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1990-06-14 第118回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二年六月十四日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 渡辺 栄一君    理事 志賀  節君 理事 中尾 栄一君    理事 藤井 裕久君 理事 新村 勝雄君    理事 時崎 雄司君 理事 春田 重昭君       衛藤 晟一君    粕谷  茂君       前田  正君    小川 国彦君       長谷百合子君    寺前  巖君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 坂本三十次君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 北川 石松君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  荒田  建君         内閣官房内閣情         報調査室長   森田 雄二君         宮内庁次長   宮尾  盤君         皇室経済主管  永岡 祿朗君         環境庁長官官房         長       渡辺  修君         環境庁長官官房         会計課長    梅沢  泉君         環境庁企画調整         局長      安原  正君         環境庁大気保全         局長      古市 圭治君         環境庁水質保全         局長      安橋 隆雄君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  平沢 勝栄君         科学技術庁原子         力局原子力研究         推進調整官   國谷  実君         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全調査室長  鈴木 治夫君         科学技術庁原子         力安全局放射線         安全課長    吉田 哲彦君         大蔵省主計局司         計課長     設楽 岩久君         大蔵省主計局主         計企画官    原口 恒和君         文部大臣官房人         事課長     岡村  豊君         文部省高等教育         局医学教育課長 小林 敬治君         厚生省生活衛生         局企画課生活化         学安全対策室長 土井  脩君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 難波  江君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   藤原 正弘君         厚生省生活衛生         局水道環境部産         業廃棄物対策室         長       三本木 徹君         厚生省保険局医         療課長     小林 秀資君         通商産業省立地         公害局公害防止         課長      石海 行雄君         通商産業省基礎         産業局化学品安         全課長     橋本 正義君         建設省道路局国         道第一課長   藤田 忠夫君         会計検査院事務         総局第一局長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局第二局長  澤井  泰君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十二年度政府関係機関決算書  昭和六十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十二年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和六十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十三年度政府関係機関決算書  昭和六十三年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十三年度国有財産無償貸付状況計算書  〔内閣所管総理府所管総理本府等、環境庁)〕      ────◇─────
  2. 渡辺栄一

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  昭和六十二年度決算外二件及び昭和六十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、内閣所管総理府所管総理本府等及び環境庁について審査を行います。  この際、坂本国務大臣及び北川国務大臣概要説明会計検査院検査概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡辺栄一

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十二年度内閣所管一般会計歳入歳出決算概要説明                   内 閣  昭和六十二年度における内閣所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  内閣主管歳入につきまして、歳入予算額は、二千二百四十八万円余でありまして、これを収納済歳入額六千七万円余に比較いたしますと、三千七百五十九万円余の増加となっております。  次に、内閣所管歳出につきまして、歳出予算現額は、百二十二億七千八百八十二万円余でありまして、これを支出済歳出額百二十億七千五百九十八万円余に比較いたしますと、二億二百八十三万円余の差額を生じますが、これは人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。    昭和六十三年度内閣所管一般会計歳入歳出決算概要説明                   内 閣  昭和六十三年度における内閣所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  内閣主管歳入につきまして、歳入予算額は、二千五百三十万円余でありまして、これを収納済歳入額六千五百九万円余に比較いたしますと、三千九百七十九万円余の増加となっております。  次に、内閣所管歳出につきまして、歳出予算現額は、百二十四億七千四百九十五万円余でありまして、これを支出済歳出額百二十二億六千三百万円余に比較いたしますと、二億一千百九十五万円余の差額を生じますが、これは人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであ ります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十二年度決算内閣についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十二年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。    昭和六十三年度決算内閣についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十三年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十二年度総理府所管一般会計歳入歳出決算概要説明                   総理府  昭和六十二年度における総理府所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府主管歳入につきまして、歳入予算額は、二百九十一億六千六百七十二万円余でありまして、これを収納済歳入額二百六十三億三千二十万円余に比較いたしますと、二十八億三千六百五十一万円余の減少となっております。  次に、総理府所管歳出につきまして、歳出予算現額は、六兆八千九百六十億八千五百七十七万円余でありまして、支出済歳出額は、六兆七千五百六十九億八千百六十九万円余であります。  この支出済歳出額歳出予算現額に比較いたしますと、一千三百九十一億四百八万円余の差額を生じます。  この差額のうち翌年度繰越額は、八百六十四億八千三百二十五万円余であり、不用額は、五百二十六億二千八十二万円余であります。  総理府所管歳出決算のうち、警察庁総務庁北海道開発庁防衛庁経済企画庁科学技術庁環境庁沖縄開発庁及び国土庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、総理府本府、公正取引委員会公害等調整委員会及び宮内庁関係について申し上げますと、歳出予算現額は、三百九十九億五千六百七十一万円余でありまして、これを支出済歳出額三百九十七億三百八十二万円余に比較いたしますと、二億五千二百八十九万円余の差額を生じますが、これは物件費等必要額予定を下回ったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。    昭和六十三年度総理府所管一般会計歳入歳出決算概要説明                   総理府  昭和六十三年度における総理府所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府主管歳入につきまして、歳入予算額は、二百九十二億四千九百四十五万円余でありまして、これを収納済歳入額二百七十七億二千四百六十三万円余に比較いたしますと、十五億二千四百八十二万円余の減少となっております。  次に、総理府所管歳出につきまして、歳出予算現額は、七兆百十四億七千九百十六万円余でありまして、支出済歳出額は、六兆八千六百十億二千九百四十二万円余であります。  この支出済歳出額歳出予算現額に比較いたしますと、一千五百四億四千九百七十三万円余の差額を生じます。  この差額のうち翌年度繰越額は、一千十九億四千六百六十二万円余であり、不用額は、四百八十五億三百十一万円余であります。  総理府所管歳出決算のうち、警察庁総務庁北海道開発庁防衛庁経済企画庁科学技術庁環境庁沖縄開発庁及び国土庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、総理府本府、公正取引委員会公害等調整委員会及び宮内庁関係について申し上げますと、歳出予算現額は、四百六十八億四千六百九十七万円余でありまして、これを支出済歳出額四百六十二億二百二十一万円余に比較いたしますと、六億四千四百七十六万円余の差額を生じますが、これは平和祈念事業特別基金補助金等予定を下回ったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十二年度決算総理本府等についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十二年度総理府決算のうち、歳入並びに総理本府、公正取引委員会公害等調整委員会及び宮内庁関係歳出につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。    昭和六十三年度決算総理本府等についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十三年度総理府決算のうち、歳入並びに総理本府、公正取引委員会公害等調整委員会及び宮内庁関係歳出につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十二年度歳出決算に関する概要説明                   環境庁  環境庁昭和六十二年度歳出決算につきましてその概要を御説明申し上げます。  まず、昭和六十二年度の当初予算額は、四百七十三億八百四十一万円余でありましたが、これに予算補正追加額三十九億二千五百二万円余、予算補正修正減少額三億八千八百二十五万円、予算移替増加額一億四千百十四万円余、予算移替減少額二十三億九千五百五十六万円余を増減いたしますと、昭和六十二年度歳出予算現額は、四百八十五億九千七十七万円余となります。この予算現額に対し、支出済歳出額四百八十三億三千二百七十九万円余、翌年度への繰越額三千二百九十六万円余、不用額二億二千五百一万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なる費途につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、公害防止等調査研究関係経費といたしまして、七十五億一千七百七十万円余を支出いたしました。これは、化学物質実態調査等実施するための経費及び国立公害研究所国立水俣病研究センター運営等経費として支出したものであります。  第二に、自然公園関係経費といたしまして、四十九億一千二百二十七万円余を支出いたしました。これは、自然公園等における管理及び園地、博物展示施設長距離自然歩道等整備並びに渡り鳥調査絶滅のおそれのある鳥獣保護対策等経費として支出したものであります。  第三に、環境庁一般事務経費といたしまして、三百五十九億二百八十一万円余を支出いたしました。これは、公害防止を図るための施策推進に必要な調査費地方公共団体に対する各種補助金公害防止事業団及び公害健康被害補償予防協会に対する交付金環境行政に従事する職員資質向上のための研修所運営費並び環境庁一般行政事務等経費として支出したものであります。  最後に、翌年度繰越額不用額について主なるものを御説明いたしますと、翌年度繰越額は、自 然公園等施設整備費において、資材入手困難及び用地問題に関する交渉等によって事業実施不測日時を要したこと等により年度内に完了しなかったものであります。  また、不用額は、退職手当等人件費を要することが少なかったこと等のためであります。  以上、簡単ではありますが、昭和六十二年度決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。    昭和六十三年度歳出決算に関する概要説明                   環境庁  環境庁昭和六十三年度歳出決算につきましてその概要を御説明申し上げます。  まず、昭和六十三年度の当初予算額は、四百六十八億三千六百三十万円でありましたが、これに予算補正追加額一億二千九百十一万円余、予算補正修正減少額三億六千九百七十八万円余、予算移替増加額一億五千四百六十二万円余、予算移替減少額二十二億五千八百三十五万円余、前年度からの繰越額三千二百九十六万円余を増減いたしますと、昭和六十三年度歳出予算現額は、四百四十五億二千四百八十五万円余となります。この予算現額に対し、支出済歳出額四百四十一億五千二百五万円余、翌年度への繰越額三千四百十六万円余、不用額三億三千八百六十三万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なる費途につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、公害防止等調査研究関係経費といたしまして、五十四億一千六百三万円余を支出いたしました。これは、化学物質実態調査等実施するための経費及び国立公害研究所国立水俣病研究センター運営等経費として支出したものであります。  第二に、自然公園関係経費といたしまして、三十九億四千二百五十五万円余を支出いたしました。これは、自然公園等における管理及び自然公園利用施設長距離自然歩道等整備並びに渡り鳥調査絶滅のおそれのある鳥獣等保護対策等経費として支出したものであります。  第三に、環境庁一般事務経費といたしまして、三百四十七億九千三百四十六万円余を支出いたしました。これは、公害防止を図るための施策推進に必要な調査費地方公共団体に対する各種補助金公害防止事業団及び公害健康被害補償予防協会に対する交付金環境行政に従事する職員資質向上のための研修所運営費並び環境庁一般行政事務等経費として支出したものであります。  最後に、翌年度繰越額不用額について主なるものを御説明いたしますと、翌年度繰越額は、自然公園等施設整備費において、設計の変更及び資材の入手困難などによって事業実施不測日時を要したこと等により年度内に完了しなかったものであります。  また、不用額は、退職手当等人件費を要することが少なかったこと等のためであります。  以上、簡単ではありますが、昭和六十三年度決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十二年度決算環境庁についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十二年度環境庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。    昭和六十三年度決算環境庁についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十三年度環境庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────
  4. 渡辺栄一

    渡辺委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。時崎雄司君。
  5. 時崎雄司

    時崎委員 最初に、環境庁長官お尋ねをいたしたいと思います。  最近、ここ一月ばかりの間に医療廃棄物不法投棄の問題があちらこちらと新聞をにぎわしておりますが、六月一日に、日本海、青森県、秋田県にかけて、注射器注射針など医療廃棄物、とりわけ感染性廃棄物といわれるものが千本ぐらい海岸から見つかったということで、地元の保健所を含めてその回収と原因の追及に当たっておられるようでございます。  それから、今月の六日のテレビ朝日のニュースによりますと、宮城県の古川市のプラスチック工場の跡地で、約二万本の注射針とさらに注射器が発見をされた。これも地元で警察が今調べている、こういう報道でございます。  さらにはまた、長官も既に御案内と思いますが、東京大学の医学部附属病院でRI、すなわちラジオアイソトープ廃棄物不法に投棄されていたのではないかということで、科学技術庁調査をして、今その汚染された土の処理について工事が始まっているようでございます。  これは、つい最近報道されたような主なものを申し上げたわけでございますが、このように医療廃棄物、とりわけその廃棄物が二次感染を起こす可能性のあるような事件が相次いでおりますけれども、このような状態について大臣としてどうお考えになるか、所見をお聞かせをいただきたい、こう思います。
  6. 北川石松

    北川国務大臣 時崎委員のただいまの注射器等またアイソトープ等廃棄物で大変困っておるという御指摘でございますが、全く、そのような廃棄物不法投棄されますと、環境を損ねるだけではなしに、その廃棄物による影響はまことによくないという思いをいたします。  環境保全ということは極めて重要なことでございまして、環境庁といたしましては、従来から廃棄物処分基準等については十分注意するよう言ってまいったところでございまして、このような問題につきましては、もちろん関係諸庁もあることと思いますので十分連絡をとりながら、今後とも廃棄物の問題についてはさらに積極的に取り組んでまいらなければならない、このように思っております。
  7. 時崎雄司

    時崎委員 それでは次に、このような医療廃棄物の直接の担当省庁であります厚生省お尋ねをいたしたいと思いますが、昨年の十一月に医療廃棄物処理ガイドラインなるものを定めて関係者に通知をいたした、こういうことでございますが、私の手元にもガイドラインの写しがあるわけですけれども、ちょっとそのことについてお尋ねをいたしたいと思います。  一つは、このガイドラインというのはどういう目的で昨年つくられ、そしてそれがどういうことを期待して各関係者に配付をされ、そしてこのことが厚生省期待どおりにそれぞれの関係者の間で実施に移されているのかどうか、これが第一点でございます。  それから、最近の報道によりますと、北海道医療廃棄物指導要領なるものが施行された。これは六月七日にそういう報道をされておりますが、各都道府県でこの種の医療廃棄物指導要領なりがどの程度つくられ、実施に移されているのか、その辺の概要についても知り得る範囲で結構ですのでお聞かせをいただきたい、このように思います。
  8. 三本木徹

    三本木説明員 ただいま先生指摘医療廃棄物処理ガイドラインの件でございますが、これを作成する経緯といたしましては、医療機関の中で注射針等による事故等が発生いたしまして、感染性のおそれが医療機関の中であったということ、あわせて、市町村清掃事業であるとかあるいは産業廃棄物処理事業に携わっている方々安全性確保という観点からこの問題を明確にすべきではないか、そういったことが背景としてございまして、それで私ども、二年ほど前から、この具体的な処理についてのガイドラインをつくって適正な処理確保する、そういったことをやってきたわけでございます。  御指摘効果等についての問題でございますが、現在、このガイドライン医療関係機関皆様方の御意見あるいは他の処理業者方々意見等々を踏まえまして作成いたしまして、昨年の十一月に具体的な処理手順等につきまして定めております。現在、このガイドラインに沿いまして各都道府県等々でいろいろな施策を講じてきておりまして、確実に適正な処理のレベルが上がっているものというふうに理解しているわけでございます。  さらに、具体的な各都道府県における行動といいましょうか動きでございますが、一つは、先生指摘のような指導要綱等を作成している都道府県もございます。私ども承知しておりますのでは、先生指摘北海道、それから東京都、山口県、広島県、それに鹿児島県、そういったところがこの指導要綱等を作成いたしまして、適正な処理確保に向けて努力をしているところでございます。そのほか、各都道府県での事情というものもいろいろございますので、日本医師会であるとか医師会の支部、あるいはその他の医療関係団体、あるいはまた市町村、そういったところと協議の場を設けるようなことを通じまして、適正な処理確保に各都道府県とも今努力しているところでございます。
  9. 時崎雄司

    時崎委員 昨年の十一月にこのガイドラインを示したということですから、まだ一年たっておりませんので各県の対応がそれほど十分でない、既に指導要領なり要綱などを定めているところが五都道府県、こういうことですから、今後ぜひこのガイドライン十分関係者で守られるような指導を強めていただきたい、こう思います。  実は、私の地元茨城県でもまだこの種の指導要綱なるものはできておりませんけれども、先般、茨城県に環境局というのがあるのですが、そこで医療機関アンケート調査実施したという、その内容を見ることができました。実はこの中で、医療機関からの要望のうち、幾つか問題として取り上げていいのではないかという課題もございますので申し上げておきたいと思うのですが、ほぼ八〇%ぐらいは市町村清掃処理場、さらにはその種の専門の業者にお願いをして焼却その他処理をしている。しかし、その中に数%、医療廃棄物がどこに行ってしまったかわからぬというものもあるわけでして、そういう点ではまだまだこのガイドライン十分医療機関に徹底をされていない。特に、医療廃棄物だけでも一年間五万五千トンというのですから、人口約七、八万ぐらいのところの一般廃棄物に相当するぐらいの量ではないか。北海道の場合はもっと多くて、年間八万五千六百トンですね。相当膨大な医療廃棄物というのが排出をされている。こういうことですから、医療機関から見ると、公的機関でその回収処理を行っていただけないかという強い要望が出ているということが一つでございます。  それから第二点は、民間の処理業者にお願いしますとどうしてもコスト高になる、こういうことですから、現状の診療報酬の基準の中に含まれているのかどうかわかりませんが、医療機関から見ると、コストを何とか診療報酬の単価の中で見ていただきたい、こういう要望も出ている。それから、こういうガイドラインなるものを示したとしても、これはあくまでもガイドラインでございまして、とりわけ感染性廃棄物、これについては法整備をする必要があるのではないか、こういう気もいたしますので、この点について何かお考えがあれば、今後の対策として厚生省として考えていることがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  10. 三本木徹

    三本木説明員 廃棄物処理及び清掃に関する法律というものでこの医療廃棄物は実は規制されているわけでございますが、この法律の中で、産業廃棄物処理は排出事業者の責任のもとで処理がなされるという規定が置かれているわけでございます。したがいまして、医療廃棄物につきましても、排出事業者である医療関係機関がみずからの責任において適正に処理すべきものである、このように考えているわけでございます。したがいまして、これの具体的な方策といたしましては、医療機関がみずから行う、あるいはまた法律に定められたとおりの委託基準に従いまして処理業者に渡して処理をするということが、具体的なこの排出事業者の責任のもとでの処理ということになるわけでございます。  したがいまして、この法律の趣旨から、一律に公的な機関によって処理等が行われるようなそういったシステムをつくることは考えておらないわけでありますが、現在いろいろ処理の体制が整っていないというような地域もございますので、そういった地域の実情に応じましては、先生指摘のように、市町村の清掃局が中心になりまして、まさに公的な関与のもとで行われているケースが極めて多いというふうに私ども承知しているわけでございます。したがいまして、こういった地域の実情でいろいろな取り組みの仕方をしていただくということで、このガイドラインでもその旨の規定をしているところでございます。  それから第二点目の、感染性廃棄物について廃棄物処理法でより明確に規定していったらいかがなものかという御指摘でございますが、私ども現在のところ、冒頭にお話をさせていただいたとおり、廃棄物処理法に基づいて既にこれは規制されているものでございますので、現在の法律に基づきまして厳正な、適正な処理確保が行われるよう厳正にいろいろな方面を指導していく、このように考えたいというふうに思っております。
  11. 時崎雄司

    時崎委員 一つは、現状がどうなっているかという認識についてちょっと突っ込んでお尋ねをするのですが、産業廃棄物等の関連する法律に基づいて、委託業者というのか、業者に委託をしてその処理をしているということですが、茨城県で調べたアンケートでは七%というごくごく少ない量しかないのです。そういう点では、自前の処理もしくは市町村清掃事業での処理というところが現状としては大半だろう、こう思うのです。これは、地域によってばらつきがあるとは思います。大都会とかそれから過疎地とか、そういうところではばらつきがあるとは思いますが、茨城県の場合はそういう現状である。そういうことを考えたときに、果たして今のようなすべて自前処理もしくは業者任せのようなそういうことで現状いいのかという疑問を持つのです。例えば、先ほど冒頭申し上げた青森県の日本海側沿岸に打ち上げられた廃棄物なり宮城県の古川の例、きちっと処理していればそういうことは出ないわけですね。病院自体が日本海まで持っていって捨ててきたのかどうかわかりません、受けた業者がそういうことをしたのかどうか、それは可能性は幾つかあると思いますが、そういう点では少し検討に値するのじゃないか。  それから、コスト問題を先ほどお尋ねしたのですが、ちょっとこのことが診療報酬とのかかわりでどうなっているかまだ回答がないので、その部分もお聞かせをいただきたい、このように思います。
  12. 小林秀資

    小林(秀)説明員 お答えいたします。  医療廃棄物処理のための費用につきまして、診療報酬上でコストを見てほしい、今どうなっているのかというおただしてございますけれども、診療報酬につきましては、医業経営に通常必要とされる経費をトータルとして補てんするという観点に立ちまして、国民医業費の動向や保険財政の状況、それから賃金や消費者物価の動向、医療経営の実態等、医療を取り巻く状況を総合的に勘案をいたしまして点数を設定いたしております。したがいまして、医療廃棄物処理に要する費用につきましても、保険診療に要する通常の経費といたしましてこれを勘案して診療報酬の設定を行っているところでございます。特に医療廃棄物処理のためのコストというふうな形にはなっておりませんけれども、全体で入っているというふうで御理解をいただきたいと思います。
  13. 時崎雄司

    時崎委員 一般的な医療廃棄物厚生省としてもなお一層努力をしていただいて、各都道府県指導なり、また費用の面でも十分お考えいただいて、今後ともますます増大するであろう医療関係 機関から出る廃棄物の適正な処理に努めていただきたい、このように思います。  時間の関係もありますので、続きまして東京大学医学部附属病院のRI、すなわちラジオアイソトープ、放射性同位元素の不法投棄の問題、私はこれを一つの事件だと理解をいたしておりますので、そういう観点から幾つかお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に科学技術庁の方にお尋ねいたしますが、既にこの問題について立入調査などを行って概要の把握ができたということのようでございますので、まずこの事件の概要についてお尋ねをいたしたいと思います。
  14. 吉田哲彦

    ○吉田説明員 お答えいたします。  東京大学医学部附属病院におきます放射性同位元素等の問題でございますが、昨年の十一月十六日に当庁の放射線検査官が放射線障害防止法に基づきまして立入検査実施したわけでございます。東京大学医学部附属病院におきましては研究及び治療の目的で放射性同位元素等を御使用になっておるわけでございますが、立入検査の結果によりますと、放射性同位元素の管理不備が明らかになり、さらにその後、同病院の敷地内五カ所において自然放射線のレベルより高い放射線が測定されたわけでございます。  最初の立入検査によりまして判明いたしました放射性同位元素等の管理の問題につきましては、立入検査指摘事項三十七項目のうち三十六項目については既に改善がなされまして、残りの一項目につきましても近く改善される予定でございまして、当庁といたしましても改善について引き続き指導をしてまいる所存でございます。  また、高い放射線が測定されました問題に関しましては、最高で自然放射線の約二百倍の強さの放射線が測定されたわけでございますが、いずれも一般人あるいは病院の患者さん等の立ち入られる場所ではない、また人体に大きな影響を及ぼすものとは考えられませんが、当庁の指示によりまして病院側は当該場所を立入禁止の措置を講じておったところでございます。  さらに、汚染した土壌の処理につきましては、本年五月二十五日になりまして東大から処置計画が提出されまして、私どもの方で十分吟味いたしまして了承をし、五月二十八日から作業に着手をしたところでございます。  当庁といたしましても、今後ともこの件につきましては十分に監督指導を行ってまいりたいと考えております。  以上です。
  15. 時崎雄司

    時崎委員 昨年の十一月十六日以降の立入検査で判明をした。そして結果として通常の放射線量の二百倍という線量が確認をされ、五月下旬からその汚染土の処理というのかを開始してきている。立ち入る場所ではないので人体に直接の影響はないだろう。概要はそういうことですが、このような通常の状態よりも二百倍も多い放射線量が検出をされたということですが、これはいつごろ、だれがどういう内容のものをその土地もしくはその他に不法に投棄をしたのか、この調査について、わかる範囲で結構ですからお知らせをいただきたい。
  16. 吉田哲彦

    ○吉田説明員 東京大学の医学部附属病院の敷地内において検出されました高い放射線の原因につきましては、現在東京大学の方で調査が継続中でございます。しかしながら、現在検出されました放射線については、今までの調査によりますと、放射性物質の核種はセシウム137とストロンチウム90が検出されてございます。また、中間的な状況ではございますが、今まで関係者方々からお伺いいたしておりますと、どうもかなり古い時期に投棄、埋設がされたものではなかろうかということでございますが、いずれにいたしましても、現在鋭意その原因及び経緯について調査を行っている段階でございます。
  17. 時崎雄司

    時崎委員 新聞報道によると、それから科技庁のこれらに関する調査、立入検査等の結果の概要によりますと、構内の五カ所からそういうものが検出をされた、こういうことになっております。そして最高で二百倍。しかし時期は相当古いのではないか。そういうことを考えますと、例えば今二つの種類の放射性物質についてお話がありましたが、その半減期等を考えた場合に、どちらもおおよそ三十年前後だろうと思うのですが、古いということになると何年前のことかよくわかりませんが、推測されることは、今の濃度より確実に当時は高かったと考えていいわけですね。そしてこの五カ所の中でも、管理区域外にもそういうものが不法に投棄されていたということで、今お話しのように人体に影響がないと考えられる、それはどうも早計ではないのか。その当時のことを考えれば、場合によっては影響が多分に出ていたかもしれない。しかし、それは今の段階で見ればそのことが原因でそういうことになったという事例が出ていないというだけであって、私はどうも科学技術庁としての物の考え方は少し安易過ぎはしないか、こんなふうに思うのですが、いかがですか。
  18. 吉田哲彦

    ○吉田説明員 お答えいたします。  東京大学医学部附属病院の敷地内で検出されました放射線のレベルは、先ほど申し上げましたように最高で自然放射線レベルの二百倍ということでございます。このレベルにつきましてはどのくらいかと一般的に比較をいたしますと、例えばその二百倍の地点に十七時間とどまった場合、胸のレントゲン写真一枚の放射線量と同等でございます。     〔委員長退席、志賀(節)委員長代理着席〕 そういうことで、その場所が人が常時立ち入ったりあるいは長時間いるという場所ではございません。したがいまして、人、人体には影響はないと私どもは判断したわけでございます。  今委員御指摘のように、先ほど判明したと申し上げましたストロンチウムあるいはセシウムの半減期が約三十年でございます。そうしますと、仮に三十年前ということになりますと、ちょうど今の倍の放射線量があるわけでございます。そうしますと、また先ほどと同じような計算をいたしますと、十七時間の半分と申しますと八時間なり九時間とどまって胸のレントゲン一枚、こういうことになるわけでございますし、当時もその場所は人が常時立ち入ったりあるいは長時間いるという場所ではなかったというふうにお聞きしておりますので、私どもとしては直接人体に大きな影響があるというものではなかっただろうというふうに推測しているわけでございます。
  19. 時崎雄司

    時崎委員 それでは次に、汚染をされている土を、今、新聞にもありましたからごらんいただいた方もあると思いますが、五月の二十何日からか掘り起こしが開始されて、これをドラム缶に詰めて、保管場所を新たにつくるのかどうかわかりませんが、そういうところに保管をしておく。人が立ち入らないところで、なおかつ今最高で二百倍、そこに常時、十七時間で胸部撮影したレントゲン・エックス線一枚分だ、こうするなら、あえて掘り起こす必要はないのじゃないですか。これを多額の金をかけて掘り起こして、そして永久に、永久なのか半減期でいきますから何年後まで保管をするのかわからぬが、なぜ必要があるのか。場所によっては必要がない場所が出てくるのではないか。報道によると、どうもバックグラウンドレベルまでそれを掘り返して保管をするという、必要性との関係でもう一度お尋ねいたします。
  20. 吉田哲彦

    ○吉田説明員 東京大学医学部附属病院敷地内の汚染土壌につきましては、本来そういう汚染土壌があってはならない場所に汚染土壌があったわけでございます。そこで、原状復帰と申しますか、あってはならない場所にあったわけでございますから、あってはならない場所をあってはならないようにするということが趣旨でございます。  そこで、この五月末から具体的な作業に入っておるわけでございますが、基本的には、汚染した箇所がスポット的にございます。ですから、そのスポット的になっております場所について土壌を掘りまして、除去いたしまして、それをドラム缶に詰め、さらにはそれを保管廃棄施設に保管をし ていただくということで作業をしていただいておるわけでございまして、やはりあるべきでないところにあるということをきちっとしていただくということの観点から、今回の汚染土壌の除去作業を東大側にお願いをしているということでございます。
  21. 時崎雄司

    時崎委員 もう一点科学技術庁お尋ねをいたしますが、法第二十六条、法律は放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、この第二十六条に、科学技術庁長官は許可を取り消すまたは一年以内の期間を定めてその使用を禁止する、そういう規定がございますが、今回の東大附属病院のこの件について、許可を取り消したりまた一年以内での期限を付しての使用禁止、こういう手段をとらないのかどうか、お尋ねをいたします。
  22. 吉田哲彦

    ○吉田説明員 東大病院の問題に関しましては、まず立入検査指摘事項三十七項目のうち三十六項目が改善されまして、残りの一項目についても近く改善される予定であり、結果的には比較的軽微な管理不備に関するものが多かったこと、また外部に影響を及ぼすようなものでなかったこと、さらには、当庁の指摘に対しまして東大病院が自主的に研究用放射性同位元素の使用を停止するなど、誠実に対応していただきました。また、改善の措置がとられているということから、当庁としては許可の取り消しあるいは使用の停止等の処分はとっていないところでございます。  また、汚染土壌の問題につきましては、原因等いまだ調査中でございますし、また処理作業中でございます。全貌が必ずしも明らかではございませんので、調査の結果を待って対応してまいりたいと考えております。
  23. 時崎雄司

    時崎委員 ちょっとしつこいようで申しわけないのですが、今のお話を聞くと、三十数項目のうち一項目を残して指摘について改善をした、したがって法第二十六条で言うような措置はとらない。将来的に全貌が明らかになれば、こういうことですが、しかし、今から相当前にも、二度ほど厳重注意を与えていたはずではなかったのか。  一回は一九六六年、無許可で非密封のアイソトープを使っておったということ、それから二回目は一九七三年、衆議院の科学技術特別委員会で質問があって、調査の結果その事実が判明して、再び厳重注意を与えた。そして昨年の十一月の調査。今度で三回目なんですね、こういうことを起こしているのは。このまま放置したならば、よそのこういう種を使用している病院、研究所その他企業、団体に悪影響を与えるのを私はおそれているわけです。東大病院でこういう現象を起こして三回までいいというなら、よその病院だって、三回までそういうことをやったって科学技術庁は二十六条を発動できないでしょう。何で東大だけ特別扱いするのだ、必ずこうなることを実は恐れている。もう一度お答えいただきたい。
  24. 吉田哲彦

    ○吉田説明員 委員御指摘のように、確かに東京大学医学部附属病院は、昭和四十一年及び四十八年においても放射性同位元素等の管理不備がございまして、当庁から指摘を行った経緯がございます。しかし、その四十一年及び四十八年ともに、当庁からの指摘に対しましていずれも改善措置がとられ、その報告を受けておるわけでございます。  東大附属病院の場合、放射性同位元素を取り扱います使用施設の老朽化に対する維持管理の不足、あるいは放射性同位元素を取り扱います研究者が三百名を超えておるということ、またその研究者の交代が非常に頻繁であること、さらには、その研究者が医師でございまして、日常放射性同位元素を診療あるいは治療に使っているということから、教育訓練の不徹底等が今回の同病院の施設及び管理不備の原因であろうと私どもは判断をしておるわけでございます。このため、同病院については、管理不備の問題、さらには今後管理不備が再発しないように抜本的な改善を行うよう、今強く求めておるところでございます。  また、今回の指摘は、先ほども申し上げましたように、三十六項目については既に改善がされ、結果的には比較的軽微な管理不備に起因するものが多かったということ、また外部に重大なる影響を及ぼすようなものではなかったこと、さらには、東大側の自主的な研究用RIの使用を停止されたというようなことから総合的に勘案いたしまして、十分東大側としては今回改善のための努力をされているというふうに判断をいたし、特に許可の取り消しといった処分、こういったものは現在とっていないということでございますので、御理解いただきたいと思います。
  25. 時崎雄司

    時崎委員 どうも話を聞いていると、同じ公務員仲間のかばい合いのような印象で余り気分よくないのですけれども、私の心配して質問していることと大分違うような感じであるのですが、過去二回厳重注意を受けたけれども、実際に今回の新聞報道などを見ると、ある内科の若手医者は、例えば地下倉庫にラットが数十匹ホルマリン漬けのまま放置されておった、こういうことについて、そういう動物の死体ははっきりとどのようなことで処分をすればいいのか知らされていなかったとも言っているのですね。それから、使用前にあらかじめ計画書を出すなどということは一度も言われたことがないというのです。科技庁の二回にわたる厳重注意がほとんど効果をあらわしてなかった、守られてなかった、だからこそ今回のようなことだって起きるのではないか。もしくは、もうその当時から起きておって、残念ながら科学技術庁の方の立入検査でそれが判明しなかった。もしくは、地下の倉庫にその種のものが、数十匹というのですか何匹か知りませんが、放置されたままになっておった。  私は、前の二回の厳重注意だって全く馬耳東風だったというふうに感じているのですね。だからこそ、今回ある程度の対応で望まないと、これは東大病院だけではなくて、その他のこの種を使用している機関に対しても余りいい結果を生まないのではないか、私はこういう点で申し上げているわけでございます。これ以上取り消し問題その他について時間もありませんから追及いたしませんが、もう少し厳しく対応していただくのが科技庁の責任ではないかというふうに私は思います。このことを一言つけ加えておきます。  それから次に、警察庁にちょっとお尋ねしますが、この件について捜査をしているのかどうか。そして、しているとすれば明らかにできる範囲でその概要について報告いただきたい、こう思います。
  26. 平沢勝栄

    ○平沢説明員 この問題につきましては、現在所管の科学技術庁の方におかれまして業務改善命令等の行政措置を行ってきているところと聞いているところでございまして、警察といたしましては、こういったものの推移を含めまして現在関心を持って情報収集等に努めているところでございます。     〔志賀(節)委員長代理退席、委員長着席〕
  27. 時崎雄司

    時崎委員 次に、文部省にお尋ねをいたしますが、汚染物の処理については先ほどの科学技術庁の回答でも若干わかったのですが、先月の二十八日から着手をしたということですから、これはいつまでその処理に時間がかかるのか。それから、処理したものはドラム缶に詰めてある一定の場所に保管をするというが、そのある一定の場所というのは新しくどこかにつくるのか、今あるところ、それは東大病院の構内なのか他に持っていくのか。それからこれに要する費用、金額と、それを結果的にだれが負担するのか、ここについてお知らせをいただきたいと思います。
  28. 小林敬治

    小林(敬)説明員 今回の東大附属病院のRI事件につきましては、国立大学の附属病院を所管いたしております医学教育課としても大変申しわけないことであるというふうに思っております。  ただいま先生の御指摘の点でございますが、東大病院におきましては、五月の下旬から汚染土壌の除去作業を開始しておるところでございますが、これは一つには、除去方法とか除去すべき土壌の量等につきましてなお検討すべき問題があるというところから、本格的な除去作業に着手をいたしますための汚染土壌の詳細調査と試験的除去 の作業として行ったものというふうに理解をいたしておるわけでございます。  東大病院といたしましては、この後、この結果を踏まえまして、引き続き科学技術庁の御指導も受けながら、除去した汚染土壌を病院地区に保管廃棄施設を設けて保管をいたしますことと、その時期を一年をめどにするということを基本方針として行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。  こういうことでございますので、現段階では、これらの作業等にどの程度の予算を必要とするかということが明らかになっておりません。しかしながら、文部省といたしましても、東大病院における汚染土壌の除去の作業が円滑に進むように適切に対応してまいりたいと考えでおる次第でございます。
  29. 時崎雄司

    時崎委員 予算は今の段階では算定できないというのか、どれだけかかるか不明だということですが、やはり税金で負担するのですよ。東大の上げた診療報酬その他、病院から出る費用、利益というのですか、そういうもので負担するのか、その辺ちょっと……。
  30. 小林敬治

    小林(敬)説明員 東大附属病院は確かに診療報酬等を得てございますけれども、それは一たん歳入化をされます。そして、国のお金としてまた歳出をされていくということでございます。その際に、国立大学全体としては一般会計等からも相当の受け入れを行っておりますので、いわば公費から負担をするというふうに御理解いただけるかと思います。
  31. 時崎雄司

    時崎委員 次に、大学の内部でこの件について処分をしたということが小さく新聞報道されております。その処分の概要についてお尋ねをいたします。  まず一つは、だれが、だれを、どういう理由で、処分をいつ発令をしたのか、このことについてお尋ねをしたい。なお、その処分がどういう法律に基づいて行われたものか。以上についてお答えをいただきたいと思います。
  32. 岡村豊

    ○岡村説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の東大病院の放射性同位元素にかかわる問題のうち、昨年十一月に科学技術庁で立入調査をしたわけでございますが、その際、管理体制の不備あるいは教育訓練の不備といった数多くの点についての御指摘があったわけでございます。このような不備というのはあってはならないということで、管理体制の不備をそのまま放置していた、あるいは診療科等に属する者に対して放射性同位元素の取り扱い等に関する指導を十分していなかったという観点から、二月二十七日付で学長から病院長に対し、それから学長から医学部教授でございます放射線取扱主任者に対し、それから学長から、医学部の附属病院でございますので、医学部長に対し、訓告または厳重注意をいたしております。それから附属病院長から、やはり同日付でございますが、関係診療科長六名に対して厳重注意の処分を行っております。  なお、これは国家公務員法等特定の法律に根拠を有するという処分ではございませんで、公務員秩序の維持という観点から行った処分でございます。
  33. 時崎雄司

    時崎委員 教育訓練その他指導管理等の不備ということで、そうするとこの処分は、今回構内五カ所から出た放射性廃棄物の投棄等に伴う処分ではなくて、それではなくて、現在でもその教育訓練、管理指導に不備がある、そういうことに対する処分、このように受け取ってよろしいのですか。
  34. 岡村豊

    ○岡村説明員 御指摘のとおり、今回というか二月二十七日付の処分は、昨年の十一月に科学技術庁が立入検査をされて管理体制の不備等について御指摘いただいたわけで、そのような不備を不備な状態のまま放置していたという趣旨での処分でございまして、その際は廃棄物の問題は含まれておりません。
  35. 時崎雄司

    時崎委員 どうも処分の内容がよくのみ込めないのですが、東京大学長から東京大学医学部附属病院長に対して訓告の処分があった、こう理解していいわけですね。したがって、東大の附属病院長は処分はされた。ところが、その処分をされた東大の病院長が、何ですか、第一内科長とかその教授と言われる人をまた処分する。された人がするのですか。どうも理屈が合わないような気がするのですが、現実はどういうことなんですか。これは私の言っていることが実態として正しいのかどうか。
  36. 岡村豊

    ○岡村説明員 東京大学医学部附属病院長は、学長から本件に関して訓告の処分を受けております。なお今度は、病院の管理運営等をつかさどる責任者という立場で同病院長は、教育研究の組織でございますので部下とは直接言いがたいのでございますが、そのいわゆる部下の立場にある責任者六名に対して、厳重注意という処分をしたということでございます。
  37. 時崎雄司

    時崎委員 したがって、私が指摘したように、病院長が東大の学長から処分をされた、そのされた本人がまた部下を処分した、こういうことだということですね。余り聞かないケースですね。東大というのはそういうことをやっているのですか。  この問題で、いいですか、訓告と厳重注意といえばどっちが上がといったら、これは訓告の方が上のようなんですね、その処分の内容というのは。一番大きい処分をされている人が部下に向かってまた処分する、こんなのは東大では常識なんですか。もう一度。
  38. 岡村豊

    ○岡村説明員 確かに御指摘のとおり、訓告の処分を受けた者がまた部下を厳重注意したという格好になっております。ただ、それは、附属病院長という病院の管理運営について責任を有する者が、管理運営の不備について部下に対して注意を与える、そして今後そのようなことがないようにという趣旨を込めて注意を与える、こういうことでございます。
  39. 時崎雄司

    時崎委員 私が言っているのはそういうことを聞いているのじゃなくて、一番重い処分を受けた病院長が自分の部下をまた処分するなどというのは社会の常識が通用しないよ、こう言っているのです。東大はそういうのが通用するのかと聞いているのですよ。それだけ答えてくれればいいのです。  もう時間もありませんから、このことだけではもう結構です。どうも私の常識からは判断できない、こういうことだけ申し上げておきたい。  なお、今後調査その他がもっと判明して、この不法に投棄をされたその内容が解明されるに従って、なお処分をする人が出てくる場合もあるというふうに理解してよろしいですか。
  40. 岡村豊

    ○岡村説明員 二月に処分を行ったわけでございますが、その際の処分の事由になっていない新たな事実が判明して、そしてそれが処分すべき事由だというふうに大学が判定した場合は、新たな処分がなされることもあり得るということでございます。
  41. 時崎雄司

    時崎委員 それじゃ、最後に、もう一度科学技術庁お尋ねをいたします。  この種のラジオアイソトープを使用している病院、研究所、その他企業、団体、許可をしているのが四千七百カ所に上るとこれは一部報道されております。そして、一年間に立入検査等ができる、すなわちこれは放射線障害防止に関する法律に基づいての立ち入り、これが一年間に四百カ所程度しかできない、こういうことのようですが、これは単純にやっておきますと十二年間に一回しか立入検査ができない数字になってしまうのです。今回の東大附属病院の問題だって、これは去年の十一月に立入検査があったからそういうことが現実として判明をしたのであって、十二年に一遍ぐらいしか行けないような、立入検査ができないような体制そのものにも問題があるのではないか、私はこう思っておりますが、今申し上げた数字その他、間違いないかどうか。
  42. 吉田哲彦

    ○吉田説明員 放射線障害防止法に基づきますいわゆる使用事業所が四千七百三十六でございます。しかし、そのほかに販売の事業所あるいは廃棄の事業所といったものもございます。そこで、 平成元年三月末現在では、私どもの障害防止法に基づきます事業所はトータルで四千九百五十五ということになります。もう現在では恐らく五千を超えておるということになろうかと思います。また、立入検査につきましては、御指摘のとおり大体例年、ここ数年、年間四百件程度実施しております。
  43. 時崎雄司

    時崎委員 私が四千七百と言ったら、その他を含めて五千を超えておるだろう、こういうことで、そして一年間に四百件ぐらいの立ち入りしかできないというと、これはもう十二年を超えて十三年に一遍ぐらいしかできない。このようなことではやはり問題が多いのではないか、法の施行が十分できないのではないかと思うので、何か対策を考えていかなければならないだろう。この科技庁の立入検査に携わる方々をふやすことももちろんでしょうが、例えば都道府県にその仕事の一部をお願いして、立入検査の件数をふやして、できれば一年か二年に一遍は必ず、東大病院のようなこんなことが起きないように指導をする、こういうことも必要なのではないだろうかと思いますので、そういう検討が部内で行われているのかどうか。一課長職員をふやすについてどうのこうのということまで期待はしておりませんが、部内でそういう検討が行われているかどうかということをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  44. 吉田哲彦

    ○吉田説明員 先生指摘のように、確かに障害防止法の対象とする事業所は既に五千を超えております。また、私どもが立入検査をできます件数も年間四百件程度と限られております。そこで、私どもとしては、この立入検査についてはそのときどきの必要性に応じて重点的に事業所を決めて立入検査をやっております。と申しますのは、例えば五千の事業所の中に、密封された放射性同位元素のみを取り扱っておられるということでほとんど問題の少ないような事業所というものもございます。そこで、やはり問題の起こるような可能性の高いところ、そういったものを重点的に選びまして立入検査実施しております。  さらには、昭和五十六年から、比較的大規模な事業所の施設面についての検査実施するための施設検査あるいは定期検査の制度を創設いたしまして、指定検査機関に検査実施していただいております。また、放射線安全管理講習会というものを全国各地で開きまして、各事業所の放射線取扱主任者の方々に御参画いただきまして安全確保の徹底を図っておるところでございます。  いずれにいたしましても、私どもとしましても、いろいろな施策を通じ監視体制の強化また充実に今後努力してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  45. 時崎雄司

    時崎委員 これで終わりますが、ぜひ放射性物質を取り扱う医療機関等々に対して今後ともその指導の強化を図っていただくよう強く申し上げておくと同時に、少なくとも東京大学の附属病院でこういうことが起きたということは、国民の信頼を大きく損ねたことは確かでございます。結果としてそれが人体に与える影響が多いとか少ないとかという問題もさることながら、無許可で使用しておったとか、過去二度にわたって厳重注意を受けておきながらこういうことが起きているというこの面についても、文部省を含めてひとつ十分に指導を強化していただきたい。そしてまた、厚生省環境庁におきましても、医療廃棄物がこれからもどんどんふえてくるだろうと予想されますから、その十分な処理体制、そして環境を守っていくという姿勢のもとにひとつ取り組みをされますことを強くお願いをして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  46. 渡辺栄一

    渡辺委員長 新村勝雄君。
  47. 新村勝雄

    ○新村委員 私は、有毒物質の規制あるいは管理の行政についてお伺いをいたしたいと思います。これは環境庁長官の領域であって、大変責任がありますので、よくお聞きをいただきたいと思います。また通産、厚生等も関係があるわけでありますが、まず環境庁にお伺いいたします。  第百十八国会に提出された平成元年度の公害の状況に関する年次報告において、第二のPCBと言われる有害物質であるトリブチルすず化合物などの有機すず化合物について、その現況と対策についてほとんど触れられていないわけであります。諸外国に比べて日本の取り組みがおくれていると言われておりますが、この点についてお伺いをします。
  48. 安橋隆雄

    安橋政府委員 有機すず化合物でございますトリブチルすず等の問題につきましては、それが環境に広がりまして海などから検出されているということでございますので、政府といたしましては、関係省庁と連絡をとり合いまして、一つは化審法に基づきます措置をとりますとともに、環境庁におきましては、その汚染の実態をさらに詳しく調査を進めている、それで所要の対策を必要があればさらに講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  49. 新村勝雄

    ○新村委員 現在の取り組みについては、必ずしも十分ではないと思います。  そこで、環境庁が行っている環境モニタリング調査では、TBTOとTBTO以外のTBT化合物による汚染をひっくるめてTBT汚染として扱っています。これはそれでいいのですが、諸外国でも同様にやっております。そして、英国では環境保護法で、またフランスや米国でもその他の法律によってTBTOとTBTO以外のTBT化合物を区別せずにまとめて規制し、かつ、販売を禁止している。こういうふうに極めて厳しく扱っているわけでありますけれども、日本においてはそうではなくて、TBTOを規制するだけで、他の十三種のTBT化合物は野放しの状態であります。環境行政から見た場合にこれはまさに片手落ちであり、問題が極めて大きいと思いますけれども、いかがですか。
  50. 安橋隆雄

    安橋政府委員 先生指摘のように、海あるいは海水を通じて魚の方にも一部汚染が広がっているということでございまして、政府は関係諸庁が一体となりまして対応しているわけでございます。一部のものにつきましては輸入、製造、販売につきまして規制を加えているところでございますが、その他の有機すず化合物につきましてもさらに調査を進めまして、必要に応じまして対策の強化ということについて検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  51. 新村勝雄

    ○新村委員 長官、こういう状況で日本のTBTO、そしてまた、TBTO以外の有機すず化合物に対する取り扱いが極めてずさんであると言わざるを得ないわけですよ。環境庁は一緒にやっている、通産は一緒にやっていない。TBTOは規制をしているけれども、TBTO以外の有機すずについては野放したということで、これは非常に問題なわけですよ。この点について、長官どうお考えですか。
  52. 北川石松

    北川国務大臣 ただいま新村委員のTBTOに関する、また他の化学物質も含めての取り締まり、あるいはこれが環境に及ぼす影響の重要性を御指摘を受けました。諸外国の例もおっしゃっていただきました。これは各関係諸庁に関係あるのですが、環境庁のみではなくにいたしましても、環境ということになりますと、これはやはり環境庁が大きくこれに対して関心を持って、足らざるは十分規制をするということで、関係各諸庁と十分話し合いを進め、よりよい結果を生むところの規制をしていくところの前向きが必要であろう、みずからそのようにただいま思っております。
  53. 新村勝雄

    ○新村委員 長官の前向きのお答えがあったわけでありますけれども、環境の総元締めでありますから、ぜひ決意を新たにしてお願いをしたいと思います。  そこで通産にお伺いをいたしますが、TBTOとそれ以外のTBT化合物を有害な化学品として区別して扱う根拠について伺いたいと思います。  私は、この問題について、これは総選挙前でありますけれども、質問主意書で質問いたしたわけでありますけれども、明確な回答がなかったわけであります。また、今回の質問に当たって、六月十一日、同様の資料提出を通産省に求めたわけでありますけれども、資料の提出がなかったということであります。なぜ資料提出をしないのか。こ れはこの間において検査をしておるはずですよ。それをなぜ公開できないのか、伺います。
  54. 橋本正義

    ○橋本説明員 ただいま先生から御指摘ありました、まずTBTOとそれ以外の化合物について異なる扱いをしておるという点につきましては、これは化審法の精神にのっとりましてPCBと同様の蓄積性を有するものについては厳しく取り扱う。そうでないものについては、PCBと同様の高蓄性を有しないということで別の規制をする。具体的には、先ほど全く規制されてないというようなお話もあったようですが、これにつきましては、長期毒性のいかんによりましては指定化学物質にも指定いたしますし、また環境汚染の状況によりましては、第二種特定化学物質として指定するというような規制も行っております。  それで、ただいま御指摘ありました資料の取り扱いにつきましては、まずこの試験データですが、試験データは信頼ある試験機関におきましてOECDのテストガイドラインに準拠した方法によりまして試験をしていただきまして、その試験を化学品審議会というところにおいて検討をすることにしておりまして、そこでの検討結果そのものにつきましては、今まで公表するということの扱いにしておりませんので、それについては公表はしておりませんが、その最終的な判定結果につきましては公表させていただいておりますので、それにつきましては先生の方にお届けするということは十分させていただきたいと思います。
  55. 新村勝雄

    ○新村委員 それはOECD基準によってやっている、その試験結果も出ているはずでありますから、その試験結果に基づいて判定をするということですから、そのもとである試験結果をなぜ公表できないのかということですね。これは甚だ不満にたえないわけであります。なぜ資料提出ができないのかということについての明確な答弁が全くなかったわけでありますが、実はこのことについてけさNHKのニュースで放映されました。その根拠となる資料が報道されているわけであります、その放映の根拠となる資料が。そこで明らかにされているデータは通産省の資料ですか。
  56. 橋本正義

    ○橋本説明員 本日報道があったというNHKのデータそのものについては我々は確認しておりませんので、そのデータが通産省のデータかどうかについてのコメントは差し控えさせていただきます。
  57. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、この放映の内容について通産省はどうお考えですか。
  58. 橋本正義

    ○橋本説明員 まだそれについて十分報道を見ておりませんので、ビデオ等によりまして報道を確認した上でまた別途先生の方に御連絡したいと思います。
  59. 新村勝雄

    ○新村委員 それでは、それに対する対応を要求したいと思います。  それからまた、なぜデータを公表することができないのかということについては、大変疑問なわけであります。最終の判定といっても、最終の判定はその生の資料を解釈して判定するわけですから、そうじゃなくて生の資料を出して、その資料の上に立って、我々、我々といっても専門家じゃありませんけれども、我々が判断する。まあ、政治的な立場から判断するということもあるでしょう。また、一般の世論が判断するということもあるでしょう。しかし、その生のものがなければ、これは国民は判断はできないわけですよ。ですから、なぜその判断の資料として公表しないのか、そのデータが自信がないのかどうかということで、甚だ疑問がありますから、もう一回お願いします。
  60. 橋本正義

    ○橋本説明員 生のデータにつきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、化学品審議会の試験判定部会というところでの検討資料になっておりますので、それについては公表の扱いは、今まで、従来どおりしておりませんので、それの公表については差し控えさせていただきますということで先般先生の方に御連絡申し上げましたが、その信頼、自信がないのかどうかという点については、まず試験判定部会の先生方は、構成ですけれども、学識経験者及び国立の、公的な試験研究機関の専門家だけから成っている公正中立なメンバーで構成されておりますし、その先生方が専門的な知識に基づきまして総合的に判定しているということですので、自信があるかどうかということについては、十分自信があるということを申し上げたいと思います。
  61. 新村勝雄

    ○新村委員 自信があるのであれば、生のものをぜひ発表願いたい。これは、最近の行政の持っているいろいろな情報をできる限り公表すべきであるというのが世の流れ、世間の大勢ですから。これも一つの問題として、情報公開という意味もありますので、ぜひ大臣におかれてもこの問題については御留意をいただきたいと思います。  そこで、TBTOとそれ以外のTBT化合物を区別して規制する根拠となる資料をすべて提出することを求めたいと思いますけれども、いかがですか。
  62. 橋本正義

    ○橋本説明員 根拠となる資料は、当然法律との関連で根拠条項もありますし、関係する資料については別途先生の方に御連絡させていただきたいと思います。
  63. 新村勝雄

    ○新村委員 これは人命にかかわる問題でありますので、そういう問題が起こってからでは遅いわけでありますから、ぜひすべての有機すず化合物をTBTOと同じように製造禁止にすべきであるということを申し上げたいわけでありますけれども、今申し上げたそれに関する資料を出してもらうように、ぜひ委員長においてお取り計らいをいただきたいと思います。
  64. 渡辺栄一

    渡辺委員長 善処いたします。
  65. 新村勝雄

    ○新村委員 それで、長官にもお願いしますけれども、科学の進歩によって人類は非常な利益を得ておる。また、生活の程度も飛躍的に向上しているわけであります。同時にまた、科学の進歩というものが一方では人類に大きな福音をもたらしておりますけれども、一方ではこれが公害という形で、あるいはまた多くの化学物質は非常に便益を与えますけれども、一方には毒性を、有毒な悪い影響を与えるという面があります。TBTOにしてもTBT化合物にしても、一方では船底に塗る塗料として大変便利なものではありますけれども、有毒な影響を大きく与えていく、海水を汚染する、海中の生物に影響を与えるというようなことがあるわけであります。  科学の進歩によるこの二面性、これは避けることのできない運命的なものではありましょうけれども、何といってもその利便性と悪い影響と比較考量して、悪い影響がある場合には、たとえどんな便益があっても、それを犠牲にしても、有毒な影響については行政の立場から未然に防止をしていくという措置をぜひ強くとっていただきたいというふうに考えるわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  66. 北川石松

    北川国務大臣 ただいまの委員の有機化合物系統の人類に及ぼす悪影響、これは御指摘のとおりだと思います。  ただ、御指摘のように二面性をおっしゃっていただいて、片方では人間の生活の中に科学がもたらした便利性も多々あると思いますが、またそれが環境を破壊し、あるいは使う者が知らないうちに汚染されていくようなものもないとは言えないと私は思います。そういう面におきまして、これが規制には関係各諸庁ともよく連絡をしながら、やはり人類の健康のために悪影響を及ぼすものには当然厳しい規制をしていかなくてはいけない、このように思っております。
  67. 新村勝雄

    ○新村委員 TBTO及びTBT化合物については、規制というよりは製造禁止、完全な使用禁止をすべきだと思うのです。専門家も各省にいらっしゃいますから、また政府においてはそれを検討する十分のスタッフもおられるわけでありますから、それらのスタッフの御意見を後でよくお聞きになって、我々が知っている限り、我々の聞いている限りでは、TBTO及び有機すず化合物については製造禁止、使用禁止に当然すべきである。極めて高い毒性を有する物質でありますから、ぜひ長官においても御留意をいただきたいと思います。  それから、TBTOとその関連の物質について申し上げたわけでありますけれども、後でもう一つ申し上げますけれども、このほかにもたくさんの物質があります。そういう物質をどのように人間生活の幸せのために使っていくのかということは、今後の大きな課題だと思います。ですから、いやしくも人類に悪い影響を与える、毒性を与えるものについては、少しくらいいいことがあっても、それを犠牲にしても断固として製造禁止、使用禁止をしていくという基本的な姿勢をぜひ堅持を願いたいと思いますけれども、もう一回お願いします。
  68. 北川石松

    北川国務大臣 委員の重ねての、有機すず関係を含めての化学物質の規制について製造禁止という方向を御指摘でございますので、これが及ぼすいろいろな影響もやはり考慮しなければいけませんが、人類と先ほど申しましたが、人間のみではなしに、文明の大きく開けてきた中において、片や、そのような人間の英知の中でつくられていく化学物質が生きとし生けるものすべてを含めてのものを損ねてしまうということは許せないことだ、私はこのように思うものでございます。ただ、関係諸庁との間もよく理解をしてもらうように話し合いを進めながら慎重に対処し、しかもそれは前向きに対処していきたい、私はこのような思いをいたしております。
  69. 新村勝雄

    ○新村委員 それでは、官房長官がお見えになるまで別の化学物質についてお願いしますが、地下水の汚染について――長官がお見えになりましたので別のことをお願いします。  官房長官にお伺いをいたしますが、情報公開ということについてでございます。情報公開というのは、行政府が持っている、あるいは権力が持っている行政上の情報をできる限り国民に公開をすべきであるというのが今の一つの世の流れであると思います。そういうことでお伺いをしますが、きょうは決算委員会でありますから、各省の決算書の中に報償費あるいは交際費という費目がございます。これは各省に散在をいたしておりますから、合計どのくらいあるのかということについて、その資料を出すようにお願いしておいたわけでありますけれども、一般会計の中で報償費、交際費は総額でどのくらいございますか。
  70. 設楽岩久

    ○設楽説明員 お答えいたします。  交際費、報償費でございますが、六十二年度決算額でございますが、各省の一般会計で交際費が六億六千九百万円、報償費が六十七億八千八百万円、合計で七十四億五千八百万円でございます。
  71. 新村勝雄

    ○新村委員 これは、六十二年度決算で今のお話のように報償費、交際費で七十四億ということでありますけれども、この報償費、交際費の使途については、求めがあれば公開されますか。
  72. 荒田建

    ○荒田政府委員 報償費、交際費の政府全体の総額は、先ほど司計課長の方から御答弁ございました。情報公開の関連でその使途を明確にせよ、公開すべきだというような御意見があるのは承知しておりますけれども、この報償費、交際費、この経費の性格から見てやはり公表するということになりますと行政の円滑な遂行に支障を生ずるということも考えられますので、これまでも公表しておりません。ということで御理解をいただきたいと思います。
  73. 新村勝雄

    ○新村委員 官房長官にお伺いしますが、これを公表しないという理由、これはどういう理由でしょうか。
  74. 坂本三十次

    坂本国務大臣 ただいま政府委員が一般的に申し上げたわけでございますが、国家機関がその任務を遂行していく上において、公の利益の保護の観点からある事柄を公表しないことは許されるものと考えております。政府が報償費等の具体的な使途を公表していないのは、その公表により行政の円滑な遂行に支障を生ずることになると判断しているからでございます。
  75. 新村勝雄

    ○新村委員 もちろん、これは国民の税金でありますね。国民の税金を使って行政をされる、そして今長官がおっしゃったようなことが該当する項目も一部あると思います。これは、すべての行政の内容なりあるいは税金の使途をすべて公表すべきであるとは言えないわけでありまして、それは一定の限界はあると思いますけれども、その限界はこの民主主義の世の中では極力圧縮しなければいけない、狭くしなければいけないと思います。この問題については、かねてから予算委員会等でも何人もの人たちによってただされ、あるいは追及されておりますけれども、そのたびに政府は今のような答弁をされております。しかし、これはそれを法的に支持するあるいは合理化する基礎というのはないわけですよ、政府の一方的な理由ですから。国民の方には、政府のその見解に対する反論も大いにあるわけです。国民は反論できないわけです。まあ、国民を代表して我々が反論すると言えばそれまでですけれども、できないわけで、政府の一方的な見解でありますから、これについては我々はある程度の異議を持っておるわけです。  それと、最近の時の流れからいたしまして、情報公開というのが時の流れであります。特に地方自治体等においては、こういう問題について一部では裁判になってその判決が出ておる例があります。大阪府の知事の交際費の公開要求あるいは大阪府水道部の会議費を公開せよという住民の訴訟に対して、裁判所、これは第二審でありますけれども、最高裁の判例はまだ出ていないようでありますが、二審までは住民を支持している。それを公開をする利益と公開をしない行政側の利益とを比較考量した場合には、これは住民の言い分が至当である、こういう判決が実は出ておるわけであります。  そういうことで、政府の御見解は従来の御見解でありますけれども、その従来の政府の御見解をいつまでも未来永劫に守っていかなければいけないというものではないわけであります。それはそのときそのときの国民の皆さんの意識あるいは政府と国民との間の関係、情報公開すべきであるという国民の願い、それらを考えた場合には、政府はその御見解をいつまでも守っているということでは納得できないわけであります。そういう点で、ただいまおっしゃったことを再検討して、この問題についても、交際費あるいは報償費についても積極的に、もちろん全部とは言いませんよ、言いませんけれども、積極的にできる限りの公開の努力をすべきである、その御検討をされるお考えはありますか。
  76. 荒田建

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  政府の保有している情報を公開するかどうかという問題につきましては、別途担当省庁の方で今検討しておるということを聞いております。私の立場で情報公開の点についていろいろ申し上げる立場にございません。  なお、大阪府の水道局の交際費の支出について確かにそういう判決が出たと聞いておりますが、非公開にすべきだという判決も別途あるやに伺ってございます。したがいまして、私どもとしては、今先生のせっかくのお尋ねでございますが、報償費と交際費等につきましては先ほどの答弁のとおり公表は差し控えたいということで考えております。
  77. 新村勝雄

    ○新村委員 長官にお伺いしますけれども、報償費、交際費と言ってもこれはいろいろ幅があると思いますよ。もちろん性質が違う場合もありますけれども、それを全く公表しないということについての根拠、全く公表しないのか、それとも、公表するにしても程度の問題があります。どういう使途に使ったかということ、これらについては公開をしてもいいのではないかと思いますけれども、その内容の一切について、すべて全くタッチすべきでないということであるのかどうか、今その検討をされているというお話もありましたけれども、これは内閣の大番頭である長官の所管であると思いますので、長官から直接お伺いしたいと思います。
  78. 坂本三十次

    坂本国務大臣 前段の、情報公開は一般的には進めるべきである、そういうふうにおっしゃいましたが、確かに国民の皆さんには知っていただく権利があるし、私どもも情報公開に向けて、やは り着実に研究、そして制度を整備していくということはいいことだろうと思っております。  ただ、今委員の御指摘のこの報償費など、これにつきましては、この報償費の性格は私が申すまでもないことでありますが、この報償費などの性格にかんがみまして、これを公開をするということは極めて慎重でなければならぬと思っております。公開した場合に、公開しなかった場合にと、この両方の行政の運営とか、公共の福祉とかいうようないろいろな面で考えてみまして、やはりこのような報償費などは公開すべきではない、そういうのが今の私どもの結論であります。
  79. 新村勝雄

    ○新村委員 情報公開については、基本的にはその努力をなさる、ただし報償費、交際費については全くだめだということでありますけれども、報償というと何か賞品でもくれるのかという気がしますけれども、賞品をくれるのだったら別にだれにどれだけの賞品をくれたということを公表しても少しも差し支えないと思います。交際費についても、大体わかるような気がしますけれども、わからない場合もある。報償費の内容については一切ノーコメントということなのか、それともそのうちの一部については勘弁してくれ、一部については発表してもいいのだということなのか。例えば交際費にしても、これは普通は要路の人がどこかの料亭で宴会をやるというようなことがすぐ思い浮かぶわけですけれども、そういうことを公表、例えば何の折衝のためにどなたが幾ら使ったという程度のことを発表してなぜ悪いのかということですよ。  それから、報償費といいますけれども、報は報いる、償は償うですね、報償という言葉の中で推定できることというのは全くわからないわけですよ。報償というと、何か褒美でもくれるのかと思いますけれども、そこら辺はどうなのですか。いわゆる昔で言う機密費というのですか。ほかに知られてはまずい費用ですか。そうでない。この字から受ける印象だとすると、そんな悪いことではないと思いますね。また、政府が悪いことをしているはずもない。総理以下、皆さん方が悪いことをしていると私は思いませんよ。思わないだけに、これはある程度輪郭ぐらいは発表して、国民からむしろ支持を得るようにしたらいいのではないですか、こういったことを出すことについて。それを、一切秘密だということでは国民は納得しないと思いますよ。そういう点について長官はどうお考えですか。
  80. 荒田建

    ○荒田政府委員 報償費のお尋ねでございますが、報償費と申しますのは、国が国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するために、当面の任務と状況に応じ、その都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費でございます。  例えば、国の事務あるいは事業に関し功労があった者などに対しまして、特にその労苦に報い、さらにそのような寄与を、貢献を奨励するということを適当と認める場合において使用する経費、または部外の協力者に対して謝礼的または代償的な意味において使用する経費ということで、大体内容は御理解いただけるのではないかと思います。
  81. 新村勝雄

    ○新村委員 本会議があるようですから、この続きは午後にいたします。終わります。
  82. 渡辺栄一

    渡辺委員長 この際、休憩いたします。     午前十一時四十五分休憩      ────◇─────     午後零時三十八分開議
  83. 渡辺栄一

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新村勝雄君。
  84. 新村勝雄

    ○新村委員 午前に引き続きですが、報償費、交際費の非公開、これについてはその考え方は述べられたわけでありますけれども、その根拠については必ずしも明らかではないわけですね。  そこで、知る権利、国民には基本的に知る権利があるわけです。それからまた、国会にはもちろん国民の代表として知る権利があるわけですから、それを制限するとすれば何らかの法律なり明確な基準あるいは明確な根拠がなければいけないと思うわけです。そういう点についての根拠が、現在は必ずしも明確ではないわけです。公務員の守秘義務等の規定はありますけれども、会計法上にどういう規定があるのか、あるいはまたそのほかに非公開を定めた規定があるのかどうか、それを伺います。
  85. 荒田建

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  非公開あるいは公開というようなことを定めた規定は、私ちょっと情報公開に関して余り詳しくないものですから詳しくは存じませんけれども、今先生おっしゃったように、公務員法で守秘義務が公務員に認められております。それから、やはりいろいろ国の行政を進めていく上で、公表してもいいものあるいはしてはいけないものというのがあろうかと思います。先生おっしゃるように、たしか明確な規定はないようだと思いますけれども、いずれにしましても、先ほど来お尋ねございます報償費、交際費につきましては、官房長官からも御答弁申し上げましたように、国の行政の円滑な実施に支障を生ずるということでこれまでも公表を控えさせていただいてきておるわけでございます。
  86. 新村勝雄

    ○新村委員 ただ一般的に行政に支障を来すということだけではこれは納得できないわけで、例えば交際費、会議費の内容を示せという点で争われた裁判においても、裁判所はかなり具体的にこの部分についてはどうだ、この部分についてはどうだという分析をしているわけですね。それで、例えば会議費の公開等については、そこに業者が参加をしている、その業者の信用の関係に支障を来すとか、そういう具体的な点についての検討がなされているわけですけれども、国の場合には、包括的に一括してその部分については一切ノーコメントということでありますから、その内容を分析をして、この部分についてはこういう支障があるとかこの部分についてはない、こういう内容の分析が全くなされていないということでありますが、それではなかなか納得しにくい点があるわけです。  そこで、今の一つの時代の流れでもあるわけですから、そういう点について、これから公開についての検討をするお考えがあるかどうか、これはどうでしょうか。
  87. 荒田建

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  一般に行政の情報公開の問題でございます。私の立場といたしましては、内閣参事官という立場でございますので、一般的にそういった問題についてどういうふうに今後検討するかについてはお答えをいたしかねますので、御理解いただきたいと思います。
  88. 新村勝雄

    ○新村委員 それでは少し観点を変えて、一般的な情報公開、報償費、交際費に限らず一般の国政の事務についての情報公開ということについては、どういう基本的な考えを持っておりますか。
  89. 荒田建

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたが、私、内閣の参事官兼会計課長という立場でございます。情報公開の問題につきましては私どもの所管外と私なりに理解しておりますので、大変申しわけございませんけれども御答弁できかねますので、御了承いただきたいと思います。
  90. 新村勝雄

    ○新村委員 内閣の参事官でそれがお答えできないということであれば、担当はどこですか。
  91. 荒田建

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  たしか総務庁の方で一般の行政情報の公開の問題等を検討しているように伺っております。
  92. 新村勝雄

    ○新村委員 それでは次の問題に移りまして、やはりこれは汚染の問題であります。  地下水の汚染の問題について、これは今回は千葉県の北部にある沼南町で発生した事態でありますが、千葉県では、さきに君津市で、東芝コンポーネンツという会社がありますが、その会社のトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、この二つの物質についての問題がありました。同じケースが再び発生をしたわけでありまして、沼南町のクリーニング工場と思われる、まだ最終的に 汚染源が確定しておりませんが、ほとんど間違いなくここであろうということになっておりますが、その汚染の問題であります。  そこで、既にこの問題では、トリクロロエチレンについては大きな問題を起こしておるわけでありまして、これが一つの契機になったと思いますけれども、指定物質になったわけであります。その後、再び同じ物質によって同じような汚染が発生したということについては、大変残念なわけであります。  そこで、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、この二つの物質についての厚生省としての管理あるいは指導、規制というような問題について伺います。
  93. 土井脩

    ○土井説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、トリクロロエチレン等につきましては、昨年の三月に化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づきまして第二種特定化学物質に指定したところでございます。また、クリーニング営業者等に係りますテトラクロロエチレン等による汚染を防止するために、「クリーニング営業者に係るテトラクロロエチレンの環境汚染防止措置に関する技術上の指針」を同年七月七日付で厚生省、通商産業省から告示したところでございます。  こうした状況を踏まえまして、同年の七月十日付で、厚生省の生活衛生局長通知といたしまして「ドライクリーニングにおけるテトラクロロエチレン等の使用管理について」という通知を出しまして、また同時に、技術上の指針の徹底その他に関しまして関係の各都道府県及び団体に通知し、その徹底を図っているところでございます。また、水質汚濁防止法によりましてテトラクロロエチレンが有害物質に指定されておりますので、この徹底につきましても同様に関係都道府県等に指示しているところでございます。  しかしながら、先生指摘のとおり、千葉県で水質汚濁防止法違反の事件が起きたことは私どもも大変残念なことと考えておりまして、かかる違反事件が再び起きないように関係業者に対する指導を徹底するとともに、関係都道府県に対しても指導監督を十分に行うよう指導してまいりたいというふうに思っております。
  94. 新村勝雄

    ○新村委員 指定をして指導監督をしているということですが、事情を聞いてみますと、例えばクリーニング業者の場合は大抵組合に入っているわけですが、組合に入っている場合には組合の方から通知が来て指導が一応徹底するということのようですが、組合に入っていないフリーのというか組織されていない業者もいる。そういう場合にはかなり指導がおくれるあるいは抜ける、こういうことも言われております。  そういうことで、極めて重要な指導、規制でありますから、末端においてどういうふうになっているかということを、中央としては十分検討してその指導の追跡調査等をされているのかどうか。それからまた、第一線というか末端における規制、指導、それがどういうふうに行われて、完全に徹底して行われているかどうかということについての調査等を行われているのかどうか、その点はどうでしょうか。
  95. 土井脩

    ○土井説明員 お答え申し上げます。  関係業者団体に入っていない、いわゆるアウトサイダーに対するこのような規制措置あるいは基準等の徹底につきましても、今後さらに都道府県その他を通しまして十分に徹底するように努力してまいりたいと思っております。  また、化審法あるいは水質汚濁防止法に基づきます各種の規制をクリアするためのいろいろな器具・機械その他の設置状況その他につきましては、関係都道府県を通してその整備状況等について調査を進めております。
  96. 新村勝雄

    ○新村委員 この二つの物質については、平成元年三月十八日、中央公害対策審議会に諮問して追加をされたというふうになっておりますが、水質基準、環境基準については「WHOの飲料水暫定ガイドライン及び我が国の水道水の暫定水質基準を勘案し、」とありますが、そしてトリクロロエチレンが〇・〇三ミリグラム・リットル、テトラクロロエチレンについては〇・〇一ミリグラム・リットル、これ以下ということになっています。この基準を先進国の実例に比較をしてみますと、日本の場合はかなり甘いということが言えるわけですね。  例えば、アメリカの基準で言いますと、トリクロの場合には〇・〇〇五ミリグラム・リットル、それからテトラの場合には〇・〇〇五ミリグラム・リットルということですから、日本よりはかなり厳しい。トリクロの場合には日本の基準の六分の一を基準としている。それからテトラの場合には日本の二分の一の濃度を基準にしているということでありますから、六分の一、二分の一というふうに、大変アメリカは水道水の基準として厳しい規制をしているわけです。  ところが、日本ではWHOのガイドラインということは言っておりますが、大変甘いと思います。この基準が決められた根拠についてはここで簡単には触れられておりますけれども、極めて考え方が甘いということが言えますが、その辺の事情はどうでしょうか。
  97. 藤原正弘

    ○藤原説明員 トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンの暫定的水質基準を、水道の水質基準でございますが、厚生省で定めております。それにつきましてお答え申し上げたいと思います。  先生の御指摘のように、我が国の基準と米国の基準とは異なっております。しかしながら、昭和五十九年に当該化学物質につきまして定めましたときには、生活環境審議会の水道部会の水質専門委員会というところで検討していただきまして、この委員会の構成メンバーは、医学、薬学、公衆衛生学などの専門家から成っておりますが、医学的な観点、特にこれらの物質は発がん性を有する疑いがあるというふうに言われておりますので、そういうふうな観点からも検討していただきまして、生涯にわたる飲用に際しても発がんの危険を生じさせないレベルというところから、この基準が定められたものでございます。  なお、委員御指摘のように、この基準は全くWHOの飲料水ガイドラインとも一致いたしておるわけでございまして、その意味から、私どもといたしましては、この基準数値は適切なものである、このように考えておるわけでございます。
  98. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、これはWHOの基準を参考にしたということが一番大きい理由のようですけれども、日本独自としても当然これは動物実験なり実験をしたその結果も考慮されていると思いますが、そういった試験というものをどの程度やっているのか。それからまた、これは先ほどの問題とも関連しますけれども、できるだけ決定の過程、それから検査をしているならしているように生の数値を発表するとかして、国民に心配を与えないようにしなければいけないと思うのですが、国会にも発表してもらうということが必要だと思いますけれども、そういう点で、確かに結果はこうだと結果だけは示されますけれども、その結果を示すまでの経過を親切に国民に知らせる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  99. 藤原正弘

    ○藤原説明員 この基準を定めるに当たりましては、先ほども申しましたように専門委員会で検討していただいたわけでありますが、その当時得られる内外のすべての情報を集めまして、その中からこういうふうな基準が定まったものであります。もちろんWHOのガイドライン、これも参考にして定めたということでございます。  しかしながら、知見はその都度、時代とともに進歩するものでございますので、これらの物質についての基準値が今後新たな知見のもとに改正され得るということは当然あり得るわけであります。  私どもの方では、平成元年から三年にかけまして水道の飲料水基準を全面的に見直すという作業をいたしております。これは先ほど言いました二つの物質に限定した話ではなくて、全体を含めた基準の見直しでございますが、そういう中で新たな知見が得られますれば、この基準というのは当 然見直されることがあり得るということでございますが、現時点では先ほど言いましたような考え方でございます。そして、今やっております検討の作業の中でこの問題についても考えさせていただきたい、かように考えております。
  100. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、結果についてはこういう数値だ、この数値に従ってやっていくんだということでありますけれども、その数値が決まる過程についてのいろいろな資料があると思うのですね。WHOの資料もあるでしょうし、それから国内における研究機関等の試験の結果等もあると思うのですが、その結論を出すに至った過程における、あるいはその結論を出すために使った資料、こういうものは公表をされるものですか。
  101. 藤原正弘

    ○藤原説明員 専門委員会で使いました資料でオープンにしておるものにつきましては、後ほど先生のところにお届けしたいと思います。
  102. 新村勝雄

    ○新村委員 その資料をいただきたいと思います。  それから今回の問題でありますが、今回の問題については、これは沼南町という首都圏内の、都心から約三十キロの地点でありますが、そこの洗濯工場から出たものであって、その周辺にかなり広範に地下水が汚染をされているというケースでありますけれども、この場合に、さきに君津における問題もありますけれども、この二つの物質の場合には、地下水を汚染した場合に、かなりそこに滞留をしてなかなか除去が難しいということが言われております。それからまた、たまたま発見をした場合に、その汚染源を追及をして最終的にそれを確定するまでの仕事もかなり大変なわけであります。  そういうわけで、弱小の町や村の中でこういったことが起こった場合に、その汚染源を追及し汚染源を確定する作業だけでも、これは大変な金がかかるということがありますが、そういう経費の点について、これはどういう措置が今されているでしょうか。
  103. 安橋隆雄

    安橋政府委員 地下水の汚染防止も事前の対策としては非常に大切でございますが、既に汚染が出たような場合に、その汚染原因あるいは汚染機構の解明の問題あるいは回復対策をどうするかという問題、これは非常に難しい問題でございますが、大変重要なことだと思っているところでございまして、私どもといたしましては、その調査の中で、費用の面でも負担の少ないような原因究明方法、回復対策を検討していきたいと思っておりますし、私どもの方でできました結果は、自治体に提供してその用に供したいというふうに考えておるところでございます。  また、回復対策の費用負担の問題につきましては、基本的には汚染原因者の負担の原則というものがございまして、これにのっとって汚染原因者が負担するということが基本であると思っているわけでございますが、ただ、汚染機構が十分に解明されていない場合に、汚染原因者がなかなか特定しがたいという問題もこの地下水汚染につきものの問題でございますので、汚染原因者負担原則の上に立ちまして費用の負担のあり方については今後検討していかなければならない、このように考えているところでございます。
  104. 新村勝雄

    ○新村委員 この場合にはほぼ原因者はわかっているようでありますけれども、最終的にまだ決定されていないわけです。いないわけですが、仮に決定されても、恐らくこれであろうということでありますが、その場合には、その原因者がクリーニング業者である、これはもう資金的にも経済的にも極めて非力な小経営でありますから、とてもその費用にたえないということであって、そういう場合に救済策があるのか、あるいはまた国として何らかの救済策があるのか、財政的にですね。それはどうでしょうか。
  105. 安橋隆雄

    安橋政府委員 原因者がはっきり特定されました場合には、基本的には原因者がその負担をすることによりまして回復対策を講じていくというのが大原則でございますから、これは、原因者がわかりますればその方に負担して回復していただくということでございます。  ただ、先ほども申しましたように、なかなかその原因者がはっきりしないようなケースが地下水汚染の場合には生じるわけでございますし、また、原因者が複数いてその寄与度がなかなか特定しがたい、だれが何割汚したかというようなことが特定しがたいような場合もありますので、汚染原因者の負担ということで回復対策をするという基本原則に立ちながらも、そういった場合の費用負担のあり方については、今後やはりよく検討していかなければならないと思っているわけでございます。
  106. 新村勝雄

    ○新村委員 原因者がわかっても原因者にその経済的な力がないというような場合、こういうような場合どうするのか。それからまた、こういう場合、もちろんこの有害物質をつくらないあるいは使わないということが徹底すればいいのですけれども、なかなかそういかないという場合に、万一こういった場合を救済するための基金等をつくることができるのかどうか、あるいはお考えになっているかどうか。この関係業界の協力も得て基金等をつくることができるのかどうかというようなことも、あわせて考える必要があるのではないかと思います。  それから厚生省の皆さん方にはこういう有毒物質の管理、規制ということも必要でありますが、それからまた、こういう毒物の有用性ということはわかるのですが、人間生活にとって必要な面があるということはわかるのですが、一方、大変な被害を及ぼすということであれば、こういうものはつくらない、使わないという原則を貫くことができないのかどうかということはどうなんでしょうかね。これは、大臣の御所見も兼ねてお伺いしたいと思います。
  107. 北川石松

    北川国務大臣 委員の御質問の沼南町の地下水を侵していきました化学物質の規制については、製造禁止以外にもいろいろな方法があると思います。しかし、それについては慎重に勉強していきたいと思いますし、私はやはり今委員の御指摘のように、侵された地下水というのは容易にもとへ戻らないんじゃないかという思いをいたしておりますので、私は、これを侵した原因者に対しては何らかの形で注意をしなくてはいけない、そして注意をすると同時に、どういう方法でいいかということを、前向きで県また市町村、自治体、御本人とも相談するまでの姿勢を示さなくてはいけない、こういう思いもいたしております。
  108. 安橋隆雄

    安橋政府委員 後の方で御指摘になりました代替品の問題でございますけれども、やはり有害物質の排出規制措置とあわせまして、環境への影響がより少ないような製品も積極的に開発していただくことは、非常に有効な公害発生防止措置の一つだろうと思っているわけでございます。そういうような意味で、今まで種々問題になっております有害化学物質、例えば有機すず化合物でございますとか、あるいは環境に影響を与えると言われておりますフロン等々につきましての代替品の開発というようなことにつきまして、関係省庁と連絡を密にしながら対策を進めているわけでございますし、また環境庁自身といたしましては、環境にやさしい商品の普及を図るという意味で、エコマーク商品制度というようなものも積極的に広めたいということで対策を講じているところでございます。
  109. 新村勝雄

    ○新村委員 費用の点ですが、弱小な町村ではそういうことができないわけですよ。その費用はどうなりますか。
  110. 安橋隆雄

    安橋政府委員 非常に経済的な基盤が弱い原因者がなかなか回復対策について費用を負担できないという点は、現実には往々起こり得ることでございます。私どもといたしましては、基本的には原因者負担ということでございますが、なかなか資力がないというような方々のケースにつきましては、現行のところで考えられますのは、例えば公害防止事業団等からの融資で当面つないでいただくとかいうようなことも考えられないわけではないと思っております。関係業界の方の御同意があるという前提ではございますが、そういうところで御協力がいただけますようなケースにつきま しては、先生指摘の基金制度というようなものも一つの有効な対策ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  111. 新村勝雄

    ○新村委員 厚生省の皆さん、以上で終わりますのでありがとうございました。  次は、大蔵省はお見えになっておりますか。NTT資金の用途の件でありますけれども、NTT資金は、電信電話公社が株式会社になって国がその株式を放出したということによって相当な資金を新たに得ることができたわけでありまして、それが各方面に活用されているということは大変結構でありますが、その使途について、やはりこれは厳しく規制をして、最も国民の福利に合ったような使い道をしていただかなければいけないと思います。最優先はやはり社会資本の充実、公共事業に対する投資であろうと思いますが、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプ、三つのタイプがあって、それぞれ運用されているということでありますが、その基本的な運用の方針についてまず伺いたいと思います。
  112. 原口恒和

    ○原口説明員 今、NTTの株式売り払い収入の運用についての基本的な考え方ということでございますが、まずNTTの株式の売り払い収入につきましては、基本的には最終的に国債の償還に充てるということを制度的に確立しているところでございますが、当面、国債整理基金の円滑な運営に支障を生じない範囲におきまして、その収入の一部を活用して社会資本の整備の促進に充てるということにしておるわけでございます。御指摘ございましたように三つのタイプに分かれておりますが、それぞれ三つのタイプに応じまして公共事業及び特定の民活事業に無利子貸し付けを行うということでございます。  三つのタイプでございますが、いずれも無利子貸し付け制度をとっておるわけでございます。Aタイプはいわゆる収益回収型公共事業と申しまして、公共施設の整備により直接間接に収益が生ずる場合に無利子貸し付けで整備を行い、その収益で償還をするものというのを原則としております。またBタイプにつきましては、面的な開発事業等の一環として一体的緊急に実施することが必要な公共施設整備を無利子貸し付けで促進し、償還時において補助金を交付するということにしております。それからいわゆる民間事業タイプ、Cタイプでございますが、これにつきましては、第三セクターの行う特定の民活事業を促進するためのインセンティブとして開発銀行等を通じる無利子貸し付けを行い、その収益で償還するということを原則にして行っておるわけでございます。
  113. 新村勝雄

    ○新村委員 Cタイプの中に、開発銀行等を通じて第三セクターに無利子で貸し付けをするということがあるようですけれども、この中にリゾート、具体的にはゴルフ場でありますが、ゴルフ場の建設について、経営も含むでしょうが、ゴルフ場の建設、経営についてもこの資金が使われているというふうなことが言われておりますけれども、そういう事実が、あるいはそういう予定がございますか。
  114. 原口恒和

    ○原口説明員 今御指摘のございましたCタイプでございますが、日本開発銀行等を通じます無利子貸し付けにつきましては、法律の規定、すなわち国民経済の基盤充実に資する施設の整備を行うもの、それからその整備される施設がその周辺の相当程度広範囲の地域に対して適切な経済効果を及ぼすと認められるもの、そういう規定の趣旨にのっとって行うこととしておりまして、御指摘のように、リゾート施設ということにつきましては総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法というような法律もございますので、その対象事業について一般的にはこの貸し付け制度の対象になっておるわけでございますが、今申しましたように、この法律の趣旨を踏まえて日本開発銀行等から運用を行います場合には、ゴルフ場に対して無利子貸し付けが行われているというような実績はございませんし、また今後行う予定もないというふうに聞いております。
  115. 新村勝雄

    ○新村委員 リゾートについては一部あるけれどもゴルフ場はないということでありますが、ゴルフ場については今までも実績はない、それから今後もそういう予定は全くない、全く考えられないということでよろしいわけですか。それからゴルフ場以外のリゾートについては、ある程度やった実績なりやる考えはありますか。
  116. 原口恒和

    ○原口説明員 ゴルフ場については、今御指摘のとおりでございます。またリゾート施設につきましては、これは法律の趣旨にのっとりまして運用しておるわけでございますが、第三セクターで行われて、かつ、地域の活性化に資するというような観点から、これまでもいろいろ、例えば水族館でございますとかスキー場というものに対する運用実績がございます。
  117. 新村勝雄

    ○新村委員 これは希望ですけれども、今日本経済は非常にすばらしい発展をしておりますが、一方財政は必ずしも余裕はないわけです。そういう中でNTT資金というのは、たまたま財政資金あるいはそれに準ずるものとして与えられた貴重な財源でございますから、これはやはり社会資本の充実、国民生活に直接利益のある公共事業に優先的にというか、全部が全部これに使うべきだと思うのですね。ですから、その点についてはぜひ厳しく解釈をされて、リゾート等についても必ずしもこれは適当とは思えないし、ましてやゴルフ場なんかについては言語道断と思います。ですから、そういう点で優先的に、重点的に国民生活に利益のある公共事業、社会資本の充実に使っていただきたいということを強くお願いをいたしたいと思います。  以上で終わります。
  118. 渡辺栄一

  119. 長谷百合子

    ○長谷委員 まず環境庁長官に、放射能の基準を設けるおつもりがあるのかないのかといった問題からお伺いいたします。  六月十日に原子力に反対する市民と東京電力との公開討論会が初めて行われました。東京電力が昨年一月に引き起こした福島第二原発の事故について討論が行われたようです。原子力発電の問題はひとえに放射能の問題でありますが、放射能が環境に漏れ出すということは、大であれ小であれ決して起こってはならないことだというように思っております。この放射能による汚染の問題は、本来ならやはり環境庁の管轄ではないかと思うのですけれども、放射能による大気汚染、水質の汚染などについて規制するお考えをお持ちじゃないでしょうか、長官にお願いいたします。
  120. 北川石松

    北川国務大臣 ただいまの長谷委員の放射能に関してのいろいろな角度からの御心配の点の御質問でございまして、全く同感の点が多々あり、環境という至上の価値を守っていくためには、私といたしましては汚染の問題は一番大事だ、ましてや放射能という汚染は化学物質のいかなる汚染にもかえがたい一番恐しいものだ、私はこのように思っておる次第でございまして、ただ、放射能汚染対策につきましては、原子力基本法という原子力関係の法律が整備されておりまして、これはその関係諸庁で取り扱っているわけでございますが、また特にこれは厳格な規制をしていると思っております。  しかしながら、環境庁といたしましては、原子力を所管する諸庁とも十分な話し合いの中で環境というものは守らなければいかぬということは、私は大きく指摘をしなければいけない。ただ原子力基本法の中で関係諸庁というものがありますので、環境庁でやったらどうだという御指摘を受けますと、環境に関しては環境庁が全部所管として厳しく規制をし努力をしなければいかぬと私は思いますが、現時点におきましては原子力基本法というものがございますので、その関係諸庁の中で扱われているということを御承知願いたいと思います。  以上でございます。
  121. 長谷百合子

    ○長谷委員 ぜひ前向きに検討していただきたいというように思います。  続きまして、原子力安全委員会の方にお聞きしたいと思います。  昨年一月、東京電力の福島第二原発三号機で起こった事故についての質問ですが、原子炉の心臓 ともいえる再循環ポンプの内部がめちゃめちゃに壊れ、大量の金属片が原子炉内にまで流入した事故です。  この原発は現在まで一年半にわたってとまったままでおります。事故原因の第一は、一月一日に、まず振動計の針が振り切れるほど振動が発生いたしました。ほかの計器類にもふだんと違う変化があらわれていたのに、ポンプも原発も運転をとめなかったということではないかと思います。ポンプの中がめちゃめちゃになるほど一月六日まで無理やりに運転して、この最後のときも振動警報が発生しているのに十四時間半もとめなかったわけです。  原子力安全委員長も昨年の三月二日の発言で一月一日にとめるべきだったと言っておられますが、その後、原子力安全委員会としてこの事故に対してどのような調査検討を行われてきたのでしょうか。
  122. 鈴木治夫

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  本件につきましては、所管の行政庁、通産省でございますが、原子力安全委員会といたしましても、本事象につきまして通産省から平成元年八月二十一日に調査状況について報告を受けております。また、本年の二月二十二日でございますが、原因と対策に関する通産省の調査結果について報告を受けたところでございます。それからまた、現在さらに通産省として、今後運転開始までの間に原子炉等の健全性を評価していくという作業をしているというふうに聞いております。  私ども原子力安全委員会といたしましても、本件事象について通産省の報告がまたまとまった時点で慎重に検討の上、これが基本設計審査時の安全評価結果等の比較におきましてどういう問題であったかということで、総合的に原子炉施設の安全性を判断していくべきものと考えております。  したがいまして、今後、必要に応じまして原子力安全委員会として通商産業省を指導してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  123. 長谷百合子

    ○長谷委員 最近立入調査を原子力安全委員会の方でされたということはないのですか。報告だけでしょうか。
  124. 鈴木治夫

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  通産省からの報告等を受けて、今後必要があれば、例えば原子力安全委員会の委員が現地に調査に参りますとか、あるいは原子力安全委員会の下部機関の専門委員、審査委員等を派遣いたしまして調査するということも、必要があれば実施いたしますが、現時点までに原子力安全委員なり専門委員なりが現地に参ってはおりません。ただし、私ども原子力安全委員会の事務局の職員を昨年以来何名か現地に派遣して、それなりの事務局としての情報収集はやっております。
  125. 長谷百合子

    ○長谷委員 そうすると、原子力安全委員会の事務局としての立入調査をなさったというふうに受けとめましたけれども、具体的にはどんな調査をなされたのでしょうか。
  126. 鈴木治夫

    ○鈴木説明員 ただいままだ通産省の調査は続行中でございますので、通産省からの報告を補完する意味で、現場の状況ですとか壊れた部品を見るとか、そういう実務的な調査をやっているところでございます。
  127. 長谷百合子

    ○長谷委員 ちょっとお願いした資料を配っていただけますでしょうか。ぜひ通産省の方からいただきたかったのですけれども、こちらで用意いたしました。  その調査で当然ごらんになったと思いますが、ポンプ内部で壊れた水中軸受けリングが外周部で分厚く変形しております。厚さ二十五ミリが五十ミリくらいになっております。こういう事実はなかなか公開されなくて、私たちも最近になって知りました。この分厚く変形した様子を見れば、リングの外周部がどれほど激しくポンプのケーシングにぶつかっていたかだれでも想像できると思います。そして最終的には、リングがケーシングと羽根車の間に挟まっておりました。このケーシングというのは圧力バウンダリーの一つです。原発の安全上極めて重要な部分だというふうに考えておりますが、それでよろしいでしょうか。
  128. 鈴木治夫

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  確かに再循環ポンプは、原子炉の一次冷却剤、圧力バウンダリーを構成する主要な機器の一つでございます。
  129. 長谷百合子

    ○長谷委員 その安全上極めて重要な部分に激しい衝撃が加えられたわけです。場合によってはこの極めて重要な部分が破損していたかもしれません。今回は幸いにして破損はしなかったわけですけれども、このケーシングの材料はステンレスの鋳物です。鋳物というのは、表面に傷とか損傷が見えなくても内部でひび割れるとか、難しい言葉で言いますと塑性変形をしている可能性があると専門家から私も聞いておりますが、それについて調査を今後行う予定がおありでしょうか。
  130. 鈴木治夫

    ○鈴木説明員 ただいま委員の御質問のあったような事柄につきましては、ただいま通産省においていろいろ調査をするとか、あるいは必要なものについて検査をするとか原子炉等規制法、電気事業法に基づいてさまざまな作業をしているところというふうに承知しております。  私ども安全委員会としましては、通産省からその原子炉の健全性等についての評価がまとまって、また報告が出てきた時点で、ただいま先生が御質問なさったような事柄を含めて確認をしたいというふうに考えております。
  131. 長谷百合子

    ○長谷委員 では、調査を期待したいというふうに思っております。  東京電力は、この内部にひび割れているかもしれないケーシングの表面を削りまして再利用するつもりのようです。ステンレスの鋳物の内部のひび割れというのは、実際には超音波あるいはエックス線なんかを使って調べなければわからないものだというふうに思うのですけれども、先日の市民と東京電力との公開討論会が開かれた席上でも、東京電力ではそういった検査はやる必要ないというふうに発言しています。事故の発端になった一月一日の振動で原発をとめなかったという姿勢も問題であります。  きのうだったと思いますが、東京電力の福島の第二原発の方では、一号機と四号機も立て続けに再循環ポンプのトラブルでとまりました。二号機は定期点検でとまっておりますので、今第二原発は全滅しております。こういったことは東京電力の慎重さを欠いた姿勢が招いたものではないかというふうに思っております。  また、もう一度第二原発三号機に戻りますけれども、圧力バウンダリーにかかわる圧力容器や配管の損傷状況や、炉内に流入した金属片が残っていた場合の圧力バウンダリーの影響など、先ほどからお伺いしていると通産省の報告というふうに聞いておりますけれども、それに対して判こを押すとか目を通すということだけではなくて、原子力安全委員会が独自に調査検討の上、安全審査をしなければならないという問題はたくさんあると思いますが、これについて原子力安全委員会のお考えを伺いたいと思います。
  132. 鈴木治夫

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  我が国の原子炉施設の安全の規制といいますのは、長谷先生御存じのように、原子炉等規制法ですとか電気事業法等に基づきまして各段階においての多段階の規制をとっております。  まず初めの基本設計ですとか基本方針について審査をいたしますのは、設置許可段階あるいは設置変更許可段階におきましてそういう大きな基本的なものについて安全審査をする、これが第一の段階でございます。この第一の段階につきましては、通商産業大臣が許可を出します前に、原子炉等規制法に基づきまして原子力委員会及び原子力安全委員会の意見を聞かなければならない、そういうふうになっております。したがいまして、原子力安全委員会としましては、この段階で基本設計についての安全審査、ダブルチェックをする、再審査をするということをやっております。  それから、この第一の段階が終わりますと、続いて具体的な設計ですとか工事の方法についての認可という手続がございます。これは通産省においてやっております。  それから、こういう認可が済みますとさらに具体的に工事が進む、あるいは製作が進むわけでございまして、その段階で例えば溶接の検査ですとかあるいはでき上がったもののさまざまの検査、そういったことがなされております。これは第三段階でございます。  さらに、運転前に保安規定の認可をやりますとか、それから運転後定期検査をやりますとか、さまざまな段階、何段階にもわたって次第次第に具体的な問題におりていくという段階規制になっておりまして、最初から終わりまで通産省がこれを一貫して担当しております。  安全委員会といたしましては、その第一段階の最も基本的な段階についてまず再審査をやるという原子炉規制法上の規定になっております。
  133. 長谷百合子

    ○長谷委員 その第一段階ではなくて、私がお伺いしたいのは、今大変な事故になってもう一年半も動かないわけですね。こういった大事故が起こった原子力発電所、これに対して安全委員会としてどうされるのかということなのです。
  134. 鈴木治夫

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたのは、原子炉等規制法に明記された原子力安全委員会の任務をまず申し上げたわけでございますが、これに加えまして、長谷委員の言われるようにこういう大きな事象が起きたとか何かありますときには、原子力安全委員会としても所管の行政庁、原子力発電所の場合には通商産業省になりますが、そういう所管の行政庁に報告を求め、調査審議をするということをやっております。本件、この福島第二発電所三号機につきましても、通商産業省に報告を求め、もう一度審査をするということをやっていくというふうにただいま原子力安全委員会は考えております。
  135. 長谷百合子

    ○長谷委員 では、やっていただけると、慎重かつ十分な調査検討を重ねてお願い申し上げます。  続きまして、放射線照射食品の問題についてお尋ねいたします。  放射線照射食品とは、御存じのように、コバルト60などから出るガンマ線などの放射線を食品に当てて、殺菌などの効果により食品を保存する技術です。日本においては一九六七年、「照射食品研究開発基本計画」が策定されて、研究組織としては、関係各省庁で構成する「照射食品研究運営会議」を発足させています。それで一九七一年に、ジャガイモヘの放射線照射については、その動物実験などの報告書をまとめております。正式な名称は「放射線照射による馬鈴薯の発芽防止に関する研究成果報告書」といいます。一九七二年、この報告書を主要なデータとして、当時の厚生大臣は、照射ジャガイモは安全と判断し、照射ジャガイモを現在も認めております。  厚生省の照射ジャガイモ認可を受けて、一九七四年から、北海道士幌農協に完成した照射施設でジャガイモの営業照射が開始されており、以来今日に至るまで十五年以上にわたって約一万トンから二万トンのオーダーで市場に出荷されております。この照射食品については、ここ数年、世界的な推進の動きがありまして、それは貿易の問題、つまり農作物等の輸出入に絡んでおります。農薬などの危険な化学物質にかわるクリーンな技術として宣伝がなされております。その最大級の市場として、今や食糧輸入大国となった我が国がターゲットにされております。日本国内で照射食品を認めており、その実績も十五年以上に及んでいるのだからという理由で、もし諸外国から照射した農作物等の食品の輸入を認めろと言ってきたときに、我が国は大変弱い立場に立つ、そういう意味を持つと思います。  この放射線照射食品については、いまだ世界の研究者などから安全性についての疑問が根強く出されております。これが放射線照射食品の最大の問題で、食品安全の立場からも十分に注目し続けなければならない問題だと思います。さきの予算委員会の分科会で、ポストハーベストにつきまして五島委員が質問いたしましたところ、政府の方から、こういったものに対する輸入の規制を緩めていこうというような御答弁があったかと思いますけれども、照射食品輸入に関しても厳重にチェックをしていかなければならないというふうに思っております。  それで、まず、きょうは質問主意書に対する答弁書の性格ということを確認しておきたいのですけれども、答弁書というのは内閣総理大臣の名前で出されておりまして、非常に権威のあるものであって、中身に間違いがあってはならない、こういったことはもう申すまでもないことであると思うわけですけれども、その答弁書の中に虚偽の記載がなされているのではないか、そういったところがあります。  その答弁書というのは、ちょっと古くなりますけれども、一九七七年四月十二日衆議院会議録第十七号にかかる答弁書です。これは、現在我が日本社会党の委員長である土井たか子議員提出の質問主意書に対する答弁書でございますが、内容は、照射ジャガイモ等放射線照射食品に関するものです。  ちょっとその虚偽じゃないかというところを読んでみますけれども、この中に「ラットについては、三〇キロラド及び六〇キロラドを照射した馬鈴しょを与えたそれぞれの群において、体重増加量の減少が認められた。」それからちょっとおきまして「卵巣重量の減少が認められた。これらは照射馬鈴しょの摂取による影響と考えられるが、」こういうふうに書いてありまして、しかし「マウスについては、照射によるものと思われる影響はみられなかつた。」このように書いてあります。  それで、答弁の実質的な記載責任は科学技術庁にあるのですか、それとも厚生省にあるのでしょうか。
  136. 國谷実

    國谷説明員 お答え申し上げます。  質問主意書の食品照射に関します研究の部分につきましては、科学技術庁の方で取りまとめさせていただいたというふうに承知しております。
  137. 長谷百合子

    ○長谷委員 具体的に質問させていただく前に一つ二つお尋ねいたしますが、いわゆる健全性試験では、とりわけ毒性に関する試験を重要視し、詳細な研究をされていますね。科学技術庁にちょっとお尋ねいたします。
  138. 國谷実

    國谷説明員 お答え申し上げます。  食品照射に関します研究は、昭和四十二年から原子力関係の機関、それから国立試験研究機関の御協力を得まして研究を推進しているところでございます。具体的には御指摘のありましたバレイショ等七つの品目につきまして、御指摘のございました健全性、例えばいろいろな成分の分析ないしは短期の毒性試験、慢性毒性試験、あるいはこれは健全性の中には入らないかもしれませんが、照射の効果に関する研究とか、このような内容のものを実施しているところでございます。
  139. 長谷百合子

    ○長谷委員 毒性が重要視されているということですね。その通りですね。
  140. 國谷実

    國谷説明員 確かに重要な要素として位置づけられております。
  141. 長谷百合子

    ○長谷委員 この毒性に対する動物実験というのは非常に重要だと思うのですけれども、再現性を見て正確を期するというために二種類の動物を使っているのですよね。
  142. 國谷実

    國谷説明員 具体的には、慢性毒性試験につきましては、マウスとラットの毒性試験、短期毒性試験につきましてはサルを使っているというところでございます。
  143. 長谷百合子

    ○長谷委員 そして、先ほどの答弁書でございますけれども、マウスについては照射によるものと思われる影響は見られなかった、こういうふうに断定してありますが、その根拠となる資料は、先ほども冒頭で申し上げました「放射線照射による馬鈴薯の発芽防止に関する研究成果報告書」が中心であると理解してよろしいでしょうか。
  144. 國谷実

    國谷説明員 お答え申し上げます。  実施されました研究はいろいろでございますが、取りまとめられましたものは御指摘の報告書の格好で取りまとめられております。
  145. 長谷百合子

    ○長谷委員 それではこの報告書の中ですが、照射したジャガイモをえさに与えたマウスの体重変化を示す具体的な数値はついておりますでしょう か。これを見ますと一応グラフはついておるようですが、具体的な数値です。
  146. 國谷実

    國谷説明員 お答え申し上げます。  報告書を今手元に持っておりませんので確認できませんが、具体的な体重に関しますデータはその中に記載していたのは間違いないと思います。
  147. 長谷百合子

    ○長谷委員 私のところにはあるんですけれども、ちょっと書いてないものですから伺ったわけです。具体的な数値が書いてあるのでしたらぜひそれを見せていただかないといけないと思うのです。  その具体的な数値と同時に、マウスの卵巣、つまり生殖器の重量変化について、ここに三カ月、六カ月のものはありますけれども、十八カ月、二十一カ月については、具体的にどこにありますか。ラットの方は全部あると思います。ここのところ、ちょうど落丁のような形になっているんですけれども。
  148. 國谷実

    國谷説明員 ただいまの御指摘のありました報告書の中では、具体的に、データにつきましては三カ月、六カ月の御指摘のようなデータは掲げられてございますが、十八カ月、二十一カ月についてはデータとしては入れられてございません。  それから、ちょっと補足させていただきますが、先ほどのデータとグラフの関係でございますが、御説明させていただきましたのは、何らかの格好でそれに関するデータが入っているということで、具体的数字が挙がっていたかどうかはちょっと手元にないもので確認できませんので、この点補足させていただきます。
  149. 長谷百合子

    ○長谷委員 私のところには、ここにあるのには入っていないので、ちょっと不思議だなと思うのです。それで、十二カ月、十八カ月、二十一カ月が入っていないということでしたけれども、どうして入っていないのでしょうか。
  150. 國谷実

    國谷説明員 お答え申し上げます。  当時、マウスの毒性試験に関しましては、臓器重量の測定は三カ月、六カ月、十八カ月、二十一カ月という四期間で基本的には実施しておりますが、実際運営会議で取りまとめるに当たりましては、三カ月と六カ月については、具体的データを掲げていろいろ安全評価の議論を要するところがあったため議論しておりますが、十八カ月と二十一カ月目の測定につきましては、記載上は対照群と照射群の間に著しい差を認めない、要すれば異常がなかったという記載が書かれておりますために、具体的なデータというものは入っていないわけでございます。
  151. 長谷百合子

    ○長谷委員 しかし、それはとんでもないことだと思うのですね。だれが大丈夫だと言えるわけですか。ここにほかのものは全部入っていて、ラットの方ではやはり卵巣重量も体重増加量も減少した、こういった事実がはっきり書かれておりまして、それが照射バレイショの摂取による、こういうふうになっていまして、やはりそれでしたらマウスで同じような結果が出るのかどうかというのは大変重要なことだと思うのですね。その一番大切な部分がぽろっと抜けてしまっているということは、やはり私たち普通の目で見ましても、ここには非常にまずい資料があったのじゃないか、安全じゃないというふうなことがあったんじゃないか、だから資料を出さないでどこかにしまってしまったのじゃないか、そういった可能性はございませんでしょうか。
  152. 國谷実

    國谷説明員 お答え申し上げます。  ただいまのデータにつきましては、具体的に、当時であれば衛生試験所等の国立の試験研究機関がそれぞれ研究を担当いたしまして、具体的な生物実験を行いましてデータをとっております。その過程で当然のことながらデータはすべて採取されているわけでございますけれども、まず研究所の段階におきまして評価が基本的に行われまして、議論をする必要があるようなデータはこういうもの、ないしはそれを要しないものについてはこういうものというような具体的な評価を行いまして、先ほど申しました運営会議に上げられてきているわけでございます。  したがいまして、その過程で研究実施機関から対照群と照射群との間に著しい差は認めていない、そういう評価が上がってきたわけでございまして、それを評価する運営会議側では具体的なもろもろのデータについて総合的に評価いたしまして、特に問題はなかったという最終的な評価を下したものでございます。
  153. 長谷百合子

    ○長谷委員 でも、それは困るのです。データがないのに、幾らそれは安全ですと言われたって、やはりさっきも言いましたように、おかしいと思う方が普通じゃないですか。一体だれがそんなことを言ってしまったのか。その場ではどうだったのか。それに推測で安全だったというふうに言われても、ここはデータがぽろっとないということで、これを読めばだれだっておかしいと思うのが普通じゃないでしょうか。
  154. 國谷実

    國谷説明員 お答え申し上げます。  基本的に、食品照射に関します安全性に関しましては、個別の動物実験にすぐ移っているわけではございませんで、動物実験に移る前に、照射されました食品に関しまして具体的に成分変化が起こっているかどうか、このような試験がまず第一に行われております。  例えば添加物で申しますならば、添加物は食品に加わった段階で明らかに食品とは異質な物質が加わっているということで、これの毒性実験は動物実験によって直ちに確認されなければまずいという点があるわけでございますが、食品照射の場合は、この照射という行為が、具体的には火を通すとか煮るとかといったような物理的な加工方法と基本的には同じである、そういう認識に立たれております。  したがいまして、まず第一段階で成分分析が非常に詳細に行われましたが、その結果、照射されたバレイショにつきましては、新たな成分変化ないしは従来ありました成分で異常に変化するようなものは微量分析の結果も検知されなかった、こういうことになっているわけでございますので、基本的にはまずその異常な成分が生じた可能性というのは極めて少なかったのだ、こういう考え方が成り立ちます。  その上でさらに念を入れた動物実験というものが進められたわけでございますが、その過程でただいま申しましたようないろいろな動物実験、慢性実験、短期実験等が行われまして、ただ個々の研究の評価につきましては、すべて運営会議に上がったような具体的なデータもあれば、異常がなかったという判定で運営会議に上がってきたもの、いろいろございますが、それは専門家のレベルにおきまして最終的には総合的な評価を下されまして、問題がなかったという判定が下されたものでございます。
  155. 長谷百合子

    ○長谷委員 今の答えの中でも、私もちょっと幾つかよくわからないのですけれども、例えば物理的変化と同じ煮たり焼いたりと、ということだったら、それは成分が変わることは幾らでもあるので、ちょっと違うかと思うのです。  確かに照射をしたものがしなかったものと全く見分けがつかないという点は、逆に言うと大変な困りものであるということを後でまた改めて申し上げますけれども、いろいろなデータを使って、あのときは何となくよかったのだというふうに言われましても、こういった不備なデータが中心的になっていまして、こういういいかげんなデータが幾つか寄せ集まって、まあ何となく総合的にいいのだ、こういう方法をいつもとられているということですか。
  156. 國谷実

    國谷説明員 お答え申し上げます。  動物実験におきます具体的な動物実験のデータにつきましてはしっかりとられているわけでございますし、これをそれぞれの研究の部局におきまして第一次的な評価が行われている。それでその際には、先ほど申しました動物実験でも、一項目だけではなくて非常に膨大な項目、例えばそもそもその動物がどう成長したか、あるいは食餌効率とか血液学でいえばその血液学的な検査、生化学的な検査、病理学的な検査あるいはがんが発生したかどうかの検査、非常に膨大な検査を総合的に見ていって最終的な判定を下すということで、こ の基本的な考え方につきましては、現在我が国で行われておりますいろいろな危険物の評価と大きく異なるものではないだろうと考えております。
  157. 長谷百合子

    ○長谷委員 いろいろな膨大な調査といいますけれども、その膨大な調査に関しても、一つずつこれからいかにでたらめであったかということを解き明かしていこうと思いますけれども、とにかくいいです。  科学技術庁は、要するにデータが欠落した報告書を正式に受け取られたわけですね。
  158. 國谷実

    國谷説明員 お答え申し上げます。  御指摘の欠落というのが、データが添付されていないということであればおっしゃるとおりでございます。  ただ、この欠落と言われるものが、必要なものであるけれども殊さら落とされていたかという点につきましては、私どもといたしましては、これは十分なデータがそろっていたものだと今日は評価しております。
  159. 長谷百合子

    ○長谷委員 ここがデータが欠落していたということです。  厚生省の方にお伺いいたしますが、では、当時照射ジャガイモの安全性審議した食品衛生調査会の審議資料の中で、この報告書は質・量ともに最も基本的で、かつ、中心的な資料であったというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  160. 難波江

    ○難波説明員 御指摘のとおりでございます。
  161. 長谷百合子

    ○長谷委員 審議資料として報告書、この中にさっき指摘しましたデータは欠落していましたでしょうか。欠落していましたね。ちょっと教えてください。
  162. 難波江

    ○難波説明員 お答えいたします。  御指摘のとおりでございます。
  163. 長谷百合子

    ○長谷委員 そうしますと、当時の食品衛生調査会ではこのデータの欠落は問題にならなかったのでしょうか。厚生省調査会からの答申を受け取って、その答申を尊重し照射ジャガイモを許可されたのですけれども、なぜ欠落が問題にならなかったのでしょうか。
  164. 難波江

    ○難波説明員 お答えいたします。  研究報告書の中に確かにデータがついていなかったということは事実でございますけれども、それで十分な審議ができるかどうかということは食品衛生調査会における専門的な見地からの判断の問題でございます。  調査会におきましては、このような点も踏まえまして、マウスにおける剖検所見等地の所見、あるいはラット、猿等の試験成績も総合的に評価の上、安全を確認したものというふうに理解をしております。
  165. 長谷百合子

    ○長谷委員 先ほどから総合的というふうに言うのですけれども、これは一番中心的な資料に、要するに、私はこういう専門家ではありませんので素人ですけれども、だれが見ても、本当に中学生が見てもこれはおかしいなということがわかるわけです。資料として一貫性がないのですね。そういうものを正式なものとして、しかも中心的、そして私たちの命、健康というものにかかわるような結果をここから導き出しているとしたら大変な問題ではないかというふうに思うのです。その辺に対してはどうお思いでしょうか。
  166. 國谷実

    國谷説明員 お答え申し上げます。  研究成果の評価ということで御説明させていただきますが、基本的にいずれの研究につきましても、研究をする段階では、研究者は非常に膨大なメモとか研究現場での資料というのは作成されるわけでございますが、これがそのまま外部に示されるということは、およそ食品関係のみならずいろいろな研究でもほとんどないのではないかというふうに考えております。基本的にはこれを評価、整理して、通常の研究ですと論文、この種の研究であれば報告書として作成するということで、その際に研究者の態度といたしましては、意味のあるデータ、専門家同士で議論を要するデータを添付していく、そういうことになると考えております。  したがいまして、異常がなかったということであれば、私どもの運営会議のまとめました報告書につきましても強いてデータを添付しないということもあり得た、そのように考えております。
  167. 長谷百合子

    ○長谷委員 今科学技術庁からお答えでしたけれども、私たちの健康とか命を預かる厚生省としては、やはりいろいろな資料があったの、どうのというのではなくて、この資料をもとにされて結論を出されたというふうに思うのです。つまり推測で、ここはデータがないのだけれどもまあいいのではないかというふうに推測で結論を出してしまったということは、非常に無責任ではないかと私は思うのですけれども、厚生省の方でぜひお答えを願いたいと思います。
  168. 難波江

    ○難波説明員 先生指摘の、報告書に記載がない点についての御指摘でございますが、これにつきましては科学技術庁の食品照射運営委員会の研究報告書のまとめ方の問題でございまして、その研究報告書で十分審議できるか否かにつきましては、食品衛生調査会の委員が専門的な見地から判断をする問題であるというふうに考えているわけでございます。  食品衛生調査会におきましては、先ほども申し上げましたように、総合的に各種データを評価の上で安全性を確認したというふうに私どもは理解しておるところでございます。
  169. 長谷百合子

    ○長谷委員 まとめ方の問題だけじゃないと思うのです。この問題は、そういうまとめ方の問題とかいうようなことを言われてしまうと、ますます厚生省でそれは大丈夫かなというふうに思ってしまうのですけれども、放射線の影響による特殊な毒性を調べるという大切な実験なんですね。  コバルト60というのは、御存じだと思いますが、例えば害虫の駆除をするときなんかに、久米島のミカンコミバエなんかでもやられているんですけれども、コバルト60をかけると不妊化するんですね。こういうことで使われているような大変特殊な毒性であるというふうに思うわけですけれども、こういったことに対して、生殖腺にコバルト60が大きな影響を与えるということは常識ですし、この実験報告の中でもラットでははっきり出ている。それでもって、マウスのところが大丈夫だったんだからつけなかったんだということでは済まないと思うのですね。一番肝心なところなんです。その肝心なところがぼこっと抜けてしまっている。これをどういうふうにして考えたらよろしいんでしょうか。  それに、この資料のことをまたもう少し申し上げますと、サンプル数というのが二とか四とか五とかという数を使っているんですね。でも、これはもうデータの原則といたしましても、やはり誤差の範囲です、たとえ平均値をとっても何をやっても誤差の中に入ってしまうということで、つまり徹底的にいいかげんな実験だというふうに私は思うのですね。専門家がやったんだからこういうものを使って厚生省は判断されたということを聞いておりますけれども、そういういいかげんな実験を、国民の健康を守る立場にある厚生省が、いや専門家がいいと言っていたからいいんだというようなことでは、私たちはとても安心して任せられないというふうに思うのですけれども、どうでしょうか。
  170. 難波江

    ○難波説明員 先ほどからもお答えしておりますように、具体的な数値が記載されていなかったということは事実でございますけれども、対照群と添加群との間に著しい差を認めないという報告は十分にされておりますし、これについては当然調査会において審議の対象になっているというふうに理解しているところでございます。
  171. 長谷百合子

    ○長谷委員 理解されている、では具体的にそういう資料がどこにあるんですか。ぜひ出していただきたいと思うのです。私もいろいろなふうにしてお願いしたんですけれども出てこなかったのですが、どこにあるんでしょうか。では具体的に、これが健全だった、大丈夫だった、問題ないんだ、対照群と非対照群で差がなかったんだと証明するものはどこにあるか、こういうふうに聞いているのです。
  172. 難波江

    ○難波説明員 対照群との間に著しい差を認めないというのが研究報告の中身でございます。それ に基づきまして、調査会におきまして専門的に審議をした結果安全性を確認した、こういうことでございます。
  173. 長谷百合子

    ○長谷委員 だから、ここに書いてありますが、データも何もなくて、だれもこれを読んだら説得力がないですけれども、著しいあれはなかった、そこがおかしい。私はわかりませんと聞いているわけですから、そこに対して、ではこういうのを見てくださいというふうには言っていただけないのでしょうか。
  174. 難波江

    ○難波説明員 お答えいたします。  あくまで研究報告のまとめ方の問題でございまして、私どもがデータある、なしということではなくて、そういうデータをもとに研究報告書がまとめられた、しかし具体的な数字は載ってなかった、しかし結論としてはそういうふうに述べられているということを御説明申し上げたところでございます。
  175. 長谷百合子

    ○長谷委員 だから、データがなくてどうしてわかるのかということを私はさっきから何回も聞いているのですけれども、わかりますかしら、これで。私は納得がいかないのですけれども。  委員長どうでしょうか、困ってしまいましたね。データがなくてどうやって言えるんですかね。済みません委員長、ちょっと聞いてみてください。
  176. 難波江

    ○難波説明員 お答えいたします。  繰り返しでまことに恐縮でございますけれども、具体的なデータが報告書に添付されていなかったというのは事実でございます。その報告書の結論は、先ほどから申し上げましたように、対照群との間に著しい差を認めないというふうに記載をされているわけでございます。その報告書をもとに調査会で審議をしたということでございまして、確かに具体的な数字については報告書にないわけでございますが、その著しい差を認めないという結論につきましては、調査会において十分に審議がなされているというふうに理解しております。
  177. 長谷百合子

    ○長谷委員 大変失望いたしました。こういうことで、厚生省がいろいろ安全だとかいうようなことを大体はかのことでもいつも決めていらっしゃるのですけれども、今後、余り信頼するに足りないというふうに理解して、厳重に監視をしていかなければいけない、こういうふうに私思っております。  もう一つ、それでは別の方のところでお伺いしますけれども、この質問主意書の答弁書の中ですが、「照射馬鈴しょと非照射馬鈴しょとは外見上何ら差異がなく、また、化学分析法等による判別もできない。したがって、照射馬鈴しょを判別する方法としては、発芽期に発芽が抑制されるか否かを調べることである。」というふうに書かれておりますけれども、今でもこのままでしょうか。
  178. 難波江

    ○難波説明員 食品に放射線を照射したか否かを科学的に検知する方法につきましては、現在国際的にもまだ確立をされておりません。なお、化学分析等による照射の有無が具体的に検知可能となればより効果的な監視ができるということから、現在その研究に取り組んでおるところでございます。
  179. 長谷百合子

    ○長谷委員 要するに、検知する方法は今のところないということで理解させていただきますけれども、資料に欠陥があり、もとになるデータに次落があり、欠陥データである、そして実験そのものにも問題がある、そして検知法もない、検知法がなければ、何回照射されているのか、あるいはどのぐらいの量が照射されているのか、全く確かめることができないというように思います。このようなことであれば、例えば違法な照射がなされていても全くチェックできません。こんないいかげんなことで安全と言って私たちジャガイモを食べさせられているわけですけれども、消費者としては大変不安であります。  科学技術庁は、一九六七年からきょうまでに食品照射関係予算を十八億二千六百万円計上いたしております。まさに税金のむだ遣いだというふうに思います。こんな実験では犠牲になった動物だって浮かばれないというふうに私は思います。まず照射をストップして新たに審議会をやり直す必要があると思いますが、どうお考えでしょうか。
  180. 國谷実

    國谷説明員 先生指摘のように、既に科学技術庁におきましては七つの品目、バレイショ、タマネギ、米、小麦、ウインナーソーセージ、水産練り製品、ミカン、これらの品目につきまして、先ほど御指摘のあったような毒性試験も含めた食品照射に関する研究を実施してきて、既に完了しているところでございます。これらにつきましては、それぞれ目的も違い、それから照射線量も違いという、多種多彩な研究を実施したわけでございますが、それらのいずれにおきましても最終的には異常はなかったという結果を運営会議として評価しているところでございます。
  181. 長谷百合子

    ○長谷委員 大体一時間くらいにわたっていろいろ言ってきたことを全然聞いていていただけないかと思って非常に失望いたしておりますけれども、要するに、どういうことでしょうか。このままで今、国際的な問題で輸入品が入ってくるかもしれない、それをチェックする方法もない、こういった深刻な事態に向かっているわけですけれども、日本で、ここで照射食品の危険性というものに対して改めてきちっと対応するということは絶対に私は必要だと思うのですけれども、どうでしょうか。今後の見通してございます。今はやられていない、これはわかっておりますけれども、今後どう対応されるか、そういう御見解をぜひ聞かせていただきたいというふうに思うのですけれども、お願いいたします。
  182. 國谷実

    國谷説明員 科技庁では研究開発を担当しておりますので、その研究開発におきましては既に七品目は終了しておりますけれども、これからもまた着実に基礎研究は進めてまいりたいというふうには考えております。
  183. 長谷百合子

    ○長谷委員 厚生省の方にも、その辺の見解、ぜひお願いします。
  184. 難波江

    ○難波説明員 お答えいたします。  食品への放射線照射につきましては、食品分野の国際的専門機関でございますFAO、WHOの合同食品委員会におきましても、吸収線量が十キログレー以下では安全である旨の基準が勧告されており、また、今諸外国におきまして多くの食品について照射が認められ、流通も認められている現状でございます。
  185. 長谷百合子

    ○長谷委員 ですから、そういう現状に対して、日本の厚生省としてはどういう御見解をお持ちかというふうにお尋ねしたんです。
  186. 難波江

    ○難波説明員 我が国におきましては、先生御承知のように、バレイショ以外のものに照射を認めておりません。したがいまして、輸入される照射されたものについては認めないという立場を現在とっておるところでございます。  今後、バレイショ以外のものについて照射を認めるかどうかにつきましては、いろいろな要因がございますので、今の段階で申し上げる立場にございません。
  187. 長谷百合子

    ○長谷委員 要するに、バレイシヨ以外は慎重に対応するということだと思います。  これらのことは今大変重要な問題で、実験自体も何世代にわたった実験を繰り返していかないとどんな影響が出るかわからないという、特殊な毒性を持ったものであるということをここでもう一度改めて確認させていただきまして、こういう具体的な提案をして国民の信託にこたえていくことが私たちの使命であるというふうに考えておりますので、そのような決意をここで表明させていただいて、きょうの質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  188. 渡辺栄一

    渡辺委員長 春田重昭君。
  189. 春田重昭

    ○春田委員 私は本日、地球の温暖化対策の問題と、それから京阪第二国道の建設に伴う公害問題、この二点に絞って御質問を申し上げたいと思っております。  まず、第一点の地球の温暖化対策の問題です。 これは、地球環境問題の中でも世界的には今最も注目を浴びているものであろうと思っております。  地球に温暖化を与える影響、これは化石燃料から出る二酸化炭素、CO2が主たる原因と言われているわけでございますが、昨年の十一月、世界環境会議が行われまして、ノルドベイク宣言が発表されました。これが二酸化炭素を今後抑制していく事実上のスタートであろうと私は思っております。  この宣言案の中では、二酸化炭素の排出抑制について三点にわたりまして述べられております。IPCC、すなわち気候変動に関する政府間パネル及び第二回世界気候会議で検討されるレベルに安定化させる。第二点としては、第一段階として二〇〇〇年までに安定化させる。第三点として、二〇〇五年までに二〇%削減する目標の検討をする。こういう内容になっております。  我が国は、これらの三点につきまして同意をしたのか、同意をしなかったならいかなる見解を持っているのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  190. 古市圭治

    ○古市政府委員 先生の御指摘のノルドベイク宣言につきましては、我が国は当時の志賀環境庁長官が出席いたしまして、そのような国際的動向に積極的に協力する、こういう表明をしてまいったわけでございます。
  191. 春田重昭

    ○春田委員 積極的に協力するということで同意をされたということでございます。  地球温暖化に関する国際会議が今後開催されると伺っておりますけれども、その開催時期につきましてお答えをいただきたいと思うのです。
  192. 古市圭治

    ○古市政府委員 八月にIPCCの中間報告というものが作成されまして、それに関してスウェーデンで会議が行われます。その後、十月の下旬から十一月の上旬にかけましてその報告書がかかりまして、十一月には関係閣僚会議が開かれる、このような予定になっております。
  193. 春田重昭

    ○春田委員 七月に先進国首脳会議、サミットが行われますけれども、サミットの場では、地球環境問題、特に今問題となっております温暖化対策の問題ですね、この議題は出ないのでしょうか。これは環境庁長官にお聞きしたいと思うのです。
  194. 北川石松

    北川国務大臣 春田委員の、ノルドベイク宣言も踏まえての地球温暖化対策、これは今度のサミットで出ないか、そういう御指摘と御質問でございますが、私はやはり世界の今度行われるサミットでは、これのみじゃなしに、環境問題について広範な討議がなされるのじゃないかという推測をいたしております。
  195. 春田重昭

    ○春田委員 伝えられるところによりますと、通産省が今お考えになっております地球再生計画なるものがございますけれども、この地球再生計画が、我が国の政府として、いわゆる地球環境問題が出された場合議題になるのではないかと言われておりますけれども、通産省どうでしょうか。
  196. 石海行雄

    ○石海説明員 お答えいたします。  地球再生計画についてのお尋ねでございますが、五月末に開かれましたOECD環境理事会におきまして、通産大臣から各国に地球再生計画というものの御紹介をしましたところ、各国からも高い評価を得たというふうに理解しておりまして、通産省といたしましては、ヒューストン・サミットにおいても取り上げていただいていいのではないかというふうに考えてございますが、ただ、サミットでどのように扱うかにつきましては国内でも関係省庁との議論が必要でございまして、どういうふうな扱いになるかということについて申し上げることは現段階では控えさせていただきたいと思います。
  197. 春田重昭

    ○春田委員 長官も御存じのとおり、この地球再生計画なるものは、ノルドベイク宣言にある緊急の二酸化炭素抑制対策と違いまして、いわゆる長期百年計画なんですね。この前半の五十年間において科学的知見をさらに深めるとか省エネ対策を行っていくとかいろいろな技術開発を行う、後半五十年で二酸化炭素の削減や抑制を図っていくという計画なんですね。だから、このノルドベイク宣言のいわゆる緊急性と再生計画というのは、意図するところが同じだったとしてもかなり違った案ではなかろうかと私は思っているわけです。  サミットは米国のヒューストンで行われます。アメリカは御存じのとおり、この二酸化炭素の抑制については現段階では消極的であろうと言われているのですね。もし米国に日本として同調を求める意味でこの案が出てきた場合、サミット参加国の中ではかなり厳しい二酸化炭素抑制を出している国もあるわけですから、こういった国から批判されるだろうし、日本の姿勢が問われると私は思うのですね。そういった意味でこの地球再生計画なるものはサミットでは出すべきではない、私はこう思うのですが、長官どうでしょうか。     〔委員長退席、志賀(節)委員長代理着席〕
  198. 石海行雄

    ○石海説明員 地球再生計画についてのお尋ねでございますので先に答えさせていただきたいと思いますが、通産省といたしましても、地球環境問題、これは全人類の英知を結集して取り組んでいかなければいけない重要課題だ、こういうふうに認識しておりまして、従来からこの問題に積極的に対応してきているところでございますが、地球環境問題の中で特に温暖化問題というものにつきましては、大変長い年月を経て生じてきた問題であること、それから科学的に未解明の点が多いこと、それから、対応の仕方によりましては経済活動を含む人間の活動に極めて大きな影響を及ぼすものであることということがございますので、この解決の基本的な方向といたしましては、長期的、総合的、かつ、世界的な取り組みというものを基本として取り組んでいくべきではないか、かように考えているところでございます。  ただ、このことは、我が国として対策への取り組みを延ばすとかおくらすとかそういうことではございませんで、実施可能な対策から直ちに着手する、こういうことを考えてございまして、通産省といたしましても、従来から環境保全と経済成長の両立を図るという観点で、技術の開発あるいは移転め推進であるとかエネルギー政策の一層の推進であるとか、そういったところに努めてきているところでございまして、今後ともそういった努力は引き続き続けてまいりたい、かように考えでございます。
  199. 北川石松

    北川国務大臣 委員の重ねての、地球温暖化対策に対しての御心配を兼ねてのサミットにおける日本の態度を御指摘なさいました。  今通産省から答えましたが、緊急対策、研究過程、そして対応、いろいろの問題が出てくると思うのでございます。ただ、環境庁といたしましては、やはり世界の前で宣言する以上は、これはプロバビリティーというか確率といいますかそれも踏まえなければいけないし、サミットに総理を初め関係閣僚が行かれる前に、やはり環境閣僚会議、これをいたしまして、関係各省庁等の意見を十分踏まえながら、その意見を聴取して、そしてその中で最高の対策を立てなくてはいけない、こう思っておる次第でございます。  通産省と環境庁が対立しているということは、新聞では時々書かれておるように聞きますが、私自身はそのような考えは決してなしに、よりよい環境政策、よりよいCO2対策、よりよい温暖化政策というものを目指さなくちゃいけない、こういう思いをいたしております。
  200. 春田重昭

    ○春田委員 地球再生計画、これは内容は非常にいいものなんですよ。これは私も中身にけちをつける問題じゃないのです。ただ私は、時期があると思うのですよ。だから、これから質問いたしますけれども、閣僚会議の中でこれからいろいろ検討していく、大体秋に答えを出さなければいかぬわけですよ。通産や環境やいろいろ寄り合って官房長官のもとでやっていかなければいかぬわけですよ。  ところが、サミットでこの計画が出たら、この計画は百年計画でしょう。当面世界的に注目されているのは、数年後に凍結なり抑制しなければならないというので今大きないわゆる国際的なルールをつくろうとしているときに、こんな地球再生計画、百年計画を出しても意味ないじゃないです か。日本の姿勢そのものが後退ととられるのじゃないでしょうか。そういった心配の意味で言っているのですから、私は、この地球再生計画はサミットでは扱う必要はない、こう思うのです、欧州各国なんて物すごく厳しい意見が出ているのですから。それを聞いているのです。どうでしょうか。
  201. 石海行雄

    ○石海説明員 地球再生計画につきまして重ねての御質問でございますが、欧州各国に対しましてもOECD閣僚理事会等の機会に御紹介をしているわけでございますが、欧州各国を含め相応の評価を得ているというふうに通産省では理解しております。
  202. 春田重昭

    ○春田委員 いや、だからこれは評価されていると思うのですよ。ただ、この地球再生計画は百年計画でしょう。当面の計画じゃないわけですよ。それを今この場に出すということは日本の姿勢が後退したと思われる。今もうイギリスにしても西ドイツにしてもノルウェーにしてもまたオランダにしても、ばんばんもう二〇〇〇年目指して、ないし二〇〇五年目指して抑制しますと言っているのですよ。百年後にこうしますと言っても通じないじゃないですか。これを言っているのですよ。どうですか官房長官、サミットで出す必要ないと私は思うのです。
  203. 古市圭治

    ○古市政府委員 百年計画、先生今御指摘のものは、通産省の方から先般のホワイトハウス会議で紹介されているいろ関心を呼んだということでございますが、今回のヒューストンのサミット、さらに引き続きますIPCCの会議におきましては、かねてから日本は当面の対策とそれから長期対策ということで、セットとして一応説明して日本の立場を明らかにしておりますので、今度も短期的にどのようにするか、ヨーロッパ各国から指摘されている意見も踏まえて、国際的にどうするのか、当然日本としても態度を表明していく。また、長期的な観点でそういう壮大な計画というものも意味があることだ、このような立場で紹介されているというふうに理解しております。     〔志賀(節)委員長代理退席、委員長着席〕
  204. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、地球再生計画はいいのですが、これが前面に出ないようにひとつお願いしたい、こう思っております。  先ほど、今後の国際会議のスケジュールの御答弁がございました。八月にIPCCの会議が行われますが、中間報告をするための全体会合である。このIPCCの全体会議の前に、去る五月には第一部会がロンドンで、また第二部会がモスクワで、報告書の取りまとめが行われました。六月には第三次作業部会がジュネーブにおいて報告書を取りまとめるように現在も続いていると聞いております。  ところで、五月にロンドンで行われました第一作業部会で発表された報告について、まず概略その御説明をいただきたいと思います。
  205. 古市圭治

    ○古市政府委員 IPCCの第一作業部会の先般の報告でございますが、主に以下のことが世界の科学者のほぼ一致した見解だという形で報告されております。  その主な点を申し上げますと、CO2、炭酸ガス等の温室効果ガスの排出がこのまま推移していけば、二〇三〇年には大気中のCO2当量濃度は産業革命以前の二倍に達し、二〇二五年までに全球平均気温が現在に比べて約一度、来世紀の終わりまでには約三度上昇することが予想される。そのもとで地球の海面は二〇三〇年までに約二十センチ、次の世紀の終わりまでには約六十五センチ上昇するということが予想される。またこの気温変動、海面上昇、こういう形は北半球高緯度、こういうところに影響が大きいのではないか。それからまた地球上の農業、林業、生態系に及ぼす影響というものにつきましても非常に大きな影響が予測されるが、定量的な評価についてはさらに解明が必要である。このようなことが報告されております。
  206. 春田重昭

    ○春田委員 この報告の作成には世界の三百名ぐらいの科学者が一年半という長期間携わって、二百九十名以上が内容について合意した。非常に高い評価を受けているわけです。この中で、地球温暖化と二酸化炭素の因果関係は科学的に解明されたとして理解していいのですか。
  207. 古市圭治

    ○古市政府委員 従来からいろいろな科学者の報告があったわけでございますが、それらも全地球的科学者の知見を集めて、第一部会の中で過去の文献、それからまた学者の意見を統合して報告がなされたわけでございまして、現時点における最も権威がある報告だと理解しております。
  208. 春田重昭

    ○春田委員 そこでこれを受けまして、各国が二酸化炭素の抑制についてそれぞれの方針を出し合い、そして国際的なルールをこれからつくっていくわけですね。八月のIPCCの全体会合では、何年までにどういう水準までに持っていく、こういった具体的な抑制の数字が各国から出てくると予想されますか。この辺ちょっとお答えいただきたいと思います。
  209. 古市圭治

    ○古市政府委員 このIPCCの作業が始まりました後に先ほど御質問のノルドベイクの会議もございまして、時の志賀長官に御出席いただいたわけでございますが、そのノルドベイクの中でやられました宣言は、IPCCの作業が始まる前には想定されていなかったものでございまして、非常に具体的な数値の検討というものをその宣言で要請されたわけでございまして、そこでIPCCの各部会で検討した結果、それはまた別に検討を必要とする、従来よりもさらにいろいろな検討が必要だということで、先生御承知のように別途ロンドンで会議が開かれまして、その結果を持ち寄って十四日、多分現地できょうでございますか、あわせてどの程度の報告ができるのかということを現在ジュネーブで検討しているかと思います。  伝え聞くところによりますと、これは八月の段階まではまだ非常に問題点があるので、十月に向けてさらに作業が行われるのではないか、このような話が伝わってきているところでございます。
  210. 春田重昭

    ○春田委員 ということは、八月のIPCCの全体会合ではちょっと具体的数字は出てこないだろう、十月末から十一月初めに開催予定の第二回世界気候会議でございますけれども、この段階では各国がそういった具体的な数字を持ち寄ってさらに国際的なルールが詰められていく、こうなるかどうか、お答えいただきたいと思うのです。
  211. 古市圭治

    ○古市政府委員 IPCCの中の三つのワーキンググループの中の第三作業部会でもって鋭意その検討をしているわけでございまして、その検討の過程で各国からの国ごとのケーススタディーというものも報告し合って、どういうような数値が可能であるのかという議論は行われたわけでございます。それを全体の報告書の中でどこまでまとめられるかということにつきましては、現段階でそれが確実であるかどうかという見通しがなかなか困難、各国がみんな現在英知を集めて努力している、こういう過程かと思います。
  212. 春田重昭

    ○春田委員 各国がそれぞれ事情がございますので、相寄りまして検討する、そして条約ができる、そして細かい議定書が作成されていく、こうなると思うのですが、条約なり議定書の交渉が始まる時期は大体いつごろと想定してよろしいのでしょうか。
  213. 古市圭治

    ○古市政府委員 十一月の初めにこの世界会議がございまして、IPCCの報告を受けて関係閣僚が集まった会議がございまして、その後に条約交渉がスタートする、こういう話になっております。  その時期はまだ明確に決まっていないわけでございますけれども、アメリカのブッシュ大統領は、その後の第一回目の条約の場所は米国が提供するという積極的な発言もございました。  ただ、この最終的な目標というのはほぼ合意がございまして、一九九二年にブラジルで開かれます国連会議の中で条約が結べるように、そこを目指して条約交渉を進めよう、こういう話になっております。
  214. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、我が国がどの水準で抑制をしていくのか、これを決めるのは大体十月末がタイムリミットである、こう考えでいいですか。
  215. 古市圭治

    ○古市政府委員 その会議は確実にそこで開かれ るわけでございますから、それまでの間に日本の中での何らかの方向性、合意というものが決められていく、このように理解しております。
  216. 春田重昭

    ○春田委員 ところで、我が国のエネルギー消費量に伴う二酸化炭素の排出量を、発生源別にちょっと御説明いただきたいと思うのです。
  217. 古市圭治

    ○古市政府委員 我が国の一九八七年の二酸化炭素の排出量は二億五千百万トンでございまして、その業種別の内訳は、電力部門、発電所等でございますが二五%、運輸部門二〇%、民生部門一三%、産業部門三八%、その他四%という割合でございます。
  218. 春田重昭

    ○春田委員 この排出量は世界で日本は大体何%ぐらい出していて、世界の中で排出量の多い国は大体どれぐらい出しているのか、同じく御説明いただきたいと思うのです。
  219. 古市圭治

    ○古市政府委員 世界全体から第四位ということでございまして、全体の排出量の四・七%を日本が出しております。上から申し上げますと、アメリカが二三・七%、ソ連が一八・六%、中国が一〇・一%、日本が今申し上げました四・七%、西独が三・六%、イギリスが三%、カナダが二・二%、このようになっております。これは一九八七年のデータでございます。
  220. 春田重昭

    ○春田委員 わかりました。  今後、排出抑制がそういった形で条約、議定書で義務づけられますと、業種別で一番大変なのは電力会社、このエネルギー対策が重要になってくると思うのです。  通産省にお伺いしたいわけでございますが、――何か官房長官が時間がないみたいでございますので、これは別な機会にまた質問させていただくとして、先へ進ませていただきます。  さて、いよいよこれから十月末の第二回世界気候会議の開催に向かって、我が国政府としては一体となってその方針を決めていかねばならないわけでございますが、問題は、二酸化炭素をいつの時点にどのような水準で抑制するかという問題なのですね。  若干外国の考え方を聞きたいと思うのですが、英国はサッチャー首相が二〇〇五年までに二酸化炭素を三〇%カットしたい、こう表明したと伝えられておりますけれども、その内容につきまして、真偽につきまして御説明いただきたいと思うのです。
  221. 古市圭治

    ○古市政府委員 先般サッチャー首相が明らかにしたと報ぜられているところによりますと、イギリスでは、他の国が規制を行うのであればという前提がついているようでございますけれども、今御指摘のように、二〇〇五年までに今後見込まれるCO2排出量の三〇%を削減することにより、二〇〇五年のCO2排出量を現在の排出量に抑制するという目標を掲げる用意があること、これはことし四月に発行されます環境に関する白書に記述されることになるであろう、このように言われております。
  222. 春田重昭

    ○春田委員 このサッチャー発言というのは、従来は、英国というのはこれまで二酸化炭素の抑制については余り積極的でなかったと言われているのですけれども、この発言というのは一転して非常に前向きといいますか、積極的な姿勢に変わったと見ていいのではないかと思うのです。  次に、西ドイツでございますが、西ドイツは同じく二〇〇五年までに二〇%ないし二五%の削減を目標としている、こう言われておりますけれども、どうでしょうか。
  223. 古市圭治

    ○古市政府委員 西独は、環境省が発表しているところでございますが、政府は二〇〇五年までにCO2排出量を一九八七年レベルよりも二五%削減する努力を行う、政府はこれを目標として省庁間のタスクフォースを設ける、タスクフォースは削減計画について検討し、その結果を本年十一月までに内閣に閣議決定案として提出する、こういう内容の閣議決定がされた、こう聞いております。
  224. 春田重昭

    ○春田委員 一九八七年レベルの二〇%ないし二五%ですから、イギリスよりもっと厳しい案じゃないかと思うのですね。  さらに、欧州勢の中で最も厳しい抑制策を打ち出しておりますオランダ、ノルウェー、これについてちょっとお教えいただきたいと思うのです。
  225. 古市圭治

    ○古市政府委員 オランダは、二〇〇〇年までにCO2の排出量の現状レベル安定化を目指す内容の国家環境政策計画というものを、既に昨年の五月に策定しております。今後見込まれるCO2の排出量を年率二%削減する、一九九四年から一九九五年までにCO2の排出量を一九八九年から一九九〇年のレベルで安定化する、二〇〇〇年までにはさらに五%程度の削減を達成すべく、その国家環境政策計画の改訂版の検討を進めている、このように報ぜられております。  それから、ノルウェーにつきましては、ノルウェー政府が二〇〇〇年までに二酸化炭素の排出量を一九八九年レベルで安定化するということを目標に決定した、このように聞いております。
  226. 春田重昭

    ○春田委員 最も排出量の多いアメリカの姿勢はどうでしょうか。
  227. 古市圭治

    ○古市政府委員 アメリカにつきましては、先生既に御承知のことと思いますが、ノルドベイク宣言のとき、さらにホワイトハウス会議を通じて報ぜられているわけでございますが、二酸化炭素排出量の削減目標を定めるという形の定量的な抑制措置というものは、あくまで、現在IPCCの方で世界の英知を集めて検討している途中でございますので、その国際的な合意というものの枠組み、方向を見定めてそれに従っていくべきである、大事なことは、科学的知見についての不確実性、これを低減さすためにあらゆる調査研究を推進すべきである、そういうことでございますが、個別的にはブッシュ大統領の方が、予算教書の中におきまして、各種の大気浄化法の再改正、また太陽熱等再生可能性エネルギーの開発について非常に意欲的な予算を組んでいる、こういうようなことでございます。
  228. 春田重昭

    ○春田委員 御答弁を聞く限りにおいては、現時点では、欧州各国は二酸化炭素の抑制については非常に積極的である、アメリカ政府はいろいろな条件をつけておりまして非常に消極的じゃないかと思うのです。  さて、一体我が国はどちらの方にスタンスを置くかという問題です。これからいろいろ検討されると思うのですが、このまとめは、さまざまな障害が絡んでおりますし、また経済成長という問題もございます。こういった点で、十月末から始まるこの会議では大変な御苦労であろうと思うのです。  これは、環境庁長官出席されるのですか、十月の第二回の世界気候会議は。
  229. 北川石松

    北川国務大臣 出席いたしたいと思っております。
  230. 春田重昭

    ○春田委員 我が国は、IPCCの第二部会では共同副議長、第三部会では共同議長を担当しているということで、各国をまとめる立場にあろうかと思うのですね。  そういった点で、欧州はより進んでいる、一方の米国は消極的である、我が国のスタンスはどっちに置くのか、これから検討されると思いますが、いずれにいたしましてもそういう立場にあるのですから、二酸化炭素抑制については、我が国は世界の中で四・七%しか出していない、寄与度も少ないといいながらも経済成長は非常に高いのですから、そういった面でより積極的に、この二酸化炭素の抑制については、国際的なルールをまとめる立場でひとつ長官の御発言なり行動なり、それを私は期待したいと思うのですが、どうでしょうか。
  231. 北川石松

    北川国務大臣 委員の、日本の立場も御理解あっての出席の節はという非常にありがたい御鞭撻をちょうだいいたしておりますので、この点も踏まえまして、なおなお、やはり本当に日本が欧州各国とまたアメリカとの中間に立ちまして苦労することも当然であろうと思いますし、その苦労する中で、やはり日本の知見といいますか、これは各国、関係省庁と十分に話し合いまして、日本側としての立場をその場で鮮明にするだけのこれからの努力をしておかなければいけない、私はこ ういう思いをいたしております。
  232. 春田重昭

    ○春田委員 さて、先ほど長官もおっしゃったように、マスコミの報道の中で、環境庁と通産省の間で経済成長と環境保全の問題で見解の相違があるのではないか、対立しているのではないかとかなり大きく報道されているわけでございますが、このあらわれとして、ワシントンで行われた四月のホワイトハウス会議ですか、地球環境ホワイトハウス会議でそういう傾向が出たと言われております。環境庁の立場で、この経済成長と二酸化炭素の抑制についてはどんな御見解をお持ちなのかそれに対して通産省はどういうお考えなのか、それぞれ簡潔にひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。
  233. 古市圭治

    ○古市政府委員 我が国の立場は、去る四月に行われましたホワイトハウス会議で、日本の代表の北川環境庁長官から、経済成長と炭酸ガス、温室効果ガスの抑制というものを両立させるという方向で努力をしていることを示したわけでございますが、その一つの根拠といたしまして、過去におきまして、非常にオイルショックその他で燃料事情が厳しかった時代に、世界有数の技術、努力を駆使して省エネに努力した。その期間、一九七一年以来年率約四%の経済成長を維持しながら、炭酸ガスの排出はイーブン、横のレベルで保った、それをまた今後さらに発展させたいというのが一つございます。  それから、先ほど発表させていただきました環境白書の中では、具体的に省エネ、またライフスタイルの変換、またさらに造林計画、そういうものについてあらゆる方策をもってこの炭酸ガスの排出量の抑制というものに努力をしたい、このように述べているわけでございます。
  234. 石海行雄

    ○石海説明員 通産省といたしましても、地球温暖化問題の解決に当たりましては、環境保全と経済成長の両立を図っていくことが重要であると考えておりまして、これを可能にするためには技術革新、省エネルギー、省資源等の推進が必要である、こういうふうに認識しているところでございますが、この認識におきまして両省庁の見解は全く一致している、かように考えております。
  235. 春田重昭

    ○春田委員 なぜ、あんなふうな報道をされるのですか、長官。もうちょっと具体的に詳しくわかりやすく説明してください。
  236. 古市圭治

    ○古市政府委員 この点につきましては、既に別の機会で大臣も御答弁されたことでございますけれども、間違っていないと思いますが、足りないところは通産省の方が補足していただきたいと思います。  私どもの理解では、通産省の分析というもの、また報ぜられている内容というものは、従来のような形で産業が活動しさらにエネルギーを使うならば、こういうようなことでございまして、これまでの省エネルギー、代替エネルギーの利用というような傾向を前提としてやれば大変なことになりますということでございます。そういうことで、通産省、環境庁ともに省エネルギーの努力をするということは変わっておりませんで、従来のままいったらこうなるというところと、それから環境庁の方は、いろいろなメニューを出しましてこういうようなことを強力に進めて安定化させる、ここのところが誤解を受けたところだ、このように思っておりますが、目指すところは同じかと思っております。
  237. 春田重昭

    ○春田委員 省エネとかいろいろな技術開発をやっていけば、それを前提条件でやっていけば経済成長には影響がない、こういう説明ですが、この考え方については通産省も同じ意見ですか。御答弁いただきたい。
  238. 石海行雄

    ○石海説明員 通産省といたしまして、CO2対策は人間の活動に非常に密接な関連を有しておりますので、先ほども申し上げましたように、対応のいかんによっては人間の活動に非常に大きな影響を与えかねないものであるというふうに考えております。  それでは日本政府としてどういう対策を考えていくかという点につきましては、環境庁の方から御説明がありましたように、環境保全と経済成長をいかにして両立させていくか、そういう方向で省エネルギーであるとか省資源であるとか技術開発であるとか、そういった対策をとにかくできる限り積み上げていかなければいけないということで、基本的に考え方は一致しているというふうに思っております。
  239. 春田重昭

    ○春田委員 経済を重視するか環境を重視するかによってこのスタンスが変わってくると思うのですよね。そういった点で私はやはり、今日本の置かれた立場、先ほど言ったように、寄与度が少ないといっても経済成長は世界のトップクラスでございますから、経済重視といった場合には必ずたたかれるのではないか、批判されるのではないかという心配をするわけです。そういった面で、政府には今地球環境保全に関する閣僚会議が設けられておりまして、このまとめ役は坂本官房長官でございます。  そこで、官房長官に一点だけ御質問いたしますけれども、国際的にも最大の関心事になっております地球温暖化の対策の問題につきましては、やはり政府としても一体となって取り組む必要がある。いやしくもそういった我が国の方針が二分化しているような印象を、たとえ誤解であったとしても与えてはならない、こう思うのです。そういった点で各省庁の施策があろうと思いますから、それを総合して、我が国として基本方針を十月の末から始まる第二回の世界気候会議に明確に出していく、これが大事じゃないかと思うのですが、官房長官の御所見をいただきたいと思うのです。
  240. 坂本三十次

    坂本国務大臣 地球温暖化問題は、人類の生存基盤に深刻な影響を及ぼすおそれがある重大な問題でありまして、手おくれとならないように的確に対応を図らなければならぬということは申すまでもありません。  我が国としましても、地球温暖化対策に関する国際的な枠組みづくりに積極的に貢献をする、実現可能な対策から直ちに行動に着手することが極めて重要であると思っております。  地球温暖化対策につきましては今後とも、今委員が御心配になりますように、政府部内で意見のそごなどがあってまとまらないということではこれは残念でありますから、ぜひひとつ政府部内で十分な検討を行いまして、私も関係しておりまする地球環境保全閣僚会議というものの場も積極的に活用をいたしまして、そして政府一体になって取り組んでいかなければならぬ、そういうふうに思っております。
  241. 春田重昭

    ○春田委員 それでは官房長官、時間がないそうでございますので、結構でございます。  いずれにいたしましても、世界の環境を守り、後世の子孫にかけがえのない青い地球をバトンタッチするためにも、私はある程度経済を犠牲にしてまでも環境を守るべきであり、優先すべきであろうと思います。  このIPCCの作業部会の報告を見ても、大変な問題が提起されているのです。地球の温暖化が進んだら気候が変わってくる。干ばつも発生する。海面が上昇して陸地が沈む場合も考えられる。動植物の生態系も大きく変わってくる。このことを考えたときに、私は何が経済なのかと。まず地球を守らなかったら、人類を守らなかったら経済なんかあり得ない、こう思うのですね。だから、地球が破壊する前に地球を守っていく、保全していく、これに全力を挙げていくのが、私は環境庁だけじゃなくして通産省も政府もともに一体となってやるべきであるし、特に今政治を任されている私たちの最大の使命ではないかと思うのです。  長官最後の御決意をいただいてこの問題は終わりたい、こう思っております。
  242. 北川石松

    北川国務大臣 委員の重ねての、地球環境の重要性を御指摘されながらの御質問でございます。  私は、生きとし生けるこの地球大自然というものは、これは人類に与えられた、守っていくことが大きな使命である、このように感じております。といいますのは、この大自然が侵されてきた、それは人間の飽くなきどん欲な人知が今日の 我々の豊かな生活を生んだであろうし、経済の発展を来したであろうと思いますが、その反面、地球を侵したことは否めない事実であろうと思います。そういう観点から見まして、経済優先第一主義であってはならない、こういう思いをいたしております。
  243. 春田重昭

    ○春田委員 それで、この問題は終わりまして、長官と同じ地元の問題ですね、これについて一つお伺いしたい、こう思っております。  大阪と京都を結ぶ第二京阪道路が計画されております。総延長が二十九・七キロ、大阪区域が十七・六キロでございますが、昭和六十二年の九月に都市計画の見直し案が提出されました。この建設省の計画案をもとに、大阪では、関係自治体では都市計画審議会が開かれておりますが、まずその辺の状況について、各市の状況について御説明をいただきたいと思います。
  244. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 お答えいたします。  第二京阪道路は、先生指摘のように、大阪と京都を直結する道路でございまして、北河内地域の道路の交通負荷を軽減する、それから地域の環境の改善や都市の機能の向上にも役立つということで、非常に重要な幹線道路でございます。  京都府内につきましては、既に都市計画すべてが終わっておりまして、用地買収が現在進められておりまして、元年度末で面積にして約三〇%の取得が終わってございます。  それから大阪府内でございますが、昭和四十四年の五月に都市計画決定をされておりまして、その後の土地利用の変化等を踏まえまして、先ほどございましたように、六十二年九月に、車線数の変更、それから環境施設帯を取り込んだ計画案を取りまとめまして、関係自治体に提示したところでございます。  これを受けまして、各市の現状でございますが、門真市、それから寝屋川市、四条畷市、この三市につきましては都市計画の手続を進めてこられまして、平成元年四月十六日に都市計画変更がなされております。  残りますのが枚方市と交野市でございますが、都市計画としての案を取りまとめるための検討を現在行っておられまして、早期に都市計画の手続に入れますように、大阪府並びに両市と私どもも協議を進めてまいりたいと思っております。
  245. 春田重昭

    ○春田委員 今御説明があったように、大阪府の関係自治体は門真市と四条畷市、寝屋川市、さらに交野市、枚方市とございますが、建設省案のこの高架式高速道路について、若干の条件等は付しながらも同意したのが門真市、そして四条畷市、寝屋川市ですね。道路延長が四・四キロの交野市、四・一キロの枚方市ではまだ審議会が開かれていない、そういう状況でございます。  それだけに難しい問題をはらんだ道路だろうと私は思っているのですが、供用開始を大体何年ぐらいに建設省としてはめどとしているのか。そのためには、この残された二市の都計審、さらに大阪府の都計審は大体いつごろまでに終わらねばならないと思っているのか。その点、お答えいただきたいと思います。
  246. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 供用目標につきましては、まだ現在のところいついつというふうには決めてございませんで、できるだけ早く都市計画ができるように努力してまいりたいということでございます。都市計画ができ次第、地元の協議に入りまして用地買収にかかりたい。その段階になりますと、大体どのぐらいでできそうかという見通しも立つんじゃないか、かように思っております。  以上でございます。
  247. 春田重昭

    ○春田委員 当初建設省の方は、昭和七十年代にはもう供用したいということをおっしゃっておりましたけれども、まあ無理じゃないかと思うのですね、いろいろな問題を含んでいるので。  そこで、交野市の問題についてお伺いしたいと思いますが、交野市では、この建設省の計画案を検討していた専門委員会から、調査の結果が最近発表されております。それによりますと、建設省案の高架式では、大気汚染とか騒音とか振動等の環境保全等で問題があるということで、全長四・四キロの中で一部区間、天野が原という地域と青山地区、この区間が約二キロだそうでございますが、これを堀り割り構造にすべしと報告されております。  報告によりますと、一番問題になっているのは地下水への影響なんですが、この堀り割り構造にしても影響は少ない、こうなっておりますけれども、建設省はどうこれを受けとめておりますか。
  248. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 交野市におきまして、私どもで提示しました案について御検討いただいているわけでございますが、提示後、市の環境影響評価専門委員会というところでその検討を進めてまいっておられまして、つい先日でございますが、ことしの六月四日にこの専門委員会より、「第二京阪道路計画が交野市の生活・自然・社会環境に与える影響についての調査・検討報告」というのが出されまして、これが交野市長さんに出されているということでございます。  この報告によりますと、先生指摘のように、建設省であります高架案のほかに、トンネル構造の案、それから浅い堀り割り構造の案、深い堀り割り構造というような案につきまして各方面から検討されまして、一部区間に浅い堀り割り構造を採用する案が最も有望であるというふうな結論になってございます。  この構造につきましては、大阪側から高架で参りまして、天野川という川を越えてすぐ下がってまいりまして堀り割り構造に移行する、それからしばらく行きまして、また免除川、源氏池、それからJRのところで再び高架に戻ってくる、こんな構造になっておるわけでございます。  この案の場合、ちょうど川の付近でございますので、一番低いあたりをさらに堀り割りにするということになるわけでございまして、構造的に申しますと、高架構造から堀り割りに移行する区間で非常に急勾配のところが出てくる。それから地域分断がそこのところで生じてまいります。それからもう一つ、国道百六十八号という幹線道路がございますが、これとの交差が非常に困難な状況になってくる、こんな問題が構造的にはあるんじゃなかろうかと思っております。  それから、先ほどの専門委員会の報告書にも触れられておるところでございますが、用排水路の機能を阻害するような問題もある。それから、沿道住民間の利害関係の相違等の問題点もあるというようなことが触れられておりまして、こういうようなことをいろいろ考えてみますと、やはり高架構造の案が今回提案されました浅い堀り割り構造に比べてみると有利じゃなかろうかというふうに現在は思っておるところでございます。  それで、この専門委員会の報告書でございますが、現在交野市の第二京阪道路対策協議会という協議会がございまして、ここでもこの専門委員会の案を検討されておるところでございますので、その協議会の検討の推移を今後見守ってまいりたい、かように考えております。
  249. 春田重昭

    ○春田委員 地元の方たちが一番願っているのは、公害のない道路、これを願っているのですよ。その公害のない道路は現在政府案では認められない、こういう観点からこういった案が出てきているわけです。  それで、二酸化窒素、NO2の環境基準は、今日では〇・〇四ppmから〇・〇六ppmとなっておりますね。建設省は、この京阪第二国道につきましてのアセスメント予測では、二酸化窒素についてはどれくらいと見ているのですか。
  250. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 建設省で行いましたアセスの作業によりますと、交野市付近では〇・〇四二というふうに推計してございます。
  251. 春田重昭

    ○春田委員 交野市の現況は九八%値で〇・〇四ですよね。年平均値では〇・〇一九となっておりますが、供用された後のいわゆる沿道におけるNO2というのは九八%値で〇・〇四二、こういうことで理解していいのですか。
  252. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 将来の環境予測としましては、供用後〇・〇四二ということでございます。(春田委員「それは九八%値だね」と呼ぶ)九八%値でございます。
  253. 春田重昭

    ○春田委員 長官にお伺いしたいと思うのですが、長官も御存じのとおり、交野市は風光明媚な地域で、周辺地域がほとんど都市化された中で自然が残された唯一の地域といいますか都市である、こう言っても決して過言でございません。  私は、最終的にいかなる道路構造になるかわかりませんけれども、NOxは現状維持を保全すべきである。というのは、環境基準が〇・〇六ppmまで一応上限になっているわけでございますが、いわゆる現在値は、交野市は〇・〇四なのですよ。だから、〇・〇六まで持ってきていいということは地元の方たちは承知できない。アセスでは〇・〇四二になっておりますけれども、このアセスという事前予測と供用を開始した後の実測では、ほとんどの道路が大きな差が出てきているのですよ。というのは、環境基準どころかオーバーしているのですよ。そういった意味では、いわゆる道路というのは現在沿道のほとんどが環境基準をオーバーしております。  まして、この京阪第二国道というのは、関西新空港が将来でき上がります、学研都市も完成いたします、これを結ぶ巨大道路なんですよね。果たして建設省が見込んでいるだけの車両台数で終わるかどうか。大体地元の方たちは、上下二十万台ぐらい通るのじゃないか。建設省の案では、それがわからないから上下大体十二、三万台しか見ていません。そういった点からいったら、NOxはオーバーしていくと見ざるを得ないと思うのですね。  そういった点で私は、環境庁独自にアセスメントをつくってもらいたいし、やってもらいたいし、環境庁は建設省からそういった委託をもらっていませんからと言っておりますけれども、私はそういった点でNOxは現状維持すべきであろうと思っております。長官も本当にあの交野市はよく御存じの地域でございますから、あそこだけはやはり守っていきたいと思うのですよ。どうでしょうか。
  254. 古市圭治

    ○古市政府委員 ちょっと事実のところだけ御説明させていただきます。今おっしゃいましたように、交野市でございますが、これは経年的にも一応環境基準〇・〇四というところでいっているわけでございますが、だんだん交通量の増加に伴いまして大阪一円の状況というのは非常に憂慮すべき状態でございますので、私どもは、NOxにつきましては先生指摘のようになるべく低い値という形で地域の改善を目指したい、このようには思っております。
  255. 北川石松

    北川国務大臣 委員の第二京阪国道についての公害の面からの御指摘でありまして、委員も十分熟知しておられる地域でありますし、私もまた熟知している地域でございます。そういう点におきまして、環境の問題からはこれは与える影響が非常に大きゅうございます。そういう点で私は環境保全という基本は守らなくちゃいけない。と同時に、それぞれの諸庁、というよりは特に建設省のこれから及ぼす影響の中で、いろいろの工事法もございますが、環境を害しないという点については環境庁として私は意見は述べなくちゃいけない。  ただ、工事そのものが地域に与える影響が大きいと思いますので十分に検討してまいらなくちゃならぬと思いまするが、いろいろな問題が出てまいりますのと、門真、寝屋川は既に市議会で御理解願って、交野、枚方はいまだ御理解願ってない。そして、今御指摘のように自動車の台数においては想像以上にふえてくる、こう見なくちゃいかぬと私は思っております。そういうもろもろのことを考えながら、所管の諸庁においてもまず環境の保全に努めることをお願いし、環境庁としてもよく連携を保ちながら、これに対してのこれからの努力をしていかなければいかぬ、こういう思いをいたしております。
  256. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、NOxについては今後とも現状維持でやっていくという形でよろしくお願いしたい、こう思っております。  時間があと五分でございますので、最後にまとめて御答弁いただきたいと思うのですが、交野市とかお隣の枚方市の住民の間では、国の高架方式はだめだ、掘り割り方式も問題があるという声もあるのですね。地下方式といいますか、トンネル方式を望む声が強いのですが、さて、トンネル方式、トンネル構造をやった場合、今度は自動車の排ガスの除去が問題になっているのですね。  現在、NOxについては、例えば高濃度のNOxについては電力会社なんかは大きな除去装置をつくっておりますけれども、沿道の低濃度のNOxの除去についてはまだまだ実用化されていない、そういった装置が。そこで、国なり東京都で鋭意検討といいますか研究といいますか、実験プラント等が行われていると聞いておりますけれども、この辺はどの辺まで進んでいるのか。それから実用化はめどとして大体いつごろなのか。簡潔にお答えいただきたい、こう思います。
  257. 古市圭治

    ○古市政府委員 トンネル内の換気ガスの脱硝装置の有効性について現在テストプラントをつくって検討中でございます。六十三年から公害健康被害補償予防協会の基金等を利用いたしまして、平成二年まで一億円、これは二分の一の委託事業でやっておりますので、総事業費二億円で現在パイロットプラントまでつくって、その有効性について検討を行っております。  問題点は、先生指摘のように、濃度が非常に薄いということと、常温のものを処理するというところで新しい工夫が必要だということでございまして、現在いつまでに開発というところではございませんが、テストプラントをつくってやっている。このほかに東京都でも別途検討が進んでいる、こういう状況でございます。
  258. 春田重昭

    ○春田委員 最後になりますけれども、何回も申し上げますが、地元の方たちは公害のない道路、住民の合意のある道路を望んでおられるわけですね。長官は、現在の立場は政府の代表である、また一面地元選出議員の代表でもある。地元はそういう態度である。政府は高架式で進めたい、地元は高架式では公害が心配であるという懸念がある。こういった点で非常に微妙な立場にあろうと私は思うのですが、しかし長官は政府の代表でありながら、ありがたくも環境庁長官である。地元にとってみれば非常に長官に期待するところがあるわけです。  そういった点で、先ほどの話じゃないけれども、道路建設なのか環境保全なのか、そのスタンスいかんによってはこの高速道路というのはいろいろな構造に変わってくると思うのですよ。そういった点で長官のお立場、よくわかった上で、あえて最後にこの問題について長官の御決意をいただいて終わりたい、こう思っております。
  259. 北川石松

    北川国務大臣 委員の重ねての、非常に私の身を思って御質問願って、私もまた委員のその思いの中で、昔の言葉じゃないですが、忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず、行政の面の立場に立ちますと、建設省の考えていることも推進したい、そして地域の発展のために、あるいは将来の東部地区のためにも、この第二京阪国道は速やかに完成しなくちゃいかない、これが大きな交通停滞を解消する一つであろうとも思っております。また、地元環境の立場からの今委員の御質問を受けますと、地元の皆さんのお心を体してこれも形づけていきたい、こういう思いをいたしております。  ただ、問題はこれから研究課題にする点も多々あると思いますので、鋭意努力をしてまいりたい、こう思っております。
  260. 春田重昭

    ○春田委員 終わります。
  261. 渡辺栄一

    渡辺委員長 寺前巖君。
  262. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、きょうは、官房長官じきじきに報償費の問題について聞きたいと思います。  官房長官におなりになったら、恐らく事務当局からあなたの使える報償費はこれだけですよというお話があっただろうと思うのですが、あるいはまた内容についても、こういうようなものが大臣としては使えますよ、総理大臣のこういうものが使えますよという説明を当然のことながらお受けになったと思いますが、報償費は平成二年度幾ら使えるというふうにお聞きになっているのでしょ うか。まず大臣にお聞きしたいと思います。
  263. 坂本三十次

    坂本国務大臣 事務説明は受けたようでございますけれども、忙しくてとても覚えておりません。
  264. 寺前巖

    ○寺前委員 そうですか。それじゃ事務当局の人。
  265. 荒田建

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  内閣官房の報償費でございます。報償費は、国が国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するために、当面の任務と状況に応じまして、その都度の判断で最も適当と認められる方法で機動的に使用する経費として認められております。平成二年度予算額といたしまして、内閣官房一般行政に必要な経費ということで十三億一千五百万計上してございます。
  266. 寺前巖

    ○寺前委員 十三億一千五百万円しか使えないわけですか、官房長官は。そういうことですね。まあいい、後でまたあれします。  一九八一年に森さんというお方が「首相官邸の秘密」という本をお出しになっているのです。前からいろいろ取りざたされておったことでございますが、その本を読んでみますとこういうことが書いてあるのですね。国会議員が訪米旅行のあいさつに、二分間首相と会ったなどの記録が新聞の毎日の動静欄に出ている。このような外国旅行のあいさつにわざわざ首相執務室をお訪ねになった議員さんの多くは、お帰り際に官房長官室にも立ち寄る場合が多い。機密費から出されるせんべつをもらうためである。  ある官房長官経験者は、この種のせんべつは一、二年生議員は三十万円、同じ一年生でも首相と親しい関係の議員には五十万円の場合も百万円の場合もある。中堅議員では五十万円から百万円を渡すのだそうだ。自民党だけでなく野党の議員さんにも渡るケースがある。時には首相や官房長官の政務秘書官がひそかに議員の事務所を訪問したりホテルで落ち合ったり、人目に触れずに首相からのせんべつを渡す場合もある。こういうことを官邸の記者をやっておられるお方が書いておられる。  この人だけじゃない、ほかのでも私は読みました。三十万とか五十万とか百万、これは十年ほど昔の話ですよ。今だったらその額にはとどまらないのだろうと思うのですが、こんなことがあっていいのだろうか。べらぼうな金額だと私は思いますけれども、今でもそんなことをやりますのか。官房長官、こういうことはあっていいことだとお思いになりますか。いかがでしょう。
  267. 坂本三十次

    坂本国務大臣 何か海外渡航のせんべつを渡したというお話でありますけれども、歴代官房長官は、何に使ったなんという、どれだけ使ったなんというお話をしたことはないと思いますよ。こういう報償費の性格でございますからね。その内訳とかそういうことはやはり明らかにしない方が政府の仕事を円滑に進めるためにプラスだ、私はそう思っております。私もその内訳については一切明らかにするというわけにはまいらぬわけであります。
  268. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、やはり三十万とか五十万とか百万とかいうのは、金額はもっと多いかもしらないけれども、今でもお渡しになっているのだなということを感じました。  戸川さんというお方の本に「首相官邸三十九人の内幕」、これも今からもう大分前に、二十年以上も前になっている本ですが、戦前の機密費の捻出方法について書いておられるところがあるのです。近衛内閣当時、前内閣から引き継いだ機密費が少なくて、「けっきょく、近衛のときには、補正予算として、臨時軍事費を計上したので、そのなかに機密費を加えて、便宜をはかった」こういうふうなことが書いてあるのですね。  ですから、総理大臣とか官房長官というのはほかの大臣とは違って、おつき合いの範囲は広範囲にわたるお仕事をおやりになっているのですから、そういう意味では報償費の金額が先ほどおっしゃったようなことで済むのかいなということで、他の予算項目ないしは他の省庁の予算を分けてもらうというようなことをおやりになっているのかどうか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  269. 荒田建

    ○荒田政府委員 お答えいたします。  内閣官房におきまして、行政を運営するに当たりまして必要とされる報償費につきましては、先ほど申し上げましたとおり内閣官房で予算計上してございまして、ほかから持ってくるというようなことはございません。
  270. 寺前巖

    ○寺前委員 ところが、この本の中にこういうことが書いてある。「現在では、首相が外遊するケースが多くなっている。これは、相当な経費がかかるこというまでもない。」「そこで、実際をいうと、二億円の報償費では不足である。」もう二十年も昔の話ですね。「これをカバーするために、今日では外務大臣の報償費三億円のなかから、首相が融通をうけるシステムになっている。」という記述があるのです。こういうことは絶対にないのですか。
  271. 荒田建

    ○荒田政府委員 ただいま申し上げましたとおり、外務省でしょうかに報償費はあるかと思いますが、それを融通を受けるというようなことはございません。
  272. 寺前巖

    ○寺前委員 ところが、本のとおり今でもそう生きていますよと実は私に連絡をくれた人がおるのですよ。官房長官が取り扱う報償費は、予算内閣官房と外務省と両方で計上されておりまして、外務省の方ではそちらから回ってくるのを決済するというやり方になっておるけれども、官房長官が使うことができる金が外務省の予算にちゃんとのっているのだ、そうなってます。あなたは否定されますけれども、私がこの情報をもらったのは一人じゃないですよ。それはきのうきょう始まったことじゃないのですよ。  最近の例にとって言いましょうか。平成元年度決算では外務省から十九億九千七百万円、六十三年度十九億七千七百万円、もうちょっとさかのぼりましょうか。六十二年度十五億七千七百万円、六十一年度十五億七千七百万円、六十年度十五億七千七百万円、五十九年度十四億七千八百万円、五十八年度十四億七千八百万円。外務省が官房の方でどうぞお使いくださいよ、私の方にありますからと。今でもその数字出ているじゃありませんか。  そうすると、先ほど官房長官が使えるお金は何ぼだと聞いたら、私に十三億一千五百万円だと、こうおっしゃった。それじゃこの金はどこへ行きますのや。これは内緒で官房長官が使うているのですか。十三億どころじゃない、外務省だけでもそれだけになってくる。これを両方合わせてみなはれ、何ぼになりますか。恐らく官房長官がお使いになることができるお金としては三十二、三億の話がいっているはずですよ。官房長官はそれを聞かされているはずですよ。  私は大体おかしいと思う。機密費やといってわからぬようにしておいて、今度はわしらが調べられないようにしておいて、しかもほかの省庁のやつを使っていいようになっていますね。こんなベールのかぶせ方はありますか。総額においても官房長官の手元で何ぼ動かすことができるのだということすら国会に示すことができない。こんなやり方がいいのだろうか。官房長官は細部はよくおわかりにならないようなんですけれども、お調べいただけますか。あなたがお使いすることのできるお金は一体何ぼなんだ。内閣にのっている分と外務省にのっている分と両方がある。既に本に指摘されている。私も情報をとった。あなたは直接調べることができる地位にある。こういうことは事務当局からちゃんとお聞きになっておってしかるべきだと思いますが、細かいことはようわからぬとおっしゃる気持ちもようわかりますから、それじゃお調べいただけますか。いかがでしょう。
  273. 坂本三十次

    坂本国務大臣 内閣の報償費で足りなくて外務省の報償費まで使っておるというようなお話でしたけれども、私は全然そんなことは聞きませんね。外務省は外務省、官房は官房だと、そう思っております。  それから、調べろと言っても、一番詳しいのが 今話ししたのですから間違いはないと思っております。政府委員が、官房の機密費は十三億幾らと今お答えしたでしょう。今お答えしたとおりでして、私が調べると言っても、政府委員に聞かなければわからない、間違いないと思いますよ。
  274. 寺前巖

    ○寺前委員 思いますではあかんからお調べくださいと提起したのです。本来言うたら、あなたきちっとしなければいかぬところの話なんです、彼があなたにちゃんとそういうふうに言わないのだから。あるいは彼は言ったけれども、そこのところは大臣に言わぬときなさいよと、こうなっているのか。そこはわかりませんで。だけれども、疑惑が持たれているのです。  私は、過去にずっとさかのぼって数字まで言っているのです。外務省分として官房長官が扱うことのできる報償費というのがこれこれあるという数字まで挙げたのです。これは決算額において言っているんだ。だから官房長官がお使いになることのできるお金というのは、さっきも言いましたように、平成元年度であったならば三十二億九千四百万、六十三年度で三十二億五千七百万、六十二年度で二十七億五千七百万、六十一年度二十七億五千七百万、さかのぼって全部言いますか。六十年度二十七億五千七百万、五十九年度二十六億五千八百万、五十八年度二十六億五千八百万、何ぼでもさかのぼったらきりがあらへん。  だから表面で十三億何ぼだ、予算組んでありますと言っているのとは、事実はとんでもない大きな金額になっていながら、その金額すら示すことができないということでは事だ。だから調べていただきたい。私はあえて提起しているのです。私は数字まで挙げたんだから、そこまで言われて官房長官、私はあなたの性格をよく知っているからお調べください、こう言っているんだ。いや、私は信頼しています。信頼というだけではそんなもの根拠は何もないですよ。提起している人が、こういう隠し事をやっておっては困るじゃないかと言っておるんだ。それが一つ、お答えをもう一回いただきます。  もう一つは、今度はその使い道において、国会議員がせんべつをもらって、何十万円、何百万円、そんなことをやっているというのはよくないことだ。言うてはぐあい悪いんだということで済む話じゃないと思う。使い方の問題においても、国民の前に明らかに出るような扱い方にしてほしい。そんなのはちょっと非常識だと思いますよ。百万からの金を「そうですか」と言って持ってきたら、もうそれはせんべつだという部類じゃないでしょう。抜本的に使い方についてももう一度メスを入れてもらいたい。  内閣官房の中でどういうものに使っているのかという説明が先ほどありました。その一端を申し上げますと、経費区分についてこういうことがあなたの内部で実際上は使われているじゃありませんか。例えば経常経費、これは六億、それから官房長官扱い、これが幾らかある。官房長官予備費五億。特別経費五億二千八百万。総合計三十二億二千八百万。これは平成元年のときですね。その特別経費というのを見たら、自民党外交対策費、夏期・年末経費、総理外遊経費その他、こう書いてあります。自民党外交対策費を何で官房の中から出さなければならぬのだろうか、天下の自民党ともあろうものがそんなものにたかるのは何でだろうか、私は疑問に思わざるを得ない。そうすると、これは報償費の使い方も官房長官としてもう一度見直していただく必要があるのではないか。いかがでしょう。
  275. 坂本三十次

    坂本国務大臣 先ほど政府委員から御説明いたしましたように、国が国の事務または事業を円滑に有効に遂行する、当面の任務と状況に応じて、その都度の判断で適当と認められる方法によって機動的に使用をいたします、こういうことで、私どもとすれば公正にやりたいと思っております。
  276. 寺前巖

    ○寺前委員 そんなのは答弁になっていません。私は数字まで挙げて、あなたの言われるところの報償費と実態は違います、ほかのところに何で頼っていますのや、昔そういうのがあった、今も続いている。政治改革をおっしゃるんだったら、すかっとしようじゃありませんか。いかがですか。何ですかっとできないのです。私はちゃんとそういう情報に基づく資料まで準備して言っているんだから、これはお調べになって当たり前だ。私だったらやりますよ。自分が責任ある地位にある以上は、それは点検して当たり前だと思う。疑惑を持たれたままで事は進んでいく、そんなことで内閣が許されることではないと私は思うのですよ。  リクルートの問題でパーティーの話がありましたが、パーティーで政治資金を集めるんだ、それはよくないことだ、だから自粛しようじゃないか、おたくの党はそういうふうにお決めになって自粛をやられた。ところが、最近またその自粛をやめてしまって、あれはわしらに関係ないことだと、またやり始めています。もう今月、情報によっただけでも何人か始まっていますが、それはリクルートに関係した者が悪いという話やったんやと。  官房長官どう思われますか。あれだけ世間を騒がせて、あれだけパーティーというやり方でもって金集めをやるというのが批判の対象になって、官房長官、そんなもの、やはり疑惑を持たれるようなことはやめるべきだとあなたは思いませんか。  また、官房長官自身のところの報償金のあり方、私は最近、支出の問題についてもこれは問題があると思う。これは疑惑になるなと思って問題提起しているんだ。疑惑になるようなことについてはメスを入れるという立場にお立ちになるべきじゃないでしょうか。パーティーの問題についてどういうふうに思われますか。
  277. 坂本三十次

    坂本国務大臣 パーティーは自民党の中で内規ができまして、閣僚だとか党役員とかは自粛をする、派閥も自粛をする、こういうことでやっておるわけであります。今あなたのおっしゃったのは、若手の中でそういう方も出てきておるのではないかという御指摘のようでありますが、まあパーティーに頼るということはよろしくない、自粛をしなさいというような指導は党の方においてやられておると私は思っております。  それかは、この報償費の支出についてでありますけれども、この性格上、使途とか金額は明らかにはできませんけれども、とにかく国の仕事を円滑にやっていくのだ、よく働いていただいた人、御苦労していただいた人、その方に対して報償を申し上げる、こういう趣旨でありますから、その趣旨にのっとって、そして適正に公正に運営をするという責任は私どもしかと自覚をしておるわけであります。
  278. 寺前巖

    ○寺前委員 お答えにならないのは、私はいつまでも疑惑として残ります。外務省のお金をあなたが使うことができるようになっているというのが不思議でならない。何でそんな隠し方をしなければならないのだろうか。具体的に数字まで挙げて、ずっと今に始まっていませんよという指摘をしているのだから、それは調べてみましょうと言うのは、私だったらそういうふうにやりますよ、知らぬことは。何で調べてみようという気持ちにならないのだろうか。私はそれを第一点に聞きたいです。もう一度お願いします。  第二点は、使い方はおっしゃったような態度でいきたいが、だけれども、私が聞きたかったのは、五十万とか百万というせんべつをお出しになるというやり方が世間にできる話なのだろうか、そういう使い道とか、あるいは自民党の外交などというようなものに使うべきではないというふうにはお思いにならないのか。疑惑としていつまでもこれは消えません、はっきりと言っていただかない以上は。いかがでしょう。
  279. 坂本三十次

    坂本国務大臣 第一点の、外務省の報償費を使っておるのではないかという議員のお考え、疑惑、こうおっしゃいましたけれども、そういうことは私も全然聞いたことありませんし、それから、ここにその会計の担当者がいないのなら私は帰って調べさせて報告しますと言うけれども、ちゃんとここにおります。それが責任持ってお答えしておるのでありますから、私が帰って聞い たって、またここにおる政府委員に確かめるわけであります。それが国会のこの場でちゃんと外務省と内閣とは別々でありますと申し上げていることを、私はあなたのおっしゃることよりは政府委員の方を信用いたしたい、そんな気持ちであります。
  280. 寺前巖

    ○寺前委員 調べもせぬといて、よう言えたわ。会計検査院おりますか。――会計検査院というのは、こういう問題についてお調べになるのですか。外務省の方のものを官房長官が使ってよろしいということになっているというようなことは、会計検査院の調べの中からは出てこないのですか、出てくるのですか。絶対になかったということが言い切れるようになっているのですか。会計検査院の仕事ではどういうふうになるのか。そこはわかりませんということになるのですか。どうなっていますか。
  281. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院説明員 お答えいたします。  報償費につきましては、従来からいろいろな御議論もございました経緯もございますし、また一般的にはその内容が公表されない性格のものでございますので、私どもといたしましても、検査に当たりましては重要な検査対象である、このように受けとめているところでございます。  そういったことで、従来からこの検査につきましてはできるだけ厳格な検査をやるように努めているところでございますが、今後も引き続きただいまの御議論なども十分踏まえながら検査を行っていきたいと考えております。
  282. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたのでやめます。疑惑は解消するようにやってこそ国民に対する政府の責任であろうと私は思いますので、あえて御調査を要求して終わります。
  283. 渡辺栄一

    渡辺委員長 次回は、来る二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十三分散会