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1990-04-27 第118回国会 衆議院 文教委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年四月二十七日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 船田  元君    理事 麻生 太郎君 理事 臼井日出男君    理事 町村 信孝君 理事 松田 岩夫君    理事 中西 績介君 理事 吉田 正雄君    理事 鍛冶  清君       新井 将敬君    岩屋  毅君       狩野  勝君    小坂 憲次君       左藤  恵君    佐田玄一郎君       坂本 剛二君    塩谷  立君       真鍋 光広君    増田 敏男君       村田 吉隆君    輿石  東君       佐藤 泰介君    沢藤礼次郎君       土肥 隆一君    馬場  昇君       矢追 秀彦君    薮仲 義彦君       山原健二郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 保利 耕輔君  出席政府委員         文部大臣官房長 國分 正明君         文部省初等中等         教育局長    菱村 幸彦君         文部省教育助成         局長      倉地 克次君         文部省高等教育         局長      坂元 弘直君         文部省学術国際         局長      川村 恒明君         文部省体育局長 前畑 安宏君  委員外出席者         農林水産省食品         流通局企業振興         課長      二木 三郎君         農林水産省食品         流通局消費経済         課長      伊藤 威彦君         食糧庁業務部需         給課米流通消費         対策室長    諸川 勝徳君         食糧庁業務部加         工食品課長   平野  愃君         文教委員会調査         室長      堀口 一郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣提出第一三号)  文教行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 船田元

    船田委員長 これより会議開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢藤礼次郎君。
  3. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 おはようございます。  私は、きょう大きく分けて教育制度にかかわる問題、単位制高校養護教育分校というものの位置づけ、それから次は高校野球のあり方、最後学校給食、この三つの分野について質問申し上げる予定でございますが、前の二つ分野学校教育制度高校野球の問題につきましては、基本的に教育というのは均等、公平を旨として進められるべきであるという考え、そしてまた子供たち児童生徒に対してはゆえのない差別感を与えたり、それに基づく劣等意識を植えつけたりすることのないように、将来に向けて希望を持った教育を受けさせる、これが私たち願いであるということを基本として、この二つ分野についての質問を続けてまいりたいと思います。  第一は、心身障害を持つ子供たちに可能な限り教育の場を確保する、特に後期中等教育養護学校であれば高等部ということになるわけですが、それへの進学機会を確保、拡大していきたいという問題について御質問申し上げます。  養護教育義務化ということで、小中段階は大変制度的にも内容的にも取り組みが進められているということは御同慶の至りに存じますが、中学部から高等部への進学状況が必ずしも十分でないと思いますが、進学率状態特徴等について簡潔にお知らせ願いたいと思います。
  4. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 私どもで実施しております学校基本調査によりますと、平成年度におきまして養護学校中学部を卒業した者が八千四百四十九人でございます。そのうち、養護学校ないし盲・聾の高等部進学した者は五千二百一人でございまして、進学率は六一・六%となっております。また、養護学校を出まして高等学校へ進んだ者もございますので、それも含めますと全体の進学率は六七・八%となります。
  5. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 進学率が六七%を超えているということですが、ただこの中身を見ますと、大変地域によってアンバランスがあるということに気がつきます。都道府県別進学率を見ますと、最低が二三・八%、これはどこまで含めるかということで若干数字が動きますけれども最高が九八・九%、二〇%と一〇〇%近くまでの進学率開きがある、これは一体どういうことに起因していると思われますか、その点についてお願いします。
  6. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 御指摘のように、養護学校中学部から高等部への進学につきましては、都道府県によりましてばらつきがございます。  その理由としましては、いろいろございますが、一つは、その進路にいろいろございまして、労働関係機関もございますし、福祉関係機関等もございますので、そういうところに進む子供たちもおりましょう。ですから、養護学校高等部にどの程度進むかということにつきましては、いろいろその地域におきます進路状況、受け入れの状況等によってくることと存じますが、一つの要因としましては、もちろん養護学校高等部整備状況というものも影響していると存じます。
  7. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 最低進学率は福島なのですが、二三・八%、最高が広島の九八・九%というふうに、九〇%を超えている都道府県がかなりたくさんある中で、二〇%台、三〇%台を低迷しているというこの開きは、いわゆる養護教育後期中等教育に該当する部分への私ども努力がまだ不足だということを示している数字ではないかと私は思うのです。したがって、これから先は要望を含めた質問になるわけですけれども実態等の把握、都道府県ごと状況の違いもあるでしょうし、そういったことも御把握願いながら、一つには収容能力収容定員高等部設置状況不足、そういったものが大きなネックになっていることは事実だと思うのです。  大臣局長のお手元にある手紙を差し上げておったのですが、重度身体障害子供高等部へ受験したわけですけれども、不合格になった、その子供からの手紙コピーを差し上げました。  「進学の事に対して、色々と力になってくれた事を両親から聞きました。私も一生懸命がんばりましたが、結果は残念ながら、合格出来ませんでした。くやしかったです。でも合格した友達に負けないように」云々、こうありますね。  この手紙は、重度障害者の書いた手紙なのです。これは私なんかよりずっと立派な字と文章を書いています。ただ、病気がありまして、肩、首、足が不自由で、自分で歩くことはできますけれども、いわゆるある程度介護が必要だというかなりの重度子供なのですが、このとおり意識ははっきりしているし、立派な字は書くし、言語、話はできるのです。だが、残念ながら介護という状況があるものですから、受け入れる側としては、とてもじゃないが大変だというふうな判断をしたのだろうと思うのです。  こういった点を一つ御披瀝申し上げまして、高等部設置、その定員をふやす、そして進学率を高め均等化していただくというふうに努力をしていただきたい。普通の高等学校への進学率というのは、全国ほとんど差がありませんね。九十数%、しかし、この養護教育の場では、八〇%もの差があるということを御認識願った上で、これについての御努力をお願いしたいと思うのですが、お考えをお聞きしたい。  同時に、私の知っている範囲では、建物収容能力が足りないものですから、定員以上に収容している。作業棟が足りない、教室を使う、廊下を使うということで悪戦苦闘している現場があるのです。この辺もこれから御検討願って、せめて、建物くらいはすぐにでも手が打てるはずですから、この点についての御見解を賜りたいと思います。
  8. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 文部省では、心身障害児障害状態とか能力とか適性等に即しました多様な教育の場としまして、盲・聾・養護高等部施設設備整備国庫補助などを行いましてその整備充実を図ってきているところでございます。  この後期中等教育は、御案内のように義務教育ではございませんので、生徒能力適性に応じてその機会が用意されるものでありますから、希望するすべての心身障害児後期中等教育機会を保障するということはなかなか難しい点があろうと思います。しかし、義務教育終了後の子供たち、ハンディキャップを持つ子供たちに適切な進路を確保するという観点から、高等部ができる限りその門戸を広げていく、そして後期中等教育の提供をするということは望ましいことと考えているわけでございます。  私どもは、今後とも各都道府県に対しまして、それぞれ学校以外にも労働福祉関係機関等もございますので、そうした整備状況等も考慮しながら、できる限り教育の機械が与えられるよう高等部整備につきましても充実するように指導してまいりたいというふうに考えております。
  9. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 ぜひ努力をお願いしたいと思うのです。  通信教育という手法もあるんじゃないかというふうなこともあるのですけれども、やはり親にすれば、子供たちにすれば、青春時代を他の者と一緒にともにしたいという願いがあるのです。これは可能な限りひとつ努力をして、実態等についても、さっき申し上げました作業棟不足というふうなこともありまして、実態もひとつ把握しながら、当面の課題と、そしてこれからずっと将来に向けての展望を開くという点でぜひ温かい施策をお願いしたいと思いますが、大臣一言どうぞお願いします。
  10. 保利耕輔

    保利国務大臣 心身障害を持つ方の書かれましたお手紙コピーを拝見させていただきました。見ておりまして、大変素直で率直で、そして気持ちの明るいお子さんの書かれた、しかも先生指摘のように立派な字で書かれておりまして、大変感心をさせていただき、感銘を受けた次第でございます。そういうような心身障害を持たれる皆様方教育の問題については、やはり将来社会自立ができるように、さらにまた幸せな生活が送れるように、いろいろ児童一人一人の状態に配慮しつつ温かい教育をやっていくということが必要なことだろうと思います。  文部省といたしましても、今局長からお話を申し上げましたとおり、いろいろと県と相談をしながら、いろいろな形でこれの援助あるいは設備充実等に努めておるところでございますけれども、今後一層、設置者でありますところの都道府県とも協議を重ねながら、こうした心身障害を持つ子供さん方の教育には力を入れていかなければならない、このように感じております。
  11. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 次に、単位制高校について一点だけ質問いたしたいと思います。  単位制高校がスタートしてから大体ことしが完成年度ということになるでしょうか、無学年制、それから三年以上での修業年限、かなり幅のある制度でございます。他校での単位も吸収できる、職業に従事したその実務も単位に代替できるというふうな、いわば非常に応用動作のきく、別な表現をすれば、生涯教育高校教育の場に凝縮したような制度がこの単位制高校だというふうに理解をするわけです。スタートして間もなくですから、きょうはここで内容等についての総括、点検については大幅に割愛させていただきます。  ただ、目の前の課題としてどうしても配慮していただかなければならない問題があるのですが、それは施設設備の問題であります。例えば金沢中央高校、例えば盛岡の杜陵高校、全日制、定時制通信制、そして無学年制というふうにたくさんのコース課程設置している中で、校舎が足りない、教室が足りない、生徒に対する指導の部屋がない、部室がないというふうな悩みを聞かされます。  杜陵高校では、古い他の全日制高校から払い下げしていただいた校舎危険校舎に指定されていまして、屋根からかわらが落ちてくるものですから、周囲にロープを張って立入禁止をしているその校舎の中で授業をしているという実態があるのです。  なかなか一挙には追いつかないと思うのですが、施設設備についての単位制高校に対する基準というふうなものについてのお考えをお聞きしたいし、今申し上げた実態については直ちに調査の上ひとつ善処していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  12. 倉地克次

    倉地政府委員 定時制単位制高校についての施設の問題でございますけれども、これは新増築については国は三分の一の国庫補助をするという建前で来ている次第でございます。ただ、今御指摘の具体的な高校につきましては、いずれも既存建物の転用ということで対処しておられるために、私ども別段の補助をしていないわけでございますけれども、今後、新増築などのことがございましたときには十分補助で対処してまいりたい、そのように考えておるわけでございます。  それから、もう一つ基準関係でございますけれども、これは何と申しましてもまだ単位制高校が数多くあるわけではございませんので、もう少し実態を見きわめてからその基準などについて今後検討してまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  13. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 このことについては一言要望を申し上げて終わりたいと思うのですが、やはり現場学校あるいはそれを直接所管しております都道府県教育委員会からすれば、何らかの目安、このくらいのコース課程設置した場合には教室はこのくらいであるとか施設はこうであるとかというふうな目安が欲しい、でないと財政当局とのやりとりで迫力がないという声があるわけです。これはひとつ都道府県等実情等も聴取しながらやりやすいように、そして確保できるような御指導をお願いしたいということを強くお願い申し上げておきます。いずれ機会といいますか時間を見てまたこの問題については触れさせていただきたいと思います。  次に、分校というものは一体何だろうかという問題を提起したいわけでありますが、小学校中学校高等学校における分校の果たしてきている役割というのは非常に大きいと思うのです。特に、地理的条件経済的条件の中で、義務教育の小中学校分校というのは、本校と一体となって機能を補完し合いながら運営をしている、あるいはある低学年から高学年に行ったときには本校一緒になるというふうに、本・分校関係がかなりはっきりしている中でそれぞれ重要な役割を果たしてきていると思うのです。交通条件経済条件が変わってきておりますから、ある程度の適正規模に統合するということも必要でしょう。それはそれで結構でございます。ただ、どうしても分校として存続しなければならない、現に存続しているという分校に対する手だて、配慮、こういったものについて、私は特に高等学校分校について質問をしたいわけであります。  高等学校分校、全国的に各都道府県にかなり配置されていますね。この分校というのは、一体分校分校である基準分校独立校になるための満たすべき条件というふうなものはあるのでしょうか。
  14. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 分校につきましては、分校とは何か、分校の要件とは何かということにつきまして、法令上その概念を明らかにした規定は特にないわけでございます。一般的には、交通条件とか教育形態規模等地域のいろいろな事情を考慮しまして、本校とは別にある程度独立した教育を施す組織として設けられているものでございますが、これは地域によりましていろいろな経緯があろうかと思います。  基本的には教育機会をなるべく与えたいということでそういう形態が置かれているわけでございますが、ただ、分校について全く法的な規定がないかといいますと、例えば学校教育法とか高等学校標準法につきましては、分校の存在というものを前提とした規定が幾つか置かれております。例えば学校教育法では、分校設置、廃止の認可につきましての規定を置くとか、高校標準法では、分校最低規模としまして原則百人と定めているとか、それから同じく高校標準法では、分校一つ学校として扱っていろいろ積算をしているとか、そういうことで若干の規定はございますが、初めに申し上げましたように、おおよそ分校とは何かという規定はないわけでございます。
  15. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 私は、教職経験の中でかなり分校経験がございます。政治の道に踏み出す最後の職場も分校でございました。私は、分校生徒に、突然教員をやめるときのあいさつの中に、分校の置かれている位置というものについて私はみんなには大人として大変済まない気持ちがしている。それは条件がかなり違うのですね。校長先生がいないでしょう。養護教諭がいないでしょう。そして、必ずしも全教科をきちっとやれる教職員が、分校分というふうな一つ学校形態として必要な教職員の配置というのは保障されてない。本・分校あるいは県というふうな、標準法というのはもともと概括的なことなんです。  それから、今はだんだん直ってきておると思いますけれども各種大会分校の出場する機会、スポーツとかその他少ないのですよ。学校単位で出るでしょう。本校中心になってチームが編成されますから、分校生徒の出番がないという時代があった。今でもそういう名残は少しはあるかもしれません。  それから、私が勤務しておったころは、企業から求人票が来ますね。分校を除く、定時制を除くとはっきり書いてきた企業があるのです。さすが最近はその文言はないと思います。しかし、現実に求人票を送ってこないという企業があるかもしれない。世間の目は、定時制というものに対する、分校というものに対する価値観は、輝ける全日制高校とはちょっと違ったものを持っている、非常に残念だけれども。それを生徒たちは敏感に感じています。  ですから、同じ中学校から卒業して、仲間が本校に行っている、私は分校に行っている、通学途上で別れる、それまでの、例えば汽車に乗る場合には乗る車両を違えて乗る、そういうことだってあるのです。やはり感じやすい年ごろですから、そういうことに対しては、いや、分校本校差別はないんだ、同じ高校なんだと口では言って聞かせても、それは実態として、彼ら、彼女らは実感としてはなかなか納得できない。  したがって、私は彼ら、彼女らに分校というものについて少し県、国の中で論議をしてみたい、そして、なぜ分校に抑えていなければならないかという理由を、みんながわかるような理由をはっきりさせると言って政治の道に踏み出したのでありますが、今のお答えからでは、分校分校でなければならないという理由が、積極的な理由はちょっと聞き取れませんね。伝わってきません。  なぜ一学年学級程度の、しかもそこに学級があって、学校があって、教師がいて、生徒がいるのに、なぜ学校扱いできないか、独立校扱いできないか、私は基本的にここにこだわるのです。人数とか規模というのは経済論理ですよ。少なくとも教育論理じゃない。このことについてはどうですか。
  16. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 私も昔、ある県で高校のそういう仕事に関係していたことがございますが、そのとき分校問題につきましては、分校悩みとか市町村の要望とか、いろいろ聞いたこともございます。今先生の御指摘のありましたような点につきましても十分理解しているつもりでございます。  したがいまして、高等学校分校というのは沿革的にいろいろなことがございますから、それをどうするかということはなかなか難しい問題があろうかと思いますが、基本的にはこれは設置者の御判断によるものでございまして、本校形態をとるか分校形態をとるか、そういう問題につきましては、地域生徒実態、いろいろ各都道府県御苦心があるところだろうとは思いますけれども、一層総合的に勘案しまして適切な対応をしていただきたいというふうに考えております。
  17. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 では、ちょっと確認したいのですが、何名、何学級以上でないと独立校にはできないという確たる数字基準はないと理解してよろしいですね。  一説に学年二クラス、四十五名であれば全校で二百七十名ですか、それから四十名学級ということで割り切れば二百四十名ですか、そういう線があるやに言っている人がいるのですけれども、それもない、設置者判断である。今お言葉がありましたね。設置者判断であると理解してよろしいでしょうか。
  18. 倉地克次

    倉地政府委員 高等学校分校でございますけれども、これはいわゆる高校標準法本校最低規模というのが定められておるわけでございます。それは本校生徒数二百七十名を下らないものとするという規定があるわけでございます。ただ、それは本校最低規模でございまして、分校の上限についての規定は直接的には規定されていないということでございます。  そういうことでございますので、各都道府県におかれましてはいろいろな実態を考慮して分校を決められるわけでございますけれども、私ども若干の調査をしたところによりますと、若干の県では基準を設けておるわけでございまして、その基準では大体本校は一学年当たり学級以上というような基準を設けているところが多いようでございます。そのほか明確な基準を設けていないところ、これと異なった基準を持っているところ、いろいろあるわけでございますけれども設置者分校の歴史的な経緯でございますとか地域における実情など、いろいろ考慮して分校設置しているのが実情でございます。
  19. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 何か聞きようによってはこれが一つ基準だ、それ以下であってはならないみたいに聞こえるのですが、ねばならぬ、ではあってはいけないということなのか。今最後におっしゃったその地域地域の経過なり事情があるわけですから、単純に例えば二百七十なら二百七十という線を引いたとしますよ。独立校のためにはこのくらいの人数以上でなければならない。東京のような人口密集地帯列島改造でもって過疎化が進行した、させられた地域のその事情で同じ基準でいいと思いますか。
  20. 倉地克次

    倉地政府委員 先ほど申し上げました規定は、何と申しましても本校下限規定でございます。そのほか分校については生徒数百名を下ってはならないという規定もあるわけでございまして、いずれも下限を定めた規定でございますけれども下限が定まっているということは、それをオーバーしたときには本校になるのが普通ではないかというような考え方もあるわけでございまして、そうした趣旨を勘案いたしまして各都道府県でその地域実情に応じて基準を決められるなり、またその都度適切な判断をされているのが実情でございまして、そうした教育委員会判断を私どもとしては尊重してまいるというのが建前ではないかというように考える次第でございます。
  21. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 私は岩手ですから典型的な過疎地帯です。過疎地域にしか分校はないのですよ。都会は分校は要らないのです。ちゃんと高等学校がありますから。過疎現象をつくったのはだれかといいますと、現在の日本の政策でしょう。それでもって工業、産業が盛んになって輸出大国になった。一方では労働力、若者を連れ去られた農山村は老人と子供だけという状況になっている。その政策によって生じた現象、その現象の中で、とにかく子供たち後期中等教育の場を確保したいと苦労している県があるわけです。  それに対して、いや定数標準法上の解釈はこうでございますということの繰り返しだけでは私は済まないと思う。過疎化現象が進行してこうこうこういう状況になったら、それに合うように定数標準法を変えたらいいじゃないですか。あるいは解釈を変えたらいいじゃないですか。通達を出したらいいじゃないですか。できるはずですよ。もし都道府県で、やはりうちの県は、最低限一学年学級コンスタントでこの地域学校は成り立つ、成り立たせる、それが教育だというふうに判断したら、それでいいですか、それでもだめですか。腹を据えて答えてください。
  22. 倉地克次

    倉地政府委員 各都道府県基準を御参考までに申し上げますと、本校は一学年当たり学級以上というのが五県ございます。そのほかに標準法に沿って、本校収容定員二百七十名というふうに定めている県が三県でございます。それから分校独立校とする場合は一学年学級以上として扱っている県が一県あるわけでございまして、県の基準もそのようにいろいろと変わっているわけでございます。私どもとしては全国一律というのはなかなか難しいということでございますので、その県の実態に応じて、なお法律の規定の趣旨も御参考にしていただきつつお決めいただくのが妥当ではないかというふうに考える次第でございます。
  23. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 やや見えてきました。ぜひ都道府県実情というものを大事にしていただきたいと思うのです。これはとても一律にはいきません。交通事情も違いますし、経済事情も違う。進学率を左右する経済事情だって、それぞれ地域が違うのですから、都道府県ごと判断というものについては尊重していただきたいと思うのです。  北海道を見たら分校ゼロですね。実態を聞いたら、あそこでは分校だと各種体育大会の出場も阻まれる、かわいそうだ。校長も配置されない。養護教員も配置されない。これでは同じ授業料を払っている生徒に対して申しわけない。そうでしょう、差別ですよ、これは。分校の授業料、安いということないでしょう。そして世間の目はそう温かくない。それでは子供たちはかわいそうだということで分校はゼロですね。全部本校扱いにしていますよ。逆にある定数のレベルを満たして独立校になった学校経済事情、交通事情の変化によって生徒数がその線を割っているところもあるのです。それではそれをもとの分校に戻すか。それはできないでしょう。  というように、教育というのは法律、標準法というのがあっての教育ではなくて、そこに生きている生徒がいる、それを支えている地域がある、そこに原点を置かなくては教育というのは成り立たないのですね。この点について法律論をここで詰めても、はい改正しますということにはなかなかならないようですから、私が今まで申し上げたことを含めて徹底的にこれは部内でも論議してください。そして現地にも出かけていってどんな顔をして子供らが生活しているか見てください。そのことを含めて前向きに検討していただきたいと思うのですが、この問題、締めくくります。再々申しわけありません、大臣一言どうぞ。
  24. 保利耕輔

    保利国務大臣 昨年の数字で私が記憶いたしておりますのでは、全国の高校が五千五百十一ほどございます。その中で分校が百六十九あると承知いたしております。それぞれの分校については、そのできた歴史その他いろいろございます。まず、基本的にはやはりこうした分校に通っておられる生徒さんとそれから本校に通っておられる生徒さんとの間に、いわゆる差別等の意識があってはならないし、社会全般にそのような意識があってはならないというのが基本的な考え方でございます。  そしてさらに、分校設置者あるいは高校設置者はおおむね県が多うございますので、県等の判断を尊重していかなければなりませんし、最近の経済情勢等によりまして、地域地域によって交通体系の整備が行われてきているところもあるというような、いろいろな実情。しかしながら、分校学校一つとして、地域一つのシンボルとしての存在があるというような実態もあるわけでございますから、そういった点を総合的に勘案をしながら御判断をしていただくということになろうかと思いますが、先生指摘のように地域地域のその実情、そして実態どうなっているのかというようなことにつきましては、なおよく設置者であります都道府県からも様子を聞き取りまして、そして適切に対応していくように私ども努力を重ねたいと思います。
  25. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 この問題については一言触れて終わりたいと思うのですが、局長高等学校分校制度が生まれた一番のきっかけと申しますか、これは戦後の定時制制度の中で中心校、分校という制度がございました。中心校があって分校があって、そのときの分校は中心校学習というものをある程度義務づけられていた。週に何遍かは中心校に行って、中心校と同じ教師陣、施設設備を利用しながら一体となって教育が進められるように、ただ、日常的には通うのが不便だから分校にいますよということで、本・分校は一体だった。それが趣旨なんですよ。今の分校実態は完全に切り離されていますよ。学校長の顔を見るのは一年に一遍か二遍という実態が恐らく全国的だと思うのですよ。ましてや養護教員は出張なんて出てこないという実態もあるわけだ。  ですから、この分校をこれから論ずる場合は、源にさかのぼって、中心校あるいは本校分校との機能が一体となっての分校制度がスタートしたんだという原点をもう一度思い出していただいて、そしてやはり今そうはいってないということになれば、きちんと分校を、余り厳しいことを言わないで、繰り返すようですが、学級があって学年があって生徒がいて教師がいたら学校じゃないですか。いいじゃないですか、こだわらないで。分校にこだわる必要ないですよ。それによって不必要に地域も苦労しているわけだ。学校の予算配分だって分校扱いということ。それから、さっき言ったとおり、いわゆる世の中の価値観という問題がある。これはぜひ教育という視点に立って、この分校問題については積極的な取り組みをしていただきたい。時間を改めてまた論議をしたいと思います。  それに関連して、定時制というものがややもすれば全日制の陰に置かれがちだということをまた残念に思っています。甲子園、非常に華やかですね。もう大変華やかです。脚光を浴びています。もう一つの甲子園と言われる定時制の野球がありますが、これは明治神宮を主体にして開かれますね。これは多分文部大臣始球式に行かれていると思うのですが、ぜひ定時制の全国大会にも、文部大臣、すばらしい投球フォームできれいなストライクを投げていただきたいと思うのですが、どうでしょうか、出ていただけますでしょうか。
  26. 保利耕輔

    保利国務大臣 高校野球、春の選抜の場合には、私、国会の都合で出席ができませんでした。しかし、今御指摘定時制高校、毎年文部大臣が行っているようでございます。私もそうした生徒さん方を励ますという意味で、球は投げられるかどうかわかりませんけれども、どこへ投げられるかわかりませんけれども、行って励ましてさしあげたい、そして、しっかりした社会人に育つようにという気持ちを込めてぜひ出席をさせていただきたいと考えております。
  27. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 ぜひそうしてください。子供たちは非常に感じやすいですから、大臣の球はコースが少しくらい外れても真っすぐに受けとめてくれるはずです。どうぞひとつ御健闘をお祈りいたします。  さて、その野球なんですが、高校野球の問題に入るわけですけれども、その前提として、学校教育における部活動、クラブ活動、まあスポーツ、文化いろいろあるわけですが、これは学校教育の中にどう位置づけられているかということを確認させていただきたい。と同時に、学校体育はクラブ活動、部活も含めてですが、青少年の健全育成に大きな役割を果たしていると私は思うのですが、その評価について、以上を含めて御見解を賜りたいと思います。
  28. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、運動部活動は学校において計画をいたします教育活動でありまして、スポーツ等に興味と関心を持つ同好者が運動部を組織いたしまして、より高い水準の技能や記録に挑戦をする、その中でスポーツの楽しみや喜びを味わい、豊かな学校生活を体験する活動として大変有意義なものである、このように考えております。
  29. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 今御答弁願ったとおりなのです。卒業した子供たちと会って話をしますと、授業のときの思い出ももちろんありますけれども、クラブ活動、部活動の体験というのが、その後の卒業生、社会人になった彼ら、彼女らに大変大きな影響を与えている。そして、懐かしい思い出を持っておるし、友情とかあるいは協力とか、そういったものを身につける場として大きな役割を果たしているということを実感いたします。ややもすれば、最近は受験勉強、塾あるいは放課後までの補習ですか、そういったものが随分強化されているように思いますけれども、一生を長い目で見れば、今お答えいただいたように、クラブ活動あるいは体育の諸行動というものが人間形成に非常に大きく役に立っているということを大事にしていきたいと思うのです。  と同時に、やはりスポーツということに重点を移して申し上げますと、体、健康ということになるわけですが、当然気持ちですね、フェアプレーというのでしょうか。そして明朗に競い合って、フェアに競い合う。その中から健康的な競争心も生まれるし、あるいは対人関係も大変好ましい方向に築かれていく。そういった精神的な分野も含めて、高校生あるいは青少年に大変大きな影響を及ぼしているものの一つに野球がございます。これは職業野球も含めてでありますけれども、大変な野球熱であります。これはこれで結構なことだと私は思っております。そして夏の甲子園、春の選抜、それが高校球児、高校生、応援団を含めて一つの大きな目標として情熱を駆り立てる、情熱を傾ける、それに果たしている役割、これは大きかったと私は思います。今でもそれは重要な役割を果たしていると思います。  ただ、その願いあるいはその果たしている役割の重要性の中に、世相の移り変わりの影が差してきまして、これから御質問申し上げるのですが、チーム編成をどうするか、学校の正規の授業、学校の正規のクラブ活動と野球の練習、試合との時間的なせめぎ合いの問題もあります。用具を含めた財政的な裏づけの問題も出てきます。ですから、高校のスポーツでもって入場料を徴収して展開しているスポーツというのは、まず野球くらいなものでしょうね、最近何かサッカーで一カ所か二カ所あったというふうに聞いたのですが。それの論議も実はやってもいいのではないかという気もします。  その前に、非常に私も言葉を選んで申し上げているのですが、学校教育でしょう。今お答えのあった部活動、クラブ活動というのは学校教育ですね。これは学校教育なのです。学校教育の中の一部である野球部の活動が華々しく展開される。これはこれでいいのだけれども、そのことによって、当初想定しなかったような現象も出てきているということも免れない事実だろうと思うのです。  そこで、質問になるわけですが、あこがれの甲子園出場校の顔ぶれをごらんになって、最近の特徴、どうお感じになっているか、所見を賜りたいと思います。
  30. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 私ども余り甲子園のことだけに関心を寄せているわけではございませんので、なかなか御満足のいくお答えは申し上げられないと思いますが、全般的な傾向として申し上げますと、最近の春、夏の甲子園の出場校につきまして、次第に私立の高等学校が増加をしてまいっております。  特に、春についてみますと、六十三年度には私立高校が公立高校をついに追い抜いた、こういうふうな状況もあります。高野運に登録をいたしております学校の数で見ますと、私立高校が六百八十五校で公立高校が三千二百七十六校、こういう登録状況でございますので、それぞれの学校からどういうふうに出場しているかということを考えてみますと、私立高校の方は全体の学校のうち約四%程度が夏に出、また春は二%程度ということでございますが、公立高校では春、夏とも一%を割る学校しか出ていないということで、全体の傾向としては公立高校の出場数が減少し、私立高校が増加しつつある、このように受けとめております。
  31. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 全国の学校数というのですか、チーム数というのでしょうか、今の数字からいうと、公立が五に対して私立が一くらいと考えていいでしょうか。なかなか数字統計をとるというのは難しいと思うのですが、最もわかりやすいといいますか、手の届きそうな数字として、先日行われました第六十二回選抜高等学校野球大会の出場校三十二校、その内訳について、今お答えいただいたようなことを含めて内容をお示しいただきたいと思います。
  32. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 第六十二回の選抜高等学校野球大会の出場校は三十二校でございますが、このうち県立の高等学校は十一校という状況でございます。
  33. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 公立という面からいうと、もう一つ欠けていませんか。
  34. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 失礼いたしました。県立と申し上げましたが、府立の高等学校も含めての数でございます。
  35. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 つまり、選抜で自他ともに認められて晴れの甲子園を踏んだチーム三十二校、うち公立が十二校、私立が二十校、こういうことですね。パーセンテージにしますと、公立が三七・五%、私立が六二・五%、さっき公立学校と私立学校の比率が五対一だという数字を並べてみますと、公立が三七・五%で私立が六二・五%というのは、それなりの経過なり理由があるにしても数字としては際立ち過ぎていると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  36. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 御指摘のとおりだと思います。
  37. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 私は私立の出場についてとやかく言っているのではありませんから、これはひとつ誤解のないように。  ただ、その実態の中に、どういう現象なり我々が配慮しなければならない事態が動いているかということを見きわめるのが私たちは大事だと思うので、それであえて申し上げているのですから、国立、公立の関係者、私立の関係者、それぞれ気にしないでいただきたいと思いますが、なぜ私立が多いのだろうか。そして、その傾向は年々顕著になってきておると思うのですが、それを裏づける資料というのは私もありません。ただ、相関係数がかなり高い、相関関係がかなりありそうだなと思う数字の中に、いわゆる野球留学という俗名があるわけですけれども、その学校の所在している都道府県以外の都道府県から進学して入ってきている、そして、十五名の選手登録されている中のその人数という点については、何か特徴をお感じになりませんか。
  38. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 春の選抜高校野球大会に出場いたしました学校について、ただいま先生の御指摘がございました他の都道府県出身の選手がどれくらいいるだろうかということを調査してみました。県立学校にもそれぞれ若干の事情で入っている学校がございますが、私立学校について見ますと、登録選手十五人のうち全員が県外出身者であったり、あるいは十二人、十一人、十人、八人、こういった学校も見受けられる状況でございます。
  39. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 今お答えいただいたわけなのですが、確かに子供たちにも自分の進学したい学校を選ぶ自由はあるわけですから、これは一概に否定はできないと思うのです。それから、保護者の転勤等によって当然都道府県を移る場合もあるわけすから、それは一名、二名あってもあるいは不思議はないのじゃないかなと思います。  ただ、中身を見てみますと、今お答えになったのをさらに分析しますと、十五名の登録選手中、一ないし三名、ごく少人数のいわゆる他県出身の登録選手を抱えているという学校は、公立が三校、私立が七校。しかし八名以上、これは恐らくチームのレギュラーの大半は他県出身だと見ても差し支えないと思うのですが、八名以上の他県出身を抱えているチームが私立五校、公立はゼロ。合わせますと公立が三校で私立が十二校、合計十五校、出場校全体の四七%、約半数が他県出身の登録選手を抱えていることが浮かび上がってくるわけであります。  私はこのことの是非をここで性急に論断するつもりはありませんけれども、ただ、それにまつわっていろいろな弊害、あるいは弊害が発生するのじゃないかと思われる現象高校関係者、高校野球関係者、子供たちに半ば公然とささやかれ、広がっておるという事実は私は無視できないと思うのです。これらのことについて何かお考えなり情報なりございませんか。
  40. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 直接に私どもの方にそういう情報を持っているわけではございませんが、基本的にはただいま先生のおっしゃったとおりでございまして、生徒進学の自由という問題、そして御指摘ございました公立学校の県外生について調査をしてみましたら、父兄の転勤であったりあるいは家庭の事情で親権者の異動があったりして、当核県の県立高校の選抜要項に照らして全く問題がないケースでございましたが、御案内のとおり、私立学校についてはそういった募集地域の制限がないということもありまして、またそれぞれの私学がそれぞれの独自性あるいは特色の発揮ということで募集をしておいでになるわけです。  ただ、御指摘のように高等学校の方で生徒なり父兄に対しての過度の勧誘があったり、さらには中学校における進路指導教育活動の適切な実施を妨げるようなことがあっては問題でございますので、私どもとしてはそういうことのないよう関係者の節度ある対応を望んでおるところであります。
  41. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 そろそろこの問題を締めくくりたいと思うのですが、非常に残念なことには、事実として、もうかなり高校球児の中には地域によっては白けムードが発生しています。ああ、あそこだ、甲子園に行くのはあそこだ。ある県に行ったら、AかBかどっちかだ。ことしはAだろうか、Bだろうか、そんな空気があるわけですね。そして、そのAとBが競い合う。  その中で、私は信じたくないのだけれども、事実として、うわさとして伝わっているものの中に、やはり便宜供与ということがあるのじゃないかという見方があります。それから、中学校段階からの青田買いですね。桑田買いではないのです、青田買い。これも事実ささやかれております。それから、そこに入れば、その野球部に所属すれば上級学校なりあるいは就職なりというものがある程度、保証というのじゃないだろうけれども示されるというふうなこととか、これが事実だとすれば、しかも既にそういったうわさで子供たちの中に、高校野球ってそんなものかと。  私、岩手だから身びいきのことを言うんだけれども、岩手の場合は、日がわりメニューじゃないが、年がわりメニュー、どこが出てきても不思議じゃない。そして、いまだもって練習用のボールを繕ったり野球用具を苦労して買ったり、狭いグラウンドの外に飛んでくる球を拾うために一年生が野原や田んぼに立っていたり、そういう環境の中。あるいは母子家庭で一時間自転車のペダルを踏んで真っ暗い中を通いながら、それでも高校野球に打ち込んでいるという生徒もいるのです。  私、そういう子供たちに接していますと、一方ではそういう状況がある。もう本当にちやほやというのでしょうか、フットライトを浴びていますね。私は本当はマスコミにも責任はあると思いますよ、ここにはいらっしゃらないと思うけれども。そういった本当に高校野球の真髄とか高校野球精神、学生野球の精神ということを高野連なりがうたっていますね。それに沿って必死になってまじめにやっている子供たちが一体心理的にどういう影響を受けるだろうか、こっちの方が私は重大だと思うのです。したがって、私立はけしからぬ、公立はけしからぬというふうな問題じゃなくて、高校教育という中の野球なんだ、そしてその精神に沿った活動展開を我々が保障してやるんだということを大事にしなければならないと思うのです。  この問題について、私は野球憲章というのを拝見したんですが、大変厳しくといいますか、学生野球の精神ということにのっとっていろいろ決めていますし、指導している。このことは私も敬意を表したいと思うのです。ですから、影響を持っている団体なりあるいは学校、それから所管する文部省なりというところがこの現象についていつか真摯に話し合ってみたらどうでしょうか。  そして、もしそのときに、ついでで大変恐縮なんですが、日本学生野球憲章、これは高校にも適用される高校条項があるわけですけれども、すばらしい精神主義で貫かれているし、厳しさがあるということについては、果たしてきた役割は大きかったと思います。  ただ一点、話し合いの中に加えていただきたい材料として、第四章附則、第二十条というところがあるのですが、この中で、こういうことがあったら処置しますよ。例えば「部長、監督、コーチ、選手又は部員に学生野球の本義に違背し、又は違背するおそれのある行為があると認めるときは、審査室の議を経て、」警告、謹慎、出場禁止の処置をする、野球に関する個人としての非行があったときも同じ、野球に関しない個人としての非行があったときも同じ、そして応援団及びその団員にもこれが及んでおるという内容になっているわけです。  これが厳しいかどうかという判断よりも、私がぜひ文部省と学生野球連盟等がいろいろな意見交換をしていただく中でコンセンサスに到達していただきたいことは、学校教育というものの中に部活があり、野球の練習試合があるわけです。それに関連していろいろな不祥事があった、あるいはその所属する部員なり生徒なりに何か問題があったということになれば、学校教育の場で、学校の責任で学校長、職員会議、職員一体となってその処置を判断し決めるというのが筋だろうと思うのです。学校教育の場に学校以外の判断が入ってくることがあるとすれば、これは混乱を来す。  いや、それは自発的に出場辞退をしたのだという言い方もあるかもしれないけれども、現実に野球憲章にはこれが出ているわけですから、この附則部分が生まれた歴史的な背景も当然あると思う。こういうことでも言わなければ問題が起こるという温かい配慮から生まれた附則だと私は理解しますけれども、しかし事教育という場に関しては、この点はきっちりと、少なくとも学校現場と野球団体との間にコンセンサスが成立して、十分な意思疎通のもとに指導が行われるという体制を目指していただきたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。どちらからでも結構です。
  42. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 先生指摘の日本学生野球憲章と申しますのは、大学野球、そして高等学校野球、両方に適用されるということで、高等学校につきましては、中央で日本高等学校野球連盟、そしてまた、各地方では都道府県高等学校野球連盟が加盟をしておる格好になっております。  この憲章で決めておりますのは、あくまでもこの憲章の適用がある高等学校の野球、つまりそれぞれの加盟校が対校試合をしたり、都道府県で県大会をやったりあるいは全国大会をやる、こういう場合の条件を決めておるわけでございます。(沢藤委員「私の言っているのは第四章ですよ」と呼ぶ)はい。したがいまして、先生指摘の第四章につきましても、高野連が関与する試合に出場するために必要な条件として、一番厳しい場合には除名をして出場できなくする、あるいは出場を禁止する、そして軽い場合でも警告を発する、こういうことでございまして、直接にそれぞれの学校において行われております部活動に関与をしておるものではありません。それぞれの部活動については、先生指摘のように学校が主体的に判断をして、もちろん非行等があった場合に処分の必要があれば学校長が判断する問題であります。  御指摘のように、応援団の問題等についてもこの憲章が決めておりますが、それも高野連の関与する対外試合についての条件でございますので、部活動についての学校指導なり処分とは矛盾するものではない、このように考えております。  が、せっかくのお話でございますので、私ども、全体として高校野球の問題についてはいろいろな問題もありますが、高野連と話し合うことを必要とする事項も現在具体の課題として持っておりますので、いずれ話し合いをしたいと思っておりますから、御趣旨は十分お伝えをいたしたい、このように考えております。
  43. 保利耕輔

    保利国務大臣 この事項の冒頭で議員から御発言がありました部活動の意義、私も大変大事なものだと思っております。自分自身、中学、そして高校、大学と十年間にわたりまして部活動をやってまいりまして、私の青春というのは部活動に支えられておったものだと思っております。これは運動の面もありましたし、また文化的な部活動というのもございました。  そうしたものの中で私は学んだものが非常に多うございますし、勉強もそれなりにいたしましたけれども、やはり部活動をしてよかったなというのが私の率直な気持ちでございます。先ほど先生から御指摘がございましたが、競技を通じてフェアプレーの精神を学ぶということ、さらにまた、つけ加えさせていただきますならば、いかなる厳しい鍛練にも、練習にも耐えていくという強い精神力を養う、そういったような意味で部活動の持つ意義は大変大きいと思っております。  さらに、高校野球について言及されましたが、高校野球は国民の間で大変人気がございまして、夏の甲子園が行われる時期には電気の使用量が非常に上がる、そういうような状況でございます。この人気の秘密というのは、私は、やはり高校生が持つ少年らしい純真さを持ってのプレー、さらに真剣さを持ってのプレーというものが国民の間に受けているのではないかと思います。勝っては泣き、そして負けては泣き、そして母校の名誉をかけて本当に純真な気持ちで戦うその姿こそやはり国民に人気があるその大きな原因であろうかと思います。  ただ、先生がご指摘のように、一部でいろいろ行き過ぎがあるというような印象を私自身も持っておりますし、いわゆる一人の選手がスター化することによって、それに対する便宜供与とか外部の力とかというようなものに御指摘がございましたけれども、こういった問題については、今局長からお話がありましたが、十分に関係者と協議をしていかなければならない事項ではないかと思っております。先生からの御指摘でございますので、十分留意をして協議したいと思っております。
  44. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 どうもありがとうございました。  通告しております質問がもう一つ残っておりますので、この問題は終わらせていただきますが、先ほどお答え願った中で、対外試合に出ることについての処置だというふうにおっしゃったので、それはそれだろうと思うのですが、ただその受けとめ方、深刻なショックの受け方は、それはやはり文部省の立場であって、現場教職員生徒はすごい大きなショックですよ。学校内の処置、教育的な処置ですね。これは新聞に出ません。しかし対外試合が云々となったら、これは新聞に出るわテレビに出るわ、天下のさらしものなんですよ。教育に与える影響というのはこっちの方が大きいのです。ですから、これは野球の対外試合用の附則であって、学校教育関係ないんだという発想があったとすれば、これは御訂正願わなければなりません。そのことを申し上げておきます。  最後質問になりますが、心身の健全な発達を願うという大きな目標の中に占める学校給食役割ということについて、時間も余りありませんので、きょうは導入部といいますか序論、総論的なことをいろいろ御質問申し上げて、今後継続するこの委員会で継続的に論議を煮詰めていきたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。  成長過程の子供たちにとっての食生活というのはすごく大変なこと、重要なことだと思うのです。この認識を私たちは徹底して胸に刻まないといけないと思うのです。ただ給食を実施した、何%いった、よかったとか、米飯給食を今度は週何回にしよう、目標に到達したとか、あるいは給食の方式を自校方式からセンター方式、センター方式から民間委託、この問題はどうだろうかというふうなすべての問題を包含して、その基本になる重要な、基本的な学校給食の理念というものを常に呼び戻しながら私たちはこのことに当たっていかなきゃならないと思うのです。  大変、変な表現になりますけれども、細胞がどんどんふえてコネクションがどんどん進んでいる過程の子供たちと、もう退化が始まっている私たちとでは食生活の重要性がまるっきり違うのですよね。まるっきりといいますか、かなり違うのです。大臣、私は学校生徒から、なぜ先生方たばこのんでよくて、おれたちたばこのむとだめなんだという質問がありました。そのとき、苦労して私はこう答えました。おまえたち大根の種っこだと思え。畑さまくと芽っこが出る。芽っこが出た段階で、たばこの煙を吹っかけてコップでもかぶせておけ。直ちに死にますよ。おれはもう成長して干からびた大根だ。たくあんに漬けられる直前の大根だ。これは幾らたばこの煙を吹っかけたってどうにもならない、こういうふうに言うと、なるほどという顔をして一たんは聞いてくれますね。  これは一つの例え話ですけれども大臣はまだたくあん前じゃないですよ。成長途中のいわば成長株でございまして、大根じゃございません。こういう例え話が、もう少しまじめな話に切りかえますと、十九歳以前でたばこを覚えた人とそうじゃない人との間には、後々の肺がんの発生率にはっきり差が出るということが学術的にあるそうですね。こういった科学的な根拠を踏まえながら、私たち学校現場子供たちと接触してきたつもりです。  その最も大切な部分が学校給食の場なんですよ。あれを食って生きるわけですから。しかも、それは一日、三回に一回だからじゃなくて、あの学校給食で養われた食習慣、舌というものが後々にどういうふうな影響を及ぼすかということは、終戦後の小麦戦略の結果を見ればわかる。大変なことなんです。  さて、そこでお伺いするのですが、学校給食の重要性とか学校給食の目標ということは、今さらもう一回復唱しません。ただこの中で、例えば学校給食法の二条でしたか、目標が四項目ありますけれども、食事についての正しい理解と望ましい習慣を養う、学校生活を豊かにし、明るい社交性を養う、この二つを取り上げてみた場合に、学校給食のやり方、場、もう少し工夫をして、楽しくしかもマナーが養われるというふうな、食えばいい、犬食いだとかカバ食いだとか先割れスプーンだとかいうそんな問題じゃない、もっともっと食は文化なりということを大事にしながら学校給食を展開する必要があると思うのですが、この基本について一言
  45. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 ただいま先生の御指摘はまことにごもっともでございまして、私どももただ単に学校給食学校で食事を供するということに限定をして考えておるわけではございませんで、もっと幅広く、例えば御指摘のありました食習慣の問題にいたしましても、最近米飯給食を推進しておりますのも、米飯というものが我が国の食文化の根源をなす、そういう認識のもとに、学校給食を通じて子供に対して我が国の食文化を継承してもらおう、こういうふうな願いも込めておりますし、それから、明るい食事という観点からも、最近の空き教室状況等も勘案しながらランチルームをつくることを進めていったり、さらには学校食堂といったようなものまで推進をいたしておるところでございます。先生の御指摘、まことにごもっともだ、このように考えております。
  46. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 この問題についても、またいつか機会を改めて深めたいと思います。先に進ませていただきます。  食生活の合理化、栄養の改善、健康の増進、こういったことに関連して、やはり食べ物の安全性ということがこれから大きな課題になる、問題になると思うのです。  これも時間が経過しておりますから、詳しくは次の機会を与えていただくということにしまして、畜産物の輸入問題に絡んで、食の安全性ということが大変大きくクローズアップされてきております。テレビでも放映されましたし、本にも出ていますけれども、輸入小麦をえさとして飼育しているモンキーセンターなりあるいはえづけした猿なり、群れに発生している奇形児の発生率といいますか、これが百倍あるいは二百四十倍という実例があります。テレビに出ましたショッキングな光景の中には、手の指が九本ある猿が生まれた。両手両足のない猿が動くためには、結局自分で転がっていくしか移動の方法がないという猿が生まれたりという、大変ぞっとする話が出てきているわけです。これはあり得ない話ではありません。特に妊娠とか、それから発育過程の細胞がどんどんふえている過程の中における影響というのは、私たちの想像を超えるものがある可能性もあるのです。  食の安全性についてどうお考えになっているかということと、あわせて、いつか農水省の方に、今の学校給食あるいは日本人の食生活の中に提供されている加工食品、この加工食品の原材料までたどっていけば、その六ないし七〇%は国外産である、こういう実態がはっきりしているわけですが、これについてやはり食品にあるいは加工品に、この原材料はどこそこ産ですという原料国の表示が必要じゃないかということを申し上げたことがあります。検討します、取り組んでいきますということをお答え願ったのですが、その後どうなっているかという問題を含めて、食の安全性という問題についての御所見と農水省の御回答をお願いしたいと思います。
  47. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 御指摘のとおり学校給食、いろいろその意義を申し上げましても、とにかく安全に行うことが最大の眼目でございますので、かねてから私どもとしては衛生管理の徹底について関係者に注意を喚起しておるところでございます。特に御指摘のございました物資の問題につきましても、できるだけ良質なものを選択するということはもとよりでございますが、有害なもの、またはその疑いのあるものは避けるように留意するとともに、特に不必要な食品添加物が添加された食品等については、これは使用しないようにということで注意を喚起いたしております。  ただ、輸入物資の問題につきましては、これも先生御高承のとおり、現在なかなか難しい状況にあることを御理解いただきたいと思います。
  48. 伊藤威彦

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  ただいま、最初に食品の安全性ということについてお尋ねございましたけれども、食品の安全性の確保ということにつきましては、食品衛生法に基づきまして厚生省において適切に対処されていると私ども考えておりますけれども、農林水産省におきましても、安全な食品を国民に供給するという立場から非常に重要な問題というふうに認識しております。  したがいまして、生産面において農薬とか動物用医薬品の使用の規制、あるいは飼料及び飼料添加物の製造、使用等に関しましての規制といったことを行っておりますし、また、加工食品につきましても、JAS制度というのがございますが、これを中心といたしまして安全対策の実施、それから消費者対応対策の強化というようなことから具体的にいろいろ施策を行っているところでございまして、今後とも厚生省とも緊密な連携のもとに安全性の確保ということは努力してまいる所存でございます。  それから、原料原産国の表示に関する取り組みの御質問がございました。食品の原産国につきましてはFAO、WHOによります国際食品規格、俗にコーデックス規格と申しておりますけれども、におきまして、食品の性質を変えるような加工が行われた国、これが原産国であるというふうに定められております。国内では不当景品類及び不当表示防止法、いわゆる景表法でございますけれども、これに基づきまして、「その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行なわれた国」、これが原産国であるというふうに定められております。  こうした状況を踏まえまして、農林水産省におきましては輸入食品の原産国につきまして、先ほど申し上げました農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、JAS法でございますけれども、これに基づく品質表示基準という制度がございます。これによりまして缶詰、それから果実飲料等四十一種類の加工食品について表示を義務づけております。それからウーロン茶とかあるいはミネラルウオーター、私ども新食品というふうに呼んでおりますけれども、こうしたものにつきましては、表示のガイドラインというものを示しまして表示を指導しているところでございます。  それから、生鮮食料品につきましても、なかなかこれは難しい問題がございますけれども、品目群ごとに業界とか消費者等の意見を聞きながら、原産国表示を含めた品質表示のガイドラインというものを策定してその普及を図っていくということが適当であると考えておりまして、その実施を図るべく現在なお検討中でございます。今後とも、関係省庁とも密接に連絡をとりつつ引き続きこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  49. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 残り時間十分ということになりましたので、今の安全性の問題はいずれ厚生省の方にもおいで願ってもう少しいろいろな角度から論議をしてみたいと思いますので、安全性については以上で終わらせていただきます。  最後質問になりますが、今の問題も含めまして食の安全性、それから食生活を支える食糧というのは原則として私たちの住んでいる土地、地域の農産物を主体として供給されるというのが望ましいと私は思うのです。ある説には、自分の住んでいる半径二十キロ以内でとれた食べ物を食べていれば絶対間違いないという学者の説もあるくらい、地域で生産されたものをできるだけ学校給食の場に、そのパイプを太く短くするということに向けて努力をするべきであるというふうに考えます。このことについては、農水出身でいらっしゃり、文部大臣であられる大臣から締めくくりの御所見をぜひ賜りたいと思うのですが、その前段として、各省庁、担当あられると思いますから、ひとつお答えを願いたいと思うのです。  一つは、小麦ですけれども、今学校給食に至るルートというのは、商社から食糧庁が買い付けて製粉業者に払い下げといいますか売り渡して、それからセンターなり学校給食会を通して子供たちの場所に、こういうルートになっていますね。そのルートについていずれこれも詳しくはまたいつか論議しますけれども、この小麦を、外麦を内麦に少しずつでも切りかえることができないのかどうか。現に内地産の麦は百万トン生産されていますね。しかも性質は割合にいいのですよ。もう製パンにどんどん使われていますよね。どなたかに聞くと、いや、パンは外国産でないとだめなのだということをよくおっしゃる方がいるけれども、それは違う。値段の問題は別としてですよ。質からいったらもう日本産の麦で大丈夫なのです。その内麦を学校給食のルートに入れるということについてはどうかということが一つ。  それから米ですけれども、米飯給食をふやすということを私は目指すべきだと思います。時間を省略してこちらから申し上げますが、週二・四日になっていますかね。それをどうでしょう、三ないしは四を目指す。製パンの方は困るかもしれませんが、それはいろいろ考えることにして、日本の政策を全体的に眺めてみた場合に、農業の振興確保、農畜産物の現地供給、農山村の活性化、安全な食糧の供給、すべての面を取り上げてみても、自国産、地域産のものを利用するということが優先されるということは、学校給食の観点からしても農林サイドからしてもあるいは消費者生活からしても本当に一体となった課題だと思うので、米飯給食をふやすということについての方策はどうか、地元産の米を地元の学校へ供給できるパイプを太くする方策はどうかという点が二つ目。  三つ目は、これは副食品ということになると思うのですが、農畜産物あるいは加工食品、こういったものの流通加工の問題がございます。これはいつか農林水産委員会で加工問題で取り上げたのですけれども、できるだけこれも地域の複数の農協が共同してこの供給体制をつくる、そういうことによって学校給食に地元の農畜産物を供給するということを目指すべきだと思うのですが、これについてそれぞれの省庁のお考えをお聞きした上で、最後大臣、恐れ入りますが締めくくりの御所見を賜りたいと思います。
  50. 平野愃

    ○平野説明員 初めにパンの御質問がございましたので、お答えさしていただきたいと思います。  現在パンに使われております小麦は強力系小麦、パンに向いているのは強力系小麦ということになりますので、ほぼ全量がアメリカとカナダから輸入されている小麦を使って、市販されているもの、それから学校給食用、両方ともパンをつくっております。  実は、御指摘のように国内産小麦を使ってパンをつくるという傾向が最近出てきまして、そこそこ評価を受け、外国産小麦と遜色のない品質まで向上されているという例も確かにございます。ただ、残念なことですけれども、国内産小麦はうどんとかそばとか国内産のめん用に向いているということを前提に品種改良を進めてきた経緯がございまして、めん用には確かに向いているわけでございますが、パンについて使用する場合には、製造工程の中で、技術者がその生地を練る過程で十分注意をして一つ一つに手作業を加えてやるということでパンの品質向上を図っているという例が大部分でございます。また残念なことに、大規模な工場で機械生産でやるという場合には、どうしてもべたつきがあるとか品質が落ちるということがございます。  それで、実は学校給食用にこういう国内産小麦を使うという御激励は私ども農林省、食糧庁としては大変うれしいことなんですが、いろいろ学校給食用について考えてみますと、例えば我々が家庭で食べているパンと品質的にも遜色のないパンを学校で供給しなければいけないとか、それからもう一つは、品質がばらつきがどうしても出ますので、生徒一人一人に対して供給するパンが例えば味が違うとか色が違うとか、そういうことが出ると学校教育上も好ましくないとか、もう一つは、べたつきとかいうことから手作業がどうしても加わる場合には一定の学校数の生徒に対して大量のものを供給する場合に工場の生産がなかなか対応しにくいとか、解決すべき点がまだございまして、現段階ではなかなかすぐ導入していただくというわけにはいかないと思いますけれども、品種改良その他を進めながら、ぜひ国産の小麦をパンにも使うように努力はさしていただきたいというふうに思います。
  51. 諸川勝徳

    ○諸川説明員 学校給食におきまして米飯給食の定着を図っていきますことは、先生指摘のとおり学童期の食習慣というものが将来の我が国の食生活に非常に大きな影響を及ぼすことになりますので、単に当面の米の消費拡大に寄与するということだけではなくて、長期的に見まして日本型食生活の定着を図っていくためにも非常に重要であると考えておるわけでございます。  このような考え方に立ちまして、米飯学校給食につきましては、昭和五十一年度から政府米の値引き売却をすることによりまして週当たり大体三回程度を目標に計画的に推進してきているわけでございます。この結果、米飯学校給食の実施校数といたしましては、完全給食実施校に対する割合で見ますと九八%ということで、ほぼ達成されているわけでございますけれども、週平均回数で見ますと、先生指摘のとおり現在二・四回ということでございまして、これは五十一年五月末の当時の〇・六回に比べればかなりふえたわけでございますが、三回という目標にはまだ達してないという状況にございます。この回数につきまして地域別に見ますと、特に大都市におきましてかなり回数が少なくなってございますので、今後は大都市における米飯給食の実施回数の増加というのを重点に置きまして推進していきたいと思っております。  それから、米穀の地元産の供給についてでございますけれども学校給食用米穀の政府米の売却につきましては自県産米を優先的に供給することとしておりまして、全国的に見ますと大体七割程度は自県産米を供給しているところでございます。御参考までに、東北六県では九五%が自県産米になっております。また、これも御参考まででございますけれども、岩手県におきましては一〇〇%が自県産米で供給されております。  それから、地域によりましては生産者団体等におきまして地元産の良質米を児童生徒に供給したいという要望もございますし、そういうこともありまして、平成年度から、生産者団体等が自主流通米等を一定のルートで学校に供給する場合は政府助成をこれも行うということにしたわけでございます。現在岩手、山形等の各府県でその取り組みが進められているところでありまして、これも米飯学校給食の一層の推進がこれによってまた助長されるということを期待しておるわけでございます。
  52. 二木三郎

    ○二木説明員 お答えいたします。  先ほど先生からございました地場の農産物の供給体制の整備という観点でございますが、これにつきましては、地場農産物の付加価値を高めまして農業者の所得の向上に結びつけるためにも、地域における農産物の加工流通の促進と加工食品の販路の拡大を図ることは重要な課題考えております。  このため、私どもといたしましては、これまで地方公共団体や地域の試験研究機関指導のもとに、農林水産関係団体や食品関係団体等が連携いたしまして、地域の農産物の加工利用の促進を図るための先端的技術の開発とか新商品の開発、加工流通施設整備等推進してきたところであります。  さらに平成年度におきましては、農林漁業金融公庫法の改正によりまして、土地条件の制約等から農業の生産条件が不利ないわゆる中山間地域につきまして、その地域の特性を生かした農業の発展を図るため、これらの地域の農林水産物の付加価値の向上と販路の拡大に必要な加工流通施設整備に対する低利融資制度といたしまして、中山間地域活性化資金を創設したところでございます。また、新たにふるさと認証食品開発普及事業の予算計上をいたしまして、近年の本物志向、安全志向のもとで多少の価格差でも良質な特産品を求める機運の高まりにこたえまして、地域産の原材料を確実に使用している食品とか、生産方法に特色のある食品等の流通の促進を図ることといたしまして、産地、栽培方法、品質、こういったものの認証、さらにその認証された食品の普及等を実施することにいたしまして、これらの施策の推進によりまして、地場を中心としました特産原料の消費の一層の促進、こういったものを図ってまいりたいと思っております。
  53. 保利耕輔

    保利国務大臣 先ほどのお答えの中で少々舌足らずのところがございましたので追加をさせていただきますが、高校野球を含めまして、部活動は学校教育の一環であるという認識は私も非常に強く持っておりますので、先生指摘のとおりでございます。  さらに、学校給食につきましても、同じような学校教育の一環であろうかと考えております。  御指摘学校給食法については、食事に対する理解あるいは社交性を深める、あるいは栄養についての知識を持たせる、あるいは生産、消費というものについての認識を持たせるというような意味を持っておると思います。このような意味で、地元の農産物を学校給食に購入をしていくということについては、地域農業の活性化でありますとか農業の振興というような点から大変意義深いものであろうかと思います。また学校児童生徒に対しましても、地域の農業者に対する感謝の念を持っていただくということや地域農業との触れ合いというようなことを実感するという意味で大変好ましい効果があろうかと思います。生産者あるいは生産者団体の御協力もお願いを申し上げたいところでございます。  このような観点から、文部省といたしましては、今後とも関係省庁と十分に連携をとりながら、このことが円滑に推進されますように、学校栄養士の皆さんの研修会あるいはいろいろな研修会の場を通じてお願いをしてまいりたいと思いますし、また教育委員会等の関係者に働きかけてまいりたい、このような気持ちでおります。
  54. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 終わります。ありがとうございました。
  55. 船田元

    船田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十五分休憩      ────◇─────     午後一時七分開議
  56. 船田元

    船田委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  質疑を続行いたします。鍛冶清君。
  57. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 先日に引き続きまして質問をさせていただきます。高等教育の問題でございます。  先日もちょっと私がやりとりの中で触れたのでございますが、大学、いわゆる高等教育をやっている学校の全国的な配置ということについては私は非常に真剣に考えてやる必要があると思います。  この件については、昨年の五月に、前文部大臣でございました西岡大臣の折に少しやりとりをしたことがございます。その折に西岡大臣は、北海道から沖縄まで通じて適正に配置するということを考えなければいけない、さらには地方にも拠点となる大学を充実させる必要がある、そして多様化を図る必要がある、またさらに一定分野でより高度なものを求める、そういうことをやっていく大学も必要である、そういう意味での予算の重点配分も必要だ、首都圏、関西等に偏っているこの大学のあり方を分散する必要もあるだろうというふうないろいろな御意見をおっしゃっておられました。  私はその御意見にもまさにそうだというふうに思うわけですが、それをひとつ突っ込んだ形で、大学の地域的配置について文部省としてはどういうふうに考えておるのか、改めてもう一度お尋ねをいたしたいと思います。
  58. 保利耕輔

    保利国務大臣 大学の地域的な配置についてのお尋ねでございますが、国土の均衡ある発展という観点からも、大学等の高等教育機関が全国に適正に配置されるということは大変重要なことだと考えております。  高等教育機関の立地の現状につきましては、私学の比重が大きいこともございまして、国公立大学はともあれ、全体として見ますと、国全体の大都市圏集中の動きの中で地域間格差が若干見られることは事実でございます。文部省といたしましては、従来から高等教育計画に基づきまして大都市における大学等の新増設の抑制を図ってまいったところでございますが、地域間格差の是正の方向で大学等の整備を行っているところでございます。  この結果といたしまして、若干の数字等も持っておりますけれども、学生の集中度だとかあるいは大学、短大の収容率の地域格差は若干減少する傾向にございますけれども、今後ともこうした均衡ある発展という観点からも適正な配置に努めるように留意をして対処してまいりたいと思っております。
  59. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 前回のときもちょっとお尋ねした中で、定員割れの大学について御答弁がございました。その地域についての御答弁もあったのですが、その折に私ちょっと申し上げましたように、地域的な配置をするということは、今大臣おっしゃったように大切だし、その方向でのプッシュはぜひしていただきたい、こう思います。  同時に、各地域ではやはり自分のところにぜひ大学をつくりたいというような思いの中で一生懸命にその計画も立て、文部省にも相談に来る。ぜひつくってほしい、こういうことで来られるのだと思いますけれども、ただ認可の際に、これまでできたものをどうこうというわけにまいりませんけれども、これから新設する場合には、今大臣お答えがあったようなことに留意をしながら、やはり一校だけぽつんと地域に大学があるというような認可のおろし方が果たしていいのかどうか。  確かに、地域からの御要請があれば、これはもう地域要望を消化していくというのが大きな一つのポイントではありましょうけれども、つくったのはつくったけれども人が集まらない、結局、後の経営が行き詰まるというようなことがあるとせっかく入った学生にも迷惑をかけてしまうというようなことがございます。  したがって、やはり大局観に立ってそういう認可というものもチェックをしていく必要があるでしょうし、せっかく来てもここだけではちょっと無理だというときには認可を見合わせるとかいうようなこともあり得ていいのだろうと思うのですけれども、そういった意味を含めて、大学の新設認可の際に地域配置についてどういう配慮をなさっておられるのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  60. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 大学の設置認可に当たりましては、先ほど大臣も御答弁申し上げましたとおりに、従来から高等教育計画、現在の高等教育計画も地域間格差の是正ということを打ち出しておりますが、その計画を踏まえまして審査を行っております。  そういう意味で、地域配置の適正化を図る観点から、東京で申し上げますと二十三区内あるいは武蔵野市等は抑制という、その他工場等制限地域あるいは指定都市等については抑制的に対応をしてきておりますが、同時に、申請にかかる地域における大学の設置状況、同種分野の学部・学科の配置状況あるいは社会的需要との関連、人材需要の見通し等の観点から設置の必要性が十分高いものについて優先的に審査をしているところでございます。  ただ、先生今御指摘のとおりに、大学の学生が集まるというところは、非常に教育環境がいい地方の静かなところというよりも、どちらかというとあるグループの大学、高等教育機関が幾つかあるようなところの方が学生には魅力があるという点もあるわけでございまして、先生指摘の点も十分踏まえて今後対応してまいりたいというふうに考えております。  なお、この点につきましては、この前、一昨日の御質問にもお答え申し上げましたが、平成年度以降十八歳人口が急減期に入る、その高等教育計画を現在大学審議会で審議をいただいている最中でございますが、大学審議会においても先生指摘の点を踏まえて現在審議をしている最中でございます。その審議結果を待って適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  61. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは後の質問の中でもちょっと申し上げてお答えもいただきたいとは思いますが、全国を幾つかにブロック別に分けた考え方をしながら、そこで一番中核となる大学を重点的に育てながら、しかも全体に配慮するという形がいいのではないかなというふうな気がするわけですね。そういったことも含めて、これは後でお答えもいただきますが、ひとつ認可の際は、繰り返すようですが、今までできておる大学について、これはもうだめだとか、いいとかいうことにはいかぬでしょうけれども、育てていかなければならぬと思いますが、十分御留意もいただきたいと思うのです。  それと同時に、現在、技術革新の波というのは、非常に変化も激しいし、特に先端技術の分野、科学技術の分野というもの、今言われておりますのは情報の関係、それからバイオテクノロジーの関係、材料の関係、この三つの分野というのは特に研究充実の必要があるし、また、今技術者も含めて大変これが足りないということで新たな対応というのが非常に求められていると私は思います。こういった分野について、大学レベルで今後大体どの程度の人材の需要というものが見込まれるのか、こういったことについてお答えをいただきたいと思います。
  62. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 先生指摘の、先端科学技術分野の進展に対応した大学の学部・学科の整備の問題でございますが、私ども、昭和六十三年六月に「情報技術者の養成確保について」という報告書を専門家によって取りまとめまして、それに基づいて今後の大学等における情報技術者等の計画的養成についての基本的な方針を発表したわけでございます。  その報告書の中では、今後二〇〇〇年までに必要とされる情報技術者の数を二百三十万人から三百万人程度と推定いたしまして、そのうち百五十万人から二百二十五万人を新たに高等教育機関で養成する必要があるであろうという指摘を受けております。私ども文部省としましては、この趣旨に沿いまして大学等における関連学科の定員増を図っているところでございます。  ちなみに、その報告に基づきます情報関係学部・学科の入学定員増につきましては、大学、短大、高専については、大体年間対前年度比で七%から一〇%増、それから専修学校の専門課程でございますが、これについては一〇%から二〇%増という指摘を受けておるわけでございます。  その指摘を受けて、それに沿って整備をしてきておりますが、ちなみに大学、短大、高専で申し上げますと、六十年度から平成年度まで過去五年間でこの種の関連学部・学科の入学定員の増は約一・八倍でございまして、年間のアップ率というのは一二%を維持して今日まで平均一二%でございますが、来ております。それから専修学校につきましては、平成年度のデータがまだございませんが、平成年度までの四年間で二倍になっておりまして、アップ率というのが二〇%になっております。したがいまして、報告でまとめられております七%から一〇%、一〇%から二〇%というその率はほぼ維持して今日まで来ておりますので、今後ともこういう方向で整備を図ってまいりたいということを考えております。  あわせて、私どもとしましては、単に専門の情報関連学部・学科だけではなくて、文科系の学部におきましても情報教育センターというようなセンターを大学等に設けまして、教養部の段階で、一、二年の段階である程度情報関係教育を行い、コンピューター等もある程度こなせるような人材の育成をもあわせて図っているわけでございまして、この文科系の学生に対する情報関係教育についても充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  63. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 パーセント的にお聞きしているわけですが、それで大体間に合うのかどうかということになりますと、人数的に言って私は少し足りないのじゃないかなというふうな感じもいたしておりますが、その点について、現在あるこういう関係の学部・学科の増、これは当然今お話しのようにやるべきでありましょうし、やらなければいけない、こう思いますけれども、やはり今各大学、特に理工系、工学系なんか学科のあり方を見ておりますと、一昔二昔前の学科、そういうものが非常にたくさんあってどうも古臭い。技術革新がどんどん進んでいくのに、各大学、国公私立を含めて、果たしてこれで対応できるのか。  新設の大学は、やはりこういう新しい分野について早く乗っかってということで、そういう計画で新設の認可というのが出てくる可能性が大きいようでございますけれども、旧来からあるそういう大学については、この学部・学科の改組というものを、昔ながらのもう古くなっているものは内容を改めて、新しいものに対応できるように改組していくということが一つの大きなポイントになってくるのではないかというふうに思うし、それはぜひやっていくべきだ、こう思うわけでございますけれども、これについて文部省として、公私立大学の認可等に際してどういうふうにしているのか、さらには国立大学工学部等の改組についてはどのようにお考えなのか、お聞きをいたしたいと思います。
  64. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 お答えいたします。  公私立大学の大学の設置認可に当たりましては、先ほど一般論として御説明申し上げましたが、従来から特別の社会的要請の高い分野についての設置認可については、私ども優先的に認可するよう審査をしてきたところでございます。そういう意味で、先端科学技術分野の進展に対応した学部・学科、大学等の申請につきましては、文部省も認可申請に積極的にこたえていきたいというふうに考えております。数字、例は割愛させていただきますが、毎年かなりの関連学科・学部等が認可されているところでございます。  それから、国立大学の工学部の改組の問題でございますが、この点につきましても、私ども毎年社会的要請の強い情報、バイオ分野における整備を中心に既設の学科の改組転換を行っております。そういう観点からの改組転換と、それから国立大学の工学部のもう一つの改組のねらいは、現在余りにも専門分野が小さな分野で学科等が構成されておりますので、むしろ大講座制という、講座を組みかえまして教育、研究を弾力的に、学際分野を含めてその大講座の中に数人の教授、助教授、助手等が包含されまして、学際的にこの種の先端科学技術分野教育、研究が行えるような組織づくりをもあわせて行っているところでございます。  ちなみに、平成年度に国立大学の工学部等で改組を行った数は、二十大学百四学科でございます。これは工学部、農学部、理学部等でございますが、今後とも私どもこの種の改組を大学の要請に基づきまして、あるいは大学にも奨励いたしまして積極的に行ってまいりたいというふうに考えております。
  65. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 今文科系の充実もおっしゃっていただきましたし、これは十分やっていただきたいのですが、最近はいろいろ情報を聞いていますと、文科系の学生で採用して十分よかったところが、むしろ理工系を出た学生を採用するという傾向がだんだん強くなっているようですね。そういった意味も含めて、このあり方というものはひとつ真剣にまた検討していただきたいのですが、そこで先端科学技術分野の研究の方も非常に大切になると思います。これはやはり力を入れていかなければならないと思うのですけれども、この充実については文部省としてはどういうように考え、取り組みをされているのか、また、これからどういう取り組みをされていこうとするのか、お尋ねをいたします。
  66. 川村恒明

    ○川村政府委員 御指摘のように、最先端の分野における研究の推進ということは大学に課せられた非常に大きな使命でございます。ただ、これは先生御承知のことでございますけれども、大学というのは、本来、学術研究の全分野にわたって基盤を整備をする、しかもそれは研究者の自発性に基づいて人文科学から自然科学までの各分野の全体の基盤の整備ということが基本にあるわけでございます。  そういう大学の本来の使命が一方にあり、かつ同時に、ただいま御指摘いただきましたように、学術上の要請あるいは社会的な必要性ということで、ある特定の先端分野について重点的に大いに研究を進めなければいかぬということがあるわけでございます。最近、特にそういう先端的な分野におきましては研究が非常に大型化をしておりますし、非常に高度化している、そういう中でできるだけ学術研究を効果的に推進をするということで御指摘のような先端的な分野についての研究を充実していきたいということでございます。  具体的な進め方として、一つは、研究の面でのハードなそういう研究基盤を整備する。具体的に申し上げれば、例えば各種の大学の共同利用機関設置をするというようなこと、あるいは特定の分野、例えば宇宙科学でございますとか化石科学でございますとかいうふうな分野を区切って、そういう共同利用機関整備し、そこに施設設備整備していくというようなことがございます。  もう一つは、いわばソフトな対応でございまして、例えば科研費、科学研究費補助金の中で、そういう先端的な分野につきましては、これを特別推進研究でございますとか重点領域研究というふうな種目でもって整理をいたしまして、そういう最先端な分野を進めていくということでございます。  最近、特にそういう先端的な分野につきましての御要望が強いということもございまして、昨年、学術審議会の方でも御検討いただきまして、そういうものについて総合的に進めていく新しいプログラムをつくったらどうかというふうな御提言がございました。学術研究の推進のための新しいプログラムという名前がついておりますけれども、そこで研究者でございますとか研究費でございますとか施設設備を重点的に投入をしていくというようなことで新しいプログラムを進めていこうというようなことがございます。  でございますから、そういうことを、先ほど最初に申し上げました大学、学問の全分野にわたる基盤の充実ということとの調和の中で、そういう最先端の分野についての研究を進めていきたい、こういう対応をしているところでございます。
  67. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 一応の対応は今お聞きしたのですが、私もいろいろ大学の先生方でお知り合いもあります。お話も聞くことがあるのですが、特にこういう工学系、先端分野を受け持っていらっしゃる方というのは、やはりこれはお金との関連が非常にあるわけですね。今これは局長も、大変お金もかかるということにも触れておられましたけれども、まさにそのとおりであろうと思います。ですから、やはり本当にそういうところで一生懸命研究していらっしゃる先生方は、場合によったら自分の給料が高くなるよりも研究費を、まあ、それは比較ですからそういうようにおっしゃるのでしょうが、研究費をもっと充実をし、施設やら設備等をうんとひとつお金をつぎ込んでやってもらいたい、それをやってもらえれば多少給料が安くたっていいんだというぐらいまでおっしゃる方もあるのですね。  これは食べる方も確保しなければいかぬわけですけれども、それほどの思いでやはりやっていらっしゃるということでございますから、これは今現状からいうと、確かにそういった面での予算というものが、文部省も厳しいシーリングの中からですから難しいのかもわかりませんけれども、これはひとつ我々も大いにバックアップをさせていただかなければなりませんが、財政当局にももううんと物を申して、こういう分野については施設設備や研究費等については重点的な投資というものをやるべきである、こういうふうに私たちは思うのですが、この点について再度お尋ねをいたします。
  68. 川村恒明

    ○川村政府委員 学術研究につきましてそういう重点的な投資をすべきということでお話をいただいたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、一面においてそういう重点的な投資の仕方ということと、それからもう一面において、先ほど来繰り返し申し上げておりますが、学問の全分野にわたる基盤の整備ということが、常にある意味では相対立する概念としてあるわけでございます。  その調和の中で重点的な投資をどうやって進めていくのかということでございまして、これは例えばアメリカの大学などを見ますと、アメリカには現在大学が大体三千四百ぐらいあるわけでございます。三千四百ぐらいございますが、その大学がそれぞれに割と目的、機能がはっきりしておりまして、研究費が全体にどういうふうに流れているのかという数字を見ますと、実は三千四百ある大学の中で、その研究費が非常に豊富な大学といいますか、研究費を連邦政府から、あるいは州政府から、あるいは民間から重点的にもらっている大学の数というのはせいぜい五十あるかないかというようなことでございまして、その意味では大学について非常に重点的な整備が行われているということがあるのだろうと思います。  我が国の場合は、そういう意味で大学について重点的に整備をすべきと。でございますから、我が国でも大学が国公私立合わせて千ほどございますから、ある大学について、これをリサーチユニバーシティーでございますとか、あるいは最近はやりの言葉で言えばセンター・オブ・エクセレンスという形で整備をしてはどうかというふうな御提言も常にあるわけでございます。  それは、これからの二十一世紀に向けての学術研究の進展ということを考えますと、そういったリサーチユニバーシティーでございますとかセンター・オブ・エクセレンスというものを育てていくということは非常に重要なことだと思っておりますし、そういうことにしなければなりませんが、同時にしかし、大学というものは基本的にいかなる大学といえどもそれは研究活動というものがその基本にあって、学問の全分野にわたってやるんだ、日の当たらない学問分野というのもあって、そういうものに対する目配りということもやはり同時に考えていかなきゃいかぬ、そういうことでございます。  そういうことを踏まえながら、ただいま御指摘をいただきましたように、こういう研究用の非常に大型化し多額の経費を要するようになった先端的な分野の研究の推進に今後とも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  69. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これもお答えの中にございましたが、私は、重点的投資というのは、ほかの方をセーブして余りやらないでこっちに財政的にやれということではございませんで、今局長から御答弁をいただいた方向で、私もそう思います。したがって、それ以外のところも特色づくりをやらなきゃならない大学であるわけですから、そこに対しては十分に手当てをする。  ただ、予算全体の中で、少し文部省も強腰で——これは、ここに与野党いらっしゃるわけですが、もう超党派でこういう点については恐らく御同意だと思うので、ひとつそこらあたりもうんと利用しながら、文部省に対して、また国に対して、文教の予算というものを上乗せをして、大臣、今度はよろしく頼みますよ、そういうことでやりながら、そういうところに重点的に配分をするというふうなことを工夫していきませんと、私は、一昨日も申し上げたように、二十一世紀の日本というものがどうなるのかという心配が非常にあるという思いがしておるわけで、そういうふうに申し上げたわけでございますので、そういう方向での努力をぜひおやりをいただきたい、こういうふうに思います。  さらに、こういう研究の充実を図ると同時に、あわせて、特色ある大学をつくるという意味も含めて、一極集中というものがどうしても言われるわけでありまして、まあ東京に集中してしまう。さっきちょっと申し上げましたけれども、だから、これはやはり私は、地域にいろいろ分けまして、ある意味でいえば、道州みたいな形でブロックに分けたその中で中核になる大学というものをつくりながら、そこからいろいろな問題を整備を図っていく必要があるんじゃないか。  これも高等教育局長からも御答弁の中にありましたように、やはりぽつんと一つだけじゃいかぬ、幾つかの大学がまとまる中で、また、似たような類型的なものが、いろいろ違った特色のあるものが各地にいろいろな核があって、そこにいろいろな学校が集まって、そこでまた教師の交流もある、研究の交流もあるという中で、その分野は特色あるものとして地域では生きてくるというような形の重点的な整備というものを図る必要がある、こういうふうにも私は思うわけですね。  だから、都市の名前を言うとまたしかられるのかもわかりませんけれども、おまえけしからぬと言う方もおられるかもわかりませんけれども、例えば九州でいえば、福岡とか熊本とかいうようなところを重点に置いて、そこらあたりの大学をしてやるとかいうようなことも考えられるかもわかりません。  だから、全体を上げながら、しかもそういうところを重点にという意味で私は申し上げておるので、誤解のないようにお願いをしたいのですが、そういうことの中で、やはりいい形での特色ある大学づくりないしは地域づくり、これは自治省や建設省とも関係が出てくるかもわかりませんが、私はやはり町づくりを含めてこういうものに取り組んでいくということが大切であろうかとも思うわけでございます。ぜひこういう意味での重点的な整備を図っていただきたい、こういうふうに思うのですが、この点についてお尋ねをいたします。
  70. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 確かに先生指摘のとおりでありまして、先ほど来学術局長からもお答えいたしましたとおりに、全体の高等教育のレベルを上げるという努力は一方で私どもしなければなりませんが、同時に、先生指摘のような考え方に沿った重点的な整備というものも行っていかなければならない。  その場合には、もちろん、先生が御指摘になりましたような地域の中心になる学校というのも重点的な整備を行う対象になる大学だろうと思いますが、個々の大学の中でも、極めてすぐれた教育、研究を行っておるようなそういう大学に対しては、やはり国としても重点的な整備を図るような仕組みというものを考えていかなければいけないんじゃないかというふうに考えているところでございます。
  71. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私はやはり、日本では、よく言われるように、どこの大学を出たということがいろいろ言われるわけですけれども、アメリカあたりでは、どこの大学というよりも、どこの大学の学部・学科を出たというその経歴の方が非常に重要視されるというふうに言われておりますけれども、もう日本においてもそういう形のものにだんだん変わっていかなきゃならないんじゃないか。  そういう意味で、今局長がおっしゃったような特色のある大学、特色のある研究を意欲的にやっているところというようなものは、ひとつこれも重点的に育成をしていくという方向でぜひお考えをいただきたい。御要望申し上げておきます。  さらに、研究以外にも、教育の面でコンピューターの話もさっきちょっと出ておりましたけれども、これらを利用した教育というものを充実していく必要もあるのではないかというふうに思います。  小中学校等に行っていろいろ聞いてみましても、今の小さい子というのはコンピューターになれておりまして、私なんかどうもああいうコンピューター関係のマイコンでも何でも見るとちょっと抵抗がありまして、なかなかさっと入っていけない。やれば時間かかるからついおっくうになるというようなことで、勉強もしないからやれる人にやってもらっているというようなことの繰り返しでいっているわけで、全く苦手な分野とか過去に学んだことのない分野というのはすぐには取っかかりにくい。小学校あたり、コンピューターをだんだん導入をしてそういった面での教育を今充実しつつあるように私たちは見ておりますけれども、そういう取り組みを文部省もなさっておられるように思いますが、教える方の側がどうも足りないみたいですね。  私は初期に導入した高校へ行って聞いたことがありますが、非常に苦労しているわけです。そして、そこらあたりは先生がもう一生懸命マスターしながらやるけれども、どの先生もというわけにはいかないというようなことがありまして、そこらあたりも考えますと、やはり大学においてもこういったところをしっかり教育できるような形が、学生の養成も含めて必要であろう。  また、専門の大学があっていいのかどうか検討を要するのでしょうが、そういうものをつくったりする中でまたユニークな特色ある大学というものもできていくのではないか、こういうふうに思うのですが、今挙げましたコンピューター教育等を奨励するというような意味で取り組むということについてぜひひとつやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  72. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますとおりに、情報関係の専門の分野について充実していくことは当然でありますが、同時に、そうではない大学においても、特色ある大学づくりのためにコンピューター教育を実施していこうという大学も国公私立を通じましてかなりあるわけでございます。私ども、国公私立大学に対しまして昭和六十三年度から五年計画で情報処理教育のための設備整備を行っていこうということで、現在予算措置を講じているところでございます。  例えば、現在御審議いただいております平成年度の予算案で計上しておる額で申し上げますと、国立では、情報処理センター等の設置あるいはコンピューターレンタル料経費の増額等で九十四億円、公立大学につきましては、教育設備整備費、情報処理関係教育設備費として、これは補助率三分の一でございますが、二億円、私立大学につきましては、私立大学大学院等教育研究装置施設整備補助の中にコンピューター関係のものとして三十二億円積算しておりますし、さらに私立大学等経常費補助におきまして、情報処理関係設備のレンタル料として平成年度予算額として二十一億円計上しているところでございます。  今後ともこれらの予算の充実を図っていきたいというふうに考えておりますし、同時に、高等学校以下の先生方の問題について御指摘がございましたが、大学のコンピューター関係、一般的な文科系を含めたコンピューター教育をする教官の資質を向上させるという観点から、昭和六十三年度から情報処理教育改善のための研究集会、毎年かなり大規模に研修会を開いて大学、短大関係の教官の研修にも資する策を講じているところでございます。
  73. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 もう一つ大切なことは、私はやはり情報の格差の問題があると思うのです。地方の大学が非常に伸びていく、また内容を充実していく上で情報というものが、特に研究情報なんかがどんどん入ってこなければもう大学としての魅力もなくなるし進歩もないというふうな時代に今入っていると思うのですね。さらには、いい意味での一極集中をなくして地方分散するためにも、大都市と地方との情報格差というものをどうして解消していくかということを考える必要があるだろう、こう思います。  文部省においては学術情報センターというのを設けてやっておるということをお聞きしておりますけれども、その内容についてどういうものなのか、また研究情報等の情報格差解消のために今後力を入れて取り組んでいただきたいのでございますが、この点についてどういう取り組みをなさっていらっしゃるかお伺いをいたします。
  74. 川村恒明

    ○川村政府委員 大変示唆に富む御質問をいただいたわけですけれども、御指摘のように今まさに情報化社会でございまして、いかに多くのいかに正確な情報をいかに早くキャッチをするかということですべてが決まる、こういうことでございます。そうしますと、大学での研究でもそういう情報の格差があるということはやはり大変に問題でございまして、できるだけ情報の格差をなくしていかなければならない、おっしゃるとおりだと思っております。  できるだけ情報の格差を少なくする、それはいろいろなやり方がございまして、例えばできるだけ研究者が数多くの学会等の研究集会に出席をするとか、あるいは国際的な研究集会をそれぞれの大学で開催をするとかといったやり方もあるわけでございますけれども基本的には、やはり日常的に多くの正確な情報を素早くキャッチをするシステムを整備することであろうということでございまして、御指摘のように学術情報センターというものをつくり、学術情報ネットワークというものの整備を今全力を挙げて進めているわけでございます。  この学術情報センターと申しますのは大学の共同利用機関でございまして、学術情報に関する総合的な研究開発でございますとか学術情報の収集、整理、提供をするということを目的にしているわけでございますけれども、要すれば、この学術情報センターを中心として、全国の国公私立大学に専用のディジタル回線を引きまして学術情報ネットワークをつくるということでございます。  現在、このネットワークに何らかの形で加盟をしております大学が国公私立を合わせて百三十くらいになっておりますけれども、そういうところへネットワークを延ばす。そのネットワークを延ばすことによって何ができるかということでございますけれども、このネットワークに参加することによってそれぞれの学術情報センターでございますとか、そこに参加している大学等が持っておりますデータベースにアクセスをし、即時に検索ができる、それから、全国の大学図書館が所蔵しております図書とか雑誌でございますとか、そういったもののタイトルを検索し、また利用することができる、あるいはこのネットワークに入っております全国の七大学に大型計算機センターが設置されておりますけれども、そこにはそれぞれスーパーコンピューターが入っておりますが、このスーパーコンピューターをこのネットワークを通じて全国の研究者が利用することができる、あるいはこのネットワークを使って研究者が電子メールというやり方で情報の相互交換ができるというようなことでございます。  しかも、このネットワークは国内だけでございませんで、海外にもこれを接続をするということで、アメリカでございますとかイギリスの方に現在そのネットワークを延ばしているわけでございます。  こういうふうな形で学術情報センターあるいはこれを中核とする学術情報のネットワークをさらに密度を濃くし、そこでのサービス内容を豊富にしていくということによって研究者が日常的により多くの、より正確な、より早い情報にアクセスすることができるということでございます。今後ともこのネットワークの整備に全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  75. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 それと、これも先ほど御答弁の中でちょっと出ていたようですが、やはりお金の問題というのはなかなか大変で、先ほどから申し上げるように、国もうんと財政的に支出というものを文教関係、大いに図っていただかなければなりませんが、それだけではどうしても足りない分野というのが出てくるだろう。  そうすると、民間資金というものを導入する、ないしは民間の企業等とも一緒になって研究を進める、これは大分進んできているようでございますけれども、それをさらに進める必要もあるのではないか。さらには、以前も御質問申し上げたことがございますが、やはり大学等に対する寄附金に対する税の免除の問題も含めて、こういったものは真剣に取り組んでいただきたい。そういう方向でまた指導もしていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  76. 川村恒明

    ○川村政府委員 御指摘のように、大学が単に象牙の塔にこもって自分の中だけで研究するということでございませんで、もっと幅広く社会との関係を持っていく。大学が本来の使命を踏まえながら、大学の自主的な判断のもとにできるだけ幅広く社会の要請にこたえていくということは、大学の社会に対する貢献という観点からも、またそのことが同時に大学の研究に非常に有益な刺激になる。具体的に今、資金の不足で民間からも資金というお話がございましたけれども、そういうことも含めて、これは社会にとっても大学にとっても双方にメリットのあることではないかというような考え方で、従前から学術研究の社会的協力連携ということを進めているわけでございます。  それで、実際のやり方としていろいろなやり方がございまして、例えば民間等との共同研究という形で、大学と民間企業がそれぞれ研究者とお金を出し合って大学の場で共同研究をするというやり方でございますとか、民間から特定のテーマについての受託研究を受けるというやり方、あるいは一般的な奨学給付金を受け入れるというようなやり方もございます。最近は寄附講座部門という形で民間との協力を進めるということがございます。大学の方でも民間等とのそういう協力をする場として、共同研究センターというふうな仕組みをつくってそういう共同研究を進めやすくするといういろいろな手だてを講じているわけでございます。  最近、おかげさまでこういう関係の民間等との協力ということが盛んになってまいりまして、これはまた先ほど申しましたように、大学の活動を特色づける、特に地方大学の場合に、その地域の民間関係機関との連携を持つことによってその大学の特色を持たせるということにもなるわけでございますから、できるだけこういった施策を今後とも進めてまいりたいというふうに思っております。現在、この関係の社会的協力連携関係で、予算的に約五百億円程度の予算が計上されているわけでございます。その資金の多くは民間に仰いでいるわけですけれども、今後ともそういったものの充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
  77. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大分時間が進んできましたので、前回もちょっと残っておりました、次の大学の評価並びにそのシステムの問題でお尋ねをいたしたいと思います。  私は各大学のいろいろな方にお会いするのですが、よく申し上げるように、各先生方、お一人お一人は大変立派な方が多くて、見識も持ち深い学問的な知識もお持ちなのでございますが、どうもそういう先生方は他の御批判はよくなさるのです。評価とか批判は一生懸命なさるのですが、自分が評価されるということになると非常にお嫌いな方が多いですね。ちょっと困ったことだと思っておりますが、そういったことが大学の教育のあり方に非常に足かせになってマイナスになっている部面が大変あると思うのです。  以前にも御質問申し上げたことがございますが、早い話が、教授会なども機能してうまくいっているところはいいのですが、そうでないところは、あれこれ発言ばかりなさって、結局決めたことは何かというと、何もやらぬことを決める、こういうようなことがあったりする可能性が非常にある。これは余りよろしくないと私は思うのですが、そういう中で今申し上げたように、大学の先生、非常に自分たちが評価されるないしは自分たちがいる学部・学科、それから大学が評価されるということについて、優秀な先生方はそれはむしろ望んでいらっしゃる先生方がおられることも私よく知っておりますけれども、どうも一般的に見て大学の先生方はそういうことをなさらない。これは私は問題があると思うのです。  これは幸いに大学審議会の中で、大学の評価システムを確立すべきである、そして大学はどんどん向上していく、またいろいろな需要にこたえていくためにも必要であるというふうなことのどうも指摘をなさっておられるし、そういう中間的な審議の概要も報告をされているようでございます。  その中で、これはぜひ確立をしていかなければならぬし、していただきたい、こう私は思っておるのですが、大学の自己評価システムということを今審議会の中でもかけられて検討をなさっておられるわけでございますけれども、まず基本的なことからお聞きするとして、評価システムというものを導入する目的、これはどういうところにるのか、まず最初にお尋ねをいたします。
  78. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 大学が、学問研究や時代の進展に即応しまして常に教育研究活動を活性化するあるいは質の向上に努めるということは、大学の社会的使命を果たしていくために必要なことでございます。そのためには、大学人がみずから今の大学の現状を把握し、そしてどこを改善すべきであるということを十分認識し、目標を設定して改善の努力を進めていくことが必要なのではないかというふうに考えております。それを何年か置きに大学がみずから自己点検を行って改善の目標が達成されているかどうかということを自己評価する必要があるのではないか、そういう必要性が大学審議会で議論されているわけでございます。  先生も御指摘になりました外国、特にアメリカの大学では、アメリカの全国を六ブロックに分けまして、アクレディテーション協会と申しますか、外部のそういう組織が大学を評価、第三者が評価いたしまして、そしてその大学の評価結果を一般に公表するという仕組み、システムが定着しております。  我が国では、今先生がおっしゃられましたように、そういう第三者の評価をなかなか受けにくい、受け入れがたいような雰囲気もあるということで、一挙にそういう仕組みに持っていくというのは大変難しいのではないか。したがって、少なくとも今私が御説明しましたようなことで、みずから評価し、みずから点検を行い、みずからその結果を評価する、自分たちでそれをやっていただこう、そういうことがまず必要なのではないかということが第一点の自己評価システムを導入する考え方であります。  それからもう一つは、この前の御質問にもお答え申し上げましたが、各大学が創意工夫を生かし、特色ある多様な教育、研究を推進することができるように、文部省で定めております大学設置基準を大綱化するということもあわせて大学審議会で考えておるわけでありますが、アメリカが第三者評価を行うというのは、アメリカの場合は大学の設立は原則自由であります。したがって、第三者が評価を行うことによってその大学の教育研究水準がどのくらいであるかというのが国民に明確になるわけでありますが、日本の場合には、仕組みとしまして、文部省が大学設置基準を設定し、そしてその設置基準に基づいて認可を行っておるということで、ある意味では大学設置基準が各大学の質を一定水準に担保しているわけでありますが、その大学設置基準を、そういう意味で各大学の創意工夫を尊重しよう、それに基づいて大学の設計をやってもらおうということで大綱化するということになりましたので、なおさらそういう意味では質を一定水準に保つためのみずからの自己点検に基づく自己努力が必要であろう、こういう考え方で、大学審議会で現在、自己評価を導入するという考え方で自己評価のあり方あるいは有効適切なシステムの形成について審議をしているところでございます。
  79. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 いよいよ時間が詰まってきましたので、ちょっと恐縮ですが、私も簡単に御質問申し上げますので、簡略にひとつお答えをいただきながらあと残された質問を終わらせたいと思いますので、よろしくお願いします。  今、自己評価というのは、具体的にはどのような方法でどのような項目で行うというふうになっているのか、お尋ねをいたします。
  80. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 今申し上げましたとおりに、これは各大学がみずからの判断で、どういうような項目についてどういう仕方でやるかというのは大学自身に任せるというのが基本的な考え方であります。自己評価項目につきましても、恐らく教育理念、目標、教育研究活動の現状、教員組織のあり方、国際交流、社会との連携、管理運営など、さまざまな観点から評価することになろうと思いますが、いずれにしましても、それは、どういう項目についてどういう方法で評価するかということはそれぞれの大学が決めるという考え方でございます。  ただ、決める場合に当然のこととしてほかの大学とのバランス等も考えなければいけないと思いますが、恐らく各大学が、大学関係団体、例えば大学基準協会あるいは私立大学団体、国立大学協会などがそれぞれ項目について大学・団体自治に基づいて検討をこれからしていくことと思いますが、今のところはそれに基づいて大学の判断でやっていただくという考え方でございます。
  81. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 自己評価項目の中、これは自主的にということでございますけれども、私たち考えておりまして、教員組織は教員の教育研究活動に関することが項目の中では比重が非常に大きくなるのではないかというふうに思います。  それに伴って、以前からも我々主張しておりますけれども、教員の異動とか任期制とかいうような流動性、こういったようなものについても触れていくようになるんだろうとは思いますけれども、むしろ私は、先生方がどうも自分が評価されるのを嫌がるという体質は除いていただかないと——我々でも評価されるのは嫌ですけれども、やはり私たちの体験からいっても外に出て他流試合をする。他流試合という言葉がいいかどうかわかりませんが、ほかの人からいろいろ批判もいただく、さらには他流試合をする中で自分も勉強するということが、これは本当に素朴なことですが、自分自身が向上し周囲もそれに伴って向上していく、こういうことになるわけですが、私は大学の教員の皆さんは特に勉強していただきたいと思うし、頑張っていただきたい。いい意味で私は思っているわけです。  だから、教授になったら、いつかも申しましたように、一年を三日で暮らすいい男みたいになったのではまた困るわけでございまして、ぜひひとつ評価の部面にこういった部面を強く入れ込んでいきながら教員の流動性を高めていくという方向が必要だろうと思いますが、これについてお答えをいただきたいと思います。
  82. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 先生指摘のとおりに、我が国の大学がやや閉鎖的で大学間の交流あるいは大学と社会間での流動性が乏しい、そういう意味から、教育、研究の活性化を図るために教員の流動性を高める必要があるのではないかという指摘は各方面からいただいているわけでございます。したがって、各大学が自己評価を行う際にも、教員の出身大学別構成あるいは年齢構成等がどうなっているかという観点も当然自己評価の項目として考慮されるのではないかというふうに私ども期待いたしております。  それから、教員の任期制の問題等につきましては、我が国の社会の雇用環境あるいは公務員の身分制度基本に触れる問題等もございまして、適切に対処する必要があると考えますが、いずれにしましても、教員の人事交流をどう考えるのか、あるいは教員の任期制についてもどういうふうに考えるのかというのは、これから先、大学審議会でもいずれ検討していただくことになろうかと思います。
  83. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは大切なことであると思うので、勇断を要するかもわかりません。また異動についても、工学系でいえば研究なさっている方々がいろんなものを自分でくみ上げてきて研究施設まで移動するということになったりするようなこともあるかもわかりませんから、非常に難しいのかもわかりませんが、しかしそういう中で、新しい流れ、新しい風を入れ込んでかき回していくということが大切だと思うのですね。  私の方でもぬかみそ漬けというのがありますが、これはかき回さぬでほっておくと腐ってしまいます。かき回せばかき回すほどおいしい漬物ができるわけでございまして、腐ったような形に今なりがちな大学を、どうかひとつ手を突っ込んでかき回す。ここらあたりは、私がよく申し上げているように、文部省、少し厚かましく手を突っ込んでやっていただいてもいいのではないか。  そんなことを言うと、私が大学を回ったときに大変なことになるかも——大学の自治というような問題で、今中西委員が怒っておられますけれども、これはちょっと誤解があったらいけませんけれども、そういうものはしっかり見ながら、やっぱり何か大学が変わるというのは少し外圧がかからないと変わらないという分野がある、これは国民にとっても、学生にとっても、また二十一世紀生きていく上にも私は大変マイナスになる、そういう意味で、いい意味でのそういう役割はぜひ果たしていただきたいし、私はそういう意味から制度の上で任期制とか人事交流というものは真剣に取り組んでいただきたい。これは御要望申し上げておくわけでございます。  さらに、もう時間がちょっと、一分ぐらいですね。これは、自己評価されるということはいいわけですけれども、だから、大学の自治とか学問の自由を尊重するという立場から、自己評価から始まって、大学自身でおやりいただきたいというふうに今流れをつくっているんだと私は思いますし、それは大切だと思います。その中で、やはりそれが大学の中だけでとどまっておったのではいかぬだろう。それを公表したりする中で自分自身の評価というものを外部からもしてもらうというような空気もできてくる必要があると思うのですけれども、これは大臣最後になりますから、今までの質疑、やりとりをした中でのことも踏まえて、高等教育のあり方、自己評価のあり方、こういったものを踏まえてひとつ最後大臣のお答えをいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  84. 保利耕輔

    保利国務大臣 大学の問題について各般にわたりましていろいろと御質疑をいただいたわけでございます。日本の教育水準の質、それから内容の向上を目指していかなければなりません。とりわけ高等教育においては、その質、水準の向上というものを図っていく必要があろうかと思います。先生からちょうだいいたしました御意見等を体しまして今後とも努力を重ねてまいりたいと思っております。  なお、自己評価の問題につきましても、これは大学の自治を尊重するという立場を十分にわきまえつつ今後検討していかなければならない事項であろうと思っております。
  85. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 質問を終わります。ありがとうございました。      ────◇─────
  86. 船田元

    船田委員長 内閣提出国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。保利文部大臣。     ─────────────  国立学校設置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  87. 保利耕輔

    保利国務大臣 このたび、政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、国立大学の学部の設置、北陸先端科学技術大学院大学の新設及び短期大学部の廃止について規定しているものであります。  まず、第一は、学部の設置についてであります。  これは、東京工業大学に生命理工学部を設置し、同大学の教育研究体制の整備を図るものであります。  第二は、北陸先端科学技術大学院大学の新設についてであります。  これは、近年の先端科学技術分野の急速な進展に対応し、これらの分野に係る基礎研究を積極的に推進するとともに、高度の研究者、技術者の組織的な養成及び再教育を行うため、学部を置かない大学院のみの大学として、北陸先端科学技術大学院大学を設置しようとするものであります。  なお、北陸先端科学技術大学院大学は、本年十月一日に設置し、平成年度から学生を入学させることとしております。  第三は、短期大学部の廃止についてであります。  これは、茨城大学及び山口大学に併設されている工業短期大学部を廃止し、当該大学の工学部に統合しようとするものであります。  なお、茨城大学工業短期大学部及び山口大学工業短期大学部は、平成年度から学生募集を停止し、平成年度限りで廃止することを予定しているものであります。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
  88. 船田元

    船田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十二分散会