運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1990-07-12 第118回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年七月十二日(木曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 三ツ林弥太郎君    理事 大石 正光君 理事 高鳥  修君    理事 中山 成彬君 理事 村上誠一郎君    理事 辻  一彦君 理事 松前  仰君    理事 薮仲 義彦君       衛藤 晟一君    金子徳之介君       小坂 憲次君    古賀 一成君       坂井 隆憲君    近岡理一郎君       野中 広務君    松岡 利勝君       簗瀬  進君    有川 清次君       遠藤  登君    志賀 一夫君       田中 昭一君    田中 恒利君       村山 富市君    山中 邦紀君       石田 祝稔君    倉田 栄喜君       山口那津男君    藤田 スミ君       菅原喜重郎君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 佐藤 守良君  委員外出席者         国土庁計画・調         整局長     長瀬 要石君         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         大蔵省主計局主         計官      林  正和君         国税庁直税部所         得税課長    諏訪  茂君         文部省教育助成         局施設助成課長 大澤 幸夫君         厚生省社会局施         設課長     松本 省藏君         農林水産大臣官         房参事官    長良 恭行君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     宮本 和美君         林野庁指導部治         山課長     弘中 義夫君         水産庁漁政部漁         政課長     土田 清蔵君         水産庁漁港部防         災海岸課長   川口  毅君         中小企業庁計画         部計画課地域中         小企業振興室長 小林 憲明君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部監理課改革推         進企画官    藤井 章治君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部業務課長   楠木 行雄君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部保安課長   高重 尚文君         気象庁予報部予         報課長     櫃間 道夫君         気象庁観測部測         候課長     手塚 雅美君         建設省都市局街         路課長     荒木 英昭君         建設省河川局河         川計画課長   定道 成美君         建設省河川局治         水課長     日野 峻栄君         建設省河川局開         発課長     豊田 高司君         建設省河川局防         災課長     佐々木賢一君         建設省河川局砂         防部砂防課長  松下 忠洋君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      小川 祐示君         建設省住宅局民         間住宅課長   小川 忠男君         自治大臣官房参         事官      長澤 純一君         自治省税務局固         定資産税課長  成瀬 宣孝君         消防庁防災課長 神林 章元君         特別委員会第三         調査室長    青柳 輝雄君     ───────────── 委員の異動 七月四日  辞任         補欠選任   佐藤  隆君     松岡 利勝君   田邉 國男君     衛藤 晟一君   宮路 和明君     坂井 隆憲君 同月六日  辞任         補欠選任   平田辰一郎君     古賀 一成君 同月十二日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     田邉 國男君   古賀 一成君     平田辰一郎君   坂井 隆憲君     宮路 和明君   松岡 利勝君     佐藤  隆君   池端 清一君     村山 富市君   速見  魁君     遠藤  登君   水田  稔君     田中 昭一君 同日  辞任         補欠選任   田中 昭一君     水田  稔君   村山 富市君     池端 清一君     ───────────── 六月二十六日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(平成二年六月三十日から七月三日までの九州中北部豪雨による災害等)  派遣委員からの報告聴取      ────◇─────
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、去る七月九日、十日の二日間にわたり、平成二年六月三十日から七月三日までの九州中北部豪雨による被害状況調査のため、大分県、熊本県、福岡県及び佐賀県に委員派遣を行いましたので、私が派遣委員を代表いたしまして、便宜、この席から調査概要について御報告申し上げます。  派遣委員は、日本社会党護憲共同辻一彦君、松前仰君、自由民主党衛藤晟一君、古賀一成君、坂井隆憲君、松岡利勝君、公明党・国民会議石田祝稔君、日本共産党藤田スミ君、民社党の菅原喜重郎君、そして私自由民主党の三ッ林弥太郎の十名であります。このほかに、大分県において、地元選出議員衛藤征士郎君、畑英次郎君、村山富市君、熊本県において、委員倉田栄喜君、地元選出議員田中昭一君、福岡県において、地元選出議員古賀誠君、古賀正浩君、佐賀県において、地元選出議員緒方克陽君の方々の御参加を得まして調査してまいりました。  去る六月三十日から七月二日にかけて、梅雨前線活動が活発化し、九州中北部地方においては、所によって時間雨量八十ミリ、日雨量四百六十ミリの記録的な豪雨となり、河川はんらん山地崩壊土砂立木流出等により、死者二十七名を出すなど九州各地に甚大な被害発生いたしました。  このため、七月二日、大分県、熊本県、福岡県及び佐賀県の七市十五町一村に災害救助法が適用されました。  今回の災害の詳細については、質疑等で明らかにしていただくこととし、以下派遣日程により御報告申し上げます。  まず、第一日目の七月九日は、早朝、羽田から空路大分県に入り、空港から大分県庁へ向かう車中、国土庁防災局長から今回の災害概要について説明を聴取いたしました。  大分県では、県庁において、知事及び関係部局から被害状況説明及び要望を受けました。  大分県では、調査時点で、公共土木施設農地農業用施設林業施設及び農作物並びに商工業等約四百九十四億円の被害が出ているとのことでありました。  その後、県内で最も被害の大きかった竹田市内の稲葉川、玉来川はんらんによる家屋の倒壊及び橋梁の損壊の現場を竹田市長説明を受けながら視察いたしました。  現地玉来川は、昭和五十七年にもはんらんし、昭和五十九年から河川ショートカット等改修工事を行っており、平成八年に完成するという途中での災害でありました。  次いで、熊本県に入り、阿蘇外輪山大観峰から阿蘇外輪山のり面崩壊箇所崩壊による土砂立木流出により被害を受けた田畑状況を一望しながら阿蘇町長説明を受けました。次いで、死者十一名を出し、県内で最も被害の大きかった一の宮町に入り、町長説明を受けながら、今回の災害の最も特徴的な土砂立木流出による被災地視察いたしました。  続いて、熊本県庁において、知事及び関係部局から被害状況説明及び要望を受けました。  熊本県では、調査時点で、公共土木施設農林水産施設農作物及び商工関係等約五百九十一億円の被害が出ているとのことでありました。  第二日目の十日は、福岡高田町に入り、高田町役場において、福岡県知事等から被害状況説明及び要望を受けました。  福岡県では、調査時点で、農産物、農地農業用施設公共土木施設等約百五十六億円の被害が出ているとのことでありました。  この後、飯江川及び飯江川上流の待居川の破堤により、付近の田畑土砂に埋没している高田町及び山川町の現状を高田町長及び山川町長説明を受けながら視察いたしました。  次いで、佐賀県に入りましたが、車中、総務部長から今回の災害の概況について説明を聴取いたしました。また、県庁において、知事から被害状況説明及び要望を受けました。  佐賀県では、調査時点で、農地農業用施設農水産物公共土木施設等約四百四十八億四千万円の被害が出ているとのことでありました。  また、知事から有明海に流れ込んだ立木による今後の被害とそれらの処置について苦慮されているとのお話もありました。  なお、各県とも、今後の調査により被害額が増大する見込みということでありました。  最後に、今回の災害の特徴は、短時間に記録的な大雨が降り、山地崩壊を招き、立木土砂が一気に流れ出たことにより被害を大きくしたことだと思われます。視察中も被災地のあちらこちらに流木の山が見られ、それらの処置地元方々は苦慮されているとの話もお聞きしてまいりました。  治山治水対策立場からも、今回の災害の教訓を生かし、今後、より一層の防災対策を進めていくことが必要ではないかと痛感した次第であります。  また、災害により被害を受けた箇所は、今後の雨による二次災害のおそれがあり、早急に復旧に努め、災害に備える必要があります。  報告を終わるに当たり、今回の災害で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました方々に心からお見舞いを申し上げます。  また、調査に御協力を賜りました大分県、熊本県、福岡県、佐賀県及び関係市町村関係各位に心から感謝を申し上げます。  派遣委員各位には、大変御苦労様でした。  以上で、報告を終わります。  この際、お諮りいたします。  大分県、熊本県、福岡県及び佐賀県並びに関係市町村からの要望事項等につきましては、これを本日の委員会議録末尾に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔要望事項本号末尾に掲載〕     ─────────────
  4. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 本日は、特に六月三十日から七月三日までの九州中北部豪雨による災害等について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松岡利勝君。
  5. 松岡利勝

    松岡委員 松岡利勝でございます。  質問に入ります前に、一言お礼を申し上げます。  佐藤大臣を初め関係各省皆様方には、このたびの災害に当たりましていち早く御視察をいただき、大変ありがとうございました。被災地から出ております国会議員といたしまして、心からお礼を申し上げる次第でございます。また、三ッ林委員長を初め当委員会に対しましても、同様にお礼を申し上げる次第でございます。  本日は、自民党といたしまして四人で質問をするわけでありますが、時間がありませんので、共通的なものはそれぞれ分担して質問いたします。  まず最初に、今回の北部九州におけます集中豪雨被害によりまして、死者二十七名を初め各地で大変大きな被害が出たわけでありますが、直接現地視察されました大臣として、被害状況をどのように認識をされ、また被災者の救済や被災地復旧に対してどのようにお考えになっているか、大臣基本的見解をまずお尋ねいたしたいと思います。お願いいたします。
  6. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 松岡先生お答えする前に、まず改めて、今回の災害によりまして亡くなられた方々の御冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、被災者方々に心からお見舞いを申し上げます。  先生御存じのとおり、我が国は地震、台風、豪雨、豪雪、火山噴火など多くの災害を受けやすい自然条件に置かれています。このような災害から国民の生命、財産を守ることは国の基本的な責務であると考えております。このため政府におきましては、国土保全事業を初めとする各種災害対策を推進しているところでございます。  今回の梅雨前線豪雨により不幸にして各地で甚大な被害が生じましたが、既に七月五日には、私を団長とする政府調査団現地入りをいたしまして、被災状況をつぶさに視察し、関係地方公共団体要望を承ってまいりました。また被災地では、消防、水防、警察、自衛隊、また日本赤十字社とかNTT、九州電力、地元ガス会社医師会など、関係各機関によりまする被災者の救護、災害応急対策などが懸命に行われているところでございまして、今後とも、関係省庁の御協力を願い、地元十分連絡をとりながら、政府として万全の対策を講じていく所存でございます。
  7. 松岡利勝

    松岡委員 これからの質問は、時間がありませんので一括して質問させていただき、また一括してお答えをいただきたい、そのようなことでお願いいたします。  第一に、今後の対策をどのように進めていくかということでありますが、被災者被災地がひとしく異口同音に最も念願いたしておりますことは、激甚災害指定でございます。一日も早い御指定を強くお願いをいたす次第でございます。切実な気持ちで、そしてまた一日千秋の思いで待ち望んでおります被災者被災地立場をどうか十分お酌み取りをいただきまして、そういった立場から、また今後の激甚災害指定についての見通しなり御見解をお尋ねいたしたいと思います。よ ろしくお願いいたします。  そして次に、熊本立場に立ってのお願いでございますが、阿蘇地方を中心に県北部全域にわたりまして被害発生をしたわけでございます。主な内容を見ましても、阿蘇の十二名を初めとして死者が十六名、そしてまた、家屋被害は流失を初め約八千戸、農林関係公共土木等被害総額現時点で、これはこの衆議院調査団とちょっとずれがございますが、今の時点では七百億を超える規模、そのようになっております。  そういうことで大変な被害があるわけでありますが、関係各省にまたがっての万般にわたる特段の御配慮をぜひともお願いをしなければなりませんが、一々詳細にわたっていては時間がございませんので、特に次の点について、地元から強い要請がございますのでお尋ねをいたしたいと思います。  第一は、特に今回被害が甚大でありましたのが一の宮町であったわけでございますが、生活の最も基盤であります住宅をなくした人たちに対して、住宅復旧のための速やかなる御処置等十分なる御処置をぜひともお願いいたしたい、このことが第一点であります。  第二は、他の地域も多分同様と思いますが、災害復旧原状回復基本とされております。しかしながら、それではまた同じ災害を繰り返す、そういうおそれのある河川流路位置等につきましては、どうか実情に即してのその対処ということでの復旧お願いをしたいと思います。これが第二点であります。  そして第三点といたしましては、特に関係各省連携をよろしくお願いをしたいと思うのであります。例えば南小国町で、これは大臣からも直接御指示をいただきましたが、中学校に土砂が流れ込んだ。それは文部省によって取り除いていただく。ところが流れ込んだもとのところは、これは文部省の所管じゃございませんものですから、またすぐ流れてくる、雨が降ればまたすぐ出てくるおそれがある。こういったことが現実に起きているわけでありまして、その辺のところの連携をひとつよろしくお願いしたいと思います。  第四点といたしまして、今回床上浸水の大被害を受けました内牧温泉、これは阿蘇町でございます。杖立温泉、これは小国町でございますが、そこは、ちょっと水が出ますとそのたびごとに水があふれる、いわば水害の常襲地帯でございます。そして、この原因はもう明白であります。今度また同じことが起きれば、政治不信行政不信、それはもうその極に達します。したがいまして、地域住民不信はもとよりでございますが、観光地としての地域の存亡のかかった問題でもございますので、ぜひ今後、抜本的、具体的な対策の検討を速やかにお願いをし、その結果はまた即実行に移していただきますよう、特段お願いをする次第であります。これが第四点でございます。  最後要請でございますが、今回の被害に当たりまして、阿蘇地方におきましては、昨年来の火山灰被害に加えての被害でございます。そしてその火山灰田畑、道路、家屋に流れ込んでの泥土災害がまた起きておる。そして水害、こういうことでございますので、まさにトリプル災害、こういった状況を十分にお踏まえいただきましての御対処方を、特にこれは要請としてお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。お答えの方をよろしくお願いいたします。
  8. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 私に対する質問は、激甚災害指定はどうかということだと思います。残余の質問局長から答弁させたいと思いますが、私も、私の選挙区に同じ災害が起きれば、同じ気持ちだと思います。  そんなことでございまして、現在、被害状況につきましては、関係省庁において鋭意調査を進めているところでございまして、確定的な数字がまとまるにはいましばらく時間がかかると思います。  ただし、現時点で把握している被害状況からすると、昨年の災害などの例から見まして、農地等災害復旧事業については、激甚災害としての指定基準を超える見込みは高いと思います。そんなことでございまして、今後、被害額等の精査を急ぎ、早急に関係省庁との協議を進めてまいりたい、このように考えております。
  9. 鹿島尚武

    鹿島説明員 まず一つは、各省連絡をとりまして災害対策に万全を期せというお話でございました。既に、七月五日でございますけれども、各省連絡会議を開きまして、私ども、そういう方向でやらせていただいております。災害対策の要諦というのはチームワークでございます。仰せられるような方向でさらに進めてまいりたいと思います。  それから、飛びますが、阿蘇山火山対策でございます。今次の災害につきまして、その原因も含め、現在、関係各省におきまして調査中でございます。国土庁といたしましては、阿蘇山が活発な活動を続けている状況にかんがみまして、今後とも、関係省庁と緊密な連絡を図りながら降灰対策を推進してまいりたいと思います。  なお、既に先生御案内のとおり、昨年来の降灰対策につきましては、地域に及ぼす影響が大きいということで、治山砂防、そして農業被害対策というようなことで、各種対策各省それぞれこぞりましてやっているところでございます。
  10. 松本省藏

    松本説明員 お答えを申し上げます。  厚生省関係では、先生御承知のとおり、臨時応急的な措置といたしまして、災害救助法というのを適用いたしまして各種措置を県を通じて講じていただいているわけでございますが、今先生の方から御質問ございました、住宅復旧のための速やかなる措置を講ぜよということでございます。  災害救助法趣旨からいたしまして、恒常的な住宅復旧ということではないわけでございますが、応急仮設住宅を設置するということが一つその事業として入っているわけでございます。応急仮設住宅をできるだけ速やかに工事に着工いたしまして被災者に住居を与える、これが救助法趣旨でございますので、一般的な基準で申しましても、災害発生日から二十日以内には工事に着工するというのが原則になっております。  ただそれも、決してそれまでゆっくりしていいということではないわけでございます。先生の御指摘の趣旨も踏まえまして、厚生省といたしましても、できるだけ速やかに工事着工に入りまして応急仮設住宅を設置していくように、関係被災県を指導してまいりたいと考えております。
  11. 日野峻栄

    日野説明員 お答えをいたします。  まず杖立温泉地区につきましては、今回の出水被害にかんがみまして、各種治水対策を検討してまいりたいというふうに考えております。また、内牧温泉のあります黒川でございますが、これも今回の出水、非常に大災害を受けたわけでございますので、再度災害を防止すべく現在調査をしておりまして、対策を鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。
  12. 宮本和美

    宮本説明員 お答えいたします。  農地農業用施設復旧、非常に災害を受けたところにつきましては現在調査中でございますけれども、これは復旧に当たりましては現地状況を十分把握して、現地に適合したような形での復旧をやっていくようにしていきたい、こういうふうに考えております。また、応急処置等もとるように指導しておりますけれども、早期復旧できるように、現地準備態勢ができ次第、早期査定そして早期復旧を図ってまいりたいと考えております。
  13. 松岡利勝

    松岡委員 それでは、私の持ち時間は終わりましたので、あと同僚議員に引き継いでこれで終わりますが、まだまだいっぱいありますけれども、どうか意のあるところをお酌み取りいただきまして、何とぞ大臣初め皆様方お願いをいたしまして、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  14. 三ツ林弥太郎

  15. 古賀一成

    古賀(一)委員 古賀一成でございます。  私も、今般の衆議院災害対策委員会派遣団でメンバーとして現地視察させていただいた一人でございます。私は、被災地でございます福岡県南にございます筑後地方出身でございまし て、私自身三回にわたりましてこの被災地を見させていただきました。そしてまた、この調査団におきまして熊本佐賀大分を見たわけでございますが、それも踏まえましてきょう御質問をさせていただきたいと思います。先ほど松岡議員の方からお話がございましたように、自民党質問時間がごく限られておりまして、四人の委員が、しかも全員地元被災地出身であるということで分担をして、我々もチームワーク質問をしようということで質問するわけでございます。その点をお酌み取りお願いしたいと思います。  まずは、被災者被災地皆様方に本当に心からなるお見舞いを申し上げたい気持ちでいっぱいでございますが、そういう地域の窮状といいますか、願いを代弁する形で私も質問をしたい、こういう気持ちでございます。  私は、実は県南の筑後川の流域に生まれ育った者でございまして、昭和二十八年災というものもかすかに記憶にあるわけでございますが、今回の水害、実は地域によっては二十八災を上回る流量あるいは河川はんらん、こういうものがあった地域がたくさんあるわけでございまして、幸いにも二十八災のようなすさまじい被害、たしか二十八災は日本治水史上例がない災害であったと言われておりますけれども、それほどに至らなかった一つの理由というものは、やはりその後鋭意進められた治山治水ほかいろいろな防災対策というものが本当に実を結んだのではないか、こういう一面も痛感したわけでございます。  そういうことではございますけれども、局地的には、先ほど申し上げましたように大変な、まさに地域が、あるいは川の沿線がえぐられるような惨状であったわけでございます。その中で二十七人の方がお亡くなりになりました。これは一面で大変多いわけでございますが、逆に言えば、これがもし夜中にあれだけの集中豪雨が降ってはんらんが起こり、土砂崩れが起こったならば、私は人的被害というものはこんなものでは到底済まなかっただろう、こういう印象を強く受けるわけでございます。したがいまして、この水害、もし時間がずれておれば、もっと悲惨な災害であったということはもう確実に言えるわけでございまして、それを念頭に置きまして御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  まず第一点でございますが、先ほど松岡議員の方から質問がございまして、長官の方から御回答いただきました。激甚災害指定でございますが、これはもう我々共通の切実なる願いでございまして、各地域とも切実に期待をしておるところでございまして、ぜひとも特段の愛情で御配慮いただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。  私の方から第一点でございます。今回の災害につきまして、とりわけ農作物被害につきまして事後救済が今後どうなっていくのかということについてお伺いをしたいと思います。農林省の方にお伺いをいたしたいと思います。  今回、先ほども申し上げましたように大河川の中流、下流の堤防が大破堤をするということはなかったという面におきましては、冠水被害あるいは農作物に対する直接の被害というものは意外と少なかったのかもしれませんけれども、しかしながら、やはり私の地元でございます筑後地方あるいは先ほど阿蘇のヨナの被害ほか農作物に、やはり近年まれに見る被害があったわけでございまして、ぜひこれに対して、まず天災融資法の発動というものが今後どうなるのか、あるいは手続、いろいろ調査等あろうかと思いますが、それにつきまして見通しと、私からの要望でございますが、可及的速やかに手続を進められまして天災融資法の発動について御配慮を賜りたい、政府の今後の見通しをお伺いしたいと思います。  これとあわせまして、このほかいろいろ制度はあるわけでございます。自作農維持資金あるいは農業共済、多々あるわけでございますが、こういうものを含めました農家に対する、あるいは農作物被害に対する今後の救済の方針につきまして、まずはお伺いをいたしたいと思います。よろしくお願いします。
  16. 長良恭行

    ○長良説明員 お答えいたします。  天災融資法でございますが、今般の集中豪雨によります被害につきましては、目下、私どもその実情の把握に努めているところでございますので、その結果を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、被害を受けられた農家の方々の経営対策でございますが、一つ先生先ほどお話がございましたように、農林漁業金融公庫の中に自作農維持資金、これは長期低利の資金でございますが、経営の維持安定のための資金がございます。この枠の確保につきましては、各県の資金需要の動向を見きわめながら円滑な資金対応ができるよう十分配慮していきたいというふうに考えております。  また、農家の方で既に制度資金を借りておられる、それが災害のために返しづらい、こういうような方々に対しましては、そういう既に借りておられる制度資金の償還条件の緩和につきまして、関係機関に対しましてその実情に応じて適切に対処するよう既に七月四日に指示したところでございまして、今後この趣旨の徹底が図られるよう十分指導してまいりたいというふうに考えております。  あと農業共済でございますが、今回の被害では特に水稲が一部土砂等で壊滅したというような話も聞いておりますが、そういうようなところにつきましては早期に的確な損害評価をやりまして、共済金が早期に支払われるように団体、県等に指導いたしております。これも七月四日付で指導しておりまして、今後とも融資制度、農業共済制度を活用しまして農家経営の維持安定を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  17. 古賀一成

    古賀(一)委員 どうもありがとうございました。  時間もございませんので、素早く御質問を申し上げたいと思います。  第二点でございますが、今回の災害、雨が多かった、しかも短時間に多量の雨が降ったということが第一原因でございますが、実はダブルパンチといいますか、もっと構造的に災害に弱いという地域がありまして、それが重なって被害が大きくなったという面も多々あるわけでございます。  第一点は先ほどのヨナでございますが、私の地元でも実はこういう重要な問題がある地域がございます。有明海沿岸のいわゆる低湿干拓地帯、これは実は前から水と闘ってきた地域でございます。有明海は高潮関係でも大変な地域でございますが、高潮に加えて低湿地、それが実はこの十年来、原因不明と言われておりますが、地盤沈下を繰り返しておりまして、一部地域、例えば国営大和干拓というものが行われた地域、そして私のところの柳川の両開地区ほか、佐賀平野にかけまして地盤沈下がずっと続いておるわけでございます。その地盤沈下に加えまして今度この大雨ということでございまして、実は排水機能の問題が常常地元から悲痛なる叫びで訴えられておる地域でございます。この地域につきまして実は見ました。排水機能が極めて劣悪なために、消防車が三台出動して消防車で気休めのためにポンプアップをして有明海に水を放水しておった、こういう状況でございます。  したがいまして、ここでお尋ねしたいのは、いわゆる有明海沿岸、とりわけ大和干拓あるいは柳川の両開干拓、こういう地域におきます水の排除、排水機能の強化につきまして地元からいろいろな要望が来ておると思いますが、政府としてどうこの問題を認識され、今回の水害を機に前向きに取り組む御方針があるのかどうか、これにつきまして、これも農林省でございますが、お答えお願いしたいと思います。
  18. 宮本和美

    宮本説明員 お答えいたします。  有明海沿岸の低平地におきましての湛水被害等に対応するために既に従来からいろいろと対策を講じているところでございますけれども、事例といたしましては、湛水防除事業といたしまして大和干拓地におきまして大和地区、これは昭和五十 年から六十年でございますけれども、そこで排水機場と排水路の整備を行ってまいりました。また、両開地区におきましては柳川南部地区というのがございまして、昭和五十六年から六十二年に実施しております。そのほか三池地区それから高田西部地区、こういったところで昭和五十一年から平成元年、それから五十八年から六十三年までとそれぞれ実施してきております。それからまた、小規模の排水対策事業といたしまして、大和干拓地区内におきまして昭和五十四年から五十六年にかけましてやはり排水対策事業を実施してきたところでございます。  先生御指摘のように、低平地におきましては安定的な営農を図るために十分な排水対策を講ずることが特に重要であると考えます。土地改良事業地元からの申請に基づきまして行う事業でございまして、今後地元から具体的に申請が上がってくれば、こういった排水対策につきまして前向きに検討してまいりたいと存じます。
  19. 古賀一成

    古賀(一)委員 どうもありがとうございました。  どうも持ち時間が来たようでございます。あと一点、私、今度の災害を通じまして痛感しましたいわゆる中山間部におきますオープンスペースといいましょうか、応急住宅の敷設あるいはごみ処理あるいは避難あるいは場合によってはヘリポートといった、そういう面での公共的な空間というものが、本当に自治体あるいは地域住民にとって極めて重大な意味を持つものだなとは思っておりましたけれども、これはまた別の機会に譲ることといたしまして、今後そういうことも含めた政府対策というものを、私も勉強の上さらにお訴え申し上げたいということを申し上げまして、どうも時間が極めて短かったものですから、終わらざるを得ませんが、質疑を終わることといたします。  どうもありがとうございました。
  20. 三ツ林弥太郎

  21. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 坂井隆憲でございます。  ちょうど今回日米構造協議を受けて、総額四百三十兆円の公共投資十カ年計画が決まりました。その中では生活関連経費に重点を置くこととされているわけでございます。  私、今回地元佐賀県だけでなくて、災害視察団の一員としても九州の災害地を見ていったわけでありますが、九州では昭和五十五年、五十七年、それに今回と、この十年間に三回も災害が起こっているわけであります。災害地の状態をつぶさに見ますと、本当に悲惨なものでありまして、私はこの災害地を見て、この災害をなくすことこそが本当の意味での生活関連でないか、そういうように痛感したわけであります。  私の地元佐賀県では、有明海の干満の差が激しくて、平地が有明海に比べて低い状態になっておりまして、いわば災害の常襲地帯であります。この中で、今回の災害をよく見てみますと、昭和五十五年の水害で激甚災害対策特別緊急事業の適用により改修が進んでいるところではやはりそれなりの効果が上がっていまして、災害が前回よりは最小限に抑えられている面もありますが、こういうことを考えますと、まずもって激甚災害指定をしていただくことが最大、重要なことであろうかと思いますが、それと同時に、これからの十年間の公共投資を考えますと、激甚災害地域や緊急対策事業地域として指定されていた地域については、これまで以上の予算の重点的配分を行って事業の展開を図り、これからの災害の予防に備えるべきだと思います。災害地域における河川改修の取り組み方について、建設省の所見を伺いたいと思います。
  22. 日野峻栄

    日野説明員 お答えをいたします。  九州地方は先生御指摘のとおり、近年も激甚な被害を受けてきているわけでございます。このような激甚な水害発生した河川におきましては、河川激甚災害対策特別緊急事業という、通称激特と言っておりますが、この事業によりまして再度災害の防止を図るなど、これまで災害襲地帯を重点的に鋭意治水対策を進めてきているところでございまして、先生御指摘のようにこれらの治水対策がもし行われていなければもっと大きな被害が起こったものというふうに考えております。現在、我が国は経済大国というふうに言われておりますけれども、やはり相も変わらず毎年全国各地で激甚な水害に見舞われておりまして、多くの人命、財産が奪われておりますのは御案内のとおりでございます。  それで、治水対策についてでございますが、御指摘のとおり治水対策と申しますのは国民の生活そのものを支えるものでございまして、極めて重要な生活関連の対策であるというふうに考えておりますので、災害の予防に備えるべく十分な治水予算の確保がなされ、河川改修の重点的実施が図られますように私どもも努めてまいりたいというように考えております。
  23. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 どうもありがとうございました。  次に、ちょうどこの時期に来年度の予算要求のシーリングが現在論議されているわけであります。その中でも生活関連として、下水道、公園整備などをシーリングの枠外とするようなことが新聞で報道されているわけでありますが、先ほど申し上げましたように、生活関連というのは何だろうか、アメリカと日本の生活関連という意味は違うんじゃないかという気がいたしまして、来年度予算のシーリング設定に当たっても、そのような公園とか下水道だけじゃなくて緊急災害対策にかかる経費を生活関連経費としてシーリングの枠外にすべきであろうか、そう思いますが、その御意見について大蔵省の見解を問いたいと思います。
  24. 林正和

    ○林説明員 公共事業には、御案内のとおりいわゆる生活環境の向上に資するということから下水道、公園等の事業のほかに、治水治山事業のようにまさに国民の生命、財産の安全確保といった重要な政策的使命を有している事業があることは事実でございまして、その整備については、いわゆる国土保全等の観点から着実に整備を図っていく必要があるということは言うまでもないと思っております。また、先生御案内のとおり、いわゆる災害復旧についてはこれまでも予備費あるいは補正予算等を通じて緊急に対応してきたところでございます。  なお、御質問にございました平成三年度の概算要求基準の設定につきましては、これは現在検討中でございますが、財政制度審議会の報告でありますとか日米構造協議の最終報告、こうしたものも踏まえながら、また現在の依然として厳しい財政事情あるいは好調な経済状況、他方社会資本整備の要請、こういったものも踏まえて今後検討していきたいと思っております。
  25. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 今回災害地をいろいろ見てみますと、圃場整備事業が各地域で進められているわけでありまして、農地の有効利用が図られているわけであります。圃場整備によって、今まで曲がりくねっていた水路が真っすぐになった、それだけ排水の流速が速まることになりまして、この場合建設省が行う下流域の河川整備事業がこれに対応して適宜的確な時期に行われていれば問題ないわけでありますが、必ずしもそうでない場合も見受けられるようでございます。そういう地域での災害もあるようでございますから、このように複数の公共事業間のアンバランス、これこそ国土庁事業調整費により本来調整すべきものと考えられるわけであります。この数年間の予算の推移を見ますと、昭和五十五年の調整費百二十六億九千万が平成二年度の予算では百十四億にまで落ち込んできておりまして、このようなことでは公共事業間の事業進捗のアンバランスから来る災害を防止することができないのではないかと思いますが、この点について国土庁の御意見を伺いたいと思います。
  26. 長瀬要石

    ○長瀬説明員 公共事業の執行に当たりましては、災害の面にも十分配慮しながら事前に事業所管庁相互間におきまして十分に調整を図りまして、整合的な事業の執行を図ることが大変重要な課題だと認識しております。その間にございまして、先生から御指摘がありましたように、各省庁 間での進捗のずれが生じるというような場合におきましては、国土総合開発事業調整費によりまして進度の調整を図っていくという意味で、大変重要な調整手段であると考えております。今後とも、ただいま先生から御指摘がございました点を踏まえまして、公共事業の整合のとれた効率的な調整が進められますように、事業調整費につきまして、その執行面も含めまして私どもとしても十分努力をいたし、そして総合調整の実が上がりますように努めてまいりたいと考えております。
  27. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 よろしくお願いいたします。  次に、今回の集中豪雨によって、水稲を初め多くの作物や農業利用施設等の浸冠水により農作物が多大な被害をこうむっているわけであります。農家は、相次ぐ減反、米価の引き下げ等の中で将来に不安を持っておりまして、そういう中での災害というのは農家の経済を非常に悲惨なものとしております。今回の災害の中でミカン農家では自殺者まで出たという話を聞いているほどであります。農作物に関しては、天災融資法の発動、自作農維持資金の融資枠の確保、農業共済の再保険金の早期支払いの実施など、そういうことを行うことはもちろん必要でありますけれども、それと同時に、今回の集中的豪雨被害を受けた農家が申告を行う来年の確定申告期には、地元の農業団体の意見を十分聴取して、被害の実態を把握し、被害を十分考慮した農業所得標準とするなど、適切な課税に配意してもらいたいと思います。その点について国税庁の御意見を伺いたいと思います。
  28. 諏訪茂

    ○諏訪説明員 お答え申し上げます。  国税当局といたしましては、農家が災害により被害を受けた場合につきましては、その被害を受けた農家の実情を適切に反映した課税を行うように努めております。農業所得標準の作成に当たりましても、農業関係団体の意見を十分に尊重いたしまして、災害による被害状況をしんしゃくしまして被災農家の実態を適正に反映した農業所得標準を作成するように努めてまいりたいと思っております。今回の集中的な豪雨による被害につきましても、関係の国税局に対しまして被害の実態を十分調査の上、適切に対処するよう指示をするつもりでございます。  なお、申し添えますと、ハウス等の農業用施設等について損失が発生している場合には、その施設等の未償却の残高であるとか後片づけの費用等につきましても、標準的な経費のほかに標準外経費として控除ができますということを申し添えておきたいと思います。
  29. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 どうもありがとうございました。とにかく農家が将来に非常に不安を持っておりますので、来年のことではありますけれども、確定申告期に当たっては適宜適切な対処の仕方をよろしくお願いいたします。  時間もちょうど来ましたので、質問の時間がありませんので最後お願いでございますが、今回の九州豪雨により被害を受けた地方公共団体において、例えばごみの収集、運搬だとか、いろいろなことのために多大の財政負担が生じているわけであります。こういう点については、自治省を通じて特別交付税などによる十分な財政措置をして、財政力の弱い市町村においても、これから災害が起こったときにはいろいろな復旧事業がすぐできるように十分配慮していただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  30. 三ツ林弥太郎

  31. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 衛藤晟一でございます。  時間の関係上、一括して質問をいたしたいと思いますので、一括して御答弁をお願いしたいと思います。簡単にして明瞭な御答弁をぜひお願いいたします。  この平成二年、今回の集中豪雨によります土砂災害、洪水災害が多発をいたしました。私は、ちょうどこのときに、災害の最中に竹田市の拝田原という、竹田の中でも最も大きな被害を受けたところにたまたま視察を兼ねて行っておりまして、六時間ほど出れなくなって閉じ込められたというようなことがございました。目の前で橋が落ち、家が流され、また目の前が広い郊外ストアの地域だったわけですが、あたり一帯が幅七、八百メートル、小一キロぐらい、深さ二、三メートルぐらいの大きな川となって流れまして、車や商店の一階部分が商品からすべて流される、家も流されるというのを目の当たりで見させていただきました。  さて質問でございますが、全国にはこのような土砂災害の危険箇所あるいは洪水危険箇所というのはどのくらいあるのか、またその整備状況がどういうぐあいになっているのか、そして今後どのような形でこの対策を講じようとするのかその方針についてお尋ねをいたしたいと思います。  二点目は、今回の大分熊本災害は火山地帯での土砂災害、流木の災害、そして洪水の災害でございます。終わった後はまさに流木と土砂がうずたかく積まれておりまして、これは単なる冠水とかそういうのとは全く違う災害ではなかろうかと思うわけですが、建設省においては今後の対策をどのように進められようと思うのか、これをお尋ねしたいというように思っております。  また、今回の水害において竹田市の稲葉川流域は大変大きな被害を受けました。この流域は五十五年、五十七年と繰り返し災害を受けている地域でもあります。そして稲葉ダムが計画をされていたわけですが、なかなかいろいろな問題もありましてまだ完成をいたしていません。ところが、このダムがあれば災害は未然に防げたというぐあいに思います。この稲葉ダムの早期建設の見通しについてお尋ねをいたします。  また、隣の玉来川の水系もあふれたわけでございますが、五十七年災よりも水位が二、三メーターは上がったというぐあいに言われております。流木と土砂を残して一気に水が上がり、そして一気に水が引いておりました。恐らくダムがあればこれはもう本当に未然に簡単に防ぐことができたというぐあいに思いますが、この玉来川についてもこのダム計画のいかんを問いたいというように思います。あわせて、この稲葉川、玉来川の整備を、河川改修を今やっているわけでございますが、今後の整備計画についてお尋ねをいたします。  さて、住宅についてお尋ねをいたしたいと思います。  五十七年災によって被害を受けた住宅復旧に際して、住宅金融公庫からの融資が行われました。五年据え置いて、そして返済を始めたわけでございますので、やっと二年ほど返済をやっているということになりますが、返済を始めたばかりの中で今回再びこのような災害を受けています。一階の床上浸水というのはいいのですが、相当多くの住宅において二階の床上浸水というような事態が出ております。そのような状態の中で、住宅を再び建てかえる場合、何らかの特別な配慮をしないことには、とてもではないがそれにたえないというような声が聞こえてまいります。そのような特別な配慮を講じていただきたいと思うのですが、建設省に対してこれをお尋ねいたしたいと思います。  最後に、運輸省にJRの豊肥線についてお尋ねをいたしたいと思います。  今回の災害により、JR豊肥線は寸断をされました。年内の復旧は困難であるというような見通しを言われております。この豊肥線は、熊本大分を結ぶ経済の重要な生命線であります。復旧について当然多大な努力をされておられますが、その見通しについてぜひお尋ねをしたいと思います。  さらに、先ほど申し上げましたように、この線は寸断をされたわけですが、地盤の流失、それから山崩れによって埋没し、三本の橋梁も流失いたしております。被害額も五十億前後だと言われておりますが、これをJR九州だけに任しておくということについて、私はいかがなものかなというぐあいに思っております。国においても何らかの助成措置をとらざるを得ないのではないかというぐあいに考えますが、運輸省の対応についてお尋ねをいたしたいというように思います。どうぞ明 瞭に御答弁のほどをお願い申し上げます。  以上です。
  32. 松下忠洋

    ○松下説明員 御説明申し上げます。  建設省所管の土石流、地すべり、がけ崩れといった土砂災害の危険箇所でございますけれども、全国に約十六万カ所ございます。  これらの危険箇所における対策でございますけれども、第七次の治水事業五カ年計画、それから第二次の急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画、いわゆるがけ崩れ対策でございますけれども、これによりまして鋭意整備を促進しているところでございます。その整備の状況でございますけれども、平成元年度末におきまして、いずれも一八%台、それから二〇%台ということで、極めて低い状況でございます。今後ともこういった土砂災害から貴重な国民の財産、生命を守る、それから地域を保全するということから、こういった砂防ダム等の対策工事、ハードな対策工事に加えまして、警戒避難システムの整備とかいったようなソフトも含めた政策を強力に推進していきたい、こう考えております。  それから、火山地帯での熊本大分での災害の件でございますけれども、我が国は七十七の活火山を有しております世界に冠たる火山国でございまして、また災害の多発地帯でもございます。このような火山地域におきましては、昨年、平成元年度に火山砂防事業という制度を創設いたしまして、こういった土石流や火山泥流あるいは溶岩流といったような災害から人命と財産を保全する、それから地域の保全を図るという事業を重点的に強化してやってまいったところであります。今後ともこういった地域での土砂災害、今回の災害にかんがみまして、重点的かつ計画的に、ハードな対策工事、それからソフトの警戒避難システムというものをかみ合わせながら、強力に進めていきたいという決意を持っております。  以上でございます。
  33. 定道成美

    ○定道説明員 お答えいたします。  日本全国で今回のような洪水のはんらんを受ける面積というのは全国土の一〇%を占めております。その中で人口が全人口の五〇%、それから国民の資産で申しますと七五%を占めておるようなところの日本の国土の特性がございます。我々現在、当面時間雨量五十ミリという規模を想定いたしまして、第七次にわたりまして治水五カ年計画を推進してまいりました。その結果、現在洪水の防御の、はんらん区域でございますけれども、まだ五割に満たないのですが、四一%までそれを当の五十ミリに対して防ぐことができるようになってきております。このようにまだ低い状況にございますが、今、来年度に向けましても、昭和六十二年度を初年度といたします第七次治水事業五カ年計画をより一層推進してまいりたいというふうに考えております。
  34. 豊田高司

    ○豊田説明員 稲葉川ダム計画について、現状と見通しについてお答えいたします。  稲葉ダムは、大野川水系の稲葉川の洪水調節を目的といたしました、大分県で実施しております治水ダムでございます。昭和六十年度から実施計画調査ということで大分県で着手しておりまして、本年度の予算は九千万円でございまして、現在地質調査等のいろいろな調査を実施中でございます。このたびの稲葉川の災害にかんがみまして、早急に建設に着手すべく県を指導してまいりたい、このように考えております。  それからもう一点、玉来川のダム計画についてでございますが、現在玉来川で具体的にダム計画があるというふうには聞いておりませんが、今回の災害を契機にいたしまして、先生おっしゃいましたように、ダムの調節効果に着目いたしまして、洪水調節用のダムにつきまして早急に検討するように早速県を指導してまいりたいと考えております。
  35. 小川忠男

    小川(忠)説明員 御説明申し上げます。  二つの側面から御説明させていただきたいと思います。一つは五十七年災害の償還残額の扱いでございます。第二点は新しい融資の扱いでございます。  まず第一点でございますが、御承知のように、公庫融資住宅につきましては原則として特約火災保険が付保される、こういうふうなことになっております。したがいまして、相当程度まではこの保険によって対応できるというふうに考えておりますが、ただ保険金だけでは対応できない、こういうふうな場合もあろうかと思います。このような場合には、償還期間でございますとかあるいは償還方法、こういった点につきまして融資条件の変更措置というふうなことで申し出がございますれば御相談に応じて措置をいたしたい、このように考えております。  それから、建てかえる、あるいは大規模な補修を行うといった新しい融資についての側面でございます。このような場合には、前回の融資残額がまだ残っておりますが、再度融資の申し込みがあった場合には、災害復興住宅資金の貸し付けというふうなことで、通常の金融公庫の一般貸し付けに比べまして、貸付限度額あるいは利率、償還期間等々の面で相当有利な扱いになっております融資制度がございますので、御活用いただければというふうに考えております。  以上でございます。
  36. 日野峻栄

    日野説明員 河川改修関係についてお答えをいたします。  稲葉川につきましては、現在中小河川改修事業で掘削や護岸等を行っております。玉来川につきましては、局部改良事業あるいは小規模河川改修事業で掘削とか護岸等を行ってきております。今回の出水にかんがみまして、この稲葉川あるいは玉来川につきましては再度災害を防止すべく現在調査をしておりまして、鋭意対策を検討しております。よろしくお願いいたします。
  37. 松下忠洋

    ○松下説明員 先ほど御説明一つ落としておりまして、失礼いたしました。  流木対策でございますけれども、今回の熊本県の古恵川の災害に見られますように、最近の災害におきまして流木の流出災害の一因となっている例が見受けられております。これらの流木による災害を防除いたしますべく、従来から砂防ダムに鋼製、鉄ですけれども、鉄製の流木どめ、こういったものを格子状に組み立てたりいたしまして流木対策を実施していたところでありますが、今回の災害にかんがみまして、学識経験者によります流木対策検討委員会というものを発足させまして、より効果的かつ具体的な流木対策を検討していこうということにしております。この委員会の提言をもとにいたしまして、積極的に流木対策取り組んでいくということでございます。
  38. 高重尚文

    ○高重説明員 豊肥本線の復旧状況について御説明いたします。  JR九州は、今鉄道事業本部長を長とする復旧対策本部を設けておりまして、また東京から鉄道総合技術研究所の専門家を呼びまして、復旧方法等について現地調査をしております。  しかしながら、緒方—宮地の不通区間、先生御指摘のように橋梁流失とか線路流失とか非常に被害を受けておりまして、開通までに相当な期間を要するという見込みでございます。  JR九州におきましては、比較的復旧容易な豊後竹田—緒方間につきまして開通させるべく努力をしております。この区間におきましては、第一大野川橋梁が流失しておるわけですが、これの修復について検討と協議を進めております。一般的に橋梁の新設工事は設計から架設まで七、八カ月以上かかると言われておりまして、時間がかかるわけですけれども、可能な限り早急に復旧するようにJR九州を指導してまいりたいと考えております。  また、この豊後竹田—宮地間につきましては、山崩れ等、被害が非常に大きゅうございまして、現在復旧の見通しがたっていないわけでございますが、JR九州に対し、山林とか河川を担当する部署と早急に協議をしてめどをつけて、早急に工事に入れるよう指導してまいりたいというふうに考えております。  また、不通区間につきましては、現在代行バスを緒方—玉来間でやっておりますけれども、残り の区間につきましても道路が回復次第代行バス等を運転しまして、住民の方々の足の確保に努めたい、こういうふうに考えております。
  39. 藤井章治

    ○藤井説明員 災害復旧に関します鉄道への助成措置の問題でございますが、鉄道施設の復旧につきましては、基本的には鉄道事業者の責務としてみずから行うべきものと私ども考えております。助成あるいは補助につきましては、鉄道軌道整備法におきまして補助が決められておるわけでございますが、今回の被災につきましては、JR九州の営業規模等々から見まして、この補助要件に当たるのはまず難しかろうというふうに考えております。  いずれにいたしましても、現在JR九州に対しまして復旧工事の見通しなり復旧工事資金の調達の手法あるいは経営に与える影響等について至急報告を出すように指示をいたしておるところでもございます。当省といたしましては、これらを踏まえまして、また沿線におきます公共事業による災害復旧事業との調整がどうしても必要でございます。こういった状況もほぼ見きわめながら、豊肥本線の復旧工事の促進について適切に対応してまいりたい、このように考えております。
  40. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 どうもありがとうございました。どうか一層の御努力を心からお願いいたします。  以上で終わります。
  41. 三ツ林弥太郎

  42. 村山富市

    村山(富)委員 時間がないものですから、簡潔に御答弁願いたいと思います。  今回の集中豪雨による被害につきましては、いち早く佐藤国土庁長官を初め関係省庁の担当者が来られ、また九日には三ッ林災害対策特別委員長を初め委員の皆さんが現地に来られましてつぶさに調査をいただきました。地元被災者を初め関係市町村、県の関係者は大変勇気づけられ、感激をいたしておりますが、改めて心からお礼を申し上げます。  なお、それだけに早急な復旧が期待されておるわけでありますが、時間がございませんので、重複を避けてできるだけ簡潔に御質問を申し上げたいと思うのですが、やはり早く査定をしていただいて、早く復旧ができるような段取りをしっかりつけていただきたいということが一番期待されているところですから、この点は特に答弁は要りませんから要請をいたしておきます。  今度の災害の特徴を見てまいりますと、梅雨前線が停滞をして一時的に集中豪雨があったという水だけの災害ではなくて、先ほど来お話がありますように土石流がどっと流れてくる、それから山のがけ崩れ等がありまして流木が根こそぎそがれて木材がどっと流れてくる、そのために被害をより大きなものにしておる。特に鉄橋やら橋の流失なんかは、材木がうんと流れてきた、流木が多いということによる被害が大きいと思うのですね。こういう点から考えてまいりますと、例えば今お話がありましたように、竹田市の稲葉川やら玉来川やらあるいはその上流に荻町の滝水川というのがありますけれども、これらもこれまで部分的には災害復旧で護岸工事なんかをやっているのですよ。ところが、それがもう根こそぎ寸断されて、破壊をされて、川の流れが変わってしまっておる、こういう現状を考えた場合に、私は特に今度の災害から反省をするわけですけれども、奥地を開発する場合、例えば植林をするにしても、林道を設けるにしても、あるいはリゾートということでいろいろな開発をするにしても、そういう奥地を開発した場合にどういうふうになっていくのかという防災対策を十分考えた上で開発してもらう必要がある。同時に流域の改良については、単なる原形に復旧するというだけではなくて、そういう奥地の開発を前提にしてどういう防災対策が必要なのかということも含めて対策を考えてもらう必要があるというふうに私は思うのです。そういう意味から申し上げますと、奥地開発についての判断とか考え方、あるいはまた災害は単なる原形復旧ではなくてこの際そうした点も十分視点に入れた改良復旧が大事ではないかというふうに思うのですが、そういう問題についての考え方をお聞きしたいと思うのです。
  43. 鹿島尚武

    鹿島説明員 まずもって周辺の土地利用の状況、開発の状況等によりまして災害発生状況も違ってくるというのは私も同様に考えるわけでございます。そういう意味で、県におきまして、また市町村におきましてその辺の指導を十分にやってもらうように、そしてまた国におきましても、関係各省こぞりましてそういう対応を連絡を緊密にして図っていく必要があるというふうに考えるわけでございます。
  44. 村山富市

    村山(富)委員 いや、単なる原形復旧だけではなくてやはり改良復旧というものを十分やらないとまた同じことを繰り返すのではないか。これは五十七年の災害の方でやられておるわけですよ。また同じように災害を、今度はまた流木が多かったものですから、それだけ橋が流失したり鉄橋が流失したりする被害が大きいのですけれども、そういうことも含めて私は、災害復旧というものは十分改良も含めて復旧されるように考え直す必要があるのではないかというふうに思うのですが、その点についての御意見を……。
  45. 鹿島尚武

    鹿島説明員 今次の災害が大変大きなものであったことに加えまして、今後予想されます降雨等による災害に備えるために早急に緊急的な応急復旧をするとか、再度の災害防止を図るための災害復旧を行うというような必要があると、考えております。このために、七月三日でありますけれども、関係省庁連絡会議を開催をいたしまして、道路、河川、農用地施設等の早急な災害復旧を重点事項の一つとして申し合わせをいたしまして、関係省庁において推進に努めております。今後とも現地調査の結果、そしてまた地元の御要望等を踏まえまして、関係省庁の御協力を得ながら鋭意推進を図ってまいりたいというふうに考えております。申し上げるまでもありませんけれども、被災者の救援救護、こういったことも緊密な連絡関係省庁で図りまして施策の万全を期していきたいというふうに考えておるところでございます。
  46. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生お答えいたします。  先生御指摘のとおりでございまして、今度私、現地を見ておりまして、空からヘリコプターで見ましたけれども、まさにそうでして、これから改良復旧をやる必要がある、それから基本的に計画の変更が必要ではないか。特に流木の被害というのは想像外だった。特にこれは山の状況が、やはり流木の被害をあんなに想像してなかったと思うのです、私は。特に山から一尺から一尺五寸の流木が一キロから一キロ半流れて、しかも皮がはがれて流れている。流木に遭うと家はもうひとたまりもございませんね。そんなことも含めて、私はこれからやはり河川を含めての開発、河川も、特に竹田など見た場合に、河川計画はある一部においては非常にうまくいっているところがございまして、逆に人命が助かったケースも見ております。そんなことも含めて、やはり当然基本的に計画を見直す、改良復旧を含めて考えるというのが大切だ、こう考えたわけでございます。御指摘のとおりでございます。
  47. 村山富市

    村山(富)委員 ぜひお願いしたいと思います。  それから、水田やら農地の流域が全部土砂で埋められていますね。これは今ちょうど土地改良なんかをやった後の償還の時期も来ていまして、やっとことしの稲作に期待を持っているという田んぼがつぶれて、茫然自失、途方に暮れているというのが現状なんですよ。  私は、この際具体的にお聞きしたいと思うのですけれども、農業施設やらいろいろな整備をするために借金をしていますね。農林金融公庫やらあるいは制度資金を借りていますね。そういう借金に対する返済の期間を猶予するとか自作農維持資金の貸付枠を考えるとか、それからさらに天災融資法を発動してできるだけ農業者を勇気づけて、そしてやはり農業は一生懸命やらなければいかぬ、こういう気持ちになってもらうためにもそういう後ろ盾が大事だというふうに思うのですが、そういう農業問題に対する考え方についてお尋ね したいと思います。
  48. 長良恭行

    ○長良説明員 お答え申し上げます。  まず、被害を受けられました農家の方が既に借りておられる制度資金の返還の問題は、確かに御指摘のとおり災害時には大きな問題になるというふうに私ども考えておりまして、七月四日でございましたが、私ども県あるいは関係金融機関に対しまして特に償還期限の延長でありますとかそういうような償還条件の緩和につきまして指示したところでございまして、今後さらにこの趣旨の徹底が図られるよう十分指導してまいりたいというふうに考えております。  それから天災融資法につきましては、今般の集中豪雨によります被害につきまして目下その実情の把握に努めているところでございまして、その結果を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。  それから農林漁業金融公庫の長期低利の自作農維持資金でございますが、これにつきましても各県の資金需要に応じまして十分な枠を確保して、借りようとされる農家の方に十分な資金の融通が行われるように配慮していきたい、このように考えております。
  49. 村山富市

    村山(富)委員 それから、先ほどもお話がありましたけれども、特に竹田市の商店街なんかはもう二階まで土砂で埋もれてしまう、こういう現状があるわけですけれども、これは商品を運び出す暇もない、あるいは器具なんかも運び出す暇がない、そのまま土砂に埋もれてしまった、こういう現状はたくさんあるわけですね。こういうところに対しては、今政府の方も政府三機関に対して融資枠を拡大して便宜を図れといったような指導もされておるようでありますけれども、やはり低利で長期の融資を行うなど配慮もしてもらうし、同時に、できれば利子補給なんかも考えて、立ち上がりができるような条件を側面的に援助していくということも大事ではないかと思うのですが、通産省の考え方を聞きたいと思うのです。
  50. 小林憲明

    ○小林説明員 お答えいたします。  先生御指摘の今回の豪雨によります商店街の災害復旧でございますけれども、先生の御指摘にございましたように、七月六日付で政府系中小企業金融三機関に対しまして災害復旧貸し付けの発動を指示したところでございます。これに伴いまして、災害被害を受けていられる商店街の中小企業者は別枠融資など、それからまた既往貸付金の償還猶予などについても、個別の事情に応じまして弾力的に対処していきたいと考えております。  また、激甚災害指定につきましては、ただいま実情の把握に努力をしておるところでございますけれども、被害額が判明したところで国土庁など関係機関と緊密な連絡をとらさせていただいて、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  51. 村山富市

    村山(富)委員 それから、これは文部省です。竹田市にあります県立養護学校、これは養護学校ですけれども、先生が応対にもう大変御苦労されまして、被害は今のところ三億円ぐらいあるだろうと言われております。しかもこの養護学校だけではなくて、竹田中学やらあるいは犬飼小学校等についても被害を受けているわけです。こういう文教施設に対する応急な災害対策はどういうふうに考えておるのか、現状をどういうふうに把握しておりますか、これをお聞きしたいと思うのです。
  52. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 御説明をいたします。  このたびのいわゆる梅雨前線豪雨によりまして生じました公立学校施設の被害状況でございますけれども、目下関係の教育委員会によりまして詳細を調査中でございますが、昨日段階で関係県の教育委員会から出されておりますいわば速報的な報告によりますと、九州県下あるいは山口地方を通じまして何らかの被害を受けた公立の学校の数は、県立学校、市町村立学校合わせまして百八校というふうに報告を受けているところでございます。特に先生からお話のございました大分県下等はその中でも被害の多いところであるというふうに認識をいたしてございます。  これら被害のございました学校でございますけれども、現在、御案内のとおり授業をやっている時期でもございますので、文部省としましては、まずは教育活動への支障を最小限に食いとめるように早急に応急的な復旧工事等の措置を講ずるように指導を申し上げておるところでございますが、今後におきましては、ただいま先生からお話がございましたように、復旧工事に要するもろもろの経費の問題がございます。これらにつきましては、学校の設置者の方から復旧に要する事業費についての国庫補助の申請がございましたならば、できるだけ速やかに現地調査等を行いまして、関係の法律に基づきまして国庫補助金の交付等所要の措置を講じてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  53. 村山富市

    村山(富)委員 それから、先ほど豊肥本線の御質問もございましたけれども、端的にお尋ねをいたしますが、線路が寸断されて流されておる、あるいは鉄橋が流れておるという状況ですから簡単にはいかぬと思うのです。話に聞きますと、ことしいっぱいくらいかかるのではないかというお話もありますが、その復旧の見通しは一体どういうふうに考えておるのか。  それから、全部聞きますけれども、当然代替輸送をされると思うのですね。代替輸送は恐らくバスでされると思うのだけれども、バスでされる場合に、今鉄道で通勤するために定期を買っておりますが、その定期などの扱いはどうなるのか、あるいは鉄道運賃とバスで代替する場合の料金の関係はどうなるのか、そういうことについて大変心配しておりますから明快にお答えいただいておきたいと思うのです。
  54. 高重尚文

    ○高重説明員 豊肥本線は昭和三年にこの全線が開通したわけですけれども、今回の集中豪雨というのは昭和三年の開業以来の最大の災害であると言われております。特に豊後竹田—宮地間は阿蘇外輪山の中腹を列車が走っておるわけですけれども、山崩れ等が数カ所で発生しておりまして非常に被害が大きいという状況でございます。この線路沿線を含めた山林河川、そういう広域的な対策が今後必要であろうというふうに考えておりまして、この地区は現在復旧の見通しがまだ立っていないという状況でございます。  JR九州におきましては、復旧の容易な地区から順次取りかかるということで進めておりますけれども、いずれにしましてもこの豊肥本線は熊本大分を結ぶ幹線鉄道でありますし、また通勤通学等で利用されている生活路線でもございますので、早急に復旧するように運輸省としても指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  55. 楠木行雄

    ○楠木説明員 御説明いたします。  現在豊肥本線の不通区間であります宮地—緒方間のうち、JR九州では、玉来—緒方間につきましては七月九日からバスによる代替輸送を開始しております。残る宮地—玉来間につきましても、道路も一部不通となっておりますことから、道路の復旧を待ってバスによる代替輸送を開始する予定でありますけれども、準備が整った区間につきましては一部の区間であってもバス代替輸送を開始するというふうにしております。  先生お尋ねの定期利用客の問題でございますけれども、これについても御説明いたしますが、この不通区間にかかわりますバスの代替輸送区間の運賃につきましては、利用者利便を図るために現行の鉄道運賃を適用することとしておりますので、JRの定期乗車券所持者が所持いたします定期乗車券で、そのままバスが利用可能であるということになっております。
  56. 村山富市

    村山(富)委員 もう時間がありませんから次にお尋ねしますけれども、被災した県や市町村というのは目に見えない財政需要がふえてくると思うのですね。それだけにやはり被災県、市町村に対する特別交付税の配慮が必要だと思いますが、この特別交付税の配慮についてはどういうふうにお考えかということが一つ。  それから、当然固定資産税やら住民税なんかの減免措置が行われると思うのですよ。そういう減免措置が行われた場合の財源措置は一体自治省は どういうふうに考えておるのか、こういう問題について端的にお尋ねしておきたいと思うのです。
  57. 長澤純一

    ○長澤説明員 お答えをいたします。  災害を受けられました地方公共団体におきましては、災害復旧事業を初め多大の財政負担が生じ、国庫補助金、地方債を勘案いたしましても、なおその額は多額に上るものと思われます。お話のありました特別交付税の算定に当たりましては、災害復旧事業費や災害世帯数、農作物被害面積などを指標といたしまして算定を行い、財政運営上支障のないよう、適切に措置をしてまいりたいと考えております。
  58. 成瀬宣孝

    ○成瀬説明員 お答えいたします。  災害被災者に対します地方税の減免措置につきましては、昭和三十九年の通達によりまして地方公共団体に対しまして基本的な事項を示しているところでございます。この通達におきましては、災害発生した場合の措置として、納期限の延長、徴収の猶予、それから御指摘のございました減免に関する仕組み、そういったものも定めているところでございます。したがいまして、それぞれの制度の趣旨を考慮の上、各地方団体において適切な取り組みが行われますよう十分に指導してまいりたいというふうに考えております。
  59. 村山富市

    村山(富)委員 最後に、これは総体的に、トータルとして申し上げますと大変な被害があるわけですね。大分県だけでなくて関係する県は全部あるわけです。したがって、従来の観念を若干改めた立場激甚災害指定も考慮する必要があるのではないかと思いますが、そういう見解と同時に、この災害取り組む国土庁長官のお気持ちだけをひとつ聞かせていただきまして、被災地の皆さんを元気づけていただきたいというふうに思いますので、ぜひ簡単にお願いしたいと思います。
  60. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 村山先生お答えしますが、実は冒頭申し上げましたけれども、改めてまず、今回の災害により亡くなられた方々の御冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、被災者方々に心よりお見舞いを申し上げます。  激甚災害につきましては最初申し上げたとおりでございまして、気持ちとすれば、私も選挙区で災害があれば同じ気持ちでございます。一刻も早くやりたい、このように考えておるわけでございます。また、今度の災害につきましては四県視察してまいりましたが、本当に想像以上の災害でございまして、何とか早く御期待に沿うようにしたい、全力を挙げて取り組みたい、このように考えておるわけです。よろしくお願いしたい次第でございます。
  61. 村山富市

    村山(富)委員 それでは関係省庁の皆さん、よろしくお願いします。終わります。ありがとうございました。
  62. 三ツ林弥太郎

  63. 田中昭一

    田中(昭)委員 もう御案内のとおり、六月三十日から七月二日にかけまして、私の地元であります熊本県を襲った集中豪雨によりまして、熊本阿蘇郡を中心に、人命を初め住宅農地などに予想以上の被害をもたらしたわけでありまして、御案内のとおりであります。  私はここに、今回の災害でお亡くなりになられた方々に対し心から哀悼の意をささげるとともに、御遺族の皆さんにもお悔やみを改めて申し上げたいと思っております。また、被災地の皆さんにも心からお見舞いを申し上げ、一日も早い復興を願うものであります。  現地は、昨日も私行ってまいりましたけれども、復旧へ向けて懸命の努力を行っておりますけれども、衆議院におかれましても、また政府におかれましても速やかに調査団現地に派遣をされまして御激励をいただくとともに、復旧へ向けましていろいろと御配慮をいただいている点につきまして、地元立場で冒頭、深く敬意を表したいと思います。  きょうは質問の機会をいただきましたが、ごくごく限られた時間でもあります。また、一昨日、昨日、ずっと地元の市長さん、町長さんともお会いをしてまいりましたけれども、地元も陳情あるいは要請などにつきまして今まだまだ調査中だという点がたくさんございますから、今日段階で緊急を要するものに絞りまして幾つか御質問を申し上げたいと思っております。  多くの方々からも言われておりますように、まず第一は国土庁だと思いますけれども、激甚災害指定についてであります。  いろいろと御答弁をいただいておりますけれども、私も幾つかの関係自治体を駆け歩いておりますけれども、被災地の各自治体から激甚災害指定要望が極めて強いわけであります。これをもう一つつけ加えて申し上げたいと思うのですが、阿蘇町それから一の宮町を中心にいたしまして、それでなくてもたび重なる阿蘇山の爆発による降灰によりまして農産物を初めとして被害が極めて大きいわけであります。今回の災害というのはダブルパンチどころかトリプルパンチでありまして、財政力が乏しい自治体が多い中で、一般財源からの持ち出しは困難であるということであります。どうしても激甚災害指定が必要でありますから、いつごろ、どのような形で指定がいただけるのか、私は指定はいただける、こう思っておりますけれども、ぜひこの辺について明確にお答えをきょういただきたい、こう思います。  もう一つ関連をいたしまして、これも財政措置の問題でありますけれども、これは自治省にお願いをしたいと思います。  先ほども申し上げたとおり、今回の被災地は決して財政豊かな自治体ではありません。大変苦労している自治体であります。財政負担緩和のため、特別交付税の増配分などについての要望も自治体では極めて強いわけであります。この点についても格別の御判断、御配慮をお願いしたいと思いますので、この点についてのお考えも、決意を含めてぜひお聞かせをいただきたいと思います。  そして、時間がございませんから、たくさんいろいろお願いをしたいのですが、特別な財政措置の問題について、今大きな柱二つについて申し上げました。昨日も農業七団体から天災融資法の発効などについても陳情を受けておるわけでありますが、その他多くの要望が出てくると思います。できる限りの援助を行っていただくように、この点積極的に政府としても受けとめていただきまして御努力をいただきたい。詳細については時間がありませんから申し上げませんけれども、大臣としてぜひ決意表明をいただきたいと思います。  以上についてまずお答えをいただきたいと思います。
  64. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 田中先生お答えします。  各先生お答えしておるとおりでございますが、先生のお気持ちはよくわかります。被害状況につきましては、現在関係省庁において鋭意調査を進めておるところでございますが、確定的な数字がまとまるには今しばらく時間がかかると思います。ただし、現時点で把握している被害状況からしますと、昨年の災害などの例から見まして農地等災害復旧事業については激甚災害としての指定基準を超える見込みは高いと思っております。  そんなことでございまして、今後被害額等の精査を急ぎ、早急に関係省庁との協議を進めてまいりたい、このように考えております。
  65. 長澤純一

    ○長澤説明員 お話のありましたように、今回被害を受けられました市町村は、阿蘇降灰対策というような問題を抱えておるところでございます。この阿蘇山の降灰に伴います特別な財政需要につきましては、自治省といたしましても従来から特別交付税によりまして所要の財源措置を行っておるところでございますけれども、今回の災害に伴って被災団体が行います災害復旧事業等に要する経費につきましては、被害状況、財政状況等を勘案しながら、財政運営に支障がないように特別交付税の配分を通じて適切に対処してまいりたいと考えております。
  66. 田中昭一

    田中(昭)委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それでは、第二に申し上げたいのは、私は現地にもう何日も参っておりますけれども、二次災害の防止について非常に大事ではないか、こう思っ ておるわけであります。同じような災害を再び起こさないための今後の具体的な対策について明確にする必要があると思います。  これも、時間がございませんから、二つの点について申し上げたいと思っております。その一つは、これは一般論になるかもわかりませんが、さきの先生質問にもあったと思いますけれども、従来、この復旧作業につきましては原形復旧だとか改良復旧だとか、こういう議論がございます。私は言葉の定義などはどうでもいいわけでありますけれども、あのように大きな災害が起きたわけですから、原形復旧だけでは困るわけであります。そういう意味で、今日の場合極めて激甚かつ広範囲にわたって災害が出ているわけでありますから、災害復旧費などによる改良復旧制度などを含めて、災害原因を徹底して調査をして十分な対応をお願いをしたい、この点についてぜひお答えをいただきたい、こう思っておるわけであります。この中では、特に阿蘇地帯でありますけれども、火山灰がかなり積み重なって大変な土砂になっているわけでありまして、この点も含めましてぜひ今後の調査と当面の対策についてお願いをしたい、こう思っております。これが一つであります。  それからもう一つは、少し具体的になると思いますけれども、特にもう調査に行かれた方は御存じのとおりでありまして、阿蘇外輪山には、今回の豪雨によりまして山肌が部分的にむき出しになっている、これはもう双眼鏡で見なくても、人の目でもわかるようにむき出しになっておるところがたくさんあるわけであります。人の目でも一目瞭然であります。今回の阿蘇一の宮町の豪雨災害は、人工林の立ち木がごっそり根こそぎ押し流されてふもとの集落を襲った、このために人命などが失われた、こういう状況になっておるわけであります。調査に行かれた方はおわかりのとおり、阿蘇外輪山に囲まれた地域には、地質や土壌環境それから植生環境から見て、よく似た地域がたくさんあるわけであります。ですから、今回と同じような災害は降雨の条件などが整えば、言うなれば、今回のような雨が再び降ればいつでも今回のような災害発生する可能性がかなり高くある、こういうふうに思っているわけでありまして、特に危険箇所と目されているところが幾つもあるわけであります。そういう意味で、同じような災害を繰り返さないために、今回の豪雨災害発生状況をミクロに解明をしてもらって、できる限り有効な対策を立てていただきたいと思っております。  特に、火成岩基盤の上に火山灰が表土として乗っている傾斜地に杉を中心にして人工造林がやられておる、こういう状況でありますから、これについてどれぐらいの雨が降ればこういう状況でまた災害が出るのかというミクロの調査、いわゆる長期的、中期的な調査と同時に、危険箇所がたくさんあるわけでありますから、短期的な対策を早急に立てていただかなければいけない、こう思っておるわけでありまして、この二つについて御見解をお聞きをしたいと思います。
  67. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 先生御指摘の阿蘇特有の特殊土壌に対するいわゆる再度災害防止という観点からお答えをしたいと思います。  御承知のように、先生十分御案内と思いますが、今回一般被害と同時に施設被害も相当起きております。特に、治水施設等の被害によりましてこういった阿蘇の特殊土壌の中で二次災害また再度災害というものが非常に恐れられるわけでございますが、私ども、その辺の特殊土壌については十分認識して今後対応していかなければいけないと考えております。  今回の災害によりまして原形復旧が不適当であるというふうに考えられるところにつきましては、工法並びに計画的な面でも再度災害防止という観点から、災害復旧費に改良費を加えるというようなことで積極的に再度災害防止のための改良復旧をやっていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  68. 弘中義夫

    ○弘中説明員 先生御指摘のとおり、今回の梅雨前線豪雨によりまして多くの山地崩壊等が発生してございます。七月十一日現在で把握しておりますものが、林地荒廃二千六十六カ所で被害金額三百八十八億円でございます。そのほかの林野関係被害を含めまして四百三十九億円の被害に及んでいるわけでございます。  この原因につきましては、今回の梅雨前線による降雨量が記録的な豪雨であったことによりまして山腹崩壊あるいは渓岸崩壊というものが大量に発生したわけでございます。この原因につきましては、御指摘がございましたように、阿蘇周辺一帯が透水性の悪い火山泥岩の上にその後に降りました火山灰あるいは軽石という透水性のよい土壌が重なっているというようなことから、上層部の透水層が水を含んで飽和状態になりまして、その不透水の上面に沿って崩れ落ちたということと、もう一つは、渓岸の崩壊地につきましては、山脚部、そういうところが水の浸透によりまして非常に浸食されて発生したという二つの原因が考えられます。  いずれにしろ、御指摘のとおり、このような異常な豪雨が起こりますとまた再度災害発生するということも考えられますので、当面の措置といたしましては、現在調査中でございますが、再度災害発生防止のための応急措置を全力を挙げて傾注しているところでございますけれども、状況を把握した上で、人家、公共施設等に被害を及ぼすところにつきましては、災害関連緊急治山事業等によりまして早急に復旧を図りたいと思っております。しかしながら、長期的な課題といたしましては、こういう特殊な土壌の問題もございますので、現在特に被害の激しかった熊本阿蘇地域大分県の竹田地域を対象といたしまして、学識経験者によります阿蘇・竹田災害対策調査検討委員会を七月五日に設置しまして、災害発生の実態調査発生原因の分析及び対策の検討を行うこととしておりまして、現在七月十日から十三日の予定で現地調査を行っているところでございます。  また、人工林の問題についての御指摘もございましたが、今回のような異常豪雨による場合には、人工林に限らず天然林野、原野の無立木地においても多く山地崩壊発生しておりまして、現時点であらあら集計いたしている数字によりますと、やはり無立木地あるいは天然林における山地崩壊の比率の方が高いという数字も出てございます。しかしながら、できるだけ災害に強い森林の整備を行うということの必要性もございますので、阿蘇地域の特殊土壌地帯におけるそういう状況、条件に応じまして樹種等の選択、林木の健全な育成を図るための保育等を実施してまいりたいと思いますが、基本的にはそのような森林の機能では対処できないようなものがございますので、あわせまして、林地を保全するための治山事業というものを積極的に推進していきたい、さように考えております。  いずれにしろ、先ほど申し上げました学識経験者による検討委員会の結果を待ちまして、長期的な対策を講じてまいりたいと考えております。
  69. 田中昭一

    田中(昭)委員 よろしくお願いをしたいと思います。  時間がございませんので、三つ目、緊急に要請をしたいことについて幾つか簡単に申し上げたいと思います。  一つは、学校関係復旧についてです。御案内のとおり熊本県においても学校施設は三十一件いろいろ災害をこうむっております。学校の復旧を急いでいただく、授業に支障を来さないようにしてもらう、と同時に学校周辺それから通学路、ここらの問題につきましてもぜひ文部省あるいは建設省などと連携を密にして早急にこの点についての復旧お願いしたいのが一つです。  それから二つ目、これも先ほど提起がございましたように、JR線の災害復旧についてであります。復旧のめどがつかないということでありますけれども、民間のJRに任せておるのではなくて、国として責任を持って早急にこの生活路線であるJRの復旧についてお願いをしたいというのが二つであります。  それから三つ目は、災害救助法の適用に関連をする応急仮設住宅の設置についてであります。これも自治体の負担の問題とか設置対象であるとか規格などについていろいろ問題がございます。この応急仮設住宅の設置についてもぜひ早急に御配慮をいただきたいというのが三つ目であります。  それから四つ目は、ごみ処理の問題であります。御存じのように流木であるとか一般的なごみ以外に阿蘇の場合には先ほど言ったように火山灰が山のように積み重ねられておりまして、これが流されてきて、雨が降ればまさに真っ黒なぬかるみになる、ちょっと天気になればこれがセメントのように固くなる。こういう状況の中で排土を含めましてごみ処理の問題については大変な問題でありまして、この点についても国の御指導と補助をお願いしたいと思います。時間がございませんので、取り急ぎまして町長さんなどがぜひこれだけは言ってほしいという問題に絞って申し上げましたので、簡単に御回答いただきたいと思います。
  70. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 御説明をいたします。  先ほどの先生のお尋ねでも申し上げたとおり、学校につきましてもかなりの被害が出ておるわけでございます。今先生お話しのように、教育活動への支障という問題が出てまいりますから、私どもといたしましてはまず教育活動への支障を最小限に食いとめるように応急的な工事等の措置を講ずるよう指導しているところでございますが、特に今後こういった学校の施設の被害につきまして、復旧に要するもろもろの財政的な課題が出てまいります。そういった点につきましては、学校の設置者の方から国庫補助等につきましての御申請をいただき次第、できる限り速やかに所要の手順を踏まえまして国庫補助金の交付等の措置につきまして対応してまいりたい、かように考えてございます。  なお、先生、いわゆる周辺道路等の問題のお尋ねがございましたけれども、おっしゃられましたように、これは関係機関との連携を保ちながらやるべき事柄ということになろうかと思いますので、文部省としましては、県の教育委員会等を通じまして、関係部局との連携を保ちながらそういった点につきましても必要な対応を図るように指導をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  71. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 ただいま文部省からお答えいただきましたが、周辺の道路につきましては、通学路に関しましては災害復旧としては緊急性の最も高いものの一つになっております。仮応急また本復旧等も含めまして早急にやるように、県等から事情を聞きまして支障のないようにいたしたいと思っております。
  72. 高重尚文

    ○高重説明員 今回豊肥本線は集中豪雨によって非常に大きな被害を受けまして、被害総額四十五億円を超えると言われております。JR九州は、現在復旧対策本部を設けまして全力を挙げてこの復旧取り組んでいるところでございます。しかしながら、緒方—宮地駅間の現在の不通区間には橋梁の流失が三カ所、築堤崩壊が七カ所ほか線路流失とか切り取り崩壊とか土砂流入など多くの被害を受けておりまして、現在復旧の見通しが立っていないという状況でございます。特に、宮地—豊後竹田間におきましては山崩れが非常にひどうございまして、鉄道側のみでは復旧対策がなかなか難しいという点もございますので、線路沿線を含めた山林、河川の広域的対策を講じる必要があると考えております。運輸省としましても、可能なところから復旧取り組むとかあるいは治山関係機関とか河川関係機関とJR九州が協議をして、可能な限り早期にめどをつけて復旧工事に入るよう指導してまいりたいというふうに考えております。  また、JR九州に対しましては、現在、今回の災害が経営に与える影響等について検討の上報告をするように求めておりますので、この報告を踏まえて豊肥本線の復旧工事に支障がないように適切に対処してまいりたいと考えております。
  73. 荒木英昭

    ○荒木説明員 都市災害を担当しております街路課長でございます。  市街地部の堆積土砂は、熊本一の宮町などは特に多かったように報告を聞いております。町では既に堆積土砂の排除を始めていると聞いております。現在までの被災地からの報告を都市災害復旧事業中の堆積土砂排除事業の採択基準に照らし合わせてみたところによりますと、都市災害復旧事業での採択は十分可能であると考えておりますので、なお一層早急に排除するよう指導いたします。
  74. 田中昭一

    田中(昭)委員 時間が参りましたのでこれで終わります。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  75. 三ツ林弥太郎

  76. 倉田栄喜

    倉田委員 公明党・国民会議を代表いたしまして、質問をさせていただきます。  まず、今回の集中豪雨被害に対しまして、国土庁長官並びに政府、当委員会から早急に視察をいただきました。被災地選出の委員として御礼申し上げますとともに、視察の結果が適切に迅速に行政に、政治に反映されますように強く要望をしたいと思います。また、さきの当委員会で我が党の薮仲委員が、河川はんらんの情報等に関しましてテレビ等を通じての国民の皆様への公開という質問をさせていただきました。長官より積極的、前向きな御答弁をいただきましたけれども、あわせてこの点も強く要望をしておきたいと思います。  さて、質問でございますけれども、大分重複する点もございますので簡略に質問をさせていただきたいと思います。  まず今回の災害、特に阿蘇地方また熊本県においては昭和二十八年にも同じような豪雨被害があるわけでございますけれども、そのときの被害災害と違いまして、特に流木、泥流による被害というのが著しかったというふうに思います。先ほど流木、泥流被害に対して建設省の方からは一応お答えをいただいたと思いますが、林野庁の方からはまだお答えがなかったと思いますので、特にこの流木、泥流による被害、この対策をどのようにお考えなのか、まずお伺いしておきたいと思います。
  77. 弘中義夫

    ○弘中説明員 熊本県の方から報告をいただいておりますこの資料によりますと、今回の梅雨前線豪雨に伴う流木の発生は記録的な豪雨によるものであったということで、地質、地盤等が脆弱な箇所の林地の崩壊と渓岸浸食によって立木が倒れ、流れ出したものである、そういうふうに聞いてございます。また、火山灰泥流につきましては、昨年七月からの阿蘇火山噴火に伴い堆積していた火山灰が一気に流れ出したものと聞いております。  林野庁の今後とっていく流出対策ということにつきましては、これまでも治山事業の計画的な実施によりまして山腹崩壊に伴う倒木の流出を抑えるよう努めてきたところでございます。また、泥流対策につきましては、昨年来から災害関連緊急治山事業等によりまして火山灰に対する対策を講じてきたところでございます。今回の災害現地状況等を踏まえまして、流木対策につきましては、まず流木の流出防止のための透過型の治山ダム、こういうものを積極的につくっていく必要があるのではないかと考えております。また、泥流防止のための治山ダムにつきましても適切な実施を図っていきたいというふうに考えているところでございます。  長期的には、先ほども御説明いたしました学識経験者によります阿蘇災害対策調査検討委員会の結果を待ちまして具体的な対策を講じていく必要があるかと思いますが、一つには立木が倒れないように災害に強い森林を整備していく。このためには杉、ヒノキ等の一斉林をつくるだけではなくて、皆伐をしないような施業といたしましての複層林施業だとか育成天然林施業というものもあわせてやることによりまして、災害に強い森林を整備していくことが一つ方向ではないかと考えております。  もう一つは、そのような森林でも今回のような異常豪雨では十分その森林の機能だけでは防ぐわ けにいきませんので、森林そのものを守るための林地保全のための治山事業、こういうものを、特に渓岸が水で流された、そういうことを防止するような、そういう林地保全のための治山事業というものを積極的に進めていきたいというふうに考えております。
  78. 倉田栄喜

    倉田委員 今お答えの中にもありましたけれども、いわゆる今回崩壊をした山林の中、三十年生、四十年生の人工林の杉、ヒノキを中心として崩壊をしているわけですけれども、現地の人の声の中に、いわゆる渓流地、水際近くまで植林をされておる、それからやはり風で揺られて、阿蘇地方特有の地盤ということもあったのでしょうけれども、それも災害につながったのではなかろうかというふうな指摘、そういう声もありました。今お答えのように災害に強い植林、あるいはそういう意味では広葉樹といいますか根つきの深い、そういう樹木の選定ということも一つ考慮に入れて検討していただきたい、こういうふうに思います。  続きまして、現在非常に山腹が崩壊をしてしまっておる、赤い肌がのぞいておるわけでございますけれども、この山腹の崩壊はどのような形で復旧をなされていくお考えであるのか、これは林野庁、建設省でございましょうか、お伺いをしたいと思います。
  79. 弘中義夫

    ○弘中説明員 今回の豪雨により発生しました山腹崩壊地、それと渓岸の崩壊地も含めてでございますが、現在調査中でございますが、早急に実態を把握いたしまして、緊急に復旧を要する箇所については、関係機関とも協議しまして、早急に災害関連緊急治山事業等によりまして復旧に努めたいと思います。その山腹崩壊地の復旧に当たりましては、治山事業基本的な考え方といたしましては、まず表土を安定させるということが第一ではないかと思いますので、まず表土を安定させ、その次に早期に植生を復元させる、この場合は一挙に森林に戻すというわけにまいりませんので、徐々に森林に復旧させていくという手順になるかと思います。  もう少し具体的に申し上げますと、現地状況に応じまして土どめ工や水路工によりまして表土の安定を図り、その後に植栽工等によって斜面の傾斜の安定を図っていくという考え方をとってございます。また、阿蘇地域の特殊な土壌条件等を勘案いたしますと、その付近の気象条件あるいは植生状況等を十分調査いたしまして、樹種の特性を考慮して、最も適した治山用の樹種であります例えばハンノキ、クヌギ、カシ類というようなものを主体に、まず早期に森林の復旧を図ることが肝要ではないかと考えております。
  80. 松下忠洋

    ○松下説明員 阿蘇火山の一の宮地域災害でございますけれども、火山地帯でございまして、近年桜島を初め各地での火山が非常に活発化しておりまして、ああいう災害が起こる危険性が非常に高まってきております。そういうことで、昨年発足させました火山砂防事業制度をフルに活用させていただきまして泥流対策取り組んでまいりたいというふうに思っております。  それから流木対策でございますけれども、従来からも砂防ダムに高性能流木どめ等を設置して流木対策等も実施してまいりましたけれども、先ほどから議論になっておりますように流木対策の検討委員会をつくりまして、その提言を待ちながら、今後より効果的な方策を積極的に推進していきたいと考えております。  いずれにしましても、今回の災害を十分検討いたしまして、再度災害防止のために万全な措置を講じていきたいというふうに考えております。
  81. 倉田栄喜

    倉田委員 先ほど田中委員からも御質問がありましたけれども、今回崩壊をしてない傾斜地といいますか、そういうところも同じような危険性を含んだところがいっぱいあるわけでございます。どうか事前に、入念に今回の結果を十分生かしていただいて予防策というものを講じてほしい、これを強く要望しておきたいと思います。     〔委員長退席、大石(正)委員長代理着席〕  それから、続きまして、災害直後の行政の対応という観点から御質問をさせていただきたいと思います。  私、災害直後に現地に入らせていただいて、被災地方々からいろいろなお話を承ったわけですけれども、そのときに出たお話、それと同時に私自身も感じたことがあったわけですけれども、行政の対応として、まずどういう被害が起こったのか、そのためにどうしても調査をする必要がある、これはある意味では当然なことだと思うのですけれども、調査をして報告をする、あるいは視察団が現場に入るからその対応をする、そういういわば行政が主体となったような対応に追われてしまって、実際に被害者の方々が非常に大変なショックを受けておられる中で、ああいうことをしてほしい、こういうことをしてほしい、こういう問題はどうなっているのだろう、いろいろな要望があるわけですけれども、その個々の要望に対応できる人がいない、あるいは対応できる窓口がない。これは現地の役場なり市町村なり県がそれぞれの枠の中で一生懸命にやっているのでしょうけれども、人員的に非常に不足をしているのか、あるいはそれぞれ課ごとに区分をされてしまって、直接的に被災者方々要望、相談を受ける窓口がないということなのか、そういう印象を非常に受けました。  そこで、これはお願いでございますけれども、こういう災害発生しましたときにすぐ、いわばはやりの言葉として「すぐやる課」みたいたものができたところがありましたが、そういう被災者方々の相談窓口あるいは緊急的なことにはすぐ対応していく、つまり被災者の心、不安、そういうものを満足させる窓口というのをつくったらどうかと思うわけでございます。これは自治省として何かそのような対応策はできないでしょうか。
  82. 神林章元

    ○神林説明員 防災機関といたしましては、災害発生時には被害情報あるいは二次災害危険地区などの災害情報を収集いたしまして、効率的な応急対策を行うということとなっているわけでございます。しかしながら、避難の指示その他災害情報の提供など、被災者を初め住民の皆様方への対応をまず優先すべきだということについては御指摘のとおりだと考えております。そのため、消防庁といたしましては従来より、災害時の情報伝達手段でございます防災行政無線の整備を進めておりますほか、災害時には情報の収集、伝達が迅速的確に行えますよう、ふだんから住民の皆様への情報伝達のルートを定めこれを周知徹底しておきますよう、地域防災計画の作成指導等を通じまして各地方公共団体を指導申し上げているところでございますが、御指摘の被災者の相談に応じられるような体制等につきましては、本部体制の充実も含め、今後さらに指導徹底してまいりたいと考えております。
  83. 倉田栄喜

    倉田委員 各省庁間あるいは市町村、県の対応の中で、どこが対応するかということで非常に難しい問題があるのだろうと思いますけれども、窓口がないということでいろいろな情報が飛び交ってしまう、結局誤った情報が飛び交ってしまうようなことがあるわけですね。そのことが、非常に心理的ショックを受けている上に今後どうなるのだろうかという不安感をなお増していく、そういうことを強く感じたわけでございまして、これはいろいろな問題があるだろうと思いますけれども、何とかそういう相談窓口、落ちついてからはできることだろうと思うのですが、被災直後に、一番最初に被災者方々にこたえていく、これが行政の責任だろうと思いますので、この点強く要望をしておきたいと思います。  激甚災害指定等については前の委員の方から強く要望がございましたので、これも私、強く要望しておきまして次の質問に移りたいと思います。  まず、厚生省関係についてお伺いしたいと思いますけれども、昭和四十年の五月十一日の厚生事務次官通知というのがございます。これは「災害救助法による救助の程度、方法及び期間について」でございますが、その中で、要望も出ております「応急仮設住宅の供与」という項目がございま す。これは対象が「住家が全壊、全焼又は流失し、居住する住家がない者であって自らの資力では住宅を得ることができない者」また、「災害にかかった住宅の応急修理」の部分では「住宅が半壊(焼)し、自らの資力により応急修理をすることができない者」このような対象の規定となっております。これは先ほど申し上げました窓口がない、正確な情報が被災者方々になかなかきちんと伝わらない、こういうことに問題があるのだろうと思いますけれども、仮設住宅災害救助法の適用になってできるようになった、しかし、ではどのような方々災害救助の仮設住宅に入れるかということで、いろいろな話が現地の中に飛び交うわけです。誤った情報があるわけです。例えば土地を持っている人しか入れないとか、あるいは生活保護世帯しか入れない。きちんと説明をすればそうではないわけですけれども、問題は「自らの資力では住宅を得ることができない者」。この解釈は、ある意味ではケース・バイ・ケースで適用されなければいけない場合もあるでしょうからこういう解釈になっているのですが、この辺は基準として非常に不明確な部分がある、それが一つあるのだろうと思います。  そこで、この解釈についてひとつぜひ弾力的にお願いしたいということでございますけれども、「自らの資力では住宅を得ることができない者」、これは具体的にはどのような解釈になっているのか、またこれの対象として該当されない方々で、しかも住宅は全壊あるいは半壊をしてしまっているという方々にはどういう援助の方法があるのかお伺いしたいと思います。
  84. 松本省藏

    松本説明員 お答えを申し上げます。  今先生が御指摘のとおり、応急仮設住宅の設置につきましては基本的には「自らの資力では住宅を得ることができない者」ということになっているわけでございます。  それはなぜかと申しますと、災害救助法でございますので、とにかく第一義的に臨時応急の救護措置をとるというのがねらいでございまして、その中でも例えば避難所への収容あるいは炊き出し、そういうような措置災害救助の中でも最も第一義的な措置ということで、これは資力とかそういうものとは関係なく措置をしていかなければならないということになるわけでございますが、仮設住宅の設置とか住宅の修理、こういうような措置になりますとその次の段階の措置ということでございまして、現在のところ例えば相当額の預貯金を持っているとか不動産を有している世帯という方々につきましては、基本的に災害救助法ではなくて対応していただくということが原則になっているわけでございまして、災害救助法基本的な趣旨からして、資力を問わずに全部というわけにはなかなかまいらない。  しからば、先生おっしゃるように、そこの辺の具体的な目安はどうかということになるわけでございますが、先生お話にもありましたように、かなり現場での実質的な判断、弾力的な判断というものを尊重せざるを得ない場合があるわけでございまして、基本的には今申しましたように相当額の預貯金とか不動産を有しておられる世帯は御遠慮いただくということになるわけでございますが、基本的には都道府県の実質的な判断というのを尊重せざるを得ないということだろうと思います。  しからば、災害救助法の仮設住宅の対象にならない世帯はどういうことかということになるわけでございますが、これは私の立場からはなかなかお答えをしづらいのでございますが、一般的な住宅復旧あるいは住宅の対応ということになりますと、住宅金融公庫などの各種の貸し付けの施策あるいは公営住宅への優先入居の対応というようなことが考えられるわけでございますが、災害救助法の中では先ほど私が申しましたような範囲内で応急仮設住宅を設置するということになっているわけでございます。
  85. 倉田栄喜

    倉田委員 今度はその応急仮設住宅の設置の場所でございますけれども、大体は公有地に設置されるのが普通みたいでございますが、例えば被災者個人のところに土地があったりあるいは敷地があったりした場合は、その仮設場所が遠かったり適当な場所がなかったりというときにはそういうところを利用させていただいた方がいい場合もあり得ると思うのですが、その辺はいかがでございますか。
  86. 松本省藏

    松本説明員 お答えを申し上げます。  応急仮設住宅の設置の場所についてでございますけれども、原則といたしまして公有地あるいは被災前の住宅の建設地に建てる、これが災害救助法基本的な考え方でございまして、先生お話しのような例えば被災世帯の庭先へ設置するというようなケースでも、これは基本的には問題がないということになっております。
  87. 倉田栄喜

    倉田委員 同じく先ほどの通知の中に「障害物の除去」という項目がございます。これは「自力では除去することのできない者」、これが大体基準になっているみたいですが、ああいう被災があった場合に、現地に行きますと、いわゆる交友関係が広い人と申しますか、親族あるいは友人関係、いろいろな団体から援助を受けられる人は、いっぱい人が集まって土砂の搬出をやっている。ところが、全然そうでない世帯というのか被災者の方もあるわけですね。三日後、四日後に行っても、まだ結局後回し後回しになって土砂に埋まったままになっている。こういう方々について、いわゆる障害物の除去ということで一人当たり費用九万七百円以内という形で規定があるみたいでございますけれども、こういういわゆる住居の中に入った土砂の撤去がおくれている世帯に関して、例えば人の応援であるとか、あるいは費用の限度額、九万七百円でいいのかどうか私は非常に心配をしているわけですけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
  88. 松本省藏

    松本説明員 お答えを申し上げます。  障害物の除去の関係につきましても、基本的には、先ほどの応急仮設住宅と同じような意味で、みずからの資力を有していない方々というのが基本になってはいるわけでございますけれども、まず第一義的には、障害物の除去が対象となった世帯につきましてはその除去を速やかに行うということが基本でございまして、仮にそういう事態がおくれているというケースがありましたら、私どもとしても、県に対してできるだけ早く措置をするように今後とも指導してまいりたいと思っております。  それから、具体的な費用の問題でございますが、これは先生から先ほど御披露いただきましたような一般の基準で一応の基準ができているわけでございますが、特別な事情がございました場合には、厚生大臣との協議によりまして特別基準を設定するというような対応の道も実は開かれております。個別、弾力的な対応ということを考えていきたいと考えております。
  89. 倉田栄喜

    倉田委員 災害救助法の適用基準についてはぜひとも被災者の実情に応じた個別的、弾力的な運用をお願いしておきたいと思います。  次に、農林省関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほどから天災融資法の発動あるいは融資枠の確保、それから自作農維持(災害)資金の融資枠等等のお話が出ておりました。ぜひともお願いを申し上げておきたいとともに、荒廃山地及び林道等の災害復旧早期実施、それから災害関連緊急治山事業及び林道施設の災害復旧事業等の採択をお願いをしておきたいと思います。  具体的な話になりますけれども、一つ田や畑に土砂が流れ込んでしまっておるという話がございました。これは田や畑に流れ込んでおる土砂復旧ということに関しては、具体的にどのような形で政府あるいは行政なりの対応あるいは援助の仕方というのがありますでしょうか。
  90. 宮本和美

    宮本説明員 お答えいたします。  まず被害状況でございますけれども、土砂が流入し被害発生している田畑につきましては、現在、被災面積、被害額等を鋭意調査中でございます。  それから、復旧対策でございますけれども、流 入土の復旧工法は、一般的に堆積圧が大きい場合には排土工法を採用し、また堆積圧が小さい場合には天地返しあるいは混層工法を採用しております。いずれを採用するかは作物の生育状況なり経済性等を考慮いたしまして決定することとしてございます。今回の流入土砂火山灰でございまして、必要な土壌調査を行うとともに、土壌改良、天地返し等の各種の方法について現地への適合性、経済性を検討いたしまして復旧工法を決定するよう県、市町村等を指導してまいりたいと考えております。
  91. 倉田栄喜

    倉田委員 土砂の改良復旧でございますけれども、具体的には個人が主となってやっていくわけですけれども、それに対して例えば政府の具体的な援助額あるいはその基準というのはあるわけでございましょうか。
  92. 宮本和美

    宮本説明員 今申し上げましたのは、災害復旧の場合、農家の方から申請がありまして一定基準以上の災害発生している場合についてこういう形で災害復旧事業を実施しているわけでございます。ただ、個人がやられたものに対してやるというのは、これは融資等のものがあるかもしれませんけれども、個人で、小さいものでやられたものについては、小災害といいましょうかそういったものについては起債的な措置、これは市町村とか県ができますけれども、そういうものとか、または融資等によるものができると思います。
  93. 倉田栄喜

    倉田委員 次は、漁業の関係でございますけれども、今回土砂が河口に流れ込んだことによりましてアサリ等のへい死等の被害が出ているところが多数ございます。この点についてどういう援助、あるいはその回復等について見通し等をお聞かせいただければと思うのです。
  94. 土田清蔵

    ○土田説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、今回の大雨によりまして大量の土砂等が有明海の方に流出いたしまして、それによりましてアサリの漁場に堆積いたしまして、アサリにつきましてかなりの被害が出ているというふうに私どもも承知しております。  この対策でございますけれども、今回の被害に対します対応につきましては、私どもといたしましては、不幸にしてアサリの死滅によりまして漁獲収入が大幅に減少し、漁業経営の維持が困難になってきております漁業者に対しましては、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金というのがございます。そちらの資金の活用であるとか、あるいは、新たにアサリの稚貝を漁場にまくための資金といたしましては、農林漁業金融公庫の漁場整備資金のほかに漁業近代化資金の活用も可能でございますので、今後、被害漁業者あるいは漁協等の要望等を見た上で、適切な融資対応がなされるよう必要な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。  なお、アサリ漁場の復旧の問題もございます。これにつきましては、被害の実態把握に努めるということがまず先決でございまして、その上で被害の実態であるとかあるいは関係県の要望等を踏まえながら、沿岸漁場保全事業といったような事業もございます、そういったような関係事業の適用を検討してまいりたいというふうに考えております。
  95. 倉田栄喜

    倉田委員 続きましては、建設省関係で二点ほどお伺いをしたいと思います。  まず、今回阿蘇一の宮町で起こりました被害につきましては、いわゆる古恵川がはんらんというか、これが中心になって被害が起こったわけですけれども、通常ここには余り水が流れてない川でございます。このように水が流れてない川というのはほかにもあるわけでございますけれども、このような川の治山治水、危険なのかどうかということについては、調査あるいは今後の対応策というのはどのように考えておられるわけでございましょうか。
  96. 松下忠洋

    ○松下説明員 建設省砂防課長でございます。  平常、水が流れてない河川、渓流等も含めまして土石流が発生する危険のある、あるいは泥流が発生する危険性のある渓流というものは全国で約七万渓流把握しておりまして、これは人家五戸以上ということでとらえておりますけれども、何回かの調査を経まして現在七万渓流という数字を把握しておりますが、現在の整備状況がまだ一八%ということで非常に低いということは何回も御説明したとおりでございます。  こういう地域災害対策は、ただハードな工事だけでは十分防ぎ切れないということがございまして、その工事に加えましてやはりソフト対策と申しますか、警戒避難システムあるいは雨の予警報といったものも十分かみ合わせながら、両輪がかみ合うような形での対策をしていかなければならないだろうというふうに考えてやっているところでございます。がけ崩れや地すべりも含めまして、総合的な災害対策というものもこれからも進めていかなきゃいかぬというふうに考えております。
  97. 倉田栄喜

    倉田委員 もう一点、河川の件でございますけれども、今回阿蘇地方については黒川がはんらんしました。熊本市内においては、白川が浸水をしたところもございますし、本当に決壊すれすれの場所が随分ございました。もうあと一時間も雨が降り続いていたら熊本市内も大被害を受けてしまった、そういう状況でございます。  その中で、いわゆる白川の熊本駅周辺の左岸というんですか、現在用地取得交渉が進んでいる箇所も相当あるんだと思いますけれども、その用地取得交渉の話の中で実は現地の方からこういう話を伺いました。これは交渉の仕方とか時期とかいろいろな問題があるんでしょうけれども、なかなか交渉に建設省の方々が来てくださらない、ひどいときには一年に一回ぐらいしかお見えにならなくて、地元では七夕交渉みたいな言葉もある、そんなことを聞いたわけですけれども、その事実の有無を私は確認をしておりませんので、ただ現地の方からそういうお話があった。まさにその用地の取得交渉、あるいは今回みたいな雨がもう一時間も降り続くと本当に大被害になってしまったということから考えますと、非常に急がれることではないかと思うわけです。その辺の交渉のあり方等々については今どんなふうになっておるのか、どういう進め方なのか、お伺いをしたいと思います。
  98. 日野峻栄

    日野説明員 お答えをいたします。  白川の改修につきましては、昭和五十五年に大出水がございまして、熊本市街地を中心に再度災害防止の観点から激特事業を進めてまいりまして、昭和六十年までに大体概成をいたしております。その後、一層の安全度を確保するために、無堤部の用地買収とそれから築堤を一生懸命やっているわけでございますが、必要な用地面積の大体半分ぐらいを取得済みでございます。残された用地につきましては、先生御指摘のところだと思いますが、借地とかあるいは相続人の権利関係が非常に複雑なところが残っておりまして、今難航をしているわけですけれども、今後とも関係自治体等の協力を得まして用地取得の一層の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  99. 倉田栄喜

    倉田委員 今回の豪雨被害に対して、貴重な人命が本当に多数失われてしまいましたし、被害も相当なものでございます。ぜひ政府、行政の被災者の心にこたえるという意味での適切な対応をお願い申し上げます。
  100. 小川祐示

    小川(祐)説明員 建設省の傾斜地保全課長でございますが、先ほど先生質問の中でがけ崩れ災害復旧方針について答弁漏れがございましたので、御説明申し上げたいと思います。  私どもといたしまして、災害発生の直後でございますが、建設省及び土木研究所から担当官を現地に派遣しまして、被災状況を詳しく調査させていただいたところでございます。今後は、被災いたしました地域のがけ崩れ災害による再度災害を防止するため、これらの資料をもとに、さらに各県からのこれからの詳細の調査を待ちまして、効果的な工法の検討や施工の方法について迅速に検討を行いまして、対策については万全を期す所存でございます。
  101. 倉田栄喜

    倉田委員 貴重な人命を多数失いましたし、大 変な被害でございますので、ぜひ政府、行政の適切な、被災者方々の心に本当にこたえていく、そういう対応をお願いしまして、残りの時間、関連質問が同僚委員からございますので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  102. 大石正光

    ○大石(正)委員長代理 石田祝稔君。
  103. 石田祝稔

    石田(祝)委員 私は、関連で若干質問させていただきたいと思います。九州ではございませんで、お隣の四国にまで影響が出ているということで質問をさせていただきます。  七月六日付の愛媛新聞にこのような記事が載っておりました。中身をちょっと割愛して、一部を読んで申し上げますと、佐田岬半島の突端に位置する西宇和郡三崎町では、串から松地区にかけての海岸に大量の流木が漂着、中でも避難港でもある与侈港は、直径三十センチほどの木がびっしりと入り込み、海面はまるで陸地のようになっている、そして地元漁民は、スクリューの破損につながるため出漁することもできず、早朝から除去作業に追われた、大要こういう記事がございました。この現状について、またこの復旧状況についてどのように認識をされておるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  104. 川口毅

    ○川口説明員 お答えいたします。  今回の九州地方の豪雨によりまして大量の流木が海に流れ出しまして、先生お話しのように、愛媛県の佐田岬の先端の方の三崎漁港というところに大量の流木が港の口から中に入りまして、船が出られないという状況が起こっております。被災漁港は一港、この三崎漁港だけでございますが、復旧額が三百万程度というふうに調査の結果わかっております。それで一応、原因が異常な天然現象で起こった災害でございますし、漁港の維持管理上支障がございますので、現在公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法によって措置したいということで関係方面と協議を進めております。  なお、この流木の撤去作業でございますけれども、一応専門業者に委託して行っておりますが、一部地元漁業者が撤去したものもございます。これにつきましては、経費の問題でございますが、負担法によります災害復旧事業として採択されれば、当然のことでございますが国がその経費の一部を負担するということになります。それで負担法で採択されなければどうかということでございますが、その場合は、漁港の管理の一部ということでございますので漁港管理者が費用を負担するということになります。
  105. 石田祝稔

    石田(祝)委員 時間がございませんので、あと何点か続けて申し上げますので、お答えをいただきたいと思います。  お答えをいただいたと思いますけれども、この被害九州中北部豪雨の二次的被害である、このように認識すべきだと思います。この点についてと、それから処理に要する費用の負担は先ほどお答えをいただきましたが、私が現地に電話をして聞いたところによりますと、三崎町の各地から撤去作業に応援に来て、多いときには一日五、六百人が出たのではないか、これは業者ということではなくて、その漁業従事者、またはそれ以外の方の応援を得てほぼ終わった、このように聞いておりますけれども、その点、こういう人たちに対して日当が払われるのかどうか。それとあと、漁民の方が休漁をいたしております。この方たちに対して営業補償的なものがあるのかどうか。簡単に何点か申し上げましたけれども、お答えをいただきたいと思います。
  106. 川口毅

    ○川口説明員 休漁補償ということでございますが、現在そういうことはございません。制度的にございませんという意味でございます。異常な天然現象によって流木が港の口から中に入ってきたということで、一応埋塞災として対処するということでやっております。したがいまして、これは災害査定という行為を行う必要があるわけでございますけれども、その査定で金が決まりましたらそれに従ってその漁民の方にもお金を払うということになろうかと思っております。
  107. 石田祝稔

    石田(祝)委員 ちょっと抜けていたと思うのですが、私が把握したところでは五、六百人この撤去作業に従事した地元住民の方がいらっしゃるというふうに聞いておりますけれども、ちょっと聞いたところによりますと、お弁当だけいただいた、あとはボランティアということになるのでしょうか。ちょっと細かいことで恐縮ですけれども、その点について、これは最後になりますので……。
  108. 川口毅

    ○川口説明員 とにかく流木が港の中に入りまして、漁船が外に出られないという状況がございまして、漁民の方が自主的に撤去作業をやられたようでございます。その撤去された流木を船揚げ場といいますか、に引っ張り上げるというような作業をやられたわけでございますが、全般的に最後まで焼却処分するとかいろんな処理があるわけでございまして、そういうものも含めて一応仮応急ということで協議を受けております。それに基づきまして、今度現地に入りまして、負担法による災害として認定すれば国が一部を負担するということになりますので、現在まだ金を払っているという状況ではございません。
  109. 石田祝稔

    石田(祝)委員 この九州の中北部の二次的な被害だと私は思っておりますので、ぜひとも遺憾のないように善後策をお願いをしたいと思います。  終わります。
  110. 大石正光

    ○大石(正)委員長代理 藤田スミ君。
  111. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表いたしまして、まず最初に今回の災害に見舞われた皆さんに、心からお見舞いを申し上げたいと思います。  現地視察いたしました。一日も早く立ち直ってほしいという願いでいっぱいでありますが、私は毎年防災白書にあらわれているような国の防災対策の現状、おくれについて質問をしてきました。その点では、今回の九州のような災害の危険は全国にある、今回の教訓をしっかり生かしていかなければならないという思いを強くしたわけであります。  そこで、まず大臣にお伺いをいたします。被害の大きさは、例えば熊本県の一の宮町では、町財政の規模二十六億に対して被害は二百億を超えるだろうと言われています。また、福岡県の山川町では、同じく十六億の町財政に対して被害は五十億、これも日を追うほどにその額は大きくなっています。公共土木被害、農林水産関係被害、中小企業関係被害復旧を促進するとともに、被災地と住民の立ち上がりを助けるためにも、先ほどから皆さんが共通して要請されておりますが、私もまた激甚災の適用あるいは天災融資法の発動が早急になされなければならない、こういうふうに考えるわけであります。簡潔で結構ですから、御答弁をお願いいたします。
  112. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 藤田先生お答えいたしますが、先生と同じ気持ちでございまして、被害状況につきましては、現在関係省庁におきまして鋭意調査を進めているところでございますが、確定的な数字がまとまるにはいましばらく時間がかかるようでございます。ただし、現時点で把握している被害状況からいたしますと、昨年の災害などの例から見まして、農地等災害復旧事業については激甚災害としての指定基準を超える見込みは高いと思っております。今後被害額等の精査を急ぎ、早急に関係省庁との協議を詰めてまいりたいと考えております。  なお、天災融資法については農林水産省の所管でありますので、目下同省において被害状況調査中であると聞いております。
  113. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 総論としてもう一つ大臣にお伺いをしたいわけです。  大臣の所信表明に対する質疑のときにも、大臣が防災先進国だと言われたことに対して、私は、災害先進国ならわかるけれども、防災先進国とは、技術的にはそうではあっても実際の対策ではそうは言えないとたしか言ったことがあります。今回の委員派遣でも、県当局あるいは被災の現地から、起こるべくして起こった災害だ、河川の改修を何度要求していてもそれがなされていなかった、だから来るべきものが来たという感じだ、こ ういうふうに率直な怒りあるいは訴えを聞かされたわけであります。  先ほどのお話の中でも、稲葉ダムの建設に着手したばかりだ。あの竹田市の災害はここが本当にもっと進んでいれば、そういう思いをするわけです。玉来川のダムも具体的には聞いていないとおっしゃっていましたが、現地では、これはもうかねてから要求をしていたんだ、こういうことも言われていました。  ことしの白書を見ましても、大河川で戦後最大洪水に対応した整備率は五九%、中小河川では時間雨量五十ミリに対する浸水対策でわずか二九%という状態であります。今回もそうですが、この五十ミリというのはあちこちでこれを超える雨が頻繁に降っている。その五十ミリ対応でさえこういう状態であります。そういうふうに考えれば、災害が起こるのも当たり前、そういう思いを否めません。  ところが、同じ白書にも書いてありますが、国の予算の配分では力の入れ方が大変落ちてきています。一般公共事業に占める国土保全予算の比率は、一九六〇年代当初の三五%から最近は二〇%前後に落ちています。一般会計予算全体の中で防災関係予算は六五年ごろの八%前後から最近は五%前後になっているわけです。この委員会でも、災害分野だけはせめて補助率をカットすることがないようにと、臨調行革のときにも議論をされたわけですが、やはり同様に削られています。こうなると、やるだけやって、しかし被害はとまらなかったんだというふうなわけにはいかないと思うのです。大臣、国の防災対策のあり方をこの際抜本的に見直すべきだと考えますが、いかがでしょうか。     〔大石(正)委員長代理退席、村上委員長代理着席〕
  114. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 我が国では、近年、防災体制の整備等によりまして災害による被害は減少傾向にあると思いますが、東海地震等の大規模地震の発生が懸念されますとともに、土地利用の変化等を反映した災害も出てきております。  私としては、このような状況を十分認識しつつ、関係省庁と協議し合いまして、社会の変化に対応した災害対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  115. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それでは具体の問題に入ってまいりますが、今回の一の宮町の災害も、昨年の七月からの阿蘇山の火山活動で、測候所の資料では厚さ五センチ程度の降灰があり、大雨では泥流のおそれがある、そういうことで、砂防ダムの増設中であったわけです。しかし、間に合わなかったわけです。  その点で建設省にお伺いをいたしますが、この点についての反省はないのか、あるいは今後の対策はどういうふうに考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  116. 松下忠洋

    ○松下説明員 古恵川流域におきます砂防設備の現状、今後の対策でございますけれども、古恵川流域では砂防工事昭和七年から始めておりまして、これまでに九基の砂防ダムと十四基の床固め工を設置してまいりました。また、昨年来の阿蘇山の火山活動活発化に伴う大量の火山灰が流域内の山地に堆積いたしましたために、平成二年度に災害関連緊急砂防事業といたしまして、通常の事業に加えてでございますけれども阿蘇山周辺に約三十四億円で砂防工事を計画しておりまして、特に古恵川におきましても砂防ダム一基を上流部に施工すべく、測量設計を完了して用地交渉を鋭意進めていたところでございました。  我々としては精いっぱい火山活動に対応して、状況に応じてやってまいったと思っておりますけれども、このような結果になったことは非常に残念だというふうに思っております。今回の土石流災害につきましては、これらの既設の砂防ダムや床固め工群が土石流として流下してまいりました大きな石を大量に食いとめておりまして、下流への流下を軽減したという効果が見られております。  今後の対策でございますけれども、今回の豪雨による山地崩壊や土石流の発生によりまして大量の不安定な土砂と流木が発生しておりますので、次期出水等でこれらの土砂や流木の流下が予想されるために、再度災害防止という観点から早急に必要な措置を検討して実施してまいりたいというふうに思っております。     〔村上委員長代理退席、委員長着席〕
  117. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 答弁を求めるわけではありませんが、私はこの際、砂防一つ見ましても補助率三分の二が現在は五二・五%、一五%もカットされているわけです。私は、こういうのは本当にもとに戻すべきだということを建設省に対してもまた大臣にもぜひ求めておきたいと思います。  それで、問題は、一の宮災害は杉の木がそっくりえぐり取られて土石木流となって住宅を襲ったわけでありますが、こういう状態は山鹿市でも杉林が流されて被害が出ておりますし、あちこちで、杉の人工林が果たして山の安定上問題はなかったか、随分議論がされているわけであります。  昭和二十八年の災害の後、農林省の林業試験場の特別研究班がこういう物すごい、「林業試験場研究報告」ということで、いわゆる二十八年災害を繰り返さないためにどうしたらいいかということを学者、専門家に随分いろいろな研究をさせて、そしてそれをまとめて、水害原因の解明と対策の樹立を行うためにこういう調査をしたというふうにこの報告には書かれております。私はまだこれを全部読んだわけじゃありません。だからまだこれについて分析するだけの能力はありませんが、しかし、読んでいると随所に、崩壊押し出し土壌を食いとめるようなもっと根の深いもの、深根性の樹種を植えなければならないとかということで、とにかく今回の災害防止の上でも随分生かされるべき言葉、教訓がいっぱい詰まっているんじゃないかというふうに私は読んだわけです。  その中で、特に人工林の杉、ヒノキは根が浅く山腹崩壊を招きやすく、崩壊防止には根の深いコナラ、クヌギを植えるようにということも言われております。こういうことは現在でも正しい指摘なのではないでしょうか。そして、こういう指摘が果たして生かされてきたのか。先ほどから、災害に強い森林の整備を進めていくことが大事じゃないかということもおっしゃいましたが、私は、少しだけこれをつまみ食いして読んでも、今さら何をという思いで聞いたわけでありますが、林野庁の答弁を求めたいと思います。
  118. 弘中義夫

    ○弘中説明員 先生はその報告書をお読みでございますので余り重複して申し上げるのもどうかと思いますが、私も今回の災害の後、報告書を一読してみました。その報告書で書かれていること、それから今回災害の後、現地調査に入っております。まだその結果は出ておりませんが、そういう中から、今回の林地崩壊あるいは山腹崩壊、渓流崩壊の起こった原因につきましては、記録的な豪雨であったということが一番大きな原因として挙げられております。  二十八年災のときにも、それに匹敵する異常豪雨といいましょうか集中豪雨は明治三十三年に起こったとその報告書の中でも書かれてございまして、明治三十三年と昭和二十八年を大まかに比較、対置しております。いろいろ原因がございますが、逆に、一つには明治三十三年より森林が減少していることが大きな原因であるという指摘を受けてございます。そういう指摘を受けまして二十八年以来阿蘇地域におきましても造林事業に鋭意取り組んでまいったわけでございますが、結果的にはあの区域におきます全体の森林率は全国平均から比べますとまだ非常に低うございます。そういう状況一つあることを御説明申し上げたいと思います。  それからもう一つは、山腹崩壊地、渓岸崩壊地も含めまして、この崩壊の大きな原因は、阿蘇周辺一帯が基岩といたしまして不透水層、非常に水を通すことの少ないといいましょうか、通しにくい河岸泥流の上に、逆に透水性の非常に高い火山灰、軽石、こういうようなものが重なっている。その深さが大体一メートル前後というふうにその報告書でも言われておりますが、そこに非常に水 がたまり、飽和状態となりまして、不透水層との間に水が流れ、そして上が滑落したというふうに分析されてございます。  こういうような状況に対しましては森林の機能というものも一定の限界がございまして、その機能につきましては人工林、天然林等の林種の差異に起因するというよりはむしろ、林地を被覆しております地表植性の状況だとか、あるいは地形、地質、それから今回のような降水量、そういう各種の要因が複合して発生するものと考えられております。杉の根系の土壌緊縛力が広葉樹に比べて劣ってはいないという研究報告もございます。しかしながら、土砂とともに流出した流れ木が被害をもたらしたということも事実でございます。  このため、林野庁としましては、緊急治山事業等によりまして速やかに災害復旧に努めるとともに、今回の災害発生原因を究明し今後の対応策を検討するために、二十八年災に倣いまして学識経験者によります阿蘇・竹田災害対策調査検討委員会を設置して、現在現地調査を行っているところでございます。こういう中で、林地崩壊に伴う流木問題も含めまして今後の災害防止に対処していきたいと考えてございます。  また、その報告書で、根系の深い広葉樹をという御指摘でございまして、これも一般の森林所有者が行います林業経営を主体とした中ではなかなか難しい面もございますけれども、公共事業でやっております治山事業の中では積極的に広葉樹の樹種を取り入れてこれまでもやっておりますし、今後も森林災害の防止というような観点から地域の立地条件等に即して、適地適木を旨として樹種の選定を行うと同時に、一度に全部の木を切らないという意味での育成天然林施業だとか、あるいは複層林施業というものをきめ細かに実施していくことによりまして、災害に強い健全な森林の整備を行ってまいりたいと考えております。しかしながら、森林の林地保全機能というものにも限界がございますので、そういう林地そのものを保全するというために、渓岸におきます治山事業等、そういう林地保全のための治山事業を積極的に推進していくことが必要である、そういうふうに考えてございます。
  119. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 いろいろな意味で今回の災害を徹底的に原因究明して、そしてこういう災害を繰り返さないように対策を考えていかなければならないと思いますから、ぜひとも二十九年のこの報告書にまさる徹底究明ということを私は重ねて要望しておきたいと思うのです。しかも、林野庁は直轄事業ということで、五十七年から根子岳、高岳のかいわいで治山ダム八十三基を計画しておられるわけですけれども、これも進捗率二三%と極めておくれておりますので、私はそういうところにも特段の力を入れるように、これは答弁を求めません、要請をしておきます。  引き続いて、建設省にお伺いをいたします。  被災箇所はどこでも、台風シーズンを控えて二次災害に見舞われないかという大変大きな不安を持っております。だから、早期復旧が言うまでもなく大事です。被災箇所だけではなく、原形復旧ということだけではなしに、大幅に改良復旧災害関連事業取り入れなければだめではないか。せっかく災害復旧復旧されても、これはもう原形復旧なんだということで、わざわざもとの危ない形のままで復旧されていたり、もう少し伸ばせばこういう災害がなかったのになと思うようなところでも、そのもう少しが原形復旧ということで縛られているのか、なされていないために、そこが弱くなって水があふれたり、そういうようなところもしばしば見てきました。だから、こういうことは肝に銘じて行うべきだと思います。いかがでしょうか。
  120. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 建設省といたしましては、被災箇所復旧に関しましては基本的に早期復旧、再度災害防止ということを最大の柱といたしまして、従来からやっております。特に、緊急復旧を要するものにつきましては、直ちに応急復旧工事を施行するということで、民生の安定に努めているところでございます。  今回の災害につきましては、特に被害の激甚であった福岡佐賀熊本大分、これらの県に対しまして、五日から七日、七日から九日ということで担当者をそれぞれ現地に派遣をいたしまして、応急復旧等の指導に当たっております。  負担法によりますと、査定等の手続を経てということでございますが、こういったところにつきましては事前協議等にも応じ、直ちに復旧ができるように手配をしているところでございます。  また、被害が特に激甚であったところ、ただいま先生御指摘のように原形復旧だけでは不適当であるというところもたくさんございます。今までも災害復旧助成事業とか関連事業とか幾つかの改良復旧事業の制度もございまして、これらの活用によりまして、それなりの事業効果も出ております。今回もそういったところを最大限に活用いたしまして、積極的に災害関連事業等で対処してまいりたいと考えております。
  121. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それでは、災害救助法関係厚生省に二、三お伺いをいたします。  熊本県の一の宮町を初め、災害救助法が二十三市町村に出されています。住宅被害は、全壊百七十九棟、半壊百八十六棟というような大きな数字になっています。応急仮設住宅をつくるということを決めている市町村もあります。現在、幾らくらい設置が予定されておりますか。  また、具体的な基準では、全壊家屋の三分の一の戸数というふうに制限をされているわけです。これも、要望に応じて弾力的に考えるべきではないかと思います。もちろん、仮設住宅とはいえ安全なものでなければなりませんし、九州地方ですから大変暑いところです。冷房設備など、家族の状態に応じてはどうしてもそういうものを備えていかなければならないというようなこともあるわけです。一時しのぎだといっても、二年間住んでいるというようなことも過去の例でたくさんあるわけですから、最低限の設備を整えるという点で、そういうことも私は求めておきたいと思うのです。また、家族構成のこともありますので、限度額についても弾力的に考えていくべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。  あわせまして、住宅の応急修理の制度もありますが、適用状況はどうでしょうか。できるだけ制度にのせる、そういうもっと積極的な厚生省取り組みを私は求めたいわけです。いかがでしょうか。簡潔にお願いします。
  122. 松本省藏

    松本説明員 お答えをいたします。  応急仮設住宅の設置の状況でございますが、現時点で県からの報告を受けましたところ、関係四県で七十戸の応急仮設住宅をつくるということを報告を受けております。  それで、お話にもありましたように、応急仮設住宅の設置につきましては、全壊流失世帯数の約三割——失礼いたしました、三割というのは一般基準でございます。ただ、災害状況によりましては、必ずしもその一般基準の対応ではうまくいかないという事例も当然生じてくるわけでございます。お話にありましたように、例えばもっと戸数をふやすということも必要になってくると思います。それから、単に戸数だけの問題でなくて、必要な面積についても、家族構成などでやや広めの面積が必要になるということも出てくるわけでございます。それらのことにつきましては、一般基準ということだけではなくて、特別な事情があるということで、厚生大臣に協議の上特別基準を設定して対応していくという道が開かれているわけでございます。  また、冷房設備につきましてどうだろうかというお話があるわけでございますが、災害救助法に基づきます応急仮設住宅、これはあくまでも臨時応急の援護対応措置でございまして、冷房設備までつけたらどうかということにつきましては、法あるいは制度の趣旨からしてなかなか難しいのではなかろうかと考えております。  それから、応急修理の実情というお話がございましたけれども、現時点で県から報告を受けております件数で申しますと、全体として十四世帯、こういう報告を受けているわけでございます。
  123. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 少ないのですよね。言われている被害戸数に比べると、十四戸とか七十戸とか、大臣もうなずいてくださっておりますが、本当に少ないのです。だからもっと災害救助法という名にふさわしく、やはりもう本当に生きていけるかという思いをみんな持っているわけですから、それを励ます意味でももっと積極的な対応が要ると考えるわけです。  被災地で聞かされたのは、救助法に関しては、公共施設の復旧は進められているが、個人の家に土砂や流木が入って手がつけられないような状態になっていても、出動部隊なんかは道路や橋を片づけるとすぐ帰ってしまうという不満も聞かされました。救助法を見ますと、障害物の除去ということもあるわけです。現在四県で四百四十三世帯がその障害物の除去というこれを適用されているということですが、一の宮町だけで四百八戸ですね。ここでも国の基準は、国費の補助は半壊、床上浸水家屋の一五%の世帯数を目安ということになっていまして、一の宮町は四百八戸手だてをしましたが、六十戸分ぐらいしかないわけです、この一五%の数字でいくと。単純に計算するとそういうことになってしまうわけです。市町村はもう当然これは必要だということで救助を実施しているわけですから、このような実態とかけ離れた基準というものについては実態の方に積極的に合わせていく、そういうことをもっと真剣に考えるべきではないかというふうに思うわけですが、どうですか。
  124. 松本省藏

    松本説明員 お答えを申し上げます。  今のお話にありました障害物の除去でございますが、これは先生お話しのように、半壊及び床上浸水世帯の一五%というのが一般基準でございます。これは、過去の災害の際の事例などを勘案しまして一般基準として設定しているわけでございますが、先ほどの応急仮設住宅などの場合と同様に、特別の事情がありますれば、それにこだわらずに、事前に厚生大臣の承認を得た上で除去世帯数の限度を引き上げるという措置を弾力的に講ずるということにしているわけでございまして、具体的には、今後関係の県からの申請なりを待ちまして、できるだけ弾力的な対応をしていきたいと考えているところでございます。
  125. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 障害物の除去の問題では、被災地ごとに適用のアンバランスが目立つわけです。一の宮町の隣の阿蘇町も床上浸水千二百四十六戸、しかも例のヨナという火山灰の水につかってぬれているわけです。だから土砂も廃棄物もたくさん出さねばならないという点では一緒なのですが、五世帯だけしか使っていません。だから、そういう点では災害救助法を使ってできるだけ救助せよというPRですか、そういうものをもっと徹底させていかなければならないというふうに考えるわけです。この点では、厚生省、そういうことを本当にもっとよく見てこの救助法を生かしてください。本当の意味で生かしてほしいのです。障害物の除去という点でも、一の宮町に私たちが行きましたときはまだ十分家に住める状態になっているというような世帯は見られなかったわけです。だから、適用も十日以内というようなあれがありますが、これは大臣の判断によって延長できるわけですから、この延長も私はここで求めておきたいと思います。  それでは次に、農業関係の問題であります。  先ほどから農業関係の問題では、救済策として、自作農維持資金の活用、あるいは制度資金の償還への配慮、農業共済の早期支払い、こういうことで取り組むという御答弁がございました。これは当然のことでありますし、農水省も天災融資法の発動のために急いでいただきたいというふうに考えるわけです。  具体的なことで少し聞いておきたいと思います。  阿蘇地方では、先ほどからも言われておりますように水田にヨナが入っておりまして、とても簡単に排除できないというふうに思うのです。だから、ことしの作柄だけでなく、田んぼ自体がだめにならないかなという心配をいたしましたが、復旧方針をお伺いいたします。あわせて、竹田市で単刀直入に、農業用水路の仮復旧工事を、ユンボを使ったりポンプアップしているのを全額公費で実施するように要求をしたいというような大変具体的な要求が出されました。実際、竹田市のみならず、かんがい用水に支障のないように手だてをしてもらわなければなりませんので、こういう要求に対してどうこたえられるか。あわせて、農林水産共同利用施設の復旧に対してどういう手だてを考えていらっしゃるか。この三点を一括してお伺いをいたします。
  126. 宮本和美

    宮本説明員 お答えいたします。  阿蘇のヨナといいますか火山灰の流入によりまして農地が被災した場合でございますけれども、この場合には農地災害復旧事業として助成措置を講じているところでありまして、流入土の復旧工法は、一般的に、堆積圧が大きい場合には排土工法を採用しますし、また、堆積圧が小さい場合には天地返しあるいは混層工法を採用しているところでございます。  今回、流入土は火山灰でもございますので、必要な土壌調査等を行うとともに、天地返し等各種の方法の適合性、経済性を検討して復旧していくように、市町村、県を指導してまいりたいと考えております。それから、復旧工法の決定また地元の準備が整い次第早期査定を実施し、被災農地早期復旧に努めてまいりたいと考えております。また、緊急に応急工事等の措置を講じなければならない箇所におきましては、適切な対応を図るように指導をしているところでございます。  次に、竹田市における農業用水路関係被害状況でございますけれども、これは鋭意調査中でございますが、被害発生と同時に、緊急に応急工事等の措置を講じなければならない箇所については、適切な対応を図るよう指導するとともに、農政局の担当官を派遣しまして、これは七月の六日から七日にかけてでございますが、仮復旧、応急ポンプの設置等について現地指導を行ったところでございます。かんがい施設が被災し、かんがいが不能となり、農作物の生産に重大な影響を及ぼす場合は、応急ポンプの設置等の応急工事について災害復旧事業として補助対象とすることとしております。  以上です。
  127. 長良恭行

    ○長良説明員 今回の集中豪雨災害によりまして農協等の倉庫でありますとか選果場等の共同利用施設の被害につきまして、現在まで、福岡県からは六件、金額にいたしまして約一千万円、大分県からは七件、金額にいたしまして約六千四百万円の報告が私どもの方に来ております。なお、その他の県につきましては現在調査中でございます。  このような農林水産業共同利用施設の被害につきましては、農林水産業共同利用施設災害復旧事業というのがございまして、これの適用が可能でございますので、地方公共団体から復旧事業の申請が出されましたならば、それらについて私ども検討の上適切な対策を講じてまいりたい、このように考えております。
  128. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 最後に少し大臣から御答弁をお願いしたいのですが、福岡県の山川町というところで、この災害の後ついに自殺者が出たわけです。ミカン農家です。とても復旧してやっていけないと思ったのではないかと町長も言っておられました。立花町の今回の要請では、農業が厳しい環境に置かれ、さらに水害で打撃を受けているんだということが強調されています。ダブルパンチというよりも、農業の後退が災害に対する地域の抵抗力を弱めている、私はこのことを大臣に認識をしていただきたいわけです。  そして、立花町ではいよいよミカンもだめだということで、全国有数のタケノコの産地でもありますが、これも中国からの輸入で打撃を受けておりまして、そういうことで、最近この立花町の上にゴルフ場をつくろうと、百二十ヘクタールの山林を買収してゴルフ場をつくる計画が出てきています。若者たちはそれに反対運動をしているわけですが、辺春川の頭のてっぺんのあたりになって 水害だとかがけ崩れなどの心配がある、こういうことでそういうゴルフ場はやめるべきだということを言っていたわけですが、今回の災害でゴルフ場をやめよという天の声だというふうなことも言われているわけです。だから、山を削り保水力を失わせるという乱開発は、しかも今回のように激甚な災害地で無神経に進めるというようなことはあってはならない、その点では、乱開発を抑えることが防災にとって非常に大事な問題であり、また、農業の荒廃を防ぎ、地域災害に対する抵抗力、復元力を持っていかなければ防災の意味をなさないというふうに私は考えるわけです。その点、大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。  大事な問題で恐縮ですが、これは大臣にではありませんけれども、今回この災害で豊肥本線の問題がここでも随分取り上げられました。あれが国鉄時代だったらどうだっただろうな、実際八十八カ所分断され、本年年内復旧も無理だというような報道を見るにつけ、そういうことを本当に私は思うわけです。国鉄時代だったらもう速やかに復旧にかかっていただろうな。同時に思い出したのは、あの民営化のときに、民間と違って国鉄というのはわざわざへんぴなところ、危険の多いところの路線を受け持っているんだ、だから、民営化して大災害になったときにどうするんだという議論もなされたわけです。そのときに政府の方は、大丈夫だというふうに言われて民営化を強行されたわけでありますけれども、私はそういうことから振り返っても、JRがみずから責任を持って復旧取り組むということはもちろんですが、国も早期復旧のために最善の策をとらなければいけない、そして、間違っても復旧困難ということでこの線が廃線に追い込まれるというようなことは絶対あってはならない、その点で運輸省に御答弁を求めて、時間が来ておりますので終わりたいと思います。大臣から一言と、運輸省からもお願いします。
  129. 鹿島尚武

    鹿島説明員 立花町のミカン園をゴルフ場にという点につきまして、事実の問題でございますから私の方から申し上げさせていただきたいと思います。  早速、県の方に照会をさせていただきました。地元からミカン園をゴルフ場へというような動きがあるやに県の方に御相談があったというようなことでございますが、詳細はわかりません。そんな状況にございます。  さて、一般論として申し上げますと、ゴルフ場の開発ということになりますと、都市計画法等の定めによりまして、土地利用の理念、これを踏まえながら、まずもって防災上の配慮を行った上で、地域の特性、実情に応じまして自治体の方で総合判断をして決めておるものでございます。その点、申し上げさせていただきます。
  130. 藤井章治

    ○藤井説明員 豊肥本線に関する復旧の問題でございますが、先生御案内のとおり、鉄道施設の災害復旧につきましては、国鉄時代も同じでございますが、基本的には鉄道事業者の責務としてみずから行うべきものというふうに規定をされております。現在の仕組みの中では災害助成措置として鉄道軌道整備法におきまして一定の場合の補助の規定があることは事実でございますが、今般の豊肥本線の被災につきましては、同法の規定の趣旨あるいはこれまでの運用方針、あるいはJR九州の現在の経営規模なり利益の状況等から見ますと、なかなか適用が困難ではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、現在JR九州に対しまして、復旧工事の具体的見通しなり、あるいは復旧工事資金の資金調達方法、また、今次の災害が会社経営に与える影響、こういったものにつきまして検討、調査を急がせておるところでございまして、その報告を待つとともに、また、今回の災害自体が鉄道だけの復旧というのはなかなか難しい面がございまして、関連の道路あるいは山地、こういった面での災害復旧工事、公共事業との調整、こういったことも必要でございます。したがいまして、こういった実情をよく見きわめながら豊肥本線の早期復旧に全力を挙げますよう、JR九州に対して十分指導をしてまいりたい、このように考えております。
  131. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 もう時間が過ぎましたし、きょうはアメダスの問題についても気象庁に質問をする予定でお願いをしておりましたが、少し時間が過ぎますので、気象庁にお許しをいただきたいと思います。  私は、立花町のゴルフ場を例に挙げましたが、開発と災害防止というものをもっと一体にして考えていかなければ、幾ら河川を改修しても、あるいは砂防ダムとかそういうものを整備をしていっても、結局悪循環になるんだ、だから、そういうことを本当に考えた、それこそ国土対策というのですか、そういうものをきっちり進めていかなければならないという意味で大臣に御答弁を求めたわけで、地域の点の問題だけを言ったわけではありません。それじゃ、終わります。
  132. 三ツ林弥太郎

  133. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回の九州中北部豪雨による災害視察をさせていただきまして、大変な激甚であることに驚きもしているわけでございますが、早急に政府といたしましてもこの復旧、復興に万全の対策をなしていただきたいということをまず要望する次第でございます。つきましては、私からも今回の視察で四県、また各被災市町村からの陳情、要望をいただいておりますので、その要点のみをまず国土庁に、その対応の所信をお伺いしたいと思います。  激甚災害指定及びこの特別の財政措置についてでございます。このことにつきましては、今まで各委員からの質問に対しまして答弁がなされているわけでございますが、またこの見通しにつきましては、大体その査定の結果なるのじゃないかというような答弁も得たのではございますが、あるいは査定の結果、激甚災害指定が受けられないとした場合も含めまして、私といたしましては、何らかの基準の緩和をなしても全部救済させたいものだという考えを持っておりますので、この点についての見解をお伺いしたいと思います。
  134. 鹿島尚武

    鹿島説明員 激甚災害指定につきましてまず前提となりますのは、一つは、先生御案内のとおり、災害というものを特定をする必要があります。そして二つ目は、被害見込み額を把握をする、この二つが要件であろうかと思います。  被害状況につきまして現在関係省庁において鋭意調査を進めておる段階でございます。確定的な数値がまとまるまでいましばらく時間がかかるようでございます。私どもといたしましては、被害額の確定という作業を早めていただきまして早急に関係省庁との協議を進めてまいりたいと考えております。
  135. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 その際、小々の基準緩和も考慮して、今回のああいう地域的な大災害でございますので、全被害地を網羅した対応ができるように要望したい次第でございます。  また、同じ陳情を建設省に対しても行うわけでございますが、激甚災害対策特別緊急事業災害関連事業及び災害関連緊急砂防事業災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業への採択と災害復旧関係予算の重点配分について、特段の配慮をお願いしたい、こういう陳情も受けております。このことについての建設省の御見解をまずお伺いします。
  136. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  まず、改良復旧関係でございますが、激特も含めましてでございます。  まず災害復旧事業は、御承知のように、原形復旧を原則とするということでございますが、先ほど来御説明をしておりますように、被災の状況に応じまして、再度災害防止の観点からこれが不適当であると判断されるものにつきましては、改良費を加えまして、災害復旧助成事業とか関連事業、そういったようなものをやっております。  それから、いわゆる施設災害等は余りなくて一般被害が多いといったようなものは、激甚災害特別緊急事業、いわゆる激特事業をやっているということでございます。  これらにつきまして、現在、県の方も鋭意調査をやっております。先ほどの私からの御説明にも ありましたように、既に災害査定官を現地に派遣しておりまして、これらの改良復旧につきましても県との協議また指導等に当たっております。既に幾つかそういったものの要望を私どもも承知しております。今後県とも十分調整を図りながら改良復旧制度の積極的な活用をしてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  137. 小川祐示

    小川(祐)説明員 先ほど災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業について御質問がございましたが、それについて御説明いたしたいと思います。  建設省といたしまして、がけ崩れ災害から国民の生命を守るため、従来より急傾斜地崩壊対策事業ということで実施してまいったわけでございます。また、集中豪雨等により災害を受けた場合には、再度災害の防止のため速やかにこういった災害に対応してきたところでございます。  今回の災害につきましては、再度災害の防止、国民生命の保護の観点より、速やかに対策を講ずる必要があると考えておる次第でありますが、現地では、現在対策工事について懸命に調査中でございます。その結果を踏まえまして、早急な対策を講じてまいりたいと考えておるわけでございます。
  138. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、農林省にも同様の陳情、要望を受けておりますので、私からもぜひ十全の対応をしていただきたいと思うわけでございますが、同時に、法に基づくところの対策、対応といたしまして、天災融資法の発動及びこの融資枠の確保、自作農維持資金、これは災害資金の融資枠の確保、また、農業近代化資金等の制度資金について、償還猶予等の融資条件の緩和をお願いする、こういう陳情も来ているわけでございます。これに対する対応、その所信をまずお伺いいたします。
  139. 長良恭行

    ○長良説明員 今般の集中豪雨によります被害につきまして、目下その実情の把握に努めておるところでございまして、天災融資法につきましては、その結果を踏まえて検討してまいりたい、このように考えております。  それから、自作農維持資金でございますが、被災農家の経営の維持安定に資するという趣旨災害資金でございますが、その融資枠の確保につきましては、各県の資金需要を見きわめつつ、関係県とも十分相談して、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。  それから、被災農家の既に借りておられる制度資金でございますけれども、これにつきましては、去る七月四日に関係機関に対しまして償還期間の延長等条件の緩和について、実情に応じて対応するよう指示したところでございます。
  140. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 なおそのほかに、農業共済措置についての農業災害補償法等による共済金の早期支払い等緊急な対応についての特段の御配慮をというようなこともありますので、いろいろ要望が重なっておりますが、こういうことに対しまして前向きに対応をしていっていただきたい、こう思うわけでございます。  次に、また建設省にお伺いいたしますが、今回の視察一の宮災害死者十一名を出している災害、天井川になっている地形であったこと、さらにそこに流木が流れてきて、流木災害と重なってああいう惨事を起こしていることが見受けられました。  そこで、こういう天井川のはんらん、流木がダム化しますと本当に逃げ場所がない。私、あの地形を見まして、よく死者が十一名ぐらいで助かったな、夜だったらこれはもうこの何倍になったかという地形で、慄然とさせられております。そこで、こういう天井川の治水対策に対しまして今後どのようにされていこうとするのか、天井川になっている地形は各地どこにもあると思いますし、天井川になるにはよほどの年月がかかっているわけでございますので、その治水対策についてお伺いいたします。
  141. 日野峻栄

    日野説明員 まず、天井川についてでございますが、洪水時の水位をできるだけ下げる方が安全でございますので、それを基本にいたしております。上下流の河道の条件から許される限り河床の掘削を行うのが一般的でございます。なお、局所的な河床堆積土等につきましては随時掘削をするなど、適切な河道の維持を図るように努めているところでございます。  それから、流木対策でございますが、河川におきましては橋梁等河川を横断する工作物が幾つかございますが、それを新築したり改築したりする場合には、河川管理施設等構造令という政令によりまして必要なスパンとかけた下高、クリアランスを確保するようにしております。しかし、今回のような上流山地の大規模な崩壊等によりまして河川全体を埋め尽くすような大量の流木が流出してくる場合には、基本的にはやはり上流部での砂防ダム等による流木対策が必要であると考えております。
  142. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 流木対策となりますと農林省の分野に入ってくるわけでございます。ただ、将来考えられるこういう流木災害に対して、建設省としては技術的にはどういうことが考えられるのか、お伺いします。
  143. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 直接の担当ではございませんが、防災という面でお答えいたします。  流木につきましては、ただいま治水課長から答弁がありましたように、横断工作物等に非常に流木がたまりまして被害を大きくしているという実情がございます。それで、河川としての対応は今申し上げたとおりだと思いますが、さらに砂防、いわゆる河川の方に流下しないようにということにつきましては、先ほども砂防課長の方から答弁があったと思いますが、鋼製砂防ダムとかそういったようなもので、流水は流すけれども流木はとめるというようなことを技術的に現在やっております。
  144. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回の災害の現場を見まして、このこともまた地元からの要望でございますし、また各委員質問にもありましたが、改良復旧をぜひ採択していただきたいという願いが強かったわけでございます。  御承知のように普通の基準を超えたところに起きるのが災害でございますので、今回の災害の場所を見ましても、竹田市なんかの場合はS字形の首のところが水の流れが変わって決壊させていわゆるショートカットになったような格好になっております。それから河川幅が、全部広く災害を受けているわけでございますので、私といたしましては、今までの災害対策は原則として原形復旧ということでありますが、むしろ原則としてこういう災害地の改修は改良復旧をとるべきじゃないかと思っているわけでございます。このことについて建設省の所見をお伺いしたいと思います。
  145. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 改良復旧を原則にということでございますが、負担法の中に原形復旧を原則とすると明記されておりまして、私どもはその制度を、できるだけ再度災害防止という観点から、予算補助等、先ほども御説明いたしましたように関連事業とか災害復旧助成事業とかそういったようなものでやっております。今後ともその被災の状況をよく把握いたしまして、工法的にも計画的にも、技術的に可能な限り、再度災害防止に努めていく所存でございます。
  146. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は法運用の発想なんですが、原形復旧というのは予算のないときの法律でございまして、今や日本は経済大国になりました。本来こういうことは建設省より大蔵省を呼び出して話さぬといかぬわけですが、さいの河原の石積みのような原形復旧ではもうだめです。原則として改良復旧をすべきだという一つのまとまった認識を大蔵省の方にも突きつけて、ひとつこれからの災害復旧対策に当たっていくべきではないかと思っているわけでございます。建設省を責めるよりも、私たちも大蔵省に対しましてこういう考えを求めていきますので、建設省の方でも前向きにひとつ進んでいただきたいし、現地からの要求があれば改良復旧を認めるのではなくして、むしろ建設省サイドでも、現地に行って積極的に改良復旧を指導するように、一応お願いしておきます。  次に、建設省の崩壊対策でございます。崩壊地といいましても、全国にこういう危険箇所が無 数にありまして、柔をもって剛を制するような緑地化の問題を考えていかなかったら、まんべんなき対策ができないと思っております。建設省サイドでの緑化についてはどのような考えを持っているのか、方策をしようとしているのか、お伺いいたします。
  147. 小川祐示

    小川(祐)説明員 御説明申し上げます。  先ほども御説明させていただきましたが、がけ崩れ災害から国民の生命を守るということで、従来から急傾斜地崩壊対策事業、いわゆるがけ崩れの防止事業ということで実施に努めてまいったところでございます。  今回のがけ崩れ災害崩壊地につきましても、再度災害を防止するため、地形、地質あるいは気象条件を調査して、効果的な方法によるがけ崩れの防止施策について万全を期す考えでございます。また、先生質問で緑化ということを言われておるわけでございますが、この辺につきましては、対策工事の中で可能なものについては極力緑化等を念頭に置いて検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  148. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 緑化となりますと林野庁、農林省サイドの手法だという観念が建設省にあるのではないかと思うのですが、建設省といたしましても積極的に、緑化に対する技術開発を予算をとって進めてもよいのではないかと思いますので、今回は要望だけしておきます。  次に、農林省にお伺いいたします。  今回の災害場所で、ヨナを含んだ泥土の堆積が、一の宮阿蘇町は大変ひどい。それで熊本県の農政部では、とても堆積泥土の処置をしようとしても捨て場もないし、このままこの泥土を耕土化させる、耕地化させる対策を試験場の方に命令したというわけでございます。私も、そういう方法がとられるならば、いわゆる天地返しのきくぐらいの堆積土であればこれも可能性は非常に高いと思っているのですが、しかしそれ以上の堆積土になっているこういうヨナを含んだ泥土に対しても、熊本県では敢然と試験場に対策取り組ませたと言っております。  そこで、今回のこういう災害対策の補助あるいは施策の中で、こういうことに対するところの予算というものをむしろ前向きに組んで見てやるべきではないか、こう思うわけでございますが、今の制度の上ではどうなのか。それから、今後新しい試みとしてこういうことに対する対応をどのようになされようとするのか。所信をお伺いしたいと思います。
  149. 宮本和美

    宮本説明員 農地、農業施設に対します、特に農地に対しますところの火山灰が流入して被災した場合でございますが、これにつきましては、先ほども御説明いたしましたけれども、農地災害復旧事業として助成措置を講じておるところでございまして、流入土の復旧工法といたしましては、一般的に排土工法なり、また堆積圧が小さい場合は天地返しとかいうこと、あるいは混層工法等を採用している。今回現地の方でいろいろ検討されまして、もちろん土壌調査等も必要でございますが、そういった現地での検討結果で、現地に一番合ってまた経済的な工法で復旧していくということで指導しているところでございます。  それから今回、今の試験場に対するそういった工法についての研究を県の中でやられているということでございますけれども、これについては、災害復旧、特に私どもが所管していますところの農地、農業施設の災害復旧事業での何らかの予算措置ということは、現在のところちょっと難しいのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  150. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 どうも、私の積極的に取り組んでもらいたいという気持ちに対する答弁としては全く期待外れでございますが、いずれにいたしましても、ああいうヨナを含んだ泥土に対しまして土壌改良材や豊富な有機質を投入して耕土化できるという方法がとられるなら、これは非常に経済的な復旧方法になっていくと思いますので、どうか農林省の方でも、復旧には原形復旧ということじゃなくしていつも改良復旧、いわゆる経済的な面も考慮できる改良復旧を考えられる面が農林省の場合は建設省より多くあると思いますので、こういう点に留意して今後とも問題に当たっていっていただきたい、こう要望する次第でございます。  次に、これからが私のなになんですが、流木災害昭和二十八年の阿蘇地区の災害から、崩壊防止をするための植林として行ったその木が、三十年たてばよほど根が密着していわゆる地耐度が出ているはずのところが、結局崩壊しているわけでございます。こうなりますと、もう方々にこういう災害を起こす場所がたくさんあるわけでございまして、ちょうど直入町の町長も、自分たちの町で三十年生の杉の林が崩壊した、この対策をしないと今後どんどん起きてくる、こういうことを現場で我々に申していたわけでございます。ですから、流木災害を起こす林地に対する対応をどのようにされようとしているのか。このことをお伺いいたします。
  151. 弘中義夫

    ○弘中説明員 御指摘のとおり、今回の災害では山地からかなりの流木が発生いたしまして、被害を大きくした一つ原因だと見られてございます。  この流木が発生した原因でございますが、一番基本的な問題は記録的な豪雨でございます。最大日雨量それから総雨量とも、先生お話のございました二十八年災に次ぐ記録的な豪雨が降ったわけでございまして、これによりまして地質、地盤等が脆弱な箇所の林地の崩壊や、そういう雨が渓流を流れまして、渓岸浸食によりまして立木が倒れまして流れ出したものと聞いてございます。  この流木に対します対策としましては大きく二つございます。  一つは木が倒れないようにするという対策でございます。これにつきましては、二十八年の災害の後鋭意植えました、今回ちょうど三十年から四十年ぐらいになりました木が倒れたわけでございますけれども、そういう森林を、災害に強い森林を整備していくという考え方から、その場所におきます気象条件だとか地質、土壌条件、そういうものを勘案しまして、適地適木で対応していくということが基本かと思います。それに加えまして、森林を一遍に伐採しますとそういう森林の公益的機能というものが一番低下いたしますので、これを避ける施業、森林の取り扱いといたしまして、複層林施業だとか育成天然林施業というものを今後推進してまいりたいと考えております。しかしながら、森林あるいは立木によります土壌の緊縛力というものは、樹種あるいは林齢等によって差がございますけれども、研究報告等によりますと、杉が広葉樹よりも強いというような結果も出てございます。  いずれにしろ、今回のような異常降雨の場合には、人工林、天然林にかかわらず森林でそういう土壌の崩壊を防止するというのには限界があると考えておりますので、そういう林地を保全するための治山事業、こういうものを今後積極的に推進していく必要があるというふうに考えてございます。
  152. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 答弁を聞いていたのでは時間がなくなりますので、私の方から一応専門的な要望を。前々回から繰り返しておりますので。  今の答弁の中で杉は広葉樹よりも強い事例もあるようなことが言われておりますが、この広葉樹よりもいわゆる崩壊防止に強いはずの杉がなぜこのように弱くなるのか。私はこれに対し、これは密植の弊害だということをいつも申し上げております。かつて日本人の知恵は、一町歩千本の植栽本数でございましたけれども、これが三千本になりました。それから、間伐の技術は、いわゆる昔の技術は、ダイヤモンド形になりますが、そこの下の一番太い枝、力枝を切ったら、杉は絶対に太らなくなるということを言われているわけです。ですから、三角と三角の杉が接触してきたら、弱い杉を早く倒しなさい、そうするとこれはすぐに太っていく。また、大きく上の方に太い枝が出て、長くなったのが下に入ったら、そのとき初めておろしなさい。それを今、ずっとビール瓶の太さまで間伐させております。そういたしますと、 これは三十年たちますと活力を失ってしまうわけです。というのは、枝の張った下までしか根は張れませんし、さらに悪いのは、植林するとこれは直立根が出ないわけでございますから、そして今のような密植させておきますと、下がからからに乾いて本当に盆栽のような根が、やっと木が自分たちの体を支えている、そういう現象でございます。ですから、三十年たった、四十年たったのが今回このように災害が起きているわけでございますから、これは全国にこれから起きます。ですから、直立根を出すためのポット植林と、こういう密植はいかぬということ、そして間伐、間伐で一たん植えた木は寿命の来るまで後継木として育てる対応をしないともう国土保全ができない、私はこういうことを主張してきたわけでございますので、この三百本の密植しているところ、これは早急に間伐しないといけない。しかし、これもまた、細いいわゆるひ弱な木を急に間伐しますと、今度は風倒木とか雪の害にも弱くなっているわけです。こういう山をつくったことは本当にこれは困ったものでございます。しかし、これからでももしなにだったら林野庁として技術改革をすること、ぜひこれを望みます。  それから、今回の災害の場所を見ますと、まず草地の縁から崩壊が始まっておるわけです。ですから、ああいう阿蘇の地帯なんかのようないわゆる特殊な土質の上に、火成岩基盤の上に火山灰土が表土として乗っているような傾斜地に対しましては、やはり縁を二、三百メートル緊急保安林として濶葉樹林、早く崩壊を防止できる植樹を強制分収林としてでもあそこに対応しなかったら、これからの災害は防げないんじゃないか、こう思っているわけでございます。ですから、こういう点につきまして、ぜひ保安林あるいは強制分収林というようなことも考えて、今後対策取り組んでいっていただきたい、こう思っております。このことにつきまして、一応農林省、林野庁の方でどのような所見を持っているか、お伺いしたいと思います。
  153. 弘中義夫

    ○弘中説明員 先生御指摘の枝打ち等、森林の保育の問題につきましては、一つには良質な木材を供給するという観点それから健全な森林を育成していくという観点から林野庁としても進めているわけでございますが、そのことが逆に森林の崩壊、林地の崩壊につながるということであれば非常にまずいわけでございますので、災害の危険の多いところ等につきましてはきめ細かい施業を実施していくよう今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。  それから、阿蘇地域の土地利用に関連します個別の事案でございますが、御指摘のとおり、阿蘇地域は古くから火入れ、放牧によります畜産的な土地利用が行われておりまして、それとの関連で森林と農業的な土地利用ということにつきましては調整が必要であるというように考えてございます。  必要な箇所に保安林を配置していくべきであるという御指摘につきましても、今後現地状況等を踏まえて検討してまいりたいと思っております。  もう一点の植栽本数あるいはポット造林等の御指摘につきまして、ポット苗につきましては、先生も御指摘のとおり植栽時期を拡大できるとか、あるいは植えつけ時の活着、成長がよいということ、あるいは特にジフィーポットというような種類のものについてはそのまま林地に植栽し得ることから、直根はもとより根の損傷がないということで植栽後の健全な生育が確保できるという利点を持ってございます。そういう利点を生かして、公共事業でございます治山事業等においては古くからポット苗を利用するということも行っております。また、民間における森林造成につきましても、その土地の自然条件等を踏まえまして適切な指導をしてまいりたいと考えております。
  154. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この技術問題につきましては、実は終戦後良質材というのが、床柱のようにいわゆる節のない根元から上まで同じような太さの木が高い値で売れた時期がありました。これにあわせて、労働力の不足と一緒になって、良質材というのはああいうずっと枝打ちを上までやっていくような方法がとられたのです。ですから、良質材をどういう良質材に重点を置くかによって枝打ちも変わってくるわけです。後継木をとろうとすると、地耐力のある林をつくろうとすると、これはもう絶対下の太い枝を切っちゃいかぬです。これを誤ったものが、昭和四十年以降ですから二十五年間、ボタンのかけ違いがあたかも当たり前のことのように今普及されているのですから、それが今回の、これはもう自然のサインです。自然のサインをどう読み取るか。これは天然の災害。一日に三百ミリ以上降るともう自然も地耐力を失いますが、それにプラス流木災害というのは、これは人工災害がまたプラス、プラスになるわけですから、誤ったボタンのかけ違いで指導したことがかえって災害を拡大しているというのが現実でございますので、ぜひ枝打ちなんかは、やはり本当に下の力枝を切っちゃ木は太らぬ、後継木をつくるのが本当の林づくりだ、そういう観点で、また林相として守らぬと国土を守れないわけでございますので、ぜひ農林省としても考えてください。  このことは、今の長官が農林大臣のときに私は口を酸っぱく主張してきたところでございますので、最後に長官に、現地にまで行っていただきましたが、長官としての今後の災害復旧に対する取り組みの御決意をお伺いいたしまして、質問を終わります。
  155. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 まず、改めて今回の災害により亡くなられた方々の御冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、被災者方々に心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。  もう既に各先生からも御質問がございましたし、また先生御自身からもお話がございましたが、私直ちに、去る七月五日に、関係十二省庁十六人から成る政府調査団を編成し熊本県、大分県、福岡県及び佐賀県の被災地をつぶさに視察し、関係知事、市町村長を初め地元方々から詳細なる被災状況や御要望を伺ったところでございます。現地被害状況等から見て、引き続き被災者の救済、救護に万全を期しますとともに早急に復旧作業を進める必要があり、このため既に関係省庁においては七月三日に開催した災害対策関係省庁連絡会議の申し合わせに基づきまして所要の対策を推進しているところではありますが、さらに、政府調査団現地から帰京後、翌日の閣議で状況報告いたしますとともに関係大臣には地元要望を直接私から伝え、重ねて協力要請したところであり、今後とも関係省庁地元の地方公共団体と密接な連絡をとりながら、政府として十分なる対策をとり万全を期したいと考えております。
  156. 宮本和美

    宮本説明員 私、先ほどの農地関係説明でちょっと舌足らずでございましたので、少し説明させてください。  研究費の助成ということでは難しいという話を私は申し上げたので、農地農業用施設災害復旧事業におきましては原形復旧を原則としつつも、原形に復旧することが不適当な場合等にあっては原地の被災状況、経済性を考慮した工法で復旧することとしております。このため、先ほどの研究の結果で、現地に適合し、経済的な土壌改良法等よい方法が見つかれば、それは復旧工事に適用していけるのではなかろうかと思います。  また、再度災害防止を図るために、脆弱な残存施設をあわせて改良する農業用施設災害関連事業、隣接する農地等を含めて区画、形質を変更し、被災原因の除去を行う農地災害関連区画整備事業等の災害関連事業制度を積極的に活用するよう県、市町村等を指導するとともに、地元の意向を踏まえ改良復旧を図っていくこととしたいと思います。  以上でございます。どうもありがとうございました。
  157. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 よろしくお願いいたします。
  158. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 阿部昭吾君。
  159. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今回の熊本県、大分県を中心とする九州の集中豪雨につきまして、佐藤長官、早 速現地に赴かれまして大変御苦労さまでございます。  私の郷里の鳥海山系でもつい最近四百五十ミリくらいの総降雨量というのがございました。しかし、幸いにも雨の区域が非常に限られておったために余り大災害にならずに済んだのでありますけれども、今日本全体の状況から見ると、六百ミリとか七百ミリというような一日、二日の間の総降雨量ということになると、今度の熊本県や大分県や九州地域でのああいう惨状というのはどこででも起こる、こういう要素をどこの地域も実は抱えておると私は思っているわけであります。  今回の熊本大分地区を中心とする大災害は本当に深刻なものでございますけれども、私がこの中でも最も驚いておるのは、従来我々は山はもっと植林しなければいかぬ、最近若い農山村の皆さんが山に情熱を注ぐということが非常に薄くなってきているということであります。なぜかというと、山に植え込んで皆伐をやって収益が上がるまで五十年はかかる。この五十年の間の前半の二十五年、三十年間というのは全く投資の連続なのであります。ですから、最近の農山村の皆さんは五十年先の収益のためにつぎ込むということは非常に困難な状況になっておる。したがって、みんな山から手を抜く。これが、一たびこういう大変な集中豪雨になりますと災害が起こる、もっと本腰を入れて山に取り組まなければならぬということを私ども方々で訴えてまいりました。  今回のは三十年くらいの林がみんなどんどん押し流されて、これがまた災害をべらぼうにでかくした。九州地区の農山村で起こったこの被害に、どこの地域の皆さんも実は大変驚いているのであります。今菅原議員の御指摘を聞いて、実は私も全く同じような問題意識を持っておったのであります。したがって、まだまだいろいろ詳細な調査が必要なんだとは思います。  昭和二十八年にあの地域では集中豪雨で大災害があった。あれから三十七年間くらいたっておるわけですが、今回このような大きな被害になった。したがって、この被害の根本の対策は一体どうしなければならぬというふうにお考えになっておられるか、直感的にまずお伺いをしたいと思うのであります。
  160. 弘中義夫

    ○弘中説明員 山林あるいは森林あるいはそういう林業の振興という立場で御説明させていただきたいと思います。  私ども、基本的には森林は木材生産という企業的な産業的な側面と、国土の保全、水源涵養あるいは生活環境の保全等いわゆる公益的機能という両方の面を持っておるわけでございまして、この両方の機能を総合的に発揮していくということが林野行政の根幹であるというふうに考えてございます。  そこで、先生御指摘のとおり現在山村の林業や森林を取り巻く環境というのは非常に厳しゅうございまして、木材価格は非常に低迷しておる一方、これに要する労賃あるいはその他の諸経費が非常に高騰してございます。さらには、世界的な貿易の自由化という中で木材はいち早く市場開放してございまして、外材が早くから我が国に入ってきてございます。こういうものに対抗しながら健全な林業経営を維持していくということは非常に困難な情勢になっております。  森林の公益的機能につきましても、そのような健全な林業経営を通じて維持していくということが一番効率的で望ましいわけでございまして、これまでも林野庁といたしましては林道や造林等の基盤整備といいましょうかそういうもの、あるいは林業労働力問題等へ積極的に取り組んできたわけでございますが、先ほど申し上げましたような昨今の厳しい状況を踏まえましてさらに森林の公益的機能を高揚していくためには、今後ますます公的な面、公共事業あるいは国民全体の費用の負担というような中で森林の機能を高めていくことが一番重要なことではないかと考えてございます。  そういう中で、森林の機能そのものを高めながら、さらには林地の保全を図っていくというような施策を積極的に進めてまいりたいと考えております。
  161. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今の菅原議員の方からも御指摘ございましたが、今度の集中豪雨の惨状の中で流木が非常に大きく問題視されておる。僕らは、山を植え込んできちっと固めれば災害は防ぐことができる、こういうのが一般的に主張してきた点なんですね。ところが今度のような場合に、流木というのが、しかも三十年くらいのといえばある意味でいえば成長期に入った、それがどんどん流されて被害を大きくするなんて、正直言って大変ショックなんであります。私は、その意味でさっきの菅原議員のおっしゃったとおりの、実は共通の大変深刻な認識を持っているのであります。  私ども、方々砂防事業というのを行っておる。この砂防事業と植林の事業というのが両々相まつことによって災害を防止することができる、こういう認識をしておるのでありますけれども、どうもあの九州地域では砂防や何かというのは余り進んでいなかったのかどうかということをちょっと見た限りでは思ったのでありますけれども、確かにそれは林業、植林だけでは抑え切れない部分があると思う。やはりそこに砂防工事なりそういうものと併用することによって山を安定させていくということができるのだろうと私は思っているのでありますけれども、あの地域はそのあたりの砂防工事やその他は非常におくれているのかどうか、ちょっとお伺いしたいのであります。
  162. 松下忠洋

    ○松下説明員 阿蘇山周辺、特に今回起こりました古恵川というところでございますけれども、あの地域昭和七年から砂防の仕事に着手しておりまして、古恵川につきましてはこれまでに九基の砂防ダムと十四基の床固め工が設置をされておりまして、既にもう五十年以上の砂防の古い歴史を持っている地域でございます。また、昨年来の阿蘇山の火山活動が非常に活発化したことに伴いまして、大量の火山灰が流域内の山地に堆積いたしましたために、平成二年度でございますけれども、災害関連緊急砂防事業ということで、通常の事業のほかに加えまして阿蘇山周辺に約三十四億円の砂防工事の計画をいたしまして、今回災害が起こったこの古恵川上流部に砂防ダム一基を施工するということで、測量、設計を完了して用地交渉を鋭意進めておったということでございます。  今回の土石流災害被害の起こったところを見てみますと、非常に細かい泥流、砂とそれから流木が散乱しておりましたけれども、今までにつくりました既設の砂防ダムや床固め工が機能いたしまして、土石流として流下してまいりました大きな石を大量にこの砂防の施設で食いとめておりまして、下流の方にほとんど流れていっていないということで我々もほっとしてその現象を認めております。今後も今回の災害を十分に反省をいたしまして、そこからまた教訓を得て必要な措置というものを積極的にやってまいりたいと思っておりますし、流木対策もいろいろな技術の粋を集めてやってみたいというふうに考えております。  以上でございます。
  163. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 林野庁は流木が今度の災害をより大きくしたということに対して、さっき菅原議員から指摘がありました。林野庁で複層林を掌理なさっておる、私はこれは非常に興味を持って、関心を持って見ておりました。ずっと見ると、複層林という考え方でいくと、山の利益が上がりますよというところが相当強調されているのですね。しかし、山をやる方の側からいえば、収益が上がるも上がらぬも実は五十年なんですよ。先の話なんです。したがって、少々収益が上がるとか上がらぬとかいう程度のPRでは、それでは山をやろうかなんということには、私が山元を回った認識では簡単にはならぬのです。複層林というものをやるならば収益は上がるというふうにとられるPR文書があるのです。これはこれでわかる。わかるけれども、複層林という考え方で山をやっていけば本当にやれるのかどうか。今回のような六百ミリの総降雨量の場合に全国どの地でもちゃんとやれるのかということは、僕はそうはいかぬ だろうと思う。  したがって、林野庁と建設省の河川当局がやはり砂防というものと植林事業、林業事業というものとを並行していかなければ、私は、全国至るところで今回のようなやはり六百ミリの集中豪雨となれば、どこだって日本じゅうやられるのです。そういう意味で、林野庁はやはり林業という立場から物を言うだろうし、建設省の方は河川管理という立場から言うだろうし、災害をどうやってやるかということになれば、残念ながらそれぞれ関連のところを長官のところでちゃんとまとめて何をやるかということにならなければいかぬのではないかというふうに思うのです。  そこで林野庁、私は率直に言って全体からいって林業をめぐる環境は非常に厳しい、しかし私どもは、地域の中ではいずれまた将来、山を盛り返さなければならぬ時代が来る、こういう議論をしておる若者たちをたくさん知っております。世界の砂漠化が進むとか酸性雨であるとか、日本は世界じゅうの至るところからどんどん木材を無制限にとってくるという批判がだんだん強まって、やはり日本の国内で木材資源というものを再びみずからの手でやらなければならぬという時代が来るのだ、だから頑張ろうなどという議論があるのですけれども、二十八年当時と今度の災害とを比べると、林業という状況はあの地域においてどのような状況の変化があったのか、ちょっとお聞きかせを願いたい。
  164. 弘中義夫

    ○弘中説明員 ちょっと細かい数字を持ち合わせておりませんので、もし必要でしたら後ほどお届けすることにいたしまして、大きな流れを申し上げたいと思います。  二十八年災害当時の阿蘇地域の森林の状態というのは、ある意味では明治以来一番森林が荒れていたといいましょうか森林が少なかった時期に相当するかと思います。先ほどちょっと引用したのですが、昭和二十八年災のときの被害報告書の中に少しそういうことが書いてございまして、明治三十三年にその前に大きな被害がございました。そのときにはいわゆる国有林という形であの地域にはかなり高蓄積の森林がございましたが、その後、国有林の開放というようなことで牧野として利用される方向に転換されたわけでございます。  その後、二十八年のあの災害のときに森林が非常に少ないということが災害の大きな原因ではないかという指摘を踏まえまして鋭意植林を進めまして、この数字はちょっと正確ではございませんけれども、二十八年当時は現在の森林率の半分ぐらいではなかったかと思います。現在、森林率が上がっておりますけれども、まだ五〇%、半ばに達してございません。そういうようなことで、阿蘇地域につきましては、森林の状態が今復元しつつある状況でございまして、もう少しそういう基盤整備をしなければいけない時期だと考えております。  それから、林業という点では、同じ阿蘇の中でも小国地域のように早くから先進林業地域として活発な林業経営をやっている地域もございますけれども、全体的にはそういう森林の状況でございますので、林業経営活動は今までは比較的低調でございまして、新しい林業地域というようなところかと思っております。
  165. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこで、さっき菅原議員の言われた、今の杉なら杉、これのつくり方が非常に密植である、したがってなかなか直立根を中心にした根の張りぐあいがしっかりと広がっていない、これが今度の被害になった、私も長い間山を回ってきましたから、実はそういう共通の認識を持っておるのです。率直に言って、今、人件費が高いですし、それから自前の山をやっておりましても山だけでは生活できませんから、みんな山をほったらかしてほかのいろいろなこと、現金収入の方に走らざるを得ないという中で、山へ入ってみますと、間伐も全然よくやらぬ。もう少し丁寧な管理をやったならば、本当ならばもうちょっとよくなるだろうなというところに手が回っていないわけですね。それから、同じようなことは、国有林も決して十二分に手の行き渡ったことをやられておるとは見えないところが最近はたくさんあるのですよ。みんな省力栽培というか省力経営にならざるを得ない。  したがって、今の山元の状況は、今度のような立木災害を起こすことの状況というのは常にどこにでも実はある、私はこう思っているのですね。林野庁の国有林はもちろんでありますけれども、これを民有林まで含めてそんな半年、一年で一遍でなんということには簡単にいかぬだろうと思いますけれども、ここ両三年の間にしっかりした山にしていくということのためにどんなような具体策が考えられるのか、大まかで結構なんです。
  166. 弘中義夫

    ○弘中説明員 最後の御質問お答えする前に、ちょっと最初の導入部のところについて御説明させていただきたいのですが、人工林化したから今回の災害が起こったという点につきましては、これは事実を申し上げますと、必ずしもそういうことではなく、結果の数字はまだ現在調査中でございますけれども、一の宮町でございますが、人工林に対する山腹崩壊率といいましょうか、これが現在判明しているところで三・四%でございます。これに対しまして天然林は一三・五%でございます。それから、無立木地、原野等が三・六%というふうになってございます。これは、このことをもって私、人工林、天然林、無立木地のことを申し上げるつもりでは必ずしもございません。といいますのは、それぞれそういう木が立っているところの傾斜、地形がかなり異なっております。人工林は比較的緩いところで、天然林は急傾斜地でございます。それから無立木地につきましては、現地をごらんになっていただければわかりますが、原野の部分はかなり平らな草地状のところが多いわけでございます。そういうようなことを考えますと、人工林、天然林、無立木地ということでどれが被災を受けやすいかということは必ずしも一概に言えないのではないかと思います。  むしろ今回のような異常な集中豪雨の場合には、立木が持っております土壌の緊縛力を超えてございます。普通、総雨量が三百ミリから四百ミリぐらいになりますと、樹種、林齢によって若干の差はございますけれども、急激に樹根の土壌の緊縛力が落ちるというふうに言われておりまして、そういう意味合いからも、今回のような異常豪雨の場合には、森林のそういう土砂崩壊を林地保全機能、そういうものだけで補うことは難しいのではないかと思っております。  そこで先生の御質問でございますけれども、基本的には森林の内容を災害に強い森林につくっていくということが必要でございまして、でき得れば一度に伐採をしない、先ほどお話のございました複層林施業、これは林業経営にプラスになるというだけでなく、むしろ国土保全上非常に有効な森林の取り扱いだと思っております。そういうきめ細かい施業で森林の機能を高めていくことが第一でございまして、それで補えないところを治山事業によりまして林地そのものを保全する事業を進めていく必要がある、そういうふうに考えてございます。
  167. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 全体からいえば、林業というのは、林業のみならず日本の国全体がやはり相当効率よくやっていこう、したがって、山のような非常に長いスパン、時間でやっていかなければならぬようなものでも、できるだけ手数がかからぬようにしなければペイしない、これもそのとおりだと思うのです。したがって、国有林なども、私が見ておると、前よりは随分手の抜いたやり方をやっておるなという感じが正直言ってしております。いわんや民間などはもっともっと山をやる者がだんだんおらぬようになってくる、こういう最近の流れであります。  私は、冒頭申し上げましたように、災害に強い国土ということになると、やはりどうしても植林、森林というものをしっかりさせていく、それだけで全部万全かといえばそうはいかぬから、砂防なりなんなりと並行しながらいかなきゃならぬということだろうと思っているわけです。砂防の方はまずそっちにおくとしても、林業というの が、全体としては植栽面積も広がり、先行きはいい方向に行っておるのか、あるいはなかなかそうは簡単に行っておらぬぞという認識なのか。私の回っておる範囲では厳しいという認識なんですが、全国を俯瞰しておられる林野庁の立場からいうと、林業というのは相当先に広がっていく流れにあるのか、いや、そうじゃない、なかなか厳しい、そう甘くはないという状況にあるのか、そこのところの大枠をちょっとお聞かせ願いたい。
  168. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生お答えしますが、担当課長は答えにくいと私は思います。そんなことで私がお答えしますが、非常に厳しいと思います。  と申しますのは、実はこの間も総理府でいわゆる緑化に関する総理大臣の表彰がございました。個人、団体を含めて表彰があったわけです。そのときに坂本官房長官があいさつをしました。彼は有名な山持ちですが、山は持っているが木を切って木はないそうでございます。貯金の金利より低いそうでございますが、なかなか厳しい、その中で皆さんはよくやっていただきました、彼はこう言っておったということでございまして、国有林を含めて、国有林は現在二兆円の赤字で大変困っておる、民有林も困っておる、といって、山の果たすべき役割は、治山課長が言ったとおりでございまして、非常に大切だ、こんなことを言っておりました。そういうことでございまして、大変厳しいので、どうしたらいいかということを話しておったということでございます。非常に厳しい、このままではいけないというのが話の中心になったことを申しておきたい、こう思います。
  169. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今の長官の御認識と、私なんぞが山間部の村々を長年回ってきて実感しておるのと全く同じなんです。その意味で、やはりどうやったならば山にもっとみんなが目を向けていけるか、取り組んでいけるかということについて、私は何回だか林野庁の皆さんにも、前の長官なんぞにも、全くプライベートにも議論を吹っかけたことがあるのでありますけれども、五十年先にならないと金が入ってこない。しかも、前半の二十五年、三十年はまるっきり投資の連続である。こういうことに今の、僕ら昭和一けた世代もなかなかそれはきついなと思うと同じように、戦後世代の言ういわゆる経済合理主義の中で、短期間に世界はぐるぐると回っていくという中で育った皆さんが、五十年先というのは自分の目の玉の黒いうちなのか、その次の時代なのかわからぬ長さですから、そのときのために今からどうやるかなんということは、なかなかそれは今の時代の、我々の次の代の皆さんがそう簡単にまいらぬのです。だから、みんな山元を離れて現金収入を求めて、したがって農山村はどんどん過疎が進む、高齢化がどんどん進む、こういうのが今の姿なのですね。  そこで私は、山をちゃんとしていくということは国土保全の最大のものだ。水とか環境とか空気とか、いろいろな問題の根源でもある。そういう意味で、例えばこの山を五十年後皆伐やったときに十億する、しかし十億するのならば、その山のために二十年、三十年間地ごしらえをやって、植えつけをやって、いろいろな管理をやりながら、間伐をやって下刈りをやってなどということは、とてもじゃないが大変なもので、そう簡単にいくものではない。したがって、この山が五十年後十億するのならば、金のかかる三十年間は毎年一千五百万ぐらいずつ三十年間、四億五千万をうんと低利の金を貸し付ける。むしろ金利などは、今の制度でゼロが一番いいのだけれども、そうもいかぬだろうから一%ぐらいでいいだろう。これが国土の保全なり環境なり、水なり空気なりに貢献することからいえば、金利一%ぐらいでいいじゃないか。そして、一千五百万ぐらいずつ三十年間に四億五千万は融資をする。それを五十年後皆伐やったときに清算払いさせる。火災でも起こったりいろいろなことがありましょうから、今ならば保険制度、いろいろなリスクをちゃんとサポートしていく方法は幾通りにもあり得るじゃないかという議論をしているのです。私はよっぽど大胆なことをやらなければ、林業のためにといっても、国の林野庁でさえも二兆円も赤字を出して四苦八苦せざるを得ないのが今の林業が直面している状況なのですよ。いわんや民間の普通の農山村の皆さんが、厳しい環境のもとで、林業をやっていけ、山に突っ込めといっても、突っ込める人は本当にだんだんだんだん細ってきている。したがって、政策的に言えばそのくらい大胆なことを、今の森林組合にどうする、何するなど、ちょぼちょぼしたああいう格好でなくて、もっと根本的な、私が申し上げましたような大胆なことをやらないと山というのは治まっていかないんです。というのは、実は山間部を長い間駆けずって方々の皆さんがおっしゃることをずっと聞いていると、そういうことでもやらなければ山は治まらぬなというのが私の認識なのであります。長官、いかがでしょうか。     〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕
  170. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 私も同感でございますね。無利息というのはどうかと思いますから、今は山につきましてはそのくらいしないと、山はますます寂れてくると思います。  それからもう一つ、国有林につきましても、もちろん制度の改革も必要だと思いますが、思い切った抜本策を講ずる。それからもう一つ、当然一般会計を導入する。そういうことでないと山は守れない、こういうように考えております。実は、これは私も持論がございますが、やっておりますと先生の時間がなくなると思うので言いませんが、思い切った改革はそういうことだと思っています。そうでないと本当にいい山は残せない、こういう考えを持っております。
  171. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 ぜひひとつ林野庁あるいは建設省、一体このような災害を根絶する方策は何かというところで、総合的に長官の方でよくまとめ上げられて、抜本的な、災害なき日本をつくるように御努力を願いたい。
  172. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 もう一つ、私は土質の問題があると思うのです。例えば中国地区におきましては、山は花崗岩なんです。木が成長しましても、根が底に伸びなくて横に張るのです。今度私は九州に参りまして、根がどうなっておるのかということが実は心配だったのです。三十年たった直径一尺くらいの杉とかがなぜ流木で流れてくるか、これがわからないので聞きましたら、いやあれは溶岩で、心配ないのだということだったのですが、我々の中国山地は花崗岩で、根が横に張っておるものですから、ちょっとの雨で流れるのです。この辺を含めて、基本的にそういうものに強い木を育成する必要があるのではないか、こんな気もしたことを感じとしてお話ししたいと思います。そういうことでございます。
  173. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 以上で終わります。  ぜひ総合的に、災害なきしっかりした体制づくりのために御尽力を願いたいと思います。
  174. 高鳥修

    ○高鳥委員長代理 次に、松前仰君。
  175. 松前仰

    ○松前委員 このたびの九州の梅雨前線によります災害につきまして、いち早く国土庁長官乗り込んでいただきまして、住民の大変な不安の念を少しでも和らげていただいて、それからまた一週間私どもが現地へ行ったわけでありますが、その一週間の間というものは、現地人たち災害復旧の仕事に大変疲れ果てておるという状況でございまして、私ども行ったときにほっとした雰囲気があったことも事実でございます。テレビでも出ておりましたけれども、現地人たちは、一生懸命やっておるけれども、どうしたらいいかわからないというような状況が出ておりまして、私も、一番の災害の根本は個人の生活が非常に大きな災害をこうむっておるのでありますから、その復旧を第一に考えていかなければならないのだ、そのように思って視察を終えてきたわけでございます。  まず最初に、今度の災害について、先ほど二十八年災害に次ぐ大きな災害、降雨であったというようなお話がありましたけれども、今度の災害は一時間七十ミリ以上というようなところがあった。そして、二日間で五百ミリというようなすごい雨が降ったということでございますから、二十八年の災害のときのデータも見せていただいておりますけれども、そのときよりも非常に急激にし かも短時間にたくさんの、過去に例のない降雨によって今回の災害発生したというように私は思います。そこで、これまでの二十八年災害のあのあたりでしたらば災害が起こらなかったかもしれない。ところが、今回の雨はそれを超えて災害を起こした。テレビで話があったようでありますが、起こるはずがないと思っていたところに今度の災害は起こっているということでありまして、非常に被害が甚大であったと思うのです。被害内容についても一つに固まらずに多種多様、いろいろな原因、いろいろな状況が起こっておるということでございます。こういうことを考えますと、激甚災害指定は当然だと私は思うわけです。先ほども、激甚災害というのは規定があって、主にその災害被害見込み額、そういうもので決まってくるように言われました。しかし、これはお金で勘定すれば評価が一番一般的になるということでそういうことをやっているのでありまして、今回の場合は過去にない大きな降雨によって新しい災害が起こったということですから、これこそ激甚災害そのものではないか、私はそういうふうに感じますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  176. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 松前先生お答えいたしますが、今までお答えしておって、もう気持ちは全く先生と同じ気持ちということで対処しておりますし、御理解願いたいと思うわけでございます。
  177. 松前仰

    ○松前委員 現地へ行きまして、各地でいろいろ陳情、要請をいただいたわけでございますけれども、まず第一に、激甚災害指定をしていただかなければいけない、ぜひともそれをやっていただきたいということを強く要請されておりますので、もうこれまで委員会の席で前の方々が毎回のごとく十分おっしゃっておられたと思いますけれども、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思う次第でございます。  それから、先ほど申し上げましたように、今回の災害は従来の降雨の状況とは全く違って、非常に大きな雨が短時間に降ったということでございますので、これまでのデータの上では本当は災害が起こらなかったかもしれない、しかし今回はそれを超える状況が起こったものですから災害が起こってきたということになれば、先ほどからたくさんの委員方々が話をされておりましたように、再度災害の防止、原形に戻すということのほかに改良復旧ですか、やはり改良というものをしていかないと今回のような雨の状況を防ぐことはできない、そういうふうに思っております。災害が起こらないようにする基準というものは、恐らくある天候の状況を想定してやっておられると思うのであります。建設省あたりでの天災に対します防災のいろいろな作業というものはすべてある基準によって計算してやっていらっしゃると思うのでありますが、今回は過去の基準を超えているということでございますから、ぜひとも改良復旧というような方向でもって今回の復旧について処理をしていただきたい、そのように思うわけでありますが、お答えをいただきたいと思います。
  178. 佐々木賢一

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  私どもが災害復旧をやる場合には、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法という法律に基づいてやっておるわけでございまして、先ほど来御説明しておりますように原形復旧が原則ということになっておりますが、その中にも、いわゆる被災の状況に応じて、原形復旧が不可能とか不適当といった場合にはそれを超えて機能復旧もしくは被災原因に見合うだけの機能復旧をするというのがございます。さらに、制度的には、予算補助でございますが、災害関連事業等がございまして、これは改良費を加えてさらに質の高い改良復旧をやるというようなものがございます。  現在私どもが実際にやっております災害復旧事業というのは、確かにいわゆる点在するような災害ですと、これはその都度そこを直していくということでよろしいかと思いますが、ある程度連続した災害、また大きな激甚な災害発生した場合には、できるだけそういった改良復旧取り入れるということでやっております。これにつきましては、先生御指摘の点を踏まえまして、今後もより積極的に努めてまいりたいと考えております。
  179. 松前仰

    ○松前委員 今回の災害は、恐らくこれでまたしばらく来ないというようなことではないと私は思います。最近の気象状況を見ても不安定な状況が続いておりますので、必ずやまたこういうような状況が近い将来天候として起こってくるであろう。そういうときに十分耐えられるような復旧の仕方をしておかないと、また再びあそこの熊本大分のような大きな災害が起こるに違いない、そんな気がいたしてならないわけでございまして、ぜひとも今おっしゃったような方向で改良復旧、さらに非常に不十分というところについては十分な復旧をしていっていただきたい、そのように思っておる次第でございます。  今回の災害は、テレビだとか新聞、そしてまた耳で伝わっているところによれば、流木が今回の災害を起こした、先ほども御質問がございました。流木、すなわち営林事業が悪いかのごとき報道さえ、一部では私はそのように受け取ったところもありました。これまで造林をしておけば山は大丈夫、崩れないということが、そうではなかったみたいに、それがかえって災害原因だ、すべて流木がその原因になってしまったかのように伝えられたということでございました。  しかし、先ほど佐藤長官の方からお話がございましたけれども、それからまた後ろにいらっしゃる委員方々お話がありましたが、私もやはり流木だけじゃない、これは結果的にそうなった。結局、今回の雨は、雨の量が物すごかったということですね。大変な量だった。こういう量はちょっと考えられなかった。これがすなわち短時間に山に降り注いだから、山自体の、専門的な言葉はわかりませんが、土自体が非常に粘着力が緩くなって、その造林してあった場所よりももっと深いところから崩れてしまったというような感じがするのです。私は今回そばまで行って見てこなかったので、残念ながらその辺の状況がわかりませんでしたけれども、そういうような感じも私は見受けられました。  したがって、先ほどお話がありましたような植林そのものの効果も恐らくあったと思います。それを超えた今回の状況が起こったのじゃないか。そうなりますと、これは十分調べなければいけないと思います。そばへ行って、専門家が調べて、そして十分な対処をしていかなければならぬ。先ほど阿部議員から御質問がありました中にも、これは土木関係と造林関係両方が相互に関連がある、すなわちその両方の相互関連をきちっと考えながら対策を講じていかなければならぬというようなお話も最初の方にあったわけでございますけれども、この十分な研究をしていかない限り、そこらで言われておりますいろいろな、そこらと言ったら失礼かもしれないけれども、いろいろな対策が今言われております。そしてまた、先ほど建設省の皆様方や林野庁の方々からもいろいろな対策お話がございました。十分こういうやり方でやってみたいという話があったけれども、しかしそれが本当にいいかどうかというのはだれが判断をするのかということが今私にはよくわからないですね。ですから、これからやろうとするいろいろな対策について、山の崩壊対策についてそれが大丈夫かどうかという証拠がないと、これはやはり次にまた不安でしようがない。住民の皆さんも、また崩れるんじゃないかというようなことをいつも感じながら、不安に駆られながら生活しなきゃいかぬ、こういうことになると思うのです。ですから、今回の雨の状況は過去にない大きな雨でございましたから、これに対してこれを教訓にしてというお話がございました。これを教訓にして、ではどうするかということをしっかり研究して、そして対策を講じなければいけない。こういう研究はどこでなさるのかということをちょっとお伺いしたいと思うのです。
  180. 鹿島尚武

    鹿島説明員 今次の災害の、先生仰せられましたような特性にかんがみまして、林野庁そして建設省の方で検討委員会をおつくりをいただきまして、これから調査をお進めになるというお話がご ざいます。それに先立ちまして災害全般につきましては、各機関におきまして研究所等を通じまして現在いろいろ勉強をいたしておるわけでございます。仰せのとおりそれが大変重要な事項でございます。  私どもといたしましても、各省庁の調査を踏まえまして、必要な研究について各省庁間密接な連携をとっていただきましてこれを積極的に進めていく必要があるというふうに認識をいたしております。
  181. 松前仰

    ○松前委員 各省庁でそれぞれいろいろな検討をしていただくということであります。しかしこういうようなものについては、先ほども質問の中にありましたけれども、やはり一つのところでやっているだけで十分な対策はできないということはもう十分おわかりだと思います。世の中は大体もうすべて、何といいますか学際的というか、そういうような多方面にわたる状況を、研究成果というものを結集して、そこに一つの大きな対策をつくることができるのでありますし、しかもこういうような急傾斜地の問題については恐らくいろいろな専門的分野にまたがる問題が多いわけですから、連携をとってとおっしゃいましたけれども、連携をとるというのはそれを指導する方はどこになるのでしょうか。連携をとるというのは、各省が勝手に連携をとってもしようがないので、その結論としてどうするかというのをやはりきちっと把握をしてもらわなければいけない。それはどこになるのか。国土庁なんでしょうか。
  182. 鹿島尚武

    鹿島説明員 六十三年度におきまして調査を実施した例を一つ御紹介をさせていただきたいと思います。  科学技術振興調整費によりまして、科学技術庁の研究開発局、国立防災科学技術センター、そしてまた農林水産省森林総合研究所、通産省工業技術院地質調査所、気象庁、建設省土木研究所、国土地理院、こういった機関が集まりまして、土砂害に関する防災情報の高度化を図る、そしてまた災害発生の危険度の適切な判定システムの基盤技術の開発に関する研究を行ったものがございます。  そういうことで、大変専門分野にわたるものでございます。それぞれ各機関がこぞりまして、知恵を出し合いまして研究をしていただいているというようなのがただいまの状況でございます。
  183. 松前仰

    ○松前委員 六十三年度のときの研究、たしかこれは土砂崩壊の実験をやったときでしょうか、何人か亡くなられた、あのときのですよね。違いますか。
  184. 鹿島尚武

    鹿島説明員 はい、違います。
  185. 松前仰

    ○松前委員 その前に国立防災科学技術研究所かな、こういうところでもやはり、神奈川県でしたか、土砂崩壊の実験をやっておりますね。大量の雨が降ったときに一体どうなるかというのを。水をどんどんどんどんまいて、そして土砂崩壊を起こさせた。そのときに予想外の土砂崩壊が起こったということで、人命が落ちたということがあったわけでございますけれども、だから、こういう土砂崩壊というのは、やっぱりちょっとやそっと考えているだけで済むような代物じゃない。もうこれは現場を、その時点を見ると恐らく想像に絶するものに違いない。ですからこれは、もう十分な検討を加えていただかないと恐らくこれから先何回も、あの一の宮町や大分県の竹田市ですか、あちらの方はやられるに違いない、私はそんな感じがいたしております。ぜひともこれは国土庁がやっぱり中心になっていただいて、そして今回の対策、ちょっと長期にわたるかもしれないけれども、これは全国的に有用な材料になりますので、資料になるので、先ほどお話がありましたように、どこでも今はもう災害を起こす可能性がある、ですからそういうデータをこの際やっぱりとるような方向でやっていただかないと、いつまでも急傾斜地のそばに住んでいる方々は不安でならない。よろしくお願いしたいと思います。
  186. 鹿島尚武

    鹿島説明員 各省連絡会を私ども開催をさしていただいております。その場を通じまして御意向に沿いまして一生懸命努力をさしていただきたいと思います。
  187. 松前仰

    ○松前委員 ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、流木やら火山灰やら、これが非常にクローズアップされてきておりますけれども、今回の集中豪雨、これでは福岡県とか佐賀県、この地域においては災害火山灰とか流木ではないんですね。これはもうほとんどが田畑の埋没、流失というようなことなんです。で、先ほど言葉がありましたが、ひっくり返す、何というんでしょうか、下の土と上の土とこうひっくり返すやり方、そういうようなのをとるというお話も先ほどあったんですけれども、この福岡県やら佐賀県についてはそういう方法はとっても意味がないように思うのですけれども、こちらの方についてはどういうような対策を講じられるか教えていただきたいと思います。
  188. 宮本和美

    宮本説明員 お答えいたします。  今回の梅雨前線豪雨による農地への土砂流入による埋没等農地及び農業用施設被害は七月十一日の十七時現在で約六百九十三億円、こういう大きな額に上ってございます。農地の流失、埋没等農地が被災した場合には現地の実情、経済性等を考慮して災害復旧事業を実施することとしておりまして、復旧計画書の作成等地元の準備が整い次第早期査定を実施し、早期復旧に努めてまいりたいと思っております。また低平地の湛水被害を生じている地域につきましては、湛水防除事業を初めとしました各種農地防災事業を推進しているところでございまして、今後とも地元要望を踏まえつつ防災事業の推進に努めてまいりたいと存じます。
  189. 松前仰

    ○松前委員 今おっしゃった中にすべて入るのかもしれないけれども、余りにもちょっと心がこもってないような気がするのです。佐賀県の場合なんかは、御承知だと思いますけれども、有明海があって、佐賀県のあの埋没、流失というような部類に入る田畑というのは満潮になりますと海より低いんですね。海より低いのです。地盤の沈下があるんですね。埋立地ですから地盤の沈下がある。そこにこれだけの雨が降ったということになるともうこれは排出するだけのポンプじゃ全く能力がないのです。それが今回の災害につながっているということなんで、ぜひともこういう現地状況を十分聞いていただいて、そして対策を講じていただきたい。ですからここは、佐賀県についてはこれはかなり状況が違うと思います、熊本県、大分県、福岡県とはですね。全然違う対策をしなければいけない、そういうふうに思いますが、何かありますか。
  190. 宮本和美

    宮本説明員 お答えいたします。  確かに佐賀県の、特に南部といいましょうか有明海沿岸といいましょうか、そういう近い地域は、非常に低平地、また干拓地等がございまして、従来からも排水被害といいましょうか湛水被害を生じておるところでございまして、先ほど申しましたような湛水防除事業等も従来からも実施しております。しかしながら、まだそれでは十分ではないということでございまして、先ほど申し上げましたように、そういう地元からの要望が出てくれば、申請が上がってくれば前向きで対応したいと思っておりますが、特に現在佐賀市を中心といたしまして国営の総合農地防災事業というのを本年度から着工する、この中では、一万ヘクタール以上あったと思いますが、そういう広大な地域でございますけれども、そこの湛水被害を除去する排水の施設につきましても、ポンプの増設とか排水路の改修、そういうことをやるように計画をしております。
  191. 松前仰

    ○松前委員 ぜひとも、現地の強い要望があるわけでありまして、あそこの地域の特殊性というものを私どもも強く陳情、要請を受けておるところでありますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、あちこち話が飛びますけれども、今回のJRの話は、前の委員、どなたかやったかもしれないのでありますが、JRについて八十三カ所寸断をされているというような状況でございま して、橋梁の流失は三カ所、そういうようなことで、豊肥線というのは大変な災害を受けて、一年間かかっても復旧しないかもしれない、約五十億円というようなことも出ておる。しかし一年間ということになると、被害総額としてすべてを考えれば到底五十億なんというものでは済まないというようなことも言われております。そして、おまけに先ほどお話ありましたように、JRということで民営化になった。国鉄の場合に比べて民営化になったということになると、災害復旧についても非常にやりにくい点が出てきている。確かにその復旧のためのいろいろな方策はあるようでございますけれども、経営状態とかそういうものを考えてその対策を、援助をするかどうかというようなことも入ってきてしまうということになる。そうすると、私の心配するのは、あそこで国鉄の方が言っていらっしゃいましたけれども、今回の災害復旧は新しい路線をつくるに等しいというのですね。今の線をもう放棄してもいいくらいな感じを、まあそうは言っていませんでしたけれども、裏を返せばそういうことだって考えなきゃいけないかもしれないというようなことを言っていたというか、頭の中にあったんじゃないかと私は思うのです。そうすると民営化ですから営利目的、そうなりますとこれはもうからないところはやめる、そんな災害復旧やってばかばかしい、そんなに金かかるなら別にちゃんとしたものつくった方がいいじゃないか、こういうことになってきかねないですね。ところが、その路線を使っているたくさんの住民の方々がいらっしゃる。住民よりも学生がいる。学生の皆さんが通学に使っているということになると、簡単に路線を変更するわけにはいかない。そうすればあの路線をどうしても復旧してくれという住民の要求が強いに間違いないわけです。そうすればJRはそういう要望にこたえてやらざるを得ないということになる。そうなるとこれは営業的な面から見ると大変な負担になってくるというのは間違いないわけですね。  そんなことをいろいろ考えますと、やはりJRの今回の八十三カ所の復旧についても国の援助というもの、補助というもの、そういうものを十分やっていただかないといかぬじゃないか。先ほどからお話を聞いていますと何かJRについては少し冷たいように思うのです。その辺運輸省の方はどう考えていらっしゃいますか。     〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕
  192. 藤井章治

    ○藤井説明員 今御指摘がございましたように、JR九州、これまでの概算値におきましても約五十億ということで、被害額は相当上っておるわけでございます。ただ、これまでも御答弁の中で申し上げましたとおり、災害復旧に関する基本的な責務といいますのは鉄道事業者みずからでやるということが基本原則であるわけでございます。もちろん鉄道軌道整備法という法律の中で助成規定があるわけでございますが、今回の災害事例については、JR九州の経営規模等から見て難しい側面があることも御理解いただきたいと思っております。  いずれにいたしましても、地域の足となっておる鉄道でございますので、早期復旧が望まれることは私ども十分承知しておるところでございまして、現在JR九州に対しまして、復旧工事資金の調達手法あるいは復旧工事の工程、また今回の災害自体が経営にどういう影響を与えるかといった点につきまして子細な報告を出すように申しておるわけでございまして、その報告も踏まえたい。また、今回の災害が鉄道線路だけではなくて、山林とか河川とか一般の公共事業復旧事業等々との一体的な施工なり連携調整といったことが不可欠ではないか。線路だけ復旧するわけにはなかなかいかない面がある。そういう面で、国の関係機関や地方公共団体とも密接な連携をとりまして豊肥本線の早期復旧につきまして運輸省としても側面から努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  193. 松前仰

    ○松前委員 先ほど経営の状況を出させるとかおっしゃいましたですね。これは大変疑問に思いますが、経営の状況を出させて一体どういう判断をされるのか、それが私にはちょっとわからない。その辺ちょっと後でお答えいただきたいと思います。  それから、災害復旧について、線路だけ直せばいいということでは今回もうないですね。全部その下が洗われてないのですから、土木工事を全部やらなければいかぬ。それがおくれたとしたらこれは全部JRの営業にかかわってくるわけですね。それがもとへ戻らないのだから全部営業がそれだけストップしてしまう。もしそこがおくれたとしたら、その土砂崩壊復旧のおくれの責任をとられるとか、そんなことにもなりますね。これは民営化になったのですから当然そういうことはあると思いますよ、もしそういう冷たい話でしたら。それで、経営状況なんて出させたら、恐らくそういうところのおくれについての収入減というものまで出してくると思いますよ。そういうことを考えれば、これはやはりきちっと国の方で対処してやらなければいろいろな問題が起こるに違いない、私はそういうふうに思うのです。だからその辺について、民営化になったはいいけれども、ほかに路線が全然できてない。残念ながら一本しかない。競争相手が周りにないのですよ。だからこれは一本は完全な公共的な使命の高い路線になっております。そういう意味で、ぜひともこんな悠長な話をしてないで、積極的に乗り出していっていただいて、災害復旧、鉄道の回復ということに努めていただきたい、お願いしたいと思います。
  194. 藤井章治

    ○藤井説明員 先生の御指摘がございましたように、助成措置基準にまでは当たらないということではございますが、国としても早期復旧に向けまして、JRの報告もよく聞きながら真剣に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  195. 松前仰

    ○松前委員 現地で、JRの方も随分来られました。そして、民営化になってしまったから遠慮されているのですよ、一歩下がらざるを得ない。だけれども本当に深刻でしたね。JRが一番深刻な思いをしていましたよ、これはどうしたらいいだろうか。VTRでちょっと見せてもらいました。現場に行けませんからね、物すごいですから。そこへ行けませんから見せてもらったけれども、もう大変なものですよ。線路なんてここにあったのかどうか、全くないですからね。それから鉄橋なんてどこへ行ったのか全然わからない。何もない。これはとにかく一時間七十ミリ以上、とんでもない雨が降って、昭和三年開設以来初めて起こった事故だというのですからね。これまで起こるとは思わなかった。だからああいうところに線を引いたのだと思うのだけれども。それが起こってしまったのだからこれは完全な災害ですよ。これはどうしても国でやっていただかなければいけないと私は思うのですよ。その辺十分考えていただいて、今回は特別な措置お願いしたいと思うのですが、国土庁長官、この辺どうお考えですか。
  196. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 大変難しい問題、今運輸省から御説明したとおりでございまして、特に民営化しているという状況がございますが、今いろいろな調査をしまして最大限の努力をいたしたい、こう思っております。
  197. 松前仰

    ○松前委員 ぜひとも十分調査していただいて、非常に大変なことになっておりますから、よろしくお願いしたいと思います。  いずれにしても、今回の災害は予想を上回る大きな降雨によって起こった状況でありますので、激甚災害というのは当然でございますが、たくさんの要望書、陳情書をいただいておりまして、その中にいろいろな援助のことが書いてございます。これについて十分やっていただかなければ被災住民に対して大変申しわけないと私どもは思います。皆さんも、行かれた方々も同じだと思いますし、国土庁長官も同じお考えだと思いますので、ぜひとも十分な対策をやっていただきたい。その決意を最後にお聞かせいただきたいと思います。
  198. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  今先生から御指摘がありましたように、また各担当官からも誠心誠意お答えしたわけでございま す。御理解いただいたと思います。一刻も早く被災された方々が立ち直れるよう、安心して生活できるよう、関係地方公共団体要望を十分踏まえまして、関係省庁が一丸となって、可能な限りの対策を迅速かつ的確に講じてまいりたいと頑張っておりますので、何分の御理解と御後援を心からお願いする次第でございます。よろしくお願いします。
  199. 松前仰

    ○松前委員 終わります。
  200. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十三分散会