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上原委員 もちろんそれはいろいろ限度というのはあると思うのです、限度というのはあると思うのですが、これだけの国費を支出して、しかも
公的行事であるというならば、
皇室をタブー化していくような、あるいは
国民の目を避けるようなことはできるだけ控えるべきである、その点も十分御
検討をいただくことを強く要望しておきたいと思います。
そこで、なぜ私がこの
大嘗祭の件を特に問題にしているか。それは、
皇室行事として簡素で行うということについては、私
たちはそこまでは異議を挟むものじゃありません。旧
憲法下における
大嘗祭の
あり方、
皇室行事と現
憲法下におけるものとの違い、近代化、現代化あるいは
主権在民、
天皇の
地位が
国民統合の
象徴であるということ、そういう面からすると、
皇室の
世襲制であるとか、あるいは
伝統行事であるからということで即
明治憲法下に行われた、あるいはそれ以前に歴代行われてきたことが
伝統だと言うわけにはいかぬと思うのですね。やはり変えるべきところは変える、簡素化すべきところは簡素化していくという姿勢が
宮内庁にないといかぬ、
政府側にも。
これは私も素人なんで、にわか勉強をちょっとやって本を読んでみたのですが、この本にも、
大嘗祭というのは「まさしく御歴代
天皇が最も重んじてこられたのは「神事」=祭事でありまして、その御一代一度最大のお祭りが、
大嘗祭にほかなりません。」その前には「ちなみに、順徳
天皇の「禁秘御抄」には、開巻第一「
賢所」の項に「およそ禁中の作法、先ず神事、後に他事」と記されてをります。」こういう故事をある人が引用して書いているのです、
大嘗祭は神事、祭事だと。だから、これが
宗教性がないとか、あるいは
現行憲法下における
理念等に沿っていると私
たちは
理解しがたいわけですよ。
私は、
天皇問題をタブー化していくことは
皇室にとってもよくないと思うのですよ。私
たちも
憲法を尊重するという
立場ではその点はよく
理解をしているつもりなんです。あるいは
皇室典範においても
皇位継承はあり得る、
即位の礼もやらなければいかぬということが書いてあるからね。これは
国民としてもあるいは
国会議員としても当然だと思う、
理解をするのは。
同時に、私は特に
宮内庁やこの
関係者の
皆さんに申し上げたいことは、
今上天皇が御
即位をなさったときのお
言葉の中にも、これはよく報道されておりますように、平成元年一月九日の新聞なんですが、後段にこうお述べになっている。「
皆さんとともに日本国
憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い、」と
天皇みずからおっしゃっておる。立派な
言葉じゃありませんか。だから私は、果たしてこういう
大嘗祭であるとか仰々しい華麗な諸
行事をやるのが
天皇の御意思にはどうなのかという気持ちさえするのですよ、本当に、率直に申し上げて。日本は経済大国だから、この程度のことは何でもないとお
考えになる方もたくさんいるかもしれません。しかし、アジア近隣諸国なり諸
国民が一体こういう非常に豪華な
即位の礼とか
大嘗祭というものをどう思うだろうか。一晩、二晩使うものに九億も十億も使って翌日はこれを処分するというようなことが、果たして
庶民感覚、
憲法理念、そういうものとなじむのかどうか、私は大変疑問を持つ。
もう
一つ、これは今の両陛下の公式な記者会見の場における新聞なんですが、
天皇はこうお述べになっていますよ。「
憲法の定めを念頭に置いて
憲法に定められた
天皇の
あり方を念頭に置き、
天皇の務めを果たしていきたいと思っております。」そして、「「
皆さんとともに
憲法を守り、これにしたがって責務を果たす」と述べられました。陛下の
憲法への思いをお聞かせください。」という
質問に対しては、「
憲法は国の最高法規ですので、
国民とともに
憲法を守ることに努めていきたいと思っています。」とお述べになっている。
宮内庁次長の頭よりは
天皇の方がずっと
憲法のことは
理解をしておられる感さえ受ける。そうであるならば、こういった関連諸
行事というものをもう少し簡素化するというのは当然じゃありませんか。
国民の
意見もあるということも、我々の
意見もあり、
天皇御自身の
意見もある。
意見というよりも、お気持ちも、お
考えもあるということを
考えるならばね。
皆さんは、本当に旧
憲法下におけるそういった諸
行事を全部復調、復調で回帰させていこうと言っている。これはいわゆる
天皇の元首化ですよ、神聖化ですよ。それがまさに今度やろうとしている
大嘗祭じゃないですか。そこは、私
たちの
憲法に対する
理念、
考え方、あるいは
皆さんさえも国家
行事にはできないで、これは
宗教的色彩もあるのでという断りの中で
皇室の
公的行事としてやろうとしているわけですが、そのことは、単にそういう
意見も少数
意見としてあるということで片づけられていい問題じゃないと私は思うのですね。これからの日本の未来に対して、本当に
皇室というもの、皇族というもの、皇居というものをもっと庶民にも開放して、本当に
天皇が
即位しましたよとベランダで三が日にでもあいさつするような形でなぜオープンにできないのですか。そういうのがまさに近代国家としての
憲法理念にむしろ沿うのじゃないですか。
天皇もむしろ開放的になると私は思うのですよ。
もうこれは討論みたいになってしまったのですが、こういう
考え方、見方に対して、ただそれはあなたの
意見だからということで片づけられていい問題じゃないと私は思う。どうお
考えですか。
官房長官はまだ帰ってこないの。