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1990-06-13 第118回国会 衆議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月十三日(水曜日)     午前十時十六分開議  出席委員    委員長 上草 義輝君    理事 大野 功統君 理事 鈴木 恒夫君    理事 園田 博之君 理事 前田 武志君    理事 上田 利正君 理事 武部  文君    理事 草野  威君       赤城 徳彦君    金子徳之介君       小林 興起君    古賀 一成君       佐田玄一郎君    中山 正暉君       長勢 甚遠君    吹田  愰君       星野 行男君    真鍋 光広君       村田 吉隆君    森  英介君       森  喜朗君    秋葉 忠利君       伊藤 忠治君    上田  哲君       田中 昭一君    山下八洲夫君       吉岡 賢治君    遠藤 和良君       菅野 悦子君    中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 深谷 隆司君  出席政府委員         郵政大臣官房長 白井  太君         郵政大臣官房人         事部長     桑野扶美雄君         郵政省郵務局長 小野沢知之君         郵政省貯金局長 成川 富彦君         郵政省通信政策         局長      中村 泰三君         郵政省電気通信         局長      森本 哲夫君         郵政省放送行政         局長      大瀧 泰郎君  委員外出席者         科学技術庁研究         開発局宇宙企画         課長      中村 方土君         郵政大臣官房資         材部長     福味  徹君         郵政大臣官房建         築部長     戸田 道男君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     高橋 雄亮君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ───────────── 委員の異動 六月一日  辞任         補欠選任   中井  洽君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     中井  洽君 同月五日  辞任         補欠選任   佐田玄一郎君     古屋 圭司君   長勢 甚遠君     山崎  拓君   真鍋 光広君     光武  顕君   村田 吉隆君     山村治郎君   中井  洽君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   古屋 圭司君     佐田玄一郎君   光武  顕君     真鍋 光広君   山崎  拓君     長勢 甚遠君   山村治郎君     村田 吉隆君   塚本 三郎君     中井  洽君 同月十三日  辞任         補欠選任   小林 興起君     古賀 一成君   佐田玄一郎君     星野 行男君 同日  辞任         補欠選任   古賀 一成君     小林 興起君   星野 行男君     佐田玄一郎君     ───────────── 六月七日  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣提出第四二号)(参議院送付)  簡易生命保険及び郵便年金積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第四三号)(参議院送付)  簡易保険郵便年金福祉事業団法の一部を改正する法律案内閣提出第四四号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  簡易郵便局法の一部を改正する法律案内閣提出第三八号)  放送法及び電波法の一部を改正する法律案内閣提出第三九号)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出第五五号)  郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律案内閣提出第六〇号)      ────◇─────
  2. 上草義輝

    上草委員長 これより会議を開きます。  簡易郵便局法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田利正君。
  3. 上田利正

    上田(利)委員 今回の簡易郵便局法改正につきましては、基本的には賛成でございます。ただ、私ども地方郵便局を視察する中で、とりわけ特定郵便局あるいは過疎地にございます簡易郵便局などへ立ち寄りますと、その中で、国民郵政事業確立のために日夜懸命に職員皆さん方が努力をされております。そういう中で、今度のこの簡易郵便局法の一部改正法案につきまして多少の不安や疑問というものが出されてきておりますので、それらの諸問題につきましてこれから郵政省考え方お尋ねをしたいと存じます。  まず最初に、特定郵便局簡易郵便局の区別の問題でございますが、現在、郵便局窓口は、普通郵便局と呼ばれます大きな郵便局平成元年度で見ますと千二百九十局ぐらいがございます。そして、特定郵便局が一万八千百八十一局、さらに簡易郵便局が四千五百二十三局ということで、合計で約二万四千局あるわけでございます。この中で、局の大半を占めるのが特定郵便局ないしは簡易郵便局ということになるわけでございますけれども、それぞれ、特定郵便局簡易郵便局はどのような考え方設置をされておるのか。この点、まずお伺いをしたいと思います。
  4. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  冒頭、先生現場の実態、職員声等を踏まえて、新しい制度の発足に当たりまして御心配いただきまして、本当にありがたく存じております。  特定郵便局簡易郵便局がそれぞれどういう考え方設置されているかというお尋ねでございますが、郵政窓口機関設置につきましては、郵便法の第一条に規定しております「郵便役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによつて、公共の福祉を増進すること」という趣旨、それから郵便貯金法の同趣旨目的規定がございますが、そういったことに基づきまして、全国津々浦々にあまねく設置することとしておりまして、そのために普通郵便局特定郵便局及び簡易郵便局を全体のバランスを考えながら設置するという方針で臨んでおります。  特定郵便局簡易郵便局につきましては、昭和三十七年の五月にそれぞれの設置基準が同時に定められており、この基準に沿ってこれまで設置が行われてきております。特定郵便局簡易郵便局設置基準についてでございますけれども郵政窓口機関設置については特定郵便局設置することが原則であるけれども、それを補完する制度として、事務量が著しく少ない地域においては特定郵便局設置すれば事業運営上著しく不経済になることから、このような場合には簡易郵便局設置するという考え方に基づいて策定したものでございます。  具体的な設置考え方は次のとおりでございます。  まず、特定郵便局についてでございますが、特定郵便局設置基準、先ほど申し上げましたように、三十七年五月に制定されたのですが原則として局間距離が八百メートル以上、利用区域内の人口が八千人以上という基準設置を行っております。  一方、簡易郵便局についてでございますが、簡易郵便局設置基準が定められておりまして、原則として都市部以外の地域局間距離八百メートル以上、利用区域内戸数二百戸以上という基準設置を行っております。  その結果、今先生から御指摘ございましたような数字各種別郵便局設置されている、そして郵政窓口サービスを提供している、こういうことでございます。
  5. 上田利正

    上田(利)委員 それから、従来、事務量と申しますか取扱量の少ない、どちらかといいますと過疎地域対象として設置されておる簡易郵便局、現存する簡易郵便局でございますけれども、この簡易局が今回の法律改正によりまして大都市においても設置できるというようになっております。そういうことになりますと、特定局簡易局の従来の分野調整を変更するというようなことになっていくのじゃないかと思うのでございますけれども、この点につきましてはどのようにお考えになっておりましょうか。
  6. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  これまで郵政窓口機関設置に当たりましては、郵政事業というのは国がみずから役務を提供する、それを原則としておりますから、特定郵便局設置原則といたしまして、従来型の簡易郵便局は、事務量が著しく少なく特定郵便局設置すると著しく不経済になる、そういった場合に設置してまいりました。  今回の法律改正によりまして、大都市においても簡易郵便局設置が可能となりますが、特定郵便局簡易郵便局との関係につきましては、今申し上げましたような基本的な考え方は何ら変更されるものではないという考え方でございます。具体的には、これまでと同様に大都市においても特定郵便局設置原則であり、現在大都市における特定郵便局設置を図るため挙省体制でその推進に取り組んでおります。  しかし、大都市、特に東京におきまして、非常に増大する郵政窓口サービスに対する需要にこたえなければならない、しかし地価の高騰、スペースの問題でこたえることはなかなか困難でございますので、今度の法律改正をお願いいたしまして、このように郵便局が著しく不足している大都市におきまして、郵便局設置すると著しく不経済になる場合に、設置する道を開こうとするものでございます。  このため、今問題点指摘がございましたけれども大都市型簡易郵便局設置は、特定郵便局簡易郵便局分野調整を行うという特段の趣旨を持つものではございませんで、大都市における郵便局不足の解消に資してお客様の利便の向上と地域社会の振興を図るための重要な手段となる、そういう位置づけをいたしております。  簡易郵便局は、本来郵政窓口サービス普及を図るために特定郵便局を補完する制度としてそれぞれの地域の特性に応じて設置されるものでございまして、大都市設置される場合におきましても、簡易郵便局本来の趣旨と同様に郵便局設置が著しく困難になっている地域に、特定郵便局を補完するために設置する、こういう方針でございます。  したがいまして、大都市におきましては郵便局不足し、窓口が混雑するなど郵政窓口ネットワークが十分機能していない状況にありますけれども大都市型簡易郵便局制度を導入し、今後その拡充を図ることによりまして大都市における郵政窓口サービス充実に資することになると考えております。これによって、大都市を含めた全国郵政窓口ネットワークの機能を全体として維持し向上させ、ひいては郵政事業全体の発展に寄与するものになると考えておりまして、ここに私どもの真意がございます。
  7. 上田利正

    上田(利)委員 今度の法律案を見てみますると、今局長がおっしゃいましたように、大都市におきまして郵便局設置が著しく困難である、本来特定郵便局設置しなければならないけれどもなかなかそういう状況にはない。そういう形の中で郵政事業役務の一層の普及を図っていくために大都市簡易郵便局設置するのだ、こういうことを理由にいたしております、今局長もおっしゃいましたけれども。しかし、この法案法文上は、そういう大都市とかなんとかということは一切触れていないのであります。なぜそういう点が明確にされていないのかというのが一つ。  もう一つは、呼称でございます。たしか昭和二十四年であったと思うのでございますけれども、今まで現存します簡易郵便局法が制定されました。間違っておるかもしれませんが、二十四年だと私記憶しております。今、簡易郵便局はこの法によりまして全国に四千五百二十三局ぐらいがあるわけです。この簡易郵便局と今度できる大都市における簡易郵便局、これはどういうふうに区別するのか、同じなのか同じでないのか、呼称方法も二番目に明らかにしてもらいたい、こう思うのです。
  8. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  まず第一点目でございますけれども大都市型簡易郵便局設置地域につきましては「取扱場所又は取扱時間からみて-経済的である場合に設置することといたしまして、御指摘のように、法文大都市というような地域を直接限定する表現は用いておりません。  その理由でございますけれども、「取扱場所又は取扱時間からみて」経済的である場合という規定の仕方は、現在の大都市属性に着目したものでございまして、大都市型簡易郵便局設置地域を実質的に大都市に限定しているものというふうに考えております。さらにまた、この規定ぶりが将来にわたる社会経済情勢の急激な変化にも即座に対応できる可能性を秘めている、こういうことでございます。  したがいまして、大都市型簡易郵便局につきましては、法律上は、現在大都市で生じている状況が将来地方都市にまで波及することがあれば、そこにおいても大都市型簡易郵便局設置することは可能ですけれども限段階におきましてはそのような客観情勢にはなく、また省としても大都市以外に設置することは考えておりません。  そこで、そのような省の方針につきましては、さまざまな機会とか手段をとらえて明確にしてきたところでございますが、幾つか申し上げますと、まず、この法律案提案理由説明におきまして「大都市において郵便局設置が著しく困難になっていること」を挙げるとともに、前回の当委員会質疑におきましても、郵政大臣それから私から同趣旨答弁を明確に行っています。  また、この法案の根拠となる平成二年度の予算編成の過程で、大蔵省など関係省庁との間で厳しい折衝を行ったわけですが、その段階で、大都市における郵政窓口サービス充実に資するため、大都市型簡易郵便局業務委託方式による小規模店舗設置するということで整理されてございます。  また、各方面でいろいろ御心配する向きがありましたので、私ども年末以来地方郵政局長とか特定郵便局長代表者とか関係労働組合など関係向きに対しても、幾度にもわたりましてこの法律立法趣旨大都市型簡易郵便局設置地域は、郵便局が著しく不足している東京都区、横浜市、名古屋市それから大阪市、そういった大都市に限定する旨を説明してまいりました。このような措置を講じております。  以上のとおり、大都市型簡易郵便局設置地域につきましては、法文大都市というような地域を直接限定する表現は用いておりませんけれども、現在の大都市属性である「取扱場所又は取扱時間からみて」経済的である場合に設置することといたしておりまして、この規定の仕方で大都市設置する旨が表現されているものであり、また、先ほど申しましたように、その旨関係皆さん方に御説明してきたというところでございます。  それから、第二点の呼称お尋ねでございますけれども、まだ正式には法律が施行されておりませんから決めておりませんが、先ほど来私が答弁しておりますように、在来型の簡易郵便局大都市型の簡易郵便局、とりあえずそういう表現を用いております。
  9. 上田利正

    上田(利)委員 局長からの答弁をいただいておりますけれども、その中で大都市設置する、東京とか大阪とか名古屋に限定ということを今言われておりますけれども、先ほどの答弁の中で、地方都市にもこれは言うならば適用することはできるけれども、しかしそのような考え方は持っておりません、こういうお答えもございましたが、私が懸念をいたしておりますのは――この新しい都市簡易郵便局設置することに反対ではございません。  しかし、本来、田舎の過疎地域の中で郵便局がなくて、経済的あるいは生活圏の中でもなければ困るということの中から簡易郵便局法が制定をされました。ある面では採算を度外視しながらもやらざるを得ないという地域もございました。そういう形の中で今度の大都市の、この簡易郵便局法改正されますと、これを地方都市の方にもどんどん必要とあれば導入できる、本来の簡易郵便局設置するということをしなくて、大都市型に全部切りかえていこうじゃないかというようなことにならないとも限らないわけです。  ですからそういう中で、特定郵便局に働いている局長さん以下職員皆さん、あるいは簡易郵便局でやっている受託者皆さんは、どうも我々の領域が侵されてくるんじゃないか、こういうふうな、一生懸命汗水垂らして国民のための郵便事業ということで働いている人々にとっては、やはり労働不安なりその他の問題があるわけでございますけれども、これはもう一度明確に、そういう方にまで持っていくものではないということであるならば、そういう答弁を明確にしておいていただきたいと思う。
  10. 小野沢知之

    小野沢政府委員 先生現場の方々の気持ちを踏まえた御心配の点ですが、この立法の直接責任の局長としてそういったことは毛頭考えてございません、将来、社会経済情勢が激変するような場合は別といたしまして。それを冒頭お答えいたしておきます。  それを少し敷衍して申し上げます。大都市型の簡易郵便局設置地域につきましては、先ほど申し上げましたように、取扱場所または取扱時間から見て経済的である場合に設置するということで、法文上、大都市というような地域を直接限定する表現は用いておりませんけれども、その理由は先ほど申し上げたとおりでございます。  そこで、今御指摘になりましたように、大都市型の簡易郵便局について、法律上は、現在大都市で生じている状況が将来地方都市にまで波及することがあれば、そこにおいても大都市型簡易郵便局設置することが可能なんで、その辺どうかということですが、先ほど申し上げましたように、現段階でそのような客観情勢は全くなく、また、省としても大都市以外に設置することは考えてございません。  それを数字の面から申しますと、こういった大きな制度というのは、予算要求をしてそこで認められて初めて実行されているわけですが、平成二年度予算におきまして大都市型簡易郵便局設置数は、相当厳しく議論、折衝したのですが、初めての制度の導入ということで、先ほど申し上げましたように、四つの大都市対象に十局が計上されているだけでございまして、来年度以降につきましても、私の見通しとしては、そう簡単に急激に増加することは非常に困難だろうと思います。予算上の制約とか受託者の確保とかあるいは各方面との関係等を考えますと、そういったことで、全国各地にこれが普及していくような、設置数がふえるということは難しいというふうに考えております。  そのため、今申し上げましたような郵便局が著しく不足をしている大都市簡易郵便局設置しまして、大都市における郵政窓口サービスに対する需要を充足していくだけでも相当の期間が必要であるというふうに見通しております。したがいまして、大都市型簡易郵便局大都市にのみ設置する方針でありますので、今御指摘いただきました、地方都市特定郵便局で働いている人たちに不安を与える心配はないものというふうに考えております。  なお、将来、社会経済情勢の大きな変化によりまして、大都市型簡易郵便局設置地域地方都市にまで拡大する必要などが生じた場合には、当然のことながら、特定郵便局で働いている人たちに不安を与えることのないよう、特定郵便局長代表者とか関係方面の方と十分話し合って、妥当な結論を得た上で実施していきたいというふうに考えております。
  11. 上田利正

    上田(利)委員 局長答弁で、基本的にこれは大都市だけだということがよくわかりましたけれども、私としましては、やはりこれは大都市に限定するんだということをきちっと、法文上は明記をできないかもしれないけれども、この委員会の中で確認をしておいていただきたいということでございます。  それからもう一つは、大都市におきましても、本来、郵政窓口機関といたしましては特定郵便局原則でなければならぬと思うのであります。特定郵便局原則であって、それを補完をするということですね、局長もさっきおっしゃっておりますけれども。したがいまして、特定郵便局原則であるとするならば、現在の大都市における郵便局不足もあるわけでございます、今度のこの法律案大都市型の簡易郵便局ですべて解消できるわけではございませんから。したがいまして、この大都市における郵便局不足を解消するためには、まず、今後も全力を挙げて特定郵便局設置についても取り組んでいかなければならない、こう思うわけでございますから、この点を明確に私の方で提起をこの際しておきたいと思います。特定郵便局設置をやらないでいいということじゃない。これが本来の窓口機関であるわけですから、これにも積極的に取り組んでいくべきだ、こういうことを明確にしておきたいと思います。  時間の関係もございまして、以上のことだけを申し上げまして、私は、この際でございますから、郵政事業あるいは郵便事業全般にかかわる問題点について、以下、残された時間、幾つかの質問をしてまいりたいと存じます。  まず、先日私のところに連絡がございまして、実は、料金未納、いわゆる切手を貼らないで封書を送ってまいりまして、それが一般の家庭ならばいいのでございますけれども、そうでなくて、言うならば、これがアパートなどで管理人がおるところへみんな郵便物が行くわけです。百世帯あるからといって、それを一々四階も五階も六階までも行かないということで、管理人のところへやる。だから、管理人がそれを見まして、郵便局員が、これは料金未納でございますから支払ってくださいと言って払ったんですね。払って本人に届けに行ったら、もう縁もゆかりもないところから来たものを受け取らざるを得ない。受け取るわけにはいかないと言うと、管理人が、その未納のやつを私が立てかえておきましたということですから、これは払わないわけにはいかないのですから、そういうことで支払う。中身を見たらどうにもならないようなものだ。  あるいは不足郵便というものも時々参ります。個人個人の場合だったらその場で、いや、これは私は受け取りませんとかなんとか言って返してしまえばいいのでしょうけれども管理人がいるようなところはそういうわけにはいかないわけでございまして、ダイレクトメールなどにつきましてもそういう問題がたくさんあるわけです。そして、これはどうしたらいいかということを、この間問い合わせを受けました。こんなものが頻繁に来たらどうにもならぬじゃないかということで実情を説明されまして、これは郵政省の方にも問い合わせてみましょうという形をとって終わったのですが、きょうこの機会でございますから、こういうものの扱いは郵政省としてはどのようにしているのか、あるいは今後どうしようとしているのか、まずこれをひとつ先に聞きたいと思うのです。
  12. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  まず、料金未納または不足する場合の郵便局の取り扱いにつきまして説明させていただきます。  郵便物は、ポスト投函という簡便な方法で御利用いただいておりますことから、料金未納または不足で差し出されるケースがございます。しかし、こういった場合に郵便物を全部差出人に還付いたしますということは、郵便物送達がおくれたりあるいはお客さんに迷惑をかけるという面もありますので、また郵便局にとってもかなり手数を要するということでございます。そこで、このような郵便物のうち、特殊取り扱い、例えば書留郵便物とか内容証明郵便物とか特別送達郵便物とか配達証明郵便物、そういう特殊扱い的なものにつきましては受取人にお届けし、受取人未納または不足料金を納付して受け取ることができる、こういうふうに法令上はなっております。  ところで、料金未納または不足する郵便物につきましては、未納または不足料金受取人に支払っていただくことから、受取人に受け取る意思がおありかどうかという意思の有無を確認の上配達をすることを原則といたしております。  今先生から御指摘いただきましたとおり、料金未納または不足する郵便物受取人の受け取る意思の有無の確認につきましては、アパート等の管理人に居住者の方の郵便物を一括して配達する場合に問題が発生することが時々ございます。法令的には、アパート等の居住者あての郵便物につきましては、居住者が承諾した場合にはアパート等の管理人へ一括して配達することができることになっておるわけです。これは省令でそうなっております。  そしてこの場合、料金未納または不足する郵便物につきましても、居住者から、アパート等の管理人に一括して配達することの承諾を得ている場合には、一括して配達いたしております。しかし、一括して配達することの承諾を得ていない場合には、一括配達を行わず、直接受取人配達することになっておりますけれども、今御指摘のように、アパート等の管理人配達している事例も見受けられますので、今のような事例について遺憾、申しわけなく思っております。  そこで、アパート等の居住者あての料金未納または不足する郵便物で、居住者からアパート等の管理人へ一括して配達することの承諾を得ていない場合につきましては、直接受取人配達するよう従来から指導してきたところでありますが、本日の先生の御指摘を機に、さらに一層指導を徹底してまいりたい、このように考えております。
  13. 上田利正

    上田(利)委員 わかりましたけれども、要は管理人等がおる場合に、実はそこで一括配達がいいと個人が承諾した場合には、それでやりますということですからいいのですけれども料金不足しているあるいは未納、こういうものについてまであらかじめ郵便物不足で来ますよ、あるいは未納でどんどん来ますけれども、あなたいいですか、私のところで預かってどんどん未納料金を払っていていいですかなどという契約は、アパートの管理人対住んでいる人たちでできないはずなのですよ。ノーマルな形の中で、どうですか、いいですよ、管理人さんが持ってきてくれれば、あるいは管理していてくれれば私が帰ってきたときもらっていきます、こういうことなのですよ。未納のものまでというわけにはいかないわけですから、やはりこの辺はそういう不足郵便物とか未納郵便物については、管理人に渡すのではなくて原則として個人のところの承諾を得なければならない、個人のところへ配達するというような方法を何か明確にしないと、こういうものが多くなれば多くなるほど社会的に大きな問題になっていく、こう思いますから、時間の関係答弁は結構でございますが、要望事項だけ申し上げておきます。  それから次の問題は、労使関係の問題でございますけれども郵政事業の経営状況、私も毎年出されますこの郵政全体の損益計算書なども見させていただいております。昭和五十年には二千五百十四億円もの累積赤字を持っておりましたけれども、十年後の昭和六十年度を見ますると累積赤字が七十五億円ということで非常に減ってきております。そして六十二年度からは赤字体質からは脱却をいたしまして、そして昨年、平成元年度の実態を見ますと逆に約四百億近い黒字という形になってきておるわけです。郵政事業はそのような中で、言うならば国民の期待、信頼を受けながらこういう状況に好転をしてきたわけでございますけれども、これにはさまざまな条件があったと思うのでございます。  特に国民の高い評価と信頼を得るようになったのは、労使信頼関係が確立した、そういうものが大きく影響していると思うのであります。一時期は労使対立するというような不幸な時代もございましたけれども、それを労使で見事乗り越えまして労使関係が安定をしてまいってきておる、そう私は思うわけでございますけれども郵政大臣にその点をお聞きをしたいと思うのですが、大臣といたしましては、労使関係の重要性をどのように認識なさっておられるか、この点をお尋ねしたいと思うのです。
  14. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 上田先生指摘のように、事業の発展のためには健全で安定的な労使関係が確立されていなければならぬことは当然であります。特に、郵政事業のように人が中心になるような仕事においてはなおさらのことであります。そうした考えのもとで労使が問題の解決に当たって理解し合って協力していく、最も重要なことでありますが、今日の状態はまさにその方向に向かって進んでくれているな、このように思っております。  これからも労使間で率直に意見の交換を行いまして、より一層信頼関係を厚くいたし、国民のニーズにこたえていくようにしていただきたい、そのために一層協力もいたしたいと考えております。
  15. 上田利正

    上田(利)委員 次に、郵便局員の処遇の改善問題についてお尋ねしたいと思うのでございますけれども郵政事業は、貯金、保険、郵便、この三事業から成り立っておりまして、それぞれ三事業部門は懸命な努力をし、そこに働く職員は汗を流して頑張っておられます。そういう中で努力をいたしておりますけれども、違う点は勤務形態でございます。貯金、保険などにつきましては大体日勤の形態、そういう勤務形態になっておりますけれども郵便局の第一線で働く、郵便事業に働く職員は、事業の特殊性からすべて日勤というわけにはまいらない。したがって勤務形態が、交代制勤務ということをやらなければ郵便配達その他これはでき得ないということ、そういう実態になっております。  したがって、十六勤であるとかあるいは夜勤であるとか泊りを含める深夜勤であるとか、こういうふうな交代制勤務は避けられない、言うならば宿命的なものになっているわけでございます。そしてその郵便事業は、国民の期待にこたえるためにはより早くより正確にこれを家庭やあるいは企業に届けていこう、そういうことをすればするほどそこに働く職員の勤務形態というのは多種多様型になっていかざるを得ないのです。もっと夜区分をしてすぐ朝には配達できるような形、翌日配達制度をとろうとすればそういう形になる。ですから、それを否定するわけじゃない、それはやらなければならない、そういうふうな形の中で国民によりよいサービスを提供しようと本当に汗水流して頑張っているわけでございます。  しかし、それがゆえに、個人の労働条件にとってみますとなかなかきつくなってくる、大変だ、休むこともできない、さまざまな問題が出てくるわけでございますけれども、同じ郵政事業に働いておりましても、貯金と保険と、貯金も保険も重要でやっておりますけれども郵便に働く職員というのは、なおかつそういう勤務形態の中で頑張らなければならない、こういうことになっておるのでございます。  ただ、その場合、私は実態を見ておりまして、年賀郵便の場合あるいは雪が降ったとき、雨が降ったときあるいは大風が吹いたとき、台風が来たとき、その中でもびしょぬれになってやっているわけですね。その姿を見て本当に頭が下がる思いでございますし、また、涙を浮かべるような状態に出会うことがたくさんございます。しかし、それだけ努力をしていながら、処遇の問題がそれに比べると薄いのではないかと思うのでございます。処遇の改善策につきましてどのように考えているのか、その職員の努力の期待にどう報いようとしているのか、この点をお伺いしたいと思います。
  16. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 先生指摘郵便に関する職員のいろいろな事情というのは私どもも十分関心を持っているわけでございまして、労働条件の問題につきましては関係の労働組合とも話し合いをしながら物事を決めていくわけでありますけれども郵便関係職員につきましては、貯金や保険の職員に比べまして、例えば今先生指摘の深夜勤などの勤務がある地域区分局の郵便の内務職員につきましては、一般の職員に比べまして一万円、正確に言えば一万百円、それから今御指摘の普通局外務の職員につきましては一万一千八百円、これは調整額と称しておりますけれども、それの多寡がいいかどうかというような問題はありますけれども、毎月そういう手当を払っております。  また、職員がいろいろ営業努力をして小包やレタックスなどを勧奨して売り上げを伸ばしていく、こういう職員に対しましては、その販売実績に応じまして郵便販売促進手当というものを払うようにいたしております。  それから、これは本年度の予算において措置されておる内容でございまして、内容は労働組合と今後話し合って決めていく問題でございますけれども、その日のうちに完全に郵便配達いたしましたり、当日の内務作業を完全に処理いたしたり、つまり業務の正常連行の確保に努めてくれた職員に対しまして何か手当をというか、それに報いることができないかというようなことも、ことしの予算で原資が取れておりますので、これは今後の問題でございます。  また、これは郵便関係だけではございませんのですけれども職員一般についてでありますが、昨年の四月に新しい主任制度というのをつくりまして、今まで一般職員が役職につくのは二十年ぐらいかかっていたのでございますけれども、そういうことを言わずに、十年ぐらいの職員の経歴がある人たちにはひとまず主任ということにしようじゃないかということで、昨年の四月二十四日に郵便局のベテランの職員約十万四千人を一挙に主任という役職及び名称を与えまして、月にわずか五百円でございますけれども、主任手当というのをつくりまして職員の士気を鼓舞する一つの方策を実施したようなわけでございまして、御指摘のような先生の御心配につきまして我々も十分考えていかなければいけないと思っているところでございます。
  17. 上田利正

    上田(利)委員 時間がございませんから、二、三人事部長にお聞きしたい問題がございますけれども、とにもかくにも人事面につきましても、今主任の問題などもお話しいただきました。私が現場を見ましても、地域を回っていれば必ず郵便局がどこにもございますから、常に寄っていくのでございますけれども、あれだけ苦労しておるけれども、なかなか職制にもつけない。見ると、職制の数は郵便現場人たちがどうしても一番厳しいような状況にあるわけでございます。なお引き続いて改善策を、給与面ももちろんでございますけれども、人事面につきましても、ひとつ対応策を考えていただきたい、こう要望しておきたいと思います。  なお、この際でございますから、時間の関係で御答弁は結構でございますけれども、週休二日制の問題も、これは言うならば郵便配達などを中心とする人たちにとりましては、なかなか二日制の問題が難しいのです。貯金とか保険の場合は、これは銀行との関係など含めてもう土曜閉庁という形ができるわけでございますけれども郵便の場合はそういうことができない、年中無休でやらなければならない。したがいまして、これらの要員の問題を含めまして、なかなか難しい点があります。  政府といたしましては国家公務員の定員を減らそうということもあるわけでございますから、そういう中で一挙にふやせない、この郵便に働く人たちのこの週休二日制をどうするかという問題は、労使の中で詰めていると聞いておりますけれども、この点につきましても十分な御努力を重ねてこの際申し上げておきたいと存じます。  もう質疑時間が終了いたしましたということで、建築部長にも来ていただき、資材部長にもおいでいただきましたけれども、私自身もお聞きしたい点がございますけれども、これはまた本省の方にも行きましてお尋ねするということでお許しを願いまして、私の質問を終わりたいと思いますが、最後に大臣に一言お聞きしたいのでございます。私、今全部を聞くことはできませんでしたけれども、各部局あるいは職員も全力を挙げて国民郵政事業ということで頑張っておられるわけでございますけれども、大臣は郵政事業各般にわたりまして造詣の深い大臣である、こう聞き及んでおります。したがいまして、今後の郵政事業の運営に対しましてどのようなお考えをお持ちか、最後に大臣からお聞きをしたいと存じます。
  18. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 かねがね上田先生の御意見や御質問も拝聴してまいりましたが、きょう改めて、先生の御熱心な郵政事業に対する御関心に敬意を表させていただきたいと思って聞いておりました。  郵政事業は、もう私から申し上げるまでもなく、近代国家をつくるために明治政府がいち早くこれに重点を置いて、自来百十九年たっているわけであります。労使関係の協調も含めて先生方の御指導をいただいたおかげで、恐らく世界でも有数な郵政事業の位置に来ているのではないかと思います。しかし、まだまだ改良や前進を加えていかなければならぬ問題がございますので、大いに先人たちの教えを伺いながら、一層充実した郵政事業ができますように、そしてそれが国民のニーズにこたえ、国家の前進につながりますようにしっかり頑張ってまいりたいと思っております。ありがとうございます。
  19. 上田利正

    上田(利)委員 終わります。
  20. 上草義輝

    上草委員長 次に、草野威君。
  21. 草野威

    ○草野委員 今回の簡易郵便局法の一部改正でございますが、私は利用者の立場も含めまして、何点か御質問をさせていただきたい、このように思います。  今回の改正を見ますと、まず第一条の目的規定改正でございますけれども郵政事業役務を「辺ぴな地方にまで広めること」から「一層の普及を図ること」このようになっているわけでございます。これは大都市、特に東京では地価が高騰し、そして郵便局が極度に不足をし十分に機能を果たすことができない、こういうような状況にあるという話でございます。  そこでお伺いしたいと思いますけれども、この大都市郵便局が極度に不足をしているということでございますけれども、現実にはどのぐらい不足をしているのでしょうか。また大都市型の簡易郵便局設置希望、これは現在どのぐらいございますでしょうか。
  22. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  大都市における郵便局の著しい不足状況でございますけれども、例えば手元の資料によりますと、東京都区内において昨年の八月現在で、いろいろな観点から、陳情だとかあるいは私どもの調査その他によりまして、郵便局をぜひ設置しなければいけないと判断している箇所が五十六カ所ございました。例えば例を挙げますと、ターミナル駅付近としては、東京駅付近だとか神田駅西口前とか新宿駅付近だとか、あるいはデパート付近としては、小田急デパートとか東急の東横店付近とか西武渋谷店付近とかいうことで具体的にそういう把握をいたしております。  それからもう一点の御質問ですが、具体的に十カ所、今度の小規模店舗設置ですが、どういうことを考えているか、どういうように着手しているかということでございますけれども、まだ具体的な委託先につきましては、現時点では決定することはできませんけれども、先ほど申し上げましたように、大勢の人が集まるデパートとかターミナル周辺のショッピングセンター等、本施策の趣旨に沿った場所、委託先を選んでいきたい、こういうふうに考えております。
  23. 草野威

    ○草野委員 今伺ったのは、極度に不足している、どのくらい不足しているのか、こういうことと、それから、今回の新しい大都市型簡易郵便局、こういうことが発表されまして設置希望というのがいろいろ来ていると思いますけれども、これがどのくらいあるんですか、こういうことを伺ったわけでございます。
  24. 小野沢知之

    小野沢政府委員 この構想が正規に発表されましてからの設置希望の関係でございますけれども、現時点では正式に設置希望の意思を照会しておりませんけれども、報道発表以降、デパートとか鉄道会社等多数の法人から、施策の内容あるいは郵政省方針について照会が寄せられているところでございます。  本法律案が国会で御可決いただきました直後に、取扱手数料とか取扱事務等を規定している省令の改正とか事務取扱手続等を新規に作成いたしまして、本施策の趣旨に沿った委託先となる法人に対して正式に業務委託の打診を開始したいと思って、今その準備を進めているところでございます。
  25. 草野威

    ○草野委員 多数来ているということでございますが、郵便局というのは、国民にとっても日常生活上非常に密接なかかわり合いのあるところでございまして、お役所の窓口としては、国民の目から見れば最も親しみのあるそういうところであろうと思います。  今回、この新しい郵便局が出現するということで非常に期待を持って見ているわけでございますが、設置希望が多数あるということのようでございますが、今年度の場合十カ所ということでございます。その設置するところも大都市東京、横浜、それから大阪名古屋、こういうところのようでございますけれども、この十カ所の配分はそれぞれの都市何カ所ずつを今予定をされているんですか。
  26. 小野沢知之

    小野沢政府委員 この十カ所をどこの地域設置するかということですが、まだ決定しておりません。ただ、予算上大蔵省との折衝の過程で、東京都区、横浜市、名古屋市及び大阪市ということで整理がついておりますので、この四つの大都市に配分するわけでございますが、先ほど申し上げましたような、また先生から御指摘がありましたような需要から見て、その中心は東京都になるだろう。ただ、四地域対象になっておりますから、それぞれ少なくとも一カ所は対象となろうというふうに考えて準備を進めております。まだ具体的な地域については決定いたしておりません。
  27. 草野威

    ○草野委員 いつごろから設置をされるんですか。
  28. 小野沢知之

    小野沢政府委員 今いろいろな準備を進めておりますし、また、法案が成立した後急ピッチでさらに加速いたしますけれども、第一号店が開店するのは早くて秋の遅い時期ではないかというふうに今計算して準備を進めております。
  29. 草野威

    ○草野委員 秋ごろから設置が始まる、こういうお話でございます。  そこで、この新しい郵便局で取り扱う事務の範囲でございますけれども、この大都市型の場合は従来の簡易局と比べまして限定されるようでございますが、どのような事務を取り扱うのでしょうか。また、利用者のサービスを向上させるという点で、例えば年金だとか恩給の支払い事務、それから電子郵便の受け付け事務、こういうことなども行うべきではないかな、このように思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  30. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  大都市型の簡易郵便局取扱事務は、郵政窓口サービスに対する需要の多い地域設置するというそのことで相当の事務量が予想されます。また、全く新しい制度を発足させるという面がございます。したがいまして、その取扱事務につきましては、郵政窓口サービスを円滑に提供するため、基本的でかつ取り扱いの容易な事務に限定する方針でございます。具体的な事務内容といたしましては、郵便切手、収入印紙の販売、書留や小包等の郵便物の引き受け、郵便貯金の預払い、簡易保険の保険料の受け入れなどを扱うことといたしております。  今御指摘ありました年金、恩給の支払い事務や電子郵便の受け付け事務につきましては利用者サービスを向上させる観点から、大都市型簡易郵便局においても、あり方としては将来取り扱うことが望ましいというふうに考えますけれども、これらの事務につきましては内容が複雑で相当の事務量となるということで、今、制度発足直後の大都市型簡易郵便局の業務を円滑に開始できるよう、そこに主眼を置いておりますので、取り扱いをスタートの現時点で見合わせている、こういうことでございます。
  31. 草野威

    ○草野委員 設置して直後こういうような事務を扱うということは困難だ、こういうようなお話でございますけれども、できるだけこういう方向でひとつ御努力をいただきたい、このように要望させていただきたいと思います。  それから、従来の簡易局ではNHKそれからガス、水道、こういうような公共料金の受け入れ事務を扱っているわけでございますけれども、今回の新しい大都市型の簡易局では扱わない、こういうような方針のようでございます。これらについても、利用者の利便を向上させるためにこの新しい局でも公共料金の受け入れ事務についてはやはり行っていくべきではないか、このように思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  32. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  従来型の簡易郵便局では郵便振替の利用によるNHK、ガス、水道等の公共料金の受け入れ事務を行っておりますが、今度発足する大都市型の簡易郵便局でも同じように郵便振替の利用による公共料金の受け入れ事務を行うという方針で今準備を進めております。
  33. 草野威

    ○草野委員 電話料金でございますけれども、こういうような公共料金の中にあってNTTの料金簡易郵便局では取り扱いができない、こういうふうになっているようでございますけれども、その理由お尋ねしたいと思うのです。  この電話料金の支払い窓口としてNTTとしては簡易郵便局は指定されてない、このようでございます。この理由としては、簡易郵便局については個々に入金処理を要し、事後の突合事務も非常に煩瑣になるとともに、もう一つは資金決済に時間を要する、こんなようなことで支払い窓口としては利用しておりません、しかし、今後については検討もする、こういうような話も伺っておりますけれども、この問題についてはこれからどのような方向になっていくか、お尋ねをしたいと思います。
  34. 小野沢知之

    小野沢政府委員 私個人としては初めてお聞きしたお話ですので、先生の御指摘の点をNTTによく伝えるとともに、私どもとしてもよく連絡をとりたいと考えます。
  35. 草野威

    ○草野委員 初めて聞いたということなんですけれども、現在簡易局ではNTT料金は扱っていないわけですね。NTTとしては、いろいろ面倒な問題もあるけれども、今後はこの電話料金の支払いについても検討していく、こういうような考えのようなんですね。その点を伺っているのです。
  36. 小野沢知之

    小野沢政府委員 NTTともよく連絡調整いたしまして、今御指摘のようなNTTの意向、趣旨も踏まえて、妥当な結論を得られるよう折衝をしたいというふうに考えます。
  37. 草野威

    ○草野委員 次に、この大都市型の簡易局窓口取扱時間の問題でございますけれども、こういうものが実現いたしますと、当然のことと思いますが、その業務の時間また休日、これは委託先の取扱時間になる、このようになろうかと思います。その取扱事務の中には郵便貯金の預払いも入っているように聞いております。また、民間の銀行ではCD、ATM、これをもう来年から日曜日も稼働させる、こういう経過があるやに聞いております。  この大都市簡易局の場合、民間より先行してこのCD、ATMの日曜日稼働、こういうことが実際には行われる、こういう認識でよろしいでしょうか。そうであるならば、この際、このCD、ATMについて全国的にも民間に先行して日曜、休日の稼働を始めた方がいいのではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  38. 成川富彦

    ○成川政府委員 ATM、CDの日曜稼働を銀行は考えているということにつきましては新聞で報道されておりまして、私も承知をしております。  私どもといたしましては、お客様の要望あるいは民間金融機関の動向等を踏まえてできるだけ早く実施に向けて検討していかなければいかぬというふうには思っているのですが、ただ、その実施の前提としていろいろと解決していかなければならない課題がございます。日曜、休日に動かすということになりますとコンピューターを稼働させなければいかぬ。そのコンピューターの運用方法あるいは設備の管理方法、それからCD、ATM、局員が不在となりますのでそれの管理をどうしていくかといった問題等、いろいろと多くの課題を抱えておりまして、その具体的な実施方策につきまして現在検討を重ねているところでございます。簡易局につきましてもその中であわせて検討していきたいと思っております。  今簡易局自体にCD、ATMを設置する状況にはまだ至っておりませんで、特定局を含めまして郵便局にも五六%ぐらいしか設置できていない状況でございます。平成四年度までに全局に配備し、あわせて並行的に簡易局にも設置するようにその中で検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  39. 草野威

    ○草野委員 そうすると、この簡易局の場合は当初は設置する予定が全くない、こういうことなんですね。平成四年度までに云々というお話でございますけれども、やはりこのCD、ATMについては利用者が非常に多いと思うのですね。民間銀行の場合は来年から日曜日、休日の稼働もするという方向で何か計画が進んでいるようでございますけれども、これは郵便局の場合もぜひとも、どちらかといえば先行するくらいなつもりでやるべきじゃないかと思いますけれども、どうなんでしょうか。
  40. 成川富彦

    ○成川政府委員 私どももできるだけ早くやりたいということでございますが、先ほども申し上げましたように、いろいろと解決しなければならない課題がございますので、その検討を今重ねているところでございます。できるだけ早くその検討を終わりまして、早期に実施していきたいというふうに思っております。  それから簡易局につきましては、先ほど申しましたように、目下のところ設置計画の中には入れていないのですが、今後相当の利用が見込めるところ、お客様のニーズが非常に多いところにつきましては前向きに検討していかなければいかぬというふうには考えているところでございます。
  41. 草野威

    ○草野委員 ぜひ努力をしていただきたいと思います。  それから、この設置する場所の問題でございますけれども、当初は当然大都市の駅の周辺だとか人が大勢集まるところ、こういうところを予定しているわけでございますが、この大都市の近郊、新興住宅がどんどんと今ふえてきておりますし、私の住んでいる横浜等でもそういうところが非常に多いわけでございます。そういうところで見てみますと、郵便局というものが非常に少ないのではないか、こういう感じがしてならないわけでございまして、今回のこの新しい型の簡易局設置に当たって、そういう新興住宅地の中において例えばスーパー等がございまして、かなり人の集まりも多いところもあるわけでございますけれども、こういうところにミニ郵便局といいますか、こういうものを設置しますと住民にとっては非常に利便になる、このように思います。今直ちにはとてもいかないわけでございますが、将来的な課題としてこういうことも検討するべきではないか、このように思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  42. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  今先生から御指摘がありました、大都市近郊の新興住宅地のスーパーマーケットの中に、今回制度発足いたします業務委託方式による小規模店舗設置したら利用者の利益につながるのじゃないかというお話ですが、おっしゃるとおり、当該地域の利用者から見て大変魅力的なものというふうに考えますが、先ほど申し上げましたような今回の大都市型簡易郵便局制度創設の趣旨、またその内容等から見まして、今後の見通しから見まして、新興住宅地のスーパーマーケットに大都市型簡易郵便局設置することは当面極めて困難であろうと考えますが、御指摘の点は、私ども、重要な御指摘として十分受けとめさせていただきたいと思います。  そこで、私どもは、今御指摘のような状況にどう対応するか、努力しなければいけないわけでございますけれども大都市近郊の新興住宅地における郵政窓口サービスの提供につきましては、地域状況に応じて、特定郵便局設置したり、臨時出張所を開設したり、移動郵便車によるサービス、これは二年度の予算充実いたしますが、そういったサービスなどを今一生懸命検討している段階でございます。
  43. 草野威

    ○草野委員 次の段階ではぜひとも御検討をお願いしたいと思います。  次に、無集配特定郵便局設置基準の問題でございますけれども、現在は、隣の郵便局との距離が八百メートル、それから利用見込み人口が八千人以上、このようになっているわけでございます。しかし、ただいまも申し上げましたように、大都市近郊の新興住宅地などにおきましては、住宅地がどんどんと発展している、こういう地域がたくさんあるわけでございますけれども、一律に現在の基準を適用するのではなくて、もっと弾力的な適用をすべきではないか、このように考えるわけでございますが、この点はいかがでしょうか。
  44. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  私どもの考えといたしましては、あらゆる制度に当たって弾力性の発揮ということを基本の一つにしたいというふうに考えております。住宅建設が急速に進んでいる大都市近郊地などにおきまして、早晩設置基準を満たすことが予想される地域につきましては、予算、それから定員事情を勘案の上、先生の御指摘を踏まえながら、先行投資的な観点に立って弾力的に郵便局設置する、そういった方策等について前向きにこれから勉強してまいりたいというふうに考えております。  なお、現行の特定郵便局等の設置基準でございますけれども、つくられたのが昭和三十七年五月でございまして、その後基本的に改正されておりませんので、その後における人口の都市集中とか交通機関の発達等社会経済情勢変化に対応すべく、今回の簡易郵便局改正を契機として、これから直ちにその見直しに着手したいというふうに考えております。
  45. 草野威

    ○草野委員 ぜひとも見直しに取り組んでいただきたいと思います。  では、次に移ります。  大都市型の簡易局、私ども、私どもというより一般の国民から、今度の新しい郵便局ができた場合これを何と呼ぶのか、そういう話も出たことがございます。人の非常に大勢集まるところにかわいらしい郵便局が誕生するわけでございますけれども、何か愛称みたいなものをつけて、そして利用者に親しんでもらう、こういうようなことも考えてみたらどうかなと思います。例えばシティーポストだとかいろいろあると思いますけれども、何かこういう愛称みたいなものを考えてみたらどうかな、こんなことも、これは思いつきでございますが、考えたわけでございます。いかがでしょうか。
  46. 小野沢知之

    小野沢政府委員 新しい制度の愛称が話題になること自体非常にその制度の生命力があると思ってうれしく思っておりますが、今先生から御提案になりました大都市型簡易郵便局の愛称をつけることにつきましては、これから省内部で前向きに検討を開始したいと思います。そして、その場合に広く各方面の意見も聞きたいと考えておりますが、今例示されましたものなどもヒントにしながら、利用者の皆様に親しまれるスマートな愛称をつけたいというふうに考えております。第一号店が設置される晩秋のころに、ふさわしい愛称を決めていきたい、こういうように考えております。
  47. 草野威

    ○草野委員 郵便局窓口サービスの問題でございますけれども、切手を売っているわけでございますので、なぜ便せんや封筒を置いとかないんだ、こういうような声もあるのですけれども、どうなんでしょうか。  それから、これは新しいことでございますけれども郵便局窓口で住民票とかパスポート、こういうものの取り扱いについて平成二年度の予算で調査研究費がついている、こういうことを伺ったわけでございますけれども、どうでしょうか。これは実現しそうでしょうか。この見通しを伺いたいと思います。  さらに、こういうもののほかに運転免許証、年間千数百万の人たちが免許証の書きかえをやっているわけでございますけれども、運転免許証の交付等についても郵便局で扱うようにしたらどうかな、こういうように思いますけれども、いかがでしょうか。
  48. 小野沢知之

    小野沢政府委員 郵便局に便せん等を置くことにつきましては、私ども郵便局の仕事を通じて、窓口業務として何が本来かということを考えなければいけないと同時に、民業で、民間でいろいろな仕事をなさっている方がありますから、その辺の関係も考慮しなければいけないというふうに考えております。  第二点のお尋ねでございますけれども全国各地に配置してある二万四千の郵便局は、物流、情報通信、金融等のネットワークとして機能しておりまして、これを最大限有効に活用して地域住民の利便の向上と地域社会の振興に一層貢献していくことが国営事業たる郵政事業の大きな責務だ、国策と言えるのじゃないかというふうに判断いたしております。  そういう視点に立ちまして、全く新しい発想で、いわゆる各省庁の縦割り行政の枠を乗り越えた施策を打ち出すことが必要だというふうに考えまして、平成二年度の郵便事業関係予算要求におきまして、住民票、パスポート等の交付等窓口サービスの多様化を初めて重要施策として掲げて、世論の強い支持の中で関係省庁と厳しい折衝を行ったわけですけれども、結果的に郵便局窓口サービスのあり方に関する調査研究の経費六百万円が認められたところでございます。そういう意味で、私自身の判断として、こういうふうに提案しました、世に問いました施策が、これからの新しい郵便局の正しいあり方を知らせる一つの方向だというふうに判断いたしております。  それから、調査研究費を認められましたから、これをどういうふうに展開して実現していくかということでございますが、実は昨日、部外の有識者の方々で構成する郵便局窓口サービスの在り方に関する調査研究会が発足して、本省の場所で第一回の会合をいたしました。座長は西尾東京大学法学部教授ということで、行政学の権威でございますが、座長をしていただきまして、専門的な見地から検討を深めていただくこととしております。それから、現在、省内におきまして、郵政事業三局・官房各部課の幹部で構成する郵便局窓口サービスの在り方に関する検討推進委員会を既に開催しておりまして、そのような感じで内外力を合わせて窓口サービスの多様化の実現に向けて検討を進めているところでございます。  郵便局窓口サービスの多様化の施策は、国際化、情報化、地域の活性化等の時代の趨勢に沿った施策であると確信しておりますので、今申し上げたような部外の有識者の御意見等を踏まえますと私どもの理論武装がさらにかちっといたしますので、そういうのを踏まえまして平成三年度の予算要求に盛り込み、また予算編成に当たって真剣な折衝を行い、ぜひとも平成三年度においてその実現の端緒をつかみたいというふうに考えております。  最後に、御指摘のありました運転免許証の申請、交付の問題でございますけれども、昨夜、関係者間で真剣に検討したのですけれども、住民票やパスポートと違いまして、本人確認のほかに、視力とか聴力とか運転能力、そういったものの適性検査を行う必要がありますので、現時点で郵便局職員にはこれらの検査を行うための専門技術がございませんので、ノーハウの蓄積もございませんので、現在のところ、残念ながら極めて困難とお答えせざるを得ませんけれども、御提案につきましては、将来の検討課題とさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  49. 草野威

    ○草野委員 ぜひ努力をしていただきたいと思います。特にパスポートの問題は、何か恐らく各県で一カ所、多くても二カ所、東京でも三カ所ぐらいというふうに聞いております。したがって、非常に遠いところから旅券の申請に行かなければならない等の不便がございます。もし郵便局で取り扱いが実現すればかなり国民にとっては便利になるのではないかなと思います。ぜひとも実現に努力をしていただきたい、このようにお願いをしたいと思います。  運転免許証の問題については、確かに今局長がお話になったような問題があろうかと思いますけれども、これはやはり運転免許の更新の内容、この問題から解決しなければならないと思いますが、これはまた、関係当局とのいろいろな問題になると思います。ぜひとも、これもこういう方向で今後いろいろ研究をしていただきたい、このように要望をさせていただきたいと思います。  それから、次に、普通の郵便物ですね、普通扱いの郵便物、これは今、恐らく全国翌日配達か、また翌々日配達、こういう形で実施されると思います。これは配達時間が一日一回または一日三回ということによって異なってくると思いますけれども、いずれにしてもこの送達のスピードというものは非常に向上したわけでございます。そういう中で現在の速達郵便制度、そうなってくると、これの存在意義というものがどうも何となく薄れてきているような感じがしてならないわけでございますが、この速達郵便制度のあり方についてどのように考えていらっしゃいますか。
  50. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘のとおり、郵便物送達速度は非常に安定してきておりまして、かつて、過去に郵便業務運行に苦労した一人として感無量なものがございますが、そういった状況を維持していきたいというふうに考えております。  ところで、速達郵便制度のあり方について御質問がありましたのでお答えいたしますと、御指摘のように、昭和六十一年十月に全国翌日配達または翌々日配達体制を確立したわけでございます。このことによりまして、速達郵便物と普通取り扱いの郵便物とで送達速度にそれ以前ほど差がなくなってきているということは事実でございます。しかしながら、速達郵便物につきましては、より早く郵便物を届けたい、より早く郵便物を受け取りたい、そういう利用者の基本的ニーズというものは依然として強いものがあるというふうに考えております。また、それが現時点でも大量の速達郵便物が利用されている理由になっているというふうに考えております。したがいまして、速達郵便物につきましては、できるだけ早くお届けするために、次のように普通取り扱いの郵便物とは異なる取り扱いを行っております。  これからの世の中は、微差が価値を持っている、そういう時代になると思います。配達につきましてですが、普通取り扱いの郵便物は、一日一回配達を行い、日曜日には小包郵便物を除いて配達を行わないけれども、速達郵便物は、平日の場合、午前一回、午後二回と計三回の配達を行っており、午後五時までに配達局に到着したものは当日中に配達するとともに、日曜日、祝日においても午前一回、午後一回の二回配達を行っております。また、窓口取扱時間以外の時間であっても引き受けをを行うこととか、運送には特別の郵袋とか票札を使用して優先して取り扱うことなど、速達郵便物につきましては普通取り扱いの郵便物よりも優先してお届けするための種々の特別な取り扱いを行っておるわけでございます。  その結果、速達通常郵便物は、平成元年度の引受通常郵便物数約百七十六億通のうち二%ですけれども、絶対数としてかなり多い約三億四千万通もの御利用をいただいております。絶対数として非常に多いものがありまして、少しでも早く相手方に届けたいという利用者のニーズは依然として強いというふうに判断しております。  時代の進展とともに、利用者の郵便送達速度に対するニーズはさらに高度化しておりますし、これに対応する上からも、速達と普通の取り扱いの区別というのは、現時点の判断として今後も必要であろうというふうに考えてございますが、先生の御指摘のような点は、いろいろな角度から十分念頭に置きたいというふうに考えております。
  51. 草野威

    ○草野委員 速達の制度は三億四千万通利用されているということでございますけれども、年々減少しておりますね。昨年度の実績を見ましても、たしかマイナス九%だったですか、減ってきております。しかも、利用料金も二百十円でしょうか、非常に高額のものでございまして、やはりこの速達郵便のあり方はひとつこの際検討してもいいんじゃないかな、こういうふうに思ったものですから質問させていただきました。  大臣済みません、非常に小さいといったら小さい問題で恐縮でございますけれども、ひとつぜひとも大臣の力でこういうことも実現させていただいたらなと思いますので、質問させていただきたいと思います。  これは他省庁との関係もあろうかと思いますけれども、現在郵便局窓口で年金などの支払いをしておりますね。高齢化社会がどんどんどんどんこういうふうに進展する中で、ひとり暮らしの寝たきり老人、実際にはこの年金の受け取りということも困難な方もいらっしゃいます。こういう方の中で希望する人がおれば、無料でこの年金を宅配する、こういうようなサービスを実現できたら、非常にそういうお年寄りにとっては喜ばれるのではないかな、こういうふうに思うわけでございます。  これは郵便局で扱えば、当然もう現金を送るわけでございますので書留扱いになろうかと思いますし、そうなってくれば当然これは対面交付ということになってくるわけで、料金も取らなきゃならない。これを郵政省として、この費用をどうするか。また実際に、年金ですから例えば厚生省の管轄になると思いますけれども、厚生省の方で負担をするようになってしまうということも考えられるわけでございますが、こういう問題についてぜひともひとつ御努力をいただけたら、このように思いますが、いかがでしょうか。
  52. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 郵政事業において小さなアイデアが、大変国民のニーズに大きくこたえていくということは大事なことだと思いまして、草野先生のただいまの御指摘も、貴重な御意見としてまず承りました。  ただ、現在年金などの受給者は約二千六百万人、そのうち郵便局で年金を受けているのは一千万人ぐらい。ちょうど年金などの支払い日になりますと、郵便局窓口が非常に混雑をしてきている。それから、ただいま御指摘のように、お金をお配りするとなると現金書留で配達するわけでありますが、これに対して現金を封筒に入れる作業であるとかあるいは受給者宅への配達など、窓口で年金をお支払いする場合と比べますと、かなりの事務負担と事務コストがかかるのではないかというふうに思われます。同時に、細かいことでございますが、寝たきり老人のところへ届けたときにうまくお渡しできるか、受け取ってもらえるだろうかといったようなものも含めて、かなりいろいろな問題があるような感じがいたします。  しかし、せっかくの先生の御意見でございますので、実施した場合の事務処理は一体どうするのかとか、支払い方法だとか事務コストの負担など、検討すべき問題がたくさんございますので、関係省庁と協議をいたし慎重に検討してまいりたい、そのように思っております。
  53. 草野威

    ○草野委員 ぜひ実現できるように御努力をお願いしたいと思います。  時間ももう二、三分で終わりでございますので、あと一、二を最後にお尋ねして終わりにしたいと思います。  一つは切手でございますけれども、ごく一部にシール式の切手がございます。しかしこれはごく一部のようでございますけれども、切手全部をこのシール式にしたらどうだろうか。一部は、自動販売機等で売られているやつはシール式があることは知っておりますけれども、やはり新時代の郵政業務を行う郵政省として、今後切手についてはすべてシール式にする、こういう方向で御検討をいただけないかな、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。  もう一点。小包郵便物の問題でございますけれども、近所のスーパーから受け取れる、こういうような制度もごく一部の地域で実施されているように伺っておりますが、この実施地域を今後もっと拡大をする、こういう方向に持っていくべきではないかと思いますけれども郵政省のお考えを伺いたいと思います。
  54. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  まず第一点の切手をシール式にすることでございますが、最大の問題を端的に申し上げますと、御指摘のとおり、そうすることは利用者にとって便利だと思われますが、普通切手に比べますと、私どもの計算によりますと、製造コストが約二十倍ということになります。そうすると、相当慎重に検討しなければいけませんので、その辺を御認識いただきたいと思います。  それから次の、第二点の御質問でございますが、近年、女性の社会進出とか生活時間の二十四時間化とか単身赴任者や共働き世帯、遠距離通勤者の増加などによりまして、生活様式が著しく変化いたしております。それに伴って、昼間帯に不在となる家庭が増加しているため、配達できずに持ち戻りになる小包郵便物が増加いたしております。  そこで、お客様の不便を少しでも解消するために、不在のため郵便局に持ち戻って保管している小包郵便物を、お客様の御希望によりまして、郵便局長が委託した地元のコンビニエンスストアにおいてお渡しする、そういうサービスを、昭和六十三年十月一日から東京都の世田谷区、武蔵野市、小平市等の地域五十カ所で試行的に実施してきております。そして、このサービスの取扱地域を拡大してほしいというお客様の要望が郵便局等に多く寄せられてくるようになっておりますので、現在、委託先の選定等種々の調査を行っておりまして、本年十月を目途に取扱地域を拡大しようということで、今鋭意検討を進めております。  具体的な取扱地域の選定についてでございますが、まだ決定じゃなくて検討中ですけれども、人口三十万人以上の都市等について拡大できるかどうかということを考えております。これによりますと、例えば神奈川県におきますと、横浜市とか川崎市とか相模原市とか横須賀市とか藤沢市、こういったところが、実現すれば該当することになるということでございます。  以上でございます。
  55. 草野威

    ○草野委員 時間が参りましたので、これで終わりにさせていただきます。きょう私は、どちらかといえば郵便局の利用者の立場に立ちまして、小さい問題を含めて同点か質問させていただきました。要望申し上げました点につきまして、実現に向かってぜひとも御努力をいただきたい、このことを重ねて要望しまして質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  56. 上草義輝

    上草委員長 次に、菅野悦子君。
  57. 菅野悦子

    ○菅野委員 最近の地価高騰などの中で、東京大阪などの大都市では郵便局の開設が非常に難しくなっているという現状がございます。ですから、今度の改正で、簡易郵便局という形ではあれ、郵政事業窓口サービスが改善されるという面があり、これは非常によいことだと思います。ただ本来国営で行われることになっておりますこの郵便事業の一部を民間に委託するということになりますから、この面で注意しなければならないということもあるやに思うわけです。特に通信の秘密の確保、貯金とか保険などのプライバシーの保護などについては万全な措置をとることが必要だと思うわけです。  この都市型の簡易郵便局ですけれども、民間企業に委託するわけですから、実際に郵便や貯金を扱うなどの仕事をする職員というのは、デパートとかスーパーなどの職員がこれに当たるということになると思うのですね。それで郵政省として、通信の秘密とかプライバシーを守るためにどのような方策をとられるのか、このことについて、まずお伺いをしたいと思います。
  58. 小野沢知之

    小野沢政府委員 新しい制度を発足させるに当たりまして、重要な御指摘をいただいたように受けとめております。  先生指摘にありましたとおり、郵政窓口事務を部外委託するに当たりましては、通信の秘密の確保、それからプライバシーの保護は第一義的に考えなければいけない重要な課題であると認識しております。  ところで、簡易郵便局制度が発足したのは昭和二十四年でございますけれども、以来これまで四十年間、郵政窓口事務を部外委託して、それによって通信の秘密の確保、プライバシーの保護に関する問題が発生したことはございません。そういう意味でこの何十年間か郵政窓口事務の部外委託は適正に行われてきたものというふうに考えております。とは言っても、新しい制度改正のときに、この辺また改めて念を入れなければいけませんので、一般的な仕組みとかどういう覚悟があるということを御説明したいと思います。  通信の秘密の確保及びプライバシーの保護を図るため大都市型の簡易郵便局設置、運営に当たりましては、従来型の簡易郵便局と同様に次のような措置が法令上講ぜられております。  まず通信の秘密の確保についてでございますが、委託事務に従事する者が信書の秘密を侵した場合には郵便法第八十条第二項の規定により二年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処せられることになっております。  次に、プライバシーの保護についてでございますが、簡易郵便局取扱事務委託契約書の中で、委託事務の取り扱い上知ることのできた秘密を漏らしてはならない、その事務を取り扱わなくなった後といえども同様とする旨を明記しておりまして、これに違反した場合には簡易郵便局法第十九条第二項の規定によりまして委託事務を解除することができることになっております。  さらに、今お話がありましたけれども大都市型の簡易郵便局を受託した法人が、委託事務に実際に従事する適当な人を特定するわけですが、そういった従事者に対しまして通信の秘密の確保、それからプライバシーの保護の重要性について一層認識するよう、事前に、また業務開始後も十分に訓練を行いたいというように考えております。そのようなことによりまして、遺漏のないよう万全を期していきたいというふうに考えております。  なお、この簡易郵便局に従事する職員がどれほど重要な地位を持つかということにつきましては、簡易郵便局法の第十一条第一項でもって委託事務に従事する者を「法令により公務に従事する者とみなす。」というふうになっておりますので、そういったこと全体的な仕組みの上でもって公正な職務を執行していきたいというふうに考えております。
  59. 菅野悦子

    ○菅野委員 今度の法改正設置される都市簡易郵便局というのは委託先が法人、民間企業になる。東京大阪などの中心部に設置したいという郵政省の意向でございますから、実際には鉄道事業者とかデパート、スーパー、ショッピングセンターというふうなことが多分対象になるんじゃないかというふうに考えられるのですね。この場合、職員の売り場間の移動とか、あるいはパート雇用などによる不安定な雇用などで、簡易郵便局の仕事をする職員が流動的になるということが考えられるのじゃないでしょうか。これは従来型の簡易郵便局には余りなかったことなんですね。  例えば今までであれば、委託先が地方公共団体の場合は職員は守秘義務がございます。農協とか漁協の場合でも、この場合には別途預貯金業務がございますから、そういう意味ではプライバシーの保護というのは本来農協職員などとして既に身につけておくべき、そういうものであるわけですね。また、委託先が個人の場合は、実際の仕事をする人が流動的になるなどということはないわけです。  したがって、通信の秘密やプライバシーの保護というこの郵政事業にとって最も基本的な問題を確保するためには、新たな委託形態に合わせて委託者に対する教育、指導のあり方を考える必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。例えば簡易郵便局で仕事をする職員を一定程度固定化するというふうなことなど、業務の委託に当たって配慮することも必要になってくるんじゃないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  60. 小野沢知之

    小野沢政府委員 新しい制度を発足させて実際の業務を運営していくに当たりまして重要な御指摘問題点を受けましたので、これからの運営に十分反映させていきたいというふうに考えます。
  61. 菅野悦子

    ○菅野委員 地価高騰等の影響で大都市での郵便局設置が非常に困難になっているということは、今後の郵政事業にとって非常に大きな問題だというふうに思うわけです。特定局の場合、その多くは局長が私有財産を郵政省に貸す、郵政省が借り上げるということになっています。ところが、東京大阪の中心部などでは地価高騰が相当ひどいですから、その結果、一定の土地や家屋を所有している人は郵便局などをやるよりも貸しビルでもつくった方がいいということになってきているわけです。私たちが聞いているところでは、新しく特定局をつくるという面だけでなくて既設の特定局でも、大都市局長の中から、郵便局はもう私一代限りだとか、あるいは今の職員がやめたら郵便局もやめたいというふうな声も聞こえてきているわけです。  今回の法改正による簡易郵便局設置は、こうした中での一つの方策だというふうに思うわけですけれども郵政省の説明では、都市簡易局はあくまで補完的なものだということですし、実際常駐する職員は二人程度ということで考えているようでございますので、これが郵政事業窓口サービスの主流にはすぐにはならないだろうというふうに思うのですね。そうすると、新設を含む特定局などでの郵政窓口のサービス改善、これを東京大阪などでの大都市部で進めていくということが必要であるというふうに思いますけれども、その点で郵政省としてどのようにお考えになっているかお伺いしたいと思います。
  62. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、今回設置する大都市型簡易郵便局は、大都市において特定郵便局を補完する制度として設けるものでございますが、あくまでも郵政窓口サービスは国がみずから提供することが基本でありますことからそういう原則になっているのですが、そういうことで、特定郵便局設置、改善についてもこれから精力的に取り組んでいきたいというふうに考えております。  今申し上げたような位置づけを実証的に証明していくのが私どもの仕事ですから、一つ例を申し上げますと、大都市、特に東京における郵政窓口機関不足を解消しなければいけないということで、昨年八月以降、本省内に郵務局長を会長として関係部局次長、課長クラスで構成する大都市における窓口機関設置推進協議会というのを設けまして、挙省体制で本気で臨みました。その結果でございますが、平成元年八月時点、その時点では東京郵便局設置が必要な地域、五十六カ所とされていたのですが、設置が決定されていた箇所はゼロでございました。それ以降、実質九カ月間挙省体制で努力したのですが、既に四局都内に設置いたしております。それから、九カ所について設置箇所を決定しております。それから、十五カ所について目下折衝中でございます。そういうことで、私が予想した以上の成果を上げています。  この辺を大都市特定局に働く人たちにも見ていただきまして、片一方でそういう努力をしてくれているんだな、補完的作業を本当にそう考えてくれるんだなというように受けとめてくれている話をこの間某氏から聞きましてうれしく思いました。今後とも大都市郵便局設置するために全力を挙げて取り組みまして、利用者の利便の向上と地域社会の振興に資してまいりたいと考えております。  なお、冒頭先生指摘になりました新設だけではなくて現にあるものをどうするかということでございますが、局舎が著しく老朽化したり取扱事務の増加に伴って著しく狭隘になるなど、業務に支障が生じている大都市特定郵便局につきましては、重点的に局舎の改善を行っておりまして、例えば東京郵政局管内ですが、毎年五十局程度特定郵便局舎の改善を行っております。今後ともお客様の利便の向上と職員の職場環境の改善のために努力してまいりたい、このように考えます。
  63. 菅野悦子

    ○菅野委員 皆さんの御努力の中で、特定局がふえているということは本当にいいことだと思うのです。あわせて、特定局での窓口サービスの改善というのが大変重要になってきていると思うのです。特に東京とか大阪の中心部にある特定局窓口での業務量というのが郵政省の資料でも非常に急増しているのです。この間郵政省からいただいた資料で見てみましても、東京都の特定局では書留郵便物、これは五年間に一四四・六%、約一・五倍になっているわけです。  これは書留だけでなくて、郵便でも貯金でも同様の傾向にあるということです。しかも東京でも千代田区とか港区などの特定局はもっとふえているんです。一・五倍というのは平均値であって、中心部のふえ方は相当なものだと、大阪でも北区や中央区などの特定局の業務量というのは東京都心部の特定局と同じように大変な量になっているわけです。その結果、特定局窓口というのは大変な混雑になっていると聞いておりますけれども、その点、郵政省としてどう御認識になっているか、お伺いしたいと思います。
  64. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、大都市におきまして一部の郵便局、私どもが昨年五月の物数調査のときに調査した結果によりますと、東京都区内と大阪市内の無集配特定郵便局千二百三十五局中約二〇%の約二百五十局で今御指摘のような窓口業務が多忙であるというふうに把握しております。そこで、お客様になるべく御迷惑をおかけしないで済むように次のような抜本的施策に着手いたしております。  まず、大都市における郵政窓口の極度の不足が一部の郵便局窓口業務の多忙な状況の大きな要因となっていると考えまして、先ほど申し上げましたような大都市における窓口機関設置推進協議会を設置して推進体制をとっていることが第一点。  それから、ただいま御審議いただいております簡易郵便局法の一部を改正する法律案で、業務委託方式による小規模店舗という全く新しい制度を導入する、こういった基本的な制度改正にもチャレンジしたわけでございます。  さらに、大都市における特定郵便局窓口業務の多忙な状況を緩和するためには、要員面での対応も必要であると判断いたしまして、平成二年度の予算編成におきましては郵便事業の運営基盤の整備充実という大きな柱のもとに、重要施策として郵便物の増加に対応する要員の配置というのを初めて掲げまして、関係省庁である大蔵省、総務庁と真剣な折衝を行いました。  その結果、前年度を大幅に上回る定員、例えば前年度二倍以上の八百五十二人、前々年度と比較しますと十一倍を確保するなど、一定の成果を上げることができたと考えております。平成三年度予算編成においても同じような姿勢で臨みたいと考えております。  一方、やはり内部努力が必要でございますので、業務量が減少している地域から定員を減員し、郵便物の増加が極めて著しい大都市に定員を移しかえる、そういった措置もあわせてやりませんと対外的に説得力を持ちませんから、その辺の努力もいたしたいと考えております。  なお、このほか窓口事務の多忙な状況を緩和するために、一部の郵便局における窓口取扱時間の延長とか、多機能で能率的なディジタル式計量器の開発とか、ATM、CDの増備や稼働時間の延長、こういったことも行ってきております。  以上の窓口サービスの改善施策を講じることによりまして混雑の緩和を図っているところであり、今後さらに努力したいというふうに考えております。
  65. 菅野悦子

    ○菅野委員 私もこの質問をさせていただくに当たって、郵政省からいただいた資料にあるような新橋とか神田、渋谷などの特定局状況を調べてみたのです。実際に行ってもみたのですけれども、どの窓口も五人から十人の行列が常にできている。局舎が狭いところでは外にまで行列ができているのですね。ある局で私の秘書が切手を買ってみたのですけれども、行列に並んで買えるまでに十分もかかっている。職員の人の話も聞いてみたのですが、局舎の外にまで行列がつながるのが当たり前みたいな状況になっている。ですからドアがもうあきっぱなし、冬も夏も冷房も暖房も効かないというふうなこともあるわけです。貯金の方はもっと混雑している。  では、郵便局窓口での利用者の待ち時間がどのぐらいになっているかということで郵政省に資料を求めたのですけれども、全体的なものがないということで、東京千代田区のある特定局での貯金窓口での資料をいただきました。昨年七月三十一日、一日の利用人員、最多待ち人数、それから受け付けから処理終了までの平均時間ですが、これを午前九時から三十分刻みでまとめたものをいただいたのです。  これを見ますと、十四時三十分から十五時では最多待ち人数が六十一人、受け付けから処理終了までの平均時間というのが三十二分になっているわけです。十一時三十分から十二時では平均待ち時間が二十四分、ほかにも二十分以上という場合も少なくないわけです。しかもこれは受け付けからの待ち時間ですから、実際は受け付けされるまで、窓口に今言ったように行列があるわけですから、利用者の実際の待ち時間というのはもっと長いというのが現実なんですね。  こんな事実を知って、改めて都心の郵便局の混雑は大変なんだなということを思ったわけなんですけれども、こうした既存の局の混雑を解消していくということが郵政事業のサービス改善の上でも非常に大事な課題だと考えるわけですが、まず大臣、こうした現状をどうお考えになっておられるか、お伺いをしたいと思います。
  66. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 菅野委員の御指摘のように、都心における特に東京の場合がそうですが、大変な事務量の増加と混雑ぶりでございます。私自身が東京のど真ん中にいるものですから、かねがね心を痛めてきました。そこで郵政省としては、早くこの混雑を緩和しなければならない、そして事務量の負担を軽減しなければならないということで、しかし、そうは言っても国の事業でございますからあくまでも特定郵便局設置が先だというので、先ほど局長答弁しましたように、去年の八月から会をつくって、着実にそれをふやすための努力もしてまいりました。  しかし、これではもうとても追いつきませんので、このたびの法案を通して、簡易郵便局都市型の設置を御検討いただくことに相なったわけであります。簡易郵便局に依存するということではありませんけれども、これからも全体的な混雑緩和のために一層努力をしなければならぬと思っております。
  67. 菅野悦子

    ○菅野委員 東京大阪など大都市へのいわゆる一極集中が進んでおりますし、郵便貯金などでの業務量が急速に伸びているということがとりわけこの都心部の特定局混雑の原因だと思うわけです。角度を変えてみれば、利用者が非常にふえているにもかかわらず、それに対応する窓口とか職員不足しているということではないかと思うわけですね。  それで数字でお聞きしたいのですが、まず特定局窓口の数、座席数、これはこの五年間にどれだけふえているかということと、それから特定局の定員は同じく五年間にどれだけふえたのか、それぞれ東京大阪数字をお答えいただきたいと思います。また、大都市特定局職員数、窓口の数などの現状、これをどう認識しておられるか、今後どうしていくつもりか、お伺いいたします。
  68. 小野沢知之

    小野沢政府委員 まず私から、東京及び大阪における特定郵便局窓口座席数の推移、現状について申し上げます。  平成元年度末現在で、東京都千二百三十七局あるのですが、全体で六千二百席でございます。一局当たり約五席でございます。大阪府九百六十六局あるのですが、四千三百五十二席、一局当たり同じ約五席となっております。  ところで、その窓口座席数の推移についてでございますが、郵便局数の推移におおむね比例しているものと考えまして推計してみたんですが、過去五年度間、昭和六十年度から平成元年度までの増加した座席数を推計いたしますと、東京都で約三%増、大阪府で約四%増というふうになっております。
  69. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 定員のお尋ねでございますけれども東京都の場合、昭和六十年度が七千八百二十四人、特定郵便局の定員でございます。元年度には八千百二十三人でございますので二百九十九人の増加でございますし、大阪府の場合には、六十年度が五千二百四人、元年度が五千四百六十八人でございますので、この五年間に二百六十四人ふえたということでございます。  今後どうしていくのかというお尋ねでございますけれども、確かに人手という意味で、東京あるいは大阪がかなり逼迫しているという状況は私どもも十分認識しておりますので、一つは、やはり必要な労働力というのを確保していく、予算の面でもそうでございますし、そういう努力もしたいと思います。  もう一つは、先ほど郵務局長が答えましたように、全国的な繁閑の度合いがございますので、比較的仕事の楽なところの郵便局職員の数を忙しいところに回すといったようなことで、元年から三年間ぐらいの間に千人以上の調整をいたしたいというふうに思っております。
  70. 菅野悦子

    ○菅野委員 特定局窓口での引き受け物の数とか預金の受け付け数が五年間で一・五倍に膨れ上がっている。それに対して職員とか窓口がほんの数%しかふえていないということで、こういう状況の中では郵便局で長い行列ができるというのは当然なわけです。特定局の混雑を解消するためにも、暇なところから回すというふうな話もありましたけれども、絶対数がやはり足りないということが現状の中で指摘されることだと思うのですけれども、必要な職員の確保、窓口の増設などをぜひ進めていただきたいというふうに思いますけれども、その点どうでしょうか。
  71. 小野沢知之

    小野沢政府委員 現在、予算要求の重要施策として、物増に見合うだけの定員をぜひ確保したいということを雄風として敢然と考えております。そういった姿勢をこれからもとり続けたいというふうに考えます。
  72. 菅野悦子

    ○菅野委員 それから、特定局でもう一つ問題なのは、窓口が混雑している、職員は足りないという状況であるにもかかわらず、少ない職員を外周活動などといって局の外での貯金とか保険の勧誘を初めとしたいわゆる営業活動をやらせているということにもあるのではないかというふうに思うのです。  現場の話を聞きますと、局の仕事が手がすいているときならまだしも、窓口ですごい行列が常態化しているというふうな場合にも、局長や主任が窓口を応援するのではなくて外の営業活動に出ていく、それだけでなく、窓口職員も外での営業活動に出される、そのために、ひどい場合には二つの窓口を一人で見るというふうな状況さえあると聞いております。事実とすれば本当に大変なことだと思うのですけれども郵便局に来る客は向こうからやってくるから少々待たしても構わぬ、それより外へ出て新しい客をとってこいというふうな意識があるやに思われますけれども、その点どうなんでしょうか。
  73. 成川富彦

    ○成川政府委員 特定郵便局だけではなくて郵政事業全般が大変厳しい状況に置かれておりまして、単にお客様のニーズといいますか、お客様を受け身の姿勢で待っているだけでは事業がやれなくなってきている時代になりつつあります。お客様のニーズも大変多様化しておりますので、お客様を目の前にしてお待たせするとか御迷惑をかけるというようなことはしてはいけないわけでございますけれども窓口業務に支障の生じない範囲内において、手すき時間を利用して外周活動をやっていくことも時代の要請といいますか、時代の変化に応じて必要なことではないかというふうに考えているところでございます。  私ども郵便局というのは御承知のとおり、全国津々浦々にありまして、地域社会に密着して事業を運営しているところでございます。地縁性を十分発揮するという意味合いにおきまして局周辺活動ということは必要ではないかというふうに考えておりまして、現在、局周活動も窓口業務に支障ない範囲内においてやってもらいたいということでお願いしているところでございます。
  74. 菅野悦子

    ○菅野委員 なぜ私がこのことをお聞きしたかといいますと、最近の貯金のいわゆるV90、このときに特定局職員皆さんも訪問活動なりにかなり動員されて大変矛盾が集中したということを聞いているわけなんです。現場の話では、四月、定時の退社なんて一日もなかった、五月になってようやく二、三日定時退社することができたというふうなことがあったわけですね。保育園に子供を預けて勤めている女性の労働者なんかでは、もうこういう状況ではとても勤められぬということで職場を去ったというふうな人のことも聞いているわけです。  このときにどういうことがあったかといいますと、定額貯金が十年満期に近づくということでそれを全部吸収せなあかんということで、そのこと自身は必要だったと思うのですけれども、大変な多額の預金者を相手に、再度預けかえるというんですか、きちっと預金者に対応するということで相当無理が出てきたんじゃないかというふうに思うのですね。これが全部特定局が具体的に実際足を運んでその業務に当たれというふうなことがこのときあったと思うのです。  V90の対象ということでは、もう本当にこの点で相当矛盾が集中するというのは明らかにわかっていたわけですけれども、このときに特定局などに人員などの面で何らかの配慮をしたのかどうか、このことをぜひお聞きをしたいと思います。
  75. 成川富彦

    ○成川政府委員 V90の関係でございますが、有史以来といいますか、私ども、百十五年の郵便貯金の歴史を持っているんですが、三十兆円余りのものが満期を迎えるというのは史上初めての経験でございます。三十兆円余りといいますと、私どもの総預金といいますか、貯金残高の二五%近くになるわけでございます。したがいまして、これが流出するというようなことになってしまっては、事業経営に非常な影響を及ぼすだけではなくて財政投融資にも大きな影響を及ぼすということで、これにつきましては、一昨年九月からお知らせ活動、予約活動等を通じてその確保に努めてまいったところでございます。  その事務繁忙に対する要員措置につきましては、従来からもやってきておりますが、今後ともその辺につきましては十分考えてやっていきたいというふうに思っております。
  76. 菅野悦子

    ○菅野委員 その努力自身は私も非常に大事なことだと思いますし、それから、外へ出かけていっていろいろとサービスをするというそのこと自身は本当に大事なことだというふうに思うわけです。ただ、結果的に、本当に窓口サービスが基本であるにもかかわらず、それをおろそかにしてしまって外に出ていくということでは、サービス向上どころか利用者にとってのサービスダウンになるというふうに思うわけです。ですから、そのことを十分配慮する必要があるのじゃないかということを強調したいわけです。  とりわけ、東京大阪などの大都市への一極集中の結果、郵政事業でも都心部は急速に業務量がふえております。私も、今回改めて、郵便局というのは混雑しているなと感じたわけです。職員も大変だ。まして利用者は、切手一枚買うにも長いこと待たされる、こういうことではちょっと大変なわけで、簡易郵便局都市部につくるということですけれども、それをもってして事足りるという状況ではないというふうに考えるわけです。現在ある特定局の改善、さらには特定局の新設など、利用者への窓口サービスを改善する必要があるということで、引き続き御努力を要請して、質問を終わりたいと思います。
  77. 上草義輝

    上草委員長 次に、中井洽君。
  78. 中井洽

    中井委員 今回のこの法案、先ほどからお話を伺っておりますと、大都市における郵便局設置困難に伴って法改正をするということが書かれ、言われておるわけでありますが、法案の中身そのものを見せていただきますと、別に大都市でなくてもこういう形での簡易郵便局をつくっていけるというふうに判断をするわけであります。  例えば受託の順位、今までは公共団体、農協、個人というふうになっておりましたが、この順位等も取り外してしまう、そういったことを含めると、郵政省全体としては、大都市に当面の間は絞るけれども、従来の設置基準というものを変えて、日本じゅうどこでも、法人が資格さえ有してまた十分法の意義にかなうならばどこでも構わない、こういう形で将来は展開をしていく、今までの設置基準を少し変えたのだ、こういうふうに理解ができるわけでありますが、このような考えでいいですか。
  79. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  私ども、初めて郵便関係大都市対策に着手した、そういうケースでございます。したがいまして、法律上の表現といたしましては大都市という字は使っておりませんが、従来、業務量という観点だけから法令を規定しておりましたけれども大都市という属性に着眼いたしますと、場所だとかあるいは時間だとかそういう要素で大都市というものが表現できると判断いたしましたとともに、それを補充するものといたしまして、法案提案理由説明の中で「大都市において」ということを明記したり、あるいは先日の衆議院の逓信委員会で大臣及び私からそのことを明確にするとか、あるいはこの項目は昨年度の予算要求の最重要項目ということで大臣折衝の唯一の項目になったのですが、そこの中の大蔵省のやりとりとか資料でも明確に大都市においてというふうに考えております。  そういうことで、東京大阪名古屋、横浜という四つの地域に限定して、しかもたった十局ということで、そういったことからも実験的にまずはスタートさせていただいて、大都市郵便局を中心とする郵政窓口サービス不足をどういうふうに打開していくか、どういう手だてが考えられるかという観点から進めたわけでございます。したがって、現行の設置基準をどういじるか、どう改正するかということではなくて、この制度大都市に的を絞って郵政窓口サービス不足を補っていく、こういうふうに判断しております。  ただ、法律上はそうなっておりますが、今申し上げましたように、いろいろな歯どめをかけたり、事後検討しております。ただ、核心をついた御質問がありましたので、単刀直入に私なりの考え方を申し上げさせていただきますと、この簡易郵便局制度昭和二十四年にできたのですけれども、もし簡易郵便局制度というものが今この時点で発想されるとすると、当時はこういう大都市というのは想定しておりませんから、へんぴなところにも郵政サービスの役務を広げると同時に、地価が高騰したりして郵政窓口サービスを十分に行えないこういう大都市も当然念頭に入ったというふうに思います。  そういう意味で、簡易郵便局というのは本来、経済的にどういうふうに全国必要なところに郵政窓口サービス普及して利用者の皆さんに喜んでいただけるか、それが本来の趣旨だというように私は解釈しておりますが、先ほど申しましたように当面大都市に絞ってこの施策を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  80. 中井洽

    中井委員 そうしますと、この四地域で初年度十局ということですが、どういう密度やらどういうところまでいけばもう限界だとか、あるいは明くる年は幾つにするかという判断をどういうふうにしていくのか。また、どの地区でスタートをするというようなことは既に御準備なさっていると思うのですが、そういう基準なり、あるいは、この地区で簡易郵便局法律改正のもとにやるというときに、それはその地区で公募をするのか。こういうのでやりますからやりたい人は申し込んでくれという形で公募したりしてやるのか。そういう手続的なことをもう少しお聞かせいただきます。
  81. 小野沢知之

    小野沢政府委員 先ほど御答弁しましたように、平成二年度におきましては四地域について十カ所でございますから、相当丹念にいろいろな選定作業を行えるというふうに考えております。  そこで、初年度が一番肝心ですから、まだ法律は施行されておりませんから準備は内部的に行っておりますが、もうかなり各方面から、どういう内容の施策か、どういうふうにして委託するのかという問い合わせがございます。まだ正式に打診しておりませんけれども、この法案を御可決いただきましたら直ちに業務委託の打診を始めますが、この大事な制度の初めての発足ですから、信用性のある、経済能力のある、人が集まる、そういったところに絞ってまいります。その場合に、やはりデパートだとか駅周辺のショッピングセンターだとか、そういったところに絞られております。  なお、地域としては四地域認められておりますが、それぞれ少なくとも一カ所は設置することになろうと思います。あと、当然一番需要の多いのは東京ですから、東京がこの中で一番ウエートを占めることになるのじゃないかというふうに考えております。
  82. 中井洽

    中井委員 私も前に何度か簡易郵便局の申請ということでお手伝いをしたことがあるのですが、大変厳しく、難しく、情けない手続をやらなければなりませんでした。地方におきましたら、郵便局、あるいは切手を販売する、そういったことをさせてもらうというのは大変名誉だという発想がまだ強く残っております。  同時に、大変失礼だけれども郵政省の方はやらしてやるんだみたいな発想が極めてある。私は、いつまでも、こういうサービスの競争の大変激しい時代に、やらしてやるんだという発想のもとに基準なりあるいは標準をつくっていくということがもう間違いで、なかなか自分のところでは土地建物の手当てをしてやりにくい、サービスに欠ける地域ができてくる、したがって、そういうところでおやりをいただく。しかもおやりいただくについては、先ほどからるる御質問がありましたように、大変な公務員的な形での規律や規範がある。そういう形で審査なり基準をおつくりをいただくべきだ、私はそういうふうに感じます。  そういう意味で、大臣、大変庶民的な大臣でいらっしゃいますが、郵便局のサービス全体を、やらしてやるんだということではなしに、やっていただく、かわりにおやりをいただく、しかも非常に慎重におやりいただかなければならない、こういう発想でこれらの簡易郵便局の許認可というものを進めていく、そういう御答弁をいただきたいと思います。
  83. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 中井委員の御指摘はまことにごもっともでございまして、しかも、これから都市においては本当になかなか簡単においそれと簡易郵便局ができると約束されているわけでもありません。我々も発想の転換をいたしまして、そのような姿勢で臨みたいというふうに思います。
  84. 中井洽

    中井委員 簡易郵便局というのは業務内容的には私ども大体承知をしているわけでありますが、郵便貯金やらあるいは保険というもの、それぞれの局においてあるいは職員さんにおいて大体目標値というものは決められて、それを目指して頑張っておられるわけでありますが、日常の中で、簡易郵便局というのはそういう目標やらあるいは割り当てというのから外れているのですか、入っているのですか。
  85. 成川富彦

    ○成川政府委員 簡易郵便局には目標といったものを立ててもらうというようなことはやっておりません。
  86. 中井洽

    中井委員 今回この法案設置されます都市型の簡易郵便局では当然貯金も保険も扱われるわけですね。
  87. 成川富彦

    ○成川政府委員 先ほど来申し上げておりますように、貯金も保険も扱うことになっております。
  88. 中井洽

    中井委員 大都市における民間金融機関の競争というのは大変なものがあります。こういう形で少しずつの数でふやされていくとは思いますけれども、大変便利な場所へ郵便局という大変な信用を持った機関が出られる。しかも、この間私、当委員会で質問しましたときに大臣は金利の自由化大賛成だ、こういう形で積極的にお進めになっておられる時期、他の民間金融機関との猛烈な摩擦があろうか、このことを心配いたしております。他の民間金融機関との調和だとか摩擦、そういったことについてどのようにお考えでありますか。
  89. 成川富彦

    ○成川政府委員 先ほど来お話し申し上げましたように、都市簡易局といいますか、この制度をお願いしておりますのは事務繁忙を解消するためでございまして、貯金の増強をするためということではございません。  私ども東京管内の郵便貯金の現状を申し上げますと、純増といいますか、現金増でございますが、これが数年マイナスでございまして、全国的に見ますと本当に東京都市集中の影響といいますか、金融機関の攻勢の激しさというものを受けてなかなか難しい状況になっております。特に都心部におきましてそのような状況が顕著でございます。  したがいまして、今回の改正をお願いしておりますのは、先ほど来窓口で行列があるじゃないかとかいろいろなお話がございましたが、それを解消するのが第一でございまして、貯金をふやすということに主眼があるわけではございませんので、とても民間金融機関に太刀打ちできないような状況に、東京都心におきましては特にそうなっているような状況にあるわけでございます。
  90. 小野沢知之

    小野沢政府委員 ただいまの貯金局長答弁でございますが、私、法律主管者としてある角度から補足させていただきますと、今貯金局長答弁いたしましたけれども、この法案をまとめるまでに大蔵省とかほかの省庁と随分折衝しました。民間の方々とも話し合いましたが、全部郵務局で処理したということは、官民論じゃない、もっとそれを超えて、大都市対策として郵政の基本業務をサービスする道を開くべきじゃないかということについて各方面から御理解を得たものというふうに考えております。
  91. 中井洽

    中井委員 今回のこの法案設置されます都市型の簡易郵便局、当然のように土曜、日曜、祭日が営業されているようなお店に設置をされる、あるいは法人の手元に設置をされると考えております。そうしますと、郵便局として土曜、日曜、祭日というものが開かれることになる、こういう判断であります。それはそれで利用者にとっては大変便利なことで結構なことであります。  そういう形で枠が取り払われるならば、例えば先ほど御質問の中にもありましたけれども、新しい団地に特定局ができる。この特定局で、例えば月曜日朝九時から夕方五時までやっていらっしゃる。しかし、私どもが日常政治活動の中でそういう団地を月曜日から金曜日まで朝九時から夕方五時まで歩いたってだれも人はいない。みんな共稼ぎで外に出ていらっしゃる。こういったことを考えますと、利用者の利用しやすい状況を考えますと、それぞれの郵便局の営業時間というものをもっと自由に考えたらどうだ。例えばそういう団地では十一時ぐらいからやって夜の七時ぐらいまで営業する、人が利用しやすい時間に営業していく、難しい問題もあろうかと思いますが、そういう幅の広いサービス、対応できる体制、これをそろそろ考える時期だ、このように私は思いますが、郵政省側の考えはいかがですか。
  92. 小野沢知之

    小野沢政府委員 私ども郵政省が行っている仕事、すべて先生指摘ありましたように弾力化の流れに沿った施策を講じなければいけないというふうに判断いたしております。例えば平成二年度の予算要求におきましては、郵便関係でいいますと、地域の特性に応じた施策ということで、窓口時間の弾力化とか、そういったものを掲げております。  今お話ありましたように、最近大都市を中心に、地域社会の生活実態に合わせた窓口取扱時間を設定してほしいとか、日曜日、休日にも営業してほしいという提言が急速にふえておりますし、また、調査研究会でもそういう御提言がございます。そういったことを真摯に受けとめて、これからの施策を講じていきたいと思っておりますが、現在やっていることでも、ATM、CDを極力活用してお客様の要望にこたえているほか、地域社会の生活実態に合わせた窓口時間の設定とか、日曜日、休日に窓口を開業するため、弾力的な郵便窓口取扱時間の設定を平成二年度郵便事業関係予算の重要施策の一つとして掲げ、結果的に認められておりますが、今先生がお話ししたような趣旨と軌を一にしてこれからいろいろな仕事が展開していくものと考えております。
  93. 中井洽

    中井委員 もう一つありますのは、特定局だけじゃなしに郵便局全体、私どもも利用させていただいて一番感じますことは、大変便利のいい場所におありだ。しかし、道路に面してばんと建物が建っておって、大体駐車場がない。裏にちょっと回りますと駐車場があるけれども郵便配達の車でもういっぱいで、お客さんが車を置くところがない。これが今大体の郵便局状況じゃないかと思います。歩いて、自転車で、こういう人も多いのも事実でありましょうが、最近のお客さんというのはどんな短い距離でも自動車で行く、これが現実であります。  もっと郵便局をつくるという意味で、あるいは郵便局の置かれている場所で駐車場といったものを考えていく。そのためには、何か郵政省で規則でもあるのですか、建物がいつも同じような高さあるいは建て方で決められておる。あるいはまた、私も郷里で一度二回ほど二つの局と折衝したことがあるのですが、郵便局が狭くなる、移転の問題、そのときに例えば隣近所の商店と共同のビルを建ててしまう、その中で郵便局もやれば御商売もやる、そして広く駐車場をとる、そういったことをやればいいじゃないかと言ったって、それは到底できませんという形での返事が返ってくる。それで、大都市においてなかなか郵便局設置しにくいというところも、もっと柔軟な発想で建て方あるいは建物の形を考えていく時期に来ておる、そうじゃないと到底追いつかない、こんなふうに思うわけであります。これらの面で、いろいろと規則もあり、難しいこともあることは承知をいたしておりますが、もっと柔軟な発想で時代のニーズに対応できるような郵便局づくりをおやりになる考え、大臣、最後にお尋ねをいたします。
  94. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 郵便局の今までの位置からいいましても、市内あるいは都内でもそうですが、非常にいい場所にあるわけです。これからは地域の再開発も含めてそういう新たな発想のもとで、建築する場合でももっとスケールの大きなものを考えていく、そういう時代であると存じます。その意味で、先生の御指摘を大事に郵政行政に生かしたいと思います。
  95. 中井洽

    中井委員 もう一つだけ最後にお尋ねをいたします。  昨今大変な人手不足であります。ありとあらゆる企業、人を集めるのに苦労いたしております。各地の郵便局においても、年末の年賀状のアルバイトなんかもなかなか集まりにくい、このようなことを聞かせていただいて心配をいたしております。同時にまた、幾つかの局では朝の六時ぐらいからもうアルバイトさんを集めて、そして十時ぐらいで仕事を終わっていただくというような無理をしなければなかなか業務を遂行できない、こういう状況にあると聞かしていただいております。  郵政省全体としてこの深刻な人手不足にどう対応されるのか。先ほど御質疑を聞いておりますと暇なところから忙しいところへ千人ほど移すのだ、こう言われましたけれども、ここにおられますメンバーの方は大体そうだと思いますが、逓信委員なんかやってますと大都会にいる郵便局員地方へ、地元へ返せという要望ばかりで、東京へ行かしてくれなんて言うのは一人もおらぬのであります。住宅不足あるいは物価の高い住みにくい大都会へ郵政省で転勤をしていく、なかなかいらっしゃらないのが現実ではないか、このように思います。  全体的なこの人手不足対策をどうなさるのか。そのときに例えば、まことに申しわけないのですが、郵政省はお仕事柄極めてまじめであります、したがって世間から見るイメージがちょっと暗い。あの制服なんかも物すごい時代おくれな制服。ああいうのをもっと発想を変えて、配達の人なんかも若い女の人が格好よくやれる、そんな形での人手不足対策も含めて思い切った転換をしなければ大変な支障を来す時期が来ている、このように思います。そういった点もどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
  96. 桑野扶美雄

    ○桑野政府委員 先生がおっしゃった最近の経済情勢におきます労働力の需給の逼迫というのは大変厳しくなってきておりますことは郵便局についても同じでございまして、特に大都市を抱えております東京、関東、東海、近畿の四郵政局管内におきましては職員の試験の応募者数などにも影響が出てきております。  しかしながら現在までのところ、例えば東京での採用試験の応募者状況を見ておりましても、内務の職員につきましてはまだ四・二倍でございますし、外務の職員についても二・三倍ということで、必要な職員の確保をすることに現状ではまだ支障が出ているような状況ではございません。  さりながら、今後ますます労働力の需給が逼迫してくることはもう目に見えておるわけでございまして、やはり職員採用の促進に資するための郵政事業のPRも含めまして、あるいは学校への応募の依頼とか、そういうものを郵便局を通じてきめ細かく行うとかといったような努力というものはますます必要になってくるだろうというふうに思っております。  それからまた、先生おっしゃいました郵便局職員のイメージアップをするようないろいろな施策あるいはその処遇改善、それらのものも総合的に含めまして、またいろいろな努力は我々もしていかなければならないということで十分覚悟している状況でございます。  以上でございます。
  97. 中井洽

    中井委員 終わります。
  98. 上草義輝

    上草委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  99. 上草義輝

    上草委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  100. 上草義輝

    上草委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  101. 上草義輝

    上草委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、前田武志君外三名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。前田武志君。
  102. 前田武志

    ○前田(武)委員 ただいま議題となりました簡易郵便局法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     簡易郵便局法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項についてその実施に努めるべきである。  一 簡易郵便局制度創設の趣旨を十分踏まえ、引き続き過疎地域におけるその設置についてもさらに努力すること。  一 大都市を中心に郵政窓口サービスに対する需要が増大していることにかんがみ、郵便局設置についてもなお一層努力すること。  一 社会経済の動向や国民のニーズを踏まえ、郵便局窓口サービスの多様化、地域における情報拠点としての高度化等を積極的に推進し、郵便局ネットワークの一層の充実を図ること。  一 近年における郵便物の増加に的確に対処するため、要員の確保、局舎施設の改善を図るとともに、郵便局の土地の高度利用を推進するなど郵便事業の運営基盤の整備充実に努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成したものでありますから、各項目についての説明を省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  以上であります。
  103. 上草義輝

    上草委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  104. 上草義輝

    上草委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、深谷郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。深谷郵政大臣
  105. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 ただいま簡易郵便局法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚くお礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重して、真剣に郵政事業の運営に当たりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  106. 上草義輝

    上草委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 上草義輝

    上草委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  108. 上草義輝

    上草委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  109. 上草義輝

    上草委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法及び電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会理事高橋雄亮君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 上草義輝

    上草委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  111. 上草義輝

    上草委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君
  112. 長勢甚遠

    長勢委員 富山第一区から出ております長勢甚遠でございます。  まずもって、今情報化の進展の中で、国民生活の向上のために日夜御苦労されておられます郵政省皆さん方に敬意と感謝を表したいと思う次第であります。  これから本日議題となっております放送法及び電波法の一部を改正する法律案について御質問をさせていただくわけでございますが、今般の改正案は時宜に適したものでございますので、当然私は賛成でございます。ただ、この法律案がねらいといたしております放送の難視聴対策あるいは都市の受信障害対策につきまして、この改正だけで済むという問題ではないのじゃなかろうか、今後一層の充実強化を図っていく必要がある、このように思いますので、その観点からお考えを聞かせていただきたい、これを中心にしてお話を伺いたい、こう思っております。しかしながら、私もまだ放送行政全般について勉強中でございますし、勉強しておりますといろいろ難しい言葉も出てきまして、技術的な問題もありますので、まだ十分な理解をしていないかもしれませんが、ひとつよろしくお答えをいただきたいと思う次第であります。  都市の受信障害の問題でございますが、先般来の当委員会での議論を聞いておりますと、大変この被害というものが広範にわたっておる。またその中で、六十八万世帯もの方々が被害を受けたままになっておるというか放置をされておる、不便なままでおられるというようなお話であります。六十八万世帯というのも大変な数字でありますが、これからのことを考えますと、現在の状況というのはどっちかというと大都市を中心に起きておるのではないかと思いますけれども、今後地方都市も含めて大変大きな、重要な問題になっていくのではなかろうか、こういうことを私としても心配をいたしておるものであります。  御案内のとおり、都市の受信障害は高層建築物の建設によって起こるわけでありますけれども、ここ最近、主要地方都市においても大変この高層建築物というものがふえておる、特にいろいろな商店街の再開発だとか駅前の再開発だとか、こういうことが今花盛りであります。それに加えまして、生活様式が変わってまいりました。また土地対策の問題もあるわけでありまして、そういう中で大きなビルあるいはマンションあるいはホテルといったようなものがどんどん建設をされております。  私の住んでおります富山におきましても、近年続々商店街、駅前の再開発が進められておりますし、ビルやホテル、マンションといったようなものがどんどん目立って多くなっておるわけであります。こういうことでございますから、全国各地区にも、各都市にも高層ビルというものが林立をするということが予想されるわけであります。当然この都市における受信障害というものが急速にふえていくことが見込まれるわけであります。  同時に、こういうふうに被害の量がふえるだけではなくて、今大変放送メディアというものがふえてまいりました。今情報化社会の中で情報不足ということが生活にとっては致命的な問題になりつつあるわけでありますから、こういう受信障害の質というもの、その持つ意味というもの、生活に対する被害の程度というものも格段に大きくなるわけである、このように思います。  そうすると、こういう受信障害対策というものも今まで以上に、量的にも質的にも大変重要な問題であり、生活を営む上で不可欠であるこの放送というものを均等に皆さんが受けられるようにするためにはどうしたらいいかということ、それをなおざりにすると重大な社会問題ともなるということを考えますと、この問題に対して単に現状に追随をするというだけではなくて、将来を見通した観点に立って施策を講じて、問題の深刻化を未然に防ぐという姿勢が行政にとって大変に肝要な時期になってきておるのではないかと思う次第であります。  そこで、そういう観点に立ちましてお伺いをするわけでございますが、今まで、また現在、これから、都市の受信障害に対しまして郵政省さんとされましてどのような対策を講じてこられたのか、また今回の改正を踏まえて今後どのように取り組んでいこうとされておるのか、まずその点についてお伺いをいたしたいと思います。
  113. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 都市部におけるビル陰等によって発生いたしますいわゆる都市の受信障害は、年々増加の傾向にあるわけでございます。受信障害の世帯も、平成元年度末で約六十八万世帯と推定しております。私ども、これらをできる限り増加させないよう積極的に対応してまいりたいと思っているところでございます。従来からこれらに対しましては、基本的には原因者の責任ということで、当事者間での協議によってその解決を図っていただいておるわけでございます。CATVであるとかあるいはSHF放送というような方法でいろいろと解決を図っております。そのために、財政投融資の特別融資制度であるとか、そういう支援制度も積極的に私どもはやっているわけでございます。  最近ではさらに、いわゆる電波の反射によりましていろいろ複雑な受信障害というものが起きております。そこで、電波の吸収体というようなものを建物の外壁に張りまして、これによって反射障害というものを極力抑えよう、こういう努力もしておるわけであります。例えば、東京の新宿に今建設中の東京の都庁の新庁舎でございますけれども、あそこでは電波吸収体を張りまして、大規模な反射障害というものが起きないように努力していただいているわけでございます。そのためにも私どもは現在基盤技術研究促進センターの低利の融資によりますところの電波吸収体の高性能化等の開発、研究にも一生懸命支援をしているところでございます。  このように、現在精いっぱいの努力をしておりますが、今回の法改正も放送事業者以外の第三者が、例えばビルの建築王などが中継局の免許を受けることができる、こういう制度、すなわち受信障害対策中継放送の制度を設けSHF放送による都市受信障害の解消を円滑に進めていくことをやってまいりたい、このように考えているわけでございます。
  114. 長勢甚遠

    長勢委員 今お話しになった財投による支援制度というのは、具体的にどういうことなんでしょうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  115. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 CATV事業者に対しましては、開銀というところから長期の低利融資をいたす、こういうようなこと、あるいはテレトピア地域における第三セクターのCATV事業者等に対しましては無利子融資でもって融資をするとか、あるいはその他CATVが番組面で、いわゆる地方から発信できるようにというようなことでテレトピア地域における第三セクターのふるサットセンターというものを我々大きな構想として持っているわけでございますけれども、そういうような構想に対しましても無利子融資制度を適用しようとか、いろいろなことを考えているわけでございます。
  116. 長勢甚遠

    長勢委員 今の御説明は受信障害に直接、それだけを対象にしたものではないのかなという感じもいたしましたが、それはそれといたしまして、今のお話ですと、受信障害対策というのは、技術的には今お話しになったようなCATVの活用あるいはSHF放送、また今吸収体のお話もございましたが、今回の改正は、このSHF放送を現実に活用できるように制度的な整備をしようということであると理解をいたしております。それはそれで必要なことだというふうに思っておるわけでありますが、しかしどうもお話をいろいろな方々から聞いておりますと、なお今後ともCATVの活用ということが、特に地方都市等においては受信障害の対策の中心になっていくのかなというふうに理解をいたしております。  そこで、この受信障害対策としてのCATVの活用というものがちゃんとうまくなされて、郵政省さんの御期待になるような当事者主義のもとでうまくなされているのかどうか、そういう実態について把握をしておいでになりましたら、ひとつ教えていただきたいと思いますし、また十分活用されてないというか、なおざりにされているというようなことであるとすれば、これは今後にとって大変大きな問題だと思うわけでありますが、どうしてそういうことになるのか、どこに問題があるのか、また、その解決のためにどんなようなことがやられなければいけないのか。ちょっと聞いておりますと、地方公共団体の中には高層建築物を建設するに当たって、条例などによってそういう面での指導というものを積極的に行っておるというようなところもあるやに聞いておりますけれども、そういうことは有効なのかどうか、それらの点も含めて、ひとつお伺いをいたします。
  117. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 御指摘のように、CATVは都市難視の解決のために大変有効ないわゆるネットワークでございます。現在、CATVによって講ぜられた都市受信障害対策は約二万三千施設、三百三十万世帯となっているわけでございまして、解消世帯数の九七・四%がCATVによって解決されているというのが現状でございます。ただ、都市内のCATVの普及ということに関しましては、いろいろと難しい問題がございます。道路とかあるいは河川等の横断に技術的あるいは経済的な困難が伴うとか、最近の大都市を中心とした都市環境整備の観点から電線類の地中化が積極的に進められておりまして、この建設費がかなりの経費負担になるというようなこともございます。  さらに、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、反射障害というようなことでなかなか原因者負担主義というものを貫けないと申しますか、原因者がなかなかわからないというようなことで、大都市等におきましては原因者を特定するのが非常に困難な場合が非常に多いわけでございます。したがいまして、江戸川区等におきましては、一万五千世帯を対象にいたしまして江戸川区が七億円の経費によって対策をやっているというような実例もございます。都市内におきましては、そのようになかなか複雑な、難しい問題が生じているのが現状でございます。
  118. 長勢甚遠

    長勢委員 今お話ありましたように、どうも今までの原因者責任主義というか、原因者と被害を受けられた当事者の間での私的自治で受信障害の問題を解決していこうというだけでは、これからビルが林立する中でなかなかうまくいかないのではないか。私の郷里でも、仲間でビルなどを建てておる者もおりますが、CATVを設置して大変喜ばれたということは、逆に言うとそういうことのないままに泣き寝入りをしておる者もおるやに聞いておりますし、またいろいろな紛議も出ておるやに聞いております。  こういうことは、先ほど申しましたようにこれから大変大きな重要な問題になっていくと思いますから、こういう私的自治による解決、それに任せるだけではうまくいかないんじゃないかと大変疑問に思うわけであります。今おっしゃいましたように、原因者の特定あるいは範囲、また被害の立証ということが大変困難になり、また複合障害も増大するわけでございますから、こういうものを放置しないで、国民生活を守るという見地からひとつ行政としても積極的な取り組みが必要なのではなかろうかと思うわけであります。  今江戸川区でございますか、そのお話もございましたが、ほんの一つだけの例なんでございましょうけれども、そういう方法がいいのかどうか私にはまだ判断がつきませんが、またいろいろな技術的な問題もあるのでしょうが、例えば建築基準法などを活用して何らかのこの問題についての規制をやるとか、また都市計画あるいは再開発計画の際にその中に組み入れた形で、将来問題がないようにあらかじめいろいろな対策を講じておくことができるようにするとか、何か考えなければいかぬのじゃないか。紛争を未然に防ぐ方策を検討すべき、そういうことに公共団体あるいは政府、公的機関が制度的な何らかの措置を講ずることを検討しなければならない時期に来ているんじゃないかと思いますが、何か御見解がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  119. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 長勢委員のような新しいエネルギーが郵政行政に御参加いただくことは大歓迎でございます。  先ほどからお話がございましたように、今テレビジョンというのは私たちの生活に欠かすことのできない最大のメディアでございます。しかも、災害時等の連絡その他の周知徹底も含めて考えてみますと、本当に大事な、重要な存在であろう、こう思うわけであります。ところが、テレビがよく受信されない難視聴の地域というのが現在までも例えば辺地であるとか山間部にありまして、それがために放送衛星の活用とか基金を三十億つくってそれに対応しようとか、さまざまやってまいりました。近年になりましてから、都市においてビルが林立をいたした関係から新たな障害が生まれてきておるわけでございます。  今までは原因者負担の原則で、その原因になる人を突きとめて、そこで解消してもらうという方策をとったのでありますが、だんだんに複合的なといいますか複雑な形で電波が飛び交いまして、原因者を決めることができない。そうなってまいりますと、国がそういう難視聴解消のために一層努力をしなければならぬ、そういう時期に至っておると私は思うのであります。  したがって、例えば先ほども出ましたCATVもそうでありますが、SHFの放送あるいは建物の壁面に電波吸収体というものを取りつけて、それで解消を図るとかいろいろな手だてがあるだろうと思うのです。先ほど申しましたような衛星を使って、それをCATVで受けとめて、さらにもう一回流していくといったような方策も含めて、ありったけの知恵を絞ってあまねく国民がひとしくテレビを見ることができ、そのために生活が向上し、災害時にも備えられるという体制をつくっていくことは大事な使命だと考えておりますので、一層頑張って対応してまいりたいと思っております。
  120. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 先生の御質問の点を補足して私御説明申し上げたいと思うのでございますけれども、いろいろ解決をいたしております中で、やはりきっかけとなりますものは建築基準法に基づきますところの建築確認段階でございます。市町村におきまして、これらに関する条例というものを設けていただくことを私ども非常にお願いをしておるわけでございますが、全国的に見まして七十六の市町村でこの条例をおつくりいただいております。それから、指導要綱等も含めますと三百三十二団体で実施していただいておりまして、この建築確認段階で必要な調整が進められているわけでございます。大変大きな効果を上げているわけでございます。  一方、先生御提案のいろいろな抜本的な方策でございますが、私どもも住民と地方公共団体、建築主等の相互のいわゆる利害調整というようなもの、これらに関しましては今後とも積極的にやってまいりたいと思うわけでございます。また、建築主に対します規制の強化であるとか都市計画の中での調整のシステム化というようなことに関しましては、関係省庁との調整等も十分に行わなければならないと思いますし、大変難しい問題ではございますけれども、私どももそういうような方向を見出すべく努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
  121. 長勢甚遠

    長勢委員 大臣からも同じような問題意識を持っていただいて、積極的に取り組んでいきたいというお話をいただきまして、大変心強く思っておる次第であります。しかし、えてしてこういう問題は郵政省さんだけではなかなか解決がつかない。私も役人をやっておりましたが、役所の中は縄張りというものがあるわけで、なかなか御苦労も多いのだろうと思うのでございますが、やはり将来の方向を考えますと、今市町村等にいろいろな形での御指導をされ、御協力もいただいておるということでございますが、もう一歩を進めて、国としての姿勢を制度的に明らかにすることもやはり検討するという時期に来ているのではないか。繰り返して申し上げるわけでございますが、そう思う次第であります。  今御答弁にございましたように、建設省あるいはいろいろな官庁とのかかわり合いも当然出てくると思いますが、省内だけでいろいろ御苦労される、研究されることも大変大事なことでありますが、もう少し明らかな場で検討をしていく、いろいろな識者も入れて検討していくというお考えになっていただきたいものだなと思うのでございますが、そういうことは考えられないでしょうか。
  122. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 私どももそういう方向でぜひやってまいりたいと思っておるわけでございますが、大変難しい問題でもございますので、関係方面との協力体制というものをまずこしらえ上げまして、そうしていろいろな法律のお手伝いを得てやっていけるような努力を今後とも進めてまいりたいと思うわけでございます。
  123. 長勢甚遠

    長勢委員 そういう方向で、ひとつぜひ国として積極的に取り組んでいただきますように大臣に重ねてお願いを申し上げる次第であります。  ちょっと話題を変えさせていただきたいと思うわけでありますが、郵政省の施策の中にも、地域間の情報格差を是正をするということで一つの重要な課題として取り組んでおられると思っておりますけれども、その中でテレビについて、各県を四局体制にしようということを推進されておられると聞いております。私どもの富山県におきましても、ようやく三局目が開設をされることになったわけでありますけれども、県民の中には東京と一緒のテレビを見たいというニーズも大変に高いわけであります。同時にまた、そうは言っても、事業主体の経営の問題その他いろいろな問題もあるだろうと思いますから、そうそう簡単に四局体制というわけにもいかないのかなと私なりに思うわけでございます。  従来の考え方からいくと、いつごろになったら我が富山県に四局目ができることになるのかな、これは何の思惑もない単なる素朴な疑問というか関心でございますけれども、これから情報格差をなくするということ自体は大変大事なことでありますが、今のままでどうなっていくのだろうか、また、何か郵政省さんとしてお考えがあるのかどうか、もしお聞かせいただくことがあるのだったら、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  124. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 この民放のテレビジョン放送に関しましては、全国四局化と申しますか、四系統の民放が全国各地においてあまねく受信できるということを目標といたしまして、私ども放送行政を今進めておるところでございます。おかげさまで富山県に関しましても、現在三局目の民放テレビが予備免許中でございまして、本年の十月の開局を目指して準備を進めていただいているところでございます。  さて、四波化はいつかということになりますと、これはやはり周波数の事情であるとかあるいは経済的事情、すなわち県の民力度であるとか既設の民放の経営状況ということも見きわめながら、総合的に判断をしてまいりたいと思いますが、私どもはできる限り早期に四局化というものを図ってまいりたいと思っておりますので、県民の皆さん方の御期待に沿えるように、できるだけ早期に四局目の民放ができるように努力をしてまいりたいと思っております。
  125. 長勢甚遠

    長勢委員 いろいろ難しい問題もあるようですから、早くやればいいというものでもないのでしょうが、みんなもできれば早い方がと思っておりますので、慎重に早く、ひとつよろしく御指導いただきたいと思います。  最後になりますけれども、最近情報メディアというか、放送メディアにしても電気通信メディアにしても大変多種多様なものが、しかも急速に発展してまいりまして、私ども素人ですとこれからどういうことになるのだろうと想像もつかないような感じで実はおります。どういうことになるのだろうなと、私自身のイメージも余り正確にわかないままに御質問させていただくのも恐縮でございますが、こういう形のものをこのまま野放しというか、どれもこれもどんどん伸ばしていくということだけでうまくいくんだろうか。  何が問題になるのかよくわからない点もありますが、例えば、素人目に見ますと、プライバシーの保護のようなものが問題にならないのだろうかとか、あるいは業界に混乱が起きないのだろうかとかいうようなことを若干不安に思ったりすることもあるわけでございますが、これは感覚だけで結構でございますが、放送行政、電気通信行政の専門家であり所管されておられます郵政大臣として、こういう多種多様なメディアをどのように調和的に発展していくかについて、またそれぞれに合った規制というものを考えていかなければならぬのだろうと思うのでございますが、そういうことについてどのような御見解をお持ちなのか、またどういう方策を今考えておいでになるのか、ひとつ御所見をお伺いして終わりにしたいと思います。よろしくお願いします。
  126. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 長勢委員指摘のように、近年の放送技術は非常に進歩いたしまして、衛星放送からハイビジョン放送、PCM音声放送とかあるいは多チャンネルCATVなど本当にたくさんのメディアが出てまいりました。こういう技術革新の成果を受けて、高度化、多様化する国民のニーズにこたえていくためにこれらのメディアを積極的に応援していかなければならないのも私たちの立場でございます。  しかし、御指摘のように、こういうメディアが発展すればするほど、いい部分を光と考えれば、例えばプライバシーの問題も含めた影の部分もあるわけでありまして、そういうものに深く配慮していく対応というのはこれから私たちの重要な課題になってくるのではないかというふうに思います。  さまざまなニューメディアを、時にはその特性を生かしながら調和のとれたバランスのある形で進めていくという配慮は御指摘のように非常に大事で、ある意味では交通整理も時には行いながら、技術革新と国民のニーズと、しかも影の部分をどうやってなくすかといったような、多方面からこれらにしっかり取り組んでまいりたいと思っておりますので、またいろいろ御意見がありましたら今後も引き続いてお教えくださいますようにお願いいたします。
  127. 長勢甚遠

    長勢委員 よろしくお願いします。終わります。
  128. 上草義輝

    上草委員長 次に、伊藤忠治君。
  129. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 まず初めに、この一部を改正する法律案、文面の中に「受信障害対策中継放送を行う放送局の免許を受けた者」というふうに、こう言わないとわからないのですね。これは非常に不便でございまして、ネーミングをひとつ統一をするというんですか、呼称を簡略に呼べるようなことに工夫をされたらいかがか、こういう意見でございます。  私なりに表現したいのですが、受信障害対策中継事業者、こう言えばそれなりに理解できる、こう思いますので、これは法案修正ということも考えたのですが、少し時間的に間に合わなかったものですから、そこで意見がございますが、この法案法案としまして、今後この法案が成立をいたしますと、郵政省としては政省令、規則というんですか、そういうところで指導なさると思いますね。その段階でも結構ですからそういうネーミングをきちっとつけてやられた方が第三者の立場に立ちますと理解もしいい、こういうふうに考えますので、その点を提案したいと思うのですが、どうお考えですか。
  130. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 従来は放送事業者でなければ放送局の中継局を設置することができないというふうな形になっておりましたものを、ビルの所有者であるとか地方公共団体が免許人になれるという道をこの法律改正でつくっていこうということが趣旨でございますので、先生の御指摘のようなわかりやすい名称というものの必要性は私も十分に感じております。そのために、この受信障害対策中継放送を行う者というような非常に長ったらしい名前にもなっているわけでございますので、制度を運用していく中で私どもこれを十分検討いたしまして世間にアピールをしていって、一般の方がどんどんこういう中継局の免許人になっていただくためにもアピールが必要だと思いますので、今後の問題といたしまして私ども積極的に対応したいと思っております。
  131. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。  次は、これまでは放送事業者が原因者でなくても、免許の関係では放送事業者が代行する格好になっていたわけですね。それを今回の法改正ではつまり原因者に対して障害対策の中継事業者としての免許を与える、こういうふうに整理をされるわけですね。なぜそのように区別をされたのか、それのメリット、デメリットについて説明をしていただきたいと思います。
  132. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 放送局の免許を与えますような場合には、やはりいろいろな番組面での継続性というようなことも非常に大事でございますので、かなり大がかりな審査をいたしました上で免許を与えております。そして、そういうふうな免許をいただいた放送事業者が中継局をおつくりになる、こういう仕組みで現在やっておるわけでございますが、都市内の受信障害というようなものやら、あるいは辺地における障害等でもっと迅速に中継局が設置できないかという問題があるわけでございますので、積極的に中継局を設置することができるような方法はないかということを私ども十分に検討した末で、このようなアイデアがいいんではないかということで現在御審議をいただいているわけでございます。  SHF局というようなものも制度としては従来からあったわけでございますけれども、放送事業者と建物の管理者との間でSHF放送局の管理運営についての話し合いというものがまず必要になるわけでございまして、条件面などでなかなか円滑に進まずに、開設までに非常に時間がかかるという例が多かったわけでございますので、この法改正によりましてそういう点が迅速に行われるんではないかというふうに考えているわけでございます。     〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
  133. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 それに加えて、つまりケーブルで受信障害解消策としてこれまでさまざまやっておみえになった。ところが、ケーブルということになりますとお金も非常にかかるということですし、この際、SHFでこれを本格的にというか、そういう道も選択できるというふうにやられた、こう理解してよろしいですか。
  134. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 伊藤委員指摘のように、SHF波による対策は、広範囲にわたって受信障害が生じている場合にはCATVよりもコストが確かに安くなるようでございます。受信障害世帯数がおおむね三千世帯以上の場合にはCATVよりもSHFの方がコスト的には有利である、そういう数字もございます。  高層建築物の増加によって今後広範囲にわたって受信障害の発生するケースはますますふえてまいると思うものでありますから、このたび先生方に御検討いただいて法律改正いたしまして、都市受信障害対策が一層推進されるように考えていきたいと思っております。
  135. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 受信障害の発生原因についてお伺いをいたします。
  136. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 この受信障害の発生原因はいろいろございますが、ビルとか高速道路など建築物による障害、これは遮へい障害と反射障害、ゴーストが出るような反射障害でございますが、そういう障害がございます。これは非常に多いものでございます。そのほか、アマチュア無線だとかあるいは市民ラジオなどの電波との混信による障害、これはビート障害といっております。  また、モーター類であるとかあるいは自動車などの点火プラグの電気的なスパークによる障害、これはパルス障害といっております。また、飛行機、新幹線などに反射する電波との相互干渉による障害、これをフラッター障害といっております。そのようないろいろな障害がございますが、この中でも特にビル等による遮へい障害、反射障害というものが非常に多いのが実態でございます。
  137. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 原因者負担主義ということなんですが、これがまたあいまいなところでありまして、たまたま原因者にさせられた、そういうケースが結構ありますね。自分のところがビルをつくりました、道路を一つ越えて向こうに同じようなビルをつくったけれども、そのビルは電波障害にならなかった。それで私がつくったビルというのは電波障害の原因者になりまして、そういう手当てをしなければいかぬ。大体その方向から電波が来ているからこの電波かけしからぬのだということですよね。だから自分の責任じゃないのです。そういうふうなケースというのは結構あると思いますね。  たまたま障害発生原因者になったということで多額の損害を自分もこうむらなければいかぬ。これは、SHFで、いわゆる中継事業者ということで認定をいただいてその方はやるわけですが、恐らく億という金が要ると思うのですね。これはどうなんでしょうか、その人がたまたまそこにビルをつくったからその人が大変被害をこうむるということになるのですが、このあたりの対策というのは要らないのでしょうか、私はそのことをまず第一点問題に感じています。  それから二点目は、今も同僚議員の方から御指摘がございました、私も賛成でございますが、未然に防止をする、そういう策を政府としてはこれから精いっぱいとっていただきたいな、こう思っています。局長答弁でもございましたが、いわゆる建築確認段階できちっとチェックをしていくというようなことが自治体で条例化されていたりというところまでは広がってきているのですが、それは最近のことでございます。  私がちょうどこの電波障害の渦の中におりまして、ちょうど繁華街に住んでいるものですから、その時代にはこういう関心も地域社会の中で余りなくて、電波障害に随分悩まされていまして、たまたまUHFでNHKの放送波は一チャンネル入ってくるのですが、もう民放なんかはほとんど見られません。ところが、どこかに文句を言っていくわけにもいかないし、それじゃ自分たちで地域社会でもって相談をし合って解消策を自前で考えるのか。これは大変お金がかかりますから、それぞれが思い思いにアンテナを高く立ててやるのですが、とても民放は入りません。  今もその障害発生の原因でお触れになりましたが、土曜日、日曜日というのは暴走族が国道を走るものですから、これはスパーク障害ですか、パルス障害というのですか、これでもってほとんど民放が特定の時間になりますと映りません。必ずそのころになるとパトカーのサイレンがわあっと鳴って、後を追われているのですが、そんな格好で大変被害をこうむっているわけです。こういう人たちの救済措置というのは、これはなかなか有効な救済措置というのが見当たらない、どのように解消策を打ち出していけばいいのかということで私も随分悩んでいるわけでございます。こういう実際に不便をこうむっている人たちに対して、いやそれはたまたま運が悪かったということでは済まされないと思うのです。  電波を享受する権利というのは何びとにも保障されなければいけませんから、それを保障してやるというのはこのSHFの言うならば――そういう原因者の皆さんの手だてももちろん必要なんですが、それではカバーできない言うならばこぼれているそういう被害者の皆さんを国なり自治体がどう救済していくべきかということを真剣に考えていただいて、具体的な方策を立てていただかないと、あまねく公平に情報というのは提供されなければいけません、格差があってはいけませんし、享受する権利というのが、そこでどうも非常に享受ができない状態になっているということでございますから、この点について郵政省としての考え方、先ほども表明されておりますが、そのことを確認させていただきたい。  もう一つは、原因者の負担義務、この点についてもこれは一定程度きちっとしておきませんと、もしこれが裁判ざたになった場合一体どうするのだろうかというようなことも私は考えるわけですが、この点についてどうお考えでしょう。
  138. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 この今回のSHF放送は、周波数的にも、NHKのみならず民放にも対応できるように準備をしておるわけでございます。したがいまして、現在数カ所所でやっておりますSHF放送では不十分な面がございますが、今後は民放もNHKも同じようにSHF放送でサービスをいたしたい、このように考えているわけでございます。根本的にはやはりCATVに加入するということによって電波障害を解決するよりほかないわけでございますが、そこに至るまでに、規模が大きくなりますとCATVでは非常にコスト的に見合わないというような地域が多数あるわけでございます。そういうところを解決するために、このSHF放送というものを今後は積極的に活用してまいらなければならないと存じているわけでございます。  それから、法的にいろいろな規制といいますか義務と申しますか、そういうようなことを設けていく必要性でございますが、やはり建築主に対しましても、絶対こういうことをやらなければならないというようなことで法律上明言するということは非常に難しいのが現状ではございますけれども、情報をテレビあるいはラジオで一般の国民の方々が得ているという現状にかんがみまして建築主側も非常に協力的で、原因者主義というようなことで現在は解決が進められているわけであります。  しかし、原因者と決めつける場合にやはり客観的な判断をしていかなければならない、そういうことで、私どももできる限りの調査をいたしまして、例えば経験と技術的な能力を有するNHKの技術陣の方々の御協力をいただくとか、そういうようなことで原因者を突きとめまして、そうしていわゆる建物の建築主の方々の協力を得て受信障害の対策を行っているということでございます。  そういう意味で、できる限り客観的な立場でこの建築物が原因になっているというようなことを公表し、そうして建築主から御協力をいただくということで、今後とも一生懸命やってまいりたいと思っているわけでございます。
  139. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 SHFでも解決がしないという、言うならば、それ以外の電波障害に悩んでいる世帯があるわけですね。そういう皆さんも同時に救われていかないと情報格差がなくならないわけですね。そのことについては、先ほども答弁がありましたように、自治体が条例化でもって救済をするというのですか、その中身のことについてちょっと説明をいただきたいのですが、どういうふうに救済をしようとするのか、その点はどうでしょう。
  140. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 条例によります救済と申しますのは、やはり原因者が負担をするというようなことを明文化するということやら、どういう方法で原因者というものを突きとめるかというようなことの方法論でございまして、その障害を解決するために補助金を出すとかあるいは設備をこしらえてあげるとかというような点まで言及しているものではないのでございます。  しかしながら、原因者を究明するという方法が非常に難しくなっているのが現状でございますので、先ほど申し上げました江戸川区の例などは、やはり江戸川区としても区としての経費でCATVを設置し、住民の方々に受信障害のないきれいな映像を提供しようということでCATVを開始する、こういうふうに踏み切ったわけでございます。  そういうことでございますので、私どももそういう都道府県あるいは市町村、区というようなレベルで積極的に補助をしていけるような体制というものを歓迎をしているわけでございます。
  141. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 条例化は、それは非常にいいことである。しかし、江戸川区の例と比べれば、江戸川区のやられている施策は問題解決のために非常に、これはもっと進んでいるということだと思うのです。郵政省としては、まず江戸川区がそういうふうにやって成果を上げてくれる、幾つかの例が出てきてから新たな法制化に踏み出そうと考えてみえるのか、それはそれでいいことだというので非常に消極的な立場で見ておられるのか、その辺はどうでしょう。  私が言いたいのは、江戸川区のような格好でやっていかないことには結局この問題は解決をしないな、こう思うものですから、近い将来、郵政省の方向としては、そういう積極的な姿勢で江戸川区の例を見詰めてみえるのかどうかということについてお伺いをいたします。
  142. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 現在のところ、CATV事業は民間主導型でやっているのがほとんどでございます。一部市町村がやっているというような場合があるわけでございますが、これも住民の大部分の方々の合意がなければ、やはりその市町村でCATVを持ち、それに市なり町なり村なりが経費を負担するということがなかなか難しいわけでございますので、現状では、そういうふうな市なり町なり村なりの大部分を早急に救済しなければならないというような場合に、そういう地方公共団体が乗り出してやっている、そういう例がほとんどでございます。  したがいまして、江戸川区の例などは複合障害ということで、原因者を発見し、そして原因者負担というようなことでやっていく場合に非常に時間がかかり過ぎてどうしようもないというような現状を踏まえまして、江戸川区としてCATVをやっていこうというような決断をしていただいたものと私は考えております。
  143. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 それはわかっているのです。だから、おたくとしては江戸川区のような方向に向けてこれから検討をしていこうというお考えなのか、いや自治体の条例化に任しておいて、この障害者対策というのはその程度だな、その範囲だなという程度でお考えなのか、どちらなんですかということを聞いておるわけです。そうでないと救えないわけですよ。  だから基本は、つまり、影の部分と大臣はおっしゃいましたけれども、必ず影の部分が出てくるわけで、影の部分が、都会の方では大変複合的に予期しないような原因で新たに生まれてきているわけですね。そのことの方が対策としては難しいのですよ。過疎地とか僻地の場合はもう大体手を打ってきているではないですか。だから、残されているのはこういう市街地のケースの方が多いと思うので、新たに出てくるのも市街地のケースなんですよね。だから私は時間を割いてお聞きしているわけで、どうでしょう。
  144. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 そういう方向で私どもも積極的な対応策というものを考えていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  145. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 話題を変えまして、テレビの多重放送、ファックスについてですが、NHKはファックス放送を例外扱いにしているわけですが、その理由についてお伺いいたします。
  146. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 NHKは、厳しい財政状況の中で中波放送二系統、超短波放送一系統、それからテレビジョン放送四系統のほか、音声多重放送であるとかあるいは文字多重放送及び国際放送というものを行っているわけでございます。現在、各方面から公共放送としてのメディアの保有のあり方の検討、見直しの必要性というものが問われているわけでございます。  こうした中でNHKがみずからテレビジョン・ファクシミリ多重放送を行うということになりますと、NHKの適正な規模であるとか財政状況との観点から、やはり慎重にならざるを得ないのでございます。したがいまして、現時点では、NHKにテレビジョン・ファクシミリ多重放送を行わせないというような方向で考えておるわけでございます。したがいまして、当面はNHKは行わないのでございますけれども、しかしながら、設備を有効に利用するということから考えますと、多重放送でございますので、第三者にNHKがそれをお貸ししてやっていただくということは可能ではないかと考えております。
  147. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 例えば、これはNHKが直営でやっちゃいかぬということですよね。NHKが所有しているその波を、ファックスですな、波と言いかえましょうか、一定の音声帯域をファックスを流すというファックス放送については、NHKが直営でやることはいけないが、別会社でその電波を使ってやることはオーケー、こう言われたのですね。  それで質問なんですが、NHKが直営でやっているラジオ放送を別会社で、いわゆる公共放送の使命をきちっと守っていくという立場を持続して別会社がやるということはいいのですか、いかがですか。
  148. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 このファクシミリ放送は、テレビの電波に重畳して多重放送で行うものでございます。したがいまして、電波資源とかいうそういう観点からも、あるいはNHKの設備のいわゆる有効利用というようなことからも、第三者にお貸ししてやることはやむを得ないんじゃないかということでございます。  それで、先生指摘の、ラジオ放送をそのまま設備をお貸ししてというような例でございますが、これは多重というような方法でやっているものではなく、方式として考えますとNHKがその設備の全部でもって放送をしなければできないものでございますので、そういう意味での物の見方というものは完全に差があってもいいのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  149. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そうすると、別の言い方をさせていただきますが、一つのメディアに重畳可能な場合のことを言っているわけである、こう理解してよろしゅうございますか。
  150. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 放送法の第九条にNHKの「業務」という規定がございますが、そこに、多重放送を行おうとする者に放送設備を賃貸するということが明文化されておりまして、実際的に文字多重等におきましては、第三者にお貸しして文字多重放送というものを実施している例があるわけでございます。
  151. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そのファックスは別会社がやるのはオーケーですから、別会社がコマーシャルを挟んでファックス放送をやるのもオーケーですね。
  152. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 そのとおりでございます。
  153. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 今、諮問会議の場で、NHKのメディアの所有はどうあるべきかというそのあり方について検討がされている、こういう説明がございました。今持っているメディアの数が適当なのかどうなのかという検討になっていくわけですが、それは公共放送の果たす役割のあり方を含めて、そういう基本的な議論からの検討が行われると思うのですが、いずれにしても、NHKもこれは受信料でもって経営が成り立っているわけですから、一番この収入源になっているメディアを開放するというか、民間の方にこれをスイッチするということはまず考えられないと思うのです。そんなことをやりますとNHKの経営がもちませんからね。  そうすると、どうしたって現実的な検討、対策ということになれば、そうでないメディアの部分をどのように民間にスイッチしていくのかというところに重点が移らざるを得ないと私は思うのですが、こういう理解についてどうお考えでしょうか。
  154. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 このNHKのメディアの保有という問題は大変重要な問題でありますので、私どもも、NHKと郵政省がお互いに十分に意見を交換することが必要だということで、現在、事務レベルでありますけれども、連絡会というものを設けて議論を進めているところでございます。そこの中では、まずラジオの問題というものを先に検討しようというようなことでございますし、その後テレビの問題というものも検討をしようということで、現在、一生懸命この議論をしているところでございます。  ただ、放送の公共性に関する調査研究会の報告でも、メディアの見直しというものはぜひやるべきであるということでございます。国会におきましても、そういう御意見が多数あったわけでございます。そういう意味で、テレビ、ラジオ、それから多重放送、こういう三つの分野に焦点を合わせていろいろな検討をしてまいらなければならないのではないか、このように考えているわけでございます。
  155. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 時間の関係がありまして突っ込んだ質問もできないわけですが、今も、その多重の関係でいけば、別会社をつくったファックス放送はコマーシャルを乗せて別会社がやってもよろしいというところまでもう入ってくるわけですよね。どこからどこが区切りがつくかということがもう非常に混在をしてこざるを得ないわけですね。一方では見直しといいますし、しかもそれは、抽象的な概念で言えばなるほどそうかなあというふうな理屈も、実際はNHKの経営が成り立っていくのかどうかというこの観点をのいた議論というのは、結局私は成り立たないと思っているわけです。  そうすると、この重畳させるニューメディアの部分が、言うならば、直営ではだめだというふうにまず一歩切り込んで入っていくということになりますと、NHKの分野というのは非常に、これからの議論を通じても広がることはない、むしろうんと狭まっていくのではないのか。経済的なメリットとして余りないメディアについては民間の方だってそう魅力はないように、私は、僣越な表現ですが、そんな感じがするのですね。ですから、その点をきちっと踏まえて今後もやはりこの問題の対処に当たっていただかないと、私は、将来禍根を残すことになりはしないかという気がいたします。  つまり、メディアでいいますけれども、それはテレビに重点が移ってきています。さらに関心は衛星放送に移っているわけです。しかし、衛星放送の受信料というのはNHKにしてみますと収入の非常に大きなパーセンテージを占めているわけです。ところがここには、技術開発というのですか、やはりリスクが伴っていまして、一つここでつまずいたら大変なことになるというリスクを絶えずしょいながら今のBSメディアというものを運用されていると思うのですね。ですからそういうことを考えますと、今申し上げたような点をひとつしっかり踏まえていただいて郵政省も今後の対応に当たっていただきたいな、こういうことを強調をいたしたいと思います。  次の問題で、通信と放送の定義について伺います。  歴史的に見まして通信と放送の定義は今日まで変わっていないのか、変わったのかというのが第一点の質問。第二点の質問は、今後もこの定義は不変なのか、それとも変わることがあるのかというこの二点について質問をいたします。
  156. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 放送は、公衆すなわち不特定多数の者によって直接受信されることを目的としたものであるというのが過去から現在に至るまでの定義でございます。これに対し通信とは、例えば企業の本店と各支店の間での各種情報伝達のように、特定の者のみを送信の相手とするものであるというふうに定義づけられておるわけでございます。このように、通信と放送は送信の相手方及び送信の目的という点において根本的に異なるものだということで我々は理解をしているわけでございます。  したがって、いろいろな技術革新が進みまして、国民の放送に対するニーズが多様化するに伴いましてさまざまな境界領域的なサービスが実現しつつあるのも事実でございます。これらが通信に属するのか放送に属するのかということに関しましては、送信者と受信者の間の関係の強さの程度等によりまして、送信の相手方に特定性が認められるか否かというようなことから総合的に判断をしてまいりたいと思っております。したがいまして、今後とも、定義といたしましては、放送、通信という二つの定義でそれぞれに分類をし、私どもは放送行政あるいは電気通信行政を行ってまいりたいと考えているわけでございます。
  157. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 つまり、放送というのは不特定多数の相手に情報を流す、通信というのは特定多数に情報を流す、こういうことですか。
  158. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 そのとおりでございます。
  159. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 すると、従来よく言われてきましたように、放送というのは一方的に流すだけ、通信というのは相手と流す側との間で交互にやりとりをする、この違いだということを私よく聞いたのですが、そういうのは定義ではないのですね。
  160. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 特定の人と通信を行うというようなことは、やはり送りがあって受けがあるということでございますので、これは通信ということでございます。したがいまして、私ども先生のおっしゃったことを肯定いたしましたのもそういう点を含めてということでございますので、御承知いただければと思います。
  161. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 CATVの場合にはなぜ放送というのですかね。あれは特定多数との間に端末もアクセスできますからその面では通信機能というものを持つわけです。僕はそう理解しておるのですが、このCATVはなぜ放送であって通信ではないのでしょうか。
  162. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 CATVの発生的な原因についていろいろなことを考えてみますと、放送の電波を受けて再送信をするというようなことでCATVというものは発展してきたわけでございます。そして双方向機能が最近は付加されたわけでございますけれども、いわゆる番組を家庭にほとんど一方通行で届けるというのが主でございまして、家庭からCATV会社のセンターの方に番組を送り返すというのはせいぜい一チャンネル程度というようなことで、双方向性とはいいましてもほとんどが放送の番組を流すものであるというようなことから、このCATVは放送の分野として発達をしてまいったものでございます。
  163. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 その端末の一部に通信機能を備えていても、他の大部分が放送機能であるからトータルとしてこれは放送なんだ、こういう理解でよろしゅうございますか。
  164. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 CATVの端末はほとんどがやはり受信専用ということでそれが機能しているわけでございますし、一部で双方向サービスがあるというような場合は、現象としては通信という行為を行っているわけでございますけれども、CATVの設備を使用してやるということでございまして、CATVの主たる目的は放送である、こういうことでございます。
  165. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 何かちょっと頭がこんがらがってきたのですが、一斉送信というのがありますね。通信には無線通信もありますが、今はCATVですから有線ですけれども、有線に限定をすれば、通信の分野に一斉送信というのもありますね。そのパートだけをとらまえればこれは放送じゃないのですか、今のお話だと。
  166. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 通信の分野におきましても同報通信という分野がございますものですから、そういうふうに特定の方々を相手にして一斉に情報を送るという場合には同報通信という分類で我々は規定をしているわけでございます。
  167. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 それは規定を法的にされているのか、概念規定としてそういうふうに整理を今日までされてきたからたまたまそうであって、その分野だけをとれば、やっていることというのは放送と一緒のことをやっておりますよね。そういうことを聞いておるわけです。
  168. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 サービスを行ういわゆる意図と申しますか、そういう面から考えまして、私どもは、個別の人に対して一斉に情報を提供するというようなものは通信として分類し、同報通信というサービスも認めているわけでございます。
  169. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 だんだん話が広がっていくのですけれども、そうすると、メディアを提供しよう、サービスを提供しようという事業者の意図によってまたこれもかなり判断が変わってくるというような趣旨でしたけれども、私が申し上げたいのは、これからはディジタルネットワークが張られてきますと、これはCATVと全く同じような、特定であることには変わりはありませんよね。どの御家庭でもディジタルが張られていけば、ぶら下がる端末のいかんによっては、言うならばこれがCATVのサービス、それを上回る情報の状態、受けたり、送ったりということももちろんありますが、何でもできますからね、そういう状態になっていくと思うのです。ですから、将来にわたってもこの通信と放送の定義は不変だということを強調されたのですが、余りそれは意味がないのではないか。もう日進月歩でございまして、余り意味がないのではないか。  だからといって、それではどちらでもいいのだったら、これは法制上困るのでしょうが、そういう実態が現実にそのように進んでいくわけですから、そういう情勢の変化を含めて法制の整備というのですか、再検討というものもやられていきませんと、ますますそれぞれメディアサービスの細かい分野で垣根ができて、そこに郵政省なり政府の許認可権限というのが障害になっていって、情報化にそれこそ格差を生み出す部分も新たに生まれてくるのではなかろうか。  そうであってはいけませんから、そういうのはやはり行政の側としては状況が進むということを、情勢を先取りをされて、そういう問題の検討にもいち早く着手をされる時期が来ているのではなかろうかということを強調したいわけですが、その点についてどうお考えでしょうか。
  170. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 将来、このディジタル化というものが発達してまいりますと、確かにおっしゃるように広帯域ISDNというような、いわゆるネットワークが家庭の中にも入ってくるという時代が参るであろうと私は思います。しかしながら、そういう場合におきましても、CATVといういわゆるネットワークが経済的なネットワークでなければならないというのは厳然たる事実でございます。したがいまして、ディジタル化というものが行われた場合でも、やはり経済性が最優先するのではないかということを私は考えておるわけでございます。  なぜかと申しますと、やはり現在の場合で、通信のネットワークとしてポイント・ソー・ポイントで線を結んでいってそうしてそこの間の通信を行うというような設備を優先しているような場合には、それを片方向で利用するだけで十分なCATVに流用いたしましても、コスト的には見合わないのではないかと思います。ただ、技術の発展というものは著しいものでございますし、それに見合った経済性というものがその時点で明確になれば、そういう時点で考えれば十分ではないか、このように考えております。
  171. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 慌ててやることはない、そういう状態が一般化してから着手をしても遅くない、一言で言えばそういう答弁でしょうか。  ところが、意見が分かれるのはそこからですが、そうじゃないですね。もう既にそれは一般家庭にまではまだべたでは、面では網は張られてないのですが、これはもうそこまで来ているし、また計画はそういう前倒しの格好で進んでいくわけですから、そのときになりますとかなり出てくる。一つのケーブルを使って、ネットワークを使って放送しかできないというのは不便な世の中なのですね。それは双方向であるにこしたことはないのです。言うならば、一つのケーブルを通じてネットワークが張られれば、それを通じて放送もできるし、通信もできるというのがむしろ情報化社会ではより機能していけるものではなかろうか、私はそう思っているわけです。  ですから、そういうことを考えると、言うならばユーザーが選択するような条件を、もちろんこれは業者の皆さんがコストに見合わないことにはサービスは提供しませんから、それは局長の言われるとおりでございましょう。それは業者の努力にまてばよろしい。ただ、制度の問題として、行政が実態に対応できるような法的な枠組みというのを先行的にやはり検討されていきませんと、いつも情勢の後追いになるのではなかろうか。そうしますと、言うならば古い法的な仕組みを引きずってきたのでは、それが障害になって情報化社会をさらに全面的に促進をさせていくということに大変これは立ちはだかるというようなことにもなりますので、やはりそういうものは、塀は低くした方がよろしいし、国境は取り払った方がいいわけですから、そういう立場に立って検討いただきたい、このように私は考えているわけでございます。答弁があればいただきます。――なければ結構です。では、そういうことで要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  172. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員長代理 次に、田中昭一君。
  173. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 この法案についてはおおむね了解をする立場でございますし、ミクロの問題などについておおむねレクチャーの段階でも理解をいたしております。そういう立場を踏まえまして、難視聴問題全般につきましてマクロ的に質問をさせていただきたい、こういうふうに考えております。  まず第一でありますけれども郵政省に基本的な考え方お尋ねいたしたいわけですが、もうこれも御承知のように、放送法の第一条では、放送を公共の福祉に適合して、そして放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障する、こうなっているわけであります。しかし、住んでいる住所によって、住んでいる町によって、またほかの他動的な要因によってこの権利、保障が受けられない、こういう状況がありますし、また受けにくいという状況があるわけでありまして、こういうのは今申し上げました放送法第一条、いわゆる権利という問題からしても大変不公平でおかしい、こういうふうに考えるわけで、ここのところはやはりきちんと基本的に踏まえておく必要があるのではないかと思います。  聞くところによりますと、こういう状況にあるところが、NHKの場合にはまだまだ十万以上あるのではないか、民放の場合には四十万世帯くらいあるのではないかということをちょっとお聞きをいたしているわけですけれども、これに対してまたいろいろな形での難視聴対策がとられているということについてはそれなりに理解をしているわけですけれども、今申し上げましたように、権利という立場からこの難視聴のそれぞれの分類についてどういうふうに把握をしているのか。例えば自然難視聴であるのか他動的なものであるのか、これに対してどのような解消策というものを図ってきたのか、また図っていこうとするのか、こういう基本的な考え方放送法第一条との関連で冒頭郵政省としての考え方をお聞きしたいと思います。
  174. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 局長から詳細申し上げますけれども、基本的な問題でありますので私から申し上げます。  まず、放送法の第一条は、先生指摘のように、放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすこと、つまり国民はひとしく放送を受ける権利を有するわけであります。そこでNHKは、放送の全国普及義務、それから民間放送業者は、放送対象地域における普及努力義務がそれぞれ規定されているわけで、それぞれが今日まで努力をしているところでございます。  国といたしましては、国民生活における放送の重要性も十分に踏まえて、国でやれることは何かということから、中継局の設置であるとか共同受信施設の整備、衛星放送の実施、受信技術の開発等で難視聴解消のために今日まで努力をしてまいったわけでございます。  ただ、都市の受信障害につきましては原因者負担で解決するということを大原則として今までやってきたのでありますが、さまざまに複合的な、複雑な影響から、なかなか原因者がつかみにくいという問題なども起こってまいりました。一層国としても配慮して、ひとしくあまねく国民が受信の権利が得られるようにしなければなりません。  そこで、今回のこの改正になっていくわけでございます。受信障害対策、中継放送を設けることによってSHF放送による都市受信障害や、辺地に中継局を置くことによって難視聴の円滑な解消を図っていく、そういう施策をとりたいと思うわけであります。これからも地形による難視聴、都市受信障害の解消に向けて積極的に取り組んでいきたいと思っております。
  175. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 難視聴対策に対する財政的な措置を含めた支援措置の具体案というようなことでお話を申し上げたいと思うのでございますけれども、自然難視に関しましては、NHKについては放送衛星によって行いたい。しかも、それを補うために本年の三月に衛星放送受信対策基金を創設させていただきました。その運用益によってアンテナコンバーターを買いやすくしようじゃないかというようなことでお認めいただきまして、おかげさまで、先般第一号が山形県の金山町というところで八軒ほどの方々に恩恵に浴していただいたところでございます。  民放に関しましては、従来から中継局、それから共同受信施設の整備の指導というようなことをいろいろやってまいりました。いわゆる財投によります特別融資というようなことで、中継局を設置するような場合にも支援してまいったわけでございます。さらには、新過疎法という法律によりまして、ことしの四月からテレビあるいはラジオの中継局の建設に過疎債を活用することができるように道を開いていただいたわけでございます。  一方、都市受信障害に関しましては、大臣からの御答弁にありましたように、建築主の責任というようなことで原因者負担の原則を中心にいたしまして、当事者間の協議がうまくいくように私どもは支援をしているわけでございます。  さらにまた、国としてもどういうことをやっておるかということになりますと、先ほど御紹介いたしました電波吸収体の研究開発なんかにも支援をいたしておりますし、財政投融資等によって、CATV、SHFテレビジョンあるいはいろいろな方法で支援をしているのが現状でございます。今後ともそういう面に関しまして積極的にやってまいりたいと考えております。
  176. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 よくわかりました。  それで、きょうはNHKの方もお呼びをいたしておりまして、大変お忙しいところを来ておられますので、今、大臣なり郵政省の方からも御答弁もございましたけれども、この際、NHKの方にも今の問題について若干御質問をさせていただきたいというふうに思っております。  これも御承知のように、放送法は全部で五十九条ございますが、そのうち第七条から五十条までがすべてNHKの諸事項を規定している、こういう法律になっていると思います。そういう意味では、放送法というのはまさにNHK設置法だ、こう言っても過言ではないのじゃないか。民放の問題などは若干しか触れられてないわけでありまして、まさにNHK設置法である、こう言っても過言ではないのじゃないか、こういうふうに思います。  この中で、NHKは、「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるよう」「放送を行うことを目的とする。」ということが明記されておるわけでありまして、まさにNHKには、あまねく日本全国において受信ができるようにすること、これが課せられた任務である。この任務を全うするために受信料を徴収して経営に充当している、こういう状況になっていると思います。  先般も、難視聴の解消を促進するための、今も御説明ございましたけれども、衛星放送の受信設備を設置する者に対して必要な経費の一部を助成するための通信・放送衛星機構法の改正どもここで議論をしたところであると思います。NHKとしてもこのようにいろいろと努力されている点について私どもはそれなりに理解をいたしておるわけですけれども、しかし、先ほど申し上げましたようにまだ相当数の難視聴地域が残っておる、こういう状況でありますから、そういう意味で、テレビジョン放送の受信障害対策について、NHKとして今後どのような形ですべてを克服するという立場で努力をされようとしておるのかという点につきまして、きょう議論になっております中では自然難視などについても、例えば地方自治体などがやらなければいけないような項目なども入っているわけであります。これは若干筋が違うのではないかという点もあるわけでありまして、これらの問題も含めまして、NHKとしての今後の対応、方針について少しお聞かせをいただきたいと思います。
  177. 高橋雄亮

    ○高橋参考人 先生指摘のとおり、放送法七条によりまして、私ども日本放送協会全国あまねく質のよい番組を国内放送で届けるということで、昭和二十七年以来各地に、特に自然難視の地形などによるところについては放送局を設置しながらその普及に努めてまいったわけでございますが、五十八年以降、一応、置局による難視解消は終わったという判断に立ちまして、五十九年からは衛星放送でそれをすべてカバーするという基本方針に立っているわけでございます。  したがいまして、衛星放送の番組編成の上で国内放送の充実を図るということで、先生御案内のように、衛星第二テレビジョンにおいては難視解消という目的のもとに現在の総合テレビジョンと教育テレビジョンの割合を総合編集いたしまして、全体の波の六〇%をこれに当てておるというような状況でございます。  しかし、最近の状況を考えますと、例えば外国電波による混信だとか、土地不足から宅地の大がかりな造成がございまして、新たな灘視というような問題も出てきておりますので、こういったところにつきましては、一応、置局による難視解消はやらないということにはしておりますけれども、引き続きそういう点につきましては検討した上で、例えば平成元年度もまた二年度も計画しておりますが、わずかではございますが地上局による難視解消に努めるということで今後努力してまいりたいと思っております。  それから、都市などのビルによる受信障害でございますが、先ほどから郵政省当局からお答えが出ておりますように、私ども郵政省の指導要領にのっとりまして、これは原因者負担だということでできるだけ原因者の方に負担していただくようにお話し合いをしていただいていますが、最近、都市のビルラッシュによりまして原因者がなかなか特定しづらいという状況もございます。したがいまして、そういうところにつきましては自治体その他の御協力も得まして、ぜひ関係者の方が中に入ってあっせんをしていただくように働きかけておるということでございます。そういう状況で、ビル難視につきましてはこのところ毎年解消に努めておりますが、最近のビルラッシュの中でこれが一番頭の痛い問題であるということでございます。
  178. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 この建造物などによる都市受信障害の対策について今回法案が出されておることについてよく理解をするのですが、先ほど最後の方にお聞きをしたのですけれども、今回のこの制度改正一つ理由として、この都市受信障害対策だけじゃなくて、僻地における難視聴対策の推進に資するために放送事業者以外、例えば地方団体などが中継局を開設できるようにする、こういうことになっているわけですが、この点についてもう少し具体的にお聞きをしたいと思います。
  179. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 民放の難視対策ということで、私どもは、中継局の設置というものを積極的に進めるように指導しているわけでございます。しかしながら、現実はそう簡単には進んでいないわけでございまして、市町村等が補助をして民放と一緒になって中継局をつくっているというケースが間々あるわけでございます。先ほどもちょっと御紹介いたしましたけれども、今回新過疎法という法律によりまして民放のテレビ、ラジオの中継局に対しまして過疎債の対象にしようということは、地方自治体におきまして非常に助成しやすいという仕組みをつくったわけでございます。  さらにまた、今回の法律改正によりまして地方公共団体でも免許を取ることができるということになりますれば、なお一層その中継局の設置が促進されるのではないか、このように考えておりまして、ぜひそういう点でこの法律改正をお認めいただきたい、このように考えているわけでございます。
  180. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 私も勉強不足の点もございますからもう一つお聞きをしたいのですが、都市部における電波受信障害対策のために、お聞きをするところによりますと、これはもう少し古くなりますけれども、高層建築物による受信障害解消についての指導要領というのが郵政省でつくられて定められておる、こういうふうに聞いているわけであります。また、全国の電気通信監理局に受信障害対策官というものを配置して指導に当たられておる、こういうふうに聞いておるわけですが、この指導要領と対策官の具体的な中身につきまして、どのように機能しているのか、どういうふうに評価をしているのか、こういう点につきまして少し教えていただきたいと思います。
  181. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 高層建築物によります受信障害解消についての指導要領は昭和五十一年の三月に通達として私どもから出されておりまして、地方におきます指導の一つのガイドラインを示しているわけでございます。また、各地方の電気通信監理局の受信障害対策官は、このようないわゆるガイドラインに基づきまして、受信障害に関しますところの苦情、相談に対しまして個別的、具体的な相談に乗っているわけでございます。またさらに、このような指導要領に基づきまして、こういういわゆる障害対策というものは経験が物を言うわけでございますので、受信障害の調査に当たりましては、技術とノーハウを十分に持っておられるところのNHKの受信障害対策グループと申しますか、非常に専門家のグループがございますので、それらの方々の御協力を得ながら対策を講じているところでございます。
  182. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 もう少し具体的にお聞きをしたいのですが、時間の関係もございますから、この指導要領がさらに効果を発揮して、そして対策官が具体的な都市部における受信障害対策のためにさらに力を発揮されるように指導を強化されるように申し上げておきたいと思います。  次に、少し急ぐようでありますが、今日都市の受信障害対策の主力となっていると私たちは考えておったのはCATVだと思うのです。このCATVの関係につきまして、今回新たにSHF中継局開設が提起されておるわけですが、さらにこのCATVとの関係で、これが重ねて提起をされた理由、要因、それからCATVの場合に必要な経費と今回の中継局設置の場合の経費の比較について、これは規模とか大きさとかによって違うと思いますので、そんなにきちんとした比較は無理だと思いますけれども、おおむねどういうふうに理解をされておるのか、この辺を少しお聞きしたいと思います。
  183. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 CATVはいわゆる都市難視の解決のためには非常に威力を発揮しているわけでございます。しかしながら、再開発に伴います建築物の高層化によります受信障害の広域化であるとか大規模化、さらに都市環境整備のための電線類の地中化の推進であるとかいうようなことで、かなり経費がかさんでいるのが事実でございます。一方、SHF放送の場合には電波で行いますから、そういう伝送系のケーブルが必要ないわけでございますので、かなり経済的でございます。さらに一方、このSHF放送の受信機というものが、衛星放送の普及によりまして、同じような周波数帯を使用いたしますものですから、SHF放送の受信設備が非常に低廉化してまいったというような事実がございますので、そういう意味で従来からあったSHF放送の有効性が見直されてきたわけでございます。  したがいまして、経費という面で比較をいたしますと、三千世帯程度を超えてしまいますとSHF放送が有利であるというような結果が出ております。これは単にシミュレーションでございますが、例えば恵比寿駅周辺における対策というようなことで調査研究を進めた試算がございますが、世帯数は一万六千世帯、CATVでやりますれば十七億円必要だというのが、SHF放送の場合には十億円程度で済むということ、それから石神井公園の駅周辺をモデルにいたしまして試算した結果では、世帯数が約二千三百世帯、これをCATVで行いますと二億八千万円、SHF方式で行いますと三億二千万円というように、若干SHF放送の方が高いというような結果が出ております。  郵政省といたしましても、今後ますます大規模化しつつある都市受信障害対策の有力な解消方式といたしましてSHF放送というものが適当なのではないか、このように考えているわけでございます。
  184. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 よくわかりました。  関連しまして、今回の法案と直接的に関係があるかないかは別にしまして、今CATVの問題が出ておりますから少しお尋ねをしたいと思います。  CATVは従来山間地等におけるテレビ放送の難視聴とか、今も議論になっておりますように都市における受信障害などにその威力を非常に発揮をしてきた、こういうふうに思いますけれども、昨今の情報通信技術の進歩や衛星放送の実用化とも相まちまして、CATVの有する大容量性また双方向性に注目しまして相当発達、拡大されてきつつあるのではないか、さらに拡大をしていくのではないか、こういうように判断をされるわけです。  最近郵政省でも少し力を入れておられるのではないかと思うのですけれども、民間通信衛星を利用したいわゆるスペース・ケーブルネットが実現をして今後飛躍的に発展するのではないか、こういう記事をたくさん目にするわけですが、このスペース・ケーブルネットの今後の発展の見通しとか発展による今後の影響などについて郵政省としてどういうふうに将来を見通しておられるのか、この辺をお聞きしたいと思います。
  185. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 このスペース・ケーブルネットは、民間の通信衛星を利用いたしまして全国のCATVにニュースであるとかスポーツ、映画、音楽等の多彩な、専門的な番組を供給するものでございます。大都市地方との情報格差の是正に貢献するものと期待をしているところでございます。  昨年、このスペース・ケーブルネットが実現いたしまして、現在番組供給事業者十四社が実際に通信衛星を利用してCATV向けに番組を供給いたしております。このスペース・ケーブルネットの実現を契機にいたしましてCATVは飛躍的に発展していくのではないかと私どもは期待しております。  ただ、全国にございますCATVは主として地域にあるテレビの電波を再送信するというような設備がほとんどでございますので、今後の課題といたしましては、非常に伝送容量が少ないCATVをグレードアップいたしまして、このスペース・ケーブルネットによる番組をたくさん伝送できるような設備に改善していくことが必要ではないかと思っております。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  186. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 CATVについてもう一つお尋ねをしたいと思います。  先ほども申し上げたように、CATV事業の拡充については強い社会的要請がある中で、NTTとかNCCなどが保有する既存の電気通信設備を使うということについて法的に規制されておるのではないか、こういうことになっていると思います。例えばNTTの大容量伝送可能な光ファイバーなどに仮に余裕があっても、これをCATV事業者に貸すことはできないというふうに規制の枠がはめられておるのだろうと思います。  先般のたしか円滑化法の議論の際だったと思いますけれども、これも今後の検討課題として調査会などで郵政の側としても検討しておる、こういうふうに聞いておるわけでありますけれども、ちょっと記憶が定かではありませんが、これは間違いかどうか。この問題について、現状と今後の展望について少しお聞かせをいただきたい、この規制の問題を含めまして少し郵政省考え方をお聞きしたいと思います。
  187. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 CATVは同軸ケーブルを地域に張りめぐらしまして放送番組を伝送するというようなことから始まったサービスでございます。今後、光ファイバーという新しい技術を採用しながら発展していくものと思いますが、現在のところは同軸ケーブルが主流でございます。そしてその形態は一方交通で、CATVのセンターから各家庭に送り出すというのが主でございまして、一般家庭の方からCATVのセンターの方に送り返してくるという、上り回線と申しますが、そういうものはせいぜい一チャンネル程度あるというのが双方向CATVと言われているものでございます。  したがいまして、私どもは、CATVの設備というものはCATV事業者が自前でおつくりになって、経済的な値段でサービスを提供するというような仕組みを想定し、そうして法律的にもそういうふうな目で見た規制というものをしているわけでございます。一方また、番組の内容ということに関しましても、CATV事業者が責任を持つというふうにきちっとした規制も行われているわけでございます。  いわゆる第一種電気通信事業者がおつくりになったネットワークを借用したらどうかというような御質問であろうと思いますが、そういうふうなことは絶対だめだというようなことで規制されているわけではございません。一部でCNNのアメリカの番組が流れておりますものなどは、NTTの回線を利用いたしまして、ホテルであるとか役所関係であるとか大企業の事業所等あるいは外人専用のマンション等には引かれております。  しかしながらその料金等をお聞きいたしますと、三十万であるとか十万というような、月々かなりの負担金をいただいておるというふうに聞いております。このように、一般のCATVでありますれば一カ月で三千円程度の料金で番組を見ることができるわけでございますが、そういうふうなことがなかなか難しいというのが現状でございまして、第一種電気通信事業者から回線をお借りしてやっているというようなものは余り例がないのでございます。  そういうことでございますので、有線テレビジョン法等におきましては、設備、伝送路を借用してサービスを提供するというようなことを想定して法体系をつくっているわけではありません。したがって、将来そういうふうな点が技術的にも解決され、経済的にも十分対抗できるというような値段になってまいりましたときには、そういうふうなことに関しましても考えていくことが必要ではないかと思いますけれども、現時点におきましては、技術的にも経済的にも第一種電気通信事業者からお借りをしてCATV事業を行うということは非常に困難な状況になっているわけでございます。
  188. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 今回SHFの受信障害対策中継局を設置することによって都市部を中心にした難視聴問題について解決を図ろう、こういう提起がされておるわけです。先ほどもマクロ的に若干御説明がございましたけれども、今回の受信障害対策中継局の設置に対して、例えば、具体的に先般本委員会で議論を行った円滑化法で定義された地域通信・放送開発事業などになされるいわゆる必要な資金の貸し付けであるとか利子補給であるとか、これらに類する支援措置などがどうとられていくのかという問題を含めまして、少し具体的にお聞きをしたいと思います。
  189. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 CATVに対しまして行われておる支援措置は、まず第一に、CATV事業者に対するものとして日本開発銀行等からの長期低利の融資がございます。さらには、テレトピア地域における第三セクターのCATV事業者に対しましては無利子融資の制度がございます。一方、番組供給事業者に対しましても日本開発銀行等からの長期低利の融資。それから、CATVの共同番組センターというのがございますが、これは通信衛星を共同利用して番組を供給するためのセンターでございますが、この共同番組センターに対しましても日本開発銀行からの出資が認められております。  それから、テレトピア地域における第三セクターのふるサットセンター、これはふるさととサテライトをドッキングさせた言葉でございますが、地域から全国に向けて情報をどしどし発進しようという構想でございますが、このようなふるサットセンターに対しましては無利子融資の制度を適用するということで、現在準備を進めているところでございます。
  190. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 質問の部分についてはよく理解をいたしました。  これで終わります。ありがとうございました。
  191. 上草義輝

    上草委員長 次に、秋葉忠利君。
  192. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 実は、この次の委員会で私は郵便局職員の労働過重について質問することになっているのですが、今拝見しておりますと、質問する私たちの側は大変人数が多いのですが、大瀧局長は一人で御答弁になっていらっしゃいまして、声がちょっとかすれてきて、こちらもかなり労働過重になっているのではないかと思いますので、せっかく郵政大臣もここにいらしていることですし、幾つかの質問は郵政大臣にお答えいただければ大瀧局長の労働量も少し減るのじゃないかと思いますので、最初にちょっとお願いをしておきます。  最初に、実は前回、先月ここで審議をいたしました特定通信・放送開発事業実施円滑化法ですが、それに、障害者のためにこういった技術あるいはこういった法をぜひ生かして使っていただきたいという附帯決議をつけさせていただきました。そのすぐ後で「官界通信」という中に「目の不自由な人に朗報」ということで、これは直接放送とは関係ありませんが、NHKラジオで取り上げられた投書がきっかけになって、郵政大臣の英断で結局はがきの裏表、上下左右が簡単にわかるような措置を十一月一日から行うという決定をされたという報道がありました。非常に歓迎すべきことで大変ありがたいと思うのですが、十一月一日近くになるとPRは当然されると思いますけれども、こういう決定をされた時点でもっと大々的にPRをするということも必要ではないかと思いますので、感謝と同時に、郵政省側でやはりこういった点についてもぜひPRをしていただきたいというお願いをしたいと思います。  質問に入りますが、今回の法案の大まかな流れを言いますと、ともかく受信障害対策のために放送法の規制を少し緩める、特定のものであるけれども緩めるという方向に私は考えているのですが、これは、例えばOECDから要望が出されている通信あるいは放送についての規制緩和、そういった要望にこたえる、あるいはこれからの技術進歩に伴ってやはり規制緩和をした方がいい、そういう大きな流れの一つというふうに考えてよろしいのでしょうか。大体の、大まかの方針で結構ですが、郵政大臣の見解を伺いたいと思います。
  193. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 この法律改正は、都市部における難視聴解消のための一つの解決策、手段として進めていくものでございますが、結果においては規制緩和にもつながってまいりますから、そういう意味では先生の御趣旨に、先生がおっしゃった今日的な課題にこたえるものにも合致するかとは思っております。  それから、なお、盲人用はがきの件については、御指摘のように、こちらの方で発表いたしましたが、それが伝わっていかなければ何の効果もありませんから、ひとつぜひPRも検討してみたいというふうに思っております。
  194. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 PRの点もよろしくお願いいたします。  ついでに申し上げますが、障害者用のさまざまな措置ということが、やはり郵政省というのは人間同士のコミュニケーションの分野に非常に大きくかかわっている省ですので、思いつきと言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、ただ、そのレベルで終わらせないで、何か省の中に、そういった障害を持った方々のためのさまざまな改革あるいは新しいアイデアを生かすような何か恒常的な制度あるいは何か施設でもつくっていただければ、これからももっともっとすばらしいアイデアが実行に移されるのではないかと思いますので、あわせてお願いをしておきます。  私は、主に今回の都市型の受信障害の点について伺いたいのですけれども、前にやはりこの委員会で審議をいたしました難視聴対策、衛星放送を使うに当たって受信機が非常に高いから援助をしたらどうかという内容の法律でしたけれども、その時点での説明では、難視聴というのはもはやほとんどなくなったのだ、それに対応する最終的な答えというのが衛星放送である、したがってこれからは衛星放送を中心に難視聴対策を考えていくということだったのですけれども、ここでは、都市型の受信障害の対策としてなぜ衛星放送だけではいけないのか、なぜそれ以上のことをしなくてはいけないのか、伺いたいと思います。
  195. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 現在のところ、衛星放送はNHKが二チャンネル放送を実施しているわけでございます。したがいまして、難視聴解消ということで打ち出しました衛星放送のサービスは、NHKに関しては難視聴解消として非常に有効であるということになるわけでございます。  一方、民間放送局も、ことしの八月に打ち上げられますところのBS3aによりましてサービスが開始されるわけでございますけれども、これはまた別個のサービスをやり、しかも有料放送という新しい仕組みでサービスを開始したいという計画でございます。したがいまして、民間放送に関しましては、何らか別の方法で難視聴対策というものを考えていかなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。
  196. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 それは、念のためにもう一度伺いますが、民間放送についての難視聴対策というのは、例えば過疎部においても同じような措置をこれから考えていくという計画あるいはお考えでしょうか、その点を確認したいと思います。
  197. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 過疎地域に関しましては、大変、民間放送の中継局の設置がおくれております。NHKの難視聴地域における受信者に対しまして、非常に民放の難視聴地域というものは大きいのでございます。したがって、中継局の設置というものを積極的に行うように、郵政省といたしましても民間放送事業者に対して指導しておるところでございます。  また、新過疎法によりまして、地方公共団体からの助成がしやすくなったという非常にいい環境にもなってまいりましたものですから、今回この法律改正によりまして、地方公共団体でも免許人になって中継局を設置することができるようにいたしますれば、なおさら民放の中継局の設置が容易になるのではないか、このように考えたわけでございます。
  198. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 この点についてはまた別の委員が後に質問すると思いますので、別の点に移りたいと思います。  主に、この改正によって郵政省で考えられているのはSHF、都市においてはSHF帯ということですけれども、具体的に二つのことを伺いたいと思います。  まず最初に、こういう都市型の、例えばビルの陰になっていたり、あるいは反射波によって映像が混乱したり鮮明でなくなったりする、そういった形の受信障害の実態を大ざっぱで結構ですから、例えば東京都内でも結構ですし、大都市で一体どのぐらいの世帯が影響を受けているのか。あるいはそれも幾つかの細かい地域に分かれているのか、あるいは非常に広い面積を覆うところがそういった影響を受けているのか、あるいは点のようにせいぜい半径百メートルぐらいの小さな地域がたくさんあるのかといった、大体の状態をお教えいただきたいと思います。  それと、それに対して一応SHF帯を使うということをお考えになっているようですが、SHF帯の特徴について、つまりSHFを使うとそういった障害が、さっき五つの形を挙げられましたけれども、そのうちの二つはほとんどなくなるのか、あるいはSHF帯でも届く距離が短いとか、あるいはまた今度は別のより低い建物による障害が出るとか、そういったSHF帯の特徴とその障害解消のためにどのぐらい実効力があるのか、その辺を伺いたいと思います。
  199. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 都市難視の状況でございますが、これは全国的に見まして、平成元年度末で六十七万世帯と推定されております。一方、それを地域別に見てみますと、首都圏では三十六万世帯、京阪神圏では十五万世帯、中京圏では五万世帯、その他十一万世帯というのが現状でございます。  このように、大都市を中心とした障害というものは、やはり建造物による障害が主でございます。それをSHF放送によりましてできる限り早期に解決をしていきたいというのが、今回の法律改正趣旨でございます。CATVで行いますのが抜本的な解決ということになるわけでございますが、広域に障害地域がございますと、非常にCATVでは対応が遅いという欠点があるわけでございます。そういう意味で、すぐにでも対応できるというのがSHF放送の非常なメリットであろうかと思います。  また、建物の陰ということだけを考えますと、そんなに広範囲な地域ではないのでございますけれども、最近は地域開発ということで、大規模に開発をして大きなビルを共同で建てていくというような例が間々ございますので、そういうことになりますと、かなり広範囲な地域の受信障害ということで被害が大きくなるわけでございます。SHF放送の欠点は、電波でございますので、また遮られれば障害になるということでございます。したがいまして、広範囲の地域をカバーしたとはいいましても、建物の陰になるところでは実際は活用されないわけでございますので、やはりそういう意味では、小規模なSHF放送というのと大規模なSHF放送というものをうまくコンビネーションをとって設置していく必要があるのではないかと思います。  根本的な解決策といたしましては、いずれにいたしましてもCATVがいいわけでございますので、それらとのコンビネーションも十分に考えながら受信障害の対策を進めていかなければならないと考えているわけでございます。
  200. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 そうしますと、もう少し具体的に、例えば首都圏で三十六万あるいは東京都内で三十六万ということなのかもしれませんが、その受信障害、難視聴を解消するために、SHF局でしたら例えばどのくらいの規模の局を大体どのあたりに何局ぐらい、大小を組み合わせるとおっしゃいましたけれども、どんなことをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。それも自主的に、例えば建物を持っている、高いビルを持っている人がそういったものを建てるという自主的な判断に最終的にはなると思うのですが、大体こんなところがあれば十分ではないかといった想定をもしされているのでしたらお聞かせいただきたいと思います。
  201. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 このSHF放送というものが実施されている例は三カ所ほどございますが、そのほかにも現在検討中のところがございます。渋谷にありますところのサッポロビールの跡地の再開発地域とか、あるいは志村坂下の再開発地域とか浜松駅前の再開発地域とか、いろいろな例が今検討されているわけでございます。  しかしながら、非常に規模としてそれぞれまちまちでございますので、はっきりした例示をお示しすることができませんが、過去にもいろいろと計画があった例がございますけれども、やはり放送事業者が免許人となるという従来型の方式でございますと、どうしても放送事業者と建物の持ち主あるいは建築主の方々との協議というもので、なかなかお話が前に進まないという例が多かったのでございます。それで断念をしたという例が非常に多いものでございますから、今回のようにどなたにでも免許人になってもらうということになりますと、そういう点で促進剤になるのではないかと私どもは期待しております。  その規模であるとかあるいは送信装置の問題とか、あるいは受信機、コンバーター、アンテナというようないろいろな設備面での経済性というようなものも、放送衛星の受信機の普及状況からも考えまして、あれと同程度の値段になるのではないかと私どもは思っておりますし、かなり一般の方々も購入しやすいお値段で普及が図られるのではないかと考えているわけでございます。
  202. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 次のこの点についてももう少し伺いたいのですが、余り時間がありませんので次の点。  これも大体のお考えを伺っておいて、また別の機会にもっと詳しい質問をしたいと思うのですが、今都市型の難視聴で非常に大切なのは、こういったことを事前に防止することである。そもそも障害というものを出さない、そのための一つの措置として電波吸収技術、これは主に反射の面のことだと思いますけれども、その技術を挙げられました。何度か挙げられたので、かなり力を入れてこれは開発されている分野だと思いますが、それと同時に、NHKの方でやはり同じように力を入れて開発している技術の一つにハイビジョンがございます。  実は、この二つの技術とも非常に高度な技術ではありますけれども、同時に軍事技術としても利用可能であるということで、デュアル・ユース・テクノロジー、共用技術という点でやはり非常に問題性の多いものだというふうに思います。それを、民生用のもちろん目的があるわけですけれども、こういった共用技術についてこれからさまざまの問題が生じてくると思いますけれども、こういった共用技術について、郵政大臣は、こういったことも今後郵政省方針として、共用技術の開発について方針を固められるお気持ちがあるのかどうか、伺いたいと思います。
  203. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 御指摘のハイビジョン等は、まさに先端技術を最大限に活用した新しいメディアとして脚光を浴びているわけでございます。大画面で精細なものというようなことになりまして、民生品として大いに期待をされているわけであります。  そういうような一般的な利用ということの中での一つの利用方法として、先生指摘のような利用があることも私ども想像はできますけれども、それが、そのためをもって開発を進めているということはないのでございまして、私ども、NHKが開発したハイビジョンを、日本のメーカーの方々に、できる限り安い値段で国民の方にサービスを提供できるように、セットの低廉化というものに関しましてお願いをしているわけでございます。LSIの技術というものは日進月歩でございますので、小型にどんどんなっていって、将来は壁かけテレビというような究極のテレビにまで発展していくことを期待しているわけでありまして、私どもは、そういう面での振興策を積極的に進めてまいりたいと思っているわけでございます。
  204. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 共用技術については世界的にも非常にいろいろと議論があって、一体どうしたらいいのか、これは一定の、一つの決まった見方があるというわけではなくて、非常に議論をこれからしていかなくてはならないところだと思いますし、電波吸収技術についても、やはりアメリカでのスパイ爆撃機に使われたりということがありますので、今後非常に重要な分野として、私としては、きちんとした方針を立てた上で開発していかなくてはならない技術だと思います。そういった点で、これからも郵政省もこの点についてぜひ御配慮をしていただきたい。そういうお願いをして、次の問題に移りたいと思います。  先ほど伊藤委員の方から質問がありました放送と通信の区別についてですが、伊藤委員の質問された点について追加質問をしたいのですが、同報通信という点において現象としては全く同じなんだけれども、それが通信であるかあるいは放送であるかというのは送信者側の意図によるというふうに私は伺ったように思いますが、それでよろしいのでしょうか。
  205. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 放送というのは、公衆、つまり不特定多数の方々に直接受信されることを目的としたものでございます。通信というのは、送る側と受け取る側が、例えば本社と支社のような非常に深い結びつきがある、受信者の特定性が認められるという、そこに通信と私たちは区別をしております。  ただ、これから国民の放送に対するニーズが非常にさまざまに多様化してまいりますので、境界領域的サービスが出現するということは十分考えられると思うのであります。私どもとしては、従来どおり通信と放送の二区分で対応してまいりますけれども、必要な規律のあり方についてはあわせて検討していかなければならぬと思っております。
  206. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 送信者の意図という点に関しましての御質問がございましたのでお答え申し上げますが、私どもは、その通信の相手方が特定しているか否かということが、通信か放送かの問題を分類する場合の一つの大きなポイントでございます。  送信者と通信の相手方との間の特定の関係、あるいは通信の相手方に特定の属性が存在しており、通信の相手方が不特定多数に及ぶものではないこと、しかも、こうした特定の者を通信の相手方としようとする送信者の意図が、送信者の主観のみでなく客観的に認められることが必要であるということで、そういう観点から私どもは、通信か、放送かということを分類する際の基準を、そういう意図であるかどうかというのを分類の基準にしているところでございます。
  207. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 その特定の関係というところなんですけれども、最終的に煮詰めてしまえば、そのいわば特定の関係という中に他者の入り込む余地がないということがその基準であるというふうに私は聞いておりますが、最終的にはそういった煮詰めた解釈でよろしいのでしょうか。
  208. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 やはりその境界領域的なサービスというものがどんどん出てくるという場合におきましても、これは放送のサービスである、こちらは通信のサービスであるというふうにきちっと割り切れる面が必ずあるわけでございまして、したがって、そういう分類をして法律上きちっと仕分けをしていくということで十分に対応ができるのではないかと私は考えているわけでございます。
  209. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 お答えを伺っているうちに、だんだん複雑になってわからなくなっていくのですが、私はあたかも、かつて天動説から地動説に移ったときのガリレイのような気持ちがしておるのです。つまり、天動説をとりますと、確かに太陽は動いているし、水星も金星も動いているのですが、その動き方については、あれは本当は円じゃなくてちょっと逆行したりするじゃないかというようなことを申し上げると、いや、実はそれは水星の周りにはもう一つ円があってというような、周転円を重ねてどんどんどんどん説明がなされていく、そういうような気が大変いたします。  これは根本的にはそういった説明にならざるを得ないということは、そもそも、今まで言われてきた放送と通信のその定義の仕方、その分け方というものが現状に合っていない、非常に不自然な形での定義がいまだに踏襲されているというところに原因があるんじゃないかと思います。いわば、地動説的に視点を変えることによって、放送と通信の区分を、もし必要であれば、それこそもっとすっきりとした見方をとることによって、新しい定義をとることによって非常にすっきりとした説明ができるのではないか。今伺ったような一つ一つのことについては、矛盾点を挙げるとまた別の説明が出てくるという形ではなくて、全ての、放送なら放送あるいは通信なら通信といったことが非常にすっきりとわかる、だれにもわかる、それこそ小学生にもわかるような形での説明ができる分け方というのがあるのじゃないか。  そういった現状に合った分け方をした上で、やはり行政側が現在の技術、そして国民のニーズにこたえていかなくてはいけないのじゃないか、そういう問題提起を、今大瀧局長がなされたお答えそのものの中に私は見ることができると思うのですけれども、ここで抜本的に放送と通信の定義の仕方をはっきりと変えて、しかもできるだけ早急に変えた上でさまざまなこれからの通信と放送の行政というものを考えていかれるお気持ちはありませんでしょうか。郵政大臣、いかがでしょうか。
  210. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 先ほどから私や局長から答弁しましたように、私どもの理解の中では放送と通信、きちんと分けられるつもりでいるのですが、先ほどからのお話もございましたので、ひとつ検討を加えさせていただきたいと思います。
  211. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございます。ぜひ検討していただきたいと思います。  それで、もう少し今の点について申し上げますと、実は私の理解している放送と通信の区別では、例えば現在問題になっております都市型の難視聴、その中のごく一部かもしれませんけれども、例えば高いビルの陰になってしまう、たまたま自分たちの住んでいる前にビルが建ってしまってそのために放送が聞こえなくなった、見えなくなったというその世帯の属性ですね。属性なんて難しい言葉を使わなくてもいいと思うのですが、それは要するに受信者側に、これは不特定多数でなくて非常に特定された属性がある。その人たち対象に、しかも送信者側では決まりきった電波を流す、その人たちだけに流すということですから、それは放送ではなくて通信の分野で、通信として十分扱うことができるのではないか。であれば、何も放送法改正することは全く必要ないのじゃないかということを私は考えているのですが、いかがでしょうか。
  212. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 いわゆる受信障害を受けている人という意味での特定という御指摘であろうと思うのでございますけれども、放送というものを送信している側から見ますと、やはり不特定多数の方を相手に送信をしているわけでございまして、これはもう、今回の建物が設置されることによって障害になった、これもその不特定多数の中の一つであるというふうに理解するのが素直な理解じゃないかと私どもは考えておるわけでございまして、しかもその中継局は、その中継局で電波を受けて、そのまま手を加えないで流す、中継して送信するということでございますので、まさに放送の一部を分担しているというふうに御理解を願うことが必要ではないかと思うわけでございます。
  213. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 不特定多数の母集団があって、その中の一部をとってもそれも不特定多数だ、だから建物の陰になっていてもそれは不特定多数なのだということですけれども、そういたしますと、例えば非常に大きな企業があったとして、その企業の社員全体に流す放送というのは、流す何か通信の特別な形があった場合にはそれは放送だ、しかしながら、例えば取締役会の情報を取締役だけに流すということは通信とは考えられないわけですか。
  214. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 特定の企業が特定の方に対して情報を提供するということに限って言えば、これは通信ではないかと思うわけでございます。私の理解がちょっと十分でなかったのかどうかわかりませんけれども、放送の設備を使ってという前提が先生にはおありなのかどうか、その辺私はちょっと十分な理解ができないのですが、そういう特定の方に対して情報を提供するということであれば、もちろん通信ではないかと私は考えております。
  215. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 実は、これは電波新聞だと思いますけれども、そこに「映像産業の未来を考える」という記事がありまして、郵政省の内部資料として、幾つかの通信と放送についての区別があるということを挙げた記事なんです。例えば、ニッケンサテライトという会社が工務店向けに建築関連情報を提供しているサービスは放送だけれども、一定規模未満は通信だというような記述がある。それは明らかに規模で判断をしているわけですけれども、それと同時に、例えば取締役会のような、企業が自分の社員に衛星を使って放送する場合でも、それが取締役といった限定された場合であれば通信である、しかし一般社員まで広げるとそれは放送であるというような区別がある、そんな趣旨のことが書いてある。  今のお話を受け取りますと、さっきのビルの場合には、そもそも大きくくくった母集団が不特定多数なんだから、そのうちの小さな集団をとってもそれは不特定多数なんだということを言われたわけですけれども、ここに書いてあります内部資料というものがそもそも郵政省の判断基準であるならば、今おっしゃったこととこの内部資料との間には明らかに矛盾がある。だから今伺っているわけなんです。
  216. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 私どもは、CS、通信衛星を利用いたしました放送サービスというものを来年春には提供することができるのじゃないかというようなことで、法的な規則であるとかいろいろな整備を今行っているところでございます。  御指摘のようなサービスが通信であるか放送であるかというような議論はございます。私どもは、特定の方々に対してサービスを提供しているという点だけを非常に強調していただきますれば、それは通信ですねということになるわけでございますけれども、大工さん全員にやるんだというようなことになってまいりますと、これはもう放送ですねということを言わざるを得ないわけでございます。ですから、来年そういうふうな通信衛星を利用した放送サービスというものができるようになってきた時点において、きちっとそういう点は整理をしてやってまいりたいと思っているわけであります。
  217. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 時間がありませんので、最後に一つだけ。  これはお答えが伺えなければそれで結構なんですが、今の通信と放送の境界領域あるいは分け方について、今のやりとりでこの議事録をごらんになる方あるいはお聞きになった方は、ともかく通信と放送との間が非常にあいまいである、解釈の違いによってかなりいろいろな色がつくのだということだけは十分おわかりになったと思うのです。例えばこれはこういうふうに解釈できるんだというようなところで、説明としては苦しい説明になるかもしれませんが、やりくりができるような受信障害についての措置をあえて放送法の中で改正をする、しかも来年の四月になるとある程度こういったことについても整理がつくというふうに私は解釈しておりますが、違ったら謝りますが、そういった問題についてあえて放送法改正するという態度が一方にある。  しかしながら同時に、先日やはりここで審議された円滑化法の場合には、衛星機構法の目的から大きく離れている。しかも、それに関してはともかく法解釈上問題がないんだというような、乖離の状態が非常に大きな問題については法改正を行わずに、解釈で何とか説明がつきそうな余地のある問題については法律改正をする。これは、法をどういうふうに扱っていくか、そして政治全体が国民にどういうふうに映るかという点において私は非常に大きな問題だと思います。その法と現実との乖離ということをどう考えられているのか、一言で結構ですから、郵政大臣にお答えいただければと思います。
  218. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 私ども、今回の放送法改正をお願い申し上げておる分野は、地上放送の難視聴対策というふうにお考えいただければ明快におわかりいただけるんじゃないかと思うわけでございまして、それをCS等によりますところの放送か通信かというような問題とは若干違った目で見ていただければ幸いでございます。
  219. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 時間がありませんので、それについてもまた別の機会に取り上げさせていただきたいと思います。  質問を終わります。
  220. 上草義輝

    上草委員長 次に、遠藤和良君。
  221. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 先ほどから問題になっております通信と放送の問題ですけれども、私素人でございますから、ぜひ素人にわかるように端的に御説明を願います。  通信とは一体何でしょう。
  222. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 通信とは、例えば企業の本店と各支店等の間での各種情報伝達のように特定の者のみを送信の相手方とするものであります、非常に簡単な説明でございますが。
  223. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それでは、放送とは何でしょう。
  224. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 放送とは、公衆、すなわち不特定多数の者によって直接受信されることを目的としたものでございます。
  225. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 特定という意味でございますけれども、例えば有料の受信契約をした、これはある意味では特定ですね。これはどう理解しますか。
  226. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 過日の放送法改正におきまして、有料放送という定義をしていただきましたが、この有料放送のように、受信者と契約関係があっても、だれでも契約し得るというものであれば放送という理解をしているわけでございます。
  227. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それでは、通信衛星というのは何でしょう。
  228. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 簡単に申しますれば、主として通信を行う人工衛星のことを通信衛星と言っております。
  229. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 では、放送衛星とは何ですか。
  230. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 放送衛星につきましては、専ら放送を行う人工衛星のことを放送衛星と言っております。
  231. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 役所の中の話になりますけれども、通信衛星を所管する局はどこでしょう。
  232. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 内容にもよりますけれども、宇宙関係の仕事は通信政策局で担当いたしております。
  233. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 では、放送衛星を所管する役所、局はどこでしょう。
  234. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 放送を所管しておりますのは放送行政局でありますが、放送衛星の開発とかそういった面につきましては、私ども通信政策局で担当いたしております。
  235. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 わかりました。  それでは、通信衛星を使用した放送は、放送なんですか、通信なんですか。
  236. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 放送でございます。
  237. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 これは放送類似行為ということが言われたことが一時ありますけれども、これはきっぱり放送と理解していいわけですね。
  238. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 議論の過程の中ではいろいろな言葉で言われたことがございますけれども、放送でございます。
  239. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それではお聞きしますが、ことし二月にスカイポートセンター事件というのがありましたが、この事件のてんまつを教えてください。
  240. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 スカイポートセンターという会社がございまして、この会社は、CATV向けに通信衛星を利用して番組を配信する番組供給事業者のうち八社の契約、それから料金回収等を代行する会社だと聞いております。
  241. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 その会社がいわゆるCATVの会社に番組を提供するばかりではなくて一般家庭にも直接受信ができるような免許を求めたわけですね。これに郵政省は許可しませんでしたね。なぜ許可しなかったのですか。
  242. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 スカイポートセンターそのものは、先ほども申し上げましたように番組供給事業者八社の契約、料金回収等を代行する会社でございまして、一般家庭にも直接番組を配信するというようなことを目的としてこしらえられた会社ではないと聞いているわけでございます。現在では、あの問題は、CATV事業者向けに番組を配信するということで、この番組供給事業者八社の方々も全員、そういう私どもの指導に基づきまして、CATV事業者向けの番組配信だけを行っているわけでございます。
  243. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 いわゆるCATVに番組を提供する、この範囲のことであれば認められるけれども、一般家庭が直接受信ができるような形になるとこれは通信衛星を利用した放送事業になるということですね。  そうすると、この放送事業に対してなぜ許可をすぐ与えないのですか。
  244. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 昨年放送法改正をしていただきまして、通信衛星を利用した放送サービスというものができる道をおつくりいただいたわけでございますが、現在いろいろな技術基準というような面、それからガットに対する通報というようなこと、いろいろな手続を踏んでおりまして、そういうような手続が完了した上で、実際のサービスとして提供することができるようにしてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  245. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それでは、通信衛星を利用したこの放送事業者、放送に対する放送事業者への許可、これはいつごろをめどに許可をする予定ですか。
  246. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 この通信衛星を利用した放送サービスの中で音声サービスを提供するものは、現在技術基準の策定を行っております。電波監理審議会にも現在諮問中でございまして、その御答申をいただいた上でいろいろな規則を公布いたしたいと思っております。一方、テレビをサービスする問題の方は、現在電気通信技術審議会の方で審議をいたしておりまして、いろいろな規則のもとになる技術的な検討を進めていただいております。そういう観点から、来年の春ごろにはすべての技術的な問題点の規則化が済みまして、そして映像による通信衛星を利用した放送サービスというものができるようになるのではないかと考えております。
  247. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 専ら通信を目的に開発された通信衛星によりまして放送ができる、しかもそれは放送事業者としての免許を与える、こういうふうなことが決められました。そうすると、要するに放送衛星を利用した放送事業者の取る放送事業者免許と通信衛星を利用した番組提供事業者が取る放送事業者免許というのは全く同資格ですか。
  248. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 番組提供事業者に対しまして私ども免許というような制度はとっておりませんものですからこれは別といたしまして、通信サービスをやっている人たちとそれから放送サービスをやるというような両方の面から免許というようなことで処理をすることは可能であります。また、放送サービスが主だということになりますと、現象的にはその特定の人というものは不特定の中に含まれてしまいますから、放送サービスをやっていればそれで十分だというようなことにもなります。ですから、その辺のことに関しましても十分に検討して支障のないようにやってまいりたいと思っているわけであります。
  249. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 もう一回正確に聞きますけれども、通信衛星を利用する放送事業者も放送衛星を利用する放送事業者も放送事業者としては区別しないわけですね。
  250. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 CSと申しますか、通信衛星を利用して番組を流したいという人は委託放送事業者ということになるわけでございますね。それからCSを所有して番組を流してあげる人、これは受託放送事業者という定義をしているわけでございます。したがいまして、BSは番組の面と設備の面と両方を持っているわけでございますから、これは放送法によりましてきちっと放送局としての免許を与えるわけでございます。そういうふうな分け方で私どもはやってまいりたい、このように考えているわけであります。
  251. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 だんだん頭がこんがらがってきましたけれども、例えば通信衛星を利用する番組事業者が放送局としての設備を整えた上で放送事業者としての免許を取る申請をした、これは放送局になるのではないのですか。
  252. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 放送の設備を地上で持ちまして番組を通信衛星に向けて送ります、それは委託放送事業者、委託するという概念で放送事業者という定義を設けたわけでございます。
  253. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 その辺がよくわからないのですよ。アメリカの場合は、放送衛星を利用した放送事業者というのはないのですね。みんな通信衛星を利用した放送事業者ですね。日本は何かこう放送衛星の方が主流であって、何となく通信衛星の方は傍流で、大体後から来て通信衛星で放送するのはけしからぬじゃないか、そういうような観念から許可に差異を生じているのではないかな。実態的には全く同じことが、まあパラボラアンテナの大きい、小さいはありますけれども、実際は、実態的には通信衛星も放送衛星も同じ機能を持っているわけですね。何でその差異をつけるのか、そこが理解に苦しむところなんですが、もう一回説明してください。
  254. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 アメリカにおきましては、まだ直接放送衛星による放送衛星サービスというのを実施していないのでございます。そこに至る過程にあるわけでございます。それで通信衛星を利用したサービスを行っているわけでございます。  日本は既にNHKが直接放送衛星サービスというものを現状で行っているわけでございまして、そういう意味では、放送衛星のサービスを実用化しているのは日本が先端を切っているわけでございます。したがって、先生指摘のように、通信衛星を利用した放送サービスという概念も、来るべき通信衛星の積極的な利用という面から考えまして、これもそういう道を開いて、そうしてきちっとした法制度のもとで通信衛星を利用した放送サービスというものをやっていただけるように私どもは現在準備をしておるところでございます。
  255. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 いわゆる放送衛星による民間放送が始まる前に通信衛星による放送の免許を与えるのはまずいじゃないか、こういう意図が働いているような気がしてならないのです。もともと放送衛星の方が放送の主流であった。したがって、今度夏ですか、上げますね。そして民間の放送衛星を利用した放送が始まりますね。これにまず、放送事業者の許可を与えましょう、しかる後にこの傍系として生まれてきた通信衛星を利用した放送に対しても放送の許可を与えましょう、こういうふうな考え方郵政省の中にあるのじゃないでしょうか。確認をさせてもらいます。
  256. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 そのような考え方は決してございません。
  257. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、国民の側から考えまして、放送衛星を利用した放送であっても通信衛星を利用した放送であっても、早くモアチャンネル化、いろいろな番組を見たいという要望があると思うのですね。したがって基本的には、同じ資格の放送事業者として許可を与えてもいいのじゃないかと私は思います。そして、それがどちらが先ということではなくて、熟度が高まればどんどん許可をしていく、こういう考え方の方がさらに競争も適正に行われることになるでしょうし、サービスも進んでいくのではないか、こう思うのです。  実態的にはもう通信と放送の垣根というのはだんだんなくなってきているわけですしね。言葉の上ではいろいろ言っているわけですけれども、実態的には通信衛星を利用した放送も行われるし、放送衛星を利用した放送も行われるわけです。こういうことですから、私は放送事業者の放送免許、これはそういうことにとらわれないでどんどんと許可を与えていいのではないか、このように思うわけでございます。そういうことでよろしいですね。
  258. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 通信衛星による放送は、先ほども申し上げましたように昨年六月の放送法改正によって実現が可能となったものでございますし、当衆議院逓信委員会におきましても、「技術革新の成果を実用化するに当たっては、国民のニーズに沿って進めるとともに、技術基準の策定に際しては、慎重かつ十分な検討を行うこと。」という附帯決議もいただいております。私どもは、こういう点も十分留意しながら電気通信技術審議会において必要な技術的条件の精力的な検討をお願いしているわけでございます。通信衛星を利用した放送の早期実現に向けて最大限の努力をしているわけでございます。  一方、放送衛星による放送は、もう既に宇宙開発計画によりまして我が国で開発をし、ことしの八月にはBS3aを打ち上げます。来年にはまたBS3bを打ち上げるわけでございます。放送衛星による放送も、今後は地上放送とともに我が国の放送の中心的な役割を果たすと思いますし、通信衛星による放送はまた、ニュースであるとかスポーツだとか映画だとか非常に専門的なサービスを中心に発達していくのではないかと思うわけでございまして、私どもは、それらを総合的に、調和ある発展というものを念頭に置きまして指導をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  259. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 大臣、今や地球はボーダーレスの時代になりました。聞くところによりますと、アメリカとソ連の間で二十四時間番組を提供し合ってお互いの国で放送し合いましょうというような計画も進んでいるみたいですね。これはもちろん通信衛星を利用した放送でございますけれども。そういうことですから、世界じゅうが通信衛星で結ばれて、それがネットワークになって放送をやりましょうという機運がかなり出ているわけですね。こういうときに日本が放送とは何ぞや、通信とは何ぞやということでその垣根をつくる必要はないのではないか、私はこういう時代に入っているという認識もあるんですね。  ですから、通信と放送のボーダーレス、そして要するに世界じゅうがボーダーレスになっている。日本の国もボーダーレスになっている。本当に一番喜ぶのは国民ですから、国民の皆様のためにいいサービスが提供できるように、これはどちらでも、放送事業者として熟度が高まってくれば、早い者勝ちと言ったらおかしいわけですが、許可をしていく、こういうふうなフレキシブルな対応が必要なのではないか、このように感じますが、いかがですか。
  260. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 先ほどから先生の御指摘も理解できないわけではございません。ただ、お言葉を返すわけではありませんが、今の世界、アメリカとソビエトにしてもボーダーラインがなくなっていくというお説でございますが、ついこの間のことですけれども、例えば海底ケーブルを使って国際電話をソビエトと自由主義陣営とを結ぼうということに当たっては、アメリカから非常に強いクレームがついたとか、なかなか表の形とは違った、裏のボーダーラインというのが明らかに存在しているような感じがいたします。  今の放送衛星、通信衛星の問題についてこれから検討の余地は十分あるとは思いますが、目下の体制は郵政省が考えているような区別の仕方で進んでいっておかしくないのではないか、そう理解しております。
  261. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 日本の国の中ではぜひボーダーレスな政策をとっていただきたいと要望しておきます。  それから具体的な姿でございますが、日本におきまして、この通信衛星を利用したいろいろなメディアあるいはネットワーク、こういうのが進んでいるわけでございますが、いわゆる星を利用したネットワークと地上波を利用したネットワークのメリット、デメリット、これはどのようにお考えであるかお聞きしたいと思います。
  262. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 衛星通信回線を地上の通信回線に比較してみますと、衛星通信を利用するというのは非常に広い地域と通信ができる、あるいは同時に多数の地点に送信ができる、同報性と言っておりますが、あるいは映像なんかが伝送できる広帯域性といったようなものがこの衛星通信回線の特徴でありまして、そういった特徴がいわばメリットになっているわけでございます。逆に、三万六千キロの赤道の上空まで行ってこいという格好になるわけですから、地上と衛星との距離による遅延時間が生ずるというようなことがデメリットであります。  衛星通信回線の具体的なNTTの衛星系のサービスと地上系のサービスの回線専用料金を比較してみますと、映像伝送につきましては、例えば二地点間の通信では通信距離が千五百キロ以上離れたような遠い場所では、衛星系が安くなっております。あるいは五つの地点と通信をするといった場合に、地上でやる料金と衛星を使う料金とを比較してみますと、平均の通信距離が百二十キロ以上の場合には衛星系のサービスの方が有利になっているという状況でございます。
  263. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 どうもありがとうございました。  それから、これは大きな問題なんですけれども、例の日米経済摩擦と人工衛星の調達問題ですね。スーパー三〇一条回避のためにかなり譲歩して、内外無差別調達ができるようにした、こういうふうな状態になっているわけでございますが、これは日本の国の宇宙政策大綱との関連はどうなるのか。宇宙政策大綱を所管しているのは科学技術庁だと思いますので、基本的なスタンスをまず聞きたいと思います。
  264. 中村方土

    中村説明員 今回の日米両国間の合意につきましては、御承知のとおり、日米両国間の協力と共同作業の精神からなされたものでございます。  この合意は宇宙開発活動を時代に追行する能力を保持するために必要な技術基盤の確立を図るという我が宇宙開発政策大綱の基本方針を変更するものではありませんので、宇宙開発政策大綱を改定する必要はないものと考えております。
  265. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ただ、今日本の宇宙政策というのは、要するに研究開発用も実用も、ともに国産技術を中心にやりましょうというふうな考え方で、それぞれ宇宙開発計画、これは毎年更新しているようでございますが、この計画そのものは大幅に変更せざるを得ないのではないか、このように思いますが、どうですか。
  266. 中村方土

    中村説明員 今回の合意によりまして特に問題になりましたのは、通信衛星四号等の扱いでございますけれども、今回のこの五月に定めました宇宙開発につきましては、この合意を受けまして通信衛星四号の技術開発課題を引き継ぐとともに、実験用データ中継実験衛星の技術開発課題を合体しました通信放送分野の研究開発衛星の開発といったところを盛り込んだものでございます。
  267. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 詳しく一つ一つ確認をしたいのですが、BS3a並びにbですね、これはこの人工衛星調達問題と関係なく従来どおり行う、それからCS4計画ですね、これは放棄するわけですか。
  268. 中村方土

    中村説明員 今回の合意は、通信衛星四号につきましては、先ほど研究開発型衛星として衣がえするということでございますが、既に開発を進めておりますBS3等につきましては変更はないという合意内容になっているわけでございます。
  269. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 その衣がえという中身を詳しく説明してください。
  270. 中村方土

    中村説明員 通信衛星四号で技術開発課題と言っておりました例えば高度移動体衛星通信の技術とか、それから高機能の衛星バスの技術といったものを引き継ぐ開発型衛星、その衛星に、私どもが科学技術庁で計画しておりました実験用データ中継衛星の技術開発課題を合体しまして、通信・放送分野の研究開発型衛星として、平成七年度以降に打ち上げるということで開発を進めるという計画になっております。
  271. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 当初のCS4計画の中には商業用衛星が入っていましたね。これはもう分離して全く別の計画として行う、こういう形になるわけですね。それが衣がえという意味でしょう。
  272. 中村方土

    中村説明員 先生おっしゃいましたとおりNTT等が使いますところにつきましては、別の衛星で考えていくということでございます。
  273. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、これは計画自体があったのかどうかはっきりしないのですが、BS4計画ですね、これも当然当初考えていたものから大きく変わる、全く新しい考え方で始めなければならない、こういう考え方になりますね。
  274. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 放送衛星につきましては、BS3までが計画をされているわけでございまして、BS3の後継機のBS4というものは現段階におきましては具体的な計画はございません。
  275. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 人間、BS3まであったら4があるのではないかというふうに考えるわけですね。そうすると、BS4というものが今後はBS3の延長ではない、全く新しい考え方で策定しなければならない、こういう感じになりますよね。これは確認させてもらってよろしいですね。
  276. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 これまで人工衛星の開発にいわゆる実用と研究の相乗り衛星ということでやってきた方針が変更されることになりますから、そういう意味では従来の方法による開発はないということに相なります。
  277. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 よくわかりました。  それで、いわゆる商業用衛星ですけれども、これは内外無差別調達ということになりますと、かなり外国のメーカーが日本に売りに来る。これは二、三私もちらほら聞いておるわけでありますが、今の技術水準からいきまして、国産と外国産のものについて、コストだとか性能だとか、この差異はありますか。
  278. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 これまで我が国におきましては、自主技術基盤の確立を目指しまして通信衛星、放送衛星あるい技術試験衛星といったようなものを開発してきたところでありますので、現状におきましても相当の技術力を確保しているものというふうに思っております。  今後もこの研究開発衛星を引き続き開発をしていくということでございますので、これらの開発等を推進することによりまして、相応の競争力が確保されるものというふうに考えております。
  279. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それでは今後の衛星の、実用衛星に限りますけれども、実用衛星の打ち上げ計画、郵政省が承知している分で結構でございますから、通信衛星、放送衛星は、外国委託も含めましてこういう計画がある、それから公共用、民間用に分けまして、わかっている範囲で結構ですから御報告をしてください。
  280. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 民間の状況でいいますと、スーパーバードの二号が失敗をしまして、その代替機といいますか、宇宙通信株式会社が上げる予定があると聞いておりますが、そのほかの通信衛星については具体的な計画があることは承知しておりません。  それから放送衛星につきましても、この夏上がりますBS3a、それからBS3bが来年の夏予定されておりますが、それ以降の計画については具体的な計画がございません。
  281. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 NHKが来年の春にBS3hというものを外国委託で上げる計画があると発表しましたが、これは承知していないですか。
  282. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 NHKは、BS2bの不測の事態に対処するために、本年二月に補完衛星BS2Xを打ち上げる計画を持っておりました。不幸にしまして、ロケットの故障によりまして不成功に終わったことは御承知のとおりでございます。  その後、BS2Xと同様な考え方に基づきまして、BS3aの不測の事態に備えることを目的として、さらにBS3aが軌道上で一機体制というふうにならざるを得ないものですから、この一機体制を補完する衛星をできる限り早期に打ち上げるようNHKにおいて衛星及び打ち上げロケットの確保について調査検討を行ってきたわけでございます。今回、その調達が可能となったわけでございます。NHKでは、BS2bと同じようにアメリカのGE社と契約をしているわけでございますが、このGE社との間で既に合意に達しておりまして、来年の四月打ち上げ、五月運用開始の予定でございます。
  283. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今のお話でございますと、どうも外国に委託をして打ち上げていただく計画はたくさんあるのですけれども、NASDAがやる商業衛星というのは今余り計画がないのですね。NASDAはもともと実用衛星の打ち上げもできるわけですけれども、調べましたらかなり研究開発衛星の方がメジロ押しでございまして、発射する時間帯がとれないのではないかなという感じもあるわけです。  これは種子島から出しているのですが、どうもロケットの発射回数が地元の漁業組合との話し合いで決まるのですね。これから衛星がどんどん必要になる時代なのですね。しかも、衛星の寿命は大体七年くらいだというふうに言われているのですが、その後更新しなければならない、こういう問題がありますが、漁業組合との話し合いで打ち上げ時期が設定されてしまうというのも、何か衛星というイメージからいうと何とかならないのかなという感触を持つわけでございますけれども、この辺の再見直しについて考え方がないのかどうか聞きたいと思います。
  284. 中村方土

    中村説明員 我が国の衛星につきましては、宇宙開発事業団が鹿児島県の南種子町にございます種子島宇宙センターから打ち上げておりまして、また文部省宇宙科学研究所が、同じく鹿児島県にあります内之浦町の鹿児島宇宙空間観測所から打ち上げております。これはいずれも地元関係者の御理解を得て、夏季及び冬季とそれぞれ二カ月間の中で行ってきているものでございます。  我が国の宇宙開発を円滑に進めていくためには、地元関係者、特に漁業関係者の御理解と御協力が基本でありまして、今後とも衛星の打ち上げについて十分御理解を得て進めてまいりたいと考えております。
  285. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、いわゆる通信衛星、放送衛星の寿命の問題なんですけれども、これは私いろいろ関係者にお伺いすると、その寿命が決まるのは、どうもアポジモーターの燃料の量によって決まる。というのは、要するに車でいえばガソリンタンクの量で車の寿命が決まるようなものなんですね、これは何とか技術開発できないのか。ほかの部分は全部新しくて故障がないのに、燃料がなくなったからぽいと終わりというのでは、これは何とかならぬのかという感じを持っていますけれども、これは燃料の開発、例えば太陽電池をうんと使えるようなものにするとか、もっと小型なもので非常に熱効率のいいものを使うとか、その辺は工夫すべきじゃないのかな、こう思いますが、開発状況どうですか。
  286. 中村方土

    中村説明員 衛星の寿命につきましては、今先生お話しのとおり、中に積んでいる燃料の量によりまして決まってくるというものでございます。ただ、私ども平成五年度に打ち上げます技術試験衛星VI型という衛星がございます。これは二トン級の静止衛星でございますが、この中ではイオンエンジンといいまして、要するに真空管の技術を使ったようなものでございますが、これで軽量化を図って長寿命化を図るというような技術開発を進めているところでございます。
  287. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それだと寿命は大分延びるのですか。十年ぐらいは大丈夫ですか。
  288. 中村方土

    中村説明員 技術開発の結果によるかと思いますけれども、十年以上もつものになります。
  289. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 日本は科学技術の立国だと言われているわけですから、衛星がどうもガソリンが切れたら終わりというのはちょっとお粗末な話だと思うのですよ。本当にそのために大きなロケットを全部費やしてやって、燃料が切れたら終わりというようなまことに理解に苦しむ状況ですから、この辺はもう少し力を入れて研究開発をしてもらいたい、こう思います。  それから、だんだん時間がなくなってきたものですから、放送衛星の使用枠の問題なんですけれども、今国際的なお約束で、これは一九八三年六月のRARCで決定したもので、十五年間見直さないというふうに言われているのですが、日本は一軌道位置八チャンネル、アメリカは八軌道位置二百五十六チャンネル、カナダは六軌道位置百九十二チャンネル、こういうふうな使用枠の決定があるのですが、どのように使用されているかと見ると、アメリカはたくさんとっているのですけれども一つも使っていないんですよ。カナダも一つも使っていません。枠だけとっているんですけれども、放送衛星は今一つもないのです。  ところが、日本の方は、八チャンネルのうち今二チャンネル使っております。もうじき三チャンネル使う。こうなってくると非常に窮屈な思いをしながら使っているわけですね。これはやはり使用状況に合わして日本の国が国際的に発言をすべきではないのか、私はこう思いますが、どうでしょう。
  290. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 放送衛星の計画に関しましては、先進国のみならず発展途上国も非常に関心がございまして、一九七七年のWARC―BSという国際会議におきまして、各国にそれぞれ割り当てよう、そうしてその割り当て計画に基づいて利用していこうということで計画がこしらえられたわけであります。その場合には、人口であるとかあるいは国土の広さであるとか、あるいは軌道上から見た国の数であるとか、諸要素を検討した上で決定された計画でございます。  先生指摘のように、まだ日本を除きましてはヨーロッパで若干利用しているという程度でございまして、そういう意味では計画当初からは非常におくれた使用状況ということになっているわけでございますが、この計画も十五年間の需要というものを土台にして決められたものでございます。したがって、今後プランの変更が行われるような場合には、その時点におきまして我が国といたしましても需要に見合ったチャンネル数を要求してまいりたいと思っておるわけでございます。
  291. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 八チャンネルの枠の中が埋まってからの話だと思うのですけれどもね。  きょう私は午前中に放送大学に行ってまいりまして理事長さんにいろいろ話を伺ったのですが、放送大学としては、やはり全国展開ということが放送大学の最初からの大きな希望でもあるわけですね。全国展開ということになれば、地上波じゃなくてやはり放送衛星を使った放送ということになると思うのです。この八チャンネルの枠の中に一チャンネルは放送大学をぜひ入れてもらいたい、こういうふうな希望が大変強うございました。それで、この八チャンネルの中に必ず放送大学を入れるということも検討してもらいたいということ。  もう一つは、全国にCATVがかなり普及してまいりましたね。私は四国でございますけれども、四国は放送大学の地上波届かないのです。だから受講する人がいないのかなと思うとそうでもないのです。東京に親戚がある、千葉に親戚がある、そこまでわざわざ行ってテレビを見て受講している人もいるのですね。そういうことから考えますと、CATVの中に放送大学が入ってくるとCATVの人たちは全部見ることができるわけですね。ですから、放送大学の全国展開ということを考えますと、一つは八チャンネルの中に一つ放送衛星のチャンネルを確保するということと、もう一つは、全国のCATVの中に放送大学のチャンネルを入れる。これは可能だと思うのですよ。既に、どこでしたか、長野県でございましたか、入っているようですね。こういうこともありますので、その辺を積極的に考えてもらいたいと思います。けさ行ってきた話でございまして、通告なしで恐縮ですが。
  292. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 放送大学の放送は現在は関東地域において行われているわけでございます。地上波を利用いたしましてテレビジョンとFM放送で行っておるわけでございます。  全国展開をするに当たりましては、やはり全国放送に適した衛星放送の利用というものが大変重要であると思っておりますし、私ども郵政省としては衛星放送でやることが最もよいのではないかというふうに考えているわけでございます。  先ほどのCATVによる利用ということでございますが、先生も御指摘のように、現在、東京からの地上波をキャッチいたしまして諏訪等でCATVに流しているということもございます。放送衛星でサービスをされるようになりましても、CATVのネットワークを通して放送衛星を受信しているという方々がかなりの数でございますから、当然そういうふうな形でCATVを通して放送衛星を受信するということになってまいるのではないかと私は思います。
  293. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 これはぜひ、この間僕が質問したときに大臣からもかなり前向きな御答弁をちょうだいいたしましたから、八チャンネルの中に必ず一つは入るぞ、この結論というか決意というか、それをまず一言お聞きしたいと思います。大臣、お願いします。
  294. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 実は私も先生と同じように視察をしてまいりました。放送大学で、特に働く人たちがスクーリングなどをやっている姿というのは非常に大事で、これは全国的に広げたいとそのときつくづく思いましたし、何らかの形で私も入りたいなと思ってそんな話もしてまいりました。  前の放送衛星のときにそのチャンネルで参加しないかという話もあったようでありますが、スクーリングその他のあるいは予算の体制が整わないために残念ながらだめであった。今後の放送衛星、打ち上げの時期はわかりませんけれども、今の放送衛星の寿命などを考えていくと、多分七年か八年後ぐらいには新たな放送衛星を飛ばさなければなりませんが、そこいらまでにそういう体制を固めながらそれに乗せていくということは、これから大いに考えていく必要があるのではないかと思っております。
  295. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 きょうも予算の話を伺ったのですけれども、全体の予算が一年間で八十億ぐらいですか、そのうち授業料等で入るのが大体二十億ぐらい、あとは国庫負担金、こんな感じの経営状況でございまして、全国展開するにはかなりお金がかかる、そういうことも心配されておりましたが、ぜひ国で十分に考えてもらいたいと思います。  それから、ソフトクライシスの問題についてお伺いしたいのですけれども、ソニーがコロンビアの映画の会社を買収しましたね。これはどうも、あそこにある映画あるいはテレビ番組を購入した、俗に映画は二千七百本、それからテレビは二万七千本手に入れた、こういうふうなことがありまして、そのために大体四十四億ドルですか、使った、こういうふうな話があるわけでございますが、これからCATVがどんどん普及をしてくるあるいは衛星放送が普及してくると、かなりいい映画だとかそういうソフトを持たなければいけないわけですね。こうなってくると、これに対する対応を考えなければいけない、こういう問題になります。  それから私は、ここで、そういう状況の中で郵政省として考えてもらいたいことは、一つは、日本の文化とか歴史だとか風俗だとか、そういうものを諸外国に知ってもらうための番組のソフトが必要ではないかと思うのですね。経済摩擦の底流には文化摩擦があるわけですから、日本の文化をよく知ってもらうためのソフトの開発を行う。  それから、日本語教育の番組ソフト、これも今、日本語に対する学習熱というものが東南アジアの国々を中心にしてすごいものがあります。これをその国々の放送で行うことができれば、語学研修としては最適の教材になるわけですね。どうかこういうものについて、NHKさんが恐らくやることになろうかと思いますけれども郵政省としてはそういう角度からソフトの充実を図るように持っていくことはできないのか、このように思いますが、どうでしょうか。
  296. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 国際相互理解を促進するという観点から、従来、短波による国際放送を実施しているわけでございますが、より影響力の大きいテレビジョン放送等の映像番組を送るということが極めて重要なことであろうと私ども考えているわけでございます。このため、我が国からのテレビジョンの放送番組を海外提供するということが必要と考えまして、郵政省では外務省と共同で検討を行っております。  我が国からの番組の提供については、外国語への吹きかえであるとかあるいは方式を変えるとかいろいろなことで多額の経費を必要とするわけでございます。海外の番組ニーズをきちっと把握いたしまして、今後ともそういうことを我が国として全体としてやはり積極的にやってまいらなければならないのじゃないか、このように考えているわけでございます。
  297. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 わかりました。  きょうは法律の審議をしているわけでございますから、最後に法律に戻りまして、都市における受信障害の解消については原因者負担主義というのを貫いてきておりますね。ところが、複合的な受信障害というのがたくさんありまして、原因者が特定できない状況が出るわけですね。そういう場合はこの原因者負担主義というのはどうなるんだろう。この法案ではどういうふうに解釈をし、例えば、原因者じゃないけれども地方自治体が、じゃやりましょうとか、あるいは全く関係のない第三者が、じゃ引き受けましょうといった場合に、その方々に中継放送局の免許を与えることができるのか、この問題を聞きたいと思います。
  298. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 原因者責任主義ということで、従来から難視聴対策に関しまして、特に都市難視に対しましては郵政省といたしましても積極的に調整役になりましてやっておるわけでございますが、最近のように各地域でたくさんのビルが建ってまいりますと、どれによって受信障害が起きておるのかというのを究明するのがなかなか難しいのが現実でございます。特に、反射障害というのがございますが、一回の反射だけで来るのではなくて二回も反射いたしますというような例もあるわけでございますので、三回反射するような場合もあり得るわけでございます。そういうことで、大都市の中心部等におきましてはまさに反射波を受けているというのが現実じゃないかと思うわけであります。そういう状況で、複合障害と我々は言っているわけでございますけれども、そういうふうな現象が非常に多くなってまいっております。  したがいまして、そういう意味で、先ほども御紹介いたしましたけれども、江戸川区等では区から七億円の費用を投じましてCATVをやっていこうというようなところも出てきているわけでありまして、そういう意味では私ども地方公共団体が積極的にこの都市難視に乗り出すということを歓迎しているわけでございます。  また、都市難視の解決策として今回の法案を提案しておるわけでございますが、原因者になっておりますところの方々が免許人になりまして番組を再送信していただけるというようなことが、中継局と申しますか、SHF中継局が設置しやすくなりますから大いに結構なんじゃないかということでの放送法改正なんでございますが、先生の御指摘のように、全然関係のない人でやりたいという人がおったらどうするのかという御質問でございますが、そういう特異な方がおられれば大変結構なことでございますので、私はそれはだめだとは申し上げないつもりでございますけれども、一般的に申し上げますれば、原因者になっているビルの所有者とか、あるいは地方に参りますればそれぞれの地方公共団体がそれらをやってみようかというようなことになるのではないかと考えているわけでございます。
  299. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 原因者が特定できないというのは、一つ都市計画のあり方がおかしいということもあるのですね。だから、そういう意味では間接的には地方自治体も原因者の一人かなという感じもしますけれども、例えば、特定できないときに、原因者であろうと推察される方々が集まってきてみんなでやろうということも考えられますね。  それから、最後に一つだけお願いしたいのですけれども、これは田舎の場合の話ですが、新過疎法によりまして今度の事業は過疎債の発行適用ができる、こうなるわけでございますが、実際的には地方はかなり苦しいところもあるわけですね。過疎債が出せないというところもあるわけです。それで、実態的にこの法改正によりまして都市並びに地方におきまして難視聴はどの程度解消されると見込んでいるのか、その展望だけお聞きいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  300. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 本年四月に施行されましたこの新過疎法によりまして、新たに民法の放送事業者が設置する難視聴解消のための中継局の整備に関する助成経費が過疎債の対象になるということになったわけでございます。今回の放送法改正によりまして自治体が設置する受信障害対策中継局の設置に必要な経費につきましては、現在こういう制度がないわけでございますので予定されていなかったわけでございますが、我々は、本法案が成立した場合には過疎債の対象となるように関係向きに働きかけておりまして、そちらの方からの御了解もほぼいただいておるわけでございます。  したがいまして、この法律が制定されましたら、早速そういうふうな手続をとって積極的に地方自治体が中継局を設置できるように、名義も地方自治体の名義ということになるわけでございますので、積極的にこの難視聴解消に取り組んでいただけるものと私は確信しております。そういう意味で、非常に前向きにやっていただけると思いますので、今後はこれによる難視聴解消というものが非常なスピードで進んでいくのではないかと思うわけでございます。
  301. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  302. 上草義輝

    上草委員長 次に、吉岡賢治君。
  303. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 受信障害対策中継放送についてということで法案が出ているわけでございますが、私は率直に国民、さらには視聴者の立場で疑問点についてお聞きをしたいと思います。  僻地における難視聴対策の推進が今回の法律の中に挙げられています。放送法二条の二、六項に、放送事業者はあまねく受信できるように努めなければならない、こういうふうになっていると思うのでございます。そういう意味で私はいろいろなところでお聞きをするわけでございますけれども、今回の放送法改正については、受信障害対策、こうなっているのですね。前回の機構法の改正では、難視聴対策、こうなっているのです。その言葉の違いと意味をお聞きしないと何かわからなくなってきますので、ちょっとお願いをしたいと思います。
  304. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 受信障害と難視聴というものは、言葉としては確かに私どももそんなに厳密に使い分けをしているわけではないのでございますけれども、前回はNHKのいわゆる難視聴対策ということでの、いわゆるNHKの問題をいろいろ議論する際に、難視聴という言葉が非常になじむものでございますので、そういう意味で利用させていただいたというのが実態だと私は感じております。  それから、今回の受信障害対策、これは中継局というようなものを設置するわけでございますので、これは私どもも民放、それからNHKすべてに対して対策を講ずるということでございますので、そういう意味で受信障害というような言葉を使ったわけでございますので、厳密にああだこうだという仕切りはないというふうに私自身は感じておるわけでございます。
  305. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 何かもう少しわかりませんけれども、私はこんなことを感じるのです。そういうことであれば、同意語だというふうにおっしゃるなら、さきの通信・放送衛星機構法の改正のとき、衛星放送受信対策基金の創設によって、個別家庭への助成措置ということで三十億の基金をつくられて、受信のパラボラアンテナあるいはチューナーについての助成を四分の一やっていくという方向が出たと思うのです。これは難視聴解消の促進、こういう側面から出ておるのは事実でございます。それでは、これと今回の受信障害対策ということとはどういう関連を持つのか、お聞きをしたいと思います。
  306. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 通信・放送衛星機構法で規定しております難視聴地域と申しますのは、自然的要因によりまして衛星放送によらなければその地域においてNHKのテレビジョン放送を受信できるようにすることが困難と認められる地域をいうというふうに定義をさせていただいたわけでございます。  それに対しまして、本法案の「受信の障害が発生している区域」というものは、放送対象区域内のテレビジョン放送が、周辺の状況からしまして、本来は良好に受信できる地域であって、建造物等人為的な要因あるいは丘陵等の自然的要因によって、良好な受信ができない区域というふうに定義をしているわけでございます。すなわち、今回の法案の「受信の障害が発生している区域」というのは、マクロ的に見ますと、本来的には受信が十分に行われている地域の中にあって建造物によって受信障害になっているというような地域を考えているわけなのでございます。
  307. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 また後でこの関連はきちっと言わせていただきたいとおもいますが、続けていきたいと思います。  今ここで言う僻地における実情について、例えばNHKとそれから地元の僻地の皆さんが自主的に中継設備といいますか、共同受信設備をつくっておられるその数とさらに世帯数について明らかにしていただきたいと思います。
  308. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 地元で行っておるというような状況の共聴施設でございますが、NHKの方ではNHKが実施しておりますところの辺地共聴受信設備と申しますのが約一万施設ほどございますが、地元が自主的にやっているというようなものは約八千施設あるということでございます。
  309. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今数字はほぼ明らかにしていただきましたから、そこで私は申し上げたいのです。  僻地というのは言うなれば自然の中における受信障害でございます、山とかいろいろなもので。そういう意味で考えてまいりますと、今まで多くの、今申し上げたように、あまねく受信ができるようにという放送法二章の問題を通してNHKでもそしてまた民法でもそのために放送事業者として努力をしていく、こういう方向にあって、今明らかにされましたようにNHKの辺地共同受信設備及び加入世帯数というのが出てきた。  そして地元の辺地共同受信設備及び加入世帯数というのは、自治体であってみたり、地域の組合であってみたり、そういう方々がみずからのお金を出し合ってNHKや民放の受信ができるようにという努力をなさった数字だ、このように思うわけであります。いわば僻地ではNHKの予算がないよ、来年に回してくれ、再来年に回してくれ、こういうふうに言われても文化の享受を一日も早く受けたい、こういう形の中で自分たちで受信設備をつくっていった、こういうことが如実に物語られているというように思っているわけであります。  そこではどういうことが起こっているかといいますと、受信料というのは今地上波で千三百円です。みずからがつくった設備を守るためにということあるいはいつかは更改をしなければならないというようなこと等も含めてプラスアルファのお金を払っていらっしゃる。それが月額五百円であったり、三百円だったりするわけです。そうなりますと、この方々はいわば文化の享受を受ける、放送を聞きたいという立場から月々千八百円であったり、千六百円であったりというお金を払っていらっしゃるわけであります。こういうような状況をつぶさに知っていただいておるのかということについてまずお答えいただきたいと思います。
  310. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 NHKも辺地の共同受信設備の設置等にも大変努力をしておったわけでございますが、現在は放送衛星にということでそれらに対する助成等も中止しているわけでございます。一方また、地元側の方々にNHKのみならず民放もぜひ見たいというような要求が非常におありになるものでございますから、自主的に組合をおつくりになったりいたしまして、地元の番組あるいは区域外の番組というようなものを見るための共聴施設というものをおつくりになっているということも事実でございますし、先ほども数字を申し上げさせていただいたわけでございます。そういう点で、辺地の皆さん方がテレビに対する要望というものが非常にお強いということを私どもは身をもって体験しているところでございます。
  311. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今共同アンテナを使ってみずからのお金で視聴しておられる方が七十二万にも及ぶというふうに言われました。その人たちは一体ここで言う難視聴地域に当たるのか、あるいはいやいやそうでなくて十分電波は届いているのだという判断にお立ちなのか、お聞きをしたいと思います。
  312. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 NHKは難視聴地域を解消する義務を持っているわけでございまして、そういう意味で積極的に中継局を設けたり、その共同受信施設というものを設置したり、衛星放送を実施したり、いろいろな方法でこれらの難視聴地域の解消に努めていただいておるわけでございます。  現に地元で自主的にそういうふうな組合等をおつくりになって、NHKのみならず民放の番組を受信しておられる方々は、物理的には難視聴地域ということではあろうかと思いますけれども、そういう御努力の結果、難視という状況からは解放されて番組をごらんになっていただいておるということでございます。そういう意味では広い意味では難視ということでございますが、そこを部分的に見ますと、やはりNHKの難視聴解消義務の対象からは除外されているのではないかと私は考えます。
  313. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ちょっとおかしいですね。それでは共同アンテナが風で倒れるとかいろいろな事故で倒れるとか、あるいは更改期が来たといったときにはどうなるのでしょうか。
  314. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 NHKの難視聴地域におきまして地元の共同受信施設の更改が必要になってきたという場合を御指摘いただいたわけでございますが、それぞれの地域状況等を踏まえましてNHKにおいて具体的な措置を講ずるべきかどうかの検討をしていただくことになろうかと思います。
  315. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 先ほどだれかの質問の中で、NHKは共聴アンテナ等をめぐらし、そしてまたあと十万戸残った難視聴に対しては、いわゆる衛星波を受けることによって解消したものとするという方向で御答弁があったと思います。全国的な状況の中で今申し上げたような実情を考えますと、放送事業者が受信をさせる、国民皆さんに見てもらうということについては、まだまだ現実的には難視聴は点在をしておる。住民の皆さん方のいわば文化の享受を受けたいという気持ちあるいは行政への協力等を含めて、そういう形の中で難視聴が解消されているというところを正確に見詰めるべきではないかと私は思うのですが、いかがでございましょう。
  316. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 私も先生の御指示、御発言のことは十分に理解しておるわけでございます。やはり十万世帯という残された難視聴の世帯に対しまては、衛星放送で行うにいたしましても先般の法律改正によりまして助成をするという道をつくったわけでございますが、これもできる限り難視聴の皆さん方を救っていかなければならないという精神からのものでございます。そういう意味で、今後ともあらゆる施策を通して難視の世帯を極力少なくしていくように努力をしてまいりたいと思います。
  317. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 私こういうことを思うのです。一方では、先ほども触れましたように、放送法二条の二、六項で、放送事業者があまねく受信できるように努めるという義務規定があります。そういう法律が一方でありながら、今回の受信障害対策中継放送についてということで都市部に焦点を当てた部分については理解ができます。それは、高層建築であるとかあるいは今後予想されるであろうリニアカーによるところの障害とかいうこともいろいろ考えた場合に、それなりに対策は原因者を中心にということでわかります。しかし、ここで僻地に対する問題というものも、この受信障害対策ということでの法案でくくろうとしておるというところに実は無理があると私は思っているのです。  今申し上げたように、まだまだ現実的には、自発的にやっていらっしゃる部分を除きますと、難視があると見なければならぬと思うのです。そういう意味で、私は今申し上げたように、この法律が通ってしまうとするならば、もともと皆さん自分でやってあったのだから今回はこの法律に基づいて自分でやってくださいよと言うことができるわけですね。となりますと、放送法といういわゆる放送事業に対する基本的な法律の中で、今申し上げたような矛盾が起こるというように思うのですが、いかがでしょう。     〔委員長退席、大野(功)委員長代理着席〕
  318. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 私ども、今回の法案によりまして救済できるのは、主として民放の番組が見れない地域ということではないかと考えているわけでございます。NHKが見れない世帯数は十万と言われておりますが、民間放送が一つも見れないというような方々は四十万世帯あるということでございます。  そういうふうな意味で、NHKの中継局はあるけれども民放はないというようなところを、今度の新過疎法によりますいわゆる手当て等によりまして、地方自治体も積極的にこの難視聴対策を行うことができるようになるわけでございますので、そういう意味でこの法案による難視聴対策の解消の効果が非常に出てくるのではないか、このように考えているわけでございます。
  319. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今の答弁、少しおかしいのではないかと思うのです。それでは、放送法二条の二、六項というのはNHKというふうに決められていることなんでしょうか、民放は関係ないというふうに読んでいいのでしょうか。
  320. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 それは民放も当然含まれているわけであります。したがいまして、私ども機会をとらえまして、民放の経営者の皆さん方には、辺地の中継局の設置を積極的に行うようにということで指導をしているのでございます。
  321. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 今、民放も含まれている、そういうふうにお答えいただいたのです。としますと、今回の法律は民放だけだということで、それでも結構ですけれども、一方では放送事業者が責任を持ちなさいよというふうに言いながら、一方では自分のところでやりなさいよという法案をつくるというのは矛盾があるのじゃないでしょうか。もっと言えば、私は正確にお聞きをしたいと思うのです。  先ほども過疎法の問題を触れられましたけれども、過疎法での援助は、先ほど言いますように地方債ですよ。片一方、パラボラアンテナのときは、機構法のときはどうだったでしょうか。自治体が四分の一、こういうことできちっと補助するということになっているのですね。これにはそういうことをうたっていないのです。しかし、いろいろ読んでみますと、電波技術協会の見解で、放送設備の性能の緩和とか所要電力不足の、密度の見直しや税制上の支援もしなければならぬというようなことを言っておられるところもあるのですね。そういうことについても明記されていない、こういうように思うのです。  話をもとに戻しますが、それではお聞きします。都市難聴と自然難聴、こういうことについて明確な定義をしていただかないと、放送法二条三号の二で、今回出された法律でどっちも縛ってしまうということについては非常に無理がある、このように思うのですが、いかがでしょう。
  322. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 私ども都市難聴、難視聴と申しますのは、いわゆるビル陰等を中心とした難視聴を言っておるわけでございます。それから、辺地の難視聴というような場合には、これはやはり自然的な条件、山であるとかいうようなものによって遮られた難視聴地域というふうに理解をしているわけでございまして、大都市であるとかいうようなことだけを都市難視でとらえるということはございません。したがいまして、地方都市におきましても、ビル陰の対策というようなものがあれば、このSHF放送というものが非常に有効に働くのではないかと思っているわけでございます。
  323. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 いわゆる都市難聴ということと自然難聴といいますか、もっと言えば、この法律の用語で言えば都市受信障害と自然受信障害ということにでもなるのでしょうか、この辺を明確に定義していただいたらある意味ではわかるのではないか、こう思いましたから申し上げているのです。  だから、性格の違う、言うなれば都市難聴については何かの原因があるのですよ。今まで受信できたのですから原因がある、妨害した原因が。ところが自然難聴の方は、僻地では、もちろん一部にはありますけれども、先ほど言いますような状況の中で、ほとんどが自然が障害になっていて難聴が起こっているわけであります。そういう中で、みずからが共聴アンテナを立てている。それがもし壊れたり何かしたときに、更改しなければならないという現実を迎える。そういうときにはやはり難聴ではございませんか。そういうようなことも含めて考えていくと、今申し上げますように、僻地における難視聴対策推進ということで片づけるには問題があるのではないかということを感ずるわけですが、いかがでしょう。
  324. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 都市難視の場合には、先生指摘のように、ビルの建築王というようなことで免許人になっていただきまして、SHF放送をそこに放送局を設けて番組の中継を行っていただくわけでございます。辺地の難視の場合には、やはりどなたかが中心になってやるということになろうかと思います。この場合、私どもが想定しておりますのは、主に市町村という公的ないわゆる地方公共団体が免許人になりたいという例が多いのではないか、このように考えているわけであります。  都市難視の場合に第三者の方に免許人になっていただける道を開いたわけでございますので、その流儀で考えていきますと、辺地難視におきましてもどなたでもなれるわけでございますけれども、おおよそ想定されますのは、地方公共団体がみずから免許人になるという例が多いのではないか、その方が辺地の場合には非常になじむのではないかというふうに考えているわけであります。したがいまして、この際同じ法案によりまして両方をカバーすることができるのではないかと私どもは考えているわけでございます。
  325. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 放送事業者の責務を放棄することになると思うのですが、いかがでしょう、今の見解では。
  326. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 放送事業者は、私は大変努力をして現在でもやっていると思います。民放におかれましては、やはり経営という面が非常に重要でございますし、非常に少数の方々のために中継局をこしらえていくということに関しましては、経営上の観点からいいましても非常に無理がある点を我々も認めざるを得ないのでございます。  しかしながら、毎年計画的に中継局の設置というものを積極的にやってくれということは、私ども機会あるごとに申し上げているわけでございます。したがいまして、放送のいわゆる権利と義務と申しますか、そういうものは放送事業者はきちっと持ちながらやっていただいていると思います。
  327. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 水かけ論になっているようですが、先ほどから私が申し上げますように、全国的に今民放では四十万の難視聴があり、そして今日までつくった中にでも、七十二万からの人たちが独自の費用でもってやった方々がいらっしゃる。そういう視点で物事を見ていただかないと、法律の運用上大変なそごを来す、こういうことがあると思うのです。  私は、あえて申し上げますけれども、今回の法律については、いわゆる自然難聴について同一法文でもって処されるところに非常に無理がある、このように思っているところでございますので、郵政省として十分な今後の御配慮をお願いし、できればこのことについてもう一度検討していただくようなことができないのか、そんな気持ちを持っていることを質問してみたいと思います。
  328. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 先ほど申し上げたようなことと同じことを繰り返すようで大変失礼でございますが、原因者のある都市受信障害と、もともと難視聴地域であって原因者のいない自然難視と同一の法案で処理しようとしているのはちょっと無理があるという御指摘でございますが、私ども都市難視の際に第三者に中継局の設置を認めるという発想を持ったわけでございます。それを地域においても、あるいは辺地においても、第三者の方々が中継局を設置したいというような場合に、それはやらなくていいというようなことを言うことは逆におかしいのじゃないかということで、これはこの際両方やっていこうじゃないかというふうになったわけでございます。  そういうふうに、いずれにしましても第三者に中継局の設置を認めるという共通点があるわけでございますので、そういう点で同一条項で制度改正を行おうとしたわけでございます。今後、いろいろな施策の展開をしていく場合におきまして、辺地におきましては地方公共団体との接触が深まってまいります。そういう意味で、地域の難視聴というものに対しましては積極的に私どもも取り組んでまいりたい、このように考えているわけでございます。
  329. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 平行線だと思いますけれども、それじゃ最後に申し上げます。  原因があって、それについてはSHFだとか利用しながら解消を図っていくことは、いわば建築主等、あるいは原因が明確なところで設備していただき、そして受信不可能なところを解消していく、こういうことですね。そうすれば、先ほど言いますように、その方々は一言で言えば地上波千三百円で済むのです。先ほど言いますように、千三百円プラスアルファ、こういうことで、僻地で収入も少ないところで頑張っていらっしゃる人たちがいる。そこの部分に光を当てるということができないのか。  今おっしゃっているのは、やってもらったら結構ですよ結構ですよということだけで、私は片手落ちだと思うのです。例えば、こういうことを提案されるなら機構法のときに、パラボラアンテナとチューナーについては四分の一、四分の一という国、自治体の補助をするよ、こういうこともついてまわっておったから私は賛成したのです。今回の問題で、僻地の中でそういうことをやっていくについて何ら温かい配慮がない、このように思うのです。私は、きょうはいっぱいほかにも抱えておりましたけれども、その点について、そういう現実があることにかんがみてどうお考えなのか。強引にこのことを押し通して、そして僻地における難視聴解消が進むとよもやお思いではないと思うのですが、もう一度お尋ねしておきます。
  330. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 僻地におきます難視聴解消に関しましては、大変その地域における重要な問題だと思うわけでございます。したがいまして、私どもも辺地難視聴に関しましては、市町村が主になってやっていく場合が非常に多いと思っているわけであります。したがいまして、そういった設備の更改期その他等におきましても、十分地域状況等を勘案して地方公共団体がいろいろな施策をやっていただけるものと私は期待しております。そういう意味で私どもも、地方公共団体と一緒になりましてこの僻地の難視聴対策に積極的に取り組んでまいりたいと思っているわけでございます。
  331. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 最後の質問にさせていただきます。     〔大野(功)委員長代理退席、委員長着席〕  ぜひ、今御答弁のあった方向でお願いをしたいと思いますが、できれば私どもが矛盾として指摘させていただいた点について採決まで御修正いただき、僻地に対する温かい御配慮がいただける、そういう方向で修正いただければこれほどの幸せはないということを申し添えて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  332. 上草義輝

    上草委員長 次に、菅野悦子君。
  333. 菅野悦子

    ○菅野委員 今度の放送法及び電波法の一部改正案というのは、都市における受信障害の対策を拡充させるというものであって、基本的には賛成であります。今度の改正は、ケーブルによる対策に加えて、SHF帯電波による対策も容易にできるようにするというものであります。これは、受信障害の対策を行うことが決まった段階で、より経費がかからぬようにできるというもので、どちらかというとビルなど受信障害を起こす原因者のための方策であるんじゃないかというふうに考えます。  それで、これに関連して、受信障害を受ける側、被害者の救済という問題について質問をしたいと思います。  まず、最も基本的な問題でございますけれども郵政省は、いわゆる都市難視、受信障害への対策としては、通達などで、受信障害の対策は原因である建築物の建築主の責任と負担で行うことが適当、こういうふうにしていらっしゃる。いわゆる原因者負担の原則というものをとっていらっしゃいます。これは今後も堅持されると思いますけれども、まずこの点を確認しておきたいと思いますが、どうでしょうか。
  334. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 建築物等による受信障害については、従来から、先生指摘のように、原因者責任の原則で、当事者間の協議でその解消を行うということをやってまいりました。このことは基本的に全く変えようという意思ではございません。  ただ、都市の再開発等に伴って、建造物によるテレビジョン放送の受信障害はますます多様化、複雑化してまいりまして、原因者を特定するということが非常に困難になってきた複合障害などもあるわけでございます。そこで、これらの複合障害などの解消策の判定が難しいという問題がございまして、そういう意味では、原則は全く変わりませんけれども、そこまで配慮しなければならないという状況に至っているという感じでございます。
  335. 菅野悦子

    ○菅野委員 複合などの問題につきましては後でぜひ質問させていただきたいというふうに思いますけれども、こういうふうな原則的な問題について、行政の通達でのみ行うというのはどうでしょうか。都市における受信障害への対策の基本的な考え方、それから被害救済の明確化、こういうふうなものをきちんと法律で明記すべき段階に来ているのではないかというふうに思うのですけれども郵政省としてはどのようにお考えでしょうか。
  336. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 原因者負担の原則というもので現在行っておりますし、今後もその大原則をもっていろいろな解決策を見つけてまいりたいと思っておるわけでございます。大臣からも発言があったとおりでございます。  法制化の問題となりますと、これはまた大変関係する省庁も多うございまして大きな問題でございますが、これまでもいろいろと検討をしてまいっておるわけでございます。建築主、放送事業者等の関係者の責務、費用負担のあり方というようなことでいろいろな議論があり、いまだ実現していないわけでございますけれども、今後とも関係者の理解が得られるように努力をしてまいりたいと思っております。
  337. 菅野悦子

    ○菅野委員 フランスでは十五年以上前の一九七四年に、放送法でこの原因者費用負担の原則というのを法制化しているのですね。ですから、そういう点ではできないことではないというふうに私は思うわけですけれども……。  なぜこの法制化が必要かといいますと、それは、この数年、地価高騰を背景にしたビルの建設ラッシュ、これは先ほど大臣もおっしゃっておりましたが、これが続いている。この現状のもとで、受信障害対策の抜本的な強化、これが必要になってきていると私は感じるからです。そこで、大都市における受信障害の現状についてまずお聞きしたいと思います。  郵政省は、地方電気通信局でテレビが見えにくいとかいうふうな受信障害の相談活動と改善への受信指導、これを行っていらっしゃいます。そこでの受信障害の申告件数、これを、昭和五十九年からの時期で結構ですけれども全国と関東電気通信局、ここがどうなっているかということをお伺いしたいと思います。
  338. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 各地方電気通信監理局におきまして受けつけました受信障害の申告は、全国で四千四十八件でございます。これは昭和六十三年度の数字でございますが、その中で、関東電気通信監理局管内では千二百九十九件となっておりまして、他の地方局に比較しまして非常に多いわけでございまして、全国の二〇%以上を占めているわけでございます。  各年度という御質問でございますが、関東におきましては、昭和五十九年度は三百九十四件、昭和六十年度では五百九十四件、昭和六十一年度では千二百八十三件、昭和六十二年度では千百七十二件、昭和六十三年度は、先ほど申し上げましたように千二百九十九件でございます。  それから全国数字でございますが、昭和五十九年度では三千七百七十三件、昭和六十年度では四千二百五十五件、昭和六十一年度では四千五百四十七件、昭和六十二年度では四千五百九十二件、昭和六十三年度では四千四十八件となっておりまして、全国的にはほぼ一定のような統計の数字になっておるわけでございます。
  339. 菅野悦子

    ○菅野委員 今答弁にございましたように、この放送がうまく入らないという受信障害の申告件数というのは関東電気通信局では急増している。それも、昭和六十年、六十一年、これを境にしているのですね。昭和五十九年と六十一年を比べますと、三百九十四件から千二百八十三件、四倍にもなっているということなんです。この時期に東京、首都圏で何があったかといいますと、言うまでもなく、異常な地価高騰とビル建設ラッシュ、これで高層のビル、マンションなどがもうどんどん建設されていったということがあるわけです。これと合わせて受信障害の申告件数が急増している。この事実は数字がはっきり物語っております。  同様の傾向は、NHKの受信相談、この中にも出てきております。これは大変なことではないかというふうに思うのですけれども、対策に入る前に、郵政省のこの現状への認識についてお伺いをしておきたいと思います。
  340. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 私ども、この都市難視の問題は非常に重要なこととして認識をしているわけでございまして、特に最近は、複合障害という原因者がなかなかわからないというようなことで、調査をするに当たりましても大変手間もかかり、大変な努力をしているわけでございます。そういう意味で、苦情が一件でありましても、非常に内容的には重いというか、深刻な内容を含んでいるというようなことがあるわけでございますので、積極的に対応しているところでございます。
  341. 菅野悦子

    ○菅野委員 高層ビルを初め、再開発などでのビル建設ラッシュ、これが受信障害を急増させているということははっきりしていると思うのですね。大分前から、都内でゴーストのないテレビを見ることは無理だと言われている状況があるわけですけれども、それがますますひどくなってきているということがあるわけです。  郵政省からいただいた資料は昭和六十三年までの数字なのですけれども、現在は、東京で起きた地価高騰が大阪名古屋に広がっているという状況になってきています。ですから、首都圏であらわれた受信障害の急増という傾向が今後、大阪など今地価高騰とビル建設ラッシュが起きている地方、ここにも起きるのではないかという不安は非常に大きいのです。問題の根本は、この地価高騰やビルの高層化を誘導してきたことにあると思うのですけれども、ここでそれを議論しても仕方がありませんので、要は、現実にテレビ電波の障害になる建物ですけれども、これが急速にふえているわけで、放送行政からもこの問題への取り組みを強化する必要があるというふうに考えます。  そこで、まず先ほどから聞いております地方電気通信局での受信障害への相談などの仕事ですが、申告があったらどのように対応するのでしょうか。多分この相談の受け皿があると思うのですけれども、ここでスタッフはどれぐらいいるかということ、申告が急増した関東電気通信局などではどのような体制になっているか、このことをお伺いいたします。
  342. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 私ども国民の方々から受信障害に対する苦情をお受けいたしますと、この相談の窓口といたしましては、地方局に受信障害対策官という役目の専門家がおります。非常に少ないのでございますが、各地方で一人ずつというのが現状でございますけれども、関東におきましては補助者として受信障害対策補助員というのが二名ございます。そのほか、地方にこの補助員がトータルで八名いるわけでございます。したがいまして、受信障害対策官が全国で十名、受信障害対策補助員が全国で八名の合計十八名となっております。非常に少ない人員でございますが、窓口として、しかも相談にのるということで、積極的に対応をしてもらっております。  そのほか、NHKの営業技術部門というのが地方の各放送局にございますので、これらの専門家の御協力を得まして、いろいろな調査活動をしております。そのほか、電波障害防止協議会という組織を私ども持っておりまして、これらは関係の官庁の方々であるとかメーカー、その他各地の電気店の方々というような、いろいろな各界各層の方々で構成しているわけでございますので、そういう方々の御協力も得ながら受信障害の対策に当たっているわけでございます。
  343. 菅野悦子

    ○菅野委員 率直に申し上げて、大変心もとない数字だと思うわけです。受信障害対策官が関東で一人と補助者が二人、近畿でも一人、そのほか補助者はほとんど一人かゼロという状況でございますので、先ほど複合の障害も含めて現状は大変ですというふうな御認識の御答弁からしても、余りにも貧弱な体制ではないかというふうに思うわけです。これでは受信障害がありそうだということを思ってもなかなか調べてもらえないということでは、とても都市の高層化には対応できないというふうに思います。  建築物による受信障害は、普通では考えられないような場所でも出るということですね。例えば、東京タワーの方角に高い建物ができたときだけではなくて、池袋のサンシャインビルの受信障害なんかは埼玉県の浦和から神奈川県の川崎まで出た。電波は目に見えないわけで、専門家による判定がなければどうしようもない、どこに飛んでいくかわからないということがあるわけです。ですから、NHKも同じようなことをやっているということでもありますが、体制の強化、とりわけ建物の高層化が進んでいるところでの強化が必要ではないかと思いますけれども、この点、大臣どうお考えでしょうか。
  344. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 この受信障害対策官という職制は、先生指摘のように、非常に数少ない方々で行っていただいておるわけでございますが、私ども地方電気通信監理局には放送部あるいは放送課という組織がございます。したがいまして、業務が非常に忙しいようなときにはそういう人たちを全部動員いたしまして事に対処しておるわけでございます。そのほか、関係の課の人たちの協力というようなことも仰ぎながら積極的にやっているわけでございます。そういうことでございますので、現在我々も人員の増員というのは非常に難しい状況でございますが、積極的に精いっぱいやらせていただいておるわけでございます。
  345. 菅野悦子

    ○菅野委員 受信相談の体制の問題というのは入り口のことでありますから、ここが貧弱ではどうしようもないと思いますので、重ねて強化を要望しておきたいと思います。  次に、最近の傾向として、都市全体が高層化しているために、原因者が一つでなくて複数になっている場合が多い。これは先ほど来のやりとりの中でも御答弁がありました。それから、受信障害は確かにあるのだが、だれが原因者か特定できないというケースがふえているのではないかと思いますが、その点をお尋ねいたします。
  346. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 御指摘のように、複合障害によりまして原因者がなかなか特定できないという例が多いのでございます。しかしながら、やはりこれも客観的に評価をいたしませんと、あなたが原因者であるというようなことを私どもが言わなければなりませんものですから、客観的な評価というものをきちっとやらなければならない、そういうことでかなり時間を要するということと、それから解決の方法というようなものも、経済性等もいろいろございますので、どういう解決方法をとることがいいのか、委員会組織のような形をとっていろいろな対策を協議するというようなこと、なかなか難しい面がありますけれども、技術革新というバックグラウンドもございまして、現在では、東京都庁の新庁舎では電波吸収体というものを外側に張りまして、反射というものがないようにやろうというようなことでやっていただいておりますが、こういうような例がどんどん出てくるように私どもも積極的に働きかけをしてまいりたいと思うわけでございます。
  347. 菅野悦子

    ○菅野委員 先ほどちょっと受信障害の全体の数の急激な増加ということを御答弁いただきましたけれども、それと同時に、原因が特定できなくて未解決というものも急速にふえているという状況があるわけですね。ですから、これでは原因者に何とかせいということになっても、それが特定できないわけですから、従来の延長線上の対策では解決できないということがあるのではないか。ですからそのことが処理不能という件数で急増しているということになっているというふうに思うのです。  例えば、この受信障害の問題を個人的に解決というのはほとんど不可能だというふうに思います。例えば個人が障害を受けない場所を探してアンテナを立てさせてもらって、電力会社かNTTの電柱にケーブルをかけさせてもらって、自宅まで持ってくるなどというのは、費用だけでも大変なんですね。ですから実際上は個人では困難、だからどうしても私は法制度の整備がなければ解決しないというふうに思うのです。  この間のやりとりの中でも、例えば東京の江戸川区の話が出されておりました。これは、原因不明の受信障害に対して区が独自の施策として一万五千世帯を対象に幹線のケーブルを張ったということですけれども、七億円ですか、そんな相当なお金がかかっているわけですから、国が何もしないから自治体で何とかしたいという動きだと思いますが、これもなかなか単独事業として自治体でやるにはお金がかかり過ぎるというふうに思うのです。  ですからそういう点で、冒頭にも言いましたように、この法制度の整備を含む抜本的な対応が必要ではないかというふうに思うのです。例えば具体的に原因者負担の原則を法制度化するということとともに、原因者が特定できない場合には公害の一種としてとらえて、公的な対策がとれるようにするというふうな案もあるのではないか。例えば公害補償的な発想として、東京など特定の地域で一定の高さ以上の建物を建設するという場合に、一定の比率で資金を出し、それをもとにして対策をしていくというふうな手法もあるのではないかというふうに思うのですけれども、既に郵政省でも建築者と放送事業者で拠出した基金をつくるというようなことも検討されたが、両方の反対でつぶれたというふうなことも聞いております。しかし、事はここまで来ておりますので、手をこまねいて見ているだけでは都市の住民がまともにテレビが見れないという事態がどんどん広がるのではないかと思うのです。そういう点で、郵政省として新たな対策を急いで打つ必要があるというふうなことを考えておられないのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  348. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 私も昔、電波公害というような言葉でいろいろな方にアピールしたことがございます。しかしながら、言葉では公害と言うことは簡単でございますが、法的な公害というものの中に入れるには大変なバリアがございました。そういう意味で、現在のところそういう観点での法的な制度はできていないわけでございますけれども、深刻な状況にどんどんなるというようなことが目の前にあるわけでございますので、私どもも一層努力をしてまいりたいと思います。  それから電波吸収体というものを先ほどちょっと御紹介しましたけれども、これがやはり反射障害というものをなくす根本的な対策であると思います。しかしながら、まだ壁に設置するような場合でも、重さの問題であるとか、あるいは値段の問題というようなことで、なかなか一般化がしておりませんけれども、私どもも現在基盤技術研究促進センターの低利の融資によりますところの電波吸収体の高性能化等の開発、研究にも一生懸命取り組んでいるところでございます。  こういうふうな根本的な対策等も考えながら、なおCATVという将来の情報化社会にとって必要なネットワークというようなものでの対応というのも積極的に考えていく必要があろうかと思っておるわけでございます。
  349. 菅野悦子

    ○菅野委員 大都市でのビルの高層化が進んで高さ制限などもどんどん緩和されているということで、今もちょっとお話がありましたけれども、受信障害に強い町づくりといいますか、受信障害を起こしにくい町づくりという問題、これはやはり考えていく必要があるだろうというふうに思うのですね。今もおっしゃっておられました壁に電波を吸収する建材を使えばかなり防げるという問題があるというふうなこととか、壁に傾斜をつけるというふうなやり方などもあるようです。今もおっしゃっていた吸収体、これをつけたビルというのはどれくらいできているのか、また財投による支援があるというように聞いておりますけれども、それはどれくらい活用されているのか、このこともぜひお尋ねをいたします。
  350. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 電波吸収体を利用しております建築物は、現在のところ九施設ございまして、六万八千世帯の方々がこれによりまして恩恵をこうむっているということでございます。  それから、先生が御指摘なさいました傾斜壁面と申しますか、傾きをつけまして電波を空中の方へ出してしまう、空の方へ向けてしまうというような対応でございますが、これは十三施設ございます。しかしながら、これによって恩恵を受けている者は約七千世帯という、まだ余り多くないのが現状でございます。
  351. 菅野悦子

    ○菅野委員 建築費がかさむということがあるんだろうと思うのですけれども、今お答えがありましたように、なかなかそういういい技術も活用されていない、利用されないから材料費も安くならないというのが今の現状だと思うのですね。ですから、そういう意味で、やはり高層の建築物には義務化するなどの措置も検討されるべきではないかというふうに思うわけです。  都市における受信障害、これは以前からもある問題です。しかも最近の事態は、従来の延長線上の対策だけではもう対応できないというところに来ていると思うのですね。それは繰り返し述べましたけれども東京大阪などでは地価高騰の中でビル建設ラッシュ、特に高層化が急速に進んでいるという現状があるからです。五月十一日に発表されました東京集中問題調査報告書では、千代田、中央、港、新宿の都心四区のオフィスの床面積がニューヨークのマンハッタンを超えたということが明らかになっています。この都心四区とマンハッタンの面積とはほぼ同じですから、二十三区では一九八〇年からのこの十年間に千五百ヘクタールものオフィス床面積がふえたということです。これだけビル建設が行われたということですから、こういう状況では新しい障害を生み出し、特に原因者が特定できない障害、つまり救済できない障害がふえるというのはもう当たり前な状況になっているというふうに思うわけです。  今回の法改正は、そういう意味では原因者が特定され、被害を救済することが決まっているケースで、ケーブルによる対策でなく電波による対策もできるようにしようというものであります。これは悪いことではありませんが、もっと抜本的な対策、原因者が特定できない場合にはどのような措置をとるのかとか、そもそもこの受信障害を起こしにくい町にするにはどうするのかという問題での郵政省の積極的な施策が期待されているというふうに思いますけれども、その点どうでしょうか。
  352. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、私どもも今後ともこの都市受信、辺地難視聴、それぞれ受信者のいわゆる受信条件を改善していくという努力に向けて積極的に邁進してまいりたいと思っているわけでございます。
  353. 菅野悦子

    ○菅野委員 ぜひ積極的な施策をお願いします。  最後になりますが、今大阪の関西新空港建設に伴って大規模な受信障害が起こるという予測がされております。新空港の対岸に三百十八ヘクタールに及ぶりんくうタウンの埋め立てが行われている。ここは容積率を六〇〇%としたために、分譲を希望する企業のビル計画は軒並み二百メートル級になっています。シンボル施設のゲートタワービルというのは二百五十メートル、そういう状況です。また、空港アクセスのための高速道路とか鉄道、これが全部高架です。  さらに、泉佐野市ではそれ以外に百メートル級のビルが二本建つというふうな再開発計画がありまして、こういう中ではもう電波障害というのは泉佐野市の全世帯の八割にも及ぶのだ、付近の二市二町合わせても全世帯の半分以上になるというふうな予測もあるわけです。この点でどういうふうな認識をされておるかということ、それからどのような解決をとろうとしておられるか。これも原因者負担の原則にのっとって処理されて当然だと考えておられるかどうか、最後にお尋ねをして終わります。
  354. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 関西新空港に関係いたしますこのりんくうタウンによる難視聴問題ということ、私ども大阪府の方からも御相談を受けております。私どもも積極的にこれらの難視聴地域の解消ということに御協力申し上げたいと思っておりますし、受信障害が広範囲でありまして、複合障害も考えられるわけでございます。  そういう点で、大阪府では多チャンネルのCATV網を整備してこの際高度情報社会に向けての基盤の整備をやってまいりたいというようなお考えも聞いておりますが、より詳細をお聞きいたしまして私どもも御指導申し上げたいと思っております。
  355. 菅野悦子

    ○菅野委員 ありがとうございました。
  356. 上草義輝

    上草委員長 次に、中井洽君。
  357. 中井洽

    中井委員 時間を大変御配慮をいただいたわけでありますが、他の委員会との日程がございまして、端的に御質問をさせていただきます。  電波障害の解消ということでこの法案がつくられて、私ども賛成なわけでありますが、現実に建築物による都市での電波障害を解消するために原因者と被害者といろいろな話し合いが行われて、CATVの設置なりあるいは共同受信施設なりつくられて解消という方向が出されております。しかし、その間しばしば、一〇〇%このビルだけが悪い、一〇〇%この建物だけが悪いという形では出てまいりません。七〇%の原因だとかあるいは六割の原因だとかいう形での調査が出てまいった、そういったときに金銭負担をどうするのだ、あるいは被害を受けている人たちもどれぐらいお金を持つのだ、こういったことについてなかなかルールができ上がっていない。また、郵政省もそれに対して余り口を出さない、こういう現状であるという認識をいたしております。  そのことによって、新しく建てる建物が一〇〇%被害を与えておるということならば全部持って耐えていく、これも一つでありましょう。しかし、六割ぐらいでももう建てる前から完全に約束をしないとなかなか建たない、こういう状況もございます。これらの状況の中でトラブルが出てくる、解決をしない、こういったことが多数あるわけであります。これらの調停あるいはルールづくり、こういったものに郵政省が積極的に乗り出す、こういうお考えがあるかどうか、まず最初にお尋ねいたします。
  358. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 私どもは従来から原因者責任の原則によりまして、当事者間の協議によってこの受信障害を解消しようということでやっているわけでございます。地方公共団体の多くでは、この私ども考え方に従いまして制定された条例あるいは指導要綱に基づきまして、建築確認等の際に調整を行っているわけでございます。そういうようなことでございますので、これらがかなり効果を上げていることでございますので、これらが制定されていないような市町村に対しまして、条例あるいは指導要綱というものの制定を今後ともお願いをしてまいりたいと思っております。  複合障害などによりましてますます複雑になってまいりますと原因者の特定が困難になります。そういう意味で市町村が主体を持ちまして、先ほども申し上げましたけれども、江戸川区の例などがございますが、やはりなかなか難しいというようなことから、区がお金を出してCATV事業というものをやってみようというようなことになった経緯もございます。いろいろな例が出てまいっておりますけれども、私ども地方公共団体と一緒になりましてこの受信障害対策を積極的に進めてまいりたいと思うわけでございます。
  359. 中井洽

    中井委員 お話はそれで結構ですが、郵政の側はうまくいった例ばかり出されるし、私どもは難しいことばかりたくさん知っておりますから話はかみ合いません。  同時にもう一つは、自治体が間に入ってくれる。原因者の方もあるいは被害者の方もお願いにいっても、自治体は大体こういうときは逃げるのです。当事者同士でお話し合いください、こういう格好で逃げてしまう。したがって、電波の問題はもう長い問題ですから、あるいは原因者の割合等を調べるのにも郵政省もいろいろとお手伝いをなさるわけでありますから、こういった問題にも調停ができる、そういった方向をぜひお考えいただきますようお願い申し上げます。  もう一つは、先ほど吉岡委員の質問を聞かせていただきました。吉岡先生のところも私のところも山また山奥でありまして、点々と集落が点在をいたしておりまして、大変難視聴の地域が多いところでございます。先ほどの話を聞いておると、どうもわからないのです。この法律で言う難視聴のところというのは本来見えるところであって、建物やら自然の山やら何やらがあって見えなくなるところだ、放送衛星でやるところはもともと見えないところだ、こういう御説明であったように思うわけであります。要するにテレビ見えへんとか、そんな山のせいで見えないというのは一緒やないかと私は思うのであります。  片一方では、放送衛星で四分の一持ってやったらNHKは見れますよ、こういうわけです。これはこれで数百万の基地をつくってやったらどうですか、これは一銭もお金が出ません、こういう形になっていると私は理解をするわけでございます。各地域共同アンテナやらCATVで難視聴を解消しているところも、これの方がはるかに安く、またやれるということであるならば大いに進んでいくのであろうかと思いますけれども、こういった難視聴に対する対策について、国としてお金を出していくという方法をお考えにならないのか。衛星放送だけは出ていく、これは出ていかない、少し違うのじゃないかなという思いがいたします。私の理解が違うのかどうか、あるいは今後またこういった形で各地区の難視聴に対して国として援助をしていくおつもりはあるのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  360. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 都市難視に関しましては、やはり原因者負担の原則ということで貫いてまいりたいと思うわけでございます。辺地難視ということになりますと、やはり自然的な難視ということになりますものですから、どうしても地方公共団体のお力をおかりした方がいいんじゃないかということでございます。それで、新過疎法におきましても、民放の中継局の設置を促進するために地方公共団体が過疎債を発行して助成をしていくというようなことでお認めをいただいたわけでございます。ちなみに、NHKの中継局というのは総合テレビでは三千四百五十三局、教育テレビでは三千四百十六局というのが現状でございます。  一方、民放は六千六百十局ということでありまして、NHKと同じように中継局を設置していくということになりますと、さらに六千局程度の中継局を設置しなければならないというのが実情なのでございます。したがいまして、四十万の難視聴地域の世帯数といいますのは民放が一局も見えないという方々の数でございまして、一局は見えるけれども二局は見えないとかいうようなのはさらにもっともっとふえていくわけでございます。そういう意味で、今後とも六千局余りの民放の中継局を建設していただきますにはやはり相当の資金の援助等も必要じゃないかということで、地方公共団体のお力をかりられるような施策を我々は一生懸命考えたということでございますので、よろしくお願い申し上げます。
  361. 中井洽

    中井委員 もう一度自分の考えの整理で教えてください。要するに辺地難視というのがある。NHKの見られないところはずっと頑張ってきて大体見られるようになってきた。しかし、衛星放送でやるときには四分の一のお金を出して、パラボラやらチューナーに補助金出しますよ、公共団体もお金出してください、そして民放の見られないところについては本来民放が御努力をいただかなければならないのだけれども、なかなか進まないから、それは地方公共団体の金でこの法案のもとに基地をつくって、放送局をつくってやってください、こういうことですか。
  362. 大瀧泰郎

    ○大瀧政府委員 そのとおりでございます。
  363. 中井洽

    中井委員 わかりました。終わります。
  364. 上草義輝

    上草委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  365. 上草義輝

    上草委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  366. 上草義輝

    上草委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  367. 上草義輝

    上草委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、前田武志君外四名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。提出者より趣旨の説明を聴取いたします。上田利正君。
  368. 上田利正

    上田(利)委員 ただいま議題となりました放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の各項に留意して、その実施に努めるべきである。  一 自然難視聴における放送事業者以外の者の中継局の設置等に当たっては、放送事業者の灘視聴解消について引き続き努力するとともに、受信障害の解消方策については、さらに検討すること。  一 各種ニューメディアの発達に伴う放送の将来像を明確にし、その変化に対応して放送制度を適時適切に検討すること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明を省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。  以上であります。(拍手)
  369. 上草義輝

    上草委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  370. 上草義輝

    上草委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、深谷郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。深谷郵政大臣
  371. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 ただいま放送法及び電波法の一部を改正する法律案を御可決いただき厚くお礼申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  372. 上草義輝

    上草委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  373. 上草義輝

    上草委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  374. 上草義輝

    上草委員長 郵便貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律案の両案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。深谷郵政大臣
  375. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 最初に、郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国における金融自由化は急速に進展しており、郵便貯金事業におきましても、金融自由化に適切に対応し、健全な経営を確保する必要があります。  郵便貯金の自主運用資金である金融自由化対策資金は、このような必要性により設置されたものでありますので、資金の一層の有利運用を図り、金融経済情勢の変化に機動的かつ的確に対応し得るよう、運用範囲を拡大しなければなりません。  この法律案は、こうした要請にかんがみ、金融自由化に適切に対応した郵便貯金事業の健全な経営の確保に資するため、金融自由化対策資金をもって取得した債券を貸し付けることができることとするものであります。  なお、この法律案の施行期日は、公布の日としております。  次に、郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、民間の発意に基づく開発途上にある海外の地域の住民の福祉の向上に寄与するための援助の充実に資するため、郵便貯金の預金者がその利子の寄附を郵政大臣委託する制度を実施しようとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  まず第一に、通常郵便貯金の預金者は、その利子の全部または一部を民間の海外援助事業を行う団体に寄附することを郵政大臣委託することができることとするものであります。  第二に、郵政大臣は、寄附の委託に係る通常郵便貯金について、利子を元金に加えようとするごとに、その利子から寄附の委託に係る部分を控除し、民間の海外援助事業を行う団体を公募してその申請を受けた上、寄附金を配分する団体及び配分する金額を決定することとするものであります。  なお、郵政大臣は、寄附金を配分する団体等の決定をするには、関係行政機関の長と協議し、かつ、政令で定める審議会に諮問しなければならないこととするものであります。  また、郵政大臣は、寄附金を配分した団体に対し、配分した寄附金の使途について監査を行うこととするとともに、寄附金を配分した団体がその事業の全部または一部を行わない等のときは、配分金の全部または一部の返還を求めることとするものであります。  第三に、郵政大臣は、寄附金を交付するまでの間、これを資金運用部に預託することができることとし、預託した結果生じた利子は、寄附金に充てることとするものであります。  また、郵政大臣は、寄附金に関する経理状況を公示することとするものであります。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日からとしております。  以上が、これら二法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  376. 上草義輝

    上草委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、明十四日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十一分散会