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1990-03-27 第118回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年三月二十七日(火曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 岸田 文武君    理事 植竹 繁雄君 理事 斉藤斗志二君    理事 杉浦 正健君 理事 鈴木 宗男君    理事 林  大幹君 理事 志賀 一夫君    理事 田口 健二君 理事 竹内 勝彦君       今津  寛君    岩屋  毅君       衛藤 晟一君    奥野 誠亮君       高鳥  修君    近岡理一郎君       細田 博之君    増子 輝彦君       光武  顕君    山崎  拓君       渡辺 省一君    池田 元久君       上原 康助君    北川 昌典君       細川 律夫君    山中 邦紀君       山元  勉君    玉城 栄一君       山口那津男君    三浦  久君       和田 一仁君  出席国務大臣         外 務 大 臣 中山 太郎君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 坂本三十次君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 塩崎  潤君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     砂田 重民君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 石川 要三君  出席政府委員         内閣官房長官 大島 理森君         総務政務次官  虎島 和夫君         北海道開発政務         次官      武部  勤君         防衛政務次官  谷垣 禎一君         防衛施設庁施設         部長      大原 重信君         外務大臣官房長 佐藤 嘉恭君         外務大臣官房外         務参事官    茂田  宏君         外務大臣官房文         化交流部長   小倉 和夫君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省経済局次         長       須藤 隆也君         外務省経済協力         局長      木幡 昭七君         外務省条約局長 福田  博君         外務省情報調査         局長      佐藤 行雄君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      高島 有終君         外務大臣官房外         務参事官    内田 富夫君         通商産業省通商         政策局米州大洋         州課長     河野 博文君         通商産業省産業         政策局産業構造         課長      前田 正博君         内閣委員会調査         室長      林  昌茂君     ───────────── 三月二十三日  即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案内閣提出第三六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 三月二十三日  国家公務員法第二十三条の規定に基づく国家公務員災害補償法改正に関する意見 は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二二号)      ────◇─────
  2. 岸田文武

    岸田委員長 これより会議を開きます。  去る二十三日、人事院より国会に国家公務員法第二十三条の規定に基づく国家公務員災害補償法改正に関する意見申し出があり、同日、議長より当委員会に参考送付されましたので、御報告申し上げます。      ────◇─────
  3. 岸田文武

    岸田委員長 この際、新たに就任されました国務大臣及び政務次官の方々から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。内閣官房長官坂本三十次君。
  4. 坂本三十次

    坂本国務大臣 このたび内閣官房長官に任命をされました坂本三十次でございます。  内閣官房総理府本府の事務を担当することに相なりました。誠心誠意努めたいと思っております。  委員長初め皆様方格段の御指導、御鞭撻を心からお願いをいたしまして、簡単でございますが、ごあいさつといたします。どうぞよろしく。(拍手
  5. 岸田文武

  6. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私は、今般総務庁長官を拝命いたしました塩崎潤でございます。  私は、社会経済情勢変化に対応をした総合的かつ効率的な行政を実現するため、総合調整官庁として総務庁が果たすべき役割を十分認識し、行政改革推進を初めとする各般の課題に誠心誠意取り組んでまいりたいと存じます。  委員長初め皆様方の格別の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。(拍手
  7. 岸田文武

  8. 砂田重民

    砂田国務大臣 このたび北海道開発庁長官を拝命いたしました砂田重民でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  北海道は、豊かな国土資源に恵まれ、我が国において最も開発可能性に富んだ地域であり、青函トンネルの開通や新千歳空港の開港など新たな発展基盤整備も進み、国土の均衡ある発展に重要な役割を果たすことが期待されております。  一方、北海道を取り巻く情勢には、農産物の輸入自由化、炭鉱の閉山など厳しいものがありますが、このような課題を克服し、地域活性化を図るためにも、開発基盤整備産業振興開発を一層積極的に推進していかなければなりません。  私は、我が国の長期的な発展に貢献する力強い北海道の形成を目指しまして、第五期北海道総合開発計画推進全力を尽くしてまいる所存でございます。  委員長初め委員各位の御指導と御鞭撻お願いを申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  9. 岸田文武

  10. 石川要三

    石川国務大臣 このたび防衛庁長官を拝命いたしました石川要三でございます。  国際情勢の極めて激動のさなかに、この重要な国家存立基本にかかわる国の防衛という大任を担うことになり、その責務の重さに身の引き締まる思いでございます。  私は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、日本国憲法に従い、国民各位の御理解のもとで、防衛政策推進に誠心誠意取り組んでまいる所存でございます。  かつて、私は本委員会に所属をし、皆様から多くの貴重なお教えをいただきましたが、今後とも、なお一層の御指導と御鞭撻を賜りますように心からお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手
  11. 岸田文武

  12. 大島理森

    大島(理)政府委員 このたび内閣官房長官を拝命いたしました大島理森でございます。  坂本官房長官を補佐いたしまして、職務に精励してまいる決意でございます。委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻を心からお願いいたします。ありがとうございました。(拍手
  13. 岸田文武

  14. 虎島和夫

    虎島政府委員 このたび総務政務次官を拝命いたしました虎島和夫でございます。  塩崎長官を補佐し、全力を尽くしてまいりたいと思っております。  委員長初め先生皆様方格段の御指導、御鞭撻お願いいたします。ありがとうございました。(拍手
  15. 岸田文武

  16. 武部勤

    武部政府委員 このたび北海道開発政務次官を拝命いたしました武部勤でございます。  砂田長官のもと北海道開発推進全力を尽くしてまいりたいと存じます。  委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手
  17. 岸田文武

  18. 谷垣禎一

    谷垣政府委員 このたび防衛政務次官を拝命いたしました谷垣禎一でございます。  石川長官を補佐して、最善を尽くして職務を全うしてまいる所存でございますので、委員長初め委員先生方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手
  19. 岸田文武

    岸田委員長 外務大臣以外の大臣及び政務次官は退席されて結構でございます。      ────◇─────
  20. 岸田文武

    岸田委員長 次に、内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。中山外務大臣。     ─────────────  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  21. 中山太郎

    中山国務大臣 ただいま議題となりました在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案概要について御説明いたします。  改正の第一は、在外公館の設置についてであります。今回新たに設置しようとするのは大使館一、総領事館一の計二館であります。  大使館は、南部アフリカにあるナミビア共和国に設置するものであり、ナミビア近隣国に駐在する我が方大使をして兼轄させるものであります。  総領事館は、英国のエジンバラに設置するものであります。英国北部において、我が国企業の進出が増大しており、在留邦人保護体制強化を図るとともに、対英外交を一層強化するとの見地から設置するものであります。  改正の第二は、最近の為替相場変動等にかんがみ、既設在外公館職員在勤基本手当基準額を全面的に改定するものであります。  本改定は在外職員生活に直接関係することであり、四月一日から実施する必要があります。このため、年度内の法律改正が必要であります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  22. 岸田文武

    岸田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  23. 岸田文武

    岸田委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。
  24. 杉浦正健

    杉浦委員 大変長い名前でございますので省略させていただきますが、法律案につきまして、大臣初め関係者にお伺いをさせていただきます。  まず初めに、中山外務大臣、このたび御再任になられたわけでございます。非常に国際情勢が流動的であり、また、日米構造協議等難問山積我が国外交を再び担っていただくわけでございますが、有数の政策マンとしての先生のすばらしいかじ取りを心から御期待、御祈念申し上げるところでございます。御活躍のほどをお祈り申し上げる次第でございます。  大臣も御出席のことでございますし、せっかくの機会でございますので、まず、国際関係全般につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、国際社会はまさに激動状態でございます。ペレストロイカも予想をはるかに超えた進展ぶりで、とうとうゴルバチョフ氏が大統領になってしまったという政治改革にまで進展をしてまいっておるところでございます。昨年秋以来のソ連東欧圏変化、私どもだれもが予想し得ない広範囲な、また深刻な変化でございます。  総合雑誌ですら取り上げることをためらうぐらい変化は激しく、スピーディーであります。あのベルリンの壁が打ち壊されるという私どもの世代にとりましては信じがたい事態から、ごく最近の例を挙げますと、もう御承知のように、東独の総選挙でほとんど共産党が消滅に近い状態。ハンガリーもつい先ごろそうでございます。そして東独と西独の統一も既に現実の日程に上がってまいるといったすさまじい激動でございます。  このようなソ連東欧圏変動を含む国際情勢、劇的な変化でございますが、それを大臣外務省としてどのように御認識なさっておられるのか。そして、それがまたEC統合にも影響するでしょうし、また、私ども日本立場とすれば、アジア情勢にも必ず影響をしてまいると予想されるところでございます。  アジアには、北朝鮮中国あるいはベトナムといった共産主義国家が現存をいたしております。中国状況も流動的でございますが、これらがどのようにソ連東欧圏変動と連動して変化していくのか、まことに注目すべきところであり、また、私どもの利害とも深くかかわってまいると思うのでございますが、そのあたりにつきましても大臣の御所見を承りたいと存じます。
  25. 中山太郎

    中山国務大臣 今回再任に当たりまして、先生から温かいお励ましのお言葉をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。  御案内のように、ソ連におきます新しい内政上の変化、また、経済改革を目的とするペレストロイカ推進あるいはグラスノスチ等の言われるよな新しいソ連政治体制というものがこのソ連変化をさらに生んで、大統領制が実現するという考えてもいなかったような事態が出てまいったわけであります。それに合わせまして、東ヨーロッパでは、このソ連の新思考外交に基づいてそれぞれの民族がみずからの道を選ぶという新しい動きが出てまいりまして、民主化自由化を求め、さらに自由主義経済体制への移行を求めて各国がそれぞれの動きを始めていることは、御案内のとおりであります。  片やECにおきましては、九二年の統合に向かっていろいろと精力的な政治的な動きが進んでおりますが、このような中で現在急激に浮上してきているのが東西ドイツ統合問題でございまして、三月十八日の東ドイツ選挙は、結果から見ますと明らかにドイツ統一に向かっての国民の意思が過半数を超えております。こういう中でこの十二月に行われる西ドイツ選挙、こういうものを見ながら、統一される新しいドイツというものがどういう形でヨーロッパに姿をあらわしてくるのか、また、その統一後のドイツが中立になるのか、あるいは軍事的にNATOの中にとどまるのか、ここいらはこれからのいわゆる周辺国との話し合いというものが大きな影響を与えるものだと認識をいたしております。  また、現存いたしておりますワルシャワ条約機構及びNATO軍事機構が将来政治機構に変質していく可能性考えられると見ております。  そういうふうな共産圏中心とする新しい歴史的な変化アジア全域にどのような影響を与えるかということも、日本国外交にとりましては重大な関心事項でございます。  御案内のように、アジアでは北朝鮮中国ベトナムカンボジア共産党の支配する政権が現存しております。中国におきましては、思想教育強化しておりますが、経済面では改革解放路線を進める動きがございます。また、北朝鮮においては、相変わらず共産党支配の閉鎖された政治状況が続いております。ベトナムでは、経済的にペレストロイカ推進しているというふうに理解をいたしております。また、カンボジアにおきましては、カンボジア四派の話し合いによる暫定政府を樹立して国連監視機構のもとで民主的な選挙を行うという、日本政府を含めた関係諸国ASEAN各国考え方のもとでいろいろと協議が進んでおりますが、カンボジア四派の話し合いが合意に達しない状況の中で内戦が続いているというような状況下にございます。外務省といたしましては、先般、ヘン・サムリン政権のもとでの国民生活実情等調査のために課長派遣いたしましたし、また、アジア局長ベトナム派遣をいたしまして、これらの地域の平和が今後どのような形で構築されていくかということについて、日本政府としてできる限りの協力をするべき考え方をこれから検討しなければならない、このように考えております。
  26. 杉浦正健

    杉浦委員 大臣の御所見にございましたように、ひとつこの変化を慎重に見きわめ、敏速に対応していただきますように心から願うものでございます。  大きな変化が起こりつつあるわけでございますが、そういった状況に対応して、アメリカもそうでございますし、EC初め先進各国もそうでございますが、新しい国際秩序と申しますか、今までの冷戦構造にかわるものが世界じゅうで模索されておるといっていい状況であろうかと思います。総理施政方針演説でもこの点にお触れになられておりますし、大臣施政方針演説でもございましたとおりであります。  一口で申して、新しい秩序は自由と民主主義を基調とし、市場経済という価値観ソ連でもそう言い出しておるわけでありますが、それを基本といたしまして模索、構築されてまいっているのではなかろうかと予想されるところでございます。我が国の戦後一貫して選択してまいりましたこの路線をやはり今後とも二十一世紀へ向けまして堅持をいたしまして、我が国外交もそういった新しい世界秩序の構築に向けまして積極的な役割を果たしていくべきではないかというふうに考えておるところでございますが、大臣の御所見はいかがでございましょうか、お伺いしたいと存じます。
  27. 中山太郎

    中山国務大臣 先生指摘のように、世界は五十年あるいは百年に一度と言われるほどの大きな歴史的な変革期に現在立っていると考えております。そういう中で、共産党党支配中央統制経済というものが矛盾を露呈して、共産圏においては共産党党支配という形から新しい複数政党制という形が生まれつつある、そして自由競争原理市場に導入する、こういう形が起こりつつあることは、御指摘のとおりでございます。そういう中で、米ソの超大国は、六〇年代の対立から七〇年代の対話の時代、さらに八〇年代の協力時代、こういうふうな転換を起こしてきておりまして、このような形の中で、これからの世界の枠組みというものがどのような形でつくられるべきかということについて現在それぞれ模索が行われているというのが現状ではなかろうかと私は考えております。  先般行われましたパームスプリングスにおきます日米首脳会談におきましても、ブッシュ大統領から海部総理に対しまして、日米グローバルパートナーとして、これからの新しい国際社会がどのようにあるべきか、ベーカー長官日本外務大臣とが中心になってこの一つの展望を構築するための組織をつくってもらいたい、こういう大統領からのお話もございましたが、まさに新しい歴史が始まろうとしているのではなかろうか、このように考えております。
  28. 杉浦正健

    杉浦委員 具体的に外務省として国際協力強化の三本柱ということを提唱されておるわけでございますが、そのあたりについての御所見をお伺いしたいと存じます。
  29. 中山太郎

    中山国務大臣 日本政府考え方基本にありますものは、まず国際協力構想というものが打ち出されておりまして、それには三つの柱がございます。まず第一には、国際的に平和をつくるための努力をするという考え方でありますし、もう一つ発展途上国に対する経済協力、第三番目に国際文化交流、こういう考え方がございます。  さらに、国連演説等におきましては、まず累積債務で悩む途上国の問題を解決するためにこれから日本としては協力しなければならない。また、地球環境汚染に対する日本の蓄積した技術と資金を提供することを考えなければならない。このような構想日本政府としては国際外交を展開してまいる考え方でございます。
  30. 杉浦正健

    杉浦委員 ODAの問題について若干触れられました。ODAについては現在中期目標というものが定められておりますが、新しい事態に際しましてさらにそれを積極的にお進めになられる、強化し、充実して進められるお考えがおありかどうか、お伺いしたいと存じます。
  31. 中山太郎

    中山国務大臣 杉浦先生ODA問題でいろいろと精力的に調査をしていただいておりまして、大変敬意を表しておる次第でございますが、政府といたしましては、今後とも第四次中期目標に沿い、量はもとより質の向上のために努力をしなければならない。開発途上国人たちのために生活向上にどのように貢献していくかということに努力をいたしたいと思っております。問題がいろいろとございますこと、私どもよく認識をいたしておりまして、これからこの質を向上させるための新しい考え方等整備していかなければならない、このように考えております。
  32. 杉浦正健

    杉浦委員 総括的な問題はこの程度にいたしまして、本法律案関係したことを若干お伺いをさせていただきます。  ナミビア大使館を、そしてあと一カ所に領事館を新たに開設するということでございますが、まず、ナミビアアフリカの一部でございますが、我が国アフリカとの関係について若干お伺いしたいと思います。  正直に申しまして、従来の我が国アフリカ諸国との関係はそんなに濃いものではなかったと言ってよろしいかと思います。日米関係を基軸としながら、我が国アジアの一国でございますので、アジアに重点を置いた外交がとられておったのではなかろうかというふうに私は考えておるところでございますが、我が国経済力の増大に伴いましてアフリカ側からの関心も非常に高まっておりますし、また、ODA等人道的立場からの支援も要請されておるということでございます。昨年の御大喪の際にも、アフリカ諸国からはハイレベルの弔問団が、政府使節が全地域から参加される。近年、要人の交流も大変盛んでございます。  こういった日本アフリカ関係の将来について外務大臣としてどのようにお考えか、対アフリカ政策をどのように推進されるお考えか、まずお伺いしたいと存じます。
  33. 中山太郎

    中山国務大臣 アフリカ諸国は他の地域に比べまして途上国の数が極めて多いというふうにまず認識をいたしておりまして、政府としては、かねてアフリカ関係諸国経済協力をいたしてまいっておりますけれども、今後とも、引き続きこれらの地域に対する援助を進めてまいりたいと考えております。  実は、昨日も象牙海岸から外務大臣が来られまして、七十二億円の経済協力、特に農業改善事業中心とした経済協力の締結をいたしたところでございます。  さらに、ナミビアにおきます独立等につきましては、先般国連監視機構選挙につきましても日本から職員派遣をいたし、協力いたしましたが、この国の経済発展につきましても、今後具体的な要請があればこれに対して経済協力を進めていかなければならないと考えております。  また、特に南アフリカ連邦につきましてはアパルトヘイトの問題もございまして、このような問題についても、政府としてはこれから前向きに努力をしなければならないと考えております。
  34. 杉浦正健

    杉浦委員 ナミビアにつきましては、つい先日独立したばかりでございますが、日本の二倍を超える国土でありながら人口が百数十万人という大変希薄な人口の国であり、資源は非常に豊富だと聞いております。また、いろいろな経済的な問題も多く、特に白人の技能層がどんどん引き揚げておるような状況も漏れ聞いておるところでございまして、これからのナミビア発展にとりましては、我が国を初めいろいろな形での協力が必要であろうかと思われるところでございますので、ぜひともこの大使館の開設を機に、まだ大使館そのものは開設されない、併設と申しますか、よその大使館で面倒を見ることになるようでありますけれども、ひとつ大いに御推進を願いたい、こう存ずる次第でございます。アフリカ全体はともかく大きな大陸でありまして、いろんな国々があるわけでございますけれども、ひとつ今後とも外務省におかれても、きめ細かい協力を各地域実情に応じて推進されるよう期待いたすものでございます。  最後に、外交実施体制についてお伺いをさせていただいて終わりたいと思います。  本法案におきましては、円安に伴う待遇の改善が提案されておるわけであります。当然のことでありまして、必要な是正を行っていただきたいと思いますが、それと同時に、このように激動しております国際情勢の中で、例えて申しますと東欧における人員その他大使館体制も必ずしも十分でない、そのように漏れ聞いておるところでございます。国際情勢の流動化に伴いまして、我が国としてそれに対応することがどうしても必要なことであります。外交面における外交実施体制強化が必要であろうと思われますし、また、そういった体制強化と同時に、海外で働かれる外交官の方々が安んじて働いていただけるようにしなければならないとも思うわけでございますが、この点につきまして大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  35. 中山太郎

    中山国務大臣 先生から大変心のこもったお話をちょうだいいたしておりますが、率直に申し上げまして外務省の定員は極めて不足をしているという状況ではないかと思います。  特に共産圏大使館員の数が不足をしている。従来、ソビエト・ロシアを中心にコメコン関係として衛星国というような感覚で東ヨーロッパの国国が存在をしておりました。そういう中で、従来、モスクワを中心に情報を集めておれば大体東ヨーロッパ動きというものが把握ができた。そういう地域が、昨年来の東ヨーロッパにおける大変換、このようなことで、それぞれの国がソ連とは別の立場で、それぞれの国民が新しい政府を樹立して外交活動を展開するというような情勢が出てまいりました。  そこに配置をしております日本在外公館の館員数は、極めて微々たる数字でございます。そういう館を増強いたしませんと、これからのEC統合、また、統合されるEC東ヨーロッパのそれぞれの国との相互の国家間の関係の樹立、経済の交流、人的交流、そういうものを考えますと、相当な機能と人員を配置しないとこれらの国々との外交が十分でない、こういう認識を非常に強めておりますので、ひとつ今後とも外務省の定員の増加等につきましては委員各位の御理解をちょうだいいたしまして、ぜひ外交の充実を期してまいりたい、このように考えております。
  36. 杉浦正健

    杉浦委員 定員の増加も大切なことだと思いますが、また同時に、これは私の個人的な考えでございますけれども、数をふやせばいいという問題でもないと思うのです。少数精鋭と申しますか、優秀な外務官僚がおられるわけでありますから、もっと大きな権限を与えて、少数であっても十分に能力を発揮して働いてもらえるように、制度面の検討も含めまして、定員、制度、そういった両面でこの激動する事態に対応できるようにひとつ見直していただくことが必要ではなかろうかという感じがいたすわけでございます。  私の場合、党の外交部会等でいろいろ御説明を伺うわけでありますが、部分的な、例えばナミビアをどうするとか東欧をどうするとかいう問題だけでなくて、日本外交体制全体について、各国との対比で、例えば大公使館の設置場所、そこの定員等見直すべき時期に来ておるのではないかという感じがいたすわけでございますが、大臣の御所見はいかがでございましょうか。
  37. 中山太郎

    中山国務大臣 超大国を中心に国際政治というものが動かされてきたという過去の歴史から、新しく経済力中心にした国際関係というものが非常に大きなウエートを占めてくる国際政治の登場でございまして、そういう中ではこの日本外務省の機構というものは、今までの諸先輩が営々として築いてこられた立派なものでもございますけれども、それぞれの時代に適した新しい考え方を立てて、そして新しい外交の展開をしていかなければならない、もちろんそのように考えております。問題は、委員も御案内のように機構改革とか定員の問題等は枠で縛られたりしておりますし、公館の設置等も枠がございましてなかなか新しい設置ができないという状況の中で大変苦労しているというのが今日の外務省の率直な立場でございますので、一層ひとつ御支援をお願い申し上げたいと考えております。
  38. 杉浦正健

    杉浦委員 特に、ソ連東欧共産圏につきましては、今アメリカ、ヨーロッパ等からどんどん企業進出がなされておるわけであります。日本の経済界はまだ現時点では消極的でありますけれども、いずれせきを切ったように合弁事業等の交流が始まることが予想されるわけでございますので、そういった事態に備える意味でも、ひとつ積極的な御検討を願いたいと思います。  いろいろお伺いしたいことがあるわけでございますが、在外公館の通信等の設備あるいはいろいろ聞くところによりますと、旅費などもまだ十分じゃないようにお伺いしておりますし、また、そういう表現は適切じゃないかもしれませんが、アフリカなんかの場合はいわば不健康地であります。そういった土地に対する対策等、いわゆる外交の足腰の問題でございますが、もっともっと改善されなければならない点があるやに見受けられるところでございます。こういった点、時間がございませんのでお伺いできませんけれども、ひとつ大臣外務省当局、私ども協力してまいりますが、充実していっていただきたいと思います。  お伺いしたい点はたくさんございますが、時間の関係がございますので、このあたりで終わらせていただきます。
  39. 岸田文武

    岸田委員長 志賀一夫君。
  40. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表しまして、当委員会に付託されました議案のうち、在外公館、特にビルマ大使館名称変更関係等について、まずお伺いをいたしたいと思います。  質問の第一は、国名、首都名はいかなる理由によって変更されるのか。二つ目は、ミャンマーという名前に変わられた国の政治経済体制状況はどうなっておるのか。概況等についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  41. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。  まず、前半の御質問について私から御答弁申し上げたいと思いますが、いわゆる国名の変更ということは、その国の状況によって起こるわけでございますけれども法律改正を要する理由につきましては、国名が変わるたびごとに法律改正お願いするということは若干時間的な要素もございます。そのことだけのために御審議をお願いするということは、時間的な要素からいいましてもなかなか不都合かと思いまして、私ども、年度の間で国名が変史される場合には実質的に国名の変更を各方面に通知はいたしますけれども法律改正につきましては、年度の冒頭に当たりまして本日御審議いただいているような背景のもとでお願いをいたすということでございます。  なお、ミャンマーの状況につきましてはアジア局長から御答弁があると思います。
  42. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 ミャンマーの状況を御説明いたします前に、ただいまの国名の変更の問題について若干御説明いたしたいと思います。  先生案内のように、ビルマ政府と呼んでいたわけでございますけれども、昨年の六月十八日付をもちまして、英語の表示の正式の国名をそれまでユニオン・オブ・バーマ、日本語でビルマ連邦と言っておりましたが、それをユニオン・オブ・ミャンマー、日本語でミャンマー連邦、そのように変更するということを先方の政府が決定いたしました。  いかなる理由によるものかというお尋ねであったかと思いますけれども、ミャンマー政府は次の点を挙げております。すなわち、先生も御案内のように、この国はビルマ族を初めといたしましていろいろな民族から成っております複合国家でございまして、そういう状況のもとでバーマあるいはビルマというふうに呼びならわしますと何かビルマ族のみを指すというふうに誤解されやすいということのようでございまして、そのような誤解を避けるために、国内のいわばいろいろな民族すべてを包含する概念として既に古くから確立しておりますミャンマーをもって正式の国名としたというのが当時の政府説明でございました。その背景には、英語の表現を一掃することによりまして民族の意識を高揚するというような思惑もあったやに聞いております。  それから、ミャンマーの政治経済情勢についてお尋ねがございましたけれども、これも先生案内のように、一昨年九月に国軍が全土を掌握する形で今の政権ができました。その後、選挙に向けて着々と準備が進んでおりまして、本年の五月二十七日に一応総選挙が予定されておるわけでございまして、ただいま九十三に及ぶ政党が候補者を出しておりまして、既に選挙運動が開始されております。現在はそういう状況でございまして、ただ、民政移管に至る前でございますので、国内の状況は、例えば夜間外出が禁止されております等、若干の正常さを欠いておる状況でございます。  それから経済的には、これも御案内のように、新しい政府は外資法の制定とか輸出入の業務の自由化等、いわば開放政策を推進してきておるわけでございます。しかしながら、残念なことに、そのような努力にもかかわりませず経済的な困難は依然として深刻でございまして、外貨準備あるいは経済成長率、いずれも大変低レベルにございまして、こういった状況が根本的に改善されるにはまだ若干の時間を要すると思います。  以上でございます。
  43. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 次に、ミャンマーと我が国関係というのは非常に古いものがあろうと思います。特に、仏教国として長い長い関係があったわけでありますが、今、我が国がミャンマーに対して経済援助をなさっておる。特にお話がございましたように、一昨年に軍事政権ができて、今もなお支配下にある、そういう中で一体どのような経済援助をされておるのか。今日までの経過、そしてまた、軍事政権というものが支配しているそういう国に対していかなる根拠あるいは理念で援助されているのか、その点についてもあわせてお聞きしたいと思います。
  44. 茂田宏

    ○茂田政府委員 お答えいたします。  一昨年、ミャンマー国内におきまして武力衝突の発生等、政情の混乱が発生いたしまして、しかもこれが長期化したということがございました。この状況にかんがみまして、日本の対ミャンマー経済協力援助の実施は事実上停止を余儀なくされたという状況がございました。  ただ、その後、軍事クーデターを挟みまして、昨年の二月に至りまして新政権我が国が承認するということがございまして、その結果としまして日本とミャンマーの政府間の関係が正常に復したということがございました。また、この間、ミャンマー国内での状況、治安の回復等も行われまして、だんだん援助を行う客観的状況が整ってきたということで、現在我々は、従来停止を余儀なくされていた実施中の案件、継続案件でございますけれども、これを問題のないところから再開してきているというのが現状でございます。継続案件の中には円借款の案件、技術協力の案件がございます。  ただ、ビルマに対する新規援助の約束または供与に関しましては、緊急的、人道的性格の援助は別としまして、いましばらくビルマ側の情勢を見守っていきたいというふうに考えております。
  45. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 いろいろ情勢変化に伴って、援助された内容についてもう少しく数字を挙げて詳しく御説明いただけませんか。
  46. 茂田宏

    ○茂田政府委員 お答えいたします。  有償資金協力で今継続中の案件というのは、全部で十九案件ございます。これは援助を供与している金額でいいますと、千二百五十八億円になります。  それから無償資金協力でございますが、無償資金協力に関しましては、政府承認後、オンゴーイング案件を実施いたしました。その結果としまして、日本が約束した無償資金協力の案件は既に完成をしておりまして、ただいま行っている無償資金協力の案件というのはございません。どういう案件があったかといいますと、例えば原種貯蔵センター建設計画というようなもの、それから中央林業開発訓練センター建設計画というようなものを実施してまいりました。  技術協力に関しては、研修員の受け入れ、専門家の派遣ということで、専門家の派遣に関しては治安等の状況が整ったところからやっておるということでございます。
  47. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 先ほど答弁の中でありましたが、本年五月ごろ総選挙がなされるというようなお話でありますが、その現状と展望などをひとつお聞かせいただければ幸いだと思います。
  48. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 ただいまの状況は、まことに残念なことでありますけれども日本におきましても名の通っております何人かの政治家の方々が選挙運動への参加ができない状況でございます。そういう中で既に選挙運動自体は始まっておるようでございますけれども、私どもは、いろいろな機会をとらえまして、やはり来るべき五月の選挙におきましては国際的にもその結果が祝福されるような選挙であってほしいということを先方政府に伝えております。言いかえますならば、やはりすべての政治指導者の方々が参加できるような祝福された選挙であってほしいということを内々先方政府に伝えてきておるところでございます。
  49. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 この件については後でもちょっと若干触れたいなと思っております。  この海外援助問題について、次に私は、これとの関連の中でODAに関する部分についてお聞きをいたしていきたいなと思っているわけでありますが、それにつきましても、最近の東欧激動、これらの中で、まず最初に政府としては、ポーランド、ハンガリーに対しまして経済協力ということでの援助をしようということにお決めになっておるようであります。これもODAの一部だというふうに断定的には言えませんけれども、やはりODAと言われる予算にかかわることで両国に支出されているのではないかな、こういうふうに考えますから、私は、まずポーランド、ハンガリーに対するそれらの一連の援助に対する政府基本的な考え方をお尋ねしたいと思います。
  50. 中山太郎

    中山国務大臣 ポーランド、ハンガリーに対する援助に対する政府基本的な考え方は、自由化民主化を求めた国が共産党政府を葬り去って新しい民主的な政府を樹立する、そういう中で、自由市場経済原理を導入して国民生活の質の向上を図るという考え方の国々に対して、この国々の方々が経済的に立ち上がるための支援を行う、こういうことがこの新しく民主化を求めた国々の発願に自信をつけさせる、そのことが他の民主化を求めている国々のこれからの国づくりにも大きないい結果を与えるのではないか、このような考え方から、ポーランド、ハンガリーの支援を、G24の国々とともに協議をいたしまして、日本政府としては、DACのリストに登録をされてはおりませんでしたけれども国民生活水準から考え発展途上国に類する国という判断の中でこの国々に対する経済援助をいたすことに決定をいたしたわけでございます。
  51. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 そういたしますと、両国に対する援助も、DACの了承は得てはいないけれども、しかし、考え方としてはODA援助の精神に基づいた一環としての援助のあり方だというふうに理解してよろしいですか。
  52. 中山太郎

    中山国務大臣 国際的にはODAにどれだけの資金を拠出したかという計算には計上されないと思います。しかし、先生指摘のように、そのような性格を帯びたものということで、日本政府の判断で行ったわけでございます。
  53. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 そういたしますと、この援助は、現実的にはODAの予算と呼ばれる経済協力費等の予算から支出をされている、こういう事実は当然なんですね。認めていいですね。
  54. 茂田宏

    ○茂田政府委員 お答えいたします。  国際的に一国が援助を行いました場合に、その資金がODAとカウントして勘定されるかどうかということに関しましては、これはDACにODA対象国のリストがございまして、そのリストに資金を受け取った国が含まれているかどうかということによって決まります。ただいま現在、ポーランド、ハンガリーをこのDACリストに計上するかどうかということがOECDの中で議論になっておりますけれども大臣から先ほど御答弁がありましたが、現在ではDACリストには入っていないということでございます。  日本の予算との関係でいいますと、日本の予算の中に経済協力費というものがございます。それで、この間、ポーランドに対しまして食糧援助の関係の経費、それからJICAを通じまして現在技術協力を行っておりますけれども、その経費はこの経費から出ております。  法律的なことを若干申し上げますと、海外経済協力基金法及び国際協力事業団法上は、海外経済協力基金及び国際協力事業団は開発途上にある地域に対して援助を行えるということになっております。それで、ポーランド、ハンガリーのそれぞれの一人当たりの国民所得等を勘案いたしまして、このポーランド、ハンガリーを国際協力事業団法及び海外経済協力基金法上、開発途上の地域として認めるのが妥当であるという判断からそういう措置をとっているということでございます。
  55. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 御説を聞きまして、DAC関係はともあれ、国内的には、予算としては、やはりODA関係する部分の支出である、こういうふうに改めて理解していいですか。
  56. 茂田宏

    ○茂田政府委員 お答えいたします。  ODAというのは、非常に厳密に言いますと国際的に成立する概念でございまして、日本の援助がODAとして認められるかどうかというのはDACの話にかかわります。ただ、予算上は、先ほど申し上げましたように経済協力費という中であるというふうに御理解いただけると思います。
  57. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 ここで私は、若干前後するわけでありますが、改めてODAの目的、内容、予算等についてお聞きしたいと思います。
  58. 茂田宏

    ○茂田政府委員 お答えいたします。  ODAの概念ですけれども、これはDACで決まっておりまして、まず最初に、政府開発援助と称しておりますが、政府が行うものであるということが一つの要件でございます。  それから、そのODAが供与される国に関しましては、先ほど申し上げましたDACのリストがございまして、そのリストに掲上されている国に対する資金の供与がODAにカウントされます。さらに、その資金の供与でありましても、例えば商業ベースでの資金供与、輸銀ベースでの資金供与のようなものはODAとはカウントされません。贈与、例えば無償資金協力ですとか技術協力ですとかはODAに当然カウントされます。  借款の場合には、これは複雑な計算方式があるわけですけれども、グラントエレメントというもので計算いたします。このグラントエレメントは、非常に大ざっぱに言いますと、商業金利で借りた場合に返さなければならない額と非常に低利で借りた場合に返さなければならない額の差をとりましてグラントエレメントが何%であるという計算を行います。現在のDACにおける定義におきましては、借款に関しましてはグラントエレメントが二五%以上の場合にODAにカウントされることになっております。日本の円借款はすべてこれに該当するということでございます。
  59. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 我が国の国際的な地位の向上に伴いまして、当然その国際上における役割と責任というのは大きくなってくることは申すまでもないことであると思います。政府が最近策定いたしました第四次中期目標では、今後五カ年の実績総額を過去五カ年の倍以上として対GNP比率の改善を図るというような閣議決定をされたというふうに聞いておりますが、今後の方針等についてお聞かせをいただきたいと思います。  さらにはまた、このODA援助につきましては、国内でもいろいろな批判があります。まず一つには、本当に相手から喜ばれる援助になっているのだろうか。また、援助体制が本当にガラス張りになっていないのではないか。あるいはまた、国会でのチェック機能を果たしていないのではないか。また、援助機構の一元化、効率化等の問題指摘もあります。また、外国の方からは、日本の経済大国と言われる国力からしてまだ不十分だ。あるいはまた、質的援助部分が少ないのではないか。その援助の範囲がアジアに偏り過ぎている。あるいはまた、いわゆるひもつき援助が多いのでもっとアンタイドな援助方法にすべきではないのかというような数々の御指摘があります。  こういうような御指摘に対して、対外援助にふさわしい援助のあり方、日本として海外から信頼され、本当に援助を受けてよかったと感謝されるような方法にぜひ持っていくためにも、これからの考え方、方針等をお聞かせ願いたいと思います。
  60. 茂田宏

    ○茂田政府委員 お答えいたします。  政府としては、日本の国際的な地位にかんがみまして、今後ともODAを増加させていくべきであるというふうに考えておりまして、先生指摘のとおり、現在第四次中期目標のもとで、一九八八年から一九九二年の間に五百億ドル以上の対外援助を行うということを目標として努力をいたしております。  それから、援助の関連では、先生指摘のとおりいろいろな問題が指摘されております。  一つは、日本の援助の中で技術協力、無償資金協力の割合が低いのではないかという指摘がございます。これは先生指摘の質の問題にかかわる問題でございますけれども、我々はこの第四次中期目標の中で、この技術協力、無償資金協力をもっとふやしていきたいと考えております。  それから、日本の援助に関しましては、ひもつきではないかという批判がございます。ただ、この批判は事実の問題としては当たっていないと我我は考えております。といいますのは、日本の現在の円借款のいわゆる一般アンタイド率は七〇%を超えております。このアンタイド率は、DAC諸国の中では日本が一番進んでいると言ってもいいかと思います。かつ、その中で、一般アンタイドで入札をした場合に日本企業が調達する割合は三〇%以下でございます。したがいまして、日本の援助がひもつきではないかという批判は現在では当たらないと思います。ただ、日本の国際的な立場にかんがみまして、今後とも円借款のアンタイド化を進めていくことは必要ではないだろうかと考えております。  それから、日本の援助の評価に関連しての御質問がございました。国内でも援助のいろいろなプロジェクトについての御批判をいただいておりますし、我々も謙虚に耳を傾けて、改善すべきは改善していきたいと思っております。ただ、海外での日本の援助の評価に関して言いますと、先般の大喪の礼のときに来られた外国の元首の方、外務大臣の方は、先進国の場合を除きましてほぼ皆さん、日本の援助については高い評価を述べてくれたと思います。  国民のレベルに関しましては、外務省におきまして援助の受け取り国で世論調査等を行っておりますけれども、私、手元に今数字がございませんが、八〇%ないしは九〇%の人が、ASEAN諸国においては日本の援助は十分役立っているあるいは役立っているという評価をしております。  援助の実施体制についての問題指摘がございました。我々は、現在の援助の実施体制というのは、円借款に関しましては外務、大蔵、通産、経企の四省庁で案件の審査をしまして、対外的には外務省が一元的に対応していく、技術協力、無償資金協力については外務省中心となって対応しまして、日本国内において行われるいろいろなことに関しては、各省庁の専門的な知識を利用させていただいているという体制になっていると思います。  そういう体制でこれまでやってきましたし、これからもこの運用の改善ということは必要であろうと思っておりますけれども、その体制を抜本的に変える必要はないのではないかと考えております。  それから、国会と援助との関係についてのことですが、我々は、できる限り国会に対しましてプロジェクトその他についての実施状況等を報告していきたいと考えております。
  61. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 先ほどポーランド、ハンガリー等の援助のことについてお聞きしましたが、それとの関係で、これから東欧諸国は大変な状態にありますから、東欧諸国圏に対して必要と認めた場合にハンガリー、ポーランドと同じような援助を今後も進める、こういう考え方をお持ちかどうか、明らかにしていただきたい。
  62. 中山太郎

    中山国務大臣 ポーランド、ハンガリー以外の東欧諸国につきましては、それらの国々の新しい自由市場原理導入あるいは民主化の進みぐあいによりまして、日本国としては欧州各国協議をし、と申しますのは、G24という機関がございましてそこでいろいろと私ども協議をしてきた経過がございますが、各国とも協調しながら援助を続けてまいりたい、ただし、その場合には、相手国の累積債務の問題、あるいは累積債務の問題でも国立金融機関からの借り入れの状態あるいは民間金融機関からの借り入れの累積債務の問題等も含めて検討対象としてまいる考え方でございます。
  63. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 私のお聞きしますところでは、このODA関係を、今後、閣議決定のように第四次計画では倍増しようというような方向もあるわけでありますから、予算も多くなる、また対象国もたんだんとふえていく、こういう状態になれば、そういう中で当然ODAに対する——従来は私ども世界での貧しい国々、そして困っている人たち、弱者に対する援助だというふうに理解しておったわけであります。しかし、対象国が多くなればいろいろその国の実情もかなり変わってくる。それに対応した援助の仕方というものが当然出てくるわけであります。先ほどミャンマーについては国情の変化等に応じての援助を現実にやっておるようにお聞きしましたし、また、今度はポーランド、ハンガリーについても、私どもの受け取りでは従来と若干異なる視点からの援助たなと受け取らざるを得ない。そんなふうに考えますと、今日、ODA等の予算については確たる法律的な根拠またそれを貫く理念というものが明確になっておらない。そういうふうに受けとめますと、やはりきちっとした理念を持ち、そして法的な根拠、裏づけのある予算的な対応をする、これが、この予算の今後の額や対象国の増加等を考えれば当然のことではなかろうかと私は思うわけであります。また定かに教えていただいていませんが、かつて我が社会党も川崎先生を代表とする基本法についての御提案をなさっていたという経緯などもお聞きしますと、そろそろこの基本法なるものをつくるべき時期に来ておるのではなかろうか、こういうふうに思いますので、今後検討するお考えがあるかどうか、お聞きをしておきたいと思います。
  64. 中山太郎

    中山国務大臣 ODAに関しまして基本法をつくる考え方があるかどうかというお尋ねでございますが、現在のところ、政府といたしましてはそのような法律を制定するという考え方は持っておりません。
  65. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 私は、ここで視点を変えまして、今問題になっております日米の経済摩擦問題についてお聞きをいたしたいと思います。  日米関係については御承知のように大変な関係でありまして、そういう中での今日のこのトラブルは非常に大変なことだと私ども受けとめておるわけでありますけれども、国会での答弁をお聞きしますと、そのような緊迫した受けとめ方というようには聞けないような答弁が多々あると私は思っているわけであります。まさに異常としか言いようのないような今日の日米間の経済問題のトラブルではないかな、そんなふうに受けとめているところであります。  そういうところから、まず私がお聞きしたいことは、七〇年代にこの経済摩擦が始まりまして、そこの中心となりましたのは繊維やカラーテレビあるいは鉄鋼等の問題、これが日米貿易摩擦の最初に問題化した点であります。それ以来、我が国の主たる対応というのは自主規制を中心にした対応であったなと思うわけでありますが、今度の構造問題を契機に新たな変容を見せる交渉課題が出てきていると考えますと、今日までの日米貿易摩擦にかかわる経過についてどのように受けとめてこられたのか、その時点での問題は何が中心課題であったのか等についてまずお聞きをしたいと思います。
  66. 須藤隆也

    ○須藤政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、日米経済摩擦は一九七〇年代から特に貿易の不均衡という形で表面化してきたことでございます。特に七〇年代におきましては、繊維から始まって、鉄鋼、それから自動車というような、日本がアメリカに比較して競争力の強い分野での集中的といいますか、そういう非常に急激な輸出の伸びがアメリカ側から問題にされまして、いろいろ両国間で話し合いを行ってきたわけでございますが、解決の一つの方法といたしましては、確かに御指摘のとおり自主規制というような形で、繊維につぎましては、国際繊細取り決め、MFAというのが多国間で合意されておりますが、そういうものの枠内で対応するとか、それから鉄につきましても、一種の自主規制がございます。それから、自動車につきましても、一種の自主規制を導入いたしまして、摩擦の回避に努めてきたわけでございますが、その後の推移を見ますと、特に円とドルとの為替レートの問題もございまして、八〇年代に入りまして貿易不均衡がますます大きくなるという情勢がございまして、それへの対応が問題になったわけでございます。  貿易不均衡は、経済学的に申しますと一国の経済の貯蓄と投資のギャップあるいは消費と生産のギャップというような、基本的な一国の経済の構造に根本的な原因があるのではないかという認識が双方に生まれまして、こういうふうな貿易不均衡に対処するために、市場の開放とか個々の産品についての話し合いも進める必要はありますけれども、そういうものの背景をなしている構造問題についてひとつ話し合ったらどうかということになりまして、昨年の五月の二十六日、ブッシュ大統領が声明を発出いたしまして、スーパー三〇一条とは全く別の枠組みとして日本と構造問題に関して協議を行うことを提案越したわけでございます。  その提案を受けまして、昨年の七月十四日にアルシュ・サミットの際の日米首脳会談におきまして、今後本件協議を行っていく旨を合意して、その旨の共同声明を行っておりますが、この合意を受けましてただいまの構造問題の協議が行われている次第でございます。
  67. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 いろいろお話がございましたが、私は、日米貿易摩擦の問題で今俎上に上っています問題点を別な面からお聞きをしたいと思っているわけでありますが、まずその一つに、日本の企業の特質といったものがあるのではなかろうかというふうに私は思うのであります。  安売り、ダンピングと世界から騒がれたりする、その騒がれる背景には、国内の工業製品の割高というものがあります。国内では高く売って、そしていわば出血輸出をして、外国では貿易黒字として騒がれるというような実態、そういうところに基本的に日本の企業の体質があるなというふうに受けとめているわけでありますが、そういう中で私は企業に対する貿易対応策についてもう少しく政府指導、そういうものがあってよろしいのではないか、そういうふうに考えるわけであります。その点についてまずお聞きをいたしたいと思います。
  68. 須藤隆也

    ○須藤政府委員 御指摘のとおり、日本の企業の行動あるいはビヘービアといいますか態度につきまして諸外国からいろいろ批判があることは承知しております。例えば、御指摘になりましたダンピングのケースでございますが、確かにヨーロッパあるいはアメリカからダンピングとして提訴されてダンピング相殺関税をかけられたりしている例もございます。このダンピングの問題は、非常に難しい技術的な問題がございまして、ガットその他でもダンピングの認定あるいはダンピングの手続をどうするかというようなことについて、現在ウルグアイ・ラウンドの中でも話し合いが行われておりますが、そういう問題は別といたしましても、日本の国内で不当にもうけて、そのツケを外国に持っていって外国で不当に安く売って殴り込みをかけるというような企業の行動というのは、国際的にも受け入れられないものでございますので、そういう点については、日本の企業としてもきちんと対応していただかないといけないと思っております。  その関連で、最近では、内外価格差の問題につきましても政府として真剣に取り組んでいるところでございます。
  69. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 今度の貿易摩擦の点で一つの問題指摘をされていますのは、何といっても対米貿易の中でたくさんの輸入超過がある、こういう問題が指摘をされて、その額が大変な額になっている。日本側からいえば四百八十億ドル、アメリカから見れば四百九十億ドルというような、若干誤差がありまするけれども、大変な貿易赤字となっておるわけでありますが、この赤字がなぜ減らないのか、その辺について減らすためにどのような方策で今日まで努力されてきたのか。かなり円高・ドル安になって、八五年からすれば円高の部分では四五%もドル安になっているのに、赤字の方はわずかに一七%くらいしか減っていない。また、アメリカの対外貿易赤字の中で我が国への赤字というものの占めている割合がだんだん多くなってきている。こういう実態に対する怒り、焦り、いら立ちというものが今日の構造摩擦になっている基本的なことだと思うのでありますが、今日までの赤字解消のための経過なり、どういう努力をされてきたのか、その点についてお聞きをしたいと思います。
  70. 須藤隆也

    ○須藤政府委員 先生指摘のとおり、アメリカと日本との赤字は一番新しい数字で四百八十億ドルあるいは四百九十億ドル、両国の統計で若干の違いがありますが、日本の赤字がアメリカの全体の赤字の中に占める割合も四〇%を超えて四五%になったというようなことを背景といたしまして、アメリカ側のいら立ちが非常に高まっているわけでございます。アメリカ側にとりましては輸入超過になるわけでございますが、これは基本的にはアメリカの輸入業者あるいはアメリカの消費者が、日本製品が安くて優秀であるということで買うものですから、アメリカの輸入がふえるという面がございます。その点は基本的には競争力の問題だと思いますが、アメリカの消費者といたしましては、アメリカの国産品を買う自由はもちろんあるわけでございます。それから、ヨーロッパから輸入した製品を買う自由もありますし、日本からの製品を買う自由もあるわけでございますが、消費者はそういうものを平等に比較して、比較的に安くていいものを買うという消費行動をとるわけでございまして、基本的には競争力の差がこの赤字の原因になっているのではないかと思います。もちろん、先ほど御指摘のダンピングのような不正な競争は別といたしまして、公正な競争が行われている限り、競争力の問題というのがその基本にあると思います。さらにその背景には、アメリカの構造問題、先ほど御説明いたしましたような、消費と生産、投資と貯蓄のギャップというような構造問題もマクロの問題としてはあるわけでございますが、直接には商品の競争力ということがあらうかと思います。  その競争力に大きな影響を与える可能性のある要因の一つとしまして、円とドルの為替レートの問題があるわけでございます。数年前に、円高・ドル安ということがございまして、貿易不均衡の改善につながることが期待されたわけでございますが、この点につきましては、日本の企業が生産性向上あるいは製品改善努力をした結果、それほど輸出に影響が出ないままにかえって競争力が強化されたという面もございまして、基本的には貿易不均衡の改善には今のところつながってきていないということがございます。  したがいまして、日本政府といたしましても、基本的には企業の競争力の問題ではございますが、貿易摩擦を避けながら中長期的に改善していくためには、やはり構造問題に取り組んでいかなければいけないんじゃないかという認識もありまして、構造問題に対する取り組み、並びに、逆に今度はアメリカの日本に対する輸出を伸ばしてもらわないと困りますので、この点につきましては、アメリカ側の努力を一層期待したいということで、従前からアメリカ側に対してもその点を指摘しているわけでございますが、構造協議の中におきましても、アメリカ側の企業の競争力の強化、それから日本への輸出努力を一層進めてほしいということも言っておりまして、この貿易赤字の問題は、基本的には黒字国だけの責任ではなくて、赤字国と黒字国と両方の努力によって解決する問題ではないかということを申しているわけでございます。
  71. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 お話はよくわかるわけであります。市場競争でやるからやむを得ない、それは当然のことだと思うのでありますが、しかし、現実に日本の輸出が多いために赤字が依然として減らない、そのためにまた内政干渉とも言えるようなジャパンバッシングが現実に起こっている、こういう事態考えますと、やはりそれなりのいろんな面での努力は当然するべきだ。こういうふうに考えますと、今までのアメリカに対する輸出は自主規制、こういうことであったけれども、しかしこれを一歩進めて、買うのだからやむを得ないのではなくして、アメリカ側が買うからそのまま売るという関係ではなくして、やはり輸出に対する全体的な抑制をする、自主規制ではもう済まない、もうこの辺で、品目ごとに十分な検討を加えた上でもっと内需を高めて、そして輸出量の削減をする、そういう方向をこれから改めて一つの赤字解消の方策として考えるべきではないのか、そう私は思いますが、どうでしょうか。
  72. 河野博文

    ○河野説明員 通産省でございます。お答えさせていただきます。  先ほど外務省からの御答弁にもございましたように、従来貿易の不均衡が続いております背景には、日本側からは資本財、これは現地生産に伴います機械ですとか部品のようなものも含みますが、こういうものの輸出がかなり伸びております。一方、輸入もかなり高い伸びで米国からふえておりますけれども、もともとの輸出入の格差がかなり大きかったものですから、この伸びでも収支を大幅に縮めるには追いつかないという状況がございました。ただし、御案内のように、内需中心の経済運営をするということを基本にいたしまして、このところ米国を含めた日本の輸入はさらに大幅に伸びているわけでございまして、そういった成果も徐々にあらわれていると思うわけでございます。  例えますと、昨年の第四・四半期の米国との収支でございますけれども、輸出が七%減少する一方で輸入が一二%ふえるというような一つの兆しは見えているように思われるわけでございます。  加えまして、やはり全体として拡大均衡の中でこの収支不均衡を是正していくというのが私どもの国としての態度ではなかろうかというふうに思うわけでございまして、通産省といたしましては、これまでも関係の企業に輸入拡大努力というものを積極的に呼びかけてきておりますけれども、それに加えまして、今国会にも御提案させていただいておりますように、輸入促進税制の創設でございますとか、一千を超える品目に関します関税の撤廃でございますとか、あるいはその他の各般の輸入拡大措置というものを御提案させていただいているわけでございまして、こういったものを通じて、拡大均衡で何とかこの収支不均衡を解消していきたいというように考えているわけでございます。
  73. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 時間がなくなってきましたので、一点だけ申し上げておきたいと思います。  実は先ほども我が国の企業の体質について申し上げましたが、御承知のように、我が国の経済はいわゆる二重構造であります。私の地元の周辺に進出していますたくさんの企業のほとんどは下請企業であります。関連する中小企業の皆さんは、この円高・ドル安の中で、あるときにはダンピングもありましょうけれども、正常な形で輸出する場合でも、その都度大企業による合理化でじわじわと抑えつけられてきている。あるときには円高で高くなって売れなくなるから、その円高になった部分をそのままストレートに下請企業に転嫁をする、そういうことが今日の日本の海外輸出が大幅に伸長している一つの理由にもなっていると思うのであります。外国のある総理日本人はウサギ小屋に住んでいる、こういう表現をされたのですが、東京と地方との所得格差、賃金格差、こういうものがだんだん広くなって、差がついてきている。私は、私の周辺の若い奥さん方に聞いたのですが、今どれくらいもらっているかといいますと、手取り七万か八万、そういう低い賃金で働いているのは農家の婦人がほとんどであります。それは、やはり地方が、農村地域が今の経済の二重構造の犠牲になっている、こう言わざるを得ないわけであります。その点に関するアメリカ側の構造問題の中での提起がされているということは聞いておりませんけれども、私が周囲を見たときに、この二重構造をなくしていかない限り、日本の、我が国の内需拡大もないし、外国から指摘されるようなウサギ小屋の解消もあり得ない、こういうふうに考えているわけでありますが、こういった日本企業の特質をどう受けとめ、どのように考えておられるのか、若干お聞きしたいと思います。
  74. 前田正博

    ○前田説明員 ただいま御指摘のいわゆる二重構造と言われるものは、私ども調査によりますと、大企業と中小企業の格差は、賃金で六割ぐらい、また付加価値生産性で五割ぐらいということで、確かに大企業との間の格差ほかなりのものがあると思っております。  先生案内のとおり、中小企業というのは我が国において圧倒的な多数を占めておるのみならず、その創造的な活動ぶりから見ましても、我が国の経済活動の進歩の源泉といいますか、活力の源泉になっておることは間違いありません。したがいまして、私どもは、こういった大企業との格差というものは今後も従前以上に精力的に取り組んでいく必要があろうかと思います。  九〇年代を迎えまして、九〇年代を展望いたしますときに、基本的には経済の運営といたしまして貿易インバランスの解消を目指した内需主導型の運営を続ける必要がありますし、また、個別に中小企業に即して見ますと厳しい面があります。それは、消費構造が変化しておるとか、あるいは競争が激しくなるとか、あるいは経営者の世代が交代するといったさまざまな問題があるわけでありますが、反面、中小企業に新しい期待も大きくなってきております。それは、地域経済社会の中核として活動する中小企業があるということでありまして、町や村を支えておる中小企業の活動、あるいはこれから情報化とか経済活動のグローバリゼーションが進展する中で新しいビジネスの芽が出てきておるということも言えるかと思います。創造、つまり新しいものを生み出していく創造の母体としての中小企業を私ども育てていく必要があると思いますし、そういった大企業との格差を縮小させるような高付加価値化を目指す中小企業の活動に対しては、政策上の支援措置が必要だと思っております。  現在通産省では、九〇年代に向けて新しい中小企業政策のあり方も検討しておりますので、その中で十分配慮をしてまいりたいと考えております。
  75. 志賀一夫

    ○志賀(一)委員 どうもありがとうございました。
  76. 岸田文武

    岸田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  77. 岸田文武

    岸田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。北川昌典君。
  78. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 私は、今提出されております法案に関連して若干お尋ねをいたしたいと思います。  最初に、ナミビアが今回独立いたしましたが、大変長い間不法統治の中で苦しめられてきた、それが国連を中心にしたところのそれぞれの国の協力と支援によって独立できたということは大変喜ばしいことだと思うところでございます。  そこで、ナミビア独立に至るまでの経緯と今日の政治状況についてお尋ねいたしたいと思います。
  79. 内田富夫

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  ナミビアは、かつて南西アフリカといたしましてドイツの植民地でございましたが、第一次大戦に連合国側として参戦いたしておりました南アがこの南西アフリカに侵攻いたしまして、一九一五年に南アの占領下に置かれたわけでございます。第一次大戦後は、国際連盟の委任統治制度のもとで南アがこの南西アフリカ地域を支配いたすことになりました。  第二次大戦後でございますが、国際連合がこのナミビアを国連の信託統治制度のもとに移行させようといたしたのでございますが、南アはこれを拒否いたしまして、同国によるナミビア、南西アフリカの統治を継続いたしました。これに対しまして、国連総会は、南アによる委任統治を終了させて同地域を国連の直接の責任のもとに置くなどの決議をしたのでございますが、かかる諸決議等にもかかわらず、南アがナミビアの支配をいわば不法に継続しておったのでございます。  かかる情勢を背景にいたしまして、一九七八年、今度は国連の安全保障理事会が、南アによる不法統治の終了を求め、このため国連監視のもとに自由選挙を行いましてナミビアの早期独立を図るべしとする旨の決議、決議番号四三五を採択いたしました。  その後も十年以上にわたりまして南アのナミビア支配という実情基本的な変化は見られなかったわけでございますけれども、特に最近年の米ソ関係の好転及び南ア側のいろいろな考慮もございまして、ナミビア問題の平和解決に向けての動きが高まりまして、特に米国の仲介努力のもとで、南アは、ナミビアの北にございますアンゴラからキューバ軍が出ていくことと引きかえの条件で、今申し上げました国連の安保理決議四三五号を実施し、ナミビア独立に向けてのプロセスが開始されるということで合意が達成されまして、この結果、昨年の四月一日、国連によりますナミビア独立支援グループが発足いたしまして、御高承のとおり昨年の十一月に国連監視下で自由選挙により制憲議会を設置、その制憲議会による憲法制定を経まして、今月の二十一日ナミビア共和国として独立したという次第でございます。
  80. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 まさに関係各国の粘り強い外交話し合いの結果であろうかと思うわけですけれども、こうした独立したナミビアが将来ひとり立ちできるような支援体制というものに各国努力をしていかなければならない、このように私ども思うし、その点について大臣に見解をお聞きしたいと思います。  さらにもう一つつけ加えまして、我が国ナミビアとの貿易経済関係を含めましてこれまでどのように我が国がかかわり合いを持ってきたか、この点についてもお聞かせいただきたいと思います。
  81. 内田富夫

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  ナミビア独立に関します我が国のかかわりにつきましてまず申し上げますと、この決議四三五に基づき設立されましたナミビア独立支援グループへの財政支援といたしまして、我が国は、立ち上がり経費千三百五十五万ドル、特別分担金約四千六百万ドル等、前者を拠出いたし、後者につきましては補正予算に計上してございます。そのほか、平和のための協力の一環といたしまして、昨年十一月に行われました制憲選挙に関しましては三十一名の選挙監視団員を派遣するなどの協力を行ってきております。  ナミビアとの貿易経済関係は今までのところ非常に少額にとどまっておりましたし、援助も、独立以前だったということもございまして、見るべきものを行っていないわけでございますけれども、今後は伸びていくものと思われます。
  82. 中山太郎

    中山国務大臣 今、政府委員から御答弁申し上げましたように、今後ナミビアからの経済協力の要請がありました場合には、政府としてはこれを検討してまいりたい、このように考えております。
  83. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 ナミビアは豊富な資源を有する国というふうにもお聞きをいたしておりますけれども、今後どのような経済交流日本と行われる可能性があるのかお聞かせいただきたいと思います。かつてウランを輸入して問題を起こしたこともあろうかと思いますけれども、そういった資源等を含めてお答えいただきたいと思います。
  84. 内田富夫

    ○内田説明員 ナミビアとの協力関係につきましては、政治面では、このところ順調に進んでおりました国民和解のプロセスというものを支持しながら、ナミビア国民経済発展中心とした実務的な経済運営をしていくようにアドバイスしていくということが基本かと思われるわけでございますけれども、さらに経済面につきまして申し上げますれば、先生指摘のとおり、ナミビアは、ウラン、ダイヤモンド等の天然資源に恵まれておりますし、道路などのいわゆるインフラ面も、アフリカ諸国、ブラックアフリカの中では比較的整備されておると思われるわけでございますから、いろいろと経済情勢が好転していく要素をはらんでおるわけでございます。  そういう好ましい要因を持っておると思われるのでございますが、他方、やはり独立したばかりの若い国でございますから、人材の育成が重要であり、かつ、新しい政府の財政基盤の確保等についてもいろいろな隘路があり得るかと思われるわけでございまして、こうした面での問題点を把握しつつ、ナミビアのニーズに応じた援助を探求してまいりたいと考えておる次第でございます。
  85. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 今度設置されますナミビア大使館は、実館ではなくてジンバブエ大使館との兼館とのことでありますけれども、実館と兼館を設置する場合の基準というのはどういうふうになっておるのですか。
  86. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 まず、在外公館を設置をする必要性につきましては、ある国が独立をし一国としての存在を固めるということになりますと、私ども日本政府としてはよほどの特別な事情がない限り、まずその国と外交関係を結ぶわけでございます。  その場合に、実際に在外公館を設置するかあるいは今先生指摘のとおり兼轄をして外交の任に当たらしめるかという場合に、その当該国と日本との経済関係あるいは人的な交流関係あるいは国際社会におきます当該国の地位「諸外国がどういうふうにその国と交流を深めているか、そういった二国間関係、あるいは国際関係におきますその国の重要度と申しますか、それを念頭に置きながら対処をしてまいるわけでございます。  同時に、何分限られた財政状況の中でございますので、私どもとしては外交の視野を広げていきたいという見地から、できるだけ多くの国、少なくとも外交関係を結んでいる国々には、この在外公館というものを設置してまいりたいと思っているわけですが、申し上げましたような財政状況というものもございますので、冒頭に申し上げましたことを勘案しながら、かつ、若干の時間的要素を念頭に置きながら対応をしているわけでございます。  ナミビアにつきましては、アフリカの中の一国として、大変重要な国柄というふうに認識をいたしておりますけれども、今、独立をしたこの時点におきまして、とりあえず兼轄公館を開設し、これからの外交の展開に用意をしていく、かように考えておるわけでございます。
  87. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 ジンバブエ大使館と兼館ということでございますけれども、こうした場合に、ジンバブエ大使館の方がいろいろな仕事の関係で的確な業務運営ができるような体制があり得るのか。やはり大使館がそこになくても行かなければならないような事態も起きてくるわけでございますから、そこらあたり外交事務の進め方はどのようにされるのか。
  88. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 ジンバブエの大使館状況についてお尋ねがございました。私どもも、まさしくナミビアに対する外交関係を充実していくためには、兼轄しているジンバブエにおける我々の大使館員の強化ということが必要になるわけでございます。その場合に、すぐに定員を増強することは、残念ながらなかなか容易なことではございません。したがいまして、ジンバブエの大使館からの出張を頻繁に行う、あるいはその他の公館からも随時出張をする等々によりましてナミビア情勢を把握し、先ほどから答弁申し上げておりますような貿易関係あるいは援助関係に遺漏なきを期してまいりたいと思っております。
  89. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 次に、在外職員の問題につきましては、第百十三国会で在外公館に関する小委員長の報告、さらには第百十四国会での内閣委員会附帯決議がなされておるところでございますが、先ほどのジンバブエ大使館が兼轄した場合の点等も考えて申し上げますと、在外職員は数が大変足らずに御苦労いただいておる、このようにお聞きいたしております。  さらに、総理府の行政監察局が昨年十一月に出しました行政監察月報によりますと、「在外公館に関する実態調査」の中で、広域担当官にかなりの欠員が生じている、また任地国の国語を話せる職員が配置されていない公館があるといった職員の不足についての指摘がなされておるところでございます。我が国外交関係事務が量、質ともに非常に増加をいたしております今日、また、外交活動がさらに重視されなければならない今日でもございます。こうしたときに、外務省の増員に対する考え方はどうなんでしょうか。
  90. 中山太郎

    中山国務大臣 今外務省には四千三百人余りの人たちが働かせていただいておりますけれども、私が昨年外務大臣に就任をさせていただいて痛感をいたしましたことは、国際情勢がこれだけ大きく変わってまいりますと、現状ではなかなか事務処理が十分できない。特に、昨年のような歴史的な変化が相次いで起こりますと、夜を徹して職員が海外からの情報を受けております。そういうことで、昼夜を問わず働いていると言っても過言ではないと思います。  こういう中で、ほかの官庁と違いまして、日本で日が落ちれば裏側で日が上っている。電話は直通電話。電子のファックスが来る。こういうことで、情報処理だけでも大変でございまして、今のようなやり方を今後ともやっていくとすれば、これからは若い職員が仕事に追いまくられて、物を考える十分な時間もなくなっていくのではないか、このようなことを実は痛感をいたしておりまして、できれば思い切った人員の増強を図る必要がある。特に自分のことを申してはなんでございますけれども外務大臣でも、国際会議が急激にふえております。例えばナミビア独立記念式典にもアメリカのベーカー長官とかシュワルナゼ・ソ連外務大臣等も出席をしておりますけれども、イギリスあたりでは、閣外大臣を置いて国会以外の仕事をやる担当大臣も決めている。こういう中で、私ども外務省をお預かりしている観点から申し上げると、例えば農林、大蔵、通産あたりには政務次官も二人ずつおられますけれども外務省には一人しか政務次官がおられない。こういうことで、大変国際情報の多元化する中で、これからの外務省の組織と人員のあり方については一考を要するものが極めて多い、このように認識をいたしております。
  91. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 外交活動をさらに充実するためにも、ぜひこの問題については早急に御検討いただいて増員されるよう要求をしておきたいと思います。  さらに、私、海外におられる外交官の皆さん方はかなり優雅な生活を送っておられる、こういうふうに、聞いたわけではないのですが想像をいたしておりましたけれども、いろいろお聞きしまして、大変私の思いが間違いであったということを痛感いたしておるところであります。先ほど申しました非常に人員が足らないということもその一つでありますが、なお、施設が大変悪いということが先ほど申しました行政監察局の報告の中にも出ておるところであります。「事務所、公邸の中には、老朽化が激しく、地震が起きた場合などに危険が予想されるもの、維持管理や修繕が不十分で在外公館施設としてふさわしくないものがみられる」、国有化の進捗状況でも、事務所が二七・五%、公邸六〇・八%と国有化がおくれている、こういう報告がなされております。まさに経済は一等国であり、生活は三等クラスと外国で言われるゆえんがここにもあるのではないかと思うわけありますけれども、こうした海外職員として御苦労いただいておる皆さん方の少なくとも生活環境というものは早急に十分整備されるべきだと私は思うのですが、それについての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  92. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 ただいま先生から在外公館の施設の問題について御指摘をいただきました。大変ありがたい御指摘と申しますか、私どもとしても、今御指摘のありましたような残念な状況を一日でも早く改善をしていかなければならないと思うわけでございます。毎年度の予算要求におきましても、先生方の御支援をいただきまして外交実施体制強化ということを私ども外務省の予算要求の柱にしてまいっているわけでございます。  今先生から御指摘のございましたように、公邸あるいは事務所というものは本来私ども政府として所有し、必要な改善を加え、それによって第一線の我々の同僚が生活環境に後顧の憂いなく活躍できる外交実施体制を整えなければならないと思います。  また、現存の在外公館あるいは事務所、公邸の中には大変老朽化したものがふえてきておるのも事実でございます。私どもの施設の大半のものは開発途上国あるいは生活環境の非常に厳しいところに所在をいたしております。日本に対する経済援助の期待あるいは日本からの諸般の文化交流の拡大といったような期待が大変大きい昨今の国際情勢におきましては、私どものそういう施設設備をきちんとしてまいらなければいけないと思いますし、また、そういうことを心がけることによって我々の外交の広がりもふえていくと思うわけであります。最近もタンザニアに駐在しておりました中村大使が事故で亡くなられるという悲惨な状況もあるわけでございます。さらに御支援をいただきながらこれらの外交関係に携わる人たち生活環境の整備に我々も努力をしてまいりたいと思っております。一層の御支援をいただきたく思うわけでございます。
  93. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 在外公館日本国を代表する国の出先機関、こう言われておるところでございまして、経済大国と申していいのかわかりませんが、としての日本の体面上、当然その機能をフルに発揮するように、さらにまた、職員の士気にも影響があることでありますので、施設の整備充実は人員増とあわせて早急にやる必要があると思いますから、この点は要望としてとどめておきたいと思います。  さらに、東京に在外公館を持っておる諸外国のことなのでございますけれども、近年非常に土地の値上がり、地価の高騰が言われております。こういう中で、とりわけ開発途上国在外公館については、大変出費といいましょうか経費が重なり負担が重くなっておるのではないか、こう思うわけでありますけれども、これに対して日本としてはどのような対応をとっておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  94. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 東京に来られます諸外国の外交施設の方々のいろいろな設備、これは事務所あるいは公邸という問題のお尋ねでございました。  先生ただいま御指摘のとおり、東京のこの物価高、特に不動産価格の急騰という状況を踏まえまして、在京の外交施設から、特に発展途上国の多くの外交施設から、外務省に対しまして、これは何とかしてほしいという要望が相次いだわけでございます。私ども外交施設を受け入れる側の政府あるいは国として、法律的に土地の提供あるいは建物の提供とかいう義務は特段あるというわけではございませんけれども、ただ、外交施設を受け入れる以上はそれなりの便宜を供与していかなければならない立場にございます。  数年前のことでございましたが、そういう東京におります諸外国外交施設からの要望を踏まえまして、民間の御協力も得ながら、適当な不動産を御紹介申し上げ、あるいはある特定の場所に開発途上国外交施設にふさわしい建物を建設するという計画も、まだ十分ではございませんけれども若干進みつつございます。私どもとしては、できるだけこういった側面的な支援をしながら、東京に来られる諸外国の外交施設が、ちょうど我我の外交官が諸外国におきまして円滑に事務が遂行できるのと同じように、彼らに対してもそういう配慮をしていかなければならないと思っております。これはもうまさしく今先生の御指摘になったとおりでございます。どういう方法で具体的に実行していくか、必ずしも政府立場ですべてができるわけでございませんけれども、民間の御協力も仰ぎながら対応していきたいというふうに思っておるわけでございます。
  95. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 次に、給与について関連して一点だけお聞かせいただきたいと思うのですが、三年ぶりに在勤手当の改定が行われたわけでありますけれども、今回の基準額を決めた時点では一ドル百三十六円だったと聞いております。しかし、最近の大幅な円安傾向、昨日は百五十六円、こういう円安まで来ておるわけでありますけれども、こうした場合にこの改定額であっても在外職員給与は六十二年より大きく目減りしてくるのではないか、こういう心配があるわけでございますけれども、これについてはどうお考えでございますか。
  96. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 ただいま先生指摘のとおり、この円安の傾向というのが在外職員基本手当に対して大きな影響を与えていることは事実でございます。本日十二時の終値では百五十七円というふうに承っておりますけれども、この基本手当が円貨で定められていることのため、こういう円安局面に入りますと、それだけ現地で受け取る手当が目減りをするということになってきているわけでございます。今回お諮りしておりますこの法の改正の背景につきましては、かような通貨情勢を踏まえて所要の改正お願い申し上げているということでございます。  また同時に、これだけ通貨情勢変動するということとも関係するわけでございますが、諸外国の経済運営というものも年によって大変大きな変動があるわけであります。すなわち、物価の変動ということが通貨情勢を反映した形で出てくる要素もございます。また、ある場所におきましては治安情勢の悪化というようなことが物資の流通を妨げ、そのことによって我々の生活環境が一層厳しいものになる、それが経済面に反映される、こういういろいろな要素が絡み合いまして基本手当が目減りをするという状況が昨今の状況でございます。  先生指摘のとおり、通貨変動によって生ずる実質購買力の減少ということが我々の同僚から数多く陳情として参っているわけであります。私どもとしては、こういう状況を反映させるべく財政当局と協議を重ねてまいりました。今回お諮り申し上げている分につきましては、平成元年四月支給額に対して平均で約一六%の増をお願いをしているというのが平成二年度の予算要求の概要の背景となっております。
  97. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 もう一点だけ。  国内での国家公務員については、単身赴任の場合には単身赴任手当といいますかそういう制度ができたわけですけれども在外公館については制度はどうなっているのでしょうか。簡単にお答えいただきたいと思います。
  98. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 御指摘ありがとうございました。私どもも、国内でそのような制度が導入されたことを踏まえまして、財政当局とは若干の協議をさせていただいた次第でございます。ただ残念ながら、私ども、この在外給与につきましてはまだそういう制度を導入するに至っていないというのが本日の状況でございますが、現実には子供の教育の問題あるいはその他家庭の事情の問題といったことが背景にあって、単身赴任の数が漸次ふえているということも事実でございます。したがいまして、私どもとしては在外公館職員のそういった状況を十分検討しながら今後の課題として念頭に置いて対処をしてまいりたいと思っております。
  99. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 次に、国際情勢とまではいきませんけれども、若干聞かしていただきたいと思うのです。  ニューヨークにあります国連本部の建物の入り口の壁に、私は行ったことがありませんのでわかりませんが、大臣は行かれて見られたかもわかりませんけれども、英語でこういう言葉が刻んであるそうであります。「彼らは剣を打ちかえて鎌となし、槍をかえて鍬となし、国は国に向かって剣を上げず、彼らはもはや戦うことをしない」こういう言葉が刻んであるそうであります。この言葉が指しますように、国連に加盟している国々が本当に平和を望み軍縮をしよう、平和を建設しよう、こういう願いを込めた文字ではないかと思うわけでありますけれども、この刻まれた願いが今実現に一歩近づいているのではないかと私は思うのです。  と申しますのは、長い間続きましたアメリカとソ連の冷たい戦争といいますか冷戦、対立の峠代が終わりを告げまして、話し合いと協調の時代を迎えつつあるのではないか、そのことによって世界の緊張緩和が成り、世界の流れが軍縮、平和へと進んでいきつつあるのではないか、私はそのように考えるわけですけれども大臣はこの点についてどのような認識をお持ちか、お答えいただきたいと思います。
  100. 中山太郎

    中山国務大臣 先生も御指摘のように、国連は創設された当時の高い理想から、ある一定期間、国連の力がそう発揮されない時代が続いておりましたが、最近再び米ソのスーパーパワーの変化、そういうものを受けまして、国連が関与した形で地域紛争の平和への解決ということが各所で起こってまいりました。先ほどのお話のナミビア、また先日、国連の監視下で選挙が行われましたニカラグア、また、ただいま日本政府も関与いたしておりますけれどもカンボジアにおける和平の構築の一つの手だてとして、国連の監視のもとにおける民主的な選挙による政府の樹立というようなことで、次第と国連における平和の醸成といいますかそういう時代が到来してきたことは事実であろうと思っております。日本政府といたしましては、平和のために貢献をするということを外交政策の柱にいたしておりますので、今後とも国連の平和活動に協力をしてまいりたい、このように考えております。
  101. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 一方、東ヨーロッパにおきましても、一党独裁政治が次々に崩壊いたしまして、民主主義を目指す国民の運動が活発に展開されております。こうした東欧諸国の民主化は東西の緊張緩和を一層進めていくことになるのではないか、このようにも考えますけれども、この点について。  さらに、ドイツにおきましては、御案内のようこ、ドイツを二分しておったベルリンの壁が一夜にして破られたわけでございました。そして先般東ドイツでは総選挙が行われました。この総選挙の結果を通して、ドイツの再統一をどのように見通しておられるのか。この二つについて大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  102. 中山太郎

    中山国務大臣 ソビエトにおける大きな外交政策の変化から、東ヨーロッパにおきます御案内のような共産党一党独裁の政府がいろんな国で崩壊をしていく、そして新しい民主勢力が民主的な選挙によって政府をつくる、そして自由市場原理を導入する、こういう新しい形ができてまいりまして、東西に分断されたヨーロッパの緊張が薄れていくという状況が出てまいった。そういう中でECがあと二年後に統合をする。こういうことで、現在一つの大きな流れが起きつつあります。御案内のように、さらにEFTAと言われる地域ECへの運動、こういうものを考えますと、将来ヨーロッパは大きなヨーロッパに向かって大きく働いていくのではないかという認識を持っております。  そこで、三月十八日に行われました東ドイツにおきます選挙の結果、ドイツ統一に関する政党が過半数を占めた、こういうことで、この東西ドイツ統合という問題は、もう具体的に現実の日程がつくられつつあるのではなかろうかという認識を持っております。この十二月には西ドイツ選挙が行われますけれども、その前に通貨同盟というものがつくられていく、こういう新しい事態、そういう事態を踏まえながら、ヨーロッパでは統一された後のドイツを中立化させるのかあるいはNATOの中に存続させるべきかという議論が今日いろんな国で起こっていることも御承知のとおりでございまして、いずれにいたしましても、東西ドイツ統合というものが、東ヨーロッパも含めてヨーロッパ全域に大きな政治経済的な影響を与えることは否めない現実であろうと考えておりますが、これらをめぐる各国の対応が今後どのように変化をしていくかということについては、日本政府としても重大な関心を持って見なければならないと考えております。
  103. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 こうした東欧の政治情勢を踏まえまして、日本としては、今後、経済援助のあり方あるいは外交のあり方、いろいろとあると思うのでありますけれども、こうした点については基本的にほどのようにお考えになっているのか、大臣、お聞かせいただきたいと思います。
  104. 中山太郎

    中山国務大臣 昨年の十二月にベルギーのブラッセルで開かれましたG24の会議に私も出席をしてまいりましたが、ここでは、アメリカも含めて欧州二十四カ国、東ヨーロッパ支援の国際会議が開かれたわけであります。そして、その時点でもございましたけれども、フランスのミッテラン大統領の強いリードによる欧州開発投資銀行というものの設立構想が具体化に向かってただいまどんどんと進んできております。日本もそれに参加することを考えて今日協議に臨んでおりますけれども、将来、ソ連も含めた東ヨーロッパ各国に対する投資、融資を行う新しい巨大な銀行が設立されるだろうと思います。そういう銀行に対する日本の関与とは別に、日本政府としては、二国間の経済協力あるいはまた多国間の経済協力を将来東ヨーロッパに対しても行っていかなければならないということが起こってこよう、このように考えておりますが、日本も経済的に非常に力の強い国家になっておりますので、国際社会に対する応分の協力をしなければならない、このように考えております。
  105. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 何回も出ましたように、ソ連におきましても一連の民主化推進されてまいりました。憲法の改正が行われて大統領制が導入される、こういう新しい道を歩き始めたと思うわけでありますけれども、この新憲法下におけるソ連政府といいましょうか、ソ連をどのように見ておられるのか、大臣所見をお聞かせいただきたいと思います。
  106. 中山太郎

    中山国務大臣 ソビエト連邦におきますペレストロイカの正しい方向性というものにつきましては、私どもは、かねて日本政府としてこれを支持するという姿勢を明らかにいたしております。しかし、このソビエトの経済改革というものが今日十分効果を発揮しているとは言いがたい状態にございまして、ソビエトの経済状態の今後の推移については極めて不透明、不確実なものがあると考えております。  以上が現在のソビエトの情勢に対する私の認識でございます。
  107. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 ゴルバチョフ大統領が来年日本を訪問する予定であるというようにも新聞で報道されておりましたけれども、時期はいつごろになるのでしょう。
  108. 中山太郎

    中山国務大臣 先般の一月十五日の安倍元自民党幹事長とゴルバチョフ大統領との、当時は議長でおられましたが、会談において、来年の日本への訪問が約束されたわけでございますが、具体的な日程等については、まだ詳細な協議が行われておりません。
  109. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 ゴルバチョフ大統領日本に来るということになれば、おのずから日本の懸案事項である北方領土問題が大きな議題になると思うのです。これについてソ連考え方というものが従前よりもかなり変わったというような報道も私ども見ているわけでありますけれども、このことについての感触といいましょうか、ゴルバチョフ大統領日本に来ることによって一挙に解決するのか、ただ一定の前進をするのか、そういった感触は大臣としてどのようにお持ちかどうか。
  110. 中山太郎

    中山国務大臣 先生も御案内のように日ソ間には北方領土問題というものがございます。この北方領土問題を解決して日ソの間に平和条約を締結するという大きな目的に向かって、現在も平和条約作業グループというものが日ソ両国間で構成されて協議が重ねられております。そういう中でシェワルナゼ外務大臣の今年春日本を訪問されるというお話が、昨年九月に私とシェワルナゼ外務大臣との間で、ニューヨークで外相会談の際にございましたけれども、今日、ソ連の国内政治情勢のために訪日の時期がおくれております。そういう中で、この領土問題の協議というものは引き続き行われていくという考え方に立っております。  なお、この問題にあわせて、シェワルナゼ外務大臣の訪日の時点には、当然領土問題の議論が両国間で行われると思いますが、さらに、日本国から外務大臣ソ連を訪問するという日程も既に外相間では話が出ておりまして、ゴルバチョフ大統領の訪日の前には、そのようないろんな会談が行われる可能性がございます。  そういう中で、現在、領土問題に関しましてソビエト国内において、学者の方々あるいは一部政治家の方々の中にもこの領土問題に対する御意見がいろいろと出ておることも私は承知をいたしておりますが、ソビエト政府考え方としては、全然以前と考え方がまだ変わっていないというふうに私は認識をいたしております。
  111. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 終わります。
  112. 岸田文武

    岸田委員長 玉城栄一君。
  113. 玉城栄一

    ○玉城委員 在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について御質問申し上げたいと思います。  この在外公館法の一部改正は、南アフリカナミビア共和国我が国大使館を新設する、また、もう一つは、英国のエジンバラに総領事館を新設する、こういう法律改正でございますが、その必要性があっての新設の理由もございますし、これは非常に結構なことだと思うわけであります。  もう一つのこの法律改正在外公館勤務職員在勤基本手当基準額の改定、この理由として為替相場変動等、こういうことであります。従来、基準額の二五%の以内の場合は政令で改正をして対応していたが、二五%を超えた場合には法律ということで、国会に法律改正案をこのように出しておられるわけであります。その二五%を超えるところもあるし、あるいはそれ以内のところもあるでしょう、我が国在外公館世界にたくさんあるわけでありますから。この二五%以内は政令、それから上は法律ということの説明をちょっとお願いしたいのです。
  114. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 本日御審議いただいております法律案の内容の説明でございますので、私から御答弁をさせていただきたいと思います。  先生も御承知のとおり、国家公務員の給与につきましては、給与法定主義というのが原則でございます。したがいまして、その調整幅につきまして仮に政令に委任するということであったとしても、そこは非常に厳格に考えていかなければならない。すなわち、委任の範囲というものは、この給与法定主義との関係におきまして合理的な範囲で設定することが必要であるというふうにまず思うわけでございます。  今、先生の御指摘にございましたこの基準額の改定の幅につきましては、二五%という御説明がございました。これは昭和四十九年の法改正によって定められたものでございますが、国内法の一般職員の関連法案等の中におきまして、いわゆる給与調整の幅につきましては二五%上下ということを定めている条項が実は少なくないわけでございます。かような背景を認識しながら、私どもとしても、この在勤基本手当につきましてはこの関連する国内法令上の規定ぶりを踏まえて定めることが必要であろうというふうに判断をし、この二五%という基準を準用あるいは適用するというのが適当だろう、かように考えた次第でございます。
  115. 玉城栄一

    ○玉城委員 よくわかりますが、その二五%というものの根拠がちょっとわからない。  今、関連する国内法の中に二五%という基準で決めたものがたくさんあるとおっしゃいました。一つでいいですから、ちょっと御説明していただけますか。
  116. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 一般職の職員給与等に関する法律というのがございます。その中に特別地域の勤務手当について十三条というのがございまして、その中で「特地勤務手当の月額は、俸給及び扶養手当の月額の合計額の百分の二十五をこえない範囲内で人事院規則で定める。」こととしております。私どもは、こういった国内法令の基準を念頭に置いて、在外給与につきましても古分の二十五ということでお願いをした次第でございます。
  117. 玉城栄一

    ○玉城委員 私ども深く勉強しているわけではありませんが、「最近の為替相場変動」と提案理由にもありますとおり、国内の場合と海外の場合の経済の、為替相場変動は最近非常に急激なものがあるわけですから、国内と連動して二五%という線引きで、それを超えたらもう法律改正、以内は政令で対応するというところは、今後そういう形で進めていいのかどうか。その辺はちょっとやはり皆さん方も検討していただきたいと思います。  今度はまたこの法律に関連しまして大臣に、まあ大臣でなくても結構ですがお伺いしたいのですが、長い間沖縄で懸案でありました外務省職員を沖縄に出向させてということ、これは昨年の暮れにも大臣にお伺いしたのですが、その後、漏れ聞くところによりますと四月一日から出向させるというお話も聞いておりますので、きょうは三月二十七日でありますから、どういう形で、四月一日からなのかどうか、また出向されるその方はどういう身分なのか、どういう立場なのか、またこの意義は——私はずっと十年来この問題を言っておりますが、北海道大使の例も引きまして、沖縄もあれだけの基地を抱えているところに、外務省はある意味で無責任じゃないかということで、それの意義と申しますか、その辺を四月施行ということでありますから御説明いただければと思います。
  118. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 私から御説明させていただきたいと思います。  先生案内のように、昨年来懸案になっておりました、今先生指摘外務省職員を沖縄県に出向させることがこの四月一日から実現することになりました。  経緯といたしましては、昨年の十一月に、沖縄県より、沖縄におきます米軍に関連する諸問題に一層効果的に対応するためと、それから沖縄におきましてますます重要になってまいりました国際交流を促進するため、この二つの課題に適切に対処するためにぜひ外務省職員の沖縄県への出向について考えてほしいという要請がございましたので、外務省としてはこれを受け入れまして、この四月一日より出向させることにいたしました。  具体的には外務省の現在の若手管理職クラスを予定しておりまして、沖縄県では知事公室参事ということで、これは部の次長クラスと承知しておりますけれども、そういう肩書のもとで、今私が申し上げました二つの課題、つまり沖縄におきます米軍に関する問題の処理とそれから国際交流の促進、この二つを担当することになっております。
  119. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは、四月一日から出向させるということですが、これは何年間でしょうか。そして、その期間後はまたどうなるのか、この後ずっと継続していくのか、その辺ちょっと御説明いただきたいと思います。
  120. 佐藤嘉恭

    佐藤(嘉)政府委員 ただいま北米局長から御答弁申し上げましたとおり、沖縄県への出向ということになりますが、その期間についてあらかじめ今から決めておくということではございません。これは、国家公務員が地方自治体に出向いたしますとき、この沖縄県に限らず出向人事というものがあるわけでございまして、おおよそ人事のローテーションの中で考えられる期間というのはもちろん人事政策として念頭に置くわけでございますが、外務大臣の発令行為がございますときにあらかじめ期間を決めてということではございません。  しかし、今先生が御指摘になりました、その後どうするのかという問題につきましては、これは、私どもとしては、今北米局長から御答弁申し上げましたような県側からの御要望、あるいは沖縄県として一層国際交流を進められるについて外務省の人間が必要だという御判断が引き続き存在するということであれば、私ども外務省としては、一代限りということではなく、その都度御協力を申し上げていく所存でございます。
  121. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは大臣北海道大使というのがいらっしゃいますね、これは昭和五十五年からですが、大使が八人か何かかわられています。これはこの間の委員会でも、仲特だったですかね、お伺いしまして、物すごく外務省の方とされてはその北海道大使について評価されていらっしゃるのですね。今の大使は、あの時点で九カ月の間にたしか九十回か何か、講演もされたりいろいろな活躍をされて、昭和五十五年以来の歴代北海道大使は大変な成果を挙げていらっしゃる、こういうことを外務省もおっしゃっておられるし、またそのとおり私たちも評価するわけです。  沖縄についてもやはりそれくらいのポイントを置いてということを主張してきたわけですが、それはそれなりに理由もあるわけですね。申し上げるまでもなく、日米安保条約の大半は沖縄に背負わせているわけですが、そこに防衛施設庁だけ出先を置いてということでは外務省が余りにも無責任過ぎやしないかということであるわけです。今のお話からしますと、この北海道大使と沖縄に課長クラスの人を出向させるというのは相当に性格が違いますね。私はその点はちょっと不満があるのですが、やはりこのままずっとやるのか。御存じのとおり今国際情勢は激変しています。これは後からお伺いしますが、そういう中で、沖縄の米軍基地についてもいろいろな問題があるわけですから、そのままの状態でずっといかれるのかあるいは今申し上げたように北海道大使クラスの人も今後は考えるのか、その辺はいかがでしょうか。
  122. 中山太郎

    中山国務大臣 先生の、かねがね沖縄に外務省から人を出せという御意見、御主張を承っております。ただ北海道の場合は常駐でございませんで、東京から所用の際に出かけるというような形でございますが、沖縄の場合には米軍の基地も集中的に存在をしておることもございまして、地域との調整、県との調整等もいろいろございますし、そういう意味で、常勤できる人間という形で沖縄県の御要請もございまして、今回人を出すということに決めさせていただいたという経過を御理解ちょうだいしたいと思っております。
  123. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは、さらに関連しまして、先月、アメリカのチェイニー国防長官が来日しましたね。その折に、沖縄にも寄って沖縄の知事と会ったり、東京に行かれて大臣とも防衛庁長官とも海部総理とも会われた。これも長い間沖縄側にとっては非常に切実な大きな深刻な問題である米軍基地の整理統合、縮小、返還といいますかね、これはずっと話だけが来て、一向に進まないわけですね。これは大臣も御存じのとおり、昭和四十八年の安保協十四回、十五回、十六回、ここで全部返還合意もされているものすら履行がされていない。また、沖縄における米軍基地のいわゆる整理統合、縮小と申しますか、アメリカの議会でもこれは問題になっているわけです。大臣、東京でチェイニー国防長官とこの件でどういうお話をされたのか、お伺いします。
  124. 中山太郎

    中山国務大臣 沖縄自身の問題につきまして個別的にお話をしたということはございません。アメリカのアジアにおける軍の削減計画というものについてお話はございましたが、沖縄についてのお話は特定してございませんでした。
  125. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 大臣の御説明にちょっと一言補足させていただきますと、チェイニー長官海部総理とお会いになっておられまして、海部総理との間では、今先生指摘の基地の整理統合問題が話題になっております。総理から、米側といろいろ協議をしてきているけれども、さらにこれを促進させたいという発言をしておられ、チェイニー長官も、日本側の意図するところを理解して作業を促進したいということを答えておられる経緯がございますので、ちょっと一言追加させていただきます。
  126. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、国防長官が来まして、総理ともその話があった。今、外務大臣は全然その話はなかったみたいなお話なんですが、防衛庁長官とも協議して、その日米防衛首脳会談の内容というのが文書にして配られているのです。その中身を項目を挙げて読んでみましょうか。——沖縄の米軍基地の状況について触れているわけです。それだけアメリカ側も真剣にこの問題に取り組んでいるわけです。今大臣は余り関心関心はもちろんおありでしょうけれども、もう非常に深刻です、この問題というのは。ですから、大臣、どうされるのですか、今日米間で事務的に整理統合問題について作業されていると思うんですね。大臣としてどういう決意でこれをされるおつもりなのか、お伺いいたします。
  127. 中山太郎

    中山国務大臣 沖縄の基地問題につきましては、私、以前に沖縄開発庁長官をやらせていただいた際にも、沖縄の方々から米軍基地の縮小、返還の問題については御要望が強くございましたし、そのことはよく承知しておるつもりでございます。現在も地元からも強い要請が来ております。そういう意味で、この問題につきましては積極的にこれから作業を進めていきたいと考えております。
  128. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは、今作業中だということを承っておりますが、外務省当局にお伺いしますけれども、いわゆる日米安保協議委員会、これは昭和四十八年の第十四回、昭和四十九年の第十五回、昭和五十年の第十六回、この三回で沖縄の米軍基地の整理統合について合意がされて、これは返還しますという合意がされました。そのうち、まだそのとおりされてない米軍の施設、区域は何カ所なのかを御説明いただきたいのです。
  129. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生指摘の三回にわたります日米安全保障協議委員会におきましてその返還計画六十三件が合意されまして、そのうち四十五件が返還済みでございます。したがいまして、まだ返還されておりませんのが十八件でございます。
  130. 玉城栄一

    ○玉城委員 この件は新聞でもいろいろたくさん幸道がありまして、いろいろな数字の違いもありますが、今、日米間で沖縄の米軍基地について整理統合あるいは返還の対象としている箇所は十九カ所だという数字も出ているわけです。今十八件という外務省のお話ですが、この十八件については、もう相当長い間——例えばパイプラインというのがございます。具体的で恐縮なのですが、恐縮でもこれは大きな問題です。宜野湾市から浦添の道路のど真ん中にパイプラインのボックスがありまして、これが事故のもとになっていて早く何とかしろというので、対象にはなっているという話は聞いていますけれども、これすら長い間一向にらちが明かない。ですから、この十八件についてはいつごろ日米間で妥結をしてそれが実行されていくのか。松浦さん、お願いします。
  131. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 現在、日米合同委員会の場で私どもが返還に関しましてアメリカ側と協議の対象にしておりますのは、先ほど申し上げました安保協で合意を見てまだ実施されていない十八件、それに加えまして、沖縄県知事がアメリカ政府に対しまして別途返還の要望をされましたのが七件ございますので、この二十五件などを対象にして検討しておりますが、具体的にどの時点でどういう形でその合意が成立するか、ちょっとまだ私ども見通しを立てかねておりますので、具体的なことを申し上げることは控えさせていただきます。しかし、先ほどちょっと海部総理とチェイニー長官のことに触れましたときに御披露申し上げましたように、私どもとしてはできる限り作業を早く進めて、できる限り早く具体的な成果を発表させていただきたいというふうに考えております。
  132. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうでしょうね。いつできるということは、これは相手もあることですし、できるだけ早くということでしょうけれども、これはひとつ早急にやっていただきたいのです。  それで、この返還と関係しますが、沖縄の人は何も好きこのんでアメリカに提供したわけじゃないのです。沖縄県が復帰をする四十七年より前から米軍の基地として使われているわけです。これは貸したとき、いわゆる提供したときの状況とまるっきり違いますし、これがばっと返還されますと、使えないわけです。だから、問題は原状回復です。返還されたときの米軍の提供施設、区域の原状回復については、地位協定上は米軍にちゃんと責任があるのかないのか、その辺はどうなんでしょうか。
  133. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生御質問の原状回復の点に関しまして、日米地位協定の第四条一項に関連の規定がございます。これを読み上げさせていただきますと、合衆国は「施設及び区域を返還するに当たって、当該施設及び区域をそれらが合衆国軍隊に提供された時の状態に回復し、又はその回復の代りに日本国に補償する義務を負わない。」と規定しております。したがいまして、米国は地位協定上、施設、区域の返還は当たりまして原状回復する義務を負っておりません。
  134. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、借りて使った側は返すときには原状回復については責任を負わないということですから、今度は借りた日本政府側が返すときには、ちゃんと原状回復もして本来の地主にお返しする、こういうことになるわけですか。これは防衛施設庁ですか。
  135. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  原状に回復いたしまして返還いたします。これは私契約でお借りいたしまして米側に提供しておりますので、契約に基づきまして原状に回復いたします。
  136. 玉城栄一

    ○玉城委員 防衛施設庁は地主に対して原状回復する責任、義務というのは、今おっしゃったものからはちゃんとあるということですか。
  137. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  幾分舌足らずで大変失礼いたしましたが、原則はあるがままの現状、あらわの現状でお返しするのが原則でございます。それで、所有者の方から原状に回復してくれという御要望がございました場合には、私契約に基づきまして回復いたしまして返還いたします。
  138. 玉城栄一

    ○玉城委員 今おっしゃることは、返された状態のままで返すのが原則、しかし、これは前は宅地だったからちゃんと宅地の状態にして返してもらわないと困るという請求があったときにはそういうふうにして返す、こういう意味ですね。
  139. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  所有者の方から請求がございましたらそのように原状回復をいたします。ただし、原状回復いたしますことにつきまして非常に無理のある場合は、金銭で補償させていただくというようなことになります。
  140. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは外務省の方々にもお願いしたいのです。担当は防衛施設庁ですが、人様の土地を借りて、財産を借りて、長い間使って、返すときにはそのまま返す、あるいは請求があったら補償する、こういうあいまいなことじゃ困るのですね。これは地主の方が満足する状態にちゃんと補償する、そういう制度をきちっと確立しないと、これから基地の返還問題もありますし、こういう国際情勢ですから、原状に回復すればいいというだけの補償問題でなくして、沖縄県はこれから二十一世紀に向けて三次振計というものを再来年あたりからしようという状態ですから、今一番いいところは米軍基地に使われているわけですから、もしそれが返ってくる場合においてこれがきちっと使える、例えば住宅地域なら区画整理もされた状態でないと、返ってきたらこれは財産ですから、固定資産税も払わぬといかぬですね、そういう地主に負担にならないような状態防衛施設庁はきちっと補償しながら返還をするという制度をつくらぬと、このままじゃおさまらないと思うのですが、防衛施設庁の方はいかがですか。
  141. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  米軍に提供する土地につきましては、土地所有者と国との間で民法上の契約に基づきまして借り上げているものでございます。先ほども御答弁申し上げましたが、原状回復補償につきまして所有者の方から請求がございましたときには、金銭でもってその相当額を補償するわけでありますけれども、これを先生法律等何らかの措置が必要じゃないかという御指摘かと存じます。これは私契約による原状回復義務でございまして、これを法律等によって措置することは必ずしも適切ではないのではないかと考えております。
  142. 玉城栄一

    ○玉城委員 いずれにしましても、返還後の跡地についての原状回復という問題も含めて、きちっと、地主に負担を強いない形でその土地が使えるような状態になるまで防衛施設庁は面倒を見るべきである、その制度をやはり今後考える必要がある、このように思います。  それで、これはまた別に行きますが、この機会に大臣にお伺いしたいのですが、さっきも出ましたチェイニー・アメリカ国防長官の来日のときに、全体の話もあったようですが、いわゆる在日米軍兵力、人数の一割を削減するというお話、これは大臣直接お話し合いされたと思うのです。どういうお話し合いがあったのか、お知らせいただきたい。
  143. 中山太郎

    中山国務大臣 その際に、米国は今後二、三年の間に日本、韓国、フィリピンにある米軍について約一割の人員削減を考慮しているとのことでございましたが、具体的な削減の人数及び対象地域についてはこれから固めていくというお話がございました。
  144. 玉城栄一

    ○玉城委員 今の大臣のお話では、チェイニー国防長官はいわゆる日韓比三国の米軍を二年ないし三年の間に一割削減するというお話ということのようです。そうしますと、日本の場合は在日米軍は大体五万人ですね。正確には四方九千八百六十一人ですか、約五万人ですね。五万人の約一割といいますと五千人ですね、物理的に当然そういう計算が成り立ちますから。その五千人を二、三年のうちに削減するというお話があった。それで、それについてはどこからどこを削減するということではなかった。いずれにしても、二、三年内に五千人在日米軍を削減することはもうはっきりしていますね。
  145. 中山太郎

    中山国務大臣 五千人という数字は具体的に示されておりません。
  146. 玉城栄一

    ○玉城委員 だから、それはわかりますよ。一割と言ったから、在日米軍の場合は約五万人ですから、およそ五千人という数字は物理的に出てきますね。ですから、五千人というのは二、三年のうちに削減されるということ、これは小学生でもわかりますね、向こうは五千人と言わなくても。
  147. 中山太郎

    中山国務大臣 フィリピンとか韓国、日本に展開している米軍を二、三年のうちに一割程度削減するということでございまして、日本に限って五千人という数字の明示はございませんでした。
  148. 玉城栄一

    ○玉城委員 全体では一万二千人、韓国もその一割という計算をしたら五千、フィリピンは二千、日本も一割で五千、こういうことですから、それは否定はできないですね、約五千人というのは。
  149. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 今大臣が御答弁されましたように、アメリカ側が言っておりますことは日本、韓国、フィリピン全体の約一割ということでありて、それぞれ国別に一割というのではございません。アメリカ側としてはこれから国別に具体的に詰めてまいりたいと言っておりますが、日本に関して一割になるかどうか、その点はアメリカは明言しておりませんので、大臣が繰り返し御答弁申し上げておるように、まだ私どもとしては承知しておりません。
  150. 玉城栄一

    ○玉城委員 では、全体で一割というチェイニー国防長官が言ったことに日本は含まれますか。
  151. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 これは大臣からも御答弁申し上げましたように、日本、韓国、フィリピン合わせて全体で一割ということでございますので、日本は当然入っております。
  152. 玉城栄一

    ○玉城委員 その場合に沖縄も含まれますね。
  153. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、具体的に東アジアと申しますかアジア・太平洋全体で約一割ということで、これをどの国がどのくらいかということはこれからでございます。それから、日本なら日本について、日本の中で具体的にどこの施設、区域がどのくらいかということは今後のことでございますので、具体的な点に関しては私ども承知しておりません。
  154. 玉城栄一

    ○玉城委員 だから、それは、沖縄も日本ですから、沖縄にいる米軍も在日米軍ですから、沖縄も当然含まれるわけですよね。
  155. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 もちろん、先生が先ほど来御指摘のように、沖縄に日本の施設、区域のかなりがあるわけでございますので、当然その対象にはなると思います。具体的なことは先ほど来申し上げておりますようにわかりませんが、対象になるということは当然だと思います。
  156. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、昨年十二月の米ソのマルタ沖会談で東西冷戦が終結しまして、ベルリンの壁のお話がありましたが、これは去年の十一月でしたか、急激にヨーロッパ変化していますね。ところが、アジアについては全然変化してない、質的に変化はない、そういう御認識ですね。しかし、チェイニー国防長官がわざわざ日本、韓国、フィリピンを回って、この二、三年のうちに一割は削減しますよ、そういう考えですよということを言って、大臣もお聞きになった。このことはやはり、今のヨーロッパで急速な軍縮といいますか削減という方向が出ていますね、その一つの流れとしてアジアにも具体的に出てきたというふうに受けとめるのが筋だと私は思うのですが、どうでしょうか、大臣
  157. 中山太郎

    中山国務大臣 先生からいろいろ御指摘ございますが、アメリカがヨーロッパにおいて軍縮をやるという米ソ間の話し合いアジアにおける軍縮とは少し質が異なるのではないか。実はきょう十二時半から米国の軍縮局長と三十分ばかりお話し合いをしておりましたが、アメリカの考え方というものは、ただいまのところ米ソの軍縮に向かっての事務的な協議は活発に進められているという認識でございましたが、先日チェイニー長官がお越しになった際のいろいろな話では、前方展開戦略としての戦力機能というものは低下させないということははっきりとお話の中に出ておりまして、人員の削減とアジアにおける米軍の前方展開戦力の維持、そういうものが併存しているというふうに考えております。だから、人員は減らしても戦闘能力は減らさない、こういう考え方であったと思います。
  158. 玉城栄一

    ○玉城委員 では、これは簡単に。これはアメリカの財政上の問題、国防費の削減という長期的なものがありますから。こういう二、三年で一割は削減するということは、我が国としては、大臣とされては、好ましいこと、歓迎すべきことという受けとめ方なのか、ちょっと困る、好ましくないという考え方なのか、いかがでしょうか。
  159. 中山太郎

    中山国務大臣 もちろん削減は歓迎すべきことでございます。
  160. 玉城栄一

    ○玉城委員 何か我々が受け取る印象では、外務省の方、防衛庁の方、チェイニー国防長官の言ったことについてできるだけ余り問題ないような感じで受けとめよう、そういう姿勢として受け取れる。この際、日本という国が、アジアのいろいろな朝鮮半島の問題、日ソ関係改善、インドシナ三国との関係改善等も含めて、やはり一歩出て、イニシアチブをとって、平和環境をつくり上げるという努力をすべきだと思うのですが、どうでしょうか。
  161. 中山太郎

    中山国務大臣 日本政府としては、先生も御指摘のように、アジア・太平洋地域の平和を構成することが最大の願望でございます。そういう立場に立っている日本政府としては、まず第一に、アジア全体の平和を構築するということと日本国の平和と安全を確保するということが両立しなければならない。日本周辺の軍事情勢がどうかというと、決して私どもは現在日本独自で軍縮をどんどん進めるという条件下にはまだ到達をしていないと考えております。  しかし、我々アジア全域の平和をつくるためには、例えば朝鮮半島における南北朝鮮間の話し合い進展、そのための環境を醸成するための協力、あるいは中国の孤立化を防ぐための改革開放路線を呼びかける姿勢、あるいはカンボジアにおける四派による暫定政権を楯築させるための国際的な環境づくり、それに日本努力をしていく、そういう環境が整備される中でアジア全域の軍縮問題というものが具体的な日程に上ってくるものだ。そのために日本努力していかなければならない。私はこのような考え方で今日外交をお預かりいたしております。
  162. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは私たちの党の平和政策として、やはり積極的に日本がそういう平和のイニシアチブをアジアにおいてとるべきである。そのためにアジア平和会議の創設とか、そういうことも積極的にやるべきである。そしてまた、世界の軍事費一年間一兆ドル、その一割を削減していわゆる開発途上国の開発援助に回すとかいろいろなことに使うべきであるという主張も言っているわけです。大臣、いかがですか。
  163. 中山太郎

    中山国務大臣 構想としてはすばらしいお考えだと思います。  ただ、私どもも平和というものを理想とする国家でございますから、できるだけこの平和な社会、世界環境をつくるために努力をすることは惜しみませんけれども、現実問題として、日本国というものは憲法上交戦権を否定しておりますし、外国からの侵略をいかに防ぐか、我々の周辺国が平和な安定の状態が堅持される中で我々の国家が貿易国家として我々の国の繁栄を築くことができる、そういうことでございますから、地域の安定のために私どもができるだけの努力をすることが今先生お話しのような地域全体の軍縮とか世界全体の軍縮への道づくりではなかろうか、このように考えております。
  164. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間が来ましたので、外務省に一言。  これは地域の問題ですが、沖縄県の宮古島の下地島パイロット訓練飛行場に、五十七年から今まで百二十何回か米軍機が頻繁に来て地元が大騒ぎしているわけです。これは実質的に基地化されている状態だ。確かに、地位協定上はそういうこともできないことはないことになっているのですが、こういう状態は非常にまずいと思うのです。どうなんでしょうか。
  165. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生案内のように、地位協定第五条に基づきまして、米軍機は施設、区域として提供されていない日本の一般の飛行場についても出入りの権利を認められているわけでございますけれども、米軍機の出入国のための使用につきましては、このような一般飛行場の使用に関しましては、実際上、米軍の運用上必要最小限に限られるべきであると私ども考えまして、こういう考えは国会の場でも何度か明確にさせていただいているところでございますけれども、アメリカ側もこの点は理解をしております。したがいまして、私どもの了解では、先生指摘のこの下地島の空港の出入国のための使用は、給油等米軍の運用の目的上必要やむを得ざる場合に限って行われているものと承知しております。
  166. 玉城栄一

    ○玉城委員 終わります。
  167. 岸田文武

    岸田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後二時三十五分休憩      ────◇─────     午後三時四十五分開議
  168. 岸田文武

    岸田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。三浦久君。
  169. 三浦久

    ○三浦委員 防衛庁、来ておられますか。——一昨日、逗子市の市議会議選挙が行われました。定数二十六名に対して、米軍住宅反対を主張する候補者が十五人全員当選をいたしました。その結果、住宅建設反対派が議会の過半数を占めるに至ったのであります。逗子市民はこれまでに七回も選挙で米軍住宅建設ノーの意思を表明したことになります。今回の選挙で、市長、議会、住民、三者一体となった一層かたい米軍住宅建設反対の意思が表明されることになりました。防衛施設庁はこれら住民の意思を尊重すべきだと私は思いますけれども、どういうようにお考えですか。
  170. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  池子米軍家族住宅建設事業は、六十二年の九月に建設工事に着手いたしまして、順次工事を進めておりますが、今後とも、池子米軍家族住宅の建設は国にとって大変重要な事業であることについて地元の理解協力を求めながら、計画どおり工事を実施していく所存でございます。
  171. 三浦久

    ○三浦委員 今回の市議会議選挙でどういう住民の声が表明されたのか、ここをよく理解してもらわないと困ると思うのです。住民の皆さんは、将来いつかは米軍住宅が不必要になるときが来るのだ、しかし、そういうときが来ても、池子の森は一度失ってしまえばもう絶対に取り戻すことはできない、だから米軍住宅に反対するのだ、これが住民の本当の声なんです、叫びなんです。逗子市民の意思というのは、そういう意味では米軍住宅の建設の縮小ではなくて、これを取りやめることであります。この問題で、政府日米安保条約を優先するのか、それとも市長、議会、住民の意思を優先するのかが問われていると私は思います。憲法や地方自治の本旨に従うなら、住民の意思を尊重するというのが当然ではないでしょうか。今も御答弁がありましたが、防衛庁は住民の理解を得てということを言っています。私が持ってきた議事録にも、たびたび住民の理解を得るということを述べておられます。住民の理解を得ると言うのであれば、建設を続行するのじゃなくて中止するということではないかと思うのですね。この住民の意思を体して池子の米軍住宅建設計画を速やかに撤回するように私は強く要求いたしたいと思いますが、いかがですか。
  172. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  横須賀地区における米海軍の家族住宅の不足は深刻な状況にございまして、これを解消するための池子米軍家族住宅建設事業は、日米安保条約の円滑な運用のためにぜひとも必要な施策でございます。防衛施設庁は、自然環境を最大限に保全するため、環境影響評価手続を進め、かつ、地元の意向にも配慮した神奈川県知事の御調停を尊重し、大幅な計画修正を行い、工事に着手したものでございます。当庁といたしましては、これまで踏むべき手続は踏み、市民の理解協力を得るための努力は続けてきたものでございまして、知事調停に従いこれを誠実に実行するという立場に変わりはございません。建設計画を撤回する考えはございません。
  173. 三浦久

    ○三浦委員 調停の問題が出ましたけれども、それはもう解決済みなのです。市長自身が責任をとってそのときに辞任をして、そしてまた再選をされているのです。調停問題を根拠にしてその建設を進めるというのは、私は全く理由がないと思います。しかし、防衛施設庁の住民無視の姿勢、そして米軍優先の姿勢というものがあなたたちの口から強調されたということは、私は非常に残念に思います。  外務大臣にお尋ねいたしますが、日米首脳会談が先ごろ行われました。これは国民から見て非常に異常な感じで受け取られたと思うのですね。例えば二月二十四日未明にブッシュ大統領の電話で海部総理がたたき起こされた。これで首脳会談が設定をされた。二月二十四日といいますと、選挙が終わってまだ首相の指名が国会で行われていないときであります。そういう時期にたたき起こされる。そしてまた三月二日に国会でもって言いたいことを言った、いわゆる施政方針演説をした。そしてそのまま各党の代表質問を後回しにしてアメリカに行って、ブッシュ大統領のもとにはせ参じている、こういう状況ですね。まるで江戸時代の参勤交代のような屈辱的な感じを私は受けました。大臣はこういう首脳会談のあり方についてどういうふうにお考えですか。
  174. 中山太郎

    中山国務大臣 日米首脳会談は、昨年八月十日に海部内閣が発足した直後に、九月一日、ワシントンにおいて行われております。その際も私同席をいたしておりましたが、今回も、海部内閣がまだ国会で首班指名が終わっていない、新内閣もまだできておりませんでしたけれどもブッシュ大統領から電話が海部総理のもとにあった、こういうことでこの首脳会談というものが設定をされた経過がございます。私も同行して首脳の会談に臨席をいたしておりましたが、ブッシュ大統領考え方は、日米は緊密な同盟国である、こういう観点から、この同盟国のリーダーに対して、選挙後に両国の首脳が会ってこれからの日米の緊密な関係を維持強化していくためにこの会談をセットしたいというようなことであったかと思っております。
  175. 三浦久

    ○三浦委員 対戦の立場でやはりおつき合いをしなければならないのではないかと私は思います。今の首脳会談のあり方というのは日米対等の立場の交渉ではありませんよ。  この交渉の中で構造協議の問題も大変協議されたようですけれども日米安全保障体制の問題についてもお話し合いがされているようですね。その話し合いの内容なんですが、恐らく日本の軍事費の拡大の問題とか、日米共同作戦体制強化の問題であるとか、在日米軍の経費の負担増の問題とか、そういうことが話し合われたと思うのですね。この問題についてどういうような話し合いがなされたのか、外務大臣からお尋ねをいたしたいと思います。
  176. 中山太郎

    中山国務大臣 今回の首脳会談は、現下の激動する国際情勢及び二国間関係につきまして、両国首脳が個人的信頼関係の上に立ってじっくり話し合うとの趣旨で実現された会談でございました。特にこの会談では、国際問題に関連して二国間の枠組みを超えまして地域問題への対応、世界経済の運営、開発途上国への経済協力累積債務問題への取り組み、環境、麻薬、国際テロ等の世界的な課題につき、地球的規模のパートナーシップのもとで今後日米協力を一層推進していくことについて意見の一致を見た点は極めて有意義であったと思っております。また、日米両国間の関係につきましても、国際情勢の新たな展開の中にあって日米安保条約が将来にわたり一層の重要性を有すること、及び日米の経済関係の健全な発展が両国経済のみならず世界経済全体の発展にとって必要不可欠であるとの認識に立って、両国の関係強化のためさらに一層の努力を継続することで合意を見たものであります。
  177. 三浦久

    ○三浦委員 ちょっと質問に答えていませんね。軍事費の増大の問題とかそれから日米共同作戦体制強化の問題とか在日米軍駐留費の増大の問題とか、これはお話し合いにならなかったのですか。そんなことはないでしょう。
  178. 中山太郎

    中山国務大臣 お尋ねの点につきましては、ブッシュ大統領から首脳会談において、在日米軍経費負担について我が国努力を評価する旨の発言がありました。これに対し総理から、在日米軍支援を含め、日米安保体制の円滑な運用を引き続き確保するために必要な協力を行っていくとの決意の表明が行われました。さらに、日米外相会談におきましても、ベーカー国務長官より我が国努力に感謝しつつ引き続き期待したい旨の発言があり、私から今後とも我が国としてふさわしい努力を続けたい旨を申したのであります。  政府といたしましては、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制の効果的運用を確保していくことは極めて重要との観点から、従来より自主的にできる限りの努力を払ってきているところでありまして、今後とも自主的に努力を続けていく所存であります。
  179. 三浦久

    ○三浦委員 新聞発表に書いてあるとおりのことを言われていますけれども日米安保条約を強化するということは日米軍事同盟を強化するということですよね。施政方針演説海部総理はいろいろなことを言っていますね。世界は歴史的変化の中にある。東西の力の対決、冷戦時代の発想を乗り越えて、対話と協調によって新しい世界秩序模索していこう、こういう動きは欧州にとどまらない、このアジアでもそういう動きを連動させていかなければならないんだ。そしてそのためには、我が国は積極的な役割を果たしていかなければならない。こういうことも言っておられるのです。そうすると、日米軍事同盟の強化という方針とこの新しい世界秩序をつくり上げていくということとは矛盾することじゃないでしょうか、どうなんでしょう。
  180. 中山太郎

    中山国務大臣 私は矛盾をしてはおらないと考えております。  御案内のように、日米安保体制我が国及びアジア・太平洋の平和を構築する上で不可欠の要請であったというふうに理解をしておりますが、片方におきましては、ソビエトとベトナムあるいはソ連北朝鮮、このアジア地域におきましても共産圏諸国との間に相互軍事同盟が存在していることは御存じのとおりであります。海部総理施政方針演説の中に新しい時代模索するというような発言がございましたが、御案内のようにヨーロッパにおきましても、ワルシャワ条約機構という軍事機構共産圏に厳存しておりますし、それに対して北大西洋条約機構が厳存しております。しかし、私どもヨーロッパ各国の首脳と会談をいたしました際にも、このような軍事機構が存在をすることによって初めてヨーロッパの平和な共通の屋根の家というものの思想が発生して、具体的に軍縮へ向けての努力がなされている。一方、アジアにおきましては、ヨーロッパと違った地理的、歴史的経過がございますから、今日ただいま日米安保条約があることだけでこのアジア地域の新しい時代模索されないかというと決してそうではない。恐らく近い将来にこのアジアの平和の問題について日本も含めた話し合いが行われるものと私は信じております。
  181. 三浦久

    ○三浦委員 ワルシャワ条約の話が出ましたけれども、ハンガリーでもチェコでもソ連軍の撤退ということがもう現実に行われているじゃありませんか。そうでしょう。ですから、そういう軍事ブロックの対立というのが解消の方向に向かいつつあるということは事実だと思うのですよ。それでまた軍縮の方向に向かっているというのも先ほど来のお話で明らかですね。そういうときに、日米軍事同盟というのはアジアにおける冷戦構造中心的な核をなすものじゃないですか、これを強化していくなどというのは全く時代に逆行しているというふうに言わなければならないと私は思うのですが、具体的に御質問をさせていただきたいと思うのです。  昨年十一月にアメリカの上下両院本会議で国防予算授権法が成立をいたしました。この中で、日本は在日米軍経費について米軍の給与等を除いて直接的な経費を負担すべきだ、大統領日本がそれに同意するために日本と交渉し、その結果を議会委員会に報告すること、こういう内容になっているのですね。これは間違いありませんね。
  182. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生指摘のような法案は、十一月二十九日にブッシュ大統領が署名いたしまして成立しておりまして、その中に、今先生が引用されました「直接経費」がございます。念のため申し上げたいと思いますが、その際に、ブッシュ大統領は署名に当たってステートメントを発表しておりまして、先生が今ちょっと言及されました日本関連条項などを含めました幾つかの条項は大統領の権限を侵すおそれがある、したがって、憲法上問題があり得るので、大統領の権限が制約を受けないよう関連条項を解釈するつもりであるということをステートメントの中で述べております。
  183. 三浦久

    ○三浦委員 しかし、それはコメントしただけであって、署名は無条件にしているじゃありませんか。そうすれば、この法律はそのまま効力が発生したということになるのではありませんか。
  184. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生指摘のこの法律全体は、アメリカの国防予算授権法案でございますが、御指摘のように全体として署名によって成立しておりますけれども、今私が御披露いたしましたように、その中の具体的な条項の、特に日本関連等を含めました問題に関しましては、今申し上げましたように、大統領としてはそういうふうに解釈している、憲法上問題があり得るので関連条項を大統領の権限が制約を受けないよう解釈していくというステートメントを出していることを申し上げたわけでございます。
  185. 三浦久

    ○三浦委員 この国防予算授権法というのは、いろいろな問題点があるのですよね。現在、米軍の駐留経費については地位協定第二十四条一明でもって、二項の例外を除いて原則として米軍が負担するということになっていますね。ところが国防予算授権法はどうなっておりますか。駐留軍経質について、これは原則として日本が負担する。米軍人の給与とか手当を除いて、原則として駐留軍、いわゆる米軍の駐留に関する経費は日本が負担するとなっているのです。全然原則と例外が逆になっているのですよ。こういう法律というのは、私は本当に国際信義に反するものだと思うのです。なぜならば、国防予算授権法というのは明らかに地位協定二十四条に真っ向から抵触しているのです。地位協定というのはアメリカだって批准しておるわけでしょう。条約としての効力を持っておるわけでしょう。日本も批准し、アメリカも批准している。そういうものが現に存在しているのに、アメリカの国内法とはいえ、それと真っ向から抵触するような国防予算授権法というものを制定する。それに対して日本政府は抗議一つもしないというのは一体どういうことなのですか。大臣、どうですか。
  186. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 最初に、事実関係に関しまして私から御説明したいと思います。  先生が引用していらっしゃいます国防予算授権法の九百十三条は四項から成っておりますが、今先生が引用されました「直接経費」について書いてございますのは、その二項の「議会の意向」、英語で申し上げますとセンス・オブ・コングレスということで、これは法的な拘束力はないということになっております。念のため申し上げたいと思います。そこにまさに法的な拘束力がない、議会の意向として、私どもは具体的に何を意味するのかよくわかりませんが、先生引用されましたような「直接経費」という言葉が使われているわけでございます。  他方、先生御引用されました地位協定は、当然のことながら米議会の批准も得ました現在日米間で有効な条約で、これに基づくものは条約上の約束でございます。
  187. 三浦久

    ○三浦委員 何ですか、この法律は効力がないのですか。国防予算授権法というのは、今、効力がないのですか。
  188. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 私が申し上げましたのは法律全体のことではございませんで、法律全体につきましては、先ほど御説明いたしましたように大統領の署名をもって昨年の十一月二十九日に成立しておりますけれども先生が引用されました「直接経費」について言及がございます九百十三条の二項、これは「議会の意向」ということで、この項に関しましては法的な拘束力がないということでございます。
  189. 三浦久

    ○三浦委員 そんなことはないでしょう。これは「議会の意向」であるというふうにきっちり書いて法律になっているわけですから。それでこの「直接費用」の問題については、ちゃんと交渉及び協議のところでもって、大統領はその目的を達成するために日本と交渉せい、それでその結果を報告せい、こうなっているじゃないですか。これが何にも効力がないなんて、そんなことは詭弁じゃないですか。  時間がないから先へ進みますけれども、私はこういう法律をつくるということ自体が内政干渉だと思うのですよ。それでこういう内政干渉的な法律に基づいてアメリカがいろいろな要求をする。特に在日米軍駐留経費の増額を要求する。それに対して、はいはい、できるだけ協力いたしましょうといって海部総理は約束をする。これは一体どういうことですか。内政干渉に屈服をしているということになるのじゃありませんか。どうですか。
  190. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 いずれにいたしましても、今私が申し上げましたアメリカの国防予算授権法の九百十三条はアメリカの法律でございまして、これに基づきまして、先ほどちょっと大統領のステートメントも御紹介いたしましたけれども、米行政府がどう考えるかというのはまさに米行政府の問題でございますので、私からそのことに関しまして予見的なことを申し上げることは差し控えたいと思います。  他方、先生御質問の在日米軍の駐留経費の問題に関しましては、従来から米行政府より種々の機会に、例えば先ほどのチェイニー国防長官の訪日の際もその一例でございますけれども我が国が従来からの努力をさらに継続することを期待するということを申してきております。したがいまして、日本側としましては静かな対話を通じて自主的に努力していきたいということを従来からアメリカに申しているところでございます。
  191. 三浦久

    ○三浦委員 その政府が自主的に対応したということとアメリカが日本に内政干渉しているということとは違うのですよ。大体、人といろいろな交渉をするときに、アメリカで法律をつくって、日本にはこういうことを要求するのだ、そして大統領にはそれを実行する義務まで課す、そういう法律をつくっておいて、それがあなたたちがよく言う単なる期待の表明と言えるのですか。これは期待の表明より以上に強いものじゃないですか。一種のおどしじゃないですか。どうなんですか。内政干渉と思いませんか。
  192. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほど私が米側が期待を表明したと申し上げましたのは、今先生が引用しておられます九百十三条のことについて申し上げたのではなくて、いろいろな機会に、事務レベルでの米側との接触の際に、あるいは二月のチェイニー国防長官の訪日の際、それから三月の日米首脳会談それから外相会談、こういう際に米側から期待が表明されたということで申し上げているわけでございます。
  193. 三浦久

    ○三浦委員 なかなかきっちりしたお答えがないので、それでは内政干渉だということを認めているのか認めていないのかもわからないような答弁なんですが、時間がありませんから先に行きましょう。  国防予算権限法でアメリカが我が国に要求している駐留経費の「直接費用」というのは何を指しておるのですか。
  194. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 アメリカの国防予算授権法の九百十三条の二項のそのまた二項にこういう表現がございます。これは、先ほど申し上げましたように、「議会の意向」、センス・オブ・コングレスのところでございますが、「米国軍隊の日本駐留に係る経費(米軍人の給料及び手当を除く)を含め、日本防衛のために軍隊を展開するに当たって米国が負担している直接経費」、英語ではダイレクトコスツとなっておりますが、「を相殺すべきである。」しかしながら、ここで言っております「直接経費」、ダイレクトコスツが具体的にどの範囲の経費を指すかに関しましては、今ちょっと読み上げました文言からは私どももちょっとつまびらかではございません。いずれにいたしましても、これはアメリカの法律の条項の解釈でございますので、私どもが憶測に基づいてこれ以上申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  195. 三浦久

    ○三浦委員 しかし、こういう法律ができたということはあなたたち知っておるわけでしょう。そうすると、これは、さっき言ったように原則と例外を反対にして、ほとんど日本に在日米軍の駐留経費を持て、こういうことになっておるわけでしょう。それでは「直接経費」とは何ですか。どういうものなんだということをアメリカに聞くことは幾らでもできるでしょう。この前もチェイニーさんが来たでしょう。中山外務大臣、会っているじゃないですか。あなたたちはまだ公式、非公式にいろいろしょっちゅう折衝しているわけだから、この「直接費用」というのは何を意味しているのですかと聞いてないのですか。これは去年の十一月にもうできているのですよ。何カ月もたっているのに、聞きもせぬでほったらかしておくのですか。そんなことはちょっと常識では考えられませんよ。これは何を意味しているのですか。あなたに有権解釈をしてくれと言っているのじゃないのですよ。アメリカが何と言っているかと聞いているのです。
  196. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますように、いろいろな機会に私ども米国の行政府と在日米軍の経費問題に関して話をしておりますが、その際米行政府は、今先生御引用のこの九百十三条は一切引用はしておりません。その背景には、先ほど申し上げたように大統領が署名の際にステートメントを出しているということがあろうかと思いますが、いずれにしても一切言及しておりませんので、私どもはそういう法律がそういう形で、こういう経緯で成立したことは承知しておりますけれども、私どもにとって重要なことは米国の行政府と静かな対話をしていくということでございますので、行政府が引用してない法律の文言に関しましてエスティメートすることは適切でないと考えております。
  197. 三浦久

    ○三浦委員 そういうのは言いわけでしょう。この前チェイニー国防長官が来たときにももっと負担をふやしてくれと言っているのは、議会がうるさいからということを口実にしているじゃないですか。そうでしょう。議会の圧力が強まっているから何とか頼むよ、こういう話じゃないですか。そうしたら、議会の意向については何にも私ら関係ありません、行政府の意向だけでございます。そんな子供だましみたいな答弁じゃ納得できませんよ。  時間が来ているので一言申し上げますけれども、これはアメリカの会計検査院が、昨年八月ですけれども、下院の軍事委員会委員長あてに報告を出していますね、この中に、アメリカ当局は日本は公共料金、日本人労働者の基本給与それから艦船の修理などを負担してもいいはずであると考えている、こういうふうに述べているのですよね、この報告の中では。そうすると、そういうことから察すると、この国防予算権限法で言われている「直接経費」というのは、公共料金、いわゆるアメリカ軍が使っている水道代だとか光熱費ですね、それを全部持てとか、また、日本人労働者の基本給与を全部持てとか、また艦船の修理をやれ、日本の金でやれとか、そういうことを意味しているのじゃないですか。どうですか。
  198. 松浦晃一郎

    ○松浦政府委員 先生が今引用されましたアメリカの会計検査院、GAOから御指摘のような報告が出ておるのは承知しておりますけれども、これはGAOから下院の軍事委員会に提出された文書でございまして、何ら法的な拘束力もなく、さらに申し上げれば、アメリカ政府考えを代表したものでもないと承知しておりますので、この報告書との関連で云々することは控えたいと思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、基本的な考えは、先ほど中山大臣が申し上げられましたように、日本側としては自主的に努力していくということでございます。
  199. 三浦久

    ○三浦委員 もう時間がありませんので、意見だけ言わせていただきたいと思うのです。  私は、アメリカの要求にずるずるずるずる譲歩を重ねるととんでもないことになると思うのですよ。現在でも、在日米軍の駐留経費は、八八年度の決算しか出ておりませんけれども、三千百七十億円にも及んでいるわけですね。そしてその間にいろいろ地位協定の解釈拡大をやる、特別協定を二回も結ぶ、そういうようなことをしてどんどん際限なく駐留経費を負担してきているわけです。しかし、今世界の流れというのは、先ほど私が言いましたように、軍縮、核兵器の廃絶、外国軍隊の撤退、軍事ブロックの解消、そういう方向に向かっているわけです。そういうときにいわゆる在日米軍の駐留経費の負担をふやすことは、これは在日米軍を支援することであり、日米の軍事同盟を強化していくことであって、時代の流れに逆行したやり方だと私は思うのです。今やらなければいけないのはそういうことではなくて、むしろ逆に基地を縮小するとか、撤去するとか、日米安保条約についてもそういう世界の流れに従って再検討していく、そういうことが今望まれているのではないかと私は思います。そういう意味で、在日米軍の駐留経費の増額をすべきではない、このことを強く要求して、質問を終わりたいと思います。
  200. 岸田文武

    岸田委員長 和田一仁君。
  201. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私は、昨今の大変大きく動いている世界情勢、それも非常に急速に変化している世界情勢を踏まえて、大臣に幾つか所信をお尋ねしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  昨年の秋から東欧においての民主化動き世界じゅうの耳目を集めておるところでございます。東欧におる人たちが自由を求めて、そして自分たちにはなかった人権が尊重されている社会のあることを知り、さらには、もっと豊かな国があるんだ、そういうことを知るに及んで、こういった西側に見られる民主的な社会を我々も欲しい、こういう思いから人々は一斉に西へ向かって歩み始めた、こう思うわけでございます。まさに世界は東から西へと働きつつある、こういう感じがいたします。この動きはもはや何人もとめがたい大きな流れである、私はこう理解しております。このことがかっての東西対峙という、東西に分かれていた陣営に対して大きな変化を与えているのではないかと思うわけでございますが、いわばヨーロッパの地殻変動ともいうべきこういう大きいうねりから、かつての、かつてのというか、ヤルタ体制がもう終わるんだと言う人もあれば、もう終わったと言う人もある。東西緊張はもう解消されて、冷戦は終えんを告げるのだ、こういう見方を言う人もおります。まさにあのヤルタ体制のシンボリックなものであったベルリンの壁も壊されて、人の自由な交流が可能になってまいりました。こういうことを考えますと、そう言い切る人もおっても不思議ではないと思うほどでございますけれども、こういった今の東欧における動き、西から東へと大きく動いている動き、このことについてまず大臣のお考えをお聞きしてまいりたいと思います。
  202. 中山太郎

    中山国務大臣 先生の御指摘のとおり、東ヨーロッパにおきましては、人々がより豊かな生活を求め、より自由な生活を求めて、共産党政府を倒して民主的な政府をつくる、そして自由市場原理を導入して、今まで行われてきた中央集権的な統制経済というものを排除していく、こういう過程にあるわけでございますけれども、私ども認識では、この過程というものはソビエトの新思考外交のもとで果たされた一つの大きな出来事である。  しかし、現状はどうかといいますと、これらの国々は今日までの共産党支配による中央統制経済というものによって経済は破綻の極に達しておりまして、東ドイツに見られる姿のような現状から見てみましても、これからの経済再建といいますか、果たしてどういうふうな過程で豊かな社会を形成していくかという点では、これから非常に大きな難しい道が待っているというふうに私は理解をいたしております。  戦後四十四年たった間に、国の指導者たちはこの共産党支配のもとでの中央統制経済にのみ人生を使ってきた人たちになっておるわけでございまして、市場経済というもののノーハウというものを知らない方々がほとんどでございます。この人たちが金融機関から融資を受けて企業を起こし、そして市場の経済原理で商品の売買を行っていくというような経済活動のあり方というものについての知識を持っていない。こういうことから、これからの東ヨーロッパにおける流れというものはまだまだ不安定であり、不確実でありますけれども、これが逆流するかといえば決してそうではない。先生の御指摘のように、自由な、そして豊かな社会を求めて動き続けていくものだと私は認識をいたしております。
  203. 和田一仁

    ○和田(一)委員 大臣の御見解、将来にわたってまだまだ不確定要素はあるが逆流はしないであろう、こういう御見解でした。  そういう中で、現実にこういう流れを踏まえながら、従来NATOとワルシャワ・パクトとの間で均衡を保っていた軍事バランス等についても、現に新しい東西の働きが出始めているのではないかと思うのです。それが将来に対してどういうよぅな変化をしていくか、これが大変気になるところでございます。特に東欧諸国のソ連離れが始まって、ワルシャワ・パクトとしての実質的な機構としての中身がだんだん変わってきているのではないか。言いかえれば、これはもう既に事実上の形骸化の方向に行っているのではないかという感じがするわけですけれども、その辺は実際にそうなのか、それともまた別の意味を持ってこれがきちっと機能していくのか、その辺のバランスを含めてワルシャワ・パクトのこれからのあり方について大臣はどのようにごらんになっているか。
  204. 中山太郎

    中山国務大臣 ワルシャワ条約機構というものが軍事機構でございましたし、これがNATOに対峰する一つの大きな軍事機構として現存していたと思います。しかし、今日の事態は大きく変化を始めておりまして、これがやがて政治機構へ変革をして、変質をしていくものだという認識を持っております。ちょうど昨年、私がブラッセルを訪問してEC委員長にお目にかかりましたときにも、実はあしたソ連のシェワルナゼ外務大臣がやってくる、そしてECとの話し合いも入ってくる、こういうことでございまして、この東西間にございました軍事ブロックが政治機構としてこれから転換をしていくだろうと私は考えております。
  205. 和田一仁

    ○和田(一)委員 ワルシャワ条約機構がそういった軍事的な意味合いから政治機構へと変質していくであろうということになりますと、これは、冷戦が終わったと感ずるなら別ですけれども、依然として東西の通常兵力のバランスは非常に大事だという視点から考えると、これはある意味で情勢変化が始まっている。それは特にワルシャワ・パクト側からそういう変化が、軍事ブロックとしての質が変わって政治機構へ移行していくのだ、こういう見解でしょうか。それに対して、これからの国際情勢変化NATOを含めてどういうふうに大臣はとらえておられるか、この点についてもお伺いしたいと思います。
  206. 中山太郎

    中山国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、きょうお昼にアメリカの軍縮局長とお目にかかって三十分ばかりお話をしておりましたが、その中で私の聞いた話の中には、ヨーロッパにおける通常兵器の削減交渉あるいは戦略核の問題、いろいろ協議米ソ間で行われている、こういうふうな新しい時代の中で、先日海部総理と一緒に訪問いたしましたハンガリーの政府との話し合いの過程でも、ソ連軍がやがて引き揚げていく、あるいは撤退してもらいたいという考えを持っているというようなお話もございまして、これからいろいろとワルシャワ条約機構の中で一つの大きな変化が起こる兆しがあるというふうに私は認識をいたしております。
  207. 和田一仁

    ○和田(一)委員 ちょっと視点を変えまして、この間、十八日に東独において選挙がございました。東西ドイツが、さっき申し上げたように大変な変化をしております。そういう中での選挙でございまして、東西ドイツを何とか早期に統一したいという願いから、この選挙の結果を見ると早期統一の政治選択がとられたのではないかと思うのです。東西ドイツ統一がここまで東独の意思としてはっきり出てきたということを踏まえて、大臣は、東西統一の時期、どれくらいのスタンスで、あるいはストレートに統一されるのかあるいは数段階の段階を経ながらどれくらいの時間をかけていくだろうかというような、日本外交当局としての見通し等をお持ちでしたらお知らせいただきたい。欧州諸国においては統一を歓迎しながらも、余り急いでいくことはいいとか悪いとかいろいろ意見があるようでございますが、我が国としてはどんなふうに考えておられるか、それを含めてお願いいたします。
  208. 中山太郎

    中山国務大臣 昨年来、ヨーロッパにおける各種の国際会議においてヨーロッパ外務大臣の方方ともいろいろ意見を交換しておりますが、ドイツ統一問題は当初十年ぐらい日を要するのではないかと言われておりましたが、今日ではそれが意外と速いスピードで展開をしている。その展開のスピードは十年から一年単位で物を考えなければならない時代に突入し始めているのではないか。特に、先生指摘のように、東ドイツにおける選挙の結果、統一を求める人たちの代表者の議席数が過半数を超えているということを見ましても、意外と速い展開が起こると私は認識をいたしております。
  209. 和田一仁

    ○和田(一)委員 これは確かに速くなっていると思います。そういう速いテンポで統一に向かっていくとすると、いろいろな問題があると思うのです。さっきも大臣、冒頭でおっしゃっていましたが、要するに、統制経済の中で市場メカニズムがまだよくわかっていない、そういう国が新しい歩みを始めるとするならば、困難もあれば学ぶべきこともあるからなかなか急速にはというようなお話もございましたが、まさにドイツは、そういう意味で統合への手順というものが大変大事になってくると思うのですね。  そういう中の一つとして、国境問題はもちろんありますけれども、経済問題に絞っても、通貨の統合の問題であるとか経済の一体化をどうやってやっていくか、これは大変なことだと思います。また、今どんどん東から西へと国民が流出しております。流出というとおかしいですが、移動しております。このことは東ドイツにとってみれば働き手がいなくなっていくということでございまして、ある表現で言えば、これは東独経済のメルトダウンだ、大変なことになるんだ、至急にこれは何とかしなければ本当に東独はメルトダウンしてしまうというような見方をする東独の人もいるようでございます。そういうことになりますと、これはやはりドイツ当事国だけの問題ではなくて、西欧諸国としてもあるいは経済先進国としての日本も含めてこれへの対応ということもそろそろ考えていかなければいけない、こんなふうに思うのですが、その点についてはどのような対応をお考えでしょうか。
  210. 中山太郎

    中山国務大臣 先生の御指摘は極めて重要な点であろうと私は考えております。先般のこの東ドイツ選挙の結果、統一へ向かうという人たちが議会の過半数を超えたわけでありますから、国民の意思はそちらに民主主義のもとで動いていく、こういうふうになりますと、やがて両独の統一の前に共通通貨の問題が登場してまいります。  その場合に、東ドイツの一マルクを西ドイツの一マルクと交換するかという問題が当面浮上してくるわけでありまして、この公式な交換レートと実質経済の中での交換レートがどうなるのか。御案内のように東ドイツの経済は疲弊の極に達しておりますし、今先生指摘のように、その東ドイツから流出する東ドイツ人たちの数は恐るべき数に上っております。こういう中でこの東ドイツの外資法を見てみますと、御承知のように外国資本の株に占める比率を四九%を最高限度額に規定しておりますから、外国からの資本の導入が現在の東ドイツ法律では考えられない。こういう状況のもとでこのマルクの交換ということを考えると、恐らく一対一のマルクの交換が行われる場合には西ドイツのマルクに大きな変動が起こってくる。そういたしますと、世界の通貨の中で比較的強い通貨として考えられているマルクの価値に変動が起こってくる。こういうことになってまいりますと、ECの圏内においても西ドイツ・マルクの変動というものがECの通貨体制にも影響を与えてくる。ひいてはドルと円の関係にも影響を及ぼすものと考えられておりまして、私どもといたしましては、東ドイツにおける外資法の改正というものが早急に行われることが両独の通貨の交換のために極めて重要なポイントであるという認識を持っております。
  211. 和田一仁

    ○和田(一)委員 もう一つ統一ドイツが実現いたしましたら、この統一ドイツの安全保障体制というものは、これまたヨーロッパを含めて世界でも大変大きな影響がございます。このドイツ統一された後のあり方の問題ですが、今、西独がNATOの一員としてあるように、統一後もNATOにとどまっていた方がいいとお考えになるのか。それとも、これは中立化を求めている国もある。ソ連は中立化がいい、こう言っておりますけれども、もし中立化になれば、それはどういう影響があるとお考えになっているか。とにかくこれはヨーロッパの大国が一つできるわけでございますから、そういう意味で安全保障体制に与える影響というものは相当大きいものがある、こう思いますけれども統一ドイツ後のあり方はどうなっていくか、望ましいあり方はどうかを大臣の御見解として伺いたいと思います。
  212. 中山太郎

    中山国務大臣 先ほどお答えしました点を少し補足さしていただきますと、早急に統一するというグループが過半数を占めている。ほかにも統一をしたいという考え方の方々もたくさん出ておられるということでございます。  今、先生指摘ドイツ統一した後の立場、どういうふうな形でドイツがあることが望ましいかという問題は、私は今の時点で日本政府として意見を述べることは差し控えるべきではないかと考えております。私どももいろいろとヨーロッパ情勢を分析しておりますけれども、問題は、ヨーロッパのいろいろな国の人々、政治家たちが再び前のようなヨーロッパ地域において戦乱が起こらないということを考えて、いわゆる平和への最も安全な方法は何かということでこれからのいろいろな協議が進められていくのではないか、そのように考えております。
  213. 和田一仁

    ○和田(一)委員 こういった東欧のみならず、バルト三国等においてもいろいろ新しい動きが出ておりまして、特に非常に注目をしていかなければいけないのはリトアニア問題だと思います。リトアニアに象徴されるように、バルト三国もいろいろ動きが出てまいりましたが、こういうことがただヨーロッパにおける動きだけではなくて、実は私ども日本の大事な北方領土の問題にも連動してくるような気が私はいたしております。  そこで、もう時間がありませんが、この三月に予定されていたシェワルナゼ外相と外務大任との定期協議が延期をされております。理由としては内政上の理由で延期されたと聞いておりますが、これはいつまで延期されるのですか。この内政上の理由によると、夏以降というふうに踏んでいいのか、その辺がはっきりしていればお伺いしたいのです。
  214. 中山太郎

    中山国務大臣 日ソ外相会談を東京で開くということは、昨年九月の国連総会における日ソ外相会談でシェワルナゼ外相からお申し出がございましたが、先生も御案内のように、ソビエトにおける地方選挙が三月は各地で行われておりました。さらに、御承知のように憲法改正を含めて大統領制の導入というようなソ連の国内政治の変動がございまして、この三月に予定された外相会談は現在延期されているという状態でございますが、私どもの聞いておりますところでは、ただいま六月に予定されている米ソ首脳会談に向けて米ソの外相会談が相次いで行われる予定が立てられておりまして、私どもといたしましては、できるだけ速やかな時期に日ソの外相会談が開かれるということを期待したいと考えております。
  215. 和田一仁

    ○和田(一)委員 一連のスケジュールとしてこの三月予定されていた日ソ外相定期協議、これを踏まえて来年はゴルバチョフ大統領の来日というスケジュールを聞いておりまして、こういう動きの中でいよいよ日ソ間の新しい働きが話し合われるな、こう思っておるわけですが、その前提になるのが北方領土でございます。最近はその北方領土問題に対していろいろなサウンドがあるわけでございます。こういった外相会議を延期されて、今本当ならやっておられるころなのでしょうけれども、ない。しかし、北方領土問題に対しては来日するソ連要人がいろいろなことを言う。そういう変化を感じ取られておられるかどうか。日本としてこの来年の首脳会談に向かって、ゴルバチョフ大統領の来日に向かって、そういう変化に対してどう対応していかれるおつもりか。従来どおり北方領土四島一括返還以外にもう入り口はないというかたくなな姿勢なのか、それとも伝えられるように幾らか柔軟な姿勢で対応しようとなさっているのか、その辺をまずお聞かせいただきたい。
  216. 中山太郎

    中山国務大臣 昨年の十一月には最高会議のヤコブレフ氏が来日されましたし、また、最近はエリツィン氏も日本に来られまして、私もお目にかかっていろいろお話をいたしました。北方領土返還に関するエリツィン氏個人の考え方も伺ったことがございます。いろいろとソ連の学者の中にも領土問題に関する御発言があることも存じておりますけれども、ソビエト政府の公式的な見解として北方領土に対する考え方が変わったということは、まだ私、確認をいたしておりません。そのような中で、やはり日ソ間に平和条約を締結するためには北方領土問題を解決するということが前提でございまして、しかし、一方におきましては、日ソ間の人的交流、文化交流を含めまして、先般の安倍元自民党幹事長のゴルバチョフ大統領との会談におきましても示されたような八項目に沿いまして、日ソ間に人物往来、文化交流、そういうものを積極的に政府としても進めてまいりたい、このように現在考えております。
  217. 和田一仁

    ○和田(一)委員 余り具体的なことを申し上げていると時間がなくなるのですけれども、今大臣の御答弁のように、人的交流を活発にというような意味合いから、これはおっしゃる意味が日ソ間のという表現でしたが、北方領土に限っても、あそこで共同の事業をやろうじやないかというような提言も向こうから来た方の中にある。段階的に何やらそういう動きが出始めているというふうに伝えられているのですが、今おっしゃる人的交流というのも、これは北方四島を含めてのお話でしょうか。
  218. 高島有終

    ○高島説明員 御説明申し上げます。  北方四島は私どもの見方からいたしまして、明らかに不当にソ連の占領下に置かれている部分でございまして、したがいまして、この北方四島と我が国との間の交流というのはこれは差し控えるべきもの、こういう認識に立っております。
  219. 和田一仁

    ○和田(一)委員 やはりビザをもらってするわけにはいかないという立場はよくわかります。ただ、向こうは、北方四島にもそういう意味で人的交流を現実に実現させていく中で何とかその先の話し合いをつくっていきたいというような姿勢も見えるわけでございますが、もう時間がありませんので一つだけお伺いしたいのですが、やがてはこれは糸口を見つけてほぐれていくものだ、こう私は思っておりますし、また、そうしなければならない。やはり時代変化に伴って対応も新しい発想の中で考えていっていいのではないかと思うのですが、そういう感じからして今私が気になるのは、北方領土四島の中に一体ソ連の人がどれぐらい定住しておるのか、これはもちろん調査しておられると思いますので、お知らせいただきたいと思います。
  220. 高島有終

    ○高島説明員 現在、約四万人のソ連人たちが北方四島に居住しているというふうに理解しております。
  221. 和田一仁

    ○和田(一)委員 これは民間人だけでしょうか、軍人も含めてですか。
  222. 高島有終

    ○高島説明員 民間人、軍人含めての話でございます。
  223. 和田一仁

    ○和田(一)委員 民間人だけですとどれぐらいでしょうか。
  224. 高島有終

    ○高島説明員 正確な区分けというのは私どももわかっておりませんし、ソ連側も軍人の正確な数というのは発表いたしておりません。ただ、およその推測といたしまして、軍人は四万人のうち約一万人程度はいるのではなかろうかというふうに見ております。
  225. 和田一仁

    ○和田(一)委員 時間が来てしまいましたのでまたの機会に。この問題はできれば大臣在任中にぜひひとつ糸口を見つけて解決の方向を出していただきたいと思う問題でございます。それぐらいに、やはり時期を見て、タイミングをはかりながらやるべき大事な問題だと思うのですが、そうなると、返ってくるという前提ですから、返ってきたときに、四万のうち民間人が三万ですか、こういう人たちをどうするのだというようなことを含め、さらに我々がその四つの島をどう使っていくのか、かつての島民にどうやって帰ってもらうのか、そういうことも含めて、対応を具体的に考え始めるときだろうと思っているぐらいでございますので、ぜひひとつ大臣在任中にこの問題の糸口をつくっていただきたい、こう思います。  きょうはまだほかにも日米の構造問題の協議等についても伺いたかったのですが、時間が参りましたので、別の機会にぜひ伺わせていただくことにいたしまして、きょうの私の質問を終わります。
  226. 岸田文武

    岸田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  227. 岸田文武

    岸田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  在外公館名称及び位置並びほ在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  228. 岸田文武

    岸田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  229. 岸田文武

    岸田委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、斉藤斗志二君外三名から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。斉藤斗志二君。
  230. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について引き続き検討の上、適切な措置を講ずべきである。  一 激動する国際情勢に迅速かつ的確に対応し、世界の平和と繁栄のため我が国がその国力にふさわしい国際的責任を果たし、積極的な外交を展開するため、外交実施体制、特に在外公館整備強化に努めること。  一 在外職員、特に自然環境等勤務環境の厳しい地域に在勤する職員が、安んじて活発な外交活動を展開しうるよう、健康管理対策、休暇制度の充実を含め勤務環境の整備、待遇の改善等に努めること。  一 我が国外交の第一線拠点にふさわしいものとなるよう、長期的計画に基づき、在外公館事務所及び公邸の整備・拡充を進めるとともにその国有化の推進に努め、併せて在外職員宿舎の整備に努めること。  一 在外公館における外交活動の能率促進のために通信体制強化・事務機器等の近代化に努めること。  一 館員による活発な外交活動を支援するため、在外公館における質の高い現地職員の確保・増員に努めること。  一 世界的に治安状況が不安定となる傾向にかんがみ、在外職員が安全にその職務を遂行しうるよう警備・防犯対策の強化に努めること。  一 海外での事件、事故及び戦乱、クーデター等の緊急事態に際しての邦人の救援保護を含む邦人の安全確保を図ること。また、在外邦人の医療対策に一層配慮すること。  一 海外子女教育の一層の充実を期するため、在外日本人学校及び補習授業校の整備・拡充、教師の増員、父兄の子女教育費の負担軽減に努めるとともに、帰国子女教育の充実のための制度改善及び施設の整備等の対策を総合的に推進すること。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっていることと存じますので、説明は省略させていただきます。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  231. 岸田文武

    岸田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  232. 岸田文武

    岸田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中山外務大臣
  233. 中山太郎

    中山国務大臣 ただいま在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  また、本法案の御審議の過程においては、外交活動の基盤強化につき、深い御理解と貴重な御提案を賜ったことに対し、厚く御礼を申し上げます。  法律案と同時に可決されました附帯決議の内容につきましては、御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいる所存でございます。まことにありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  234. 岸田文武

    岸田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  235. 岸田文武

    岸田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載]     ─────────────
  236. 岸田文武

    岸田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十三分散会