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1990-06-22 第118回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月二十二日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 渡辺 省一君    理事 麻生 太郎君 理事 古賀  誠君    理事 自見庄三郎君 理事 鳩山由紀夫君    理事 三原 朝彦君 理事 中沢 健次君    理事 中西 績介君 理事 鍛冶  清君       北村 直人君    古賀 一成君       古賀 正浩君    坂井 隆憲君       坂本 剛二君    渡瀬 憲明君       岩田 順介君    緒方 克陽君       岡田 利春君    佐々木秀典君       細谷 治通君    小沢 和秋君       高木 義明君  出席国務大臣         通商産業大臣  武藤 嘉文君         労 働 大 臣 塚原 俊平君  出席政府委員         通商産業大臣官         房審議官    合田宏四郎君         資源エネルギー         庁長官     山本 雅司君         資源エネルギー         庁石炭部長   土居 征夫君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    七瀬 時雄君  委員外出席者         環境庁自然保護         局野生生物課長 菊地 邦雄君         外務省国際連合         局社会協力課長 鈴木 一泉君         建設省道路局国         道第一課長   藤田 忠夫君         商工委員会調査         室長      松尾 恒生君     ───────────── 六月十九日  産炭地域振興対策及び離職者対策充実等に関する請願外一件(緒方克陽紹介)(第二〇八四号)  同(児玉健次紹介)(第二〇八五号)  同(小沢和秋紹介)(第二一五八号)  同(細谷治通紹介)(第二一五九号)  同(三浦久紹介)(第二一六〇号)  同(三原朝彦紹介)(第二一六一号)  同外一件(松本龍紹介)(第二二四六号) 同月二十日  産炭地域振興対策及び離職者対策充実等に関する請願外二件(佐々木秀典紹介)(第二三七二号)  同外四件(中西績介紹介)(第二三七三号) は本委員会付託された。     ───────────── 五月七日  三井三池炭鉱維持存続産炭地域振興に関する陳情書外一件(第一〇七号)  石炭対策及び産炭地域振興対策の強化に関する陳情書外五件(第一〇八号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  石炭対策に関する件      ────◇─────
  2. 渡辺省一

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  この際、申し上げます。  本委員会付託になりました請願は九件であります。各請願の取り扱いにつきましては、各党間の協議により、委員会の採否の決定は保留することになりましたので、そのように御了承願います。  また、今会期中、本委員会に参考送付されました陳情書は、三井三池炭鉱維持存続産炭地域振興に関する陳情書外一件の外一件であります。念のため御報告いたします。      ────◇─────
  3. 渡辺省一

    渡辺委員長 次に、閉会審査に関する件についてお諮りいたします。  石炭対策に関する件について、議長に対し、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 渡辺省一

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次に、閉会審査案件付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。  まず、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  委員派遣を行う場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員人選派遣期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 渡辺省一

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次に、閉会審査のため委員会において参考人意見を聴取する必要が生じた場合には、出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 渡辺省一

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ────◇─────
  7. 渡辺省一

    渡辺委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  本日は、本会議予定されており時間が限られておりますので、質疑持ち時間はこれを厳守され、政府当局におかれましても、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。北村直人君。
  8. 北村直人

    北村委員 きょうは久しぶりに石炭振興並びに産炭地振興につきまして、通産大臣並びに労働大臣に御質問をさせていただき、これからの石炭振興につきまして所信の一端をまた新たにしていただきたいと思います。  まだ通産大臣お越しでございませんので、エネ庁責任者の方で結構でございます。  一つには、石炭六法の延長に関しまして、先日、行政府最高責任者であります海部総理が九州に赴いた折に、石炭六法の延長を推し進めていく、大変前向きな御発言がございました。当然のことながら、これは通産省、労働省両省意向を踏まえての行政府最高責任者であります総理大臣発言でございますので、今後ぜひこのことを十二分に腹の底にあるいは胸に秘めていただきながら、石炭六法の延長については検討を十二分に進めていただき、産炭地振興について特段の御配慮をいただきたいとまず冒頭お願いを申し上げる次第でございます。  きょうは労働大臣お越しでございますので、まず労働大臣にひとつ御質問をさせていただきたいと思いますが、第八次策の中で、昨年夏には北炭幌内、そしてことしの春には三菱南大夕張等閉山がございました。炭鉱離職者の再就職については、会社側閉山時のあっせん計画と実際の状況が一体どうなっているか、さらにまた、仮に会社側計画と実績に大きな隔たりがあるとすればその理由はどんなところにあるのか、このことをまずお聞きしたいと思います。
  9. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 ただいま御質問にございました三菱南大夕張炭鉱北炭幌内炭鉱離職者の再就職状況でございますが、私どもとしては極めて重要な課題考えまして最大限努力をいたしているところでございます。  三菱南大夕張炭鉱閉山に伴う離職者の再就職につきましては、閉山してから間もないこと、あるいは、会社側予定しております新規設立企業につきましては本年度上期から来年度上期に向けまして順次操業を開始して離職者を採用していく予定があることなどから、現在のところ会社閉山時の雇用計画との間には若干乖離がございますが、今後労働省といたしましては、会社に対しまして再就職の促進が図られるように指導してまいりたいと考えております。  また、北炭幌内につきましては、現在就職率が五〇・八%でございまして、これまでの事例に比べますと就職率がかなりよろしいかと思いますが、これにつきましても閉山時の計画との間には乖離が生じている点は率直に言ってあるわけでございます。これにつきましては、地元志向が強いというような問題とか、あるいは炭鉱で働いていたときとの賃金格差の問題とか、いろいろ事情があると思いますが、今後労働省として、職業安定機関職業訓練機関総力を挙げて努力いたしますとともに、会社に対しましても適切に指導してまいりたいと考えております。
  10. 北村直人

    北村委員 ぜひ再就職等につきまして特段の御尽力お願い申し上げる次第でございます。  さて、もう一度前に戻りますけれども、この石炭対策特別委員会というのは、衆議院の中で特別委員会としては、あらゆる産業の中で石炭という特定産業の異例な委員会ではないかと私は思います。そういう、石炭のためにと言うと大変語弊がありますが、石炭の特別の委員会が開かれている、いろいろな産業がある中で石炭のために特別委員会が設けられているということにつきまして、労働大臣がどうそのことをとらえられて、これからの石炭対策について労働省としてお取り組みをいただけるのか、そのことをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  11. 塚原俊平

    塚原国務大臣 特別委員会で、科学技術とか土地とか、結構幅の広い範囲のものはあったと思うのですが、また個別の企業名前のついているような特別委員会というのもありましたけれども産業として、石炭として取り上げるというのは非常に珍しいというか、御指摘のようにほかに例がないのかなというような感じがいたします。  やはり、石炭におきます歴史的な経緯でありますとか、日本に及ぼす、日本国内に大きな影響があった、あるいはまた就業している方が非常に多かった等々、特別委員会を設置するに至る経緯というのはよく存じませんが、非常に国内において大きな比重を占めて今日に至っておるということは、特別委員会があるということで私どもはしっかり認識をしなければいけないと思います。ですから、石炭行政につきましても、その国会の御趣旨というものを踏まえまして、私どもも精いっぱいの努力をこれからしていかなければいけないと感じております。  特に、労働省といたしましては離職者対策、最初にできたころは安全対策とか労働面の条件の改善とか、いろいろなものがあったと思うのですが、現在のところは一番大きなテーマはやはり離職者対策ということになっていると思いますが、昭和三十四年に炭鉱離職者臨時措置法というものが成立をいただきまして、それに基づきまして今日まで各種援護措置を精いっぱい努力してきたわけでございます。今後ともこの法律を基本にいたしまして、関係法律を総合的、効果的に推進しながら、離職者方々生活の安定と再就職ということに全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  12. 北村直人

    北村委員 大臣、ありがとうございます。今申したとおり、この石炭対策特別委員会、いろいろな産業の中で特別委員会を設置していただいているわけでございます。今までの国の政策の中で、歴史的に石炭というのは国の産業として大変大きく発展をしていただき、また活力になったのも事実でございます。一つ産業が永久に繁栄するということはないかもわかりませんけれども、まだまだ石炭によって生活をしている人方あるいは振興を図っている産炭地都市があるわけでございます。そのためにぜひなお一層の御尽力をいただきながら、ひいてはそのことがポスト八次に向かっての基本的な考え方になるのではないかという気が私はいたします。労働大臣としてもなお一層この石炭に対する、そしてまた労働に対する御指導を仰ぎたいと思う次第でございます。  ちょうど通産大臣が参りましたので、大臣がお着きになりましたらまた今と同じことを御質問したいと思うわけでございますが、大臣、どうも御苦労さまでございます。  大変お疲れのところ恐縮でございますが、今も労働大臣にもお尋ねをしたところでございますけれども、この石炭対策特別委員会、あらゆる産業の中で石炭という一つ産業特別委員会を設置していただいているということは大変ありがたいことでございます。歴史的な経過もあるでしょう、それから将来のこともあるでしょう、また今進めているいろいろな振興策のこともあるでしょう。しかし、この石炭対策特別委員会を設けていただいている、特定のと言ったら語弊がありますが、石炭という一つ産業大臣はこの石炭対策特別委員会をどのようにお考えいただき、また大臣のそのお考えがひいてはこれからのポスト八次策に大変な影響を及ぼしていくのではないかと私は思います。そういう意味で、いま一度大臣の、衆議院として石炭対策特別委員会を持っている意義をお聞かせいただきたいと思います。
  13. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今お話の中にございましたけれども、やはり石炭産業というものに対する歴史的な、いろいろの日本の国策の中で大変石炭対策というものを重要視していこうという歴史的な経緯があったと私は存じております。そういう中でこの特別委員会がなお引き続き現在存在をしておる、皆さんがこうやって御審議をいただいておる事実というものは、現在においても日本産業の中で石炭産業というものが、特に地域関係とか、また従来のエネルギー源の中で非常に大切なウエートを占めてきたということにおいて現在もこの特別委員会がある、こういうふうに承知をいたしております。
  14. 北村直人

    北村委員 ありがとうございます。今大臣の申されたその意義を十二分に入れていただいた中でこれからのポスト八次策に向かっての御審議をいただきたいと思います。  石炭六法の延長等いろいろな問題、課題がございますけれども石炭を抱えている産炭地市町村、私の地元釧路市も石炭を抱えている大きな町でございます。一つ産業の大きな柱でもございます。  言うなれば石炭が少し先行きの不透明な今の時代に、釧路市あるいは近隣の町村が今町を挙げてあるいは広域的に取り組んでいる問題の一つに、近年世界的にあるいは地球的に自然環境保護が叫ばれております。その中で、釧路湿原という国立公園を実は二十八番目の国立公園に指定をしていただいたところでございます。この湿地に生息する動植物、特に水鳥の保護を促進することを主たる目的といたしまして、通称これをラムサール条約といいますが、この締約国会議というのが、締約国世界で五十二カ国、我が国は五十五年に加入をしておりますが、一九八〇年から国際会議が開かれております。政府は、一九九三年、三年後の第五回ラムサール条約締約国会議開催国立候補する意思表明を行うことを昨年の十月九日に決定したと聞いておりますけれども、これは間違いございませんでしょうか。
  15. 鈴木一泉

    鈴木説明員 お答えいたします。  ラムサール条約締約国、それから条約事務局からかねて締約国会議本邦開催につきまして強い要望がなされていたところでございます。昨年の十月四日にラムサール条約事務局に対しまして非公式に我が国立候補につきまして関心表明をいたしました。この関心表明につきまして、同じ十月でございましたが、第六回の常設委員会の場で事務局から披露がございまして、これに対しましては、特にアメリカからはこの我が国においての関心表明をサポートするという表明がございました。そのほか、これに反対する等の不都合な意見は寄せられてはおりません。
  16. 北村直人

    北村委員 きのうの新聞の夕刊、北海道の新聞なり全国紙に、ラムサール会議誘致へということできょう二十二日の閣議で了承される予定であるという記事が載ってございますけれども、きょうの閣議立候補決定をしていただいたのかどうか、両大臣おりますけれども通産大臣お答えをいただければ大変ありがたいと思います。
  17. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 きょうの閣議の正式の議題におきまして、今の点については閣議で了解をいたしました。
  18. 北村直人

    北村委員 この決定をいただき、大変ありがとうございます。関係する釧路湿原国立公園を抱えている近隣市町村方々は大変喜んでいると思いますし、三年後ではございますけれども日本立候補するということをきょうの閣議決定をしていただいたわけでございます。  外務省なりあるいは環境庁の方に御質問をいたしますが、第四回ラムサール条約締約国会議はことしの七月四日にスイスモントルー開催されると聞いております。そのときに、次回、つまり第五回ラムサール条約締約国会議開催国決定をいたしますが、きょう閣議決定をしていただき、立候補している日本の実現の可能性というのはいかがなものでしょうか。
  19. 鈴木一泉

    鈴木説明員 御指摘のとおり、六月二十七日からスイスモントルーで行われる第四回締約国会議において公式に立候補意図表明を行う必要がございます。現地から得ております情報によれば、我が国のほかに立候補している国はございませんので、このまままいりますれば我が国開催は次の締約国会議で特段の議論もなく決定される見通しだと思われます。
  20. 北村直人

    北村委員 今お聞きすれば、ほかにエントリーをしている国はないということになれば、日本に決まらせていただけるのではないかと今のところ考えるわけでございますが、そうなりますと、日本招請が実現した場合、今度は日本開催地候補地は一体どこになるのか。そして、その候補地決定をする時期あるいは手続はどういうふうになるのでしょうか。
  21. 菊地邦雄

    菊地説明員 御説明申し上げます。  候補地につきましては、日本開催決定いたしました後、我が国政府条約事務局が協議して決める、具体的には条約常設委員会で承認されればということになるのが正式でございます。  候補地選定に当たりまして、私どもとしては外務省と協議しつつ、また条約事務局意向最大限に尊重する必要がありますので、そうしたことで決めていきたいと思っておりますが、登録湿地我が国は三カ所でございます。いずれもこれまでの会議はそうした登録湿地の近傍の都市で行われているということから、そういったことを十分参考にして決定してまいりたいと思っておりますが、いずれにしましても準備の都合もありますので、早期に決定されるよう努力してまいりたいと思っております。
  22. 北村直人

    北村委員 まだ名前を申しいただけませんですが、日本には三カ所しかない。そうなりますと、一番大きな釧路湿原国立公園というのは大きな候補地一つだと思います。どうか通産大臣労働大臣、ぜひ候補地選定に当たりまして、ちょっと立場は違いますけれども、またお力をいただきたいと思います。  そして、この会議は国際的に自然環境保護、そしてまた日本世界に貢献でき得る一つの大きな意義が私はあると思っております。そうしますと、日本としても国家的事業として取り組む必要が私はあろうと思います。さらに、もし釧路湿原という候補地が挙がっていけば、産炭地を抱えた地方でもございます。この国家的事業としての取り組み方について外務省なり環境庁のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  23. 菊地邦雄

    菊地説明員 この締約国会議開催することにつきまして、私どもでは二つ大きな意義があると思っております。  一つは、こういった自然保護あるいは野生動物保護についての我が国姿勢世界に示すこと、あるいはそれの保護対策を促進することということ。もう一つは、この条約は現在五十二カ国が加盟いたしておりますが、実は東アジアでは日本とベトナムのみが加入国でございます。現在、東南アジア諸国の鳥類の保護といった面につきましてもいろいろと協力が、事業が動いておりますが、そうしたことを通じまして、我が国としてもアジアの諸国をできるだけ数多く締約国として入ってもらうということについて働きかけをしたいと思っております。  また、全般的な野生、特に野鳥の保護でございますとか自然の保護につきましても非常にエポックメーキングな会議でございますので、こうした機会に広範な保護対策、あるいはそういったことを地元市町村方々とともに進めていくということについて最大限努力をしてまいりたいと思っております。
  24. 北村直人

    北村委員 時間がなくなってまいりましたので、最後石炭六法の延長につきましてもう一度通産大臣からお答えをいただきたいと思うのですけれども審議会の判断は別といたしまして、政治家としての通産大臣が、石炭政策最高責任者として、将来展望につきましてこの機会にぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  25. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 石炭六法もそれぞれ期限の到来が近い将来に迫ってきたわけでございまして、産炭地の皆様方大変御心配をいただいていることはよく承知をいたしております。現在、私ども考えておりますのは、なるべくことしの秋の早い機会審議会にお諮りをいたしまして、それぞれの法律延長の要否を含めて、これからどういう形でいくのか、とにかく先ほど申し上げましたように、石炭産業の長い間の日本経済に対する御貢献、あるいはその地域においてはまだまだ依然として石炭産業が非常にウエートの高いものであるということ、同時に、一方においてエネルギー源の今後のいろいろな見通し、あるいはその中で地球環境経済成長という形でCO2、の排出量の問題も起きてきております。あるいはまた、需要業界のいろいろの考え方もございます。それらを踏まえながら、ぜひいい方向で審議会で御検討いただくようにお願いをしてまいりたい、こう考えております。
  26. 北村直人

    北村委員 ぜひ大臣責任のある、また指導性を発揮していただきたいと思う次第でございます。  最後に、御要望だけ申し上げて終わらせていただきます。  実は、産炭地にも職業訓練センターがございます。御承知のとおり、今の若い人たちが、センター訓練を受けて塗装とか大工とかとび職とかそういう伝統のある職業になかなかついていただけない。年に一人か二人職業訓練センターに入れば、ことしは多かったなというふうな地方がたくさんございます。しかし、その訓練センターに入られる若者に助成をしていただける基準が、複数の人数でないとでき得ない。それもたしか私の記憶では、五人が最低ではなかったかなという気がいたしますけれども、今はこういう時代ですから、将来の地域産業発展のために、一人でも若い人が職業訓練センター技術を習得しようということであれば、国は一人にでも助成をしていただけるような措置をぜひとっていただけますよう労働省方々お願いを申し上げまして、私の質疑持ち時間が終わりましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  27. 渡辺省一

  28. 細谷治通

    細谷委員 総選挙後特別国会開催されまして、約百二十日の国会になるわけでありますけれども、特別問題については別でございますが、石炭政策一般について審議を行うのは初めてじゃないかと思いますね。せっかくこういう特別委員会という場をつくっていただきながら、私の持ち時間が十八分しかない、きょう全体でも二時間少々しかないということで、これでは国民の負託にこたえてないのではないかという気が非常に私はするわけでございまして、まず冒頭委員会の持ち方、あり方等について遺憾の意を表明しておきたいというふうに思います。  せっかく通産大臣がお見えになっておりますので、まず石炭問題、石炭政策、それから産炭地振興問題に対する基本的な考え方についてお聞きをしたいと思います。私は、決して蒸し返したり揚げ足取りをしたりするつもりはございません。基本的な姿勢についてお伺いしたいと思います。  まず、三月二日の日経新聞に「政策課題 経済閣僚に聞く」ということで、通産大臣に対してインタビューが行われております。その中で大変気になる表現がございます。最後のくだりでございますけれども、「一方、コストの高い石炭はどんどん減らしていくべきだと考えている。炭鉱で働く人たちの命の安全の問題もある。閉山に伴う地域振興雇用の問題が解決されるなら、現状の年産一千万トン体制を維持していく必要はないだろう」、こういうインタビューをされておりました。その後、聞くところによりますと、我が党の真意を聞く場が設けられたようでございまして、発言の撤回といいましょうか、そこまでいったのかどうかわかりませんけれども真意の御説明があったと聞いております。  そこで、その後かなりの時間の経過もございますし、実情もつぶさにごらんになったと思いますけれども通産大臣としての真意と現在の心境についてまずお聞きをいたしたいと思います。
  29. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 それは多分日本経済新聞が聞くのではなくて、私の就任のインタビューをとられてお書きになったと私は承知をいたしておりますが、私の真意は、石炭産業の中で、確かに国際的に見て非常にコストが高いということは事実だと思います。それからいま一つは、日本の場合は大変残念ながら露天掘りというのがなくなりまして、どんどん地下へ掘っていかなければならない。そこでは安全管理が非常に重要でございまして、いろいろ安全管理についてはお願いをいたしておりましても残念ながら事故が起きるということも事実でございまして、そういう人命を守るという点からいっても、何とかならないかという気持ちでいたことは事実でございます。  ただ、私も通産大臣に就任をいたしましてから、いろいろ産炭地域の実情もお聞きをし、先ほども申し上げましたけれども日本経済において日本石炭鉱業が果たしてこられた大変大きな貢献度なども考え、また、それぞれ産炭地域においてはいろいろの御事情があるということも私もよく承知をいたしてまいりましたので、余り短兵急にそういう方向に持っていってはいけないという考え方で、撤回をしているわけではございませんが、軌道修正を少しさせていただいて、じっくり将来ともに、しかし、石炭鉱業におかれてはやはり合理化を図っていただくことはこれは当然だと思うのでございます。しかし、私どもは、その合理化を図られる中でできる限りエネルギーの長期見通しの中でも石炭の位置はしっかりと確保しながら、そして、それに応じたそれぞれの石炭産業の体制をひとつつくっていただきたいし、それから、今八次策でもやっておりますが、できる限り集中閉山というようなことのないように、やはり生産の体制をうまくまとめていくということも、雇用の問題あるいは地域の経済の振興の問題なども十分配慮しながら、その辺を、今もやっておりますけれども、今後もその辺のところは非常に重要なファクターとしてやっていかなければいけないということは私もよくわかってまいりましたので、そういうところは気をつけてやってまいりたい、こう考えておるわけであります。
  30. 細谷治通

    細谷委員 今もお話がございまして、それから過日の当委員会でもお話がございました。石炭問題は、もちろん単に閉山による地域振興の問題、それから雇用の問題というのが重大であるというお話も今ございましたけれども、過日の委員会でもございました。しかし、やはり国内唯一のエネルギー資源を確保していくというエネルギー安保といいましょうか、エネルギーセキュリティーという観点からも、しっかりとこれを政策として確立していくということが必要だと私は認識しております。ぜひそういう方向で今後の石炭行政を進めていただきたいということをお願いをして、次の質問に移りたいと思います。  次は、六月二十日でございましたか、石鉱審の政策・経営合同部会で平成二年度の合理化実施計画が一応固まったということのようでございます。八次策というのは、もちろん当初からなだらかな縮小、それから関係各業界のぎりぎりの協力を得てやっていくのだということで、そういうことが八次策の推進上の基本スタンスだったというふうに受けとめております。ところが実際、じゃこの最終年度の一年前の時点として平成二年度の時点を考えてみますと、例えば生産量にしますと一千七百万トン近くあったものが需要ベースで一千九十一万トンというようなところ、それから大手炭鉱も十一鉱が六鉱になっている、炭鉱労働者にしても、二万四千近くいたのが約九千弱、八千五百ぐらいのペースまで落ちている。総括してみますと、なだらかな縮小という名に値しない、まさにドラマチックな、急ピッチに合理化が進められたというふうに評価せざるを得ないというふうに私は思うわけであります。  そういう観点に立って、さて最終年度の平成三年度の姿というものが、この平成二年度の合理化実施計画の中からはおぼろげながらといいましょうか、かなりはっきりしてきたのではないかというふうな感じがいたします。  そこで、この点についてお伺いをしたいと思いますけれども、まず本年度の生産量が八百四十万トン、それから過剰貯炭というものが百六十五万トン、それから雑炭の供給で百万トンということでございますと千百五万トン、単純に足しますと、こうなるわけであります。ところが一方、八次策の最終年度の需要ベースで見ますと、最終年度おおむね一千万トンと当言われているわけであります。九百七十万トンとも言われておりますけれども。そしてしかも、過剰貯炭はゼロだという計画になっております。そうしますと、単純なことでありますけれども、差し引きをいたしますと約百万トン強の供給超過の状況、需要過小といいましょうか、そういう状況が生まれてくるというふうに思います。  じゃ、この需給調整を一体どうするのか。そう幾つも方策があるわけでありませんで、考えられるものとしましては、生産調整の八百四十万トンをさらに生産量をカットしていく、それから、需要の千九十一万トン、最終年度だということで、これにさらに関係業界の御協力を得て暫定的でもいいから需要を上乗せするということ、それから、最終的には過剰貯炭はゼロだということになっておりますけれども、この方針を若干和らげて過剰貯炭を少し抱えて越していくということ、それから、雑炭の切り方についても限度があるでしょうが、雑炭をもっと切れるのかどうか、大体こんなことぐらいしか方策としては思い浮かばないわけであります。最終的に通産大臣として、現時点に立って最終年度のでき上がりという姿を見通したときに、一体この辺の問題についてはどういうふうにお考えになっているか、お伺いをしたいと思います。
  31. 土居征夫

    ○土居政府委員 ただいまの先生のお話の中で、一つだけ数字の修正からまず始めさせていただきます。  平成二年度の実施計画につきましては、六月二十日に審議会の了承を得たわけでございますが、これは先生がお話しになりました千百五万トンではございませんで、千九十一万トンということで平成二年度の目標が決定されております。中身は、生産が八百四十万トン、貯炭の取り崩しが百五十一万トン、雑炭が百万トンということでございます。  御承知のように、第八次策最終年度の平成三年度、翌年度につきましては、この千九十一万トンが最終的には一千万トン程度になるわけでございまして、おっしゃるように、百万トンとは言いませんが、それに近い数字の需要規模の縮小ということが予想されているわけでございます。したがいまして、今後それに対応して供給体制をどうするかということでございますけれども、お話がありましたように、過剰貯炭の解消もやらなければなりません。ただ、やはり雑炭の削減等といった問題についても、国会の御指摘もありますので一生懸命努力していかなければいけないということでございまして、そういったことを通じて今後の平成三年度の需給バランスの達成に努めてまいりたいというふうに考えております。
  32. 細谷治通

    細谷委員 いや、数字の訂正をしてもらわなくても、私は需要ベースではもちろん千九十一万トンというのはわかっておりますけれども、生産量八百四十万トン、過剰貯炭百六十五万トン、これも正しいですね、それで雑炭が百万トンだと仮定すると千百五万トンになるのじゃないですかということを申し上げているわけです。いずれにしても過剰貯炭が出る、供給超過の状況になるということはおわかりのようですから、もうこれ以上言いません。先へ進みます。  三池の過剰貯炭の解消策について、もう時間がありませんから、私、要望だけ申し上げておきますけれども、本年五月末の三池の過剰貯炭が、山元で調べますと二百二十万トンと言われているのです。今回の計画によりますと、最終的にはこれが百四十九万トンと言われておりますから、さらに七十万トンの貯炭を切り込まなければいかぬという状況になるわけであります。こういう状況を受けまして、山元では、さらに下期にまだ二、三十万トンの生産調整が出てくるのじゃないかということを大変心配しておるのです。これは労働者もそうでありますが、山元、地域もそうなのです。実施計画によれば、三池は大体二百五十万トンの年産規模は変わらないということでございますから、多分貯炭の解消に向かって努力していただける、生産調整がないというふうに伺っておるわけでありますけれども、ぜひそういうことで御努力をいただき、地域の不安がないようにしていただきたいということを要望しておきます。  次に、労働省、せっかくお見えになっておりますので、もう余り時間がございませんがちょっとお伺いいたしますけれども産炭地離職者対策ということは大変重要であります。昭和六十二年度から合理化を進めてまいりまして、千八百人ぐらいの、これは常用労働者でございますけれども、それに対して現在のところまだ七百名程度、再就職率で四〇%しか進んでないという大変厳しい状況であるわけであります。全国的には失業率も大変緩和されてきているということでありますけれども産炭地は依然として厳しいという状況でありまして、この中で地域雇用開発助成金制度というような問題があるわけでありますが、この辺について、この産炭地における適用状況について簡単に御説明を願いたいと思います。
  33. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 地域雇用開発助成金の産炭地域における適用状況でございますが、例えば大牟田の安定所で見ますと、百十二件、千十一人の対象労働者に対して十五億円の支給を行っているところでございまして、予定投資額を含めますと百七十九億円になっております。あるいは北海道の産炭地域では、滝川、夕張、岩見沢の公共職業安定所で二百十三件、二千五百八十三人の対象労働者に対して三十四億円の支給を行っておりまして、総投資予定額は四百四十二億円に上っております。相対的に産炭地域における投資額の比重が高いというふうに認識いたしております。
  34. 細谷治通

    細谷委員 雇用状況が全国的に改善されているということで、制度が大分改悪されているという状況があるわけであります。産炭地状況というのは大変厳しいという実情を踏まえて、今後とも特段の御配慮を願うことをお願い申し上げたいと思います。  次に、石炭企業に対する経費負担の軽減ということでちょっとお話し申し上げます。  決して企業の擁護をするわけではありませんけれども、三井石炭鉱業の平成元年度の決算が出ました。大変厳しい状況になっておるわけであります。その中で留意すべきこととして、三池特有の負担というものが大変大きく、そのことが結果として労働者のベアを抑えたりボーナスを抑えたりする形になっているという実情があるわけであります。  特にその中で過剰貯炭の管理費というのが年間十五億ぐらい出ているということなんでありまして、私はきょうは詳しくは言いませんけれども、これは本来、過剰貯炭管理のためにつくられた会社であります新共同石炭が負担すべき経費であるというふうに考えておるわけであります。この問題については後刻別の場でお尋ねをしたいと思っておりますけれども、一点だけ、八次策では過剰貯炭はゼロだと言われているんですね。そうすると、過剰貯炭解消のためにつくった、わざわざ増資までしてつくったこの新共同石炭株式会社というのは来年度末以降どうなるのか、その辺の見通しについてお伺いをしたいと思います。
  35. 土居征夫

    ○土居政府委員 過剰貯炭の解消につきましては、その解消に向けて今最大限努力をしているところでございますが、非常に困難な状況にあることも事実でございます。いずれにしても、過剰貯炭についての金融をつけるという目的で設けられましたこの新共同石炭株式会社につきましても、この三年度の状況を見つつ、この秋に開催されます石炭鉱業審議会の場でその後の対策の一環として審議されるものというふうに考えております。
  36. 細谷治通

    細谷委員 貯炭管理のためにつくった会社、しかもそれは八次策になってゼロになるわけでありますから、会社の使命は終わったという形になるわけですね。国民の血税が入っているわけですから、その辺についてはどうするか大変重要な問題だというように考えております。  最後に、鉱害量の実態把握に関連いたしましてお尋ねをしたいと思っております。  有明海沿岸地域では地盤沈下という問題が大変深刻な影響を与えておるわけでありまして、対象地域三市三町ということで、地域の農業、漁業、それから住民生活に重大な影響を与えております。そこで、昭和五十八年に三市三町によって地盤沈下対策協議会というものをつくって鋭意その対策に取り組んでいるところでございます。  その後いろいろな機関で調査をいたしました。確かに被害の実態というものは物すごいものがあるということはみんなわかっているわけなんです。しかしながら、その原因が、因果関係がなかなかつかめないということで今日まで適切な対策が打たれてない。海については漁業補償という形で、会社側責任を認めたのかどうかは別にいたしまして、現実には補償や陥没の埋め立てが行われている。ところが陸地について行われていない、こういうことになっているわけであります。  ところが、地域人たちはどう見ているか、これはもう明らかに石炭採掘による陥没であるということはみんな内々そういうふうに思っているのです。まさに鉱害だという受けとめ方をみんなしているのです。しかしながら確たる原因究明ができていないということで、適切な対策が行われていないということであります。  そこで、これは各省でキャッチボールをするんじゃなくて、まさに政治がここで解決しなければいけない問題だと私は思っております。科学技術の進歩をもってすればこの原因究明は十分可能だというふうに私は考えるのです。たまたま石炭鉱業審議会の鉱害部会によって鉱害量調査というのが六月から実施されているわけであります。ぜひこの調査対象に入れていただいて、本件についても責任ある国の政策が施されるように、ぜひ通産大臣として、通産省として御努力をいただくということを御要望いたしまして、時間が参りましたので、大変しり切れになりましたが、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  37. 渡辺省一

    渡辺委員長 岩田順介君。
  38. 岩田順介

    ○岩田委員 四月十一日のNHKだったと思いますけれども、「ドキュメンタリー’90」、これは南大夕張炭鉱閉山をした後の放映でございましたが、幌内中学校の女学生の皆さんの証言が次々と映し出されておりました。あの状況を見ますと、恐らくみんな現地を離れて遠くに行くであろうという状況が推察をされたわけでございます。その一つ紹介をいたしますと、人間が発見した燃える石、これによって日本は栄えたけれども、これをつぶしたのも人間である、我々もこの地を去らなければならないけれども、きっと私のような状況の人が次の番を待っている、こういうことを次々に証言をいたしておりました。私も産炭地筑豊に生まれて育ってまいりまして、幾つか、幾つかというよりも大変多くの閉山を見てきておりますが、本当にあれは胸の詰まる思いで聞いておりました。悲しいのは、やはり家族を含めて集団的な労働力の移動というのが日本の特徴ではないかというふうに思います。  お聞きするところによりますと、三菱の今度の対応については順調にいっているということを聞いて安心はいたしておりますけれども、しかしそれで済む問題ではありません。どうか、働いている労働者はもちろんですけれども、家族を含めて大きな悲しみを集団で移動させるようなことがないように、第九次に向かってというか、ポスト八次についてぜひとも御努力をいただきたいということであります。  それから、旧産炭地についても、先ほど大臣が御答弁をなさっておりましたけれども、次々に関係法律が消えてしまう、戦々恐々たる状況が現地でありますけれども、ぜひともこれも、幾つか関連してお尋ねをしたいと思いますけれども冒頭にまとめて要望というか、決意をお願いをしておきたいと思う次第であります。  まず最初の質問でありますけれども、ことしの二月二十二日にトヨタ自動車は、新拠点として福岡県の宮田町に工場を配置するということを発表されておりますけれども、これについて、いわゆる正式調印に向かってどういう作業が進んでいるか、わかれば簡単に御説明をいただきたいと思います。
  39. 土居征夫

    ○土居政府委員 本年二月にトヨタ自動車から地域振興整備公団に、同公団の宮田工業団地の用地の購入申し込みがあったということでございまして、現在公団は、これに応ずる方向で当事者間の細目について協議をしているということでございます。トヨタ側の希望によれば、販売時期は大体平成三年三月ということでございます。ただ、現時点ではトヨタ側からまだ具体的に進出計画の詳細は示されておりませんで、その内容についてはまだ十分承知していないというところでございます。
  40. 岩田順介

    ○岩田委員 このトヨタの進出問題について、私はトヨタ側の戦略の問題だとか日米バランスの問題は知らずに御質問をしているわけでありますけれども、福岡県並びに現地といたしましては、何度か計画が見えまして、そして何度か消えてきたという経過もございまして、産炭地問題、産炭地振興のいわゆる最後の光明として期待が非常に高いわけであります。したがって、この成功に向けてはぜひとも通産省の御努力をいただきたいというのが県民挙げての要望でありますが、いかがでありましょうか。
  41. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今御指摘のように、やはり産炭地がいろいろと変化をしていく中で、地域振興の一環としていろいろな企業、いろいろな業種を誘致していくということが一つの大変大切な考え方だと私は思っておりまして、トヨタ自動車の問題につきましても、私といたしましても積極的にそのような方向で進めていきたいということで今努力をいたしておるわけでございます。
  42. 岩田順介

    ○岩田委員 委員長、私の質問は何分まででございましょうか。――次にお伺いをいたしますけれども、先ほど大臣の御答弁の中にもありましたが、あと二年足らずで切れます産炭法を入れますと三十年間、先ほどされました研究会報告の中にも、異例の長さである、私もそう思いますが、この異例の長さというのは、いわゆる産業構造の変化や石炭に対する厳しい状況、これもあったでしょう。しかし、振り返ってみるまでもなく、人と物と地域に与えた影響が非常に深くて大きかった。それから、例えば私も産炭地自治体を見てきた一人でありますけれども産炭地の自治体というのはもともと財政力が脆弱でありまして、したがって長きにわたる特別措置が重層的にかけられたのですけれども、脆弱であるがために、その結果、有効性が乏しかったということは構造的に言えるのではないかと思います。それから三つ目には、大臣承知のように、産炭地はどこをとってもらってもこれは明確でありますけれども、全国平均に比べまして五%ないし六%のいわゆる高齢化を先取りしている地域なんですね。それから、福岡県にとってみますと、とりわけ産炭地域と同和問題というのは表裏一体の問題である。これは数は申し上げませんけれども、こういったものが重層的に重なった特徴が三十年間延長させた一因ではないかということも考えるわけであります。  そこで、簡単に御質問をいたしますが、二十八年間やってきたこの時点で振り返ってみて、研究会報告書の中にもありますけれども、今後ますます、例えば教育問題だとか文化問題だとかを総合的に、また多角的に、新しい視点として産炭地域振興政策というものが必要ではないかと考えるわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  43. 土居征夫

    ○土居政府委員 今先生の御質問の中にありました地域振興整備公団の研究会が産炭地域振興審議会審議の前提として報告書を出しているわけでございますけれども、その中でも指摘されておりますように、特に今後とも対策を続ける必要はあるのだけれども八次策地域を中心にということがございます。その延長線上の問題として、先生御指摘の、鉱工業の振興だけじゃなしに地域の公共事業とか社会開発を含めたシステム的な産炭地域の振興開発が必要であるというニュアンスも読み取れるようでございますので、この点は今後の審議会審議に反映されるものと期待しております。
  44. 岩田順介

    ○岩田委員 それを否定するものではありませんけれども、先ほど申し上げましたように脆弱な産炭地域自治体の状況と、もともとこれはテイクオフするのが目的の法律だと私は思いますし、お金だけつぎ込んで産炭地発展するかというとそうでないことも知っておりますけれども、ぜひ私が申し上げましたような観点を含めた対応策というか御協議をお願いしておきたいと思います。  次に、建設省に来ていただいておりますけれども、福岡の産炭地の動脈ともいえる筑豊、地域生活圏でいきますと中部、西部、東部、中東部といいますか、いわゆるど真ん中で切れて今遅滞をいたしております二百号線バイパス、二百一号線バイパスについての完成の見通しをひとつお願いしたいと思います。
  45. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 お答えいたします。  直方バイパスが一般国道二百号のバイパスでございますが、これにつきましては計画延長七キロでございまして、うち北九州市寄りの四キロが直轄事業で整備しております。それから、飯塚寄りの三キロが福岡県が実施する補助事業ということで実施しておるところでございます。このうち直轄部分の一部、一キロ、九州縦貫自動車道から北側を既に供用しておるところでございますが、残る区間につきましては、地元の皆様方との設計協議を現在進めておりまして、なかなか同意が得られなかったわけでございますが、最近に至りまして同意を得られまして、六十二年度に都市計画決定を変更いたしまして、平成元年度から用地買収に着手しております。  それからもう一つ二百一号につきましては、飯塚バイパスが該当するバイパスでございますが、これにつきましても、八木山バイパス側から用地買収を進めるという方針で設計協議を進めておるところでございます。  どちらのバイパスも既に用地買収に着手はしておりますが、地元の皆さん方との設計協議になお部分的に合意が得られないところもございまして、時間を要しておるところでございますが、今後この筑豊地域の極めて重要な幹線であるということにかんがみまして、福岡県それから地元関係市町村と協議いたしまして、早期に供用ができますようバイパスの整備に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  46. 岩田順介

    ○岩田委員 この二百号と二百一号は、産炭地問題にとどまらず、例えば福岡を二分いたしますと、西の方は福岡市を中心にしてアジアに向かってどんどん発展をする可能性を持っておりますが、産炭地を多く含む、また北九州を含む東部については、だれの目からもはっきり陰の部分というかおくれた部分ということは明確になっているわけですね。そういうときに二百号線と二百一号線のバイパスの完成は、産炭地振興、東部にとって極めて大きな動脈ということは言われて久しいわけであります。したがって、そういう観点からもぜひとも尽力いただきたい。  それから、冒頭にトヨタ問題を申し上げましたけれども、トヨタの進出や、今の二つのバイパスだけではありませんが、高速道路整備網というのがもう一つあります。これが完成することによって、いわゆる鉄冷えと言われて久しい北九州の素材型であった産業が変換をして、高度技術それから情報収集基地としての大きな、付加価値の高い地方になるだろうという期待を持っているわけですね。これは無関係じゃありませんから、ぜひ建設省の御努力お願いをしたいと思っておるところであります。  次は労働省にお伺いをいたしたいと思いますけれども、五月十日の日経新聞に失対事業の廃止という記事が載りまして、びっくりいたしました。労働省にお聞きしますと、そういうことは言っていないというふうに言われておりますけれども、中身はやはり我々が心配しているような方向の示唆がしてあるし、具体的な問題がある。例えば、一般失対といわゆる産炭地の失対は分けて整理をするという等々の問題がありますけれども、あれは間違いの記事なのですかね。
  47. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 五月十日付の御指摘新聞記事は承知いたしておりますが、私どもといたしましては、失対事業については五年ごとの見直しを進めることといたしておりまして、去る五月三十日に第一回の調査研究委員会を開いたところでございまして、調査研究委員会の結論を待って、それを十分尊重した上で対処したいと考えておりますので、結論めいたことを私どもとして今具体的に持っているわけではございません。
  48. 岩田順介

    ○岩田委員 時間がなくなりましたので最後質問にいたしたいと思いますが、先ほど我が党の細谷委員からも質問がありました例の離職者対策の問題、さらには失対事業の問題について、とりわけ失対事業の問題について一点だけ、お尋ねというか要望も含めてお願いをしたいと思います。  私も県に在職をしているときに、もう随分前になりますが、失対に携わった経験があります。そのときの平均の年齢というのは四十歳代ではなかったでしょうか。二十代もおられましたけれども、隔世の感がするわけであります。いずれにしましても、高齢化してしまって、当初の事業計画と今の事業計画は実態の作業としては全然隔離しているという現実もあることは承知をいたしております。  そこで、いわゆる研究会や、今から審議が始まろうとするこの時点でお願いをしておきたい点は、今から振り返ってみますと、この失対制度というのは非常によかったのではないか、先見性のある制度ではなかったかというふうに思うわけです。それは高齢化社会との関係で、どういう形にしろあの失対の存続というのは、私としては非常にいい制度ではなかったかというふうに思うわけであります。日本は初めて高齢化社会を迎えようとしている。しかも、先ほども申し上げましたように、産炭地は高齢化社会を一歩先に進んでいるという現実を考慮した上で考えてみますと、この失対事業の存続は、新たな高齢化社会という現実を踏まえた、そういった視点でもって対応策をぜひ考えていくべきではないか。各団体からいろいろな要求も出ておりますけれども、具体的には申し上げませんけれども、その点について労働大臣の御見解をいただきたいと思います。
  49. 塚原俊平

    塚原国務大臣 昭和五十五年と六十年に学識経験者の方の調査研究報告が出ておりまして、その中で、二点にまとめられるのですが、一点は、失対事業は基本的に終息を図るべき段階に来ているということ、二点は、今後雇用対策は失業者を吸収するための事業発足方式をとるべきではないことというふうな御指摘がございました。いずれにいたしましても、今高対部長も御答弁申しましたように、失業対策制度の研究会、ここで検討をお願いしておりますので、先生の御意見も十分に頭に入れましたものでございますから、またここの報告も踏まえまして適切に対処してまいりたいと考えております。
  50. 岩田順介

    ○岩田委員 終わります。
  51. 渡辺省一

    渡辺委員長 中沢健次君。
  52. 中沢健次

    ○中沢委員 本会議を控えておりまして、私は石特の理事もやっておりますから、私の持ち時間の範囲内で終わりたいと思います。  両大臣、今岩田委員の方からNHKのドキュメントの話がございました。実は私は四月十七日の地方行政委員会でこの問題を取り上げまして、奥田自治大臣も私と議論をする以前にこのビデオも見ていただきました。たしか四月十一日の放映のビデオだと思います。詳しい話は申し上げません。自治大臣の手元にビデオがあると思いますので、ぜひひとつごらんをいただきたいと思うのです。私が下手な言葉で表現するよりも、あれを見ていたただいて、いかに炭鉱閉山地域に大打撃を与えているか、子供も含めて大変悲惨な、あるいはそれを乗り越えてまた頑張っていこう、こういうビデオでございますから、ぜひまたごらんいただきたいと思います。  昨日、税特でも総理、大蔵、自治大臣もおいでをいただきまして、消費税の問題についてもいろいろ議論をしました。産炭地は失業者が物すごく多い。高齢化が進んでいる。しかも所得の低い方が非常に多い。国民に共通の消費税のいろいろな被害があるけれども産炭地地域にとっては、一人一人の国民としては同じかもしらぬけれども地域的には深刻な被害があると指摘をいたしました。消費税そのものについては撤回をするだとか廃止を認めるだとかということにはなりませんが、総理以下関係大臣の方から、そういう産炭地の実情についてよくわかるので、それ以外の国の政治の責任で、財政の問題だとか社会保障の問題も含めて、もちろん通産、労働の行政も含めていろいろ頑張りたい、こういうお話がございました。  前置きはそのぐらいにいたしますけれども、もう時間がありませんので、通産の方に二つ、労働の方に一つだけ質問をして、大臣、あわせて御見解をお聞きしたいと思います。  通産の方にお尋ねをしますが、先ほど細谷委員の方からも指摘があったのでありますけれども、合理化実施計画、具体的に示されました。私はかねてから委員会指摘をしておりますように、需要の問題は別にして、生産体制に限定をして言うと、既に八次の最終年次のレベルにずっとダウンをしている。したがって、今日まで八次政策のもとで閉山が繰り返し繰り返し行われる、規模縮小が行われる、しかし、合理化実施計画を見る限り平成二年度は小康状態ではないか、つまり閉山という最悪の事態は北海道も九州も避けて通っていけるのではないか、私はそのように確信を持ちたいわけですよ。山に働いている皆さん、会社の皆さん、産炭地関係者も同じ思いだと思うのですね。ですから、ここのところはひとつ歯切れよくお答えをいただきたいし、さてその後の平成三年度の議論をするのは早いのかもしれませんが、八次政策の最終の平成三年度についても、通産のスタンスとしては緩やかな撤退をやる、雪崩閉山はやらない、こういうスタンスを続けていただく限り、平成三年度も今残っている北海道と九州の六つの山を何とかしのいで存続ができるんではないかなという、平成二年度については私なりの確信を持ちたいし、平成三年度についてもそういう強い期待を持ちたいと思うのでありますが、もう数字の話は結構です、時間がありません。大臣の方からいかがでしょう。
  53. 土居征夫

    ○土居政府委員 平成二年度につきましてはつい最近、石炭鉱業審議会でも議論したところでございますけれども、昨年に比べまして百二十万トンの生産減の数字で二年度の計画ができております。この中身につきましては具体的な積み上げをしたものではございませんけれども、各会社から今年度中に閉山を行うという話は今のところ聞いておりません。ただ、閉山、合理化につきましては政府が決めるものではございませんで、私企業である経営者の自主的な判断ということになるわけでございます。客観情勢が変わった場合にどうなるかということまで確定するものではございませんけれども、今のところ二年度についてはそういうことでございます。  三年度につきましては、全く今の段階ではどこにおいても検討はされておりませんけれども、いずれにしても、先生の御指摘になりましたように、生産の目標につきましては第八次策の目標に近づいてきておるということでございます。ただ、実は八次策が始まりました時点以降かなり円高が進みまして、八次策の前提条件である内外価格差等も変わってきているという客観情勢もございまして、そういういろいろな客観情勢の変化も踏まえて最終年度のあり方を来年にかけて決めていかなければならないというふうに考えております。
  54. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今部長から答弁がございましたとおりでございまして、とにかく平成二年度はこれ以上の合理化は進めていかないという考え方でございます。平成三年度においてはまだこれからでございますけれども、いろいろの諸事情を勘案して検討を続けてまいり、なるべく刺激的なことの起こらないように努力をしていきたいと思っております。
  55. 中沢健次

    ○中沢委員 今大臣の方からも決意を込めたお話がございました。いずれにしても、平成三年度についていいますとやや玉虫色でありますけれども、私はあえて、三年度も何とかひとつ二年度の延長で、残っている山の存続について通産としてもぜひ全力を挙げていただきたい、改めてお願いを申し上げたいと思うのです。  さて、二つ目には産炭地振興についてでありますけれども、平成二年度でいいますと、石炭部の努力が実りまして、それほど大規模ではありませんが産炭地振興について新しい事業や予算がつきました。内容は一々指摘いたしません。問題は、今、産炭審がスタートいたしまして、今月の中旬に小委員の皆さんに北海道の産炭地の五市一町に足を運んでいただきまして、つぶさに現地を見ていただきました。恐らくそういう現地を見たという体験や経験がこれからの新しい産炭法の中に生かされてくる、そういう期待を私は持っているわけです。  細かい議論はきょうはいたしませんが、来年の十一月で期限切れになります産炭法について言うと、今までのような単純自動延長ではなしに、少なくとも八次政策で集中的な閉山が結果的に起こる、規模の大きい合理化、縮小が起こる、離職者が出る、地域が黙っていたら崩壊寸前である、こういう産炭地の具体的な、鉱害の問題も含めて言えると思いますけれども、そういう実態に即した産炭法に質的にも転換をすべきだ。確かに今審議会が議論をしておりますから、それに予見を与えるような御答弁はなかなか難しいのでしょうけれども、私はきょうそのことを特に強く指摘をしたいと思うのです。それに対しまして通産大臣の方から何か所見がありましたらお答えをいただきたいと思います。
  56. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今おっしゃるように、これから審議会でいろいろと御検討を進めていくところで、私がここで余りはっきりしたことを申し上げますと、今の時期、タイミング的に問題かと思います。いずれにいたしましても、今おっしゃられたことなどは十分頭に入れながら、審議会の場を活用して検討を進めていきたい、こう考えております。
  57. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、閉山地区にとって当面の非常に大きな問題は、炭鉱跡地をどうやってトータルのプランとして再開発をしていくか。工場団地の誘致の問題ですとか、跡地の町づくりとタイアップした開発計画等々が閉山市町村としては非常に大きなテーマとして、もっと言えば非常に頭の痛い問題として存在することは事実です。ですから、今までのようなやや散発的な産炭地振興策だとか工業団地の進出だとか、そういうようなことではもうだめだ。産炭法にも絡んできますけれども、例えば三笠の工業団地あるいは幾春別のダムの現場の事務所をつくるにしても今の北炭の土地の跡を借用しなければいけないという問題、夕張にしても三菱の閉山後の炭鉱跡地をどうやって工場団地を含めて再開発をしていくか、こういうテーマが非常に大きな問題としてあるわけです。  これについては今の段階で政府委員の方からも大臣の方からもなかなかお答えできないかもしれませんが、来年の産炭法にも関係はするけれども、少なくとも平成三年度中に、できるだけそういう地域の実態に即して必要な予算だとか、もっと言えば地域振興整備公団の機能を拡大する問題もあるいは関係するかもしれません。そういう当面非常に急ぐ問題についてはひとつ積極的に検討していただきたい。返事は一つでございます。
  58. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど九州の福岡県のトヨタの進出の話で私はちょっと触れましたように、どうしてもこれから緩やかでありましても合理化を進めていく中で、先ほども指摘がございましたが、せっかくそこで長い間働いてきた方が遠いところへまた移らなければいけないという不幸なことを極力抑えていくという点からも、もっと広い立場で、こういう石炭産業がどうしてもだめならば何を考えるかということは、産業政策全体、広い産業構造全体で考えていくべきだという考え方を私は持っております。  それからいま一つは、この間の夕張の三菱の場合もそうでございますけれども、やはり閉山されるならば、そこに働いておられた方々地域社会で引き続き何らかの形でお仕事が確保できる、いわゆる雇用が確保できることをできるだけ考えてもらいたいということで、三菱にはできるだけの企業をあそこにつくっていただきましたけれども、そんなような考え方は、私はこれからの産炭地振興政策の中でぜひとも取り入れていきたい一つ考え方であるということだけは申し上げておきます。
  59. 中沢健次

    ○中沢委員 最後に、労働省の方にお尋ねをいたします。  三菱の南大夕張の閉山、労使交渉の大詰めを迎えた三月二十二日にこの委員会を開きましていろいろ議論もいたしました。残念ながら最終的に閉山になりまして、一千名を超える離職者が発生をした。そこで一つだけ確認をしておきたいのでありますが、あの当時の労使合意の中では、それぞれ地元雇用、道内雇用、道外雇用を含めての合意をしているわけですね。まだ閉山後何カ月もたっておりませんから計画どおりすべて再就職したとは私も思ってない。私もそこが地元でありますからしょっちゅういろいろな関係者から聞いておりまして、まだ計画どおりの再就職は決まってないけれども見通しの問題も含めて会社側としては責任を持ちたい、改めてそういうことも言っているわけです。労働省としては所管事項でありますから、中間点でも、どういう傾向になっているか、将来に向かってどういうことになるかということをいろいろ把握をされていると思いますが、その内容について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  60. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 先生おっしゃいましたように、閉山後間もないという事情がございまして、現在再就職された方々が百八十人ということになっております。それから、地元雇用につきましては、計画で四百五十人ということがあったわけでございますが、これを今年度の上期から来年度に向けてある程度時間をかしながら着々とやっていただくということになっておりますので、今後とも会社側に対する指導については十分留意してまいりたいと思っております。
  61. 中沢健次

    ○中沢委員 最後に、大臣に改めて所信を聞きたいと思います。  いずれにしても、全国的には労働力不足という現象。しかし、炭鉱に限っていうと全く逆な具体的な現象がある。ですから、炭鉱離職者に対する制度上のいろいろな問題点もまだ抱えておりますから、そういう内容についても一層充実をするように私としては期待をしたいし、労働大臣としての一般的な所見も含めて、ひとつお答えを簡単にいただきたいと思います。
  62. 塚原俊平

    塚原国務大臣 先生から御指摘いただきましたし、今日までも御指導いただいてまいりましたが、労働省といたしまして、離職者に対します対策というものはこれからも労働省の重要課題一つであるという認識を持っております。私の在任中も含めまして、より理想に近づけますように頑張ってまいりたいと考えております。
  63. 中沢健次

    ○中沢委員 終わります。
  64. 渡辺省一

    渡辺委員長 岡田利春君。
  65. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 時間がありませんから端的に質問いたしたいと思います。  平成二年度の予算編成は大変苦労いたしたわけです。平成三年度の石炭特会の予算の問題は、今度は返済金が二百八十三億あるという点で憂慮されるわけです。昨年は返済金と前年の借入金、これを合わせますと百二十四億円の前年度マイナスで予算が編成をされたわけであります。したがって、もう概算要求の季節でありますから、平成二年度の経験にかんがみて通産省は十分対応しておるものと思いますが、この点はどういう見解ですか。
  66. 土居征夫

    ○土居政府委員 第八次策中の石炭関係予算につきましては、最初の三年度に借り入れをして最後の二年度に返済をするということで特会法上、法律上きちっと明記されておりますが、御指摘がありましたように、最終年度であります平成三年度につきましては二百八十三億の返済をしなければいけないということでございます。平成二年度の返済が六十三億でございますから、かなり多額に上りますけれども、一方でこれは稼行炭鉱数が少なくなってくるということで、対象石炭鉱業が少なくなってくるということから、合理的に縮小することも可能でございますので、一方で関税収入とか剰余金の活用等によりまして最大限努力をして平成三年度の予算を編成してまいりたいというふうに考えております。
  67. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 鉱害のウエートが約五〇%近いわけですから、何かばっさり切らなければ予算を組めないというのが本当じゃないでしょうか。そう簡単なものではないと思いますね。十分間違いのない対応をするようにまず要請をいたしておきます。  第二点目、平成二年度の合理化実施計画ができてまいりました。この計画によりますと、今答弁もありましたが、閉山はもちろんのこと安定補給金の縮小加算金を支給するような合理化はない、こう断言できますか。さらに、貯炭から三十二万トン、これを原料炭に一般炭から切りかえるわけです。したがって、現行の貯炭中にさらに原料炭に転換できる量は一体幾らあるのでしょうか。この点お伺いします。
  68. 土居征夫

    ○土居政府委員 現在、貯炭から洗いがえによりまして一般炭を原料炭にして引き取ってもらうということで、平成二年度原料炭への転用を見込んでおりますけれども、これは需要家側が要請します製品の品質によりまして、スペックによりましてその内容が決まってくることでございますので、前提なしにあらかじめ見積もることは極めて難しい状況にございます。
  69. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 当初は原料炭で貯炭をして、そのうち一般の貯炭になっているわけですね。初年度において大体四百二十数万トンの貯炭ができた。これは原料炭と一般炭で生産しているものが積まれたわけです。ですから、流用できるものは当然あるのであって、この点はもう一度貯炭を調査する必要があるということを申し上げておきたいと思います。  安定補給金の縮小加算金、今度は五%アンド百五十人でありますから、縮小がないとしても、百五十人の合理化があれば加算金が支給されるということになるわけですね。いずれにしても、合理化をさらに続けて生産を縮小することについてはいかがなものか。これはもう当初計画以上に合理化は進んでいるのですから、そろそろブレーキをかけていく、今度の実施計画から見ればこういう姿勢がなければならぬのではないでしょうか。  平成元年度の雑炭の見込み百万トンといたしたのでありますけれども、百十九万トンになりました。これは鎌田エネ庁長官時代からの公約で、山本長官もそうですが、長官みずからが雑炭の縮小に携わりたい、こういうことで進めてきたわけです。なぜ、九百万トンを切る生産の中で百二十万トンぐらいの雑炭が出るのでしょうか。これは別に外国じゃないですから、国内ですから、こんなことわからないで通産行政が務まるのでしょうか。石炭政策ができるのでしょうか。ちょっとこの点お伺いいたしたいと思います。
  70. 山本雅司

    ○山本(雅)政府委員 今先生の御指摘にございましたように、雑炭問題というのは石炭全体の需給バランスをとる上で大変大きな意味合いを持っております。私どもといたしましては、前の長官のときからもそうでございますが、前部長も全力を挙げましてこの雑炭を何とかして減らしていきたいということで、行政としてやり得ることは努力してまいったわけでございます。しかし、御高承のように、雑炭というのはどういうルートを通ってどう流れているのかということがなかなかつかみにくい部分もございます。したがいまして、私どもといたしましては、確かに百万トンの目標が百二十万トン弱ということでいま一つ目標には到達しておりませんが、これからも大口需要者を中心に、何としてでも正規のルートと申しますか、雑炭でないものをちゃんと需要家として受け取ってほしいということを強力に要請していく等の方策によりまして、この雑炭問題については全力を挙げて取り組みたい、このように考えております。
  71. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 過欠斤というのはプラス・マイナスで一万トンぐらいなんです。ですから、数字では全部雑炭なんです。かつて二千五百万トンも出したときには雑炭は七十三万トンよりないというような時代もあるのですから、それが生産が縮小されればふえるというのですから、こんな不思議なことがありますか。外炭でも入っておったらどうなるのでしょう。これは犯罪行為になってしまいますね。そういう点で、インボイスをつければ簡単にできるわけですから、実効の上がることをやられたらいかがでしょうか、こう申し上げておきたいと思います。  そこで、平成三年度の需要の問題でありますが、問題は、三年度は八百五十万トンの電力の政策需要よりないのですね。殊に三十五万トンの一般炭の政策需要がなくなるというのが前提になっていますから。そうしますと、生産状況から判断しまして、露頭炭とか雑炭が出てくるということになればどうしたらいいのでしょう。憲法上職業の自由で、自由に売るというのはどうなんでしょう。それはもちろん基準炭価があるから違反だということで、皆取り締まることができるでしょうか。私はこの点非常に問題だと思うのです。  そういう意味で考えますと、第八次政策の最終年次というのは、一体どう第九次にブリッジをかけるかという意味で最終年度は非常に重要なのであります。これは簡単にいかぬ問題だと思います。そうすると、何らか最終年次の、電力用炭のみが政策需要で、あとは政策需要ではないのですから、そういう点で特別対策を立てるべきではないか。あるいは石炭鉱業審議会審議をするか、あるいはまた九次政策の諮問を一カ月ぐらい繰り上げてまずこの面を検討させるとか、機動的に対処をすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  72. 土居征夫

    ○土居政府委員 御指摘のように、平成三年度、八次策の最終年度におきましては、電力業界の八百五十万トンの引き取りのほか、原料炭、一般産業用炭の引き取りにつきましては、最終的には引き取り量はゼロになってくるという前提になっております。したがいまして、最終年度の一千万トン程度という八次策の目標に照らしまして、それに対する需給をどうするかというのは非常に難しい問題であるというふうに承知しております。  先生御指摘の雑炭、露頭炭に対する諸問題の問題点も承知しておりますけれども、いずれにしても、本年秋にはもうその後の第八次策以降の対策のあり方の検討が始まることでもございますので、こうした点もその中で総合的な検討が行われてまいるのではないかと考えております。
  73. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 NEDOが今石炭企業に融資をいたしておるわけですね。近代化資金、整備資金、経営改善資金、三月三十一日の残高九百三十九億円、約一千億になんなんといたしておるわけです。三補助金はこれが百六十三億円の実績が出ておるわけであります。しかし、近代化資金の場合には、返済の方が今年度借り入れよりも上回る、こういう現象になっておるわけですね。そういう意味では、今日この制度について、例えば据え置きとか返済期間とかもろもろの条件について、基準について検討する必要のある段階に来ておるのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
  74. 土居征夫

    ○土居政府委員 NEDOの近代化資金等の貸し付けにつきましては、御指摘のとおり、償還額の方が貸し付けを上回るという状況が続いてきておるわけでございます。これにつきましては、やはり石炭企業に対する助成措置でございますので、助成水準を一定とする限り貸付対象が減ってくる、あるいは生産規模が縮小になってくるということで、そういう状況になってくるところはやむを得ないところであるのではないかと考えております。いずれにしても、八次策の枠組みを変えることになるような助成の積み増しというのは非常に難しいと思いますけれども、しかし、その範囲内でNEDOの貸付業務については従来からいろいろと工夫をやって、条件の緩和等をやってきております。そういう方向で今後とも検討を進めてまいりたいと考えております。
  75. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先ほど通産大臣は、炭鉱は保安が悪いということで、事実そうだったですね。重大災害が多かったわけですが、最近は著しく改善されているのですね。労働省統計なんかでいうと山林労働なんかよりも炭鉱の災害の方が少ないわけですね。そういう意味では随分改善されてきておると思うのです。これからの炭鉱保安の目標は死亡者を絶対出さないというところに目標を置かなければならない、また災害率はメタル並みの水準を目指す、これが目標でなければいかぬと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  76. 合田宏四郎

    ○合田政府委員 石炭鉱業の保安状況につきましては、先生今おっしゃいましたとおりでございまして、稼働延べ百万人当たりの災害率で申し上げますと、五十八年に一〇〇を切りまして以後、着実な低下を見せております。特に最近は、昭和六十三年が三八、平成元年二六と大幅な低減傾向を示しておるところでございます。また御指摘になりました平成元年の石炭鉱業における死亡者数も七名。残念ながら七名でございましたが、本年に入りまして、本日までの間では死亡災害はまだ一件も発生をしておりません。労働省労働災害動向調査によりまして他産業との比較をしてまいりますと、六十三年の石炭鉱業の、度数率という言葉を使っておりますが、七・六三でございまして、御指摘のように金属鉱業四・六二と比べますとまだ依然として高い状況にはございますけれども、徐々に改善傾向をたどっておりまして、現状では林業の一一・六八とかあるいは建設、サービス業等と比べますと、それに近い水準を示しております。  このように関係者の御努力によりまして災害は着実に減少しておりますけれども、今後とも保安対策に関しましては決して緩みが生ずることのないように、保安確保全般に万全を期してまいりたいと考えております。
  77. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 最後通産大臣にお聞きしておきますが、今までの石炭政策をどう理解するかということなんですね。生産規模というのは戦後ずっと一貫して、この四十数年間大体フランス規模が維持されている。最近は、しかしフランスも生産高は高いですよ。ここ二、三年、日本の方がぐっと離れてきたんですね。そういうところにあるのが今八次政策の最終年度を迎える我が国石炭状況なんです。  それから石炭政策はどうかというと、西ドイツの石炭政策日本政策に参考とされ、また日本政策が西ドイツで参考にされてきた。こういうような長い経緯をたどってルール炭田の一社化が西ドイツは行われているわけです。そういう点と、イギリスの生産は一九八八年は八千三百七十万トン、輸入炭は千七百万トンです。フランスは千二百八十万トン、輸入は千三百五十七万トンです。西独は七千七十万トンの生産に対して輸入は九百二十一万トンです。我が国の場合には実に輸入は一億を超えたわけです。もう我が国の一年生産高の十倍以上なんですね。これでガットから日本がやり玉に上げられること自体がおかしいんじゃないかと思いますね、ヨーロッパに比べて。ましてイギリスとフランスは国有、国営ですから、公社運営でありますから、赤字が出れば補てんするという政策をとっているのです。そういう視点から見て、この残されている日本列島の石炭産業、鉱山、これは地域社会と関係があると同時に、これからエネルギーを確保する、石炭資源を長期にわたって一千数百万トン確保するという場合に、技術を温存するという意味でも、炭鉱の縮小はこの段階でもはや踏みとどまるべきである、こう思うのですね。この点の見解が一つ。  最後に、八次政策の最終年次は八百五十万トンの電力需要になるわけですが、普通ですと、常識的に言うと、今までの政策は下期に入ったところで第九次の、次の石炭政策を諮問する、ですから十月段階で諮問するというのが過去の常識であります。私は、先ほど質問した過程からいって、一カ月くらい早めて行われた方が最も適切に対応できるだろうと思うのですね。したがって、そういう点で最終年次に多少問題等もあり、解明しなければならぬ問題がありますから、九月ごろには通産大臣としては第九次政策を諮問されるべきではないか、こう私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  78. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 まず、この程度でもうそろそろ合理化といいますか縮小はとどめるべきではないかというお話でございますが、私、先ほどもちょっと申し上げましたように、今のように保安の問題、確かに死亡される方はだんだん少なくはなってきておりますけれども、全く皆無になったわけではございません。それからいま一つ、やはり需要業界、このことを考えますと、例えば内外の価格差という問題が現実にあるわけでございまして、それらを踏まえながら、しかし一方は先ほど申し上げましたように産炭地域の実情あるいは長い間日本石炭産業が一生懸命努力をされてきたこと、こういうのも一方においては十分考慮に入れながらやらなければいけないということでございまして、その点、それこそポスト八次政策の中でどういうところに位置づけていくかは、今御指摘のとおりやはり審議会に御諮問を申し上げながら、その中で検討を続けていきたいと思っております。  それからもう一つは、今なるべく早くということでございますが、もちろん私どもも、できるだけ早い時期に審議会は開いていただいて、可能な限り早く諮問をするということは当然だと思っております。
  79. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 内外炭の価格差も、円が倍になったから価格差が二倍になった、こういうことですね。今のベースでは二・一倍、こう言いますけれども、コールセンターで持ち込みで計算しますと、三千円かかりますから大体一・五倍なんです。アメリカの石炭と比較をすると一・五を切るのですね。そこまできているんですよ。そして連続五年間は炭価も何も上げないできているわけですね。そういう点で正確に考えると、そう目くじら立てるならば、電力はいかがしますか、電力は輸入しますか、これは価格差は二倍あるわけですね。そういうバランスを考えますと、そう目くじら立てる段階にはないというのが私の見解でありますので、申し上げて私の質問を終わります。  以上です。
  80. 渡辺省一

    渡辺委員長 鍛冶清君。
  81. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 両大臣に御質問を申し上げます。  時間が極めて限られておりますので、もう私の方からは基本的な問題、石炭六法が法期限が目前に迫ってきておりますが、これに関連して基本的なことをお尋ねをいたします。細かいこと、具体的なことにつきましてはまたの機会にさせていただきます。また、状況等は、これは私どもも重々承知をしておりますし、もちろん大臣初め政府の皆さんも御存じなわけでございますから、いろんな状況等の説明等はもう省きまして、要点だけ御質問をさせていただきます。ダブる点が随分あると思いますけれども、どうかよろしくお願いをいたしたいと思います。  最初に、石炭六法、今市し上げましたように法期限が参ります。この六法の延長について政府としてはどのように取り組まれていくのか、姿勢についてまず最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  82. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 御指摘のとおり、来年の十一月以降、六法がそれぞれ再来年に向けて期限が来るわけでございます。私どもといたしましては、基本的な考え方としては、従来石炭六法が日本石炭政策の基本的な法律であったということは十分認識をいたしております。そして、今後の問題といたしましては、先ほど来お答えをいたしておりますように、なるべく早い機会審議会を開き、審議会に諮問をしながらその中で検討を進めていきたい。  考え方としては、一つはやはり先ほども触れておりますけれども石炭の価格問題、特に業界の需要を考えての価格問題、あるいはまた地球環境の問題が今大きく取り上げられてきておりますから、この地球環境のCO2、の排出の問題などを一方では考えていかなきゃなりませんし、同時に、一方においては産炭地域の実情あるいは石炭産業の実態、こういうものも踏まえながら考えていかなきゃいかぬということは当然だと思っております。
  83. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 六法の中で産炭地域振興臨時措置法が一番先に来年の十一月末で法期限が来るわけでございますが、この法律延長につきまして、どういう御見解を持ち、どういう形で取り組みをされるのか、お伺いをいたします。
  84. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いわゆる法律延長の要否を含めてこれは審議会にお諮りをするわけでございますから、今の段階で私はお答えをするのは差し控えさせていただきたいと思います。
  85. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これはぜひ延長の方向で、またこれまで十分に各委員から質疑がございましたが、私たちも各委員の質疑の内容については全く同意でございますので、そういうことを踏まえながらこの延長については取り組みをお願いしたいと御要望を申し上げておきます。  今、大臣からそういうふうに答弁があったので、ちょっと聞きづらい話になりましたが、ひとつ差し支えない範囲でお聞かせをいただきたいのですが、この産炭地域振興対策のあり方については今審議会審議を進められておる、今大臣の答弁があったとおりでございますけれども、その審議のスケジュール、またそういう具体的な審議内容というもの、こういったものはどういう形で進められておるのか、差し支えない範囲でなるべく詳しく、相反することですけれどもお答えをいただきたいと思います。
  86. 土居征夫

    ○土居政府委員 産炭地域振興審議会審議のスケジュールでございますけれども、本年の四月二十六日に諮問いたされまして、その後五月の十六日に全体の議論をやってございます。  六月の一日以降、各産炭地の道県からヒアリングを今始めております。さらには、この産炭地域振興審議会には小委員会が設けられまして、小委員会を中心とした現地視察団が派遣されておりまして、六月の十三日から十五日までは北海道の現地視察が終わっております。それから、来週の月曜日から水曜日にかけましては九州の現地視察が行われるという状況になっております。そのほか、六月の二十日には関係団体からのヒアリングがなされるということでございますし、そういった関係者からのいろいろなヒアリング等が今精力的に進んでおるところでございまして、これを受けて七月の末にこの小委員会で総合的にあり方の議論が始まるということになります。議論は八月、九月と続いていくわけでございますが、最終的には今のところ十一月ごろに答申をいただければというふうなことを考えております。
  87. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 現実にこれに伴ういろいろな予算というものは組まなければならないと思うのでありますけれども審議会の答申が今お答えのようにことしの秋だということになりますと、来年度予算については、もう既にこの八月には予算の要望等も出てきてまとめるという方向になっていくのではないかと思うわけですが、それとの絡み、予算関係はどうなるのか、この点についてちょっとお尋ねをいたします。
  88. 土居征夫

    ○土居政府委員 御承知のように、産炭地域振興臨時措置法は他の石炭六法よりも一年早く期限が来るということで、いずれにしても今年度末には方向を出さなければいけないということでございますが、いずれにしても来年度は第八次政策の最終年度になるわけでございまして、先ほど来御質問がありましたように、八次政策の基本的な枠組み、石炭対策の特別会計等の基本的な枠組みからいいますと、借金の返済等々がありまして、来年度の予算編成については非常に厳しい環境にあるということでございます。  ただ、産炭地対策はいずれにしても今後の石炭対策の中では非常にウエートが大きくなってくるものでございまして、そういった意味で来年度の対策についても、この産炭地域振興審議会審議が七月の末に既に始まりますので、できるだけ来年度の予算あるいは政策に反映できるものについては、中間的にでも御審議をいただいて、反映させていただきたいと考えております。
  89. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 鉱害二法関係でお尋ねをしますが、これの法期限も二年後に控えているわけでございますけれども、この対応策として残存鉱害量の調査を開始をされた、こういうふうに私は聞いております。その調査結果がやがては出てくるわけでございますけれども、この調査結果をどういうふうに生かし、また今後どういうふうにしていくのか、この検討のスケジュール、また鉱害二法についての法延長に取り組む当局の姿勢、こういったこと等についてお尋ねをいたしたいと思います。
  90. 土居征夫

    ○土居政府委員 鉱害関係の二法につきましては、石炭六法の中で、平成四年七月末に期限切れということになっておるわけでございますが、先生御指摘のようにこの第八次対策の中での鉱害の復旧につきましては、長期計画で進めておるところでございまして、その結果、あと残存鉱害がどうなるかという問題につきましては、この春に残存鉱害量調査というのを始めたばかりでございます。  この調査につきましては、本年末をめどに通産省を中心に取りまとめを行う予定でございますけれども、その結果とあわせて、今後の鉱害対策のあり方につきまして、九次策の検討が既に始まっております石炭鉱業審議会に諮問をさせていただきまして、全体の石炭政策の今後のあり方の一環として審議をいただくという予定になっております。
  91. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 以前もお尋ねしたことがあったのですが、残存鉱害量の調査を始められたということは、これは私どもは鉱害二法の法延長ということを前提にお始めになったというふうに理解はしておるわけです。もう一つ基本的なこととして、田川という地域が選挙区の中にあるわけですが、特に残存鉱害というものがまだ大変残っております。こういう残存鉱害量、これは完全になくなるまでは予算もつけ、この問題についての対応はする、こういうふうに基本的には私たちは理解しておりますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  92. 土居征夫

    ○土居政府委員 石炭の鉱害量につきましては、現在の長期計画において、その時点で考えられます将来にわたる鉱害量のすべてを復旧するという前提で鉱害復旧を進めておるところでございます。したがいまして、実害を生じますような大きな鉱害については、相当程度現行計画の中で復旧が進んでおるというふうに考えておりまして、それにもかかわらずどうかということで今調査をしておるわけでございます。したがいまして、仮に現行の長期計画の期限内で完全に鉱害を解消することができないということになりました場合には、これらの復旧すべき鉱害につきましては適切に処理していくという基本方針には変わりはないというふうに考えております。
  93. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 三井三池の関係でお尋ねをいたします。  三井三池につきましては三年続きの大幅な合理化が進んでいるわけで、地元は極めて深刻な影響を受けているわけです。これに対する地域振興対策というものは極めて重要になってくるわけでございますが、この点についてのお取り組みについて、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
  94. 土居征夫

    ○土居政府委員 御指摘のように、三井三池は毎年五十万トン、一千人近い合理化を三年続きで行ってきたわけでございまして、地元地域振興対策につきましては非常に地元も御努力をいただいているという状況でございます。  政府といたしましても、そういうことでもございますので、平成元年度には中部有明産炭地域拠点開発基礎調査を実施いたしまして、地域開発のあり方について内外にコンペを開催いたしましてそのあり方について問い、さらにシンポジウムを開催するということで地域振興の支援をしてまいったわけでございますが、同地域には九州アジアランド構想とかネイブルランド構想あるいはコンコルディア・プラネット構想等、各地の地域活性化プロジェクト、自主的な構想がございますので、これらにつきましても、産炭地域振興臨時交付金等の活用によりまして積極的に支援をさせていただきたいというふうに考えております。
  95. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 労働省関係でちょっとお尋ねをいたします。  閉山が相次いできているわけでございますが、この閉山対策につきまして、私ども田川のような、古くからの閉山があって、ずっと引き続いていろいろと当局の援助を願いながら本当に地域をよくしようと頑張っている地域もありますが、新しく閉山をしてきている地域もございます。こういう地域における再就職という問題、高齢者の対策というものは非常に大切になってくるわけでございますが、この点について、今日までの閉山後の対策の推移並びに現状、さらには今後どういうふうに対応していくというお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  96. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 閉山あるいは合理化によって離職された方々の再就職対策でございますが、第一には、手帳制度の活用による生活の安定と再就職援助施策の実施、第二に、職業転換を円滑に進めるための職業訓練の積極的な実施、第三には、やはり御本人の希望なりなんなりを十分お聞きしなければならないとは思いますけれども、全国的規模での求人の確保あるいは住宅の確保などによる職業紹介の実施、それと、地域雇用開発促進法に基づく地域における雇用機会の開発、あるいはこれに対する助成、こういった柱立てをしながらこれまでも積極的にやってまいりまして、今後とも、離職者方々、まだ相当数残っておられるという三池の状況承知いたしておりますので、さらに積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  97. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 極めて簡潔に御質問をし、お答えも簡潔にしていただきましたら、大体用意したものがなくなりました。先に本会議も控えておりますので、これで終わりたいと思いますが、最後に両大臣に、今御質問申し上げた関係、これはもう現地にとりましては大変深刻な、真剣な問題でございまして、これに対してぜひひとつ法を延長する中でこの対策は十分に講じていただきたい、こういうように思いますが、これに対する大臣の御決意をそれぞれお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  98. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、石炭産業というのは長い日本の歴史の中で、特に戦後日本経済に非常に貢献してきていただいたわけでございます。また、地域的には非常に偏っておりまして、それぞれの産炭地を控えておる地域におきましては、いわゆる石炭産業どうなるかということによってその地域振興に非常に影響が大きいわけでございますので、それらを踏まえて十分私どもは、余り御心配かけないような方向でぜひ努力をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
  99. 塚原俊平

    塚原国務大臣 大変厳しい環境にあるという認識をしっかり持ちまして、精いっぱい法律を運用しながら努力をしてまいりたいというように考えております。
  100. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。
  101. 渡辺省一

  102. 小沢和秋

    小沢(和)委員 去る十六日、私の地元福岡県では産炭地域県民大会を開き、知事、県議初め千七百名の参加者の総意として「産炭地域振興対策実施のため特別な法的措置を継続すること」など六項目を決議いたしております。今、大臣としては、産炭地域振興審議会に法的措置の必要性を含め産炭地域振興のあり方について諮問中なので、法延長そのものについては答えられないかもしれません。そこできょうは、大臣自身が私の直接の地元である旧産炭地筑豊の現状をどう考えておられるか、お尋ねをいたします。  筑豊が三十年前の炭鉱閉山のあらしに見舞われた直後に比べれば、政府の援助、自治体と住民の奮闘で一定の回復を見ていることは間違いありませんが、全国水準と比べれば今なお大きな格差があります。生活保護などは全国平均の六・六一倍であり、雇用情勢や市町村財政も厳しいものがあります。求人倍率や財政力指数は全国の半分程度であり、鉱害もまだ各地にかなり残っています。これらのことを考えれば、今後も強力な国の振興策が必要ではありませんか。旧産炭地の現状と今後の国の振興策の必要性について、基本的な大臣の見解をお尋ねいたします。
  103. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 繰り返すようでございますけれども、今もお話がございましたが、筑豊炭田を含めて、戦後の日本経済の歴史の中でそれぞれ炭鉱が果たしてこられた大変大きな役割というのは十分承知をいたしておるつもりでございます。しかしながら、時代の変化もございまして、あるいはエネルギー源の変化もあったことと思います、残念ながら中には閉山せざるを得なかったというところもたくさんあるわけでございます。それを踏まえて、産炭地域の振興という形で今御指摘のございました産炭地域振興法というのが行われておるわけでございまして、相当やってきたつもりではございますけれども地域によってはまだまだそのような格差があることはよく承知をいたしておりまして、先ほども申し上げますように、これからも何とかその地域の住民の皆様方の生活基盤、またその地域産業基盤がより確立をされていくように私は努力をしていかなければならない、こう考えております。
  104. 小沢和秋

    小沢(和)委員 時間もありませんから、今後の大臣の一層の努力を要請しておきたいと思います。  次に、福岡県小竹町に地域振興整備公団が計画中の工業団地造成についてお尋ねをいたします。  この計画は、約二十年前に、工業団地造成による地域振興、重鉱害農地の復旧、ボタ山処理の三位一体の目的を実現するために計画され、昭和四十八年、通産大臣の認可を得ております。その後計画が二度にわたり大幅に縮小され、当初計画の半分以下の百三十七ヘクタールと現在なっております。  十数年の地元努力がようやく実り、対象地域農地の交換分合もめどがつき、いよいよ着工できる状態になってきておりますが、そのやさきの昨年秋、突然公団が第三工区のボタ山処理をやめると言い出したので、地元は大きなショックを受けております。地元の人々にこれだけ努力をさせておいてこういう方針転換をするのは余りに無責任ではありませんか。これでは地元の人々が怒るのは当然ではありませんか。こういう経過になったことについて公団と国は真剣に反省しているのかどうか、お尋ねをいたします。
  105. 土居征夫

    ○土居政府委員 御指摘の小竹団地の造成計画につきましては、昭和四十八年ごろから地域振興整備公団が造成の準備を進めてきたところでございますけれども、今お話がありましたように、地元住民、関係者間での調整が長引きまして、用地買収のおくれその他の理由によりまして今日まで未着工のままで推移しております。現在、用地問題は地元協力によりましてほぼ最終段階に達しているというふうに伺っておりますけれども、早期着工を図れるように地域振興整備公団を指導してまいりたいと考えております。  ただ、公団によりますと第三工区につきましては、その後のボーリング調査、地質調査の結果、第一、第二工区の造成に利用することがなかなか難しい等々の理由がございまして、造成計画の前提条件がかなり変わってきたということから、地域振興整備公団といたしましては計画どおりの事業実施は断念せざるを得なくなったと考えているようでございまして、事情やむを得ないものと考えております。  ただ、地元の期待あるいは受け入れ準備との関係で、このように工事内容が変更されることにつきましては関係者にとりましては非常に大きな問題であるということは十分承知しておりまして、現在この第三工区の取り扱いにつきましては、県、公団等が入りまして協議が始まったところでございます。こういう協議の場を通じまして、地域公団に対しまして最大限努力をするように指導してまいりたいと考えております。
  106. 小沢和秋

    小沢(和)委員 今のお話では私はどうも反省が弱いのじゃないかと思うのです。地元が必死になって、夜遅くまで農家を説得したりしてきた十数年の間に、公団は一体何をやってきたのか。今ごろになって土質が悪いからそのボタ山を重鉱害地の埋め立てには使えないなどと言い出されても、地元が困惑するのは当然じゃないでしょうか。私は、そもそもこういう計画を立てるときに、そういう土が埋め立てにふさわしいものであるかどうかぐらいはチェックしてからそういう計画は立てておくのが当たり前だったのではないかと思うのです。  こういう点について、今のお話では反省しているかどうかということが聞き取れないのですよ。反省しているかどうか。この問題については、今もお話がありましたように地元と話し合い中と伺っておりますが、こういう経緯考えるなら、公団として地元の要求に最大限誠意を持ってこたえる責任があると思いますし、国としてその方向で指導すべきだと思いますが、その姿勢をもう一度お尋ねしておきます。
  107. 土居征夫

    ○土居政府委員 先ほど申しましたように、地元の期待、受け入れ準備、これまでの御努力、こういったことから考えて、地元関係者にとっての非常に大きな問題であるということは十分承知しております。ただ、先生の最初にお話がありましたように、この団地造成につきましては重鉱害の処理あるいは危険ボタ山の改善、こういった問題を三位一体として解決するということで、そもそも極めて複雑な、大きな問題でございますし、かつ、地元の地権者等関係者もいろいろ複雑に入り組んだ状況でございますので、ボーリング等の調査もさることながら、そういった複雑な条件が重なっておるということで今日まで時間がかかってきたということも、またやむを得ないものではないかと考えております。
  108. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私は、さっきも言いましたが、そもそもそういう三位一体の計画を立てる、ボタ山を取り崩して重鉱害地を埋めるという計画を立てるときに、その埋める土質がそれに合うかどうかぐらいのチェックをしてからそういう計画を立てるのは当たり前だったのじゃないか。そこからして、そういう手違いを、この段になって改めて計画を訂正しなければならないようになったことについて責任があると言っているわけです。だから、地元のそういう気持ちに最大限こたえていただきたい。  時間がありませんから、最後の一問を申し上げます。  先日、私のところに我が党の福岡県会議員団を通じて柳川市長などから、有明海海底陥没の復旧について陳情が寄せられました。それによると、三井石炭の有明坑が本格的採炭を始めた昭和五十三年以降、年々海底の陥没地域が拡大し、干潟漁場に重大な打撃を与えております。毎年百五十万立米以上の陥没を引き起こすのに、埋め戻し量は八十万立米程度。それもボタやコンクリートの塊までまじっているので、ノリひびを立てるのにも困ることがある。魚や貝が激減している。毎年陥没地域は広がるばかりで、残存量はついに一千万立米を超えている。  この鉱害については、今のところ鉱業法によって処理する以外にありません。だから、根本的には第九次石炭政策の中で海底陥没の復旧も臨鉱法の対象にすべきだと考えますが、当面の問題としては、三井石炭にもっと誠意を持ってこの問題に取り組ませることが重要だと思います。さもないと、地域の住民感情として、もう石炭を掘るな、国が金を出して掘らせれば掘らせるほど我々は被害を受けることになるというような声が広がりかねません。そういうことになっては、国内炭生産の大切な拠点である三井三池を守ることもできなくなります。政府としても、こういう重大な問題であることをしっかり認識し、実情の把握に努めるとともに、国会でもこのことが問題になっていることをよく三井石炭に伝えてもらいたいが、いかがでしょうか。
  109. 土居征夫

    ○土居政府委員 石炭鉱害のことにつきましては、有資力の場合には、現在生きております石炭企業がその鉱害を責任を持って処理するという体系になっておりまして、本件につきましては、三井石炭鉱業が、三池の石炭採掘に伴います海底の沈下量及びこれによるノリ養殖等の被害状況について毎年二回地元関係者の立ち会いのもとで実地調査を実施しまして、その調査結果を踏まえて、同社が採掘の影響により陥没したと認められる範囲内で地元有明漁連と交渉して、双方合意の上、毎年、沈下箇所の必要な復旧工事及び相当量の補償を行っているものと承っております。  通産省といたしましても、本問題に関しましては、基本的には以上のように地元漁連と会社との話し合いによって円満に解決されるべきものと考えているところでございます。よろしくお願いいたしたいと思います。
  110. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私は終わりたいと思ったのですけれども、だから私は、そういう実情をあなた方がよく把握をして、こういうことが国会でも問題になっているということを三井石炭などにもよく伝えて、善処させてほしいと言っているわけですよ。その点もう一度。
  111. 土居征夫

    ○土居政府委員 先生の御指摘の点につきましては、機会をとらえて会社に伝達したいと考えております。
  112. 小沢和秋

    小沢(和)委員 終わります。
  113. 渡辺省一

    渡辺委員長 高木義明君。
  114. 高木義明

    ○高木委員 本日は、両大臣の所信に対する質問でございまして、私の立場からも、ごく焦点を絞りましてお尋ねをしていきたいと思います。  まず第一に、第八次石炭政策の評価についてでございます。  いわゆる第八次石炭政策につきましては残り一年有余となりまして、この間の進捗状況につきましてはおおむね順調に推移をしておる、このように政府も言っておるようでございます。ただ私は、ここで問題にしたいのは、地域振興策あるいは雇用対策につきましてはいまだ多くの課題が残っておるのではないか。いわば閉山ないしは縮小、またこれに伴う合理化につきましては順調に進んでおるわけでありますけれども、反面において、地域振興対策あるいは雇用対策、これらの重要な問題は、これまで大変御努力はいただいておるわけでございまして評価をするものでございますけれども地域における今後の大きな、多くの方々の深い関心の問題だと私たちは思っております。したがいまして、今日までそれぞれなりの対策はされておりますが、その中でいろいろ資料の中にも評価すべきこともたくさんありますけれども、今後に残された課題は一体何なのか、またどういうところを中心に今後取り進めていくのかということにつきまして、両大臣それぞれに御所見を賜りたいと思います。
  115. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 今御指摘をいただきましたように、八次政策も一生懸命やってまいりまして、それぞれの地域社会の産業基盤、あるいはそこの地域にお住まいの住民の皆さんの生活基盤の回復という点においても、私は、全くうまくいかなかったということはなくて、ある程度は順調に来ておると思いますが、今御指摘のとおりのいろいろのことがまだまだございまして、先ほども私申し上げましたけれども、今後の方向といたしましては、やはり石炭産業というのが全国的に見てみると非常に限定された地域にあって、それがまた地域においてはその地域の住民の皆さん、あるいは雇用関係、あるいは地域のいろいろな商業その他の振興に非常に結びついていることは事実であるということを私もよく認識いたしております。今後の方策といたしましては、より一層の合理化も進めていかなければなりませんけれども、同時に、それが地域の住民に大変お気の毒な影響が出てこないように、雇用の問題とか、あるいは、もし合理化されて規模が縮小された場合にはそこに新たな産業が起きていくというようなことを私は考え、それによって雇用を確保していくということも考えていかなければならないと思っているわけであります。
  116. 塚原俊平

    塚原国務大臣 第八次石炭政策がスタートいたしましてから、閉山、合理化によって現在までに一万二千人を超える方が炭鉱離職をいたしました。現在まだ四千八百名の方が求職活動中でございます。そういった実態を見ましたときに、これら離職者方々の早期再就職を促進する、生活の安定を図るということが労働省に課せられました重要課題であるというような認識を持っております。たびたび御答弁申し上げましたが、再就職援助施策の実施、職業訓練の活用等対策を推進して今日まで来たわけでございますが、さらにこれらの対策を積極的に推進しながら、できる限り満足いただけるような就業ができますような努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  117. 高木義明

    ○高木委員 どうか先手先手の対策がとられますように強く要望しておきたいと思います。同時に需要の面におきましても、八次策で言ういわゆる一千万トン程度の需要につきましては間違いなく引き取っていただくように、ひとつ御努力をいただきたい。これまた要望をしてまいりたいと思います。  次に、産炭地域の振興のあり方についてでございます。  産炭法は制定以来今日まで三十年もたっておりまして、臨時措置法としましては異例な長期にわたる法律でございます。それだけに、産炭地をめぐる諸問題は本当に深刻であるというのがこのことから言えるのではないか。私はこの産炭地法の存続あるいはまた延長につきましては極めて当然と思っております。今後産炭地域の振興のあり方について各方面でいろいろ検討がさらに深められていくと思いますけれども、この問題につきましての通産大臣の、法のねらい、目的に立った当面の考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
  118. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど来お話ございますように、産炭地域振興法につきましては、審議会で御議論いただいて、これから答申をいただくまでにまだ時間もございます。私がここで、その法律延長すべきであるとか、しますとかいうような表現は今の段階では差し控えさせていただきたいと思うのでございますが、いずれにいたしましても、先ほど来申し上げておりますように、産炭地域の振興という点についてはできるだけ努力をしてまいりたいと思っております。
  119. 高木義明

    ○高木委員 どうか、これまでも御議論がございましたように、最大の留意を払っていただきたいと思うわけであります。  なお、同じ産炭地域におきましても、第八次策以降閉山ないしは縮小といった地域についてはとりわけ問題も深刻かと思っておりますので、これらの地域につきましては従前以上の配慮がなされるべきだと思いますけれども、これについてどのようにお考えかお尋ねしたいと思います。
  120. 土居征夫

    ○土居政府委員 現在、産炭地域振興審議会審議が始まっておりますが、その直前に地域振興整備公団の研究会が今後の産炭地対策のあり方をいろいろと研究して報告しております。その中で、対策は今後とも継続が必要であるということと同時に、八次策で閉山、合理化に至った地域については特に重点的な対策が必要であるということも言われておりますし、また一方では、長らく指定されてきました地域の見直しについても提言されております。そういったことで、先生御指摘の八次策以降、持に最近の閉山、合理化地域対策については、審議会の中においても当然この研究会の報告というものは反映されて議論されることになると思いますので、それを見守っておる状況でございます。
  121. 高木義明

    ○高木委員 産炭地振興につきましては、主に、炭鉱離職者を定着させる、そしてそれぞれの地域、町から人口流出を防ぐということが大切だろうと私は認識をしております。この観点から総合的な対策をとることが必要になってくるわけであります。  例えば長崎県の西彼杵郡にあります炭鉱ないしは産炭地、大島あるいはまた伊王島、高島は大変海で遠くになっておりますけれども、そういった方々の強い要望は、そこに橋がかかれば企業も来るであろうし、町が潤い、若者が町から出ていかないであろう、こういう一つの大変な期待感もあるわけです。  一例をとりましたけれども、そのように、例えば交通アクセス、道路、あるいはまた港湾と、通産省あるいは労働省以外の省庁に関係することもたくさん抱えながら対策を講ずる必要がございます。とりわけ石炭の最高窓口であります通産大臣におかれましては、この点を十分に御留意されまして、世はまさに公共事業も大きく拡大をしなければならないという時期にもありますので、そういう目配りをしていただきまして、産炭地域の実のある振興に、通産大臣労働大臣、これまで以上に御努力をいただきますようお願いして私の質問を終わりますが、決意のほどを一言お願いいたします。
  122. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 産炭地域の振興に当たりましては総合的に考えていかなければいけないということは当然でございます。その中にはインフラの整備も当然含まれてくるわけでございます。できるだけ努力をさせていただきます。
  123. 塚原俊平

    塚原国務大臣 一生懸命頑張ります。
  124. 高木義明

    ○高木委員 終わります。ありがとうございました。
  125. 渡辺省一

    渡辺委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十分散会