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1990-05-25 第118回国会 衆議院 土地問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月二十五日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 野呂田芳成君    理事 井上 喜一君 理事 金子 一義君    理事 工藤  巌君 理事 小杉  隆君    理事 桜井  新君 理事 井上 普方君    理事 小林 恒人君 理事 長田 武士君       井奥 貞雄君    石井  一君       狩野  勝君    亀井 善之君       木部 佳昭君    鯨岡 兵輔君       志賀  節君    谷  洋一君       星野 行男君    前田 武志君       松岡 利勝君    柳沢 伯夫君       小松 定男君    斉藤 一雄君       渋谷  修君    戸田 菊雄君       早川  勝君    細川 律夫君       元信  堯君    和田 貞夫君       北側 一雄君    東  順治君       平田 米男君    佐藤 祐弘君       菅原喜重郎君    菅  直人君  出席国務大臣         国 務 大 臣 佐藤 守良君  出席政府委員         国土政務次官  伊藤 公介君         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁長官官房         水資源部長   苗村 滋克君         国土庁計画・調         整局長     長瀬 要石君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁大都市圏         整備局長    三木 克彦君         自治大臣官房総         務審議官    芦尾 長司君         自治大臣官房審         議官      遠藤 安彦君  委員外出席者         国土庁土地局次         長       鎭西 迪雄君         国土庁大都市圏         整備局計画課長 田中 正章君         大蔵大臣官房企         画官      河上 信彦君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 中山 恭子君         大蔵省銀行局銀         行課長     小山 嘉昭君         建設省建設経済         局不動産業課長 小林  満君         建設省建設経済         局民間宅地指導         室長      瀬野 俊樹君         建設省都市局都         市計画課長   近藤 茂夫君         建設省住宅局住         宅政策課長   五十嵐健之君         土地問題等に関         する特別委員会         調査室長    吉沢 奎介君     ───────────── 委員の異動 五月二十三日  辞任         補欠選任   佐藤 祐弘君     辻  第一君   大内 啓伍君     菅原喜重郎君 同日  辞任         補欠選任   辻  第一君     佐藤 祐弘君   菅原喜重郎君     大内 啓伍君 同月二十五日  辞任         補欠選任   大内 啓伍君     菅原喜重郎君 同日  辞任         補欠選任   菅原喜重郎君     大内 啓伍君     ───────────── 五月七日  土地対策推進に関する陳情書(第一一六号)  土地政策に対する抜本的改革に関する陳情書(第一一七号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  土地問題及び国土利用に関する件      ────◇─────
  2. 野呂田芳成

    野呂田委員長 これより会議を開きます。  土地問題及び国土利用に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松岡利勝君。
  3. 松岡利勝

    松岡委員 私は、先般の総選挙で初めて当選をいたしました熊本一区の松岡利勝でございます。本日は、今国会のこの土地問題等に関する特別委員会トップバッターとして質問をさせていただき、大変光栄に存じております。  それでは、大臣がおられませんが大臣に対するお言葉も述べまして、質問をいたします。  日ごろから佐藤大臣には何かと御指導を承り、大変尊敬申し上げているところでございますが、先般の大臣土地対策基本施策に関する所信表明に関しまして、与党の自民党を代表いたしまして土地対策行政基本的な点について若干の御質問をさせていただきたいと思います。  大臣がお見えになりましたのでもう一度そこのところだけをやりますと、初めに佐藤大臣にお伺いしたいわけでありますが、大臣所信表明でお述べになられましたように、土地資源の中でも特に限られた資源であり、国土が狭く、しかも地形急峻な我が国ではなおさら貴重な資源であると私は思います。そして、この土地国民生活生産を通ずるすべての基本になっておるわけでありまして、そういった活動はこの土地の上でなされているわけであります。したがいまして、この限られた貴重な資源であります土地資源を可能な限りいかに合理的に有効に活用するかが、国民経済発展国民福祉の向上を図る観点から極めて重要であると思います。このような意味からも、昨年、土地に関する基本的な理念などを定めました土地基本法が制定されたところでございますが、この基本法に基づいて基本的な土地対策をどのように具体的に進めていくかということが問題になってくると思います。  そこで、今後の土地対策行政基本的考え方につきまして佐藤大臣の御見解と御決意のほどをまず第一番目にお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  4. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 松岡先生にお答えいたします。  先生指摘のとおりでございまして、土地というのは国民の限られた資源ということで、これをいかに有効に活用するかということが一番国民生活のために大切なことであると理解しております。  先生指摘のとおり、昨年暮れに土地基本法が成立しました。そんなことでございまして、今度は公共福祉優先の原則をつくり、そんなことで土地対策理念を確立し、それとともに土地対策政策展開方向を決めたということでございまして、これからは需給両面にわたりましてひとつ一層の幅広い政策展開したい、このように考えておるわけでございます。  それで、具体的事実としましては、昨年暮れに土地対策関係閣僚会議を開きました。その席で今後果たすべき重点実施項目を十項目決めまして、特に第一番に大都市地域におきまする宅地住宅供給をどうするかという問題、それからもう一つは、税制総合的見直し、それから投機の抑制とか国公有地の利活用、そういうことを含めて、これから内閣一体となってやろうということを決めたわけでございます。  それとともに、実は現在地価が高騰しておるものですから、地価をどうして安定させるかということでございまして、ことしの三月二十三日に土地対策関係閣僚会議を開きまして、海部総理の御指示のもとに特に監視区域強化、これが後手に回らないようにということでございまして、全国事務当局を集めてその指導をし、また、私が特に地価が値上がりした地域の都道府県の知事とかあるいは政令指定都市市長等を呼びまして、監視区域強化をお願いした。  そんなことでございまして、今までと違いますのは、先ほどちょっと申し上げたようなことでございますが、先生も御指摘されたように、土地基本法皆さんのおかげで制定してもらったこと、それからもう一つは、海部内閣の最重要課題でやろう、そんなことでございまして、土地問題に取り組むという決意が今までと違っておるということでございまして、一番大きな問題は、現在住まいを持ちたい人が住まいが持てない。特に東京付近でも所得の八倍から九倍、十倍する、そういう形の中に、総理も言っておりますような所得の数倍で何とか住まいを持てるようにしたい、こんなことで全力を尽くしておるということでございまして、何分の御理解と御後援を心からお願いする次第でございます。  よろしくお願いします。
  5. 松岡利勝

    松岡委員 ただいま大臣から土地対策基本的な考え方とそのお取り組みの御決意を承ったわけでありますが、私は土地問題の本源は何かと考えますときに、特に我が国にありましては、非常に限られた土地資源に対しまして非常に需要が多い、しかも、その需要が特定の地域に余りにも偏っている、なかんずく東京圏に過度に集中し過ぎている、いわゆる一極集中と言われるような需要のあり方には問題があると思うわけであります。  そこで、この土地問題の基本的な解決のためには土地利用需給調整が重要な最大のポイントではなかろうか、私はこのように思うわけであります。したがいまして、このような観点から、土地需要地方分散をどのように実現していくかがこの土地対策の成否を握っていると言っても過言ではないと思うわけでございますが、この土地需要地方分散のことに関しまして、基本的な点について二点お尋ねしたいと思うわけであります。  その第一点は、地方分散の具体的な呼び水として大変話題にもなり、また関心、注目を集めておりますいわゆる首都機能移転の問題についてでございますが、その早急な実現が望まれていると思うわけであります。  そこで、現在のこの首都機能移転問題につきましての検討状況なり今後の進め方といったものにつきまして、できるだけ詳しく具体的に御説明をお願いしたいと思うわけであります。お願いいたします。
  6. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 お答えします。  先生の御指摘のとおりでございまして、実は土地問題については二つの大きな要素があると思います。一つは、政治的配慮をどうするかという問題、もう一つ政策的配慮をどうするかという問題でございまして、特に政治的配慮の中に首都機能移転の問題があると思っております。  そんなことでございまして、現在四全総で進めておりますような一極集中を排除し、多極分散型国土を形成するというようなことでございまして、これが大きな土地問題のかぎということでございますが、この点につきましては特に、実は国民生活上のみでは判断できないので、大きな国土政策上どうするかという問題を含めてということでございまして、前石井長官のときに新首都問題懇談会というのをつくりまして、一月に首都機能移転問題に関する懇談会をつくりました。そして、各界各層の幅広い人を集めまして今意見を十分聞いておるところでございまして、この間も第二回目を開きました。そんなことで、大体二年を目途に幅広い皆さん意見を聞きながら国土庁としての方向づけをしたい、このように考えているわけでございます。
  7. 松岡利勝

    松岡委員 大臣から基本的な点については今承ったわけでございますが、もう少し突っ込みますと、例えば政府機関のどこをどこに移すとか、そういったような具体的な検討状況事務当局の方でも結構でございますから、ございましたらちょっとお示しを願いたいと思うわけであります。
  8. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 今首都機能移転だけを申し上げたわけでありますが、実は行政機関につきましては七十九機関十一部隊ございます。実はこれは、私が国土庁へ参りましていろいろ聞いたのですが、いつまでに移転するという期日が決まってなかったのです。そんなことでございまして、おおむね五年以内に移転の完了をお願いするというようなことで現在進めておる状況でございまして、もっと細かい点につきましては政府委員から答弁させてください。よろしくお願いいたします。
  9. 三木克彦

    三木政府委員 政府機関移転の具体的な状況でございますが、移転候補地等を決めましたのは昨年の八月でございまして、七十九機関十一部隊を移転する予定といたしております。  これの進め方につきましては、関係省庁連絡会議を設けまして、その段取りにつきましていろいろ御相談をしているところでございます。既に二機関につきましては移転を実施しておりますし、また十三機関につきましては予算措置が講ぜられまして、具体的な準備に入っております。  その他の機関につきましては、夏ごろまでに、概算要求時までに移転に関する経費の取りまとめを総括的に行うという準備をただいまいたしておりまして、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、五年以内に具体的に移転ができるように、できれば完了するようにということで各省庁と連携を図って相談をいたしているところでございます。
  10. 松岡利勝

    松岡委員 ただいま大臣または関係局長さんから、具体的なことにつきましても今後の見通しも含めてお伺いしたわけであります。大変重要な土地問題に対する基本的な対策の中心をなすものであろうと思いますので、ぜひとも予定どおりの御進捗方をお願い申し上げたいと思います。  続きまして、私は、もう一つの点といたしまして、地方分散を図るためには首都機能移転のように、言ってみれば東京圏から出ていく、そういうことも必要でありますが、土地需要地方の方から引っ張るといいますかそういう努力や取り組みがぜひとも不可欠であろう、このように思います。そこでまさにこのことは、国土の均衡ある発展地方振興ということと合致するわけでありますけれども、土地需要を可能ならしめる受け皿としての地方整備が重要、急務であろうと思います。  そこで、都市機能産業機能地方分散を図り土地需要地方分散をそのことによって図っていく、そういうような土地需要地方分散をつくり出しますためには、高速道路整備でありますとか、いろいろな地方振興の立場に立って進めなければならないことと一致することが多いわけでありますけれども、このような点を踏まえまして、土地需要地方分散を図るための土地対策、というより積極的な面からの取り組みが必要であろうと思います。そういうことで、地方分散を図るための土地対策の具体的な考え方といいますか進め方、その方策、この点についてまずお伺いをしたいと思います。  また、その場合は、特にその中でもどういうふうなものに力点を置いてお進めになられるかというようなことについても、ぜひお伺いをしたいと思うわけであります。お願いいたします。
  11. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 お答えします。  実は先生の御指摘のとおりでございまして、四全総におきましても結局、多極分散型国土を形成する場合に大切なことは、社会資本整備ということでございまして、道路網整備とか情報通信網整備、これが一番大きな問題になっているわけであります。  そんなことでございまして、その一環としまして、今後ともテクノポリス法とか頭脳立地法に基づく地方産業振興対策とかリゾート法によるリゾート開発とか、先ほど話がございました国の行政機関等移転とか振興拠点地域開発整備等の諸施策推進に努めてまいりたいと思っております。そんなことで多極分散型国土の形成を促し、国土の均衡ある発展を図りたい、このように考えて努力したいと思っております。
  12. 松岡利勝

    松岡委員 今大臣から基本的な点についてはお伺いいたしたわけでありますが、関係の局の方から、もしさらにもう少し具体的なことがございましたら、お話を願いたいと思うわけであります。
  13. 長瀬要石

    長瀬政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣から基本的な方向について御答弁申し上げたところでございますが、若干細部について申し上げたいと思います。  何と申しましても、地方整備を進めますためには、工業分散、再配置を進めるということが重要でございまして、そのような見地からテクノポリス法を初めとする諸法によりまして、その推進を図っているところでございます。  それに加えまして、研究開発機能でございますとか情報、人材の育成ということが重要でございまして、このようないわば先端的なサービス産業地方立地促進するということが重要でございますが、そのような意味合いから、頭脳立地法を初めとするさまざまな手段によりまして、先端的なサービス産業環境整備を図るということがあるわけでございます。  と同時に、このような工業生産機能のみならず、事務所分散ということも重要な方向でございまして、そのような見地から平成二年度におきまして、東京都区部から地方圏移転をする事務所に対しまして融資制度を創設するということを予定し、御審議をいただいているところでございます。  さらには、これから国際化の時代に、国際交流基盤を形成するということが重要でございますが、その基盤となります空港、港湾の整備というようなことを通じまして、国際機能地方への展開ということも重要な課題でございますし、さらには自然との触れ合い、自由時間の増大に対応したリゾート地域整備ということも重要でございます。  そのような、全体としての受け皿ということになりますと、何と申しましても、地方の中枢・中核都市等を核といたします都市整備を図りながら、広域的な生活経済圏をつくっていくということが重要だと考えておりますし、さらにはその基盤といたしまして、交通、情報通信体系基盤をつくっていくということが地方分散のために重要な手段だと考えております。
  14. 松岡利勝

    松岡委員 本日は、佐藤大臣に御出席をいただきまして、所信表明に対しましての基本的な点、本当に限られた中でございますが、一番その基本的な点についてお話を承りまして本当にありがとうございました。  最後に、私も地方の出身でございます。何といいましても、これからの我が国の一番の政策基本は、幾つかあると思いますが、その中でも特に大事なことは、国土の均衡ある発展をいかにしてなし遂げていくかということが大変重要であろうと思います。そのような意味で、一方において土地問題を解決するということと、これは裏腹の問題であると思います。そのような意味からも、東京圏を初めとする異常なまでの土地問題、そういったことを解決することが、逆に言いますと、先ほど言いましたように、地方振興を図って、土地需要地方分散を図っていくということと合致するわけであります。  どうか、そのような意味で、一層効果的な施策推進を図られますようお願いを申し上げまして、基本的な点についてということで私の質問を終わらせていただきたいと思います。あとはまた同僚の議員に譲りまして、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  15. 野呂田芳成

  16. 星野行男

    星野委員 私も、今ほどの松岡委員と同じように、佐藤国土庁長官が先般行われました土地対策基本施策に関する所信表明に関連をいたしまして、何点か御質問をさせていただきたいと存じます。  長官所信表明によりますと、総合的な土地対策推進のための具体的な施策といたしまして、工場跡地等低・未利用地有効利用市街化区域内農地計画的な宅地化と保全のための関係制度整備充実により、大都市地域における住宅宅地供給促進を図るとされておりますが、低・未利用地有効利用市街化区域内農地計画的な宅地化につきまして、具体的にどのような手だてを考えておられますか、まずお伺いをいたします。
  17. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 御質問のとおり、土地対策推進いたします際に、需給両面にわたる総合的な対策が重要であると考えております。  そのために、当面の対応としまして、土地取引規制とか金融機関に対する指導等々を進めておりますが、ただ、中長期的に見ますと、やはりしっかりした供給対策促進しまして、需給バランスを確保していくということが大変大切だと考えております。  そういう観点から、政府におきましては、閣議決定しております総合土地対策要綱、さらには土地対策関係閣僚会議で申し合わせております中に、御指摘工場跡地等の低・未利用地利用促進、さらには大都市地域市街化区域内農地計画的な整備といった事項を盛り込んでおるわけでございます。  工場跡地等遊休地につきましては、これはまずどういう土地が低・末利用地であるかという認定をしっかりしないといけないのではないかと思います。また、そういう認定基準に基づきまして選ばれた土地について、一定の土地利用計画に基づいて有効な利用促進していくということが大切だろう、さらには、そういった施策をバックアップするためにも、税制上、例えば特別土地保有税等強化等を図りながら効果的な誘導を図っていくことが必要だ、そういうふうに考えておりまして、直接宅地供給を担当いたします建設省におきましても今国会都市計画法及び建築基準法の一部改正案を提出しておると思いますが、私どもといたしましても、そういった施策が一日も早く講ぜられることを非常に期待し、念願しておるところであります。
  18. 星野行男

    星野委員 今御答弁いただきましたように、大都市地域における住宅あるいは宅地供給促進を図ることについて、私は若干の懸念を持つのであります。  そのようにして大都市地域における住宅宅地供給促進した場合、当然、大都市地域人口増加促進されるものと思うのでありますが、例えば東京圏を例にとりますと、昭和六十三年の三月末現在の東京圏、すなわち東京、千葉、埼玉、神奈川のいわゆる一都三県の人口が三千七十八万人、我が国人口の二五・二%を占めているわけでありますが、この地域面積国土面積の三・五%であります。いかに過密かということがわかるわけであります。そういうことで東京圏を例にとった場合、そういう住宅宅地供給促進を図っていった場合、今後の圏内における人口増社会増、自然増あると思いますけれども、国土庁としてどのくらいの人口増加を見込んでいるのか、そういうことがすべて今後のいろいろな具体的な施策のもとになると思いますが、お示しを願いたいと思います。
  19. 三木克彦

    三木政府委員 昭和六十二年に策定されました第四次全国総合開発計画におきましては、東京圏、ただいま仰せられました一都三県でございますが、この人口を西暦二〇〇〇年に三千三百万人とすることを目標といたしております。これはそのまま放置すれば三千五百万人になるであろうというものでございますが、これを二百万人抑えて三千三百万人にいたしたいということでいろいろな施策を講ずることといたしておるわけでございます。
  20. 星野行男

    星野委員 それでは、四全総に言うところの三千三百万人と一応仮定したとした場合に、いわゆる飲料水の問題でありますが、かねて東京で渇水で大変苦労した経緯があるわけでありますけれども、今後の生活用水等のいわゆる水源対策、これについてどのようなお考えを持っておられるのか、お伺いをいたします。
  21. 苗村滋克

    苗村政府委員 ただいまお尋ねの大都市圏周辺水需給見通しでございますが、四全総及びこれを受けまして作成いたしました全国総合水資源計画ウオータープラン二〇〇〇と呼んでおりますが、ここにおきまして地域別にいろいろ検討してございます。  ちなみに関東地域水需給でございますが、昭和五十八年現在、年間百六十一億トン、二〇〇〇年には年三十五億トン程度増加しまして、おおむね年百九十六億トンになるものと想定しております。この需要に対してでございますが、ウオータープラン二〇〇〇では、いろいろと課題もあるものの、現在建設中のダム及び新たなダム等水資源開発見通しどおり進むといたしますれば、おおむねその時点におきまして従来の計画基準に基づきます水需給バランスがとれるものと考えております。
  22. 星野行男

    星野委員 そういたしますと、かねて話題に上っておりました、いわゆるJAPICの計画で、信濃川の水を利根川に持ってきて首都圏水需要を賄おう、こういう計画新聞等で報道されたことがございますが、これについては全くその必要がない、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。お伺いいたします。
  23. 苗村滋克

    苗村政府委員 関東地域内におきます水資源開発につきましては、従来より関係機関が協力いたしまして積極的に取り組みまして、成果を上げてきているところでございます。  先ほど、二十一世紀に向けての水需給につきましても御説明申し上げましたけれども、関東地域水需給につきましては、今後とも有効利用促進を図り、従来の計画基準に基づきます需要に対する供給はおおむね対応できると見ておりまして、したがいまして、計画の中では関東地域内の事業を促進することが緊急の課題と思っております。
  24. 星野行男

    星野委員 はい、わかりました。圏域内で供給を図る、こういうふうに承っておきます。  それから、水問題だけではなくて、現在においても駐車場対策が喫緊の課題として取り上げられているわけでありますが、これからさらに約三百万人人口がふえるということになりますと、通勤通学、その他交通量がさらにふえる、こういうことが想定をされるわけであります。その交通問題あるいは公害問題、あるいはさらにそこから排出されるごみの問題、いわゆる都市問題はさらにその解決が困難になる、このように思うわけでありますが、それについて一言御説明をお願いいたします。
  25. 三木克彦

    三木政府委員 大都市人口、産業が集中いたしますとさまざまな問題が生じてまいります。巨大、過密となってしまいました東京圏におきましては、ただいま仰せられましたようなさまざまな問題ございます。  例えば駐車場問題にいたしましても、違法駐車が最近非常に多くなっておりまして、これに対して規制を行うという動きがございます。しかし、実際問題といたしまして、それではどこへ収容するのかということになりますと、なかなか難しい問題でございます。先般、国土庁でも低・未利用地調査をいたしましたが、低利用地として把握しておりますのは非常に自動車駐車場が多いわけでございまして、こういった面での土地利用も大変重要であると思っておりまして、このようないわゆる交通ネットワークを中心にした諸問題あるいはごみ処理問題につきましては、広域的な一都三県を含めた見地での対策が必要であるという認識を持っておるわけでございます。
  26. 星野行男

    星野委員 これは時間をかければ切りがございませんので、一応その程度で承っておきます。  私も実は松岡委員と同じように、土地問題は、主として近時急激な東京一極集中の進展により土地需要供給バランスが崩れ、そこに投機的な取引が絡んで発生したものと考えるわけであります。したがいまして、土地問題は、東京一極集中を是正をして、国土の均衡ある発展を図ることにより土地需要分散を図らなければ抜本的な解決は不可能である、こんなふうに考える次第であります。そういう意味におきまして、長官所信表明の中に、土地対策の第二の柱として「都市産業機能等の地方分散推進」が示されておりますことは、まことに当を得たものと考えている次第でございます。  しかしながら、そのためのいわゆる受け皿としての地方生活基盤都市基盤あるいは産業基盤、さらに情報・通信基盤などの社会資本整備の充実が必要であることはもう言をまたないところでありまして、これにつきましては、先ほど松岡委員が御質問をされ、御答弁があったところでありますが、これにつきまして、現在日米構造協議等で公共投資の拡大が求められているというようなことで、整備充実の環境も整いつつあるわけでございますから、一層積極的な推進方の御努力をお願いを申し上げる次第でございます。  私は、その中で、地方のいわゆる生活環境、生活基盤整備といたしまして、雪の問題をひとつ取り上げて、お聞きをいただきたいと思うのであります。  御案内のように、我が国の豪雪地帯は二十四道府県にわたりまして、国土面積の五一・六%を占めておるにもかかわりませず、そこに居住する人口は総人口の一七・六%であります。非豪雪地帯の面積国土面積の四八・四%で、そこに居住する人口が総人口の八二・四%であることに比較をいたしまして、五分の一に近い極めて人口密度が希薄な状況であります。とりわけ積雪の特に多い特別豪雪地帯におきましては、その面積国土面積の約二割を占めながら、そこに居住する人口は総人口の三・二%と極端に少ないわけであります。  このように豪雪地帯すなわち雪国の人口密度が希薄でありまして、雪国の持つせっかくの土地とか水、緑、エネルギー、観光資源などが十分に活用されていない最大の理由は、近時の積極的な取り組みにもかかわらずいまだ雪害の除去が十分でなく、それが人間定住の大きな障害になっているからにほかならないと思うのであります。  御案内のように雪害対策は、これを大別いたしますと、道路の除雪、雪崩災害の防止、屋根雪処理の三点となるわけであります。前二点は積極的な取り組みでかなり進捗を見ているところでありますが、問題は屋根雪処理でございます。  家屋等の屋根上の積雪が一メートル以上になりますと、家屋等が倒壊するおそれがあるため、屋根上の積雪を除去しなければなりません。これは通常雪おろしと称しまして、住民が屋根等に上がって屋根上の積雪を除去するわけでありますが、この作業は危険を伴う作業でございまして、毎年、屋根から転落するなどにより多数の死傷者が出ております。いわゆる五十九年、六十年、六十一年、三年続きました豪雪によりまして、これは新潟県の事例でございますが、新潟県だけで百二十三人、これは主として屋根雪おろしの関係で亡くなっております。また重軽傷者も多数出ておりまして、死者、重軽傷者合わせますと千百十四人の人身事故が起きている、こういう状況であります。  それから、近時のいわゆる高齢化の進展によりまして、自分で自分のうちの雪おろしのできない世帯が急激に増加しつつございます。あるいはまた、産業構造、就業構造の変化によりまして働き手はいわゆる勤め人になっておりますから、勝手に会社や工場を休むわけにいかない、そういう状況で、つまり昔のように人力で雪おろしをすることのできない社会状況に急速に変わりつつある、こういう状況であります。したがって、こういう雪おろしを人力でやることから脱却を図らなければ、このようないわゆる豪雪地帯に社会資本整備をいたしましてもなかなか定住は進まない、過疎がむしろ進んでいく、こういうことになると思うのであります。  昨今、地方自治体等で雪おろしの要らない克雪住宅の開発普及に力を入れつつあります。また、さきの四全総におきましても、「特定地域の活性化」の記載の中に、雪おろしの要らない克雪住宅の開発普及を進めなきゃならない、こう明確に記述もされているところでございます。  この問題はもう三年、五年と放置できない、少なくともこの雪おろしの関係は、ここ五、六年の間に解決をしないともう取り返しのつかないことになるのではないか、実はそういう焦燥感に駆られている次第でございます。そういうことで、私はこの雪おろしからの脱却につきまして、つまり克雪住宅の開発普及につきましては、地方自治体だけに任せないで、国の方でもっと積極的に研究開発あるいはさらに財政援助を含めて取り組んでいく必要がある、このように痛感をする次第でございますが、この点につきましては国土庁長官から御理解ある御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  27. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 星野先生にお答えします。  雪の問題につきましては、私は詳しく聞いていないわけでございますが、実は私は昭和五十二年、国土庁政務次官のときに新潟県の方にお伺いしました、あの豪雪で。そのときに私が帰って言いましたのは、雪の被害をどうして少なくするかという努力をしているだけなんですね。もっと進んで、雪を、克雪ですね、もっと活用したらどうだろうかということを申し上げました。  例えば今の融雪でも、あれは電気代でしたね、あの電気代が安ければ、電気で融雪ができるんですね。そんなことを含めてもっと研究する必要があると思うんで、今先生の御指摘のとおり、私はよくわかりませんが、国土庁としましても今の克雪家屋ですか克雪住宅、この点を含めて研究させていただきたいと思います。どんなことができるかわかりませんが、積極的にそういう問題につきましては解決に取り組みたい、こう思っております。よろしくお願いします。
  28. 星野行男

    星野委員 ありがとうございました。佐藤長官から大変御理解ある、あるいはまた力強い御答弁を賜りまして感謝を申し上げております。今後私どもも努力しなきゃならないと思いますが、国土庁建設省、各省庁皆さん方によろしくお願いを申し上げる次第でございます。  次に、国の行政機関等移転につきましては、先ほど松岡委員質問にございましてお答えがあったわけでありますが、私は、いわゆる東京一極集中を是正をいたしまして国土の均衡ある発展を図るためには、一番有効な手だては大学の地方分散だ、こう思うのであります。この点につきまして、既に国土庁におかれましては昭和五十四年から学園計画地ライブラリーというものを設置をいたしまして、各都道府県から学園立地の希望地を提出させ、これを地方移転を希望する大学に紹介をする、こういうことを積極的に推進をしておられるわけでありまして、この点については敬意を表する次第でございますが、御答弁できる方おられますか。  それでは五十四年以降の学園計画地ライブラリーの成果につきまして御説明願えませんでしょうか。
  29. 三木克彦

    三木政府委員 高等教育機関地方への分散が、分散の大きな決め手であるという点につきましては、御指摘のとおりでございます。  ただいま御紹介いただきました学園のライブラリーについてでございますが、現在までに登録された候補地の数は五百六十ほどございまして、そのうち五十八、いろいろな形ではございますが、お話がまとまって立地をしていただいております。これは大学の関係者しかごらんになれないライブラリーでございまして、ほかの方にはお見せしないということでございますが、かなりの高い成功率ではないかと思っております。     〔委員長退席、工藤委員代理着席〕
  30. 星野行男

    星野委員 ありがとうございました。そういう学園計画地ライブラリーにつきましては早い機会から取り組んでおられまして、重ねて敬意を表しますと同時に、今五十八学園について具体的にまとまった実績がある、こういう実績をお示しいただきまして感謝を申し上げる次第でございます。  実は今、御案内のように非常に子供の出生率が下がってまいりまして、長男長女の時代、こう言われているわけでありますが、この数少ない子供たちが東京の大学その他の学校に就学いたしまして卒業いたします。なかなか今度はそこの東京生活が身についてしまいますので、地元に帰ってこないで、本当に困っているわけでございます。結局、東京に就職されますと、親はいつかまた子供のところへ今度はうちを全部売却をして引っ越してくる、こういうことで過疎が進んでくる、こういうパターンにもなるわけであります。  私は、そういう意味で、多極分散型の国土形成を進めていく上で、このような大学の地方分散をもっと積極的に推進をする必要がある、そのように痛感をいたす次第でございます。今の国土庁のお仕事については敬意を表しますけれども、ただその紹介だけでこれから進めていくのはなかなか難しいのではないか。といいますのは、やはり地方の大学をつくる場合に広大な土地が必要でありますが、今の状況、大抵私立の大学を誘致するとなりますと、土地くらいは地元で買収をし、提供しなきゃならない、これが常識のようでございます。さらにその上に学校施設の建築費の一部を負担するというような事例もあるようでございますが、地方自治体の熱意もさほどというふうに感じられはしますけれども、やはりそれを地方自治体だけに任せておかないで、国の方で何かもっと財政的な支援をする必要があるのではないか。例えば今の私学等の関係で難しい点があるとすれば、自治省でそういう地方自治体の負担については財政需要額に組み込んで交付税措置をするというようなことも必要ではないか、こんなふうに思うわけでございますが、そういうことも含めて何か所見をお聞かせ願えればありがたいと思います。
  31. 三木克彦

    三木政府委員 高等教育機関における大学の学生の状況でございますが、ちょっと詳細で恐縮でございますが、御紹介させていただきたいと思います。  昭和五十年と平成元年を比べた表がございますが、首都圏では四七%から四二%まで下がっております。それから東京都では三八%から二六%へ、二十三区では三四%から一九%へというふうに下がっておるわけでございます。これは首都圏及び近畿圏におきましては、大学の立地を既成市街地につきまして規制をしておる、新増設を認めない、こういうことになっております結果、このような状態になっておるわけでございます。  ただ、地方への立地につきましては、強制的な規制措置ではなくて誘導策を中心に考えておるということでございまして、新増設は主としてこの十五年間地方で行われたはずでございます。また、事実そうでございます。  そういったことでございますが、ただいま先生指摘のいろいろな形での財政的なあるいは行政的な援助につきましては、今後、いろいろな課題がございますが、国土庁としては地方分散の立場から前向きに取り組んでまいりたい、このように考えております。
  32. 星野行男

    星野委員 ありがとうございました。ひとつ十分前向きにお取り組みをお願い申し上げる次第であります。  最後に、時間がもう少しございますから、土地税制につきましては、現在、土地基本法を踏まえまして政府税調の小委員会検討中というふうに承っているわけでありますが、私、地方行政をかつて経験した中で、一つは優良宅地についての譲渡所得についての控除が千五百万ですね。千五百万じゃ今の土地の値段からして非常に少ないので、優良宅地の譲渡所得に係る控除をやはり引き上げる必要があるのではないか。  それからもう一点。公共用地の取得に当たりまして土地を買いに行きますと、金はいいから代替地を出してくれということで、ところがその代替地の控除がこれまた千五百万なんですね。だから、その代替地の控除も引き上げる必要があるのではないか、実はそんなことを痛感をいたしてございます。  この点につきまして、今税調で検討中ということでございましょうが、何か御答弁いただけたら御答弁を承って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  33. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 土地税制の総合的な見直しにつきましては、御指摘のとおり、現在政府税調の土地税制委員会検討が進められておりまして、私どもも土地対策の現況に対するヒアリングを中心に、二回にわたって御説明申し上げたわけですが、その中で、土地対策観点から税制が果たすべき役割として、土地が資産として有しております有利性をできるだけ減殺していく、そうして投機的取引や仮需要を抑制するということ、それと、法人、個人を通じて税の公平を確保する、利益の一部を社会に還元していただくこと、それと、有効利用促進する、こういう三つの観点があるのではないか、そういう観点からひとつ積極的に御審議をお願いしたいとお願いしたわけですが、先生がただいまおっしゃいました収用あるいは土地有効利用促進、そういう観点からの税制というのは非常に重要な役割を果たすと思います。  現在、収用事業につきましては、一年限りで三千万円から五千万円特別控除という措置が講ぜられておりますが、そういう措置及び優良な宅地開発等にかかわる特別控除の引き上げ、そういう点につきましても、私どもも建設省等と連携をとりながらいろいろ検討しておりまして、そういうところと協議しながら、私どもも積極的にお願いすべきものはお願いしていくという考えでおります。  代替地の問題につきましても、非常に重要な問題でございます。特に土地に対する執着心が非常に強い中で、公共事業を進める際には都市部、地方部を問わず代替地が要求される、そういう情勢でございますので、代替地の取得につきましても譲渡所得税の問題その他について、私ども検討をさらに進めさせていただきたい、そういうふうに思っております。
  34. 星野行男

    星野委員 どうもありがとうございました。終わります。
  35. 工藤巖

    ○工藤委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十一分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  36. 工藤巖

    ○工藤委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため、その出席がおくれていますので、私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。小松定男君。
  37. 小松定男

    ○小松委員 日本社会党の小松定男です。  質問通告に従いまして、今日の異常な状態にあります土地並びに地価問題を中心にして、若干の意見を述べながら質問させていただきたいと思います。  今、まじめに働いても一般の庶民はなかなかマイホームは手に入らない、そしてまた国会においても、あるいは世論調査によりましても、土地問題というのは一番大きな課題だと言われておりますが、この土地問題あるいは地価問題については政治が今まで相当な責任があると思いますし、とりわけ歴代政府のとってきたやり方については、特に私は問題がたくさんあったんじゃないかということを反省を込めて大臣にお伺いいたしたいのです。  土地問題、地価問題が最近特に問題になりましたのは、列島改造の田中内閣から始まりまして、中曽根内閣の民活、そしてまた今日進められております土地の行政に対するさまざまな問題から、このような異常な状態を迎えてまいりました。したがって、そうした問題についてこれまで進めてきたけれども、一向にこの地価問題、土地問題が進んでいないということに対する認識をどういうふうに大臣は考えているのか。あわせて、今地価が高騰になっている原因についても、どうしたことでこういうふうになってきたと認識しているのか、まずこの点をお聞きしたいと思います。     〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 小松先生にお答えします。  三つの問題点があったと思いますが、まず第一番に、地価が高騰いたしましたことによりまして、わが国の社会経済に重大な四つの点で問題を引き起こしていると思います。一つは、大都市勤労者の住宅取得が困難になっているということです。その次は、資産格差の拡大による不公平感の増大、それから社会資本整備の必要等が大きな問題だと思っております。そんなことでございまして、こうした地価高騰等に伴う住生活の貧困が国民の間に豊かさの実感が乏しいことの大きな要因となっておるということでございまして、土地問題の解決は現下の内政上の、先生指摘のとおり最重要課題であると認識しております。  そんなことでございまして、国土庁としては地価高騰に対して今までいろいろな手を打ってきました。第一番に、総合土地対策要綱によります住宅宅地対策、あるいは土地税制の問題とか金融機関等に対する指導の問題、あるいは土地税制の活用等いろいろやってきましたけれども、御指摘のとおり、なかなかはかばかしくないのが現状でございます。そんなことでございまして、これからどうするかということでございますが、投機的取引等、不要不急の需要の抑制とかあるいは住宅宅地供給促進とか土地税制の見直し、そんなことを含めまして、特に土地税制につきましては、土地資産の有利性を減殺するとか、あるいは個人と企業、法人との不公平感を是正するとか、そんなことを含めてこれからもやりたい、このように思っているわけでございます。  そんなことでございまして、東京土地が急騰いたしましたのは、先生もちょっと御指摘ありましたことでございますが、事務所用地の増大、そんなことがリンク、回転しまして、それに金融緩和という背景によりまして土地が高くなってきたわけでございます。  そんなことで、現在やっておりますのは、土地政策につきましてはいろいろな政策が必要だと思っております。例えば宅地供給の問題とかあるいは土地税制の見直しの問題とか取引規制の問題、そういう形の中に実は首都機能移転の問題等がいろいろあるわけですが、今できる方法とすれば、金融の総量規制の問題とかあるいは税制の問題、取引規制の問題、特に監視区域強化等をいたしまして地価の安定に努力したというのが現状でございます。  ただ、先生も御高承のとおり、皆さん方の御理解と御協力を得まして、昨年暮れに土地基本法を制定いたしました。これで実は公共福祉優先の原則が打ち出されたこと。それからもう一つは昨年暮れに土地対策関係閣僚会議を開きまして、今後に実施すべき重点項目を決めた。これは御存じのことでございますが、大都市地域における宅地供給促進とかあるいは税制の見直しとか国公有地の活用、投機の抑制、そんなことを踏まえて、今までと違いまして土地基本法ができたということ、それともう一つは、現内閣の最重要課題ということで取り組んでいるというようなことでございまして、できるだけ国民の要望にこたえるように頑張っておるということでございまして、今後とも御理解と御後援をお願いする次第でございます。
  39. 小松定男

    ○小松委員 土地基本法の問題については後ほど質問をしてまいりたいと思いますが、この問題、今までいろいろとそれなりの対策を講じながら一向に成果が上がっていない。これは私だけじゃなくて、国民のほとんど大多数がそういうふうに感じているのじゃないかと思います。  私がなぜこの問題を最初に聞くのかと申しますと、今度これだけ土地問題が大きく論議をされていてもさっぱり成果が上がらないというようなことでは、国民もどうしようもないということにもなるし、また働く意欲もなくなってしまうということもございますので、そういった立場においてこれは真剣にこれからも議論しなければならないことだということをまず最初に指摘をしておきたいと思うのです。  そこで、この問題については国土庁だけじゃなくて大蔵省にも聞きたいわけですけれども、きょう大臣も来ておりませんので、後でまた税制問題にも関連してお聞きします。  これは国土庁並びに建設省の人にお聞きしたいのですが、マイホーム、住宅をつくるにいたしましても、今から十数年前でしたらば大体年収の五年分くらいで、あるいは場所によってはそれ以下でも、そんなに大きいうちでなければ建ったと思うのですけれども、その辺は今、よく七年分とか八年分とか言われておりますが、大体どのくらいと認識をしているのか。  それから、家賃については収入の二〇%くらいが限度だろうとかいろいろ言われておりますが、この点についてどういうふうに考えているのか、まず伺っておきたい。
  40. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 お答えいたします。  現在、京浜地区でございますが、首都圏で売り出されておりますマンションあるいは建て売り住宅の平均価格は大体どれくらいかということでございますが、六十三年に新規に売り出されました平均価格を見ますと、マンションでは四千七百五十三万円、建て売り住宅では五千八十五万円となっておりまして、それぞれ首都圏のサラリーマンの平均収入から見ますと、年収の七倍あるいは建て売りでは七・五倍という数字になっております。これはその年に新規に売り出された平均価格でございますので、かなり遠隔の、通勤時間が一時間半前後かかるようなところが多いと思いますが、そういうふうな数字になっております。  また、マイホームを建てる場合に、収入のどれくらいの割合であれば妥当と考えるかということでございます。これはいろいろな考え方があろうかと思いますが、住宅ローンの支払い限度を考えますと、おおむね世帯収入の二五%くらいが限度ではないかと言われておるわけです。例えばこれを首都圏に当てはめますと、京浜地区の勤労者の平均年収が七百十一万円ということでございますので、おおむね年収の五、六倍程度、額にしまして四千万程度が限度ではなかろうか、そういうふうに考えております。
  41. 小松定男

    ○小松委員 今大体そのくらいが妥当だというのですけれども、私は埼玉の所沢に住んでおるのですが、東京はもちろんですけれども、首都圏の中でも四千万円で買える価格というのは、マンションで、かなり狭いところで、また駅から相当離れたところでも四千万ではちょっと入らないということが現実ですね。  ですから、この前も海部総理が住んでいるところは億ションだと言われておりますが、そういう実態で、そういうふうに考えてはいるんだけれども、実勢の価格、要するに手が届かないということが現実ではないかというふうに考えているのです。そうなりますと、当然それに対する対応もしなければならないのですが、その点の認識をどういうふうに認識するのか。もうこうなってしまったのだから、首都圏は、今言ったようにもう四千万くらいで買えない。もうそれ以上だから、住めないからもっとどこかへ行けということなのか。それで仕方ないということなのか。今買えないという現実を見た場合に、その点どういうふうに理解したらいいのか、ちょっとその点も……。
  42. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 今首都圏におきましても、都心から比較的遠隔の埼玉県あるいは千葉県、茨城県あたりでは、まだ地価の上昇傾向が続いております。そういう中でございますので、何とか早く地価上昇傾向を鎮静化させなければいけない。鎮静化させましても、御指摘のとおり既に極めて高い地価水準になっておりますので、これを総合的な手だて等を加えながら適正価格水準に持っていくというのが土地対策の大きい目標であろうと思います。基本法でも、目的の一番大きい柱に、適正価格の実現ということが掲げられておるわけでございます。  ただ、では当面どうしたらいいかということでございますが、やはりますます外延的に都市が広がり、通勤時間が遠隔化する。またそれを避けようとすれば、比較的狭い、居住水準レベルを落としたような居住を強いられるということにもなりかねないと思います。  そういう状況でございますので、住宅宅地対策供給促進する中でできるだけ適正な価格のものを供給できるように、その際、持ち家だけではなしに、公的、民間を含めた賃貸住宅の拡充その他も図りながら住宅のニーズにこたえていく工夫をしなければいけないのではないかと考えておる次第でございます。
  43. 小松定男

    ○小松委員 そういうような状態で、例えば埼玉でもそうですけれども、もう個人のマイホームというものはまず難しい。もしそれが購入できるとすれば、企業とかいろいろなそういうところが買っているのが現実の姿になっているわけです。したがって、私はこの点で強く求めるのは、庶民が、勤労者が買える価格にしていかなければならない。そうでなければ、これは幾らやったって、手の届かないところでやっているのではどうにもなりませんので、その点を強く指摘しておきたいと思うのです。  それからもう一点、今度は賃貸住宅の家賃の場合ですけれども、首都圏状況を見ますと、親子で住むとなりますと、十万円以下ではほとんどございません。同時に、これを借りるにいたしますと、大学の入学金じゃないけれども、まず相当まとまった金がないと一家が住めるようなそういう住宅は借りられないというのが現状です。また、駐車場の問題とか共益費の問題とかいろいろあります。そうしますと、今サラリーマンの収入が年収たとえば五百万にすれば二〇%で十万円ですが、それにいろいろなものがつきますと、先ほど二五%くらいが基準という話でしたが、それ以下の所得の人だって相当いるわけです。ですから、そういう限りにおいては家賃の問題も、借家の者から見ると大きな負担になっているのです。ですから、この点もぜひひとつ考え合わせて対策を立ててもらいたいと思うのです。  そこで、今、土地基本法の問題について大臣も触れられましたが、私は土地基本法理念といいますか、いろいろとこれを読んでみましたが、確かに土地利用の公共の福祉優先ということがうたわれております。ただこれも、こういう表現の仕方というのは、また運用の仕方でもってどうにでもなると思うのです。大体、この土地利用については、そういう発想というのは本来もともとあるべき姿なんで、今さらこれが出る出ないの問題じゃない。  ただ、そこで私が聞きたいのは、この土地基本法がこういうふうにして成立をしたけれども、これについての土地理念といいますか考え方、要するに私権を相当制限する、そういう土地基本法なんだよということで理解していいのかどうか。この点、まず伺っておきたいと思うのです。
  44. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 お答えいたします。  先生御承知のとおり、憲法では二十九条で、財産権の内容は、公共の福祉に適合するように法律で定めるとなっておりまして、土地基本法二条の公共の福祉優先の規定は、この憲法二十九条二項の考え方を敷衍した土地理念の総則であるというふうに考えております。  ただ、具体的に、ではどういうふうなことを意味しておるのかということでございますが、基本法では二条以下、幾つかの理念を規定しておりまして、一つは適正な土地利用が図られるべきだということでございますが、これはやはり土地については所有よりも利用を重視すべきだ、そういう観点からその土地が所在します地域の自然的、社会経済的、文化的諸条件を考えまして、それに見合った適切な利用が実現されるべきだ。さらに、そういう条件に適した土地利用計画が策定され、そういう計画に基づいた利用が望ましいというのが、一つ目の具体的な理念じゃないかと考えております。  また、土地は投機の対象とされてはならないということが決められております。  さらには、土地の価値の増加に伴う利益、土地の価値の増加はその多くは社会経済的な要因、例えば公共事業の実施、そういったことに伴って増加する場合が多いわけでございまして、そういう社会経済的要因に伴う変化に伴って増加した利益については適切に負担する、社会に還元する、こういうのが土地については公共の福祉が優先するという内容ではないかというふうに考えております。したがって、そういう意味合いにおきまして、土地に関する私権につきましてはそういう観点から相応の制約が課されてもやむを得ないのだ、そういうふうな理念だと理解しております。
  45. 小松定男

    ○小松委員 もともと土地というのは利用しなければ意味がないわけですね。ですから、そういう意味では利用権を重視するというのは当たり前なのですけれども、私は、この土地問題というのは、資本主義社会あるいは社会主義社会、それぞれいろいろと国の違ったところでありますけれども、そういう意味の解釈ではこれは成り立たないのじゃないかという気もしているのです。要するに、自由主義、資本主義経済の中でのこと、あるいは社会主義経済の中でのことという、そういう分析の仕方でこの土地問題というのは、だから今度のこの基本法もそういう立場から出てきたのかな、そのくらいまで踏み込まないと土地問題というのは解決しないよということでこういう土地の憲法と言われる基本法が出てきたのかなという意味では、一面ある程度期待もしながら見たのですが、どうもこれも何かあやふやな意味にとられることがあるような気もして仕方ないので、そういう聞き方をしたのです。私は、この土地基本法のねらいは土地が公共のものだ、あるいは福祉を優先するのだということが大前提ということについて、これからももう少し議論を詰めなければならない問題があると思っております。  そこで、今度の土地基本法、こればかりやっていると時間がなくなってしまうのであれですけれども、土地基本法のねらいの中に、先ほどのことに関連しますが、今の土地基本法で進めていった場合に、これだけ地価が高騰してきて、これを抑制するねらいなのか、あるいはそうではなくて、さっきから言っているように、これによって庶民の人たちが住める、そしてまた手にも入る、そういうふうにすることまでのねらいを考えての土地基本法なのか、この点もあわせてちょっと伺っておきたいと思うのです。
  46. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 基本法基本的なポイントに関する御質問でございますが、土地基本法第一条の目的にもございますように、あくまでも適正な土地利用の確保を図りつつ適正な地価の形成を図るというのが大きな目的でございます。そのために土地については、土地の特性にかんがみ、公共の福祉を優先する、そのために適正な利用あるいは土地計画に従った利用をしなければならないとか、投機等の対象にしてはいけない、あるいは利益については適切な社会還元をするのだ、そういうふうな思想が盛り込まれておるわけでございまして、この基本理念に従って国、公共団体は施策を具体的に講じていかなければならないことになっております。  具体的には、土地利用計画を詳細な計画として必要に応じて充実していくとか、あるいはその計画を実現するための土地利用に関する規制とか事業の実施とか、さらには取引につきましては投機を抑制するための規制とか、そういった措置を講じながら施策を進めるということになっておるわけです。  また、これは四党修正で入れていただきました計画実現のための事業の一環、施策の一環として、需要に応じた宅地供給促進するということになっておりますので、そういう施策を総合的に実施する中で適正な地価形成を図っていくというのが基本法の目的だと考えております。
  47. 小松定男

    ○小松委員 これは言葉の使い方で適正、適正とこう言うのですが、私らから見ますと、どうもこの適正という言葉に問題があるような気がするのですね。適正というのは解釈のしようでどうにでもとれちゃうのですね。私は、そうではなくて、要するにこの土地基本法ができたならばこういうふうに目標として持っていきますよということをもっと具体的に聞いているつもりなんです。今適正という言葉が相当出ましたが、そうではなくて、その適正の中にぜひひとつ本当に庶民が持てるような適正価格に、あるいは適正な土地にしてもらいたいなということなんですが、ひとつそういうことでやってもらえませんかね。
  48. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 適正価格というのは非常に抽象的な言葉でございますが、通常、平穏な時期におきましては正常な需給関係に基づく価格というのが適正な価格だ、自由経済体制のもとではそういうことだと思います。  ただ、現時点のように投機、投資等が非常に横行している中で形成されている今時点での価格というのは、必ずしも適正な価格とは考えられないと思います。やはり収益に見合った価格とか、あるいは最終需要者、エンドユーザーの取得能力に見合った価格、そういうものが適正な価格ではなかろうか。これは人によっていろいろ解釈が違うかもしれませんが、私としてはそういうふうに理解しているわけです。そういう目標に向かって具体的な施策推進するというのが重要ではないかと考えております。
  49. 小松定男

    ○小松委員 この問題でいつまで議論してもしようがないのですが、今度の基本法の中に、先ほども説明がありましたように、監視区域強化するという、これが載っております。ところが、この監視区域が今いろいろと制約があるわけです。例えば二百平米以上とか、あるいは地域によってはだんだん広げるような傾向にはあるのですが、しかしながら今の監視区域の方式というのは、裏をかくと幾らでもごまかせる仕組みにも一面なっていると私は思うのです。ですから、監視区域を設けるのであればむしろそういう制限などというものは撤廃してしまった方がかなりいいのではないかと思うのですが、その点どういうふうにしたらいいと思いますか。
  50. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 監視区域の指定の面積お話でございますけれども、先生御承知のように、監視区域制度といいますのは私人の取引関係に対します直接統制でございまして、その意味では一般の国民に負担をかけるという性格の制度でございます。したがいまして、そのための行政効率、どの程度の統制をすればどの程度の効果が上がるかということとのバランスの上で面積等も考えられるべきであろうと私ども考えておりまして、それぞれ地域の取引面積の通常の姿といったようなものから届け出面積の下限というものが具体的には決まっていくのだろうという考え方をとっております。  ただ、各自治体におきまして実際これから監視区域をやっていただく場合に、とにかく時期を失しなく、後手に回らないような運用が極めて大切でございますので、私ども、これからの問題といたしましては、各自治体が運用いたします際の目安となるべき基本的な指針等につきまして早急に検討いたしましてお示しするというようなことで適切な運用を図っていく必要がある、かように考えております。
  51. 小松定男

    ○小松委員 この監視区域ですが、この点についてこういう問題が、例えば今二百平米という問題が出ましたが、これを百平米で二回したらそれについては該当しなくなるのでしょうか。
  52. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 取引の目的が同一でございますれば、二回に分割いたしましてもそれは届け出の対象になるということでございます。
  53. 小松定男

    ○小松委員 これは実際に各自治体でそういうことをやっていくわけですけれども、ただ、各自治体の意見を聞きますと、土地基本法にも財政の裏づけも一応載ってはいるのですけれども、これをやるにはどうしてもそれだけの人員の配置をしてもらわないとできないということも現に言われているわけなのですよ。ですから、各自治体としてはこの監視区域を仮にかなり強化するにしても、それなりの人員の配置がないと困るということも言われているのですが、この点については当然考えていかなくてはならない問題だと思いますので、この点については別に、ほかに進みますのであれですけれども、ひとつその点も十分に考えの中に入れて財政上の裏づけとしてやってもらいたいと思います。  次に進みます。  今度は建設省なのですが、建設省が今度いわゆる東京圏で三千六百ヘクタールの土地宅地に変更できる、少なくともこの二分の一ぐらいはできるだろうということを打ち出されたようですけれども、約十年間で百万戸の供給は可能だと発表されておりますが、実際にそれをやるにはいろいろな障害もあると思うのです。建設省がこの問題について具体的な構想を打ち出したということで、一方では期待もしているのですけれども、一方ではなかなかそういっても無理じゃないかというような気もしないわけではないのですが、この点についての具体的構想について伺っておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  54. 五十嵐健之

    ○五十嵐説明員 お答え申し上げます。  先生質問首都圏でのいわゆる住宅百万戸計画ということでございますが、東京圏の勤労者が、先ほどの国土庁からの御答弁にもございましたように、なかなか手が届かなくなったという状態に対しまして、この十年間に百万戸の住宅供給したいというのが基本的な考え方でございます。  それで、どういうのが対象かということでございますが、中所得者あるいは低所得で家族をお持ちの方々が入れるようにということを念頭に置きまして、今特に首都圏等では、家族向け、ファミリー向けの住宅、賃貸住宅が特に足りないわけでございます。そういったことなどを念頭に置きまして供給をしていきたいということでございます。  具体的には、先日、大都市地域における住宅地等の供給促進に関する特別措置法の一部改正案、それから都市計画法及び建築基準法の一部改正案をお出ししたところでございます。それから、今御審議中の平成二年度予算案におきましても、大都市地域における優良な住宅供給事業あるいは農地活用の住宅供給事業等々の助成措置を盛り込ませていただいているところでございます。  こうした新しい制度、それから従前のいろいろな制度も、この住宅宅地供給に関しますいろいろな制度がございますので、それらを総合的に重点的に投入することによりまして、この十年間に百万戸という課題に挑戦し、成果を上げたいと考えている次第でございます。
  55. 小松定男

    ○小松委員 この点については、せっかくのそうした構想ですから、ぜひ実現に向けて努力していただきたいと思います。  そこで、私は今度は大蔵省の方にちょっとお聞きしたいのですが、今日のこの異常な地価の高騰の起きた大きな要因の中の一つに、銀行の過剰融資の問題があります。これは既に今まででもたしか四十七兆円ぐらいの融資がこの土地問題でされていると言われておりますけれども、この点について大蔵省からこれまでも再三自粛勧告なり通達が出されてきたと思うし、またそういうふうに発表もされております。  しかし、私どもがいろいろ聞くところによりますと、それでも各金融機関あるいはその他保険会社もそうですけれども、なかなか言うことを聞かない、むしろこんないい商売ないのじゃないかということがささやかれてきたというのが実情だと思うのですね。したがって、私はこの土地に対する過剰融資が今日のこういう状態を迎えた罪のかなり大きな一つを持っていると思うのですが、そういった点で大蔵省としてこの問題についてどういうふうに金融機関なりに対して指導してきたのか、この点をひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
  56. 小山嘉昭

    ○小山説明員 お答えいたします。  金融機関土地関連融資につきましては、これまで投機的土地取引等に係る融資を排除するために個別ヒアリングと称します、実際には個別の行政指導でございますが、行ってまいっております。この考え方は、小松委員が先ほどおっしゃられましたように、土地利用されていなければいけない、これを金融的に表現いたしますと、実需じゃない仮需に金がつくという状態は、利用されていないでいたずらに地価だけが上がる、こういう状況として表現されるわけでございます。これは、個別の案件に即しまして、投機的土地取引という事柄に対して融資を厳に抑制するということで個別の指導をしてまいったわけでございます。その効果につきましては、これは個別の案件でございますから集計するのは困難でございますが、昭和六十二年から実施しておりまして、さすがに金融機関の融資の中で投機的取引に手をかすというのはもうほとんどないと私どもは認識しております。  そのほかに二つルートがございます。一つは、金融機関金融機関の関連会社を通じて融資をしている、これも一つのルートでございますが、これも金融機関指導いたしますとかなり直ってくる面がございます。これは相当進んできておると思います。  三番目のルートがノンバンクなんでございますが、リースとか信販とか、銀行を取り巻く貸し付けを業とするいろいろな専門の金融会社がございます。銀行に対する指導を強めますと結局そういうところが活躍し始める。これは預金をとっておりませんので公共性がないわけでございますが、したがって、法律もない世界でございます。そういうところの融資残が大変広がったという状況がございます。したがいまして、私どもとしましては、法律的に十分な根拠を持つものではありませんけれども、ノンバンクに対しても銀行局長名で、投機的な土地取引に対する融資は厳に慎んでもらいたい、こういう要請を行っておるわけでございます。  こういう状況で今までの行政をやってまいりましたけれども、現在の状況を見ますと、やはり金融機関土地融資が全体の融資の伸びに対してかなり上回っている状況があるわけです。それがたとえ仮需でなくて実需であろうともかなり量が多いという現状がございますので、ことしの三月二十七日に総量規制と言われます量的に銀行融資の増勢を制限していく、こういう施策を新たに打ち出したわけでございます。  これはどういうことかといいますと、金融機関土地関連融資につきまして、金融機関の融資全体、これは鉄鋼業とか造船業とかいろいろなものへの貸し出し全体に対しまして、不動産業等に対する貸し出しを均衡のとれた水準にしてもらいたい、したがって、その増勢を総貸し出しの増勢以下に抑制するように金融機関に求めることとしたわけでございます。あわせまして、当面不動産業及び建設業、ノンバンクの三業種に対します融資の実行状況を計数で徴求をいたす、こういうことにいたしております。この量的規制、ここまでまいりますと、仮需に加えまして実需まで影響をさせることをねらってきてそこまで踏み込んできたという状況でございますけれども、昭和四十八年、列島改造論のころの地価の高騰でとられました措置以来十七年ぶりに、この措置を実施しておるわけでございます。四月から四半期ベースでやっておりますので、とりあえずことしの四—六月の数字に私どもは注目いたしております。  以上でございます。     〔委員長退席、小杉委員長代理着席〕
  57. 小松定男

    ○小松委員 もう一つ大蔵省の方にお聞きしますが、今、企業、法人の土地の資産といいますか、これの帳簿価額を差し引いたいわゆる含み益が四百三十四兆と言われておりまして、一九七〇年当時に比べると十二倍くらい上がっている、そういうふうに言われているわけです。今企業にそれだけの含み益があります。そこで、これは私が調べたのですけれども、例えば新日鉄の君津製鉄所三百八十万坪、今含み資産が三兆円。これはもう今ではもっとになっているかもわかりません。川鉄にしても三百四十万坪、含み資産二兆四千億。こういうふうに大きい企業を幾つか調べてみましたけれども、それだけの含み資産になっているわけですね。そうしますと、そういうところに対する課税といいますか、それなども当然、これだけ膨大な含み資産になっておればそれに対する数%ぐらいの税をいただいても決して不公平ではないのではないかというふうに思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  58. 河上信彦

    ○河上説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘ございましたように、法人の所有する土地につきましての含み益につきましては、数字の報道あるいはその課税のあり方等につきまして、いろいろと御意見、御議論があるところでございます。  この含み益に対します課税につきまして、政府税制調査会は従来からの答申におきまして三つの問題点を指摘しておるところでございます。  第一は所得課税としての観点からの問題でございますが、含み益はあくまで時価で評価した金額とそれから簿価の差額でございまして、まだ益としては実現していない、未実現のキャピタイルゲインである、ここら辺をどう考えるのか、こういう点でございます。  二番目が、保有課税としてどう考えるかという観点でございますが、現在、保有関係につきましては固定資産税等がございまして、ここら辺との関係をまたどう考えていくのか、こういう問題がございます。  それから三番目の問題の指摘といたしましては、経済活動に関連する点でございますけれども、生産活動に使われている土地、こういったものに対しまして課税することが企業活動に一体どのような問題を及ぼすのか、ここら辺を考えなければならぬのではないか、こんなような御指摘がございました。  こうした点に加えまして、含み益でございますから古いときから土地を持っている企業にとりましてはその含みの金額が大きくなる、最近土地を買われた企業につきましては含み益はそう大きくない。この含み益ということに着目して課税をするということになりますと、どうしても古くから土地を持っておる法人に対する税負担が大きくなる、こんなような問題点もまた指摘されておるところでございます。  こうした企業の土地保有に関します問題につきましては、先生がこれまで御指摘のとおり、最近の地価高騰、非常に大きな問題でございまして、土地対策観点ということに加えまして課税の公平といった面からもさらに一層検討すべきだと私ども考えておるわけでございますが、御案内のとおり、税制調査会におきまして土地税制委員会が設けられておりまして、鋭意審議を続けてきております。私どもは、こうした審議を当面見守らせていただきたい、このように考えておるところでございます。
  59. 小松定男

    ○小松委員 この土地税制の問題については、これはまた保有税の問題などもありますが、この点については、昨日ですか、部屋に帰りましたら日経連の方から、今度のこの土地税制問題についての見解というのが文書で出ておりましたけれども、これなどを見ていると、やはりもう既に、これは法律やその他で、国会で議論が始まっていますから、かなり厳しくやられるのかなということを想定して、何とかしてそれを日経連なりの言い分でやっております。私はこれはやはりそういうことではなくて、今のこの不公平税制の問題からしても、もうそれだけのとにかく含み資産というのは莫大にあるわけですから、これはやはりそうした企業もある程度は、相当泣かなければならない、泣くというよりも吐き出してもらわなければならないということを考えているのですが、そういうことを含めて、ぜひこれはひとつ厳しく強く対処していかなければならないと思っております。
  60. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 先生にお答えします。  今の税の問題につきましてですが、実は政府税調の小委員会国土庁は三つのポイントを中心にお願いしてございます。  その一つは、土地の資産としての有利性を減殺するということで、投機とか仮需要を抑制するということが第一点でございます。その次には、個人、法人を通じて税負担を公平にするということ、三番目は、高度利用をお願いするということでございます。それとともに、取得、それから保有、譲渡、各段階におきまして積極的な税の見直しをお願いする、特にこういう点についてお願いしているわけでございます。  特に、実は今まで先生から御質問がありましたが、三つの点ですが、簡単にちょっと御報告したいと思います。  適正な地価というのは、非常に難しい問題だと思っております。具体的基準はわかりませんが、先生の御指摘のとおり、勤労者が住まいを持てるようにするのが適正な地価だ、私はこのように考えてその努力をしたい、こう思っております。  第二番目の監視区域でございますが、この点につきましては実はこの間も地価の高騰しておる地域、各府県知事、政令市長、皆呼びましたときに、要点は財源の負担でございました。監視区域強化した場合、例えば三百平米から百平米にした場合に、三百平米の場合は捕捉率が一五%ぐらい、百平米としたら五〇か六〇%ぐらいかかる、財源負担と人の問題が大変だということがございまして、この意味におきましては総理ともよく相談しまして、十分かどうかわかりませんが、財源の負担をするということにつきまして大蔵省あるいは自治省によくお願いしてございます。  また、特に人の問題で専門家が必要なものですから養成が大変でございますということがございまして、この辺を含めて地方自治体に若干のあめでございますが、その辺を含めて、要望に沿うように努力しているということでございます。  それからもう一つ、実は金融の総量規制でございますが、非常に難しいのです。大蔵省、よくやっていただいておりますが、実態はなかなか難しい。今二つの問題がございまして、例えば金融機関に企業が借り入れ申し込みをした場合に、不動産で融資をお願いするのは疑問な点がございます。それからもう一つは逆に、今各企業とも非常に内容がいいものですから、お金が余っている、銀行に返したいと思うが、銀行は返すのはやめてくれとこう言う。企業とすれば返したいのですけれども、返した場合に次にやはりかなり金融が厳しくなったときに銀行取引をしてくれない、こんな点もございまして、その金をどうしたらいいかということ。そのためには遊ばせておくわけにはいかないということで、土地を買ったりするというようないろいろなケースがありますが、国土庁は実は情報が非常に不足しておるわけです。  そんなことがございまして、実は一番いいのが監視区域のとき、面積のほかに取引の実態、特に資金計画が出れば一番いいのです。  例えばお互いに土地を買う場合に、今百万、二百万ではございません。何千万、何億の場合、当然どこか金融機関にそのお金ができるかどうかをサウンドしないと土地は買えませんね、個人で何千万、何億持っている人はおりません。そうしたら、一億のものを買う場合に、では二千万自分が持っておる、あるいは株を売るとか八千万金を借りるとか、この資金計画が出ると、国土庁で金融の総量規制ができるのです。例えば何々銀行は幾ら貸していると、年間百二十万件取引がございますが、把握はできるわけです。これが実は予約売買が国土法違反になるのです。だから、この辺を含めてどうするかを今検討しております。これをしないと、大蔵省はよくやってくれていますけれども、それはなかなか難しいわけです。それから、実態はなかなかつかみにくい。  そんなことでございまして、ここまでやらないと、本当の総量規制はできにくい。こんなことで今何かいい方法はないかということで検討させておりますということを、ひとつ答弁したいと思います。よろしくお願いします。
  61. 小松定男

    ○小松委員 私はぜひひとつ、この問題については、今の一つは不公平の是正をするためにも、それからまた、いろいろとそのことによって住宅がスムーズにいくような形も一面とってもらいたい、強力にこれをしてもらいたいということでいろいろ質問したのです。時間もあと五分程度しかありませんので、いろいろと質問したいことはたくさんあるのですが、前に進みます。  実は今まで、市街化区域の中でも、これは農地の宅地並みとも関係するのですが、例えば区画整理をやります、そして駅ができます、できてもその前が依然として大根一本ぐらい植えてあるというような、あるいは大したものがなくても、もう駅からそれこそ五分以内のところでもそういうところがまだまだ首都圏の方にあります。そういうことに対して、やはり宅地並み課税というのが今いろいろ問題になっておりますけれども、その点について、確かに、宅地並み課税をやったから、では土地がそれだけ放出できるのかということになると、これはいろいろと論議のあるところなんです。  しかし、この点については大きな矛盾ですから、やらなければならないものはやらなければならないと思うのですが、そういった点で私が特に指摘したいのは、そういう下水道も道路も全部整っている、にもかかわらず、いまだにまだ建物ができないということで、これは値上がりを待っているとしか見られないのですけれども、そういうところに対する指導の仕方というか、もちろん、これからの宅地並み課税の方策によっては、これがある程度は土地がいろいろと動いてくるのかという気もしないわけではないのですが、そのあたり、どういうふうにしたらいいか、ちょっと……。
  62. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 お答えいたします。  市街化区域内の農地を適正にかつ有効活用いたしまして、それが優良な住宅宅地に向かうようにするということは、土地対策あるいは住宅対策上極めて重要な問題であろうというように考えておりまして、総合土地対策要綱あるいは昨年十二月に申し合わせました重点実施方針でも、その方向というものについては明確にされているわけでございます。  ただ、その場合、保全する農地とそうでない農地との明確な仕切りというものと、それをどういう形でどのくらいの計画年次でやっていくかということにつきまして、地元自治体それから関係者による意思疎通というのが極めて重要であろうというように私どもは考えております。ただいま御指摘のございましたそういう都市基盤整備等とあわせます計画的な宅地化に結びつくような利用ということについて、これからも鋭意関係省庁と連絡をとりながらやってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  63. 小松定男

    ○小松委員 時間もありませんので、最後に一つだけ質問したいと思うのです。  これは前回、私ども土地勉強会をやったときにも資料で出ていましたが、今の土地の評価をめぐって、要するに一つ土地が四つの評価であらわされている。いわゆる一物四価ということですけれども、例えばこれは杉並の例ですが、同一土地が一平方メートル当たり現在の実勢価格が百三十万として、国土庁で公示価格が百万、それから大蔵省でこれの路線価が六十万、それから自治省が出しているのでは十万。実勢価格と実際の評価の仕方がこのように十万から百万まで分かれているわけなのです。  この点については、将来一本化しないといろいろな面で、行政もあるいはいろいろなところで問題が出ているような気がするので、この点についてはどこへ、国土庁にした方がいいのか、大蔵省にした方がいいのか、自治省にした方がいいのかわかりませんが、縦割り行政の中でなかなか一本化は難しいのかなというふうにも言われているのですが、その点はどうなのですか、それだけ一つ
  64. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 ただいまの公的土地評価の点でございますけれども、先生指摘のように、私ども国土庁及び都道府県でやっております地価公示あるいは都道府県の地価調査と申しますのは基本的には取引の指標としての価格というものでございますし、固定資産税あるいは相続税の評価といいますのは課税の標準としての評価というものでございますので、例えば課税の場合すぐそれを売りたいといってもそういう取引価格では売れないといったようなこと等々がございまして、これを完全に一致させるというのはそれぞれ制度の目的からいって非常に難しい問題があろうというように考えております。  ただ、この問題につきまして非常に国民の間にわからない、わかりにくいというような声があることも事実でございまして、私どもそういった国民の信頼を高めるためにも、それぞれの評価制度についての意味、内容、それからそれぞれ相互間の適正化あるいは均衡化を図る努力というものは引き続きやっていく必要があろうというように考えておりまして、昨年成立いたしました土地基本法の御議論の際にも、国会におきましてもそういう御審議というものをいただきまして、公的土地評価につきましては相互の均衡と適正化に努めるという方向で、これからも努力していくという方向でやってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  65. 小松定男

    ○小松委員 以上で終わります。
  66. 小杉隆

    ○小杉委員長代理 斉藤一雄君。
  67. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 個別の問題に入る前に二、三基本的な考え方をお聞きをしておきたいと思います。  その一つは、異常な地価の高騰、その原因がどこにあるのかということと関連するのですが、自然発生的に地価が暴騰したのか、つまり需要供給のアンバランスというような形でこうなっているのか、それとも政策に起因をしてきているのかということについて、まずお伺いをしたいと思います。
  68. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 斉藤先生にお答えをいたしますが、地価の高騰につきましてはことしの国土庁地価公示価格でも全国で一七%アップということでございまして、東京都内はやや安定しておりますが、首都圏では二〇から三〇%値上がり、特に大阪は五七%の値上がりということでございます。その理由につきましては、一番基本は金融の緩和という背景があると思いますけれども、東京におきましては事務所用地の増大、これとリンクしまして住宅地需要、そういうことに投機その他が加わって地価が上がった、こう思っております。それから、大阪におきましては東京との割安感がございますが、関西新空港を含め大規模プロジェクトが軒並み並んでいる、そういう形の中に期待感がある、こんなことで上がった、こう理解しておるわけでございます。  そういう形の中で、先ほどの小松先生のときも申し上げましたけれども、あらゆる努力をしました。宅地政策税制を含め努力しましたけれども、その努力が十分であったかどうかというと、これは必ずしも十分でなかった、そんなことも一つあったということが地価の高騰の原因だった、このように理解しておるわけでございます。     〔小杉委員長代理退席、桜井委員長代理着席〕
  69. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 土地問題というと土地住宅問題というふうに言われるわけですね。そういう意味では住宅問題でもある、こう私は思うのですが、大臣はその点はどうお考えですか。
  70. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 先生御存じのとおり、土地というのは国民の限られた資産でございまして、これをどう生かすかということは国土利用計画法で非常に大きな問題でございますが、一般的には、土地といいますれば住まいの問題、こう理解するのが常識ではないかと思っております。
  71. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 私は、国公有地は国民の共有財産であるという認識をしているのですが、その点は大臣はどうお考えでしょうか。
  72. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 先生の御指摘のとおりだと思っています。
  73. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 そこで、土地利用という場合に、東京でいいますと都市計画ということにつながってくるわけですけれども、土地利用という問題と環境を保全するという問題、これはお考えになったことありますか。
  74. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 お答えします。  先生も御存じのとおりでございますが、四全総の中に、一極集中を排除しまして多極的分散国土をつくる、そういった形の中には、豊かな住みよい地域をつくるということの中に、国土というのは国民の限られた資源ということで、いかに有効に使うかということの中に特に自然条件には配慮するということを明記してあるわけでございます。
  75. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 今、地球の環境保全ということが国内的にも国際的にも大変大きな問題になっているのですが、国土利用といった場合に、地球環境の保全に寄与する国土利用について、大臣何かお考えになったことあるでしょうか。
  76. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 お答えします。  特に今、地球環境の問題は世界的な大きな問題でございまして、世界に貢献する日本としてこれにどう寄与するかということで海部内閣も挙げて努力しておるわけでございますが、そういう意味におきましては、そういう配慮を特にすべきであると考えております。
  77. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 一口に国土と言った場合に、例えばどういうことを想起されるでしょうか。
  78. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 実は私、日本の国土というのは狭いなという感じがしておるわけです。三十七万七千平米でございまして、有効利用できる面積は非常に少ない。したがって、率直に言いますと、ヨーロッパ、例えばフランス等へ行きましても、面積はそう違いありませんけれども、いかに有効利用できる面積が多いかということでございまして、日本の国土というのは山が多く丘陵が多いものですから利用面積が少ないな、そこに現土地問題も土地の異常な高騰もあるんだ、こんなことで、国土と言うと、日本にもっと利用できる土地があるといいなという感じがいつもしているわけでございます。
  79. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 山あり川あり住宅があり緑あり、国土と言う場合に、今大臣もおっしゃったように、すぐに我々は肌で感ずるわけですね。  そこで、個別の問題に少し入っていきたいと思うのですが、先ほども小松委員から質問があったのですが、私は東京の人間なものですから東京土地問題と地価問題ということで御質問するのですけれども、なぜこれほど異常な高騰になっているのか。先ほども大臣からお話ありましたけれども、一つには、中曽根元総理のいわゆる民間活力の導入という方針ですね、これが決定的に影響しているというのが私の認識なんですが、この点については大臣はどうお考えですか。
  80. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 お答えします。  私は、基本的に地価の高騰というのは、狭い島国で約三%の土地に多くの人口が住んでおるというところに基本的問題があると思います。それと、もう一つは、やはり東京一極集中ということがございます。  実は、私は、先般ドイツに参ったときにボンにちょっと寄りました。そのときに感じたのですが、ボンをなぜ選んだかといいますと、アデナウアーという首相がボンの近くにおったことがございますが、あのとき首都をどこにするのか、フランクフルトと競合したわけですが、フランクフルトは金融とか商業の中心地である、もっと過密にしてはいかぬということがボンを選んだ大きな理由なんですね。  そういうことがございまして、それには一体どうするか。私は、東京一極集中の中の一番大きな問題は、政治的決断をする必要があるんじゃないかと思っています。それは、首都機能の移転とか国会移転とか、そんなことを思い切ってやらないと土地政策はならぬと思っているわけで、そんなこともございまして、現在の土地高騰についてはそういう理解をして、お耳に入っていると思いますが、政治的配慮政策的配慮をどうするかということを含めて土地対策をやるべきじゃないか。ただ単に土地政策ではなかなか難しいなというのが私の実感でございます。
  81. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 経団連の指摘でも、東京一極集中の進展が首都圏における異常な地価高騰を惹起させている、こういうふうに言っているわけですね。  そこで、なぜ東京への一極集中が強まったのでしょうか。
  82. 田中正章

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  委員指摘のように、昭和五十年代後半以降、東京圏への人口集中と、それから高次都市機能一極集中というものが進展しているわけでございます。このことは、昨今の我が国の経済社会の国際化情報化、こういった流れの中で、東京の金融機能でございますとか情報機能等、こういった役割が拡大してまいりました。また、産業構造も変わってまいりまして、ソフト化とかサービス化、こういったものの進展がございまして、東京のいわば業務管理機能の比重が大変高まってきた。こんなような経済社会の構造変化に由来するものではないかというふうに見込んでいるわけでございます。  また、こういった東京一極集中の一方で、地方圏におきましては産業構造の急激な転換の過程で構造不況に陥っていった地域が多く見られたというような背景も影響しているのではないかというふうに見ておるわけでございます。
  83. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 東京の臨海部開発は、御承知のとおり総事業費が四兆円ですね。その経済の波及効果というものは十兆円と言われているわけです。そういうことになってきますと、ただ単に国際化とか情報化に起因するんだというだけではなくて、やはり大企業も東京集中してこざるを得ない、また、してくる、こういうことをもたらしているという事実から私はそう思うのですが、その点についてはお認めになりますか、それは影響ないとお考えですか。
  84. 田中正章

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  確かに東京一極集中というのは先ほど申し上げた事情で生じてきてるわけでございまして、これに対しまして私ども国土庁としては、地方部の振興とかあるいは東京の圏域の中での適正な整備ということを行ってきておるわけでございます。そういった過程の中で、東京圏東京圏として果たす、また、四全総の中でも申し上げておりますが、世界都市機能的なもの、こういったものの秩序ある整備ということもまた一方で必要であるといった形で施策推進している、こういう状況でございます。
  85. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 できるだけ簡潔に答えてもらって結構なんです。  それでは関連して、現在東京では、東京駅周辺の再開発あるいは汐留駅跡地の再開発ということが問題になっているのですが、結論的に言って、現在どういう検討が進められていますか。
  86. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 東京駅の再開発の問題でございますが、これは駅周辺約二十ヘクタールの土地につきまして、JRを含めまして関係省庁で協議会を設けて再開発の方向を一応検討いたしております。中間的な概要は出ておりますが、最終的な結論はまだ出ておりません。  それから汐留の方でございますが、これにつきましては、清算事業団の処分委員会の方で方向が出ておりまして、それを受けまして、今後、都市計画、各整備の施行地区とか再開発地区計画といったものを逐次進めていくという段階にございます。(斉藤(一)委員「例えば、どういうことが結論として出ていますか」と呼ぶ)例えば、東京駅の再開発に関連いたしましては、国際化情報化に対応する新しいインテリジェントビル、これを需要に対応しなければいけないということで、業務関係の構想が中心でございます。それから汐留の方も、やはり商業業務ということでございますが、東京都サイドの要望としては多少住宅系も入れるということで用途の内容が検討されているところでございます。
  87. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 御承知のように、東京都庁の新宿移転計画に基づいて現在建設が進められているわけですが、新宿周辺の地価がこの四、五年大きく変動しているのではないか。私どもも前に新宿の地上げの実態を調査したことがありますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  88. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 東京区部の土地の価格につきましては、先ほど来先生の御質問にもございましたけれども、発端は東京都心の業務地の上昇から始まっておりますけれども、上昇のピークは六十一年、六十二年ごろでございます。最近は都心部は若干の低下ないしは落ちつきを取り戻しておりますけれども、周辺よりも遠く離れたところにまだ予断を許さないような動きがございますので、これからも十分監視をしていく必要があろう、かように考えております。
  89. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 最近都心区、特に三区を初め私がおります世田谷区とか目黒区でも定住人口が減少しているんですね。なぜ減少していると思いますか。
  90. 田中正章

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、東京都区部を取り上げますと、その人口というのは昭和三十九年以来一貫して減少してきておるわけでございます。それから、その中でも例えば都心の三区、こういったようなところにつきましては減少の割合というのが相対的に大変高いというような実情にございます。  このような都心部の定住人口が減少した直接の原因というのを明確に言えと言われましてもなかなか特定というものはできませんが、傾向から私ども見ますと、例えば都心部から埼玉、神奈川、千葉、周辺三県への転出が非常に多いというような傾向が見られます。こういったことから考えますと、一つには都心部への業務機能の集中等の過程の中で、持ち家志向、そういったものの背景もございまして人口の周辺部への外延化の動き、そういったものが生じているのではないかと考えているところでございます。  以上でございます。
  91. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 土地が手に入らない、あるいは住まいも高家賃でなかなか借りられない、あるいは例としては地上げで追い出された人もたくさんいる、再開発で追い出された人も大勢いる、中には、鉄とコンクリートの町にだんだんなってきているわけですから、日照被害を受けたり、あるいは騒音の被害だとか大気汚染、空気が悪いというようなさまざまな理由はあると思うのですが、私はこの三点に集約できるというふうに考えているのです。そういう見方が間違っているかどうか、お答えいただきたい。
  92. 田中正章

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、何がというようなことを私ども統計的なものを扱って調べていく過程でなかなか特定するというところまでは行っておりません。したがいまして、先ほど申し上げましたような……(斉藤(一)委員「全くわからないのか、理由が」と呼ぶ)数字等を調べてその傾向を……(斉藤(一)委員「数字を聞いているんじゃないんだ」と呼ぶ)
  93. 桜井新

    ○桜井委員長代理 ちゃんと手を挙げてからやってください。
  94. 田中正章

    ○田中説明員 そういうことでございますので、委員が御指摘したようなこともあるいはあるのかもしれませんが、そういったことが複合的にいろいろとあるのではないか。ただ、私どもとしては、先ほど答弁いたしましたように、数字的な傾向から見ると外縁部への転換というものがあって先ほどの答弁のようなことで申し上げた次第でございます。  以上でございます。
  95. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 具体的に質問をしているわけだから、見解の違いはあってもいいですよ。皆さんと私たちの見解が同じだなんて思っていないわけだから、違うんなら違いますとはっきり言えばいいんだ。  それでは次に、地価高騰を抑制するために設けられたいわゆる監視区域、規制区域というものがあるわけです。この運用の中で規制区域はどういうふうな運用状態になっていますか。
  96. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 現在の国土利用計画法がつくられました当初、四十九年には規制区域と全国的な大規模の土地についての届け出制度という二本の制度があったわけでございますが、今般の地価高騰に対応いたしまして、規制区域はなかなか発動要件が難しいということで監視区域という制度を導入いたしておるわけでございます。これは六十二年からでございますが、これにつきましては、知事が定める一定規模以上の取引につきましてすべて届け出制にしていただきまして、価格審査それから利用目的を審査させていただく、こういう制度でございまして、これは六十二年の八月以来逐次拡大してまいっております。規制区域につきましては、発動の検討というのを当時やったことがございますけれども、現時点において発動している例はございません。
  97. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 規制区域制度というものを設けていて発動していない、おかしいじゃないですか。発動しにくいというのは、何のために設けたのです。
  98. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 規制区域という制度は、国土利用計画法にも書いておりますけれども、地価が著しく高騰し、かつ投機的取引が集中している、そういうところにつきまして全取引を許可制にするという、大変統制そのものといった制度でございまして、それの地域経済社会に与える影響といったものが大変大きな制度でございます。  したがいまして、それを発動する要件というのも非常に厳しくなっているわけでございますので、なるべく機動的、弾力的に対応できるような制度ということで、国土利用計画法の改正をいたしまして監視区域制度というのを導入いたしたわけでございまして、私ども、この監視区域の指定というのが後手にならないようにということで、この監視区域の運用というのを極力弾力的に行うことによって対応いたしたい、かように考えているところでございます。
  99. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 自治体では、仮に監視区域制度の運用に当たっても人員も非常に少ない、あるいは経費も国の負担がないというようなことで非常に困っているわけですね。この点についてはどうお考えですか。
  100. 鎭西迪雄

    ○鎭西説明員 監視区域の運用の経費につきましては、限られた財政事情の中ではございますけれども、私ども財政当局と協議いたしながらできる限りの対応を今までやってまいってきております。ただ、この財政面のほかに、委員ただいま御指摘のございましたように相当知識経験を有する恒常的な職員というのを一定期間張りつける必要があるということで、これは地元の自治体に大変御苦労をお願いしているものでございまして、先般来大臣が直接知事、政令市長さんと何回かに分けて会われたときも、率直に御意見を交換したときに、そういう要望が非常に出てまいっております。  したがいまして、私ども財源面もさることながら、こういう相当知識経験を有する恒常的な職員がちゃんと配置できるように、自治省等関係省庁とも十分相談いたしながらこれからも努力していく必要があろう、かように認識しております。
  101. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 地価がどんどん高騰してきて現在は高値安定だからということじゃなくて、土地問題が非常に難しいということはお互いわかっているわけだから、やるべきことはきちっとやるという姿勢をぜひ進めてもらいたい。これは要望しておきます。  次に、法人が持っている未利用地ですね。これはどのくらいございますか。
  102. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 国土庁が資本金一億円以上の民間法人に対してアンケートによりまして「企業の土地取得状況等に関する調査」を四十八年ごろから実施してきております。一番新しい平成元年三月末時点の調査結果によりますと、これは絶対面積ではわからないのですが、法人の所有する事業用土地の未利用地の割合は六・二%でございまして、そのうち利用予定時期について具体的計画があるものの割合は二二%ということであります。また、同じ時点におきます販売用土地に占める造成、整地等の工事に着手していない、いわゆる未着手土地の割合は四五・八%でございまして、そのうち造成工事等の着手予定時期について具体的計画があるものの割合は四二・五%というようなことになっております。
  103. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 今もお話がありましたけれども、いわゆる具体的な計画を持っていない、土地だけを持っている。何のために持っているのかということですね。この点おわかりになる範囲でお答え願えればと思います。
  104. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 これは私どもの推測になるわけですが、恐らく遠い将来の事業に備えてという手当て買い的なものもあろうかと思いますが、また資産保有的な観点から、先々キャピタルゲインを期待して保有しておるものも相当あるんじゃないか、そういうふうに推測しております。
  105. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 先ほども小松議員から質問ありましたように、そういうことですから、もちろん時期の問題とか、すべてがすべてではないとか、それは資産課税をやらない理屈を考え出そうと思えばいろいろあると思うのですけれども、これはやはり公平、公正な税制という面からいっても、このぐらいは断固たる決意で、大臣、やるべきじゃないかというように思うのですが、含み利益の問題についてもそうですし……。
  106. 佐藤祐弘

    佐藤国務大臣 お答えします。  先ほど土地局長も説明したと思いますが、政府税調小委員会におきまして三つの観点から国土庁は主張してございます。その一つは、土地の有利性を減殺するということでございます。その次には、今先生指摘のような、個人と法人との税負担の公平を期するということです。それともう一つは、高度利用化する。こういう観点から、取得、保有、譲渡、この各段階で積極的に税制の見直しをお願いしたい、こんなことをお願いしているわけでございます。
  107. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 最近経団連なんかが主張しております中で、例えば都市計画、建築規制上の規制緩和、中身は御承知のとおり、容積率の割り増しであるとか、あるいは高さ制限の緩和であるとか、市街化調整区域の宅地開発の促進であるとか、再開発事業の促進というようなことが述べられているわけです。この中に、市街化調整区域の宅地開発の促進、具体的な項目で主張されているのですが、これについての基本的なお考えございますか。
  108. 瀬野俊樹

    ○瀬野説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、大都市地域における逼迫した住宅宅地需給というものに対応するためには、市街化区域内における適切な供給策の推進が必要なことは当然でございますが、あわせまして、調整区域における計画的な宅地開発というものも適切に促進をしていくことが必要かというふうに認識しております。しかしながら、こういった計画的な宅地開発を推進していくに当たりましては良好な居住環境の形成ということが担保されなければいけないことは当然でございまして、そういった観点から、私どもといたしましては、調整区域の宅地開発の許可をするに当たりましては、十分に周辺の状況、例えば公共施設の整備状況でございますとかあるいは周辺の土地利用との調和とか、そういったものを十分勘案して対応するようにということで指導をしておるところでございます。
  109. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 具体的な手法としては、特定街区なんというのがあるわけですが、これが昭和六十三年の三月末で見ますと全国で七十八地区ですか、東京の区部だけで半数以上、四十六地区ということなんですね。特定街区一つとりましても、東京の改造計画がいかに進んでいるか、一極集中が進んでいるかということがわかるわけであります。また、総合設計制度というものもございます。これが全国で九百三地区ということになっているわけですが、こうした制度自体が私から言わせれば周辺の地価の高騰を招いている、結果としてですよ、というふうに思うわけです。  したがって、一番最初に申し上げたように、土地問題、住宅問題、ただあいている土地住宅さえどんどん建てていけば土地問題は解決するんだとか地価が下がるんだといったような漠然としたことじゃなくて、需要供給がアンバランスがなくなるんだといったようなことじゃなくて、東京都民は、一番最初に申し上げたように日照を奪われたりあるいは風害に遭ったりというようなことで大変住みづらい町になっている、鉄とコンクリートの町にされている、都民が人間として住めない町になってきている、これが一極集中の具体的な姿なんですね。  ですから、そういう観点から、一番最初大臣もお答になりましたけれども、都民が人間として住めるような町でなければ、これは町と言えないわけですよ、自然を破壊したりしたんでは。私はそう思うわけです。いま一度この点をお聞きしておきます。
  110. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 確かに土地有効利用を図る際には、他の用途から宅地への土地利用転換を図るにしましても、現在利用しております宅地をさらに高度利用する場合にも、そういった環境問題あるいは周辺への地価の影響、そういったものも総合的に考えながら進める必要があると思います。ただその場合、やはり住民の意向等も反映した土地利用計画のもとに整々と進めていくということが大切と思いますが、そういう計画の中で、先生がおっしゃるようなそういうもろもろの配慮を十分加えていくべきだというふうに考えております。
  111. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 この種の問題でどうしても反省してもらわなきゃならないのは、かつて問題になりましたリクルートコスモス社、具体的に言いますと、神奈川県の川崎駅前の再開発で自社ビルをつくって大変なぼろもうけをしたわけですね、そして事件になったわけです。  このリクルートコスモス社というのは、一口で言ってどういう業者ですか。
  112. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 私も巷間伝えられているところを耳にしておる程度でして十分承知してございませんが、当初就職情報の仕事をし、それから、今現に我々時々活用させていただいておりますけれども住宅情報誌、さらには不動産事業、そういった事業を手広くやっておられる、そういう企業だと認識しております。
  113. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 地上げ屋なんですよね。有数な地上げ屋ですよ。そして、川崎の駅前の再開発ということで都市計画にのっとってやったわけですね。  あそこの土地は初めはどこの土地だったのですか、そして、どういう手法でビルをつくって金をもうけたのでしょうか。簡単でいいですから教えてください。
  114. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 御指摘のかわさきテクノピアの工場跡地でございますが、これは明治製菓が持っていた工場跡地につきまして、公団とそれから興和不動産が買って、特定街区という方式によって六十年五月に川崎市が県知事の承認を得て決定したというふうに聞いております。
  115. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 一番最初にも申し上げたとおり、特定街区の実績で見ると、東京都区部だけで四十六地区、全国で七十八地区。そして、この特定街区の手法で地上げ屋であるリクルートコスモス社が大変な金もうけをした。決してこの手法を手放しで、需要供給のアンバランスをなくすための特定街区であるとか、再開発をやれば住宅がふえるのだとか、そんなこといかないのですよ。ですから、列島改造あるいは東京大改造というようなことを言って都民が追い出されて、企業だけがそれを金もうけにしているということを私は指摘しているわけですね。そういう点についても十分お考えいただきたい。  ついでのことなので、リクルートコスモス社、かつて昭和六十一年の一月に宅建法違反で建設省から指導を受けていますよね。それはどういう違反だったのですか、簡単に説明してください。
  116. 小林満

    小林説明員 お答え申し上げます。  同社は昭和六十年六月から九月にかけて東京都内の土地取引に関し建設大臣が定める手数料の額を超えて徴取したということで、宅建業法に抵触する行為があったとして六十一年二月十二日に指示処分を行っております。
  117. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 都心区の日本橋、新宿、青山というようなところで地上げをやって、その手数料をもらって、宅建法違反で指導を受けている。紙切れ一枚で、こういうことをやってはいかぬよと注意しただけですね、違いますか。
  118. 小林満

    小林説明員 この指示処分は紙切れ一枚の処分というものではございませんで、業法に基づく処分でございまして、会社の経歴に以後ずっと残るという非常に厳しい処分であると考えております。
  119. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 僕はそのことを紙切れ一枚と言っているのですよ。仕事ができなくなったとかいったわけじゃないですね。これも、都心三区の地上げを初めとした要するに地価高騰の一因になっているのですよ、リクルートコスモスだけじゃありませんけれども。ですから先ほど来私は申し上げているわけですね。そういうことを全部否定なさいますか。いま一度だけ質問いたします。
  120. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 都心地域における再開発を通じまして高度利用が進む中で地価が上昇するという傾向は、それは事実であると思います。  地価といいますのは、先生もよく御承知のとおり、収益性、土地生産性といいますか、そういうものの上昇に伴いましてやはり変動するものだと考えておりますが、ただ、それを進める際に、従前の居住者あるいは周辺の都市環境、そういうものと十分調整をとりながら慎重に進めていくということが大切じゃないか、そういうふうに考えております。
  121. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 先般、東京都は用途地域の見直しをやりました。第一種住居専用地域で見ますと一三・七%減らされたわけです。近隣商業地域で見ますと二〇%ふえている。このことについてどういうふうにお考えになりますか。第一種住居専用地域が一三・七%減少している、近隣商業地域が二〇%増加している。どんどんそういう傾向を強めていった方が木造三階建ても建てられるし、近隣商業地域にしておけば四階でも五階でも六階でも建てられるから、住宅をふやすのでは大変結構な話なんだ、こういうことでしょうか。
  122. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 先生指摘のとおり、先回の東京都の用途地域の見直しで第一種住居専用地域は一三・七%減ったわけでございます。私ども、基本的に公共施設の整備状況等を踏まえながら都市計画上の規制について適宜見直しをするということは必要だと思いますが、その際、先生先ほどからおっしゃられておりますように、やはり都市環境の確保、安全性、防災性、そういったものについて配慮しなければいけない。  今回、第一種住居専用地域が二種の方に切りかわりましたその区域、これは環七以内が大部分でございますが、その場合でも、例えばこれは区画整理済み地である江戸川区、これが大部分、約四百ヘクタールぐらいで、区画整理済み地について切りかえた。その他の地域につきましては、都市環境の確保という観点から、詳細土地利用計画である都市計画との結びつき、そういう組み合わせで規制緩和をしているということでございまして、決して都市環境、安全性、防災性、そういうものを無視してやっているわけではございせん。     〔桜井委員長代理退席、工藤委員長代理着席〕
  123. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 今お話にも出ました特に環七以内は第一種住居専用地域を減らしていくんだ、なくしていくんだということをおっしゃった、今の総理大臣じゃないのですけれども、おりましたね。御存じですか。
  124. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 中曽根内閣の時代にそういう方針が示されたわけでございまして、東京都としても、東京都知事の方向としても基本的に見直しをしようじゃないか、そういう基本方針を立てた上で今回の用途地域が見直されております。しかし、結果的には今言いましたように区画整理済み地とかあるいは地区計画との結びつき、そういう限度においてとどまった、なかなか地域住民の理解が得られなかったということでございます。
  125. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 つまり、中曽根一九首相の政策によって環七以内の第一種住居専用地域が減らされ、そして近隣商業地域政策的にふやされてきたということなんですよ。これは紛れもない事実なんですね。そういうことが、もちろん一因としてですけれども地価の値段をつり上げてきているんだ、そういうことをしっかり踏まえていただきたいというふうに思うわけです。  それでは、市街化区域内の農地の宅地化問題について質問したいのですが、考え方としては継続的に営農の意思のあるものを保全する農地というふうにおっしゃっているのでしょうか。それから、片や宅地化する農地、こういうふうに線引きしていくんだ。いい悪いは別として、区分の仕方としては理解できます。そこで、ただ、保全する農地の規定としては市街化調整区域への編入というお考えが出ているのですね。これはできますか。
  126. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 保全する農地につきまして、通常の場合には先生指摘のとおり生産緑地地区という市街化区域のままで保全すべき農地としての位置づけ、これが一般的だろうと思いますが、場合によっては市街化調整区域への編入もあり得るであろう。これは先回の市街化区域、市街化調整区域の全国的な見直しの際にも、実は市街化区域が六万九千ヘクタールぐらい拡大しているわけでございますが、逆線引き、市街化区域の周辺にあったまとまった農地が全国で約六千ヘクタールぐらい調整区域に逆編入された例もございます。したがいまして、実際上もあり得る、ただケースとしてはそう多くは期待できない、そういうことだろうと思います。
  127. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 そこで、今もお話があったように、調整区域に編入をすれば永続的な農地として確保できるかどうかということになりますと、これはまた問題があるのですよ。つまり、初めに質問いたしましたけれども、経団連の主張のように将来は調整区域の宅地化、再開発ということを言っているわけだし、皆さんの方もそういう考え方なんですね。保全すべき農地を調整区域の中に編入しました。しかし、その調整区域自体を開発していこう、宅地開発を促進していこう、規制も緩めていこうということになりますと、どだい分母がもうおかしくなるんですね。その点はどうお考えですか。     〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕
  128. 近藤茂夫

    ○近藤説明員 市街化調整区域ということになりますと、これは基本的に市街化を抑制すべき区域ということでございますので、そこでの開発はやはり抑制される。恐らく調整区域編入時点において、また農林サイドのいろいろな例えば農振地域的なものが指定されるという、その組み合わせによっても開発は抑制されることになるかと思いますが、ただ市街化調整区域であってもいろいろな、例えば大規模区画整理事業を前提にしてその組合を設立する、その同時並行的に、つまり公共施設整備との計画も相まって、また乱開発のおそれもないというような調整を経た上で市街化区域に編入して開発をする、そういうことは当然予想されることだろうと思います。
  129. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 時間も余りないのであれですが、国公有地の問題、先ほども大臣答弁で、これは国民の共有財産である、私の認識と全く同じであるというお答えがございました。そうであるとするならば、国公有地については少なくとも地方公共団体に先買い権を与えるべきだ、これを他の民間団体その他に貸し付けるとか払い下げるとか第三セクターをつくってやるとかというようなことは、今日の土地問題がこれだけ全国民的な問題になっておればなっているほど私はそういうように思うのですよ。そういう考え方について、もちろん今までおやりになっていないから私質問しているのですが、基本的にどうお考えになっていますか。
  130. 中山恭子

    ○中山説明員 お話しのありましたとおり、国有地は国民共有の貴重な財産だと考えております。公的部門において活用することを基本としております。国において将来とも利用する見込みのない国有地の処分に当たりましては、公用、公共用優先の原則のもとで、地方公共団体等への優先的処分にこれまでも配慮してきております。  それから、特に大都市地域におきましては、縦合土地対策要綱ですとか今後の土地対策の重点実施方針がありまして、この趣旨を踏まえて住宅建設適地については公共的住宅プロジェクト、それから公営住宅等への活用に配慮しております。今後ともその方針で対処していきたいと考えております。
  131. 斉藤一雄

    ○斉藤(一)委員 少ししっかりやってもらいたいと思うのですね。この時期こそはっきりした態度を示さないと、国民にはわからないと思うのですよ。  関連するのですが、僕も東京に長くいたものですから、東京都の問題だけを具体例として挙げているので、これは一例にすぎないのですけれども、抽象的なことを言っていてもお答えにくいでしょうから、例えば東京の臨海部、ここは都有地が四百四十八ヘクタールあるのです。都民の大変な共有財産があるのです。したがって、私ども社会党としては都議団を通して、ここに四万戸以上建てられるのだから公営住宅を建てなさいということを知事に要求しておるわけです。  先ほど来質問しておるように、この再開発とか、汐留も東京駅の再開発も同じことですけれども、政府と鈴木知事が一体になって進めておるのですが、第三セクターとか大企業に土地を貸し付けるというようなことをやっておるわけです。ですから住宅難がますます増大しておるわけです。都営住宅、公営住宅を建てようと思えば四万戸以上建てられる。それを建てない。そして土地特の委員会では各党が、あるいは行政の皆さんも一生懸命取り組んでおられると思います。地価対策をどうしようか、住宅を建てるといっても福祉施設をつくるといっても土地がないじゃないか、土地がないじゃしようがないじゃないか、こういう議論をしておるわけです。この臨海部の問題は、単に都有地だから東京都の問題ではないのです。国の政策、都の政策が一体になって進んでおるわけです。  ですから、国公有地の問題については、今もお答えがありましたけれども、しっかりこの時期に、土地特で半年、一年かけて議論をする前に、そういう政策をきちっと出せば、一遍にとは言わぬが土地問題の解決に大きく踏み出す、これは与野党を問わず問題の解決に進むことができるというのが私の結論です。意見として申し上げて、終わりたいと思います。  皆さん、どうもありがとうございました。     ─────────────
  132. 野呂田芳成

    野呂田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、参考人の出席を求め意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 野呂田芳成

    野呂田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二分散