであります。 実際、
国民
生活
の上には、
世界
に例を見ないようなひどい
実態
が無数にあります。 まず、
社会
福祉
の問題ですが、その国際的な立ちおくれは重大です。特に、
世界
で老人問題が共通の大きな問題となっているとき、
自民党政府
がとってきた
福祉
切り捨ての
政策
は、今日極めて深刻な問題を全国に引き起こしています。老人保健法で実施し始めた年齢による医療差別の
制度
が、
世界
に例のないものであることは、
さき
の
国会
で
政府
自身
も認めましたが、全国のお年寄りと御家族に大変な苦痛をもたらしています。また、一九八一年の厚生省通達による
生活
保護の極端な受給制限が、多くの老人世帯に無数の悲劇をもたらしたことはよく知られています。こうした施策を早急に再
検討
し、その是正を図る
考え
はありませんか。
貿易摩擦
を引き起こしている大
企業
の異常な輸出
競争力
の根底に、労働者の長時間過密労働や
下請
締めつけの
体制
があることは、隠れもない事実であります。
日本
の労働者の実質労働時間は年間二千百六十八時間で、西ドイツより四カ月分も長い。しかも、大
企業
では、職場に憲法なしが常識となるほど、人権をも抑圧した超過密労働の押しつけや家庭崩壊の危険をはらむ単身赴任の強要が天下御免で横行しています。 その結果、高度な技術を持った大
企業
でも、労働災害や在職中の死亡者を含む死亡者が続出しており、「ジャパニーズ・カローシ」が
世界
語となるに至りました。
東京
のある生命保険会社のアンケート調査では、
サラリーマン
の二人に一人が、過労死の可能性があると答えたという驚くべき結果が出ています。 こうした事態は
世界
に全く例がないものです。大
企業
の利益は
日本
の利益だとしてその横暴を野放しにしてきた
自民党政治
も、その
責任
を免れることはできません。
国民
の生命と健康を守る
立場
から、労働時間の短縮を初め、こうした事態の抜本的な
解決
のために必要な手段をとろうという
考え
はありませんか、
伺い
たいのであります。 首相は、
演説
で、
土地
住宅
問題を取り上げました。実際、特にこの十年来の
土地
の高騰はまさに狂乱の名に値するもので、計算によれば、一九八七年末の
水準
でも、
日本
の
土地
の総価格で
アメリカ
全土を四回買うことができ、
東京
二十三区の
土地
価格だけでも、
アメリカ
全土を買ってなお三十兆円のおつりがくるという
状況
です。
大都市
は既に勤労者の住めるところではなくなりました。 問題は、
土地
価格のこの
暴騰
が自然現象ではないということです。そして、その
責任
の第一は、民活の名で大
企業
の
土地
買い占めを促進してきた
自民党政治
にこそあります。(
拍手
)そのことへの反省と、大
企業
の
土地
投機の取り締まりなど、
土地政策
を根本的に転換させる決意なしには、
土地
住宅
問題の
解決
を
責任
を持って語ることはできないはずですが、
総理
の認識のほどを
伺い
たいのであります。 農政について言えば、首相は、
演説
の中で、
国民
の食糧のカロリー自給率を問題にしました。現在、
日本
の自給率は四九%、文字どおり
世界
でも最低
水準
のところまで低落しています。自給率のこれ以上の低下を許さず、早急にその向上を図ることは、
日本
の
経済
的自立にとっても、
国民
の食品の完全
確保
にとっても、急務であります。そのためには、主食である米の市場開放、輸入自由化を認めないことがまず不可欠です。首相は、日米
首脳会談
で、ウルグアイ・ラウンドでの日米の緊密な
協力
をうたいましたが、米の輸入自由化は認めない態度を貫く決意をお持ちかどうか、はっきりした
答弁
を求めるものであります。 また、首相は、自給率の五割への回復を努力目標として掲げました。五割とは、一%の回復ということであり、
日本
の置かれている危機的な事態からすれば、余りにも志の小さい目標であります。
日本
共産党は、今後十年間に自給率を六割台に回復するという
政策
目標を掲げ、そのために必要な農業再建策を提唱しています。この点では、サミット参加国でも、西ドイツは十五年間に自給率を二七%、イギリスは二九%向上させた実績を持っています。首相に本気で
日本
の食糧問題を重視し、農業の再建を図る熱意があるならば、一%の向上といったものではなく、真剣な
検討
に値する
政策
目標を提示すべきではありませんか。 以上、幾つかの問題について述べました。これらはすべて
資本主義
世界
でも例外的な異常な
状況
に
日本
が落ち込んでいることを示すものであって、
世界
第二の
経済
力を
国民
本位の
立場
で活用するならば、一定の
政策
と手順のもとに
解決
できる
ことば
かりであります。 ところが、
政府
が今実行しているのは、全く反対のことです。
選挙
戦の最大の争点の
一つ
となった
消費税
は、そのことを典型的に示したものでした。ただでさえ
自民党
の悪政に苦しめられている
国民
の肩に、軍備
拡大
や大
企業
中心
の
政治
のための財源づくりとして、大型間接税を三たびにわたる
国民
の審判に反して押しつけるなどは、悪政の上に悪政を重ねるものであって、絶対に許されることではありません。 しかも、見過ごすわけにいかないのは、
政府
が、将来の税率引き上げを予定しながら、その見通しについて全く口を閉ざしていることです。首相は、
消費税
を「二十一世紀を支えるため必要なもの」だと特徴づけました。そうであるならば、一内閣として将来のことに
責任
を負えないといったこれまでの逃げ口上は持ち出せないはずです。
自民党
の
政府
として、
消費税
の税率について、二十一世紀を支えるいかなる計画を持っているのかを
国民
の前に明言すべきです。それを隠したまま、見直しでの定着を図ろうというのは、
主権者
である
国民
を欺瞞するものではありませんか。 しかも、
選挙
戦で
自民党
が公約とした見直しは、現状では、衆参両院を通って成立する見通しのないものです。
日本
共産党は、
消費税
を
廃止
すると同時に、九〇年度予算を
消費税
抜きの予算に組み直して改めて
国会
に提出することが、昨年来の
国民
の審判にこたえる道であることを強く主張するものであります。(
拍手
) 指摘しなければならないのは、今日のゆがんだ
政治
を生み出しているのが、大
企業
の金で動かされる
金権政治
だということです。
総理
は、自分の
政治姿勢
の
一つ
に「信頼の
政治
」を挙げましたが、この
言葉
ほど空虚に響いたものはなかったでしょう。
リクルート事件
の本質は、
企業
がわいろ株や
政治献金
によって国の
政治
と
行政
をその
企業
の利益のために動かしたというところにありました。
リクルート事件
への反省の
言葉
に何がしかの真剣な思いが含まれているというのなら、
企業
、
団体献金
の禁止に今こそ踏み切るべきであります。
企業
が
社会
的存在だからという弁護論は成り立ちません。
アメリカ
でも、
企業
は
社会
的存在です。しかし、
アメリカ
では、金権腐敗を取り除くために、既に八十年以上も前に
企業献金
の禁止に踏み切っているではありませんか。
金権政治
のこの根を温存したまま、
政治改革
の名のもとに、
自民党
の年来の野望である小
選挙
区制や政党法の導入を図るに至っては、
国民
を愚弄するも甚だしいと言わなければなりません。また、
選挙
の洗礼を受けたからといって、リクルート、
金権政治
を反省しない、無反省な態度を続けることは、「信頼の
政治
」どころか、
国民
の
政治
不信、
自民党政治
への批判と不信を
拡大
するだけだと言わなければなりません。
日本
共産党は、リクルート疑惑の徹底究明をこの
国会
の重要な任務として追及し続けるものです。 以上、
金権政治
の打破、根絶にかかわる一連の問題について、
総理
の
見解
をただすものであります。
世界
の激動は、東西の別なく、
国民
が主人公という民主
政治
の大道こそが天下の公理であることを示しています。
日本
共産党は、
国民
こそ主人公と胸を張って言える
日本
の実現のために全力を尽くすことを最後に申し述べて、
質問
を終わるものであります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣海部俊樹
君
登壇
〕
海部俊樹
10
○
内閣総理大臣
(
海部俊樹
君)
お答え
いたします。 冷戦の克服と平和共存の
世界
の構築を私は本当に願っております。究極の目的は、戦争という
言葉
を使わなくてもいいような平和共存の
世界
でございます。ただ、きょう現在は、まだ不安定性や不透明性がたくさんあり、現実的には力が
世界
の均衡を保っておるという一面もあり、また、軍事同盟の
あり方
一つ
をとらえても、民族の悲願として統一するドイツの統一問題をとらえても、統一ドイツがNATOにとどまるかどうかということが大きな議論になっておるという現実を見ましても、私は、最終的な目標を目指して努力を続けるにはかなりの時間がかかるのではないかと思っておりますので、それまでの間は、現実的に
我が国
の平和と安全を
責任
を持って
確保
しておらなければならないと
考え
るものであります。したがいまして、
我が国
は、憲法に述べられておるとおり、専守防衛という基本的な防衛
政策
のもとで、節度ある防衛力の
整備
を努めてきておるところでございます。 核の問題についても、
アメリカ
が事前
協議
を行う
ことば
、安保条約及びその
関連
取り決めに基づく条約上の義務として明記し、定めておるものであり、
米国
政府
は、従来より、核持ち込み問題に対する
我が国
の
立場
及び
日本国民
の関心を十二分に理解しており、安保条約及びその
関連
取り決めに基づく
我が国
に対する義務を誠実に履行してきており、今後とも引き続き履行する旨確認をしておるところでございます。 もとより、核兵器が使われるようなことがあってはいけない、このためにあらゆる実効的措置が講ぜられるべきである、そのとおりでありまして、
我が国
としては、今後とも、核兵器の究極的廃絶のために、ジュネーブ軍縮
会議
、国連等においてこのような努力を継続していく
考え
でおります。 また、この十年間の軍事予算は
アメリカ
の
要求
に基づくものだ、GNPの三%に
拡大
させるような交渉を
アメリカ
に義務づけさせる法律までできておるではないかとおっしゃいましたが、
米国
の議会でいろいろな動きのある
ことば
承知しておりますが、GNPの三%などということを義務づけられるようなことは全くありませんし、
我が国
の防衛努力は、憲法及び基本的な防衛
政策
に従って、自主的に、平和時における必要な防衛力の
整備
というところで行ってまいっておる次第でございます。 また、
我が国
の防衛力の
整備
はあくまで自主的な
判断
であり、「防衛計画の大綱」というのは平和時におけるものであって、あらゆる防衛力の
整備
に努めるとともに、今後、
世界
の軍備管理・軍縮のためには引き続いて努力を続けていく所存であります。 干渉的な軍拡
要求
を当然のこととして生み出安保
体制
の是非とおっしゃいますが、当然のこととして生み出すのではなくて、安全を
確保
すると同時に、安保条約は
経済
的な問題や
福祉
条件の向上といったような幅広い両国の
国民
生活
安定的な面に関する問題等もきめ細かに決めた条約であり、また、必然的に軍拡を持ち出す文字は安保条約のどこを見てもないわけであり、しかも、東西
関係
が進展し、
世界
の対立が新しい方向に動いておるということは、不破
委員
長
自身
もここでお認めになった問題でありますから、どうぞそのようにお
考え
をいただきたいと思うのであります。 また、
国会
の代表
質問
を受けないまま
アメリカ
へなぜ
首脳会談
に行ったかというお説でありますけれども、私は、今日の
世界
の情勢というものは、欧州の激変を見るまでもなく、物すごい劇的な大きな変化が続いております。特に、
日本
と
アメリカ
は、
世界
の
経済
において、貿易面においてもGNPにおいても大きな部分を占めており、激変する
世界
に対して協調して
協力
をしていかなければならない問題がたくさんあり、新しい
世界
の戦後の枠組みを築くためにテーマを決めないで率直に話し合いたいという申し入れは、この一月早々に前通産
大臣
の帰国時にも、また十九日の
選挙
終了の翌日にも、
アメリカ側
から連絡もあり、また、過日、大統領がマルタ会談に臨む前に、
日本
の意見も聞いてからソ連との
首脳会談
に臨みたいと言われて、私も意見を述べたことがございます。 そのような中で、時間の許す限り早い
機会
に会って、
世界
的な
規模
の問題で新しい
世界
の枠組みづくりについて話し合いをしたい、日米の二国間の問題についても高い次元に立って議論をしたいという
要請
があれば、私は日米
関係
を大切に
考え
ておりますので、
国会
のお許しをいただき、ぎりぎりの時間において
首脳会談
を持つことができましたので、この重要性をかんがみ、
日本
の
国際社会
に貢献すべき
責任
と
立場
を
考え
て行ってきたわけでありますから、御理解をいただきたいと思います。 また、日米
首脳会談
について、
アメリカ側
と個別の問題については何も取り決めをいたしたことはございません。従来の実務者
協議
の努力、それを見て
日本
から
アメリカ
に出しておる七つの
要求
項目、
アメリカ
から
日本
に来ておる六つの
要求
項目を、
日本側
は
国民
生活
の質の向上、
消費者
重視の面から、
アメリカ側
はみずからの財政赤字削減の、あるいは貯蓄増大の、あるいは投資促進の努力の面から取り組んでいくということがいかに重要であるかということについて理解の一致をし、双方の努力を確認してきた次第であります。 また、戦前、自由と
民主主義
の歴史に対する
見解
において、我々自由民主党の先輩方は全部弾圧者の側に回っておったとおっしゃいましたが、私の知る限りにおいても、自由と
民主主義
のために努力をなさった先輩方がいられることはよく承知しておりますし、また、共産党自体についても、お尋ねしたいことは、じゃ、昭和七年の三二年テーゼは天皇制を打倒をして一党独裁
方針
の革命をやろうというようなにおいのするものでありますけれども、これは自由と
民主主義
についてこの三二年テーゼはどうなるか、我々にとっては極めて疑問に思わざるを得ない歴史の
一つ
の一こまでございます。 また、
国民
主権の
立場
から
政権
交代をどう
考え
るか。これは、
野党
の皆さんが連合をされて、基本
政策
をきちっと一致なさって、その基本
政策
の一致を
国民
の皆さんがごらんになれば、
民主主義
の原則からして
政権
交代のあるということは何ら不思議なものではございません。ただ、
選挙
の結果という事実があるということでございます。 また、老人保健法に見られる年齢による医療差別や
生活
保護の極端な受給制限
政策
は老人世帯を苦しめており、その是正を図れとおっしゃいますが、「
老人医療
についての診療
方針
及び診療報酬は、老人の心身の特性を踏まえて
改善
を図るものとする」との附帯決議を踏まえて策定されておるものであり、決して差別しておりませんし、
生活
保護は、
国民
生活
の最後のよりどころであります。相談があった場合、親切丁寧な
対応
を行うとともに、困窮する方に対しては必要な保護を行っておるところでございます。 また、過労死と言われる事態に対しては、
企業
による健康診断、健康指導の適切な実施、長時間労働による労働者に対する過重な
負担
を防ぐことが大切であると
考え
ております。
東京
の地価上昇は、都心部における事務所ビル需要の急激な増大、
住宅
地の買いかえ需要の増大、金融の緩和
状況
等を背景として複合的に起こってきたものと思います。今後、指導、
税制
上の問題など、各般の対策を行ってまいりたいと
考え
ております。 また、ウルグアイ・ラウンドに関して米の問題のお尋ねがございましたが、米は、
我が国
における稲作の格別の重要性にかんがみ、
国会
における決議の
趣旨
を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な
方針
で対処してまいります。 熱量による食糧自給率を五割に高めるというのは、農村の皆さんの将来に
一つ
の現実的な目標を持ってもらうためのものであり、低下し続けているこの自給率を、一%だとおっしゃいますが、そこへ目標を置いて低下傾向に歯どめをかけていこうという大きな願いがあることも御理解をいただきたいと思います。六割になさるということでございますが、どうすればできるのか、
具体策
についてはお示しを賜りたいと思うわけでございます。(
拍手
)
消費税
については、当面の見直しでごまかすとおっしゃいますが、世論の声を尊重し、世論調査を十分に聞きながら、いろいろな面の見直しを申し上げたわけでございます。今後、
国会
において十分な御議論を賜りたいと思います。
消費税
抜きの予算に組み直して出せと言われますが、現に行われておる
税制
を抜きにして
国会
に予算案を提出するという
ことば
、今
考え
ておりません。 最後に、
金権政治
、
政治倫理
についてお触れになりましたが、私どもは、いかなる時代においても
政治倫理
を
確立
しなければならぬのは、これは大きな
課題
だと思います。
企業
の問題についても、いろいろ御意見はございましたが、
企業
が
社会
的存在であるという面から見れば、
政治献金
の調達の過程において、いろいろ御指摘を受けた問題を厳しく戒めていくことが大切であると思いますし、また、
選挙
制度
、
政治改革
その他の問題については、
選挙
制度
審議会の御答申が近くいただけることになっておりますから、各党各会派の問題でございます。御議論を通じて議論を高めていっていただき、
選挙
制度
やお金のかからない
選挙
や
政策
本位の
選挙
ができるように御
協力
を賜りたいと思っております。 リクルート問題の反省に立って、
政治改革
に全力を挙げて進んでいかなければならぬというのが我々の
考え
でございます。(
拍手
) ─────────────
村山喜一
11
○副
議長
(村山喜一君) 永末英一君。 〔永末英一君
登壇
〕
永末英一
12
○永末英一君 私は、民社党を代表し、
海部総理
に対し
質問
いたします。 二月総
選挙
は、大変動の
世界
へ向けて
我が国
がどのような進路を進むか決定する重要な歴史的
選挙
でありました。我々は、
自民党
の過半数を打ち破って新しい健全な
政権
をつくるうと奮闘いたしましたが、目的を達することができませんでした。まことに残念であります。我々は、結党の
原点
に立ち返り、健全
野党
として
国民
の要望を実現するため、是は是、非は非として、議会
政治
に徹し、全力を尽くす決意であります。
総理
、あなたが
政権
を担当して以来、
世界
大変革のスピードは加速され、今や、新しい
世界
がどのようになるかはおぼろげながら推測できるようになりました。ソ連では共産党は一党独裁
体制
を放棄し、東ヨーロッパ諸国の共産党の中では、みずからの支配を否定し、マルクス主義につながる
社会民主主義
をとらず、西側の思想である民主
社会主義
を名のって
国民
に生まれ変わったことを印象づけようとするものがあり、ひたすら自由
経済
圏に入り込もうといたしております。今やイデオロギーと軍事力による対立の
世界
は、
一つ
の
世界
へ向けて大きく変わろうとしているのであります。 新しい
世界
において、エール大学の歴史学者ポール・ケネディの
言葉
をかりるならば、「事態の動きとその結果を左右する能力が国の力であるとするならば、今後は金を出せる国が大国となる」ということになります。軍事的対立時代においては、
我が国
は、対立する超大国の驥尾に付した
行動
に終始し、独自の外交といえば、気前のよい
経済
協力
を行う程度にすぎませんでした。しかし、ポール・ケネディの言うように、軍事力が物を言わず、
経済
が軍事力に取ってかわる
世界
になれば、
我が国
の
経済
力は、
世界
を動かし得るに足る強力なものであります。時代の変化が
日本
の
立場
の変化をもたらすのであります。この意味で、今や
我が国
は、新しい型の大国として、新しい
世界
に臨む入り口にいると言えるでありましょう。 身軽でがむしゃらな輸出立国であった
日本
が、その型の大国としてどんな国際的
責任
を果たすか、軍事超大国の傘のもとでひたすら
経済
活動に没頭してきた
日本
が、発想の転換を行って、大変動の
世界
へどんな
姿勢
で臨むのか、
日本
がその大きな
経済
力をどのような哲学のもとに
世界
へ向けて投入、行使するのか、
我が国
は、今や
世界
注視の的であります。
我が国
は、
地球環境
の
保全
を初め、途上国への
協力
、
世界
経済
の発展のため、
責任
ある
行動
を求められております。国際的な
責任
を果たそうとすれば、国内の
改革
をしなければなりません。
改革
は、必ず痛みを伴います。痛みを恐れていては
改革
はできず、国際的
責任
も果たされません。さればといって、痛みっ放しにすることは許されません。痛みを最小限にするため、あらゆる手段を尽くし、
改革
への
国民合意
を形成することが必要であります。
政治
の役割がここにあると言わなければなりません。(
拍手
)
海部総理
、あなたの
施政方針
にはここのところが抜けておるのであります。外交は内政であり、外を見るとき、必ず内を見なければなりません。
国民
の痛みを最小限にする方法について、
総理
、答えられたい。 総
選挙
の結果、衆議院は
自民党
多数、参議院は
野党
多数という
ねじれ現象
のもとで議会
政治
を運営していかざるを得なくなりました。これまでのような強行採決と審議拒否、対決と混乱とでは、何物をも生み出すことはできません。どんなに時間がかかろうとも、与
野党
が努力をし、接点を見つけて、合意に至るよう最大の努力を傾けるべきであります。(
拍手
) そのためには、
政権
党である
自民党
が、
政府
提案の予算についても
野党
の修正に応ずる柔軟な態度が必要であります。予算の修正は
政権
の否定だから一円の修正も許さぬというようなかたくなな態度が
国会
審議を硬直化せしめた原因であります。
海部総理
はこの点を改める
意思
があるかどうか、
伺い
たい。 また、
国民
的な重要
課題
については、
政府
が
方針
を決定する前に与
野党
で事前
協議
を行って
意思
疎通すれば、
政治
の停滞を防ぎ、
国民
にとって必要な
政策
の前進を図ることができます。
総理
は、このような重要
課題
の事前
協議
に応ずる
意思
があるかどうか、お
伺い
いたします。 新しい
政治
は、
国民
に信頼される
政治
でなければなりません。
リクルート事件
をめぐる
自民党政治
の腐敗は、
国民
の
政治
不信をかつてないほどに高めました。その反省の上に行われた総
選挙
であったはずであるのに、
自民党
が行った
金権選挙
は、一体あれば何ですか。
選挙
違反事件として立件されなかったからとして表面を糊塗しても、金を使い、権力を行使した
金権選挙
の実際を知っている
国民
は、
政治
を信頼する
ことば
できません。
総理
は、この総
選挙
がきれいで金のかからない
選挙
だったと言えますか。
お答え
を願いたい。
リクルート事件
のような金権腐敗事件を再び繰り返さぬための抜本策の
確立
が今こそ必要であります。特に、この際、イギリスの一八八三年の腐敗行為防止法のような思い切った法律を制定し、
候補者
による買収供応等に対しては、
候補者
の
選挙
区からの永久追放など厳罰に処すべきものであります。 また、
政治資金
についても、民主
政治
に対する正当なコストを公に
負担
するため、
欧米
が行っているような政党への公費補助制を創設し、そのかわり各種
団体献金
をなくしていく方向に推進すべきであります。
総理
の
考え
を問います。
政治改革
のためには、一票の格差を二倍以内とする
議員
定数の抜本是正を今
国会
で実現すべきであります。
政府
は、
議員
定数問題を
選挙
制度
の問題にすりかえ、小
選挙
区制導入を意図していますが、もってのほかであります。まず定数是正を行うべきではありませんか。
総理
の
見解
はどうか。
総理
は、
自民党政治
改革
大綱に「派閥の弊害除去と解消への決意」の項があることを知っているはずであります。
総理
は、それを知りながら、
選挙
の直前、各派閥の事務所を歴訪いたしました。一国の
総理
が公然と一政党の派閥代表にあいさに行くようでは、派閥の弊害がなくなるわけはないではありませんか。それだからこそ、組閣に当たって派閥順送り人事となり、派閥のごねに遭って組閣が難航したのであります。
総理
は、派閥解消などは
政治改革
に役立たぬと
考え
ているのか、答えられたい。
自民党
は、総
選挙
の結果、
消費税
の存続が認められたかのように言っております。しかし、総
選挙
直後のNHKの世論調査によれば、実に七四%もの
国民
が、衆議院で
自民党
が過半数を上回ったからといって
消費税
が認められたわけではないと答えているではありませんか。 民社党は、
消費税
廃止
のための法案を提出いたします。
政府
・
自民党
が見直しという存続法案を提出した場合、現在の
国会
勢力のもとでは両案相打ちとなって、現行の
消費税
法が残ることになれば、
国民
の大多数の
意思
に反する結果となります。これをどう打開するかは、
国会
としてまことに重大な問題だと言わざるを得ません。与
野党
は真剣に
協議
をすべきであります。
総理
はどう打開するつもりか、
伺い
たい。
政府
・
自民党
の
税制改革
の大きな欠陥は、資産課税の
強化
を怠り、不公平を野放しにしてきたことであります。まじめ人間のひたむきな努力よりも投機が幅をきかせる
社会
では、異常な地価、株価の高騰により資産格差が
拡大
し、
生活
格差も
拡大
します。このゆがんだ
社会
は、ひとえに歴代
自民党
内閣が資産課税を骨抜きにしてきたことに最大の原因があります。
土地
の譲渡、保有、相続、贈与、それぞれの面で
土地
税制
を抜本的に洗い直さなければなりません。また、有価証券の譲渡益課税の適正化のため、納税者番号
制度
の導入を
検討
し、総合課税
体制
を
確立
し、公平な税体系を構築することが必要であります。
海部総理
はこれにどう取り組むのか、
伺い
たい。 次に、公正な
税制改革
のためには、
行政
改革
が必要であります。
政府
が
国民
に税
負担
を求めるならば、
政府
自身
も
行政
改革
を進め、みずからの
負担
において新しい財源をつくり出すべきであります。民社党は、
さき
に、
行政
改革
基本法案の策定やポスト新行革審の設置などを提唱し、行革を続けて、かつ強力に推進する方向を示しております。
総理
の
見解
を
お答え
願いたい。 また、
税制改革
を行うに当たっては、総合的な
福祉
ビジョンの策定が不可欠であります。
政府
は、
平成
二年度予算編成の目玉として、「
高齢者保健福祉推進
十か年戦略」を企画をしたと言っております。しかし、これを見れば、具体的に中身もなく、雇用対策のないままの提案では、予算のばらまきに等しいものと言わなければなりません。
政府
は、このような思いつきでなく、希望の持てる高齢者
社会
を切り開くため、雇用と年金、
社会保障
と
住宅
、医療と保健サービス、保健と
福祉
サービスなど、
制度
と
制度
、
政策
と
政策
を総合的に体系化した
福祉
ビジョンを
国民
に明らかにし、そのための
負担
の
あり方
について議論を進めるべきであると
考え
ますが、お
考え
を
伺い
たい。 次に、
生活
先進国づくりについて
質問
いたします。 まず、
土地
住宅
問題。
欧米
諸国では年収の三、四倍で家が持てますが、
日本
では、首都圏で平均年収の七、八倍、高いところで十数倍という異常な
状況
にあります。これを
欧米
並みの年収の四倍程度に引き下げるという目標をまず
確立
し、その実現に向け、
土地
供給
対策、
税制
、金融をフル動員すべきであります。特に、金融機関の
土地
融資に対する厳しい規制、通勤新線の
建設
と宅地造成、国公有地の活用、
東京
一極集中
排除、大学の地方移転、
遊休地
税の創設、建物の低さ制限などを急ぐべきであります。
総理
の
方針
を
伺い
たい。 次は、内外価格差の是正。
欧米
に比べ約三割も高く、
世界
一と言われている物価
水準
を引き下げ、実質的な
生活
向上を図ることは、
日本
の
政治
の重要な
課題
であります。この見地から、
政府
が昭和六十年、市場開放のアクションプログラム、
行動
計画をつくったように、この際、内外価格差是正の
行動
計画を策定し、三年で
欧米
並み
水準
の物価にするよう提案いたします。そのために、
規制緩和
、輸入
拡大
、
行政
改革
による
公共
料金の引き下げ、抜本的な地価対策等を断行すべきであります。
政府
はこの内外価格差をいつまでにどうするのか、
伺い
たい。 次は、労働時間の短縮。
政府
の手をこまねいている
姿勢
では、国際公約にもなっている
平成
四年度千八百時間の達成はおろか、
欧米
との格差はますます
拡大
していくことになります。我々は、千八百時間早期達成のため、労働時間短縮促進臨時措置法を制定し、中小
企業
に対する時短助成金や時短投資減税を行うとともに、五月一日を祝日にし、四月二十九日から五月五日までを「太陽と緑の週」とし連続休暇とすべきと
考え
ます。
総理
の返答を求めます。 次いで、農業問題。 近年、農業を取り巻く
環境
は極めて厳しく、米の自由化問題など、二枚舌農政と言われる
政府
の
姿勢
が、農業に希望を失わせ、農政不信を生みました。これをどのように払拭して希望ある農政を
確立
するのか、
自民党
の基本
姿勢
をただしたい。 また、稲作などの
土地利用
型農業については、農業経営の
改善
を図るため、農家の自己
負担
の軽減に配慮し、構造
改善
事業を強力に推進するとともに、スケールメリットの発揮しにくい中山間地には一定の振興対策を実施し、あわせて、農家負債を解消するため超長期・低利の融資
制度
が必要であると
考え
ます。
総理
の所見を
伺い
ます。 日米安保条約は本年三十周年を迎えましたが、三十年前と今日では、日米
関係
の様相は一変いたしました。三十年前、超大国
アメリカ
の
世界
戦略の一部に日米安保条約によって組み込まれた
日本
は、今や
経済
的には
アメリカ
を脅かす大国になり、
アメリカ
からパートナーと呼ばれるに至りました。日米安保条約とは、現在の
日本
にとって一体何でありましょうか。冷戦時代に生まれた安保条約は、今や日米友好
関係
の基盤となり、日米両国のグローバルポリシーの基軸となっております。東西の緊張緩和が進むとともに、安保条約は、軍事的側面より
経済
協力
の側面が重視されていくのは当然であります。 このような日米
関係
の中で、今や
経済
摩擦問題の
解決
が最大の
課題
となっております。
海部総理
に急遽訪米を求めた
ブッシュ大統領
の
姿勢
にも、それがよく読み取れるではありませんか。会談の初めに
ブッシュ大統領
は、スーパー三〇一条問題や
構造協議
問題に関する
日本側
の態度決定を強く求めました。
海部総理
、あなたは、出発直前、この衆議院本
会議
で、
ブッシュ大統領
から議題を決めずに
国際情勢
及び二国間
関係
全般にわたり話し合いたいとの提案があったから訪米したいと申しました。両者の会談に対する意気込みの差、まことに歴然であると言わなければなりません。
総理
は、
首脳会談
では、議題は特に決めずとか、個々の具体的な項目については話していないなどと言って会談の具体性を極力ぼかそうとしております。しかし、会談後の共同記者会見で、
ブッシュ大統領
は、重要な期限が近づいていると述べ、四月の
中間報告
のときの成果を待つと言い切っております。
海部総理
、あなたは、スーパー三〇一条についても、
構造協議
についても、具体的に回答を求められたのでしょう。はっきり答えられたい。
総理
は
日本
の主張を十分
ブッシュ大統領
に申し伝えたのか。受け太刀ばかりでは、何のために訪米したのか。
ブッシュ大統領
との二人きりの会談のとき何を語り合ったのか、また、
総理
は何を約束してきたか、さらに
国民
にこれから何を求めるかをこの際しかと答えられたい。(
拍手
) 問題は極めて深刻であります。もはや従来の日米交渉のパターンで
対応
できるものではありません。私は、この際、日米両国官民の有識者から成るハイレベルの常設の日米
経済
調整
委員
会を設置して
解決
に当たるべきであると思いますが、
総理
のお
考え
を
伺い
たい。 ヨーロッパにおける緊張緩和の前進に比べると、アジア・太平洋では目に見える前進はありません。しかし、中ソ国境の兵力削減交渉は続けられ、モンゴルやカムラン湾からのソ連軍の一部撤退は実施されました。
アメリカ
もまた、今後二、三年の間に一〇%から一二%の穏やかな兵力調整という名の兵力削減を行う、
日本
、韓国、フィリピンでそれをやると発表いたしました。チエイニー国防長官は、
アメリカ
のアジアにおける前方展開戦略は維持し続けていくということを言明し、このたびの兵力調整が撤退の第一歩を語っているのではないと強調し、太平洋における海軍の軍備管理には反対と主張しています。しかし、
アメリカ
の
方針
に変化があればこそ兵力削減が行われようとしているのであります。その行く末を正確に見据えて
我が国
の安全保障
方針
を
考え
ねばなりません。
総理
、
アメリカ
のアジア・太平洋戦略が変わりつつあると思われませんか。
ブッシュ大統領
と会談してどう受けとめられたのか、
お答え
を願いたい。 安全保障は、
政府
の
方針
に
国民
が信頼を置いて初めて万全のものになります。
政府
は、昭和五十一年に作成された「防衛計画の大綱」の
水準
を達成することだけを防衛力
整備
の
一つ
言葉
にしてまいりましたが、それで
国民
が
納得
すると思っているのでしょうか。昭和五十一年から現在に至るまで、
国際情勢
にどんな変化があろうとそれを無視し、かたくなに基盤防衛力構想に依拠した「防衛計画の大綱」は、情勢の変化に伴い見直されるのが当然であります。
アメリカ
の
方針
変化はソ連側の変化を見通しながら進められるものであり、そうした変化に
対応
できる
我が国
の防衛
体制
の総点検を行うことが必要であります。
総理
は、変化する太平洋の情勢に対し、どのような構想で
我が国
の安全保障を全うしようと
考え
ているのか、明らかにされたい。 なお、先般来日したチェイニー国防長官は、在日米軍駐留費のうち、円建て経費の全額
負担
を
我が国
に求め、
政府
はこれに応じる意向だと伝えられております。在日米軍基地従業員の諸手当については、最近二回にわたって特別協定を締結して、
日本側
が
負担
してまいりました。今、本給を新たに
負担
するなら、地位協定の
改正
をしなければなりません。それは、地位協定の原則に触れるからであります。
総理
の
方針
を明確にせられたい。
総理
、アジア・太平洋の緊張緩和のために、
我が国
がイニシアチブをとって行うべき外交について
伺い
たい。 その第一は、朝鮮半島の緊張緩和のために、
日本
、
米国
、ソ連、中国、韓国、北朝鮮の六カ
国会
談を開催することであります。この会談では、この地域の平和と安定の
確保
、大
規模
演習の事前通告などの信頼醸成措置、
経済
、技術交流の
拡大
と地域繁栄への方策、人権の尊重などについて自由に話し合うとともに、これを常設化すべきであります。特に、北朝鮮に核保有の懸念が持たれていることを思えば、急がねばなりません。
お答え
を願いたい。 第二は、北方領土の返還であります。それは、日ソ両国間のみの問題の域を超え、今やアジア・太平洋の核戦略を含む緊張緩和のために行わねばならぬ重要事項であり、また、
日本
のみがなし得る重要
課題
であります。それは、ヨーロッパにおけるベルリンの壁の開放に比すべきものと言わなければなりません。
総理
は、来春のゴルバチョフ訪日の際に北方領土問題を決着させる自信があるか、お尋ねをいたします。 最後にお
伺い
いたします。 国際化時代に突入する
日本
人が
世界
の
人々
から不可解だと言われたのでは、
日本
の
立場
はありません。
日本
人も新しい国際人になる必要があります。しかし、国際人とは、無国籍人ということではありません。まず、
日本
のことをよく知る
日本
人であり、同時に、他国のこと、
世界
のことをもよく知る
日本
人でなければなりません。そのためには、偏見なく
世界
を見る目を備えていることが必要であります。他国を尊敬する心は、まず自国を知ることから始まります。自国の歴史に関心を示さず、自国の国旗や国歌を尊敬しない者が、他国や
世界
を尊敬することができるでありましょうか。(
拍手
)また逆に、そんな者が他国や
世界
から尊敬を受けられるでありましょうか。 どこの国でも、少年時代の基礎教育において、自国の歴史を教え、それを通して自国を愛する心を培っているのであります。
我が国
の初等中等教育にそうした配慮がなされているでありましょうか。小学校、中学校に対する学習指導要領も変わるようでありますが、国を愛する国際人をつくるため、少年の基礎教育をどうするか、二十一世紀の
日本
のため、
総理
、心を込めて
お答え
を願いたい。(
拍手
) 〔副
議長
退席、
議長
着席〕 〔
内閣総理大臣海部俊樹
君
登壇
〕
海部俊樹
13
○
内閣総理大臣
(
海部俊樹
君) 永末
委員
長に
お答え
します。
政府
はこの数年間も構造調整の努力をしてまいりましたが、さらに国際的な構造調整を行っていくとき痛みが起きる、この痛みをどのようにして最小限度に食いとめるかと御指摘であります。
内需主導型経済
構造への転換定着を図ることによって、私は、内需主導をさらに一層促進し、
経済成長
を図るとともに、やはり新たな技術革新、情報化の成果を生かすなどにより、産業の新たな発展分野をまずつくっていかなければならぬと
考え
ます。同時にまた、多様な雇用
機会
を創出して雇用の安定を図り、人口の、働く
人々
の移動が安定的にできるようにも引き続き努力をしていかなければなりません。このために、「
世界
とともに生きる
日本
」という
経済
計画に忠実に従ってそのような
整備
をしていきたい。最小限に痛みをとどめるように努力がなされるように対処してまいります。 また、与
野党
の
協力
による議会運営を図るためにもいろいろと努力をしろということでございます。 私どもも、与
野党
の皆さんの御議論をいただいて、いろいろ法案その他については昨年も通過、成立させていただいておりますが、
政府
の予算案というのは、長い間のいろいろな経緯を踏まえ、またいろいろな財政上の経緯や手法等も踏まえて、経費を積み上げ、編成をしてきているところでございます。
政府
といたしましては、これらの予算について十分な御審議と御賛同を賜りたいものと、こう
考え
ておる次第でございます。 同時に、重要な問題については事前
協議
をやったらという御提案でありますが、いかなる形でやったらよろしいのか、
国会
の場で各党の皆さんがこのような形で事前
協議
をやったらいいではないかという合意をしていただけまするなれば、これは
政府
といたしましてはできるだけその方向に御
協力
をさせていただきたいと
考え
る次第でございます。 今回の総
選挙
で、これがきれいで金のかからない
選挙
だと
考え
ておるかとお尋ねになりましたが、私どもは、でき得る限りきれいに、金のかからない
選挙
に努めてきたりもりでございます。今後とも、このようなことに対するいろいろな御指摘や御批判を謙虚に踏まえて、金のかからない
選挙
、
政策
中心
で議論のできる
選挙
、そういった
政治改革
に向かって努力を続けていきたいと
考え
ております。 イギリスでは、一八八三年の腐敗行為防止法の制定を境に
選挙
浄化が実現されたと申されます。私どもも、各党の皆さんとともに、議院運営
委員
会から、イギリスのこの
選挙
制度
の視察に参ったこともございました。今度の公職
選挙
法の
改正
案においては、この物の
考え
方を取り入れて、腐敗行為を何とか防止しようとしたり、あるいは公民権停止の問題等もそこに連なってきたわけでございますけれども、さらに、
選挙
制度
審議会における御
検討
等も通じて、取り入れるべきところがあるなれば御議論をいただきながら取り入れさせていただく、そういった気持ちでおるわけでございます。
政治資金
規正についても、公費補助
制度
を創設して、その一方で
団体献金
を
廃止
していく方向を推進すべきと、こういう意見がございますが、私はやはり、
欧米先進国
でも、
政治
は
公共
奉仕であるという
考え
方から、公費補助
制度
が現に行われております。十分にこれらの
実態
も
検討
しながら、
日本
の
選挙
制度
と
日本
の現状にふさわしいような御議論を、これも
国会
全体の問題でありますから、各党を通じて御議論を賜りたいと
考え
ます。 また、小
選挙
区制の導入ではなく、定数是正を行うべきではないかという御議論でございます。 私は、定数是正のことは、
国会
の御決議もあり、これも重要なテーマの
一つ
でございます。
選挙
区
制度
の問題もまた、
政治改革
で徹底的に
改革
の努力をしていくためには、当然視野に入れて
考え
なければならない問題ではなかろうかと思いますが、いずれにしましても、ただいまは
選挙
制度
審議会において、定数是正を含む
選挙
制度
及び
政治資金
の抜本的
改革
の方策を諮問し、御審議願っておるところでありますから、その答申をいただいて、また各党と御相談をさせていただきたいと思っております。 派閥の弊害を除去するために努力を重ねていくことは、
自民党
の
政治改革
大綱においても示されたところであり、今後ともその方面に向かって努力を重ねてまいります。
消費税
については、見直し法案を提出し、
野党
が
廃止
法案を提出された場合、相打ちになって
国民
の
意思
に反することになる、
政府
はどう思うかとお
考え
を述べられました。 私は、そのような両方が相打ちになってしまうことは
国民
の皆さんのためになりませんので、十分な御議論をいただいて、私どもが思い切って見直しをして提出いたしますこの見直し案についてどうぞ御論議を賜りますように、この場で重ねてお願いを申し上げる次第でございます。 また、
土地
税制
につきましては、
土地基本法
に示された基本理念にのっとり、税の不公平の是正を図りながら、
平成
二年度中に成案を得て、所要の法律案の提出を図ることといたしております。 また、株式売却益や利子に対し完璧な総合課税を実施するためには、納税者番号
制度
の導入を初めとする所得の捕捉
体制
の
整備
が不可欠でありますが、納税者番号
制度
の導入については、さまざまな角度からの技術的な
検討
とプライバシーの問題について
国民
の理解と合意が必要であると
考え
ますので、さらに
検討
をさせていただきたいと
考え
ております。
行政
改革
は、
行政
を取り巻く内外の
環境
の変化に的確に
対応
して、二十一世紀を展望した活力ある
経済
社会
を構築していくために、避けて通ることのできない問題であります。臨調答申等に沿って、
行政
の目標を立て、閣議決定等により計画的に着実に実施してきたところでありますが、なお推進すべき数多くの
課題
がございます。最終答申を待って引き続き
行政
改革
を強力に推進してまいりたいと
考え
ており、その後の問題については十分に
検討
をさせていただきます。 「
高齢者保健福祉推進
十か年戦略」は、特に高齢者の
福祉
分野の
基盤整備
を図るために、従来の目標を改めて新たに出しましたビジョンであり、十カ年の具体的目標でございます。着実に実行を進めてまいりたいと
考え
ております。 また、
住宅
取得を
欧米
並みの年収の四倍程度に引き下げる目標を
確立
して、その目標に向け総合的な努力をと御提案がありました。
住宅
確保
のためにはでき得る限りのきめの細かい努力を続けていかなければならぬと思いますが、そのためには、まず
土地
問題の
解決
が先行いたします。投機的
土地
取引に係る不適正な融資を厳に排除するという観点や、あるいはまた、
土地
は有効に
利用
されるべきものであるという
土地基本法
の理念に従って、
土地
提供とともに、その上に良質な
住宅
ができるように、できれば年収の五倍程度を目標に良質な
住宅
が
確保
できるようにしたいと
考え
て努力を続けておるところであります。 また、新たな鉄道の
整備
により大量の
住宅
地の
供給
が促進されると見込まれる地域においては、引き続き努力をしていきたいと
考え
ておる次第であります。 また、国有地の処分についてお触れになりましたが、多極分散型国土形成促進法の
趣旨
を踏まえ、地方
公共
団体等から
公共
用
住宅
プロジェクト用地としての要望があれば、
規模
、立地条件等を総合勘案をし、これらの活用に配慮しておるところでありますが、これは、国有地の処分のみならず、公有地についても同様に
考え
てまいりたいと思っております。 大学の移転については、従来より
大都市
における新増設の抑制と地域間格差の是正に配慮してきたところでありますが、今後とも一層適正化の観点に留意をいたしてまいります。
遊休地
税といった低未
利用
地に対する課税については、
土地
の
利用状況
に着目し、一定の基準に基づいた
遊休地
の特定とその
利用
促進措置を含む
制度
の創設とあわせて新設を
考え
るべきものと思っております。
大都市
においての
住宅
の高さの問題については、やはり
都市
環境
等に配慮しつつ適正な高度
利用
を
考え
ていくということは、これは重要な問題であると受けとめさしていただきます。 内外価格差是正の問題は、
政府
・与党に対策推進本部を設置して、五十二項目にわたる要綱を決めたところでありますが、
実態
調査とその公表、規制の緩和、独禁法の厳正な運用、競争条件の
整備
、さらには予算、
税制
、関税等による輸入促進策、電話料金の引き下げなど適正な
公共
料金
政策
等を盛り込んだものであり、今後とも着実な実行に努力をいたします。 労働時間短縮のプログラムについても、
経済
運営五カ年計画における目標の達成に向けて努力をさせていただきます。 また、労働時間短縮の見地から、五月一日を祝日にし、五月五日までの間、「太陽と緑の週」として連続休みとすべきではないかとの御提言でございましたが、中小
企業
の労働時間についてはきめ細かな配慮が必要であろうと
考え
ますし、また、自主的な労働時間短縮の
取り組み
を促進するためにも、指導援助や経営基盤の
強化
に向けての施策を講じ、これらの施策の推進とあわせて
考え
ていかなければならない問題であると
考え
ております。 農政問題については、希望ある農政を
確立
するために、農業者に信頼される農政を
確立
することが大切であり、希望を持って農業を営むことができるよう、とりあえず「農産物の需要と生産の長期見通し」を指針として閣議決定をしたところであります。 また、農政を進めるに当たっては、生産性の向上を進め、
土地
改良
負担
金対策にも配慮しつつ、バイオテクノロジー等の技術の
開発
普及、生産組織の育成等を推進し、農業
基盤整備
事業を着実に実施していかなければなりません。 また、条件の不利な中山間地域については、地域の立地条件に即した農林業の振興等、地域資源の活用をしながらその活性化を図っていく所存であります。さらに、農家の負債については、借入金の償還
負担
の軽減を図るための償還円滑化資金の融通等も推進してまいる
考え
であります。
さき
の
ブッシュ大統領
との
首脳会談
においては、
我が国
の主張も
米国
の主張も高い次元に立って十分にいたしました。
日本
と
アメリカ
が果たさなければならない新たな時代に向けた日米協調の問題についても、また、
日本
がきょうまでややもすれば行いにくい問題であった
世界
の平和と繁栄のための新しい枠組みづくりの
協力
に参加する問題についても、あるいは日米欧の
強化
の問題についても、率直に意見の交換をいたしました。 また、累積債務問題や
環境
、麻薬、国際テロの問題についても十分の話し合いをいたしました。 日米安保条約が将来にわたり両国にとって一層重要なものであることも話し合いをいたしました。 また、日米間の懸案になっておる
経済
問題についても、その健全な発展が、両国
経済
のみならず、
世界
経済
の発展にとって必要不可欠な観点であるという見地に立って、両国にとって重要な
経済
構造協議
は、四月の中間的取りまとめ、七月の報告に向けてお互いに努力をし、前進させて、
解決
に向かって努力をするということについて意見の一致を見ましたが、
我が国
は前川レポート以来既に構造調整問題には取り組んでおりますが、
国民
生活
の質の向上、
消費者
重視の視点からも、新内閣の最重要
課題
の
一つ
として取り組んでまいる決意でございます。 日米における
経済
問題を
解決
していくため、両国官民の有識者から成るハイレベルの
経済
調整
委員
会をつくるべきではないかとの御提案でございます。
政治
のみならず、
行政
のみならず、
国会議員
の皆さんの間においても日米間のお話は続けていただいておることを日ごろから敬意を表しております。また、
経済
人と
アメリカ
の産業界との話し合いも、既にいろいろな枠組みがあってお話し合いをされており、また、今月の二十日からも行われるという報告等も聞いております。私は、これらの既存の日米
経済
委員
会の皆さん方のお話し合いに十分耳を傾けながら、さらにそのような場が前進していきますように、心から御期待をし、必要があれば努力をさせていただきたいと思っております。 また、
アメリカ
のアジア・太平洋戦略の変化をどう受けとめるかと仰せられますが、欧州における変化ほど顕著にアジア・太平洋にはいまだ変化が出てきておらぬというのが私の率直な感じであり、また、大統領もチェイニー国防長官も、アジアと太平洋における安定と平和はまだヨーロッパのそれと直ちに対比することはできないという認識でもございます。 先生百も御承知のように、欧州は二つの軍事同盟の対立、対決で枠組みができておったところでありますから、これらの問題と本質的に違うアジアでありますから、十分にその動きを見きわめながら、しかし、定着するように、
日本
としてはできるだけの努力を続けていきたいと
考え
ております。 在日米軍問題については、日米安全保障条約の円滑な運営を
確保
していくことは極めて重要と
考え
ておりますので、自主的
判断
のもとに、
経済
的影響などいろいろな事情を
考え
ながら、適切に対処してまいりたいと思っております。 また、朝鮮半島の緊張緩和のため、日、米、ソ、中、韓、北朝鮮の六カ
国会
談を開催する
考え
はないかとの御意見でございます。 私は、朝鮮半島は、南北両当事者の直接対話により第一義的には平和的に
解決
されなければならないという
立場
をとっておりますけれども、
関係
国が率直な意見を交換することができる、そういったものができることは極めて有意義なことだと
考え
ております。
我が国
も、韓国との友好
関係
を維持しながら、北朝鮮との間に
政府
間の対話をしたいという申し出を前からしておったわけでありますけれども、今御提案のような六カ国の会談が具体的な動きが出てくるとすれば、
我が国
もできる限りの
対応
をして成功させていきたいと
考え
るものでございます。
総理
は来春のゴルバチョフ訪日の際に北方領土問題決着の自信があるかとおっしゃいましたけれども、何しろ日ソ間には長い長い懸案でございます。しかし、私に参りました二、三日前のゴルバチョフ
議長
からの親書によっても、一九九一年には訪日される、その訪日の準備をしておるということでございます。私は、この最大の懸案である領土問題の
解決
に向けて、今平和条約の作業グループ等においていろいろな話し合いが続いており、また、過日、安倍元
自民党
幹事長の訪ソ等があり、
拡大
均衡のとれた形で日ソ間は粘り強く話し合いを続け相互の安定した
状況
をつくり上げていこうという点については、私は理解が深まりつつあると思いますので、これに向けて一歩一歩前進を続けていくように全力を挙げて努力をしていく所存でございます。 最後に、国を愛する国際人をつくるための少年の基礎教育に対する御意見でございますが、私も全く同感でありまして、この場を通じて永末
委員
長のこのようなお
考え
方に敬意を表する次第でございます。(
拍手
) 特に、学習指導要領において、
我が国
の歴史と文化と伝統を尊重して、自分を大切にするように、自分を愛するように人も愛する、自分の国を大事にするように人の国も大事にする、これが新しい時代の国際化時代には最も必要な基本的な人間としての態度であると私は
考え
ておりますので、このような学習指導要領を通じて学校教育には配慮してまいりたいと
考え
ます。(
拍手
)
櫻内義雄
14
○
議長
(
櫻内義雄
君) これにて
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
は終了いたしました。 ────◇─────
櫻内義雄
15
○
議長
(
櫻内義雄
君) 御報告いたすことがあります。 元本院副
議長
勝間田清一君は、昨年十二月十四日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。 同君に対する弔詞は、
議長
において去る一月二十一日贈呈いたしました。これを朗読いたします。 〔総員起立〕 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され
さき
に本院副
議長
の重職につき 終始議会制民主
政治
の進展に貢献された元
日本社会党
中央執行
委員
長正三位勲一等勝間田清一君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます ─────────────
櫻内義雄
16
○
議長
(
櫻内義雄
君) 永年在職
議員
として表彰された元
議員
橋本登美三郎君は、去る一月十九日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。 同君に対する弔詞は、
議長
において昨三月五日贈呈いたしました。これを朗読いたします。 〔総員起立〕 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され
さき
に電気通信
委員
長の要職につき またしばしば
国務大臣
の重任にあたられた勲一等橋本登美三郎君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます ────◇─────
櫻内義雄
17
○
議長
(
櫻内義雄
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十九分散会