運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1990-06-22 第118回国会 衆議院 文教委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月二十二日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 船田  元君    理事 麻生 太郎君 理事 臼井日出男君    理事 木村 義雄君 理事 町村 信孝君    理事 松田 岩夫君 理事 中西 績介君    理事 吉田 正雄君 理事 鍛冶  清君       新井 将敬君    岩屋  毅君       狩野  勝君    小坂 憲次君       左藤  恵君    佐田玄一郎君       坂本 剛二君    塩谷  立君       真鍋 光広君    増田 敏男君       村田 吉隆君    輿石  東君       佐藤 泰介君    佐藤 徳雄君       沢藤礼次郎君    土肥 隆一君       馬場  昇君    薮仲 義彦君       山原健二郎君    米沢  隆君  出席国務大臣         文 部 大 臣 保利 耕輔君  出席政府委員         文部大臣官房長 國分 正明君         文部大臣官房総         務審議官    佐藤 次郎君         文部大臣官房会         計課長     吉田  茂君         文部省生涯学習         局長      横瀬 庄次君         文部省初等中等         教育局長    菱村 幸彦君         文部省教育助成         局長      倉地 克次君         文部省高等教育         局長      坂元 弘直君         文部省高等教育         局私学部長   野崎  弘君         文部省体育局長 前畑 安宏君  委員外出席者         議     員 輿石  東君         議     員 佐藤 泰介君         議     員 土肥 隆一君         大蔵省主計局主         計官      福田  誠君         文教委員会調査         室長      堀口 一郎君     ───────────── 委員の異動 六月二十日  辞任         補欠選任   土肥 隆一君     松本  龍君 同日  辞任         補欠選任   松本  龍君     土肥 隆一君     ───────────── 六月二十日  学校教育法の一部を改正する法律案山本正和君外一名提出参法第六号)(予)  学校教育法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案小林正君外一名提出参法第七号)(予)  女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案森暢子君外一名提出参法第八号)(予) 同月十八日  高校四十人学級早期実現私学助成大幅増額に関する請願沢藤礼次郎紹介)(第一七一五号)  高等学校の四十人学級早期着手等に関する請願山原健二郎紹介)(第一七三八号)  学校教育法等の一部を改正する法律案早期成立に関する請願井上一成紹介)(第一七五一号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第一七五二号)  同(上田卓三紹介)(第一七五三号)  同(上野建一紹介)(第一七五四号)  同(上原康助紹介)(第一七五五号)  同(大出俊紹介)(第一七五六号)  同(大木正吾紹介)(第一七五七号)  同(川崎寛治紹介)(第一七五八号)  同(五島正規紹介)(第一七五九号)  同(左近正男紹介)(第一七六〇号)  同(佐藤泰介紹介)(第一七六一号)  同(佐藤徳雄紹介)(第一七六二号)  同(斉藤一雄紹介)(第一七六三号)  同(渋谷修紹介)(第一七六四号)  同(鈴木喜久子紹介)(第一七六五号)  同(高沢寅男紹介)(第一七六六号)  同(武部文紹介)(第一七六七号)  同(土井たか子紹介)(第一七六八号)  同(富塚三夫紹介)(第一七六九号)  同(馬場昇紹介)(第一七七〇号)  同(山花貞夫紹介)(第一七七一号)  同外一件(吉田和子紹介)(第一七七二号)  同(新盛辰雄紹介)(第一八二七号)  学校図書館教育充実・発展に関する請願伊藤茂紹介)(第一七九四号)  同(池田元久紹介)(第一七九五号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第一七九六号)  同(上野建一紹介)(第一七九七号)  同(上原康助紹介)(第一七九八号)  同(大出俊紹介)(第一七九九号)  同(川崎寛治紹介)(第一八〇〇号)  同(五島正規紹介)(第一八〇一号)  同(佐藤泰介紹介)(第一八〇二号)  同(新盛辰雄紹介)(第一八〇三号)  同(鈴木喜久子紹介)(第一八〇四号)  同(常松裕志紹介)(第一八〇五号)  同(土井たか子紹介)(第一八〇六号)  同(富塚三夫紹介)(第一八〇七号)  同(中西績介紹介)(第一八〇八号)  同(馬場昇紹介)(第一八〇九号)  同(森井忠良紹介)(第一八一〇号)  高等学校学級編制基準の改善に関する請願井出正一紹介)(第一八一一号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一八一二号)  同(小坂憲次紹介)(第一八一三号)  同(田中秀征紹介)(第一八一四号)  同(中島衛紹介)(第一八一五号)  同(羽田孜紹介)(第一八一六号)  同(宮下創平紹介)(第一八一七号)  同(村井仁紹介)(第一八一八号)  私学助成拡充強化に関する請願井出正一紹介)(第一八一九号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一八二〇号)  同(小坂憲次紹介)(第一八二一号)  同(田中秀征紹介)(第一八二二号)  同(中島衛紹介)(第一八二三号)  同(羽田孜紹介)(第一八二四号)  同(宮下創平紹介)(第一八二五号)  同(村井仁紹介)(第一八二六号) 同月十九日  私学に対する公費助成大幅増額地方私学振興のための特別助成に関する請願田口健二紹介)(第一九一〇号)  生涯学習振興のための施策推進体制等整備に関する法律制定反対に関する請願山原健二郎紹介)(第一九一一号)  同(山原建二郎紹介)(第二〇三一号)  同(伊藤茂紹介)(第二一八一号)  教科書無償制度継続等に関する請願小沢和秋紹介)(第一九一二号)  同(金子満広紹介)(第一九一三号)  同(木島日出夫紹介)(第一九一四号)  同(児玉健次紹介)(第一九一五号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一九一六号)  同(菅野悦子紹介)(第一九一七号)  同(辻第一君紹介)(第一九一八号)  同(寺前巖紹介)(第一九一九号)  同(東中光雄紹介)(第一九二〇号)  同(不破哲三紹介)(第一九二一号)  同(藤田スミ紹介)(第一九二二号)  同(古堅実吉紹介)(第一九二三号)  同(正森成二君紹介)(第一九二四号)  同(三浦久紹介)(第一九二五号)  同(山原健二郎紹介)(第一九二六号)  同(吉井英勝紹介)(第一九二七号)  高等学校学級編制基準の改善に関する請願北沢清功紹介)(第一九二八号)  同(串原義直紹介)(第一九二九号)  同(清水勇紹介)(第一九三〇号)  同(堀込征雄紹介)(第一九三一号)  私学助成拡充強化に関する請願北沢清功紹介)(第一九三二号)  同(串原義直紹介)(第一九三三号)  同(清水勇紹介)(第一九三四号)  同(堀込征雄紹介)(第一九三五号)  高等学校の四十人学級早期着手等に関する請願池田元久紹介)(第一九三六号)  私学助成大幅増額に関する請願岸田文武紹介)(第二〇五九号)  高校四十人学級早期実現等に関する請願長谷川峻紹介)(第二〇六〇号)  学校教育法等の一部を改正する法律案早期成立に関する請願山原健二郎紹介)(第二〇六一号)  学校図書館教育充実・発展に関する請願不破哲三紹介)(第二〇六二号)  同(金子満広紹介)(第二〇九六号)  同(小松定男紹介)(第二〇九七号)  高校四十人学級早期実現私学助成大幅増額に関する請願外九件(松浦利尚君紹介)(第二〇九三号)  同外五件(北川昌典紹介)(第二一八〇号)  私学助成大幅増額に関する請願小沢和秋紹介)(第二〇九四号)  私学助成抜本的拡充等に関する請願武部勤紹介)(第二〇九五号)  私学助成大幅増額高校四十人学級早期実現等に関する請願江田五月紹介)(第二二五六号)  障害児教育充実に関する請願山原健二郎紹介)(第二二五七号)  障害児後期中等教育の保障に関する請願山原健二郎紹介)(第二二五八号)  高校障害児教育に関する請願江田五月紹介)(第二二五九号) 同月二十日  公立学校女子事務職員育児休業制度適用に関する請願土肥隆一紹介)(第二三一一号)  同(佐藤泰介紹介)(第二三一二号)  同(輿石東紹介)(第二三八九号)  高校四十人学級早期実現等に関する請願草川昭三紹介)(第二三一三号)  生涯学習振興のための施策推進体制等整備に関する法律制定反対に関する請願外十三件(斉藤一雄紹介)(第二三一四号)  同(吉田和子紹介)(第二三一五号)  同外四件(馬場昇紹介)(第二三八五号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  学校教育法等の一部を改正する法律案中西績介君外一名提出衆法第九号)  公立幼稚園学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案吉田正雄君外一名提出衆法第一〇号)  公立の障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案馬場昇君外一名提出衆法第一一号)  文教行政基本施策に関する件  請 願    一 教育条件整備充実に関する請願外二件(近江巳記夫紹介)(第二号)    二 私学助成大幅増額に関する請願外三件(粟屋敏信紹介)(第二三号)    三 同(亀井静香紹介)(第二四号)    四 同外三件(増岡博之紹介)(第二五号)    五 同外十一件(秋葉忠利紹介)(第四九号)    六 同(池田行彦紹介)(第五〇号)    七 同外十一件(小森龍邦紹介)(第五一号)    八 同外七件(森井忠良紹介)(第五二号)    九 高校四十人学級早期実現等に関する請願大野功統紹介)(第三三号)   一〇 同(木村義雄紹介)(第一五七号)   一一 高校四十人学級早期実現等に関する請願浅野勝人紹介)(第三四号)   一二 同(片岡武司紹介)(第三五号)   一三 同(久野統一郎紹介)(第三六号)   一四 同(今枝敏雄紹介)(第一五八号)   一五 同(浦野烋興君紹介)(第一五九号)   一六 同(村田敬次郎紹介)(第一六〇号)   一七 高校四十人学級早期実現私学助成大幅増額に関する請願大原一三紹介)(第三七号)   一八 同(中山成彬紹介)(第三八号)   一九 同(持永和見紹介)(第三九号)   二〇 三十五人学級実現等に関する請願奥田幹生紹介)(第四〇号)   二一 同(伊吹文明紹介)(第一六一号)   二二 同(小沢和秋紹介)(第一六二号)   二三 同(金子満広紹介)(第一六三号)   二四 同(木島日出夫紹介)(第一六四号)   二五 同(児玉健次紹介)(第一六五号)   二六 同(佐藤祐弘紹介)(第一六六号)   二七 同(菅野悦子紹介)(第一六七号)   二八 同(辻第一君紹介)(第一六八号)   二九 同(寺前巖紹介)(第一六九号)   三〇 同(野中広務紹介)(第一七〇号)   三一 同(東中光雄紹介)(第一七一号)   三二 同(不破哲三紹介)(第一七二号)   三三 同(藤田スミ紹介)(第一七三号)   三四 同(古堅実吉紹介)(第一七四号)   三五 同(正森成二君紹介)(第一七五号)   三六 同(三浦久紹介)(第一七六号)   三七 同(山原健二郎紹介)(第一七七号)   三八 同(吉井英勝紹介)(第一七八号)   三九 私学助成増額に関する請願愛野興一郎紹介)(第四一号)   四〇 私学助成大幅増額、四十人学級実現に関する請願田原隆紹介)(第四二号)   四一 同(畑英次郎紹介)(第四三号)   四二 同(福島譲二紹介)(第四四号)   四三 同(魚住汎英紹介)(第一七九号)   四四 同(野田毅紹介)(第一八〇号)   四五 私学助成大幅増額に関する請願麻生太郎紹介)(第四五号)   四六 同(古賀正浩紹介)(第四六号)   四七 同(自見庄三郎君紹介)(第四七号)   四八 同(楢崎弥之助紹介)(第四八号)   四九 同(楢崎弥之助紹介)(第七一号)   五〇 同(山崎拓紹介)(第七二号)   五一 同(小沢和秋紹介)(第一八一号)   五二 同(金子満広紹介)(第一八二号)   五三 同(木島日出夫紹介)(第一八三号)   五四 同(児玉健次紹介)(第一八四号)   五五 同(佐藤祐弘紹介)(第一八五号)   五六 同(菅野悦子紹介)(第一八六号)   五七 同(辻第一君紹介)(第一八七号)   五八 同(寺前巖紹介)(第一八八号)   五九 同(東中光雄紹介)(第一八九号)   六〇 同(不破哲三紹介)(第一九〇号)   六一 同(藤田スミ紹介)(第一九一号)   六二 同(古堅実吉紹介)(第一九二号)   六三 同(正森成二君紹介)(第一九三号)   六四 同(三浦久紹介)(第一九四号)   六五 同(山原健二郎紹介)(第一九五号)   六六 同(吉井英勝紹介)(第一九六号)   六七 高校三十五人学級実現私学助成大幅増額に関する請願寺前巖紹介)(第六八号)   六八 同(永末英一紹介)(第六九号)   六九 同(小沢和秋紹介)(第一九七号)   七〇 同(金子満広紹介)(第一九八号)   七一 同(木島日出夫紹介)(第一九九号)   七二 同(児玉健次紹介)(第二〇〇号)   七三 同(佐藤祐弘紹介)(第二〇一号)   七四 同(菅野悦子紹介)(第二〇二号)   七五 同(辻第一君紹介)(第二〇三号)   七六 同(寺前巖紹介)(第二〇四号)   七七 同(東中光雄紹介)(第二〇五号)   七八 同(不破哲三紹介)(第二〇六号)   七九 同(藤田スミ紹介)(第二〇七号)   八〇 同(古堅実吉紹介)(第二〇八号)   八一 同(正森成二君紹介)(第二〇九号)   八二 同(三浦久紹介)(第二一〇号)   八三 同(山原健二郎紹介)(第二一一号)   八四 同(吉井英勝紹介)(第二一二号)   八五 四十人以下学級早期実現等に関する請願吉田正雄紹介)(第七〇号)   八六 同(岩村卯一郎紹介)(第二一三号)   八七 同(桜井新紹介)(第二一四号)   八八 高校四十人学級早期実現及び私学助成大幅増額に関する請願中谷元紹介)(第七三号)   八九 高校四十人学級早期実現私学助成大幅増額等に関する請願小沢和秋紹介)(第七四号)   九〇 同(金子満広紹介)(第七五号)   九一 同(木島日出夫紹介)(第七六号)   九二 同(児玉健次紹介)(第七七号)   九三 同(佐藤祐弘紹介)(第七八号)   九四 同(菅野悦子紹介)(第七九号)   九五 同(辻第一君紹介)(第八〇号)   九六 同(寺前巖紹介)(第八一号)   九七 同(東中光雄紹介)(第八二号)   九八 同(不破哲三紹介)(第八三号)   九九 同(藤田スミ紹介)(第八四号)  一〇〇 同(古堅実吉紹介)(第八五号)  一〇一 同(正森成二君紹介)(第八六号)  一〇二 同(三浦久紹介)(第八七号)  一〇三 同(山原建二郎紹介)(第八八号)  一〇四 同(吉井英勝紹介)(第八九号)  一〇五 三十五人以下学級早期実現等に関する請願小沢和秋紹介)(第九〇号)  一〇六 同(金子満広紹介)(第九一号)  一〇七 同(木島日出夫紹介)(第九二号)  一〇八 同(児玉健次紹介)(第九三号)  一〇九 同(佐藤祐弘紹介)(第九四号)  一一〇 同(菅野悦子紹介)(第九五号)  一一一 同(辻第一君紹介)(第九六号)  一一二 同(寺前巖紹介)(第九七号)  一一三 同(東中光雄紹介)(第九八号)  一一四 同(不破哲三紹介)(第九九号)  一一五 同(藤田スミ紹介)(第一〇〇号)  一一六 同(古堅実吉紹介)(第一〇一号)  一一七 同(正森成二君紹介)(第一〇二号)  一一八 同(三浦久紹介)(第一〇三号)  一一九 同(山原健二郎紹介)(第一〇四号)  一二〇 同(吉井英勝紹介)(第一〇五号)  一二一 私学助成に関する請願小里貞利紹介)(第一〇六号)  一二二 私学助成大幅増額高校三十五人以下学級早期実現等に関する請願倉成正紹介)(第一〇七号)  一二三 私学助成抜本的拡充等に関する請願上草義輝紹介)(第一〇八号)  一二四 同(小沢和秋紹介)(第一〇九号)  一二五 同(金子満広紹介)(第一一〇号)  一二六 同(木島日出夫紹介)(第一一一号)  一二七 同(児玉健次紹介)(第一一二号)  一二八 同(佐藤祐弘紹介)(第一一三号)  一二九 同(菅野悦子紹介)(第一一四号)  一三〇 同(辻第一君紹介)(第一一五号)  一三一 同(寺前巖紹介)(第一一六号)  一三二 同(東中光雄紹介)(第一一七号)  一三三 同(不破哲三紹介)(第一一八号)  一三四 同(藤田スミ紹介)(第一一九号)  一三五 同(古堅実吉紹介)(第一二〇号)  一三六 同(正森成二君紹介)(第一二一号)  一三七 同(三浦久紹介)(第一二二号)  一三八 同(山原健二郎紹介)(第一二三号)  一三九 同(吉井英勝紹介)(第一二四号)  一四〇 四十人学級実現等に関する請願小沢和秋紹介)(第一二五号)  一四一 同(金子満広紹介)(第一二六号)  一四二 同(木島日出夫紹介)(第一二七号)  一四三 同(児玉健次紹介)(第一二八号)  一四四 同(佐藤祐弘紹介)(第一二九号)  一四五 同(菅野悦子紹介)(第一三〇号)  一四六 同(辻第一君紹介)(第一三一号)  一四七 同(寺前巖紹介)(第一三二号)  一四八 同(東中光雄紹介)(第一三三号)  一四九 同(不破哲三紹介)(第一三四号)  一五〇 同(藤田スミ紹介)(第一三五号)  一五一 同(古堅実吉紹介)(第一三六号)  一五二 同(正森成二君紹介)(第一三七号)  一五三 同(三浦久紹介)(第一三八号)  一五四 同(山原健二郎紹介)(第一三九号)  一五五 同(吉井英勝紹介)(第一四〇号)  一五六 四十人学級早期完全実施等に関する請願小沢和秋紹介)(第一四一号)  一五七 同(金子満広紹介)(第一四二号)  一五八 同(木島日出夫紹介)(第一四三号)  一五九 同(児玉健次紹介)(第一四四号)  一六〇 同(佐藤祐弘紹介)(第一四五号)  一六一 同(菅野悦子紹介)(第一四六号)  一六二 同(辻第一君紹介)(第一四七号)  一六三 同(寺前巖紹介)(第一四八号)  一六四 同(東中光雄紹介)(第一四九号)  一六五 同(不破哲三紹介)(第一五〇号)  一六六 同(藤田スミ紹介)(第一五一号)  一六七 同(古堅実吉紹介)(第一五二号)  一六八 同(正森成二君紹介)(第一五三号)  一六九 同(三浦久紹介)(第一五四号)  一七〇 同(山原健二郎紹介)(第一五五号)  一七一 同(吉井英勝紹介)(第一五六号)  一七二 私学助成大幅増額に関する請願太田誠一紹介)(第二二〇号)  一七三 同(古賀誠紹介)(第二三八号)  一七四 同(三原朝彦紹介)(第二三九号)  一七五 高校四十人学級早期実現等に関する請願愛知和男紹介)(第二二二号)  一七六 同(伊藤宗一郎紹介)(第二五三号)  一七七 高校四十人学級早期実現等に関する請願江崎真澄紹介)(第二二三号)  一七八 同(田辺広雄紹介)(第二三四号)  一七九 三十五人学級実現等に関する請願谷垣禎一紹介)(第二二四号)  一八〇 私学助成大幅増額、四十人学級実現に関する請願岩屋毅紹介)(第二二五号)  一八一 同(松岡利勝紹介)(第二二六号)  一八二 同(衛藤征士郎紹介)(第二三六号)  一八三 同(渡瀬憲明紹介)(第二三七号)  一八四 同(東家嘉幸紹介)(第三七〇号)  一八五 私学助成大幅増額高校三十五人以下学級早期実現等に関する請願西岡武夫紹介)(第二二七号)  一八六 同外三件(光武顕君紹介)(第二二八号)  一八七 学校図書館充実及び専門職員制度の確立に関する請願永末英一紹介)(第二二九号)  一八八 文教予算を拡充し、大学院生負担軽減に関する請願輿石東紹介)(第二三一号)  一八九 同(沢藤礼次郎紹介)(第二三二号)  一九〇 同(吉田正雄紹介)(第二四九号)  一九一 私学助成大幅増額に関する請願宮澤喜一紹介)(第二三三号)  一九二 私学助成増額に関する請願山下徳夫紹介)(第二三五号)  一九三 同(坂井隆憲紹介)(第二五四号)  一九四 教科書無償制度継続等に関する請願小沢和秋紹介)(第二七九号)  一九五 同(金子満広紹介)(第二八〇号)  一九六 同(木島日出夫紹介)(第二八一号)  一九七 同(児玉健次紹介)(第二八二号)  一九八 同(佐藤祐弘紹介)(第二八三号)  一九九 同(菅野悦子紹介)(第二八四号)  二〇〇 同(辻第一君紹介)(第二八五号)  二〇一 同(寺前巖紹介)(第二八六号)  二〇二 同(東中光雄紹介)(第二八七号)  二〇三 同(不破哲三紹介)(第二八八号)  二〇四 同(藤田スミ紹介)(第二八九号)  二〇五 同(古堅実吉紹介)(第二九〇号)  二〇六 同(正森成二君紹介)(第二九一号)  二〇七 同(三浦久紹介)(第二九二号)  二〇八 同(山原健二郎紹介)(第二九三号)  二〇九 同(吉井英勝紹介)(第二九四号)  二一〇 私学助成に関する請願宮崎茂一紹介)(第三二七号)  二一一 高校三十五人以下学級実現等に関する請願高村正彦紹介)(第三六九号)  二一二 三十五人以下学級早期実現等に関する請願木島日出夫紹介)(第三七一号)  二一三 四十人学級実現等に関する請願佐藤祐弘紹介)(第三七二号)  二一四 高校四十人以下学級実現及び教育費負担軽減等に関する請願石橋大吉紹介)(第三八五号)  二一五 高校四十人学級早期実現等に関する請願丹羽兵助紹介)(第四〇五号)  二一六 高校四十人学級早期実現及び私学助成大幅増額に関する請願山本有二紹介)(第四〇六号)  二一七 私学助成大幅増額高校三十五人以下学級早期実現等に関する請願外四件(虎島和夫紹介)(第四〇七号)  二一八 高校四十人学級早期実現私学助成抜本的拡充等に関する請願山原健二郎紹介)(第四六八号)  二一九 学校図書館充実及び専門職員制度の確立に関する請願山原健二郎紹介)(第四六九号)  二二〇 私学助成増額に関する請願外九件(緒方克陽紹介)(第四七〇号)  二二一 同外十一件(緒方克陽紹介)(第五二八号)  二二二 文教予算を拡充し、大学院生負担軽減に関する請願山原健二郎紹介)(第四七一号)  二二三 高校四十人学級早期実現等に関する請願(内海英男君紹介)(第五二七号)  二二四 私学助成大幅増額、四十人学級実現に関する請願(園田博之君紹介)(第五二九号)  二二五 同外十九件(馬場昇紹介)(第五三〇号)  二二六 私学助成抜本的拡充等に関する請願(渡辺省一君紹介)(第五三一号)  二二七 私学助成増額に関する請願外十件(緒方克陽紹介)(第六三七号)  二二八 同(徳田虎雄君紹介)(第七一七号)  二二九 私学助成大幅増額に関する請願(柳田稔君紹介)(第七一六号)  二三〇 私学助成大幅増額に関する請願外四件(中西績介紹介)(第七五二号)  二三一 高校四十人学級早期実現私学助成大幅増額に関する請願外四件(米沢隆君紹介)(第八二四号)  二三二 私学助成大幅増額に関する請願外十件(松本龍君紹介)(第八二五号)  二三三 同外二十五件(細谷治通君紹介)(第九一一号)  二三四 同外四件(中西績介紹介)(第九二一号)  二三五 私学助成大幅増額、四十人学級実現に関する請願外一件(田中昭一君紹介)(第一〇一一号)  二三六 同外三件(田中昭一君紹介)(第一〇三七号)  二三七 同外二件(田中昭一君紹介)(第一一七一号)  二三八 私学助成大幅増額に関する請願外十一件(中西績介紹介)(第一〇一二号)  二三九 同(古賀一成君紹介)(第一〇三八号)  二四〇 私学助成大幅増額、四十人学級実現に関する請願外二件(田中昭一君紹介)(第一一九六号)  二四一 同外二件(田中昭一君紹介)(第一二〇八号)  二四二 同外二件(田中昭一君紹介)(第一二四〇号)  二四三 同外七件(馬場昇紹介)(第一二四一号)  二四四 同外二件(田中昭一君紹介)(第一二九八号)  二四五 私学助成大幅増額高校三十五人以下学級早期実現等に関する請願外五件(速見魁君紹介)(第一一九七号)  二四六 同(田口健二紹介)(第一三〇〇号)  二四七 高校四十人学級早期実現私学助成大幅増額等に関する請願(石田幸四郎君紹介)(第一二九九号)  二四八 私学助成大幅増額高校三十五人以下学級早期実現等に関する請願外一件(田口健二紹介)(第一三七八号)  二四九 同外二件(田口健二紹介)(第一三九二号)  二五〇 同外二件(田口健二紹介)(第一四二六号)  二五一 同(高木義明君紹介)(第一四二七号)  二五二 同外二件(田口健二紹介)(第一四六七号)  二五三 同外二件(田口健二紹介)(第一四八三号)  二五四 高校四十人学級早期実現等に関する請願(平田米男君紹介)(第一三九一号)  二五五 同(石田幸四郎君紹介)(第一四六五号)  二五六 三十五人学級実現等に関する請願永末英一紹介)(第一四六六号)  二五七 私学助成大幅増額高校三十五人以下学級早期実現等に関する請願外二件(田口健二紹介)(第一五一八号)  二五八 同外三件(田口健二紹介)(第一五四七号)  二五九 同外三件(田口健二紹介)(第一五五九号)  二六〇 同外二件(田口健二紹介)(第一五七〇号)  二六一 同外二件(田口健二紹介)(第一六一号)  二六二 私学助成抜本的拡充等に関する請願(松浦昭君紹介)(第一五一九号)  二六三 義務教育費国庫負担制度の堅持、削減・除外された費用の復元に関する請願江田五月紹介)(第一六一〇号)  二六四 学校図書館充実及び専門職員制度の確立に関する請願江田五月紹介)(第一六一二号)  二六五 高等学校学級編制基準の改善に関する請願木島日出夫紹介)(第一六四三号)  二六六 私学助成拡充強化に関する請願木島日出夫紹介)(第一六四四号)  二六七 高校四十人学級早期実現私学助成大幅増額に関する請願沢藤礼次郎紹介)(第一七一五号)  二六八 高等学校の四十人学級早期着手等に関する請願山原健二郎紹介)(第一七三八号)  二六九 学校教育法等の一部を改正する法律案早期成立に関する請願井上一成紹介)(第一七五一号)  二七〇 同(岩垂寿喜男紹介)(第一七五二号)  二七一 同(上田卓三紹介)(第一七五三号)  二七二 同(上野建一紹介)(第一七五四号)  二七三 同(上原康助紹介)(第一七五五号)  二七四 同(大出俊紹介)(第一七五六号)  二七五 同(大木正吾紹介)(第一七五七号)  二七六 同(川崎寛治紹介)(第一七五八号)  二七七 同(五島正規紹介)(第一七五九号)  二七八 同(左近正男紹介)(第一七六〇号)  二七九 同(佐藤泰介紹介)(第一七六一号)  二八〇 同(佐藤徳雄紹介)(第一七六二号)  二八一 同(斉藤一雄紹介)(第一七六三号)  二八二 同(渋谷修紹介)(第一七六四号)  二八三 同(鈴木喜久子紹介)(第一七六五号)  二八四 同(高沢寅男紹介)(第一七六六号)  二八五 同(武部文紹介)(第一七六七号)  二八六 同(土井たか子紹介)(第一七六八号)  二八七 同(富塚三夫紹介)(第一七六九号)  二八八 同(馬場昇紹介)(第一七七〇号)  二八九 同(山花貞夫紹介)(第一七七一号)  二九〇 同外一件(吉田和子紹介)(第一七七二号)  二九一 同(新盛辰雄紹介)(第一八二七号)  二九二 学校図書館教育充実・発展に関する請願伊藤茂紹介)(第一七九四号)  二九三 同(池田元久紹介)(第一七九五号)  二九四 同(岩垂寿喜男紹介)(第一七九六号)  二九五 同(上野建一紹介)(第一七九七号)  二九六 同(上原康助紹介)(第一七九八号)  二九七 同(大出俊紹介)(第一七九九号)  二九八 同(川崎寛治紹介)(第一八〇〇号)  二九九 同(五島正規紹介)(第一八〇一号)  三〇〇 同(佐藤泰介紹介)(第一八〇二号)  三〇一 同(新盛辰雄紹介)(第一八〇三号)  三〇二 同(鈴木喜久子紹介)(第一八〇四号)  三〇三 同(常松裕志紹介)(第一八〇五号)  三〇四 同(土井たか子紹介)(第一八〇六号)  三〇五 同(富塚三夫紹介)(第一八〇七号)  三〇六 同(中西績介紹介)(第一八〇八号)  三〇七 同(馬場昇紹介)(第一八〇九号)  三〇八 同(森井忠良紹介)(第一八一〇号)  三〇九 高等学校学級編制基準の改善に関する請願井出正一紹介)(第一八一一号)  三一〇 同(唐沢俊二郎紹介)(第一八一二号)  三一 一 同(小坂憲次紹介)(第一八一三号)  三一一一 同(田中秀征紹介)(第一八一四号)  三一三 同(中島衛紹介)(第一八一五号)  三一四 同(羽田孜紹介)(第一八一六号)  三一五 同(宮下創平紹介)(第一八一七号)  三一六 同(村井仁紹介)(第一八一八号)  三一七 私学助成拡充強化に関する請願井出正一紹介)(第一八一九号)  三一八 同(唐沢俊二郎紹介)(第一八二〇号)  三一九 同(小坂憲次紹介)(第一八二一号)  三二〇 同(田中秀征紹介)(第一八二二号)  三二一 同(中島衛紹介)(第一八二三号)  三二二 同(羽田孜紹介)(第一八二四号)  三二三 同(宮下創平紹介)(第一八二五号)  三二四 同(村井仁紹介)(第一八二六号)  三二五 私学に対する公費助成大幅増額地方私学振興のための特別助成に関する請願田口健二紹介)(第一九一〇号)  三二六 生涯学習振興のための施策推進体制等整備に関する法律制定反対に関する請願山原健二郎紹介)(第一九一一号)  三二七 同(山原健二郎紹介)(第二〇三一号)  三二八 同(伊藤茂紹介)(第二一八一号)  三二九 教科書無償制度継続等に関する請願小沢和秋紹介)(第一九一二号)  三三〇 同(金子満広紹介)(第一九一三号)  三三一 同(木島日出夫紹介)(第一九一四号)  三三二 同(児玉健次紹介)(第一九一五号)  三三三 同(佐藤祐弘紹介)(第一九一六号)  三三四 同(菅野悦子紹介)(第一九一七号)  三三五 同(辻第一君紹介)(第一九一八号)  三三六 同(寺前巖紹介)(第一九一九号)  三三七 同(東中光雄紹介)(第一九二〇号)  三三八 同(不破哲三紹介)(第一九二一号)  三三九 同(藤田スミ紹介)(第一九二二号)  三四〇 同(古堅実吉紹介)(第一九二三号)  三四一 同(正森成二君紹介)(第一九二四号)  三四二 同(三浦久紹介)(第一九二五号)  三四三 同(山原健二郎紹介)(第一九二六号)  三四四 同(吉井英勝紹介)(第一九二七号)  三四五 高等学校学級編制基準の改善に関する請願北沢清功紹介)(第一九二八号)  三四六 同(串原義直紹介)(第一九二九号)  三四七 同(清水勇紹介)(第一九三〇号)  三四八 同(堀込征雄紹介)(第一九三一号)  三四九 私学助成拡充強化に関する請願北沢清功紹介)(第一九三二号)  三五〇 同(串原義直紹介)(第一九三三号)  三五一 同(清水勇紹介)(第一九三四号)  三五二 同(堀込征雄紹介)(第一九三五号)  三五三 高等学校の四十人学級早期着手等に関する請願池田元久紹介)(第一九三六号)  三五四 私学助成大幅増額に関する請願岸田文武紹介)(第二〇五九号)  三五五 高校四十人学級早期実現等に関する請願長谷川峻紹介)(第二〇六〇号)  三五六 学校教育法等の一部を改正する法律案早期成立に関する請願山原健二郎紹介)(第二〇六一号)  三五七 学校図書館教育充実・発展に関する請願不破哲三紹介)(第二〇六二号)  三五八 同(金子満広紹介)(第二〇九六号)  三五九 同(小松定男紹介)(第二〇九七号)  三六〇 高校四十人学級早期実現私学助成大幅増額に関する請願外九件(松浦利尚君紹介)(第二〇九三号)  三六一 同外五件(北川昌典紹介)(第二一八〇号)  三六二 私学助成大幅増額に関する請願小沢和秋紹介)(第二〇九四号)  三六三 私学助成抜本的拡充等に関する請願武部勤紹介)(第二〇九五号)  三六四 私学助成大幅増額高校四十人学級早期実現等に関する請願江田五月紹介)(第二二五六号)  三六五 障害児教育充実に関する請願山原健二郎紹介)(二二五七号)  三六六 障害児後期中等教育の保障に関する請願山原健二郎紹介)(第二二五八号)  三六七 高校障害児教育に関する請願江田五月紹介)(第二二五九号)  三六八 公立学校女子事務職員育児休業制度適用に関する請願土肥隆一紹介)(第二三一一号)  三六九 同(佐藤泰介紹介)(第二三一二号)  三七〇 同(輿石東紹介)(第二三八九号)  三七一 高校四十人学級早期実現等に関する請願草川昭三紹介)(第二三一三号)  三七二 生涯学習振興のための施策推進体制等整備に関する法律制定反対に関する請願外十三件(斉藤一雄紹介)(第二三一四号)  三七三 同(吉田和子紹介)(第二三一五号)  三七四 同外四件(馬場昇紹介)(第二三八五号)      ────◇─────
  2. 船田元

    ○船田委員長 これより会議を開きます。  中西績介君外一名提出学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。輿石東君。     ─────────────  学校教育法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 輿石東

    輿石議員 ただいま議題となりました学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  学校教育法は、高等学校の目的として、「心身の発達に応じて、高等普通教育及び専門教育を施す」と定めております。  今日の科学・技術の進展は目をみはるものがあります。そのような中で、高等学校における専門教育はますます重要性を増しており、重視されなければならないものとなってきております。したがいまして、高等学校の専門教育における実験・実習教育は、観察・測定・機器の操作及び材料の加工や製造を通じて、生徒に理論と実際の関係や生産にかかわる基礎的知識と技能・技術を習得させ、あわせて一般教科との有機的関連づけを行うことにより、科学的認識力、自主的判断力及び適応力を培う上で極めて重要な役割を果たしているものであります。  この実験・実習教育においては、学校教育法上「実験・実習について教諭の職務を助ける」職として実習助手を置くこととされております。しかし、さきに述べたような事情から、実習助手の職は、単に「教諭の職務を助ける」というような域をはるかに超えているのであります。すなわち、学校現場における実習助手は、法令で定められる実験・実習の準備、指導、整理等については言うまでもなく、その域を超えて指導計画の作成、成績評価等に至るまで教諭と何ら変わらない職務に携わっております。その上さらに、生徒指導、部活動・クラブ活動の指導、校務分掌の分担など、教育にかかわるすべての職務に携わっており、その教育上の功績はまことに大きなものがあります。  また実習助手は、以上のような実績から、教育職員としての責務と自覚の上に立って、教育職員免許法に基づく認定講習や各種の教育講座に参加するなど、みずから積極的に研さんを積み、今日では実習教科免許状取得者も四割を超えるまでとなっております。  しかるに現行制度のもとでは、実習助手は幾ら努力しても実習助手にすぎず、教諭への移行が困難であるばかりか「助手」なるがゆえに社会的にも教育法上の権限や待遇でも、教諭に比して低い処遇を受けております。「五十歳にもなってまだ助手なのですか」という世の中の声は笑い事では済まされず、実習助手の士気にもかかわり、ひいては教育の充実にも悪影響を及ぼしかねません。  以上のような事情は、我が党の過去の同趣旨の法案に対する五度にわたる質疑の中でも明らかにされており、特に昭和六十一年の第百四回国会では、当時の海部文部大臣も「実習助手の努力が報われるようにしたい」との答弁も行ってきているところであります。また文部省も、これまでに実習教科の免許状を取得した実習助手の教諭への任用や俸給表の改善に一定の努力をしてきております。  しかし、この文部省の努力ではなおかつ不十分であります。したがいまして、こうした事情を背景に、各県でも積極的に独自の教育講座を開設し、実習助手の力量を高め、その処遇の改善を進めているのが実情であります。この際、改めて本法律案提出し、実験・実習を担当する教員の制度を改め、現に実習助手である者の教諭への移行を進め、その移行に伴う必要な措置を講ずるものといたした次第であります。  次に、本法律案の内容の概要について御説明申し上げます。  第一は、実習助手制度を廃止して教諭に一元化することとし、これに伴い、学校教育法等、関係法律の改正を行い、実習助手の廃止に必要な十二年間の経過措置を設けることといたしております。  第二は、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数標準等に関する法律を改正し、実習助手の規定を削り、教諭等の数は実験・実習担当の教諭数を加えた数とし、所要の措置を定めることといたしております。  第三は、教育職員免許法を改正し、実習担当教諭の免許状の資格取得資格に看護婦の免許状取得者を加え、現に実習助手である者のうち理科及び特殊教科担当者で文部省令で定める資格を有するものについては教諭免許状取得の措置を講ずることができることといたしております。  第四は、この法律は、平成四年四月一日から施行することといたしております。  なお、本法律案が成立いたしますと、実習助手の教諭への一元化が速やかに行われることになると思われますが、政府におきましても、教諭資格の付与に必要な認定講習の開催や研修会等への参加の保障等の措置について特段の配慮が要請されるところであります。  以上が本法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 船田元

    ○船田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。      ────◇─────
  5. 船田元

    ○船田委員長 次に、吉田正雄君外一名提出公立幼稚園学級編制及び教職員定数標準に関する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。佐藤泰介君。     ─────────────  公立幼稚園学級編制及び教職員定数標準に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  6. 佐藤泰介

    佐藤(泰)議員 ただいま議題となりました公立幼稚園学級編制及び教職員定数標準に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国の未来を担う幼児が、心身ともに健やかに成長することは、国民がひとしく願うことであります。この幼児のうち、四歳児並びに五歳児につきましては、今日既に九九%が幼稚園または保育園に通っているという現状にあります。さらに、国民の三歳児に対する就園要求も高まっているところであります。私立幼稚園連合会が、昨年発表した基本構想の中で、「幼児教育は、すでにその高就園率の故に国民教育化している」と提言していることからも、重要な指摘として受けとめられるべきであろうと考えます。  ところが、幼児教育をめぐる行政は非常に立ちおくれていると言わねばなりません。例えば、現在、学校教育法を受けて幼稚園について具体的内容を定める法令は、昭和三十一年に公布された「幼稚園設置基準」しかないと言っても過言ではありません。これでは、幼児教育は「片手間に行われる」ものにすぎず、到底「国民教育」と呼ぶことはできないのであります。  幼児教育がこれまで私学にのみ負担をかけてきたのも、片手間行政のために国並びに地方公共団体の責務が放棄されてきたからではないでしょうか。幼児教育が学校教育法に規定される学校教育であるなら、すべての幼児に門戸が開放されるべきものであります。しかるに「保育に欠ける」とされる幼児は厚生行政の「保育所」の対象になっています。幼稚園でも保育所でも「延長保育」が要請されている今日、この保育・教育の一元化も急がれるべきであります。その他、保育・教育の内容の充実、施設の地域的偏在の解消、父母負担の格差の解消、教職員の労働条件の改善など、幼児教育行政の抜本的な充実が緊急に求められてきているのであります。  したがいまして、幼児教育の充実に向けて、必要な法整備が急がれねばなりません。本法律案は、こうした幼児教育をめぐる多くの課題のうち、公立幼稚園において「一学級当たりの幼児数は何人が適当なのか」、「教職員はどのくらい必要なのか」ということについての見直しを行い、これを省令から法律へと格上げしようとするものであります。  さて、現行の「幼稚園設置基準」は、昭和三十一年に公布されて以来、数次の改正を経てきておりますが、最も肝心な「学級編制基準」は何ら改正されておりません。すなわち、一学級の幼児数は「四十人以下を原則とする」ということであります。  幼児教育における学級編制基準の「四十人」というのは、明治三十二年の幼稚園保育及設備規程で「保母一人の保育する幼児の数は四十人以内とすること」と定められたのであります。一方、小学校学級規模は、明治三十三年の小学校令に基づく文部大臣が定める規則で「七十人以下」と定められました。この小学校学級規模は、間もなく完結する第五次教職員定数改善計画では「四十人以下」となりますが、幼稚園におきましては依然として「四十人」のままであります。それどころか文部省の「一、二名程度の増加は認め得る」という指導により、「四十人を超える」過大学級が多数存在している現状であります。これでは明治時代より後退していることにさえなるのではないでしょうか。幼稚園の学級規模については早急に見直しが必要と考えられます。  では、一体どの程度が適正な学級規模であろうかということになります。さきの明治時代の小学校学級規模と幼稚園の学級規模の比率を今日に当てはめますと、小学校の「四十人学級」は幼稚園では「二十二人学級」に相当します。厚生省所管の「保育所」の場合は、保母の配置基準は三歳児の場合で「幼児二十人につき保母一人」、四歳児、五歳児については「幼児三十人につき保母一人」となっており、現実にもおおむねこの基準で学級編制が行われております。さらに西欧諸国に目を転じますと、一九六一年の国際公教育会議では就学前教育について「教師一人当たりの幼児数の標準は二十五人を超えないことが望ましい」と勧告されております。事実、多くの国で幼児教育の学級規模は二十五人程度となっているのであります。こうした点から、また幼児の発達段階としての三歳、四歳、五歳の差は大きな差があるという認識からも、本法律案では「三歳児学級は二十人以内」、「四歳児、五歳児学級は二十五人以内」としたものであります。  なお、現行の「幼稚園設置基準」でも「学級は、同じ年齢にある幼児で編制することを原則とする」ことになっております。しかし現実には、基準に「原則」という文言があることにより、三歳児から五歳児までを一緒にする学級が二十一学級もあるなど、例外措置が容易になります。現在「異なる年齢で編制する学級」は全国で四百六十一学級ありますが、学級編制基準を「四十人」から「二十五人」「二十人」に変えたこととも相まって、その数は当然より少なくなるわけでありますから、この際「異なる年齢で編制する学級」を廃止することが望ましいと考える次第であります。  次に、学級編制に伴う教職員の配置基準でございますが、現行の「幼稚園設置基準」では「園長のほか、各学級ごとに少なくとも専任の教諭一人を置く」こととしております。しかし同時に第五条第三項で「専任でない園長」の存在を認め、同条第二項では、専任教諭は「特別な事情がある場合は、学級数の三分の一までは、専任でさえあれば助教諭でも講師でもよい」こととしております。このため、まず、公立幼稚園六千二百三十九園のうち、専任の園長はわずか二千二百十人にすぎず、多くは小学校・中学校の校長との兼任となっており、中には高校の校長が幼稚園の園長を兼ねるという事例さえ出ております。また、現行基準では「一学級に一人の専任教員」でよいため、公立幼稚園の一万七千五百九十五学級に対する専任教員(教諭、助教諭、講師)の数は二万二千二百一人にすぎず、教員が年次有給休暇を消化することさえも難しく、病休もとれない実情があります。こうした中で「延長保育」の要求が強まり、障害児の受け入れ要求も非常に高まってきております。まして教員が「四週六休」を行えば担任教員がいなくなる学級が出てくることになります。  教員の実情がこのような現状ですから、「幼稚園設置基準」では、養護教諭、事務職員については「置くように努めなければならない」と定められているにすぎません。このため事務職員は、現在二百七十六人にすぎず、養護教諭に至ってはわずかに三百二十六人が配置されているにすぎません。また、その他の職員が二千五百九十七人いることになっており、恐らくこうした職員には給食調理員なども含まれ、事務、用務の兼任者も含まれているものと思われますが、それでも教員以外の職員が配置されている公立幼稚園は全園の半分にも満たないのが現状であります。これでは、新しい「幼稚園教育要領」が「幼児一人一人の特性に応じた教育」をうたっても、その実現はおぼつかないと言わざるを得ません。ここに幼稚園にも教職員の定数法が必要な理由があるのであります。  次に、本法律案の内容の概要を御説明申し上げます。  第一は、この法律の目的を定めたことであります。公立の幼稚園に関し、学級編制の適正化及び教職員定数の確保のために、それぞれの標準について必要な事項を定め、もって幼児教育の水準の維持向上に資することを目的といたしております。  第二は、学級編制標準を定めたことであります。三歳児学級の編制は二十人、四歳児及び五歳児の学級についてはそれぞれ二十五人といたしております。なお、異なる年齢の幼児で編制される学級は設けないものといたしております。  第三は、教職員定数標準を定めたことであります。その一は、園長を一園に必ず一人置くほか、教諭等の数は学級数の一・五倍とし、障害児を受け入れる幼稚園については必要な加算を行うことといたしております。その二は、養護教諭等、事務職員及び学校用務員については、一園につきそれぞれ一人を置くこととし、また給食を実施する幼稚園については、学校栄養職員及び給食調理員を置くことといたしております。その三は、教職員の長期研修など、特別な事情があるときの加算措置を定めることといたしております。  第四は、施行期日であります。この法律は、平成四年四月一日から施行することといたしておりますが、学級編制標準及び教職員定数標準に関しましては、今後の幼児人口の減少等を考慮して、五年間の年次計画で実施することとし、それに必要な経過措置を定めることといたしております。  以上が本法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  7. 船田元

    ○船田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。      ────◇─────
  8. 船田元

    ○船田委員長 次に、馬場昇君外一名提出公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。土肥隆一君。     ─────────────  公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  9. 土肥隆一

    土肥議員 ただいま議題となりました公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  本法律案は、障害児教育の水準の維持向上のため、新たに単独法として、公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準法を制定し、学級編制及び寄宿舎の舎室編制の適正化並びに教職員定数の確保を図ることにより、障害児教育へのきめ細かい配慮を行い、その学習権の保障と障害児教育の一層の充実に寄与しようとするものであります。  現行法では、公立障害児のための学級編制及び教職員定数標準について、小学部及び中学部については公立義務教育諸学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律に規定し、高等部については公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数標準等に関する法律で定め、幼稚部については何らの規定も設けておりません。  しかし、幼稚園、小学校、中学校または高等学校の場合と異なり、障害児教育のための学校の場合は、幼稚部、小学部、中学部または高等部を併置することが多いばかりでなく、相互の緊密な連携のもとに一貫した教育を行う必要が極めて強いものがあります。  また、障害児教育における幼児教育の重要性から見て、幼稚部についても学級編制及び教職員定数標準について定める必要があります。  したがいまして、本案は、幼稚部から高等部に至るまでの各部の学級編制及び教職員定数標準について改善充実を行うとともに、これを包括的に規定しようとするものであります。  昭和五十五年五月の第九十一回国会で成立した政府提出による義務教育諸学校教職員定数標準法等改正法による障害児学校関係部分の改善は、十二カ年計画で教員、寮母の定数を総計五千百二十四名増員する計画になっています。うち昭和五十五年度から平成二年度までの十一年間に、総計三千二百八十四名増員するなど、一応の前進であると評価できます。しかし、改善計画の中で例えば、寄宿舎の寮母の定数については、最低保障及び肢体不自由児の寄宿舎のみに改善が行われたにすぎず、障害児教育学校の寄宿舎に、重度・重複障害児の入舎がふえているという実情が無視されております。また、児童・生徒数の減少期を迎え、盲・聾・養護学校の児童・生徒数も減少してきておりますが、反面、重度・重複障害児が急増しており、教職員の勤務は激化しつつあり、腰痛等の健康破壊が急速に進みつつあります。このため、養護教諭の増員が必要であるとともに、教職員の大幅な増員も必要となっております。  以上の諸点が、本法律案提出する理由であります。  次に、本法律案の主な内容の概要を御説明申し上げます。  第一に、従来、盲・聾・養護学校は特殊教育諸学校と称してきておりますが、本案においては、これを障害児教育学校と改めることといたしております。  第二に、学級編制標準についてでありますが、小・中学部及び高等部はすべて六人とし、新たに幼稚部については一学級標準を五人とすることといたしております。また、重複障害児学級については、一学級標準を三人とすることといたしております。  第三に、教職員定数標準改善についてであります。  その一は、教諭等の数について、現行の算定方式を改め、障害の程度に応じ、集団指導や個別指導など、充実した教育が行えるよう、小・中学部及び高等部ともに部の規模の大小にかかわらず、一定の基礎数を学級数に乗じて算定することとし、必要な加算等を行うほか、新たに幼稚部について教員定数の標準を定め、一学級当たり三人といたしております。  その二は、養護・訓練担当教員については、障害の軽減・克服に必要かつ適切な教育の重要な部分を担うという重要性にかんがみ、その配置基準を改善することとし、特に精神薄弱・肢体不自由・病虚弱養護学校については、部の数に二を加えた数の合計数の教員を、肢体不自由養護学校にあっては、さらに児童等の数八人に一人の教員を置くことといたしております。  その三は、在宅児に対する訪問教育指導を充実する立場から、新たに派遣教員の配置基準を定め、当該児童・生徒数が一人の場合は一人の教員を、二人から三人の場合は二人の教員を、以下児童・生徒数が二人増すごとに一人の教員を加算して配置することといたしております。  第四は、養護教諭の数について、現行法では盲・聾・養護学校一校について一人となっておりますが、重度・重複障害児の増加に伴って、教諭の健康の保持・向上を図ることが重要となっておりますので、部の数、学級数等を考慮し、複数の養護教諭を置くことができるように改善することといたしております。  第五に、寮母の数についてでありますが、寮母の障害児教育における重要性にかんがみ、寄宿する児童等を男女別にし、小・中学部については児童・生徒数五人に三人の寮母を、高等部は生徒数三人に二人の寮母を、それぞれ置くこととし、新たに幼稚部について、幼児数五人に四人の寮母を置くことといたしております。なお、寮母の勤務条件を考慮して最低保障を十四名とし、重複障害児一人は障害児三人とみなして計算しております。  第六に、事務職員についてでありますが、その学校規模に応じて、種々の加算配置を行う等、その充実を図ることといたしております。  第七に、学校栄養職員についてでありますが、学校給食施設を保有し、学校給食を実施する障害児教育学校に一名を配置するほか、寄宿舎保有校にも一名を配置することといたしております。  第八に、新たに寄宿舎看護婦、通学用自動車運転職員、学校給食調理員等についての配置の標準を定め、障害児教育に欠くことのできない必要な職員の確保を図ることといたしております。  その他、市町村立学校職員給与負担法等、関係法律について必要な規定の整備を行うことといたしております。  なお、この法律は、平成四年四月一日から施行することといたしておりますが、学級編制標準及び教職員定数標準に関しましては、六年間の年次計画で実施することとし、それに必要な経過措置を定めることといたしております。  以上が本法律案の提案理由及び内容の概要であります。  何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  10. 船田元

    ○船田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。      ────◇─────
  11. 船田元

    ○船田委員長 次に、請願の審査を行います。  今国会において、本委員会に付託されました請願は全部で三百七十四件であります。  本日の請願日程第一から第三七四までの各請願を一括して議題といたします。  まず、審査の方法についてお諮りいたします。 各請願の内容につきましては、請願文書表等により既に御承知のことと存じます。また、理事会におきましても慎重に御検討願いましたので、この際、各請願について紹介議員からの説明聴取は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 船田元

    ○船田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中、私学助成拡充強化に関する請願十三件の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 船田元

    ○船田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 船田元

    ○船田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  15. 船田元

    ○船田委員長 この際、御報告いたします。  今国会中、本委員会に参考送付されました陳情書は、私学助成の強化に関する陳情書外十一件であります。      ────◇─────
  16. 船田元

    ○船田委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  中西績介君外一名提出学校教育法等の一部を改正する法律案  吉田正雄君外一名提出公立幼稚園学級編制及び教職員定数標準に関する法律案  馬場昇君外一名提出公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案 並びに  文教行政基本施策に関する件  学校教育に関する件  社会教育に関する件  体育に関する件  学術研究及び宗教に関する件  国際文化交流に関する件  文化財保護に関する件 以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 船田元

    ○船田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  まず、閉会中審査のため、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間、派遣地、その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 船田元

    ○船田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中審査のため、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 船田元

    ○船田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────
  20. 船田元

    ○船田委員長 次に、文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土肥隆一君。
  21. 土肥隆一

    土肥委員 私は、私立の高等学校の学費軽減措置及び私立大学の財政あるいは補助制度について御質問をいたしたいと思います。  まず高等学校から始めさせていただきますけれども、都道府県の私立高等学校の学費軽減措置が行われておりますが、私が調べました資料に基づきまして若干述べさせていただきますと、平成元年度当初予算における軽減措置状況を調べてまいりますと、実施団体として四十三都道府県が実施しておりまして、その補助総額は百四十五億三千八百万円に達しているようでございます。これは、私立学校学校法人がみずからの判断に基づいて補助をしていくわけでありますが、そのときに都道府県がその財政措置をいたします。六十三年度の当初予算で見ますと、二一・九%の高校生が補助を受けておりまして、その総数は三十四万二千四十九人になっております。  実は文部省は昭和五十四年度の概算要求を大蔵省にいたしますときに、大分前の話になりますけれども、学校法人が学費の軽減措置を行う際に、学費の軽減措置財源として総額十五億円の特別補助を新規要求したようでありますが、実現しなかったという記録がございます。  結局そのために地方自治体が独自の財源で、例えば元年度におきましては百四十五億の大変な高額の補助をしているわけでございますが、文部省自体、その後、つまり昭和五十四年度以降、この高校生の生徒の入学時のいろいろな学費の軽減措置の特別補助の要求はしてこなかったのでしょうか。して、もししてこなかったとすれば、なぜそういうことになっているのか、お聞きしたいと思います。
  22. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 お答え申し上げます。  今委員御指摘のように、私立学校が入学時の納付金の軽減措置を行う、これは各学校が判断するわけでございます。これに対しまして、ほとんどの都道府県におきまして、私立学校が経済的理由によりまして就学が困難な生徒に対して授業料等の入学時の納付金の軽減措置を行っている、こういう場合には私立学校に対して補助を行っている、このように私ども承知しているわけでございます。  委員の方からは、五十四年度概算要求についての件のお尋ねがあったわけでございますが、これにつきましては、私立高等学校の設置者が授業料減免を行う場合、都道府県がこれに補助を行う、それに必要な経費の一部を国が補助をするというような考え方で当時要求を出したわけでございますが、しかし当時の厳しい財政事情ということもあり、一応、形では機関補助という形になるわけでございますが、実質的には父兄に対する直接補助というようなことになるわけでございます。  この直接補助という問題につきましては、育英奨学制度との関連、あるいは私学助成というものを機関補助で行うのか直接補助で行うのかという基本的な問題にもかかわることでございまして、慎重な検討を要するということで当時見送ったわけでございまして、現在までのところそういうような考え方で概算要求はしておりません。現在の私学振興助成法の考え方は、経常費助成を行うということできておりますので、私どもはそういう経常費助成を充実していくことがまず大切なことだ、このように考えておるわけでございます。
  23. 土肥隆一

    土肥委員 機関補助あるいは経常費補助という話でございますけれども、ところが、実態といたしましては、例えば全日制高校の場合、私立が五十万八千四百九十八円、ところが公立は九万二千八百円、何と五・四八倍もの入学時の学校納付金があるわけであります。  私は三年間ほど児童養護施設の施設長もいたしてまいりましたけれども、平均が五十万八千円でございますけれども、いざ私学に入学させようということになりますと、例えば制服代、それから部活動のそういう洋服代、あるいはかばん、教科書、部活に必要ないろいろな材料等々入れますと、多い場合には八十万円くらいになるわけですね。もちろん厚生省の関係でさまざまな補助がございますけれども、大体基本的には三十万円くらいしかありませんで、あと残りの五十万を何とかかき集めてこなければならないというような経験をしてまいりました。  五十万くらいですと何とか児童養護施設におきましても子供を入学させることができるのですが、八十万くらいになりますと施設ないしは施設長が個人的に負担をいたしまして後で何とか本部会計から募金で埋めるというようなことをするわけでありますけれども、五・四八倍もあって、そしてそれが今も続いておる。それに対して経常費助成だというふうに言いますけれども、結局この経常費助成といいましても、それは法人に支払われるわけでありますから、その法人が、つまり学校当局がそれぞれの就学困難な子供に対する補助をするということは不可能でありまして、むしろ都道府県がそれを肩がわりしている、そういう実情かと思います。  こういうときに、なお五・四八倍もの差があるということについて今後改善の余地はあるのでしょうか、ないのでしょうか、お聞きしたいと思います。あるとすればどういう方法をおとりになるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  24. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 先生の御指摘は、公立と私立の間の格差かと思うわけでございますが、私ども、平成元年度で公立と私立の格差が五・七倍、これは初年度納付金額で見たものでございますが、五・七倍という数字になっております。  ただ、これは昭和五十一年、私学振興助成法が施行になった年から比較いたしますと、昭和五十一年ではこれが九・六倍の格差があったわけでございますが、それが平成元年度には五・七倍、委員御指摘の、これはまだ大きいではないかということでございますけれども、格差はそれなりに縮まってきておると私どもは認識しておるわけでございまして、今後の施策といたしましては、やはり実施しております私立学校の経常費助成、財政厳しい中でございますけれども、できるだけの充実を図っていく。そしてまた、育英奨学制度というものをさらに充実していく、そういう施策の中でこの問題に対処をしていくべきだろう、このように考えております。
  25. 土肥隆一

    土肥委員 経常費助成でカバーは私はできないと思います。と申しますのは、まず絶対額が足りないということ、それからまた、奨学資金の制度の拡充というふうにおっしゃいますけれども、私の経験からいいますと、例えば是川資金というのがございますけれども、資金運用でその果実から奨学資金を捻出していこうというわけですけれども、数が多くなりますと、例えば成績に五段階評価で二以下があったらだめだとか、あるいは前もって出させるいろいろな文章を読みまして、ですから我々施設長はその子供がいい作文を書けるように指導するわけでありますが、民間の奨学資金も非常に限定されていてますます厳しくなっている。  そういう中で、財政事情ということでございますから、後で大蔵省にも質問いたしますけれども、やはりこの五・七倍という格差というのは埋まらないのではないか。例えば、目標として何年後には三倍にするとか二倍にするとかというような、そういう目標値というのはないのでしょうか、お聞きをいたしたいと思います。
  26. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 これは各私立学校におきます授業料等の納付金、これにつきましては、基本的には各私立学校自身の責任において自主的に決定すべき事柄である、このように考えておるわけでございます。  私どもとしては、先ほど述べましたような施策充実に努めるとともに、一方、私立学校に対しましては、授業料等の納付金の値上げにつきまして、一層の経営努力を行い極力抑制するようお願いをしているところでございまして、今後とも、そのような考え方で各都道府県を通じまして各私立学校に対する指導をしてまいりたい、このように思っております。
  27. 土肥隆一

    土肥委員 後ほど私立大学のことについてお聞きいたしますが、私立と国公立大学がその授業料等の学校納付金、学生納付金が一・九倍まで追ってきたわけでありますけれども、今の御答弁によりますと、目標値もなくて、私立大学のような努力も見られないということになりますと、私が考えますのは、例えば公立高等学校の費用を上げまして、そしていわば受益者負担というような考え方から私学に近づけていくような、そういう方向は考えておられるのでしょうか、いかがでしょうか。
  28. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 公立高等学校の授業料はそれぞれの地方公共団体が決めるわけでございまして、地方公共団体におきましては、それぞれ議会を通じて条例を制定しこれを決めるわけでございますので、これもやはり各都道府県、特にその住民がどういうところを望んでおるか、そういうことによって決まっていく問題ではないか、このように思っております。
  29. 土肥隆一

    土肥委員 そうしますと、国としましては昭和五十四年度概算要求をなさって、それから十一年たって学費の軽減措置を行ってこなかったということからいいますと、後は地方公共団体でやってください、それ以外に文部省としては打つ手はありませんというふうに聞こえるのですが、そういうふうに理解していいでしょうか。
  30. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 文部省といたしましては、現在の私立学校振興助成法、これが経常費助成という考え方になっておるわけでございますので、私どもとしてはこの経常費助成というものをできるだけ充実をしていくということが大事であると思うわけでございまして、先生御指摘の点につきましては、私どもとしても各都道府県を指導してまいりたい、このように思っております。
  31. 土肥隆一

    土肥委員 ぜひ財政的な措置も伴った方策をしていただかないと、都道府県だけが懸命な努力をしてそして百四十五億に及ぶ独自の財源捻出をしているということ、そしてまた私立学校におきましても年々人件費が上がっていく中で学校経営に苦慮しておられる。あるいは特に経済的に恵まれない家庭の子供が、九四%も高等学校に行くような時代にありまして五・七倍もの格差を持っている費用をつくらなければならない。あるいは全国に三万人ほどおります児童養護施設の子供たちは、今日の九四%も高校に行く時代でございますから、何とか高等学校だけは出してあげたいというふうに考えますときに、初年度の入学金であくせくしていて、例えばある養護学校では、もううちの財政では私立に入れられないから君たちは公立に入るように頑張りなさい、こう言いまして、一種の教育的効果を求めるという意味もあるわけです。  一生懸命勉強しろという意味でもあるのですけれども、実際、単年度に五人も六人も私立の高等学校に入るようなことになりましたら、たちまち百万、二百万の財政負担がかぶってくるという事態があるわけでありますから、私立高等学校への助成というものは本当に考えていただきたい、このように思います。  それでは大学の方に移らせていただきますけれども、生涯学習振興法案を論議いたしますときに、冒頭、私も文部大臣に、子供が一・五七人、一人の女性が一・五七人しか出生しない時代が来たときに、私は教育費が原因ではないかというふうに申し上げたわけでございます。住宅費と教育費が出生を圧迫しているというのが大概のマスコミの結論でございます。私もそう思います。  いよいよ去年から私大の初年度の納付金が百万円時代を迎えて、これが定着したというふうに言われております。いろいろな子供の養育あるいは教育費がどれくらいかかるかというようなことを調べた調査がありまして、その数字はまちまちでありますけれども、例えば朝日生命保険会社が調査いたしました日経に報道されている記事を見ますと、子供を持つ世代、つまり夫が二十八歳から五十二歳までの二十五年間に、夫婦だけだと九千八百六十万円の支出があるというふうに書かれているのです。  では子供にかかる養育コストはどうなるかというと、コストというのもなにでございますけれども、子供一人だと大体一〇%増すのです、九百五十万円。二名になりますと、これは二〇%になりまして千九百七十万円。そうすると、非常に合理的な夫婦ですと、結婚しまして、いよいよ子供をもうけるというときに、一人で約一千万円、生まれてから大学卒業するまで二十二年間、しかもこれは、全部公立で過ごしたという場合でございます。そして学習塾等を含まないということで、そうすると約一千万、二人だと二千万かかるという計算になるわけですね。そうすると、夫婦だけだと九千八百万、約一億というふうにしますと、そうやって計算していきますと、やはりこれは、例えば二人もうけたら二割アップということになるわけでございますね。そんなふうにして子供を育てる意味はないんじゃないかというふうに私も思うわけであります。  日本の特に私立大学、もう既に大学生の八割をカバーしようという私立大学の教育費などを考えますときに、合理的な夫婦でしたらそういう数字もやはり念頭に入れながら、マスコミにも取り上げられるわけでありますから、やはり教育費が今後どうなるかということを真剣に考えなければいけないのじゃないかと思うわけでございます。  そういうときに、単にお金の問題だけでなくて、ちょっと古うございますけれども、一九八六年三月二日付の朝日新聞の社説に「教育費の高騰にひそむ危険」、こう書いてありまして、これは四年前の社説で古いのですけれども、しかし、まさに今教育費が、特に私立大学の初年度納付金が百万円を超えるというときに、こういうふうに述べております。   年を追ってとどまることを知らない教育費の上昇傾向は、国民生活に対する深刻な脅威になりつつある、ととらえる必要があろう。そして、それは単に家計を苦しめるだけでなく、やがて家庭のあり方、ひいては社会の質をさえ変えてゆきかねない要素をはらんでいる。   一組の夫婦が生む子どもの数が減る「少子化現象」が起きるのは、教育費がかさむため、といわれている。わが国でも、高度成長の過程で急速にそれが現れてきた。「一人っ子時代」が、明日の社会の様相を根深いところで変えてゆくだろうことを考えると、教育費の問題は長期的な影響まで視野に入れて受け止めなければならないことが分かる。   教育はカネで買うものだという風潮を定着させ、親の経済力による機会の不公平を当然化してゆくことによる、子どもたちのモラルのゆがみもまた、将来に何をもたらすか。財政論議の次元だけで、いつまでも終始してはいられないように思われる。 こういうふうに述べております。  今の、子供一人生めば一千万、二人だと二千万というような計算で、結局日本の国民は教育というものは市場原理に従って買うものだ、お金を出して教育というものを買う、そして財政当局はそれを受益者負担というふうに申しまして、そういうふうに教育は金で片をつけるというような風潮がこのまま定着していくと、親の考え方も、また特に子供たちのモラルもゆがんでくる、こういうふうに言うわけです。  私も三人子育ていたしておりますけれども、大学の入学時に私の子供は偏差値のところを見るのです。大学のリストを見まして自分の偏差値がどこにあるかと。私は納付金の方を見るわけですね。そして二人で議論をするわけです。僕の偏差値はここだ、そこで出てくる大学を調べまして、これはだめだ、親は負担能力がないというようなことで、二人の子供を大学にやったわけでございます。そういうことをしながら親は子育てをしているということになりますが、私は図らずも文教委員になりまして、大変恥ずかしく思うのでありますが、きょうは私立大学の費用の問題についていろいろお聞きしたい、こういうふうに思っております。  今私がるる述べましたことについて、文部大臣、また御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  32. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 感想をということでございます。  私も娘を二人私立の大学に行かせまして育てましたが、もし私が普通のサラリーマンでおりましたらば、やはり今委員がお話しになりましたように、大変難しいだろうなということを考えただろうと思います。  しかし、やりくり算段をいたしまして何とか娘を大学まで卒業させることができたわけでございますが、私は、それは教育費というものは安ければ安い方がいいだろうと思います。 しかし、いろいろな事情が重なって今日の姿になってきておるわけでございますが、国民全般にさらにいい教育が行き渡るように我々は努力をしていかなければならないということを感じております。
  33. 土肥隆一

    土肥委員 教育は金で買うという風潮というふうに言っておりますが、それについてはお答えいただけませんでしたが、ここは文教委員会でございますから、財政との絡みもあって、教育基本法あるいは憲法、そしてこれだけ高度な経済社会、高度工業化社会を迎えて、そして高学歴社会を迎えている中であって、大学教育あるいは国民教育、国民の生まれたときから大学までの教育のあり方については真剣に論議していかなければならないのじゃないか。  そうしないと、結局子供が、子供のモラルということを言っておりますけれども、親の経済程度において子供の学習機会が決められるというふうな社会というのは極めておぞましい社会だと私は思うのであります。しかし、現実に私立大学の費用がどんどん上がっていく現状におきまして、むしろそういう経済的な格差が子供の学ぶ機会を制限するような社会を生み出すということは、何か日本の将来が暗く見えてしょうがないのでございます。  さて、私立大学の教育費の問題について話を進めてまいりたいと思うのでありますが、実は私の手元に平成元年十二月二十一日に出されました財政制度審議会の提言がございます。結局、今この日本のすべての行政施策は、言葉の使い方にちょっと語弊があるかもしれませんけれども、大蔵省によって枠をはめられているわけでありまして、したがいまして、いわばシーリングだとかあるいは行革だとかというような中で国が動いているわけでございます。この財政制度審議会の文章、非常に抽象的な文章が多うございますので、文部省が大蔵省に予算要求をなさる、この秋から平成三年度の要求が出てくるわけでございますけれども、もう一度大蔵省の基本的な、財政から見た教育改革といいましょうか、あるいは文教振興策と申しましょうか、その辺についてただしておきたいと思うのであります。  まず「教育改革の推進に当たっては、我が国の公財政支出文教関係費の対国民所得比率が欧米諸国と同程度の水準にあること等を考慮」し、そして教育政策にお金を使っていくというのでありますが、「欧米諸国と同程度の水準にある」ということはどんな数字を根拠にしておっしゃっているのでしょうか、お聞かせください。
  34. 福田誠

    ○福田説明員 お答えいたします。  御指摘のように、財政制度審議会の報告におきまして、我が国の公財政支出文教関係費の対国民所得比率が欧米諸国と同程度の水準にあるというふうに記載されておりますが、これは一つの指標といたしまして、これは出典は文部省で出されております「教育指標の国際比較」という統計でございますが、その中で、公財政支出、これは国と地方の合計になるわけでございますが、公財政支出全体の中の文教関係費の対国民所得比率が日本は六十一年度で六・四%、これに対しまして、統計上の制約で年度が若干食い違っておりますが、米国が六・一%、西ドイツが六・三%、イギリス七・二%という統計がございまして、これらの指標と比べますと遜色がない水準ではないかということをこの報告では根拠にしておられるものと私は考えております。
  35. 土肥隆一

    土肥委員 日本という国は明治以来大変教育熱心な国でございまして、国民は教育については一種の強迫観念を持っておりまして、もう何としても教育中心というふうな考え方があるわけであります。アメリカ、イギリス、西ドイツ等の比較をして、それはやはりなるほど大体同水準にあると思いますけれども、例えばあるアメリカの統計によりますと、あなたはよき大学というか、エリート大学といいましょうか、を出たときにそれは将来の社会生活について必要不可欠なものと考えるかという質問がございます。それに対して、名門大学を出るとやはり社会的に地位を高めるために必要だということについてはアメリカは七%。これはアメリカのギャラップ社の調査でございます。ところが、日本は名門大学を出るとやはり有利だという人が三三%いるのですね。  それから、麻生誠さんという人の「学歴効用論」という本がございまして、それによりますと、子供を大学に進学させたい理由というのを挙げておりまして、そのときに、専門的技術、知識、資格を子供につけさせたいというのが一番多いのです。それから次に、自由に好きな勉強をさせたい。三番目に、自分を振り返って子供にはぜひ大学に進学させたい。この統計によりますと、最終学歴、これは父親が統計の答えをしているわけですけれども、大卒が二一%、高卒が四五%、中卒が三一%、その他三%、こうなっております。四番目には、自分に残す財産はないので、せめて学歴だけはつけてやりたい。五番目には、今大学に行くのは当たり前、こういうふうな順序でございます。  生涯学習法案を先ごろ上げたわけでございますが、私は日本はやはり独特の社会だというふうに思うのですね。そして、そういう意味では大学進学率はますます上がっていくだろう、それの一種の解消策として専門学校等も出てまいりましたし、それの解消策として生涯学習振興法案という‐のも出てきたというふうに思うのでありますが、今のお話ですと欧米並みだということでございます。しかし、例えばアメリカあたりは名門大学なんて出て役に立つとは七%しか答えていないというようなことを考えますと、単純に水準を合わせるだけでは意味がないというふうに考えております。  一応の指標にはなるでありましょうけれども、やはりそれぞれの状況がある。例えばドイツではマイスターの制度があるとか、職人がきちっと位置づけられている。イギリスではパブリックスクールとかあるいは学校制度の中にも、いいか悪いかは別にして、社会制度としての納得のいく教育制度があるというようなことを考えますと、やはりただ数字だけでこれを決めるのは間違いではないかというふうに思います。  もう一つお尋ねいたしますが、「教育関係予算の中で、既存施策の合理化・効率化とともに資金の重点配分を図る」というふうに書いてあります。これはどういうことを大蔵省はお考えなんでしょうか。
  36. 福田誠

    ○福田説明員 お答えいたします。  この部分の趣旨でございますが、私ども理解しておりますのは、現下の大変厳しい財政事情のもとの予算配分のあり方について述べられているものと思うわけでございまして、限られた予算を配分するに当たりましては、やはり大変広範な文教施策の中で効率化、重点化に努める必要がある、臨教審答申などに沿いまして、特に我が国の教育水準の維持向上のために最も緊要な施策に重点的に配分すべきであるという御趣旨だろうと理解しております。  それでは具体的に何を指すかということになりますと、報告書でも述べておらないわけでございますが、これはやはり毎年度の予算編成で重点的に配慮している事項ということに結果的にはなろうかと思うわけでございまして、例えば、そういう観点で平成二年度の予算を見てみますと、特に文部省でお力を入れておられた生涯学習基盤の整備充実とか文化、スポーツの振興あるいは四十人学級の実施などの定数改善計画、私学助成充実あるいは科学研究費の拡充、さらに留学生受け入れ体制の充実等の特に柱となっている事項がまさに重点的な配分というふうに考えてよろしいのではないかと考えております。
  37. 土肥隆一

    土肥委員 幾つか柱を挙げられたわけでありますけれども、教育現場で合理化、効率化あるいは緊要な施策というふうにおっしゃいましたが、この重点配分という考え方は、文部省はどういうふうにお考えなんでしょうか。文部省のお答えをいただきたいと思います。
  38. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 ちょっと今、官房長がおりませんので、私からかわりにお答え申し上げますが、私どもも今主計官がお答えしましたような事項を予算編成の重点事項として対財政当局と折衝してきたわけでございます。  結局、主計官も説明いたしましたが、限られた概算要求基準の枠の中で概算要求を行い、そして、それを要求どおり何とかとりたいという努力をするわけですが、限られた概算要求基準の中で概算要求を行う際に、重点的に文部省施策を推進したいというものにどうしてもウエートを置いて要求をせざるを得ないという事情がございまして、私どもも今の財政状況のもとでの概算要求あるいは予算編成ということになりますと、重点項目を定めて、重点化した概算要求なりをせざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  39. 土肥隆一

    土肥委員 よくわからないのですけれども、では、もう少し話を進めたいと思います。  私立大学の私学助成の部分でございますが、今日私立大学に対しては経常費補助ということになっているわけです。その中で「経常費補助の配分については、私学の独自性の発揮、経営の在り方、教育条件の向上の観点から、より一層の改善を行い、補助効果をより的確に反映し得る仕組みを確保すべきである。」この「経常費補助の配分」の中で「私学の独自性の発揮」あるいは「経営の在り方、教育条件の向上」のため「補助効果をより的確に反映し得る仕組み」にしなければならない、こういうふうに言っておりますが、この独自性の発揮、私学の経営のあり方、教育条件の向上というようなこと、そして今限られた財源というふうな話でございますが、「補助効果をより的確に反映し得る」、これはどういう意味なんでしょうか、お答えください。
  40. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 お答え申し上げます。  財政制度審議会の答申の中身の話でございますが、現在の仕組みをお話しした方がわかりやすいかと思いまして、私の方からお答えをさせていただきます。  現在、この私立大学等の経常費補助金の配分につきましては、まず一般補助と特別補助という形に分けてございます。一般補助というのは、教職員数、学生数というものを基礎にして出すものでございまして、特別補助というのは、大学院の充実とかそういう具体のことをやっていることに着目しまして、その特色ある教育研究を推進していただくように、こういうような観点で出しておるわけでございます。  まず、一般補助についての考え方は、基本的には、専任の教員数、専任の職員数あるいは学生数、それらにそれぞれ単価を乗じましてまず額を出すわけでございますが、その額を出した上で、さらに、この教育条件をよくしている、そういうようなところにはよくこの補助金が行くように傾斜配分というものを行っておるわけでございます。  今、私学の独自性、経営のあり方というような御指摘があったわけでございますが、私学の独自性というようなことを考えますと、その辺はやはり客観的な基準でこの傾斜配分というものを考えるべきであろう。こういうようなことで、一つは学生定員の管理状況、砕いて申し上げますと、学生定員に対してどれだけ実際に学生が行っているか。考え方としましては、学生定員にできるだけ近く入れているところが配分が高くなる、こういう考え方で一つやってございます。それから、教員組織の充実度ということで、これは教員一人当たりどれくらい学生がいるかということで、教員一人当たりの学生数ができるだけ少ない方が配分が高くなる、こういうような考え方でございます。それからもう一点は、学生納付金の教育研究経費への還元状況ということで、授業料等の学生納付金があるわけでございますが、これが実際にどれだけ教育研究経費に還元されているか、還元の率が高いところほど配分点が高くなる、こういうような考え方、この三つを基礎にいたしまして傾斜配分を行っておるわけでございます。  私どもとしては、そういうことで恣意的な要素が入らない客観的な計数というものを出しまして一般補助の金額を出しているということでございます。  それから特別補助につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、大学院の充実あるいは社会人の受け入れ等の生涯学習振興、帰国学生や外国人留学生の受け入れ等の教育研究の国際交流、そういう社会的要請の高い特色ある教育研究というものに着目いたしまして、これもやはり客観的なものを求めるということで、実際の学生数あるいは支出額等の客観的な資料に基づき増額補助を行う、こういうような考え方でございまして、直接先生の御質問にお答えになったかどうかあれでございますが、私学の独自性というものを考える際には、やはりそういう客観的なもので配分をしていくべきであろう、しかし、やはり教育条件のいいところにはそれなりの傾斜配分が行くように、こういうような考え方で実施をしているところでございます。
  41. 土肥隆一

    土肥委員 この傾斜配分の客観的なということをお聞きしましてやや安心をしたわけでございますけれども、しかし、そもそも経常費補助という考え方がやはり今の私学の根本的な問題ではないかというふうに思っておりますが、では、話を進めさせていただきます。  この財政制度審議会の答申にも書いてありますが、最後の方で「国立学校特別会計への繰入れ」というところで、「同じ大学教育を受ける者の立場等から考えれば、両者の間に大きな格差」、つまり私学と国立ですが、「格差があることについては問題がある。このような国立大学と私立大学との格差の現状等にかんがみ、私立大学との均衡等を考慮して、適正化を進める必要がある。」というふうに述べております。  文部省あるいは大蔵省、両方にお答えいただくかもしれませんけれども、実は今、この財政制度審議会の結論によりますと、国立大学と私立大学の学生納付金の数字を見ますと、例えば昭和五十年度では四・三倍の私立大学の入学金等の納付金があったわけですが、五十五年には二・七倍になりまして、六十年には二・五倍、そして平成二年では一・九倍まで格差が狭まってまいりました。  こういうふうに格差が狭まってまいったのですが、これはどのくらいの数字まで格差を詰めようと文部省はお考えでしょうか、あるいは大蔵省はお考えでしょうか。
  42. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 学生納付金、特に国立大学の授業料のあり方というのは大変難しい問題だと思っております。言いかえれば、国立大学における教育全体の経費につきまして、公、国と個人とどういうふうに負担するかという基本的な問題でもありますし、ただその場合に、教育投資というのは、単に個人にその利益が帰属するだけではなくて、外部効果と申しますか、それがむしろ社会、国家にもその効果が帰属する、国家、社会にも還元されるという点も考慮しなければいけない問題だと思います。  この考え方が私学助成を支えている一つの論拠にもなっているんだと思いますが、特に国立大学の授業料というのは、それだけではなくて、人材育成という観点あるいは教育の機会均等というような観点から、家庭の経済力に余り影響されずに進学できるような水準を維持していく必要があるだろうというふうに思っております。そういう意味で、従来から、国立大学の授業料の改定に当たりましては、どの階層からも進学できるような水準になるたけとどめておくということを基本といたしまして、同時に、私立大学の状況とかあるいは社会、経済の状況等を勘案しながら決めてきているわけでございます。  したがって、私立大学との均衡を考えてといってもおのずから限度があるんじゃないか。言いかえれば、均衡を考えると最終的には同じにするのかというところまで行くわけですが、私どもとしましては、あくまで、もちろん私立大学がどのぐらいであるということは参考にはしますけれども、しかし基本的には、なるたけすべての家庭から能力と意欲のある人が進学できるような、そういう水準にもとどめておかなければいけないだろうというふうに考えておりまして、結局それは、先ほど申し上げましたようなことを総合的に勘案して、その授業料を上げるときに上げ幅を決めていかざるを得ないんじゃないかというふうに考えております。
  43. 土肥隆一

    土肥委員 そうすると、一・九倍はどうなさるのですか。来年度はどうなるのでしょうか。どういう基本的な考え方、どういう理由で基本的格差を縮める。それはどこまで縮めるのか、そういう考えをお聞きしたいと思います。
  44. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 基本的な格差を縮めるといいましても、先ほど申し上げましたとおりに、授業料の部分につきましては私どもは先ほどのような考え方でおのずから限界があるだろうというふうに思っております。  それから、格差を縮めるという場合に、今度文部省の立場だけから申し上げますと、それならばむしろ私学助成充実して、なるべく教育研究条件をよくしていくという形での格差是正というのもあり得るのではないかというようなことも、私どもの立場からいえば、そういう考えもあるわけでして、授業料の格差を縮めるといっても、単純に同じにする、そこまで縮めるんだという考えは私ども持っておりません。
  45. 土肥隆一

    土肥委員 それじゃ、一・九倍というのはどうなんですか。ここで固定するのですか。それともまた、これが二倍とか三倍とかいうふうに流動的なものだということでしょうか、どうでしょうか。
  46. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 そのときの、先ほど申し上げました経済情勢——基本的にはすべての所得階層の人たちが能力に応じて国立大学に進学できるような水準にとどめておくという基本的な姿勢の中で、そのときどきの経済情勢等を見ながら決めていくということでございまして、一・九で固定する、あるいはそれをまた二・〇にする、あるいは一・八にするということはちょっと今の段階では明確にこういたしますとは言えないのですが、基本的には、そういう基本的な姿勢で対応してまいりたいというふうに考えております。
  47. 土肥隆一

    土肥委員 その辺が私はちょっと原則に欠けるのじゃないかというふうに思うのです。私立大学の学生が全大学生の八割を占めている現状で、先ほども申しましたように、どう考えても教育は金で買わなければ仕方がない、経済的な格差が同時に子供の教育の、いわば差別を生むといいましょうか、機会を奪うといいましょうか、そういう時代であるわけです。  したがって、私立大学は、例えば文部省が私立大学の経常経費の補助金を出すといいましても、今や、私は昭和六十三年度の指数しか持っておりませんが、私立大学の全経常経費総額に対する補助金の割合は一六%しかないわけですね。一六%しか補助していないときに、そういう状況の中で私立大学の補助金をふやすとかそういうふうにおっしゃいますけれども、あと八四%は結局父兄が、親が金を出して買うわけです。  そうすると、どう考えても私立大学の経営状態というのは一種の市場原理に従っているわけであります。国立大学の入学金あるいは授業料をずっと上げてきて一・九倍まで来たということは、国立大学の学生もまた国立大学における教育をお金で買うという、つまり受益者負担というような考え方からいえば、私学も国立大学も同じような考え方になるのではないか。一・九倍まで来ましたら、もはやこれは教育の機会均等だとか財政に影響を受けない、能力ある子供の勉学の機会を与えるというようなことを言いましても、結局は私学と同じ考え方になってくるのではないかと思うのです。  今一六%しか補助がないという状況の中で、国立大学の授業料をここまで上げてきたということは、今局長がおっしゃった理念とはかなり違うんじゃないか。つまり国立大学というのは、受益者負担という考え方に立つ限りは、やはり私学と同じような市場原理というようなことと同じではないかと思うのですが、御見解をお聞きしたいと思います。
  48. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 大ざっぱな数字で恐縮でございますが、国立大学の平成二年度の予算というのが特別会計約二兆円でございます。二兆円のうち、単に授業料だけに限りません、大学の授業料は千三百億程度でございますが、それに入学金その他附属高校とか高等専門学校などがありますが、学生納付金のトータルは一〇%の二千億でございます。  そういう意味からいいますと、もちろん応分の負担はしていただくという考え方があるからこそ授業料と入学金を取っておるのですが、受益者負担を強く求めていくということには数字の上ではなっていないのではないかというふうに私ども思っております。数字はそうでありますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたような考え方でこれからも授業料問題には対処してまいりたいというふうに考えております。
  49. 土肥隆一

    土肥委員 そうすると、全国公立関係の予算のうちで学生が負担しているのは一〇%程度だ。 そうすると、これは市場原理的な、あるいは等価交換的な意味ではなくて、やはりあと九〇%の、施設やあるいは教授陣が持っているマンパワーを利用する、使用する、言ってみれば使用料というふうに考えたらいいと思うのでありますけれども、そうしますと、片や私立大学に対する援助が一六%しかない、ですから父兄が八四%の負担をする。一方で国公立大学では学生は一〇%で国が九〇%の財政負担をする、そういうことになるわけです。  そうしますと、例えば先ほどの大蔵省の、財政審議会の考え方によるならば、同じ大学教育を受ける立場から考えれば、両者の間に大きな格差があることについては問題がある、だから授業料を合わせるんだということであるならば、私学の学生も国立の学生も同じ考え方に立たなければいけないわけであります。  ところが、何といいますか官尊民卑といいましょうか、どうもそういうふうな日本の風潮を考えざるを得ないわけでありますが、どうでしょうか、私学助成ということを考えるときに、今大蔵省の財政審が出しているような考え方とは全く違うのではないかというふうに思うのでありますが、局長の御見解をお願いいたします。     〔委員長退席、松田委員長代理着席〕
  50. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 お答え申し上げます。  私立学校がどういう形で収入を上げ、そしてまたそれをどういう形で支出するか、これは各私立学校がそれぞれ独自で判断をしていくわけでございます。ちなみに、現在、昭和六十一年の大学におきます消費収支の状況、特に消費収入の方を見てみますと、私立学校で大体学生生徒納付金が全消費収入の半分、五〇%、こういうことである。ではそのほかにどういうものがあるかといいますと、もちろん補助金もございます。それから資産運用収入、いろいろな資産を運用することによります収入、それから事業をすることによって出てくる収入、その他の収入、この中には寄附金等も入っておるわけでございますが、そういう中で私学学校法人を、そして大学を経営している、こういうことでございます。  確かに今、六十三年度で補助金が経常的経費総額しまして一六%ということでございます。ただ、私どもといたしましては、近年、財政状況の厳しい中でございますけれども、しかもこの私立大学の経常費はマイナス一〇%の対象経費になっておるわけでございますが、私学の重要性にかんがみまして、財政当局の御理解も得ながら、六十二年度では五億の増、六十三年度で十億の増、平成元年度では三十三億、平成二年度では三十四億円の増額を図ってきたわけでございます。  ただ、経常的経費が年々ふえる割合の方が高いものでございますから、どうしても割合の方は落ちていく、こういうような結果になっておるわけでございますけれども、私どもとしては、これをできるだけ充実しなければならないということにおきましては、全く先生と気持ちを一にしておるわけでございます。今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  51. 土肥隆一

    土肥委員 時間がなくなりましたが、そうしますと、私学は五〇%学生が負担している、あとはいろいろな運用や補助金でやっている。国立は一〇%だ。そうすると、これは五倍ですね。五倍の負担を私立の学生がしているということになります。授業料あるいは納付金等が一・九倍まで来ておりますが、この五〇%、つまり五倍、五対一の割合を縮めることは極めて難しいと思います。  その理由は、それはやはり経常費補助という補助金のあり方だと思うのです。これを埋めるためには、経常費補助という考え方のみならず、さまざまな私立学校が努力しております補助金、例えば施設とか設備あるいは学校用地の確保だとか建築だとかというようなことについてもやはり特別な補助をしない限りこの様相は変わらないと思いますが、最後に局長の御見解をお願いしたいと思います。
  52. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 お答えいたします。  現在、私立大学に対します助成としましては、全私学に共通いたします経常費助成というものがやはり大切であるということで、私立学校振興助成法もそういう形で規定がされておるわけでございまして、その充実に努めておるわけでございます。  先生から施設設備等の話が出たわけでございますが、この施設設備等につきましては、土地をどう確保し、そしてそこにどういう建物をつくり、どういう設備を入れるかというのは、これはまさに各私学がそれぞれ独自の経営判断なり校風と申しますか、そういうものをもって決めることでございます。私どもといたしましては、学術研究等の振興を図るという観点で、例えば教育研究装置の施設整備費の補助とかあるいは私立大学の研究設備整備費の補助というような形のものは実施しておるわけでございますけれども、一般的な形でこれを助成するということはいかがなことだろうか、このように考えておるわけでございます。  なお、私立大学の施設設備等の整備に要する経費につきましては、私学振興財団を通じまして、現在、長期低利の資金の貸し付けを行っておるわけでございます。繰り返しになりますけれども、やはり施設設備の整備というのはそれぞれの学校がそれぞれの校風をもってこれを整備をしていくことである、私どもとしてやはり全私学に共通します経常費の充実を図ることが最も大事なことだ、このような観点で施策を進めているところでございます。
  53. 土肥隆一

    土肥委員 終わります。
  54. 松田岩夫

    ○松田委員長代理 次に、輿石東君。
  55. 輿石東

    輿石委員 私は、週休二日制、学校五日制の問題について御質問をしてまいりたいと思うわけですけれども、ただいま土肥委員の方で私学教育費助成の問題をめぐって何点か指摘がありました。その中で、私も聞いていて、これから私自身が質問する問題とも大変かかわりますので、問題点が浮き彫りにされた点について若干触れさせていただきたいと思うのであります。  四年前の朝日新聞の社説を引用されまして、我が国の教育が金で買われようとしているという風潮、これは何としても根本から考え直していかなければならないというふうな話もありましたし、一人一・五七人という子供しか誕生してこない戦後の出生率の最低を更新している状況でありまして、家庭の中は一人っ子という状況の中での、社会のゆがみやそれがもたらす社会の変化、家庭の変化等について目を向けた教育が必要だろうと思うのであります。  公務員の週休二日制は、たしか昭和四十七年、十八年ぐらい前に人事院勧告で言及されてから、今まさに週休二日制、学校五日制は世界の常識だという点から、我が国でも避けて通れない課題としてここに登場してきている。そういうものを踏まえまして、今文部大臣に冒頭にお尋ねをしたいわけですが、週休二日制、学校五日制に臨む文部省としての決意や考え方についてお伺いをいたします。
  56. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 世界的に労働時間の短縮その他のことが言われております。そういった風潮もありますし、さらにまた、学校の現場で先生方のいろいろな勉強その他の機会をつくるために、学校週五日制というのはそれなりに意義があると思います。  この問題につきましては、昨年の八月に調査研究協力者会議を発足をさせまして、そして調査研究を実施をいたしておるところでございます。昨年の十二月にこの調査研究に必要な実証的資料を得るために、九都県六十八校の研究協力校を指定をいたしまして、月に一回または二回の試行を現在行っております。今後、教育課程のあり方とともに、教員の勤務形態などの学校運営のあり方、子供の生活にかかわる学校と家庭あるいは地域社会との連携のあり方に留意をいたしまして、国民世論の動向にも配慮しながらこの研究を進めていく予定でございます。調査研究の結果を踏まえまして、平成三年度末、平成四年三月までに一応の結論を得る予定にいたしております。
  57. 輿石東

    輿石委員 今文部大臣の方から、九都県六十八校ですか、試行に入った経過等が話されましたし、またこの実験校を指定したねらいや事情等についても触れていただきました。  そこで、後ほどその問題にかかわって質問をさせていただきますが、今文部大臣の方から言われた中身とすれば、そのための教育課程の問題、それから職員の勤務態様の問題、そして世論の動向というものを見詰めながら、これに平成三年度をめどに積極的に取り組んでいくというふうに私は理解をしているわけですけれども、そのような観点から後ほどまたお伺いをしたいというふうに思うのであります。  生涯学習のところでも再三出てまいりました我が国の学歴社会の是正、これを何とかしなければならない。子供たちは今どのような状況であろうか。幼児から始まる受験競争、一教科七千円と言われる塾通いを余儀なくされ、さらに子供たちは今遊びを奪われ、友達もいない、勉強づけの毎日である、この状況を何とかしなければというところから、我が国の八〇年代は教育論議の頂点に達した時代でもあるとも言われております。また、その八〇年代は子供たちの問題行動が浮き彫りにされた時代だというふうにも言われているわけですけれども、そこでひとつお尋ねをしたいと思います。  登校拒否とか高校中退、それから子供たちの問題行動というようなことで、文部省としても何度かそれについての実態調査等も行われておるというふうに思うわけであります。その点について御報告いただければありがたいというふうに思います。
  58. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 今御質問のございました、まず登校拒否でございますが、登校拒否につきましては、昭和六十三年度で中学生が三万六千百人でございます。小学生は少し少ないわけでございますが、六千二百八十五人、合わせまして四万人を超える子供たちが、学校になじめない、集団生活になじめなくて授業が受けられないでいるという状況がございます。私どもとしましては、こうした状況を何とかして解消したいということでいろいろな施策をやっているわけでございますが、今後ともこの問題につきましては真剣に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。  それから、これに類しますのは、高等学校では高校中退という形であらわれるのであろうと思います。高校中退につきましては、十一万人を超える生徒が毎年のようにやめていっております。これは千人の学校規模でいいますと、毎年百校の学校の生徒がいなくなるというような状況でございます。  この問題につきましても、さまざまな理由があるようでございますけれども、私どもとしては、一たん高校に入った以上は何とか高等学校が卒業できるように対応を重ねておりますが、なかなか難しい問題もございます。生涯学習の観点から、たとえ高等学校を中退しましても、また再度希望があればやり直しのきくようなシステムを何とかして実施していきたい。現在、単位制高校などは一部そういう役割を果たしておりますけれども、今後とも、こうしましたことに対しましても私どもも真剣に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  59. 輿石東

    輿石委員 今局長の方から、まさに戦後最悪の、登校拒否児四万人を超える、高校中退者は十一万人を超えるというこの状況、この十一万人という数は、御説明のように百校に在学する生徒が一遍にいなくなる、そういう状況であります。これは何としても、我が国の文教政策としてその辺に大きくメスを入れていかなければならぬ緊急を要する課題だという理解はできるというふうに思います。  また、そういう状況の中で、例えば今いろいろな問題、原因があって難しい問題ですというふうに言われたわけですけれども、その調査結果からさらにその原因がどこにあるのか、例えば、登校拒否で小学校と中学校は若干違うということも言われました。その原因をどこにとらえているか、もうちょっと御説明をいただきたいというふうに思うのであります。
  60. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 登校拒否の原因はさまざまでございます。小中学校ともに一番多いのは、不安など情緒的混乱が原因になっていると考えられるものでございますが、その理由が、学校生活に起因する場合、それから家庭に起因する場合、そのほかその子供たちの精神的な状況により、神経症などもございますので、起因する場合など、いろいろございます。  私どもの調査では、学校生活に起因するものとしましては、これも調査の仕方によってさまざまでございますけれども、約六・四%、それから登校拒否の中でも遊びとか非行などの態様をとる場合があるわけでございますが、これが一六・六%、それから無気力型と申しますか、何となく登校しない型にこれが多いわけでございますが、このパターンをとるのが二九・九%、それから不安など情緒的混乱がありまして登校できない子供たちが二九・〇%、こんな調査がございます。しかし、いずれにしましても単一の理由というわけではなくて、さまざまな理由が複合的に重なって登校拒否になっていくという場合が多いというふうに私どもは理解をしております。
  61. 輿石東

    輿石委員 いろいろな原因が複雑に絡んでいることは私もそのように理解できるわけですが、一九八九年に文部省が調べられた児童生徒の問題行動の実態調査、私もそれを分析をさせていただきましたし、見させていただきました。  私がその調査によって把握しているところですと、小学校と中学校で若干違う背景とあえてお尋ねをしたのは、小学校では当然のこととはいえ、家庭生活での影響がある、そういう原因が多く見られ、特に親子関係をめぐる問題等が三七・八%に及んでおりますし、中学へ行くとそれが家庭生活から学校生活に問題が派生しているというふうに分析できると思うのであります。その最大の原因が学業不振にかかわる問題等四二・二%というふうにとらえておるわけですが、そうした中でいずれにしても今の中学生にとっては中学校というところが居心地の悪いところだ、そのように意識をされている、そういうところになっているということが言えるのではないかというふうに思うのであります。  また先ほど、八〇年代は大変教育論議の盛んな時代であった。臨教審、中教審、それから民間教育団体、それぞれの立場で多くの論議がなされてきております。その中で八〇年代の特徴はというと、登校拒否というような教育荒廃と言われるような問題と塾通い、この二つが八〇年代の学校教育にかかわる大きな特徴的な現象として把握できるというふうにも多くの人たちから指摘されておるのですけれども、その塾通いについての調査があったらお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  62. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 塾通いにつきましては、昭和六十年度の調査によりますと、小学校で一六・五%、中学校で四四・五%の子供たちが何らかの塾に通っているという調査がございます。
  63. 輿石東

    輿石委員 先ほど冒頭に私が申し上げましたように、塾通いが中学へ行くと半数以上にというふうに今言われた調査でも出てくるわけであります。したがいまして、日本の教育が金で買わなければならないというような風潮があるという指摘が既にされたわけですけれども、まさにこの塾通い、子供たちはこことかかわって、最初に文部大臣からお話をいただきましたこれから学校五日制に入るに当たって、子供たちはこの学校五日制の問題に対してどうとらえているか、まさに大人から見た学校五日制、教師の立場から、そして親の立場からという視点はいろいろ言われるわけですけれども、子供が学校五日制をどうとらえているか、その辺もこれからの大きな研究の課題になろうというふうに思います。  そうした意味からして、今子供たちが現状の学校生活をどのようにとらえ、どのような苦しさ、叫びを上げているのかということが文部省の方できちんと把握されていなければならないというふうに思うのでありますけれども、このように、学校教育の中に大変な問題を抱えながらも、依然として登校拒否とか高校中退者が解消されていかないこの現状を、どこにその背景や原因があると文部省はとらえられているか、お尋ねをいたしたいというふうに思います。
  64. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 御指摘のように、登校拒否ないしは中退というものが大きな課題であることはもちろん言うまでもございませんけれども、ただ、あえて申しますと、全体の中学生に対します登校拒否児の数は〇・六%でございます。また高校中退の場合も、全体の高校生に対しますと二・五%という数字でございますので、その比率は、これは高くない低いという問題ではないかもしれませんが、その子供たちにとりましてはその時期教育を受けるというのはかけがえのない問題でございますから、それは少ないからどうということはないと思いますけれども、ただ全体の数字から見るとそういう率である。したがいまして、学校教育全体が子供たちにとって楽しくないところとか、なじめないところ、そういう状況にはなっていないとまず私は思うわけでございます。  しかしながら、繰り返しになりますが、登校拒否の、学校になじめなくて学校に行きたくても行けない子供たち、ないしはせっかく高等学校に入ったのに学校の授業になじめない、ないしは進路の選択が間違っていたということで進路変更をする子供たち、その子供たちに対してどう対応していくかということは大変重要な課題であるというふうに考えております。  したがいまして、私どもは、登校拒否の子供たちにつきましては先ほど申し上げましたような種々の理由がございますから、その理由、原因に対応した教育を、ないしは指導をしていかなければならない。高等学校中退の子供たちに対しましても、これもさまざまな理由がございます。したがいまして、その子供たちに対応した適切な措置をしていかなければならない。高等学校の場合でいいますと、例えば中学校の進路指導のあり方から問題になるわけでございますので、中学の進路指導を充実しなければいけないし、また、高等学校に入りましてもそのカリキュラムがどこに行っても同じようなカリキュラム、子供たちは能力的にも適性からいいましても、興味、関心からいいましても実にさまざまな子供が入っているのにもかかわらず、カリキュラムが大学準備教育を意識した画一的なものになっていないかどうか、そういう高校教育の子供たちの実態に対応した多様性、弾力性というものも求められましょう。それから、その子供たちに対します生徒指導の問題もあろうと思います。こうしたさまざまな問題がございますので、それぞれに適切な対応をしていきたい、このように考えているのであります。
  65. 輿石東

    輿石委員 その辺にこだわるわけではないのですけれども、今局長の方は高校中退者の対策として進路指導のあり方、さらにはカリキュラムの弾力的な運用、大学の準備的な教育に陥らないような弾力的な運営をし、そういう教育をしてほしい、そんなことを言われましたけれども、そこでお尋ねをいたします。  高校や大学への進路を決める、その子供みずからの意思で、または自分の能力に応じて進路が決定できる、教師はそうした適切な進路指導ができるような状態になっているのかどうか。  もう一つは、カリキュラムの弾力的な運営、または画一的な教育を行わないように、そういうことを言われましたけれども、そのような教育課程、そのような教育が営めるような状況になっているかどうか。文部省は、今のカリキュラムのあり方、進路指導のあり方で十分中退者を救えるような、子供の叫びが聞こえるような、解消できるような施策になっているとお考えですか。
  66. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 まず進路指導につきましては、これはなかなか難しい問題がございます。御案内のように、偏差値による進路決定という状況がかなりございます。偏差値自体が悪いわけではございませんけれども、偏差値を参考にするというのならともかく、偏差値によってすべてが決定されるような状況が一部にあるという指摘のあることは十分承知しております。  しかし、私どもとしましては、子供たちの能力とか適性とか将来に対する希望とか、そういうものを中心にして適切な進路指導、進路決定が行われるようにということで、進路指導のあり方につきまして各種の講習会をしたり、それから教師用の指導書を配ったり、そのほかいろいろ指導部課長会議等で各部道府県の行政担当者にお願いをしたりということで、さまざまな施策をとっているところでございます。  しかし、子供たち自体が、モラトリアム傾向の中で自分の進路決定というものを先へ先へ延ばそうという傾向、風潮がございます。したがいまして、進路決定が本当に子供たちの主体的な決定によって行われているかどうかということにつきましては、それは必ずしも満足すべき状況でないかもしれませんが、私どもとしては、少なくとも子供たちが自分の適性を見つけて、そして主体的に自分の進路を決定していくというような指導をしていきたいというふうに考えているところでございます。  またもう一つ、カリキュラムの問題でございますが、これはかなりカリキュラムの改定のたびごとに弾力化をしてまいりました。例えば高等学校で申し上げますと、大体九十六単位を修得して卒業するといたしますと、現行の学習指導要領では、必修科目で国の基準として必修としているのは三十二単位でございます。したがいまして、三分の一が必修であって、三分の二は選択ということになるわけでございます。もちろんこの場合の選択も、学校が選ぶという学校選択の問題ないしは生徒がどこまで選び得るか、生徒選択の可能性の問題もございますけれども、少なくとも国の基準として必修を決めているのは三分の一でございますので、あとの三分の二につきましては各学校がいろいろな創意工夫によりまして、子供たちの実態によりまして、地域の実態によりまして、多様な弾力的なカリキュラムが組み得るような仕組みになっているわけでございます。  そのほか詳しく申し上げる時間もないと思いますけれども、高等学校学習要領自体は、学校が子供の実態に応じてさまざまなカリキュラムが組み得るような非常に弾力的な仕組みになっているということでございますので、私どもとしましては、ぜひ各学校が、そうした画一的なカリキュラムではなくて、柔軟な、多様な、弾力的なものにしていただきたいというお願いを常にしているところでございます。     〔松田委員長代理退席、委員長着席〕
  67. 輿石東

    輿石委員 今の局長の答弁をしていただいた点は、大変学校教育制度の根幹にかかわる点ですから、確認をしておきたいと思うわけですが、学校の実態や地域の実態、子供の実態に応じてカリキュラムは弾力的に運用されるべきだし、そのように各学校にもお願いをしている、そう言われましたけれども、そのようなカリキュラムに、教育課程になり得るような仕組みになっているかどうかということを私はお尋ねしたいのであります。  私が文教委員会で一番最初に質問をさせていただいた教科書検定の問題しかり、いろいろな基準、規程、規則、いろいろなもので、今その上に子供たちは校則という締めつけまであって、学校の中で大変息苦しく、学校が居心地の悪いところというとらえ方をしているのであります。しかし、簡単に結論が出せない問題でしょうけれども、大学入試がある限り、そこに受験がある限り、そのようなカリキュラムの弾力的な運営を、学校の創意工夫をといっても、そのようになっていない。そこに進路指導の難しさ、カリキュラムの運用の仕方の枠の中での弾力的な運用といっても、当然そこには限界があるわけですから、そのことはいつまで論議しても平行線をたどるでしょう。  しかし、私は幾つかの例を話させていただきたいと思うのであります。今の子供たちの実態は、キャンプに連れていってもマッチ一本すれない状況であります。さらに、ナイフでリンゴの皮がむけない子供。そういう子供をつくり出してしまった。テレビやマイコン、塾通いで孤独の生活をしなければならない。子供から遊びを奪い、友達も奪い、そして受験、受験で勉強づけになっている、この子供たちを何とか子供らしく育てていくような、そういう学校体系や社会の仕組みにしたい。そのことが私がこれから質問をさせていただく、本論へ入る学校五日制、週休二日制の問題は、それらの何らかの糸口が見つかる教育改革の第一歩でもあろうというふうに私は学校五日制をとらえてみたいのであります。  その点について、学校五日制の早期実現を教育改革の第一歩にしたい、そういう願いがある。その辺について文部省はどうお考えになるか、最初にお伺いをしたいというふうに思います。
  68. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 御指摘のように、このごろの子供たちはマッチがすれない、それからリンゴの皮がむけない等基本的な生活習慣と申しますか、生活技術という面で問題があることは御指摘のとおりであろうと思います。文部省でも、数年前になりますか、そうした調査をしましたとき、まさに御指摘のような状況があらわれてまいりました。  私どもとしましては、こうした問題は学校の責任であるか、家庭の責任であるか、社会の責任であるかという問題があろうかと思います。しかし、いずれにしましても、子供たちを育てるのは家庭であり、学校であり、社会であるわけでございますから、それぞれの責任の所在を問うよりも、むしろこの三者が一体となって子供たちが健やかに健全に育つようにすべきであろうというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、学校五日制の問題も、単に教師の週休二日制の問題というよりは、むしろ私どもとしては子供たちの教育にとって五日制がいいのか六日制がいいのか、今先生が御指摘になりましたようないろいろな子供たちを取り巻く状況、それの教育のあり方の問題を考えるときにどうあるべきかという観点からもこの学校五日制について取り組んでいるつもりでございます。
  69. 輿石東

    輿石委員 それでは、学校五日制の問題についてお尋ねをしたいわけでありますが、昨年の十二月、人事院の勤務時間問題研究会が出されました報告書では次のように言っているわけです。「現在文部省において検討が進められている学校五日制の問題は、週休二日制社会の実現に当たって避けて通れないものと考える。この問題は、児童生徒の教育にかかわる重要な問題であることから十分な検討を尽くすべきであるが、」その後ですね、「社会全体の週休二日制の進展の動向をも十分踏まえつつ、学校五日制の早期実現に向けて取り組むべきである。」というふうに、急がなければならないというふうに明記をしてあるわけであります。  このように人事院の勤務時間問題研究会は、経済社会が完全週休二日制へ大きく動き出している、国民の生活のあり方に変化が出ているこの時期に学校教育や子供の生活をこれらの社会の変化から切り離して考えていくということは許されない、裏返せばそういうふうに言っていると思うわけであります。九都県の六十八校の研究結果を待つ、そういう消極的な姿勢ではなくて、もう少しこの問題に積極的に文部省は取り組んでいくべきだと考えますし、その学校五日制に伴う問題というのをどのようにとらえられているのか。 学校五日制に入ったときに予想される問題点とはどのようなものを現時点で把握されているか。  もう一つ、この五日制に伴って教職員の勤務形態、文部大臣、先ほどそのことにも触れられましたけれども、それをどのように考えておられるか。もう少し具体的に言えば、教職員は教育をつかさどるという特殊な勤務体系からという言い方から長期休業中にまとめ取り方式のやむなきに至っているわけですが、その問題についても御見解をお伺いしたいというふうに思うのであります。
  70. 倉地克次

    ○倉地政府委員 今先生お尋ねのように、現在、教職員については週休二日制の問題をまとめ取り方式で実施しているわけでございます。  これの考え方でございますけれども、やはり児童生徒が学校に出席しているときに先生にお休みいただくことはどうだろうかという問題があると同時に、そうしたことを前提として教育課程を組むとすれば、現在の教育課程が六日制を前提としているわけでございますから、いずれにしても変則的な教育課程にならざるを得ない、そのような弊害を考えましてまとめ取り方式を実施しているわけでございます。ただ、人事院の御指導もございまして、現在こうした教職員についても四十時間制の試行を行うということになったわけでございますけれども、今のような考え方から考えてみますと、何と申しましても学校五日制との関連が非常に深いというふうに考えられる次第でございます。  それで、文部省の方では、学校五日制の調査研究校を指定し、研究しているわけでございますので、その中で四十時間制の問題につきましても同時にいろいろと試行し、調査していただくことをお願いしている次第でございます。  以上でございます。
  71. 輿石東

    輿石委員 この激動する社会の変化、それに対応できる教育をという点から学校五日制は避けて通れない課題だ、そういう認識はお互いに一致をしているわけですが、そこに教育をつかさどる教職員の勤務態様も、それは当然教職員だけは別だという感覚ではなくて、今後どのように週休二日制を保障していくかという立場から、これへの切り込みなり取り組みをぜひ積極的にお願いをしておきたいというふうに思うのであります。  それから、お答えいただけなかった点についてですが、学校五日制を前提に取り組まれるわけですから、学校五日制への問題点、課題、メリット・デメリットというふうな問題を今の時点で文部省はどのようにとらえられているか、その点についてお答えをいただきたいというふうに思います。
  72. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 これから検討するわけでございますので、メリット・デメリットという問題は、その検討の結果を待ってということになろうと思います。  ただ、私どもが今学校五日制の研究を行うに当たりまして、問題として意識しておりますのは幾つかございます。  まず第一は、教育水準の維持の問題でございます。  今まで六日でやっていた内容を五日でやる場合に、どのような問題が出てくるか。その際に、現行の教育水準は維持する必要があるであろう。これにつきましては、各学校段階におきまして、内容の精選とか指導方法の工夫ということによりまして教育の質の維持ということに努めなければならない。それをどうしたらいいかということが課題であります。したがいまして、これは当然今回の研究校におきまして、いろいろ具体的な指導計画の策定ないしはその実施の過程におきましてこの問題について研究を深めていくということになろうかと思います。  第二は、児童生徒の学習負担の問題でございます。  六日のものを五日でやるという場合に、授業時数をどうするかという問題もございますが、内容的にも子供たちの学習負担が過重にならないような配慮が必要である。そして、教育活動が一層充実しなければならない。そのためには具体的にどうしたらいいかということも検討の課題でございます。  それからもう一つは、子供たちの受け皿の問題でございます。  家庭や地域社会におきます子供たちの生活環境、生活行動につきましてどのような対応をしていったらいいか。土曜日を仮に休業にした場合に、その子供たちはどこに行くのか。都会などでは、ほうっておけば塾に行くのではないかという指摘もございます。塾に行かないまでも、子供たちを受け入れる態勢がどの程度整っているかどうか。さらには、学校は休業であるけれども、学校の施設は開放してその子供たちを受け入れるという場合もあるのではないかということで、こうした問題につきましても検討、研究を深めなければならないというふうに考えております。  大体その三点が大きな課題でございますが、そのほか、国民の世論調査によりますとまだ六割が反対でございますので、こうした国民の世論と申しますか、国民の理解をどのように得ていくかという問題もあろうかと思います。  いずれにしましても、目下この四月から具体的な検討、研究を始めたわけでございますので、その成果がまたわかり次第、御報告を申し上げたいと思います。
  73. 輿石東

    輿石委員 今、最終的には実験学校での研究成果を待つ、こう言われて、そのための試行でしょうから当然だというふうに思います。  しかしながら、今局長言われましたように、教育水準の維持という点で、六日でやったものを五日に持ってきた場合に、学習者である子供の負担、それから、教育水準が、学力が落ちないだろうか、そういう親の心配。そして、土日に子供が解放された場合の社会的受け皿、その点については、生涯学習のところでもその整備が必要だということは再三論議もされましたし、そういう結論に行ったわけですけれども、もう一つ、国民世論の動向が、親や地域の大人が、六割はまだこの学校五日制について危惧を持っている、不安だ、そのところの分析もきちんとしておかないといけないというふうに思うわけです。  正しい実態の把握から教育改革の方向も決まってくるというふうに思うのであります。だからこそ、その六割の反対という意思表示をしている国民がなぜそうなのかという、もう一歩突っ込んだ分析が必要だろうというふうに思うのであります。それは、最近の調査では、それがまた六割ではなくて五割程度に順に減ってきている、その危惧も減少する傾向にあるという事実もあるところであります。  なお、子供たちが塾通いをしてしまうのではないか、そんな心配もある。しかし、子供たちの実態がどうなのか、再三、この学校五日制に向けて子供たちはどう考えているのか、静岡県の先生方が、かなりの三年間以上にわたって調査をした結果もあるわけであります。その結果は、八五%の子供は学校五日制にしてほしい。そして、その学校五日制にしたときに何をやりたいか。自由が欲しい、遊びを取り戻してほしいと子供は願っているのであります。塾へ行きたいというのは一・二%という状況であります。  子供たちは、もう塾へは行きたくない、もう少し自由にしてほしい、友達と遊びたい。友達を奪ってしまった社会、子供から遊びを奪ってしまった世の中の仕組み。だから労働省や厚生省が、子供たちにけんかを勧めたり遊びを奨励しなければならない。わんぱくでもいい、たくましく育ってほしいというテレビのコマーシャルが受けるようなこの子供の実態を何とかする、その道筋として学校五日制が提起をされ、子供が伸び伸び育つ社会的な仕組みや、そういう子供らしい、子供が子供時代を取り戻せるような、そういうものを目指して学校五日制を積極的にやっていくという方向が文部省の態度であってほしいというふうに思います。  それからもう一つ、時間がありませんから、お聞きをどうしてもしておきたいのは、私どもの日政連議員との話し合いの中で、局長の方から、指導要領の見直しという点についても触れていただいたように思うのであります。  五月の十一日に、文部省、総務庁、人事院、三者が同席しての折衝が持たれました。そこで、学校五日制、週休二日制への文部省の対応のやりとりの中で、菱村初中局長は、五日制への方法として、六日あるものを五日にするわけですから、その時間数は五日間に上乗せをしていく方法、それから、ゆとりの時間というもの、そういうものを使ってそういうところで消化をしていく方法、それから、時数の弾力的取り扱いというような三つの方法が考えられる、そういうふうに言われました。  だから、時数は標準であって最低ではない、場合によっては学習指導要領を見直すこともやぶさかではないというふうにそこで言われておるわけでして、この学校五日制、週休二日制が成功できるかどうか、それは、教育課程を抜本的に見直し、指導要領も見直していくところから出発して初めて、学校改革、教育制度の大きな改革、私たちが真に願う教育改革もそこから出発できるというふうに思いますが、学習指導要領の見直しというものも文部省としてもきちっと考えていくという、その確認をここで再度いただきたいと思うのであります。
  74. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 五日制を実施する場合にどういう問題が生ずるのか、どういう課題があるのかということを今研究、検討を続けているわけでございます。この四月から行っているわけでございます。  ですから、その結果を見なければわからないわけでありますが、もし仮に学習指導要領に何らかの手直しの必要があるとするならば、それは手直しも考える、理論的に考えることになるでしょうという趣旨で申し上げたわけでございまして、この五日制を前提に学習指導要領を抜本的に変える、今先生のお言葉ですと抜本的に変えるということを御指摘になりましたが、そういうつもりで申し上げたわけではございません。  ですから、学校五日制を行うについてどのような問題点があるか、そしてその結果、もし必要ならば指導要領の手直しということも理論的には可能でありますという趣旨で申し上げたまででございます。
  75. 輿石東

    輿石委員 必要ならば手直しも考える、理論的にはというその理論的にはというところがわかりにくいところですけれども、ぜひ、そういう弾力的な運営をというところでは限界があるわけですから、何とか子供たちのために、余り枠組みのされた教育ではなくて、再三局長言われているような方向で学校、教師が、子供たちが伸び伸び教育ができるような施策を考えていってほしいというふうに思います。  なお、標準時数の問題が出ました。年間授業日数は我が国では二百四十日、二百日を超えているという国は、諸外国、とりわけ先進国ではないわけでして、経済大国日本、世界の中の日本というキャッチフレーズがもてはやされるとすれば、やはり先進国並みの授業日数で子供たちが伸び伸び社会に、大人も子供も一緒に過ごせる、そういう時間を週休二日制、学校五日制という形の中で実現していってほしいと思うのであります。  あと関連質問もございますので、最後に私の方では、どうしても学習塾の問題が気になるのであります。  ちょっとした資料によりますと、先日もお聞きをいたしましたが、前の中島文部大臣が理事長をされているという民間教育団体、あれが間もなく文部省に公認申請をし、許可をされるという、そんなことも言われておりますが、学習塾がそういう形で教育の一分野として位置づいてくるならば、この学校五日制が実現したときに教育産業十兆円、受験産業二十兆円とも言われる、そういうものへ道を開く危険はないか、そんなことも心配されるわけであります。その点について最後にお伺いし、質問を終わりたいというふうに思います。
  76. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 お尋ねの民間教育振興協会でございますが、これは去る四月の中旬に文部省に社団法人についての認可申請が一応出されているものでございます。構成団体につきましては、約五割強が学習塾でございますが、それ以外の四割強につきましてはおけいこごと塾というようなものが中心のものでございます。これにつきまして、私ども今現在、認可申請についてさまざまな観点からいろいろと検討しているところでございまして、慎重に検討して結論を出したい、そのように考えております。
  77. 輿石東

    輿石委員 それでは、私の質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  78. 船田元

    ○船田委員長 次に、中西績介君。
  79. 中西績介

    中西(績)委員 極めて制限された中の質問でございますので、簡潔にお答えをいただければと思っています。  一つは、文部省に当初体育研究施設というものがなかったということもございまして、私たち論議をいたしました国立競技場と日本学校健康会の統合に伴いまして法案が可決をされました。そしてその際に、この附帯決議として、体育・スポーツに関する研究、研修、情報提供などを一体的に行うための体育研究研修センター構想の具体化について所要の措置を講ずることということで、全会一致で、これは船田さん一番よく知っていると思いますけれども、確認をいたしました。  そこで、この国立の体育研究研修センター事業を行うということでこの法人の事業の中に取り込むことになり、それは将来にわたって健康、命というのが大きな課題になってくるのでぜひこれを実現しようということで、当時体育局長、そして今の船田委員長、皆さんこうした問題についてそのとおりだということを御確認願った上でこういう内容が附帯決議の中にも取り入れられたし、将来に向けて今度は予算を措置をするということで調査費がつけられるということにもなってきた。この調査費はもうちょっと前ですけれども、そういう関係があったわけですね。この点について文部省の方は御存じかどうか、今忘れてないかどうかを確認したいと思います。
  80. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 今御指摘ございました六十年十一月十三日の衆議院文教委員会におきまして   国民の体力向上と健康の保持増進を図り、スポーツの振興をより一層推進するため、体育・スポーツに関する研究と体育指導者に対する研修を一本化し、さらに国民への体育・スポーツに関する情報の提供等を併せて行う体育研究研修センター構想の具体化について所要の措置を講ずること。 という附帯決議をちょうだいいたしておりますことは十分承知をいたしております。
  81. 中西績介

    中西(績)委員 この附帯決議が出てくる過程の中では、先ほど申し上げた国立競技場と日本学校健康会の統合に伴ういろいろな論議がされたときにこの問題が一つの課題として取り組みがなされたということを附帯決議——今附帯決議だけしか読まなかったけれども、その過程の中における話し合いが私は重要だと思うのですね。あらわれとしてはこのように重要視していくという内容で附帯決議になって出てきましたけれども、過程があったということをぜひ忘れぬようにしていただきたいと思います。  ということになりますと、このことは、生涯学習局長いないけれども、この前から論議をしておる生涯学習について特に今欠けておる指導者をどうするのか、こういう問題等と、この事業内容をずっと見ていただきますと、大体そういうのが全部網羅され、しかも今度はこの情報提供まで含んでこれが重要視されてきておったのです。そのことが今度は生涯学習の中における重要な位置づけになるはずであろうと私は思うのです。そのことは、今度はそこで育ってくる人たち、あるいは研修をし研究をしてきた人たちが全国に散って、本格的にスポーツについての認識とこれを拡大していくことによって生涯学習の中における大きな役割を果たすようになってくるだろうと私は思っておるわけです、このことが今欠けておるというのはみんな認めておるわけですから。  ところが、八八年から論議が起こりまして、国立総合体育研究研修センター(仮称)の設置準備調査研究協力者会議なるものができたから、私はそういう方向に向けてこれが発展をするであろうということを期待をしたところが、逆に今度は国立スポーツ科学センター構想にこれが変わっていったというところに政策の大転換があったとしか私は言いようがないと思うのですね。ソウルの大会で敗れた、さらにまた引き続いてオリンピックで敗れるというようなことが重なってくると、政策が貧困であるがゆえにその場しのぎのものが台頭してくるというような状況が、私はこの最たるものじゃないかと思うのです。  この国立スポーツ科学センターの内容等、ずっと一つずつ読み上げていくともう時間がありませんけれども、これをずっとトータルしてみますと、全く質が変わってしまったとしか言いようがないのです。ということになると、今皆さん掲げた生涯教育あるいは生涯学習、この前私は、余りにも拙速主義ではないかと言いましたが、それには物すごく傾斜をしてやらなくちゃならぬということを言っておるにもかかわらず、そのための基礎になるものは消しておいて今度はこういう問題を出してくるということになると、文部省の基本的な政策というのが何なのかということを私は疑わざるを得なくなってくるのです。この点、大臣、どうなんでしょう。  こういうスポーツ科学センターに転換をしていくということがこうした生涯教育とのかかわり等からいたしますと、私は従来の方針、政策そのものがやはり踏襲をされ、むしろ発展をしていくべきだと思うのですが、この点、どうでしょうか。
  82. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 最初に事実関係を一言申し上げさせていただきたいと思います。  今御指摘いただきました体育研究研修センターの構想におきましても御案内かと思いますが、研究部門としては競技力向上に関することというものも設けておりましたし、また、研修におきましてもナショナルチーム、オリンピック級競技者の研修ということも取り入れておったわけでございまして、今回のものはその一部の構想をとりあえず実現を図るというふうに考えておる次第であります。
  83. 中西績介

    中西(績)委員 このスポーツ科学センターですか、これをずっと内容を見て、前のものにも取り入れておったというけれども、一番基礎になるものが変わったというところに私は問題があるという指摘をしているのです。  内容的に見ましても、取り入れた部分、一部はありましょう。それはある。認めます。しかし、そのことが従来からの生涯学習という、あれほど私たちが指摘をしているにもかかわらず今皆さんが強引にやり遂げようとするときに、この一番根幹になるような指導者養成機構というものが、ここから大きく外されていくとは言いませんけれども、それがうんと転換をしていったというところに私は政策的に問題があるというのですよ。  そこで私は聞きますけれども、では、例えばスポーツ科学センター、これは所管はどこになるのですか。
  84. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 文部省におきましては、私ども体育局が所管をし、その設置者といたしましては日本体育・学校健康センターを予定をいたしております。
  85. 中西績介

    中西(績)委員 もう時間がありませんが言いますけれども、そうすると、この西が丘の土地が安い、西原の土地が高額であるがゆえに予算面で云々というようなことを言っておるようでありますけれども、では、ここの西が丘の競技場は、どこの所有なんですか。
  86. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 北区西が丘の西が丘競技場というところは、現在日本体育・学校健康センターの施設でございまして、その土地も当該センターが所有をいたしております。
  87. 中西績介

    中西(績)委員 時間が来たようですけれども、そうしますと、ここに持ってくるということになりますと、私が一番心配するのは、今の国立競技場なり、例えばラグビー場だとかいろいろありますよね。そこの所管は、今言われたように日本体育・学校健康センターがやっておりますけれども、実際の運営面だとか何だとか、いいところは全部協会がとっていますよ。そのことの指摘は間違っていないと思います。  そうなると、今度体育協会か何か知りませんけれども、それが入ってきて具体的にやり始めると、こういうところは全部独立採算制で収入を上げろ、収入を上げろということをやりますけれども、実際にこういうものが入ってきたときに収入はどうかということになると、収入は上がらないのですよ。そうなると、もともとから問題になっておる日本体育・学校健康センターあたりのこうした事業そのものをどのようにこれから法人格としてのあり方でやっていくかということをやっていかぬと、ここに所属する人たちはたまったものじゃないのですね。いいところが全部そういうふうに食われていくような格好になったら、これはもうむちゃくちゃです。  そういう状況であるがゆえに、もう時間がありませんから一口で言いますけれども、西原が高いなら安いどこか、信州かあるいは富士山ろくかどこかへ行って、安いところで大々的に設備をしてやりさえすればそういう問題は解消するのです。  そしてもう一つは、地域の人たちが要求をしている社会体育のモデルケースは、何かもう終わったから必要ないみたいなことを言ったということを私は聞いておりますけれども、決してそうじゃない、むしろこれから生涯学習ということを追求していく場合には、モデルケースはますます重要になってくるし、その地域とのつながり、学習はどうあるべきかという視点からの追求がなされなければならないときに、むしろそういうものは没にしてしまって、そしてはい、そうですなんということを言ったときには、まさに文部省の政策の貧困から来る、金がないものだから貧困から来るこのような矛盾、問題がさらに拡大をしていくということを言わざるを得ない。  したがって、時間超過しましたことをおわび申し上げますが、大臣、一言だけ、今私が申し上げたような点について、どこか安いところへ持っていってもらったらどうですか。そして、そうした独自のものを要求するところあたりが本格的にやるべきですよ、もうおくれておるというのははっきりしているのだから。何年前からわかっていますか。これこそ政策の貧困じゃないですか。大臣、どうですか。
  88. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 この問題につきましては、ただいま体育局長から御答弁を申し上げました線につきましてぜひ御理解を賜りたいと思います。同時にまた、先生御指摘の、生涯学習にかかわる体育指導者その他の研修につきましても、私どもはやはり力を入れていかなければならないことだと思っております。
  89. 中西績介

    中西(績)委員 不満だけれども、終わります。
  90. 船田元

    ○船田委員長 次に、山原健二郎君。
  91. 山原健二郎

    ○山原委員 今国会の最後の質問になりそうですが、短い時間ですけれども、大臣に質問いたします。  去る十八日の各紙によりますと、自民党の小沢幹事長は、十七日、静岡県熱海市内で開かれた自民党婦人部活動者研修会の講演で次のようなことを提起しております。今後十年間で進めていくべき内政課題として、政治改革、地方制度改革、教育制度改革の三点を挙げ、文部省の権限は地方の教育委員会に対し指導と助言だけで何もできない、高等教育はともかく義務教育では、国が実質的に責任を負わない状況でいいのだろうかと述べ、教育分野については国の権限を強化する制度改革を図っていくべきだとの考えを示した、こういうふうに報道されています。また、翌日の自民党四役会議で、教育制度改革に関連し、国の権限を強化する方向で同党としての対応を検討していく方針を確認したとも報ぜられておるわけでございます。  この点、非常に重大な内容を持っておりますのでお聞きしたいのですが、小沢幹事長は戦後の教育基本法に基づく教育行政にいわば逆行する考えを示したものだと思わざるを得ません。保利文部大臣としまして、自民党小沢幹事長の真意をお確かめになりましたでしょうか。また、四役会議の動向についてどのように把握をされておるか、まずお伺いをいたします。
  92. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 今委員から御指摘ございました新聞の記事等については承知をいたしております。ただしかし、幹事長あるいは四役の皆様方から私自身はっきりいろいろなお話は伺っておりません。
  93. 山原健二郎

    ○山原委員 個人がどのようなお考えを持とうと、それはともかくいろいろあるわけだと思いますけれども、少なくとも教育行政についてはその基本になる教育基本法というものがあるわけですから、これを逸脱することは許されないわけですね。  そういう意味で、ちょっと振り返ってみますと、教育基本法の第十条一項は、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」と述べておることはもう御承知のとおりです。  このことについて、一九四七年八月三日に出版されました田中耕太郎元文部大臣の「新憲法と文化」には次のように説明をいたしております。「教育権の独立の原則は、それが不当な政治的及び行政的干渉の圏外におかれることを意味する。従来のわが国における教育は或いは政治的に或いは行政的に不当な干渉のもとに呻吟し、教育者はその結果卑屈になり、教育全体が萎微し、歪曲せられ、その結果軍国主義および極端な国家主義者の跳梁を招来するにいたったのである」と述べております。  教育権の独立の問題についてこういうふうに述べられてまいりまして、戦前の国家主義的教育の深い反省の上に立って教育基本法に示されたわけですが、これに逆行する思想で国家権力の強化をというふうなものを進めるとすれば、これは容易ならざる事態であると思うわけでございますが、文部大臣がこの点についてみずからのどういうお考えを持っておるか、お聞きしておきたいのです。
  94. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 行政府といたしましては、国会で立法されました教育基本法あるいは学校教育法、あるいはその上位概念に属しますところの憲法、そういうものをきちんと守りながら法の執行をしていくというのが行政府の立場であると存じます。そのような意味で、教育基本法その他の法律は当然しっかり守っていかなければならない、こういうふうに考えておるところであります。
  95. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がありませんから……。  この第十条二項は、申し上げる必要ないと思いますけれども、国はそうした国家統制をするのではなくて、「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」こう述べておりまして、教育行政の仕事がいわゆる条件整備にあるということは申し上げる必要もありませんし、先ほどからの意見の中にもそのことが出ております。  今の文部行政を見ますと、国の統制を強めることには熱心だけれども、条件整備に対しては極めて不熱心である。例えば具体的な問題を出しますと、一九八〇年に始まった第五次学級編制及び教職員定数改善計画についてでありますけれども、学級編制改善及び教職員の改善の達成率は、時間の関係でこちらから申し上げますが、学級編制改善率は八〇・四%、教職員の定数改善六〇・〇%、しかも九一年度中には達成しなければならないわけでございますが、この達成は可能なのかどうか、ここで一言伺っておきます。
  96. 倉地克次

    ○倉地政府委員 今先生述べられましたように、達成率がそういう事情でございますので、大変厳しい情勢にあるというふうに考えている次第でございます。  そこででございますけれども、この問題は、平成三年度の概算要求におきましてどのような要求を行うか、かつその後の予算折衝においてどのように折衝していくかという問題ではないかというふうに考えている次第でございます。私ども、そうした中で、大変厳しい情勢にあるわけでございますけれども、十分努力してまいりたい、そのように考える次第でございます。
  97. 山原健二郎

    ○山原委員 これは本来、法律の附則で「昭和六十六年三月三十一日までの間は、」として九一年度中の達成を決めているわけです。結局、法律を変えなければならぬという問題になってくるのでございまして、全力を挙げてやるとか努力をするとかいうようなことではないわけですね。  また、それだけにこの問題についてはこの委員会も随分長期にわたって検討しました。第五次定数改善では実は高等学校の問題の改善が見送られているわけでございますけれども、この際、高等学校も含めた第六次改善計画に踏み出すための調査を文部省として行うべきではないかと思っておりますが、この点についてお答えをいただきたい。  もう一つは、諸外国の場合、高等学校二十五、義務制度も大体その程度でございます。せめて小学校を三十五人学級に移行すべきであるというのはもう国民の意思だと私は思います。きょうも請願の審査で理事会が開かれましたけれども、これは自民党を含めて与野党各党とも、四十人学級の問題を含めて三十五人学級への移行の問題で請願も皆受け付けておるわけですね。そう考えますと、そういう時期に立っているのではないかというふうに思うわけでございまして、日本の四十二・四人、イギリスでは二十一・〇、フランスでは二十六・三、こういうふうに考えますと当然ではないかと思います。  そして、この問題について、私は文部省はもっと積極的になるべきだと思うのです。四十人学級に移行する際は、立法府としてこの委員会に定数問題小委員会が設置されまして、引き続いて小委員会が検討をいたしまして提起をした経験もあるわけですね。これは委員長も覚えておられることと思います。  そういう意味で、いよいよ予算編成の時期を迎えておりますので、私学助成についても、世界一と言われる高学費の中で、この学費問題が今子供の減少の原因の一つとも言われているわけでございますが、私学経営はまさに限界に来ております。来年度予算概算要求側をこれから迎えるわけでございますが、文部省としまして、この定数改善と、そして私学に対する抜本的な財政措置、いわゆる私学助成増額を要求して奮闘すべきであるというふうに思いますけれども、この点についての御見解を伺いたいのであります。
  98. 倉地克次

    ○倉地政府委員 先生、今附則の件に触れられましたけれども、私ども予算要求し、かつ予算折衝をしていくときにおきましては、そういうことも十分念頭に置いてそういうことを行っていきたいというふうに考える次第でございます。  それから、調査の問題と三十五人学級の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、この十二年計画は大変厳しい情勢にあるわけでございますので、私どもその達成に最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。そこで、そうした問題につきましては計画達成後に十分検討すべき課題ではないか、そのように考える次第でございます。
  99. 野崎弘

    ○野崎(弘)政府委員 私学助成についてお答えいたします。  私学助成につきましては、私学振興助成法に基づきまして補助をしてまいったわけでございます。近年の厳しい財政事情の中で特に一〇%マイナスシーリングがかけられたわけでございますが、その中で、平成二年度ですと三十四億円の増を行ったわけでございます。来年度の概算要求につきましては、まだ全体の概算要求基準が決まっていないわけでございますので、これから文部省の中で十分検討させていただきたいと思っております。
  100. 山原健二郎

    ○山原委員 文部省、いわゆる国による教育に対する管理、統制といいますか、そういうものが強まる一方で学校における荒廃があるわけですね。しかも、予算を見ましても、九〇年度の文部省の所管予算が対前年度三・四六%の増、四兆七千九百八十七億七千二百万円ですね。ところが、軍事費の方は伸びが六・一%、ODAが八・二%ですね。そして、いよいよ防衛予算が文教予算を追い越すという時期まで迫ろうとしているわけでございますから、これは私学助成を含めまして文教予算の獲得のためには特段の努力と決意が今求められておると思うのです。  そのことについて大臣の御見解を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  101. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 教育予算の充実につきましては、今までも頑張ってまいりましたし、これからも頑張っていかなければならないものだ、そのように重要なテーマであると考えております。
  102. 船田元

    ○船田委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十一分散会