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1990-04-19 第118回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年四月十九日(木曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 岸田 文武君    理事 植竹 繁雄君 理事 斉藤斗志二君    理事 杉浦 正健君 理事 鈴木 宗男君    理事 林  大幹君 理事 志賀 一夫君    理事 田口 健二君 理事 竹内 勝彦君       今津  寛君    岩屋  毅君       衛藤 晟一君    奥野 誠亮君       高鳥  修君    近岡理一郎君       細田 博之君    増子 輝彦君       光武  顕君    山崎  拓君       渡辺 省一君    池田 元久君       上原 康助君    北川 昌典君       細川 律夫君    山中 邦紀君       山元  勉君    玉城 栄一君       山口那津男君    三浦  久君       川端 達夫君    和田 一仁君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 坂本三十次君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 塩崎  潤君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         内閣総理大臣官         房会計課長   荒田  建君         内閣総理大臣官         房内政審議室長 公文  宏君         内閣総理大臣官         房管理室長   櫻井  溥君         宮内庁次長   宮尾  盤君         宮内庁長官官房         審議官     河部 正之君         皇室経済主管  永岡 祿朗君  委員外出席者         内閣官房内閣参         事官室首席内閣         参事官         兼内閣総理大臣         官房総務課長  多田  宏君         自治省行政局公         務員部公務員第         二課長     谷本 正憲君         内閣委員会調査         室長      林  昌茂君     ───────────── 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     川端 達夫君 同日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     和田 一仁君     ───────────── 四月十八日  国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出第四九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案内閣提出第一六号)  即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案内閣提出第三六号)  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第一七号)      ────◇─────
  2. 岸田文武

    岸田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出皇室経済法施行法の一部を改正する法律案及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 審議をされております皇室経済法国民の休日に関する法律の一部改正については、既に同僚議員の方からいろいろ御質問があって、ある程度政府のお考えなり、また特に宮内庁即位の礼あるいは大嘗祭についてのお考えどもわかりましたが、まだ私たちとして納得がいかない、あるいは、この即位の礼はまあ憲法皇室典範等で一応条文規定があってそれなりの理解はできるわけですが、大嘗祭の持ち方についてはなお疑問なしとしない面が多いので、私ももちろん法律専門家でもありませんし、特にこの分野については全くの素人ですが、党の考え方ども織りまぜてお尋ねをさせていただきたいと存じます。     〔委員長退席、林(大)委員長代理着席〕  そこで、まず具体的な問題に入る前に、社会党としては、昨年の昭和天皇の御逝去に伴って大喪の礼が行われ、その前に今上天皇即位がなされたわけですが、その際にも、党の考え方なりいろいろ明らかにして時の官房長官政府側申し入れをしてございます。さらに、政府がその後即位礼準備委員会設置をし、即位の礼についての御方針をお決めになる、あるいは大嘗祭などの関連行事についていろいろこの即位礼準備委員会で御検討をなさろうという段階でも、書記長名で党から申し入れをし、また、中央執行委員会としても考え方を明らかにしております。  念のためにもう一度基本的な点だけを明らかにしておきたいわけですが、私どもは、即位の礼については、これらを国事行為として行われるならば、あくまで国民のために行うものとして現行憲法精神理念規定に基づいて完全に非宗教的な形式内容の持ち方をしてもらいたい、これが一点。かつ、三権分立、国民主権などの諸原則が十分反映されるものでなければならない。こういうのが即位の礼に対する私ども基本的な姿勢であり、考えであります。     〔林(大)委員長代理退席委員長着席〕  二点目は、即位の礼は華麗なものあるいは豪奢なものであってはならない。国民理解と合意が得られる簡素なものとすべきである。特に、天皇を政治的に利用したり賛美をするものであってはならない。同時に、近隣諸国民の感情を損ねたり誤解を招くことのないように、政府としては特に注意を払うべきであるという点を指摘しておるわけであります。この点も、見解の相違といえばそれまでかもしれませんが、これまでの議論を通しては、若干というかかなり疑問の持たれるところであります。  三点目に、大嘗祭などの関連行事についてであります。後ほど具体的に指摘をしてみたいと思うのですが、大嘗祭は神道の原理に基づき天皇が神となる宗教儀式であるとされている。これは、おととい来の与党議員先生方を含めてのやりとりでも、大嘗祭が神事であり祭事であるということは否定できないことだと私は思うのですね。だから国事行為にすることを政府もはばかっただろうと思う。また、今指摘をいたしましたように、この大嘗祭と関連する行事宗教的な儀式であるとされております。そこで、このような行事天皇国事行為として行われることはもちろんあってはならないと私たち考えておりますが、その点は政府憲法精神に沿ってというか、国事行為とはしなかった。それはこういう私たち申し入れもある程度御理解をされたものかとも理解をするわけですが、もしこれがいわゆる公的行事として行われるならば、主権在民原理としている現行憲法精神にそぐわないと私たちは見ているわけ です。大嘗祭皇室の私的な行事とすべきであるというのが私たち社会党見解であるということをぜひ御理解をいただきたいと存じます。  したがって、大嘗祭及びこれに関連する諸行事皇室行事として行われるとするならば、公費たる宮廷費をもって賄うべきでない、内廷費を充てるべきだというのが私たち考え方であるということを改めて明確にしておきたいと存じます。  四点目は、一連行事決定あり方とその持ち方なんですが、冒頭申し上げましたように、確かに政府即位礼準備委員会あるいは宮内庁大礼準備委員会か何か設置をして、学識経験者の御意見ども聞いてこられる。これは国民意見を聴取したということになるかもしれませんが、しかし、大喪の礼の場合もそうですが、国会議論というものがほとんどないままに政府方針決定をされたといういきさつがあるわけですね。今回の場合も、法案が提案されて、まあこのように一応質疑応答議論はされておるわけですが、どうもこれまでの即位の礼あるいは大嘗祭、それに関連する一連の諸行事の持ち方、決定というものがマスコミ先行でどんどん既成事実をつくり上げてきたという経緯がなきにしもあらずですね、私たちから見れば。これはぜひ改めていただきたいと思うわけでございます。  同時に、この即位の礼及び関連行事の実施に際しては、政府機関、自治体、学校教育機関などを通じて国民祝意を表することを強制したり、あるいは過剰警備人権侵害にわたるようなことがないように特段の配慮をすべきである。同時に行事は、憲法精神趣旨にのっとっておやりになるというならば、国民だれでも庶民感覚理解できる簡潔、簡素なものにすべきである、こう思うわけです。これが私は本当に一般国民即位の礼あるいは皇室私的行事として行われる大嘗祭に対する理解なり、今共通の祝意を表する理解として求められているというか期待を寄せていることではなかろうかと思うのですが、私ども理解をするあるいは認識をする、特に明治憲法下で行われたそういった即位の礼のあり方大嘗祭関連行事ということではなくして、現行憲法下における行事あり方という面では非常に大きな隔たりがあるような感じがいささかするわけです。  今私たち基本的なスタンスを申し上げて、これまで政府が進めてこられたこの即位の礼あるいは大嘗祭に関しての諸行事、果たしてそれで国民理解と十分な協力、賛同が得られるとお考えなのか、改めて官房長官なり関係者の御見解を求めておきたいと存じます。
  4. 多田宏

    多田説明員 先生指摘のように、昨年準備委員会というのを発足させまして、そして各方面からの、学識経験者中心に御意見もいろいろ伺いながら検討を進めてまいったところでございまして、基本的には、憲法精神趣旨に沿って、かつ、皇室伝統等を尊重してという基本路線で、鋭意検討を進めさせていただいておるというふうに考えておる次第でございます。
  5. 宮尾盤

    宮尾政府委員 大嘗祭につきましても今御質問の中にございましたので、御答弁をさせていただきたいと思います。  大嘗祭につきましては一昨日もいろいろな御質問がありまして、お答えをいたしておりますが、大嘗祭基本的な意義につきましては、稲作農業中心といたしました我が国の社会に古くから伝承されてきておる収穫儀礼に根差しておるものでございまして、御即位があった場合には、一世に一度の重要な行事でございまして、これは皇室の長い伝統という中で必ずそういうことが行われてまいったし、行われていくべきものだというふうに考えておるわけでございます。  神となる宗教的な儀式ではないかというお話がございましたけれども、この点につきましては、大嘗祭につきましては、その儀式の次第その他を見ましても、そこには神となるというような意味合いを持った事柄というものは私ども見受けられないと思っておりますし、大嘗祭は、先ほども申し上げましたような、天皇が新穀を皇祖天神地祇にお供えになって、御みずからも召し上がり、そして国家国民安寧五穀豊穣というものを感謝し、また祈念をされる重要な儀式、そういう意味合い儀式である、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、それには宗教性があるではないかという点につきましては、宗教上の儀式としての性格を有することは否定できないということは私どももそういう考え方に立っておるわけでございますが、やはりこれは皇位継承儀式の非常に重要な事柄であるというふうに考えてこの大嘗祭をとり行っていきたいと基本的に考えておるわけでございます。  それから、いわゆる公的行事ではなくて私的行事として内廷費で行うべきではないか、こういう御見解が示されたわけでございますが、ただいま申し上げましたような大嘗祭意義から申し上げまして、今回の大嘗祭性格づけというものにつきましては、皇位継承儀式として非常に重要なものであるという面から、皇室行事でありますけれども公的な性格を持っておる儀式である、こういうふうに位置づけをしていただいております。そういう意味で国としてもこれに対しまして物的、人的側面からその執行を可能ならしめるような措置を講じていただくという立場から、宮廷費でこれを行うべきである、こういう御判断をいただいておるわけでございます。  なお、大嘗祭等につきましてはできるだけ簡素な形であるべきではないか、こういう御指摘もありましたが、私どもも、そういう点につきましては、伝統的な行事でございますので伝統を大きく崩してしまうというわけにいかない、皇室の長い伝統をできるだけ守っていくべきであるという観点に立ちながらも、質素にできるような事柄につきましてはできるだけ質素なやり方をしていきたい、また、これが質素を旨とする皇室のお考え、これまでの非常に長い伝統でもあるだろうというふうに考えて、そういう方向でできるだけ努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  6. 上原康助

    上原委員 そういう御答弁になるとまたいろいろ指摘をせざるを得なくなりますが、質素であるか簡素であるかは宮内庁の御判断あるいは政府判断だけではいかぬ。国民の目がどう見るかというのが一番の基準だと私は思うのですね。  そこで、皇室公的行事というふうに今おっしゃって、この間からそういうお答えをしているわけですが、いわゆる天皇行事というのは、国事行為私的行為、それから公的行為というか公的行事がある。憲法第七条の十で言っている「儀式を行ふこと」の中にいろいろあると思うのですが、本来天皇行為というのは、第七条で内閣助言承認により次の行為を行うと書いてある。この点はかつて内閣委員会に民社党の受田先生という方がおられて大変こういう問題に詳しかった。私もずっと聞いた経験もあるわけです。これまでも公的行為がどういうものなのか大変議論のあったところで、また、学者の説も二通りあるとか、私的行為国事行為しかないのじゃないか、公的行為とは一体何なのかという御指摘もあるわけです。大嘗祭皇室公的行事として行う、この公的行事とした根拠は一体何ですか。内閣助言承認によって行われる行為なんですか。恐らく初めてこの皇室公的行事という表現が出てきたと思うのです。  私は法律に弱いので、法的に論争したら皆さんの方に分があるかもしれませんが、国民感覚がどうかということなんです。皇室公的行事と言う根拠は一体何なのか、その範囲はどうか、これが一つですね。恐らく宮廷費から大嘗祭費用を出すための理屈の立て方と私は見ざるを得ないわけですよ。天皇公的行為は、憲法上も内閣助言承認によってしかできないはずなんです。ここはどういうふうに説明なさるのですか。御見解を聞いておきましょう。
  7. 大森政輔

    大森政府委員 まず、政府といたしましては従前から天皇行為についてはいわゆる三分説をとっております。  第一分類、これはただいま御指摘になりましたように国事行為でございまして、これはまさに憲法規定しておりますように、内閣助言承認に基づいて行われる行為でございまして、その具体的な範囲憲法が明確に規定している行為に限られるわけでございます。  第二分類は、いわゆる公的行為という言葉であらわされる行為でございます。これは国事行為のように内閣助言承認を要するものではございませんが、なお象徴としての地位に基づく行為である、比喩的には、象徴としての地位からにじみ出てくる行為であるとか、あるいは象徴としての立場から国家国民のために行う行為であるというふうによく説明されるわけでございますが、そのような公的行為という用語で表現される一群の行為があるというふうに考えているわけでございます。  それ以外の第三分類といたしまして、ただいまお尋ねの中でも挙げられました、皇室行事というような言葉であらわされるそれ以外のいろいろな行為をなさることがある。これにつきましては、内閣助言承認というような形でも関与いたしませんし、また、公的行為におけるような閣議決定あるいは閣議了解というような形でも関与しないのが通常である、そういう一群の行為があるということでございます。
  8. 上原康助

    上原委員 いや、その分類は、私もそんな詳しくはないけれども理解しているとさっき言ったでしょう。  問題は、その皇室行事として行われる行為天皇皇室私的行為なのでしょう。聞いているのは、皇室公的行事、これは、あなたが今言うように皇室行事とするなら内閣助言承認も要らない、了解も要らないということなら、今度大嘗祭に関与しているではありませんか。その面の法的根拠というか関連づけは、皆さん見解はどのようになるのか、ここは明確にしておいていただきたいと思うのだ。
  9. 大森政輔

    大森政府委員 このたび行われようとしております大嘗祭、これは準備委員会検討結果で詳しく書かれておりますように、皇室行事として行われるということでございます。それには公的性格があるという結論に達しているわけでございますが、若干その理由をもう一度詳しく申し上げます。  先ほど宮内庁次長から答弁いたしましたように、大嘗祭と申しますのは、収穫儀礼に根差したものであり、伝統的皇位継承儀礼という性質を持つのでございます。その中核と申しますのは、天皇皇祖及び天神地祇に対し、安寧五穀豊穣を感謝されるとともに、国家国民のために安寧五穀豊穣などを祈念される儀式であるというふうに意義づけられております。したがって、この趣旨形式等からいたしまして、宗教上の儀式としての性格を有することは否定することができない。また、その態様においても、国がその内容に立ち入ることになじまない性格儀式であるから、大嘗祭国事行為として行うことは困難である。このように書いているわけでございます。  したがいまして、国事行為として行わない、皇室行事として行うというわけでございますが、先ほど申し上げましたいわゆる第三分類に当たる行為の中にも、純然たる私的な性格を持つ行為公的性格ないし色彩を有する行為と、これは小分類でございますが、二つの性格を有するものがあるのだということでございまして、この大嘗祭につきましては、皇位世襲であることに伴う一世一度の重要な伝統的皇位継承儀式である、したがいまして、皇位世襲制をとる我が憲法のもとにおきましては、その儀式について国としても深い関心を持ち、人的、物的な側面からその挙行を可能にする手だてを講ずることは当然であるというふうに考えられるわけであります。このような意味において、公的な性格があるという結論に達した次第でございます。     〔委員長退席、林(大)委員長代理着席
  10. 上原康助

    上原委員 そんな法律解釈をもう核分裂みたいに牽強付会にやられたのではたまらぬよ、本当に。もうたくさん聞いた、ここに述べている「大嘗祭皇室行事として」云々というのは。皇位世襲制我が国憲法のもとにおいては何やかやいうのはもうたくさん聞いた。これは後で聞きすからね。  そこで、では具体的にお尋ねしますが、即位礼及び大嘗祭におけるお亡くなりになった昭和天皇今上天皇との違いはあるのですか。即位の礼の儀式の持ち方とか、大嘗祭儀式の持ち方、特に、これらの儀式をやるのに多くなったものあるいは少なくなったもの。できるだけ皇室の意向も受けて簡素にしているとさっき宮内庁次長がおっしゃった。では、簡素にされたもの、具体的なものを挙げてみてください。違いあるのかどうか。
  11. 宮尾盤

    宮尾政府委員 今の段階は、大綱といいますか、どういう儀式を行うかということが決まっておる段階でございますので、細部の点は別といたしまして、そういう儀式関係で申し上げますと、御承知のように、先例では即位礼と紫宸殿の儀、それから大嘗祭というものは京都で行われたわけでございますが、今回はいずれもこれは東京で行うということになりましたことから、例えば昭和先例と比較いたしますと、具体的に今回行わないこととされておりますのは、京都に行幸の儀とか、あるいは賢所春興殿に渡御の儀、即位礼後一日賢所御神楽の儀、東京に還幸の儀、賢所温明殿に還御の儀、こういうようなものは行われないことにいたしておるわけでございます。  ただ今回、即位の礼の方では、祝賀御列の儀というような国民と親しく接し祝意を受けられるような場というもの、そういうものは新しい時代に即応した形で考えられておりますし、それからなお、即位礼大嘗祭関連といたしまして、園遊会とか、一般参賀とか、京都における茶会、こういったようなものは、国民の方々とできるだけ接せられて祝意をお受けになる機会をいろいろ設ける、こういう意味から新しくふやしているものも少しあるわけでございます。     〔林(大)委員長代理退席委員長着席
  12. 上原康助

    上原委員 要するに、大差はないということなのでしょう、この行事というのは。京都で行うかどうかのことを聞いているのじゃないのです。違いがあるかということを聞いている。昭和天皇即位の礼をやったとき、それに関連して大嘗祭をおやりになったときと、今度の今上天皇がなさるというときとどう違うか。ほとんど違わないのじゃないですか。まだこれからと言う。この間から皆さんは、何か突っ込んだことを聞こうとすると、みんなまだこれから具体的に決めると言う。宮内庁が決めている「大礼関係儀式等(予定)」というのは、これは一応みんなやるわけでしょう、この表にあるのは。まさしく昭和天皇即位の礼、大嘗祭のときやったことが全部これにあるのじゃないですか。だから、私たちが問題にするのは、明治憲法下に行われたことと現憲法下に行われていることがどう違うかということを聞きたいんだ。天皇世襲制ではあっても、明治憲法下天皇地位現行憲法天皇地位象徴天皇としての地位は明確に違うはずなんだ。違うならば、当然即位の礼にしても大嘗祭にしてもそれに伴う変化があり、憲法理念趣旨に基づくならばそうあるべきなのが常識じゃないですか。それがないところに問題があるということを言いたいのです。今の指摘に何かあればお答えください。  二点目、即位礼正殿の儀及び大嘗祭に、これは国会議員先生方はどうなさるの。参列させるのですか、させないのですか。それが一つ。それと地方公共団体、例えば知事とか市町村長地方議会議員の取り扱いはどうなるのか。大嘗祭における総理及び閣僚、衆参の正副議長、最高裁長官出席の有無はどうなるのか、こういう点はどうですか。お考えを聞きたい。
  13. 宮尾盤

    宮尾政府委員 即位礼大嘗祭における参列者範囲問題等でございますが、具体的な範囲をどうするか、こういうことにつきましては、即位礼につきましては総理府の方で今後検討される問題でございますし、それから大嘗祭関係につきましても、私どもの方で今後それをどういうふうに取り扱っていくかということを検討していかなければならない段階でありまして、今具体的にこう いうふうにいたしますと言うところまでは至っておりません。ただ、先例等もございますし、また、今回の即位礼あるいは大嘗祭というものをどういうふうにとり行っていくかという考え方から、これから行われます姿にふさわしいようなものにしていきたいという考え方基本的に持っておるわけでございます。
  14. 上原康助

    上原委員 具体的なことを聞いたら、みんなこれからだ。その間にまたみんな何かあれして、ぼつぼつ決めていくんでしょうね。  官房長官先ほどから聞いていらっしゃるが、要するに、今具体的なことを聞きました。その前段のことについてはお答えはありませんでしたが、明治憲法下における即位の礼あるいは大嘗祭の持ち方、あり方、持たれておったこと、これが憲法が変わって、登極令も廃止をされ、旧皇室典範もなくなった。もちろん現在の皇室典範はありますよ。それで天皇地位も変わったはずなんです。それを一世一度のことだ、世襲制だ、伝統だということで、明治憲法下におけるような諸行事をみんな皇室はやっている。そこが政府が言っておられるように果たして憲法精神理念に沿った行事なのかということに私たち基本的な疑問を持っているわけです。この間から、これに対しての明快なお答えはまだないですね。官房長官の御見解を改めて聞いておきましょう。
  15. 宮尾盤

    宮尾政府委員 即位礼及び大嘗祭につきまして政府基本的な考え方は、憲法精神に沿い、かつ、皇室伝統を踏まえてという考え方基本になっておるわけでございます。
  16. 上原康助

    上原委員 それはオウム返しにそうおっしゃっても、理解なり認識の違いがある。特に宮内庁はそうだと思うんだが、どうも今でも天皇地位というものを、旧憲法における「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」、この立場をおとりになっているんじゃないですか。本当にこういう認識で事を進めてきているとしか理解せざるを得ません。これをやっておってもあれですが、我々はそういう理解をしていないということを、この点は強く指摘をしておきたいし、国民もその点は疑問を持っている方がおそらく多いと思う。  主権在民ということ、天皇地位は、「主権の存する日本国民の総意に基く。」なんです。宮内庁官房長官、「総意」ということは賛成する人だけが理解すればいいということではないと思う。国民全体が、国民総意が、もちろん政治論で言うと多数決でいいということになるかもしれませんが、象徴天皇という地位は、国民の総意に基づく祝意、賛同、参加じゃないといかぬと思う。その努力を本当にやっているとは我々は思えない。そこを指摘しているんですよ。  そこで次に、この間から即位礼正殿の儀に参列者二千五百名だとおっしゃっていますね。これはもうはっきりしている。この二千五百名にお決めになった基準及びその範囲は何ですか。
  17. 多田宏

    多田説明員 即位礼正殿の儀は宮中の正殿の松の間で行われて、宮殿を使って儀式を遂行するということにいたしておりますので、これの収容能力等の観点から二千五百名というのがまず適当なところというふうに考えて、二千五百名という線を出したわけでございます。  あと、具体的にどういう方々をお招きするかということにつきましては、今鋭意検討中でございますので、まだ結論が出ておるわけではございません。
  18. 上原康助

    上原委員 これはいつまでに明らかにするの。
  19. 多田宏

    多田説明員 まだ具体的にいつということまで決めておりませんけれども、秋ぐらいまでには決めなければいけないかなというふうに考えております。
  20. 上原康助

    上原委員 秋に行うのに秋に決めなければいつ決めるのですか。こうだから話がちぐはぐだ。  そこで、私がさっき言った国会議員とか地方公共団体、そういうのもその中に入るのかどうか。まあ、別にそう深い意味はないですからいいです。  そこで、次に移りたいわけですが、即位礼正殿の儀における天皇のお言葉内容といいますか、それはどういうことを予定してお考えになっておられるのか。それともう一つ、海部総理がおやりになると思われる寿詞とかいうもの、まさか寿詞じゃないでしょうね。そのお祝いの言葉というのはどういうものを考えているか。これは官房長官がいないので困るんだが、それは何か重要なあれですかな。これも恐らく今検討中だということをおっしゃるかもしれませんが、大体の基本的な考え方を明らかにしてもらわないけない、こういう法律検討しているんだから。  なぜそういうことを言うかというと、最近、こういう天皇即位礼大嘗祭のいろんな昔からのあれが出ている。これは賛成をする立場の方々が多く書いているので、参考になる面もああそうかと思われる面もあるんですが、昭和天皇即位の礼をやったときのお言葉というのを見た場合に、今上天皇がどういうごあいさつ、お言葉を言うのか、極めて関心の持たれるところなんですね。いわゆる明治憲法下における即位の礼の、天皇即位したときの「朕惟フニ」と国民にお述べになった言葉と今度おやりになろうとするのは、そこに果たして違いが出てくるのかどうか。まあ、違いは出てくるでしょう、憲法趣旨には一応沿うと言うんだから。変わっていなければ大ごとだ。だが、宮内庁なり政府の大体の考え方を明らかにしてもらいたい。全文ここで聞こうとは思わない。それと、内閣総理大臣がお述べになるというこのあいさつの中身はどういう趣旨考えているのか、ぜひ明らかにしてください。
  21. 多田宏

    多田説明員 天皇のお言葉につきましては、内外に即位を宣明するという趣旨で、しかも現在の憲法趣旨にのっとったものにするという基本的な考え方でございまして、具体的にはこれは一字一句慎重に吟味した格好で詰めていかなければならない問題でございますので、現在のところ骨格というものまでもまだ至っておらないという状況でございます。  それから、総理のお祝いの言葉でございますが、これは即位をお祝いするという趣旨に沿ったものにする考えでございます。
  22. 上原康助

    上原委員 総理のお祝いの言葉なんですが、それも、政府は寿詞とかそういう名称を使うのですか、使わないのですか。
  23. 多田宏

    多田説明員 寿詞と申しますのはお祝いの言葉という意味でございますので、一応寿詞という言葉でいかがかなというふうに検討をしておるところでございます。
  24. 上原康助

    上原委員 それなら変わらぬじゃないの。寿詞がお祝いの言葉なら、あなた、近代、現代の文章らしくお祝いの言葉となぜならないの。なぜそんなにこだわるのですか、そういった口調、あれに。  次に、即位礼正殿の儀における天皇の服装の問題ですが、これは昭和天皇の場合と今回違うのか違わないのかということです。まあ、皇室用語は大変難しくてもし間違ったりあれがあれば御勘弁いただきたいのだが、例えば黄櫨染御袖を今回もおつけになるのか。この黄櫨染御砲と宗教との関係はどうなるのか。これは大事なことですよ。
  25. 宮尾盤

    宮尾政府委員 まず、即位礼正殿の儀における天皇の御服装のことでございますが、即位の礼は国事行為として行われるわけでございまして、今回行われます即位礼正殿の儀におきましてどういう御服装を召されるかということは、即位の礼委員会等におきまして検討し、御決定をいただく事項になろうかと思いますので、まだその点は決まっておりませんが、伝統的には天皇が黄櫨染御袍を御着用になっておるわけでございます。  それから、この黄櫨染御袍と宗教との関係というような御質問がございましたが、まず、黄櫨染御袍というのは、天皇陛下がお召しになります束帯といわれる装束でありまして、この束帯というのは平安時代に完成を遂げました儀式服でございます。平安時代には我が国独自の文化というものが高度に発達をしまして、大宝令等で定められていました中国風のいわゆる式服等が次第に廃止をされまして、いろいろ日本固有の形のものに改造されてきているわけでございますが、その中で儀式服として登場してきたものがこの束帯だと言われております。したがいまして、これにつきまし ては平安時代以来我が国独自の正装というふうに考えられるものでございまして、宗教的な色彩というものはないというふうに考えておるわけでございます。
  26. 上原康助

    上原委員 そうなると、こういう服装で即位礼正殿の儀をやるということは、確かに伝統行事あるいは皇位継承の儀式だから、これまでの伝統を尊重するということで言えばそれまでかもしれませんが、こういうような服装でやるということはまさに天皇が神になるという儀式ではありませんか。神格化でしょう、一種の。それが宗教的な色彩はないという感覚というか解釈というのが私には理解できない。だから、昭和天皇と全然変わらないわけです、今度の天皇がなさるような行事においても。  さらに、高御座及び御帳台の性格及びその意味合いはどういうことなんですか。それと宗教との関係はあるのですか、ないのですか。これもないとおっしゃるのですか。
  27. 宮尾盤

    宮尾政府委員 高御座と御帳台でございますが、高御座というのは歴史上、伝統的皇位継承儀式の中核でありますいわゆる即位の礼におきまして古来からずっと用いられてきておるものでございまして、皇位と密接に結びついた古式豊かな調度品だというふうに考えておりまして、そこには宗教的なかかわりというものは全くないというふうに考えております。それから、御帳台も同様にそういう宗教的なものではないというふうに思っております。いずれにいたしましても、こういうものは伝統的な儀式の中で用いられるものでございますので、そういう点は御理解を賜りたいというふうに思っております。
  28. 上原康助

    上原委員 そうしますと、今度の場合も高御座あるいは御帳台はおつくりになるわけですね。これは今どこにあるのですか。
  29. 宮尾盤

    宮尾政府委員 今回、高御座と御帳台をどういうふうにするかということでございますが、実は京都御所に大正、昭和即位礼でお使いになられた高御座、御帳台というものがございます。したがいまして、今回新たにこれを調製をするというのは大変なことでございますので、現在京都にあるものに若干補修等をいたしましてこれを使ってはいかがかというふうな方向で検討をいたしておるわけでございます。
  30. 上原康助

    上原委員 聞けば聞くほど違いはないので、お尋ねしてもどうかなと思ったりもするわけですが、宗教との関係がないということは言えないと思うのですね。まさにこれは皇室神事の、歴代天皇即位の礼にとられた儀式一つなんです。  それと、皇室で行ういろいろの神事と神社神道との違いをぜひ明らかにしていただきたいと思うのですね。宗教とは関係がないのだと言うのなら、皇室が行ういわゆる神事、祭事と神社神道とはどういうふうに違いがあるのか、ないのか。
  31. 宮尾盤

    宮尾政府委員 宮中祭祀につきましては、皇室におきまして皇室の長い伝統に従って皇室固有の方式で行われておるわけでございまして、特定の宗教の教義等に基づくものではないわけでございます。そういう意味で、皇室における祭祀というものはいわゆる神社神道と全く同じではないということを申し上げておるわけでございます。  ただ、どこが違うかといいますと、私もその方面の専門家でももちろんありませんし、これは非常に難しい問題でありますので、いわばその専門家でない者がここらでこういうことではなかろうかというような若干の相違点のようなものを申し上げてみますと、今申し上げましたように、皇室伝統に従って宮中での祭祀を行っておられるわけでございますが、布教とか教化活動あるいはこれに類するようなことは当然行われておりません。それから、一般の神社におきましては一定の資格を備えた神職者が神事を行うというのが通例であるというふうに思うわけでございますが、皇室におきましては天皇陛下が御みずから祭祀をなさるわけでございます。そして、その祭祀を補助する掌典などは、これは神社における神職の資格を持った者、こういうことは全く要件ではございませんで、そういう資格がない者が務められるし、現に、ほとんどそういう資格を持っていない方が現実に掌典の仕事をやっております。  そういったような細々したことを挙げればいろいろなことがあるのかもしれませんが、大きな筋といたしましては、そういう点でいわゆる神社神道と皇室で行われておる祭祀とは、大きなといいますか、相当違った面があるのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  32. 上原康助

    上原委員 先ほど来、宗教的色彩はないとかあるいは関係は少ないということを盛んに言っておりますが、しかし、「儀式の位置付け及びその費用」という政府がお考えになっているところでも、「宗教上の儀式としての性格を有すると見られることは否定することができず、」とはっきり言っているじゃありませんか。だから国事行為じゃできないということになったわけでしょう。これはみんな宗教行事ですよ。神事ですよ。皇室一つ宗教行事ですよ。  それで、なぜ私がこういうことを言うかという結論は後で言いますけれども、この大嘗祭儀式の行われる時刻及び参列者範囲とその基準はどうなるのですか、大嘗祭の時刻及び参列者。これはなぜ深夜に行われなければならないのですか。その儀式、特に大嘗宮の儀における悠紀殿、主基殿における儀式はなぜ深夜に行われなければいかぬのですか。そうすると、その参列者は全部、そこまでどこでどういうふうになるのですか。
  33. 宮尾盤

    宮尾政府委員 参列者範囲でございますが、これは先ほど答弁申し上げましたように、今後検討いたしまして具体的に詰めていかなければならない点でございまして、鋭意そういう検討を進めておるわけでございます。先例等も参酌しながらそういう努力を早急にいたしたいと思っております。  それから、儀式の行われる時間はどういうことになるかということでございますが、これも式次第等によって今後詰めていかなければいけないわけでございます。先例によりますと悠紀殿供饌の儀というのが午後六時半から九時半くらいの時間帯に行われておるようでございます。そして、翌朝午前零時半ころから三時半ころまで主基殿供饌の儀というのが行われております。したがいまして、いわゆる大嘗宮の儀というものが終わるのに前の晩から翌朝までかかる、こういうことでありますが、なぜこういう時間に行われるのか、こういうことにつきましては、これは大嘗祭というものは、たびたび申し上げておりますように、非常に古い伝統を持った儀式でありまして、そういう伝統的なものにつきましてはそれをできるだけ尊重していきたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、そういう夜なり早朝の時間帯になるので参列者をどうするのか、こういうことでございますが、儀式が行われている場合には、幄舎にお入りになってそこで参列をしていただいているわけでございます。その間、悠紀殿供饌の儀と主基殿供饌の儀との間にはあいている時間がございますから、その間は先例でも休所でお食事などを差し上げるというようなことをいたしております。今回もそういったことを検討する必要があるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  34. 上原康助

    上原委員 今のそういう時間帯に、深夜に行うというのは、その天皇即位というものが神格化をしていくといった神秘性というか、秘儀だからそういったことになるわけでしょう。これも全く変わりませんね、旧憲法下におけるやり方と。  それでもう一つ、悠紀殿、主基殿にお供えするというか、それの斎田の選定というのはどういうふうになさっているか。ちょっとわかりにくければ、登極令の第八条にありますね、「大嘗祭ノ斎田ハ京都以東以南ヲ悠紀ノ地方トシ京都以西以北ヲ主基ノ地方トシ其ノ地方ハ之ヲ勅定ス」今もこの趣旨は生かされている、尊重しているのじゃないですか。全く同様な手順を踏んでいらっしゃるんじゃないの。
  35. 宮尾盤

    宮尾政府委員 大嘗祭をどういうふうに行っていくかということにつきましては、これはその斎田を決めて、そこからとれたお米をもって大嘗祭儀式に使う、これも非常に長い伝統になっております。したがいまして、今回も、この秋に行われます大嘗祭におきましても、斎田を決めまして、そこで収穫されたお米を使いたいというふうに基本的に考えておるわけでございます。  斎田につきましてはどういう決め方をするかということがまずありますが、それは悠紀の地方、主基の地方というものを決めて、その中から特定の田を斎田とする、こういうことになっておりまして、悠紀地方、主基地方ということの決め方につきましては、先般それを定めることをいたしまして、斎田点定の儀というものが行われて、そこで悠紀地方、主基地方を、悠紀地方は秋田県、それから主基地方は大分県、こういうふうに定められたわけでございます。そこで、秋田県あるいは大分県のどの田んぼを斎田とするかということにつきましては、まだ具体的にそういうことを決定いたしておりませんで、今後いろいろ検討しながらそれを進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  36. 上原康助

    上原委員 やはり今私が申し上げたように、この登極令の第八条というものをある程度踏まえて斎田というのを決めているような感を受けますね。そのやり方がどうかということをお尋ねしているのであって、どこのどこということまで聞こうとは思いません。  そこで、国費を支出する、いわゆる宮廷費大嘗祭をやるわけですね。この一連行事、今の悠紀田、主基田の行事にしても、あるいはその他の諸行事にしても、公的性格を有するものだとして、しかも国家予算でそれは賄う。宮廷費でやる。二十五億六千余万円ですか、相当の金額である。そうしますと、公的行事であり公的費用でやるということであるならば、国の伝統行事だ、あるいは世襲制だというような盛んな——皇室行事の全面公開をやれとは言いませんが、公開の原則というかそういうのはどうなるのですか。こういう行事は非公開で行うのか、どのくらい公開するのか、これもぜひ知りたいところですね。
  37. 宮尾盤

    宮尾政府委員 大嘗宮の儀というのは大変重要な儀式でありまして、それは伝統的なやり方からいえば外部に公開をするということにはなじまないというふうに考えております。  ただ、大嘗祭というものを今日私どもが申し上げておるような形で行いたい、こういうことについては、全くその輪郭もわからないというようなことではいかがかという考え方もあるわけでございます。大嘗宮の儀を公開するという考え方はございませんが、大嘗祭について一般国民の方々が若干そういう状況というものが感じ取れるようなことについては、何らかの努力をしていくべきではないかというふうに考えておりますが、これらについても具体的にどうするかということはまだまとまっておる段階ではございません。
  38. 上原康助

    上原委員 もちろんそれはいろいろ限度というのはあると思うのです、限度というのはあると思うのですが、これだけの国費を支出して、しかも公的行事であるというならば、皇室をタブー化していくような、あるいは国民の目を避けるようなことはできるだけ控えるべきである、その点も十分御検討をいただくことを強く要望しておきたいと思います。  そこで、なぜ私がこの大嘗祭の件を特に問題にしているか。それは、皇室行事として簡素で行うということについては、私たちはそこまでは異議を挟むものじゃありません。旧憲法下における大嘗祭あり方皇室行事と現憲法下におけるものとの違い、近代化、現代化あるいは主権在民天皇地位国民統合の象徴であるということ、そういう面からすると、皇室世襲制であるとか、あるいは伝統行事であるからということで即明治憲法下に行われた、あるいはそれ以前に歴代行われてきたことが伝統だと言うわけにはいかぬと思うのですね。やはり変えるべきところは変える、簡素化すべきところは簡素化していくという姿勢が宮内庁にないといかぬ、政府側にも。  これは私も素人なんで、にわか勉強をちょっとやって本を読んでみたのですが、この本にも、大嘗祭というのは「まさしく御歴代天皇が最も重んじてこられたのは「神事」=祭事でありまして、その御一代一度最大のお祭りが、大嘗祭にほかなりません。」その前には「ちなみに、順徳天皇の「禁秘御抄」には、開巻第一「賢所」の項に「およそ禁中の作法、先ず神事、後に他事」と記されてをります。」こういう故事をある人が引用して書いているのです、大嘗祭は神事、祭事だと。だから、これが宗教性がないとか、あるいは現行憲法下における理念等に沿っていると私たち理解しがたいわけですよ。  私は、天皇問題をタブー化していくことは皇室にとってもよくないと思うのですよ。私たち憲法を尊重するという立場ではその点はよく理解をしているつもりなんです。あるいは皇室典範においても皇位継承はあり得る、即位の礼もやらなければいかぬということが書いてあるからね。これは国民としてもあるいは国会議員としても当然だと思う、理解をするのは。  同時に、私は特に宮内庁やこの関係者皆さんに申し上げたいことは、今上天皇が御即位をなさったときのお言葉の中にも、これはよく報道されておりますように、平成元年一月九日の新聞なんですが、後段にこうお述べになっている。「皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い、」と天皇みずからおっしゃっておる。立派な言葉じゃありませんか。だから私は、果たしてこういう大嘗祭であるとか仰々しい華麗な諸行事をやるのが天皇の御意思にはどうなのかという気持ちさえするのですよ、本当に、率直に申し上げて。日本は経済大国だから、この程度のことは何でもないとお考えになる方もたくさんいるかもしれません。しかし、アジア近隣諸国なり諸国民が一体こういう非常に豪華な即位の礼とか大嘗祭というものをどう思うだろうか。一晩、二晩使うものに九億も十億も使って翌日はこれを処分するというようなことが、果たして庶民感覚憲法理念、そういうものとなじむのかどうか、私は大変疑問を持つ。  もう一つ、これは今の両陛下の公式な記者会見の場における新聞なんですが、天皇はこうお述べになっていますよ。「憲法の定めを念頭に置いて 憲法に定められた天皇あり方を念頭に置き、天皇の務めを果たしていきたいと思っております。」そして、「「皆さんとともに憲法を守り、これにしたがって責務を果たす」と述べられました。陛下の憲法への思いをお聞かせください。」という質問に対しては、「憲法は国の最高法規ですので、国民とともに憲法を守ることに努めていきたいと思っています。」とお述べになっている。宮内庁次長の頭よりは天皇の方がずっと憲法のことは理解をしておられる感さえ受ける。そうであるならば、こういった関連諸行事というものをもう少し簡素化するというのは当然じゃありませんか。国民意見もあるということも、我々の意見もあり、天皇御自身の意見もある。意見というよりも、お気持ちも、お考えもあるということを考えるならばね。  皆さんは、本当に旧憲法下におけるそういった諸行事を全部復調、復調で回帰させていこうと言っている。これはいわゆる天皇の元首化ですよ、神聖化ですよ。それがまさに今度やろうとしている大嘗祭じゃないですか。そこは、私たち憲法に対する理念考え方、あるいは皆さんさえも国家行事にはできないで、これは宗教的色彩もあるのでという断りの中で皇室公的行事としてやろうとしているわけですが、そのことは、単にそういう意見も少数意見としてあるということで片づけられていい問題じゃないと私は思うのですね。これからの日本の未来に対して、本当に皇室というもの、皇族というもの、皇居というものをもっと庶民にも開放して、本当に天皇即位しましたよとベランダで三が日にでもあいさつするような形でなぜオープンにできないのですか。そういうのがまさに近代国家としての憲法理念にむしろ沿うのじゃないですか。天皇もむしろ開放的になると私は思うのですよ。  もうこれは討論みたいになってしまったのですが、こういう考え方、見方に対して、ただそれはあなたの意見だからということで片づけられていい問題じゃないと私は思う。どうお考えですか。官房長官はまだ帰ってこないの。
  39. 宮尾盤

    宮尾政府委員 ただいまお話のありました陛下のお言葉あるいは記者会見においてお述べになられた陛下のお考え方、これはお話にあったとおりでございます。  私ども大嘗祭につきまして、例えば今大嘗宮のお話が出ましたけれども、できるだけ節約できるところは節約をして簡素なものにしていきたい、こういう考え方は持っておるわけでございます。ただ、全体の儀式というものは、これは伝統的なものですから、あるものは簡単にするためにやめてしまえというのは、なかなかこれは困難である。具体的なやり方については、できるだけ簡素、質素なものにしていきたいという考え方基本的に持っておるわけでございます。  大嘗宮の建物の話がございましたのでその点についてちょっと申し上げますと、もともと大嘗宮の建物というのは極めて質素なものであるということが本来の姿であったわけでございますが、先例等におきましては大分そういう点が華美になってきているというようなこともありまして、今回におきましては、そういう点も十分考えながらできるだけ調達可能で質素な素材を使う、こういうふうな考え方でやっていこう、そういうような配慮を全般にわたって心がけるようにしていきたい、また、そういうふうに思っておるわけでございます。
  40. 上原康助

    上原委員 私が指摘をしましたことにはよくお答えになっていない感もします。官房長官がお席を外していらしたのでお聞きになれないのは残念でしたが、もう少し皇室の諸行事も含めて、天皇なり皇后なり皇太子、御関係者の日常の生活状況というか、あるいは公的、私的を含めてもっと国民に身近なものにするような配慮をぜひやるべきであって、できるだけ神格化していく、雲上人にしていくという、これは取り巻き陣が悪い。だから、こういうことを私たちが機会があれば指摘をし、お互いに討論をして、国民にはそういう考えもあるのだということを絶えずやっていかぬと、タブー化していく。皇室問題なり天皇問題を言う人は即何か非国民みたいなことで、あるいは言論の自由を封じていくというような動きもあったでしょう。これは、やはり天皇地位というものを厳格に、憲法精神理念に沿って宮内庁政府も運用していく、あるいは国民もそういう理解をしていく。政治的利用をさせない、やっちゃいかぬ、この原則だけは、私は、民主国家として守ってほしい。象徴天皇という地位を高らかに宣言している憲法理念はその辺にあると思う。だんだんそういうことが薄れていくというか、あるいはできるだけそうさせないような雰囲気、ムードがあることを私たちは懸念をいたしますが、今度の諸行事というか、こういったことを通して国民にも理解できるように、本当に総意に基づく現行憲法下、新憲法下における即位の礼だ、あるいは皇室行事だと思われるような方向にぜひ努力をしていただきたい。  そこで、次に即位の礼の後の祝賀御列、祝賀行列の儀の参列者及びその規模はどうなるのですか。皇居から赤坂御所でしたか。
  41. 多田宏

    多田説明員 祝賀御列の儀で具体的にどういう列立てをするかというようなことは今鋭意検討中でございます。  それから経路につきましても、大体の流れは見えてきているところでございますけれども、もう少し詰めたいと思いますので、今の段階で余り厳密なことを申し上げるのはいかがかと思っております。  参列者という意味がもし見送る方という意味であれば、それは特に制限ということはございません。街路をずっと皆さん祝意を表していただけるような格好にしていただくつもりでございます。
  42. 上原康助

    上原委員 そこは、自然的にお祝いしたいとかあるいは祝意を表したいという国民の自由な立場で気軽な面でやるということは、これはあり得ることでしょう、これから皆さんいろいろ宣伝もやっていくでしょうからね。ただ、特に配慮をしなければいけないことは、この間も聞いていると、何か権利を制限したりあるいは強制するようなものでなければ法的根拠がなくても何でもできるということを第一部長がおっしゃったような感じがしたのですがね。そうであるならば、祝賀御列に参加をするあるいはそれを迎える人々もあるのかどうか。特に、これは政府としてぜひ御配慮というか御留意をいただきたいことは、学校関係、いわゆる小学校とか中学、そういう参加への協力の有無も考えているのかどうか。国旗掲揚、日の丸掲揚とか、あるいはこういう祝賀御列の行事にまさか強制参加をさせるようなことはないとは思うのですが、その点は厳格に守ってもらいたい。これはあくまでも自然参加であるべきだと思うのです。それが一つ。  それと、警備のあり方ですね。御承知のように、昭和天皇が御逝去なさった後の大喪の礼までの間は大変警備が厳しかった。これはある一面の制約はやむを得ないと私は思うのです、常識的な範囲で。いろいろ治安の維持とかあるわけですから、そのことはわかりますけれども、余りにもにぎにぎしくその人権を、物理的な拘束ではないにしても、精神的圧迫というものあるいは違和感を与えるということは免れませんよ。この間だって国会周辺も大変でした。私どもは赤坂宿舎にいるのだが、行ったり来たり徒歩の途中で尋問されそうな状態だってあった。だから、きょうわざわざ僕は警察を呼ばなかった。呼ぶと恐らく厳重にやりますとしか言わぬから。文部省に来てもらっても、いや、日の丸を揚げるのは当たり前です、強制はしませんが揚げさせますと言うかもしらぬ。だが、少なくともそういうことに対して国家権力が介入をしたり強制をするということがあってはならぬと思うのですが、この点は官房長官からひとつお答えをいただきたい。
  43. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 おっしゃるとおり、そういうふうな強制などというようなことはいたすつもりはありません。しかし、国旗の掲揚などということは自発的にひとつお願いをしたいというふうに考えております。とにもかくにも、議員が今までおっしゃっておられたように、新憲法下でありまして、主権在民の上で象徴としての天皇が存在するわけでありますから、その基本的な点だけはよく心得て、いろいろ具体的な細部にわたって配慮をしてまいりたいと思っております。
  44. 上原康助

    上原委員 そこは、先行きどういう展開になっていくか、私たちも注目し、関心を持っておきたいと思うのです。私が先ほどから申し上げておりますことは、一連の昨年来のこういった皇室行事天皇御逝去、それから即位の礼、大嘗祭、この間をとらえて、日の丸問題あるいは君が代問題、皇室に対するいろいろな関心を持たせるようなことが出てきた。戦前は私も宮城遙拝させられた。毎朝、東の方向に向かってまず最敬礼から、頭の下げ方が悪ければけ飛ばされた。恐らく宮内庁は今でも皇居と思ってないのじゃないか、宮城としか思ってないのじゃないの、感覚は。  ですから、余談になるかもしれませんが、日本の国民が日の丸の問題とか君が代とかあるいは皇室を見るという場合、ただ単に国民として当たり前じゃないかという感情だけでは理解というか、納得しがたい面がある。受けとめ方が違うのですよ。私が沖縄だからそう言うのではない。どれだけあなた、太平洋戦争で天皇のため、国のため、日の丸のためといって国民が痛めつけられ犠牲になったかというその原点を私たちは本当に忘れちゃならぬと思うのですよ。だから、素直に揚げればいいじゃないか、歌えばいいじゃないか、皇室行事だから祝意を表するのは当たり前じゃないか、こう決めつけちゃいかぬですよ、これは。そこに日本国民の今日的な、いろいろな意見の違いがあり、天皇問題、日の丸問題、君が代問題に対する複雑な感情があるということも理解をした上でこのことを進めてもらわないといかぬということを 改めて指摘をしておきたいと思うのです。  そこで最後に、この三つのいわゆる国事行為ですね。即位礼正殿の儀あるいは祝賀御列の儀、饗宴の儀、その当日における「儀じょう」ですね。儀仗兵というのか、いろいろありますね。それから、「と列、礼砲及び奏楽」の具体的な内容はどうなるのか。また、自衛官が参加をすると言っているが、自衛官の参加人員はどのくらいなのか、規模はどのくらいなのか。また、大嘗祭との儀じょうとかと列とか礼砲とか奏楽の関係はどうなっているのか、これも明らかにできる面はぜひ明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  45. 多田宏

    多田説明員 即位の礼に際しまして儀じょう、と列、祝砲、奏楽といったような一連行為を行うことは予定をしております。自衛隊等の参加ということも予定をいたしております。具体的な内容については今詰めておりまして、参加人員等についてもまだ確定をしておりませんので、今残念ながらお答えできる段階にございません。
  46. 上原康助

    上原委員 あなたのお答えは全部そうだ。おとといから全部、今検討中だから具体的なことはできないと。法律を早く通してくれと言うから協力もしている面もあるのに、どうしてそんな……。  そこで、準備中なこともわかるし、十一月のことですから間があるということも一応理解はしますが、少なくとも今指摘をしたようなことが国民に威圧感を与えたり、異常な国家権力というか、天皇中心の国家権力のデモンストレーションであるというような感じを与えないような配慮をしてもらいたい。これはいいですね。
  47. 多田宏

    多田説明員 即位の礼等におきましては、国民祝意ということでございますので、これについては国家権力の誇示というような、そういう側面での検討ということは一切行っておりません。
  48. 上原康助

    上原委員 一切行っていませんとあなたがそう言い切ったって、それは受ける側の問題なんだ。あなたがそう思ってもそうでない場合もあるのだから、そうしないように、そうならないように、常識で見てそういう祝賀なら理解できるというような内容にしてもらいたいということを言っているのです。  以上、この法案関係あるいは大嘗祭については、時間もだんだん来ますので終えますが、そこで次に、冒頭申し上げたように社会党のこのことに対する見解というのは、先ほど基本的な点は申し上げました。官房長官宮内庁も、関係者はそういった点も御参酌できる点は今後の準備に当たってぜひ取り入れていただくことを改めて強く要望をしておきたいと思います。  そこで、これはお考えがあれば聞いておきたいわけですが、天皇の沖縄御訪問というのがこれまでもしばしば話題になってきております。現段階で何かそういう御計画があるのか、あるいはお考えがあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  49. 宮尾盤

    宮尾政府委員 現在のところ、そのような具体的なスケジュールというものはないと思っております。
  50. 上原康助

    上原委員 次に、これは宮内庁に、けさのある新聞に、何か昭和天皇の像を博物館に寄贈してそれを一般公開することは前例がないので、宮内庁はこれに注文というか、待ったをかけているという記事があるわけですが、この点はどうなんですか。
  51. 宮尾盤

    宮尾政府委員 私も、けさの新聞でそういうことを初めて知ったわけでございますが、ちょっと実態がよくわかりません。どういう場所で、どういうものがそこに展示されることになっているのか、そこらの点もよくわかりませんので、具体的な事柄について御答弁をすることは、ちょっと差し控えさせていただきたいと思っております。
  52. 上原康助

    上原委員 そういうことは別にさほど問題になるようなことではないのじゃないかというような感じもします。それを一々宮内庁が待ったをかけたりやめさせるというのはどうかと思いますので、よく関係者の意向も聞いた上で、この制作者の意思が通るようにしてあげたらいいんじゃないかということだけ申し上げておきたいと思います。  それと、大分やりとりいたしましたので、あと一つおめでたいことも、もし聞かせていただければと。  礼宮殿下の御結婚の時期はいつなんですか。
  53. 宮尾盤

    宮尾政府委員 御承知のように、文仁親王殿下と川嶋紀子嬢との御結婚のことにつきましては、昨年の九月十二日に開催をされました皇室会議において議決をされておるわけでございます。  それで、一月十二日に納采の儀が行われたわけでございまして、いつ御結婚をなされるか、結婚の儀をいつ行うかということがこれからの問題でございますが、まだその具体的な日取りについては決まっておりませんので、いつということを申し上げる段階ではございません。ただいま、御承知のように文仁親王殿下は英国で御修学中でございまして、御修学が終了してからということになろうかと思いますので、おおむねの日程としては六月下旬ころを予定されるのではないだろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  54. 上原康助

    上原委員 そういうお祝いすべき皇室行事も続きますから、私がさっき申し上げたように、天皇皇室に対する国民の総意、理解がより庶民の感覚で得られるような配慮というのは非常に必要だと思うし、とりわけ、天皇地位の政治的利用というものがないように、あるいは憲法理念というものが、ただ表現とか言葉とか国会答弁する場合じゃなくして、十分生かされるように特段の御努力を要望して、この皇室経済あるいは即位の礼の祝日に関する質問は一応終わりたいと思うのですが、私たち皇室経済法についても、改定されてから六年という——もちろん、それは中身にいろいろ吟味すべき点はあると思いますよ、内廷費にしましてもね。基準額、そういう点。そういうことは思いますが、賛成でありますし、また祝日についても、これは国民の全体的な立場からしてもその日を祝日にするということは好ましいと思っておりますので、その点には異存はないわけです。ですから、先ほど指摘をしたようなことについては、ぜひひとつ官房長官政府関係者も、御理解をいただける面も私はあると思いますから、その点、十分これからの行事決定に当たってお考えをいただきたいと思います。  あと幾分か時間がありますので、せっかくの機会ですし、若干法案とも関連もすると思いますから、お尋ねを一問いたしますが、沖縄の慰霊の日の問題なんです。  これは御承知のように、昭和六十三年ですから一昨年ですかね、地方公共団体の休日に関する地方自治法の一部改正があって、隔週の土曜閉庁をやっていく、そういうことになりまして、簡単に言うと、いわゆる自治法第四条の二によって、沖縄の従来県条例で定められておった六月二十三日の慰霊の日が休日にてきないという立場見解が自治省から出されて、県条例を改正しようとしたわけですが、県民がこのことに対しては強い反対といいますか、慰霊の日を休日として存続をさせるべきであるということで、これは野党とか与党とか、革新とか保守とかではなくして、県民全体の一致した共通の強い要求になって、とうとう去る二月の定例県議会でも、提案された条例改正というものができなくなったわけですね。  そこで、自治省が来ていると思うのですが、自治省の答弁はいろいろ見ているし、参議院の質問主意書も私も見ましたが、全く質問者への答弁になっていないわけです。  ただ、ここで改めて聞いておきたいことは、沖縄県慰霊の日を定める条例の第一条はどうなっていますか。
  55. 谷本正憲

    ○谷本説明員 沖縄県の慰霊の日を定める条例の第一条でございますが、これは朗読をさせていただきますと、「我が県が、第二次世界大戦において多くの尊い生命、財産及び文化的遺産を失った冷厳な歴史的事実にかんがみ、これを厳粛に受けとめ、戦争による惨禍が再び起こることのないよう、人類普遍の願いである恒久の平和を希求するとともに戦没者の霊を慰めるため、慰霊の日を定める。」という規定でございます。
  56. 上原康助

    上原委員 第二条は。
  57. 谷本正憲

    ○谷本説明員 「第二条 慰霊の日は、六月二十三日とする。」
  58. 上原康助

    上原委員 今、自治省の方がお読みになったとおりなんです、官房長官。これだけ第一条でうたわれて、なぜ沖縄県でこの六月二十三日を慰霊の日と定めて休日としてきたかということを、この冷厳な趣旨というか尊厳な事実というもの、歴史的事実というものを考えたら、単に土曜閉庁をやっていく、そのために自治法の一部を改正するというだけでできなくなるというこの皆さんの感覚というのか、沖縄戦に対する認識というのか、六月二十三日の重さ、重みに対する認識というものが私には理解できないですね。  そこで、余り時間もありませんから、これだけの事実をこの第一条でうたわれているということは何人が読んでも否定できない。歴史的な慰霊の日に戦争によって犠牲になったみたまを想起しながら、思い起こしながら恒久平和を願うという県民感情、国民感情。八月十五日が、何で終戦記念日が休日でないかも私は疑問を持つ一人なのですが、ここで自治省の方にちょっとだけ、一つだけお伺いしておきたいことは、この第四条の二の規定というのは、ここで言われているのは一体制限列挙なのか、限定されたものなのか、あるいは単なる例示規定なのか。それにもう一つ、三点目は、地方自治法の本旨というのは一体何ですか。すべて中央の官庁名で画一化していかなければいけないことじゃないと思うのですね。めたらやたらに休日を制定しなさいとかやれと言ってないのですよ、あなた。昭和三十六年以降できたものが何でできなくなるかということを問題にするのです、これは。この三点についてひとつお答えください。
  59. 谷本正憲

    ○谷本説明員 慰霊の日の趣旨は、先ほど条例を朗読申し上げたとおりでございますが、私ども、この沖縄における慰霊の日の持つ意義というものについては十分認識をしているところでございます。この県職員の休日の廃止が慰霊の日自体の廃止を意味するものではないということはもちろんでございまして、慰霊の日の理念あるいは意義を損なうものではないということを私ども認識をいたしておるわけでございます。  地方自治法四条の二の規定でございますが、これは私ども結論を申し上げれば限定列挙ということでございます。これは質問主意書の中の答弁の中にも申し上げておるわけでございますけれども地方公共団体の行政そのものは住民の生活にも深くかかわるものでありますし、国の行政とも関連するものであるということでございますので、地方公共団体の休日に関する制度は、国の行政機関の休日に関する制度等と均衡のとれたものである必要があるということを踏まえまして定められたものであるということから、限定列挙ということでございます。  それから地方自治の本旨ということでございますが、御指摘のように、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項」について定める法律、これは「地方自治の本旨」に基づいたものであることが必要であることは御指摘のとおりでございます。  この地方自治法四条の二の規定でございますが、これは先ほど申し上げましたような住民の利便でございますとか国、地方公共団体を通じます行政の円滑な運営を確保するという観点から設けられたものでございますので、そういう意味では地方自治の本旨に反するものではない、かように考えておるわけでございます。
  60. 上原康助

    上原委員 そういうしゃくし定規に物事を考えてはいかぬですよ、あなた。私もかなり参議院における質疑、やりとり、また自治省の見解、いろいろ勉強してみました。会議録も読んでみた。要するに皆さんが言っていることは、国家公務員と同一でなければいけない。画一化しているわけでしょう。それはどこだって例えば市制記念日とか何々ということがありますし、アメリカだったら、連邦の祝祭日だけでなくして各州の祝祭日がどんどん定められているじゃないか、どんどんというか、その事情に応じて。  限定列挙だということで今もお述べになっているわけですが、また、答弁もあったわけですが、官房長官、これは法律がそうなっているから、ただそれでいいということにはならないと私は思うのですね。このことは法律論というよりも、先ほどから申し上げておりますように、やはり県民の感情、感性の問題なんです。あれだけの戦争の犠牲を受けて、慰霊の日というのは意義は失っていない。慰霊の日はやっていいですよとおっしゃるんだが、勤務を必要としない閉庁でないとだめなんですよ、県庁にしても、市町村にしても、学校にしても。それをさせないということは、勘ぐれば、終戦後、慰霊の日とかなんとかでやってきた恒久平和を願うという気持ちを意図的にもう忘れさせよう、こういう魂胆がないとは言えないよ。自治省のこういう官僚的やり方というのはもってのほかだ。  そこで、もう時間ですから、官房長官、これは自治大臣ともぜひよく相談をしていただいて、私たちももう少し詰めてみたいと思っておりますが、こういう特例は考えてもいいんじゃないですか。じゃ、これは法律改正すればいいのですか。改正すればできるのかどうか、改正しなければできないのか、それが一つですね。  一つは高度の政治的制断でもって、これは解釈のいかんによって、この四条の二項の規定があってもできると私は思う。限定的規定だと言いましたが、改正して、その他県条例で定めることという一項を入れればいいんじゃないですか。それが一つですね。考えていただきたい。  二点目は、土曜閉庁は平成四年からだったかね。そうすると、あと二カ年すればこれはまた改正しなければいかぬわけでしょう、完全週休二日になれば。それ以後は特例に定めていいのかどうか。  この二点について簡潔に言ってください。もう官房長官の答えを聞いてやめるから。
  61. 谷本正憲

    ○谷本説明員 一点は、解釈としてできるのかということでございますが、これは先ほども申し上げたような趣旨でございますので、そういう解釈はとり得ないということでございます。  それでは法律改正ではどうかという御質問でございますけれども、これにつきましては国会でのいろいろな御議論をまた経なければいけないと思うわけでございますが、私どもとしましては、この土曜閉庁導入に伴う地方公共団体の休日制度の整備が昨年の一月施行されたばかりでもございますので、この改正規定趣旨を踏まえまして、とりあえずはこの制度の円滑な施行に努力をしてまいりたいというのが基本的な考え方でございます。  また、この改正自体につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、国の行政機関における休日制度の動向、あるいはこれ自体が地方公共団体の運営の基本的事項にかかわる問題でございますので、それらも含めまして私どもとしては慎重に検討すべきではないかなというふうに考えております。
  62. 上原康助

    上原委員 これは今自治省の見解を聞いたが、法律改正するかどうかは国会の問題だよ。あなたがそこまで拘束する必要はない。そこはまた後の問題だ。これは先ほど来言いますように、法律論争をしたって、そういう見解ではできないですよ、沖縄の慰霊の日は。これは県民が納得しませんよ。祝日として条例制定しなければいかぬわけで、これは高度の政治判断を要しますので、ぜひ私も自治大臣とお会いしてみたい。官房長官の方でも政府全体として考えていただきたいというのが一つ。これはあれだけの第一条の理由を、条例の趣旨をお読みになれば、だれだって納得できることなんだよ。ぜひそういう御配慮をしていただきたいということ。  それと二点目に、この六月二十三日、もうすぐなんですが、きのうも何か西銘知事が総理にお会いになって——今まで行ったことがないですね。長崎、広島にはよく行かれるのに、沖縄の慰霊の日に総理が行ったというあれはない。戦後この方ない。復帰してもう十八年だよ。その御計画はあるのかどうか。  この二点をお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  63. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 前段の点におきましては、自治大臣にあなたのお気持ちをお伝えしておきます。  それから、後段の六月二十三日、沖縄の慰霊の日に総理が参拝をするか、参列をするかという点につきましては、国会の一番末期でもございますから、国会の状況はもちろん判断をいたさなければなりませんが、総理としても出席をし、参拝をしたいという気持ちであります。
  64. 上原康助

    上原委員 終わります。
  65. 岸田文武

    岸田委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  66. 岸田文武

    岸田委員長 この際、内閣提出皇室経済法施行法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  この際、本案に対し、斉藤斗志二君から修正案が提出されております。  修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。斉藤斗志二君。     ─────────────  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  67. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げます。  施行期日について、原案では、「平成二年四月一日」といたしておりますが、既にその日が経過いたしておりますので、これを「公布の日」に改め、本年四月一日から適用しようとするものであります。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  68. 岸田文武

    岸田委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  69. 岸田文武

    岸田委員長 この際、日本共産党から討論の申し出がありますが、理事会の協議の結果、御遠慮願うこととなりましたので、御了承願います。  これより採決に入ります。  内閣提出皇室経済法施行法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  70. 岸田文武

    岸田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  71. 岸田文武

    岸田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ─────────────
  72. 岸田文武

    岸田委員長 次に、内閣提出即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案について議事を進めます。  この際、日本共産党から討論の申し出がありますが、理事会の協議の結果、御遠慮願うこととなりましたので、御了承願います。  これより採決に入ります。  内閣提出即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  73. 岸田文武

    岸田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 岸田文武

    岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  75. 岸田文武

    岸田委員長 次に、内閣提出恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を求めます。塩崎総務庁長官。     ─────────────  恩給法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  76. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近の経済情勢等にかんがみ、恩給年額及び各種加算額等を増額することにより、恩給受給者に対する処遇の適正な改善を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  この法律案による措置の第一点は、恩給年額の増額であります。  これは、平成元年における公務員給与の改定、消費者物価の上昇その他の諸事情を総合勘案し、恩給年額及び各種恩給の最低保障額を、平成二年四月から、二・九八%引き上げようとするものであります。  その第二点は、寡婦加算及び遺族加算の増額であります。  これは、普通扶助料を受ける妻に係る寡婦加算の額を、平成二年四月から、他の公的年金における寡婦加算の額との均衡を考慮して引き上げるとともに、遺族加算の額についても、戦没者遺族等に対する処遇の改善を図るため、同年四月から、公務関係扶助料受給者に係るものにあっては十一万四百円に、傷病者遺族特別年金受給者に係るものにあっては六万四千三百円にそれぞれ引き上げようとするものであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  77. 岸田文武

    岸田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十六分散会