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1990-05-24 第118回国会 衆議院 社会労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年五月二十四日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 畑 英次郎君    理事 粟屋 敏信君 理事 伊吹 文明君    理事 丹羽 雄哉君 理事 持永 和見君    理事 池端 清一君 理事 永井 孝信君    理事 貝沼 次郎君       井出 正一君    今枝 敬雄君       今津  寛君    小沢 辰男君       岡田 克也君    北村 直人君       小坂 憲次君    古賀 一成君       古賀  誠君    坂井 隆憲君       鈴木 俊一君    住  博司君       平田辰一郎君    光武  顕君       宮路 和明君    簗瀬  進君       山本 有二君    網岡  雄君       伊東 秀子君    岩田 順介君       沖田 正人君    川島  實君       川俣健二郎君    五島 正規君       外口 玉子君    渡部 行雄君       石田 祝稔君    大野由利子君       児玉 健次君    柳田  稔君       菅  直人君    岡崎 宏美君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 津島 雄二君  出席政府委員         厚生大臣官房総         務審議官    加藤 栄一君         厚生大臣官房老         人保健福祉部長 岡光 序治君         厚生省健康政策         局長      仲村 英一君         厚生省保健医療         局長      長谷川慧重君         厚生省生活衛生         局長      目黒 克己君         厚生省薬務局長 北郷 勲夫君         厚生省保険局長 坂本 龍彦君         厚生省援護局長 末次  彬君  委員外出席者         国税庁直税部法         人税課長    栃本 道夫君         労働大臣官房政         策調査部産業労         働調査課長   上原 信博君         自治省財政局調         整室長     香山 充弘君         社会労働委員会         調査室長    滝口  敦君     ───────────── 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   菅  直人君     江田 五月君 同日  辞任         補欠選任   江田 五月君     菅  直人君 同月二十六日  辞任         補欠選任   菅  直人君     楢崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   楢崎弥之功君     菅  直人君 同月二十七日  辞任         補欠選任   菅  直人君     楢崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   楢崎弥之助君     菅  直人君 五月二十四日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     光武  顕君   片岡 武司君     小坂 憲次君   三原 朝彦君     北村 直人君   村岡 兼造君     井出 正一君   山口 俊一君     簗瀬  進君   柳田  稔君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   井出 正一君     村岡 兼造君   北村 直人君     三原 朝彦君   小坂 憲次君     片岡 武司君   光武  顕君     小沢 辰男君   簗瀬  進君     山口 俊一君   永末 英一君     柳田  稔君     ───────────── 四月二十五日  食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案内閣提出第四八号)(参議院送付) 五月七日  労災脊損患者看護付添婦に関する請願岩田順介紹介)(第三八六号)  労災脊損患者遺族補償給付に関する請願岩田順介紹介)(第三八七号)  労災年金高齢者受給改善等に関する請願岩田順介紹介)(第三八八号)  労災年金厚生年金等完全併給に関する請願岩田順介紹介)(第三八九号)  労災保険法改悪反対に関する請願岩田順介紹介)(第三九〇号)  労働災害者再発認定に関する請願岩田順介紹介)(第三九一号)  退職後の生活の安定と生きがいに関する請願永井孝信紹介)(第三九二号)  国民医療改善に関する請願外四件(時崎雄司紹介)(第三九三号)  同(緒方克陽紹介)(第三九九号)  同(小沢和秋紹介)(第四二六号)  同(金子満広紹介)(第四二七号)  同(木島日出夫紹介)(第四二八号)  同(児玉健次紹介)(第四二九号)  同(佐藤祐弘紹介)(第四三〇号)  同(菅野悦子紹介)(第四三一号)  同(辻第一君紹介)(第四三二号)  同(寺前巖紹介)(第四三三号)  同(東中光雄紹介)(第四三四号)  同(不破哲三紹介)(第四三五号)  同(藤田スミ紹介)(第四三六号)  同(古堅実吉紹介)(第四三七号)  同(正森成二君紹介)(第四三八号)  同(三浦久紹介)(第四三九号)  同(山原健二郎紹介)(第四四〇号)  同(吉井英勝紹介)(第四四一号)  同外一件(清水勇紹介)(第四六一号)  同外一件(堀込征雄紹介)(第四六二号)  同(田並胤明君紹介)(第四八八号)  国民医療改善の実現に関する請願小沢和秋紹介)(第四〇八号)  同(金子満広紹介)(第四〇九号)  同(木島日出夫紹介)(第四一〇号)  同(児玉健次紹介)(第四一一号)  同(佐藤祐弘紹介)(第四一二号)  同(菅野悦子紹介)(第四一三号)  同(辻第一君紹介)(第四一四号)  同(寺前巖紹介)(第四一五号)  同(東中光雄紹介)(第四一六号)  同(不破哲三紹介)(第四一七号)  同(藤田スミ紹介)(第四一八号)  同(古堅実吉紹介)(第四一九号)  同(正森成二君紹介)(第四二〇号)  同(三浦久紹介)(第四二一号)  同(山原健二郎紹介)(第四二二号)  同(吉井英勝紹介)(第四二三号)  ハイヤー・タクシー、観光バス自動車教習所労働者労働条件改善に関する請願上野建一紹介)(第四二四号)  保育所制度の充実に関する請願(村岡兼造君紹介)(第四二五号)  重度身体障害者年金者救済措置に関する請願鴻池祥肇紹介)(第四四二号)  同(住博司紹介)(第四四三号)  同(野坂浩賢紹介)(第四四四号)  同(水田稔紹介)(第五三四号)  脊髄神経治療研究開発促進に関する請願鴻池祥肇紹介)(第四四五号)  同(住博司紹介)(第四四六号)  同(野坂浩賢紹介)(第四四七号)  同(水田稔紹介)(第五三五号)  労災重度被災者終身保養所設置に関する請願鴻池祥肇紹介)(第四四八号)  同(住博司紹介)(第四四九号)  同(野坂浩賢紹介)(第四八九号)  同(水田稔紹介)(第五三六号)  労働災害被災受給者遺族補償制度に関する請願鴻池祥肇紹介)(第四五〇号)  同(住博司紹介)(第四五一号)  同(野坂浩賢紹介)(第四五二号)  同(水田稔紹介)(第五三七号)  労働者災害補償保険法改善に関する請願鴻池祥肇紹介)(第四五三号)  同(住博司紹介)(第四五四号)  同(野坂浩賢紹介)(第四五五号)  同(水田稔紹介)(第五三八号)  国民医療改善に関する請願寺前巖紹介)(第四六三号)  同外二件(山中末治紹介)(第四六四号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願上田利正紹介)(第四七二号)  同(小川信紹介)(第四七三号)  同(小野信一紹介)(第四七四号)  同(近江巳記夫紹介)(第四七五号)  同(岡崎宏美紹介)(第四七六号)  同外一件(小林守紹介)(第四七七号)  同外一件(五島正規紹介)(第四七八号)  同(野坂浩賢紹介)(第四七九号)  同外一件(速見魁紹介)(第四八〇号)  同(松浦利尚君紹介)(第四八一号)  同(松原脩雄紹介)(第四八二号)  同(元信堯君紹介)(第四八三号)  同(安田修三紹介)(第四八四号)  同(山中末治紹介)(第四八五号)  同(渡部行雄紹介)(第四八六号)  同外二件(渡辺嘉藏紹介)(第四八七号)  同(愛野興一郎紹介)(第五三九号)  同外二件(粟屋敏信紹介)(第五四〇号)  同(伊吹文明紹介)(第五四一号)  同(池端清一紹介)(第五四二号)  同(石田祝稔紹介)(第五四三号)  同(石破茂紹介)(第五四四号)  同(石原慎太郎紹介)(第五四五号)  同(今井勇紹介)(第五四六号)  同(内海英男紹介)(第五四七号)  同(衛藤晟一紹介)(第五四八号)  同(遠藤登紹介)(第五四九号)  同(大野由利子紹介)(第五五〇号)  同(大野功統紹介)(第五五一号)  同(大原一三紹介)(第五五二号)  同(岡田克也紹介)(第五五三号)  同(沖田正人紹介)(第五五四号)  同(加藤紘一紹介)(第五五五号)  同(北川昌典紹介)(第五五六号)  同外七件(草川昭三紹介)(第五五七号)  同外二件(熊谷弘紹介)(第五五八号)  同(倉成正紹介)(第五五九号)  同(小坂憲次紹介)(第五六〇号)  同(古賀誠紹介)(第五六一号)  同(高村正彦紹介)(第五六二号)  同(鴻池祥肇紹介)(第五六三号)  同(近藤鉄雄紹介)(第五六四号)  同外一件(斉藤斗志二君紹介)(第五六五号)  同(齋藤邦吉紹介)(第五六六号)  同(自見圧三郎君紹介)(第五六七号)  同(嶋崎譲紹介)(第五六八号)  同(住博司紹介)(第五六九号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第五七〇号)  同(田口健二紹介)(第五七一号)  同(田澤吉郎紹介)(第五七二号)  同(竹内勝彦紹介)(第五七三号)  同(武部勤紹介)(第五七四号)  同(武村正義紹介)(第五七五号)  同外一件(谷洋一紹介)(第五七六号)  同(戸井田三郎紹介)(第五七七号)  同外二件(戸塚進也紹介)(第五七八号)  同(渡海紀三朗紹介)(第五七九号)  同(中西啓介紹介)(第五八〇号)  同(中村正三郎紹介)(第五八一号)  同(中山成彬紹介)(第五八二号)  同(永井孝信紹介)(第五八三号)  同(西岡武夫紹介)(第五八四号)  同(鳩山由紀夫紹介)(第五八五号)  同外二件(原田昇左右紹介)(第五八六号)  同(日笠勝之紹介)(第五八七号)  同(日野市朗紹介)(第五八八号)  同(東力君紹介)(第五八九号)  同(平泉渉紹介)(第五九〇号)  同(平田辰一郎紹介)(第五九一号)  同(平沼赳夫紹介)(第五九二号)  同(福島譲二紹介)(第五九三号)  同外二件(船田元紹介)(第五九四号)  同(細田博之紹介)(第五九五号)  同(真鍋光広紹介)(第五九六号)  同外一件(前島秀行紹介)(第五九七号)  同(牧野隆守紹介)(第五九八号)  同(増子輝彦紹介)(第五九九号)  同(増岡博之紹介)(第六〇〇号)  同(松前仰君紹介)(第六〇一号)  同(三野優美紹介)(第六〇二号)  同(三塚博紹介)(第六〇三号)  同(御法川英文紹介)(第六〇四号)  同(宮路和明紹介)(第六〇五号)  同(村井仁紹介)(第六〇六号)  同(村岡兼造君紹介)(第六〇七号)  同(村田敬次郎紹介)(第六〇八号)  同(村山富市紹介)(第六〇九号)  同(持永和見紹介)(第六一〇号)  同(森喜朗紹介)(第六一一号)  同(山崎拓紹介)(第六一二号)  同(山下元利紹介)(第六一三号)  同(山村新治郎君紹介)(第六一四号)  同(山元勉紹介)(第六一五号)  同(山本拓紹介)(第六一六号)  同外一件(吉井光照紹介)(第六一七号)  同(渡部恒三紹介)(第六一八号)  軟骨異栄養症患者医療に関する請願貝沼次郎紹介)(第五三二号)  同(自見庄三郎君紹介)(第五三三号) 同月九日  国立腎センター設立に関する請願岡田克也紹介)(第六三八号)  難病患者などの医療生活の保障に関する請願伊東秀子紹介)(第六三九号)  同(北沢清功紹介)(第六四〇号)  同(左近正男紹介)(第六四一号)  同(三野優美紹介)(第六四二号)  同(渡部行雄紹介)(第六四三号)  同(五十嵐広三紹介)(第七三八号)  同(岡崎宏美紹介)(第七三九号)  同(岡田利春紹介)(第七四〇号)  同(五島正規紹介)(第七四一号)  同外四件(谷村啓介紹介)(第七四二号)  同(中沢健次紹介)(第七四三号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第七四四号)  同(渡辺嘉藏紹介)(第七四五号)  同(池端清一紹介)(第八〇三号)  同(石田祝稔紹介)(第八〇四号)  同(岩田順介紹介)(第八〇五号)  同(加藤繁秋紹介)(第八〇六号)  同外二件(川俣健二郎紹介)(第八〇七号)  同(菅直人紹介)(第八〇八号)  同(小林恒人紹介)(第八〇九号)  同(永井孝信紹介)(第八一〇号)  同(山下八洲夫君紹介)(第八一一号)  保健婦助産婦看護婦法の改正に関する請願坂井隆憲紹介)(第六四四号)  同(柳田稔紹介)(第七一九号)  国民医療改善に関する請願児玉健次紹介)(第六四五号)  同外九件(竹内猛紹介)(第六四六号)  同(小沢和秋紹介)(第七七三号)  同(金子満広紹介)(第七七四号)  同(木島日出夫紹介)(第七七五号)  同(児玉健次紹介)(第七七六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第七七七号)  同(菅野悦子紹介)(第七七八号)  同(辻第一君紹介)(第七七九号)  同(寺前巖紹介)(第七八〇号)  同(東中光雄紹介)(第七八一号)  同(不破哲三紹介)(第七八二号)  同(藤田スミ紹介)(第七八三号)  同(古堅実吉紹介)(第七八四号)  同(正森成二君紹介)(第七八五号)  同(三浦久紹介)(第七八六号)  同(山原健二郎紹介)(第七八七号)  同(吉井英勝紹介)(第七八八号)  重度身体障害者年金者救済措置に関する請願宇野宗佑紹介)(第六四七号)  同(小渕恵三紹介)(第六四八号)  同(木村守男紹介)(第六四九号)  同(丹羽雄哉紹介)(第六五〇号)  同(野中広務紹介)(第六五一号)  同(船田元紹介)(第六五二号)  同(牧野隆守紹介)(第六五三号)  同(渡辺省一紹介)(第六五四号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第七二〇号)  同(柳田稔紹介)(第七二一号)  同(平田辰一郎紹介)(第七八九号)  同(伏屋修治紹介)(第七九〇号)  脊髄神経治療研究開発促進に関する請願宇野宗佑紹介)(第六五五号)  同(小渕恵三紹介)(第六五六号)  同(木村守男紹介)(第六五七号)  同(丹羽雄我紹介)(第六五八号)  同(野中広務紹介)(第六五九号)  同(船田元紹介)(第六六〇号)  同(牧野隆守紹介)(第六六一号)  同(渡辺省一紹介)(第六六二号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第七二二号)  同(柳田稔紹介)(第七二三号)  同(平田辰一郎紹介)(第七九一号)  同(伏屋修治紹介)(第七九二号)  労災重度被災者終身保養所設置に関する請願小渕恵三紹介)(第六六三号)  同(木村守男紹介)(第六六四号)  同(丹羽雄哉紹介)(第六六五号)  同(船田元紹介)(第六六六号)  同(牧野隆守紹介)(第六六七号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第七二四号)  同(柳田稔紹介)(第七二五号)  同(平田辰一郎紹介)(第七九三号)  労働災害被災受給者遺族補償制度に関する請願宇野宗佑紹介)(第六六八号)  同(小渕恵三紹介)(第六六九号)  同(木村守男紹介)(第六七〇号)  同(丹羽雄哉紹介)(第六七一号)  同(野中広務紹介)(第六七二号)  同(船田元紹介)(第六七三号)  同(牧野隆守紹介)(第六七四号)  同(渡辺省一紹介)(第六七五号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第七二六号)  同(平田辰一郎紹介)(第七九四号)  同(伏屋修治紹介)(第七九五号)  労働者災害補償保険法改善に関する請願宇野宗佑紹介)(第六七六号)  同(小渕恵三紹介)(第六七七号)  同(木村守男紹介)(第六七八号)  同(丹羽雄哉紹介)(第六七九号)  同(野中広務紹介)(第六八〇号)  同(船田元紹介)(第六八一号)  同(牧野隆守紹介)(第六八二号)  同(渡辺省一紹介)(第六八三号)  同(沢藤札次郎紹介)(第七二七号)  同(平田辰一郎紹介)(第七九六号)  同(伏屋修治紹介)(第七九七号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願外二件(伊東秀子紹介)(第六八四号)  同(今枝敬雄紹介)(第六八五号)  同(岩屋毅紹介)(第六八六号)  同(小沢辰男紹介)(第六八七号)  同(加藤繁秋紹介)(第六八八号)  同(菅直人紹介)(第六八九号)  同(左藤恵紹介)(第六九〇号)  同(坂井隆憲紹介)(第六九一号)  同外二件(塩谷立紹介)(第六九二号)  同(鈴木俊一紹介)(第六九三号)  同(辻一彦紹介)(第六九四号)  同(鳥居一雄紹介)(第六九五号)  同(中島源太郎紹介)(第六九六号)  同(渡辺栄一紹介)(第六九七号)  同(川崎寛治紹介)(第七二九号)  同(川端達夫紹介)(第七三〇号)  同(小森龍邦紹介)(第七三一号)  同外一件(竹村幸雄紹介)(第七三二号)  同外一件(武部文紹介)(第七三三号)  同(谷村啓介紹介)(第七三四号)  同(徳田虎雄紹介)(第七三五号)  同(柳田稔紹介)(第七三六号)  同(岩田順介紹介)(第七九八号)  同(川俣健二郎紹介)(第七九九号)  同(左近正男紹介)(第八〇〇号)  同外二件(山下八洲夫君紹介)(第八〇一号)  肢体障害者生活保障に関する請願岡崎宏美紹介)(第七一八号)  同(貝沼次郎紹介)(第八一二号)  国民医療改善に関する請願外十一件(竹村幸雄紹介)(第七二八号)  軟骨異栄養症患者医療に関する請願柳田稔紹介)(第七三七号)  同(池端清一紹介)(第八〇二号)  原爆被害者援護法の制定に関する請願外一件(石田祝稔紹介)(第七五三号)  同(高木義明紹介)(第七五四号)  同(中野寛成紹介)(第七五五号)  同(柳田稔紹介)(第七五六号)  同(小沢和秋紹介)(第七五七号)  同(金子満広紹介)(第七五八号)  同(木島日出夫紹介)(第七五九号)  同(児玉健次紹介)(第七六〇号)  同(佐藤祐弘紹介)(第七六一号)  同(菅野悦子紹介)(第七六二号)  同(辻第一君紹介)(第七六三号)  同(寺前巖紹介)(第七六四号)  同(東中光雄紹介)(第七六五号)  同(不破哲三紹介)(第七六六号)  同(藤田スミ紹介)(第七六七号)  同(古堅実吉紹介)(第七六八号)  同(正森成二君紹介)(第七六九号)  同(三浦久紹介)(第七七〇号)  同(山原健二郎紹介)(第七七一号)  同(吉井英勝紹介)(第七七二号) 同月十六日  肝炎の予防・治療対策等に関する請願伊吹文明紹介)(第八二六号)  同(今枝敬雄紹介)(第八二七号)  同(古賀誠紹介)(第八二八号)  同(持永和見紹介)(第八二九号)  同(山本有二紹介)(第八三〇号)  同(菅直人紹介)(第九二八号)  同(片岡武司紹介)(第九九四号)  同(笹川堯君紹介)(第九九五号)  同(鈴木俊一紹介)(第九九六号)  同(中尾栄一紹介)(第九九七号)  同(宮路和明紹介)(第九九八号)  同(村岡兼造君紹介)(第九九九号)  勤労国民生活改善に関する請願金子満広紹介)(第八三一号)  同(児玉健次紹介)(第八三二号)  同(佐藤祐弘紹介)(第八三三号)  国民健康保険への国庫負担増額等に関する請願児玉健次紹介)(第八三四号)  同(寺前巖紹介)(第八三五号)  国民年金医療改善に関する請願菅野悦子紹介)(第八三六号)  同(辻第一君紹介)(第八三七号)  同(寺前巖紹介)(第八三八号)  同(東中光雄紹介)(第八三九号)  同(藤田スミ紹介)(第八四〇号)  同(正森成二君紹介)(第八四一号)  同(吉井英勝紹介)(第八四二号)  全国全産業一律最低賃金制法制化に関する請願佐藤祐弘紹介)(第八四三号)  同(菅野悦子紹介)(第八四四号)  同(辻第一君紹介)(第八四五号)  同(寺前巖紹介)(第八四六号)  同(不破哲三紹介)(第八四七号)  福祉の充実に関する請願金子満広紹介)(第八四八号)  同(佐藤祐弘紹介)(第八四九号)  同(不破哲三紹介)(第八五〇号)  年金改善に関する請願小沢和秋紹介)(第八五一号)  同(古堅実吉紹介)(第八五二号)  同(三浦久紹介)(第八五三号)  国民医療改善に関する請願北沢清功紹介)(第八五四号)  同外一件(時崎雄司紹介)(第八五五号)  同(東中光雄紹介)(第八五六号)  同外二件(竹内猛紹介)(第九一二号)  同(児玉健次紹介)(第九五五号)  同(竹内猛紹介)(第九五六号)  重度身体障害者年金者救済措置に関する請願前田武志紹介)(第八五七号)  同(山口敏夫紹介)(第八五八号)  同(米沢隆紹介)(第八五九号)  同(網岡雄紹介)(第九五七号)  同(岩田順介紹介)(第九五八号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第九五九号)  同(野呂田芳成君紹介)(第九六〇号)  同(宮里松正紹介)(第九六一号)  脊髄神経治療研究開発促進に関する請願前田武志紹介)(第八六〇号)  同(山口敏夫紹介)(第八六一号)  同(米沢隆紹介)(第八六二号)  同(網岡雄紹介)(第九六二号)  同(岩田順介紹介)(第九六三号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第九六四号)  同(野呂田芳成君紹介)(第九六五号)  同(宮里松正紹介)(第九六六号)  労災重度被災者終身保養所設置に関する請願前田武志紹介)(第八六三号)  同(山口敏夫紹介)(第八六四号)  同(網岡雄紹介)(第九六七号)  同(岩田順介紹介)(第九六八号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第九六九号)  同(野呂田芳成君紹介)(第九七〇号)  同(宮里松正紹介)(第九七一号)  労働災害被災受給者遺族補償制度に関する請願前田武志紹介)(第八六五号)  同(山口敏夫紹介)(第八六六号)  同(米沢隆紹介)(第八六七号)  同(網岡雄紹介)(第九七二号)  同(岩田順介紹介)(第九七三号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第九七四号)  同(野呂田芳成君紹介)(第九七五号)  同(宮里松正紹介)(第九七六号)  労働者災害補償保険法改善に関する請願前田武志紹介)(第八六八号)  同(山口敏夫紹介)(第八六九号)  同(米沢隆紹介)(第八七〇号)  同(網岡雄紹介)(第九七七号)  同(岩田順介紹介)(第九七八号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第九七九号)  同(野呂田芳成君紹介)(第九八〇号)  同(宮里松正紹介)(第九八一号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願伊藤宗一郎紹介)(第八七一号)  同(石橋一弥紹介)(第八七二号)  同(衛藤征士郎君紹介)(第八七三号)  同(遠藤武彦君紹介)(第八七四号)  同(大石千八君紹介)(第八七五号)  同(貝沼次郎紹介)(第八七六号)  同(片岡武司紹介)(第八七七号)  同(寺前巖紹介)(第八七八号)  同(中谷元君紹介)(第八七九号)  同(中野寛成紹介)(第八八〇号)  同(丹羽雄哉紹介)(第八八一号)  同(宮崎茂一君紹介)(第八八二号)  同(浜田卓二郎君紹介)(第八八三号)  同(松田岩夫君紹介)(第八八四号)  同(三原朝彦君紹介)(第八八五号)  同(宮下創平君紹介)(第八八六号)  同(宮地正介君紹介)(第八八七号)  同(山下徳夫君紹介)(第八八八号)  同(米沢隆紹介)(第八八九号)  同(川島實君紹介)(第九一三号)  同(愛知和男君紹介)(第九八二号)  同(網岡雄紹介)(第九八三号)  同(井上喜一君紹介)(第九八四号)  同(臼井日出男君紹介)(第九八五号)  同(児玉健次紹介)(第九八六号)  同(鹿野道彦君紹介)(第九八七号)  同(瓦力君紹介)(第九八八号)  同(木村義雄君紹介)(第九八九号)  同(沢田広君紹介)(第九九〇号)  軟骨異栄養症患者医療に関する請願児玉健次紹介)(第八九〇号)  難病患者などの医療生活の保障に関する請願池端清一紹介)(第八九一号)  同(菅直人紹介)(第八九二号)  同(木島日出夫紹介)(第八九三号)  同(中野寛成紹介)(第八九四号)  同(正森成二君紹介)(第八九五号)  同(柳田稔紹介)(第八九六号)  同(和田貞夫君紹介)(第八九七号)  同(池端清一紹介)(第九一四号)  同(菅直人紹介)(第九一五号)  同(沖田正人紹介)(第九二二号)  同(菅直人紹介)(第九二三号)  同(網岡雄紹介)(第九九二号)  同(児玉健次紹介)(第九九三号)  肢体障害者生活保障に関する請願(自見庄三郎君紹介)(第八九八号)  同(柳田稔紹介)(第八九九号)  原爆被害者援護法の制定に関する請願古堅実吉紹介)(第九〇〇号)  同(三浦久紹介)(第九〇一号)  同(山原健二郎紹介)(第九〇二号)  同(阿部昭吾君紹介)(第九二四号)  同(江田五月君紹介)(第九二五号)  同(菅直人紹介)(第九二六号)  同(楢崎弥之助紹介)(第九二七号)  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願大野功統紹介)(第九五四号)  国立腎センター設立に関する請願(愛知和男君紹介)(第九九一号) 同月二十一日  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(田邊誠君紹介)(第一〇一三号)  同(越智伊平君紹介)(第一一〇九号)  同(古賀一成君紹介)(第一一一〇号)  同(森田一君紹介)(第一一一一号)  同(秋葉忠利君紹介)(第一一八二号)  難病患者などの医療生活の保障に関する請願(貴志八郎君紹介)(第一〇一四号)  同(池端清一紹介)(第一一一三号)  同(岩田順介紹介)(第一一一四号)  同(川島實君紹介)(第一一一五号)  同(川俣健二郎紹介)(第一一一六号)  同(鈴木久君紹介)(第一一一七号)  同(筒井信隆君紹介)(第一一一八号)  同(日笠勝之紹介)(第一一一九号)  同(正森成二君紹介)(第一一二〇号)  同(上田哲君紹介)(第一一八三号)  同(関山信之君紹介)(第一一八四号)  同(土肥隆一君紹介)(第一一八五号)  保育制度の拡充と私立保育園の振興に関する請願(渋沢利久君紹介)(第一〇三九号)  療術の制度化促進に関する請願(甘利明君紹介)(第一〇四〇号)  同外一件(小此木彦三郎君紹介)(第一〇四一号)  同(川俣健二郎紹介)(第一〇四二号)  同(河村建夫君紹介)(第一〇四三号)  同(佐藤信二君紹介)(第一〇四四号)  同(住博司紹介)(第一〇四五号)  同(野呂田芳成君紹介)(第一〇四六号)  同(二田孝治君紹介)(第一〇四七号)  同(御法川英文紹介)(第一〇四八号)  同(村岡兼造君紹介)(第一〇四九号)  同外一件(簗瀬進君紹介)(第一〇五〇号)  同外一件(植竹繁雄君紹介)(第一一九一号)  同(粕谷茂君紹介)(第一一九二号)  保健婦助産婦看護婦法の改正に関する請願(逢沢一郎君紹介)(第一〇五一号)  同(今井勇紹介)(第一〇五二号)  同(越智伊平君紹介)(第一〇五三号)  同(大原一三紹介)(第一〇五四号)  同(鹿野道彦君紹介)(第一〇五五号)  同(河村建夫君紹介)(第一〇五六号)  同(瓦力君紹介)(第一〇五七号)  同(木村守男紹介)(第一〇五八号)  同(北川正恭君紹介)(第一〇五九号)  同(工藤巌君紹介)(第一〇六〇号)  同(倉成正紹介)(第一〇六一号)  同(小泉純一郎君紹介)(第一〇六二号)  同(鴻池祥肇紹介)(第一〇六三号)  同(佐藤謙一郎君紹介)(第一〇六四号)  同(桜井新君紹介)(第一〇六五号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第一〇六六号)  同(園田博之君紹介)(第一〇六七号)  同(田辺広雄君紹介)(第一〇六八号)  同(高橋一郎君紹介)(第一〇六九号)  同(武村正義紹介)(第一〇七〇号)  同(谷垣禎一君紹介)(第一〇七一号)  同(中山成彬紹介)(第一〇七二号)  同(羽田孜君紹介)(第一〇七三号)  同(福田康夫君紹介)(第一〇七四号)  同(古屋圭司君紹介)(第一〇七五号)  同(細田博之紹介)(第一〇七六号)  同(牧野隆守紹介)(第一〇七七号)  同(松岡利勝君紹介)(第一〇七八号)  同(町村信孝君紹介)(第一〇七九号)  同(三ツ林弥太郎君紹介)(第一〇八〇号)  同(御法川英文紹介)(第一〇八一号)  同(宮崎茂一君紹介)(第一〇八二号)  同(宮里松正紹介)(第一〇八三号)  同(宮下創平君紹介)(第一〇八四号)  同(森喜朗紹介)(第一〇八五号)  同(渡辺栄一紹介)(第一〇八六号)  同(渡辺省一紹介)(第一〇八七号)  同(上草義輝君紹介)(第一一七四号)  同(大石千八君紹介)(第一一七五号)  同(斉藤斗志二君紹介)(第一一七六号)  同(塩谷立紹介)(第一一七七号)  同(中川昭一君紹介)(第一一七八号)  同(藤梨信行君紹介)(第一一七九号)  同(平沼赳夫紹介)(第一一八〇号)  国民医療改善に関する請願(後藤茂君紹介)(第一〇八八号)  同(岡崎宏美紹介)(第一一八一号)  重度身体障害者年金者救済措置に関する請願(田邉國男君紹介)(第一〇八九号)  同(中山正暉君紹介)(第一〇九〇号)  同(増子輝彦紹介)(第一〇九一号)  同(森喜朗紹介)(第一〇九二号)  脊髄神経治療研究開発促進に関する請願(田邉國男君紹介)(第一〇九三号)  同(中山正暉君紹介)(第一〇九四号)  同(増子輝彦紹介)(第一〇九五号)  同(森喜朗紹介)(第一〇九六号)  労災重度被災者終身保養所設置に関する請願上野建一紹介)(第一〇九七号)  同(田邉國男君紹介)(第一〇九八号)  同(伏屋修治紹介)(第一〇九九号)  同(増子輝彦紹介)(第一一〇〇号)  労働災害被災受給者遺族補償制度に関する請願(田邉國男君紹介)(第一一〇一号)  同(中山正暉君紹介)(第一一〇二号)  同(増子輝彦紹介)(第一一〇三号)  同(森喜朗紹介)(第一一〇四号)  労働者災害補償保険法改善に関する請願(田邉國男君紹介)(第一一〇五号)  同(中山正暉君紹介)(第一一〇六号)  同(増子輝彦紹介)(第一一〇七号)  同(森喜朗紹介)(第一一〇八号)  国立腎センター設立に関する請願(伊藤忠治君紹介)(第一一一二号)  肢体障害者生活保障に関する請願池端清一紹介)(第一一二一号)  同(小沢和秋紹介)(第一一二二号)  同(金子満広紹介)(第一一二三号)  同(木島日出夫紹介)(第一一二四号)  同(児玉健次紹介)(第一一二五号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一一二六号)  同(菅野悦子紹介)(第一一二七号)  同(辻第一君紹介)(第一一二八号)  同(寺前巖紹介)(第一一二九号)  同(東中光雄紹介)(第一一三〇号)  同(不破哲三紹介)(第一一三一号)  同(藤田スミ紹介)(第一一三二号)  同(古堅実吉紹介)(第一一三三号)  同(正森成二君紹介)(第一一三四号)  同(三浦久紹介)(第一一三五号)  同(山原健二郎紹介)(第一一三六号)  同(吉井英勝紹介)(第一一三七号)  肝炎の予防・治療対策等に関する請願伊東秀子紹介)(第一一三八号)  同(池端清一紹介)(第一一三九号)  同(石田祝稔紹介)(第一一四〇号)  同(沖田正人紹介)(第一一四一号)  同(川島實君紹介)(第一一四二号)  同(川俣健二郎紹介)(第一一四三号)  同(古賀一成君紹介)(第一一四四号)  同(児玉健次紹介)(第一一四五号)  同(五島正規紹介)(第一一四六号)  同(坂井隆憲紹介)(第一一四七号)  同(須永徹君紹介)(第一一四八号)  同(住博司紹介)(第一一四九号)  同(小沢辰男紹介)(第一一八六号)  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(稲村利幸君紹介)(第一一五〇号)  同(江崎真澄君紹介)(第一一五一号)  同(越智伊平君紹介)(第一一五二号)  同(大野功統紹介)(第一一五三号)  同(熊谷弘紹介)(第一一五四号)  同(戸井田三郎紹介)(第一一五五号)  同(中山成彬紹介)(第一一五六号)  同(中山正暉君紹介)(第一一五七号)  同(持永和見紹介)(第一一五八号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第一一八七号)  同(中村正三郎紹介)(第一一八八号)  同(三ツ林弥太郎君紹介)(第一一八九号)  同(森喜朗紹介)(第一一九〇号)  中国残留婦人の援護に関する請願高村正彦紹介)(第一一七二号)  同(吉井光照紹介)(第一一七三号) 同月二十三日  保健婦助産婦看護婦法の改正に関する請願(太田誠一君紹介)(第一二〇九号)  同(塩崎潤君紹介)(第一二一〇号)  同(戸井田三郎紹介)(第一二一一号)  同(虎島和夫君紹介)(第一二一二号)  同(中山利生君紹介)(第一二一三号)  同(山下徳夫君紹介)(第一二一四号)  同(江口一雄君紹介)(第一三〇一号)  国民医療改善に関する請願藤田スミ紹介)(第一二一五号)  同(吉井英勝紹介)(第一二四二号)  重度身体障害者年金者救済措置に関する請願原田昇左右紹介)(第一二一六号)  脊髄神経治療研究開発促進に関する請願原田昇左右紹介)(第一二一七号)  労災重度被災者終身保養所設置に関する請願原田昇左右紹介)(第一二一八号)  労働災害被災受給者遺族補償制度に関する請願原田昇左右紹介)(第一二一九号)  労働者災害補償保険法改善に関する請願原田昇左右紹介)(第一二二〇号)  看護職員の大幅増員と労働・生活条件改善に関する請願外六件(中村巖君紹介)(第一二二一号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願小沢一郎君紹介)(第一二二二号)  同(沢田広君紹介)(第一二二三号)  同(吉岡賢治君紹介)(第一三〇二号)  肝炎の予防・治療対策等に関する請願平田辰一郎紹介)(第一二二四号)  同(渡部行雄紹介)(第一二二五号)  同(網岡雄紹介)(第一三〇三号)  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(稲村利幸君紹介)(第一二二六号)  同(今井勇紹介)(第一二二七号)  同(越智伊平君紹介)(第一二二八号)  同(戸井田三郎紹介)(第一二二九号)  同(中西啓介紹介)(第一二三〇号)  同外一件(葉梨信行君紹介)(第一二三一号)  同(新井将敬君紹介)(第一三〇四号)  同(亀井久興君紹介)(第一三〇五号)  療術の制度化促進に関する請願(上草義輝君紹介)(第一二三二号)  同(増子輝彦紹介)(第一二三三号)  同外一件(鈴木俊一紹介)(第一三〇六号)  同(西田司君紹介)(第一三〇七号)  中国残留婦人の援護に関する請願草川昭三紹介)(第一二三四号)  同(佐藤信二君紹介)(第一二三五号)  同(林義郎君紹介)(第一二三六号)  同(石田幸四郎君紹介)(第一三〇八号)  同(伏屋修治紹介)(第一三〇九号)  同(矢追秀彦君紹介)(第一三一〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 五月七日  国民健康保険制度改正に関する陳情書外十六件(第三八号)  老人医療制度改悪反対に関する陳情書外二件(第三九号)  児童扶養手当の支給延長に関する陳情書外一件(第四〇号)  難病対策の強化拡充に関する陳情書(第四一号)  中絶規制の強化反対に関する陳情書(第四二号)  造血機能障害者対策の充実強化に関する陳情書(第四三号)  看護婦等の養成確保対策の充実強化に関する陳情書(第四四号)  食品の安全確保に関する陳情書外一件(第四五号)  廃棄物の適正処理困難物に関する陳情書外四件(第四六号)  徳島小松島港の検疫指定並びに検疫出張所の設置に関する陳情書(第四七号)  原子爆弾被爆者援護対策の充実に関する陳情書外三十三件(第四八号)  沖縄における厚生年金等の格差是正に関する陳情書(第四九号)  医療行政の改善に関する陳情書(第五〇号)  高年齢者の雇用の促進に関する陳情書外十六件(第五一号)  育児休業法の早期制定に関する陳情書外十一件(第五二号)  労働時間の短縮等に関する陳情書外六件(第五三号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国民健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案内閣提出第二五号)  麻薬取締法等の一部を改正する法律案内閣提出第五一号)      ────◇─────
  2. 畑英次郎

    ○畑委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平田辰一郎君。
  3. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 私は、自由民主党員といたしまして、この国民健康保険法の改正につきまして御質問を申し上げたいと思っております。  まず、国民健康保険制度の抱える問題点を考えますときに、国保そのものの問題にとどまらずに、その背景にある問題を考えなければならないのではないかと考えております。その意味で、今後二十一世紀に向けて急速に進展する人口の高齢化に対して、社会保障全般としてどのような対策を講じていくのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  4. 津島雄二

    ○津島国務大臣 これからの高齢化社会への対応につきましては最近非常に大きな関心を集めておるわけでございますが、特に国会におきまする国民負担の議論と関連をいたしまして、昭和六十一年以来いろいろな御論議が行われ、これを受けて政府といたしましても、昭和六十一年六月に長寿社会対策大綱を閣議決定をし、さらにこれを踏まえまして昭和六十三年十月に、いわゆる福祉ビジョンというものを国会に提出をさせていただきました。これによりまして、年金、医療福祉等について具体的に掘り下げたわけでございますけれども、さらにこれを具体化し、かつ、さらに積極的な展開を図るものとして、今回「高齢者保健福祉推進十か年戦略」というものを発表させていただいたわけでございます。いずれにいたしましても、二十一世紀の超高齢社会におきましても活力のある長寿・福祉社会が構築できるように、各般の制度にわたって積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  5. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 我が国におきましては、国民の医療を公的保険制度を中心に国民皆保険という形で保障しておりまして、これは世界に冠たる制度ではないかと私は考えているわけでございます。今後の高齢化社会におきましては、これを適切に運営していくためには、老人医療も含めた医療保険各制度の長期的な安定ということが不可欠ではないかと考えているわけでございます。このためにも、医療費の伸びと国民所得の伸びとのバランスということが大変大事でございますけれども、この点につきまして、近年における状況について御説明いただきたいと思います。
  6. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 国民医療費と国民所得の伸びのバランスにつきましては大変重要な問題でございまして、最近における状況を申し上げますと、まず国民医療費が、昭和五十八年度、五十九年度におきましては国民所得の伸びを下回ってお りました。数字で申し上げますと、国民医療費の対前年度の伸び率が、五十八年度は四・九%に対し国民所得が五・二%の伸びでございます。翌五十九年度におきましては、国民医療費の増加率が対前年度三・八%に対し、国民所得が五・一%でございます。さらに、六十三年と平成元年、これはまだ見込みの数字でございますが、やはり国民医療費の増加率が国民所得の増加率を下回る見通しになっております。最近におきまして、その他の年は若干国民医療費の伸びが国民所得の伸びを上回っている年もございますが、大体五十七年度以降今日まで、推計も含めまして通算してみますと、国民医療費と国民所得の伸びはほぼバランスがとれているという状況にございます。
  7. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲内にとどめるという目標は今後とも達成できる、維持していけるというふうに考えておられるでしょうか。
  8. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 今後の人口の高齢化、医療の高度化等を考慮いたしますと、毎年医療費が増大していくことは避けられないわけでございますが、今後国民の負担が過大なものとならないように医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲内に抑えるということを私どもは政策目標としておるわけでございます。この達成につきましては、長期的には必ずしも容易ではない面がございますが、あらゆる努力を尽くしてまいりたいと考えておる次第でございます。  具体的には、高齢化社会にふさわしい良質な医療を効率的に供給するための医療システムの合理化、効率化に取り組むとともに、従来から行っておりますレセプト審査の充実でございますとか指導監査体制の強化といった医療費適正化を一層強力に進めまして、この目標の達成に努力をいたしたいと考えております。
  9. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 一方、国民保険に目を転じますと、今回の改正案は、低所得者問題に対応するものとして十分評価できる問題だろうと私は考えております。しかしながら、産業構造の変動とか人口の高齢化といった国保を取り巻く社会の基本構造はそう大きくは変わることはないだろうと考えております。したがって、国保制度は今後とも依然として多くの問題を抱えていくというふうに考えるわけでございますけれども、これにどう対応していくのか、基本的な考え方を大臣からお伺いしたいと思います。
  10. 津島雄二

    ○津島国務大臣 国保制度は、制度の枠組み、被保険者の構成などから、委員御指摘のとおり産業構造の変化、人口の高齢化の影響を大きく受けてもまいりましたし、これからもまた受けていくであろうと考えます。しかしながら、また一方、この国保制度は国民皆保険の基盤でございまして、一方の被用者保険と国保制度、この二つが大事な国民の健康を守る命綱になっておるわけでありますから、将来とも安定的な運営を確保していかなければならないと思います。そういうことで、これまでも一連の制度改革を行ってまいりましたけれども、今後とも一層、国保の財政基盤の強化、運営の安定化のためには努力しなければならない、社会経済、医療環境の変化に応じて努力を積み重ねて、絶えず努力をしていかなければならないというふうに考えております。
  11. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 国民保険制度は他の医療保険制度に比べまして保険料が高い割に給付率が低いということで、加入者の不公平感が大変強いと聞いております。他の制度と比較して国保の保険料負担と給付率の現状はどうなっているか、この辺を御説明いただきたいと思います。
  12. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 昭和六十三年度の数字で申し上げますと、まず、一世帯当たり保険料につきましては、年額で政府管掌健康保険が十一万四千円、組合健康保険では十一万八千円でありますが、国保では十三万八千円となっております。一方、給付でございますけれども、法律上の療養の給付の給付率は、政府管掌健康保険、組合健康保険で本人が九割、家族は入院八割、外来七割となっておりまして、これに対し、国民健康保険は七割という数字でございます。しかし、そのほかに高額療養費制度もございまして、これによって実際の実効給付率は、例えば六十三年度におきましては政府管掌健康保険が八四・二%、組合健康保険が八六%、これに対して国民健康保険は七九・四%となっておりまして、国民健康保険も実効給付率はおおよそ八割というところになっております。なお、家族の実効給付率だけを取り上げてみますと、政府管掌健康保険が七五・八%、組合健康保険が八〇・四%、これに対して国民健康保険は七八・六%ということで、政府管掌健康保険よりやや上回っている、こういう状況にございます。
  13. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 今後高齢化社会の進展に伴いまして、ますます給付と負担の公平化が求められるわけじゃないかと考えるわけですが、やはり制度間の公平が大変重要であります。このため、医療保険制度の一元化を求める声がありますが、これに対しましてどのように取り組んでいかれる御所見か、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  14. 津島雄二

    ○津島国務大臣 今後の高齢化に対応いたしまして、国民が安心して医療を受けられるようにするためには、医療保険各制度間の給付と負担の公平を図り、その長期的な安定を確保していくことが必要であります。そのために、これまでも給付と負担の公平化のための改革を逐次実行してまいりましたが、今回の御提案しております国民健康保険制度の改正もそのような趣旨に基づくものでございます。今後、医療保険制度のあり方についていろいろな御意見もございますので、今回の改正の実施状況を踏まえ、また、老人保健制度の問題の検討状況も踏まえて検討を進めてまいり、要するに負担と給付の公平化を図るということをまず前提条件としてやってまいりたいというのが私どもの考え方でございます。
  15. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 ただいまの大臣の御発言にもありますように、老人保健制度の問題というのが今後の大変重要な問題だろうと思いますが、今後とも増加する老人医療費の負担問題を抜きにして国保制度の安定ということは望めないわけですが、老人保健制度の見直しについて今後どのように進めていかれるか、お伺いしたいと思います。
  16. 岡光序治

    岡光政府委員 昨年の十二月に老人保健制度の見直しに関する中間意見を老人保健審議会からいただいておりますが、その中で制度の長期的安定を図る方策についても触れていただいております。その中で、費用負担のあり方につきましてはさらに検討を重ねていくというふうに御返事をいただいております。  御指摘のように、老人保健の問題、今後の高齢化社会における最重要課題でございますので、引き続いて、老人保健審議会の場等を通じまして幅広い観点から御議論が行われることを期待しておりまして、関係者の御意見を踏んまえた上で十分検討してまいりたいと考えております。
  17. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 さて、国保は、約三千三百の市町村が経営主体となっておりますが、それぞれの市町村の置かれている状況も千差万別でございます。私の地元の鹿児島県下におきましては多くの町村では過疎化して、若者が東京等の大都市に流出しておりまして、お年寄りだけが残されて高齢化率も非常に高いわけでございます。このため、国保の財政運営は非常に難しくなってきておりまして、地域的にはこうした地域の財政力が弱くなっておりますけれども、これに対してどのように調整していくのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  18. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 国保の実施につきまして市町村間でいろいろな格差がございますが、特に、ただいま御指摘ありましたような過疎地などにおきましては、高齢者の加入割合が高い、あるいは財政基盤が弱いということで大変御苦労されているということは事実でございます。  そこで、今日まで老人保健制度の創設でございますとか退職者医療制度の導入、そういう制度、さらに国民健康保険制度の一昨年の改正等、今後の方向に向けての費用負担の公平化というような見地から行ってまいりました。さらに、この平成二年度からは、老人保健拠出金の加入者按分率一〇〇%ということになるわけでございまして、これも国保の財政基盤の強化に資するものと考えております。そういうようないろいろな対策とあわせまして、結局のところは地域間格差に対し国民健康保険制度の中における財政調整交付金の交付を通じまして調整を図っていくということが重要であろうかと思っておりますし、また、これによって財政力の弱い市町村の国保運営の安定を支援することができるだろうと思っております。したがって、今回の改正案におきましては国庫助成を拡充いたしまして、特に財政調整交付金に重点的に配分を行うようにいたしておりまして、これによって今後、御指摘のような地域の国保財政の安定化というものを進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  19. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 このような財政力の弱い市町村においては、所得が三百万円くらいで国保の最高保険料であります四十二万円に達するというところもあるというふうに聞いております。国保加入者のうち、このような財政力の弱い市町村において特にその点が著しいわけでありますが、中堅所得層と言われる人たちの負担が大変重い。どうしてこんなに重いのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  20. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 国民健康保険におきましては、他の医療保険に比較いたしまして低所得者の比重が非常に大きいという特徴がございます。特に、国保におきまして、所得のない世帯というのが全体の一六・五%を占めているというような状況でございます。こういった状況からいたしまして、結局こういう方には高額の保険料が負担できないために、その分他の被保険者の負担が相対的に重くなっていく。そこで、特に中堅所得層につきましては保険料の負担が過重になっているものと理解をいたしております。
  21. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 それでは、こうした中堅所得層の負担軽減についてはどのように取り組んでいくおつもりか、お伺いしたいと思います。
  22. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 今回の改正案におきましては、国庫助成の強化によりまして、低所得層に係る保険料の軽減分に対して公費による財政補てんを行う保険基盤安定制度を確立いたしたいと考えておりまして、これはただいま御指摘のありました中堅所得層の保険料負担軽減に結びついていくものと考えております。  また、保険料の負担につきましては、このほかにもいろいろと問題がございますが、特に市町村間において格差が相当あるということから、できるだけその平準化を図っていく必要があるという指摘が今日なされておりますし、私どももそういう認識を持っております。今後保険料負担の平準化につきましては、平成三年度の実施に向けまして具体的方法について検討を進めていくことといたしております。この議論の際にも中堅所得層の保険料負担のあり方について検討をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  23. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 さらに、まじめな加入者に保険料負担がしわ寄せされないようにするために、保険料の収納対策も大変重要ではないかというふうに考えております。この点につきましては、市町村は、管理職による夜間徴収を行ったり嘱託徴収員による徴収をお願いするなど、それぞれ大変な苦労をされている現状だというふうに考えております。その結果、収納率はかなり改善されているというふうに聞いておりますけれども、現状はどうなっているかお伺いしたい。私の地元の鹿児島県の川内市と私が前にいた東京都の中野区と比べますと、収納率でも三%以上の差がある。都市部はどうも収納率がやたらと悪いというようなことがあるわけでございますけれども、この辺についての現状はどうなっているかお伺いしたいと思います。
  24. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 国民健康保険の保険料の収納率全体について見ますと、近年、年々上昇をいたしておるという状況にございます。例えば、昭和五十八年度が収納率九三・四%でございましたが、昭和六十三年度は九四・一三%まで上昇しておりまして、その間毎年上昇の傾向にございます。これは、各市町村におきまして、それぞれその長から、管理者からあるいは現場の職員に至るまで、いろいろと御努力をいただいておる結果と理解するわけでございますが、今後も引き続きこの収納率向上につきましてはその対策を推進してまいりたいと考えております。  なお、今手元に詳しい資料ございませんが、市町村によってはまだ格差もございますので、できるだけこの格差を解消するように私どもとしても努力をしてまいりたいと考えております。
  25. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 ここに五月五日のサンケイ新聞のコピーがあるんですが、「正直者がバカをみる国保滞納」というふうに書いてあります。大阪府の東大阪市のようになりますと、この新聞によりますと、滞納率が二五%に及んでいるというふうに書いてあるわけでございまして、このような人たちに対しては督促をしたり、指導なんかをやっていたり、あるいは保険証の返還をさせ、かわりに資格証明書を発行するというようなことをしているようでございますけれども、一方、保険証取り上げについては余りにも非情冷酷だというような一部の批判もあるというふうにも聞いておりますが、いずれにしても、滞納者の中には十分負担能力があるにもかかわらず保険料を納めないという悪質な滞納者もいるんじゃないかと私は考えているわけでございます。こうした悪質滞納者は加入者間の公平ということを考えますと放置できないと考えるわけでございますけれども、どのような対応をされていくのか、具体的にお伺いしたいと思います。
  26. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 御指摘のように、国民健康保険制度は被保険者全体の相互扶助で成り立っているものでございまして、被保険者間の負担の公平を図るという観点からも悪質な滞納者を放置することはできないと考えておる次第でございます。  このために、国におきましては市町村に対しまして、悪質滞納者については、例えば被保険者証の返還でありますとか、被保険者資格証明書を発行する、さらに名簿を作成いたしまして滞納処分を実施するというようなことで、悪質な滞納者の一掃に市町村が取り組んでいくように指導をいたしておりますし、また、今後とも適正な事務の執行を進めるように十分指導をしていきたいと考えております。
  27. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 また、滞納者問題以前の問題としまして、そもそも国保に加入しなければならないのに届け出を行わなかったり、住所を転々とするなどしまして、区役所等の目を逃れている者がいるんじゃないかというふうに考えるわけでございますが、特に今、世の中でよく言われているフリーアルバイター、きょうも朝、新聞、テレビを見ていますと、非常に人手不足でいろいろな職種が出てきているというふうに聞いておりますけれども、このフリーアルバイター等にこうしたケースが多いと思うんですが、こういうフリーアルバイターの実態について労働省はどの程度把握しているのか、労働省にお伺いしたいと思います。
  28. 上原信博

    ○上原説明員 先生御質問のフリーアルバイターにつきましては、今のところまだ定まった定義がございませんでして、この種の労働者については、労働省としてはまだ実態を把握しておりません。
  29. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 いわゆるフリーアルバイターというのが大体どういう業務、把握されてないということですが、どういうことをやっておられるのか、一方、テレビ等でやっておるわけですから。それから大体どのくらいいるのか。今全従業員の中でどのくらいおるのか。おおよその数字でいいですけれども、その辺の数字をおわかりになる範囲で結構ですから、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  30. 上原信博

    ○上原説明員 先ほど申し上げましたように、フリーアルバイターとしては実態を把握しておりませんが、総務庁が行いました昭和六十二年度就業構造基本調査によりますと、昭和六十二年十月一日現在では、在学者を除くアルバイトは百三十六万六千人となっております。
  31. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 実態をよく把握されてないということで、わかりにくいだろうということはわかるんですが、こういうフリーアルバイターについては、はっきり申し上げて数字もわからないということでございますから、所得の把握も大変難しいんじゃないかというふうに思うわけです。その結果として、所得税を逃れている者も大変多いんじゃないかと思うんですが、そのあたりの実態を国税庁ではどのように把握しているか、国税庁の御見解をお伺いしたいと思います。
  32. 栃本道夫

    ○栃本説明員 フリーアルバイターの定義範囲というのは定かでないということを今もお話がございましたわけですが、一般には、定職につかないで臨時的に事業主に雇用されている者である、そういうふうに言われておるわけでございまして、就労の期間の長い短いはございますと思いますが、いずれにしても、事業所を転々としているというところに特徴があるというふうに考えられるわけでございます。  このような特徴を踏まえまして、これらの人たちに対する所得税の課税というものを考えますと、一般的にはこれらの人たちが事業主に労務を提供することにより受けます対価は所得税法上給与所得に該当するということでございまして、給与所得につきましては、給与の支払いをする者、すなわち事業主がその給与の支払いの際にその所定の所得税を源泉徴収をいたしまして、これを国に納付することとされております。  我が国におきますこの事業主の源泉徴収義務の履行状況の現状を全体として見ますと、私どももそのフリーアルバイターというような方についての限定した把握というものはなかなかしておらないわけでございますが、全般的に源泉徴収そのものの履行状況というのを見ますと、こういう人たちを含めまして、こういう給与に対します所得税の源泉徴収というのはかなり的確に行われているというふうには考えておるのでございますが、ただ、これらの人たちの場合は、年間を通じまして断続的に就労しておるというようなことで、しかも事業所を転々としておるというようなことが考えられますので、そういう場合にはやはり年間を通じまして給与の収入金額というのがあるわけでございますが、それに本当に見合った適正な年税額が課されているかどうかということについては必ずしも問題がないわけではないという状況でございます。  いずれにしましても、国税当局といたしましては、源泉徴収義務者に対します指導とか調査を通じまして、御指摘のようなフリーアルバイターと言われる人たちの給与に対します適正な課税の確保の問題を含めまして、全体としてより一層源泉徴収義務の適正な履行の確保が図られるように努めてまいりたいと考えております。
  33. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 労働省それから国税庁からの御説明をいただいたわけですが、所得税を基礎にしまして住民税がはじかれ、その住民税を基礎にして国保税あるいは国保の賦課金というものが決められるわけでありますから、そういう意味におきましてはこれは大変重要な問題であろうと思うわけでありますが、こういうことで所得税が適正に課税されているかどうかということについて問題がありますとすると、やはり国保税あるいは国保料というものが適正に払われているかどうかという点で大変問題がありますし、さらには、先ほどから申し上げておりますように、国保未加入者というものが出てくるということになってきますので大変難しい問題はあると思いますが、厚生省としてはこのような国保未加入者の実態をどの程度把握しておるのか。やはり国民皆保険制度の趣旨をよく徹底して未加入者をなくすことが必要であると考えておるわけでございますが、未加入者対策をどのように講じていくのか、その点をお伺いしたいと思います。
  34. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 国保の未加入者の状況というのは現実にはいろいろな姿があろうかと思うわけでございますが、国保の場合に基本は住所地においてその市町村に加入するという原則でございますので、市町村が把握をするというのがまず第一でございます。しかし、いろいろ御指摘のありましたような形態を含めまして市町村においてその住所の把握ができないということになりますと、なかなか国保としての把握困難でありまして、そういう意味から国保の未加入者の実態について正確な把握というものは、私どもも現在まで行われていないというのが実情でございます。  しかしながら、国保には本来国民皆保険として加入しなければならないということになっておるわけでございますから、できるだけ市町村に届け出を行うようにいろいろな形での広報等を通じて理解をしていただくように考えておるわけでございます。また、住民登録が行われますときには、必ずチェックをいたしまして、国民健康保険に入るべき人に国民健康保険に加入する手続を行うということを勧めておるわけでございます。今後ともいろいろな方法を通じまして、未加入者が生じないように努力をしてまいりたいと考えております。
  35. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 こうした人たちというのは、実は国保制度の不安定要因ということばかりじゃなくて、税の捕捉という点でも私は問題であるというふうに考えているわけでございますけれども、国保税あるいは国保料の問題一つをとってみましても、その課税、課金ということの算定の基礎となる所得というものが、このように捕捉できない所得がふえてきているというわけでありまして、この点が結局は税制の面におきましても、所得税体系に加えて消費に着目した税制で対応することが必要となってきたのではないかと私は考えているわけであります。今後は、この消費に着目した税であります消費税による財源というものは、国保を初めとする社会保障制度に対する国庫負担を補てんしていく上で不可欠のものになると私は考えているわけでございます。  さて、このように国保につきまして、いろいろ地元の人の話を聞いて抱く印象は、市町村にとって大変運営面の苦労が多い。一方、加入者にとっても他の制度と比べて保険料負担が大変重いという問題がありまして、どこか魅力に乏しいものという印象があります。しかし、国保は世界に誇る国民皆保険制度の基盤をなすものでありまして、その安定化は極めて重要であります。今回の改正は、国保制度の安定化に資するものであると私は考えますが、さらに、国保の魅力を高める上で、医療給付のみならず健康の維持増進といった事業にも力を注ぐことが求められると思いますが、これに対してどのように対応しているのか、お願いいたします。
  36. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 国保制度におきましては、保健施設事業を通じまして被保険者の健康の維持増進を図っておりまして、その重要性はますます高まってきているものと認識しております。特に、国民健康保険は、市町村が実施しております地域保険でございまして、住民のいろいろな状況というものを把握している市町村が行うという意味において、こういった保健事業を行うについては、それぞれ地域の特性を生かした方法というものが考えられるという点にむしろ特色があろうかということを考えておるわけでございます。そこで、市町村の実態に応じまして、より効果の高い事業計画を策定いたしまして、そのための経費として保険料収入の中からできる限り保健施設費に計上するように私どもも指導をしてまいっております。また、保健施設事業の推進を国としても支援するために財政調整交付金による助成も行っておるわけでございます。現在、いろいろな種類の保健施設事業が行われておりますが、今後ともできるだけこういった事業の充実を図るよう、私どもとしてもいろいろな面で支援をいたしていきたいと考えておる次第でございます。
  37. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 この健康づくりというのは、まさに地域づくりの総合対策の一環として行われるものでありまして、ぜひとも積極的に取り組んでいきたいと思うわけであります。今後の国保制度もその基盤の上に立ってこそ新たな展望というものが開けるのではないかと思うのであります。そこで、厚生行政の観点から、地域づくりという課題に積極的に取り組むべきではないかというふうに思っております。厚生省の立場からも地域づくりにおいて中心的な役割を果たすべきではないかというふうに考えます。今後厚生省として、医療にとどまらず、保健や福祉を含み込んだ地域づくりにどのように取り組んでいくのか、お伺いしたいわけであります。私の地元の鹿児島県川内市は、福祉の里、サン・アビリティーズ川内といいまして、福祉基地、団地の建設をやっているわけでございますが、こういうものにつきまして厚生省としてどういうふうに取り組んでいかれるのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  38. 津島雄二

    ○津島国務大臣 高齢化していく中で我が国の福祉を、そしてまた医療サービスを支える原点はどこかと申しますと、私は何といっても地域社会であろうと思います。今委員が言及されましたような鹿児島県におかれる取り組み、これはほかの県においても先見性のある方々が取り組んでおられるわけでありますが、町づくり、村づくりということが非常に言われている中で、どちらかといいますと地域の活性化とか産業興しとかいう面が中心でとらえられておりますけれども、私は、まさにこれから福祉づくり、健康づくりというものを地域が中心になってやっていただくことが二十一世紀に向けて最大の課題であろうと思っております。  今言われたお考えに全く賛成でございまして、そういう意味で、このたび厚生省が中心に打ち出しました二十一世紀に向けての高齢者保健福祉推進十カ年計画というものは、そのような地域を中心とする医療福祉、保健、こういう一体としての仕事を支えていきたい、国としても全力を挙げて応援をしたいという発想方法に基づいておるものでございまして、今国会に提出をし、当委員会でもいずれ御審議をいただきます老人福祉法等の改正案もこのような考え方を基礎に据えておるものでございます。委員のお考えを私ども全く同感の意をもって受けとめさせていただきまして、そういう方向に一生懸命やってまいりたいと思います。
  39. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 ただいま大臣から老人福祉法の改正の御発言がございましたけれども、昨年十二月の老人保健審議会の中間意見でもうたわれておりますように、今や老人保健、医療福祉施策の基本はクォリティー・オブ・ライフの確保にあると考えているわけであります。個人の尊厳が問われる今、寝たきりのお年寄りについてもただ医療のみの面からでなくて、社会復帰ということを目指した福祉の面からの取り組みも重要だと考えているわけでございます。これがひいては結果的に国民健康保険の給付負担の軽減にもつながるというふうに考えるわけでございますが、この点についてどのようにお考えになっているか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  40. 津島雄二

    ○津島国務大臣 ただいまの御見解、全くそのとおりでございまして、私どものゴールドプランの中の一つの柱に、寝たきりゼロ作戦というのがございます。これは正確に理解をされていない面がございますけれども、基本的には、寝たきりの状態にならないという日常の保健政策というもの、これがまず基本でございます。そしてまた、不幸にして一度病床に伏するような疾患になられた方方も、医療機関におきましてもあるいは在宅におきましても、多くの方々の協力によってできるだけ体を起こしていただく、社会人としての活動もやっていただく、日常の生活も生き生きとしてやっていただくという方向に大きく踏み出していこうということでございます。例えば医療のサービスにおきましても、ある限度を超えた点滴のような治療が行き過ぎますと、寝たきりの状態のまま病院で置いてしまうということ、そういう傾向が指摘をされておるわけでありますから、少しでも自分の口から栄養をとっていただく、そして体を起こしていただく、できたらまた協力者の力を得て活動していただくという方向にこれからも努力をしていただきたいと望んでおるところでございます。そしてそれが、委員御指摘のとおり、全体として、結果として医療費の高騰を抑制する方向に働いていけば全く一石二鳥でございまして、我我としては、本当にそういう方向に行ってもらいたいと念願を込めつつ努力をしてまいりたいと思っております。
  41. 平田辰一郎

    ○平田(辰)委員 いずれにいたしましても、これから我が国は急速に進展する人口の高齢化というものを迎えているわけでございまして、そういう中で国民健康保険制度の健全な維持ということが大変重要でございますので、ひとつ厚生省といたしましても、この問題について万全な備えを図っていっていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  42. 畑英次郎

    ○畑委員長 永井孝信君。
  43. 永井孝信

    永井委員 まず、冒頭に大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、この前、この法案の提出に当たって大臣が提案理由の趣旨説明をされました。その中に言われておりますことは、高齢化の進展が続く中で将来に向けて制度運営の安定化を図っていくことが肝要であるということ。制度が構造的に抱えている低所得層問題について、国、都道府県、市町村が協力して財政援助を行う仕組みを確立する。そして、国庫助成の強化等を図ることによって、国民健康保険制度の運営の安定化を図ることを目的としているというふうに述べられているわけです。  そこで、お伺いするのですが、非常に限られた時間でありますから、一つ一つの問題を深く掘り下げて質問する時間がございませんので、一つ一つの問題の掘り下げは後で同僚議員にお願いするといたしまして、総括的にお伺いをしてみたいと思うわけであります。  まず、この国保財政の安定化を図るとしていることでありますが、その財政効果というものは、この改正案によりますと二百三十三億円ということになっているわけですね。老人保健法の加入者按分率が一〇〇%となったことによりまして六百十七億円、合わせて八百五十億円というふうに説明がされているわけであります。この財政効果について、一世帯当たり年間五千七百円の負担軽減効果があるというふうに私は説明を聞きました。そこで政府としては、実際にそのように保険料が安くなることを被保険者に対して約束することができますか。どうでございましょう。
  44. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 ただいま御指摘のとおり、今回の改正による保険料軽減効果を一世帯当たり平均して計算いたしますと年間五千七百円という数字になる、これはおっしゃるとおりでございます。ただ、この五千七百円というのは軽減効果でございますから、実際に保険料をどうするかということは市町村の保険者としての判断にゆだねられておるわけでございまして、市町村におきましては赤字があるところもございますし、いろいろな事情に応じてその保険料の取り扱いについての判断というのはまた異なってこようかと思います。したがいまして、端的に申し上げまして、直接保険料の引き下げにつながるかどうかということはこれは一概に申し上げられませんけれども、負担の軽減あるいは抑制効果があるということは言えるわけでございます。
  45. 永井孝信

    永井委員 そこで、この国保の一世帯当たりの保険料を政管健保、そして組合健保と比較いたしますと、一九七〇年代までは国保が一番低かったのです。ところが八〇年度にその二つを一気に追い抜いて、ここにも資料がございますけれども、例えば昭和五十三年度、一九七八年度の国保の一世帯当たりの保険料の額は実績で六万七千三百円となっております。組合健保で例をとりますと七万一千八百円でございました。これが一九八八年度、昭和六十三年度には国保が十三万八千円、組合健保でいいますと十一万八千円、伸び率は組合健保では一・六倍、国保では実に二・一倍になっているわけですね。こういう実情を見ますと、今も自民党の議員から指摘されておりましたけれども、給付水準が最低であって、それで加入者の所得水準も最低という実態にあるのですね。加入者の平均所得も、資料で見ますと百万円から二百万円という所得の人が最も多いのですよ。二六・一%という数字になっています。これは他の組合健保や政管健保に加入している人と比べると極めて所得が低いということになってまいります。そういう実態にある限り、その平均保険料も当然この三つの制度の中で給付そして負担という関係から考えまして最低となるように努力することを行政の側として目標として確立すべきじゃないか、こう思うのですが、ここはひとつ大臣に考え方をお聞きしたいと思います。
  46. 津島雄二

    ○津島国務大臣 ただいま永井委員が御指摘になりました、これまでの推移はそのとおりであろうと思います。そして、それについての私の率直な印象を申し述べますと、やはり余り望ましいことではない、これは委員と認識を一にしているものでございます。  しからば、どうしてそうなったかということを考えてみますと、これは御承知のとおり国保に加入をしておられる方の構成の問題、年齢構成が高いという問題、それから、そういうことと関連をして医療費の伸びが、いわゆる高齢者の場合には老人医療費の場合には高騰していく。そういういろいろな要因が重なってそうなっておるわけでありますが、これは断然放置してはならないということで、今回の措置もそうでございますし、それから、これまで永井委員も当委員会を通じてよく御承知のとおり、老人保健制度の推進等を通じていろいろやってきたわけでございます。  これからも負担と給付の公平化を図るということが基本的な目標でございますから、一層の努力をしてまいりたいと思っております。とりあえず今回のこの改正はそういう努力の一環としてひとつお受けとめをいただきたいと思います。
  47. 永井孝信

    永井委員 後で触れますけれども、負担と給付の公平化、これは当然なことでありまして、すべての国民は法のもとにおいて平等でありますから、自分の加入する保険によって非常に不公平が出てくるということは日本の法治国家としての恥部であろう、私はこう思いますので、そこのところは大臣もひとつしっかりと踏まえてもらって行政の推進を図ってもらいたい、こう申し上げておきたいと思います。  そこで、この国保業務というのは市町村に対する団体委任事務なんですね。したがって、できるだけ自治体の自主性を尊重しなければならないと思うのです。応益割の方が多いという今の自治体の現状からいきましても、低所得者が圧倒的に多いという実情にどう対応していくか、自治体自身の知恵でそういうふうになっていると思うのです。したがって、自治体がそういう非常に努力されていることに対して国が基準をつくって指導する必要はないと私は思うのですね。そういう努力に対して考えた場合に、国が基準をつくって指導するという必要はないと私は思うのです。したがって、政令などによる強制的な手段をとらないということを明確にしてもらいたいと思うのでございますが、どうでございましょう。
  48. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 保険料につきましては各市町村間でいろいろ格差があるということで、国としても、また地方団体としてもできるだけ平準化を図っていくことが望ましいという考え方を持っておるわけでございます。  今後、国としては地方公共団体の御意見も十分尊重しながら保険料負担の平準化を進めたいと考えておりますし、また市町村の側からも、お互いに協議をしながらそういう方向へ持っていこうということを言っておるわけでございますが、いずれにしましても、ただいま御指摘ありましたように、国民健康保険は市町村において自治体の自主性というものも基本にしながらやっておるわけでありますから、私どもの方では、この政令というのは一つの標準として地方自治体がいろいろな意味で考え方の見本と申しますか、よりどころということになればと思っておる次第でございます。したがって、自主性を損なうような形で直接にこれを制定をするというようなことは考えておりませんし、また今後とも保険料負担の平準化実施に当たりましては市町村の自主性を十分尊重してまいりたいと考えております。
  49. 永井孝信

    永井委員 今の局長の御答弁を聞いておりますと、地方自治体の自主性を損なうようなことまでは強制的に考えていないという趣旨なんですね。よろしゅうございますか。
  50. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 はい、そのとおりでございます。
  51. 永井孝信

    永井委員 今そういう答弁をいただいたのですが、今度の法改正の八十一条の関係ですが、八十一条はこのようになっています。従来は「賦課期日、納期、減額賦課その他保険料の賦課及び徴収等に関する事項は、条例又は規約で定める。」こうなっているものが、今度は「政令で定める基準に従つて条例又は規約で定める。」このように法改正が提案されているわけですね。これは保険料の賦課及び徴収等に関するものでありまして、「政令で定める基準に従つて」ということは、その条文をそのまま読めば、地方の自治体が決める条例あるいは規則というものは国で決めたものに従ってやらなければいけないよという、いわば条例そのものを縛ってしまうことになりはしないのか。したがって、今局長が答弁されましたように、それぞれが自主努力をされているわけでありまして、知恵を絞っているわけでありますから、それを法改正によって国から押さえつけてしまうということになりはしないか。最前の答弁がそのとおりであるとするならば、この条文が将来にわたって強制するものではないということを私はここで明確にしてもらいたいと思うのですが、どうでございますか。
  52. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 今回の改正におきまして第八十一条にただいま御指摘のような「政令で定める基準に従つて」という字句を挿入するという部分はございます。これは、今回保険基盤安定制度を恒久化することに伴いまして保険料あるいは保険税の軽減総額を公費で補てんするというところから、この保険料の減額を初めといたしまして保険料に関する所要の事項について法律上規定の整備を行おうとするものでございます。  これは先ほどからも御議論がありましたように、地方においてそれぞれ自主性を持って努力している、そのとおりでございまして、私どももそれを尊重いたすわけでございますけれども、国民健康保険の保険料としておおよその標準というものが考えられるわけでございます。これがやはり国民健康保険法という法律によってできた制度でございますから、そういう標準的なものというものはやはりどこかであってしかるべきであろう。しかし、それは標準でありまして、それに条例なり規約が合致しなければ絶対にそういうものを認めないというようなものではない。したがって、各市町村における最終的な徴収の姿というのは条例または規約で定めるという形になっておりますので、私どもも、この基準というものを直接に押しつけるということを考えておるわけではございません。
  53. 永井孝信

    永井委員 くどいようですが、この改正の条文を見ると、私どもは専門家ではありませんけれども、立法におりましても直接専門的な分野ではないのでありますが、しかし、どう見ても八十一条というのは「政令で定める基準に従つて」、こういう条文が入っているわけです。私はここに非常にひっかかりを持つわけですよ。したがって、今局長が答弁されたことがきちっと保証されるということだけを再度確認しておきたいと思うのですが、どうでございますか。
  54. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 この条文によりましても最終的には「条例又は規約で定める。」ということになっておるわけでございますし、この政令で定めるものも基準でありますから、市町村が条例または規約で定めるときに一つのモデルというようなものがあった方がいいという考えもあります。そういうものを私どもは決めたいと思っているだけでございますので、これは法律上の規定の整備という意味において、先ほどから申し上げている趣旨については改めて同様の答えをさせていただきます。
  55. 永井孝信

    永井委員 そこで、一九八七年度における赤字市町村数ですが、厚生省の資料を見ますと二百五十四、率にして七・八%となっております。それぞれの一般会計からの繰入金がなかったとした場合の赤字市町村数は六百十三、一八・八%にもなっているわけですね。今度のこの改正案によって、あるいは老人保健拠出金の増加によって、今後市町村の財政状況はどのようになるとお考えになっていらっしゃいますか。
  56. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 市町村におきます国民健康保険事業の運営は、医療費とか被保険者の所得の状況等から大きく影響を受けますし、また、そういった要素が変動いたしますとそれぞれいろいろな変化がございますので、各市町村ごとに財政状況が具体的にどうなるかということを見通すことは極めて困難でございます。しかし、いずれにいたしましても、国庫補助の助成を強化いたしまして保険基盤安定制度を恒久化し、さらに財政調整機能を高めるという、この国民健康保険制度の改正にあわせて、老人保健拠出金に係る加入者按分率も一〇〇%になるということから保険料負担の軽減、抑制が図られるという効果が出ることは間違いないわけでございます。これがそれぞれの市町村にどのようにどれだけ影響するかという点は、先ほど申しましたように具体的に申し上げることは困難でございますけれども、国保制度の安定に相当程度寄与していくものになるであろうということを私どもは考えております。
  57. 永井孝信

    永井委員 せっかく国の助成もふやして安定化を図ろうというわけでありますから、今申し上げたように一般会計からの繰入金がなかった場合の赤字保険者数が六百十三にもなっている、十大都市及び特別区においても一般会計からの繰り入れがなかった場合に実に九七%もの赤字団体ということになってくるわけですね。そう考えますと、やはりこれだけの法改正をやって国が安定化計画に乗り出すというのであれば、今局長が答弁されたように、実際どのような効果をもたらすかという見通しがつかないということでございますけれども、しかし、そのことについて、後どうなったかという検証をする責任があると私は思うのですが、これはどうでございますか。
  58. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 今回の国民健康保険法の改正の内容につきましては、特に保険基盤安定制度という低所得者の保険料軽減に対する公費助成の制度を恒久的なものとする、あるいは国庫補助の増額分を財政調整分に重点的に配分するということになっておりますので、少なくとも、今後財政力の弱い市町村に対して重点的に国費の助成が行われるという効果が出てくることは明らかでございます。私どもとしては、個々の市町村における保険事業の運営状況というものを十分に見まして、それに対応した助成というものを的確に行ってまいりたいと考えておりますし、また、この制度が実施された暁には、それが市町村の財政状況にどのような影響を及ぼしたかということについては十分検証をさせていただきたいと考えております。
  59. 永井孝信

    永井委員 厚生省の仮定した試算によりますと、サラリーマンの医療保険から老人保健及び退職者医療への拠出金の合計が増加し続けていくわけです。一九八八年度における被保険者一人当たりの拠出金の金額と料率というものは、厚生省の資料によりますと政管健保で年間二万九千円です。八・三%の料率中二・二%に当たります。組合健保で同じく三万三千円、八・一%中これも同じく二・二%であったものが、仮定された試算によりますと、二〇〇〇年度においては、政管健保で九万八千円、率にして一一・三%中四・七%を占めるということになっています。これは厚生省の資料です。組合健保でいいますと十万三千円、一〇・三%中四・七%と推計されているわけです。  今回のこの八百五十億円ということによる財政効果は、このように、組合健保でいいますといわゆる一般勤労者、サラリーマンが中心でありますが、このサラリーマンに過大な犠牲を求めていくということになっているわけです。言いかえれば、一般勤労者の過大な犠牲の上に将来軽減する効果を持つという形になるわけですが、これは一体どうでございましょう。とりわけこの国保以外の被保険者は、たとえそれがわずかの率であれ、わずかの金額であれ、当然一般会計から国保財政に繰り入れられていくということになりますと、理屈の上ではいわゆる地方税の中からさらに負担することになっているわけですから、これについてどのようにお考えをお持ちになっていますか。
  60. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 確かに、今後高齢化が進んでいくに伴いまして老人保健拠出金あるいは退職者医療拠出金、この被用者保険からの拠出金負担というものは増大していくわけでありまして、私どもも、これにいかに対処するかについて真剣に考えていかなければならないと思っておる次第でございます。  国保と被用者保険との関係、さらにその間に老人保健というものが介在いたしまして、この関係というのはなかなか複雑になっておりますが、いずれにしても、基本的には老人の医療費を国民全部で共同に負担し合おうというところから、従来に比べますと被用者保険の拠出金負担が重くなってまいりまして、一方、国民健康保険の方は結果として老人保健の拠出金については若干軽くなってまいっておりますが、その間においてやはり被用者保険に対する何らかの対策というものも必要であろうということから、今回、老人保健における特別保健福祉事業というようなことから健康保険組合等に対する国の助成というような仕組みも取り入れたわけでございますので、この問題については、やはり双方の関係を十分に考えながらいろいろとバランスをとって対策を進めていく必要があろうか、こう考えておる次第でございます。
  61. 永井孝信

    永井委員 そこで、いわゆるこの給付と負担の公平化という問題が政策課題として問われてくるわけですね。いわゆる医療保険制度の一元化という問題であろうかと思うのでありますが、一九八四年の四月に発表された厚生省の「今後の医療政策の基本的方向」というものがございますが、それによりますと、全制度を通じる給付と負担の公平化は昭和六十年代後半に実現するとしているわけですね。その後の国会答弁では六十年代後半のできるだけ早い時期にと明言してきているわけです。この一九九〇年、ことし平成二年というのは昭和でいいますと六十五年に当たっておりまして、これまでの経過から見て、政府としては一元化に向けた方針及びそのスケジュールを当然現在の段階では明らかにすべきときが来ているのではないかと思うのですが、これは大臣、いかがでございましょうか。
  62. 津島雄二

    ○津島国務大臣 老人医療費の高騰に伴います国民健康保険そして被用者保険、それぞれ抱える問題、そして、その中間に老人保健制度が介在するという今の問題のあり方については局長からお話ししたとおりでございますが、今回御提案をいたしております国民健康保険の改正につきましても、それからまた被用者保険の方で、先ほど申しました特別保健福祉事業で何とか加入者按分率一〇〇%に来たことに伴う、被用者保険の方を安定をさせていこうという、この現在の御提案を早くお認めいただく必要があるわけでありますが、これをしも基本的に制度全体が安定したとはいえないじゃないかという恐らく委員のお気持ちがあるであろうと思います。私はそれは率直にお認めをいたします。  そして、それを改善していくためには六十年代後半の早い時期に一元化ということで抜本的にひとつ解決してほしいという考え方があるわけでございますけれども、そしてまた、六十年代後半の早い時期にということを何度も歴代の大臣が答弁していることも事実でございますが、今の私の気持ちを率直に申し上げますと、そういう目標に向かって進まなきゃならないけれども、当面まず一〇〇%加入者按分率が実現をしたところで、一体老人保健制度をこれからどういうふうに適正に運用していけるのだろうかということを真剣にまず議論することが次へのステップの第一歩ではないか、そういう意味で委員御指摘のお気持ちそのまま私も同感しつつ、これからの進め方としては老人保健制度について基本的に検討してもらいまして、その検討状況を踏まえて、我々の気持ちで一歩でも二歩でも進んでいく、次のステップをまた御提案をしたいというのが私の考え方でございます。
  63. 永井孝信

    永井委員 大臣の方のそういう姿勢を私どもも一応これからの展望として正しく受けとめて改善を図っていきたいと思うのですが、国保そのものは、今も問題にしておりますように、給付率は最低なのに保険料が一番高いのです。これはもう紛れもない事実なんですね。給付と負担の公平化というなら、この制度はいわば不公平のシンボルだと私は言わなければならないと思うのです。したがって、それは一体どのように認識されているのか、再度お伺いしたいことと、せめて国保の給付率を引き上げる方針をこの際明らかにすべきではないかと思うのですが、大臣どうでございますか。
  64. 津島雄二

    ○津島国務大臣 現状から見ますと、やはり負担と給付の問題について問題がございます。これはもう低所得者や高齢者の加入割合が高いというようなことから、どうしても宿命的に出てくる国民健康保険制度の今の現状でございますが、それであるからこそ、ここ毎年制度改正をお願いしてまいったわけでございまして、今後国庫助成の強化ということも含めまして、保険料負担の軽減、抑制に努めなければならないだろう、これは基本的に言えることであろうと思います。  ただその場合に、それでは給付率を八割の線で、何というか公平化を図るという線があるからどうだと、こうおっしゃるわけでありますけれども、これは率直のところを申し上げまして、今七割給付で、そして高額療養費制度を加味いたしますと大体実際八割に近いところへ来ているわけでございますね。これ以上に給付率を上げるということは、私は本当に率直に言って非常に難しいと思います。そういうことで、負担面の公平化を図ることをどうしたらいいかということを重点にまず取り組んでいかなければならない。給付率のあり方につきましては、やはりその後の問題ではないだろうかというふうに受けとめておるところでございます。
  65. 永井孝信

    永井委員 今の大臣の御答弁は、七割給付だけれども実質的には高医療の負担額を入れますと八割負担に限りなく近づいているという趣旨だと思うのですね。私が求めている負担と給付の公平化、これは政府の立場でいいますと保険医療制度の一元化ということになっていくのですが、八割で一元化をせよと私どもは求めているのではないのです。日本のこの経済大国と言われている経済力から見て、国際的に見た場合にも、もっと給付率を高めるべきだという基本に私どもは立っているのですよ。一元化というのは、悪い方へそろえることが一元化では困るのです。限りなくいいようにしていく、その方向にそろえていくことが一元化だと私は思うのです。これはひとつ私は大臣に、厚生行政を担当する責任者に対してこのことを厳しく指摘をしておきたいと思うのです。  実は、ことしの三月七日でありますが、朝日新聞の社説にこういうことが出ておりました。非常に興味深い内容でありますが、二十兆円と言われているこの医療費は果たして高いのかということで、長い社説でありますから全部を御紹介することはできませんけれども、そのさわりのところだけ言います。例えば、OECDから発表されている資料によりますと、先進二十四カ国のうち一人当たりの医療費の比較で見ますと、米国が日本の二・二倍、カナダ一・六倍、スウェーデン一・三倍、その後にずっと続いていくのですが、日本は十四番目になっているのですよ。しかも、日本の医療費には他の先進諸国では福祉が受け持つ経費まで含まれているわけですね。したがって、それを仮に他の先進諸国並みに線をそろえると、恐らく先進国中二十位あたりにランクされるであろうと指摘されているのですよ。これは朝日新聞の社説ですがね。私は朝日新聞の受け売りをしているのですよ。そういうふうに指摘をしているのです。「なぜ、日本人一人当たりの医療費が先進諸国に比べて安いのか。」それは、病室が狭い、人手が極端に少ない、こういうことを指摘しています。したがって、「心配なのは、厚生省が患者一人当たり、一日当たりの医療費を、さらに減らすことに熱中しているようにみえる」こう指摘をしています。  後で大臣にこのことに対する感想を聞きますが、したがって、むしろ厚生省がまず手をつけるべきことは、医療従事員、いろいろな職種がありますけれども、この医療従事員を先進諸国並みに充実することが結果として診療報酬を厚くすることになっていかないか、よい医療を提供することになっていくのではないかと指摘しているのです。私は、これを読みまして本当にもっともだと思うのですね。私は、この二十兆円が高いからこれは早いこと何か削減をせないかぬ、抑制せないかぬということだけが先走りしているのではないかと思うのですが、大臣の御感想を聞きたいと思います。
  66. 津島雄二

    ○津島国務大臣 ぜひ私の感想を聞いていただきたいと思います。  今の新聞の社説でございますけれども、高齢化の現状を踏まえずに現状では十何番目であるというような議論をやっておりますと、私どもははたと気がついたときにはとても困ってしまうということになってはいけないということでございます。日本のこれからの高齢化のスピードというのは先進国のどの国よりも速いスピードで高齢化をしていって、これからもう目の届く先のところでOECDのあらゆる国を追い越してしまう。それに耐えていくにはどうしたらいいかということを私どもやはり真剣に考えなければいけないと思うのでございます。  我々は現在の二十兆の医療費そのものが多過ぎると言ったことはございません。私も国会でも言ったことはございません。医療従事者が一生懸命やっていただいておって、今優良な医療サービスを提供していてありがたい、これを二十一世紀まで守っていくにはどうしたらいいかということを真剣に考えているわけでございます。  それで、実はオランダに私どもの次官が参りまして、ついこの間向こうの厚生省の高官と意見を交換したのでありますけれども、やはり医療費の高騰ということが大問題でございまして、そして日本と違いまして国民皆保険がない、全部がカバーされておらないものですから、公的保険制度にカバーされてない人々が非常に大きな問題を抱えているという御指摘がございました。私もポーランドにこの間出張いたしましたが、ああいう社会主義であった国におきましても、医療費のこれからの高騰をどうしたらいいかということを真剣に考えておりまして、私がびっくりいたしましたのは、やはり自己負担についてはある程度考えていただかないと我が国の医療制度はもたない、これはポーランドの厚生大臣から私におっしゃったことでございます。  でございますから、この今の優良な医療制度を二十一世紀まで維持をしていくということについて私どもはあらゆる工夫をしてやっていかなければならない、ただ、国の間の一人当たりの医療費が現状ではどうであるかこうであるかということでは議論が進まないことは委員も御承知のことであろうと思います。
  67. 永井孝信

    永井委員 御感想をお聞かせいただいたわけでありますが、ともすれば膨脹し続ける医療費をどうやって抑制するかというところに視点が向きがちなんですね。そのことをこの朝日の社説が厳しく指摘していると私は思うのです。だから、今言われましたように背景はいろいろ違います。違いますけれども、少なくとも医療充実ということから考えると、単に医療費が膨張し続けるから抑制しなくてはいけないというところだけには視点を持たないように、私はここでお願いをしておきたいと思うのですね。  そこで、医療費の適正化に関する問題でありますが、実は医療費の適正化に向けた主な施策としては、医療保険サイドから見ましたら、医療機関に対する指導、監査の強化、レセプトの審査、点検及び医療費通知の充実あるいは診療報酬及び薬価基準の合理化、適正化、こういうものがあるわけですね。  そこで、私はここでお伺いしておきたいと思うのでありますが、プライバシーにかかわる問題として、患者本人の疾病に関する記録もしくは記録に準じるものとしてカルテ、レセプト、健康手帳の三つがあるのですが、この医療保険制度の中にこれが定着していると私は思うのですが、これは間違いございませんか、一言で言ってください。
  68. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 ただいま御指摘のカルテ、レセプト、健康手帳、これは老人健康保険の場合健康手帳と言っておりますが、一般の場合には被保険者証というのがこれに該当するものでございまして、そういうものにつきましては患者の傷病等のプライバシーに関する情報が記載されている、この制度の中の記録文書でございます。
  69. 永井孝信

    永井委員 そうだといたしますと、本人の疾病記録なのに本人が管理できないというような性格を持っているわけですね。それはカルテとレセプトでありますが、このプライバシー保護の観点からこの二つについてどのように位置づけをされているのか、簡潔にお答えください。
  70. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 カルテは診療を行った医師が、その診療結果、治療法等を記載いたしまして医療機関において保管すべきものというふうになっております。一方、レセプトは保険医療機関が保険者に診療報酬を請求する際に作成いたしまして、最終的には保険者が保管するもの、こうなっておるわけでありますが、いずれにしても、患者の傷病等のプライバシーといったようなものが問題になりまして、医師が刑法上そういう秘密をゆえなく漏らしてはならないという規制をされております。その際には患者の秘密というのはその内容を指すものでありまして、このカルテ、レセプトという紙そのものとはまた別の考え方がとられているというのが現状でございます。
  71. 永井孝信

    永井委員 そうしますと、守秘義務のかかっている医療従事者及び公務員以外の目にその中身が触れる、そういう例として保険請求事務がありますね。保険請求事務をやろうとすれば、数で照合しないと保険請求はできないわけでありますから、そうすると、この保険請求事務とレセプト点検という問題について、やはりプライバシーとの関係で大きな問題を抱えていると私は思うのですが、これが、外部委託が最近盛んにされていると聞いておりますが、その実施状況を調査されたことがございますか。
  72. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 レセプト点検の保険者外への委託の実施状況につきましては、厚生省が平成元年七月に調査をいたしました。これによりますと、健康保険組合のうちで約一八%、それから国民健康保険のうちで約一〇%、老人医療の実施主体の市町村の九%におきまして外部委託が行われております。しかしながら、そこにおきましては秘密保持のために契約条項を設ける等、委託に関していろいろな配慮が行われておるというのが実情でございます。
  73. 永井孝信

    永井委員 今、例えば国保で言いますと外部委託されているものが一〇%程度だ、こういうわけですね。ところが、この外部委託が結果としてプライバシーの保護という問題から逸脱をしているのではないかという一つの心配がございます。  もう一つは、この外部委託を受けた企業は、いえば営利企業ですね。この営利企業が保険者の意に沿うために、いえば診療内容にまで踏み込んでレセプト審査をしているという傾向が非常に心配をされているわけです。例えば保険診療システムというものの中に民間の営利企業が事実上介入することになる、医師以外の者に診療内容に立ち入る点検を行わせることになる、保険者による再審査請求増大というものは本来の審査委員会の機能というものを形骸化させる結果になっているのではないか、こういう問題が指摘をされているわけですね。これについてどのようにお考えになりますか。
  74. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 レセプト点検は、本来保険者が医療費を支払うためにその内容を確認するということで保険者みずからが行うべきものでございます。したがいまして、私どもも外部委託については、むしろ保険者が直接やる方が望ましいとは思っておりますけれども、いろいろな事務処理上の人手の問題、その他運営上の問題から保険者の判断において間違いのないように外部委託をすることはやむを得ないということを考えております。ただ私どもとしても、レセプトの点検につきましては、今御指摘のありましたような問題については十分これに留意をしながら行っていかなければならないと考えておりまして、ことしに入りましてから指導方針を明らかにして示しております。  例えばその要点を申し上げますと、保険者側の委託業者に対する監督責任というものを十分明確にする必要がありますので、そのような措置を行うこととか、あるいはレセプト点検は保険者の指示監督が容易な場所で行わせる、さらに委託契約書に守秘義務を明記いたしまして、その義務に違反した場合の契約解除の規定を明らかにするというようなことも指示しております。  さらに、先ほど御指摘ありましたように、保険者の意に沿うようにいろいろと医療内容に沿って素人が審査をするという点につきましては、これはそれで内容が決まるわけではございませんで、やはり支払基金の専門家による再審査によって決まるわけでございますから、直接医療行為に介入ということにはならないわけでございます。ただ、例えばできるだけ点数の減額を行った場合に報酬が多くなるというようなシステムの契約はしないようにという指導もいたしております。  また、支払基金における再審査につきましては、これは保険者と医療機関と双方から行われることになっておりまして、それぞれ疑義が生じた場合にもう一度それを明確にしておくという意味において、やはりこの活用については、もちろん乱用という弊害に陥らないようにしながら、適切に運用していく必要があらうかと思っております。
  75. 永井孝信

    永井委員 今局長が言われておりますように、部外委託をする場合のあり方というものは、都道府県の関係課長会議の席上でもことしの一月に指導されているわけですね。指導した以上は、それがどのように実施をされているか、その成果というものは当然点検すべきですね。指導のしっ放しではだめですね。なぜ私はここでこの問題を申し上げるかというと、ある保険者では、この外部委託をした場合にかなりの支出、経費が要るけれども、それによって減点効果が著しい、しかもその上に特別調整交付金が上乗せされて、いえば特別調整交付金を上乗せをしてもらおうと思えばやめられない問題だというふうなことを言っている保険者もいるのですよ。私はそのことが目的で守秘義務にまで突っ込んだり、本来医師の持つべき診療内容にまで立ち入るということがあったのでは大変ですから、せっかくここまで指導されたとすると、その後の点検だけはきちっとしてもらいたい、このことを要望しておきたいと思うのですが、どうですか。
  76. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 御指摘のように、この問題については非常に慎重に扱うべき問題でございますので、私どもとしても、外部委託の実施状況について適正を期するために今後とも継続的に実態把握をいたし、さらに指導に努めてまいりたいと考えております。
  77. 永井孝信

    永井委員 時間がありませんので、気にかかっておる問題だけちょっと走ってお伺いしたいと思うのですが、診療報酬の引き上げが行われました。これは、厚生省によると引き下げ改定ですね。薬価基準は引き下げられました。厚生省の言われていることは、そのことによって実質的に一%程度の診療報酬の引き上げになった、こう言われておるのですが、保険医の皆さんが調べられた資料がここにあるのです。全国を調べたわけじゃないのですよ。六医療機関六百五十七枚分のレセプトの二月分を今度の診療報酬の単価の改定と薬価基準の改定、これによって置きかえたら一・一%ダウンだった、こういう結果が出ているのです。ところによっては五%ダウンだったというところもあります。これについて、本当に診療報酬は結果として引き上げられたとお思いになっていらっしゃいますか、どうですか。
  78. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 診療報酬の改定につきましては、私どもはまず医療費の全体の枠で何%の改定をするということを決めるわけでございます。そして、その枠の配分を実際にどのような医療行為に当てはめるか、これは専門家の御意見も伺い、中央社会保険医療協議会でお決めをいただくことになっております。したがって、私どもは医療費全体としての枠の改定については実質一%を用意いたしております。ただ、個別の医療機関における点数の変化というものにつきましては、例えば一方において薬価基準を引き下げておりますから、薬価基準に載っている品目によってはいろいろ引き下げ率が違うという問題と、それから、例えばこの一%、あるいはその他の場合も同じでございますが、その改定の枠の中で新規に点数を設定したり項目の組みかえというものも行っております。この新規設定などは、例えば従来の請求では認められなかったものを認めるということもございますから、単なる置きかえということになりますと、その改定が反映してこない、こういう面もございます。いろいろとその診療内容に応じて影響度が個別には違っておりますので、個々の医療機関における現実の影響度というものは、これはある程度差があるのはやむを得ないだろうと思いますが、私どもは、全体としての医療費を実質一%改定いたした、このように考えておる次第でございます。
  79. 永井孝信

    永井委員 これは実態を調査してみないとわかりませんけれども、厚生省は一%上がったと言う、現場の方は一%以上下がったと言う、この乖離をどうやって整合性を持たせるのか。私は、これは診療報酬の改定を行った側としてやはりきちっと調査すべきものは調査をして、現場と行政の側との乖離を埋めるような形での診療報酬の改定でなければいかぬと思うのですね。薬価基準を引き下げて、そしてこの診療報酬を引き上げるということは私は前から言ってきました。例えば薬づけと言われてきたときがあった、薬価差益に頼るという医療であっては困る、人命を預かるのだから、その人命を預かる医師としての技術料をもっと高く評価すべきだということを私は何回も言ってきた経過がこの委員会でもございますが、そういう意味では、薬価基準が引き下げられて、引き下げられてというか適正化されて、そして診療報酬の単価が引き上げられるというのは、私は当然の筋道だと思っています。  しかし、そうはいっても実態はそうなっていないよという現場の医師の皆さん方の実際の経営状態を聞きますと、果たしてこれでいいのだろうかなということになっていくのですね。やはり医師の皆さんが安心して医療を施すことができるという形をつくっていかないと、環境やそういう実態をつくっていかないと、本当の意味の国民の期待する医療になっていかないと私は思うのですね。だから、私はこの問題をここで提起しているわけです。  ところで、特定の人の名前を挙げて恐縮でありますが、厚生省の松永さんという方が週刊社会保障に寄稿されています。これは今度の「診療報酬改定の内容と考え方」ということを記録されているのですが、その中で私は非常に気になることがあります。それは例えば、国民健康保険法の改正も医療法の改正についても、当初の厚生省が考えていたことよりも結果としてはかなり構想の中身を小さくした、小さくせざるを得なかった。それは国会における選挙の結果を受けてのことでありましょうけれども、そこで、「周囲」、その「周囲」というのはどこだか知りませんよ、「周囲からは、大臣告示のみで決定できる診療報酬改定に大きな期待の声が出されていた。」こう現状言われているわけですね。これは周囲から言われていることでありますから私はそれはそれなりに受けとめているのでありますが、その診療報酬の改定の中にこういうことが言われています。  診療報酬改定に当たって考えるべきコストの問題、三つの要素がある。そのコストアップの三つの要素というのは、「一つは、公務員の給与改定を勘案した医療従事者の人件費アップ、二つは、中医協意見の反映であり、社会全体の労働時間短縮や公務員の四週六休への移行等を考慮しての医療機関における週四十二時間労働体制の整備、」これは結構なことですね。「三つは、消費者物価の上昇に伴う物件費のアップ」、このようにコストの三つの要素というものをここで指摘されている。これは当然なことだと思うのですね。ところで、その後に言われていることは、「診療報酬のアップ分、薬価基準のダウン分によって、実質医療費増は久し振りに一・〇%にとどいた」、今厚生省が言われているとおりですね。一%上がりました、こう言われているわけですが、その一%上がったことを受けてこのように言われているわけです。「これは今回、四週六休への移行を考慮したことから大きなものになったものである。厚生省としては、すべての医療機関において四週六休を実施できるだけの財政的な手当てを行ったと考えており、次回以降の改定では、四週六休の要素で医療サイドが診療報酬改定要求を行うことは困難との考えである。」と断定されているのです。大臣、一%でそんなことは可能ですか。一%のアップでそれが可能ですか、どうですか。
  80. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 診療報酬の改定の考え方に関連するものでございますけれども、いろいろな要素を加味しまして、どういう医療費にするかということを専門家の御意見も聞きながら決めていくことになるわけでございます。先ほど御指摘がありましたように、物価の上昇でありますとか労働時間の短縮の問題でございますとか、最近におけるそういう社会経済状況等もいろいろ十分考慮いたしまして今回点数の改定を行っておりますが、その際に診療報酬以外に薬価基準も引き下げておりますので、その影響を勘案して、その薬価基準の引き下げ分に見合う財源を診療報酬の改定に振り向ける、そうして、さらにその上に一%の実質増を乗せる、こういうことでございます。  したがって、診療報酬そのものにつきましては結果的に約三・七%の改定分という考え方もとれるわけでございまして、その三・七%相当分をどこにどれだけ振り向けるかについては、四週六休というものが実現できるような数字的な指標を用いてこの医療費の配分を決定いたしました、こういう趣旨でございますので、もちろん、医療機関ごとのそれぞれの事情について個別に一つ一つ、労働時間あるいは賃金までの対応も含めて決定したということにはならないわけでございまして、医療費の改定率の考え方として、そういうものが可能になるような要素を十分考慮して決めた、こういう意味におとりをいただきたいと思う次第でございます。
  81. 永井孝信

    永井委員 繰り返して恐縮ですが、コストの三つの要素の中に公務員の給与改定が入っています。これは、それぞれの医療機関においては医療従事員を抱えているわけですね。この人たちの待遇改善も図っていかなければいかぬ、そして四週六休と言われているように時間短縮も図っていかなければいかぬ。時間短縮を図ろうとすれば、医療従事員をさらにふやすことによって初めて可能になっていくわけですね。現実は看護婦さんが足りない。きょうは時間がありませんからこのことは触れませんけれども、圧倒的に看護婦さんが足りない。その看護婦さんが足りないときに、待遇をよくしないと看護婦さんは来ない、これは需要と供給の関係ですね。  そう考えていくと、厚生省は一%の実質アップだと言っている、現場の医療機関は一%以上マイナスだと言っている、これは非常に大きな乖離がある。その乖離があることはさておいても、今回の改定によって例えば医療従事員の拡充をさらに必要とするような四週六休制を実施するについても、今度はこのことが理由での診療報酬の改定要求は行うことはできませんよと断定しているということは、私は現実と非常に大きなそごがあると思うのですね。  これは生の資料でして、ここで全部読み上げるわけにいきませんけれども、私はある医療機関の四月分の実績をコンピューターに打ち込んだものを全部そこへ行ってもらってきました。これはうそも隠しもない内容です。三月分と四月分の比較をしてもらいました。膨大な、これは一つの項目に件数が入っていますから、この段は全部診療の内容の違いなんですね。これでいきますと、今度の薬価基準の引き下げと診療報酬の改定によって、上下の分がかなりありますけれども、総体的にいいますと診療件数の多いものほど実質はマイナスになっています。この資料で歴然と出てきます、三月分と四月分の比較ですから。  しかし、この病院はかなり経営のいい方でございまして、それでも調べてみると、三月分と四月分の診療件数や中身はほとんど変わっていないのですよ、変わっていないのだけれども、そこでプラスになった分を全部計算をしますと〇・一五九%のアップにとどまっているのです。そこでその院長は嘆きました。ここは医師が三名、そのほか従事員全部含めて十二名の医院でございますが、嘆いておりました。一般の勤労者が五%、六%の賃上げをしてもらっているときに、〇・一五九%のアップで従事員の賃金の改善ができると思いますか、意欲を持って医療に当たれると思いますかということをここの経営されている院長は私に言いました。  きょうは細かいことを言う時間はありませんけれども、私はこれは医療の現場の実態だと思うのですよ。だから、薬価基準を適正化することは結構、これはもう当然。薬価差益に頼るような医療は本来間違いですから。だから、薬価基準を適正化するのは当然なこと、そのかわり医師の技術料というものは的確に見てあげる、そして十分に医療行為ができるような、国民が信頼できるような医療体制をつくる、そのことが結果的に健康保険の財政にも影響を与えてくるわけです。病気が悪くなって過度の治療を必要とするようなことにならないようにすることも大事です。そうしますと、医療機関の体制というものは、もっとそういう面で現場の実態に合うような診療報酬の改定でなければいかぬと私は思うのです。  きょうは国保の改正問題でありますから、直接このことは国保の問題と関係ないかもしらぬけれども、そこにはつながっている。しかも厚生行政に携わる皆さんと現場の、この診療報酬や薬価基準に対する問題あるいは腫瘍マーカーの一回限りということが非常に問題になって、腫瘍マーカーショックという言葉まで生まれているのですよ、これはきょうはもう触れる時間がありませんけれども。そう考えていくと、もっともっときめの細かいことをやって、せめて診療報酬の改定は、大臣告示だけでやれるとしても、それは国会で承認案件にするとかいうことも含めて国民の合意が得られるようにすべきではないか、私はこう思うのですね、医療行政の根本的なあり方かもしれませんけれども。  もう時間が来ましたので、きょうはこれ以上議論を避けておきます。次の機会に譲りますけれども、最後に大臣のそのことに対する御答弁を伺って終わりたいと思います。
  82. 津島雄二

    ○津島国務大臣 永井委員の非常に詳細な御検証にまず敬意を表したいと思います。  いろいろ御指摘がございましたが、私どもも、基本的には医療サービスの問題につきましては、医師の技術料、それから看護婦を初めとするマンパワーの確保というものを重点において診療報酬を検討をする。今回の診療報酬の改定もそういう立場から行われたというふうに報告を聞いておるわけでありますけれども、個々の医療機関におきましては、例えば我々があるべき医療の姿にふさわしい診療報酬を今回導入したわけでございますから、その結果マイナスの影響を受ける個々の医療機関があり得るということもこれはやむを得ないであろう。ただ、委員が御指摘のように、本当に医師の技術料の評価とか、それからマンパワーを充実するという方向で十分ではないということがございましたら、やはりこれは是正をしていかなければならないであろうと思っております。  いずれにいたしましても、この改定の効果等については、医業経営の実態調査も行っておるわけでございまして、今後、中央社会保険医療協議会の御議論に適切に反映をさせまして、基本的には今先生の言われたような点を考慮して、これからも取り組んでまいりたいと思います。  なお、この診療報酬の改定を国会の直接の審議の材料にしろという点につきましては、委員のような非常に詳しい方は例外かと思いますけれども、私は、国会議員が個々の診療報酬について責任を持てと言われましても、これはやはり非常に難しい問題であろうと思いますので、当委員会を通ずる問題の指摘等、適切に反映させつつ、中央社会保険医療協議会において十分審議をしていただく、厚生省としても一生懸命取り組むということがいいのではないかと思っております。  なお、一言付言をいたしますと、いずれにしても予算に係ることでございますから、そういう意味では国会議員の議論の可能性は十分あるということも付言をさせていただきます。
  83. 永井孝信

    永井委員 終わります。
  84. 畑英次郎

    ○畑委員長 沖田正人君。
  85. 沖田正人

    沖田委員 日本社会党・護憲共同の沖田正人であります。  このたびの改正に当たりまして、いろいろと提案理由の説明を伺っておるわけでありますが、国民健康保険制度の安定化を図ることを目的としていると言われますけれども、その背景と内容について改めて大臣から明らかに説明をしていただきたいと思います。
  86. 津島雄二

    ○津島国務大臣 国民健康保険の制度は、被用者保険と並びまして我が国の医療皆保険を支える大きな柱でございます。この制度、国民健康保険の制度は、高齢者の比率が被用者保険等に比べて高い、そしてまた、老人医療費が高齢化に伴って高騰するというような構造的な問題がございまして、その安定が求められてきたわけでございます。そういう中で、昭和五十八年から老人保健制度が発足をいたしまして、老人保健制度に国民全体で参加をして支えるという立場から制度を支えていく、その結果として国民健康保険制度に過度にかかっている負担を軽減するということが行われ、そして、その制度の目的を達するためには、いわゆる加入者によってその制度への拠出金を決めるという按分割合をだんだんと上げてきて、本年度から一〇〇%加入者按分率で拠出をしていただくということになってきたわけでございまして、この制度の推移を見ますときに、全体として老人保健制度を構築していく中で国民健康保険制度の安定を図るということがねらいとしてあったことは事実でございます。  こういう老人保健制度のみならず国民健康保険が市町村によって行われているということから、市町村における給付と負担のばらつきという問題も指摘をされておりましたし、それがまた低所得層の方々が地域によってばらつきがあるということから、国民保険制度の構造のゆがみと申しますか地域における不均衡をもたらす、こういう問題もあったわけであります。そういうことで、その低所得個に着目をする基盤安定制度が暫定的な制度として行われてきたわけでありますが、今回これを恒久的な制度として取り入れたいということが今回の改正の中心になっておるわけでございます。そういうことを通じまして保険財政基盤を安定化する、そして、結果として国庫補助制度を拡充するということをいたしまして、国民健康保険制度の一層の安定を図るというのが今回の改正案の趣旨でございます。
  87. 沖田正人

    沖田委員 保険料の平準化を図ることも大きな目的の一つだと言われているわけでありますけれども、その内容について簡明にひとつお尋ねをいたします。     〔委員長退席、持永委員長代理着席〕
  88. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 保険料を、市町村においてかなり格差がございますので、できるだけ市町村間において、これは医療費が異なることによってまた差がつくというのはやむを得ない面もございますけれども、できるだけ合理的な説明のできる範囲内での格差にむしろとどめたい、こういうことが関係者の間で従来から言われております。しかし、問題といたしまして、それぞれ市町村ごとにいろいろな状況が違いますために一律に同じような金額にするというのはまた困難でございますし、また徴収方法等も市町村の実情に応じて、いろいろ過去の経緯等もあり完全に形式的な一致をさせるというのも困難でございますが、できるだけ実質的に格差のない方向に持っていきたい、こういうことを今真剣に考えておる次第でございます。
  89. 沖田正人

    沖田委員 いわゆる格差是正といいましょうか平準化といいましょうか、この十年間に大変な開きが出てきたことは先ほどの永井理事の質問でも明らかなとおりでありますが、十年間もこのような実態というものが放置されてきた、その責任というものについて厚生省はどのようにお考えであるか、所見を伺いたいと思います。
  90. 津島雄二

    ○津島国務大臣 委員は十年間放置とおっしゃいましたけれども、私は先ほど入念にお答えをいたしましたように、厚生省としては、この問題への取り組みがやはり医療保険の取り組みの中心であったということは、委員も御専門でございますからある程度理解はいただけておるのではないかと思っております。国保制度が高齢者や低所得者を多く抱えるという、財政基盤が脆弱であるという点について先ほど申し上げましたような一連の制度改革を行い、その都度本院において御可決をいただいてきたわけでございます。  今回の制度改正もそのような延長線上にあるものでございますので、どうか御理解の上、これによる国庫助成の強化等による保険料負担の軽減、抑制というものもねらいでございますから、御賛同賜りたいとお願いを申し上げます。
  91. 沖田正人

    沖田委員 保険料の賦課基準について伺いたいと思います。  厚生省は、各市町村の条例で実施している保険料の賦課方法、特に応益割と応能割、所得割の比率について本年度を目途に基準を定めて行政指導すると言われておりますが、応能割が高い現状を改めて応益割、すなわち世帯人数に応じた負担の方法を現状より拡大する方向だと考えられているわけでありますけれども、一体これはどのようなお考えに基づくものなのか明らかにしていただきたいと思います。
  92. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 保険料につきまして各市町村間で相当な格差があるという実情がございますが、それとあわせて、国民健康保険の保険料あるいは保険税の賦課の場合に応能割と応益割との関係というものをいかに考えるかというのも一つ大きな問題でございます。  これは、仮に応益割というものの部分が小さくなりますと応能割の比重が大きくなりまして、したがって、現在のように中間所得者の負担というものが相対的に重くなるという結果が出てまいりますので、私どもといたしましては、これはまだ私どもとしての一つの考え方でありますけれども、ある程度現在よりは応益割負担の比重を高くして、そして応能割負担の比重を低くすることによって中間所得者の保険料の負担軽減を図りたい、こういう気持ちでおります。  ただ、そういう平準化の問題につきましては、これも今後関係市町村の御意見も十分聞きながら、この方向を決めていこうと思っておりますので、一つの考え方ということでございまして、方針を決定したというわけではございません。
  93. 沖田正人

    沖田委員 今から検討をされるということでありますけれども、第一に、国民負担、保険料負担の原則というものは応能負担でなければならないことへ、第二には、所得がない人や所得の低い人たちに対する保険料の軽減措置が応益割の六割から四割とされているために、応益保険料がふえれば軽減額もふえるかわりに軽減世帯の収入保険料もふえるということになってまいります。これらの二点についてどのようにお考えなのか、お伺いしたいのであります。
  94. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 先ほどお述べになりました国民負担の原則につきましては、これは考え方としてはいろいろあろうかと思いますし、応能負担というものが非常に重要なものであるということは私どもも十分認識しておりますが、国民健康保険の保険料負担という問題に限定して考えますと、やはり医療は同じ給付内容になっておりますので、その意味で各人が応益の負担というものもまたこれはしてしかるべきではなかろうか、こう思っております。問題は、その応益割と応能割のバランスをどうするかというところでありますので、そのバランスにつきましては十分関係者の御意見も伺い、これから検討をしてまいりたいと思っております。  さらに、仮に応益割の負担をふやしますと、軽減措置が現行の制度のままでは軽減世帯の負担額がふえるではないか、確かにそういう結果が出るということは御指摘のとおりでありますけれども、仮に応益割を拡大する場合にはそういう結果が生じることも十分踏まえまして、保険料軽減制度の拡充等について検討をしていく必要があるというように考えております。
  95. 沖田正人

    沖田委員 もともと国保業務は市町村に対する団体委任事務であるわけでありますから、できるだけ地方自治体の自主性を尊重しなければならないということは言うまでもないと思います。  しかしながら、先ほどの議論でもおわかりのように、八十一条の改正に伴っていわゆる標準的なものを定めるとお答えをされたわけでありますけれども、そのことは強制されるものか強制されないものか、さらに、地方自治体が自主性を持って条例などで保険料を決めたときに、その標準的なものに則しない形で定めたとしてもペナルティーを科すことのないように当然考えておられると思いますが、その点を明確にしておいていただきたいと思います。
  96. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 先ほども永井先生の御質問に対してお答えもいたしておりますけれども、市町村の自主性という面については十分に尊重してまいりたいと考えております。  保険料負担の平準化につきましては、市町村の側からもいろいろな考え方がございますから、私どもがこの問題の処理を進めるに当たってはその御意見も十分伺ってやっていく、さらに、この保険料賦課に関する政令につきましては、先ほど申しましたように一つの標準という性格を持つものと考えておりますので、それと別の条例をもって現実の保険料負担ということを市町村の判断でお決めになるならば、それはそれでしかるべき保険料負担のあり方であろう、このように考えておる次第でございます。
  97. 沖田正人

    沖田委員 将来にわたっても自主性の損なわれることのないように十分御配慮をいただきたいと思います。  次に、保険料の収納率が一九八八年度の金額にして九四・一%などと発表されておりますが、保険料を軽減された者がそれでも払えないことによるのか、それとも政管の二倍近い保険料を取られる中堅所得層が高額の余り払えないことになるのか、そもそも保険料滞納者の人数がわからないというような状況であるようでありますけれども、これは不可解だと言わざるを得ないわけであります。どうぞその点については、公費による補てんの対象の実態が十分把握されなければならないわけでありますから、この辺どのようになさるのか、お考えを伺いたいと思います。
  98. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 全体を通じまして、保険料の収納率は年々向上しているという事実がございます。また、この保険料滞納者につきまして、これは常に動いておる数字でございますから、国が全国通じて一時点で調査をするというのはなかなか難しい状況にもございますし、また、各市町村は保険者として保険料を徴収している立場上、当然滞納者については個別に把握をしておるわけでございまして、それぞれそれに対応して適切な徴収の事務をとっておるわけでございます。したがいまして、国といたしましては、市町村が保険料の徴収者あるいは国民健康保険の運営者として適切に対応をしていただくように今後とも支援をいたしたいと思っております。  なお、国といたしましては、むしろ全国的に収納率がどうなってきたかということを知るということは非常に重要なことでございますから、そういう意味で収納率の把握についてはできるだけ正確に行ってまいりたい、こう考えております。
  99. 沖田正人

    沖田委員 悪質な滞納者は療養費払いでなければ受診できないようにしておるわけでありますけれども、これを実施しているのは一九八九年度でわずか六百九十七市町村にすぎないわけであります。他の地域には該当するものがないのか、それとも実施が困難なのか。加入者の権利の制限が行われているところと、そうでないところとがあるわけでありますが、不公平じゃないだろうか。実施が困難な事情にあるとすれば、このような制度はやめたらどうか、廃止したらどうかと思いますが、この点を伺います。
  100. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 やはり、国民健康保険制度が被保険者全体の相互扶助というものを基本にして成り立っておるということから、特別の事情がないにもかかわらず保険料あるいは保険税を滞納している方に対しては、できるだけその人に対して十分な納付相談とか指導を行い、あるいはやむを得ざる事情の解消に努める等、個別の指導も必要であろうかと思っております。  そういうことで、この滞納者の実情というものの把握なり、それに対する個別の対応というものに市町村ともいろいろと意を用いておられると思うわけでありますけれども、ただいま御指摘のありましたような被保険者資格証明書を交付している市町村というのは六百九十七である。しかし、これは六十二年度に二百四十五でありましたものがふえておるわけでありますから、決して制度として意味がない、あるいは廃止すべきものとは私どもは考えておりませんが、できるだけ、ただいま御指摘のような公平という観点から、市町村が適切に運営をされるように私どもとしては期待をいたしておるところでございます。
  101. 沖田正人

    沖田委員 保険料の免除制度について伺いたいと思います。  国保には加入者の所得に着目した制度としては保険料の軽減制度だけではないわけでありますが、免除規定そのものが火事や災害によって納付困難な事態となった場合に限られているわけであります。従来の政府答弁で低所得者の保険料免除制度に対するお考えでは納得がいかないのでありますが、この点をひとつ伺いたいと思います。  そこで、一つには相互扶助に基づく社会保険制度は、保険料を納めて給付を受ける、そういうことが原則になっているわけでありますけれども、我々はその原則と例外の関係を逆転させようと言っているわけじゃありません。ただし、所得がないか、あっても低い人たちの多い国保にそれを導入したならば、事実上免除者の方が多くなってしまって、あたかも免除することが原則かのようになると言われるならば、それは例外の適用を間違えたことによるのじゃないか、国保の基本政策によるものではないと思うのでありますが、この辺のところの見解を伺いたいと思います。
  102. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 国民健康保険が相扶共済の精神に基づく社会保険制度であるということから、やはり保険料を納めて給付を受けるということが大原則であるというのが私どもの基本的な考え方でございます。また、その際に、保険料につきまして軽減は制度があるわけでございますが、全額免除ということになりますと、国保の被保険者間の負担の公平という観点から適当でないというように考えられるわけでございます。また、所得が低い状態が継続的でありまして、かなりの期間継続して免除を必要とするというようなことになりますと、これはやはり保険制度としてなじまないというように考えるべきだと思うわけでございます。  したがって、国保の低所得者が多いという特色につきましては、軽減制度をもって対応するのが適当であろうと考えておりまして、この軽減の方法等については今後ともいろいろ検討の余地はあろうかと思っておる次第でございますけれども、全額免除というのはごく例外的な場合を除いては基本的に取り入れるべきではないというのが私どもの基本的な考え方でございます。
  103. 沖田正人

    沖田委員 全額免除というものが被保険者の間に負担の不公平を招くことになるというような考え方のようでありますけれども、しかし、現在の軽減制度においても軽減分が他の加入者負担に転嫁されることになって、それがむしろ不公平だということになってくるわけでありますから、保険基盤安定制度の導入が図られたのではないか、このように考えるわけであります。保険基盤安定制度における国の負担をもっと増加をすれば、この不公平というものは解決できるのじゃないか、このように思いますが、所見を伺いたいと思います。
  104. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 この問題は保険制度に関する基本的な問題でありまして、私どもとしては、先ほど申し上げましたように基本的に少なくとも一定額以上の保険料を御負担いただくというのが本筋であろうかと思っております。  なお、軽減制度においても不公平といえば不公平ではないか、こういう御指摘でございますが、これはやはりある程度個人の経済能力においてその間の調整ということを行うことは保険制度としても考えられるわけでございますので、軽減制度につきましては国の制度として私は決しておかしくはないと思っております。したがいまして、保険基盤安定につきましても、そういう保険料の軽減制度に対応してこれを考えておるわけでございますので、全額免除ということについてはやはり基本的な問題として私どもは取り入れがたい、こう考えております。
  105. 沖田正人

    沖田委員 時間がないので、多少の意見の違いは置きまして、次の問題に入りたいと思いますが、その前に先ほどの質問に戻ります。  いわゆる八十一条の関連で、標準的なものをつくる、そのことについてはペナルティーを科さないということについての見解がまだ落ちていたように思いますが、その点はペナルティーを科すのですか、科さないのですか、もう一遍明確にお答えをいただきたいと思います。
  106. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 ペナルティーというようなものを科すということは考えておりません。
  107. 沖田正人

    沖田委員 昭和四十五年に日雇労働者健康保険法の擬制適用制度が突如として打ち切られたわけでありますが、その当時打ち切られた加入者数、被保険者数を明らかにしていただきたいと思います。
  108. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 ちょっと手元に資料がございませんので、正確なお答えは後ほどまた資料が出ましたらさせていただくことにいたしまして、これは私の個人的な記憶で甚だ不正確でございますけれども、四、五十万人であったかあるいはもう少し多い八十万か九十万であったか、何かその辺の記憶が極めて不正確でございますので、ちょっとこの点は後ほどまた資料によってお答えさせていただきたいと思っております。
  109. 沖田正人

    沖田委員 まさに数多くの人たちが突如として日雇い健康保険の適用を打ち切られたわけでありますけれども、この加入者の人たちがどんな思いであったとお考えでしょうか。生命と健康を守るためにどんな不安といら立ちを持っておっただろうか、このことを、大臣はその人たちの痛みをどのように理解されておるのか、ひとりお考えを聞かせていただきたいと思います。
  110. 津島雄二

    ○津島国務大臣 ただいま委員が御指摘の過去の経緯につきまして若干私も報告を受けまして、まさに人間の生存の基本である医療保険が一挙にして自分のところからなくなってしまうということ、大変なことであったろうと身につまされておるわけでございますが、ただその説明で、そうであるからこそ、これは委員も大変御尽力をいただいたそうでございますけれども、現行の国民健康保険組合の制度を組み立てていくのに随分行政の方も努力をし、ようやく今日に至ったということも承りまして胸をなでおろしたというのが私の率直な気持ちでございます。
  111. 沖田正人

    沖田委員 今大臣からお話もありましたように、この人たちの多くは建設関係の国保組合を設 立いたしまして、組合員数では約六十五万人、被保険者総数では約百九十万人と言われるような大きな国保組合に成長いたしていると思うわけでありますけれども、今日の状況についてどのように理解をされているか、お尋ねをいたしたい。
  112. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 今お話しになりましたような、ちょうど昭和四十五年の日雇い健保から国民健康保険組合への移行の際にはいろいろと各地で混乱もあったわけでございますけれども、政府側でもできるだけ円滑な移行をなし得るように、また、それまで日雇い健保の適用を受けてきた人々に急激な打撃を与えないように、こういうような方針を厚生大臣談話として出しております。そういった点からおよそ二十年後に今日関係者の方々の御努力もございまして、いろいろ問題はもちろんあろうかと思いますけれども、安定的な運営を続けておられるということは、国民健康保険組合の一つとして私どもも非常に好ましい状況にあろうと考えておるわけでございますが、いずれにしても、この国民健康保険組合というものについては、今後私どもも、できるだけ同業同士の方々が自主的に運営をしていくという利点を生かして医療保険の保険者として安定的な運営をされるように心から期待をするとともに、また、それに対する行政庁としての御支援もいたしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  113. 沖田正人

    沖田委員 そこでお伺いしたいのは、ひとり建設国保組合のみならず、すべての国保組合の数は百六十七組合、組合員数にいたしまして約百五十万人、被保険者総数に至っては約四百万人を超えていると言われるわけであります。そこでこの人たちは、我が国における中小零細業者の方々やその従業員をもって構成しているわけでありますから、中小企業振興対策の立場からも、言うまでもなくこの国保組合の基盤の安定強化、国庫負担助成強化の努力をさらに強められるべきではないか、このように考えますが、この点をひとつ伺いたいと思いますし、蛇足でありますけれども、日雇い健保の擬制適用が昭和四十五年に突如として打ち切られたような悲劇は再び起こしてはならないことを明らかにしていただきたい、このように思います。     〔持永委員長代理退席、委員長着席〕
  114. 津島雄二

    ○津島国務大臣 我が国に国民皆保険体制が確立しているということは高く評価をしていただいておると思いますし、国民が安心して日常生活をやっていかれる大きな支えになっておると思います。そういう意味におきまして、今後とも安心して医療を受けることができるこの体制は堅持していかなければならない、二度とあの昭和四十五年のようなことがあってはならない、委員のお求めに応じてはっきりと私の決意を述べさせていただきたいと思います。  ただ、ああいう事態になりますについてやはり問題がございましたのは、日雇い健保について給付と負担のほかの制度との間の大きなアンバランスがあったということが背景にあるのではないかと私は思っておりますので、今後の日本の医療保険の中心でございます国民健康保険、それから国民健康保険組合、また被用者保険、そのいずれも給付と負担のバランスがきちっととれて、皆様方に安心していただけるような医療制度を確立するために努力をしてまいりたいと思っております。
  115. 沖田正人

    沖田委員 国保組合の基盤の安定のために一層の御努力をお願いいたしたいと思います。  さらに、今各種の審議会が存在をしているわけでありますし、設置されているわけでありますけれども、国民健康保険制度の確立という大眼目のためには専門的な立場からの審議会というものが設けられてしかるべきではないだろうか、そして、その対策はより強化をされなければならないと思いますが、大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。
  116. 津島雄二

    ○津島国務大臣 国民健康保険の事業運営につきましては、市町村に国民健康保険運営協議会が設けられ、これで審議が行われているわけでございます。また、制度面からの検討はそのときどきの課題に即して国保問題懇談会や社会保障制度審議会において審議が行われてまいっております。国民健康保険制度についての専門的な審議会を設置せよというお話でございますが、御案内のとおり今審議会を全体としてむしろ整理合理化、統合の方向で求められている社会状況でございますので、なかなか容易に新しい審議会をつくるということはできないわけでございますが、今後社会保険に関する審議会全般についてのあり方も含めて、その必要性について検討を行ってまいりたいと思います。
  117. 沖田正人

    沖田委員 もちろん審議会の設置というものは容易ではないだろうとは思いますけれども、しかし、国民健康保険制度そのものの存在というものは極めて重要でありますから、ひとつ十分御検討を煩わしたい、このように思います。  時間が少し余りましたけれども、私の質問は以上で終わります。
  118. 畑英次郎

    ○畑委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  119. 畑英次郎

    ○畑委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。五島正規君。
  120. 五島正規

    五島委員 社会党・護憲共同の五島でございます。  まず最初に、大臣にお伺いしたいのでございますが、疾病構造の変化あるいは急激な高齢化社会への変化によりまして、国民のニーズは、医療福祉、治療行為と保健予防活動の垣根を越えて、一体のものとしてその充実を求めるようになってきております。こうした時代の要請によりまして、厚生行政もまた、保健福祉の活動の充実を早急に図る手段として医療の果たす分野を拡大し、そして、その中に福祉活動を含ませるようにしてこられたわけでございますが、これらの方策については一定のそうした必然性があったとは考えます。しかし、その結果、保健福祉活動のかなりの部分が医療保険制度によって賄われることにもなってきております。厚生省は、医療活動と福祉活動、あるいは治療活動と予防保健活動といったようなことに関する区別、あるいはその費用負担についてどのようにお考えになっておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  121. 津島雄二

    ○津島国務大臣 五島委員御指摘のとおり、疾病構造が変わってまいります、老齢の度合いが深まってまいります中で、慢性疾患と相当長い期間にわたって闘っていく高齢者がふえていく、そういう方々にとりまして、医療行為を施してさしあげると同時に、できるだけ能力を引き出してさしあげて、一定の疾患を持ちながらも日常活動をできるだけ積極的にやっていただくという必要があるわけでございまして、そういう目的を達するためには、いわゆるキュアと申しますか、直接の医療行為ばかりではなくて、介護の手を差し伸べてさしあげる、あるいは諸般の福祉の恩典を届けてさしあげるということ、さらにはまた日常の保健活動が必要だ。それぞれ一体となっていかなければ、いわゆる活力のある長寿社会はできないわけでございます。  そういう認識に立ちましていろいろな施策を積み上げてきたわけでございますけれども、例えば福祉の面で申しますと、このたび打ち出しましたゴールドプランにおきましても、在宅であると施設におられるとを問わず、介護のサービスが適時適切に届けられるようにしようということでございますし、同時に、そのような仕組みは医療サービスもまた適時適切に届けられるということにつながっていくわけでございまして、全体としてよく組み合わされた、よく機能できる地域の医療とか保健とかいう制度をこれから十年間にわたってつくり上げていこうということでございます。一方、医療機関そのものにおきましても委員御承知のとおり、例えば慢性疾患の方々が多数入院をしておられる病院のあり方をどうするかとか、あるいは診療報酬につきましても、高齢者向きの医療にふさわしい診療報酬の立て方はどういうものであろうとか、みんな委員の言われたような問題意識に基づいてやってきているわけでございます。  そこで、私どもの究極の目的は、医療、保健、福祉の各分野における施設が全体として相まって活力のある長寿社会をつくっていこうということでございますから、国民の多くの方々にこの点を理解をしていただいて、それぞれの地域で工夫をし、ニーズをくみ上げて、最後には日本型の福祉医療制度というものをつくり上げていきたい、すべての地域、すべての国民に参加をしていただきたい、そういう努力の結果として、あるべき費用負担の姿も決まっていくのであろう、こういうふうに私は考えておるところでございます。大変険しい道のりでございますけれども、一生懸命やっていかなければならないと思います。
  122. 五島正規

    五島委員 御苦衷はよく理解できるつもりでございます。しかし、今のお話にもございましたように、福祉活動あるいは保健予防といったような活動と、それから今日医療活動というのは限りなくオーバーラップして、境界というのは非常に不明確になってきている。  そういうような中で一、二事例を挙げますと、例えば高知は大変高齢化が進んでいる県でございますが、そういう中において老人病院が非常に多く、ベッド数が非常に多いというふうな問題も指摘されています。こうした地域におきましては、例えば特別養護老人ホームあるいは養護老人ホーム等々の福祉的な施設が拡充されているならば、当然そうした老人病院におけるお年寄りの社会的入院といったようなものの数も減ってくる。しかし、現実にはそれらが不十分だという中において、現状において老人病院がそうした機能を果たしているといったような応急避難的な部分というのが随所に見られるわけでございます。また、お出しになっておられます十カ年計画の中におきましても、今後十年間においてヘルパーさんを十万人にふやすという計画がございますが、既にそういうヘルパーが必要になっている。今回の保険診療の改定の中において訪問着護というような制度を設けられているわけでございますが、地域の中においてはそういうふうな部分に依存していくだろう。そういうふうな状況の中において、本来福祉なり保健なりといったような部分が分担しなければいけないものが限りなく医療保険において、あるいは医療機関、医療行為といったものの中において肩がわりされてきていることは事実であるかというふうに考えるわけでございます。  そうなりますと、今回問題になっております国民健康保険は、我が国の国民皆保険制度にあってその中心でございまして、各種医療保険の中にあってはいわゆる上位立法としての性格を持っているというふうに考えられるわけでございますけれども、こうした性格上、医療保険で保健や福祉の活動が賄われるとするならば、国民健康保険が受ける影響が最も大きいのではないかというふうに考えます。  しかも、午前中の論議の中にも御指摘ございましたように、この保険には、被用者保険のように事業者負担がなく、また低所得者や無所得者の加入も多く、さらに加入者の高齢化も進んでいる。そうした結果、加入者一人当たりの医療費は各種医療保険の中で最も高額となっている。それに比べ、国庫の負担率は他の医療保険に対して高いわけでございますが、同時に一世帯当たりの保険料も他の保険に比べて高い、しかし給付は最も劣るというふうな実態にあるというふうに私は認識しているのでございます。  そうした中で、続いてお伺いしたいわけでございますが、今後の高齢化社会の進行の中で、保健福祉の活動というものが一層強化が望まれるわけでございますが、今後も保健福祉活動に要する費用の一定の部分を医療保険に依存していくお考えであるのかどうか。もし、こうしたことが続いていくとするならば、当然、国保財政の破綻と同時に、社会的に極めてニーズの高い保健福祉活動がそうした部分からも制限されてしまうということになると考えます。この点についてどのようにお考えであるか、お伺いしたいと思います。
  123. 津島雄二

    ○津島国務大臣 先ほどからの委員の御質問にぜひともつけ加えて答えなければならないのは、費用負担をどうするかということでございますが、先ほどの私の御答弁で、保健福祉活動と医療行為とが密接な関連を持ち、これを適切に組み合わせなければならないというところまでお答えをいたしました。しかし、ここでぜひとも念頭に置いておかなければならないことは、医療の現場あるいは医療のサービスというものは、本来の目的を達するために、やはり適切な環境に置いておかなければならない。例えば、病院におきましても、長期入院の方がたくさんおられて、積極的なキュアが必要だ、医療サービスが必要だという方々がお入りにならないという現状であってはならないわけでございますから、まず、医療については、その本来の目的が達成できるような環境を整備するということが絶対に必要でございます。  そういう立場から申しますと、委員御指摘のとおり、ややもすると、例えば社会的入院と言われるような事例が私はないとは言えない。そういうところに、今おっしゃったように、本来別の分野でやるべきことが医療の現場に持ち込まれているのではないかということを、私は否定するものではございません。しかし、それはやはり適当なことではないと思っております。  また、費用負担を考えます場合にも、費用負担を適切に配分していくために、医療とそれから本来の福祉活動というものがごちゃまぜになっている状況もぐあいが悪いわけでございまして、そういう意味では、委員の御指摘の点は大変もっともだという要素を含んでおると思います。  そこで、我々は何を考えているかと申しますと、それぞれ医療、保健、福祉というものが、地域において適切に組み合わされるわけであります。しかし、それぞれの場においては、病院は病院らしく、老人保健施設は老人保健施設らしく、それから、老人用の施設、老人ホーム等は、またその本来の目的に合うような状況にしておかなければならない。そして、在宅の介護も在宅の介護として組み立てていくという、それぞれめり張りのきいた制度の整備を進めていきたい、こういうことでございます。そういうことの中から、医療の現場における負担を担当いたします国民健康保険のコストと申しますか、本来の医療費というものは不必要な膨脹と申しますか、今の委員がおっしゃったような姿の膨張は回避できるのではないか、また、しなければならない、こういうような考え方でございまして、それぞれの制度、医療福祉のそれぞれの分野における制度を整備していく過程で、費用負担の問題につきましても合理性を高めていくように努力をしたいというふうに思っております。
  124. 五島正規

    五島委員 今の大臣の御答弁というのは、現在の時代の進行性の中においてそれなりの論理としては通用するかもしれないけれども、実態ということから考えますと妙に合わない部分があるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。確かに医療機関における役割はキュアであり、福祉施設等においてはケアであるというふうに非常に大胆に割り切ってしまった場合に、現在目についてくることは余りにも進行する高齢社会に対してケアの部分の圧倒的な不足、これは現実の問題として存在するわけでございます。したがって、そういう部分がいわゆる医療として、あるいは医療機関の活動としてカバーされてきているというのも実態としてある。そうした部分について費用が負担されている。言いかえれば、私の理解で言うならば医療機関によってなされる保健あるいは福祉活動は医療費で負担され、福祉施設あるいは保健所といったような施設において、あるいはそういう公的な公共の機関において実施される福祉なり保健活動が医療保険外における費用の負担として実施されているというふうなことでしかなくて、その中身においては限りなく医療の側にその負担を押しつけてきているのではないかというふうに考えるわけでございます。  そういうふうな状況の中において、現在必要な事態を、必要な保健福祉の活動を後退させるということはできないわけでございますから、当然そうした保健福祉に対する費用の部分につきましては、いわゆる医療保険制度という制度のほかに一定の国費あるいは国庫の支出というものをそうした部分に対して出していく、支出していくということでない限り、国保財政というものの健全化、安定化はできないのではないかというふうに考えているのでございますが、その点についていかがでございましょうか。
  125. 津島雄二

    ○津島国務大臣 それでは少し具体的にお答えをいたしたいと思います。  例えば、今度のゴールドプランにおきまして私どもは在宅福祉充実しようと、介護支援センターを通じて在宅介護の質を高めようとしておりますのは、これまでとかく介護の心配があって病院から出られないというような方々が、お宅へお帰りになってそこで必要な介護を受けるようにいたしたい。ですから、そこへお帰りになれるまでの何と申しますか治療とかリハビリは病院でやっていただく。ですから、我々がねらっているところは、具体的には委員の御指摘の方向にもう行っているわけでございます。  それからまた、在宅福祉充実等のために長寿社会福祉基金をつくる。この福祉基金も要するに公費を投入いたしまして今の在宅福祉とか在宅医療事業を公費で支援していこう。それからさらに、その前の高齢者の健康対策をしていこう。つまり、おっしゃる方向に公費を投入してやっていこうということでございまして、そういう努力と相まって医療の現場においては本来の医療が積極的に行われるようにしたい。社会的入院によるところの医療費の不必要な高騰等は避けられるのではないか、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  126. 五島正規

    五島委員 時間がないので、次に進ませていただきます。  一言言わせていただきますと、そうした十カ年計画で述べられているような状況、そうした実態認識についてのずれはそれほどないわけでございますが、既にそうした高齢社会の問題というのは全国一律に十年後あるいは二十年後を目指して徐徐に進んでいるというよりも、やはり地域的な格差というものがございます。そういう中において現在、あの十カ年計画がまだ実施されていない状況において、二〇一〇年後において全国的に必要なそういう状況が地域的には既に発生している。そうした地域地域における進行度合いのアンバランスというものが国保医療に対してしわ寄せになっているじゃないかという現状を述べたつもりでございます。  そうした中で、続けて質問させていただきたいわけでございますが、今回の保険基盤安定化制度というのは保険料の軽減世帯の軽減保険料に着目してとらえようとしている施策でございます。しかし、これは既に以前から国によって財源措置されてきたものが都道府県あるいは市町村に一部負担を転嫁しているという中身ではないかというふうに私には思えてなりません。本来基盤安定のためには、個々の市町村の賦課総額を被保険者で割った一人当たりの平均保険料と、低所得者の一人当たりの負担保険料の差を問題としない限り、この差額は賦課限度額世帯や中間所得世帯が負担することになって、その結果高額所得者に対しては限度額が決められているために結局中間所得世帯に非常に負担が重くなっているのではないかというふうに考えます。そういう意味では、保険基盤の安定化のためには、こうしたいわゆる保険料の軽減世帯数に対する軽減措置ということではなくて、一人当たりの保険料と、それからそれぞれの町村単位における平均保険料との差額というものに着目した何らかの財政措置が必要ではないかというふうに考えられるわけでございますが、それについてほどのようにお考えでございましょうか。
  127. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 保険料に対する保険基盤安定制度の意味は、従来は国が国民健康保険制度の医療費に対する一定割合で負担しておったわけでありますけれども、これは医療費に対する公費負担でありまして、今回のこの保険基盤安定制度は所得に見合った低所得者に対する負担という意味で従来の国庫補助とは性格を異にする面があると思っております。それで、少なくとも今回の改正では国が医療費の五〇%に対する国庫補助を行った上で、それとは別にさらに低所得者の保険料軽減分について補助をしようということでございますから、従来の国の補助を延長しているというのとはまた性格を異にするというふうに私どもは思っております。  それから、国のそういった助成なり補助というのをどのように持っていくのが妥当かという問題でございまして、これは例えば補助を受ける方からいえばなるべく多い方が望ましいということは言えようかと思いますけれども、今御指摘のあったように、平均保険料と低所得者の一人当たり保険料との差額というようなことになりますと、平均というのが大体高いのと低いのとを含めて出ているわけでありますから、それに対してさらに低い人との差ということになりますと相当な公費負担をしなければならないという結果になってくるわけでございまして、そこは保険制度としてやはりおのずから公費助成についても一定の線があって、それを超えることはなかなか難しいのではないかというように思っております。  いずれにしても、現実に低所得者について保険料軽減が行われるわけでありますから、その軽減に着目して、そこに公費を補てんするという制度は非常にわかりやすいものでありますし、また税金を財源とする公費補助としても御理解が得られるものであろうというふうに思っている次第でございます。
  128. 五島正規

    五島委員 持ち時間が少のうなりましたので、次の質問に進めさせていただきたいと思いますが、高医療費の安定化計画についてお伺いしたいと思います。  高医療費の原因について、厚生省の方で既に把握できたのかどうか、国や道府県、市町村の対策がどうなっているのかということ。あるいは過疎、無医地区、高齢化が著しく進んだ人口の少ない町村などにおいて高医療の原因が需要者の責めでない場合、そうした費用については当然国の責任で対応すべきではないかというふうに考えます。特に過疎や無医地区、今言ったような非常に人口の少ないような村などを安定化計画の除去の特別事情に含めることをぜひ検討していただきたいというふうに考えます。  具体的に申しますと、例えば高知の場合、高知市を除きまして四つの市町村がこの安定化計画に入っているわけでございますが、その中におきまして三つまではその理由が非常に明確です。二つの村までが過疎地域であり無医地区である。そして、一つは山村であり、林業労働の衰退によって非常に高齢化が進み若い人たちが出ていっている。あとの二つの町村は、広大な同和地区を抱え非常に貧困な状況にある。そうした村において、いずれも地元の中に医療機関がないために症状が悪化する、あるいは他の市町村の医療機関に通院する。距離があるので医療機関に通院するのに困難なために、ついどうしても入院に依存しがちであるといったような事情があるわけでございますが、こうしたものが除去の対象になっておりません。ベッド数の多いところが除去の対象になっており、無医地区やそうした過疎地域を多数抱えている地域が除去の対象になっていないということに対しては非常に矛盾を感じます。  さらに、高額な医療に関する給付の発生にあることは特別の事情ということに指定されているわけでございますが、一体幾ら以上を指しているのか。これも高知の事例ですが、小さな町村では難病の患者を一人でも抱えるとすぐ高額医療の指定を受けてしまう。そうなりますと、担当の職員としてはついそうした重症患者さんが死を迎えることを願ってしまわざるを得ないということをある集会で発言している。高額医療というものについて、例えば百万とか、そういう高額な金額を考えたとしますと非常は実情に合わない。例えばそうした町村において六十万とか八十万とかいう毎月の医療費がかかる患者さんが二、三人出ただけで、人口が千名とか千五百名のところにおいては腎透析の患者が二人、三人出ただけでそういう状況になってしまう。そういう意味ではこの点についてはぜひ検討していただきたいというふうに思います。  さらに、もう一つ御指摘をしたいわけでございますが、高知においては過疎の山村で多数の振動病患者が労災保険で治療を受けております。現在、こうした患者さんが治療効果が上がらないことを理由にして症状固定判断ということで労災保険の打ち切りが進められています。労災保険の打ち切りがあったとした場合に国保での治療ということになるわけであります。人口が二千名以下くらいの村の中で百名、百五十名という振動障害患者を抱えている自治体にとって、こうした症状固定、症状は持続しながらもそういう事由による労災の打ち切りというものは国保運営にとって非常に大きな影響を与えてくるものである。そういう意味では症状固定判断後も、症状固定の処理をされてからも引き続き同一病名で治療が継続されているという業務上疾病については、国保担当者と労災保険の担当者との間においてその療養費用の支払いについて協議をするなり、あるいは業務上疾病の見直しを検討していただくなり、そういうふうなことを制度的にぜひ御検討いただきたいと考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  129. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 幾つかの御質問がございましたので、順を追ってお答えをいたします。  最初に、指定市町村における高医療費の原因についてでございますけれども、これは全国でおおよそ百五十に近い市町村について個別に要因を厳密に把握するのは私どもも困難でございまして、市町村ごとにはそれぞれ独自にその分析などもやっておられるかとは存じますが、この医療費の高い原因というのは非常にいろいろな要素が絡み合っておりますので、なかなか明確な答えは出ないのではないかと思っております。しかし、いろいろ考えられますのは、例えば病床数が多いといったような医療供給の状況でありますとか、多受診、重複受診といった患者の受診行動あるいは住民の生活習慣、健康に対する意識というものによって影響されてくるのではないかということが言われております。  いずれにしましても、各市町村においていろいろ医療費の内容を分析いたしまして、それに対応して保健施設事業の推進でありますとか被保険者指導の徹底、在宅ケアの充実等、具体的対策、措置を講じていただいております。また、都道府県も最近はこの問題については非常に関心を持って臨んでいるというように伺っております。今後とも私どもの方でもできるだけこの高医療費の分析、さらに、その対策が進展するようにいろいろ支援措置を講じてまいりたいと考えております。  それから、過疎あるいは無医村、高齢化の著しく進んだといったような小規模の市町村につきまして、この高医療費市町村の指定についてはいろいろ問題があるではないかという御指摘でございます。確かに、制度といたしましては、いろいろな特別事情等を考慮いたしまして、それでもなおかつ医療費の高いというところをできるだけ適正化していただきたいと思っておるわけでありますけれども、やはり御指摘のあったような市町村においては、たまたま何人かの高額の医療費の患者が出たというような偶発的な状況によって平均的な医療費が大きく変動してしまうということがあることは私どもも承知をいたしております。  そこで、例えば小規模市町村でありましても運営安定化のための医療費適正化の努力は必要と思われますけれども、そういった個々の事情におきましては、そういう問題も取り扱いについてよく検討する必要があるという認識のもとに、私どもも今後この高医療費市町村対策について、指定の方法等も含め十分御検討させていただきたいと思っておる次第でございます。  それから、過疎地等における腎透析患者といったような例に象徴されますように、特別事情として高額の医療に関する給付の発生というものは控除すべきということになっておりますけれども、現在の段階では、老人につきましては月額百二十万円以上の給付、それから老人以外の人につきましては月額百八十万円以上の給付、これを対象といたしまして、全国平均の高額給付の発生額を超える高額給付影響分を特別事情として控除いたしております。この問題につきましてもいろいろ御指摘もございましたが、この問題に対する将来の対応のあり方として検討してまいりたいと思います。  それから最後に、振動障害患者に関する労災との関係でございますが、私どもの立場からいたしますと、労災の給付というのは業務上災害としての傷病について当然必要なものが行われておるというように思っておりますけれども、なお問題がある場合には、そういった担当の官署との連絡調整というものも行う必要があろうかと思います。なお、結果といたしまして、振動障害患者の労災打ち切り後の医療費が国保において負担するという結果で国保の財政運営が苦しいということもあろうかと存じますが、どうしても国保で給付をするという必要があれば、財政調整交付金の配賦の際にそういうことに基づく財政事情も考慮してまいりたいという考えを持っております。
  130. 五島正規

    五島委員 まず私、お聞きして若干びっくりしたわけでございますが、除去理由としての高額医療に関する部分でございますが、老人に対しての医療が百二十万を超えた部分が特別事情に当たるということは、私も二十四年間医師をやってきたわけでございますが、よほど例外的な状況でないと考えられない。むしろ、そういうふうなケースこそが高医療費の安定化計画の上において徹底的に検討されるべきなのであって、そして私の言っているのは、そうした高額医療でなくて、いわゆる小規模市町村においてはたかだか六十万とか八十万とかいった医療費が何人かの、二、三人の患者に出るということにおいて非常に影響が大きい、そういうふうなことの方がはるかに大きな問題なんだということを言っているわけでございまして、非常に実態に合わないのではないかというふうに私には考えられるわけでございます。  そういう意味では、その高医療費の原因について市町村に明確にさせ、そして、それへの対策について、それぞれ市町村に上げさせることは当然だというふうに思うわけでございますが、それに伴うところのペナルティーという問題については、それぞれの事由が市町村の当面の努力によって改善できるかどうかということによって、そのペナルティーというものは科せられるべきではないかというふうに考えるわけでございます。その点についていま一度お答えをいただきたいと思います。
  131. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 この制度は、必ずしもペナルティーという感覚ではなくて、医療費が高いということは、いろいろな事情があるにいたしましてもやはり住民の負担にかかわってくることでございますから、この内容を分析して、やむを得ないものは負担をいたしますけれども、できるだけ合理化節減できる部分があれば、それを住民の負担軽減のために十分分析し、対応を考えていただきたいという趣旨でございます。ただ、現実にいろいろとこの制度の運営に伴って費用負担という問題も出てまいりますから、実際に指定された市町村については感覚的にそういうお気持ちになるというのは私どもも理解できないわけではありませんけれども、制度の趣旨については、なおこれによってできるだけ適正な医療費負担に持っていこうという趣旨であるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。  それから金額につきましては、実は高額医療費共同事業というのを各県ごとに実施しておりまして、これとの関連において決まっておるという面もございます。いろいろ御意見はあろうかと存じますが、そういった現在の国民健康保険の全体の仕組みの中でこの金額を決めておるということでございますので、その点についても御理解いただきたいと存ずる次第でございます。
  132. 五島正規

    五島委員 時間がございませんので、次に進ませていただきます。  午前中、永井理事の質疑の中におきましても触れられたわけでございますが、現在、この高医療費対策の一環としてレセプト点検に対する特別調整交付金が支給されているわけでございますが、このレセプト点検の中身につきまして午前中も質疑がございました。全国の事例の中においては、レセプトの点検の結果、いわゆる減点された金額に見合ったそういう成功報酬的な契約で外部委託をしておられる町村あるいは保険団体がございます。こうなりますと、外部の団体がレセプトの診療の中身にわたって具体的に点検しないと、このような形での契約というのは結べないのでございます。そうなってきますと、当然プライバシーの問題も含めて非常に大きな問題を含んでいるかと考えますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  133. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 今御指摘になったような、レセプトの点検をして何点減点になったかに応じて報酬を支払うというような仕組みが現実にあるかどうかというところを私どもは必ずしも完全に把握はしておりませんけれども、もし、そのような形で契約が行われているとすれば、これは決して好ましい方法ではないと私どもも考えております。したがいまして、本年一月にレセプト点検の外部委託に関する指導方針を決定いたして都道府県に示しておりますけれども、その中におきましても「委託報酬の支払い方式として、再審査請求に係るレセプトの中の指摘箇所数若しくはその請求額又は再審査で査定された額に応じて報酬額を定める方式をとるべきではない」と、この契約に当たりまして、そういうことに十分留意するように各保険者を指導するように心がけております。
  134. 五島正規

    五島委員 このことについては厚生省がお出しいただきました資料の中に過誤調整単位によって点検の結果、再審査で査定が認められた額の一定割合を報酬として支払う方法という形で実施されている件数が記載されているわけでございますので、今局長がおっしゃったような形で早急に是正をしていただきたいと思います。  また、この問題も午前中永井理事が触れたわけでございますが、毎回の医療費の改定問題でございます。とりわけこの医療費の改定と人件費の関係について、現実に厚生省がお上げになった、そういう医療費のアップ部分が人件費の上昇に追いついてこないということは医療機関の側から常に指摘されてきたことでございます。  そうした中で、今全国的には週休二日という問題が問題になっています。例えば六十床の病棟を考えてみますと、特二類の基準看護であれば六十床で二十四名の病棟看護婦が必要になってまいります。その看護婦さん、この特二類の基準看護が決まったときはまだ週休二日というのは全く考えられていない。これが週休二日という形で補充されないままにやっていくとすれば、結局平均しますと一月当たり三・二人の職員が減少したことに等しくなってきます。その結果起こってくることは、こうした問題に対する手当てあるいは人員増というものを制度的に保障していかない限り職員の労働条件の向上というものが、そのまま患者に対する患者サービスあるいは介護、看護といったような質の低下にストレートにつながってしまうというふうな問題が今日起こってきつつあるわけでございます。その点についてどのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。
  135. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 医療費の改定の問題は、医療費総額の改定枠を決めまして、その中で専門家の御意見や中央社会保険医療協議会での御議論を経て配分を決めるという形になっております。今回の医療費改定に当たりましては、ただいま御指摘ありましたような労働時間の短縮の問題でもこの改定の一つの理由ということで、その影響度等も算定をしながら全体の枠を決めております。同時に、医療機関における医療従事者の給与あるいは勤務条件の問題でありますけれども、これは直接にはいわば労使間の問題として病院の管理者と従事者との間の話し合いでお決めいただく問題であろうと存じますけれども、財源的にそういった労働内容が社会の実勢に見合って確保できるように全体としての配慮は当然考えていかなければならないと思っておりますし、これまでもいろいろと公務員給与の改定の状況といったものも参考にしながらやってまいったつもりでございます。  なお、今回の改定におきましては、技術料の評価ということもございますし、今申し上げました労働時間の問題もございまして、一つ一つの項目によってはいろいろと差がございますけれども、相当重点的に点数を引き上げた面もございます。これは先生も十分御承知のことと存じますので、直接は申し上げませんけれども、特に看護料等についてはこれまでに比べましても十分点数の配分に意を用いておるわけでございますが、この医療費の問題につきましては、今後とも医療経済実態調査も実施いたしまして、そういった結果による動向を見ながら適正な内容にしていくという方向については今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  136. 五島正規

    五島委員 時間がございませんが、局長の御理解は非常におかしいと思います。私の聞いているのは、例えば週休二日とかいう労働条件は労使間の問題であるということで任してしまった場合に、例えば六十床の病棟の場合、特二類の基準看護であれば二十四人の看護婦でやる、これが常時運営されていないといけない。しかし、そこに週休二日が入ってきますと、四週間において三・二人の看護婦が現実には減った、減ることと一緒になってくる。そうしますと、特一類の基準看護でございますと二十名でございます。二十名に比べて、今まで二十名の看護婦さんでやってきた看護とほとんど近い中身に特二類の看護のレベルが落ちてしまう、そういう問題があるではないか、そういうことに対しての手当てがない。それを労使間の問題にそのままの厚生省として任せるということであれば、そうしたすべての問題が結果としては患者さんに対する介護力の低下、看護力の低下としてあらわれてくるではないか、そういうことでいいのかということをお伺いしているのでございます。  あわせまして、時間がございませんのでもう一つお伺いしますが、先ほど来申し上げましたように、僻地における医療、国保の運営実態は非常に厳しい問題がございますし、また、そういう地域ほど高齢化が進んでいるのも事実でございます。そういうふうな中で国保の直営医療機関は今非常に重要な役割を持っている。特に、開業医がなかなかそこへ行かない、そういう僻地や山村における国保診療所は、在宅医療とか訪問看護といったような地域保健医療活動の拠点としてますますその重要性を増してきていると考えます。そういう意味において、国保直営医療機関について改めて制度的あるいは財政的な位置づけを明確にして、この医療機関が今後ますますそうした形で充実できるようなことをぜひお考えいただきたい。その点についてもお考えをお伺いしたいと思います。
  137. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 先ほど私がお答えしました意味は、具体的な給与の額とか勤務時間とか、そういう問題につきましては私どもの方で直接点数表の中に示すわけにもまいりませんので、それぞれの病院における個別の具体的な勤務条件としてお決めをいただく、私どもの方ではそういうことに対して財政的な裏づけができるような配慮をいたしました、こういう意味で申し上げたわけでございますので、決して、現場の医療機関だけに任せて、こちらは格別のことを行っていない、こういうことではございません。  それから、国保の直営医療機関の問題でありますけれども、これは地域保健の医療活動の拠点として極めて重要であるということにつきましては、私ども全く同感でございます。それで、この国保の直営診療機関に対しましては、従来から施設設備整備費の補助あるいは僻地の直営診療機関の運営費補助、健康管理センター設置に対する補助といった助成を行ってきております。さらに、こういった国保の直営医療機関に勤めるお医者さんなどが、いろいろな研究活動あるいは医療活動をされるにつきましても、できるだけ御支援をいたしたいというような気持ちでおりますし、今後とも、この機関の活動の充実を図るためにいろいろな方策についても十分検討を進めてまいりたいと考えております。
  138. 五島正規

    五島委員 高齢化社会を迎えまして、医療福祉充実が非常に要望されています。各医療機関とも、あるいは医療従事者ともその方向に向けて努力していかないといけない、活動の範囲を広げていかないといけないという時代だと思います。そうしたことが十分に報われるような費用の負担あるいは国庫負担の増額ということについて努力していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  139. 畑英次郎

    ○畑委員長 岩田順介君。
  140. 岩田順介

    岩田委員 今の五島委員からの質問にもございましたように、無医村だとか過疎だとか大変な状況が発生しておりまして、その地域格差というのは近年ますます拡大しているということが言えるのではないかと思います。第百十二回国会においても、国保の一部改正を決めるに当たって、地方財政に支障が出ないようにという附帯決議がついておりますけれども、これはまさに国保財政の脆弱さが地方財政に極めて影響を及ぼしている、その度合いと、地方の自治体の数は年々増加しているということは容易に想定されるわけであります。したがって、この二年間、健全化計画、健全化というもとに対策を実施されてまいったわけでありますけれども、先ほど局長は、どういう評価で出ているかという、調査についてはまだその域に達してないという趣旨の御答弁がございましたけれども、非常に興味があるということよりも、その格差はますます拡大しているだろうという心配をするわけであります。  したがって、この地域格差や地方自治体の問題について若干質問をしたいわけでありますが、六十三年度の決算で見ますと、これは厚生省の国保財政調査でありますけれども、赤字団体が二百六十一、これは保険者です。それから、赤字額が一千六百四十七億というふうになっております。さらに、自治省の調査によりますと、この赤字団体と赤字額の数値が違うわけであります。自治省にも後ほどお尋ねしたいと思いますけれども、なぜこういうふうに数値の違ったものが出ているのか、その真相をまずお尋ねしておきたいと思います。
  141. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 厚生省の側のこの支出、収入の見方でございますけれども、今御指摘になりました赤字の保険者数と金額につきましては、市町村の一般会計からの繰り入れというものが現実に行われておりますが、厚生省はそれを含む姿で算出をいたしております。自治省の方は、私どもの方でお聞きをいたしましたところ、一般会計からの財源補てん的な繰り入れを差し引いて算出しているという違いでありまして、これはどちらの見方も一つの収支の状況として可能であろうかと思いますが、要するに、そういった市町村の一般会計繰り入れの整理の仕方によって差が出てきているということになろうかと思います。
  142. 岩田順介

    岩田委員 そうだと思いますけれども、先ほどの質問や答弁にもありましたように、二十一世紀に向かって大変な時代を迎えていく。十カ年戦略だとか、さらには、やがて議論がなされる予定になっておる老人福祉法の一部改正等々を見てみますと、地方に権限の委譲、これは私は至当であると思いますけれども、責任転嫁だけが大きく膨らんでは非常に心配である。今国保を扱っております各自治体が、今度の改正に対してどれほど拍手をもって歓迎しているかというのも私は非常に心配をするわけであります。そういった意味では、厚生省も地方の実態と特性に十分な配慮をしていかなければ、プランだけで終わるのではないかという心配をするものですからお尋ねをしたわけでありますが、自治省の調査では赤字団体が九百二十四団体、赤字額が二千八百三十六億円、こういうふうになっているわけであります。  そこで、自治省にお伺いをいたしますけれども、各自治体からの六十三年度国保への繰り入れは総額どういうふうになっているか。また、全国的に見て各自治体はそれぞれの国保の健全化に全力を挙げて取り組んできているわけでありますけれども、一方では老人医療費の大幅な伸びなどが当然考えられるわけでありまして、自治体からのこれ以上の繰り入れは、全体的とは申し上げませんけれども、先ほど申されましたような過疎とか旧産炭地とか、特殊事情を重複して抱えているような地方においてはもはや限界になっている、国保が重荷になっている、こういう実態はあろうかと思いますけれども、自治省からの見解をお聞きをしておきたいと思います。
  143. 香山充弘

    ○香山説明員 お答えいたします。  まず、財源補てん的な繰入金の状況でございますけれども、六十三年度の実績で三千百億円程度となっております。また、ただいま御指摘がありましたけれども、国保はもともと高齢者だとか低所得層が多いという特殊性がございますが、御指摘の産炭地域といったところは国保の構造的な問題が特に顕著にあらわれるところでございまして、特にこういう地域では国保財政の基盤が脆弱であると考えております。  今回の保険基盤安定制度とかあるいは高額医療費共同事業等は、こういった地域の国保財政の安定化に資するところ大きいと思っておりますけれども、こういう市町村の場合は、母体である一般会計の方がそもそも力が弱うございます。今回の保険基盤安定制度に係ります繰り出しにつきましては、その繰り出しベースで地方交付税の算定配分を通じまして個別に財政措置を講ずることといたしておりますほか、全体としての財政運営にも支障を生じませんように交付税、地方債等で適切な配慮をしてまいりたいと考えております。  ただ、国保は基本的に国民皆保険の一環をなす制度として、国の責任において経営の安定が図られるべきと私ども考えておりまして、今後とも国費、保険料、この二本の基本財源をベースにするという枠組みを維持していくという中で制度の安定化を図っていく必要があるというふうに考えている次第でございます。
  144. 岩田順介

    岩田委員 いずれにしましても、地方財政にとってはかなり負担がある実態であるわけでありますが、私は福岡県の産炭地について若干申し述べて御質問をしたいと思っているわけであります。それぞれ特別な事情を持っている地域というのは全国いろいろございまして、それなりに理由は違っているわけだろうと思います。私は産炭地の問題を申し上げてみたいと思うのであります。  産炭地というのは、例えば地方に炭鉱資本が参りまして坑口をあける、そうすると大変な労働力も要るわけですが、大小にかかわらず、あっという間に都市を形成するわけですよ。炭鉱は比較的事故が多いということもありましょうけれども、まず病院を持つことが必要であるし、私の経験でも幼稚園から高等学校まで持った炭鉱もございまして、まさに旧産炭地がそうであったように炭鉱一色で地方を形成するわけですね。三月二十七日に閉山いたしました南大夕張もそういうことだと思うのです。それが例の三十年代の石炭から石油への政策転換であっという間に炭鉱が大量に合理化されて労働者が放出された。そこにあった医療機関というのは、全部が全部ではありませんけれども、何らかの形でその地域に残っていくわけですね。労働者も大量に失業するわけでありますが、ある日は一般失対に、ある日は生活保護に、生活を求めて転換をしていくわけであります。当然そこには医療機関の必要性も生まれてくる、そういったものがずっと継続をされているという実態が一つあるわけです。高齢化が進むということと医療機関が極めて多いという状況があります。したがって、当然医療費が高くなっていくという潜在的な要因にもなっていようかと思うのです。  福岡県の田川市の例をとってみますと、これは六十三年の国保の決算でありますけれども、田川市は人口が大体五万八千ちょっとの市であります。医療費を見てみますと、六十一年の五十億五千万円から六十二年五十八億、そして六十三年には六十億五千万というふうに急激な伸びを示しているわけであります。それに対して国庫拠出金負担金は、六十一年の十九億七千万から六十三年は十九億二千万というふうに低下しています。医療費に占める国庫負担の割合は、六十一年は三九%あったものが六十三年では三一・七%というふうに少なくなっている。もともとこの国保財政の問題は、国保の加入者の減少、老人の増加、こういったものが原因でありますけれども、先ほど申し上げましたように旧産炭地域や過疎地域、つまり赤字を構造的に抱えている団体では、全国平均に対して加速度的にこういった脆弱な現象が出てきているというのが共通ではないかと思うのであります。  今回のこの国の方策、いわゆる健全化策で果たしてどういう見通しがつくのか。これは産炭地だけではありませんけれども、先ほどの五島委員の質問とも関連をいたしますが、どういう見通しが展望されるのか、お聞きをしたいと思います。
  145. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 御指摘のとおり、全国にはいろいろと事情があって、財政的にも非常に窮迫し、また、国民健康保険の面でも医療費が高い等の理由によって問題を抱えている市町村があることは事実でございます。そういった赤字市町村の赤字を解消していくということが国民健康保険事業の健全な運営のために極めて重要でございまして、私ども国民健康保険の運営の問題を考えるときには、これは全国の三千余りの市町村の中で非常にいろいろと格差があります、実情も異なりますので、できるだけそういう財政的に苦しいところを重点に改善を図っていこうということを基本的に考えておるわけでございます。そういたしませんと、どこも同じような考え方で臨んだのでは真の解決になかなか到達しないという気持ちを持っておるわけでございます。  そういうところから、従来からも財政調整交付金という制度によってできるだけ財政力の弱いところに重点的に配分をしてまいったわけでありますけれども、今回の保険基盤安定制度という制度は、一つは各市町村における低所得者の保険料軽減分に対して公費を補てんするという意味で、所得能力の低いところにまず重点的に公費を補てんするという意味での一つの財政調整的機能を持つものでございますし、さらに、新たに国庫補助として、増額する金額につきましてはその半分以上を財政調整交付金の枠の中に入れまして、今後そういった窮迫した市町村に対する助成というものをできるだけ推進してまいりたい、こう考えておるわけでございます。そのような機能を新たに国民健康保険の中に付与しようとして今回法律改正を御提案しておるわけでございます。  こういった改正内容と、さらに老人保健拠出金の加入者按分率が一〇〇%に移行したことによりまして、これから私どもとしてはできるだけ、国民健康保険全体も当然でありますけれども、特に苦しい市町村の財政の再建といったところに力を入れて進んでまいりたい、こう考えております。
  146. 岩田順介

    岩田委員 健全化というのはそういうことだろうと思うのですよね。それはよくわかるのでありますが、別な見方をいたしますと、つまり国保財政が窮迫しているという状況の共通の一つは、言うまでもないことでありますけれども、二十一世紀における高齢化社会を先取りしている地域なんですね。  例えば、先ほど申し上げた田川市の場合も高齢率が一七%を超えていると思いますね。やがて一八%。これは明らかに近年中に一九%になるというふうに私は思いますけれども、先取りをしているという地域なんですね。田川市に隣接をいたしております例えば山田市とか中間市などで見てみましても高齢化は非常に加速度的に進んでおりますし、先ほど申し上げました医療費に占める国庫負担の割合等も、例えば山田市では六十一年三五%あったものが、六十三年には二九%に減っているというのが実態なんですね。それから中間市でも六十一年三〇・九%あったものが二四・三%に減っている。これが現実なんですよ。  したがって、そういうようないわゆる構造的な財政問題と、いわゆる高齢化が全国平均にして加速的に進んでいくというような両面を持っているというような状況の中では、今局長が申されたような安定基盤の問題や按分率一〇〇%にした、それは承知いたしておりますけれども、これで追いつかないのじゃないかということを心配をするわけなんですね。ちなみに田川市における被保険者の所得構成を申し上げてみますと、百万円以下が六八%を占めているわけですよ。全国では恐らく四二、三%でしょう。これは異常な格差なんです。保険税の軽減世帯数も四七・二%になっています。私が見る限りにおいても保険料のアップもこれ以上は無理だという判断をいたしますが、それでも当市では六十三年は一九・九〇%、一人当たりの調定額では二〇%アップしているという数字が出ているわけであります。したがって、いわゆる収納率、これは九三%を切ったらペナルティーという問題がありますけれども、精いっぱいこの九三・数%の維持をいたしている田川市でありますけれども、仮に一〇〇%達成したとしても、健全化への大きな糧になる数字はどうしても出てこない、こういった実情なんですね。さらに一般会計からの繰り入れも六十一年が一億、六十二年が一億三千万、そして六十三年は一億八千万ですよ。急激な負担になっているわけですね。  国保財政の地域格差について、今私は産炭地域の問題を申し上げましたけれども、今局長が答弁なさった点でどれぐらいの改善が見込まれるのかどうか、重ねて御答弁をいただきたいと思います。
  147. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 個別の市町村の問題につきましては、これからの具体的な動向という点についていろいろな要素がありますので一律的な見方というのはなかなか難しいわけでございますが、いずれにしましても、私どもは、基本的に国民健康保険というのは非常に格差が大きいので、できるだけその格差を縮小するための対策に力を入れていこうという基本的な考えを持っております。したがいまして、例えば保険基盤安定制度にしましても、今御指摘になりましたような市町村で保険料の軽減を受ける人が非常に多いとなれば、そこに国の補助の配分を集中的に配分されるというような結果にもなるわけでありますし、また、それでもなおかつ全体を通じての財政力が非常に脆弱だということになれば、財政調整交付金の面においても十分その点を考慮するということになるわけでございますので、結局今の国民健康保険制度におきましては、一律的な補助ではなく、そういった財政力に応じてできるだけ格差を是正するような方向で助成を行っていくという機能を新たに持たせよう、こういう改正をお願いしておりますので、今後はそういった面での効果というものが徐々に出てくるのであろうと私どもは考えておる次第でございます。
  148. 岩田順介

    岩田委員 徐々に出てくるというのは、どういう速度なのかわかりませんけれども、皆保険という思想でスタートした国民健康保険の制度がこのように地域格差をつけてしまった。そして、心配するのは、これ以上の格差をつけていくということになると、給付内容の低下ということも心配になってくることは当然なんですね。ですから、今局長は徐々に改善されるだろうという御答弁ですけれども、要因はたくさんあるでしょう、それはいろいろありましょうけれども、歴然とした格差、それから地域の特定もできるわけでして、今の抽象的な答弁では該当する各保険者はやはり不安でならないと思いますね。もっと明確な改善策というか対応策について御答弁願えませんか。
  149. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 個別の保険者に対する財政調整交付金の交付というのが非常に大きな役割を果たすわけでございますけれども、これはまだ本年度予算も通っておりませんし、また、各市町村の実情を十分聴取した上で決定するということになりますので、現時点においてどういう具体的な配分になるかということは申し上げられる段階にないわけでございます。しかし、いずれにしても財政力の弱いところに重点的に配分をするという基本方針は決まっておりますから、そういう意味で現在非常に窮迫している市町村については私どもも十分配慮をする、こういうことは申し上げられるわけでございます。  それから、法律改正の効果が徐々にというようなことも私さっき申し上げましたけれども、これは今回の保険基盤安定制度につきましては、もしこの制度が実施された場合には、ことしは初年度でありますけれども、今後平成三年度に向けて、保険料の平準化と同時に保険基盤安定制度というものもどういう姿に持っていくか、あるいはさらに、その後の各年度においてどういう姿にするかということを十分考えて、そして都道府県あるいは市町村という関係地方団体とも十分協議をしながらこの制度の運用を図っていきたいと思っておりますし、その運用の仕方によっていろいろとまた効果もあらわれてくるであろう。したがって、ことし限りでなくて、これから将来いろいろな効果が期待される制度であるという意味におきまして徐々にという言葉をたまたま使ったわけでございますけれども、今年度の国庫補助金の配分についても、今先生からの御指摘のありましたような地域の実情をできるだけ十分勘案いたしましてこの配分を決めていきたいと考えております。
  150. 岩田順介

    岩田委員 もともと調整交付金というのはそういう目的で発足したわけでしょうが、まだその効果の実情がわからないという趣旨の御答弁でありました。こういうふうに格差が歴然とした状況の中では、いわゆる配分の方法を変更するか、私も来年度あたりの決算状況を見なければわからぬという点は前提に申し上げますけれども、抜本的な改正をしなければ追いつかないのではないかというのは産炭地の幾つかの状況からも推測できると思うのですね。したがって、何年か後に振り返ってみたら効果が上がっていないというならば、財政調整交付金の意味がこれは問われることになるのですね。したがって、特段の措置を要望しておきたいと思います。  それから、最後に一つだけお伺いしておきたいと思いますが、ことしの五月十八日付で老人医療ガイドライン作成検討会というその検討会からの報告書が出ておりますが、これでは老人の問題について慢性的な老人をどうするのか、寝たきり、それから寝かせきりの老人の措置をどうするのか、こういった点について報告書が出ているというふうにお聞きをいたしておりますけれども、その中でもやはり問題になるのはマンパワーの問題ですね。看護婦さんの数やその配置人員の問題、それから病室の設備構造等の改善の問題、触れられていますが、この報告書に基づいた厚生省の検討が進んでいるかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  151. 仲村英一

    ○仲村政府委員 老人医療ガイドラインの報告書ということで、御指摘のように先般御報告書をいただいたわけでございまして、その中には今も先生が御指摘のような、いろいろの角度からの今後のよりよい老人医療のあるべき姿ということで、各般の要素を交えました報告をちょうだいしております。これを受けまして、それぞれの対応すべきところでそれぞれの対応を今後取り組んでいくということになると思います。  例えば、間もなく提出をいたす予定でございます医療法におきましても、療養型病床群というふうな形で、長期に療養するのにふさわしいような設備あるいは人員配置を提供するとか、もちろんその前提にマンパワーの確保の問題でございますとか、あるいは患者さん自身に、あるいは国民を含めました一般の方々にも、老人医療について新たに考え方をもう一遍考え直していただくような方向でございますとか、いろいろな角度の、行政当局に対する注文ももちろん入っておるわけでございますので、こういうふうな御報告をいただいて、それを受けとめまして全般的に法律の問題あるいは予算の問題、さらには取り組みの問題、地域でそれをどのように展開していくかというようなことで、各般の施策をやっていくような努力をしていくためのきっかけと申しますか、見直しの幅の広い御検討結果をいただいておりますので、今後、この御提言を受けまして、私どもいろいろの角度からの検討を進めてまいりたい、対策も拡充してまいりたいと考えております。
  152. 岩田順介

    岩田委員 終わります。
  153. 畑英次郎

    ○畑委員長 石田祝稔君。
  154. 石田祝稔

    石田(祝)委員 今から若干お時間をちょうだいしまして、るるお聞きをさしていただきたいと思います。  これから二十一世紀に向けまして、高齢者もたくさんふえてまいりますし、また二〇二〇年には四人に一人が六十五歳以上となる、こういうふうな状況でございまして、まさしく現在のこの医療保険制度を前提とする限り、きょう審議をされております国民健康保険の比重がますます高くなってくる、このように私は思うわけでございます。この中において、この国保はどういうふうな位置づけをされていくのか。私は今回のこの国保の改正案を見ましても、私の能力の不足ということもあると思いますけれども、それ以上に全体的にトーンが余りはっきりわからない、どういうふうな方向に国保を位置づけて持っていこうとしているのか、これはよくわからない、こういうふうな感じがいたします。特に、六十三年の前回の改正のときに、この二年間ぐらいかけてまた検討をし直して、そして、ことしの六十五年には老健法の改正とあわせて抜本的な改革をやっていく、こういうふうにたしか六十三年の改正のときに当時の厚生大臣がお答えになったと思います。その意味で、六十三年以降の経緯も含めまして国保の未来像、また二十一世紀での位置づけ、これを大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
  155. 津島雄二

    ○津島国務大臣 我が国の国民皆保険でありまするところの医療保険の柱は、一方では国民健康保険制度であり、もう一方では被用者保険でございます。このような意味で、国保制度は非常に重要な柱になっておるわけでありますが、その実施の主体、運営主体は何かと申しますと、地域保険でございますから、国民健康保険の方は市町村が実施主体になっておりますが、しかしこれは、今申し上げましたように社会保障制度の柱でありますから、その安定的運営のために基本的な責務を負うという意味で国も都道府県もその例外ではないわけでございます。都道府県も広域地方公共団体として指導等を行っており、また国も地方公共団体と一体となってその運営の安定化を図らなければならない、これが現在における役割でございますが、将来における安定化についてどうもまだ十分ではないのではないかという御指摘、そのとおりでございまして、昭和六十三年から言われておりますような老人保健制度の見直しを含めて抜本的な改革を行うんだということについては、老人保健制度そのものについていろいろ検討を行いましたが、関係者の間の意見の一致を見ずに実は宿題になっております。そういう意味でなお大きな宿題を、課題を残した現状であるということを私は率直にお認めをいたします。  しかしながら、その問題が解決しない間は手をこまねいているわけにまいりませんので、そこで今回のような制度改正をお願いをいたしまして、それで、これまで既定方針として進めてまいりました老人保健制度の拠出金の加入者按分率一〇〇%化というものと並びまして、六十三年度から暫定的に行っておりました基盤安定事業をこの際恒久的な事業としてお認めをいただくということを今お願いをしているのが現状でございます。
  156. 石田祝稔

    石田(祝)委員 若干これからお尋ねしようとすることにお答えをいただいた部分がございますけれども、改めてお答えいただきたいと思います。  この国民健康保険の本来的使命について私は三点お伺いしたいと思います。  この国民健康保険制度は国の事業なのか、それとも市町村の事業なのか、まずこれが第一点でございます。そして社会保障か相互扶助か、これが第二点目でございます。そして第三点目には、財政原則としてはどういうことが財政原則になっているのか。この最後の財政原則につきましては厚生省の方と、それからきょう自治省、お見えになっているようでございますので、お答えをいただきたいと思います。
  157. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 最初の国民健康保険は国の 制度か地方の制度かというような御質問でございますが、基本的には国が法律をもって決めております社会保障制度の一環でございますから、そういう意味で国の制度でもあるわけであります。同時に、市町村が実施主体となっているという意味におきまして、地方としても重要な位置を占める制度であるということが言えると思います。  それから社会保障か相互扶助かというお尋ねであったかと思いますけれども、この国民健康保険も広い意味での社会保障制度の中の重要な柱でありますが、それは社会保険方式を基本としておりますから、いわば相互扶助的な要素を非常に強く持っている。しかし、民間の私保険のように単純に相互扶助とか、あるいは単なる保険方式だけで成り立っているものではなくて、そこにいろいろな別途の配慮も同時に行われているというものでございます。  それから、財政原則というのがどのような意味で御質問になったのか、私も必ずしもよくわからない面もございますが、いずれにしても、この社会保険という基本的な性格から見れば、まず保険料というものが主たる財源であり、それからこの国民健康保険法上は、他の制度に比べれば高額な国庫補助がなされておる。さらに今御提案しておる改正案によれば、都道府県負担あるいは市町村負担というものもその中に入ってくる、こういう形で、いずれにしても一言で申し上げますと、国と地方とが一体となって住民に対する医療保険を実施する、この国民健康保険制度を維持運営していく、こういうような姿であろうかと思います。
  158. 香山充弘

    ○香山説明員 お答え申し上げます。  私どもは、国保の運営は市町村が保険者となって運営されておりますけれども、あくまで施策の性格といたしましては国民皆保険の一環をなすものでございますので、国がその責任を持って運営の安定を図るべきであり、したがいまして、その財源としては国庫負担金と保険料とによって賄われる、これが基本になるべきものだと考えております。
  159. 石田祝稔

    石田(祝)委員 お答えをいただきまして、まず間違いなくこれは国の制度である、国の事業だ、私は事業かどうかと聞きましたけれども、こういうお答えでございました。これは国民健康保険法の目的に、よく御存じだと思いますけれども、第一条に「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」このように明確に書かれておるわけでございまして、それで第四条におきまして、「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」明確に国の責任でやる、このように書かれておると私は思います。そして、特に国民皆保険ということで市町村に住んでいる者はすべてこの国民健康保険の被保険者となる、強制保険だ、このような明確な位置づけもされておるわけでございます。要するに、日本に住んでいる限り入らなくてはならない。適用除外としては生活保護を受けている方とか、ほかの被用者保険の加入者であるとか、そういうことはございますけれども、それ以外は全部入らなくてはならない、そういう強制保険で、なおかつ国の保険である、このようなことを私は明確にここで言えるのではないかと思います。  財政原則につきましても、私はこの国民健康保険事業がやはり国庫、今自治省の方は負担金というふうにおっしゃいましたけれども、当然に出すお金だ、そういう意味で負担金だと思うのですけれども、そういういわゆる保険料と国のお金、これで明確に運営をされていくべきである、このようなお答えだと私は思ったわけでございます。このことは、私は特にこの国民健康保険法、その下にやはり憲法第二十五条、すべての国民が文化的な生活を行っていく、これを国が保障している、そして社会福祉、社会保障を国がやっていかなくてはならない、この精神から出ていると私は思いますので、やはり国の責任において今後ともやっていかれるべきである、このように思うわけです。  そして、この国保の歴史も若干振り返ってみましたら、今保険局長は社会保障か相互扶助か、両方ともまじってあるようなことを言っておられましたけれども、明確に一九五八年、昭和三十三年に国民健康保険法が改正されたときに、今までの相互扶助ではなくて、これはもう国の責任において団体委任事務としてやっていくんだ、こういうことで私は発足をしたわけだと思います。しかしながら、最近におきまして何となくこれは市町村の事務だ、それを国が補助してやるんだ、こういうふうなニュアンスがだんだん強くなってきているのじゃないか、私はそういうふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  160. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 社会保障制度というのは国が責任を持ってこれを運営するということは御指摘のとおりでありますから、これは国民健康保険も健康保険もそういう意味においては同じであろうと思います。しかし、実施主体が市町村ということで地域住民に対する医療保険という特色も持っておりますから、そういう意味で地方でのいろいろな事業活動といったところにまた特色があるわけでありまして、そういうことを私もさっき申し上げたつもりでございます。  ただ特に、何と申しましょうか、社会保障と相互扶助と、これは必ずしも対立する概念じゃございませんで、社会保障の中に社会保険という相互扶助によるものもあるし、それから社会福祉的なものもあるしということになりますから、国民健康保険というのはまた基本は社会保険方式、つまり相互扶助という基本的理念に基づいて、そして、それに別のいろいろな配慮も加わった姿として社会保障制度の中の一つの大きな柱になっている、こういうことであろうかと思います。特に、地方が実施するのに対して国はただ補助をするだけの立場にあるような、そういうような考え方というのは私どもは特に持っておりませんで、できるだけ国自身が、その基本的な運営方針について、制度の立て方について責任を持って考えていかなければいけませんが、同時に地方の自主性というものも、この地方自治体である市町村が実施するという面において尊重されなければならない。そこの調和というものを十分に考えながら実施していく必要があるというように考えております。
  161. 石田祝稔

    石田(祝)委員 今るるお伺いをしましたけれども、なぜ私がこういうことを言うかと申しますと、やはりいろいろな意味で垣根のところがあいまいになってきている。大原則は、国がともかくも財政もしっかり見て、そして事業主体、それはもう生活に根差した、地域住民に根差した市町村がやることは、これは私は結構だと思いますけれども、そこのところが、これからいろいろ法案も、ゴールドプランとか出てまいりますけれども、地方に委譲するんだ、そうしたら地方で全部やりなさい、こういうことになっては私は困ると思うのですね。やはりあくまでもこの保険、福祉というものは国の責務である、しかしながら実情がよくわかる、その地域の人の顔が見える市町村が運営主体となってやっていく、それはもうそのとおりでありますけれども、大原則は国の責務でやっていくんだ、こういうことはひとつしっかりと胸にとどめておいていただきたいと思います。  私は、それではこの地方財政法の観点からも若干お伺いをしたいと思います。  先ほど財政原則は簡単にお触れをいただきましたけれども、保険料と国庫負担金でやるんだ、こういうことでお話しになりました。地方財政法の第十条、また第十条の八の三、これは国民健康保険の事務について述べられておりますけれども、この部分は明確に地方交付税から外して、地方交付税外で処置をしなさい、こういうふうなことが書かれておるわけでございますけれども、これにつきまして自治省の御見解を聞きたいと思います。
  162. 香山充弘

    ○香山説明員 この地方財政法の規定でございますけれども、これは先ほど私が申し上げましたように、国保財政に直接かかる経費につきましては国庫負担金のほかは保険料で賄うのが原則であるという趣旨で、この算定対象から除外しておるものと理解していただいてよろしゅうございます。
  163. 石田祝稔

    石田(祝)委員 明確なお答えをいただきましてありがとうございました。  続きまして、今回の改正案、改正案というふうな形で出ておりますけれども、国の負担をふやした、こういうふうに言われておりますけれども、この国保の被保険者一人当たりの負担の軽減額は一体幾らになっておるのでしょうか。
  164. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 私どもの方では国民健康保険の世帯数に応じまして今回の軽減額を算定いたしまして、一世帯あたり五千七百円という数字を一応試算しておりますが、一人当たりというのは直接まだ計算はしておりません。ただ、平均世帯員数がわかればそれに応じてこれをさらに割ればよろしいわけでありますので、もし必要であれば今ちょっと計算をさせたいと思います。
  165. 石田祝稔

    石田(祝)委員 じゃ、それは後ほどいただきたいと思います。  そうしますと、一世帯あたり五千七百円。お金を払うのは世帯で払うわけですから、そうすると年間五千七百円全国的に下げても構わない、こういうふうな計算になるわけですけれども、保険料を安易に下げてはいけない、こういうふうな通知とか通達とかはお出しになっておりますか。
  166. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 国保事業の運営というのは長期的に継続する制度でありますので、単年度の収支というものを見ながらやってはおりますけれども、やはり実質的には年度区分というようなものは患者なり被保険者にとって医療という面では余り意味がないのではないか、つまり、財政面だけでのこういう区分でありますから、ここはできるだけ長期間にわたって安定的な運営をするのが望ましいと思います。  そういう意味で、これは市町村に対しまして、たまたまある年度において何らかの理由によって保険料を下げても一応財政収支が合うとしても、翌年度はまたいろいろな要因によってどうなるかわからないという面もありますから、そういう短期的な視野で保険料をすぐに動かすというのは制度のあり方からいってどちらかというと好ましくない、そういう見地から、できるだけ中長期的な観点に立った財政基盤の強化を図っていくようにという趣旨のことを申しております。しかし、直接の保険料水準の決定というのは最終的には市町村の判断によって決まるということでありますから、そういう意味で、市町村において将来の財政見通しというものを十分持った上で保険料を決めていただきたい。そういう見通しがないままに安易に、たまたまある年度において下げられるからといって下げるということは制度の運営にとって適当ではないということを申し上げているということでございます。
  167. 石田祝稔

    石田(祝)委員 続きましてお聞きをしたいと思いますけれども、今回のこの改正案の中で、前回六十三年のときもそうでございましたけれども、一元化とか標準化、平準化、いろいろな言葉が出てまいります。今回は一元化ということと平準化という言葉が出ておりますけれども、いま一度この一元化または平準化ということについて定義づけと申しましょうか、だれが聞いても同じ概念を頭の中に描き得る、こういうふうな観点から、ひとつこの一元化と平準化について明確なる定義をお願いしたいと思います。
  168. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 その前に、先ほどのお尋ねで、今回の改正と老人保健拠出金按分率一〇〇%に伴う財政効果としての軽減額につきまして、一人当たりに直しますと約二千三百円、これは一世帯ほぼ二・五人という前提で計算をいたしました。  それで、お尋ねの一元化とか平準化とかいう言葉でございますが、明確な定義をとおっしゃいましたけれども、法律上特に公的な定義というものがあるわけではございません。ただ、これまで一元化という言葉は、現在のように医療保険制度がいろいろと分かれておる中で、その制度間の給付と負担の公平を図ることを称して一元化であるというように私どもが現実に使ってまいりました。それは、簡単にわかりやすく申せば、どの制度にいても給付も負担も実質的にはほぼ同じような姿であるという状態を実現することを意味しております。  それから平準化というのも、単に平準化というと不正確になるわけでありまして、国保の市町村間における保険料負担の平準化、こう申し上げるのが正しいかと思います。つまり、現在市町村の間において国民健康保険の保険料に非常に格差がありますので、できるだけその格差をなくして、これは全国全く一つの保険料額というわけにはまいりませんけれども、例えば医療費の水準が同じであれば同じような所得の人については保険料の格差がほとんどないというような姿を想定いたしまして、できるだけそういった意味での均衡のとれた姿に持っていこう、それを国民健康保険の保険料の平準化を図る、こういう言葉であらわしていると申し上げてよろしいかと思います。
  169. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうしますと、この一元化というのは、現在いろいろな保険がございますけれども、その各保険の制度を残して、そして内容的に給付と負担の公平を図る、こういう理解でよろしいですか。
  170. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 私どもがこれまでに使ってきております一元化という言葉は、現行の制度を基本的に残しつつ、そうして、その制度間における給付と負担の公平化を図るという意味内容として用いてきております。
  171. 石田祝稔

    石田(祝)委員 確認になってあれですけれども、そうしますと、一元化というのは各制度を残して各制度間の平均を図る、そして平準化というのは国保の中、たしか今三千二百六十二保険者があると思いますけれども、その国保の中の三千幾つかの保険者の均衡を図る、こういう理解でよろしいですか。
  172. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 医療保険制度の一元化は、現行の制度の基本的な仕組みを残してその制度間における給付と負担の公平化を図るということでありますし、国民健康保険の保険料の平準化は、市町村の間における保険料負担の格差というものをなくして保険料として均衡のとれた保険料にする、こういう意味でございます。
  173. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうしますと、一元化について若干お伺いをしたいと思います。何点かありますので、お答え願いたいと思います。  昭和六十三年の改正案審議のときに、六十年代後半の早い時期にこの一元化というものをする、たしかこういうふうになっていたと思います。まず第一点目は、今後のこの一元化についての見通し、時期的なもの、これがまず第一点。  そして一元化のレベルの問題、これを私はお伺いしたいと思います。一元化ですから、極端な話を言えば全部ひっくるめて足して割れば一元化はできるわけです。今のこの政府のやり方というのはレベルを下げて一元化を図っていっているのではないか、私はこういう気がしてならないわけです。私は、実は議員に当選する前は地方公共団体の東京都に勤めておりましたし、また、それから政管健保にも入りました。幾つか保険を経て今回国民健康保険に入っているわけですけれども、いわゆる負担に対しての給付のレベルが物すごく下がっている。ある意味では悪い方に、悪いと言えば語弊があるかもしれませんけれども、負担と給付ということを考えた場合にレベルの低い方で一元化をしようとしているのではないか。これは、医療費に占める国庫負担金の割合はだんだん下がってきていると私は思います。そういう意味で、国庫の負担金を減らしながらレベルの低い段階で一元化をしようとしているのではないか、これが第二点目でございます。  そして、今回の六十五年で老人保健への拠出金の加入者按分率が一〇〇%になりまして、それから今回それに対する激変緩和措置ということで、元年の補正予算で一兆五千億の基金をつくり、その利子の七百五十億円でこの激変緩和の措置をやった。これは審議の際に「当分の間」、こういうふうなことが書かれてございました。この「当分の間」というのは一体いつまでなんだ、これをお聞かせいただきたいと思います。  三点、よろしくお願いいたします。
  174. 津島雄二

    ○津島国務大臣 二十一世紀初頭の本格的な高齢化社会に向けて、国民すべてが安心して医療を受けられるような医療保険制度の長期的安定を図ることが大事である、そういう見地から、先ほど御指摘になりましたように、歴代の大臣が六十年代後半の早い時期に一元化の目標でやりますという御答弁を申し上げたのは事実でございます。  先ほども申し上げましたように、被用者保険それから国民健康保険の双方で組み立てられております現在の皆保険体制、この制度間の給付と負担の公平を図るというのは当然のことでございますけれども、そのためにそれぞれの制度における構造的な問題、例えば高齢者の加入割合であるとか、あるいはそこから来る老人医療費の高騰の問題であるとか、あるいは所得水準の問題であるとか、そういうものに対してこれまで、まず老人保健制度を導入する、それから退職者保険制度を導入する、それから国民健康保険におきまするところの基盤安定事業を始める、こういうふうに一つ一つやってきた。これはまさに給付と負担の公平化に向けての条件整備をやってきたと思っております。今回お願いをしておりますこの改正もその条件整備の一つであると私どもは位置づけておるわけでございまして、そういう意味では本格的なというか最終的な目標に対してまだかなり距離があるということは事実でございます。  なぜそうなったかということから先に申し上げますが、要するに老人保健制度というものをいろいろな角度から見直して安定をさせるということがやはり先決問題でございますが、老人保健制度のあり方について関係者の間の結論が得られなかったということがあるわけでございます。どういう形で一元化するかというお問い合わせについては、既にこれまでの大臣が答弁しておりますように、被用者保険と地域保険との現在の体制を維持しつつ八割程度の給付水準に各制度をそろえる、そして必要なものは医療保険でカバーする、こういう三つの柱を立てておるわけでございますが、こういう方向で、引き続いて今回の制度改正をお認めいただきました上においては老人保健制度をどうするかということを真剣に検討してまいりたいと思っております。
  175. 石田祝稔

    石田(祝)委員 三番目の問いが抜けていると思いますけれども、「当分の間」というのはいつまでかという、一兆五千億の基金の利子の問題です。
  176. 岡光序治

    岡光政府委員 今回の措置は御指摘のとおり当分の間ということにしておりますが、この取り扱いも含めて、引き続きまして老人保健審議会の場等を通じて幅広い御論議が行われるというふうに期待をしております。それで結論が得られ次第方向がはっきりすると思いますので、それまでの間というふうに理解しております。
  177. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうしますと、最後の「当分の間」というのはまだわからないということになるわけですね。  私は一元化のレベルが下がるのじゃないか、下げたところで一元化をするのではないかということでお聞きをいたしました。なぜそういうことを申すかといいますと、私が地方公共団体共済組合の被保険者のときには本人十割だったわけです。それが九割になって、そして被用者保険に入りましてもそうでございますけれども、原則は今たしか八割になっている。こういう形で、何か保険を移るたびにどんどん給付の質が下がってきているような気がして私は残念でならないのです。その割には自分の保険料はだんだん高くなっている。そういうこともございまして、一元化のレベルという問題もぜひともお考えをいただきたいと思います。なかなか難しい問題かもしれませんけれども、単にならせば済むのであればこれはある意味では簡単なわけで、やはりレベルを維持しながら、できれば国民の側に立って高い方に向けてレベルを合わせていく、これを何とかお願いしたいと思うわけです。  続きまして、平準化について若干お聞きをしたいと思います。  この平準化という言葉、先ほど御説明をいただきました。国民健康保険の中の三千二百六十二の保険者のいわゆる負担と給付の格差をなくしていくんだ、こういうふうな御答弁でございましたけれども、具体的に現在、私の手元の資料では市町村格差でも最大九・三倍というふうなデータもございますし、一人当たりの保険料の格差でも六・八倍、こういうふうな極端な差が現在あるわけなんです。それに関してこの平準化というのはどういう方向でやっていかれるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  178. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 市町村間におきます保険料負担の格差というのは確かに大変大きいものがありまして、今御指摘もありましたように、一番高いところと一番低いところの間では約六・八倍。これは非常に極端な例をとっての比較ではございますけれども、現実にそういう差があるわけでございます。これを今後どうしていくんだという点で私どもも今いろいろと真剣に考えておりますけれども、こういった格差がつくというのは、一つには市町村の医療費に差が出てくることにもよりますし、被保険者の所得水準に差があるということにもよろうかと思います。それから、これは制度的には必ずしも明確にはなっておりませんけれども、現実に市町村の一般会計から繰入金が国保の特別会計に繰り入れられているという事実がございまして、その繰入金の額等によってもいろいろと影響が出ているということは否定できないわけでございます。  そういうような状況の中で、やはり一つには今回の国保改正案の内容になっております保険基盤安定制度の活用によりまして市町村間の財政力の格差、これは一つには所得水準を反映している面があると思われますので、そういうところに重点的に対応を考えていく。それから医療費の問題もやはりいろいろ関係がありますので、これは長い目で見ていく必要もあらうかとは思いますけれども、できるだけ市町村の医療費水準についてこれを適正化していくということも考えなければならないと思っております。そのような基本的な考えに立ちまして、現実にはこの保険料の賦課の方式あるいは軽減制度の方式、こういったものについて市町村等の御意見も十分伺いながら、今後検討を進めていきたいと考えております。
  179. 石田祝稔

    石田(祝)委員 今平準化ということに関して保険基盤安定制度を利用してやるんだ、こういうお答えも中にあったかと思います。現実に平成二年度の予算案では一千五十四億円、これが保険基盤安定制度の金額だと思います。それに比べまして、市町村の一般会計から国保に出る分がおよそ三千百億円というふうな先ほどのお答えでございました。大体三分の一。一般会計から国保の特別会計に入れているお金の三分の一しか保険基盤安定制度ではないわけですね。それでもって現実にやっていけるのかどうか。この平準化ということ——一元化、平準化、私はこれは両方ともセットでこれから当然やっていくべきものだと思いますけれども、この金額、一千五十四億で本当にそういう方向に進んでいけるのかどうか。保険局長、いま一度御答弁をお願いしたいと思います。
  180. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 平準化のために考えられる対策というのは、ただいま申し上げましたように保険基盤安定制度が新しく確立すれば、それは一つの方策と思っておりますけれども、そのほかにも、国保全体に対しまして、定率の国庫負担なり、あるいは財政調整交付金なりという仕組みもございます。これは、従来から既にそういういろいろな機能を持って今日まで運営されてきたという意味であえて先ほどは申し上げなかったわけでありますけれども、もちろん、そういった従来からの制度と補助の仕組みというものもいろいろな意味で大きな効果を持つことが考えられるわけでございます。  したがいまして、これらの国の補助を合わせますれば二兆円を超える金額になっておりますから、これは確かに市町村の一般会計繰入金、三千億ちょっとでございますか、これ自体はかなり意味のある数字とは思いますけれども、国の方も保険基盤安定制度だけで平準化に対処しようと言っているわけではございませんので、いろいろな方策を考えながら対応してまいりたい、こう思っております。
  181. 石田祝稔

    石田(祝)委員 ちょっとそこのところが私の考えと違いますので、もう少しお聞きしたいと思うのですけれども、定率の国庫負担と財政調整交付金、これは今までもあったわけですよね。今までもあって、そして、こういうふうな市町村の格差ができてきているわけなのです。ということは、この格差をなくすためには、これをふやす以外にだれが考えても理屈として成り立たないと思うのです。今までもあったものを、金額もふやさない、大して金額もふえない、そういう中で、それにまた過重な期待をかけさせるような発言、これは私はおかしいと思います。六十三年の改正のときには、新たに保険基盤安定制度一千億を設けて若干なりともそういう部分に手当てをしたかと思いますけれども、今回、特に財政的に出したのは、今までのところの五百二十七億円だと思います。そういう意味で考えましたら、定率国庫負担、調整交付金、こういうものが今まであった上でこういう格差ができてきているわけですから、今までのものを、また、役に立ちます、これは私はおかしいのじゃないかと思うのですけれども。
  182. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 これは考え方として、その部分、部分で見るのか、全体を通じて考えるのかという違いもあろうかと思います。私どもは、もちろん部分的に、ここの部分はどのような効果を持っているか、あるいはそれがどこまで対応できるかという見方もあることは理解できますけれども、やはり制度としては、全体を通じてどういう運営ができるかということを考えてみてもいいのではないかと思います。この保険基盤安定制度も、金額的に多いか少ないかということは考え方によっていろいろ違いましょうけれども、今回新たに国庫負担の増額をし、そのある相当部分を財政調整交付金に振り向けているということもありますから、個別の市町村に対しては、これはいろいろ効果があり得るのじゃないかと思っております。つまり、全市町村に対する金額としては必ずしも大きいとは言えないかもしれませんけれども、一つ一つの市町村にとってはある程度の効果をもたらすような対応も可能ではないかと考えられる面もあろうかと思います。  それから、この保険財政基盤安定制度は、今度法律上新たに恒久的制度として設けられるわけでありますけれども、その運用面については、軽減制度との絡みにおいて将来いろいろと活用ができるわけでありまして、この制度の活用によって国民健康保険の財政の安定がさらに進むという機能を持った仕組みを今回制度の中につくりたいと考えておりますので、そういういろいろな面から見た今後の国保の安定策というものについて、私どももさらに検討を進め、実効を期してまいりたい、こういう気持ちでおります。
  183. 石田祝稔

    石田(祝)委員 そうしたら、もうちょっと数字でお聞きをしたいと思いますけれども、たしか定率国庫負担と調整交付金の割合は四対一だったと思います。今回五百二十七億円を国庫の支出金としてふやしまして、そのふやした分の六割が調整交付金で、四割は定率国庫負担。今までの四対一の割合がどれだけ変わったかといいましたら、私の計算によりますと三九・五対一〇・五、ほとんど変わっていないというのがその数字ではないかと私は思います。  ということは、五百二十七億円の例えば六割、三百億円ちょっとになりますけれども、その分と、基盤安定化でふやした、これは国で二十七億、都道府県で同じく二十七億になりましょうか、こういうふうな数字なんですね。全体の保険料の給付費は約四兆四千億ぐらいだと思いますけれども、その中で、わずかと言っては失礼かもしれませんが、これだけの格差を平準化していく第一歩として、それだけ胸を張って言えるぐらいの数字なのかな、そういう方向がこれを見ただけで見えるか、私は決してそういう方向ではないと思います。局長、この点いかがでしょうか。
  184. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 数字の評価というのは、これはもういろいろあろうかと思いますので、私どももこれが非常に目をみはるような数字とか増額であるというようなことまで申し上げるつもりはございません。しかし、ある意味では国保の国庫補助制度の中で画期的な考え方であろうと思うのです。これは別に自画自賛するわけではなくて、これまでの制度のあり方から見て新しい姿が少し出てきた、そして、それによって、先ほど御指摘のあったようは、比率として変化した部分は、もちろんこの見方も小さいと言えば小さいかもしれませんけれども、やはり財政調整という点に重点を置いた考え方がここに出てきているということ。それから、数百億円の金でありましても、これは一つ一つの市町村にとってみると決して小さいとばかり言い切れない面もあります。それから、定率国庫負担におきましても、医療費に見合う国庫負担でありますから、ある意味では個々の市町村にとってはこれを増額することにおいてメリットが全くないわけではないと思います。  そういう意味で、いろいろなことを考えれば、確かにこれだけで何もかも解決するような改正だとは私も申し上げられませんが、いろいろと今後の対策についての一つの基盤整備という意味はあると言えるのではないかと思っております。
  185. 石田祝稔

    石田(祝)委員 時間がございませんので、保険料軽減の問題について、基盤安定化を含めてちょっとお伺いしたいと思います。  六十三年の改正のときに、この基盤安定制度、二年間の暫定措置でやりました。その際に、たしか当時の自治大臣は、いろいろな保険も国保の制度も大変だ、都道府県としても黙って見ておれないじゃないか、こういうふうな意味の御発言で、都道府県も一千億のうちの二百五十億を負担するという制度が暫定的にとられたわけでございます。今度の場合、これを制度化するということになりまして、暫定から制度化に変わった、その経緯といいましょうか、その目的についてお願いをしたいと思います。
  186. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 一昨年の改正では、初めてこの国民健康保険に地方負担を導入するということもありまして、いろいろな議論の結果、二年間の暫定措置としてスタートしたわけでございます。この問題については、その後私ども厚生省が社会保障制度審議会に、当時予想されておりました二年後の見直しについての御議論をお願いいたしまして、そして約一年半をかけて昨年の暮れに御意見を取りまとめていただいたわけでございます。この社会保障制度審議会の審議の場に、専門委員として地方関係団体の方あるいは自治省の事務次官という立場の方が参加していただきまして、そのような審議の場におきまして、この保険基盤安定制度というものを今後確立するということについては御意見の一致を見たわけでございます。さらに、私どもはその審議会と並行いたしまして、例えば知事会、市長会、町村長会といったようなところを窓口にいたしまして、全国の地方関係団体にも御意見を伺いまして、今日御提案申し上げているような内容のものについては大筋として御了解をいただいたわけであります。  実を申しますと、その途中の段階で私どもが考えました試案についてはいろいろな御意見がありまして、中には、私どもの考え方にある部分は賛成できるけれどもある部分で反対だというような面もございました。したがって、いろいろ交渉と申しますか協議を重ねた結果、こういう姿でとにかく恒久的なものとして実施をしよう、こういう合意ができましたし、そういった事情を最終的に受けまして、暮れの予算編成の段階で大蔵、自治、厚生三大臣の合意によって、さらに、それに基づく予算政府原案の中に盛り込むことによって、この今回の改正の中における保険基盤安定制度の恒久的な実施ということが明確になってきたということでございます。
  187. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それからちょっとお聞きしたいのですけれども、この保険基盤安定制度は保険料の軽減措置に見合う金額だと私は理解をしております。平成二年度の見込みで一千五十四億円、こういうことで、これはこれからどんどんふえていくのじゃないか。実は私、高知の出身でございますけれども、六十三年、元年と見ますと、六十三年が軽減の世帯の割合が全世帯数の四二・五四%、ほぼ五世帯に二世帯が軽減を受けている。そして平成元年は四二・七七%、若干ではございますけれども増加の傾向にございます。これから平準化とかいろいろなこと、応益負担をふやしていこうとかいうふうなことも考えておられるようでございますし、そうなった場合にこの軽減の部分がだんだんふえてくる、そういたしましたら保険基盤安定制度、ここの部分のお金も当然ふえてくると私は思うのですね。しかしながら、この軽減割合等については法律で決まっておる。六割、四割の軽減については要件もちゃんと決まっている。そしてこの軽減に見合う基盤安定制度の部分、ここは今回から制度化で地方交付税の中の基準財政需要額の中に入れられる、こういうことになりましたら、地方交付税の国税三税の三二%、また消費税等も入りますけれども、その土俵が決まっておる中で押し込まれる。ということは何かの事業ができなくなる、こういう形にならざるを得ないのじゃないか、こういうことを私は危惧するのです。  そういう意味でこの部分、軽減割合、軽減世帯の部分がこれからどういう見込みに局長また大臣はお考えになっておられるのか、そして、これを地方交付税で基準財政需要額に入れることについてはどうなのか、この件は自治省の方にもあわせてお伺いをしたいと思います。
  188. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 この保険基盤安定制度、今回の制度はいわば従前の二年間の暫定措置が切れた後の新しいものでございますから、今の段階で具体的に今後どういう姿になっていくかということについて明確に申し上げることもなかなか難しい面がございます。つまり、その制度が拡大するのかどうなのか。これは保険料の軽減制度をどうするかということと密接に結びついてまいりますし、現在、来年度以降の平準化の問題なりあるいは軽減制度の問題なりにつきましては、地方公共団体の代表の方々とこれは定期的に会合を持ちながら相談をして決めていきたい、こう思っておりますので、そういう意味におきましても、平成三年度にどういう具体的な姿になるかというのがまだ今固まっていないという面がございます。そういう意味におきまして、直ちにこれがどういう姿になるのかということを申し上げるのはなかなか難しいと同時に、これはいろいろ地方によっても状況が変わってまいりましょうし、国民経済全体の動き等にも大きな意味においてかかわり合ってくるという面もございますので、私どもとしては、今後適切にこれを運営するという見地に立って扱っていくというところまで今の段階では申し上げるのが限度かな、こういうように考えておる次第でございます。  なお、地方財政の問題は自治省の方からお聞き取りをいただきたいと思います。
  189. 香山充弘

    ○香山説明員 保険基盤安定制度に係ります今後の予算額あるいはその内容等につきましては、所管の厚生省の方におきましてお考えをおまとめになりました段階で各年度の予算編成時期、自治省の方にも御協議あろうと思っておりますので、その時点で実態を踏まえ、地方団体の意向も十分踏まえて自治省として対処してまいりたいと考えております。
  190. 津島雄二

    ○津島国務大臣 先ほどから委員と政府委員のやりとりをずっと拝聴させていただいておりまして、一言私から申し上げたいと思っておりますのは、確かに今度の改正は抜本改正とは言えないわけでございます。恒久的な制度として基盤安定制度が入ったということは制度としては評価できますけれども、それでこれからかなりの期間にわたって安定的な運営ができるか、そして、ひいては保険料の平準化ができるかという委員の問題の御指摘に対しては、十分にお答えはできてないと思います。  ただ、私はここで二つ申し上げたいのは、一つは今回の結果、平成二年度では八百億何がし程度の国民健康保険会計の負担軽減になる。それは数字的には非常に軽いのではないかとおっしゃる点については、これは基盤は確かに四兆円の事業であり政府が定率で二兆円近く出しているというようなことがございますが、その増加分に対して働いてくるわけでございますから、例えば政府の定率部分を除いた二兆円に対して八百億というのは四%でございますから、増加分というところで見ていただければ、それはそれなりに効果があるという点は御理解をいただきたいと思います。  それからもう一つは、それじゃ抜本改正できない、保険料を今のようにかなりばらつきのあるままにしておいていいかということは決してそうではございませんので、私はここで申し上げたいわけでありますが、負担の平準化につきましては平成三年度の実施を目途に、先ほど申し上げました老人保健制度の検討等を積極的に行った上で検討を進めてまいりたいということを付言させていただきます。
  191. 石田祝稔

    石田(祝)委員 お答えはよくわかりました。大臣のお考えもございますし、私は八百五十億円、正確に言うと八百五十億だと思いますけれども、決して少ないとは思いませんが、一つのこれからの大きな流れをつくっていただきたい、こういう思いでお話をさせていただきました。  ちょっと自治省の方、先ほど私がこれは基準財政需要額に入れることについてどうですか、入れることについていいのかどうか。よしあしというのは本来言うべきではないかもしれませんけれども、妥当かどうかということでお聞きをしたと思いますけれども……。
  192. 香山充弘

    ○香山説明員 補足してお答え申し上げます。  今回の保険基盤安定制度につきましては、国保に低所得者が多いとかあるいは高齢者が多いとか、そういう構造的な問題に着目いたしまして、国費が拡充されるのを前提といたしまして、低所得者に対する軽減措置というのを切り口といたしまして、福祉的な観点があろうということで、これに対しまして、国庫負担金、保険料という基本原則の例外をなすものとして地方財源を投入するということを我々が受け入れたわけでございます。  その方法でございますけれども、具体的にこの国庫支出金あるいはそれに対応いたします都道府県の支出金というのは、直接的には市町村の一般会計に交付されまして、市町村の方は一般会計のフィルターを経由いたしまして、みずからの地方財源を突き合った上で国保会計の方に繰り出しをするという仕組みをとることにいたしております。この一般会計の方で負担するという局面に対して申し上げますと、先ほどお尋ねになりました地方財政法の規定等と何ら矛盾するところがないわけでございまして、いわば地方財源に対する財源措置として交付税に算入させていただくという仕組みをとっておるということでございます。  今後の推移等につきましては、先ほどから厚生省の方からお答えいただいておりますような、保険料平準化等の検討を踏まえました具体的な内容に応じて個別にその都度協議をさせていただきまして、自治省としての態度を決めていきたいというふうに考えております。
  193. 石田祝稔

    石田(祝)委員 それでは、明確にこれは地方財政法にのっとっても問題ない、こういうお答えでございましたので、それまでにしたいと思います。  もう時間がなくなりましたので、若干はしょってお聞きをしたいと思います。  先日の予算委員会のときに、我が党の政審会長が厚生大臣に骨髄バンクの件でお聞きをいたしました。私は、バンクはバンクですけれども腎バンクの問題です。調べましたら、今、日本で生体腎の移植が大体七一%ですか、そういうことで、特に血縁者が多い、親から子に上げる分が物すごく多いというデータも出ております。その際にも、やみくもにやるということではなくて、その血縁者の中でも、検査をして適合するかどうか、移植をして大丈夫かどうか、こういうふうな検査をしなければならないとか、この費用がなかなかばかにならないということを私は聞いております。その意味で、骨髄バンクのときもそうでございましたけれども、お答えにくい部分もあると思いますけれども、生体腎の移植に際して適合検査は少なくとも保険が適用できないか。私は現状を余り詳しく認識していないのであれですけれども、何人分という枠を決めることはいたし方ないかもしれませんけれども、少なくとも五人とか十人まではそういう形で本人に負担がないように検査ができないものか。これはひとつ前向きにお答えをいただければありがたいと思います。
  194. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 腎臓移植のための組織適合性検査の費用の問題でございますけれども、腎臓の提供を申し出た人が実際に提供を行うことにまでなった場合、その際には当該検査の費用を腎臓移植の保険点数に含めて算定をいたすことができます。こういったような取り扱いは、いわば保険サイドから申しますと腎臓の提供を受ける人が治療を受けるわけでございまして、その治療を受ける人の治療のための費用としてはやや範囲を異にするところまで取り込んだ姿でこれは実施をいたしております。つまり、腎臓の提供を申し出た人に対する検査の費用でありますから、そういう意味で保険の通常の医療の範囲からすれば相当思い切った扱いと言ってよろしいかと思うのです。  ただ、医療保険でございますので、どうしても被保険者あるいはその家族の疾病や負傷、こういうのが原則でありまして、腎臓提供を申し出た人が検査を受けた結果、適合性の問題で実際に提供者となれなかった、こうなりますと、実際に病気によって治療を受けようとする人との関連性がどうしてもなくなりますので、その検査までこれを保険から支払うということは困難であろうかと考えておりますので、先ほど申し上げました実際に提供を行うことになった場合というのが限界であろうと思っております。
  195. 石田祝稔

    石田(祝)委員 最後にお願いします。  確かに、移植することになった人は構わないけれども検査をしてだめだった場合にまで持てないというお答えでございますけれども、これはまさしく検査をしなくてはわからないという、自己矛盾のような形になりますけれども、外から見てわからない。やはりいろいろな生体検査をやって、それで適合するかどうか、こういう手順を踏んでいかないとどうしても行き当たらない。行き当たらないと言うとおかしいですけれども、本人にとって幸せなことにならない、そういうことだと思うのです。しかしながら、検査を申し出る、提供しようとする側からとったら、ひょっとしたら自分の腎臓を病人に提供するかもしれない、そういう重大な決意をもってやはり私は臨んでいると思うのです。それが万が一、幸か不幸か合わない、そうしたらあなた全部自己負担ですよ、これは余りにも本人のそういう気持ちに対して、社会保障、また、いろいろな意味から考えてもかわいそうじゃないか、いま一歩これを踏み込んで、今後の検討としていただいても結構ですけれども、前向きに考えるべきではないか、私はこのように思います。  最後に、国民健康保険、この事業は私は非常に大事な事業だと思いますので、ぜひともレベルを下げない段階で一元化等も進めていただいて、ともかくその中で国庫負担をふやしつつ安定的な制度にしていってもらいたい、これは最後の私の要望でございます。どうもありがとうございました。
  196. 畑英次郎

    ○畑委員長 児玉健次君。
  197. 児玉健次

    児玉委員 保険料の減免措置に対して、これまで国は八割を負担していました。前回の改正のとき、それを二分の一に引き下げて自治体負担を導入した、これが前回の国保改正に対して私たちが反対した理由の大きなものの一つです。そのとき出された地方交付税の特例加算四百億円、今回どうなるでしょうか。
  198. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 地方交付税の問題でございますので、私としてはちょっと今お答えいたしかねます。
  199. 児玉健次

    児玉委員 では自治省、せっかくおいでのようですから、この前の改正のとき、六十三年のときに地方交付税の特例加算四百億円……。
  200. 畑英次郎

    ○畑委員長 児玉委員に申し上げますが、自治省見えてないようですが。
  201. 児玉健次

    児玉委員 厚生省、これはわからないはずはないな。どのどんぶりから出ようと、国の財政という点では同じですよ。
  202. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 地方交付税の問題でございますから、私の方からお答えするのはいかがかとは存じますが、聞いておるところによれば、交付税の特例加算が廃止になったということは聞いております。ただ、金額等については直接所管しておりませんので明確なお答えはできないわけでございます。
  203. 児玉健次

    児玉委員 あのとき五百五十億という金額が議論になったんですが、高額医療費共同事業分百五十億円は継続、そして地方交付税の特例加算四百億円は今回廃止というふうになっています。  次に聞きますが、老人保健の加入者按分率一〇〇%になることによって、市町村の国保に対する国庫負担の減は幾らでしょうか。
  204. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 この金額につきましては、今回改正法案の中で国庫負担率についての改正を予定しておりますので、この国庫補助率に変更前の場合と変更後の場合と数字が違ってまいりますが、補助率が変更前の場合でありますと六百七十八億円の変化が出てまいります。
  205. 児玉健次

    児玉委員 六百七十八億円ですね。  ところで、今回の改正案の第八十一条、これまでも若干の議論がありましたが、その八十一条で「保険料の賦課及び徴収等に関する事項は、政令で定める基準に従って条例又は規約で定める。」「政令で定める基準に従って」という言葉がわざわざ新たに挿入されました。これは自治体が独自に行おうとしておる施策を縛るものではないかと危惧するのですが、いかがですか。
  206. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 保険料あるいは保険税は最終的には市町村が条例または規約で定める、これは国民健康保険法の八十一条に従来からそうなっております。ただ、現実にこういった保険料の決定に当たりまして、市町村としてもいろいろどのような決め方をするかについて検討する必要がありましょうし、全国を通じていろいろな市町村の間もできればバランスのとれた姿であることは望ましいわけでございます。その点につきまして、やはり政令で一つの標準的なものを決めまして、それを実際に市町村の方が参考にし、あるいはモデルというような意味でこれを見ていただけるということも考えたわけでございます。しかし、実際的に決定する権限は市町村にあるわけでありますから、それをこの政令でもって完全に拘束するというようなものではないわけでございます。
  207. 児玉健次

    児玉委員 それで、保険料の減免制度がどのような効き目をあらわしているか、これが問題だと思うんですが、一九八六年、昭和六十一年、減免額の実績は七百十二億と私たち厚生省から承っております。八七年は八百二十四億、八八年八百九十三億、昨年の八九年は九百四十二億、伸び率をパーセンテージでとっていきますと、八六年から八七年は一五・七%伸びています。八七年から八八年は八・三%の伸びです。一昨年から昨年の伸びは五・五%です。確実に伸びが減っていますね。保険基盤安定制度が発足してから減免額の伸び率がむしろ低下している。一方、北海道の旭川市では、市独自でつくった二割軽減措置の対象枠を拡大した。そんなことによって保険料の収納率が引き上げられて、二年連続国保料の値上げをストップするという好ましい状態が生まれています。この際、減免制度を思い切って拡充すべきではないかと考えるんですが、いかがですか。
  208. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 保険料軽減額の実績額が伸び率の面で少し低くなっているという面も確かにあろうかと思います。しかし、これは実は保険料総額自体の伸び率が鈍化しておるということとも関連しておるというように私どもは考えております。  この軽減基準額につきましてどうするかという問題、確かにいろいろな観点からの御議論があろうかと思います。また私どもも毎年その見直しを行っておりまして、引き上げ等も行っておるところでございますが、この問題につきましてはやはりどういう軽減の基準額を考えていくか、それはそのときの状況を十分踏まえながらいろいろ検討をしてまいりたいと考えておりますけれども、余り急激な拡大ということは現実の問題として諸般の事情からなかなか難しい面はあろうかと思っております。
  209. 児玉健次

    児玉委員 この面の急激な拡大というのはだれしもひとしく歓迎するところですね。それで、この国保会計全体、それを総体として考えるときに国の負担がどうなっているのかということを少し大きくつかむ必要があるんだろう、そう私は思います。  先ほど指摘した交付税加算額の特例四百億円が削除された、老人保健加入者按分率の変更に伴う国の負担減が先ほどのお答えであるとすれば六百七十八億円、老人保健拠出金に対する国庫の引き下げが三百二十二億。国庫負担を総体的に言って、以上の合計は千三百九十億円になります。で、この制度を本則に入れる、本則への制度化に伴う国庫負担増は確かにあります。五百二十七億。それを差っ引くと総体で八百六十三億円の国の負担減になっている。ここのところを直視する必要がある。  これも厚生省からいただいた資料によりますれば、国保財政に占める保険料、国庫負担の比率、一九八三年と一九八八年、二つのポイントで見てみますと、一九八三年は保険料が三六・〇%、国庫支出金が五六・一%でした。五年後の一九八八年、昭和六十三年で見ると保険料は三九・九%、三・九%の増です。国の支出金の方は三九・五%で、実に一六・六%これは減っています。その分が加入者と地方自治体負担となっている。国庫負担を大幅にふやさなければいけない、とりあえず旧に復する、医療費の四五%に戻すべきだと私は考えますが、この点は大臣のお考えを伺いたいと思います。
  210. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 まず私の方から今の問題についてお答えを申し上げさせていただきます。  この制度改正による国庫負担の増減というのは、これはどこまで関連するものとして見るかという、この見方はいろいろあろうかと思うわけでございますが、私どもはその国民健康保険に財政負担面として影響のある範囲内において計算をしてみますと、保険基盤安定の確立が五百二十七億円、それから老人拠出金の国庫負担の合理化で三百二十二億円の減で、差し引き二百五億円の増。そのほかに按分率一〇〇%移行に伴う国庫負担、国庫負担というよりは、保険料の減の方によりまして軽減効果が出てくるという御説明を申し上げます。  按分率一〇〇%移行による国庫負担減は、これは確かに国庫負担として減っておりますけれども、保険料の負担が減った中でその半分前後の国庫負担額が減額になったということで、国庫の財政負担そのものには直接影響がありませんので、私どもはこれは別のものとして考えるべきではないかというように考えております。  それから、過去の国庫負担割合と現在の国庫負担割合、下がっておるではないか。数字の上では確かに低くなっておりますけれども、これは一連の制度改革によりまして財源の構成を変更いたしたわけでございまして、そういうものも踏まえて国庫負担をどのようにするかというようなことの検討の結果このようになってきたものでございます。したがって、財源のほかの部分における新たな拠出が加わったというようなことによって従来とは確かに構成は違ってきておりますけれども、単純に国民健康保険の負担を一方的にふやすというような考え方のもとで行われたものでないことだけは確かでございます。  なお、今回の制度改正におきましては、たびたび申し上げておりますが、国庫負担の強化を図ることによって制度の安定化を図りたいと考えておる次第でございます。
  211. 児玉健次

    児玉委員 時間があれば今の問題について立ち入って議論をしたいと思うのですが、何よりも雄弁なのは、皆さんが出されている「国民健康保険財政に占める保険料等の割合」、非常に簡潔ないい資料で、五十八年から六十三年まで毎年について保険料(税)のシェア、国庫支出金の比率そして都道府県支出金・一般会計繰入金、これが昭和五十八年度、三・七%が六十三年度は六・一になっている。その他という項目があって、五・七。結局国の負担が先ほど指摘したように一六・六下がった分を、他の部分がそれを受け持っている。このことは、あなたもお認めになったように国の負担がぐっと減っている、そのことの結果ですよ。それを私は指摘しておいて、このことについてはまた後で触れたいと思うのです。  保険料負担の平準化についてですが、応能割と応益割、昭和六十三年で六三対三七だと伺っておりますけれども、これをどこまで持っていこうとされていますか。
  212. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 応能割と応益割の負担につきましてはいろいろな考え方があるわけでございまして、この平準化に当たっての私どもの検討の際には、地方公共団体の意見も十分聞きつつ、こういうことになっております。したがって、現在地方の市町村等の意見もお聞きして検討を始めた段階でございますから、現時点で明確な考えがまとまっているわけではございません。しかし、従来の厚生省としての一つの考え方といたしましては、これももちろんすべてこれで拘束しようということではありませんけれども、五対五というのが一つの姿として考えられるものであろうというような程度の考え方を持っております。
  213. 児玉健次

    児玉委員 それをもし五対五まで持っていけばどの部分の負担がふえていくのか、それがこの際最大の問題だと思うのですね。国民健康保険の構造的変化ということがよく言われます。一九八八年で、寝たきり六十五歳以上を含めて七十歳以上の年齢が全体の加入者の一四・六%を占めるに至った。それから、無職者、これは加入者の二九・六%ですが、一九八八年に初めて自営業、サラリーマンを抜いて、職業別というのは妙な言い方ですが、その職業別の第一位になってきた。このような変化に対応するために平準化をやるのではないか、いかがですか。
  214. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 国保の被保険者の就業別の構成の変化、これは、昔から見ますと農業の人が大きく減っておりますし、無職の人がふえてきている、こういう構造変化は確かにあります。ただ、今回の平準化というのはあくまでも市町村間における保険料の格差の是正ということでありますから、これは就業構造の変化と直接に結びつくとまでは申し上げることはできないんじゃないか、結果としてこういう就業構造の変化等が所得格差を生んでいるというような面はあろうかと思いますけれども、それはまた別の次元の問題でありますので、直接この就業構造の変化があったから平準化そのものを考えるということにはならないというように思っております。
  215. 児玉健次

    児玉委員 端的に聞きますが、応能割と応益割の比率を移していく、結果としては必ず低所得者に負担がいく、だからあなたたちは先日来の厚生省の内部の会議で減免率の拡充といいますか、それを負担がふえる部分に対する見返りとして考えているのじゃないですか。その点について、そうなのか違うのか、それをお答えいただきたいと思います。
  216. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 応能割と応益割の負担をどうするかはまだ結論が出たわけではございませんけれども、いろいろな負担割合の考え方があって、仮に応益割の負担の割合を上げていくとすれば低所得者の保険料負担がふえるということは当然でございます。その際に過大な負担とならないようにするためには軽減制度の拡充ということを組み合わせて対応するという一つの考え方があり得るわけでありまして、これは私どもも検討の段階において制度改正を行っていく上でそういう仕組みをいろいろと議論したことは事実でございますし、また今後この問題をどう処理するかに当たっては、そういう低所得者対策というものもあわせて考えていく必要があるという認識は持っておるわけでございます。
  217. 児玉健次

    児玉委員 低所得者対策を考えるのであれば今考えているような平準化はやらない方がいいということを述べて、次に国保安定化計画についてです。  これも前回随分立ち入った議論を私はやりました。今年度の指定市町村は百三十、そのうち北海道は八十三、実に全体の六三・八%を占めております。なぜそうなるのか。これも前回議論したことですが、基本的には地域における生活破壊の正確な結果だと言わざるを得ない。  そこで、ひとつお聞きしたいのですが、今年度、負担金を課せられようとしている全国の市町村の数、その中で北海道はどのくらいの数の市町村が予定されているのか。それから、これは保険料で六分の三の負担、六分の一、六分の一、六分の一を市町村、都道府県、国が負担することになる。さしあたって国が六分の一を負担しようとしている金額はどれだけか、お聞きします。
  218. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 平成二年度におきましては、現在計数の精査をしている段階でございまして確定額として申し上げることはできない状況でございますが、現時点において市町村が負担すべき額として大体五億九千七百万円程度と見込んでおります。実際に共同負担が生ずる市町村数は七十六市町村という見込みを持っております。  なお、北海道につきましては、市町村が負担すべき額は二億三千三百万円、共同負担が生ずる市町村の数は五十七市町村と見込んでおります。  国が負担する額は、国、県、市町村三分の一ずつという姿でありますので、市町村の負担全額と同額になるわけでございます。
  219. 児玉健次

    児玉委員 この制度が結局国保財政の安定化ではなくて国保の赤字財政を加速するものになっている。ペナルティーとしての要素が非常に強い。これはこの際廃止すべきだと思っております。  最後に伺いたいのですが、厚生省がことしの三月にお出しになった指導監査についての通知、その中で「特別の事情がないのに保険料を滞納している世帯主に対しては、保険給付の一時差止め、」保険証を取り上げとは言っておりませんが、被保険者証の返還を求め資格証明書を渡す、そのように通知しております。この問題が国保の制度に入ったのは昭和六十一年です。そのとき、十月二十八日に衆議院社会労働委員会と地方行政委員会の連合審査がありました。当時厚生大臣だったのは斎藤さんです。斎藤厚生大臣は、「所得がなくて払えない方も悪質とみなすというようなことではございません」と答えている。保険局長は、「納める意思があって納められないという事情が明らかな者については、この制度の対象とすることは絶対にない」こう言い切っているのですね、どうでしょうか。
  220. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 保険料を滞納している方について資格証明書を発行するか否かの判断というのは、特別の事情がないのに滞納しているというような、払えるのにかかわらず払わないという、他の保険料を支払っている方との均衡においてどうしてもある程度の措置を考えなければならない方に対して行うべきものであるというように考えております。
  221. 児玉健次

    児玉委員 この点では連合審査のときの大臣や局長の答えというのは当然のことである、そこを踏み外してはならないということを述べておきたいと思います。  時間ですから、最後に一つだけ伺いますが、報道によれば厚生省の吉原事務次官は二十一日の記者会見で、新行革審が国民負担率の目標値を五〇%以下にとどめるべきだとしたことに触れて、年金や老人医療費の問題など制度の見直しを相当厳しく、しかも早目早目に対応していかなければならないとお述べになったそうです。国民の医療福祉向上を責務とする厚生省の事務次官がこのような発言をなさるというのは全く心外です。どういう意図でお話しになったのか、それを承っておきたいと思います。
  222. 津島雄二

    ○津島国務大臣 高齢化社会における社会保障を維持していくということは大変な仕事でございます。我が国ばかりでなくてあらゆる国で血のにじむ努力が行われておることでございまして、適時適切におくれないように制度の改革の努力を積み重ねていかなければならない。そうでないと、医療保険のように国民生活の基盤になる大事な制度がおかしくなってしまうという危機感から出た発言でございまして、我々はそのような考え方に立って、我が国の社会保障制度が世代を超えて安定的に機能し、国民の一層の信頼を得られるように努力をしてまいりたいと思います。  なお、先ほどからの委員の御質問に対しまして、私は二つのことを申し上げておきたいと思います。  まず第一に、国保会計だけを取り上げられまして、この国保財政に入ってくる国庫支出金の比率が上がったとか下がったとかいう割合、数字だけで国の関与の度合いを判断させるような論旨がございましたが、御案内のとおり五十八年から老人保健制度を発足しておりまして、諸制度全体として、国民全体として高騰していく老人医療費を支えていこう、お年寄りの医療費に心配がないようにしようということの中から全体としての制度が組み立てられておりますので、その結果として国民健康保険財政だけの国の国庫支出金の比率が下がったという数字が出ておるのでありますが、これは全体の姿を反映するものではございません。  もう一つ、言わせていただきます。特別交付税数百億がなくなったとおっしゃいました。これはちゃんと普通交付税の中に入れて存続をしておるということだけ申し上げたい。それを、委員は御存じかどうかわかりませんけれども、あえて国庫負担金が減った分の数字に加えておっしゃっているのは、私は事実を歪曲するものであると申し上げておきます。
  223. 児玉健次

    児玉委員 時間ではあるけれども、大臣がせっかく二つの点をお述べになりましたから、私も簡潔に述べます。
  224. 畑英次郎

    ○畑委員長 児玉委員に申し上げます。時間が超過をいたしておりますから、最後の発言にしていただきます。
  225. 児玉健次

    児玉委員 よく承知をしております。最後の発言にいたしましょう。  しかし、一つの点は、国民健康保険とはそもそも何かという問題が基礎にあります。昭和三十三年の新しい国民健康保険ができたときに、厚生省の当時の幹部の方々は明確にこうおっしゃった。国民健康保険事業を行うことは市町村の固有事務であるとする旧法の考え方を改めて、国民の医療保障を行うことを国の責務とし、これを市町村に団体委任するという考え方を基本とした、こう言われているのです。六十三年の改正のときに当時の大臣や局長は、考え方において変わりがないと言われている。国の責務、補助という言葉を使わずに負担という言葉と、このときかえるようにした。その部分について私が指摘をするのがなぜ国保の全体像をゆがめることになるのか、これが一つです。  二つ目は、六十三年の……
  226. 畑英次郎

    ○畑委員長 時間でございますから簡潔に。児玉委員に申し上げます。簡潔にお願いします。
  227. 児玉健次

    児玉委員 地方交付税特例加算の問題、自治省、大蔵省そして厚生省三者が話し合って、ほうはいとして起きていた地方自治体の反対を抑えるためのまさしく特例的な交付金としてこの四百億円は実現したのです。それが今回消えたのです。私が問題にしているのは交付税会計全体ではなく国保に出される交付金の問題を述べているのだ。  以上のことを述べて終わります。
  228. 畑英次郎

    ○畑委員長 柳田稔君。
  229. 柳田稔

    柳田委員 大臣に、国保の問題も含めた医療保険制度全般について最初に質問させていただきたいと思います。  まず、国保の負担面についてですけれども、厚生省の資料によりますと、国保の保険料は昭和六十三年度一世帯当たり平均で十三万八千円、政管健保の場合が十一万四千円。これを比べますと二割高くなっております。特にその中でも所得三百万円前後の中堅所得者層、この保険料が限度額の四十二万に達している市町村も数多く出ているという非常に厳しい現状に今なっております。これは被用者保険の同所得の人の約二倍の保険料ということになっておりまして、この所得階層でももう負担の限界に来ているのではないかなという気がいたしております。それほど厳しい負担になっているのではないかなというのが私の感想であります。しかも、この保険料というのは今後医療費が増加するに伴ってさらに増加する性格のものでありまして、また一方、国保の被保険者の所得が余り伸びないとすれば、保険料の所得に対する負担率は今後ますます大きくなっていくのではないか、そういうことが予想されます。  また今度は給付面についてですけれども、昭和四十三年以降七割がずっと続いております。ただ、先ほど答弁がありましたように、高額医療費支給制度、この制度によりまして実効給付率は八割近くまで高くなっているという答弁もありましたが、健康保険の九割給付、それに比べますと大分差があるような気がいたします。  この二つの問題が非常に問題になるわけですけれども、一方、国民の医療保障をどのような形で実施していくか。この点については世界の中でも国々によっていろいろなことがなされているというふうに思うわけです。例えばアメリカにおいては公的な社会保険を特定の国民に限定し、その他は民間保険等にゆだねている、イギリスについては逆に保険という仕組みをとらずに、国家が公的サービスとして医療保障を行っている、こういうふうにあるわけですけれども、これらに比べて日本、我が国はすべての国民を公的な社会保険でカバーするという仕組みになっております。私は自分の気持ちといいますか考えでは、これから高齢化社会にもなるわけですけれども、できるだけ国民の自立自助、これを原則にして最終的には公的な制度で保障を行うというふうに思っているわけなんです。先ほど申しましたように高齢化社会が来る。そこで最適な対応というのはどういうふうなものがあるか、いろいろ考えられるわけですけれども、いずれにしても、現在のこの国民皆保険体制は維持していく必要はあるだろう。しかしながら、先ほど申しましたように、この国民健康保険制度だけがほかの制度と比べまして負担面でも給付面でも非常に大きな不公平を生んでいる、これは紛れもない事実だというふうに思うわけです。  この国民健康保険の問題は、国民健康保険の被保険者はもとより、被用者保険の被保険者においても定年退職をしますといずれはこの市町村の国保に加入せざるを得ないわけであります。そのような意味で、この国保の問題は国民全体の問題だ、私はそういうふうにとらえているわけです。今までほかの制度であっても、退職をしますと国保に入らざるを得ない。そうしますと、国民のほとんどの人は国保に縁があるようになってくるのではないか。それで、もしこの国民健康保険制度が崩壊するとした場合、我が国の医療保障制度自体が崩壊するのではないかな。二十一世紀における国民の健康と福祉を守っていくためには、この国保の制度が長期的に安定していかなければならないというふうな気がいたします。  長々と申し述べましたけれども、そこで大臣に質問させていただきたいのですけれども、大臣がよく日本型福祉社会の実現をするということをおっしゃっております。しかし、本格的な高齢化社会の到来という保険制度にとって非常に厳しい局面を迎えます。そういう局面を迎えるに当たって、二十一世紀に向けて国民の医療を確保していくためには、国民健康保険制度における問題も含めて医療保険制度をどのような姿にしていくのか、そのビジョンを国民に示す時期が来たのではないかな、そういう気がするわけなので、この点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  230. 津島雄二

    ○津島国務大臣 本格的な高齢化社会に向けて、国民ひとしく工夫を凝らし、我が国の医療福祉制度を守っていかなければならない、そういう認識に立った委員の御指摘、私は大変感銘を受けて今承っておったところでございます。今後とも国民が安心していただけるような医療保険制度を長期的に安定していくということは極めて重要でありますとともに、やはり困難を伴うことはもとよりでございます。国民健康保険制度は国民皆保険の柱でございますから、何としても現在のこの制度を守っていきたいというところから、将来に向けてのビジョンを国民に示したらどうかという御質問にお答えするわけであります。  私はけさもお答えをいたしましたけれども、あらゆる国でこの問題に取り組み、苦労し、また、いろいろな知見の交換をしておる。その中で、この春先に私が訪れました国で教えてもらった二つのこと、非常に参考になるわけであります。  その一つが、社会主義国でございましたポーランドが、この健康保険制度をこれから維持していくのに大変苦労している。そういうことの中で、やはり医療費を適正に、また効率的な医療サービスを維持するという観点はどうしても重視をしていかなければならない、看過してはならない、ポーランドの厚生大臣は私に強く言われました。特に、健康に対する認識を持っていただくために、国民にある程度の医療費負担をしてもらわなければ、これは社会主義でも医療保険はもちませんよということを強く言っておられたことをこの機会に御披露いたしたいと思います。  また一方同時に、次官が訪問いたしましたオランダ、これは大変福祉の進んでいる国でございますが、どういうわけか日本のように国民皆保険がないわけでございます。上の層の方は自分で保険をつけなければならないというアメリカ型の制度でございまして、そのゆえかどうかわかりませんけれども、医療費の高騰でどの制度が音を上げてきたかと申しますと、民間の保険会社が持っている部分がもたないと言い出して、何とか国民皆保険をやってくれというのが今国論になりつつある。いわゆる先進福祉国と言われておるところでもそういう問題を抱えているということを私どもはかみしめて、日本はある今のこの国民健康保険を中心とする国民皆保険制度を本当に守っていかなければならない、私は覚悟を決めているところでございます。  そういう見地から申しますと、今後老齢化が進むにつれまして、一方では負担と給付の公平化を図りながら、医療費の伸びが国民が負担できる範囲内にとどまっていくことを私どもは念願しなければならないわけでありますが、それではどういう具体的なビジョンを示せるかということについて、きょうこの場でお示しすることができないのが私非常に残念に思います。ただ、本日お答えを繰り返しておりますが、老人保健制度を中心として医療保険制度をどうするかという大きな課題が今残されておりますから、今後老人保健制度のあり方を審議する過程で国民の皆様方にもう少し具体的な考え方をお示ししたいというふうに考えております。
  231. 柳田稔

    柳田委員 今、老人保健の問題も出たわけですけれども、国保制度の運営の長期安定化、これはしなければならないし、また国民が安心して生活できるためにも何としてもしてほしいという気持ちがあるわけです。ただ、日本の高齢化を考えますと、国保を掛けている被保険者が高齢層が非常に増大をする、さらには農林漁業従事者の減少、年金受給者の増大というふうな問題が国保に内在する一番構造的な問題になるんではないかな。さらには、先ほどもありましたように低所得者もだんだんふえてくるだろうということもあるわけです。このような問題に対して、もうそろそろ抜本的な対策を講じる時期に来ているのではないか。先ほど来その趣旨に立った御答弁をお聞かせ願っておりますので、前向きに努力をしていただきたいというふうに思うわけなんです。  それで、これはちょっと私のざっくばらんな提案となりますか、お聞かせ願いたいのですけれども、今高齢被保険者が多いという問題についてなんですが、この際老人保健制度、今対象年齢が七十歳でございますけれども、これを六十五歳に引き下げて医療保険制度間の財政調整も進めていけば、この国保制度の安定化につながるのではないかな、そういう気がいたしております。今七十歳というのを六十五歳に引き下げてください、これは一つのアイデアなんですけれども、老人と言った場合、その範囲をどのようにとらえるか。いろいろな意見があるというのは承知しているわけですけれども、少なくとも厚生省の行政分野の中で老人福祉法等においては六十五歳以上を老人としている以上、施策の整合性という点からいってもこれを六十五歳にするのは合理的であるのではないかなという気がするわけなんです。  しかしこの場合、被用者保険制度からの拠出金負担は、今回加入者按分率が一〇〇%になりまして、それで大分限界に来ているということも聞いております。ですから、これを七十歳を六十五歳に下げた場合また被用者保険制度から金を持ってこいというわけにはいかないという気がするわけなんです。したがって、この被用者保険の負担がふえないようにして、老人保健制度における公費負担をふやしまして、医療保険制度からの拠出金は相対的にふえないようにする必要があるのではないかな。そうしてできましたらば七十歳から六十五歳に引き下げれば、この高齢者医療の国保の内蔵する構造的な問題は解消されるのではないか、そして長期的に安定するのではないかという気がするのですが、いかがでございましょうか。
  232. 岡光序治

    岡光政府委員 先生御指摘のとおり、現在の老人保健制度の対象者は七十歳以上、それから六十五歳から六十九歳までの寝たきり老人等とされておるわけでございます。これは、この制度が制定されましたときの前の制度の対象年齢が七十であったという経緯とか、あるいは七十歳以上の方と七十歳末満の方とで有病率であるとか受療率であるとかそういった実情を見てまいりますと、そこで大きな段差があるというのでしょうか、七十歳以上になった方がそれらの率が非常に高いという実績もあったわけでございます。そういった老人の疾病なり受療の状況であるとか、あるいは今御指摘がありましたが、将来の老人人口の増加であるとか老人医療費の増加であるとか、そういったものを勘案しましたときの経費の持ち合いがどういうふうになるだろうかというふうなことをいろいろ総合的に判断をしまして七十歳以上、それから六十五歳から六十九歳までの寝たきり老人、こういうふうにしたわけでございます。  これはいろいろな団体からもいろいろな意見が出ておりまして、私どもそれを承知いたしておりますが、いずれにしましても、この対象年齢の取り扱いは医療保険制度全般にかかわる問題でございまして、広く国民の合意に基づいて検討される必要があろうかと思っております。そういう意味で、今後老人保健制度の見直しを本格的に幅広く検討していただかなければなりませんが、そういった中で一つのテーマになるものだろうと考えております。
  233. 柳田稔

    柳田委員 会社を退職するのが今六十前か六十。七十まで一生懸命掛けておりますので、その期間を短くしてもらえればその分六十歳から七十歳の方も安心して暮らせるのではないかなという気がしますので、前向きな方向で検討してくださることをお願いしたいと思います。  もう私の持ち時間はほとんどなくなりました。最後に大臣にお聞きしたいのですけれども、この国保の問題は構造的ないろいろな問題も含まれておりまして、これからもその問題が大分大きくなってくるのではないか。そうしますと、長期的な安定という問題もだんだん非常に難しくなってまいりますので、これ一つの制度だけをとって守っていこうとするのもそろそろ限度に近くなってくるのじゃないか。そうしますと、いろいろな制度を組み合わせて国保も考えていかなければならないわけなのですが、今回ゴールドプランというのもありまして、私あれを見ておりまして、高齢者の方の健康も増進していこうというふうな面もありましたので、この辺の制度もあわせながら、またほかのいい面の制度もあればあわせながら総合的にこれからも長期安定に向けて頑張っていただきたいという気がするわけなのですが、そういう観点から総合的に今後国保について何かお考えあればお聞かせ願いたいと思います。
  234. 津島雄二

    ○津島国務大臣 このたび私どもが推進することにいたしました高齢者保健福祉推進十カ年計画は、計画に盛られた七項目の柱はもとより、その背景に一つの考え方、哲学がございます。それはまさに委員が御指摘のとおり、高齢化社会に備えて医療福祉、保健、こういうすべての要素を細かく組み立ててまいりまして、それぞれの地域で高齢化に伴う需要にこたえていきたいということでございます。  本日もいろいろな御質問に答えて私も御指摘申し上げたわけでありますが、例えば病院にいわゆる社会的入院という形で入院しておられる状況を放置してはならないとすれば、それは在宅介護を進めていかなければならないじゃありませんか、在宅介護の受け皿をつくっていくことがまた医療機関において本来の医療の仕事を進めていく環境整備にもなるのではないでしょうか。そういういろいろな要素の絡みを十分に国民各位が御理解をいただきまして、地域地域で創意工夫をして、よりよき長寿・福祉社会をつくっていくということでございます。そのような意味で、これからも多くの方のよき御提言をいただければ謙虚に耳を傾けますとともに、そういう総合的な政策を進めていく中で、日本の医療制度がよりよさものになるように、また国民皆保険が堅持できますように、私どもも努力してまいる所存でございます。よろしくお願い申し上げます。
  235. 柳田稔

    柳田委員 前向きに本当によろしくお願いいたします。  以上で質問は終わります。
  236. 畑英次郎

    ○畑委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  237. 畑英次郎

    ○畑委員長 この際、本案に対し、持永和見君から修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。持永和見君。     ─────────────  国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  238. 持永和見

    持永委員 ただいま議題となりました国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  修正の要旨は、この法律の施行期日を「平成二年四月一日」から「公布の日」に改めるとともに、国庫助成及び保険基盤安定繰入金に関する改正規定について平成二年四月一日から適用することなど、所要の規定の整備を行うことであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  239. 畑英次郎

    ○畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  240. 畑英次郎

    ○畑委員長 日本共産党から討論の申し出がありますが、理事会の協議により、御遠慮願うことにいたしましたので、そのように御了承願い、直ちに採決に入ります。  国民健康保険法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、持永和見君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  241. 畑英次郎

    ○畑委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  242. 畑英次郎

    ○畑委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ─────────────
  243. 畑英次郎

    ○畑委員長 この際、本案に対し、持永和見君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。永井孝信君。
  244. 永井孝信

    永井委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項につき、適切な措置を講ずるよう努力すべきである。  一 国民健康保険制度は、給付と負担の公平化を最も急がなければならない状態にあるため、その安定的運営のために必要な助成の強化に努めるとともに、計画的に医療保険制度一元化に向けた取り組みを進めること。  二 保険料の平準化については、低所得者に対する応益保険料の軽減制度のあり方等を含め幅広い角度から検討し、被保険者の保険料負担に十分配慮しつつ進めること。  三 国は、都道府県及び市町村が保健、医療福祉を総合する視点に立って円滑に医療費の適正化を進められるよう条件整備に努めること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  245. 畑英次郎

    ○畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  持永和見君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  246. 畑英次郎

    ○畑委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。津島厚生大臣。
  247. 津島雄二

    ○津島国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。     ─────────────
  248. 畑英次郎

    ○畑委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 畑英次郎

    ○畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  250. 畑英次郎

    ○畑委員長 この際、内閣提出、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案及び麻薬取締法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。津島厚生大臣。     ─────────────  戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案  麻薬取締法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  251. 津島雄二

    ○津島国務大臣 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、平成二年度においても、年金の支給額を引き上げることにより戦傷病者、戦没者遺族等に対する援護の一層の充実を図ろうとするものであります。  改正の内容は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正し、障害年金、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げるものであります。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。  次に、麻薬取締法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  近年、世界の多くの国々で、麻薬、覚せい剤、大麻等に加え、睡眠薬、精神安定剤等の向精神薬についても乱用が増加してきております。  我が国では、乱用される薬物に対しては、麻薬取締法、覚せい剤取締法、大麻取締法等により、厳しい規制措置が講じられてきましたが、向精神薬についても、密造、密売事件が見受けられるようになり、国内での乱用が懸念される状況にあります。  薬物の乱用は、一たび流行すれば、その撲滅には相当な困難を伴うものであり、向精神薬に対してその乱用を未然に防止するための措置を早急に講ずる必要があります。  また、国際間の人的、物的往来が増大した今日にあっては、薬物の乱用を一国の努力のみで解決することは極めて難しくなってきており、このため、我が国も向精神薬に関する条約を踏まえ、国際的な薬物の流通監視体制に参画することが要請されております。  政府といたしましては、以上のような内外の状況にかんがみ、向精神薬の乱用の防止を図り、かつ、向精神薬に関する条約の批准に備えることを目的として、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容につきまして、御説明申し上げます。  まず、麻薬取締法の一部改正について申し上げます。  第一に、この法律の目的に、向精神薬について必要な取り締まりを行うことを加えるとともに、名称を麻薬及び向精神薬取締法に改めることとしております。  第二に、向精神薬が医療または研究以外に用いられないよう、向精神薬の製造、輸出入、卸売、小売等を業として行う者については免許制度を、向精神薬の試験研究施設の設置者については登録制度を設け、向精神薬の譲渡先をこれらの免許業者、登録施設の設置者等に限定することとしております。  第三に、免許業者等に製造、輸出入等に関する記録を義務づけるとともに、乱用による危害の大きい特定の向精神薬について、輸出入ごとの許可または届け出の制度を設けることとしております。  第四に、向精神薬の一般向け広告の禁止、罰則の整備その他所要の改正を行うこととしております。  このほか、覚せい剤取締法及び大麻取締法の一部を改正し、向精神薬に関する条約の批准に必要な一般向けの広告の禁止、罰則の整備等の措置を講ずることとしております。  なお、この法律の施行は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日からとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  252. 畑英次郎

    ○畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、明二十五日金曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十六分散会