○坂本(龍)政府
委員 幾つかの御質問がございましたので、順を追ってお答えをいたします。
最初に、指定市町村における高
医療費の原因についてでございますけれども、これは全国でおおよそ百五十に近い市町村について個別に要因を厳密に把握するのは私どもも困難でございまして、市町村ごとにはそれぞれ独自にその分析などもやっておられるかとは存じますが、この
医療費の高い原因というのは非常にいろいろな要素が絡み合っておりますので、なかなか明確な答えは出ないのではないかと思っております。しかし、いろいろ考えられますのは、例えば病床数が多いといったような
医療供給の状況でありますとか、多受診、重複受診といった患者の受診行動あるいは住民の
生活習慣、健康に対する意識というものによって影響されてくるのではないかということが言われております。
いずれにしましても、各市町村においていろいろ
医療費の内容を分析いたしまして、それに対応して保健施設事業の推進でありますとか被保険者指導の徹底、在宅ケアの
充実等、具体的対策、措置を講じていただいております。また、都道府県も最近はこの問題については非常に関心を持って臨んでいるというように伺っております。今後とも私どもの方でもできるだけこの高
医療費の分析、さらに、その対策が進展するようにいろいろ支援措置を講じてまいりたいと考えております。
それから、過疎あるいは無医村、高齢化の著しく進んだといったような小規模の市町村につきまして、この高
医療費市町村の指定についてはいろいろ問題があるではないかという御指摘でございます。確かに、制度といたしましては、いろいろな特別事情等を考慮いたしまして、それでもなおかつ
医療費の高いというところをできるだけ適正化していただきたいと思っておるわけでありますけれども、やはり御指摘のあったような市町村においては、たまたま何人かの高額の
医療費の患者が出たというような偶発的な状況によって平均的な
医療費が大きく変動してしまうということがあることは私どもも承知をいたしております。
そこで、例えば小規模市町村でありましても運営安定化のための
医療費適正化の努力は必要と思われますけれども、そういった個々の事情におきましては、そういう問題も取り扱いについてよく検討する必要があるという認識のもとに、私どもも今後この高
医療費市町村対策について、指定の方法等も含め十分御検討させていただきたいと思っておる次第でございます。
それから、過疎地等における腎透析患者といったような例に象徴されますように、特別事情として高額の
医療に関する給付の発生というものは控除すべきということになっておりますけれども、現在の段階では、老人につきましては月額百二十万円以上の給付、それから老人以外の人につきましては月額百八十万円以上の給付、これを対象といたしまして、全国平均の高額給付の発生額を超える高額給付影響分を特別事情として控除いたしております。この問題につきましてもいろいろ御指摘もございましたが、この問題に対する将来の対応のあり方として検討してまいりたいと思います。
それから最後に、振動障害患者に関する労災との関係でございますが、私どもの立場からいたしますと、労災の給付というのは業務上災害としての傷病について当然必要なものが行われておるというように思っておりますけれども、なお問題がある場合には、そういった担当の官署との連絡調整というものも行う必要があろうかと思います。なお、結果といたしまして、振動障害患者の労災打ち切り後の
医療費が国保において負担するという結果で国保の財政運営が苦しいということもあろうかと存じますが、どうしても国保で給付をするという必要があれば、財政調整交付金の配賦の際にそういうことに基づく財政事情も考慮してまいりたいという考えを持っております。