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津島国務大臣 福祉をめぐる
国民負担について御関心をいただいた点、大変ありがたいと思っております。これからの
福祉政策を進めていく場合に、同時に
国民にどれだけの負担をお願いするかということを私
どもは避けて通れないわけでございます。それであるがゆえに我々は苦労するわけでございますし、先般の
審議会の答申でも、
高齢化のピークにおきましても一部の外国に見られるように半分以上
国民負担として取られるような日本の
社会にしてはならないよ、こういう御指示をいただいておる。そして、大方の
国民はそれに賛意を表しておられると私は思うのであります。もし日本の
社会が
活力を失いますと、
福祉自体が維特できなくなる。そういう意味でこれからの
国民負担のあり方について
委員御関心をいただいているのは本当にありがたいことだと思うのでありますが、まず具体的な話からお答えをいたします。
先ほどから御
指摘の、隠れ借金になって、国庫に貸しておってまだ返っていない部分が一兆三千億何がしある、この問題でございますけれ
ども、これは私は
予算委員会でも何度もお答えをいたしておりますけれ
ども、これははっきりと
財政当局との間では貸し借り勘定はできておりますから、ですから
財政上の余力があるときにきちっと耳をそろえて返していただく、これは
委員会を通じて私の
答弁ではっきり
国民にもお約束をしておるところでございますから、何もその点は御心配をいただく必要はないと思っております。
そこで問題は、所得保障である年金、それから
国民の健康を守るための
医療保険のコストが一体どうなるかということでありますが、これは例えば今の四十兆に及ぶ
社会保障給付費の大宗をなしておるわけでありますが、これをどういうふうに構築するかが最大の問題でございます。それで、年金についていろいろ御
指摘がございましたけれ
ども、
老齢化がだんだん進んでいく、四人に一人が老齢人口になる中で、これからの働く方々に今まで以上の負担をおかけするわけにはいかない。しかし同時に、今政府が示しております厚生年金や
国民年金の
水準を
生活の中に組み込んで、絶対にそれを保障していただけるだろうなという
国民の声にこたえる必要もある。そういう中で出てきたのは、これはどうしても六十歳から六十五歳の間の方で雇用機会を拡大をし、働ける方には働いていただいた上でこの支給開始年齢を見直していただくということが、今の二つの要請、つまり掛金や負担が過大にならずに、そして今の給付
水準を守るという
一つの方法でございますよということを昨年御提案申し上げ、いろいろ御
審議をいただいたわけでありますけれ
ども、六十歳から六十五歳までの雇用については十分な対応ができていないから五年後の再計算のときにもう一遍議論してみよう、こういうことになっておるわけであります。
それから、もう
一つ大きな負担をふやす要因でございます
医療費の問題でございますけれ
ども、これはもう私から申し上げるまでもなく、老齢比率が上がっていきますと、これは当然
医療費がふえる。
高齢者の方の場合には一般の方よりも五倍の
医療費がかかっているのが実態でございます。これを政府が持てとおっしゃいますが、政府が持つ分もこれは税金で持つわけでありますから、結局
国民全体がどれだけの
医療費をみんなで分かち合うかというその問題に帰着をするわけでございます。そういうことを総体として判断をしていただくために六十三年にお示ししたのが将来見通しでございまして、この見通しでも
老齢化のピークのときには四七%、四四から四七ぐらいの負担になるかもしれない、こういうことが示されているわけでございます。
そこで、私の方からの
委員へのお願いでありますけれ
ども、こういう将来推計というものを見ていただくときに、数字がそうであるからそうなってしまうという見方をしていただくことは適当でございませんので、例えば今の年金の問題についてどうするかによって将来の負担が大きく変わるわけでございますし、それから、
国民医療の将来についてどういう
医療保険を組み立てるかということもまた負担に響いてくるわけでありますから、私
どもはこれから年金問題、
医療問題それぞれについて
国民の皆様方に御議論いただいて、これだけの給付をいただくのならばここまでの負担は受け入れてもいいというコンセンサスをいただいていく必要があると思うのであります。ですから、この数字そのものの中から、負担が直ちにどうなるか、給付が直ちにどうなるかという結論に結びつけていただきますと、
福祉に対する私
どもの真剣な取り組みがむなしいものになってしまうのではないだろうか。むしろこういう数字を頭に置いた上で、今我々が当面をしております年金とか
医療保険とか、
一つ一つの問題についてできるだけ
国民の御要望に沿ったようなシステムを構築していく、それが
厚生省が今真剣に努力をしているところでございますし、また、どうか
委員皆様方においてもそういう
観点から
一つ一つの問題について具体的な御意見を聞かせていただきたい、それが私の立場でございます。