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1990-06-22 第118回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月二十二日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 権藤 恒夫君    理事 今枝 敬雄君 理事 江口 一雄君    理事 片岡 武司君 理事 鴻池 祥肇君    理事 柳沢 伯夫君 理事 沢藤礼次郎君    理事 関山 信之君 理事 遠藤 乙彦君       魚住 汎英君    遠藤 武彦君       河村 建夫君    近藤 元次君       左藤  恵君    浜野  剛君       前田  正君    増田 敏男君       御法川英文君    北川 昌典君       永井 孝信君    山下八洲夫君       山元  勉君    吉田 和子君       辻  第一君    和田 一仁君  出席国務大臣         建 設 大 臣 綿貫 民輔君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 塩崎  潤君  出席政府委員         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       徳宿 恭男君         総務庁行政監察         局長      鈴木 昭雄君         労働省労働基準         局長      野崎 和昭君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君  委員外出席者         警察庁長官官房         審議官     半田 嘉弘君         警察庁交通局高         速道路課長   小池 登一君         警察庁交通局運         転免許課長   滝藤 浩二君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       山本  晃君         文部省生涯学習         局社会教育課長 鬼島 康宏君         文部省体育局学         校健康教育課長 石川  晋君         厚生省健康政策         局指導課長   澤  宏紀君         水産庁漁政部漁         業保険課長   水谷  宏君         運輸大臣官房審         議官      土坂 泰敏君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部自動車審査課         長       樋口 忠夫君         海上保安庁警備         救難部警備第一         課長      大森 寿明君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      岩崎  勉君         消防庁救急救助         課長      飯田志農夫君         特別委員会第一         調査室長    寺田 晃夫君     ───────────── 委員異動 六月二十日  辞任         補欠選任   草野  威君     遠藤 乙彦君 同月二十二日  理事遠藤乙彦君同月五日委員辞任につき、その  補欠として遠藤乙彦君が理事に当選した。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  閉会中審査に関する件  交通安全対策に関する件      ────◇─────
  2. 権藤恒夫

    権藤委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 権藤恒夫

    権藤委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事遠藤乙彦君を指名いたします。      ────◇─────
  4. 権藤恒夫

    権藤委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
  5. 永井孝信

    永井委員 きょうは総務庁長官建設大臣に御出席いただいておりますので、双方に関係する部門について、非常に時間は不十分でございますが、私なりに質問をしてみたいと思いますので、ぜひひとつ積極的に対応をお願い申し上げておきたいと思います。  まず初めに、交通事故による死傷者数が年々増加しておって、ことしも大変な状況にあることは毎日の新聞でお互いに心配をしているところですね。ところで、いよいよ来年度からは第五次交通安全施設等整備事業の五カ年計画に基づく整備事業が始まっていくわけですね。これに先立って、先般、財団法人国際交通安全学会というところが第五次の五カ年計画策定に当たっての幾つかの提言を発表いたしました。これは、この前に道交法改正の本委員会における質問のときに若干触れたのですが、ここにその資料があります。大変貴重な提言だと私は思っているのですが、この提言の中で「事故分析体制の確立」ということがうたわれています。  警察庁事故が起きれば現地で現場検証もする、あるいは第一当事者、第二当事者を含めて、その事故そのものについては徹底的に原因を究明してはいるのですが、提言にある中身というのは、有効な事故防止策を的確に実施させるための分析能力としては極めて低いということをこの提言の中で指摘をしているわけでございます。したがって、交通事故をなくするためには、体系的なものも含めて事故原因分析を徹底的に行っていくということが最大効果につながっていくのではないかと思うのであります。多くの提言内容を全部ここで触れるわけにはいきませんけれども、その点について、まず責任官庁である総務庁長官から所信を伺いたいと思うのです。
  6. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 確かに、御指摘のように、交通事故原因というものは極めていろいろな要因から成っておりますので、それを自動車工学交通工学あるいは道路工学、そういった各方面から総合的に分析をするということが大変大事なことであると私ども認識いたしております。そういうことで、関係省庁がそれぞれ事故調査あるいは研究機関等において研究等をやっておるわけでございますが、総務庁といたしましても、そういう総合的な事故分析調査ということに今後とも関係省庁協議連絡をとりながら、充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  7. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私もそのような決意で当たりたいと思っております。
  8. 永井孝信

    永井委員 ところで、後で問題点を提起する際に具体的な事例については申し上げてまいりますが、交通安全は総務庁が一応まとめ役、各省庁にまたがっているわけですね。しかし、いつもこの委員会で問題になりますのは、行政官庁ごと縦割り行政中心でありますからそういう面で必ずしも横の連携はうまくとれていない。このことが結果として効果をもたらさないことになっているのではないか、こう思うのです。長官、反論があったら反論してください。  ところで、総務庁はそういう状況の中でまた別途に交通安全対策について調査報告を出しましたね。ここにもその資料を持っておりますが、これは皆さんが出された問題ですからここで中身は触れません。その交通安全対策についての調査報告を出したときに、これは朝日新聞の社説ですが、六月十九日ですからつい先日ですね、社説を出しました。「魂の入った交通安全対策を」という見出しでございますが、もうお読みになっていらっしゃるかもわかりませんけれども、そこにどういうことが書いてあるか、要点だけちょっと引用いたします。  「交通安全対策について、総務庁が今回まとめた調査報告をみると、まさかと耳目を疑うような実態が明らかにされている。政府非常事態宣言をよそに、安全対策で抜けている穴が数多く指摘された。」これは総務庁調査報告ですからね。「たとえば、事故の多発する交差点を抽出調査したら右折信号機がなかったり、カーブを示す警戒標識がなかったり、照明が不十分だったりした例がたくさん見られた。電柱や分離帯など道路内の工作物も位置が悪くて衝突死を招く恐れがあったり、」という細かい問題も、調査報告を受けてここに指摘しています。  実はきょうこの質問をするに当たって、私はこの委員会交通標識のあり方とか交差点周囲環境とか、いろいろな問題を今まで何回も取り上げてきました。それだけでも一時間や二時間やったら、細かい問題のようだけれども、それが実質交通事故の減少に直結するだろうと思ったのですが、余りそんなことばかりやっていると、あいついつもそんなことばかりやっていると思われるもので、きょうはやめました。ところが、社説にこのことが出てきた。そうして、これも先日から問題になっておりますが、「オートマチック車限定免許の導入については、できるだけ早く実現すべきだ」、こういうこともこの中に触れています。これはきょうは問題点として提起をいたしません。ここに触れているという紹介です。「第二に、交通事故の「真因」を探るために事故の総合的な調査分析が必要だと、勧告は強調している。」私は最初そのために質問したのですね。問題はその次なんです。「第三に、多くの側面をもつ交通安全対策の課題について、関係省庁をとりまとめて推進していく総務庁責任は重い。」私はこのとおりだと思うのですね。  そこでお伺いしますが、これも後で触れていくのですが、いろいろな通達指導書面を見ましても、総務庁を初めとして、例えば建設省であるとか運輸省であるとかあるいは通産省であるとか警察庁であるとか、関係省庁の名前がずらりと連名通達指導書面が流れるのです。これは取りまとめ役総務庁長官、どこまで権限を持っていらっしゃるのですか。
  9. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 法規上は総務庁設置法に規定されているとおりでございまして、その点は私が申さなくても、「陸上交通の安全に関する施策及び事務総合調整」という包括的な表現でございまするけれども、そのような権限が与えられておりまして、私ども安全基本計画策定、それから閣議決定に基づいて総務庁に設置されている交通対策本部の庶務を行って、これらの事務を通じまして関係省庁施策事務総合調整を私どもなりに一生懸命努力をしておるところでございます。
  10. 永井孝信

    永井委員 交通対策本部長としてのそれらの権限はわかります。これは後で触れますけれども建設大臣、いろいろな関係省庁から連名通達が出されております。もちろん、通達を出す場合は関係省庁間で十分な協議をした上で出されるのだろうけれども、そこに中心的な役割を果たす総務庁長官がこうしてほしいと言ったら、建設大臣、そのことについてどうしますか、建設大臣として。
  11. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 よく協議をさせていただきます。
  12. 永井孝信

    永井委員 いや、これは笑い事じゃないのですね。協議をするのは当たり前で、総務庁中心にまとめ上げた対策をどうやって実際実効あらしめるように責任を果たすかということが今問われているのですよ。初めにそのことだけでやりとりしますと時間がかかりますから、後で具体的な問題で触れることにいたしましょう。  そこで、問題点に入っていくのですが、たくさんの交通事故の中で、大型トラック中心とするトラック輸送で起きる交通事故が極めて激増しています。とりわけその中で高速道で起きる事故、これはかなり大型事故が多いですね。追突事故、単なる追突事故だけではなくて、それに対して連鎖的に起こす玉突き事故があります。あるいは、最近私の地元でもあったのですが、高速道路トラック分離帯を飛び越えて対向車線に飛び出して三人が即死するという事故がつい一週間ほど前にありました。そういう分離帯を飛び越えるという事故まで随分起きてきている。そして、もちろん、その事故にはほとんど大型トラックが介在しているという事実、これは無視できないと思うのですね。  もちろん道路の問題もあるでしょう。事故が起きてくるいろいろな環境があると思うのです。しかし、私が冒頭に、事故分析がもっと徹底されるべきだという趣旨でいろいろなことを紹介しましたけれども提言内容も申し上げましたけれども、その徹底的な分析が系統的に科学的にどこまでなされて、どこまでそれぞれの関係する省庁がその分析に基づいて対応を立てていくかということが今求められているのですよ。それのリーダーシップはだれがとるのか。私は総務庁長官しかないと思うのです、取りまとめ役ですから。そうでしょう。これについてはどうですか。
  13. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 リーダーシップ意味はなかなか含蓄が深くて難しい概念だと思いまするけれども、やはり総合調整を強力に進めていきたいと思っております。
  14. 永井孝信

    永井委員 答弁としては余り納得できないのですが、まあいいでしょう。後、続けて問題点に入っていきます。  素人の私どもが見てその原因幾つか考えられます。まず居眠り運転があります。そして、過積載があります。車間距離をとっていない。これは私は口を酸っぱくして言ってきたけれども、一台一台に警官を乗せるわけにはいかぬし、現実は難しいですね。しかし、車間距離があれば起きない事故でも車間距離がないために事故が起きる。これはなかなか対応が難しいのです。私は、何回も言うように、夜、東名高速道路を乗用車で走ってもらいたい。心地が悪くて走れないのですね。周囲が全部大型トラックでびゅんびゅん飛ばすから、挟まれてしまったらサンドイッチでおしまいですからね。  そうして、それらの原因はいろいろありますが、まず居眠り運転などについては過労というのが出てきますね。あるいは、産業界の方からいうと、これまた私が何回も指摘してきたことでありますが、かんばん方式があります。何時何分にどこそこの事業所のどこそこまでどれだけの材料を運べという、大企業中心に行っている輸送システムです。これが間に合わなかったら工場の仕事はとまるものですから、絶対的な使命を持ってそこに物を運ばなければいかぬということで無理な運転が起きる。おおよそそういうものがあると思うのですね。これの悪循環なんですよ。過労になって居眠り運転をする。事故が起きやすい。長時間労働だ。だから、そんな過酷な労働条件のところに働く気がしない。だから、大型トラック運転手の数がいつも足りない。足りないから、今現在従事してくれている運転手でそれらの社会的な要請にこたえていこうとすれば無理な運転をさせざるを得ない、この悪循環なんですね。  そこで、最初に、そういう原因についての認識共通の土俵の上に立てるかどうかまずお答え願います。
  15. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 ただいま大型トラック運転士過労運転、それからまた長時間労働がそういう過労原因になっておるということ、そういうことで居眠りを誘発し、それが事故につながるという御指摘をいただきましたが、確かにそういう面の問題があることは否定できないような気がいたします。ただ長時間労働とかそういう点につきましては労働省サイド指導監督が行われていると思いますので、その点につきましては、総務庁といたしましてはそういった面の指導監督というものを信頼いたしております。
  16. 永井孝信

    永井委員 今の御答弁を聞いておりまして、そのとおりなんですよ。共通認識に立って、例えば長時間労働については監督官庁労働省が主管をしておることですから労働省が積極的にやってくれることを信頼する、こうなりますね。私は、そのことが間違っているとは言わぬですよ。これが、総務庁長官最初に申し上げたように、関係省庁連携をとって交通事故をなくするためにいろいろな対策を立て通達を出すのですが、もちろん、縦割り行政ですからやむを得ない面がありますけれども、それぞれの省庁にお任せする、こうなるのです。それをもう一歩踏み込んで、もっと強力にお互い連携をとり合って実効あらしめるように、具体的にこうしたらいいということは私もなかなか答えを出すことはできませんけれども、それを考えるのが総務庁長官の重大な使命だろうと私は思うのです。これは答弁は要りません。問題点指摘しておきます。  今その話が出ましたが、きょうは労働基準局長に来てもらいましたので、労働基準局長にお尋ねします。  一昨年の四月一日から労働基準法改正されました。その改正された中に、もちろん猶予期間という制度が設けられています。その猶予期間の設けられている中に最大の問題として残っているのがトラック運送に係る運転士など運送事業労働者の時間短縮の問題なんですね。これはたしか、そのときに三年間猶予期間ということになっておりました。あわせて全部聞きますが、その当時のそういう自動車運送業に携わる労働者の長時間労働と言われている労働時間、一年間平均労働時間と現在の平均時間は、三年というのはあと一年しか残ってないのですが、その間に果たして労働基準法改正趣旨にのっとった時間短縮の方向が現実のものとしてできるのかどうなのか、基準局長答えてください。
  17. 野崎和昭

    野崎(和)政府委員 お尋ねのトラック運転手よりは若干広い範囲になりますが、道路貨物運送業年間の総労働時間は、毎月勤労統計によりますと、平成元年のものをまず申し上げますが、二千六百十六時間でございます。全産業平均が二千八十八時間でございますので、年間五百時間ほど長いということで、御指摘のようにこの業種実態的には長時間労働業種であるということで、現在の法定労働時間四十六時間の適用を昭和六十三年度から三年間猶予されております。六十三年度の道路貨物運送事業の総労働時間は二千六百八十七時間でございました。したがいまして、非常に長い中でも六十三年から平成元年にかけまして七十一時間の短縮が進んでおります。  四十六時間への猶予期間は来年の三月で切れるわけでございますけれども、私どもとしては、来年三月までに四十六時間にするのではなくて、事前に前倒しで実施をしていただきたいということを強くお願いしております。業界の方も、先ほど先生から御指摘ございましたように、長時間労働というイメージが定着しまして若い人材が来ないということで、これは業界にとっても人材確保の見地からも時間短縮を進めなければならないということで積極的に協力していただいておりまして、猶予期間内に法定労働時間に達することは可能だというふうに考えております。
  18. 永井孝信

    永井委員 基準局長、現在二千六百十六時間。貨物自動車の過積載現状交通事故分析した「予防時報」という雑誌の一部をここに持ってきました。その中でも、「過重な労働条件などが過積載違反の誘因の一つになっているところから、適正な賃金体系」とともに「運転時間の短縮等労働条件の改善を図る」ことが必須条件であるということがここにも提起されております。  あるいは、これは直接トラック運送にかかわっている労働組合のある一つ資料でございますが、それで見ると、「慢性疲労を生む長時間労働」ということで、例えばトラック運転手ですけれども、二千時間未満のところは六・四%という数字が出ました。二千五百時間から三千時間未満というのは二九・五%です。三千時間以上というのが実に四〇・六%の実態です。  新前川レポートじゃないけれども、今、日本の国は働き過ぎと言われ、構造協議もありますけれども、とにかくそういう状況の中で千八百時間にしていこうと政府も言ったし、私どももそれを求めて労基法の改正を行ってきたのですね。それは画期的なことだったと思うのです。ところが、現実にその千八百時間を求めているときに、基準局長の言われている数字を見ましても、元年には二千六百十六時間、一般の企業に比べて五百時間ほど長いと一言われている。ところが現実に、大型トラックの長時間労働を調べると、三千時間以上が四〇・六%もあるという事実、これだけ大きな乖離があるのです。果たして一年間のうちに時間短縮が進むのか、これが進まなかったら過労運転なんて絶対になくならないんですよ。これは今総務庁が言っている話ではありませんけれども縦割り行政という関係がありますが、労働省責任は極めて重いと思うのですね。長時間労働をなくすることによってかなりの大型事故を減らすことができる、この点についてもう一回答えてくれますか。
  19. 野崎和昭

    野崎(和)政府委員 御指摘のとおり、トラック運転手そのもの労働時間を示している資料によりますと、三千時間近いのではないかという統計もあることは私どもは承知しております。政府の目標は言うまでもなく、御指摘のとおり経済計画期間中に千八百時間に向けてできるだけ近づけよう、そのためには完全週休二日制にするとか残業時間を年間百五十時間程度にするとかということが具体的に必要になるのでございますけれども、確かにトラック運転手、それからそのほか一、二の業種については、その時点までの達成は非常に困難かと思います。  しかし、時間が多少かかりましても、やはり全体の労働条件とバランスのとれた労働条件にしていただきませんと、先ほど申し上げましたように、若い優秀な人材がこの業界に来ないということになりますと、日本産業全体の問題にもなります。そういうことで、業界もそういった点についての認識が非常に深まっていると思いますし、私ども運輸省と定期的に協議しまして、何とかこの業界労働時間を他産業に追いつくように今後とも指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  20. 永井孝信

    永井委員 労働省関係する社会労働委員会で、今枝先生もいらっしゃいますが、きのう「ゆとり宣言」なるものを決議いたしました。せめてそれぞれが週二日は休んで家庭の団らんに浸ろうではないか、時には長い休暇をとってということを含めた「ゆとり宣言」を出しました。これは委員会決議ですけれども、やはりそういう決議もしなくてはいけない状況になってきている。それだけに、もうこれ以上労働省答弁を求めませんけれども労働省はある意味でまなじりを決してやってください。私はそのことを強く要望しておきたいと思います。  ところで建設大臣、私的なことでちょっと恐縮ですが、失礼なことがあったらお許しをいただきたいと思うのですが、聞きますと、大臣トラック運送について経営関係でかなりオーナーといいますか、そういう関係にいらっしゃると聞きますので、今の議論を聞いておって、自分経営に参加してきたそういうトラック運送実態からいって、どうお考えになりますか。例えば自分のところではトラック運転者が集まりにくいとか、長時間労働で困っている、いろいろな問題があると思うのですね。これは建設大臣の立場を離れてちょっとお答えいただきたい、感想をお聞かせいただきたいと思うのですが、どうですか。
  21. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 私は今そういう経営には一切タッチしておりませんからわかりませんが、私は今富山のトラック協会長を三十年ぐらいやっておりますから、業界のことについては関心は持っております。特に交通事故防止ということには、他動的にほかからいろいろやられるというよりも、みずからやはり自主的に事故を起こさないようにというような規律とか、あるいはそれぞれの自覚というものは一番中心ではないかと思います。それにさらに、今御指摘のような交通安全に対するいろいろの手当てというものが相乗的に加わって交通安全対策ができるのではないかというふうに考えております。
  22. 永井孝信

    永井委員 ところで、ついでに建設大臣としてお聞きするのですが、高速道路に限定するわけではありませんけれども高速道路大型事故が非常に多発する、このことから考えて、例えば過積載を防止するために高速道路の入り口には自動重量計というのですか、片軸でやるのじゃなくて全体の重量がわかるような、これは長期計画になるかもしれませんけれどもそういうものを設置して、努力はしてもらっているのでありましょうけれども、過積載の車の運行は高速道路では認めないということぐらいはやってみてもらえないだろうか。あるいはパッチ当て方式になりますけれども現実運転手が非常に苦労している現状からいって、ドライブインやパーキングエリアにいま少し乗務員の仮眠の施設を拡充することはできないだろうか、これは建設省が積極的な指導をしてもらえないだろうか。  あるいはちょっと古い資料になるのですが、わだち掘れということがありまして、これは去年の九月十九日の新聞の記事でございますが、わだちにはまって死亡事故が非常に多発していた、これを道路公団が山梨県警の指摘で魔のカーブと言われているところのわだち掘れを埋めたら、それ以来死亡事故が一件もない。単純なことなんですね、やる気になれば。高速道路事故が起きたら大変なことになるわけですから、そういう関係について建設省として積極的な対応をしてもらえるかについてはどうでございましょう。
  23. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  まず最初の車重計の問題でございます。  道路の損傷の防止であるとか交通安全の確保あるいは騒音、振動の防止の観点から、道路公団はインターチェンジに車重計、軸重計を設置して過積載の車両の指導、取り締まりを行っております。二種類ございまして、車重計というのは車両の総重量を車をとめて計測する施設でございますし、それから、軸重計というのは走りながら自動的にはかれるような、簡易に軸重を計測する機械でございます。両方組み合わせて過積載指導、取り締まりを行っているわけでございます。  まず、車重計でございますけれども、車重計は大体三インターチェンジに一カ所ぐらいつけております。現在百三十八カ所でございます。それから軸重計は、全部のインターチェンジは四百四十八ございますけれども、これに一台もしくは二台というふうにつけております。今後ともこれらの機器を活用して取り締まりを行う、あるいは必要に応じてこの機器の整備を進めていく、こういう考えでございます。  それから二つ目の、仮眠がとれるような休憩施設の問題でございます。  これは、まず私どもは駐車スペースというものあるいは休憩施設というものをやっております。例えば、名神、東名につきましては、非常に需要が多いものですから、元年度末で四千五十五台から七千八十六台にふやしました。それから、利用交通が非常に広域化あるいは長距離化してくると、駐車場で仮眠している方もおられる、したがいまして駐車スペースが非常に混雑しているということで、整備拡充を図るとともに、例えば東名の足柄サービスエリア、それから名神多賀サービスエリア、こういうところで仮眠室、浴室というものを設けております。平成二年には、東名の中井パーキングエリアにシャワールームとか休憩施設、こういうものを設置しております。利用者の要望にこたえまして、休憩施設の整備拡充、これも非常に重要だと思っております。  それから、わだち掘れの問題でございます。  高速道路事故は、もちろん事故現場におきまして警察と協力をしながら交通事故のデータを収集いたしまして、事故要因分析というもの、それでその結果から、重大な発生地点であるとか事故特性を分析して全般的に対策を講じる、こういうことでございます。  そこで、わだち掘れの問題につきましてもいろいろ議論がなされてきております。もちろん、道路公団等がこのわだち掘れについての維持補修、こういうものもやっていかなければなりませんし、きめ細かい維持修繕の実施をすることによって、これは事故もさることながら、安全性あるいは快適性、こういう問題も全部解決するよう指導をしております。
  24. 永井孝信

    永井委員 その上にさらに積極的にお願いしたいということですから、それはひとつ胸にとめて対応してください。  ところで、道路工事が非常に多いのですね。道路をよくして交通事故をなくそうということもあるだろうし、それはいいのですが、私はつらつら考えてみるに、これまた連携がとれないものかと思うのですね。掘り返して直したらすぐ次また掘り返しているということがしょっちゅうありますね。これは渋滞の原因にもなるし事故原因にもなるし、庶民から見ると税金のむだ遣い、こういう感じがするのですね。  率直に一つの例を申し上げますと、私は高輪の宿舎にいるのですが、高輪宿舎の出口を何回も掘り返しました。電話工事を何回もやって、済んで、やっと舗装ができたと思ったら今度は電気工事で全部掘り返しました。やっとこれが片づいたらこの間から水道工事で、同じところを三回目なんですよ。何でそんなことが連携がとれないんだろうか。これは、各都道府県がやることが中心でありましょうけれども、こういう道路工事のあり方についても、交通事故を誘発するし、税金のむだ遣いにもなるし、やはり建設省が所管の監督官庁としてそういうところはもうちょっと連携をとって、一回の掘り返しで全部やれるものならやれるようにすべきだと私は思うのですが、これはどうでしょうね。
  25. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  今、特に先生の御指摘になりました、例えば都市内での一般道路の工事でございます。  これは、道路の修繕の工事のほかに、都市生活に直接関連をいたします電力、電話、ガス、それから水道、公益事業者によります占用工事がございます。東京都内で申し上げますと、大体九割ぐらいが占用工事でございます。そこで、こういう工事を調整するための道路管理者と公益企業者から成る調整のための会議、同一工事箇所で各種工事をできるだけ同時に施工する、こういう工事調整をいたしております。  それから、年度末というのは非常に交通量がふえますので、この年度末の工事の抑制というものを東京都内あるいは主要都市の幹線道路についても近年実施をしております。  いずれにしましても、同一工事箇所で各種工事を同時に実施する、それから路線による工事の集中化、これはもちろん交通の状況とか代替路線とか占用工事の件数とかいろいろ関係がございますけれども、その関連性についてさらに検討してまいりたいと思っております。
  26. 永井孝信

    永井委員 それは強く要望しておきます。  さて、次はダンプ問題です。質問者がこんなことを言うとおかしいのですが、この問題は心して答えてもらいたいと思う。  古い資料で恐縮ですが、昭和五十一年五月二十日、十何年前でございますが、実はこの交通安全対策特別委員会決議がされております。その決議の第三項に、   ダンプカーにおける過積等による交通事故防止とダンプカー輸送に係る事業経営との関係を明らかにするため、ダンプカー事業について事業形態、運賃収入、運転者労働時間、賃金形態、必要機器の検討等経営実態調査し、その調査結果に基づき、ダンプカーによる交通事故防止対策を総合的に推進すること。 こういう決議がされております。これをひとつしっかりと踏まえておいてもらいたいと思うのです。  その後、ダンプカーの横暴ということが随分問題になってまいりました。つい最近も、逮捕されましたけれども、ダンプカーが親子ひき逃げ事故を起こしました。  そこで、私の方でずっと資料を調べてみました。ダンプカーを中心にして、私がここに持っているものだけで三つの通達が出ています。「過積載による違法運行の防止に関する当面の対策について」、これは昭和五十六年八月二十九日。「ダンプカーのさし枠装着車等の一掃に関する対策について」、六十一年三月十九日。六十三年の三月二十四日には「大型貨物自動車等による過積載防止対策の徹底について」。これをずっと見ました。全く同じことが書いてある、全く同じ文章が。  例えば、問題点を言いますと、「ダンプカーによる土砂等の運搬において、悪質・危険な過積載の事例が数多く見られる状況となっている。」こういうふうに分析しています。その次の通達で見ると、「過積載による違法運行は依然として跡を絶たず、特に、さし枠を装着し、あるいは物品積載装置を不正に改造して公然と過積載による違法運行を行っている事例が数多く見られる。」また、六十三年のもので見ると、同じように、「ダンプカーのさし枠装着車等」云々と言って、「一部の地域においては依然として」「過積載による違法運行を行っている事例が見られる。」これは一体どういうことなんですかね。繰り返し繰り返し通達を出して、同じことの文章で通達を出さにゃいかぬということは、通達の出しっ放しということになるのじゃないですか。  そして、「過積載による違法運行に対する取締りの強化」ということがあります。これは後でちょっと触れますが、確かに検挙件数はふえてきています。しかしその中に、例えば「自動車の使用者、荷主等の背後責任の追及を徹底するとともに、自動車の使用制限処分を厳正に行う。」ということも対策として入っている。あるいは「違反車両に対する整備命令を徹底する等により、さし枠の装着等の排除に努める。」ということがうたわれています。これは五十六年のです。そして六十一年の通達で見ると、同じようにこう書いてあります。「さし枠の装着等物品積載装置の不正改造に関与した者等に関する背後責任の追及を徹底するとともに、自動車の使用制限処分を厳正に行う。」というふうに対策で言っています。そして六十三年の通達で言うと、「過積載による違法運行の取締りについては、」「さし枠装着車等悪質・危険なものに重点を置き、効果的な取締りを強力に推進する」、こうなっております。  確かに検挙件数はふえてきているのです。そのかわり車の保有台数もふえてきています。ちなみにダンプカーの保有台数を見ますと、平成元年十二月末で十六万五千百六十三台と出ております。こういうようにダンプカーの数が多い中で少々検挙数をふやしてみたって、根本的な対策が実効果をもたらしていない。だから三回も同じ通達を出さにゃいかぬ。出す方も恥ずかしいと思うだろうし、出しても出しても守られないということについては、行政に対する不信感が残るだけじゃないですか。これは総務庁だけではなくて、警察庁、農水省、通産省、運輸省建設省、随分と名前が並んでおりますよ。全部連名でそれだけの通達が出されているのです。一体これはどういうことなんですかね。通達を出しっ放しなのか、実効を伴わないけれども何かやらにゃいかぬということで済ませているのか、私はここが今の一つ問題点じゃないかと思うのですが、どうでございますか。これは総務庁長官答えてください。担当大臣ですから答えてください。
  27. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 確かに、大型貨物自動車による過積載の防止という問題は、交通安全対策上古くて新しい問題というような認識を持っております。  ただいま御指摘のように、昭和五十三年の道路交通法の改正によりまして背後責任の追及ということが規定されましたし、それから五十六年八月二十九日付の申し合わせ、また六十一年三月十九日付の関係省庁間の申し合わせ等に従いまして再三対策を立て、指導を行っておるわけでございますが、それぞれの関係省庁におきましては、その所管の事務につきまして、これらの申し合わせに従いまして鋭意対策を推進されておるということを信頼はしておりますけれども、しかしながら、問題の解決というのがなかなか難しいということで、古くて新しい問題ということではないかというふうに認識いたしております。
  28. 永井孝信

    永井委員 認識だけでは困るのです。昭和五十一年にわざわざ、ダンプカーのそういう過積載等による交通事故防止のための特別決議委員会でされている。それから、各省庁連携をとっていろいろな対策を立ててきたけれども、それは依然として旧態依然の状態に置かれている。同じ通達を何回も出さなくてはいけない。その問題の分析も同じ文章ならそれに対する対策中身も同じ対策中身、こんなばかな話はないと私は思うのです。これを実効あらしめるために、それこそまなじりを決した対応が必要だと私は思うのです。  これで大分時間がなくなりました。あと、たくさん問題点を抱えておりますが、こんな通達の出しっ放しという行政では我々は納得できない、何のために交通安全対策委員会があるのか、私はそう言わざるを得ない。時間の関係がありますから残念ながらこれ以上言いません。しかし、これ以降は通達の出しっ放しに終わらないように、きょうは建設大臣もお見えになっておりますが、関係省庁が本当に本気になって通達中身が実効を伴うようにしてもらいたい、これを申し上げておきます。  さて、その次に、このダンプカーの保有台数を私は今申し上げました。十六万五千百六十三台、この中に自動車運送事業として登録されているのが三万一千百九十四台、これは平成元年十二月末の数字です。建設業の関係で認可されたものが三万九千九百三十二台となっております。あとの大半、実に全体の四七%を超えるダンプカーが砂利販売業として認可されております。  御案内のように、ダンプ規制法というのがございまして、その第三条に、「土砂等の運搬の用に供するため大型自動車を使用しようとする者は、運輸省令で定めるところにより、」運輸大臣に申請しなくてはいけない、その申請をする場合に、その中の一つの項目に、「経営する事業の種類及び規模その他の概要」というものが必要になってくる、こうなっております。そして、その「概要」の中にこういうことがあります。砂利販売業としてダンプカーの認可を受ける場合は、「砂利の山元又は買主との売買契約書又は仮契約書の写し」「商工会議所、市町村等による事業内容証明書又は納税証明書」を添付する必要をここで定めております。そういう定めをして、みんな受けているのです。  ところが、その定めに基づいて受けたその業者は、この運輸省令に基づいてマル販の表示をしなくてはいけません。そのマル販の表示をした車が砂利の販売をやっているのかどうなのか、運輸省はどこまで御存じですか。
  29. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 先生指摘のように、例えば自家用で販売業をやるということで届け出があった場合には、本当に自家用で販売業をやるのかどうかをチェックしなければいけませんから、山元との売買契約書あるいは市町村の証明書とかいうものをとって非常に厳しくチェックするようにしておりますが、その後のフォローにつきましては私どもの手で完全に行われておるとは言いがたい状況にございます。ただ、現実にそういう届け出をしながら道路運送法に違反して事業活動をやった場合には、関係省庁とタイアップして厳正な処分をするということで対応しておる、そういう状況でございます。
  30. 永井孝信

    永井委員 それでは、厳正な対応をしておるというのだけれども、そのことによって砂利販売業の認可を取り消された業者はどのくらいおるのですか。
  31. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 昨年の例でいきますと、警察の方で御検挙なさった件数が大体三十件近くございます。これは道路運送法違反としての告発の処分、つまり、道路運送法の違反ということになりますので、無免許営業でございますから、その法律に基づく告発をして検挙する、こういうことで対処しておるわけでございます。
  32. 永井孝信

    永井委員 私が問題にしておりますのは、そのダンプ規制法と言われておる法律に基づいて許可を受けて砂利販売業をやっておるのが実に全体のダンプカーの四七%に達しておるわけです。ところが、この前テレビの報道を見ておりましたら、親子ひき逃げ事件に端を発して特集番組をやっておりましたけれども、いろいろな人にいろいろな箇所でインタビューしておるのですが、砂利の販売をしておる業者はまず皆無なんです。いないのです。私の地元だって、マル販の車が随分走っております。調べたことはありませんけれども運転手に話したことはありませんけれども、そういうマスコミの調査によると、ほとんど一〇〇%近い人が砂利販売業ではない。運送業をやっておるのです。  運送業をやるためには、例えば一人一台という業者が一番多いのです。マル版のダンプカーのうち、一人で一台持っておるのが実に五五・五%ある。この人たちは、生活をするために、低い労働条件の中で何とかやっていくために、一回の運搬に対して一トン幾らで運送賃をもらおうとすると、少しでもたくさん積まないと採算がとれぬということから、二倍、三倍が常識だと言っておるのです。二倍、三倍積むから制動距離が長く延びる、追突事故が起きる、交通事故に直結していくわけでしょう。この事実を運輸省としてどうとらえて、どう対応するのか。  ここに警察庁の取り締まり状況があります。過積載重量違反で検挙した数は昭和六十三年で一万八千二百六件に上っております。これは年々ふえてきてはおるのです。ついでに警察庁にお聞きいたしますが、この問題の差し枠について、これは取り締まりの区分でいうとどこに入るのですか、あるいは実態はどうなんですか、簡単に答えてください。
  33. 半田嘉弘

    ○半田説明員 差し枠ということだけで特別に統計をとっておりませんので、その数字の中には幾らということはわからない状況でございます。
  34. 永井孝信

    永井委員 運輸省、認可して違反があれば検挙する、あるいは対応として取り消す、確かに事柄的にはそうなんですが、実際にそんなことが今可能になっておるのですか。
  35. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 ダンプ法に基づく申請というお言葉がございましたけれども、手続は届け出とその受理ということでございます。自家用でやりますという届け出をして、それが受理される。問題は、自家用でやっておるかどうか、道路運送法の免許に当たる行為を免許をもらわないでやっておるかどうか、そこが問題になるわけでございます。  そこで、先ほど申し上げましたように、無免許で事業活動をやっている場合には関係省庁と協力をしてそれを検挙をする、あるいは告発をする、こういう対応をする、それからまた、過積載をやっている場合には道路運送法に基づく処分をする、こういうことでやらせていただいております。
  36. 永井孝信

    永井委員 運輸省、土坂審議官、事柄的には、運送業をやっていると違反だからそれに対して措置をする、こうなるのですよ。実際できているかと聞いているわけです。あなた、僕がこれだけ言って、マル販のダンプカーの営業実態運輸省として一回大々的に調査をしてみるというようなことをやるくらいの決意があるかどうかが問われているのですよ、今。  ダンプ規制法があって、省令があって、その省令に基づいてマル販という表示義務をつけて表示はさせている。させているけれども、実際はそれは運賃を収受する運送業をやっている。本来なら自動車運送事業として青ナンバーを取らなければいかぬわけだ。それを白ナンバーでやっている。そういうことがダンプ街道という悪名高い街道をつくって交通事故を多発しているというこの現状で、手が足りないのかどうなのか知らないけれども現状分析をまともにしないで、まともに対応しようとしないで、法律違反があれば関係省庁連携をとって対応しますだけで済むのかということを僕は聞いているわけだ。笑い事じゃないのだ、これは。あなたのところが認可しているのだから。そうすると、砂利販売業について、実態に基づいて対応するという毅然たる態度をとらぬことにはこんなものなくならぬでしょう。どうなんですか。
  37. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 販売行為をするということで届け出をしながら実態は運送行為をやっておるということが多いのではないかという御指摘は、私ども実態はそういうことが行われているのではないかということを十分危惧もしておりまして、ただ申しわけありませんけれども、このままでいいとは決して思っていませんが、力の及ばない点もございまして、私どものやれる範囲で関係省庁と協力して先生の御趣旨に沿うように少しでも頑張っていきたい、こういう決意でございます。
  38. 永井孝信

    永井委員 その決意を持ってやってもらいたいと思うのだけれども通達とか指導書面が山と積まれても、これは紙くずなんですね。通達は一枚で結構。その通達が実際に効果を発揮できるようにすることが、この交通安全にかかわる全体の関係省庁の仕事なんだから。これ以上言いません。時間がないから言いませんけれども、ひとつ毅然たる決意で当たってもらいたい。次の委員会のときにはその後どうしたかということを聞きますから、手ぶらでおったら承知しないですよ。  さて次に、時間の関係で走って恐縮ですが、若者の交通事故が多発している中で、先日総務庁長官が記者会見をされて、自動二輪免許の取得年齢を十八歳以上にするように検討を加えるように警察庁にも求め、次期通常国会に道交法改正案を提出するようにしていきたいという趣旨のことを言われました。そのことが専門的に見て是か非かという問題はあるでしょう。しかし、確かに年々の件数は減ってきたとしても若者による暴走行為は後を絶たないし、他人の迷惑を考えないで自分本位のそういう社会生活に走りがちな年齢でありますから、若者に対して交通ルールを守らせることは非常に至難のわざでございます。きょうは文部省は呼んでおりませんけれども文部省ももちろん関係ありますね。しかしそのことについて、ある意味では、今度の長官はなかなか思い切ったことを言うな、私はそう受けとめたのです、いいとか悪いとかはさておいて。  これは例えば十六歳の免許取得年齢を十八歳に引き上げることによって、例えばですよ、自動二輪車の売れ行きは落ち込むでしょう。業界は、そんなことは困ると言うでしょう。これはこの間の道交法、車庫法の改正と一緒だ。業界から大変な圧力があったことは、隠しても隠してもこれは事実なんだからどうしようもない。だから、そういうことが長官から発表されたら、恐らく長官のところにもいろいろなことを言ってきたところがあるのじゃないかと私は想像します、なかったら幸いだけれども。しかし、自動二輪車が売れようが売れまいが、将来ある若者の命を救うためには思い切った措置をとらざるを得ないと私は思っているのです。そういう意味では、長官の発言について、ある意味ではなかなか思い切ったことを今度は発言したな、こう受けとめておりました。  さて、その後どうなっていくかなと思って期待しておったら、総務庁が出した実態調査結果に基づく勧告がありますね。この勧告の中に「自動二輪車免許の段階的取得の制度化」ということが出てまいりました。自動二輪免許の段階的取得とは排気量の小さいものから順番に取っていくということでしょう。私はそう理解しておるのですが、そうすると、長官の思い切った発言というものとこの勧告との間に少し乖離があるような気がしてならぬので、長官の真意を私は聞きたいのです。
  39. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私の真意が新聞で正確に伝えられていなかったとすれば大変申しわけないと思うのでありまするけれども、今、永井委員指摘されました私ども総務庁行政監察局が行いました「交通安全対策に関する実態調査結果に基づく勧告」の中にありますところの大型の自動二輪車の免許年齢の、今警察庁が行っておりますところの行政指導を制度化することをぜひとも警察庁で検討していただきたい、私はこういうことを申したつもりでございます。  私は、このような権利制限が行政指導という形で警察庁が苦労されながらやられることは限界がある、勧告にもありますように地方によってまちまちである、こんなことを考えますと、このようなことは法律で、権利制限でありますから明確な形でやっていくべきである、これが交通対策本部長であり国会議員としての責務であろう、こんなふうに思って警察庁に検討をお願いをしたわけでございます。
  40. 永井孝信

    永井委員 いま少し突っ込んだ考え方で記者会見されたのではないかなと私は実は思っておったのです。立ち会ったわけではありませんからね、新聞記事を見ての判断ですから。しかし、若者の、原付も含めて自動二輪による事故が非常に多い。全体の交通事故の死亡者が一万人をはるかに超えるという中で二輪車による死亡者の数を単純比較すると極めて低い数字かもしれない、三百とか四百とかいう数字でございますから。しかし、これは若者なんですね。将来性のある若者なんですね。だから、年齢制限を何歳にするのがいいということは私は必ずしも断言をようしませんけれども、これはやはり総務庁警察庁もともに汗をかいて、段階的取得の方法も一つでしょう、あるいは場合によっては学校教育の中で交通問題に対する徹底したカリキュラムをつくることも一つの方法でしょう。いろいろなことを含めて、若者に運転免許を与える条件というもの、環境というものの整備について本格的に検討する時期だろう、私はこう思います。もう時間がありませんからこれ以上申し上げませんけれども、ぜひひとつ長官に思い切って若者対策をやってもらいたい、このことをお願いしておきたいと思います。  最後になりましたが、これまた新聞記事で、新聞記事ばかり引用して恐縮ですが勘忍してください。行政の中にいるわけじゃありませんから、新聞報道を見てこういうことがあったのかああいうことがあったのかということを知ることになるのですから。  六月十八日ですが、建設省が法改正をやって道路管理者が車両などの放置物件について強制撤去できるようにしよう、私はこれは抵抗もあるだろうけれどもやらざるを得ないことじゃないかと思いますね。「道路上に放置されている“物件”を、道路管理者が移動させることができるとする法整備に乗り出す。」と書いてあります。「次の通常国会に法改正を提出する方向で検討を進める」と。確かに大きい道路は違法駐車、生活道路になるとお店屋さんが自分の販売する物品を並べる店舗になってしまうというのが随分ありますね。そういう状況から考えると私は、これはそれなりにかなり思い切った法改正を、今、頭の中かどうか知りませんが、考えているな、こう思ったのです。これは建設省ですが、建設大臣、どこまで本気になってやられますか。後で大臣答えなければだめだよ。これは政治家として答えてもらわなければいかぬのだから。
  41. 三谷浩

    ○三谷政府委員 それでは背景を説明させていただきます。  道路法の四十三条に「道路に関する禁止行為」というのがございます。その中で、「何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。」というところに、例えば道路に土砂あるいは竹木等を堆積させるとか、あるいは交通に支障を及ぼすおそれのある行為をなしてはならない、こういうことでございます。ですから、例えばそれが違反の車、放置車両、こういう問題がございますが、現行法では直接道路管理者がどかすということができませんで、その所有者を見つけてきてその人にお願いするという格好になっているわけでございます。したがいまして、その観点で、例えば道路管理者がみずからやれるような法的な検討というものをしよう、こういう考え方でございます。
  42. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今道路局長が法制的な面から御説明申し上げたわけでございますが、道路管理者として、交通安全の面から、ただいまのような点はいろいろと検討していかなければならぬのではないかな、こう思っております。
  43. 永井孝信

    永井委員 時間が来ましたからおきますが、これだけの第二次交通戦争と言われておる中で、交通事故を減らそうとすれば、何かやろうとすれば、出るくいは打たれるで、たたかれもするだろう。あるいは関係業界からの圧力もあるだろう。そういうものをはね返して、やはり苦労をしてでもかなり思い切ったことをやっていかないと、第二次交通戦争と言われている今の状況を抜け出すことはできないと思うのですね。そのために、この間道路交通法の改正をしたり、車庫法の改正も不十分ながら衆議院では可決したわけですから、そういうものと相まって、全体の交通問題に対応される総務庁長官として、腹をくくって決意を強く持って、関係省庁にも協力を呼びかけて、縦割り行政ではなくて一体となって対応してもらいたい、この決意だけ伺って、きょうの質問は非常に不十分で中途半端になりましたけれども、時間の関係でやむを得ませんので、最後に締めくくっていただきます。
  44. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 交通非常事態宣言をいたしております昨今でございます。総務庁として責任を痛感しておるところでございまして、第二次交通戦争に対しては本当に粘り強く真剣に取り組んでいきたい。そのための総合調整については私といたしましては強力に進めて、各省にもぜひともこの交通戦争という言葉がなくなるような事態をもたらすように粘り強く努力をしていただくことを要請したいと思っております。
  45. 永井孝信

    永井委員 終わります。
  46. 権藤恒夫

    権藤委員長 次に、山元勉君。     〔委員長退席、柳沢委員長代理着席〕
  47. 山元勉

    ○山元委員 私は新人議員でございまして、きょうは大臣の所信表明に対する一般質問で、まじめに所信表明についてお尋ねをまずしたいと思うのです。  四月十八日にそれぞれ大臣の所信表明をお聞かせいただきました。そして何回も総務庁長官の所信表明も読み返してみました。端的に、感想というよりも苦言ということになるかもしれませんけれども申し上げてみたいと思うのです。  長官は、現下の状況を、運転免許保有者数及び自動車の保有数が増加をしている、一方で死亡事故が多くなっていて、過去十五年間で最悪の事態だ、こういうふうにおっしゃっておるわけです。確かに、自動車の保有数で言いますと七千五百万台、免許保有者が五千九百万人、非常に多くなっておりますし、死亡者も一万一千八十六人。これは一日で三十人、月千人です。何かの新聞に書いてありましたけれども、ジャンボ旅客機が毎月二機全員死亡事故を起こしているような状態だ、こうなっているわけです。しかし、所信表明を聞かせていただいて、先ほど同僚の永井委員はまなじりを決してという言葉を使われましたけれども、そういう状況に対する緊迫感が伝わってこない所信表明であったというふうに思うわけです。  確かに政府として、また総務庁として努力をしてまいったし、今後も交通安全対策事業を推進する、第五次の交通安全基本計画策定するというふうに述べていらっしゃるわけですけれども、それだけにとどまっていて、四次計画を実践をして実際どうであったかという、よく言われる総括とかあるいは総務庁としての取り組みの反省、こういう事態をつくったことについての反省、そういうものがなされていないと思うわけです。国民の皆さんが聞いて、今の事態についての認識とこれからの取り組みについて共感が出てくるような所信表明でなかったらいかぬと思うのですが、そういう私の感想が的外れなのか、もう一回長官の所信を聞かせていただきたいと思います。
  48. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 浅学な私でございますので表現の仕方がまずかったようなところがあったかもわかりません。しかし、何といっても非常事態を宣言しております総務庁でございますし、一万一千八十六人という過去十五年間の最悪の事態については本当に私どもとしては心から残念なことだ、何と申しましても、日がたつにつれて、私は交通対策こそ最も重要な総務庁長官の責務だという意識を強くしているところでございます。
  49. 山元勉

    ○山元委員 私はただ文字面だけを言っているわけではありませんけれども、例えば最後の締めくくりのところで「第五次交通安全基本計画策定することといたしております。」と述べていらっしゃるだけなんですね。今の状況を見て、さらに二十一世紀の車社会を考えて一体どういうふうな新たな発想で、あるいは新たな戦略できちっとした五カ年計画を立てようとされているのか、新しい五カ年計画についての決意をもう少しお聞かせいただきたいわけです。
  50. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 今申しました非常事態宣言をした基本的な認識のもとで私は第五次安全基本計画策定したい。安全施設についても、そしてまた道路網の整備についても、さらにまた車庫、駐車場の整備についても別途にあのような対策が設けられているわけでございますから、それを包括する、非常事態に応ずる新しい安全計画をつくってみたい、こんなふうに考えております。
  51. 山元勉

    ○山元委員 少し具体的にお尋ねしますけれども一つは五カ年という期間です。今おっしゃいましたように包括的に計画を立てなければならない。それにしては五年というのは長い。五年後の車社会というのはなかなか想定しにくい。恐ろしい勢いで変化をしていっている、あるいは困難になっていく要素があるわけです。そういう意味で五カ年というのは長いと思うのです。  具体的に言うと、例えば今四百兆とも五百兆とも言われる十年間の公共投資のことが云々されています。これは恐らく地域社会も大きく変わろうと思うのですね。そういうべらぼうなといいますか巨額の公共投資が考えられている状況の中で、この五カ年計画策定するに当たって考慮をしなければならない、配慮をしなければならない部分があろうと思うのですね。今、五カ年計画こうなりますというのは恐らくしゃくし定規の計画だけしか立たぬのではないか、そういう状況になっているのではないかと思うのです。具体的に言えば、その五カ年という長い期間、どういうふうに計画を立てようとされるのか、公共投資によって車社会が変わることについての予想、予測というのはどういうふうに持たれるのか、若干お聞かせをいただきたい。
  52. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 基本計画策定するに当たりましては、何と申しましても、その基礎となる道路交通量がどうなるのかとか、その質的な変化がどうなるのかとか、それから社会一般の条件がどうなるのかといった長期的な予想のデータを得まして、その基礎の上に、とるべき総合的な、長期的な計画というものを策定していく必要があろうと思います。そういうことで、そういう長期的な交通量がどういうふうになるかというような点につきましては調査研究を実施いたしまして、その調査研究の結果に基づきまして基本計画策定することにいたしております。
  53. 山元勉

    ○山元委員 私も抽象的な言い方をしていますから、その所信表明、再度お聞かせをいただきまして、本当に総括をする総務庁として決意強く当たってほしいと思うのですが、そのことで少しこれから具体的なことについてお尋ねしたいわけです。  今も申し上げましたように、どんどん社会が変わっていく、あるいは国民の意識も多様化してきているわけですけれども、そういう多様な国民の皆さんあるいは機関の皆さんから今提言がどんどん出てきておるわけです。意見は出尽くしていると言ってもいいくらいどんどん出てきているわけですね。そういうものをしっかりと取り入れた施策計画が立てられなければならぬという立場で申し上げるわけです。また、そういう皆さんの努力というものを無にしてはならぬ、それぞれ痛い思いをしている人たちあるいは苦にしている皆さんの立場からの提言ですから、ぜひ真剣に対応してほしいわけですが、きょう私は三つほど提言されている問題について少しお聞かせをいただきたいわけです。  その一つは、今も少し出ましたけれども交通安全対策に関する懇談会がこの間の十一日に報告を出されております。これについて少しお尋ねをしたいわけですが、私、詳しくないのですけれども、例えばこの懇談会の十七人のメンバーが書いてあります。肩書も何にもない、ずっと名前が列挙してあるわけですが、どういう性格で行政上どういう位置を占めているのか、大変広範の報告をしていらっしゃるわけですけれども、まず、そういう性格なり行政上の位置づけについてお尋ねをしたいと思います。
  54. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 位置づけといたしましては、総務庁長官の私的諮問機関という性格でございます。  具体的な委員の方の人選につきましては、実は中央交通安全対策会議の下に専門委員というのがございまして、この委員の方が多分十八名だったと思いますが、その中から海の関係と空の関係のお二人を除いた十六名に、あとマスコミの関係の方を一名か二名加えまして、それで現在の懇談会の構成メンバーになっておるという状況でございます。
  55. 山元勉

    ○山元委員 そうすると、この報告が十項目に、非常に広範に、悪く言えば総花的に書いてあるわけですが、これは行政上どういうふうに取り扱われるのか、行政にどう反映されるのか、そこの手続についてお尋ねをします。
  56. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 懇談会から多くの分野にまたがりまして大変貴重な御意見をいただきました。それで、この御意見につきましては、本年度中に策定をすることになっております第五次の交通安全基本計画というものに反映をさせてまいりたいと考えておりますし、それから、その他の関係省庁の所管する施策の推進に当たりましてもそれを参考として取り入れていっていただきたい、かように考えております。
  57. 山元勉

    ○山元委員 もう既にその第五次の計画の作業に入っていらっしゃると聞きますから少し具体的に聞きますけれども、例えばその十項目のうち第一項目目に「科学的な事故分析体制」というものが提起されているわけです。これは前の車庫法の審議の委員会でも若干意見として出ました。私も大変貴重な大事な意見だと思いますけれども、この問題について、既にこういう総合的な分析体制というのが部分的にでもあるのかどうか、あるいはこれを受けとめて今後どのように体制を確立する、そういうことが基本計画の中で考えられるのかどうか、ちょっとお尋ねをいたします。
  58. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 御指摘をいただきました交通事故に関する調査分析体制につきましては、私どもも大変重要なことであると認識をいたしておりますので、関係省庁とも協議をしながらその充実強化ということに努力をしてまいりたいと考えております。
  59. 山元勉

    ○山元委員 いや、今、協議をしてその充実強化を図りたい、先ほどお尋ねしたのは、現在どういうものがあるのかということで、どういうものを充実強化されるのですか。
  60. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 現在、例えば建設省の研究所であるとか運輸省所管の研究所、それからまた警察庁にも科学警察研究所というようなものがございまして、これらのいわば国立の交通事故に関する調査研究機関がございます。こういう公的な研究機関と、それからまた民間におきましても、例えば財団法人であります日本自動車研究所というようなものもございますし、その他の民間の研究機関もございますので、こうした公的な研究機関と民間の研究機関、そうしたものの連絡をとりながら事故調査を進めていくということも大事であろうと考えております。当面我々のすることといたしましては、こうした公的な総合研究機関の研究の調整、調査分析の調整、こうしたものを推進してまいりたいと考えております。
  61. 山元勉

    ○山元委員 私、幾つか申し上げたいのですが、突っ込んではまたのときにしますけれども、今のお話を聞いていて、やはりこの報告書が指摘しているような「総合的に行う体制を整備する」ということには至っていないし、そのことについて本腰を入れてやろうということが五カ年計画の中に入るのか入らないのか、どうも危うい気持ちがいたします。  もう一つ「緊急時における救助・救急について」という項目があるのです。これも先般の委員会で審議がされ、論議がされました。そしてこの報告書にも挙がってきているわけですけれども、この報告書では、簡単にと言ったら失礼ですけれども、救急車への医師の同乗の問題、それからヘリコプター使用の問題について充実を図れ、こういうふうに書いてあるわけです。このことについてはどういうふうに受けとめていらっしゃるのか、お伺いをいたします。
  62. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 不幸にして交通事故が発生した場合に、その被害者を適切、早期に救助し、救急措置を施すことは大変大事なことでございますので、これまでも第四次の基本計画の中に重点項目として掲げてございます。  総務庁といたしましても、消防庁、厚生省等の関係省庁の連絡会議を昭和五十六年以来開催いたしておりまして、その中でそれぞれの問題点等を検討しながら、対策の推進に努めておるところでございます。消防庁、そしてまた厚生省それぞれにおきまして、検討会あるいは懇談会というようなものを持ちまして、その中でいろいろな困難な問題点を検討されておる、そしてまた二省庁間でも協議を続けておられるということも承知しておりますので、先ほど申し上げました連絡会議等を活用しながら、今後とも救急医療体制の整備充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  63. 山元勉

    ○山元委員 よく白書にも出ていましたけれども、さらにきめ細かに官民が連携をして施策を進めるというような抽象的な、この方針の範囲内で物を考えていらっしゃるような気がしてならぬわけです。後ほどですが、これの受けとめ方について詳しく一つ一つについてお尋ねをしたいと思います。  提言の二つ目ですが、交通遺児学生の会というのがありまして、これが先日、十八日だったと思いますが、一つ提言を行いました。そのことについてお尋ねをしたいわけですけれども、それを受け取っていらっしゃってどういうふうにその中身について理解をされて対応されようとしているのか、まず総務庁のこの要望書についての姿勢をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  64. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 現在私ども交通安全基本計画の、第五次の基本計画でございますが、その策定準備に当たっておるわけでございます。この策定に当たりましては、できるだけ多くの方面からの御意見を伺う必要があると考えております。  その一つといたしまして、先ほどの総務庁大臣の私的諮問機関であります交通安全対策に関する懇談会、これからの御意見をいただくということもその一つでございます。それからまた、地方におきましても懇談会を開催いたしまして、地域において交通安全活動をされておられる方からも御意見を伺っているところでございます。  交通遺児学生の会からも御要望をちょうだいいたしました。私どももこの内容を十分に検討いたしまして、その趣旨を尊重しながら、そしてまた関係省庁とも協議をしながら、基本計画策定作業の中で参考とさせていただきたいと思います。
  65. 山元勉

    ○山元委員 この子たちといいますか会の人たちの気持ちには、私たちは父や母を交通事故で亡くした、その死をむだにさせたくない、犬死にとさせたくないという思いがあるわけです。前書きの中にもこのことを書いているわけですが、私たちは非常事態が宣言されてから勉強を始めました、ドライバーや道路への対策効果が頭打ちになっている以上、自動車という機械自体の安全性向上に全力を傾けることが急務だということが私たちの結論です、こういうふうに前文で書いているわけです。これは運輸省警察庁にお尋ねをいたしますけれども、まず運輸省、自動車という機械自体の安全性向上に全力を傾けることが急務である、こういうふうに言っているわけですけれども総務庁それから運輸省はこの子たち、この人たちと十分の話を、対応をする用意があるかどうか。先ほども言いましたように、五次計画を立てるために、あらゆる分野の人たち、あらゆる痛みを持っている人たち、あらゆる関心を持っている人たちと十分話をしなければならぬというふうに思うのですが、まず最初に、中身については後で申し上げますが、この人たちと十分な話をして共通の理解を持つ努力をする用意があるかどうか、お尋ねをいたします。
  66. 樋口忠夫

    ○樋口説明員 お答えいたします。  まず、現状につきまして御説明申し上げたいと思っております。  自動車には四輪車と二輪車、大きく分けまして二つございますが、四輪車につきましては、現在、最高速度を百八十キロということで規制をしてございまして、いわゆる百八十キロになりますと燃料がカットされて、それ以上はスピードが出ないという構造になってございます。  また、二輪車につきましては、昨年七月、交通対策本部決定されました「二輪車の事故防止に関する総合対策について」の中で、二輪車の馬力規制、出力の抑制についてそのあり方を検討すべきというふうに指摘をされてございます。これを受けまして昨年、自動車工業会等でいろいろと検討を加えていただきまして、一応当面の対応策といたしまして軽二輪、それから四百㏄までの自動二輪車につきましては、現行の最高馬力よりも一〇%低くさせる、そういった車両を今後提供していこうということで、自動車工業会の方で自主規制という形で決定をしていただいた経緯がございます。     〔柳沢委員長代理退席、鴻池委員長代理着席〕  こういった中で運輸省といたしましても、事故実態というものを克明に追っていく必要があるだろうということを現在考えておりまして、例えば排気量別の事故の数あるいは馬力帯による事故実態……(発言する者あり)メーカー別というような点もあろうかと思いますが、そういったデータの蓄積が全然なされていないという現状にございますので、こういった点を現在、自動車工業会にも指導いたしまして、一緒になってこういったデータ集めに努力していこうというふうに考えてございます。  ただいま先生の御指摘もございました今回の交通遺児の会の要望等も踏まえまして、自工会におきましても真剣に取り組んでいただくよう指導いたしますとともに、我々といたしましても要望の趣旨に沿うべく対応方を検討してまいりたいというふうに考えております。
  67. 山元勉

    ○山元委員 いや課長、私がお尋ねしたのは、まず、長文にわたる要望が出ているわけですから、そのことをしっかりと受けとめて、会の皆さんと十分に話し合う用意があるかということをお尋ねをしたのであって、それは後で答えてください。  そして、その次に要望の第一点、今御答弁があった問題です。この提起では、自動車は今の日本高速道路で百キロが制限速度だ、けれども、百八十キロ、二百キロというメーターがついてある自動車がどんどんと売られている、おかしいではないかということから出発して、百二、三十キロでそれ以上のスピードが出ない車にすべきではないか、構造上で制限をすべきではないかという提起なんです。  そのことについて、今百八十キロというふうに既になっていますという答えがありました。少し逆になるわけですけれども、例えばその百八十というのがこの会の諸君からいうとおかしいのであって、現在百が最高の時速制限であれば、百二、三十でも車の回転をとめるような、ガソリンが切れるような、ストップするような構造に強制的にしなければならぬのと違うのかということについて言っているわけです。そういう発想からいうと、百八十キロというのは私は高過ぎるという気がするわけです。  そこで、もうそういう発想は、車そのものが百としてしか走ったらいかぬのに構造上百八十、二百の車が出ていることについて、私はもう少し加えて、例えば、百キロを超すと警報が鳴ります。チンコンチンコンといいますか、いろいろな音が出ます。私も車に乗りますけれども、あれが出ると緩めますが、余り不快な音でない状況になったら、例えばたばこでいうと吸い過ぎは健康に害がありますという表示がしてあります、そういう音だとか、車は、車の雑誌で若者が飛びつくような、うずうずするような、スピード感に酔うことを誘うようなものがどんどん出ているわけですね、ですから、ソフトの面での制限への努力とかハードの面での車自体の制限とか、そういういろいろな工夫がなされなければならぬというふうに思うのです。  まず、質問としては、対応するかどうかということと、今おっしゃった百八十キロというのは妥当なのかどうか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  68. 樋口忠夫

    ○樋口説明員 百八十キロの問題につきましてはいろいろと指摘をされているところでございますが、先ほど申し上げましたように、事故実態が現時点において定かでないということもございまして、データを蓄積しようということで今考えておりますので、その中で、当然のことながらスピードにつきましては考えさせていただこうかと思っております。  それから、もう一点のソフトの関係につきまして、これは先生の御指摘のとおりでございます。現在、カーメーカーで新聞等マスコミに広告を出す場合におきましては、安全運転についてのPRもやってもらうということで行ってもらっているところでございますが、そういった点も含めまして、さらに一層の努力をしていただくよう指導してまいりたいと思います。  それから、最後の一点の、交通遺児の会の皆さん方との対話についてでございますが、我々の方としましては、そういうお話があれば当然のことながらお受けいたしますし、また、メーカー等にもそういった要望を伝えることはやぶさかではございません。
  69. 山元勉

    ○山元委員 建設省にちょっとお尋ねします。  けさの新聞を見てびっくりしたのですが、例えば百二、三十の車にすべきではないかというようなことを私申し上げようと思っていたのですけれども、きょうの新聞を見てみますと、建設省は、第二名神、第二東名で百四十キロでも走れるような構造にする方針だと書いてあるわけです。今百キロに制限をしていて、今問題にしていますように、例えば百八十、二百の車が売られている、そして猛スピードでの事故が発生している、そういう状況の中で百四十キロ。私は、まだ、けさ新聞見たところですから、このことを詳しくはコメントようしませんけれども、今の状況の中で安易に百四十キロのような道がつくられる、そういうスピードが許容されるような雰囲気がつくられることについては賛成しかねるわけです。建設省については、そういう今の状況、私どもが今言っているような気持ちを十分踏まえた上でこのことをやられなければならぬと思いますけれども建設省はどういうふうにお考えになっているかお聞かせをいただきたいのです。――建設省、来ておられないようです。  けさ新聞を見てびっくりしたものですから申し上げたのですが、これはやはり運輸省としても、こういう今申し上げた状況からいって、全体的な交通安全のためのケアをすべきだという立場でこのことについては対応していただきたいというふうに思います。  それからもう一つですが、この学生の会の皆さんの要望の第二番目に、「各メーカーの車種ごとに事故データを公表せよ」という要望があるわけです。確かに、事故原因は自動車の構造上だけの問題ではない、自動車メーカーの責任ばかりではないということは十分承知で、無謀な運転ということもあろうと思うのです。しかし、公表することによって、そういう車種なり、あるいは無謀の面が浮き出しになってくるだろうというふうに私も思うのです。そういう意味で、この事故データの公表ということについて警察庁はどういうふうにお考えか、お聞かせをいただきたい。
  70. 半田嘉弘

    ○半田説明員 事故原因等の分析はいろいろ行っておるところでございますが、例えばフェアレディZでありますとかマツダのロータリークーペでありますとかというような車種別の統計は現在のところとっておりませんので、公表することは不可能ということでございます。将来そういう必要性があるということでありますれば、将来の問題として検討してまいりたいというふうに考えております。
  71. 山元勉

    ○山元委員 私は、提起の二つ目ということで申し上げているのです。余り詳しくこのことで一々突っ込んで申し上げるわけにいかぬわけですが、今ちょっと答弁の中で、ひっかかるわけではありませんが、将来必要とあればという言葉がありましたけれども、必要であるかないか、有効であるかないかは行政の方で積極的に判断をしなければならぬことです。こういう提起があるわけですから、そのことについては検討していただきたいというふうに思います。  もう一つ提言の三つ目ですが、先ほども少し出ましたけれども、この間総務庁行政監察局が報告と勧告というのを出されました。十二項目に分かれていまして、中身は割合に厳しい指摘がされているというふうに思うわけですけれども、またこれだけでやると大変時間がかかるわけですが、一つ二つ受けとめ方についてお尋ねをしておきたいと思います。  事故多発地点での合同診断というのがあるわけですね。先ほどの事故分析というのと違って、一つ一つ事故ではなしに、事故多発地点の合同診断をやりなさいということが提起をされているのですけれども、そのことについての受けとめ方、そういう制度、体制をつくることができるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  72. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 「事故の多発箇所等における交通事故防止対策の総合的、的確な実施を図るため、地域の実情に応じた合同診断の導入とその一層の活用」という指摘でございますが、これは各地方の実情に応じましてやっているところも大分多うございます。そういうことで、大変有益なことと考えますので、総務庁といたしましても、全国の交通安全対策主管課長会議等におきまして指導を強化してまいりたいと考えております。
  73. 山元勉

    ○山元委員 簡単に行きますが、その次に、オートマの免許の問題も指摘されているわけです。オートマの車が今半数を超えた、事故も多発している、操作が簡単なはずなのに今事故が多発している、そういう意味でオートマ専用の限定免許を出してはどうかという指摘があるわけです。これについては詳しくは申し上げませんが、簡単に聞かせてほしいのです。  導入の見通しはいつごろと考えられるのか。私は、そういう制度をつくるのには時間がかかって、実施は一年や二年ではなかなか難しいのではないかという気がするのです。  もう一つは、この報告でも述べていますけれども、二十七時間の技能教習のうち四時間だけがオートマを使っての教習だ。四時間のオートマの教習を八時間なり十時間にすることはそんなに難しいことでないと思うのです。実際にこの勧告をまともに受けるとすれば、まず打つ手、そして制度の改革というのが考えられるのですが、今後の予定についてお聞かせをいただきたいと思います。
  74. 半田嘉弘

    ○半田説明員 現在の教習制度ですと、マニュアル車とオートマチック車と両方運転できるように教習をするということで、二十七時間というその最低の時間数が決められておるわけでございます。  オートマチックにつきましては、御指摘のように四時間の教習時間を設けております。ただ、オートマチックに特有のいろいろな機能がございますので、これについて四時間で十分かどうかということについてはなお検討の余地がございます。なお、オートマチック限定にいたしますと、マニュアルの車の運転のために行っている教習時間を減らせる可能性もございます。  そういうことで、全体的に二十七時間の中でオートマチック限定免許制度をできるのかどうか、あるいは、全体をふやさないとできないのかどうか、その辺について現在検討を進めておりまして、ことしじゅうには大体の結論を得られる見込みでございます。したがいまして、それを踏まえまして、なるべく早くオートマチック限定免許の導入に努めてまいりたいというふうに考えております。
  75. 山元勉

    ○山元委員 もう一つだけこの報告、勧告でお尋ねをしておきたいのですが、交通安全教育の実施というところがありまして、これは一つの苦言ですけれども、勧告そのものに対する苦言ですけれども、交通安全教育について現状をこういうふうに述べているわけですね。「高校生については、」ずっと来て、「必ずしも十分ではない。」「成人に対する交通安全教育は、」「ほとんど行われていない。」「高齢者については、」「必ずしも十分に行われていない。」それで、「交通安全教育は、」「指導者や教材の不足が指摘されている。」これをずっと読んでいくと、高校生も成人も高齢者も、それから指導者も教材も極めて不十分だ、こうなっているわけです。私もそう思います、現状。この間も車庫法のときに私申し上げたのですけれども、子供たちの安全教育の予算というのは二千四百万円だった。二千四百万円では、二千万人を超している子供たちに一円ずつしかかけぬで交通安全教育ができるとは思えぬという指摘をしたわけです。  確かに、そういう実態があると思いますけれども、「したがって、」というところから五、六行で、「都道府県教育委員会等を指導すること。」それから「相互に連携を図りつつ、」「生涯にわたる交通安全教育を推進すること。」それは、総務庁警察庁文部省、厚生省、運輸省及び労働省がやることだ、こう書いてあるわけですね。これで本当にやれるわけですか。監察局が実際にこういうふうに交通安全教育について極めて不十分だと言っていて、したがって、こうやりなさいという勧告は極めて総括的というのですか、具体性に乏しい勧告だというふうに言わざるを得ないと私は思うのです。これを見て総務庁は、はい、わかりましたということになるわけですか。ちょっとおかしな質問ですけれども、この勧告で十分なんですか、これは。
  76. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 総務庁といたしましては、交通安全教育の重要性ということにかんがみまして、家庭における交通安全教育、学校における交通安全教育、それからまた、成人になった後の運転者教育、地域における教育、そしてまた、高齢化した後の高齢者の教育という生涯にわたる交通安全教育が大変大事だというふうに考えております。それぞれの手を打ってきておるわけでございますけれども、今後ともこの監察の勧告を受けまして、私ども安全教育に関しまして五省庁会議というものを常時持っておりますけれども、こうした連絡会議を活用して相互に体系的な交通安全教育の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。  そしてまた、交通安全教育というのは指導者に立派な人を得るということが大変大事なことでございますので、その指導者の養成を行うということにも今後さらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、高齢者教育につきましては、教育内容あるいは指導方法等を明確にいたしました指導指針、これを先般策定いたしましたが、この指導指針の普及を図りますとともに、老人クラブ等の交通安全教育の中核となる指導者の養成あるいは教材の充実、あるいはまた特定の市町村をモデルとして選びまして高齢者教育を図っていこうということをやっておりますが、こういったモデル事業等の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
  77. 山元勉

    ○山元委員 少し欲張り過ぎましてすべて不消化で終わった感じがするのですが、そこで、時間が来ましたから最後ですけれども、今お尋ねをしてきました懇談会の報告あるいは学生会の諸君の要望あるいは監察局の勧告、これらを十分生かしていく、そして、力のある交通安全対策というのを立てていく必要があろうと思うのです。そのことについては、本当に最高指揮官として、責任者として長官にまなじりを決していただきたいわけです。  そういう力を持つためにも、私は前の車庫法の審議のときに申し上げたのですけれども、その二日後に朝日新聞の社説でも出ましたが、総合交通安全研究所のようなものをつくるべきだ。私はあのときに、自動車研究所というのはあるけれども安全研究所というのはない、国でしっかりとした大きなものをつくって、基本的な、総合的な施策をここのところでつくるべきだ。言い方は悪いですけれども会議やあるいは紙の上でと言ったら言い過ぎですけれども、そういうものではなしに、本当に研究を総合的にやるようなものをつくるべきだということを申し上げました。また、公安委員長はそのときに、貴重な意見だし必要だと思うというふうに答弁されていました。けれども、実際にそのことが見えてこないわけでして、今申し上げてきましたような総合的なあるいは全国民的なそういうものをしっかりと受けとめて、力のあるものにするための研究所というのをつくる、そういう勇断というのですか、総務庁としてはどうですか。
  78. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 御指摘交通事故調査分析体制の充実ということにつきましては、懇談会の報告、そしてまた行政監察局の勧告におきましても指摘されておるところでございますので、今後は研究開発に関する総合調整、それからまた、先ほどもお答え申し上げましたが、調査研究機関相互の連絡協調の強化、そうした交通事故分析体制の充実がますます重要になると思います。ただいま御指摘をいただきました研究施設の設置につきましても、ただいま申し上げましたような観点に立ちまして、貴重な御提言として慎重に検討させていただきたいと思います。
  79. 山元勉

    ○山元委員 最後に、朝日新聞の社説ですけれども、この気持ち、ちょっとここに書いてあることを読んで終わりますが、   必要な対策については、すでに多くの分野の専門家や一線からたくさん提案されてきていると思う。むしろ、足を地に着けた実行を怠ってきたのは、行政縦割りに隠れて専門スタッフの養成や情報の蓄積をおろそかにしてきた総務庁など政府ではないだろうか。いまだに公的な総合交通安全研究所ひとつないのが、この車社会の現実なのだ。 こういうふうに鋭く指摘しているわけです。  私も、今ずっと申し上げてきたのは、やはり縦割りでなしに、しっかりとした一つの頂点があって、国民の皆さん、各階層の皆さんの意見をしっかりと受けとめて、まなじりを決してやらぬといかぬ、その一つの場が基本計画だろうと思うのですね。基本計画でぜひ私どもは期待をいたします。それで、二十一世紀に向かってどういう車社会になっていくのか、どういう我々の快適な交通機関が保障されるのか、そういうことについてやはり責任を持たなければならぬと思うのですね。そういう意味で、ぜひ新しい発想で、力強い行政力を持った基本計画というのを策定していただくことを心からお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  80. 鴻池祥肇

    ○鴻池委員長代理 この際、休憩をいたします。     午後零時二十分休憩      ────◇─────     午後二時三十九分開講
  81. 権藤恒夫

    権藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。北川昌典君。
  82. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 引き続きの委員会で大変お疲れのところ恐縮でございます。  私は最初に海上交通の問題についてお尋ねいたしたいと思うのです。  この前もちょっと発言させていただきましたが、六月七日に伊豆の三宅島沖におきましてノルウェー船籍の貨物船と宮崎県の漁船第八優元丸が衝突いたしまして沈没するという海難事故が発生したわけでありますが、それからまだ日も浅うございますおとといでございますけれども、有明海におきまして漁船に乗っておられた老夫婦が、砂利運搬の後押し船でございますか、これに衝突されまして御主人が行方不明、奥さんが死体で見つかる、こういう痛ましい事故も起きておるようでございます。そういった点から、海難事故について、それぞれの国民の皆さん、さらには政府の皆さん方が認識をさらに改めていただいてこの問題に取り組んでいただくことをお願い申し上げたい、こういう気持ちで質問をするわけでございます。  まず、今レジャー産業が非常に発達いたしまして、海洋レジャーも盛んになっておるわけでございまして、日本の周辺海域はそういった面で船が非常に多くなっておるのも現実だろうと思いますけれども、昨年、平成元年度におきまして、海難事故が発生した状況並びにその事故による死亡者はどのくらいか、お尋ねいたしたいと思います。
  83. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  平成元年に我が国周辺海域において発生いたしました要救助海難隻数について、台風等の異常気象下以外について見ますと、千九百十二隻でございます。昭和五十五年には二千六十九隻でございましたので、おおむね減少傾向にあると言えます。船舶の用途別に見ますと、今先生指摘がございましたけれども、プレジャーボートの海難というものが海洋レジャーの進展に伴いまして増加傾向にあるということでございます。それから、海難に伴う死亡、行方不明者数、平成元年は二百八十三名でございます。
  84. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 私の記憶するところによりますと、外国船籍の引き起こす事故というのが大変目につくわけでございますけれども、昨年は山口の響灘ですか、ここでパナマの貨物船とシンガポールのタンカーが衝突事故を起こした、このように記憶いたしております。さらにまた、千葉沖でもリベリアのタンカーが火災を起こしたという事故も起きております。また、愛媛県の大島沖でパナマ船籍のタンカーと貨物船が衝突事故を起こしておる。こういう大型の衝突事故、海難事故が発生をしておるわけでございますけれども、こういう事故を起こしたといいますか、外国船籍が引き起こした日本の周辺海域での事故件数はどのくらいに上っておるのか、お尋ねします。
  85. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  先ほど、総海難発生件数について申し上げました。近年減少傾向にございます。その中で、外国船舶の海難隻数につきましては、全体に占める割合は低うございますけれども、依然として微増ということでございます。  具体的に申し上げますと、昭和五十五年、これは台風等異常気象下を除いておりますが、外国船舶が百四十七隻、その占める割合七・一%でございましたけれども平成元年では百六十九隻、占める割合八・八%、こういうふうになっております。
  86. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 先ほど死亡者の件数についてはお答えはなかったようですけれども、それは後で結構でございます。  このように一割近くに及ぶ外国船の関係した事故ということは、確かにこの前の三宅島沖の事故におきましても、海上衝突予防法に基づくいろいろな義務、見張り義務とか怠っておった、そして、そのために回避義務を果たさなかった、こういったことが新聞等で報道されました。結果的にはノルウェーの船が大きな衝突の主原因である、こういうふうに報道されておりますけれども、このように外国船の事故が多いということは、いわゆる外国船籍に乗っておる船員の皆さん方が、日本の周辺の海域の気象状況とかそういったものを熟知されてない、知識が浅いということなのか、それとも、いわゆる熟練度が低い、いわゆる技術的に未熟、こういったいろいろな理由があると思うのですが、そこあたりはどのように判断をされておるのか、お伺いしたいと思います。
  87. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  外国船舶の海難の特徴でございますけれども、船種別に見ますと、貨物船、タンカーの海難が、近年日本船舶につきましては大幅に減少している中で依然として横ばいということ、そして、これらの外国船舶の貨物船、タンカーの海難原因でございますけれども日本船舶と比較し顕著な相違はございませんが、主要な海難は荒天下に発生しているものが多い。さらに、トン数別に見ますと、三千トン以上の海難につきまして外国船舶の占める割合が七〇%以上ということでございます。さらに、主だった外国船舶の海難について、その原因から判断いたしますと、やはり我が国周辺海域の気象、海象の特徴あるいは航行経路、周辺事情等を熟知していないのではないかと思われるところがございます。
  88. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 お話のように気象状況とか航路についての熟知といいますか知識が薄いということになりますと、やはり事故続発の原因にもなるわけでありまして、そういった面では、国際機構でも通じましてこうした外国船が事故を起こさないような、事故を防止するような対策というものが立て得られないのかどうか、そこら辺をお聞きしておきたいと思うのです。やはり、日本海の周辺には漁船が操業していますし、いろいろな貨物船が往来しておりますし、そういう面では航行の安全確保、安全操業の確保、こういったものが大事にされないと十分安心して操業ができない、こういう状況にございますので、そこあたりひとつお聞かせいただきたいと思います。
  89. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  外国船舶の海難防止ということで、当庁におきましては、従来から入港中の外国船に対しまして海上保安官の訪船によります周知指導ということを行うとともに、外国船舶あるいは大型船が多数出入りするいわゆる特定港におきましては、外国船舶取扱会社、いわゆる船舶代理店等から構成されます外国船舶安全対策連絡協議会というものの設立を促進しております。これらの協議会を通じまして、例えば気象、海象あるいは沿岸地形に関する注意事項等、我が国の周辺海域を安全に航行するためのいわゆるパンフレットというものを作成、配付するというような組織的な活動も行っております。  先ほど申し上げましたように、全海難が減少の中で依然として微増の傾向にある、あるいは、先ほど御指摘ございましたように、ノーパル・チェリー号の事故のように、外国船に関しましてやはり海難に伴う大規模な被害あるいは多数の死亡、行方不明者数の発生に至るケースが見受けられております。当庁といたしまして、こういう事態を憂慮いたしまして、今後とも外国船舶の海難発生状況というもののきめ細かな分析ということを行いまして、一層の安全対策努力をしたい、こう考えております。  具体的には、やはり海上保安官によります訪船指導の徹底ということと、先ほど申し上げました安全協議会というものの活動の充実ということに努めていきたいと思っております。
  90. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 大体海難事故というのは一遍に、一度に亡くなる、死亡するという特徴がございますし、それも、大きな船と小さな船がそこで行き会うわけですから、言うならば私どもがダンプで子供の三輪車をひくようなものとそう変わらぬわけで、常に漁船あたりは戦々恐々として操業しなければならないという状況では困るわけでございます。したがって、外国船に対しての要請と同時に、日本の小さな船であります漁船とか貨物船にもやはり十分な注意を喚起するような指導というものが必要だと思うのですけれども、今までそういったことについてどのような指導がされてきたのか、今後徹底した指導というものをどのように進めていかれるのか、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  91. 岩崎勉

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  船舶の用途によりましていろいろな特性がございますけれども、例えば漁船の海難について見ますと、やはり全体的には減少傾向にあるわけでございますが、その隻数自体は依然として多うございます、全海難の四四%ということでございます。  当庁といたしましては、先ほど申し上げましたように訪船指導あるいは海難防止講習会の開催あるいは県水産当局との連携ということで海難防止に努めております。したがいまして、今後ともその船舶の用途、特性に応じまして、海難発生動向を見ながら安全対策の一層の推進ということに努力したいと思っております。
  92. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 レジャー船も多くなっておりますし、そこあたりは十分な徹底した安全のための指導をお願いしておきたいと思うのです。  同時に、ノルウェー船と衝突いたしました第八優元丸、一応家族の方もあきらめたといいますか、断念されまして、昨日地元で合同葬が行われたわけです。四十前後の家庭を支えてきた方々、また、一番若いのは十五歳、中学校卒業してまだ二カ月、こういった人もおるわけでございまして、大変気の毒なことなのですけれども、これはもういたし方ないということではないかと思うのですが、将来といいますか、今後の一つのなさなければならないことは補償の問題だろうと思っております。  地元では、漁協が中心になって船主とともに補償交渉を始められたようでございますけれども、水産庁の方でもこの点については、直接はこれは公海上の問題あるいは民事の問題ということで足入れはできないと思うのですが、やはりそういった漁業者の立場に立って側面的な助言とか協力とかといったものができないのかどうか。また、家族としても、異国の人との問題であるし、果たして交渉がうまくいくのかという心配もあるようでございますので、そこあたり、国との問題もございますから、水産庁としてこういった問題についてどのように取り組んでいただくのか。と申しますのは、先ほど申しましたように、いろいろな面での助言なり協力というものができるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  93. 水谷宏

    ○水谷説明員 お答えいたします。  現在、相手側との交渉については宮崎県の保険組合の顧問弁護士が中心になって進めているように聞いておりますが、水産庁といたしましても、漁船保険制度を所掌しているという立場、それから再保険者になっているという立場もございまして、漁業者の置かれている立場も留意して、必要な措置あるいは指導をしていきたいと考えております。
  94. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 海上交通安全の面からも、海難事故が今後そう頻繁に起こらないように、保安庁初め水産庁、十分な指導方をお願い申し上げたいと思いますし、今回の事件につきまして保安庁、水産庁ともに、海上自衛隊も含めまして捜索活動に大変御苦労いただいたことに対して心からお礼を申し上げまして、この点についてはお願いとお礼で終わらせていただきたいと思います。どうも済みませんでした。  それから、総務庁の方にお尋ねいたしますけれども交通安全対策といいますか、昭和三十年代から車社会に突入いたしまして、昭和四十五年に事故発生件数がピークに達した。こういうことで非常事態宣言も発令されただろうし、四十五年には交通安全対策会議が設置された。そして、それぞれの分野で交通事故を減少させるために運動に取り組んでこられた。建設省建設省の立場で、あるいはまた文部省文部省の立場で、運輸省運輸省、通産省は通産省ということで取り組んでこられた。その結果が逐次事故件数が減少していったということは、もう今までの統計から十分わかることでありますけれども平成元年になりましてまたぞろ一万件を超すという事態が起きております。  言うならば、その四十五年、二十年前よりも車もふえた、あるいは免許保有者もふえた、こういうことで当然ふえるというふうに考えてはならない問題だと私は思うわけでございますけれども、こうした十分な対策がとられてきておりながら、一度ずっと減少したものがまた息を吹き返しつつある。このことは、言うならば安全のための運動というものがマンネリ化してきたのではないか、緊張感が薄らいできたのではないか、そこのすきからこういう事故の発生状況がふえてきた、こういうふうに言われておるわけでございますけれども、そこあたり総務庁長官はどのように理解されておられるのか。
  95. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 ただいま北川委員指摘のように、四十五年当時から比べますと確かに交通事故は減ってまいりましたが、しかし昨年は非常事態宣言をするような状況でございます。その特色は、今申されましたようにいろいろあるかと私は思うのですけれども、確かに自動車がふえただけ、あるいはそのために事故がふえたというふうに考えてはいけないと思うぐらい私ども心配するわけでございます。  そして最近の特色は、何といっても四十五年と比べて、歩行中の方や十五歳以下の子供の死亡者が多かったのに比べて、現在は自動車乗車中の死者が急増している、つまり欧米型になってきたというんでしょうか。それから第二に、夜間、週末の死亡事故が増加していること、日本の生活スタイルも変わってきたことに対応しているように思えるのでございます。それから三番目は、高齢者の死者数が増加していることでございます。四番目は、二輪車事故が若者を中心として依然として多発している。このような特徴が見られるわけでございます。  私どもは、このような特徴に対処し、あるいはその原因に対処する意味で、一昨年以来交通対策本部におきまして各省庁が協力しながら、交通事故防止に関する緊急総合対策、高齢者の交通安全総合対策、三番目には二輪車の事故防止に関する総合対策、このような原因に応ずるような対策を即時立てたつもりでございます。しかし、まだまだマンネリ化しているのじゃないかというお話がございましたが、私はこのようなことは、とにかく今の自動車の状況等を考えますと、やはり粘り強く推進しなければならないかと思うわけでございます。そしてまた、やはり交通安全に関する世論を常に喚起しながら、そして世論の関心を集めながら粘り強くやっていくことが必要であろうか、こんなふうに考えておるところでございます。
  96. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 いま一度またカンフル注射でも打たなければなかなかマンネリ化が直らないということになってもいけませんが、実は、財団法人日本交通安全教育普及協会というのがございます。文部省総務庁が共管されておる財団法人でございます。ここあたり、普及活動に大変力を入れておられるというふうに見るわけでございますけれども、せっかく普及協会が力を入れられても、受ける側がこれに対して十分な受け入れをされていない。  例えば、幼児教育については非常に効果が上がったのでしょう、幼児、小さな子供さんたちの事故は減っておりますから。ただし、小学生、中学生、高校生、それにお年寄り、これは減っていないのですね。もちろん、この普及協会がやるからそれで事足れりというわけじゃございませんけれども、いろいろな条件が重なり合って交通安全思想というものは普及していくと思うのです。そのことによって事故も減っていくというふうに私は理解するわけです。  その一つの方法としてやられていることが、高校におきましてもかなりのものが配られておるし、取り組みをこの協会自体はされているようですけれども、この間出されております行政監察局の結果報告でも書いてありますように、高校におきましては、非常に積極的に交通安全教育を進めている高校は一部にあるけれども、かなりの部分が、こうした資料をもとにしたところの安全教育がボイコットされている、ボイコットとは言いませんけれども、サボられているというふうにも書かれております。そういう意味では、先ほども出ましたけれども、高校教育に携わる人たちが本当に交通安全に対して認識を深めておるのかどうか。何かぼやけてきているのではないかというふうにも考えるわけですけれども、そこらあたりをどのように御理解いただくのか。  それと、あわせて、幼児の事故件数が減ったという中には、昭和三十七年に建設省から交通公園の設置ということで通達が出されて、かなり小さな子供さんたちに交通安全の思想が普及されたというふうに私は理解するわけです。そのことは、小さい子供さんたちがこういったところで実際的にそれを体験していきますと、そのことが将来までずっと残っていくわけでありますから、そういう面で、幼児期にはそういったことがされることによって、お母さんも一緒になってこれを注意していくということにつながってくると思うのですね。この交通公園、三十七年ということですからもう二十数年たっておるわけですけれども、これの設置状況あるいはまたこれらが及ぼしておる効果等について十分おわかりなら発表いただきたいと思うのです。
  97. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えいたします。  交通公園は、児童の健全な遊戯とあわせて児童に交通知識や交通道徳を体得させることを目的として設置される都市公園でございまして、昭和三十七年八月に、交通公園の設置及び運営につきまして、都市局長より各都道府県知事、当時の五大市長あて通達し、以後その整備を進めてきたところでございます。昭和六十二年三月末現在におきまして全国で百八十一カ所設置されております。この事業について私どもも重要と考えておりまして、全国の都市からこれについての要望があれば、なるべく応ずるように努力してまいったところでありますし、今後もこの設置について促進を図ってまいりたいと考えております。
  98. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 これは一つの基準があるようであります。余り難しい基準になりますと市町村が設置するにも大変金がかかりましょうし、トンネルまでということになるとなかなか大変ですが、ミニ交通公園というようなものを各所につくって、各自治体というわけにもいかないでしょうけれども、やはり一つの県に二つか三つつくって、そこに遠足に行って体験をしていくとか、こういったことが必要だと思うのですけれども、かなり地方にはこれらが設置されていないような気がします。今度の提言の中にも児童公園というのはありますけれども交通公園というのはございませんものですから、それが効果がないからある程度下火になったのかなという気がしたものですから、効果があるものならやはり積極的に続けていただかないといけないのじゃないかと思います。
  99. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 交通公園につきましては、児童の交通教育上効果があるものと考えておりまして、今後とも要望のあることについては積極的に対応していきたいと考えております。
  100. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 先ほど質問を二つも重ねたものですから、総務庁長官にお尋ねしたのですが、せっかく財団法人として総務庁も共管されておるわけでございますから、これが十分活用されて生かされていくようなことも必要ではないかと私は思うのです。金を突っ込んで、それを受け入れ側が十分な活用をし切れないということになりますと、むだなことにもなりかねないと思います。せっかくの普及活動でございますから、十分な指導をお願い申し上げておきたいと思います。  それと、先ほどから申しておりますように、何かたるけているのじゃないかということの一つとして、国の交通対策本部が作成する総合的な推進体制、その中で、そういったことをもとに地方では交通安全対策会議とか交通安全計画とか、さらには交通安全実施計画といったものをつくるようになっておるわけですね。  交通安全対策会議は都道府県は義務的なもの、市町村は任意、計画は都道府県も市町村も義務的なもの、実施計画については都道府県が義務であって市町村は任意、こういうことでありますけれども、任意であっても、交通安全運動というものを自治体が盛り上げてこなければ一体性が出てこないわけでありますから、そういう面で考えますと、市町村ではわずかに三七・六%しかできていないというお話を聞きました。また、実施計画については、これも任意でありますけれども、一四・八%。こういう取り組みというものが、積極性が市町村にはないように思うわけでございますけれども、これでいいものかどうか。どのようにお考えになっているのか。せっかくでありますから、やはり国、県、市町村が一体となって運動を起こして初めて実効が上がるものだと思っております。これは余り金は要らぬわけですから、いろいろな施設をつくるわけではございませんから、金をかけずに事故を減少させていく、防止していくということでは非常に効果的な運動ができると思うのですけれども、ここあたりの現状についてどう思っていますか。
  101. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 交通安全対策基本法では、市町村におきまして必要に応じまして市町村交通安全対策会議を設置するということとされておりまして、平成元年の十二月現在で全市町村の約三七・六%に当たる市町村において会議が設置されております。  この市町村交通安全対策会議は、それぞれの区域の交通安全に係る五カ年計画であります市町村交通安全計画というものを作成することとされておりますが、市町村交通安全対策会議を設置していない市町村におきましても市町村長がその計画を作成するということになっておりまして、この計画に基づきまして各市町村における交通事故の防止対策が進められているという状況になっております。  実施計画についてでございます。これは単年度の計画でございますが、市町村が必要に応じまして作成するということになっておりまして、平成元年十二月末現在、四百八十四市町村、これは約一五%でございますが、その市町村におきまして計画が作成されております。御指摘のように、実施計画が作成されていない市町村におきましても五カ年の計画であります市町村交通安全計画というものはございますので、それに基づきまして各市町村における交通事故防止対策が進められているところでありまして、事故が増加しておるというような市町村に対しましては今後作成方を指導してまいりたい、かように思っております。
  102. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 報告書の中にも、事故がふえておる市町村でもかなりの部分に実施計画も余りつくっていないところもある、こういうことですけれども、ただ形式的につくればいいというものでもないと思います。つくられたものが本当に実施されていくということが大切なことだと思うのですけれども、しかし、つくらないところは実際は動きもしない、こういうことにもつながると思いますので、総合的に市町村独自でつくられるべきものはつくられるべきではないかと思うのですよね。  例えば、四十五年に国、県含めていろいろな施設を、横断歩道橋とか歩道の延長とか信号機の増設とか、こういった取り組みをされてきましたね。当時、地元の市町村が要求して、歩道橋等についてはかなり道路管理者から設置をしてもらったと思うのですが、設置をして、今になりますと、先ほど私がたるんでいると言ったのは、その歩道橋はほとんど利用されないままになっている。むしろ逆に、これは全部とは言いません、そういう市町村の中には見通しが悪いということで交通に支障を来しておる、そういったところすら出ておるわけであります。  本当に市町村がそういう面で交通安全の問題についてお互いに――対策会議ならば実施計画とかいろいろなものがここあたりから出てこなければならないだろうと思いますし、市町村の歩道につきましても大変おくれておる。国道並みの交通量がありましても歩道がない。これはなぜか。やはりこういった交通安全に対する取り組みが不足をしておるのじゃないかと思うので、国、県一体となった運動が展開されるような組織というものを任意というか自発的につくってもらうような指導をして、一体となった運動の取り組みを進めてもらわなければどうにもならないのではないかと思うので、そこあたり、どのようにお考えになるのか、一言お尋ねさせていただきたいと思います。
  103. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 ただいまの委員の御指摘はまことにそのとおりでございますので、先ほどもお答えを申し上げましたが、実施計画を作成していない市町村であって、しかも交通事故がふえておるというような市町村につきましては、今後強力にその作成方を指導してまいりたいと考えております。
  104. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 建設大臣にお願いも兼ねてお聞きしようと思いましたら時間も余りなくなったわけですが、大体車両保有台数が大変ふえておる。この二十年間に車両保有台数は二・七倍、免許保有数は二・二倍、このようになっておるわけでございます。それにしても道路の整備状況は大変おくれておると言われておりますし、大型車の相互交通可能な道路の幅員七メートル以上というのが日本では道路全体の五分の一程度、これは建設省が出されておる資料の中で出ているわけです。そういうふうに幅員が非常に狭い道路が多い。これはほかのところに比べますと、アメリカで六四%は全道路の中に七メートルの広い道路が占めておる、こう言われておりますし、西ドイツでは七五%、フランスで七八%、こういうふうなことで、言うならば道路の整備が、取り組んではいただいておりますけれども、この車社会に追いつけないような状況になっているというのは万人の認めるところではないかと思います。  今既設の道路整備はいただいておりますけれども、何といってもそれじゃなかなか間尺に合わない。これからも自動車の保有台数はふえていくと予測されておりますので、そのためには高速自動車道の建設を急いでいただかなければならないのではないかと思っておりまして、全体のお願いをしようと思ったら昨日発表がなされたようでございます。環境影響評価が、基本計画に組み込まれた路線についてはある程度、何キロでございましたか、なされる、こういうことでございます。しかし、東九州自動車道で八十二キロ、四百三十キロあるわけでございますけれども、八十二キロではこれはなかなか及びもつかないという状況であります。しかし、そういうふうに前進されたことについては評価をすると同時に、基本計画に載っている分についてはできるだけ早く整備計画に、まだ基本計画に載っていない、保留になっている分については早目に基本計画に載せて、日本列島全部を縦貫道でつないで交通渋滞が緩和されるような、そういう道路行政をぜひお願い申し上げたいと思うのです。  とりわけ宮崎県は、この前も申し上げましたけれども道路が非常に悪うございます。大臣が国土庁長官のときに手をつけられましたリゾートが第一次の指定になっておりますけれども、リゾートはできましても道路が今のような貧困では、とてもじゃないがリゾートは成功しないと思いますし、また産業でも大変おくれておる。免許数はかなり多うございますし、保有台数も多いわけでございますから、東九州自動車道だけというわけにはいきませんが、ぜひ全体の高速自動車道の整備、とりわけ東九州自動車縦貫道について御検討をいただきたいと思うのですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  105. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 急激なモータリゼーションの到来と道路とのアンバランスということで交通事故等々も相起こっておりますし、地方の開発もおくれておりますが、建設省では特に高規格幹線自動車道、四全総にのっとりまして一万四千キロの実現に向かってただいま鋭意努力いたしております。特に、今公共事業拡大という中で道路網の整備は最も重要な課題だと考えておりまして、この二〇〇〇年には九千キロ開通を目指しておりますが、さらにそれ以上の高規格幹線自動車道の開通に努力をしていきたいと考えております。
  106. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 積極的な取り組み方をひとつお願い申し上げたいと思います。地元のことで大変恐縮でございますけれども、実は宮崎県は観光地でございまして、青島、日南海岸といいますとかつては日本でも有名な観光地でございましたが、今大変落ち込んでおります。これはなぜかといいますと、交通安全に大きく影響する交通渋滞が物すごいわけでございます。これについては緩和策として取り組みをいただいているわけでございますけれども、聞くところによりますと、何かあと五、六キロぐらいの延長で完成まで十年近くかかるということでございまして、先ほど申しましたようにリゾートと相まっての、あるいは県南部からの産業道路でもございますし、交通安全の立場からも何としてもこれは早目に建設をいただきたい、完成をいただきたいと思うのですけれども、どういう計画になっておるのか。     〔委員長退席、鴻池委員長代理着席〕
  107. 三谷浩

    ○三谷政府委員 一つは二百二十号線でございます。これは、宮崎県南部の観光地域、海岸地域を縦貫いたしまして地域の生活、産業あるいは観光等に大変重要な路線と私ども認識しております。  青島バイパスのことでございますが、今先生からお話がございましたように、大変観光交通も多く混雑が著しい宮崎市の青島地区を迂回する延長五キロのバイパスでございます。昭和六十二年度に事業着手をいたしておりますが、現在、地域計画と整合を図りつつ用地買収を進めております。本年度は、用地買収の済んだ地区から工事に着手する予定でございます。今後とも事業の促進を図りたいと思っております。  具体的には、宮崎市の加江田から青島駅付近、この区間につきましては、区画整理等の関係もございますが、地元の方々の御協力をいただきながら、平成の一けた台中期の供用を図るよう努力したいと思っております。
  108. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 今ちょっと局長さんの方から出ました二百二十号線ですが、この十年間に落石等の災害が二十三回起きています。それから、交通どめ件数が十七回です。大体一週間から二週間、本当に生活に大きな影響が出るというようなことで、今鋭意防災計画をやっていただいているわけですけれども、抜本的に、継続的にといいますか、やって、災害に強い道路としての構築をしていただかなければ、また事故の繰り返しということになりますと地方も死んでしまいますので、その辺をひとつぜひお考えといいますか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  109. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お話しの二百二十号線でございますが、日南海岸沿いの日南あるいは串間市を経由して鹿児島市、国分市まで至る百八十五キロの道路でございます。今お話がございましたように、宮崎県内は海岸線が非常に屈曲が著しく、地形的にも非常に急傾斜でございます。地質的にも特殊な地層でございますので、延長九十二キロのうち三十二キロが異常気象時の通行規制区間、これは雨量がある限度を超えますと通行規制をするわけでございますが、そういう区間に指定されております。  そこで、過去の災害発生状況あるいはのり面の調査の結果から、災害発生の危険性の高い小目井、鵜戸、立石の三地区につきまして抜本的な対策を講じることとしております。鵜戸地区につきましては本年度完成を目途に工事を進めておりますし、立石地区でも早期完成を目途に事業を進めております。小目井地区につきましては早急に事業を実施するための調査を行っております。今後とも、災害に強い安全な一般国道二百二十号線にするために一層の努力をさせていただきたいと思っております。
  110. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 時間が参りましたが、一つだけ。  交通安全対策の中で、これは要求だけにしておきたいと思うのですけれども、どこの地方に行きましても国道、地方道はほとんど片側一車線。そのためバスの停車帯が十分でないために交通渋滞を引き起こす、あるいは避難地帯といいますか、これが設けられていないために、のろのろ運転で交通渋滞を引き起こして、それでいらいらした人が追い越していって事故を起こす、こういった例がかなりあるわけでございます。そういった面で、これは市町村道も含め県道も含めまして、何とか交通渋滞、交通事故防止という立場でそういった施設を全国的に点検をしていただいて、長距離にわたるバス運行等について円滑な走行ができるような制度といいますか、状況をつくっていただくことをお願いして終わりたいと思います。大変失礼をいたしました。ありがとうございました。
  111. 鴻池祥肇

    ○鴻池委員長代理 次に、遠藤乙彦君。
  112. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 両大臣の御出席をいただきました機会に、交通安全対策につきまして幅広く質問させていただきたいと思っております。  まず最初に、第二次交通戦争に対する所感及び取り組みの決意をもお聞きしたいわけでございますけれども、昨今、特に最近、交通事故死者が一万人を突破しまして、昨年の場合には一万一千八十六人と大変痛ましい犠牲者を出したわけでございます。非常事態宣言等も発令されまして大変憂慮すべき事態になってきておりますことは御承知のとおりでございます。つらつらこういった事態のよって来る背景を考えますと、これは非常に根深いものがあって、特に交通事故問題は、あるいは交通渋滞の問題を含めまして交通事故一般に、我が国の政治の問題点をそのままあらわすものではないか、あるいはまた、日本の社会のシステムの問題点を端的にあらわすものじゃないかと私は感じております。  と言いますのは、一言で言って生産と生活のアンバランス、これがある。戦後の日本が先進諸国に経済的に追いつき追い越すことを目標として、いわば生産能力の拡大に最大の力を傾けた、これはそのとおりだったと思います。非常に成功したわけでございまして、今日我が国は数字の上では世界一、二位を争う豊かさを誇るに至っておりますけれども、自動車の場合にはそういった点で生産、輸出、普及率、大変な伸びを示したわけでございます。その反面、いわば生活の側面というか、消費者、ドライバーあるいは歩行者、こういった生活者、消費者の立場への配慮がいつも後手後手に回ってきている、これが大きな問題だと思います。具体的に言えば道路環境の整備の問題、駐車場の供給の問題あるいはまたドライバーや歩行者の安全への配慮、こういったことが常に後回しにされてきた。こういった生産と生活のアンバランス、そういった生活体系の一番の問題点がこの交通問題に端的にあらわれている。したがいまして、余り現象的な議論ではなくて、もっと我が国の社会のあり方、政策体系のあり方、生産者優位のシステムを改めて、いかに生産と生活のバランスのとれるような社会システムに変えていくか、そういう発想に立って取り組む必要があると私は強く感じておる次第でございます。  私の個人の所感でございますけれども、そういった点を踏まえまして、両大臣の第二次交通戦争に対する認識、そして取り組む決意をそれぞれお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  113. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 ただいま遠藤委員は、最近の交通非常事態宣言が出されましたその根本的な構造にまで踏み込んで原因まで御指摘されて、これにどのように対処していくかということについて私の決意を聞いていただいたわけであります。  確かに生産と生活とのアンバランスの問題、これは言うまでもなく私どもがこれから真剣に取り組んで、私ども行政改革の最大の重点にしなければならぬと思うところでございます。とにかく、世界で自動車の第一位の生産国は日本でございます。それに対しまして、消費者の面、国民生活の面におけるところの施設が十分であったかといえば、これは十分であったとはなかなか言い切れない面がありましょうけれども、しかし私どもは苦心をいたしまして、最近の対策に見られるように取り組んできているところでございます。  先ほど申し上げましたように、原因に応じていろいろの対策を立てて、これは各省とも本当に全力を挙げて対処していかなければ、交通戦争という私にとっては大変情けない名称が残っているわけでございます。この名称を字引から抹消するだけの力を入れていく必要がある。これは多分に粘り強く、絶えず世論の注目を引き、そしてまた関心を集め、同時にまたハードの面の対策を講じていくというようなことを講じながら、粘り強くやっていくことが解決の焦点だ、私はこんなふうに思っているわけでございます。大変死者がふえて申しわけないところでございますけれども、ひとつ側面から御援助を、そしてまた御意見をぜひとも賜りたい、こういうふうに思うところでございます。
  114. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 最近の急激なモータリゼーションの到来によりまして、自動車と道路のアンバランスということからいろいろ問題が発生しておりますが、日本の自動車時代というのはついこの間やってきたわけでありまして、それまでは歩いたりあるいは鉄道というものが生活道路であったり生活の交通手段であって、自動車の通る道路産業道路と呼んでもよかったと思いますが、今は産業道路とか生活道路なんていう区別はありません。そういうことでございまして、今後急激なモータリゼーションとおくれた基盤整備というものがマッチできるように、道路整備の拡充に努力をし、しかも交通安全施設等にも留意をしていく必要があるというように考えております。
  115. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 両大臣の大変心強い御発言を伺いまして、ぜひその決意どおりに取り組んでいただきたいと念願をする次第でございます。  続いて、交通事故問題を論ずるに当たりまして、私は最近ヨーロッパに出張する機会がありまして、西独にもごく短時間でございますが滞在をいたしました。ごく短時間交通事情も聞いたわけですが、大変印象に残ったことでございまして、西独との比較の視点から交通安全対策問題を議論させてもらいたいと思っております。  まず何よりも印象的なことは、過去二十年間事故死者統計をとってみますと、日本の場合には一九七〇年に一万六千七百六十五人の事故死者。それから、ずっと関係者の努力によりまして低下をしまして、一九七九年には最低の数字である八千四百六十六まで低減をいたしました。ところが、後半の十年間はまた増加傾向に転じてずっと増大をしまして、八九年には一万一千八十六という事故死者になっていることは御承知のとおりでございます。ところが、西ドイツも同じような、モータリゼーションが普及し、自動車の最大生産国の一つであり、似たような国情にあるわけでございますけれども、ドイツの場合には一九七〇年の時点で一万九千百四十三人の事故死者、それがずっと二十年間一貫して低下を続けておりまして、昨年の八九年の時点では七千九百八十五人というところまで一貫した低減傾向が続いております。似たような状況にある両国において、このような交通事故統計において非常に対照的なパターンが見られる。私大変印象深く感じたわけでございます。  そこでお聞きしたい点は、なぜ、双方とも真剣に努力はしているにもかかわらず、こういう事故死者のパターンにおいて顕著な差が見られるのか。その点、特に西独などとも比較しながら、日本の前半十年間の低下、後半十年間の向上、こういう傾向をどのように原因分析されるか、その点につきましてお伺いしたいと思います。
  116. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 昭和四十五年に我が国で交通事故による死者がピークを迎えまして、その後昭和五十四年にほぼ半減に至るまで減少したわけでございますが、この間の我が国におきまする交通安全対策効果的であったと思いますのは、やはり交通弱者を保護するための交通安全施設の整備を、五カ年計画という形で長期的な計画のもとに実施したということが大変あずかって力があったと考えております。第一次五カ年計画、第二次五カ年計画の間に国・地方を通じまして投資されました資金が、道路管理者分、そして公安委員会分を含めまして約二兆円でございます。これだけ巨額の資金を投入いたしまして交通安全施設を整備した。すなわち、歩行者と自動車を分離するための歩道の整備であるとか、あるいはガードレールの整備であるとか、あるいは交差点に信号機を設置するとか、そういう交通安全施設の整備を強力に行ったことが大変力があったと考えております。  ところが、その後自動車が急激にふえまして、昭和四十五年から比べますと、昨年末現在で約四千万台の車がふえておるわけでございます。それからまた、一方におきまして、免許を保有している人の数も三千三百万人ふえておるわけでございます。そういう道路の交通量の量的な拡大がやはり事故のふえる相当大きな要因になっておるというように考えております。そこでこれからは、もちろん安全施設の整備を今後とも図っていくことは必要でございますけれども、やはりソフトの面にも力を入れていかなければならない。すなわち、交通安全教育の問題であるとか交通安全思想の普及の問題であるとか、あるいはまた車両自体の安全性の向上を図るとか、あるいはまた不幸にして事故が起こってしまった後の救急業務、それから救急医療体制の整備充実等を図ることも大事なことであろうと思います。  日本がドイツから学ぶべき点ということでございますけれども、聞くところによりますと、西ドイツにおける交通安全対策というのも、日本と同じように基本的な交通安全計画というものを策定して、これに基づいて総合的な諸対策を推進する体制になっておるということを聞いております。そしてまた、官民一体となった総合的な交通安全対策を推進するための体制が整備されておるということも聞いておりますので、この点も参考にしていかなければいけないと思います。そしてまた、先ほども申し上げましたような車両自体の安全性の向上、救急医療体制の整備充実、それからまた事故調査分析の充実、こういった点に日本は今後学んでいかなければいけないと考えております。
  117. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 続いて、警察庁にもお聞きをしたいわけですが、警察庁の場合には西独にアタッシェを出しておられますし、また独自の視点から西独における交通状況等を調査したと伺っておりますけれども警察庁の観点から、我が国との交通安全対策の対比ないしドイツに学ぶべき点等につきまして所見をお伺いしたいと思います。
  118. 半田嘉弘

    ○半田説明員 先生指摘ありますように、西ドイツにおきましては、交通事故の死亡者が大変大幅に継続的に減少いたしておるということでございまして、最近の状況を踏まえまして、警察庁といたしましても急ぎ西ドイツの調査に参りましたが、何しろ短期間でございますので、自信を持って日本と西ドイツとこういうふうに違い、日本はこういうふうに学ぶべきだということを全般的に申し上げる自信はございませんが、とりあえず調査をいたしました結果、私どもとして今後検討すべきことあるいは参考にすべきことということで、やや警察の所掌以外にも及びますが、二、三申し上げさせていただきたいと思います。  一つは、交通事故に関する調査といいますか、事故分析といいますか、そのやり方が日本よりは進んでおるのではないかと思います。具体的に申しますと、西ドイツにおきましては、警察における基礎的な事故統計に加えまして、ハノーバー医科大学等におきまして道路環境でありますとかあるいは自動車の損壊状況でありますとか、あるいは乗員の負傷の状況、負傷の部位、そういうものを多角的な項目にわたりまして調査をいたしまして、それに専門的な観点から総合的な分析を行う、その結果を各種の安全対策に役立てるということが一点でございます。  二つ目は、交通安全対策を総合的に推進するための体制が確立をされておりまして、それが大変有効に機能しておるということのようでございます。西ドイツにおきましては、官庁はもちろんでありますが、民間団体も網羅をしたドイツ交通安全評議会というのが組織をされておりまして、交通安全に関する最高組織として機能しておる。官庁間あるいは官庁と民間団体あるいは民間団体相互間の調整がこの組織を中心に図られておって、かつ協力体制が非常によくできておるということのようでございます。  三つ目は、救急医療システムでございます。ドクターカーあるいはヘリコプターを利用した救急医療体制が大変進んでおりまして、例えばヘリコプターについて申しますと、全国に三十六の救急ヘリの基地が置かれておりまして、これが西ドイツのほぼ全域をカバーしておる。大変大きな成果を上げておるようでございます。  四つ目は、車両の安全性そのものの改良ということで、自動車の構造的な安全性あるいはシートベルト等の乗員の保護装置の装備というようなものに大変力が入れられておりまして、交通事故が発生した際の自動車乗員の被害軽減の面においても大変成果を上げておるということのようであります。  以上四点が主たる参考になることではないかと私どもは考えておる点でございます。
  119. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今の御説明を伺いまして大変印象的でございましたが、西ドイツの場合私の感じたことは、非常に世界有数の自動車生産国であるとともに、生活者への配慮、これが大変徹底をしておる。住民の安全あるいは運転者の安全等、生活者への配慮が極めて強く出ておるということで、その点我が国に比べて一日の長があると感じております。また、その交通安全施策そのものにつきましても、非常に体系性、総合性、徹底性というものがやはり強く感じられるわけでございまして、この辺も我が国と比較してやはりすぐれた点、学ぶべき点ではないかと痛感する次第でございます。  もちろん、我が国の場合にも関係省庁多数の方々が大変な御尽力をされていることはよく理解をするわけでございますが、我が国の場合縦割り行政が余りにも強過ぎるということで、総合性、学際性といいますか、そういったものが欠如している点がなおまだ改善の余地があると私は痛感をしておる次第でございます。  そこで次の質問でございますけれども総務庁の最近の報告にもございますけれども交通事故原因分析のやり方、調査の研究の仕方が我が国の場合総合性に欠けているという指摘がございまして、これも今の警察庁の御答弁ですと、大変私もそのとおりであると思う次第でございます。総務庁の勧告の中にも「当該省庁の枠をこえた総合的な観点からの調査分析は行われていない、」それから「交通工学、医学、心理学等の多方面の専門家の活用は不十分である、」あるいは「専門家が直接事故現場に立入った調査分析は行われていない」等の点の指摘がされておりまして、私はぜひともこういった点は即座に実行する体制をつくるべきではないかと考える次第でございます。  そこで、こういった総合的なあるいは学際的な事故原因調査分析の必要性につきまして、まずお答えをいただきたいと思っております。     〔鴻池委員長代理退席、片岡委員長代理着席〕
  120. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 交通事故分析事故分析ということでございますが、警察庁におきまして交通事故原票に基づく分析を行っているのを初めといたしまして、関係省庁におきまして所要の分析を進めまして、交通安全対策策定、推進に役立てているところでございます。  ただ、御指摘のとおり、交通安全対策の総合的な推進のためには、道路交通に関連する各関連分野の協力による総合的な調査研究が一層必要であるというふうに認識をいたしております。
  121. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 交通事故という現象を考えた場合、これは非常にさまざまな要因の総合された複雑な絡み合った結果であると私は感じておりまして、そういった意味で特に学際的な分析というものをぜひやるべきではないかと思っております。特に心理学的あるいは医学的、工学的なそういった側面を総合しての学際的な分析はもうぜひとも必要であって、そういう総合的、学際的な努力を通じて新たな発見があり、また新たなより有効な対策が出るものと私は感じておりまして、ぜひともそういう方向で、即座にそういう体制の強化に向かって前進をしていただきたいと思っております。  そこで、確かに体制づくりという問題になりますと、どうしても各省庁権限が絡みますので、日本の官僚システムはなかなか難しい点もあるわけですけれども、一歩を踏み出すためにもぜひとも関係省庁間のそういうプロジェクトといいますか、協力のプロジェクトでも発足をさせて、そういった今後のより総合的、学際的な事故調査原因分析に向けてまず一歩を踏み出すことはできないか、これにつきましてひとつ所見をお願いしたいと思います。
  122. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 ただいまの御指摘の件につきましては、さきに寄せられました総務庁長官の私的諮問機関である懇談会の御意見にもございますし、それからまた先般発表されました行政監察に基づく勧告の内容にも盛られていることでございますので、御指摘のような学際的な分野を網羅した総合的な調査研究というのはぜひ必要であると考えておりますので、関係省庁の協力を得つつ、そのための検討を始めてまいりたいと考えております。
  123. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 続きまして、道路交通環境の整備の点につきまして建設大臣にお聞きしたいと思います。  いずれにしましても、交通安全対策あるいは交通渋滞の解消のためには何よりも道路交通環境の整備が重要な要因であることは言うをまちません。私も西独を訪問した際に、アウトバーンを初め、通常の道路にしましても、さまざまな安全施設にしましても大変完備していることに印象づけられたわけでございますけれども、今後の我が国の交通事情を改善し、交通安全対策を進めるためにも、道路交通環境の量的、質的な整備というものはぜひ望まれるところでございまして、この点につきまして具体的にどういう方針でどういう重点で臨んでいかれるのか。あるいはまた、最近では日米構造協議の場で公共投資の増大ということが強く求められておりますけれども、特に道路もその重点の一つになると思いますけれども、こういった点も含めましてひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
  124. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  我が国の経済力に合った豊かな国民生活を実現する上で、道路は国民生活に欠くことのできない最も根幹的な社会資本であることは当然であります。ただ、我が国の道路整備というのは、昭和二十九年第一次道路整備五カ年計画が発足以来三十数年ということでございます。欧米に比較をいたしまして、その歴史の差がそのまま整備水準の差、いわば二分の一から三分の一というのが残念ながら現状でございます。例えば西ドイツの例が、先ほどから出ておりますけれども、アウトバーンの延長が八千キロを優に超えているわけですが、我が国の場合、高規格幹線道路網で申し上げますと四千六百キロメートルという水準でございます。そこで、現在、道路整備を進めるために、昭和六十三年度を初年度といたしまして第十次道路整備五カ年計画を発足をさせて、今その事業を実施しているところでございます。  中身といたしましては、先ほど申し上げました高規格幹線道路網から国道、県道あるいは市町村道に至ります道路網の体系的な整備を推進するわけでございますが、具体的には四つの柱を立てております。一つは、高規格幹線道路網を中心といたします交通ネットワークの強化、それから都市のための道路ということで、よりよい都市のための道路づくり、あるいは地方部の定住と交流を促進する道路、それから当然ながら交通安全、快適で親しみのある道路空間、あるいはソフトで申し上げますと、道路交通情報の提供等多様なニーズがございますから、それに対しました道路機能の充実等に配慮をいたしまして質の向上を図ることとしております。高規格幹線道路網についても、先般この計画のあり方といたしまして、現在の四千六百の水準を今世紀中に九千キロ、二十一世紀までに一万四千キロの整備目標を完成させたいということで頑張っております。
  125. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今の道路整備計画に関連しての質問なんですが、建設省としまして、日本現状道路においての最適な車の台数、あるいはこの整備計画ができ上がった時点での最適な車の台数、実はこれはちょっと通告になかったもので恐縮なんですが、私的な感想でもお考えでも結構なんですが、もしお答えいただけますればありがたいと思います。
  126. 三谷浩

    ○三谷政府委員 どの程度が適当かというのはなかなか難しい問題だと思っております。  例えば、私ども先ほど申し上げました高規格幹線道路網、こういうものについて四千六百六十一キロの整備水準であるということを申し上げました。現在、自動車保有台数の面から見ますと五千三百万台、さらにそれに二輪車を入れまして七千数百万台というのが現状の自動車の数字だと思っておりますが、この数字というのは先進諸国とほぼ同様でございます。ところが、高規格幹線道路網の四千六百キロというものを例えば西ドイツあるいはフランスあるいはアメリカ、アメリカはちょっと比較の対象としていいかどうかは別でございますが、こういう欧米の先進諸国と比較をいたしますと、例えば人口の割合あるいは舗装延長あるいは自動車一台当たりの延長、いずれも二分の一から三分の一という数字でございます。したがいまして、この数字をぴしゃっと限定するのはなかなか難しいと思いますが、おおむね整備水準としてはそのくらいのおくれがある、その差が今の道路の混雑あるいは渋滞あるいは事故、こういうものを引き起こしている一つ原因であろうかと思っております。
  127. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 続いて車両の安全性向上の問題に移りたいと思います。  最近の交通事故の形態、特に乗車中の事故が大変多くなっておるわけでして、その観点から車両の構造上の安全性の問題は大変重要な視角になっております。また、最近の外国車、特にドイツ車でベンツとかBMWが売れていることの背景には、消費者の安全志向というものが大変強く出てきているのではないかということを感ずる次第でございまして、こういった点を踏まえまして、今後の車両安全性向上への具体策をどのように考えているか、これは運輸省になると思いますけれども、お願いいたします。
  128. 樋口忠夫

    ○樋口説明員 先生ただいま御指摘いただきましたように、現下の厳しい交通事故発生状況にかんがみまして、本年三月、運輸省といたしまして、当面の道路交通安全対策の推進についての行動計画策定いたしたところでございますが、その中で、自動車の構造、装置についてより一層安全規制の拡充強化を図ることとしたところでございます。  まず当面の対策一つといたしまして、自動車メーカーに対して自動車の構造、装置の安全性に係る研究開発を強化するということ、それからあわせて自動車の安全性の一層の向上に係る装置の装着拡大を図るよう指示したところでございます。  特に、安全性の向上に係る装置の装着拡大につきましては、具体的に申し上げますと、通称ABSといわれておりますアンチロック・ブレーキシステムでありますとかエアバッグ、それから後席三点式シートベルトといったような装置を装着した車両を自動車ユーザーが望んだ場合には、その要望にこたえてユーザーに供給できるように、そういった対応を図るべく、日本自動車工業会を通じまして自動車メーカーに指示したわけでございます。  また、自動車の構造、装置に係る規制のあり方につきましては、今後運輸技術審議会自動車部会におきまして、総合的、多角的な観点から今後の安全基準の拡充強化方針について検討していただくということとしておりますので、その結果等踏まえまして所要の措置について検討していくということに考えております。
  129. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 今の御説明に関連しましての質問ですが、いまだに日本の場合、自動車を売らんかなという非常に強い意向がありまして、メーカーですね、テレビ等のコマーシャルを見ても、スタイリングに非常に重点を置いたコマーシャルが強いわけですけれども、もう少しこういった安全意識を高めるためにも、やはり安全性をもっと強く出すようなコマーシャル等も必要ではないかと思っておりまして、こういった点につきまして運輸省さん、どうお考えでしょうか。
  130. 樋口忠夫

    ○樋口説明員 先生指摘いただきましたように、ハード対策のみならずソフト対策につきましても、ユーザーに啓蒙という観点から必要であるということは論を待たないところであろうかと思います。そういった観点から、通常ですと、今まではどちらかといいますと御指摘のように商品としての自動車を売るための広告が多かったわけなんですが、マスメディアを通じての広告、商品としての広告を出す場合につきましては、安全運転の励行でありますとか、例えば具体的にはシートベルトの着用について啓蒙するとか、広告の中でそういった点を強調してもらうというようなことを既に行っていただいておりますのと、それから各メーカーあるいは自動車工業会、団体といたしまして、新聞等の一面を借り切っての安全対策のPRにつきましても現在行っていただいておるところでございます。  なお、この機会に申し上げさせていただきますと、各メーカーにおきましては、別途ユーザーに対する安全啓蒙ということで、幼稚園児に対する紙芝居等をつくりまして提供するとか、二輪車の安全対策ということで二輪車のドライバーを集めての安全教育を行うとか、そういった幅広い運動もあわせて行っていただいておるところでございます。  御指摘を受けましたので、今後ともそういった関係で団体を通じまして、各メーカーの指導に当たっていきたいと考えております。
  131. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 続きまして、交通事故問題を考えるに当たって今後特に留意すべき一つの要素として、我が国の社会の高齢化という問題があるわけでございます。これは、我が国の場合今急速に高齢化が進んでおりまして、二〇一〇年以降ぐらいには世界で最も高齢者人口の高い国になるということが予見されるわけでございますけれども、当然これが交通安全上にも一つの大きな課題を投げかけるわけでございまして、まずこの点につきまして、総務庁としてどのようにこの問題を認識され、どのようにこれを考えていかれるか、御見解をお聞きしたいと思います。
  132. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 日本の社会全体が高齢化しておるわけでございまして、それに伴いまして高齢者の交通事故がふえておるというのも事実でございます。それで、六十三年の九月に、交通対策本部におきまして高齢者の交通安全総合対策という決定をいたしました。これによりまして、高齢者交通安全旬間というものを新たに設けまして交通安全運動を実施するということ、老人クラブ等における交通安全教育を推進していくこと、高齢運転者に対する運転適性診断を実施していくということ、老人福祉施設の周辺等におけるシルバーゾーンの設置等諸対策を推進していくということを決定いたしておるわけでございます。  特に高齢者の交通安全教育につきましては、本年の二月に高齢者交通安全対策推進会議におきまして、その基本的な指針でありますところの高齢者交通安全教育指導指針というものを作成いたしまして、これを活用しつつ充実に努めているところでございます。  内容といたしまして、一つに老人クラブ等の交通安全教育推進体制の整備、二番目に高齢者交通安全指導員を養成するということ、三つ目に高齢者のいる家庭への巡回指導によって安全思想を高めていくということ、その他具体的な高齢者に対する教育の詳細な内容が盛り込まれております。  そういうことで、今後とも高齢者対策の重要性にかんがみましてできるだけのことをやってまいるつもりでございます。
  133. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 より具体的な高齢者の問題としまして、一つは免許の問題との関連でお伺いします。  高齢化することは、当然のことながら視力の低下とか体力、判断力、反応力、さまざまな面で運転能力が低下をしていくわけです。これは当然個人差があるわけでございますけれども、こういった高齢化に伴う運転能力の低下というものを免許の書きかえという制度の上でどのようにこれを反映させていくのか、あるいは考えていくのかということを警察庁にお伺いしたいと思います。
  134. 半田嘉弘

    ○半田説明員 御指摘のように、年齢が高くなりますといろいろな意味で身体的な機能が落ちるといいますか、鈍るといいますか、そういうものがございまして、それが当然運転をされる場合にも悪い条件として出てくるわけでございます。ただ、ある一定の年齢に達した方は運転をしてはいかぬとかいうようなことはなかなか難しゅうございますので、問題は、本人が自分がどういうふうに体の条件が劣ってきているかということを自覚していただくということが必要であろうという観点から、運転免許証の更新時講習、これは全員受けていただくわけでありますが、この更新時講習の際に高齢運転者の特別学級というようなものを編成をいたしまして、中身といたしましては、高齢運転者に特有な事故実態あるいは高齢運転者に見られます身体的機能の低下、典型的に言うとこういうものですというようなこと、それから事故防止のための安全運転知識というようなことを講習の中で教育をするということをいたしております。  あるいはまた、実際に車を運転していただいて技能診断をいたしましたり、運転適性検査機というようなものを開発いたしまして、例えば俊敏さでありますとか正確さでありますとか判断の誤差でありますとか、そういうものをみずから体験をして認識をしていただくというようなことを実施いたしておるところでございます。  ただ、こういう特別学級というのは、高齢者学級とかシルバー学級というような名前をつけているこの名前が悪いのかもしれませんけれども、そういうものを開きましてもなかなかそこに行きたがらないというようなこともございまして、難しさもあるわけでございますが、今後ますます高齢化が進んでいくことは間違いないわけでございますので、それに適応して講習の内容をさらに充実を図る等の施策を講じてまいりたいというふうに感じております。
  135. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 もう一つ道路環境整備の側面から高齢者対策についてお聞きしたいわけですが、人口の急速な高齢化に伴いまして、当然、道路環境整備の面からもいわば高齢者にやさしい道路環境をつくるということが重要な点になると思いますけれども、この点に関連しまして、具体的にどういう整備が今後行われていくのか、建設省にお伺いしたいと思います。
  136. 三谷浩

    ○三谷政府委員 急速に高齢社会に進行していきつつあるわけでございます。したがいまして、高齢者の利用等に配慮して、安心して使いやすい道路環境を整備するということが非常に重要でございます。具体的には、例えば歩道で申し上げますと、歩きやすい歩道を設けるために幅の広い歩道の整備であるとか、あるいは歩道と車道との段差の解消、あるいは横断歩道橋のスロープ化とか、こういうものについても努めてきたわけでございます。その他きめの細かいいろいろな事業があろうかと思っております。高齢者の利用を念頭に置きまして、引き続き整備を進めたいと思っております。
  137. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 続きまして、交通安全教育の問題についてお伺いします。  交通安全教育、関係者は大変な努力をされていると私は受けとめておりますが、ただ、印象として非常に総花的、精神論的な感じが強くて、何となく、受ける方にとってすとんと落ちていくかという問題があるわけです。もう少し交通事故防止のために、交通事故現状を十分踏まえた実践的なワンポイントアドバイスといいますか、そういったものを強化していくことがより効果的な交通安全対策になるんではないかと考えるわけです。  そういった意味で、交通事故実態を踏まえた実践的な教育の推進ということで、特に高速運転のテクニック、あるいはまた危険回避技術、急ブレーキの作動等、そういった実践的な事故回避のためのいわば教習を一層促進すべきじゃないかと考えるわけですが、この点につきまして警察庁はどのようにお考えでございましょうか。
  138. 半田嘉弘

    ○半田説明員 高速道路運転につきましては、現在のシステムでは一応任意で、教習所で教習されました後、高速の教習も行うということにいたしております。ただ、高速道路までの距離が大変長い教習所では非常に難しゅうございますし、それから高速道路がないところではもちろんできませんので、一応の基準といたしましては、高速道路のインターから六十分ぐらいまでのところにある自動車教習所に対しまして一時限程度の教習を任意で行うということにいたしておるところであります。  それから危険回避運転につきましては、これはいろいろな施設の問題がございまして、一部そういう施設を持ちそういう教習を任意で行っている教習所もございますけれども、全国的にはまだ普及が大変おくれておるという状況でございます。
  139. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ぜひそういう技術の教習の推進に一層努力をしていただきたい、要望をしたいと思います。  続いて、学校教育と生涯教育における交通安全の問題なのですけれども、やはり交通安全対策として学校教育における交通安全教育、さらに生涯教育を通じての安全意識の強化ということは非常に必要だと考えるわけでありますが、この点につきまして文部省の考えをお伺いしたいと思います。
  140. 石川晋

    ○石川説明員 お答えいたします。  実は担当が若干違っておりますので、生涯と分かれることになりますが、学校教育につきましては、先生よく御承知のように、交通安全教育というのは学校の特別活動の中で、学級活動、ホームルーム活動、あるいは警察の方々と協力して行う交通安全行事でありますとか、このような活動を通じて、自他の生命の尊重という観点から、交通環境の中におけるさまざまな危険に気づくこと、的確な判断ができること、その上で安全に行動ができるようにということをねらいに安全教育をやっておるところでございます。  具体的には、小学校及び中学校につきましては、主として歩行者としてあるいは自転車の安全な乗り方といった観点を中心に重点的に指導することにしているわけでありますが、高等学校におきましては、生涯学習の観点に立ってと申しますか、そのような小中学校における指導を一層発展させ、今日の交通社会の現況というものを踏まえ、よき社会人として必要な交通マナー等を身につけさせるということをねらいとして指導しているところであります。このような観点から、昨年三月の学習指導要領改訂に当たりましては、新たに保健の指導内容として交通安全を事項として明確に位置づけるということを行いました。また、交通社会の現状、ということはとりもなおさず、高校生は卒業後免許を取り、学生としてあるいは社会人として、運転者として交通社会に参入していくものである、こういう観点から、特に高校生におきます運転者教育に関する調査研究を今年度の事業として新規に計上し、今までどちらかといえば立ちおくれておりました高校生における運転者教育という分野についても充実していきたいと考えておるところでございます。
  141. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 続いて、交通安全の広報対策についてお伺いしたいのですが、当然のことながら、非常事態宣言、交通安全の施策の促進につきましては国民の全面的な支持が必要であるわけですけれども、私の印象では、関係者は非常事態宣言といいまして非常に一生懸命やっておられるようですが、どうもいま一つ国民全体として交通安全運動が根をおろしているとは言いがたいような感じを持っております。いろいろな広報対策にしましても、いろいろやっておるなという感じはありますけれども、いま一つ強い印象を受けない、余りアピールするような広報がないのではないかという感じを持っております。  この点につきまして、まず現在どういった広報を行っておるのか、予算がどの程度であるのか、その点につきましてお伺いをしたいと思います。
  142. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 確かに、交通事故の要因の多くは人的な要因でございますので、安全思想の普及徹底という観点からも広報面の重要性というのは大きなものがあると思います。総務庁といたしましては、テレビの文字放送による広報とか、あるいはまた全国交通安全運動、これは春秋二度あるわけでございますが、このポスター等による広報を行っております。さらに政府広報におきましても、ことしに入りましてから新聞広告を一回、あるいは月刊誌一回、ラジオ三回、テレビの政府広報番組で二回、広報を行ったところでございます。今後とも、総理府を初め関係省庁の御協力を得ながら積極的な広報啓発活動に努めてまいりたいと思います。  また、特別の広報活動といたしまして、実はこの春、民間の協力の申し出を受けまして、シートベルトの着用徹底を呼びかけるための六十七万枚余りに上りますポスターによる広報を展開いたしました。これは、上杉謙信役の武将が、死者の七割は非着用である、締めてかかれ、まずはシートベルトをというようなことで、シートベルトをかけることが大事なんだということを広報したポスターでございますので、念のため御紹介しておきます。
  143. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 関係者としても非常に努力をされていることは理解をするわけですが、私の印象ではどうもインパクトが薄い。現代の御時世に合ったような広報の仕方にもう少し知恵を絞るべきではないかというのが実は私の率直な意見でございます。  かつては交通安全の標語等も、名作といいますか、非常にいいものが多かった。例えば「注意一秒けが一生」なんて、非常にはっとするようなものがありましたけれども、最近余りいろいろなものが出過ぎてどうも印象が薄いわけですね。余り名作と言えるようなものが出ていない。もう少しやわらか頭といいますか、そういったもので知恵を絞るのが一つのポイントではないかと考えるわけでございます。その反面、「赤信号みんなで渡れば怖くない」といったような、交通安全に反するような言葉が非常に人口に膾炙すると、どうも知恵比べにおいて負けているのではないかという感じがいたしまして、関係者におかれては、やわらか頭というもの、時代に即応した広報のやり方をもっと知恵を絞るべきであると感ずる次第です。もし関係者の中でお役人さんだけでは知恵が出なければ、いろいろな広報専門の会社とか民間の知恵も活用してそういう努力をするべきではないかと思うわけでございます。  ちなみに、さっきシートベルトの話が出ましたが、何かいろいろな表現がございます。まずは非常にかたいものは、「シートベルトを着用せよ」という、お巡りさんが命令するようなもの。それから、「事故防止のためにシートベルトを着用してください」というソフトなもの。それから最近では、「君かっこよく締めているかいシートベルト」というのがあるらしくて、第三のが最も効果があるというような分析がどうもあるようでございます。  いずれにしましても、コピーのあり方等も相当知恵を絞っていくということが大事ではないかと思いまして、予算面での充実を図るとともに、もう少し時代即応の、もっとアピール性のある表現力というものをこの広報対策において考えるべきであるということを私も主張しておきたいと思っております。  続きまして、救急医療体制の問題でございます。これも総務庁の勧告にございますが、これは私、以前別の機会、予算委員会質問したことがありますので詳しくは議論いたしませんが、この問題も突き詰めて考えると我が国のシステムの不備という問題に帰着すると思います。  我が国の場合には、医療水準では世界最高水準にある、また救急車の普及率等も人口比で見ると恐らく世界一だろうと言われておりますが、それなのに、事故現場から救急病院に至るまでのいわゆるプレホスピタルケアといいますか、病院以前の段階でのシステムの不備というものが救命率が国際的に非常に低いという状態をもたらしているということでございまして、これはもう明らかにシステムの不備でありまして、この面につきましては、いろいろ具体的な施策としましては、いわゆるパラメディックの養成であるとか、ドクターズカーの導入であるとか、いろいろなことがあるでしょうけれども、ぜひともシステムの不備の解消に向けて関係者の努力をお願いしたいと思っております。幸い関係省庁から前向きの答弁をいただいておりますけれども、交通安全問題の総括である総務庁より、この救急医療体制の整備につきまして見解をお聞きしたいと思います。
  144. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 救急医療の重要性ということはよく認識しておりますので、昭和五十六年以来、消防庁、厚生省等の関係省庁から成ります連絡会議を開催いたしまして、それぞれ困難な問題があるわけでございますけれども、そういう場におきまして、救急医療の充実に向けまして検討を重ねておるところでございます。消防庁におきましても、また厚生省におきましても、それぞれ検討会あるいは懇談会等を設けまして検討を重ねていらっしゃるということを聞いておりますので、今後ともそうした関係省庁協議を図りつつ、その推進に努めてまいりたいと考えております。
  145. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 実際に車を運転する者の立場にとりまして、駐車場を探すというのはいつも大変頭を悩ます問題でございます。特に首都圏におきまして駐車場が大変少ないことがいろいろな面で問題になっているわけでございますけれども、駐車場の情報システムといったものの導入をぜひ進めていただきたいというのが私の念願でございますが、こういったシステムにつきまして、現状対策、今後の見通し等につきまして建設省からお伺いをしたいと思います。
  146. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 駐車場案内システムでございますが、駐車場の利用者がたくさん集まる都心部を対象に、周辺の市街地から都心部に入ってくる自動車に対して、その地域の駐車場がどこにあるか、あるいは満車、空車の情報などを提供して、利用者を適切に駐車場に誘導するとともに、駐車場の有効活用を図るというねらいから、駐車場案内システムというものをつくっております。これの効果は割合に出てきていると自負しておりまして、平成元年に高崎市においてそのシステムを完成いたしましたが、この高崎市の事例ですと、駐車場の有効利用度は約二〇%程度上がっているというふうに承知をしております。  建設省におきましては、昭和六十二年度から補助事業ということで駐車場の案内システムの整備を行っているところでございまして、平成元年度までに五カ所の整備を完了しております。今年度も八カ所で整備を行うこととしております。さらに、平成二年から四年の三カ年で合計約三十カ所程度の整備を予定しておりまして、このシステムの整備により都市交通の円滑化を図っていきたいと考えているところでございます。
  147. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 同じ質問ですけれども警察庁の方からも御意見を承りたいと思います。
  148. 半田嘉弘

    ○半田説明員 ただいま建設省の方から御答弁ございましたが、警察と別のものをつくるというわけではございませんので、それぞれ持てる情報を一体化して有効なシステムの建設に努力してまいりたいと考えております。
  149. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 いろいろ質問させていただいたわけですが、私自身の感想としまして、今の日本のようにそもそも土地が狭くて異常に地価が高騰している状況では、道路整備といっても量的になかなか思うに任せないという点がありまして、他方、これだけモータリゼーションが進んできておりますので、どこかで総量規制的な考えを導入しないと、日本の自動車社会、このシステムというものは成り立っていかなくなるのではないかという感想を持っております。そこで、いわゆるレストリクテッドゾーンという考え方ですね。日本語に訳しますと自動車乗り入れ制限区域というような考え方だと思うのですが、これについてお考えをお聞きしたいと思っております。  この自動車乗り入れ制限区域の古典的な例は、一つ、ベネチアだと思います。イタリアのベネチアの場合ですと、自家用車はすべて町外れの大きな駐車場に駐車をさせられまして、町の中は運河が張りめぐらされておりまして、使える交通機関は水上バスとゴンドラだけ、公共輸送機関に限られております。陸でいえばバスとタクシーということになるのでしょうけれども、そういった交通システムを導入している。これは非常に古典的なケースだと思います。  また、アジアだとシンガポールがこういう考え方を取り入れておりまして、シンガポールの場合には、例えば都市部の交通混雑区域では朝の七時過ぎから十時過ぎごろまで、運転者を含め四人以上車に乗っていないと五ドルの課徴金を払わされる、こういうシステムになっておりまして、これがかなりの交通混雑の解消に効果を上げていると聞いておる次第です。  その具体的な実行においてはもちろんいろいろな要素を考えていかなければなりませんけれども、今後の日本の交通行政の中でこういったレストリクテッドゾーンという考え方を導入しなければならない時代が遠からず来るのではないかと私は考えておりまして、こういった考え方につきまして担当部局では恐らく検討はされていると思いますけれども、そういった検討の状況あるいは所感につきましてひとつお答えをいただければと思っております。これは総務庁になるのでしょうか。
  150. 徳宿恭男

    徳宿政府委員 ただいまの御指摘のようなレストリクテッドゾーンとかあるいはベネチア、シンガポール等で採用されている制度につきましては、将来の問題としてはもちろん十分検討に値する問題であると思いますけれども、現時点におきまして我が国で都市における渋滞ということが大きな問題になっておりますのは、東京、大阪、名古屋といった大都会でございますので、シンガポールとかベネチアといった都市とは都市の規模におきましてちょっと問題が違うような気がいたします。  それで、私どもといたしましては、そのような直接的な規制よりも、基本的には一方において道路交通の需要を軽減していく対策を総合的に進める、他方において道路交通の容量を増大する対策を進める、こういう二本立てにおいて円滑化対策を進めていくべきだというふうに考えております。  それで六十三年の七月に交通対策本部で「大都市における道路交通円滑化対策について」という決定をいたしました。この際学識経験者の方々からも御意見をいただいたところでございますが、このときの御意見でも、課徴金制度あるいはナンバー制等の規制は緊急的、臨時的なものであって、それからまた技術的にも困難な問題があるということで、それよりは他のでき得る対策をまずやるべきであるというのが大方の御意見でございました。そうしたところから、先ほど申し上げましたような道路交通の需要軽減対策、そしてまた一方において道路交通容量の増大対策という、二本の柱を中心といたしました交通対策本部の決定をいたしたところでございます。
  151. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 質疑時間が参りましたので最後にお聞きをしたいと思います。  交通安全対策というものは大変複雑な問題でございまして、多省庁に所管がまたがります。しかし、日本社会の大変重要な問題でございまして、ぜひとも関係者の御努力を一層お進め願いたいと思うわけでございますが、特に一番の中心的な総務庁リーダーシップをお願いしたいと思っております。  私自身交通問題を調べてみて感ずることは、今後、日本として発想をもう少し変えていく必要がある、これは私は特に三つの際ということを申し上げたい。  一つは省際という問題ですね。省庁の壁を取り払って全体像を把握していく省際という問題。次は学際。いろいろな学問領域の協力を仰ぎながら問題を分析し、より有効な対策を考えていく学際という問題。三つ目は国際。西独を初め、諸国のさまざまなすぐれたそういった制度等を十分に国際比較研究をしながらよいところは取り入れていく。こういった三つの際、省際、学際、国際という視点から、また総務庁ほか関係省庁が強いリーダーシップを持ってお進めをいただきたいと思っております。  最後に、所管大臣であられる総務庁長官に総合的な交通安全対策の促進につきまして、所見及び御決意をお願いしたいと思います。
  152. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 遠藤委員からただいまドイツの交通対策の例などを挙げられながら貴重な御意見を承りました、そして、何といっても、総合調整の機能を持つ総務庁総合調整の機能を発揮しなければならないというお話がございました。私もドイツの交通対策を二度ばかりテレビで拝見して、大変感慨無量なものがございました。今申されました省際、学際、国際、このような壁の問題、あるいは何といいますか、脱際の問題、これをひとつぜひとも克服して総合調整の力を発揮していきたい、こんなふうに思っておるところでございます。
  153. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 以上で質問を終わります。
  154. 片岡武司

    ○片岡委員長代理 次に、辻第一君。
  155. 辻第一

    ○辻(第)委員 さきに平成元年の交通安全白書が出されました。昭和四十五年に交通安全対策基本法が制定されてから二十年が経過をいたしました。白書もこの二十年間交通安全対策の総括を行っております。  しかし、今日の交通事故、殊に死者の状況というのは依然として深刻な状態を迎えておるわけでございます。昨年は一万一千人を超えました。このままではさらに増加をするのではないかという心配がされております。ここで新しい、積極的といいましょうか抜本的といいましょうか、きめの細かいといいましょうか、そういう対応がなければ大変な事態を迎えるのではないか、このように心配をいたします。この十九日にも交通遺児学生の会の代表が各党をお回りになったと思いますが、私どもの党本部も訪れまして車の安全性の向上などを要請されたところでございます。  そういう状況の中で、総合調整の適切な機能を持っていただいております総務庁の役割は本当に重大なものがあろうと思うわけでございます。そこで、ひとつ積極的な対応をしていただきたいというふうに思うのですが、総務庁長官の御所見を伺いたいと思います。
  156. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 この委員会でけさ来、総務庁に対する大きな激励をいただいてまいりました。交通事故非常事態宣言というような、私に言わせれば大変情けない状態、これを一刻も早く解消するように努力しなければならないと思いますし、それが総務庁の大きな役割だと思っているところでございます。  抜本的な対策という言葉はなかなか難しいかもわかりませんけれども、一昨年以来ともかくもこの事態に対応するために三つばかりの方策、交通事故防止に関する緊急総合対策、高齢者の交通安全総合対策、二輪車の交通事故防止に関する総合対策、このような原因対応するような対策を立てて、今鋭意各省庁と協力しながらその実効を上げるべく努めておるところでございます。今なお抜本対策が足りないという御意見であろうかと思うのでございますけれども、私は、このような問題は、まさしく車社会の大変な中でございますから、粘り強く、そして常に世論を喚起しながらあるいは世論の注目を浴びながらこれを強力に進め、また時には刺激となるような緊急対策も講じながら進めるべきである、こんなふうに考えているところでございます。
  157. 辻第一

    ○辻(第)委員 深刻な事態でございますので本当に十分な御対応をいただきたい、重ねてお願いをいたします。  交通事故をなくすことも極めて大事なんですが、不幸にして交通事故に遭われたときにいかに命を救うか、さらに言えば負傷された方をいかに悪化しないように連れていくのか、緊急の体制が極めて重大な課題だと思います。この点に関連をして、私はさきに予算委員会の分科会でいわゆるドクターズヘリコプターの問題でお尋ねをしたわけでございますが、もう一つ重要な課題は、やはり救急車に係る問題、いわゆるドクターズカーという問題でもあろうと思うわけでございます。  日本は、医学医療は非常に進歩したなというふうに思っております。それから救急医療の体制も、例えば救命救急センターは今全国で百を超えるということにもなりました。また、消防庁を中心とした救急隊でいいますと、これは四十五年に千百六十一の救急隊だったのが平成元年は三千九百九十五、三・四倍。また、隊員では四十五年に一万二千七百七十一人が四万六千九百二十五人、三・七倍ですね。また救急車は、四十五年に一千二百八十六台が今四千五百二十一台、三・五倍になった。そういう救急体制が非常に飛躍的に充実をしたな、このような思いもございます。しかし、このような世界的にもすぐれた医学医療あるいは救急体制ではありますが、先ほど来お話がありましたが、いかに早く診断をし治療をし救護をするか、こういうことですね。プレホスピタルケア、病院前救護という点で見てまいりますと、やはりまだまだ問題があるのではないかということでございます。そういうことで、先般私はドクターズヘリコプターの問題を取り上げたわけですが、きょうは、いわゆるドクターズカーの問題を中心にお尋ねをいたしたいと思います。  最近、幾つかの報告が出されております。六月十一日には総務庁交通安全対策に関する懇談会報告というのが長官あてに出されているようでございます。その中の「緊急時における救助・救急について」の項で「救急車への医師同乗システムの推進、救急隊員による処置の充実」、こういうことが載っているわけでございます。さらにヘリコプターの活用も挙げております。また、東京消防庁救急業務懇話会が四月に出された救急業務に関する答申にもプレホスピタルケアの充実が掲げられております。ことし三月に財団法人消防科学総合センターが消防機関におけるドクターズカーの導入及び管理運営に関する調査研究委員会報告書を出されております。ドクターズカーの必要性を指摘しているところでございます。厚生省も今検討会を開いて積極的に御検討いただいている、また消防庁もいろいろと積極的な御検討をいただいているということであります。  さて、そういう状況の中で総務庁行政監察局が交通安全対策に関する実態調査をやり、その結果と勧告を発表されております。そこで、ドクターズカーについてどのように勧告をされておるのかお尋ねします。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 鈴木昭雄

    ○鈴木(昭)政府委員 今御指摘にもございましたが、交通事故による死者を減少させるためには、事故の発生を未然に防止するということはもちろんでございますが、あわせて、事故発生直後における迅速適切な救命救急活動、これが非常に重要なことだと思って、私どもといたしましては、その点いろいろ勧告したところでございます。現在、厚生省、消防庁におきましては、先生のおっしゃるいわゆるドクターズカーないしはドクターカー、この導入を図っておられるところでございますが、私ども調査結果によりますと、現実事故の現場へ出る回数が今の段階でまだ極めて少ないという状況等も見られましたので、今後ドクターズカーを十分活用するように、そういう意味合いにおきまして、厚生省、自治省に対してその活用等について勧告したところでございます。
  159. 辻第一

    ○辻(第)委員 厚生省、消防庁は既に昭和五十二年あるいは五十三年からドクターズカーの普及を推進されているということであります。消防庁、厚生省にお伺いいたしますが、現在ドクターズカーは全国でどれだけ運用されているのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  160. 澤宏紀

    ○澤説明員 厚生省におきましては、救急患者に対しまして早期に医療処置を施し救命率を高める上で有効であるという考えから、昭和五十二年度より第三次救急医療施設であります救命救急センター、これは重篤の脳卒中、心筋梗塞あるいは頭部外傷のような方を対象にした救命救急センターに、患者監視装置等の医療機械を搭載し、医師、看護婦が同乗するドクターズカーの整備を推進しているところでございます。現在、救命救急センター百四カ所ございます中で、三十カ所に整備されているわけでございます。  この活用状況は、確かに先生指摘いただきますように不十分な面もございますけれども、救命救急センターのドクターズカーは主に患者の病院間搬送、患者さんがまず最寄りの医療機関に搬送され、そこで応急の処置をしていただいた後、その病院からさらに高度の病院に搬送するような場合に使われるというようなことでございますけれども、病院間搬送が主であるわけでございます。しかし、救命率を高める上でドクターズカーの活用は有効であると考えますので、今後より一層の整備を図っていくようにしたいと考えているわけでございます。
  161. 飯田志農夫

    ○飯田説明員 消防の救急自動車によります医師同乗のドクターカーの状況でございますが、現在全国で九百三十一本部の消防本部がございますが、そのうち六本部でシステムとして運営されております。平成元年度中の医師の搭乗による出場件数は百六十三件、うち交通事故への出場は二十二件となっております。
  162. 辻第一

    ○辻(第)委員 厚生省としては活用が十分ではないのではないかというようなことでありましたし、全国的に見てみますと、ドクターズカーはやっておられるところが非常に少ないですね。総務庁行政監察局の報告では、六消防本部で百六十三件出場し、交通事故関係は二十二件だというふうに認識をしております。また、昭和六十二年の消防科学総合センターの調査では、救命救急センターが運営しているものが二十八医療機関で、交通事故現場の出場は六件のみということであります。救急車の果たす役割は交通事故だけでないのはよく存じているのですが、交通事故関係の出場が少ないなというのは否めない私の実感でございます。もっと交通事故への活用の推進を図る必要があるのではないかと思うのですが、時間がありませんので、ひとつ消防庁お答えいただけますか。
  163. 飯田志農夫

    ○飯田説明員 ただいま御指摘のように六消防本部にすぎないわけで、出動件数も多いという状況にはございません。  ドクターカーにつきましては、今お話に出ましたようなことで、医療機関等の専門家によります調査研究委員会報告において、収容までに長時間を要する山村や面積広大な過疎地域等においては、ドクターカーの運用システムによる効果が非常に期待できる、地域の実情に適したシステムを確立しておくメリットが高いとされているわけでございます。一方、都市的な地域においては、一般的に消防機関の救急車による時間短縮と隊員の適切な応急処置技術の向上を図る方が傷病者の救命にとって効果的であると考えられるとされているのですが、早期に緊急医療処置を必要とする事案もございますので、ドクターカー運営システムを確立しておくことがまた望ましいとされているわけでございます。  しかし、消防機関がドクターカーを導入することについては、二十四時間体制で出動可能な医師を確保することが現実には非常に困難な事情にございまして、これをただいま全国一律に展開するということには限界があるわけでございます。地域の実情を十分に勘案して、地域特性に即した運営を行うことが重要であろう、このように考えている次第でございます。
  164. 辻第一

    ○辻(第)委員 消防科学総合センターの報告書を見てまいりましても、ドクターカーの運営に関しては、医師の確保の問題、あるいは特殊救急車か一般救急車が、対応する傷病、経費、医師と消防機関の責任の範囲など、いろいろと深めるべき課題が多いというふうに感じておりますが、一般型を使った西宮市では十年間、特殊型を使った松本市などでも五年間の経験がございます。  ドクターカー全体を見て、先ほどお話がありました九百三十一消防本部中六本部ではやはり余りにも少ないのではないか。また、救命救急センターは全国百四カ所で、ドクターズカーを運用しているのは三十カ所ですね。これも少ないのではないかな。推進を始めてもう十年が過ぎているわけでございます。総務庁の勧告もございました。今日の交通事故の深刻な事態の中で、積極的に具体的に推進をすべきときが来ているのではないか、このように感ずるわけでございます。重なるようでありますが、厚生省と消防庁の御所見を伺いたいと思います。
  165. 澤宏紀

    ○澤説明員 ドクターズカーの現場出場について、救急患者に医療処置を施し救命率を高める上で有効ということは申し上げたところでございます。交通事故の患者さんに対しまして救急現場あるいは搬送途上での医療の確保充実が求められているわけでございますけれども先生冒頭触れていただきましたが、厚生省の方でも救急医療体制検討会を設けまして、特に現場、搬送途上の医療につきましては、検討会で小委員会を設けまして鋭意御検討いただくようにしておるところでございまして、それを受けて対策を考えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
  166. 飯田志農夫

    ○飯田説明員 ドクターカーの導入は、地域の実情等が十分配慮されれば救命率の向上で非常に効果があると考えております。先ほどもお答えしましたが、この導入につきましては、二十四時間体制で出動可能な医師の確保が現実に非常に困難であるということから、現在全国一律の展開は限界があるというふうに思っておるわけでございますが、消防庁としては地域の実情を十分に勘案し、地域特性に即した運営を行うことが重要である。特に、地元医師会、医療機関等の協力を確保することが不可欠でございますので、こうした点を配慮して効果的な運営が行われるように今後とも指導してまいる考えでございます。  今般、救命率向上を図る必要があるという共通認識のもとに、厚生省との間に密接な連絡をとる連絡協議機関をつくりましたので、この協議機関において、総務庁の勧告を踏まえましてこういったことについて具体的に協議してまいりたいと考えております。
  167. 辻第一

    ○辻(第)委員 一般的に言えばいろいろ難しい問題がたくさんあろうかと思います。しかし、この時期であります。ひとつ積極的にその隘路を打開して前進をしていただきたい、重ねてお願いをいたします。  この総務庁行監局の勧告の中には「近年の医療機器の発達の動向等を踏まえ、救急隊員の行う応急処置の範囲の見直しが強く要請されている。」こういう状況指摘をし、そして「救急隊員の行う応急処置の範囲の見直し」ということを勧告をされておるということでしょうか、その点について、厚生省と消防庁はどのように御対応されようとしておるのか、お尋ねをいたします。
  168. 澤宏紀

    ○澤説明員 救急現場あるいは搬送途上の医療、応急手当ての充実のためには幾つかの方策が考えられると思うわけでございます。  一つは、先ほど先生ずっと御指摘いただいております医師の救急車への同乗システム、ドクターズカーの普及、あるいは医師が困難でございますれば看護婦の免許を持たれた看護士と申しますか、そのような専門職種の方々の救急車への同乗システムとか、それから先ほど御指摘されました救急隊員の応急処置の範囲の拡大、それに見合った隊員の資質向上、また現場で患者さんがどのような状態になっておられるのか診断する必要もあろうかと思いますけれども、そのためには医師の判断を現場に届けるようなシステムも考えられるんじゃないかとか、また搬送に至る前の傷病の発生現場での救急処置の充実を図るために、一番短時間にそこに遭遇される機会の多い一般市民の方に対する救急法の教育研修、さまざまな方策があろうかと思いますけれども、先ほど申しましたが、厚生省におきましてもその救急の検討会でその辺を御検討いただいて、消防庁の方とも連絡をとりながらその辺検討していきたい、そういうように思うわけでございます。
  169. 飯田志農夫

    ○飯田説明員 消防による救急、年間二百五十万人の傷病者を搬送しまして人命救助を任務としているところでございますが、一番の課題が救命率を高めることであると考えております。その方策として、救急隊員の能力の向上による応急処置の高度化、あるいは医師の協力を得て運行するドクターカー、先生の提唱されております救急業務へのヘリコプターのより一層の活用など、さまざまなものが考えられるわけでございます。  消防庁といたしましては、ドクターカーの運営につきましては、先ほどから答弁させていただいておりますように効果的な方策でありますが、この方策の実現には二十四時間体制の出動可能な専門医師の確保が困難であるというような事情もございまして、全国的に展開することには限界がある、こういうことで、現実的な方策として救急隊員の能力の向上による応急処置の高度化が必要と考えているわけでございます。このために先日厚生省との間に設けました救急対策連絡協議会において十分検討しつつ、アメリカのパラメディック制度等を念頭に置きながら、具体的内容について消防庁長官の諮問機関でございます救急業務研究会にも検討をお願いしたいと考えているわけでございます。
  170. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が参りました。終わります。
  171. 権藤恒夫

    権藤委員長 次に、和田一仁君。
  172. 和田一仁

    ○和田(一)委員 きょうは、総務、建設両大臣への御質問が許されまして、私で最後でございますので、よろしくお願いしたいと思います。  初めに、最近の交通事情というものは大変飛躍的な交通量の増大がございます。それは、何といっても経済活動が非常に活性化されている、それから国民生活の生活態様というものも今までと大分変わってきて、二十四時間型の生活態様になってまいりました。それにまた交通の中身として、トラック、乗用車、トレーラーあるいはバン、バイクというように非常に多種類の交通機関が走るというようなことで、道路事情も交通の実態も非常に変わってきていると思うのですが、加えて車その他を動かす人たちも、今までのように男性の専門の方というよりも国民全体が、つまり女性も高齢者もというように非常に多様化してまいりました。そういうことのために生じる交通災害あるいは事故、こういうものは非常に増大してまいりまして、そのために非常事態宣言というものも発せられるような事態になったと思うわけであります。  先ほど来もう何回も聞いてはおるのですけれども、こういう事態を踏まえて、長官の所信表明を伺っておりましても、大変重大にこの問題への対処、決意のほどがあるわけです。基本計画、これがいよいよもう一回出さなければならない時期に来ておりますけれども、新しい基本計画策定するに当たって、長官として、どういう目標を立てたい、今一万を超えた交通事故死を具体的に半分にしたいというような目標を置かれるのか、そういう新しい基本計画策定の柱になるものをどんなふうにお考えになっているか、相当強い意欲を持って臨まれていることはわかるのですが、できれば具体的な御決意を伺いたいと思います。
  173. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 今現在作業を進めているところであるようでございます。これまで苦労いたしまして総務庁の交通対策室で鋭意作業を進めておるところでございますが、死亡者の目標値をつくるというようなことはまだなかなか容易ではない。また死亡者の数もどんなに言おうとも、私はゼロにするのが目標になるくらいなところであろうかと思いますが、それもまた現実性がないということになりましょう。これらの問題はひとつどのように考えたらいいか、和田委員の御提言もございますので、私どもとしてはもう本当に非常事態宣言を出さざるを得なくなった最近の基本計画でございますので、意図されるところの御意見など、十分その精神が盛り込まれる方向で考えてみたいと思っているところでございます。
  174. 和田一仁

    ○和田(一)委員 今まで出された基本計画の中には、とにかく四十五年の交通事故死が一万六千を超えるような大量な事故死、こういう数字を踏まえて、最初に基本法ができたときに目標をぽんと出しましたね。その目標を何としても達成しようという努力が、あの統計に見るように死亡者数が半減していったというところにつながると思うので、今一万を超えて大変な、また逆にふえつつあるということを踏まえた新しい対策には、やはりそういった一つの目標値を置いて頑張っていこう、もちろんゼロがベストです、しかし、とにかく五年の間にこうやろうとか三年の間にこうやろうというものが欲しいと思うわけなんです。長官交通対策本部長として、各省庁にわたって総合的に交通安全対策のためになすべきことがある、それも各省庁の分野を統合してその安全のための具体的な方策を推進していただく立場ですから、そういう意味で非常に大事なお立場にあると思うのです。  一つちょっとお聞きしたいのは、長官になられて、五月ですか、四月の末ですね、北海道根室に行かれて記者会見されております。そのときに、とにかく交通事故、渋滞を何とかしなきゃならぬという決意の中で、今日本には五千万台からの車がある、その車一台当たりに年間千円新しい課税をすれば五百億の税収になる、年間千円といえばコーヒー代三杯ぐらいですからわずかなことですが、それを一台当たりに課税すれば五百億の税収になる、これを財源に交通安全対策やら渋滞の解消に役立てることはできないかを検討しているのだという御発言が新聞で伝わっております。交通安全対策に関する懇談会やらあるいは自民党の税調等にも自分はこの議論をしてもらいたいと思っているということでございまして、総合的な取り組みが必要だという御認識の中でこれからいろいろお聞きしてまいりますが、公共の駐車場の設備であるとか国道の地下を利用するとか、そういうことも大臣は触れておられるようですが、そういう思い切った手を打っていくためには財源が必要だということの発言だと思うのですね。どういうかけ方をするかわかりませんが、ここの新聞によれば、LPガス税や重量税などの見直しをしてそういう税収を考えている、こういうことでございました。  私は、一台千円というのが高いか安いかは別として、今大臣がゼロが本来は目標なんだとおっしゃいました。事故死なんというものは何千というような具体的な数字よりむしろゼロがいいんだ、これは本当にそのとおりです。それで、もしゼロに少しでも近づけるためにこれを活用していけるということであれば、私は単価としては決して高いとは思わない。しかし、一台当たり千円というものを税として取るということになると、これはまた一つ議論が出てくるわけなんです。こういう御発言に対して今長官としてどのようなお考えがあるか、これをお聞かせいただきたい。
  175. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 北方領土の視察に参りましたときに、私がアイデアとして申し上げたことがあのような形で新聞に報道されたわけでございます。これは何と申しますか、私がこうしろということじゃなくして、このような方向での研究はできないかというような一つのアイデアでございます。  なぜかと申しますと、実は私は長らく大蔵省の主税局におりまして、昭和二十九年にガソリン税を目的税にしたときの担当課長でございました。そしてまた、LPガス税をつくったときも私は主税局長でございました。それから、四十六年に道路調査会の財源小委員として、自動車重量税の新規課税のときにも参画させていただきました経験があるものですから、私は一つの例えで、とにかく財源が必要であろう、それは財源が必要ならばこういうことをすれば調達ができるじゃないか、特に一般財源よりもむしろこれは自動車の保有者が受益者負担として、何と申しますか、車庫といいますか駐車場にしてもあるいは安全施設にしても負担するのが現在の財政事情のもとでは私は仕方ないことではなかろうか、こういうふうに考えたわけでございます。ただし、増税しろという意味よりも、例えば千円取るならば今の税金の中でこのように上がってくるということも考えられると私は考えておったわけでございますから、そういう財源の回し方を考えてでも、この危機を切り抜けたいという気持ちをあらわしたわけでございます。  何もほかの方法で財源が調達できるのなら、それでも結構でございますし、そしてまた、今自動車重量税にしてもガソリン税にしても、道路整備の財源になっておりますので、これを単に、何と申しますか、安全対策のために税金を動かすというようなことはなかなか困難であろう、いずれまた第十一次の道路整備計画などができる際には、この財源問題が考えられるから、その際にはどの程度のガソリンの消費が伸び、あるいは自動車の保有台数がふえているかによると思うのでございますが、その際にもひとつ検討してもらえるのではなかろうか、こんな意味も兼ねてアイデアとして申し上げたわけでございます。これをこうしなければならないというふうな意味で申したつもりではありません。しかし、財源問題は大事であるという認識は持っておりますし、それはやはり現在の非常事態宣言が出るような状態のもとでは、私は自動車の保有者がこれを負担してもしかるべきではないか、こんな考え方を持ったものですから申したつもりでございます。
  176. 和田一仁

    ○和田(一)委員 かつてのLPガス税あるいは重量税をつくられるころの担当の大臣なだけに、そういうことを重々おわかりの発言だと思っておりましたので、特にお聞きしたわけでございますが、今公共投資増大の大きな要請もあって、巷間伝わるところでは、これから大変な公共投資が行われていく趨勢にあります。そういうことも絡めながらこの財源の問題というのはお考えをいただくべきものだ、私はこんなふうに思っております。  それで、時間がたくさんはございませんので、ちょっと具体的なことを聞きたいわけなんですが、昔は車と人との事故というのは非常に大きくあったし、悲惨な事故の典型でございましたが、最近はむしろ車と車の事故に変わってきている。車も人も自転車もという混合の道路、いわゆる生活道路の整備というのは一生懸命やっていただいて、安全施設も比較的進んできていると思うのですね。そういうところでも事故がなくなったわけではありませんけれども、今非常に心配なのは、高速道路がどんどん広がってきている、そういう中で起きてくる事故というのを見ると、悲惨な、そうして大きい事故が多いということを頭に置いてちょっとお尋ねしたいのです。  先ほど来も言われております懇談会の報告、こういう中にも指摘されております。要するに、人と車という関係より車と軍の関係、特に高速道路というようなことになってくると、やはり運転者の技術の問題やら安全に対する認識の問題やら経験やら、こういうことが非常に大事になってくると思うのですね。  それで、懇談会も指摘している一つに、高速道路運転技術というものを今免許証取得の過程では義務づけてはいない。先ほどもお話がありましたが、任意に、高速道路を利用できるような教習所は希望があればそういうところへ行ってやる、こういう程度のことのようですが、これは私は、高速道路のマナーというか技術をもう少しきちっと習得させていかないといけないと思うのです。  そのために、今運転免許を取るときに、時間的な制約やら何やらありますけれども高速道路を実際に使って教習を受けることが可能な方はいいです、それはやっているようですから。ただ、それは事例としてまだ全部ではない。そうなれば、今シミュレーションというのが非常に発達していますから、飛行機のパイロットもシミュレーションでどんどんやるし、宇宙飛行士だってシミュレーターで技術習得をやるわけですから、教習所に高速道路用のそういうシミュレーターを置いてもらって、必ずそれで教習を受けるというような方向を考えてもらいたいというのが一つございます。現実にそんなことはとてもできないのかどうか、私はそんなに難しいことではないと思うのです。  それからもう一つ、例えば教習所は、大体昼間行って教習を受ける、そして夜は夜であるかもしれませんが、雨が降ったときでも、別に滑った経験というのはまず教えてもらえない。ところが、高速道路に入る、わだち掘れに水はたまっている、相当のスピードで走っている、ちょんとブレーキを踏んだら片方はスリップして、スキッドしたとかスピンに入ったとかいうような怖い体験はやってみないととてもわからないですけれども、そんなスピンまでは無理にしても、少なくとも教習所の中で、滑るというのはこういうことだよというような体験ができるような施設もそうお金はかからないと私は思う。  あの谷田部へ行ってみても、普通の道路の横にもう一つ、ビニールを敷いたような滑りやすいところに水をまけば、そこへ半分ずつ入っていってぽんとブレーキを踏むとしゅうっと滑る、あの大きいトラックがもう真横になるぐらいに滑る。そのくらいの施設は直線百メートルぐらいの教習所の中にでもつくってできないことはない。完全にスピンするような施設は難しいかもしれぬけれども、ああ、滑るというのは、ノーハンドルというのはこんなものだということぐらいまで体験できるような教習課程が必要じゃないのかという感じがするのです。要するに、車対車の事故がふえてきて、高速道路化の現状の中でそういう発想はあるのかないのか、これを伺いたいのです。
  177. 半田嘉弘

    ○半田説明員 現在の教習制度につきましては今御指摘いただいたとおりでございます。いろいろ交通状況は変わり、あるいは事故実態を踏まえまして教習の中身もそれに合わせて変えていかなければならぬということは、これまた御指摘のとおりでございます。  高速の点につきましても今お述べいただいたとおりでありますが、またスピンの問題も踏まえまして必要な教習をどこまで義務づけるかということにつきましてはなかなか難しい問題がございますけれども、同時にまた、そういうものの必要性が高まってきておることも事実でございます。現在のところ、その辺は一応施設のあるところについて任意でできるものについてやっていこうということでやっておりますが、将来を踏まえまして、さらに義務づけをどの程度までやるかということについては検討を進めてまいりたいと思います。  それから、シミュレーターにつきましても、かなり値段の張るものではございますが、まだ具体的に開発はできておりませんけれども、間もなくできるような雰囲気でもございますので、そういうものの普及にも努めてまいりたいというふうに考えております。
  178. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私は、よく若い人の車に乗せてもらうときに、十五キロ、今十五キロ制限というのは余りないけれども、三十キロぐらいの制限の道路へ入ったらもう絶対に三十キロで走れ、三十キロと指定してあるところは道路環境、交通環境が危険だから三十キロに制限されているのだ、しかし、百キロ道路へ入ったら八十キロでは走るな、かえって危ないぞ、この道路は百キロの設計をしてあるのだ、百キロで走っても大丈夫な設計をしてある道路ならそれは百キロでよろしい、リミットが百キロとなっているのだから八十キロで走るなよというぐらいの逆な言い方をしているのです。  というのは、道路環境が整備されておるところはそれなりの技術さえあれば行く、むしろ逆だと非常に危ない。流れの中に入っていればいいものが、流れにおくれた車が一台あると非常に泡食って、それを追い越さなければならない、車線変更しなければならない、そういうことも出てくるので、それなりの技術が必要だと思うのです。逆に三十キロとか十五キロとか制限されておるところは絶対に出してはいかぬ、ここを十キロオーバーしたら大変だよ、それよりむしろ下で走れと言うくらいに、私は道路標識というものはそれなりにきちっとできておると思うのです。したがって、シミュレーターみたいなもので体験できる、いかに自分がのろのろ走っていたら危ないか、他人に迷惑をかけておるのかということがわかるような体験をさせないと、高速道路というのは特殊な環境なんだということがなかなかわかってこないと思うので、これはぜひ進めていただきたいと思います。  それからもう一つ、さっき申し上げたドライバーの高齢化もあるのです。先ほど御質問いたしまして、免許書きかえのときにそういう適性を含めていろいろ再教育していただけるということでしたが、私が聞きたいのはプロのドライバーです。  この間私はタクシーに乗ったのです。個人タクシーでしたけれども、相当のお年寄りの方でした。年を聞いたら私と大体同年代です。どれくらいまでやるのと言ったら、まだまだやりますよと言っておりました。私も自分で車を運転して、まだまだやれるとは思っております。しかし、お仲間で一番年が行っておる個人タクシーの方はどれくらいですかと言ったら、八十を超えておる人がおりますよと言うのです。これは御存じですね。それも、六十五歳が高齢者であれば、六十五歳以上のプロドライバーというのが東京都内で三けた以上おると言うのです。皆さんプロですからそれなりに慎重にやっておられると思いますが、これは本人が自発的に私は仕事をやめようと言うまではいいのでしょうか。それぞれ大変危険な仕事をしておるのですから、自分で自信があるうちはおやりになるのだろうと思いますけれども、そのチェックというのは全くないのかどうか。  例えば、バスとか観光バスのドライバーは健康チェックもどんどんやっておりまして、管理者としては睡眠時間がどうだったかとか、健康管理というものもあって、脳卒中なんかをハンドル中に起こさないようにちゃんとチェックがしてありますが、この個人タクシーというのはそういうふうにちゃんとチェックしておるのでしょうか。きょうは運輸省の方をお呼びしていなかったので無理かなと思うのですが、その辺が気になるのです。警察庁の方、どうでしょうか。
  179. 半田嘉弘

    ○半田説明員 免許を一律に年齢でどうこうするというのは、もちろん個人差がございますので大変難しいと思いますし、警察庁としては今のところそれに対して特別に措置をとっておりませんので、将来の問題として検討させていただきたいと思います。
  180. 和田一仁

    ○和田(一)委員 もう時間がないのですが、今までは安全のために私はお話をしてまいりましたけれども、今度は事故が起きたときの救急の問題です。  私はこの前もこの委員会質問して、ドイツではDVRみたいな組織があって、交通安全のための事故究明をやる、事故原因の解明をどんどんやる、そしてその対応をして減らしていく、非常に機能的に動いております。縦割りでなしにそういうことがやっていける。そして救急体制についてもこの前お聞きしたのですが、縦割りのためになかなかうまくいかないところもあるようなんですが、私はきょうはそういうことは十分おわかりだから聞きません。  そうでなくて、今事故が起きた、そして道路の上に交通災害者が倒れておる、だれも手をつけられない、つけようにも何にもない、加害者はそこに茫然として青い顔して立っているだけ、早く救急車が来ないかなというだけ。そうではなくて、西ドイツのように、車というものには必ず救急箱というのですか、応急手当てを必要とするそういうファーストエイド・キットというのですか、こういうものを設置していれば、それをぽんと出して、たまたま心得のある人がおればすぐ手当てができる、あるいはドライバーも免許証を取得するときには応急手当てというのはこの辺まではやれるということをどこかで教育しておくということも大事だと思うのです。  私は人道上、自転車に乗った人をぽんと倒した、動けないでいる、それを何もせずにそのまま置いておくというのは本当にお気の毒で見ていられないような感じがするのです。そうでなく、何かそういうものを置いて、免許証を取るときには応急手当てをこの辺まではやれるのですよ、これはもう資格がなくてもやって結構ですというようなもの。それから、消防庁で今一生懸命活動してもらっています救急隊の隊員、この人たちは訓練されているのですから、その上にもう一つ資格をつけて、応急手当てができる資格とその設備をすべきではないか。ドクターが乗ればベストです。しかしなかなかそこまでいかなければ、まずそういう体制をつくっていっていただきたい。厚生省の方のはドクターズカー、これはドクターが救命のために飛んでいくための車ですが、消防庁の方はそれはそうではなくて運ぶための車だけであるというのではなくて、そこでも応急手当てができるという方策を一日も早く確立していただきたいのです。これは総合官庁の総務庁長官がやろうじゃないかと言って、各省庁のいろいろな垣根を越えて努力していただけばできることだと思うのですが、いかがでしょうか。
  181. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 もうけさ来、交通対策全般にわたりまして、総務庁総合調整の機能について叱咤激励のお言葉をいただきまして、非常に感激しているところでございます。  今の救急医療体制の問題は、もう先ほど来お聞きのとおり、消防庁そしてまた厚生省が努力しているところですけれども、私は単に権限の問題でなくして、予算や医師の確保とかいろいろな問題があるように思うのでございます。総合調整の機能ももちろん私ども力を入れなければなりませんけれども、各省の御努力をさらに願うとともに、今申されました総合調整の機能につきましては、ひとつなお一層の努力を払っていきたいと思っております。
  182. 和田一仁

    ○和田(一)委員 建設省道路局の方と名刺交換しましたら、かわいいマークがついておりまして、何と聞いたら、これはハンミョウと言うんだ、ハンミョウって何だか知らなかったので聞いたら、ちっちゃい虫で、この虫は道しるべみたいに道に沿って飛ぶ習性があるそうでございまして、お役所としては大変いいアイデアのシンボルマークをおつくりになったなと思っておるのです。  建設大臣、どうぞひとつ大臣もハンミョウみたいに道路に沿って飛んでいただいて、道路行政は交通安全にも非常に関係が深いので、駐車場の設置等を含めましてきょうはいろいろお聞きしたかったのですが、時間が来ましたので終わらせていただきます。またの機会にひとつ御意見を伺いたいと思います。ありがとうございました。      ────◇─────
  183. 権藤恒夫

    権藤委員長 この際、御報告申し上げます。  本会期中、当委員会に参考送付されました陳情書は、交通安全対策の推進に関する陳情書外二件であります。      ────◇─────
  184. 権藤恒夫

    権藤委員長 次に閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。  交通安全対策に関する件につきまして、閉会中もなお審査を行いたい旨、議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 権藤恒夫

    権藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合、今国会設置いたしました自転車駐車場整備等に関する小委員会は、閉会中も引き続きこれを存置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 権藤恒夫

    権藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、小委員及び小委員長辞任の許可並びにその補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 権藤恒夫

    権藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査におきまして、委員会及び小委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 権藤恒夫

    権藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、その派遣地、派遣期間、派遣委員の人選等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 権藤恒夫

    権藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会