運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1990-06-13 第118回国会 衆議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月十三日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 亀井 静香君    理事 石破  茂君 理事 大原 一三君    理事 中川 昭一君 理事 穂積 良行君    理事 柳沢 伯夫君 理事 石橋 大吉君    理事 日野 市朗君 理事 西中  清君       愛野興一郎君    浅野 勝人君       内海 英男君    大石 千八君       唐沢俊二郎君    古賀  誠君       杉浦 正健君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    近岡理一郎君       仲村 正治君    丹羽 兵助君       鳩山由紀夫君    松岡 利勝君      三ツ林弥太郎君    御法川英文君       村上誠一郎君    有川 清次君       遠藤  登君    小川  信君       佐々木秀典君    沢藤礼次郎君       新盛 辰雄君    鉢呂 吉雄君       前島 秀行君    目黒吉之助君       倉田 栄喜君    藤原 房雄君       藤田 スミ君    小平 忠正君       阿部 昭吾君    亀井 久興君  出席国務大臣         農林水産大臣  山本 富雄君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         水産庁長官   京谷 昭夫君  委員外出席者         警察庁長官官房         装備課長    西田  磐君         警察庁刑事局保         安部生活経済課         経済調査官   松原  洋君         外務省アジア局         北東アジア課長 今井  正君         運輸省海上技術         安全局総務課長 野間 耕二君         海上保安庁警備         救難部管理課長 坂  正直君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      岩崎  勉君         海上保安庁警備         救難部救難課長 柳田 幸三君         農林水産委員会         調査室長    青木 敏也君     ───────────── 委員の異動 六月十三日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     浅野 勝人君   佐藤  隆君     御法川英文君   二田 孝治君     村上誠一郎君  三ツ林弥太郎君     松岡 利勝君   北沢 清功君     沢藤礼次郎君   田中 恒利君     新盛 辰雄君   堀込 征雄君     小川  信君   東  順治君     藤原 房雄君 同日  辞任         補欠選任   浅野 勝人君     阿部 文男君  松岡 利勝君     三ツ林弥太郎君   御法川英文君     佐藤  隆君   村上誠一郎君     二田 孝治君   小川  信君     堀込 征雄君   沢藤礼次郎君     北沢 清功君   新盛 辰雄君     田中 恒利君   藤原 房雄君     東  順治君     ───────────── 本日の会議に付した案件  水産業協同組合法の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)(参議院送付)  海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律案内閣提出第五三号)(参議院送付)      ────◇─────
  2. 亀井静香

    亀井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付水産業協同組合法の一部を改正する法律案及び海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石橋大吉君。
  3. 石橋大吉

    石橋(大)委員 おはようございます。連日御苦労さんです。  私は、水産二法に関しましては、漁協合併重要性の問題、それから遊漁船業者等准組合員とすることの是非、自主規制実効性をどう確保するかという問題、あるいは海洋水産資源開発センターの事業内容の拡充とセンターの体制の問題、こういうことについて質問しようと思っておりましたが、前日の同僚議員質問で大体全部ここらについては総ざらいがされたと思っておりますので、これは省略をしまして、この水産二法に関連をいたしまして、山陰沿岸日本海漁業問題を中心に、以下幾つ質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  早速本題に入りまして、まず最初韓国漁船不法操業の問題につきまして幾つかお伺いをしたいと思います。  まず最初に、韓国漁船不法操業現状認識自主規制対象についてお伺いをしたいと思います。  水産庁もよく御承知のとおりですが、昭和五十七年以降の山陰沖における韓国漁船視認状況によりますと、昭和五十七年二百三隻、五十八年二千三百六十隻、五十九年三千三百十六隻、六十年二千百五十一隻、六十一年二千五十七隻、六十二年二千三百六十九隻、六十三年千八百八十三隻、平成元年二千六百十隻、こういうふうになっております。六十三年にちょっと減っておりますが、また元年にはふえておるわけであります。もちろんこれが全部不法操業をしておるということではありませんけれども漁業種類別に見ますと、トロール、底びき網、まき網船操業増加をし、アナゴかご漁については低下傾向にあるように見られます。そして、これら韓国船操業によってタイ、ヒラメ、ズワイガニ等の比較的価格の高い底魚資源減少が非常に憂慮をされる、こういう状況にあることもまた御承知をいただいておることと思います。特に、我が国漁船資源保護のため休漁期間としている六月、七月、八月の三カ月間に韓国船大挙日本近海操業する、こういった事態について厳重取り締まりを求める沿岸漁民の声は極めて切実であります。再三にわたっていろいろと日韓の間で協議もされておるわけですが、一時的に少しよくなったかと思うと次の年はぐっとまたふえる、こういうようなことで全体として一向に事態は改まっていない、日韓漁業自主規制措置は厳守をされていない、こういう状況にあるわけであります。また、底びきについては日韓漁業自主規制対象に入っていない、まき網もそうですかね、そういうようなこともあって非常に深刻な事態を招いているわけであります。  関係漁協の話によりますと、韓国大中まき網漁船百三十五トン型が、運搬船、火船を含めて百隻近い大船団を組んで島根県の大社沖から西部の海域操業し、領海十二海里を侵犯する事例も決して珍しくない、こういう状況だと聞いておるわけであります。また、小型底びき船も百隻ぐらいの集団で秋田県沖ぐらいまで出漁している、こういうような話も聞くわけであります。単に操業するだけでなく、我が国漁船操業を妨害する、集団で取り巻いておどすというような事態もあるというふうに聞いているわけであります。しかし、海上保安庁等指導を要請して巡視船が現場の海に到着するころには、はるかに姿を消していてなかなかそうはいっても正確に現状の把握ができてない、こういう実態にもあるようであります。  これらの点について、現状水産庁はどういうふうに認識をしておられるのか。また、底びきやまき網自主規制対象に入っていないところにもし根本的な問題があるとすれば、それはぜひ自主規制対象にすべきだと思いますが、この点、どういうふうにお考えになっておるか。まず最初にこの点、ちょっとお聞きしたいと思います。     〔委員長退席石破委員長代理着席
  4. 京谷昭夫

    京谷政府委員 御指摘ございましたように、日本近海におきまして相当数韓国漁船操業しておりますこと、事実でございます。また、この操業をめぐりまして日韓漁業協定のもとで昭和六十二年にいわばその上乗せとして両国間で自主規制措置合意をしまして、この遵守について約束をしたわけでございますけれども、その後におきましても、ただいま申し上げました韓国船操業がこの協定なりあるいは自主規制措置違反をした操業をしておるという実態があること、これも事実でございます。  たび重なるそのような状況に対応して、日韓漁業共同委員会ではもちろん、いろいろな実務者レベルでの協議を通じまして先方に極めて強い注意喚起をすると同時に、韓国側指導取り締まり強化するように重ねて要請をしてきておるところでございます。  御指摘のように年によって若干、違反案件、消長がございますが、率直に申し上げまして、昨年、一九八九年はやや目立った違反案件増加が見られたようでございます。ことし一九九〇年に入りましてからは、私どもの判断で見る違反操業というものは若干減少をしているのではないか、こういう現象が見られるわけでございます。  また、我が方につきましても、取り締まり指導体制強化しておりまして、水産庁あるいは関係県の取り締まり船の出動はもちろんのこと、海上保安庁にもお願いをして我が方の取り締まり指導強化をしておる、こういう状況でございます。今後、引き続きこのような体制先方指導取り締まり強化、我が方の取り締まり体制の一層の強化ということを努力していきたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今の質問の中にありました底びきとトロール自主規制対象に入っているかいないか、入っていないとすれば入れてほしい、こういう点はどうかということを次の答弁のときにお答えをいただきたい、こういうことです。  引き続きまして次の質問に移りたいと思いますが、今の長官お話を聞いておりますと、我が方の取り締まり体制も幾分かは強化して対処をしている、こういう話でしたが、この韓国漁船不法操業をなくすためには、より根本的な措置としては日韓漁業協定の改定だとか、あるいは二百海里の設定だとか、そういう方法を講ずることが非常に大事になってくるわけですが、その点については次の項で伺いますけれども、当面の措置として、取り締まり体制強化について二、三伺っておきたいと思います。  一つは、まず日本側取り締まり体制強化することについて、現在、私が島根県の農林水産部に聞いたところでは、水産庁の正規の取り締まり船が一隻、ほかにチャーター船が一隻、島根鳥取両県の取り締まり船が各一隻、海上保安庁巡視船が何隻かわかりませんが、そういうことで一応取り締まりがされておる。しかし、日本取り締まり船では、不法操業を発見しても御承知旗国主義がありまして検挙ができない。スピーカーで不法操業だ、退去しなさい、こう言っても、検挙されないので、これを無視して操業を続ける韓国船もあるようであります。それにしても我が方の取り締まり体制をもう少し強化することはできないか。まず、この点についてお伺いしたいと思います。
  6. 京谷昭夫

    京谷政府委員 先ほど答弁を落としまして恐縮でございます。  現在合意をしております自主規制措置の中で、まき網、底びき漁業について特段の定めはございませんが、底びき漁業につきましては協定作成の際の合意議事録におきまして期間禁止約束がございます。六月から八月まで、ちょうど我が方の底びき船の禁止期間の時期は合意議事録によって先方もその期間禁止をするという合意が行われております。
  7. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今の質問についての答えは。
  8. 京谷昭夫

    京谷政府委員 御承知のとおり韓国漁船の主たる操業水域が、山陰、北陸、さらに九州の福岡、長崎県の地先にわたる大変広大な西日本水域にわたるわけでございまして、私ども、両水域にまたがって全体としての取り締まり努力をしておるわけでございます。  先方操業事情、季節によっても若干変わりますが、通常ベース水産庁が出動させております漁業取り締まり船は、九州地方も含めて大体十隻が全体の勢力でございます。時期によりましてこれにほかの地域から動員をいたしまして、季節的にプラスすることもございます。昨年の例ですと、時期的に六隻ほどほかの地域から出動させて、操業が非常に錯綜する繁忙期には補強するという措置をとった経緯もございます。そんな状況でございます。
  9. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今聞きますと、県の水産部で聞いた状況に比べればかなりの数の取り締まり船を配置して取り締まりをしていただいているようですが、この取り締まりの問題に関連をしてもう一つ伺いしたいと思います。  一つは、韓国指導船が出動したときには非常に効果がある。直接拿捕する、逮捕する権限も持っておるわけですから非常に効果がある。しかし、これも私の聞いた話では、非常に効果があるけれども韓国取り締まり船九州沖まで含めて今一隻か二隻ということで非常に手薄だ、何とかもう少し韓国側指導船の隻数もふやしてもらえないか、これが一つ。もう一つは、日韓共同取り締まり期間設定して、一回一週間、年四回実施をされているようですが、この期間中の不法操業については非常に効果がある、こうも聞いているわけであります。そこで、これは私の考えですが、これをもう少し強化をして、特に問題になっている六、七、八月の日本側休漁期間中にある程度集中するという措置はとれないものかどうか、この点についてお伺いいたします。
  10. 京谷昭夫

    京谷政府委員 先ほども申し上げましたけれども韓国漁船違法操業を絶滅させるべく、私どもいろいろな機会を通じて韓国側善処方申し入れておるわけでございます。その一環といたしまして、昨年の暮れに取り締まり担当者実務者協議を行って、ただいま先生から御指摘のありましたように、韓国側のいわば指導取り締まりの任に当たる船の配置数をふやしてくれという申し入れ一つしてあります。それで先方としてもできるだけそれにこたえようということで、実は大型の取り締まり船を建造しておるという回答を我々は得ております。これが完成し次第日本水域取り締まりのために配備をするつもりであるということです。  また、取り締まりの実を上げるために二つ目の問題として、違反が多発するいわば繁忙時に双方取り締まり船共同行動をして取り締まりをやろうじゃないかという申し入れを我々はしておりまして、これにも先方は応じておりまして、本年に入りましてから既に四回にわたりまして共同取り締まり双方取り締まり船が連絡をとり合ってやったという実績を得ております。  それから、私ども先方との間で監督官お互いの船に交換をして相手側取り締まり状況をよく見るという仕組みも実行しておりまして、これは相互主義双方同数ということになるわけでございますけれども先方取り締まりが真に効果的に行われているかどうか、また先方も我が方の取り締まり状況をよく見学をしてもらうという形で、取り締まり担当者同士意思疎通を図りながら、双方取り締まり効果が上がるような工夫をいろいろ重ねておるという状況でございます。
  11. 石橋大吉

    石橋(大)委員 長官もあちこちで再三にわたってそういう陳情を受けておられますので、今後とも一層効果のある取り締まりお願いをして、先に進みたいと思います。  次に、二百海里の設定の問題と韓国漁船等入漁規制の問題について少し伺っておきたいと思います。  さっきもちょっと言いましたが、今の韓国漁船不法操業、一方における資源の激減、こういうこともありまして、日本海沿岸漁民の二百海里設定に対する非常に切実な要求があるわけであります。ここ数年来の政府に対する島根県の要望事項のトップは、この次ちょっとお尋ねをしたいと思っておりますが、竹島返還問題と二百海里の設定問題であります。  そこでまず二百海里設定問題についてお伺いしますが、東経百三十五度以西は二百海里の対象から外されている、こういう問題があるわけですね。まずこの点について、全面的な二百海里宣言を一日も早くしてほしい、こういうのが大体全国的な漁業関係者要望だと思っております。特に、日本海側東経百三十五度以西の二百海里設定の将来見通し、またいろいろの障害があるとすればその条件整備も含めて、水産庁としてはどういうふうにお考えになっておるか。この際、先行きの見通し条件整備、そういうことについてちょっとお伺いをしたいと思います。
  12. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えをいたします。  従来の経過だとか取り締まり状況考え方につきましては、ただいま水産庁長官からるる申し上げたとおりであります。非常に苦労してやっておる。また、今先生指摘のように、沿岸関係者の方々を中心にして、二百海里の適用あるいは設定を一刻も早くやるべきだという強い要望があるということは私どもよく承知しております。また、両県の知事さんなどからも、両県というのは島根あるいは鳥取知事さんなどからもお話が強くあるというところでございます。しかし、これも先生よく御承知のとおりでございまして、これを実現するということのためには日韓漁業協定あるいは日中漁業協定そのものを改定しなければならないということでございます。また、韓国及び中国周辺水域でやっております我が国漁船操業問題等にも微妙に影響を及ぼすということなどもございまして、率直に申し上げて、早急にこれを実現するということは極めて困難な状況にあるということもぜひ御了承願いたい、御理解願いたい、こう思うわけでございます。  したがって、当面は既存の協定の枠組みの中で、先ほど長官がいろいろお話をしておりますが、韓国中国の協力も得ながら、両国漁船日本周辺水域での操業適正化のために最大限努力をするというふうに私ども考えております。長期的には、安定的な漁業関係の樹立に向けましてさらに努力を続けてまいりたいということを申し上げるわけでございます。
  13. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今の問題に関連をして、予定をしております質問二つ一遍に申し上げます。  今、二百海里を設定するに当たっては、我が方の側の漁船韓国海域といいますか、あるいは中国海域、そういうところへ行って漁をしているということとの兼ね合いもあってなかなか難しいということですが、そういう場合にも問題があると私は思っております。そういう面もあると思いますけれども、長い将来を考えたときには、相互に二百海里をきちんと設定をして、その中で資源をふやすことや適正な操業をすることなどを通じて安定的に漁業をやっていくということの方が、相互のためにむしろ好ましいんじゃないか、こういうことも十分考えられると私は思うのですね。そういう意味でぜひできるだけ早く二百海里の設定をしてほしいし、また仮に二百海里を設定しても、韓国中国漁船がその中で自由に操業できるような状況というものをやはりこの際、今言ったような観点から相互にきちっと整理をしていく、そういうふうにぜひしていただきたいと思っておりますので、この点についてもし考えがあれば、今大体それ以上のお答えはできないかもしれませんが、聞きたい。  同時に、今大臣が言われましたように、当面は現在の自主規制の範囲の中でできるだけ効果の上がるような方向で全力を尽くしたい、当然そうしていただきたいと思いますが、さらに一歩突っ込んで、もし二百海里の設定が早期に実現できないとすれば二百海里にかわる暫定的な漁業専管水域設定して、例えば三十海里か五十海里か百海里か、そういう意味でもう少し漁業資源をちゃんと守るような措置はとれないかどうか。御承知のように、今韓国漁船操業状態を見ると、本土側の十二海里そして隠岐島の十二海里の接点のところ、人の体に例えますと頭と胴体のつながる首根っこの狭くなったところ、ここに漁船が集中しているわけですね。そういうようなこともあって、例えば三十海里か五十海里に専管水域設定すればそういう点ではかなり不法操業を防ぐことができる、こういうような問題もありますので、仮に暫定的にそういうことは考えられないかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。     〔石破委員長代理退席中川委員長代理着席
  14. 京谷昭夫

    京谷政府委員 大臣からも御答弁申し上げましたとおり、韓国中国は現在二百海里漁業水域ないしは経済水域という仕組みを採用しておらないわけであります。我が国も、いわばそれとの相互主義関係も考慮しながら、我が国としてこの両国に対して二百海里水域を主張しないという立場をとりまして、その両者の前提の上に現在の日中及び日韓漁業協定が定められておる、こういう状況でございます。一般的に二百海里体制というものが定着をしつつある中で、世界の中でも大変珍しいケースであろうかと思っております。  そういう状況下で二百海里体制韓国中国に対して我が方として主張していくことについて先方がどのような考え方を持っているかということについて、率直に申し上げましてそう念の入った論議をしておるわけでございませんが、現状先方が二百海里体制をしくという感触は必ずしも得られておらないのが実情でございます。そういった状況の中で、先生おっしゃるように、日本韓国はもちろんでありますが中国も含めて、それぞれの国が漁業活動対象とする水産資源というものが、何といいますかかなり重複をしておる、共通の水産資源対象にした漁業活動をしている面が多い。その資源状態が将来非常に懸念される状態である。操業が錯綜していろいろ紛争が起こるということのほかに、そういった問題も実はあると思っておるわけでございます。したがいまして、資源管理という面あるいはまたお互い漁船の安定的な操業ということを考えた場合に、できるだけ関係者合意のできる仕組みを何とかつくり出さなければいかぬという認識を私ども基本的には持っておるわけでございますけれども先方が二百海里体制をとらないという状況のもとでいかなる仕組みが可能であるかということについて、私どもも内々大変苦慮をしておる状況でございます。  韓国との間の現在の自主規制措置というのは、御承知のとおり一九九一年十二月までということで現在成立をしておるわけでございます。少なくともこれは予定どおり期間、これに従って実行していくことになると思いますが、その後をにらんで何が可能であるかということについて私どもなりの検討をし、また先方がいかなる了解が可能であるかということも含めて、いろいろ我々としての努力をしていく必要があるのではないか、こういう認識を持っておるわけでございます。具体的な方式としていかなるものが可能であるかということについてこの場で申し上げることは私もできませんけれども、そういったただいま申し上げましたような視野の中で、先方事情、また我々が考えなければいけないことということをいろいろ織りまぜて検討していきたい、かように考えておるところでございます。
  15. 石橋大吉

    石橋(大)委員 外交問題の絡んだ微妙な話ですから、私が申し上げましたように沿岸漁民の皆さんの大変強い要望、切実な要求を踏まえてぜひひとつ善処をしていただきますようにお願いをして、次に進みます。  次は、竹島の返還問題について外務省伺いたいと思います。  私は、昭和六十二年八月十九日の本委員会において、竹島問題についてある程度詳細な質問をさせていただきました。そのときの海上保安庁警備救難部警備第二課長報告では、六十一年十一月時点の調査結果として、東島に灯台一基、見張り所四カ所、兵舎等六棟、角型鉄塔二基、鉄製やぐら二基、各種アンテナ等施設を認め、また、韓国警備員と思われる者を視認した、こういう報告を受けておるわけであります。その後の竹島状況はどうなっているのか、最近の海上保安庁に委嘱しての外務省調査結果について、まず実情をお聞きしたいと思います。なお、その後、韓国漁民が一世帯竹島に定住したというような新聞記事を見た記憶もあるわけでありますが、その点も含めて、まず現状をお聞きしたいと思います。
  16. 今井正

    今井説明員 お答えいたします。  竹島につきましては、歴史的事実に照らしましても国際法上から見ましても、我が国固有の領土であるということは明白でございまして、政府は、韓国側による同島の不法占拠及び各種施設の構築をまことに遺憾であると考えておりまして、かかる我が方の考え方は種々の機会をとらえて韓国側申し入れているところでございます。  御質問の件でございますけれども、例年竹島巡視が実施されておりまして、最近では昨年の十一月に巡視が実施されました。その巡視とそれまでの累次の巡視と合わせた調査結果によりますと、竹島には、現在、灯台、見張り所、居住施設、コンクリート製の建物、それからアンテナ等の建造物が構築されておりまして、警備員も配置していることが確認されております。前回との比較で申しますと、アンテナ等に若干の増設が見られるようでございます。それから、御指摘の一家族そこへ居住しているということにつきましては、報道では承知しておりますけれども、詳しいことは承知しておりません。  いずれにいたしましても、政府といたしましてはかかる巡視結果に基づきまして、竹島にある各種施設の即時撤去及び韓国官憲の即時退去を繰り返し韓国側申し入れているところでございます。
  17. 石橋大吉

    石橋(大)委員 引き続いて外務省伺います。  現状は六十二年当時と余り変わってない、若干のアンテナ等の増設がある程度、こういう説明が今あったと思います。六十二年八月十九日の本委員会における私の質問に対しまして、当時の外務省答弁として、昭和二十七年に韓国がいわゆる李承晩ラインを設定して竹島をその内側に含めた際に、口上書で竹島に対する韓国の領土権の主張は断じて認められないという旨を厳重に申し入れて以来、当時までに口上書の形によって五十三回にわたって抗議をしている、また、口頭によるものとして、昭和五十三年以降当時までの間に、外相会談、外相レベルにおいての提起回数十五回に及んでいる、こういう報告を受けておりますが、その後の日韓の間での主要なやりとりはどういうふうになっているか。  同時に、最も最近の日韓の最高級レベルの会談で竹島問題についてどういう交渉が持たれたか。そのとき竹島問題に限って何時間くらいかけてどういう話があったか。交渉内容について変化があったかどうか。実のある交渉ができておるかどうか。私たちの見たところによると、形式的な口上書を繰り返すだけで、本当に竹島を返還してほしい、こういう強い日韓の間の交渉になっていないのではないかという感じがしてならないわけでありますので、余り時間がありませんから詳細な話はできないかもしれませんが、重点的な話を報告していただきたいと思います。
  18. 今井正

    今井説明員 お答えいたします。  昭和二十七年に韓国がいわゆる李承晩ラインを設定した直後に、口上書で竹島に対する韓国の領土権の主張は断じて認められないということを厳重に申し入れまして以来、過去三十年、各種の機会に我が方の立場を伝えてきたところでございますけれども、口上書の形では現在までに五十七回にわたって抗議しております。  最近のやりとりの中で一番最近の申し入れはどういう形で行われたかという御質問でございますけれども、ことしの四月末にソウルで行われました日韓外相会談の席上におきまして、外務大臣より韓国側に対して我が国の立場を明確に伝えております。
  19. 石橋大吉

    石橋(大)委員 今、最近のやりとりについてちょっと話がありました。いずれこの問題だけで一時間か二時間ぐらいでもとって、予算委員会ででもやらなければならぬ質問だと私は思っていますけれども、きょうは時間がありませんので次に進みます。  さっきも言いましたように、昭和二十七年といえば一九五二年、李ラインが引かれてから約四十年たっているわけですね。昭和五十三年、一九七八年に日本漁船竹島周辺から韓国によって退去を求められてからも十二年たちました。一体何年たったらこの問題は解決をするのか。ソ連の北方四島についてはあれだけ大々的なキャンペーンを張って、そして繰り返し返還が迫られている。日韓の間には日ソ関係よりもはるかに進んだ友好関係がある。こういう状況であるにもかかわらず、四十年たってもらちが明かない。このまま行くと、また四十年たっても一向にらちが明かない、こういうことになっているように思うのです。そういう意味で、一体どうするつもりか、こういうことを外務省伺いたいわけです。  時間がありませんので、最後の質問まで一緒にさせていただきます。  御承知のように、自民党の実力者金丸さんは、北方四島を買い取ったらどうか、こういうようなことを言って非常に世間を騒がせたこともありますが、竹島日本固有の領土ですから買い取るという立場にはない。しかし、問題を解決するに当たっては、何ぼかの手打ち金を打ったり和解金を払ったりして話をつけることもないことはない。そういう観点で言えば、御承知のように中曽根さんが内閣総理大臣に登場されたときに、その前内閣で韓国から四十億ドル要求されて、当時の園田外務大臣がなかなかうんと言わなかった、頑として受け付けなかったものを、中曽根さんが登場して一発で解決した。四十億ドルといえば物すごい大金ですね。今度盧泰愚大統領が来られてそういう話があったかどうかは余り表へ出ていませんが、恐らく日韓経済協力の問題などを含めて具体的な話があっただろうと私は思うのです。そういうような話のときにやはり竹島問題もセットにして本格的な交渉をしたらどうか、私はそういうふうに思うのです。事実上軍事占領されたままですからね。日韓友好とはいいながら、実際には今のままの姿勢だと、どこまで行っても韓国は上からがっと物を言う。日本政府はどこまでも下から言わなければいかぬ。軍事力の発動をせいとは私は言いませんが、どちらにしても何とか現状を打開するために真剣な努力をしていただきたい、こういうふうに思いますが、竹島を和解金を払って解決するようなことも含めて、外務省、どう考えておるか、念のためにちょっと聞いておきたい。
  20. 今井正

    今井説明員 お答えいたします。  政府といたしましては、竹島の領有権に関する日韓間の紛争はあくまでも平和的手段によって解決を図るという基本方針に立っておりまして、外交経路を通じて韓国政府に対し、韓国竹島に対する領土権の主張は認められない旨厳重に申し入れるとともに、累次の巡視結果にもとづき、韓国側各種施設を設け不法占拠を続けていることに対しても、繰り返し抗議、申し入れを行うなどの外交努力を継続しているところでございます。このような日本側の累次にわたる抗議、申し入れに対して韓国側が今のところ応ずる気配がないということはまことに残念なことではございますけれども政府といたしましては、領土問題については長期間にわたる粘り強い努力が必要と考えておりまして、引き続き、国交正常化の際に取り交わした紛争の解決に関する交換公文にのっとりまして、外交上の経路を通じて今後とも粘り強く話し合いを続けていきたいと考えております。
  21. 石橋大吉

    石橋(大)委員 大臣も御承知だと思いますが、この竹島中心に二百海里を設定すれば、日本列島の関西から西、下関ぐらいまでの範囲が我が国の漁場になる、これぐらいの広さを持っているだろうというふうに言われているわけですから、そういう意味で、漁業者にとっては非常に切実な要望であります。同時に、日韓友好のためにも、いつまでもこの現状で放置しておくわけにはいかない問題である、そう思っております。  きょうは、外務省課長ぐらいしかここには来られませんから課長に対していろいろ厳しいことを言いましたが、最後はやはり政治的に政治家が判断すべき問題ですから、ぜひ大臣も、閣議その他を通じてそういう方向で努力をしてもらいたい、このことを要望しておきます。  次に、イワシ資源の激減と将来見通し関連をして一つだけ質問をしたいと思います。  水産庁の資料をいただきましたが、八八年漁期の北海道東部におけるマイワシの一歳魚の来遊尾数は、八七年漁期の二分の一に激減している。八九年漁期における道東漁場の二歳魚の来遊尾数は、八七年漁期の来遊尾数の十分の一、八八年漁期の二歳魚の来遊尾数の五分の一に激減し、一歳魚はほとんど認められなかった。九〇年漁期の常磐、房総漁場の未成魚越冬分は極めて不漁であった、こういう実態のようであります。最近少し回復しているという状況もあるようでありますが、このような北海道や常磐、房総漁場のイワシ漁の不漁の実態を聞いて、山陰沿岸でも、すわイワシの魚種交代期の訪れかと、こういうことで、イワシ漁をやっているまき網船団や、それを加工しているミール工場の経営者、従業員、それから養殖漁業をやっている人たち、今非常に不安な目でもってそういう状況を見ているわけであります。山陰海岸では別に今激減をしているということはないのですが、やがて回り回って山陰日本海にも来るんじゃないか、こういう意味で非常に心配しているわけであります。御承知のとおり、昭和三十年代のイワシ漁は全国で一万トン程度だったと私は思っておりますが、大変な不漁の時期があったわけですけれども、最近は毎年我が国の総漁獲量の四割、四百万トン前後の水揚げが続き、豊漁が続いていたわけであります。この豊漁を前提にして、全国各地でタイ、ハマチの養殖、また大型のミール工場が設置をされたりして、そういう意味では、膨大な漁獲をできるだけ付加価値をつけてやるというような形での設備や養殖漁業などが進んでいるわけであります。  イワシには科学的に解明できない魚種交代という不思議な現象があって、非常な豊漁が続いたかと思うと、ぱたっと漁獲がなくなってしまう、原因がよくわかってない、こういうふうに言われております。かなり長期の周期性を持ってそういう変動があるというふうに言われているわけですが、この魚種交代の時期が来たのではないか。そしてまた、そういうイワシ漁業の将来見通しについて、今言ったように大変な不安を持っておりますので、水産庁状況認識、将来見通しについてお伺いしたいと思います。     〔中川委員長代理退席、石破委員長代理着席
  22. 京谷昭夫

    京谷政府委員 イワシの資源状況についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおりなかなかメカニズムの詳細についての解明はまだついておりませんけれども、非常に長いサイクルで資源の変動サイクルがあるということは事実のようでございます。最近の状況で申しますと、一九六五年が実はこのサイクルのボトムであったわけでございますが、全国での漁獲量が九千二百トン、こういう時期がボトムとしてあったわけでございます。その後増加に転じまして、一九八八年が四百四十九万トン、これが結果的にはピークになっておりまして、その後八九年には四百十五万トン、昨年でございますが若干減少したということで、これは全国ベースでの状況でございます。  御承知のとおり、このマイワシの資源系群は、大ざっぱに申しまして太平洋系と日本海系に大別をされるわけでございますが、太平洋系については先ほど先生から御指摘ございましたような減少が見られるわけでございます。つまり、現在の資源内容を見ますと、八七年以降に生まれて資源に転化される数量が若干弱目になっておる、ただ、それ以前に生まれたものがかなりまだ豊富にあるということで、生産量としては三百万トン前後のレベルを持っておるわけでございますけれども、もう少し資源転化の状況を見きわめていく必要があるということで、今後の資源動向を私どもは注意深く見守っていきたいと考えております。それから、日本海の系統につきましても、八八年に生まれた資源量がやや弱化したという時期があるのですが、八九年、昨年の状態を見ますと、また回復をしておる。したがって、日本海系統についてはかなり資源転化量が豊富であるので、安定的に高水準が維持されるのではないか、こういう見通しを持っております。  太平洋系群について若干の変化の兆しが見られますけれども先ほど申し上げましたように、サイクルの長さというのがボトムから山の一番高いところまで二十年余りあるわけでございます。サイクルの長さから考えまして、近々のうちにそう大きく変動するというふうには考えておりませんけれども資源内容の変化について注意深く見守っていく必要がある、こういうふうに考えておる.ところでございます。
  23. 石橋大吉

    石橋(大)委員 あと余り時間がありませんので、次は、日本海における漁業資源の確保に関連をして、きのうも福井選出の辻議員からズワイガニやべニズワイガニ等のカニ資源の枯渇対策についてかなり詳細な質問がありましたから、私はこれは省略をしますが、栽培漁業の最近の成果といいますか、その辺をどういうふうに水産庁としては評価をされているのか、ごく簡単にお伺いをしたいということが一つと、もう一つは、島根県の場合には隠岐島に栽培漁業センターがありますし、松江の近くの鹿島町というところに分場があります。しかし、西部の浜田漁港を中心にして本土側に栽培漁業センターをぜひ設置をしてほしい、こういう漁業関係者の非常に強い要望もあるわけであります。できれば国がその設置をしてほしい、こういうような話もあるのですが、国、県、どちらでもいいのですが、この栽培漁業センターのそういう要望に対してぜひひとつそういうことが出たときには水産庁にこたえていただきたい、こう思ったりしておりますが、この点についてどういうようにお考えになっておるか、ごく簡単にお伺いしたいと思います。
  24. 京谷昭夫

    京谷政府委員 まず、栽培漁業につきましては、御承知のとおりいろいろな技術開発が進みまして、魚種によっては、例えばクルマエビ、ガザミ、それからマダイというふうなものについてはかなり実用化段階に入っておるわけでございます。新しい魚種につきましても、国の栽培漁業センターあるいは都道府県の栽培漁業センター等々において、まだ実験段階あるいは実用化のための試験というふうなものが多々あるわけでございますが、徐々に対象魚種も拡大をされていくであろう、かように考えておるわけでございます。その努力の一環として、御指摘のように栽培漁業センター、いろいろなクラスで全国的に配置をして活動を行っておるわけでございますが、私ども現在、国営栽培漁業センターとしては全国で十四カ所の事業場を持って仕事をしておりますが、この総量を拡大をする計画は現在のところございません。ただ、これをベースにしながら各都道府県段階で栽培漁業センターの新規設置なりあるいは機能拡充という形でいろいろな御援助を申し上げておる次第でございます。まだ拡大の余地はあるようでございますけれども、各県の御要望等々お聞きをしながらさらに一層定着をするように努力をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  25. 石橋大吉

    石橋(大)委員 最後に、もう余り時間がありませんが、日本海漁業振興構想について、全体的なグランドデザインをひとつかいてほしい、こういう要望をしようと思っておったのですが、時間がありませんので飛ばしまして、後継者問題に絞って最後に幾つかお伺いをしたいと思います。後継者、若手の労働力の確保、さらには外人労働力の受け入れについてどういうように考えておられるか、こういう点についてちょっとお伺いをしたいと思っています。  私はこの間、六月の二、三、四と鳥取県の山奥へ入って林業の調査をしました。これは恐らく全国どこでもそうでしょうが、林業地帯は若手の労働者、後継者がいないために悲痛な叫びを今上げております。農林水産省の統計を見ましても、昭和五十八年の農業への新規学卒の就業者数は七千五百三十九、これが六十三年は三千九百八十二人、林業への就業者数は、昭和五十八年三百十八人が、昭和六十三年では二百、漁業への就職者数は、五十八年千七百四十一、これが六十三年には千百九十五人。中学校、高校を卒業して新規に農林水産業へ就業した者、非常に激減をしているわけであります。悲痛な叫びが上がるのは当然だ、こう思っております。そういう意味で農業、漁業、林業ともに私は第一次産業はこのままだと労務倒産の危機に直面をしている、こういうふうに思っていますが、そういう意味で全体的に非常に大きな問題でありますけれども、きょうは漁業関係の後継者、若手の労働者の確保について、まず大臣、どういうふうにお考えになっているかということをお聞きして、全部をまとめて言いますからお答えをいただきたいと思うのですが、そういうことがまず一つ。  それから、さっき言いました私のところの浜田の漁業関係者の話を聞いても、水産高校が地元にあるのですが、ことしの三月三十一日で水産高校を卒業した生徒が、何ぼおるかはちょっと確認しませんでしたけれども、一人も漁業関係に就職してない、こういう状況があるということです。これも恐らく全国どこの水産高校も大勢はそういう状況じゃないかと思うのですね。水産行政の立場からも、そういう水産高校の実態なんかも踏まえて若手の労働者をどうするか、抜本的な手を打たないといけない状況に今直面していると思う。この点についてどういうふうにお考えか。  それからもう一つ、高齢者の利用についてどういうふうにお考えになっているか。御承知のとおり、沖合漁業や底びきだとかトロール船なんかに乗っている人たちは、船員ですから船員年金の受給資格がある。最近は御承知のとおり政府も全体として厚生年金の受給開始年齢を六十五歳に延ばして、できるだけ働いてもらおうというのが社会的な一般的な趨勢になっていますが、船員の場合は五十五歳で受給資格ができると同時にさっさと船をおりてやめられる。若手の労働者が不足をするということと、一方において比較的早期に船をおりて年金生活に入られる、こういう状況があるものですから、困りに困ったあげくの果てだと思いますが、そういう五十五歳以上の年金受給をしている経験豊かな人たち、これをもっと積極的に何か活用する手はないのかどうか、こういう話がかなりあるのですね。この点についてどう考えられるか。  最後は、外国人漁船員の受け入れの問題です。今度の白書によりますと、「外国人労働者の陸上への受入れについては、閣議了解により原則として受け入れないこととされていることから、漁船船員についてもこれを準用して行政指導が行われている。しかしながら、遠洋漁業等においては、外国二百海里水域操業する場合に沿岸国から自国民の雇用を要求される場合が多く、また、外国の港を基地として操業するなどの特殊事情がある。このため、関係者間において、従来の閣議了解の趣旨を踏まえつつ、一定の制限を設けた上で、外国人漁船船員を乗船させる方向で検討が進められている。」ここでは、外国二百海里水域操業する場合と外国の港を基地として操業する場合に限って外国人漁船員を乗船させる方向で検討が進められている、こういうふうに平成元年、ことしの漁業白書では外国人漁船員の問題が触れられている。  私がここでお尋ねしたいのは、さらに一歩を進めて、国内漁業への外国人労働者の受け入れ問題について、水産庁の見解を承りたいわけであります。水産庁へも陳情が出ていると思いますが、ことしの一月に、山口、島根、福岡、佐賀の四県の沖合底びき網漁業の団体、それから島根県の浜田漁港を中心にした沖合底びき漁業をやっている人たち、漁協、そういう県の四団体からも外国人漁船員の受け入れについて水産庁の方にも恐らく陳情が出ていると思いますが、そういうことも一つありますし、それから最近、この間の六月九日の朝日新聞にも出ていますが、労働省が外国人労働者の受け入れについて、技能研修枠を拡大をする、こういう方向で対応するように今検討に着手した、この年末までには報告書をまとめる、こういう動きもあるようであります。そういうことと関連をさせながら、水産庁としても新しい観点で外国人漁船員の受け入れの問題を検討しなければいけなくなっているのではないか、こういうふうに思ったりもしているのですが、この点についてお答えをいただきたいと思います。時間がちょっと来ましたので、ごく簡単に要領よくひとつお答えいただきたいと思います。  以上です。
  26. 山本富雄

    山本国務大臣 いろいろ申し上げたいこともございますけれども、時間の関係もありまして、具体的にはこの後、水産庁長官から補足で答弁をしていただきます。  先生指摘のとおりの数字を私もときどき見まして、これは何とかしなくちゃいかぬなという気持ちをいつも持つわけでございます。漁業に限って申し上げてみても、日本漁業の将来性ということを考えつつ、担い手の方々に、こういう希望があるんだよ、また、人間として親から受け継いだ仕事を次の人に受け渡さなくちゃならないというふうな、精神の問題、モラルの問題、人生観の問題、そういう問題なども問いかけながら、しかし、一にも二にも漁業が魅力ある産業である、そういうふうに各施策を総合的に展開をして事実で示していく、そして若い方々にわかっていただく。中身につきましてはいろいろ変わってきますから、ただ数が少なくなったから、そのことが将来性がないんだということには短絡的には結びつかないと私はいつも思っております。いずれにしても、将来性のある産業に漁業を育てていくということに集中的な努力を払ってまいりたい、こう考えております。
  27. 京谷昭夫

    京谷政府委員 漁業におきます労働力問題、御指摘ありましたように、大変深刻な状況になっておることを私どもよく承知をしております。そのために、若年労働者、漁業後継者の漁業就業を進めるための各般の施策、さらにまたお話のございました老齢労働力の活用という点についても、いろいろな施策、手段を講じて努力しておるわけでございますが、ただいま大臣からもお話し申し上げましたとおり、やはり漁業を魅力ある産業として確立をしていくということが最も基本的な課題であろうかと考えております。  また外国人労働者問題、お話にございましたように、遠洋漁業、外国水域で展開をするものについて一部条件つきで許容される道が開かれたわけでございます。ただ、国内で従事するものについては、先生指摘のとおり閣議了解がございまして、国内の雇用問題等とも絡んで一般的には許されないという状況でございますが、関係業界から先生お話しされたような要望を私ども聞いております。閣議了解の基本原則、これは政府全体の問題でございますので、その枠組みの中で今後何が可能かという議論、実はこれは漁業に限らずいろいろな業界に内在をしている問題でございます、そういう政府全体としての論議の中で、私どもの抱えている問題というものも提起をし、私どもとしても他の業種とあわせて論議に参画をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  28. 石橋大吉

    石橋(大)委員 時間が少しオーバーしましたので、これで終わりたいと思いますが、いずれにいたしましても非常に切実な問題でございますので、今後ともひとつ鋭意努力をしていただきますようお願いをして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  29. 石破茂

  30. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 私は、今御審議の最中であります水協法の問題と、それから後段では、漁業、それから漁場、あるいは漁民の安全性の問題、これは最近起きましたいわゆる海難事故との関係でお尋ねをしたい、こういうふうに思っております。  まず初めに、水協法の関係につきましては、もう昨日来の同僚委員による御質問、それから水産庁中心にした御答弁かなり突っ込んだ応答があったと思いますので、補足的になろうかと思いますけれども、お尋ねをしておきたいと思います。  そして、その前提として、これはもう申し上げるまでもないことですけれども、何といっても我が国は世界有数の水産国であります。とりわけ私の出身地であります北海道は、太平洋、オホーツク、日本海に囲まれております。海岸線の延長は二千九百五十キロという長大なものでありまして、また、沖合にはオホーツクでは北見の大和堆、それからまた日本海側には武蔵堆などの大変すばらしい漁場がある。また、寒流と暖流が交錯するということで、水産資源に恵まれた大変よい自然環境にあるわけですね。これはもう自然的なものでありまして、天与のものでありまして、これからも大事にしなければならないものだろうと思います。実際、北海道の漁業生産量というのは、これは昭和六十三年度の資料ですけれども、三百十三万五千トン、これは全国の生産量の二四・九%を占めて全国第一位になっております。それからまた生産額につきましても三千七百八十五億ということで、これも全国比一四・八%、これもまた第一位ということで、北洋と沿岸漁業をあわせて漁業水産業というのは北海道においての重要な基幹産業であることは言うまでもないわけです。  しかし、もうきのうからの御審議の中でも指摘されておりますように、この北海道の水産業についても大変厳しい状況が訪れております。これはもちろん米ソを中心にしたいわゆる国際規制の強化、目前に迫ったソビエトのサケ・マスの沖取り禁止の主張など、これはもう北海道の漁民としては大変な打撃を受けることになるわけでありますし、そういうことを反映して漁業者の経営は次第に悪化している。固定負債も増加をしている。これもまたきのう来御指摘のとおりであります。アメリカの方からもいわゆる対日漁獲割り当てがゼロになるというような、これまた厳しい処置も出ていて、今も石橋委員からお尋ねがありましたけれども、将来展望がなかなか見えてこないんじゃないか。そういう中で、後継者不足ということも心配をされている状況であります。それだけに、今後としては、北海道の沿岸の方々も努力はしているわけですけれども、いわゆる周辺の海域資源の高度利用だとか、あるいは資源の増養殖、培養、こういうことが非常に大事になってくる。つまり資源づくり、漁場づくり、人づくりというこの総合的な漁業の再構築ということが北海道の場合にも迫られているのではないだろうか、こう考えられるわけです。  そこで、今度のいわゆるこの水協法、それからもう一つ資源開発に関する法律の改正、この二つの法律が、特にこれからの北海道の漁業見通しとの関連で大きな貢献をすることになるのだろうか、そしてまた、こういう厳しい状況にあり、これからもう従来のやり方というのは北海道の場合に変えていく必要があるのかどうかというその展望ですね。しかし、先ほど申し上げましたような自然のすばらしい条件ということは変わらないわけですから、そういう中での北海道の漁業というものはこれからも重要性を減退させることはないだろうと思うのですけれども、この辺の将来展望、それからこれを強化していく方策、今度の二つの法案がどういうようにこれに生かされ、活用され、貢献していくのか、この辺について大臣水産庁長官に御所見をお伺いしたいと思います。
  31. 京谷昭夫

    京谷政府委員 ただいまお話ございましたように、北海道の水産業は地域の基幹産業として今日まで発展をしてきており、生産量あるいは生産額という点でも都道府県別では全国一位という状況に相なっていることは御指摘のとおりでございます。伝統的な北洋漁業あるいはまた周辺の豊かな水産資源という条件を生かしてこのような発展があったわけでございますが、お話ございますように、最近その北洋漁業については各般の国際規制があって、かなりのテンポで収縮を余儀なくされておるわけでございます。これは将来にわたっても恐らく大勢としては覆すことのできない流れではないかという認識を私どもとしても持っておるわけでございます。  ただ、一方におきまして国内、まさに周辺水域状況を見ますと、長年進めてきました国内のふ化放流によるサケの生産、そしてまた栽培漁業、養殖技術等と結びつきながら、ホタテ、昆布といったいわゆるつくり育てる漁業というものが大変急速な発展を見せておりまして、かなり中心的な役割を果たすようになってきておるというふうに私ども見ております。したがいまして、従来遠洋漁業という形で行われてきたいわゆる国際漁業部門については相当の再編成を余儀なくされるけれども、非常に豊かな周辺の水域なり、あるいはまたつくり育てるための技術発展、あるいはそのための施設整備を進めて、いわば日本一の水産地域としての地歩というものは今後引き続き保持をしていくであろう、こういう見通しを私ども持っておるわけでございます。  ただ、先生も御承知のとおり、生産性も非常に上がってきますし、また国際漁業の収縮というふうな現象も起こってくるわけでございまして、北海道の水産業における全体としての雇用吸収力というものは縮小せざるを得ないのではないか。それに合わせて、地域的に差はあろうかと思いますけれども地域全体としての産業構造のあり方なりあるいはまた雇用構造というものを、いわば水産業依存型、依存の程度というものをかなり変えていかなければいけない、こういう大きな課題があろうかと思います。私ども水産行政の立場で水産業のより一層の安定振興を担当していくわけでございますが、率直に申し上げまして、地域全体としての産業構造の変化あるいは雇用構造の変化ということになりますと、私の立場、私どものいわば能力からはみ出る部分が相当あるわけでございます。北海道当局ともよく御相談をしてまいるつもりでございますけれども、やはり各分野にまたがる政策的な努力、あるいはまた地域知事さん、市長さん方のそういった意味での構造変化に対する対応について特段のお知恵をかりていかなければいけない、こういう課題が伝統的な水産地域にあるのではないか、こういう印象を持っておる次第でございます。
  32. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 局長、あわせて、今度の二法がこれからの北海道漁業にどんな役割を果たすか、どういうことが期待できるか、その辺について、要約してで結構ですけれども、御開示いただけませんか。
  33. 京谷昭夫

    京谷政府委員 申しわけございません。  私ども先ほど申し上げましたように、北海道の水産業の将来について、やはり基幹になりますのは周辺漁場の有効利用、そしてまたつくり育てる漁業の育成であるというふうに考えておるわけでございますが、その際にやはり資源を大切に使うという意味におきまして、今回の水産資源開発促進法による資源管理協定というものを漁民の皆さん方あるいはまた漁業団体の皆さん方によく御理解をいただいて、いわば自分たちの財産を自分たちで管理をしていくという観点で、周辺漁場における水産資源の大事な使い方を一緒に考えていただくという意味でそれなりの役割を果たすものにしてほしいなということを考えておるわけでございます。  また、そういった資源管理協定の適正な実施なり、あるいはまたつくり育てる漁業の推進の上で、これまでも生産者の共同組合として非常に重要な役割を果たしてきております漁業協同組合等の関係団体がさらに経営の基盤を強化をして、これまでの指導的な役割を今後さらに強化をしていくために、今回の水産業協同組合法の改正によりまして漁業協同組合あるいは水産加工業協同組合双方につきまして各般の改正をお願いしておるわけでございますので、これらを活用して経営基盤を一層強化し、これからの北海道の漁業発展にさらに力を加えていただくという意味で大変有効に機能するのではないか。もちろん、単に法律を直すというだけでは不十分でございまして、実際に漁協の経営に当たられる方々、新しい制度を十分に御理解、御活用いただく、我々もまたそのために可能な限りのお手伝いをしていく、そういう条件づきではございますけれども、大変有効な改正として御評価をいただけるものと確信をしておる次第でございます。
  34. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 御答弁を一応了解することにいたしまして、ただ、今度の水協法の改正の内容を見ますと、一つには漁村地域の活性化を図るという方向が出ていると思うのですね。そこで、遊漁船ですとかも、これは後で准組合員資格との関係も出てまいりますけれども、レクリエーションだとかリゾートの観点からの事業をこの漁村地域でも進めよう、こういう意図も見えるように思うわけです。ただ、これに関連して、私の方の地元の専業漁業家の方から、経済的な観点などからそういう点を進めるということが逆にこの専業漁業家の漁業に対する意欲を減退させることにならないか。あるいは遊漁船だとかマイボートなどの増加、これは湘南海岸あたりでも既に大変問題になっていると思うのですけれども、漁港ですね、港の使い方など、これで漁船の係留だとか航行にも支障が出るとか、こういう問題が既に起こっているわけです。北海道の場合にはまだまだこういう点では余りケースとしては多くないのですが、今度の法律の改正によってこういうレクリエーション的な側面も増大されてくることになると、当然漁場あるいは漁港に漁船以外の船が出入りすることも多くなるし、漁場に出入りすることも多くなってくるということで、その資源の増養殖だとかあるいは操業だとか、そういうことに影響がないかということを大変心配される向きがあるわけでございます。確かに海もこれは漁民だけの海じゃないわけでありまして、国民みんなのものでありますし、また最近は釣りの愛好家も大変ふえておりまして、一説には釣りファンは三千万人ぐらいになるのではないかということもある。どうしてもそういうニーズというものを無視するわけにはいかなかろうし、これは農山村の活性化の問題ともあわせてですけれども、やはり地域の活性化という点ではそういう海浜の利用、あるいは海域の利用ということについてもレジャー的な側面が出てくる、使えるものは使いたいという声が出てくるのはやむを得ないことだと思うわけです。ただ、専業漁民に言わせますと、ここはおれたちの仕事の場なんだ、北島三郎の「北の漁場」の歌じゃないけれども、まさに男の仕事場なんだという感覚が非常に強いわけですね。一方、レジャーのための方々というのは、幾ら釣りをやるといってもしょせんは遊びなわけですから、これはやはり違うわけです、海に対する気持ちにしても、海との関係にしても。  こういう心配が非常にあるわけですけれども、この辺の調和をどうやって図っていくか、この点についてはどんなふうにお考えでしょうか。
  35. 京谷昭夫

    京谷政府委員 御指摘ございましたように、今回の改正におきまして、漁業をめぐるいろいろな状況変化を背景にしまして、一つには漁業協同組合の事業範囲といたしまして、遊漁船業等のいわばレジャー的な部分を事業の一部として取り込むような事業拡大、そしてまた組合員の基盤拡大の一環として准組合員というような形で遊漁船業者を入れ得る道を開いておること、御指摘のとおりでございます。私ども、こういった必要性あるいはまた可能性が全国各地域で同じように起こってきているとは思いませんが、やはりかなりこういう新しい情勢に対応しながら漁協経営というもの、あるいは漁村地域における漁協の役割というものを確固としてつくっていくためには、今回の改正に織り込まれているような事業内容の拡大なり組合員基盤の拡大ということを現在の組合員の御判断によって適宜決めていくということも一つの道ではないかというふうに考えて、今回の改正をお願いしておるわけでございます。  私ども、画一的に今回の改正を各地域で同じようにやっていくつもりはございません。しかもまた、各地域の条件に応じて現在の組合員の皆さん方が選択をして、どういう範囲まで自分たちの組合でやっていくか、あるいはどこまで准組合員を拡大するかということを、まさに現在の組合の定款改正という手続を経て実行していくわけですので、先生お話あるような御懸念というものは、事実上そんなにないのではないかと考えております。私どもも、その懸念を持っているという声を一部聞いております。やはりあくまでも現在置かれている各地域の漁協の実情、組合員の皆さんの意識の状態によって的確な判断、裁きがされていくことを我々としても期待をいたしますし、私どもとしても御懸念のような事態が生じないような指導をしていくつもりでございます。  また、確かにいろいろな漁業活動と船の利用をめぐりましていろいろな競合問題が事実上出ていることも私ども聞いております。やはり、漁港も大切でありますけれども、新しい海面利用需要が出ていることも事実でございます。相互の間に混乱が起こらぬために、例えば漁港施設の利用面でちゃんと利用区分をはっきりした施設整備をしていくというふうなことも必要になっておるわけでございまして、実は私どもの行います漁港の整備事業の中で、そういう他目的の船との利用区分をはっきりした施設整備をするような漁港利用調整事業というふうな仕事も進めておるわけでございまして、いろいろなトラブルがあろうかと思いますけれども地域の条件に合わせて利用区分をはっきりさせて、その了解のもとに相互に適切な海面利用が行われるように施設整備も進めているところでございますので、ひとつその事業の御活用もお願いをしたいと考える次第でございます。
  36. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 ほかにもちょっと予定した質問もあるのですけれども、次の質問にも移りたいと思いますので、この辺で一応この問題は終わりたいと思いますが、ただ、私のところに来た手紙にもありますように、専業漁業者としてはやはり、おれたちの気持ちを大事にしてくれという非常に切実な思いを持っているわけですね。したがいまして、最終的にはこれは自主的にその地域地域の組合の御判断、皆さんの御意思で決定することになるかと思うのですけれども、この法律の改正があったということで専業漁業者がないがしろにされてむしろレジャーの部分がうんと大きく焦点を当てられる、そういう方向に見られないようにひとつお願いをしたいと思っているわけです。むしろお役所がそういうことを慫慂しているんだと見られるというのは余り好ましいことではないのじゃないか。あとはその地域組合あるいは地域の当事者の方々の自主性に任されて、そこで適切な決断をしていただくということにはなるのだろうと思います。それからまた、今の漁場、漁港の競合の問題、これは実際心配されると私は思います。ですから、これは、特に漁港などについては管理をどうされていくのかという管理運営の問題がこれから非常に重要になってくるのじゃないでしょうか。この点について、これはひとつ適切な御指導をぜひお願いをしたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  そこで、今のこの二つ法律案というのは、大変厳しい状況にある漁業、この中で漁場をどうやって確保し、あるいは新たな漁場をつくっていくか、あるいは、そこでの新たな資源をどうやって拡大していくかというようなことに目が向けられているわけです。しかし同時に、現在ある既存の漁場をまた大事にしなければいけないと思いますし、そこで働く漁業従事者を大事にしていかなければならないと思うわけです。最近、御案内のようにいわゆる漁船が被害者になった海難事故が幾つか起こっているわけですね。  一番最近のものとしては、六月七日に三宅島の沖であった事故ですね。これは六月七日の午後一時二十分ごろ、昼日中ですが、伊豆七島三宅島東方八十キロの太平洋上で宮崎のカツオ一本釣り漁船、十五人乗り組み、五十九・七九トンの船、これがノルウェー船籍の貨物船ノーパル・チェリー号、これは一万九百八十六トン、二十一人乗り組み、大変大きな船ですが、船籍はノルウェーだけれども乗組員は全員がフィリピン人だったということのようですが、これに衝突されて、それで第八優元丸は直ちに沈没、四人が救助されたけれども十一人が行方不明。昨日からけさの報道によりますと、この十一名の行方不明者は捜索したけれども行方がわからないままでとうとう捜索を打ち切ったという報道になっております。この中には、先ほど石橋委員からのお尋ねで後継者不足の問題も出ておりましたけれども、行方不明、もう恐らく死亡しておると思いますけれども、十五歳の少年も入っているのですね。これはことし中学を卒業したばかりで初めて遠出をして、この船に乗り組んで、恐らくもう意気揚々と初の仕事に参加されたのだと思いますけれども、こういう立派な後継者になる少年までが乗っていて、これが初の出漁でこういう事故に遭って死亡している。本当に痛ましい事故だと私は思うのです。惜しみても余りあるこういう人命がこれだけ損なわれているというのはゆゆしい問題だと思うのです。  それからこの前には、実は私の地元であります北海道留萌管区内、日本海沿岸の苫前町の十三キロぐらい沖合で事故がありました。五月二十七日です。これはエビかご船です。十九トンという小さい船ですけれども、これが砂利の貨物船に衝突をされた事故で、八人の乗組員のうち四名が死亡しておるという事故であります。これについてはまた後ほどお尋ねいたしますので事件の内容はこの程度にしておきますけれども、最近のこういう海難事故例、特にその中で漁船が被害を受けている事故というのはどのくらいあるのか。これは海上保安庁の方にお尋ねをしたいと思うのです。  これは六月八日付の読売新聞で、恐らく海上保安庁の方から出た資料ではないかと思われるのですけれども、昨年一年間で救助を必要とする海難事故を起こした船が千九百六十四隻、その四四%を占める八百三十二隻が漁船だった。大変多いです。そのうち衝突事故が二百六隻だ、こういうことになっているのですが、この数字には誤りがないのかどうか。それから、こういう海難事故、特に漁船が絡んでいる海難事故の傾向というのはこの数年どういうようなことになっているか、その動向。できれば漁船の衝突の隻数、それから漁民がどのくらい死亡し、行方不明者がどのくらいになっているか、その辺の数字がおわかりになりましたらまずお知らせをいただきたいと思いますが、いかがですか。
  37. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  平成元年我が国周辺海域において発生いたしました要救助海難総隻数、これは台風及び異常気象下以外の海難について見ますと千九百十二隻でございます。傾向といたしましては、五十五年に二千六十九隻ということですから全体的には減少傾向にある、こう言えようかと思います。それから、海難に伴う死亡、行方不明者数でございますけれども、海難全体でここ数年、年間おおむね三百人以下でございます。平成元年は二百八十三人ということです。  先生指摘漁船ということに限って申し上げますと、これも漁船の海難全体でございますが、昭和五十五年に八百八十八隻であったものが、平成元年には先ほど指摘ございましたけれども八百三十二隻ということで、全体海難と同様減少の傾向にはございますけれども、隻数自体は依然として多く、全海難の四四%ということでございます。その中で漁船の衝突海難というものについて見ますと、平成元年には二百六隻ということで、漁船の海難総数が減少傾向にある中では、衝突という種類でとらえてみますと微増という感じでございます。それから、漁船の海難に伴います死亡、行方不明者数でございますけれども平成元年におきましては百六十三名となっております。その中で衝突ということについて申し上げますと十八名の方という状況でございます。
  38. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 昔から船乗りについては板子一枚下は地獄ということが言われているわけですけれども、このことはつまり、船に乗っている者というのは常に危険にさらされているんだということは今日でも変わっていないわけですね。ただ昔言われていたのは、台風、あらしなどに遭遇しての遭難ということを意識しての言葉だったと思うのですけれども、最近は、遭難事故というのはないわけではないけれども減っていると思うのです。これは何といっても船舶もよくなっているし、いろいろな附属の機械もよくなっているし。それでも、ないことではないと思うのです。今のお話のように、衝突事故というのがあの広い海の中でもやはりなくならないのですね。殊に漁船同士の事故というよりは、最近では、日本の周辺海域に三宅の例に見られるように外国船、しかも貨物船の航行が多くなっているということから、漁船がその被害に遭うことが非常に多くなっているのじゃないか、これはゆゆしい問題だろうと私は思うのです。  そこで、先ほど御紹介しました私の地元の苫前沖の事故、これは恐らく大臣のところにも新聞などのスクラップが行っていると思いますけれども、時間がないのでごく簡単に申し上げますが、この事故は五月二十七日の午前三時十五分ごろと思われる事故です。現場は留萌支庁の苫前町の北西約十二キロの日本海上です。加害船、私はあえて加害船と言いますが、これは東大阪市の大興汽船所属の砂利運搬船第二大興丸四百七十六トン、乗組員六人。被害に遭った漁船は留萌支庁羽幌町で、羽幌の漁協に所属しております吉田友二さん所有のエビかご漁船第三十六栄丸、構造は繊維強化プラスチック、いわゆるFRP、きのう藤田委員からも質問があったかと思いますけれども、十九トン、乗組員八名。この第三十六栄丸は午前二時ごろ羽幌漁港を出発いたしました。  ちょうど北西七十キロのところに先ほど申し上げました武蔵堆漁場がございまして、その近くにアマエビの漁場がございます。これもお手元に差し上げているかと思いますけれども、「平成元年度 留萌の水産」という留萌支庁でつくりました資料をごらんいただきますとわかるように、また、これは地図が出ておりますから現場の状況がわかると思うのですが、羽幌漁協あるいは苫前漁協関連ではエビ漁というのは非常に多いわけです。漁獲量もそうですし、金額の点でも最も多い主要な水産物になっておるわけです。この事故が起きた海域はエビのほかにタコですとかカレイの漁場もございますし、またホタテの養殖もやっているという大変良好な漁場であるわけです。第三十六栄丸はアマエビ漁のためにこの漁場に向かう途中のことでありました。予定では午前六時前に漁場に着いて、六時ごろからエビかごを入れて、それで一日仕事をして、その夜に帰港する予定だったわけであります。  この地図でごらんいただいておわかりのように、羽幌港から沖合約三十キロのところには天売、焼尻の両島がありまして、これも大変良好な漁場ということになっております。ここに行く途中の事故で、一方の加害船の方は、石狩新港を出て、この羽幌からさらに北の方にあります幌延という町、ここが最近また砂利ブームでございまして、良質の砂利が出る。この砂利の運搬をするために幌延に向かう途中だった。だから、一方漁場に向かって船は沖から出ていく、その左手の方から貨物船が来るという格好になるわけです。  ちなみにこれは申し上げておきますが、ここでお答えをいただくつもりはないのですが、この幌延の砂利と申しますのは実は三年くらい前から大変良質の砂利が出るということで注目をされているものなのですけれども、北海道では一つの大きな政治問題になっておりますのに幌延問題というのがあるわけでございまして、これはいわゆる高レベル放射能の核廃棄物の貯蔵工学センターをつくろうという構想がございます。これを動力炉・核燃料開発事業団、いわゆる動燃がこれを計画しておるという土地柄です。そしてここで出ている、これは河口付近で出る海砂利などなのですけれども、この砂利は、これもまた今北海道で政治問題になっております伯の原子力発電所をつくるときに相当使われているというのです。こちらの工事が終わって、今泊の原発は動き出しているわけですけれども、目下のところは建築ブームとあって、札幌周辺あるいはこちらの関東の方にまでこの砂利が運ばれているという状況です。いずれはこの幌延で貯蔵工学センターがつくられるなどということがはっきりすればこの砂利が使われるだろう、そういうようなことも予想されて、このことも昨年十一月四日の北海道新聞で大きく取り上げられているいわくつきのものであるわけですけれども、こういう砂利を運ぶ船が漁船にぶつかったのだ、こういうことになります。  一方、港湾管理者であります天塩町と申しますのは、幌延で採取された砂利が天塩港まで運ばれて天塩港から積み出しをされるわけです。天塩港は今大変大規模な整備事業中なのですけれども、この天塩港の港湾管理者であります天塩町の役場にお尋ねをいたしましたら、この三年くらい砂利運搬船が往来が激しくなっている、そして現在のところ八隻くらいが出入りをしておるのだ、ただこの天塩港は地方港湾なので一回届け出があれば何回でも入港できる、これについてはチェックすることは港湾管理者としてはできないというようなお話があるわけであります。しかし、こういう優良な漁場を突っ切っていくということは、この大興丸などという往来する船にしても知っていると思うのです。  そこで、時間がありませんのでできるだけ簡単にお答えいただきたいと思いますが、海上航行の安全について権限をお持ちになり、責任をお持ちになっているのは海上保安庁だと私は思うわけです。これは海上保安庁法の上でも明記をされておるわけですけれども海上保安庁としては、こういう海域状況、漁場であることとこういう砂利運搬船、貨物船なんかが往来をしているという実情、従来と変わったような状況ができたこと、これについて事故防止の観点から事前に何らかの処置などということはされておられたのかどうか。この間私も現場へ行きまして地元の方にお伺いしたのですが、漁協などには事前に海上保安庁からもあるいは留萌支庁の方からもこういう危険についての注意などは全くなかったのだ、ただその地域漁民の中から時々そういう大型貨物船が通って邪魔になる、不安だというような声も聞かれたということは聞いているのですけれども海上保安庁、この辺の状況は掌握されておったかどうか、どうですか。
  39. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 先生指摘の事故が発生いたしました周辺海域におきまして砂利運搬船が通航しているということは承知しておりました。が、地元の不安ということにつきましては特に聞いていなかったということでございます。天塩港におきまして砂利を積載しております船舶の積み出し運航数といいますか、平成元年で年間大体二百三十回程度だったということ、それから、これらの砂利運搬船の航行経路がいわゆる主要漁場を通っていない、さらに、日本海の大和堆あるいは武蔵堆などの主要漁場に関しましては、その場所とか時期とか一般的な特徴、それからそういう海域を航行する際の航行上の注意事項について、当庁が地方ごとに発行しております沿岸水路誌の中にも記載し、周知、注意を喚起している状況であります。このようなことがございまして、事故発生前に砂利運搬船の乗組員に対しまして特にこの海域航行に際しての具体的指導をしたという事実はございません。  しかしながら、海上保安庁では機会あるごとに海上保安官による訪船指導あるいは海難防止講習会等の開催を通じまして、特にこの海域では海上衝突予防法の関係が大きいかと思いますが、運航ルールの遵守の指導、安全情報の周知ということで安全対策を実施しておりまして、衝突予防法に規定されました航法に関する基本的事項を遵守しておれば事故を未然に防止し得たものと判断しております。
  40. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 時間がもったいないからこっちにいてください、すぐにお尋ねしますから。  今指導もしたということなんだけれども、それは漁業関係者に対する指導でしょう。今度の事故なんか、これを見たら明らかに事故原因は、今調べてもいるのだろうけれども漁船側には全くないのですよ。この砂利船なんですよ。だから、幾ら漁船側に注意をしても注意し足りないのじゃないかと私は思うのです。しかも、これが起こっているのは夜中ですよ。小さい船ですし、むしろ漁船よりは砂利船の方に何らかの処置をし、注意をしておかなければならなかったのではないかと私は思うのです、これは漁船は被害者ですからね。それはもちろん、どんなに注意をしても自動車事故と同じようにドライバーが不注意だったらということもある。ここで見張りがどうだったかという問題もあるけれども、この苫前沖の事故に関しては全く漁船側には不注意はないと私は思うのです。ですから、今のお答え、もっと注意してくれたらというのは私は大変不満足なので、そうじゃなくて、もしもこういう砂利船なんかが通る状況海上保安庁が知っていたとするなら、さっき言ったように天塩町、港湾管理者に聞けばどういう船がどこから来ているかということもわかるわけだから、むしろ漁船保護の観点から、そういうよそから出入りをしている船に事前に注意を与えておく必要があったのじゃないかと思うのです。そこでお尋ねしているのですが、どうですか。
  41. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 海がいろいろな形で利用されるということでございますけれども、本件につきましては事故の重大性にかんがみまして、事故発生後、砂利運搬船に対して安全指導を実施しております。そういう意味で、今後ともいわゆる航行環境の変化に応じまして適時適切に安全対策を講じられるように努力していきたいと思っております。
  42. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 つまり後手後手なんですよ。もう起こってしまったのですよ。この間もお聞きしましたら、ここはそんなに従来貨物船なんか運航するところではなかった。それはもちろん危険海域の指定はありますよね、東京湾だとか瀬戸内海だとか。だけれども、交通事故と同じようなもので、そういう往来の頻繁なところというのは意外に大きな事故はないものなんですよ。これは自動車もそうですよ。北海道は非常に交通事故が多くて大きな事故が多いとは言われるのだけれども、これはやはり通りの少ないところで起きる事故が大きな事故になるのですね。亡くなった方だから言うのだけれども、前に検事総長だった方が北海道の北の方に行ったら、車の往来が少なくて真っすぐな道路があって、ああいうところでスピードを出したくなる気持ちはよくわかると言って、大分法務省の中でも物議を醸したことがあるのだけれども、同じようなものだと思うのですよ。ですから、東京都内なんかでは自動車の往来がこれだけ多いと、接触事故だとかそういう事故はあるでしょうけれども、人命事故というのは余りない。北海道の方で、むしろ交通量の少ないところほど大きな死亡事故があるのですね。  私は海上運送の場合でも同じようなことではないかと思うのです。ですから、今海上保安庁の方で事前に、本来出入りしていなかったところに出入りするような、しかもよその地域から、その地域状況をわからないような船が出入りするようなことがわかったとすれば、それは当然付近漁民にあるいは漁船に、それからまた漁場に対しても大変な迷惑をかけることになるのだから、その辺は水産庁あるいは留萌支庁なんかと連絡をとり合いながら、やはり事前にもっと意を用いてほしかった、そのことを思うわけです。しかし、こういうことが二度とあったらいけないわけですから、今後の対策をまた立てていただきたいと思うわけですが、何といっても、海上保安庁法でいくと、海上保安庁というのは海上における船舶交通に関する規制、水路その他海上の安全の確保に関する事務をつかさどるところになっているわけですから、いわば唯一のところとも言えるわけですから、しっかりやってもらわなければいけない、こう思っておるわけです。  そこで今度は、事故の後の救助の措置ですね、これはどこから通報を受けて、その後どんな措置をとられたのか、これも手短で結構ですから、やられたことを。
  43. 柳田幸三

    ○柳田説明員 海上保安庁の救助の措置につきましては、五月二十七日午前三時二十六分に第二大興丸から遭難情報を入手した第一管区海上保安本部は、直ちに第二大願丸に対しまして救助措置を講じるよう指示をいたしますとともに、付近航行船舶に対しまして第三十六栄丸の遭難の緊急放送を行いました。あわせまして、巡視船艇三隻、航空機三機、潜水士四名を出動させまして、また第三管区海上保安本部所属の特殊救難隊の応援派遣を受けましてこれの救助に当たっております。また、第一管区海上保安本部といたしましては、留萌海上保安部に中規模海難等対策本部を設置し、そして六月一日の午後五時までの六日間に、延べ巡視船艇十隻、航空機六機、潜水士四名、特殊救難隊十名を出動させております。あわせまして地元の救難所に救助の要請を行いまして、地元の漁船並びにダイバーの協力を得て救難作業を実施いたしました。  その結果、先ほど先生お話がありましたように、第三十六栄丸の乗組員八名中、最初に自力脱出いたしました三名は第二大興丸乗組員に、そして次に脱出してきました一名は地元のダイバーに、そしてまた船内にいた一名、これは後に死亡いたしましたけれども、当庁の潜水士に救助され、さらに船内から二遺体が収容されますとともに、一名は行方不明となっております。
  44. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 質問続きますから、ちょっと座ってください。  それで、今お話しのように、結局八名の乗組員のうち四名が死亡と行方不明ということですね。それで、衝突ですぐ横倒しになったものですから、ブリッジにいた三名は即死の状態なんです。五名が船底に仮眠中だったのですね。これが結局船倉に閉じ込められた形になりました。救助船が行ったときも、船倉にいることがわかって、こつこつと信号をたたいて、中からもこつこつとやっているのですね。ところがなかなかあげてもらえない。そういうことで中にいた人たちは非常な不安感を覚えたそうですけれども、これ以上救助を待てないということで、今お話しのように、自力で危険を承知で一人一人出てくるわけです。最後に残った一人は、もう体力もなくなっちゃった、どうせ死ぬのだったらおれはこのまま死にたいというようなことで出渋った、ダイバーが行って助け出したけれども、最後は死んでしまった、こういうことらしいのですね。生存者の話によると、ダイバーが地元にはいなかったようだ、それでダイバーが来て救出されるのが非常に遅かったということが言われておるようです。これが午前六時を過ぎてからですか、というようなことで、そういうことをもうちょっと早く手配ができたら、あるいはこの管区内に、あるいは留萌支庁管内にそういうダイバーがいたならば、その最後の一人は少なくとも助かったのではないかということも言われておるのですけれども、このダイバーの件についてなどはどうなんですか。その配置の問題、それから到着の問題、どうしておくれたのか。
  45. 柳田幸三

    ○柳田説明員 転覆船の救助対策につきましては、海上保安庁では、転覆船内からの遭難者の救出等のために自給気潜水士四ないし八名を乗せました救難強化巡視船等を各管区に配置いたしまして、北海道におきましては函館海上保安部の巡視船「びほろ」並びに釧路海上保安部の「りしり」を指定しております。さらに、転覆あるいは沈没した船内からの遭難者の救出、また、危険物積載船の海難救助等、救助に高度な技術を要します海難に対応するために、第三管区海上保安本部に羽田特殊救難隊を設置しております。この救難基地は四隊二十名の特殊救難隊員で、全管区からの要請に備えまして二十四時間の出動態勢をとっております。これにつきましては、当庁の航空機によりまして繁急輸送により全管区の事案に対応しております。
  46. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 ということは、第一管区には何人ということになるのですか、もう一回確認ですけれども
  47. 柳田幸三

    ○柳田説明員 一管の函館海上保安部の巡視船「びほろ」に四名、それから釧路海上保安部の巡視船「りしり」には八名の自給気潜水士を配置しております。
  48. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 海難事故というのはいつ起きるかわからないし、転覆になってダイバーを要するかどうかということも予想はつかないだろうとは思うけれども先ほどお話しのように、従来の海難事故の統計というのはあるわけですね。そういうところから見て、今の北海道の場合に限って言いますけれども、ダイバーの数というのは間に合っているのですか。必要にして十分なんですか。その点どうですか。
  49. 柳田幸三

    ○柳田説明員 海上保安庁といたしましては、先ほど説明いたしましたように、救難強化巡視船にダイバーを配置し、それから潜水指定船というものもございまして、これにもダイバーを配置し、さらに羽田の特殊救難隊、これが即時態勢で配置しておりますので、これで対応できるものと考えております。
  50. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 ただ、実際に今度の場合も、ダイバーが到着しているのは非常に遅いわけですよね。だったら、その間に民間ダイバーか何かの援助というか、使う、協力を求めるというようなことは、本件の場合は制約があるのですか。できなかったのですか。どうなんです。地元にも民間ダイバーがいたということらしいのだけれども
  51. 柳田幸三

    ○柳田説明員 本件につきましては、救難所を通じまして地元の漁船並びにダイバーに出動方要請をしております。
  52. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 そうすると、民間ダイバーも協力はしていただいているのですか、本件の場合。
  53. 柳田幸三

    ○柳田説明員 しております。
  54. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 恐らく、海上保安庁あるいは海保の本部としては一生懸命にやったのだということは、私も疑いません。疑わないのだけれども、これは遺族の感情もあるかもしれないけれども、時間が大分たっているものですから、もう少し早く来てくれたらとか、もっと機敏にやってくれたらとかいうような気持ちが非常に強いものですからお尋ねしておるのです。  それと、今のダイバーの人数、これで必要にして十分かという私の問いに対して、ほぼ間に合っているのじゃないかと受けとめられるお答えなのですが、どうも私は北海道のことを考えると、先ほど申し上げたように非常に北海道は広大で、周辺は全部海なのですから漁船も多いわけですから、漁船被害が一番心配されるわけです。そういう点から考えますと、私はそれで足りているとはとても思えない。やはりもっともっと予防安全措置というものをとっていただかなければいけないのじゃないかな、こう思います。  そしてまた、海上保安庁法の第五条七号では、海上保安庁は「貨物の海上運送に従事する者に対する海上における保安のため必要な監督に関すること。」ということで監督措置もできるわけですから、本件のように本来漁場であるところに貨物船が入ってくるということになると、当然ながら漁場荒らしもある。それからまた、漁民漁船に対する加害の心配もあるわけですから、この辺については、もっと事前にこの監督措置というものがとられていたらこんなことにならなかったのではないだろうか、今後はぜひこの辺を強化していただかなくてはいけないのではないだろうか、こんなふうに思うわけです。  あわせて、何といっても漁民あるいは漁場、漁業を守る立場にある水産庁としても、こういう漁場、漁民の安全対策を十分に考えていただくためには、海上保安庁と協調体制をとっていただき、とにかく事故が起こる前に事故が起こらないようにする、そういう措置考えていただく必要があるのではないかと思うのですが、この辺について、農林水産大臣、そして水産庁長官、御所見を伺いたいと思います。いかがですか。
  55. 山本富雄

    山本国務大臣 ただいま先生海上保安庁のやりとりをずっと聞いておりましたが、申し上げるまでもございませんけれども、第一義的には運輸当局において対策を講じるべきものだ、こういうふうに考えております。がしかし、今お話しのとおり、とにかく死人が出るわけでございますから、人命尊重それから漁業の発展という見地から漁船の海難防止あるいは操業安全の確保は非常に重要だということは、先生がるる御指摘をなすったとおりでございます。  そこで、農林水産省といたしましては海難防止講習会の開催など海難防止思想の普及高揚にも努めており、それから漁業無線施設の整備の助成ということ、これは具体的にかなり効果を上げるわけでございますけれども、なお漁船法に基づく依頼検査の実施等に努めてきたところでございます。今後ともこれらの対策の実施に努めまして、また関係行政庁と緊密な連絡をとりまして、また、今先生の御指摘の保安庁に対しても、運輸大臣としょっちゅう一緒になりますから、こういうやりとりがあったということなども含めましてよくお話をしたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、漁船の安全操業確保に全力を挙げたい、こういうふうに考えております。
  56. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 時間になりましたので終わりたいと思いますけれども、きのうきょうとこの水産二法関連の質疑で最も問題になっておりますのは、厳しい状況にある中で漁業をいかに発展させるか、漁場をどうやって確保し、あるいは資源の培養をしていくかということが問題になっているわけです。しかし、それも大事なことですけれども、冒頭私が申し上げましたように、やはり既存の漁場を大事にし、そこで働く人々を大事にするということでなければ、これは農業と同じように苦労ばかりで、しかも農業以上に命の危険にさらされるという点で大きな違いがある漁業従事者、これでは後継者を得るなんということはまさしく難しいことになってしまうだろう、こう思うわけです。そういう点で、各省庁間の管轄の問題、権限の問題ということはあるでしょうけれども、事は漁民あるいは漁場の安全の問題、操業の問題にかかわる問題でございますので、どうか水産庁そして農林水産省におかれても、その任に当たられる海上保安庁と事前に十分連絡をおとりいただいて、今後こういう事故が少しでも減るように、起こすことのないようにしていただきたいと思います。そうでなくても後継者がいない、従事者が少なくなっているというのに、事故のために漁業者がますます少なくなる、これが事故のもたらすものでございますから、どうかこの辺について行政として意を用いていただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  57. 石破茂

    石破委員長 代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  58. 大原一三

    ○大原委員長 代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。沢藤礼次郎君。
  59. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 まず最初に、基本的な問題を二つほど申し上げて、大臣の御所見を賜りたいと思います。  まず最初でありますが、日本の農業、林業、水産業、大変な危機的な状況に置かれていると言われております。この基本的な振興策、振興の道をどこに求めるかという基本についてお聞きしたいわけでありますが、例えば農業の場合、農村地域に工業を導入して云々という農村工業導入の法律がございました。森林につきましては、保健機能を見直そうということで、リゾート的手法を組み入れるということもございました。今回の提案の中には、やはり漁業そのもの以外の手法、遊漁船とかマリーナであるとかというふうな手法が打ち出されてきております。私は、それぞれ現況に見合った政策だとは思いますが、本来はやはり農業は農業、林業は林業、水産水産業で真っ正面から振興策をぶつけて、これでもって勝負するべきだという基本的な考え方を持っておるわけです。このことについて大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  60. 山本富雄

    山本国務大臣 基本的には、先生の今御指摘になりました考え方と同じでございます。私もそういう考え方でございます。ただ、これは申し上げるまでもないのですけれども漁業そのものが内外大変深刻な状態にある、難しい時期に来ている、これは今お話しのとおりでございます。  そこで、今回の二法もそういったこと等を踏まえつつ、漁業の将来性をあるいは調査の面から、あるいは資源管理の面から、あるいはその主体的な漁業協同組合の強化という点から取り上げて、漁業の将来に一つの道を開いていこう、こういう趣旨で二法案、改正を提案をしておるということでございますが、現況の中で、午前中も御指摘がございましたが、いわゆる海洋レジャーブームとでもいうのでしょうか、余暇時代でございますから、これは健全な形で海洋レジャーというものが大きく発展をしつつある、このことは認めざるを得ないということでございます。これは昨年の第三回全国漁協大会でも、運動方針の一つの柱としてこういうことを取り入れていくということをうたっていることでももう明らかでございます。  しかし、今先生お話のとおり、本来の漁業、そしてまた地域的にもレジャーとなじまない地域も多いわけでございますから、すべてがレジャーと適合しているということではありませんので、漁業自体の振興を図ることを基本として進めていくことが必要である、こういう認識でございます。
  61. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 私が申し上げている趣旨のもう一つの要素として、農林漁業というのはやはり環境産業であるとも言われております。生命産業であるとも言われております。ところが、今申し上げた他の手法を持ち込むというこの手法は、どちらかというと環境破壊とは言いませんが、汚染の可能性も持っている手法であるというふうなこと等からしまして、これは基本的な問題ですから、こっちの手法が一〇〇%いい、悪いということではなくて、農業、林業、水産業でもってそのものの振興を追求するのが基本であるということの認識を確認したかったわけであります。このことは今お聞きしましたので、ひとつぜひお願いしたいと思います。  二つ目は、日本漁業における海面漁業を主体に申し上げるわけですが、日本漁業における沿岸、養殖漁業の占める位置、重要性及び今後の展望ということについて簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  62. 京谷昭夫

    京谷政府委員 養殖業を含めました我が国沿岸漁業についての認識でございますが、御承知のとおり、沿岸漁業につきましては六十三年で生産量約三百四十万トン強、生産額で約一兆三千五百億というレベルでございます。  また、海面で行われております各種の養殖業につきましては、最近横ばいないし減少傾向であったわけでございますけれども、六十三年は生産量で百三十万トン強、生産額で五千八百億というレベルで、過去最高のレベルに達しておりまして、生産額で見ましても遠洋漁業の規模を上回るというふうな水準になっておる、こういう状況でございます。
  63. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 今お聞かせいただいたわけですが、海面漁業につきましては、外国沿岸については二百海里の規制が強まる、それから当然漁獲割り当て量が減らされる、入漁料の引き上げがあるというふうな条件であるとか、あるいは公海における漁業におきましても、最近は海産哺乳動物の捕獲についての制限あるいは資源管理強化するという動向が強くなってきておるわけであります。としますと、やはりそこにクローズアップされてくるのは養殖を含めた沿岸漁業ということになろうかと思うのですね。  今お示しいただいた数字を別な角度から私はちょっと眺めてみたのですが、全国でもって今生産量と生産額を比べた場合、生産量においては昭和六十三年の数字をいただいておりますけれども、三百四十四万トン、二七・三%。ところが生産額ということになりますと、今お話があった一兆三千億円余。パーセンテージは五三・〇%。つまり生産量では二七・三%だけれども、生産額では五三%、五〇を超えているという特徴が出てきます。岩手の場合はもっとはっきりしておるのですが、海の生産量は、生産量が五二・九、もう半分を超えています。生産額は約六〇%、六割がいわゆる沿岸漁業の占める割合だというふうに大変大きく変わってきておるわけであります。  今お話のありました昭和六十三年の遠洋における生産額よりも養殖の生産額の方が上回ってきたということからいっても、今後日本の海面漁業の示す方向性、重要性として、沿岸漁業、養殖漁業を大きくこれは大事にしていかなければならない、政策の重点、スタンスをそちらの方にある程度移動させる必要があるんじゃないかと思うのですが、このことについて一言お願いします。
  64. 山本富雄

    山本国務大臣 これも先生が非常に的確に御指摘をしているとおりの私ども認識でございます。  今お話しのとおり、二百海里体制が定着をしてきた、あるいは公海漁場の規制がどんどん強化されているというふうな中で、我が国周辺の水域の高度利用ということは、今後好むと好まざるとにかかわらず、これは取り上げていかなければ我が国漁業というものは生きていけないんじゃないかというふうに私ども認識しております。そこで、結局盛んに今言うんですけれども、海の畑づくりとか種づくりとか、いわゆるこれはつくり育てる漁業ということでございますが、これの積極的な展開と振興に重点を置いていきたい、そういうスタンスで進んでまいりたい、もちろん遠洋も大事でございますから、遠洋はそれなりに工夫をしながらやらせていただくというふうにも考えております。
  65. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 この問題は終わりますが、一つだけ要望としてつけ加えておきたいのですが、漁業における後継者対策ということが、農業における後継者対策と同じように深刻になっていることは数字を挙げるまでもないと思うのです。そこで、私は実はこの質問に立つことが決まった直後に、岩手県の沿岸水産高校に行ってまいりました。そして、生徒たちと意見を交換してきました。ところが、水産高校の卒業生、在校生でも、卒業して水産に従事するという人の数がやはりすごく少なくなってきているわけです。  これはある高校のアンケート調査なんですけれども、親の意識も、漁業に将来性はあるかという設問に対して、希望ありと答えたのが二二・七%。これは父母、父兄ですね、お父さんが主体ですが。しからば、子供も漁業をさせるかというと、やらせたいというのが一七%というふうになっています。子供たちの話を聞いてみましても、やはり海の仕事を敬遠する傾向が強くなってきている。なぜなんだということをいろいろ詰めてみますと、汚いとかなんとかということもありますけれども、そこには危険性もあるということやら、労働時間というのが普通のサラリーマンと違ってまるっきりはっきりしてない、したがって休日も保証されない、レジャーに対する嗜好も満たされない。それから、どうなんだ、君たちは間もなく結婚するんだが、金になるが遠洋に行く場合と沿岸、養殖漁業とどっちを選ぶと聞いたら、やはり家族と一緒の方がいいと言うのですね。これは、今の状況としては当然出てくる、予想される答えなんです。  ということは、漁業に関しての後継者対策を考える場合に、やはり沿岸、養殖漁業というものが彼ら、彼女らの希望に近い業種であるということ、これを置いてかかる必要があるんじゃないか、これをひとつつけ加えておきます。これは文部省等とも連絡をとりまして、やはり高校における実業教育あるいは水産教育のあり方、そしてバイテクを活用しての近代的な漁業に対するアプローチというふうなものを、ひとつ協力した上で進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  次に進ませていただきます。  そこで、今お答えいただいたように、沿岸漁業、養殖漁業を含めてでありますが、この振興というのは非常に大きな課題だということはほぼコンセンサスに達したと思うものです。しからばそれをどのように展開するかということに問題を移していきたいと思うわけであります。  私の与えられた時間は全部で四十分ということですから、質問のやり方をちょっと変える格好で申し上げたいのですが、例えば沿岸漁業の行われる環境を守る、汚染を防ぐ、浄化するという課題もあります。資源増加、増殖に対する手だてとしては、基礎研究の体制強化する必要があるだろう。そして打ち出されております海洋水産資源の利用の合理化、これは言葉をかえれば自主的管理ですね、ほぼイコールですか、こういったことも当然必要だろうと思います。そして、やはり体系的な振興策の推進のためには、継続的な資源開発のための調査研究というふうなものが裏打ちされていなければならないだろうというふうに考えるのですが、このことについてもひとつ御所見を賜りたいと思います。
  66. 京谷昭夫

    京谷政府委員 沿岸水域と申しますか、我が国周辺水域を重点に置いた漁業振興を図る場合におきまして、漁場環境の保全を図るということが一つの基礎条件であるということはお説のとおりでございます。御承知のとおり、最近における各種の産業の発展あるいは生活水準の向上に伴いまして、海洋汚染の要因というものが大変広がっておるわけでございます。私どもとしても、従来から関係省庁とも連絡をとって海洋汚染防止のための努力をしておりますけれども、漁場環境の保全をしていくという立場で水産庁独自にもいろいろな助成策等を講じて努力をしておりますが、先生指摘の視点も踏まえて、これからもなお漁場環境の保全のための努力を強めていくということが必要であることをまず第一点申し上げたいと思います。  それから第二点の研究体制の問題でございます。まさに、今回御審議をいただいております水産資源の自主的管理体制の整備、確立ということと裏腹の関係になるわけでございますが、周辺水域における資源の動向を的確に把握をしていく、そしてまた、いろいろな手法を通じてその利用のあり方について新しい技術なり操業形態というものを研究していかなければいけないという課題があることを十分承知をしておるわけでございます。また、養殖なり栽培漁業の面でバイオテクノロジー等新しい技術を開発し利用するための努力というものが当然必要でございます。国あるいは都道府県の試験研究体制はもちろんでありますけれども、民間の研究機関等との連携も深めて、そういった資源調査の充実なり新しい技術開発に努める、さらにまた、今回御提案申し上げております法案に織り込んでおるわけでございますけれども、海洋水産資源開発センターの持っておる調査能力と申しますか、実用化技術の開発のためのいろいろな機能というものも有効に活用して、全体としての資源の掌握、その有効利用のための新しい体制整備を進めていくということに力を注いでいく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  67. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 沿岸漁業関係者から聞きますと、資源変動の大きい沿岸海域定着性の動植物の生理生態分野の研究あるいは藻類の育種、病理学的研究、そういったものが欲しい、そういう体制が欲しいという声が非常に強いわけです。今お話のありました海洋水産資源開発センターでございますけれども、これは定款その他事業計画等をみますと、主に外洋というのでしょうか、インド洋だ南極海だというふうなことの業務が多かったようでありますが、今度の改正の文言を拝見しますと、遠いところからやはり少しは近いところもこの対象にしていこうというふうな一つの動き、転換と見てとれるわけで、これは歓迎したいと思います。そういった能力なりエネルギーなり、あるいは財政的なものも強化しながら、できるだけ沖合あるいは沿岸域の調査研究にも力を発揮していただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、その中で一つだけ具体的にお聞きしたいのですが、沿岸域で例えば魚礁を設置する。湾内の場合は水深が五十から六十メートル、沖合ですと百二十メートルから百三十メートル、大陸棚だと二百メートルという深さのところでつくる漁業、耕す漁業、育てる漁業がこれから展開されるわけですが、海中海底の状況を継続的に調査するための浅海用の潜水調査船が欲しい。「しんかい六五〇〇」というのは、これは漁業には関係ない、あるいは地球物理学的な要望だろうと思うので、「せんかい二〇〇」というのを全国何台か配置して、海域を行ったり来たりしてもいいわけですから。今のところ、素潜りか何かで潜っていって、魚礁がどうなっているかとか魚の寄りつきがどうだとかいうことを潜った時間だけ観察して上がってくるという状況であるわけです。これはお粗末ですね。これはやはり計器類を積んだ観測潜水艇、これがあってもいいんじゃないですか。どうですか。
  68. 京谷昭夫

    京谷政府委員 これからの資源調査なり新しい技術開発等々を進めていく際に、御指摘のように水深二百メーター程度のいわゆる沿岸域のいわば水中調査というものが対象として取り上げられるべきだということは、私どももそういう認識を持っております。私ども従来から沿岸域における調査を主体に水産庁系統で、水産庁に所属しております調査船十二隻を駆使すると同時に、各都道府県で調査船が百三十五隻あるわけでございます。これらをお互いに機能分担を決めて調査活動あるいは研究活動をしておるわけでございますが、先生指摘のような浅海調査船という要望も耳にしております。ただ、率直に申し上げましてかなり膨大な金がかかる、そしてまた、建造した後の管理費に相当の経費がかかるというふうな問題がございまして、これは少し長期的な課題としてお預かりしたいと思うわけでございます。  当面私ども、そういう浅海部の調査の手段といたしましてより現実的な方法は、無人潜水装置を持ったテレビカメラあるいはまたスキャニングソナーといったような機器を整備していくことが現実的ではないかということで、いろいろな調査計画に応じましてこういった装置の充実に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  69. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 いろいろな工夫なり新しい装置ということで代替できる部分はあると思います。それは大いに研究開発してください。ただ、金がかかるとか管理が大変だというのは、先ほど沿岸漁業、養殖漁業大切だ、これからのスタンス移すんだとおっしゃったばかりでしょう。ほかの分野の額から比べたらこれは小さいですよ、自衛隊の航空機一台とまで言いませんけれども水産資源の増殖、拡大、振興ということからすれば、今お話あったような機器も含めて、長期的な問題じゃなく短期的な問題として取り組んでいただきたい。これはきつく御要望申し上げておきます。さっきかなりうんうんとうなずいて聞いておられたのですから、それを一歩進めればいいわけですよ。ただうなずいているだけじゃ意味がないのですから、そのことはひとつ、大臣よろしいですか。——じゃ、確かにうなずいたことを見届けておきます。  次に、漁場の自主管理ということが今度の法改正の大きな柱になっておるわけです。これは私も必要だと思います。ただ問題は、自主管理をしよう、員外者もできるだけ含めて、特に養殖漁業におきましてはただ単に海域を縄を張って監視しているというだけじゃなくて、海の底も耕す、あるいは稚苗、稚貝を放流する、それからえさも与える、いろいろな経費もエネルギーも注いでやっているわけです。そういった中で自主管理、つまり身内の者で採捕する期間はこれでいこうとか、採捕の方法はこれに限るということにしようとかいう申し合わせをしただけでは済まない問題が出てきている。それは外部からやってくる不法の密漁の問題です。これは漁期が何月から何月までだなんということと全然関係ないのです。今やってくるのは通年です。これは大変な実態が出てきているのです。  アワビ、ウニの生産額、生産量の重要さについても申し上げるつもりだったのですが、これは省略します。大変重要な産業であるということを御確認の上で、最近アワビ、ウニが減ってきている原因の一つに密漁が盛んになってきていることもあるのじゃないか、これは漁業者の間の定説というか通説です。そこでお聞きしたいのですが、警察庁、海上保安部、それぞれの守備範囲の違いもあるかもしれませんが、アワビあるいはウニの密漁の実態取り締まり状況について簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  70. 松原洋

    ○松原説明員 警察庁に報告のありましたアワビの密漁事件の過去三カ年の検挙状況ということでございますけれども昭和六十二年は検挙事件数で十一件、検挙人員にいたしますと九十二名。昭和六十三年が七件、四十九名。平成元年は四件、十八名。これはいずれもアワビの密漁事件の数字でございますけれども、以上でございます。
  71. 坂正直

    ○坂説明員 アワビ、サザエなどの密漁は主として潜水器を使った密漁でございまして、地元漁業者の放流育成中のものを根こそぎとるというような悪質なものでございます。このため海上保安庁では、全国的に密漁の虞犯海域に巡視警戒を行うほか、情報収集、内偵、張り込みなどを積極的に行ってまいっておりまして、平成元年度におきましては潜水器密漁事件は二百八十四件、二百七十九人を検挙いたしております。
  72. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 数字についてはいろいろ私も申し上げたいことがあります。それは検挙件数ですから、実際に密漁が行われた実態とはかなりかけ離れていると思います。岩手県はアワビどころ、養殖どころですから、いろいろ県警の方ともお話をしたのですけれども、今警察庁からお話しいただいた件数と岩手で実際に起こっている件数との間にはちょっと違いがあります。もっと多いのです。しかも、警察関係からいいますと海の上に行って捕らえるというのはなかなかできない。結局は陸上で検問にひっかかった、大量にアワビを持っていた、今アワビのとれる時期じゃないぞということで捕まったというのがほぼ全部なんですね。実際は今の密漁は組織化、広域化、高速高性能化、悪質化、プロ化というのが実態だ、このように漁協関係者指摘しております。高速艇は四十ノットから四十五ノットで突っ走ります。警察の警備艇、保安庁の巡視艇、私から申し上げますと二十ノットでしょう。弱ですか。ちょっと、その警備艇、巡視船艇の配置状況を簡単にお聞かせ願いたいと思います。性能も含めてお願いします。
  73. 坂正直

    ○坂説明員 海上保安庁では現在全国の百三十一の海上保安部署などに三百五十三隻の巡視船艇を配備しております。このうち宮城県から岩手県にかけましては、三陸方面には宮古、釜石、気仙沼、塩釜の四カ所に保安部署がございまして、この保安部署には巡視船五隻、巡視艇五隻の計十隻配備されております。  この性能でございますが、ヘリコプター搭載型巡視船が一隻ございまして、これは二十二ノットでございます。それから大型巡視船が三隻ございますが、これは二十ノットでございます。それから中型巡視船は一隻ございまして、十八ノットです。小型巡視艇は五隻ございまして、十七ノットでございます。
  74. 西田磐

    ○西田説明員 お答えいたします。  警察庁の方では、公害監視艇も含めましていわゆる警備艇と申すものは全国で二百三隻配備してございます。先ほど来の先生お話の流れから申しますと、岩手県警察には現在二十メーター艇一隻を配備してございます。速度は二十三ノット、こういうことでございます。今、私どもの方からしますと相対的には小型船舶に属する方でございますが、二百三隻中二十メーター艇を持っているのは全国で五隻、岩手にその一隻を配備しているということで御理解をいただきたいと思います。
  75. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 海上保安庁、警察庁、かなり窮屈な予算からそれぞれ御努力願っていると思います。第一線の人たちもそれなりに大変苦労なさっていると思います。そのことについては敬意を表します。しかし現実に装備、性能からいいますと、先ほどちょっと触れましたように、いわゆる密漁船とおぼしき船は、(写真を示す)これ、ちょっとはっきり見えないかもしれませんが、船外機を四つもつけている。これは一トンから二トンくらいの船ですよ。それからこれは別な船ですけれども、百五十馬力の船外機です。これは普通だったらもう三十から四十馬力で済む大きさの船なんです、船がこっちにも写っていますけれども。こういう大変な装備を誇っているわけです。しかも、積んでいるものはレーダー、測深機、無線機、スピーカー、強力サーチライト等々と大変な装備を誇っています。残念ながら警察の無線はほとんど全部傍受されていると言われております。暴力化しているという指摘もあります。岩手県の未崎漁協では、漁協の取り締まり船が行った、逆に威嚇を受けた、船をめちゃくちゃに壊されたという事例もあります。長崎県では漁協の取り締まり船が行った、そうしたら数隻に取り囲まれて逆におどかしをかけられて逃げてきた、漁協の建物に逃げ込んだら、後から追いかけてきたその密漁者が窓ガラスをたたき割ったという例も報告されているのです。非常に広域化しているし、プロ化しているということははっきりしているのですね。  これに対する取り締まりの問題を私、幾つか提起しますから、今後の密漁防止上のこれからの課題、問題点は何か、対策は何かということをそれぞれの立場からひとつお示し願いたいのですが、例えば船舶に関していえば、密漁船は大抵一トンから二トン、せいぜい五トンの小型です。しかも無動力船に船外機をつけて突っ走るという方法がとられていますが、御存じのように、これは五トン未満の漁船以外の船には登録の義務もなければ船名表示の義務もないわけですね。したがって、密漁の現場を写真で撮ろうとしても船の名前はないわ、標識はないわ、持ち主の名前はわからないでしょう。それらしいものを後である港に行って発見したところでだれの船だかわからない。その放置された船が、暴風雨が来ますとごつんごつん周囲にぶつかって他の漁船を破損しているという例もある。こういう野放しの状態を解消する方法は、船舶法を直すという手だてが一つあるんじゃないか。陸上のバイクまで標識つけている世の中ですから、数少ない船にきちんとした標識をつけてそれを登録させるということができないはずがないのです。しかも取り締まりの広さは、陸上の四つ車、二つ車は面積がずっと広いのです。船は海岸線という線をたどれば取り締まることができる、押さえることができる。こういうことから考えてできないことはないですね。これはそれぞれの担当から御所見をお聞きしたいし、船の配置とかあるいは船舶法の問題であるとか、あるいは取り締まり法規については漁業調整規則違反漁業違反ということがあるのですが、とにかくこれ、本当かどうかわかりませんが、持っているか売るかしなければ捕まらない。逃げる途中でどんどん捨てていけば、これでもう捕まえることができないという状況もある。この辺の規則、法律の整備強化という点でのお考えはどうか。  そして、最後になりますが、現場に行きますと、協力すると非常に効果がある、監視にしても、防止にしても、取り締まりにしても。それは、漁協、漁業者と、岩手県でいえば岩手県の取り締まり体制、それから警察、県警の方、そして海上保安庁の方、こういった方々が連絡し合う連絡網あるいは問題点を協議し合うシステム、そして行動するときはできるだけ連携をとりながら行動する、そういう体制をつくればかなり効果は発揮できるだろうということも言われているわけです。この部分については最後に大臣から、今これから各省庁からお答え出てくると思いますから、それらを総合して検討するその体制について、一番最後にお聞かせ願いたいと思うのですが、お願いします。
  76. 野間耕二

    ○野間説明員 御説明させていただきます。  船舶法の関係でございますが、船舶法上船舶の登録制度と申しますのは、主として国際航海に従事し得ると考えられます総トン数二十トン以上の日本船舶の国籍を国際的に公称するということをその目的としておりますし、また、五トン以上二十トン未満の小型船舶の船籍の証明制度につきましては、日本国内全域にわたって航行すると考えられまする船舶を特定いたしまして、その船名を明らかにするということを目的としたものでございます。したがいまして、このような制度の目的に照らしますると、主として非常に限定された海域のみを航行すると考えられます総トン数五トン未満の小型船舶につきましては、このような制度を導入する必要性は薄いのではないかと考えられるわけでございます。  しかしながら、先生ただいま御指摘のように、密漁船の問題ですとか放置艇の問題、あるいは最近の中古船市場等におきます利用者保護の問題といった最近の社会情勢にかんがみまして、総トン数五トン未満の船舶の特定制度につきましても大変重要なことというふうに考えております。ただ、一方におきまして、それに伴う所有者に対する新たな義務づけ等の負担増がございます。さらには行政面におきましても、体制強化等解決すべき問題も多いわけでございまして、なお慎重に検討させていただきたいと思いますが、適切な規制のあり方について勉強させていただきたいというふうに考えております。
  77. 坂正直

    ○坂説明員 密漁対策でございますが、密漁事犯は、先生お話しのとおり高速船化しておりまして、これが夜間、集団で計画的に行われるというケースが多くなりまして、悪質、巧妙化しておるところでございます。また、一部の地域では暴力団が介入するなどの事態も発生しているところでございます。このため、海上保安庁といたしましては、こういう取り締まりに積極的に情報収集に努めますとともに、巡視船艇、航空機を集中的に動員して取り締まるなど、今後強力な取り締まりを推進してまいりたいと考えております。
  78. 松原洋

    ○松原説明員 密漁事犯につきまして、警察庁といたしましては、従来からも各都道府県の実情に即して関係機関、団体等との協力体制を確立しながら指導取り締まりを進めてきているところでございます。また、全漁連が中心となって推進しております密漁防止対策推進事業にも参画をいたしまして、連携の強化を図っているところでございます。今後とも関係機関、団体が緊密な連携を保ちながら、密漁が行われにくい環境づくりを進めるということがこの種事犯を抑止していく上で大きな効果が期待できるというふうに考えておりまして、警察といたしましても全面的に協力をしてまいりたい、このように考えております。
  79. 京谷昭夫

    京谷政府委員 密漁問題に関連をいたしまして、漁業関係法規の違反に対する罰則強化の問題についてお話がございました。私ども水産物価格の上昇率あるいは罰金等臨時措置法の引き上げの状況を勘案しながらこれまでも強化をしてきておるわけでございます。最近の状況を踏まえてこの罰金をさらに引き上げる問題あるいはまた懲役刑を付加するかどうか、さらにまた未遂罪の扱いをどうするかというような問題がいろいろあることを承知をしております。ただ、ほかの罰則例とのバランスの問題でありますとかいろいろ検討すべき課題もありますので、それらを踏まえて、密漁の実態等についてさらに研究をし、何が可能であるかということについて今後引き続き検討をしてまいりたい、かように考えております。  また、この密漁対策に関連しまして、水産行政サイドといたしましても、所要の都道府県につきまして漁業者団体、それから各都道府県あるいは市町村といった行政サイド、それから地元の警察あるいは海上保安部関係の皆さんで密漁防止の協議会をつくって、お互いの連絡体制というものを整備していこうという試みを昨年度から開始をしております。まだ全国的にはこの仕組み、できておりませんけれども、条件の整ったところからこういった体制を整備し、漁業者団体による自主的ないわば指導、監視という業務はさることながら、先生の御指摘のありました組織化、暴力化している密漁行為については、漁業取り締まりという観点からだけではなかなか手の及ばぬ点があるわけでございます。警察庁あるいは海上保安庁、ある程度物理的な制圧力を持った取り締まり活動が必要な場合が少なくないわけでございますので、それらとの連絡体制というものを順次整備していく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  80. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 済みません、一つだけいいですか。  いろいろお聞きしました。時間がありませんのでこれ以上論を続けませんが、いろいろお出しいただいたものをどの省庁が中心になるかはひとつ内部で御検討願って、連絡をとりながらこの対策をぜひ進めていただきたい。何しろ目の前でやっているものを追いかける取り締まり船が二分の一.のスピードで見る見る離されるというのは、これは戯画にもカリカチュアにもなりません。何とかこれはやはり頑張ってもらわなければならない。威信を回復して、まじめにやっている漁民あるいは国民に対してこたえる施策、体制をとっていただきたいということを強く要請しておきます。  済みません、お許しいただいて一つだけ質問、ごく簡単で……。
  81. 大原一三

    ○大原委員長代理 はい。
  82. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 お許しいただきました。  漁業共済の養殖ワカメとコンブの共済制度の改善について、かつて昭和六十三年の農林水産委員会で私も発言をし、なお共済制度の改正法で附帯決議もつけさせていただいたということがあるわけですが、その後それについての取り組みとこれからの見通し、ごく簡単で結構ですからお聞かせ願いたいと思います。
  83. 京谷昭夫

    京谷政府委員 御指摘のとおりコンブ、ワカメにつきまして本年度から特定養殖共済の対象にすることにいたしております。このための具体的な事務手続、若干の時間をまだ要するわけでございますが、現在その準備を急がせておりまして、ことしのワカメ、コンブの養殖の開始時期に十分に間に合うようなタイミングで所要の手続を完了させたいというふうに考えておるところでございます。
  84. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 終わります。ありがとうございました。
  85. 大原一三

    ○大原委員長代理 倉田栄喜君。
  86. 倉田栄喜

    ○倉田委員 きのうからの質疑でお疲れのことと思いますけれども、私、最後の質問でございますので、ひとつどうぞよろしくお願い申し上げます。  私は、海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律案につきまして、条文の解釈を中心に、細かな点になって恐縮でございますけれども伺いをさせていただきたい、このように思っております。  まず、海洋水産資源開発促進法につきましては、基本方針の改正をされておられます。今回の改正において、現行法が「海洋水産資源の開発を図るための基本方針」となっているのを「海洋水産資源の開発及び利用の合理化を図るための基本方針」と、基本方針の名称から変更された。基本方針を変えるということは、法律等々においては通常非常に重要なことでございますので、その名称を変更された趣旨及び目的からお伺いをしたいと思います。
  87. 京谷昭夫

    京谷政府委員 今回の改正におきまして、従来法律の二章で決められておりました「海洋水産資源の開発を図るための基本方針」の名称及び記載事項につきまして、ただいま御指摘のとおりの改正を予定しておるわけでございます。  その理由は、既に御説明もしておりますけれども、今回の改正におきまして、一つには海洋水産資源の自主的な管理制度というものを創設し、また、新漁業生産方式の企業化等を促進するための新たな業務を海洋水産資源開発センターに付与するということを予定しておりまして、この事柄についても基本方針におきまして全国的な視点から政策運営に当たっての指針を明らかにした方がいいのではないかということで、従来の基本方針にこの部分を付加するという意味で名称及び記載内容を拡充したというものでございます。
  88. 倉田栄喜

    ○倉田委員 そこでその変更でございますけれども、第二条において「海洋水産資源の利用の合理化」について定義の規定がございます。それによりますと、「水産動植物の採捕の方法、期間等を適切にすることにより海洋における安定的な漁業生産を確保することをいう。」とありますが、この「採捕の方法、期間等を適切にする」ということは具体的にどのようなことを指すのか、御説明願いたいと思います。
  89. 京谷昭夫

    京谷政府委員 御承知のとおり、海洋水産資源というのは、一定の再生産メカニズムを通じまして、生物の誕生なりあるいは成長を通じて生産量が増大する資源であります。この再生産メカニズムを破壊しないようにしながら漁業生産活動を進めていくということがいわば資源利用の合理化という意味であろうと考えております。  その手段として採捕の方法、期間等を決めるわけでありますけれども、具体的な内容としては、漁具、漁法あるいは操業期間あるいは操業の区域等、そういうふうな事柄について決めていこうということを述べたものでございまして、漁具としては網の種類、長さ、網目の大きさ、あるいは漁法としてどのような漁法を使うかというふうなことどもを私ども頭に置いてこの規定を設けておるわけでございます。
  90. 倉田栄喜

    ○倉田委員 もう少しお伺いいたしますけれども、今御説明に漏れたのかもしれませんけれども、「採捕の方法」の中には漁船の数も入りますか。
  91. 京谷昭夫

    京谷政府委員 言葉の定義上、私どもこの「方法」という部分には漁船の数を含めて考えておりませんけれども、この例示の最後に「等」ということがございます。必要に応じて漁獲努力量を制限する意味で、操業隻数というふうな問題が具体的に必要であるという事態になれば管理協定の中でそういう問題を扱うことは可能であるというふうに考えております。
  92. 倉田栄喜

    ○倉田委員 次に、第三条の基本方針の作成についてお伺いいたします。農林水産大臣は政令で基本方針を定めなければならないとなっておりますけれども、この政令による基本方針についてお伺いいたします。  第三条二項三号のイ、ロ、それから四号、五号に書いてあるわけですけれども、ちょっと拝読させていただきますとなかなか抽象的でわかりにくいな、そんな印象がするわけでございますので、もう少し具体的に明らかにできる部分があれば明らかにしていただきたいと思います。  まず、二項三号のイでございますけれども、海洋水産資源の管理の対象、方法及び期間に関して基本的な指針を明らかにせよとございます。「期間に関する基本的な指針」ですね。この基本的な指針というのは具体的にはどのようなことをお考えでございましょうか。     〔大原委員長代理退席、穂積委員長代理着席〕
  93. 京谷昭夫

    京谷政府委員 御指摘の「管理の対象、方法及び期間に関する基本的な指針」として私ども念頭に置いております事柄は、一つは、管理の対象につきましては、そもそも管理協定対象になる水産動植物なりあるいは漁業種類というのは大変多岐にわたるわけでございまして、どういうものを対象にしていくかということを具体的に示すというような問題、それから水域海域によってそのような対象魚種も変わってきますので、対象となる海域別に自主的な管理を行うべき水産動植物も変わってくるわけでございますのでその辺を明らかにしていく、また漁業種類が先ほど申し上げましたように多岐にまたがりますので、それらをどういう範囲で考えていくかというふうな事柄を管理の対象として示す。それから管理の方法としては、例えば網目の規制でありますとか操業期間、裏返しに言えば禁漁期間、それから区域として禁漁する区域を明確にする、それから採捕する魚の体長制限というような事柄をどう考えていくかという問題が、管理の方法として念頭にある具体的な事柄であります。期間については、まさに文字どおり期間についての考え方、こういうふうに理解をしております。     〔穂積委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 倉田栄喜

    ○倉田委員 同じ三条の問題でございますので続けて三間質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  今申し上げました三条の二項三号のロの部分に、「国の関係行政機関が行う調査の課題及び方法に関する基本的な事項」というふうにございます。まず、基本的な事項ということについて御説明を願いたい。  次に、四号に「海洋の漁場における新漁業生産方式の企業化の促進に関する事項」というふうにあります。この新漁業生産方式というのはどのようなことを念頭に置いておられるのか、お伺いしたいと思います。  さらに、五号に「その他海洋水産資源の開発及び利用の合理化に関する重要事項」、この利用の合理化に関する重要事項というのはどういうことをお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  95. 京谷昭夫

    京谷政府委員 三点のお尋ねでございます。  まず、三条二項三号ロに書いております「調査の課題及び方法に関する基本的な事項」でございます。これは、資源の自主管理を促進するために必要となってくる調査について研究をするつもりでございますが、この研究については対象になります資源、これは調査研究の発展段階が魚の種類によって少し差があると思います。相対的に見ますと、底魚類それから定着性の高い水産物については比較的調査研究が進んでおる。それから浮き魚類については相対的に見て調査研究の進化の度合いがまだ若干のおくれが見られる、そういう段階別に調査の課題なり方法について違いがあるわけでございますが、そういった点を明らかにしていきたい。  それからまた、調査の実施体制の問題でありますが、大まかに申しまして国のレベルでは私どもの所管をしております水産研究所、それから各都道府県の水産試験場その他民間の研究機関が多々ございますので、それらの研究機関の連携体制というものをどう考えていくかというふうな事柄について示していきたいと考えております。  第二点目の、三条二項四号にあります「新漁業生産方式の企業化の促進に関する事項」でございますが、これは、これからの技術開発によっていろいろな事項が出てくると思います。当面頭にありますのは、東海あるいは黄海において展開をされておりますまき網漁業につきまして漁網の改良でありますとかあるいはフィッシュポンプといった装置の導入についての活動をするつもりでございます。いずれにしても、まき網漁業のコストダウンのための生産方式というようなものを当面念頭に置いておるところでございます。  第三点の、法律の三条二項第五号で、基本方針でその他の重要事項ということになっておりますが、この規定はもともと予備的に設けられてある項目でございまして、現行の基本方針では特別の記載が行われておりません。今後、新しい制度に基づいてつくる基本方針におきましても、現在のところ現行計画と特に変わった記載事項は頭にないわけでございます。  以上でございます。
  96. 倉田栄喜

    ○倉田委員 次に、これは大臣にお伺いできればと思います。  資源管理協定制度が今回の改正案で創設をされることになるわけでございますけれども、その前提の事項として、何回もお答えになっておられて恐縮でございますが、我が国の周辺漁場の資源現状というのを大臣自体どのように認識をしておられるのか。それからもう一点、そもそも資源減少をどのように把握をしておられるのか。大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  97. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  今お話しの我が国周辺水域水産資源状況、これは幾度かお答えしてまいりましたが、底魚類を初めとして総じて悪化の傾向にあると承知をしております。その原因でございますが、これはいろいろございます。一言で言えば漁海況の変動などいろいろございますけれども、もう一つ、率直な感じといたしまして、最近漁業の技術が長足に向上、進歩いたしまして、漁獲努力量の過剰ということも要因の一つではないかということ等も考えております。
  98. 倉田栄喜

    ○倉田委員 多少個人的なことになって恐縮でございますが、私は天草の出身でございまして、周りを実にきれいな海に囲まれて育ってまいりました。小さいころ海に釣りに行きますと非常によく釣れたということを記憶をしております。こちらではカサゴと言うのでしょうか、非常に高級魚らしいですけれども、私のところではガラカプと言っております。ちょっと行くと本当にたくさん釣れた。しかし、最近ほとんど釣れなくなってしまっている。また海自体も、まだまだきれいな海はたくさん残っているわけでございますけれども汚なくなっているな、こういうふうな印象を持つわけでございます。  そこで、大臣の御答弁でございますけれども資源減少の原因として、漁獲の方法が進んでとり過ぎている分があるのではないか、こういう御認識があるようでございます。いわゆる海の汚染、つまり魚自体も何となく海の中にすみにくくなったのではないのか、そういう問題意識も私は持っているわけでございますけれども、この点については大臣はどのように御認識をされておられますでしょうか。
  99. 京谷昭夫

    京谷政府委員 お話にございましたように、海洋の汚染問題というのは我が国に限らず地球的な問題としてもいろいろ論議がされておるわけでございます。御承知のとおり、産業の発展あるいは生活水準、生活様式が変わってきておるということを背景にしましてこのような問題があるわけでございます。我が国周辺水域につきましても閉鎖性の水域等においてそのような現象が一部出ておりますが、総体としては良好な状態に維持されておるという認識を持っております。  ただいま先生から地元の天草周辺水域についてのお話が出ましたが、私どもが県からの報告承知をしている限りでは、例えば天草周辺水域のCODの値を見ますと全く正常な状態であるという判断をしております。また、天草周辺の漁獲量の状態を見ますと、アサリの生産について少し問題が出ておるということを承知しておりますが、その他の漁業については比較的安定的に漁獲が得られておるというふうに私ども報告を聞いておるところでございます。
  100. 倉田栄喜

    ○倉田委員 資源の開発につきましては、いわゆる海をきれいにするということも基本的に重要なことであろうかと思っております。今回の改正案につきましては利用の合理化の側面から規定をしたみたいでございますけれども、開発ということの中にそのことが含まれるのかどうかちょっと疑問なわけでございますけれども、いわゆるきれいな海にするという視点が欠けているのではないのか、このように思っているわけでございます。そこで、例えば環境影響調査等を実施して漁場に与える影響を最小限にする諸施策というのは考えておられないのか、お伺いをしたいと思います。
  101. 京谷昭夫

    京谷政府委員 先ほども申し上げましたとおり、いわゆる今日の海洋汚染問題の要因というのは、各種の産業活動あるいは生活水準の上昇、生活様式の変化というふうな問題等を背景にしているわけでございます。私どもそのために、これらが現実の海洋汚染を惹起しないための措置について、関係する法律を所管している関係省庁と密接な連絡をとりながら御努力お願いし、また水産庁自身としても、必ずしも十分ではございませんが、水質面での漁場環境保全のための各般の施策を実行しているところでございます。  今回の改正は、それらの一連の施策努力を当然の前提として考えておりまして、今回の法律改正の中でそういった観点からの具体的な条文を設ける必要は特にないという判断のもとで、特別の改正を予定をしていないという事情であります。
  102. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今特にないという御答弁でございますけれども、本法に基づく新たな資源管理協定制度というのが資源回復のために十分な役割を果たしていくだろうかという点については、どのようにお考えになっておられるのか。私は、利用の合理化という面については資源管理協定制度というのは確かに多大に資するところはあるだろうとは思いますけれども、現在ある魚をどうとるかという問題以前に、海の中にどれだけ魚がふえていくのか、魚の増大という観点から考えるならばまだまだ不十分なのではないか、このように思っているわけでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  103. 京谷昭夫

    京谷政府委員 冒頭にも申し上げましたとおり、大部分の水産資源は自然の再生産メカニズムによって再生産が行われております。その中からいわば毎年の成長量の範囲内で漁獲を行っていけば、自然の再生産メカニズムによって資源量は増大する可能性を持っておると考えております。またこれに加えて、たびたびお話し申し上げておりますとおり、卵あるいは稚魚の生産段階から人間の手で管理をして資源量を増加させるというふうな新しい技術開発が、魚種によって制約はありますけれども着々と進んで、具体的に稚魚の育成、放流といった仕事も定着をしておるわけでございます。したがいまして、そういった形で再生産される資源を適正な管理体制のもとで利用していく限りにおいては、そのこと自体で資源の再生産は確保されていくというふうに考えておりますが、そのことに限らず、先ほど来申しております資源の再生産のために必要な環境条件を他の政策部面で補強をし、さらにまた、ただいま申し上げました栽培漁業関連する実体的な活動を進めていくことによって、今回のこの資源管理協定による再生産メカニズムへの好影響というものがさらに補強をされていくものであると考えているところであります。
  104. 倉田栄喜

    ○倉田委員 これは大臣にお伺いをできればと思いますけれども、今までの御答弁をいただく中で、大臣自体は、我が国周辺漁業の振興のための基本的な考え方と申しますか、どのようにお考えになっておられますか、御所見をお伺いできればと思います。
  105. 山本富雄

    山本国務大臣 お答えいたします。  昨日来の委員会でしばしば申し上げてまいったのですけれども、二百海里体制が定着をしてまいりまして、それからさらに公海漁場における漁業規制というものが各国それぞれの立場で非常に強まってきたということで、我が国周辺の漁場がますますその一方では大事になってきた。しかも周辺漁場の資源状態は、今申し上げたとおりいろいろな状況の中で悪化の傾向もある。それらを考えますと、早急に種々の対策を構じなければならない。今回お願いしております改正二法につきましてもそういう観点からお願いをしておりますけれども一つはつくり育てる漁業、いわゆる資源管理漁業、きのう来申し上げてまいりましたが、これを一層推進をして、そして活力ある漁村の建設をさらに推進をしよう、二つは主体となるべき漁協の経営基盤の強化水産物の需給の安定化、こういうことを柱にしながら我が国周辺漁場の振興に努めてまいりたいという考えでございます。
  106. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ありがとうございました。  次の質問に移りたいと思いますが、漁業者の漁場利用関係についてでございます。この利用関係については、昭和五十八年に沿岸漁場整備開発法に漁場利用の協定制度が導入をされております。この漁場利用協定と本案に基づく資源管理協定、この性格の違い、効果の違い、これはどのようなことでございましょうか。
  107. 京谷昭夫

    京谷政府委員 御指摘のとおり、沿岸漁場整備法に基づきまして遊漁者と漁業者の間で海面利用をめぐる協定制度があります。今回の法改正で予定をしております資源管理協定とこの仕組みを比較してみますと、民間当事者による協定であるという意味では基本的には共通した性格を持っていると思いますけれども資源管理協定につきましては、御承知のとおり行政庁の認定という行為を入れまして、そのことを通じて資源管理協定効果発揮のために漁業法等による公的な支援措置がついておるという付加的な部分を持っておるわけでございます。
  108. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今認定という御答弁をいただきましたけれども、第十二条の二にその認定について規定をしてあります。認定は、その自主的協定の存在とその妥当性を公の権威をもって確定し宣言するにとどまり、協定そのものの効力に変化を及ぼすものではない、このように理解をしておりますが、それでよろしゅうございますでしょうか。
  109. 京谷昭夫

    京谷政府委員 全くそのとおりでございます。
  110. 倉田栄喜

    ○倉田委員 それでは、今のことを前提といたしまして、その自主的協定を行政が認定する制度を導入することにした意図及び認定の効果についてどのようなお考えがあるのか、お伺いをしたいと思います。
  111. 京谷昭夫

    京谷政府委員 今回の法案の中で、民間の当事.者間で決められた資源管理協定に行政庁が認定をする手続を導入をしておるわけでございます。その結果として、民間協定そのものの効果については、先ほど先生からお話がありましたように、法律上の効果は全く同一でございまして、特に付加されるものはないわけでございますが、この認定という事実上のいわば確認行為を経ることによって付加される効果をいろいろ予定をしております。具体的には、この法律でも規定をしておりますが、この認定を受けた場合には、この認定を受けた協定の漁協内における意思決定についての特例、それから先ほども若干触れましたけれども、一定の手続を経て漁業法等による公的な規制措置によって支援措置が加えられる場合があり得るというふうな、いわば付加的な効果を与えておるわけでございます。さればといって、資源管理協定そのものの法律上の効果には特段の変化はない、こういう構成になっておるわけであります。
  112. 倉田栄喜

    ○倉田委員 十二条の二の二項でございますけれども資源管理協定について定める事項を列挙してございます。その二項の四号に「資源管理協定違反した場合の措置」というのがございます。これはもちろん漁業団体等の自主的な規定でございますけれども政府としては、この資源管理協定違反した場合の措置というのは大体どんなことが挙がってくるだろうかということをお考えになっておられますか。
  113. 京谷昭夫

    京谷政府委員 基本的にはそれぞれの当事者におけるまさに自主的な判断で決めるべきことになろうかと思いますが、私どもの念頭にあるペナルティーの形態としましては、例えば内部における過怠金あるいは事実上の操業停止といいますか休漁、半ばいわば内部統制手段としての休漁というふうな事柄ではなかろうかと考えております。
  114. 倉田栄喜

    ○倉田委員 第十二条の二に「漁業者団体等は」ということで協定締結の当事者を規定してあるわけでございますけれども、この漁業者団体等というのはどの範囲を考えておられるのかということでございます。例えば遊漁者、海洋レジャーを行う者、海上航行する船舶、漁業以外で海洋開発を行う者等々があるわけですけれども、これらは本案による資源管理協定の当事者に多分入っていないのではないかと思うわけですけれども、そうだとすれば海面を利用する者あるいは海を利用する者、全部が入っていない。その入っていない理由、限定的に漁業者団体等というふうに区切られた理由は何であるのか、お伺いしたいと思います。
  115. 京谷昭夫

    京谷政府委員 この資源管理協定の締結当事者として基本的に私ども想定をしているのは、漁業者ないしは漁業関係団体であります。ただ、遊漁者の場合には御承知のとおり釣りという行為を通じて水産資源水産動植物の捕獲行為をするわけでございます。そういう意味で、資源管理という観点からこの遊漁者も資源管理協定の当事者として明確に事を定めたい、そのことが可能であるという条件がある場合には、遊漁者についてもこの協定の当事者から特に排除するつもりはございません。その他の単なる海面利用的な立場にある方については、水産動植物の採捕、捕獲というふうな行為がないわけでありますから、この資源管理協定の当事者としては想定をしていないというふうに理解をしております。
  116. 倉田栄喜

    ○倉田委員 十二条の三でございますけれども、「前条第一項の認定の申請が次の各号のすべてに該当するときは、同項の認定をするものとする。」こういうふうにございまして、四号、基準が挙げられているわけでございます。一応この四号の基準に合致をすればすべて認定をされることになるのかどうかという点でございますが、この「同項の認定をするものとする。」というのはどのように解釈をすればよろしいわけでございましょうか。
  117. 京谷昭夫

    京谷政府委員 一般的に、いろいろなこれまでの立法例を考えますと、「ものとする」という規定の趣旨は、何々しなければならないという規定とは異なりまして純然たる義務規定ではないと理解をしております。ただ私どもとしては、特に認定を行わない合理的な理由がない限りは認定をすべきであるという判断のもとにこのような文言を使っておるわけでございます。
  118. 倉田栄喜

    ○倉田委員 そこで改めてお伺いをいたしますけれども、ここに一、二、三、四というふうに書いてある内容が、ある意味では非常に抽象的で、これが基準たり得るのかな、こういうふうな感じを持つわけでございますが、その点について、例えば二号には「資源管理協定の内容が不当に差別的でないこと。」というふうにございます。この不当に差別的でないことというのは、協定に参加する方々の間で差別的でないことというふうに考えるのか、あるいは協定に参加してない方々にとってもある程度差別的でないというふうに考えるのか。さらに四号、「その他政令で定める基準」というふうにございます。この政令で定める基準というのはどのようなことをお考えになっておられるのか。  例えば、第十二条の二で「認定を受けることができる。」というふうになっているわけでございますので、漁業者団体が総会決議あるいは過半数で認定をしましょうということで認定申請をしてくる。そうするとあとはこの十二条三の各号の基準によって、今御答弁いただきましたようによほど合理的な理由がない限り認定をされるということになるわけですけれども、後の方であっせんとかいろいろな行政庁の介入があるわけでございます。場合によっては認定を受けること自体が一つ一つ非常に漁業団体にとっては大きな意味を持つことになるわけでございますけれども、そこに意見の対立があって認定に参加したくない、あるいは自分たちの意見が通らなかった、こういう方々の存在も考えられると思うのです。  そこで、そういう方々のことを考えた場合に、その認定というのは慎重に、非常に合理的な基準、明確な基準をもってやらなければいけないというふうに思うわけですけれども先ほど冒頭申し上げました「内容が不当に差別的でない」点と「政令で定める基準」というのは、一体どのようなことをお考えになっているわけでございましょう。
  119. 京谷昭夫

    京谷政府委員 いろいろ重ねてお尋ねがあったわけでございますが、不当に差別的でないかどうかの判断は、協定に加入していない者で利害関係を有する者、それから協定に参加をしている漁業者の内部、双方について差別的でないという要件を私どもは求めておるわけでございます。それから政令で定める要件といたしましては、加入者の三分の二程度のものを私ども政令で具体的に明示をするつもりでございます。  それからまた、事後的に協定の内容を公的な規制に転嫁をする可能性を規定をしておるわけでございますが、その公的に後で介入をしていくような事柄について現実に内部にいろいろな利害対立がある状況のもとでは、私ども事後的な公的介入はそう簡単にはできないであろうというふうに考えておりまして、特段御懸念に及ぶようなことはないと考えております。
  120. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今、政令で定める基準のところで三分の二という御答弁ございましたけれども、その三分の二というのは、漁業種類ごとに漁業者の三分の二の同意を得ることを必要とする、このように考えてよろしいわけでしょうか。
  121. 京谷昭夫

    京谷政府委員 そのとおりでございます。
  122. 倉田栄喜

    ○倉田委員 さらに、その認定に際して漁業調整委員会の意見を聞く、そのようなことは政令の中で定めるお考えはないわけでございましょうか。
  123. 京谷昭夫

    京谷政府委員 海区漁業調整委員会の意見を聞くことが適当ではないかと考えておりまして、政令の中にそういった手続規定を設けてはどうかと考えております。
  124. 倉田栄喜

    ○倉田委員 次に、十二条の四でございますけれども、ここには「第十二条の二第一項の認定を受けた資源管理協定に参加している漁業者団体等は、」以下飛ばしまして「農林水産省令で定めるところにより、行政庁に対し、その者の承諾を得るために必要なあっせんをすべきことを求めることができる。」こういうふうに規定をしてございます。つまり、簡単に条文を読んでしまえば、資源管理協定をつくるときに漁業者団体等でいろいろと協議をした、だけれども、ある団体は、自分たちは入らない、こういうことでその資源管理協定から一応抜けた、しかし、その抜けた方がいなくても資源管理協定というのは一応所定の基準に合って認定をされた、その場合、この資源管理協定に参加した方々は、その入らなかった人たちについても入るように、こういうことを多分行政庁に求めて、必要なあっせんを求めることになるのだろうと思いますけれども、この点についてどのようにお考えなのか。この「必要なあっせん」の中身というのは具体的にどういうことなのか、お答えを願えればと思います。
  125. 京谷昭夫

    京谷政府委員 事実上のあっせん行為というものがどういう内容になるか、具体的な対応についてはケース・バイ・ケースでいろいろ変化があるとは思いますが、基本的に申し上げますと、交渉すべき当事者が円滑に交渉、話し合いが行われる・ようにお世話をし、テーブルを用意するということでございまして、特別強制をするようなことではないと考えております。
  126. 倉田栄喜

    ○倉田委員 行政庁からあっせんを受けて、それでもなおかつ応じなかった、このような場合において強制力は伴わないということは先ほど確認をさせていただいたわけですけれども、そのあっせんに応じなかった団体等が事実上不利益を受ける、そのようなことは考えられないでしょうか。
  127. 京谷昭夫

    京谷政府委員 少なくとも、当該資源管理協定の運用上不利益を受けるようなことはないと思います。あっせんに応ずるか応じないか、あるいはそのあっせんの結果に基づく交渉がうまくいくかどうかによって、うまくいかない場合に一定の社会的緊張が生まれるという事実上の現象をとめることはできませんけれども、そのことによって少なくとも資源管理協定の取り扱い上不利益を受けるという事態はないようにしなければいけないというふうに考えております。
  128. 倉田栄喜

    ○倉田委員 本協定は自主的な協定ということが基本的な原則でございますので、この協定に参加しない方々があったとしても特に不利益を受けることがない、このことは強く要望しておきたいと思います。  そこで、十二条の四の二項でございますが、「認定資源管理協定に参加していない者の認定資源管理協定への参加が前条第一項の規定に照らして相当であり、かつ、認定資源管理協定の内容からみてその者に対し参加を求めることが特に必要であると認めるときは、あつせんをするものとする。」このようになっております。この「相当であり」というのはどのような場合なのか。また「特に必要であると認める」ということはどのようなことなのか、お伺いしたいと思います。
  129. 京谷昭夫

    京谷政府委員 法律の十二条の四第二項の「相当であり」という文言の解釈でございますが、私どもの理解では、資源管理協定に参加していない者が協定に参加すること、また参加した結果成立をするであろう協定の内容が十二条の三第一項に掲げてあります基準に適合するというふうに判断される場合であるという理解を持っております。  また、「特に必要であると認めるとき」というケースの判断でございますが、資源管理協定に参加していない者の漁獲量等が相当量に達しておりまして、その者の参加が、成立をしております資源管理協定の目的の達成に非常に効果的であるという評価ができる場合を想定をしておるところでございます。
  130. 倉田栄喜

    ○倉田委員 続けてお伺いいたしますけれども協定への参加が特に必要な場合には、行政庁は漁業法等の規定等に基づきそれらの漁業に対し何らかの制限的措置を講ずべきではないか、このような意見があることも承知をしております。この点についてはどのようにお考えでございましょうか。
  131. 京谷昭夫

    京谷政府委員 御質問意味を少し取り違えるかもしれませんけれども、私ども、今回の自主管理制度というものは、恐らく現存する公的規制のいわば上乗せ措置として、漁業相互の自主的な合意として成立をするものであると考えておるわけでございます。この上乗せ措置になる自主的な合意というものが成立をしない、あるいはまた一部の漁業者がこの合意に参加をしないというケースが生じた場合におきましても、従前から存在をします公的規制というものはそのまま残るわけでございますから、その範囲内での制限は当然受けるわけでございます。少なくとも私ども、一部の者が参加をしないとか合意が成立しないという理由だけで現存する公的規制を特定の者に厳しくするとか、あるいは強化をするというふうなことは考えていないわけであります。
  132. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私は、自主的な資源管理を促進するためには、あくまでも第一義的に自主性を重んじるべきである、このように考えております。現在は、非常に微妙に保たれている関係漁業者間の力のバランスというのが現実的に存在するのではないか、このように思うわけでございますが、その中で、この管理協定制度が導入されることによって紛争を生じる可能性も考えられることであろうと思います。政府は紛争が起こった場合にどのように対応されるおつもりであるのか。  この点と、時間が参りましたので最後に、いわゆる資源管理協定制度をわざわざつくりまして、例えば現在漁業法等々既定の法制度があるわけでございますけれども、これらの法制度によらずに資源管理協定制度を新たにつくったということはどのような目的なのか、お伺いをしたいと思います。
  133. 京谷昭夫

    京谷政府委員 今回の漁業者による自主的な資源管理協定制度は、先ほど申し上げましたとおり、現在成立をしております公的な規制に対する上乗せの仕組みというふうに私ども理解をしておるわけであります。しかもそれは、あくまでも漁業者の自主的な話し合いの中から生まれる合意でなければならないというふうに理解をしております。  ただ、現在の公的な規制の仕組みというのは、大変長い間の沿革を背景にしながら、御指摘のとおり大変微妙なバランスの上に成立していることも事実でございますが、これをこのままにしておきますと、まさに資源を大事に使うということがやや無視される懸念がある。したがって、それを公的制度、公的規制の改編によって行うということになると大変時間もかかるし、また手間もかかる問題もある。したがって、漁業者同士の現状認識なり事態の改善に対する意欲というものを持っていただいて、自主的な話し合いの中で新しい資源管理に向けた秩序をつくっていただきたいということが私どものねらいでございます。  したがいまして、具体的に管理協定をつくるための話し合いの過程ではいろいろなことがあると思いますが、場合によりましては私どもも、私どもといいますか行政サイドとしても、そういった話し合いがまとまるような方向でデータの収集なり提供というふうな援助、支援というものを当然していかなければいけない。漁業紛争あるいは漁業調整ということと同じような事態が起こらないかという御懸念もありますけれども、あえてそういうリスクを冒して新しい秩序の形成に向けた努力漁民と一緒にやっていかなければいけないであろうという決意を持って今回の制度を創設したいと考えておりますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  134. 倉田栄喜

    ○倉田委員 もう一点、既存の漁業法等の規定によらずに本法によったのはどういうことでございますか。
  135. 京谷昭夫

    京谷政府委員 まさに漁業法は公的規制に関する法律であると考えております。実質的な制度でございますので、海洋資源の開発利用の合理化という観点で本法の改正によっておるわけでございます。
  136. 倉田栄喜

    ○倉田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  137. 亀井静香

    亀井委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  138. 亀井静香

    亀井委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、内閣提出参議院送付水産業協同組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  139. 亀井静香

    亀井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  140. 亀井静香

    亀井委員長 この際、本案に対し、大原一三君外五名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。鉢呂吉雄君。
  141. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党、民社党及び進歩民主連合を代表して、水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   近年、我が国水産業をめぐる情勢は、国際規制の著しい強化、周辺漁場における資源状況の悪化、魚価の低迷等極めて厳しいものがある。このような中で、水産業協同組合の多くは、経営規模の零細性、取り扱い事業量の減少、不良債権の増大、金融自由化の急速な進展等さまざまな課題を抱えている。   よって政府は、水産業協同組合が水産業の振興、漁村地域の活性化に適切に対応し得るよう、その体質強化及び機能の充実を図る観点に立って、水産業協同組合制度のあり方につき、さらに検討を進めるとともに、本法の施行に当たっては、左記事項の実現に努めるべきである。        記  一 組合の経営基盤を強化するため、組合の自主的な取り組みを基本としつつ、組合の合併をさらに強力に推進すること。  二 漁場利用に関する事業の拡充及び販売事業に係る員外利用制限の緩和に当たっては、組合の立地条件等を十分考慮して、適切に行われるよう指導すること。  三 組合の信用事業については、業務の特性、専門性を発揮し得るよう体制を整備するとともに、信用事業の業務範囲の拡充については、組合員への融資等の組合の本来の業務に支障が生ずることのないよう適切に指導すること。また、漁業者等の漁業外事業又は生活に必要な資金を適切に融通するための融資保証その他の方策について検討を続けること。  四 信用事業の統合及び信漁連による直営化に当たっては、その円滑な実施のために必要な援助を行うとともに、組合員の利便を損なうことのないよう、また、職員の雇用に不安が生ずることのないよう指導すること。  五 規模の大きい法人や非漁業者が組合員となることにより、組合の運営及び漁業権の行使等に混乱の生ずることのないよう協同組合原則に基づく民主的な運営の確保につき適切な指導を行うこと。  六 回転出資金制度の導入に当たっては、組合員の意向を十分に尊重するよう指導すること。  七 優秀な人材の確保を図るため、組合職員の給与等の労働条件の改善、人材の育成につき適切に指導すること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  142. 亀井静香

    亀井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  大原一三君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  143. 亀井静香

    亀井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山本農林水産大臣
  144. 山本富雄

    山本国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。     ─────────────
  145. 亀井静香

    亀井委員長 次に、内閣提出参議院送付海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  146. 亀井静香

    亀井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  147. 亀井静香

    亀井委員長 この際、本案に対し、大原一三君外五名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。石橋大吉君。
  148. 石橋大吉

    石橋(大)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党、民社党及び進歩民主連合を代表して、海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   近年、国際漁場においては我が国漁業に対する制約が著しく強化され、我が国周辺漁場の重要性が一段と高まっている。しかしながら、周辺漁場の資源状況は総じて悪化傾向にあり、このため、水産資源の積極的増大とともに資源管理漁業の確立が緊急の課題となっている。   よって政府は、本法の施行に当たっては、左記事項の実現に努めるべきである。        記  一 水産資源を適正に管理し、漁業生産の維持増大を図るため、漁業法、水産資源保護法等による資源管理に遺憾なきを期するとともに、これら関係法制の一層の整備に努めること。また、資源量・許容漁獲量等を把握するための調査研究の強化並びに漁業資源の増大及び漁業生産構造再編のための援助に努めるほか、他産業による海洋の開発・利用に際しては、海域漁業生産力を損なうことのないよう対処すること。  二 資源管理協定制度の導入に当たっては、関係漁業者の意向を十分尊重しつつ、協定の締結、認定、アウトサイダーに対する参加のあっ旋等について積極的に指導すること。あわせて、協定の目的達成のため、必要な援助措置を講ずること。また、漁業調整委員会の本来の機能が一層発揮されるよう努めること。  三 広域的資源管理の必要性が高まっている実態にかんがみ、外国漁船を含めて、我が国周辺漁場における資源管理体制及び漁業秩序の確立に努めること。  四 海洋水産資源開発センターの新たな調査業務の実施については、我が国沖合海域の総合的な再開発、新しい漁業生産方式の開発という重要性にかんがみ、積極的に推進することとし、必要な援助がなされるよう十分配慮すること。また、海洋生物資源の管理、利用のための受託調査については、国際社会への貢献にあわせて我が国漁業の漁場確保に資するため、積極的に実施すること。  右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  149. 亀井静香

    亀井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  大原一三君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  150. 亀井静香

    亀井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山本農林水産大臣
  151. 山本富雄

    山本国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、慎重に対処してまいる所存でございます。     ─────────────
  152. 亀井静香

    亀井委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 亀井静香

    亀井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────    〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  154. 亀井静香

    亀井委員長 次回は、来る二十一日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十分散会