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1990-06-12 第118回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月十二日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 岸田 文武君    理事 植竹 繁雄君 理事 斉藤斗志二君    理事 杉浦 正健君 理事 鈴木 宗男君    理事 林  大幹君 理事 志賀 一夫君    理事 田口 健二君 理事 竹内 勝彦君       今津  寛君    岩屋  毅君       高鳥  修君    近岡理一郎君       細田 博之君    増子 輝彦君       光武  顕君    渡辺 省一君       池田 元久君    上原 康助君       北川 昌典君    小森 龍邦君       細川 律夫君    山中 邦紀君       山元  勉君    玉城 栄一君       山口那津男君    三浦  久君       和田 一仁君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 塩崎  潤君  出席政府委員         総務庁長官官房         審議官     杉浦  力君         総務庁行政管理         局長      百崎  英君         総務庁行政監察         局長      鈴木 昭雄君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部生活経済課         長       篠原 弘志君         防衛庁防衛局防         衛課長     萩  次郎君         経済企画庁調査         局内国調査第一         課長      大来 洋一君         国土庁土地局土         地利用調整課長 大日向寛畝君         法務省人権擁護         局調査課長   濱  卓雄君         郵政大臣官房人         事部要員給与課         長       小谷 文雄君         労働大臣官房政         策調査部統計調         査第二課長   尾上 史江君         内閣委員会調査         室長      林  昌茂君     ───────────── 委員の異動 六月十二日  辞任         補欠選任   北川 昌典君     小森 龍邦君 同日  辞任         補欠選任   小森 龍邦君     北川 昌典君     ───────────── 六月八日  旧軍人恩給の改定に関する請願岩屋毅紹介)(第一五一三号)  同(小沢辰男紹介)(第一五一四号)  同外二件(高鳥修紹介)(第一五一五号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する請願高鳥修紹介)(第一五一六号)  傷病恩給等改善に関する請願片岡武司紹介)(第一五四二号)  同(柳沢伯夫君紹介)(第一六〇八号)  同(中曽根康弘紹介)(第一六五五号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  臨時行政改革推進審議会設置法案内閣提出第六五号)      ────◇─────
  2. 岸田文武

    岸田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出臨時行政改革推進審議会設置法案議題といたします。  趣旨説明を求めます。塩崎総務庁長官。     ─────────────   臨時行政改革推進審議会設置法案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 ただいま議題となりました臨時行政改革推進審議会設置法案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  これまで、政府は、行政改革国政上の最重要課題一つとして位置づけ、臨時行政調査会及び二次にわたり設置された臨時行政改革推進審議会答申等最大限に尊重しつつ、累次にわたる行革大綱に沿って、三公社民営化財政赤字国債への依存からの脱却等、逐次、具体的方策を実施してきたところであります。しかしながら、国際的調和国民生活質的向上などのための公的規制緩和行政運営透明性、公正の確保などを初めとして引き続き行政改革推進が要請されている現下の情勢にかんがみ、新たな決意で、幅広い観点から、思い切った改革に取り組む必要があります。  そのためには、各界有識者の御意見を聴取しつつ諸般の施策推進することが重要かつ有益と考える次第であります。  去る四月十九日をもって存置期限を迎え、解散した第二次の臨時行政改革推進審議会も、その最終答申において、今後とも国民協力を得つつ行政改革推進を図る観点から、政府は、新たに行政改革推進のための審議機関を設置する必要がある旨を提言しているところであります。  そこで、政府といたしましては、現在、国政上の最重要課題一つである行政改革主要課題達成推進するため、今般、総理府に改めて第三次行革審ともいうべき臨時行政改革推進審議会を設置することとし、ここに、この法律案提出した次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  今般設置しようとする臨時行政改革推進審議会は、行政改革に関し臨時行政調査会の行った答申並びにこれまで二次にわたり設置された臨時行政改革推進審議会の述べた意見及び行った答申を受けて講ぜられる行政制度及び行政運営改善に関する施策に係る重要事項について調査審議し、その結果に基づいて内閣総理大臣意見を述べるほか、内閣総理大臣の諮問に応じて答申することを任務としており、審議会意見または答申については、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないこととしております。  審議会は、行政改善問題に関してすぐれた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員九人をもって組織することとしております。  また、審議会は、行政機関の長等に対して資料の提出意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができることとしているほか、特に必要があると認めるときは、みずからその運営状況を調査することができることとしております。  なお、審議会臨時機関として設置されるものであり、政令で定める本法律施行期日から起算して三年を経過した日に廃止されることとしております。  このほか、関係法律について所要の改正を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 岸田文武

    岸田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 岸田文武

    岸田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増子輝彦君。
  6. 増子輝彦

    増子委員 自由民主党増子輝彦でございます。ただいま提案されました臨時行政改革推進審議会設置法案につきまして若干の御質問を申し上げたいと思います。限られた時間でございますから、簡潔に私の方も御質問申し上げますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  昭和五十六年に設置されました臨時行政調査会は、昭和五十年代半ばに経済安定成長への大きな転換期を迎え、そのもとにおける財政再建が緊急の課題となり、高度成長時代に肥大化した行政を抜本的に見直し、国民世論を結集して二十一世紀を展望した行政改革推進方策についての提言を求めるために設置されたものでございます。  その後の行政改革は、この臨調答申を基軸に進められ、そのフォローアップのために、二度にわたり臨時行政改革推進審議会が設置されましたが、再度第三次行革審を設置するため法案が提案されているわけでございます。  まず第一番目に、臨調以来これまでの十年間にどのような成果が上がっているのか、お伺いいたします。
  7. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 ただいま増子委員から、五十六年以来の臨調答申、それに基づきますところの行革成果につきまして御評価をいただいたわけでございます。十年間にどのような成果が上がっているのかというお尋ねがございました。私どもは、行革をこれまで国政上の最重要課題として位置づけまして、臨調答申最大限度に尊重しながら、累次にわたる行革大綱に沿って具体的な方策を実施してまいりました。私は、この歴史は、今度の第三次行革審が発足するに当たりましての大きな基礎となるものだと思います。  例えば、まず第一に国鉄改革、これは国民の皆さんが大変高く評価をした改革だと思いますが、国鉄改革を初めといたしまして、三公社民営化日航民営化などの特殊法人整理合理化。第二には、何といっても役人の数が多いじゃないか、数が多いのみならず、むしろ仕事の量と関係なく公務員の数はふえていくのだというパーキンソンの法則がよく言われますが、私どもは、この行革の力によって、昭和五十七年度から平成元年度までに約三万人の国家公務員純減を行うことができたのであります。三番目に、総理府本府の一部と行政管理庁統合編成して総務庁を設置したほか、十一省庁二十四局に及ぶ中央省庁内部部局の再編成をいたしまして、近代の情勢に応ずるところの行政機構を再編成したつもりでございます。  それから、今増子委員が言われましたが、財政との関連で、特例公債依存体質からの脱却という財政再建の第一段階の達成平成二年度からできたということは、委員指摘のような行革審の大きな成果ではないかと思います。なおたくさんございますので、必要がございますれば政府委員からまた御答弁をさせていただきたいと思います。
  8. 増子輝彦

    増子委員 確かに、相当の成果が上がっていると私も考えております。その理由を私なりに考えてみますと、次のようなことかと思われます。まず第一番目には、何といっても土光会長というだれからも支持される人物をヘッドに置いたということ、これがやはり最大理由ではないのかなと私自身は考えているわけであります。国民から支持され、強力なリーダーシップを持って会長がまとめた答申、これは単に法律尊重義務が書いてあるかどうかということだけではなくて、もう当然にそれを尊重して実行していくという、その実行を伴っていかなければなりませんし、また、その気持ちを政府ももちろん国民も持つわけであります。マスコミもこれを取り上げ、国民の関心が高まり、さらに、国全体として行政改革を進めたということが言えるのではないのかなと私は考えているところであります。これが国鉄を初め三公社民営化、あるいはただいま長官が申し述べられましたような成果につながっているのだろうというふうに考えております。  第二番目には、また、行政改革はよく総論賛成各論反対と言われるように、推進の非常に困難な課題であります。政府自由民主党行政改革推進本部を設置するなど、我が党と政府一体となってこれを進めてきたことがもう一つの大きな理由であろうと私は考えているところであります。  このような観点から、第三次行革審をより実り多いものにするかどうか、これはやはり会長、それから委員にどういう人物を充てるかにすべてかかっていると言っても過言ではないと私は考えているところでございます。総務長官、いかがでしょうか。
  9. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 増子委員指摘のように、行革審は非常に広範な、しかも各省の権限の調整みたいなものが大変重要な役割をなすものでございます。それだけに、御指摘のように、行革審会長あるいは委員の人事は極めて重要なものであると私ども感じております。御指摘の、個人的な名前も申されましたが、本当に泥をかぶってでもやる気力のある方、そしてまた、どこに参りましても人から信頼される、そして心服性のある方、このような方がぜひとも必要だと私どもは思いますし、さらにまた、委員は各方面から幅広く選定いたさなければあのような成果はこれからもまた上がらないと思って、法案ができましたら、今申されましたような観点から選択をしていこうといろいろ考えているところでございます。委員は九名でございますが、これはいずれまた、国会同意を要することになっておりますので、皆様方に御承認を賜る機会があろうかと思っているところでございます。  なお、党と一体となってやったことが成功の大きな原因であったと御指摘がありましたが、私も全くそのとおりだと思います。自民党の中に行財政調査会がございますが、ここにおきましてまた御意見を賜りたい、こんなふうに思っているところでございます。
  10. 増子輝彦

    増子委員 ただいまの総務長官の話に関連してでございますが、委員を九人にするというお話でございました。これまでの行革審委員数は七人であったわけでございますが、これを九人にするということの理由お尋ねいたしたいと思います。  また、この委員御用委員のような立場であってはならない、やはり堂々と自分の意見を申し添えて、行革審を実りあるものにしなければならないというふうに私自身は考えているところでございますが、委員を七人から九人にするというその理由長官お尋ねいたします。
  11. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 まず、二人ふやしたのはなぜかということでございますが、昨今の社会経済情勢変化は大変激しいものがございます。私どもも、この激しい情勢変化に応ずるには、やはり幅広く、二人でどうかという御意見があるかもわかりませんが、数を二人程度ふやさせていただいて、九人ということでスタートさせていただきたい。  御指摘のように、最近は、生活あるいは消費者重視、今までのような産業への大きな傾斜のみならず、消費生活あるいは生活者消費者サイド、このような観点がより大きく言われているところでございます。さらにまた、資源配分において、国と地方との間の、中央地方との資源配分は、一つ補助金をとってみても、惰性と言ってはいけないかもわかりませんが、果たして今までのような配分でいいのかどうか。そしてまた、東京一極集中と言われるようなことを直すには、やはり地方の人の声も聞いてみなければならない。それは単に地方の知事とか行政官ではなくして、本当に地方庶民生活経済生活を営んでいる方々の意見も聞いたらどうかというような声もございますので、私どもは、今度は、二人で少ないと思うのでございまするけれども、九人にして審議会を構成していきたい、こんなふうに考えているところでございます。
  12. 増子輝彦

    増子委員 よくわかりました。清新な人材を広く各界から登用したいという御答弁です。まさしくそのとおりでございます。単に行政改革について有数の識見を有するということにとどまらず、やはり国民のだれからも支持されるような人物を選任していただくことを強く希望申し上げておきます。  次に、各界有識者による審議会で論議してもらい、せっかく貴重な答申をもらっても、これを実行しなければ何の意味もないわけでございます。こういう観点から、政府行政改革に真剣に取り組んでいくつもりがあるのかどうか、長官の御答弁をいただきたいと思います。
  13. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 海部内閣は、政治改革税制改革と並びまして行政改革国政の三本柱に掲示をいたしまして、施政方針演説の中で明らかにしたことは増子委員御案内のとおりでございます。そのような大きな、施政方針演説の中に打ち出した三本柱の一つでございますので、私どもは何としても行革審答申を実りあるものにさせ、そしてこれを尊重して必ず実現をする方向で最善の努力を払っていきたい、こんなふうに考えているところでございます。
  14. 増子輝彦

    増子委員 ひとつ実行を伴うようにお願いをいたしたいと思います。  一つに、これは第三次行革審に対する要望でございますが、やはり国民にわかりやすい形で、実現に至る手順も含めて具体的に提言を出していただくことが大変重要かと私は考えております。先ほど長官から熱意を持って取り組むという御答弁をいただいたわけでありますが、第三次行革審から具体的提言をもらったらこれを着実に実施に移していく、それも、国民理解を求めながら進めていくということが極めて重要であると考えております。  長官、この辺をどのようにお考えになっているのかひとつお伺いをいたしたいと思います。
  15. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 増子委員の御質問は、本当に私どもにとって大変激励に当たりますところのありがたい御意見でございます。どうしてもやはり国民理解を求めながら行革審答申実現しなければいけないということでございます。  その前に、私も、国民意見が本当に反映されるような行革審審議をまずお願いをしていきたい。そしてまた、答申が出ますれば、これをさらにさらに細かく国民の間に理解を求めながら実現に移すことをぜひとも考えていきたい。党の行財政調査会等はそのための大きな役割を果たしていただけるものだ、こんな期待もしているわけでございますが、今おっしゃられました国民理解は最重要前提だ、こんなふうに考えております。
  16. 増子輝彦

    増子委員 よくわかりました。ひとつ長官にはこの問題について十分国民理解を得られるようにやっていただきたいと思います。  国民の四人に一人が六十五歳以上になるという本格的な高齢化社会をこれから日本は迎えてくるわけでありますから、二十一世紀に向けて、活力ある、公正で住みやすい福祉社会を築くとともに、世界日本がよく融合し、世界の平和と発展に貢献するためにも、行政改革は避けて通れない課題であります。
  17. 岸田文武

    岸田委員長 増子君、時間が参っております。
  18. 増子輝彦

    増子委員 そういう意味で、行政改革の一層の推進に努力していただくようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  19. 岸田文武

    岸田委員長 続いて、岩屋毅君。
  20. 岩屋毅

    岩屋委員 自民党岩屋毅でございます。増子委員に引き続きまして、行革審設置法案に関しまして若干の質問をさせていただきたいと思います。  我が党は、政府一体になりまして、これまで臨調答申の掲げた「活力ある福祉社会の建設 国際社会に対する積極的貢献」、この二つの目標のもとに、二十一世紀に向かっての明るい日本の将来を築くため行政改革推進をしてまいりました。ただいま増子委員からの質問にもございましたが、臨調が設置されて約十年がたつわけでございます。これまでの臨調答申行革審答申がどの程度実現をしているのが、また、現在取り組んでいる主な課題一体何であるのか、さらに、二十一世紀に向かって今後の課題をどのように考えておられるのか、長官にまずお伺いをさせていただきたいと思います。
  21. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど増子委員にお答え申し上げましたが、これまでどのような答申実現されてきたか、これまでの成果についてのお尋ねがございました。岩屋委員もその点を大変御心配をされている。これがとにかく私どものスタートの基礎だ、こんなふうに思うわけでございますが、先ほど申し上げましたように、国鉄改革、このような本当に国民が歓迎する大改革を行いましたほか、三公社民営化日航民営化特殊法人整理、それから第二は、先ほど申し上げました国家公務員の三万人の定数の純減、あるいは総理本府の一部と行政管理庁との統合・再編成等行政庁の再編成、それから何といっても赤字公債をなくした、こんなことが成果を上げてきたことは先ほど申し上げました。  しかし、まだまだ多くの問題が残されておりまして、第二次行革審答申にも、なお引き続いて新しい機関をつくってこれを具体的に実現していけという問題がたくさん残っております。国と地方とを通ずる行政改革、つまり中央集権的な行政体制から地方分権を加味した、地方ですべてが、すべてと申しますか、ある程度片づくようにというところの改革。それからまだまだ公的規制緩和も、あの日米構造協議で示されておりますように解決していかなければならないような点が多いかと思います。こんな点をひとつやってまいりたいと思うところでございます。  そして、今後の課題といたしましては、第二次行革審最終答申が示唆しておりますように、依然として国民の負担の増大を抑制しながら大きな政府をつくらないで財政運営していけ、そして公的規制の廃止・緩和民活部門の活用、地方分権推進制度施策改革行政組織、現業、特殊法人改革行政運営透明性、公正の確保等の六点を示しておりますが、私は最近の状況で、これだけにとどまらず、例えば日米構造協議などはあのような形で決着がついているように見えまするけれども、あのような改革も、ひとつ内なる改革、第三次行革審の中からアメリカ指摘されなくても行政改革の中で実現されるような方向のテーマがたくさん出ているような気がしてならないのでございます。  そしてまた、生活者消費者重視観点は、これまた新しい角度でございます。これまでの産業重視行政、これにどのように消費者重視生活重視行政を加味していくのか、バランスをとっていくかということは、全く新しい問題だと私は考えておるところでございます。
  22. 岩屋毅

    岩屋委員 長官から御答弁がありましたように、内外情勢国際化高齢化といった大きな変化を遂げてきております。私は、このような変化に対応して、まさに主体的にかつ柔軟に対応し得る行政制度組織実現を図っていくことが肝要であると思っております。とりわけ、今までは有効に機能しておりました行政システムそのものが一種の金属疲労を迎えておる、こういう認識に立つことが大切だと考えているわけです。  そこで、こういった変化に対応して行政改革を進めていくことはまさにこれからの不可欠の課題である、こういうふうに考えておりますが、この行政改革に取り組む長官の御決意をいま一度お聞かせをいただきたいと思います。
  23. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 岩屋委員指摘のように、私は、本当に金属疲労を気がつかないで見逃すような政治では、これはもう日本の進歩がおくれるようなことになってしまうと思うわけでございます。どうしても今度の行政改革は、第三次行革審でございますけれども、本当に集大成の、そしてとにかくもう最大のエネルギーを挙げてすばらしい答申を出していただいて、これをひとつ先ほど来お話がありましたように国民理解を得ながら実行していく。とにかくアメリカ指摘されて構造協議という形での行革よりも、私どもの中から出てくるところの行革を何が何でもひとつやっていかなければならない、こんな決意でございますので、いろいろと御指導、御鞭撻を党におきましてもしていただきたいと思いますし、国会運営におきましてもいろいろの御論議、御激励をいただきたいと思うところでございます。
  24. 岩屋毅

    岩屋委員 長官の、行革集大成をまさに主体的になし遂げていくのだという御答弁、心から期待を申し上げておきたいと思います。  そこで、変化に対応して行政改革を進めるとともに、もう一つ大きな課題に、私は政治改革があると思います。我が国が内外に抱える困難を考えるときに、単に行政改革にとどまらず、政治改革が求められております。私は、この政治改革行政改革が相まって初めて二十一世紀の新時代を開くことができると考えております。今ほど強い政治リーダーシップが求められているときはありませんし、また、政治信頼回復が求められているときはありません。これはもちろん政治の問題であり、国会の問題でありますから、私ども議員一人一人が自覚をして真剣に取り組んでいくべき問題だと思いますが、長官には、ぜひ車の両輪のもう一つであります行政改革に全力を尽くしていただきたいということをお願いをさせていただきたいと思います。  先ほど御答弁の中で、国と地方関係についての改革が当面の最重要課題であるというものがございましたが、地方分権推進、これは本当に大切であると思います。東京への一極集中を是正し、地域の活性化を図り、国民一人一人がふるさとに誇りを持って心豊かな生活が送れるような改革がぜひとも必要であります。  私は地方議会の出身でございますが、毎年予算の時期になりますと大挙して東京に上京するわけであります。私どもは、このことを自嘲ぎみに現代の参勤交代というふうに呼んでおりました。世界に冠たる経済大国の中で地方自治がそのような形でしか行われておらないというのは日本行政の悲劇である、私はこういうふうに考えておるわけであります。  ですから、特に地方への権限委譲等を進めて、住民に身近な行政はできるだけ地方公共団体において処理できるようにすることが大切だと考えております。権限委譲を含め、国と地方を通ずる行革についてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。
  25. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私は、確かに近代国家の要請として、一億二千万、狭い国土の日本の住民には画一化された均一なサービスを与えたいという大きな要請があると思います。それは中央集権的な要請になりがちでございまするけれども、一方、やはり民主主義の根幹は地方分権、そして、このような画一的なサービスでも地方でこれを国の基準に従って処理していく、地方によってこれを決めていくということが重要なことだと思います。しかし、それは口に言えてもなかなか難しいことでございまして、権限の委譲のみならず、補助金の配分それから地方税源の問題、処理に必要な財源。これは現在三割自治とか言われるようなときに、大きな権限委譲があっても三割自治のもとでどうしてできるかというようなお話がよくありますし、私は、財源の移動の問題まで含めて考えていく必要があろう。  今までの中央地方の権限の委譲の問題も、私はもう何十年やってまいりましたが、徐々にしかいかないのは、やはり財源との関連あるいはまた地方行政庁の職員の行政能力の問題、特に町村のようなところの数の少ない、そして人材がなかなか発見が難しいようなところで苦労して行われるところの行政のことを考えますと、これは私どもが相当周到な計画、緻密な計画、そして大きな政治力で推進していく必要があろうかと考えておるところでございます。
  26. 岩屋毅

    岩屋委員 地方行政マンの資質も年々歳々相当に向上してきておると私は確信をしております。そこら辺をぜひ強く信頼をいただいて、思い切った権限の委譲にお取り組みをいただきたいと思います。  臨調以来の行政改革は相当の成果を上げておると私も思います。しかし、残る課題も多いわけでありまして、最近はややもするとマンネリ化している嫌いがないわけではありません。この辺で新しい目で見る必要があるだろうと思います。その際、最も重要なのは、先ほどもお話がありましたが、消費者重視といった観点だと思います。これだけの経済力がついたにもかかわらず、国民がいま一つ豊かさを実感できないでいるわけでございまして、国民生活の質の向上、消費者重視といった観点も含めて、行政改革の新たな展開を図っていただきたいと考えますが、長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  27. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 岩屋委員の御指摘は全く同感でございます。明治以来の富国強兵、殖産興業のあの精神がまだなかなか、いまだに強い日本経済社会ではないかと私は思うわけでございます。それが行政の上にあらわれているのが現代の日本ではないかと思うわけでございます。しかし、もう経済力がこの程度、アメリカが驚くほどの経済力になった今日、仕事は、産業は、国民生活を豊かにするためという考え方も入れていくことができるような経済水準に達した。ですから、企業と個人、国民との間の、そしてまた政府も入れました三者の間の資源の分配、所得の分配、このあたりもよほど考えていく必要があろうかと思うのでございます。個人は貧乏だが、どこが飛んでいるんだ、企業かななんというような声がよく出ますが、このあたりは今度の行政改革最大の目玉ではないかというふうに私は思うぐらいでございます。地方はなかなか難しいかと思いますが、このような観点からの検討は、当然委員の御指摘のとおり強力に進めていかなければならないと思っておるところでございます。
  28. 岸田文武

    岸田委員長 時間が参っておりますから、簡潔にお願いします。
  29. 岩屋毅

    岩屋委員 大変心強い御答弁長官からいただきました。ぜひひとつ清新な人材によりまして、新しい視点も加えて、第三次行革審が精力的な活動をされて、国民の皆さんの御理解のもと行革が一層推進されることを心から御期待を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  30. 岸田文武

    岸田委員長 続いて、山元勉君。
  31. 山元勉

    ○山元委員 社会党の山元勉でございます。私は、設置法案審議に入ります前に、その前提でありますここに出されました最終答申の中身について若干お伺いをしておきたいと思います。  四月十八日に出されました最終答申のいわば特徴的な性格あるいは重点というものについてどのように認識をしていらっしゃるのか、また、政府がそれをどのように受けとめていらっしゃるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  32. 百崎英

    ○百崎政府委員 去る四月十八日に提出をされましたいわゆる第二次行革審最終答申でございますが、これは最終答申という性格もございまして、二十一世紀を展望して今後我が国行政が目指すべき目標を掲げると同時に、その目標のもとにおける今後の行政重要課題を六つばかり要約して、いわば基本的な今後の行政方向を示したという点が一つ大きな特徴ではなかろうかと思います。  具体的には、「世界に開かれた日本」、「世界への積極的な貢献」、「土地・住宅問題の解決と国民生活質的向上」、「スリムな政府と民間活力」、「地方分権推進」、「効率的で公正・透明な行政運営」、こういう六つの基本的な方向が示されたところでございまして、政府といたしましても、この答申全体を今後の行政改革に対する重要な提言であるというふうに受けとめているところでございます。  この答申の取り扱いにつきましては、去る四月二十七日、答申が出されました直後でございますが、この答申最大限に尊重しながら、国・地方を通ずる行財政改革を引き続き推進すると同時に、所要の改革方策調整、立案を進めて逐次実施に移していく、こういう政府の基本方針を閣議決定いたしたところでございます。  その最終答申で示されました中身は、そういうことで行革の基本的な方向づけということでございますので、今後の政府課題といたしましては、これをできるだけ具体化して実施に移していく、こういうふうに受けとめているところでございます。
  33. 山元勉

    ○山元委員 今もありましたように、六つの方向とおっしゃいましたけれども、大変広い範囲の課題、国レベルから地方まで、あるいは各省庁から特殊法人に至るまで、そして課題的には社会保障や農業に至るまで、大変多岐にわたる答申が出されたというふうに私も受けとめています。  そこで、先ほど長官はこの答申について、行革集大成として出された、尊重するとおっしゃいました。この答申は六つに大別されていますけれども、広く、浅く、多岐にわたっていて、いかにも形式的なものになっているのではないかというふうに思うわけです。本当に日本行政改革していく、国のあり方を変えていくというような力をこの答申が果たして持ち得るのかどうかという危惧を持つわけです。その点についてはどうですか。
  34. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 六つの項目は極めて抽象的な表現で書かれておりますが、もちろんこの意味は大変含蓄の深いものだと思います。これらに基づいてまた詳細な要綱等をつくりましてこれを実現していく、そういうようなことによって初めて可能であろうというふうに思うところでございます。  先ほども申し上げました地方分権推進といっても、単に抽象的な地方分権推進と言っただけではなかなか進んでまいりませんので、そのためには、例えば財源をどうするかとかいうようなことまで含めて考えていけば委員の御指摘のような御心配は排除できるのではないか、また、その御心配を排除してやっていかなければならない、私はこんなふうに考えております。
  35. 山元勉

    ○山元委員 決意はわかりますけれども、例えば、四月の十八日に答申が出されまして、二十七日ですか閣議決定、最大限尊重するとおっしゃる。そして五月に入って法案国会提出される。きょう審議が始まって、そして今週じゅうに採決をしてもらいたい。設置をしたい。このような膨大な課題を多岐にわたって提言をしている答申を受けて、はい尊重します、はい次の審議会を開きますというような、いわば答申そのものを軽んじているのではないか。一定の期間政府自身がこのことについてじっくりと検討して取り組む、この答申を受けてこれからどうあるべきかという基本姿勢を明確にして、なおかつ課題を設定して設置することを提起するというのが答申そのものを大事にするような立場ではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  36. 百崎英

    ○百崎政府委員 確かに御指摘のように、最終答申の中身、非常に広範にわたるわけでございますが、先生御承知のように、臨調以来、いわゆる聖域を設けることなく行政改革を進めるというような方針で、まさに行政の各般にわたりましていろいろな改革答申が出され、これを政府実行してまいったわけでございます。そういった過去のこれまでの行政改革の実績等を踏まえながら、いわゆる第二次の行革審におきましてそのフォローアップをいたしまして、さらに引き続き従来の臨調答申の路線等も踏まえながら、今後約十年間に向けて行政の進むべき方向を示す、こういうことで出された答申でございます。全く新たな提言が今回行われたということではございませんで、臨調発足以来もう既に九年たっておりまして、これまで政府としてもいろいろなことをやってまいりましたけれども、さらに引き続きその上に立って今後推進を図っていく、こういうことでございます。
  37. 山元勉

    ○山元委員 後ほどまた触れます。  答申の質の問題について少しお尋ねをしたいわけですが、報道もありましたように、委員の一部の不一致があった、異例の採決によってこの答申が出されたというふうに聞きます。その間の状況について御説明を賜りたい。
  38. 百崎英

    ○百崎政府委員 今回のいわゆる最終答申の決定に当たりまして、ただいま御指摘がございましたようにいわば採決というようなことになったわけでございます。ここに至るまで審議会委員さん方は非常に真摯な御議論をされ、できるだけ全委員の一致した意見となるように努力をされたわけでございますが、残念なことでございますけれども、結局意見の一致が見られなかったということで、いわば合議機関としての適切な手続に従って採決ということになったものと考えております。いずれにいたしましても、そういったことでございますので、この答申の意義はそれによっていささかも薄れるものではないというふうに考えております。
  39. 山元勉

    ○山元委員 それはおかしいじゃないですか。委員が本当にたくさんいて、何十人も何百人もいて採決をとらざるを得ないということはよく会議にはあることです。しかし七人、しかも先ほど長官もお答えになりましたすぐれた人、確かに設置法にも見識のすぐれた人をお願いするとなっているわけですが、そのわずか七人の委員さん、国会の承認を得て就任をされていらっしゃる、その権威ある人たちの意見が一致をしないままに答申を出された。これは、私ども考えるのには、議論が極めて不足していたのではないか、意見の集約の努力が足らなかったのではないかというように思うのですが、その議論の不足あるいは集約についての努力の不足ということについてどういうふうにお考えですか。
  40. 百崎英

    ○百崎政府委員 ただいま議論が不足していたのではないか、あるいは議論の集約に向けての努力が足りなかったのではないかというような御指摘がございましたけれども、先ほども申し上げましたように、今回のこの最終答申を作成するに当たりまして行革審の中にいわゆる最終答申に向けた小委員会というものを設けまして、そこで議論をしたわけでございます。その小委員会の場におきましてもいわゆる親審議会委員の方々にできるだけ御出席いただいて、いわば小委員会の参与の方々と幅広く意見の交換をするといったような運営をされたわけでございます。そういう意味で、この小委員会行革審委員さん方の間の意思の疎通等を図る場をつくって、現実にそういったようなことを行ってきたわけでございますが、それにもかかわらず最終的には結局意見の一致を見ずに終わった点がございました。そういうことで先ほどのようなことになったわけでございます。
  41. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 山元委員の御指摘は、民主主義とは何かというような根本問題に触れるような御意見だと思って、私も今しみじみと考えさせられたのでございます。日本では満場一致主義というものが議会でも求められるような風習があるやに思われる。特に、政府審議機関は満場一致でなければならないようなことが言われることもありますが、満場一致主義が果たして絶対にいいかといえば、それは議論不足ではないか、特定の人の意見だけに賛成しているではないかというような意見もあり、やはり採決を行って過半数の議決を得たものも民主主義的な決定で、さて満場一致主義の決定と過半数による決定とどちらが果たして内容として、そしてまた答申として、あるいは決定としていいかといえば、いろいろな考え方が出てくるのじゃないでしょうか。外国人が日本で驚くのは、満場一致主義ばかりとられておる、したがって、議論が極めて少ないという意見すらあるやに私は聞くものですから、こういったあり方も民主主義的な方法として一つ考えられる方向である、こういうふうにひとつ御理解をいただきたいと私は思うところでございます。
  42. 山元勉

    ○山元委員 私は、満場一致主義至上とは言っていないわけです。それであれば、すぐれた委員さん七人の中にこういう意見がありましたということは国民の側に知らされているのでしょうか。先ほどもありましたように、国民理解なくしてはこの行革は進まない、このことは強い調子で総務庁長官もおっしゃいました。そういう立場であれば、審議を尽くしてもらったけれどもこういう意見があります、満場一致にはなりませんでしたということを国民の側にしっかりと知らしめるべきではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  43. 百崎英

    ○百崎政府委員 いわゆる行革審におきましては、これは臨調以来そうでございますけれども、第一回目の会合におきまして、審議会での議論の中身は一応原則として非公開にするということを実は決めているわけでございます。ただ、審議会の場でどういうような問題が議論されたかという中身につきましては、審議会が終わる都度委員の方あるいは事務局の方から記者会見をして公表する、こういう運営をとってきているところでございます。そういう意味で、今回の最終答申の決定に当たりましても、これが議論された都度、こういうような御意見もありましたということを公表してまいったわけでございます。ただ、審議会のいわば自由闊達な委員さん方の御意見確保するという意味から、どなたがどういう意見を述べられたという、その個人名を付したそういう言い方はいたしておりませんけれども審議会の中でこういうような御意見がありましたということはこれまで公表してまいっておるところでございます。
  44. 山元勉

    ○山元委員 論議の経過の中でのこういうことがありました、こういう意見がありましたということの発表と、最終答申にこれを盛り込む、盛り込まない、意見の不一致があるということとは、私は質が随分と違うと思うのです。そういうふうにして発表しておられたのであればなおさらですけれども一体最終答申をまとめるときに不一致があった相違点は何ですか。どういうようなことが主なことですか。
  45. 百崎英

    ○百崎政府委員 ちょっと最後の御質問の御趣旨が、最後のところが、委員さんでこういう意見があったけれども……
  46. 岸田文武

    岸田委員長 山元さん、もう一度御質問を繰り返していただけますか。
  47. 山元勉

    ○山元委員 きょうは審議の途中でこういうふうに意見が出ました、こういう論議がありましたということは国民に知らしめてある。けれども、私が申し上げているのは、最終答申をまとめるときにこういう方向を打ち出すということでの不一致は、経過での論議とは違うわけでして、最終答申についての意見の相違にどういうものがあったのかをお尋ねしておるわけです。
  48. 百崎英

    ○百崎政府委員 結局、最終答申が作成されるまでの過程で各委員の方々が何回か委員個人の御見識に基づくいろいろな御意見を述べられた、それにつきましてももちろん審議会の場でいろいろ議論いたしました。委員の中には、いわゆる文書によるメモを出して議論に供された方もございます。それをもとに審議会の場で皆さん方が非常に真摯な御議論をされた上で、最終答申がああいう形でまとまったということでございまして、最終答申に対する意見といいますか、これは、先ほど申しましたように、審議会としては全員一致の意見を得るべく努力はしたところでございますけれども、最終的になかなか意見の一致が見られない、かつまた、審議会の時限が迫っておりますので、最後はやむを得ず審議会の議事規則にのっとって採決を行って答申を出した、こういうようなことでございまして、各委員の御意見等はいろいろそれまでの過程で議論を尽くされたというふうに私どもは承知いたしております。
  49. 山元勉

    ○山元委員 委員の一人が最終的な答申の段階で、例えばリクルート、ロッキードの問題等、日本政治の根幹に触れて大きな問題が起こっている、そのいわゆる政治倫理の問題についても論議をすべきだし、最終答申の中で盛り込むという議論をすべきだと主張したが、これも取り上げられなかった。あるいは今大きく世界経済が変動しています、そういうものに対応することについて不十分であったのではないか、例えば先ほど長官アメリカから指摘されてやる行革ではなしに、我々みずからが日本行政を変えていく、そういう行革であらねばならぬというふうにおっしゃいましたけれども、そういう経済の大きな変動、動向に対応する行革ではなかったのではないか。そういう意見が今後の問題とも絡んで提起されていたけれども、不一致で取り上げられなかったというふうに一人の委員がおっしゃっているわけです。そういうものは、私は時間を余りとれませんからなんですけれども、こういう大きな論議がありました、議論がありました、問題提起がありましたというような、よくあります両論併記だとか三論併記だとかいうような形で国民意見を聞くという立場が行革審になければならぬと思うのです。その点についてはどうですか。
  50. 百崎英

    ○百崎政府委員 委員の中から、先ほど先生が御指摘のように、例えばいわゆる政治論理といいますか、あるいは行政面における綱紀の問題、そういった問題を取り上げるべきではないか、そのほか先生が御指摘のような幾つかの問題が提起されました。それにつきましても当然のことながら、メモ等が出されましたのでそれをもとにいろいろ議論されたわけでございますが、結局審議会の大勢としては、そういった政治論理に関するような問題というのは、例えば行革審の任務に照らしてそのことを直接に答申という形で出すのが適当であるかどうか、そういういろいろな御意見等もありまして、最終的には答申そのものの本文にはそういった問題は結局取り入れられなかったわけでございます。  ただ、この答申のいわば結びといったようなところで、先ほども議論がございました、行政改革と同時にやはり政治倫理も含めたような政治改革を行う必要がある、そういう趣旨のことが述べられているところでございます。
  51. 山元勉

    ○山元委員 やはり不一致のままで、言葉は悪いですけれども、切り捨てて答申が出されるということは、答申そのものの説得力を失います。そして失いながら、かつ、一方国民の側に活発な論議をさせるということにならない、いわば審議会そのものの値打ちを落とすことになるのではないか。今後もし三次行革審が設置されるとすれば、このことについては最大限回避する努力をしなければならぬ。中途半端な、一部の意見というのは語弊がありますけれども、そのままで出して、それがあたかも最大限尊重される方針となってしまうような形というのは避けてもらいたいと思います。  次に、もう一つですが、この審議会が、よく言われます、政治の、政府の、あるいは権力の隠れみのだという隠れみの論というのがありますけれども、今度の行革審は、単なる隠れみのではなしに、議会や内閣の政治方向を決めるその権限をこの審議会の方に移してしまう、行革審が内閣や議会の上にあるような、隠れみのではなしに審議会政治になってしまっているのではないかと思うのです。そこのところをどういうふうに認識していらっしゃるかお尋ねします。
  52. 百崎英

    ○百崎政府委員 いわゆる審議会につきまして、隠れみの的な運営とかあるいはいわゆる審議会政治というふうな御意見等もございますけれども、私ども行政運営に当たりまして、いわば政府が独善に陥らないように、審議会というものを設置いたしまして幅広く民間の各界の有識者の方々の御意見を聴する、こういうことは非常に有益なことではないかというふうに考えております。ただ、行政運営の責任はあくまでも政府にあるわけでございまして、政府はこの審議会答申を尊重しつつも、あくまで政府の責任において取捨選択を行って政策決定をする、こういうことでございます。特にこの審議会答申の中で例えば立法措置を要するような事項につきましては、当然のことながら国会にお諮りする、こういうような運営をしてきておるところでございまして、必ずしも隠れみの等の御批判は当たらないのではないかというふうに私どもは考えております。
  53. 山元勉

    ○山元委員 隠れみのの批判は当たらないというふうにおっしゃいましたけれども、私は隠れみのだと言っているのではない、それよりも以上に、議会や内閣の上にあって審議会政治が行われているという実態にあるのではないかというふうに申し上げているわけです。  私どもも何回か耳にしました。行革は天の声だという言葉がございました。天の声というと反対にすぐ思い浮かぶのは民の声です。民の声と天の声。まさにこの審議会というのは、天の声ということで政治を強く引っ張っていく、政治に対するリーダーシップを発揮していく。私が申し上げたいのは、発揮し過ぎているのではないかということです。そういうことを危惧をいたしますし、そのことについては、やはり誤りだ、民主政治の根幹にかかわって、大変危険なことだと私は思うわけです。  そういう中で、例えばある新聞でも出ていましたけれども、当面の緊急課題に具体的な改革案が盛り込めず不本意な内容となった主因について、ある幹部は族議員からのプレッシャーだと言ったという。そういう天の声を発するような力を持っておるところへ族議員のプレッシャーがかかって答申がゆがめられてくる、これは国民の全く知らないところで行われることなんですね。そういう審議会というのは大変危険だと思いますし、そのことについて政府は心をいたさなければならないのではないかということを申し上げておきたいと思います。  そしてその審議会が、いろいろ言葉を使って申しわけないのですけれども、密室審議だということが言われる。今局長は、自由闊達な論議を保証するためにも公開をしていないのだ、こういうふうにおっしゃいました。しかし、国民の側から見るとこれは間違っている。日本政治の大きな方向課題を決定をする論議をしていく、そのことについて国民は知らしめられなければならないと私は思います。  私ども議員も同じことだというふうに思います。やばいから言えない、特定の勢力やあるいは暴力に対して恐れていて物が言えるわけがないのです。委員さんも、そういう恐れなしに自由闊達にオープンに論議をしていただかなければならぬ、そういう審議会だったというふうに思います。  そして答申そのものも、一方では公正で透明性の高い行政運営を行う必要があると言っているわけです。みずから公正で透明度の高い行政運営をやるべきだ、けれども自分たちの言うことについては非公開だというのは、私は合わないと思うのです。審議会のあり方そのものにかかわることですから、もう一回自由闊達な論議と国民の議論参加、見えるところでの審議ということについての立場を御説明をいただきたいと思います。
  54. 百崎英

    ○百崎政府委員 行政改革につきましては、申し上げるまでもなく、いわゆる総論賛成各論反対というようなことが言われますように、非常に利害が錯綜するような問題を扱うわけでありまして、審議会において各委員の方々が、そういったような問題について、御自分の所属しておられる立場を離れて、文字どおり自由闊達な御意見を交換しながら今後のあるべき姿を求めていく、そういうようなことを行革審等も行ってきておるわけでございます。  そういうことを考えますと、やはり審議会の場でどなたがどういう発言をされたかというようなことが逐一公開されては、各委員さん方も、事が非常に微妙な行革の問題であるだけに、いわば自由闊達な御意見の発表が阻害されるおそれもある、こんなような考え方から、審議会御自体において、臨調行革審ともに審議会の御判断として、その第一回目の会合で議事の原則非公開ということを決められているわけでございます。  ただ、議事の中身は、そういうことで個人のどなたがどういう御発言をされたということは公表しないにしても、国民皆様方が非常に関心をお持ちの問題でございますので、審議会では議論として大体どういうような問題が提起され、それに対してまたどういうような御意見があったというようなことは公表するということで、審議会が終わります都度記者会見をして、委員個人あるいは事務局の方から毎回その中身を公表してきている、こういうことでございます。     〔委員長退席、林(大)委員長代理着席〕
  55. 山元勉

    ○山元委員 この行革審行革も十年、いよいよ国民が本当に我がこととして日本行政政治について考える、二十一世紀を展望してどうだということについて考える、そういう時期に来ているときに、相も変わらず自由闊達な論議ということでこんなことをやっている。それであれば、委員の選定というのが大問題になると私は思うのです。  確かにそれぞれどのような委員さんを選んでも無色透明の人はいらっしゃらない。背景もあるし足元もあるわけです。それぞれの立場で物を言っていいと思うのです。そのことにプレッシャーをかけるのは間違いですし、そのことを恐れるのも、これも間違いだと思うわけです。そういう意味で、今後国民の皆さんに論議の過程を十分知らしめる、あの議員さんがああいう背景で物を言った、そのことも国民理解を得ながらも堂々と論議をするという風をつくっていかないと、おかしなことになってしまう。そういう足場のあるものについては全部秘密論議、密室論議をしなければならぬということにもなりかねないわけですから、そういう点でこれからのあり方について考えていただきたいと思います。  次に、中で財政再建について相当の部分が割いてあるわけです。臨調一つの大きな至上命題といいますか、「増税なき財政再建」というのがずっと言われてきました。今度の答申ではそのことについてどのような立場をとっていると言えるのか、御説明をいただきたい。
  56. 百崎英

    ○百崎政府委員 今回の最終答申におきましては、「増税なき財政再建」ということで臨調以来財政運営を行ってきたというようなことをいろいろ述べておりますが、今後の財政運営のあり方についても、臨調以来のそうした「増税なき財政再建」という路線は基本的に変わらないということを答申の中に述べているところでございます。
  57. 山元勉

    ○山元委員 一貫して今もなお「増税なき財政再建」という立場を堅持している、私はおかしいと思うのです。そういうことを一方で言いながら、マイナスシーリングあるいは我慢の哲学を押しつける、そういう行政を終始してきた。  例えば今特例国債ゼロというふうになった。そういうときに、大増税の消費税が導入をされた。そのことで国民の世論を二分して大論議がございました。一つの審判は参議院選挙で、国民が消費税増税はだめだと言った、悪税だと言った。あるいは参議院で廃止法案が可決をされました。おとといも福岡でこのことを一つの大きな争点にして選挙が行われて審判が出ました。そういう状況がある。行革審は「増税なき財政再建」と言いながらずっとマイナスシーリングを押しつけてきた、我慢の哲学を押しつけてきた、そして今そういう状況に消費税の問題でなっているときに何の評価も加えない、論評もしないということになっているのではないかと思うのですが、そのことについてはどうですか。
  58. 百崎英

    ○百崎政府委員 いわゆる臨調で申しております「増税なき財政再建」、これは先生御承知のとおり、当面の財政再建をするに当たっては、まず兵糧を求めるということではなくて、何よりもまず歳出を徹底的に見直して削減をすることに努める、そして全体としての国民の租税負担率の上昇をもたらすような、そういう税制上の新たな措置を基本的にはとらない、こういうことが答申の本文にも書かれているわけでございまして、そういう考え方に沿いまして政府としましても、各制度施策の見直しを行いまして歳出の削減努力にこれまで努めてまいりますと同時に、税制改革に当たりましても、制度改革それ自体によって国民の租税負担率の上昇をもたらすようなことがないように、むしろ全体としてその軽減を図るような努力を重ねてきたところでございます。消費税の導入に当たりましても、そういうような考え方から所得税の減税等を先行させるなど、そうした努力を行ってきたところでございます。  なお、税制のあり方につきましても、臨調自体におきまして、いわゆる直間比率の見直しあるいは資産、所得、消費の間の適正な課税のバランスの確保、そういうことも指摘しているわけでございまして、消費税の導入はそういった趣旨に沿ったものと私どもは考えておるところでございます。
  59. 山元勉

    ○山元委員 おかしいではないですか。一方で、歳出を抑えること、歳出抑制が第一だ、こう言っている。確かに国民の側はあらゆる部分で我慢をしてきました。あらゆる面での我慢の哲学ということで押しつけられていて、一方で消費税だけががんと出てくる。今おっしゃったような説明ではこれはどうしても納得がいかないわけですよ。そのことについて、先ほども申し上げたのは、行革審の判断はどう出されているのですかということです。今国民は世論が二分していますね、そういうことについて日本行政として、政治としてどうであったかという評価行革審としてはどうされているのですか。     〔林(大)委員長代理退席、委員長着席〕
  60. 百崎英

    ○百崎政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、臨調以来のそういう考え方は基本的には変わらない、こういうようなことを最終答申の中でも述べているところでございます。
  61. 山元勉

    ○山元委員 どうも質問に答えていただいていない。消費税についての評価について答申がどう考えているのかということをお尋ねしているわけです。要するに国民の世論あるいは意思というものを全く無視している。今国民が二分して、消費税がどうだと言っている、税制についてこうだと言っている、国民生活についてこうだと言っているときに、消費税という一言のコメントもない、そういう答申というのはおかしいのではないか、行革審の姿勢というのはおかしいのではないか、私がこう申し上げていることについての答弁をいただきたいわけです。
  62. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 元大蔵省の主税局長でもございましたし、党の税制調査会の副会長もいたしておりましたので、消費税の経緯について、しかも、「増税なき財政再建」との関係でお答えを申し上げたいと思うわけでございます。  私どもは、増税という意味は、税制全般の引き上げによって増収をもたらすような行為を増税というのであろう、こんなふうに考えているところでございます。したがって、所得税を引き下げて法人税を引き上げた場合、法人税の引き上げ額の方が所得税の減税額より少ない場合は私どもはむしろ減税と考えてきているのがこれまでの考え方でございます。  そのような観点から見ますと、消費税も、ただいま百崎局長が申しましたように、二兆円幾らかの減税を伴って、所得税、法人税減税をし、物品税を廃止し、あるいは砂糖消費税を廃止し、そして全体の税負担はむしろ二兆円ばかり減税となっての税制改正でございましたから、これは「増税なき財政再建」という行革審答申に反しないことはもちろん、答申の線に沿った社会経済変化に応ずるところの税制改正、こういうふうに考えるべきではないかと思うのでございます。  私の経験では、昭和二十三年ぐらいまではインフレ抑制のため、戦後の窮乏のために、増税をいたしましたが、私の長らくの税金の経験では、税制全体の中での増税というものはそれ以後日本の社会の中では行われてきていない。税負担が上がっておりますのは、税の累進効果のせいあるいは思わない取引が出てきたことによるところの増収、これが負担増をもたらした。ただ、社会保険料負担を税と考えますれば、これは増税部分がなかったとは言えませんけれども、一般税制においては今申しましたような方向を長らく、自民党政府と言ったら恐縮かもわかりませんが、日本政府はそれを継続しているところでございます。
  63. 山元勉

    ○山元委員 時間がありませんし、消費税論議は今まさに別の場でやられていますのであれですが、やはり今長官がおっしゃられたみたいに増税でないというのは詭弁であって、国民はそれは合わぬということで怒っているわけです。少なくともこういう行政手法といいますかそういうことについて怒っているのであって、そのことの判断というのを行革審はすべきであったと申し上げておきたいと思います。  次に、同じ財政の問題ですが、この答申財政投融資制度にかかわって財投債を導入することも検討する、こういうふうに唐突に出てきているわけです。そのことについてどういうふうに理解をしておいでになるのか、このことは将来どうなっていくのか、お聞かせをいただきたい。
  64. 百崎英

    ○百崎政府委員 最終答申におきまして先生御指摘のように財投債の発行について提言をいたしておるところでございますが、この財投債につきましては、今後のいわば中長期的な課題一つとして、この財投債も含めていわば財投の原資が不足するような事態が起これば、そのときのために財投の補完的な資金調達の方法について検討するように、こういう趣旨でうたわれているわけでございます。  この最終答申全体を受けまして、政府として最大限これを尊重して所要の調整を進めながら実施に移していくというようなことを基本方針として決めておりますので、それを受けまして、今後財投を取り巻く環境の推移等を踏まえながら関係機関において検討が進められていくものと考えておりますし、総務庁といたしましても、答申の実施を推進する、そういう立場から今後関係機関における検討状況を見守ってまいりたいと考えておるところでございます。
  65. 山元勉

    ○山元委員 今まで、答申の中でも一方で触れています公債依存度を引き下げるということが一つ課題になっているわけですね。私どもも、今まで例えば福祉や教育や住宅や道路等で公共投資の拡大について言ってきました。一方で赤字公債解消ということで努力がされてきてそういうものが抑えられてきた、そういう経過は御理解いただいていると思うのです。そういうときに、今アメリカから大きなプレッシャーがかかって、そういう金が要るということでこの問題が出てきたのではないかと思いますが、今まで行革審がとってきた健全財政財政再建というものが破綻をするのではないか、そのことを見通してこの答申が出されたのではないかというふうに思うのですけれども、その点はどうですか。
  66. 百崎英

    ○百崎政府委員 ただいまの財投債の問題でございますが、これは御承知のように、例えば郵便貯金を初めいろいろな年金等々が財投の原資になっているわけでございますけれども、今後の急速な、特に二〇二〇年あたりの超高齢化社会を迎えるに当たりまして、そうした財投の原資になっている年金等の積み立てが不足するような事態もあり得るのではないかというようなことも考えられます。そうした事態に対処するために、やはり財投の果たす役割というものも基本的に否定すべきじゃなくて、財投としてのそれなりの機能というものがございますので、その原資が不足するような事態がもし起これば、そういったときに備えて今から財投債等の発行についても検討しておく必要がある、こういう趣旨で述べられたわけでございまして、将来、財政面全体の、特に一般会計等の予算面での財源が不足するとか、そういったようなことを念頭に置いているわけではございません。これはあくまでも財投制度の中での財投原資の不足等の事態が生ずるような場合がもしあれば、そのときに備えてというような趣旨でございます。
  67. 山元勉

    ○山元委員 私は単なる財投資金の安全弁というふうには考えないわけです。例えばある新聞の社説にまで出ました。財投債の導入については、委員の一人が、これは財界から出ていらっしゃる方ですけれども、「過去、臨調行革審などでも全く審議されたことのないもので、賛成できない」というふうにおっしゃった。財政制度審議会会長である人も、「首になるまで反対する」、こう言っているわけです。そういう大層なものが全く審議もされないでぽんと最終答申に出てくるというのは、まさに奇異な現象だというふうに思うのです。そして、それは不用意に出されたのではなしに、一定のもくろみがあるのではないか、これは勘ぐりかもわかりませんけれども、しかし、事は重大だと思うのです。大きな新聞でこういうふうにはっきりと委員さんがおっしゃっているようなことが取り上げられる、そういう財投債については、今おっしゃるように単なる安全弁のような言い方で済まされる問題ではないと思うのですけれども、再度お尋ねをいたします。
  68. 百崎英

    ○百崎政府委員 かつての審議会委員の方が、審議会を離れて個人のお立場でいろいろな御意見を述べられていることに対しまして、政府としてこれに個別のコメントをするような立場ではございませんけれども、先ほども申し上げましたように、この財投債の問題につきましても、いわゆる行革審最終答申の小委員会においていろいろ議論をされたわけでございまして、その小委員会の場には行革審委員の方もできるだけ参加するようにということで、ほとんど大部分の行革審本体の委員の方々も参加していろいろ御議論になったところでございます。たまたまその場におられなかったのかもしれませんけれども、いずれにしても、審議をしないで突然この問題が出てきたということではございません。  それからまた、先ほど御懸念のような、何かもくろみがあるのではないか、構造協議でいろいろこれからの財政の歳出等の圧力等が加わることも踏まえて、将来のために何かそういうことを考えているのじゃないかというような御指摘がございましたけれども、この財投債の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、財投制度の中で、将来年金等の積み立てその他があるいは超高齢化時代に不足するかもしれない、そういった場合に備えてやはり検討しておく必要がある、こういうような趣旨で述べられているものと考えております。
  69. 山元勉

    ○山元委員 この問題は唐突に最終答申で出されたわけですから、これからの論議になっていこうかと思いますけれども、今局長がおっしゃるような、フリーなお立場になった人が言っているというふうに軽く受けとめてもらっては困ると思うのです。大新聞の社説の中ではっきりと名前も挙げて、そして反対の理由を、本質的に国債と変わらない、建設国債や赤字国債に続く第三の国債だと考えられる、あるいは具体的な発行条件だとか発行限度など、内容が明らかになっていない、一般会計に計上されないために、赤字国債よりも危険だ、こういう指摘までもしているようなものが審議もされずに出てきたということについては、今後論議をして明確にしなければならぬ。少なくとも、委員が百人いて三、四人聞き漏らしたというのだったら別ですけれども、たった七人の委員さんの中で全然知らぬというものが最終答申に出てくるというような審議会答申では、まさに権威のないものになってしまっているのではないかということを指摘申し上げておきたいと思います。  時間がありませんから、設置法案そのものについて一、二お尋ねをしたいと思います。  先ほども言いましたように、私は拙速過ぎるというふうにも思いますけれども、第三次行革審を設置しようということについて、もう一遍改めて、これからの審議会はどういう性格なのか、任務があるのか、位置づけについてお尋ねをいたします。
  70. 百崎英

    ○百崎政府委員 このたびの第三次行革審の任務あるいは目的等でございますけれども、御提案申し上げております法案にも書いてございますように、基本的にはこれまでの臨調それから二次にわたる行革審答申等を受けて講ぜられる行政制度あるいは運営重要事項について調査審議するということでございまして、これまでいろいろ臨調以来取り上げられてまいりました問題の中で、未達成の事項もある程度残されております。そういったもののフォローアップをする、あるいはまた、臨調等で問題として取り上げはしましたけれども、諸般のいろいろな関係で具体的な改革方策提言するまでに至らなかったような問題等につきましても、時代変化等を踏まえまして、また新たな観点でそういった問題についての具体的な改革方策を御提言いただく、こういうことを主たる任務にしているところでございます。
  71. 山元勉

    ○山元委員 そうすると、今予定されているテーマといいますか課題は明確になっているわけですか。例えば委員の皆さんに来ていただいて、何を相談しましょうというところから始まるのか、これとこれを相談してくださいということになるのか、審議会のテーマの設定の手順はどうなるのですか。
  72. 百崎英

    ○百崎政府委員 今法案を御審議いただいているわけでございますが、この審議会がもし設置されますと、政府といたしましては、まず審議会に対しまして、これまでの臨調以来の行革の実施状況等を御説明することになろうかと思います。そういったこれまでの行革の実施状況等を踏まえて、審議会としてどういう問題が優先的に取り上げられるべきか、そういう御議論をして具体的なテーマをお決めになるのが建前であろうかと思います。  ただ、これまでの国会の御審議等も踏まえて私ども審議会に御説明をすべきだと思いますけれども、いろいろなところで新しい第三次行革審に対する御要望あるいは御意見等がたくさんございました。その中で、例えば先ほども問題になりました消費者重視あるいは国民生活重視するような行政のあり方についての検討、あるいはまた、地方分権お話がございましたけれども、今後、本当の意味での地方分権推進、あるいはまた、行政に対する透明、公正性の確保、そのための必要な措置といったようなことをこれまでの各方面からの強い御意見として私どもお聞きいたしておりますので、そういうことを御説明した上で、審議会として順次これらを御議論の上取り上げていただくことになろうかと思います。
  73. 山元勉

    ○山元委員 国民が望んでいる課題、例えば、消費税のことは申し上げませんけれども、土地の問題、住宅の問題、そういう大きな問題についてぜひきちっとしたリーダーシップをとっていただかないと、今のお話を聞いていますと、何かとにかく置いていただいて、経過を説明して、新たに要望していらっしゃる部分もあるからそれから課題が設定される。極めてあいまいな感じがするわけです。どうしてもこの問題で解決しなければならぬ、審議をしていただかなければならぬ、国民の世論の統一を図らなければならぬ、そういう想定があって審議会が開かれるのではないということがはっきりとしたという気持ちがするわけですが、その点について要望しておきたいと思います。  そこで最後ですが、委員の数が九人になるというふうに法にも書いてありますし、先ほどの説明でもありました。もう一回、なぜ九人にしなければならないのか、今までの七人と比べてどのような新しい分野から人選を考えていらっしゃるのかお尋ねをします。
  74. 百崎英

    ○百崎政府委員 これは審議会でどういう問題を取り上げるかということにも関連するわけでございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、これからの行政の重点課題といたしまして、例えば消費者重視あるいは国民生活の実質的な向上を図るための行政のあり方の問題、あるいは一極集中の排除と地方の振興、それに関連した地方分権推進の問題、あるいはまた行政透明性、公平性を確保するためのいろいろな施策、そういったようなことがかなり大きな関心事項になろうかと思います。そうしたことを考えました場合に、これまでの第一次、第二次の行革審答申の経験を踏まえまして、七人では委員数は必ずしも十分ではない、そういうことで、できるだけそうした重要問題につきまして本格的にこれから御議論いただくためには、幅広い視野から大所高所の御見地に立って御議論いただく必要があろう、そんなようなことで七人を九人をふやさせていただきたい、こういうことを考えているわけでございます。
  75. 山元勉

    ○山元委員 九人にふやされる、その人たちがどういう分野から選ばれるかということが審議会の性格そのものも決めることになろうかと思います。  私はそのことについて申し上げておきたいわけですけれども、先般、内閣委員会で脳死臨調委員さんの任命についての問題がございました。この法案で見ますと、「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」こうなっているわけです。けれども、この間の委員のときには、私どもが聞いたときには、実質的にはこの委員さんはもうなぶれないという名簿を見せてもらった。ああいう重大な問題での委員の任命について、人事のことですから難しいということは、どれが先になって後になってということは非常に難しいということは理解をします。けれども、もうなぶれないというようなものを持ってきて同意をしてくださいというようなことでは、こういうふうに範囲が多岐にわたる委員会の構成については大変問題があるだろうと思うのです。脳死の問題についての立場というのは、そんなにたくさんとかあるいは分野が多いとかいうものではありませんが、今度の問題については、例えば地方分権の問題にしても、大事だということはみんなが言うけれども、それぞれのいろいろな立場から物を言っているわけです。そういう意味から、もし設置されて、ふやされる委員さんが任命されるときには、十分な、文字どおり実質的な国会、両議院の同意があって審議が始まらなければ、先ほどから繰り返しておりますように、権威のない行革審になってしまいますし、その施策というのは十分意図どおりには進まないということを覚悟していただいてというのはおかしいですけれども理解をしていただいて、選任について努力をしていただきたいということを申し上げて終わります。ありがとうございました。
  76. 岸田文武

    岸田委員長 この際、小森龍邦君より関連質問の申し出があります。山元勉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小森龍邦君。
  77. 小森龍邦

    小森委員 それでは、若干の時間を私の方から質問をさしていただきたいと思います。  まず、冒頭に総務庁の方にお尋ねをしたいと思いますのは、先ほど来の議論にもありましたように、財投債の問題をめぐりまして、新聞に出ておる限りでは関係者の間でかなり意見がもつれておる、こういうふうに私も承知をいたしておるわけであります。特に、これまで財政問題にかかわって政府の諮問にこたえてまいりました財政制度審議会会長鈴木さんという日経連の会長がこれに対して大変反対の意思を表明されておりまして、極端に言うと、会長を首になるまで反対するということを述べておられるようです。これは朝日の社説に出ておることでございます。  そこで私お尋ねをしたいのは、こういう形で、それぞれの所管の省庁は違うといたしましても、各種審議会でいろいろなことが議論をされます。その各種審議会でいろいろなことが議論をされました中身が、審議会によっては意見の異なるようなそういうものが出た際に、政府としては選択をどうするのか。恐らくは各審議会設置のときには、内閣はこれを尊重して意見を聞かしてもらう、誠意を持って実行さしてもらいます、こういうことを言っておると思いますが、そういうふうに意見が食い違った場合にどうなるか、この点をお尋ねをしたいと思います。
  78. 百崎英

    ○百崎政府委員 政府の中にいろいろな審議会がございますけれども、そうした審議会の中で、いわば結論といいますか意見として食い違いが出るということもあるいはあり得ないではないことだと思います。ただ、その場合にも、あくまでも審議会の御意見は御意見として、政府としてどういう意見を採用するか、またどういう政策を決定するかということは、これはあくまでも政府自体の責任と判断で行うことでございまして、今御指摘のような中身が違うこと、それは審議会の性格、目的あるいは所掌事務等々によってそういった事態があるいは起こり得るかもしれませんけれども、最終的には政府の責任で判断をする、こういうふうに理解をいたしております。
  79. 小森龍邦

    小森委員 今回の行革審の提案に当たっては、ここに提案理由説明の文章がございまして、先ほど恐らく長官の方からこのことが述べられたのじゃないかと思いますが、「内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないこととしております。」こういうことになっています。恐らくこれはこの行革審の設置をめぐっての言葉だけでなくて、政府法律でもって定めるような他の審議会についても、このような文言というのは必ず審議の際について回るものだと思うのです。そうすると、例えば先ほどの財政制度審議会会長がこれほどのことを言うくらいですから、私もこの財政制度審議会の成り行きあるいはこれまでいろいろ出してきた意見というものを詳細にはここに手元に持っておりませんけれども、恐らくは行革審が四月に突然出してきたと我々は思っておりますが、その財投債の問題とは相当程度食い違っておるのではないか。そうすると、単に政府はそのときの政策の選択は政府の責任においてやるのだということだけでは、結果においては、こちらではこう言い、こちらではこう言いということで二枚舌ということになるのではないか、そういうことを思いますので、もう一度その点に観点を絞ってお答えをいただきたいと思います。
  80. 百崎英

    ○百崎政府委員 今御指摘のような財投債の問題をめぐりまして、財政審議会会長さんがどういう御意見を述べられているのかちょっと私よく存じませんけれども、いずれにいたしましても、この最終答申の中におきましては、将来財投債を発行すべし、こういうような意見を述べているわけではございませんで、先ほど申し上げましたように、将来いろいろな事態の変化等によって財投原資に不足を生ずる場合に備えて、財投債を含めてそういった場合の対策を検討する必要がある、こういうことを述べているわけでございます。したがいまして、財投債をまたいろいろこれからの中長期的な課題として関係機関において検討されるわけでございますけれども、そういった場合に、あるいは、今御指摘のような財政審の会長さんの御意見のようなことがなるほどということであれば、その財投債を必ずしも発行しない別な道をいろいろ考えるということもございましょうし、いずれにしましても、この最終答申の中では財投債の発行自体をすべしということでなく、財投債も含めて幅広くそういった不足した事態に備えるような検討をしておく必要がある、こういうことを述べているわけでございます。
  81. 小森龍邦

    小森委員 いろいろ掘り下げて聞きたいのですけれども、先ほどのこの財政制度審議会会長がどういうことを言っているか知らないというお話でございますが、やはりいろいろこれに対する世論なりマスコミの報道なりには政府関係者も目を通してもらわないと、自分の都合の悪いことはよく承知していないというのでは国会のかみ合った審議になりません。  念のためにちょっと読み上げておきますと、「鈴木永二日経連会長は「新行革審答申に盛り込まれたこと自体、不満だ。財政の穴開けにならないように会長を首になるまで反対する」と言い切っている。納得できる態度だと思う。」朝日新聞もこういう態度は納得できる、こう言っておるわけでありますから、そういうふうな意見があるということを十分に頭に入れておいていただきたいと思います。  そこで、私がお尋ねしたいのは、法律でできた審議会というのは、例えば行革審の場合も法律でできたのだろうし、財政制度審議会法律に根拠があるのだろうと思うが、法律法律同士の場合は、政府とすれば、主体的にどちらをとるということは我々の主体的な考えでやらせてもらいますと、少なくとも表向きに言えると思います。しかしながら、我が国にはいろいろ名前がある、審査会とか協議会とかあるいは審議会とかさまざまなのがありまして、それは、例えば一省の課長に対応する審議会であるとか、局長に対応する審議会であるとかというようなものがありまして、私の承知しておる範囲では六百を超えておるのではないかと思うのですね。それぞれの審議会、協議会の秩序、つまり法律でできた審議会あるいは政令でできた審議会あるいはまた省令でできた審議会とか、あるいは私的審議会みたいなものもあると思いますが、その秩序というものについて、効力というか有効性というか、そこのところに焦点を当ててお答えをいただきたいと思います。
  82. 百崎英

    ○百崎政府委員 いわゆる法令に基づく行政機関としての審議会、これにはおっしゃるようにいろいろ数もございますし、各省それぞれの目的、任務を持った審議会があるわけでございますが、そういった審議会の優劣といいますか、そこで出された意見、どちらが優先するか、そういうようなことはもちろんございませんで、それぞれの審議会の目的、任務等に照らして政府がその答申政府の責任で判断して、採用すべきは採用する、こういうことでございます。  今お話しのように、そうしたいわゆる正規の行政機関としての審議会以外に、俗に言う私的懇談会と申しますか、そういったものが各省いろいろなレベルで開かれることが多いわけでございますけれども、これはあくまでも合議体としてのそういう審議会とは異なりまして、いわば行政のいろいろな今後の遂行に当たっての参考のために民間の方々のお知恵を拝借するあるいは勉強させていただく、そういうようなことで開かれているわけでございます。それは必ずしもそこでまとめた答申を出すということはございませんし、意見としていろいろな意見が出されるわけでございますけれども、取捨選択は全くその懇談会等を開設された方々の御判断に任せる、そういうようなことだろうと思います。したがいまして、審議会はあくまでも正規の行政機関として、合議体としての意見をまとめて出すということでございますし、お話の懇談会はいわば有識者の方の御意見をいろいろ御参考までにお聞きする場である、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  83. 小森龍邦

    小森委員 時間の関係もありますから、答弁はひとつなるべく簡潔にお願いをしておきたいと思います。  そこで例えば、財政制度なら財政制度そのものについて財政制度審議会で出た結論、それは法律の裏づけを持った審議会でございますが、同じ大蔵省でもそのことについてさらに細部にわたって議論をしておって、省令で決まった、あるいは課長対応の審議会とか協議会というようなもので、財政制度審議会で決まったのと逆のような結論が出た場合に、行政秩序の問題としてどちらに重きを置くべきなのか、私はその点を尋ねておるのですから、端的に答えてください。
  84. 百崎英

    ○百崎政府委員 大蔵省の場合の例を出されましたけれども、そういったことが現実にあるのかどうかちょっと私どももよくわかりません。ただ、いずれにいたしましても、その審議会答申はあくまでも行政機関の合議体としての意思をそこでまとめて答申をするということでございますので、当然のことながら、それは政府として尊重する義務があるのではなかろうかというふうに考えております。
  85. 小森龍邦

    小森委員 何か次に来る論理をちょっと懸念されて、答えることが蛇行しておるように思うのです。私は、例えば法律で決まった審議会というのが非常に重みがあって、そして、当然、法律、それから政令、省令、規則というふうに法秩序の序列みたいなものがありますが、それとほぼ並行して考えられるべきものだと思うのですが、法律で決まろうが、省令であろうが規則で決まったものであろうが、それには余り優劣はないというようなお答えだと受けとめてよろしいのでしょうか。
  86. 百崎英

    ○百崎政府委員 ただいま申し上げましたのは、いわゆる正規の審議会と称される行政機関としての合議体の審議会、これと、俗に言われる私的懇談会との比較という意味で申し上げたわけでございます。
  87. 小森龍邦

    小森委員 どうもこれだけでやっておると時間が足りなくなるのですが、しかし、政府の相当の立場の官僚の位置にある人は、そういう点については余り焦点をそらさずに、だれが考えてみても法律の根拠のあるものが一番重みがあるのであって、もちろん、憲法がその審議会をつくるということを想定しておれば憲法が一番重みがあるのですけれども、私は法律の重みの順序に従って、やはりそこでそれぞれの審議会とか協議会とかというものがその位置を持つべきである、こういうふうに思っていますが、これだけでやりとりしていったらいけませんから、きょうは私がそういうことを言ったというだけで素通りしましょう。  そこで、先ほど大臣は、今回の行革審の問題について、公的規制緩和行政運営透明性、公正の確保、こういったことがこの時点において大事だから、そういうことをひとつ議論をして引き続き行政改革推進をやりたい、こういう意味なんでありますが、もし財投債というようなものが具体的に日程に上ったら、朝日新聞がここで主張しておりますように「一般会計に計上されないため、安易に発行される可能性があり、赤字国債よりも危険である。」つまり、透明性ということについて危険性が出てくるのですね。国会で議論をするということになれば、それは透明性が最高のところで議論をすることになるのですけれども、そうでない場合には、国に財政的に非常に大きな影響を与えるにもかかわらず、国会の議論とはちょっと横の方でやられるということになると透明性に欠けるのじゃないですか。これは政府がまだ財投債をやると言ってないのだからわからないけれども、もしやるとしたらそういう危険性はございませんか。
  88. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私も、先ほど来財投債についての御論議を伺っておりました。恐らく行革審答申の中に織り込みましたのは、私ども局長が御説明申し上げましたように、民間の資金が余ったりする場合がある、財投計画が金が足りない場合がある、そのような場合に備えて財投債というものを考えたのではないか、こんなふうに私は思ったわけでございます。それは一般会計の赤字公債の移転ではないかというような意見があるのかもしれません。しかし、財投計画は大部分が公共投資でございましょうから、そのおそれがないのかもしれませんし、私は、そんな点は意見が食い違いましても、やはりまた財政当局との話し合いによって、それは国民経済的に弊害なく、そしてまた「増税なき財政再建」、赤字公債削減の方向と矛盾しない方向で決定されるものだ、このように伺っておりました。
  89. 小森龍邦

    小森委員 長官答弁も私の尋ねておることとはちょっと違うのですけれども、つまり、一般会計で議論ができるように、一般会計に計上されないということは、やはり国の台所の切り盛りは国会が目を通すというのが原則ですから、それとは別のルートでかなり大きい影響を与える財投債というようなものが頭をのぞけてくると、今度の行革審行政運営透明性ということを言っておるのと食い違うのじゃないか。しかも、日米経済構造協議で、日本のやっておることは透明性に欠けておるといって国際的問題になっているわけですから、その点が懸念されますので、そこを一言お答えいただきたいと思うのです。
  90. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 もう小森委員御案内のように、一般会計におけるところの公債充当事業、そして財投計画におきますところの財投資金の充当事業というものは、これまでもおのずから確定された慣行がありまして、私は一般会計で賄われるべき部分が財投債に移されて国会の論議をそこで免れる、こんなようなことになるとは思いませんし、そんなことをねらったのがこの財投債発行の意義であるとは、私は正直過ぎるかもわかりませんけれども、そんなふうには考えません。
  91. 小森龍邦

    小森委員 長官がそう言われるから、少しは安心をして次の議論に移りたいと思います。  そこで、これまでの行革が行われたことによりまして、例えば国鉄の問題がJRの分割というようなことになったり、先ほど長官お話しになっておるのを聞かしてもらっておりまして、確かに私もそういう事実があったということをもう一度頭によみがえらせてきたわけであります。しかし、この行革の裏ではさまざまな当事者に人間的苦悩を与えて、例えば国鉄でいいますと、相当程度の人があの対立が起きてから自殺をしておる。その自殺をした人の弔いをやるための集会を持てば、そこでしゃべった人がまた処分されるというようなむちゃなことが起きておるわけであります。  特に今日、千名を超える人が就職先がはっきりしないで、いまだにもめて、中央労働委員会へ提訴されておるというようなことなのであります。労働省にこの辺でお尋ねをしたいと思いますが、そういう具体的な問題について今ここで答弁を聞くということは、なかなか難しいと思います。それはいろいろなことをおもんぱかって、まともな答弁ができないと思います。ただ、私が聞きたいのは、我が国における今日の状況として、大企業に働く労働者と中小、零細企業と言われるところで働く労働者が、例えば時間給でいいますと、今日、高度に発達した経済、生産の仕組みを持っている我が国においてどの程度の格差になっておるかということをひとつ労働省の方からお答えいただきたいと思います。
  92. 尾上史江

    ○尾上説明員 お答えいたします。  労働省で実施しております賃金構造基本統計調査というのがございますが、それによりますと、昨年の一カ月間の所定内給与ですけれども、大企業千人以上としまして、大企業が二十八万六千三百円、それから規模百人から九百九十九人が二十三万一千六百円、それから規模十人から九十九人が二十一万四千六百円という数字が出ております。
  93. 小森龍邦

    小森委員 相当の格差というものが労賃の中にあることによって、これを生産システムの中で巧みに組み合わせていく、例えば我が国の自動車産業は、外注加工品を本社工場へ持ってきて組み立てる、その比率がどれぐらいかというと、私の調べたところでは大体フィフティー・フィフティー、五〇%ぐらいは外注、その外注は安い賃金を使ってそうやる。このことを日本の社会の構造の問題としてアメリカ構造協議の問題、日本の労働者の賃金とか人権を犠牲にしてやっておるじゃないか、そしてアメリカとの間がうまくいかないじゃないか、こういうことを私は指摘しておるのだろうと思うのです。この点はひとつ長官も十分に頭の中に入れていただきたいと思います。  それから次に、経済企画庁の方にお尋ねをいたしますが、最近の我が国の、できれば十年前と今日と、絶対に十年前でなくてもよろしいです、五年前でも七年前でもよろしいですけれども、例えば資本金百億とかいうような大きな企業というものの我が国の経済に占める比重がどういう方向に向かいつつあるか、この点を、ごく大まかでよろしいですから、お答えいただきたいと思います。
  94. 大来洋一

    ○大来説明員 手元に二十年前、十年前というちょうどよろしい資料を持ってきておらないのでございますが、昭和二十八年におきまして大企業の占めます割合、これは上位百社の集中度でございますが、これが三二・一%でございました。それから、ほぼ二十年前になりますと、三十八年におきまして集中度は三九・四%に上昇しております。その後大体毎年のように低下をいたしまして、最近では二四・〇%、これは昭和五十九年度でございまして、ちょっと最新時点の数字がございませんが、二四・〇%まで低下してきております。  今申し上げましたのは、資本金ではかりました集中度でございまして、そのほかに総資産で集中度をはかるという方法もございます。これは、昭和四十二年に二五・六%でございましたのが、最近では二〇・七%へというふうに低下してきております。
  95. 小森龍邦

    小森委員 こういう数字的傾向になるということは、我が国の産業構造の、上品な言葉で言うと協力会社ということになっておりますし、通常は下請、孫請、ひ孫請というような言葉で言うわけでありますが、だんだん分散して巧みにコストの安い製品をつくる。それは表面的には国際競争に勝てるのですから、一面、大変歓迎すべき面もあると思いますけれども、その国際競争に勝つ分だけが我が国の労働者の賃金の問題に響いておるし、言うなれば人権が侵害されるという方向に結びついておる、特に男女雇用の問題などは今非常に格差が激しいというようなことを考えて、これも胸におさめていただきたいと私は思うのです。  それで、もう時間がありませんから、法務省の方にお尋ねします。  弁護士の統一用紙が乱用された事件を法務省はつかんでおられると思いますが、それはどういうような事件かというその事件の事実だけを御説明いただきたいと思います。
  96. 濱卓雄

    ○濱説明員 お答えいたします。  これは、平成元年九月ごろ、福岡の弁護士会所属の弁護士が、弁護士だけが扱える戸籍謄本を請求する統一用紙を興信所に大量に横流しして、その統一用紙を使用して興信所が部落差別を意図した身元調査、あるいは部落差別につながるおそれがあると思われる身元調査をやったのではないかということで専ら調査中の事案でございます。
  97. 小森龍邦

    小森委員 先ほどから各省庁関係することをお尋ねいたしましたが、これらのことがすべて臨調行革、今回の臨時行政改革推進審議会設置にかかわってくる。公的規制とか行政運営透明性とか公正の確保とか、こういうことが項目として上がっておるわけでありますが、これが本当にできていないということの結果である。しかし、こういうことは前々から言われてきておることなんですけれども、そのことが今までの行革審の中でできていないということだと私は思います。  そこで、私が長官に態度を少しばかりお尋ねしておきたいと思います点は、経済の繁栄の陰でそれに対応する行政はどうあるべきか、あるいはそれに対応する経済のシステムはどうあるべきかと各省庁がお考えになっておられることだと思うのですが、そのもう一つ裏に人権という問題がある。そこで、これから四百兆から五百兆ぐらいの物すごい投資が行われるということを聞いておりますが、この間、経済企画庁長官がそういう発言をある会合でされておるのを私は直に聞きましたが、そういうふうな物すごい投資がこれから行われようとするときに、我が国の人権問題に関して相当大胆な投資を行うべきところは行わなければならぬのではないか、その投資を行うためにはそれにふさわしい行政の陣容の配置も必要なのではないか、そういうことが議論されなければならぬと思うのであります。  時間も参りましたから二点だけお答えいただきたいと思います。新しい地域改善対策協議会の発足はいつごろと考えられておるか、それから、先ほど来議論されましたその委員の人的構成について、公正にやろうという決意をひとつ総務庁長官の方からお示しいただきたいと思います。
  98. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私は、経済の発展も民主主義、そしてまた人権の尊重によって図られると思うものでございまして、小森委員の御指摘は私どもも十分考えて、行革審答申はもちろんでございますが、すべての政策の運営に当たって考えていかなければならない基本点だと考えたいと思います。  そこで、第一に御質問がありました地域改善対策協議会がいつ開かれるかというお話でございます。御案内のように、私どもは六十一年の地域改善対策協議会の意見具申を踏まえて地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特例措置に関する法律、いわゆる特別措置法の制定を行いまして、どうしてもこの期限内に、期限というのは平成四年三月まででございますが、この特定事業を完了したいということで、今行政庁として、行政の面でこれに全力を挙げて各地の状況等を把握し、各地にその事業の推進を督励しておるような状況でございます。今度はその期限がそろそろ切れるわけでございます。私どもはこれから、国会が終わりますころに、今までありました地域改善対策協議会に新しく委員を選定させていただいて地域改善対策委員会を発足させて、これまでの状況あるいは今後の状況等についての御意見を賜っていきたいと思っております。  委員の人選でございますが、公正な人選を行って、この難しい問題を処理できるように各方面から広く意見を伺っていきたいというふうに考えております。
  99. 小森龍邦

    小森委員 これで終わります。ありがとうございました。
  100. 岸田文武

    岸田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ────◇─────     午後一時六分開議
  101. 岸田文武

    岸田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山中邦紀君。
  102. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 私は行政改革は必要であると思っております。しかし、それは当然のことながら国民のための改革、こういうことでなければならないと思っております。長官が、さきに第二臨調以来の改革の経過を高く評価されましたけれども、この九年間の行革は、本来は政府の肥大化とロッキード事件にあらわれた行政の腐敗の一掃、国民のための清潔、公正、効率的な行財政への転換、確立こうでなければならなかったはずだと思っております。こういう点では国民期待に沿うものではなかったと思っております。  こういう観点で、以下、長官お尋ねをいたしますが、最初に、今度の第三次行革審、これに政府は何を期待をしておられるか、具体的にどういう諮問をなさるおつもりか、また、審議会においてどういう意見をまとめてこられることを期待しておられるか、お尋ねをいたします。
  103. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 先ほども説明申し上げましたように、行政改革は、政治改革、そして税制改革と並んで三本の国政の柱でございます。海部内閣はこの三本の柱をどうしても実現したいと努力をしているところでございます。そして、第三次行革審の設置法案は、言うまでもなく第二次答申にも、どうしてもこれまでの答申実現するために新しく行革審を設けて、新しい機関を設けてこれを分担実施させろ、このような提案が出ているわけでございまして、まず第一は、これまでの行革審答申に基づきますところの各種の行政改革、これを実行に移すことでございます。第二に、また、新しい社会情勢に応ずるところの行政改革を私どもは進めていかなければならないと思っているところでございます。  具体的にどのように諮問するかということは、この法案に御賛成をいただいて成立した後にまた細かく考えていかなければならないところでございまするけれども、最近の新しい、また変化の激しい社会経済情勢に応ずるところの行政改革のあり方が中心になろうかと思います。それは、先ほども申し上げておりますように、これまでの殖産興業的な政策、この政策に対しまして、新しく生活者消費者重視観点を入れた行政改革とは何か、このような問題は私は新しい問題としてどうしても取り上げていただきたい、こんなふうに考えておりますし、もう一つ日米構造協議で行われましたあのような構造変革を伴うようなものは、むしろ行革審の中で内からの改革として考えていかなければならない問題が多く示唆されている、こんなふうに思いますので、これは十分に私どもの今後の諮問に当たっての参考になるような項目である、こんなふうに考えております。
  104. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 抽象的なお答えをいただきましたけれども、具体的なテーマは決まっていないというふうに承りましたが、そのとおりでしょうか。もし具体的な構想があるのであれば明かしていただきたいと思います。  それから、審議をされております設置法は臨時という名前を冠しております。第二臨調臨時でありました。既に九年を経ております。今度の設置法がその期間を終えれば、その後はどうするおつもりですか。臨時というのはどういう意味臨時を考えておられるのか。それなりの事情があって臨時を冠したはずであります。この臨時を際限なく継続していくということになりますれば国会審議権との兼ね合いで非常な問題が生ずると思いますので、お尋ねをする次第です。
  105. 百崎英

    ○百崎政府委員 臨時という言葉を付している趣旨についてのお尋ねでございますが、臨調以来、臨時行政調査会あるいは臨時行政改革推進審議会、こういうふうに呼称しているわけでございます。基本的には、これらの審議会行革について、これは永遠の課題であるというような見方がございますけれども行政改革推進するための一定の努力目標をはっきりさせる、できるだけその期間の中でやれることをやる、こういうような趣旨で、臨調につきましては三年、それから二次にわたる行革審については二年の時限を切ってこれまでやってまいったわけでございまして、今回、第三次の行革審につきましても、今までと同様の考え方で臨時という言葉を付しているわけでございます。
  106. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 言葉どおり言いますれば臨時というのは永続的でないというだけのことだと思いますけれども政治のあり方あるいは行革のあり方、これからいいまして、長官がお述べになった構造摩擦に伴ういろいろな問題も、本来は政治の分野、国会で議論をするべき分野の問題であろうと思う。それを、臨時を繰り返しながら答申を待って解決に当たっていくという姿勢は政治責任をとる者としてはいかがなものか、こういう意味でのお尋ねをしたわけでありまして、臨時として設置するのであれば、どうしても審議会を設けてその答申を待つべき特別の事情があって臨時であったはずだと思っております。重ねてお尋ねをしたいと思います。
  107. 百崎英

    ○百崎政府委員 先ほども答弁申し上げたとおりでございますが、一つは、行政改革というのは非常に難事業、これを達成するためには政府としても一定の努力目標の時期を限ってその間でできるだけのことを実施する、また、審議会自体におきましても、言葉は悪いのですが、審議がだらだらとするようなことを避けるというような意味でも、一定の努力目標としての時限を設定してやる、その方が効果的でもあるし効率的でもある。こんなような考え方でこれまで臨時という言葉を付してまいったわけでございますが、いずれにしましても、それぞれのときどきにおいて各界の有識者の方々の御意見を広く聴取しながら行政改革国民の御理解を得ながら進めていく、趣旨はそういうことでございます。
  108. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 これ以上はこの問題を繰り返しませんけれども、時期を限ってやるというのは政府の責任であろうと思います。審議会お願いをしておいて、だらだらやるのを避けるというのはいただけないお話ではないか。やはり審議会の目標、守備範囲、あるいは目的、機能を明確にして、臨時というからには現在の事情に即応した答申意見をその期間内に求める、その後は政府がまた責任を持ってフォローする、こうあるべきではないかと、意見を申し上げておきます。  これまでの臨調行革審、いろんな意見答申が出ております。総務庁におきましては実現のためにどういう手段といいますか、仕組みをとっているのか。お答えいただきたい。
  109. 百崎英

    ○百崎政府委員 これも臨調以来のことでございますが、これまでに約二十の答申が出されているわけでございますけれども、これらの答申が出されますと直ちに、政府としてはその答申最大限に尊重して逐次実施に移していくという基本方針をまず閣議決定いたしまして、これでいわば各省を縛っておく、その上で今度は具体的な答申の中身につきまして各省庁調整をして、いわば実施要綱といいますか推進要綱、こういうものをその都度閣議決定して各省を拘束する、そういうようなことを講じながらこれまで答申推進を図ってきたということでございます。
  110. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 そういう仕組みのもとで答申意見実現を図る、当然のことと思いますが、その到達度はどのようになっておりますか。  意見答申の中身を分析いたしまして、ある人は千三百五十の項目をカウントして、これを具体化の対象としたものであった、こう言っております。また、到達度に関しましては約四〇%程度ではないか、こう言っている人もおります。行政改革を所管している総務庁においては、当然到達度をチェックをしていると思います。その内容を明らかにしていただきたい。
  111. 百崎英

    ○百崎政府委員 答申の進捗状況についてのお尋ねでございますけれども、御承知のとおり臨調あるいはこれまでの行革審、数多くの答申が出されました。その中身も非常に広範多岐にわたっておりますし、その中身によりましては、非常に基本的な大きな問題からいわば細々とした許認可の整 理等を初めとする具体的な措置事項等々に至るまで、非常に膨大な答申が出されているわけでございます。  そういう意味で、これを数え、全体としてどのくらい指摘されて、そのうちどのくらい実現しているかという点につきましては、数え方につきましてもいろいろな考え方がございまして、大きな問題も小さな問題も同じ一つと数えていいのかどうかとかいろいろな問題が実はございますので、答申の実施状況につきましては当然のことながら一応把握いたしておりますけれども、全体として幾つぐらいの答申事項があってどのくらい実現しているということは、ちょっと数字的には申し上げるのを御遠慮させていただきたいと思います。  ただいずれにしましても、先ほど来御議論がございますように、これらの答申を受けまして、国鉄を初めとする三公社民営化あるいは日航民営化等々特殊法人整理統合、あるいは公務員数の大幅な純減、あるいはまた機構の改革、さらには財政面におきましても特例公債依存体質からの脱却等々、かなりの成果を上げているところではございますが、またこれに対しましていろいろな方面でいろいろな評価が下されていることも承知いたしておりますけれども、私どもは常に道半ばであるということを念頭に置きながら、さらに今後とも推進の努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  112. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 数字的なことについては遠慮させてほしいというお話ですが、部内では計数化して持っておられるのですか。大項目、小項目、どう扱うかという問題はもちろんあろうとは思いますけれども、科学的な行革管理、これも総務庁の使命の一つだと思われます。道半ばだけでは話が進まないわけでありまして、どの程度実施をされ、何がネックになって完全実施に至っていないか、また、現状に比べて前の意見答申が現実にそぐわなくなっているのかどうか、こういうことのチェックはしょっちゅうなさっているはずだと思います。その辺の具体的なプロセスといいますか、教えていただきたい。
  113. 百崎英

    ○百崎政府委員 これも、今申し上げましたように答申の中身が、これまで全体として二十本の答申が出されておりますけれども、それぞれにつきまして非常に膨大なものでございまして、例えば例としまして国と地方関係についての答申につきましても、臨調等で例えば機関委任事務の整理等について約五百十一事項でございましたか、それについて、実際の実施状況は、これは時点によりますが、約五百事項は既に実施済みである、こういうような形で、個別に私どももチェックは当然いたしているところでございます。ただ、これを全体まとめてどうなっているかということは、これはちょっと時間の関係もございますので、逐一御説明しようと思えばもちろんできないわけじゃございませんが、そういった形で各省庁から常に答申の実施状況を把握いたしまして、それをチェックして今後の推進の参考にしている、こういうことでございます。
  114. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 これまでの臨調行革審組織運営についてお尋ねをしたいと思います。  事務局組織はどうなっているのか。そして、もし第三次審議会が設置された場合にはどういう構想を持っておるのか。付加して顧問とか参与とか専門委員あるいは調査員という名称を臨調以来目にしているわけでありますけれども、こういう役職の方々はどういう仕事をするのか、だれによって任命をされているのか、身分上はどういうことになるのか、お答えを願いたいと思います。
  115. 百崎英

    ○百崎政府委員 いろいろな御質問がございましたが、臨調以来の組織構成といいますか、ごく簡単にかいつまんで申し上げますと、臨調の場合には御承知のとおり委員が九人ということで、任命は、国会同意を得て内閣総理大臣が任命する。この委員のほかに専門委員というのが二十一人ばかり臨調のときに置かれました。任務としましては、専門的な事項の調査、審議お願いする。これは会長の推薦によりまして内閣総理大臣が任命する。それから、このほかに顧問というのが五人置かれまして、これは調査会の任務全般にわたって大所高所の御意見を伺う。これは会長が委嘱をする。それから、参与というのがまた別途五十五人置かれましたが、任務としましては、専門的な事項について御意見を拝聴する、これも会長が委嘱をする、こういうようなことでございます。事務局といたしましては、臨調の場合には独立の事務局を置いて、調査員として六十三人以内、このほかにいろいろ各省から手弁当その他で応援をいただいたこともございます。  それから、一次の行革審委員が七人、任命等は臨調と同様でございます。顧問が十人、これも任務、委嘱につきましては臨調と同じでございます。それから、一次行革審で参与というのが四十九人置かれましたが、その任務、委嘱は臨調と同様でございます。独立の事務局も一応第一次行革審については置かれました。  それから、第二次の行革審、さきの解散した行革審でございますが、委員が七人、参与が六十七人、任務、任命はそれぞれ第一次行革審と同様でございます。この二次の行革審におきましては、独立の事務局を置かずに、総務庁行政管理局が事務を行った、こういうようなことになっております。  それから、第三次で一体どうするのかというようなお尋ねでございますけれども、先ほど来いろいろ御議論がございますように、基本的に、委員につきましては法案の御成立をさせていただきました暁に早速作業に取りかかりまして、できるだけ広範な分野から清新な人材の方にお願いをしたいと考えております。  第三次行革審の場合に参与とかそういうものを置くのかどうか、あるいは専門委員等の設置を考えているのかどうかというようなお尋ねでございますが、先ほど来御議論がございますように、具体的なテーマが確定いたしておりませんので、ちょっと今の時点では何とも申し上げかねるというような状況でございます。
  116. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 顧問以下を置いて、部会あるいは小委員会などを随時開いて審議会審議がなされていると思われるわけでありますけれども、これらの組織あるいは会議運営については何か規則のようなものがありますか。これまでの設置法には政令にゆだねる部分もあるようでありましたが、政令に任せて、政令が何か決めたようなものがありますか。
  117. 百崎英

    ○百崎政府委員 臨調以来、これまで審議会組織等の細目については政令で定めるというようなことでやってまいりました。臨調の場合には専門委員の定員とかあるいは事務局の体制、それから第一次の行革審の場合には事務局の体制、それから第二次行革審は独立の事務局を置きませんでしたので、事務局ということではございませんが、審議会の庶務に関する事項、こういうものが政令で定められてきております。
  118. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 会議の公開の問題については、それぞれの調査会、審議会の冒頭で非公開が決められている、こういうお話でございましたけれども、もちろん記録はとっておられると思いますが、この非公開というのはどういう趣旨の非公開であるか。例えば、審議会、調査会が任期満ちて消滅をした場合に、その記録はどこに保管をされて、ずっと永続的に非公開になるのか、封印をしてだれにも見せない、こういう趣旨のものであるのか、これはいかがですか。
  119. 百崎英

    ○百崎政府委員 先ほども申し上げましたように、臨調以来この審議会の議事については原則非公開とするということが一応決められているわけでございますが、それがいつまで非公開なのかという御質問でございますけれども、これは必ずしもいつまでという定めははっきりいたしておりません。それでは消滅した後公開すればというような御意見も確かにございますが、これにつきましては、今また第三次の行革審設置の御提案を申し上げているところでございますけれども、その任務といたしましても、臨調以来の行革推進ということを主たる任務といたしておりますので、臨調が解散した後、その臨調で具体的にどういう方がどういう御意見を述べられたというようなことを公表するのは、これは臨調自体が非公開とするということを決めております関係上、今日においても私どもとしてはやはり公開すべきものではなかろうというふうに考えております。  また先般、これは予算委員会でございましたが、審議会の資料を公開すべきではないかというような御質問等がございまして、それに対しまして、臨調当時のそういった議事の非公開の原則を決められた委員の方々の御意見等を何回かにわたりまして伺ったこともございますけれども、その場合にも、各委員の方はやはり今の時点で公開すべきではない、こんなような御意見があったということを御参考までに申し上げておきます。  この資料は、一応事務局としての総務庁において記録は保管をいたしております。いつまでかというようなこともございますが、永久保存かどうかというのは議論がございますけれども、一般的には公文書等につきましてもできるだけ、例えば三十年を過ぎたものについては外交文書などについても差し支えのない限り公開するというようなことも行われておりますので、そういったような動向等も見ながら検討すべきことではないかというふうに考えております。
  120. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 会議のルールですが、定足数、あるいは採決する場合にどういう方法によるかというようなことは何か決めがありますか。前回の審議会の最終報告のみが採決をしたように伺っておりますけれども、それ以前は全部全会一致であったと承知をしておりますが、会議のルールは何に定めがございますか。
  121. 百崎英

    ○百崎政府委員 これは臨調当時のものもそうでございますが、例えば先般解散いたしました第二次の行革審の例によりますと、「会議は、会長及び三人以上の委員の出席がなければ、開くことができない。議事は、原則として、出席委員全員の一致により決するものとする。ただし、出席委員全員の一致が見られない場合にあっては、会長の裁断により、出席委員の三分の二以上の多数によって決することができる。」等々の規定が審議会の規則という形で定められております。
  122. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 法案そのものについて数点伺います。  この審議会が総理府に附置された理由は何ですか。またこの法案の中には内閣総理大臣意見提出し、あるいは答申をするというふうに書いてある場所がありますけれども、この内閣総理大臣というのはどういう立場の内閣総理大臣意味しているのか、お伺いします。
  123. 百崎英

    ○百崎政府委員 行政改革は、先生御承知のとおり、各省にまたがる非常に広範な分野を対象にするものでございまして、かつ、何といいますか、総論賛成各論反対と言われるように非常に難しい問題でございます。そういう意味で、特に総理のリーダーシップというようなこともよく言われるわけでございますが、いずれにいたしましても、いわゆる総理府の長としての総理がこの審議会に諮問をし、あるいは答申をいただく、こんなようなことが行革を進める上で効果的であろう、そういうことで総理の諮問機関ということで総理府に設置をするということにしているわけでございます。
  124. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 ただいまのお答えからも明らかであろうと思いますが、総理府が行革問題については、行政機構については相当の部分を主管している、こういうことに発して審議会が総理府に置かれているというふうに思います。法文上の「内閣総理大臣」は総理府の長、こういう意味であろうと思うわけであります。それを超えてどういう政治的な意味づけをするかは別でありますけれども、そういうことからいいますと、この審議会の本来の使命はやはり機構に重点を置いた行政改革、こういうところにあるはずであろう、総理府の所管を超えてあらゆる省庁にわたって高度な政策決定の分野まで立ち入るというのは本来の使命ではなかろうと思います。そういう意味からも、もっと公開の原則を徹底し、委員の選任その他についてもルールをつくって国民の目に経緯を明らかにするという必要があるのではないかと私は思っているわけであります。  長官にお伺いしますけれども、この審議会が設置された場合に、円滑に国民の信頼を得るように適切な意見答申が出てくるということの運営上、制度上の担保はどういうものを考えておられるか、あるのかないのか、どうでしょう。
  125. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私どもは三つの国政の大きな柱の一つに置いているわけでございますので、行革審審議の適正が担保される、これは重要なことだと思います。  いろいろな担保の方法もございましょうけれども、先ほど来百崎局長が言われましたような審議方法も、これまで三度の臨調以来の会議ででき上がりました審議を公正にするための担保でもございますし、まずその前に、大体国会の御承認が委員の選任に当たって要るということがまた非常に大きな担保をさせる事由になる、こんなふうにも思うところでございます。三番目には、何といってもこれまでの実績が、やはり行革審答申ということで世間から大きく評価され、そしてそれが実現されて相当な効果を上げてきたこと、これがまたその担保の一つの方法になる、私はこんなふうに考えておりますが、公正なる審議、公正なる答申を得るための担保があるかどうか、なおなお検討していきたいと思っております。
  126. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 今お話の中であった唯一の実質的なものは委員の選任の問題であろうと思います。しかしながら、審議会委員の選任というのは一向にルール化されたものがないのが実情ではないでしょうか。リクルートの疑獄事件で贈賄の容疑を受けている被告人は、政府の税調の特別委員でありました。また、文部省の教育課程審議会等いろいろな審議会委員の地位をめぐって株の譲渡等贈収賄の容疑が生まれております。臨調行革審とは関係はないわけでありますけれども審議会委員の選任ということについては実際にこういうことがあったわけでありますから、選任される方が公正に選任をすると言うだけでは話は済まないのではないか、何か適正な選任をするためのルールづくり、こういうことを考えるのが大事ではないかと私は思います。これこそ行革審臨調の考えるべきことではなかったかというふうに思いますが、いかがでしょうか。審議会委員にこういう人がたまたまなったということについてはどういうふうにお考えですか。
  127. 百崎英

    ○百崎政府委員 今先生御指摘のように、これは行革審の土地対策関係の小委員会というのが開かれたわけでございますが、たまたまその当時江副さんが参与として入っておられたわけでございます。当然のことながらああいった事件はもちろんその当時は世の中で問題にされておりませんし、また、参与の人選に当たりましては、特にこれは大槻会長が委嘱される、こういうことになっているわけでございますけれども、大所高所のお立場に立ち、できるだけ広い範囲から清新な有識者の方にお集まりいただく、こういうことで御判断になったものと考えております。
  128. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 それではお答えにならないわけでありまして、みすみす問題のある人であることをわかって選任しておれば、これはもう大問題であります。そういうことのないようなルールづくりが大事ではないかということを申し上げたわけであります。  先へ進んで、この法律案の第二条に臨調行革審の「述べた意見及び行った答申を受けて」という表現がありますが、この「受けて」というのは第三次審議会の権能とはどういう関係に立つのか、扱う範囲を制限しているのかどうか、これはどうですか。
  129. 百崎英

    ○百崎政府委員 御提案申し上げております法案の二条に、臨調等の「答申を受けて」と書いてございますが、この部分は、文字どおり臨調それからこれまでの行革審答申あるいは意見を受けて政府が講ずる施策のうち重要事項について今回の第三次行革審が調査審議する、こういう趣旨のものでございます。
  130. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 今のお答えでも質問との関連ではちょっとはっきりしないように思いますけれども、いわゆる聖域論がありますが、この審議会には触れてならないという分野があるのかどうか、これを一つお尋ねをします。
  131. 百崎英

    ○百崎政府委員 御承知のとおり、これは臨調以来いわば財政再建のためにも各省庁制度施策を幅広く抜本的に見直す、こういうようなことでこれまでいろいろ審議が行われてまいったわけでございまして、そういう意味で、建前としましてはいわば行革に聖域なし、こういうことで、臨調以来今日に至っているわけでございます。そういう意味で、臨調答申等をごらんいただきましても、ほとんど各省庁の全般の分野にわたって何らかの問題提起あるいは答申等がなされているということでございます。
  132. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 法律案についてはこの程度にいたしますけれども、現在の我が国は世界有数の審議会行政の国だ、このように言われているようであります。臨調も、先行する行革審も、審議会のあり方については、あるいは行政全体のあり方については、公開に関連する情報提供の問題を提起をいたしております。当の行革審あるいは臨調が非公開を原則とするような決定というのは、これはうなずけない。国民のための行政を勧告する資格があるのかどうか危ぶまれるところであります。  私は、いろいろな審議会、特に、もし成立するのであれば行革審が、そのあり方の適正を確保する、そして国民の信頼と理解確保することについては、委員の任命の問題、それから会議など活動の基本に関する原則の確立、そうして公開の原則がぜひ必要であろうというふうに思います。少なくとも審議会の中で両院の同意を要する委員の任命については、両院それぞれが委員会を設けて実質的な審議をするような場所をつくる必要があるのではないか。アメリカのように証人としてその場に臨んであらゆる角度から質問を受けて、同意をするしないを決めるというようなことがあってもいいのではないかと思っております。また、少なくとも法律に設置根拠を有する審議会については、議事運営の基本原則については法律上に明文を置くべきであると思います。  審議会の手続、会議については、臨調の精神にのっとりまして公開をうたうべきではないかと思っております。公開をした場合の弊害については局長がいろいろ述べられました。しかし、そういうことがあるからすべて非公開というのは当たらないと思います。傍聴人の人数制限、あるいは報道機関にのみ限定して公開をする、あるいは決議を非公開にするなど、いろいろ工夫があるのではないかと思います。公開をして、どういう経緯でそういう答申が出てきたかというようなことを知らしめるということのメリットは非常に大きいものがあると思うのであります。アメリカでも連邦諮問委員会法、これにより審議会の公開が定められているわけでありまして、むしろ公開が民主国家の原則であるというふうに私は思います。これらの点については、ぜひ私の意見、といいますよりは世界の趨勢について目を開いていただきたい、このように思うものであります。  これまでの臨調行革審の中で、国民行政参加あるいは行政の中での国民の権利保護に触れたものはそう多くありません。行政手続法あるいは情報公開の問題、オンブズマン制度、これらが提示をされておりますけれども長官、こういう制度を樹立することについては政府は賛成ですか。どういう意義を持った臨調の、あるいは行革審の提案であると理解をしておられますか、お尋ねをします。     〔委員長退席、林(大)委員長代理着席〕
  133. 百崎英

    ○百崎政府委員 幾つかの例を挙げてのお尋ねでございますが、最初にいわゆる行政手続法につきましては、これは御承知のとおり我が国の行政手続法が、例えば処分手続だけに限って言いますと、昔から個別の法律でその都度つくられてきたという経緯もございまして、その内容が、同じような処分であっても手続が精粗まちまちだということで、非常に不統一な面がございます。したがって、国民自体も、場合によってはそれによって不公正な差別を受けるというおそれもないわけではございませんし、特に、国際化が進展してまいりました今日、外国の企業、外国人の方々が我が国の行政手続にも参加されるというようなこともこれから非常にふえていくわけでございます。そういった面から見ても我が国の手続制度というのは非常な不備ではないかというような批判が出ないとも限りません。そういうようないろいろなことを考えますと、私どもとしましては、統一的な行政手続法の整備ということについてやはり前向きに考える必要があるのではないか、こういうことで、とりあえず研究会におきまして今日まで検討を続けてきているところでございます。平成二年度の行革大綱におきましても、そのための調査審議の場を設けることを検討する必要があるというようなことをうたっておりますので、私どもといたしましては、そういった趣旨に沿うようにこれは前向きに取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。  それから、いわゆる行政情報公開制度についてのお尋ねがございましたけれども、基本的に行政情報を国民にできるだけ広く公開をするという趣旨自体は、全く御指摘のとおりでございます。ただ、これを制度化する、いわば法制化するというようなことになりますと、司法救済制度あるいは公務員の守秘義務制度、個人情報保護制度等々関連するいろいろな制度との関係をどう考えるのかというようなことでいろいろ難しい問題等がございまして、これも研究会を設けて今まで検討を続けてきているところでございますが、さしあたり、できるところからやるということで、本省庁のみならず各省庁の出先機関に文書公開のための窓口制度というものをつくりまして、ここで一定の文書等を閲覧に供している、こういうことでございますが、いずれにしましても、研究会におきましてはさらに検討を続けまして、もしできることであれば、できるだけ早い時期にこれを取りまとめて公表するようにいたしたいというふうに考えております。  それからもう一つは、いわゆるオンブズマン制度というのがございますけれども、これにつきましては、担当は私の方よりは行政監察局の方の仕事でございますので、直接そちらの方からお答えいただきたいと考えております。
  134. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 長官お尋ねするつもりでありましたけれども局長からのお話でありました。  オンブズマン制度について、どの程度の審議をして現状どういう状況にあるか、ごく簡潔にひとつお答えを願いたいと思います。     〔林(大)委員長代理退席、委員長着席〕
  135. 鈴木昭雄

    鈴木(昭)政府委員 いわゆるオンブズマン制度につきましては、臨調最終答申におきましても、既存の苦情救済制度活性化とあわせてその制度の創設を検討するというような答申が出されております。これらを受けまして、政府におきましても、例えば平成二年度の行革大綱におきましては、オンブズマン等行政監視・救済制度につきまして、「民意の反映等を図るなど、既存諸機能の活性化推進するとともに、その実績を踏まえ、我が国の実情に適合したその在り方について、既存諸機能等との関連性に留意しつつ、結論を得るべく更に具体的な検討を進める。」とされているところでございますので、私どもとしては、この方針に基づきまして鋭意検討を進めているところでございます。
  136. 岸田文武

    岸田委員長 山中委員、時間が参っておりますので、簡潔にお願いいたします。
  137. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 簡潔にもう二点ほど。  それで、行政手続法、これについては学者の皆さんが、塩野宏さんは、近代化以前の状態である、あるいは成田頼明さんは、日本の現状は十九世紀の時期の法制であるというような言い方をして、非常に現状がおくれていることを言っておられます。また情報公開についても、自治体がどんどんやっておる。オンブズマン制度についても、既に短期間に審議を重ねて、川崎市とか都内の中野区だったと思いますけれども、今秋に成立させる、こういう方向であろうと思います。行革のあり方は一つの体系性があるわけでありまして、片方で国民に大きな犠牲を払わせている中で、やはりこういう制度を充実をして国民参加をねらっているというところがあろうと思いますが、それが全然進行していない。準備はしておられるでありましょうけれども、現実のものになっていないという点は私は問題があるのではないかというふうに思っております。  それから、行政改革の仕事の中に、公務員が三万人実質削減されたということを長官がおっしゃっておられますけれども、私は、削減されるだけが意味があるというふうには思えないのであります。一市民として生活をしておりましても、登記所の職員の方、あるいは、私、岩手でありますけれども、盛岡地方の郵便局の方なんかを見ておりますと、非常に仕事がきついと思うのであります。行政需要の増大があれば実情に応じて定数をふやすというのは当然ではないかという気がするのであります。  郵政省の定員関係の担当の方に、この削減の現場に及ぼしている影響といいますか、現場でどういう御苦労があるのかということをお尋ねをしたいというふうに思います。
  138. 岸田文武

    岸田委員長 これで最後の質問でよろしゅうございますか。申し合わせでございますので、時間が参りましたなら締めくくりをお願いをいたします。  それでは、最後のお答えでございますが、郵政省小谷要員給与課長
  139. 小谷文雄

    ○小谷説明員 郵便につきましては、職員の営業努力、それから、新しいサービスの開発、それに加えまして日本経済の好調ということが相まちまして大変郵便の業務量は増加いたしております。そういうことで、先生がおっしゃいましたように、郵便局で働く職員にとりまして、従来以上に超過勤務等のいわゆる業務量が増加していることは事実でございます。  郵政省といたしましても、このために必要な定員というものは措置しなければならないと思っておりますので、郵政省におきますいろいろな事情、他の一般行政省庁と違う点につきましても、積極的に関係省庁に御説明申し上げまして理解を得て、必要な定員の確保に努めてまいりたい、そんなふうに考えております。
  140. 岸田文武

    岸田委員長 申し合わせでございますから、恐縮でございますが。
  141. 山中邦紀

    ○山中(邦)委員 わかりました。私の方は四分まででございますので、一言だけ。  郵便事業はここ五年間で物数が全国で三〇%ふえている、定員は一%弱だという状況のようであります。国民の需要が非常に大きい、そうして独立採算の中で黒字の状況にある、こういうようなことは、適正な人員の配置、場合によって増員というようなことも考えるのが国民のための行政改革だと思います。実施の担当に当たられる総務庁におかれても、こういう実情をよく検討されて国民のためのサービスを実現していただきたい、このように御要望を申し上げて、質問を終わります。
  142. 岸田文武

    岸田委員長 続いて、細川律夫君。
  143. 細川律夫

    ○細川委員 新行革審はことしの四月の十八日付で最終答申を出しておりますけれども、この最終答申を出すに当たって、七人の委員のうち二人までこれに反対をされたということでございます。  まず長官に、七人のうち二人まで最終答申に反対が出たということについての御認識を伺いたいと思います。
  144. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 先ほども説明申し上げましたが、民主主義的な決定方法といたしまして満場一致は望ましい方法でもあるかもしれません。しかしながら、反対があって多数決によって決定されても、これはもう民主主義的な方法として十分尊重されるべき決定だ、私はこんなふうに思うわけでございます。  第二次行革審でそのようなことがあったと伺っておりまするけれども、私は、そのようなことによって第二次行革審答申の意義がいささかも薄れるものではない、こんなふうに考えております。
  145. 細川律夫

    ○細川委員 「月刊Asahi」という雑誌がございます。その「月刊Asahi」の七月号、この中で、新行革審委員でありました宮崎輝さんから、こういうタイトルで行革審についていろいろな意見を述べておられます。「日本のためにならない役人の言いなり審議会」、こういう題でございます。この「月刊Asahi」の七月号をお読みになりましたでしょうか。
  146. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 拝読いたしました。
  147. 細川律夫

    ○細川委員 この宮崎さんは「月刊Asahi」の七月号の一番最初のところでこういうふうに言われております。   四月に新行革審最終答申を出しましたが、三年間の審議成果があの程度に終わったのはまことに残念です。政府では早々と「ポスト新行革審」をつくるという話になっているが、よほどやり方を考え直さないとつくっても意味はないですよ。 こう言われておりますけれども、これについてどうお考えですか。
  148. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私は、委員の中に各種の意見があってしかるべきものだと思いますし、今の宮崎委員の御説は、そのような観点から見れば一つ意見として行われた、こういうふうに見るのでございます。そしてこのような意見が言われれば言われるほどまた行革審答申内容が進歩していく、切磋琢磨されてよくなっていくものだ、こんなふうに考えます。
  149. 細川律夫

    ○細川委員 この宮崎さんの考えは、今までのようなやり方だと審議会は要らない、こういうことをまず最初に述べておるのですけれども、その点についてどういうふうにお考えなんですか。
  150. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 文脈では、いろいろ見方がありましょうけれども、このような点を直していくべきである、このような欠陥があったが、これは自分の見る欠陥であって、このような欠陥は直せればいいのではないかというふうに読むべきだと私は思いました。
  151. 細川律夫

    ○細川委員 長官が欠陥だというふうに考えられた点はどういう点でしょうか。
  152. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 審議会は、やはり政府行政の問題でございますし、行政に当たっては、当然公務員意見を聞くことになることが多いかと私は思います。その際、民間の方々、委員の方々がそれをどのようにお聞きになるか、私は聞き方の問題だと思うわけでございます。役人の意見を聞くばかりでは要らないということは少し誇張であり、何と申しますか、その点を適正に修正すれば、私は審議会として十分成り立つ議論であって、どこの審議会にもそのような欠陥は共適している問題、しかし、それを乗り越えてやっていただけるのが私は審議会委員であり、また審議会である、こんなふうに思っております。
  153. 細川律夫

    ○細川委員 宮崎さんが大変不満を持っておられる点は、審議会の下に小委員会を設けられた、こういう点と、もう一点は審議内容が非常によくない、こういう二つの点から宮崎さんはいろいろ御不満を述べられております。  そこで、まず最初にお聞きしますけれども、小委員会というものはどういう経過でつくられたのか、説明お願いします。
  154. 百崎英

    ○百崎政府委員 小委員会は第一次の行革審におきましても同様の形のものができたように記憶をいたしております。いずれにいたしましても、本審議会委員は、先ほどから御議論がありますように七人で構成されているわけでございますが、行政全般にわたるいろいろな課題が山積をいたしております。そういった問題をすべて七人の委員でいろいろ御議論いただくというのは非常に大変なことでもございますので、テーマによりましてその審議会のもとに小委員会という一種の専門的な委員会のようなものをつくりまして、そこに各界からの有識者の方にまたお集まりいただいて、そこでいわば問題の粗ごなしをしていただく、こんなような趣旨で設けられたものと考えております。これはいわば審議会の独自の御判断といいますか、委員の方々全員がお集まりになってそういうものをつくった方が審議の効率化に役立つであろう、こんなことで設けられたものと承知いたしております。
  155. 細川律夫

    ○細川委員 その小委員会委員は、どういう方法で選任をされるのでしょうか。
  156. 百崎英

    ○百崎政府委員 この小委員会委員長は、例えば第二次行革審の場合ですと、本審議会委員の方のうちのお一人がなる、あとのメンバーの方はいわば参与という形で会長が民間の方に委嘱をされる、こういうようなことになっておるわけでございます。
  157. 細川律夫

    ○細川委員 この小委員会での委員長の権限とか、そういうものはどういうものでしょうか。
  158. 百崎英

    ○百崎政府委員 先ほど申しましたように、この小委員会というのは、いわば専門的なまとまった事項についてそれぞれの分野の専門の方々にお集まりいただいて問題の粗ごなしをする、そこで一応まとめられたものを報告という形で本審議会に持ち上げて、そこでいわゆる行革審としての御議論をされる、こんなような建前になっておるわけでございます。特段の権限とかなんとかいうことはないかと思います。
  159. 細川律夫

    ○細川委員 新行革審の中でどういうような小委員会がつくられたのか、かつまた、その委員、参与といいますか、人数はどういう人数であったか教えてください。
  160. 百崎英

    ○百崎政府委員 新行革審の場合には、一つはいわゆる土地対策の問題が非常に重要な問題になりましたので、土地対策に関する小委員会というものが設けられました。委員の数は、ちょっと今突然のお尋ねでございますので手元にございませんけれども、少なくとも二十数名くらいの参与の方にお願いしたと思います。  それからもう一つは、公的規制緩和の問題を取り上げまして、これも金融、エネルギーあるいは流通等々各般の分野の公的規制緩和の問題がございますので、これもそれぞれ各界の専門家の方にお集まりいただきまして、これもたしか三十名近い方にお願いしたのではないかと記憶いたしております。  もう一つは、いわゆる国と地方の問題を取り上げました。これも小委員会というものをつくってそこで専門的な御議論をいただいたわけでございます。  そしてもう一つが、いわゆる先ほど来の最終答申に向けた小委員会、こんなようなことでございまして、いずれにいたしましても小委員会の参与の方は、それぞれ今申し上げましたようなテーマに応じてそれぞれの分野の専門の方に広くお願いをした、こんなことでございます。
  161. 細川律夫

    ○細川委員 そうしますと、今言われたのは委員会は四つということですか。
  162. 百崎英

    ○百崎政府委員 実は一つ申し落としましたが、昭和六十三年度予算編成問題に関する小委員会というのが第二次行革審発足直後にできまして、非常に短期間で予算編成の問題についての意見を出すということでございましたので、短期間で終わったものがございました。これを入れて、第二次行革審の場合には全部で五つの小委員会が設けられたということでございます。
  163. 細川律夫

    ○細川委員 今言われた五つの委員会のそれぞれの委員長のお名前をちょっと教えてください。
  164. 百崎英

    ○百崎政府委員 ただいま申し上げました五つの小委員会のうち、土地対策検討委員会、この小委員会は事柄自体が非常に難しい、かつ重要な問題でございますので、大槻会長みずからがこの委員会委員長を務められたということでございまして、その他は会長代理である瀬島委員委員長を務められたということでございます。
  165. 細川律夫

    ○細川委員 そうしますと、小委員会委員長審議会委員がなるということで、その委員というのは会長あるいは会長代理、こういうことになるわけですか。
  166. 百崎英

    ○百崎政府委員 別に必ずしもこれは決まりがあるわけではございませんけれども、第二次行革審の場合には、今申し上げましたような事柄の軽重等に応じまして行革審委員の中から委員長に就任された、現実には大槻さんと瀬島さんが委員長になられた、こんなようなことでございまして、特段の決まりがあるわけではございませんでした。
  167. 細川律夫

    ○細川委員 この小委員会五つのうち、瀬島委員が四つも小委員長をやっている。どうしてこれほど多く瀬島さんが委員長をやっているのでしょうか。
  168. 百崎英

    ○百崎政府委員 瀬島委員に小委員長お願いしたその経緯等は、ちょっと私どもその背景等について詳細承知いたしておりませんけれども、推測するところによりますと、瀬島委員臨調以来、第一次行革審、第二次行革審とずっと委員を務めてこられたわけでございまして、従来からのいろいろな経緯等も十分御存じだ、こんなような判断があったのではないかと推測いたしております。
  169. 細川律夫

    ○細川委員 この新行革審が別名瀬島審議会とも言われておることもあるいは御承知かと思いますけれども、この小委員会というものには、いわゆる本委員といいますか審議会委員は自由にそこに入って議論できるのでありましょうか。それとも委員長になっている委員だけがそこに参加をするのでしょうか。
  170. 百崎英

    ○百崎政府委員 いわゆる第二次行革審の場合の小委員会につきましては、実際の運用上できるだけ審議会委員の方にこの小委員会にも御出席いただきたい、こういうお願いをいたしまして、現実にはこの小委員会行革審委員の方が必ず常に何人かお入りになって、いわばその参与の方々といろいろ御議論になったということでございます。
  171. 細川律夫

    ○細川委員 その委員会での出席の件ですけれども、宮崎さんは、今お答えになったような雰囲気の小委員会ではないということを述べております。この「月刊Asahi」の七月号によりますと、こういうふうに書いてあります。   小委員会には、私も出席してよいのですけれど、やはり本委員が小委員会に出ると、あまりいい顔をされません。まあ、けむたがられるというか、そういう気配も感じました。これは他の委員の人も言っていますよ。たまに、小委員会に出席しても、最後に「審議会委員の先生方はどうですか」と聞かれるだけで、審議には参加できないのです。 こういうふうに書いてあるのですけれども、この点についてどう思いますか。
  172. 百崎英

    ○百崎政府委員 その委員の方々は、先ほど申し上げましたように小委員会にほとんど常時御出席になっておられた方もございまして、その委員の方々がどういうふうにお感じになっていたかというのはちょっと私どもも推察いたしかねますが、私どもが見ておりましたところでは、今回の最終答申の小委員会につきましては、ほとんど常時出席といいますか、そんな形で審議会委員の方がお出になっておりました。結局、非常に広範な分野の問題を短期間のうちにまとめて結論を出す、しかも、行政改革は御承知のとおり非常に利害の錯綜するような厄介な問題がございます。そういった問題についての基本的な方向について合議体としての意見をまとめる、こういうためには、非常に限られた期間の中で、できるだけ小委員会のメンバーの方と、いずれそれが小委員会報告という形で審議会に上げられるわけですけれども、この審議会委員の方々が常日ごろから、意思疎通といいますか、いろいろな物の考え方についての勉強の機会をつくっておく、そんなような趣旨で、先ほど来申し上げておりますような小委員会運営をされたというふうに理解いたしております。
  173. 細川律夫

    ○細川委員 全然認識が違いますね。これは私が想像で言っているのではないのですよ。ちゃんとした「月刊Asahi」という月刊誌なんですよ。そこで審議会委員であった宮崎さんが言われているのですから。別に私が想像で物を言っているわけではないのです。ここではちゃんと、小委員会の方では「審議には参加できないのです。」こう書いてあるんですよ。ちゃんと私が今読み上げたでしょう。もう一回読みますよ。   小委員会には、私も出席してよいのですけれど、やはり本委員が小委員会に出ると、あまりいい顔をされません。まあ、けむたがられるというか、そういう気配も感じました。これは他の委員の人も言っていますよ。たまに、小委員会に出席しても、最後に「審議会委員の先生方はどうですか」と聞かれるだけで、審議には参加できないのです。 こう書かれているのです。あなたが今言われたことと全然違うのです。どうですか、本当のことを言ってください。
  174. 百崎英

    ○百崎政府委員 繰り返すようなことでございますけれども、かつて委員をされた方がいわば個人の立場でいろいろ御意見を述べられておりますことについて、私どもとして具体的にコメントするような立場でもございませんし、そういう考え方はございません。ただ、私ども先ほどから御説明いたしておりますように、今回の第二次行革審の小委員会運営は、先ほど来申し上げておりますように委員の方ができるだけお忙しい中を小委員会の方に出ていただいて、常日ごろからいろいろな意見の交換等を行っておく、こんな趣旨で始められたわけでございますし、現実問題として審議会委員の方々も、先ほど来申し上げておりますように出席をされておられる方がかなりおられたわけでございますので、それ以上ちょっと私どもはコメントを差し控えさせていただきますが、事実は私はそういうふうに考えております。
  175. 細川律夫

    ○細川委員 宮崎さんの方は、これは「月刊Asahi」に書かれているのですけれども、私どもはもう一人の委員の江田さんにもいろいろ審議内容をお聞きしたのです。江田さんも小委員会のことについては全く同じことを言っておられるのです。だから私は、国会の承認まで得たその審議会委員の皆さんが審議会できちんと議論をするというのじゃなくて、小委員会でさっき言われたような趣旨審議されたとしても、そこへ委員も入って審議もできないような、形骸化したというか、委員がスポイルされたといいますか、そういうところでの審議というのは全く意味がない。したがって、そういうことだからこそ宮崎さんは、もうこういう審議会なら要らない、こういうことを言っておられるのですよ。大変重要な提起をされていると思うのですね。  長官にお聞きします。ここで議論していることは今大体おわかりになったと思いますけれども長官の方はこの点についてどうお考えでしょうか。
  176. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 先ほど来私が申し上げておりますように、七人のうちのお一人である宮崎さんがあのような意見を言っておられるわけでございます。そしてまた、審議方法についていろいろの考え方が出てくる、その一つが宮崎さんの御意見だろうと思うわけでございまして、私はそのような御意見もこれからの参考にして、ともかくも審議会答申がよくなるような方向、何と申しますか、皆さんが十分に論議をしたというふうな審議会になることを考えていきたい、こんなふうな印象を持ったわけでございます。  しかし私は、第二次行革審答申といえども、皆さん方があれだけ論議をされて、時間の関係でいろいろ御不満があったかもしれませんけれども審議のやり方についてはいろいろの方法がある、公開ということについても欠陥がある、そしてまた、小委員会という便宜な迅速な方法で決定しなければ間に合わないことがある、このようなことは委員の方も御存じのとおりであると思いますので、これだけで判断して小委員会方式が要らないというようなことにもならないと思いますし、私どもの経験では小委員会に本委員が参加することは自由だし、意見を言っても自由であるというようなことも随分やってまいりました。しかし、それはもうそのときその審議会状況であろうかと思いますので、私はこれを一概に非難をして、これでもって審議会の存在理由がないというようなことにまでならないし、宮崎委員もそのような意味で申されているのではなくて、こんな点を直したらどうかというふうな宮崎委員個人のお考え方を述べているものだ、しかし、貴重な御意見である、私はこう見ております。
  177. 細川律夫

    ○細川委員 宮崎さんはその他の面でもいろいろ審議会に不満を持っておられます。答申につきましてもこういうふうに言っておられます。答申も抽象論ばかりで具体論がない、こういうことで批判しておりますけれども、なぜそういう抽象論ばかりで具体論がないのか、これは小委員会をつくったからだ、こういうような言い方なんです。  これについてどういうふうに書いているかといいますと、例えばこういう言い方です。   公的規制の実質的半減を目指すということも最終答申の大きな柱として書かれているが、実質的に半分にするとは一体どういうことなのかが示されていない。かりに役所の許認可の件数を半分に減らすということだとしても、許認可には大きいものと小さいものがあります。また、どの役所の、許可、認可のどれをなくすのか、具体的に書かなければ、どこの役所も自分のところはなくしたくないのだから、実現はできません。   新行革審最終答申自体に、そういうあいまいさがあまりにも目立ちます。   なぜそういうことになったのかというと、最終答申を私たち新行革審の七人の本メンバーでつくらず、行財政改革推進委員会という下部機構の小委員会で決めてしまったからです。小委員会のメンバーは立派な方が多いのですが、なかなか役所の言い分にノーというのはむずかしいことと思います。 こういうことを書かれています。  ここまで宮崎さんはずばっと言われているわけなんです。小委員会の弊害といいますか、まさにイエスマンといいますか、そういう人ばかりが小委員会におられるような、そういう書き方なんだ。これについてどう思いますか。
  178. 百崎英

    ○百崎政府委員 先ほど来申し上げておりますように、個々の委員委員の立場をお離れになっていろいろなことをおっしゃっておられることについて逐一コメントするような考え方は実はございませんけれどもお尋ねがございましたのでとりあえずお答えだけはさせていただきますが、最初に、今回の最終答申の中身が抽象論が多くて具体性がないというような御批判がございました。これは本来、いわゆる最終答申という性格にかんがみまして、個別の具体的な施策を、あれをこうしろ、こうしろというような話よりは、むしろ二十一世紀を見据えて、今後十年間に我が国の行政がどういう方向に進むべきか、こういうことについての意見を、最終答申といいますか卒業論文といいますか、そういうことで出そうということで審議が始まったわけでございまして、そういう最終答申の性格上、基本的な方向にとどまったというようなことが現実の問題でございます。必ずしもそれが、小委員会をつくったからどうのこうのというようなことではないと私どもは考えております。  また、例に挙げられました公的規制の実質的半減につきましても、中身がよくわからないというような御批判かと思いますけれども、これも、確かにそこでおっしゃっておりますように、数を半分減らすというようなことではございませんで、その趣旨は、これからできるだけ市場原理を導入して自由な競争をさせていく、そういう方向の中で、国民公的規制によって受ける負担が半分くらい減ったというような、そういう感じを受ける程度にやはり規制を緩和する必要があるのじゃないかという、どちらかというと意気込みといいますか、そういうことで実質半減というような言葉を使って表現されたわけでございまして、それもいわば小委員会でいろいろ御議論があってそういうことになったわけでございます。  いずれにしましても、実質半減ということを目指すことになっておりますので、私どもといたしましては、これから各省庁といろいろ相談をしながらその具体化を図ってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  179. 細川律夫

    ○細川委員 最終答申案をつくっていくのに、七人の委員でそれをつくっていくというのではなくて、審議会の下に行財政改革推進委員会というのをつくってそこで最終答申案を練り上げたというのは、どうしてそういうふうにしたのでしょうか。
  180. 百崎英

    ○百崎政府委員 これは、先ほどから申し上げておりますように、いわば行革審最終答申は、まさに行政各分野にわたりその組織あるいは制度施策あるいは財政等々非常に広範な分野を対象にして、どういう答申を出すか、そういう議論の中で、例えば七人の委員の方が頻度を上げていろいろ御議論になる、これも一つの方法かもしれませんけれども、社会の中の非常に重要な地位を占めておられる方でもございますので、そういったところで何から何まで議論をするよりは、やはり小委員会といいますかそういうものをつくって、そこで問題の粗ごなしをして、それで審議会にそれを持ち上げて最終答申に持っていこう、こんなようなことで行財政改革委員会をつくったということでございます。
  181. 細川律夫

    ○細川委員 その行財政改革推進委員会というものは、平成元年の七月三日につくられておりますけれども、この委員会答申案をつくって審議会の方に出したのはいつでしょうか。
  182. 百崎英

    ○百崎政府委員 いわゆる小委員会報告ということで審議会の方にその審議結果を報告されたのは三月二十日というふうに承知しております。
  183. 細川律夫

    ○細川委員 そうすると、この間はいわゆる本審議会の方というのはそんなにもやらなかったわけでしょうか。
  184. 百崎英

    ○百崎政府委員 もちろん全く休んでいたということではございませんで、審議会審議会なりに今後の行財政のあり方等についてのフリートーキングをする、あるいはまた、審議会として各省からいろいろな御意見を聞く、こんなような活動をずっと続けていたわけでございます。
  185. 細川律夫

    ○細川委員 その小委員会の報告を受けて、審議会の方ではどれぐらいの審議をしたのでしょうか。
  186. 百崎英

    ○百崎政府委員 六回ほど審議会で議論をしたというふうに承知しております。
  187. 細川律夫

    ○細川委員 宮崎さんがこの「月刊Asahi」に書かれていることを見ますと、全く違うのですね。この行財政改革推進委員会という小委員会平成元年の七月三日につくって以来、審議会というものはもう実質的に開店休業の状態だった。その答申といいますか小委員会の報告が三月二十日になされているわけなんですけれども、その間ずっと審議会というのは開店休業状態だったと言うのですよ。そして三月二十日に小委員会の報告を受けて、審議会はたったの二回しか開かれていない、こういうふうに宮崎さんはちゃんと言っているのですよ。六回じゃないですよ。二回ですよ。  そうしますと、先ほど言いましたように小委員会の方にはほとんど出られない。そこでも審議はできない。本審議会の方はたった二回しかやらない。その本審議会でもほとんど審議らしい審議はしてくれない。宮崎さんは最終答申に対してもいろいろな意見を述べたりあるいは提案をしているけれども、それについて何らの審議もしてくれない、こう言われておるのですよ。だから全く審議していないのじゃないかというふうに見ざるを得ないのですね。その点どう思いますか。
  188. 百崎英

    ○百崎政府委員 ここに審議会の開催実績の資料がございますけれども、三月二十六日、二十八日、四月二日、四月九日、四月十六日そして四月十八日、こういうようなことで審議会が開かれておりまして、行財政改革推進委員会報告の審議、こういうことを議題にして開かれているわけでございます。そこでどういう議論をされたか、これは委員会報告を当然委員会の方から審議会説明をされ、項目ごとにそれをめぐっていろいろ御議論があったわけでございますが、そのほかに個別の委員の方も御自分の御意見等をメモに書いてお出しになる、それを審議会でまた御議論いただく、こんなようなことをやっていたわけでございまして、決して開店休業というようなことではございませんでした。
  189. 細川律夫

    ○細川委員 百崎局長の言われることと宮崎さんの言われておりますことと全く反するところがあるわけなんですけれども、宮崎さんはこういうふうに書いておられるのですよ。これは大変重要だと思いますから私そのとおり読みます。   三月に小委員会最終答申の案をつくって持ってきたのを受け、それを今度は我々が徹底的に審議したらよかったのです。ところが、その案に対する本委員会審議は二日しかしていません。私は意見を提案書として出しました。答申案は大事なことがたくさん落ちているので、これが最終答申になってしまうのは、いかにも問題だと思ったからです。   私は去年五月から四回、いろいろな案を文書で審議会に出してきました。素案のときから出していましたが、結局、何も議論されず終わったものですから、私としては最終答申案には賛成のしようがなかったということです。 ちゃんと書いてあるのですよ。今局長のいわれたことと全く違う内容なんですよ。  だから宮崎さんとしては、こういうことならばもう審議会なんかつくってもしようがないんだ、こういうことなんですよ。こういうちゃんとした雑誌に書かれておりますから、宮崎さんだってうそを言っているとは私は思えないのです。大変重要なことであろうかと思います。事実、こういうような審議会内容ならば、何のために審議会があったのか。特に、小委員会の方がまさに審議会の中心的なところになっている。しかも、そこの小委員会の中心的な役割を果たしていたのが小委員会委員長を務めていた瀬島さんじゃないか、したがって瀬島審議会とも言われているのじゃないかというふうに私は思うところでございます。  時間がございませんから先に進めていきたいと思います。  行革審のもう一人の委員の江田さん、この方も答申案には反対であったわけなんですけれども、この江田さんが、ことしの二月五日付で大槻会長に「「最終答申のあり方に関する見解」を提出するにあたって」こういう文章を出しております。その中で、こういうことを書かれております。   ついては、この機会に要望したいことは、最終答申をまとめるに当たって、いささかも国民の不信感を招くようなことがあってはならないということです。   これからの審議にあたっては、公明正大に、また委員の一人、ひとりの自覚と責任のもとに民主的な運営がなされるよう、特段の配慮を強く要請するものです。 こういうことを要望されているわけなんです。  そこで、江田さんも四月十二日、また大槻会長に対して「最終答申に対する見解と修正提案」というものを出されております。その中で、先ほども意見が出ておりましたけれども、江田委員はこういう指摘をされておるところでございます。   第一に指摘すべきことは、臨調行革への国民期待は、ロッキード事件に典型的にみられた「政・官・財」の構造癒着による歪んだ政治行政のあり方に大胆にメスを入れることにあった。   ところが国民の目の前にあらわれたのは、その臨調行革推進したはずの政府首脳の周辺をはじめとした一層の政治行政腐敗の進展であった。 こういうことを指摘いたしまして、そしてこの審議会最終答申の総論のところの評価というものに非常に疑問を持たれているところでございます。  そこで、お聞きしたいところは、先ほど江田さんの二月五日の文書では、「国民の不信感を招くようなことがあってはならない」こういうことを書いておられるのですけれども臨調行革を進めるそのさなかに、政財官の癒着による構造汚職という未曾有のリクルート事件が起こったわけなんです。ところが、これについて何ら触れていない。当然そういうものについては臨調行革でやらなければいけないことができなかった。その結果、そういうリクルート事件なんかが発生をした。しかも、リクルート事件の中心的な人物でありました江副さんが先ほどの小委員会に参与として入っていた。そういうことから、こういう点について書くのがまずい、こういう判断をしたのじゃないかというようなことも私は考えるところでございます。国民の方から見ていささかも不信感を招くようなことがあってはならない、こういう江田さんの指摘がまさにそこに当てはまるのではないかと思うのですけれども総務庁長官いかがでしょうか。
  190. 百崎英

    ○百崎政府委員 これも先ほど来再三申し上げているわけでございますが、個々の委員がいろいろな場でいろいろな御意見を述べておられるようでございますけれども、それについて特段政府側としてコメントするというのは果たしていかがなものかと考えております。  ただ、今いわゆる政官財の構造癒着云々というような御指摘がございましたけれども、これにつきましてはいろいろお立場によって見方があろうかと思いますが、少なくとも行革審の大多数の委員の方々は、臨調行革というものがロッキードなりリクルートなり、そういうものと直接因果関係があるのかないのかということにつきましては、どちらかというと否定的な御意見の方が多かったのではないかというふうに考えております。
  191. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 今御指摘の問題については、私どもは、江副氏が小委員であったということだけで行革審答申が不信を招くというふうには考えないものでございますし、わずかの一人の方だと考えていただきたいと思うぐらいでございます。私どもは、それより何よりもこの問題については不信を起こさないように政治改革でもってリクルート構造問題については対処しよう、行革行革として私ども国民の信頼を得たものとしてこれを推進していきたい、こんなふうに考えております。
  192. 岸田文武

    岸田委員長 細川委員、時間が参りました。
  193. 細川律夫

    ○細川委員 予定の時間より少し少なかったもので、あと国土庁の方にも御質問したかったのでありますけれども、これで終わりたいと思います。  今私が指摘をいたしましたことは、単に部外者の者が言っているだけではなくて、この審議会委員であった者がこの審議会審議のありようについていろいろな点を指摘をされているところでございます。したがって、この問題につきましては、そういう点を謙虚に受け取って、そして行革審とはどうあるべきかというようなことを当然考えていかなければならないものだというふうに私は思います。そういう意味で、ぜひ七人のうちの二人である宮崎さんと江田さんのお考えを十分総務庁の方も考慮していただきたいということを申し上げまして、終わりにしたいと思います。
  194. 岸田文武

    岸田委員長 続いて、山口那津男君、お願いします。
  195. 山口那津男

    ○山口(那)委員 このたびの新行革審の設置についてですが、その意義に関して、赤字国債の発行がなくなったということをもって行革審役割は終わったとか、あるいは連続的に長期化している、常設化しているということによってかえって改革の熱意が薄れるのではないか、このような否定的な見解があるわけでありますが、あえて設置をするというこの意義についてどのようにお考えか、伺います。
  196. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私は行革の必要性は増しこそすれ決して減少したものとは考えておりません。もうたびたび申し上げましたように、海部内閣国政の三本柱、その一つ行革でございます。そして第二次行革審は、公的規制の半減、国と地方の権限の分配の問題を初め、たくさんの問題を新しい行革審で促進をしていけ、こういうふうな宿題を残されました。そのために、やはり行革審という組織というものが必要であることは言うまでもありません。官庁ではこの問題は到底解決できないものでございます。やはり一つの民間のと申しますか、政府から離れた機関がこれを見守っていく必要があろうかと思うのでございます。  それから三番目は、何といっても最近時代変化がますます早くなって、これに応ずるところの行政の体制を早くつくらなければならないかと私は思うのでございます。そもそもパーキンソンの原則で、行政というものは市場原理が働かない、利潤原理が働かないから膨大になっていくものだ、あるいは膨張をやめることができないものだ、そして競争というものを嫌がるものだ、こんなようなお話があることは委員も御案内のとおりでございます。しかし、そのような十九世紀の初めからの話どころか、もう昨今では、日米構造協議で示されましたように世界の中の新しい変化に応じてどうしても行政改革を進めていかなければならない。あのような構造協議日本の中から出ていくような行政改革がぜひとも必要である。そういった意味で、行革審をぜひとも設置させていただきたい、そのための法案お願いしておるところでございます。
  197. 山口那津男

    ○山口(那)委員 力強い御決意でありますけれども、一般的に審議会という諮問機関を設ける手法について、国民のコンセンサスを形成する、あるいはそのコンセンサスを確認するという面からして、審議会がどのような機能を果たしているのか、その点について一般的な御見解を伺いたいと思います。
  198. 百崎英

    ○百崎政府委員 各省が行政施策を立案し、行政運営をしていく場合に、政府としていわば独善に陥らないように、お役人の頭だけで考えるということでなくて、やはり民間の有識者の方々の御意見を幅広くお伺いしながら、それを踏まえていろいろな制度施策を考えていく、こういうことは私としては必要なことではなかろうかというふうに考えております。
  199. 山口那津男

    ○山口(那)委員 先ほど長官は、この設置の意義からも、行政改革ということがいかに国民的な重要な課題であるかということを御指摘になられたと思うわけでありますが、これを三年という時間をかけて審議しようというわけでありますから、単にこの審議会のわずかな人数の中だけではなくて、広く国民の議論を巻き起こして、多様な国民意見というものを吸収していくような方策が考えられるべきであろう、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
  200. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 全く同感でございます。三年という短い期間の中で、国民の間に行革の声が起こるような手だてをいろいろと考えてまいりたいと思います。
  201. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そこで、審議会運営内容についてなかなか国民にはわかりにくいという声があるわけであります。  例えば、社団法人の経済同友会というところがありますけれども、そこで「国民の受益と負担を明確にするための情報公開制度改革」ということでアンケートをとったところ、「複雑に絡みあった既得権・固定的な予算配分を打破するために思い切った情報公開をすすめる必要があります。特に明らかにすべき情報は何だとお考えになりますか。」こういう問いかけに対して、最も多かったのは「審議会の議事録・参考資料の公開」という項目でありました。また同友会それ自体の意見としても、この審議会内容についての公開ということがうたわれております。また一方で、社団法人行革国民会議という団体があるわけですが、ここにおいても公開ということをうたっておるわけであります。もちろん、それらの議事が公開されることによって国民の知る権利にも奉仕するものでありまして、先ほど長官がおっしゃられたように国民の議論を巻き起こすためには最も重要な方策一つであろう、このように思うわけでありますけれども、いかがお考えでしょうか。
  202. 百崎英

    ○百崎政府委員 審議会の議事内容を公開すべきかどうかという点につきましては、それぞれの審議会の設置目的あるいは任務、性格等に照らしてどういう方法が最も適当であるかということを個別に判断すべきものではないかと考えております。  現実の審議会運営に当たりましては、議事を公開しているような審議会も若干ございますけれども、非公開とされております審議会につきまして、その非公開になっている理由を見てみますと、例えば、審議テーマ自体の特徴から非公開とする、あるいは先ほども御議論がございましたが、審議会の内部において自由闊達な論議を十分に行って綿密な合意形成を行うためには、その審議のプロセスを全面的に公開することが必ずしも望ましくない、こんなような事情などもあるように考えております。ただ、いずれにしましても、議事を仮に非公開とする場合におきましても、会議が終わった後、その審議会委員なり事務当局から議事の内容をできるだけ公表する、そんなようなことで公開の精神に沿った運営を心がけるべきであると考えております。
  203. 山口那津男

    ○山口(那)委員 総理府の所管の中に脳死臨調というのがありますけれども、その施行令四条によりますれば、議事について調査会に諮って定めることができる、このような規定があります。しかし実際には、この調査会の規則というようなものは特に定められてはいないようでありますけれども、この脳死臨調において、調査の内容審議内容について議事録が存在するでしょうか。
  204. 百崎英

    ○百崎政府委員 脳死臨調審議会の議事録等につきましては、所管外でございますのでちょっとよくわかりかねます。
  205. 山口那津男

    ○山口(那)委員 どなたもおわかりになりませんか。
  206. 岸田文武

    岸田委員長 きょうは担当の者が来ておりませんようですね。
  207. 山口那津男

    ○山口(那)委員 はい、結構です。  脳死臨調というのは、脳死、脳の死が人の死と言えるかどうか、そのようなコンセンサスをつくり出すといいますか、コンセンサスができるか否か、これについて重要な役割を果たすと思われるわけであります。この発足の際に、会長が、できるだけ会の審議内容について公開をして国民の議論の一助にしたい、このようなことを発言しているわけでありますけれども、この行革審においても、答申の中に行政運営透明性あるいは公正性を確保するということをあえてうたっているわけでありますから、その行革審自体が公開というものをみずから実施していかなければいけない、こういうふうに思うわけであります。具体的に行革審において公開の必要があると思うわけですけれども、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  208. 百崎英

    ○百崎政府委員 この行革審審議内容を公開するかどうかということにつきましては、審議会自体の御判断として、第一回目の会議の際に御議論がございました。先ほど来申し上げておりますように、やはり行政改革の問題というのは利害が対立し、錯綜し、非常に難しい問題でもございますので、そういうものについての改革の具体案をつくっていくということになりますと非常に難しい問題がございます。そういう意味で、そういう問題について、せっかくお集まりいただきました専門家の委員の方々にできるだけそれぞれの所属等々を離れて自由闊達な御議論をいただいて、そういう中で結論を取りまとめていく必要がある。仮にどなたがどういうことを言われたというようなことが逐一公開されますと、やはり実際問題として委員の方々のそうした自由闊達な御議論が制約されるおそれもある、こんなような御判断だったと思いますけれども審議会御自体が議事規則で会議は公開しないことを原則とする、こういうことを決められたわけでございます。
  209. 山口那津男

    ○山口(那)委員 御承知のように、アメリカでは連邦の諮問委員会法というのがありまして、諮問委員会については、例外が認められるわけでありますけれども、原則公開、またさらに、行政運営全体についてサンシャイン法というやはり公開原則を定めた法律があるわけであります。日米構造協議等でも問題になっておりますが、今後我が国に外国企業が参入してくるというようなことも十分考えられるわけでありまして、そうした企業から見て日本行政運営が不透明である、そのような指摘を受けることはもう火を見るよりも明らかであろうと思います。そうした国際的な流れを見た上でも、この公開ということは要求されていることだろうと思います。さらに言えば、議事録を作成して英訳を備えるというぐらいまで行革審みずからが実行していくべきであろう、こういうふうに思うわけでありますが、この点いかがでしょうか。
  210. 百崎英

    ○百崎政府委員 この審議会の議事内容の公開等を含めまして、行政情報全般をできるだけ国民に広く公開するというその御趣旨自体は臨調以来私とももそういったことで考えてきているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、これを法制化するというようなことになりますと、いろいろな問題がございます。私ども、これまで研究会で学者先生方にお集まりいただいてそういった法制化の問題を御検討いただいておりますけれども、そしてまたその御審議の中で、諸外国に実際においでいただいて外国の運営の実態を調べていただく等々も含めまして御議論いただいているわけでございますが、なかなか難しい問題がいろいろございます。そんなことで、制度化の問題につきましては、いましばらくお時間をいただいてさらに研究会で議論を進めたいと思いますが、公開の趣旨ということから、とりあえずまずできるところからやろうということで、政府におきましても、いわゆる文書公開閲覧窓口というようなものをつくりまして、そこで出先機関も含めて必要な書類を一般の方々の閲覧に供する、このようなこともやってきておるわけでございます。
  211. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 今山口委員の御指摘のサンシャイン法その他ヨーロッパの議事録公開の慣行でございますが、確かに民主主義の精神から見れば、政策形成の過程が明白になることは大変好ましいことでございます。しかし、先ほど細川委員の御指摘の、あの大胆な宮崎委員ですら公開の場所では物が言えないというようなことが書いてありました。公開の場所で大胆な率直な意見を申し上げるにはまだ意識改革が必要ではなかろうか。そういう意識改革の問題であるだけに、この情報公開法の一番できそうな議事録の公開がなかなか進まない、こんなことではないでしょうか。情報公開の必要性は私も十分に理解できる。民主主義の原論から見れば当然なことに見えながら、やはり日本の意識はまだまだヨーロッパの意識とは違った点があることを考えますと、この点は意識改革をやるつもりで努力をしてかかる必要があるような気がしてならないと思っております。
  212. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この公開の問題については議論が大ざっぱでなかなか煮詰まっていかないという面もあるのじゃないかと思います。例えば、公開の場では物が言いにくい、そういう心理的な側面もあろうかと思いますけれども、議事録そのものをつくるということと公開の場で審議自体をなすということは違うわけであります。議事録をつくったからといってそれを全部どなたにでも見せるようにするかどうかというのはまた別問題であります。ですから、例えば議事録は自後のリサーチのために備えておく、その中で公開していいものと悪いものを一定の基準のもとに選別する、そういうことだって考えられるわけでありまして、もっと実態に即してきめ細かな議論をすべきだろう、私はこういうふうに思います。  そこで、脳死臨調の規定を見ますと、施行令の中で参与と専門委員というものを置くことになっております。このいずれも職責は違うわけでありますが、この調査会の審議内容にかかわってくるわけでありますから、こういう人たちもいわゆる秘密に携わる場面が出てくるであろう、このように思います。ところが、施行令では何ら守秘義務は規定されていないという結果になっております。これは不徹底の感を免れないわけでありますが、この点についてどうお考えでしょうか。
  213. 百崎英

    ○百崎政府委員 御承知のとおり、審議会委員は非常勤の国家公務員ということでございまして、よく審議会の設置法等の中に、委員が職務上知り得た秘密を漏らしてはならないというような規定も置かれているところでございます。それからまた、専門委員、これも審議会によりましていろいろな言葉遣いがあろうかと思いますが、例えば先ほど御紹介しました臨調の場合の専門委員は、これは内閣総理大臣が任命するというようなことで、いわば立場上は委員と同じような関係にあろうかと思います。  ただ、この参与につきましては、先ほど御説明しましたように、行革審等の場合にはあるいは臨調等の場合には、会長が専門的な事項について意見を聞くために委嘱をされるというようなことでございますので、身分としては民間人というようなことでございますが、これについての秘密保持義務といいますか、こういった点につきましては、委員ではございませんので特段の規定は法令上ございませんが、制度趣旨からいって参与等の方々につきましても、法律上の義務ということではなしに、民間の方でございましてもやはり一定の道義的な義務といいますか、そういったものがあるのではなかろうかというふうに考えております。
  214. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そのような義務があるとお考えであれば、やはり政令や規則等できちんと定めるべきなんですね。ところが、各法制は余りにもこの点が不徹底であるということが言えると思います。例えば今回の行革審法案においても守秘義務は定められているわけでありますが、この委員の地位を退いた後もこの守秘義務が課せられるわけですね。これは半永久的に課せられることになるわけですね、規定上は。しかし、それでいいのかどうかということも考えなければいけないと思います。  またさらに、この在任中は任免権によってこの守秘義務は担保されるわけでありますけれども、やめた後はそのような担保が全くない、制裁規定も全くないということであります。ですから、例えばやめた後、内容を全部暴露するような本を書くような委員があらわれたとしたらどうしますか。どのように考えますか。
  215. 百崎英

    ○百崎政府委員 なかなか難しい問題ではございますが、審議会委員等の方は、それぞれの各界の分野の文字どおりの有識者という方でございますので、やはりそういった方々の御見識といいますか、そういったことで信頼申し上げるしかなかろうというふうに考えております。
  216. 山口那津男

    ○山口(那)委員 人格に信頼するというのであれば、これは制度になりません。やはり、合議体のルールというものが余りにも未発達、未熟であるということを見据えなければいかぬと思います。行革審こそまさにこういうことを審議する、検討する、それにふさわしい機関でありますから、この点も踏まえなければいけないと思うわけですね。  先ほど来話が出ております宮崎委員のことでありますが、この終了後においてさまざまな場でいろいろ発言をされております。この発言は、厳密に言えばこの守秘義務に反する点も出てくるのではないかと思うのでありますけれども、その点はどうでしょうか。
  217. 百崎英

    ○百崎政府委員 その守秘義務によって守られるべき秘密というのが具体的にどういうものかということが問題でございますけれども、これにつきましては、従来からも秘密の範囲等をめぐっていろいろな御議論がございます。ただ、これについては明確な基準といいますか、物差しが必ずしもないのではないかと考えております。具体的な事案に即しましてこれに該当するのかどうかという点については、ちょっと御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  218. 山口那津男

    ○山口(那)委員 宮崎委員の違反があるかどうか、それ自体が問題ではなくて、やはり内容について発言をする場を与えるべきではないか、むしろこう思うわけであります。ですから、何でもかんでも秘密というのではなくて、本当に秘密にすべき事項は何なのか、それを具体的な内容に即してその都度判断をする。それ以外の議事の過程であるとか、あるいは自分自身の発言した内容であるとか、そういうことはもうむしろどんどん発言していいのじゃないか、こういうふうにも思うわけであります。したがって、その守秘義務の点においても非常に緻密さを欠いている、このように思います。  また、今回の答申は多数決で決まったということでありますけれども、これは異例な事態であろうと思います。一般的に多数決で決まったものについては、その多数意見を公表するのは当然でありますけれども、反対意見あるいは補足意見、そのようなさまざまな意見も公表するということが考えられてしかるべきであります。現に、裁判の場面においては、最高裁の判例においてはそういう意見が付されることになっております。この点においても余りにも硬直しているのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  219. 百崎英

    ○百崎政府委員 先般の第二行革審最終答申をめぐりまして、いわば採決ということになったわけでございますが、その場合にも審議会でこういうような御議論があって、こういう結果になったというようなことは、先ほど申し上げておりますように、審議会が終わります都度、委員あるいは事務局の方から記者会見をして、その場で公表しているということでございます。
  220. 山口那津男

    ○山口(那)委員 三年という長い期間をかけてやるわけでありますから、その都度の経過が国民は知りたいわけでありまして、中間であるとか、あるいは終わった最終の時点であるとか、そこで公表されるというのではなくて、やはりもっと短いスパンでどんどん情報が提供される、そういう仕組みを考えなければいけない、このように思います。  その宮崎委員指摘をかりますと、政党や行政に反論できない委員がいるんだ、こういう指摘もあります。先ほど公開しない理由一つとして、自由な討論の機会を確保する、こういうお話もあったわけでありますが、宮崎委員は、自分はイエスマンじゃないから再度委員の要請を受けても引き受けないであろう、こういう発言もしているわけですね。逆に言いますと、イエスマンしかいないのかということにもなるわけであります。そういう実情だとすれば、自由な討論なんというのは存在しないのじゃないか、言いわけにすぎないのじゃないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
  221. 百崎英

    ○百崎政府委員 それも、先ほど来ちょっと申し上げておりますように、ある委員であった方が、恐らく個人的な見解だろうと思いますけれども、そういったことを述べられているようでございますが、本当にイエスマンしかいなかったのかどうかというのは、そういう点につきましてもいろいろなお立場で、いろいろなお考え方があろうかと思いますので、逐一そういった点につきまして私どもの見解を申し上げるのはいかがかと存じます。
  222. 山口那津男

    ○山口(那)委員 私が言っているのは、イエスマンがいたかどうかという事実の認定の問題ではなくて、まさに本当に自由な討論ができているのかどうか、そういう自由な討論ができているということを国民に示すためにも、公開というものがかえって自由な討論を確保する制度になるのじゃないか、このようにも思うわけであります。  今回の法案では、そうした公開については全く規定が存在しないわけでありますけれども、このようなことは本来は法律で規定すべきだろうと私は思います。しかしながら、政令あるいは規則にゆだねるということも可能ではあるわけであります。まさにこれからこの行政情報の公開というものが行政改革の大きなテーマになっていくわけであります。三年をかけて審議するわけでありますから、ぜひともこの行革審の中で、みずからがいかにこの情報を公開し、国民に議論の機会を与えるか、こういうことについて範を示すべきであろう、このように思いますけれども、その点、長官、どのようにお考えでありますか。
  223. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 先ほど申し上げましたように、意識に関する問題でございまして、大変難しい問題もございますが、やはり進歩の方向で、できる限り情報公開の方向行革審は努力してもらうように私どもも努めていきたいと思います。
  224. 山口那津男

    ○山口(那)委員 先ほど申し上げました行政運営透明性、公正の確保ということが強くうたわれているわけでありますが、これは主として総務庁のかかわりが深いのじゃないか、役割が大きいのじゃないか、このように思っております。  そこで、許認可権を思い切って整理して半減していこう、こういうこともうたわれております。この整理の対象となる許認可権、つまり今残っている許認可権といいますか、これはどれくらいあるか、おわかりでしょうか。
  225. 鈴木昭雄

    鈴木(昭)政府委員 総務庁におきましては、各省庁協力を得まして統一的な基準のもとに許認可等の件数を把握いたしておりますが、平成元年三月末時点におきまして、その総件数は一万四百四十一件ということになっております。
  226. 山口那津男

    ○山口(那)委員 非常に膨大な数でありますが、これを順次減らしていくという御予定かと思います。その中で許認可に絡むところで行政手続が関与する場面が多いかと思うのですが、特にこの行政手続の中で取り消しという典型的な行政処分があります。この取り消し処分において事前の手続、行政手続が何ら定められていないものが数多くあると思うのですが、その数字についてはおわかりになりますか。
  227. 百崎英

    ○百崎政府委員 侵害処分の典型例でございます許認可の取り消し処分についての事前手続の整備状況でございますが、取り消し処分の総数が、例えば法律で申しますと三百三十ぐらいございます。このうち、手続のあるものが二百法律、ないものが百八十法律、ただこれは法律にも若干の重複がございますのでトータルは三百三十になりませんが、あるものが二百、ないものが百八十、こんなような状況になっております。
  228. 山口那津男

    ○山口(那)委員 その手続がないもの、法律でいえば百八十、具体的な条項でいえば二百八十ぐらいあるのではないかと思います。その二百八十のうち、事前手続が置かれている他の規定と同趣旨の処分でありながら何ら事前手続の規定が定められていない数、これは幾つありますか。
  229. 百崎英

    ○百崎政府委員 手続のあるものと同じような規定であって、かつ手続を置かない理由が不明確なもの、これは条項数でございますが、約二百三十というふうになっております。
  230. 山口那津男

    ○山口(那)委員 つまり、手続を置かない理由が何ら明確でない、置くべきであるのに置いていない、こういうものが実に全体の八割という驚くべき数字であります。侵害処分の典型である取り消し処分において、このようなばらばらな取り扱いがなされているというこの原因は何だとお考えですか。
  231. 百崎英

    ○百崎政府委員 原因はいろいろあろうかと思いますけれども、基本的には我が国のいわゆる処分手続を中心とした行政手続に関する法律というのが昔から個別の法律によっていろいろ規定をされてきたということがございまして、その間でいろいろな法律自体の改正等もございましたでしょうけれども、横のそういった面に着目した統一性の確保というような点があるいは不十分ではなかったか。そういうことで、従来の沿革をそのまま引きずって今日に至っておる、そんなようなことが主な原因ではないかというふうに考えております。
  232. 山口那津男

    ○山口(那)委員 それら未整備な手続体系というものに対して最も効果的に整備をなすべき機関というのは総務庁ではないかと思いますが、その点いかがですか。
  233. 百崎英

    ○百崎政府委員 私どもも、今御指摘のような考え方に則しまして、かつまた、臨調におきましてもこの手続法の整備等についての答申がございますので、私どもといたしましてはやはり統一的な法制の整備を図る必要がある、こんなようなことを考えてこれまで研究会をつくって今いろいろ先生方に御検討いただいているわけでございます。いずれにしましても法律に関することでございますので、法制局はもとより、各省ともこれからいろいろ御相談をしながら作業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  234. 山口那津男

    ○山口(那)委員 もう一つ、手続的整備を要求されるものとして行政指導というのがあります。これについてはかなり中身は不定型で、中には規制的なものもあるわけであります。ですから、国民の権利、自由に深くかかわるものでありながら例えば救済の手続になじまない、そういう行政指導が横行しているわけであります。そのような規制的行政指導の典型と見られるような事例は何か御承知でしょうか。
  235. 百崎英

    ○百崎政府委員 ちょっと適切な例に該当するかどうかわかりませんけれども、例えば処分権限を背景にした行政指導というような例で、いわゆる原油の処理量の生産計画につきまして石油業法に基づいて通産大臣が石油生産計画あるいは輸入計画の変更を勧告できるようなことはございますけれども、実際はこの生産計画に関する行政指導等が従来はかなり強力に行われたというふうに聞いておりますし、また、例えば鉄鋼の輸出の自主規制、こういったものも一つの例ではないかというふうに考えております。
  236. 山口那津男

    ○山口(那)委員 私のかかわった事例で申し上げますと、大店法という話題の法律がありますけれども、大型の小売店舗が進出するに当たってコンサルティング会社にその整備の仕事をやらせるというような場合があるわけであります。その会社が倒産をしまして、私は破産管財人をしたということがありました。数年をかけて数十億という投資をしているわけです。その間、さまざまな行政指導がなされてきたけれども、結局、最後は実現をしなかったという結果に終わったわけであります。しかしながら、これは本来大店法は届け出制という建前になっているわけでありまして、本来この進出は自由でありながら届け出という面での調整を図っているわけでありますが、この行政指導の結果莫大な損害をこうむりながら、何ら回収の方法はない。そしてまた、企業イメージ等の問題もありますので、実際問題として法の不備を訴え出るというようなこともなかなかできないわけであります。しかし、仮にこれが進出が成功したといたしましてもやはりそのような投資はあるわけでありまして、ひいては結局消費者にそのツケが回ってくるのじゃないか、このようにも思うわけであります。私のつたない経験から大店法においてもこのあしき実態があるのではないかというふうに思うわけでありますけれども行政指導についても早急にこの手続的な整備というものが要求されるであろう、このように思います。その一環として、やはり指導の内容を文書化して他人にわかるようにするというようなことが要求されているのだろうと思います。また、事後的な救済の道も設けなければならないと思うわけであります。この行政指導の手続の整備に当たっての方針を確認しておきたいと思います。
  237. 百崎英

    ○百崎政府委員 まず行政指導に関するルールづくりといいますか、そういったことの前に、基本的に行政指導というものができるだけ文書によって行われるように、かつまた、できるだけ必要最小限のものにするようにという大前提があろうかと思います。そうした中で、どうしても行政指導というものが行政の実態から見て、臨機応変な措置を講ずる上でもやはり必要不可欠だ、そういうようなものが残ろうかと思いますけれども、そういったものにつきましては、今先生御指摘のように、基本は文書によって責任者の名前を明らかにして行う、あるいはまた、行政指導によって損害をこうむったような場合には何らかの救済の制度を考える、そのようなことを内容にした行政手続法研究会の研究結果もいただいておりますので、そういったことも踏まえながら今後引き続き検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  238. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 今行政指導のお話が山口委員から出ました。日米構造協議の問題でも、この行政指導が余りにも多過ぎるせいでもありましょうけれども、大変議題になっておることは御案内のとおりでございます。私は戦後この行政指導の問題でアメリカ軍、占領軍当局と随分かかわりを持ってきまして、この問題についていろいろ考えさせられることがございました。やはり行政指導が最も多い国は日本、そしてその根拠が不明確である。それを何と申しますか法律でもって初めて権利が制限でき、義務が賦課できるのですけれども、何と申しますかお上を尊敬するという昔からの考え方ですか、お上が言えばこれに従った方が安全である、こんなような考え方から法律をつくらなくても行政指導で一定の方向に引っ張っていく行政が盛んに行われたことも御案内のとおりでございます。だんだんそれも少なくなってまいりましたが、依然として私はこの問題はもう少し深く研究していって、やはり行政指導が法律の根拠なくして権利の制限、義務の賦課にならないことを考えていかなければならないかと思うのでございます。それは単に文章で出すということではないと私は思うわけでございます。  私は占領時代に、こんなような行政指導が広範にあるから官僚というものは全国区参議院議員によく通るものだな、こんな冗談も盛んに言われたことを思い出しますと、これは新しい憲法のもとで根本的に考え直さなければならない問題じゃないかと私は個人的に思って総務庁の中で議論しても、いつも私の方が少数説のように思われる。やはり官僚の皆さん方は行政指導というものは便利で、そしてまた迅速に国民を指導していくには必要なものだという考え方が強いのかもしれませんけれども、これを根拠づけるにはよほどの勉強が要る、私はこんなふうに考えております。
  239. 山口那津男

    ○山口(那)委員 行政指導と一口に言っても、規制的なものとそうでないもの、有用なものもあろうかと思いますが、ぜひとも少数意見ではなくして、長官のお力で多数意見になるように頑張っていただきたい、このように思います。  最後になりますが、生活者政治というようなことが最近よく言われるわけであります。総理大臣からもそのような言葉が出されるようになってまいりました。生活者必ずしも消費者とはいかないわけでありますけれども消費者にかかわる面が強いかと思います。しかし、この消費者行政というのは多くの省庁にまたがって一本化されておらない。しかし、これからの時代を考えると、消費者にかかわるもの、もっと生活者政治という概念を打ち立てて、省庁の統廃合も含めた上で考えていくべきではないか、このように思うわけでありますけれども長官のお考えをいただきたいと思います。
  240. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 ここでたびたび申し上げましたように、日本国政行政の中心は、明治以来殖産興業、こういう形で進められてきたと思います。したがって、殖産興業によって生活はその後に富んでくる、このような、儒教的なと言ったら弊害があるかもしれません、そういう哲学で政策は進められてきたと私は思うわけでございます。しかしながら、殖産興業、産業生活のためだという考え方も一つはあるわけでございまして、私は、今の日本の到達した経済水準から見ますれば、やはり生活消費者ということを行政の面において重視していくことがこれまでの行政のあり方から見て必要だ、こんなふうに思うわけでございます。  その一つ行政機構の問題として、今山口委員が言われました多元化しておりますところの消費者行政の問題をどのように統合して、そして効率的に機能的にこれを再編成して、消費者の立場に立って権限を持って行政を行っていくあり方はどのようなことか、これはひとつ今度の行革審で検討してもらわなければならないと考えております。
  241. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そういう生活者政治実現するためには、今の行政組織というのは余りにもバランスを欠いている、このように思いますので、仮称でありますけれども、例えば国民生活省なるものを目指して検討いただくというようなことをお考えいただきたいと思います。  以上で終わります。
  242. 岸田文武

    岸田委員長 続いて、池田元久君。
  243. 池田元久

    ○池田(元)委員 池田元久でございます。  社会党二巡目、八人目の質問者でございます。あともう少しですので、明確で率直な御答弁お願いいたします。  初めに、行政改革全般についてお尋ねしようと思うのですが、まず、これまでの三度にわたる行政改革審議会、九年前の第二臨調、一次、二次行革審の果たした役割についてどのように評価されるか、長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  244. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 これまでの臨調行革審におきましては、それぞれの活動期間中に国民が高く評価されるような審議が行われまして、私どもに多くの答申をいただきました。その数は約二十件でございます。そしてこれらの答申は、いずれも今後の二十一世紀経済社会を見通してそのための諸施策提言しているものと考えるものでございます。  私どもは、たびたびここで申し上げておりますように、このような行革審があって初めて硬直化する行政機構あるいは行政のあり方が再構築され、パーキンソンじゃありませんけれども単に膨張を続けるだけの行政ではない、効率的な、ある場合によっては市場原理に匹敵するだけの効果を生む行政改革になるものだ、こんなふうに考えております。
  245. 池田元久

    ○池田(元)委員 ただいまも長官申されましたが、第二臨調と一次、二次の行革審答申意見は二十件を数えているわけです。しかし最近、ここ数年になりまして、こうした答申意見は次第に迫力を欠いてきたのではないかという批判があります。この辺をどのようにお考えになりますか。
  246. 百崎英

    ○百崎政府委員 最近の答申意見が迫力を欠いているかどうかということはいろいろな見方があろうかと思いますけれども、少なくとも臨調答申につきましては、当時の財政事情非常に厳しい中で、行政全般にわたって、かつ、かなり広範囲にわたって綿密な調査等を行った上で答申が出されたものでございます。その後のいわゆる行革審答申は、そうして出されました臨調答申のいわばフォローアップといいますか、そういうような立場に立ったものが基本でございますので、ある意味では新奇性といいますか、そういった面で必ずしもそう目新しいものはなく、むしろ従来の考え方をさらに範囲を広げていく、あるいは着実に実施していく、そういったようなことに基本的にはならざるを得ない、そういう面があるいは御指摘のようなことになっているのかなという感じがいたします。
  247. 池田元久

    ○池田(元)委員 半ばお認めになったと思うのですが、行政改革の熱が冷めまして、官僚機構には「行革よさようなら」というムードがあると言われております。これについてどのように考えますか。
  248. 百崎英

    ○百崎政府委員 確かに一部にそういったような声があるということも私ども耳にいたしておりますけれども、ただ、政府といたしましては、申し上げるまでもなく、財政事情につきましても、赤字公債依存体質から脱却したとはいえなおかつ今百六十兆を超えるような国債残高を抱えておりますし、また、国鉄の長期債務等々考えますと、財政自体も非常に厳しい状況にあるわけでございます。そうした中で今後の財政の見通しを考えましても、公共投資の充実あるいは高齢化社会に向けたいろいろな財政負担、こういったことを考えますと、本当に財政状況もある意味では従来にも増して厳しいような状況にございますので、行革は飽きたとかそういったようなことを言うような状況にはなく、従来に引き続いて、しかも新しい二十一世紀を見据えた上での行政の展開を図っていく必要があるというふうに考えております。
  249. 池田元久

    ○池田(元)委員 その必要性についての御答弁はそれなりに理解できますけれども、こうして行革のムードが冷めているといったことは残念ながらかなり広範に行き渡っていると私は思うわけです。  それで、今度は長官お尋ねしたいのですが、審議会審議答申がマンネリになっているのではないかという批判もあるわけですね。そうしたマンネリの克服策について長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  250. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 今おっしゃられております点は、私どもが、これから第三次行革審をつくっていただくのに心していかなければならない点だと思います。官僚の中に行革のムードが減っているというふうに言われているとすれば、確かにそれはあり得ることかなと私は思うのですけれども、やはり国民の中に行革というものは必要だということを私どもは徹底していかなければならないと思うのでございます。国民のための行革であって、公務員のための行革ではない、こんなふうに今感じたところでございます。  そのような意味におきまして、最近の行革審答申が迫力がなくなったとは私は思いませんけれども、これはひとつ新しい時代の新しい要請をつかんで、本当に迫力のある、何といいますか国民が本当に拍手をするような行革審答申をぜひとも出していただきたいと考えるものでございます。  いつも申し上げておりますように、あの日米構造協議は、日本にとって最近では迫力のある行革のようにも見えるのですね。こんなようなことが日本の内から起こってくることが必要ではないか。そしてまた、先ほど来申し上げておりますような、これまで取り上げられなかった殖産興業から消費者重視というような観点行政改革、これらの問題は迫力を持った答申が出てくるのではないか、私はこんなふうに期待しているところでございます。
  251. 池田元久

    ○池田(元)委員 SIIと比べて、SIIのアメリカ側の要求に迫力があるというのは、その点は同感であります。それに引きかえ、我が行革審答申というのは、最近、影が薄いと言っては失礼なんですが、余り僕らの認識が深まらないわけですね。この審議会が次第にマンネリ化して影が薄くなったのは、行政改革というものが本来の行政改革というよりも、行政機構ではなく、国鉄とか電電とかいったような政府の経営する事業、その事業の民営化には取り組んだ。しかし、肝心の行政機構についての切り込みというのは余りない。中央省庁の統廃合を初め、許認可権限の整理縮小、そしてまた地方分権の拡大など、行政改革本来の課題に手をつけなかったことによるものではないかと私は思うわけであります。つまり抵抗の弱いところには手をつけても、強い抵抗が予想されます官僚の聖域には踏み込まなかったということが言えるのではないかと思います。長官の御答弁お願いします。
  252. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 国鉄初めNTTその他三公社に手をつけましたことは、弱いところから始めたというよりも、最も行政改革の必要があった、そして市場原理あるいは利潤原理によって初めてこれが新しいあり方になる、こういうことがあったから最初手をつけられたものだと思うわけでございます。行政機構について私どもが、これは弱いところだから、強いところだからというようなことで手をつけなかったことではないと思うわけでございまして、総務庁自体が総理府の一部をとってこのように総務庁になったことは、行政機構改革として行革審が取り上げた最大行革だ、私はこういうふうに見ているところでございます。  なお、今消費者の問題からどのように行政機構を再編成していくかというのはこれからの問題じゃないか、こんなふうに思っております。
  253. 池田元久

    ○池田(元)委員 総務庁の設置といった、一部の部分的な問題については私は認めます。しかし、国鉄は、別に行政改革がなくてももう危機に瀕していたわけですね。これは一々説明しなくてもわかると思うのです。  次に、話はちょっと進みまして、今度設置法が提案されております第三次行革審についてお尋ねしたいと思います。  第三次行革審は、設置法で、これまでと全く同じなんですが、「社会経済情勢変化に対応した適正かつ合理的な行政実現推進する」ということを目的としている。これだけでは何のことかさっぱりわかりませんけれども、三次行革審の使命、具体的な目的、重点は何か、そのあたりをお尋ねしたいと思います。
  254. 百崎英

    ○百崎政府委員 今回の第三次の行革審のいわば任務と申しますか目的でございますけれども、御提出しております法案の中にも書いてございますように、基本的には臨調あるいは行革審等の答申を受けて講ぜられる行革推進、フォローアップということでございます。  具体的には、これまでいろいろ行革成果を上げてまいりましたけれども、なおかつ答申事項の中で未達成のものも残されておるわけでございまして、当然のことながらそういったものの着実な実施、それからまた、臨調以来もう既に九年たっておりますけれども、これまでいろいろ問題として取り上げられながら必ずしも具体的な改革案に結びつかなかったようなそういう分野について、今日までの社会経済情勢、そういったものの変化を踏まえながら、かつ二十一世紀を見通して、そういったこれまで具体的な提言に至らなかったような問題をさらに掘り下げて、新しい目でもう一度行政のあり方等を見直していく。先ほど来御議論があります消費者重視あるいは国民生活の向上というようなことも、あるいは考え方によってその分野に入るのかもしれませんが、そういったような問題について基本的な今後のあり方についての御答申をいただく、こういうことが基本的な任務ではないかと考えているところであります。
  255. 池田元久

    ○池田(元)委員 その点、長官にもお尋ねします。これまでのフォローアップ、未達成のもの、さらにはこれまで具体的な提言に至らなかったもの、それはそういう答弁が返ってくると思うのですが、要するに、国務大臣、政治家として、せっかく第三次行革審をつくるのですから、何をやりたいのか、その点ひとつ重点的な問題をできれば提示してほしいと思います。
  256. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 まだ行革審も成立しておりませんので、しかもまた、行革審を拘束するようなことを申し上げることも適当ではないと思うわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、とにかく消費者生活者重視観点は、行政機構のみならず行政のあらゆる分野において、殖産興業の観点を変えて見直さなければならない点であろう、こんなふうに思います。そのときに、本当に豊かな生活の実感を得るにはどうしたらいいか、土地の問題あるいは内外価格差の問題、こんなような問題は当然取り上げられなければならないと思っておりますが、まだそのほかに、日米経済構造協議の中にも数多くの示唆を、私は行政改革方向として示唆しているように見えます。どれがどうかとは申しません。独占禁止法の問題一つとっても、なかなか行政のあり方として難しい問題が日本の伝統的な経済運営手法から見るとあるような気がするわけでございまして、これらの問題をひとつ新しい観点から行革審で見直していただきたい、こんなふうに考えております。
  257. 池田元久

    ○池田(元)委員 次に、いわゆる中央省庁の統廃合の問題を取り上げてみたいと思います。  二次行革審最終答申で、二十一世紀初頭までに実現を目指す行政上の重点課題一つとして、「縦割行政の弊害を除去し、省庁組織の再編・統合を進める。」というふうになっておりますが、長官の考えはいかがでしょうか。
  258. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 中根千枝さんじゃありませんけれども、縦社会は日本社会の最大の特徴であると言われております。しかもまた、その縦のよさがあり、縦の中での責任と誇りを持っておる中央官庁はまた日本独特のよさを持ったものだ、私はこんなふうに思っているのでございます。しかし、時代の動き、経済変化、社会の進歩に応じてこれをどうするか、これは新しい事態に応じてこれからも点検はする必要があろうかと思っております。
  259. 池田元久

    ○池田(元)委員 先ほど出ましたSIIでも、この前の中間報告取りまとめの最終場面で、日本省庁が、要するに利害が反してといいますか、別々の主張をしまして非常にマイナス効果だったということは、東京にいても、それからアメリカに行ってもそういう話を聞くわけです。縦割り行政の弊害というのはそういうところにもあらわれていると思います。  さて、中央省庁の統廃合と申しますと、第二臨調の基本答申で国土庁、北海道開発庁及び沖縄開発庁の統合等、総合企画機能の強化をうたっておりますが、その後どのようになったかお尋ねしたいと思います。
  260. 百崎英

    ○百崎政府委員 ただいま御指摘のいわゆる国土庁等の三庁統合の問題でございますが、これにつきましては、御承知のとおり臨調答申あるいは行革審答申等におきまして、いわば中長期的な課題として提言されているところでございます。特に、沖縄あるいは北海道という非常に地域的に特殊な、非常に難しい事情を抱えているところもございますので、そういったところを所管する、地域の特殊性、業務の特殊性、こういうものを十分勘案しながら今後の中長期的な課題として検討すべきである、こういうことが提言されているわけでございまして、私どももそういう趣旨を踏まえて今後引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
  261. 池田元久

    ○池田(元)委員 それは何にでも理屈はあります。ただ、行政機構の問題からいえば、こうした機関が三庁もあるということは納税者の目から見て非常に問題があるのではないか。確かに、官僚機構としては次官がおり大臣がおるというのは非常にメリットがあると私は思いますけれども、そういう視点ではなくて、本来の行政機構の簡素化という観点からは、中長期的というのではなく、もうちょっと早く取り組んでいただきたい、このように考えます。  長官は、先ほどもちょっとお伺いしておりましたら、中央省庁の統廃合についてアイデアをお持ちのようですが、どんな内容でしょうか。
  262. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 まだ私のアイデアはございません。
  263. 池田元久

    ○池田(元)委員 残念ながら新聞を引用せざるを得ないのですが、生活環境省ですか、そういった構想を出していらっしゃると伺いましたが、いかがでしょうか。
  264. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 そういうことが新聞に何か推測記事で出たようでございますが、私は具体的に話した覚えはありません。
  265. 池田元久

    ○池田(元)委員 私は、見出しとして塩崎長官生活環境省を打ち出したというようなことを別に期待しておるわけではありません。問題はそういった中央省庁の統廃合、増設か、スクラップ・アンド・ビルドでやるか、そういった問題点がいろいろあると思うのですよね。それは確かにいろいろなアイデア、国民生活省とかエネルギー省とか、かつて住宅省とか、永田町、霞が関では昔からいろいろなアイデアが出ているわけですね。単なるアイデアではなくて、その辺の整理をした上で出されるのであれば傾聴すべき見解ではないかなと僭越ながら思うわけです。いかがでしょうか。
  266. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 これこそ第三次行革審で検討していただきたいと思います。
  267. 池田元久

    ○池田(元)委員 一言申し上げますけれども昭和五十二年の夏、福田総理大臣がエネルギー省をつくろうとしたわけです。余り記録には残っていないのですね、公文書には。だけれども、これは大変な騒ぎでした。通産省が物すごい抵抗を示しまして、結局あえなく断念をしたわけです。そういった轍を踏まれないように心してやっていただきたいと思います。  それから、これまでの質疑を総括的にお伺いしますけれども臨調から九年間にわたる答申でも切り込めなかった行政の縦割り除去、この問題はもともと行政改革の大きな柱となるべき問題なんです。生活者政治とか、消費者保護とか、長官の言い方は、何というか僕らの時代ではなくて、殖産興業から生活者政治。殖産興業、昔は随分教科書に載っていたかもしれません。ただ、それから決別するというのであるから私は構わないと思うのですが、そういった産業優先、経済優先から生活優先という考え方は了としますけれども、それとは別に、行政改革の柱はやはり何といったって縦割り行政の除去がどうしても欠かせないわけなんですね。この問題に取り組む長官決意のほどをお尋ねしたいと思います。
  268. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 縦割りはまた日本経済社会の特徴であると先ほど申しましたが、それなりの大きな特徴、利点も持っております。弊害だけでは私はないと思います。このあたりも総合的に検討すべきことだと思っております。
  269. 池田元久

    ○池田(元)委員 大蔵官僚の御出身ですから留保条件をつけられるのはよくわかるのですが、そういうことを言っていると行政改革は進まないと思います。土光臨調方向については僕ら必ずしも納得しているわけではないのですけれども、やはり勇断をもって、蛮勇を振るってやったからこそ国鉄のああいった民営化なりが、方向は別ですよ、できたわけでしょう。ところが、縦割りのよさがあるなんと言っているようではなかなかこの官僚機構に踏み込むことはできないと私は思います。  さて、時間がありませんのでちょっと防衛問題との絡みについてお尋ねしたいのですが、まず、これは防衛庁の方にお聞きをする前に一般的な行革と防衛問題についてお尋ねしたいと思います。  これまでの第二臨調、一時、二次の行革審は、必要があると認めるときは行政機関などの代表者に対して、資料の提出意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができた。これは当然でしょうけれども、防衛庁に対しても資料の提出意見の聴取をしたことがございますか。
  270. 百崎英

    ○百崎政府委員 御承知のとおり、臨調におきましても、防衛等の分野につきましても、聖域のない行政改革を進める、こういうような基本方針で、防衛庁あるいは防衛施設庁のいろいろな問題についても提言をされているところでございます。当然のことながら、そういった提言を出される前には関係省庁等を呼び、あるいは資料を求められ、いろいろ御検討になったことと思います。  最近におきましては、いわゆる新行革審、これが臨調答申等のフォローアップをいたしましたが、その一環といたしまして、六十三年三月、これは防衛庁から、いわゆる臨調答申等の実施状況についてのヒアリングを行っております。そういう意味で防衛庁、防衛施設庁につきましても、必要があればいろいろな調査を行っているということでございます。
  271. 池田元久

    ○池田(元)委員 聴取は少ないながらあったということはわかります。その結果、何か成果がありましたか。
  272. 百崎英

    ○百崎政府委員 例えば、これまで臨調行革審等の答申に基づきまして、一つ財政事情等を勘案し、ほかの諸施策との調整を図りつつ防衛力を整備する。三自衛隊の統合運用体制の向上あるいは装備品の使用、調達の効率化、内部部局の再編合理化あるいは出先の整理合理化、補助金等の整理合理化等々といったような問題につきまして防衛庁につきましても提言があったわけでございまして、具体的には、これに基づきまして防衛庁におきましても着実にその答申に従った実施を行っているというふうに私どもは見ております。
  273. 池田元久

    ○池田(元)委員 今お話しのとおり、抽象的な提言を出してやっているだろう、その程度であります。  防衛について、基本答申ではこう言っているわけですね。最初の行政改革に関する第三次答申、いわゆる第二臨調の基本答申ですけれども、「民主主義国家である我が国においては、自衛隊に対する政治優先が確保されなければならない。また、軍事技術及び部隊運用は、今後より専門化、高度化していく。このような状況に対応し、一層的確な文民統制を行うため、組織、運用の在り方を見直す必要がある。」こういうところをいろいろ言ってよろしい、要するに聖域ではないということを言っているはずなんです。それからその後の六十年の意見、それから六十一年の基本方向、六十二年の基本方策、いずれも防衛については「聖域を設けることなく、」こうわざわざ書いておりますが、これはどのような意味を持つのか、局長お尋ねしたいと思います。
  274. 百崎英

    ○百崎政府委員 防衛庁あるいは防衛問題であるから行政改革とは全く無関係だというようなことで当初から検討の対象から外すということではございませんで、やはり政府全体としての行革を進める中で、防衛等の分野につきましても効率的な行政推進、こういうような観点からいろいろな問題を取り上げて改善を図っていく、こんなような趣旨ではないかというふうに考えております。
  275. 池田元久

    ○池田(元)委員 今の答弁には誤りがあるのじゃないかと思うのですが、いろいろな問題を取り上げてと言われた。具体的な問題を取り上げたことがございますか。
  276. 百崎英

    ○百崎政府委員 例えば、先ほど例示に挙げましたけれども、出先機関整理等につきましても、たしかあれは大阪と名古屋の防衛施設局を統合するというようなことも行っておりますし、いわゆる技術研究本部、こういったところの組織の再編、こんなようなことも行っているわけでございます。そのほか例を挙げればいろいろございますけれども、そんなようなことがございます。
  277. 池田元久

    ○池田(元)委員 防衛庁周辺のそういった問題についてそのようになったということですが、肝心の整備する防衛力の問題、言ってみれば兵器の整備などについて、特にそういった提言ないし行革の対象として取り上げたということは残念ながら聞いていないわけです。  基本答申では「防衛力の整備及び運用の両面にわたり、これまでにも増して効率化及び合理化を図らなければならない。」非常に立派なことがうたってあるのですが、きょうは、この行革の視点から自衛隊の防衛力整備のあり方、兵器の整備について少し論議してみたいと思います。  最近の一部報道によりますと、次期防、次期防衛力整備計画につきまして骨格がまとまったというような報道がなされていますが、これについてお尋ねしたいと思います。
  278. 萩次郎

    ○萩説明員 御指摘のとおり、現在行っております中期防衛力整備計画は、平成二年度末をもって終了いたします。したがって、来年度、平成三年度からは別な新しい計画が必要になるであろうということで、現在検討を進めている段階であります。安保会議で決定を見ることになっておりますが、現在、防衛庁においてそのもとになるいろいろな事項にわたって種々検討しております。まだその骨格がまとまったとか、何か輪郭ができ上がったとかそういう段階ではございません。
  279. 池田元久

    ○池田(元)委員 多分そういう答えが返ってくるのではないかと思ったのですが、総額は二十三兆円台で、年伸び率が三・五から四%ということが報道では言われていました。今、かつてない緊張緩和が進行しているわけです。アジアにも韓ソ首脳会談のようにデタントが及びつつある。とりわけ防衛費につきましては、ソビエトは九〇年度の予算でマイナス八%、アメリカでは九一会計年度で二・六%防衛費を削減しているわけです。日本だけが御存じのように六%以上の防衛費の伸びで突出しているわけですけれども、この辺は非常に問題があると思うのです。さらに次期防でもこういった前年を上回る伸び率を続けるのかどうか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  280. 萩次郎

    ○萩説明員 次期防につきましては、いつの防衛力整備計画をつくるときもそうでありますけれども、ニュースメディアなどが大変早々といろいろな観測を打ち出されております。防衛庁として何か金額を固めたとかいうことはございません。例えば平成二年度の防衛予算というのは四兆二千億でございますので、これを単純に五倍すれば二十一兆になる、それにGNPの伸び率を計算するとどれぐらいになるだろうかということで、ここ一、二年、多い金額では二十五兆だとか、少ない金額では二十三兆とか、いろいろな報道などがあることは承知しておりますが、政府としてどれぐらいの金額と決めたというようなことは全くございません。  それから、ソ連、アメリカ等の防衛費の問題がございます。ソ連の防衛費につきましては実はよくわからない点が大変ありまして、しばらく前までは二千億ルーブルぐらいという話がありまして、随分少ないなと言っておりましたら、最近、いや七千億ルーブルだという話がありまして、突如三倍以上になってびっくりしましたら、今度は七千億ルーブルを若干下げるんだという話があるのですが、国際的な評価では七千億ルーブルでもソ連の場合はどうもまだ足りないのではないかという評価があります。いずれにしましても、ソ連の場合は、軍事費というのはよくわかりませんことと、しかし、さはさりながら、ソ連の経済状況から見て、ソ連が最大の支出である軍事費を削って疲弊をしている経済力の回復に努めたいという方向にあることは間違いないことだろうと思います。  それから、アメリカにつきましては、年間三千億ドル、大体四十数兆円の国防費を歳出しておるわけですが、双子の赤字と言われておりますように、アメリカですら大変経済的な困難に陥っているということから、これを少しでも減らしたいということで、アメリカとしても国防費の削減の方向に向かっているということも事実であろうと思います。  なお、それに対して我が日本防衛庁はどう考えるかということでございます。私どもといたしましては現在四兆二千億ぐらいの予算をいただいておるわけですが、御存じのとおり、このうちの四割ぐらいが人件費、三割がまた維持経費ということでありまして、正面装備に回す経費は全体の二◯%足らずという状況でございます。私どもとしては、こういう状況で米ソと比較するような状況ではないのではないか。したがって、米ソが削減の方向にあるからといって直ちに防衛費の削減に向かうのかどうか、これはまだ検討を要する問題であろうかと思いますが、いずれにいたしましても、次期防の問題につきましてはまだ中身をどうするかということを鋭意議論しております段階でございまして、経費をどうするかというような結論までは至っていない状況でございます。
  281. 池田元久

    ○池田(元)委員 「いずれにいたしましても」の後の答弁だけで結構でございます。  ソ連の軍事予算が過大だったというようなことをおっしゃいましたけれども、つい最近、この衆議院内閣委員会で、極東ソ連軍の海軍力についてこれは過大ではないかという趣旨質問をいたしました。そのときは認めなかったのですが、数日たちまして新聞を見たら、そっくり認めて海軍力の数字を減らしている、こういうこともございますので、防衛庁、その点はまた防衛問題担当のときにゆっくりとやらせていただきます。  さて、いろいろ聞こうと思ったのですが、時間がありませんので、空中警戒管制機の導入、AWACSの導入についての計画があると聞いていますが、その点はどうでしょうか、簡単に答えてください。
  282. 岸田文武

    岸田委員長 萩防衛課長。簡潔にお願いします。
  283. 萩次郎

    ○萩説明員 アメリカの議会が予算の附帯決議で、日本は、AWACS、それから空中給油機、イージスシステムなどを完成品でアメリカから買うべきであるという決議を昨年いたしました、これがそもそもの発端でございます。このAWACS、いわゆる空中早期警戒管制機でございますが、この問題についてアメリカの方から火の手が上がったわけです。現在検討していることは事実でございますけれども、これを次期防で入れるかどうか結論を出している段階ではございません。
  284. 池田元久

    ○池田(元)委員 御存じのように、空中給油機は戦闘機の行動範囲を拡大するわけです。それからAWACS、空中警戒管制機は、これまでの早期警戒機と違いまして、要するに指揮や統制、通信の機能をもって空中で要撃戦闘機をコントロールできるという高度な機能を持つわけです。こういった兵器につきまして、緊張緩和、各国が軍備を減らそうとしているときに果たして必要かどうか。そしてまた、今値段も聞かなかったのですが、非常に高価なものです。これは非常に問題があろうかと思います。  AWACSで余り時間をとっているわけにまいりませんので、もう一つ、防衛庁が来年から採用を予定しております新戦車についてお尋ねをしたいと思います。  この次期主力戦車の導入の目的と性能についてまずお尋ねしたいと思います。簡単にお願いします。
  285. 萩次郎

    ○萩説明員 新戦車は、ことしの平成二年度から導入することとしているものでございます。現在、陸上自衛隊は六一式戦車と七四式戦車という二つを持っておりまして、合わせて大体千二百両という定数がございます。六一式戦車というのは一九六一年にできたものなんですが、これがもう大変古くなりましてダウンを始めるということで、それを代替更新するということで今回新戦車が導入されることとなったものであります。  その特徴、性能を申しますと、何といいましても、最大の性能というのは百二十ミリという砲を搭載することであります。この百二十ミリと申しますのは、国際的に見て一番大規模な砲ということで、もちろん百二十五とか百三十という砲がございますが、国際的に見て一番大きな砲塔であろうというのが一つであります。  それからもう一つは、自動装てん装置というものを搭載しまして、今まで四人乗りでありましたものを省人化いたしまして三人乗りにしたというのが一つ。  それからもう一つは、ディーゼルエンジンの強力なものを載せまして機動力を向上させ、今まで六一式の戦車というのは四十五キロぐらいしかスピードが出なかったのですが、今回のは時速七十キロまで出るというもの。  それから最後に、特殊装甲を装備しておりまして、従前の戦車よりも装甲能力が大変高くなっているというのが主な能力でございます。
  286. 池田元久

    ○池田(元)委員 肝心なところは出てきませんでしたね。性能諸元で、重量と容積についてこれまでの七四式戦車と比べてどのぐらい大きいか、簡単に答弁お願いします。
  287. 萩次郎

    ○萩説明員 重量は、従来の七四式戦車が三十八トンでございます。新戦車は約五十トンでございます。それからスピードが、七四式戦車が時速五十五キロぐらいでございます。これが時速七十キロに上がっているということでございます。  全長が、七四式戦車が九・四メートルに対して九・七メートル、それから全幅が三・二メートルに対して三・四メートル、それから全高はほとんど変わりありませんが、七四式戦車が二・二五メートルに対して二・三メートルでございます。
  288. 池田元久

    ○池田(元)委員 今明らかなように、七四式戦車に比べても大分大きいと思うのですが、これは輸送するときはどうするわけですか。
  289. 萩次郎

    ○萩説明員 私どもの考え方では、新戦車というのは大体もう北海道オンリーと考えておりますので、北海道の中で輸送するときにはトレーラーということを考えておりますが、一部本州で使います場合には列車で移動を考えております。その場合は車体と砲塔を分離をして輸送することを考えております。
  290. 池田元久

    ○池田(元)委員 道内でトレーラーで運ぶとおっしゃいましたけれども、そんなトレーラーがありますか。
  291. 萩次郎

    ○萩説明員 戦車をつくります場合には必ず戦車回収車と戦車を動かすトレーラーというのをペアでつくりますので、ございます。
  292. 池田元久

    ○池田(元)委員 にわかに信ずるわけにはいかないのですが、とにかく北海道へ持っていく場合でも車体を二つに分けて運ぶ。戦車の機能上、私たちの立場は別に機能が向上すればいいという単純なものではありませんけれども、これは非常に問題があるのじゃないか。そんなものが果たして必要かどうか、これは多くの軍事評論家が言っています。そしてまた、陸上自衛隊の内部でも当初から批判があるということは事実でしょう。五十トンの戦車をこの日本の国土で走らせるという発想、その辺のところがよく理解できません。  それから重量ですけれども、これは橋を渡るときはどうするのですか。
  293. 萩次郎

    ○萩説明員 もちろん橋があれば渡るわけですが、五十トンの重量制限で渡れない場合には、水の中も潜れますので、川を渡ることになろうかと思います。
  294. 池田元久

    ○池田(元)委員 よく私の質問趣旨がおわかりになった上でああいうことをおっしゃっていると思うのですが、とにかく大き過ぎて二つに分けて運ぶ、それから多くの橋は渡れないという代物なんです。こういうものが果たして兵器の名に値するでしょうか。確かにデモンストレーションではいいと思うのですよ。これはもう防衛庁の方でよく自覚されている問題だと思うのです。  次に、値段、価格についてどうか、お尋ねしたいと思います。
  295. 萩次郎

    ○萩説明員 平成二年度、新戦車三十両当たりの平均単価はおよそ十一億円でございます。
  296. 池田元久

    ○池田(元)委員 調達台数をお尋ねしたいと思います。
  297. 萩次郎

    ○萩説明員 三十両でございます。
  298. 池田元久

    ○池田(元)委員 要するに価格が高過ぎて調達台数が減るということが言われているわけですね。そうすると、専門家は、純軍事力的に見た意見としては戦力的に意味が非常に薄くなるのではないか、こういうことを強く指摘しているわけであります。私は、この新型戦車の問題は、行革といいますか、タックスペイヤーの立場からいっても、こういう代物はどうかなという感じを抱くわけです。  時間がありませんので、防衛庁にさらにトレーラーの問題についてもうちょっといろいろ聞きたいのですけれども、その点は次回に譲りまして、行政改革の担当大臣であります塩崎長官、先ほどから防衛も聖域ではないとおっしゃっているので、こうした新型戦車の問題にどのような感想をお持ちでしょうか。
  299. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私は防衛問題の専門家ではありませんので、どの程度の防衛力が必要であるか研究したことは余りありません。お答えをする資格はないと思っております。
  300. 池田元久

    ○池田(元)委員 行政改革を真剣に考えれば、過去の答申意見でも、防衛問題については聖域ではない、こういうことを言っているわけです。そういった立場といいますか、これからいったら、長官として当然見解をお持ちのはずなんで、その点を再度お尋ねしたいと思います。
  301. 百崎英

    ○百崎政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、行政改革を進めるに当たりましては、防衛の分野につきましても聖域視することなく、各般にわたる行政の効率化等々の観点からいろいろ改善すべき点があればこれを改善していくというのが基本的な考え方でございますので、これまでの臨調以降の答申等につきまして、その実施状況を踏まえながら今後とも私どももその改革推進状況等について見守ってまいりたいというふうに考えております。
  302. 池田元久

    ○池田(元)委員 抽象的な論議ではなくて、国会審議ですから、具体的にこの問題はどうかということでないと前へ進まないと思うわけです。  この新型戦車は、先ほどからの論議のとおり、大き過ぎるので二つに分けて運ぶ、それから重過ぎるのでほとんどの橋を渡れない。これはもう専門家が指摘しているわけです。その点、行革担当の大臣として、こういったものに十一億円ですか、しかも三十台ですか、もっとこれからふやす計画があるかもしれませんけれども、そういう意味があるのかどうか。その点について、大変申しわけないですけれどももう一度答弁お願いいたします。
  303. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 行革と安全保障との関係をはかりに置いて研究しなければなりません。まだまだ私十分研究しておりませんので、確たる御返事を申し上げる段階には至っておりません。
  304. 池田元久

    ○池田(元)委員 聖域を設けることなくということをこれまで言っておりますが、今度の行革審も、もしできれば当然その延長線上ということになると思いますので、ぜひよく勉強されて次回には明快な答弁をいただきたいと思いまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  305. 岸田文武

    岸田委員長 続いて、玉城栄一君にお願いします。
  306. 玉城栄一

    ○玉城委員 臨時行政改革推進審議会設置法案、私も御質問をさせていただきたいと思います。  いわゆる第三次行革審の設置法でありますが、我が党の山口委員から先ほどるる御質問がありましたので、重複を避けまして、私は、ちょっと先ほども出ておりましたけれども、三庁統合という問題を伺います。  第二次行革審最終答申案ではこの三庁統合という言葉が消えておるといいますか、出ていないわけです。臨調それから第一次には明確に三庁、いわゆる沖縄開発庁、国土庁、北海道開発庁、そういう文言があったわけでありますが、第二次行革審最終答申案では、その三庁統合という文言がなくなりまして、「中央省庁の再編・統合」というように、トーンダウンしたのかなと、私たち沖縄の立場から見ますと、非常に望ましいという感じを受けておるわけです。  先ほど局長さんの御答弁の中でも、これは中長期的な課題としての提言であるので、その趣旨を踏まえて検討していきたいというような意味の御答弁があったように聞いたわけでありますけれども、この第二次行革審最終答申案では、臨調からずっとあった三庁統合という文言がなくて、このように「中央省庁の再編・統合」という形に変わったことについて、御見解を承りたいと思います。
  307. 百崎英

    ○百崎政府委員 いわゆる国土三庁統合の問題でございますけれども、先般の行革審最終答申は、いわば二十一世紀に向けた基本的な今後の行政方向を示そうという趣旨で出されたものでございますので、内容的には、例えばどこの省のどういう部局を整理する等々の具体的な措置は盛り込まずに、今後の大きな基本的な柱、方向づけをした、こういうものでございます。  したがいまして、中央省庁の機構改革の問題につきましても、「中央省庁の再編・統合」というようなことをうたっておりますが、当然のことながら国土三庁の統合の問題につきましてもこの中に含まれているわけでございまして、そういう最終答申の性格からこういうことに相なっているわけでございます。したがいまして、決して御指摘のようなトーンダウンをしたというようなことではございません。
  308. 玉城栄一

    ○玉城委員 確かに中央省庁の中に三庁も含まれることは私も十分知っておりますけれども、三庁という具体的な表現があったにもかかわらず、いわゆる今回の最終答申案ではあえてその表現が消えているわけでありますから、決してそこにアクセントを置いたのではなくて、むしろアクセントは弱まってきたのではないかという感じを受けておるわけです。  したがいまして、これは長官に、沖縄開発庁の存続の意義、目的、趣旨、いろいろあります。行政改革という立場から政府組織体制をスリムにするとか小さくする、これはもう大賛成です。不必要なもの、あるいは不必要ということは全く言えないと思いますけれども、必要性の度合いによってはやはり統合整理は必要だと思うのですが、その必要度をやはりきちっと踏まえた上でこれをやっていくというのが大臣の立場だと思うのです。  沖縄開発庁というのは、昭和四十七年五月に沖縄県が本土復帰しまして、その間二十七年余、米軍の支配下から、第一次沖縄振興開発計画、第二次沖縄振興開発、そしてあとこれから第三次沖縄振興開発をやろう、県民所得も四十七都道府県でまだ最下位である、さまざまな軍事基地、米軍基地においてもそれだけの過重な負担を強いられている、これからさまざまな問題を沖縄開発庁に存続してもらってこれから展開してもらわなくちゃならぬという段階でありますだけに、長官、これは第三次行革審の設置をしようという法案でありますから、この沖縄開発庁の存続の認識について長官の御意見を承っておきたいと思います。
  309. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 国土、沖縄、北海道開発庁の統合につきましては、ただいま私ども局長答弁したとおりでございます。  おっしゃるように、委員が御指摘のように、設立の目的、これは十分に考えて、そして一方、行革の必要性と申しますか、大きくない政府、その観点から私どもは見直さなければならぬと思っているところでございます。特に、その際において沖縄の特殊性の問題を強調されましたが、これらもあわせてひとつ総合的に検討すべき問題だと思っております。
  310. 玉城栄一

    ○玉城委員 第一次臨調、第二次臨調の段階からそうですが、沖縄の特殊性の事情は常に生きているという政府側の答弁でありますので、今長官のおっしゃられたようにその点十分踏まえまして、中長期ですから、あと十年で二十一世紀という段階でこの十年というのが中期になるのか長期になるのか、それで第三次沖縄振興開発計画、これは十年単位で計画してやっているわけで、これを開始しようという段階ですから、その点を踏まえてぜひ検討していただきたいと思います。  それで、私はこの機会に土地の問題でお伺いします。  土地の問題というのは行革審でも常にさまざまな角度から答申もされておるわけでありまして、今も大問題になっておりますが、土地の高騰の問題に関連しまして、私は、沖縄県で起きた最近の問題で看過し得ない問題がありますので、この機会にお伺いをしておきたいと思います。  先月の五月の三十日、沖縄県が、沖縄県の石垣島の土地取引に対して国土法違反の疑いがあるということでしょうかね、告発をしておりますけれども、国土庁は国土利用計画法の所管官庁でありますから、それについての見解をお伺いをしておきたいと思います。
  311. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 お答えいたします。  御指摘の新石垣空港予定地とされております沖縄県石垣市白保カラ岳の土地、これは全体的に面積百二十八ヘクタールございますが、それにつきまして二件の無届け取引が行われたという報告を本年四月に沖縄県より受けておるところでございます。国土庁といたしましては、従来より国土利用計画法に違反した場合には厳正に対処するよう各地方公共団体を指導しているところでございまして、沖縄県においても、これを受け、去る五月三十日に本件無届け取引について沖縄県警に対し告発を行ったところでございます。
  312. 玉城栄一

    ○玉城委員 警察の方、いらしておりますね。今の件で五月三十日に告発を受けて、今月の八日、極めて早いピッチで今度はまた強制捜索をされたということが報じられておりますけれども、その事実関係等について御説明、御報告をいただきたいと思います。
  313. 篠原弘志

    ○篠原説明員 お答えいたします。  お尋ねの件につきましては、石垣市内の白保地区百二十八ヘクタールの土地につきまして、平成元年に国内リゾート開発とセンターアートギャラリー間、同じく平成元年におきましてセンターアートギャラリーと光建設間におきまして、国土利用計画法第二十三条第一項に定めます県知事に対する届け出を行わずに売買契約をしたという容疑でございまして、沖縄県警察において内偵中でありましたところ、五月三十日に県の知事部局からの告発を受理の上、六月八日に先ほどお話しいたしました三社ほか関連箇所の捜索を行って、現在資料分析等の所要の捜査を推進をしておるという状況でございます。
  314. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題は、御答弁にもありますとおり、新しい石垣空港建設予定地にかかわる土地がそのような形で取引をされたということで警察の方の取り調べが入ったということなんですが、沖縄県では、この新石垣空港問題といいますのは、ずっともう長い間議論がされてきた問題です。昭和五十五年か、たしか大蔵省も予算をつけましてもう十年余り、一向に今もってこれがめどもつかないという状況で、土壇場に来てまたこういうふうになっているということなんです。ちょっと警察の方に伺いたいのですが、これの見通し、まあ見通しを皆さんにお聞きするのはちょっとあれなんですけれども、今後の空港建設とも非常に密接に関係する問題であります。したがいまして、この見通しについてちょっとお述べいただきたいのです。
  315. 篠原弘志

    ○篠原説明員 お答えいたします。  現在、捜索して直後の状況で、私ども正直言いましてまだ捜査の見通しという点につきまして申し上げる状況にはございませんけれども、当該土地が空港問題等におきまして重要なかかわりを持っておる土地であるということを認識をしております。したがいまして、十分かつ迅速な捜査を遂げてやりたいというふうに考えております。
  316. 玉城栄一

    ○玉城委員 国土庁の方に伺いたいのですが、こういう問題を五月三十日に沖縄県が告発をした。国土庁はこういう容疑あるいはこういう事実があるということはいつごろから大体わかっておられたのか。また、これはどういう手段でそういうことを国土庁はおわかりになったのか。そして、わかってどういう対応を国土庁として国土利用計画法に基づいてされてきたのか。その点をお伺いしたいと思います。
  317. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 お答えいたします。  一定以上の土地取引を行おうとする者は、国土利用計画法に基づき、あらかじめ都道府県知事に対し、予定対価、利用目的等を届けなければならないということになっておりまして、このような届け出を行わないで契約をした場合には無届けとなります。これに対しまして、このようなことが行われることがないよう罰則により担保されているところでございます。  国土庁といたしましては、常時登記簿等との照合を行うことによりまして届け出の有無をチェックするとともに、国土利用計画法違反があった場合には厳正に対処するよう各都道府県等を指導してきたところでございます。  沖縄におきましては、元年の十二月二十二日に新聞等の報道によりまして沖縄県でこのような事実関係があったということを私ども知りまして、至急確認するように指示をいたしました。それが今年の四月二十七日に沖縄県から正式な報告として、無届け取引があったという確認事実、その報告があったのでございます。
  318. 玉城栄一

    ○玉城委員 そのわかったというのは、登記簿をいろいろ照合した結果、そういうことがわかったということなんですか。
  319. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 そのとおりでございます。
  320. 玉城栄一

    ○玉城委員 こういう国土利用計画法に基づく土地取引を当該都道府県に当該市町村を通して届け出るケースというのは、年間およそ何件くらいありますか。
  321. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 オーダーで申し上げますと、年間十六万件くらいございます。
  322. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、その十六万件もあるものを国土庁さんが登記簿とどんどん照合していく、これは物理的に可能性として私は非常に厳しいのじゃないかと思うのです、だれが考えても。だから、登記簿との照合だけによってこういうものがわかったということは、ちょっとどうなんですか、それでいいのですか。
  323. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 登記簿等の照合は国土庁みずから行うわけではございませんで、この届け出事務は都道府県知事等、これは政令指定都市の場合はその市長さんでございますが、その機関委任事務となっておりまして、そういった形で各県において行われているということでございます。そうなりますと、一県当たり数千件、こういうことになるわけでございます。
  324. 玉城栄一

    ○玉城委員 このケースの場合は、国土法違反ということは届け出ていなければならぬというケースで、届け出がないから違反ということになるわけですね。そうすると、登記簿は沖縄県、県というかこれは法務省関係からの通知があってわかって、そして沖縄県早く調べろ、それが十二月の二十七日ですか。そして四月二十七日に回答が来て、五月三十日に告発、こういうふうになったという経過ですか、確認しておきます。
  325. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 おおむねそのとおりかと思います。
  326. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、これは非常に問題だなと思いますのは、明らかにこういう違法行為をやる業者というのをこれはもう徹底的に取り締まるべきです。それがまた値段もどんどんつり上げる、こんなことはけしからぬ話だと思うのです。  そこで、この国土利用計画法に基づいて監視区域を指定するという条文があります。今回、新石垣空港建設予定地域はいつの時点で監視区域に指定されたのですか。そして監視区域、これはどういう基準で指定をされるのか、そして指定されたら国土庁なり当該県、市町村はどういう機能を果たすのか、その辺ちょっと御説明いただきたいのです。
  327. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 お答えいたします。  沖縄県の石垣島におきましては、ことしの四月十四日に監視区域に指定されております。監視区域の内容を申し上げますと、今までは五千平米以上のもの、これが一般届け出という形で届け出義務があったわけでございますが、この措置によりまして二千平米以上のものは届け出の対象と相なるわけでございます。
  328. 玉城栄一

    ○玉城委員 この四月十四日に監視区域として指定した、それで五月三十日に告発をした。私が申し上げたいのは、なぜこういう事件が起きないようにもっと前からこういう監視区域に指定しておかなかったかということなのです。私が最初申し上げたのも、この問題は十年来議論されているわけですから、何で四月十四日よりもっと前に指定してこういう事件が起こらないように万全の体制をとって、新空港がどういう形にしてもきちっと建設されるようにしなかったのか。それを今こういう問題が起きる四月十四日に指定をしたというのが遅きに失するし、これはある意味では怠慢ではなかったのか、このように思うのですが、いかがですか。
  329. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 監視区域の指定がややおくれたという御批判に対しましては国土庁としても甘受しなければならない、そういった部分があるかと思います。しかしながら、石垣島の地価の動向を見ますと、ここ一、二年の間にかなりの地価の上昇が見られたということでございまして、それより以前はかなり地価が安定していた、こういう実態にあったわけでございます。それは空港の開設で土地に対する効用が高まりましてそしてこういった地価が出てきたということでございまして、こういった地価の動向にあわせてこのような監視区域が指定されたものと考えております。
  330. 玉城栄一

    ○玉城委員 この国土利用計画法に基づく監視区域の指定というものはそれなりの大きな重要な意味を持つわけです。今さっきおっしゃいましたように、今まで五千平米以上のものは届け出なくてはならないが、監視区域に指定されるとその半分以下の二千平米までぐっと下げて届け出る。指定された区域については、県なりあるいは国土庁も監視をしていくための指定ですから、そのように厳重に規制される。それで沖縄県の場合六十三年ですから一昨年ですね、あちこち指定されているのです。この監視区域というのに指定されているのです。いろいろな規制もされて、また監視もしているわけです。しかも監視区域といいますと、公共施設の整備を予定されている地域等は、そういう監視区域を指定して土地の取引の不当なあり方がないようにされるのは当然なんですけれども、何でこれは四月十四日――さっきはちょっとおくれたのは申しわけないみたいなお話があったのですけれども、これは申しわけないで済まないわけです。これはあなた、今から警察の方が取り調べをして、また検察庁に行って、いろいろ捜査があるわけですけれども、そうすると、これは予算をつけていいのかどうかといういろいろな問題に波及してくるわけです。なぜそれができなかったのか、それは沖縄県側に問題があったのか、その辺いかがですか。
  331. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 お答えいたします。  空港等大プロがあるようなところにつきましては、できるだけ早期に監視区域を指定するというような指導は以前から行っておりまして、沖縄県もその例外ではなかった、こう思っております。にもかかわらず、こういった監視区域の指定がおくれたということはやはり御批判のとおりでございまして、私どもも心から大いに反省しなければいけないと考えております。空港だけでなくて全国でいろいろなプロジェクトがあります。それで昨日国土庁から示しました監視区域のガイドラインというものを出しておりますが、そういった大プロ、そういったような地域につきましては必ず監視区域を指定するように、そういうようなことでこういった問題の反省の念も込めまして今後遺憾なきを期してまいりたいと考えております。
  332. 玉城栄一

    ○玉城委員 ちょっと国土庁さん、その告発する判断の根拠はどういう根拠で告発されたのですか。
  333. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 お答えいたします。  公務員は、「その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、」刑事訴訟法第二百三十九条第二項によりまして、原則として「告発をしなければならない。」とされておるわけでございます。  本件無届け取引につきましても土地の面積が百二十八ヘクタール、それから室数にして百二十七室ということで、極めて大きいわけでございまして、他に与える影響も極めて大きいということ、それから当事者に宥恕すべきような事情が認められないということ、それから沖縄県による事情聴取等に対する真摯な対応が見られなかったというようなことを勘案いたしまして告発すべきものと認めたため、去る五月三十日、沖縄県より沖縄県警本部に対して関係者の告発がなされたところでございます。
  334. 玉城栄一

    ○玉城委員 これはあくまでもうわさなんですけれども、新聞とかそういういろいろなうわさでは、県がその告発をするまでの期間、大分期間を要した。その前に国土庁が早く何とか厳正対処しろと県を指導した、県はやっと五月三十日にやった。その間、いろいろなうわさがあるわけです。しかも、この監視区域の指定については先ほどおっしゃったように前々から指導はしていたけれども、それも沖縄県ではなされていなかった。例えば六十三年、那覇、あるいは恩納村、例のリゾート地域一帯ですが、そこも監視区域に指定されて、そういう国土法の厳重な体制で土地取引というものが行われるようにしてあるのですが、この石垣についてはそれもされていない。これは国土庁は県に対しての指導はそれでよかったのですか。結果として空港の建設にまたいろいろな大きな影響が出てくるということになった場合に、国土庁はどういうふうに感じられますか。
  335. 大日向寛畝

    ○大日向説明員 御指摘のとおり、監視区域の沖縄県の指定がおくれたということは強く私ども反省しているところでございます。今後私どもはこういうことが絶対起きてはいけないということでございまして、全国に対しまして監視区域運用のガイドライン、それを昨日発表したところでございまして、このようなガイドラインに沿いまして、監視区域の指定が後手後手に回らないようにさらに厳しく都道府県を指導してまいる所存でございます。
  336. 玉城栄一

    ○玉城委員 それはひとつ所管官庁、国土庁にしっかりしてもらわないと、今全国的に土地の高騰という問題が大変な社会問題あるいはまた政治問題にもなっておるさなか、しかも空港建設予定地がそのように短期間に転がされて、値段が五十億から七十億になってみたり、そういうものがこの法律によって、やり方によっては未然に防ぎ得たと私は思うのですね。今のように、県も国土庁もそういう状態で、今度空港でも建設できないという状態になりますとこれは大問題ですよ。地域住民はこの空港が建設されることを大変に望んでいるわけです。現空港というのは滑走路が短いのですよ。これは安全性に問題があるから早く新しい空港をつくってくれというのがあの地域住民の大変な要望です。いろいろな農産物の本土への出荷体制も物すごい障害が今起きているわけです。こういうことでこれがとんざするようなことがあったら大変だと思うのです。  そこで、私は総務庁の方にちょっとお伺いしたいのです。総務庁も土地に関しての行政監察をいろいろ考えていらっしゃるわけでありますが、沖縄にも地方行政監察事務所というのがあるわけですが、こういう沖縄の土地の取引、そういうものについて行政監察される予定はありますかどうか、お伺いいたします。
  337. 鈴木昭雄

    鈴木(昭)政府委員 地価の上昇等、土地問題が現下の重要問題であるという認識を私ども持っております。したがいまして、昭和六十三年六月のいわゆる総合土地対策要綱等に基づきまして各省庁がとっておられる対策、そのうち、私どもの調査になじむものを中心にいたしまして、本要綱のフォローアップということを主なねらいといたしまして本年度の第三・四半期に調査を実施するということで、現在準備を進めているところでございます。
  338. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほど私申し上げましたように、そのような個別の事案については行政監察というのはちょっと無理だと思います。沖縄県にしても、全国的にもそうなんですけれども、こういう法律はある意味ではざる法になっているような感じもしないでもないのです。そういう制度上の問題も欠陥があるのかないのか、その辺も総務庁とされてはちゃんと監察されて、ぜひ提言をしていただきたい、このように思うのです。
  339. 鈴木昭雄

    鈴木(昭)政府委員 先ほど申し上げました現在準備中の調査におきまして、先ほど来御指摘のあるような監視区域の指定あるいはその中における行政の実施状況、この辺のところを実態把握いたしまして、もし必要なことがございましたら私どもとしても意見を申し述べたいというふうに考えるところでございます。
  340. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは、話は変わりますが、行政監察のことで一つ。  私は沖縄に行きまして、おたくの事務所の方にいろいろ伺いましたけれども行政相談委員という制度がありますね。これは、私たちも議員で、市町村議員、県会議員、我々も含めましていろいろな市民相談というのもやっていて、話を伺いまして非常に苦労もわかりますし、いい制度を国として、政府としてやっていらっしゃるなということを感じて話を伺ったわけであります。この行政相談委員というのは、委員がいらっしゃって、ボランティアで各市町村でやっていらっしゃるわけですけれども、例えば市町村に一人の委員がいらっしゃって、一人でいろいろな苦情処理から何から受ける、実際問題としてこれは大変なんですね。だから、この体制でいいのかどうか。それは公務員を採用してやるというわけにはいかぬでしょうけれども、こういう価値観が多様化していろいろ言いたいという時期ですから、やはり何らかの形でそういう行政相談という体制を強化してやる必要があるのではないかと思います。  それで、一つは沖縄県の場合に年間の行政相談された数、そしてそれは全国では幾らなのか。できましたら類別に、簡単でいいですよ、例えば苦情なら苦情、あるいは行政側への文句、いろいろなそういうものをちょっと御説明していただければと思います。
  341. 鈴木昭雄

    鈴木(昭)政府委員 行政相談の件数でございますが、まことに恐縮でございますが沖縄の件数というのはちょっと今手元にございません。全国では、受け付けで見ますと平成元年度で二十二万七千件、総数でおおむね二十三万件ぐらいの数でございます。  その内訳でございますが、私どもとしてはいわゆる国の行政、委任・補助事務を含めてでございますが、これを対象といたしております。その対象内事案が十四万件余、さらにその内訳といたしまして、いわゆる苦情と言われるようなものが五万三千件、それからいわゆる行政案内事案、どこの窓口に行ったらいいのかとか、あるいは手続がよくわからないとか、こういうものが約九万件というような内訳になっております。
  342. 玉城栄一

    ○玉城委員 また、これと関連して、さわやか行政サービス運動を推進していらっしゃるわけですね。これもまた、こういうのもやっていらっしゃるのかなと思って感心しましたけれども、このさわやか行政サービス運動というのはいつからされて、今後どうされるのか。そしてその成果といいますか、これも今のように数を受け付けたみたいにして、そしてまた関係する行政機関に勧告か何かするのかどうか、その辺をちょっと御説明いただきたいのです。
  343. 鈴木昭雄

    鈴木(昭)政府委員 さわやか行政サービス運動は、昭和六十三年一月の閣議決定で始められたものでございまして、これは当時の竹下総理が、国民の立場に立った親切な行政あるいは真心のこもった行政実現すべきだということで、政府としても、各省庁はもちろんのこと、特殊法人あるいは地方公共団体にも御協力を求めて推進しているところでございます。ことしで三年目に入っているわけでございますが、これからも過去二年間の実績を踏まえて、さらに持続的に、積極的に推進してまいりたいと思います。  なお、効果の点でございますが、これは効果を客観的、数量的に評価するというのはなかなか難しゅうございますが、今までの改善事例等を考えてみましても、かなりの大きな成果が上がっていると思いますし、また、私どもが窓口を利用された方の印象を聞いているアンケート調査におきましても、この運動実施前と実施後を比べまして印象がよかったというような方の割合が非常にふえているというようなこともございますので、今までそれなりの効果を上げているというふうに考えております。これからも積極的に実施してまいりたいというふうに考えております。
  344. 玉城栄一

    ○玉城委員 これはたくさんいろいろなケースがありまして、お伺いしたい点もありますけれども、それは時間の関係もございますので。  行政監察について、中央段階でいわゆる予定プログラムをつくって持っていらっしゃいますね。さっき申し上げました土地の問題とか、防衛庁の調達の問題とか、いろいろな行政監察それを平成二年度、平成三年度どういう計画をお持ちになっているのか、これも御報告をいただきたいのです。
  345. 鈴木昭雄

    鈴木(昭)政府委員 私どもといたしましては、行政監察を中期的な視点に立って体系的あるいは計画的に実施していくという観点で、三カ年間の行政監察予定テーマというものをつくっております。各年間中央で計画する監察は大体二十テーマでございますので、三年間で六十ぐらいのテーマを一応予定テーマとして決めております。  なお、このテーマにつきましては毎年度、いわゆるローリング方式で見直しを行っていくということといたしております。
  346. 玉城栄一

    ○玉城委員 六十テーマとおっしゃいましたが、そのほかに地方監察もされます。中央はどういうテーマで監察をするか、また地方はどういうテーマでやるか。こういうふうに中央地方でやっていらっしゃる。その中央でどういうテーマをやる計画なのか。それを御説明願います。
  347. 鈴木昭雄

    鈴木(昭)政府委員 中央で計画する監察テーマにつきましては、先ほど申し上げましたように三年間で六十テーマと非常に数が多うございますが、私どもといたしましては、観点ということで申し上げますと、一つには経済構造の変化への対応というような観点から、例えば規制行政の問題とか中小企業対策の問題等々、それから国際化への対応ということで外国人労働者問題とか留学生等の問題、あるいは地域活性化と住宅、土地問題への対応ということで、先ほど申し上げました土地対策のほか、道路等々の問題を考えておりますし、また高齢化社会への対応と国民生活の福祉、安全の向上というような観点からは要援護高齢者対策等々も考えております。また、そのほか官業・特殊法人の見直し等々についても考えているところでございます。
  348. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  349. 岸田文武

    岸田委員長 続いて、和田一仁君。
  350. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私は民社党でございますけれども、我が党は従来から行革の必要性を強調してまいりまして、行革については与党だと言われるぐらいでございました。一貫して行政改革推進を訴えてきたのですけれども、現状を見ておりまして、必ずしも行革というものの成果には満足しておりません。  そこで、まず最初に長官にお伺いしたいのです。  この設置法がここで出てきたわけでございますが、これから第三次行革審をつくろうということそのものに私どもは反対ではございません。もちろん大いにやれという姿勢なんですけれども、今までの行革のあり方を見ていて、せっかくつくって、何回かの答申があったにもかかわらず、必ずしも十分な効果が上がっていないという感じがいたすわけでございます。設置法に絡んで、長官として、行革全般について現在のこの推進状況というものをどんなふうにとらえておられるのか、これでまあまあであるというふうにお考えなのか、とんでもない、これからが本番だというふうにお考えなのか、まず基本的な認識をお伺いしたいと思います。
  351. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 和田委員はただいま申されましたような評価をこれまでの行政改革になされました。確かに和田委員から見れば物足りない点は多々あるかと思うのでございますが、私どもは、第二次行革審に至るまでの答申、そしてそれまでに至りますところの行革の実施状況は相当な成果をおさめてきた、こんなふうに考えているところでございます。特に、国鉄改革、さらにまた三万人の国家公務員純減、それから総理府本府の一部と行管庁を統合・再編成した総務庁の設置、あるいは赤字公債から脱却するという財政再建の成就、このようなことは、やはり行革審を設けまして、そして皆様方の大変な御努力によって行革を遂行してきたそのたまものだと思っているところでございます。  しかしながら、時代変化は常に速く、また新しい行政は常に生起しているわけでございます。そしてまた、それがなくても、パーキンソンの原則のように行政というものは市場原理が働かない、利潤原理が働かない。効率をどのように判断していいか、なかなか判断が難しいわけでございます。そんな判断をし、評価をするためには、常に行革審をつくって、行革審の方々に行政評価、効率の評価、これをひとつやっていただく必要がある。  そのようなことを考えますと、私はこれからの行革は、これまでの行革以上に重要な、いわば行革集大成であると同時に、また、新しい観点からの行革をやっていかなければならない時代に突入した、こんなふうに考えております。
  352. 和田一仁

    ○和田(一)委員 集大成であり、これから新しい行革に取り組む、こういうような御発言でした。  それではまず、今のお答えの中で評価もされておりました。それはあると思うのですね。いわゆる三公社民営化だとか赤字国債依存体質からの脱却、こういうものはそれ相当の成果はあると思いますけれども、もちろんそういうものだけで行革の本題は終わりではございません。臨調が基本で答申してきたような中央省庁の問題に関しては、まだ何も手がついてないと言ってもいいぐらいだと思うのです。よく行革は道半ばだということを言われますけれども、私どもは、道半ばどころかこれからこそが大変な問題を抱えてやるべき時期だ、こう思うのです。  ところが、今までのあり方を見ておりますと、今度のいわゆる第三次行革審の設置についても、置いてもむだじゃないか、今までのことですら十分できなかった、またやっても同じようなことになるならこれこそむだの上塗りじゃないかというような意見すら聞くわけですが、長官は、設置法を提案されまして、この第三次行革審がどういう新しい目標で臨むべきなのか、どういう手だてが望ましいのか、そういう基本的なことについてどんなふうにお考えか。
  353. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私は、今和田委員が御指摘のような行革審に対するあきらめのようなうわさらしきものも聞かないでもありません。しかしながら、これまでの実績から見て、私はそのような敗北主義的な考え方に陥る必要はないと思いますし、新しい最近の情勢は、さらにまた新しい行革を示唆していると思うのでございます。  その第一は、先ほど来たびたび申し上げておりますところの生活重視、真の豊かさとは何か。その中に土地問題あり、住宅問題あり、環境問題ありということもありましょうし、それからまた、日米構造協議の中で、私どもが思わざる行革をせざるを得なかった。このような中に大きなまた示唆が数多くあると思うのでございます。これらを取り上げてやっていくこと自体は大変な努力を要するところでございますが、そういった観点から私ども行革を新しい気持ちで、大きな意欲を持ってこれから取り上げていきたい、こういうふうに考えております。
  354. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それでは、ちょっと細かいことから伺いたいと思います。  規制緩和もこれは大変大事なことでございまして、特に、今長官もおっしゃっていましたけれども生活重視、さっき御答弁を聞いていましたら、従来はどうも産業への傾斜があった、そういうものから、社会情勢変化に対応して生活重視消費者観点からいきたい、こういうような表現もございました。そうなると、今、日米経済摩擦の中で最大の問題になっているような問題、いろいろ国内的な規制、こういうものに対しても、これは当然考えていかなければなりません。これについて、ともすればおっしゃるような生活者あるいは消費者、そういうものの観点から見ていてまだまだ十分でない、外から見た目ですら十分でない、こういう指摘をされてやるというのではなくて、まず我々みずからがこれはやるべきものだ、こう思うのですけれども、こういう問題についてこれからもどういうふうな取り組みをしたいと考えているのか。  私どもが四月十八日に出ました最終答申、こういうものを拝見しておりましても非常にいいことが書いてあるのですね。「世界の平和と発展に貢献することである。市場開放を徹底し、制度・慣行を国際的に受け入れられるものに改革し、新たな世界秩序の形成や経済開発、地球環境の保全、基礎的・先端的技術の開発・移転等の面で積極的に寄与しなくてはならない。」と書いてあります。そういう意味でも私は非常に大事なことだと思うのですが、どうも規制緩和はまだ十分でないというふうな指摘に対してどんなふうにお考えでしょうか。
  355. 百崎英

    ○百崎政府委員 ただいま規制緩和の問題についての御指摘がございましたが、政府におきましても、この規制緩和推進の問題は極めて緊要な課題であるというふうに考えております。一昨年、いわゆる新行革審の規制緩和に関する答申が出されました。これを受けて政府としては早速その推進要綱というものをつくって、御承知のとおり物流二法の改正等を初めエネルギー、金融等々いろいろな分野にわたって今着実にその実施に努めているところでございます。大店法の問題、こういう問題につきましても、もう既に日米構造協議で問題になる前にこの行革審で流通対策の改善に絡めた答申等が出されております。そういったことで、そういう問題も含めまして今後ともこの推進要綱を着実に実施してまいりますと同時に、最終答申におきましても、公的規制の半減を目指すというような将来の方向が打ち出されておりますので、これの具体化ということが今後の大きな課題ではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  356. 和田一仁

    ○和田(一)委員 大臣も同じようなお考えかなと思いますが、それでは一つ私も指摘したいのですけれども、今御指摘がありました構造協議の中でも指摘されておりますし、それから経済摩擦全体の中でもいつも感じるのですけれども日本のそういう問題への取り組みが、縦割り行政のために利害を主張し合ってなかなか政府としての結論が出るのに時間がかかる。これはもう大臣もお感じだと思うのですね。行政改革の中に規制の緩和であるとか権限委譲であるとかいっぱいありますけれども、そういう中に、全体としてやはり従来ある縦割り行政、これもいい面はありますよ、ありますが、それだけセクショナリズムになってしまうと、総合的な調整機能が本当に発揮されないとなかなか難しい。そういう意味でやはり総務庁というものは非常に大事なお役所になるわけなんです。例えば規制なんかの問題と関連して、食管制度一つとりましても、委員会の中でこういう問題は大変大事な問題として取り上げられながら答申の中には出てこないという現象もあります。こういうのも、実は出そうな空気が出たときに政治的な圧力をかけて、そのために、審議会としては議論をし、いろいろ検討をしというときに、そんなものをもし出されたらとても選挙は戦えないというような政治的配慮でこれが出ずに終わってしまうというようなこともあったのではないか、こう言われておりますが、長官、そういうことはどうでしょうか。こういうことがあると、もう一回第三次行革審をつくっても、そういうような政治的な圧力や官僚の抵抗があったらできないんだということになったら全く意味ないですよ。そういう意味で、第三次行革審をつくる以上、これを答申を尊重していく、答申の中身について、私はぜひその審議会の中立性というか、公平、公正な立場で結論を出すことを大事にしていただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  357. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 和田委員指摘のように、縦割り行政の弊害はもう古くから唱えられているところでございまして、総務庁はそのために生まれたと言っても過言ではないと思うのでございます。しかしながら、今和田委員も言われましたように、縦割り行政、そこにまた大きな責任を感ずる特色もあることはもう言うまでもございません。そこで、その調和を図っていく必要がある。そしてその中に、例えば公的規制緩和がなかなか進まないというようなことが言われる。それは縦割り行政だけの弊ではない、やはり公的規制緩和を図るにしても、もう少し国民の間に訴えて、国民がこれをサポートしてくれるような形で世論を喚起しながら国民とともにこれを進めていかなければ、なかなか規制緩和は――一つの何と申しますか歴史があり、伝統があり、そしてまた特に弱い者を保護するような役割を生んでいるような規制については、これはよほど国民理解、そして世論のバック、これがなければ私は容易ではない、こんなふうに考えるところでありまして、族の要求とかそういったことよりもむしろ私どものこれからの努力は、国民的な理解を得ながらこの問題を進めていくことが必要ではないか、こんなふうに考えております。
  358. 和田一仁

    ○和田(一)委員 ぜひそういう意味では調整機能を発揮していただいて、規制緩和についても半分、半減、こういうお話も今ございましたけれども、一万件以上あるいろいろな許認可事項も含めてぜひひとつこの推進を図っていただきたい、民間活力をやはり大事にしていただかないといけない、こう思います。  それから、権限委譲の問題ですけれども、これもやはり非常に大きな問題でございまして、国と地方との事務配分の洗い直し、こういうことを推し進めることが非常に大事だと思います。これはもう一極集中ではなくて、地域の活性化ということを考えていく上からもどうしても必要だと思うのですけれども、このままだと、もう東京を中心にして大都市圏に経済もいろいろなほかの情報も集中してきてしまうわけなんで、そういう意味でも行政ができるだけ権限を地方に委譲して予算も地方で賄えるような配慮をしていくべきだ、こう思うのです。土地やら住宅の問題、これも行革の中でも挙げられております。この国から地方への権限委譲について、これは進んでいると思いますか、それとも全くこれからだと思うのでしょうか。非常に大事な問題ですからお答えいただきたいと思います。
  359. 百崎英

    ○百崎政府委員 国から地方に対する権限委譲の問題でございますけれども、これにつきましては、先生御承知のとおり臨調以来何回かにわたりまして答申が出され、その都度これを実施してまいったところでございます。  特に最近におきましては、いわゆる国と地方関係に関する新行革審答申が出されました。その中で、住民に身近な行政はできるだけ住民に身近なところで実施する、こういうことを基本にいたしまして、具体的には、約五十項目近い権限委譲あるいは三十項目近い国の関与や必置規制の廃止等々についての具体的な答申が出されたところでございまして、政府としては、早速これを受けまして昨年の暮れに国・地方関係に関する推進要綱をつくって目下これを実施中ということでございます。昨年の暮れに出されましたので、関係法案等もまだ出そろっているわけでもございませんが、これは今後の非常に大きな課題として私どももその実施のフォローアップをできるだけやってまいりたいと思っております。  最終答申におきましても、今後の行政の基本的なあり方の一つとして、やはり「地方分権推進」というようなことがうたわれておりますので、私どもは、現在のこの推進要綱に終わらずに、さらに今後とも引き続き地方活性化というようなことも頭に含めて地方分権推進のために全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
  360. 和田一仁

    ○和田(一)委員 時間が少ないので飛び飛びの質問で恐縮ですが、行革で私ども期待したいのは、こういった規制緩和、権限委譲は当然ですけれども、あわせて中央省庁の、さっきおっしゃっていた、ほうっておけばどんどん肥大化する、これを常時見直していく、これは非常に大事ですね。常時見直していくというその見直しのあり方なんですけれども中央省庁のあり方そのものについて抜本的なメスを入れるべきだ。縦割り行政の弊害、さっき縦割りにはいいところもある、責任も持つのだという御答弁もありましたが、一つだけ例を申し上げましょう。  最近、交通の大変な災害がふえてきて、非常事態宣言が出ました。そして死者が非常にふえている。交通事故死を何とか減らしたいということで、現場はそれぞれ苦労しているようです。日本の救急医療体制というのを見ますと、消防庁にある救急隊員が現場に駆けつけて負傷者を収容して病院に連れていくわけですが、同じようなことをやっていた西ドイツは、そこにお医者さんを一緒に出すとかあるいは救急隊員そのものに応急手当ての資格を与える、もちろん訓練した上で資格を与えて、場所によってはネットワークをつくってヘリで飛んでいく。日本でも二十二分ぐらいで現場には到達するようですが、収容してからまた病院へ運んでいく、運んでいく病院でまたたらい回しをされる。その間、救急隊員はこの瀕死の負傷者に対して何の手当てもできないということで、本当にもう歯ぎしりして残念がっている。何とかお医者に乗ってもらいたい、でなければ自分も緊急の処置ぐらいはやれないものだろうか、こういうことを各省庁は非常に考えてはいるのですけれども、現実に進まない。これはもう、一つには厚生省の問題があり、運輸省の問題がある。ヘリを飛ばすといえば運輸省がかかわる、それからお医者さんということになれば厚生省、これにまた文部省も絡んでくるかもしれない、あらゆる行政が絡んできて本当に前へ進んでいかない。  そういう事例一つを見てもそうなんですね。こういうことすらなかなかできないのですが、私は中央省庁の今持っている権限、そのための責任体制、大事だと思います、いいと思うのですが、しかし、全体的に言って、行革審がやろうとしていること、そのために縦割り行政の中のある部分を総務庁として積極的に調整していく政治的なリーダーシップというものがないと、これは行革審をまたつくっても本当に仏つくって魂入れずの格好になりかねない。現にそういう指摘があるのですね。ぜひそういうことのないようにしていただきたい。国土庁を含めて三省庁の統廃合、再編という問題は最初の臨調のときに文言がそのまま出ているのですよ。どうでしょう、この問題。
  361. 百崎英

    ○百崎政府委員 縦割り行政のいわゆる弊害を除去するということも含めまして、中央省庁のあり方の検討、これはある意味では古くて新しい問題でございます。臨調におきましても、今御指摘のような国土三庁の統合問題等々答申がございます。これらにつきましては、その答申の中にも触れておりますけれども、沖縄あるいは北海道等の置かれた特殊な事情等にも十分考慮してその実施時期を考える、こんなようなことになっておりまして、私どもはそういうことを踏まえて引き続きこれを検討しているところでございます。  いずれにしましても、先般出されました最終答申におきましても、中央省庁の統廃合見直しということが今後の大きな行政課題になっておりますので、これからそういった面を十分に念頭に置いて改善に努力してまいりたいというふうに考えております。
  362. 和田一仁

    ○和田(一)委員 ことしの二月に我が党は行政改革の基本法の制定というものを提唱いたしております。長官はあるいはまだ詳しくは御案内ないかと思うのですが、私どもは基本原則を確立すること、中期的な計画を立てることそれから行革白書、こういうものを公表しなさいというような提唱をいたしました。それから、行政改革の基本法というものを私どもは考えておりまして、とにかく絶えず、不断に行政の見直しを進めること、これが非常に大事だ。それから、そのことによって高度な福祉社会の建設と国際社会への貢献を果たしていく、これが行政が本当に国民に奉仕する目的である、こういうふうに考えておるわけですね。基本原則の中に幾つかあるのですが、今申し上げたような福祉社会の建設や国際社会への貢献はもちろんですが、いつもゼロベースで行革というものはやれ、既存のものの上に乗っかった改革ではなくて、スタートから考え直していけ、それから、新たな事業や機構も必要ですから結構ですが、必ずサンセット方式でやれ、さっきおっしゃったパーキンソンの法則になってしまうのですね、一遍つくったら、それはなかなかいつまでもその権限は終わらない、既得権益として残ってしまうということでなくて、サンセット方式をやれというようなことを言っております。  そういうことを含めまして、ぜひこの新しい行革審期待したいのですが、七人、従来の委員から二人ふえた。その委員のふえた意味を先ほども何人かお聞きしておりました。これは社会情勢変化に対応すべく二人ふやしたと言うのですが、顔ぶれが変わるのでしょうか。今まで何次かのそういう委員と全く新しい顔ぶれでやろうとしておられるのか、どうなるのでしょうか、その辺をまずお聞きしたい。
  363. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 まだ行革審設置法案の成立を見ておりませんし、また、委員の承認は国会の承認を要するわけでございますから、確たることは申し上げられないと思うところでございますけれども、ともかくも社会経済変化は著しいわけでございまして、これまでの七人よりも九人にふやした方がよかろう、特に、消費者サイドの問題、さらにまた、経済的なエネルギーを地方にどのように配分するかといった問題、このような問題を含めて地方の声をもう少し主張できる人を入れたらどうかという声すら出ているような現状でございます。そのあたりを考えていただきますれば、今度の行革審は、どの程度かわかりませんけれども、ともかくも新しい決心でひとつやっていく、そのようなお気持ちの人を選任されていくのではないか、こんなふうに私は考えております。
  364. 和田一仁

    ○和田(一)委員 従来の委員も随分真剣に討議をされて、審議の過程で前向きの意見を出されていると思うのですが、それが答申の中に盛られなかったり、さっき申し上げたようにある意味での政治的な圧力があって答申したいと思ったものがなくなったとか、あるいはさっきから言う行政縦割りのそういう面からの抵抗があってこれまたできなかったとか、そういうことになりますと、今までの方ではそういう挫折感もあると思うのです。ですから、新しくつくるならば、そういうことを十分吟味した上で人選もしなければいけないと思いますね。せっかくやっても意味ないよというようなものにならないようにぜひひとつしていただきたい。  さっき長官は、今までの行革の中で確かに財政的な再建の道がこの行革の中から出てきたということを言われた。これは私も認めますが、そういう意味では、今までの行革はある意味で金の面、経済的な面、財政的な面でのそういう変化はあったと思います。しかし、行政の体質そのものの本当の改革はこれからだと私は思っておるのです。そういう意味で、ここで設置される新しい第三次の行革審について、政治的な圧力あるいは官僚の抵抗、こういうものも排除した上で、日本行政が国際的に十分に通用するようなものにしていく答申を出せるような、そういう行革審を設置するのでなければ意味がない、そういうものをぜひつくっていただきたいと私は思います。  最終答申を見ておりましても、二十一世紀初頭までの十年間にやるべきことといって非常に格調の高い文言があるのですが、これを本当にやるかやらないかが問題なんでありまして、改革実現に向けて強い政治的なリーダーシップをぜひひとつ発揮していただきたいものだ、こういうふうに私は思います。そういう意味で、最後に長官の新しい行革審に対しての御決意と抱負をお聞きした上で、時間が来ましたので質問を終わらせていただきます。よろしくお願いします。
  365. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 多大の鼓舞、激励を受けましたので、行革につきましては最大の熱意を持って取り組んでいきたいと思います。
  366. 和田一仁

    ○和田(一)委員 終わります。
  367. 岸田文武

    岸田委員長 次回は、来る十四日木曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十四分散会