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1990-05-29 第118回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月二十九日(火曜日)     午前十時十分開議  出席委員    委員長 岸田 文武君    理事 植竹 繁雄君 理事 斉藤斗志二君    理事 杉浦 正健君 理事 鈴木 宗男君    理事 志賀 一夫君 理事 田口 健二君    理事 竹内 勝彦君       今津  寛君    岩屋  毅君       衛藤 晟一君    高鳥  修君       武村 正義君    近岡理一郎君       細田 博之君    増子 輝彦君       光武  顕君    渡辺 省一君       池田 元久君    石井  智君       上原 康助君    北川 昌典君       細川 律夫君    山中 邦紀君       山元  勉君    玉城 栄一君       山口那津男君    三浦  久君       中野 寛成君    柳田  稔君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 石川 要三君  出席政府委員         防衛庁参事官  内田 勝久君         防衛庁参事官  玉木  武君         防衛庁参事官  村田 直昭君         防衛庁参事官  鈴木 輝雄君         防衛庁長官官房         長       児玉 良雄君         防衛庁防衛局長 日吉  章君         防衛庁教育訓練         局長      米山 市郎君         防衛庁人事局長 畠山  蕃君         防衛庁経理局長 藤井 一夫君         防衛庁装備局長 植松  敏君         防衛施設庁長官 松本 宗和君         防衛施設庁総務         部長      吉住 愼吾君         防衛施設庁施設         部長      大原 重信君         防衛施設庁建設         部長      黒目 元雄君         防衛施設庁労務         部長      竹下  昭君         外務大臣官房審         議官      川島  裕君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      時野谷 敦君         外務大臣官房外         務参事官    畠中  篤君         外務省アジア局         地域政策課長  渋谷  実君         外務省北米局安         全保障課長   重家 俊範君         外務省欧亜局西         欧第一課長   桂   誠君         外務省経済局国         際経済第一課経         済安全保障室長 杉本 信行君         大蔵省主計局共         済課長     乾  文男君         大蔵省理財局特         別財産室長   川端 正次君         厚生省年金局企         画課長     阿部 正俊君         内閣委員会調査         室長      林  昌茂君     ───────────── 委員の異動 五月二十五日  辞任         補欠選任   三浦  久君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     三浦  久君 同月二十九日  辞任         補欠選任   奥野 誠亮君     武村 正義君   池田 元久君     石井  智君   和田 一仁君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   武村 正義君     奥野 誠亮君   石井  智君     池田 元久君   柳田  稔君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   中野 寛成君     和田 一仁君     ───────────── 五月二十九日  旧軍人恩給の改定に関する請願増子輝彦紹介)(第一三八一号)  同(渡辺省一紹介)(第一三八二号)  傷病恩給等の改善に関する請願麻生太郎紹介)(第一三八三号)  同(野田毅紹介)(第一三八四号)  同(細田博之紹介)(第一三八五号)  同(山崎拓紹介)(第一三八六号)  同(山本有二紹介)(第一三八七号)  同(今井勇紹介)(第一四二四号)  同(森喜朗紹介)(第一四二五号)  同(田名部匡省紹介)(第一四七七号)  同(谷垣禎一紹介)(第一四七八号)  同(野田毅紹介〕(第一四七九号)  同(三原朝彦紹介)(第一四八〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出第一九号)      ────◇─────
  2. 岸田文武

    岸田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細川律夫君。
  3. 細川律夫

    細川委員 私は、防衛庁本庁が今の赤坂檜町から市ケ谷移転する件についてお伺いをいたしたいと存じます。  防衛本庁市ケ谷移転をする計画によりまして、自衛隊の再配置をするという計画があるようでございますけれども埼玉朝霞地区への移転計画は、配置計画はどのようになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  4. 村田直昭

    村田政府委員 お答えいたします。  先生指摘防衛庁本庁庁舎等移転計画でございますが、防衛庁本庁等いわゆる防衛中枢の所在する檜町地区周辺商業地化が進んでいるということから、国土有効利用を図るということで中枢を檜町地区から市ケ谷地区移転して、これに伴い首都及びその近郊の防衛施設の再配置を図るものでございます。御指摘のとおりでございますが、それに伴いまして、朝霞地区には現在所在する部隊、第一施設団、第三一普通科連隊輸送学校等がございますが、これに加えまして東部方面総監部及び同隷下部隊、それから東部方面音楽隊、一〇三高射直接支援隊、ホークの整備部隊でございますが、これらの部隊移転していく計画になっております。人員的には現在三千百名ほどでございますが、再配置後は約三千九百名ほどになる予定でございます。
  5. 細川律夫

    細川委員 朝霞地区への再配置概要については今お聞きいたしましたけれども東部方面総監部などが朝霞地区移転をすることによって、朝霞地区のこれまでの朝霞駐屯地の中にそれらがおさまる計画なのか、それともこれまでの駐屯地以外の場所をも使用するという計画なのか、お答え願いたいと思います。
  6. 村田直昭

    村田政府委員 今回の移転計画によりまして、先ほど申し上げましたように東部方面総監部等司令部あるいは部隊朝霞に参りますので、その結果朝霞の現在の駐屯地においては手狭になることもございまして、現在、朝霞駐屯地と同訓練場との間に五十四年留保地として指定されて以来留保地がございますが、その一部について防衛庁使用したいということで今お願いをしているところでございます。
  7. 細川律夫

    細川委員 駐屯地に隣接する留保地使用したい、その使用目的といいますか、あるいはどういうことに使うのか、あるいはまたその面積などについてお答え願います。
  8. 村田直昭

    村田政府委員 使用必要性について若干敷衍して申し上げますと、防衛庁としましては、朝霞地区にある国有留保地のうち訓練場に挟まれた留保地所管がえを希望しているわけでございます。その理由は、留保地朝霞駐屯地訓練場の間に挟まれているということから訓練等の面で不便であり、留保地駐屯地及び訓練場と一体として使用できれば一層有効利用が図られるということと、それから、大規模災害等のときにおいては増援部隊も集結してくるとか、あるいは救援活動支援等機能を果たすためには現在の敷地では十分でないこと、さらに、今申し上げましたように、今回の移転計画により、朝霞地区には現在所在している部隊等に加え新たに市ケ谷地区等から東部方面総監部等部隊が再配置されることになり、このための所要の地積を必要とすること等によるものでございます。  なお、面積でございますけれども、現在約二十一ヘクタールほどあると承知しております。そのうち埼玉県において防災センターとして二ヘクタールを使用するということを私ども承知しておりますが、残りの部分について私どもの方で使用させていただきたいということで今お願いしているところでございます。
  9. 細川律夫

    細川委員 そうしますと、今度防衛庁本庁市ケ谷移転をするということで自衛隊のいろいろな再配置が行われるわけですけれども、その結果、新たにこれまで自衛隊が使っていた場所を拡張するというのはこの朝霞以外にあるのでしょうか。
  10. 村田直昭

    村田政府委員 お答えいたします。  計画上の再配置後でございますけれども、新たに現在の自衛隊使用しておる駐屯地以外に取得する用地としましては、朝霞のその留保地部分でございます。他はすべて現在の自衛隊駐屯地から駐屯地へと移るということでございます。  なおちなみに、移るだけじゃなくてあく部分がございます。赤坂檜町の駐屯地であるとか芝浦の地区駐屯地であるとか、そういう部分については逆にあいてくるということでございます。
  11. 細川律夫

    細川委員 朝霞留保地使用したいというその計画に基づいてこれまでスケジュールを立てていろいろやってきておると思うのですけれども、その進行あるいは進捗状況についてお答えください。
  12. 村田直昭

    村田政府委員 今先生のお尋ねのうちで留保地使用についていろいろしてきたのじゃないかという御質問かと思いますが、その部分については、地元調整の問題あるいは他の機関との調整ということで理解いたしまして御回答いたしますと、まず移転計画関係する地方公共団体としては一都二県十一市町区にこの計画はまたがっておりまして、各地方公共団体に対しましては、昭和六十二年八月以降、随時、計画趣旨でありますとか概要等について説明を行い、理解協力を求めてきております。  朝霞地区につきましても、御指摘留保地キャンプ朝霞返還国有地南地区になるわけでございますけれども、取り扱いを含め、同地区に係る移転計画趣旨概要等地元埼玉県、朝霞、新座、和光各市等に対して御説明を行ってきておりまして、去る五月二十五日、金曜日でございますが、キャンプ朝霞跡地整備促進協議会長、これは埼玉県知事さんが会長をされておりますが、ここから防衛庁東京防衛施設局長に対して、留保地利用を含め同地区に係る移転計画について基本的に受け入れる旨の御回答をいただいているところでございます。
  13. 細川律夫

    細川委員 そうしますと、二十一ヘクタールあるという留保地につきましては、先ほど話が出ておりました二ヘクタールについては県の方の防災基地が設置をされる、その残余の部分については防衛庁の方で使用するということについて、地元の方の一定の了解を得た、こういうことですか。
  14. 村田直昭

    村田政府委員 お答えいたします。  二十五日にいただきました回答文書でございますけれども先ほど申しましたように、キャンプ朝霞跡地整備促進協議会長から防衛庁に対して、留保地利用を含め同地区に係る移転計画について基本的に受け入れる旨の回答でございました。  ただ、その際に、あわせて要望がなされておりまして、移転作業等に当たっては住民感情などへの配慮をしていただきたい、あるいは周辺環境整備に係る助成措置等について協力願いたい、それからあそこに埼玉県としては防災センターをつくるわけですが、大災害時における住民避難場所等としての自衛隊施設使用を図られたい、あるいは基地周辺道路における交通安全対策に配慮されたい、グラウンド等体育施設の耐務に支障のない範囲での地元利用を図られたいというようなことについての御要望をいただいておりますが、もちろん私どもとしてはこのような御要望にも十分配慮してまいりたいと考えております。
  15. 細川律夫

    細川委員 その朝霞留保地使用することについての今後のスケジュールといいますか、それはどういうふうになるのでしょうか。
  16. 村田直昭

    村田政府委員 本件につきましては、当然のことながら地元同意前提とした上で国有財産地方審議会にお諮りをするということになろうかと思いますが、これについても今後関係機関と十分打ち合わせをしながら日程等についても詰めてまいりたいと今考えておるところでございます。
  17. 細川律夫

    細川委員 国有財産地方審議会の方にこれをかけていく、関係機関とも相談をしながらというふうに言われましたけれども、今までの防衛庁の方から出されました留保地移転計画についてのスケジュールでは、既に昨年度、平成元年度のうちに国有財産地方審議会、これは関東になるかと思いますが、関東審議会の方に出すというスケジュールではなかったのですか。
  18. 村田直昭

    村田政府委員 私ども計画としましては本年初頭というふうに考えておりまして、昨年度というのは、度といいますとことしの三月までということになりますので、本年の初頭にはということで考えておりましたが、その点では若干のおくれがあります。
  19. 細川律夫

    細川委員 はっきり申し上げますけれども、昨年の十月という予定であったのではないですか。
  20. 村田直昭

    村田政府委員 地元説明の際にはそのように御説明したと今承知しております。
  21. 細川律夫

    細川委員 大変重要なことですからしつこく聞きますけれども、どうしてそれがおくれたのでしょうか。
  22. 村田直昭

    村田政府委員 この計画を進めていくためには地元理解協力ということがその前提として必要でございますし、特にこの所管がえと土地の移しかえというようなことについては地元同意を得るということがございまして、地元調整を長期間にわたって行ってきたということでございます。地元同意なくして進行するというわけにはいかない、こういうことでございます。
  23. 細川律夫

    細川委員 先ほどの御答弁では、五月の二十五日に地元の方の基本的な受け入れの報告があったということですけれども、そうしますと地方審議会にかけるのはいつになりますか。
  24. 村田直昭

    村田政府委員 先ほど申し上げましたように、現在関係機関調整中ということで、その日程ははっきりしておりませんけれども先生今御指摘のように、若干スケジュール的にはおくれておりますので、できるだけ早い機会にということで私どもは今お願いしているところでございます。
  25. 細川律夫

    細川委員 今、関係機関相談というふうに申されましたけれども、どこと相談をするということですか。
  26. 村田直昭

    村田政府委員 お答えいたします。  これは、関係機関と申しますと、現実に地方審議会を担当しておりますところは関東財務局になろうかと思いますので、関東財務局が中心になるわけでございますけれども、そのほか上部機関を含めまして連絡調整をとっておるという状況でございます。
  27. 細川律夫

    細川委員 防衛庁の方では、そもそもこの朝霞留保地というものを自衛隊が使える、使用できるというふうにお考えなんですか。
  28. 村田直昭

    村田政府委員 私どもが考えておりますのは使用できるかどうかということではなくて、使用したいということで関係の向きに希望を述べておるわけでございます。
  29. 細川律夫

    細川委員 防衛庁の方では、防衛本庁を檜町から市ケ谷移転をするということで、それに伴って陸上自衛隊東部方面総監部などが朝霞の方に移転をする、それに伴ってまた留保地も使いたい、こういうことでもう既に計画は立てられたわけですね。計画を立てるときにこの留保地が使えるかどうかということについて大蔵省相談をするということはしなかったのでしょうか。
  30. 村田直昭

    村田政府委員 本計画は六十三年度からスタートしているわけでございますけれども、当然のことながら、この計画をつくる段階で、防衛庁として決めるその段階では財政当局要求をしておるわけでございまして、その査定をいただいているわけで、当然関係省庁とは調整をした上で進めておるわけでございます。
  31. 細川律夫

    細川委員 大変細かくなって恐縮なんですけれども、重要なことですからお聞きをいたします。  防衛本庁移転をするということの計画財政当局とも相談をした、この計画の発表を昭和六十二年八月二十八日にしたのではないかと思いますけれども、当然その前からこれについていろいろと大蔵省の方と相談をしていた、こういうことですね。
  32. 村田直昭

    村田政府委員 私の記憶では、先生指摘のように、たしか六十二年の八月だったと思いますが、六十三年度の概算要求をするという時点で防衛庁として決定をしたということでございます。  そういう計画をつくるということについて、何事もそうでございますが、事前にいろいろと調整することは当然あり得るわけでございますけれども、それはそういう段階調整でございまして、最終的にはその年の十二月ですか、ちょっと日にちは正確ではございませんが、予算を査定されるという状況のもとに調整が終わった、こういうことに考えていただきたいと思います。
  33. 細川律夫

    細川委員 その相談をしたときに、この留保地については国有財産で特に問題があるんだというようなことは大蔵省から指摘はありませんでしたか。
  34. 村田直昭

    村田政府委員 そこのところで細かくどういうことがあったかということは私つまびらかではございませんので、御答弁はちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  35. 細川律夫

    細川委員 それでは端的にお聞きしますけれども、この朝霞留保地については、国有財産でありますから、これについてどのように使用するのかということについて昭和六十二年六月十二日に国有財産中央審議会の方から答申が出ているということについて、当時知っておりましたか。
  36. 村田直昭

    村田政府委員 承知しております。
  37. 細川律夫

    細川委員 それでは、観点を変えまして大蔵省の方にお聞きをいたしたいと思います。  一般的なことをお聞きしますけれども大蔵大臣の方から国有財産についてどのような使用をしたらいいのかというようなことについて国有財産中央審議会に諮問をした場合に、その答申が出た場合、それをどの程度尊重されるのか、あるいはどのようは縛られるのか。その答申に対してどのように考えているかお聞かせください。
  38. 川端正次

    川端説明員 国有財産審議会には中央審議会地方審議会と二とおりございますけれども、いずれの答申につきましても、私ども十分その答申の中身を尊重して処理をしてきております。
  39. 細川律夫

    細川委員 そうしますと、昭和六十二年六月十二日、国有財産中央審議会の方から大蔵大臣宮澤喜一あて答申書が出ております。この留保地をどういうふうに今後使用するかということについてはっきりした答申が出ているのですけれども、この答申について大蔵省は知っておりますね。
  40. 川端正次

    川端説明員 御指摘答申は、六十二年六月十二日に出された返還財産留保地についての答申のことであろうかと思いますが、内容は十分承知しております。
  41. 細川律夫

    細川委員 それではどういう答申になっておるのか、まずこの答申の基本的な考え方をここで言ってください。
  42. 川端正次

    川端説明員 米軍から返還されました主要な大口返還財産留保地につきましては、「予測できない将来の公用公共用の需要に備えるため、当分の間用途決定が留保されている」わけでありますが、引き続き予測できない将来の公用公共用用途に充てるため、できる限り留保することとされております。一方、留保地利用要望がある場合には、これを個別に検討いたしまして、「必要性及び緊急性があると認められるものについては、留保地利用することもやむを得ない」こういうふうな答申でございます。
  43. 細川律夫

    細川委員 今お答えになられたように、この留保地については基本的にはこれを今後も留保する、使わせないというのが原則でございます。そして、例外的に留保地使用してもいい場合もある、こういうことを答申の中で述べております。そして、その例外的に認めていいのは、必要性緊急性がある場合にこれを認めてもいい、こういうことですけれども、この原則、例外からいたしまして、本件朝霞留保地についてこれを使用することがこの答申からいって可能かどうか、端的に結論だけ言ってください。
  44. 川端正次

    川端説明員 キャンプ朝霞跡地内の留保地の一部につきましては、防衛庁から自衛隊体育学校などの移転用地として要望が出されております。これにつきましては、先ほど来御指摘中央審議会答申趣旨に従いまして、現在慎重に検討を行っているところであります。  その場合、今回の防衛庁本庁庁舎などの移転計画は、いわゆる防衛中枢を檜町地区から市ケ谷地区移転させるなど、防衛施設の再配置一環であると同時に、朝霞地区への移転は多極分散型国土形成促進法規定に基づく国の行政機関などの移転一環という性格を有しているものであるということ、それからまた、朝霞地区留保地利用することにより、朝霞地区防衛施設の大規模災害時などにおける後方支援基地としての機能向上を図れること、あるいは同時に、ただいま県から要望が出されております防災施設機能向上が期待されること、こういったことを念頭に置きながら検討を行っているところでございます。  いずれにいたしましても、国有財産地方審議会に諮った上で結論を得てまいりたいと考えております。
  45. 細川律夫

    細川委員 先ほどあなたは国有財産地方審議会の方にかけて、それで結論を得たい、こういうことを言いましたけれども審議会にかける前に、大蔵省としてこういう保留地についてはこの答申からいって使えるかどうかということを検討しないといかぬでしょう。
  46. 川端正次

    川端説明員 お答えいたします。  私どもといたしましては国有財産地方審議会答申の上結論を得ていきたい、こんなふうに考えているわけであります。
  47. 細川律夫

    細川委員 そのように言われるのでしたら、この場で大蔵省考え方について少し強くお聞きしたいと思います。  先ほどこの中央審議会の方の答申の中で、留保地は例外的に必要性かつ緊急性がある場合に使用させてもいい、こういう答申内容になっておりますけれども、今回の防衛庁本庁移転に伴う再配置計画に基づいて自衛隊留保地使用するということについて、どういう必要性緊急性があるか、特に緊急性についてはっきり言ってください。
  48. 川端正次

    川端説明員 キャンプ朝霞留保地自衛隊利用防衛庁防衛施設の再配置一環であります。また、朝霞地区への移転は多極分散型国土形成促進法規定に基づく国の行政機関等移転一環、こういう性格を有しているわけでございます。この点を考慮に入れながら答申趣旨を踏まえてただいま検討中であります。
  49. 細川律夫

    細川委員 あなた、今検討中というふうに言われましたけれども、もうこの計画が出てから大分たっているわけでしょう。六十三年度の予算からついているわけですよ、いろいろな調査とか。何でそんなに検討しているのですか。いまだに検討中なんですか。この問題はそれほど問題があるのですか。
  50. 川端正次

    川端説明員 この留保地処理につきましては、国有財産地方審議会答申を得た上で結論を得る、こういうことになっております。それは国有財産中央審でそういうふうになっているわけでございます。そういうことで私どもはただいま検討中であるというふうに申し上げているわけであります。
  51. 細川律夫

    細川委員 あなたとここで議論してもしようがないと思いますが、先ほども私の方から自衛隊朝霞留保地使用することについてどのような緊急性があるのかということを尋ねているけれども、あなたは答えない。したがって、私の方からもう一回質問をいたしますけれども、この国有財産中央審議会答申については、どういう場合に必要性がある、どういう場合に緊急性があるということについてもちゃんと答申をしているのじゃないですか。
  52. 川端正次

    川端説明員 答申におきましては「留保地利用を認める場合」ということで、当初の処理計画答申一定の期間が経過していること、それから利用計画内容あるいは当初の処理計画進捗割合といったことなど、そういった事柄を検討する、こういうふうにされております。
  53. 細川律夫

    細川委員 あなた、そういうふうにごまかしてはいけないですよ、ごまかしては。ちゃんと読んでくださいよ、はっきりと。この答申の2に「留保地利用を認める場合の基準」というのがあって、(1)は「期間の経過」、(2)は「利用計画必要性及び緊急性」、こういうふうに書かれているでしょう。それで①、ここに「利用計画について、次のように必要性及び緊急性が認められること。」と書かれていますね。この後にアとイが書かれてありますけれども、あなた、ここでそれを読んでください。
  54. 川端正次

    川端説明員 アは「当該計画を認めなければ、広域的な都市計画事業その他の事業の実施又は国家的需要への対応に支障を来す場合。」イは「周辺住民の行政に対する需要の変化に対応して設置する施設であって、他の地域に比べ著しく立遅れているなど早急に施設を設置する必要がある場合。」  以上でございます。
  55. 細川律夫

    細川委員 今あなた、アとイを読まれました。そのアというのはここに言う「必要性」を書いているわけですよ。イの方は「緊急性」を書いているわけです。特に、この緊急性のイの方、ここに書いてあることは、あなたがさっき読まれたように、「周辺住民の行政に対する需要の変化に対応して設置する施設であって、他の地域に比べ著しく立遅れているなど早急に施設を設置する必要がある場合。」こういう場合でなければ使用させてはいけない、こういうことじゃないですか、答申内容は。
  56. 川端正次

    川端説明員 御指摘のイは「周辺住民の行政に対する需要の変化に対応して設置する施設」について述べているものであります。緊急性だけを述べているものではないと考えております。  アの方に「当該計画を認めなければ、広域的な都市計画事業その他の事業の実施又は国家的需要への対応に支障を来す場合。」というのが書かれております。
  57. 細川律夫

    細川委員 もっと素直に読まなくてはいかぬと思いますよ、こういう答申ですから。何ですか、そういう読み方は。素直に読むと、これはアとイが書かれていて、アの方は必要性、イの方は緊急性のことについて書いているのですよ。まさにこのイの緊急性なんかは「他の地域に比べ著しく立遅れているなど早急に施設を設置する必要がある場合。」こういう書き方じゃないですか、あなた。
  58. 川端正次

    川端説明員 イには確かに「早急に施設を設置する必要がある場合。」という文言はございますが、前段の方に「周辺住民の行政に対する需要の変化に対応して設置する施設」ということで施設の必要性についても述べているというふうに理解しております。
  59. 細川律夫

    細川委員 それでは百歩譲って、「周辺住民の行政に対する需要の変化に対応して」というふうに書かれていると言いましたけれども、では「周辺住民の行政に対する需要の変化」、どういう変化があるのですか。
  60. 川端正次

    川端説明員 ここに書いておりますイは「周辺住民の行政に対する需要の変化に対応して設置する施設」ということでございまして、今回の国の施設というふうなものはアの方で読むことになるだろうと考えております。
  61. 細川律夫

    細川委員 あなたは何を答えているの。大変失礼な答え方じゃないですか、そういう答え方は。もっと素直に読んでくださいよ、素直に。いやしくも中央審議会答申なんですよ。大蔵省はそういう読み方をするわけですか、この答申に対して。もっと素直に答申は読まなければだめですよ。  この二番というのは大変重要で、「利用計画必要性及び緊急性」、わざわざ留保地使用について絞りをかけているわけなんですよ、この例外の場合に。それについてもまた、特にアとイということで絞りに絞りをかけているのがこのアとイの内容なんです。そこで、必要性緊急性ということを内容として審議会の方は要求をしているわけなんです。これは素直に読まなければいかぬと思いますよ。素直に読んでいったら、必要性緊急性がない場合には当然この留保地使用してはならないということになりますから、私は今度のこの自衛隊使用については必要性緊急性はない、このように考えます。この計画自体大変おかしいし、これは審議会に行ったってこんなものは当然審議会の方で使用を認めるような答申は出ないと思いますよ。  そのほかにも、この留保地使用については注意をしなければいけないという「留意事項」というのも出ていますけれども、一番最初に出ているのはどういうのが出ていますか。
  62. 川端正次

    川端説明員 2の(5)といたしまして「留意事項」が並べられておりますが、その第一番目は「利用計画が、公有地又は民有地の利用により実現することができないかを検討するとともに、留保地利用を認める場合であってもその利用面積は必要最小限のものとすること。」ということでございます。
  63. 細川律夫

    細川委員 今言われたように、「利用計画についても、公有地又は民有地の利用により実現することができないかを検討」しなければいかぬ、ここまでも書いているわけなんですよ。安易に、今までの駐屯地と演習場の間にこの留保地があるから、便利だからこれを使わしてもらいたい、そういうのではだめだというのです、この答申では。これについては、大蔵省の方では、防衛庁の方から、いろいろなところを検討したけれども、どうしてもここを必要とするというようなことの相談を受けているのですか。
  64. 川端正次

    川端説明員 防衛庁の方から施設の性格、施設を置くべき場所、規模、そういったことについてただいま詳しい説明を受けているところでございます。
  65. 細川律夫

    細川委員 私の質問に答えたことになっておりませんけれども、だんだん時間がありませんから、先に進みます。  この答申については、留保地利用について地方審議会に付議しなければいけない、こういうことを書かれておりますね。これは大蔵省の方ではどうしてこういう地方審議会の方に付議しなければいかぬと中央審議会の方で記載をしたかどうか、どういうふうに考えているか答えてください。
  66. 川端正次

    川端説明員 国有財産中央審議会の方は、「国有財産の管理及び処分に関する基本方針その他国有財産に関する重要事項を調査審議し、並びにこれに関し必要と認める事項を大蔵大臣に建議する。」こういうふうにされております。また、国有財産地方審議会は、「財務局長の諮問に応じ、国有財産の管理及び処分について調査審議し、並びにこれに関し必要と認める事項を財務局長に建議する。」ことを目的としている、こういうふうにされております。  地方審議会の方は、個別の事案につきましてその大きなものなどを付議する、こういうふうな形でやってきております。今回の留保地答申も、その趣旨に沿ったものであると考えております。
  67. 細川律夫

    細川委員 個別の問題について地方審議会の方に付議する場合、中央審議会の方で答申がなされているその内容に反するようなことについて付議をすることはできるのですか、できないのですか。
  68. 川端正次

    川端説明員 先ほど申し上げましたとおり、中央審議会地方審議会答申は十分尊重して私ども処理をいたしておりますので、地方審議会に諮問するに際しましても、当然ながら中央審の答申は十分尊重して行っているところであります。
  69. 細川律夫

    細川委員 だから聞きますけれども大蔵省の方では、それではこの中央審議会答申内容に沿って考えた場合に、この朝霞留保地についてはこれを認めることができるのかどうか、結論を言ってください。
  70. 川端正次

    川端説明員 御質問趣旨が、本件地方審に付議することを考えているのかどうか、こういうことでございますれば、私どもは、地方審に付議する方向でただいま十分慎重に検討している、そういうことでございます。
  71. 細川律夫

    細川委員 今検討をしている。付議するかどうかも検討しているということですね。そうしますと、大蔵省の方としては、地方審議会の方に付議をしないという場合も考えられる、こういうことですか。
  72. 川端正次

    川端説明員 私どもは、ただいま本件を中央審の答申に従いまして十分慎重に検討しておりますが、先ほど申し上げましたように、本件につきましては防衛施設の再配備であるとか、多極分散型国土形成促進法に基づく事業であるというふうな性格を考えまして、地方審に付議する方向で十分慎重な検討をしている、こういうことでございます。
  73. 細川律夫

    細川委員 私のこれまでの一時間の質問によって明らかにされたと思いますけれども、この昭和六十二年六月十二日の国有財産中央審議会答申というものは、まさに大変大事な国有財産についてどういうふうにそれを今後取り扱うのか、それについての答申なんです。そこで、原則としては使用はさせない、今後とも留保していく。例外的に特に必要性緊急性がある場合にこれを認めることができる。しかも、先ほど議論になりましたように、自衛隊利用計画についての必要性緊急性、これについては細かく答申で書かれているのです。だから、当然今度の自衛隊のような問題については、この答申内容からいったらそもそももう使用できない、こういう答申内容なんです。これをねじ曲げて解釈して、場合によってはこれは使えるというような、そういう読み方というのは私はすべきでないと思いますし、そういうことをするなら、何のために中央審議会があってわざわざ答申をするのか。一番最初にも私の質問に答えて、答申は大変尊重いたします、そういうふうに答えたでしょう。だから私は、この問題については、中央審の答申内容からして、今回の利用計画自衛隊利用については認めるべきではないというふうに考えているところでございます。  最後に、防衛庁長官もおられますから御質問いたしますけれども、今の私と大蔵省の議論をいろいろお聞きになったかと思います。この中央審議会の方の答申については、本当に例外的に必要性緊急性がある場合に認める、この留保地という国有財産は首都圏に残っている大変貴重な国有財産であるから、これはこれからも留保しておくのがいいんだというのが答申内容なんです。そういうことを考えますと、私は、ここの留保地というのは、今後の国家的あるいは地域の重要な問題について使用するという意味で、ぜひともこれを先に残しておかなければいけないのじゃないかと思いますけれども、ここできょうの議論をお聞きいただいて、この計画をもう一度考え直していただけないものかどうか、お答えを願いたいと思います。
  74. 石川要三

    ○石川国務大臣 今、先生防衛庁あるいは大蔵省、政府側とのやりとりをいろいろと静かに拝聴しておりまして、率直に申し上げたいと思いますが、まず私ども防衛庁としては、檜町の現在のこの施設というものを市ケ谷移転をし、それからまたさらに市ケ谷の一部が朝霞の方に玉突き的にどうしても行かざるを得ない、こういう現実があるわけでございまして、この計画については、私は、やはり現在の檜町の状況から見てどうしても計画は実現をしなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。しかも、いろいろと準備は一、二年前から着々と進められて、今日予算計上までしているわけでございますので、今さらここの段階でそれを大幅に変更あるいは中止というような段階に至ることは、私も長官になりましてまだ三月でございますので、もうここまで着々と進んでおる事業でございますので、私はその御意思に沿うようなお答えはできないわけであります。  ただ私は、率直にこう目をつぶりながら拝聴しまして、先生のいろいろと御質問の御懸念ですね、これは私もよくわかるのです。確かに今大蔵当局の回答を聞いておりましても、必要かつ緊急性とかこういう点から見ると、これは解釈が非常にあるな、こんな感じがしました。  それからまたもう一つは、現在、首都圏の中でもう本当に貴重な国有財産でありますから、国民の立場から考えるといろいろとまた利用計画もあり、あるいはまた、極端に言えばそのくらいのスペースはとっておきたい、こういう気持ちも当然だと思うのですね。でありますから、その御懸念は私も全くよく理解できるわけであります。特に、私もかつて市長をした経験もございますから、そういう空間の必要、緑の必要ということは当然よくわかります。しかし、ここでまた防衛庁という立場からいたしますと、今るる申し上げましたような、どうしても現在のあの場所でこれからの防衛庁としての機能を充実させていくわけにはいかない、こういう現実もあるわけであります。  そこで、いろいろともう長い間当局同士の、正直のところ折衝もあったと思います。そういう中で、大蔵当局の御説明にあるように、総合的に見て必要性というものは、先ほど言ったように国の一つの施策、施設としてやはり移転をしなければならない必要性。そしてまた緊急性というものも、これも考えようによってはいつまでも置くわけにはまいりません一つの緊急性というものも解釈が成り立つと思うのです。そういうことでひとつ審議会にかけよう、こういう考え方に立って今着々と慎重な準備を進めていらっしゃるということにつきまして、私はそれなりに理解をするわけであります。  じゃ、おまえの考えは一体どちらなのかと言われると大変苦しいわけでございますが、その点はひとつ、私どもの防衛という立場からの重要な国家の一つの行政機関である、こういうことで、これまた貴重な財産でありますけれども、その移転の一部であるということで深い御理解をいただければありがたい、こんなふうに思うわけでございます。
  75. 岸田文武

    岸田委員長 続いて、山口那津男君。
  76. 山口那津男

    ○山口(那)委員 私はいわゆる一年生議員でありまして、防衛問題についてはこのたび初めて質問をさせていただきます。非常に基礎的なこともお伺いいたしますけれども、初学者を鍛え上げよう、こういう温かなお気持ちでお答えを賜りたいと思います。  まず初めに、「沈黙の艦隊」という講談社という出版社から出されているコミック作品があります。これは「コミックモーニング」という週刊誌に連載されていたものでありますけれども、これを総集編としてまとめたり、あるいは単行本としても出版されております。防衛庁長官はこの作品はお読みになったことございますか。
  77. 石川要三

    ○石川国務大臣 山口先生の御質問を今受けましてしみじみ感じましたことは、やはり先生と私の年の差といいますか、先生は、今プロフィールのあれを見ましたら昭和二十七年のお生まれだそうで、私は大正でありまして、非常に年代の差がありまして、私は、残念ながらそういう本は一回も見たことがないのです。ですから何とも内容についてはわかりませんが、大体そういう漫画というものは「サザエさん」くらいしか見たことがない、こういう年代でありますことを申し上げたいと思います。
  78. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この作品は、日本においてひそかに原子力潜水艦が建造をされて、海上自衛隊の自衛官が乗り組んでアメリカの第七艦隊に所属をする、そしてその艦隊を離脱して独立宣言をして、今のさまざまな体制に挑戦をしていく、こういう奇想天外なストーリーなんでありますが、この作品が今青少年に大変広く読まれているということであります。この週刊誌は、発行部数は講談社によりますと週刊で九十四万部から百万部発行されている。単行本が出たわけですが、これは各巻とも五十万部ぐらいずつ売れているということであります。読者の層は十代後半から三十代に広くわたっておりまして、女性のファンも多いという内容であります。  その読者の感想を拾ってみると、非常にリアリティーを感じる、特に元自衛官という読者からの反応にリアリティーを感じるという発言が見られるわけであります。こうした一種の社会現象に対して長官、内容は御存じではないかもしれませんけれども、今言ったようなことを前提にしてどのようにお感じになりますでしょうか。
  79. 石川要三

    ○石川国務大臣 余り粗雑な、勝手な想像でお答えすることは著者に失礼でございますから避けたいと思いますが、実は読んでないもので何ともお答えできない。ただ、これは当たっているかどうかわかりませんけれども、時々本屋でそういう漫画の本をぺらぺらとめくってみて、読みたいなという感じが起こらないから買わないのですけれども、その本とは違うかもしれませんが、何となく絵を見て非常に生々しいような表現の絵が多いですね、その本とは違う面の本にしても。余りにもどぎついという、そういう漫画の絵が非常に多い。だから、そういうところからの子供たちへの影響はいいか悪いか、私も実は大変懸念を感じるわけであります。そういうようなことで、一般的にコミックについてはそういう所見を私は持っている、これだけはお答えしておきます。
  80. 山口那津男

    ○山口(那)委員 これはただいま連載中でありますから、ぜひこの動向にも関心をお持ちいただきまして、これからの日本の社会を築く若い人たちの動向でありますから注目をいただきたいと思います。  そこで、お尋ねしますけれども、この作品のテーマでもあります原子力潜水艦、これを自衛隊は保有できるでしょうか。
  81. 石川要三

    ○石川国務大臣 現実の問題として、局長の方から先に答弁させます。
  82. 日吉章

    ○日吉政府委員 法律解釈が絡んでまいりますので、まず私の方からお答え申し上げたいと思います。  原子力を自衛艦の推進力として使用することは憲法上禁止されるものではない、かように考えております。他方、原子力基本法との関係について申し上げますと、船舶の推進力として原子力の利用が一般化してきた場合は、これを自衛艦の推進力として使うことは同法に違反しないと解釈いたしております。以上のことは、従来政府が述べてきたところでございます。  ただ、防衛庁としては、現在原子力推進の潜水艦の保有は考えていないことを申し添えさせていただきたいと思います。
  83. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この保有が非核三原則との関係ではどのように考えられるでしょうか。
  84. 日吉章

    ○日吉政府委員 私がただいま申し上げましたように、憲法上は禁止されるものではない、原子力基本法との関係で申し上げたわけでございますが、原子力基本法第二条には「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、」云々と書かれてございまして、この「平和の目的」に該当するかどうかということによって保有することが許されるかどうかということが決まってくると思います。  したがいまして、自衛隊がその殺傷力ないし破壊力として原子力を用いる、いわゆる核兵器を保持するということは非核三原則にも反するでしょうし、かつ、原子力基本法の認めないところだと考えます。しかしながら、原子力が殺傷力ないし破壊力としてではなく自衛艦の艦艇の推進力として利用されるということになりました場合には、船舶の推進力としての原子力利用が一般化している場合にはこれは認められる、一般化していない現状においては認められない、こういうふうな解釈になろうかと思います。
  85. 山口那津男

    ○山口(那)委員 自衛隊法によります武器の定義は、本来的に火器を搭載し、そのもの自体が直接人の殺傷または武力闘争の手段としての物の破壊を目的として行動する護衛艦、戦闘機、戦車のようなものも武器に当たる、こういうふうに解釈されているわけでありますけれども、そういう意味では原子力潜水艦も自衛隊法上の武器に当たると考えられると思います。その場合、非核三原則で禁止されているところの核兵器にも当たる、こういうふうに理解することもできると思うのですが、いかがでしょうか。
  86. 日吉章

    ○日吉政府委員 原子力潜水艦が核弾頭を搭載しているというようなことになりますれば、それはその武器も搭載したトータルの原子力潜水艦が非核三原則に抵触するというようなことになろうかと思いますが、そうではありませんで、原子力潜水艦の推進力そのものに着目しました場合には、船舶の推進力として原子力を利用することが一般化されているというような状態になった場合におきましては、搭載武器は別といたしまして、推力として原子力潜水艦を持つことそのものは憲法上もあるいは非核三原則上も認められることではないか、かように解釈いたしております。
  87. 山口那津男

    ○山口(那)委員 それでは、推進力として一般化した場合には原子力基本法のもとでも保有が可能である、こういう御理解のようですけれども、この原子力推進力が最も効果的に発揮される場面はこの潜水艦の場面だろう、こういうふうに言われております。コストの面もありますから、必ずしもあらゆる船舶、艦艇に原子力推進力が利用されるという現状には至っていないわけでありますけれども、事潜水艦に関しましては原子力推進力というのはかなり一般化している、このように理解することもできると思います。ちなみに、アメリカの海軍によれば、保有潜水艦百三十七隻のうち百三十三隻が原子力潜水艦である、また、ソ連においても過半数がそうである、こういう傾向があるわけであります。それらを踏まえた上で、既にこの潜水艦の分野では原子力推進力が一般化している、こういうふうに理解することはできるでしょうか。
  88. 日吉章

    ○日吉政府委員 ただいま委員指摘のように、潜水艦の任務を効果的に達成するというような観点からは、各国におきまして原子力潜水艦を建造しており、かなりの原子力潜水艦のシェアになっていることは事実でございますが、私どもが原子力基本法の「平和の目的に限り、」という解釈をいたします場合には、潜水艦の推進力ということではなく、船舶の推進力としての原子力利用が一般化しているかいないかということによって判断すべきではないか、かように考えている次第でございます。
  89. 山口那津男

    ○山口(那)委員 質問を変えますが、武器輸出三原則というのがあります。これによりますと、共産圏諸国に対する武器輸出は禁止をされておる、さらに、それ以外の地域においても武器輸出は慎む、このような統一見解が出されていると思いますけれども、この統一見解の、共産圏に対する輸出は許されないということと、それから他の地域に対する輸出を慎むべきである、こういう一項と二項の規定は実質的な差異がありますか。
  90. 杉本信行

    ○杉本説明員 御指摘の点でございますけれども、武器輸出三原則によります武器等の輸出を禁止する、それと、その後に出ました武器輸出に関する政府方針によります武器輸出三原則地域以外の地域に対する武器の輸出を慎む、この点は当然ながら表現上の違いがございまして、同じ意味ではございません。後者の慎むというのは、ケース・バイ・ケースによって判断するという意味合いを含んでおるわけですけれども、現在、基本的な方針といたしましては、原則としてはもう慎んでおるという御理解をいただきたいと思います。
  91. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そうすると、共産圏諸国に対する輸出は絶対的に許されない、こういうふうに理解していいわけですね。
  92. 杉本信行

    ○杉本説明員 共産圏に対する武器輸出は、武器輸出三原則の武器等の輸出が禁止されているということですから、輸出は認めないという御理解で結構でございます。
  93. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そこで、現在東ヨーロッパ、ソ連では激しい政治経済の変動が起こっているわけであります。東ドイツは先ごろ自由選挙が行われて、キリスト教民主同盟が第一党となったわけでありますが、この東ドイツは、三原則中禁止される共産圏に当たるでしょうか。
  94. 杉本信行

    ○杉本説明員 これは武器輸出三原則に関連しましての概念としてお聞きいただきたいのですが、現時点におきましては東ドイツは共産圏として取り扱っております。
  95. 山口那津男

    ○山口(那)委員 その他の東ヨーロッパ諸国、ソ連についてはどうですか。
  96. 杉本信行

    ○杉本説明員 現時点では同じ扱いをしております。
  97. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そうすると、共産圏というのはどういう定義になるのですか。
  98. 杉本信行

    ○杉本説明員 我が方の国内法におきましては、この武器輸出三原則及び政府統一見解、これに基づき外為法によって実際の管理を行っているわけですが、その中で、共産圏ということではなくて、特別地域ということで今先生が挙げられました国というものを明記してございます。
  99. 山口那津男

    ○山口(那)委員 私が伺っているのは、この輸出が禁止されるところは共産圏諸国、こういうふうにはっきり述べているわけです。その共産圏諸国に現在でも東ドイツその他の東ヨーロッパ諸国、ソ連も該当する、含まれるというふうにおっしゃったわけです。しかし、それらの国々では既に複数政党制を認めて、共産党の一党支配というものを放棄しているわけです。憲法上、それらの規定を置いた国もあります。にもかかわらず、現在でも該当するというのであれば、この共産圏というものをどのように考えるか、その定義ないし考え方をお聞かせいただきたいわけです。
  100. 杉本信行

    ○杉本説明員 共産圏の定義ということでございますが、当然ながらこれは今私の立場で定義をお答えするわけにはまいりませんけれども先ほど申しましたように、三原則及び政府統一見解において共産圏として認識された国を外為法上で特定地域という形で特別に指定しておりまして、その特別地域の指定ということで実際上外為法上武器の輸出を禁止している、こういう仕組みになっております。今先生指摘のとおり、東ヨーロッパ等で政体の変革ということが起こっているわけですから、これらの国が共産圏ではないという認定がありました場合には、当然ながら外為法上でしかるべく変更されることになろうというふうに考えております。
  101. 山口那津男

    ○山口(那)委員 それでは、その認定の基準というのは何ですか。
  102. 杉本信行

    ○杉本説明員 この外為法は通産省の所管で、その中でその取り扱いというのを決めておりまして、むしろ私の立場で今その認定について答える立場にないのを御理解願いたいと思います。
  103. 山口那津男

    ○山口(那)委員 それはだれが答えをすべきなんですか。
  104. 杉本信行

    ○杉本説明員 お答えいたします。  通産省の貿易局がこの件に関して答える立場にあると考えております。
  105. 山口那津男

    ○山口(那)委員 防衛庁長官はどのようにお考えになりますか。
  106. 石川要三

    ○石川国務大臣 防衛庁長官という立場で、共産主義国家と、最近の東欧諸国のように政治的に大きく変化したそういう国が共産主義なのかどうかということをここで私の見解を述べるのは、これはあるいは十分な知識もないのにそういうことに言及するということはいかがなものかと私は思います。控えさせていただきたいという気持ちはありますけれども、それは今後あるいは違っているかもしれませんがあえて私見を申せというならば、私が今やりとりを聞きながら考えられますことは、要するに、共産党という一つの大きな今までの独裁的な国、これが最近複数制になった、そういうところから見れば、やはり今日共産党というものが依然として政治的なヘゲモニーを持っているかどうかというところが一つの境界線かな、こういうふうに思うのですね。ですからそういう意味では、最近東欧諸国もかなり複数制国家になりましたし、市場原理まで導入するような現象もあらわれたり、いろいろな意味でデモクラチックになっているわけですから、そういう面ではもう昔のような、私どもが学生時代に習ったようなああいう共産主義国家というものとはちょっと違っているのではないかな、こういう感じが私はいたします。しかし、私は学者ではないから、これが的確かどうかわかりません。ただ、突然の質問で、私見でいいからといえば、そのような見解を、今やりとりの中で私自身そんなふうに思ったわけでございます。
  107. 山口那津男

    ○山口(那)委員 これはまあ学説上の問題ではありません。武器輸出をなぜ禁止するかといえば、これは輸出した相手国の軍事力に変化を加えて、ひいては我が国の防衛力を弱める、ないしは危険に陥れる、そういう背景があるからだと思います。ですから、防衛庁長官としても確固たる見識をお持ちいただきたい、このように思います。  ココムという規制がありますけれども、これでも輸出を統制する対象として共産圏諸国を十四カ国指定しているわけです。その中に一応東ヨーロッパ諸国、ソ連、もちろん東ドイツも入っているわけですけれども、この点について今なお指定を外すべきではないとお考えになりますか。
  108. 杉本信行

    ○杉本説明員 御案内のとおり、東ドイツにつきましては七月一日から社会通貨経済同盟ということで両独の統一の過程に具体的に入るということでございまして、現在ココムでは東ドイツの取り扱いについてどうすべきかということを検討中でございます。先ほど先生が御指摘ございました民主化の運動が起こりつつあるその他の国についても、将来ココムにおいてどのような取り扱いをするかについて現在ココムで検討中でございます。
  109. 山口那津男

    ○山口(那)委員 武器輸出三原則の共産圏の認定といい、ココムの共産圏諸国の指定といい、流動的な要素は確かにあろうかと思いますけれども、今後、将来的にこれらの対象から外れるという見込みはありますでしょうか。あるとすればいつごろになりそうでしょうか。
  110. 杉本信行

    ○杉本説明員 見込みということでございますが、東ドイツについては統一がなされたときには当然ながら対象から外れると考えるのが自然だと思いますが、その他の国につきましては、それぞれの国のいわゆる政治体制の変革の度合い、それから現在これらの国はまだワルソー・パクト、条約に入っているわけですから、そういう客観的な情勢等を踏まえて具体的に判断していくということになるかと思います。  他方、先ほどの武器の我が国の輸出の取り扱いにつきましては、これら武器輸出三原則対象地域以外でございましても原則的には慎むという政府統一見解がございますので、それに従って、たとえ外れたとしても武器の輸出については慎むということは依然として適用されるということでございます。
  111. 山口那津男

    ○山口(那)委員 先ほど慎むということと禁止されるということは違いがあるというお話でしたから、その認定というものは厳格になされなければならないはずです。その指定の基準等については明確なお答えはいただけませんでしたので、改めて回答を求める機会をいただきたいと思います。  次に、時間がありませんので伺いますが、東ヨーロッパ、ソ連等は民主化の動きあるいは市場経済の導入というものが急ピッチで進んでおりますけれども、このような変化が今後それらの諸国の保有する軍備についてどのような影響を与えてくるか、防衛庁長官、どうお考えですか。
  112. 日吉章

    ○日吉政府委員 現在の米ソを中心といたしました軍備管理・軍縮交渉というのは、委員も御案内のようにヨーロッパを中心として展開されているわけでございますが、これはヨーロッパが陸続きにNATOとワルシャワ条約軍が鋭く厳しく軍事的な対峙を続けておった、こういうふうな実態がまずあるわけだと思います。西側の方からはいろいろとこれまでも平和的な働きかけをしておったわけでございますが、東側、ソ連側の国内の経済事情あるいはその他いろいろな国内情勢等も影響いたしまして、東側の方からも西側のそういう呼びかけに対しましてお互いに軍備力を低い均衡点に達成させようというようなことで軍備管理交渉が進んでいると理解いたしております。  したがいまして、現在、CFEIという段階でいろいろな交渉が行われておりますけれども、通常兵力を中心といたしましてお互いに攻撃的な能力をできるだけ低い水準に落とそうというような形で相談がされておると思います。あるいはまた、STARTなりINFという交渉を通じましても、それぞれ戦略的あるいは戦術的な核という強力な攻撃的武器の削減というような状態で話し合いが今進められている段階であると私は理解いたしております。
  113. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ソ連では、今後五年計画調整された市場経済を導入しようということで変化をしていくと宣言されております。東ヨーロッパも含めてですが、軍事費総体としてどのような変化が起きていくとお考えですか。
  114. 日吉章

    ○日吉政府委員 私がただいま申しましたように、現在の軍備管理交渉は米ソを中心として進められております関係上、予算上、国防費の上でも米ソにおきまして顕著な変化が見られていると思います。米国につきましては、既に御案内のように、実質ベースで予算の減少を図るべく検討中でございますし、ソ連につきましてもそのような状況でございます。ただ、それ以外の国につきましては、先般、NATOの年率三%の増加目標、努力目標というようなものを廃止いたしましたけれども、これまでのところ顕著に予算が減少してきているというような形にはなっておりません。  ただ、ソ連につきましてはそもそも実態が非常にわかりにくうございまして、現在七百億ルーブル程度のオーダーのものをある程度減少させようということをソ連政府は公表いたしておりますけれども、それまではソ連の国防費は二百億ルーブル程度だというふうに公表されておりまして、減少したといいましても、それまで公表されておりましたものの三倍以上の金額が公表されまして、それを減少させてきているというような状況でございます。なお、NATO諸国等の推計によりますと、その七百億ルーブル台というものも自由主義諸国の国防費の概念からいいますと何分の一というような数字ではなかろうかと言われております。現実にソ連も軍備、兵力の削減をまじめに実行してきていると思いますし、そのつもりだと思いますけれども、計数的に明確な形で把握するというのは、ソ連の国情等もございまして、なかなか私どもには正確にはわかり得ないような状況にあるのが事実でございます。
  115. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今現在の経過をお話しされたと思います。私が伺いたいのは、少なくともここ五年くらいの期間での予測ということなんですが、それについてもう一度お答えください。
  116. 日吉章

    ○日吉政府委員 それはなかなか困難な問題でございまして、私がここで予測を申し上げることは極めて難しいと思います。ただ、主要な国は、防衛費につきましては何らかの形で中期的な計画を持っている国が多うございますので、現在の激動する国際情勢を勘案しまして、今後、これらの国々がどのような計画を立てていくかということを注意深く見守る必要があろうかと考えております。現在のところでは、ただいま申しましたように、米ソを除きましては顕著な変化は明らかな形では見られていない、かように考えております。
  117. 山口那津男

    ○山口(那)委員 それでは確認的に伺いますが、各国の国防費の伸び率を比較した場合、主な国、アメリカ、ソ連、イギリス、フランス、西ドイツ、中国、これらの各国について最近二年間の伸び率をお示しいただけますか。
  118. 藤井一夫

    ○藤井(一)政府委員 主要国の過去二年間の防衛費の伸び率でございますけれども、我が国の場合は八九年、九〇年で御案内のように五・九、六・一でございます。これに見合う数字を各国の予算書で各国の自国通貨ベースで申し上げさせていただきたいと思います。  アメリカの場合は、御案内だと思いますが、八九年が四・六%の増、九〇年度はマイナス二・七%でございます。それからソ連の場合は、先ほど防衛局長が申し上げましたようにやや問題があるのでございますが、八九年は二百二億ルーブルから七百七十三億ルーブルと上がっておりますので三・八倍という数字が公式の発表からは出てまいります。九〇年はマイナス八・二%でございます。イギリスの場合は、八九年が四・八%の増、九〇年が五・四%の増でございます。フランスの場合は、八九年が四・六%の増、九〇年度が三・九%の増でございますり西ドイツ、八九年が三・七%の増、九〇年は一・八%の増でございます。中国、八九年が一五・四%の増、九〇年が一五・二%の増。いずれも政府が発表した予算書の数字から算出した伸び率でございます。
  119. 山口那津男

    ○山口(那)委員 これをドル換算すると別な数字になりますか。
  120. 藤井一夫

    ○藤井(一)政府委員 ドル換算をいたしますと、どういう為替レートをとるかということで大分変わってまいりますが、私ども予算で用いております支出官レートを用いて換算いたしますと大分変わってまいります。例えば日本の場合は、八九年は五・九と申し上げましたけれども、ドルでいいますと一六・三%の増になっております。これは円高ということでございます。それから、九〇年は逆に円安になっておりますのでマイナス四・〇%という数字が出てまいります。アメリカはドルでございますので同じでございます。ソ連の場合は、先ほど九〇年がマイナス八・二%と申し上げましたのが、マイナス一一・八%ということになります。イギリスの場合は、八九年が六・九%の増、九〇年はマイナス三・四%。フランスの場合は、八九年が〇・五%の増、九〇年がマイナス六・〇%。西ドイツは、八九年がマイナス〇・四%、九〇年がマイナス五・三%。中国の場合は、八九年が一六・一%の増、九〇年が一六・八%の増。いずれもドルに対しての各国の通貨が安くなっているか高くなっているかということによってかなりの変動があるということでございます。
  121. 山口那津男

    ○山口(那)委員 これらの動向を見ますと、中国を除いてはおおむね伸び率は鈍化してきている。しかも日本の伸び率と比較すれば低い水準にあるということは明白であります。これらの軍事費といいますか防衛費の変化率等を勘案し、また、国際情勢を勘案した上で、日本の防衛費及び防衛力の実態というものに対して諸外国はどのように認識しているとお考えでしょうか。ソ連、EC諸国、アメリカ並びに近隣アジア諸国、これらの各ゾーンに分けて御説明をいただきたいと思います。
  122. 桂誠

    ○桂説明員 今先生がおっしゃった順番でお答えいたします。  私欧亜局でございますので、まずソ連から申し上げます。ソ連につきましては、我が国の防衛力整備の問題につきまして種々の機会に問題を取り上げてまいりまして批判をしております。近時は、東西関係が緊張緩和に向かう中で日本のみが防衛力を増強していることは、アジア・太平洋地域の情勢の健全化にブレーキをかけるものであるというような言い方の批判的な論評を行っております。我が国としては、日本の防衛力整備についてのソ連のかかる批判は的を射ていないというふうに考えております。  次に、EC諸国ということでございますが、我が国の防衛費の動向につきまして西欧諸国から特段の認識が政府から出されたことはございません。  ただし、平成元年でございますけれども、私ども外務省がこれらの国で対日の世論調査を実施いたしました。世論調査ということで申しますと、西側の安全保障に対する日本の貢献度というものが自分の国の貢献度より大きいと考えているか小さいと考えているか、こういう世論調査をしたわけでございます。そうしましたところが、例えばイギリスの場合には、西側の安全保障に対して日本の方がイギリスより大きく貢献していると思っているイギリス人は二%しかおりません。日本より自分の国、すなわちイギリスの方が西側の安全保障に貢献しているというふうに考えるイギリス人が八四%でございます。同様に西ドイツの場合には、西ドイツの方が日本より西側の安全保障に貢献していると考える西ドイツ人が七七%、逆は二%しかおりません。同時にフランスの場合は、フランスの方が日本より貢献しているというふうに考えるフランス人が七三%、逆が五%。あとイタリアは、イタリアの方が貢献しておるというふうに思うイタリア人が五一%、逆が一四%。こういったような数字でございまして、いずれもEC主要国は、西側の安全保障に対して日本より自分たちの方がよほど貢献しているというふうな世論調査の結果が出ているということを申し上げたいと思います。
  123. 山口那津男

    ○山口(那)委員 アメリカについてはどうですか。それからアジア近隣諸国についてはどうですか。
  124. 重家俊範

    重家説明員 アメリカ政府は、我が国の防衛予算につきまして基本的には日本が自主的に決定すべき問題であるという立場をとっておりますが、我が国の自主的な防衛努力に対しまして高い評価を与えてきているということでございます。  なお、ことし一月発表されました九〇年度米国防報告におきましては、そういう日本の防衛努力を評価するとともに、他方で、経費分担、現有戦力の質及び継戦能力の向上の面でより一層の努力をすべきであるという趣旨の記述も中に入っておるわけでございます。
  125. 渋谷実

    ○渋谷説明員 アジア・太平洋諸国がどう見ているかということについてお答えいたします。  先生御存じのように、昭和六十二年度予算で初めて日本の防衛費は対GNP比一%枠を越えましたけれども、この機会には確かにアジア・太平洋諸国の注目を集めまして、各国から各種の反応を呼んだところでございます。ただその後、六十三年度それから平成元年度防衛予算、引き続き一%枠を超えましたけれども、これらアジア・太平洋諸国の反響は六十二年度予算決定時に比べて次第に落ちついたものになってきております。そして平成二年度の防衛予算の政府案につきましては、これは一%枠の中におさまっているわけでございますけれども、現在のところ特段の反応がこれら諸国から寄せられたということはございません。すなわち、政府による公式の懸念とか批判の表明はございません。また、報道もおおむね事実関係をキャリーしたものが中心になっております。
  126. 山口那津男

    ○山口(那)委員 各国の政府の公式的な見解というのはなかなか表明されにくいかもしれませんし、情報もそう多くはないような反応かと思われます。しかしながら、アメリカの軍の関係者、高官の発言によれば、いわゆる極東米軍は日本の暴走を防ぐための瓶のふたの役割をしている、このような発言もありますし、また、世界の軍縮が進む中で日本が引き続き防衛費を伸ばしていく、あるいは仮に現状そのまま維持したとしても相対的には日本の防衛力が過大になっていく、このような懸念を持たれる可能性があると思いますが、この点、長官いかがですか。
  127. 石川要三

    ○石川国務大臣 最近アメリカのいろいろな方々がいろいろな意見を出していることも御承知のとおりだと思います。確かに瓶の栓だというふうな見解で日本へ存在しているんだ、そう言う方もいらっしゃるわけでありまして、ただ私に言わせれば、そういう意見も出されながら、チェイニーさんにしてもその他国防当局の主要な方々の意見も、最終的にはやはりまだアジア・太平洋の中におきましてはソ連のいわゆる潜在的脅威というものもある、こういう認識も発表しているわけであります。そういう中で私どもは、アメリカのいろいろな意見はございますけれども、前々から申し上げましたように大綱に従って、こういう現在の国際情勢の不安の中におきましてはやはり大綱水準というものは維持していくことが賢明な選択である、このように思うわけでございます。
  128. 山口那津男

    ○山口(那)委員 日本の国内の世論調査によりますと、これは内閣官房の広報室の行ったもので、約三年置きにやっているものでありますが、「防衛力の規模について」という設問で、「今より少なくてよい」という回答が年々ふえてきております。例えば陸上自衛隊について言いますと、五十三年は五・八%、五十六年は九・六%、五十九年は一一・八%、六十三年一月の時点で一二・六%であります。片や「増強した方がよい」という者は五十三年に二一・六、五十六年は二二・三、五十九年は一二・六、そして六十三年一月で一〇・四と、これは急激に減ってきております。これらの世論の動向について、長官いかがお考えになりますか。
  129. 石川要三

    ○石川国務大臣 その一つの世論というものにつきましてはそれなりに私は受けとめなければいけない、かように思います。しかし、予算委員会あるいは当委員会の中でも再三申し上げておりますように、私どもの防衛政策の基本的な考え方というものは、いわゆる大綱にのっとって、それは要するに軍事的な空白を醸し出すことによってむしろかえっていろいろと危険が発生する、こういうような前提のもとに、要するに平時における最低必要とする防衛力の整備というものが大綱の一つの基本的な考え方でありまして、その大綱の水準にようやく到達し得るわけであります。おおむね到達し得るわけでありますから、今後もやはり平時における最低の防衛力の整備というものは、これは世の中が全部どこの国も軍備がなくなってしまえばまた別でありますが、そういうことは現実性がないわけでありまして、そういう前提から見てもこの大綱の水準というものはこれからも維持すべきではなかろうかな、私はこのように思うわけであります。
  130. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この日本の世論は六十三年一月の時点でこうでありますから、以後二年余りの国際情勢の変化等の中で、この傾向はますます顕著になっているだろうと思われます。  さらに、先ほどの武器輸出三原則の共産圏の認識、あるいはココムの対象国の指定についても再検討がなされている状況でありますし、また、防衛費の伸びについて、国防費の伸びについても、日本が最も伸び率が高い。各国においてはむしろ軍縮の傾向が徐々に出始めている、さらにまた、今後は大きな変化が予測されるであろう。これから次期防を必要とするという安全保障会議の六十三年十二月の結論でありますが、この時点と比べても国際情勢は変化を遂げつつあるわけであります。  中期的な計画を立てるということはある意味で今後の動向を明確にするという役割もありますけれども、なお今後の情勢が不透明であり、また変化が激しい、しかもそれは軍備を縮小する方向に動いている、こういう動向を考えるときに、中期的な計画で固定してしまうということは、日本の防衛力が相対的に突出してしまう、諸外国に対してかえって脅威を与え、日本こそが不安定な要因の極になる、そういうおそれもあろうかと思います。  そうした中で、次期防の計画についてはこれを断念して、当面単年度でいくか、あるいはごく短期間の、例えば三年ぐらいの計画でいくか、そのようなしばらくは情勢を見きわめるという慎重な配慮が必要だろうと思うのでありますけれども、長官に最後にお答えいただきまして、私の質問を終わります。
  131. 岸田文武

    岸田委員長 時間が参っておりますので、簡潔な御答弁をお願いいたします。
  132. 石川要三

    ○石川国務大臣 これから中期防を策定する作業に入るわけでありますが、今先生が御指摘のような、この国際情勢の流動化の激しい中で、やはり中期的といえども一つの三年なり五年というものを定めての防衛計画よりも単年度ごとの方がいいのではないか、それも一理あると思います。しかし、やはり事が防衛でありますから、例えば護衛艦を一つ求めるにしても相当の期間がかかるわけでありますし、その他いろいろな兵器におきましてもそういうことも言えます。また、御承知のとおり、我が国の防衛というものは基盤的な整備でありますから、そういう観点、性格からいっても、やはり単年度、単年度ということにつきましてのデメリットもまたあると私は思うのです。そういうことで、現在は一昨年十二月の安保の会議におきましても現在のような中期防をやはり持つべきだという一つの結論になっているわけでありまして、そういう点で中期的な新しい計画を策定する方が必要ではなかろうかな、私はこのように考えております。  ただ、先生の最近の国際情勢についての認識、こういう点につきましてはいろいろと先生の御意見も十二分に理解をするわけでございますので、そういう国際情勢の前提等も考慮して、最終的には政府全体としての中でこれが策定される、こういうことになるわけでございます。
  133. 岸田文武

    岸田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ────◇─────     午後零時三十三分開議
  134. 岸田文武

    岸田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。志賀一夫君。
  135. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 私は、防衛問題を中心にしながら御質問いたしたいと思います。  世界における我が国の現状というのは極めて不安定な状態に今あるのではなかろうかと思うのであります。かなりな努力を示しながらも世界各国から信頼されるという状況下にはないのではないか。ついせんだっても日本は奇異な国だ、あるいは一体日本にモラルがあるのだろうか、そういうような声も世界各地から聞こえてきております。そういうことを考えますと、我が国が世界の各国と心と心の触れ合いができるような国際関係、お互いに信頼できる関係、そういうものを築き上げていくために、いま一度我が国の外交方針なりあるいはまた対外経済援助なり、いろいろな点で再考しなければならない時期ではないかと思います。  また同時に、一方、世界は冷戦からソ連、東欧を含めた一つの輪になって平和の方向に歩みつつあるのではないか。そういうことを考えますと、従来の我が国の外交方針あるいは防衛方針にかたくなに偏っていたのでは日本の将来を見誤ってしまうのではなかろうか、そんなふうに私は考えるのであります。  そういう視点から、これからなおかつ私が申し上げたいことは、今冷戦からそして平和への方向という中でも大変行き先不透明な部分もありますが、そういう不透明な中でこそ日本が、我が国が、経済大国として当然避けられない国際的な貢献を強いられる、これは紛れもない事実ではなかろうかと思います。そういうことを考えますと、日本が今あらゆる点で過去を振り返って、これから日本の未来に向けてどういう方向でどういう世界の政治的な枠組みに貢献すべきなのかを真剣に考えていくべき時期であろう、そんなふうに思うわけであります。  そういう立場から、まず我が国とアメリカとの関係についてお聞きをしたいと思うのでありますが、アメリカと我が国は安保体制の中で長い間極めて友好な関係にあったし、そのプラス面、マイナス面もあったかと思いますけれども、しかし、日本の今日的な経済の伸長はアメリカに負うところも多大であったと認めざるを得ない、そういうふうは私は思います。しかし、最近の我が国とアメリカとの関係を見れば、日米構造問題協議に見られるように、あるいはアメリカでの日本の過剰な企業による投資の状況やいろいろ見ますると、大変異常な状態に日米関係はあると言わざるを得ないわけであります。したがって、この日米の大事な信頼のきずなが、今日、ある面からいえば極めて容易ならざる状態にある、そういうことを考えますと、もっと日本の外交が原点に立ち返って見直すべき時期が来ているのではなかろうか、そんなふうに思うのであります。  かつて日米安保体制の中においても、田中内閣による中国との平和条約の締結や、あるいはまた福田内閣当時においては多面的な外交を方針を立てて実行されてきたということなども考えますと、今一方的に我が国の外交がアメリカに追随している、従属していると言われるような外交や経済のあり方、関係のあり方ではなくて、もっと自主的な外交、そして対等の立場で主張すべきは主張する、そしてまた拒否すべき点があれば拒否する、そういう自主的な外交というものを従来にも増して強めていくべき時期が来ているのではなかろうか、そういうふうに思うわけでありますが、まずこの点についての今後の方針等についておただしをしたいと思います。
  136. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 お答えを申し上げます。  先生指摘のとおり、私どもも日米間の信頼関係を維持していくということは非常に重要なことだというふうに存じております。先生、現在日米関係が異常な状況にあるというふうに表現されたかと思いますが、確かに日米間には問題がございます。しかしながら、私どもの認識といたしましては、日米間には経済面を中心としまして非常に強い相互依存関係がある、あるいは先生指摘のとおり、日米間には日米安保体制というものがあって強固な同盟関係を維持しておるということでございまして、私どもの認識としては、基本的には日米関係の根幹というのは非常に強固であるというふうに考えております。  ただ、先生も御指摘ございましたけれども、大幅な貿易の不均衡でありますとか、対米投資の急増でございますとか、いろいろな状況から経済面を中心としまして調整を要する問題が多々あるということもこれまた事実でございまして、私どもとしましては、協力と共同の精神に基づいてこれらの問題を一つ一つ解決していく、そのことによって日米関係の基本を害することがないようにしなければならないというふうに考えておる次第です。  追従ということをおっしゃったかと存じますが、米国は依然として先進民主主義国の中で大きな力を持ち、かつリーダーシップを発揮してきておるということでございまして、他方において日本の国力の伸長あるいは日本の国際社会における地位の向上、こういうこともございますから、今後の方向といたしましては、米国と相協調し、協力し、より安定的な、より繁栄した国際環境の構築のためにともに協力して努力していくということが必要であらうというふうに私どもは思っております。私どもグローバルパートナーシップというふうに呼んでおりますが、東西関係の安定でございますとか、経済援助の問題でございますとか、あるいは地域紛争の解決でございますとか、もろもろの問題につきまして、米国とも協調しつつ我が国としても貢献していくべきものだというふうに認識をしておる次第でございます。
  137. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 日本とアメリカとの経済関係、中でも私が御指摘申し上げたいのは、アメリカにおける企業による経済の投資額というのは、日本より英国の方が、パーセンテージは今数字がありませんのでわかりませんが、かなり高いウエートを占めておることは事実であります。ずっと長いことそういう状態になってきておるわけであります。しかし、日本の投資額が英国と比べるとずっと低いにもかかわらずいろいろと問題が提起されているという点は、日本とアメリカとの関係が英国とアメリカとの関係に比して信頼感という点で非常に薄いものがある。信頼関係が薄いからこそより以上に問題視されているという事実を指摘しなければなりませんし、そういうことが日本にモラルがない、企業のモラルが一体あるのか、こういうはね返りともなっているのではなかろうかと思います。  また同時に、軍事面におきましても、かつていわゆる安保体制下で、冷戦時代は日本の状況をおんぶにだっこ、そういうふうに表現されてきましたけれども、今日では、むしろ日本の世界の第三位にまではね上がってきた巨大な軍備、西側陣営ではアメリカに次ぐ軍備、これだけの巨大な軍事力を備えるようになったその事実を見ながら、安保体制下でもっと強化すべきだ、もしアメリカ側にそういう発想があるのならば、もっと強化せよということがあるはずですけれども、しかしアメリカ側では、実は逆に日本が軍事大国になることを恐れる、こういう発言が当のアメリカの軍事責任者から相次いで出ている。こういう事態を考えますと、日本は安保体制下にあるといえども独自の考えでこれからの防衛戦略についても考えを出すべき時期に来ているのではないか。特に、世界的な冷戦の時代が終わって、総理も新デタントの時代だ、こういうふうに認識をいたしております以上は、そういう立場に立って新たな外交なり新たな防衛方針なり方策が出てきていいのではなかろうか、そんなふうに思いますが、御見解をお聞きしたいと思います。
  138. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 先生指摘のとおり、現在国際情勢が大きく動いておる、かつての東西間の対立を基調とした国際関係からむしろ対話あるいは交渉の方向に大きく物事が動いておるということはそのとおりでございますし、私どももそのことを歓迎しておるということでございますが、国際情勢が今後とも抑止をその安定のよりどころにするであろうということには間違いないだろうというふうに私どもは考えております。独自の政策があってしかるべきではないかというふうなお尋ねだったかと存じますが、私どもは国際情勢に伴いますところの不確実性あるいは不安定性、こういうものも考慮すれば、この地域の平和と繁栄あるいは日本自身の安全にとって今後とも抑止を維持していくということは非常に重要なことだというふうに考えておりますので、この観点に立って日米間の安保体制、これは今後とも堅持していくべきものであろうというふうに考えておる次第でございます。
  139. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 私はこれで対米国との問題の質問を終わるものではありませんが、新たな立場で御質問を申し上げたいことはアジアにおける我が国の安全保障体制、こういうことについてお聞きをいたしたいと思う次第であります。  アジアにおける安全保障体制につきましては、我が国が中心となって、アメリカに対してどうするのか、ソ連に対してどうするのか、あるいは中国に対してどうするのか、その他のアジア諸国に対してどういう対応をするのかということに大きくかかわってくると思うのであります。しかし、私は先だっての代表質問で若干触れましたが、ヨーロッパで今東西ドイツの統一が順調に進んでいるということは、過去のナチスの侵略戦争に対するドイツ国民の強い強い反省があって初めて今東西ドイツの統一が順調に進み、なおかつ全欧的な諸国民の理解と温かい御支援があるから進んでいるのだ、そういうふうに思います。そういう状態は、私どもアジアにおける今後の平和的な安全補償の枠組みをどうつくっていくかという立場から言えば極めて参考にすべきことではないのか。  先だっても、韓国の大統領がおいでになって国会で非常に温かい、私どもにとってはありがたい方針を出されたことは全く感銘を受けたところであります。しかし、私ども自身としては、韓国あるいはアジア諸国に対する過去の侵略戦争への反省がまだまだ薄いのではないか。そういうことを考えますと、これからのアジアにおける安全保障をつくっていくためには、国民の一人一人がもっともっと厳しく過去を反省し、行動でアジアの皆さんの理解を得るようにしていかなければならないものだ、そういうふうに考えるわけであります。  そういう立場で、まずソ連の極東における潜在的な軍事力が非常に強大だ、したがって、その強大な軍事力の削減なしにはこちら側の削減はあり得ないというようなことを防衛長官が言われたそうでありますが、この辺に関する真意をまずお聞きをしたいと思います。
  140. 石川要三

    ○石川国務大臣 先般、私が豪州、タイ、マレーシア、この三国を訪問いたしました際に、私がタイにおいて在留同胞の方々の会合に出て、その中で今御指摘のような発言を申し上げたわけでございます。  それの私の基本的な考え方でございますが、これは、今委員もいろいろと国際情勢、軍事情勢についてるるお話をされたように、今日、特にヨーロッパにおきまして大きな地殻変動が進んでいるわけでありまして、そういう大きな動きというものは、これは私ども自由主義陣営から見ると大変好ましいものである。これがアイ・エヌ・ジーでありますので、今後ともますます大きくそういう民主化への変動というものを期待するわけでありますが、そういう中において、アジア・太平洋地域とこれを比較すると、残念ながら、政治的な、あるいは経済的な、地政学的な角度から見て、ヨーロッパとは大変異なった様相がある。  こういう中において、私どもの、我が国の防衛というものをこれから考えなければならないわけでありますが、大きなアジア・太平洋の中で、何といってもこの軍事的な情勢の中で注目しなければならないのは、やはり要するにソ連の今日も潜在的に大きな軍事力、こういう一つの潜在的な脅威といいますか、そういうものは無視するわけにはいかない。確かにゴルバチョフ大統領もいろいろと軍縮につきましてあちらこちらで演説もしておりますし、現実にその一部があらわれていることは間違いないと思いますけれども、しかし、アジア・太平洋の地域のところだけを特に私どもが見ますると、やはりまだ依然として蓄積された軍事力というものは膨大なものである。しかも、その中身につきましても、量的には多少変動があるものの、質的には決して低下していない、こういうような面もあるわけでありまして、それは、実は正直なところ極めて膨大なものである。  こういうようなところから考えますと、最近ゴルバチョフ大統領がいろいろと指摘されておりますように、ソ連の軍事力について、防衛的なものであるとかあるいは合理的十分性の枠内に制限する、こういうふうにおっしゃっているわけでございまして、こういう膨大な軍事力というものを、まずソ連みずからが表明した考え方に沿ってこの膨大な極東ソ連軍について早急に実質的かつ大幅な削減をしていただきたい、こういう希望も当然私は持っているわけでございまして、そういうものを前提としての発言を申し上げたわけでございまして、その点につきましての御理解を賜りたい、かように思うわけであります。
  141. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 今いろいろお話がございましたが、アジアの安全保障というものをつくっていくためには、世界の流れが変わってきた今日、冷戦時代の発想を乗り越えて対話と協調によって新しい世界地図を模索する動きをすることがアジアでどうしてもやっていかなければならない我が国の使命ではないのか、私はそんなふうに思うのであります。そういう点からいいますと、単にアジアにおけるソ連の潜在的な軍事力の脅威、これだけに固執をして、我が国の防衛力の現状あるいはアメリカの軍事力、そういうものを固定化しておくというのは、それは鶏が先か卵が先かという議論に等しいものではないのか、そういうふうに私は思うのであります。  まず、アジアでの安全保障を本当にソ連との間につくっていこう、こういう御意思があるならば、やはりソ連に対しては具体的にアジアにおける兵力削減の問題を堂々と要請すべきではないのかと思います。アメリカとソ連の関係をいえば、もうマルタ会談以降大変な変わりようだ。今アメリカではソ連の国内問題ともいうべきリトアニアやエストニアの独立問題でゴルバチョフ大統領をより積極的に支援しているというようなあの事実は、冷戦構造の中では恐らく夢想だにし得なかったことではないのか。そういう変わりようを考えた場合に、やはり我が日本においてもそういう状況の変化をとらえてより積極的に要求するものは要求する、またみずから正すものは正すという姿勢こそ大事であろうと思います。  まず、ソ連に対してこれから兵力削減へのそういう要請をする考えがあるかどうか。また同時に、アメリカに関しても、基地の縮小とかあるいは兵力の削減とかということが報道等で流れていますが、アメリカの極東におけるそういった基地や兵力等についても、より積極的に削減への、あるいは縮小への我が国の意思を具体的に行動にあらわすべきときではないのか、そういうふうに思いますが、お聞きをしておきたいと思います。
  142. 石川要三

    ○石川国務大臣 先生の御指摘のように、ソ連の軍事力をただ一方的に、固定的に考えて、それのみに頼ってのアジア・太平洋のいわゆる軍縮、平和というのはいかがなものか、それはそういう一方的な、固定的なことだけでアジアでより軍縮が促進されるというふうには私も考えておりません。ただ、私は防衛庁長官という立場で、一つの現実の軍事力の存在というものを前提にして申し上げたわけでございます。  したがいまして、これからのアジア・太平洋地区でさらに平和が促進されて、そしてお互いに軍縮の道が進められるようにするには、やはりそれなりの外交的な努力というものは当然必要ではなかろうか、こういうふうに思っております。むしろそれは外交的な努力ということでございまして、既に予算委員会などでも外務大臣から再三御答弁されておりますように、我が国が我が国の独自の立場から特にアジア・太平洋地域のいろいろな問題に積極的に外交努力をしているということは委員も御理解をいただけるのではないかな、こういうふうに思うわけでございます。  さらに今日の防衛力というものは、再三申し上げるようでございますが、我が国は、昭和五十一年に策定されたいわゆる防衛計画の大綱、繰り返すようでございますが、これは平和時における最低の防衛力の水準でございまして、要するにこれを今日しっかりと維持することが、かえってアジア・太平洋地域における安全にも寄与しているのではなかろうかな、私はこういう見解を持っているわけでございます。
  143. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 防衛庁長官答弁もわからないわけではないですが、しかし、いずれにしましても今日までの我が国の防衛力というのは、冷戦下、極めて厳しい米ソの対立の時代に策定されたものであります。今、世界的に大きく変わろうとするとき、アジアの安全保障をどう構築していくのか、さらにアジアの諸国の信頼度を我が国が高めていかなければならないという大きな使命がある以上、新たな視点で防衛力の見直しが必要だ。なぜなら、安保体制下で、ついこの間までは確かに防衛庁長官の言われたとおりでありましたけれども、今やアメリカにおいてチェイニー国防長官が日本は軍事大国化のおそれがあるということを暗に表明されている事実を新聞記事でも見ているわけであります。あるいはまた、沖縄の軍事基地の司令官が、いわゆる再軍備への瓶のふただ、こういうような発言をするなど、従来とはまず変わった角度で急カーブにアメリカの発言というものも聞こえてくる、そういう状況を考えれば、今、平時における必要な最低限の軍備だということは私はわからないわけではありませんけれども、これだけ状況が変化をして、世界から、アジア諸国から日本の軍事大国化という問題が現に指摘をされている以上、もうこの辺で日本の軍備のあり方、世界第三位に位する膨大な軍事力の再編を縮小の方向で再検討するべき時期に来ているのではないか、そんなふうに私は思いますが、いかがでしょう。
  144. 石川要三

    ○石川国務大臣 いろいろと今先生からの質問の中で触れられましたアメリカの我が国の防衛力への認識でございます。これは先生あるいは誤解されているのじゃなかろうかと思うのですけれども、確かに最近はアメリカのいろいろな軍事関係の方々もいろいろなことを言っておることも事実でございます。だけれども、最終的に我が国の防衛力が軍事大国云々というそういう認識は恐らく間違いではなかろうかな、私はこういうふうに思っております。それからまた、さらに我が国の防衛力が非常に大きくなりつつあるので、アメリカの存在がむしろ瓶の栓になるのだ、こういうことを言われた方もおりますが、これは基本的に米政府でもってはっきり否定されております。そういうことでございますから、何かその点をちまたで非常に言われておりますが、それはアメリカの正式な見解ではない、こういうふうに私は基本的に受けとめているわけでございます。  いろいろなチェイニーその他の軍当局の関係者の話の末尾には、やはり依然として米国初め同盟国にとっては今日の極東のソ連の軍事力というものは相当の潜在的な脅威であるということがむしろいつも言われているわけでございまして、この点については、攻撃的な意図は確かに削減をしつつある、しかし、能力的な面におきましては依然として大きな潜在的脅威であるということにつきましては、これは我が国も米国も見解が一致しているところでございますので、その点を先にはっきり申し上げておきたい、かように思います。  そして、我が国の今日の防衛力というものは、東南アジア諸国におきまして防衛費の額が大きいという認識をそれぞれの国でも確かにしているということは私も承知しております。しかし、それが要するにかつての日本のような軍事大国になる、そういう脅威論、こういうものはオフィシャルな立場では出ないのは当然といえばそうかもしれませんが、先般私もタイその他東南アジアを回ってみて、政府の高官の方といろいろとひざを交えお話をしてみると、私が出かける前に想像していた以上に我が国の防衛力については実は大変御理解を示された、こういう点もございます。したがいまして、今回私がそういう旅をしたことは、私自身としては大変効果があったな、こういうふうに思うわけでございまして、今後もできるだけそういう機会をとらえて、友邦近隣諸国につきましては、我が国の防衛基本政策につきましていろいろとお話をして、御理解をいただきたい、かように考えているわけでございます。
  145. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 今チェイニー国防相の言われたことについて否定をされておりますが、その点についてはアジジアの諸国が極めて脅威を感じているというような表現、えんきょくな発言であるけれども、やはりその裏に日本の軍事力、特に科学技術の分野のすばらしい日本の進歩がアメリカにとっては大変な脅威に受けとめられている、そういうようなことも私はこの際指摘しておきたいと思います。  今、長官がアジア諸国をお回りになられて非常に好感を持って迎えられてきたというお話でありますが、それはそれなりに結構なことだと思うのでありますけれども、一方中国の鄧小平さんがある外国の首脳に、日本が再び軍事大国化の道を歩むおそれがある、そういう発言をしたという報道もあるわけであります。したがって、アジアでそういうような声が出ないように、もっと積極的に平和への努力をされなければならないのではなかろうかと思います。予算委員会で、あるいはまたインド等の訪問をした際にも、海部総理が、過去の冷戦構造の名残を取り去り、対話と協調による世界の新秩序模索の動きがアジアにも連動されなければならないという意思を表明されているというふうに聞いているわけでありますが、なおさらのことアジア諸国に対する対応というのは新たな視点から再構築しなければならないのではなかろうかと思います。  そういう立場に立ちまして、もう一点私は中国との関係についてお聞きをしておきたいと思うのであります。  中国との関係では、具体的に申し上げますと、第三次円借款は天安門事件によりまして凍結されて今日まで参っておるわけでありますが、私は、この凍結は速やかに解除されたらいかがなものかというふうにお聞きをしたいのであります。それは、一つは、世銀が一九九〇年二月八日、内モンゴルの地震復旧対策費として三千万ドル、また同じく農業開発等に対して六千万ドルの融資をした、あるいは西独など欧州の一部も部分的に再開をしている、あるいはまたアメリカもつい最近最恵国待遇を一年延期をするということに踏み切ったという報道があるなど、中国を取り巻く環境の変化を見れば、やはり我が国が隣人として最大に中国との関係を大事にしなければならないということは当然のことでありますから、しかも、隣人としてこれから最大のパートナーとしてやっていく中国に対して、より積極的に前向きにこういった凍結解除を通じてお互いの信頼関係を深めていくということは、我が国にとって、またアジアの安全保障にとっても極めて重要ではないのか。そういうふうに考えますと、ぜひ速やかな凍結の解除をしていただきたい、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  146. 畠中篤

    ○畠中説明員 お答え申し上げます。  隣国中国の安定と発展は、この地域及び世界の平和と安定に密接なかかわりを有しております。我が国といたしましても、中国の近代化努力に対してできる限りの協力を行おうというのが基本的な立場でございます。  先生ただいまお尋ねの第三次円借款につきましては、本年一月、中国の国務委員鄒家華が訪日いたしました機会に両国間で意見の一致を見ましたとおり、現在、九〇年度の新規案件に関します予備的な準備行為として事前調査を鋭意進めておるところでございます。最終的なコミットメントにつきましては、今後の諸状況をさまざまな角度から総合的に勘案しつつ主体的に決定していくこととなります。我が国といたしましては、日中双方の努力によりまして日中関係改善のプロセスに弾みがつき、第三次円借款を実施するための環境が整ってくることを期待しております。
  147. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 このことと関連しながら、私はODAのアジアにおける援助のあり方についてお聞きをしたいと思います。  前の当委員会におきまして、ミャンマーの国情について、また経済援助の内容等についてお聞きをいたしました。そして、おととい総選挙が実施され、即日開票が今進んでいるさなかだと思いますが、私ども質問に対する答弁で、祝福されたような選挙であってほしいし、そのように政府に対して申し入れを内々したいと思います、こういう答弁をされたわけであります。その選挙の状況はどういう状況であったのか等についてお聞きをしたいと思います。
  148. 川島裕

    ○川島政府委員 お答えいたします。  即日開票で今開票が進んでおるところでございますけれども、野党側の国民民主連盟というのが少なくとも都市部の即日開票を見る限り大変な優勢に立っておるという状況でございます。それで、この選挙、何分にも三十年ぶりの選挙というものでございますから関心を集めていたわけですけれども、ここ一週間ぐらいはそういう国際社会の関心の高まりをミャンマー側も意識して、いろいろな海外からのジャーナリストを自由に国内に入れて選挙の取材を自由に許すという状況でございまして、印象論でしかないのですけれども、選挙の実施自体は自由かつ公正な形であったと見る向きが多いようでございます。  それで、農村部の票や何かがあいて最終的に結果が出るのが三週間ぐらいかかるものでございますから、そこから先がどうなるかということでございまして、いずれにいたしましてもこれは制憲会議、憲法をつくる会議の選挙で、集まった会議で今度憲法を制定されてそれから新政権がどうなるのかということで、その選挙結果が直ちに政権交代とかいうふうにはならないわけでございますが、いずれにいたしましても、この久しぶりの選挙がより民主的な政体の成立の方向に向かっていくことは何と申しましても望ましいわけで、そういう方向に動くことを強く期待しつつ、もうちょっと様子を見守る、こういうのが現状でございます。
  149. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 国の方ですべての政治指導者の方々が参加できるような祝福された選挙であってほしい、そういう内容の連絡を伝えてあるというような答弁でありましたが、そういうこともないままの選挙であったということを考えますと、まさに異常な選挙と言わざるを得ないと思います。まあ選挙の結果はどうであるかはわかりませんが、野党がとりましてもしばらくは軍事政権が続く、どういう状態になるかわからぬということのようでありますから、当分ODAの援助等については見合わせていってほしい、そういうことをお願い申し上げまして、いろいろまた御質問申し上げたい点もあったわけでありますが、時間が参りましたからこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  150. 岸田文武

    岸田委員長 続いて、上原康助君。
  151. 上原康助

    ○上原委員 最初に、ちょっと質問に入る前に委員長に注文がある。質問のリズムが狂ってもいけないのですが、実は私も内閣委員会随分長いけれども、食事時間も置かずに委員会運営をするというのはいささかどうかと思うのです。これは委員長、お顔を見ると仏様みたいな顔をしていらっしゃるが、ちょっと理事会だけでそういった運営をやるというのはいささかどうかと思うし、関係者の皆さんのこれは人権問題ですよ、正直申し上げて。もう少し質問をする側の時間帯、いろいろ流れというものも御判断をいただいて、ぜひ是正をしていただきたい。きょうで三日続きですからね。もしこういう運営をするなら、私たちは、次回から社会党は食事時間のことについては協力しかねる。この点を篤と御判断を願いたいということを申し上げておきたい。
  152. 岸田文武

    岸田委員長 委員長から念のために申し上げておきますが、あの際、理事会におきまして十分協議をして時間の調整を図った結果、異例のこととしてああいうふうな形をとらしていただいたわけでございます。今後もまたよく理事会で御相談をしながら運営を進めてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  153. 上原康助

    ○上原委員 それはわからぬわけでもありません。例外の例外は認めるのですが、二日も三日もこういうやり方というのはこれは例外と思えませんので、委員長がそうおっしゃるから、あえて要望と注文をつけておきたいと思います。  そこで、まず法案についてお尋ねをさせていただきます。  今回提出をされました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案ですが、これも議論をするといろいろ問題がございます。私たちもそんなに十分勉強したわけではありませんが、なかなか納得しかねる面も多いわけです。しかし反面、この自衛官の若年定年退職者の年金給付の問題については、ここ数年、かなり大蔵委員会あるいは本内閣委員会、時には社会労働委員会等で議論をされてきた経緯があることもわかります。そういう総合判断の上で私たちも本法案に対する態度を決定をする運びになったわけですが、そこでまず防衛庁の職員の給与等に関するという、従来の防衛庁職員給与法にわざわざ「等」をつけたその意味は何ですか。この点からもう少し明確にしておいていただきたいと思います。
  154. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 御承知のとおり、現在までの防衛庁職員給与法という中で規定されておりましたのは、防衛庁の職員の給与、それから退職手当あるいは共済年金、退職年金、それから公務災害補償といったようなことについて規定がされていたわけでございまして、給与という名で代表できる範疇についてこれで規定をしていたわけでございます。しかし、今回この特別給付金というものを新たに入れることによりまして、給与という範疇、今までみたいな状況での代表をさせるには若干無理があるということから「等」を入れさせていただいたということでございます。  なお、これはこの防衛庁職員給与法の改正のこういう最初の機会でもございますので、そういうことで入れさせていただいたわけでございまして、一般職給与法につきましても、同様に、休日等を入れたときに一般職給与法という名称を休日等を入れたことに伴いまして一般職の職員の給与等に関する法律というふうに改正した経緯もございます。
  155. 上原康助

    ○上原委員 それはまあ私もある程度わかりなからというと失礼ですが、お尋ねをしているわけですが、これとの関連でもう一点確かめておきたいことは、これはまあ給与法というにはかなり無理のある制度ですよね。年金でもない、給与でもない、若年定年に対する二回に分けての一括支給ということですから、ある意味では性格的にいうとむしろ退職臨時一時金みたいなものだ。なぜそうなるかという是非は別ですよ。だから、そういう解釈をする意味で「等」をつけたと思うのです。  もう一点ぜひ明らかにしておいていただきたいことは、こういう自衛官の性格上といいますか、集団的に一時期に大量、多数の若年定年者が出る、これは他の公務員の場合と違う立場に置かれている、だからこういう制度が必要になったということだと思うのですが、まあ我々から見ると必要やむを得ざる措置だと判断をしております。  そこで、こういう特例措置を今回制度として導入したからといって、自衛官は特殊な勤務条件なんだから、特殊な集団だからということで次々と特例措置を設けるということはよもや防衛庁もお考えになっておらないと思う。そう理解をしたいし、また政府全体としても、公務員制度という範囲からするとそう特例特例でいけるはずもないと私は理解をするのですが、その点は重要な点でありますので、ひとつ最高責任者の防衛庁長官から明確にさしておいていただきたいと存じます。
  156. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 自衛官の処遇の問題に関しまして、先生もよく御承知のとおり、ただいまの御提案申し上げております制度は、一般公務員の定年が一般的に六十歳であるのに対して、唯一の例外として自衛官かこれより若い五十三歳を大宗とする若年定年であることから来る不利益を補うということでございますので、例外的な措置としてお願いを申し上げているわけでございまして、そのほか処遇に関しては一般的に一般職の国家公務員の給与に準じてこれまでも措置してまいりましたし、今後もそういう形で進められるものと私自身も思っております。
  157. 上原康助

    ○上原委員 よくあるでしょう、例外を設けたんだから、前例があるんだから、次また何かが出たらこれも例外としてやりましょうや、そういうふうに拡大することはありませんね。そのことはしっかり防衛庁も押さえた上でこの特例措置というものは出しておりますね。そういう理解でいいですかということを私は聞いているわけです。
  158. 石川要三

    ○石川国務大臣 そういう理解でよろしいと思います。
  159. 上原康助

    ○上原委員 ここはあえて何々と私も特定しませんけれども、回りの早い人はよくわかると思いますから、その点は大事なポイントだと私たちは考えておりますので、今の大臣の御答弁をしっかり受けとめておきたいと思います。  そこで、余りこのことにたくさん時間を費やすわけにはいきません、きょうは久しぶりですから、防衛論争も少し石川長官とやってみたいと思っているのでそう深入りはしませんが、同時に問題点として指摘をしておきたいことは、確かに若年定年制の問題をどうするかということで防衛庁がこの数年頭をいろいろひねったというと変ですが、使ってこられたことは私もわからぬわけではないです。この法案を出した前提としては、たしか内閣調査室でおつくりになった資料にもありますように、研究会というのが、提言を出されているわけですね。これを受けて法制化したという運びになっているようですが、この中身全体について私たちが是認をするという立場はとっていないということもぜひ含んでいただきたいと思います。これはどう考えても、何とか自衛官の若年定年者の年金問題を解決したいという防衛庁が、苦肉の策として、大蔵のOBを使ってというか集めてお手盛り答申をさせたような感なきにしもあらずでありますので、今後も、さっき申し上げたようにこういう手法をどんどんとられるとこれは困る、その点も指摘をしておきたいと思います。この中にもなるほどという箇所もあったから、我々も生活権というかそういう立場から今回理解をしたいという立場になりましたが、こういうやり方というのは余りフェアでないという点も指摘をしておきたいと思います。  そこでもう一点は、これは後ほどの防衛問題と関連するのですが、なぜ自衛官の年金問題が非常に窮屈になったかというと、やはり一%問題と無関係ではなかったということ、定年者というか退職者を昭和五十六、七年あるいは六十年前後まで相当先延ばししてきたはずなんだ、一%の枠におさめるということで。これは後で具体的に指摘をしてまいりますけれども、皆さんは、正面装備を抑えて後方支援体制を充実していく、あるいは自衛官の処遇についてもっと手厚くしていくということは、歴代の総理も歴代の防衛長官もみんな言ってきた。だが、やっていることはさほどやってきていない。我々はそれをどんどんやれという立場はもちろんとりませんが、大変遺憾に思うことは、もう少し公務員としてほかの公務員と同等に処遇していかなければいかないと常識的に判断される分野についても相当今日まで手抜かりがある。それはどういう言われ方をしているかというと、みんな社会党なり野党が防衛費に反対しているからそういう処遇ができないということを、悪く言えば宣伝をしている。私はこの耳で直接いろいろなことを実際に聞いた。こういうのは過去のことは過去のこととして、お互い政治をしておりますからいろいろな論争はありますからある程度理解はしますが、我々はそう理解しませんね。だから、先送りをしたがゆえに今日大変一時に退職者が出る、したがって、短く納めて高く保険料は払って多くの人が早くとるから、これは財源にいろいろ支障を来すのは当たり前ですよね。国鉄の前例もあるし、たばこの前例だってある。だが、その責めをすべて社会党なり野党に負わすというのは、フェアでもないし、ちょっとおかしいですよ。その点も指摘をしておく。これは答えがあればお答えになってもいいです。  そこで、いろいろ今申し上げたようなこともありますが、確認をしておきたいことが何項目かありますのでお尋ねをいたしますが、今指摘をした点を含めてお答え願いたいと思います。  今度の制度導入によって、自衛官の職務内容から定年延長が可能な職種等についてはさらに延長の努力を行う御方針があるのかどうか、その点をまず明らかにしておいていただきたいと思います。
  160. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 自衛官の定年年齢は、その職務の特殊性から階級ごとに定めておりまして、一般に若年定年となっているところでございます。  今般、自衛官若年定年退職者給付金制度の検討を契機といたしまして現在の定年年齢につきまして検討した結果、全階級の一律延長は適当ではないと判断いたしましたが、知的能力をより要求される将、将補及び比較的体力を要求されない職務の六十歳への定年延長、それから装備の近代化等を踏まえた曹の一律五十三歳という定年延長を決定いたしまして、人材の有効活用等を図ることとしたものでございます。  そのほかの職務につきましても引ぎ続き慎重な検討を行いまして、可能なものがあれば必要な施策を講じた上で今後逐次実施していきたいと考えております。
  161. 上原康助

    ○上原委員 これは慎重に検討なさるということですが、定年制の延長問題あるいは六十歳年金の一元化問題、場合によってはさらに支給年限が、もちろん私たちはそのことについては賛成をいたしませんが、延びる可能性もある、政府の方針として案を持っている。そういう面からすると、今の点は五十三で固定化するのはいかがと思うので、そういう点も含めてお考えになる必要があると思いますね。  それと、我が国の自衛官の五十三歳の定年制は諸外国の軍隊というか軍人と比較してどういう関係、関連になっているのか、その点も明らかにしておいていただきたいと思います。
  162. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 各国軍人の定年は必ずしも明らかではございませんが、自衛官の大部分は一尉から曹長までの階級で五十三歳で定年を迎え退職していくことからしまして、これらの階級につきまして防衛庁として承知している限りで申し上げますと、ソ連、カナダ及び韓国におきましては現行の自衛官の定年よりも低くなっておりまして、フランスでも一般に自衛官よりも低くなっております。それから、西ドイツとの比較ではほぼ同等という状況でございます。また、米国及び英国では現行の自衛官の定年年齢よりも高くなっておりますが、これらの国々につきましては在官年数等による制限もありまして一般的には四十歳代で退職するものと承知しておりまして、総じて申し上げますと、自衛官の定年年齢は諸外国に比べて特に低い水準とはなっていないと理解しております。
  163. 上原康助

    ○上原委員 国際比較が必ずしも妥当かどうかという疑問ももちろんありますが、やはり一応各国の動向がどうかということも念頭に入れる必要があると思いますし、同時に、この種の年金あるいは処遇等の問題についてももう少し資料等を具体的にこの種の法案を出す場合は提示をしてもらいたい、これも要望しておきたいと思います。  さらに、今回の改正によって自衛官の年金支給開始年齢をおくらせるわけですが、その場合に、自衛官の保険料負担は一体将来どういう傾向になるのか。この点が一点。  もう一点は、自衛官の五十三歳という若年定年制を前提とすれば、これまでその掛金率が著しく過大だということだったのですが、過大になるのを防ぐことができるのか。国家公務員共済年金制度の一員として財政単位を一元化することが迫られていると聞いておりますが、その関連においてはどうなるのか。この二点についてお答えをいただきたいと存じます。
  164. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 自衛官の保険料率の算定単位は一般組合員とは別に定められております。これは、自衛官については若年定年制がとられておりましてその退職年齢が一般公務員と異なること等が考慮されたものであります。今回、自衛官について若年定年退職者給付金制度を発足させることによりまして、自衛官の共済年金の支給開始年齢は平成七年には一般組合員と同様六十歳となるわけであります。したがって、支給開始年齢が同じになることを考慮しますと、自衛官の掛金率についても近い将来見直されることになるものと考えております。  御質問の第二点でありますが、今回、定年等で退職する自衛官には若年定年対策として自衛官若年定年給付金制度が設けられることに伴いまして、定年等で退職する自衛官について定められておりました支給開始年齢の特例は、ただいまも申し上げましたとおり、経過措置を設けて廃止することといたしております。これにより、自衛官の共済年金は支給面については一般公務員と同様の制度となるわけであります。  一方、自衛官については若年定年制をとっているため掛金を納める期間が短いという点は依然として残るわけでありますが、年金額は組合員期間に応じて支給額が決定されることとなっておりますので、自衛官の掛金率及び財政単位についても国家公務員等共済組合制度の中で近い将来見直されるものと考えておりまして、この点についても関係機関調整を行ってまいりたいと考えております。
  165. 上原康助

    ○上原委員 そこで、今防衛庁の方から御答弁があったことと関連をさせて大蔵省にもお尋ねをしておきますが、自衛官の共済制度に対して国家公務員共済制度としての支援というか手だてができないとする理由はどういうところにあるのですか。
  166. 乾文男

    ○乾説明員 自衛隊の精強性維持のためにとられております自衛官の若年定年制は、議員御案内のように年金問題に関係してまいらない、いわば国の人事管理上の問題でございます。したがいまして、国家公務員共済組合制度を初めとする公的年金制度の中で調整を行うことには基本的になじまない問題でございますので、そのような観点からの支援を行うことは困難である、かように考えているわけでございます。
  167. 上原康助

    ○上原委員 どうも人事政策上のと言われるとちょっとひっかかりもあるし、我々は精強性を著しく向上させるためにこれが必要とは見ておりませんので、そういう側面だけではないと思うので、考え方はわかりましたが、その点ちょっと問題点として指摘をしておきたいと思います。  大蔵省にあと二点あります。  これは仮定ですが、仮に政府の考えておられるとおり将来一般公務員が六十五歳支給開始となった場合に、自衛官の取り扱いはどうするおつもりなのかというのが一つです。  もう一点は、公務員共済年金制度における特定職種の早期受給制度を維持しない限り、厚生年金における坑内員あるいは船員に対する五十五歳支給開始の特別措置とのバランスが保持できない、したがって年金制度一元化ということに支障を来すというか、反することになりはしないか、こういう見方もあるわけですが、この点についてはどうお考えなのか明らかにしておいていただきたいと存じます。後半の部分は厚生省に。
  168. 乾文男

    ○乾説明員 御質問は二つございましたが、まず一般公務員の支給開始年齢六十五歳の御質問に関してお答え申し上げたいと思います。  国家公務員等の共済年金の支給開始年齢の問題に関しましては今後検討を進めることといたしておりますけれども、自衛官につきましても、公務員の支給開始年齢に関する検討一環として検討を行われていくものと考えております。
  169. 阿部正俊

    ○阿部説明員 厚生年金の中で船員保険については支給開始年齢を他の一般の方々とは違った取り扱いにしているということは、確かに先生指摘のとおりでございます。これは船員保険制度が従来独立した制度でございまして、昭和六十年に厚生年金に統合した際のいわば過去の経緯等もございまして現在そういった扱いになっているわけでございます。ただ、そうだからといいまして、公的年金全体の一元化ということを考えた場合に、それをそのままの形で残すべきかどうかというのは全く別の問題ではなかろうかと考えております。  公的年金の一元化というのは政府全体の一つの方針になっておりまして、あくまでも加入者の給付面、負担面を公平な内容にしていくのが一つの眼目でございますが、そうした場合にそれぞれの制度でどういった中身にするのが一番公平なのかという観点から改めて検討されなければならぬ一つのテーマではないかと考えておるところでございます。
  170. 上原康助

    ○上原委員 今厚生省の方も既に御答弁になった感もしますが、厚生省にもう一遍。  今度、自衛官の場合、公務員共済制度におけるいわゆる特定職種の早期受給特別措置というのが廃止になるわけです。被用者年金制度の一元化を推進する責任当局という立場から見て、この一元化に支障を来すことにならぬのかどうか。これは形式論的といえばそうかもしれませんが、そこいらはどうお考えですか。
  171. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答えします。  公的年金制度の一元化というのは、先ほど申し上げましたように将来の大きな一つの課題になっているわけですが、これはあくまでも公的年金制度全体を通じた給付面、負担面を公平な中身にするというのが主眼でございまして、そうした観点を認識しながら今回の制度の改正を拝見いたしますと、これはあくまでも自衛官という早期定年を余儀なくされる方に対しまして年金制度とは別な観点から特別の制度が設けられるということでございまして、それに伴いまして年金制度の方での手直しをするということでございますので、公的年金制度という面から見ますと、一元化という観点も含めて特段の支障はございませんし、どっちかといいますとそういった方向にむしろ沿ったものではないかというふうに認識されるのではないかと考えておるところでございます。
  172. 乾文男

    ○乾説明員 今厚生省の方から答弁がございましたように、私どもも同様に考えているわけでございまして、共済年金制度の立場だけから申しましても、現在一般の公務員と自衛官とでは支給開始年齢が違っている、それが今回この特別給付金制度が設けられましたことに伴いまして、反射的にこの共済法上の自衛官の特例を廃止して一般公務員にそろえていくということは、むしろ給付と負担の一元化を図っていくという公的年金一元化の方向に沿っているものではないかというふうに考えているわけでございます。
  173. 上原康助

    ○上原委員 それはそうしたいと思って、皆さん、防衛庁調整してやっただろうからそう言わざるを得ないと思う。そこで議論しようとは思いませんけれども、さっき指摘をした厚生年金における坑内員あるいは船員の支給開始年齢のそういう面からしても、やはりそういう立場にある人が問題視する面もあるということと同時に、これは防衛庁にも、私が最初に言った、特別扱いはこの件はやむを得ないかもしらぬがほかの面で拡大したら困るよというのは、今度のことについても、やはり民間部門から見ますと、大臣、これは相当手厚い優遇じゃないかという見方があると思いますよ。例えばバスの運転手さんであるとか、定年制はあっても体力的にそこまで、定年まで働けない、若年定年というのが各企業においてあるわけですね。そういう企業においてはやはり年金というのは減額支給なんです。そういった国民、サラリーマンもいるということを十分念頭に置いていただきたいと思います。若干勉強不足の面もありますのでそれほど解明されたとは思いませんが、今指摘をしたことについては防衛庁大蔵省それから厚生省、特に年金担当省として十分な御配慮、御検討できる面はやっていただきたいことを改めて要望しておきたいと思います。  そこで、私はもう一点聞いておきたいわけですが、この自衛官の公務災害補償について、実はある新聞にたまたま大きく載っておりますのが私の目にとまった。大変不幸なことですが、去る二月十七日の未明、宮古島近海で、いわゆる救急患者を輸送するために派遣された陸上自衛隊の第一〇一飛行隊の連絡機LR1というのが突如行方不明になって、結果として海中に墜落したという不幸な事故が沖縄県であった。このことをお尋ねするわけですが、三人の自衛官と同乗しておったお医者さんがお亡くなりになった。これは亡くなった本人はもとよりその遺族のことを思うと、こういった救急医療というか、あるいは災害派遣という面では、とうとい生命を犠牲にしたという面からすると考えさせられる面があったわけですね。  そこで、後で説明を受けると、自衛官の場合もほかの公務員と同等の処遇がなされているという間接的な説明があったわけですが、この報道によりますと、消防士さんであるとか警察官であるとかという場合と非常な格差がある。その点は災害派遣をされる自衛官にとっては非常に納得しがたいという意見もあるやに聞いておるのですが、その実態は一体どうなっているかということと、こういうことについてはもう少し、別に他の公務員より手厚くせよとまでは言いませんが、同等の補償というか、そういう面はやるべきじゃないのか、これは国民的感情だと私は思うのです。この点ひとつ御見解を聞いておきたいと思いますし、足りなければ、こういうことについてはやはり改善措置をとるべきだと私たちも思いますので、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  174. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 貴重な御指摘を賜りましたが、ただいま御指摘の問題は、国家公務員の補償の問題とは別に、いわゆる賞じゅつ金として国から見舞い金的なものが出る、そのことを指しておられるものと思います。これにつきましては、国家公務員としての制度としては他の公務員と全く同様でございます。ただ、新聞記事にございました警察官あるいは消防士というものに比べて、そちらの方が高いというのは、警察官、消防士は地方公務員でございますので、国から同等の見舞い金的なものが出ると同時に地方公共団体において独自に設定しております同じような見舞い金的なものが同じ程度の額が出るということから、地方公務員たる警察官、消防士については、結果として国家公務員である自衛官よりもかなり高いものになるというのが実態でございます。  なお、それら共通の国家公務員に適用される賞じゅつ金の額については、ただいま申しましたとおり国家公務員制度としては同等でございますけれども、その額につきましては、ときどきの情勢を見ながらこれまでも数年に一回程度改定をしてきておりまして、今後とも実態をよく踏まえながらそこを検討させていただきたいと思います。
  175. 上原康助

    ○上原委員 まあこの程度にしておきたいわけですが、ただ、そうであれば、そういった地方公務員の場合と国家公務員である自衛官の場合とでこういう補償のあり方において異なるということを国民に説明をしてもらわぬと、そういうのも何か大変誤解を与えている節があるのじゃないのか、こう思います。たまたま地元県内でそういう大変不幸な事故があったということと、ちょうどそのころある新聞を読んでいますと大変な格差がついているということが私の目にとまったものですから、内容的にはいろいろあるようですが、そういう面、常識の線でというか、だれが見てもこれは不公平がある、不平等さがあるということについては是正措置を図ってやぶさかでないと思いますので、その点指摘をしておきたいと思います。  そこで、大臣にこの給与法案のことでもう一度御見解を聞いておきたいわけです。  幾つかの問題点も指摘をしてお尋ねをしたわけです。きょうは金目の話は、予算の問題はあえて触れませんでしたが、今後相当の予算措置を伴うことになりますね。そうしますと、当然防衛費全体の枠を押し上げる結果を招く要因にもなる。大きいか小さいかの判断の基準はあるでしょうが、五、六百億ということになりますとかなりのものになる。後ほど防衛問題でお尋ねするときにも具体的に指摘をしてみたいと思うのですが、やはり今後の我が国の防衛政策という面において、歴代の防衛庁長官なり内閣が言ってきたように後方支援、人的面の処遇についてある程度やっていくというのであるならば、正面装備であるとか、不必要な、不要不急の既定概念、方針に基づいたあり方というのは、ここで防衛庁としても十分に再吟味、検討する段階にあると私は思うのですね、こういうもので相当の予算が伴うのであれば。  今まで、その努力、誠意が我々から見ると見られないのです。我々もできるだけそういう防衛問題というものの国民合意を形成していくように、あるいはこういう公式の国会の場においても、既存概念だけでなくしてかみ合う論議というものをもっと前向きにやってみたい。それがある面では自衛官の不満というかそういうものをなくしていくし、あるいは社会党なり野党に対する理解というものもできる分野も出てくるかもしらない。また国の安全保障全体から考えてもそういう方向が望ましいのではないかという気もしながら、できるだけ努力をしているつもりなんです。  しかし、我々がそういった努力をしようと誠意を見せても、防衛庁の方がもう何を言うかというような姿勢ではいけないと私は思うのですね。もう少し新たな視点に立って、新たな現状分析というか、今日的国民のいろいろな声というものに耳を傾けた上での政策転換があってしかるべきだと思うのですね。  ですから、こういうことをおやりになるのも結構なんだが、同時に、一方の防衛費全体の枠というか総予算の面においてどれだけ本当に節約できるかということについても十分に考えるべき段階だと思うのですね。まず、私は、この給与法案の第一段階の締めくくりとして長官の率直な御見解を聞いておきたいと思うのです。
  176. 石川要三

    ○石川国務大臣 率直な私の考えを申し上げたいと思います。  まず、今回提案しております若年退職者の特別給付制度、これがもしお認めをいただければ非常に画期的な一つの処遇改善の政策だ、私はこのように評価しているわけであります。この点について、きょうは特に上原委員からも大分理解ある発言をされましたことは、私は大変うれしく思うわけでありまして、そういう皆さん方の大きな御理解があった、やはりこういうことが今後あるならば、先ほど冒頭で言われたように、何かこういうことをやりたいと思ってできないと社会党や共産党のせいばかりにするというけれども、そういうことが自然解消するのじゃなかろうかな、私はこういうふうに思います。  それから新しい次期防についての考え方につきましては、もう予算委員会などでも申し上げましたとおり三点ばかり挙げております。一つには正面の量的な拡大よりも質的な面、それから二点目にはそういう正面装備の効率的な面からむしろ通信とかそういう点に重点を置きたいとか、あるいは三点目には今申し上げました後方の自衛隊の隊員の処遇等につきまして重点的に配慮していきたい、この三点を申し上げましたが、まさにそのようなことの一環であります。  問題は、口はそういうふうに言っても実行が伴うかということでございますが、私は実行に全力を尽くしていきたい、このように思いますので、これからもいろいろと御指導やら御鞭撻を賜りたい、こんなふうに思います。  いずれにしましても、防衛力全体がもし不変だとすれば、そちらがふえればどこかが減るわけでございますから、財源的には当然より一層の合理化節減、そういうものを求められるわけであります。それを実現するという限りはそういうこともさらに求められていくわけでありますから、その点にも一層努力して、不変であるならばそういうことに当然なるわけでありますから、さらに一層の合理化に努力をしていきたい、かように思います。
  177. 上原康助

    ○上原委員 何か抽象論でよくわかったようでわからぬようなお話だが、後でまた聞きますが、我我も別に甘い期待をしているわけじゃないのです。また、今度のこの給与法案を前向きにとらえたからといって、自衛隊そのもののこれまでできたものはしょうがないという追認という立場もとれませんし、党は党の考え方でやっていくわけですが、しかし、いずれにしましても、もう少し実りある方向に防衛問題、安保問題というものを前進させねばいかぬという気持ちというか、そういう時期にあるという点だけは間違いないと思います。同時に、野党がというか、社会党がと言った方がいいかもしれませんが、できるだけ理解ある態度で対処していこうとしても、与党が数の論理で、おまえらが反対しようが賛成しようが何でも通るんだ、こういう態度であるならば、それは、あなた方が言うように意図はいつでも変更できますからね、能力はともかくとして。ある意味では、私たちは、政府が今後次期防に対処する姿勢がどうなるのか、今の国際情勢、これは後ほど議論しますが、国際情勢の見方なり、これだけ世の中が大変化、激動しているのに、アジアだけは別だ、日本は別だ、ソ連は怖いやと、オオカミ少年のような態度しかとらないとなるならばこれはまた話は別でありまして、そういう点も相互理解が深まれば結構じゃないか、前進するのじゃないかと思いますので、申し上げておきたいと思います。  そこで次に、防衛論争から入ると聞きたいことが聞けなくなっても困りますから、基地の問題についてお尋ねいたします。  既に予算の分科会その他、あるいは沖特でしたか、ちょっとお尋ねしたのですが、あらためてきょうは外務省、防衛庁、施設庁、もちろん石川長官にも御見解を聞きたいのです。今までのように検討しておりますというにとではもうきょうは納得しませんからね。そうなると、もうずっと私はここに座っていますよ。  そこで、去る四月十九日、御承知のようにチェイニー国防長官は米議会に「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」という報告書を提出いたしました。これはもう周知のとおりですね。この報告書では、これは指摘するまでもないと思うのですが、特に沖縄の基地をめぐって具体的な記述が見られます。例えば「地上軍と一部の支援航空部隊は特に沖縄で削減する。」こういう表現がある。「沖縄での可能な削減を含め、五―六千人の人員を削減する。余剰施設、特に沖縄にある施設を定められた手続きに従って日本政府に返還する。」こういうことが特定、具体化をしているわけですね。その場合、地上軍とは、御承知のように陸軍はわずかなので、当然海兵隊を意味するものと思うのですが、これはどうなのか。あるいは支援航空部隊とは何を指すのか。空軍なのかマリーンなのか、こういう具体的な点についてまだ解明されていないのですよ。同時に、あのときは外務省も施設庁もまだ報告が発表された段階なのでよくわからないということで、米側と密接な連携をとりながら内容を明らかにしていくということでしたが、もう相当の日時が経過をしておりますがどうなっているのかという点。五、六千人の人員の削減対象というものは海兵隊が中心なのか、あるいは空軍など他の軍も含まれているのか、こういうことについてはまだ一向に具体的に明らかにされていないのですね。しかも、これは両三年以内にやる、九二年までにそれを達成していくということになればそう時間的ゆとりもないわけですよ、そのしわ寄せを受ける側としては。改めてどうなっているのか、ぜひ明確にしていただきたいと存じます。     〔委員長退席、植竹委員長代理着席〕
  178. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように陸上及び支援航空戦力の削減、特に沖縄における削減を予定しているという趣旨の記述が先生ただいま言及されました報告書にございます。その具体的内容いかんというお尋ねでございますが、私ども、現在のところどの部隊においてどういう種類と人が何人くらい削減されるという具体的な内容を把握するに至っておりません。先生御承知のとおり、報告書にございますように、今回の報告書は枠組みと申しますか調整の枠組みを示した、こういうことでございます。その具体的内容は今後さらに検討されるもの、こういうことが報告書にも書いてある次第でございまして、目下米側においてそういう具体的内容検討中であるというふうに私ども理解をいたしております。したがいまして、先生のただいまのお尋ねに具体的にお答えできない次第でございますけれども、沖縄についての先生の御言及の中で、地上とはマリーンなのかという御発言があったと思います。いずれにしても本件は今後検討されるものだと思いますが、沖縄にあります海兵隊もこのような検討の対象になっているものというふうに私ども考えております。
  179. 上原康助

    ○上原委員 いつまでそんな同じことを言っていらっしゃるの。この間分科会で私がお尋ねしたときは、北米局長は、早急に米側と密接な連携をとって内容を明らかにするということだった、これは会議録を引用しないまでも。具体的にそういうことについて問い合わせはしていないわけですか。地上軍と一部の支援航空部隊というのは、米側は海軍支援航空団、いわゆるP3C部隊を中心としたものだということを言っているわけですね。これは事実なの。米側から特定してそういう案、計画が出てくるのに、それに対して外務省も防衛庁もいまだに全く知らぬというのは一体どういうわけ。そういうのはおかしいじゃないですか。だから、私はどうしても理解しにくいのですよ。  もう一つ聞きますが、アメリカ独自の施設計画、建設計画があったものも取りやめたという報道もなされているわけでしょう。普天間航空隊のもの、瑞慶覧、三カ所。これはどこどこなの。予算は幾らだったの。米側から言っている。米国議会、米国政府内では、国防総省内では、明らかに在日米軍基地の縮小、米軍撤退について着々といろいろな計画が進められているのに、肝心かなめの提供している我が国がいまだにそれを知らぬというのは一体どういうことなの。こんな調子だから納得しがたいのだ。もう少しまじめに答えてくださいよ。
  180. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 私ども米軍検討しておりますこと、あるいは今後米軍がこの地域で維持していきます規模なりそういうものについて無関心でいるというようなことでは全くございません。多大の関心を持っておりますし、私どもは米側に対しまして、こういう再編計画を進めるに当たっては同盟国との協議、連絡、こういうものをぜひきちんと行ってほしいという希望も申している次第でございますし、また、そういうことも踏まえまして、米側はチェイニー国防長官来日の折に、検討中の段階でございましたけれども、彼らの検討している事柄の輪郭を私ども説明をした、こういうような経緯もあるわけでございます。米側は、私どもが米側の現在検討中の事柄について多大の関心を持っているということは十分承知をいたしておる次第でございます。したがいまして、検討の進捗に応じまして米側より私どもに当然連絡なり説明なりそういうものがあるというふうに考えております。  具体的に先生ただいま御指摘のP3Cということがございましたが、これは先般米議会で明らかにされました資料のことを先生指摘だと思います。この点私ども調べましたが、現在そういうことで何か結論を得たというようなことの資料ではない、検討材料としての資料であった、こういうことだというふうに承知をいたしております。  また、米軍施設工事の見直し、これにつきましてチェイニー国防長官が記者会見で述べたことについて言及がございました。確かにそのようなことを記者会見におきましてチェイニー長官は明らかにいたした次第でございますが、その際、チェイニー長官からは、これらの案件というものは単に候補であって、まだ最終決定を行ったわけでもないということもあわせ述べられている次第でございます。  繰り返しになりますが、私ども先生が御指摘になりましたような事柄に無関心でいるというようなことでは全くございませんで、今後とも関心を持って状況をフォローさせていただきたいというふうに考えます。     〔植竹委員長代理退席、委員長着席〕
  181. 上原康助

    ○上原委員 納得できない、そういう答弁は。無関心であってはもちろんいかぬですよ、無関心であっていいはずがないじゃないですか。  私は何もここで自分勝手なことを言っているわけではないのですよ。四月二十六日の予算分科会で私が聞いたら、重要なことなので早急にアメリカに連絡をとって密接な連携でこれを確かめる、内容を明らかにすると言ったのはあなた方の局長なんだよ。相手がこうなりましたと来るまであなた方は待っているの。そんな外交ってあるかいな。これにはちゃんと書いてあるんですよ。東アジア戦略の米国防総省報告には。「沖縄での可能な削減を含め五ー六千人の人員を削減する。」全部そういう計画が出ているんじゃないですか、あなた。海軍は全世界で三十四カ所、その中に沖縄が入っている。陸軍も二十五万人削減をする。六十五万ですか、七十五万か。海兵隊も削減をするというふうに、全部書いてあるじゃないですか。  じゃ、今までこういうことについて外務省は米側とどういうようなルートで、何回問い合わせたりいろいろ協議したのか。わかっているがここで言えないのですか、それとも全然やってないのですか、どっもなのか。
  182. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 米軍の再編の問題につきましては私ども、四月に議会に報告書が出されましたが、それ以前の段階から非公式にアメリカ側の説明を受けるという過程はございました。外交上のやりとりでございますので詳細に立ち入ることはお許しいただきたいと思いますが、検討の過程を通じまして、大体アメリカ側としてどういうことを考えてきているかということにつきまして私ども説明を受けてきたわけでございます。それから、御承知のとおり、チェイニー国防長官が日本に参りましたときにも、その段階における米側の検討状況を私ども説明をした、こういうことでございます。したがいまして、きちんとした形で米側より説明がございましたし、私どももこの問題についての情報の収集ということを怠りなく行ってきたつもりでおります。今後米側が具体的に検討を進めていく、こういうことでございますので、私どもも米側とのやりとりの中でどういう検討段階にあるのか、あるいはどういう結論になりそうなのか、そういうことを状況に応じまして情報の入手に努めていきたいというふうに考えております。
  183. 上原康助

    ○上原委員 どうしても納得できないですね、こういう答弁は。そうしますと、皆さんは米国防総省報告というものは信憑性がないと見ているの。これには具体的にタイムラグも書いてあるんですよ、第一段階、第二段階、第三段階というふうに。そういう方向に着実に米側の計画は進んできていると私たちは思う。こういう削減計画が進んでいった場合にしわ寄せを受けるのは外務省じゃないんですよ、沖縄県民なんです。日本国民なんですよ。それを何かよそごとみたいに答弁されては困る。どうなんですか、これは信憑性ないの。こういう方向で在日米軍基地が縮小されると思わないのか、思うのか、どっちなの。
  184. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 議会に対する報告におきまして、今後十年ぐらいをにらみまして、米側が三段階に分けてこの地域における米軍のあり方というものを見直し、再編を行っていくということが書いてございまして、私どもはそれが米国政府の方針である、こういうふうに理解をいたしておる次第でございます。  私が先ほどから申し上げておりますのは、そういう大きな枠組みの中で、どういう部隊からどういうふうな形で再編を行っていくのかという具体的中身につきましては、アメリカ側も今後検討していくんだということを申している次第でございます。そういう状況でございますので、目下具体的な内容につきましては私どもまだ情報を持っておらない、こういうことをお答え申し上げてきている次第でございます。
  185. 上原康助

    ○上原委員 それはおかしいんじゃないですか、あなた。日米のパートナーシップとか、同盟国であるとか、ッーカーでとか、皆さん何かにつけて言う割にはこういう知りたい問題については全然わからぬとは何事だ、これは。冗談じゃないです。さっき僕が聞いてちょっと半分お答えしたのだが、アメリカは独自の施設を建設しようとしたものも中止した、それも何かそうでないような言い分をしておったが、具体的にそれはどうなのか。普夫間基地内、瑞慶覧、施設三カ所、これほどこどこなのか。予算は幾らだったのか。わかるのかわからぬのか。
  186. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 先ほどの軍事建設の件でございますが、五月一日の記者会見におきましてチェイニー国防長官が述べましたことは、国防費削減の一環としまして沖縄キャンプ瑞慶覧それから普夫間飛行場の施設を含む米国内外二百七件の米軍施設工事計画を撤回する可能性について検討をしておる、こういうことを述べた次第でございますが、その際、チェイニー長官は、これらの二百七件は単に候補であって、まだいかなる最終決定をも行ったわけではないということをあわせて述べております。  なお、一九九〇会計年度におきますところの国防予算における日本関連の本件予算の額は一千六十五万ドルであるというふうに承知をいたしております。
  187. 上原康助

    ○上原委員 この一千六十五万ドルのうち、対象になっている三件は幾らですか。
  188. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 三件につきましては、キャンプ瑞慶覧につきましては三百二十万ドル、それから普天間の海兵航空基地、これは整備用格納庫の増設ということでございますが、百九十五万ドルでございます。それから、普天間の海兵航空基地につきましては五百五十万ドル。合計いたしまして一千六十五万ドルというふうに承知をいたしております。
  189. 上原康助

    ○上原委員 こういうふうに一々聞かないとわからない。一千六十五万ドル、みんな沖縄基地じゃないですか。あなた、さっきは在日と言ったんです。本当に外務省というのは一々しぶといんだよな。何のことはない、在日というのは在沖じゃないですか、全部沖縄の基地。僕もちょっと調べてあったから、きょうはどうしても……。  だから、こういうものをアメリカは削減をするのです。あなたは、それは決まったことじゃないと言う。それは皆さんだって重大発表するときにそう言うでしょう。ごまかしたり、リークをしたり、政府のやることはどっちでも大体似ているんだよ、アメリカも日本も。日本がもっとずるいかもしらぬ、ずるいという表現はよくないかな。ですから、防衛庁はもう答弁しないでいいと思っているかもしらぬが、あなた方も同罪、同責任ですよ。長官、これは聞いておってくださいよ。  こういうバックグラウンドがある。なぜ私がこれにこだわるかというと、こういった東アジア戦略の枠組みを発表した後から、在日米軍基地、特に沖縄基地においては、いろいろな面で相当の動きがあるのですよ。だから、それを一日も早く解明をしてその対策を立てなさいというのが我張なんだ。後で基地問題、返還の問題を聞きますけれども。しかも、今明らかになったように一千六十五万ドルの工事を米軍は考えておった。だが、この発表後、これはもう必要ない。当たり前でしょう。これは縮小するというのだから当然だ。こういうことまで具体的に米側はやっているのに、なぜ、これだけ具体的に五、六千名だ、海軍支援航空団だ、あるいは基地建設はこれだけのものをやめますと言っているのに、中身はどうかと言うと今わからぬとはどういうわけですか。いつになったらわかるのですか。
  190. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 私ども、アメリカ側からいつどの程度の具体的内容のものがはっきりするかという情報を現在入手している次第ではございませんが、米側としても、この報告のもとになりました議会を通過いたしました法律の中で、米政府はこの法律成立後一年以内に第二回目の報告をするようにということが書いてあるというふうに記憶をいたしておりますので、そういうことも踏まえつつ検討を進めていくというふうに理解をいたしております。
  191. 上原康助

    ○上原委員 一年以内に報告をするように書いてあるというその法律は何ですか。
  192. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 この法律は、先ほど先生がお取り上げになっております対議会報告の基礎になりました米国防予算授権法の中に、大統領は二回目の報告をこの法案の発効後一年以内に議会の関係委員会に対して行わねばならないということが書いてございますので、若干推測にわたりますが、米側はそういうことも頭に置いて検討を進めているのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
  193. 上原康助

    ○上原委員 今言う授権法というのを外務省は持っているの。
  194. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 ただいまここにはございませんが、持っております。
  195. 上原康助

    ○上原委員 それを後ほど資料として提出してください。いいですね。
  196. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 先生にお届けいたします。
  197. 上原康助

    ○上原委員 おぼろげながらわかるような感じもしますが、これだけ動いている。できるだけ早目に明らかにして特定をするようにしていただきたいと思います。  余り時間を食って、後の楽しみがなくなってもいけませんので進めます。  そこで、この報告書とも関連があるわけですが、基地の整理縮小問題、これもこれまで何回かやりとりしてまいりましたが、余り明確になっておりません。既にもう日米間で在沖米軍基地の返還については協議が行われておるということはしばしば言われてきたことですね。今までは施設部会ということだったんだが、最近の政府の答弁を見ると合同委員会という表現に変わっている。これは合同委員会に上がっているのかどうかということ。アマコスト在日米大使が言うように、春の終わりか夏の初めというと、今ごろ、少し過ぎているのじゃないかな。時期はまさに今ごろじゃないだろうかと思う。一説には、返還施設の公表は早ければ六月の一日あるいは四日ごろにも行われる可能性もあるのではないのかという非公式情報もあります。しかし、また海部総理もえらいハッスルしておられるようで、六月二十三日の沖縄戦没者追悼慰霊祭にも行かれるということで、あるいは宣伝効果、パフォーマンスをねらってその前後じゃなかろうかという見方もありますね。そこいらはどうなのか、まずそういうことは大臣が一番知っているかもしらぬから、お答えください、
  198. 石川要三

    ○石川国務大臣 そういうことこそ案外知らないものでございまして、事実関係ですから、担当からまず御説明を申し上げたいと思います。
  199. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 沖縄にございます基地の整理統合の問題でございますが、これは従来から申しておりますように現在やっております作業は、最近の米国防省が報告いたしましたフレームワークとは関係なく、過去の安保協議委員会あるいは西銘知事の訪米に際しての御要求、こういうものを踏まえまして検討しておるということでございます。  その進捗状況でございますが、これも再々申しておりますけれども、いろいろ問題がございましてなかなか予定どおり進んでおりませんが、さきの予算委員会でも答弁させていただきましたけれども、せめて早い時期に中間報告なりともさせていただきたいということで鋭意努力をさせておるということでございます。
  200. 上原康助

    ○上原委員 どうも日本語は難しくて、せめて早い時期というと、せめていつですか。
  201. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 時期を特定いたしかねますのは大変申しわけございませんが、いろいろ交渉もございますので、私の気持ちといたしましては可及的速やかということで御理解賜りたいと思います。
  202. 上原康助

    ○上原委員 ますますわからなくなった。可及的速やかというと非常に急ぐのですよ。にっちもさっちもいかなくなる段階まで来ているということですか。心境はわかりますが、防衛施設庁長官、ここだけははっきりさせておいていただきたいと思います。何か新聞を読むと、あなたとやりとりするのもあと一回、二回くらいかなと思うと寂しくなるけれども、やはり公式の場で言ったことは男は守ってもらいたいですよ、かっぷくもいいんだから。飛び立つ鳥跡を濁さずだ。  六月中旬ないし私が二十日ごろと言ったら、それは特定はできないけれども、六月中には全体像が明らかにならなければ中間報告はやる、こういうことでしたね、これは外務省もそう言った。これは間違いないですね。それをまず聞いてから。またぼかされたら困る。
  203. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 さきの予算委員会の分科会におきまして、私は確かに先生の御質問に対しまして、時期は特定いたしかねますが、中間報告ができるだけ早くできるように努力させていただきたいということを御答弁申し上げました。個人的な気持ちといたしましては、ただいま先生が申されましたように六月というあたりをめどに置いて努力はさせたいと思っております。  今、男の約束とおっしゃいましたが、相手もあることでございます、いろいろ作業の都合もございますので、この場で時期を特定することについては差し控えさせていただきたいと思います。
  204. 上原康助

    ○上原委員 さっき言いましたように、その相手もむしろ言っているのですよ、春の終わりか夏の初めと。何か文学青年みたいなことをみんな言っているのです。  一方の外務省、そういう理解でいいですね。まさか外務省は邪魔はしてないと思うのですが、どうなんですか。一体どっちが熱心にやっているの、防衛施設庁と外務省と。どっちが足を引っ張っているの。政府だから一体と言うかもしらぬけれども、どっちが本当に熱心で、六月発表しようとする足を引っ張っているのはどっちなの。
  205. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 外務省と私どもの方は一体となって米側と調整いたしておるところでございまして、今先生がおっしゃいましたように足を引っ張っておるとかなんとかというような状態ではございません。
  206. 上原康助

    ○上原委員 それは足を引っ張っているなんて言えるはずないでしょう。どうなんですか、外務省は見通しはお持ちなんですか。六月中旬前後には少なくとも中間報告というのははっきりする、こういう理解でいいのかどうか、改めて外務省からも答弁しておいてください。
  207. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 私どもも、地元の方々の関心あるいは期待が非常に強いということも十分承知をいたしておりますので、できるだけ作業の促進を図るということで努力をいたしている次第でございますが、時期をただいま特定しろとおっしゃいましても私にはできる状況にございませんで、できる限り早期に中間報告なりともできるようにいたしたいというふうに考えております。
  208. 上原康助

    ○上原委員 少なくとも私だけでなくして沖縄県選出の他の先生方もみんなこの点では指摘をし、それだけに県民も今一番の関心事ですからね。せめて早い時期とか、可及的速やかにとか、六月前段中にはということは何回か言っておるわけですから、それをほごにすることはよもやないと思いますが、改めて強く要望しておきます。これは同時に単なる事務当局だけの課題じゃないですね。大臣、ぜひ外務大臣にも督促をしてください。一日にまた外務委員会もあるからあそこでもできたら念を押しますけれども、これは政治の問題、政治判断。防衛庁長官、弾薬をつくったり弾を撃ったりせぬで、もう少しちゃんとこういう問題もやったらどうですか。長官としても決意を明らかにしておいていただきたい。
  209. 石川要三

    ○石川国務大臣 もちろんこれは政治的な大きな課題でもありますから、決して傍観しているわけではございません。先生質問にいつか答えたと思いますが、もちろんこれは私自身も大きに関心を持って督促をしているわけであります。先ほど来、いろいろと役人の立場から苦しい答弁もございました。その点は、男ですから、先生も御信頼していただければいいのじゃないか、私はこんなふうに思っております。
  210. 上原康助

    ○上原委員 大分答弁もうまくなったですね、大臣も。  その中身に入りますが、大原施設部長、後ろにいらっしゃるのだが、大山鳴動ネズミ一匹ぐらいじゃ困るのですよ。返すのはパイプラインぐらいだという変な話もあって、そうであるならこれはまた何か考えなければいかぬなとこっちも思っているのです。改めて確認をしておきたいわけですが、お答えがありましたように十四―十六回の日米安保協で合意分、それが十八カ所、それから知事が二度にわたる訪米で七カ所、計二十五カ所、だが、那覇軍港と伊江島補助飛行場はこの二十五カ所の中で重複をしておりますので実質は二十三カ所ということになります。つまり、今リストに上がって皆さんが日米間で協議をしている、返還をしてもらいたいという施設というか基地の特定されているのは二十三カ所ということになるわけですが、これは全部が対象になっているのか、返還の中身は一体どうなっているのか、それもぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。
  211. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 検討の対象にいたしておりますのは、安保協の十五回、十六回の十六施設と県知事が要請されました七施設、合わせまして二十三件、これが全部検討の対象となっております。この中には、当然ながら代替施設その他の必要なものもございますが、このすべてを現在一件ずつ検討している最中でございまして、この検討状況について近々中間報告をさせていただきたいということを申し上げているわけでございます。
  212. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、全部返されるか、あるいはその中には、いや、これはだめだったというものもあるいは出るかもしれません。少なくとも今申し上げた二十三カ所については、日米間でどういう取り扱いになるというこの結論が出るもの、あるいは方向性の出るもの、あるいはまたペンディングになるのもあるかもしれない、そういう内容は具体的に今回は明らかにする、こう理解をしてよろしいですか。
  213. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 一件ずつ検討しておると申し上げました。したがいまして、結果においてそのような方向がお示しできるような形になるのではないかというぐあいに考えております。
  214. 上原康助

    ○上原委員 そうなりますと、これは非常に画期的な基地返還ということになる可能性もあり得ると見ていいと思うのですね。なればこそ余計に中身を明らかにすることは急ぐべきであり必要だ、こう思います。  加えて、今の問題とは別に、この新戦略に基づく返還等も当然出てきますね。そういう予測を立てておられるのか。さっき申し上げた東アジア戦略による在日米軍基地縮小、在沖米軍基地が特に大幅縮小になる可能性が強いということとの関連における基地返還問題というのはどうなっていくのか、このことについても御見解を示しておいていただきたいと思います。
  215. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 先生ただいま御議論になっております沖縄におきますところの基地の整理統合の問題と申しますのは、御承知のとおり、一昨年来私ども鋭意米側とも協議をしてきている問題でございまして、今回の議会に対する報告と直接の関連はないのではないかというふうに私どもは認識しております。もちろん先生御承知のとおり、この報告書の中に沖縄におきますところの整理統合問題に対する言及があるということではございますが、重要な問題でありますし、また、日本の当該地域の方々との円滑な関係の維持という観点からもそういう言及がなされたのではないかというふうに考える次第でございます。  もちろん、米側が、先ほど来申し上げております具体的にどういうふうに再編成を行っていくかということとの関連において、沖縄の整理統合の検討作業を米側においてあるいはそういうことを念頭に置いて行っているという可能性はあるかもしれませんが、私どもの認識といたしましては、現在の沖縄におきますところの基地の整理統合の問題と議会に対する報告書との間に直接の関係はないのじゃないかというふうに考えております。
  216. 上原康助

    ○上原委員 そこはいかがでしょうか。ちょっと甘いのじゃないでしょうかね、御認識が。  そこで、これは当然連動していくと私は思いますので、テンポは速いと思いますよ、場合によっては余計に。皆さんが何か、日本政府はなるべく縮小はしてもらいたくないということを盛んに逆ねじをはめようとしているかもしれませんが、アメリカの国防予算の削減状況、海兵隊含めての三軍のこの縮小ということを発表されているのを見ますと、これは必ず影響がある、こう見た方がいいんじゃないかと思いますね。  そこでもう一つ、今度は沖縄県軍用地転用促進協議会が九市町村からの要望をまとめて新たに米軍の十二施設、十六カ所の返還を求めているわけですね。御案内だと思うのです。該当市町村は、本部町、恩納村、宜野座村、金武町、具志川市、沖縄市、読谷村、嘉手納町、北中城村、十二施設は、八重岳通信所、キャンプ・ハンセン、恩納通信所、これはさっきの検討事項と重複するかもしれません。ブルー・ビーチ訓練場、ギンバル訓練場、天願桟橋、キャンプ瑞慶覧、読谷補助飛行場、楚辺通信所、嘉手納弾薬庫、トリイ通信施設、嘉手納飛行場、こういうものを新たにぜひ返還をしてもらいたいということになって、近々このことについて要望が出てくると思うのですが、これについてはどうお考えなのか、また今後御検討をしていくのかどうか、御見解を聞かせておいていただきたいと存じます。
  217. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 軍転協の方で新たな要望をお出しになったということにつきましては、沖縄の方から報告を受けまして承知いたしております。その具体的な施設の中には現在検討中のものも若干ダブっておるようでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、要望書を見せていただいた上で勉強してみたいというぐあいに考えております。
  218. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつ前向きにというか積極的に対処してもらいたいと思います。まあなかなか一挙にというわけにはいかないかもしれませんが、特にさっき、二十三カ所は特定をして、もう返す、返せない、あるいは今後検討とかなんとか日米間でいろいろ出るでしょうが、それをはっきりさせるということ、これがはっきりしたのはきょう初めてで、二十三カ所について今度はっきりさせるというのは、これは結構だと思う。全部返すようにぜひ努力をしてもらいたい。  同時に、これも含めてその二十三カ所の中に嘉手納マリーナ、あるいは十年来国会でもやりとりをしてきている読谷補助飛行場移転問題を含めて全体の返還問題、これはぜひ今度の返還の中にあわせて取り入れなければいけませんよ。その点は強い注文をつけておきます。  そこで、これだけの基地が、余り期待をするのもよくないかもしれませんが、しかしさりとてパイプラインだけ返されたのでは本当に何をか言わんやで、そのときこそ沖縄県民の総反撃を外務省、施設庁、防衛庁、政府はまた受けることになると思うのだが、結果としてそうならないことを強く要望しておきます。  そこで、このことについて深い議論はいずれやりたいと思うのですが、これだけ軍用地が返還されますと、今までの跡地利用のあり方では対応できなくなると私は思うのですね。地籍の明確化問題があった。しかし、広大な基地になりますと、返されたらまたやらなければいかない点が出てきますよ。今は土地区画整理法とかあるいは土地改良法とか、そういう法律に基づいて跡利用をやっている。跡利用ができるまで早くて五年ですね。中には十年、中には返されてそのまま荒れほうだいになっていて、ギンネムが生え、草が生えて使用できないという状況もある。これではまたいかない問題で、跡利用のあり方についても、特別措置法を講ずるなり何らかの政府の責任における跡利用計画、措置というものを当然考えなければいかないと私は思うのですが、この点については一体政府はどうお考えですか。これは施設庁になるのでしょうかね、返還後のことだから。
  219. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 まず形式的な立場を申し上げますと、私どもは地主の方と賃貸借契約を結びまして基地の提供をいただいておるという立場にございます。したがいまして、返還の処理につきましても、賃貸借契約の条項に従いまして補償なりを実施していくということになるわけでございます。  ただし、この施設、区域の返還、跡地の利用問題、これは沖縄につきましては特殊な事情があるかと思います。主として沖縄振興開発計画等とも深くかかわってくる問題であるというぐあいに理解しております。これは私ども直接所管でございませんので、コメントをするのは不適当と思いますが、いずれにいたしましても、返還の手続に際しましては、関係機関と十分連携をとりながら、所有者あるいは地元の意向を踏まえまして、契約に基づきまして遺漏のないように措置してまいりたいというぐあいに考えております。
  220. 上原康助

    ○上原委員 ここいらも重大な課題であります。私はこの件についても一定考え方を持っておりますが、それは逐次提示していきたいと考えますので、十分な跡利用対策ということも政府の責任において進めていけるようにぜひ御努力を願いたいと思います。  そこで、あと一、二点、沖縄の基地問題でお尋ねします。  都市型戦闘訓練の実弾訓練強行問題です。きょうは防衛論争をする時間がだんだんなくなっているので、またどこかでやろうと思うのだが、特殊部隊の沖縄駐留ということについて私は非常に疑問を持っている。これは、復帰時点でこういうスパイ行為をするような特殊な部隊は安保条約あるいは地位協定にそぐわないということで一時撤退をしたのですよ。そういう経緯があるのですよ。だが、復帰十年後ぐらいでしたか、やってきて、今大変な問題を引き起こしておる。施設庁にも外務省にも何回か要求したにもかかわらず、五月十六日、恩納村民の皆さんや県民の強い要求を踏みにじって米軍はとうとう実弾訓練を強行してしまった。五月二十三日には地元恩納村議会が抗議決議をやっている。たしか村でやっているのは七回か八回でしょうね。二十五日には沖縄県議会が全会一致で訓練への抗議、訓練の即時中止決議をやった。こういうことは余りにも無神経じゃないのかと思う。軍隊は演習せぬといかぬ、野球チームをつくれば練習するのは当たり前じゃないかと言う人もおったのだけれども、そんな感覚で住民の集落とわずか五、六百メートルしか離れていないところでドンパチされたら、これはどう考えてもいかないのだよな。これはぜひやめてもらいたい。こういうやり方は何としても納得できない。ここで改めて防衛施設庁というか防衛庁と外務省に強く抗議すると同時に、県民意思をこれだけじゅうりんすることはまかりならぬ。そこには水源地もあるのですよ。恩納村はリゾート地域なんですよ。まかり間違えば本当に実弾がまた飛んでくるかもしれない。日本狭しといっても広いですよね。一体日本全国どこでこういう訓練があるんだ、本当に。これが石川長官のおひざ元でもしこういう訓練をされたら、あなた黙っていらっしゃるか、このことについての御見解と再検討をぜひお願いしたい。これはどうしてもやめてもらいたい、これが一つ。  もう一つ、警察庁は呼んでいないか。――ではいい。これは五月二十七日、つい二、三日前ですね、午前一時二十分ごろ、宜野座村の字漢那という集落で、民家に弾丸一個が高窓をぶち抜いて台所に飛び込んできた。大変物騒な事件なんですね。今、米軍演習によるものなのかあるいは米軍が行軍というかそういうときに発射したものなのかは定かではないようですが、一体この事件についてはどう見ているのか。今県警の特捜部というか、そこで鑑定作業を急いでいるようです。しかし、私もここで米軍の事件だとの断定は、この地域の状況等も勘案しなければいけませんし、現場を見ておりませんから、そこまでは言えませんが、ピストルの弾であるにしても機関銃弾であるにしても、一体夜の夜中に果たしてああいう、宜野座村というと農村ですよね、頭をかすめるのはやはりまた米軍じゃないかということになっちゃう、特定はまだできないようですが。こういうこともあるから、さっき言った恩納村での演習というのはどうしてもやめてもらわなければいかぬし、万一米軍の弾が飛んできたということになると、皆さんがいかに事故対策をやるといったって、結局また事故が起こったということになる。この二点についてぜひ明雄な態度を明らかにしておいていただきたい。
  221. 松本宗和

    ○松本(宗)政府委員 まず都市型戦闘訓練施設の問題についてお答えいたします。  御指摘の都市型訓練施設において行われます訓練につきましては、沖縄県、恩納村及び住民の方方に非常に強い反対があるということについては十分承知いたしておりますが、米軍といたしましては安保条約の目的達成のために提供された施設、区域におきまして必要な施設を整備し訓練を行うことは地位協定上認められておるというところでございます。したがいまして、私どもといたしましてこの訓練を中止するようにということを言う立場にはございません。この施設が完成いたしまして以来、防衛施設庁といたしましては沖縄県、恩納村を初めまして地元理解が得られるよう努めるとともに、米側に対しても訓練の安全が確保されるよう要望してきたところでございます。今後とも米軍の訓練の安全確保等に万全が期されるよう最善の努力をしてまいる所存でございますので、御理解を賜りたいと存じます。  それから、先ほどの宜野座の銃弾の問題でございますが、私どもといたしまして念のために米軍に訓練の状況を問い合わせましたところ、二十六、二十七の両日はキャンプ・ハンセンで訓練を実施していないという回答を得ております。いずれにいたしましても、現在県警で捜査が行われておりますので、その捜査を見守りつつ、必要に応じて適切な対処をしてまいりたいというぐあいに考えております。
  222. 上原康助

    ○上原委員 それは何回お尋ねしても、あるいは沖縄側が抗議行動をやっても、返ってくる言葉は同じなんで、残念であり、またそれを了とするわけにはまいりません。なぜああいう民家とわずか五、六百メーターないしそういう地域で実弾の物騒な訓練をしなければいかないか。幾ら安保条約を認めるとか認めぬとかあるいは地位協定で提供義務があるといったって、これは私は日本側の主権の問題だと思う。政治の姿勢の問題。ぜひ再検討願いたいですね。  そこで、この特殊部隊の任務は一体何ですか。外務省、これは条約局長来ていないが、いずれもう一遍これは沖縄返還のときの会議録をまた調べて議論せぬといかぬと私は思っているのだが、沖縄返還のときに、知念におった要するにグリーンベレー、ああいった特殊部隊というのは安保条約あるいは地位協定上好ましくないということで撤退させたのでしょう、たしか七四年に。七二年が返還ですから七四年に。それが読谷に来たのはたしか八四年ですか、特殊部隊が再配置をされたのは。  アメリカの国防報告を見ても、この防衛ハンドブックを見たって、このSOFの任務というのはまさにアメリカ人の人権やそういうものを守るための任務なんですよ、これは。日本の安全とかそういうことに何の関係もないね、見てみますと。だから、あのときに撤退させたはずなんだよ、外務省、日本側としては。本当にそうなんですよ、防衛庁長官。もう一遍調べてみなさいよ、皆さん。SOSじゃないですよ、SOF、スペシャル・オペレーションズ・フォースかな。このSOFの任務というのは、まさにアメリカの例えばテロとかゲリラとか位致されたとか、緊急事態に備えた特殊の任務を帯びた、いわゆる戦前の日本軍でいうとたしか中野学校みたいなものだな。だから、そういうものまで日本に置く、しかも仲縄に置いてこういう訓練をさせて県民と衝突をさせるということは、私はやはり安保条約、地位協定上から見ても大変問題だと思う。  外務省、これはどうなんですか。日本は何でもアメリカの言うことは聞かぬといかぬのか。そんなに情けない国なの。そうじゃないでしょう、実際。石原慎太郎さんじゃないが、もう少しノーと言える日本人になって、役人になってよ、皆さんも。どうなんですか、本当に。
  223. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 申しわけございませんが、先ほど先生がお述べになりました事実関係、私ただいま承知いたしておりません。  ただ、今先生がおっしゃいましたSOFの具体的任務いかんということでございますが、私も具体的にはただいま承知しておりませんし、米側の運用上の問題ということもございましょうから、どの程度知り得る立場にあるかということもございましょうが、いずれにいたしましても、私は、SOFなるものも米軍が全体として有効な抑止の役割を果たしていく上での一つの要素をなしている、こういうふうに認識をいたしております。
  224. 上原康助

    ○上原委員 まあそういう答弁しか返ってこないのが残念なんですが、私はやはり問題だと思いますよ、こういう特殊部隊というもの。一体何をテロとかゲリラとか、そんなのを想定しているのか。まあ考えればフィリピンとかあるいは朝鮮半島とかそういうことをやっているようなんだが、これは主にニカラグアとかいわゆる中南米における麻薬、テロ、暴力行為、そういうものに対処するための特殊部隊なんだよ。たしか、アメリカ国内と世界のどこどこにそのSOFは派遣されているの。わかりますか。
  225. 時野谷敦

    ○時野谷説明員 ただいま承知をいたしておりません。
  226. 上原康助

    ○上原委員 こんな調子。どこどこにいるかもわからぬで日本などへ来るの、本当に。もう一事が万事だ。私はもう時間もなくなってきてしまったので、また沖縄基地問題でやりますけれども、これは本体、根幹をもう少し洗わねばいかぬと私は思っているんだ。皆さんはここにいるから演習させると言うがこの部隊の任務は一体何なのか、なぜそういう物騒な、物騒というか本来ならアメリカ本国で十分可能なものをなぜ置かなければいかぬのか。復帰のときには、これは安保上、地位協定上好ましくないと言って出ていったものがまた来るというのは、一体条約が変わったんじゃないわけでしょう。だからそういうことについて、私もあのころの会議録をもう一遍調べてやりますけれども、ぜひこれは早期撤退をさせなさいよ。これは何も日米安保に言う我が国の安全保障とかそういうものとかかわりないです。皆さんは何でも我が国の安全に役立つと言ってしまえばおしまいかもしらぬが、もう少し部隊性格とか、そういう部隊がどれだけ地域に迷惑をかけているのか、世界にはどれだけ配置をされてどうなっているのか、そこもよく検討の上でやってみたらいかがですか。  改めてこれは防衛庁長官に申し上げておきますが、さっきの、流弾はまだ特定されておらない、米側は演習していなかったということを言っているからというあれですが、もしこれが米側の弾ということに認定されますと、これは大ごとですよ、本当に。そういう可能性も全くないとは言えない。だから、こういったゲリラ訓練をやって、ああいう民間と非常に隣接した地域でドンパチやるのはやめなさいと言うのですよ。これは常識ですよ。何とかなりませんか、防衛庁長官
  227. 石川要三

    ○石川国務大臣 今先生のいろいろな質問を聞いておりまして感じましたことは、たまたま都市型のあの訓練施設、実弾を使ってやるわけでありまから、間違えば大変な、確かに危険な要素もあることは事実ではありましょう。そういうようなことを中止をさせなさい、こういう御主張でございます。私はなぜああいう至近なところへつくったかということは、これは私も実は非常にそういう点ではなるほどなと同感するところが多いのでございますけれども、問題は、これを中止することは私は不可能だと思うのです。というのは、先ほど答弁申し上げましたように、やはり日米安保条約という中での基地内の要するに米軍の施設でありまして、その訓練を私どもの立場から中止をさせるということは不可能であるからであります。ただし、それはそうとしても、次から次へ非常に危険が起こるということになれば、これまた政治的な立場で一つの問題点であろうと思いますが、理論的といいますか、法的にはそういうことではなかろうか、こんなふうに思います。そういう意味で私は、今の弾がピストルの弾かどうか、あるいは一体犯人はだれなのか、これは徹底的に究明してもらいたいし、その結果によっては米軍に対する大きな忠告を私どもはしなければならない、こういうふうに思いますが、そういう意味でも早くこれを、一体その弾はどこから来たのか、だれが撃ったのか、こういう点は徹底的に追及をして早く結論を出していただきたい、かように思います。
  228. 上原康助

    ○上原委員 安保条約を盾に言われるとそういうお答えになるかと思うのですが、それは人間の感性の問題ですよ。思想じゃないですね。それは党派の問題じゃない。ひとつその点を酌み取る役人、政治家になってもらいたいし、そういう人が多くなるのを私は期待しますね。そこで、時間も残り少なくなりましたが、今大臣もきっぱりおっしゃいましたので、それ以上言いませんが、この宜野座村で起きた流弾の原因究明、犯人はだれかということは、政府としてもぜひ急いでいただきたい。  そこで、次期防の問題を話すには、相当経過があるので、いろいろウオーミングアップをやらなければなかなか難しいのですが、限られた時間内でちょっとだけ基本的なことだけ押さえておきたいと思うのです。  私は、ちょうど今の石川長官が内閣委員長をしておられてそこに座っていらっしゃるころ、ミスター防衛庁とかいう方とかなり防衛論争をした。会議録なんかも読んでみましたし、また予算委員会で我が党の川崎先生やあるいは公明党の市川書記長さんなんかがやった最近の会議録、参議院の矢田部先生なんかのものも全部一読してみましたが、どう見ても納得しがたい面が多いわけですね。特に、これはもう各先生方、同僚の委員の方方がお取り上げになりましたが、最近、ヤルタからマルタへというだけではなくして、ベルリンの壁の崩壊、あるいはワルシャワの軍事的機能はもう消滅したとNATO関係の国防相会議でも言っているわけですね。だのに、アジアは別だとオウム返しに防衛庁長官、外務大臣。日吉防衛局長は余計にこだわり過ぎる。これじゃ国民は恐らく納得しませんよ。皆さんがどんなに防波堤を張ろうとしたって、その論理は崩れますよ。そこで端的にお聞きしますが、防衛庁長官、今我が国のこれからの防衛政策を考えるに当たって、国民が一番知りたい、求めているのは何だとお考えですか。
  229. 石川要三

    ○石川国務大臣 突然の質問で、正確なことはなかなか言えないかもしれませんが、今国民が求めているものは、こういう平和、デタントと言われるような世の中で一体どうやって我が国を守るか、その防衛政策は従来のままでいくのか、あるいはそうでないか、いろいろとそういう点で意見が分かれる点があろうと私は思いますが、いずれにしましても、ただデタント、デタントというだけで防衛はより少なくてもいいんだという、そういう考え方の方は比較的少ないのじゃないか、私はかように思います。
  230. 上原康助

    ○上原委員 比較的少なくないのですよ。多いんだよ。防衛をこれ以上強化して、デタントだから必要ないとは言っていませんよ。それは私もすぐゼロになるとは思っていません、これだけの経過があるし。きょうの朝日新聞ですか、ハリスとの世論調査、あれを見てくださいよ。安保条約に対して、防衛力増強について、日本の防衛費と外国の不安、もう数字がはっきりしている。これは時間がないから一々言いません。国民が今求めているのは、本当に日本の防衛のあり方ということで突出して聖域化されてどんどんやっていっていいのか、ここいらで凍結、削減をするような政策転換を図るべきだというのが大多数だと私は思いますよ。ここに認識の重大な相違があると思うのですね。それをどうすり合わせるかというのは大事な点だと思うのですよ。皆さんのこれまでソ連は怖い、大変な国だと言ってきたことがだんだん崩れるから、ライバルがいないと防衛論は成り立たぬかもしらぬが、しかし、到底そういう論理は長続きしないよ。  そこで、最近ようやく防衛庁も基盤的防衛力構想なんて言い出した。五十一年に基盤的防衛力構想ができて、言わなかったよね。私も防衛論争は随分やってきた。改めて私はきょう問題点だけ指摘しておきたいのですが、日吉局長、この「基盤的防衛力構想採用の背景」というのを、局長を初め防衛庁の幹部諸君はもう一遍本当によく吟味をしてもらいたい。そうなればもう少し国際情勢に対する認識も、常識的なあれが出てくると思うのです。あのとき四次防までの我が国の防衛力整備というものが、このままでいくと我が国の防衛力はどこまで際限なく拡大されていくかということがあって、そういう不安に対して修正をしていこうということだった。確かにデタントであったよ。それもすりかえ論。彼が何がミスター防衛庁か、もう冗談じゃない。  その背景、「第一点は、防衛のあり方に関する国民的合意を確立したいと考えたことである。」こうはっきりしているのですよ。それにはもちろん前提もありますが、国民合意形成、「「わが国の防衛力はどこまで大きくなるのか、際限のない増強を目指しているのではないか」といった声も一部に生じていた。今回の「防衛計画の大綱」は、このような声にも応えて、陸上、海上、航空各自衛隊ごとに具体的な目標を明示しようとしたものである。」だから、とてつもない、際限なく拡大されていこうとする防衛力増強に対する歯どめが基盤的防衛力構想を入れた第一の基本なんだよ。  「第二点は、自衛隊の現状なり実態に対して、政府部内でもある種の反省が生じてきたことである。」これにもいろいろ理由を書いている。けれども、時間がありませんから多く申し上げません。  「第三点は、防衛力を整備していく上での国内的な制約なり条件に対して、諸種の配慮が行われたことである。」これは何かというと財政上の制約、「わが国の防衛力は、自衛隊創設後二十余年を経て、」五十一年当時ですよ、「老朽化した装備や施設の更新近代化等のための所要経費の増大や人件費等の上昇により、」あのときでも既に皆さんは近代化してきたんだよ。「これを維持していくだけでも相当の経費を必要とする時期にきている。しかしながらわが国の経済は、先年の石油危機を契機として、これまでの高度成長経済からの軌道修正が求められており、今後防衛関係経費を大幅に伸ばすことは困難であると見込まれる。」そもそものスタートはこれなんですよ。  第四点もある。「第四点は、当面の国際情勢に対する判断」。確かに「最近の国際情勢の「基調」」という中でデタントとかいろいろ書いてある。書いてあるけれども、ここで言うのと現在の国際情勢のデタントとは月とスッポンの差があるんだよ。  しかし、実際問題どうなってきたか。我が国の防衛費にしたって、皆さんおわかりのように一三七%か一四〇%伸びているはずですよ。デタントどころか、やれアフガンだ、やれペルシャ湾だとソ連脅威論を前面に出してどんどんエスカレートして、私は今の防衛大綱だって、六十年ですか、中期防でもう既に大綱の線は逸脱したと見ていますよ。そういう前提をもう少ししっかり防衛庁自体が押さえて防衛論議をやってもらわぬと、これはかみ合いませんよ。私はどこかで本当に一、二時間ぐらい議論をやってみたいと準備をしておりますけれども、皆さんが言うようなのとは大変な違いです。  そこで次期防問題で聞いておきたいのですが、総理の国会答弁を見てみますと、いわゆる六十三年十二月の安全保障会議決定した事項を踏まえてということをよく言っているのだが、一体六十三年の十二月の安全保障会議で何を決め、何を次期防のものとしてやったのですか。
  231. 日吉章

    ○日吉政府委員 まず防衛計画の大綱の基本的な考え方でございますが、それはまさに先生が今御指摘になられましたように、憲法が認めております自衛権の範囲内において我が国が平時から持つべき基盤的な防衛力を整備する、こういう四次防までの反省の上に立ちましてそういう防衛計画の大綱を立てたわけでございまして、そういうふうな大綱を立てる前提になります国際情勢としましては、国際安定化のための努力によりまして、なおかつ日米安保体制によりまして、国際的には大規模な武力紛争が起こる可能性は少ない、我が国に本格的な侵攻が押し寄せてくる可能性は少ないというような認識のもとにそのような基盤的防衛力整備構想を立てたわけでございまして、その防衛力の整備水準に達成せんがためにこれまで努力をしてまいりまして、中期防でおおむね達成するところになったということでございまして、ある意味では基盤的防衛力整備構想を打ち立てました五十一年の防衛計画の大綱のときに前提といたしました国際情勢が、まさに今こそそういう国際情勢があらわれつつあるというようなことではないか、かように考えております。  それから、ただいまお尋ねの六十三年十二月二十二日の安全保障会議でどのようなことが意見の一致を見られたのかということでございますが、これは、国際情勢や諸外国の技術的水準の動向等を考慮すれば、現在の中期防のような中期的な防衛力整備計画を政府として策定する必要がある、その際、昭和六十二年一月の閣議決定にもあるとおり、憲法及び専守防衛等の基本的防衛政策のもとで、国際情勢及び経済財政事情等を勘案しつつ、昭和五十一年十一月の閣議決定の節度ある防衛力の整備を行うという精神は引き続き尊重されるべきである、このような方向で、安全保障会議を中心とする適切な文民統制のもとに逐次検討を行う、こういうことで意見の一致を見たわけでございます。
  232. 上原康助

    ○上原委員 もう時間が来ましたので、大事なところなんですが……。  これは精神訓話を言っているのだよな、あなた。しかし、総理が言っているのは、そのときに決めた事項と言っているのです。その事項というのは何を決めたの。今こういうやり方は私は大変問題だと思うし、あなたが言う前段の国際情勢云云もおかしいよ。何も私は憲法の範囲とかそんなことを聞いていない。オウム返しにそんなしゃくし定規なことだけはよしてもらいたいですね。  そこで、最近聞いていますと、この次期防は何か既に作業に入っておって、今どういう作業状況になっているのか、いつごろまでに結論を出そうとしているのか。そして非常に問題なのは、冒頭の給与法案等のときにも私は申し上げましたが、本当に正面装備のあり方については抜本的に再検討しなければいかぬと思いますよ。そう簡単に新しい買い物をできるという計画の時代ではないと思いますよ。  そこで、この六十年九月十八日の国防会議決定を見たいわゆる現中期防ですね。しかし、これは同時に六十二年一月二十四日、いわゆる一%突破のときに、これなんかももうやらなくてもよかった余計な仕事……
  233. 岸田文武

    岸田委員長 上原委員、時間が参りましたのでそろそろおまとめをお願いいたします。
  234. 上原康助

    ○上原委員 そこで、いろいろ経過はありますけれども、この現中期防の中で検討事項としているものは次期防においても皆さんは計画をしておるのかということ。例えばAWACSであるとか、あるいは空中給油機、加えてMLRS、多連装ロケットシステム、あるいはイージス艦も何か三号艦だけではなくして四号艦も取得したいという計画を立てているということまで、これじゃ正直申し上げて国民は納得しませんよ。そういうことについてはどういう計画なのか、そこだけは聞かしておいていただきたい。
  235. 岸田文武

    岸田委員長 防衛局長。簡潔に答弁をお願いします。
  236. 日吉章

    ○日吉政府委員 次期防の作業の方針でございますが、これにつきましては大臣から再三にわたって御答弁申し上げておりますように、まず大綱水準がおおむね達成されたという情勢あるいは国際情勢の現在の情勢、そういうようなものを考えまして、正面装備につきましてはどちらかというと量的拡大を図るというよりは質的拡充を図るということに基本的に重点を置くべきだ、こういうふうに考えております。  それから、正面と後方という概念でとらえますと、持てる正面装備の能力を最も効果的に発揮し得るような後方支援体制により重点を置くべきではなかろうか、かように考えております。  それから、これらの装備を動かしますものは人間でございますが、現在の人口横成あるいは労働環境等を考えますと、良質な隊員の確保等に多大の努力を要しますので、隊員施策の充実に努力するとともに、我々みずからも合理化、効率化、省力化を図っていきたい、かように考えております。
  237. 上原康助

    ○上原委員 一点だけ、私が今具体的に……
  238. 岸田文武

    岸田委員長 もう一点だけでお願いをいたします。
  239. 上原康助

    ○上原委員 はい、終えます。もう終える準備はしてあるのです。  私が今装備の特定をしたでしょう。それについてどうするのかということを聞いているのに、あなたはぐちゃぐちゃ余計なことを言うな。大臣、これだけの国際情勢の変化、いろいろな面で、私は今防衛行革もやりたかったけれども、本当に再検討の時期に来ていると思いますよ。なぜ皆さんは新しい買い物だけ考えるの。本当に五十四トン戦車が我が国の防衛に必要なのかどうかも含めて検討してみたらどうなの。これに答えてくださいよ。
  240. 日吉章

    ○日吉政府委員 いまだ具体的な問題につきましては検討中でございますので、確定的なものは申し上げられませんが、委員がただいま例示されましたような装備につきましては、既に中期防におきまして整備を始めているものもございますし、中期防期間中に検討をし始めており、その検討を引き続き今もやっているようなもの等がございますので、これらを総合的に勘案しながら今後最終的な判断を下したい、かように考えております。
  241. 岸田文武

    岸田委員長 続いて三浦久君、お願いをします。
  242. 三浦久

    三浦委員 防衛庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  安保防衛問題については今国会で世界情勢の変化との関係でいろいろ多面的に論議がなされたと思います。総理も、長官も、世界情勢が大きく変化したということはお認めになりまして、冷戦の発想を乗り越えて平和共存の道を探りたいとか、また、アジアにもそういう新しい枠組みをつくっていきたいということを繰り返し述べられたわけですね。  それなら、この冷戦構造のアジアの中心である安保条約を廃棄したらどうかとか、また軍備を拡大するのではなくて凍結したり縮小したりしたらどうだというような要求が各党から出されたと思うのです。そういう要求については、長官も総理もこれは拒否をされておられますね。拒否の理由としては、現在の世界情勢というのは不透明で不安定で不確実だとか、アジアはヨーロッパとまた違っているとか、そういうようなことをいろいろ耳にたこができるほど聞かされました。しかし、そういうふうに拒否をしておいて、そして何をしているのかというと、やはり今までどおりの力の政策にしがみついているという状況なんですよね。ですから、日米安保体制の強化、こういう冷戦型の政策を堅持する意思を繰り返し表明してきています。私、これはやはり今の国民感情に合わないと思うのです。  例えばきょうの朝日新聞、ごらんになったと思いますけれども、朝日新聞とアメリカのハリス社との共同世論調査が行われておりまして、その結果が発表になっておりますが、五つほど設問されていますね。これによりますと、安保条約が日本のためになっているかという質問、これは日本人に対してですが、「ためになっている」が四八%しかないのです。これは非常に減少しているのだそうです。米国人に、日米安保条約はアメリカのためになっているか、こういう問いに対しては、五四%のアメリカ人がアメリカのためになっていると言っているんですね。ですから、日本のためじゃなくてアメリカのためになっているという数字の方が多くなっているということです。  五つ全部言っても時間があれですからもう一つだけ言いますと、「ソ連からの軍事的な脅威が減っているのだから、日本が防衛力を増強する必要はなくなってきている」という意見に賛成か反対か。これに対して賛成というのが五〇%にも及んでいるんですね。  こういう世論調査が発表になったわけですが、長官はこれをどういうようにお感じになっていらっしゃるか、そしてまたこの世論調査の結果を防衛政策に生かして軍備を縮小するという方向に政策を転換していく、そういう意思があるのかどうか、その点、お尋ねをいたしたいと思います。
  243. 石川要三

    ○石川国務大臣 私きょうちょっとしたことで朝日新聞のちょうどここを読まなかったんですね。大変どうも不勉強で、後でゆっくりこれを見たいと思いますが、その点はお許しをいただきたいと思います。  今三浦先生の単刀直入の御質問でございますが、私も、総理も外務大臣も国会答弁の中では世界の大きな激変についてはいろいろと述べられているわけであります。にもかかわらず、今度は防衛という観点になるとかたくなになる、こういうような御指摘がございました。少なくとも我が国の防衛政策の基本政策、これは先ほど来いろいろと質疑応答されたようなことでおわかりだと思いますが、私どもの憲法とか専守防衛とか、そういうような国の基本政策のもとで、要するに平時から持たなければならない防衛というものはどういう程度であるべきか、こういうことの一つの水準が防衛計画の大綱の中で示されているわけでありますから、それをずっと今日まで努力をして、確かに途中では、先ほど来お話がございましたように、防衛費がほかの国に比べて増額ではないか、アップが甚だしいではないかというような御指摘がございましたし、確かに数字的にはそういう点があると思いますけれども、しかし、それは防衛大綱の水準に一生懸命努力をしてきた一つの結果ではないかと私は思うのです。それがようやく平成二年の中で到達した、そういうことでございまして、確かに世の中の変動といいますか変革、これは今御指摘のように十五年前の時代とは質的にもスピード的にも大きく違っていることはもう事実だと思うのです。しかし、その中身の、いわゆる国際情勢の枠組みといいますか前提条件、大綱をつくった前提条件の柱というものは、これも先ほど来触れられましたように二つの柱がございまして、そういう中で、平時であるべき水準が設定されているわけです。ですから、そういう意味では確かに激変がひどく、非常に大きく前回とは違っておることは事実であります。しかし、極端に言えば、ヨーロッパの、特にNATOとワルシャワの対峙は一時的には非常にお互いに軍拡をした時代もあったわけですね。そういうようなバーが非常に高くて、これが今下がってきた。下がってきて、冷戦状態から今度は新たなるいわゆるデタントの方向に大きな変革をしていることは事実でありますけれども、私どもの水準の、最低に持つべきそういう大綱の水準から見れば、向こうが下がったからすぐこちらも下がる、そういうものとは違うと私は思うのです。例えばアメリカなどは役割も違いますけれども、とにかく米ソでもって、両方ともあるときには非常に緊張した、そういうものが非常に下がってきた、ですから、思い切った、目にとどまるような大きな変化。そしてまた軍縮が進んでいるようでありますが、その点は我が国の防衛政策の性格とかなり違っております。そういうことが言えるのではなかろうか、こういうふうに私は思うわけでございます。
  244. 三浦久

    三浦委員 世論がどう変わろうと、また国際情勢がどう変わろうとおれの立てた防衛政策は変わらないんだというのは、余り国民の理解を得られない日本独特の防衛政策じゃないかと思うのですよ。  今長官は大綱を根拠にされました。この大綱では、いわゆる我が国が持つべき防衛力の水準というのは結局「限定的かつ小規模な侵略」に対処し得るものだ。そして、それは最小限度のものであって、情勢の変化によってふやすことはある。ふやすときにはスムーズに円滑にいけるように、基盤的防衛力というのはそういう意味なんですね。基盤的な防衛力なんです。しかし情勢がよくなっても、最小限度のものなんだから減らす必要はないんだ、こういう考え方なんです。  しかし私は、今日本が持っている軍事力というのは、そんな限定的かつ最小限度な侵略に対処し得るいわゆる基盤的な防衛力などというものの枠を大きく外れている、もうそんな限度をはるかに超えた防衛力になっている、軍事力になっているということを指摘しなければならないと思うのですよ。  この「限定的かつ小規模な侵略」というのは何か。これは防衛庁自身が言っておりますね。我が国に気がつかれないように、事前に侵略の意図が察知されないように大がかりな準備を行うことなしに行われ、短期間に既成事実をつくってしまうことをねらうものだ、こういうことですよ。そうすると、現在これほど情報網が発達している。人工衛星も飛んでいます。偵察衛星も飛んでいる。レーダーでも毎日毎日四六時中やっているわけでしょう。そうして、日本は海に囲まれています。そういう状況の中で、日本の国に察知されないように侵略行動を起こすなどというそんな侵略行動というのは、それはよほど小規模でしょう。例えば日本に上陸する、軍隊を集結する、そうしたらすぐわかりますね。上陸舟艇を用意するとか軍艦を用意するとか、そういうことがなければ侵略できないのですから。そうすると、この「限定的かつ小規模な侵略」というのは相当小規模ですよ。我々に察知できないような状況というのですから、飛行機が飛んでいるのだってふだんと同じ程度にしか飛んでない、日本海に行き来している船の数もいつもと余り変わらない。こういう状況でしょう。うんと飛行機が飛んだり、うんと艦船が集積したりしたら、すぐわかるわけです。ですから、これは密航か密輸か、そんな程度の小規模なものなんですね、対象を我々考えると。だから、そんな軍隊ではないでしょう。今同僚議員からも指摘がありましたけれども、日本の防衛力というのはもう世界で第三番目ですね。NATO方式で計算するとそうなっている。この十四年間に四十兆円注ぎ込んでいます。ですから、七七年当時には世界第七位だったのが、現在は第三位になっているのですよ。  そうすると、今長官が言われた大綱の水準がようやく実現しつつあるというその水準というのはどのぐらい大きな水準かということ。これは、アメリカ議会調査局報告というのがここにございます。「一九九〇年代の日米関係」、こういう題です。その中を見ますとこう書いてあるのです。日本の「自衛隊は一九九〇年初期には、地上配備の迎撃戦闘機、対潜哨戒機、駆逐艦・フリゲート艦、各種の通常地上戦力の数字で北西太平洋の米軍を凌駕するであろう。通常兵器・装備の質は対等ないし対等に近いであろう。ソ連が戦時に際して第一撃を加えてくるような場合でも、日本の防衛力増強のお陰で、これに対する日米同盟の防衛面での対応は強化されている。 ソ連の長距離爆撃機が」これはバックファイアのことだと思いますが、「米軍の基地や空母に先制攻撃を加えるため広大な太平洋への浸透を試みた場合、これら爆撃機は手強い抵抗や大損害を被る可能性に直面するであろう。日本の対潜戦力は一千カイリのシーレーンにおいて、米国が一九七〇年代と八〇年代に同水域で単独で保有していた能力を上回るソ連潜水艦に対する偵察・攻撃能力を発揮しよう。」だから、もうほとんどの面でアメリカの第七艦隊と匹敵するかそれを凌駕する、量、質ともに、そういう軍隊に一九九〇年初期にはなっているんだということを言っているのですよ。ですから、いかにこれが大規模な軍隊か。大綱が言った「限定的かつ小規模な侵略」に対処するというようなささやかな軍備ではなくなっているということを私は言いたいわけであります。  そこで、お尋ねしたいのですけれども、そういう強大な軍事力の上に、なおかつ新たに洋上防空をやろうとしているでしょう。これはやるつもりなんですかどうなんですか。長官にお尋ねしたいと思います。
  245. 石川要三

    ○石川国務大臣 国民から見ると、今三浦委員が言うような、我が国の防衛力というものは世界の中で三番で、そしてもうアメリカの第七艦隊にも匹敵するというような、そういう膨大な軍事力だというような御説でございます。そうしますと私の、先ほどの要するに平時においても持つべき最低のというその内容とはかなり違うのではないか、こういう御指摘でございますが、そうじゃないんだ、我が国の立地条件、そういうところから見て、この現在の防衛力というものはこれはやはりこれ以下にあること自体の方がむしろ平和を脅かす要因を惹起する、私どもはこういう見解になっておるわけですから、そこいらはもう少し専門的な立場から説明しないと、あなたの一方的な話だけで次の問題に移るのもどうかと思いますので、その点につきましては防衛局長の方から私どもの防衛の内容についてひとつ説明をさせていただきたいと思うのです。そしてその上に立って洋上防衛の次の問題に触れさせていただきたいと思います。
  246. 日吉章

    ○日吉政府委員 ただいま委員の方から、国防費といいますか防衛費で高い順位になっているということが御指摘になられましたけれども、各国の防衛費の比較というのはそれぞれの予算制度が違いますので非常に難しい点がございます。なおかつ、比較するためにはドル建て等に統一する必要がございますので、為替レートの問題が出てまいります。もう一つは、予算はそもそもフローの概念でございまして、予算規模というのは兵力の規模を示すわけではございませんので、ストックの規模でちょっと申し上げてみますと、例えば兵力数といいますか兵員数で申し上げますと、「ミリタリー・バランス」でいいますと日本は二十数位ぐらいのところになるのではないかと思いますし、それから海上兵力ということで、例えばトン数というようなことで申し上げましても十位近いところになるのではないかと思います。それから、航空兵力をとりましてもやはり二十数位というようなところになるのではないかと思います。もちろん核も保有していないわけでございまして、兵力規模という点で見ますと決して巨大なものではない、かように考えております。  それから、シーレーン防衛でございますけれども、我が国の場合は四面を海に囲まれまして資源の大部分を海外に依存するという特性がございますので、有事の際には国民の生存を維持し、あるいは継戦能力を保持するために、海上交通の安全確保というものは他の国に比べましてとりわけ極めて重要なものでございます。したがいまして、海上防衛力の整備に当たりましては、従来から我が国の海上交通の安全確保を念頭に置いて行ってきているものでございまして、この方針は今後とも維持していきたい、かように考えております。
  247. 三浦久

    三浦委員 洋上防空というのは、オーバー・ザ・ホライゾン、OTHレーダーですね、それから早期警戒管制機、空中給油機、またイージス艦、F15。これは現在の中期防で入っているものもありますけれども、これから計画されるものもありますね。そうすると、こういうものの購入は概算要求でなさるおつもりなんですか、どうなんですか。
  248. 日吉章

    ○日吉政府委員 OTHレーダーにつきましては、既に次期防期間中でも調査費をつけましてこれにつきましての検討を進めております。その他ただいま御指摘になられましたAWACSあるいは空中給油機等につきましては、特に空中給油機につきましては、中期防期間中も空中給油機能のあり方についてということで検討を続けているということでございます。特にAWACSにつきましては、中期防期間中に検討したことはございませんが、次期防作業におきましてどのようにするかは今後これから詰めていくということでございます。
  249. 三浦久

    三浦委員 今局長は一千海里のシーレーン防衛、これは海に囲まれた日本にとって非常に大事だ、こうおっしゃいましたけれども、これはアメリカの要求によって日本がやらされている、いわゆるアメリカの世界戦略の一環としてこういうシーレーン防衛をやらされているんだということを私は言いたい。  というのは、例えば今年度、一九九〇年の四月にアメリカの国防長官が議会への報告をしていますね。「共同防衛への同盟諸国の貢献」という題です。この中で何と言っているかというと、この日本周辺の地帯について、「この地帯の安定は、日本の自衛隊が補完的な形で、米軍と一体化する度合いにしたがって、強化されるであろう」。結局、アメリカの補完部隊だと言っているのですよ。アメリカの力を補完する、アメリカと一体となってアメリカ軍を補完する、そういう戦力としてこの一千海里のシーレーン防衛の戦力、また洋上防空の戦力、そういうものが位置づけられているということです。  そうしますと、これは日本を守るためのものではなくて、要するにアメリカの世界戦略に貢献するためのものだ。アメリカが戦争を起こした場合、日本が巻き込まれる危険が非常に強くなるものだ。そういう意味で私はこういう計画の中止を強く要求をいたしたいと思いますが、いかがですか。     〔委員長退席、鈴木(宗)委員長代理着席〕
  250. 日吉章

    ○日吉政府委員 シーレーン防衛でございますが、これはただいま私が御説明を申しましたように、有事におきます際の我が国の海上交通の安全を確保するためのものでございまして、米国を防衛するためのものというふうには私たちは考えておりませんし、全くそういうことではございません。ただいま先生が、アメリカが戦争をした場合にそれに巻き込まれるというふうなことをおっしゃられましたけれども、私たちの認識は、今世界におきまして最も戦争の起こりにくい関係というのは米ソ間の関係である。最近におきまして非常に米ソ間が緊密化を増してきたということもございますが、それ以前、極めて鋭く対峙した段階におきましても、やはり核を持っているということによりまして最も戦争が抑止されている関係だというふうに理解しております。したがいまして、私どもは、最も抑止されている米国と民主主義、自由ということで思想と価値観を等しくするということで日米安保体制を築いているわけでございまして、アメリカが戦争に入った場合にそれに巻き込まれるというような認識は持っておりません。
  251. 三浦久

    三浦委員 そういう認識を持たないというのは、私は非常に常識がないと思いますよ。大体アメリカが日本に駐留しているのは、日本を守るためというのも一つあるけれども、極東の安全のためという極東条項もあるでしょう。どっらに重点があるかといえばむしろ極東の平和と安全を維持するというところに重点があるということは、もうアメリカのいろいろな証言でもってはっきりしていることです。  時間がありませんので先に進みますけれども、軍備を拡大をしていくというだけではなくて、現在こういう緊張緩和の時代になっても日米共同訓練が拡大をするとか、それからまた、日米共同作戦の研究、これもずっと続けられています。時間がありませんので簡単にお尋ねいたしますけれども、八八年の十一月二十四日に当時の石井統幕会議議長が、ガイドラインの一項、二項に基づく研究のうち、日本が単独有事の場合はほぼ終わった、だから今度新しい研究に着手するんだ。第二のケーススタディーをやっていくんだ、こういうことを発表になりましたね。そのときに石井統幕議長は、現在の共同作戦研究は日本だけに侵攻が起こった場合を想定しているが、もっとグローバルな侵攻があった場合を想定した研究だということをその場で述べておられるのです。この新しいいわゆる共同作戦計画の研究、これはどういう内容なのか、そしてどういう名称なのか教えていただきたいと思います。
  252. 日吉章

    ○日吉政府委員 名称は、日米共同作戦研究の中の新たな研究というふうに私どもは呼んでおります。  最初のケーススタディーは昭和五十九年末に一応の区切りをつけてございます。これは日本単独有事の場合を想定いたしまして、その際に日本が侵略を受けた場合に日米双方でどのように共同対処するかということを研究したものでございます。  ただいま御質問の二つ目のケースでございますが、この研究は、日本防衛のために使用される米軍の兵力に関しまして、最初の日本単独有事の場合よりも制約がある状況を想定する、その場合には、グローバルに緊張が高まり、どの地域においても紛争が起こり得る状態というふうに仮説を立てるということで、米軍の来援兵力に制約が生じるというふうに考えられるであろうということで、そういう前提を置いております。したがいまして、具体的に日本以外のどの地域でどういう状態が起こるというようなことは想定いたしておりませんで、まさに米軍の支援兵力に制約が加わるという前提のもとに、その場合に我が国に対して武力攻撃がなされたとした場合に、日米双方がどのように共同対処することが適当であるかという研究をするというものでございます。     〔鈴木(宗)委員長代理退席、委員長着席〕
  253. 三浦久

    三浦委員 いわゆる日本を支援する米軍の兵力に制限が加えられるというのは、米軍がどこかで戦争をやっているということでしょうね。そうすると、アメリカが戦争をやるというのは、小さな国はいろいろありますけれども、グローバルな戦争ということになれば大体米ソ戦争でしょう。そういうものを想定しているわけですね。アメリカはどういう戦略を持っているかといえば、御承知のとおり同時多発戦略というものを持っていて、欧州で米ソ戦争が起こる、中近東で米ソ戦争が起きる、そういう場合には、その地域以外のところでソ連の弱いところに向かって戦端を開いていくんだという戦略を持っているのでしょう。アメリカがどこかで戦争をやって日本に応援する部隊が少ないというようなときのことを想定していろいろ研究をなさるというようなのは、今の情勢に合わないんじゃないかと私は思う。ヨーロッパでは米ソ戦争が起きる可能性があるのですか。こんなものはまずないでしょう。そんなものは中近東にだってないでしょう。それにもかかわらずそういうことを想定した第二のケーススタディーをやるということは、いたずらに国民に対して不安を与えることになりますよ。こんな研究は私はやめるべきだと思う。長官、いかがですか。
  254. 日吉章

    ○日吉政府委員 自衛隊が実力部隊としての組織であり、日本の平和と安定を守ることをその任務としている以上、有事の場合に最も効果的に、かつ、日米安保体制を組んでいる以上、日米双方が協力して最も効果的に対処し得る方法を研究するというのは当然のことと思います。その際によりシビアな条件を設定して研究をするということもこれまた当然のことではなかろうかと考えております。具体的にグローバルな戦争が起こる蓋然性が高いとか低いとか、そういう問題ではございません。
  255. 三浦久

    三浦委員 アメリカ軍との共同軍事演習の問題に移ります。  これも非常に活発に行われていますね。ことしリムパック90が行われましたけれども、我が党は一貫してこのリムパックは集団自衛を前提とするものだというので中止を要求してまいりました。ところが、ことしこのリムパックには初めて南朝鮮が参加をいたしております。これは北朝鮮を大変刺激し、緊張を高めるという意味合いからいっても問題でありますけれども、この初参加に当たって南朝鮮の国防省はその目的についてこう発表していますね。有事、太平洋上の重要海上交通路の安全確保、そのほか沿岸国間の連合作戦能力を向上させるため、こう発表しているのです。これは昨年の九月二十日にやはり南朝鮮の国防相が南朝鮮の国会の国防委員会で参加を明らかにしたときにも、合同作戦能力向上、これを目的にしているというふうに一貫して述べているわけですね。  そうすると、このリムパックというのは参加した匡々の共同防衛作戦能力といいますかそういうものを向上させるためのものだということになれば、これは集団自衛権を前提にしているわけですから、日本としては参加すべきではないと私は思うのですが、長官の御見解をお聞きしたいと思います。
  256. 石川要三

    ○石川国務大臣 繰り返し繰り返しということでございますが、また繰り返しのようになるかもしれませんけれども、このリムパックへの参加はいわゆる艦艇の能力評価そして戦術技術の向上、これが目的でございまして、特定の国または地域を共同して護衛、防衛するような訓練ではない、こういう基本的な考えでございまして、したがいまして、集団的自衛権の行使を前提としたものではない、こういう見解でございます。  特に、今回韓国が参加したということにつきましては、今先生も御指摘されたような韓国の一つの参加の理由がいろいろと発表されておりますが、私どもはあくまでも従来と同様米海軍とのみ直接連携して共同訓練を行っておる、こういうわけでございますので、その点も御理解をいただきたい、かように考えております。
  257. 三浦久

    三浦委員 リムパックというのは一つの共同軍事演習なんですよ。そして、やはり一つの目的を持っているのですよ。共同の目的を持っているから参加しているわけです。ですから、日本だけが特別な目的であってあとほかの国とは違う目的なんだというようなことは言えないと私は思うのですね。そういう意味では、演習に参加するということは相当吟味をしていただきたいと思います。  次に移りますが、集団自衛権の行使につながるものとして日本の海上自衛隊の補給艦による米艦に対するいわゆる洋上給油の問題があると思うのです。リムパックでもことしは行われたそうですけれども、これは何かアメリカからアメリカの油の寄託を受けて、それを返却したという形になっているようですね。そうじゃなくて、一般的に次官通達で行われている洋上給油というのは、アメリカと日本の軍隊、いわゆる海上自衛隊とアメリカの海軍が共同演習をやる、そのときに、米艦が油がなくなりそうだとかなくなっちゃったとかという場合に、アメリカの海軍から要請があった場合に日本の補給艦から油を補給してやる、そういうことになっているのですね。これはどういう法的根拠でできるのかということをお尋ねしたいと思うのです。
  258. 植松敏

    ○植松政府委員 お答えいたします。  まず、現在行っております給油でございますけれども、御案内のとおり、日米共同訓練時におきまして、当該訓練に参加しております海上自衛隊の補給艦が参加しております米艦艇から油の貸し付けの要請を受けた場合に、海上自衛隊の任務遂行に支障のない範囲で油を貸し付けるということで、これは物品管理法、財政法、特に物品管理法第二十九条第一項に、国の物品につきましては、貸し付けを目的とする場合あるいは貸し付けを目的としない場合でもみずからの事業または事務に支障のない範囲で貸し付けることができるという規定がございますので、そういう観点から、物品管理法の趣旨に反しないよう、今申しましたような状況のもとで当該米艦艇が油を他から入手する道がなく、日米共同訓練に必要な限度内である限りにおいてその共同訓練の円滑な実施のために必要な範囲において有償で貸し付けるという形にしております。
  259. 三浦久

    三浦委員 そうすると、この昭和五十八年十二月二十六日付の事務次官通達でもって行われている補給というのは、補給艦の補給訓練とは違うのですね。訓練じゃないのですね。現実に給油するわけなんですね。訓練という概念じゃない、いわゆる油を貸し付けるという行動だということなんですね、それをちょっと確認したいと思います。
  260. 植松敏

    ○植松政府委員 補給艦は、海上自衛隊は日米共同訓練に参加しているわけで、それ自身は訓練を実施しているわけでございますけれども、訓練を実施している中で米艦艇から給油の要請があった場合にどういう形で処理するかということで、それは訓練時ではございますけれども、一方で物品管理法の適用がありますので、物品管理法に反しないように、その趣旨に則して実施をしているということでございます。
  261. 三浦久

    三浦委員 だから給油自体は訓練ではないでしょうと聞いているのです。
  262. 植松敏

    ○植松政府委員 給油自体は訓練ではございません。
  263. 三浦久

    三浦委員 そうしたら、どうしてこれを物品管理法などでできるのですか。物品管理法に自衛隊がこういう行動をしてよろしいなんということは書いてないでしょう。物品管理法というのは不動産以外の動産、国有財産のうちの動産の管理についての基本的な法律ですよ、自衛隊がどうしていいとかこうしていいとかなんとかどこにも書いてないですよ。これはただ単なる油を貸し付けるとか物を貸し付けるとかという行動ではないでしょう。まさに自衛隊の行動それ自身じゃありませんか。自衛隊の役務の提供じゃありませんか。いわゆる武装集団である自衛隊が国民に対して行動を起こす、外国に対して行動を起こす、そういう場合には法律の規定がなければできないのです。そうでしょう。ですから、自衛隊法にもちゃんと書かれてあるじゃありませんか。  例えばこの附則の十二項に、いわゆる自衛隊と隣接してアメリカ軍がいる、そこでほかに調達する道がない場合には「給水その他総理府令で定める役務を適正な対価で提供することができる。」とか、その総理府令では、これは施行規則ですけれども、そこでは「汚水処理、変電所の運営、給気、給電及び液体燃料の保管」というのがあるだけです。洋上でもって米艦に給油してよろしい、そんな規定はこの自衛隊法のどこにもないのです。何を根拠にしていわゆる武装集団である自衛隊がアメリカ軍に対して給油をする、そういう役務の提供をすることができるのですか、自衛隊法のどこに書いてあるのですか、どうなんですか。
  264. 植松敏

    ○植松政府委員 今申しましたように、給油自身を給油訓練として行っておるわけではないと私は申し上げたのでございますが、当然、海上自衛隊のみならず自衛隊は所掌事務の遂行のために必要な教育訓練を行うわけで、これは防衛庁設置法の第六条第十二号にあるわけでございます。日米共同訓練はこの規定は基づきまして訓練をいたしておるわけでございますが、一方、自衛隊が所掌事務を行います場合に、所掌事務に係る装備品でございますとか食糧その他の需品等につきまして調達、補給、維持というのは、当然任務遂行のために必要になります。調達と同時に、その調達しました物品の管理は防衛庁の任務になるわけでございますが、教育訓練をいたしています過程におきましての訓練の一環として、訓練の円滑な遂行のために必要な範囲で、また一方、訓練に支障のない範囲で、物品管理法の趣旨に基づきまして一定の限定をつけて有償で貸し付けを行っておるわけでございまして、物品管理法を根拠としてではございませんで、物品管理法の趣旨に沿い、違反しないように、それに基づいてやっておる、こういう意味でございます。
  265. 三浦久

    三浦委員 答弁が違ってきましたね。これはあなた、今設置法を根拠にしましたけれども、設置法第五条というのは「防衛庁の所掌事務は、次のとおりとする。」という所掌事務が書いてあるだけでしょう。六条に何と書いてありますか。六条は「防衛庁は、前条に規定する所掌事務を遂行するため、次に掲げる権限を有する。」そして「この権限の行使は、法律に従ってなされなければならない。」と明記されているのですよ。ですから、例えば自衛隊の役務の提供ということ、自衛隊ですよ、武装集団である自衛隊が役務を提供する場合には、附則第十二項、総理府令、これに従ってやらなければならないというのです。もしかあなたの言うとおり設置法の五条と六条に書いてあれば何をやってもいいんだということであれば、では附則の十二項は要らないじゃないですか。そのほかにも自衛隊法の百十六条の二、これは自衛隊の飛行場に自衛隊以外の飛行機が着陸した場合に、油がなくなった場合には無償でもって貸し付けてもいい、こういう規定もあるでしょう。こういう規定も一切要らないということになるじゃないですか、設置法の五条と六条でやれるんだということになれば。そんなことになっていないでしょう、法の体系は。  今言ったように、五条では所掌事務の範囲を、そして六条では法律に従ってその所掌事務を遂行する権限を有すると書いてある。そして、一つ一つ自衛隊の行動については、例えば防衛出動の場合でも、治安出動の場合でも、災害で出かける場合でも、一切全部自衛隊法に根拠があって行われていることじゃありませんか。もしかあなたの言うように、ただ設置法の五条に書いてあるからやれるんだ、六条に書いてあるからやれるんだと言ったら、五条に何と書いてありますか。五条の第一項には防衛庁の所掌事務として「防衛及び警備に関すること。」と書いています。ではこれで一切法律なしで何でも防衛ができるのですか。そんなことにはなっていないでしょう。第六条で法律に基づいてその権限を行使するんだと書いてあるわけだから、法律がないのに何で自衛隊が勝手にアメリカの軍艦に対して給油をすることができるのですか。そういう明文がなければできないはずしゃないですか。そんなでたらめないいかげんな法解釈では法治国家の名が泣きますよ。どうなんですか、はっきり言ってください。  そしてまた、あなたは私が先ほど給油自体は訓練じゃないだろうと言ったらそうだと言っているじゃないですか。それを何かあたかも訓練を円滑にするためとかなんとか言って訓練であるかのように持っていこうとしているけれども、訓練だといったって役務の提供であることには変わりがないのです。答弁願います。
  266. 植松敏

    ○植松政府委員 ちょっと舌足らずであったかと思いますけれども先ほど先生の御指摘の点でございますが、給油訓練を目的としたものではございません。日米で戦術技量の向上のために共同訓練をいたしますその一環として、米艦艇から給油を要請される場合もございます。その場合に、これは教育訓練でございますけれども、一方、物品管理法の制約がございますので、物品管理法の第二十九条一項の趣旨に則して次官通達で制約を加えまして一定の範囲内で認めておるというものでございます。
  267. 三浦久

    三浦委員 もう全然だめですね。今はまた何か要請された場合は教育訓練でありますなんて言っていますね。そうじゃないでしょう。この場合に、次官通達に何と書いてありますか。通達は見せない、提出しないとあなたたち言っているけれども、要旨が書いてありますね。「共同訓練に参加する米艦艇から洋上給油の要請を受けた場合で、米艦艇が油を他から入手するみちがないときに、以下の要件により、」云々と、こうなっているのですよね。そうするとこれは訓練じゃないのですよ。もうほかに油を入手しようと思っても入手ができないという状況に立ち至る。そうすると訓練が困難になる。それはそうでしょう。動けなくなったり、それからまた港へ帰れなくなってしまいますね。そういうことなんですよ。訓練の給油じゃないのですよ、本物の給油なんですよ。そうじゃないですか。もう時間がないからあれですけれども、あなたたちが物品管理法でできるとか、そんなものじゃないのですよ。武装集団である自衛隊の行動なんですよ。それも外国の軍艦に対する行動ですよ。それは同盟国の軍艦に対する行動であろうと、それがきちっと法律でもって決められていなければできないでしょう。役務の提供というのは、さっきも言ったように附則の十二項、自衛隊法の百十六条の二、こういうものによってびしっと規定されている。制限的に列挙されている。ここをきちっとしなければ、自衛隊の暴走を許すということになるじゃないですか。文民統制もへったくれもなくなってしまうじゃないですか。
  268. 岸田文武

    岸田委員長 三浦委員、時間が参りました。いよいよ締めくくりをしてくださいませ。
  269. 三浦久

    三浦委員 法律の根拠も言えない。自衛隊が行動する場合の法的な根拠も言えない。(発言する者あり)物品管理法なんて、そんなものは根拠になるか。何を言っておるか。そんなほかなことを言うんじゃない、代議士のくせに。――もういいです。答弁がないからやめます。もう時間があれですから。  しかし、洋上給油というのは、そういう意味で法的な根拠なしにルーズに行われている。必要があるからといったって、必要性というのは法的な根拠にはならないんだ。そのことをはっきり申し述べて、質問を終わります。
  270. 岸田文武

    岸田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  271. 岸田文武

    岸田委員長 これより討論に入るのでありますが、先ほど理事会の協議によりまして、討論は御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。  これより採決に入ります。  内閣提出防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  272. 岸田文武

    岸田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  273. 岸田文武

    岸田委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、斉藤斗志二君外三名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。竹内勝彦君。
  274. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、検討の上善処すべきである。  一 自衛官に対する若年定年退職者給付金制度は、やむを得ない特別の措置であり、将来は、自衛官の再就職の実態を踏まえ改めて再検討すること。  一 今後の高齢化社会に向けて、自衛官の定年制度について不断の見直しを行うとともに、職業訓練の充実など再就職の条件整備に努めること。  一 公務により人命救助等の活動に従事することによって、負傷又は殉職した自衛官に対する補償のあり方について改善を図ること。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっていることと存じますので、説明は省略させていただきます。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  275. 岸田文武

    岸田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  276. 岸田文武

    岸田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。石川防衛庁長官
  277. 石川要三

    ○石川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を踏まえまして十分検討いたしたいと存じます。     ─────────────
  278. 岸田文武

    岸田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 岸田文武

    岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  280. 岸田文武

    岸田委員長 次回は、来る六月五日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十六分散会