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1990-06-21 第118回国会 衆議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月二十一日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 亀井 静香君    理事 石破  茂君 理事 大原 一三君    理事 中川 昭一君 理事 穂積 良行君    理事 柳沢 伯夫君 理事 石橋 大吉君    理事 日野 市朗君 理事 西中  清君       愛野興一郎君    内海 英男君       大石 千八君    唐沢俊二郎君       杉浦 正健君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    近岡理一郎君       仲村 正治君    丹羽 兵助君       鳩山由紀夫君    二田 孝治君       松岡 利勝君   三ツ林弥太郎君       御法川英文君    有川 清次君       遠藤  登君    北沢 清功君       佐々木秀典君    鉢呂 吉雄君       堀込 征雄君    目黒吉之助君       倉田 栄喜君    藤原 房雄君       藤田 スミ君    小平 忠正君       阿部 昭吾君    亀井 久興君  出席国務大臣         農林水産大臣  山本 富雄君  出席政府委員         農林水産政務次         官       東   力君         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産省経済         局長      川合 淳二君         農林水産省構造         改善局長    片桐 久雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    松山 光治君         農林水産省畜産         局長      岩崎 充利君         農林水産技術会         議事務局長   西尾 敏彦君         食糧庁長官   浜口 義曠君         水産庁長官   京谷 昭夫君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    鈴木  満君         外務大臣官房審         議官      高島 有終君         文部省体育局学         校健康教育課長 石川  晋君         海上保安庁警備         救難部救難課長 柳田 幸三君         農林水産委員会         調査室長    青木 敏也君     ───────────── 委員の異動 六月二十日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     江田 五月君 同日  辞任         補欠選任   江田 五月君     阿部 昭吾君 同月二十一日  辞任         補欠選任   佐藤  隆君     御法川英文君  三ツ林弥太郎君     松岡 利勝君   東  順治君     藤原 房雄君 同日  辞任         補欠選任  松岡 利勝君     三ツ林弥太郎君   御法川英文君     佐藤  隆君   藤原 房雄君     東  順治君     ───────────── 六月十八日  米の輸入自由化反対食糧管理制度堅持に関する請願木島日出夫紹介)(第一六八二号) 同月十九日  米の輸入自由化反対食糧管理制度堅持に関する請願北沢清功紹介)(第一九九八号)  同(串原義直紹介)(第一九九九号)  同(清水勇紹介)(第二〇〇〇号)  同(堀込征雄紹介)(第二〇〇一号) 同月二十日  都市農業保全に関する請願甘利明紹介)(第二三九二号)  同(小此木彦三郎紹介)(第二三九三号)  同(亀井善之紹介)(第二三九四号)  同(小泉純一郎紹介)(第二三九五号)  同(河野洋平紹介)(第二三九六号)  同(佐藤謙一郎紹介)(第二三九七号)  同(鈴木恒夫紹介)(第二三九八号)  同(原田義昭紹介)(第二三九九号)  同(藤井裕久紹介)(第二四〇〇号)  都市農業保全に関する請願小津潔紹介)(第二四〇一号)  同(越智通雄紹介)(第二四〇二号)  同(長田武士紹介)(第二四〇三号)  同(大塚雄司紹介)(第二四〇四号)  同外一件(粕谷茂紹介)(第二四〇五号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第二四〇六号)  同(小杉隆紹介)(第二四〇七号)  同(島村宜伸紹介)(第二四〇八号)  同(高沢寅男紹介)(第二四〇九号)  同(高橋一郎紹介)(第二四一〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 六月十五日  土地改良事業の推進に関する陳情書(第一四〇号)  竹島周辺海域における漁業の安全操業確保に関する陳情書(第一四一号)  食糧管理制度堅持等に関する陳情書(第一四二号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ────◇─────
  2. 亀井静香

    亀井委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
  3. 日野市朗

    日野委員 きょうはこの国会における最後の実質的ないろいろな審議をする委員会になりますので、私は、今最大の問題と言われております米の問題についての質問をさせていただきます。  まず食糧庁にお伺いをいたしますが、食糧庁存在理由というのは、食糧管理ということが非常に重大な課題であって、食管を守っていくということについては食糧庁はもっともっと真剣にならなければならないのではないかというふうに私は思っているわけでございますが、食糧庁はこの食管自分たちの仕事の関係、これをどのようにお考えになっておられますか。
  4. 浜口義曠

    浜口政府委員 ただいまの先生の御質問は日本の農業あるいは国民生活の上で最も重要な米に関連をいたします食糧管理制度についての食糧庁姿勢についての御質問でございます。  私ども考え方は、米が単に米というものだけではなくて、稲作あるいは水田といったような点から考えますと、それぞれの分野におきまして最も基幹的な役割を果たしている。特に水田におきましても、我が国の急峻なる地形といったようなものについても、今日的に一番問題になっております環境問題において国土保全という極めて根幹的な役割を果たしているということを含めまして重要な任務であるというふうに考えております。  続きまして、食糧庁農林水産省におきまして食糧管理制度というものの事務に携わっているわけでございまして、食糧管理制度はその法律が確かに昭和十七年という戦時中に発足をいたしましたけれども、その間におきまして社会のいろいろな変化というものに対応いたしまして、現時点におきましても農林水産省におきます価格政策の中での最も重要な一端を担っているという自負を持っているわけでございます。そういう意味で、これまで食糧管理制度に寄せられた国民の期待あるいは農家の希望、消費者立場、そういったものを十分背に負ってこの食糧管理制度の立派な運営にできるだけ全力を挙げるという態度対応していかなければならないというふうに考えているところでございます。
  5. 日野市朗

    日野委員 戦後、米過剰現象というのが発生をしてから、その前からずっと続いてはいるのでありますが、食管廃止論というものはずっと絶え間なく主張され続けてきているわけであります。それに対応してきた食糧庁のいろいろな態度というものを見てみますと、米の過剰現象が出てくる、それから生産調整をやる、それから昭和四十四年になると自主流通米導入する、こういうことをずっとやってきて、私から見てみますと、これはいろいろな状況があったにせよ、今長官がおっしゃったような食管制度を大切なものに考えていくという基本的な態度食管廃止論の強い力に押されて、ずるずる後退をしているというような感じがするのでありますが、食糧庁としては私が言いましたことにどのような考えを持っておられるか、コメントをしていただきたいと思います。
  6. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生指摘のように、食管制度に対しまして極端な御意見として廃止論というものが、振り返ってみますとあらゆる時点で出てまいっております。遠くは昭和三十年代ぐらいから、先ほど先生指摘のような米の基調が危機的な飢餓の状態から過剰へ変わる寸前をとらまえましていろいろな御提案がなされたり、それから最近におきましては、これは新聞等のことでございますので根拠はよくわかりませんが、例えば行政監理委員会等にこういう素案があったということが新聞等のトップを飾ったことがございまして、その場合もややジャーナリスティックに食管廃止というようなことで掲げられております。ただし、この食管廃止議論というものについては内容がはっきりしておりません。もちろん一部評論家の方々が御本を出されまして堂々と自分の所論を述べるということもございますけれども、そこにおきましても改革、改善とかいうのが大もとでございまして、廃止といった御議論の場合は、奇妙なことですけれども、それにかわるべき対案といったものが漠として、はっきり出ておりません。ただ、いずれにしろ食糧管理制度につきまして、今申し上げましたように廃止論を含めてのいろいろな解体論というものが提起されていることは、一部の議論でございますけれども、事実でございます。  ところで、私ども考え方でございますが、そういう廃止論といったようなものが提起はされておりますけれども行政の上で一番重要なのは、先ほど先生も触れられましたけれども経済の実体といったものが、戦後の敗戦の状況時点から現在の復興さらに繁栄の時代といったようなもので、大きく変わっているという状況でございます。こういうものの中でやはり米につきましても、単に一日一日に十分、食をするということではございませんで、これが外国からの輸入がなくて国内で十分生産されたという事態を想像いたしまして、さらに一つの数字でございますが、戦前大体百四十キロと言われていたものが現時点で七十一キロに激減するという消費減退があります。戦後のピークは百十八キロでございますけれども、それの約六割といったようなものに変わるという大きな変化がございまして、そういったものの中で、かつまた良質米が各地域でそれぞれ生産をされ始めるという、米を取り巻く大きな経済変化がございます。  そういったものの中で、これもまた先生御提起されました昭和四十四年に二つの大きな対応農林水産省として行ったわけでございます。一つ自主流通米導入でございます。一方では生産調整の実施でございます。そういったものの中で、私ども食糧管理制度の新しい展開として実施されましたこのことについて一言だけ申し上げますれば、先ほど来先生指摘のような食糧管理基本はきちっと維持していこう、その一方で現実のそういう経済的な変化対応して、それぞれの食生活の多様化といったものに対応するべく自主流通米制度導入させていただいたことでもありますし、また過剰といったようなものに対応するための需給調整の大きな枠組みとして生産調整を実施されたというのが今日の歩みでございます。
  7. 日野市朗

    日野委員 確かに、米は過剰になったのですね。そして、国民の米の消費量もどんどん減ってまいりました。しかしそれと同時に、片方では小麦の膨大な輸入、それから小麦に限らずいろいろな食品輸入というものがせきを切ったように行われて、これが結局は米の過剰現象、それから消費減退ということになっていったと思います。これは私、もっと米を守ろうとするのだったら、こういった食品輸入というようなものに対応する手段というものは本当はあったのではないか、こう思っております。ここについては御答弁求めません。  しかし、そういった自主流通米やら生産調整やらずっといろいろやってまいりまして、確かに自主流通米の方が政府米よりもはるかにふえて、もう政府米が三〇%を切るというような状況に立ち至っていることも私はよく存じているのです。しかし、そういう状況下にあって、今長官が言われたように、食管基本維持するという言葉を使われました。それまでは根幹維持する、こういう表現なんで、これは基本維持するというのと根幹維持するというのが、何か大事な意味合いの違いがあるのかななどと思いながら聞いておりましたが、大体同じようなものとして伺っておきましょう。この根幹維持していく、基本維持していくというのは……
  8. 亀井静香

    亀井委員長 議員の先生方、私語はちょっと慎んでください。
  9. 日野市朗

    日野委員 この根幹維持するということは、まず生産量確保すること、そしてこれをうまく集荷すること、流通をさせること、安定した価格で供給をしていくこと、こういうことがずっと含まれているわけですね。そして、これを食糧として管理をしていくということが必要であろう、私はこう思っています。この食管根幹維持するということの意味というものは随分この委員会でも古くからの課題でありまして、みんなでどういうことなのかということについて随分考えた経緯はございます。しかし、今度の価格形成の場、自主流通米価格形成の場というものを導入される。おっしゃるのは一つ制度として導入をしてこられるということになりますと、食管基本というところで流通をきちんと食糧庁において管理できるのか。それから、価格をきちんと食糧庁でコントロールをして、これを生産者が安心して生産できる、そして消費者が安心して消費できるという関係がきちんと食糧庁管理下でうまくコントロールできるのかどうかということになると、かなり大きな疑問をここで感じざるを得ないのですね。ひとつ、ここで管理がきちんとうまくできるのかどうかという点について、問題を絞ってお伺いをいたします。  価格形成の場というのは、これは何といっても、何と名前をつけようとも非常に強い市場性を持ったものであること、これは私は争えないことだというふうに思います。そこで、この価格形成の場でそれにつく価格や何か、これをどういうふうに絞っていかれるのか、きちんと管理していかれるのかということがこれから問題になってくるのではないかというふうに思われるわけですが、こういう時の流れでずっと今までの米の管理の形態というものを見てまいりますと、これは勢いここで市場性導入したならばやがては自由な市場の方に移行せざるを得なくなってくるのではないか。いや、そんなことはございませんとあなたはおっしゃるだろう。しかし、今までこの食管廃止論、これは中には間接統制論だとか部分管理論、いろいろあるのは私もよく存じていますよ。そういう議論がずっと進んでまいりまして、食糧庁農水省と言った方がいいでしょうか、農水省対応というのはそれにずっと押されてきた。極端なことを言えば、米が生産過剰になっているくらいの方が私は国民食糧確保という点からいったら好ましいことであると思っています。それはいろいろな経済性考えなくてはいけないでしょうが。しかし過剰ではあるとは言いながら、生産過程生産調整を行い、それから流通過程自主流通米導入し、だんだんきちんと管理をしていくという姿勢後退後退を続けてきたと私は見ます。長い時の流れをずっと見ますとね。そして今度は価格形成の場ということが出てくる。そうすると、これが自由な市場の方に移行しないという保証はない。むしろそっちに進んでいくためのこれは一つのバリアを越えたなという感じさえします。これについてどのようにお考えになりましょう。この点については、食管制度というものをどのように考えていくのか、これからの主食というものをどういうふうに確保していくのかということについて非常に大事な問題でございますから、これは大臣からも御感想は伺いたいというふうに思います。
  10. 山本富雄

    山本国務大臣 今先生食糧庁長官とのやりとりがいろいろございましたけれども、私は根幹という言葉をそのまま使わせていただきますが、食管制度根幹は今後も維持はしてまいります。こういう結論から先に申し上げたいと思うわけであります。  今お話のございましたように、米の配給時代からその後の流通時代ずっと見ますと、この食管制度が非常に強く機能してきている、いついかなる時代にも機能してきているということがわかるわけでございます。ただ、その都度その都度、食管制度廃止したらどうだというふうなちまたの声も随時随所にあったということも事実でございます。先般も私はテレビ出演いたしまして、ある評論家と大分やり合ったのですけれども、その評論家の方はかなり米のこと、農業のことに詳しいのですけれども、それでも食管制度の問題について、非常に一方的なものだ、今どき合わないというふうな言い方をしながら、なぜ食管制度根幹維持するのかというふうなことを繰り返し私に質問いたしました。私は、これは時代を越えて必要なのだ、過去の例を見ても、例えば凶作が四年も続いた昭和五十五年からの例を引いて、そのときでも買い占めも売り惜しみもなかった、価格がほとんど安定していたというのはこの制度のおかげなんだ、これから先、食糧飢饉が起きないという保証はないんだということなどもるる話しました。  そこで先生、大変恐縮ですけれども、私は率直に、これを守るためにもときどきの対応は必要じゃないかというふうに思っておるわけなんです。例えば自主流通米がもう七割になるというふうなこと、そして自主流通米制度というものがスタートしてもう二十年にもなる、二十年たてば世の中の様相も変わる、食べ物の嗜好も変わる。食料品輸入が非常にふえたというふうな御指摘が先ほどございましたけれども、これとてもただただ手をこまぬいたわけではない。いろいろな対応はその都度してまいりました。しかし、とにかく自主流通米七割というふうな時代になってきたことも間違いはない。そういたしますと、これに対応していわゆる国民消費者のニーズにも対応しなければならぬ。あるいは生産者がうまい米づくりというふうなことを口々に言うようになったというふうな時代考えますときに、どうしても需給価格の安定ということはもう基本ですから、根幹ですからこれは守っていかなければならない。しかし市場原理というものを、今先生がおっしゃったとおり、全然無視をしてこれから先果たして食管制度維持が確実にできるだろうかということなども考えておりましたやさき、農政審の方でいろいろな議論を経まして、価格形成の場というふうなものを示唆をしたということでございます。  それで、食糧庁が寄ってたかって検討いたしまして、食管制根幹維持する、しかし現状に応じて生産者消費者両方のことをにらみながら価格形成の場というものをつくっていこう、それが時代対応した食管制度を守っていく道でもあるのだ、こういう考え方でこれを導入したということをぜひ御理解を賜りたいと思っております。
  11. 日野市朗

    日野委員 価格形成の場をつくる前に、既に自主流通米導入をされて、そして価格を決定するための協議会なんかでいろいろな協議が行われる、また入札も行われたということになりますね。これはもう米は市場性をここで導入されたとはっきり言っていいのだろうと思いますね。  そこで、大体この米問題、その流通に携わってきた農協関係全農については農協法適用であって、これは独禁法適用除外ということになっておりますし、食管法もこれは独禁法適用除外ということになっているわけでありますね。しかしながら、残念ながら適用除外になっているはずの農協法食管法、これにかかわる取引について公正取引委員会の方から調査が入るというような事態が実は発生をいたしておりますね。  それできょうは公取からも鈴木第一審査長さんにおいでをいただいているわけでございますが、これは北海道業者でございますね、いわゆるホクレンというところで入札について談合があったのではないかということが言われ出しまして、そして公取の方としてはどうやら全農それから食糧庁両方に対して調査をなすったようでありますが、この点についてどのような根拠、どのような考え方によって公取調査に入られたのか、その点について伺いたいと思います。
  12. 鈴木満

    鈴木説明員 御説明を申し上げます。  公正取引委員会では、北海道で出されている道新Todayの二月号に、北海道食糧事業協同組合全農札幌支所で行われた平成元年度の自主流通米入札におきまして、食糧事業協同組合があらかじめ組合員である卸売業者の個々の買い入れ量応札価格を決めたという記事が掲載されておりましたことから、こういったことが事実であれば独禁法八条あるいは三条に違反するおそれがあるということで、現在調査を行っているところでございます。  それで、先生今御指摘ございました全農さんとか食糧庁さんから事情を聞いているのじゃないかというお尋ねでございますが、それは、自主流通米価格形成とか流通の仕組みにつきましてその実態を把握する必要があるために、全農さんと食糧庁さんから事情をお聞きしているというところでございます。  それで、先ほど全農農協独禁法適用除外ではないか、あるいは食糧管理法適用除外ではないかという御指摘がございましたけれども、そのとおりでございまして、独禁法二十四条では、農業協同組合、一般に協同組合法律に基づいて行う行為については独禁法適用除外になっておりますが、ただし書きがございまして、不公正な取引方法を用いる場合とか一定の取引分野における競争を実質的に制限して不当に価格を引き上げる場合においてはこの限りにあらずということになっておりまして、一般的には適用除外でございますが、ただし書きに該当する場合には独禁法適用になる、そういう関係にございます。それから食糧管理法につきましては、独禁法適用除外等に関する法律の一条において、食糧管理法独禁法適用しないという規定がございます。
  13. 日野市朗

    日野委員 まず食管法について伺いたいのですが、食管法適用除外ということになっておりますから、食管制度の中で行われている米の取引については、これは本来は調査の対象にならないというふうに私は理解するわけですね。これはただし書きがあることは私もよく存じておりますが、今お話しになったただし書きによりますと、これは本当に一部極端な例外という場合に公取のお世話になるべき筋合いのものであるというふうに私は理解をいたします。全農米取引、これは食糧庁は何度も何度も言っているのですが、それは食糧管理制度の枠内で行われていることでございます、自主流通米といえどもきちんと管理をされているのであって、その管理の中で行われていることでございます、こう言っているわけですね。ですから、入札制度が取り入れられたにしたってこれは食糧管理制度の枠内である、こう言っておられるのですね。そうすると、これと公取の見解は違うということになりますか。質問意味おわかりになりましたか。食糧管理制度の中です、こう食糧庁は言っている。しかし今公取立場としては、ただし書きがあるのですよ、こう言っているわけですね。どうもそこが矛盾をしている、こういうふうに私は考えるのですが、いかがでしょうか。
  14. 鈴木満

    鈴木説明員 先ほど私、食管法独禁法関係を申し上げましたけれども、より詳しく申し上げますと、独禁法適用除外に関する法律の第一条におきまして、食糧管理法に基づく命令によって行う事業者とか事業者団体の正当な行為にはこれを適用しないという規定でございます。  ところで、今回の北海道の事例でございますけれども全農さんが独禁法に違反しているということを断定して調べているわけではございませんで、これからどういった調査の経過になるかわかりませんけれども、先ほど申し上げましたように、仮に問題になるとすれば独禁法二十四条のただし書きに該当するような行為であろうと思われますが、本件現在審査中でございますので、これ以上の詳しい答弁は御勘弁をお願いしたいと思います。
  15. 日野市朗

    日野委員 食糧庁の方も、いかがでございますか。食糧庁が言っているこれは食管制度の中でございますよというのと、公取としては二十四条ただし書き適用考えてどうやら調査をしておられるらしい、ここいらについて食糧庁、何かおっしゃることございませんか。
  16. 浜口義曠

    浜口政府委員 今お話しのように、公正取引委員会事務局からお話がありましたように、一つ調査を行われているということについて私どもの方から申し上げることではないと思います。  ただ、先生指摘のように、私どもが申し上げてきたことは、食管制度維持ということに関連をいたしまして、自主流通米政府米というもの、ともに政府管理米であるということを申し上げてまいっております。先ほど来先生質問食管根幹というものの中に、安定的に供給するということが大きな分野としてあるわけでございまして、そういったようなことの中で昭和四十四年以来導入されました自主流通米政府米と相並びまして安定的供給の大きな一助を担っているということでございます。こういうことについてはこれまでも農林水産省としましては、一つ基本計画というものを改正食管法昭和五十六年に大幅な改正がなされましたが、それに基づいて規定されました基本計画の中に正当に位置づけてきちっとその数量等々について公表しておりますし、さらにこれにつきましては、自主流通助成というものについての助成を行って政府管掌米の重要な部分として位置づけてきたということでございます。
  17. 日野市朗

    日野委員 公取の方にもう一、二点伺いたいと思うのですが、公取の当該の事件を取り扱う思想といいますか考え方について伺わせていただきたい。それからもう一つは、これはかなり微妙な領域であると思いますね。やはり食管法適用除外の問題があり農協法適用除外の問題があり、微妙な領域だと思いますね。やはりそれを手がけられるについては内部での討論というものはあったのでございましょう。どのような討論がそこで行われたか、どういう指示系統によってこの問題を取り上げるということに決まったのか、おっしゃられる範囲で結構ですから。
  18. 鈴木満

    鈴木説明員 個別事件に関して具体的にお答えするのは御勘弁いただきたいと思いますけれども、今回調査をするということに限らず、一般的に独禁法違反というのは、特に入札にかかわるものでございますと、そもそも入札というのは競争を通じて価格を決めようというシステムでございまして、これについてはあらかじめ入札参加者が入札価格とか入札数量といったものを事前に話し合って取り決めるということは、やはり競争制限の問題でございまして、独禁法上問題になるのではないかというふうに考えております。
  19. 日野市朗

    日野委員 組織的に指示、命令、これは上から指示が来てこれを始めたのか、現場でこれを見つけて、ではこれをやりましょうということになったのか、ひとつそこいらどうですか。
  20. 鈴木満

    鈴木説明員 個別事件についてどういう経緯で調査になったのかといったことについては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  21. 亀井静香

    亀井委員長 ちょっと鈴木審査長、個別の具体的な中身にわたることはおっしゃるとおり控えるのは当然でしょうけれども日野委員質問しておるような法適用に踏み込む基本的なそういう判断等については、捜査に支障が起きるとは思いませんので、明確に答えてください。
  22. 鈴木満

    鈴木説明員 本件につきまして競争制限の疑いがあるということで調査を始めたわけでございまして、これは当然しかるべき内部の手続、ほかの事件と全く同じ手続をもって始めたものでございます。こういった事件というのがどのような手続で進められるかという具体的なことについては御容赦をお願いしたいと思います。
  23. 日野市朗

    日野委員 どちらにしても、これは米の入札というようなことになると、公取立場としてはやはり監視の目というものはいかざるを得なくなってくるわけでございますね。またちょっと妙な事件が北海道なんかで起きたりなんかしておりまして、道新Todayという雑誌の見出しなんかを見ますと「またぞろ「談合」発覚」、非常にセンセーショナルに報じられているわけでございますね。しかし考えてみると、価格形成の場においても最初から入札をする価格の変動の範囲を決めている、何というのか全体的に談合みたいなものじゃないかという印象もぬぐえないわけですが、まあそれは私の感想としてだけ申し上げておきましよう。  ところで、価格形成の場についてはいろいろ論議があったことは私もよくわかっています。この食管制度なんかが新行革審の中で素案の中に出てきた、こういう話だったですが、これは本当は食管廃止という方向、一遍に廃止しなくたって食管を大幅に手直しをしようということは新行革審の中ではかなり論じられたのではなかったですか。いかがですか。
  24. 浜口義曠

    浜口政府委員 ことしの冬に、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、全国的に各紙のトップを飾ったもので、新行革審、食管制度廃止する、という文言が出たことがございました。これの経緯でございますけれども、行革審及び総務庁の方からの御発表によりまして、この廃止問題に関連して行革審の中で議論がされたことがないという事実、それから今後取り上げることはないというような御声明がございまして、事実、この新行革審の最終答申においては、新聞等で取り上げられた食管制度廃止といったようなものにつきましての文言は一切ございませんでした。そういう意味で私ども新聞等のことでございますけれども行政の要路の方等々からの発言等によりまして、あえて申し上げれば新聞等のいろいろな意味での独自の記事だったのではないかというふうに思っております。
  25. 日野市朗

    日野委員 そうおっしゃられると困るのですが、各紙、食管廃止を打ち出すんだということをばっと書いて、そして政府が「「食管制度廃止」打ち出す」というふうな見出しを全部打ったわけですね、各紙とも。そして後は政府が全面否定ということがすぐ追っかけて各紙で報道されて、そして各紙のコメントなんかを見てみますと、農民の反発を恐れて政府がそういう対応をとったのだ、それから「政府・自民、相次ぎ否定会見」「食管廃止報道で大あわて」「選挙意識しピリピリ」なんという見出しがずらっと並ぶわけですな。私が承知をしているところでは、新行革審に食糧庁長官が呼ばれて、そこでヒアリングを行っておりますね。そしてそこで食管制度について、または米の市場についてお話をしているでしょう。いかがです。
  26. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生の御質問ですけれども、実は私も、農林関係議論ということで、そういう記事がありましたので、行かなければならないことになるのではないかと一瞬思ったこともございますが、事実の問題として私は、行革審に参りまして米の問題とかそういったようなことのヒアリングを受けたといいますか、発表したといいますか、そういうことは一切ないのでございます。
  27. 日野市朗

    日野委員 これは選挙の直前だというので、瀬島龍三さんが大慌てで、いやそんなことはやってない、こう言ったのだが、その前にはちゃんとかなりの準備が進んで、それでこの記事が出る前に既に食糧庁長官も呼ばれてヒアリングがあった、こういうふうに私なんか聞いているのですがね。
  28. 浜口義曠

    浜口政府委員 事実の問題としまして、私が行革審に参ったというのは一切ございません。ややこういう席で言うべきことではありませんが、当時農林水産省で参りました長官は林野庁長官でございまして、私は一切ございません。
  29. 日野市朗

    日野委員 長官のお人柄がお人柄ですから、ではこれはそのまま信用させていただきたいというふうに思います。  それで、ここで価格形成の場というものがずっと出てきているわけですが、長官の率直な御感想を伺いたいのです。自主流通米価格は大体このくらいが適当ということは、現在のやり方、これわかりませんか。これは、もう生産者米価もちゃんと決まっている、消費者米価も決まっている、それから、早い話が全農が仮渡金をどのくらい渡してというようなことまで掌握できるので、何もこれを入札にかけなくたって大体適正な自主流通米価格というのは決まってくるだろうと私は思っているのです。市場における価格ということではなくて、現在の米穀収支から見てどのくらいの価格でやれば適当かということは、これは価格形成の場というようなものをつくって市場的な価格導入しなくたって、食糧庁の方でちゃんと試算もできるし、それを指導できるはずだと思うのですが、どうですか。
  30. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生の御指摘のところは極めて重要な問題でございますが、例えば米について現行の食管制度のいわゆる狭義の政府米につきましては、価格については市場ということではございませんで、米価審議会で議論をしていただいて決めていただくということになっていて、その場合においてはいわゆる生産費補償方式で政府米価が決められるわけでございます。  一方、先生指摘自主流通米の方でございます。価格形成の場というのはあくまでも自主流通米に限られるものでございますけれども、その自主流通米の方においては、これも先生指摘のようにずっといろいろな建て値方式ということで決まってきた段階がございました。ただ、昭和六十年に一部の地域において豊作が出て、自主流通米の出回り量が多いというようなことから、これに対する反省としていわゆる入札方式というのが出されたわけでございますが、そういったものの中で形成されてきているものについては、やはりいろいろな仕組みというか値決めの変遷があったわけでございます。  では、現在のところで価格はどうかということについては、私ども現在の政府米の大体の水準、かれこれ数千円の値開きがあるというようなことは今の状況において妥当だというふうに我々は思っております。そういったものは全体の気配というふうに思いますが、この価格形成の場という議論が提起されておりますのは、先ほど大臣からもお話がございましたように、一つは、自主流通米のウエートというのがかなり大きくなってきて、かつてのように政府米が中心で自主流通米が従というようなことから逆転をしているということ、それからやはりやり方について、これまで協議会方式の中でいろいろ関係者が知恵を出してきて、自主流通米全体もこれでふえてきたのですが、それについてもう少しより健全なやり方というものがないものだろうかというような御批判みたいなものがあるということを受けての考え方でございまして、値段というのは、先生おっしゃるように決まった値段ということと、その決め方のやり方といいますか、そういったことについての問題を両方含んでいるのではないかというふうに考えるものであります。
  31. 日野市朗

    日野委員 その決め方ですが、まず、特に自主流通米についての全農のシェアが非常に問題になった、こう言われておりますね。これは全農が九五%のシェアを持っている、こんなに独占的にシェアを持たせていいのかという議論が非常に強くて、だから全農が横暴だ、横暴なんだからその価格の決め方については今のやり方ではなくて、市場原理導入してそこで値段を決めさせたらどうだ、つまるところこういう話でございましょう。いかがです。
  32. 浜口義曠

    浜口政府委員 今先生御提起になった集荷の問題の独占性とそれから値決めのところは、一つ違う点といいますか、やはり二つの分野だろうと思います。現在集荷ははっきり言いまして二元集荷というようなことになっていると思います。全農系統というのと全集連系続がございまして、御指摘のように全農については九五%ということで、三段階制の中で単協等々のことから圧倒的な分を占めているわけでございます。全集連の方はまだ五%弱のウエートだと思います。そちらはあくまでも集荷の問題でございますが、値決めの場合において、九五%だから独占だという議論、そういうふうにおっしゃる方もございますけれども、そこはやはり私どもは違っているわけでして、事実集荷の部分についてそういう比率が出てきているということは、それぞれ系統組織の集荷能力の努力ということもありましたでしょうし、一方での全集連のこれからの努力に期待するというところもあろうと思いますが、この値決めについては、現在の方式の協議会方式といったようなものが今回提起された価格形成の場ということと比較してみますと、一つは、今までの場というものはもう少し公正な第三者機関のもとで行われるべきであるというのが一点、そういったものと、それに参加する部分について、もう少し経済連といったレベルのものを入れるべきだということに尽きるのではないかというふうに思っているわけでございます。
  33. 日野市朗

    日野委員 長官、お互いこれはまるっきりの素人が議論しているんじゃありませんから、もっと要点をちゃんと議論しましょうよ。  それで、全農のシェアが九五%というのは、これは間違いでございますね。もっと集荷の段階からずっと、伝票としては一連で全農としてその伝票は切られるけれども、大体県段階、県内での流通、これはもう経済連がやってしまっているわけで、これが相当な部分があるわけですね。ですから、シェアが全農九五%というようなことを言うと非常に独占的な印象を与えるけれども、実際はそうではないということを踏まえた上で議論をしなくちゃいけないんだというふうに思います。  それで、価格形成の場というもの、これをわざわざつくらなくたって私は一応の価格というのはつくれると思うのです。大体の価格、この辺が目安よということはつくれると思う。それをわざわざこういう価格形成の場のようなものをつくって、そしてそれに参入しようとした人たちというのがいると思うのです。農政審がどう言った、それから検討会がどう言った、こういうことを抜きにしてそういうことを言い出した政治的な勢力、経済的な勢力というのはどの部分なのか、これを聞かせてください。
  34. 浜口義曠

    浜口政府委員 今回、価格形成の場という場面で、取引参加者のところがかなり大きな問題になったことは事実でございます。ただ、報告書でごらんのように、まず卸の関係で新しく提起をされておりますのは、いわゆる卸の県段階の代表を入れるべきではないかという点でございまして、先生指摘のように、例えばこの価格形成の場の検討会以外のところでさまざまな議論がなされているということは私も知らないわけじゃございませんが、そういうことではございませんで、これの議論の中で私どもが進めましたのは、農政審議会あるいは検討会の場面ではそういう外部の者を入れろといったような議論というのは基本的になかったということでございます。基本といたしましては現行の食管制度の枠の中で行うということでございまして、そういう意味では価格形成の場は自主流通の現行の制度のもとで行われており、提起されている問題もそのことに限定されるというふうに思っております。
  35. 日野市朗

    日野委員 私、米の管理ということについて、政府米それから自主流通米、非常に広くやみ米まで含めてしまいましょう、このやみ米などというのはかなりのウエートで出てきておりますね。こういうもの、やみ米などというのは管理の外にはみ出してしまっている。それから自主流通米政府米も含まれてくるのでしょうが、卸間流通というものもかなりの量が出てきてしまっておりますね。この卸間流通は大体百万トン程度のレベルで出ているんじゃないかと思いますが、こういう卸の段階まで行ったところではもう把握し切れないということになるわけでございましょうね。いかがですか。
  36. 浜口義曠

    浜口政府委員 卸間の売買については、今回の自主流通米の提言といいますか報告書の中に入っているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、これからもその部分についてもあくまでもきちっと対応していかなければならないというふうに思います。
  37. 日野市朗

    日野委員 価格次第によっては卸間の売買というのはもっとふえるんだろうと思いますね。お互いに卸が利益を上げる、損をしない、そのために卸間で随分米のやったりとったり、これがふえてくるだろうと思う。そうすると、これはもう価格の決まり方によっては、卸間での取引というのは非常にまたふえていく。そして残念ながら北海道で見られたような談合のような形が出てくる可能性というのは非常に強くなってくる。そういうことまで現実にチェックができるのかどうか、食糧庁の方でチェックすることができるかどうか、ちょっとどのようなお考えです。
  38. 浜口義曠

    浜口政府委員 結論的には、現行食管法のもとで行うわけでございますので、先生のお言葉を使えばチェックをしていかなければいけないということだろうと思います。これはあくまでも、今先生御提起の問題はいわゆる食糧管理制度管理の部門だろうと思います。食管制度におきましてはそれぞれルートを特定しているわけでございまして、そういう意味では、特定された卸売業の相互間のものについてはきちっと管理をしていかなければいけない、これが食管制度一つ基本だろうというふうに思っております。
  39. 日野市朗

    日野委員 もう一つ大きなテーマを準備していたのですが、あと五分しかないようですから、では、現在の価格形成の場の準備状況について伺います。  私は、これは大変なノーハウを集積していかなければできないことだと思っているのですよ。例えば受注をどうする、発注をどうする、それから契約というのはどういう形態でつくっていく、事務処理手続はどうだ、それからコンピューターのソフトはもう何種類も準備しなくちゃいけない。そういうものが第三者機関でやらせるということなんでしょうけれども、どういう方針に従ってどういう方向性を持ってそういうものを準備していくということが、そもそも決まっているのですか。
  40. 浜口義曠

    浜口政府委員 現在の自主流通米の業務の運営の中で、いろいろなノーハウが蓄積されてきたということは事実だと思います。もちろん価格形成の場におきましては、提起されております第三者機関あるいはその中で置かれる運営委員会というものも含めてのこの場の問題と、取引参加者の中で、今までどおりでございましょうけれども、そのノーハウが生かされているということは、自然のこととして当然のことだと思います。  ただ、この第三者機関が、今まで蓄積された自主流通米の中のいろいろなもろもろのしきたりといったものをどの部分で吸収するかというのは極めて大きな問題ではございますが、例えば一例として、代金決済をするということになりますれば、それはおっしゃるように膨大なものを引き受けていかなければいけないわけでございますが、それをしないということになりますと、その部分は言うなれば取引参加者の形で引き継がれていくということになろうかと思います。もちろん第三者機関については、現在食糧庁の中で、できるだけ関係者の御意見を聞きながら早急に結論を出していかなければいけないということで準備を進めておるところでございます。
  41. 日野市朗

    日野委員 この問題について一番ノーハウを持っているのは全農だろうと思うのですね。何か全農にも話を聞きに行かれたりなんかしているようですが、全農はこの制度が発足しますと第三者機関とちょっと商売がたきみたいなところが出てくるのですな。そういうとき、全農から企業秘密ともいうべきそういったノーハウを教えてくれということができるのですか。
  42. 浜口義曠

    浜口政府委員 全農は、現在の食管制度あるいは協議会方式あるいは自主流通米の位置づけからしますと、やや役人的な言い方でございますが、これは系統組織の全国団体という位置づけよりは食管制度の中におきます指定法人という位置づけでございまして、そういう意味では別のといいますか、食管法上特別の位置づけをされているわけでございます。もちろん今の状況の中で、全農と私ども関係、十分協力関係というものが出ておりますし、先生指摘のようにこれから商売がたきになるということともまた違うというふうに思っておりますので、先生指摘のような全農の中でのいろいろな蓄積については、関係者の中でいろいろ教えていただき、また我々からも十分意見を交換して、新しい価格形成の場ができるように努力してまいりたいと考えております。
  43. 日野市朗

    日野委員 時間がなくなってしまって、今時間終了の紙が回ってくるところですから、もう終わらざるを得ないのですが、現在までの食糧庁の中の価格形成の場、これの対策室の対応というのがまだ明らかにされておりませんけれども、今どういう作業をやっていて、どういう方向でやりますよということは、これは教えておかなかったら大変でしょう。経済連だって困る。全農だって困る。生産者だって困る。それから卸だって困る。非常に分厚い秘密のベールの中で作業しておられるようですが、これはどんどん教えてやっていただきたい。そしてそれは違うよと言う人がいたら、そういう人にも耳を傾けていただきたい。そうでないと、これはかなり混乱しますね。  それにもう一点、現在までの準備の進行状況から見て、少なくともことしの年内なんかは、価格形成の場というようなものをきちんと開設をしてこれを機能的に動かしていくなんていうことは、到底不可能だと私は思う。余り急ぎ過ぎて妙なことにならないようにしていただきたいと思うのですが、これは、準備ができなかったら準備ができないで、おくらせるという決断も必要なのですね。そこらについてどう思っておられますか。私はこれはもうずっと先延ばししてもらいたい、こう思いますが。
  44. 浜口義曠

    浜口政府委員 前段の点につきましては、食糧庁の中でデータをベールに包んで外に出さないということではございませんで、価格形成の場の報告が出されたのは連休の直前であったわけでございまして、現在食糧庁の中の精鋭をよりすぐりましてチームをつくって、対策室といっておりますが、価格形成の場の報告書で提起されました部分について検討をしております。その点については、もちろん先生がおっしゃったように、できるだけできたものから関係者と相談をするということで、決して秘密主義でやっているわけではございませんし、またこれの実施の運用等については、当然業務として展開される問題でございますので、できるところから相談をさせていくような対応をしていきたいと思っております。  なお、この方式については、現在の米が自主流通制度として運用されていくわけでございますし、そういう意味では間断なく運用されるということでございますが、この価格形成の場へ引き継がれる方式等については、十分勉強して第三者機関をつくりまして、そのもとで運用されるということでございますが、世上のこれに対する期待というものもとても多いわけでございます。もちろん今御注意ありました点については、例えば早場米から行うかどうかといった点についても十分考えながらやっていかなければいけない問題ではございますが、今年産米から実施するように全力を挙げてやりたいというふうに思っております。
  45. 日野市朗

    日野委員 終わります。
  46. 亀井静香

  47. 堀込征雄

    堀込委員 ただいま日野委員から御質問ございましたけれども、私も引き続いて米問題を中心に質問させていただきます。きょうは大臣大変お忙しいようですから、最初に、今日野委員から御質問がございました大変重要な自主流通米価格形成の場の問題であります。  今も長官答弁をしていましたけれども自主流通米発足以来二十年、発足以来の重要問題であるわけであります。この重要問題が国会の審議がなくて、法案審議ではなくて、審議会答申がなされる、そしてその審議会答申に引き続いて政省令でやられていく、こういう形はやはりこの非常に重要問題からして不自然な形ではないかというふうに思うのです。政治は、立法府つまり国会、そしてまたこれが国民あるいは農民の皆さんの期待にこたえ、責任を持ってこの政治の任務を果たしていかなければならない、こう私は思うのです。国民の皆さん、またそういう意味では厳しい目を国会に対して常に向けられているということだと思うのです。昨年の参議院選挙、そしてまたことしの衆議院選挙で厳しい国民の皆様の農政に対する批判の目があったことは事実であります。そして残念なことに、非常に有力な農政議員と言われる皆さん、見識豊かな方々が落選されるというような事態もございました。これは与野党問わず日本の農政にとっては非常にマイナスなことだというふうに私は思うのです。国民の批判の目は常に国会に向けられる、こういうふうに思うのです。私ども、ですからしっかりした議論をしながら政策の展開をしていかなければならない、こう思うのです。  そうした観点から、二十年ぶりの自主流通米の大改革をこれから政省令の改正で行っていく、こういうことでありますけれども、先日の日野委員の御質問でも大臣御答弁になりましたけれども、ぜひ事前に国会で十分審議を尽くす、あるいは議論をする、こういうことをくどいようですが大臣に約束をいただきたいと思うのです。私どもも、消費税法案なんかと違いまして、廃止か見直しかということではなしに、こうした問題についてはやはり与野党問わず妥協の接点を見出しながら、やるときはみんなで力を合わせてやる、こういうことでいきたいというふうに決意をしております。この辺につきまして、大臣の決意をまずお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、大原委員長代理着席〕
  48. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  価格形成の場の仕組みにつきましては検討会報告においておおむね報告が出されております。今後関係者とも協議をした上で立派なルールをつくってまいりたい、こういうふうに考えております。  なお、今先生指摘のように、これは大改正に当たるわけでもございます。先般五月三十日の当委員会で、日野先生から最後にだめ押しがございまして、話し合いをする準備はあるか、準備はございます、こういうふうに私答えておりますので、先生にもそのとおりお答えをいたしたい、こう思っております。
  49. 堀込征雄

    堀込委員 具体論に入る前に、少しく基本的な食糧庁なり農政の考え方をまずお尋ねをしておきます。  私は、実は新人議員としてこの国会初めて農水委員会に所属をさせていただきまして、いろいろな勉強をさせていただきました。大臣初め農水省、非常に頑張ってやってくれているなという感じを持って感謝をしているわけであります。しかしどうしても私はわからないことがあるのです。といいますのは、この国会にさまざまな法案が提起をされました。この法案に、幾つかの法案がございましたが、流れている思想が非常に見事なまでに一貫している。日本農業を国際競争力のある足腰の強いものにしよう、そして規模を拡大しよう、これは農政審答申にもあるわけでありますけれども、非常にこの思想が見事なまでに一貫をして流れているわけでありますね。しかしそれではこの日本の農業の大部分を担っている兼業農家の方をどうするのかという点については、全くどうも政策もなければ考え方もないのではないかという感じを実は私は持ったわけであります。わかることは、兼業農家の皆さん農業やめてくれませんか、規模拡大に邪魔になりますよというような発想が農政にあるのではないか、そう見えて仕方ないわけであります。  私は、日本の農業に占める兼業農家の果たしている役割は非常に大切だし、大きいものがあるというふうに思うのです。私は長野県でございますけれども、二種兼業農家が圧倒的に多い。最近は地場産業も好況を反映して、例えば有効求人倍率が二倍を超しているというような事態になる。したがってどんどん兼業化が進む、こういうことになります。しかし、地方の製造業賃金を初め賃金は非常に低いわけでありまして、大都市周辺だとかあるいは大企業と違って、四十歳で年収三百万円とか四百万円という企業がある。これでは生活できませんから、米で五十万円だとか、野菜や花をつくって百万円にするとか、そういうことをして農家生活が成り立っているわけであります。一方、消費者の方から見ましても、仮に兼業農家が今生産している農産物、野菜や果樹や花がなくなったら、これは物価が大暴騰するということでございまして、とてつもなく大変な影響を与えるのではないか。そういう意味で、日本の農業にとっても、そしてこの食糧生産という面から見ても、兼業農家の果たしている役割は非常に大きい。しかも、各農村共同社会では、共同して水路を直したり、あるいは共同して農道を直したりしながら、そうした共同作業を通じながら心豊かな共同社会を形づくっているわけです。つまり、自然環境保護だとか日本文化の源泉となるような役割も大きく果たしている。  こうした今の実態、こうした兼業農家の人々に、皆さんやっていることはむだなんだ、国際社会では通じないんだ、これから邪魔になるからひとつ農業をやめてくれ、どうも今の農政はこういうふうに言っているように思えて仕方ないわけでありまして、この辺は、もしそうであるならば、将来兼業農家の皆さんの農業はやめてもらうのが一番いいんだ、私ども農水省はそう考えているということをやはりはっきり伝えるべきだというふうに私は思うのです。その辺、これは私のこの国会における初めての新人議員としての感想でございますけれども農水省側の基本的な認識についてまずお伺いをしておきます。
  50. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 農業政策の目標といいますか考え方につきましては、農業生産振興、農家経営の安定でありますとか、あるいは国民に納得できる価格食糧を供給していくということとともに、健全なる農村社会といいますか、それの維持、あるいは国土保全その他多面的な役割があろうかと思います。そういうことで、画一的でなくて、地域地域の実情に応じた農業政策の展開を図っていくことが肝要であろうかと思います。  兼業農家といいましても、御案内のとおり、いわゆる一種兼農家あるいは二種兼農家というふうに大別されるわけでございますけれども、それによりまして農業の持つ重みでありますとか地域社会におけるそれぞれの果たしておる役割というのはそれぞれ違うと思います。二種兼農家を中心とします兼業農家は、花とか畜産でありますとかそういう面での生産もやっておるわけでございますけれども、米その他土地利用型の農業につきましては、自家消費米の生産など自給的な性格が強い農業生産を行っているのではないかというふうに考えております。しかし、農地保有の面におきましては相当の過半の割合を占めておるわけでございまして、その意味で、農業政策の展開の上でもそういうことを頭に置いてやっていく必要があろうかと思います。  そういうことで、農業政策の展開に当たりましては、もちろん生産性を上げていくというようなことで中核農家の育成というものは基本であろうかと思いますけれども、そういう兼業農家ということを頭に置きまして中核農家を中心とした生産の組織化ということが肝要かと思います。具体的に言いますと、中核的な担い手が農業の基幹的な作業を担当して兼業農家が補完的な作業を行う、あるいは、兼業農家の農地の相当部分につきまして中核農家への担い手集積をしていくというようなこと等によりまして、中核農家、担い手と兼業農家の間で農作業や土地利用の面で適切な役割分担を行って地域農業全体の生産性の向上を図っていくということも肝要であろうかと思います。また、一種兼農家を中心としまして農業の持つ重みの大きい農家につきましては、地域農業の中核的な担い手として、あるいは地域のリーダーといいますか、そういうものとして農業生産あるいは地域社会の安定の面でそれぞれの役割を私どもとしても期待いたしておるわけでございます。  そういう点で直接農業構造改善のための施策を進めていくこととあわせまして、他産業、他の部門の農村地帯への導入でありますとか地場産業の振興などによる安定した就業機会の確保、また生活環境の整備等、農業振興あるいは地域社会の健全な発展ということをねらいとしていろんな施策を進めていきたいというように考えております。
  51. 堀込征雄

    堀込委員 一種兼、二種兼、それぞれ役割があるんだから大事にしていく、こういうことでございました。私は、これから決まろうとしている生産者米価、諮問案をこれからつくっていくわけですが、これを質問させていただきたいと思うのです。今、私に言わせれば非常に紋切り型のといいますか、兼業農家も大事にしていく、そういう施策を展開していく、こうありますが、しかし具体的にそういうふうになっていないのではないかというふうに思うのですね。  例えば、昨年米価算定に当たって、農水省、これから諮問案つくっていくのでしょうけれども、新しい算定方式と称して一・五ヘクタール以上の農家を算定基準にする、こういう発想が出されました。これは、一・五ヘクタール以下の農家は相手にしない、切り捨てていく、こういう発想じゃないんですか。これはやはり今の答弁とは食い違っているのですね。兼業農家は大事な役割を果たしているんだからやっていくんだ、こういうことになれば、なぜ一・五ヘクタール以上の農家を算定対象にするという算定方式を出したかという問題が一つあります。これは、いろいろ言っておりますけれども農水省、ことし出しましたね、土地利用型農作物生産性向上指針、私こういうものを見ましても、やはり一・五町歩以下の農家は必要ないのじゃないか、こういう発想でいるのじゃないでしょうか。この算定方式の一・五町歩以上の生産費を対象とした理由を、先ほどの質問と関連づけて御答弁してください。
  52. 浜口義曠

    浜口政府委員 一・五ヘクタール以上の農家ということで言われております現在の新算定方式でございますけれども、これはもちろん農林水産省責任を分担しなければいけませんが、米価審議会におきまして約二年間にわたっての御議論を賜った結果出された方式でございます。  まず、これの方式の中でとられております基本的な考え方といたしまして、三十五年以来の生産費及び所得方式を継続して採用していくとすれば、今後、生産性の高い農家らしい農家が稲作の相当部分を担うようにしていくことが必要、そういうのが一つ基本的な観点にあったということでございまして、それは報告書の中ではっきりと明記されているわけでございます。このような稲作の担い手層が実現をしている生産費を基礎に米価を算定することが適当である、そういうお考え方に基づいてこの算定方式は組み立てられているわけでございます。  なお、この算定方式につきまして今年度米価に適用するかということにつきましては、昨年の米価決定にかかわる経緯等を踏まえまして、この算定方式ではない方式でことしの米価決定を行わなければならないということで、現在食糧庁においてその算定方式について検討中でございます。
  53. 堀込征雄

    堀込委員 私は、米審から担い手農家を中心にした稲作農家を算定基準にすべきだという議論じゃなくて、それでは一・五町歩以下の農家はどうするのですか、切り捨てるのですか、こういうことを質問したわけであります。それは、やはりそういうことになるのですよね。ですから私は、かかった生産費というものは正直に国民の皆様に明らかにすべきであって、小手先の手法を用いるべきではないというふうに思うのです。  そういう意味では、米価の諮問案というのは常に不透明、不公正なのですね。最近、自主流通米が不透明、不公正というふうに食糧庁言われていますけれども、私は米価の諮問案というのは非常に不透明、不公正な部分があったのではないかというふうに思うのです。単に稲作農家の大部分を占めている一・五へクタール以下の農家を切り捨てているだけではないのです。例えば、過去八七年、八八年に米価を下げました。この二年間で、五・九五、四・六四、合わせて一〇%以上も米価を下げておる。これは消費者にストレートに反映はしてないわけですね。まして外食の食堂メニューが下がったなんということはないわけでありまして、この原因なり指導も食糧庁にしっかりやってほしいというふうに思うのです。  しかし、一番不思議なのは、諮問案の算定方式、算定値、これは政治によって変わるということがしょっちゅうあるのですね。現にあったわけです。例えば米価決定のときに、諮問前に決定ということで、農水省が出した諮問案が変わるということは過去にもしょっちゅうありましたね。例えば六十二年産米価、最初に農水省が出した諮問案、マイナス九・八%、一万六千六百八円という諮問をしました。しかし米価審議会に出された算定要素では、潜在需給ギャップが修正をされ、自己資本比率が修正をされる。自作地地代や企画管理労働費もある夜突然修正をされて新しい諮問案ができる、こういう経過があったのじゃないですか。農水省の皆さんはそういうことをやって非常に苦労されていることはわかるのですけれども、やはりそういうことになっているのです。そういう数値を直して平然としているというところがあるのじゃないでしょうか。したがって私は、諮問案というのはいつも数値が勝手に変えられる、これが今までの通例ではなかったかというふうに思うのです。やはり非常に根拠のないものだ。  そういうものですから、私は、算定値というものはやはり全農家対象で、生産者の皆さんにも消費者の皆さんにもこうなると明らかにするのが一番いいと思うのです。明らかにして、しかしなおかつ今の国際環境やいろいろな中で米価は下げなければならないのだ、ならなければならないということで正直に国民に言うべきではないか、そして理解を求めるべきではないかというふうに思うのです。そういう正直な農政を率直にやっていくということが必要だというふうに思うのですが、この諮問案作成に当たってそういう考え方でいくつもりはございませんか。
  54. 浜口義曠

    浜口政府委員 現在政府米のウエートがかなり下がっているということではございますけれども政府米価格決定は従来から、米価審議会に諮問をさせていただいて、米価審議会の構成をしておられる諸先生の御意見を十分承って決められるという手続をとっているわけでございます。米価につきましては、もちろん国民の主要な食糧ということの重みもございますし、さらに、米価審議会におきます御議論というものが長年活発に行われまして一つの重い蓄積になっているわけでございます。したがいまして、米価審議会外のいろいろな御議論ももちろんあれでございますが、米価審議会におきます蓄積についても、単純にあるいはいろいろな意味での政策的な要請等からも変えられるというものではございませんで、あくまでも米価審議会におかけをする米価のルールというものは、厳然として一つのルールとして合理的に決められるべきものでございます。  したがいまして、算定要素をどういうふうにとるかとか、対象農家をどういうふうに把握するかといったようなものについても、それぞれについての過去の歴史の重い重みがありまして、そういったことを踏まえまして、今後、本年度米価審議会にかけられる部分についても、きちっとした根拠を持った算定方式に基づいてかけていかなければならないというように考えております。
  55. 堀込征雄

    堀込委員 歴史の重みと米価審議会の蓄積という話はよくわかるのですけれども、私が今言ったのは、米価審議会の諮問前に算定値の数字が変わることがしょっちゅうあったのじゃないですか、もともと諮問はそういう権威のないものじゃないですかと言っているのですよ。そういうことは過去ありましたね、さっき指摘しましたように。やはり算定値というものは、そういう意味国民にわかりやすく、米価審議会の重みとかそういうことじゃなしに——米価審議会の重みと言うけれども諮問前に算定値がくるくる変わったということはしょっちゅうあったわけです。何回もあったのですね。だからこれは国民にわかりやすく筋の通ったものにしてもらわないと、幾ら米価審議会だとか審議会の審議の歴史の重みとか言われても、ちょっと納得できないし、理解できていかないのじゃないでしょうか。これはぜひ検討していただきたいと思います。  もう一つ。米価をさまざまな算定方式で下げてきたのですよ。食糧庁、さまざまな理由をつけて四苦八苦して、米価を下げるために躍起になってきたというふうに僕らには見えるのです。これも、米価を下げることによって、食糧庁のねらいとしては担い手農家に米作の中心を移す、規模拡大をしていく、こういうねらいがずっとあったと思うのです。しかし、ここ数年間米価を下げてきましたけれども、その成果は上がっているのでしょうか。売り渡し生産者の数、これから見ても、あるいは売り渡し数量、これらを見ても、米価を下げて規模拡大をしよう、生産性の向上を図ろう、こういうことでここ数年躍起になってやってきたけれども、具体的な数字を見てもさっぱり成果が上がっていないのじゃないか。これは事実が示していますよね。  したがって私は、価格政策で規模拡大をやろうとか生産性向上をやろうというのは、どだいもともと無理な話なんだというふうに思うのです。この辺は、食糧庁、これから米価政策を進めていく上でそういう自信があるかどうか。つまり、米価を下げる、算定基礎は一・五へクタール以上の大規模農家層にする、稲作そして土地を担い手農家に集中して生産性が向上されていく、こういうふうにまだ確信していますか。具体的な今までの数字の経過を見て、その辺の関連について考え方を聞かせてください。
  56. 浜口義曠

    浜口政府委員 言葉の正しい意味で、生産者米価を下げた、前年に比べて下げてまいりましたのは二回でございます。米価審議会はもちろん終戦後ずっとなされてきている場面でございまして、米価の歴史というものは、長い目を向けますとそのときどきの情勢等々も十分議論をして米価が算定をされてきたというふうに言っていいと思っております。  それから第二点目に、価格制度だけですべての農政がやれるかということについては、私も先生と同じように、それはひとり価格政策でやるべきものではないというふうに思います。もちろん、農業基本法のときの御議論以来、これに対するにいわゆる生産対策と構造政策という三本柱で行っておりましたが、価格政策についての重みといったようなものもあるわけでございまして、先ほどるる申し上げ、またこの新算定方式の中で提起されている思想といったようなものも申し上げましたけれども、担い手に焦点を当てて価格政策を運用するということは、私は、他の政策と整合性、協力関係を保ちつつ、重要なことではないかというように思っております。
  57. 堀込征雄

    堀込委員 それでは、一・五ヘクタール以上の算定方式の問題であります。これと食管法の関連でございます。  食管法三条では「基本計画ニ依リ政府ノ管理スベキモノトセラレタル米穀ノ数量ヲ基礎トシテ」「政府ノ買入ノ価裕ハ」「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」こうあるわけです。政府の基本計画ですよ。基本計画というものはどうなのですか。これはやはり米穀の基本計画でありますから六百六十三万トン、こういうものが基本計画のはずでございますね。このうち算定基準として、例えば一・五ヘクタール以上を使うとすれば、販売農家の一二%、販売数量では四二%程度しかございません。やはり一・五ヘクタール以上の規模層の農家を基準として算定するというのは、そういう意味では明確に食管法三条に違反しているということになるのじゃないですか。食管法のどこにも一二%だけの農家を対象にしていいというふうには書いていないわけであります。基本計画の数量と農家を対象にしなさい、こう書いてあるはずでありますが、この辺はどうですか。
  58. 浜口義曠

    浜口政府委員 ただいま提起された先生のお話のように、この基本計画は流通する全体の米のものについてどのように来年もことしもやっていくかということを表明する分野でございまして、数字の上で、先生おっしゃるように現時点におきましては六百六十三万トンのものを対象にするということだろうと思います。現に私どもの計画においてもそういうことで対象にしております。  一方、米価の算定方式におきます一・五ヘクタールの問題、それがどういうシェアによるかという問題について、先生が挙げられた数字は一つの数字で、私どももその数字自体に問題があるということを言っておるわけじゃございませんが、これはあくまでも生産調査で対象にしている農家ですね、その部分と今度一・五ヘクタールでやられている部分とを加えたカバー率をどういうふうに考えるかということの数字でございまして、そういう意味生産者の階層別売り渡し状況等々から数字がそういうふうに出てきていることも事実でございます。  ところでここで一・五ヘクタール、その根拠になります新算定方式に基づいてことしの米価を決めるというふうにまだ私ども決めているわけじゃございませんで、むしろそれから検討してどうするかという案を今検討している段階でして、それがおっしゃるような六百六十三万トンとの関係からいってその部分で一二%のもので決めますということを決めたわけではないことはもちろんでございます。今回の担い手を対策にするというようなことが一方では米価審議会からの御提言という形でまだ生きているわけでございます。私ども行政当局といたしましては、米価審議会にお諮りをするという案について、政府部内として、農林省として違う方式を検討した結果考えて御諮問するということになっておりますので、今現在いろいろな点を検討しながらそういった米価審議会に対して御納得をいただくような案をつくっていかなければいけないと考えているところでございます。
  59. 堀込征雄

    堀込委員 長い答弁は要りませんから、食管法三条を解釈すると六百六十三万トンを対象に米価をしんしゃくして決めなければならない、勘案して決めなければならない、こういう解釈になりますね。そこはどうですか。
  60. 浜口義曠

    浜口政府委員 今申し上げましたように、この基本計画について先生おっしゃるように対応してやっているということは事実でございます。算定方式がその基本計画とどういう関係に立つか、まだ今のところ私ども検討中でございます。その案を確定した段階でどういうように考えるかという問題がございますが、あくまでもこの基本計画についてのお話は先生のおっしゃるとおりでございます。
  61. 堀込征雄

    堀込委員 どうもすっきりしないのですが、つまり六百六十三万トンを基準に米価を決めなければならない、こういうふうに法律に書いてある。これはいいですね。
  62. 浜口義曠

    浜口政府委員 六百六十三万トンというようなことで法律が書かれているわけではなくて、これはあくまでも基本計画の問題でございますから、そこは先生のおっしゃるとおりでございます。
  63. 堀込征雄

    堀込委員 ぜひこの法律を基礎にしながら政府諮問案を作成してほしいと思います。特に、ことしは生産費、労賃や金利や家族労働費、資本利子、地代、非常に米価の大部分を占める費目がそれぞれ上がっていると私は思いますので、多少単収水準の問題はありますけれども生産費は上がると思います。ぜひ算定値を出して、そして諮問に当たってはこういう評価を適切に反映してほしい。今までも例えば農水省は自作地代を固定資産税評価額を基準にして、家族労働の賃金などについても米の販売数量の加重平均した賃金に切りかえたり、いろいろな手法を用いて算定値を下げるために躍起になってきたと思うのです。ことしはどうしても素直に算定値を出してほしい、そして諮問案に適切に反映をしてほしいということを要望をしておきます。  そこで、価格問題として最後でありますが、自主流通米はわかりにくいというのですが、やはりそういう意味政府米は一番わかりにくいのです。次に自主流通米の奨励金はどうする考え方でございますか。これから検討するという答えが多分返ってくると思いますが、そういう答えではなくして、こういう方向とこういう方向を今食糧庁としても考えておるというところをぜひ出してほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
  64. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生おっしゃるように現在検討中だということしか答えられないのですけれども、これは二案がはっきりあるわけです。一つは、自主流通米が六割と私ども申し上げておりますけれども、集荷面では昨年産では七割になったというようなことから、五十一年に良質米奨励金が創設された時期と現状は根本的に違っているのではないかという御意見がございます。一方これに対しまして、良質米奨励金は既に農家手取りの、米価の一部であるという強い御主張もあるわけでございまして、私どもはそういう両極端な案、両極端といいますか、片っ方が極端という意味じゃございませんが、二つの違った案につきまして、これは今までの良質米の実態等々を含めまして十分慎重に検討しなければいけない問題だと思っておりまして、そういう意味で検討中ということでございます。例年ですと、この米価が決まった後、大体九月とかそういったような段階に通達を出しているような状況なので、そういうことを十分踏まえまして慎重に検討しなければいけないと思っております。
  65. 堀込征雄

    堀込委員 良質米奨励金は、今長官から答弁がございましたように米価の一部になっておる。そしてこの奨励金は、過去をさかのぼりますと、食糧庁を初め政府が一生懸命奨励してきた、良質米をつくろうということで奨励をしてきたものでありますから、そういう経過からしてもぜひ継続するよう要望しておきます。  そこで、価格形成の場の質問に移らせていただきます。  まず、先ほど日野委員からも御質問がございました第三者機関でございますが、これはいつごろどういう機関、多分法人組織にするのでありましょうが、どういう法人組織にするのか。こういう点で今の考え方がございましたらまず説明してください。
  66. 浜口義曠

    浜口政府委員 第三者機関でございますけれども、これは今回の価格形成の場の一つの重要な組織的な問題でございます。国が責任を負うということは当然でございます。食糧庁がこの流通等について責任を負うことは変わらないわけでございますが、民間流通のよさを生かすという観点から、検討会の報告書では「公正・中立な第三者機関(例えば公益法人)を新たに設置して行うこととし、食糧庁の指導・監督の下におく。」とされたわけでございます。現在、第三者機関を具体的にどのような形式の機関とするかについては、これは価格形成の場をどういうふうに運用していくかということのかなめであり、またそれの前提でありますので、できる限り急がなければならないというふうに考えておりまして、今全く検討中ではございますが、この御提言に従って検討しておるところでございます。この考え方は、やはり平成二年産米からの実施に合うように法人を設立しなければならないわけでございますので、できるだけ早く検討をということで今整備を進めております。もちろん早場米からやらなければいけないというお話もございます。先ほど日野先生の御提起のように、この問題は慎重かつきちっとしてやらなければいけないということから、一応のめどはやはり主たる出来秋を目指して価格形成の場の第三者機関の設立を考えるべきだ、そういうふうに考えております。
  67. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、先ほど日野委員からも御質問ございました代金決済機能の問題であります。  系統関係でいいますと、今まで農協が集荷をし、経済連そして全農が代金決済を行ってきた。つまり、リスクをしょってきたわけでありますね。今度は第三者機関がしょうのか、しょわないのか。今の答弁で出来秋からということになりますと、取引に参加をする経済連などは、早く方針を出さなければちょっと準備のしようもないわけでありますね。今までですと、売り渡し契約が全農経済連なり農協となされる、そして物流が実際に行われる、全農を通じて代金決済が行われる、こういうふうに経済連、二次集荷業者、そして単協、生産者、あるいは卸業者を含めてみんな安心して取引が行われてきたというふうに思うのです。第三者機関はやはり資金を持ってリスクをしょってもらわないと、もしあの答申に書かれたとおりの運営をするのであれば取引ができないと思うのです。これはやはりそういう機能を持たせるのか、そういう考え方でいるのか、あるいは今答弁ありましたような法人組織にして、あるいは違う法人の参加者、例えば全農を含めたいろいろな参加者を考えているのか。この辺はある程度明らかにしていかないと、先ほど日野委員も言いましたけれども経済運段階や卸業者の方もちょっと準備のしようがないというふうに思うのです。もう少し明らかになりませんか。
  68. 浜口義曠

    浜口政府委員 基本的には今検討中でございますが、特に具体的に先生から御提起がありました点につきましては、代金決済機能をどうするかということだろうと思います。  これはやはり第三者機関をつくれというような提言がなされた背景には、公正中立な場を国民の目の前に出すことだということに係るということだと考えておりまして、これは全く検討中でございますから私が言うのはいかがかと思いますけれども、今御提起になった個別の代金決済機能は、当面は必要ではないのではないかというふうに思います。これはあくまでも私の、個人というわけではございませんけれども、今の段階での考え方でございます。全体は検討中でございますが、そういうふうに考えております。
  69. 堀込征雄

    堀込委員 はい、わかりました。それでは、次に質問をさせていただきます。  取引参加者の問題であります。指定法人の参加、これがまだ非常に不透明なんですね。支障のない場合参加を認める、こうなっておるのです。食糧庁のプロジェクトチームの内部討議では大分詰まってきていると思うのですが、この支障のない場合というのはどういう場合を考えておられますか。
  70. 浜口義曠

    浜口政府委員 この点は実は私は、基本的に検討中としか申し上げられないわけでございます。段取りといたしましては、やはり業務の一番重要なことでございますので、第三者機関が設立されて、運営委員会等に関係の集荷団体、卸団体の代表の方々等々が入られて、その中で決められていくことだろうというふうに思います。そういう意味で、現在、先生が御提起になられました価格形成に支障のない場合は具体的にどういうことかということについては、やはりここでは検討中としか言えないのではないかと思います。  ただこの点について、お尋ねでございますので、現在食糧庁でいろいろこれから関係者の方々と御相談をしていく一つのポイント、ポイントといいますか勘案事項といたしましては、例えば、販売力の大きい二次集荷業者はどうするかとか販売力の問題であるとか、あるいは指定法人のシェアが一定割合を超えないということがいいのかどうかとか、そういった各方面の項目について具体的な検討をし、それで御相談をしていくということで、これはあくまでも現実の協議会方式から引きずっていく具体的な業務の問題でございますので、この業務に今先生御提起のように混乱を起こすことではないような形で、かつまた国民の目から見まして、消費者の目あるいは農家の方々の目から見て、よく見えるような形で行うということを旨にして対応していかなければならないのではないかと思います。     〔大原委員長代理退席、石破委員長代理   着席〕
  71. 堀込征雄

    堀込委員 それでは、もう一つ取引参加者、各県経済連など二次集荷業者並びに一次集荷業者の問題ですが、この参加の意思というのはどの程度尊重されるのか。東京、大阪に価格形成の場をつくる。今全国的に流通している主要銘柄、主要産地が参加をしないなどといえば、これは価格形成の場は機能しないことは明らかです。さりとて、例えば主要な産地の経済連がその自主的な意思によって参加をするとかしないとか、この自由意思についてはあくまで保障されるのですか。この辺はどうお考えですか。例えば新潟県とか宮城県とか、こういう経済連が参加しないなどということは考えられますか、どうですか。
  72. 浜口義曠

    浜口政府委員 これは形成の場をどういうふうにしていかなければならないかということとも関連をするのですけれども、強制的な、権力でといいますか、そういう形で必ず参加しなければならないというようなことはできないというふうに思います。あくまでも取引参加者が自発的な意味で参加をしていただかなければならないわけでして、そういう意味では、二次集荷業者の方々がこの価格形成の場といったものを御認識をしていただいて、その第三者機関ができました暁には自発的に参加をしていただくというのが一番望ましい形だというふうに思っています。
  73. 堀込征雄

    堀込委員 そういうことだろうというふうに思うのです。  ただ、二次集荷業者は、これは一次集荷業者もそうなんですが、取引の場に参加するには非常に準備が大変だというふうに思うのです。やはり直接参加するとなると、代金決済のための資金を準備しなければならない。それなりにノーハウを持った人も養成をしなければいけない。あるいは情報機能を持たなければいけない。新しい準備をしていかなければならないわけです。資金もかかるわけですね。これは最終的には農家、農民に負担がかかっていくという問題になるわけであります。やはりその影響などもしっかり調査をして、自由意思を尊重してやってほしいというふうに思うのです。これは取引の場に新しく参加をするわけでありますから、売り手にも買い手にも膨大な資金や新しい投資を求める、こういう性格になってこざるを得ないと思うのです。ですから力の強い経済連、集荷業者、力の強い卸だけ参加をすればいいのか、こういうことには相ならぬだろうというふうに思うのです。しかし現実はそういうことに流れていく可能性が非常に多いわけでございまして、これは非常に負担がかかるということでありますから、今自由意思を尊重するという答弁でありますが、その辺はぜひ考慮をしてやってほしい、こういうふうに思います。各県経済運も非常に大変だと思うのです。あるいは卸の方も大変だと思うのです。これはぜひ考慮してやってほしいと思います。  そこで、価格形成の場ができますと、報告では五ないし一〇%の範囲内とはいえ価格が動くわけでありますね。価格が動くと流通業者、卸、小売の皆さん、これは極端に在庫を圧縮せざるを得ない、こういう事態が出ると思うのです。今までですと卸、小売の皆さんも大体年間の販売計画を立てる、そして年間の玉を手配する、こういうことで大体自分の一年間の商売の計画を立て、それで商売がやってこられた、こう思うのですね。ところが、これは年一作の米だからそういうことが一番いいと思うのですけれども価格が動くと今度はこういうことになりますから在庫は結局しょえなくなるわけですね。その在庫は、じゃだれがしょうかということになりますと生産者団体がしょわなければならないという事態が出てくるわけであります。  今集荷の方はどうなっているかといいますと、農家から農協経済連、全農という形で系統関係の集荷がなされている。そこで非常に精算払いに近い形で概算払いが行われているわけですね、現実に。これは買い取りと同じなんです。この買い取りは今全農がやっている、実質的な買い取りを農家に対して全農がやっている、こういうことですね。今度は価格変動のリスクを、負担を農家にかけられない、こういうことになってきます。在庫もしょえない。農家に価格変動のリスクをかけられない、負担をかけられない。そして全農を排除していくという発想でありますから、そうすると、単位農協経済連がこの在庫の資金負担をしょっていかなければならない、こういうことになるわけですね。そういう意味では米の流通も混乱をしますし、新しいリスクを各県経済連等単協段階でしょわざるを得ない、こういうことにならざるを得ないと思うのですね。  食糧庁、その辺はぜひ実害のないように対応してもらわなければ困るというふうに思うのですが、どういう考え方で今対応しようとしていますか。
  74. 浜口義曠

    浜口政府委員 ただいま先生具体的に重要な点を御提起になったわけであります。一つは在庫の問題と、あわせて仮渡金の問題だというふうに思います。  私どもがほぼ多いというふうな形で聞いております仮渡金の水準でございますけれども、これは自主流通米の現在の値段の状況からして、政府米価格プラス奨励金の水準ではないかと思っております。私ども自主流通米制度がこういう形で二本立てでできてきております政府の管掌米の姿を見てみますと、その仮渡金の水準というのはそういう水準で十分というか適切じゃないかというふうに思いますし、それをめぐって今回の価格形成の場によって価格が大きく変動する、逆に政府米を割って落ち込むということは、今の仕組みからいってあり得ないと思っております。  もちろん、先生が御指摘のように在庫をどういうふうにするかということは、価格形成の場の動き方から考えていかなければいけない重要な点だと思っております。この点についても、先生が御提起されたような形で価格基本的には安定的に推移する、いわゆる投機みたいな形で大幅に変動して割り込むようなことがないように考えていくべき問題だと思いますので、そういった点とも含めて、在庫の問題も今の先生の御提起を含めて十分指導をしていかなければいけないと思います。
  75. 堀込征雄

    堀込委員 そういうことでぜひ負担をかけないように、しかも今まで仮渡金などはそれによって全量集荷がかなりの成果を挙げてきたという問題もございますので、適切な対応をお願いしておきます。  そこで、もう一方の取引参加者、つまり卸の方であります。ここもちょっと不透明なことが幾つかあるわけであります。集荷の方につきましては全農の力が大き過ぎるのでこれを分散しろ、こうやるわけですね。ところが、卸の方でもかなり大きな会社が最近できてきている。系列を含めますと大変な市場占拠率を持つ心配が出てきておるわけですね。将来はまたこの部分に大手資本の参加が予想される、こういうことになります。現に既にある大手資本がこの米の市場に参入をしてきている、こういうことが実際にございます。ですから、生産者団体の方の規制がこれだけ行われるわけでありますから、当然この卸の方の将来懸念される大資本、大企業による価格支配力、独占というようなものはきちっと排除していくという発想が一方ではどうしても必要だ、こういうふうに思うのですが、この規制について考え方はございますか。
  76. 浜口義曠

    浜口政府委員 今、卸売業者につきまして独占化をしていくべきではないというお話がございましたが、現行の食管法管理一つの重要な点といたしまして、卸売業者については各都道府県において現在総数で二百八十五の卸売業者が許可されております。このルートを特定するということは食管制度一つの重要な役割でございますし、今先生指摘のように、この二百八十五という卸売業者の中について独占化の排除ということも重要なことではないかと思います。  なお、卸売業界については、今基本的なことを申し上げましたが、流通部面の改善として新規の参入を拡大していくべきではないかというような要請もあるわけでございます。各県で、現在まで数県においてそれぞれ各地域の状況におきながら参入というものが行われておりますが、そういう穏歩漸進的な考え方対応し、かつまた先生が御指摘のような独占を排除していくということは、十分この食管法維持のためやっていかなければいけない義務だというふうに思っております。
  77. 堀込征雄

    堀込委員 生産調整との関連について質問をさせていただきます。  これはわかりやすく答えてほしいのですが、産地品種銘柄ごとの需給動向、品質評価が価格へ的確に反映をされる、需要に応じた生産が誘導される、こうあるわけであります。つまり生産が誘導される。価格形成の場で人気が出た産地銘柄、例えば新潟産のコシヒカリが引っ張りだこになった、価格が上がった、けれどもまだ足りない、こういう事態が予想されるわけであります。足りなければつくらなければならない、こうなりますね。そうすると減反はその地方ではやめざるを得ない、やめてしまう、こうなるのではありませんか。これは食糧庁、本音を言ってほしいのです。やはり将来は適地適作でやるんだ、売れない米の地帯は米づくりはやめてもらいたいんだというのが食糧庁考え方でございます、こういうふうに私ども予想せざるを得ないのです。この論理も私は一理あると思いますし、全面的に否定すべきではないと思うのです。しかし正直に、価格形成の場、やはり食管法を守っていくとかいろいろなことをおっしゃっていますけれども、米の需給動向やあるいは諸情勢を考えると米の不適作地は米づくりやめてほしい、適地適作をやっていくんだ、こういう考え方はどうしても底流にあると思うのですが、どうですか。
  78. 浜口義曠

    浜口政府委員 生産調整価格形成の場、先生からも御提起ありまして、私も基本的な考え方は数度お答えをしてまいりました。きょうは別の視点から二点申し上げてみたいと思います。  一つは、水田農業確立後期対策というのはことしから発足するわけですが、この三年間は八十三万ヘクタールということで原則固定という方向を出させていただいているわけでございまして、そういう時点において、各県においての市町村に対する配分といったようなものに変動があるかどうかという点については、私から言及するのは差し控えますけれども、そういう枠組みというものは変わらないわけでございます。  ではその後の問題はどうかということでございますが、これにつきましては第二点として二つ挙げられるわけでございます。良質米の方向としてこれが一つの主流になってきたということは事実でございますが、私は、これに引き続きまして、質、食味等々はある程度良質米等に比べてもやや比較的に落ちるけれども別の意味でのいろいろな役割、例えば加工適性があるとかそういったようなものについては、一定のこれもまた需要が大きくなってきているのではないか。一言で言えば、単に良質米ということじゃなくて多様化時代というのが出てきておりまして、水田というものは我が国の農業根幹であり、各地に普遍的に存在するわけでございます。各地域の今おっしゃった適地適産という意味において、水田に基づく稲作がまたそれぞれ地域の個性ある発展をしていく事態が出てくるというふうに思います。そういうことになりますと、現在のような例えば一つのコシヒカリというものを取り上げただけではなくて、やはり多様な米づくりが出てまいりまして、それに応じた、後期対策以降についてどういうふうに転作が行われるかというのは別でございますが、地域地域のそういう特色ある米に応じた需要というものも創設されていくのではないかというふうに思っているところでございます。
  79. 堀込征雄

    堀込委員 時間が来ましたので最後の質問をさせてもらいます。  今長官の答弁ありましたように、これから検討していくということなんですが、しかし答弁の中に、三年後の生産調整の配分、これはやはりいろいろな米の需要に応じた、それぞれの産地の特色を生かしながらやっていくんだという、聞き流してはいけない非常に重要な答弁があったというふうに私は思うのです。農政審答申でもはっきり、生産調整面積の配分については、将来自主流通米価格形成の場などの弾力化等を通じて需給動向やあるいは市場評価が反映されるような、そういう手法を検討しろ、こういうふうに書いてあります。そして今答弁ございました、市場自主流通米価格が決まる、もう来年からは場合によれば、政府米生産者米価はそれがはね返って決まるかもしれない、こういう事態になってきた。そして三年後は、減反面積は一律割り当てではなくして、今の自主流通米価格需給動向を反映をしてやられていくんだ、どうしても農政審答申以来の一連の流れを見るとそういうふうに読めるのですね。そういうふうに読まなければ理解できないのです。私は、それならそれでやはり明確に今の段階から、日本じゅうの農家農民に、三年後はこうやります、もう一律の減反面積配分はできない時代です、こういうことははっきり伝えるべきだ、そういう方針を出すべきだというふうに思います。この農政審からの流れを見て、ぜひそういうわかりやすい政策を展開してほしい、わかりやすい政策の目指している方向を国民に明らかにしてほしい、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  80. 浜口義曠

    浜口政府委員 御指摘のように、国民あるいは農家にわかりやすい農政を展開していくことは重要だというふうに思います。ただ、水田農業確立対策の後期対策以降のものにつきましては、ことしはその第一年目にあるということから、その後を見込んだということはなかなか難しい問題ですし、まだ農林省に腹案があるわけではございません。ただ、今おっしゃったように、わかりやすい農政ということを目指して行わなければならないというふうに考えているところでございます。
  81. 堀込征雄

    堀込委員 終わります。
  82. 石破茂

    ○石破委員長 代理 この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ────◇─────     午後一時二十分開議
  83. 大原一三

    ○大原委員長 代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。鉢呂吉雄君。
  84. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、特にこの時間を使いましてウルグアイ・ラウンドの農業交渉を中心として質問をいたしたいと思いますけれども、その前に二、三御質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に、百六十九名という多くの日本人乗組員を乗せた北朝鮮国籍漁船のソビエト拿捕事件についてでございますけれども、ちょうどあの拿捕の事件から一カ月を経過しておりますけれども、私は去る五月三十日にもこの問題、とりわけ水産庁の事前の指導につきまして、その責任のあり方について御質問をしたところでございます。特に今回は、ソビエトに拿捕されて、特に日本人の乗組員の引き取りにつきまして二転三転しているかのような報道がなされております。実は私も地元が函館あるいは瀬棚町、大成町ということで、四隻がこの拿捕事件に関連をして向こうに行っておるということで、家族の皆さんも大変心配をしておるような状況でございます。中には水産庁の指導の不徹底さが今回の事件を引き起こしたというような家族の発言もありますけれども、いずれにいたしましても、今現在は早急な乗組員の引き渡しといいますか帰還について、日本政府として全力を尽くすべきことだろうというふうに思っております。最近の報道では、ソビエトの日本大使館に対してソビエト政府よりこの件の連絡があったようにも報ぜられております。しかしながらその後においてはまた二転三転しておるようでございますけれども、まず最初に、現在時点でどのような状況にあるのか、外務省にお伺いをいたしたいと思います。     〔大原委員長代理退席、穂積委員長代理着席〕
  85. 高島有終

    ○高島説明員 お答え申し上げます。  この拿捕事件が発生いたしまして以来、外務省といたしましては、モスクワ、ナホトカ及び東京におきまして連日ソ連側と接触いたしまして、まずナホトカにいる我が方の領事館員がこれら漁船員と面会したい、それから早期に釈放及び日本側への引き渡しを求めるという点で繰り返しソ連側と折衝してきたところでございます。このような過程でソ連側より、本件十二隻の日本人乗組員をソ連で裁判にかける意図はないということ、それからまた乗組員の帰還先につきましては、これら乗組員の自由意思によって決められるということを伝えてきております。しかし今委員指摘のとおり、残念ながら今日まで面会はまだ実現しておりませんし、釈放、引き渡しにつきましても、ただいま御説明いたしました以上の具体的な回答は得ていない状況にございます。したがいまして、私どもとしましては、今後引き続き一日も早い釈放及び引き渡しを実現すべく努力していきたい、かように考えている次第でございます。     〔穂積委員長代理退席、大原委員長代理着席〕
  86. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ただいまの高島審議官のお話では、ソビエト政府のこの点についての二点のお話があったということでございますけれども、いろいろな報道によりますと、特に、日本人乗組員との接触を図る際に北朝鮮関係者が非常に抵抗しておる。テレビでも報道されておりますけれども、あるいはまた、ソ連政府と北朝鮮政府、この関係の了解点がまだ達せられておらないような報道もされておりますけれども、北朝鮮政府はこの点について関係があるのか。あるいはまた、日本とは国交がないわけですけれども、日本政府として北朝鮮とこの問題について話し合ってきた経過があるのかないのか。今後そういうことが必要となるのかどうか、見通しについてもお聞かせを願いたいというふうに思います。
  87. 高島有終

    ○高島説明員 この拿捕事件につきまして、北朝鮮側がどのように考えているのかということにつきましては、私ども直接に具体的な情報を得ている状況にはございません。しかし、ソ連側との接触におきましてソ連側の説明によりますと、北朝鮮側は我が国総領事館員による拿捕された日本人の乗組員への接触を拒んでいるという趣旨の説明を得ております。しかしそれ以上の具体的な状況は、ただいま御説明しましたように、私ども具体的な情報として得ているわけではございません。  それから、北朝鮮側との接触の御質問でございますが、これまで我が方としましては、モスクワ及びナホトカにおきまして、我が方大使館及び総領事館からそれぞれ北朝鮮側の大使館及び総領事館に対して接触を試みておりますが、残念ながら、この問題につきまして北朝鮮側と踏み込んだ話し合いを行うというような状況には今日まで至っておりませんし、また、そういう観点から北朝鮮側から明確な考え方を聴取するに至っておりません。私どもとしては引き続き可能な限りこのような試みは続けていきたい、かように考えているところでございます。
  88. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 細かいことですけれども、もう一つ伺いしておきたいのですけれども、先ほど言いましたように、日本人乗組員についてはソ連での裁判をかけない、あるいは乗組員については帰還先は自由であるということでありますけれども、中には日本人が漁労長、この漁船の責任ある立場に立っておる者がいるというふうに言われております。これらを含めて、その乗組員の自由意思にゆだねるというふうに言っておるのか。その確認を外務省としてとっておるのか。あるいはまた、国籍としては北朝鮮ということになろうと思いますけれども、漁船の引き渡しについては日本に返すというようなことを言っておるのか。多くの乗組員あるいは船主にとりましては、水産庁の許可も受けておるというふうなことで、言ってみれば善意の、悪意のない人々でございます。そういった点で、この方の解決が急がれるわけですけれども、先ほど言いました二点についての御確認というか御説明をお願いいたしたいと思います。
  89. 高島有終

    ○高島説明員 お答えいたします。  まず第一点の、例えば拿捕された日本人漁船員のうち漁労長はどうかといったそういう職種別に確認をいたしているわけではございませんが、ただ、全体としまして百六十九名についての説明ということでございますので、私どもとしましては、百六十九名全員につきましてその自由意思に従ってその帰還先を決定できるというふうに了解しているところでございます。  それから、第二点の船体の引き渡しの問題につきましては、この十二隻の漁船の船籍の問題等、若干法的に不明確な部分もあるようでございますので、今日までのところ、私どもとしてはソ連政府に対しまして正式にその引き渡しを要求している事情はございません。
  90. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ソビエト政府の当初の考え方は、北朝鮮に引き渡しをするというような表明もこの段階以前にはあったというふうに聞いております。したがいまして、まだ二転三転をしておるというような状況もございますので、外務省並びに海上保安庁、水産庁、今言いましたように百六十九名、乗組員全員が日本に引き渡しをできるように、あるいはまた漁船についても、これについては難しい問題があろうと思いますけれども、多くの船主は、水産庁も指導を与えて正式のものとして出漁しておるという考え方に立っておりますので、日本政府は特に北朝鮮と特別の接触をしておらないということですけれども、場合によってはソビエト政府を介して、この解決に向けて全力を挙げていただきたいというふうに考えております。そういう点でよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。  続きまして、昨日、平成二年産の麦の価格が米価審議会に諮問そして答申があったというふうに聞いております。その内容、あるいは本日、麦価については農水省として正式に決定されるのかどうかわかりませんけれども、とりあえず諮問並びに答申の内容について、食糧庁からお聞きをいたしたいというふうに思います。
  91. 浜口義曠

    浜口政府委員 ことしの生産者麦価でございますけれども、まず麦価の基本的内容といたしましては、政府買い入れ価格を、元年産政府買い入れ価格九千五百九十七円に対し三百七十四円下げ、比率で三・九%下げて九千二百二十三円とすることを基本的な内容とするものでございます。今回の麦価につきましては、政府案は、米価審議会におきまして御検討いただきまして、昭和六十三年から決定を見ております算定方式に基づきまして、麦作に取り組む農家の意欲に及ぼす影響にも配慮して、麦作の生産性の向上を的確に価格に反映するとともに、品質の改善に資するということの観点に立ちまして算定をしたものでございます。  その具体的内容といたしましては、まず主産地の第二次生産費に基づき算定いたします基本となる価格につきまして、六十キロ当たり八千六百六十二円でございました。これに対しまして、経過措置を講ずるということで、この引き下げ額の九百三十五円に対しまして、生産者メリットの農家への還元の部分を過半を超えます六割とするということを含意といたしまして〇・六を乗じまして調整額の五百六十一円を求めまして、これを基本とする価格に上乗せをしまして九千二百二十三円を求めたわけでございます。繰り返すようでございますが、経過措置をとる際の○・六を乗じたことは、麦作農家の生産性向上努力や生産意欲にも配慮し、生産性向上部分の半分以上を還元したということでございます。  この基本的内容を内容とする政府案に対しまして、昨日から米価審議会において夜に至るまで御議論を賜りまして、この政府案について、生産者生産性向上に鋭意努力している中で五年連続の引き下げを行うことは、生産意欲に及ぼす影響等から見て不満であるという御意見と、大幅な内外価格差、国内産麦の需給事情、製品の輸入状況等から見て、基本価格に対する激変緩和措置が過大であり、引き下げ幅が十分でないという御意見があったわけでございますが、この両論につきまして御議論の上、一本の答申として、この際政府案によることはやむを得ないと認めるという御答申を受けたわけでございます。  それに従いまして、政府といたしましては、この諮問した案に即しまして閣議に報告し、決定をさしていただきたいというふうに考えているところでございます。
  92. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ただいま麦価の決定についての内容の報告がございました。今回三・九%の昨年比引き下げという基本内容でございます。これは御案内のとおり、麦については五年連続の引き下げ、昭和六十年と対比しますと、一七・四%にも相当する急激な麦類の価格引き下げという事態でございます。諮問の中に農水大臣も述べておりますけれども、内外価格差あるいは財政事情などを理由として今回の諮問をしたということでございますけれども、答申にもございますように、特に麦作の生産者の意欲を阻害する今回の決定ではないか。甚だ残念でございますし、昨年の参議院選挙以来の農政不信は、選挙終了後このような形で畜産物の価格引き下げそして今回の麦価の引き下げ、これが七月上旬に予定をされておる米価に影響を与えるのではないか、多くの全国の農民が憂慮をしておるところでございます。  特に、麦につきましては、大変広い用途でございまして、パンからお菓子あるいはめん類、むしろお米よりも多用途な食糧一つでございます。御承知のとおり、二十年前には四%程度の自給率まで落ち込んだものを、転作の作付、あるいは裏作の作付、あるいは生産性の向上で一六%程度まで自給率が回復をしておるこの麦類について、もっと生産意欲を伸ばすような取り組みが大変大事でないか。その一環としても今回の麦の価格は重要なポイントになったろうというふうに考えておるのであります。  今食糧庁長官が言われましたように、今回の麦の価格の改定に当たっては、六十三年産からこの算定の見直しを行ったわけでございまして、これは従来のパリティー方式から現在の生産費を第二次生産費までを償うという方式に変えているのであります。しかしながら不明朗な点もございまして、一つは、今申されました調整額というような形で、これを随時掛け率を変えていく。昨年はたしか〇・七であったと思いますけれども、今回は〇・六というようなことで、非常にあいまいな麦価の算定方式になっております。あるいはまた、この生産調査の対象とする農家についても、一定規模の農家以上のものの生産費を対象にする。したがいまして、平均規模以下の農家あるいは主産地の七道県以外の生産費については、これが価格に反映をされてこないというような方式をとっておりますし、さらには十アール当たりの収量、単収についても非常に現実と合わないような、いろいろな算定修正を加えておるわけですけれども、十アール四百二十数キロというような形で大変高い数字が出ておるのでございます。そのような算定方式の変え方をして今日出してきておるわけですけれども、これはもう既に価格が決定をされておるわけですから、この際、中身について一つだけお伺いいたしたいのです。  昨年の米審でも問題になり、あるいはまた、例えば米価、乳価等に反映をされております企画管理労働費について、昨日の米審で話題となり、来年以降に向けてこれを調査するという方向になったのか。あるいはまた、麦価につきましては集荷運搬費も外されておりますし、租税公課についても従来取り除かれておりますけれども、この三つを今後の生産調査に加えるというような米審の審議があったかどうか、確認をしておきたいのであります。
  93. 浜口義曠

    浜口政府委員 ただいまの御質問、突然の御質問でございますので、私、米審にずっとおりました記憶に基づいて、きのうの問題ですけれども、ちょっと正確な応答のところは十分じゃございませんが、お答えをさせていただきます。  御質問の点については実際に御議論がありました。これは一つは、農林水産省の所管から申しますと統計情報部の問題でございまして、現在の生産調査の中で、今の管理労働のものは現実に調査していないわけでございまして、それについての応答が、短時間じゃございませんが、なされました。これについて生産部局、私どものような価格決定の部分ではなくて、そのベースになる数字の問題として今後検討していく、これはちょっとはっきりしておりませんので正確には申し上げられませんが、そういうお答えをしたように聞いております。ただ、生産調査の中で、本来ですとこういう形の調査というものを行わない建前、例えば米価についても十分行っているわけじゃございませんので、そういう意味生産調査部局の方からの答えがあったように、その程度でお答えをさせていただきたいと思います。
  94. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 この点につきましては、統計情報部の所管の方の局長さんも見えておられると思いますけれども、今長官が言われましたように、米価審議会ではこれらについて調査をしていくという答弁があったと聞いておるというふうに長官が言われましたけれども、突然の私の質問でございますけれども、きのうのきょうでございますから、この点についての御答弁をお願いをいたしたいと思います。
  95. 浜口義曠

    浜口政府委員 今の先生の御質問につきまして、今お答え申しましたように担当の統計情報部の者がここに来ておりません。それで私、記憶に従いまして、きのうのきょうでございますので、そのように統計の生産費の部分において、例えば原価の調査、例えばほかの会計調査等においては基本的にそういうところまで及ばないというものであるけれども今後検討してみたい、そういう答えではなかったかと思います。
  96. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 麦の振興につきましては、一月に閣議決定をしております「農産物の需要と生産の長期見通し」という中でも、小麦を中心とした生産振興について明記をされておるわけで、目標を西暦二〇〇〇年として現況の二七%増の生産を図るというような、面積の増加は余り見込んでおりませんけれども、相当の意欲的な生産見通しを立てておるわけでございます。この点で昨日の麦価の決定は大変後ろ向きになっておるというふうに私は思いますけれども、政府として今後、この閣議決定された方向で麦作の振興をどういうふうに図っていくのか。きょうは農水大臣が来ておりませんから、政務次官から基本的な方向について御答弁を願いたいというふうに考えます。
  97. 松山光治

    ○松山政府委員 麦は、基本的な食糧供給力の確保あるいは合理的な輪作体系の確立、水田農業の活性化というような、これからの土地利用型農業の健全な発展を図っていきます上で今後とも重要な役割を果たす作物である、このように認識をいたしておるところでございますし、今御指摘のございましたように、ことしの一月に閣議決定をいたしました長期見通しにおきましてもかなり意欲的な見通しを行っておるところでございます。  ただ、あの見通しの中でも幅を持って平成十二年度の生産量の見通しを行っておるわけでございますが、そのように幅を持った見通しを行っておりますのは、現在我が国内産麦のこれからを考える上で克服すべき幾つかの課題があるということにゆえんするわけでございます。それは、今国内の麦につきまして、一つは大幅な内外価格差が存在しておるということ、それからもう一つは、外国の麦に比べまして品質的に劣っておるじゃないかという議論、そういった御指摘があるという事情にかかわっておるところでございます。  したがいまして、あの長期見通しにおきましても明らかにいたしておりますように、これからの麦づくりにつきましての課題は、一つはやはり農家の方にもいろいろ御苦労いただきながら生産性の向上を進めるということ、それから品質の改善を行っていく、そういった積極的な取り組みを通じまして、国内産麦に対する評価を着実に高めていくということがこれからの麦作振興基本であろうというふうに考えておりますし、また、そういう観点から各般の施策を展開して生産者の御努力を支援していきたい、このように私どもとしては考えておる次第でございます。
  98. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今局長のお話にもありますように、昨日の米価審議会の答申の附帯意見でもこのように述べておるわけです。「「農産物の需要と生産の長期見通し」に基づき、需要に応ずるよう、麦の優良品種の開発・普及を急ぐとともにコストの引下げに努めること。」これが附帯意見でございます。ここの中に述べられております重要な観点は、麦の優良品種の開発ということでございます。  御承知のとおりでございますけれども、国内産麦は品質的な特性から日本めんを主体に使われておるということでございます。しかしながら、日本めんについても全部が国内産ということには現状なっておらない。約八十万トンが国内産であり、外国産、とりわけオーストラリア産のものとまぜる、それが六十万トンほど輸入をされておるということで、そういった意味では日本めん用に国内の小麦の供給を増すということは需要があるわけでございます。御承知のとおり国内産が、例えば色が白くならないとかめんの伸びが出てこないというような点で外国産とまぜざるを得ないというようなことで、これは生産者のいろいろな努力以前の問題で、品種の特性によっている面が非常に多いというふうに私どもは聞いております。  しかしながら一方で、私も北海道でございますが、例えば農林省の北農試または普及所の先生方にいろいろお聞きいたしましても、小麦の品種改良は甚だおくれておる、北海道にいてもそう新しい品種が出てこないという現況でございまして、これらについては、特に製めん性だとか製粉性、それに適合した品種、あるいはまた、日本の場合穂発芽が非常に問題になるわけですから、それに対して抵抗性のある品種、それらの開発が非常に急がれておるというふうに私は思います。  そういった点で、今回こういうような附帯意見もあったわけですから、品種改良の試験研究に対する農水省基本的な考え方、そしてまた、これらについての予算の肉づけが平成二年度以降どのようにされていくのか、この点について農水省のお考えを聞かせていただきたい。     〔大原委員長代理退席、委員長着席〕
  99. 西尾敏彦

    ○西尾政府委員 技術会議事務局長でございます。  麦の品種改良についてのお尋ねでございますので、お答えをしたいと思います。  麦、特に小麦の品種改良につきましては、もう当然のことでございますけれども安定多収、さらにはまた、日本の麦というのは二毛作の中でつくられているということもございまして早熟性の問題、さらにはまた、日本の麦の収穫期は梅雨に遭遇することが多いために、霧害抵抗性もしくは穂発芽耐性、穂発芽に強いという品種を育成するというのが大きな目標でございます。さらに、良質な品種、先ほど先生からお話がございましたように、特に加工適性、製めん性の問題それから製粉性の問題、そういうものに適した品種を育成するということで、目下国の研究機関と都道府県の研究機関が協力をして鋭意研究を進めているところでございます。  先ほどお話がございましたけれども、最近は例えばASW、オーストラリアン・スタンダード・ホワイト、これが世界のめん用の麦の品種の中の——品種ではない、これは十以上の品種をまぜたブランドネームでございますけれども、そういうものにもかなうような品種の改良ということで一生懸命やっているわけでございますけれども、ごく最近では、例えばニシカゼコムギでありますとかさらにはまたシロガネコムギ、それから北海道ではチホクコムギ、それから昨年は九州でダイチノミノリなどという新しい品種が次々に育成されているところであります。この後も次々に新しい品種の育成に励んでいるところでありまして、北海道でもまた内地でも、新しい有望系統、これは少しずつ色が白くなっているのですけれども、さらにまた製めん性もいいというものでございますが、そういうものの育成が進んでおりますので、もうしばらく御辛抱いただきたいというふうに思っております。  いずれにしましても麦の品種改良というのは大変重要であると私ども思っておりまして、そちらの方のプロジェクトも鋭意つくりながら研究を進めているところでございます。
  100. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ぜひこの品種改良の試験について今まで以上の強力な考え方でやっていただきたい。農水省も、新しい考え方でやっていくということは相当いろいろ施策の中に書いておりますけれども、こういう点については、品種改良については特に日本の独壇場だろう。そういう点で、予算の肉づけも十分やって、品種改良について、そのうちということではなくてすぐにでも間に合う品種をつくっていただきたいというふうに要望いたしておきます。  そこで、小麦の関連ですからこの関係について述べておきます。  先ほど言いましたように八十数%、これはもちろんパンもありますから日本の国内麦では通用しないものもございますけれども、非常に多くの小麦食糧庁を通じまして輸入をされております。農水委員会あるいはまた予算委員会でも話題になりました特に外国産のポストハーベスト、収穫後の農薬の使用、この残留農薬の関係でございます。特に日本で使われておらない例えばスミチオン、レルダン、マラソンといったようなものが、アメリカ等では収穫後にこれを長期保管するという名目で殺虫剤として使われておる。また、これについてのいろいろな検査データというのが出ておらない現状でございまして、例えば厚生省管轄社労あるいはこの農水委員会の私の会議録を見ますと、平成三年度に向けて検査基準を定め、検査体制を整えるというふうに御答弁をされております。  しかしながら、小麦に限定いたしますけれども、問題は、この輸入小麦は毎日のように消費者に食べていただいておるという現状でございます。私が農水省からお聞きした時点では、この輸入小麦について食糧庁は自主的に検査を行っておるとお聞きしておりますけれども、この食糧庁の自主検査の実態、そしてその検査結果についてお聞きいたしたいと思います。
  101. 浜口義曠

    浜口政府委員 ただいま先生質問の点は、小麦の農薬残留について食糧庁がどういう対応をしているのか、こういうお話でございます。先生の御質問に関連して、繰り返す必要はないと思いますけれども小麦の農薬残留につきましては、厚生省所管の食品衛生法に基づきまして厚生省により七品目の農薬、例えばエンドリンとかディルドリン等々について基準が定められているわけでございます。この基準をオーバーするものについては当然小麦輸入が禁止されるということでございます。  食糧庁といたしましては、小麦食糧庁が一元的に輸入を行っているということにかんがみまして、この食品衛生法により基準が定められている七品目の農薬はもちろん、それ以外の農薬、これも先生御提起になられましたが、例えばマラチオン、フェニトロチオン等々の十品目につきまして、これに関連するFAOあるいはWHOの国際基準等を準用いたしまして、入港船の全船につきましてのサンプルを抽出しての農薬残留検査を行って万全を期しているところでございます。こういう手続に対しまして、この基準をオーバーする小麦輸入はこれまで行われておりません。  今後の問題でございますが、ただいま先生も御指摘のように、厚生省におきまして来年度を目標に基準をつくるという操作を開始しております。食糧庁といたしましても、これに対する協力等々について十分対応していきたいと思っております。もちろん、こういったものの検査等においては通用する基準というものがなければならないわけでございまして、私どもといたしましては、その基準を前提にいたしましての検査を行うということでございます。  先生の御質問の中に実態をというお話がございましたので、もう少し詳しく申し上げてみますと、厚生大臣の指定を受けております指定検査機関というのに、食糧庁の関連する団体で財団法人日本穀物検定協会というものがございます。ここへ委嘱をいたしまして、入港船、輸入時の小麦を積んでまいりました全船につきまして、サンプルを抽出いたしまして検査を行ってもらっているということでございます。当然にその手続といたしまして、やや技術的なことになりますが、ガスクロマトグラフ等々の分析により残留度の検定を行っているということでございます。
  102. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 自主的に検査をやっておるということで、特に国際基準に基づいて、WHOあるいはFAOに基づいて行っておるということでございますけれども、この国際的な基準が日本の基準に比べて非常に甘い。もちろん小麦についての基準はないわけですけれども、例えば米と比較をしますと、非常に緩やかだという点がございます。そういう点で、食糧庁が行っておる自主的な検査の内容について公表をすべきであると私は思いますけれども、その点についてどのように考えるか、御見解を伺いたいと思います。
  103. 浜口義曠

    浜口政府委員 ただいま申し上げましたように、食糧庁といたしましては、この小麦の問題は消費者の関心が強いために消費者が安心できるよう十分全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。  今、基準の問題につきまして国際基準が甘いというお話がございましたが、当然のことながら今これも先生おっしゃったように、我が国の基準というものがないわけでございますが、我が国の基準というものをできるだけ早くつくることによりまして、そういった国際的基準との比較というものもできようかと思います。  さて、今先生がお話をされました公表の問題でございますが、私どもは当然にその公表をしないということを言っているわけではございませんで、検出を行っておりましたものはいずれも基準値を下回っているという状況でございます。そういうことから、特にそういう意味において公表の必要はないと思っているところでございまして、私どもとしましては、正式の機関に基づいて、基準に基づく十分の検査を今後とも続けてまいりたいというふうに思っております。
  104. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 公表をしない、国際的な基準を下回っておるのでということの御答弁ですけれども、先ほども言いましたけれども、日本には基準が設定されておりませんけれども、日本ではこのような収穫後に農薬を使うということはされておりません。例えば家庭で、お米に虫がついてきたからスプレーで殺虫剤をかける、こういうのはかけたら食べないのが当然でありまして、そういう点では、アメリカ等の小麦等における保管は非常にずさんである。価格においては必ずしも日本との比較をできないものがあるわけですけれども、事食べ物に関する、しかも直接食べる場合の農薬ですから、国際的な基準があっても、まず第一に、平成三年度に設定をする日本の基準については厚生省と農水省が連携をとるというふうに会議録で書いてありますけれども、国際的な基準ということではなくて、人体に影響を与えるかどうかの基準で設定をしていただきたいということが一つでございます。そういった点で、今自主的に行われておる検査に基づいて基準をつくるということがないように、特にお願いをしておきたいというふうに考えております。  そこで、ガットの農業交渉問題に移らさせていただきますけれども、まず、先般の六月十九日の本会議で、農林水産の動向に関する年次報告という形で農林大臣の御報告があり、そして我々の同僚議員の北沢さんからこれに対する質問があったわけでございます。これに対する答弁で、総理もあるいは農水大臣も同じような言葉で答弁をされておるわけですけれども農業生産性を高めるとともに、農産物の内外価格差の縮小に努め、国民の納得の得られる価格で安定的に供給していきたいという趣旨を述べられておるのでございます。私は、昨今非常にいろいろ問題になっております農産物の価格の内外価格差の縮小といった点について若干私の意見を述べさせていただきたいわけです。  これについては、今年の農業白書でも四十六ページで述べておりますけれども、必ずしも農産物価格の国際比較というのはできにくい、その原因として、為替レートの変動やあるいはまた品質、規格、消費形態の違いであるというふうに述べておりますけれども、私も過去を調べましたところ、例えば昭和六十年と六十三年を比較しますと、為替レートは六十年のときに一ドル二百三十八円、約二百四十円台でありました。昭和六十三年は百二十八円台ということで非常に円高といいますか、円が強くなっておる現況でございます。そうしますと例えば消費者価格、これで比較しますと、六十年がアメリカと日本では一・五倍、日本の価格は五割増しの価格であります。ところが六十三年になりますと、この為替レートの関係で二・八倍の価格差になっている。そういう点では、この価格差の拡大は円高に、いわゆる為替レートの変動によるところが大変大きいわけでございます。このことを全く範疇に入れないで述べるときにはこのことが大変問題になるわけですけれども、この内外価格差の特に農産物の拡大といったときには、為替レートの変動が一番の大きな要因になっておる。  このことは日本経済が強くなっておる裏返しでございますけれども、このことによってのみ内外価格差の縮小ということが論じられるのは、甚だ農業にとっては問題がある点でございます。このような急激な為替レートの変動というものが日本の経済では行われておるわけですから、このことをもって即日本の農産物を諸外国並みの国際価格に近づけていかなければならないと言うのは大変な無理があって、国内の農業生産は崩壊しかねない、そういった事態であるというふうに私は思っております。もちろん内外価格差を縮小するという方向は考えていかなければならない、そのことはありますけれども、急激にこれを持っていくということは日本農業が崩壊するということになるというふうに考えておるのであります。  しかも、総理大臣も述べております国民の納得の得られる価格というふうに、再三再四最近は述べられるわけですけれども、これについても国民がお米について本当に高いというふうな実感を持っておるのか。確かに新聞報道等によって、いろいろな世論によって、日本の世論も米の自由化というふうな形が出てきたというふうな形の報道もされております。世論調査もあります。しかしながら、米自体について国民が納得を得ておらない価格であるというふうには私は思わないわけでございます。そういった点で、国民に対する理解をしていただく方法についても、食糧を預かる農水省としてはもっと多様な国民理解の方法を考えるべきであるというふうに私は考えております。  したがいまして、価格だけを論ずるのではなくて、食糧がいっとき何かあれば外国から輸入できない、食糧安全保障の観点から農業の大切さを国民にもっと訴える必要があるだろうし、環境の保全あるいはまた都市市民の憩いの場、国土の保全といった点でも農業の大切さについて国民理解を得ることが今一番大事な、そういうものじゃないかというふうに考えますけれども、農水大臣にかわる政務次官の御所見をお伺いいたしたいと考えます。
  105. 東力

    ○東政府委員 農業の大切さ及び特に米の重要性ということにつきましては鉢呂委員と全く同感でございます。また政府といたしましても、そういった内外価格差だけではなくて、国土の保全、あるいは地域コミュニティーの繁栄、さらには水資源の涵養、総合的な重要性ということ、そしてその中でも米の、食糧の安全保障ということを非常に大切であると考えて、政府といたしましても、二国間または多国間であらゆる機会を通じて全力を尽くして説明をし、理解を求めているところでございます。
  106. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 そこで、時間が少なくなってきたのですけれども、ガットの農業交渉、ウルグアイ・ラウンドについては六月会合という形で六月の十二日から十五日までジュネーブで開催され、終わったわけでございますけれども、この関係農業交渉グループのドゼウ議長の議長総括という形で見解が出されて、特に日本の米を初めとして問題のある農産物については関税化の方向で七月会合までその素案、たたき台をドゼウ議長が出すという提案をしておるのでございます。あるいはまた、基礎的な食糧という形で日本の米がこの関税化から逃れるということについてドゼウ議長は、そういう形にならないだろうというような表現、あるいはまたガットの十一条の二項の(c)、いわゆる国内で生産調整をしている農産物については海外からの輸入を制限することができるといった割り当て制についても、これを関税化の方向に向かっていくというような議長の考え方を表明しておるかのような報道がされております。  まず第一に、これらの関係について、ドゼウ議長の総括についての事実関係について経済局長からお答えをいただきたいというふうに考えます。
  107. 川合淳二

    ○川合政府委員 事実関係を私からまず御説明をさせていただきます。  ドゼウ議長の今申されました総括は六月十五日の会合で出されました。内容は、これまでの討議の中心になっております国内支持とか国境措置、それから輸出補助金の三分野につきまして、それぞれの国の見解を含めまして討論の進捗状況を述べたということになっております。したがいまして、この総括は今までの議論を客観的に整理したものでございまして、今御指摘がございましたような点である種の方向づけをしておるというものではございません。例えば関税化につきましても、そうした突っ込んだ議論があったということは述べながら、一方でガット十一条とか食糧安全保障に関連した輸入制限措置につきまして幾つかの国からその重要性が指摘されている、ただその立場の相違は大きくて意見の収束が見られないというような表現になっておりまして、この段階で一つの方向性を示したというようなノートになっているわけではございません。
  108. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間がなくなりましたけれども、今後七月に向けて例えばヒューストン・サミット、五カ国の農相会議、あるいはまた七月にウルグアイ・ラウンドの大枠を決めていくというような方向でありますけれども、ウルグアイ・ラウンドにおいては三点の問題で今方向を定めておるという状況でございます。一つは国内補助金をいかに削減、撤廃をしていくか、このことについてもアメリカは具体的な削減あるいは撤廃のものを出したということでございますし、あるいはまた輸出補助金についてどうするか、このことが一番問題になる、例えばECの諸国にとってもこれは問題になるわけでございます。日本にとっては一番問題なのは、先ほど言いましたような非貿易的関心事項、米の例外措置、あるいはまた畑作物のでん粉、乳製品、雑豆等の今十一条に基づいて除外をされておる問題、これが関税化の方向になるというのが非常に問題があるわけですけれども、これらについて七月に向けて、サミットに向けて、例えばどういった方向で農水省は対処していこうという考えなのか、政務次官の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  109. 東力

    ○東政府委員 一般的にサミットは、そのときどきの政治、経済、あるいは外交、また環境問題等のようなグローバルな主要な課題につきまして首脳間で幅広く意見交換を行う場であります。今次のサミットの議題も、議長国である米国を中心にまだ調整中のところがございますが、しかしながら、経済問題というのが大事であり、その中でウルグアイ・ラウンドというのが今年末にも終結するわけでありますから、非常に重要な主要な課題となってくると思います。そしてまた、その中でも農業問題というのが最重要な問題になることは確かであると思います。農林水産省といたしましては、総理に塩飽農林水産審議官を同行せしめて、そして従来からの我が国のウルグアイ・ラウンドにおける主張を踏まえて、食糧安全保障の考え方等について理解が得られるよう最大限の努力を傾注してまいりたいと思っております。  また、五カ国の農相会議につきましても、同じ趣旨で、これは交渉というか意見交換ということでありますので、そのような日本の立場につきまして大臣が全力を挙げて理解を求めるということになると思います。  ウルグアイ・ラウンドにつきましては、これからの日程及び関税化につきまして事務当局よりポイントを御説明させていただきたいと思います。
  110. 川合淳二

    ○川合政府委員 政務次官から今お答えいただきましたことで尽きているわけでございますが、これからの日程といたしましては、先ほど先生からも御指摘がございましたように、主要国の提案が出そろったところでございまして、それについての意見が現在行われております。七月に大枠づくり、そして十二月に終結ということで今後進められていくことと思いますが、今政務次官からもお話しいたしましたように、全力を挙げてこれに対応していくということでございます。よろしくお願いいたします。
  111. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 午前中も外務省で担当の経済局次長にもお聞きをしたのですけれども、必ずしも日本の主張のとおりには受け入れをされるような方向にはまいっておらないということもまた事実でございます。そういった点で、ヒューストン・サミットなりあるいは五カ国農相会議で十分日本の立場を表明し、日本の政治家として政治的な立場から主張すべきである。特に日本は世界最大の輸入国でございますから、この点について、食糧の安定供給、安全性、あるいはまた、日本の農業政策が輸出をするということを前提にしておらないわけですから、そういう観点で日本の立場の表明を十分して、ウルグアイ・ラウンドを成功させなければならないというふうに日米の外相会議でも合意をしておるわけですから、これは全くけんか別れをするということがなかなか難しいわけですから、どうしても日本の立場理解させなければならないという時点にあるわけで、そういう点で政府、農水省の特段の御努力というものを期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  112. 東力

    ○東政府委員 今御指摘の点につきましては、米の安全保障ということに関する国会の決議も踏まえて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  113. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 以上で終わります。
  114. 亀井静香

  115. 目黒吉之助

    ○目黒委員 自主流通米価格形成の場の問題についてお伺いをいたします。  まず何よりも感じますことは、この場の設置をなぜこんなに急ぐのか、ここがどうしてもわからない一つであります。いろいろ伝えられるところによりますと、早ければこの秋に取引所、自主流通米価格形成の場を設置する、私は米市場、こう言っておるわけでありますが、市場を設置する、こう伝えられております。これには生産者消費者も早くやってくれといったような要求は全くないんですね。売り手もそうですし、買い手の方からも早く開設した方がいいじゃないかといったような要望は聞いておりません。何かしら行政のひとり歩きのような感じがするわけでありますが、どうしてそんなに急がなきゃならないのか。ありましたらまず理由をお聞かせ願いたい。
  116. 浜口義曠

    浜口政府委員 自主流通米制度価格形成の場の問題でございますが、この本体、ベースになります自主流通米制度昭和四十四年から発足しまして既に二十年を経過しております。かつ、最近の実態は政府米と相並びまして、むしろ両者の間の比率は七、三というような逆転の集荷状況にも見られるように、この自主流通米制度は大きく成長しているわけでございます。そういう意味で、本来的にこの自主流通米制度の値決めの実態に対するきちっとしたルールといったようなものが期待をされているというのが実態であろうというふうに思います。  ところで、この経過でございますが、まず農政審議会の報告におきまして、これは昨年の六月、いろいろな意味でも出されたわけでございますが、「今後の米政策及び米管理の方向」といったようなタイトルに基づきまして出された文章に関しまして、一部読ましていただきますと、この自主流通米についてはやはり「価格形成の場を設定する。」とした上で、「そのあり方について速やかに検討を行う。」という提言がなされているわけでございます。この自主流通米については、この議論が約二年間にわたってこの農政審議会でなされてきたわけでございますけれども、そういったものを受けまして、やはりこれに対する世上の期待というものも、ただいま先生お話しになられましたけれども、私どもはかなり関心が高いというふうに理解をしております。これを受けまして食糧庁に学識経験者の方々にお集まりいただいて御議論をしていただいたその結果として報告書が出てまいっているわけでございまして、この報告書においては、関係者の御意見を十分聞いた上で、この平成二年産米から実施するようにという提言があるわけでございます。  私ども、こういう大きくなった自主流通米制度、これについては発足から協議会方式という形で値決めの方式が実施されておりますけれども、そういったものを一歩進めて、この価格形成の場といったようなもので国民の皆様にあるいは農家の方々あるいは消費者の方々に目に見える形でこの価格形成過程が行われることが必要であるというふうに考えているところでございます。
  117. 目黒吉之助

    ○目黒委員 急ぐ理由は、そうしますと、値決めの実態をつまびらかにしたいというあるいはしてほしいという期待があるというのが一つと、二つ目は農政審報告があったから、この二つですね。この二つが今非常に態勢不十分のまま実施時期を秋にしたいというところにつながっておる、このように理解をしておりますが、私はこの問題は、扱い方によっては食管体制をやはり弱体化させる、崩壊をさしていく、こういうところにつながる問題だと思いますね。  で、先ほどもおっしゃいましたように、食管体制について大きな変化があったのは最近になって三つくらいあると私は思うのです。一つは四十四年の自主流通米導入、それから生産調整が始まるわけでありますが、それを受けて五十六年の法改正、そして今回だと思うんですよね。いわば第三ラウンドです。おっしゃいますように、この第三ラウンドでこの問題に取り細まなきゃならなくなっているわけですが、既に自主流通米が七、三の割合で、七が自主流通米、ことしは四百三十万トンにも及んでおる、こういうわけでありますから、この扱い一つ食管体制がまた大きく変質をするという問題が含まれておると私は思っておるものですから、慎重にかからなきゃなりませんし、重大視をしなければならぬ、こういうふうに考えます。一つ間違えますと、四百三十万トン、七割以上が自主流通になっておるんだから食糧庁なんて要るのかどうか、うんと縮小したような形で間に合うんじゃないか、百五十万トン前後を管理すれば済むみたいな実態が出てくるわけでありますから、そういう危惧さえするのであります。検査体制だってそうでしょう。自主流通ということになりますれば、例えば整粒歩合の悪い米を小売屋さんが買って、整粒歩合が悪ければ選別し直せば幾らでもできるんです。そんなところへ持っていかれてしまえば食管体制というのは完全に崩壊をする、こういう危機感すら私は持たざるを得ないのですね。もう最近の走り方では銘柄を買っていますから、いろんな議論がここだって出てくると思うんですよね。ですから、そう軽々にこの問題に結論づけをして走り出すということは大変危険なんじゃないか、こう私は思うわけでありますけれども、今の見通しではおよそいつごろ最初の場の開設が見込まれますか。
  118. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生が御指摘のように、この自主流通米価格形成の場等々含めまして食管関連のものにつきましては、国民の主食であるというような重要性、それから国民の関心事である、さらにまた農家の方々が精励してつくられた米の重要性ということから、物事をやはり慎重に行っていくべきであるということは私も十分認識しているところでございます。この自主流通米及び政府米関係からいって、私どもは政府管掌米というふうな、政府が管理している米だというふうに考えておりまして、あくまでも自主流通米も、当然のことですが、政府米と相並びまして食糧庁管理していくものだというふうに考えているところでございます。最終の責任は農林水産省といいますか、食糧庁が負わなければならない問題だというふうに考えております。  ただ、この価格形成の場におきましては、やはり現状におきます国民各層の米に対する多様な要請、それから農家の方々が地域のそれぞれの風土に応じた形で産米改良というのをおやりになってきて良質米生産してきたという実態にかんがみまして、やはりできるだけ民間流通のよさを入れていこう、政府米に比べまして自主流通米分野に民間流通のよさをより多く入れていこうという考えに基づくものでございます。そういう意味におきまして食糧庁といたしましては、鋭意この問題について自主流通米価格形成の場ということを言ってまいったわけでございます。  ところで、最後の先生の御質問の件でございますが、先ほど来御説明申し上げておりますように、これに対する国民の関心が強い、それから行政というのは一歩もおろそかにできないというようなことから、かつまた報告書が今年産からということで、ことしの出来秋、特に主流をなす一般の米が出てくるときを一つの目途として考えていくべきであろう。逆に申し上げますと、超早場米等については今の準備の程度からいって所要の改正というものは少し加えなければいけないとは思いますけれども、今のルールを改めるということでない形で対応していきたいというふうに思っております。
  119. 目黒吉之助

    ○目黒委員 できたらこの点、もう少し具体的に明らかにしてほしい。出来秋ということになってまいりますと、超早場米を除いたといたしましても十月、十一月。それから、年を越しますればどうなりますか、二月、三月。それから、大体倉庫にみんな入ったことを確認ができる四月、五月といったようなことが考えられますけれども、そうしますと、今の予定ではまあ間に合わせたいというめどは十一月ですか、十二月ごろと理解すればいいですか。
  120. 浜口義曠

    浜口政府委員 ゃはり出来秋ということを考えますと、もう少し早くて十月というふうに、これは確定したわけではございませんが、十月を頭に置いて作業を進めなければいけないというふうに思っております。
  121. 目黒吉之助

    ○目黒委員 それでは、作業がどのぐらい進んでいるかということと関連をいたしてまいりますが、価格形成の場は、報告並びにこれまでの質疑の中で、第三者機関が運営主体になるというお答えは何度もお聞かせを願っております。  この第三者機関は、報告書は「例えば公益法人」、こうなっておりますので、公益法人ということを頭に置いて検討されておる、このように理解をしてまいったわけでありますが、それはそれでよろしゅうございますか。と申しますのは、特殊法人といったようなものもあるわけでありまして、少し報告書から離れた検討もあるのかどうか、これが一つ。  それからもう一つは、公益法人ということになりますれば社団法人か財団法人、こういうことになるわけでありますが、一体どういった法人を第三者機関とするのか、どのような検討が現在なされておるのか、明らかにしていただきたい。
  122. 浜口義曠

    浜口政府委員 先に結論的なことを申し上げますと、まだ検討中ではございますが、一つ考え方として、公益法人をこの第三者機関の一つの組織として前提としてはどうかと思っております。  この報告書におきましては、価格形成の場の管理運営は、公正中立な第三者機関を新たに設置して行う、それから食糧庁の指導監督のもとに置く、こういう二つのことが提言されているわけでございます。かつまた、先生がおっしゃったように(例えば公益法人)という括弧書きがあるわけでございます。現在、私どもがこの価格形成の場をスタートさせるに当たって、現行の制度を見ますと、これは一方においては指定法人、一方においては卸売業者の代表者というものの両者の構成によりまして、いわば任意法人的な形で協議会というものがあるわけでございます。そういうものをやはり、先ほど御答弁申し上げました言葉を繰り返して使わせていただきますと、より国民の目に見えるような形でこの任意法人をもう少し違う組織体にしていく必要があろうというふうに考えるところでございます。  一方、特殊法人といった考え方も私はあり得ると思いますが、この特殊法人というのは、端的に申し上げましてやはり国と国の同等の機関というふうになろうということでございます。食糧庁は、一方におきましてこの米の流通管理を担当しているわけでございますが、政府米については直接これを所管しているわけでございます。今回この価格形成の場が期待されているのは民間流通のよさを生かすということを基本としているわけでございまして、そういう意味合いにおいても国あるいは国と同等の特殊法人というのは本来なじまないことであろうというふうに私は思っております。  具体的な問題につきまして、さらに先生におかれましては、この特殊法人のうち財団法人か社団法人かという御質問がございました。この点については、実は社団法人にして案をつくるべきか、財団法人にして組織をつくるべきか、今検討中でございます。
  123. 目黒吉之助

    ○目黒委員 いろんなことをおっしゃいましたが、特殊法人はなじまないという決めつけを一つ考え方として出されたようでございます。中身が国と同一の業務になるといったようなのが理由になっておるようでありますけれども、もう四百三十万トンという米の価格形成の場を管理運営する。当然のこととして、それに伴ってやはり流通過程も一定程度決まっていくという問題がありますときに、国と同等ぐらいの力がなければなかなかやっていけない課題じゃないかと思いますときにむしろなじむんじゃないかという見方も私はあると思うのです。しかし、ここを議論しようと思っておりません。  問題は、公益法人ということで一つの縛りがかかっておるわけでありますから、社団法人か財団法人かということで検討されておると思うのですね。長官、このぐらいのことについて目下検討中ですというような話はちょっと私理解に苦しむのですけれどもね。おおよそ財団なら財団で検討が進んでおる、社団なら社団でどんな形があるかというのは検討が進んでおる、こう考えるのが私は素直だと思うのですね。目下検討中というのは大体どちらで検討されておりますか。
  124. 浜口義曠

    浜口政府委員 この公益法人の組織というもののあり方で、人、構成員を中心とする社団法人でいくのか、あるいは基金といったようなものをベースにする財団法人でいくのかというのは、かなりの程度性格が違ってくるという面もございますけれども、両者の間の利害得失、デメリット、メリットというものも、ある意味においては事業内容に応じながら相対的なもののように私は思っているわけでございます。そういう意味で、社団法人にするか財団法人にするかというのは極めて本質的なことで迷っているようにお受け取りになられたかもしれませんが、私どもの方は公益法人というレベルで考えますと、それはやや技術上のことではないか。ただしこの技術上に関連いたしまして、どういうデメリット、メリットがあるのか、あるいは組織の発起人のあり方とかそういったようなことにも関連をいたしますので、実はそういう点についての検討を今詰めている段階ということでございます。それで一つの案ができましたら、当然のことでございますが、関係者の方々と十分これを詰めていきませんとこの運営が円滑に進みませんので、なるべく早くこの方向づけ、一つ食糧庁の案というものをつくりまして、関係者と御相談をしていかなければならないというふうに思っております。
  125. 目黒吉之助

    ○目黒委員 いずれにしても、公益法人ということで、どうもそれ以上答えが出てこないようでありますので、先に進ませていただきます。  ともあれ、営利を目的としない法人で場の管理運営をしていこう、こういうことでありますが、そうしますと今何を検討しておられるのですか、ここの部分について。お答えに対する私の受けとめ方は、社団か財団かについては、いろいろと検討した結果をどちらかに当てはめていって最終的に法人の姿を決める、こんなふうに受けとめたんですが、すると第三者機関について今何を検討しておられるのですか。
  126. 浜口義曠

    浜口政府委員 第三者機関といいましても、その問題については今申し上げましたような組織体をどういう形にするかということもありましょうし、それから第三者機関の中に、例えば運営委員会というものも置かれていくということでございます。運営委員会をどういう構成メンバーにするかとか、さらにまたもう少し進みますと、具体的な話になりますと、この第三者機関の規模といったようなものも当然に検討しなければいけないわけでございます。もちろん、この第三者機関のみならず、ほかの運営の仕方、報告書を受けまして関係者とも相談すべきアイテムというものも多々あるわけでございまして、公益法人の中の組織体だけをプロジェクトチームといいますか準備室で勉強しているということではございません。
  127. 目黒吉之助

    ○目黒委員 どうもここはわかりにくいですね。もう少しはっきりしていただけませんか。と申しますのは、第三者機関がどんな形になるのかというのはこれは重要な問題なんですね。大臣いらっしゃいますけれども、役員に大臣の名前が入るのか入らぬのか、あるいは理事長はどなたがなるのかといったようなものが、総会をしなければ決まらない部分もありますからはっきり言えとは申し上げませんけれども、どういったもので構成をされるのかということについては、運営の仕方に大変大きな影響を持つわけですよね。私どもとしては、ああそれなら安心してある程度任せられるものなのか、これじゃちょっと不安があるのじゃないかというような判断をやはりしたいのですよ。今長官の御答弁ではとてもそれすらできないのですね。普通、あるいは財団、もしくは社団でもいいですけれども、この種のものを扱う場合には、必ず国の機関がどこかに位置づけられなければやっていけないわけですね。純粋に民間にしてしまうというわけにはいかないわけですから、どういうかかわりになるのか。そこで今おっしゃった運営委員会というのはどんな位置づけになっていくのかということになるわけですけれども、お答えは第三者機関でございます、運営委員会を置きます、これしかないのですよ。これじゃちょっと、せっかくそこに座っていらっしゃるのですから、説明をきちっとしてくださいよ。わからないですね。本当にないのですか、検討されている事項が。
  128. 浜口義曠

    浜口政府委員 この第三者機関の構想でございますが、これは今食糧庁の中での検討段階でございます。これに対しましてもう少し早く急いで検討を終えて公表するようにというお話があろうかと思いますが、現在の段階は検討段階でございまして、一つの案をできるだけ早く総合的にまとめまして、関係者と御相談をする、こういうことだろうと思います。  ところで、運営委員会の構成でございますが、そういう意味で検討中の段階ですから私の段階で申し上げるのはいかがかと思いますが、今の先生の御質問でございますので、私どもの検討から考えますと、この運営委員会というのは公正な中立な第三者機関のかなり心臓部のように考えております。そういう意味で、適正な運営が行われるようにするためには、売り手、買い手の立場委員も含め適切な構成をとるようにしていかなければならないということでございます。今、何名これにするかというようなことをここで申し上げる段階じゃございませんが、いずれにしろ、そういう組織体をつくって、そこに何名の人を配置して、それで具体的な構成はこういうことを予定しているという案をつくりまして、関係者と相談をして納得をしていただく手続をとりたいというふうに思っております。
  129. 目黒吉之助

    ○目黒委員 この際、委員長にひとつ私の方から要望いたしますが、事態の推移を考えますと、この問題についての議論というのは、御相談願って、もう一度くらい閉会中にあるのかもしれませんが、国会が今度いつ開かれるかわからないわけです。このままの状態で私ども議論の場を得ないとすれば、この自主流通米価格形成の場はあるいは走り出しちゃうのですね。ほとんど中身がわからないうちに場が開設されてしまう。これじゃちょっと皆さんに説明できないのですよ。したがいまして、ぜひひとつ、これはお願いですけれども理事の皆さんで御相談願って、そういう私どもがめくらになるような事態を招かないように、もう大事な点については委員会なりもしくは小委員会をつくっていただいても結構ですよ、私、国会のルール、よくわかりませんが。少なくともわかるようにしていただきませんと、国会はつんぼ桟敷になるということになりはしないかと思いまして、この点、ぜひひとつ理事の皆さんで御相談願いまして、心配するような事態のないようにこの際お願いをしておきたいと思います。
  130. 亀井静香

    亀井委員長 目黒委員の御要請に対して、委員長としてお答えいたします。  目黒委員の御質疑の内容は、極めて重要な問題でございます。ただ、政府側として現段階でまだ決めておらぬものだから答えられぬということでありますので、決めていないものは答えようがないと私も思いますので、ただ、今後の問題といたしまして、おっしゃいますように議会制民主主義の基本はやはり委員会審議でございますから、今後会期が終わりました以降この問題についてどういう形でこの委員会がコミットをして誤りなきをやっていくかということについては、後ほどまた理事の方々と御相談をいたしたい、このように考えております。よろしくお願いいたします。
  131. 目黒吉之助

    ○目黒委員 ありがとうございました。ぜひひとつそうしてください。質問は続けさせていただきます。  大体、公益法人ということになってまいりますと、一応不特定多数の利益、社会全体の利益に奉仕をしていくというのが設置目的になるわけでありますが、そういう観点に照らしてみまして、今までのやり方というのは著しく公衆、大衆の利益を損なっておったかといえば私はそうは理解していないのです。それなりにみんな努力をして、自主流通米などについては、そういっては何ですけれども、比較的価格は安定的に推移をしてきておると思いまして、そういう意味でいいますと、何か屋上屋を重ねるような施策の必要というのは本当にあるのかどうか。こういうふうに実は考えるわけでありますが、今までこれをつくらなければならぬほどこの不特定多数の利益、あるいは社会全体の利益に支障があったのか、この点はどうですか。
  132. 浜口義曠

    浜口政府委員 食糧庁がこの言葉をもって今の協議会を断定しているというわけではございませんが、現在の協議会に寄せられる一つ言葉として、透明性に欠けるとかあるいは不公正であるとか、そういうような言葉が投げかけられてきたことは事実でございます。それはどういうことかといいますと、私どもの監督をしてやっておりますこの協議会の方式といったようなものにおきまして、これまでの自主流通米の実態、扱う量が政府米に比べまして比較的少なかったという事態においては両当事者間の対応といったようなことで十分であったと思いますけれども、今や私ども食糧庁が直接に扱っている量に比べましても大きくなってきた。そういう状況の中で、この取引といったようなものが、片や一つの指定法人、片や卸売業界の代表という形で自主流通米協議会、さらにその下の組織の部会という形では十分でないというのが一般の御批判であろうというふうに思います。また、あるいは一部の御批判であろうとしても、米といったようなものが国民の主食であり主要食糧であるといったようなことから考えますと、そういったものに対して、一つのここで御提案の公正な第三者機関のもとでそういう値決めが行われていくのがより妥当だろうというふうに私は思います。
  133. 目黒吉之助

    ○目黒委員 非常に立場上いろいろとお考えの上でお答えになっていらっしゃる向きもわからないでもないわけであります。検討委員会長官の先輩が座長でやっておられて、そして後輩に、こんなものでどうだといって出されればこれはなかなか断りにくいでありましょうし、どこか変更するといったってなかなか変更しにくい部分も出てくると思います。  そういった中でいろいろと検討されておるわけでありますが、しかし考えてみますと変な話ですね。食管法で政府が管理を義務づけられておる米穀について、社団法人にしろ財団法人にしろ所管大臣が認可をして、そして何と申しますか管理の相当部分を移していく、こういうわけでありますから、主役からわき役にかわっていく、言いかえれば直接政府管理からだんだん遠いところへ行ってしまう、こういう問題がやはり現実の問題としてあるわけです。私は、社団法人なり財団法人なりという姿があるとすれば、それにどう歯どめをかけるかというのもやはり国会の議論だと思うものですからお聞きをしようと思っていたのですが、そこが出てこないのでちょっと質問の仕方に困っているわけでありますが、私が申し上げる趣旨は、やはり主役がわき役にかわって、そしてだんだん遠いところへ行ってしまう、歯どめをかける必要があるわけです。果てしなく民間に行ってしまったのではそれこそ食管体制は要らないわけでありますから、食糧庁は米穀流通課ぐらいになればいいわけですから。そうでしょう、百四、五十万トン扱っていればいいわけですから。そんなふうにならないようにする、安心して安定価格、そして安全で新鮮なものを、あるいは味のいいものを国民の嗜好に基づいて供給をしていく、その役目を果たす歯どめというのはどのように考えていらっしゃいますか。
  134. 浜口義曠

    浜口政府委員 今のお話で食糧庁の手から離れていくというふうに御定義になることについては、この意図と全然違うわけでございます。一つ自主流通米も政府管掌米だということも事実でありますし、これに対しては基本計画に基づき所要の助成措置を行っております。さらにまた第二番目に、根本的な話といたしまして、今回の改正についてはあくまでも食管法の中でやれ、基本のもとでやれ、食糧管理制度基本のもとでやれということでございますので、私どもは現実にも既に値決めの状況で、食糧庁の監督のもとでございますが、やっているわけでございます。それをより公表的なあるいは健全な姿の上でやろうということを言っておるわけでございまして、もう一方逆に私どもの気持ちからいえば、食糧庁管理のもとで置こうということでございます。
  135. 目黒吉之助

    ○目黒委員 ちょっと時間がなくなってしまいましたが、それでは質問を続けます。  食糧庁管理のもとでやっていこうという、おっしゃっていることはよくわかります。そして、たびたび民間のよさを導入をしてというおっしゃり方についても理解ができます。ただしかし、本当の意味で民間のよさというのは、やはり民間を経験してあれは肌で感ずるものなのです。民間のよさは肌で感ずるものであって、そう簡単に私どもが民間のまねをして民間のようにできるかというとこれはなかなかできない仕事であるわけでありまして、その点非常に心配なんで、それに関連して幾つかお伺いいたします。  まず場で価格が形成されます、何回取引するかということについてもこれは関連をしてまいりますけれども、例えば産地銘柄別に価格ができてまいることはもう必然でありまして、同じコシヒカリでも現在二十四県で生産しています。これは二十四県それなりの価格が出てきます。そして上位十品種ということになりますれば相当の地域、相当の地方でつくってそしてこの地方のものはうまいのだ、この地方のは少し味が落ちるのだということで当然のこととして消費者の嗜好に基づいて価格が決まってまいります。そうしますと、大体どのぐらいの数の価格ができてくるのか、想定されておるかどうか知りませんけれども、少なくとも私はもう、例えば新潟県だけで見ましても同じコシヒカリで幾通りもの値段が出てまいります。相対取引を通じて出る場合もありましょうし、それから場で決まったものを投影されるされ方によってもう数限りない価格が出てまいります。これはある意味ではあなたのおっしゃる民間のよさかもしれません。しかし、食糧庁として価格管理できますか。
  136. 浜口義曠

    浜口政府委員 今先生が御提起になりました点は極めて重要な点だというふうに思っております。結論を言いますと、やはり現在の銘柄で考えておりまして、これは県単位でございます。数も、対象とされるのが一つの母集団として九十ぐらいあろうかと思います。それを全部この中で行えるかという問題が一つあろうかと思いますが、少なくとも、そういった銘柄間の問題というものは重要な問題になってくるし、それを基準にしていかなければいけないというふうに思っております。  ただいま先生おっしゃったように、新潟県の中で、県内での銘柄といったようなものをつくるかというのはひとつまた新しい問題でございます。先ほど検査の問題も御提起になりましたが、一つは、現実において多様化されたということから、方向としてはそういったようなところも将来の課題として一つ出てくる問題と思いますが、当面は、やはりあくまでも私どもは県単位の銘柄で、それについての価格をしていかなければいかぬ、それに応じた意味合いにおいてむしろ食糧庁の検査業務というのはふえこそすれ減ることはないというふうに確信しております。
  137. 目黒吉之助

    ○目黒委員 とにかくたくさんの価格が出てくるのについて価格管理ができますか、こういうふうに御質問申し上げたのですが、私の理解が悪いのか、ぴちっと答えが出てまいらないようでありますから、もしそうであればもう一度お答え願いたいと思います。  それからもう一つは、やはり流通管理になるわけでありますけれども、卸間取引も認められておって、そして価格の変動によって消費者の嗜好、傾向が出てくるわけでありますから、一々物流を全部管理するとなったらこれはまた大変ですね。例えばある県で、できるだけ自県産で消費を賄っていこうという方針があったにいたしましても、業者流通、卸間流通でよそから回ってきて、一体どこから回ってきたのかわからぬなんという事態だって現実にあるんですよ、御承知でしょう。したがって、市場原理導入というのは、ある意味では価格を境にして嗜好が決まるという要素が非常に多いのですね。その物流を全部管理できますか。
  138. 浜口義曠

    浜口政府委員 先ほどの品種別の管理と、それから物流の管理ということでございますが、私どもは、価格形成の場に出てまいります県間のものを主体とする品種別の管理をしなければならないというふうに思っております。また、物流の問題について、確かに今の物流の世界というのは戦後一番変化の大きい、それから日々刻々変わっているものでございますけれども、私どもはそういうものを前提にいたしまして、新たな行政手法を編み出して管理をしていかなければならない、基本的な意味において食管制度の運営の根幹というようなことから、していかなければいけない分野だというふうに思っております。  現実の場合において、私ども食糧庁管理行政というのはどちらかというと政府米主体であったわけでございますが、あわせて、こういう今日のような自主流通米分野が多くなったことにおいては、行政の方もそれに十分対応できるような組織をつくっていかなければいけないと思います。  なお、これについて先生から、行政官が、国家公務員が民間流通のよさを云々してもというお話がありました。この点は、運営に当たっての業界あるいはそういったものの接し方において、十分節度を持ってやらなければいけないということで受けとめていかなければいけないと思っておるところでございます。
  139. 目黒吉之助

    ○目黒委員 多少失礼なことを申し上げたかもしれませんが、その点はお許しを願って、次に進みます。  余り時間もなくなってしまいまして、聞きたいことがたくさんございまして少し困りましたが、それじゃまとめて二、三申し上げて、最後に大臣にお伺いをしていきたいと思います。  一つは、指定法人と二次集荷業者の扱う集荷の割合なんというのがあるのかどうか。それによって上場する場合の仕方に関連をしてきますので、これが一つ。それから、卸売、買い手の側に制限というのを加えるのかどうか。それからもう一つ、委託の形式、つまり生産者が委託販売をするわけですが、委託の形式は変わるのかどうか。これは流れの極めて重要な部分を握ると思いますので、構想がありましたらひとつお答え願いたい。  それから、どうもまとめての質問で大変恐縮でございますが、大臣にお伺いしたい点が二つございます。  一つは、今お聞きになりましたように、私どもといたしましてはどうも食管体制のいわば緩和と申しますか、弱体化の流れに形成の場の位置づけをしなければならない、こんな理解をますます強く——ちょっと時間を間違えました。それじゃ大臣の分については後から御質問しますが、今の前段の三点について長官の方からお答え願いたいと思います。
  140. 浜口義曠

    浜口政府委員 指定法人といいますか、全農経済連の関係でございますが、一つ考え方からいって、全農が代表するといったような例外部分について経済連単位に行うかどうかという問題が実はあろうかと思います。まだ検討段階ですから確定的なことは申し上げられませんが、そういう経済連単位ごとにというその区分の仕方は私は妥当ではないというふうに思っております。その両者の、原則と例外との関係はもう少し知恵が出てくるものではないかというふうに思っておるところでございます。  それから相手方の卸でございますが、今の報告でございますが、これは当然のことながら限定をしております。もちろん都道府県知事が御認可なさっている範囲内、食管制度で決めたものということでございます。ただ、この点に関連いたしまして、一応検討会の案で場を二カ所、東京と大阪というふうに当面言っておりますが、その間でそれぞれのところに上場する、相互に乗り入れるかという点については、今検討中でございます。  三番目は委託の問題でございますが、そういうような形から考えますと委託の形は当然原則として今のままでございましょうけれども、やはり委託の方法について何らかの修正といいますか、何らかの改善の方式がとられなければならないというふうに考えておるものでございます。
  141. 目黒吉之助

    ○目黒委員 そうしますと、第一点目の質問で再質問しますが、経済運単位はちょっと無理があるということになってきますと、品種もしくは銘柄で、一次集荷業者が扱うもの、二次集荷業者が扱うもの、指定法人が扱うものといったような区別を考えていらっしゃる、こういうことですか。
  142. 浜口義曠

    浜口政府委員 今の点は、この経済連は上場します、この経済連は指定法人といいますか全農に委託しますという割り切り方ではない、そういうことでない方がいいだろうという形でございまして、そこのところのどういう基準をつくるということは、まだこれは関係者と十分話し合っていないものですから断定的に申し上げられません。これは業務のお話でございまして、今の実態のよさを十分生かしていくということでございますので、慎重にやらなければいけないというふうに思います。
  143. 目黒吉之助

    ○目黒委員 ちょっとしつこいようですけれども、そうしますと、二次集荷業者自主流通米の上位米を扱えるようにするとか、指定法人の方は力が非常に強いのですからそれ以外のものについて扱うとか、そういうふうに理解していいですか。
  144. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生の今御提起になられました点は、重要な検討材料ではないかと思います。ただ、私が先ほどから言っておりますのは、この経済連はいわゆる価格形成の場に出荷できないといいますか、入札のものを出せないというふうに断定的にしなくてもいいのではないかというふうに考えているところでございます。
  145. 目黒吉之助

    ○目黒委員 では、次に移ります。  買い手の側ですけれども、卸売が入札に参加をするわけですが、先ほどの御答弁では二カ所両方乗り入れて買えるというふうに受けとめたのですけれども、どうもちょっとはっきりしない面もありますが、それでいいのかどうかというのが一つ。  その際に、一応一回の量の制限みたいなのはあるのかどうか。この点は、今までは実績をもとにして大体倍ぐらいまでを範囲にしてやってこられたのが全農のやり方であったように聞いておるわけでありますが、新しい制度のもとにおいてはどのように考えておりますか。
  146. 浜口義曠

    浜口政府委員 業務の話ですから一遍に変えるということはなかなか難しいと思います。現在の状態から出発するわけでございますから、今新規参入についてかなり前提の経験というようなことで行っているわけでございますが、やはり新しいことをするときに全面的に今までのルールを御破算ということはなかなか難しゅうございましょうから、例えば東京と大阪に全部の卸の人が参加できるといたしましても、一挙にするのではなくていくのではないか。  それからまた、先ほどの御質問について私十分言葉が尽くせなかったかもしれませんが、まだ考え方としては、現行と同じようにそれぞれのところに所属する卸を限定してはどうかという案も残っているわけでございます。ただ現実に、価格形成の場を構成する構成員というものは、現在五つあります協議会の場から二つに限定をするような結果になりますので、当然そこは現実的に十分慎重に検討しなければならないというふうに思っております。
  147. 目黒吉之助

    ○目黒委員 さっき三番目に、委託形式について一定の改善をしなければならぬというお考えのようでありますが、委託そのものはまさに市場原理の最たる自由契約に基づいて、それぞれの主体が任意に契約に基づいて動いておるのが市場経済の非常に重要な部分になっておるわけですが、これを一定の改善もしくは変更ということはなかなか至難のわざなのじゃないかというふうに私は思いますが、どんな点で改善なさろうとしておるのですか。
  148. 浜口義曠

    浜口政府委員 単純に申し上げますと、今回、価格形成の場のメンバーが経済連が原則だ、二次集荷業者が原則で、例外的に指定法人といいますか、全農、全集連にやれる、こういう形になっているわけでございます。したがいまして、現在のところ、農家の方々が農協に、農協の方が経済連に、経済運が全国団体にという手続を、その最終のところで経済連がおやりになる場合には、どこかの意味で変えなければいけないわけでして、そういう意味で委託の三段階制といったようなものについて修正といいますか改善といいますか、そういったようなものが行われるだろうと、形式的なことをお話ししたわけでございます。
  149. 目黒吉之助

    ○目黒委員 やろうとする業務に照らしてそういう考えの出てくることはわかりますが、実態として果たしてそれができるのかどうか。いわば自由意思で契約するものを、するなということにならざるを得ないと思うのですね。それはある程度何らかの手段、方法をもって可能であるという見通しになっておるわけですか。
  150. 浜口義曠

    浜口政府委員 今の食管制度といいますかあるいは農協組合制度からいきまして、それぞれの方々が上部の段階に委託というのがある意味で常識的な考え方ではないかと思います。二段階上の人に委託というようなことでは現実にないわけでございますので、そういった点を考えていかなければならないと思います。今先生指摘のように、これはもちろん民間流通のよさと申しますか、その委託の自由意思ということでございますから、そういったものに国が一方的にだめだとか、そういったようなところは自由に考えなければいけませんが、この価格形成の場の健全な発展のためには、どうしてもそういった自発的な形を通じて行われねばならないというふうに思っております。
  151. 目黒吉之助

    ○目黒委員 普通こういうことをやるときはそれなりに財政措置などもとられて、やむを得ないかなというような感じで応諾する事態を間々見るのですが、何らかの構想がおありですか。例えば流通改善資金を出してやるとか、そんな構想があるのですか。それは道義的にやってくださいよということで通るというふうにお考えなのですか。
  152. 浜口義曠

    浜口政府委員 これはやや甘いかもしれませんけれども、やはりあくまでも経済的な意味で誘導するといったような手段をとるべきではなく、行くに径によらずという言葉がありますけれども、皆さんの御納得の中で、やはり農家の方々の全く自発的な行為に基づいて行われるべきものだろうというふうに思っております。
  153. 目黒吉之助

    ○目黒委員 時間がなくなりました。最後に大臣にお伺いします。  先ほど少し申し上げかけて、時間の勘違いをしておりまして途中でやめて失礼しましたが、いろいろお聞きになりまして、やはり今度の制度改正はいわば市場原理導入ということで、導入そのものが食管法の目指すものとはおのずと矛盾する部分が出てまいります。市場経済価格の変動がなければ成り立たない部分があるわけでありますが、食管法はできる限り価格を安定させていくというのが一つの柱でございます。これをどう調和させるかといったようなことでいろいろと頭を悩ませておられるようでありますが、それは別といたしまして、やはり国の直接管理からだんだん遠くなっていくことだけはこれは紛れもない一つの現象であろう、こう思います。  そこで大臣は、この措置をしたからといって食管の弱体化などということはないのだということを自信を持って我々に説明される、もしくはそういう自信をお持ちなのかどうか、これをひとつお伺いしておきたいと思います。
  154. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えをいたします。  午前中も日野先生堀込先生にも同趣旨のお答えをしたわけでございますけれども、まず自主流通米価格形成の場、今盛んに論議がございました。これは昨年六月の農政審の報告に「市場原理がより活かされる仕組み」、こういう観点から提言をされておるものでございます。これは言うまでもございませんが、自主流通米が米流通の主体を占める、七割というようになっているという状況を踏まえまして、産地品種銘柄ごとの需給動向や品質評価を的確に反映した価格形成を図る、こういうことをねらいとしております。自主流通米はあくまでも政府米と一体として政府が管理をいたしまして、米の需給価格の安定を図るという食管制度の枠組みの範囲内で生産流通が認められているものでありまして、価格形成の場は、そのより一層の活性化をねらいとして進めていこうというものでございます。したがって、食管制度の趣旨とは矛盾をいたさないと申し上げたいと思います。  なお、これも日野先生にちょっと申し上げましたが、これは確かに先生のおっしゃるような、片や食管制度需給価格の安定をねらっている、片や価格形成の場、言うなれば市場原理導入する、これは矛盾じゃないか、そういう観点からの御指摘があればあるいはそういう見方もできるかもしれませんけれども食管制度には違反をしておらないということ、それからとにかく食管制度根幹は守り抜いてまいります。しかし、自主流通米制度が発足をして二十年、今申し上げた七割方の自主流通米というようなことになりますと、どうしても衣がえはしなければならない、これは消費者生産者両方のニーズに合わせて考えるべき時期に立ち至っておる、むしろ守るためにもこの制度の活用、運用が必要だということで真剣にやってまいりたいと考えております。
  155. 目黒吉之助

    ○目黒委員 それでは最後に、ことしの米価について、午前中も議論がございましたが重ねてお伺いをいたします。  午前中の議論で、昨年の新算定方式はなくなって新しい算定方式、新新算定方式でことしは算定せざるを得ない、このように受けとめたわけですが、それに間違いないのかどうかというのが一つでございます。昨年は一・五ヘクタールで算定をする、農協さんは一ヘクタールから三ヘクタールということで算定をしたようでありますが、ことしは据え置きという形になっておるわけであります。いずれにしても、新新算定方式といいましても今までの実績から見てそうがらっと変わるというようなことは考えられないわけでありますが、せいぜい基準、規模をどこにするかというあたり、あるいはプラスするとすれば消費税の扱いなんというものはもう少し明確にしないといけないという問題があると思うのです。去年は、下げるべきところを据え置いたのだからその中に消費税が入っていますみたいな形で米価が決まったといういきさつがあるように私は理解をしておるわけでありますが、この点もやはりはっきりさせていかなければならぬ問題だと思っております。そうして考えますと、おおよそどのような範囲で新新算定方式の枠組みができるのか、できれば教えていただきたいというのが一つでございます。  それから二つ目は、これは大臣にお伺いしますけれども、やはり昨年と比較いたしまして材料費、物財費は上がっておりますし、雇用労働は相当上がっております。それから地代等も、それは農家の側からの要因ではなくて、他の土地買い占めなどのはね返りで土地も実は大変に上がっております。それから金利についても同じことだろうと思います。そういったものを見る限り下げ要因はないように思われますが、考えられる下げ要因ということになってきますとちょっと私思いつかないのですけれども、私は下げ要因はない、先ほど言いましたように消費税も加わると思うわけでありますが、大臣はどのように見ておられますか。諮問とは別にお考えをお聞かせ願いたいと思います。     〔委員長退席、大原委員長代理着席〕
  156. 浜口義曠

    浜口政府委員 新算定方式でございますが、これは食管生産費所得方式といった歴史の中で一つの画期の意味を持つものであると私は思っております。必要量生産費方式といったものが長く続きまして、それに対して小委員会で長年の議論があった上で提起された問題でございます。そういう意味では米価審議会においては生きているものでございますが、政府といたしまして、農林水産省といたしまして、いろいろなこれに対する昨年度の米価決定をめぐる御議論を踏まえ検討するというふうな形で引き取らせていただいているわけでございます。そういう意味で私どもは、米価審議会が通るようなことも含めて、御議論をしていただいた方々の御真意も承りながらこれに対して新しい方式をつくって諮問をしなければならないというようなことだと理解しております。
  157. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  諮問とは別に考えを聞かせよ、こういうことで非常に難しくて、一般論でまことに恐縮でございますけれども次のように申し上げたいと思います。本年産の生産者米価につきましては、生産調査などの算定に必要な資料がまだ出そろっていないということで、現時点で判断を行うことは困難でございます。いずれにいたしましても本年産の生産者米価につきましては、食管法規定に基づき、生産費、物価や需給状況、その他の経済事情、この中に先生の御指摘も入ろうと思うのですけれども、その他の経済事情を参酌し、再生産を図ることを旨として米価審議会の意見を聞き、適正に決定をいたしたいというふうに申し上げざるを得ない、御理解を賜りたいと思います。
  158. 目黒吉之助

    ○目黒委員 終わります。
  159. 大原一三

    ○大原委員長代理 藤原房雄君。
  160. 藤原房雄

    藤原委員 昨日ですか、一九九〇年度の生産者麦価が決定したわけでございまして、それに関連いたしまして二、三お尋ねをしておきたいと思うのであります。  八九年度の麦価より三・九%引き下げるという答申がなされたと伺っておるわけでございますが、麦価につきましては五年連続引き下げということになりまして、六十一年から見ますと六十キロで千七百四十円、一五・九%下がったということになるわけでございますが、この五年の間には天候不順などがございまして減収もあり、また等級間格差ということのために格差が開いたということや、さらにまた品質向上ということもございまして、そういうことでは実収入ということになりますと、一五・九%でははかり得ない相当な減収になるのではないか。いろいろな試算がなされておるわけでございますが、二〇%以上になるのではないかとか、いろいろなふうに言われております。農民の立場からいたしますと、なぜ麦だけ、こういう言葉一つはあろうかと思いますし、それから、一生懸命生産性を上げる、それを上げれば上げるほどこういういろいろなことで価格は引き下げになる、一生懸命努力した者の努力が報いられない。それはある程度この価格形成の上に加味しているんだという皆さん方のお考えもあるようでございますが、このたびの価格決定に当たりましての基本的な考え方、諮問をいたしました根拠といいますか、それらのことにつきましてまずお尋ねをしておきたいと思うのであります。
  161. 浜口義曠

    浜口政府委員 ただいま先生質問平成二年産麦の政府買い入れ価格についての基本的な考え方でございますが、平成二年産麦の政府買い入れ価格につきましては、食糧管理法規定に基づきまして、生産費その他の生産条件、需要供給の動向、物価その他の経済事情を参酌いたしまして、生産性の向上と品質の改善に資するように配慮して決定をしたわけでございます。  具体的には、麦作に取り組む農家の方々の意欲に及ぼす影響も配慮いたしまして、内外価格差の縮小の必要性等生産性の向上を価格に的確に反映させるため、主産地の平均規模以上の規模層の生産費に基づきまして基本となる価格をまず算定をさせていただきました。その基本となる価格と前年産との格差が大幅に生ずる場合には、政府の買い入れ価格としての連続性等の観点あるいは農家の方々の意欲といったようなものも考えて、その生産性の向上メリットというものを農家の方に還元させる歩合というものも考えるというようなことから、経過措置を講ずるというふうなことで決めさせていただいたわけでございます。この点につきましては、最初の基本価格におきまして前年対比九・七%という数字が出ました。これにつきまして、先ほどのような農家への生産性メリットの還元という点に立ちまして、六割を農家の方に残し、四割をいわば消費者の方に残すというふうなことから、この前年対比三・九%の価格というものを決めさせていただいたわけでございます。  それから、この点に関連いたしまして昨日米価審議会で十分の御討議を賜りまして、この政府案につきましては、一つは、生産者生産性向上に鋭意努力をしている中で五年連続の引き下げを行うことは、生産意欲に及ぼす影響等から見て不満である、他方、大幅な内外価格差、国内産麦の需給事情、製品の輸入事情、財政事情等から見て基本価格に対する激変措置が過大である、引き下げ幅が十分でないという御意見があったわけでございますが、二つの意見を総合して米価審議会は、この際政府案によることはやむを得ないと認めるという御答申をされたわけでございます。これに基づきまして、所要の手続をとりまして、今年産麦価というものを決めさせていただく段取りになっているところでございます。
  162. 藤原房雄

    藤原委員 今お話しのように、確かに生産者立場、それから消費者立場からいいますと、これは米にも同じことが言えるわけでありますが、非常に難しいかじ取りをしなければならぬ立場にあろうかと思います。内外価格差の縮小という国民の世論の中でこれにこたえなければならぬという一面と、それからまた、麦価が米の価格形成に大きな影響を持つということ、アメリカ等の農業保護に対する視線、こういうこと等を考え合わせて定めなければならぬという難しさがあるのはよくわかりますが、日本だけが孤立してあるわけではございませんから、日本の毅然たる姿勢というものも大事なことは当然のことでございますが、今日まで一つの方向を定めながら進めてきた、こういうことからいたしますと、このたびのこの価格決定に当たりまして農林省としてどういう点に注目をし、そしてまた先々どういうことをおもんぱかっての諮問であったのか。短期的なことや長期的なこと等、両面相にらみながらの価格決定でなければならぬ。巷間言われておりますように、自民党部会でのやりとり、政治的な圧力、こういうことでこれが決まるようなことがあってはならぬと思います。  今長官からるるお話がございましたが、そういういろいろなことの中で、やはり日本の国というのは穀物自給率が非常に低い、カロリーベースでも非常に低いというこういう中にありまして、また、そういうことを基本としまして農水省としましても、閣議決定をいたしました二〇〇〇年見通し、こういう中におきましても小麦生産性の拡大というものを見込んでおる、こういうこと等を考え合わせますと、一番大事なことは、農家の方々の生産意欲というものを減退させるようなことがあってはならない。この点については十分な配慮をしなければならないのではないか。先ほどの御答弁ではその点も十分に考え合わせたということでありますが、こういう専業農家ほど影響が大きい、意欲を減退させる、こういう声も聞かれ、また、私どもも現場を見まして一番頭を悩めておりますのが、専業でなさっている方々が非常に苦しい立場に追いやられる、こういうことを非常に憂慮するわけでございます。  こういう状況の中にありまして、今回のこの価格決定というものは、農水省の二〇〇〇年見通し、こういうものとの兼ね合いからいっても十分に目標を達成し得るものなのかどうか。その辺についてはどのようにお考えになってこのたびの諮問を出されたのか。この点、お伺いしておきたいと思います。
  163. 浜口義曠

    浜口政府委員 平成二年産の政府買い入れ価格につきましては、先ほども申し上げましたように、生産性の向上を価格に的確に反映する観点という点がございます。また一方、経過措置のところでお話を申し上げましたように、もちろん日本の麦作を担っておられる麦作農家の生産意欲に及ぼす影響というものも考慮したわけでございます。所要の経過措置ということで三・九%の引き下げを行うこととしたところでございます。  一方、先生御提起のこの「農産物の需要と生産の長期見通し」、本年一月に閣議決定させていただいたわけでございますが、これについての問題は極めて重要な問題であろうというふうに思っております。また、食糧庁の所管しております物資の中で、米と比較いたしまして将来量的にも伸びていくというものは国内表の数字でございます。昭和六十二年百二十二万トンというものを、幅はございますが平成十二年で百二十八万トンから百六十三万トンにしていこうという意欲的な計画をつくらせていただいております。ただし、この長期計画の見通しの前提条件といたしまして、外国並みの製めん適性が図られるような、国内産の麦についても品種の開発、普及を図ることということもございますし、国内産に対する需要が確保できるコストの水準の実現ということで、この点についての文言がつけ加えられております。昨日の米価審議会の御答申におきましても、附帯意見として、「「農産物の需要と生産の長期見通し」に基づき、需要に応ずるよう、麦の優良品種の開発・普及を急ぐとともにコストの引下げに努めること。」という附帯意見がなされているわけでございます。そういう点も含めまして、今後農林水産省生産対策等々の充実を図っていかなければならないと考えておるところでございます。
  164. 藤原房雄

    藤原委員 今お話がございました需要の動向に即した新品種、それからコスト低減、これは当然コストの低減の努力をしなければならないことだと思いますが、過日、麦価の要請に参りました北海道の方々が、北海道の新しい品種でつくりましたパンを持ってまいりました。何人かの方で食べましたけれども、非常においしいじゃないかというような評価をしておりましたが、確かに品種改良は順次進められておるという実感がしておるわけであります。食物の品種改良というのは一朝一夕にできることじゃございませんから、一年に一度しか収穫しないものが、そんな急激に新しい品種がどんどん出るというわけにはいかないのかもしれません。これは農水省としましても、新しい品種の取り組み、コスト低減という一つの大きな課題を背負っておるわけでありますが、これらのことに対しまして今後農水省として具体的にどう取り組んでいくのか。現在までもいろいろなことをしておるのだろうと思いますけれども、これからはますますこういう新品種の開発ということは非常に大事なことになってくるのだろうと思います。決して金があってできることじゃないだろうと思います。研究に携わる方々は御努力が必要だろうと思いますけれども、それらのこととあわせて、今後のこの新しい品種への取り組み、コスト低減、こういうことですけれども農水省としてはそれをどう具体的にコスト低減の方向に対してバックアップしていこうとするのか、この辺、ひとつお考えがあったらお聞きしておきたいと思うのです。
  165. 浜口義曠

    浜口政府委員 小麦の用途でございますが、一般的にいいまして使用の上から普通小麦あるいは強力粉、薄力粉というようなことの区分がございます。日本の小麦の場合は、フランスの小麦と同じようにいわゆるグルテンが相対的に少ない、したがいまして、食パンに不適性だということが言われているわけでございます。そういう意味で、日本の小麦というのは主としてめん類に使われるものだ、長期見通しにおいても主としてこのめん類を中心に考えているところでございますが、前者におきましてはフランスパンということでおわかりのように、焼き方とかあるいはそれが消費者の手にすぐ渡るかどうかというふうなことにかなり大きい影響を持つものでございます。ただいま先生お話しのように、北海道のチホクコムギ、これは国が出されたものにおきまして、その日に焼いたもので食べることにおいては外国の物に対して決して負けることのない点がございます。ただ、日本の消費形態は五〇%が食パンという形でパンの消費がなされておるわけでございますが、その際、大工場での加工適性とかあるいは配送の時間で、実際に消費者の手に渡る二日ぐらい前につくるといったようなことから考えれば、このグルテンというものの存在が大きいものでございます。そういう意味で品種の改良で、もしパンの物をつくるということになれば相当長期間の努力が必要であろうというふうに思います。  ところで、現在の品種の改良でございますが、我が国の単収がおおむね三百キロから四百キロ程度でございます。これは戦後の二百五十キロ等々から考えますと、かなり長期間ではありますが、諸外国、特にEC、特にイギリスにおきまして、終戦の直後我が国に対してほぼ百キロぐらい上回っておりましたものが、現在八百キロとかそういったようなものになっているわけでございます。そういう意味で、品種の改良というのは大いに急がなきゃならないというふうなことでございます。ニシカゼコムギとかそういったものが出ておりますし、さらに最近におきます朗報といたしましては、東北の盛岡の試験場におきまして、試験場の圃場でございますけれども、コユキコムギという九百キロの品種が出てまいっております。そういったようなものをいかに一般の農家の圃場の中に持っていくか、あるいは栽培条件というもの、先ほどお話がございましたコストダウンといったようなものもございますので、そういった機械化等々も含めましてこの麦作の振興に努めていかなければならないというふうに考えているところでございます。
  166. 藤原房雄

    藤原委員 この生産性を上げるということと、それから新しい品種によって消費者のニーズにこたえるということ、それとともに消費流通、これが非常に大事なことになるのだと思います。平成二年度の実需者との契約、この実需者との契約についてはいつも生産者立場というのが非常に弱いといいますか、なかなか使ってもらえない。北海道の場合は、御存じのとおり輸送費を負担してというふうなことでやりくりをいたしておるわけであります。私先ほどお話ししたパンは、春まきの石狩地方でとっているもので非常においしかったのですけれども、そういうものについてひとつどんどんPRをしていただくとか、生産者と実需者との契約の引き受け等につきましても、ぜひひとつ御努力いただきたい。  それから、小麦粉の製品輸入が非常に急増しまして、ここのところのデータを見ますと非常な勢いになっておるのですけれども、これらのことについても、農水省としましても十分に御存じのことなんだろうと思いますが、国内の生産者立場からしますとやりきれない。急激な輸入、これらのことについて農水省としてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いしておきたいと思います。
  167. 浜口義曠

    浜口政府委員 最初の問題につきましては、四十三年から実施をしております麦管理改善対策の実施の円滑な運営の点で十分気をつけて実施をしていかなければならないというふうに考えておるところでございます。  次に、小麦の調製品の問題でございますが、おっしゃるようにこの数年間小麦の調製品の輸入が急激に高まってまいっております。これに関連いたしまして、昨年の十二月ごろから一部の品目、マカロニ類を除きまして、総じて停滞ないし減少傾向にあるというふうな数字が示されております、貿易統計でございますが。この輸入の停滞あるいは減少の主な条件は二、三あろうと思いますが、一つはやはり農家の方々に血のにじむような努力をしていただきまして、四年連続政府売り渡し価格が下がり、それに応じまして、小麦価格の引き下げが四年連続行われたということでございます。この引き下げは、先ほどの政府の買い入れ価格の数字に比べまして売り渡し価格の引き下げの数字は大きいのでございますが、この内外価格差の縮小が一つ図られたということに起因するだろうというふうに思います。それから、一方では円安傾向により小麦粉調製品の輸入価格が上昇していること、円安状況というのは一部解消といいますか、もとに反転しましたけれども基本的にそういったことが影響するだろうというふうに思います。それから、小麦粉調製品の品質等、消費者の方あるいは二次加工業者の方が使っていただきまして、一通り行き渡ったところで外国の調製品の質が日本の国内産の調製品に比べまして劣っているということが十分わかったということによろうと思います。  こういう状況でございますので、この小麦粉調製品というものについて、自由化をやめてIQ制度に戻すというようなことは今の情勢からできない、困難であろうと思います。小麦粉調製品の輸入に対抗するための基本的なことは、できる限り安い価格小麦粉を提供するということでございますので、私ども、制約ある国土条件のものではございますが、できる限り適正な価格でやる形で対応措置を講じてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  168. 藤原房雄

    藤原委員 以上でございます。  次に、漁業のことについて、これは水産二法もございまして、また一般質問のときにも漁業のことについてお話を申し上げたわけでございますが、麦や米についてはまた引き続き委員会でも議論する時間もございますけれども、漁業についてはそういう時間はなかなかとれないということで、熱いうちに鍛えじゃありませんが、この際、まとめて漁業のことについていろいろお尋ねし、また今後の政策についてもひとつ力強く進めていただきたいという気持ちでお話を申し上げたいと思います。  漁業白書をここに持ち出して長々申し上げるまでもないことだろうと思うのでございますが、最近の漁業の生産額、生産高が増加傾向にあることは間違いありません。しかし、この白書の前段にございますが、「漁業においては、燃油価格の低下から経営は回復基調にあるものの、国際漁業規制の一層の強化、近海漁業資源状態の悪化等依然として多くの課題を抱えている。」というふうに記されております。これはまことにこのとおりだろうと思うのです。総供給量は前年に比べて四%ふえて一千五百七十六万トン、このようにふえておるわけでありますが、総需要量、国内消費量、食用、これらのものが全体としてふえておるということは、外国から輸入しておるものでこれらのものが穴埋めになっているのだろうと思います。また、一人当たりの魚介類、動物性たんぱく質の供給量というものも〇・三グラム増加して一八・九グラムということで、全食料品による国民への動物性たんぱく質供給量の四二%が魚介類によるのだ、魚介からとっているのだということでありますから、非常に大きなウエートを占めておるという重要性というのは、どんなに大きく叫んでも叫び切れないものがあるだろうと私は思うのであります。  しかし、漁獲量が増加傾向にあるといいながら、中をずっと見ますと、増加しているものと減少しているもの、これを魚種によりまして魚種別動向というのを見ますと、増加しているのはイワシ類、アジ類、サンマ、カツオ類、サケ・マス類等であって、サバ類、イカ類、スケトウダラ、ヒラメ・カレイ類、タイ類、マグロ・カジキ類というものが減少しておる、このように漁業白書にございます。これを見ますと、確かにそのとおりなんですが、漁獲量の中でマイワシが非常に大きなウエートを占めておるのです。この量が非常に多いものですから総体としては漁獲量が年々増加傾向になっておるわけでありますが、魚種ごとに見ますと減少傾向のものが非常に多い、こういうのが現状ではないかと認識いたしておるわけであります。  そういうことからいたしまして、私はいろいろ資料をいただきまして調べさせていただきましたが、特に私は、日本海沿岸についてはどの魚種も非常に減少傾向にある、最近そういう問題が顕著に目につくということを、過日も御提起申し上げたのですが、漁業白書をつぶさに見ますとそういう傾向が明らかになっておるというふうに認識いたしておるのです。これは漁業白書であるわけでありますから、水産庁として当然そのように御認識だと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  169. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 日本全体の漁獲動向を先般公表いたしました漁業白書で御報告申し上げておりますが、ただいま先生から御指摘のとおりでございます。  その中で、日本海の漁業資源の動向として私どもが認識いたしておりますのは、一方で、お話がございましたが、マイワシ、スルメイカ、それから日本海の北部でのスケトウダラ、そういった魚種については比較的高位水準にあるのではないかという認識を持っておりますけれども、これもお話がございましたが、ヒラメ、カレイ、あるいは日本海の一部でございますハタハタ、ズワイガニ、そういった資源については中位ないしは低位水準で推移しておるというふうに認識しております。  このような資源動向の要因といたしましては、よく言われますが、漁海況の変動等自然的な要因という面もあるわけでございますけれども、底魚類の資源減少の傾向という背景には、技術の向上等による漁獲努力量の過剰といいますか、資源量、資源状態に対するそういった生産力自体、漁獲努力量の過剰といった一面が働いておるのではないか、さような認識を持っております。
  170. 藤原房雄

    藤原委員 自然状況変化、これは海流や水温、それから沿岸におきます諸情勢、いろいろな状況があろうかと思います。漁師の方に聞きますと、海の中も山と同じように、海草とかいろいろなものが非常に豊富だったが、こういうものが最近は本当にはげ山のようになっておる、こういうことでは魚の産卵や増養殖の場としてはまことに不適切ではないかということをよく言われるわけでありますけれども、これは総合的に見なければならないことだろうと思います。水産庁といたしましても、これは何年か計画で日本沿岸全体の調査をしまして、それらのことに対応する対策を講ずるということでそういう事業も進められておると聞いておるわけであります。特に、豊富であった日本海の漁業というものが、確かに長官のおっしゃるように底魚の減少も一つの問題でありますが、それだけではなくて、やはり沿岸の総合的な施策というものが大事なことだなと思うのであります。  そういうことから、これは短期間に原因を究明し、そしてまたそのための施策をするということは難しいことなんだと思いますけれども、現在我々から見ますと、日本海も、果てしないというよりも本当に限られた日本海の中の資源ということになりますと、これはやはり専門家の方々で真剣にこの実態の把握と今後のあり方等について、また資源の再生産の可能性というのはどこら辺に置くべきかという総合的なことを考えませんとならぬのじゃないか。一時的に今こういう大多数の魚種について減少傾向にあるというより、漁師の方々は本当にどの魚種もいいものがないということで非常に嘆いていらっしゃる現実を見ますと、過去から何十年海で働いてまいりました方々からしますと、我々が数字を見る以上に深刻なものを受けとめているのじゃないかと思うのです。  そういうことで、長官、日本海だけに限るのじゃないのですけれども、日本海がかってあれほどの豊富な水産資源があったということからかんがみまして、太平洋はそれに比べてまだいろいろなことで可能性はあるわけでありますけれども、今この対策を講じなければ、再び資源の回復というのはいつの日か、こんな気もするのですけれども、そんなことでどのようにお考えで、また、今省内でいろいろ御検討なさっているなら、その実情等をちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。
  171. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 先般の水産二法の御審議の際にもいろいろ御論議を賜ったわけでございますが、日本の周辺漁場資源の重要性というものを改めて見直していく必要があるというふうに私どもも認識をしておるわけでございます。特に、ただいま日本海をめぐる状況でございますけれども、日本海の海況、御承知のとおり一番下の部分が大変冷たい水が停滞をしておる、その上をいわゆる対馬暖流が拡散をして、海水の混合でありますとか湧昇というものによって栄養塩が補給されるというメカニズムが比較的働きにくい、そういう水域であるということが言われております。その結果、いろいろな水産資源の再生産が他の水域に比べて不利であるというふうな見方があるわけでございますが、そういった中で、資源の動向をより的確に把握をして、また、いろいろな技術の駆使を検討していく必要があるということで、昭和六十三年に、私どもの所管しております日本海区水産研究所に、そういった全体としての海洋環境のメカニズムをより深くかつまた継続的に研究調査をしていくために海洋環境部という組織を設置いたしまして、日本海水域全般にわたる海況の変動予測技術あるいは栄養塩の補給をもとにして生産されるプランクトンの再生産メカニズムというものを少し時間をかけて研究をしていこうという努力を現在進めておるわけでございます。  また、当面する沿岸の資源増強のために、かねてから栽培漁業の関連施設あるいは沿岸漁場の整備開発事業を進めておるわけでございますけれども、冒頭申し上げましたような日本海のように海域の生産力が十分に備わっていない地域においてこれらの仕事を集中的に実施していく必要があるのではないかということで、平成二年度、本年度から特定海域増養殖総合推進対策というような形での、いわゆるつくり育てる漁業の総合的な推進策に着手をしたいというふうに考えておりまして、本年度から早急にこれを発足させるべく現在準備を進めておるところでございます。
  172. 藤原房雄

    藤原委員 そういうつくり育てる漁業というものも確かに推進しなければならぬのは当然でございますが、自然の環境の中で今まであれほどの豊富な漁獲があった、それが大きく変わるというのは那辺にあるのかというもっと根本的なところもぜひひとつ究明していただきたい。それはいろいろなことでなさっているということですが、科学技術庁の「しんかい」なんて六千五百メートルまで潜るようなものができたわけでありますから、また海洋関係の技術も学問も非常に発展をいたしたようでございますし、それらのものも科学技術の粋を尽くしまして、海洋の海底の実態とか海流の状況とかいろいろなことをひとつ総合的に調査をいたしまして、何らかの方向性というものを見出していただきたいものだと思います。  一つは、そういうことで、過日も申し上げたのでありますが、日本海に面しておりますソ連とか韓国とか北鮮とか、こういう沿岸国で総合的な科学者レベルによる調査、こういうこと等も水産庁はぜひひとつ日本のリーダーシップのもとに具体的な行動を起こすようなことを御提起を申し上げたいと思うのであります。  もう一つは、沿岸整備長期計画、これは平成二年度で切れまして、三年度から新しい計画になるわけでありますが、過日も申し上げたのでありますけれども、施工とかいろいろなことにつきましては各地でそれぞれ漁港の整備等についての要望が非常に強いのですが、今までの漁港のあり方とか海岸環境の整備ということで、人間には使いやすい漁港、施工であるのかもしれませんが、漁族の繁殖とかいろいろなことにおいては今までの施策というのは果たしてどうだったのか。魚にやさしいといいますか、海のために、漁業のために、こういうことでぜひひとつ今回のこの新しい事業、第四次海岸事業五カ年計画、これらにつきましては新しいあり方を御検討いただきたいものだと思います。  一つ目には、日本海沿岸でひとつ科学者レベルで検討いただきたい。二つ目には、第四次海岸事業五カ年計画につきましては漁業の増養殖ということを十分に踏まえた施工というものについてぜひ御検討いただきたい。  それから三つ目には、漁場をきれいにするということにつきまして、これは言われておることでありますし、またいろいろな御指導をしていらっしゃるんだろうと思いますが、最近は、海が非常に汚れておるというのが、かつてのような産業廃棄物によるということではなくて、別な、遊漁者を初めとします、これはビニール等腐敗しないものが大量に使われるということによりますことからいいまして、漁場の保全ということには水産庁としても真剣に取り組んでいただきたい。公共投資の増額なんということも言われておるわけでありますから、漁港整備はもちろん、漁場の保全ということにひとつ最大の御努力をいただかなければならぬのじゃないか。それにあわせまして、ゴルフ場の増設に伴います農薬、それは内水面のことが今いろいろ問題になっておるのですけれども、比較的箇所数の多い、影響のあると見られる河川につきましても、海岸に及ぼす影響というのは見過ごすことはできないだろうと思うのでありますが、これらのことについての検査体制とか実態とかそういうものもひとつ念頭に置いた、内水面だけということではなくてもっと海を大事にするということの上においてゴルフ場の影響力についてはどこの河川ではどのくらいか、こんなこと等もひとつあわせて水産庁も目配りをしていただきたいものだ、こう思うのであります。  いずれにしましても沿岸漁業、日本の二百海里、こういうものに対しまして、過日の法案審議のときにもいろいろ申し上げましたが、限られた中での生産ということになるわけでございまして、また、かつては数多くの魚種がたくさんとれたという時代もあって、昔に返るというわけにはいかないのかもしれませんが、そういう環境に戻す努力というものは我々の努力によってできないことではないだろう、そういう御努力を水産庁はぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思うのです。  終わります。
  173. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 ただいま三点についてのお話があったわけでございますが、まず日本海の周辺沿岸国の間で漁業をめぐる各般の調査研究というものを共同でやってはどうかというお話でございます。日本海に面する国、多々あるわけでございますが、私ども、ソ連と韓国との間ではそれぞれ漁業協力協定あるいは漁業協定を結んでおりまして、その二国間の協定に基づきまして、双方が関心を有する資源についての調査なりあるいは情報交換を従来から行っておるわけであります。また北朝鮮については、残念ながら国交がないということで、特段のそういった意味での関係を結んでいないというのが実情でございます。それぞれ関係国の資源に対する関心にかなりずれがございますし、また、ただいまも触れましたように外交関係が多様でございます。一挙に共同調査という形、体制をつくるというのは大変難しゅうございますけれども、いずれにしましても、それぞれの国の関心の程度等に応じまして、私どもとしても必要な協力関係というものを長期的観点から検討していかなければいけない課題であるというふうに認識をしております。  第二点目に、いわゆる海岸の環境整備といいますか、特に海岸事業についての長期計画の改定と絡めて、水産資源の再生産と調和のとれた事業推進についてのお話がございました。私どももいろいろな工夫を重ねております。長期計画の改定に当たりましても、そういった観点を踏まえて、何が必要かつ可能であるかということをよく吟味をして対処をしていきたいと思います。  それから最後に、いわゆる漁場保全という意味での海洋汚染防止問題でございます。私どもも大変重要な課題であると思っておりますが、この汚染要因というものが、御承知のとおり、御指摘もありましたが、産業活動の活発化でありますとか生活水準あるいは生活様式の変化に伴って汚染源が非常に多様化をしております。私どもとして、関係する法律を所管している他の関係省庁ともかねてから協議をしながら協力して事に当たっております。水産庁として分担をする分野、漁業内部できれいな海づくりをしていくとか、あるいはまた、例えば赤潮の発生予防のための努力等々をこれからも引き続き行っていきたいというふうに考えております。
  174. 藤原房雄

    藤原委員 大臣、一言。
  175. 山本富雄

    山本国務大臣 水産庁長官からいろいろお話がございましたが、資源を大事にしてまいりたい。特に日本海の問題ですね、先生いろいろ御指摘でございますが、その趣旨に沿って前向きでやってまいりたい、こう思っております。
  176. 藤原房雄

    藤原委員 終わります。
  177. 大原一三

    ○大原委員長代理 倉田栄喜君 。.
  178. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私は本日は、農業就業人口の減少、とりわけ後継者不足の問題を中心にお伺いをさせていただきたいと思いますが、その前に、時間の関係上、漁船の衝突事故の件について若干お伺いをしたいと思います。  六月七日に伊豆諸島三宅島沖の太平洋上で宮崎県のカツオ一本釣り漁船の第八優元丸がノルウェー船籍の大型貨物船と衝突をいたしておりますけれども、まずこの点につきまして、運輸省所管であろうかと思いますけれども、捜索の現状、それから事故の概要、原因等についてお伺いしたいと思います。並びに、こういう漁船の事故があった場合について捜索の費用等々はどんな形になっておるのか、この二点をお伺いしますとともに、こういう事故がありました場合に、残された家族の方々に生活等々非常に大変な問題が生じるわけでございます。前提として、こういう事故が決して起こらないようにする指導というものが必要であるかと思いますけれども、水産庁としまして、この安全操業についての指導、対策等々はどのようになさっておられるのか。この三点、漁船衝突事故についてお伺いをしたいと思います。
  179. 柳田幸三

    ○柳田説明員 事故の概要でございますけれども平成二年六月七日に川崎港を出航いたしまして航行中のノルウェー貨物船ノーパル・チェリー、これは総トン数一万九百八十六トン、乗組員二十一名、全員フィリピン人でございます、これと、同日三浦半島金田湾を出航し漁場向け航行中のカツオ一本釣り漁船第八優元丸、これは総トン数五九・七九トン、船籍宮崎県、乗組員十五名、これが同日午後一時二十分ごろ、東京都三宅島の東方約四十五海里付近の海上におきまして衝突いたしました。この衝突によりまして第八便元丸の船体は大破し、船橋部を残して沈没いたしました。そのため、乗組員十五名中四名は衝突直後にノーパル・チェリーによって救助され、うち一名は海上保安庁のヘリコプターで救急病院に移送しましたが、残り十一名は行方不明となっております。  原因につきましては、現在までの事情聴取の結果によりますと、両船とも自動操舵で航行しており、また、両船の当直者とも衝突直前まで相手船に気づいていなかったという模様でありますけれども、詳細につきましては現在捜査を継続しておりますので、事故原因の徹底究明を今後とも図ってまいりたいと思っております。  それから、捜索救助の費用でございますけれども、海上保安庁の船艇、航空機による捜索救助費用につきましては、法律上も規定もございませんし、また請求した実績もございません。海上保安庁以外の僚船等が捜索救助を実施しておりますが、当庁はこれらの救助費用の請求につきましては、請求するのかしないのか承知しておりません。  以上でございます。
  180. 京谷昭夫

    ○京谷政府委員 お尋ねの中で、捜索費用等の問題でございますが、本件の場合具体的にどのように適用されるか、事後処理の状況を私まだ詳しく報告を聞いておりませんけれども、本件につきましては、漁船の船主責任保険の中に遺体捜索費用等を対象にした保険契約が結ばれております。具体的には、この保険制度を利用してどのような処理がなされるか、当事者の御意向も踏まえて処理をしていくことになろうかと思います。また、御遺族の問題については、基本的には雇用主である船主が責任を持っていただくということが基本であると思います。ただ、一般論として船員保険に加入をしているのが通常でございまして、この船員保険によりまして、一定の限度はございますけれども、遺族年金等が支払われるというふうに承知をしております。
  181. 倉田栄喜

    ○倉田委員 最後の質問の点でございますけれども、いわゆる安全操業等についての指導、対策というのはどのようになっておりますでしょうか。
  182. 柳田幸三

    ○柳田説明員 海上保安庁といたしまして、漁船の特に衝突事故の防止対策でございますけれども、日ごろから海上保安官の訪船指導や現場指導、また海難防止講習会等のあらゆる機会を通じまして、海上における衡突防止のための基本ルールであります海上衝突予防法の周知、航法の遵守の指導を行うことによりまして、漁船の事故の未然防止を図っているところでございます。
  183. 倉田栄喜

    ○倉田委員 かような漁船事故が起こりますと、本当に残された家族の方々も大変な問題でありますし、また安全操業という面でもいろいろな不安感が伴うだろうと思いますので、ひとつ国としてもぜひ適切な対応をお願いしたいと思います。  続きまして、いわゆる農業人口の減少、なかんずく後継者問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  昭和三十五年ごろの我が国の農業就業人口というのは約一千四百五十万人であったものが、昭和六十三年は約六百万人になっております。実に八百五十万人の方々が離農されているという現実があるというふうに私は認識をしておりますが、この農業人口の減少について政府は今どのように把握をしておられるのか、また、その原因についてはどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  184. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 御指摘のように、農業就業人口が減少しておるわけでございます。これは御案内のとおりでございまして、景気の拡大あるいはそれに伴います雇用情勢の改善が進むにつれまして労働力需要が旺盛になるというようなことから、多数の農業者が他産業へ流出しているということが原因だと思っております。さらに近年、農業労働力の高齢化が全国的に進んでいく、それが世代交代という格好で農業労働力の減少につながっているわけでございます。世代交代は今後さらに進んでいくのではないかというふうに見ております。  こうした農業労働力の減少というものは、地域によりましては農業生産に大きな支障となる、影響があるということが懸念されます反面、それを契機としまして、農地の流動化や農業生産の組織化等を進めることによって地域農業の再編が進展する契機にもなるわけでございまして、今後、地域地域での話し合いを進めながら、地域農業の担い手となる農業者の育成確保を図りながら農業構造の改善へできるだけ効果的に結びつけていくように考えていく必要があろうかというふうに認識しております。
  185. 倉田栄喜

    ○倉田委員 昭和三十五年に第二種兼業農家は全農家の三二%であったものが、昭和六十三年には七一 %に上昇をしております。その反面、専業農家は三四%から一五%へと低下をしているわけですけれども、この兼業農家の上昇と専業農家の減少、この現状について、これは政府のいわゆる構造政策というか、その効果であるのか、あるいはそのほかにも原因があるのか、この点についてはどのような認識をなされておられるわけでしょうか。
  186. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 原因は、農業就業人口の減少と同じような原因かと思っております。一方で、高度経済成長といいますか、雇用改善による労働力需要の高まりが、若い層を中心に他産業への就業、流出が進んでいる。また他方、地価が高騰するというようなことで農地の資産保有的な傾向が強まりまして、とりわけ稲作等の土地利用型農業部門については徐々に規模拡大が進んでおりますけれども、そのテンポがそう急ではないというようなことから、一方では小規模な兼業農家を温存したまま農業生産が行われているということが原因かと思っております。最近におきましても、農業の部門別に差異はありますものの、専業農家の減少が続いております。今後そういう中で農業生産を展開していくためには、技術と経営能力にすぐれた、企業マインドを持った農業者の育成、あるいはそれを中心としました生産の組織化ということを考えていくことが必要であろうかというふうに認識しております。
  187. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その兼業農家の実態についてお伺いをいたしますけれども、兼業農家と言われるところの実際の働き手というのはどのような方々によって構成をされているのか、また、その平均年齢はどのくらいなのか、これは政府として把握した数字がございますでしょうか。
  188. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 兼業農家の就業状況でございますけれども、自家農業に従事している者の就業状態を見ますと、自家農業だけに従事している者は四二%、それから自家農業とその他の仕事に従事している者は五八%となっておるわけでございます。過半は農業以外の仕事に従事しているというふうになっております。  それから、兼業農家の自家農業だけに従事している者につきまして、その男女別構成を見ますと、男子が三二%、女子が六八%となっておりまして、専業農家の場合の男子四九%、女子五一%に比較しまして、兼業農家の場合は女子の就業割合が高いということになっています。  それから、専兼別の自家農業従事者の平均年齢の統計資料はないわけでございますけれども、兼業農家の農業専従者のみについての資料から見てみますと、五十歳以上の層の比率が七二%、専業農家の五八%に比べて高くなっておりまして、女子と高齢者の比率がとりわけ高いというのが特徴かと思います。
  189. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今回の農業白書によれば、農業労働力の高齢化が全国的に進行している中にあって、昭和一けた世代と言われる方が農業からリタイアする時期が近づいている。そうすると、今後高齢農業労働力が急速に減少する可能性が大きいわけでありますけれども、これまで我が国農業の担い手として本当に大きく貢献をしてこられた昭和一けた世代の皆様方が、今まで農業就業人口として占めておられた割合というのはわかりますでしょうか。また、それを兼業農家、専業農家に区別した場合、どんな数字になりますでしょうか。
  190. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 全体の資料がないものですから、基幹的農業従事者につきまして、昭和一けた世代の、五十五歳から六十四歳となっていますけれども、割合を見てみますと、昭和六十四年一月現在で約四割の方が占めているというふうに把握いたしております。  ただ、専兼別の基幹的農業従事者の統計資料はないわけでございますけれども、別の資料で五十歳以上の農業専従者の専兼別の割合を見ますと、専業農家で五八%、兼業農家で七二%というふうになっております。
  191. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その昭和一けた世代の皆様が農業の労働力として大きく支えられている部分があるわけですけれども、この方々がリタイアされていく十年ないし十五年後の農業労働力というのをどのように確保しようとされておるのか、また、その点についてどのような見通しを持っておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  192. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 御指摘のように、今後昭和一けた世代の方々のリタイアが急激に進んでいくということが予想されます。このまま放置しますと日本の農業生産にいろいろな影響が出てくるのではないかということもございます。できるだけ我が国農業の健全な発展を図っていくためには、これらの世代を引き継ぐ方々、とりわけ今後の市場経済というものを考えますと、経営感覚あるいは技術にすぐれている、しかも地域農業において中核的な役割を果たす農家の方々を育成して、そういう方々を中心に生産を組織化していく、あるいは農村の活性化を図っていくということが肝要で、我々としても極力そういう方向に政策努力を続けていく必要はあろうかと思います。  そういうことからしまして、足腰の強い農業をできるだけ育成していく、あるいは住みよい農村づくりを進めていく、あるいはまたすぐれた農家を育成するためのいろいろな施策を集中していくということが肝要かと思います。そういう施策を通じ、極力あすへの農業を担う経営者を確保していくということが必要かと思っております。
  193. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ただいま御答弁の中に、いわゆる中核農家というものを守り育てていくんだというふうな御答弁ございましたけれども、午前中堀込委員の方からも御質問ありましたが、これがいわば兼業農家の方々の切り捨てになっていくのではないかという一つの問題点も実はあるのではなかろうかと思います。  その中核農家について、改めてもう一度お伺いいたします。  実は、この中核農家自体も近い将来激減していくのではないかと懸念をされるわけですね。その根拠として、北海道大学教授の天間先生の論文からちょっと引用させていただきますと、同教授は、中核農家層における後継者なし農家の高い割合、特に六十歳以上高齢農家層における後継者不足の存在、それから農家子弟学卒者の就農率の激減、非農業セクターからの一層の求人圧などを挙げられておるわけです。また実際、農家子弟の新規学卒者ですけれども、自家就農は平成元年でこれは何回も言われておりますけれども二千百人にしかすぎない。こういった数字は、仮に就農期間を四十年とすると八万四千戸の農家の再生産維持する数にしかすぎず、現在の中核農家数約百二十万戸の七%くらいにしか相当しないと指摘をされておるわけですけれども、この点について政府はどのようにお考えでございましょうか。
  194. 松山光治

    ○松山政府委員 私も天間先生の論文は拝見いたしたところでありますが、その中でちょっと、今中核農家の特に六十歳以上の高齢者の農家の後継ぎが少ないという点が実はよくわからなかったわけでございます。私どもの持っておりますデータによりますと、基幹男子農業専従者のいる農家、これがいわゆる中核農家でございますが、六十四年の数字で世帯主が六十歳以上という農家分類で見ますと、十一万戸のうちで自家農業が主の男の後継ぎがいる農家というのが十万戸ほどございまして、かなりの残存率にはなっている。だからあるいは別の数字のことをおっしゃっておるのかもしれないが、一応そういう数字があるということは一つ申し上げておきたいと思います。  お尋ねの新現就農者の問題でございますが、御指摘がございましたように、平成元年の新規学卒就農者、これは景気がよかったというような事情一つあるとは思いますが、近年になく少ない二千百人になっているということは私どもも厳しく受けとめておるところでございます。  ただ、この数字を将来の担い手問題と結びつけて考えていく場合には、多少幾つかの観点を含めて考える必要があるだろうと思うわけであります。同じく平成元年に卒業いたしました新規学卒者のうちで、他産業に主として従事しているけれども自家農業にも従事している若者が実は十倍以上の二万四千人ほどおるわけでございまして、こういう若い人が今後どうなっていくかというのが一つあろうかと思うわけであります。現に農村に居住し農業に従事しておる、しかし他産業に主として従事しておるというのが二万四千人ほどおるわけであります。それから、今の日本の農村の経営規模等からいたしますと、おやじさんがまだ元気で働いている、そうすると一緒になって働くには規模が小さいということで、一たん他産業に就業した上で戻ってくる人数というのがかなりございまして、六十三年の場合四千四百人という数字がある。そのほかに、全く農家ではなかった人が新たに就農するというのが、数は少のうございますけれども、大体年間七、八十人程度の人がそういう形になっておる状況一つ頭に置く必要がある。  それからもう一つは、残り方の問題でございますけれども、経営部門あるいは地域によりましてかなりの差があるということでございます。酪農でございますとか施設園芸あるいは規模の大きい農家といったところでは、相対的に若い農家が残っておる。かつまた、最近各地域で生産の組織化が見られるわけでありますけれども、そういった組織の担い手として若い人を確保していこうという動きも見られておるという事情があるわけでございます。今のような問題と先ほどちょっと申し上げました二万四千人の若者の存在といったものをつなぎ合わせて考えてまいりますと、先ほど官房長からの話もございましたけれども、若者の残り方と将来の担い手の問題というのは、地域地域の農業構造のあり方をどう考えていくかということと密接に関連したものとして受けとめていく必要があるだろうと認識いたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、現状、新たに農業に就業する若い人の数が一万人を下回っておる、Uターン青年を含めましても一万人を下回っているという事態は、将来の農業なり農村の担い手の問題としては大変厳しく受けとめておく必要があるだろう、こういう認識のもとにいろいろと対応してきておるというのが私ども立場でございます。
  195. 倉田栄喜

    ○倉田委員 また同時に、天間教授のその論文の中で、専業、兼業すべての農家の減少の続く中にあって、昭和六十四年の数字は、第二種兼業農家の減少率〇・二%に対し専業農家の減少率一・七%、第一種兼業農家の減少率は五・〇%と、先ほど言われておる中核農家の減少率が第二種兼業農家の減少率に比べて大きくなっている、この点が非常に不気味である、こういう指摘をなされておられますけれども、この指摘というのは正しゅうございますか。
  196. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 先ほど来答弁させていただいておりますように、土地利用型農業あるいはそれ以外の園芸部門でありますとか、あるいは酪農、畜産部門、それがまた地域地域によって異なるわけでございますけれども、土地保有傾向の強まり等々から、比較的小規模農家が温存される中で、他産業との生産性格差その他によりまして専業的な部門あるいは中核農家の部門の流出があるということは事実でございまして、私どもはそういうのを重要な問題として認識し、それに対する対応というのを、先ほど来申し上げましたような施策の積み上げにより少しでも多く確保していくということを考えていく必要があろうかと考えております。
  197. 倉田栄喜

    ○倉田委員 いわゆる農業就業人口の減少、数字としてはいろいろな見方があるだろうと思いますけれども、農家の方々は本当に、自分たちの後継者がおらぬ、このままでは自分たちの村、町というのはつぶれていくのではなかろうかというような大変な危機感を持っておられるように私は承知をいたしております。場合によったらこのことが、いわゆる主要農業地域における挙家離農の多発とともに、地域経済の崩壊さえ懸念をされてしまう。このような事態については、大臣自体はどのような御所見をお持ちでございましょうか。
  198. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  この離農の問題ですね、これはデータをずっと見たのですけれども、我が国の離農というのは在宅のままの離農が多いのです。居住地を移して離農する、いわゆる一家を挙げて挙家離農、これは北海道など、四国も一部ございますけれども北海道などの一部の地域に限られているというふうに考えております。  しかし、そうはいいましても挙家離農が地域社会に及ぼす影響の大きさにかんがみますと、地域の特性に即した多様な農業振興と住みよい農村づくりを進める、農家の若者の地域への定着と活力ある地域社会を築くことが重要だ。このために、規模拡大あるいは生産基盤の整備、バイオテクノロジー等先端技術の開発普及あるいは安定的な農業を営むための条件整備を図る、あるいはいつも申し上げているような工業等の導入というふうなことで就業機会をできるだけ確保いたしまして、生活環境の整備と各般の施策を総合的に推進してまいりたい、こういうふうに考えております。
  199. 倉田栄喜

    ○倉田委員 いろいろな数字をちょっと申し上げましたけれども、もしかしたら行き違いの部分もあるのかもしれませんけれども、いわゆる農業就業人口の減少、後継者不足の問題、これは重要な問題であろうと思いますし、この後継者不足の問題は農業だけにとどまらず、林業、漁業、実に広く、重要、切実な問題であろうかと思います。そこで、どうしたら後継者、若者たちが農業に、漁業に、林業にちゃんとまたつくようになるのか、この点について政府はどのような具体策をお持ちになっておられるのか、またその具体策を立てる前提として、若者たちが、後継者たちが農業を継がなくなってしまっている現状、原因というのをどのように把握をしておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  200. 松山光治

    ○松山政府委員 まず、若者がなぜ就農しなくなったのかという原因にかかわる話でございますが、いろいろな事情考えられるわけでございます。長期的には農家人口自体が減っておるというふうなこともございますし、他産業からの吸収力が強いというふうな事情もあるわけであります。また、なかなか農業の将来について魅力が感じられないといったようなことはよく言われる状況でありますし、かつまた、若者一人きちっと就労するには規模の点で少し不足だというのが残念ながら我が国の農業構造の現状でございます。そういう状況に対処いたしまして、次代の農業を担います若い農業者を育成確保するというためには、基本的には農業を魅力ある産業として育成する、住みよい農村社会をつくっていく、こういうことに相なるわけでございまして、そうなりますれば農政一般、今進めております各般の施策を積極的に展開していくことが基本になってくる、このように考えられるわけであります。  狭義のいわば人づくり対策とでも申しましょうか、しっかりした若い農業者を育成確保するという観点から今実施しております施策につきまして若干御説明させていただきますと、主として普及事業の展開の中で行っておる施策が多いわけでございますが、例えば高校の在校者を対象にいたしまして、夏休み等を活用して実習でありますとか先進農家への研修でありますとか見学でありますとか、そういったことをやっておる。緑の学園というふうに呼んでおるのでありますけれども、そういう形で若い、幼いころから農業に関心を持ってもらうというような施策から始まりまして、農業をやろうかという気持ちになってくれた若い人に対しましては、改良普及員が技術なり経営についての指導を行う、あるいは県の農業著大学校におきまして実践的な研修教育を行う、また国内外の先進農家への派遣研修を実施するといったようなこともやっております。また、新たに農業後継者としておやじさんとは別の部門を始めようといった意欲に満ちた若者に対しては、無利子の資金を貸し付けるといったような制度もあるわけであります。また、全く農業関係のなかった若い人で就農したいという人に対して、就農のための必要な情報を提供するというような事業を行っておりますし、かつまた離農者の土地なり施設といったようなものを県の農業公社が一括取得いたしまして、就農の希望者等に対して一たん貸し付ける。貸し付けて経営の準備をその形でやっていただきながら、五年とか十年後にはそれを順次売り渡していくといったような事業に対する助成というようなこともやっておるわけでございまして、こういった施策のさらなる展開を期していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  201. 倉田栄喜

    ○倉田委員 後継者不足、若者対策の問題は本当に重要な問題であると思いますし、今対策を御説明いただきましたけれども、新規学卒者の就農者は六十一年で五千四百人、六十二年で四千人、六十三年三千五百人、平成元年度は二千百人、また二年度になるとこれはどんな数字になるかわかりませんけれども、間違いなく減少している。ということは、今打たれている対応策、政策というのは決して実効のあるものになっていないのではなかろうか、そういうふうに思うわけであります。これは自然のままにほっておいたらきちんと若者が戻ってくるような問題ではないのではないか、政府としてはもっと本腰を入れてこの若者対策に取り組まなければいけないのではないか、こういうふうに思います。  例えば、いろいろな例が出されるわけですけれども農協等々の職員に新規学卒者で入られる方、場合によったら一万人を超えるのかもしれない。一方ではこの二千百人みたいな数字がある。この後継者不足の問題は私は非常に重要な問題と考えておりますので、ひとつ政府として従来以上に具体的な対応策を考えていただきたい、この点を強く要望して、質問を終わらせていただきます。
  202. 大原一三

    ○大原委員長代理 藤田スミ君。
  203. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 文部省、この間は大変失礼いたしました。きょうは最初にお伺いをいたします。  学校給食問題であります。まず、米飯給食の推進についてお伺いをいたします。  文部省は、米飯給食を週三回にふやすんだ、そういう通達を出していらっしゃいますが、米飯給食の役割をどのように考えて進めていらっしゃるのか、そして現在の進捗状況はどうなっているのか、お答えください。
  204. 石川晋

    ○石川説明員 お答えいたします。  米飯給食につきましては、栄養に配慮して、米飯の正しい食習慣を身につけさせるということもございますし、また、我が国の農業、国情ということを考えた場合の教育上の観点から、昭和五十一年度から学校給食に組織的に導入いたしまして推進を図ってきているところであります。  その結果、平成元年五月現在では、実施率にいたしましたらば九八・四%ということで、ほとんどの学校の子供たちが、またその実施回数は週当たりにいたしますと二・四回に達しているところであります。そういうことで今後とも引き続き推進に努め、週三回程度の実施を目標にということで努力している最中でございます。
  205. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 農水省もこの週三回化のための通達を食糧事務所におろして努力を呼びかけていらっしゃるわけであります。いわゆる日本型食生活の定着、これは米の消費拡大という役割もあるでしょうが、むしろここに大きな役割があると思いますし、食文化を直接支える担当の省として当然のことだと思うのです。最近は、地場の新鮮な農産物を取り入れた学校給食をということが父母の間からも、また農家の皆さんからも大きな声になっています。米飯給食の推進も多分にそういう流れと一緒に進んできていると思うわけです。  通達では、大都市部での改善が必要だ、こういうふうに言われていますが、関係者から回数増加ができていない理由なども調査をしていると聞いています。こういう調査の結果、何が大都市の障害になっていると考えていらっしゃいますか。
  206. 浜口義曠

    浜口政府委員 この米飯給食は、先ほど文部省からのお答えもありましたけれども、私ども考え方におきます栄養の観点あるいは将来を担う児童の食生活といったものから、極めて重要だと思っております。いろいろ進んでいない分野についての分析もあろうかと思いますが、一つは、やはり学校給食の面で一番大きい点と言われているのは、食器を洗うという点についてのクレームといいますか、そういう問題を提起される方もあります。それからもう一つは、学校給食がどだいパン給食から始まったということから、業者の間のいろいろな問題というのが第二番目に挙げられようかと思います。
  207. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 食器を洗うクレームというのは、つまりは学校給食の調理員の皆さんの労働過重、こういう問題というふうに聞いていいのですか、ちょっとよくわかりかねたので、済みませんが。
  208. 浜口義曠

    浜口政府委員 政令指定都市の週平均実施回数の推移等々から分析をされているのにいろいろ挙げられる点、重立ったものを申し上げましたが、先生の御質問なので、やや長くなるかもしれませんが、一つは、米飯給食は手間がかかるため調理従事者の労働量が増加することを挙げる方もあります。それから、米飯給食の回数増加には調理従業員の増員等々が必要になるというようなことも挙げられようかと思います。それから、これは具体的にどうだということではございませんが、パン業者との調整が必要であることは既に申し上げましたが、そういうことが挙げられようかと思います。どの程度どの数量でどうだということはちょっと分析ではできませんが、一応挙げられるのを上から三つ挙げますと、そういうことが言われているということを申し上げたわけでございます。
  209. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それはもう当然のこととして、米飯給食になりますと日本型食事ということでパンよりももう少しおかずが複雑になりますね。しかし、これは子供にとってはとてもいいことであります。確かに調理員の皆さんの負担増ということを私はよく理解をしています。パン業者の問題は、私は努力次第では十分解決できる、実は私自身が、大阪府議会におりましたころからこの米飯給食を実施するためにパン業者との調整という問題でどうしたらいいかということで若干経験もありますので、これは努力次第だと思っているわけです。したがって私は、そういうふうなことならば、ここで本当に給食調理員の配置基準を見直して調理員をふやすという努力だとか、栄養職員を一校に一名ずつ配置する、そういう政府からの一層の努力が当然求められてくると考えるわけであります。また、最近のような給食センター方式というのは米飯給食にとっては非常にしんどいわけです。それで私の地元の堺では、そういうこともありまして、非常に長い住民運動、労働組合の要求の結果、最近すべて自校方式に変えました。そのことで子供たちも一層喜々として給食を受けているという大変うれしい経験もしているわけでありますが、私は文部省にそういう努力を促したいわけです。  同時に、米の助成率というのが、これだけ週三回とやかましく言われながら、値引き措置を見ますと、一九八一年当時は六〇%、新規に実施する学校は七〇%ありましたのに、現在は、新規実施校は六〇%、そして他の学校は五〇%、週二・五回以上の実施のところは五五%にしておりますが、いずれにしても値引き措置が落ちてきているわけです。こういうところも努力をするということでないと、やはり特におくれている大都市の米飯給食をふやしていくという方向にうまくいかないと思います。この点についていかがでしょうか。
  210. 浜口義曠

    浜口政府委員 食糧庁分野につきまして先にお答えをさせていただきますと、御指摘のように、助成措置について下がっていることは事実でございます。ただこの数字は、おっしゃるように学校給食が、米飯給食始まってから最初五十一年のときは三五%ということでございましたけれども、今先生指摘のように昭和五十四年からは新規は七〇%、それから普通の場合には六〇%という値引きをしたわけでございます。それから昭和五十九年以降はそれを下げておりますけれども、新規は六〇%、週二・五回以上は五五%、その他は五〇%。  食糧庁といたしましては、この値引きは今の需要拡大の問題の中で一番大きく位置を占める負担でございまして、約二百億を上回るわけでございます。御指摘のとおり確かに下げてはおりますけれども、この助成措置は五〇%以上の補助という形でございます。そういう意味では、十万トンというところに来たことを一つの契機に下げておりますけれども、私どもは、現在の補助というのは需要拡大の意欲等々からいってもまだまだ低いものではないというふうには考えているところでございます。
  211. 石川晋

    ○石川説明員 文部省関係のことについてお答えいたします。  まず、学校給食、先生御承知のように実施は各市町村で行っておるわけであります。またその経費については、食材料費は保護者負担でありますが、その他の経費は設置した市町村で負担する、こういう形で実施されているということもございまして、具体的にどのように実施するかということになりますと、市町村の財政事情、さまざまな要件がございます。そういう中で実際に税金を使っておる事業としてどのように効率的に運営するか、こういったことも大変大きな要請であるわけでございます。このような観点から、いわゆる共同調理場、センター方式で運営するのかあるいは単独校で行うのか、こういったことは、効率的な運営を図るという観点を含めて市町村の御判断の中で進めていただくことが一つあろうかと考えておる次第でございます。  また、そういう中で、米飯給食を推進する上で従事員の人数はどうかということもございましたが、この点につきましては、先ほど食糧庁からも説明がありましたけれども、パン給食の場合に比べたらいわば労務量が洗うとかそういう点でふえるという御指摘もございまして、この点につきましては、米飯給食推進時からの措置でありますが、交付税上委託料という形で、付加的な、パン給食に比べたらば大変であるというような部分については別途手当てするようにしているところでございます。なお、米飯給食の推進という観点から、そういったことの改善については考えていきたいというふうに考えているところであります。
  212. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、文部省が学校給食の設備整備費の予算でも、驚いたことに、一九八一年と九〇年を比較しますと、九〇年度の予算は八一年度の実に二三%しかとられていない。そこまで大幅に減ってしまったのですね。七七%減っているわけです。私は、これでは口で幾ら米飯給食と言っても、やはり予算という面で見ると口の割には中身がないなと思わざるを得ませんので、これは後ほど大臣にも御努力をお願いをしたいと思います。  もう一つ、中学校の給食ですね。これは女性の社会進出が進む中で各地で大変強い要望になっております。中学生も、特に体をつくる大事な成長時期になっておりますから、できるだけバランスのとれたものを食べさせてやらなければならない、そういう点では食生活の一番重要な時期であります。そういうことで父母の要求も非常に強いというふうに私は思いますが、文部省の認識はいかがですか。  それから、ここで大都市における中学校の給食の完全給食実施率、それをお示しください。
  213. 石川晋

    ○石川説明員 先生も御指摘のように、私どもも、健康な生活、そのための食習慣を培うという観点を含めまして、中学校における学校給食の意義は大変大きいと考えております。しかしながら、言外に御指摘がありましたように、小学校はおおむね一〇〇%実施されているのに対して中学校はまだ実施状況八〇%という段階でございます。このようなことで、私どもとしても何とかその推進をしていきたいということであるわけでありますが、御指摘のようにどういうところで実施率が低いかということになりますと、大都市がほとんど実施していないという現状でございます。  若干古い資料でございますが、昭和六十二年五月現在で申しますと、札幌、横浜、川崎、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、北九州、福岡、これは全部大都市、いわゆる政令市を挙げたものでございますが、これらのうち中学校給食を実施しているところは、札幌市八二%、川崎市五〇%、それから名古屋市は一〇〇%やっております。また神戸が七九%、北九州六九%でありますが、今挙げなかったところはおおむねゼロないしは一〇%台以下という現状でございます。
  214. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 まことにお粗末なものです。大阪も一〇・四%という非常に低い率になっています。  横浜市の議会でもこれが問題になりました。それで中学校の給食も含めて四十六万人の署名が父母から提出されました。ところが市当局は、学校給食の目標達成は小学校で十分に成果を上げているので中学校ではやらない、こういう突っ張った答弁をやっているわけです。あるいはまた、中学校では家庭科などで学習するからもう要らないんだ、こういうふうなことでやらないということでいろいろ理屈を言っているわけです。もう一つ、名古屋市の職員がまとめた「私たちの給食白書」という中での給食アンケートを見ますと、「中学校の給食があった方がいい」と答えた人は八〇%に及んでいます。  そういう点でまだまだ文部省の指導というのですか、こういうのが非常におくれているじゃないかと私は思わざるを得ません。その点強力な指導を要請するものですが、いかがですか。
  215. 石川晋

    ○石川説明員 お答えします。  大都市の場合、その実施率が大変低い、なぜだろうかということもあるわけでございますが、一つには、校地、校舎が狭隘であり給食施設をどうするのか。いわゆる学校給食の実施方式としては単独校、共同調理場とあるけれども、学校につくるにしても学校の校地、校舎が狭い、共同調理場をつくるにしてもその用地取得が困難である。また現実に大都市の場合、財政規模から見ても相当なものになる。こういったことが大都市理事者にとって中学校給食の普及の問題を難しくしているのではないかと考えているわけでありますが、我々といたしましては、そのような必ず自校でつくるということだけでなく、結果として子供たちが学校給食ができるという観点から、こうでなければいけないということではなく、弾力的な形で進めてもらえればという方向で何とか指導していきたいと考えているところであります。
  216. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣、大変短いやりとりでしたが、お聞きのように、米飯給食を推進しようあるいは中学校給食も進めていかなければならないと政府も言っているし、父母も要求している。そして子供も米飯給食を大変喜んでいる。ところが実際には進まない。私は、進まない直接の責任は政府の対応というものがひとつやはり問われなければならないというふうに思うのです。中学校で進まないのは校舎、校地が狭いとか、センター方式にするということになるとなおさら外に土地がないとかいろいろ言われますけれども、しかし私はやはり、それは調査を尽くしてきっちり答えとして出されているものかどうかという点ではまだまだ努力ということが問われなければならないというふうに思います。特に、今非常に児童生徒が減ってきておりますので、かつてのようなマンモス校というような状態も相当解決の方向に進んでおりますから、今が私はチャンスだというふうに思うのです。したがって、米飯給食や中学校の学校給食などを前進させるために、ひとつ農水省も文部省を大いに督励しながら、農水省自身も御努力をいただきたい、この点で、最後に大臣のこの問題での御答弁をお願いしたいと思うのです。
  217. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  学校給食の問題ですね、予算委員会でも多少やりとりがあったのですけれども、これは先生指摘のとおりで、消費拡大という面ももちろんあります。ありますが、それよりも何よりも日本型食生活を定着させたい、それには子供のときから習慣づけをしたい、お母さん方にも認識をしてもらおう、こういう気持ちに私ども変わりはない、ぜひ進めたいものだ、こう思っております。  ただ、非常に不勉強でございましたけれども、私も小学校の方ばかり見ておりまして、小学校の方は先ほど食糧庁長官が答弁いたしましたとおりかなりの普及率で、遅くはありますけれども着実に進んでおる。中学校の方は、これは今数字をここで聞いたような状態でございます。もちろんこれは農水省だけの問題ではございません。むしろ文部省の方に頑張っていただかなければならない、こう思っておりまして、その辺の事情もよく文部大臣とも話をしてみたい。ただ、子供のうちから食習慣を、お米を食べる日本型食生活へ、こういう方向をぜひつけたいものだ、こういう気持ちに変わりはございません。
  218. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは、次の問題に移ります。  私ども日本共産党は、米の輸入自由化を何としても阻止したいということで、あるいはもう大臣御承知かもしれませんが、六月の十五日から全国の米生産の実態調査を開始いたしました。まだ調査は始まったばかりでありますが、わずか宮城県、長野県の二県の調査でも、日本の農業の危機と農業関係者、自治体関係者の米輸入自由化阻止の強い意思を私は体全体で受けとめて帰ってまいりました。青々とした水田を見ておりますと、本当に何事もないようなのどかな農村ではありますが、しかし、この農村の内側では本当に胸が痛むような状況であります。  一口に言って共通していることは、農業に展望が持てない、そういう絶望感と、それから米の減反の限界感であります。先ほどからも出ていましたが、農業後継者は、日本の代表的な米どころの宮城県で、七十一市町村あって新規学卒就農者はわずか三十三人、全国第一位の農家戸数を持っている長野県で二十四人、農業従事者は高齢化しています。  私はいろいろな話を聞いてきましたので、これは幾ら時間をかけても大臣に聞いていただきたくて、本当に歯がゆい思いがいたしますが、こういうことを言っていらっしゃるわけです。我々はもう年々いじめられてきた、それは財界やマスコミなどの農業攻撃もあるし、政府のやり方もある、農家の気持ちの上で農業離れが広がっており、農協への出席も減ってきている、農協の営農指導会などの出席状況は年々減ってきているのだ、こういうふうなことを言われました。地域全体を守る気持ちが薄れてきた、農業離れは農業の危機的あらわれだ、そこら辺が一番恐ろしい、こういう訴えが次々に出されたわけであります。  それから長野県でも宮城の農協青年部の後継青年たちも、最近の部分開放容認論というのですか影響調査発言というのですか、公明党のそういう発言だとかあるいは竹下元総理のそれを支援するような発言というようなことを聞いて、もうそれだけで営農意欲がなくなっていく思いである、そういうふうに言われたわけであります。私は正直、答えようがありませんでした。そして、一%の輸入で半分の米農家がつぶれるんだ、紙の上で数字を計算してどういう影響が出てくるかというような問題じゃないんだ、こういうふうにも言われたわけであります。もう既に減反で米の捨てづくりというのがふえてきまして、特に山間部の水田は原野のようになり荒廃に拍車がかかり、地すべりや水害の心配があり、集落の半分が移転したとか部落じゅうが移転したというのを長野県で聞かされています。  また、構造改善を行って二十年たって水路の自然崩壊が目立ってきているが、水路の改修ができないのだ、水番がいないというようなことも言われました。水を守れと言われたって、五キロも十キロもの水路の維持、そんなことは無理じゃないかというようなことも言われたわけであります。きのうまで畑で田んぼで働いていた人が、ある日突然来なくなった、どうしたんだろうと思ったら、もうこらえ切れなくなってばったり倒れてしまった、そういう疲弊した姿というのを生々しくいっぱい聞かされました。  私はそれを全部ここで言えないのがとてももどかしいのですが、このままでも、現状でも減反の中で災害が起こりかねない、農業危機が災害にまでつながっている、私はそういう実態を見てきたわけであります。したがって、米の部分輸入だけでも農村が崩壊する可能性は極めて高い、私はこういうふうに言わなければなりません。私はここで時間もありませんので、大臣がこのような農村状況について一体どういうふうに御認識をしていらっしゃるのかということをお伺いしたいわけであります。     〔大原委員長代理退席、中川委員長代理着席〕  そして、それだけの農村状態にありながら、重要な転作作物である麦の生産者価格を引き下げるということがどうしてできるのか。これではますます農民に農業への展望を奪うだけではないかというふうに考えますが、この二点、大臣の御答弁を求めたいわけであります。
  219. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  先生、非常にもどかしいということで、現場の農家の方々の声をたくさん聞いてきて、そのほんの一部を今お話しになった。実はきょう、私は委員会の御了承を得ましてお昼を挟んで日本記者クラブへ参りました。そこで、講演というには余りにも時間も足りませんし、内容もはしょってやったわけですけれども、なぜ、米を私どもは国内産で自給すると、そしてウルグアイ・ラウンドでもこの点はどんなことがあっても主張する、貫くということを言うのかという話をずっといたしました。  その中で、ちょうど先生のお話と合致しますが、私がいろいろ聞いたり見たり読んだりした中で一番心配なのは、農家の皆さん自身が農業離れということを口にするようになっておる、これはもう本当に危機的な状態なんだ。そして、日夜何とない不安にさいなまれて、しかも農業に従事しておるというふうな状態を政治や行政がほっておくわけにいかぬじゃないか。その原因はたくさんある、あるけれども、日本人が主食としての米をこれだけ大量に長い間食べ続けてきて、これからも食べていかなくちゃならない。今も学校給食の話が出ましたけれども、老いも若きも米によって日本人の体ができておる、精神ができておる。これは間違いがないわけなのであります。しかも、先生も今おっしゃったけれども、三割減反というような血を吐く思いをして我慢をしながら、なおかつ頑張っている。しかも、そのことが原因になって自給率がこれだけ落ちてしまった。世界の先進国の中でこんな自給率を持っている国はないということなど、たくさん言いたいことの何分の幾つも言いませんでしたけれども、申し上げてきたわけでございます。  そこで、やはり農家の皆さんの心を心としてやることが農政のとるべき道でございますから、その気持ちを私どもしっかり受けとめながら、とにかく日本農業を守る、さらに次の時代につなげていく、そして内なることもさることながら、外に向かってもそのことは立派に言い続けなければならない、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。  また、麦の問題についても、大変厳しい御指摘がございましたが、これはああいう形で諮問をし、決定をさせていただいたわけでございます。係数その他からいくともっと厳しい数字が出ておりましたが、諸情勢を十分勘案をしながら農家の方々のお気持ちも酌み、再生産への意欲、これはなくなっちゃうじゃないかというお話でございますが、そこをひとつ我慢をしていただきまして、ここまで我々もやったんだ、政治的な調整もしたんだ、こういうことをわかっていただくぎりぎりの数字があの数字でございまして、あの数字をもとにしてぜひ今後ともやらせていただこう、こういうふうに考えておりますので、ひとつ御理解を賜りたいと思っております。     〔中川委員長代理退席、大原委員長代理着席〕
  220. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたので私は質問をやめなければなりませんが、今回の麦価は五年連続の引き下げで、実に八六年に比較すると一五・九%も引き下げられました。だから、麦作農家の経営と生活にどんなに影響を与えているか。特に基幹的畑作物にしている北海道などの深刻さ、本当に重大なものであります。しかも、自給率の向上と言われる政府自身のお言葉にも逆行するものであり、私は今回の麦価の引き下げに断固抗議をしておきたいと思います。生産者米価も七月に入りましたら決められますが、十三年前の価格水準まで引き下げられているのです。さらにことしの米価で引き下げられようとしている。このことが米の部分自由化と同じような深刻な打撃を農村に与えるのだということを私はひしひしと受けとめてまいりました。米審のときに委員会が開かれると思いますので、この続きはそのときにまたやりたいと思います。  ありがとうございました。
  221. 大原一三

    ○大原委員長代理 小平忠正君
  222. 小平忠正

    ○小平委員 最後の質問に当りましたので、さきの質問者からもお話ありましたが、麦価はあのとおり五年連続の引き下げということ、私も強く抗議したいと思います。  続いて今、米価の価格決定の時期に入ろうとしておりますが、これについても大きく心配している一人であります。きょうはそういうことを前にして、これと同じように今大きな問題になっておりますウルグアイ・ラウンドにおけるこの問題について、これを中心にして何点か、大臣それから担当の方に質問をさせていただきます。  御承知のように、ガットのウルグアイ・ラウンドは、本年の十二月の決着をめどにしまして今大きな山場を迎えようといたしております。特に農業問題については、各国とも自国の利益、いわゆる権益を守るために必死になっており、そういう立場から非常に困難な調整が続いております。もちろん我が国としても米の市場開放問題を初め多くの問題を抱える中で、私は強く主張したいのは、当初どおり日本が主張している姿勢をあくまでも貫徹をしていただきたい、こんなことを強く訴える次第であります。いやしくも国益に反することがないようにやってもらいたい、こんなふうに熱望しております。  しかし、私はその中で特に指摘したいことは、こういう大事な外交交渉の過程において、どことなく日本の姿勢が一枚岩になっていないという感じが強く見受けられます。いろいろな立場立場はあるのでしょうけれども、特に外交交渉においては国内の世論の統一というか、世論形成をきちんとすることが特に大事である、そんなふうに考えているわけですけれども、それについてこれから幾つかの質問をさせていただきます。  その前に、事務当局で結構ですから、最近におきます農産物交渉の現状と今後の見通し、スケジュール等について簡単にまず説明をお願いいたします。
  223. 川合淳二

    ○川合政府委員 最近の農業交渉の状況につきまして御報告申し上げます。  御承知のようにウルグアイ・ラウンドは、特に農業交渉につきましては、そもそもの背景といたしましては、世界的な農産物の構造的な過剰基調の中で各国が補助金つきの輸出競争をした、それが激化いたしまして農産物価格が大幅に低下して、農産物市場が混乱したということがございます。こうした中で、新しいガットのルールづくりを目指しまして進められているわけでございます。  現在の状況は、主要な国十六カ国から提出された提案をもとに、その中でも主として米国、EC、ケアンズ・グループ、そして日本等の提案が中心となって議論が進められているところでございます。現在の議論の中心は、まず一つは削減すべき国内政策の選択、二番目といたしまして国境措置の関税化、三番目といたしまして輸出補助金の撤廃、それから四番目といたしまして、我が国が主張しております基礎的食糧を中心とした食糧安全保障を含む非貿易的関心事項の取り扱いといったものが主な議論のテーマでございます。この中では、特に輸出補助金をめぐります米国、ECの対立はかなり激しいものがございます。それからさらに関税化につきましても、同じ関税化という言葉は使いながら、米国、ECの考え方にはなお大きな隔たりがあるのが現状ではないかと思っております。  なお、今後の日程でございますが、七月の第二週に農業交渉グループ会合が開かれることになっております。その後、第四週に貿易交渉委員会がございまして、ここで交渉の大枠を策定するというようなスケジュールになっております。九月以降、この大枠に基づいて交渉が続けられ、一応今のところ十二月初旬にブリュッセルで閣僚会議が行われ終結するというようなスケジュールになっているところでございます。
  224. 小平忠正

    ○小平委員 ありがとうございました。そういうこれからのスケジュールでございます。篤と一生懸命頑張っていただくことを心からお願い申し上げます。  そこで大臣、御質問いたしますけれども、去る六月十三日のプレスセンターにおいての竹下元総理の発言についてであります。竹下元総理は、米の輸入自由化問題について次のように発言されております。いわゆるウルグアイ・ラウンドでの議論等を通じて「国内世論の変化もあるのではないか」、さらにもう一点、「既得権益と変化を求める世論の調整は真剣に考えておいた方がいい」、このように発言され、暗に、米の自由化を前提とした国内の準備が必要である、そんなような見解を示された、このように私は聞いておりますが、竹下元総理、今自由な立場ではあられますけれども、いやしくもその影響力は大なものがあると思います。そういう方があのような発言をされたということ、過去二回にわたって衆参両院で米の自由化反対についての決議がされておるということも踏まえて、大臣はこのことをどのように受けとめられておるのか、また今後どのように対処をされていくのか、その御見解をお伺いいたしたいと存じます。
  225. 山本富雄

    山本国務大臣 きょうも日本記者クラブに参りまして、今先生のお話しの竹下元総理の御発言というのはその記者クラブの講演の後の質疑応答の中であった由であります。ただ、私、元総理からじきじきに聞く機会もございませんし、それからきょうも、今私が申し上げたようなことで質疑応答で出たんですよ、ああそうですかということ。それからまた私に対して質問ども出ました。ちょうど先生が今お話しになったようなことでございますが。  確かに元総理大臣でございますし、大変見識のある大政治家でいらっしゃる、私はこういうふうに思っておりますが、ただ、どういう状態で、前後の脈絡があって今のようなお話になったのか。報道は、竹下先生のおっしゃったことを全文載せて発表しているわけでもございませんし、また、活字というのは、ややもいたしますとその部分だけ特記をされまして報道されるケースも間々あるというふうなことでもございます。また、米の自由化問題、事が事でございまして、ここで私がそれに対して論評を加えることは適当でない、こういうふうにも思っております。  しかし、はっきり申し上げられることは、私が当面の農政の責任者でございまして、私の判断は、ウルグアイ・ラウンド問題につきましてもしばしば申し上げているとおり、米問題に対しましても先ほど来申し上げたとおりの姿勢を貫きたい、国会決議も非常に重いということを繰り返し申し上げているわけでございまして、この線でひとつ進ませていただきたいと思っております。
  226. 小平忠正

    ○小平委員 非常に影響力のある方が発言されることは、やはり今後の交渉において大きな足かせになる、こんな心配をいたしますので質問いたしているわけであります。  それで、あわせて、きょうは外務省の方もいらしていますね。外務省、お見えになっておりますか。——見えてない。それでは、どなたかお答えいただきたいと思うのですけれども、外交フォーラムという雑誌がございますね。これの五月号なんですけれども、それに事務次官の栗山氏が発言をされていることについてなんです。  これを申し上げますと、「激動の九〇年代と日本外交の新展開」、こういう題で寄稿されているのですが、その中で次のように言われております。日本は、「受身の外交から、能動的な外交に転換する上で次に心懸けなくてはならないのは、日本の特殊事情を対外的に訴えるのをできるだけ控えることである。」「中小国が、都合が悪いルールの適用を免除されようとして、自国の特殊事情や特殊性を援用することは許される。」「しかし、大国に同様の要求を認めれば、もはやルールがルールとして成り立たなくなる。」次に、「自由貿易というルールの下で、開発途上国には幼稚産業の保護が認められても、日本のような経済大国の産業保護政策が許容されない」、このように発言をされております。このことは、我が国の農業、とりわけ米のことを念頭に置いて言われている、こう私は受け取っているわけですけれども、いわゆる外務省の事務方の最高責任者がこの時期に、特に今このウルグアイ・ラウンドの交渉を前にした大事なときにこうした発言をするということはいささか軽率に過ぎる、このように私は考えるわけです。  確かに日本は戦後、この過程の中で経済大国になりました。しかし、その中でも強い産業、弱い産業、いわゆる外国に対してですね、そういうものがあります。この栗山事務次官の発言では、中小国ならこういうことは許される、こう言われておりますけれども、中小国でも外国に対して強い産業はあります。ですから私は、一概に経済大国あるいは弱小国ということではなくて、産業というものを基準にして物の判断をすることが大事である、こう思うわけです。となれば、農業というものは、日本は経済大国でありますけれども、いわゆる弱い産業です。このことを頭に入れておいていただきたいと思うのです。  私は青年時代に海外での生活経験があるのですが、ともすれば外務省の方というのは、その国に赴任されますとその国の事情に精通されて同情し過ぎてしまう、そういう傾向が特に日本の外交官にはあるような気がしてならないのですね。ですから軸足は、スタンスは日本に置いて、そして特にこういう大事な交渉を前にしてこのような軽率な発言はしていただきたくない、こんなふうに思うわけです。これについて御答弁いただけると思っていたのですが、どなたか、いかがでしょうか。
  227. 山本富雄

    山本国務大臣 先生、これは外務省の方が来ておられてもなかなかお答えしにくいのではないかと思うのですね。それで私、今先生のお話を聞いておっただけの感想でございますけれども先生のおっしゃっていることもよくわかります。しかし私は、栗山次官はもちろん米という言葉も使っておりませんし、果たしてそれを念頭に置いてそういうことを言ったのかどうか、一般論として言ったのかもしれないというふうに思っております。それもまた、どういう場面、どういうタイミングで御発表なすったかわかりません。まあしかし、いずれにいたしましても、先ほどの竹下先生にいたしましても、あるいは現職の栗山次官にいたしましても、それぞれのお考えや御主張を披瀝することは自由でございますけれども、繰り返すようですが、このお米の問題あるいはウルグアイ・ラウンドの問題、そして農政のこと、これは私どもが責任を持って仕事をさせていただいておる、私どもはそれだけの誇りも持っておりますし、覚悟も持っております。先生方とともどもここのところはどうしても乗り切らなければならないというかたい決意を持っておりますことを申し添えたいと思います。
  228. 小平忠正

    ○小平委員 私は、大臣がこれからの大事な交渉に臨むに当たって、応援するつもりで言っているのですよ。そういう雑音が出ないように、一本となって進んでいってもらいたい、そういう意味で申し上げているのです。  それで、最近特に我慢のならないのは、マスコミとか新聞報道等々を見ますといろいろ発言が見受けられます。くどいようですけれども、こういう発言もあるのですね。先般、六月二日付の朝日新聞だったのですけれども、これも外務省幹部がこういうことを言っているのですよ。いわゆる「世界の潮流からみて、OECD閣僚理事会のコミュニケに食糧安保論を入れようと狂奔しているのが、ばからしく思えた」こんなような発言ですね。それから、これはどなたかわかりませんが、ある農水省の高官、こうなっていますけれども、「コメはつとめて国内の政治問題なんです」、こんな発言も海外でされている。これはゆゆしいことだと思うのですね。こんなことがあちこちでありますと、さきに大臣、私は群馬の人間だ、戸板に載って帰ってくる、そういう決意で臨む、このように悲壮な決意のほどをある会合で申されましたね。私もあのとき、その席におりまして、感激して聞きました。大臣のその意気込みを、体からほとばしり出るそういうものを感じました。幾ら大臣がそのように頑張っておられても、こんなことで周りから邪魔されたんでは、この大事な交渉に向かっていかぬと思うのです。そんな意味でもっと、特にいわゆる政府関係者の意見の統一をきちんとして臨んでもらいたい、このように強く思う次第で、こう今幾つかの事例を挙げて申し上げた次第であります。頑張ってください。  それで次に具体的なことでお聞きしたいと思うのですけれども、今大きく問題となっておりますことは、日本が特に今警戒してやらなければならぬことは、非関税処置の関税化の問題であるわけです。  先般、ジュネーブで開かれた農業交渉におきましても関税化の問題が焦点になりまして、特に米国とEC、これの接近が非関税処置の関税化に大きく傾き始めている。そういう中でこの七月の大枠の合意に向けてドゼウ議長が関税化を中心とした議長文書を提出する、こんなふうにも報道されておるようですが、この点についてどのように対処されていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
  229. 川合淳二

    ○川合政府委員 関税化につきましては、国境措置に関しますアメリカの提案をめぐりまして、一つのといいますか大きなテーマになっていることは御指摘のとおりでございます。アメリカの主張しております関税化は、今もお話がございましたように、輸入数量制限、あるいはアメリカ自身が持っておりますウエーバーに基づく措置、あるいはECの可変課徴金のような、すべての関税以外の貿易障壁を内外価格差をもとに関税に置きかえまして、十年間でこの関税をゼロまたはそれに近い水準に低減するという主張でございます。これには輸出国グループでありますケアンズ・グループも賛成といいますか同じような主張になっているわけでございます。  一方、先ほどもちょっと触れましたが、ECもこの関税化に関する考え方には条件つきで関税化を検討してもよいという言い方をしております。ただこの条件は、御承知の点でございますが、三つございます。一つは、いわゆるリバランシングという言葉で言っておりますが、保護の見直し、関税を中心とした見直しでございます。それから、アメリカなどのやっております不足払いの補助金につきましても同じように関税化すべきだということ。それから三番目、これが私どもは一番注目すべき点と考えておりますが、固定要素と補正要素の導入ということを言っております。この点につきましては、ECの今の可変課徴金制度と非常に似通った主張でございまして、同じ関税化といいながらアメリカとECの関税化というのにはかなり大きな隔たりがあって、今のところ、まだこれの歩み寄りというものは私ども感じておりません。同じ関税化といいながら、かなり違ったものを考えているのではないかというふうにさえ考えているわけでございます。  さて、私ども立場でございますが、関税化につきましては、農産物の国際価格の変動あるいは為替レートの価格に与える影響あるいは品質格差というようなものをどう扱うかというような技術的な問題がございます。これは技術的といいながらかなり本質的な問題ではないかと思いますし、それから、私どもが主張しております米のような基礎的食糧、それからガットの規定に基づきます輸入制限品目につきましては関税化というのは困難であるということが私たちの立場でございまして、これは変わらず主張してきているところでございます。この関税化というアメリカの提案はある意味では比較的明快でございますが、ECにつきまして、今申し上げましたような非常に中身のわからない主張となっておりますので、この辺を十分注意して今後もいかなければいけないと思っておりますが、私ども立場は今申しましたような立場でございますので、そういう立場が何とか貫かれるように頑張っていかなければいけないというふうに考えております。
  230. 小平忠正

    ○小平委員 それともう一点、やはり最近気になるニュースが聞こえてきました。それは米国からなんですが、いわゆる新ラウンド農業交渉の中で、米国では国内支持政策の廃止、削減それから許容、こういう三つのジャンルに分けてそういう提言をしてきておるようです。その中で見ますと、廃止とか削減の中にいわゆる基盤整備に対する補助や融資、そういうものも対象に加えたらどうか、そんなようなことを言ってきている、そんなニュースを見ました。  そういう中で、私はこの米国提案というものを日本に置きかえて考てみた場合には、日本の場合には農業の中においてまだまだ近代化がされてない。そういう意味では、土地の基盤整備事業あるいは価格支持、それから融資政策、こういうものはいわゆる農業の近代化政策の基本であると思うのですね。そういう中で、私はこれは日本にとっては到底受け入れてはいけない提案であると思います。このことについて、農水省としてどのように対処していかれるのか、御答弁お願いいたします。
  231. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 先生指摘のように、国内支持政策につきましてもウルグアイ・ラウンドでいろいろ議論をされているということでございます。しかし、私どもが実施しております農業基盤整備事業は、農業生産基盤と農村の生活環境を一体的に整備して農業と農村の健全な発展を図るという観点で推進しているものでございます。こういう観点からいたしますと、農業基盤整備事業は農産物の貿易を歪曲する効果というのはほとんどないというふうに考えておりますし、また特定の産品に限っていろいろ助成をするというものでもないと考えておりまして、農業交渉における国内支持政策の削減対象にはすべきではないというふうに考えている次第でございます。私どもといたしましては、この農業基盤整備事業につきましては、今後のウルグアイ・ラウンド農業交渉の場においてこういう趣旨を主張し、各国の理解を得るように努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  232. 小平忠正

    ○小平委員 特にアメリカとの問題については、何かこう次から次といろいろなことを提案してくるようであります。これを、私も先ほど冒頭に申し上げたのですが、いわゆるなし崩し的にうんと瀬戸際まで持っていって、そして、あれよあれよという間にそういうものが通っていってしまう、そんなことになっていかないように、特にこのことを今の米の市場開放の問題と同様に、日本の基盤整備というのはまだまだこれから大事な事業なものですから、ぜひよろしくガードを固めていただきたい、このように思う次第であります。  時間も参りましたので、最後に大臣、先ほどから申し上げましたので、これは質問というよりは大臣にぜひ頑張っていただきたいということの質問なんですけれども、ヤイター農務長官がこの問題について非常に積極的に発言されて、場合によっては大臣言われるように内政干渉だ、そんなように立腹されるぐらいのことを言ってきていますね。大臣も遠慮されずに、これは交渉ですから、特に外交交渉はぜひもっとやってくださいよ。そして、今回はやはり外国で発言する方が大事だと思うのですね。そんな意味で、ぜひ頑張ってください。このことを申し上げて、これはひとつ最後に決意のほどをお聞かせください。
  233. 山本富雄

    山本国務大臣 いろいろ御鞭撻いただきまして本当にありがとうございます。先生のお気持ちよくわかります。  ただ、この前も今のようなお話がございましたけれども、これは、私が向こうへこれから出てまいります。出てまいりますが、今までもこちらにおりまして、ほとんど毎日と言っていいぐらい外国の方々がお見えになって、国会の合間にお昼に猛スピードで農林水産省へ行きまして、そこでお目にかかってまた猛スピードで戻ってくる、その間に飯をかっ込む、こういうふうなことを続けてきたわけでございますが、その都度関係各国のそれぞれのお役目の方々には、食糧問題、米問題、日本の考え方、これは逐一繰り返し繰り返し申し上げてまいったつもりでございます。また、それなりのその後の反響効果も聞いております。また、私だけじゃなしに、今答弁に立っている川合局長にいたしましても、あるいは塩飽審議官にいたしましても、あるいは次官、官房長にいたしましても、それぞれのレベルで随時外国の方に会いまして、そして、それなりのPRを含めまして日本側の考え方、日本側の決意というものを申し上げたわけでございます。  いよいよ五カ国がございます。これは、ウルグアイ・ラウンド交渉直接ではないのですけれども、しかし、その問題がテーマの中心になることは間違いがない。その他の問題もちろんございますけれども、その五カ国には、国会も終わりますので、少し早目に参りまして、そして従来の我が国の主張、私の考え方、これをできるだけ積極的に主張してまいりたいというふうに考えております。  これから先も、先生のおっしゃるように、あらゆる機会を通じましてもう最大限に日本の主張を貫徹するべく努力をいたしたいと思っておりますので、ぜひ変わらない御支援と御指導を願いたい、こう思っております。ありがとうございました。
  234. 小平忠正

    ○小平委員 終わります。ありがとうございました。
  235. 大原一三

    ○大原委員長 代理 次回は、明二十二日金曜日午前十時三十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十四分散会