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1990-07-04 第118回国会 衆議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年七月四日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 亀井 静香君    理事 石破  茂君 理事 大原 一三君    理事 中川 昭一君 理事 穂積 良行君    理事 柳沢 伯夫君 理事 石橋 大吉君    理事 日野 市朗君 理事 西中  清君       阿部 文男君    愛野興一郎君       内海 英男君    大石 千八君       唐沢俊二郎君    古賀  誠君       杉浦 正健君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    近岡理一郎君       仲村 正治君    丹羽 兵助君       二田 孝治君    松岡 利勝君      三ッ林弥太郎君    御法川英文君       遠藤  登君    北沢 清功君       佐々木秀典君    竹内  猛君       鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君       前島 秀行君    目黒吉之助君       倉田 栄喜君    藤原 房雄君       藤田 スミ君    山原健二郎君       小平 忠正君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  山本 富雄君  委員外出席者         農林水産政務次         官       東   力君         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産大臣官         房総務審議官  上野 博史君         農林水産省経済         局長      川合 淳二君         農林水産省経済         局統計情報部長 海野 研一君         農林水産省構造         改善局長    片桐 久雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    松山 光治君         農林水産技術会         議事務局長   西尾 敏彦君         食糧庁次長   森元 光保君         農林水産委員会         調査室長    西島  勝君     ───────────── 委員の異動 六月二十六日  辞任         補欠選任   藤原 房雄君     東  順治君 七月四日  辞任         補欠選任   佐藤  隆君     御法川英文君  三ッ林弥太郎君     松岡 利勝君   有川 清次君     竹内  猛君   東  順治君     藤原 房雄君   藤田 スミ君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任  松岡 利勝君     三ッ林弥太郎君   御法川英文君     佐藤  隆君   竹内  猛君     有川 清次君   藤原 一房君     東  順治君   山原健二郎君     藤田 スミ君     ───────────── 六月二十六日  一、農林水産業振興に関する件  二、農林水産物に関する件  三、農林水産業団体に関する件  四、農林水産金融に関する件  五、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(平成年産米穀政府買価格等)      ────◇─────
  2. 亀井静香

    亀井委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、平成年産米穀政府買い入れ価格米価審議会への諮問及び平成年産米生産費統計調査結果について政府から説明を聴取いたします。森元食糧庁次長
  3. 森元光保

    森元説明員 平成年産米穀政府買い入れ価格につきまして本日米価審議会諮問させていただきましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、「諮問」を朗読いたします。      諮  問   平成年産米穀政府買価格について、将来にわたり我が国稲作の健全な発展を図るとの観点に立ち、需給事情にも留意しつつ、地域における生産性の高い稲作農家生産費及び所得を考慮して決定することにつき、米価審議会意見を求める。   平成二年七月四日           農林水産大臣 山本 富雄  次に、「諮問説明」を朗読いたします。      諮問説明   米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式によりその時々の需給事情等に応じて行ってきたところであります。   このような中で、昨今の米をめぐる内外の諸情勢にかんがみ、国内産で自給するとの基本的な方針についての理解を得るためにも、生産性の高い稲作の担い手となる農家生産組織・集団の育成を通じて稲作の一層の生産性の向上を図り、国民納得の得られる価格での米の安定供給に努めることが現下の緊要な課題となっております。   また、消費減退傾向が続いていること等から、大幅な潜在需給ギャップが存在しており、平成二年度からは、転作等目標面積を八十三万ヘクタールとして水田農業確立後期対策を推進しております。   他方一般経済情勢面では、労賃上昇率の増大、金利水準上昇等がみられるようになっております。   以上の事情総合勘案の上、本年産米穀政府買価格につきましては、全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家をその地域において稲作を実質的に担っている者であるとし、このような者の生産費基礎とし生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかということであります。  続きまして、お手元にお配りしてございます「平成年産米穀政府買価格試算」という資料について御説明をさせていただきます。  まず一ページの算式でございますが、これは前三年の評価がえ生産費平均分子とし、前三年の平均収量分母といたしまして、六十キログラム当たり価格を求めるものでございます。  この場合の生産費対象農家とり方につきましては、去る六月二十九日の事前米審にお諮りをいたしました新しい算定方式に基づいております。この新しい算定方式基本的考え方は、全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家は、その地域において稲作を実質的に担っている者であると位置づけ、算定対象とするものでございます。  このような基本的な考え方のもとに、具体的な対象農家とり方につきましては次のようにしておるわけでございます。  まず、全国を九つの農業地域区分をいたします。次いで地域ごとに六十キログラム当たり平均生産費を求めます。このようにして求めました地域ごと平均生産費を指標といたしまして、それ以上の生産性を上げている農家を選定しておるわけでございます。これらの農家が各年の生産費についての算定対象となるわけでありますが、ちなみに、このような手順によりまして算定対象となります農家戸数シェアを見ますと、各年産とも四〇%を超えており、また販売数量シェアは約六〇%になっております。  一ページの分子でございますが、対象農家の十アール当たり平均生産費につきまして、物財雇用労働費など実際に支払う費用につきましては、生産費調査結果を物価修正するとともに、家族労働費につきましては都市均衡労賃評価がえをいたしまして、実際に支払いを行っていない自己資本利子自作地地代につきましても、一定の評価方法によりまして算入をしておるわけでございます。これらを合計いたしました評価がえ生産費算出いたしまして、これを対象農家平均単収、分母でございますけれども、これで除しまして「求める価格」、米全体の農家庭先価格算定しておるわけでございます。  次に、二ページでございますが、算定値を示しておりまして、1は「求める価格」でございます。2の「基準価格」は「求める価格」に最寄り検査場所までの運搬費を加算したものでございまして、一万六千二百八十二円となっております。これを前年の基準価格と比較いたしますと二百四十一円、一・五%のマイナスとなっておるわけであります。3は、基準価格基礎銘柄間格差等級間格差等を前提に三類一等価格算出したものでございます。4は、基本米価と呼んでおりますけれども、ウルチ一—五類、一—二等平均包装込み生産者手取り予定価格でございます。前年と比較いたしますと二百四十三円、一・五%のマイナスとなっております。なお、三ページに類別、等級別価格一覧を掲げてございます。  続きまして、四ページの算定要領でございます。算定要素とり方につきまして整理しております。本年産政府試算におきます算定要素とり方は、基本的には昨年と同様の考え方に基づいて算定をしております。  まず家族労働費でございますが、家族労働費につきましては、生産費及び所得補償方式のもとで、都市均衡労賃により評価がえを行っております。都市均衡労賃といたしましては、前年同様、都道府県別米販売数量によりまして加重平均いたしました事業所規模五人以上千人未満事業所製造業賃金を採用しておるわけであります。四ページの下に一時間当たり労賃を掲げておりますが、このうち男女込み労賃は直接家族労働評価に用いておりますし、男子労賃自給肥料等に係る間接労働評価に用いております。なお、労賃単価につきましては、前年産に比べまして、男女込み労賃で六・八五%、男子労賃で六・三六%の上昇となっております。五ページのアでございますが、五人以上千人未満規模労賃でございますが、現物給与等の調整前のものでございます。規模修正及び期間修正につきましては、データの制約から労賃規模期間につきまして修正を行っておりますが、その計算の手順整理をしております。イは、アの労賃に加算する現物給与相当額加算手法につきまして、ウは、労賃から控除をいたします通勤手当相当額減額手法につきまして整理をしておるわけでございます。  続きまして、六ページでございますが、まず物財雇用労働費物価修正手法でございます。従来、物価修正につきましては、基準期間比較期間とも各年の一—五月の平均物価指数を用いてまいりましたが、昨年は四月から消費税が導入され、農家が購入する肥料や農薬などの生産資材につきましても消費税が課せられるという状況を踏まえまして、これを適正に価格に反映させるという観点から、特例措置といたしまして基準期間比較期間とも四—五月平均を採用した経緯がございます。本年産につきましては、消費税導入後一年以上を経過をいたしまして、その影響が一巡いたしたために、期間とり方につきましては、特別の措置を講じなくても適正な物価修正が行える状況になったと考えますので、従来の手法に戻しまして、基準期間比較期間とも一—五月をとることといたしたところであります。  続いて、副産物でございますが、副産物はわら及びくず米でございまして、生産費から控除されますけれども、そこに掲げております係数生産費調査にあらわれた各年の副産物物価修正をする係数でございます。  続きまして、七ページの資本利子でございます。資本利子につきましては、借入金自己資金区分をしておりますが、この割合は、三年に一度行っております米生産費補完調査結果によっておるわけであります。借入金金利は、補完調査にあらわれました借り入れの実態にその後の実勢を織り込んで算出をしております。また、自己資本利子につきましては、実際に支払いを行っていないいわゆる所得付与部分でございますけれども、従来から農協貯金金利評価をいたしまして価格算入をしております。定期預金金利は昨年と比べますと相当上昇しておりますけれども、本年産におきましては、安定性にも配慮いたしまして、平均考え方によりまして前年産適用金利、これは三・四%でございますが、それにその後の金利上昇幅の二分の一、〇・八四%になりますが、これを加えることとしております。なお、このように金利上昇幅の二分の一を反映させるという手法は昨年も採用をさせていただいておるわけであります。  それから次に、物件税及び公課負担でございます。物件税及び公課負担は、収益の有無にかかわらず、稲作を行っていることによって賦課されるものを従来どおり計上をしております。なお、土地に係る固定資産税は別途地代に織り込んでありますので、ここでは除いております。  続きまして、八ページの地代でございます。まず、自作地地代につきましては、生産者が実際に支払うものではございませんけれども、所得付与部分といたしまして従来から価格算入しております。本年産につきましても従来同様土地資本利子考え方によりまして、一般田固定資産税評価額九万六百七十一円、これは十アール当たりでございますが、前年度が九万五百十六円でございますが、これに十年利付国債平均利回り五・四二七%を乗じまして算出をしておるわけでございます。また、小作地等地代につきましては、生産費調査実績値小作地で三万四千三百十六円、十アール当たりでございますが、これを算入をしております。  次に、企画管理労働でございます。企画管理労働につきましては種々の論議がございますけれども、本年産につきましては、各地域におきまして創意工夫により高い生産性を実現している稲作農家は、それぞれの地域におきまして稲作を実質的に担っている者であると位置づけまして、このような農家生産費基礎米価算定することとしておりますので、前年産と同様十アール当たり企画管理労働時間一・三時間を都市均衡労賃評価がえをして算入をしております。  (8)の算定値は、以上の各要素を積み上げました十アール当たり評価がえの生産費でございまして、平均で十四万四千六百七十九円となります。これを六十キログラム当たりに引き直しますために、次の十アール当たり平均収量算定しております。十アール当たり平均収量につきましては、三カ年の平均で五百三十九キロとなっております。  次に、九ページの運搬費でございます。農家庭先から最寄り政府指定倉庫までの運搬または受検に要する経費を、米生産費補完調査結果に基づきまして算出をしているわけでございます。  十ページ及び十一ページは、以上の結果を原生産費価格決定年評価がえ生産費ということで整理をしたものでございます。  以上でございます。
  4. 亀井静香

  5. 海野研一

    海野説明員 それでは、お手元資料に基づきまして平成元年産の米の生産費について御説明申し上げます。  まず、一ページ目に全体の総括表が載せてございます。この下の注にございますように、これは災害農家は除いておりますが、玄米十俵以上販売農家の総平均でございます。  それで、十アール当たりの欄を見ていただきますと、物財費が八万七千九百三円、労働費が五万九百三十八円ということで、合わせて十三万八千八百四十一円ということで、対前年一・一%の減ということになっております。これから副産物を差し引きました第一次生産費が十三万四千二百四十八円、それから、さらにこれに資本利子地代を加えました第二次生産費が十七万三千五百十九円ということで、対前年一・二%の減ということになっております。これは、六十キログラム当たりにいたしますと二万六十三円ということで、一・五%の減になっておりますが、これは十アール当たり収量が若干伸びておるということによるわけでございます。  そのいろいろな内訳が二ページに載っております。二ページの(1)の「費目構成」というところを見ていただきますと、労働費農機具費がそれぞれ三〇%を超えるウエートでございまして、そのあと、賃借料及び料金肥料費農業薬剤費というものが、一〇%以下ではございますが比較的大きな項目で、この五費目で全体の費用合計の八六・二%を占めております。  そのうち、まず労働費でございますが、労働費につきましては、労賃単価は上がっておりますが、十アール当たり投下労働時間、これは全般的な効率化による面と作業委託によって人にやってもらった面と両方あると思いますが、四十六・一時間ということで四・二%減少しておりますので、その両方の効果が相殺されまして、労働費としては〇・二%の減ということでございます。  それから、農機具費につきましては、これも作業委託の問題、さらに一般的な効率的利用というようなことから購入が減少しております。その関係で、農機具費は四・八%減ということになっております。  他方で、賃借料及び料金、これは他の農家から大農具を借りてきた場合の料金でございますとか作業委託に出した場合のものの委託料が入っております。これが前年を九・五%上回り、作業委託の進展の結果を示しております。  次は肥料費でございますが、肥料費は、価格が安いときに買ったもの、特に消費税実施前の三月以前に、肥料費が安かったころに買ったものが多いわけでございます。それと施肥量そのものも若干減少しております。肥料費としては二・五%の減ということになっております。  さらに、農業薬剤費でございますが、これは災害の多い年はふえるわけでございますが、昨年は災害が余りないというようなことで、殺虫剤使用量減少などで二・九%前年を下回っております。  以上が十アール当たり費用内訳でございますが、今の「費目構成」と書いてあるところの二行上に十アール当たり収量が戦っております。平成元年が五百十九キロ、昭和六十三年が五百十七キロということで〇・四%ふえておりますので、十アール当たりで出てきた額を六十キログラム当たりにした場合にさらにその程度引き下げ効果が出ているということでございます。  それから、右の三ページに参りますと作付規模別について書いてございますが、これは毎年のことでございますが、規模の大きな階層ほど低くなっておるということでございます。  次に収益性でございますが、十アール当たりの粗収益は十六万四百一円ということで、前年を三・二%上回っております。これは、一つは、先ほど申しました十アール当たり収量がふえておるということがございます。同時に、政府米から自主流通米へ移っていることによりまして農家手取り価格が上がっているということも寄与しております。  さらに、その次に十アール当たり所得、一日当たり所得と戦っておりますが、これは、粗収益が上がっております、さらに生産費は下がっておりますということで、差し引きになりますので、増加幅はだんだん大きくなっていくわけでございます。特に一日当たりになりますと、労働時間の減も寄与して大きくなっておりまして、さらには一日当たり家族労働報酬——この所得というのは地代資本利子含めたものでございますが、家族労働報酬は逆に地代資本利子まで引いた残りでございますけれども、これが一日当たり五千七百十九円ということで、前年を大きく上回っているという結果になっております。  四ページ以降には規模別統計表が載せてございますので、御参照いただければ幸いだと思います。  どうもありがとうございました。
  6. 亀井静香

    亀井委員長 以上で説明は終了いたしました。     ─────────────
  7. 亀井静香

    亀井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穂積良行君。
  8. 穂積良行

    穂積委員 ことしの生産者米価については、正式には、ただいま農林水産省から御説明のありました米価審議会への諮問、それに対する米審意見を踏まえてその上で決定されるということは当然の手続でありますが、実質的には、政府と与党である私ども自民党の間では、きょうの未明、本日の米審諮問する、ただいま御説明のあったような、米価は対前年一・五%引き下げということで了解が成立したのは御案内のとおりでございます。これにつきましてはこれから米審でもいろいろと論議が行われると思いますけれども、私は、現在の米をめぐる諸情勢からすれば、このような諮問はやむを得ないものという基本的姿勢に立って、若干の重要問題について大臣の所信を伺いたいと思います。  この一・五%引き下げということにつきましては、御承知のとおり、農民、農家農業団体からは、諸物価は上がっているけれども米価はせめて据え置きをしてほしいという強い要求がありました。片や消費者側あるいは財界マスコミの一部などからは、国際情勢等を踏まえてこのような米価水準でよろしいのかというようなことなどの意見があり、農林水産省当局大変苦心をされたことはよく承知しております。そういう中で山本大臣を初め当局皆さんが大変苦労なさったことの労をまず多とするものでございます。  それで、それぞれの立場からする米価に対する要望が、それぞれの立場の人に対し全部満足を与えるようなことを決定できないのは、これはやむを得ないところだと思います。そういう意味で、今回の一・五%引き下げということは、私は、農家皆さんにとっては満足のいかない点である、またしかし、国際情勢から考えたら、これでこれから予想される厳しい国際交渉はどういうことになるのかということで懸念もある、政府側としては意図するところは多少そぐわない結果となったということもあるというようなことで、言うなれば三方一両損的な決着だと思う次第であります。  そういう中で実は、現在の米、米作、これらをめぐる農業全体の諸問題にいろいろと考え合わせますときに、私は、これからも困難な米づくりの問題について当局が本当に国民各層意見に最大限の考慮を払い、最大公約数的な納得のいくような結論を出していく、その努力をさらに引き続き重ねられることを希望するものでございます。  そこで、二、三の問題をお伺いするわけですが、まず当然のことながら、食管法の第三条第二項におきまして、「政府ノ買入ノ価格ハ」「生産費及物価其ノ他ノ経済事情参酌シ米穀ノ再生産確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」とされておりまして、この法律規定に則して決めなければなりません。しかし、ことしの場合、先ほどから申しておりますように、我が国米づくりをめぐっての内外の諸情勢、特にガット・ウルグアイ・ラウンドの場における貿易新秩序の形成に向けての交渉の中で、農業部門について各国がそれぞれとっている取り扱いをどう改めるかということが焦点となっております。そうしたウルグアイ・ラウンドが続いている中で、今回の米価決定はどのようなことを念頭に置いて論議すべきかということがあったわけであります。法律規定に則して粛粛と決めなければならないけれども、念頭を離れないこのような国際情勢ということ、これらについて農林水産大臣ほどのような気持ちで今回の米価決定に対処されたかをまずお伺いしたいと思います。  私は、お答えをいただく前に申し上げますが、我が国の基本的な立場は、既に昭和六十三年九月の衆議院、参議院両院における全会一致の決議によりまして、アメリカからの米自由化要求に反対して、我が国農業基幹作物である米づくりを守るということとされており、これが国是であると思っております。これを貫きつつ、いかに外交交渉で日本の農業を守る基本姿勢のもとで決着を見るかということがこれからの問題でありますが、そのときに、既に財界マスコミの一部に言われておりますような自由貿易体制維持強化我が国経済にとって死活的な重要性を持っている。だからということで、そこで一足飛びにそれらの意見は、農産物の輸入規制措置を削減、撤廃していくべきであるとする論調があります。しかし、農業生産の持つ特殊性あるいは農業の果たしている多面的かつ重要な役割からしますと、今後とも引き続き国内農業につきましては所要の助成それから必要な国境措置を講じていくということが必要であると私は思っております。  そのような基本的な考え方のもとで、このウルグアイ・ラウンドとの関係米価においてどう考えるかということについて、食管制の規定を踏まえ、かつ今後の農政のあり方を踏まえた考え方を明らかにしていただきたいと思う次第であります。  第二に、今度の米価につきましては、新たな算定方法が諮問されております。その算定方法によって一・五%引き下げということにされているわけですが、論議の過程におきまして、これはいろいろと問題がありました。一昨年、昨年と引き続いた例の一・五ヘクタール以上の農家生産費をベースに算定してはどうかという農林水産省側の考え方が、昨年の米価決定に際して、これは言葉が適当かどうかですが、お蔵入りとなった経緯がございます。その上で改めて、米価算定基礎としてどのような農家生産費をとるかということで農林水産省もいろいろ苦心をされたようでありますが、今回のような案を提示されている、こういうことでございます。  私どもは、冒頭に申した一・五%引き下げというようなことは、相対としての相場観みたいなものからしてやむを得ないところとして了承するわけですけれども、しかし、その算定根拠はそれを裏づけるきちっとした説明がなければならないと思います。しかも、このような算定方式というものが毎年毎年くるくると変わるというようなことは決してよいことではないという意味では、今回、米審の御意見をいただいて確定した場合には、これについて何年かこれを守っていくべきではないかと思うわけでございます。そのような点で、今回の算定方式についての基本的な大臣のお気持ちを伺っておきたいと思う次第でございます。  なお、いろいろ流通問題に絡む価格形成の場の問題、あるいは農家が大変心配しておりました良質米奨励金の問題がございますが、その価格形成の場は今後の論議にまつとして、良質米奨励金に関しては、今回の諮問考え方はやむを得ない線ではないかと私どもは了承した次第でございます。  以上申し上げまして、大臣の冒頭における基本的なお考えを伺いたいと存じます。
  9. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えをいたします。  まず冒頭に、この委員会の場をおかりいたしまして国民の皆様に申し上げますが、つい先ほど、十時半でございましたか、米価審議会に対しまして、先ほど来説明のありました政府米価についての諮問をいたしました。今明日二日間、米審でしっかり議論をしていただく、そしてぜひ答申をちょうだいいたしたい、こういう旨のごあいさつとお願いを先ほど来してまいったことをまず申し上げたいと思っております。  それから、先ほど先生からいろいろ御質問がございまして、三方一両損、こういうお言葉も出たのでございますが、これは私ども、いろいろ苦心、苦労もいたしました。しかし、一番苦労しているのは生産者皆さんでございますから、その生産者皆さんのお気持ちなり流した汗なりを中心にいたしまして我々の案を固めた、こういうことでございまして、もし三方一両損ということがあるとすれば、将来は三方一両も二両も得をするようなところへ向かって前進をするために本年の案を私どもは考えたものでありますということを申し上げたいと思うのであります。  そこで、まずウルグアイ・ラウンドの問題にお触れでございますが、これは本会議でもあるいは予算委員会でも当委員会でも繰り返し申し上げてまいりました。いよいよ七月に入りまして、ウルグアイ・ラウンド夏の陣、これから、秋から年末に向かいまして、ジュネーブを中心にいたしましてさまざまな交渉が積み重ねられていくということに相なろうと思います。  しかし、私どもは、従来申し上げてきたような我が国の方針に沿ってこれをどうしても貫いていく、国内産で米は自給するということを中心にいたしまして昨年十一月に提案をいたしました、その提案をぜひ世界各国に理解をしていただくという立場でこれからもやってまいりたいというふうに考えております。  そこで、国内産で米を自給していく、先生から国是というお話がございましたし、もちろん衆参の御決議もございまして、これは大変重いものだと私どもは受けとめておりますが、この自給方針を貫くためにも、国民各界各層の理解を得ることが非常に重要だというふうに考えております。  そのためには、一方では、稲作生産性の向上とコストの低減を通じて国民の皆様、消費者の皆様に納得していただくような価格で安定的に、しかも安全な米が提供されなければならない、そういう観点を維持しつつ、冒頭申し上げた、生産者皆さんの血と汗をどうやってこの米価に反映していくかということだと思うのであります。  なお、申し上げるまでもございませんけれども、この決定に当たりましては、食管法第三条第二項におきまして、生産者米価生産費及び物価その他の経済事情を参酌して決定するということになっておりまして、そういう意味では、国際情勢算定に加えることはあり得ないということを申し上げたいと思うわけでございます。  それから、どうも算定方式がことしは新しくなった、これは去年、おととしの経過、先生からも御指摘がございましたが、それらも十分踏まえた上で前広米審の二十五、二十九日でも議論していただいたわけでございますけれども、この新しい算定方式をことしは提案し、それに基づいて試算した、こういうことでございます。何か最初に値下げありきみたいなお気持ちも農家の方にあるという発言でございますが、そういうことは絶対ございません。これはもう申し上げるまでもございませんけれども、今までのいろいろな事情がございましたが、特に去年あたり指摘されましたことは、一・五ヘクタール以上の数字を基礎数字に置くということではでか過ぎはしないか、うちの方の農家はもっと小さいのだよ、その小さいところの数値というものがあらわれるようなきめの細かい配慮が必要だという去年以来のお話がございまして、それらを、食糧庁といたしましては、とにかく、若い方が中心になっていろいろなデータを使いながら、基本的な精神としては、各農業地域、ブロックがございますが、北海道から沖縄まで九ブロックございますが、そのブロックの各地域平均的な水準よりも高い生産性を汗を流して実現しているような農家、これはその地域稲作を実質的に担っている農家、中核農家、中核農家という言葉を私どもここで使いましたけれども、それはその地域では中核農家なんだ、あるいは将来中核農家になっていくものなんだという考え方で、その地域地域の実情に応じてそれを計算基礎の中に入れた、すなわち、従来の皆さん方のお考えを入れてかなりきめ細かくやらせていただいてこの算定方式を採用したということを御理解賜りたいと思っております。  それから、良質米奨励金の話は最後にちょっと触れられましたが、良質米奨励金につきましては、これができましてから十四年経過をいたします。一方では、これはもう役割を果たしたのじゃないかという御意見もございますし、また一方では、いや、これはコストに入っているのだという御意見もございます。  そこで、ことしはこういう考え方に立ってやらせていただきました。一つは、適正な集荷、流通の確保、二つは、自主流通計画に即した流通の確保、三つは、良質米の生産の安定、四つは、上位等級の出荷誘導など、こういう観点をずっと洗い直しまして、自主流通米というものはもう流通の大宗を占めた、六ないし七割ということでございますから、これを制度の中心に据えて考えていかなければならないということで、自主流通米を前面に出して従来の良質米と切りかえたというか、そこから前進をしたという考え方に沿ってやったことでございます。  以上でございます。
  10. 穂積良行

    穂積委員 これからも日本の農家、それから米づくりを守るという基本姿勢に立って御努力くださるようにお願いして、私の質問を終わります。
  11. 亀井静香

    亀井委員長 杉浦正健君。
  12. 杉浦正健

    ○杉浦委員 穂積委員の方から、今後の農政のあり方について、また平成年産米の政府買い入れ諮問価格についての基本的な考え方について質問がありましたので、私からは重ならないように補足をして若干お尋ねをさせていただきたいと思います。時間が足りなくて、聞きたいことはまことにたくさんあるわけでありますが、要領よくお答えを願いたいと存じます。  まず、基本的に米の需給均衡への取り組みについてでございますが、昭和六十二年度から水田農業確立対策が行われ、農林省、生産者初め皆様の御協力で一定の成果を上げてまいっておる、これは御承知のとおりでございます。私は、米づくりということを一つの産業としてとらえた場合、本当に活力があり、後継者ができ、魅力のある米づくりということを考える場合、今後の旗印はやはり高品質、高価格を目指すということではなかろうかと思います。皆様方には釈迦に説法でございますが、米の需要は四十年代以降一貫して低下しておりますし、内需に着目した場合に、量的拡大というのはなかなか難しいと思うわけでございます。一方、自主流通米が七割に達しましたが、小売の店頭の状況を見てみますと、消費者の方がいいお米を多少高くても買うという傾向があるようであります。世界的に見て、消費者には高級品志向が相当あるというふうに思われますので、米の場合もこの高品質、いいお米を、多少高いかもしれないけれども消費者が喜んで買っていただけるという米づくりをしていかなければいけない、こう思っておる一人でございます。  そういった点について特に大切なことは、品質の向上を図っていく諸施策であろうと思いますし、まず品種改良が必要だろう。各地の産地で今取り組みが行われて、いい品種が出ておりますけれども、そういった品種改良、研究開発、あるいは普及対策と申しますか、そういったソフトの面にもっともっと力を入れなければいけないと思うわけでございますが、お考えはいかがでございましょうか。まずお伺いしたいと思います。
  13. 西尾敏彦

    ○西尾説明員 技術会議の事務局長でございます。  今先生からお話がありましたように、米の品質改良、特に消費ニーズに合った米の改良というのは大変重要であるというふうに私ども思っておりまして、この一月に私どもの研究基本目標の見直しというのをやりましたけれども、その中で、消費ニーズに対応する試験研究の強化ということを第一の柱として強調したところであります。  そこで、おいしいお米の品種改良の現状でございますけれども、最近幾つか新しい品種が出てまいっております。例えば、北陸だとか関東地方向きにはキヌヒカリというような品種、これは福井の試験場がつくった品種でありますが、そういう品種が出ております。そのほかに、九州についてはヒノヒカリ、さらにまた、ほんのこの間新しい品種として認められましたユメヒカリ、先生の出身地の方であります愛知県の方では葵の風というような新しい品種ができてまいっております。  また、おいしい米だけではなくて、いろいろな、多様化というようなことがございますので、多様化に対応した米の品種改良ということで、巨大粒というのがあります。普通のお米の重さというのは、千粒重が二十グラムぐらいのものでありますが、それが三十五グラムから四十グラム、つまり倍ぐらい大きなお米。さらにはまた、巨大胚、これは胚芽が大きいお米であります。胚芽が倍ぐらい大きい。そうすると、中にリノール酸でありますとかビタミンEというのが大変入っておりまして、健康食にいいというようなお米。さらにはまた、大変いい香りがする香り米というようなものの品種改良を現在進めているところであります。  また、こういう品種改良をもっと早くやる必要があるわけでございますので、それにつきましては、葯培養技術というのがございます。この葯培養技術の開発でありますとか、さらにまた新しい画期的な特性を米に入れるためには細胞融合でありますとか遺伝子組みかえというような新しい技術を使って、国の研究機関と県の研究機関が今共同して研究を進めているところであります。
  14. 杉浦正健

    ○杉浦委員 この品種改良等、研究開発につきましては、アメリカの状況なんかを聞きますと、現場の農家、農民と大学とかあるいは試験研究機関との協力連携関係が非常にうまくいっているように聞いておりますが、日本の場合まだまだのところがあるようでございますので、ひとつ大いに御推進を賜りたいと思うものでございます。  余り時間がございませんで恐縮なんですが、もう一つ、価格というのは需要と供給で決まる。今、日本の、私どものとっておる方向としては、できるだけ市場原理を導入して農業を活性化していこうという方向があるわけでございますけれども、供給を減らすと申しますか生産量を減らす、こういうことが一面大切であろう。減反政策がとられているわけでありますけれども、今のところやむを得ないと思うわけでありますが、いろいろ問題がございまして、この点について今後ともいろいろと知恵を絞って進めていかなければならぬと思うわけでございます。  それについて、私は、農地、特に大都市近郊地域について言えることだと思うのですが、農地の転用の規制緩和ということが必要ではなかろうかと思っているわけでございます。いろいろ規制がございまして、特に市街化地域の農地にしても、農地を別の用途に転用しようという場合になかなか転用しにくい。一例を挙げますと、借地・借家法なんというのもしがらみがあって、例えば家をつくって貸すにしても借家法があるからなかなか踏み切れないというようなこともあって、農林水産省の所管だけではありませんけれども、土地をいかに有効に利用するかという見地からの規制緩和は必要ではなかろうかと思っておる一人でございます。市民農園法ができまして、市民農園も推進するということになったわけでありますけれども、例えば芝を植えてローンテニスコートをつくるとか、鉄とコンクリートで固めるような規制の緩和ではなくて、転用ではなくて、そういった、一たん緩急あれば芝をはがせば農地に戻るというような形での規制緩和、要するに土地を有効に利用していくという面の努力も必要ではなかろうかと考えているわけでございますが、御見解を伺いたいと思います。  時間がございませんのでもう一点だけ伺わせていただきますが、良質米をできるだけ奨励をして、現実には良質米は政府売り渡し価格よりも大体四、五千円高く売れておるわけでありますから、今全国農家はそういう方向に向かっておるわけでありますが、そういう方向は今後とも奨励していただきたいと思うのであります。稲作について考えなければいけないことは、地域によって非常にばらつきがございまして、条件の違いがありまして、特に土地条件に恵まれていない、過疎に悩んでいる中山間地域、典型的な地域でありますけれども、そういう恵まれない地域で、しかも米づくりに頼らざるを得ない地域にどう対応するかということが大切であると思います。良質米奨励金にしても、例えばヨーロッパあたりではそういう場合、デカップリングというような方法でそういう地域に対する手当てを考えているようでありますけれども、良質米奨励金についてそういう地域に特別に上積みをする、特別奨励金のような形で所得補償をするというようなことは考えられないものかどうか、考えてもいいのではないかと思っているわけでございますが、御所見を伺いたいと思います。
  15. 片桐久雄

    ○片桐説明員 農地の転用の問題でございますけれども、農村地域の活性化を図る観点から、昨年の三月に農地転用許可基準の大幅緩和、それからまた農業振興地域制度の運用の改善を行った次第でございます。特に、農業振興地域の運用改善では、市町村長が土地利用の構想をつくりまして、その構想に基づいて農用地区域を除外して農地の利用転換を図るというような措置も講じた次第でございます。  私どもといたしましては、こういうような措置によりまして、優良農地の保全という要請にも配慮しながら、農業以外の用途への円滑な転用というものが進んでいくように今後いろいろ指導してまいりたいというふうに考えております。  また、先生御指摘のような市民農園とかそういう農地の多面的な利用という面についても、いろいろこれから施策を展開してまいりたいというふうに考えております。
  16. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 御指摘のように、中山間地域土地条件、立地条件等の面でほかに比べて不利な点が多々あるわけでございまして、農業生産振興を図る場合にそういう不利を補正していく必要があろうかと考えております。  ただ、自主流通助成につきましては、その性格から差異を設けること自身はいかがかなというふうにも思われます。そういう不利があるわけでございます。  しかしまた反面、それぞれ特色がある条件を持っているわけでございますので、そういう立地条件を生かしながらできるだけ他と違うものをつくっていく、あるいは付加価値の高いものをつくっていくというようなことを基本に、また、そういう自然条件を生かした村づくりを進めていくことが必要であろうかと思います。  そういうことで、本年度の予算でも、土地改良関係あるいは林業基盤整備につきましても補助率の高い事業を仕組んだり、構造改善事業につきましても補助率を他地域に比べて有利にするというようなこと、あるいは、せんだっての国会で通していただきました公庫資金の低利融資を活用する等々によりまして、中山間地域のそれぞれの地域に沿った振興を図っていきたいというふうに考えています。  また、今御指摘のありましたEC諸国で実施されておりますようなデカップリングというような話でございますけれども、基本的には、やはり生産関係しながら振興を図っていくことではなかろうかと思っておりますが、そういう方向につきましても、いろいろな問題はありますけれども、今後研究していきたいというように考えております。
  17. 杉浦正健

    ○杉浦委員 時間がございませんので、もっと伺いたい点はたくさんございますが、これで終わらせていただきます。
  18. 亀井静香

    亀井委員長 竹内猛君。
  19. 竹内猛

    竹内(猛)委員 まず、この重要な時期の米価の決定を、自民党と政府だけで夜中に決定して、そして米価審議会に決定したものを諮問する、もう米価は決まってしまったんだ、こういうような状態で今米価審議会はどうなっていますか。
  20. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えをいたします。  お言葉を返すつもりはございませんけれども、政府・与党でございまして、政府と与党がこの件に関しましても十分事前に相談をし、調整をするということは当然のことだというふうに私は考えております。調整をいたしまして、従来は調整がうまく事前にいきませんで、そして米審に入る、その後またやったことなどもございますけれども、私は、なるべくそうでない方がいいなと思っておりましたが、幸いなことに、政府・与党で熱心に相談をさせていただきました結果、意見の調整ができた。それを、先ほど冒頭に御説明したとおり、法に基づきましてけさ十時半に米審皆さん諮問をいたしました。そして、熱心に審議を行う、また、行っていただく、そして、その答申を尊重する、こういうふうに進めてまいりたいと思っております。
  21. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今まで、米価審議会も開かれたし、それと並行して本委員会も開かれてきたけれども、徹夜をしたかどうかはわからないが、事前に問題を与党と政府だけで決めて、そしてそれを報告をして、結論はもう決まった、つまり事前決定である。審議をして決める、答申を得て自民党と政府が決めるなら、これは事後決定で話はわかる。委員会を無視し、審議を軽視したそういうやり方の中に自民党の今日までの農政のおごりがあり、多くの選挙を通じて農村で批判をされている根源がある。  今、米価審議会は、恐らく審議ではなくて休憩じゃないのですか。今審議をしていますか。いかがですか。
  22. 森元光保

    森元説明員 お答えを申し上げます。  先ほど大臣からもお話がありましたように、けさほど十時半から米価審議会は開催をされているわけでございますけれども、若干審議の都合で、委員懇談会というような形でもって現在審議をしていただいている、こういうような状況でございます。
  23. 竹内猛

    竹内(猛)委員 どういうことですか。審議をしているのですか、それとも懇談会をやっているのですか、どっちですか。
  24. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えをいたします。  私の方から諮問をいたしまして、その後の経過については今ここでお聞きをしたわけでございますが、会長の方からお諮りをいたしまして懇談を続けておるということだそうでございます。
  25. 竹内猛

    竹内(猛)委員 審議ではなくて懇談をしているわけですね。なぜ審議会が開かれて懇談をしなければならないのですか。
  26. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 詳細については今のところ承知いたしておりませんけれども、米審の円滑な運営のために、現在委員の間で懇談を進めているというふうに承知いたしております。
  27. 竹内猛

    竹内(猛)委員 米審というものは今まで円滑に行われてきた、それが懇談をせざるを得ないというのは、自民党と政府米審の前に話をつけて、そして算定方式を九ブロックに分けたり、あるいは二%の値下げを要求しようとしたけれども、どうもぐあいが悪いから一・五%にするという形で、何の根拠もないものを決めてそれを報告をし、結論はもうわかっている、こういうようなやり方自体に反省はないのですか。
  28. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 今回諮問しています算定方式につきましては、二十九日の事前米審にお諮りいたしましていろいろ御論議をいただきまして、大方の方向が、ことしはそういうことでやれというようなことで採用した方式で諮問したわけでございます。  それから、今回の算定方式につきましては、それに基づきまして数字を当てはめまして出てきたものをそのまま諮問しておるわけでございます。
  29. 竹内猛

    竹内(猛)委員 山本農林水産大臣が、最近、財界のいろいろな介入に対して不快であると言ったことは大変立派なことだ、あるいはアメリカの要請に対しても毅然とした態度をとったことは立派だけれども、この米価審議会に関する限りは褒めるわけにはいかない。白紙に返してやり直す意思はありませんか。
  30. 山本富雄

    山本国務大臣 白紙に返してやり直すつもりはございません。ございませんが、先生、お言葉を返すようで大変恐縮ですが、先ほど来申し上げたとおり、決定がされたというふうなお言葉をしばしばお使いになっていらっしゃいますが、決定をしたわけでも何でもございませんで、政府といたしまして、与党である自由民主党と事前に調整をし相談をするのは当然のことだ、私はこういうふうに考えております。そして、その相談をしたことを私は受けまして、そしてさらに検討をいたしました上で、けさ諮問をいたしました。そして、その諮問は、もちろん法に基づいて諮問をいたしました。法に基づいて審議会がこれを整々と審議していただいて、もちろん午前中は懇談だということでございますから、また先生方の御質疑にお答えした後、私、飛び帰りまして私も真意をよく申し上げたいと思っておりますけれども、その上で諮問に対して御答申が出ればそれを尊重いたしたい、すべて法に基づいてやっておるということだと思います。  事後にいろいろなことを政治的にやったと先ほど申し上げましたが、私はそういう経過を承知しておりますが、私は、そういうやり方よりも事前にできるだけ検討させていただきましたものをおかけすることの方がよりいいのではないか。しかも、これは二回にわたって前広米審でやりまして、二十九日には新算定方式についてはお諮りをし、議論をし、それに基づいてやってみなさい、いろいろな意見がございました、ございましたが、やってみなさいということで私どもは準備をしたわけでございます。
  31. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ことしのような外圧があり内圧があり、そしてあらゆる答申は農業の過保護論、米価が高過ぎるというような中で非常に大事な状況にあるときに、与党と政府が話し合いをして、テレビを見ている者や新聞を見ている者は全部これはもう決まったと思っている。我々野党は、きのうも官房長官に五項目の申し入れをした。衆議院では数が多いかもしれないが、参議院に行ったらこれはそうはいきませんよ、そんなに簡単にいかないのだから。衆議院だけはそうして数で押し切るかもしれないが、参議院はそうはいかないでしょう。それを考えたとき、こういう国民を無視した形で大事なものを決めてしまう、こういうことは一体、これは民主主義に反するじゃないですか、いかがですか。
  32. 山本富雄

    山本国務大臣 今御指摘がございましたけれども、私は参議院の出身の大臣でございまして、参議院の厳しさは人一倍よく知っているつもりでございます。  また、俗に言うねじれ現象のこういう国会運営の中で、国民の声を体しながら、しかもこの農業問題、米問題、内外非常に厳しい情勢の中でまさにお互いが、与党も野党もなしに頑張らなければならない、外に向かっては日本の立場を主張しなければならないということで、野党の先生方にもかねがね私は御理解を求めてまいったつもりでございます。  この問題につきましても、先ほど来先生からいろいろ御指摘がございましたが、私は十分配慮しつつ与野党の調整をし、そして米審に今お願いをし、諮問をしておるところでございますし、そのためにまたきょうはこうやって衆議院の農水委員会でわざわざ御議論をいただいておるというつもりでおります。よろしくお願いいたします。
  33. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それならば、この米価審議会がスムーズに進められ、本委員会で審議したことに対して、ゆうべあたり決めて報告したことについては変更するという余地はあるのですか、いかがですか。
  34. 山本富雄

    山本国務大臣 これは、私の方では、諮問をいたしましたから、その諮問に基づいて米審がせっかくの議論を尽くしてくださる、こういうふうに期待をしておるわけでございます。
  35. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私たちは今まで何遍も何遍も農林水産大臣にも官房長官にもそれぞれの申し入れをしてきた。これに対して、本当に誠意があるならば、当然党として、国会の決議というのは挙党一致で全会一致で決めていることなのだ、そういうことであり、海外に行ったときには国会の決議があるからといって、外国からの輸入についてはあれこれだということを言っている。国内においては自民党と政府だけで芝居をしている。野党は蚊帳の外なのだ。こんな不愉快なことはない。あなた方が仮に逆の立場だったらそう言うでしょう。言いませんか。どうだ、言うじゃないか、いかがです。これは大事なことだから、衆議院に数が多いから、だから何を決めてもいいのだということにはならない、いかがですか。
  36. 森元光保

    森元説明員 お答えをいたします。  生産者米価につきましては、食糧管理法に基づきまして、農林大臣米価審議会諮問をいたしまして、そしてその答申を受けて、その後農林大臣が決定するという仕組みになっておりますので、お答えを申し上げます。
  37. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そうすると、あれは自民党と与党の話し合いであって、この委員会米価審議会もこれから粛々として審議をして、その答申なり結論については尊重するということになりますか。これは大臣いかがですか。
  38. 山本富雄

    山本国務大臣 繰り返すようですけれども、米価につきましては、法に基づいて米審に先ほど来諮問をしたところでございまして、米審で整々粛粛と議論がされて私に答申をしてくださることを期待しておる、こういうことでございます。
  39. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それなら一つ聞きますけれども、戦後四十五年、二十二年と二十三年は社会党の連立内閣だった。それ以降は自民党中心の政治がやられてきた。自民党の農政の中で、海外に国内に、これはよかったと誇るべき仕事をした例がありますか、あったら教えてください。
  40. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えをいたします。  これはもう本当に農政御専門の先生に申し上げるのも恐縮でございますが、私は大変不敏な者ですけれども、農林省に参りまして、ずっと歴代の農林大臣のお仕事ぶり、その中身等については一通りの勉強をいたしました。その結果、俗に言う猫の目農政などと言われる向きも確かにあった。それから試行錯誤もなかったわけではない。しかし、全体的に国内外のこの四十五年の変化の中で、歴代の農林大臣、そして自民党政府がやってまいりました農政について大きな誤りはなかったというふうに考えております。  しかし、問題はまだまだ残されておるということでございますから、その問題の解決に向かって、この委員会でもいろいろ御議論がございますような事柄を一つ一つし抜いて、そして外ではウルグアイ・ラウンド問題、内には足腰の強い農政の確立ということでさらに頑張ってまいりたい、こういうふうに覚悟を新たにいたしておるところでございます。
  41. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大変抽象的な話ですが、具体的に言えば、八郎潟を干拓して十五ヘクタールの模範農場をつくると言って、そこではせっかくの優秀な農家の方々が今二つに分かれてけんかをしている。地元は大変迷惑をしている。石川県の河北潟だって、干拓をしたけれどもどうしていいかその使い道がわからない。新潟県の福島潟は、これは水田をつくるために干拓をしたけれども、つくってはいけないと言って今裁判になっている。中海や宍道湖も干拓をして何かをしようとしたけれども、これはむだだからやめろと言って、ついに中止をさせた。社会党がそういうふうにさせたのです。干拓をして模範をつくろうと言ったところが、ことごとく失敗をしているではないですか。あるいは畜産団地、根釧、この大きな投資をしたところで、今は借金で夜逃げをしている畜産の農家がいる。岩手県、福島県あるいは今度大水が出た九州においても畜産の皆さんが大きな借金をしょって、これをどうするかということで悩んでいる。土地改良をやったけれども、その負担金が借金になり、減反で米価が下がって若い農民の方々が残れなくなってしまった、こういう状態を一体、まともな農政と言えないじゃないですか、これは。どうですか。これに対して答えてもらいたい。
  42. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 いろいろなところで多様な農業が展開され、それを助長するためにいろいろな施策を講じてきたわけでございます。今御指摘のように、干拓事業その他もやってきたわけでございますけれども、他面、例えば愛知用水事業でありますとか豊川用水事業でありますとかその他、鳥取の砂丘は肥沃な土地に変わるとか、そういういろいろな施策で評価し得るものも多々あると私は思います。  ただ、今御指摘のように、干拓事業につきましては、主として立地条件の制約から米ということでやってきたわけでございますけれども、その間、米をめぐる事情が急激に変化しまして、それに対する対応でいろいろな問題が起きていることは事実でございますけれども、私ども、一つ一つのものをとらえて、現地で県あるいは関係団体と協力しながら、少しでもいい方向に持っていきたいと思っています。  また、例えば八郎潟の指摘があって、その辺の問題はいろいろあって、つい最近、県当局の指導のもとに新しい方向を出したわけでございますけれども、私は、八郎潟につきましても、やはりあの地域は単なる農業生産だけでなくて、従来から洪水に見舞われていたとか、あるいはあそこの交通は極めて不便であった、そのようなことが、八郎潟の干拓によりまして洪水のような事態がなくなっている。また、港湾の間の交通が極めて至便になっておるというようなこと等を考えますれば、あの中の営農につきまして私どもが率直に問題をとらえながら対応していくことによって、やはり狭い日本の国土にとりまして十分役に立つ、しかも、それ自身も決してむだではないというふうに考えておる次第でございます。
  43. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そういうことを言っているからだめなんだよ。悪いことは悪いとはっきり認めなければそれはだめなんだよ、ちゃんと。食糧庁が一番迷惑したでしょう。十五ヘクタールの模範農場をつくると言って、何だあれは。内部で両方に分かれて、村が二つに分かれてけんかをしておる。そんなことを、国の金を使い、むだなことをして、それがいいなんということを言っているからだめなんだ。大臣、どうなるの、これは。大臣、ひとつ率直に言ってもらいたい。
  44. 森元光保

    森元説明員 先生も御案内のように、米の消費につきましては逐年消費が減少してきているというような状況もあるわけでございまして、当時、干拓を進める時代におきましては、やはりまた米の供給が十分でなかったというようなこともございまして、そういう点で、八郎潟干拓につきましてはそれなりの意味をやはり持っておったわけでございます。  今も申し上げますように、やはり全体の米の消費が減少していく中で需給のアンバランスが生じてきたということで転作を推進することになったわけでございますけれども、やはり日本の農業におきましては、水田単作農業あるいは複合農業というような形も今後の方向としてはあるわけでございますので、我々といたしましては、八郎潟につきましてもそういった経営方針をぜひ樹立して、八郎潟農業のせっかくの干拓事業でございますから、ぜひ立派な農業に育てていただきたい、かように思っておるわけでございます。
  45. 竹内猛

    竹内(猛)委員 別に八郎潟だけを言っているわけじゃなくて、八郎潟、河北潟、福島潟、それから根釧、岩手県の葛生、福島県の麓山、それから九州の九重飯田、至るところで農家を悩ましているのが、国が指導したその行政の補助金によるそれじゃないか。そして、それでもうかったのは建設業者じゃないか。そういうことを考えたときに、そういうことをぬけぬけ言えるわけがないじゃないかよ、農政の中で。だれだって知っているじゃないの、そんなものは。やはり誤ったことは誤ったと率直になぜ言えないんだ。それはまあいいや。もう答弁なんか求めない。今度はその次の問題だ。  今世界の人口は五十二億、そして西暦二〇〇〇年には六十二億になろうとしている。二〇二五年には八十億を超している。ところが、ガットでは、これは集まったのは先進国だ。ケアンズ・グループもある。十四カ国ある。ところが、中国とかソ連とかあるいはインドとかインドネシアとかパキスタン、バングラデシュ、人口のふえる、これから発展しようという国々は食糧に悩み、そして困っているんだ。そういうことを考えるときに、ガットの仕組みの中で、工業製品を輸出して黒字になったから、貿易をスムーズにするために農業を犠牲にしてやっていけなんていうことに対して頭を下げていくということは、これはおかしいじゃないか。もっとこのガットの仕組みを変えて、その国の食糧というものはその国でつくるんだという立場を堅持しながら、どうしてもその国でできないものはやはり節度ある輸入をする、こういうことをやらなければこれから一体、世界の飢えた人々、今も現に飢えているんだ、そういう人々は、ヒューマニズムの立場からいったってこれはおかしいじゃないか。工業国家だけがあるんじゃないんだ。この点について一体農林大臣はどう考えるか。
  46. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  先生、工業理論で農政を律するのは違うということは、私はもうかねがねアメリカその他の来客があるときにも主張をし続けているわけでございます。その意味では先生のお考えと一致をしておる。改めて申し上げるまでもございませんけれども、ガットは関税その他の貿易障壁を軽減すること、これを主目的といたしまして自由貿易を実現する、そして世界の経済を伸張させる、こういうことを目的につくられ、その後続行しておるということでございます。また、今年の末には新しいルールづくりを全般的に見直してやろうじゃないかということで今進められておる、その中に農業部門もあるということでございます。  先生が御指摘になるまでもなく、工業と農業は根本的に違うわけですから、農業は自然に大きく左右される、そして一週間や十日で物ができるのじゃなくて、一年をサイクルにして長い長い土の中で物をはぐくまれるというふうなシステムがございますから、ガットの条項の中でも生産調整に伴う輸入制限等は許容されておる、そこを私どもは今まで最大限に活用しながら主張を続けてきた。根本的に工業製品とは違う。また、工業がこうだから農業はこうしてくれやという考え方も、それは私どもはオーケーできないというふうな言い方もやってきたところでございます。しかも、農産物については世界で最大の純輸入国でございますから、その立場も大きく主張をしてきた。しかも米などについては、生産者の血のにじむ思いで三割の減反までして調整を図っているという事実などもあるということなども含めましてずっと主張をし続けて、これから先もこの主張は私は変えないということを言明をしているわけでございます。  そこで、どうかこの主張が、この七月、それから秋、年末に向かいましていろいろな交渉場面がございますが、貫けるように、これこそ政府、与野党一致いたしまして頑脹らしていただきたいということを特に御理解を求め、お願いをする次第でございます。
  47. 竹内猛

    竹内(猛)委員 先ほど私は、米価審議会のことについて、夜中に決定して報告をして、そうして形式的に開いておしまいにする、こういうことについて、大臣に、審議会で決定した場合あるいは審議の答申をした場合に、ゆうべ決めた決定が、自民党と政府の決めたことが、一・五%引き下げるというようなことで、もうそれで押し切ってしまう、こういうことになるとするならばこれは意味がないということを申し上げたが、もう始まってから二時間ぐらいたっている。その後、米価審議会状況はどうなりましたか。正式にやっていますか。
  48. 森元光保

    森元説明員 今、米価審議会の方は先ほど申し上げたような状況で推移をしているというふうに承っております。
  49. 竹内猛

    竹内(猛)委員 まだ懇談会の段階ですか。
  50. 森元光保

    森元説明員 米価審議会におきましての進行の仕方につきましては、やはり米価審議会の円滑な推進を図るということでもって、時々懇談会方式でもっていろいろ御議論をいただくということはあるわけでございまして、そういうことで、今回もその懇談会という形でもって今いろいろ御論議をいただいておるというふうに我々は理解をしておるわけでございます。
  51. 竹内猛

    竹内(猛)委員 二十五日、二十九日、これは事前の米審を開いていろいろ相談した。そして今度が正式に招集をされて開かれた米審だ。その前に夜を徹して自民党と政府がやりとりをして、そうして決定をしたということを堂々と新聞が伝えている。もう意味がないのだと言っている。こういう中でまともな審議ができないのは、これは当たり前だ。こうなったら我々だって、ここで議論したってこれは意味がないから、もう質問なんてやめなきゃならない。どうなりますか、そこのところは。
  52. 森元光保

    森元説明員 米価審議会におきましては、従来から米をめぐる状況等、あるいは今回につきましては米価算定方式につきまして、事前米審という形でそれぞれ二日間いろいろ御議論をいただいたわけでございまして、十分そういった議論を踏まえて、今回は新しい算定方式は基づきまして算定をさせていただいたということでございます。
  53. 竹内猛

    竹内(猛)委員 委員長に一つお願いしたいのですが、米価審議会委員をこの委員会に来てもらうことはできませんか、米価審議会の会長を。
  54. 亀井静香

    亀井委員長 ただいま米価審議会は開かれておる最中でございますので、政府諮問を受けてこの審議をやっている最中に当委員会に招致するのは、委員長の判断としては適当ではないと思います。
  55. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それは委員長米審委員会が開かれているんじゃなくて懇談会なのだから、懇談会の座長を代理を置いて、中野和仁会長がここへ来て、なぜ一体正規の米価審議会が開かれないのか、その理由を明らかにしなければ、こっちの審議の方もできませんよ、これは。
  56. 亀井静香

    亀井委員長 竹内委員にお答えいたしますが、米価審議会は審議会として審議を進めるものと思いますし、当農林水産委員会といたしましては、委員会として米価を含めましての審議をやり、恐らく私は、恐らくというよりは当然のことでありますけれども、議会制民主主義でありますから、政府米価決定当たり、当委員会の審議の状況は十分踏まえて決定するもの、このように私は信じておりますので、審議会の審議とは別に、この委員会はこのままで続行したいと思います。
  57. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは農水大臣要求したいのだが、ゆうべのようなああいう決め方を、あれは白紙に返してこの議論をしなきゃだめだ。そのまま、二%引き下げるなら二%、四%なら、あるいは引き下げないなら下げない。我々は現状維持に置けと言っている。そういうようなことをして初めて審議というものが成り立つんじゃないか。決めてしまって、報告をして、これは水道の土管じゃないんだから、上の方から水を入れて下から出るようなものじゃない。少なくとも、選ばれた委員が議論をしているのに、決めてしまって、それでそれはもう決まったんだと、堂々とやっているじゃないですか。それを黙っているような委員だったらこれはどうかしている、どうかしているんだ。だから白紙に返す以外にはない。
  58. 亀井静香

    亀井委員長 政府側において、米価が決まっているか決まっていないか、はっきり答えてください。
  59. 森元光保

    森元説明員 先生も御案内のように、これから、本日米価審議会諮問をしたわけでございまして、食糧管理法によりますれば、米価審議会の答申を経て、それを尊重して農林水産大臣米価を決定するということになってございますので、まだ生産者米価の買い入れ価格については決定をしておらないわけでございますので、その点につきましては御理解をいただきたいというふうに思います。
  60. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう一遍大臣に質問をしますが、そのきのうの夜の自由民主党と政府の決めたこと、申し合わせたことは、あれは不動なものですか。それはやはり一つの提出の案ということになるのか。やはりここで意見がいろいろ出た場合にはそれを取り上げる、米価審議会意見を取り上げる。そうしなかったらこれは意味がない。どうですか。
  61. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたしますが、これはあくまでも、食管法によりまして農林水産大臣米価審議会諮問をする、その諮問当たりまして、改めて申し上げるまでもありませんけれども、議院内閣制であり、そして政党政治でございますから、政府・与党が意見を交わして調整をして、その調整された意見を私が尊重しながら、私の責任でけさ諮問をした、こういうことでございます。先生、何か決定したかのごとくおっしゃっていますけれども、今私が諮問をしておるところでございまして、米価審議会がこの諮問に整々粛々とやっていただけるものだと私は思っております。  また、懇談があるとかないとかということは、これは米価審議会の会長さんの権能に属することでございまして、我々がとやかく言うべきものではない、こういうふうに考えております。
  62. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そういうふうにお答えになるなら、なぜ米価審議会が正式に開催されないで懇談会というような状態でもう二時間もやっているか。おかしいじゃないですか、これは。不正常でしょう。正式の委員会が不正常だ。そういう不正常のときに、我々がここで質疑をしてもこれは余り意味がない。意味がないです。
  63. 森元光保

    森元説明員 先ほども答弁をいたしましたように、米価審議会の審議におきましては、過去にもいろいろの御議論の際に、懇談会方式をとるとかあるいは世話人委員会というような形でもって、米価審議会の円滑な審議が行われるような手だてというのはたびたびとっておるわけでございまして、今回におきましても、米価審議会の円滑な進行が行われるように懇談会という形でもって御議論をいただいている、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
  64. 竹内猛

    竹内(猛)委員 米価審議会が今懇談会をせざるを得ないというその背景、理由、それはどういうものです。なぜそれが正式の会議にならないのか。
  65. 山本富雄

    山本国務大臣 繰り返し先生に申し上げますけれども、米価審議会米価審議会として、会長が主宰をいたしまして、そして行われておるということでございまして、それに対して私の方から諮問案を出してある、こういうことでございます。  その中身、内容、やり方等については、これは会長が米審皆さん方と十分相談の上、呼吸を合わせて進行していただく。従来も懇談会の形式である程度やったというケースも間々あったそうでございまして、そういうことを私どもは承知をしながら、きょう、あすにわたって米審が整々として行われるというふうに考えておりまして、それ以上のことを我々は申し上げる権限はないというふうに考えております。
  66. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私もこの国会へ出てきてから十八年になり、農林委員会に長くお世話になっていますが、このようなことを——この日本の重要な産業である米、しかも長い文化と歴史を持っている。これはアメリカと違うんだ。アメリカのように、一%ぐらいの農地で農産物の収入の一%ぐらいしか持っていない、一万一千戸ぐらいしかないようなアメリカと、日本のように四百五十万の農家、二百八十万ヘクタールの農地、この重要な歴史と文化を持った米の値段を決めるのに、その前に夜中に徹夜をして、事もあろうに自民党と政府だけが物を決めて、野党を無視して、そして堂々と発表して、これが決まったんだと言っていく、この態度こそ問題なんだ。これを白紙に返して、どうしても出直しをしなければ、とても米価審議会もまともにはならないし、本委員会だって恐らく審議は進まないと思います。これは大きな問題ですね。農林水産委員会が開かれてこのようなことになったというのは、これもまた初めてだ。歴史的なことですよ。これは歴史的な出来事だ。いかがです。今までそういうことがありますか、そういう例が。あったら数えてください。
  67. 森元光保

    森元説明員 米価審議会意見を聞くために諮問案をつくるわけでございますが、その際に、政府のみならず与党の御理解を求めまして共通の認識を持つということは、先ほど大臣からもお答えがございましたように大変重要なことだというふうに思っておるわけでございます。したがって、与党との間に共通の認識を持てなかった場合には、政府が単独で米価審議会諮問を行い、その後に与党との調整を行った場合もございます。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、与党との調整を了した後も米価審議会諮問を行いまして、諮問の審議の後に答申をいただきまして、その答申を尊重いたしまして決定をしていくということになっておるわけでございます。
  68. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう時間もないから、大臣から、今までの歴史の中でこういうことがあったかなかったかということを聞きたいんだよ。このようなこと、この忌まわしい事態があったかなかったかということを聞きたい。こういうことは初めてのことでしょう。これは極めて不愉快ですね。そういうことはどうですか、今までありましたか、この歴史の中で。
  69. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 米審の運営につきましては過去にもいろいろなケースがあったというふうに承知しております。当委員会での審議がどういうことがあったか、私つまびらかに知りませんけれども、今懇談会ということで審議が進んでいるわけでございますので、いずれ正式な審議会に切りかえられて審議が進んでいくものというふうに承知しております。
  70. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そんなことはなかったよ、今まで。まあある程度まで政府と与党が話をすることはわかるよ。議院内閣制だから、それはわかる。わかるが、決めてしまって、そしてそれをただ報告をして、そしてもうおしまい、こんなことは初めてですよ。しかも、参議院はそうなっていないんだよ、今度は。違うんですから。それを見たときに、これからの国会の運営はどうします、こんなことをやったら。簡単にいきませんよ。これは大きな問題ですからね。だから、その点は十分に注意をするし、何も官房長が答弁する必要ないじゃないの。大臣に聞いているんだから。官房長、余計なこと言わぬでいいよ。もうすぐかわるんだから、あなたは。大臣大臣
  71. 亀井静香

    亀井委員長 ただいまは委員長の権限において指名したわけでございますので、御了解いただきたいと思います。
  72. 山本富雄

    山本国務大臣 先生非常に厳しい御指摘でございますが、今までの長い経過のことは私は不敏で、あるいはわかっていないところもあるかもしれません。しかし、先ほど来御答弁申し上げているのは、私は、誠心誠意間違ってないつもりで答弁をしておるわけでございます。  それから、これはむしろお尋ねをしたいような気持ちなんですけれども、何か決めてしまって勝手に発表してというふうなお言葉でございますが、どこで決まったんでございましょうか。あるいは、どこでだれが発表したんでございましょうか。私は、そのようなことは現在ただいままでないというふうに思っております。
  73. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それは坂本官房長官と自由民主党の佐藤隆という人が話をして決めて、そして新聞が堂々と発表して、二%の値下げがあったけれども、いろいろ大所高所から考えて、来年の地方選挙等のことも考えて、余り刺激をしちゃいけないからあっちこっちを考えて、右を見たり左を見たり、そして適当に一・五で手を打った、そうちゃんと書いてある。そう言っているじゃないか。これを返すことができるかできないかということが大問題なんだ。白紙に返して、そして問い直す、これ以外に生きる道はない。私は、やはり日本の農業を愛し、農村を大事にし、後継者のできる農業をつくるためにはもっと真剣に考えていかなければだめだ。与野党が一緒になって本当に農業を守っていかなければ、これは国際的な圧力と国内の不当な世論によって農業がつぶれてしまう、そのことを心配するから頑張るんですよ。大臣も頑張ってみろよ。官房長だっていいかげんなこと言うなよ、本当に。どうです。
  74. 山本富雄

    山本国務大臣 御激励を体しましてしっかり頑張りますから、御協力をお願いいたします。
  75. 竹内猛

    竹内(猛)委員 終わります。
  76. 亀井静香

    亀井委員長 前島秀行君。
  77. 前島秀行

    ○前島委員 まず最初に、先ほどの質問の続きで、官房長、なぜ今正式な審議会が始まらないで懇談会になっているのか、その原因と状況を正式に調べて、私の質問が終わるまでに報告を願えませんか。懇談会にせざるを得なかった理由、それを正式に官房長の方にお願いをしたいと思いますが、どうですか、官房長
  78. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 ただいま休憩になってございますけれども、調べて、できるだけ早く、わかり次第御説明いたしたいと思います。
  79. 前島秀行

    ○前島委員 なぜそうなったかを正式に報告してください。  それから、大臣、事前に自民党と協議した、これは認めていますね。政府・与党、議院内閣制だからそうなるとするならば、片っ方、国会は国民をバックにした議論の場ですね。政府と与党が事前にやるなら、これからは当委員会諮問の前にやる、これは約束できますか。
  80. 山本富雄

    山本国務大臣 委員会のことは、これは委員長の権限でございますから、委員長の方に今後とも取りさばいていただきたい、こう思っております。
  81. 前島秀行

    ○前島委員 では、委員長に質問します。
  82. 亀井静香

    亀井委員長 委員長としてお答えをいたします。  当委員会におきまして、農政に関する基本的事項でございます米価が決定することに当たり委員会を開いて慎重な御審議をいただいておるわけでありますけれども、米価審議会政府答申を踏まえて政府が決定するに当たり、当委員会での国民を代表しての御論議というのが必ず政府決定の米価の中に反映されるもの、私はこのように信じております。
  83. 前島秀行

    ○前島委員 いや、精神論とか何かを言っているんじゃないんで、要するに事前に与党自民党とやる、そしてそれが諮問案として出るというなら、国民の代表としてのこの議会で、その諮問案をつくる過程でみんなの意見を言う、野党も意見を言う、そういう意味で、与党と事前にやって諮問案をつくるなら、当委員会も事前に議論をして、その諮問案をつくることに反映させてもらう、これが民主主義じゃないですか。国会はそういうふうにやってしかるべきじゃないですか。
  84. 亀井静香

    亀井委員長 お答えします。  当委員会におきましては、過去、一般質問等におきましても、農政一般、米価等を含めまして熱心な諸先生方から御議論がございまして、政府側におきましても、これを十分農政、米価等に反映させておるものと私は信じております。
  85. 前島秀行

    ○前島委員 では大臣に、あるいはだれでもいいですけれども、では自民党との事前折衝に、具体的に今度のこうこうこうなるという経過とか数字だとかということは説明を抜きにしてやったのですか。今度一・五になるにはそれなりの理由を持って説明をして、事前折衝、事前交渉したのでしょう。
  86. 森元光保

    森元説明員 米価審議会諮問案を提出いたします際には、党におきましても、事前に米をめぐる事情でありますとかあるいは需給事情でありますとか、その他もろもろの問題につきましていろいろ御議論をいただいておるわけでございまして、そういう御議論の中から今回諮問させていただきました諮問案を作成をしていったという経過でございます。
  87. 前島秀行

    ○前島委員 委員長、いろいろな一般質問等々では委員会はここではやっている、それはそのとおりです。ただし、米価の決定とか米価の内容については、具体的にこういう資料だとかこういう計算方法だとか、今回はこうなるという数字なんというのは事前に何ら説明されていないのですよ。いわゆる一般論としてしか我々は事前には議論できないのですよ。そうすると、自民党の方との折衝の中では具体的な数字を持って、今回こうはじくについてはこういう根拠ですということをやって事前に折衝するのでしょう。委員長は、事前にやっていますよ、当委員会では十分議論されているからそれでいいではないかと言うけれども、米価の決定の中身について全然質的に違うのですよ。だとするなら、事前に政府・与党とやるなら、国会の場に我々野党というのがいるわけです。自民党さんもやって結構ですよ。事前に、本当に同じ条件の中で、食糧庁、大臣の方が、こうこうこういう計算でやります、こういう数字でございますということを出し合ってやらなければおかしいじゃないですか、委員長。そういう面で委員長、これは理事会なり何かでちゃんと相談してほしいと思いますよ。
  88. 亀井静香

    亀井委員長 再度質問でございますので、お答えをいたします。  政府が与党との間で協議をすることと、当委員会におきまして政府諮問案について説明をし、それを当委員会におきまして御審議をいただくことはまた別次元の問題だ、私はこのように考えます。  なお、米価につきましては、米価審議会諮問案を受けての答申を尊重して政府が最終決定するわけでありますし、当委員会における議論ももちろんそうした決定の中に反映されるもの、そういう意味では私は、この委員会は何ら時期を失しておるものとは考えておりません。
  89. 前島秀行

    ○前島委員 委員長にはこれ以上こだわりませんけれども、大臣、やはりこれだけ重要な時期にある農業、とりわけ米というのがどれだけ大きなウエートを占めるか、これは深刻な問題ですよ。ましてや生産農家にとってみれば、一・五下がる諮問をされたということ自身大変なことなんですよ。だとするなら、やはりいろいろな角度で議論をする、みんなの意見を出し合うということは民主主義のルールですよ。だから、委員長立場委員長立場とわかりますけれども、大臣、やはり政府として、担当責任者として、農家皆さんに理解をしてもらうためにも、私は、委員長でなくしても大臣みずからが事前にそういうものを議論し合うくらいのことを腹を決めることはあってしかるべきだと思うのです。いろいろな意見を聞いて、いろいろな人たちの理解を得てやらなきゃ、農業政策、新しい方針なんか実行できないと思うのですよ。そういう面で大臣、その辺のところにこれから十分配慮を願うということをぜひお願いをしたい。この点は以上で終わります。  時間がありませんから、ガットの問題について。  私たち、実は北海道、九州、東北の代表、これは農民代表、あるいは農林業で働く労働者だとかあるいは生協、市民代表という形、総勢十三人ほどで二十一、二十二日、ジュネーブに行って主要七カ国あるいはガット事務局等々に要請をしてきたわけであります。もちろん基礎的食糧、安全保障の問題を含めて、米の重要性ということを訴えてきたわけであります。  そこで、具体的に聞きたいと思っているのです。もう既に農業交渉の議長のメモがかなり早い時点で示されてきていると思うのですね。これがもう既に、来週の月曜日からそれに基づいて議論が始まるという段階に来ている、七月に事実上方向が出るのじゃないかという重要な時期に来ていますので、そこで具体的に聞きます。  我が国がいわゆる食糧安全保障、非貿易的関心事項ということを訴えてきた、私たちが行ってみたら、日本がそういうことを訴えている、これはみんな理解をしていたわけですね。私は、それを訴えて理解をしてもらった、そこまではいいのですけれども、それから先が重要だと思っているんですよ。具体的にガットルールの中に非貿易的関心事項、基礎的食糧、すなわち米とか、これが具体的にルールの中にどう反映されるのか。精神論だけ言っていたってだめなんですね。この交渉の中で、ルールの中に具体的に米が守られるような方法でなければ意味がないと私は思っているんですよ。中間報告に入りましたといったって意味がない。我々が行っても、皆さんの言葉は、立場は理解される、そこまで言われたって意味がないので、具体的に、この非貿易的関心事項、食糧安保に基づく基礎的食糧はどこでどういうふうにはめ込もうとしているのか、そこを基本的にお聞きしたいと思います。
  90. 川合淳二

    ○川合説明員 事務的な話でございますので、私から答弁させていただきます。  御承知のように、今回のウルグアイ・ラウンド農業交渉は従来の交渉と違いまして、保護の削減交渉のほかにガットルールに関する交渉を行うということになっております。したがいまして、私どもが今先生御指摘の基礎的食糧に関する提案をしているということは、当然のことといたしまして、このガットルールとして基礎的食糧について国境措置を講じ得るということを提案しているわけでございます。ルールの一つとして、こうした国内生産水準を維持するために必要な国境措置というものを講ずるという提案になっているわけでございます。
  91. 前島秀行

    ○前島委員 いわゆる基礎的食糧を守るためのルールとして、条文化として具体的に考えられるのは、十一条とか十七条とか二十条とか考えられますね。あるいは新たなその種のものをルール化する条文をどこかにつくるとか、いろいろ考えられますけれども、いずれにせよ、どこに焦点を置いてどの方針で、十一条でいくのか十七条でいくのか二十条でいくのか、理解をすると言っているのですから新たな条文化をさせていくのか。一定の方針、原則というか、基本的なねらいがなければ精神論で終わってしまうというふうに私は思うわけです。十一条でいくのですか、十七条でいくのですか、二十条でいくのですか、別枠でいくのですか。
  92. 川合淳二

    ○川合説明員 具体的な問題といたしまして、どの条文でいくかというような具体的な議論に現在入っておりません。ただ、今御指摘の中の十一条の問題といたしましては、米については国内生産制限を効果的に講じてきているということはそのとおりでございますが、御承知のように十一条の問題は、ミニマムアクセスの要件に従いまして一定量の輸入を認めざるを得ないという問題がございます。したがいまして、私どもとしては、現在どの条文でいくというようなところまで議論が進んでおりませんのでそういうところまで詰めておりませんが、いずれにいたしましても基礎的食糧という新しい提案をしているというふうに理解しているところでございます。
  93. 前島秀行

    ○前島委員 大臣、ここは非常に重要なことだと思うんですよ。やはり基礎的食糧、それがちゃんとガットの中に生かされなければ意味がないんですね。中途半端な方針ではいかぬだろうと思うのです。そういう面で大臣、ぜひこれを具体的に、基礎的食糧、非貿易的関心事項がガットのルールの中でぴしっとなるということがなければ意味がないんですよ。その辺のところをぜひ大臣、重要な時期に来ているので、その辺のところの決意をまずその問題に関してだけお聞きをしておきたいと思うのです。     〔委員長退席、大原委員長代理着席〕
  94. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えをいたします前に、先生先ほどお触れになりましたように、わざわざジュネーブまでおいで願いまして、日本のために、農業問題、お米の問題でガットの関係者にいろいろ御運動をいただいた、非常にありがたいと思っております。  そこで具体的な問題ですけれども、今、川合局長からお話がありましたとおり、確かに具体的な条項の中で、例えば今お話しの十一条でどうかというふうなこと、十七条、二十条、いろいろございますけれども、十一条、片方ではいいのだけれども片方ではちょっとまずいというふうなことなどもございまして、なかなか判断が難しい。それと同時に、これからやはり議長を中心にいたしまして、議長ペーパーというのがございまして、これは中身は発表ができないことになっておりますが、それらを中心にして各国でさらに詰めようというところでございますから、決して精神論だけでなしに、具体的に我が方もいろいろ現地でやっておるということだけは申し上げたいと思います。
  95. 前島秀行

    ○前島委員 そこで、交渉事ですからなかなか難しいと思いますけれども、基礎的食糧というものをルールの中に入れるか、もう一つ、あいまいにして二国間でもって米の問題はいこうかという議論もあるわけですね。  そこで大臣に伺いたい。この米の問題はあくまでもガットルールの中で解決しようとしているのか、二国間にいこうとするのか、そこのところをちょっと伺いたいと思うのです。
  96. 山本富雄

    山本国務大臣 これは当然ウルグアイ・ラウンド、多国間交渉の中で進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  97. 前島秀行

    ○前島委員 時間がありませんので……  私たちが行ってみると、国境措置の場合は、大方の方向というか大きな流れが関税化という方向だというふうに我々も聞いてきたわけであります。そこで、関税化について、日本側は賛成か反対か。
  98. 川合淳二

    ○川合説明員 関税化の前に一つ御説明させていただきたいと思いますが、日本提案は、基礎的食糧について所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じるものとすることということと、それから先ほどちょっと先生がお触れになりましたガット十一条については、その条項の要件の見直し、明確化を行うことという二つの提案をいたしておりまして、これは別の問題でございますので、御理解をいただきたいと思います。  それから関税化につきましては、技術的な問題を含めまして問題があるということで、私どもは、関税化については今のところ賛成しがたいという態度をとっております。
  99. 前島秀行

    ○前島委員 今のところではなくして、最後までこれは反対だという形で貫いてもらわないと困りますね、今のところなんて言ってもらっては。
  100. 川合淳二

    ○川合説明員 私の言い方が十分でございません。関税化については問題があるということでございます。
  101. 前島秀行

    ○前島委員 日本提案の中に自給という問題、自給論が全然出てこないという意見をよく聞くわけであります。我々も行って、穀物自給率でわずか三〇%だ、その三〇%をようやっと維持するのも、米が一〇〇%自給だということでようやっと三〇%なのだ、この米が自由化されたら、穀物自給率なんというのはもうすぐ下がってしまう、カロリーでも四九%だ、この訴えはやはり理解されるわけですよ。そういう面で、日本提案の中には、この自給論という、自給率の向上ということは全然触れられていないのです。これはこれからのいろいろな詰めの段階で、やはり食糧というのは自給するというのが原則だ、それが一番いいことはだれだって認めていることなので、その点、自給率の向上ということをぜひ強力にこれからも訴えていってほしいという点、もう時間がありません、私は、これは要望としてお願いをしておきたいと思います。  それから、我々がいろいろなところに行くと、どこの国も、アメリカのあの一方的な荒っぽい提案に賛成している国はどこにもありませんでしたよ。みずからウェーバーを持っておいて、ほかの国に向かって自由化、全部ゼロということは余りにも無理がある。そうすると、ほとんどの各国の意見は、今度の交渉の中でアメリカはウェーバーを放棄するだろう、そう聞くと、恐らく放棄しないでしょうね、こう言われる。ECの方もあの変動課徴金、特に変動部分についてはこだわる、恐らく反対しないだろう。この辺がECとかアメリカの柱だろうと思うのです。そして、あれはアメリカの一方的な横暴だ、こういう意見があるわけですね。それは認識として共通していますよ。  同時にまた、片っ方で、我々日本側の、これは非貿易観点という訴え、自給率をふやそうということを含めた訴えにはかなりの共感を得られるというふうに私は踏んでいるわけです。ECの中にも、北欧の諸国の中にも、あるいは発展途上国の中にも、この非貿易的関心事項という問題、輸出国であったって、アメリカのこの強力な横暴といいましょうか、押しつけについては警戒というのがあるわけですね。そういう面で、もっと日本が積極的に多数派工作をする、各国に訴える、こういう声を非常に聞くわけなんですよ。  そこで、大臣に伺いたいのですけれども、何かアメリカとECのけんかの裏に隠れて日本は様子を見ておる、そんな気がしてしようがないのです。もっと積極的に動くべきではないか、そういうふうに思うわけですけれども、その辺のところの、もっと積極的に動け、もっと積極的に日本の立場を訴えれば理解をしてくれるいろいろな国がいるのだ、私も、日本はもっと積極的に動くべきだという国の意見も聞いてきたわけですね。そういう面でやはり何かアメリカに気を使っているのかなという気もするし、そういう面で、大臣、もっと積極的に動くべきだというふうに私は思いますけれども、その辺の決意をぜひ聞かせてほしい。
  102. 山本富雄

    山本国務大臣 大変ありがとうございます。積極的にこれからも動いてまいりますし、現在もやっているつもりでございます。また、各国の共感を得るような運動をやるべきである、交渉をやるべきである、こういう御指摘でございますが、それなども、我が国立場を同じくする国々あるいは考え方のわかっていただける国々などに対しても、これは具体的にいろいろ働きかけをこれからもやってまいりたいというふうに考えております。
  103. 前島秀行

    ○前島委員 私の時間が何時から何時までか何かわからなくなってしまったので、まだやっていいのだか悪いのだかわかりませんので、そこで先ほどの米価審議会にまた戻りますけれども、状況は報告できますか。
  104. 大原一三

    ○大原委員長 代理もう時間が来ています。どうぞそれで最後にしてください。
  105. 前島秀行

    ○前島委員 では、最後にその報告ができたら、それで終わります。
  106. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 ただいま私の方で向こうと電話連絡をとって聞きましたところによりますと、米価審議会はけさ会議の運営について懇談会を開き、打ち合わせを行った上で審議に入りたいとの意向を示し、懇談会を行ったようでございます。これは、今回の諮問の仕方について委員の間で意見の交換を図るための会長の配慮によるものというふうに聞いております。それで、現在米価審議会は休憩に入っておりますが、再開は二時半に予定をしているようでございます。
  107. 前島秀行

    ○前島委員 やはり基本的にこのあり方の問題が指摘をされたがために、委員会がスムーズに入らなかった、それで会長もそのことを配慮して懇談会という形になったと私は思うのです。  大臣、私はもう時間が終わりましたから終わりますけれども、そのことは異常な事態なんだ、今度の方法に問題があるのだという点だけはぜひ認識をいただいて、これからの対応に前向きな対応をぜひお願いしたいということだけお願いをして、私の質問を終わります。
  108. 大原一三

    ○大原委員長代理 藤原房雄君。
  109. 藤原房雄

    藤原委員 公明党を代表いたしまして、ただいま米価の決定の大事なときでございますので、何点かについてお尋ねをしておきたいと思います。  同僚委員からもお話がございましたように、このたびの米価決定当たりましての手順、それはそれなりの手順があることは我々にもよくわかります。しかしながら、米価審議会というのは、私が長々申し上げるまでもなく、農林水産省組織令によります、百三十八条「食糧庁に米価審議会を置く。」という、大臣諮問機関ということですね。国家組織法という法律に基づいてということじゃないのでありますけれども、しかし、それに準ずる非常に重要な審議会であります。もちろん、日本の一億二千万の国民に対します食べ物の基本でありますお米の価格を決定するという、そのほかの関連する問題について審議するということでありますから、非常に重要な審議会である、こう思います。  その審議会の運営ということで先ほど来農林委員からもいろいろお話がございましたが、我々は単に新聞報道等のことだけで言っているんじゃございませんけれども、今日までのこの歩みを見ますと、もう既に決定したがごときそういう印象を強く受けますし、そういうことであるならば、この米価審議会というのは何のためにあるかという、形骸化、こういうことが言われておりますが、私ども、やはりそんな印象が否めない、こういうことを冒頭に申し上げておかなければならないと思います。  昨年の参議院選挙、ことしの衆議院選挙、消費税をめぐりまして国民の世諭が本当に沸騰いたしました。それぞれの国民の判断によりまして議席を得たわけでありますが、そういうことを中心としまして国会改革、今までのような惰性的なことじゃなくて、与野党ともに話し合いをし、そしてまた衆参それぞれ違う立場にあるわけでありますので、十分にその審議を尽くす、そういう手順といいますか国会運営というものもこの百十八国会からは非常に変わってきたと思うのであります。これはお互いに審議を尽くし、そしてまた信頼の上に立たなければいけないということだろうと思うのであります。  米価につきましても、やはり国民の主要食糧であります米を中心といたします諸情勢についての、また価格決定の大事な場でありますから、当然そういう大きな立場に立ちまして議論をしなければなりませんし、一般質疑であったからということじゃなくて、やはり米価というものを踏まえましての問題につきまして、それなりに与党、野党なく審議をしなければならぬ。こういうことから、今までやっておりました米価審議会と並行して衆議院、参議院で委員会をやっておるじゃないかという、こういう形だけ、形式だけでいいかどうか、ここらあたりは少し考えてみなければならぬことだと思います。  それから、事前に打ち合わせを一回いたしまして、自民党と政府との間でもう決まったがごとく報じられるようなことも遺憾でありますが、諮問したことに対して答申が出て、その答申が政治加算というようなことでまたゆがめられるということも、これまた非常に今日まで農民の、また国民の不信を買った大きな原因だろうと思います。  こういうことで、世の中が大きく変わったのですから、また国会自体も今大きく変わりましたし、変わりつつある、こういう中にありまして、この米価決定という大事な米審のあり方、これにつきましては再考を検討しなければならないんじゃないか、これは今までの踏襲で、そうじゃありませんとかそうでありますとかということじゃなくて、仕組みとか手順とか、こういう問題についてぜひこれは考えていかねばならない、検討しなければならない重要なときに来ておる、こんな認識を持っておるのでありますが、大臣はいかがお考えでしょう。
  110. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えをいたします。  今先生の御指摘、米審を形骸化することのないように、こういうことを含めての御質問、御指摘だったと思います。前の先生方にもいろいろ御批判もいただきましたし、私から答弁をいたしましたが、御指摘を十分体しましてこれからの運営に当たってまいりたいというふうに考えております。  ただ、繰り返しにたりますが、政府・与党間の調整については、これは調整としてやらせていただいたんだ、こういうことでございます。決定したとかあるいは公式に発表したとか、そういうことではございません。  なお、米審につきましても、その懇談会等についていろいろ今御指摘がございましたが、米審の進め方は会長さんが中心でおやりになることでございまして、私どもがくちばしを入れることではございませんけれども、私どもといたしましては、政府・与党間で調整をいたしましたものを私の判断の基礎にいたしまして、そしてけさ諮問案をつくり、諮問をしたということでございまして、これから、今明日にかけて十分議論をしていただく、そして答申に至りましたならばその答申は十分尊重させていただくということで今後も進めてまいりたいというふうに考えております。
  111. 藤原房雄

    藤原委員 政府と与党自民党との間で協議することは、もちろん協議するのは当然だろうと思いますけれども、与党は野党として、国会がさま変わりしたという現状の中で、今までとは変わってもう一歩話し合いの場、そしてまた国民納得のいく手順、仕組み、こんなこともひとつ念頭に置きまして十分に御検討いただきたいものだと思います。この米価決定というのは大体七月の上旬前後ということで決まっておるわけでありますから、それに向けてどういうふうに手順を組むかということだろうと思います。  今回、価格算定方式、新算定方式、新々算定方式、こんなことがいろいろ言われておりますが、一・五ヘクタール以上の農家を対象にして新算定方式、これも一年間いろいろ検討するとかなんとかということで昨年これを導入しよう、いろいろ議論があったところであります。それが一年たたずして、それはなぜ変えたかという理由は我我もよく存じておりますし、また去年の委員会でも申し上げたところでございますが、一・五ヘクタール以下を切り捨てるということは一つの大きな我々の反論の一つであったわけでありますが、一年たってそれを今度また新々、新しい生産性というものを重視した九つのブロックの区域別に、これを今度は九つのブロックで生産費を勘案いたしまして全体のものを見ていこうという、規模拡大ということが言われて、そしていろいろな議論のある中で一・五ヘクタール以上という、それは一つの信念としてお持ちになってお進めになったと思うのでありますが、実施一年にしまして、今度はそれではなくて生産性ということに切りかわった。猫の目という、何もしょっちゅう変わっているわけではないなんという、さっきは大臣も随分力んでおっしゃっていましたけれども、これはまさしくしょっちゅう変わるということでありまして、こういうことから、最初に引き下げ幅、この上下の幅があって、それになぞらえるような形で方式みたいなものが考え出される。一様に新聞、マスコミなんかも報じておりますけれども、まさしく最初に何かがありき、そしてそれにつじつまを合わせると言っても過言ではない。こういう大事な算定方式というのは、一つの信念なり、そのためにはいろいろな立場で議論をし、そしてまたそういうものをきちっと固めた上でなければならぬと思いますけれども、無理やりやってみたが一年でまたこれを変えなければならぬという、米価をめぐりますこういう現況というのは、どう見てもこれは農民から不評を買い、また不信を招くもとにあり、私どもといたしましても、ぎりぎりになってこういうことが言われて、そして審議の場も十分にない、そうしているうちに物事が決まってしまう、自民党と政府で話し合いがなされる、それが大体価格決定の大筋になる、こういうこと等を見ましても、これはもう本当に公平に、そしてまた手順を踏んでやったとは言えないと思うのですよ。今度の、規模拡大を目指しました一・五ヘクタールの算定方式から生産性へ、一年足らずでこんなに変えることになった農林省の、ぐだぐだ長い話はいいんですけれども、変えなければならなかった根本的な理由、そしてまたこれはこういう手順を踏んだので今後これをずっと堅持していくのだ、維持していくのだという信念がおありなのかどうか、その辺をちょっとお聞きしておきます。
  112. 森元光保

    森元説明員 お答えを申し上げます。  今先生からもお話がありましたように、昨年の算定方式につきましては、米価算定委員会でいろいろ御議論いただきまして、将来の担い手層に着目をいたしまして、一・五ヘクタール以上の個別経営農家を対象とした算定をすることがいいのではないかということであったわけでございますが、それで昨年は御承知のようにそれに基づきまして諮問をいたしたわけでございます。  しかし、その過程におきまして、その算定方式につきましては、対象農家平均的な規模が少し大き過ぎて、現状の稲作農業の実態から乖離しているではないかというような問題でありますとか、あるいは規模が小さくても現に相当高い生産性を上げている農家があるのではないかといったような問題も指摘をされまして、またさらに全国一律に一・五ヘクタールで切るということにつきましては、地域稲作農業の実態を無視しているというようなお話もあったわけでございます。  特に議論がございましたのは、その一・五ヘクタール以上の農家を対象にいたしました算定で行いますと、戸数シェアがわずかに一二%である、あるいは販売数量シェアにおきましても四三%と大変少ないというような御議論がございまして、見直しをすることが必要であるという御指摘もあったわけでございます。  今回の算定方式につきましては、米価審議会の小委員会から御報告がございました、将来の稲作の担い手を対象にして米価算定することといういわゆる基本的な理念は今回の算定方式におきましても踏襲をしておりまして、そのためにできるだけ生産性の高い稲作農業稲作農家というものを対象にしていきたい。その際に、御議論がございましたいわゆるそれぞれの地域稲作農業の実態というものも十分勘案をして算定をしていく必要があるという趣旨で、今回諮問いたしました算定方式全国農業地域、これは先ほど先生からもお話がございましたように九ブロックあるわけでございますが、九ブロックの平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家、これはその地域におきましては稲作を実質的に担っている稲作農家でございますから、こういった農家を対象にして算定をすることがより改善された算定方式ではないかというふうな結論になったわけでございます。  そういたしますと、規模の大小にかかわりませず、その地域での稲作経営に非常に熱心に取り組んでいる農家算定対象になりますし、また対象農家戸数シェアも四四%、一・五ヘクタールでございますと一二%でございますけれども、これが四四%、それから販売数量におきましても六〇%、一・五ヘクタールでございますと四三%程度でございますが、そういった点から、今回の算定方式につきましてはかなり改善をされているというふうに思っております。  今後、やはり米価算定におきましては、できるだけ安定した形でもって算定を続けていくことが大切だというふうに思っておりますので、そういう方向で今後とも私の方としては取り組んでまいりたい、かように思っております。
  113. 藤原房雄

    藤原委員 小さくても生産性の高い農家もあることは事実であります。しかし、担い手というものに焦点を当てて、担い手が今後日本の農業をどう担っていくような形にできるのかということでこれはいろいろ議論があって、一・五ヘクタールということもいろいろな議論があった。何も今、今回のこの新算定方式が、突然すばらしい知恵が出てぱっと浮かび上がってきたというのではなくて、もう一・五ヘクタールということで線を引くということは、全農家の中の六%から七%ぐらいですから、非常に限られた戸数になるということはもう当然わかっていたことですから、これは随分いろいろな議論もあったことであります。それが一年たたずして、今もっともらしいいろいろな説明がございましたけれども、それはわからないわけじゃありませんが、一年でこういう算定方式がくるくる変わる。  ですから大臣、これは米価審議会でいろいろな議論をするのは当然のことだと思いますけれども、衆参でも、算定方式なんということになりますと非常に重要なことでありますから、この算定の基本になるわけでありますから、こんなことも事前に議論をし合う場というものを考える、こういうことを国会で、農民の信頼、また国民世論の信頼ということの上に立って、先ほど申し上げた、国会が大きく変わったということ等も考え合わせますと、今まではそういう点では、手順といいますかそういうものに少し欠けていたのではないか、私はそういうふうに思うわけであります。さっき大臣にも申し上げたのですが、ぜひひとつこの算定方式等につきまして大いにまた議論の場を、できてしまってからいろいろなことが議論になりますけれども、新しいものを導入するときにはやはりそれなりの手続を踏んで進めるべきだと私は思うのです。これは大臣に強く言っておきたいと思います。  それで、担い手ということ、これは非常に大きな意味を持つわけであります。今回のこの新算定方式も決して担い手を度外視したのではない、規模が大きいということだけではなくて、生産性を上げることも担い手にとっては大事なことだというお話でありますが、担い手のためにはやはりある一定規模がそれに伴ってくるのではないでしょうか。担い手については、農林省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
  114. 松山光治

    ○松山説明員 将来の担い手の姿につきましてはいろいろな考え方があり得るわけであります。今先生のお話にもございましたように、当然のことながら現在の一定の技術水準で機械を有効に活用するという観点からすれば一定の規模が必要だということになるわけでございますし、同時に、その経営の中身が稲作を相当大きく取り入れた経営なのか、あるいはいろいろな形の複合経営なのかによりましても規模の大きさは当然違ってまいる、あるいはまた個別経営なのか、それとも生産組織なのかということによってもいろいろと姿は違ってくるだろう、このように考えておるわけでございます。  そこで、私どもの現段階の考え方といたしましては、稲作におけるいわば生産性向上の目標と申しましょうか、そういう形で、御案内のようにことしの三月に生産性向上指針というものを明らかにして、その場合に前提となっております機械化体系、大型であればどの程度の規模、中型であればどの程度の規模ということをお示ししながら、生産性向上の一定の目標をお示ししたところでございます。  ただ、これにつきましても、全国画一的に適用していくことは必ずしも適当ではございませんので、各地域の条件に即した具体的な指針を策定していただく、これは都道府県にお願いしたいと思っておりますが、そういう形で今指導を進めておるところでございます。つづめて申し上げますれば、個別経営という形と、それから生産組織生産性を上げていくという両方のコースを頭に置きながら、それぞれの地域の具体的な事情に即した構造改善と申しましょうか、担い手のあり方を追求していく、そういうものを我々としては物心両面で支援していく、こういう考え方に立ちたいと思っておるところでございます。
  115. 藤原房雄

    藤原委員 いろいろ議論のあるところでございますが、また後日に譲りたいと思います。  今度、良質米奨励金と特別自主流通奨励金を自主流通奨励金という形にしまして、基本単価が六十キロで六百四十円、Aランク一等は各四百円加算、こういう形になるわけでありますが、これは作のいいときと悪いときによりまして、各地域によりましていろいろな問題があるのです。昨年は北海道も非常に作がよくて一等米が多かったわけなので、それを当てはめますと、こういうことにつきましては、この試算をいたしますと、今まで並みといいますか、それを上回るような形になるかもしれません。しかしながら、一等と二等とで大きな格差がありまして、どんなに努力をしても天候に左右される農業ということからいたしまして、北海道の場合は面積も大きいだけに、気候が不順のときには非常に大きな面積にわたりまして二等ということになってさらにまた品質が落ちる、こういうことで大きなギャップを背負わなければならないということになるのですね。これは実質的に米価引き下げに通ずることになるのだろうと思います。実際、基本米価というものが決まりましても、その中で何とかおいしい米をつくって、そして今までのような特別自主流通という形で出せないかということでいろいろな工夫をしながら北海道の場合は進めてきたわけでありますが、これは机の上で計算するわけにはいかないそのときの天候、それがまた非常に大きなウエートを占めるということになりますと、大きくやっているだけにその影響は非常に大きい、そういうことで農家の収入減というものは何十万、何百万というような大きな数字になる。  こういうこと等、十分にひとつ今後の推移を見て勘案してもらわなければならぬと思うのです。これはおいしい米を消費者に届けるということからいいまして一つの考え方であるだろうとは思うのでありますけれども、絶えずその土地土地の天候に左右されるというファクターも、大事な要素があるんだということも念頭に置いて、今後の運用についてはぜひひとつお考えいただきたい。小さいところですとそれの影響も小さいのかもしれませんが、大きく、そしてまた良質米をということで、やればやるほどその影響を受けるということですから、ぜひひとつこの点については申し上げておきたいと思います。その点、どのようにお考えになるか。  それから、今負債問題が非常に大きな問題になっているのですが、酪農や畑作というものは今までもいろいろなことがございましたが、今稲作農家が、北海道は非常に大きいだけに、土地改良を初めとします負債金額が大きい。いろいろな政策を講じておるのですが、労働賃金や資材や何かがどんどん上がっておる中で、それに伴って米価は上がらないという中にあります。そういうことからいって、都市近郊で働きの場がある方々は余剰労働力をそういう方面で働けばいいのでしょうが、農村、特に北海道のような大きなところでほかに働きの場が容易にないというところでは、専業農家ほど大変に苦しい思いをしなければならぬという現実もあるわけであります。この負債償還の問題や土地改良の管理費、その他今までも言われておりますが、これらの問題についてもぜひひとつ御配慮いただきたい。そういうものも相伴わなければいかぬ。  それからもう一つ、前にも農林省の方にもお話をしておったのですが、減反の面積につきまして、後期対策は後期対策としましていろいろ御検討いただいてやっておるわけだろうと思いますが、いよいよ水田農業確立の後期対策、これは平成二年から平成四年まで三年間ということでありますが、この後期対策がスタートするに当たりまして、転作目標面積八十三万ヘクタール、三年間固定ということだと思いますが、これを減反目標面積のあり方ということで、北海道でいいますと、札幌は七十万か九十万か、そのくらいの水田があるのですが、公共改廃なんかのところ、今までは、前期の対策ではカウントして見ておったのですけれども、わずかな水田しかございませんから、それが今度後期については、農業団体の方々も非常に頭を痛めておるのですが、どうも後期では公共改廃になったところはカウントの中に入っておらぬという。そうすると、札幌のようなところについては面積が少ない、五割以上減反しなければならないということですから、札幌市では背負い切れない目標面積になる。近隣の石狩支庁にそれが行くような形になるのですね、これは町村の方ではあずかり知らぬことなんですけれども。しかし、道とか支庁とか町村とかというふうにだんだん目標面積が下がってくるわけですから、そういうことで農業者の方々が、自分のところではない五割からの減反ということで、都市部のそういうところでは小さい面積の水田、大きな町でそういうことですと減反率が大きい、こういうことだけにいろいろな限界に来て、ふだん考えられないようなことがいろいろ起きておる、こういうことで非常に心を痛めておる。  これはぜひ実態調査をしていただいて、やはりこういうことをきちっと農業者が納得のいくような形にいたしませんと、これは不信を起こすもとになり、そしてまた、営々としてなさっている方々が、そういうことで大都市のそういうものまで背負わされなければならぬということになりますと、それでなくてもこういういろいろな試算の中でだんだん農業収入というものが減少する傾向の中にありながら、さらにそれを圧迫するような形になってしまったのでは、ますます農業不信というものを起こすもとになる。  大臣、難しいことを聞いているのじゃないのですけれども、そういう現実があるということをぜひひとつ御認識をいただきまして、そしてぜひ御調査いただきまして、それらのことについて、これは一たん決まったことを変えろということはできないことかもしれませんが、それらのことについてひとつまた納得のいくような形で対応していただきたいものだと思うのですが、これらのことについてちょっとお聞きします。
  116. 森元光保

    森元説明員 私の方から良質米奨励金につきましてちょっとお話をさせていただきたいと思います。  先ほど先生からお話もございましたように、良質米奨励金につきましては、自主流通米のシェアが最近かなり急速に拡大をしてきているというようなこともございまして、既に所期の目標は達成しているのじゃないかという意見もございますし、また、政府米との手取り差額といいますか、生産者メリットというものもかなり大きくなってきているというような状況もございます。それからさらに、従来は良質米奨励金を交付するというのは、つくりにくさとかあるいは栽培技術の面でいろいろ問題があるというようなこともございまして、五十一年から良質米奨励金というものを交付してきたわけでございます。  今申し上げましたような状況を考えまして、今後、良質米奨励金につきましては、むしろ計画的あるいは安定的な流通を促進するというような視点でありますとか、あるいは良質米の生産安定なり、収量格差の是正に今後努力してもらう、あるいは上位等級の出荷誘導をするというような視点に立ちまして、良質米奨励金の仕組みを若干変えたいということで今検討しておるわけでございます。  基本的にはAランク、一等米につきましては従来の単価水準は維持していきたい、六十キログラム千四百四十円。それからBランクにつきましても、一等でありますれば千四十円というような現行単価を維持してまいりたいというふうに思っておるわけでございますが、先ほど先生からお話がございましたように、確かに北海道の場合は特別自主流通奨励金ということで奨励金を出しておりますけれども、二等の比率がその年々によってかなり差があるというような実態もございます。今後、特別自主流通奨励金につきましても、自主流通奨励金の中に一本化をしていきたいというふうに考えておりまして、作の振れによって一等比率あるいは二等比率が違ってこようかと思いますけれども、できるだけやはり自主流通米につきましては整粒歩合を上げていただきまして、極力一等米を出荷していただくように、また生産者団体等につきましても指導をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  117. 松山光治

    ○松山説明員 水田農業確立対策におきます転用の取り扱いの問題でございますが、転用は基本的には生産力から外れていく部分でございますから、本米その部分を外しまして潜在生産力を計算していくというのが建前でございますし、そういうことでやってきたわけでございますが、各地域での一定の転用については、転作と同じような働きを持つものとして認めてほしいという強い要望がございまして、たしか前期対策からそういう取り扱いになったかというふうに記憶をいたしておりますけれども、一定の転用について一定の期間だけカウント扱いにするということで今現在やっておるわけでございます。  したがいまして、今先生から御指摘がございましたように、前期の期間中に生じました一定の転用につきましては転作扱いのカウントをするということになっておりましたところ、後期になりましたところでもう一度整理をいたしまして、転用してしまったものは生産力の外になる、こういう扱いにしておるわけでございます。  北海道内におきましていろいろと御議論のあることは私どもも承知をしておるわけでございますが、そういう扱いをさらに継続するということにいたしますれば、生産力ではなくなりましたものをいつまでも生産力として計算していくということで、実態との乖離が大きくなるということでございますので、やはり一定の期間に限りましてカウント扱いにするということにせざるを得ないのではないかというふうに思っており、ひとつ調整問題は地域内の調整としてお取り扱いいただきたいということで、道の方にもお願いをしておる事情にございます。ひとつ御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。  なお、稲作農家の負債問題についてのお話もございました。全国平均の数字で申しますと、六十三年度の稲作主業農家借入金と貯蓄の様子を見ますと、借入金百六十万余ということで、貯蓄の方が二千万ちょっと切れる数字に相なっておるのが平均的な姿でございます。もちろん、北海道の場合にはこの借入金が約七百八十八万ということでございますから、ほかの地域に比べて非常に大きいことは事実でございます。と同時に、貯蓄も二千百万程度ということで、平均的な姿としてはそういう姿に相なっておるわけでございます。  ただ、個々の事例といたしまして、負債問題を抱えておる農家の方がいらっしゃることは我々も承知をいたしております。そういう方々に対する対応といたしましては、御案内のように自作農維持資金で対応するのが基本的な形でございますが、特にその自作農維持資金の中に御案内のリリーフ資金というものを設けまして、負債農家への対応を図っておるということ。  また、お話もございました土地改良の負担金問題につきましては、ことしから特別の償還平準化対策を講じておるといったようなことでございまして、こういった施策をそれぞれの農家の御事情に即しまして有効に活用していっていただきたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。
  118. 大原一三

    ○大原委員長代理 山原健二郎君。
  119. 山原健二郎

    ○山原委員 けさほどから問題になっております米審の問題、私どもの今までの経験ですと、今度の米審に対する諮問は異例のことですね。政府・与党の間にほぼ決定をしたということがマスコミにも出ております。そういう形で諮問がなされたからこそ、米価審議会は始まってすぐ休憩でしょう、二時半まで休憩というのですからね。何のために休憩か、これは諮問の仕方に対する問題が起こっておるからでしょう。生産者米価算定方式について論議が、異論が出てストップしておるのではないのです。諮問の仕方に問題があるから、だからストップしているわけでしょう。こんなことは今までないことですね。そして、この委員会はいつでも米価審議会の正式の審議と並行して開かれてきたわけですね。私は、当然この委員会はストップして、審議会が始まったならば再開をするという態度をとるのが、本委員会の今までのやり方からするならば当然のことなんです。  この異例なことがどうして起こったか。私は、政府米審に対する、米審の権限の空洞化あるいは米審無視の思想が背景にあるからではないかということを考えざるを得ません。こんなことは二度と繰り返してはならぬことなんですね。七月になれば生産者米価問題はいつでも起こりますけれども、しかし、ことしは米開放の重圧の中で開かれる米価審議会です。今までより以上に慎重な態度がとられなければならないときにこういうやり方というのは、これは全く不当なやり方でございまして、私は厳重に抗議をするわけでございますが、これに対する大臣の見解を最初に伺っておきたいのです。
  120. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えをいたします。  せっかくの御指摘でございますから、十分拝聴いたしました。いたしましたが、米審を無視しているというふうなお言葉でございますけれども、そういう気持ちもございませんし、そういう事柄はさらさらないというふうに私は考えております。すなわち、先ほど来御答弁申し上げましたとおり、政府・与党間での調整は調整としてさせていただくということでございます。 これは決定でもございませんし、それを公表したわけでもない。新聞報道は、これは自由でございますから、これはやむを得ないことだなというふうに私どもは考えておりますが、私は、政府・与党間の調整を旨といたしまして、私なりに十分な本省内での協議を経ましてけさ諮問をしたということでございます。  また、先ほど来米審がとまっているじゃないかという御指摘でございますが、これは米審の会長さんの御判断に基づいておやりになっていることでございまして、こちらからとやかく申し上げるべきではない。私どもは今後、本日、明日にわたりまして米審が私の諮問を十分討議をしていただく、そして答申をしていただくということを心から期待をしているわけでございます。
  121. 山原健二郎

    ○山原委員 今までとやはり違いますよ。だから、米審が冒頭から審議がストップするのは当たり前のことなんですね。これはもう明らかに米審に対する空洞化といいますか無視というか、少なくとも軽視のあらわれである、二度とこういうことはすべきではないのです。今までの長い経験からお互い知り尽くしたことですから、これ以上言いませんけれども、これは非常に残念なことですね。しかも、ことしのような重要な段階における米価の決定の問題ですから、これは慎重な上にも慎重な態度をとらなければならないのですが、時間の関係でこれ以上申し上げません。  我が党は、この米問題で全国調査をしております。これはもうかつてない深刻な事態が農村と農業に起こっておりまして、これは藤田議員の方から後の質問で出てくると思いますけれども、例えば後継者の問題、昨年の新卒業の農業後継者は二千百人ですね。長野県の場合、市町村が百二十一市町村ありますけれども、わずか二十四名にすぎないという状態でございまして、これはもう取り返しのつかない事態が進行しつつあるということを見ておかなければならぬと思います。農業に希望の持てる展望を示すことが今大事なのでございまして、米価決定ではこのことが基礎にならなければならぬと私は思うのです。そうしますと、米価引き下げなどという結論は絶対に出てこないというふうに思いますが、今諮問されている中身は一・五%でしょうか、引き下げでございますけれども、こういう諮問はすべきではないというのが私の考えです。これを撤回する意思はありませんか。
  122. 山本富雄

    山本国務大臣 撤回する意思はございません。
  123. 山原健二郎

    ○山原委員 生産者米価を見てみますと、本当に十四年前に戻ったわけですね。この間に物価指数は四六%、労働賃金は七四%上昇しておりますから、実質大変な引き下げであるということは間違いありません。しかも、生産資材が、八五年を一〇〇としますと、八九年で九六・一%です。ほとんど下がっておりません。結局、農民の労賃を削っていくという以外に生きる道がないという状態ですね。政府調査でも、米作農家家族労働報酬は八六年が六千六百八十二円、八八年が四千三百四十一円、三五%の低下ですね。こういう事態に置かれているわけでございまして、農民にとってはもう大幅な賃下げ、後継者が出てこないのも当然のことなのでございます。  もう一つ問題になりますのは、規模拡大を進める政策の問題でありますけれども、全国農協中央会の米政策研究会の中間報告を見ましても、米価引き下げが結局専業農家などに大きな打撃となり、規模拡大の意欲を奪うと指摘をしております。こう考えますと、米価引き下げ規模拡大を進める政策などというのは当然とれない問題だと思いますが、この点について簡単にお答えいただきたい。
  124. 森元光保

    森元説明員 家族労働費の問題についてでございますけれども、先生御案内のように、米価算定当たりましては、家族労働費につきまして都市均衡労賃評価がえをして算定をしてきておるというような状況でございます。特に、最近の米の過剰基調が強まる中におきまして、やはり私どもといたしましては、五十六年産以降、都道府県別の米の販売数量によりまして加重平均をいたしました事業所規模、五人以上千人未満製造業賃金を採用してきたわけでございます。私どもといたしましては、この都市均衡労賃を採用することが適当ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  125. 山原健二郎

    ○山原委員 規模拡大、経営合理化の問題と関連しまして、土地改良事業、この問題について、これは促進が重要な問題でありますけれども、農家負担の軽減は引き続き重大な課題になっております。例えば土地改良事業で幹線農道、ダム、幹線水路などは立派な公共的社会資本となるもので、その経費は農家負担の対象から外すなどという抜本的な対策がとられる必要があることはもうしばしばこの委員会で問題になっておりますが、これについて大担な政策を打ち出す必要があると思いますが、この点について見解を伺っておきます。
  126. 片桐久雄

    ○片桐説明員 土地改良事業につきましては、その事業の種類とか主体に応じまして、公共性の程度等に応じて国庫負担、補助率、そういうものが決められているわけでございますけれども、ただ、事業による利益が個別農家にも帰するということで、受益農家にも応分の負担をしていただくということが基本になっているわけでございます。ただ、先生御指摘のような基幹農道等につきましては、既に地域における公共性に応じまして県とか市町村、そういう公非団体の負担がなされまして、農家負担がゼロという場合が非常に多いというふうに聞いております。  また、平成二年度からの措置でございますけれども、国営事業でできますダムとかそういう公益性の高い施設に係る地方公共団体の負担につきましては、その実態を反映するような地方財政措置を講ずるという予定で作業を進めている次第でございます。
  127. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がありませんので、最後の一問で終わりますが、米の開放問題、これは大臣にお伺いしたいのですが、これは報道によりますから大臣は否定されておると思います。日本政府が米の部分開放についてアメリカ政府に打診しているという報道がなされました。その報道によると、日本が米の輸入の一部自由化に踏み切った場合、輸入量の枠拡大を要求しないと確約するよう非公式に打診したが米国はこの提案を拒否した、こういう報道があります。恐らく大臣は否定されておると思いますが、この場所で、そういう事実があったのかどうか、お伺いしておきたいと思います。  同時に、部分開放に応じたら次は枠拡大、そしてさらに完全自由化を迫ってくることは明らかでございまして、これがアメリカのやり方です。わずかの開放ならという譲歩が命取りになることはもうだれも想像することができるわけでございまして、確固たる姿勢をここで貫くことが必要でございます。このことについて大臣の見解を伺っておきたいのです。  もう一つは、米が高い、消費者のためになどという宣伝がなされております。日本ぐらい自国の農業と米に対する攻撃の宣伝がなされている国は恐らくないだろうと言われるくらいの激しい攻撃が続いておりまして、これに反対する者は国際化の実情を知らないとか、あるいは時代おくれの考えであるとかいうふうなことが言われるような事態まで起こっているわけでございますが、私は、言論の自由はあると思いますけれども、しかし乱暴な、しかも事実にそぐわない米と農業に対する攻撃に対しては、農水省は断固たる姿勢でこれについて反撃をする必要があると思っております。あらゆる機関を通じてそれはなされなければなりません。  例えば、消費税の問題では、政府は莫大な金を費やして宣伝をしてきましたね。日本の米を守るためにそれくらいの大胆な宣伝をしていいのではないかと思うわけです。特にガットのウルグアイ・ラウンドを前にしまして、外交官を総動員して日本の米を守る国民的な大きな運動を展開していく、この国民世論の背景のもとに初めて米は守られるのでございまして、そういう問題について今農水省が本格的な決意を持つ必要があると思うのでございますけれども、これについて大臣の見解を伺います。
  128. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えをいたします。  最初に、米国政府に対しまして非公式に米の一部自由化に関して我が方が打診をしたなどという報道がされておった、これは私、承知しております。全く事実無根でございまして、これははっきり否定をしておきたいというふうに思っております。  それから、今先生から部分自由化の問題の御指摘がございました。これは予算委員会でも先生とやりとりをいたしましたが、現在、我が国生産者生産者団体と行政、これが三者一体になりまして、水田面積の三割にも及ぶ厳しい生産調整を実施しておる。先ほど来これらの御指摘もございました。ことしの米価に関しましても、このことも指摘されております。しかしながら、消費の減少等により需給ギャップが拡大をする傾向にありまして、米は引き続き過剰基調で推移をしております。  さらに、我が国の食糧自給率は、先ほどこれも指摘がございましたが、大幅に低下をしているということ、あるいは水田稲作が国土、自然環境の保全等に重要な役割を果たしていることなど、米の輸入を許すというふうな事情は、いずれを見てもないというふうに考えております。  なお、対外的にも対内的にも農林水産省しっかりして日本の農業、特に米を守るための国民運動を展開せよというふうな強い御指摘でございました。私、全く同感でございまして、一生懸命今もやっておりますが、これからも内外にわたってやってまいりますので、ぜひ御協力と御指導をお願いいたしたい、こう思っております。
  129. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  130. 大原一三

    ○大原委員長代理 小平忠正君。
  131. 小平忠正

    ○小平委員 朝からの質疑の中で、各党の質問者からも今回のこの米審に対する政府諮問についての意見が出されました。  私も私の立場から一言申し上げたいのでありますけれども、政府とそれを支える与党である自民党、この両者でいろいろと協議をして、そしてその上で米審に対して大臣からの諮問が出される、これはわかります。しかし、このように皆さんがこの点について追及されるということは、今回おかしい、これは客観的に見ておかしいと思います。  確かに、マスコミは勝手に書いた、このように言ってしまえばそれで終わりでありますけれども、私は、なぜこの米審がとまっているか、それは、政府側委員はいいとして、生産者消費者、この代表をする審議会の委員皆さんがやはりおもしろくない、不愉快である、このように感じているのではないかと思います。今まではよかったわけでありますけれども、特に今日は農業が大変厳しい環境に置かれております。したがって、米審が形骸化することがないようにその立場を十分に尊重して、そして十分審議をしてもらって、その上で政府が最終的に決定する、このやり方を間違えないようにひとつ大臣よろしくお願い申し上げます。私はこの点については、皆さんからいろいろと質問があって答弁されておりますので、時間もありませんので、結構です。  それで、私に与えられた時間も短く、また具体的な質問については午後の質問に譲りますが、今回のこの米価の問題について、昭和六十二年度においては五・九五%、それから六十三年度では四・六%米価引き下げられました。昨年は据え置き、ことしの諮問では一・五%、このようになっております。労賃とか物価等々が非常に上昇している中で、なぜ米を初め農産物の価格だけが毎度毎度こうやって引き下げられなければならないか、生産農家は政治に対する不信を今増大させております。特にこのことは最近の農業後継著、この問題にはね返ってきております。  御承知のように、今日の中ではいわゆる新規学卒就農者数は全国でわずか二千百人、そうですね大臣。二千百人というのは本当にわずかな数です。例えば私の選挙区では、北海道でありますけれども、幾つか町村がありますが、ことしの四月の新規卒業者でもってたった一人も農業後継者がいないという町村がたくさんあります。こんなことでは日本の農業の将来はどうなるのか、ひいては日本の国家というものは存続していけるのか、こういう大きなことを基点に据えて考えていかなければならないと思うわけであります。  そういう中で、大臣大臣は、農は国の基、そして農民の心を受けとめた農政を行う、このように頼もしい力強い発言をされております。私は信じます。今回のこの米価引き下げ諮問大臣の本意ではない、そう信じておるわけですけれども、大臣、今回この引き下げ諮問を出さざるを得なかったその背景についてひとつ御説明をお願いいたします。
  132. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  今回の米価決定についての経過などについて午前中ずっと答弁してまいりましたが、これは先生、申し上げるまでもございませんけれども、国内産で自給をしていく、これは内外にわたってそれを国是にして今日までやってまいりました。これからもそれで貫いていこう、こういうことでございます。そのためにどうしても国民全体の理解が得られなければならない、もちろん消費者の理解も得られなければならない、同時に国内産で自給するための稲作生産性の向上を一層図っていかなければならない、こういうふうなバックグラウンドがあるわけですね。しかも、米価につきましては一昨年、昨年、いろいろ経過がございまして、特に昨年来の経過を踏まえて、例の一・五ヘクタールを計算基礎にする、こういうことを九ブロックの地域に分けてもっときめ細かく考えようということになりまして、そして言うなれば新算定方式、これは前広米審にもお願いをいたしまして議論していただきましたけれども、各ブロックの平均的な水準よりも高い生産性を汗をかいてやっている方は、これはその地域における稲作を実質的に担っていく者だ、いわゆる担い手だというふうな判断を今度の基礎数字の中に入れました。そして算定をいたしまして今回の結果が出たということでございまして、ここには何ら作為的なものはないということでございます。御理解を賜りたいと思います。
  133. 小平忠正

    ○小平委員 今回の新しい算定方式、九ブロック等々ということについては、私は、午後も質問をする機会を与えられておりますので、そのところで具体的なことをお聞きしたいと思いますが、大臣、たった二千百人の後継者という、新しい若い青年、農業を継ぐ後継者がわずか二千百人なんということは、言ってみますならばゼロに等しい、そんな状況だと思うのです。こんなことになるということも、やはりひいては農業に対する未来がない、そこに大きな原因があると思います。そういう意味では、農水大臣である山本大臣、特に農水省の皆さん農業についてももう少し将来展望が開けるように真剣に取り組んでいただきたい、こんなふうに強く要望するものであります。  その中で私は特に、今八十三万ヘクタールという減反がされております。水田の三分の一が減反されている。北海道では約五割、半分も減反しております。こういう状況では、皆さんが言われている足腰の強い農業、そんな展望なんというのは見えてきません。ちゃんと米をつくって、そして規模拡大をして農業に対する生産性向上を高めていく、そういうことをするためにはやはりきちんと作物をそこにつくれるという状況をつくる。そんなことも含めていろいろと問題がありますが、時間の関係上、次の質問に移ります。  あわせてもう一点、大事なことだと私は思うのですけれども、十二月末のウルグアイ・ラウンドの期限切れを控えております。このことについて私は前にも質問いたしましたが、それに臨む態度のことでお伺いしたいのであります。  私は、国内世論の統一が大事であるというふうにかねがね申しておるのでありますけれども、最近経団連でも、農産物の輸入規制の削減から撤廃をしろ、そんな発言もされております。それで、経団連といえば私は思いつくのですけれども、今、ガットといういわゆる自由貿易体制を利用して、今日の日本の繁栄といいますか、世界に対して大量に工業製品を輸出しまくって経済大国にのし上がった、これはガットのおかげです。ところが、今回残念なことにその同じガットの場でもって日本という国は、工業と農業は違う、こう主張せざるを得ないという苦しい立場に置かれております。ならばこそ、もっと農水省は特にその指導力を発揮して、不協和音が出ないように、国内世論を統一するように、そういう指導を強めていかれたい、こんなふうに要求するものであります。特にこれから七月上旬の、すぐですが、ヒューストン・サミット、その後今月下旬にはジュネーブにおいてガットのハイレベル、事務レベルの交渉、そしてその後はアイルランドでの五カ国農相会議、こういう重要な会議がつながっております。特に外交の場ですから、国内世論を統一して努力をしていかれたい。  そんな意味で、大臣のそういう対外交渉に臨む態度、決意のほどをお伺いして、よろしくお願いいたします。
  134. 山本富雄

    山本国務大臣 この前、いつでしたか、この委員会で先生との質疑応答の中で、もっと外へ積極的に出なさい、こういうふうなお話があり、外へももちろん出ますけれども、正念場は七月からだ、そして今お話しのようなジュネーブの総まとめの会議、五カ国農相会議、あるいは私は直接出ませんけれども、サミットというふうなことを経過して秋から冬の陣に行く、したがって今のところは国内世論をしっかり固めていきたいというふうなことを申し上げた覚えがございます。  この間、経団連からある種の発表がございまして、それに私は私の考え方を述べさせていただきました。すなわち、国内で世論がとにかく分かれておったのではやはり日本の国益を損する、日本の農業というものは日本の国の大事な産業の一つなんだ、しかも、今もお話がございました工業と農業は本質的に違うのでございまして、これはガットの場でもちゃんと認められておる、しかも、日本だけの問題じゃない、アメリカもECも世界じゅうの国々が、工業と農業とは違うのだ、こういうことで認識は一致しておるということでございますから、今まで日本が提案をしてまいりました、あるいは主張してまいりましたその主張を貫くべく、今後ともあらゆる場面を通じまして、今度こそ私も外へ出てまいりますからはっきり主張してまいりたい。  しかし、いずれにしてもやはり国内世論が大事でございます。また、生産をしている農家の方々が大事でございますから、その方々の意見をバックにして外へ向かって強力な主張をしてまいりたい、こう考えております。
  135. 小平忠正

    ○小平委員 私ども、そういう意味では、外部からでありますけれども、いわゆる日本の農業を守るために応援もしたいと思います。ぜひ頑張ってください。  あとの質問は午後に譲ります。終わります。
  136. 大原一三

    ○大原委員長代理 阿部昭吾君。
  137. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 実は私の郷里出身の、吉田内閣の終わりごろに食糧庁長官をやった安孫子藤吉さんという人がおります。この人は、あの当時食管制度の問題をめぐって吉田さんのげきりんに触れて職をなげうった人であります。  私は、今農林省の、特に幹部の皆さんに申し上げたいのでありますが、米問題、これはある意味でいえば農政の象徴的なものなのであります。この問題が今のような袋小路に入ってきて、私の記憶では十数年たっておると思います。日本全体の経済なりいろいろな問題は、ECにしてもアメリカにしても脅威を感ずるほどの大きな発展を遂げた。米問題、農政問題が今のようにじりじりと追い詰まってきた。その中でこの問題に、頭のいい農林省の役人が何一つ大胆な方向を出し切れない。今度の米価など明らかに——私、山本大臣は大変まじめな方だと思ってきました。しかし、今度のやり方を見ると、結局じりじりと追い詰められていくその中を腰だめでこちょこちょとやったにすぎないというのが今の姿だと私は思うのです。  私は、やはりもっと大胆な、例えば現状はこうである、五年、十年先にはこのようにするんだということがすっかり出てこなければならぬだろうと思うのですよ。去年は選挙だから据え置きだ、ことしは選挙が終わったから一・五%、こんなのは数字合わせでしかないとみんな見ていますよ。こういう腰だめのことじゃなくて、現状はこうだ、しかし五年後、十年後はここへ持っていくというものが、米政策にしても農政にしてもすかっと出てこなければならぬだろうと思うのです。そのぐらいのものは、今の日本のこの大きい枠組みからいえば出すことができないなんということがないと私は思うんですよ。  私の認識では、ヨーロッパではやはりいろいろな問題がありますけれども、自給率はぐっと盛り返しておる、主要国はみんな。いわゆるヨーロッパ社会は、過疎過密というのが日本ほど深刻な状況は出ていない。これは農業の中だけで解決がつかぬ問題ですよ。いろいろな産業構造全体の中で、やはりヨーロッパ主要国の農村構造なり何なりというものは日本よりはしたたかに組み立てられておる、こういうふうに私は調査をしておるのであります。  そういう中で、私がもし山本農林水産大臣立場だったとすれば、やはりこのあたりはまだ先をどうするか見えないのでしょう。見えたと思っている人は一人もいませんよ。農村がいら立っておるのは、先が見えないからみんないら立つのです。だから、こういうときにはじっくりと、例えば米価なら米価は三年なら三年凍結する、その間に五年、十年先の農業なり米問題の将来はこうだというものを出すのだ、このぐらいの大胆なものがなければいかぬだろうと私は思うのです。私は、山本大臣に非常に大きな期待を持っておったけれども、結局、去年もおととしもその前の年も同じような手法でちまちまとやってきたにすぎない。このところはやはり農林省の幹部の皆さんも、官房長など大変豪傑な顔に見える。声だけでかくたってだめですよ。やはりもっと、昔の安孫子食糧庁長官が、あのワンマン吉田茂さんに、食管制度というものは貫かなければならぬと言って職をなげうった役人がいるんですよ。そのくらいのことが農林省でできないというのはおかしいのじゃないか。毎年毎年こんなことを繰り返していくのですか。世界の主要国の中で、カロリー換算自給率四九%なんという国はもうなくなってきていますよ。ヨーロッパはみんな盛り返してきておる。  そこで、今の諮問の仕方がどうだとかこうだとか盛んに大きい声で答弁されますけれども、しかし、農村や国民はどう見ておるかというと、政治の茶番劇としか見えない。やはり山本農政はここで一本、まだ答えが出ないならば、三年、五年待ってくれ、その間は米価は凍結だ、しかし、五年、十年後の見通しはここに行くんだということをはっきり出さなければいかぬのじゃないかと思うのですが、大臣の所感、考え方をお尋ねしたいのであります。
  138. 山本富雄

    山本国務大臣 いつもながらでございますが、非常に大所高所から御説諭を含めてお話がございまして、よくお聞きをしておりました。  具体的な問題で恐縮でございますが、算定方式につきましては、先生は、ちまちまやったんだ、こうおっしやいますけれども、あるいはちまちまととる方もあるかもしれません。価格形成の場の問題などもここで大分論議されました。これも、とりようによっては、あるいは食管制度をどうしよう、こうしようという意図じゃないかということなども言われております。しかし、私に言わせれば、農業というのは時間がかかるもので、一服の頓服と一本の注射で日本農業の将来はすぐ開けるなんということがない、一歩一歩だ、毎年毎年だ、こういうふうに私は思っておりますので、その毎年毎年が形容詞でいえばちまちまするかもしれませんけれども、それが積み重なっていく以外にないのじゃないか。それは、先が見通せないというお話ですけれども、山が重畳としておりますから、一つの山を越えますと次の山がある、また次の山がある、これを越えながら次の世代に引き継いでいく、こういう考え方に立ちながらやっていく。この算定方式も相当——今、農林省の安孫子藤吉先輩の話が出ました。私も一番最後のところでおつき合いいたしました一人でありますが、若い連中が随分苦労して出した方式でございまして、これらはそう簡単にまた変えるべきものでもないなと私は思っております。  いずれにいたしましても、米価審議会諮問を十分見きわめ、また先生の御説諭も十分体しながら、不敏でございますけれども、ひたすら一生懸命やってまいりたい、こう考えております。
  139. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これは、実は私も二十四年間も国会におりますから、党派やなんかの立場を離れて、与党の皆さんとも野党の皆さんとも私はぶち割った話をいろいろしておるわけです。そういう山は死ぬまであるでしょう。今袋小路に実際上追い込まれているのですよ。  今もお話しのように、後継者はほとんど出てこない、嫁の来手もいない、過疎はどんどん進む、高齢化は農村の方が決定的に進んでいく。しかし、アメリカは百何十ヘクタール、ECは二、三十ヘクタール、日本は平均すると一ヘクタールでしょう。こういう中で、一体日本の米、農業の進路をどうするかという、それを一山二山越えたってだめなのです、大山を越えなければ。  私はその意味でもうちょっと、米問題はきのう、きょう始まった問題じゃなくて、もう十何年間同じことを繰り返しているわけです。今度のやり方は大変になんということは、だれもそうは思っていない。ああ、また例によって茶番劇やったな、国民のほとんどがそうでしょう。だから、米審だってあのていたらくなんです。私は、このことをぜひ根本的に考えて、やはり本格的な手だてをどのようにするのか。小さな重畳たる山を越えていくというのじゃなくて、一遍大山を越えるということをやらなければ、今の農業や米の直面している問題は、ああなるほどやったなという実感が出てこない。ここはやはり大いに踏み込むべきであるということを申し上げて、あとは後ほどの質問に譲りたいと思います。
  140. 大原一三

    ○大原委員長代理 北沢清功君。
  141. 北沢清功

    ○北沢委員 きょうは米価問題に絞って御質問をいたすわけですが、今もいろいろと各委員皆さんからお話がございましたように、昨晩にかけての自民与党の価格決定というようなことがいわゆる米審の存在意義というものを、また国会審議の面から問題があるのではないか、そういう非難、不満足なことはだれしも感じているわけでありますし、また国民皆さんの目に映る、特に今回の米価の中で、果たして農業がこれからどういう展望を持つかということについては、今回の米価決定は、いわゆる他産業がどんどんと好況の中にありまして、一町五反の農家でさえも、私は地方におりまして、工場に勤めている高校を出た女性の方の所得よりも、よく計算してみれば実質的に低いのではないか。  そういう状況の中で今回の米価は一・五%ということでありますが、非常に不満を持っておるのではないか、そういうふうに私は感じております。それにあってか、昨年の米価はいわゆる選挙絡み。しかし、昭和五十一年度からずっと同じような米価状況でありますから、その間における労賃なり物価の値上がりというものは相当な額でありまして、この側面については後で御質問いたしたいと思うわけでありますが、そういうようないわゆる他産業との中での農業者の悲哀といいますかそういうものは今回も、一・五%ということでありますけれども、私は非常に強いのではないかというふうに感じております。  今回のこの米価の決定に当たりましては、新聞論調やテレビ等で見ておりますと、いわゆる米審以前の米審のような形で自民党の中でいろいろと論議があったようでございます。そういう中で何か一番の中心になるものは、この市場開放に当たって、今のウルグアイ・ラウンドでの国際世論といいますかそういうものが、やはり米価を下げなければいけないんじゃないか、ある面では、新聞論調等では、一・五%ではなくて四%という形も出るのではないか、そういう論議がされております。しかし一・五%では、果たしてウルグアイ・ラウンドの中でそれに値するものであるかどうかということも疑問に出たというふうに報道されております。     〔大原委員長代理退席、穂積委員長代理着席〕  実は例年、米価の農民団体の要望も、今上京して米審会場にも行っておるわけですが、実は昨日大会があって、その後カナダ大使館とかアメリカ大使館であるとか、いわゆるウルグアイ・ラウンド関係のある主要な大使館へ要請に参りました。私はカナダの大使館へ参りまして、カナダの大使館の経済担当参事官、また国会担当の参事官等とも約一時間にわたっていろいろとお話を聞いてまいりましたし、私どもの要請も実はしてまいったわけであります。カナダはアメリカと同じ立場におるいわゆる輸出を中心とする国でありますが、この問題はカナダの中においても非常に難しい問題である、なおかつ、カナダ政府は農民団体と何回も何回も非常に話をしておるんだということを言っております。  そういう面から見ると、いわゆる強い要望を、日本に市場開放を迫っている国の農民も、今回の国際的な市場開放というものについては大きな疑問と不安を持っている。もちろんアメリカの農民もそうであろうと思いますが、そういう感じを私は深くしたわけであります。  たまたま私と一緒に行った消費者の団体の方も、実はこの間ジュネーブへ、前島委員と同じように行ってまいりまして、その際における日本の対応というもの、これは十二月末にウルグアイ・ラウンド決着を見るということでありますが、私は、その山場はこの七月だろう、七月のサミットから農相五カ国会議等を中心として相当方向づけされていくのではないかというふうに思っております。そういう中で、表面は、市場開放は反対であるというふうに言っておりますが、実際は、その下ではもうその妥協のいろいろな問題が進められているということ、そのことは、自民党のあの米価決定の中においてもそういう意見が非常に出されておるということを聞いておりまして、これはえらいことだ、何としても国論を、日本の農業を守るために統一をしていかなければいけないんじゃないかというふうに私は感じました。それとあわせて、世界的にガットの農業交渉に関する民間人会議というのがことしの二月、ジュネーブで開かれまして、これはECの副委員長であるとかオランダの農業大臣等も出席をして、世界の環境運動家や消費運動者やいろいろ農業者等が相当出席をしておりますが、その中でも、やはり農業を守るためにガットのあり方というものに強い批判をされたという宣言をしております。したがって、報道では、ウルグアイ・ラウンドの本年度米価引き下げが取りざたをされておりますが、そういう面でこの問題が果たして今度の米価の中で作用しているのかどうかということについてまずお尋ねをいたしたいと思います。
  142. 東力

    ○東説明員 ただいま北沢委員から御指摘されましたとおり、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおきましては、十二月をめどに各国が鋭意議論をしているところでありまして、七月にもまた集中的な話し合いがあると思います。  我が国といたしましては、この農業交渉においては、米を国内産で自給するという食糧安全保障の方針を我が国の基本的方針といたしまして、これが貫かれるよう最大限の努力を傾注していきたいと考えているところでございます。  この自給方針につきまして、国民各界各層の御理解を得ていくためにも、稲作生産性の向上とコスト低減を通じて国民の広い納得が得られる、そういった価格での供給が図られるよう生産者米価を適正に決定していく必要があると考えております。
  143. 北沢清功

    ○北沢委員 国会決議もそうですが、やはり国際的ないろいろの動きがあるわけでありますけれども、日本の国民農業をどういうふうに守っていくか、そういうことが非常に重要な立場であろうと私は思います。  たまたま今各委員からお話がありましたように、日本の今回における米価の下げが、今言われるような経営の規模の拡大なりコストダウンに向けて本当に実効ある作用をするかということになると甚だ疑問でありまして、やはり今の農業の行き詰まりというか、ますます加速度的に袋小路に転落をしていくのじゃないか、また、専業農家ばかりじゃなくて、ある面では専業農家が兼業化をしていくのではないか、そういう感じを私は持っております。ですから、政府のねらっている、この引き下げによって小規模農家を振り落として集約して大規模化を図ろうということについては、米価の今回の下げ幅というものが決していい作用をしておらないのではないか、そういう感じを私は持つわけであります。  したがって、ことしの米価算定の方法と昨年の方法との相違点を実は先ほど説明されたわけであります。昨年は一・五ヘクタールを基準といたしましたけれども、これについては選挙等もありまして、いわゆる据え置きということになったわけであります。ことしの米価算定方式というものは、全国を九ブロックに分けて米価算定したという説明がございました。全部の農家から見ると、その対象になるのは四十数%ということでありますが、この中で私が一番心配をすることは、各ブロックの中における格差があるということですね。  先ほど自主流通米のことも出たのですが、自主流通米の中では地域間格差というか、地方の特定化が進んで、日本の中においても、例えば中国地方であるとかその他比較的南の方については、米づくりというものが非常に急速にだめになっていくのじゃないか、そういう感じを持つわけでありますし、また、今回の自主流通米価格差の拡大ということですね。良質米という形で今まで補助金を出しておったのですが、これらの良質米の中における格差というものが拡大をすることによって、そういう米価算定地域の特定化ということとあわせて非常に問題が出てくるのではないかという感じがいたします。  それと、最近、農業の中で中山間地帯の農業をどうするかということになってくると、やはり中山間地帯というのは、米質の面においてもそうでありますし、規模的な面においてもそうでありますし、いろいろの面で非常に不利な面があるわけでありますから、そこら辺における米価の下げというものが中山間地帯における農民の意欲というものをますますそいで、中山間地帯の農業というものが将来にわたって非常に問題になるんじゃないかという感じがいたしますが、これらについてどういうふうにお考えになっておられるか。これは昨年の方式とあわせて今回の米価算定方式の中における問題点であろうと思いますので、これらについて御答弁をいただきたいと思います。
  144. 森元光保

    森元説明員 昨年の算定方式とことしの算定方式につきましては、先ほどもお話を申し上げたわけでございますけれども、昨年は一・五ヘクタール以上の個別経営農家を対象にいたしまして算定をしたわけでございます。これにつきましては、対象農家平均規模が大きいという問題でありますとか、現実の稲作経営とかなり実態が乖離しているのではないかというような御指摘がありましたし、また、規模が小さくても生産性の高い農家が対象にされていないというような問題、さらには対象農家の戸数、あるいは販売数量シェアが小さいというような御議論もございまして、本年におきましては、そういった御議論を踏まえまして新しい算定方式につきまして検討してきたわけでございます。  ことしの算定方式につきましては、先ほども先生からお話がございましたように、全国を九つの地域、これは一般に農業地域というのがございまして、九つのブロックに分けまして、それぞれのブロックごとに平均的な水準以上の高い生産性を実現している農家、これはその地域におきましては、規模は小さくても稲作の実質的な担い手であるというようなことで、今回算定方式の対象にしてきたわけでございます。その結果、対象農家の戸数につきましても四四%のシェアを占める、あるいは販売数量にいたしましても六〇%になるというようなことで、昨年の方式に比べますと、そういう点におきましてはかなり改善をしてきたつもりでございます。  ただいま自主流通米価格差の拡大等のお話があったわけでございますけれども、自主流通米がかなりの量になってまいりまして、集荷ベースで申し上げますと既に自主流通米が七割程度になっておる、政府米が三割というような状況になっておるわけでございまして、やはり食糧管理制度の健全な運営ということから考えますと、両者が均衡のある形でもって需給操作をしていくということが非常に大事ではないかというようなことでございます。  そういったことも踏まえまして、良質米のいわゆる奨励金につきましては、先ほども申し上げましたように一部仕組みを変えまして、できるだけよいお米を自主流通米に回していただくようにしていただきたいということで、若干の格差を設けるというふうな形にしたわけでございます。最近は非常に消費者の上質米志向というのが進んでおりまして、それに対応いたしまして産地の方も急速に良品質の銘柄のものに切りかわってきておるわけでございまして、そういう意味では、それぞれの産地で一生懸命良品質のお米を生産する努力を現在していただいておるわけでございます。  また、中山間地帯の米づくりの問題につきましても、最近はやはり消費者の安全志向でありますとか、あるいは有機質でつくったいわゆる有機米のお米が欲しいといったような需要もかなり出てきておるわけでございまして、やはりその地域での付加価値を高めた米づくりというものも一つの方向ではないかということで、最近は中山間地帯におきましてもそういった新しい米づくりというものへの取り組みが行われてきておる、こんなような状況に相なっておるわけでございます。
  145. 北沢清功

    ○北沢委員 私は、米の味覚といいますか、良質米というようなことを否定するわけではなくて、やはり今回の米価の下げが、いわゆる日本の中における米の今後におけるあり方といいますか、そういうものを非常に特定化をしてくる。また、それと同時に、今言ったように、この自主流通米価格差というものの拡大、ないしはそのことが今後何年自主流通米の良質米補助金というものを出すかどうかということにもかかっておるわけですが、そこら辺が、大蔵省等の考え方の中では、もうこれはどんどん減らしていこう、そういう方向でいることは私は確かであろうと思っております。したがって、そうなってくると、自主流通米における良質米の補助金というものが将来どんどんと低減をされてくると、これも自主流通米の占める割合が多いわけでありますから、実質的に米価が後退をするのではないかというふうに考えるわけです。  したがって、今農林省が考えておられる自主流通米価格差といいますか、良質米の補助金というものが当面どのくらい将来にわたって持続するのかどうかということについて、考え方をこの際お聞きをいたしておきたいと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  146. 森元光保

    森元説明員 お米に対します良質米奨励金につきましては、五十一年以降交付をしてまいったわけでございますが、その後におきます米の流通の事情というものが相当変わってまいりまして、先ほども先生お話がありましたように、今自主流通米政府米生産者手取り価格というものにつきましては、かなりの格差が出てきているのは事実でございます。例えばAランク米でございますと、政府米生産者手取り価格に対しまして、全国平均でございますけれども、大体五千五百円くらいの格差がございますし、また、Bランクにつきましても、二千二百円くらいの格差が生じてきているというような状況でございます。  やはり生産者としては、いいお米をつくりましてそれを高く売るということは、これは生産者の当然の行為でございますし、また、そういった形でもって生産者の努力に報いていくということは非常に大事なことであるわけでございまして、私どもといたしましても、自主流通米が七割に達するというような状況の中で、これからやはり産地別の銘柄格差というようなものは、ある程度消費者のニーズに応じた形でもってその格差がつけられていくというのが非常に大事ではないかというようなことで、先般自主流通米につきましての価格形成の場をつくろうというようなことで、今鋭意検討をしているような状況でございます。  いずれにいたしましても、そういった状況を踏まえまして、今後、自主流通米につきましての奨励金等につきましては、米の流通実態等を十分見きわめながら検討をしていく課題ではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  147. 北沢清功

    ○北沢委員 時間がございませんので、コストダウンということを盛んに今言われておるのですが、実質的に農業基本法が制定をされておりまして、中核農家土地を集めて、そういう中核農家をつくるというのが一つの今までの目標だったわけであります。しかし、そういう土地を集めて中核農家をつくるということは、当初考えられたよりも非常に難しいことでありますし、そういう意味での最近の土地規模拡大の状況がどういうものであるか、また、今農林省がどのような規模を政策目標としておるのか、そこら辺をやはり私どもは聞いておかなければいけないわけであります。  時間がないからもう一つ申し上げますが、兼業農家の方向の中で、いわゆる中核農家を育てるという方向と同時に、全国各地で栽培集団であるとか委託栽培というようなものを相当拡大されて、共同利用の中で機械投資なり労働力の効率化というものが図られております。私どもの町でも天皇賞をもらうような、そういう農業生産組合ができておりますが、やはりそこでも幾つかの問題があるわけでありまして、農村に担い手が定着をしないということもさることながら、やはりそういうような大きな農業の委託なり集団農業をやっていく上においては、リーダーであるとか機械のオペレーター、ほとんど機械的な形でやるわけでありますから、もちろんその中には機械の償却とか機械の投資の問題点はありますけれども、やはりオペレーターが農家皆さんに利益を配分するということと、その人たちが他産業と比べてふさわしい給料をもらってオペレーターとして働くという面では非常に矛盾したものを持っているわけですね。ですから、今後そういうような意味での大きな集団栽培というものを志向するとするならば、オペレーターの問題をどういうふうに国の施策として図っていかなきゃならないかということも一つの大きな問題だろうと思います。  いろいろありますけれども、先ほど申し上げましたように、当面考えられる農林省の規模の政策目標と実際に土地規模の拡大はどうなっているか、それから集団栽培等におけるオペレーターの問題等を含めてお伺いいたしたいと思いますが、新行革審の中で農業に触れていろいろの答申をされております。これらの感覚というものは農業を工業と同じ立場に見て、「均衡のとれた社会経済の維持・発展」といういわゆる工業と農業を「均衡のとれた」という形の表現で、他産業、特に工業との均衡を早くとらなきゃいけない、健全な農業と生き生きとした農村が不可欠であるということで、いわゆる市場開放、内外価格差縮小というものに目を向けているのですが、これらは非常に、彼らの思っている自由化がもし進むとするならば、日本の水田というものは大体半分になるのではないかと言われておりますね。それから、農政審が言うような三十ヘクタールとか五十ヘクタールという国際競争力のある経営が方策とすれば、日本の稲作農家は二万戸ないし三万戸になるのではないか、そういう姿が果たして健全な農業であるかどうか、また現実的に日本の農業を守ることになるのか、または日本の農民が救われるのかということになると非常に問題だろうと私は思いますので、ここら辺における政策的な目標はどこにあるかということを私はお尋ねをいたしたいと思います。
  148. 松山光治

    ○松山説明員 規模拡大の状況でございますが、各般の施策を重ね、かつ、各地域での同じ取り組みのもとで、個別経営の規模拡大、あるいは生産組織という形をとりました効率的な生産単位の形成という形で、徐々にではございますけれども規模の拡大が着実に進んでおるというふうに認識しております。ただ、残念なことに、各方面からの要請の強さとの関係からいえば、なお格段の努力が必要な状況にあるのではないか、このように考えておるわけでございます。  若干の指標で申しますと、例えば農用地利用増進法によります利用権の設定の状況にいたしましても、昭和五十八、九年ごろには三%程度の利用権の設定でございましたけれども、平成元年には四・八%にまで拡大をいたしております。また、個別の規模の問題といたしましても、稲の作付規模別生産者の売り渡し数量、仮に一・五ヘクタール以上層でどの程度になっているだろうかというのを見てみますと、五十八年産三九・六、四割をちょっと切っておりましたけれども、六十三年産では約四二%までふえておるといったようなこともございますし、また、実質的な規模拡大につながります農作業を委託する層、これは主として小さな方が多いわけでございますが、それが大きな層ないしは生産組織に委託してくるということで、農作業の委託をしておる方が五十三年には約三割でございましたが、六十三年には約六割の方が何らかの形で委託をしておる、こういうふうな状況ができてきておるわけでございます。したがいまして、こういう状況を踏まえました各般の施策の展開を行っておくことがなお一層必要になっておる、こういうふうに考えておる次第でございます。  規模の目標の問題でございますけれども、これは御案内のように地域の条件も異なります。また、地域によって経営の中身も異なります。なかなか画一的にこれを考えていくということは適当ではなかろうというふうに私ども考えておるわけでございますけれども、例えばこの前の長期見通しの中におきましても一定の指標をお示ししてございます。例えば都府県における稲作主業経営の平成十二年度における望ましい規模としては八ヘクタール程度といったような指標をお示しをしておるわけでございますし、また、ことしの三月に公表いたしました土地利用型農作物生産性向上指針におきます稲の場合の一つの生産単位の物の考え方といたしましては、現在ございます技術水準のもとで一ユニットの機械化体系を効率的に駆使し得る規模といたしましては、汎用コンバインを核といたします大型機械化体系、ここではやはり二十ヘクタールから三十ヘクタール程度の規模が適当ではないか、また、自脱型コンバインを核といたしました中型機械化体系におきましては、六ヘクタールから十ヘクタール程度の規模が適当ではないかといったような目安をお示ししたところでございます。やはり各地域の条件が異なる、あるいは経営の内容も異なるというような状況を踏まえながら、私どもの考え方としては、こういった指標を各地域で十分頭に置いていただきながら、各地域における望ましい経営のあり方、あるいは生産性向上の指針というようなものの策定に取り組んでもらいたい、またそういうことを今御指導させていただいておる状況であるわけでございます。  オペレーターの問題でございますが、生産組織その他が健全に発展する上では優秀なオペレーターを確保することは非常に重要なことであると考えております。そういう点から、各地域で委託料金、協定料金といったような形で望ましいオペレーターを確保するのに必要な経済的条件といった問題に取り組んでいただいておるというふうに承知をいたしておるわけでございますけれども、高性能な農業機械を駆使いたします高度な技能を有するオペレーターを養成確保していくという観点から、私どもといたしましては、国が助成をいたしまして都道府県が事業主体になって研修を行い、かつ研修を受けた一定の技能を有する方を農業機械士として認定する、さらに、そういった農業機械士を対象にいたしました研修会を重ねましてさらなる技能の向上を図るといった事業を実施しておるところでございまして、現在既にそういう形で農業機械士の称号をお持ちの方が約六万人おられるわけでございます。  こういう形での施策を積み重ねながら、必要な望ましい生産構造をさらにつくり上げていくという課題に取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
  149. 北沢清功

    ○北沢委員 最後に、オペレーターの問題ですが、機械士とかの称号、研修ももちろんですが、経済的にそういう皆さんにもっともっと実効があるようなオペレーターの養成や地域の安定化というものに新しい施策で農林省も積極的に取り組んでいただきたいと思うわけです。  私が最後に申し上げたいことは、今まで農民の皆さんは食管を守るということで数重なる減反もしてまいりましたし、また五十一年以降今日まで、物価やいろいろなものが上がっておりながら米価は下がっておるという状況、さらには、今回新たにウルグアイ・ラウンド等の問題の中で、市場開放をしてはならないというような意味での、先ほども申し上げたような食管と同じような形で農村というものに厳しくするということになれば、やはりこのことは政治不信といいますか農政不信という形で、農民の皆さんも黙っておらぬのじゃないかと思いますので、これについてはよく意を用いて、ひとつ政府国民挙げてガットの交渉で日本の農業を守る点において成功されるように積極的に努力されることを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  150. 穂積良行

    穂積委員長代理 遠藤登君。
  151. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 まず、けさから政府の対応姿勢などについて重大な問題としていろいろ指摘をされているわけでありますが、私も国政に初めて参加をさせていただきまして、日本農業の根幹である米価の問題、しかもまた米市場の開設の問題などを含めて、ガット問題を含めて、これは委員会の対応のあり方だということも一面言えると思うのでありますが、もっと時間をかけて、議会、審議会ももちろんでありますが、紛糾して懇談会を開いているということがあると思いますが、所管委員会などについても、これはきちんと話し合いの場、そういう方針を提示して議論をする、そういう場がぜひ確保されていかなければならないのではないかと痛切に感じております。  そういう点からいえば、私も地方議会で三十年間余お世話になってきておりますが、大体国会とか政府の姿勢なんというのは地方議会より劣る。大体議会をばかにしておるんじゃないか、そんな話ないんじゃないかと、私はそういう姿勢については大変憤慨して、これは時代錯誤も甚だしい、情報公開とか新しい時代の変化の中で、地方の市町村議会にしても、知らしむべからずみたいなそういう対応姿勢は強く反省を求めて、今後の対応は改めてもらいたいという強い要請をしたいと思います。  そして、まず米価の問題でありますが、先ほど話があったのでありますが、大体十四年前の米価、それをさらに一・五%、農林省当局の試案ということで新聞で承りますれば四%か五%引き下げなければならない。それで物価が約五〇%も上がっていたり、十五年前の五十一年水準米価が、賃金が約八割も上がっているという中でなぜ米価だけを引き下げなければならないのか、その理由がわからないのです。これは内外価格差とかあるいは市場開放の問題とかあるいは国民の理解を得なければならないとかなどという何か御発言を承っておりますが、その引き下げなければならないという理由、あるいはそれを含めて、今回の米価決定当たりまして、諮問案を策定するに当たりましての基本的な姿勢などについても改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  152. 東力

    ○東説明員 遠藤先生御指摘の国会の話その他伺いましたが、私たちは国会も重視して、そして米価審議会意見を十分に尊重して米価算定に当たるわけでございまして、その点御理解をいただきたいと思います。  また、いろいろ指摘されましてもう十二分におわかりだと思いますが、そのとおりでございまして、私たちの基本的精神を、基本的方針をもう一度述べさせていただきますと、平成年産の米の政府買い入れ価格につきましても、昨今の米をめぐる内外の諸情勢にかんがみまして、国内産で自給するとの基本的な方針についての理解を国民各層から得るためにも、稲作生産性を一層向上し続けていかなければいけない。その向上を図り、さらに国民納得を得られるという価格での米の安定供給に努めることが現下の緊急な課題となっていると考えております。  このような情勢に対処するため、本年産生産者米価につきましては、各農業地域、九地域平均的な水準よりも高い生産性を実現している農家、こういった稲作農家がその地域において稲作を実質的に担っている者であるという定義、また同時に、将来にかけてもこういう農家が先導的な役割を果たして農業を担っていかなければいけないという期待も込めまして、このような農家算定対象農家とする算定方式により算定を行い、米価審議会諮問をしたところでございます。この答申をまちまして適切に決めていくように努力をいたしたいと考えております。
  153. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 いわば内外価格差、これはアメリカの六・五倍とかタイの九・一倍とか、それは先ほどからも話があるように、規模とか歴史的な背景とか生産基盤とかは全く異なるわけでありまして、もちろん生産性の向上とかコスト低減に努力をしていかなければならないわけだけれども、相当実態に合わない生産者価格、いわばそういう価格政策をして、その国の生産基盤が近代化されて、しかも農林産業が安定して発展したという国は世界のどこにありますか。教えていただきたいものだな、そういう国があれば。実態に合わない価格引き下げ引き下げをして、そしてその国の農業が栄えたという国はどこにありますか。
  154. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 ちょっと直接のお答えにならないかもわかりませんけれども、私ども、やはり内外価格差の縮小問題というのは、土地利用型農業稲作などにつきましては土地の制約があることは事実だと思っております。EC諸国は日本の十倍、アメリカは百倍というようなことから、アメリカと全く同じような価格にするということは、これはできないことと認識しております。  ただ、先ほど来御答弁申し上げていますように、私どもとしましても、国民に安定した価格で、納得していただける価格で食糧を供給する、米もまたその一つだと思っております。そういう意味からいきますと、できるだけ与えられた土地条件を最高度に生かし、さらにまた規模を拡大する、あるいは兼業地帯では生産の組織化をしていくということで、作業規模を拡大しながら生産性を上げていく、そういうのをまた国民に還元していく、そういう方向は日々行っていく必要があろうかというふうに考えて今回の米価諮問案を作成し、諮問しているところでございます。
  155. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 先ほどからもこれまた話があるわけですが、一体どこまで下げる気だと。
  156. 森元光保

    森元説明員 米価につきましては食糧管理法に基づきまして、生産費を基準といたしまして経済事情でありますとかあるいは物価その他事情を参酌しながら毎年の米価を決定しておるわけでございまして、そのときどきの生産費なりそういった状況を踏まえながら適切に決めていく問題である、こういうふうに思っておるわけでございます。
  157. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 穀物の自給率がせめて米だけでも一〇〇%守っている。減反も三割も頑張ってやっている。それで生産者も、大体少なくても五年くらいとか、米価のいわば価格指標というかそういうものを出してもらわなければどうにもならないのではないか。計画的に取り組めない、あすが見えない。したがって、これは米価審議会を含めて相当中長期的な展望で、農業はやはり御案内のとおり一定の期間をもってそれなりの総合的な努力を積み上げていかなければどうにもならない。これ以上どこまで引き下げるのか、どうなるのか。展望がないような状況の中で山村はもう解体をしてがたがた下降線をたどる。そしてもう農業後継者などはほとんどいないに等しいような状況で、高齢化が極度に進行している。こういう状況の中で農業と農村が環境問題を含めて大変な状況になってきているし、なっていくのではないだろうか。これは消費者だって、国民全体が深く理解をできる問題だと私は思うのでありますが、将来の展望を中長期的に、明確に一定の指標を提示していく必要があるのではないか、こういうふうに思いますが、どうなんでしょう。
  158. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 将来展望を明らかにしながら農政を進めていく、これは農政の指針とするためにも、また農業団体あるいは農家の方々が生産の方向づけを行うためにも重要であるというのは御指摘のとおりでございます。  そういうことから、本年一月に二〇〇〇年を目途とします長期見通しを策定いたしまして、これは日本の国土資源を最高度に生かす、あるいは技術の改善を極力やっていくというようなこと、あるいは品質改善なり生産性の向上に努めながら進めていくという、最大限に持てる力を発揮した際の指針を示したわけでございます。  また、それとあわせまして、価格につきましては、これは毎年度それぞれの行政価格につきましてはそれぞれの法令に基づきまして決定するわけでございまして、そういう点の、将来のあれを明らかにするというのはなかなかできないことだと思いますけれども、生産性向上の指針ということで、現在程度でも想定できる規模を目標としまして、どれぐらい生産コストが引き下げられるのかというようなことの全国的な試算をやりまして、またそれを地域ごとにやっていただいているわけでございます。  また、農業団体自身も全体として生産性向上の努力目標というものを策定して農業団地化の推進というのを積極的に進めているわけでございまして、そういうような方向に私ども一緒に支援しながら生産性の向上に努めていきたいというふうに考えております。
  159. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 いろいろな角度から、一定程度出されているといえば出されているけれども、もっと統一したものを、いわば農業基本法の見直しとか、農業の基本的な振興計画ということをもっときちんとまとめて出していく必要があるのではないか、そのように強く要請をしていきたいというふうに思います。  時間がありませんから、このたびの米価決定当たりまして、特に生産費にかかわる部分で、農家なりあるいは政府の努力をそれなりにそれぞれの立場からしている。農家の努力、いわば生産性が向上した部分を全額それに見合って米価引き下げ要因にする、それはおかしいのではないか。少なくても二分の一ぐらいとか、努力したことに対してそれなりの評価というか報いをきちっと米価算定の中にも組み入れていく必要があるのではないか。その点についての配慮はどうなっていますか。
  160. 森元光保

    森元説明員 米価算定当たりましては、過去三カ年間の生産費平均を用いるということになっておるわけでございまして、生産性が向上しているという状況のもとにおきましては、基本的には二年分ぐらいに相当する生産性の向上の成果というものは生産者に帰属する形でもって現在の生産者米価というのは算定をされておるというような状況でございます。  一般的に生産費対象農家平均生産費基礎としておりますので、そういった経営よりも高い生産性を持っておる農家につきましては、当然その努力というものは生産者に帰属をしておりまして、生産性努力というものが報われておるような価格算定になっているというふうに私どもは認識をしておるわけでございます。
  161. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それに関連して、このたびの算定方式で、いわば生産費調査のシェアですね。戸数が四四%、販売数量が六〇%。戸数においてもこれは五六%という層は切り捨てということになるのではないだろうか、これはもっと配慮されてしかるべきなのではないかというふうに思うのであります。  それから、あわせて土地改良費ですね。これは今大変な問題になっておりますが、この生産費調査の中に、例えば水利費とか、ここに建物及び土地改良の設備費あるいは資本利子とか地代ということがあるわけであります。十アール当たり全国の水田の土地改良整備費の負担金、いわば償還金というのは恐らく二万を超えているのではないかと思いますが、この負担はこの生産費の中のどこに入っているのですか。
  162. 海野研一

    海野説明員 お答えいたします。  生産費調査の中で土地改良負担につきましては二つに分けておりまして、水利にかかわるものにつきましては、実際行われた工事の結果は、これは投資でございますが減価をしていくということで、本来なら減価償却で計上すべきものかと思いますが、土地改良区が償還のために農家から徴収しておりますその金額を水利費の中に含めております。ちなみに、これは六百キロ以上販売農家の総平均で、といいますのは払っていない農家も含めてでございますが、二千三百六十一円ということになっております。  そのほかに、土地改良事業の中で土地に投下されるいわゆる土地造成的なもの、例えば区画整理でございますとか大規模な客土、農道整備というようなものにつきましては、これはその効果が半永久的でございますので減価をしていくものではないということで、生産費の中には計上しておりません。  ただ、私どもの生産費はそのほかに地代という項目がございまして、当然土地がよくなった分はほかの土地よりも地代が高くなっているというふうな想定での設計になっております。
  163. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 今土地改良の負担金が大きな問題になって、これはほとんど農外所得負担をしている。それで、この土地基盤整備費の負担金とか償還金、これは一項きちっと起こすべきですよ。実際農家負担しているわけですから、稲をつくるための基盤整備の負担として負担金あるいは償還金を負担しているわけですから、これはきちっと生産費算定の中にそのまま入れるべきじゃないですか。それはごまかしじゃないですか。
  164. 海野研一

    海野説明員 お答えいたします。  私どもの生産費は、その年度にどれだけのものが米の生産に使われたかということで出すものでございまして、土地改良事業費というものは、本来これは投資でございまして、それそのものはその年度の経費ではないわけでございます。  ただ、先ほど申しましたように、水利設備でございますとか、その効果が減じていくもの、これにつきましては、いわばその減価償却に見合うものとしてその償還金、水利にかかわる部分の償還金を計上しておりますが、土地がよくなっていった分というものはその効果自体は半永久的でございますので、これは経費ではないというふうに考えております。
  165. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それはもう何というか、水利費は水利費で土地改良区では取っているわけですよね。十アール当たり七千円とか八千円とか取っているわけです、それはそれなりにちゃんと毎年。これはこの水利費の中に二千三百六十一円きり見ていない、こういうことのようでありますが、こんなもので間に合わないですよ、土地改良の負担金というのは。私らは田んぼつくっていて、こんなもので水利費が間に合う土地改良区があれば、お目にかかりたいと私は思いますね。  それから、時間がないから、この土地改良、いわば三年据え置きとか五年据え置き、十五年償還とか二十年償還、二十五年償還でしょう。これは投資だ、確かに投資かもしれないけれども、一反歩当たり、十アール当たり二万も三万も、場合によったら六万もなっているのですよ。それが生産費の中でろくに見ない、いわば若干の地代とか何かで、長い目において評価をすると。それはおかしいんじゃないですか。そういうことはまず改めてもらいたい。実際、農家負担しているわけですから、負担していないときはいいですよ、あるいは土地資本で、若干その土地評価が高くなるという部分についてはそれなりの算定要素があると思いますから、それはそれなりに結構だと思いますが、土地改良の負担金というのは、これはまるっきり固定資本の中に組み入れるというのは、それは誤りではないかというふうに思います。これはぜひ再検討を求めたいというふうに思います。
  166. 海野研一

    海野説明員 ただいま私申し上げました二千三百六十一円、余りに小さいではないか、確かにそういう実感を持たれる面は多いと思います。ただ、私どもちょっと分布を申しますと、これとそのほかに水利の維持費負担金というのが二千六百二十一円ございます。土地改良区費全体としては約五千円となっておりますが、分布で申しますと、まず土地改良区費というもの、そもそも払ってない農家が大体三分の一ございます。土地改良区費を払っている農家の中の約半分が五千円以下でございますが、先生おっしゃるとおり二万円を超えている農家ももちろんございまして、二万五千円以上のものを払っている農家も一・二%くらいございまして、それらの総平均土地改良区費全体で四千九百八十二円、償還金部分が二千三百六十一円ということになっているわけでございます。
  167. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それは納得できませんので、もう少しそれは改めて次回に、これはぜひひとつ検討して、農家がわかるような生産費費目構造にして、きちっと整理してもらいたい。  それから、大体三〇%が平均的に減反して転作をしているわけでありますが、それもほとんど農家が、いわば米価算定生産費の中に組み入れられない。それから、単なる稲作だって、いわば洪水調節から水害の防止から地下水の涵養の問題から、これは公益的な機能は莫大なものがあるわけですね。稲作農家、農民のそういう努力に対して、この米価算定に当たってきちっと評価を与えていくべきじゃないか。強く要請もしたいし、そういう点の配慮はどうなっていますか。
  168. 森元光保

    森元説明員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、生産者米価につきましては、実際の生産費基礎といたしまして家族労働費でありますとか物財費、雇用労賃につきまして直近時点で修正をしておるというようなことでやっておるわけでございまして、ただいま先生からお話がございましたような、生産費でない、いわゆる公益的機能というものを評価をいたしまして、これを生産費の中に算入するあるいは米価の中に配慮していくというのはなかなか難しい問題であると我々考えておるわけでございます。
  169. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 時間が来てしまいましたが、やはり米価が高いとか、もちろんアメリカとかタイあたりから見れば高いとかというけれども、まずコーヒー一杯分で一日も二日も生活できるというのでありますから、しかも、公益的な機能の部分については、これは大変な問題なんですね。そういう点の評価はきちっとして、国民皆さんにも米価の問題にしても農業の問題にしても深く理解をしていただくような配慮というのは、今コンピューターの時代でありますからきちっと数字は出ると思うのですね。米価算定するに当たっての貴重な、公益的な部分を米価算定の中に明確に出していく必要があるのではないだろうか、そして米価の中にもある程度組み入れていくということが大事なのではないだろうか。  時間が来たようでありますので、いろいろ質問項目を申し上げておったのでありますが、また次回に譲らせていただきたいと思います。
  170. 穂積良行

    穂積委員長代理 目黒吉之助君。
  171. 目黒吉之助

    ○目黒委員 官房長、政務次官、私どもきょう初めて諮問というのを見せてもらいました。初めて見て質問するのですから、かなり落ち度もあろうかと思うのですけれども、午前中来、諮問案が出される前に政府と自民党でことしの米価について了解した、こういう報道なり発言がございました。まず、この問題を先に私の方から質問しますので、どなたでもいいですからお答え願いたいと思います。  多くの皆さんは、これは非常に奇怪な感じで見ていらっしゃると思うのですよ。諮問によれば、いろいろ書いてありますけれども、平成二年政府の買い入れ価格について、「将来にわたり我が国稲作の健全な発展を図るとの観点に立ち、需給事情にも留意しつつ、地域における生産性の高い稲作農家生産費及び所得を考慮して決定することにつき、米価審議会意見を求める。」こうなっておるのですね。  政府と自民党で決めてしまってから意見を求めるというのは米審軽視じゃないかという議論が午前中ありました。今本米審をやっておるわけですけれども、ことしの米価を決めるに当たって事前に米審が開かれていますね。いつといつ開かれましたか。
  172. 森元光保

    森元説明員 ことしの生産者米価の決定といいますか御議論いただくことで、六月二十五日に事前米審を一度開催させていただきました。米をめぐるいろいろの問題点につきまして、大変熱心に御議論をいただいたわけでございます。  それから続きまして、六月二十九日に米価審議会を開催していただきまして、そこにおきましては新しい算定方式につきましていろいろ御議論をいただいた、こういうふうな状況になっております。
  173. 目黒吉之助

    ○目黒委員 六月二十九日に新しい算定方式についていろいろ米価審議会皆さんの御意見を伺った、これはわかりましたが、米審算定方式についての結論は出たのですか。
  174. 森元光保

    森元説明員 二十九日の米審におきまして各委員からいろいろの御意見が出まして、それを意見として取りまとめをいただいたわけでございます。大方の委員におきましては、この方式によって諮問をすることもやむを得ないというような趣旨の意見の取りまとめが行われたということになっております。
  175. 目黒吉之助

    ○目黒委員 あなた、ここでうそを言っちゃいけませんよ。二十九日の米審で新算定方式について米価審議会委員皆さんが承知をしたということになっていないでしょう。
  176. 森元光保

    森元説明員 それでは「意見のとりまとめ」につきまして、少し読ませていただきます。   本委員会は六月二十九日提示のあった「生産者米価算定方式の検討について」を審議したが、本年産生産者米価決定の直前の提言であり、論議を集約するに至らなかった。   主要な意見は次のとおりである。 ということで、四点まとめてございます。  一 今回の算定方式対象農家とり方として地域性を考慮している点については賛成の意見が多かった。  二 生産者立場に立つ委員は、今回の算定方式平均生産費以上を切り捨てるなど問題があり、賛成しがたいとの意見、また、具体的算定が明確でないので、保留するとの意見であった。  三 その他の委員は、今回の算定方式が担い手に焦点をあてる小委員会報告の趣旨からみて、不明確な点があり問題がある。問題があるが、当面暫定的に採用することはやむを得ないとの意見であった。  四 ウルグアイ・ラウンドの推移、水田農業確立後期対策の実施、政府米の集荷状況自主流通米価格形成の場の設定等米をめぐる情勢を考慮して政府米買入価格算定のあり方を基本的に検討すべきである。 こういうふうな取りまとめをいただいたところでございます。
  177. 目黒吉之助

    ○目黒委員 取りまとめは、意見を集約するに至らなかった、これが取りまとめですよ、あなたはいろいろなことをおっしゃるけれども。算定方式について意見を集約するに至っていないのです。算定方式について意見を集約するに至っていないのに、あなた方、二重の米審軽視をやっているのですよ。そうでしょう。算定方式についていかがですかと聞いておいて、意見の集約がない。ないのですよ。そうして政府と自民党の間ではさっさと決めてしまって、そして平成二年の米価をこうして決めたいがいかがですかと言って出しているのです。これは米審を開いていろいろな意見が仮に出たとして、決定した政府及び自由民主党に米審が物を言う機会がありますか。
  178. 森元光保

    森元説明員 意見の取りまとめにつきましては先ほど申し上げたような状況でございますけれども、米価審議会におきましては議論の過程におきまして、正式に諮問があった段階において算定方式につきましての議論を含めて御議論をいたしたいというような発言もございまして、今回新算定方式によって諮問をさせていただいた、こういうことでございます。
  179. 目黒吉之助

    ○目黒委員 端的に伺いますけれども、米価審議会というのは、政府と自民党であらかじめ米価を決定しておいてから審議をする場所なんですか、それとも米価審議会意見を聞いて政府が決めるのですか、どっちなんですか。
  180. 森元光保

    森元説明員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、まだ米価を決定したわけではございませんので、私どもといたしましては、政府・与党と調整をした上で、本日農林大臣から米価審議会に御諮問をいたしまして、その答申を受けた上で決定をする、こういう段取りになっておるわけでございます。
  181. 目黒吉之助

    ○目黒委員 じゃ、政府は二回米価を決めるのですか。
  182. 森元光保

    森元説明員 米価につきましては、ただいま申し上げましたように農林大臣が本日諮問をいたしまして、そしてその御議論を踏まえた上で答申をいただきますので、その答申を尊重して政府が決める、こういうことでございまして、政府・与党との調整ということでございますので、その点につきましては御理解をいただきたいと思っております。
  183. 目黒吉之助

    ○目黒委員 政府と自民党で決めたのでしょう。決めたものを米価審議会に諮って意見があったらまた決め直すのですか。  よく聞いてください。こんなものはまともな姿じゃないのですよ。あなたの話を聞いていると、来年も再来年もこれでまともだと、皆さんそう聞こえるのですよ。米価審議会意見を求めて、その意見を聞いて政府が決めることになっておるでしょう。いつからこれ、逆立ちしたのですか。そんなものまともな姿じゃないですよ。だから、きょう米審皆さん諮問案を受け取らなかったわけでしょう。今の状況は私わかりませんけれども、二時半に大臣が出席をしてもう一度提示をすることになっておったでしょう。なぜそうなったかといえば、やはり手続が間違ったからですよ。この点はっきりしていますか。いかがですか、この二つ。
  184. 森元光保

    森元説明員 農林省が米価算定をいたしまして、これにつきましていわゆる諮問案という形で調整をしておるわけでございまして、先ほどから申し上げておりますように、本年産米価につきましては、今後米価審議会でいろいろ御議論をいただき、そしてその後において、答申をいただいた上で政府として米価を決めていくということでございますので、まだ本年産米価についての決定はなされておらないわけでございます。  それからもう一つ、ただいま御質問ございましたように、米価審議会におきましては現在諮問につきまして審議をしておるという状況でございます。
  185. 目黒吉之助

    ○目黒委員 次長、あなた、そんなこと言うていいのですか。米価審議会委員皆さんは、米価審議会を招集しておきながらあのような諮問をされたのでは受け取れないと言っているのですよ。手続に瑕疵は全くなかったのですか。そこのところだけはっきりしてください。この点についてはもう多くの方が触れましたから、あと余り……。
  186. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 午前中におきまして米審の円滑な運営につきまして懇談会が行われたわけでございまして、内容については私つまびらかに承知はしていませんけれども、そこで了解が得られたから現在正式の審議会が開催され、諮問案を中心に論議がされているというふうに承知いたしております。
  187. 目黒吉之助

    ○目黒委員 この点については全く米審の形骸化ですから、そのようなことのないように、皆さんの特段の配慮を強く求めておきたいと思います。  まず、算定方式について、改定した主な理由についてはそれぞれお話がございまして、あなた方の考えていらっしゃる改定理由について私もほぼ理解するのですが、先ほど来議論がありましたように、新算定方式が目指す稲作農業の将来像というものにこの算定方式は一体どう結びつくのかといった観点で、二、三お伺いしてまいりたいと思います。  算定方式は、全国を九つのブロックに分けて、そして生産費をとる、その平均をとっていくというやり方で、今度新たないわば地域別の生産費及び所得補償方式ということになったわけであります。この方式によると、総農家戸数の四四%、それから販売数量の六〇%をカバーする、このように午前中説明がありました。これを経営規模に当てはめると、およそ一・一ヘクタールの農家層までがカバーされる、このようでありますが、間違いございませんか。
  188. 森元光保

    森元説明員 全国を九ブロックに分けまして、それぞれのブロック別に平均生産費以下の、いわゆる生産性の高い農家全国集めます。そして、総コストと総生産量から単位当たり生産費をはじき出すという形で算定方式を決めたわけでございますけれども、そういった算定対象農家平均規模算定いたしますと、今先生からお話がございましたように一・一ヘクタールということになるわけでございます。ただ、あくまでもこれは生産性を指標にしてとっておりますので、いわゆる一・五ヘクタール以上の対象農家をとった場合の平均規模と単純にはなかなか比較できない問題ではなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  189. 目黒吉之助

    ○目黒委員 そこが問題なんですね。単純になっておれば一・五%の引き下げなんという答えは出てこないのです。昨年は一・五ヘクタール以上で平均は二・七ヘクタール、そして下げ幅が二・五五、こう出たわけですね。それがことしは下限を一・一まで下げてなおかつ一・五%の引き下げ、こういうことになるわけですから、これは常識的に考えて、ああどこかに数字のマジックがあるな、だれもそう思います。  そこで、これは全部聞いておりましても全体を明らかにするわけにまいりませんので、一、二についてお伺いをしますので、少し細かくなりますがお答え願いたい。  北海道は生産費が非常に低い、それから東海、近畿が高いということで、それを平均していくわけですからいろいろな数字が出るのだろうと思うのでありますが、例えば北陸は一体、全体で何戸ぐらいのサンプルになっておるのか。特に米どころの新潟は幾つぐらいのサンプルで、上限、下限、平均はどのくらいか。  本当は全部出してもらいたいのですが、これは後で資料は出してくださいよ、こんなものだけでは議論できないですから。恐らく、平均近くにたくさんの農家が固まっているのか、非常に低いところ、一万円前後なんというのは農家戸数は非常に少ないと思う。平均といいましても、ボーダーラインはおっしゃるような中核農家であるのか、中核農家が外れるのか、これではわからない。したがって、今まで資料出ませんでしたから、新潟でいわゆるボーダーラインのところはどのくらいの生産費が対象になっておるのか、それからその辺におるのが大体幾つぐらいなのか、ここのところだけちょっとはっきりさせてください。
  190. 森元光保

    森元説明員 北陸につきましては、地域別の平均が一町歩ちょっとくらいでございます。それから、地域内の平均生産性以上の農家、いわゆる今回の算定対象とした農家平均規模でございますけれども、これが一・四ヘクタールくらいということになっております。  ただ、私ども、先生の今おっしゃいました県別には出しておりませんので、一応ブロック別で算定対象農家地域別戸数分布をちょっと申し上げますと、全国一〇〇に対しまして北陸は約一一%が算定対象農家として算定の対象になっている、こういうことでございます。
  191. 目黒吉之助

    ○目黒委員 そうしますと、サンプルの選び方はどうなっているのですか。対象農家戸数なんてわからない、平均の経営規模だけが何かわかるような話で、これはちょっと解せないですね。
  192. 森元光保

    森元説明員 生産費対象農家とり方につきましては、私の方から申し上げるのはちょっとどうかと思いますけれども、層化二段確率比例抽出法という方法でもって実は生産費農家の選定をしておるわけでございまして、全国で約三千程度の生産費対象農家がございます。これにつきましては、都道府県別に売り渡し農家数、いわゆるお米の販売農家数に比例をいたしましてサンプル数を出すわけでございます。約二百戸程度になるように水稲農家集団を編成いたしまして、これを農業地域別に性格の似通ったものをそれぞれ配置をいたしまして、そして約二十戸単位にくくるというような形で調査対象農家を抽出しておるわけでございます。いわゆる標本の抽出率は、大体八百分の一というような状況になっております。
  193. 目黒吉之助

    ○目黒委員 だんだんわからない、見えないやり方でやっていらっしゃるようですが、どう見ましても、北陸で一・四ヘクタール、去年は二・七ヘクタールで算出をしながら、なおかつ下がるという数字、これは相当説明をしていただかぬと出てまいりませんがね。二・七ヘクタールを一・四ヘクタールに下げて、何が主たる要因で一・四に下がることになったのですか。
  194. 森元光保

    森元説明員 先ほども申し上げましたように、単純に今回はいわゆる作付規模を指標にした形で対象農家を選定しておらないわけでございまして、それぞれの九ブロックごとに生産費を出しまして、その平均生産費を下回る農家算定対象農家として選定をしたわけでございます。それを各九ブロック全部足しまして、その平均作付面積が一・一ヘクタールということでございますので、先ほどから申し上げておりますように、単純に規模と相関するというような形にはなっておらないということを御理解をいただきたいと思います。
  195. 目黒吉之助

    ○目黒委員 それで、新しい方式で必要経費で算出をするという場合に、サンプルをどういうふうにとったのかということについてどうもはっきりしていないようですけれども、はっきり理解できないのですが、例えば構造改善等をやって、先ほどもちょっと議論がございましたが、費用の非常にかさんでおる農家、あるいは今日本の稲作農業の体質的な弱体化の原因というのは、機械化もしくは過剰投資と言われている部分にあるわけですね。非常に近代化しているように見えますけれども、やはり収支の面で経営が弱体化しておる、脆弱化しておる、こういうところの費用は高いんですよ。これは故意に外したのですか、みんな入れたのですか。
  196. 森元光保

    森元説明員 ただいまのお話のような、いわゆる恣意的に算定農家をピックアップするということはいたしておりませんで、生産費調査の中から、先ほどから申し上げておりますように、地域別にそれぞれその地域平均生産費を下回る、いわゆる生産性の高い農家を選定をしたという形になっておるわけでございます。
  197. 目黒吉之助

    ○目黒委員 ですから、生産性の高い農家を選定するのは、私、別にここで否定しようとは思っていないのです。ただ、生産性が低いという形で費用平均をとりますと、近代化努力をしておるようなところというのは外れる場合が出るわけですね。ボーダーラインより上になる場合があるのですよ、そうでしょう。私はこの方式の一つの問題点はそこにあると思っているのです。あなたの話を聞いていると問題点がないように今聞こえるのですが、そういう理解でいいのですか。
  198. 森元光保

    森元説明員 先生のおっしゃいますように、規模が大きくても大変生産費がかかっている農家というのは、当然今回の算定方式におきましては算定対象にならないというような形になるのは事実だと思います。
  199. 目黒吉之助

    ○目黒委員 ここのところがやはり将来の農業構造を目指していく場合にかなり問題があるんだろうと思うものですから、先ほど来執拗にお伺いしておるのですが、一応そういう点についてそれなりに理解をされておるようでございますから、きょうこの場で詰めるわけにはまいりませんが、米審等でも十分に議論されることと思いますので、これから目指す方向と逆行する部分が含まれておりますので、この点は我々も議論いたしますけれども、皆さんの方でもそういういわば一つの矛盾した形にならないように、この際強く要望を申し上げておきたいと思います。  先ほど来申し上げておりますように、次長、やはり平均生産費とり方、これは非常に大事ですから、これは非常に面倒なようですけれども、算定の根拠になる資料は後でひとつ提出してください。委員長、いいですか。
  200. 森元光保

    森元説明員 ブロック別につきましては私ども提出できると思いますけれども、県別には、これは私ども趣旨として算定をしておりませんので、ブロック別に限って提出をさせていただきたいというように思っております。
  201. 目黒吉之助

    ○目黒委員 ちょっと時間がなくて大変恐縮ですが、食糧庁次長、これであなたはいいですから。  一言でいいですが、自主流通米価格形成の場について、経済連等に対する流通の円滑化を図るための新しい補助金というのは出すのですか、出さないのですか。
  202. 森元光保

    森元説明員 自主流通米が集荷ベースで七割、政府米が三割というような状況になってきております。やはり、自主流通米価格の決定の仕組みにつきましては、いろいろ意見があるわけでございます。現在は、御案内のように自主流通協議会、いわゆる生産者代表と卸売業者の代表が集まりまして、そこで相対で決めておるというような形になっておるわけでございます。  こういった形につきましてはいろいろの御批判もございますので、私の方といたしましては、価格形成の場ということで、産地、品種別、銘柄別の価格の動向とかあるいは需給動向というものを反映した形でもって、そこで一定の指標価格をつくるような場を設けていきたいということで、今いろいろ検討を進めておるわけでございまして、まだ価格形成の場の具体的な仕組みをどのように持っていくのかということにつきまして現在鋭意検討中でございますので、今お話のありましたような奨励金云々のような話につきましては、現在検討をしておりません。
  203. 目黒吉之助

    ○目黒委員 それでは、先ほど来土地改良費の農家負担軽減対策についてお話がございましたが、いわゆる新しい利子補給制度をつくって、発足したばかりでございますけれども、最近の実施状況はどうなっておりますか。  それから、時間がないから、申し上げたいことをまとめて申し上げてお答えを願いたいと思いますが、私はきょう特に問題にしたいと思っておりましたのは、一級河川、二級河川の河川法二十条による代行工事、これで農家負担しておる分について一体どのぐらいになっておるのかということと、一、二級河川のうち、いわゆるかん排事業あるいは基盤整備事業等々にかかわる農家負担というのは、これはもう大変なもので、ここのところはもう見直しをする時期に来ておる。末端の段階ではこれはもう既に見直しをしなければやっていけないのですから、農家皆さんがきょう審議されておる米価審議会で決まる米の代金で堤防工事の代金なんて出せないですよ。したがって、二十条代行工事というのは基盤整備をやる側ばかりに、農家負担が伴う大変な問題でありますので、この点についてあわせてひとつお答えを願いたいと思います。
  204. 片桐久雄

    ○片桐説明員 土地改良の農家負担金の軽減のために、平成二年度からの新しい土地改良負担金総合償還対策事業というものを創設することといたしております。これは五年間で一千億の資金を造成いたしまして、平準化のための無利子融資とか、それからまた、財投資金を使ってやっておりますいわゆる特別型国営事業についての利子助成、この二つが主な事項でございます。  特に、財投資金を使ってやっておる国営事業についての利子助成の実施状況でございますけれども、現在適用がほぼ固まっているのが八地域ございます。それからまた、既に事業が完了しているところで、この利子助成を受けるという予定のものが三地域検討いたしておりますし、また今後計画償還制度の適用を検討しているのが二十地域、全部で合わせまして三十一地域につきまして、この利子助成の地域を現在検討しているという状況でございます。  それから、一級河川、二級河川の改修を土地改良事業と一緒に行う場合の農家負担の現状でございますけれども、この河川の改修にかかわる地元負担につきましては、関係市町村とか県の方が実態に応じて応分の負担をするというのが大体実態になっておりまして、そういうことによりまして、この河川改修に伴う事業費が農家負担にならないようにという運用がされているというふうに承知いたしております。
  205. 目黒吉之助

    ○目黒委員 十分じゃありませんが、時間が参りましたので終わります。
  206. 穂積良行

    穂積委員長代理 佐々木秀典君。
  207. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 今回の米価諮問について、午前中からずっと質疑がございました。時間の関係もございますので、余り重複しないようにお伺いをしたいと思いますが、それにしても、なぜ今年度の生産者米価引き下げなければならないのかということについて種々御説明がありましたものの、どうも私は納得ができないわけであります。まして、営々として稲作に努力をされている生産者皆さんにとってみれば、午前中から大臣も意を尽くしての御説明がありましたし、食糧庁次長からも誠意を持った御答弁と私はお伺いしますけれども、あったにもかかわらず、やはり何とも納得できない、吹っ切れない思いをしておられるのではないだろうか。きょうも全国各地からたくさんの生産農家の方が上京されて、この委員会にも御熱心に傍聴されておられる。こうした皆さんのお気持ちはどんなだろうかと思いながら質問をさせていただきたいと思うわけです。  そこで、今度の諮問案の取り決めについて、先ほど来種々、今までと違うではないかというお話がありました。昨年は米価引き下げはなかった。なかったというものの、しかし去年は消費税が実施されましたから、実質的には消費税分三%というものが生産資材その他にかかってくるということで、さまざまな観点から実質的には三%の米価引き下げにも通ずるのではないかというような議論もあったことは御承知のとおりであります。  そして、従来と違って、この諮問づくり、まあ大臣、次長のお話だと、これはまだ決定されたものではないのだ、現にきょう初めて諮問案を出して、今審議会で審議されているのだ、それを待って決めるのだということになっている、しかしどうもこれは建前論で、私どもとしては、遺憾ながら恐らくこの諮問案がそのまま審議会でも通り、これが決定されることになるだろうと見ているわけです。これが建前でないとすれば、審議会できょう、あすといろいろ審議の上で変更されることもあり得るのだろうということでしょうけれども、しかしこれはあくまでも建前論であって、実質的にはそのとおり一・五%マイナスで決まるだろうと私どもは見ているわけであります。  そして、どうもこのところ不思議でならないのは、新聞論調が一斉に、ことしは米価引き下げが必然だということを押しなべて主張している。読売新聞もそうですし、毎日新聞もそうですし、朝日新聞はついてもやはりそうであるわけです。その論拠となっているところはさまざまあるようでありますけれども、先ほどの大臣のお話によると、米の自給率が減少している、あるいはガットの問題がある、そしてとりわけ内外価格差の問題が大きいというようにお聞きをいたしました。新聞論調でも、一番問題にしているのはこの内外価格差の点だろうと思うわけです。このことについてはちょっとおいておいて、後でお尋ねをいたします。  きょう私どもは初めてこの諮問案というものを拝見いたしまして、その諮問説明をお受けしたわけです。したがいまして、この質問は私はあらかじめ予定していたのではありませんけれども、きょう初めてこれを見させていただいた上での質問になりますが、御了承いただきたいと思うのですが、この「諮問説明」の二段目のパラグラフのところで見ますと、「このような中で、昨今の米をめぐる内外の諸情勢にかんがみ、国内産で自給するとの基本的な方針についての理解を得るためにも、」こういう文言がございます。この「理解を得る」というのは、一体だれの理解を得るということなのか。  これは、政府としては、昨日深夜にかけて与党との協議を続けられて、それで調整をされて一定の合意に達した、こういうことになっているのですが、ここに書かれている「理解を得るためにも、」というのは、与党だけの理解を得るためにということでは決してなかろう、こう思うわけです、さっき大臣の趣旨説明からお聞きしても。そうすると、与党以外にどういう方々の、あるいはだれの、どの方面の理解を得るためにということを意図されたのか、この点をひとつはっきりさせてください。
  208. 東力

    ○東説明員 今の御質問でありますけれども、国民各層の理解を深めて、そして支持をしていただくということが、食糧の自給自足、安全保障論ということを基本方針としているわけでありますから、それを守るためにも、また生産者を、長期的な観点から競争力を高めて、そして守っていくという観点から、国民の広い各層からの理解と支持を必要とする、こういうことでありまして、与党に限ることでは決してございませんで、消費者や、さらには経済界やマスコミや、あるいは文化人、学識経験者、ありとあらゆる各層に支持をされるような努力をやはり生産者の方でもしていくということが大切ではないかと考えている次第でございます。
  209. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 模範的な御答弁だとは思います。ただ、一つ抜けているのは、対外的な理解はどうですか。対外的な理解。今まさに国際交渉の真っただ中、そしてアメリカとの交渉もこれからあるわけです。その対外的な、例えばガットの場での、あるいは、今米の輸入自由化を強く押しつけようとしているアメリカの理解は得られるとお思いですか。
  210. 東力

    ○東説明員 国際情勢の中でウルグアイ・ラウンドが行われており、その中で農業問題、特に日本の食糧生産の安全保障というものが守れるかどうかということが大変大きな焦点の一つにはなっていると思いますが、そういうことだけを意識した問題では決してございませんで、米という非常に重要な産業、そして農家、そういう米の生産の自給体制というもの、そして、安定的に供給していけるというそういう体制があくまで守れるように、国内での理解と支持、そのことが最も大切なわけでありまして、同時に国際的にも注目を浴びているということでございます。
  211. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 こういうことをお聞きするというのは、実はこれはけさの読売の朝刊一面ですけれども、「生産者米価下げ一・五% 政府・自民折衝で決着 きょう諮問」、こういう大きな見出しが出て、中の記事としては、「二年ぶりの引き下げが実現する見通しだ。」略しますけれども、「ただ、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉の最終期限を十二月に控え、内外価格差縮小が厳重要課題となっている中で、政治的な圧縮により小幅な引き下げにとどまったことは、海外からのコメ市場開放要求を一段と勢いづかせることになろう。」こういう新聞論調なんですよ。  だとすると、ここで言っている各方面の理解というのは、特に生産者の理解なんか得られるはずがないと私は思うし、やはり政府としては野党の理解を求めたいというところだと思うけれども、私ども野党としては理解できない。できないです、これは。しかも、この新聞論調から見ると国際的にも理解ができないんじゃないか。かえってこの下げ幅が少ないということで、米市場開放について勢いづかせるんじゃないかということも書かれている。この辺についての見通し、どうなんですか。
  212. 東力

    ○東説明員 いろいろな論調があることは確かであると思いますけれども、私どもの基本的方針というのは、先ほど官房長の答弁にもありましたように、内外価格差一つにいたしましても直ちに縮まるようなものでは決してございませんで、あくまで私たちの、農業の中心である米の生産、そして、それを自給していこうという食糧安全保障の基本的方針を貫こう、そして、そのために、しかし農民の方も、生産者の方も努力をしながら、国民の広い各層からの理解と支持がなければやっていけるものではない、こういう基本的なことでございます。  このことが直ちにウルグアイ・ラウンドに呼びかけるとか、あるいはそれを勢いづかせるということは決して考えるというわけでもなくて、そうなると私は思いません。しかし、それは関連がないというわけにはいきませんけれども、ウルグアイ・ラウンド等で、日本政府としては、先ほど私が申し上げました基本的なその方針を守るという最大限の努力を今しているところであることもあわせて説明させていただきたいと思います。
  213. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 どうもお答えで、果たしてこれで対外折衝、特にアメリカの攻撃をかわせるのかな、やはり新聞論調が心配するように私も心配するわけですけれども、しかし、それに対抗するためにはもう一つ別な論理をもってやらなければいけないのではないかな、私はこんなふうに思っているわけです。  大体、生産者皆さんの努力ということを今政務次官おっしゃったけれども、生産者皆さん本当に努力しているんですよ。生産調整、減反にも協力して、本当は米をつくって、米一本でやりたいという人がたくさんいる。特に私のところの北海道なんかではそうなんです。だけれども、そうできないからやむなく転作したり、しかも、それも割の合わない転作をしたりそういうことで苦労しているので、私は生産者皆さんが決してサボっているなんというのは思わないのです。  大体、六十二年からずっと下がり続けてきたわけですけれども、去年は、さっき言ったように抑えたとはいうものの消費税分がある。これはちょっと置いておくにしても、昭和六十二年で五・九五%、六十三年で四・六%、今回一・五%ということになりますと、四年間通じて一二・〇五%という、これは引き下げになるわけですね。これではやはり米づくりの人たちが大変になるのは当たり前だと思うのです。そして、一方では生産調整も減反枠が拡大されて、それから生産資材の方はといえば、昨年からことしにかけて、今度の資料では、若干下がったとはいうものの、そんなに大きくは下がっていない。それから累積の負債は大きくなっている。北海道の場合なんかは、農地の価格というのは物すごく下落していまして、そんなこともいろいろ総合いたしますと、農家所得というのは減退している、これはもう数字の上でも明らかであるわけです。  北海道の場合でも、例えば稲作の五ヘクタール経営農家の粗収入については、昭和五十年で七百二十五万七千三百五十円だった。それが昭和六十三年には六百五十万七千三百五十円、七十五万円、一〇%以上も低下している、こういう状況ですから、これは異常なことだと思うのです。まじめに仕事をしていれば、少なくとも給与所得者の場合なんかはちゃんとベースアップがあって年々ふえていくわけだけれども、一生懸命仕事しているにかかわらず年々収入が減っていくなんていうのは、こんな割に合わないことはないので、したがって将来に希望が持てない。きょうもお話があったように、後継者が育たないというところもそういうところに原因があるのではなかろうか、こんなふうに思われてなりません。  そして一方、今の米論議の中で、盛んに先ほど来お話があるように、我が国米価が外国に比べて高い高いということを言われるわけですね。朝日新聞のこの社説などでも、その内容的な点については触れないで、ただ、これは六月三十日付の社説ですけれども、「わが国のコメの値段は米国の六・五倍、タイ米と比べると九・一倍の開きがある。」「あまりにも高すぎるというのが消費者の実感だろう。」これは消費者の立場に立って書いたというような書き方なんですが、私はこれもどうも納得がいかないのですね。今の消費者の皆さんは本当に米の価格を高いと感じているのだろうか。これも先ほど来遠藤委員からの御質問があって、例えば一日日本人が今食べている米の消費量、その値段とコーヒー一杯の値段と比べればというお話がありましたけれども、まさにそのとおりだと思うのです。私は、今の消費者の関心というのは、むしろ米については値段の高さよりもおいしいお米という良質米志向、それと安全性、むしろここに重点があるのではなかろうか、こんなふうに思われてならないわけであります。  そしてまた、本当に日本の米が高いかどうかということについても、これはやはり比較の問題がいろいろあるだろうと思うのですね。基準が実にはっきりしていないのではないでしょうか。例えば高いというのは生産費なのか市場価格なのか、あるいは輸出港の価格なのか輸入港の価格なのか。タイ米、アメリカ米、今数字で随分大ざっぱな数字が出ていますけれども、これについても労働評価の点ですとか、それから生産資材価格の問題ですとか、いろいろあるわけですね。それから為替レートは幾らで計算しているのかというような問題もある。それから第一に、品種が全く同じかどうかということだって、これは吟味しないと何とも言えないわけですね、食味の点だって何だって。そういうことを抜きにして単純に高い高いと言われるということは、私は非常に問題があると思うのですね。  この高いと言われることについて、食糧庁はどんなふうにお考えになるのですか。
  214. 東力

    ○東説明員 詳細につきましては事務当局の方から詳細にお答えいたしたいと思いますが、最初に言われました、生産者の方も努力しているんだ、海外についてはどうかという点につきまして、私は実はヨーロッパにIWC総会に出席するために一週間、昨週行ってまいりましてきのう帰ってきたわけでございますが、まず第一に生産者が努力をされているということにつきましては、佐々木先生おっしゃるとおりであると思います。したがいまして、生産性の向上、つまり生産費を下げるということに努められて収入は減らないように努力をされていることに対しまして、敬意を表するものであります。  また、生産制限をしながらそうやって努力をしているということが海外にも非常に知られてくるようになりまして、そういう意味では、アメリカはともかくヨーロッパの各国におきまして、大変な努力をしている、また特別の重要な意味を持っているということに対して非常に各層に深い理解が広まっているということを、フランス及びオランダ等の大臣等と直接に話をしまして確認をしてきたところでございます。  ウルグアイ・ラウンドは、予断を許さない大変な交渉の、長期の交渉であると思いますけれども、私が先生の御質問に対しまして、また共通の理解に対しまして一言申し述べさせていただきまして、そして詳しい点につきましては事務当局から御説明をさせたいと思います。
  215. 森元光保

    森元説明員 内外価格差の問題につきましては、先生も御指摘がございましたように、なかなか米の国際価格が、為替レートの変動でありますとか、あるいは豊凶によります国際需給事情が大きく変化する、こういう中で的確に比較をする、あるいはまた米の品質あるいは銘柄等も相当違いますので、的確に比較することは我々としてもなかなか困難であると思っております。  ただ、そういう中で、例えば生産者価格につきまして、アメリカの目標価格でありますとかあるいはタイの農家の販売価格というものと比較いたしますと、一九八〇年にはアメリカとの比較で四・八倍、それからタイとの比較では六・九倍であったわけでございますけれども、それが円高の進行に伴いまして、一九八九年には、アメリカとの関係では六・五倍、それからタイの場合には九・一倍というように拡大をしておる。これは為替レートの円高傾向というものがかなり進んだ結果であると思っております。  また、消費価格につきましては、私ども日本にとりましては標準価格米の平均価格ということでやっておりますけれども、ただアメリカの場合には、長粒種で都市の平均価格、あるいはタイの場合には白米一〇〇%ということで比較をしておりますので、いずれにいたしましてもそういった比較が、厳密に言いますればいろいろ問題があろうかと思いますけれども、ただ消費者の立場からすれば、内外価格差があるということは現実の問題でございますので、そういった内外価格差を今後とも縮小していくような努力は日ごろからやってまいらなければならない、かように考えておるわけでございます。
  216. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 同じ種類で同じような味のものがあって、それが片方が安くて片方が高いということになれば、消費者は安い方を選ぶのですよ。だけれども、今の消費者のニーズというのは、私どもの理解するところでは、多少高くてもおいしくて安全なものがいいということではないだろうか、そういうように思うわけです。  例えば、その一つの実証として、いわゆる特別栽培米というのがありますね。低農薬あるいは有機栽培で、それを条件にして生産者が食糧事務所長の承認をいただいた場合に消費者と直接に売買契約ができるという制度ですね。これが今随分ふえていることは御承知のとおりだろうと思うのですね。これは、昭和六十二年からこの制度が始まったようですけれども、例えば六十二年産米で三十四トン程度であったのが六十三年には六百四十九トン、それから昨年、平成元年度では三千二百五十トンぐらいがその対象になっているということで、これが非常にふえているようですね。  私が住んでおります北海道旭川市の隣町、東川という米どころかございますけれども、ここでも、私のよく存じ上げている方が三年前からこの方式で始めまして、市民生協の皆さんなど旭川市の消費者の方々とこの契約をやっているのですが、これは大変に評判がよくて、ちょうど今私が申し上げた全国的な趨勢と同じような趨勢で契約希望者が非常にふえてきておるそうです。それで、その需要に対して供給、手当てが追いつかないぐらいだ、うれしい悲鳴だと言っているのですね。そのかわり、これは手間がかかるわけです。  しかし、略してマル栽米と申しますか、これの契約のいいところは、消費者と生産者がお互いにコミュニケーションを持ち合う。そして、消費者の方々もどういうふうにお米がつくられるのかということを現地に来て見られる。あるいは、時々除草のお手伝いなどもする。そして、時には懇談会をして、一緒に食品の問題、農業の問題を語り合う、こういうすばらしいメリットがあるのですね。この点、さきに今国会で通りました、この委員会でも審議をした市民農園法などと相通ずるところがあって、私はそれ以上に大変有意義な制度だろうと思っておるわけです。     〔穂積委員長代理退席、委員長着席〕  これについては本当は見解などもお伺いしたいと思いましたけれども、時間がありません。ただ、この傾向に見られるように、消費者の傾向というのはやはりおいしいもの、そして安全なもの、これを求めるということが非常に強いのではなかろうか。これが例えば世論調査などでも結構あらわれているのではなかろうか。一昨年二月だったと思いますが、総理府がおやりになったお米についての国民皆さんに対する世論調査、それからちょうど時期を合わせてNHKも世論調査をしているようですけれども、これについても、大変国民皆さんというか消費者の皆さんがお米について関心を持っている。  昭和六十三年二月の総理府の調査、米のイメージについて、日本人の主食としてふさわしいということについては九五・四%の方がそうだと言っている。そして六八%の人がもっと米を食べる方がいいということを言っている。農産物の輸入については、食糧は国内産の方がいいという方が三一・九%だ。少なくとも米など基礎食品については国内産がいいという方が三九・三%になっている。安ければ輸入でもいいんだという人は一九・九%にとどまっている、こういうことです。  それから、もう一つのNHKの調査では、米の輸入自由化、賛成か反対かのアンケートですけれども、賛成した人は三四・二%にとどまっている。反対は五〇・二%、どちらとも言えないというのは一五・六%、こういうことですね。  この後に、今まさにウルグアイ・ラウンドの問題があり、日米構造協議があった後、そしてこれからまた日米間でさらにこの農産物の自由化、特に米の問題での攻勢というのが非常に厳しい。そういう中で、農林水産大臣が五カ国農相会議にお出かけになる、総理大臣はサミットにお出かけになる。ここでどうしても踏ん張ってもらわなければならないわけですけれども、こういう時期に、今すぐやれというのは無理でしょうけれども、農林水産省あるいは総理府として、改めて消費者の農産物に対する、特に米についてのニーズがどこにあるかということについて、世論調査なりアンケートなりということをやるようなおつもりはありませんか。
  217. 森元光保

    森元説明員 先ほど先生からお話のありましたような特別栽培につきましては、かなり全国的に拡大をしてまいっておりまして、特に北海道の場合は多うございますが、私どもといたしましても、できるだけ消費者によく理解を求めながら、また、生産者にも理解を求めながら、安定的な特別栽培米の流通ルートというものを確立をしていきたいというふうに思っております。  ただいまお話のございましたように、お米に対しますいろいろな消費者のニーズというものについては、私ども食糧庁といたしましても調査をしておりまして、それぞれの消費者がどういったお米に対してどういう考え方を持っているのかということは常時把握をしておるわけでございます。また、今後ともそういう点については十分調査につきまして対応していきたい、こんなふうに思っているわけでございます。
  218. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 ほかにも質問を用意したのですが、時間が参りましたから、同僚議員に御迷惑がかかりますから終わりたいと思いますけれども、いずれにしても、これから重大な時期を迎えるわけです。それで私が今世論調査の必要性ということを言ったのは、ぜひとも世論を背景にして、アメリカの方でもいろいろなことを言っているようですけれども、日本には米については独特のかかわりぐあい、歴史的にも、文化的にも、基礎食品としてのとうとさの上からも、それからまた農村あるいは田んぼというものが、ただ米をつくるだけではなくて、国土保全その他の重大な意味を持っているという点からしても、米の自由化なんというものは認めるわけにはいかない。こんなことをされたら、ここで恐らく今度は一・五%、これは減価になるのは決まっていることだと思いますけれども、生産農家の方々にとっては、この上今度は米が自由化される、アメリカから入るようになるなんていったら、ダブルパンチですよ。往復びんただろうと思いますね。  こういうことをなしにするためには、やはり国会の附帯決議、それから国民の世論というものを背景にして頑張ってもらわないと困ると思うから、私はそういうことを実施してもらいたい、こう言っているわけです。この点をしっかり肝に銘じていただいて、これから立ち向かっていただきたいということを特にお願いして、ちょっとしり切れになりましたけれども、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  219. 亀井静香

    亀井委員長 堀込征雄君。
  220. 堀込征雄

    ○堀込委員 けさ以来、きょうの諮問の中身について論議があるわけであります。私も、米価算定を主として御質問をいたします。  きょう諮問案を見せてもらって、あるいは先日二十九日の算定についての議論をいろいろお伺いしてまいったわけであります。米価水準も一万六千五百円ですから五十一年水準という大変なことになっているわけでありまして、生産農家は大変不満だという状況でございます。しかも、諸物価が値上がりする中で大変苦しい状況にある。  この算定問題、例えばかつては限界農家生産費基礎にしながら平均生産費を限界単収で割って算定をしてきた時代がございました。その後、米過剰が顕在化することによって平均生産費に変えた、こういう歴史もございました。さらには、全生産農家を対象にしていたけれども、必要量生産費方式にした、こういう経過もございました。そしてまた、五十六年から労賃のあの歴史的な評価がえもやりました。これは、当初まだ全規模平均賃金であったわけでありますけれども、その後大規模事業所を除く平均賃金になった。さらに、それを各県別の米販売数量で加重平均した賃金に評価がえをしてやる、こういう経過がございました。そして、一・五ヘクタール以上の農家を対象にすると言い出した。ことしは平均生産費以下の農家を対象にすると言い出した。  この十何年来の総括をしますと、米価を下げるために算定値を一生懸命理屈を合わせてやってきた、どう見てもこういうふうに言わざるを得ないのです。私は、こういうふうに見てくると、算定値というものは非常に権威のないものだ、初めに米価ありきで後で合わせてきたのではないか、これは事実そうなっているわけですね。こういうやり方をしていきますと、これからも算定値なんというものはどんどん幾らでも下げられるわけです。労働費なんかどんどん小規模にしていけばいいわけです。算定農家だってどんどん大規模にしていけばいいのです。いろいろな方法でこれはどんどん下げられるのです。  こういう歴史を持っている算定値なんというものは全く権威のないものだと私は思わざるを得ないのですが、この算定値の歴史的な経過を踏まえて、食糧庁、どう総括していますか、これからもまだどんどん変えていくつもりですか。
  221. 森元光保

    森元説明員 米価算定当たりましては、先生御案内のように、食糧管理法に基づいてそのときどきの生産費を基準にして物価あるいはその他の経済事情等を参酌して決めてきておるわけでございます。ただ、三十五年以来、生産費所得補償方式という方式については一貫してこれを採用させていただいているということでございます。したがいまして、例えば算定対象農家をどうするかというような問題につきましては、そのときどきの需給事情等が反映するような方式を採用いたしますとか、そういった改善、工夫を講じてやってきております。  ただ、お話のありますように、確かに算定方式がたびたび変わるということにつきましては、米価の安定という点から考えても好ましいことではないというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、今回の新しい算定方式については、今後できるだけそういう趣旨でこの算定方式を用いてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  222. 堀込征雄

    ○堀込委員 生産費所得補償方式で一貫してやった、その都度改善工夫を重ねてきたという御答弁でございますが、米価を下げるためにその都度改善工夫されてきたのです、これは。合わせてきたのです。どう見てもそういうふうにしか見えないわけでございまして、歴史の事実が証明している。私は、こうした算定値とり方に無理があるのではないか。歴史的な流れを見ますと、ごまかしはぎかないと思うのです。こういうやり方はこれからやめたらどうかと思うのです。算定値基礎は、ずっと見てきたら、今申し上げましたようにいつでも変えられるわけなんです。これは今までの歴史の示すとおりでありまして、もっとひどいことも行われているのです。  例えば六十一年、六十二年産米価は、政治折衝で、米価決定後、算定値が平気で変えられるという事態だってあったわけです。六十二年産米価は、最初食糧庁は九・五%の算定値を出したでしょう。それで政治折衝で五・九五%に決着した。このときに自己資本の利率三・五五%を四・五八%に一夜にして計算がえしてしまうということが勝手に行われてきたでしょう。自作地地代企画管理労働費、政治決着によってすぐ算定値が変わる。そういう権威のないことが今までも行われてきた。恐らくゆうべからけさにかけてもあったのではないかと私は想像するのです。勝手に数字が変えられるこういう算定で、生産費はこういうふうになりますよということを米価審議会に出したり国民に出したりする。日本の農政の最高行政府、農水省としては、もうこれからはごまかしは続かないことではないか、算定は正直にありのままに出していくべきだと思います。その辺は考え方どうですか。
  223. 森元光保

    森元説明員 毎年の米価の決定に当たりましては、食糧庁といたしましても、生産費を基準にいたしまして、先ほどから申し上げておりますように物価その他経済事情を参酌しながら、そういったものが適切に生産者米価に反映するように対応してきたわけでございます。物価につきましても直近の時点におきまして修正をする、あるいは地代につきましてもそれぞれ評価がえをするという形で、御批判を受けるかもしれませんけれども、各要素につきましては経済事情等を十分考えながら適切な算定方式をとってきたつもりでございます。
  224. 堀込征雄

    ○堀込委員 ここで適切でなかったとは言えないと思いますけれども、とにかく下げるために一生懸命算定値を操作してきたことは国民の目にも明らかでありますから、先ほども消費者の理解という話がありましたが、ぜひ消費者にもわかりやすいように、きちっとした算定値な出していくことがこれから必要ではないかと思うのです。  そこで、ことしの米価ですね。算定農家の対象として生産性の高い農家、担い手農家に焦点を当ててきたわけであります。しかし、生産性のいかんを問わず、日本の稲作というのは共同社会、共同文明の上に成り立っていると私は思うのです。生産性の高い農家が一集落にあったとしても、一戸や二戸で日本の稲作が保たれていくわけではないわけであります。農道や水路の補修をしたり、さまざまな作業を共同してやる。どんなに農水省の皆さんから目のかたきにされた生産性の低い農家であっても、生産性の高い農家も一緒に共同社会をつくっていかなければ稲作はできないという事情があると思うということです。  私も、今度国会で農水省の皆さんと随分おつき合いをさせていただきました。国際感覚もお持ちで非常に優秀な方が多いわけですけれども、肝心の農村社会というものを知っておられるのかなという点では、私の感じでは率直に言って疑問符をつけたわけであります。生産性の高い農家、低い農家を含めた共同社会の中で、共同作業等を通じて稲作が保たれているという点は見なければいけないと思うのです。水路を改修するにしても、農道を改修するにしても、あるいは春の種子消毒から秋のもみすりに至るまで、いろいろな共同作業というのが農村社会にあるわけであります。これを個々の農家でやると生産費が上がるわけです。そういうことがたくさんあるのです。そうして、農村社会が稲作を通じながら、あるいは稲作の共同作業を通じながら見事なまでの共同社会をつくってきて、稲作文明をつくってきている、こういう歴史があるわけであります。  農水省の担い手農家中心対策、生産性向上、これ一点張りの推進では、やはりこうした日本の共同社会あるいは共同作業というものはもう要らないのだ、ぶち壊してしまえ、こういうふうに言っているように思えて仕方ないのですけれども、この担い手農家対策ということで、基本的に農村社会の見方をどう見ていますか。その点について、農水省の考え方をちょっと説明してください。
  225. 東力

    ○東説明員 競争力のある農業に着目してそれを促進しよう、大型化しようという生産性向上、競争力の強化ということが一方にあると思いますが、それだけでは農村地域地域社会の維持発展ということにならないのだということは、私も農村出身でありまして同感でありますし、そのことを強く今事務当局にも話をしているところでございますが、そのように政策も総合的になってきたというふうに、またなってきている過程であるというふうに私は考えております。  例えば今、兼業農家について申し上げますと、兼業農家の多くは農外所得が家計の支えになっているわけでありまして、自家消費米など自給的な生産を行っているわけでありますけれども、農地の保有などにおいてはなお相当の割合を占めておるわけであります。このため、地域の実情に応じて、中核的な担い手と兼業農家との間で基幹作業と補助作業を分担する等、農作業や農地の利用の面で適切な役割分担ができるように地域農業全体の生産性の向上を図っていくことが重要であると考えているわけでございます。また、兼業農家は従来から農村社会の重要な横成員でありまして、これは先生のおっしゃるとおりでありますが、中核的な担い手とともに、農村社会の維持と発展を促すリーダーとしての役割を期待したいところでございます。  こうしたことから、このような役割分担が適切に行われるとともに兼業農家が農村において安心して生活できるように、就業機会の確保、企業誘致やまた農業に関連した食品加工とか、その他の機械の修理とか生産とか、そういったことを含めまして就業機会の確保をするように、さらに生活環境、これも今先生が言われたいろいろな生活環境の基盤整備でありますが、そういった各般の施策を進めて、住みよく活力のある農村を築いてまいる所存であります。こういうことを農林水産省の基本的方針として、そういう立場をとってございます。
  226. 堀込征雄

    ○堀込委員 兼業農家にも大変期待をしてこれはやっていくということですが、肝心の稲作算定から外されては困ると私は思うのですね。生産性の高い農家を対象として米価算定を行うことは地域の実質的な担い手に焦点を当てた考え方だ、こういうことでおっしゃっているわけであります。  しかし、私はこの農水省の考え方はどうかと思うのですね。今度の算定は、生産性の高い、平均生産費以下の農家を対象とした。しかし、この考え方を推し進めますと、例えば農薬を使わないで昔ながらの田の草を取る人も篤農家の中にはいらっしゃるわけですね。森元次長なども私と同じ長野県ですから長野県の農業などはよく御存じだというふうに思うのです。篤農家皆さんは、やはり有機質を入れて一生懸命手をかけて稲作をやるのですよ。ちゃんと有機質を入れて秋起こしをやる、それもロータリーじゃなくてすき起こしをするというような手をかけた土づくりをした稲作をやっているでしょう。あるいはあぜ道を、病害虫が発生しないように丁寧に草刈りをする。そういう手をかけ時間をかけ、稲作に愛情をかけてやっているのです。これは生産性の低い農家になってしまうんですね、農水省の切り捨てで。つまり、今度の算定は篤農家切り捨ての算定方式ではないか、私はこう思わざるを得ないのです。  この今度の算定方式でいきますと、私に言わせれば、農水省は稲作からできるだけ手を抜け、草が茂っても刈るな、そういう農家は相手にしません、こう言っているふうに思えて仕方がないのです。ある意味では、日本の農家の中には今惰農という方もいらっしゃいますから、惰農奨励ではないかというふうにも言えるのです。生産性だけひたすら追い求める、その農家だけ対象にしていく、これは理論矛盾だというふうに思うのですが、どうですか。
  227. 森元光保

    森元説明員 私どもといたしましても、ただいまの先生のような御指摘につきましてはいろいろ検討したわけでございますけれども、やはり稲作農家生産性の高い農家というのは、機械の効率的利用によりましてむしろコストをかなり低減をさせているというような農家の方が多いのではないか。今先生のお話のありましたような捨てづくり的な農家というのはむしろこういった形では入ってこない。単収も高い農家で、かつまた機械の効率的利用に一生懸命取り組んでいる農家がむしろ生産性の高い農家として今回の算定対象農家に入ってきておるというふうに思っております。
  228. 堀込征雄

    ○堀込委員 その辺はもう少し実態調査もしてほしいと思うのです。今度の算定で、生産性の低い、高いといろいろあるのですけれども、ある意味では、生産性は低いけれども非常に手をかけ、土づくりを含めて稲作をよくやっている農家が外れて、どちらかというと手を抜いて粗放農業をやっている農家が入っている、こういう理論矛盾がどうしても出ます。この辺はぜひもう一度調査をしてみてもらいたいというふうに思うのです。  そこで農水省、米価が高水準に推移をすれば、安定して、稲作生産性向上の努力を促進する方向に働かない、これはいろいろなところで——審議会報告にもあるわけでございます。また、高米価は第二種兼業農家を温存している、そして現在の米価は他の作物よりもかなり有利なんだ、したがってつくりやすい稲作を継続した方が得だ、こういう判断をはっきりとしているわけであります。ところが、米価を下げてもやはり第二種兼業農家皆さん稲作をやめないのですね。かえって専業農家に影響が出ているというのが現実ではないかというふうに思います。  今でも二種兼業の皆さんは、もちろんそろばん勘定で稲作をやっているわけではない。一町歩以下の農家であっても、田植え機もバインダーも買う、土地改良の負担金も払う。もう既に赤字になっているわけですね、とっくに。しかし、いろいろな事情稲作を続けている。これはきょうの生産費調査でも、全国生産費が二万六十三円ですか、はっきり数字があらわれているわけですけれども、もうからない、そろばん勘定に合わないけれども稲作をやっている。ここをやはりしっかり分析をしてほしいというふうに私は思うのです。これは、先祖伝来の土地に対する愛着であったり、作物に対する愛着であったりするわけです。  米価は既に五十一年水準になった、低米価になった、規模拡大が進んだ、あるいは担い手農家に集中した、こういうふうに農水省は言えますか。今後もさらに米価を下げていくことで、二種兼業農家皆さんが本当に米づくりをやめて、担い手農家土地を集中させていく、集積させていく、規模拡大が進んでいくというふうに確信をお持ちですか。
  229. 森元光保

    森元説明員 日本の稲作農業の実態を見てみますと、北海道のようなむしろ稲作専業地域、あるいは東北、北陸のような稲作農業の地帯もございますし、また九州とか四国あるいは中国、特にまた近畿、東海等におきましては、それぞれ稲作の形態もかなり違っておるような感じがいたします。  特に日本の場合は、やはり複合経営でもって自主的な経営規模の拡大を図っていくということも非常に重要な要素でございますし、そういう意味で、単に規模だけが小さいからその農家がその地域稲作の担い手でないというような判断をするのもいかがかというふうな感じがしておるわけでございまして、やはりそれぞれの地域稲作農業の実態に応じて、そしてそれぞれその地域稲作の担い手というものに焦点を当てた米価算定をしていくということが非常に重要ではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  230. 堀込征雄

    ○堀込委員 私は、重要だという考え方はわからないわけではありませんけれども、やはりもう少し日本の農村の実態などを、あるいは農家の意識などを詳細に酌みながら、日本の稲作の方向を、ただ規模拡大、低米価政策でいいかどうかということについてはもう少し国民的な議論を踏まえてやるべきだ、こういうふうに考えます。  そこで、同じく算定方式について、食管法との関連について御質問をいたします。  食糧管理法第三条には、生産者の売り渡し義務並びに政府の買い入れ価格について規定されているわけであります。生産者につぎましては、基本計画により政府の管理すべきものとせられたる米穀の数量について売り渡さなければならない、こう書いてあるわけですね。そして第二項で、そのときの政府の買い入れ価格生産費及びその他の経済事情を参酌して米穀の再生産確保することを旨としてこれを定む、こうあるわけです。  今度の算定方式平均生産費以下の農家をとった、このことは私は、この規定に合わせて食管法に触れるおそれがあるのではないか、こう思いますが、どう解釈しますか。
  231. 森元光保

    森元説明員 二年産の「米穀の管理に関する基本計画」におきましては、六百六十三万トンのいわゆる政府が管理すべき米穀の数量を決めているわけでございます。二年産生産量は九百八十五万トンでございますから、このうち六百六十三万トンについて、政府が管理すべき米穀の数量ということになっておるわけでございます。ただ、この六百六十三万トンに係る農家を取り出しまして、それを米価算定対象農家とすることは非常に困難であるというふうに思います。  また、米価算定対象農家とり方につきまして、今申し上げましたような全販売農家というものを対象にいたしますと、当然のことながら現行の米価水準は大幅に上がるというような状況にもなろうかと思います。そういういわゆる大幅に米価が上がるような状況というのが、現在のように大幅な過剰基調のもとでいろいろ農民の皆さん方が生産調整に努力しておられる、国民的に見てもあるいはそういった理解がなかなか得られないのではないかというふうに思っておりまして、食管法上で問題があるというふうには我々は解釈しておらないわけでございます。
  232. 堀込征雄

    ○堀込委員 私は、今現実の政治のお話をお聞きしておるわけじゃなくて、第三条を素直に法解釈をいたしますと、今、次長から御答弁ありましたように、六百六十三万トンの農家を対象にしなければいけない。不幸なことに今度の算定で農水省から見放された農家も、生産した米は政府に売り渡さなければならない、こう前段に書いてありますね。これはそういうことだと思うのです。第二項の「前項ノ場合ニ於ヶル」とは全体の数ではありませんか。法解釈の問題としてお聞きしているのです。
  233. 森元光保

    森元説明員 食管法におきましては、三条で売り渡し義務を課しておるのは御案内のとおりでございます。そして、国が、いわゆる政府が管理すべき米穀として、これは基本計画によりまして一応限度数量というのがありますので、これをそのまま管理すべき米穀として計上させていただいている、こういう関係になっているわけでございます。
  234. 堀込征雄

    ○堀込委員 私は、米価をどう決めるかというのはまた別途にしまして、この法の第一項、二項を素直に解釈してまた厳密に読みますと、今度の算定方式はやはり食管法第三条に違反するのじゃないかというふうに思うのです。やはり算定は、まず農家は全量を売り渡さなければならない。そして第二項では、政府の買い入れ価格は政令の定むるところによる。  この政令に定むるところというのは、農水省はどう解釈していらっしゃいますか。私は、これは売り渡し限度数量だと理解するが、違いますか。
  235. 森元光保

    森元説明員 売り渡し限度数量を定めまして、それは政府に売り渡しをするということが原則になっておるわけでございますが、自主流通米につきましては、自主流通計画に即しまして販売をする場合には、いわゆる政府に対する売り渡し義務の免除をしているわけでございます。当然、政府に売り渡す米につきましては三条でもって適正に米価を決定していく、こういう関係になろうかというふうに思っておるわけでございます。
  236. 堀込征雄

    ○堀込委員 私、法解釈をお聞きしているのでして、今度の算定で販売数量の六〇%、農家数の四四%をカバーしたから非常にいい算定方式だ、こう食糧庁はおっしゃっているのです。ところが、三条を見ますと、このことは法律に書いていないのじゃないか。米価をどう決めるか別にしましても、算定は全農家政府の管理すべき米穀基礎にしなければいけない、こう書いてあるのですね。そして第二項で、この買い入れ価格については政令の定むるところによる、こういうふうに書いてあるのですからね。やはり六百六十三万トンを対象にした算定を出さなければ法律違反になりませんかと聞いているのですが、法解釈でどうですか。
  237. 森元光保

    森元説明員 私の方といたしましては、六百六十三万トンをベースにした算定をしなければ、今先生のおっしゃるような法律違反になるというふうな解釈はしておりません。  三条につきましては、生産費を基準にいたしまして物価その他経済事情を参酌して再生産確保するように定めなさいということになっておるわけでございますから、対象数量につきましてはかつて必要量比率等を用いて算定をしたことがございますけれども、今回の算定方式が即食管法に触れるというふうな解釈はしておらないわけでございます。
  238. 堀込征雄

    ○堀込委員 どうも農水省と私の農業六法は違うことが書いてあるようですが、基本計画により政府の管理すべきものとせられたる数量を基礎として、第一項にそういうふうに書いてあるのですね。それをもとに生産費所得補償方式で決めなさい、こういうふうに二項に書いてあるのです。今説明ありましたけれども、米が過剰だったとか米価水準が高かった、そういう過去のいろいろな問題は別にして、私はどうしてもここのところが理解できないのですが、どうですか。
  239. 森元光保

    森元説明員 食管法第三条におきましては、米穀の売り渡し義務を課しておるわけでございます。そして、二項におきまして、前項の場合における政府の買い入れ価格は政令の定めるところにより生産費及び物価その他の経済事情を参酌し米穀の再生産確保することを旨として定めるということになっておるわけでございますから、六百六十万トンの生産をしている農家をピックアップしましてその生産費確保されるような米価算定をしなければならない、こういうふうには私ども、ここは理解をしておらない、こういうふうに思っております。
  240. 堀込征雄

    ○堀込委員 その答弁で、六百六十三万トンの農家のピックアップでやらなければいけない、したがって販売数量の六〇%、農家数の四四%をカバーしたものはいけませんよということが、逆に言えば法律に書いてあるということになりませんか、どうですか。
  241. 森元光保

    森元説明員 私の方といたしましては、対象農家とり方につきまして、六百六十三万トンの生産農家をそのまま対象農家ととって生産費物価その他の経済事情を参酌して米価を決めるということではなくて、あくまでも六百六十三万トンというのは政府が管理すべき米穀として決められておるというふうに理解をしておるわけでございまして、六百六十三万トンの生産をしている農家算定の対象にしなさいという理解は我々とっておらないわけでございます。
  242. 堀込征雄

    ○堀込委員 時間が来たから終わりますが、それにしても第二項で、前項の場合における穀物の買い入れは、こう書いてあるのですから、ぜひこれは食管法に沿ってやってもらいたいし、もし将来そういうことが必要ないなら食管法の改正を提起すべきだというふうに思います。価格形成の場でもそうですけれども、相当無理がきていますので、これは別の機会にまた議論をさせていただきたいと思います。  時間が来たので終わります。
  243. 亀井静香

    亀井委員長 鉢呂吉雄君。
  244. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 朝から昼食も抜きに続行しているわけですけれども、この今回の諮問に対する不信感が大変増幅をしておるわけです。私は日本社会党・護憲共同の最後のバッターですので、これまでの議論を総括しながら質問をしたいというふうに考えております。  特に、朝の農水大臣の答弁にありました、昨夜政府と与党が十分調整し意見の一致を見た、あるいはまた、大変申しわけないのですけれども、与党の穂積委員からは、内外国際情勢念頭に置いて苦心をした三方一両損的な諮問米価であるというような表現もございました。  そこで食糧庁次長に聞きますけれども、今回の諮問米価の苦心をしたというのは、この算定基礎のどこにあらわれておるのか、お伺いをいたしたいと思います。     〔委員長退席、中川委員長代理着席〕
  245. 森元光保

    森元説明員 昨年の算定当たりましては、御案内のように一・五ヘクタール以上の経営規模を持った稲作農家算定対象農家にしたわけでございまして、その際いろいろ御批判があったということは、先ほど来御答弁を申し上げておるわけでございます。  やはり規模が余りにも大き過ぎる、したがって、そういった大きな規模稲作農家が少ないというような問題もございましたし、また、地域の特性が十分反映されていないというような問題も指摘されておったわけでございまして、我々といたしましても、そういう指摘の中で、今後稲作農業の担い手としてどういう担い手を考えていくかというふうなところにつきましてはいろいろ中で検討をしたわけでございまして、やはり米価審議会算定委員会から報告がございました、今後の稲作農家の担い手たる農家というものを対象にして今後の米価算定はやるべきである、こういうふうな基本的な理念をできるだけ今回の算定方式にも導入する、こういうことでいろいろ苦心をした結果、今回お示ししましたような算定方式を一応決めたわけでございます。
  246. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私、三十分だったのですけれども、二十分に持ち時間が減りましたので、端的に答えていただきたいと思います。  今のそのような答弁ではなくて、朝から間きますと、相当の苦心をされた、深夜一時まで、まさか算式を手伝っていたわけではなくて、まさにその一・五%に定めるのに苦心をしたというふうに私は思うのですけれども、その苦心の反映がこの算定のどこにあらわれているのか、あらわれていないのか、端的に答えてください。
  247. 森元光保

    森元説明員 生産費が公表になりまして以来、私どもは新算定方式によりまして適正に米価算定すべく努力をしてきたわけでございます。
  248. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 政務次官はいらっしゃらないのです  それでは、整々として算定をして一・五%というものを得たということで今回諮問米価というふうにしたと理解をするわけですけれども、けさの新聞によりましても、単純計算では三%台の下げということもあったけれども、金利などで算定要素とり方に手を加え、政治加算の手法をしたという報道もあるわけですけれども、これはガセネタですね。
  249. 森元光保

    森元説明員 私どもといたしましては、新聞報道にありますような三%等のお話をした経過は一切ございませんし、新しい算定方式によりまして算定をした結果、マイナス一・五%という水準になりましたので、これを本日の米価審議会諮問をさせていただいた、こういう経過でございます。
  250. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そこで、政務次官がいらっしゃいましたから、政務次官の決意をお聞きしたいわけですけれども、その前に、昨年、平成元年産はどういった米価の決定がされましたか、これは食糧庁次長でいいですけれども、二・五五%の答申を得て据え置きに至った経過についてお聞かせ願いたい。明確な御答弁をお願いしたい。
  251. 森元光保

    森元説明員 昨年は、一・五ヘクタール以上の稲作農家を対象として算定をした結果、五・一%という水準が出てまいりました。米価審議会の小委員会の報告にも、行政価格のいわゆる連続性といいますか安定性確保から激変緩和措置をとるということがございまして、したがって昨年は、五・一%に対しまして激変緩和措置をいたしましてマイナス二・五五%の諮問をさせていただいた、その後、米価審議会からの御答申をいただきまして、さらにその後、諸般の事情で据え置きという形になったわけでございます。
  252. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 諸般の事情というのはどういう意味か、もう一度きちんとわかりやすく、きょうは農家の方も多数来ておりますから。端的に言いまして、昨年は——これは後で言いましょう。もう少し中身を詳しく……。
  253. 森元光保

    森元説明員 稲作農業をめぐるいろいろの事情あるいは経済的な事情、そういったもろもろのことを勘案いたしまして、最終的には米価が据え置かれた、こういうふうに私どもも理解をしております。
  254. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 もろもろの事情、もろもろの経済的な事情。経済的な事情というのは算定にあらわせないのですか、その具体的な中身を言ってください。
  255. 森元光保

    森元説明員 いわゆる米価に関連をいたしまして算定する場合におきましては、物価その他経済事情等については当然参酌をすることになっておるわけでございまして、そういったことで適正な米価算定いたしまして、これを諮問し、そしてその後におきまして据え置きということになったわけでございまして、やはり稲作農業のいろいろな事情というものを総合的に判断をされまして、これが据え置きというふうになったというふうに理解をしておるわけでございます。
  256. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 全くわからないわけですけれども、私は去年ここにおりませんでしたからわからないのですけれども、そうであれば、政務次官、あした答申があると思いますけれども、そのわからない事情で据え置きという決意はありますか、あなたに。
  257. 東力

    ○東説明員 ただいま諮問したところでありますから、審議会の審議を十二分に承って慎重に決定するようにいたしたいと思います。
  258. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 朝からの同僚委員の質問、あるいはまた自民党、与党の中にも据え置きだという議論があったということもお聞きしております。そういう点で、もろもろの事情、諸般の事情を考慮して、政務次官は、今そこにおりますことは大臣ですから、決意できますか、据え置き。
  259. 東力

    ○東説明員 今、諮問をしているところでありますし、尊敬すべき審議会の委員の人たちがいろいろな角度から話し合っているわけでありますから、今の時点において私がお答えできる立場ではないと思います。  いずれにいたしましても、審議状況、そして答申というものをよく踏まえて、誠心誠意、きちっと決めるようにいたしたいと思います。
  260. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 誠心誠意きちんと決めるということですから、農家の必死なこの願い、昨年はもろもろのもろもろの中に選挙もちらついて据え置きにしたというふうな論調もあります。これもまたガセネタかもしれませんけれども。選挙が終わって下げた。去年の参議院選挙の大敗北。農政不信が据え置きであってさえも出てきた。ですから、米価の決定の経過が、非常に不信感を植えつけるもとになっている最大の原因もそこにあるというふうにも思います。  そういう点で、再々度になって申しわけないですけれども、誠意を持ってというのは、昨年のような諸般の事情で変わり得ることもあるというふうに理解をしてもいいかどうか、答えていただきたい。
  261. 東力

    ○東説明員 今鉢呂先生のおっしゃっている御意見、お立場というものもよく踏まえて決めるようにいたしたいということでございます。いずれにいたしましても、審議会に諮問している状態でありますから、審議の答申をお待ちいたしたいと思います。  ただ、農業生産者のために誠心誠意をというのは、私たちが先ほどから御答弁させていただいておりますように、長期的な観点から農業の再生産、そして米の自給体制というものが国民から支持を受けた形で続けていけるようにということを努力しているわけでありますし、同時にまた、国際的な場におきましても、国会決議に基づいた基本的な方針というものを貫くように努力をしているところでございます。そして、決定に当たりましては、ただいまはただ、審議会の御答申をお待ちいたしたいというところを御理解願いたいと思います。
  262. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先ほど目黒委員からも出ておりました六月二十九日の事前米審といいますか、米価審議会での「意見のとりまとめ」、いわゆる新しい算定方式についての米価審議会考え方、これについて食糧庁次長の最終的な考えをお聞きしたい。  この取りまとめの中には、冒頭、「論議を集約するに至らなかった。」というふうに明確に書いておりますけれども、これが承認されたというふうに理解をしておるのかどうか、端的に答えてください、時間があと五分しかございませんので。
  263. 森元光保

    森元説明員 先ほども「意見のとりまとめ」につきましては御紹介をいたしましたけれども、我我が御提案をいたしました新しい算定方式諮問することにつきましては、やむを得ないというような御意見もあったわけでございまして、もちろん本日におきましても、米価そのものと、それから算定方式につきましてもいろいろ御論議がなされているものと我々は理解をしております。
  264. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 やむを得ないという意見もあったという、先ほど私もこれを十分読みました。しかし、全面的に賛成という方は、この文書からはわかりませんけれども、少数派に「その他の委員は」こういう意見もあったということで、「当面暫定的に採用することはやむを得ないとの意見であった。」ということですけれども、今回の算定方式、くるくる変わることは不信感を持ちますけれども、今回のものはまだ米価審議会でもきちんとした同意になっておらないということからいけば、これが今後の算定方式になるということはあり得ないと思いますけれども、その点についてはどうですか。
  265. 森元光保

    森元説明員 私どもといたしましては、本日米価審議会諮問させていただきました算定方式につきましては、昨年の議論の経過を踏まえまして、最善の算定方式というふうに理解をして御諮問させていただいた、こういうことでございます。
  266. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今回のものでなくて、今後、次年度以降、この算定方式を採用するということには至りませんね。
  267. 森元光保

    森元説明員 六月二十九日の米価審議会におきましてもいろいろ御論議があったわけでございますし、また本日もそういった点で御論議があろうかと思いますが、今後、米価審議会等の御意見等も聞きながら今後の対応は検討してまいりたい、かように思っております。
  268. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今後の算定方式については検討するという発言であるというふうに理解をします。  そこで、これもちょっと重複しますけれども、今の堀込委員食管法との関係ですが、今回の新算定方式平均生産費以下の農家群のそのまた平均で出しておるわけです。これは要するに、生産費を抽出で全体を平均に出すということでなくて、平均以下のまた平均という形でいけば、生産費を出す農家群の大きな偏りを生ずるという点で、食管法第三条二項のいわゆる「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」という「生産費」、これはあくまでも全体の生産費だというふうに理解をするわけですけれども、その食管法第三条二項との関係で、法を逸脱するということにはなりませんか。
  269. 森元光保

    森元説明員 先ほど来御説明をしておりますように、食管法第三条一項は、国民の必要とする数量、これは政府の管理すべき数量でございますが、生産者に対しまして自主流通米を除き、売り渡し義務を課しておる規定でございます。それから、同条第二項は、その際の対価としての政府買い入れ価格の定め方について規定しているというふうに解釈をしております。
  270. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間がなくなりますので、別の質問にいきます。  先ほど、企画管理労働については前年と同じ一・三時間という時間数を出しましたけれども、これについては調査の結果に基づいての時間数ですか。
  271. 森元光保

    森元説明員 昨年も実は一・三時間を企画管理労働として算入させていただきましたので、今回におきましてもそれぞれの地域稲作の担い手ということに着目いたしまして、昨年同様一・三時間につきまして米価算定基礎にさせていただいた、こういうことになっております。
  272. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間がありませんので、質問の予告をしている分について若干申し上げますけれども、特に水田経営については、土地改良事業の償還は大変な負担になっておる。このことについては農水委員会でもたびたび論議になっておるのですけれども、今回平成二年度に平準化事業というものを走らすことになったわけですが、この要綱について、定まりましたか。定まったか定まっておらないか、その辺からお聞きをしたいと思います。
  273. 片桐久雄

    ○片桐説明員 平成二年度から始めます平準化事業の要綱については、現在最終的な詰めを行っておるところでございます。
  274. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 この中で、特に平準化目標額については、ピーク償還時の七〇%に限定するということでございます。私は北海道ですから、北海道のものを見ますると、これについては、ピークについては反当四万にも達するものがあるということで、七〇%、三〇%足切りにしても十アール当たり二万円ではおさまらずに、二万五千円から三万円となるものが相当数あるということでございます。  これについても、その地区の土地改良に関する負担金、それは全部網羅されておらないのですけれども、そういう点で、今回の平準化事業を行ったとしても大変負担が大きいということでございますけれども、これらについて抜本的な改正をする考えはないのかどうか、お聞きをしておきたいと思います。
  275. 片桐久雄

    ○片桐説明員 平準化の目標額につきましては、北海道の場合に十アール当たり二万円または一戸当たり四十万円というのが一応の目標になっておるわけでございますけれども、ただ、この平準化額がピーク時償還額の七〇%を下回るという場合には、この平準化のための融資の返済額がその平準化目標額を上回ってしまうというようなこともございまして、一応ピーク時償還額の七〇%を下限として設定することにしているわけでございます。  この七〇%をもし変更するということになりますと、平準化融資のための、その融資をしたものの返済のためにまた返済の融資をしなければいけない、カットのための融資をしなければいけないというようなことで、非常に際限なく融資が行われ、非常に償還期間が長くなってしまうというようなことで、この平準化の目標額はピーク時の七〇%を限度ということで考えております。
  276. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 終了時間が来ましたので質問はしません。  ただ、この問題については、例えば現今の既存の公庫の借入金、これは補助残の借り入れですから非常に金利が高い、五・五から六・五%の金利だという点で、その金利、既存の資金をそのままにして返すという点で利息分が非常にむだな形で残っていくという問題点。あるいはまた、先ほど言いましたように、反当の償還平準化目標額が非常に高くなるといった問題点。それからまた、特例措置を考えるようですけれども、特例措置一万円の問題点についても、いわゆる輸入自由化の関連作物、それも三分の一というようなことで、北海道にとってもなじまないという点もありますから、その辺の関係。あるいはまた、既存の借入金の中には、これから採択される事業については、公共的なものについては受益者に負担させない、農家負担させないという方向で今やっておるのですけれども、既に借りたものについてはこれらが含まれておるという点についての問題点があります。  まだ要綱が定まっておらないということでございますから、これからこの委員会でも論議をして、また定まった段階ではこの委員会にも出していただいて、本当に償還が農家負担にならない形で、抜本的な改正になるような土地改良事業にいたしたいと私ども思っておりますが、私の質問はこれで終わらせていただきます。
  277. 中川昭一

    ○中川委員長代理 次に、倉田栄喜君。
  278. 倉田栄喜

    ○倉田委員 午前中も大臣から、たしか、最初に値下げありきということは絶対にない、このような御答弁がありました。  しかしながら、現行の米価水準は、近年抑制、引き下げ傾向の中で昭和五十一年度の水準まで落ち込んでおる。具体的に言いますと、政府買い入れ価格昭和五十一年度が一万六千五百七十二円であります。昨年、平成元年度が一万六千七百四十三円。本年度が仮に一万六千五百円だとするならば、この間間違いなく引き下げの方向で検討されておられますし、また五十一年度の、十何年か前までの水準に落ち込んでしまっている。この間、物価は、例えば昭和五十一年度を基準にしますと、昭和六十三年度までで四六%アップをしておる。賃金は実に七四%も上昇をしておるわけでございます。さらに、消費税の導入によって生産コスト等も上がり、耕作規模の拡大が困難な状況では、農家所得はレベルダウンしているのが現状であります。ちなみに農水省の米生産費調査によると、十アール当たり所得で全階層平均昭和五十年産では九万千五百三十四円、昭和六十三年産六万五千百四十二円となっております。  そこで、この点について二点に分けてお伺いをしたいと思いますけれども、ここまで米価水準が落ち込みますと、農家の方々の労働意欲がほとんどなくなってしまうのではないのか、この点についてどのようにお考えになっておられるのか。また、昭和五十一年度から抑制、引き下げ傾向が続いている、この傾向というのはどこまで続いていくのか、適正な米価というものはどのようにお考えになっておられるのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  279. 森元光保

    森元説明員 米価につきましては、意欲を持って稲作農業に取り組んでいただく農家、これがその地域におきましてやはり稲作の中核的な担い手になっていくであろうというふうに我々は考えておるわけでございます。したがいまして、今回の算定方式におきましても、できるだけそういった地域性というものを加味できるような算定方式にいたしたわけでございまして、そういう意味では今後我々といたしましては、それぞれの地域におきまして、その地域におきます平均的な生産費以下の、高い生産性農家を目標といたしまして今後とも農家には取り組んでいただきたいと思っておるわけでございます。  米価水準等につきましては、食管法に基づきまして、毎年、生産費あるいは物価その他の経済事情等を参酌しながら、再生産確保できることを旨として適正に決めていくべきものであるというふうに思っておるわけでございます。
  280. 倉田栄喜

    ○倉田委員 余り納得をできるような御答弁でもないように思うわけですけれども、労働意欲という点にしましても、米価自体がこれからもどうなるかわからない、このことがひいては将来の農業についての展望が持てないということになってしまうのではないか。結局、このことは後継者問題も同じであるように考えます。  農林水産省農家就業動向調査でも明らかなように、全国の六十歳以上の世帯主の農家戸数百六十一万七千五百七十戸のうち、十六歳以上の後継ぎのいない農家が五十九万九千七百二十戸、実に三分の一の農家で後継ぎがいない状況であります。農業に明るい展望、職業として魅力が持てるという状況をつくり出していかない限り、この本当に憂うべき事態というのはこのまま続いていくのではないか。  そこで、また米価の問題に返って御質問いたしますけれども、毎年米価政府によって据え置かれたり下げられたり、いわば上がるというふうな状況がないわけですね。昭和五十一年度の水準になってしまっている。なぜこういう状態になってしまっているのか。私は今国会で初めてこの農林水産委員会に所属をさせていただいているわけですけれども、どうしても納得できないわけであります。この点について改めて御答弁をいただきたいと思います。
  281. 森元光保

    森元説明員 先生からいろいろ今お話があったわけでございますけれども、我々といたしましてもやはり米価を決めまして、そしてその米価によりまして生産者が意欲を持って取り組んでいくというような形の米価決定というのが大変重要であるというふうに思っておるわけでございます。ただ、今日の米の需給事情あるいは消費の減退、そういったようなことを考えますと、やはり現時点におきまして、米価につきまして生産を増大させるというような形の米価決定につきましてはいかがかというふうに思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういった事情を十分参酌しながら、これからもやはりきちんとした適正な米価を決めていかなければならないというふうに思っております。
  282. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今までの質疑の中で、国民的な納得の得られる価格であるとかあるいは内外価格差の問題であるとか生産性の向上の問題であるとか、引き下げの方向、私は、その引き下げが先なのか算定方式の決定が先なのか、この辺も非常に、何となく午前中の大臣の御答弁には納得できないようなものを感じておるわけでございますけれども、果たして引き下げの方向で進んでいることに関して合理性があると言えるのかどうか。  また、昭和五十一年度の水準にまで現在の米価が落ち込んでいることに関しては、まさに農家の方々が本当に必死になっての生産性、コストの削減に関しての御努力があったものだというふうにも判断できるわけであります。そうすると、いわゆるコストに対する削減の努力ということは、農家の方々に返していかなければいけない、こう思うわけでありますけれども、この点はいかがでございますか。
  283. 森元光保

    森元説明員 先生からお話がございますように、五十一年産政府の買い入れ価格と今回諮問をいたしました米価につきましては、マイナスの〇・四三%くらいの引き下げという形になるわけでございますけれども、五十一年産当時の稲作労働時間と本年産算定で用いました労働時間とを比較いたしますと、かなりの労働時間が減少してきておる。これはとりもなおさずやはり稲作農家が一生懸命生産性を上げるように努力してきた成果であろうかというふうに思っております。  また一方、単収につきましてもかなり上がってきておりまして、五十一年産と二年産を比較いたしますと約一・五%くらい増大をしているというような状況になっておるわけでございます。  ただいま先生からお話のありましたように、生産性の成果というものを稲作農家に還元をしていく必要があるのじゃないかというお話でございますけれども、先ほども御説明をいたしましたように、生産費算定米価算定におきましては過去三カ年間の生産費平均を用いるというような形でやっておりますので、当然生産性の向上が進展している状況におきましては二年分に相当する生産性の成果というものが生産者に帰属をするという仕組みでもって算定をしておる、こういうふうになっておるわけでございます。
  284. 倉田栄喜

    ○倉田委員 どうもやはり非常に難しい話みたいで私も納得できかねるわけですけれども、簡単に言えば、本当に努力した分だけはもうかるというか、向上のメリットというのはきちっとその努力をした人たちに還元をされて初めて頑張るという意欲が出てくるというふうに思うわけです。そういう意味から、冒頭、農家の方々の勤労意欲、営農意欲、そういうことを取り上げさせていただいたわけですけれども、そういうものに対して今の米価決定のあり方というのは十分にこたえていないのではないか。この状況からすれば本当にそのまま、深刻に言われている後継者難というのは解決ができない、こういうことを本当に憂えるわけでございます。  そこでもう一度お伺いをいたしますけれども、農家の方々の勤労意欲にこたえる、営農意欲を何とか高からしめていく、このことについてどのようにお考えなのか。これはきょうは大臣御出席でございませんので、次官にお答え願えればと思います。
  285. 東力

    ○東説明員 今倉田先生の言われた、生産性向上の成果というのは生産者に帰属しなければおかしいんではないかということにつきまして、森元次長から御答弁をしたように、過去三年間の平均をしながらいきますから二年分頑張ればその分だけ来るんですよ、また平均よりも頑張っているところにはそれだけのメリットがあるんですよというお答えございました。  しかし、それだけでは納得がいかないという先生のお立場は、むしろ弱いところや、さらに全体としても弱いということで後継者が難しいのにその点どうなんだということではないかと思うのですが、一般的に米だけではなくて、例えば電気製品でも値段が下がっているものはたくさんございますように、努力をしていかなければある程度の競争社会だと生きていけない。米の場合は特別な食管制度になっているわけでございまして守られておりますけれども、やはり消費者を初め国民各層の理解を得て初めて米の生産というもの、自給体制というものが確保されていく、その努力もしていかなければならない。そして平均より上回る努力をしているところの生産性というのは、当然生産性の向上、それから来る生産コストの削減といったものは収入としてつながっていく。このことを誠心誠意、これによって国民に広く受け入れられていくからこそ、長期的に生産者のためになるという政策を推し進めていくということにより、そしてそのためにあらゆる努力をしながら、生産性、特に稲作のようなものにつきましては規模を大きくしながらそういうところに集約をしていく。兼業農家につきましても、土地を貸したりあるいは受託したりそういったことを含めながら全体として生産性の向上に努めて、そして後継者も担い手もできていくというような基本的な方針を進めることによって、国内でのサポート、そして国際的な社会でも我々が誠心誠意努力をしながら生産者のために頑張っておるということを、基本的方針として御理解願いたいと思います。
  286. 倉田栄喜

    ○倉田委員 現実に農業就業人口というものがどんどんどんどん低下をしている、まさに後継者が本当に不足をしてしまっておる、こういう状態にあるわけでありますから、このまま今のような状況の政策をといいますか、方針をなだらかに続けている限りにおいては本当に農業というのは崩壊につながってしまう。米価の決定のあり方についてももっと思い切った大胆な政策のあり方というのがあってもいいのではないか。こういうふうに、いろんな要素、要点というのは各方面から考えなければいけないでしょうけれども思うわけであります。  そこで、他の委員からも一度御提案があったと思いますけれども、例えば五年間なら五年間というかそういう形において、上げろとは言いませんけれども、現行の価格というのを据え置いていきますよ、その間にきちっと対応できる道を考えてくださいよ。いわばこういう猶予期間みたいなものをきちっととりながら、その間、国がきちっと農業というか米価の決定のあり方についても守っていくんですよ、そういう方向はとれないんでしょうか。
  287. 東力

    ○東説明員 その農業を基本的に守っていこうということにつきましては、大変貴重な御意見として承りたいと思いますし、さらに稲作だけではなくて、その他農業全体のコミュニティーの維持発展ということのために、例えば中山間地域のいろいろなプロジェクトに対しましては、農業の関連または農業でなくてもその地域にあるものに着目して、また農業者でない場合でも、例えば農林漁業金融公庫から融資ができる等の措置法律改正もやりながらやったように、政府としても非常に関心を持って努力しているところでありますが、この米価の決定につきましては、政府買い入れ価格食管法令上、生産費及び物価その他の経済事情を参酌して米穀の再生産確保することを旨として毎年定めることとされているわけでございます。したがいまして、その年その年によって生産費物価その他の経済事情米価に反映していくことが重要と考えざるを得ないと思います。  なお、米作農家の足腰を強化することにつきましては、この価格政策とあわせて構造政策あるいは生産対策を推進しまして、我が国稲作農業の体質の強化と生産性の向上を図ることが必要であると考えております。
  288. 倉田栄喜

    ○倉田委員 次に、米の需給動向についてお伺いをしたいと思います。  平成元年産米の集荷状況というのをまずお伺いしたい。政府米自主流通米、これは正確には比率ほどのようになっておりますか。
  289. 森元光保

    森元説明員 平成元年産米につきましては、自主流通米が、基本計画のベースでございますが、四百二万トン、それから政府米が百六十五万トンということで、主食米につきましてはそういう計画になっておるわけでございます。
  290. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今のお答えは、大体比率は自主流通米が全体の七割、政府米が三割ということでよろしいわけでございますね。そういうことを前提といたしますけれども、政府米がわずか三割まで落ち込んでいる現状について、例えば農協中央会の「米をめぐる情勢 平成二年四月」によると、「このまま推移すると、円滑な回転操作を図りつつ、作柄の変動等に対応して国民への安定供給を図るという機能に支障を生じかねない状況となっている。」こういうふうに指摘をされておるわけでございますが、この点について安定供給を図ることが可能なのかどうか。いわゆるその自主流通米政府米の七対三という割合については、政府としては今後どのように見通しを立てておられるのかお伺いしたいと思います。
  291. 森元光保

    森元説明員 平成米穀年度の需給見通しにつきましては、去る三月に策定した基本計画におきまして、昨年の十月末に百四十七万トンの持ち越し在庫がございます。  ことしの元年産米の集荷数量につきましては、先ほど申し上げましたとおりに政府米が百六十五万トン、それから自主流通米が四百二万トン、そのほか酒造用でありますとかモチ米が六十八万トン程度あるわけでございますが、一方、需要の方を見ますと、主食用でございますと、政府米につきましては百七十万トンから百八十万トン、自主流通米につきましては三百九十万トン程度の需要というふうに見込んでおりますので、ことしの十月末の持ち越し在庫は百二十ないし百三十万トンというような状況に相なるわけでございまして、現在のところ需給の面におきましては全く心配はないというふうに思っております。
  292. 倉田栄喜

    ○倉田委員 同じく「米をめぐる情勢」の中に、「食糧庁は米の需給および価格の安定を図る観点から、二年産米以降、政府米自主流通米の均衡のとれた集荷を行う観点から集荷の指針を設定することについて検討を行っている。」こういうふうな記載がございます。この事実はいかがでございますか。
  293. 森元光保

    森元説明員 食糧管理制度の健全な運営を図ってまいりますためには、やはり政府米自主流通米が均衡のとれた集荷でありますとか需給操作が行われていくということが大変重要であるというふうに思っております。  したがいまして、私どもといたしましては、政府米につきましても一定数量を確保すべく努力をしていかなければならないというふうに思っておりまして、現在生産者団体等と協議をし、また県段階におきましてはそれぞれの集荷団体等が集荷目標といいますか集荷方針といいますか、そういうものをそれぞれの関係者で相談をしながら、政府米自主流通米の均衡のとれた集荷を行うべく現在努力をしておる、こういう状況でございます。
  294. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ちょっと私が理解できてないのだろうと思うのですけれども、先ほど政府米自主流通米の割合が七対三だということに現在なっておる、こういうふうにお聞きをいたしました。それで、この七対三という割合はこれからどうなっていくのであろうか、こういうことをお尋ねしたのでありますけれども、その均衡のとれた集荷を行う、いつの時点でもそういうふうに言われても具体的なイメージとしてわいてこないわけですね。だから数字として、例えばその七対三という割合は、これがもう本当に政府米自主流通米の比率において基本的な割合なのかどうか、あるいはこれがもうちょっとどちらかに動いていくのか、その辺をお伺いしているのですが、お答えいただけますか。
  295. 森元光保

    森元説明員 農政審議会等におきましては、政府米自主流通米の比率をおおむね六対四くらいのところがいいのではないかというようなことにつきましての御報告があるわけでございまして、私どもといたしましても、自主流通米については大体六割程度、それから政府米については四割程度、これは主食の世界の話でございますが、そういった割合でもって集荷を進めていくということが必要なのではないかというふうに思っております。  したがって、基本計画におきましては、政府米につきまして今後約二百十万トン程度の集荷をしていきたいというふうに思っておりまして、そういう方向で現在、先ほど申し上げましたように集荷団体等と御相談をさせていただいておる、こういうことでございます。
  296. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今回の新聞報道の中で、いわゆる良質米奨励金の一部改革というのか改正、変化みたいなのがございまして、その記事の中で、いわゆる自主流通米というのを援助していくというか、そのような既定の方針があったというふうに思うわけです。そうすると、そういう現在の七対三というのを、さらにもうちょっと自主流通米がふえていくのかな、私はそういうふうな思いも持ったわけですけれども、そういうことではないわけですか。
  297. 森元光保

    森元説明員 先ほどから申し上げておりますように、やはり政府米自主流通米につきましては均衡のとれた集荷なり売却操作をやっていくことが、食糧管理制度の円滑な運営という点におきましても大変重要でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、そういう視点で今後集荷対策なり売却をしていくわけでございますが、先ほど先生のお話がありました良質米奨励金につきましては、先ほどちょっと申し上げておりますけれども、自主流通米の集荷ベースでいきましてもう既に七割になっているという状態、既に所期の目的は達成されているというような御意見もございますし、また政府米自主流通米とのいわゆる農家の手取り差額というものがかなり拡大をしてきているというような実態もございます。また良質米のつくりにくさというような点あるいは単収の差があるというような問題につきましてもかなり解消してきておるわけでございまして、そういう点で、今後良質米奨励金につきましては従来の形を仕組みを改めまして交付をしていくということでございますので、自主流通米を今後とも七割を超えて拡大をしていくための良質米奨励金という考え方ではおらないわけでございます。
  298. 倉田栄喜

    ○倉田委員 生産米価価格決定のあり方について、もう一度違う観点から御質問させていただきたいと思いますけれども、例えば農業というのは非常に天候に左右をされてしまう、あるいは非常に自然界の大災害の影響等をもろに受けやすい、こういう部分はどなたもお認めになっておられるし、非常に言われていることであろうと思うわけですけれども、この価格決定のあり方について、こういう天候の状況であるとか自然の大災害であるとか、そういうことを要素の中に取り込むということは全然不可能なわけでございますか。
  299. 森元光保

    森元説明員 米価算定上、災害等の変動要因をできるだけ少なくする、そういうことで災害等に伴う減収率二〇%以上の農家につきましてはこれを除外をしているという形になっておりまして、これによりまして米価安定性を保つというふうに我々としては心がけておるわけでございます。  また、御案内のように、災害農家に対しましては別途農作物の共済制度のもとにおきまして、契約条件等に応じまして減収分については補てんをされるという仕組みがあるわけでございます。したがって、災害に伴うコストアップを直接織り込むということにつきましては必要ないのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  300. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その点に関連してでございますけれども、少し出身地の話になってしまって恐縮でございますが、七月二日、九州地方一帯に大豪雨がありまして相当な被害が出ております。私のふるさとであります熊本でも、阿蘇地方を中心に実は水田、畑作等々大被害がこれから出てくるであろうというふうに思うわけでございます。  しかも、何回もこの委員会でも質問させていただいておりましたけれども、阿蘇地方には阿蘇山の火山活動による降灰が堆積をしておりまして、これが七百万トン以上の堆積量があったわけであって、今回の豪雨によりましてその降灰が全部水田、畑に流れ出してしまっておる。私も二日の晩に現地に行ったわけですけれども、水田というのが降灰で全く身動きがとれないような状況になってしまっているわけでございますね。これは災害の方の問題でございますので国土庁との関係でもあろうかと思いますが、今から苗づけされた苗が本当に全滅をしてしまう、あるいは流れ込んだ田を果たして回復できるのかどうか、これは非常に切実な問題になってくるということに心配をしているわけですけれども、この点については農水省はどのような対応策というのをとられますでしょうか。
  301. 上野博史

    ○上野説明員 七月一日、二日、九州地方を襲いました大雨の被害は、今先生がおっしゃいましたように生命財産に関する大被害もございまして、把握がまだ十分に行き届いていないということでございます。私ども、九州農政局の担当官を現地に派遣するなど、熊本県を通じまして災害状況の把握に努めているところでございます。  今先生のお話のございました後の災害復旧等の問題につきましては、その災害状況の把握をしながら、応急にやるべきものについては早急に手がけてまいりたいと思っておりますし、それから稲がもう一遍作付けられるのかどうか、あるいは水田の復旧ができるのかどうかというようなことにつきましては、その結果を把握した上でできるだけ早急にやれるものをやってまいりたい、かように考えているところでございます。
  302. 倉田栄喜

    ○倉田委員 この点につきましても、ぜひとも適切な対応を特に要望をしておきたいと思います。  それから、冒頭から私は農家の方々の勤労意欲、営農意欲というのか、この点を申し上げ、これを主にして質問をさせていただきました。このままの状態で進んでしまうと、まさに農村の後継者という問題で農業自体が崩壊をしてしまう、このことを本当に心配をしております。この点については特にきめ細かな、後継者の育成という適切な施策をとっていただくよう特に要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  303. 中川昭一

    ○中川委員長代理 次に、藤田スミ君。
  304. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 今回、政府・自民党が一・五%の生産者米価引き下げ諮問を行ったことについて、私も強く抗議をしておきたいと思います。何で生産者が十四年も前の米価よりもまだ低い米価で我慢させられなければならないのでしょうか。今回導入された新算定方式自身の問題については後ほど触れていきたいと思いますが、この米価引き下げ生産者に与える影響を農水省は一体どう考えているのか。先ほどからもそうした議論はたくさんありましたが、私もまた同じことをたださなければなりません。日本の米生産、日本の農村の状況を本当に知ってやろうとしているのか、そういうことを言わざるを得ないわけであります。  私どもが今行っております米の全国調査の中でも、農業従事者は高齢化し、老人だけの集落がふえ、農業の後継者はほとんどいない。専業米生産者にしても将来の展望はなく、その暮らしぶりは周囲の兼業農家よりも悪いと嘆く、まさに農業も農村も崩壊しかねない深刻な状況であります。  このような状況のもとで、今回の生産者米価引き下げはますます農業後継者の減少を招き、また現在の米生産に従事している農業者に一層の展望を失わせ、さらには離農に追い込む、こういうことになるではありませんか。さらに言えば、必要な土地改良事業も進まず、迫られている水路の補修もままならなくなる。こうした米価引き下げがもたらす影響について一体どう考えていらっしゃるのか。農業後継者、米従事者に対する農業展望という点から、あるいは土地改良事業、そして地域経済に与える影響等々について、まずその影響についてどう考えていらっしゃるのか、簡潔にお答えをいただきたいわけであります。
  305. 森元光保

    森元説明員 本日、米価審議会諮問いたしました米価につきましては、けさほど来から御説明をしておりますように、地域の実質的な担い手に着目をいたしまして算定をしたわけでございます。私どもといたしましては、今後こういった担い手に対しましては、単に価格政策のみならず、やはり価格政策と相まって構造政策あるいは生産対策によりまして、今後担い手が意欲を持って農業に取り組めるようにしていかなければならない、かように考えておるわけでございます。
  306. 片桐久雄

    ○片桐説明員 米価の決め方によりまして土地改良事業の農家負担の問題に影響するわけでございますけれども、私どもといたしましては、農家負担の軽減にも配慮しながら土地改良事業を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  307. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それで答弁になっているのかなと驚いた次第ですね。  要するに、地域経済に与える影響などは調べていらっしゃらないのでしょう。農業後継者にどんな影響が広がっていくかということもわかっていらっしゃらない。土地改良については別途手を打っているから大丈夫だ、そういうことじゃありませんか。全く無責任で話になりません。農業後継者の激減は、裏返したら日本の農業もあと十年と言われるほどの深刻な事態なのです。だから、私は自前米審でこのようなことは当然論議されるべきものだと思いますが、事前米審資料でも掲載されておりませんし、また論議もされていないようです。     〔中川委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、生産現場では、米価引き下げ農業もますます展望が持てなくなるわけだから、農業後継者など育つわけがない、こういうことで、米価引き下げの影響が深刻に論議されているのです。財界の中からさえ、最近こういうふうな対話がある雑誌に載っていました。「農業従事者の高齢化の問題も、生産力に影響すると思います。」「「後継者の居る農家は四十六軒に一軒ぐらいしかないから、ほうっておいても集約される。」とおっしゃる方も居ます。しかし、それでは農業者により苦労を掛けることになる。」「農業が倒れ、食品工業も共倒れというのでは日本経済も国民生活も立ちゆかなくなります。」こんな言葉が交わされているのです。こういう認識を持っているのです。  政務次官、今回の米価引き下げは日本の農業に展望を与えるどころか、それを内側から掘り崩すものではありませんか。政務次官の明確な御答弁を求めたいと思います。
  308. 東力

    ○東説明員 私も、和歌山県という農業、林業、漁業が主たる産業である地域を代表して参っているわけでございまして、一貫して農林漁業者に対する配慮ということに努めてまいりました。  今政務次官といたしましても、幸い農林水産省も非常に頑張っておりまして、米の問題につきましても、生産者価格が上がっていかないということに対していら立ちを覚える立場の方の御意見も承っているわけでありますけれども、一方で、先ほどからずっと御説明いたしておりますように、やはり内外情勢をよく考えまして、国民の各層からこういうふうに生き残っていただきたい、こういうふうに競争力をつけていただきたい、そういうためには生産性を高めていく努力ということは、担い手になっていくような、平均以上に生産性が高いというような農業を一つの基準として価格を決定していかなければならない、こういったことで諮問をいたしまして、そして今審議会で審議をしていただいている。皆さん方の御意見もよく承って、しかしあくまで農業生産者の、そしてそれを取り巻く地域経済全体の維持発展ということを最大の重要な政策といたしまして、価格政策と並んで構造政策、そして生産政策というものを組み合わせて、全力を尽くして努力をいたしているところでございますし、そういった努力を堅持するということで食糧の自給体制、安全保障といった政策を世界の場においても貫こうと最大限の努力をしているところでございます。
  309. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 政務次官のいらっしゃる和歌山県というのは、全国でも生産費が一番高くついているのですよ。そういうことを十分御存じだと思いますが、もし和歌山の反当たり生産費で計算をしていくと、大体二万四千円ぐらいの値をつけないと割が合わないというようなことは、もうちゃんと政府資料でも載っているんです。だから、私は、和歌山の選出の方だったら、私も和歌山は縁の深い地域ですから、何というか、そういう余りかけ離れたような議論をなさらない方がいいというふうに思うんです。  担い手が意欲を持って農業できるようにと先ほどからの御答弁にもありましたが、実際には今回の米価引き下げが米専業農家に一番打撃になることは明らかじゃありませんか。午前中にも引用されましたので、全中の米政策研究会の米価政策に関する中間報告の中のものを私はあえてここで引用しようとはしませんが、私がこの間調査に参りました県で、二十町を超える、二十ヘクタールを超える大規模農家、しかもこの方はかなり農政の委員会、審議会などにも参加されたことのある非常に立派な方ですが、この方がおっしゃるには、大規模でやっていけるのは借金がなく、借地がなく、農地が一ところに固まっている、この三つの条件がそろわなければ採算がとれないということをおっしゃっておられるわけです。そして、そういう条件のある農家は皆無に等しい、まして米価を下げられればやっていけなくなることは目に見えているんだということをおっしゃっておられました。そして、各県の中央会の幹部の方も、米価引き下げ政府の進める規模拡大政策は政策上矛盾をしているよ、こういうふうにおっしゃったわけです。どう答えられますか。
  310. 森元光保

    森元説明員 今回の算定方式におきましても、私どもやはり生産性の高い将来の稲作農業の担い手というものに着目をいたしまして、算定方式を決定したわけでございます。今回の算定方式の中にも、やはりこれからの稲作農家の担い手というものを育成をしていくような視点で、私どもとしては算定をしてきておるわけでございます。  今、米の流通の中におきましては、先ほど来から御説明しておりますように、政府米自主流通米がございますが、自主流通米のシェアというのがかなり高くなってきておりまして、農家の米の販売額に占める自主流通米の比率というのは、元年産米で農家の販売額の大体四分の三程度になっているというような状況も加味して考えていかなければいけないと思っております。
  311. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 自主流通米の比率が高くなった、それを加味して考えていかなければならないというような答弁を政府はやるべきじゃありません。今回、新たな算定方式を導入された、これもいわば自民党農政の混迷ぶりを示しているとは言えませんか。  事前米審に出された今回の米価算定方式についてというのを見ますと、私どもが昨年強くその撤回を求めた一・五ヘクタール以上を対象とする算定方式について、あなた方も四つの問題点を指摘されています。私はその全部をもうここで言う気はありませんが、対象農家平均規模が大きくてそれが実態から乖離しているとか、対象農家戸数シェアや販売数量のシェアが少ないとか、こういうことを私どもは十分指摘をしていたわけです。ところが、そういう反対の声を無視して、米審にまで諮問した農水省のミスリードの責任の大きさを私は改めて指摘をしておきたいと思います。  今回の算定方式についても、農家戸数で四四%、そして販売数量で六〇%しかカバーされていませんが、これを九つのブロックに分けて見ていきますと、北陸で三八%、近畿で四一%、九州で四三%というふうに、全農家戸数の四四%をカバーしているという数字よりも低くなっているわけです。そういう点からも、不当性は明らかであります。  ちなみに、五十六年産米まで適用されていた必要量比率方式を使って、生産費及び所得補償方式で計算をしたらどういう数字になるか、明らかにしてください。
  312. 森元光保

    森元説明員 五十六年産米価算定に適用いたしました算定対象農家とり方につきましては、今先生お話がありましたように、いわゆる必要量比率方式、価格決定年の前三年の各年の米販売農家のうち、価格決定等の必要量に見合う販売数量までの生産費を対象にしてとったわけでございますが、実は、時間の制約等もございまして、この方式に基づく試算値につきましてはまだ計算をするに至っておりません。甚だ申しわけございませんけれども、はっきりとした数字につきましてここで御答弁申し上げかねるわけでございますが、少なくとも今回の諮問値よりも相当高い水準になるのではないか、こういうふうに考えております。
  313. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 時間の制限もこれありで今回はその数字を示すことができないが、必要量比率方式を使って、つまり五十六年産米まで適用していたその方式を使うと相当高目に出る、こういうことをおっしゃったわけです。後日、その数字をぜひ私の方に届けてください。お約束をいただきたいと思います。  農水省の調査全国平均生産費で計算をしましたら、米価水準は二万六十三円です。だから、今回の一万六千五百円、この数字がどんなにひどいものかということは明らかであります。今回の算定方式は、あれこれの理由をつけても米価引き下げを一層進めるための理由づけにしたことにしかならないことははっきりしていると思いますから、我が党としては強く撤回を求めたいと思います。  ところで、先ほどから内外価格差に絡んで米が高いと言われておりますので、私はこの点だけ簡単に質問をしておきたいと思いますが、今消費者は、四人家族で一日幾らの米代を払っています
  314. 森元光保

    森元説明員 資料を調べまして、後ほど御答弁させていただきたいと思います。
  315. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 政務次官、米は高いと思いますか。消費者が食べている米代は高いと思われます
  316. 東力

    ○東説明員 私は自分で米を買ったことがないのでよくわかりませんけれども、外国と比べると高いということは承知しております。また同時に、高いといっても家計費の中でそんなに占めるわけではないから、一般のところにそれほど大した影響はないというようなことも聞いておりますが、正確には存じておりません。
  317. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 わかりましたか。
  318. 森元光保

    森元説明員 元年度におきまして、これは速報値でございますけれども、米類といたしまして一カ月五千三百七円というような数字が出ております。
  319. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 一カ月で五千三百七円。四人家族でしょう。
  320. 森元光保

    森元説明員 平均三・六人の家族でございます。
  321. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 だから、ずっと計算をしていきますと、一人一日大体五十円ぐらいが米代の負担、こういうことになるかと思います。  政務次官は御自身で米も買われないで、消費者の理解を得るためとか米は高いとか、先ほどからこういうことをおっしゃっていらっしゃるわけですが、私はここで内外価格差の問題、これは為替レートの変動という重要な要素があり、それからそれぞれの国の中での実際の価格の変化ということをしっかりと見ておかなければ、今アメリカと財界はこの問題を内外価格差という名で圧力をかけて自由化の道を開こうとしているときだけに、政府自身がそういう言葉を使われるということに実際のところは先ほどから非常にいらいらしていましたので、そのことをはっきりさせておきたかったわけです。そう思われませんか。  内外価格差を語る場合は、為替レートの変動という重要な要素、それからそれぞれの国の中での実際価格の変化、そういうふうに見るならば、明らかに生産者米価はこの十四年前の米価と変わっていない、むしろ引き下げられているという点では、これは国の中の状態を見れば、実際の価格は大変な努力を押しつけられているということになるわけであります。  時間が大変制約されてきておりますので、その問題については後ほどお答えください。  もう一つ、今回多くの産地の反対を押し切って良質米奨励金の実質的な削減に手をつけたわけでありますが、もう既に良質米奨励金は産地では基本米価化しています。その実質的な削減に私は強く抗議をしたいわけですが、今回の制度改正によって、自主流通奨励金について自主流通米計画、ことしでいえば自主流通米比率六五%の枠内しか支給しないということになったわけであります。政府の低米価政策で、自主流通米は八九年で七一%にもなり、ことしの自主流通米作付比率は八〇%までになっています。結局、奨励金をもらえない農家が相当出てくるというふうに思うわけであります。  そしてそのことから、それでは政府米がふえるのかというと、今回の諮問米価のような価格政府米が集まるわけがない。結局、これまでの所得を保障していくためにやみ米の方がふえていく、そういう可能性があるわけでありますが、総額が減った自主流通米奨励金を産地間で取り合うために、産地間の争いはますます強まるでしょう。そしてそれにも増して、自主流通米取引所が設置されるならば、その奨励金を多く取るために、産地間でBランクをAランクにするため、この取引所で競い合うようになり、まさにここから食管制度は、国による全量管理、二重米価制度ともに根本から崩されていくという危険を私は感ずるわけでありますが、どう認識していらっしゃいますか。
  322. 東力

    ○東説明員 自主流通米の質問に対しましては事務当局からお答えさせていただきたいと思いますが、内外価格差を言うときには為替レート等もよく考えろということでございました。  その点につきましては、私はもともと国際経済が専門でありまして、すべてのことを考えるときに、国際経済の中で為替のレートそしてその変化といったものがどのような影響を与えるかということにつきましては十分に考えているつもりでありますが、米につきましては、円が高くなるに従って内外価格差がまたそれに応じて広がってきているというところに、国際的な問題がむしろ激化しているということがございますので、この点も御理解願いたいと思います。  そして、内外価格差のみならず、先ほどからいろいろな先生方の御質問がありましたように、その品種とか銘柄とか味、さらには健康上の問題といったことも含めて総合的に勘案するようにということにつきましては、そのように努力をさせていただきたいと思います。
  323. 森元光保

    森元説明員 自主流通米につきましては、今後自主流通計画を策定いたしまして、それに基づいて流通させていくということになっておるわけでございまして、これから生産者団体、いわゆる集荷団体等が現地においていろいろ相談をしながら計画を積み上げてくるというような状況になっております。  また良質米奨励金の組みかえにつきましては、今後は自主流通計画に即した流通を確保するという視点、あるいは良質米の生産の安定を図っていくというような視点、さらにはまた上位等級の出荷誘導というような観点に立ちまして、適正な集荷あるいは流通の確保を図っていくということで、今回この改善を図っていこうというふうに考えておるわけでございます。  また、先ほど価格形成の場の話が出ましたけれども、私の方といたしましては、自主流通が既に集荷ベースで七割というような状況でございますので、今後自主流通米についての価格の形成につきまして、公正でかつ透明性のある価格決定の仕組みの場をつくってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  324. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私の持ち時間が本当になくなってしまっています。大変残念ですが、米の産地でも米取引所の設置が国内の米自由化措置の一環であることを見抜いているということをよく知ってもらいたい、そして、今本当に米輸入自由化阻止のために、生産者も自治体も政府も一致団結をして米自由化阻止をやらなければならない、そういう大事なときに産地間競争をあおり、生産者の分断をあおっていく米取引所を直ちにやめるように私は重ねて申し上げておきたいと思います。  最後に一問だけ、重要な問題がありますのでお伺いしておきますが、六月二十五日にUSAライスカウンシルが、先日の幕張メッセにおいて食管法違反のカリフォルニア米の試食展示会を行い撤去措置を受けたにもかかわらず、重ねて都内のホテルにおいてまた食管法違反のカリフォルニア米の試食会を行ったわけです。全く挑戦的というか、日本の法律を無視しているわけでありますが、このような悪質な行為に対しては、食糧庁として直ちに告訴するなど厳重な態度をとるべきであります。この事件の経過そして対応についてお答えください。  私は、日本の政府の態度のいかんによっては、まさに米輸入自由化に対する我が国の対応についても相手側は見透かしていく、そういう点で厳しい対応を求めながら、最終的な答弁を求めて終わります。
  325. 森元光保

    森元説明員 アメリカのライスカウンシルの問題の前に、ちょっと価格形成の場につきまして一言触れさせていただきたいと思いますけれども、価格形成の場につきましては、あくまでも食糧管理制度の枠組みの中で実施をしていこうというふうに考えておるわけでございまして、自主流通米の産地、品種、銘柄ごとの需給動向なり品質評価価格に的確に反映させていく、こういう仕細みとしてつくってまいりたいというふうに思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。  それから、アメリカのライスカウンシルの問題でございますけれども、米国産の米の我が国への持ち込みにつきましては、食糧管理の法令上、旅客の持ち込み等特定の場合には持ち込みが認められるということになっておるわけでございまして、私ども新聞等に出ましたので電話等で事実関係を聞いたわけでございますが、責任者等が不在ということもございまして現在まだきちんとした事実関係を把握していない、いずれにいたしましても事実を確認いたしまして適切に対応していきたい、こういうふうに思っております。
  326. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 終わります。
  327. 亀井静香

    亀井委員長 小平忠正君。
  328. 小平忠正

    ○小平委員 私は、午前中に大臣に今回の米価についてのことで基本的な問題をお伺いいたしましたが、しかし私もこの質疑の経過の中で、何となくこの委員会、今回は白けムードが漂っている、そんな感じがいたします。  今年度の米価シーズン、私にとっては初めての経験でございます。しかし、私が今まで一国民として承知している範囲においては、農水大臣から米審に対して諮問が出されて、そして農水省の分庁舎で米審が開かれている、並行して衆議院の農水委員会、そして翌日には参議院の農水委員会、こういうふうに私は承知いたしておりました。しかし、今回は既に米価が決定してしまっている。一・五%減で一万六千五百円でもう米価が決まっている。何となくそういう中での質疑、私も初めての経験ながら、正直言っておかしな気分であります。しかし、時間も与えられましたので、幾つかの問題点、お聞きしたいことがありますので、質問させていただきます。  まず第一にお伺いしたいのは、生産者米価算定方式についてであるのですが、米価算定基礎になっております生産費所得補償方式は、昭和三十六年に採用されました。しかしその後、そのときどきの財政事情あるいは需給事情等によっていろいろな変更が加えられてきた。最近の例を挙げれば、昭和五十九年以降はいわゆる潜在需給ギャップ反映必要量生産費方式、昨年度は一・五ヘクタール以上層を対象とした生産費方式、そしてことしは、今回のこの方式の採用であります。しかし、このようにたびたび算定方式が変更されるということは、いわゆる生産農家にとっては営農上、長期的な展望というか視点というか、そういうことを定めることができずに、農政不信というものがますます増大いたしております。  加えてこういう政治情勢、国内外情勢によって米価が毎年引き下げられたり据え置かれたりすることは、生産農家のみならず消費者の側から見てもやはりおかしいのじゃないか。自民党の皆さんの農政に対して、やはりおかしいのじゃないかという不信があることは事実であると私は思います。こういう点についてひとつ政務次官、東先生、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。
  329. 東力

    ○東説明員 農業生産者が長期的、基本的に競争力をつけていく、そのためには生産性の向上、すなわち生産費を削減しながら努力をしていく、同時に、価格の政策だけではなくて構造政策、生産政策といったものを組み合わせていく、同時に稲作以外の兼業農家その他に対してもいろいろな政策を執行していくということを通じて、特に米の自給体制を維持していかなければならないという基本的精神を踏まえているわけです。  同時に、生産コストを考えるという場合にも、メソドロジー、方法論を変えてはいけないということで、むしろ先に決めるということがおかしいのではないか、やはりそのときの情勢事情に合ったものでなければならないということが米審でも議論をされたと聞いておりますし、特に去年までの方式ですと、一・五ヘクタール以上の農家をとると、平均的には二・七ヘクタールの農家ということになる。ところがそれは対象としては、戸数で一二%ぐらい、生産販売量で四四%ぐらい、そして今回の方式をとると、地域的にもきめ細かい方法をやり、さらにはその戸数でも四四、五%、また販売量では六〇%ぐらいということで、むしろそういうまじめな努力の過程の中で、農家の対象をもう少し全体的にうまく反映するような方法をとらなければいけないというようなところから出てきたというふうに承っておりますけ ども、詳しいことは事務当局に答弁させますが、私が先生に御理解願いたいのは、そういったまじめな努力を政府が、そして政府・与党が一生懸命やってきているということは御理解願いたいと思います。
  330. 小平忠正

    ○小平委員 森元次長には次にお答えいただきますが、今、東次官御答弁いただきましたが、確かにそのときのいわゆる情勢によって方式は変わることはある、これは私もそう理解いたします。しかし、俗に言う猫の目といいますか、しょっちゅう変わるのでは、やはり農業というのはある程度の展望を持っていないと営農はできないものであります。そんな意味において、じゃ、ことし変わったのならまた来年も変わるのではないか、こんなような疑問を持つのは、私のみならずいわゆる生産者農家の共通の認識であると思います。  そういう中で、特に今回の方式に際して今いみじくもおっしゃった、昨年の一・五ヘクタール以上の層を対象とするよりも今回の方がカバーする農家戸数なり販売数量が大きくなる、こう言われました。しかし今回の新しい方式でも、私がいただいた書類によりますと、依然として戸数で五六%、それから販売数量で四〇%が逆にカバーされていない。前回よりはカバー率が高まったけれども、この数字からいいまして大体半分ぐらいの層が農家戸数、それから販売数量においても四〇%が逆にカバーされていない、こういう状況になっております。  このことは、二十九日の事前米審において政府から出されました。そして生産者団体から特にこのことについて、生産性の低い農家の切り捨てにつながるものであるなどの意見が出されて、了解は得られていないと思います。そういう了解がないままに今回の算定方式を使用しても、農家のいわゆる政治不信の解消にはならない、こんなふうに私は思うのですが、森元次長、今回の新しい算定方式を採用するに至った経緯と、これを妥当とされる根拠について、生産農家納得いくような御答弁をいただきたいと思います。
  331. 森元光保

    森元説明員 先ほども政務次官の方から御答弁を申し上げましたけれども、昨年の算定方式につきましては一・五ヘクタール以上の個別経営農家を対象にして算定したわけでございまして、その算定方式につきましてはいろいろ御議論がございました。対象農家平均規模が大き過ぎるというような御議論もあったわけでございますし、また、我が国稲作生産の実態を必ずしも十分反映していないという問題、あるいは今お話がございましたけれども、規模が小さくても当然生産性の高い農家というのはいるわけでございますし、意欲を持って稲作農業に取り組んでおる農家はおるわけでございます。そういったことを考えますと、やはりできるだけ地域特性というものを加味しながら、そしてそういう地域の中で実質的に稲作を担っている生産性の高い農家というものを対象農家にとっていくということが非常に重要ではないかという判断を実はしたわけでございます。  ただいま先生の方からも既にお話がありましたように、今回の算定方式によりますと、農家戸数シェアで見ますと約四四%、それから販売シェアで見ますと約六割を算定対象にしておるというようなことでございまして、生産者団体の方からも、御要請の中には米の販売シェアの大宗を担うというようなことで要請がございました。我々といたしましては、販売数量シェアが約六割を持っておるということから考えますと、生産シェアの大宗を担っている農家が今回の生産費対象農家になっておる、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
  332. 小平忠正

    ○小平委員 大宗という言葉の解釈だと思うのですが、私は、大宗を担うというのはもっとカバーするのが大宗だ、そのように解釈いたします。  それで、このことについてもまだ申し上げたいのですけれども、次の質問に移りますが、食管法のことについて、ひとつ専門家であられる皆さんに対して質問いたします。  食管法第三条の規定についてでありますけれども、すなわち食管法第三条一項においては「米穀生産者ハ命令ノ定ムル所ニ依り其ノ生産シタル米穀ニシテ基本計画ニ依り政府ノ管理スベキモノトセラレタル米穀ノ数量ヲ基礎トシテ政令ヲ以テ定ムルモノ」、この政令で定めるものということは予約限度数量であって、平成年産米においては六百六十三万トンですよね。「ヲ直接又ハ第八条ノ二第三項ノ集荷業者ニ委託ヲシテ政府ニ売渡スベシ」等々と規定しております。次にその第二項においては「前項ノ場合ニ於ヶル政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依り生産費及物価其ノ他ノ経済事情参酌シ米穀ノ再生産確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、このように規定をいたしております。  そこで、この第一項の政府買い入れ規定と第二項の買い入れ価格算定規定は連動している規定だ、私はそう解釈いたしておりますが、農水省の見解はどうであるか。  特に問題は、第二項の再生産確保することを旨として定む、この解釈についてであるのですけれども、私は、その再生産確保を図ることを前提とした算定方式においては、その算定要素をそのときどきの経済事情によりある程度変更することはやむを得ない、先ほども申し上げました、そう思いますが、算定基礎になる原生産費については、第一項の予約限度数量割り当ての対象となる米販売農家のすべての層を対象としてその平均値でもってするのがこの食管法法律解釈の本筋である、このように私は思うのであります。少なくとも、昨年度の米価のように一・五ヘクタール以下の農家算定対象から外したり、あるいは今年度の、この今諮問が出されました、決定されました米価のように、逆に今度は平均生産費以上の農家を外したりする、こういうやり方は食管法第三条の全体解釈から見ておかしい、違法ではないか、こんなふうに考えるのでありますが、御見解はいかがでしょうか。
  333. 森元光保

    森元説明員 お答えをいたします。  食糧管理法の第三条の一項につきましては、国民の必要とする数量につきまして、これは政府の管理すべき数量につきまして、生産者に対しましては自主流通米を除きまして売り渡し義務を課しておるということになっておるわけでございます。同条の第二項は、その際の対価としての政府買い入れ価格の決め方につきまして規定をしておるということでございます。食管法第三条第一項の規定は、当然、一項の米穀につきまして政府に対して売り渡すべく義務を課しておりますので、また同条第二項は、それに見合う対価を担保しているという関係にあろうかと思います。そういった意味で、第三条第一項の規定と同条第二項の規定は一体的な関係にあると理解をしておるわけでございます。  それから、限度数量に見合ういわゆる販売農家を対象にして米価算定をしろというお話でございますけれども、先ほども申し上げましたように、予約限度数量につきましては六百六十三万トンということになってございます。この六百六十三万トンの生産農家というものを取り出しまして、そしてそれを対象にした米価算定を行うということは、恐らく現行の米価水準から見ましてもかなり大幅に上がるというような感じがいたしますし、また現在のように米の過剰基調のもとで、しかも生産費所得補償方式という方式をとっている状況の中で、果たして国民的な理解あるいは支援が得られるものであるかどうかというふうに思っておるわけでございまして、現在のように八十三万ヘクタールの転作をしながら、再生産におきましては一応米の再生産というものは確保している状況にあるのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  334. 小平忠正

    ○小平委員 食管法のこの規定が、いわゆる三条の規定というものが一つの柱であると思うのですね。そんな意味で、私はこの解釈をきちんとして、それにのっとって進めてもらいたい、こんなふうに、私は法律の専門家ではありませんけれども、そういうことを強く感ずる次第でございます。  次に、私は米価算定に当たっての算定要素の問題についての質問をさせていただきます。  従来から大きな問題として指摘されておるのは、いわゆる家族労働費評価がえの点についてであります。すなわち、昭和五十五年産米までは製造業に係る全国平均賃金で評価がえされてきたわけでありますが、昭和五十六年産米以降は、米の過剰等々を理由に、各地域の米の販売数量を加重平均した製造業賃金によって評価がえが行われてきました。  私は、このような評価がえの方法については、次の二つの理由から疑問を持っておる次第であります。  まずその一つは、米の需給が依然として過剰基調にあるとはいいましても、きちんと生産調整が守られて実施されております。農家の血の出るような努力によってこれが生産調整されてきております。そういう中で、米の過剰基調と農家所得を補償する米価算定とは切り離して考えてあげるべきだ。  もう一点は、政府が言いますように担い手を対象として米価算定する必要があるとするならば、労賃評価の中には経営者の利潤といいますか、そういう要素を含めたものが当然加味されるべきである、私はそう思います。少なくとも政府の今後の姿勢が大規模ないわゆる企業的なセンスを持った農家の育成、そういうものにあるならば、現行のような労賃評価方法は不自然であって、かつ政策的な矛盾として指摘をせざるを得ない、こんなふうに考えますが、この点いかがです
  335. 森元光保

    森元説明員 家族労働費評価がえにつきましては、御案内のように都市均衡労賃評価がえをしておるわけでございますけれども、都道府県別米販売数量によりまして加重平均いたしました事業所規模五人以上千人未満製造業賃金を採用さしていただいておるということでございます。過去には五人以上の事業所規模の賃金を採用した経過もあるわけでございますけれども、しかし、現在のように大幅な潜在需給ギャップが存在をするという中で、しかもまた生産者団体あるいは生産者が一体となって生産調整を行っている状況の中で、この労働評価を高めて、そして米価を高めるというようなことにつきましては、現状においてはなかなか国民的な御理解がいただけないというふうに思ってもいるわけでございます。  また、米販売数量によります加重平均方式、これを改めるというようなお話もありますけれども、そういたしますと、東京や大阪などほとんど米の生産関係ない大都市地域の賃金水準がそのまま反映をするということになりますと、米の生産地域的な実態ということにつきましてもこれはどうかというふうに考えておりまして、今回の米価算定当たりましても、従来のように五人以上千人未満製造業賃金を採用さしていただいた、こういうふうになっております。
  336. 亀井静香

    亀井委員長 ちょっと答弁漏れがあります。  経営者的利益をなぜ考慮しないかという点につきまして答弁願います。
  337. 森元光保

    森元説明員 大変失礼をいたしました。  経営者に対する利潤の要素労賃評価の中に加味すべきではないかというふうなお話でございますけれども、今回の算定方式におきましては、本来圃場の原価主義、いわゆる圃場におきまして直接生産活動に要したコスト以外に、実は企画管理労働十アール当たり一・三時間というものを見ておるわけでございます。利潤の問題、あるいはこれとは別の問題かと思いますけれども、先ほど来から申し上げておりますように、現在の米をめぐります諸情勢の中で、この利潤まで加味した米価算定ということにつきましては、なかなか国民的な御理解なり御支援が得られないというふうに考えておるわけでございます。
  338. 小平忠正

    ○小平委員 委員長、御指摘いただいてありがとうございます。  次に、いわゆる良質米の奨励金、これに関連することなのですが、四類、五類のところで、今回は北海道で言う特自米を直して六百四十円で、そして一等米には四百円をプラスアルファする、そのような諮問がなされておりますが、私はどうもそこのところが一つひっかかるのですね。これが二等米だったらそのままであると。ということは、三百円のマイナスであります。将来に向かってそこに何か一つ含みがあるような気がしてならないのです。もう決定したのだからもう遅いかもしれませんが。米価は決定したのですよね。でも、どうですか、そこのところで一等米、二等米ということを分けないで、どうせ四百円をプラスアルファするのなら最初から千四十円と、そんなことで四類、五類のところに対する手厚いそういう保護があってもいいのじゃないかと思うのですが、もう一点質問したいので、そのことに関して簡単でいいですから、ひとつ御答弁願います。
  339. 森元光保

    森元説明員 良質米奨励金につきましての組みかえは、先ほども御答弁申し上げておりますように、今回、従来のようないわゆるつくりにくさとかあるいは単収差があるというようなことよりも、むしろこれからは自主流通米の計画的かつ安定的な流通を促進するというような視点でもって交付をしていくということが必要なのではないか。それに加えまして、いわゆる良質米を生産した場合におきましてはそれに加算をするというような考え方、さらにまた、できるだけやはり消費者の上質米志向ということもございますので、そういったものに対応するように、できるだけ上位等級に対しまして加算をしていくという考え方から、一等に対しましてこの等級加算は行うというふうな考え方でございます。  特別自主流通米につきましては、二等の場合において六百四十円というような形になりますけれども、一等の場合におきましては従来のBランクの単価の千四十円ということになるわけでございますから、むしろ単価は上がる、こういうふうな状況だと思っております。
  340. 小平忠正

    ○小平委員 要するに、私が申したかったことは、加算するのではなくて最初からそこに置けということを言いたかったのです。先に向けて、その点非常に気になるものですから指摘をした次第であります。  最後の質問なんですが、いわゆる政府米の需給操作についてのことでお伺いいたします。  平成元年度、昨年産米の集荷に占める政府米の割合は三割を割るに至っております。このため、今年度の政府米の需給操作はその過半数が古米を中心にしたものにならざるを得ず、円滑な操作が非常に困難視されている。この点に関連し、特に心配されておりますのは、今年度の政府米の集荷についてであります。基本計画においては二百十万トンを政府米として集荷する、そのようになっておりますが、現状は非常に厳しいと伺っております。現在の予約状況はどうなっているのか、そのことを一点お聞きしたい。  それと、このような状況が続けば、食管制度における政府米の役割ないし機能はだんだんと薄れていくと私は思うのです。今、価格形成の場の設置を当局は考えておられる、これについても、その概要がまだ見えてきておりません。この価格形成の場というもの、これはまた次の機会に詳しく質問したいと思うのですけれども、このことが食管制度を結果的にはなし崩しに崩壊させてしまうという思惑があるのではないか、そんな心配を私はいたしております。また、競争原理というものが、いわゆる弱肉強食の論理で、強いところが市場操作をして、これがある意味では大事な食糧の米を財テク、いわゆるマネーゲームに使われるというおそれがあるのではないか、いろいろな心配はしておりますが、自主流通米の拡大、さらに米の流通が広がってしまう、自由化ですね、そんなこと等々で、今申し上げましたように食管制度の崩壊につながっていくのではないか、こんなふうに、疑問というよりも大きな心配をいたしております。このような点について、最後に明快な御答弁をお伺いして、私の質問を終わります。
  341. 森元光保

    森元説明員 最初のお尋ねでございますけれども、事前売り渡し申し込みにつきましては、これから告示をして決めることになっておりまして、予約数量等についてはまだ今後の問題でございます。  それから、価格形成の場の設定でございますけれども、先ほど来から申し上げておりますように、自主流通米については集荷ベースでもって既に七割程度になってきておるというような実態があるわけでございます。四百万トンのお米につきましては自主流通協議会というところで一応相対で価格を決めている、政府米につきましては、本日も御議論いただいておりますように、米価審議会にもまた御諮問をし検討していただいておるわけでございますけれども、四百万トンの自主流通米価格決定の仕組みがどうも公開性を欠くとか、透明性を欠くとかいう批判もあるわけでございまして、私の方といたしましては、生産者にも消費者にも価格決定の仕組みができるだけわかるような形でもってやっていきたい。あくまでもこの価格形成の場につきましては、食糧管理制度の枠組みの中で、しかも生産調整を実施しながら、産地におきます品種銘柄別の評価とか、需要動向に応じました評価、これを適正にやっていくような場としてつくってまいりたいと、現在、我々といたしましても、その仕組みのあり方について具体的に検討しているところでございます。
  342. 小平忠正

    ○小平委員 終わります。
  343. 亀井静香

    亀井委員長 御苦労さまでした。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十四分散会